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1978-03-02 第84回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月二日(木曜日)     午前十時開議  出席分科員    主査 伊東 正義君       田中 龍夫君    中島源太郎君       山下 元利君    伊賀 定盛君       石野 久男君    太田 一夫君       岡田 利春君    中村 重光君       草川 昭三君    権藤 恒夫君       斎藤  実君    谷口 是巨君    兼務 西宮  弘君 兼務 原   茂君    兼務 古川 雅司君 兼務 西田 八郎君    兼務 山本悌二郎君 兼務 安田 純治君    兼務 永原  稔君  出席国務大臣         農 林 大 臣 中川 一郎君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局取引部長 長谷川 古君         国土庁大都市圏         整備局長    国塚 武平君         農林大臣官房長 松本 作衞君         農林大臣官房予         算課長     田中 宏尚君         農林省農林経済         局長      今村 宣夫君         農林省構造改善         局長      大場 敏彦君         農林省農蚕園芸         局長      野崎 博之君         農林省畜産局長 杉山 克己君         農林省食品流通         局長      犬伏 孝治君         農林水産技術会         議事務局長   堀川 春彦君         食糧庁長官   澤邊  守君         林野庁長官   藍原 義邦君         水産庁長官   森  整治君         水産庁次長   恩田 幸雄君         運輸省港湾局長 大久保喜市君  分科員外出席者         環境庁企画調整         局環境影響審査         課長      大塩 敏樹君         外務省アジア局         北東アジア課長 佐藤 嘉恭君         大蔵省主計局主         計官      古橋源六郎君         厚生省公衆衛生         局栄養課長   玉木  武君         農林大臣官房企         画室長     佐竹 五六君         日本専売公社原         料本部部長   竹山 賢治君 分科員の異動 三月二日  辞任         補欠選任   石野 久男君     太田 一夫君   権藤 恒夫君     斎藤  実君 同日  辞任         補欠選任   太田 一夫君     中村 重光君   斎藤  実君     草川 昭三君 同日  辞任         補欠選任   中村 重光君     伊賀 定盛君   草川 昭三君     谷口 是巨君 同日  辞任         補欠選任   伊賀 定盛君     石野 久男君   谷口 是巨君     長谷雄幸久君 同日  辞任         補欠選任   長谷雄幸久君     権藤 恒夫君 同日  第一分科員原茂君、第二分科員安田純治君、第  三分科員永原稔君、第五分科員西宮弘君、古川  雅司君、西田八郎君及び山本悌二郎君が本分科  兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十三年度一般会計予算  昭和五十三年度特別会計予算  昭和五十三年度政府関係機関予算農林省所  管)      ————◇—————
  2. 伊東正義

    伊東主査 これより予算委員会第四分科会開会いたします。  昭和五十三年度一般会計予算昭和五十三年度特別会計予算及び昭和五十三年度政府関係機関予算農林省所管について昨日に引き続き質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斎藤実君。
  3. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 私は最初に、日本水産行政について基本的な問題について若干御質問いたします。  まず最初中川農林大臣お尋ねをいたしますが、大臣も御承知のように、現在モスクワで行われております日ソ漁業協力協定交渉についてでございますが、この日ソ漁業条約大臣も御承知のとおり、昨年の四月二十九日にソ連から同条約破棄通告が行われました。これは一年で期限が切れるわけでございまして、ことしの四月二十八日をもって日ソ漁業条約は無条約状態になるわけでございます。したがって新しい協定をまとめて国会批准を得なければならないわけでございます。国会批准に一月かかるとすれば、これは物理的に見ても三月中にも調印をする必要があるわけでございまして、最近の新聞報道によりますと、ソ連洋上におけるサケマス漁獲は抑止をするという報道がされております。昭和五十二年、昨年はサケマス六万二千トン日本でとっているわけでございます。もしこれがとれなくなる、だめになったとすれば、わが国サケマス漁業は大打撃を受けることになるわけでございまして、現在行われている協定交渉は昨年の交渉よりもきわめてむずかしいのではないか。したがって中川農林大臣は、この際、公使あるいは水産庁部長に任せるのではなくて、思い切って訪ソをして政治的な打開を図るべきではないかと私は思いますが、農林大臣の御所見を伺いたいと思います。
  4. 中川一郎

    中川国務大臣 斎藤委員指摘のように、日ソ漁業交渉は非常に厳しい状況にございます。今回の交渉冒頭におきましても、サケマス海上漁獲は今後差し控えるべきだ、言ってみるならば、河口だけでとったらどうかということになっております。そういうことになりますれば、昨年とっておりました六万二千トンの実績がなくなることになりますので、これは日本水産業、特に北海道にとっては大変なことでございます。長い間わが国が開発してきたこの漁場を、あるいは漁獲量を失うということは大変なことでございますので、何とかこれを打開して、そして過去の実績は確保したい、こう思っておるわけでございます。  すでにソビエトにおいてわが国代表団交渉をいたしております。しかも時期的にも御指摘のように四月二十八日になりますれば切れてしまうわけでございますので、なるべく早く解決して出漁に支障を与えないようにしなければならないという時期的制約もございます。したがいまして、これが一日も早い解決をと、鋭意努力はいたしておりますが、私自身訪ソするかということでございますけれども、いま国会もあり、引き続き参議院も控えておりますので、これらのことも考えながら、また、向こうにおける交渉推移等を見ながら、もし訪ソして交渉打開見通しがあるならもちろんそういった姿勢で臨まなければならないと思っておる次第でございます。
  5. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 大臣から、サケマス漁業については重大な関心を持っておるということで、早期に交渉をまとめたいという御答弁がございましたが、大臣サケマスの選挙区から出ている大臣でございまして、昨年の鈴木農林大臣は、国会開会中にもかかわらず、とにかく日本漁業を守るためには訪ソしろということで、三回訪ソされましたですね。これは与野党とも一致して、とにかく国会開会中でも行ってこいということで鈴木農林大臣は出たわけでございます。私は、相手がソ連ですからなかなかむずかしいと思いますけれども、いままでの交渉はやはり官僚が行って、その上に大臣が行って乗っかるというパターンをとってきましたけれどもサケマス漁業のためには思い切って大臣が、開会中であったとしても日本の権益を守るためには乗り込んでいって、そして政治交渉をしてこの問題を妥結をさせるという強い決意があってもしかるべきではないか、私はこう思うわけでございますが、再度大臣決意のほどを伺いたいと思います。
  6. 中川一郎

    中川国務大臣 野党であります斎藤委員から、国会の方は引き受けてやるから行ってこいという情熱ある激励もいただきまして、本当にありがたいことだと思います。国会の御協力がいただけるならば、一番いい時期に、また向こうとも連絡をとりながらしかるべき時期にそういう決断をしたい、こう思う次第でございます。
  7. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 大臣から、しかるべき時期に訪ソして交渉したいという御答弁がございましたので、ぜひひとつこの問題については積極的に交渉をお願いしたいと思います。  次にお尋ねいたしますが、さきの黒字減らし対策の一環としてニシンのくん製、モンゴウイカの自由化を決定したわけでございますが、二百海里問題で苦境に立っている水産業界やあるいは漁業者は、今後なし崩しに自由化されるのではないかという強い不安を持っておるわけでございます。水産庁として現行IQ品目を将来とも堅持するのかどうか、まずその点についてお尋ねしておきたいと思います。
  8. 森整治

    ○森(整)政府委員 現在のIQ品目の大部分は、わが国の零細な規模の漁業生産者が大部分を占めております沿岸、沖合い、養殖、そういったものの生産物でございますから、また二百海里ということで逆に大いに振興していかなければいけない、伸ばしていかなければいけないという事情にあるわけでございます。したがいまして、現行IQ制度につきましては、基本的にはこれを堅持していきたいと考えておる次第でございます。
  9. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 長官から、IQ品目は将来とも堅持していくという御答弁がございました。  これに関連してお尋ねいたしますが、現行IQ品目、この制度運用について、金額あるいは量、割り当て先輸入先等の問題について洗い直すべきではないかという論議があるわけでございます。と申しますのは、不足する水産物を補うために安易に輸入数量拡大で対応するのではなくて、日本の二百海里の見通しが当然必要になってくるわけでございまして、むしろ沿岸漁業開発計画の年度を繰り上げるよう、沿岸漁民を守るための施策というものをこれからも強く進めていかなければならないと思うわけでございます。  具体的な例としてスケソウの問題があるわけでございますが、中小加工業者スケソウ輸入を希望しているわけでございます。これを認める考えがあるのかどうか、お尋ねをしたいと思います。  北洋水産には商社割り当ての形で六万五千トンの洋上買い付けを認めておるわけでございます。これは洋上海上でミールスケソウ加工をされておるわけでございますが、中小加工業者対策にはつながっていないわけでございます。スケソウは、その主要加工品であるすり身その他タラコ、珍味の加工原料として重要な原料枠でございまして、このスケソウに依存して生計を立てている中小加工業者は現在非常に窮地に落ち込んでいるわけでございまして、私は、この中小水産加工業者に対して早急に対策を立てて、二百海里の影響を受けている中小企業者スケソウ輸入枠を認めるべきだというふうに考えるわけでございますが、長官、いかがですか。
  10. 森整治

    ○森(整)政府委員 御指摘のように、スケトウダラにつきましては、当初非常に割り当て量が少ないということで心配をされておりましたけれども、ただいまの見通しでは、スケトウすり身需給につきましては、繰り越しの在庫量が相当出ております。それから、沿岸漁業の方での操業状況が非常によかった、意外に豊漁であったということから、昭和五十三年におきましても五十二年の水準で推移することが一応予想されておりますので、その限りではスケトウダラ輸入を当面緊急に必要とする事態にはないというふうに判断をしておるわけでございます。しかし、今後のスケトウ需給動向をずっと見てまいりまして、こういう需給の問題というのは非常に流動的でございますから、一応事態をよく注目しながらその推移を見て、もし輸入必要性があればその段階では検討したい。ただ、いまのところそういうことはあえて措置をとる必要はないのではないかという判断をいたしております。
  11. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 在庫量その他で、現在の段階ではまだ時期は尚早だという御答弁でございましたが、大体時期的に見ていつごろというふうに判断をされているのか、お伺いしたいと思います。
  12. 森整治

    ○森(整)政府委員 実は、ことしに入りましてスケトウの漁がよくない、北転船の水揚げが余り芳しくないという事態はございます。それが今後どういうことになるのか、この点につきましては、まだこれからの漁獲を見ませんとよくわからない問題があるものでございますから、ただいま御答弁したようなことで判断いたしておるということでございます。
  13. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 次に、私はワカメのことについてお尋ねをいたしたい。  というのは、水産物輸入制度秩序ある運用関連をするものでございまして、御承知のように昭和三十六年に自由化されたわけでございます。数字を見ますと、五十年の国内ワカメ生産量が九万九千トン、五十一年が十三万五千トン、五十二年が十三万二千トンというふうになっております。ところが、昭和五十年度の韓国からの輸入量が二万四千トン、五十一年に六万四千トン、五十二年には七万三千トンというふうに、五十年度から見れば三倍にふえているわけでございます。御承知のように、わが国ワカメ生産者沿岸零細漁民が大半でございまして、韓国ワカメわが国生産量の半分以上入っているということについては、沿岸漁民が非常な打撃を受けておるわけでございまして、したがって、漁民生産調整をして価格維持に努めているわけでございます。私は、大体国内生産量の二割を輸入すれば市場は混乱する、しかも生産量の半分を輸入するということは政策的に問題があるのではないかというように考えます。これは民間ベースでやっているわけでございまして、日本の全漁連と韓国水産中央会交渉はやっているわけでございますが、こういうふうに無秩序に、しかも生産量の半分を輸入するということについては、これは政府が直接韓国輸入調整を積極的にやらなければ解決しないのではないか、したがって、大臣韓国輸入調整に乗り出すべきではないかというふうに私は考えるわけでございますが、大臣、いかがですか。
  14. 森整治

    ○森(整)政府委員 ちょっとその前に私の方から事情を御説明いたしますが、確かに先生指摘のように五十年から五十二年にかけまして韓国からの輸入量が非常にふえてきておることは事実でございます。そういう背景のもとで、実は政府同士といいますか、水産庁同士、それから韓国日本民間同士ということで話し合いが進められておるわけでございます。政府側としましては、一応そういうものを担保する意味で貿管令に基づきまして輸入事前確認制を実施いたしまして、ワカメ輸入協議会を数次にわたって開催をいたしまして指導をしておるわけでございますが、結論から申し上げますと、民間話し合いで、恐らくこれでもう韓国ワカメが問題になることはないのであろうというところまで詰められております。もっと言いますと、数量的な話までもいろいろな話し合いが行われておるということでございまして、一応当面こういう秩序のある輸入ということで落ちつき得るのではないか。韓国との間ではいまワカメが、一番苦しんだおかげで向こうも非常に認識を新たにした。たくさん出すということは要するに自分たちの首を締めることだ、価格を下げることですから。そういうことを非常に痛感いたしておるようでございます。今後はこの体制でうまくいくのではないかというふうに私ども判断をいたしております。
  15. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 長官、私は輸入することがよろしくないということではなくて、この輸入数量国内生産量を見ると、余りにも多過ぎる。しかも、漁民生産調整をして価格維持に努めておるということになれば、これは政府施策と相反するのではないか。五十一年度を初年度にして政府沿岸漁場整備五カ年計画を立てて、二千億の予算沿岸漁業の振興を促進しているわけでございます。     〔主査退席岡田(利)主査代理着席〕 こういう反面、無秩序に、最高限度を決めないで輸入拡大をするということは、わが国沿岸漁民に対する政策と矛盾をするわけでございまして、これはもう民間の取り決めだけでは無理があると私は思いますし、これは生糸絹織物と同様に、韓国日本の間でぜひとも政府間で決めなければならないというふうに私は考えるわけでございますが、大臣絹織物の問題で訪韓されましたし、そういう実績もあるわけでございますが、大臣いかがですか。
  16. 中川一郎

    中川国務大臣 確かに沿岸漁業は非常に厳しいときですし、零細漁家でございますから、韓国のみならず輸入水産物によって被害をこうむることは、安定的な生産あるいは漁民の生活というようなことから考えまして重要なことでございます。その中にありまして、韓国ワカメ輸入わが国ワカメ生産業者に大きな影響を与えてはならないという基本的な立場で、先ほど来長官答弁いたしておりますように、十分話し合いをしながら、政府貿管令等措置によってこれを秩序あるものにしたいと努めてまいりましたが、今後また推移を見て、政府としてやらなければならないと判断されます場合には積極的に働きかけをして沿岸漁家を守っていく、そして生産を安定的なものにするという努力をしてまいりたい、こう思う次第でございます。これは生糸その他韓国はいろいろな物資がありますのでいろいろとやっておりますが、韓国も、私の見るところではかなり理解はしてくれておるもの、こう思います。
  17. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 最近の新聞報道によりますと、わが国対ソ友好団体水産会社商社ソ連漁業省日ソ合弁会社設立構想、あるいはまた入漁料方式での漁業構想等で申し入れているという報道がたびたびされているわけでございますが、正式にこれらの団体から申請があった場合に水産庁はどう対応するつもりか、伺いたいと思います。ソ連の二百海里内での日本漁業のあり方につきましては、日ソ漁業暫定協定に基づいて漁区を決めておりますね。あるいは魚種、漁船の数等を決めて秩序のある操業を行うことも決めているわけでございます。これが日ソ漁業暫定協定の大前提だろうと思う。仮に新聞報道のように、合弁会社あるいは入漁料方式のように、特別扱い入漁あるいは合弁会社の名のもとに商社団体漁業会社日本指定外区域ソ連区域内で操業することになれば、当然日ソ暫定協定は骨抜きになるし、有名無実になると思うわけでございまして、水産庁は正式にこの申請があった場合はどう対処をされるつもりでいるのか、長官から御答弁をいただきます。
  18. 森整治

    ○森(整)政府委員 先生指摘のような民間におきます動きがあるということは承知をいたしております。これにつきましては、いま先生指摘のような問題が確かにございます。そのほかにも、モスクワで行われておりますサケマス交渉、こういうものへの影響もございましょうし、それからある一部の漁業者だけが参加できて、その他の方はそういかないということにどうしてもなるような性格の問題も持っておるわけでございます。そういう方々との全体の意見調整も必要ではなかろうかというふうに考えておりまして、これらの問題を一つ一つ解決をいたしませんと、直ちにどうというふうにはまいらない性格のものというふうに思っておりますので、日ソ漁業関係全体との関連を十分踏まえた上で、今後慎重に検討さしていただきたいというふうに思っているわけでございます。
  19. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 現在の輸入行政通産省ベースで進められているのではないか、これは漁業関係者あるいは漁業団体等からそういう意見を私もずいぶん聞くわけでございますが、従来の環境から大きく転換を迫られている二百海里時代のもとで、輸入行政については、国内漁業生産増強対策あるいは消費者対策並びに漁業交渉等のむずかしい調整を必要とされているわけでございまして、今後は通産あるいは農林両省間で生産及び消費者動向を掌握し、検討し、現実に対応し得る連絡調整機関を明確にする必要があるのではないか。と申しますのは、漁業団体やあるいは水産加工団体水産物輸入について水産庁に行けば、輸入問題は通産省だ、通産省に行けば水産物水産庁だというふうになかなか明確にされてない。これらについてきちっとした水産物輸入行政について何らかの連絡調整機関というものを明確にしてもらわないと困る、こういうように私は考えるわけですが、いかがですか。
  20. 森整治

    ○森(整)政府委員 私どもそういう御批判があるということは余り承知をいたしておらないのでございますが、そういう問題があるとすれば、これは大変申しわけないというふうに思っておるわけでございまして、基本的には、水産物輸入につきましては国内需給それから価格、そういう動向を踏まえまして、国内関係漁民あるいは加工業者影響というものを考えながら、秩序のある輸入が行われるように、いろいろ輸入割り当て制度でございますとか、あるいは先ほどのような事前確認制度というようなものも導入いたしまして、運用に努めているわけでございます。ある場合には、たとえて言いますと、民間輸入協議会みたいなもの、そういうものの話し合い等を通じて、その時期なり確認なり数量なり、そういうものを決めながらやっていくということも、あるものにつきましては導入をいたしておるわけであります。できるだけ多方面の意見調整される形で、秩序ある輸入を行ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  21. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 最後に大臣お尋ねしますが、先ほどの合弁会社設立構想について、水産庁長官からいま、将来検討さるべきであろうというお話がありましたが、こういうことがもし行われれば、日ソ漁業の精神にも反するし日本国益にも反すると私は思う。むしろ、漁場に余裕があれば交渉して数量をふやすというのがこれはわが国の筋であり、たてまえであろうと思うわけでございます。この入漁料方式日ソ合弁会社設立について、私は日本国益に反すると思うわけでございますが、中川大臣所見を伺いたい。
  22. 中川一郎

    中川国務大臣 ソビエトの二百海里内における合弁あるいは入漁料等による漁獲については、先ほど長官から御答弁がありましたように、そういう動き現実にございます。その場合、正規の交渉によってとっております現在のとり方との関係や、あるいは日ソサケ・マス交渉との関係やら、関連するところが非常に多いわけでございます。したがって、基本的には、御指摘のようにやはり協定の中で正々堂々と漁獲ができるというのが基本でございます。しかしまた、魚族資源の少ない日本としては、あらゆる方法で国益に合うものならばという意見もないわけではございません。しかし、この問題は大切な問題であり、基本的にはソビエトがどういう考え方を持っておるのかまだ明らかでございませんので、ソビエト考え方出方等も勘案しながら、慎重な配慮のもとに処置をしてまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  23. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 以上で終わります。
  24. 岡田利春

    岡田(利)主査代理 西宮弘君。
  25. 西宮弘

    西宮分科員 私は、まず第一に、今度の生産調整の問題についてお尋ねをしたいのでありますが、今度の生産調整の問題については、ずいぶん地方の農民の皆さんからいろいろな手紙その他をもらっておるわけです。大変に現場が混乱しているということで、いろいろな意見が寄せられておるのでありますが、そのうちの一つに、私ちょっと御紹介したいと思うのですが、これは私の方の古川菅原熊次郎さんという人の御意見なんでありますが、それは要するに、今度の生産調整、いわゆる転作の問題は、一年間延期をして、その間に徹底的な準備期間として調査研究をする、こういうことを言っておるわけです。私は、このことは非常に大事なことではないかと思う。この人は決して全面的に反対だというようなことを言っているのではないので、一年間だけ十分に基礎的な研究をすべきだ。これは、私は、この人の意見に従えば、いまやっておることはそれで結構だと思うのですよ。しかし、それはどんどん進めていってそれだけの実績があるというならば、それはそのままにして、そのほかに、たとえば農事試験場なり、あるいはまた改良普及員なり、そういう機関も動員して徹底的な調査をして、ここはこういうふうに転作が可能だ、そういうことを十分に資料を整えて、それから政府の考えているような目標を達成するというためにやるべきだ、こういうことなのですが、どうですか。  大臣、ですからいままで、これはいわば自主的といいますか、いろいろな形で出てくると思いますね。それはそれで非常に貴重な資料としてそのままにして、さらにそれで足りないというのならば、それ以上のところをどうしたらいいんだというようなことを時間をかけてやっていく、こういうことが非常に大事だと思うのだけれども、そういうやり方について、どうですか。
  26. 中川一郎

    中川国務大臣 非常に積極的な、しかも建設的な御意見でございまして、われわれも、できるならばそういうことをしたいなと思うのでございますけれども一つは約五百万トンに近い過剰米がすでにできておること、この上に過剰米ができますれば、昭和四十四、五年ごろのような、本当に異調な事態になるという緊急性が一つございます。  そこで、政府としても、一昨年あたりからこういうことを予見いたしまして、昨年の三月ごろから都道府県知事、農業団体、多くの機関等と寄り寄り協議をして、やり方、方法等々十分議論をして、実は昨年の暮れ、県別の数量、やり方等も決まりまして、内示申し上げたということでございます。そして、県も大体御理解をいただき、町村もいただき、現在は町村と個々の農家の間で協議中でございます。  もう一年という御意見もありますが、政府としては、約一年前からそういうことも予想されましたので、いろいろと議論をしてやってきたところであり、農業改良普及員あるいは試験場等にも連絡をして、農家の皆様方の御相談相手には十分乗る。そして、しかるべき方法を、よりよいものを考えるということになっておりますので、何とかひとつことしからやっていただきたいし、そのために必要な措置は、今後ともあらゆる機関を動員して全きを期したい、こう思っておる次第でございます。
  27. 西宮弘

    西宮分科員 大臣は、この二、三年そういう予見をしながら準備をしてきたというようなお話ですが、私は過去三年にわたって、三年前にさかのぼって、毎年行われます農林大臣の審議開始のときの所信表明、それを見ますと、たとえば三年前の昭和五十年の大臣の演説には、「穀物等の国際需給は、一九七二年の世界的な不作等を契機に逼迫に転じましたが、今日もその基調に変化は見られず、価格も割り高で不安定な状態で推移しております。また、中長期的に見ましても、穀物等の国際需給は楽観を許さない状況であり、その国際市況も、従来のようなアメリカ等の過剰在庫を背景とした低位安定の時代から高位不安定の時代へと変化しつつあるものと思われます。」「さきに述べましたような最近の国際的な食糧事情から見まして、一億を超える国民の、水準の高い食生活を支えていくために、将来にわたって食糧の安定的供給を確保する体制を整備することが今後の農政の中心課題である」、こういうふうに述べているのですね。  次の五十一年でありますけれども、ここでもやはり一九七二年の世界的な不作ということを例にいたしまして、「農産物の国際需給は、一九七二年の世界的な不作を契機に逼迫基調に転じ、最近の状況を見ましても、昨年のソ連の大量買い付け等に見られるように依然として不安定な状態を続けております。今後においても、開発途上諸国における需要の増加、先准諸国を中心とする畜産物消費の増大、気象変動に伴う農業生産の不安定性等を考慮すると先行き楽観は許されないものと考えられます。」「食糧問題は、」「広く国民の安全保障にかかわる問題であると申さねばなりません。国民食糧の安定的供給なくしては、わが国、わが民族の存立も全うできないのであります。」これが昭和五十一年です。  次の昭和五十二年、つまり昨年であります。昨年の国会審議の劈頭に述べたのは、依然として一九七二年を取り上げている。「農産物の国際、需給は、一九七二年の世界的な不作を契機として逼迫基調に転じましたが、最近においては生産が良好で小康を得ているものの、在庫水準は依然として低く、さらに長期的に見ても、開発途土地域における需要の増加、先進国を中心とする畜産物消費の増大、農業生産の不安定性等を考慮すれば、予断は許されないものと考えております。」「さきに述べましたような農産物の国際需給動向等から見まして、一億を超える国民の食生活にいささかの不安も与えないようにするためには、国内生産が可能である農産物については極力これを国内で賄い、総合的な自給力の維持向上を図ることが基本的に重要であります。」この「総合的な」云々というのは、いま取り上げている政府の政策でありましょうけれども、しかしその前提として言っていることは、ことごとく一九七二年当時に起こったそういう不安定な状況は解消しておらない、これは去年の国会の劈頭で、二月三十三日にそういうことを述べておる。そして、いまさっきの大臣のお話だと、三月ごろから関係方面といろいろ相談を始めたというようなことだけれども、少なくとも国会で述べたこの見解からいうと、食糧需要はきわめて不安定だということを前提にして物を言っているわけですね。そういう状況ならば、私は去年突如としてああいう問題が、少なくとも、ある一部ではそういうことを検討していたかもしらぬけれども、現場の農業者が、農民がそれを理解するというようなことはとうていできなかったと思うのですね。したがって、去年発表されたあのやり方は、これはどう言っても非常に唐突な、いわゆるショックを与えたということだけは間違いないと思う。したがって、さっき申し上げたような、非常に現場の混乱が続いているということになるのは当然だと思うのですね。  そこで私は、いまの問題についての議論等は、時間がかかりますから御答弁いただきませんけれども、例の俗にペナルティーと言っている問題ですね。この問題について、この間の予算委員会での審議について農林省の方から改めて通知を出し直しをする、こういうことを言っておりますが、これはもし、俗に言うペナルティー、そのペナルティーという言葉は農林省で使ったのじゃないのだというようなことなら私はあえてそれを詮議をいたしません。ですからその答弁は要りません。しかし、一斉に日本じゅうにこういうことが広まったということは、まことに不思議千万で、私はどこからそういうことが出たのだろうとまことに不思議に思うのだけれども、しかしいまそのせんさくはいたしませんけれども、もしさっき申し上げたようなやり方でことしの分をできるだけやる、そして足りなかったらそれを来年にその分だけ積み増しをするということをやらなければ、私の言うあるいはこの人の言うところの、一年間期間を置いて十分な検討をするということになるわけですよ。したがって、そういう来年にかさ上げをするということをやらない、そういう決意があるのかどうか。実は私も農林省で出そうとする通知を、いま理事会預かりになっておりますので、それは私も見ておりますけれども、これにはそういうことは全くないわけですね。だから、これでは私はとうていいまのような要請にはこたえ得ないと思うのだけれども、来年その分だけかさ上げをする、積み増しをするということはやらない、こういう方針を明らかにしていただきたいと思います。
  28. 中川一郎

    中川国務大臣 実はこの年産調整に対しては、無理があるというので、反四万から七万円の格差はありますけれども、補助金を出しながら協力をお願いをしているわけなんです。ところが農家の間にそれでも、よかったな、喜んでやろうという人は本当に少ないわけでございます。これは技術的な問題、経済的な問題もありましょう、土地条件の問題もあるしいろいろあって、だれでも好まない仕組みでございます。  そこで、ことしはそういった措置は講じないというようなことにもしなりますれば、まずまず実効がことし一年は上がらぬという結果になるのではないか、そうすれば先ほど申し上げたように、すでに五百万トン近く余っております上に、さらに百万トンとか百五十万トンというものが乗っかれば、これはもう異常な事態でございまして、すでに五百万トン近く余っているということであるものでございますから、混乱もあり大変でもあるとは思いますけれども、ぜひともことしから実効あらしめてこの過剰米という問題にけりをつけなければならない。過剰米の処理の仕方があればこれはいいのですが、どう技術的に、経済的に考えましても、家畜のえさにおろす等しか方法がないとするならば、需要に見合った供給ということに、少々無理はあってもやらしていただきたいというので、ぜひことしから協力を願いたい。もし協力願えないとするならば、また来年以降その分、まじめにといいますか、協力した人もともどもにかぶらなければいかぬということになってまいりますので、このことをやるに当たりましては、農業団体あるいは機関とも相談して、やはり実効あらしめるのには、まじめにやるといいますか、だれも喜んでやる人はないと言ったら言い過ぎですが、多くの人はやりたくなくてやるわけでございますから、みんな苦しいけれどもみんなでひとつ責任を持ってやるのだ、こういう協力体制が必要だということでこういうやり方にしておるわけでございますので、どうかひとつ御理解をいただきたいと存ずる次第でございます。
  29. 西宮弘

    西宮分科員 ことし消化できなかった分はその分だけ来年にさらに積み増しをするということになれば、それがいわゆる世間で俗に言うところのペナルティーなんですよね。そういう言葉が適当かどうかは別問題にして、それがいわゆるペナルティーだ。こういういわゆるペナルティーだ、罪悪だ、刑罰だ、刑罰じゃないが罰則だというような、そういう観念があるとすれば、米をつくるということ自体がいわば罪悪だということになるわけですね。こういうやり方、つまりおよそ自分のやっている仕事に誇りを持てない、これほど不幸なことは世の中にないわけですね。これは大臣も、農業者が誇りと働きがいをもって農業にいそしめるよう、その体質の強化を進め、食糧自給力の向上を図ることを長期的にわが国の基本方針とするというようなことをうたっておりますけれども、私はそういうやり方で、いわば力で押されてやらざるを得ないというようなことでは、恐らく農業者が誇りも働きがいも完全に失ってしまうということを何よりも恐れるわけです。いわゆる公平云々という、公平を期するためにやるのだというお話だけれども、私はだから、一生懸命やった人も、あるいはそこまでいかなかった人も、ことしはそのままにして、さらに調査研究を進めるということならば、そういう問題は起こらないのじゃないかというふうに思うので、私はそのことをぜひ強調したいと考えるのですが、とにかくいまのようなやり方で進めるということは、まことに困る。  それからさらに、いわゆるペナルティーというか、この点については、行政がそういういろいろな問題を起こしている、つまり、雄産調整協力をしなければ、たとえば何とかの補助金をもらえないとか、あるいはまた政府の認可はむずかしくなるとか、そういうことを暗示しあるいは明示して、そういうことでやらしているというのが実態なんですよ。ですから、これこそまさに行政のペナルティーだと思う。文字どおりペナルティーだと思うのですね。だから、大臣は、非常に順調にいっているというふうにごらんかもしらないけれども、その実態はそういうことで、いわば強要されているというのが実態なんですから、こういうことでは私は大変に困ると思うわけです。  さらに、もう一つ申し上げたいと思うのでありますが、この間じゅう農産物の輸入拡大するということでアメリカから要請があって、日本もある程度これに応じたということでありますが、こういう現実を見ておって、これをだれも日本需給事情の必要からああいうことをやった、アメリカとの話し合いでさらに輸入拡大するということを、日本需給事情からそれが生まれてきたというふうに考えている人は、農民の間に一人もないわけですね。これは全くアメリカの強要、あるいはまた日本の工業製品を輸出しようとする工業資本家、財界の圧力だ、こういうふうに、さっき申し上げた菅原さんという人もそういうことを大分憤慨をして書いていますけれども、そういうふうにこれはとられてもやむを得ないのでありまして、したがって、いまのような大事業、まさに農林省としては本当に大変な大事業に取り組んでいると思う。これは日本の農政にとって大変に大きな問題になっているわけですね。そういう大事なときに足元を見られてしまったというようなことは、農業者にますます不信を買っているわけですが、そういう点について大臣はどういうふうに考えておられるか、時間がありませんから簡単に一言だけ。
  30. 中川一郎

    中川国務大臣 この過剰米という問題は真剣に農家の方にも受けとめてもらいたいということを言っているわけなんです。過剰生産のときの生産者がどれぐらい苦しむか、たとえばミカン農家の方々の苦しみとか、あるいは中小企業の人々でも政財界でも、どこでも大変に苦しむわけなんです。でありますから、アメリカでも過剰生産のときには、価格保障はしますけれども生産調整の分は自分で責任を持つということになっているわけなんです。ですから先ほど農家の人が誇りと生きがいという、まさしく誇りを持つならば、消費があるところに生産をするのだということがあってこそ誇りだろうと思うのです。自分のつくったものがどこへいくのか、家畜のえさになるのかわからないという行き先のないものをつくるということこそ、まさに誇りがないことではないかということから、ぜひとも国民の要る食糧をつくるのだということからいけば生産調整にも理解ができる。ただし、ほかの作物をつくったのでは大変だというので奨励金その他を出している、こういうことであります。時あたかも、そういうときに外圧があり、オレンジあるいは牛肉等の輸入をしましたから、外圧あるいは財界の圧力であるというような宣伝といいますか、受け取り方をしておるようでございますけれども、私としては調整に当たって、先ほど御指摘あったように、需給事情、これを入れたからといって日本国内生産がおかしくなる、牛肉が暴落する、生産が減退するということじゃなくて、価格の安定ということもしっかり見きわめ、またオレンジについては季節を考えて、ミカン、タンカン等がなくなった、まさに端境期、需要の非常に強いときにだけこれを調整するということでやったのでございます。ところが農家の受けとめ方はそうではない。過酷な生産調整、そうして無理な輸入という受けとめ方をしておりますので、この点は真相でない面が相当ある。そこで農業団体の皆さんにも、末端の農家の人は不安があることであるから、事情を知っている団体の幹部の皆さん方は、そういうことを必要以上に不安がらせるような宣伝をしないでもらいたいということを思い切ってお願いし、最近幹部の方々も理解をしていただいておる、こう思っておるのです。真相は農家の方々にもだんだん理解ができてきていただけるもの、私は責任者として日本の農村を真剣に考えておりますから、需給を考えない外圧、力だけに屈したつもりはございませんし、また生産調整も厳しくあるけれども、この際やっていかなければならない、しかし農家の経済も考えなければいけない、ぎりぎりの選択をしておるつもりでございまして、どうかひとつ御理解をいただきたいと思う次第でございます。
  31. 西宮弘

    西宮分科員 大臣がそういうふうに説明されましても、現実に起こった現象からいうと、アメリカの圧力に屈したというふうに見られる。財界ではこういうことを笑っているのですね。文芸春秋のことしの一月号に桜田武さんという方が書いておりますが、あれなどを見ると、アメリカはそんなことを言ったってやれるものじゃないのだ、つまり日本の工業製品をアメリカに買わせる、そういうことを拒否しようとしても、そんなことはとてもできっこないのだというようなことを、笑っているような文章も載っているわけですけれども大臣がどんなに強弁されても、これがいわゆる外圧のためにこういう結果になったということだけは避け得ないと私は思う。したがって今後、日本で足りない農産物は、たとえば小麦等、日本で総合的にやっていく、これは方針として大変結構だと思うのですよ。そういうときに、仮に小麦がたくさん増産されたというときに、したがって今度はアメリカの小麦はもうこれ以上買わなくてよろしいというようなことになったら、果たしてそれが可能なのかどうなのか。恐らくそのときはまたそのときで、ストラウスの一喝を食らえばまた小麦を買わなくちゃならぬというようなことになるだろうということが想像される、私はそういうふうに想像するわけです。  そこで私は、もうここでは日本もいわゆる発想の大転換をするということが必要じゃないかと思うのです。たとえばアメリカが、農産物が大変余って困ったというときには、例の余剰農産物処理法という法律をつくって食糧の足りない国等に援助をする、援助という名目でたくさんの金を使って余剰農産物を処理していったわけですね。日本も同じような考えでやっていかなければ問題が解決しないのじゃないかと思う。たとえば、いままで過去何年間かかかって生産調整をやってきた。いままで使った金が大体一兆円ぐらいの金である、あるいは余った米の処理に一兆円も使ってきた、合わせて二兆円もの大金を概算使われたのです。ね。そういうことなんだけれども、それで生産調整が定着をしたというのは、二万八千ヘクタールしかないわけですね。一体いままで何をやってきたのだろうという感じがするわけです。ですからこのことがいかに困難であるかということがよくわかるので、ここで発想の大転換をして、いわゆる余剰農産物を処理する、そのためには政府もうんと金を出して、第一、日本の農産物と値段が大変違うわけですから、それを何らかの形で補てんをするという必要もありましょうし、とにかく政府が金を出して、そうして不足している国に、あるいは売るとかあるいはくれるとか、そういうことも当然必要です。しかし、これは無論外交面の問題でもありますから、そのために摩擦を起こすというようなことがあっては困りますから、十分外交面で、外交努力と並行しながらやっていく。いつか、前の外務大臣ども、これはわずかなインドネシアに対する問題だけではありましたけれども、そういうことを閣議で提案したこともあったわけですね。ですから、そういう外交努力と並行しながらそういう形で処理していくということが必要ではないかというふうに思うのだが、そういう発想の転換ということについて一言答えてください。
  32. 中川一郎

