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1978-02-28 第84回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年二月二十八日(火曜日)     午前十時開議  出席分科員    主査代理 中島源太郎君       澁谷 直藏君    田中 龍夫君       山下 元利君    岡田 利春君       加藤 万吉君    土井たか子君       日野 市朗君    池田 克也君       権藤 恒夫君    和田 一郎君    兼務 栗林 三郎君 兼務 水田  稔君    兼務 大橋 敏雄君 兼務 鍛冶  清君    兼務 小宮 武喜君 兼務 高橋 高望君    兼務 渡辺  朗君 兼務 東中 光雄君    兼務 三谷 秀治君 兼務 小林 正巳君  出席国務大臣         通商産業大臣  河本 敏夫君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局取引部長 長谷川 古君         通商産業大臣官         房長      宮本 四郎君         通商産業大臣官         房審議官    島田 春樹君         通商産業大臣官         房審議官    山口 和男君         通商産業大臣官         房会計課長   小長 啓一君         通商産業省立地         公害局長    左近友三郎君         通商産業省基礎         産業局長    天谷 直弘君         通商産業省生活         産業局長    藤原 一郎君         資源エネルギー         庁長官     橋本 利一君         資源エネルギー         庁石炭部長   宮本 二郎君         中小企業庁長官 岸田 文武君         中小企業庁次長 児玉 清隆君  分科員外出席者         法務省民事局参         事官      元木  伸君         大蔵省主計局主         計官      岡崎  洋君         労働省職業安定         局雇用政策課長 白井晋太郎君         建設省住宅局住         宅生産課長   松谷蒼一郎君         会計検査院事務         総局第五局長  東島 駿治君     ————————————— 分科員の異動 二月二十八日  辞任         補欠選任   石野 久男君     土井たか子君   岡田 利春君     加藤 万吉君   権藤 恒夫君     和田 一郎君 同日  辞任         補欠選任   加藤 万吉君     日野 市朗君   土井たか子君     石野 久男君   和田 一郎君     池田 克也君 同日  辞任         補欠選任   日野 市朗君     岡田 利春君   池田 克也君     権藤 恒夫君 同日  第一分科員小林正巳君、第二分科員栗林三郎君、  水田稔君、鍛冶清君、第三分科員東中光雄君、  三谷秀治君、第五分科員大橋敏雄君、小宮武喜  君、高橋高望君及び渡辺朗君が本分科兼務とな  った。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十三年度一般会計予算  昭和五十三年度特別会計予算  昭和五十三年度政府関係機関予算  (通商産業省所管)      ————◇—————
  2. 中島源太郎

    ○中島(源)主査代理 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  本日は、主査伊東正義君が所用のため出席できませんので、主査の指名により、私が主査の職務を行います。  昭和五十三年度一般会計予算昭和五十三年度特別会計予算及び昭和五十三年度政府関係機関予算通商産業省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土井たか子君。
  3. 土井たか子

    土井分科員 昨年も私は当分科会質問をさせていただく機会を得たわけですが、その節問題にいたしました家庭用品品質表示の問題で、合成洗剤、それから洗たく用または台所用石けん及び住宅用または家具用洗浄剤について、この品質規格のいろいろな分類を御用意なさっているのを取り上げて御質問いたしました。あの節、これは非常にわかりにくい分類だ、これは非常にわかりにくい表示になるのではないかという一抹の危惧を持ちながら質問をさせていただいたのですが、果たせるかな、いろいろ消費者の声を聞いてみますと、まことにわかりにくくなったという声が圧倒的であります。そういうことを一つは念頭に置いた上で、きょうは御質問させていただきたいと思います。  最近、環境庁におきまして、特に閉鎖性水域における赤潮対策の一環ということから、産業排水だけを追っかけていてはこれはだめだ、いわゆる都市排水生活用排水ですね、これに対する取り組みを強化していかなければならないという中に、燐対策という問題がございます。  昨今、いままでになく環境庁はこの燐の対策に対して取り組みを進めておられるわけでございますけれども、通産省とされましても、いろいろな家庭用排水の中に出ますこの燐について、やはり歩を同じくして取り組んでいらっしゃることだと思います。洗剤における燐対策として、大まかに、いまどういうふうな対策が進んでいるかという御説明をまず聞かせていただきたいと思います。
  4. 山口和男

    山口(和)政府委員 先生の御指摘の点は、衣料用粉末合成洗剤中に含まれております燐の影響の問題かと存じますが、燐が赤潮発生の条件の一つとなっております海水の富栄養化要因物質一つであるというように言われておりますけれども、厳密にはその発生機構は必ずしも十分に解明されていないというように承っております。  燐の排出源になるものはいろいろな種類があるようでございますが、こういったものについての総合的な対策が必要であるというように考えられるわけでございまして、当省の場合も、衣料用粉末合成洗剤の中の燐酸塩についての成分低減化というものを進めていくということで、従来からやってきております。  この衣料用粉末合成洗剤に使用されておりますトリポリ燐酸塩の量は、昭和四十九年度に十二・八万トンであったのを、五十二年には六・五万トンというように減少してきておりますが、今後ともこういった方向で、代替品の開発も含めまして一層の減燐努力を行うように業界を指導してまいりたいと考えております。
  5. 土井たか子

    土井分科員 対策の大まかなことはいま御説明のとおりなんですね。それが具体的に、個々家庭用のいろいろな用品に対して、いろいろな表示を義務づけていらっしゃると思いますが、その表示を義務づける中ではどのように生かされていっておりますか、この点いかがでございますか。
  6. 山口和男

    山口(和)政府委員 合成洗剤家庭用品品質表示法政令指定対象となっておるわけでございますが、この中で燐の成分を取り上げておるわけでございます。
  7. 土井たか子

    土井分科員 その中で、はっきりこれを明示するということを義務づけていらっしゃるわけですか。いかがなんですか。
  8. 山口和男

    山口(和)政府委員 燐の成分のパーセンテージを明記するということにいたしております。
  9. 土井たか子

    土井分科員 それは何%以下に抑えるということを目安としてそういう表示を義務づけていらっしゃるのですか。
  10. 山口和男

    山口(和)政府委員 特に何%という数字は決めておりませんが、燐が含まれておるということを表示するようにということを義務づけておるわけでございます。
  11. 土井たか子

    土井分科員 燐が含まれているということを表示するのは、表示しないよりもそれははるかに意味があることは事実でございますけれども、先ほど大まかでも、一応燐対策通産省としては取り組まれているということが前提としてございますから、その線に沿って、やはり個々の具体的な家庭用品においてどういう取り扱いをするかというのが肝要です。したがって、そういう点からすると、燐が入っております、だけでは、これはどうも用をなさないのでありまして、何%くらい入っているということをやはりはっきり明示する必要がまずあろうかと思いますし、それからその次に、これを何%以下に抑えていかなければならないという一応の目安に基づいて抑えていくという必要があると思うのですね。ですから、この燐の入っている入り方が多いという製品については注意を促すとか、行政指導をなさるとかいうふうなことがあってしかるべきだと思いますが、そういう点はいかがになっておりますか。
  12. 山口和男

    山口(和)政府委員 燐の含まれております成分が何%であるということを各商品について明示するということは義務づけておるわけでございまして、ただそれを何%以下にしていかなければいけないという問題につきましては、先ほど申し上げましたように、できるだけ含まれます燐の量を減少させるべくいろいろ努力をして、年々下がっておるわけでございまして、そういった方向ともあわせ、技術的な検討を含め、検討を進めてまいりたいと考えております。
  13. 土井たか子

    土井分科員 その検討の中に、それでは申し上げますから、これをひとつお考えいただきたいと思うのです。  いま、閉鎖性水域の中で、河本通産大臣もお住まいの地域も含めまして、何といっても、いままで暫定措置特別法をもちまして取り組みを進めてきたのは瀬戸内海なんですね。河本通産大臣もこのことに対しては非常に熱心にお考えをいただいたお一人でありますが、この跡継ぎ法を、実はことしは時期が切れますので、環境庁としては考えつつございます。この跡継ぎ法の中で出てきたのが、やはり今回の都市排水生活用水の問題をどう考えるかという側面があるわけですから、燐対策もそれに乗って具体的に、いままでになく取り組みが進められている最中なんです。環境庁もこの燐に対してどういうふうな目安を立ててこれに対処していくかということはいま作業中でありますから、恐らく近い日にこれに対して具体的な目安が出ます。ひとつ御連絡環境庁の間におとりいただいて、いまおっしゃったような、漠然と燐が入っておりますというだけでは、これはちょっと体をなさないと思うので、その辺、行政指導の形になりますか、業者に対しての指導の形になりますか、いずれか具体的な方策がいろいろあろうと思いますけれども、一応の燐に対しての目安というものを通産省としても各家庭用品に対して設けていただくことが必要になってこようと思いますが、この点、環境庁と御連絡の上、お考えいただけますか、いかがですか。
  14. 山口和男

    山口(和)政府委員 御趣旨の線に沿いまして、環境庁ともよく連絡をとって、検討を進めたいと思います。
  15. 土井たか子

    土井分科員 ところで、昨年施行されております家庭用の、いろいろ内容から見ますと、この表示自身が非常にわかりにくいということがしきりに言われました洗剤なんですが、ただいま、一概に洗剤と申しましても、多種多様にわたるいろいろな製品が町中に出回っております。生活が多様化したと言えばそうであるかもしれませんが、これはもう中には万能というふうな表示まであるような洗剤まで出回っているわけでありまして、一体これは何のためにつくられたのか、こちらの方が戸惑うような、大変勢い込んだ欲深い宣伝がしきりにあるような場合すらあるわけでありますが、テレビコマーシャルなんかでもよくこれが出てまいりますのに、最近ちょっと首をかしげるような問題がございます。それは、たとえばガラスふき洗剤であるとか、おふろを掃除するための洗剤であるとかというふうなのとあわせまして、排水パイプ洗剤というのがございます。この排水パイプ等々の洗剤なんかにつきましては、現にこの規格がきちんと用意されているかどうか、この点はいかがでございますか。
  16. 山口和男