    中川国務大臣 国民の皆さんの間からも、米が余って何で政府が苦労しているんだ、東南アジアその他で食糧不足で困っている人があるんだから、そこへ輸出するなり、あるいはいま御指摘のようにくれるなりしてやれば喜ばれていいものを、何でそんな無理な生産調整をして苦しんでいるんだ、まさに当を得た発言のように受け取られる声が非常に多いわけでございます。  しかし、これをよく検討してみますと、臨時、短期的なものならばいいけれども、毎年百七十万トンから生産される余剰力、あるいは今後消費の動向を見ますと、さらにふえるかもしれません、だんだん消費が減っていく、そういったものを、国際価格というか、東南アジアの諸国に比べて約六倍するわけです。一兆円のものを、千六百億しか喜ばれないものを一兆円、言ってみれば五倍のものは損をしながらやっていく、そういうことを緊急援助として国民が納得するかどうかということが一つでございます。それだけの財政負担をしてやるべきかどうかという問題が一つ。  もう一つは、その品物が、日本人にとって日本の米は非常においしい米でございますけれども、アメリカのパンの原料である小麦と違って、品質に特殊性があるものですから、東南アジアの人々が、いや、いい品物をくれたと喜んでもらえるなら、これまた一つの道もあろうかと思うのでありますが、いかんせん軟質米のあの日本人に合う風味なり粘りなりというものが、東南アジアで受け入れられるかどうか。もっと極端なことを言えば、国によっては炊き方もわからないというようなことから、技術的にも問題がある。むしろ高いものを差し上げて反感が返ってくるようなことになりはしないかという心配もあるというようなことで、なかなか踏み切れないでいるところでございますが、今後また研究してみたいと存じます。
  33. 西宮弘

    西宮分科員 いま大臣が言われたそういう問題については私も十分承知しておりますし、なお私も日本の米を持っていって向こうで食べてもらった、古米、古々米などを持っていったら非常に歓迎された、そういう体験もあるわけですから、そういう問題については後でまたゆっくりお話をしたいと思います。  私はもう一つ国内で消費を拡大するという点でぜひ伺っておきたいのは、大臣の所信表明を読むと、いわゆる逆ざやをなくしていく、こういうことだけがうたわれておって、消費者米価を上げるのじゃないかということが思われるわけだけれども、それではとても消費の拡大にはならない。現にたとえば学校給食は三五%値引きして売っているわけですね。学校給食に何とかしてお米を使わしたいというので三五%も安くして売っている。それで消費を拡大しようとしている。そうしなければ学校給食が伸びない実態なんですよ。にもかかわらず一方、一般大衆に食わせる米はまた上げるのだ、こういうことじゃとても浦賀の拡大にはならぬことはきわめて明瞭だと思う、全く逆だと思うのですね。その点と、それから生産者米価については何も言っていないけれども、これは従来の方針どおり十分生産費を計算して今年度の米価を決めるという点については変わりはないのだろうと思いますけれども、その二点についてお答えください。
  34. 中川一郎

    中川国務大臣 まず第一番目に米価の問題でございますが、値引きをすれば消費拡大になるではないか、それを逆ざや解消という名のもとに引き上げるようなことを言っておるではないかということでございます。この辺も、確かに逆ざやだけは食管制度の仕組みとしてこれはどうもおかしいのではないか、言ってみれば逆流するような、卸段階ではございますけれども、その値段と配給所で配給される値段とが、配給所の値段の方がずっと安いというならば、もう一回配給所から買って売れば高くなるというような仕組みを残しておいていいだろうかという問題がございまして、数年前からこの逆ざや分だけは解消しよう、こういう努力をしてきたところであり、こういった情勢ですからどの程度解消できるかわかりませんが、今後もこういう姿勢だけは貫いていかなければ仕組みとしておかしいのではないか。  それから生産者米価はどうするかということでございますが、生産者米価は法律の定めるところによって所得補償方式で買わなければならない。しかも米価審議会もございますから、十分相談をしてやりたいと思いますが、今日の需給動向というものがどの程度反映できるか、従来のように大幅な引き上げというようなことが許される情勢であるかどうかということについては今後十分検討してみたい、こう思っておる次第でございます。
  35. 岡田利春

    岡田(利)主査代理 太田一夫君。
  36. 太田一夫

    太田分科員 私は最初に、カドミウム含有米のことにつきましてお尋ねをしたいと思います。  このカドミウム含有米につきましては何回かお尋ねをいたしておるところでありますが、最近はなれてしまいましたのか、ともすれば国民の関心あるいは一般行政当局の関心からも遠のいておるような感じがいたします。そこで、簡単にお尋ねいたしますが、カドミウム含有米の在庫状況、そして現在行われておる処理方針、それについてお答えをいただきたいと思います。
  37. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 カドミウム含有米の政府在庫量は、五十一米穀年度の末でございますので昨年の十月末で七万一千九百トン、まあ七万二千トンということでございます。これの処理でございますけれども、種々研究もいたしまして、現段階では合板接着剤の原料用に処理をするという方針で、その処理に当たりましては、食用への横流れ防止という観点から売却先も限定をいたしまして、かつ政府の委託加工工場で着色変形加工して、食用と紛らわしくないようにしまして売却しております。現在までの処理数量は、四十九年十二月からいま言いました合板の接着剤原料として売却を開始して以来昨年の十月末までで製品で三万三千トンであります。実需者の方々もだんだん使いなれてこられますし、また品質改良というようなことにも努力をいたしまして需要の拡大に努めておるところでございますが、一年ぐらい前からアルファ化米の混合米粉を使うというようなやり方をしておりまして、それによりまして、今後、年間約二万五千トン程度を、ただいま申し上げました用途に売却できるのではないかと思います。したがいまして、現在約七万二千トン持っておりますのは、二万五千トンずつということになりますと、おおむね三年ぐらいで処理できるのではないかと思います。  ただ、これは年によって毎年差異はございますけれども、最近の情勢でございますと、七万二千トンが処理されることとあわせて、毎年一万五千トン前後が生産されますので、現在のような食用への販売の保留をしておりますやり方を続けます限り、その分については続く、こういうような見通しでございます。
  38. 太田一夫

    太田分科員 簡明なお答えですから、ちょっと誤解があるといけませんので、念のために数値をお尋ねいたしますけれども、合板接着剤用としてお売りになるというのは、PPmで言うと、〇・四PPm以上、一・〇PPm未満のことでございますか。
  39. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 政府が現在買っておりますのは一PPm未満、〇・四PPm以上でございますので、それに該当するものをただいまのように処理していくということでございます。
  40. 太田一夫

    太田分科員 一・〇PPm以上の含有米は現在どうなっておりますか。
  41. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 ただいま申しましたように、賢い入れないことにしておりますので、現在持っておりません。
  42. 太田一夫

    太田分科員 持っていないのではなくて、どうなっておるか、わかりませんか。
  43. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 これは食用に適さないものということでございますので、政府は買い入れをしておりませんけれども、一PPm以上の濃度の地域だということで認定を受けました地域におきましては、一般的には生産を行わずに、原因者である工場側等が補償をするというようなことでやっておる場合が多いわけでございます。ただ一部で生産をされる例が間々ございます。それにつきましては食用として流通しないように、地方公共団体等によります指導、監督のもとに特定の倉庫を指定いたしまして、そこに集結保管をさせる。それから保管の管理はもちろん厳正を期する。加工用、工業用等に譲渡します場合には、政府の譲渡許可のもとに都道府県の指導によって工業用ののり原料等に用途を限定して処理をすることといたしております。
  44. 太田一夫

    太田分科員 おわかりにならなければ仕方ありませんが、一・〇PPm以上の、言うなれば非常に毒性の強いカドミ米は生産をされた分があり、現在倉庫に貯蔵されておるものがあるはずだが、それは買い上げの対象にならないから、いわゆる監視の目が行き届いておらなくてわからないというのは当該所管庁である農林省としては手抜かりだという気がしますが、これはいまここでどれくらいあるかということがわからなければ、これ以上お尋ねいたしませんが、それはつかんでおいていただかなければまずいんじゃないでしょうか。これは大臣どうですか、そういう数字がわからぬということはどうです。
  45. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 一・〇PPm以上のものについては譲渡許可が上がってまいります場合に、農林省としては把握をしております。したがいまして現在手持ちの資料では持っておりませんけれども、その譲渡許可した数量は明らかにすることができます。
  46. 太田一夫

    太田分科員 一遍また後刻明らかにしてください。  時間の都合で質問を進めますが、大臣、いまの西宮先生のように大きなお話じゃなくて細かい話だから、あるいはお答え、御記憶、認識の中にないかもしれませんが、原子吸光分光光度計、全国に、あなたの管内に七カ所配置されておりますが、これは御存じですか、こういう名前を。
  47. 中川一郎

    中川国務大臣 残念ながら知りません。
  48. 太田一夫

    太田分科員 では、局長でよろしいから、原子吸光分光光度計が現在配置されておる状況とその稼働状況、どれぐらい役に立っておるか、動いておるか、これについて伺いたい。
  49. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 四十八年から設置をいたしまして、四十九年度は種々の事情がございまして設置をやめたわけでございますが、五十年度引き続き設置をいたしまして、現在七台原子吸光分光光度計というものを設置をしております。これはわが方といたしましては試験研究用ということで整備をしたわけでございますが、カドミウム米の在庫量の多い地域を中心にそれぞれ食糧事務所に一台ずつ合計七台ということでございますが、現有設置しておりますのは宮城、富山、群馬、兵庫、福岡、愛知、大阪ということになっております。これの稼働状況でございますけれども、先ほど申しましたような設置の目的からいたしまして、政府が買い入れましたカドミウム含有米を必要に応じて分析をして、県が検査をして一PPm未満ということならば政府が買い入れておるわけでございますが、この買い入れたものを補完的に調査をするというようなことをやっておるわけでございます。五十一年度の調査をしました結果では、政府が保管しておるカドミ含有米につきまして測定を行いました結果は県が検査をしてきましたのとほとんど変わりがないということになっております。ただ、なかなか測定をいたしますのに技術を要するという問題がございますので、新たに設置したところ等につきましてはまだ十分な検査ができない面もございますけれども、漸次整備をいたしましてやっていきたいと思っております。
  50. 太田一夫

    太田分科員 そうですね。七カ所、七ブロックに配置されておる原子吸光分光装置というのは、言うならばある程度技術が必要でございますから、だれでも顕微鏡をのぞいてすっとわかるというわけじゃございませんから、これは熟練者をふやしていただくことも必要でありますし、さらにはいまのカドミウムの〇・四PPm以上、一・〇PPm未満という、買い上げはするが配給米には回さない、工業用に大体これを処理しておるというこの米の問題はなかなか重大な問題でございますから、原子吸光分光装置の普及並びにその活用ということについては十分お考えをいただきたい。たしか四十九年でございましたか、五十年でしたか、愛知、大阪に配置されるその直前、五カ所のみで、その次追加されるときには一年間、何やら新しい病虫害が出たということで予算をそちらに回して、カドミ分析装置というのは一年繰り越しになったことがありますからね。どうもカドミ米に対して関心が薄いということを私は心配しておるわけなんで、世の中にはカドミ無害論というのもあるようでありますが、ではカドミ米をあなた食べてくださいと言ってその人が食べられるものじゃない。ぜひこれは十分意を尽くしていただきたいと思います。  次に問題を移らしていただきます。そこで大臣余りおもしろくない質問ばかりやっておってはいかぬと思うのですけれども、このごろ、いまの水田利用の再編対策が議論されておりますが、水田利用再編対策として転作が奨励されていますね。これは小麦、大豆が中心になっていますね。さらにそのほかに野菜ですね。畑作に準じて野菜に転作するというのがたくさん出ておりますね。ビニールハウスによる野菜栽培が普及化したということは御存じでございますか。
  51. 犬伏孝治

    ○犬伏政府委員 野菜の栽培につきましては露地物と施設物がございますが、最近、消費の実態、露地物でございますと季節的に限られるのを、周年的にそれを消費したいという消費動向に合わせましてハウス物が非常に伸びてまいっております。
  52. 太田一夫

    太田分科員 消費の動向によってハウス物が伸びるという、消費の動向とは何か。わが国民の趣味嗜好というのがハウス物を求めているのか、やむを得ずあなたの方が転作を求められるから、そこで減反政策の結論、しわ寄せとしてそういうものが伸びて、それを国民が食べさせられておるのか、ここに一つ問題があると思うのですね。  それで、私は古い歴史のことなど言っていたら時間がなくてはなはだ残念だと思うのですが、いろいろな歴史の中から、食べ物という面から見た日本歴史を考えてみると、いわゆる平安時代、藤原朝時代というのは、いまから千年も前の話でありますが、非常に文化が盛んになったように見えて、そうしてだんだん精神文化、貴族文化というふうにこれは盛んになっていきますから、そこで指導者というか金のある人たちというのは外でそういう珍しい物を食べるとか、栄養ということは関係なしに食べますから、貴族文化はやがてたくましい野生の食物を食べた時によって倒されるわけだ。そういうことでしょう。それは本当に政権争奪の歴史から言って大事な点ですね。あなたの方でハウス栽培とハウス園芸というものを奨励されて、あるいはその食物が国民の口に多く入るということは何だというと、貧しい食生活になると私は思う。金は出るけれども中の栄養というのは問題じゃない。  そこでちょっと聞きますが、昔からお酒というのが体のためにいい、お酒は百薬の長と言われておりました時代には、これは本来は冷酒でいったと思うんですね。冷酒時代だと思うのです。しかしいまはかん酒ですわね。何でかん酒にする。冷酒の方がいいか、かん酒がいいか。冷酒は鼻の頭が赤くなるという問題じゃないですよ。そういうことじゃないですよ。栄養学的にどうだ。これは大蔵省の管轄かどうか知りません。厚生の管轄か知りませんけれども、そういう点も非常に国民は関心を持っておるですよ。それはなぜかというと、フーゼル油というのがある。フーゼル油は防腐剤ですね。これが杉の木から多く出ますから、杉のたるに入れた酒は香りがいいけれども、頭痛がいたしますね。頭が痛くなったり人体に毒ですわね。そこで、かんをつけてにおいというか、においも若干減りますけれどもフーゼル油というものをなくして飲むというのは、これは人間の知恵ですわね。ところがいまの人間の知恵というのは、ビニールハウスの食物を多く食べる。  そこで私はちょっと農林省にお尋ねをいたしますが、ビニールハウスでトマトをつくっていますね。そのトマトがJAS規格によってあなたの方の保証を得て送られておる。あのJAS規格、日本農林規格のトマトジュースのもとであるトマトはどういうトマトでございますか。
  53. 犬伏孝治

    ○犬伏政府委員 トマトジュースにいたします原料になりますトマトはすべて露地物でございまして、これは加工用のトマトとして特別の品種のものをつくっております。この露地物の加工用トマトは、反収が生食用のトマトに比べまして約一・五倍。それから栽培上、加工用のものと比べて、支えの柱を使わない無支柱のものが多うございまして、労力的にも節減をした栽培方法をいたしております。ハウス物は加工用には回らない。JAS規格をつけておりますトマトジュースはこれら露地物のトマトを原料としたものでございまして、現在JASマークのついておるトマトジュースはすべてそのようなものになっております。
  54. 太田一夫

    太田分科員 まあそういうことでしょうね。JAS規格の中にたまたま、完熟した赤色のものであるということ、赤色はナンバー三の色ということになっておりますから、赤くて完熟したということになれば、当然にそれは露地物でなければ出てきませんね。ハウスの中でやったのはピンク色ですね。色がいいのです。都会の人はあれを好みますけれども、露地物でない証拠にはピンク色です。  そこでちょっと聞きますが、私はJAS規格というのはいいと思うのですが、しかし、JAS規格で色と香味が良好で異味異臭のないことというような条件をつけたことがたまたま露地物、天然物になったのでありますから、トマトジュースは宣伝どおりほかの着色物がありませんからいいわけです。添加されておるのは塩だけでしょう。それでいいわけなんだが、あなた方の方は成分分析においてどういう結論を出されてハウス物と露地物、天然物との差を認めてそういうことにされたのか。偶然そうなったのか。ハウス物というと、JASといって農林省が許可したような、農林省公認のジュースでございますというように売り出されるものが実は水分だけだった、赤い水であったということではいかぬから、それでこういう成分の多い天然物を選ばせましたというならりっぱだと思うが、その点どうですか。
  55. 犬伏孝治

    ○犬伏政府委員 トマトジュースのJAS規格におきましては、完熟した赤色あるいは赤味を帯びたトマトを原料とするということになっております。加工用のトマトは完熟する時期が大体同じ時期に集中をいたしておりまして、これを原料としてトマトジュースをつくっておるわけでございますが、生食用はそのような完熟をいたしますと非常に扱いにくい野菜になってまいりますから、加工用にはなかなか向かないということで、農林省の指導がそうしたのかどうかという御質問でございますが、トマトジュースはやはり天然の赤味を非常に重視するということで、先ほど申し上げましたように完熟したものを使うということから、結果としてそうなったということではないかと思います。     〔岡田(利)主査代理退席、主査着席〕
  56. 太田一夫

    太田分科員 大臣、ちょっとここのところを聞いておいてくださいよ。転作奨励すべきですよ。ずいぶん金をかけていろいろのことを御奨励なさいますが、ハウス農業には燃料もたくさん要りますから、景気を刺激するとか云々ということにはいいかもしれませんけれども、人間の体の健康のためにいいか悪いかということを聞いておるのですよ。JASという農林省の標準規格で推奨されるジュースはためになるかならぬかと言ったら、完熟して赤味のあるものといったら天然のものしがなかったので偶然そうなったんだということでは私はちょっと物足りない。いま都会へ出てくるのは自動選果機にかけて出してくるのだから、ちぎったときは当然青い、完熟なんかしておるはずはないわね、桃色トマトというのは。だから自然に完熟したものは安いから偶然に使っている。成分分析いたしますと、ありがたいことにトマトのビタミンCはハウス物は五であるのに露地栽培物は二十一ある。これだけの差がある。ビタミンCは同じじゃない。こういう結果がありますから、私は四倍もビタミンCの多い露地物に重点を置くのは国民栄養的にいいと思います。  そこで、国民の栄養を考えていらっしゃる厚生省に関連してお尋ねいたしますが、厚生省には人形マークの品質保証制度がありますね。こけしマークとも言われておるようでありますが、この特殊栄養食品というのはいかなる趣旨、いかなる目的によってこういう食品が考えられたのであるか、お答えをいただきたい。
  57. 玉木武

    ○玉木説明員 お答えいたします。  栄養改善法における栄養成分の補給ができる旨の表示をしております特殊栄養食品、いわゆる強化食品は、食品の加工の過程で失われます栄養成分、また本来その食品の中に含まれております量が少ないビタミンとかミネラル、アミノ酸などの栄養成分を一定の基準のもとに添加し、食品の栄養価を高めたものを言っております。通常の食生活におきまして不足しがちな栄養素、たとえば緑黄色野菜の摂取不足によるビタミンAの不足とか、牛乳、乳製品、海軍等の摂取不足によるカルシウムの不足などは、この強化食品の利用で補うことができるわけでございます。また、この強化食品であることの表示を国が許可することによりまして消費者の保護を図るということを考えているものでございます。
  58. 太田一夫

    太田分科員 したがって、双方の意見から私が思いますことは、農林省のおっしゃるJASというマークは、いまの成分に余り関係のない、なるべく品質がいいというか、見たところ余り変なものをつくらないとか、大ざっぱな骨組みで決められておる。厚生省の人形マークの方は、なかなかこれはしっかりしておりまして、てるてる坊主のような人形マークがついていて、これには「厚生省許可」という字が使ってある。農林省のJAS規格、これも同じようにもう少し成分について研究してもらわなければ困ると思うのですよ。何でも近くあなたの方はどこかで試験をした結果を発表されるような予定じゃないですか。四十九年に農林省が野菜の栄養調査を実施して、五十六年に食品成分表が改定されるという。これは期待されておると思うのですが、そういう意味において、十分そういう研究はされるでしょうね。
  59. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 食品成分表は科学技術庁で目下作業を進めております。それとの関係がございますので、私どもの国立の研究機関でも野菜等の中における栄養成分については研究をしておるわけでございます。先ほど先生、トマトの例で、物とハウス物はビタミンCの含有量に大変大きな差があるというお話がございましたが、私どもの野菜試験場が露地物、ハウス物——ハウス物にもいろいろの作型がございますが、そういうものを調べております。共通して申し上げられることは、下の方の段、つまり収穫の初期にとれるものはハウス物であろうと露地物であろうと、終期に収穫するものに比べてビタミンCの含有量は少ない、だんだん収穫の後期になるほど高くなるという傾向が一定のものとしてあります。それからハウス物と露地物との間に先生のおっしゃるような大きなビタミンCの格差は見られておりません。むしろ半促成というようなものの収穫の後期におけるトマトの中のビタミンC含有量は露地物の収穫の初期段階におけるよりもはるかに高いという結果が得られております。なお、ハウス物は御承知のとおり露地物の出回らない時期に栽培をされ、供給をされる、こういう性格のものでございますので、露地物とハウス物とのビタミンC含有量における多少の差はございますけれども、栄養学的見地から問題にするほどのことはないし、かつ、日本人のビタミンCの所要量は一日五十ミリグラムとされておりますが、現時点におきましてその倍以上の摂取をしておるという状況でございまして、栄養的観点から見て露地物、ハウス物について大きな論議を呼ぶような性質のものではないのではないかというふうに愚考いたしております。
  60. 太田一夫

    太田分科員 ただ、そういう意見は聞いておきますけれども、それならそれではっきりしたものを発表される必要がありますし、人間の食生活において貧弱な体格をつくるようなことのないように、ひとつ農林省は留意してほしいということを要望しておきます。  ありがとうございました。終わります。
  61. 伊東正義

    伊東主査 これにて太田一夫君の質疑は終了しました。  続いて、中村重光君。
  62. 中村重光

    中村(重)分科員 有明干拓と言われる長崎県南部総合開発の問題を中心にして三、四点質問をするのですが、大臣は当初のいきさつは御存じにならないと思うのだけれども、もう十数年、この干拓問題は、情勢の変化もあって、一町三年間ぐらいは予算をつけて、水田さんが大蔵大臣をしておられたときにストップして、今度は多目的、こういう形によってまた申請をする。それを言い出してから四、五年たつ。なかなかこれは片づかないのです。そこで、時間の関係がありますから、それぞれお答えをいただく方が違っておると思いますから、まとめて一、二お尋ねをしてみます。  五十二年度も、これは調査予算ではなくて、調査予算を含め実施予算を組んで十億計上したわけです。ところが、調査はやったのだけれども、事業予算というものは消化できない。ほかに流用するということにした。ところが、また五十三年に予算化しているわけですね。調査のための一億二千万プラス事業予算が十三億、十四億二千万円計上をしているのですが、五十三年度に事業着工の見通しがあると農林省はお考えになっていらっしゃるのかどうか。  これと関連をして、このことは佐賀県で影響調査をやっているわけです。この影響調査の結論というのがいつごろ出る見込みかということ。  それから、環境庁がお越しであると思いますが、数日前、四県連絡会議というのがあって、これは、環境上の問題から南部総合開発の干拓が適当ではないというので反対の立場に立っておられる人たちの代表の方々が、農林省、環境庁、建設省、大蔵省に行っているのです。そこで、環境庁は速やかに独自の立場で調査をして回答をするということをお答えになっていらっしゃるわけですが、伺いますと、三月半ばぐらいか、それまではかからないのじゃないかというように伝えられているわけですが、その代表の方に結論を出して回答される時期はいつごろになるのか、それから、調査の方法というのは環境庁としてはどうおやりになるのか、まずその点についてお答えをいただき、あわせまして、水産庁お尋ねをしておきます。  長崎県は水産県である。そして被爆県である。にもかかわらず「むつ」を無理やり長崎に持ってこようというようなことでいまごたごたして、賛成、反対が対立をして、大変なことになるのではないかと思われるのです。さらに火力発電所が次から次に開発設置をされているわけで、まだ計画もあるわけです。かてて加えて五島の有川というところに洋上備蓄を新技術で第一号でもってぜひやろうとしているのですが、そういった開発ということが景気浮揚に結びつくということについてはこれは結構なことだと言えるのですが、一面公害が出る。さらには、そのことを、水産二百海里時代に沿岸漁業の振興ということが大変重要になってきている現段階において、水産庁はどのようにお考えになっておられるのか、この南部総合開発の問題を含めてお答えをいただきたい。  それぞれお答え願います。
  63. 大場敏彦

    ○大場政府委員 第一点と第二点につきましては私からお答え申し上げます。  まず見通しの問題でございますが、先生指摘のとおりに、五十二年度に年度途中から着工するという前提で事業費を組んだわけでありますけれども、残念ながら地元の完全なる御同意、御理解等も得られず、その事業費を他の地区の方へ振り向けて五十二年度は着工になりませんでした。こういう経緯があります。五十三年度は全体設計費一部を組んで十四億余りを計上しているわけでありますけれども、これは五十三年度中に地元の御理解を得て、せっかくの努力をいたしまして、ぜひとも着工いたしたいと思っておるわけであります。これも先生御存じのように、泉水海域は十二漁協、これは長崎県知事さんのお骨折りで一昨年漁業権消滅についての大筋は妥結を見た。しかし、外側の島原漁連あるいは福岡、熊木、佐賀、そういった三県の漁連の皆様の御了解はまだ取りつけられていない。そういう方面の努力を長崎県知事と私ども、国が一番の責任君でありますから、手分けして懸命に御回恵方御理解を願って、そしてぜひとも五十三年度中にやりたい。ただ、強行というようなつもりは毛頭ございません。地元の十分なるコンセンサス、御理解というものを得た上でぜひ着工いたしたい、かように思っておるわけであります。  それから二番目の御指摘の、佐賀県御自身が湾外漁業に与える影響調査というものを五十三年から調査費を計上して水産資源保護協会等に委託して始めておりますが、聞いております範囲では、五十三年度中に全部が完了するというところまではまだ至っていない、やはり五十三年度に継続するというようなことを聞いております。これは五十三年度着工の問題と絡む問題でありますし、地元の御理解を得るための大事な事柄でありますから、私ども佐賀県とよく相談いたしまして、早く調査を完了して、地元の御理解に役立つような資料を早く提供していただくというような努力をいたしたいと思います。
  64. 森整治

    ○森(整)政府委員 水産庁の立場といたしましては、当然、こういう二百海里の時代でございまして、できるだけ沿岸漁業維持のために、またむしろ開発をしていきたいという立場に立っておるわけでございます。しかしながら、一般的に申し上げまして、先ほどの南総もそうでございますし、洋上の石油備蓄の問題あるいは電源開発ということも一つの国家的な要請から出ている問題でございますから、私どもは地元の漁業への影響を最小限にとどめる、そして関係漁業者等と円満な納得を前提として事業が実施されるということが必要ではないだろうかというふうに思っております。水産庁としましては、こういうふうな観点に立ちまして、必要に応じまして、影響調査の実施の方法、なかなかむずかしい問題もございまして、ただいま水産庁でもいろいろ研究課題としている問題もございます。そういうものも含みますが、調査の実施方法につきまして関係者の指導に当たるとともに、関係省庁と十分な連絡をとりまして、水産振興の面からも極力影響を少なくする、少なくともそういうことで最善の努力をしていくべきだというふうに考えております。
  65. 大塩敏樹

    ○大塩説明員 お答えいたします。  南総開発計画環境問題に対する環境庁としての方針を取りまとめるため、先週来長崎県、農林省から事情の説明を受けてまいりましたが、なお検討すべき点がございますので、来週中を目途に庁内調整を終了するよう作業を進めているところでございます。  なお、環境庁として独自の調査を行うかどうかというお尋ねでございますが、この点については既存の調査との関連がございますので、この点も含めて検討している次第でございます。(中村(重)分科賃「回答の時期、回答すると約束しているんだ」と呼ぶ)先ほど申し上げましたように、私どもの作業は来週中をめどに環境庁の考え方をまとめて直ちにお返事をしたいということでございます。
  66. 中村重光

    中村(重)分科員 大臣、いましばらく中座されたのですが、構造改善局長からも、いろいろ問題点は鋭意努力したい、強行するという意思はない、納得してもらうということで努力するのだ、こういうことであります。私どもも、この干拓は当初から反対というわけではなかった。これは食糧事情の不足の情勢の中で、しかし漁民はそれによって生活をしているのですから、これを強引に押しつけて強行することはいけない、納得の上でという結論を党としても出したことがある。ところが、その当時反対しておった連中が今度は逆に、さあやれ、さあやれと言って、私どもは前はやるなと言ってつるし上げられ、今度はやれと言ってつるし上げられるというようなことなんですよ。ただ、十二漁協も一応合意はしているのだけれども、専業者は依然として反対です。果たして漁業権放棄の特別決議でどうなるか。湾内といえども問題がある。湾外は非常に反対ですが、長崎県がずいぶん努力をされて、私はあえて工作という言葉を使いませんけれども努力をされて賛成の方向に回りつつあるものもある。だがしかし、依然根強い反対があるということは言うまでもない。それから佐賀県、福岡県、熊本県が関係県ですから、これも反対が非常に強いということが伝えられているわけです。つまびらかではありません。  そこで、鈴木農林大臣は、湾外業者が反対である限り事業着工はやらないということを数次にわたって表明してこられた。中川農林大臣も同様のお考え方であろうと思いますが、この際はっきりお答えをいただいておきたい。
  67. 中川一郎

    中川国務大臣 この南総開発事業につきましては、現場にも行ったこともございますし、また私どもの初村政務次官が地元でございますので、非常に関心を持ち、検討を加えておるところでございますが、なるべく早く着工したいということには変わりありませんけれども、あくまでも漁業者、近隣県を含めまして納得いった段階でやりたい、無理して強行することはしない、こういう考え方でございます。
  68. 中村重光

    中村(重)分科員 ただ、住民ですね、いわゆる環境を守る会といったような会もできているのですが、住民の反対が依然強いのです。環境上の問題、あるいは淡水湖として果たして水が飲めるかどうかという不安。ところが県側が環境問題というのを二の次に扱っているのですよ。渡り鳥も来なくなるかもしれぬけれども、人間の飲み水が必要なんです。だから人間の健康や生命の方が大事だ。そういったような態度だものだから、住民側の不安と不信感というのが非常に強いのですね。私は、やはり環境アセスメントということは非常に重要だから、もっと県がそこに努力をしていくということでなければいけない。  それと、五十三年度、漁民、農民、住民納得の上に着工をできるということになれば、これは問題がないのですが、着工できないというのに対してさらに五十四年度の予算を組むということになってくると、賛成、反対の激突みたいな形になって非常な混乱が起こってくるというように私は思うのです。さらに、余り長いものだから、賛成しておる側も非常に迷惑をするのですよ。漁協が、たしか二十億ぐらい金を借りてドライブインをやった。銀行が金を貸したまま、補償金が出ないですから、これはもう大変な迷惑、そういういろいろな迷惑が起こってきますから、無理して、五十三年度できない場合、五十四年度予算の要求というような、見通しのないままやることには、いわゆる政治予算をつけることは問題がある。だから出直しして、まあ本当に話し合いをする、そういうようなことが必要だろうと思うのですが、その点大臣、どのようにお考えになりますか。
  69. 中川一郎

    中川国務大臣 五十二年度にできると思って予算をつけ、途中でだめになり流用する、五十三年度いかがするかということだったのですが、せっかくここまで努力をしておるのに予算化ができておらなければ努力のかいもなくなる。われわれとしても早くやっていただきたいものですから、話し合いがつくことを期待して計上してございます。五十四年度については今後の交渉経緯等を研究していま対処いたしますが、われわれとしては五十三年度中に解決することを期待しておる、こういうことでございます。
  70. 中村重光

    中村(重)分科員 農林省の答弁としてはそういう答弁でないとおかしなことなんだろうから、あえて追及はしません。  次に、鶏卵並びにブロイラーの問題についてお尋ねをするのですが、五十三年度の基準価格はどの程度試算をしているのかということを伺いたいのです。五十二年度の平均卵価が二百七十四円で、基金よりの補給額は九十二円、これに九〇%を乗ずるとマイナスが八十二円になるようですね。これで試算をすると、飼料価格が今度は値下がりになることは事実のようですから、これらを考慮すると、現在の二百六十七円から少しぐらいは下がるにしても、私が素人で計算すると、二百六十三円ぐらいの数字が出るように思うのですが、農林省としてはこの点どうお考えになっていらっしゃるかという点が一点。  それから第二点は、ブロイラーは増羽をしたのですね、三百海里時代というようなこともあって。それから暖冬の関係で非常に太った。それで供給オーバーになってしまって暴落をしているのですよ。ところが処理場は買い入れの最低価格の保障をしているものだから、これは大変な赤字になって休業しなければならぬというような状況にある。これが倒産でもするということになってくると、今度はブロイラーの値段も上がる、それが豚や牛にさらに波及してきて、そのことは消費者が迷惑をするということになってくるわけですね。ですから、消費者保護という観点、それから経営の安定、流通秩序を守るという点から、鶏卵並びに飼料と同様に安定基金制度というものを導入する必要があるのではないか、このように考えているわけですが、以上の点についてひとつ見解を伺ってみたいと思います。
  71. 杉山克己

    ○杉山政府委員 鶏卵の価格差補てん事業は、これは卵価が非常に低落した場合に生産者が受ける打撃を緩和して経営の安定に資するということを目的にして補てんを行う事業でございます。その基準価格につきましては、鶏卵の生産条件、需給事情等を考慮して定めるということになっております。五十三年度の基準価格につきましては、現在関係者の間でもって慎重に検討が行われているところでございます。五十二年度の二百六十七円、これをある程度下回る水準になるということは見通されておりますが、その金額が具体的に幾らかということについては、資料を慎重に検討して、関係者が話し合いを進めておるところでございます。農林省といたしましても、これらの生産団体、卵価安定基金、それらの各方面の意向も踏まえまして、先生が御指摘になりましたような配合飼料価格の値下がりによる生産費の低減、それから生産調整をどういうふうに行っていくか、それとの関連需給動向、これらを総合的に考慮して適切に決定されるよう対処をしてまいりたいと考えております。  それからブロイラーの件についてでございますが、ブロイラーの生産は今日相当な過剰供給ということで、価格が低落を続けてまいっております。ただ、ブロイラーの生産形態といいますか経営は、その大半がいわゆるインテグレーションと呼ばれる契約生産の形によって行われております。価格保障につきましても、従来から通常そのインテグレーションの系列の内部において講じられてまいっているということがございます。特に今日のようにブロイラー生産が過剰基調で推移をしている現状におきましては、それぞれのインテグレーションが需要に見合った生産を心がける、そして価格の安定、回復を図るということが最も緊急な、現実的なやり方と思われます。私ども、ブロイラー価格の安定を図るためにそのような需要に見合った計画的な生産を行うということを、インテグレーションの中でも、全体を通ずる関係におきましても、これが一番先決であろうと考え、国としても需給対策推進会議の開催等によって指導を行って、その推進を図っているところでございます。直接国がブロイラーにつきまして、飼料でありますとか鶏卵のように安定基金を設けるというようなことは現在の段階では考えておらないところでございます。
  72. 中村重光