    山口(和)政府委員 家庭用品品質表示法による品質表示でございますが、これは規格というよりは、その商品の中に含まれております成分あるいは性能用途というような点を一般消費者にわかるように表示しろ、こういうことがこの法律の趣旨でございます。それで、合成洗剤につきましては政令品目指定が行われておりまして、実は先生指摘のように、いろいろ複雑な複合製品がたくさん出てきておりますものですから、これの整理をしたわけでございますが、ただいま御指摘のございましたガラス洗い洗剤につきましては、現在の品質表示法での表示の中では、合成洗剤とせんたく用台所用石けん及び住宅用または家具用洗浄剤というような形で指定されておりますが、その中で研摩剤を含むものは除外されております。界面活性剤中に研摩剤を混入したような製品については除外されておるわけでありますが、そうでない界面活性剤成分とするものについては品質表示法対象になっておるわけでありまして、そういった場合には成分性能等表示しなければいけない、こういうことになっておるわけでございます。
  17. 土井たか子

    土井分科員 その製品についての表示の中には、内容成分表示というのが義務づけられておりますか、いかがですか。
  18. 山口和男

    山口(和)政府委員 内容と申しますよりも、住宅用とかあるいは家具用とかあるいは浴室用というような区分で表示をすることになっております。それから界面活性剤をさらにアミノ酸系ブタイン系というような形で分類をするというようになっております。
  19. 土井たか子

    土井分科員 分類は結構なんでございますが、いま私がお伺いしているのは、排水パイプに対する洗剤に対しては規格がございますかというお尋ねと、それからさらに成分表示ということが義務づけられておりますかというお尋ねなんでございます。
  20. 山口和男

    山口(和)政府委員 ただいま私、御説明申し上げましたような形で指定はされておりますが、排水パイプ用洗剤という形での分類と申しますか、そういう形での合成洗剤指定という形になっておりませんので、排水パイプ用洗剤についての成分指定表示という形にはなっていないのが現状でございます。
  21. 土井たか子

    土井分科員 そういう形になっていて、つまりこれに対しては具体的に取り扱っている規格が現にないということだろうと思うのですね。いろいろ調べていただきたいと思うのですが、これは粉末になっておりますですね。粉を排水口のところにどんどん振ればきれいにパイプが掃除できるというふうな製品が最近非常にたくさん出回っております。このためにこれが大量の粉末のままで下水道に流れ込んで、そして水質保全という点から考えると、先ほどの燐対策から考えてどうかと思われる節がだんだんこれはふえていっているというのが現状だろうと思うのですね。たとえばこの排水パイプ用洗剤がステンレスの流し台に付着いたしましたら、そこが真っ黒になるというふうな例なんかはあっちこっちにあるわけでありまして、これは何かというと、苛性ソーダというのがたくさん使われておるということにもなるわけだろうと思うのですが、そういう点をひとつ十分調べていただいて、やはり具体的に抑えていただかないと、先ほどの燐対策だとかいろいろ、水質保全というさらに大きな視野から考えましても、どうも思わしくないことが野放しになっているというきらいがあるように思いますので、この点ひとつ御検討いただけませんか。
  22. 山口和男

    山口(和)政府委員 先ほど申し上げましたように、住宅用とか家具用とか浴室用というような形での用途表示分類系になっておりますが、先生指摘のように、排水パイプ用合成洗剤について、いろいろ環境上の問題等もございますので、今後前向きに検討を進めてまいりたいと思います。
  23. 土井たか子

    土井分科員 さらに合成洗剤洗たくをいたしますと、中にはよくこのことに対して女性ならずとも研究をなすっていらっしゃる方もいらっしゃると思うのですが、仕上がりが幾分ごわごわいたします。これが合成洗剤特徴だと申し上げてもいいと思うのですね。そこで出てまいりましたのが一連の柔軟仕上げ剤なんですが、一たん洗剤で洗ってごわごわした洗たく物をふわふわさせるための柔軟仕上げ剤、いわゆるソフターですね、これがたくさんございます。いろいろな製品がございますが、一たん合成洗剤で洗い上がったごわごわしたおむつにこのソフターを使用したらどうなるかといういろいろな試験結果が出ております。おむつでなくたって、いろいろな下着類も皆同様でございますけれども、その特徴は水を吸わなくなるというのが特徴なんです。水の吸収力がぐっと低下するのですね。このソフターを使用しない場合と使用した場合を比較してみますと、まあソフターにもいろいろございまして、各メーカーによって少し差はございますけれども、大体使わない場合と比較したら六分の一くらいに水の吸収力が落ちます。これを先ほど申し上げたようにおむつに使用するために、ずいぶんおむつかぶれというものが出てくるのです。なぜかというと、おむつというのは何のためにつけているかということをひとつお考えいただきたいのですが、水の吸収力が低下するというのは、おむつとしての用をなさない場合が極端なことを言いますと出てくるわけなんですね。このためにずいぶん赤ちゃんおむつかぶれだとか皮膚疾患というのが出てきているというのがいろいろな試験結果のデータが物語る内容なんです。それで、いまこのソフターに対して通産省とされてはいろいろな取り扱いを進めていらっしゃると思いますが、いかがでございますか。
  24. 山口和男

    山口(和)政府委員 ただいまの家庭用品品質表示法分類は、合成洗剤とか洗たく用石けんというような形で分かれておりまして、ソフターという形で実は分類をしたものがございません。したがいまして、ただいまのところはそういう形で品質表示を定めておるという状況にないわけでございます。
  25. 土井たか子

    土井分科員 しかし、この柔軟仕上げ剤というのはもうたくさんございまして、テレビコマーシャルなんというのも、まさかそれは無関係だとはおっしゃらないと思いますが、この柔軟仕上げ剤宣伝というのはもう大変出てまいっておりますよ。これに対しては何ら規格はございませんか。通産省さんの方ではいかがなんですか。
  26. 山口和男

    山口(和)政府委員 現在のところは特別の規格はございません。
  27. 土井たか子

    土井分科員 それじゃ、これはひとつ考えてみてくださいませんか。これはぜひ必要だと思います。もう最近では、一たん洗たくしたものを柔軟に仕上げるためにソフターを使用するというのがいわば常識化していると申し上げてもいいくらいで、ひとつ家にお帰りになって奥様にお聞きになってみていただきたいと思います。大抵の御家庭ではもはやない家庭はないと言ったっていいくらいの、これは洗剤と同様に使われていますからね。ですから、その点を重々お考えいただいて、これ、ぜひ規格が必要だと思うのです。通産大臣、いかがでございます。これはやはり考える必要があると思うのですがね。
  28. 山口和男

    山口(和)政府委員 規格の問題と品質表示の問題と両方ございまして、規格につきましては私どもJISというようなことでいろいろ対策を講じておるわけでございます。ソフターにつきましては、いろいろ技術的な問題とかあるいは厚生省との関係等もあるかと思いますので、今後早急にいろいろ研究を進めてまいりたいというように考えます。
  29. 土井たか子

    土井分科員 通産行政の中には消費者生活を守るというのが大きな柱としてなければならないと私らは考えておるわけでございますが、そういう点から言うと大変立ちおくれているということを言わざるを得ません。これは早急にやっていただかなければならない、このように思います。  きょうここで取り上げてそれなりの対応が通産省の方でおありになるならば、さらに進んでこの点も指摘して善処方をぜひやっていただきたいという問題が実はあるのです。それは、いま申し上げたように、赤ちゃん用にこのソフターを使われるということになると、おむつかぶれ皮膚疾患の原因をつくっていくようなものなので、用途としてはこれをおむつ洗たく用に使ってはならないということを何らかの意味においてぜひはっきりさせていただけないかということが一つ問題点であったわけです。そういうことから言うと、品質表示する場合の表示方法でも、おむつ洗たくには適さないというふうなことをいずれかの表示で明示するという方法もありましょうし、またいろいろな注意事項をそれぞれ研究機関研修機関を通じて一般に周知させるというふうな方法もあるでしょうが、それはひとつ工夫していただいて、ぜひお考えいただきたいということを申し上げると同時に、いまここにパンフレットを持ってまいりました。これは「赤ちゃん」というパンフレットなんですが、友人から借りてまいりました。実は各都道府県で母子手帳を手渡します場合に、それと同時にこれをつけて渡す例が非常に多いのです。いわば副読本と申し上げてもいいと思います。副読本というふうな意味でいただきますこの「赤ちゃん——「母子健康手帳副読本」とここにちゃんと書いてあるのですが、中を見ますと、ずいぶん商品宣伝が入っております。母親としての心得というのもその前段にはずっと記述してあるわけですが、後半はそれぞれこういうふうないろいろなメーカー宣伝文にページが費やされているのですね。そして、母子用品指導協会というのがつくられておりまして、ここが特定のこういうマーク、これもJISマークと非常に紛らわしいのでありますが、特定マークを用意しまして、このマークのついている商品商品証明として表示されているわけだから、どうかこのマークによく注意して、こういう母子用品指導協会マークのついた用品をできる限り使用してもらいたいという趣旨のことがこの中に記載してあるわけですね。本来こういう母子健康手帳副読本の中で商品宣伝というのをしきりにやるというふうなことは好ましくないじゃないか。しかもその中でいまの問題の、「おむつ・肌着はハミング仕上げを」とこう書いてありまして、柔軟仕上げ剤の中のある特定商品を大々的に宣伝をしているわけです。またさらに、おかあさんに対しての心得の中の文中にも実は固有の商品名が出てくるというふうな部面があったりいたしますので、母子健康手帳副読本というふうな点からしたら、もう少し吟味が必要じゃないかと思われる節があるわけでございますね。したがって、こういうふうな点を取り上げて、きょうは特に柔軟仕上げ剤なんかについての通産行政をあわせてお伺いしたいなというふうな気持ちでこれを問題にさせていただいたわけですが、ひとつ「赤ちゃん」という母子健康手帳副読本の中身についていろいろと御吟味いただく前夜にやはりいまの柔軟仕上げ剤に対して取り扱いの上で規格をひとつ進めていただきますように、これはもう一度、再度になるかもしれませんが、申し上げたいと思いますが、いかがですか。
  30. 山口和男