    中村(重)分科員 いまのところ考えていないのでしょうが、形態はいまお答えになったことのように私も承知しているのです。しかし非常に零細なのがありますね。協同組合でやっているというような点を考慮すると、強い企業体というのですか団体、それに照準を当てるということでなくて、やはり弱いものを守っていくという点から安定基金制度の導入ということは真剣に検討してほしいということを要請をしておきたいと思います。  それから卵価の問題が、いわゆる基金ですが、二百四十七円ぐらいだなんというようなことが伝えられて非常に心配をしているということですが、この間事務当局から伺いますと、そういうようなことはないのだということを聞いたのですが、御承知のとおり何十年と値上がりをしていないのは卵だけですよ。これは鶏卵生産農民の努力ですね。企業体の一万羽も二万羽も飼っているのは生産調整なんかでも行儀が悪いのです。零細な農民というのは本当にまじめなんですよ。そういったような人たちこそこの基金というものを期待しているわけですから、大臣、こういった点は十分お考えになって、いま飼料が一時的に下がるから、こうなるからと数字のみにとらわれないで、現在の二百六十七円から余り変わらない、大体同じ、そういう方向でいくくらいな気持ちで、私が内輪に計算してみても、私の試算では二百六十三円が妥当だというふうに出るのですが、私のを押しつけるわけではありませんけれども、そういうことでひとつ考えてほしいということを要請したいと思うのですが、どうですか。——後で大臣考え方も伺いたい。
  73. 杉山克己

    ○杉山政府委員 基準価格につきまして幾らが妥当という結論になるのかということは、この席では申し上げかねるのでございますが、先生が御指摘になりました二百四十七円、そういうような低い水準にはならないと私ども考えております。
  74. 中川一郎

    中川国務大臣 鶏卵につきましては、あらゆる農産物の中で生産についてもまた価格についても優等生と習われるぐらいよくやっていただいております。これからも業界の努力とともに政府としてもいろいろとやるべきことはやって、この優等生をりっぱに育てていきたい、こう思っております。
  75. 中村重光

    中村(重)分科員 次に、飼料価格の安定基金についてお尋ねするのですが、飼料価格の安定基金の特別補てん金の、返還積立金は五十三年三月から返還することになっているように思うのです。農林省が二百十億の補助金を出していらっしゃる。ところが、これは補助金ですけれども、何か、国に返さなければならぬという仕組みになっておると聞いておるのですが、私が間違いかどうか。そこで、申し上げたように、三メーカーとか生産者でトン当たり三百円の基金を積み立てて、これを償還財源に充てるということなんでしょうが、二百十億に達するまで積み立てて、これを国に返すのだ。この二百十億の国が出している金は補助金なんだからこれを返還させなくてもいいのじゃないかという気がするのですけれども、この点どうかという点を簡潔にお答えいただきたい、あともう一問ありますから。
  76. 杉山克己

    ○杉山政府委員 特別補てん金は、昭和四十七年後半から穀物需給が逼迫して飼料価格が大幅に上がったわけでございます。その際、畜産経営の安定を図るという考え方から、四十九年一月の補正予算によりまして、配合飼料価格安定緊急対策事業費補助金という名のもとに配合飼料価格安定基金を通じて畜産農家に交付されたものでございます。飼料価格が高騰して、経営がそのままでは続けられないという異常事態に対応していわば貸し付けたといいますか、返還条件をつけてのこれは補助金であったわけでございます。現在は、その後飼料価格は安定して比較的低い水準で推移しております。その中で関係者がこれを返還するために現在トン当たり三百円積み立ててまいっておるわけでございます。予算額二百十億円、実際の交付額は百九十五億円でございますが、この交付したものについて返還時期が参っておりますので、これはやはり当該年度末までに国庫に納付していただくということで考えております。  ただ、実際問題として期中における飼料価格の暴騰等があって、返したくとも返せないという事態がありますれば、これは畜産局長が承認をして、その返還を猶予することもあり得るわけでございます。これは過去においてそういうことをやった例もございますが、今日の状況からいたしますと、飼料価格はなお当分現在の水準を維持できる、比較的低い水準で推移するのではないかと思いますし、特段の事故がないというふうに見ておりますので、今回は返還をしていただくというように考えております。
  77. 中村重光

    中村(重)分科員 もう一問で終わります。  次に、小規模基盤整備事業について見解をお伺いします。  小規模基盤整備事業の採択基準は若干緩和をしているのですが、農地が狭くて、地形的に山間僻地で、かつ勾配が強いところ、たとえば長崎県のようなところですね、そういうところはそうした実情を考えて農林省が十ヘクタールにしたのですね。それを長崎県は二ヘクタール程度に思い切って実は基準を緩和した。それから補助金を半分出した。あとは十五年間三分五厘で償還させるという実に思い切ったやり方なんです。ですから、そういったことを考えて、もっと思い切って、そういう特殊な地形のところには採択基準を緩和する必要があるのじゃないかという点が一点。  それから、そういう実情がありますから都道府県知事に委任するというようなことができないのだろうかということですね。その点はいかがでしょうか。  それから、土地改良事業という、これはまあ小規模基盤整備事業、これを小規模なところは農民にひとつやらしたらどうか、出かせぎ対策も含めて。これを請負の機械化でやりますと、専門家の皆さん方に私が言うとなんだけれども、農地を壊すのですよ。それから大事な表土を非常にむだにしてしまう。ですから、小規模なのはそういう請負の機械化にしないで、むしろ農民にやらせる、それで技術指導をやれば結構農民はできるのです。そういうことをやらせたらどうなんでしょう。これは非常にユニークな考え方を持つ中川農林大臣ですから、そこらはひとつお考えになってみたらいかがですか。
  78. 大場敏彦

    ○大場政府委員 立地条件の恵まれていない山間僻地あるいは急傾斜、そういったところにつきましては、いろいろ採択基準の緩和は先生指摘になっているようにやっているわけです。それから新規事業で、ことに中山間僻地を対象とした農村基盤総合整備事業だとか、いろいろな新規事業も逐年されてきておりますから、そういう意味で私ども努力はしている。しかし今後実情を踏まえて改正すべき点があれば、大蔵省と折衝しなければなりませんが、改正する努力はやぶさかではございません。  それから、農民の労力を使ったらどうか、こういう御指摘でございますが、基盤整備の特色として、ほかの一般の道路とか建設事業に比べて雇用のウェートは非常に高い、そういう意味で雇用拡大のチャンスにつながるわけでありますから、基盤整備というものを積極的に拡大していきたい。機械を使うことの効率性の問題と労力を使うことの意味という、バランスという問題は確かにありますけれども、基盤整備そのもの自身、地元の雇用労力を非常に使っているということがありますので、そういう点についても工夫はしていきたいと思います。
  79. 中川一郎

    中川国務大臣 確かにユニークな御提案でございますので、実態に合うようにひとつ研究してみます。
  80. 中村重光

    中村(重)分科員 それでは終わります。
  81. 伊東正義

    伊東主査 これにて中村重光君の質疑は終了いたしました。  本会議散会後直ちに再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時二分休憩      ————◇—————     午後二時二十分開議
  82. 中島源太郎

    ○中島(源)主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林省所管について質疑を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本悌二郎君。
  83. 山本悌二郎

    ○山本(悌)分科員 農林大臣にお伺いします。これは農林大臣に直接関係する地域の問題でもありますし、また私の地域でも関係することであります。  二百海里の問題が厳しくなってまいりましてから、漁業につきましてはいろいろな問題が出ております。特に離職者についてはいろいろの手を打たれましてよかったと思うのでありますけれども、これはいわば陸に上がりたい、あるいはまた資格を持っていって他の船に乗りたい、こういうものについての保護はできていると思うのであります。だがしかし、いわゆる漁労、魚をとっている漁民でありますね、実はこれが私どもの出身地であります新潟県、特に私は佐渡島でありますが、佐渡からも、あるいは新潟の私の選挙区であります間瀬とか、あるいは岩室、巻、あるいは寺泊、柏崎に至るずっと海岸線から、かなり多くの漁民が北海道に出かせぎに行っております。われわれの口から言うと出かせぎ者と言うのでありますが、しかし実際は出かせぎではなくて、船に乗って一生一懸命にサケマスをとったりしておるのでありますが、さて二百海里によってこれが締め出されて、だんだんと漁業がやりにくくなってきた。ところが、これらの人たちは実は籍は皆地元に置いてあります。家族、子供を連れて行っておりますけれども、実際は籍は地元に置いてあります。そこで、これからも大きな問題になってくるのだと私は思いますし、私の手元にもこの問題が出ておりますので、大臣の御見解を聞きたいのでありますけれども、こういう地元に帰りたい、帰って今度は沿岸漁業に従事をしたいというような者に対しての対策をどうお考えになっているか。ということは、もう少し具体的な話の前に、大臣の考えに少し私の方から資料になるものを申し上げますると、地元に籍を持っておるけれども、地元の漁協なりあるいは漁連なりが受け入れないのであります。これをどうするかということは非常に大きな問題だと思うのですが、いかがでございましょうか。
  84. 中川一郎

    中川国務大臣 御承知のように、このたびの休業によって離職されました方々に対しましては、第一番目には、国の調査船その他で採用できる人は優先的に採用して差し上げる、第二番目に、職のなくなった人は、国際協定等の締結に伴う例の漁業離職者に関する臨時措置法によって措置をするということになっております。第三番目に、順序はどうなるか、むしろ一番目にすべきかと思いますけれども沿岸漁業振興を図って、漁業者として働ける場を積極的に探して差し上げる、こういう仕組みで対策を講ずることになっておるわけでございます。したがいまして、御指摘の方々がもしその場に漁業権なり何なりあるならば、漁業権を持っていれば当然漁業協同組合に入るのでありましょうし、漁業権がないとするならば、これからそういった施策を県なり組合と積極的にやって、新しい漁労の場を求め、そして漁業権があるということになれば当然組合員として働く場を持つことができるということでございますので、現地の事情等もこれから連絡をとりながら、働く場のあるようなことに最善の努力はしてみたい、こう思うわけでございます。
  85. 山本悌二郎

    ○山本(悌)分科員 水産庁長官お尋ねいたします。  いまの具体的な例であります。本来、この例は新潟の場合ですから県議会あるいは県庁の水産課あたりでやる問題でしょうけれども、ただそれだけで済まされない問題になってくるおそれがある。おそれというのは、いま大上段にお話を申し上げましたけれども、全国的にそういう問題が大きな問題になることは事実であります。北海道だけではございません、私どもの佐渡島からニュージーランドあたりにもかなり遠洋漁業に行っておりますが、さあ帰ってきた、自分の沿岸漁業の職場がない、魚しかとる方法を知らない漁民にとって、私のところへ来ておる陳情では、何をしろというのでありますか、こういうことであります。  それで一つの例をここで申し上げます。これは昨年でありますけれども、岩室村間瀬という海岸に、戸数は約百戸であります。ほとんど全部漁民であります。百数十戸ありますけれども、まあ大体百戸ぐらいでありますが、その約三分の二以上は北海道もしくは遠洋漁業に出ております。それが実は昨年、この地域の若杉という男が北海道から帰ってまいりまして、親代々の漁民でありますので、漁業権は持っておる。そこで漁協に魚をとらしてくれということを申し上げたところが、それは正会員ではないからだめだ。これは当然でございますね。それぞれの漁協に参りますると正会員、準会員と分けております。たとえばこの間瀬漁協の規約を見ますと、年間百二十何日間就労しなければいけないとか、いろいろな規制をしておりますね。結局正会員にもなれない、準会員にもなれない、魚をとれないということであります。本人はあきらめておりましたけれども、しかしその方法がまた、どうも釈然としないものがあるわけです。私どもから見ますると、この間瀬村、昔は間瀬村と言ったのでありますが、いま岩室村間瀬というところでありますけれども、この間瀬村そのものが一族同門であります。全部きょうだいみたいなものであります。親戚であります。それが、景気のいいときにはどんどんと北海道に追いやっておいて、さあ帰ってくると、売り上げあるいは漁獲高が減るということで締め出してしまう。その悩みを訴えているのであります。  それで、これはゆゆしき問題ですね。沿岸漁業をこれから振興していく上にも大きな問題でありますし、特に間瀬では、堤防、築港あるいはそういうものの施設もかなり整備をされておりますし、これからこの沿岸漁業振興に大いに力を入れようというときに、この問題が出てきているということを私は本当に遺憾に思っておるのです。  そこで長官、この辺はどんなふうに——これから沿岸漁業を振興していく上で、またこういう離職者を受け入れるのにどういう施策を持っておられるのか、お聞きしたいと思うのであります。
  86. 森整治

    ○森(整)政府委員 いま御指摘の問題につきましては、漁業協同組合の正会員の資格といたしまして、組合の地区内に住所を有する、それから漁業を営みまたはこれに従事する日数が一年を通じて九十日から百二十日までの間で定款で定める日数を超えること、ということに相なっておるわけでございます。したがいまして、直ちにその要件を満たしてないからということではありましょうけれども、やはり今後そこへ定着してみんなと一緒に漁労に従事していくということになれば当然資格が出るし、またそういう資格者につきましては、組合員資格を有する者の加入を拒んではいけないということをはっきり書いておるわけでございます。えてして感情的な問題等がございまして、恐らく、何かそういうことがあっての上の話ではなかろうかと思いますが、今後、そういうことはやはりないように、県等を通じまして十分に指導をしてまいりたいというふうに考えております。ことにいまみたいな、御指摘のような事例でございますれば、大体が親戚同士みたいな仲でございますから、むしろそういうものも積極的に加入を認めていくということで指導をしてまいりたいというふうに思います。
  87. 山本悌二郎

    ○山本(悌)分科員 指導していただきたいし、また同時に、最初にも申し上げましたように非常に重要なことでありますので、月百万の水揚げがあるのに五十万しかできない、だからおまえたちは入れることはできないと言って、正会員の中でいわゆる否決をしてしまいますと会員になれないのですね。これはぜひひとつ禁止していただきたい。昔の仲間じゃないか。だから、船にも乗れない、魚もとれないということになったら、彼らは死活の問題になります。これは、七月になりますとみんな北海道からお盆休みに帰ってきます。そのときにこの決着をつけたいというのが、いま地元にいる人と北海道との間の連絡であります。大体七十人から八十人くらい家族を連れて帰ってくる予定です。そういう厳しい問題が控えておりますので、この一間瀬の問題だけではございません。日本の海洋というのはそういう意味で多くの漁協あるいは漁連を抱えておりますし、沿岸漁業に対しても大きな問題があるわけですから、そんな意地悪をしてはいかぬということをぜひ御指導をし、また善処をしていただきたいと思います。  次に進みます。同じ沿岸漁業の振興でありますけれども一つは、すでに出ておりますが佐渡の問題ですが、遊漁対策振興事業というのがございます。その一環で、佐和田町にこれが設置をされるような予定になっております。それからもう一つは、同じことでありますけれども人工礁の漁場造成事業というのも、これも県の方からお願いをしておると思いますけれども、佐渡の前浜地区というのでありますが、赤泊、小木、羽茂、三カ町村のどこかにというわけでありますけれども、これもぜひひとつ、いまの話でございませんが、沿岸漁業の一環として、とる漁業からこれからのいわゆる育てる漁業にも目を向けていただきたいということをお願いをいたしておきます。  三番目は、これは水産庁の問題だけでは済まないかもわかりませんけれども、今度はとった魚の処理であります。大変変な話を申し上げますけれども、皆さん方、魚をおいしく食べておりますけれども、あの首やはらわたをどうしておるか、長官、御存じですか。これを魚腸骨の処理と言うのでありますけれども、御存じであったらお聞かせ願いたいと思います。
  88. 森整治

    ○森(整)政府委員 水産物の処理、加工の過程で出てきます魚腸骨の処理につきましては、いろいろ公害防止の見地から、あるいはまたたん白の資源として活用すべきであるということからも非常に重要な課題であるというふうに考えております。これにつきましては、われわれといたしましても魚かすなり魚油なりフィッシュソリュブルに加工するということが望ましい、こういう観点から四十六年度から、これに対します水産加工業者団体が共同施設として設置する残滓の処理施設に対しまして、水産庁といたしましても助成をして、その有効利用を図っておるということでございます。事業の名前は水産物産地流通加工センター形成事業ということでございますが、この事業を通じまして、今後ともいまのような問題につきまして適切有効な処理をしていくよういろいろ指導をしてまいりたい。すでにこの事業で、三十七件の件数でございますが、一応事業費として六十三億の処理施設の助成を行っているというふうにわれわれの手元には資料がございます。
  89. 山本悌二郎

    ○山本(悌)分科員 結構だと思います。だがしかし、私の知る範囲では、たとえば本年度の予算の内容をちょっと見ましても、この魚腸骨処理の問題については、いま長官の話したような方法で予算が出ているのかどうかわかりませんけれども、実際には、地域あるいは市町村に参りますとそうなっていないのですね。  一例を申し上げます。私は新潟市でありますが、新潟市の魚小売商組合というのが非常に悩んでおるのですね。新潟市長も悩んでおるようでありますけれども、これは町の真ん中に魚腸骨の処理場をつくりました。ところが、大変な公害であります。臭くていられないのでありますね。そのために場所を移さなければならないということで市に陳情しているけれども、とてもこれは金がかかってできないというので、いろいろ困っておる状態があります。また、佐渡の両津市というところにやはり魚腸骨の処理場をつくりました。これは黒姫という海岸のところでありますからそれほど人口はございませんけれども、それでも大変なにおいなんですね。いまにおいの出ないようなものもあるそうでありますけれども、まだ完全ではございません。いわゆる鳥のえさにしたり豚のえさにしたりするというのですね。そこで、がうるさいものですからここを閉鎖してしまいました。いまどうしているかというと、佐渡島は百万観光でございますから、沿岸漁業でとる魚もさることながら、本土から入ってくる冷凍魚もかなりありますよね。だから夏場になりますと百万人に食わせるわけで、その頭やはらわたは全部海に捨てているのですよ。海洋投棄であります。これは一日、二日なら済みますけれども、いま捨てている地域に行ってみますと、大変びろうな話ですが、昔東京湾に肥やしを捨てたときには真っ黄色になったくらいでしょう。同じように、腐った魚の頭やはらわたは魚は食わないのです。それが腐食している。大変なんです。そこで、この海洋投棄がいいか悪いかということが大問題になっているのです。  長官は初めて聞くかもしれませんが、大変だと私は思っているのですよ。そこで、ぜひこれは御検討していただきたいのです。そういう公害も発生しないようなりっぱな機構ができるものならぜひつくってもらいたいし、この魚の問題というのはこのことだけで済む問題じゃございませんから、とればいいというわけではなく、結局食べなければならない。その食べた残りの廃棄物はわりあいと処理されているのですね。それはじんかい炉の中に入れて案外と処理されるのだけれども、そのもとになっている切った荷やはらわたといったのが問題なんです。そういうことで、十分納得はしませんけれども、これはおわかりになっていなければ、いまのように沖に捨てると恐らくそこだけ悪いプランクトンがわくと思うのですね。そして大変腐食してくると思います。だから、かえって魚には悪いと思うのです。もしそういう方法でなくて、焼却炉か何かでやるということになって豚や鶏のえさにするというならば、もっと援助、補助あるいはまた何かの手だてを市町村にちゃんとするような方法をしていただきたいという、まずこれはお願いでありますが、いかがでございましょう。
  90. 森整治

    ○森(整)政府委員 いま御指摘の問題は、私ども先ほど申し上げましたのは、産地で加工をする場合に大量処理が行われる、その際に出てくる魚腸骨についてこういうことをやっておりますということを申し上げたわけでございますが、いま先生指摘の問題は、恐らく消費地段階、最終段階で非常に量が少ない、しかしそれを集めれば非常にたくさんになる、こういう形での処理問題であろうというふうに思います。  そういう観点からまいりますと、いまのような私どもが助成をしている事業の性格となじむかどうかということにつきましてちょっと問題があるのではないかというふうに思いますが、いずれにいたしましても、むしろ逆に今度は公害を起こすという観点から、やはりこの問題につきましては何らかの対応策があるはずだと思います。あるはずだというのは、ちょっと私いまどの程度のことができるかということについては詳しくわかりませんが、そういう観点からの処理とあわせまして、われわれも小売商の問題を抱えておるわけでございますから、どういうふうにしたら一番合理的な解決ができるのか、さらに検討させていただきたいというふうに思います。
  91. 山本悌二郎

    ○山本(悌)分科員 長官のお答えで納得いたしますけれども長官から御答弁のありましたものは、たとえば大日本水産とかあるいは何とか加工工場から出てくるものですよね。これはそう問題ないのです。それなりに処理している。そうではなくて、町の魚屋さんが処理するのがないのですよ。それが一番問題になっている。それをごみと一緒に捨てられたのでは大変なんです。そこで、これだけはいま別にしているのです。その別の処理場というものがいま問題になるので、これは水産庁が責任があると言えばあるし、ないと言えばないみたいなお話ですけれども、しかし必ずしもそうは言い切れないので、この辺はぜひひとつ県市町村のそういう担当に問題になっていないか聞いていただいて——問題になっていることは事実なんです。だけれども声が小さいばっかりに、まあ仕方がないやというかっこうになっているわけなんで、改めてまたお願いをしておきます。  大臣長官の御答弁で私は十分納得をいたしましたけれども、もう一度、漁民の権利問題も非常に重要な問題でありますし、それから、これから大臣の選挙区であります北海道から私どもの方へ皆戻ってまいるわけでありますから、ぜひひとつこのことを腹に置いていただいて、各漁協あるいは漁連にそういうトラブルのないような指導を十分していただきたいということをお願いしておきます。  これもいやな質問になります。これはここ二年か三年ですか、過去二年ぐらいになりますけれども、飲用向けの乳価の値上げができない。それで加工原料価格はかなり上昇しておりまして、五十一年で八・六%、五十二年で三・七%。そういうことからしますと、飼料や生産資材あるいは労賃が上昇しているので、何とか上げてくれないだろうか、こういうことなんであります。牛乳の実際の状況を見ましても、いまのままでいいというようなわけにはいきません。私の新潟でも昨年雪印と大げんかをしたいききつは御存じのとおりであります。とにかく出荷拒否をして一週間とめたのでありますから。そういうこともありますが、この辺はいかが御検討されているか、伺いたいと思います。
  92. 杉山克己

    ○杉山政府委員 飲用向けの乳価につきましては、加工原料乳とは異なりまして、当事者間の交渉によって、需給事情、それから生産、処理、販売費、それから消費動向、こういったものに応じて自主的に決定してまいっているわけでございます。  飲用向けの乳価は、先生指摘のように五十一年の一月以来据え置かれております。このため引き上げが必要ではないかということで、昨年来当事者間で交渉が行われてまいりました。昨年九月の交渉の結果、暫定的にメーカー負担ということで、生産者に対し四カ月の問、つまりこの一月末まで、一キログラム当たり一円九十五銭を支払うということになったわけでございますが、この暫定の措置も一月で期限が切れたということもありまして、現在、卸それから小売価格の改定も含めまして、乳価改定について当事者間で話し合いが行われているところでございます。  農林省としては、飲用乳価交渉に直接的に介入するという立場にはございませんが、できる限り話し合いが円滑に進められるよう注意しながら、事態推移を慎重に見守ってまいりたいと考えております。確かに先生がおっしゃられたように二年間据え置かれてきている、最近の経費等の動向からすれば何がしかの値上げはやむを得ないのではないかということで、農林省もこれを見守っているところでございます。
  93. 山本悌二郎

    ○山本(悌)分科員 当事者間の話し合いだから、まあ知らぬ顔というわけにもいかないだろうということだと思いますけれども、しかしそうは言っても非常に関心のあるところでありますし、消費者側からしてみれば余り上げてもらいたくないのですけれども、しかし生産者にしてみると、これは死活の問題になっているのですよ。先ほど申し上げましたように、労賃や飼料が非常に高くなってきている現状を見まして、せめて一キロ当たり十五円ぐらいにならないかという要望であります。あなた方が直接口を出すわけにはいかないだろうと思いますけれども、しかし、やはり農林省がある程度の示唆を与えてやりませんと、この問題はいつになっても決着がつかないと思うのであります。私が心配するのは、ことしもこのまま据え置きますと、また雪印あるいは明治乳業などというところと生産者と大げんかになりまして、出荷拒否だの何だのということで大変な騒ぎになる危険性がありますので、御忠告を兼ねて、ぜひひとつ善処してやっていただきたいということであります。  あと五分しかありませんから、最後にお米の、農業の方の御質問をいたしたいと思います。  いわゆる青田刈りのたんぼですね。生産調整の中で転作に供されるたんぼの中で、無論実がなっておれば青田刈りではないのでありますが、実がならないでそのまま青いうちに刈って牛馬の飼料にする、あるいはわらとして使う、こういうたんぼがあるのです。山間僻地へ行きますと、これが非常に多いのですね。それを転作のいわゆる条件として認めてもらえるのかどうか。大臣おわかりですか。
  94. 野崎博之

    ○野崎政府委員 いまおっしゃいました飼料用の青刈り稲につきましては、次の条件を満たした場合に奨励金の対象にいたしておるわけでございます。  まず一つは、あらかじめ青刈り稲の作付を行う旨の実施計画書が出されておること、それから二つ目には、畜産農家が飼養家畜に供するために行うもの、あるいは畜産農家との供給契約のあるもの、それから三番目は、登熟期以前に市町村職員等の確認者の立ち会いによりまして刈り取りが行われること、この三つの条件がありまして、これを満たす場合には、反当五万五千円の飼料用の奨励金を出すことにいたしております。これは過去の稲作転換対策事業以来ずっと続いた制度でございまして、関係農業者も十分知っていることと思いますが、いま先生おっしゃいましたように、目下そういう土地で何かいろいろなトラブルがありますれば、そういうことのないように十分今後指導いたしてまいりたいというふうに考えております。
  95. 山本悌二郎

    ○山本(悌)分科員 そうなんです。よく知っているのですけれども、町村に行きますと、めんどうくさがって調査に行かないのですよ。それで頭にきて百姓が、何だ、こういうことになる。ところが、たんぼの上まで、山の上まで見てこいと言ったって行かないものだから、その中に入れてくれないのだよ。ここのところをいま御指摘申し上げているので、これは各県からかなり要望がありました。特に山のたんぼが多いところがございます。平場にはそういうところはないですね。もったいないですからそんなことしませんけれども、いわゆる段々たんぼ、それから山の田と言っておりますけれども、そういうところにはかなり条件が合って出しても、わかっていても調べてくれないのですね。非常に困っておるようですから、ぜひひとつ農林省としては末端まで目が行き届くように指導をしてやってもらいたい、こう思っております。  私は、きょうは主に漁業の問題を取り上げました。最後に大臣にもう一度お尋ね申し上げますけれども、北海道と佐渡島の話でありますが、われわれの仲間がそうして皆漁民として北海道に働きに行っておって、二百海里あるいは今度はニュージーランドの制限などを受けたり、オーストラリアの制限などを受けますと、帰ってきて職を失うという気の毒な実態があるわけですから、ぜひそういうことのないように、漁協、漁連、こういう団体のエゴ、それからそれを構成している人たちのエゴのないような指導と方法を講じてやっていただきたいと思います。そのことでひとつ大臣から御見解を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  96. 中川一郎

    中川国務大臣 御指摘の点、まことにごもっともだと思います。職場を失って帰ってきて、しかも権利があったにもかかわらずということでございますので、何とか漁連あるいは漁協ないしは県とも連絡をとって、しかるべくできるだけのことをしたい、こう思う次第でございます。
  97. 山本悌二郎

    ○山本(悌)分科員 質問を終わります。
  98. 中島源太郎

    ○中島(源)主査代理 伊賀定盛君。     〔中島(源)主査代理退席、主査着席〕
  99. 伊賀定盛

    伊賀分科員 昨日米田議員との日朝漁業問題についての質疑を承っておりましたので、重複を避けて二つほど伺いたいと思います。  一つは、政府保証ということが問題になるわけですが、政府保証とはだれがどこで何をしたらいいと解釈されますか、農林大臣と外務省の御見解を伺います。
  100. 森整治

    ○森(整)政府委員 先般、昨年の話として朝鮮民主主義人民共和国から政府保証の要求が出たというふうには承知をいたしておりますが、その内容、形式等につきましては現在私ども非常に不明確な問題がございます。ただいまの御質問につきましても、六月三十日まででございますから、恐らく具体的にまた今後のお話ということも引き続き行われると思いますが、そういう場合にどういう形で出されてまいりますか、その具体的な段階でいろいろな判断をしたいというふうに考えておるわけでございます。今後また民間漁業交渉が再開をされまして、六月三十日までの間にできるだけ早く民間協定か締結されるということを期待をしているわけでございますから、その場合にまた何かそういうお話があればその時点でいろいろ検討させていただきたいというふうに思います。
  101. 佐藤嘉恭

    ○佐藤説明員 ただいま水産庁長官から御説明のあったと同じように私どもも考えておる次第でございます。
  102. 伊賀定盛

    伊賀分科員 水産庁長官から内容と形式がわからぬということですが、これはすでにソ連との漁業協定も持っておりますし、東南アジアの諸国との漁業協定も持っておるわけでありますから、その他の国の内容と形式がわかっておって朝鮮民主主義人民共和国だけの内容と形式がわからないということでは、少し私どもにはわからないわけです。しかも昨年の九月に、暫定合意書ではありますけれどもすでに締結されておるわけであります。ですから、昨年のこの内容をそのまま民間漁業協定にして、そしてこれを政府保証にするか、それともその中身を後退させるか前進させるかということは、今後の課題になるかもしれませんけれども、概定合意書とは言いながらすでに現に効力を発揮しているわけでありますから、仮定の問題でも何でもありません。現実のいまあるその内容としてこうしたものを政府保証する場合に、見解がないということはあり得ないと思いますが、再度お答えを願いたいと思います。
  103. 森整治

    ○森(整)政府委員 問題は国交がある場合と——いま朝鮮民主主義人民共和国と日本との間がそういう状態にないということが一つ大きな障害になっているということは間違いないと思います。だからそういう段階で一体政府保証というのが可能なのかどうか、これはいろいろな問題があると思いますし、またそういうことがないとできないということでもなければ、——どうしても何かそういうことがないと新たな展開ができないということであればまたその段階でいろいろ考えるということになるのだと思いますけれども、私どもはやはりいまのところその問題が一番大きな障害になっておるのじゃないかというふうに思います。
  104. 伊賀定盛

    伊賀分科員 実は私、昨年の十二月に社会党の日朝特別委員会の一員として参りまして、十日ほど滞在して、その間外務次官等と具体的な話し合いをしたわけですが、その中身からいいますと、いま長官がおっしゃったように政府保証がなければできないものじゃなくて、現に政府保証なしに暫定合意書があるわけですから……。しかしいまある暫定合意書よりも民間漁業協定の方がいいし、民間漁業協定よりもさらに政府が保証したものの方が望ましいわけでありますから、ちょっと長官のお考えは——なければ云々でなしに、あった方が望ましいわけでありますから、しかもこれは私の感触ですからなにですけれども、どう言いましょうか、あえて内閣総理大臣が正式な文書でとかいうことでなしに、所管大臣農林大臣が適当な方法でこの民間漁業協定の中身に言明をするということで政府保証というふうに解釈されるのではなかろうかという感触を受けたわけでありますが、大臣、ひとつこの点についていかがなものでしょうか。
  105. 森整治

    ○森(整)政府委員 いろいろそういういま先生がおっしゃいましたような方向、どういう形のものがあり得るかということにつきましては、なおいろいろ検討させていただきたいと思いますけれども、恐らくやり方と、それが保証であるかどうかということ、逆に言えばそれは保証でないというようなこともあると思います。いずれにいたしましても、どういうやり方があり得るのかということは具体的な問題になっていろいろ検討さしていただきたいというふうに、もしそれが必要であるということであればその段階で検討さしていただきたいと思います。
  106. 伊賀定盛

    伊賀分科員 いまの答弁を承りまして、そうしますと、前向きに政府保証をする用意がある、やりたい、こう解釈してよろしいですね。
  107. 森整治

    ○森(整)政府委員 どうもお言葉を返すようですが、私はそういう意味で申し上げたわけではございません。もしそういうことがないといろいろ事態が進まないという場合には、その段階でそういう方法等についてももちろん検討することはやぶさかでございませんということを申し上げたわけでございます。
  108. 伊賀定盛

    伊賀分科員 背景もあるようですからなかなか言明できないかもしれませんが、いずれにしても、きのうも話がありましたように、一たん緩急ある場合には多くの日本漁民の生命を失うという危険性もあるわけでありますから、そうしたものを政府が保証するというのは当然の話でありまして、むしろ長官のいまの考え方には私は反対でありますから、今後ともひとつ前向きで日朝漁業問題を解決するように要望しておきたいと思います。きのうも米田議員から話が出ておりましたけれども韓国との云々というような話があります。同じ朝鮮半島で韓国と朝鮮民主主義人民共和国の二つに分かれておりまして、この二つの国と戦争するというならこれははばからなければなりませんが、二つになっておろうと三つになっておろうと両方と仲よくする、友好と親善を深めるということは世界の潮流でありますから、少なくともいまのような水産庁長官答弁というものは、私は、決して日本漁民の生命財産を守り、生活を守る姿勢ではないと考えざるを得ませんので、これは要望にとどめておきますけれども、すでに六月三十日という期限が迫りつつある事態でありますから、前向きに検討されんことを願っておきたいと思います。  それからもう一つ、この問題では、民間漁業団体でありますが日朝漁業協議会、これも昨年朝鮮民主主義人民共和国が二百海里宣言をして、あわてて急ごしらえの民間団体でありますからやむを得ない面があると思いますけれども、どうもこの日朝漁業協議会というものの体制が十分でないと承っております。その他ニュージーランドとか中国とかいろんな漁業協会があるようでありますが、日朝漁業協議会に限ってどうも中身がすっきりしていないと承るわけでありますが、これらについての農林省、水産庁の行政指導ないしは今後の指導の考え方というものについて承りたいと思います。
  109. 森整治

    ○森(整)政府委員 日朝漁業協議会の体制が少し弱いのではないかという趣旨の御質問だと思います。これにつきましては、確かに参加しております団体等、ほかの団体と比べまして若干そういう交渉にふなれな面があるわけでございます。そういうものを何らか補完をしながらという考え方で、もし民間側からいろいろ要請がございますれば、それには十分われわれとしてもいろいろアドバイスなり何なりをしまして、確かに体制が充実するような形でさらに交渉なりその他の手続が進むように、できるだけ援助をしてまいりたいと思います。
  110. 伊賀定盛

    伊賀分科員 日朝漁業協議会の要請があればということでありますが、行政指導というのは常に要請がなければ行政指導しなくてもいいという性質じゃなくて、むしろ必要がある場合には、日朝漁業協議会から要請がなくても積極的に政府の方から行政指導をする必要があろうかと思いますから、そういう面でひとつ強力な行政指導をしていただいて、体制の強化を願っておきたいと思います。  もう一つ、それと関連しまして、中国の場合にも、国交がないうちに民間覚書協定というもので実質的にはいろいろな交流をやっておったわけで、前例があります。ですからこの際、漁業事務所、民間事務所、名前は何でもいいわけですけれども、そうしたものを双方が設置する、そして当面の問題を解決しながら、さらに前進させるということも一つの方法だと思いますが、これも水産庁長官の言葉をかりますと、日朝漁業協議会から要請があれば、こういう御答弁になるかもしれませんけれども、そうでなしに、どこの国とも仲よくすることは好ましいことだし、日本漁民の生命財産を守ることに必要なことでありますから、漁業事務所を設置することについて一定の費用等も要ることでありましょうから、それぞれ一定の費用を分担していくとかいうような姿勢がおありかどうか、承っておきたいと思います。
  111. 森整治

    ○森(整)政府委員 今後の両国の民間ベースでのお話し合いの中で何かそういうものが必要だという相互の認識があって、その上で何か方策を考えろということであれば、もちろん検討することはやぶさかでございませんが、私ども承知しておる限りでは、中国の場合にそういう事務所を設けたというふうにはちょっと承知をいたしておらないわけです。両方のそれぞれの協議会が一応話し合いをしたということではございますが、事務所まで設けたかどうかにつきましては、ちょっといま私どもそういうふうには承知しておりません。
  112. 伊賀定盛