    山口(和)政府委員 ただいま御指摘の点については、幾つかの問題点があるかと思いますが、そういった柔軟仕上げについての規格をつくっていくという点については、できるだけ前向きに進めてまいりたいと思います。
  31. 土井たか子

    土井分科員 できるだけ前向きにというのはおかしい御答弁でして、どうなんですか。なさるのか、なさらないのかというのは、これははっきりお答えいただけることじゃないかと思うのですよ。できるだけ前向きにということで、どうでしたと聞くと、できるだけやりましたけれども、まだ前向きに向かっておりますなんというのをいつまでも聞かされたのじゃ、これはとてもじゃありません。もう町中出回っていますよ、大抵家庭にもうあるわけですからね。ずいぶん通産行政の方がおくれていると指摘されても、その批判に一つは答えていただかなければならない段階だと思います。いかがですか。
  32. 山口和男

    山口(和)政府委員 いろいろと技術的な問題等もあろうかと思いますが、何とかできるだけ早い時期に結論を出せるように鋭意努力していきたいと思います。
  33. 土井たか子

    土井分科員 今度はできるだけが鋭意に変わったわけでありますが、できるだけとか鋭意とかというのは、修飾語は横に置いていただいてこれはやっていただくということを確認いたします。よろしいですね。何遍も——もうこれで終わりにしますから……。
  34. 山口和男

    山口(和)政府委員 そういうことにさせていただきます。
  35. 土井たか子

    土井分科員 あと一つ、これは問題が全然別になりますが、五十年の八月から全国のいろいろな消費者から出されます苦情に対しての苦情処理の窓口を設けていただきました。これは通産行政の中で、一つ消費者からすれば持っていくところができたというので大変な前進だと申し上げたいと思うのですが、ただ、その後相次いで出てまいります消費者のいろいろな苦情の中で、たとえば自動車なんかを取り上げて申しますと、何回でも同じところが故障する、そして、その結果高速道路なんかに起きるスリップ事故にそれがつながっていったり、それからまた自動車を持ってまいりますパーツ屋さんのオイルの規格というのが本体との関係において必ずしも一致しないというふうな例があったり、それからまたボディは四十八年型だけれどもエンジンというのはもう一つ新式をその車に積みかえて、そして中古車として売るというふうなことなんかが現にいろいろあったりすることを消費者としてはチェックのしようがないわけなんですね。それと同時に、これは一つの例をいまから申し上げますけれども、実はレンジフードというのが墜落してきたという事故が関西の方でも相次いで二件大きな事故がございました。その原因をいろいろ調べてみますと、これはメーカーの取りつけ強度テストの状況というものを調べた結果、説明書にある取りつけ強度というのは四十ミリ平方の角材にフードを打ちつけたという仮定で、ビスの強度や使用個所というのがちゃんと決められているわけなんです。ところが、実態は建築様式がさまざまで、壁の中が空洞のものから本建築のものまでございまして、壁や柱の条件がさまざまな上に取りつけるわけでございますから、この辺がメーカーの考えている注意内容が一致いたしておりません。しかも取りつけ業者というのもビスでありながらねじ込まずにくぎ同様に打ち込んだり、指定のビスを使わなかったりする例というのもございます。ですから、建築そのものが様式の上でいまのフードをつくったメーカー注意と一致しない建築のところに取りつけられる、さらにそれを取りつける業者がメーカーが予期している内容と一致しない取りつけ方をしている、こういうことが重なって起きた事故だというふうなことが一応いろいろな調査の結果判明したということでもございます。  そこで、最後にお尋ねをしたいのは、この窓口はいまのところ通産省が御用意なさった窓口でございまして、苦情処理の窓口としては、一つ開いていただいたという前進はあるけれども、他省との連絡がまだ十分に機能性を発揮いたしておりません。いま申し上げた問題一つ取り上げても、たとえば運輸省との連絡が必要でありましょうし、たとえば建設省との連絡が必要でございましょう。そういうことをひとつ窓口一本化の中ではっきり前進させる方向に持っていっていただきたいなと思うわけでございますが、こういうことに対しての見通しは、通産大臣いかがでございますか。
  36. 河本敏夫

    河本国務大臣 二、三年前から、消費者と対話をすることに通産省は努めております。そのために幾つかの機関をつくったわけでありますが、いま御指摘がございました他省との連絡問題等、もう少し積極的にやったらどうかというお話でございますが、確かにそういう問題がございますので、そのように今後とも注意してやってまいりたいと思います。
  37. 土井たか子

    土井分科員 それは、その受付の窓口の中で建設省や運輸省との連絡を機能的に持っていただけるようなシステムに、ひとつお考えを前進させていただくというふうな意味に受け取らせていただいてよろしゅうございますか。
  38. 河本敏夫

    河本国務大臣 そのとおりに処理します。
  39. 土井たか子

    土井分科員 ありがとうございました。  これで終わります。
  40. 中島源太郎

    ○中島(源)主査代理 大橋敏雄君。
  41. 大橋敏雄

    大橋分科員 私は、初めに通産大臣お尋ねをしたいと思うのです。  昭和四十九年三月に施行されましたいわゆる大店法でございますが、この法律は事実上崩壊したのだという一般的な認識が強まっているわけでございます。たとえば、基準面積、政令都市では三千平方メートル以上、その他の都市は一千五百平方メートル以上というふうになっておりますけれども、それ以下の店舗に関しましては届け出の義務がないわけでございます。ところが、自治体で条例とかあるいは要綱などをつくりまして、届け出を行わせた上で商調協に諮るという規制の中に組み込んで、大店法の基準面積を実質的に引き下げるという動きがあちらこちらに見えてきているわけでございます。要するに、これまで地方自治体は常に側面的な援助というかっこう、言うならば、単なる参与的な立場で動いていたわけでございますが、ここに来て地方自治体が力を発揮してきた、こういうことであろうと思うわけでございますが、先ほど申し上げましたように大店法は事実上崩壊したのだという、こういう認識に立たれているのかどうか、初めにお尋ねしたいと思います。
  42. 河本敏夫

    河本国務大臣 大店法が施行されましてから四年になるわけであります。事実上崩壊したといまお述べになりましたが、通産省といたしましてはそのようには考えておりません。その後四年間に新しい事態が幾つか起こっておる、これはもう御案内のとおりでございます。そこで、現在の法律のままでいいのかどうか、ある程度現状に合ったように改正すべきかどうか、こういう問題をいま検討しておるところでございます。
  43. 大橋敏雄

    大橋分科員 崩壊したとまでは思ってないとおっしゃったわけですが、しかし実態的には法改正の必要性を考えておるということのようでございます。  御承知のとおり、大店法というものは、消費者の利益の確保と流通近代化の促進を考慮しつつ、小売業者間の調整を図れというものであったろうと思うのですが、きれいごとでは済まされない複雑な実態が表面化してきていると思います。そこで、大型店の進出に関しまして地元小売業者との間に紛争等が各所に発生していると思いますけれども、その調整案件といいますか、それがいま何件ぐらいに上っておるか、通産省としてどの程度掌握なさっているか、お尋ねをしてみたいと思います。
  44. 山口和男

    山口(和)政府委員 大店法の施行後法律の第三条によりまして届け出が行われております件数は、昨年末現在で千百七十九件になっております。紛争につきましては、どういうものを紛争だというか、これはなかなか、この定義も明確でございませんし、むずかしい点があろうかと思います。したがいまして、何件ぐらいそういう問題案件があるかという点については申し上げるのはなかなかむずかしいわけでございますが、ただ、三条届け出後まだ未調整になっておるということで一年以上経過しておるというような案件が約五十件程度ございます。
  45. 大橋敏雄

    大橋分科員 いま、千百七十九件ということと、第三条届け出後にまだ話がまとまってないというものが五十件という話でございますけれども、北九州の小倉にスーパーマルショク到津店というのが五十一年に進出してきたわけでございますが、これが実際に開店されまして今日に及んでいるわけですけれども、事実上、その周りにいた零細小売業者の皆さんがもうほとんど廃転業をせざるを得ないという実態になりまして、商調協等での話し合いの内容ではないということの怒りから、いま裁判問題になっているわけですが、いまの御報告の中にこれは入っているわけですね。ちょっとお尋ねします。
  46. 山口和男

    山口(和)政府委員 ただいま詳細のリストを持ち合わせておりませんので、ちょっとお答えができないと存じますが……。
  47. 大橋敏雄

    大橋分科員 これは、大変な大打撃を受けて、いま深刻な状態が続いているわけでありますが、私も、この一例を見ただけでも、これは大店法の改正は必至だと、こう感じざるを得ません。そこで、北九州の八幡西区相生町八番地、というのは私の居住区でございますけれども、そこに株式会社大栄、株式会社ユニードの共同大型店が七千四百三十九平方メートルで店を出そうという動きがあるわけでございますが、この問題は通産省の方には報告が入っておりますか。
  48. 山口和男

    山口(和)政府委員 この件につきましては、私どもの方に福岡の通産局から連絡を受けております。
  49. 大橋敏雄

    大橋分科員 これも、すでに商調協に諮られまして、これまで八十四回も交渉が行われているのですけれども、地元の商店街はきわめて正当な理由を掲げて、強烈な反対です。絶対阻止だということで動いているわけです。私も、地元商店街の皆さんが掲げている反対理由はもっともだ、妥当であると、こういう認識に立ちまして、皆さんの考えを支持して、反対の立場でいま動いているわけでございますが、きょうここにもその反対の細細した理由が連ねられた皆様の要望書は持ってきておりますけれども、時間の関係もございますので、それは割愛するといたしまして、通産省はこのような実情の上に立って納得のいく解決に責任を持って当たってほしい、こう思うわけでございますが、どうですか。
  50. 山口和男

    山口(和)政府委員 この件につきましては、現在地元の商調協の場で審議が行われておるように報告を受けております。私どもといたしましても、地元での話し合いが十分行われるように必要に応じて指導してまいりたいと存じますし、十分慎重に対処してまいりたいと思います。
  51. 大橋敏雄