    伊賀分科員 中国の場合は、東京にはなくて大阪にはありました。長官は東京にお住まいだから御存じなかったかもしれませんが、たしか大阪にあったはずであります。  それから、先ほども申し上げますように政府保証といいますと、ちょっと外向けになりますからいろいろはばかるところがあるかもしれませんが、内向けに日朝漁業協議会等が、いま言いますような漁業事務所を設置するというような、内側に向かってははばかる必要はないわけでありますから、ひとつこの問題についても前向きで御検討いただきたいと思います。これはもう答弁は結構でございます。  次に、同じくこの二百海里問題で、漁場でありますが、先ほども新潟県で廃棄物というものが問題になっておりました。私は日本海側でありますが、ヤクルトそれからビニールというようなプラスチック製品が上流から流れますと、私は専門ではありませんけれども、陸地で言いますとちょうど谷間のようなことになっておりまして、潮の流れによって、どこから流したものでも全部一つの谷のようなところにずっと集まってくるのだそうですね。昔は材木とか鉄くずとかいうものがその谷間に集まってきて、そこに海軍が生育して、それが一つの魚のたまり場、漁場になったのだそうでありますが、最近はまるきり変わりまして、プラスチック製品、それからヤクルトの廃棄物というようなものが全部たまって、そこにはもう海草が生育しない。したがって、昔の漁場が逆に魚が住めないようになっているということで、長年の漁民の生活の知恵でありますからということで、大変困っておる。水産庁も大型、中型、小型の魚礁等を沈下して漁場の育成等に努力しておられるわけでございますが、大型、中型等の一定の規模のものを沈下することも一つの方法でしょうが、一つは、古タイヤとか古い漁船なんかを持っていって埋める、そうすると海草が生えてきて漁場になるのだそうであります。ですから、何でもかんでも大型や中型のコンクリートの魚礁をつくらなければいかぬわけではありませんから、そういうものにも適切な補助とか援助をしていくというようなことをお考え願いたいことと、それからもう一つは、原因者負担といいましょうか、捨てた者はわかりませんが、ヤクルトの製品をつくった者はわかっておるわけでありますから、そうしたものを網ですくうと、ヤクルトのから何万というものが一網でとれるそうでありますが、そういうものに補助をしていくことと、原因を発生させた者に一定の費用を負担してもらう、もっともこれは農林大臣の所管ではないかもしれませんが、そういうこともひとつお考え願えぬだろうかということであります。
  113. 森整治

    ○森(整)政府委員 いま御指摘のような問題につきましては、確かに沿岸漁場でその生産力というものが非常に問題になるわけでございます。そういう意味で、漁場に集積いたしましたいまのポリ、プラスチック等を除去するということも、実は沿岸漁場整備開発事業の一環といたしまして、漁場保全事業として認めておるわけでございます。また、非公事業でも、漁業公害対策事業に漁場環境維持保全対策事業というのを入れまして、そういう著しく汚れておる漁場につきましてはその除去を図るということを行っておるわけでございますが、いま先生の御指摘のような、原因者をつかまえて、そこに負担をさせるということになりますと、恐らくその原因者を仕分けするのが非常に困難な事態が多いのではなかろうかというふうに思いまして、とりあえずはいまのような事業で、必要に応じて漁場の整備を図っていくということをやってまいりたいというふうに思っております。
  114. 伊賀定盛

    伊賀分科員 次は、漁港の問題であります。  一、二、三種漁港とありまして、三極漁港は、いわゆる中核漁港制度という方法をとっておられるようであります。問題は、一、二種漁港でありまして、何か構造改善事業でそれぞれ一割程度の補助率をアップしておるようでありますが、特に一、二種漁港の場合には、所在町村というよりも所在部落が非常に貧弱であります。したがって、これは事業促進と受益者負担ということでいろいろ調整等の問題がありましょうが、この際は、一、二種漁港の補助率をもっと高めるということでなければ、なかなか事業が促進をいたしませんということですから、一、二種の漁港の補助率アップということを真剣にひとつ考えていただきたいと思うわけであります。
  115. 森整治

    ○森(整)政府委員 漁港の整備事業の補助率でありますが、これはいろいろいきさつがございます。ただいまの一種、二極につきましては、これは四十年にできた制度でございます。ことし三種につきまして補助率アップを、非常に長年の懸案として、何年かかりましたか、相当長期にわたって要望をいたしておりまして、ようやっとその補助率アップができたという実情でございます。そういう段階で、先生の御指摘の問題は、恐らく数が多くて非常に負担力が小さいところの漁港だから、それについてめんどうを見たらどうだというふうに理解をいたしまして、その限りではそうかもしれませんが、負担の問題につきましては一応九五%は市町村の起債の対象とするということで処理をしております。逆に申しますと、額はそう多くはないということも言えると思います。そういういろいろな観点からと、それからもう一つ、ほかの、たとえて言いますと、地方港湾の制度と比べてみますと、これは四〇%ということで、若干漁港の方が有利になっているという問題もあるわけであります。したがいまして、これら全体の制度と比べながら補助率というものを見ていかなければいけないわけでございます。そういう観点から、全体の問題の処理と一緒に、もし必要ということであれば、もちろん今後ともその補助率の是正なり改善なりということにつきましてはわれわれ努力をしてまいりますが、ただいまのところ、一応これでバランスがとれているのではなかろうかというふうに判断をしているわけでございます。
  116. 伊賀定盛

    伊賀分科員 最後に、肉用牛、肉用子牛価格安定事業について伺います。  同じ食料品にしましても、たとえば農業共済とか、繭とか、果実等々、価格を保証するについて共済制度その他法的根拠があるけれども、同じ肉でありながら枝肉になったら価格保証があるのに、なぜ子牛だけ法的根拠がないのですか、伺いたい。
  117. 杉山克己

    ○杉山政府委員 肉用子牛の価格安定事業は昭和四十五年度から実施して、逐次その内容を充実強化してまいっているところでございます。この間、肉用牛生産農家の経営の安定に大きな役割りを果たしてきたと思うわけでございます。それから五十三年度におきましては、最近の肉用子牛をめぐる諸事情はいろいろ変わってまいっているわけでございますが、そういう変化も踏まえましてかなりな改善を図ったわけでございます。保証基準価格を引き上げる、あるいは補てん率を八割から九割に引き上げる、それから契約対象頭数を増加させるというようなことにいたしております。  この事業を法的な根拠を持たせてやることにしてはどうかという御意見のようでございますが、ほかのものと異なりまして、牛は個体差といいますか、一頭一頭の品質、価格というものに相当大きな差がございます。それから、保険計算、大数計算をいたしまして保険設計になじむかというようなことになりますと、種々問題も多うございます。私どもといたしましては、それらの難点もありますのと、それから、もちろん法律というような、しっかりした根拠をもってやればその方がいいという考え方はありますが、法律によらずしても、現行制度で十分役割りを果たし得ている、それから、私どもも今後実質的にこれをさらに充実強化するという方向で検討を進めてまいっているところでございますので、特段に法律制度によらずしてということで、いまのまま続けてまいりたいというふうに考えております。
  118. 伊賀定盛

    伊賀分科員 局長さんはいまの制度で満足だとおっしゃいますが、満足ならば、子牛の飼育農家が減ったりあるいは頭数が減ったりするはずはないので、不満足だから農家序数も減るし頭数も減るという結果になっておりますから、局長さんの言うことはわからぬではありませんけれども、むしろ逆であります。やはり一定の価格保証をしなければ、今後日本の、特に和牛の場合には減ります。これは間違いありませんから、ひとつ今後とも、少なくとも法的根拠を与えるように、もちろんこれは畜産局だけでなしに、その背景となります全国の和牛協会等々もこれは努力すべきだと思いますけれども、少なくともこれは平衡を欠きますから、法的な根拠を与えるように御努力を願いたいと思います。  同時に、保証基準価格の問題でありますが、この保証基準価格が何を基礎にしてその数字を各県ごとに決定しておるのか、たとえば兵庫県が二十六万で、新潟県が二十万ほどであります。ですから、ここで問題にしたいと思いますのは、保証基準価格の算定の基礎が不確実である、不安定であるということが一つ。  もう時間がございませんから、続けて申し上げます。  現に青森、岩手、新潟等の各県にあります基本財産がすでに崩壊をしております。そのことは何を意味するかといいますと、保証基準価格が高いから、それを発動して資金がなくなって崩壊する。逆にこの制度ができましてから、兵庫県というのは例の但馬牛ということでかなり高いということになっておりますし、質もいいということになっておりますので、二十六万円を保証基準価格にしておりますけれども、この制度を発動したことは一遍もない。ということは、低いから発動する必要はない、こういうことにもなるわけでありますから、この保証基準価格の設定の仕方にもひとつ配慮をしていく必要があろうかと思います。  それから、手元に農林省が出しております子牛生産費、すなわち子牛経費の概況という資料を持っております。これをずっと拝見しますと、まことにずさんきわまりないものでございまして、何かにお使いになるならもっと的確なものを調査する必要がありますし、使う必要が、使用目的がないのなら何も金をかけてする必要もないわけでありますから、この子牛生産費、同時にまたいま申し上げます保証基準価格にしましても、もっときちんとした資料を基礎にして一定の数字を出してもらわぬと、先ほど来申し上げますように制度としての価値がなくなりますので、これは要望しておきます。  その他、いま申し上げます子牛の生産を高め農家の生活を保障していくためには、基盤整備の問題でありますとか、飼料を確保するとか、あるいは融資制度とかいう総合的な問題が必要になってこようと思いますが、時間がございませんからこれは後日に譲るといたしまして、先ほど申し上げました諸点についての御見解を求めて私の質問を終わりたいと思います。
  119. 杉山克己

    ○杉山政府委員 肉用子牛価格安定事業におきます保証基準価格の決め方は、肉用牛の生産条件、需給事情その他の経済事情を考慮しまして、各都道府県の肉用子牛価格安定基金協会、そういう機関があるわけでございますが、そういう協会が農林省の承認を受けて定めるということになっております。  もう少し具体的に申し上げますと、全国ベースで過去九十六カ月、八年間という長い期間でございますが、その間の子牛価格の実勢価格をもととしまして対象となる期間の価格を推定する、これによりまして全国的な平均が出る、その平均から子牛価格の通常の変動の幅を控除いたしますと異常低落の線が出てくるわけでございます。これは全国平均の額でございますが、これを、都道府県別に実情が異なりますので、平均がそこになるように、どういうふうに開いていくかという作業が要るわけでございます。その作業につきましては、各道府県の子牛の取引価格との実情を十分考慮いたしまして、道府県とも十分相談の上それぞれ決めているわけでございます。  兵庫県の価格は確かに全国でも一番高うございます。五十二年を見ますと、全国平均二十一万三千円のところ、兵庫県は二十六万円となっております。地域によってこういう差がありますのはやはり牛の品質、評価といったものに差があるからだろうと思うわけでございます。その価格が適正でないから、標準価格が適正に決められていないから、その基金の使われ方、安定事業の実際の行われ方が県ごとに差が出てくるのではないかというお尋ねでございますが、子牛の価格はいろいろな条件によって変動いたしますけれども、やはりそのときの環境条件によりまして、変動の仕方が地域ごと、品種ごとにかなり差がございます。いままでの状況を見ますと、確かに特定の地域の子牛価格に大きな変動があったそういったところで交付金の額もよけい出たという実績はございます。兵庫の場合はやはり非常に評価が高くて、それ自身の基準価格も高うございますが、一般的に価格が低落する中でも比較的安定した価格を保ち得ている、それほどは下落しないという実績一つあるのかとも思います。ただ、先生指摘のように基準価格が絶対間違いないのかどうかということになりますと、これは二年ごとに改定するわけでございます。毎年、その都度関係者の意見も十分聞いて調整してまいっておるわけでございますので、そういう機会には、さらに一層厳正に慎重にこれを検討して改定を行ってまいりたいと考えております。  それから、子牛の生産費の調査がずさんではないかという御指摘がございましたが、この子牛の生産費調査は、畜産物生産費調査という、農林省の統計情報部が公的な組織立った方法によって調査した結果でございます。どの点がずさんなのかは、さらに場合によってはお伺いして、必要なところは検討させていただきたいと思いますが、私どもとしては十分努力いたしました正確な信用を置ける調査であろうというふうに考えているわけでございます。
  120. 伊東正義

    伊東主査 これにて伊賀君の質疑は終了いたしました。  次に、原茂君。
  121. 原茂

    ○原(茂)分科員 中川さんが大臣になられたので、ぜひ一度お伺いしたいと思ってきょう参りました。  小さい事業の問題を先にお伺いしたいのですが、例の中核林業振興地域特別対策事業、これについて現状と今後の方針をお伺いしたいと思います。  この事業は、森林の除伐、間伐、育林、下刈り、作業道の開設というものについて国の助成金が五〇%ある。それから、低利融資を受けることもまた税制上の優遇措置もある。期限は五カ年だと記憶していますが、その森林団地の七〇%の林業農家が賛同して認可されるという条件になっていると思うのです。この点は私の言ったとおりでしょうか。
  122. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 いま先生がお話しになりましたのとおおむね同じでございますけれども考え方といたしましては、この事業は特別な仕事をここにつぎ込むということではなくて、いま先生がおっしゃいましたように、いろいろな仕事を集中的、総合的につぎ込んで事業の振興を図ろうというものでございます。
  123. 原茂

    ○原(茂)分科員 ところが実際には予算に枠がありまして、たとえば当初の作業道開設の計画は一応あります。あるけれども予算は三〇%前後しかつかない。割り当てといいますか、助成がないために思うように仕事が進んでいない、ところが非常に要望はたくさんある、それにこたえていないというのが現状だろうと思うのです。  農村の、とりわけ山村農業というものは、森林との複合経営でなければ成立をしないところがわが国の場合非常に多いと思います。この点は大臣どうですか、そういうふうにお考えになりますか。
  124. 中川一郎

    中川国務大臣 森林を取り巻く情勢は厳しくございますし、またこれを開発する場合に複合的に行うことが合理的である、事業を単独に一つ一つやるよりは、林道とかあるいは先ほど御指摘があったようないろいろな事業を複合的にやった方がいいという地域が多かろう、このように思う次第であります。
  125. 原茂

    ○原(茂)分科員 現在は福田さんの言う資源有限時代。この山林資源をもっと育成して活用していかないといけないと私は思う。いま、実は逆行する方向が出ているのですが、この活用は非常に大事だと思う。しかし、外材の輸入国内木材を低価格に抑えつけるような状態にもなっている。山林ではとても生活ができないというのが、山林に住む人々の現状だと思うのです。貿易の自由化によって、ある意味では農村無視の政治といいますか、悪口を言うようですが、そういう面が非常にある。特に木材については、石油に次ぐ第二の輸入額、非常に多いものだ。国内木材価格の値上げはこの輸入によって抑制されるという引っ張り合いがずっと行われて今日に至っている。木材の価格が安いから、いま以上には山林労働者のいわゆる労働条件の改善を図ることも非常にむずかしい。それができないというと、山林労働者の後継者をつくることも実はできない。山林労働者はいま非常に困難を感じているのです。特に山林による農村というものは、ある意味で他と同じように崩壊の危機に瀕しているというのが現状だろうと思うのです。  森林の持つ公益性というものがやはり大事。たとえば洪水の防止、水資源の確保、それから大気汚染による自然の浄化、これは森林の持つ公益性といって非常に大事なもので、これをもし金額にしますと、国家予算を全部森林事業に投入しても恐らく全然まだ足らないほどの三つの公益性を発揮しているわけです。森林というものは目に見えない大きな事業をやっている。これは国土保全あるいはわれわれの人命を保存する意味で非常に大事なものである。そのことを考えて、中核林業振興事業の内容を少し改善して、また外材の輸入の中止あるいは高関税を賦するというようなことをやって、もう少し木材を安定した価格に引き上げていくくらいの努力が現在見られていない。輸入価格に右へならえをして下がりっぱなしで、政治の力で木材価格を引き上げようというような努力の跡あるいは政策というようなものが目に見えない。いまないのじゃないかと私は思う。これは直ちに実行していきませんと、先ほど言ったから繰り返しませんが、公益性の面からいって、あるいは労働力、後継者の養成という面からいって、わが国になくてはならないこの山林、きれいな水、青い空、澄んだ空気、こういうものを保持しなければいけない。公害公害と言ってやかましいいまの情勢からいって、どうもこういう全体をグローバルに考えながら、木材価格というものをもう少し高値に安定をさせるという意思的、恣意的な施策というものがなくてはいけないのじゃないかと思うのですが、どうもそれが見えないという点で、どうでしょう、何か、いやそうじゃない、こういうことをやっているのだというようなお考えがあるかどうか。大臣から聞いて、また必要があれば局長からお聞きしたい。
  126. 中川一郎

    中川国務大臣 近年、日本の木材、森林資源について非常に危機感が出てきたということは事実でございます。木材価格の低迷、それに外国からの輸入の力等々がございまして、森林造成について意欲を失うというような状況もありますので、いまいろんな方々からの意見等も聞きながら、どのようにしたらいいか勉強中であると同時に、ことしの予算についてもできる限りの前向きでやったところでございますし、中核林業の育成につきましても、制度ができて新しいわけですから、まだ十分でない点もあろうかと存じますが、今後さらに努力をしていきたいと思います。  なお、外材でありますが、これはまた国際協調ということで、現状を維持するのにすらなかなか大変だというぐらい圧力も非常に強いわけでございますので、そういった点にも配意しながら、ひとつ将来に向かってあるべき林業について研究もし、努力もし、やるべきことをやるというふうにしてみたいな、こう思っておるわけでございます。
  127. 原茂

    ○原(茂)分科員 いま私が言っているような国内の木材価格の引き上げ、安定ということは、直ちに今度は消費者の側からいうと非常に困る現象が起きよう。要するに、消費者の負担増というものになっていくわけですから。したがって、住宅はいま国家最大の施策になっている。特にいまのような景気を何とかしようというときに、四国のでかい橋だ、新幹線だという片方には住宅に相当の力を入れている、これは正しいと思うのです。私はその意味からいうと、木材の価格を安定上向させるということが消費者の負担増になることを解消する道は、住宅の供給というものを国家がもうちょっと本腰を入れて、社会保障といいますか、住宅を供給することは社会保障の一環なんだという概念を政治の場でつくりまして、そうして社会保障の一環としての住宅建設に使われる木材価格動向というものはその概念の中に消化されていく、いま社会保障にずいぶん金を使っていますが、その社会保障の一環としての考え方で住宅に対処してもらうということの中で、国内の木材価格の安定化を実現していく。そうしないと、もう解決ができないのじゃないか。先ほど大臣は、まあ輸入からも相当圧力があって、これはなかなか大変だとおっしゃった。そのとおりなんです。しかし、その部分もやはり住宅政策というものを社会保障の概念で考えていくというようにしないと、この悪循環を断ち切ることはむずかしいのじゃないかというふうに私は考え、日本の山林を守り、山林労働者の後継者をつくりながら、しかもその公益性に頼って、より美しい、より健全な国土を育成していく。いま荒廃の一途をたどっているのですが、逆に育っていくという必要を考えたときには、どうしても住宅の社会保障化というようなものとつなげていく以外にないのじゃないか。これも大臣の考えをお伺いしたいと思います。
  128. 中川一郎

    中川国務大臣 わが国ではいま、食糧の問題あるいは住宅の問題等々ありますが、やはり全部大事ですが、いま国民が要望しているのは、住宅にこたえてもらいたいという国民の声だろうと思います。これがまた最近の景気浮揚とも合致をするというところからかなり力を入れてございます。  そこで、木材価格との関連において社会保障として何らかの行政をすべきだという御提案でございますが、住宅で国が助成する、力を入れるとすれば、金融の問題だとかあるいは税制の問題、土地の手当てというようなことについては最善を尽くさなければなりませんが、もしこれに直接補助をするというようなところまで踏み切るかどうかということになりますと、ここは政治的な問題でございますが、住宅の建てられない人とのバランスにおいて、社会保障の公正ということからいって、そこまで直接助成によって木材引き上げに対処するというところまでいけるかどうか、その辺もひとつ判断をしてみなければならぬところでありますけれども、いずれにしても住宅政策はこれからの最重要課題でございますから、十分研究をし、またできるだけのことはしてまいりたいと思う次第でございます。
  129. 原茂

    ○原(茂)分科員 私は大臣にこのことをわざわざ聞いているのは、いまの閣僚の中で大臣以外に、こんなドラスチックな乱暴な、住宅政策を社会保障の一環とせよなんて言える人はないだろうと思ったから、それでお聞きしたがったんですよ。やはりそういう人が一人いないといままでのからは破れない。しかも農林大臣の立場で大臣なら言えるし、突っ走れるんだし、思い切ってやってもらうこと自体がわが国の林業の擁護に役立つ、国の緑を保全することに役立つということになりますと、だれかがやらなければいけないんですが、福田さんは、黙っていたらそんなこと忙しくて考えがつきやしませんね。中川さんならやれそうだし、これは言ってもらえるかなと思って実は期待して、ある意味では願いを込めて言っているわけです。いまの答弁ではちょっと不満足ですが、とにかくそういう期待があるということを、中川さん以外にはできそうもない、思い切って突っ走ってもらうということをお願いしたいのですが、しかし本論に入ります。  そういうようないわゆる公共性とか社会保障の概念というものの整合性を考えた上で、私は、いまの中核林業振興事業の内容をそれに近づける意味で少し改めていただきたいと思う。その改める点をこれから五つ申し上げますが、一遍にお答えをいただきたい。  一つは、この事業の実施期限というものを現行の五カ年から少なくとも十年に延長した方がこの事業に対する需要は非常に多くなる。安心してこの事業に取り組むことができる。したがって、この事業を興した理想にかなっていくためにも五年は短過ぎる、林業をやろうとするのに。これはやはり十年ということに延長できないだろうか。素人でよくわかりませんが、私の立場から考えると第一にそういうことをぜひやっていただきたい。それにお答えいただきたい。  二つ目に、この事業を実施する団地には適度の予算措置を講じてやってもらいたい。そうするとまたずっと意欲が出ます。  第三は、この事業の国の助成率を現行の四〇か五〇だか知りませんが、せめて六〇ぐらいに引き上げてやったらぐっとまた違ってくる。当初から言っている私の理念に近づけるためにもこの事業を取っかかりに考えていきたいという趣旨から言っているわけですが、六〇%に引き上げることができないだろうか。  第四番目に、この事業を実施する団地の山林所有の特別控除の控除率をもっと引き上げてやってもらいたい。いまの控除率はちょっと低いのです。もうちょっとこの控除率を引き上げてやってもらいたい。そうするとずいぶん違ってきます。  五つ目に、この事業の助成の対象に枝打ちが入っていないのです。中核林振計画関連事業としては県単独で枝打ちの予算措置が講じられているように思いますが、県単独でやれるところはやっていると思うのですが、もしその方法以外にない、国が直接これに対してはどうこう言えないというなら、やはり県に対して強力な指導あるいはまた助成も行う。枝打ちをとにかく入れてもらうとずいぶん違ってくるんですね。  こういう五つのことをひとつぜひ何がしか考えて前進をしていただきたいと思うのです。大臣がそばにいますから、こんなこと簡単ですから、大臣と相談しながらひとつずばりと前進する答えを……。
  130. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 いま非常に建設的な御意見をいただきました。私ども中核林業振興地域につきましては、先ほど大臣からお答えいたしましたように、五十一年度から始めましてまだいま二年目でございます。したがいまして、この成果につきましては今後いろいろと私どもも十分に調査、検討していかなければならない問題があろうというふうに心得ております。先ほど先生が御指摘になりましたように、非常に予算が少なくて実行がおくれるというお話でございますが、私どもこの辺につきましては五十一年度の結果がどうであったか、五十二年度の結果がどうなっているか、いまつぶさに調査いたしております。したがいまして、その進行状況その他を見まして、さらにこの強力な推進をしていきたいというふうに基本的には考えております。  そこで第一点の期限の延長でございますけれども、これは計画完了期間後一応五年ということにわれわれは考えております。したがいまして、その間に計画したものにつきましては十分推進できるような対応をとり、計画期間が終わりましても、この事業につきましては県並びに市町村がこの計画立案に組まれておりまして、県並びに市町村がこれに組んでやるというところが一つの大きな特徴でもございます。したがって、そういう方面からも、計画期間が完了した後も、さらにそういう考え方で推進できるような方途を今後ともわれわれも考えてまいりたいというふうには思っております。  それから適度の予算措置というお話でございましたけれども、団地につきましては後ほどまた申し上げますが、それぞれ団地について、さっき申し上げましたように造林だとか林道だとか集中投資できるように、それぞれ県でもその辺を配慮しながら林野庁と予算の折衝をいたしておりますし、今後ともそういう形になるように努力はしてまいりたいと思っております。  それから助成率の六〇%引き上げでございますが、いま計画樹立のためあるいは指導のために二分の一の五〇%の補助を出しております。この計画立案その他につきましては私どもはやはり五〇%で行きたいと思っておりますが、そのほか造林あるいは林道につきましては、この団地に入りますものはそれぞれの制度の中で一番高い補助率に近いものをそれぞれやっておりますので、難業の実行の面でその辺は見ているということで御了解をいただきたいと思います。  それから山林所得の控除率の引き上げでございます。現在二〇%の控除率になっておりますが、これは税全体のあり方、それから従来の山林所得との関連から見まして、いまの段階でこれを引き上げることはなかなかむずかしいのではなかろうかというふうに考えております。  それから最後に、助成対象に枝打ちがないというお話でございましたが、先生御案内のとおり、枝打ちと申しますのは木を特別に品質をよくするためにやる場合が非常に多うございます。したがいまして、やる地域とやらない地域とございますし、こういう点で一律に国が枝打ちに助成をするというのは、先生おっしゃいました国土保全なりその他森林の持つ公益的機能の観点からいまある意味で非常に補助が出ておりますけれども、枝打ちというのはある意味で品質保証というような形にもなりますので、国が直接これに補助を出すというのは、私どもとしては少々問題があるのではなかろうかという感じを持っております。都道府県がそれぞれおやりになる問題につきましては、私どもはその都道府県がその地域地域で、この地域についてはいい山を育てていい木をつくりたいということで御助力されておられることだと思いますから、その辺は非常にいいことだと思いますし、さらにそういう点の計画を進めていただくことについては私ども心から賛成するものでございます。
  131. 原茂

    ○原(茂)分科員 大臣もお聞きになっていましたが、できるだけいま答弁のあった方向で、一歩でも二歩でも前進するようにひとつ協力してやっていただきたい。小さな事業ですけれども、この芽は大事にしなければいけないだろう、こう思うのです。  では、この振興事業のことはこれで終わります。  あとは、食糧庁長官おいでになっていましたね。簡単に一問だけお伺いしたいのですが、インドネシアに五十年産米をこの間出しましたね。いま出しつつあるだろう。その現状をちょっと。
  132. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 昨年の十一月、インドネシア政府から、昨年インドネシアにおきましては干ばつと虫害のために予想以上に減産ということのために、ことしの一月ごろまでに相当量の輸入が必要になってくる。インドネシアは従来タイその他から伝統的に輸入しているわけでございますが、タイの方も作柄がやや悪くて、ちょうど端境期で輸出余力がないということで、わが国に対しまして緊急輸入として要請がございました。食糧借款を利用した日本米の緊急輸出を日本側に要請してきたわけでございます。わが国の米は、先生承知のように国際的に非常に割り高でございまして、そのときどきで若干差はございますけれども、最近で見まして大体五倍ぐらい。そうしますと、出す場合に援助の効率の問題もございますし、さらに財政負担の問題もありますし、そういう東南アジアの伝統的な輸出国の市場を援助という形で荒らすということに対して、非常に輸出国は神経を使うという問題がいろいろあるわけでございますけれども、緊急の要請でございますので、人道的見地から十万トンの輸出をするということを昨年の十一月二十四日合意いたしまして、それに基づきまして、昨年の年末からことしの二月の上旬にかけまして十万トン全量積み出しを終わったわけでございます。いまのところ品質等につきましても非常に結構であるというような評価を受けておるところでございます。
  133. 原茂

    ○原(茂)分科員 幾らで。
  134. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 FOB価格でトン出たり七万円でございます。
  135. 原茂

    ○原(茂)分科員 すると、大分安いですね。従来も七万円程度で出したことがありますか。  ついでに、これからもそういうことを考えますか。
  136. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 これまでの例は、例のあの七百二十万トンの過剰米を抱えまして生産調整を始めたころから、えさ用に処理するのとあわせまして、過剰米処理の方法といたしまして三百万トンばかり輸出いたしました。これは四十九年までですべて終わっております。当時幾らで出しましたか、ちょっといま資料を持っておりませんけれども、最近は五十年以降出したことはなくて、先ほどお話ししました今回の分が初めてでございます。  なお、今後の問題につきましては、まだ正式に要請ございませんけれども、情報によりますと、今年度、向こうは四月から年度のようでございますが、二百数十万トン輸入しなければいけないというような需給事情にあるようでございまして、日本に対しましても今回やりましたのに近い数量を期待しているというような情報を得ておりますが、まだ外務省を通じまして正式な要請ということにはなっておりません。
  137. 原茂

    ○原(茂)分科員 確かに今年度といいますか、四月以降の年度ですが、相当の数量を希望しているようです。日本はその要望には外務省から正式に話があればこたえる。しかも、値段はいま言った七万円という程度でこたえていくというお考えがおありなのかどうか、すぐ要求がやってまいりますから。それが一つ。  それからもう一つは、この種の要請というものはインドネシアだけでしょうか。他からはいま来ていませんか。  それから、今後インドネシア以外からも緊急の要請があったときには出すつもりなのか、余裕はもちろんあると思いますが。それが二つ。  それから最後に、三つ目に、なぜ一体五十年産米を出すのか。いま国内で皆さんが考えている使い道は幾らでもある、のりにしたり、えさにしたりいろいろやっているんですね。外国へ出すのに五十年よりは五十一年の方がいいのじゃないか、素人で私はわかりませんが、なぜ五十年産米を出すのか。なるべく近いところのものが、われわれが米を食うのでも新米の方がうまいと言っているのですが、どういうのか知りませんが、なぜ一体五十一年度分を出さないのか、その辺を答えてください。
  138. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 三点のお尋ねでございますが、他国からそういう要請があるかということについては、現在のところ聞いておりません。  それから、第二点の今後要講があれば出すかという点でございますが、先ほど申し上げましたように、相当財政負担になります。それからまた、他の伝統的な輸出国との関係もございますし、また現在抱えております過剰な在庫を処理する場合に、国内の工業用等に向けた方が財政上は有利だというような面もございます。それらのいろいろな関係を検討いたしまして、具体的な要請があった段階で検討してまいりたいというふうに考えております。  第三点の五十年産米をどうして出したのかという点のお尋ねでございますが、これは御承知のようにわが国の場合は円粒種、ジャポニカタイプといいまして、向ごうの長い米、インディカタイプと申しますが、それとはやはり品種が違います。したがって、味も違うわけでございます。わが国の粘りの強い米は、向こうで常食にしているところもありますけれども、全般的にはそれほどでないということがございます。どちらかと言えば、なれておる長粒種の方がいいという面はございます。ところが、古米になりますと水分が減りまして、むしろその方が向こうの長粒種、インディカタイプに近くなり、味になれたものの方がいいという面もあるようでございます。今回出しましたのも、その意味ではタイプが違うわけですけれども、非常に好評であったというようにいまのところ聞いております。五十年産を出したということは、特に出す方からしますと、財政仏祖は古米の方が少なくて済むという面もございますし、それから五十一年産は一年古米で、五十年産は二年古米ということになるわけですが、五十一年は御承知のように冷害でございまして非常に品質が悪かったわけです。そして、五十年産の方が非常に豊作で品質もよかったということもあります。それらを勘案いたしまして五十年産を出した、こういう事情でございます。
  139. 原茂

    ○原(茂)分科員 いまの答弁、インドネシアに聞こえてかえってよかったですね。結構です。ありがとうございました。
  140. 伊東正義

    伊東主査 これにて原茂君の質疑は終了しました。  次に、草川昭三君。
  141. 草川昭三

    草川分科員 公明党・国民会議の草川であります。私はまず虫の被害について細かい話ですが二つほど、それから沿岸漁業の問題の三点について御質問をさせていただきたいと思います。  まず、虫の被害の中でもマツクイムシとイネミズゾウムシという虫があるわけでございますけれども最初にマツクイムシの現状についてお聞きをするわけでございますが、私がいまさら申し上げるまでもございませんが、マツクイムシの被害は西日本から中部、関東を経て、いまでは東北の方にまで蔓延をして、非常に広域化してきておるんじゃないか、こう思うのです。しかも、激害化というのですか、非常に被害がひどくなってきておりまして、全国で百万立方メーターというのでしょうか、あるいは家屋の約五万戸ぐらいに相当する木材が枯れていっておるわけでございますので、大変なことであります。御存じのとおりに、五十三年度においても特別防除の面積の拡大だとか、被害に遭いましたところの立木というのですか、伐倒駆除の拡大で相当予算はそれぞれ大幅につけていただいておるわけでございますけれども、実際、県の単位だとか、県からまた市町村なんかに伐倒駆除等について移管をしてやっていただいておるわけでございますが、なかなかこれも大変な実情がございます。地主というのですか、持ち主に了解を得て切るわけでございますけれども、切っても運搬する費用がかかってしまってとても引き取り手がないとか、あるいは道路の近くのところならまだいいのですけれども、かなり深部の方になってまいりますと問題もあるわけでございまして、そういうような点から、特に二種に区分をされておるところでは何とかもっと大幅な助成の対策ということを考えていただきませんと、県でも市でも市町村でもどうにもならぬというところまで来ておると思うわけであります。最終的には一体オーバーをした伐倒費をどこが負担をするのかという問題も残っておりまして、いわゆる駆除をしなければいけない量というものは、被害が全部駆除できるような裏づけというものをしてもらいたい、こんなのが率直な現地での要望事項にもなっておるわけでございますが、ひとつまず、いま全国的にどのような状況にあるのかということからお伺いをしたい、こういうように思うわけでございます。
  142. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 マツクイムシの被害につきましては、いま先生がお話しになりましたように非常に蔓延いたしましたので、五十二年度に国会で御審議いただきました法案に基づきまして、五十二年度から松くい虫防除特別措置法という法律に基づいて徹底的な防除をしようということを考えております。  この防除の方法といたしましては、一応できるだけ早く微害型にこの被害がなるような形で対応しなければいけない。それから、基本的にはかかったものを切って焼き捨てるということでは、これは病気にかかったものに対応するだけであって、事前にやはり予防措置をしなければいけない。予防措置をするためには、広い面積でございますので、やはり手でまくというのはなかなかむずかしい。したがって、航空機によります空中散布というものを中心にして予防をしようというのがこの特別防除のねらいでございます。したがいまして、私どもといたしましては、五十二年度の予算も飛躍的に伸ばしていただきまして、空中散布によります防除予防というものを徹底的に図っていこうということでこの対応をしておりまして、五カ年くらいでこれを収束さしていきたいというのが大きなねらいでございます。  そこで、先生からいま御指摘がございましたように、防除予防でやりますもの以外の枯れたものの伐倒、これにつきましては、私どももできるだけその対応はできるような努力はいたしておりますけれども、非常に木の場合、山の奥にあったり、いろいろ不便なところにあったりするために、いろいろ御迷惑をかけておる面もあろうかと思いますけれども、いま申し上げましたように、できるだけ今後も十分その辺の対応をしながら、予防を中心にし、そして一部伐倒処理ということも考えながら、五カ年間に被害がなくなるように、急速に減りますように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  143. 草川昭三