    大橋分科員 先ほどのスーパーマルショク到津店の事例ではございませんが、話し合いのときの状況と実態は全く違うわけです。本当につぶれていくんです。これは消費者保護も大事でございましょうが、お互いに小売業者同士がいわゆる大店企業を営業する側から食いつぶされてしまうということは許されないことだと思います。  大臣、私はこれは非常に重要問題だと思うのですが、もう一つ、私の居住区のすぐそばに鷹の巣というところがあるのですよ。そこに九百二十平方メートルの売場面積を持つスーパー丸和というのが出店計画をしました。これは基準以下ですから別に届け出なくてもいいわけです。その地域も商業地域だということになっておりますから、法的には何にもないのですよ。だから業者の方も高姿勢で、もうすでに着工し、どんどん進められております。ところが、すぐそばに、横に保育所があるのですよね。これは北九州市の保育所なんです。幾ら法に触れないとは言いながらも、保育児童の健康やその他のこと、環境破壊などを考えると、そんなことを無視して進められるはずがないですね。当然反対ののろしが上がったわけです。私のすぐそばなんですよ。そういうことで、私も皆さんの事情を聞きながら、なるほど皆さんのおっしゃるとおりだということで保護者の立場に立ち、また、そのすぐそばに何軒かの小売店があるわけでございますけれども、もしその丸和が出てきますと、これは完全につぶれるでしょう。これは目に見えています。法に触れないから問題ないんだというわけにはいかぬのだと思うのですね。ようやくにして北九州市は、保育所の方は移転ないしは改築等を考えてくれたようでございますが、考えてみれば本末転倒ですね。店を持ってくるから保育所を動かせと言っているようなものでしょう。いかに現在の大店法そして運営が骨抜きであるかという一つの私は事例だろうと思うのです。こういう事実を見て、通産大臣はどのようなお考えになられたか、お尋ねいたします。
  52. 岸田文武

    ○岸田政府委員 ただいまお話ございました丸和の鷹の巣店の問題、これは私どもも府県から実情を聞いておるところでございます。府県の報告によりますと、出店につきまして周辺の小売商からいろいろ問題が提起され、それを受けて小売商業調整特別措置法十五条のあっせん、調停の申し出が都道府県に対して行われたというふうに承知をいたしております。都道府県では、両当事者からいま意見の聴取を行うべく準備を進めておるようでございまして、私どもも、府県において地方の実情に即したような解決が図られることを期待をいたしておるところでございます。
  53. 大橋敏雄

    大橋分科員 こうして保育所の方は、市のものであったので、何らかの姿で改善の方向ということで保護者の皆さんの反対の気持ちを静めることができるでしょうけれども、実際的につぶされていくそうした小さな商店の方々は、商調協等で諮られればまだそれなりの期待も寄せられるのですけれども、こうした基準以下の進出ということになれば、そういう点非常に不安な状況にあります。だから、こういう点も踏まえて法改正に当たっていただきたいということを申し添えておきます。  また、これらの紛争を事実上調整指導していこうということで、条例や要綱等をつくって自治体が運営しているという話がかなり聞こえるわけでございますが、そういう自治体がどの程度あるのか、つまり条例や要綱をつくっている自治体ですね、あるいは凍結宣言を出している自治体があると聞いておりますけれども、それもあわせて御報告願いたいと思います。
  54. 山口和男

    山口(和)政府委員 当省が現在把握しております範囲内で地方自治体において条例を制定して調整を行っておりますのが三県、それから十三の市と町、それから要綱という形で行っておりますのが三十三都県と三十八市町でございます。これらの条例等は大店法の基準面積未満の出店についての紛争調整をするためということでございまして、その内容は勧告にとどまるものが大多数でございますが、熊本県、佐賀県条例につきましては命令、罰則まで規定しておることになっております。  それから各地での出店の凍結宣言でございますが、現在大分市あるいは仙台市等、私どもが把握しているところでは、十一の市で地元商店街等でそういった宣言を出しておるというように報告を受けております。
  55. 大橋敏雄

    大橋分科員 いまも報告がありましたように、大臣、考えてください。こうして地方自治体が事実上条例や要綱等で一生懸命調整に当たっているわけでございますが、これはもう、従来の通産省のやり方ではだめだ。特に地域の問題でございますので、自治体を抜きに単なる参与的な側面援助なんということでは事が済まされない実態を物語っていると思うのですね。ですから、通産省として、当然今後この大店法の改正等含めて対応なさっていくと思うわけでございますが、仮にその方向に進もうとなさるときにはどういうところを重点に考えられているか、お尋ねしたいと思うのです。
  56. 河本敏夫

    河本国務大臣 まだ審議会の意見等聞きまして検討の段階でございますから、ここで具体的なことを申し上げるのはいかがかと思いますが、一、二の例を挙げますと、たとえばいま御指摘になりましたように、地方自治団体との関係をどうするか、それからあるいは現在制限面積がございますが、それを一体どうしたらいいのか、そのほかにも幾つか問題点があろうと思いますが、全体を含めまして新しい小売商業問題に対応するのには一体何が一番いいのか、こういうことを全体として検討してみたいと思っております。
  57. 大橋敏雄