    草川分科員 いま五カ年間で収束をしたいということが言われておるわけでございますが、ての昨年の四月に法案が成立をしたときに附帯決議があるわけですね。この附帯決議の中ではいろいろなマツノザイセンチュウ抵抗性育種の事業化だとか、松の枯損防止技術というのですか、大型プロジェクト研究の推進が要請をされておるわけです。この大型プロジェクト研究の概要はかなり広範囲なものになっておるわけでございますけれども、たとえばこの天敵微生物の検索と利用だとか、それから成虫の誘殺防除法だとか、樹幹というのですか、ここに注入をして単木の処理をするとか、それから被害発生環境の解明、その原因等、いろいろな土壌の問題等も含める問題、あるいは発生予察技術の確立だとか抵抗性品種の育成だとかいろいろな広範囲なことがやられておるわけでございますが、この大型プロジェクトの研究がどの程度進んでおるのか、あるいはこの研究の中でいろいろと昨年の国会でも問題になった薬剤スミチオンの安全性の問題なんかもどういうような形で進んでいるのか、少し具体的に最近の話を聞かさしていただきたい、こう思うのです。
  144. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 いま先生がおっしゃいましたように、昨年、前国会でそういういろいろな御意見がございまして、私どもも、いまおっしゃいました大型プロジェクトの問題でございますけれども、五十三年度からマツノザイセンチュウに対応するための試験研究というものを、国あるいは都道府県、公立の試験場等々、あるいは大学等がタイアップいたしまして試験研究をする体制を整えまして、いま先生おっしゃいましたようないろいろ活性物質によります防除の技術だとかあるいは被害の予察だとか、こういうものを総合的に対応してこれから進めようということでございまして、この大型プロジェクトにつきましてはいままでも一部それぞれ個々でやっておりましたけれども、今後その研究体制をいま申し上げましたような形で広げまして、大型にして対応していこうということでございまして、その共同研究をできるだけ速やかに推進させまして効果のあるものにしてまいりたい、このように考えております。  それから一方、抵抗性を有します松の育種につきましては、国立の林木育種場で数年前から検討してまいりまして、関係の県の御協力も得て選抜育種法によります抵抗品種の選抜と申しますか、すでにある程度目鼻がついております。そういう意味で、今後国立林木育種場が中心になりまして、抵抗性の強い松の品種の創設というものに努力していきたいというふうに考えておる次第でございます。  それから、スミチオンの害の問題でございますけれども、スミチオンのまいた結果につきましては、昨年一応まきました結果についてただいま都道府県で集計中でございます。その結果につきましては、まとまり次第御報告をしたいというふうに考えておりますけれども、いまの段階では、全部まきましたものにつきましてはほとんど被害なしに一応まき終わったという報告を受けております。
  145. 草川昭三

    草川分科員 このスミチオンの件については、いわゆる特に被害の報告というのは出てきていないわけでございますか。
  146. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 いまの段階で、たとえば桑の葉っぱにかかりまして、それを食べた蚕が一時いろいろ病気になったとか、あるいは桑の葉に斑点ができたということでそういう問題、さらには、一件でございますけれども、ハチが、一応養蜂関係でございますけれども、減ったというような問題がございまして、しかし、大半につきましては、たとえば桑の場合であればその代替を一応やるというような形で対応いたしておりますし、またまきます前に事前に十分連絡をとりまして、その被害対策というものは国で予算も出しておりますし、十分これに対応してやりましたために、いまの段階では紛争になるような被害は全然出ていないというふうに報告を受けております。
  147. 草川昭三

    草川分科員 特に養バチというのですか、ハチのみつの業者の方々というのは零細の方が多いわけですから、しかも特定の地域からではなくて移動する方も見えるわけでございますので、事前の通知だとか対策等についてはひとつ慎重に処置をしていただきたい、こういうことを要望申し上げておきます。  もう一、二点お伺いしたいのですが、大学等で電磁波及びガンマー線の照射機器なんかを使って枯損の防止等をやるということを言われておるようでございますが、これはやはり地上からそういうようなことをやるのか、あるいは、これはまだそこまでのことではなくて、何か研究段階でやられておるのか、新技術等の開発等についてはどの程度進んでおるのですか。
  148. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 いまの段階ではまだ実験的な段階でございまして、先生がおっしゃいましたように、大々的にこれを実地に移すという段階までは行っておりません。したがいまして、国、県、大学等がタイアップいたしまして、これが実施に移せるものであるかどうか、あるいは実施に移した場合にどういう問題があるのか、どういう効果があるのか、それをこの研究で今後詰めてまいろうということでございます。
  149. 草川昭三

    草川分科員 じゃ、とにかく大型プロジェクトの研究が進んでおるわけでございますが、やはり相当速やかに、名前だけ大型プロジェクトでございますけれども、具体的な成果が少し早く出るようにピッチを上げていただきたいということを、これも要望申し上げておきたいと思います。  では次に、第二番目の問題で、同じく虫の被害でございますけれども、稲に対するイネミズゾウムシということについてお伺いをしたいというように思います。  これは、イネミズゾウムシというのが愛知県下に非常に発生をした。アメリカからやってきました、こう言われる新しい害虫、新害虫でございますけれども、これはどういう経路で愛知県下に入ってきたのかいまもって解明されていない虫でございまして、かなり愛知県の中でも広がりつつあるわけでございます。この虫は、たとえば稲の苗なんかの根っこを食い散らすものでございまして、水の中をもぐりますし、それから空を飛ぶことができますし、それから土の中へもぐって越冬するということで、この新しい害虫の被害がかなり多くなりまして、昨年この国会の中でも何回となく関係議員の方々が中心になりまして問題が出てきた虫でございます。これがまた、いよいよこれで新しい年になりましてこれから田植えも始まるわけでございますけれども、ひとつただいまのところ、この愛知県下におけるイネミズゾウムシの被害が一体どの程度昨年出たのかお伺いをしたい、こういうように思います。
  150. 野崎博之

    ○野崎政府委員 昭和五十二年度の被害について申し上げますと、愛知県が実施した調査によりますと、発生が認められた面積が四千五百九十八ヘクタール、地域は知多、三河等で約二十二市町村ということでございます。
  151. 草川昭三

    草川分科員 そこで大体その被害状況というのは予想をされた被害以上なのか。昨年のいわゆる駆除というのですか、その対策によって予想された被害よりは減っておるのか、お伺いしたいと思います。
  152. 野崎博之

    ○野崎政府委員 その予想といいましても、これは余りはっきりした当初の予想というものはなかなかなかったわけでございますが、決してそう減っているという数字ではないと思います。
  153. 草川昭三

    草川分科員 私ども少し聞いた範囲でございますけれども、被害面積は大体四分の一ぐらいじゃないだろうか。その特定の地域がありますから、全体の面積からではちょっとはかるわけにいかないのですね。大体谷間のところに多く発生するものですから。しかし、それが予想よりは少し減ったのだろうけれども、なおこれは、自動車のライトなんかに誘ガというのですか、吸い寄せられまして、それから、変な話ですけれども、車に乗って虫が移動するという可能性もあるというので、特定地域は多少減ってもさらにそれが拡散をするのではないだろうかという、こんな心配も一部の方が持っておみえになるわけでございますが、こういう問題でございますから、なかなかこれもむずかしい対策ですが、この安全性の高い特効薬の早期開発を望む声が非常に強いのです。いまバイジット粒剤だとかいろいろな粒剤、それぞれありますけれども、それも正式に国の方で認めてもらうような形になるのか、あるいはどのような農薬というものが検索をされておるのか、何か近いうちに決まるような話も聞いておるわけでございますので、その点についてお聞かせ願いたいと思います。
  154. 野崎博之

    ○野崎政府委員 先生も御承知のように、五十一年と五十二年度の両年にわたりまして、愛知県の農業試験場におきまして、防除方法の確立のためにいろいろ検査をやったわけでございます。成虫対象向けの農薬三十一種類、それから幼虫対象の農薬十五種類について、それぞれ試験研究をやったわけでございますが、その結果成虫に対しましてはMPP、バイジットの粉剤の広域一斉散布、それから二番目に幼虫に対しましては、機械植えの場合にはカルタップ、パダン粒剤、それからそれを育苗箱に施用する方法、それから手植えの場合には、PHC、サンサイド粒剤の水面施用が有効である。そういう結論を得ましたので、これらの農薬について防除に必要な予算措置を講ずることにいたしております。
  155. 草川昭三

    草川分科員 いま御答弁がございましたように、ひとつそれぞれの粒剤あるいは粉状の薬等、適宜、現地にもいろいろな指導員がおるわけでございますから、万全の対策を立てて、しかも拡散をしないように予防措置をとっていただきたいことをお願いを申し上げて、このイネミズゾウムシの話は終わりたいと思います。  では、続きまして、沿岸漁業の問題について質問をするわけでございますが、御存じのとおり、いまの日本の経済というのは、構造的には重化学工業の体質になっておるわけでございまして、その重化学工業の体質なるがゆえに、それが公害だとか排水だとか、いろいろな関係で特に沿岸漁業というのは非常に大きな影響を受けてきておりまして、漁業資源というものも枯渇をしつつあるのではないだろうか。特に重工業地帯沿岸はそういうことが言えると思うのです。  この海洋汚染についてそれぞれ国の方としても対策が出ておるわけでございますが、また新しい臨海工業地帯の開発というのも一方では当然行われてくるわけでございます。特に私がいまから指摘を申し上げたいのは、愛知県の知多半島周辺の話でございますが、衣浦に新しく臨海工業地帯というのがどんどん開発をされていきまして、LPG基地というのが新たに湾の奥にできるわけでございます。非常に狭い湾でございまして、入り口が師崎の水道というのがあるのですが、ここへいずれこのLPG基地が完成をいたしますと、大型のLPGタンカーが入ってくるわけです。そうしますと非常に狭い水道でございますが、そこが非常に古くからのかっこうの漁場になっておりますし、しかも大都市の名古屋が近くにあるわけでございますから、その大都市の方々のいわゆる遊船というか、釣り舟の業者がたくさん見えるわけです。同時に、この釣り舟の業界の方々は、釣り舟だけではなくて、そこでノリ網というのですか、ノリをつくっておみえになるわけでございまして、従来からよくその船の出入りによりましてノリ網の被害が非常に多発をいたしておるわけでして、そういうような状況の中でこのLPGのタンカーが入るという将来展望について非常に不安を持ってみえるわけです。  地元の方では愛知県が中心になりまして、少し企業サイドからも出資をさせる、あるいは県だとか地方自治体からも出資をさせまして、トータルでは五十億近い基金というものをめどにいたしまして、ことしから五十七年が第一期で約二十億程度の水産業振興基金制度というものをつくるということになっておるわけです。これはたしか五十三年度のことしの県の予算なんかにも出ておるわけでごいますが、これは新しい行き方ではないだろうか、私はこう思うのです。こういう計画について、ほかにもこういう例があるのか、ないのか。あるいはこういうものに対して将来国はどういうようなお考えをもってみえるのかということもひとつお聞きをしたいわけでございます。そういうようなことを含めまして、これからいわゆる沖合いの漁業の見直しを図る、沿岸漁業整備の開発というものが事業的には非常に大きくなっていくわけでございますので、とりあえずこの水産業振興基金制度なんかが今後どう運営されるのか、あるいはまたその事業内容なんかについてもし国の方でつかんでみえるのなら、お聞かせを願いたい、こう思います。
  156. 森整治

    ○森(整)政府委員 いま先生指摘の、愛知県で検討、構想が出ておるという水産業の振興基金のような例はほかにあるかということでございますが、私ども承知しておる限りでは、数は少のうございますが、類似のものが兵庫県と山口県などにあるようでございます。それで、この中が一体どうなっておるのか、こういう中身についての御質問でございますが、一応県で目下検討をしておるというものとしましては、漁業の振興対策事業でございますとか、漁船の操業の安全対策でございます。それから救難対策、それから漁業被害の救済の対策、それから漁業者の負担金の助成だとか、漁業者の育成対策というようなものが現在検討中であるというふうには聞いておりますが、まだ検討中の段階で、さらに関係の地元漁民と十分協議を行って取り進めるということのようでございます。  そこで、こういうものについて国の方はどういう考え方であるかということでございますが、私どもはともかくなるたけ漁場は確保したい、またさらに開発をしていきたいというのがもう当然の私どもの主張でございますから、何かお金がぶら下がってくるとそれにすぐ乗っかるということはいささかどうであろうかというふうに思います。ただ、そうは言いましても、実際に現実にはいろいろ開発が進められていく。そのことはやはり水産庁なり漁民としてはある程度まで被害を、影響を最小限にとどめながら対応をしていかなければならない。また、国の要請といういろいろな事情もあると思います。そういう中で、具体的な解決方法としまして開発的事業を受け入れると同時に、漁業についても新たな投資をして、漁民がまたそこの中で対応できるような受け方をしていくということは一つの知恵ではないかと思います。そういうことで、そのような個別個別の具体的な場合に応じまして十分漁民の将来というものを考えていく今回の県の立場につきましては、私どもも賛同いたしますということを申し上げたいと思います。
  157. 草川昭三

    草川分科員 いまそういう御答弁があったわけですが、漁業被害者救済対策なんかでも、五十万円以上の被害についてはいままで国がある程度めんどうを見るという制度があるわけですが、今度の基金の内容では、五十万円以下の零細な被害についても一種の、公害で言う上乗せというのですか、横広がりという言葉がありますけれども、国の基準をさらに広くするというようなことも考えておるようです。そういう点では、これから国として、このような沿岸漁業なんかの谷間のような小さな被害等についても細心の配慮を払っていただきたいということをお願い申し上げておきたいと思うのです。  時間がございませんので次に行きますが、沖合い漁業の見直しについて、特に知多半島の沿岸漁場整備の開発事業等について国の具体的なお考えがあったらお聞かせ願いたいと思います。
  158. 森整治

    ○森(整)政府委員 知多半島の海域につきましては、いその資源なり魚類等の資源の培養、育成に適した海域でございまして、五十一年度に開始されました沿岸漁場整備開発事業によりまして、魚礁の設置とか幼稚仔の保育場の造成事業とか漁場の整備を図ってきているわけでございます。五十三年度におきましても、漁礁の設置、幼稚仔の保育場の造成事業の実施あるいは人工礁の漁場の造成事業の調査というのが愛知県において計画されております。これらの具体的な実施につきましては、知多半島海域の沿岸漁業の特性を考慮いたしまして、この海域の漁場整備を進めていくことにいたしたいというふうに思っております。
  159. 草川昭三

    草川分科員 それでは最後に、全国的な沿岸漁場整備の開発についてこれからどのようにお進めになられるのか、大臣からお聞かせ願いたいと思います。
  160. 中川一郎

    中川国務大臣 二百海里時代を迎えまして沿岸を大事にしなければならないということで、昭和五十一年から沿岸漁場整備開発計画というのを立てて実施中でございますが、特に大事な仕事であるというので、五十三年度におきましても最重点で前年の約七七%増、金額にいたしまして百三十三億五千万円でございますが、相当力を入れておるつもりであり、今後ともさらに一層の力を入れて整備を図ってまいりたい、こういう姿勢で臨みたいと考えております。
  161. 草川昭三

    草川分科員 以上で終わります。どうもありがとうございました。
  162. 伊東正義

    伊東主査 これにて草川昭三君の質疑は終了いたしました。  続いて、石野久男君。
  163. 石野久男

    石野分科員 五十三年度予算で、二百海里内の漁業資源調査のために、五十二年度の約二・六倍に近い十五億円の予算を組んでいることに敬意を表しますが、この仕事の中身はどういうようなことをやられますか、まずお聞かせ願いたいと思います。
  164. 森整治

    ○森(整)政府委員 二百海里の時代を迎えまして、御指摘のように沖合い、沿岸漁業を振興していかなければならないわけでございますが、主として現在の沿岸わが国の二百海里でとれておりますイワシ、サバ、サンマ、そういうものを中心にいたしまして五十一年の数字で申し上げますと、養殖業の生産を入れますと六百六十万トンということで、全体が一千万トンでございますから、約六割を占めておるわけでございます。今後は、大陸棚の斜面の深海域等でまだ利用されていないいろいろな資源、たとえば底ダラだとか、そういう資源もございますので、そういう資源調査を実施しながらある程度こういうものをさらに開発していく。しかし、天然の資源には限界があるということも事実でございます。そういう観点から逆に水産の増養殖に関する技術をさらに高めるということで水産の土木技術を高めたり、あるいは種苗の生産技術を積極的に活用して各種の増養殖事業をやっていく、そういうことで人為的な漁場の造成を図っていくことも考えてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。沿岸漁場整備の開発事業は一応二千億、七カ年ということで進めておるわけでございますが、今後これらをさらに進めまして漁獲量の確保を図ってまいりたいと思っておるわけでございます。
  165. 石野久男

    石野分科員 資源調査、いまお話しのようなことをどんどん進めていただく、これを非常に積極的にやってほしいと私は思いますが、先ほど草川先生からも同僚議員からも質問がありましたように、日本列島周辺の海洋は工業排水なり生活用水、油濁被害などで非常に汚染が進んでおります。さらに温排水によって漁場や魚族が大きな被害を受けております。これらのことに対する対策は、いまお話しの問題と当然一緒に考えなければなりませんが、いまもお話しのように、養殖漁業とか培養漁業というようなものをやるに当たって、日本列島周辺の漁場がビニールだとかポリエチレンだとか、その他ヘドロなどによって大変荒らされておるというふうに私は聞いております。そういうことをもう少し徹底して調査することも非常に大事なのじゃないかと思うのです。  そこで、これは一地域だけじゃなしに、日本列島周辺の海底の荒廃している実情を調査して、魚礁がこれらの工業公害、産業公害によって赤焼けをするとか、あるいは廃棄物によってだめになってしまっておるというようなことを徹底的に把握する、そういう調査もこの中では必要なのではないかと思いますが、そういうことは考慮の中に入っていないのですか、どうですか。
  166. 森整治

    ○森(整)政府委員 いま先生の御指摘になりました点、全部ではございませんが、ヘドロを含む底質につきましてはある程度まで調査を実施いたしております。ただ、御指摘のように、そのほかにも産業廃棄物あるいはプラスチック、そういうものがなお堆積をされて漁場が荒廃しているのではないかということで、そういう調査までを含めますと、そこまではまだ手をつけてはおりませんが、一応底質中心の調査は実施をいたしておるわけでございます。
  167. 石野久男

    石野分科員 底質調査は非常に大切だと思いますが、高度成長下において大変な消費をしたものが使い捨てされて、それが海の底をずいぶん荒らしているということを学者の諸君からも聞きますし、実際に漁労に携わっている方々からもお聞きしております。二百海里問題が出てまいりました段階では、先ほど大臣からもお話しのように、沿岸漁業あるいは沖合い漁業が非常に大切になってくれば、その漁場を被害から守る、あるいは自然の姿に戻すということを徹底的にやりませんと、一つや二つの魚礁をほうり込んだぐらいではとても追っつかないと思います。むしろ私は、二百海里という時代に入りますと、日本のように四面が海に囲まれている国では、かえって領域がふえて領土がふえたというふうに思います。だから海産物、水産資源というのはむしろ豊富に自由にとれるという状態になったのだから、それを十分生かすために、いま長官はそこまで手が伸びていないとおっしゃっておりますが、これはぜひ国のプロジェクトとして一度日本列島周辺を全部調査をして、大掃除をする、その上で多角的な資源の開発をやっていただくということが非常に大事じゃないかと思うのです。いまここではすぐになにできませんけれども、これは政府の方策としてそのことを、ひとつ積極的に大臣から政府施策を進めるようにしてもらえないかというふうに思いますが、大臣どうでございますか。
  168. 中川一郎

    中川国務大臣 まさに二百海里時代を迎えまして、御指摘のように二百海里は日本にとっては大事な経済水域がふえたわけでございますから、これを大切にしていくということは基本的に大事なことでございます。その水域がプラスチックその他の汚染によって荒らされているということではいけないわけでございますので、いま部分的な水域の漁業資源調査をやっておりますけれども、これは大事なことでございますので、さらにひとつ前向きで研究させていただきたいと思います。
  169. 石野久男

    石野分科員 これは非常に日本水産行政の基本的な問題にかかわるものだと思います。これはもう政府、与野党一致してかからないといけない問題だと思いますから、ぜひひとつ大臣から閣議等にかけて問題を提起していただきたい、このようにお願いしておきます。大臣、もう一度それに対する御所見を承っておきたいと思います。
  170. 中川一郎

    中川国務大臣 いま申し上げたとおり、漁業の基本的に大事なことでございますので、十分研究させていただきたいと存じます。
  171. 石野久男

    石野分科員 水産業の問題について、漁場が汚染されたり荒廃するということはわれわれにとって非常に問題が多いわけでございますが、特に内湾、出口が非常に狭くてふところの深いところでは、どうしてもいろいろな海水汚染が多角的に進んでいくわけです。  実は私の生まれた近くに英虞湾というのがあります。三重県志摩郡の英虞湾は真珠で非常に有名なところでございますけれども、最近やはり大変汚染が進んでいる。こういうようなところの汚染をどのようにして清掃するかという問題についていろいろ研究なさっておりますけれども、何せ出口が狭いし奥行きが深い、それに周辺地から生活用水が入ってくる、あるいは漁場を使用すること自体による汚濁が進むというようなこともありますから、こういうようなところについては、ただ考えているだけではどうにもならないので、何か水が入れかわったりあるいは入れかえができるようにする工作も必要ではないかと思います。だからこれは水産庁だけではなく、英虞湾のようなところでは浜島口のところの出入り、あるいは船越の深谷水道だけではだめなので、むしろ太平洋に面したところでできるだけ工事のしやすいところを切り開いて、幾らかでも水の交流がよくなるような工作をしたらいいのじゃないかというようなことが考えられます。地元でもそういう要望があるし、かねてからそういうことについての工作もなされておるようですが、水位が同じであるからどうにもだめだとかいうようなことで立ち消えのような状態にもなっているようでございます。しかし、こういう状態になってきますと、やはり死んでいくものを少しでも生き返らせなくてはいけないということが大切なので、私は英虞湾の太平洋岸にひとつ掘り割りをつくることを考えたらどうかと思いますけれども、これは水産庁なり、あるいはきょう国土庁に来てもらっていますが、どのようなお考えを持っておられるか、ちょっとお聞かせ願いたい。
  172. 森整治

    ○森(整)政府委員 先生御存じで御質問なさっているので非常に恐縮でございますが、英虞湾の環境改善のために水路掘削ということによって海水の交流の改善ができないかということでございます。これは四十年から四十二年にたしか県から京大の防災研に委託をして調査を実施いたしたわけでございますが、そのときの結論は、地形が複雑で潮位差のみでは海水交流の効果が期待できないというのが主な理由ですが、等の理由で事業化に至らなかったということでございます。しかし、その後年数もたちまして英虞湾の水質の改善が行われておらないということも事実でございますから、今後どういうふうに扱ってまいりますか、県とも十分相談をいたしまして、もし先生のいま御指摘のような考え方がある程度まで検討ができるならば、一つのお考えとして、さらにわれわれも検討をさせていただきたいと思っておるわけでございます。もう一回申しますと、かつてやったことがあるから、まあそこでおしまいにしてしまっておりますということでございますが、なお検討をさせていただきたいと思います。
  173. 石野久男

    石野分科員 かねてそういう調査もなさって一定の結論も出ているようでございますけれども、このままにしておけば結局だんだん死んでしまうのですね。累積汚染が重なっていきますし、それから周辺地は非常に景勝の地でございますから、最近は人の出入りも多い、それでますます生活用水が入ってくるというようなこともあったりしますから、これはぜひひとつ考慮の中に入れて検討を加えていただくようにお願いしたいと思います。  そこで、あそこで養殖している真珠のことでございますけれども、御承知のように真珠は昭和四十四年から四十五、六年にかけて大変な苦境に陥りました。その当時、真珠業界は約五千万の滞貨を抱え込んでおって身動きができなくなって、それを切り抜けるために五十五億ほどの借金をして、どうにかその後十年間、ようやく最近立ち直るというような状態になってきております。それで私は、農水産物、特に水産物価格安定の観点から、こういうように非常に変動の多い水産物については一定の価格安定の措置を講ずる方策が必要であると思います。いま円高でいろいろ輸出物が動揺が激しいときにもかかわらず、幸い真珠は  一応好調に進んでいるようでございます。しかし、業者が多くなっていわゆる生産がものすごく多くなってきているということから、安値とか価格変動に対する構えというものを組合としてはやはり何とか考えなければいけない。そうすると、どうしても買い支えをする、あるいは賢いだめ、一応在庫で調整をしなくちゃならぬというようなこともあって、先ほどもちょっと振興基金の問題が出ておりましたが、価格安定基金というようなものをぜひひとつつくっていただくことを業界が希望しているようです。たまたま四十四年に五十五億の借入金をしましたときに、政府は約二億二千五百万円の利子補給金を出しております。これは、真珠業界が一定の立ち直りをしましたから当然返す金になるのだと思います。その返す金は当然国庫の収入となるわけでございますが、業界としてはすぐまた目の前に、ことしの十、十一、十二月と買い入れの時期が来ますし、こういう経済界の事情のもとですから、それに対する手当て等も考えると、何とかひとつ、こういう返却金におぶさるというのはよくありませんけれども、それと自前で、自分たちが備蓄しているものとを踏まえて共同で価格安定基金のようなものをつくるということをぜひ考えてもらいたい。自分たちは積極的にそれに協力して業界の安定化を期したい、こういう願望を持っているわけです。私は、今日のこういう経済の不況下であって混乱が多いときに、中小企業の倒産が次から次へ出ているときに、少しでもそれを防ぐという方策、経済界が安定化するということのための施策は可能な限りやった方がいいのじゃないかと思います。そういう意味も含めて、実は真珠養殖漁連の諸君が真珠価格安定基金の設定というようなことを当局にもいろいろお願いしているようでございますけれども、これは可能な限り考えてやったらどうだろうか、こういうように思いますが、どうですか、それに対する御所見をひとつお聞かせ願いたいのです。
  174. 森整治

    ○森(整)政府委員 先生の御指摘のとおりでございまして、かつての不況に対応いたしまして、国と関係県が基金の造成をいたしまして、六千貫の真珠を調整保管をいたしまして、現在保管中のものは九百五十貫で、これも五十三年度中には処理できるという見込みになっておるわけでございます。したがいまして、この基金が目的を果たすということになりますと国に返還をしなければいけないということになっておるわけでございますが、先ほど先生の御指摘がございましたように、不況は回復したものの、またがっての不況みたいなものが来た場合に対応するような金を、自主財源も加えて安定基金をつくりたい、そういうことについて国の援助を求めたいということの要望がいま業界からございます。そこで、一応返すものは返すということで、また別にさらに大蔵省にこういういろいろな事情を説明して、またそれを再編成をするということも一つ考え方であろうし、せっかくあるのだから返したくないという気持ちもわかりますが、そうではなしに、もう少し前向きに、お互いに話し合いをしながら、業界の御要望の線に沿うようなものを何とかわれわれとしてもつくり上げていきたいという気持ちで、ただいま検討を急いでおるということでございます。
  175. 石野久男

    石野分科員 業界の諸君は、これはもらったものだから抱え込んで出すまいという考え方は毛頭ないのです。むしろそういう基金の設定をすることによって資金運用の基礎にしたいというのが目的ですから、私利を肥やすとか、それによっていろいろなおかしなことが出てくれば別ですけれども、そのことが即日本の経済界あるいは真珠の場合は主として外貨かせぎでございますから、同じ外貨かせぎでも諸外国からクレームのつくような状態ではないわけですね。それだけに、純粋に外貨かせぎをすると同時に、諸外国から余りクレームのつかないようなものはむしろ守り育てることによって国の経済の健全化をしていかなければならない。それがもし何かの調子でまたトラブルが起きますと、それだけやはり機能を低下させます。だから、こういうときには機を逸せずそういうチャンスをその業界に与えて、しかもそれが国の利益につながることがよろしいのじゃないかと思いますので、これは一たん返すものは返してもいいと思いますけれども、五十三年度予算の雑収の中にそれが予定されているかというとそうでもなさそうでございますから、これはぜひひとつ大蔵省との接触を大臣の方でもやっていただいて、特に業界は秋口にやはり生産の仕込みをしなくちゃならない、それに活用したいという意図のようでございますので、早急にひとつ長官からお話のある線を具体的に成果あらしめるようにしていただきたい、このようにお願いしたいのですけれども大臣、ひとつよろしくお願いします。
  176. 中川一郎

    中川国務大臣 二億五千万円の返還の時期が来ておりますけれども、お話がありましたように、まだ今後についても不安があるということでございますので、その金がまた今後活用されることは私としても望ましいことである、こう思いますので、大蔵省等の関係もありますけれども、事物当局も前向きでやりたいと言っておりますし、私もそういう方向で最善を尽くして御期待にこたえたい、こう思う次第でございます。
  177. 石野久男

    石野分科員 よろしくお願いします。  英虞湾の近くでございますが、沿岸漁業の振興については漁港整備の問題が一つございます。あそこに波切港の工事がいま第三種工事として行われておるわけでございますが、ここの漁港の進捗状況はいまどんなふうになっているでしょうか。
  178. 森整治

    ○森(整)政府委員 御指摘の御質問の波切漁港につきましては、第三種漁港ということで四十五年度以降漁港の施設の整備が進められておりますが、昭和五十二年度から発足しました第六次漁港整備計画の中で周辺におきます重要漁港として整備を図るということで、五十二年度以降六カ年間で外防波堤約四百メートルの築造を初めといたしまして係船津用地等の拡充を図るということにしておるわけでございます。五十二年度におきましては、事業費約一億三千万円、補正後では一億五千万円で、具体的に名前を挙げますが、小山地区と老地区を完成することにいたしておりまして、五十三年度からは外防波堤の新設に着手いたしまして、その整備を図っていくという考え方で整備を進めていきたいということでございます。
  179. 石野久男

    石野分科員 この工事について、私は技術屋じゃないから余り多くのことを申すだけの資格もございませんが、この地区は非常に海の荒いところでございまして、仕事が非常にしにくいところだと思います。子供の時分に、私はここが生まれ故郷でございまして、現在ある防波堤を築くときに、何遍やっても、一つしけがあるというと全部崩れてしまって、二度か三度かやり直したことを覚えております。この大防波堤というのは、今度は大王崎のみさきが荒波をまともに受けるところでございますから、五十三年度からこの工事に入るときには、私は年度を緊急に一時でたあっとやってしまうということをぜひお願いしたい。これは恐らく二年、三年と続けている間に、必ずまたぶち壊されたりなんかしてやりにくくなるのじゃないだろうかという素人考えをしますので、この大防波堤のときにはもう一気にやっていただくように、これはぜひひとつお願いしておきたい。それは、もう経費のむだ使いをしないようにということからもそのことをお願いしたいと思いますが、いかがですか。
  180. 森整治

    ○森(整)政府委員 計画ではどうもそうなっておらないわけでございますが、いませっかくの御質問でございますので、帰りまして、内部で十分に技術者を交えて検討の上対策を講じたいというふうに思います。
  181. 石野久男

    石野分科員 それは希望しておきます。  それから、これはまた別なことでございますが、茨城県の水戸射爆場の跡地利用の問題について。きょうは運輸省来ておられますか、国土庁と。流通港湾とかあるいはいろいろ構想があるようですが、いまどんなふうに進んでいるか、その点だけをちょっと聞かせてください。
  182. 国塚武平

    国塚政府委員 国土庁でございます。  首都圏整備計画関係から御説明申し上げますが、北関東総合開発計画の、先生御案内のとおりの、一環といたしましての流通港湾のお話かと存じます。  射爆撃場跡地千百五十ヘクタールはすでにもう返還済みで、大蔵省が管理していることは御承知のとおりでございますが、その跡地利用計画につきましては、まだ策定をしておる段階でございませんで、先般茨城県当局から、水戸射爆撃場跡地の利用構想案なるものが私どもの方に参っておりますので、私どもといたしましては、処分計画そのものの御担当は大蔵省ではございますけれども、首都圏整備計画という立場から、ただいま検討を開始したという段階でございます。
  183. 大久保喜市

    ○大久保政府委員 ただいま国土庁の方からお答え申し上げましたような状況でございますが、港湾といたしましては、現在のところ、まだ港湾管理者も設立されておらない状況でございます。いずれあの地域のコンセンサスを縛られた段階で、必要とあれば港湾管理者を設立し、港湾計画をつくるという段階になろうかと思います。それで、私どもといたしましては、今後港湾管理者の設立等によりまして、具体的な港湾計画がまとめられた段階で、地元の意向等を十分勘案いたしまして対処するという所存でございますので、よろしくお願いいたします。
  184. 石野久男

    石野分科員 どうもありがとうございました。
  185. 伊東正義

    伊東主査 これにて石野君の質疑は終了いたしました。  次いで、永原稔君。
  186. 永原稔

    永原分科員 最初に、農業に対する大臣の信念を伺いたいと思います。     〔主査退席、中島(源)主査代理着席〕  というのは、昨年の施政方針演説の中で福田総理は、「農林漁業者が誇りと働きがいをもって農林漁業にいそしめるよう、その体質の強化を進め、食糧自給力の向上を図ることを長期にわたる国政の基本方針」こういうようにおっしゃいました。  五十三年、ことしの施政方針では、「国民生活の安全保障にもかかわる食糧を安定的に確保するため、総合的な自給力の向上を図ることを基本として農林水産業の体質の強化に努めてまいる」ということを言われました。  首相の認識としては、昨年の施政方針で、農業が本当に長期にわたる国政の基本方針ということでうたい上げていらっしゃいますので、ことしはあえてそういう言葉を使われなかったのかもしれません。しかし、何か非常に表現に弱さを感じるのは否定できないと思います。昨年もことしも総合的な食糧の自給力の向上、それから農林水産業の体質改善、この二つを国政の基本ということでうたい上げているわけですけれども、一体、これだけ力を入れて昨年胸を張ってお話しになった農業というものの実態を見て、何か少しは成果が上がったのだろうか、あるいは発展への芽が出たのだろうか、ここに疑問を持つわけです。率直に言ってじくじたるものがあるのではないか、こういうように思いますけれども農林大臣の所信と、これにどう対応していこうとなさるのか、非常に大きな問題ですけれども、お気持ちを伺いたいと思います。
  187. 中川一郎

    中川国務大臣 農業が持つ使命はきわめて大きいものでございます。御指摘のように、まず総合的な食糧を供給する、そのためにわれわれもまた最善の努力をしなければならぬ。同時に、それには農林水産業の体質改善をしなければならない。その体質改善に当たっては、農家が誇りと生きがいを持つというものでなければならない。その場合、誇りとは何であるかというと、やはり国民の食糧を確保するという重要な任務にあるという誇りであり、生きがいとは、そのことによって生活が安定する、そして生きてきてよかったなという生きがい、こういうことだろうと思います。これはまさに、日本の安全保障、国民あるいは国家の安全保障にもかかわる基本的に大事なことであって、国政の基本方針とするということには変わりはない。  そのほかに農業の持つ使命としては、国土の全体の調和のとれた地域的な発展、あるいは緑を守るというようなこと等、多くの使命がございますので、私といたしましても、こういった態度で農政に取り組みたい。  しからば、近年どうかと言われますと、これはまた、わが国の高度経済成長のもとで他産業との関連において、農地やあるいは農家の担い手が流出をするというようなことで、問題のあることは事実でございますが、何分にもこの少ない国土、世界に比べて条件の厳しい中で、まあまあ七〇%の自給率を確保し、農家所得も、他産業に比べて若干問題はありますけれども、全体としてやれるだけのことはやってきたな、今後も厳しくはありますけれども、こういった基本方針に基づいて最善を尽くしていきたい、こう思っておる次第でございます。
  188. 永原稔

    永原分科員 お気持ちはよくわかるのですけれども現実は非常に厳しいと思うのです。五十年代の前期の経済計画によりますと、四十九年を一応基準年次に置きながら六十年の目標を設定されておりますが、食用農産物総合自給率が七二%から七五%に上がるように計画され、主食用の穀物の自給率も七一から七三に上げるように計画されております。  これを支える労働力ですけれども、就業者は六百四万人から四百三十万人に減るというような見込みになっております。裏付けるように、労働力の調査、この数を見てまいりますと、五十年、五十一年、五十二年を見まして、五百九十六万人、五百七十八万人、五百六十六万人、こういうようにだんだん減ってきております。就業構造でも一〇・六%というところまで現在落ち込んでいる。しかし、この経済計画において、第一次産業、農林水産業というような全体で就業構造を見ていきますと、六十年時点には八・七%、ここまで落ちておりますが、その中に占める農業は大部分ではありましょうけれども、率としたらさらに下の率を示すようになってこようと思うのです。こういう中で、就業構造上労働力はどんどん減っていくというような見込みが立てられ、そういう中で本当に労働力の質の向上、体質の改善ができるだろうか、これについて具体的に何かお考えになっていらっしゃるか、そういう点をまず第一番目に伺ってみたいと思うのです。  矛盾する政策ではないかなと思うのは、たとえば米の転作の問題、これは後ほどまた触れますけれども、十アール当たりで労働時間を比較するのは必ずしも適当でないかもし声擁せん。しかし、米に必要な十アール当たりの労働時間は七十九・七時間、小麦が十アール当たりで二十三・四、大豆が二十六・三。労働時間にすると、米の三分の一ぐらいの時間で生産が上がるという推計が出ております。もちろん集中的な労働力の使用ということを見ますと、これですぐ割り切れるとは思いませんけれども、何か労働力が非常に軽くなるような政策が展開されていく中で、そういう気持ちの中に労働力人口を減らすというお考えがあるのではないかと勘ぐってみたくなるようなわけですけれども、就業人口がどんどん減っていく、一体どこら辺を歯どめにして日本の農業を支えようとなさるのか、非常にむずかしい問題ではありますけれども、何かめどをお持ちなのかどうか。果たして、こういうことで体質が改善されるか、この点について伺ってみたいのです。
  189. 佐竹五六

    ○佐竹説明員 六十年見通しにおきます最終的な農家戸数、農家人口、農業就業人口につきましては、それぞれ農家戸数は四百三十万、農家人口は千八百八十万、農業就業人口は四百十万ないし四百三十万程度と見込むことといたしております。これらはいずれも五十年前期経済計画と一応整合性のある数字というふうに見込んでおります。先生指摘のように、就業人口といたしましてはなお年率三・九ないし三・五%の減少を見込むわけでございますが、全般的な就業人口が減る中で、比較的中核的な質のいい労働力が農村に残ることが期待されるわけでございまして、現に私ども、新構造改善事業あるいは地域農政特別対策事業等の中におきます農用地利用増進事業等を通じまして、そういう中核的な農家への利用権の集積が図られることを期待しておるわけでございます。  転作に際しましても、御案内のように、私ども戦略的な作物といたしましては、麦、大豆、飼料作物等への転作を推進することといたしておりますが、これらはいずれも、先生もただいま御指摘ございましたように、比較的労働粗放な作物でございます。したがいまして、やはりそれらの転作が円滑に進みますためには、中核的農家への利用権の集積が行われることがなければなかなか進みません。かような見地から、私どもは、農協の管理転作等を通じまして、これらの農家へ利用権が集積するとともに転作が円滑に推進することを期待しておるわけでございます。
  190. 永原稔

    永原分科員 実際それで成果が上がることを私も期待するのですけれども大臣のおっしゃったような国民の食糧を提供するというところに誇りを感じ、安定した供給というところに生きがいを見出すというようなお話だけではなかなか現実問題、農民の方がそれに専念するというところまでまいりません。中核的な労働力をいかに確保するか、これは今後とも力を入れていかなければならない点だと思います。  そういう中で、先ほど大臣みずから御指摘になったように、他産業との間に非常にアンバランスがある。地価が高騰して、土地生産性から見ていくと農業の生産性は非常に低い。やはりここに一つ根本的な問題があると思うのです。こういうものによって本当に食糧供給の農業が栄えていくのだろうかという疑問を持つわけですけれども、これに対応するような何か施策、いまいろいろお話はありましたけれども、抜本的な農業に対する取り組み方として、就業人口はここら辺まで、そして食糧自給率は七五あるいは七三、そういうところに押さえていくのですけれども、目安というものが本当に立つものでしょうか。
  191. 佐竹五六

    ○佐竹説明員 私からまずお答えさせていただきます。  確かに先生指摘のように非常に困難な問題ではございますけれども、私どもといたしましては、先ほど御説明いたしましたような数字を目途にいたしまして、特に五十三年度から実施を予定しております新構造改善事業、あるいは昨年度から実施しております地域農政特別対策事業等におきまして、先生も御案内のように、どこの市町村でも農村に参りますと確かに非常に兼業化が進んでおりますけれども、その中に少数やる気の農家がいることも事実でございます。それらの農家に利用権が集積されますように、村の中で自主的な話し合いをして、その利用権の集積を図る、決して役所が一方的に、だれがいいだれが悪いというような選別をやるわけではございません。たとえ現在は耕作規模が小さくても、本当にやる気のある農家がいればそういう人たちに任せていく、それを国としてもできるだけ援助していく、こういう考え方に立っておりまして、私ども、比較的少ない機会でございますが農村を回って歩けば、やはり一つの村に非常に少数ではございますけれどもやる気の農家がある事実も先生お認めいただけるのではないかと思いますので、そういう人たちのやる気をいかに伸ばすか、そのことによって先ほど申し上げましたような目標数値を達成することに努力してまいりたい、かように考えているわけでございます。
  192. 永原稔

    永原分科員 私も農業が本当に大事だという観点に立って質問をしているので、本当にいま農林省の方で胸を張っておっしゃったそういう成果が上がるようにぜひ御指導をいただきたい、そういうように思います。これは繰り返しになりますのでもうこれ以上は申しません、一生懸命がんばっていただきたいと思います。  その次、話題を変えまして減反の問題ですけれども、これは各県の配分を見ていきますと、全体の平均で十三・四、しかしばらつきがありますけれども、これはどういう基準でお分けになったのでしょうか。
  193. 野崎博之

    ○野崎政府委員 具体的には地域手法をもとにした要素あるいは自主流通米の要素あるいは排水条件の要素等七つの要素を処理いたしまして、その上に極端な変動の緩和と、それから公平確保の観点からそれぞれ調整を行いまして各県に配分した次第でございます。
  194. 永原稔

    永原分科員 これをどういう方法で末端農家まで浸透なさろうとしているのか、お考えを伺いたいと思います。
  195. 野崎博之

    ○野崎政府委員 われわれとしましては、各都道府県別に対しましては、いま申し上げましたような地域手法とかいろいろな土地の整合性の問題というようなことで配分いたしておりますが、都道府県においてはその都道府県内のいろいろな実情がございましょうし、市町村でもやはりその地域の実情に合ったいろいろなまたほかの条件もございましょうし、そこは都道府県知事なり市町村長にお任せをいたしておる次第でございます。
  196. 永原稔

    永原分科員 私は、基礎的な自治体の市町村にしわ寄せがいっているような気がしてならないのです。実際、農家に配分する場合に、地域には地域の事情があるというような御指摘ですけれども、それもわからぬではありません。しかし現実にこの割り当てられた面積を消化していかなければならないのは市町村長で、やはりこういう方向でいけ、ああいう方向でいけというような行政指導がなされなければ、市町村任せというのは余りにも無責任じゃないだろうかという気がしてしようがないのですけれども、こういう点についてはどうお考えでしょうか。
  197. 野崎博之

    ○野崎政府委員 先ほど申し上げましたように、七つの具体的な要素を全部申し上げませんでしたが、排水条件それから市街化区域、圃場の整備状況等、その七つの要素をいろいろ組み合わせて都道府県別に配分したわけでございますので、都道府県なり市町村もその考え方をとにかく参考にして、またその土地土地に合った具体的条件を加味したり、あるいは国で考えたけれどもこの条件はこの手法では使えないなと思えばそれを使わなかったりというようなことで、それぞれの地域にお話をいたしておる次第でございます。
  198. 永原稔

    永原分科員 マクロ的に地域を配分するのは、いまの基準で大体いけると思うのです。しかし、末端の一軒一軒の農家になりますと、ああいう基準ではなかなかいきません。やはり、そういうところについてお考えもいただかないと、マクロの考えで市町村に話をおろしまして、これを基本としながらやってくれとおっしゃっても、ミクロの立場ですと現実はなかなかいかないわけですね。こういう点についてもきめ細かい御配慮が必要ではないかという気がするのです。いままで、たとえばこういうものについてはどうお考えになるでしょうか。稲作が非常に機械化している。近代化で設備資金などお貸しになっているのもあるでしょうし、構造改善でいろいろやられたものもあるでしょう。たとえば、大臣の御郷里の北海道だと、三分の一以上鞍作ということになると、そういう稲作用の農業機械が遊休施設になってしまうわけです。だけれども現実にはまだ償還も終わっていないというものもあるでしょう。麦作とかあるいは大豆に転換すれば、農業用機械も変えていかなければならないだろう。そういうものについて新たな転作のための融資制度、こういうものをお考えになるのかどうか。やはりこういうことを考えていかないと、転作もうまく進まないのではないかという気がするのですけれども、そういう点はいかがでしょうか。
  199. 野崎博之

    ○野崎政府委員 融資につきましては、農業近代化資金を積極的に利用いたしますし、あるいは農業改良資金でまたそういう稲作対策に使える資金もございますし、それからまた、稲作転換特別対策事業という新しい予算を百二十億組んでおりますし、そのほかにも公共事業等、いろいろ圃場条件の整備とか、そういうような各種の助成事業を組み合わせまして、転換対策に御協力を願いたいと思っておるわけでございます。
  200. 永原稔

    永原分科員 未償還金が相当ある部分があると思うんですね。こういうものについても、何か特別の措置をお考えになりますか。それと、改良資金とか近代化設備資金で十分賄えるかどうか、その点についてもお答えいただきたいと思います。
  201. 野崎博之

    ○野崎政府委員 未償還の方は、具体的な実態、それぞれのケースを見てみないとなかなかわかりませんが、改良資金等では貸し付け枠も相当増大をいたしておりますし、そういう資金を御利用いただければというふうに考えておるわけでございます。
  202. 永原稔

    永原分科員 ぜひこういう米償還の、国の施策によって遊休化する、一年こっきりじゃなくて、今度は何年間か続くわけですから、そういうものについて、ぜひ未償還のものについて御配慮をお願いしたい、これは陳情しておきます。  それから、その次の問題として、輸入枠拡大とミカンの問題でございます。私も、昨年も同じことを繰り返し質問したわけですけれども鈴木農林大臣は、無秩序な貿易の結果としてアンバランスが出た、その穴埋めに農産物、農産加工品を輸入するのだ、そういうことは私は断じて許すわけにはまいりませんというように強くおっしゃいました。しかし、やはり世界第二の経済大国とはいえ、いろいろな面が、事情が絡みますので、もろくもこれが崩れ去ったのは残念でなりませんけれども、オレンジが五十三年度は通年で二万二千五百トン、また季節調整をして特別枠で二万二千五百トン、合わせて四万五千トン、こういうように聞いておりますが、日本のいま晩柑の生産量が五十三万トン、これと比較すると約九%ぐらいになるのじゃないか、こう思いますけれども、こういうものがかなり影響すると思いますが、これに対して何か特別の手をお打ちになるのかどうか。  時間がありませんので続けて伺いますけれども、季節枠として二万二千五百トン、これは、ハウスミカンとかあるいは夏柑、プリンスメロン、スイカ、そういうようなものにも影響するのじゃないかなという気がしてしようがないのですが、そういうものもお考えになって、それぞれの対策をお立ていただけるかどうか、その辺を伺いたいと思います。
  203. 野崎博之

    ○野崎政府委員 いま先生おっしゃいましたように、オレンジにつきましては、六月から八月までの限定をして季節枠を設けたわけでございます。柑橘全体を見てみますと、六月−八月は、全出回り量の二%以下でございますし、それから晩柑類だけを見ましても、普通ナツミカンを除けば全体の約四・五%程度でございますので、さしたる影響はないというふうに考えておりますし、温州ミカンにつきましては、これは従来からもいろいろな過剰の問題が出ておりますので、これに対しましては、別途価格保障の制度、それから加工用原料の価格保障の制度あるいは調整保管、それから改植、そういうもの等の措置を講じたいと思っておりますし、それからちょうどそのとき出回りますほかのブドウとか桃に対しましては、これもそれぞれの振興対策等は考えますが、これもその時分に出回る桃、ブドウについては非常に消費の態様も多様でございまして、消費者の対応の仕方も非常に多様な対応の仕方ができる。そういう意味で、ほかの、そういう落葉果樹等に対する影響は少ないのじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
  204. 永原稔

    永原分科員 私自身も地方開発計画を担当した一員でございますが、当時、農林省のいろいろな御指導もございまして、所得の増大に伴って、弾性値の高い作物としてミカンが選ばれた、そういうような経緯がありまして、一時はたんぼまでつぶしてミカン園をつくるというような状況になって、生産過剰がおそれられたわけです。これは生産調整をしなければいけないということで、生産量について規制を加えた、こういうようなことについてやはり行政指導をした者として顧みると、若干、若干どころか、行政責任を非常に感ずる一員でございますけれども、こういう中で、いまミカンが非常に生産過剰になっている、むしろ晩柑の方に切りかえが必要だ、こういうような状態になって進めているわけです。そういう中で、この六月から八月にこれだけ特別枠というもので入ってくると、影響しないはずがない。こういうような気がしますので、こういう点についても、農林大臣は頭の中に入れておいていただきたいと思うわけです。  と同時に、もう一つ、果汁の問題ですけれども、五十二年産が非常に豊作だった。それで十万トンの果汁用のミカンということで回されたと思いますが、その中で実際に消費されたのは、五分の一濃縮で五万五、六千トンではなかったか、こういうように思います。昨年から持ち越して、五十二年の残量、五十三年に持ち越す分はかなりの量が、一万二、三千トンありますので、こういう中で、グレープフルーツを含めて四千トンの濃縮果汁というものが入ってくれば、これはかなり影響するのではないだろうか。これは国の長期見通しで、六十年時点の果汁生産量百万トンというような数字が示されておりますけれども、これは、果汁にすれば量は減るでしょうが、しかし、こういうものが果たしてこの計画どおり進められるようになるだろうか、疑問がありますので、そういう点についてお考えを伺いたいと思います。
  205. 野崎博之

    ○野崎政府委員 果汁の輸入枠につきましては、先生も御承知のように、これは全量ブレンド用にいたすわけでございます。ブレンド用にしますれば風味も非常に改善をする、そういう業界の希望もございますし、今回もそういうことでひとつ需要を拡大をいたしたい。また、オレンジの果汁も最近は年々消費が伸びておりまして、従来五万トン程度であったものが、最近七万トン程度までふえておりますので、それに対するブレンド用でございますので、少々ふえてもそれほど影響がないのではないか。しかしながら、果汁につきましては、今後とも需要の拡大を期待している分野でございますので、積極的に果汁工場の整備、改める方法を講じまして、そういうこともやりますし、消費宣伝も大いにやりたいと思っているわけでございますし、グレープフルーツについては、これはほとんど炭酸飲料向けということで、これも本来の果汁とは余り競合しないのではないかというふうに考えております。
  206. 永原稔

    永原分科員 果汁の生産は農協系統のところで九三%は占めておると思います。そういうところ、がほとんど赤字経営に苦しんでいる。こういう実態をよく見ていただきたいと思うのです。そういう中で、いま需要の伸びに期待するというようなお話でありますけれども、期待は幾らでもしていい。しかし、現実にその消化が行われなければ意味がありません。いま消費は伸びているとおっしゃいました。しかし昨年の消費量五万六千トン、一割ふえても六万二千トンくらいになるだろうと思うのです。一昨年からの持ち越し量まで含めて、昨年の輸入量を加えますと七万九千トンの生産があった。それに対して、ことし一割ふえるとしても六万二千トンくらいということになれば、かなり余ってしまうわけです。そういうような実態があるだけに、私は果汁問題というのは非常に大きな問題だということを指摘したい。しかも、実際にやっている農協系統のところが、九三%もやっている農協がほとんど赤字だという実態、これを見ると、農業政策の中でも特に配慮していただきたい点の一つ、こういうことを申し上げたいと思います。  先ほどお話が出てしまったのですが、改植について実は昨年御質問申し上げて、五十二年度で事業認定は終わる、補助金は五十三年度まで継続するんだ、こういうお話がございました。計画はしかし、必ずしも農家の規模が大きくないのでそのとおり進まないのではないか、実績を見ながら今後どうするか考えていただきたいという質問に対して、まず実行だ、今後の問題として検討し、考えるということはお答えいただきました。事業認定が五十二年度で終わってしまいますと、私、静岡県でミカンどころですけれども現実計画実績というのは八割までいかないのではないかというのが実態です。これに対して、改植を進めるためにも、特別に何かお考えいただけるかどうか伺いたいと思います。
  207. 野崎博之

    ○野崎政府委員 いま先生おっしゃいましたように、五十三年度でもってこの事業を終わることになっておるわけでございますが、五十四年度以降については、実施経過等を見ながら、今後の需給動向も見ながらひとつ検討してまいりたいと思っておるわけでございます。それから、いまおっしゃいました一地区おおむね二カ年でございますので、五十三年度に継続する分で終わってしまうわけでございますが、本年最終年でもございますので、実施に当たりましては、予算の範囲内で弾力的に考えてまいりたいというふうに考えております。
  208. 永原稔

    永原分科員 時間が余りありませんので集中的に申し上げますが、お茶についても同じ問題があるのです。昨年いろいろ質問しましたときに、五十年から実施している茶の生産流通安定対策事業、これを拡充して茶の消費状況も調査する、需要のあり方、将来の見込みを調査して、今後の生産が需要の方向とマッチできるように持っていきたいというお答えがございました。その調査の結果、一体どういうようになっているのか、どういう対応策をお考えになっているのか、それを承りたいのが一つ。  それから、やはり農業の価格維持ということが一番問題ではないかと思うのです。生産過剰になれば価格は暴落する。生産者みずから価格形成に参加できないのが農産物です。そういう中で、価格安定というようなことについて計画生産的な指導が必要ではないかという質問に対して、前農林大臣は、農家の実質所得は余り変わらないというような環境と条件をつくってやる、そういう中で適地適産が行われ、円滑な転作もスムーズに進めることができるようになるように、こういうようなお答えをなさっております。しかもそれに加えて、農林省の中では農産物価格政策検討委員会を設けて、自分も就任以来馬力をかけているんだ、こういうようなお話がございました。こういう委員会でどういう御検討をなさっているのか、対策などについても、簡単で結構ですからお答えいただきたいと思います。
  209. 野崎博之

    ○野崎政府委員 お茶につきましては、栽培面積、生産量とも増加をいたしておりますが、需要がやはり伸び悩んでおる、そういう状態でございますので、生産を抑制する方向で考えていかなければいかぬ問題だと思っております。特に需要増大、そういう点に非常に力を入れなければいけませんので、昭和五十年度から需給安定対策会議の開催等を中心にいたしました生産流通安定対策事業を実施いたしておるわけでございますが、さらに五十二年度から、これは新規予算でございまして、茶の消費状況調査というものをやっておるわけでございます。これは若年層の嗜好あるいは生活様式とお茶の消費の状況、それからお茶と他の飲料関係状況、そういうものの調査を茶業中央会に依頼をしてやっておるわけでございますが、実は五十二年度新規予算でございますので、まだ取りまとめができてない状況でございます。いずれにしましてもその結果は当然発表いたすことになると思いますが、その調査の結果は、三月まで調査いたしますので、来年度になると思います。現在のところはそういう状況になっておるわけでございます。
  210. 佐竹五六

    ○佐竹説明員 価格政策検討委員会の検討状況について御説明申し上げます。  価格政策検討委員会の検討課題といたしましては、従来からいわゆる農家らしい農家、中核的農家の所得の確保にいかに価格政策が寄与しているか、二番目には、作物閥の相対価格関係調整、それから三番目には、需給事情価格への反映、それから四番目には、各種奨励金の性格づけと価格政策の関連、この四点が検討課題とされていたわけでございます。  最近の検討状況について申し上げますと、米の過剰基調が強まる一方、増産が必要な麦、大豆につきましては、やや生産の回復の兆しが見えますけれども、いまだ十分とは言えない状況にあります。このような現状を踏まえまして、まず各種奨励金の取り扱いについて検討を進めることといたしました。昨年、麦、大笠等の価格的な性格の強い奨励金につきましては、これを行政価格に取り込みまして決起することといたしたわけでございます。このことによりまして農家も安心して生産に励むことができるようになったかと考えております。今後はさらに価格政策が生産にどのように感応するか、と申しますのは、実際問題といたしまして、特に内地都府県におきましては、価格の変化と作付の変化が必ずしも感応しておりません。この辺の理由につきまして十分分析いたしまして、構造政策と申しますか、生産対策、反収の伸びとか経営規模の拡大、それから価格政策、そのそれぞれの分担関係をどういうふうに担当していくか、その辺を現在検討している最中でございます。
  211. 永原稔

    永原分科員 時間が来ましたので、ありがとうございました。
  212. 中島源太郎

    ○中島(源)主査代理 安田純治君。
  213. 安田純治

    安田分科員 私は畜産問題についてお伺いしたいのですが、時間の関係で問題点をしぼって伺いたいと思うわけです。そのしぼる問題点というのは、農用地開発公団が実施しているいわゆる畜産基地建設事業について伺いたいわけでございます。  まず、この事業の目的でございますが、時間の関係で、私どもの方で理解しているところを述べますのでお答えいただきたいのですが、この事業の目的は、最近及び今後の畜産物需給動向、畜産経営をめぐる環境の変化、そしてわが国が志向すべき畜産経営近代化の方向に対応して、現在未利用、低位利用のまま放置されている広範な土地資源の中から、将来の畜産生産地としての条件に恵まれた地域に近代的な畜産経営群などを基軸とした主生産地を形成すべく、その地域の開発を行うことを目的として行われていると理解するわけでございますが、それでよろしいでしょうか。
  214. 杉山克己

    ○杉山政府委員 先生が仰せになられたとおりであります。
  215. 安田純治

    安田分科員 この事業は全国で現在何カ所考えられているのか、調査中、事業中あるいは仕上がったものを含めて、そしてこれを分けて伺いたいと思います。
  216. 杉山克己

    ○杉山政府委員 昭和五十二年度現在、農用地開発公団による畜産基地建設事業は、内地で五地区、これは福島県が二地区、島根県が一地区、鹿児島県二地区でございます。それから北海道で四地区、沖繩で二地区、計十一地区になります。このうち福島の麓山第一地区と島根県の石央第一地区、この二地区につきましては五十二年度において事業を完了する予定であります。  また、本事業の調査計画地区としましては、内地で五地区、これは青森、長野、岡山、宮崎、鹿児島、これらの各県でそれぞれ一地区でございます。それから北海道で六地区、沖繩で二地区、合計十三地区でございます。
  217. 安田純治

    安田分科員 いま伺うところによると、二十数地区になりますか、調査中のをまぜて、これからやられようとしておる。島根と福島が五十二年度に仕上がる第一号であるということになるわけです。先ほど述べましたようなこの畜産基地の事業の目的というのは大変それ自体結構なことだろうと思うのですが、私、福島県の麓山畜産基地を見ますると、どうもこの目的どおりにうまくいくかなという危惧を持っておるわけであります。  これからお伺いしたいのは、ぜひこの目的に沿ってうまく事業をやっていただきたいということの立場から伺うわけですが、麓山畜産基地の場合、福島県の伊達郡川俣町、それから安達郡岩代町にまたがっておると思いますが、酪農第一地区といいますか、第一区域ですね、今度仕上がるのは。これは酪農一型が三十棟、二型が五十棟、それから養豚、ブロイラーがそれぞれもう一時利用されておる。それで五十二年度で完成してもう引き渡しになる、こういうことになっておると思うのですが、私もたびたび現地にも行きましていろいろな関係者からも事情を伺っております。入植者あるいは周辺地元住民、地方自治体、それぞれに不安や悩みを抱えているわけです。私なりにこれらの不安や悩みを整理してみますと、第一に、入植者たちの不安といたしまして、これは一瞬利用すでにしておりますから、このすでに入っている人たちの不安としては、一つは肉などの価格が不安定で安い。それから二番目に、飼料が高くて採算に合わない。三番目に立地条件が悪いのではないか。四番目に設計施工が不適切ではなかろうか。五番目に、償還金が幾らになるか、いまもって不明である。五十二年度三月で完成いたしまして引き渡しを受けるという状態になって、いまもって償還金が幾らになるか不明である。それから六番目に、以上の諸問題も絡んで、一体今後営農が成り立っていくのかどうか、こういう不安にまとめられると思うのです。  第二番目には、地元住民の不安といたしまして、ふん尿で公害が起きるんじゃないか。それから二番目に、入植者がいなくて、どこかの企業が入ってきて、結果的に地元の未利用地ですか、こういう土地を企業に買い取られた結果になってしまうのではないか。大変事業の目的はすばらしい目的を掲げているわけですが、ふたをあけてみるとそうなるのではないかという不安。  第三番目に、地元市町村などの悩みといたしましては、道路の負担など、地方財政にとって負担が大きいということがあります。それから三番目に、入植者本人の生活やあるいは入植者と周辺住民との関係など、売り渡し後のトラブルのめんどうをどうやって見たらいいかという問題があると思います。三番目に、麓山には第二地区というのがこれから計画されているわけですけれども、こういう今後の事業についても、第一地区のやり方では同じようなトラブルが起きるのではないか、こういう心配を持っているというふうに思うわけです。  以上の問題点のうち、畜産物価格の問題や飼料価格の問題は、これは畜産基地に限っただけの問題ではございませんで、日本の畜産事業全体の問題でございますから、時間の関係で改めて別な機会に伺うといたしまして、この畜産基地の問題で問題なのは、まず立地条件が悪いという点でございますが、大消費地から離れておって輸送経費などが割り高になるという点について、麓山の第一地区を選ばれた理由と考え合わせましてどうお考えになっているか、まず伺いたいと思います。
  218. 杉山克己

    ○杉山政府委員 麓山に限らずこの畜産基地建設事業は農林省としても大きな構想を持って進めている新しい事業でございます。したがいまして、どちらかといえば従来その地区にはなかった、地区の従来の農法からすれば比較的なじみの薄い大型の酪農経営が入ってくる。酪農に限らず畜産経営が入ってくるということになります。そういう意味でなかなかいろいろ問題も多い。目的はりっぱでも実行上種々困難があるということは、事実としてこれは私は認めざるを得ないと思います。しかし非常に希望の多い、期待の持てる、それ自身は私どもはりっぱな事業であると考えておりまして、あらゆる行政上の努力を尽くし、本人方の御努力にもまってりっぱな成果を上げたいと考えているわけでございます。  幾つか御指摘になりました問題点のうち、立地条件がどうか。確かに麓山地区は、阿武隈山系の従来開発のおくれていた地域、しかも傾斜しておって傾斜度が高くて、立地条件が悪い地域だというふうに考えられます。もちろん消費地に近くて交通も便利である、土地も平らであるというようなところが経営には一番望ましいのではございますが、今後そういうような地域を選べるということはまずもって望みがたい。やはり若干地域的な立地上の問題はありましても、それを努力によって克服するという形でこの麓山のような地区を選定せざるを得ないと考えております。麓山は阿武隈山系の中央部にあって従来開発がおくれておりましたが、しかしこの事業を興すに当たりましては、先生自身も御指摘になりましたが、やはり何といっても外とつながる道路の整備、これが一番大事ではないかと考えておるわけでございます。地方公共団体にも御協力を得まして道路の整備を重点的に進める。それから地形、地質、土壌、こういった面につきましても、現地の条件に応じて改良山成り土工の採用、あるいは土壌改良資材の投入、これらの対策を講じて不利な条件の克服に努めているところでございます。  それから、土地の条件としてそのほかに阿武隈山系花樹岩風化主の特性を持っております。したがって有機物が乏しい、地力が低いという欠点があるわけでございますが、これらに対しては家畜ふん尿の土壌への還元利用というようなことで対応するように計画をいたしております。今後家畜ふん尿の効率的な利用について、県を通じて強力に指導するということも考えておるわけでございます。  それから経営の問題ということになりますと、一般的な道路交通ということもさることながら、やはりできた物を市場に運ぶということになりますというと、市場との関連、これを有機的に関連づけることが必要であると考えます。それらの点で福島県全体の畜産物の流通問題についても、私どもとしてはやはりせっかくの事業でありますので、この基地造成事業がうまく進みますように、全体的な観点からこれを支援してまいりたいというふうに考えております。
  219. 安田純治

    安田分科員 立地条件に絡んで大分いろいろお答えいただきましたが、農林大臣にぜひ聞いていただきたいのですけれども、確かにいま答弁がありましたように、これからこういう畜産基地を大消費地のすぐそばに選ぶということは容易でないと思います。思いますけれども、たとえばこの福島の畜産基地の場合に非常にいろいろな悪条件があるということが言えると思うのです。これは火山灰地の急傾斜地で草地造成に適していないのではないかというようなことがありまして、第一区域の場合に、二十二ヘクタールで、調査計画段階で草地造成率八〇%見込みということであったけれども、実際はずっと低くなったこと、それから当初の計画中の施設関係で取りやめになったものなどがあるようです。たとえば採卵器、これは地形などの条件を考慮しなかったために取りやめにならざるを得なかったのではないかという、入植者の人たちが疑問を持っておるわけです。それから、導入した機械が外国製品であったわけです。それ自体はいろいろな条件があったのでしょうが、さて故障したときに地元に修理する代理店がない。東京と盛岡にあるのだそうです。福島県にはないのだそうです。こうなりますと、故障すると一週間から十日くらい投げておくというような状態が生まれております。それから、ブロイラー用の自家発電機がマイナス二十度Cから三十度Cの設計になっているらしい、これは入植者の話ですが。現地は実際はマイナス二十度Cになることは珍しくないなど立地条件、つまり寒冷地であるということに見合わなかったのではないか、こういうことが入植者として不満があるわけであります。これは完全に工事がそういう困難な条件の中でも行われて、うまくいけばいいのですけれども、そういう負担が結局償還金の中に入ってきて農家の負担を過重にするのではないかということで入植者が非常に危惧していることと、今後うまくこういう機械を使いこなしていけるかどうかということについての危惧の二つあるわけですね。  次に、設計施工などについても不満がある。一つは、用地取得がずさんだったのではないか。これは余り車地造成に適していないような不適地や不用地まで買ったのではないか。それは結局最後に農家が買い取るわけですから、その分だけよけい買わせられるという不満があるわけであります。もっとも自分の持っていた土地を手離した——酪農家の場合そうですから、それをまた買い戻すような形になるのでしょうけれども、全部が全部自分の持っていた土地をそっくりそのまま買い戻すわけではございませんので、その辺にちょっと不満がある。  それから、牧草地の肥料として、先ほどお答えがありましたけれども、牛のふん尿、豚のふん尿を使用する計画であったわけですが、ふんの乾燥、尿の曝気処理に金がかかり過ぎるということと、酪農家と養豚家の仕事の配分がかみ合わなくて、生のふん尿が野積みされたわけです。これは聞くところによりますと、牧草を刈った後にすぐ豚のふん尿をまいてもらいたいわけですけれども、そのとき豚の方ではちょうど出荷の時期で、二、三日待て、それで酪農家の方で困った。そうしたら、養豚家の方がそのふん尿を野積みしていったということで、一般農家、ふもとに農家があるわけですが、この一般農家の生活用水に流入して公害騒ぎが起きておるわけです。こういう事実もございます。  それから、あと一時利用をいまやっているわけですが、その間にブロイラーの鶏舎の床コンクリートなどが壊れて三度も修理するわけです。それから断熱材にすき間などがあって、冬の夜中に非常に寒くなりますから、非常に困るということがあるわけです。ことに、ブロイラーの床のコンクリートの張りかえといいますか、これは非常に問題があるわけです。あれは全部消毒をして、そして入れかえるわけですね。そうすると、三舟で四万羽飼っているわけですけれども最初から県のふ卵場からずっと一年間の日程を決めておくわけです。それで、ひよこがかえる、それを引き取る、そして出荷する。これがローテーションされていくわけですけれども、それに十日なり一週間なりコンクリートを張ったり消毒をしたりする時間があきますと、一年間の計画が全部狂ってしまう、こういうことがあるので、ただ張りかえればいいだろうという問題ではないわけです。こういうことはもうすでに一時利用の中で起きているわけであります。  こうした不満があるわけですけれども、その点について後で農林大臣、最後のところでお伺いしますけれども、事務当局の方から伺いたいのですが、これは事実こういう不満があることをお認めになるかどうか、それに対する対策考え方はいかがか、お伺いしたいと思います。
  220. 杉山克己

    ○杉山政府委員 幾つか御指摘いただいたわけでございますが、そのうち土地取得の問題については構造改善局長からお答えすることにしてもらいますが、まず機械の導入の問題でございます。  外国産の管理機械が入ったではないか、これについてアフターケアが十分ではないのではないかということでございますが、先ほども申し上げましたように、麓山地区は傾斜が大変きつうございます。その傾斜地でもって作業ができる車両、機械ということになりますと、能率のいい、性能のいいものは国内にはないわけでございまして、その点、自走式のホイレッカーでありますとかカーゴートラックあるいはプレッタバキュームカー、こういったものは輸入に依存せざるを得なかったわけでございます。この場合、国内余り一般的に広く使われているわけでもない、技術も若干むずかしいというか、ほかと変わった点も求められるところがあるので、十分な修理あるいはアフターケアが自分ではなかなかできないということがあるわけでございます。そこで、この点については代理店において技術指導、アフターサービスについて特段の配慮をしたというふうに聞いております。東京と盛岡で、若干遠隔地のためにスムーズにいかなかったというような御指摘もありましたが、私どもとしましては、そういう点についても十分配慮するように、県を通じあるいはその機械の代理店に対して要請をしてまいったところでございますし、今後ともその努力はいたしたいと思っております。いまでも年に定期的に二、三回は巡回してアフターサービスに努めているというように聞いております。機械、特に車両関係が中心でございますので、できるだけこれらの管理については、使用する本人も簡易な修理程度はできるように習熟してもらえればというふうに考えております。  それから寒冷地の条件を忘れておったのではないかという御指摘でございますが、特にこれはブロイラーの鶏舎について言われる話かと思います。ブロイラー用の自家発電機、これらの耐寒性などが確かに議論になったということを承知しております。しかし、この麓山に限らず畜産は一般的に高冷地で行われる、そういう意味では経験も積んでいるわけでありますし、特にこの麓山地区について設計をいたします場合、全体の考え方を方針としてまとめます場合、寒冷地の条件を忘れたとかその配慮を怠ったということはないと思うわけでございます。ただ、個別の機械等の問題で、ブロイラー用の発電機がどうかというようなこともありましたが、私どもとしては、そういう条件の中で十分適温が保たれるような能力の機種を装備しているつもりでございます。こういう機械、装置類は、先ほどの車両にいたしましても、やはり後の管理、ソフトウエアといいますかアフターケアといいますか、それらの使う者のあるいはそれを指導する立場の十分な細心の配慮が必要であろうと考えるわけでございます。これらについては今後とも努めてまいりたい。  それから一時利用の形でもって現在すでに導入された農家が鶏舎等を使っているのに、その床が故障を起こすことがある、これは単に張りかえの手間暇あるいは経費がかかるというだけでなしに、生産、出荷の計画にも影響を及ぼすという御指摘。そういう事実があったとすればこれはまことに残念でございますが、今後できるだけそういうことのないよう、修理も事業団を通じて徹底的に行わせるようにし、それから今後の麓山第二地区を初めとする新しい地区については、当初から十分入念な工事を実施するように努めてまいりたいと考えます。  それからふん尿の問題でございます。畜産経営と言えばふん尿はついて回るわけでございますが、ある意味で、やせた火山灰系のこの地区にはふん尿は貴重な資源でございます。これは活用の仕方によっては経済的にも非常に意味のある大事なものかと思われますので、有効に使うことを心がけてまいりたい。ただ、先生指摘のように、ふん尿を出す側と受ける側、この需給がうまくかみ合わない。これは一つは、やはり初めてのことでもあり、貯留する設備なり乾燥する施設なりが十分整備されていないということもありますし、それからお互いの有機的な関連づけといいますか、計画の立て方等についてもまだ十分にその間の調整がとれてなかったというようなこともあるいはあったのかと思います。何分新しい事業でございますので、いろいろ試行錯誤的にそういう問題も部分的には起こってまいりますが、これは本人たちもさることながら、県などの関係の指導機関等も十分、一般の場合にも増して注意をしてもらって、そういう故障の起こらないように努めてまいりたいと考えております。
  221. 安田純治

    安田分科員 いま言ったようないろいろな故障と同時に、肝心の償還金が幾らになるか、いまもってわかっていない。三月でもう引き渡しは済むわけですが、いままでは一時利用、三月で県が買って、それを入植者が買うわけですね。なのにいまもって償還金が幾らになるかわからないということが絡んで、一体営農が成り立つのかどうかという非常な不安をいま一時利用している入植者の人たちが持っております。そこでまず、養豚家が一時利用して二軒ばかり撤退した事実がございますけれども、その原因が何か御存じですか。
  222. 杉山克己

    ○杉山政府委員 償還金の額のことについてお触れになりましたのでお答え申し上げます。  麓山第一地区の事業は五十二年度をもって完了するわけでございますが、負担金の額は本年六月までに行われる決算終了の時点でもって確定されることになります。ただ、六月までわからないのかと言えば、公団におきましては、事業完了に伴う施設の譲渡、その手続がいろいろあるものでございますから、これをあらかじめ円滑に実施させるために、決算に先立って、本年一月、福島県から徴収する負担金及び対価の総額を概算で決めまして、一応のめどとしてお示ししてございます。福島県はこれを受けて、営農類型ごとに負担金と対価の額を算定しているところでございまして、近く入植農家にそれぞれ負担額を概数でお示しできる段階になっております。いまの段階でどのくらいかということをここではまだ明示はできないわけでございますが、福島県からの中間的な連絡によれば、入植募集の際にその概要をお示しした「入植募集のしおり」というのがございます。そこに示されておる金額にほぼ近いもの、大差ないものというように感触を得ているところでございます。  それから、すでに入植した者の中で、その条件が悪くてか、経営を続けることに耐えられなくて撤退した者があるではないかということでございますが、養豚農家で二戸撤退した人があるということは私どもも聞いております。まあ御本人の言い分では、施設用地が狭くて将来規模拡大する余地が少ない、それから、償還金の額が当初聞いたよりも上昇している、それから、ふん尿処理が、先ほど御指摘になられたように酪農家との間でスムーズにいかなかったというようなことを聞いているわけでございます。しかし、経営規模の問題について申し上げますならば、この経営規模は繁殖雌豚七十五頭、そのほかに雄豚四頭、それから肥育豚五百頭ということで、それ自身、特にこの地区の従来のことを考えますれば、一般的に言ってもそうでございますが、かなりの大型経営であると考えられます。  それから償還金の額については、いまも申し上げましたとおり、県の補助残に対する上乗せ等もありまして、全体としては当初の額と大差ないという見込みになっておるわけでございます。  ふん尿処理については、先ほどもお答え申し上げましたが、これはやはりなれなかったということもあるわけで、入植者全員の協議会もだんだんでき上がってきて、相互の連携も図られていることでございます。そういう意味で、もう少しごしんぼういただければというふうに思ったわけでございますが、ともあれ、二人の撤退者が出たということは大変残念に思うわけでございます。
  223. 安田純治

    安田分科員 時間がありませんので大臣にお伺いしたいのですが、いままでここで問答しましたように、現実に、たとえば外国の機械を入れたところが、代理店が東京、盛岡ということで三百キロも離れておるという状態があります。これはもうお認めになるところだと思うのですけれども。  それから、いよいよ三月で売り渡しになる。農用地公団が建てて、建て売り方式という言葉は余りよくないのですけれども、売り渡すわけです。そういう段階になりましても、まだ償還金がはっきりしない。これは入植する人間にとってみれば大変な不安だと思うのです。このことがあります。  それから、養豚農家と酪農家との間のふん尿の利用の仕方について、先ほども申し上げましたように、アイデアとしてはなかなかいいのだけれども、実際にはうまくいかずに、地元住民との間にもトラブルが起きておる、こういう状態もございます。  そこで、先ほども申し上げました畜産基地の目的である主生産地をつくっていくんだ、これを畜産基地を基軸にしてつくっていくんだということを前提にするならば、何としても地元住民と入植者と地元の地方自治体が一体になって、この目的を達成するための努力をしなくてはならないと思うのです。私どもが心配いたしますのは、建て売り方式という言葉にあらわされるように、農用地公団が建てて引き渡せば、後は入植者、地元の県や地方自治体が努力をするんだというだけでは非常に不安だということが言えるわけです。現実に、いま申し上げましたように幾つかの欠点が出てきておる。  そこで、入植者としての要求は、償還期間延長と利子補給ができないかどうかということが一つ。  二番目に、土地及び施設の欠陥部分を徹底的に改修してもらいたいし、これが下手な使用で出てきたのじゃなくて、元来の工事の欠陥であるならば、当然引き渡した後でも改修してもらいたいし、その改修の費用を農家に持たせるなんということは絶対してもらっちゃ困る。それから、そのことによって、先ほど言ったようなブロイラーの生産計画などが狂った場合、一体どうしてくれるんだということがあるわけです。これも十分にめんどうを見てもらいたい。  それから、農地取得資金対象外の土地、これは豚やブロイラーはそうだと思うのですが、これに対する制度資金の貸し付けの方法がないか。  それから、養豚と酪農の組み合わせの見直しをやる必要がないだろうか。これは今後の第二区域も含めまして考えていただきたいということなんですが、いま言ったように酪農家と養豚家の間がうまくいかなくて、ふん尿が野積みされ、それが下へ流れていって、生活用水に入って公害騒ぎになって地元住民と対立する、こういうようなことが起きておりますから、こういうことを考えると、養豚、酪農の組み合わせの見直しをする必要があるんじゃないか。  それから、公団の一般管理費を農家の償還金の中で負担させることは困る。それから地元自治体の負担軽減をしてもらいたい。  こういうような要求があるわけです。  そこで大臣に伺いたいのですが、これらの要求を至急検討されまして、実現してもらうようにしていただきたい。実現できないものもあるかもしれませんけれども、ぜひ検討していただきたいということです。  それから、いま償還金がはっきりしないわけですけれども、一応営農の試算がされておると思うのですが、市況変化など畜産業全体としての問題でうまくいかない場合は別として、そうでなくて、試算どおりにいかなかった場合に、入植者を殺さないように万全な措置を講ずること。  それから三番目に、この事業の目的、先ほど言ったように、畜産基地を基軸としてその周辺農家と密接に結びついて主生産地を構成する、こういう目的に照らしまして、入植者、周辺住民、自治体との関係調整を図るように、農林省として最後まで積極的にひとつ指導していただきたい。建て売りだから、売ったら後は県でもって指導しろというようなことではなく、ぜひ最後まで責任を持つようにしていただきたいということについて、農林大臣のお考えを伺って私の質問を終わりたいと思います。
  224. 中川一郎

    中川国務大臣 麓山地区のいろいろな問題について事細かに御指摘を伺いました。  実は私も戦後北海道開拓をやっておりましたし、近くは、北海道では根釧地区のパイロット事業が、恐らく大規模畜産では日本の先鞭といいますか、まさにパイオニアだったと思いますが、そういう計画にも参画いたしましたけれども、農業というものは新しくやる場合にいろいろ予想せざる問題が出てまいりまして、非常に苦労をするものでございます。たとえば、ジャージーを入れたら全然合わなかったとか、土地がもう少し平らだと思ったらそうでなかったとか、いや道路がなくて困ったとか、あるいは場合によっては病気になって労力問題になったとか、いろんな問題があって苦労いたしましたが、いまあの地域は豪州やニュージーランドにも負けないのではないかという発展をいたしております。私は、この麓山地区も将来必ずそうなるであろうと期待をいたしておりますが、いま言ったようないろんな苦労がございますので、本人の皆様方もひとつ希望を捨てずにしっかりがんばってもらいたいし、国としても事業が終わったからこれで終わりだということではなくして、県その他もやっておりますが、国としてもできる限りの範囲内で問題の解決努力をいたしたい、こう思う次第でございます。
  225. 安田純治

    安田分科員 ぜひよろしくお願いします。  終わります。
  226. 中島源太郎

    ○中島(源)主査代理 古川雅司君。
  227. 古川雅司

    古川(雅)分科員 私は、農林行政の一般的な問題の中から、若干質問をいたしたいと思います。  まず最初に、水田利用再編対策、いわゆる米の減反転作問題についてでありますが、わが国の食糧政策と農業構造の基本が改めて問い直される非常に重大な事態であると考えております。政府は、昭和四十五年以降、米の需給均衡を図るために生産調整を行ってまいりました。農民はこの政府の方針に対して、困難に耐えながら協力をして、その目標の達成に努めてきたわけであります。しかるに政府は、米の消費拡大施策は何らとらないまま、なおかつ需給計画は全く不備のまま今日に至っているわけでありまして、この上は食管制度を堅持しながら、いわゆる食糧の自給力向上を強力に進めていただかなければならない。今日までのいわゆる場当たりの農政から長期的な視野に立った農政への再建を、ひとつここで図るべきであるというふうに考えるわけであります。  さて、昭和五十三年から十年間にわたり、当初ほぼ年三十九万ヘクタール、百七十万トンの減反転作をいま進めることになっているわけでありますが、政府はこの点については強制はしない、あくまで農民の理解と協力を得て進めていきたいとしておられます。以下、三鷹にわたりまして大臣にお伺いをしたいと思います。文字どおり御専門家でいらっしゃいますので、簡潔明快に御答弁をいただきたいと思います。  減反転作は目標としておられますが、実際にはこれは割り当てではないかと思うのです。県、そして県から市町村に、あるいは農協に委託委任というような形もあるわけでございますが、これは実際には集落ごとに、部落ごとに連帯責任で割り当てられているわけでありまして、個々の農家はこれはどうしても断るわけにはいかない。ですから、強制しないといっても実態は強制という形になっている。しかも非常に心配をされていることは、もしこの政策に協力をしなければ、今後構造改善事業であるとかあるいは圃場整備、そういったいわゆる国の補助事業に対して、政府から有形無形の締めつけがあるのではないかということを非常に不安に思っているわけであります。この点、ひとつ大臣のお考えをお示しいただきたいと思います。  第二点は、個々の個別におきまして、いわゆる転作のきかない農家というのがたくさんございます。特に湿田の問題は、これは全国的な問題になっておりますし、湿田の中でも三〇%は転作がきかないと言われております。私の方の広島県におきましても、こういういわゆる湿田——私の方ではざぶ田と言っておりますが、湿田もたくさんございまして、これは転作するとしたら畳表のイグサしかないわけであります。しかし、これも寒冷地では耕作ができないという実態。したがいまして、こういうところは結局転作奨励金の受給対象にもならない、いわゆる耕作を放棄して荒地にするしかないというのが実態であります。こういった点に対して、大臣どうお考えになっていらっしゃるか。  第三点目は、同じく転作についてでありますが、いわゆる麦、大笠、ソバ、飼料などの重要農産物を特別指定、その他の農産物を一般指定として、転作奨励金を定めておられるわけでありますが、この中で一般になると思いますが、いわゆる葉たばこ耕作への転換というのも含まれているのかどうか。  以上三点、御答弁をいただきたいと思う次第でございます。
  228. 中川一郎

    中川国務大臣 百七十万トンの生産調整は、農家にとっては大変なことだと存じます。一番水田に適しておるのを畑に変えるわけでございますから、技術の問題、経済の問題、いろいろとあると思いますが、何分にも消費の動向が米離れということであり、一方生産調整をやってまいりましたが、自力開田というものも非常に多い、これを抑えたらどうかというのですが、憲法違反になるというような異論もあってなかなか抑え切れないという中に、農林省としてもまた、心ある農家の皆さんの御協力もいただいたのでありますが、生産調整をやらざるを得ない。まことに残念であり、そういうことのないように今後も消費拡大ということに最善を尽くしていただかなければなりませんが、これもまた消費者の理解と協力がなければできない。政府の強権、力でできることではないのでございますが、できる限りやっていきたい。それでもなおかつ百七十万トン余るに当たりまして、いま御指摘のありました三つの点、一つは部落ごとにやって、そして断り切れないと補助金その他でいじめるのではないか、そういうことは考えておりません。ただ生産調整をやるに当たって、圃場整備あるいは小規模土地改良等々、条件を変えるに当たっての必要なことは優先的にやって生産調整が実効あるようにしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  次に湿田についてどうするのか、これもずいぶん議論のあったところでございますが、農林省といたしましては、なるべく湿田の地帯には転作面積が多くいかないようにという、まず第一番目の配慮をいたしたところでございます。第二番目は、それでも湿田で畑をつくらなければいかぬという方に対しては、土地改良特に小規模土地改良等通じまして、あるいは稲作転作特別事業というようなもの百二十億を用意いたしまして、排水が可能になるように十分これは対応したい。それでもなおかつという、本当に例外だと思いますが、農協への管理転作というようなことも通じてできるような二段、三段の措置を講じておるということでございます。  第三番目の葉たばこについては、局長より答弁いたさせます。
  229. 野崎博之

    ○野崎政府委員 葉たばこは、地域特産農作物としてわれわれとしても非常に重要な作物と考えておりますので、専売公社とも連携をとりながら、その合理化対策を進めておるところでございますし、当然水田利用再編対策においても奨励金の対象といたしておるところでございます。
  230. 古川雅司

    古川(雅)分科員 大臣にお伺いいたしました第一点については、非常に農民の間に大きな不安があるわけであります。強制はしないと言いながら、私は申し上げましたとおり、最末端では実際には強制という形にならざるを得ないということでありまして、特に今後の協力しないというようなことによって補助金等で国家の事業において締めつけをするというようなことのないように、私は強く要望いたしておきたいと思います。  政府協力をして減反転作をするといたしましても、いわゆる転作をするに際して耕作できるものには、地質あるいは気候、いろいろな制約を受けて限定されるわけであります。耕作をしても、いわゆる農産物の価格の保障がない限り不安は大きく残るわけでありまして、まして転作をしてはならないものもあるのではないかというように私は考えるわけであります。  きょうは、日本専売公社から竹山原料本部部長においでをいただいておりますので、以下二点にわたってお伺いをいたしたいと思います。  五十三年度の耕作たばこの面積に関するたばこ耕作審議会の答申は、六万三千六百五十ヘクタールでありました。耕作希望面積は六万七千八百ヘクタールと聞いております。したがって、その差四千百五十ヘクタール分は、たばこの耕作を希望しながらすでに耕作が許されない相当面積になりますから、米の生産調整によるたばこへの転作というのは事実上あり得ないことになるのではないか。この点、どうかひとつお答えいただきたいと思います。これが第一点。  第二点として、それとも、たばこの年々いわゆる廃作、減作というのがあります。それによって米からの転作を可能にし得るのかどうか。しかし、昭和五十二年度の実績を見る限りにおきましては、審議会答申が六万四千五百五十ヘクタール、それに対して耕作規模が六万九千三百ヘクタール、その差四千七百五十ヘクタールであります。それに対して廃作が千百四ヘクタール、減作が千百五十五ヘクタールでありますから、これをもってしてもなおかつ二千四百九十ヘクタールが耕作を希望しながら入れられないということになるのではないかと思います。いろいろ例はありますけれども、広島県の神石郡などの県北の場合でも、実態を見ておりますと、たばこの耕作希望者は戸数、面積ともにふえつつあるわけでありますので、現在の耕作割り当てが今後とも確保できるのかどうか、それに非常に大きな不安を持っております。さらに、外国の葉たばこの輸入墨との調整などによって、今後国内生産をふやせる見込みがあるのかどうか、この点をお伺いいたしたいと思います。これはいわゆる米からたばこへの転作ということの一つの大きなかぎになりますので、よろしくお願いいたします。これをお答えいただきまして、次の質問に移らしていただきたいと思います。
  231. 竹山賢治

    ○竹山説明員 専売公社の竹山でございます。  お答えいたします。  まず、最初の御質問でございますけれども、たばこ耕作面積は、昨年の八月にたばこ耕作審議会の議を経まして、六万三千六百五十ヘクタールということで決定をさしていただいたわけでございます。この面積は前年に比べますと九百ヘクタールの縮小になっているわけでございます。先生ただいまお話しのございましたように、私どもといたしましても、たばこ耕作希望が旺盛なことはよく承知しているわけでございますけれども、葉たばこの需給事情から見まして、ただいま諸般の事情がございまして、かなりの在庫過剰を抱えているということがございますので、新規の耕作者の方の御希望には応じがたいような状況でございます。しかし、一方既存の耕作者の方についても生産調整を行う必要があるわけでございますけれども、例年耕作をやめる農家の方、規模を縮小するような農家の方がおりまして、その率を私ども廃減作というような形で推定をしておるわけでございますが、この面積が二千三百ヘクタール程度あるというふうに見込んでいるわけでございます。したがいまして、二千三百ヘクタールと九百ヘクタールの差の千四百ヘクタール程度の余裕が出てくるものと推定しているわけでございますので、それぞれの産地で余裕のできました面積につきましては、地方地方によって御事情は異なろうかと思いますけれども、農業構造改善事業などの諸対策や、ただいま先生から御質問のございました米からたばこ作への転換に向けることも可能ではないかと考えておる次第でございます。なお、この問題につきましては、今後とも農林省と十分連絡をとりまして対処さしていただきたいというふうに思っております。  後段の御質問でございますが、私ども、外葉を輸入しておりますのは、国内生産できないような香味料原料とか低ニコチン、低タールの緩和料を中心にして輸入してきているというふうな事情がございまして、その上最近国内産葉の品質が劣化してきているというような大変むずかしい問題が出てきておりまして、そのために輸入葉の使用をふやさなければいかぬというふうな状況も起きているわけでございます。したがいまして、当面私ども国内産葉の品質の改善を推進しまして、その使用適性を高めることに重点を置きまして、諸般の施策を講じたいというふうに考えている次第でございます。
  232. 古川雅司

    古川(雅)分科員 次に、輸入牛肉の流通と飼牛農家対策についてお伺いしてまいりたいと思います。  輸入牛肉が一部大口需要家に回る傾向が非常に強くて、一般消費者の手に入りにくいという批判が昨今特に高まっているわけであります。ところで私は、広島県内の輸入牛肉を販売する専門小売店、広島市内三十店に対して販売状況を調べました。輸入牛肉を常時販売することになっているわけでございますが、調べた日に販売していたのはわずか七店のみでありました。しかも、品別に価格を表示しなければならないにもかかわらず、四店しか表示されておりませんでした。畜産事業団ではこの件について、一定の量を販売店に卸していると言っているにもかかわらず、専門小売店では常時販売する量など来ないと言っているわけであります。このことは、小売店に渡されるべき輸入牛肉がどこかで横流しされているという疑いも出てくるわけであります。そこで二点お伺いをいたします。この疑問を晴らすためにひとつ明快に御答弁をいただきたいと思います。  第一点、畜産事業団より量販店、専門小売店までの流通経路をひとつ明確にしていただきたいと思います。  第二点は、輸入牛肉は他に供給しないという通達も出されているわけでありますが、全国的にはその実行が非常に疑わしいわけでありまして、この点について実態調査をすべきではないか、このように思います。明確にしていただきたいと思います。
  233. 杉山克己

    ○杉山政府委員 輸入牛肉は二種類ございまして、一つは冷蔵肉いわゆるチルド、一つは冷凍肉いわゆるフローズンでございます。それぞれ売り方が異なっておりますが、先生指摘の、広島市で調査をした場合売ってなかったではないかというこの問題は、恐らく前者、チルド肉の指定店のお話ではなかろうかというふうに思われます。一般的な売却の仕方、ルートはどうなっているかということでございますが、チルド肉はその性格が生鮮品であるということから、随契で売り渡すことにいたしております。売り渡す対象は、全国の中央、地方の卸売市場のほか、全国的に販売網を有するところの五つの団体及び指定店へ直接ということになっておるわけでございます。それから冷凍、フローズン肉の方は、原則として市場で競りで売るということにいたしておるわけでございます。競りによって市場の競争原理が働いて公正な価格形成ができるということで、市場による取り扱いを原則とするわけでございますが、中央、地方卸売市場は全国で合わせて二十五しかございません。食肉の流通形態は長い歴史がございまして、いろいろな複雑な形をとっているわけでございます。そして卸売市場を経由するものはその一部、約三〇%ということになっております。したがいまして、市場で競りに任されますものはその三〇%相当分、それ以外のものにつきましては十八団体、それぞれ傘下に販売店を有する組織、これらの団体に売る、そのほか指定店に売る、こういう形になっているわけでございます。  そして、輸入牛肉の価格の決め方は、国産牛肉との調整を図るということで、フローズンの方は競りなり入札なりでバランスのとれた価格形成がおのずとでき上がるわけでございますが、チルドの方は先ほど申し上げましたように、需要と供給が実質的には見合っておりまして、それに対する価格としては、実際に入った輸入価格に対して、これは国内諸掛かり、関税込みの後でございますが、事業団が調整金を徴収するということで国内牛肉とのバランスを保った価格で売るということにいたしております。そして、これら売られた肉につきましては、それぞれ系列の団体の組織を通じてまた販売店に並べられるようにということで指導をいたしております。  ただ、これらの肉が、従来のそういう流通形態に沿って流れます場合、個々の流れが実際にどうであったかということになりますと、なかなか把握は困難でございます。私どもといたしましては、それらの組織を通じて、自律的な規律があるわけでございますから、それらの組織の調整力を通じて、期待にこたえるような適正な流通経路でこれを流すようにということを通達等をもって指導しているわけでございます。ただ全般的には、なかなか流通機構の内部、荷受けから卸、卸からさらに小売というような系列を一つ一つ追跡調査をするということは役所の能力では手に余るということもありまして、一般的にはできがたいのでございますが、指定店につきましては、これは全国で素性の知れたといいますか、扱いについて信頼の置ける店舗を選びまして、現在これは量販店を含めまして二千二百店舗ということになっております。これらのところへ直接あるいはその組織を通じて販売をする、そしてその売り方については、輸入肉を取り扱っている店であることを店頭に表示する、それから輸人肉自身についてもそれぞれ所要の表示をするということをさせております。さらに価格についても目安価格と称しておりますが、この価格で売るようにということでの基準となる価格を表示するように指導しておるところでございます。そういうことで、指定店は直接監視の対象ということで見ているわけでございますが、これらが実際に売られているかどうかということを確認するのは、私どもといたしましては都道府県等にもお願いしておりますが、一番直接店頭に見に行きますのは、やはり直接買われる世の中の主婦の方々でございます。そこで、そういう婦人団体のそういうことに関心があり、あるいは特別に引き受けてくださる方にモニターをお願いして、その監視をしていただいているところでございます。十四都市の指定店全店について悉皆調査をいたしまして毎月定期的に報告を徴しております。  先生が御指摘になられた広島の実績でございますが、私どもとしては、広島を含めて全国的に、もちろん個別に掲示がなかったとか適正な表示がなされていなかった、あるいは物自身が置かれてなかったという例が皆無ではございませんが、比較的適正な売り方で、特に指定店は全般とすればちゃんとやっているなというような形で流れているように理解しているところでございます。
  234. 古川雅司

    古川(雅)分科員 この点はひとつ大臣に明確な態度をお決めいただきたいと思うのでありますが、消費者は安い牛肉を求めている、広島の事例で申し上げましたけれども、畜産事業団の方は指定店に対して十分肉は渡していると言っている、ところが、指定店の方では、小売店の方では来てないと言っているわけですね。ここに一つの大きな疑惑があるわけでありまして、この疑問というのはひとつはっきりさせていただかなければならない。これは調査等は手に余るということではなくて、大臣が率先してその実態を明らかにするという態度をお示しいただきたいと思うのでございます。いかがでございますか。
  235. 杉山克己

    ○杉山政府委員 事務的なことが一つございますので……。  直接やはりメリットがあるから、それに便乗していろいろの適正でない行為が行われる懸念があるということで監視をするわけでございますが、監視の前に、本人たちの自律的な醜業道徳といいますか、こういうものを扱っているということについて自党を促すことが必要でございます。そこで、そういう一般的な指導をすると同時に、事業団に対して自分のところはいつこれだけ受け取ってこれだけ売りましたという報告を徴しております。その報告がうそでない限りは、広島を含めまして事業団から売りました肉はきちんと適正な数量が末端まで渡っているというふうに私ども受け取っております。
  236. 中川一郎

    中川国務大臣 いま古川委員から、指定店に畜産事業団が渡したけれども、来てなかったという御指摘でございますが、団体を通ずる分についてはいろいろ疑問もありましたが、事業団が渡したのに指定店が受け取ってないというようなことは初めてでもございますので、十分調査してみたいと思います。
  237. 古川雅司

    古川(雅)分科員 公正取引委員会から長谷川取引部長においでいただいております。輸入牛肉の表示についてお伺いをいたします。  現在四十七都道府県のうち北海道、宮城、千葉、東京、神奈川、静岡、愛知、岐阜、京都の九カ所がいわゆる食肉の表示に関する公正競争規約をつくっているわけでありますが、消費者に対する公正な取引のためには、他の府県に対して同じく規約をつくるように要請すべきではないか。また、現在九カ所のうち表示が義務化されているのは北海道、千葉、京都のみで、あとの個所はいわゆる努力規定にとどまっているわけであります。この六カ所についても義務化というような要請をなさるべきではないか。先ほど来申し上げているわけでありますが、これは何も規約やそういったことで縛っていくのが解決の方法のすべてであるとは思いませんけれども、少なくともこうした最低限度の規約だけはきちんとしていくべきではないか、このように考えますのでお尋ねをいたします。
  238. 長谷川古

    ○長谷川政府委員 お答えいたします。  いま先生のおっしゃいましたように、現在公正競争規約を持っておるのは九都道府県でございますが、そのほか検討中のものが数県ございます。私どもとしましては、個々に規約を持つ県がふえていくということはもちろん望ましいことでございますが、同時に全国的な規約をできるだけ早くつくってくれるように、全国的な組織に対していま指導しているところでございます。  それからなお、いま先生の御指摘のような規約の中にほぼ三種類ございまして、いわゆる三県は京都方式と業界で呼んでおりますが、指定店で売られる輸入牛肉については義務として表示することになっておりまして、その他のものについてはなるべく表示するように努めるとやや緩い規定になっております。もちろん私どもとしましては京都方式の方が望ましいと思いますが、これは一応業界の自主的な規約でございますので、それからまた現状におきましては、流通ルートから輸入肉であるということがはっきりわかるものについてやろうということでございますので、実質的にはそれほど差がないのではないかと思っております。  なお、先ほど申しました全国的な規則をつくる場合には、できる限り京都方式にするように指導したいと思っております。
  239. 古川雅司

    古川(雅)分科員 農林大臣は五十三年度の牛肉の安定価格を三月中に決めなければならないとしておられます。牛肉の問題では非常に苦慮しておられることはよく理解できるわけであります。いわゆる大臣の公約とも言うべき、牛肉を大衆のものにするということ、そのためにも一方には輸入肉をふやすということで、実勢の価格帯をできるだけ下限ぎりぎりに持ってくる。しかし、それでも諸外国に比べればまだまだ高いわけであります。これの一つの問題点といたしまして、一方では国内の肉牛生産についても非常に大きな悩みがあるわけでありまして、すでに多くの指摘がなされておりますけれども、国際競争力にも非常に乏しいし、また輸入肉の拡大ということでいまの価格維持政策が崩れていきますと、生産は破壊するわけであります。いわゆる飼牛農家におきましては、飼料代にも追いつかない、まして非常に手間暇かけて牛を育てていってもその労賃にも全く見合わない、事実上はもう日本国内では肉用の牛を飼うのはやめろということではないかという声も出ておるわけであります。国内の自給率のアップを政策としていらっしゃる農林省にとっては、これはまた非常に意に反することではないかと思うのであります。そういう意味では、生産者の保護、一方には小売価格の引き下げと両立させることは非常に重大な、難華中の難事であるとは思いますけれども、この点の政策を具体的にこれからどうお考えになるかお示しをいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  240. 中川一郎

    中川国務大臣 牛肉が国際的に消費者の段階において高いという御批判もありますので、何とか大衆のものにしたいという気持ちで取り組んでおるのでございます。  まず朝市というものもつくって一割安い肉をやるといった緊急の措置も講じております。しかし根本的にはやはり国内産牛肉が高いというところに原因がございますので、えさの安売りであるとかいろいろな生産対策を講じて、少しでもこれが実現するように努力をしていきたい。もう一つ大事なことは、流通過程が非常に複雑であるという指摘が多い。ここが一番問題であろうと思いますので、産地食肉センターというものの全国ネットワークをつくりたいし、またこれの受けざらとして、消費地における流通のバイパスとして部分肉食肉センターをつくりまして、生産者から消費者へストレートと言っていいぐらいの形で産地から面接部分肉センターに来る、そして小売業者がそこから買って消費者に売り渡す、こういうようなことをやりまして、若干時間のかかるところもありますが、緊急ないしは恒久対策両面を通じて大衆がもっと食べやすいものにする。それが国内牛肉生産農家にとっても消費が安定的になり、かたがた外国からの輸入にもこたえられるかな、こういうことで、いろいろむずかしい問題があり、相反する問題もございますが、最善をつくして努力をしていきたい、こう思っているわけでございます。
  241. 古川雅司

    古川(雅)分科員 終わります。
  242. 中島源太郎

    ○中島(源)主査代理 西田八郎君。     〔中島(源)主査代理退席、主査着席〕
  243. 西田八郎

    西田(八)分科員 大臣、連日で大変であろうと思いますが、また、似たような質問が重なりますが、選挙民のためにもぜひとも明らかにしておきたいことばかりでございますので、よろしくお願いをしたいと思います。  最初に、先ほど古川議員もお尋ねになったようですが、今度の減反政策、これが非常に評判が悪うございます。市町村長も頭を抱え込んでおれば、都道府県知事も頭を抱え込んでおる問題でありますが、こうした思い切った対策に出られたいきさつ等についてお話を聞かせていただきたいと思います。
  244. 中川一郎

    中川国務大臣 西田委員も御承知のように、戦後日本は米が全くなかったわけでございます。なかったと言ったらおかしいのですが、買い出しをしなければいけないような異常な事態にあったわけでございます。そこで、政府も国民も一体となって食糧の増産、なかんずく米の増産ということをやってまいりました。  ところが、戦後二十数年たちました昭和四十五、六年になりまして、予想もしなかったように米が余るという事態が出てまいりました。その当時ですでに七百万トン余ったわけでございます。そして、単年ではたしか二百三十万トンの生産調整をしなければならぬという異常な事態を迎えまして、第一次生産調整を五カ年計画で始めました。七百万トンの米は、家畜のえさに処分する等で処理した。そして当時の二百三十万トンの生産調整は、緊急避難措置として休耕でも差し支えない、水田をやめてもらってもいいのです。というようなやり方でとにかく緊急対策を講じた。その結果、四、五年間は大体需給のバランスがとれて、しかも七百万トンも、いろいろな批判はありましたが、処理されて、在庫もきわめていいものになった。  ところが、昭和五十年ごろから再び、その間米価が上がったということもあったかもしれません、自力開田というようなものが見られるぐらい生産意欲が強くなってきた。一方、消費の方はまただんだんと減退して、一時百二十キロ食べておりました日本人が八十キロ台になってしまう、こういう両面が重なりまして、ここ一、二年のうちにまた異常な過剰状態となって、すでに五百万トンに近い在庫を持つに至った。そして、これから見ましても単年百七十万トンは調整しなければいよいよ過剰米がふえていくという何ともならない事態になったわけでございます。  そこで、生産調整をやることは大変なことでございますから、消費の拡大ということに最善を尽くしておりますけれども、それぞれ問題もありまして、また国民の理解と協力なくしてこのことを法制的にあるいは強制的にやるわけにいかない。でありますが、最善の努力をしてもなおかつその程度の生産調整をしなければならぬ。生産調整しないで輸出したらどうかとかいろいろな議論もありましたが、国家財政あるいはいろいろな観点からできない。やはりこの際は生産調整をお願いするより方法がない、こういうことになります。そうすると、生産調整というのは、米を長い間つくってきた、そこには経済性の問題もあれば技術上の問題もあれば品種の問題もあり、いろいろな問題があって困難ではありますけれども、これを実効あらしめなければまた四十四、五年ごろのように七百万トン、八百万トンの過剰米を生じた場合に、一体国民が食管というものを許してくれるのかどうか、こんなばかな仕組みが一体あるのかというようなことになっても困る。私は、農林大臣としては、食管制度の根幹は守っていくということを考えるならば、いまのような無理な、しかも評判の悪いことではありましても、農家の皆さんあるいは関係団体の皆さんの理解と協力によって何とか異常事態を避けて、この生産調整を円滑なものにならしめたい。それに当たりましては、従来と違って奨励金も相当思い切って出す、あるいは稲作転換特別事業といったようなものも講じてこれに対処する等々、きめ細かく農家の無理なところに手当てをしながらやっていきたい、こういうわけでございます。
  245. 西田八郎

    西田(八)分科員 私どもあちこちで農業従事者の方々あるいは農協等の団体と話をしておるわけですけれども、今回の場合はやぶから棒のような形であったということをよく言われるわけでありますが、事前にそうした関係者との話し合いは行われましたか。
  246. 中川一郎

    中川国務大臣 実は昭和四十五、六年にやったときにも二年、三年置いてお願いしたわけではなかったですし、そういった経験を経まして、今回も急に言ったのでは農家の作付その他にも大変だろうというので、本来ならば昨年の米のまきつけ前にというぐらいの緊急性があったのですが、急では大変だというので、昨年三月以降都道府県あるいは農業団体等の責任者と何度も会合し、またブロック別の会合もしながら、昨年十一月までに成案を得て、国会で怒られましたが、まきつけ前に案としてお示しする必要があるということで、昨年の暮れ十一月に、末端まで通ずるように都道府県にお願いして、現在県から町村、町村から末端での御努力をいただいておる、こういう段階でございます。
  247. 西田八郎

    西田(八)分科員 私は、日本の農業をいままさに考え直さなければならない重大な時期に来ておるのではないかと思うのです。減反政策がここまでもめるということは、米作に頼る以外にないという、農民の生活を支えておる根幹にそれがあると思うのです。したがって、米をつくるな、奨励金をやるからほかのものをと言っても、少々の奨励金をもらっても、麦や大豆では米のようにはいかない。手間もかかりますし、言いかえれば労働時間も長くなるというようなことからこれがきらわれる一つの原因になっておると思うのです。ことに最近の農家の実際の所得を計算してみますと、専業農家は別として、全体的な農家所得というのは三分の二ぐらいを農業外に求めているというのが実態です。私の県は比較的工業が発展してきた県でありますけれども、総額にして年間収入四百十一万八千五百円、それに対して農外収入が三百四十三万五千四百円、農業収入はわずかに六十八万三千百円しかない、こういう実態なんですね。しかもそれがほとんど米作であり、畑というのはもうごくわずかしかありません。こういうような実態の中から、農家というのはどうしても米に頼らざるを得なくなってくるのではないか。したがって、その米をとるのをやめろということになれば、これは大変なセンセーションを巻き起こすことは事実だと思うのです。  そこで、そういうような実態の中で、食えない農業を今後食える農業にするためにどうしたらいいのか。私はやはり農業は国の基本だと思うのです。少なくとも実質食糧自給率六〇%ぐらいは確保しておかなければならないと思うのです。任に言う人は、安い物があるんだから外国から輸入したらいいとおっしゃるけれども、安い物を輸入しているときはいいけれども、しかしこれからの経済戦略物資として農産物が使われるということを考えてみますと、そういつまでも安い農産物が入ってくるとは考えられない。そんなことがあってはなりませんが、万一国交がおかしくなってきたり、あるいは天変地変という問題もありましょう。そういう面で、輸入がとだえたときに国内の食糧を一体どうするかという問題が非常に重要な問題になってくると思うのです。したがって、最低六〇%の食糧自給率というものは確保していかなければならぬと思うのですが、現在の農業のあり方では、米をつくるだけに重点が置かれた農業でありますから、食糧全体の確保ということにはならないのではないか。そして、それがまた食える農業になっていないために、若者たちも農村を離れていくという現象になっている。最近多少Uターン現象というのが生まれておりますが、それもUターンではなしにJターンで、全くの農村へ帰るというのではなしに、都会から農村につながる小都市に集中する傾向があると言われておるわけなんです。これでは日本の農業の将来はきわめて惨たんたるものであります。そういう中にあって一体どのような農業政策を打ち出そうとしておられるのか、まずその点についてひとつお伺いをしたいわけです。
  248. 中川一郎

    中川国務大臣 御指摘のように農業は、自給率というものは、国の安全保障にかかわるきわめて重要なものである。単に安いからといって外国に依存しておったのでは大変なことだというので、農政の基本も総合食糧の自給率を高めることに置いております。そこで、国土の狭い、土地条件の悪い、気象条件の余りよくない日本ではございますが、いま総合食糧の自給率としては七〇%になっておるわけでございます。米はもちろん一〇〇%をオーバーする。野菜、果樹それから豚肉、鶏卵、そういった基幹となるものは大体自給率があるのではないか。自給率が下がっておりますのは、家畜のえさを中心とする穀類あるいはパン用の小麦、大豆あるいは甘味資源、こういったものが自給率が低い。そこで今度の水田利用再編対策では、従来とは違って、単に一時米を休むというのではなくして、自給率の低いそういった作物を伸ばす、そういう恒久的な、食糧需給全体としての総合的な食糧自給率を高めるということで、しかも、今度は十年間というかなり長期にわたってこれに取り組む、こういう姿勢で臨んでおるわけでございます。  そこで、農家は大変ではないか、こういう御指摘でございます。そのとおりでございますが、なぜ農家が大変なのかと言えば、これはいろいろありますけれども、一番の原因は土地がない。それに対して農業人口が多い。一戸平均一町歩前後のものである。そうすれば、ここで生活をするとすれば、それは国際価格に比べて十倍とか十五倍というようなものでなければ、豪州は二千町歩とか千町歩、アメリカは三百町歩、そういうところでできた農産物と競合してはとてもとてもやっていけない。外国と競争できないばかりではなくて、日本の高度経済成長によって国民生活が豊かになってきた。言ってみれば、他産業の所得がよくなったのに農業がついていけない悲劇の原因もまさにそこにある。そこで、農家の生活をよくするために、農業基盤の整備であるとか生産対策であるとか価格対策とか、いろいろきめ細かくやってはおりますけれども、簡単に言えば農家戸数を減らして、一人で十町歩とか十五町歩経営できるようにすれば農家生活もよくなる。しかしそうなりますと、その余裕を担った農家以外の労働力は一体どこへ行くのかということになれば、高度経済成長のときならいざ知らず、安定成長のときにそういうこともでき得ないということで非常に苦しんでおるわけでございますが、耕作権を集積するというようなことを通じまして、農家は土地離れはいたしませんけれども、耕作権を中核担い手が、だれをどうするということじゃなくて、農家の間で自主的に、そういう話し合いの中に自然に専業農家の人が経営規模を拡大してやっていけるという仕組みも一方で講じつつ、農業だけで食えるということも推進するといったそれやこれやを、厳しい条件の中ではありますけれどもきめ細かくやって、何とか総合自給率の向上ということと、また国民に安定的に、足りないものについては輸入をする。全体として食糧が安全であるという政策と同時に、農家経済についても生きがいが感ぜられるような収入が得られるように最善を尽くしていきたい、こう思っておるわけでございます。
  249. 西田八郎

    西田(八)分科員 私も大臣と全く同じような考え方に立つわけで、せんだってもある農村の青年の方々と話し合って、おまえさんら、いま農業と言えるのか。たばこ屋をやっていても貸し家をやっていても飯は食えるけれども、米をつくっていて飯は食えぬのに、それが業と言えるのかい。あなた方のやっておるのは全くレジャーかレクリエーションじゃないのか。それに、一年に三日か四日しか使わぬ機械に百万円もかけて、その金を払うために働きに行くというようなことで果たしていいのか、もう一回考え直したらどうだ。ここの部落で全部で何町歩あるんだ。約六十町歩ぐらいあるらしいんですね。そうすると、六十町歩あるところなら、一人大体四町歩として十五人ほどでできるのと違うのか。それは米だけじゃない、養鶏もやれば、果樹、園芸、多角的にいろいろやらなきゃいかぬだろうけれども、そういう経営というのは考えられないのかという話をしましたら、その青年団の諸君は、それはいい話です。いい話だけど、いままで投じた資本はどうしてくれるんだ、こういう問題が出てきておるわけです。  それともう一つは、これは農民の意識の中にもそういう問題があると思いますが、土地に対する執着ですね。最近の若者は大分そういう執着心はなくなってまいりましたけれども、私どもの年代、大正の末から昭和の初期の年代にかけては、やはり先祖代々から譲られた土地だという考え方がまだ非常に強い。したがって土地改良一つするにしても、区画整理するにしても、他人の土地と自分の土地とミックスされて整備されるということに非常なレジスタンスというか、抵抗を感ずるわけですね。したがって、そういう中にあってそれらの問題をどう処理してやるかということが非常に重要な問題のように思うわけです。  いま大臣も言われたし、閣議了解の中の三項の(2)の中に「農業生産の中核的担い手を育成することを基本に、農地の流動化、経営規模の拡大生産の組織化、経営の複合化等」ということが入っております。しかし、私は、そういうことが具体的に指導されておるのかどうか、また指導されているとしても、いかにもそういう物の考え方、集団で大型に経営をして、そして果実をより多くして自分たちの生活もよくしていこうというような方向にまだなってきてないように思うのですが、そういう点について今日までどういう努力をなされてきておるのか。これは大臣でなくても、関係局長なり課長からひとつ答弁をしてもらいたいと思います。
  250. 大場敏彦

    ○大場政府委員 いま御指摘になりましたように、結局農地だけではなしに、農地の利用権を含めての農地利用を中核農家に集積するということが一番大切なことだと思うわけであります。  そこで問題は、一つは土地を持っている人が農地を出しやすくする、つまり貸し手が貸しやすくする、こういった条件づくりが必要になります。そういう意味で、農地法も昔の農地法とは違って逐次改正してきております。いろいろ耕作権の保護ということはもちろん残しながらも、いろいろな制限は緩和してきておる、あるいは農地の効率化という点からのいじり方をしておるわけでございます。それから、昭和五十年に改正いたしました農振法で、いわゆる農用地の利用促進事業というものを創設いたしまして、これは農地そのものの移動というよりも、短期の賃貸借を市町村が媒体となって集団的にしてしまう、こういうようなやり方をつくっておるわけでございます。そういう意味で、貸し手が後で返してもらうときに離作料というものを取られるのではないか、だからなかなか貸せない、こういうようなことの心配はかなり解消する条件はできていると思います。一方、あと借りる側の条件づくりをする必要がある、こういう意味で、いま先生がるる御指摘になりましたように、中核農家の育成ということをやっておりますし、具体的には五十二年度から、部落から農民の意思を積み上げていって生産を組織化する、農用地の利用の効率化を図る、そういったことを主眼といたしました地域農政特別事業というものを展開しておりますし、それから、ただいま御審議願っております予算の中では、五十三年度から新たに農業構造改善事業というものを展開しております。これもまた先生がいろいろ御指摘になりましたことをまさに盛り込んだ事業ということで、そういった事業を展開しながら御趣旨のようなことを進めております。
  251. 西田八郎

    西田(八)分科員 そういうふうに努力しておられるけれども、一向にそれが成果を上げてこないというのは、やはりそこには現在の農協のあり方そのものにも問題があるのではないか。昔は村々にあった農協が、だんだんと町村合併でごつごつになっていって、そしてでっかい建物を建てて、たんぼ道を走っておって洋館建てが見えたら、小学校か農協か役場かとさえ判断しておれば間違いないほどりっぱな建物を農協がつくってきておられる。したがって、そういう財産を維持するためには、やはり銭もうけをしなければならぬというようなことで、最近の農協さんは銀行屋さんのまねごとをしておられる。そして、こんなことを言ったら農機具メーカーからしかられるかもわからぬけれども、農機具メーカーのいわゆる卸販売業のような形になっている。中には生協というような形の農協のマーケットなんかもやっておられるところがありますけれども、本当の意味の農協というのは、私はやはりもっと農業の事業改良そのものを含めて、農業をいかにしてその時代にマッチした生業としていくかということを考え、かつまたその品種の改良や農民の労働時間ができるだけ短縮されるようにというようなことを研究するのが農協本来の姿ではないかと思うのですが、そうなっていないと言えば農協関係者にしかられるかもわからぬけれども、私どもの見る目ではどうもそういう点で問題があるように思うのです。したがって、いませっかく大きくなった農協、そしてまとまった農協は、これは一挙に崩すわけにはいかぬでしょうけれども、少なくともいまおっしやるような集落農場といいますか、共同経営農場といいますか、そういう形にしていこうとすれば、集落ごと、部落ごとに一つずつの単協にして、それでその単協で経営が成り立つような指導というものが必要になってくるのではないか。その指導を農林省が直接やれといったってなかなか大変でありましょうから、それが市町村農協なりあるいは県農協連でそういう指導をしていくというような形に、思い切ってこの際抜本的に組織改変を行っていく必要があるのではないかというふうに思うし、もう一つは土地の利用と所有、この関係を明確にしてあげたらどうだろうか。所有権を持ったままで利用に供する。その場合、たとえば協同組合の組合員となり得る。その組合員となり得たときに、持っておる土地そのものを提供することは出資とみなすというような形はできないものなのかどうか。これは基本財産ですから、その協同組合の経営する土地というものは。したがって、そういうような方法によってやはり近代化していって、農業をすることによって都会の労働者並みの、サラリーマン並みの生活ができるという収入を保障する。そうした農業というものを考えるべき時期に来ておるのではないかと思うのですが、そうした点はどういうふうにお考えですか。
  252. 大場敏彦

    ○大場政府委員 方向としては先生のおっしゃったことと全く同感でございます。私がいま御説明申し上げました地域農政特別対策事業というのも、そういった方向で部落、集落の段階で農民意識というものを呼び起こして、そうして部落全体としての農業の組織化をどういうふうに持っていくか。必要な場合には、たとえば農業構造改善事業なんかでもそうでありますけれども、作付の調整までして、全体として地域の複合化を図り、また生産の組織化を図っていく。そういう中で、同時に必然的に、所有権の移転ということではなくてむしろ利用権の移転という形で農用地の流動化を図って土地の効率化を図っていく。そういったことが今後の農政の課題だと思います。  なかなか成績が上がってないという御指摘もございましたが、五十一年から始めました農用地増進事業、地域によってかなりむらがありますけれども、私は、かなり成果は上がってきている、今後それを推し進めることによって、短期の賃貸借を進めることによって、かなり今後の農用地の利用の効率化ということは図れるのではないかということで、今後のわれわれの努力の重点として考えております。  いろいろ団体の問題につきましては、その部落単位でどうするか、これは非常にむずかしい問題がありますので、いろいろ検討いたしております。
  253. 西田八郎

    西田(八)分科員 それは農林省に農協をどうせいこうせい言ったって無理な問題で、労働省が労働組合どうせいと言ったってできない。これは自主的な団体ですから。しかし、そういう思想というものを漸次普及させていくということは必要ではないかというふうに私は思うわけであります。  そこで問題になるのですが、日本の土地というものには、やはりそれなりの土質があるし、それに対する適作ということもあるだろうと思います。したがって、そうしたものを判断しながら、やはり適正な指導をしていく必要がある。したがって、思い切って、ここ二、三年のうちに、そうした基盤を築いていかなければ、製造業の方もこういう不況でどんどん追い込まれているわけですね、それとまた農業が他の国の関係あるいは国内の他の産業との関係で追い込まれるというような形になると、ますます農村というか農業が成り立たないことになってしまうのではないか。したがってこの際、思い切ってどかっと来年の予算にでも金をかけて、そして都道府県に数カ所モデル地域でもこしらえて、こういうふうにやるのだというような積極的な姿勢に移るべきだと思うのですが、いかがでございますか。
  254. 大場敏彦

    ○大場政府委員 どかっと金をつけてという御指摘がございましたが、そういうことで私ども努力しているわけであります。来年度の構造改善事業にもかなりの予算を計上しておりますし、それから、地域農政特別対策事業も、従前に比べかなりの増額を見ているわけであります。そういう意味で、来年度のわれわれの農政の中の目玉として、先生がまさにおっしゃったような方向の予算を重点的に計上して、審議を願っているということでございます。
  255. 西田八郎

    西田(八)分科員 次に、大臣に一言だけ聞いておきたいのですが、昨年の秋は天候がよ過ぎて、野菜がとれ過ぎた。そして、せっかくつくった野菜も、二束三文、場合によってはもう捨てに行くというような悲劇が起こっておるわけでありますが、私は、農産物というのは基本的に、価格があって、ないものだ、したがって国民の生活の重要な物質でありますから、これは消費者価格というものは常に他の物価との水準を考えながら、それが他の物価の上昇を誘発しないような制度をとりながら、農家の収入というものは固定的に保障する方法を考えるべきではなかろうかというふうに思うわけです。  そういう点からいきますと、野菜の不安定な現在の価格は、非常に農家の生活を圧迫しておると思うのですね。そういう意味で、野菜価格の安定ということについて何かお考えを持っておられるか、また今後どうしようとされるのか、この一点だけ最後にお伺いして私の質問を終わります。
  256. 中川一郎

    中川国務大臣 野菜が昨年暮れから、天候異変で早く育ち過ぎて大量出荷になり、価格が暴落をしたということで、野菜農家の生活が非常に苦しいと問題になっておりますこともよく承知いたしております。野菜というものはいいときもあれば悪いときもあり、波が非常に大きいものである。そこで野菜の価格対策等も講じておりますし、また廃棄処分等に対する助成ということもやっておりますが、まだまだ振れが大きいものでございますので、これらについて今後も前向きで、この振れが大きくならないように最善の努力をしていきたい、こう思っておるわけでございます。
  257. 西田八郎

    西田(八)分科員 ひとつ、農業というのは昔から国の基本だと言われているわけであります。それが現在、その農民が農業をやっては食えないからどんどん農業から退避していくというようなことは許されないことであって、いまこそ十分な対策を立てるべき時期だと思いますので、大臣以下皆さんの一層の奮起をお願いして質問を終わります。
  258. 伊東正義

    伊東主査 これにて西田八郎君の質疑は終了いたしました。  次に、谷口是巨岩。
  259. 谷口是巨

    谷口分科員 大臣以下非常に遅くなりましてお疲れでございましょうが、関係各位最後までがんばってください。私が最後でございますので、その点ひとつがんばっていただきたいと思います。  私、最初に林野庁に伺いたいわけです。どういうことを伺いたいかというと、御承知のように、林業については除伐、間伐、いろいろずいぶん手が要るわけです。特に私ども長崎県の、きょう対象にして意見を申し上げたいのは、福岡県を経由していきますところの対馬の鳥における林業に関して私は申し上げたいと思うのですけれども、ここはほかのところと違いまして、よく御承知のように土層が非常に薄いわけですね。したがって、よそで三十年ぐらいで成木になるとしても、ここは五年なり十年なり非常におくれるわけです。  いま長崎県では、対馬の港に上がりますと、一面にはあっとみごとな植林がなされているわけです。私も行くたびごとに、あそこもふえた、ここもふえた、この前までは間が見えていたけれども、きちっとなった、こういうような目でながめているわけです。長崎県としては林業公社をつくっておりますから、これで私は見た目には非常に成功しているんじゃないかという感じを持ちます。しかも、将来財産を処分するときには公社が六割、そして山主、提供者が四割。非常に高率なので、私は、それでうまく採算が合うのかなと思うぐらいなんです。そのことを頭に入れて質問しているわけですが、御承知のように非常に林道が必要であるし、また林道で、さらに伐採をする人間が通るような道、あるいは車が通るような道の整備、余り十分でなくてもいいんですが、そういう道が要るわけです。  ところが、ことしのいろいろな予算を見てみますと、林野庁としても間伐林道が補助事業として予算化されて一応前進した、私はそういうふうに見るわけですが、そのことについて非常にいま問題になるのは、外材のシェアが非常に広がっているということ、あるいは間伐した木材の利用面において、いわゆる代替物の進出など、こういう要因から非常に林業の経営状態を実は悪化させているわけです。したがいまして、林業の発展ということは、国土の保全ということからも必要欠くべからざるものであるし、それを結局よくしていくも、いかないのも、私は林道でありあるいは間伐林道である、このように実は考えているわけです。ところが、現在非常に間伐の木材のシェアが狭まっているし、また現在のところは市場に出せば何とか品物ははけているわけです。だけれども、売買価格が非常に安いわけです。したがいまして経費に取られてしまう、こういう非常に大きな悩みを持っているわけです。当初大体年間百億という計算で、目標で出発したのが、この調子でいくならば四分の一、五分の一ぐらいの金額に下がるのじゃないかということを関係各位は皆心配しているわけです。したがいまして、こういう間伐材の需要ということの拡大、非常に大きな問題ですが、これに対してどのように見解を持っておられるか、ひとつお聞きしたいと思うのです。
  260. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 先生いまお話がございましたが、対馬は昔から、本当に造林については非常に熱心にやっていただいておりまして、私どももその辺については感謝しておる次第でございます。  間伐材の問題でございますが、これは先生御存じのように、日本の木材需要というのは年々ふえてまいりまして、特に川材の需要というものがふえてきております。したがいまして、昭和三十年代から現在まで積極的に造林を推進して日本の国民の需要に合うように用材林の造成ということに力を注いでまいっておるわけでございますが、何せ需要が多くて、外材に頼らなければ当分の間国民の需要にこたえられないということで、昭和三十年代から外材が入ってまいったわけでございます。しかしながら最近では少々需給関係が緩和基調になっておりまして、そういう意味から価格も低迷しておるということで、林業が少々衰退ぎみであるということは私どもも十分認識し、これについては重大な関心を持っておるわけでございます。特に必要なのが間伐でございます。戦後植えました要間伐面積が現在五十一年から約十年間に二百万ヘクタールぐらいあるというふうにわれわれは想定いたしておりますけれども、この間伐材をいかに有効に利用しながら間伐をして残った山をよくしていただくかということが大きな課題でございます。  そのために、現在、先ほどもお話しいたしましたように、間伐林道というものを発足させまして、年々この延長をふやしておりますし、それから間伐材の未利用の資源の高度化利用という形で小径木を集成加工いたしまして利用の高度化を図る場合に、機械、施設についても助成をするというようなことも考えております。  それから、間伐材を利用いたしましてつくりました製品を展示場に集めまして、一定期間展示するというような方法でこのPRを図っておりますし、さらには小径木を利用いたしました新工法というものの開発も図るということを考えております。また、こういう考え方に基づきまして、五十三年度におきましてもこれらのものを進めると同時に、現在住宅木材技術センターというのがございますけれども、そこにおきましてこれらの開発をさらに積極的に進めまして、利用できるような方途に持っていきたいということで、五十三年度もこの予算を組み込んでおります。  こういうもろもろの方法によりまして今後間伐材の利用促進を図ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  261. 谷口是巨

    谷口分科員 ぜひひとつこの問題、非常に大きな問題ですので真剣に取り組んでいただきたいと思います。  それに対しまして、いわゆる地形的に余り条件がよくありませんので、いろいろ林道の整備コストが非常に高くなっているわけです。たとえば例を挙げますと、よく御承知でしょうが、五十二年度の一路線当たりの年間の実施延長は全国平均は七百五十メートルですね。ところが、長崎県は四百メートルしかできないわけです。工事の単価としては全国平均四万二千円となっているのですが、長崎県の離島じゃないところでも五万八千円かかるし、また離島になりますと八万円かかるわけです。その結果として、林道として非常に実績が上がってこないわけです。一ヘクタール当たりの林道の密度は四メートルしかない、こういう数字が出ているわけです。したがって各県の配分に当たっては、金額の均等割りということも一応は大事なことだと私は思いますが、こういう基盤整備の実情に応じて金額の配分ということも考えなければいけないと思うのです。これは恐らく林野庁の方にもいろいろ陳情やら何かなされておると思いますが、その辺のところの見解をひとつ伺いたいと思います。
  262. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 先生指摘のように、確かに普通の林道で見ますと、全国平均でございますが、五十二年度の実施計画によりますと内地では三万八千円くらい、離島ですと五万円くらいかかるというデータが出ております。そういう関係で、私ども離島につきましてはできるだけよけい予算を配付し、そして積極的な林道の延長を図っていただきたいというふうに考えておりますし、また補助率につきましても、離島につきましては一般の林道よりも、内地であれば四五%というものが五%上乗せをする形になっておりますし、そういう形で今後とも離島につきましては積極的に林道の推進を図れるような努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  263. 谷口是巨

    谷口分科員 非常に配慮をされているようにいまお聞きいたしましたが、そういう事情でございますので、一刻も早く離島、僻地のそういうハンディキャップを解消して、何とかよそと同じに近づくまで五%といわないでもっと積極的に考慮していただきたい、これは大臣もひとつ考慮しておいていただきたいと思います。  次に、ちょっと質問の順序を変更したのですが、カドミウム汚染対策について伺いたいわけです。全国的なことには触れないで、私、地元の対馬の問題でございますが、このカドミウムの汚染対策について実は伺いたいわけです。  この問題は、御承知のように何回か行われました調査に対して、企業が検体をごまかしたというようなことが現実に発覚をいたしまして、非常に重大な社会問題となった経緯があるわけです。私も県会に長くおりましたので、この場所には再三足を運んで実情をつぶさに知っておるわけです。御承知のように、あの当時汚染田だということで耕作しちゃいけない、そしてそれに対して知事は速やかに対策を立てなければならないとなっているけれども、現状としてなかなか実際の対策は立てられなかった。対策を立てられないままに、農民の方々は何の財政的措置も補償金ももらえない、こういうふうな仕組みになっているわけです。したがいまして、県単独のそういう助成金を出してもらうことで一応実現はいたしましたけれども、こういうことで私は非常に関心が深いわけでございますが、昭和四十七年に土壌汚染防止法、これの第一次汚染指定を受けたわけですが、それから実は五年を経過しておるわけです。その後の汚染対策の進捗状況がいか、がであるか、大ざっぱにひとつ答えていただきたいと思います。
  264. 野崎博之

    ○野崎政府委員 いま先生おっしゃいましたように、四十七年の五月に土壌汚染防止法に基づいて対策地域として指定されたわけですが、その後補足調査によりまして五回ほど追加指定が行われまして、五十三年の三月現在の指定面積は約五十七・七六ヘクタールということになっております。  それから、この対策計画の策定のために、その前の段階といたしまして現地改善対策試験というものを実施いたしておりますが、昭和五十年から三カ年計画で、県といたしましてそういう試験を実施いたしております。その結果が最近判明をいたしましたので、県といたしましては現在対策計画を策定する、その対策計画の策定後に事業が行われるわけでございますが、現在県といたしまして対策計画を策定中でございます。
  265. 谷口是巨

    谷口分科員 汚染地域の範囲の問題ですが、もうこれから先の見通しとしては、いまの広さをはるかに上回るような、そういう予想というのがございますか。これはもうほとんど出尽くしたという考え方ですか。
  266. 野崎博之

    ○野崎政府委員 いままでの調査によれば、もうほとんど出尽くしたのではないかというふうに考えております。
  267. 谷口是巨

    谷口分科員 この前、新聞発表を見てもいわゆる客土の試験の結果が大体出ておりましたね。したがって客土の厚さにかかわらず、客土をすると相当いい結果が出たということが報道されておるわけですね。したがいまして、これからいよいよ大々的な改良事業が行われていくと思うのですが、この改良事業に関して、対馬というのは御承知のように非常にどろの少ないところですね。持ってこようとするとなかなか困難性がある。壱岐かあるいは本土から持ってこなければいけないようなことになるだろうと思いますが、その辺の見通しはいかがですか。
  268. 野崎博之

    ○野崎政府委員 いまおっしゃいましたいろいろな試験結果を見まして、客土の厚さ等によりましてPPmの濃度が下がってくるという試験結果が出ておるわけでございますので、それに応じましていろいろな客土の厚さ、そういう点を十分考慮いたしましてその周辺の客土に対しての対策を講じたいと思っております。
  269. 谷口是巨

    谷口分科員 どこから持ってくるかということをお聞きしたわけです。それともう一つ、客土の厚さ、試験の結果を見て大体どのくらいの客土の厚さにしたらよろしいという結論になっておりますか。
  270. 野崎博之

    ○野崎政府委員 この試験結果を見ますと大体二十五センチ程度のところでございます。
  271. 谷口是巨

    谷口分科員 どこから土を持ってくるか。
  272. 野崎博之

    ○野崎政府委員 島の中から持ってくる計画のようでございます。
  273. 谷口是巨

    谷口分科員 島の中から持ってくるとおっしゃいますが、私が知っておる限りではそう簡単にはいかないような条件があるのですよ。私はあなたよりも何十回か行っていますから、現地を見た上で発言をしておるわけですが、簡単に土を取られることに賛成できないような環境にあるのですよ。だから、いとも簡単にあなたは儲から持ってくる、どこの局かと聞きたいけれども、先に行けば韓国ですから。ちょっと、大変なところですね、笑っておるけれども。そうなってくると本土から持ってくるか壱岐から持ってくることも考慮しなければいけない、もう少し真剣にお答えいただきたい。
  274. 野崎博之

    ○野崎政府委員 ただいま県では島の中から持ってこれるかどうかということも検討しておるようでございますし、いま先生おっしゃいましたように、どうしても島の中から持ってこれなければどこから持ってくるかという点についてもひとつこれからさらに検討を続けたいと思っております。
  275. 谷口是巨

    谷口分科員 私は農民の方々といろいろ話した経緯の中で、今度の試験では非常にいい結果が出ておるのですけれども、やはりどろの厚さというのが相当響くんじゃないかというのが農民の方々の関心の一つであったわけです。ところが二十五センチでもいい結果が出たということは幸いなことですが、これは客土の厚さを出すときは相当真剣にやらないと、二度、三度とやれないだろうと思うのです。膨大なことですから。そういたしますと、これは二十五センチで大体うまくいくのだということじゃなくて、慎重に検討していただきたいと思います。これは要望です。  それからそうなってくると、この事業費が必要になりますが、この事業費はどこが負担することになりますか。
  276. 野崎博之

    ○野崎政府委員 原因者負担ということになっておるわけでございます。
  277. 谷口是巨

    谷口分科員 原因者負担は確かに原則であり、また現地の被害者の方々と企業との間にはそういうふうに話がなされているようでございます。ところが現在のこの不況の状態になって、果たして企業が初めに約束のように積極的にやるだろうかということがいまちょっと心配になってきておるわけですよ、その辺のところいかがでしょうか。
  278. 野崎博之

    ○野崎政府委員 東邦亜鉛が採鉱をやっておりますので、そういうところ等とも今後いろいろ相談をしながら、県ともそういう点をいろいろ、先生のいまおっしゃいました点も含めて検討いたしておるところでございます。
  279. 谷口是巨

    谷口分科員 このことに関しては最後の質問ですが、結局、改良事業の推進については、政府としてもいわゆる行政指導をしてやはり被害者のこれからの生活の、いわゆる基盤をつくるということをやるべきだと思うけれども、いかがでしょうか。
  280. 野崎博之

    ○野崎政府委員 おっしゃるとおり、こういう汚染地域の問題全体につきまして、国といたしましても客土等のそういう補助事業も組んでおりますし、いま先生のおっしゃいましたそういう原因者との話し合い等も通じまして、ひとつ積極的に改良するように取り組んでまいりたいと思っておるわけでございます。
  281. 谷口是巨

    谷口分科員 じゃ確認の意味で申し上げますと、要するに、この改良事業の推進に当たっては、政府としても事業者のいわゆる原因者負担という原則から企業に行政指導する、こういうことに解釈してよろしゅうございますね。
  282. 野崎博之

    ○野崎政府委員 そういうことで結構でございます。
  283. 谷口是巨

    谷口分科員 じゃ次に進みますが、今度は減反でございます。  全国的にも非常に大変なことでございますが、わが長崎県にとっても非常に大きな問題なんです。長崎県の経済状態というのは、最大の基幹産業である造船がああいう状態です。石炭ももうほとんどだめになってしまった。水産業も、単価は上がっているからいいわけですけれども漁獲量としてはだんだん落ちている。こういう現況の中で、いわゆる農産物の輸入拡大に伴うところのミカンの競合、あるいはさらに米の減反で大きな打撃を次々と受けておるわけですね。これはもう大臣が一番御承知のとおりです。  五十三年度から水田利用再編対策が実施されることになっているわけですが、四十四年から減反政策を実施してきているのですが、その過去の成果をどのように評価し認識されておるのか、これについて簡単明瞭にお願いします。
  284. 野崎博之

    ○野崎政府委員 過去の四十六年度からの生産調整対策あるいは五十年からの水田総合利用対策、われわれといたしましては、単年度需給には非常に効果があったし、また野菜、果樹もそれぞれの産地形成に非常に効果があったと思っておるわけでございます。  一つの指標として申し上げますと、五十一年度において、たとえば飼料作物で申し上げますと全面積の約六%、野菜で約九%、大豆で約一五%が、それぞれの全体の面積の中の転作の割合でございます。したがいまして、こういう転作が行われなかったならば、いま申し上げましたような野菜、大豆、飼料作物、それぞれの自給率もまた減ってきたのではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。
  285. 谷口是巨

    谷口分科員 時間が迫ってきましたので大臣に伺いたいと思いますけれども、たとえばこの減反政策と並行してお米の需要をふやすということ、これは両輪ですね。これはあなたも非常に腐心をされておると思うのですが、ちょっとお話しになっておりましたが先ほどの拡大政策、それで私は、やはり大臣が先頭に立って、たとえば政府関係、役所関係の会合なんか米を使う、こういうことを強力に推奨なさることも、大臣が率先してそれに取り組むということの一つになると思うのですが、いかがでしょう。
  286. 中川一郎

    中川国務大臣 まさに、生産調整の厳しさを考えるときに、消費の拡大というのはどうしてもやらなければならない国家的事業だとさえ思っておるわけでございます。そこで、いろいろありますが、まず政府みずからがその姿勢を示すべきだというので、先般閣議でも発言をいたしまして、政府の行事、会合等で使う食事については米飯というものを重点的にやると申し合わせて、各省庁の協力をいただいておるところでございます。
  287. 谷口是巨

    谷口分科員 非常に結構だと思います。やはりそれくらいやらなくては、あなたとしても責任を果たせないと思う。  ひとつこれは笑い話で聞きたいのですが、あなたはお酒ですか、ウイスキーですか、それとも飲まないのですか。
  288. 中川一郎

    中川国務大臣 初めは酒で、途中はウイスキーでございましたが、最近、無理して、無理でもありませんが、隗より始めよで酒にいたしております。
  289. 谷口是巨

    谷口分科員 初めは酒で後はウイスキーで——ちょっとよくわからなかったのですが……。
  290. 中川一郎

    中川国務大臣 酒を覚えた初めの二十代ごろは酒でございました。その後しばらくウィスキーでございましたが、最近また、隗より始めよで日本酒にいたしております。
  291. 谷口是巨

    谷口分科員 まあ各人の嗜好というのは大事ですが、大臣、あなたはやはり責任者ですから、ウイスキーなんてやめて、どうですか、日本酒に変えてみたら。いまは日本酒にしているのですか。
  292. 中川一郎

    中川国務大臣 ですから、最近は日本酒にいたしております。
  293. 谷口是巨

    谷口分科員 わかりました。じゃあなたは私が思っていることをやっていらっしゃるわけですが、一つ提案があるのです。  いまお酒の中にアルコールを入れていますね。このアルコールについて、変なことを言うとまたアメリカから何かこう文句が来るかもしれないが、これを入れることを減らしてそうしてお米を使う量をふやすということはいかがですか。
  294. 中川一郎

    中川国務大臣 このこともずいぶん頭を使って、なるべくアルコール添加はやめて酒にしてもらいたいという努力をいたしておりますが、現在お米でアルコールになっておりますものが六十万トンでございます。それから、アルコール添加しておりますものを米に換算すれば四十万トンでありますから、全部米にかわりますれば四十万トンの消費拡大になるわけでございますので、われわれとしても、最大、アルコール添加を少なくして米だけにという努力はいたしておりますが、何分にも価格が一升について百数十円、国全体、日本全体集約いたしますと約一千億の消費者の負担になりますので、その辺の消費者のことも考えませんと、ちょうどパンやうどんに二%の米を入れて反発を食ったのと似たようなことになりますので、この辺も消費者や業界の理解を得ながら進めてまいりたい、こう思っておるわけでございます。
  295. 谷口是巨

    谷口分科員 あちらさんの問題もありまして非常にむずかしいこともあると思いますが、ぜひひとつそういうことも含めてやはり積極的に姿勢を示さなければいけないと私も思うし、あなたも同じ意見のようでございます。そのように了解をいたします。  最後にもう一つ実は大臣に聞きたいのですが、その前に、いま、長崎県もそうでございますが、ミカンが非常に過剰生産なんですね。それにまた、オレンジが入ってくるとか枠が広がるとか、非常に大きな精神的な不安、そういうものを持っているわけですが、このミカンが過剰傾向にある対策としてはどういうことがいま考えられておるか。あと一問大垣に聞かなければならないから、ひとつ簡単に。
  296. 野崎博之

    ○野崎政府委員 御承知のように確かに過剰になっておりますので、今後とも需給あるいは価格の安定を図るために、改植等の促進あるいは摘果の促進、計画的な出荷促進、果実の加工品の調整保管、果汁の消費宣伝、そのほか柑橘園の整備、果汁工場の整備、そういうようなことを考えております。
  297. 谷口是巨

    谷口分科員 私たちから見ると、新しい果汁の工場をつくるとかあるいは施設を拡大するとか改良するとか、非常に大事なことだと思いますが、話を聞きますと、新設することはない、しかし設備改良は大いにやるということでございましたから、私はそれで一応質問をとどめます。  最後に大臣、あなたは実行力があり大物ですからひとつ答えていただきたいのですが、今度のアメリカとのいろいろな交渉、いわゆる農産物の輸入枠拡大について、もし今後さらに向こうから要請があったら、また今度みたいな枠の拡大とかそういう農民を圧迫するようなものをやる余地が残されておりますか、それとももう今度が最後ですか。
  298. 中川一郎

    中川国務大臣 農産物の輸入枠拡大やあるいは貿易の自由化や関税障壁の撤廃等、アメリカのみならずEC、豪州、ニュージーランド、すなわち東京ラウンドと言われる世界各国からいろいろの要請がございます。先立ちまして一言だけ申し上げたいのは、今度のアメリカの調整も、私は責任者として本当に真剣に考えてあの数字を出したわけでございます。ミカンの動向、タンカン数の季節的なもの等々考えて、アメリカ側は季節自由化は絶対していいはずだ、消費者が要求しているミカンのない時期の四、五、六、七、八については、農家保護のことはわかるけれども、季節自由化をしろというのはアメリカの強い要請であったわけでございますが、私としては、生産動向、消費の動向等を十分見ながら、六、七、八、この時期ならばミカンが全くなくなりますからミカン農家にも影響を与えない。柑橘もタンカン数は四、五はありますが六、七、八はない。しかもきわめて端境期でございますから、消費者の希望にもこたえなければいかぬということである程度の調整を図ったわけでございます。私の調整の基本は農家に悪影響を与えてはならないという私の本来の趣旨をやったつもりなんです。ところが長崎県を先頭にして、まだ入ってきておりませんのに、大変だ大変だということになってきた。これはわからぬわけではありません。ということで非常な混乱が起き、必要以上の被害を畜産農家等に与えていることを私は全く遺憾だと思っております。今回もそのような姿勢で臨みましたが、今後も農家に影響を与えるような仕方はしない、日本の農村がこういう厳しい中で食糧自給度の向上、特に米から他の農作物へ転換している時期でございますので、こういった基本姿勢は貫いて農家の不安が起きないように最善を尽くすことをお約束申し上げておきます。
  299. 谷口是巨

    谷口分科員 最後に一つ。話を聞いておりますと、今後輸入拡大の方向には進まない、重大なる決意をお持ちであると私は解釈いたしますが、その解釈でよろしゅうございましょうか。
  300. 中川一郎

    中川国務大臣 少なくともミカンや牛肉等についてさらにの調整はないと思いますが、農産物全体の中には若干の調整をしてもというものもあるかもしれませんが、総じてこれ以上の不安を与えるようなことはしない方針で対処したい、こう思っておるわけでございます。
  301. 谷口是巨

    谷口分科員 終わります。
  302. 伊東正義

    伊東主査 谷口是巨君質疑はこれにて終了しました。  次回は、明三日午前十時より開会し、農林省所管について質疑を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時三十四分散会