    大橋分科員 基準面積の見直しは当然だと思います。また自治体の権限の強化、特にその中の判断指標の策定というのが肝心じゃないかと私は思うのです。いま大臣は答申を得てというようなお話があったわけでございますが、小売問題懇談会の報告が五十三年二月の十三日に行われておりますですね。その中の記事を見ましても特にそのことが指摘されております。「このような調整に当たっての指標の作成については、地域の商業環境等の実態がそれぞれの地域固有のものであること、大型店の進出が及ぼす影響等の定量的な予測方法が必ずしも確立されていないこと等の面から困難な点もあろうが、小売商業に関する紛争調整の円滑化に資するため、引き続き諸統計の整備、普及に努めるとともに、調整に当たってのめやすとなるよう統一的な判断指標を策定するよう努めるべきである。」これはこの調整の根本だと私は思うのですね。当然今度の法改正にはこの統一的な判断指標が盛り込まれると考えるわけでございますが、この点についての御見解を承っておきたいと思います。
  58. 山口和男

    山口(和)政府委員 審査指標につきましては、昨年来、大規模小売店舗審議会に審査指標部会というものをつくりまして、先生方に御協力いただきまして鋭意検討を進めておりまして、なお実用化につきまして若干問題点がまだ残っておりますが、できるだけ努力をしてまいりたいと考えております。
  59. 大橋敏雄

    大橋分科員 大臣も重々御承知だろうと思いますが、いま時期的な立場から詳しい内容説明できないのが残念じゃないかとむしろ私は考えるわけです。先ほどからも申し上げましたように、大店法そのものは不備な点がたくさんございます。たとえば、事前調整期間というのが設けられているわけでございますが、現在四カ月間なんですね。この期間も実際の交渉の実態から申しますと、これはやはりもう少し延長すべきだと私は考えます。また、調整の場となっておりますのが商調協でございますけれども、これが十分機能していないという実態。商工会議所、商工会の中に設けられていまして、構成メンバーも旧態依然の姿と言われております。先ほども申しましたように、各地域でのそれぞれの異なる特殊事情、こういうものに対応できないのではないか。そういうことから統一的な判断指標の重要性を私が指摘したわけでございますが、これを十分踏まえた上で法改正に乗り出していただきたい。もう一度大臣のお気持ちを聞いておきたいと思います。
  60. 河本敏夫

    河本国務大臣 法改正の場合に検討すべき課題は、先ほど私が申し上げましたことのほかに、いまお述べになりました点なども当然検討課題に入ります。
  61. 大橋敏雄

    大橋分科員 それでは大店法のことはその程度にしまして、あと残りの時間で一、二大臣の御見解を承っておきたいことがございます。  個人消費の喚起が景気回復への重要なポイントの一つであると言われているのはもう御承知と思います。わかりやすく申し上げますと、庶民のふところを少しでも温かくして、生活必需品を買いやすい状況にしてあげることが個人消費の喚起に重要な事柄ではないだろうか。  買いやすいようにということは、たとえば物品税の税率改正なども含めて改善の必要があろうと考えるわけでございますが、そういう立場から、福岡県の大川市に有名な中小家具産業の町があるわけでございますが、ここの木工製品というのは一般家庭の必需品である、こういう認識なのでございます。この大川でつくられている一般家庭の必需品と思われる製品は決して奢侈品、ぜいたく品ではない、こういうふうに私は考えているわけでございますが、大臣はどうお考えになっているか。というのは、昭和四十七年にすでに地元からこうしたいろいろな要望を掲げた請願がなされてきておりますので、恐らくその内容については御承知であろうと思います。ですから簡単で結構でございますが、必需品であるとおっしゃれば結構でございますけれども……。
  62. 河本敏夫

    河本国務大臣 家具は、特殊なものを除いては、これはもう大部分は必需品であると考えます。
  63. 大橋敏雄

    大橋分科員 それからその次は、私いずれ大蔵委員会でこの物品税の問題を取り上げるときに重要な点になりますので、ちょっとお尋ねしておきますが、キリの木とナラの木はどちらが高級に属するものでございましょうかということなんです。
  64. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 ちょっとむずかしい御質問でございまして、どちらが高級かということになりますと、それの木地自体がどうであるかということにつきましては私も必ずしも申しかねる点がございますが、一般的にはキリの方が高級というふうにみなされているかと思います。
  65. 大橋敏雄

    大橋分科員 りっぱなお答えだと思います。と申しますのは、私も林野庁の林産課の方をちょっと調べてみたのですが、丸太の木代金といいますか、もとの値段は、一立方メートル当たりで平均価格はキリが九万円から十万円だと言うのですね。ナラの木は四万円程度だ、こう言うわけです。これは大胆、直接の問題じゃございませんけれども、不思議なことに物品税法では高級であるべきキリ製品の方が、あるいは漆塗りが非課税になっているのですよ。ナラの一般材が使われている方に課税がされている。これは不公平税率であるということになるわけでございますが、この点非常に重要なところでございまして、いずれ私は大蔵委員会でやりますが、通産大臣の方に必需品であるかどうかというような問題等々を含めて当然そのことが協議されてくると思うので、大臣からもキリ製品の方が一般のナラ材等よりも高級であるという認識を一言おっしゃっておいてください。
  66. 河本敏夫

    河本国務大臣 いまの御質問だけでは私もちょっと判断しかねるわけでございますが、いずれにいたしましても日常生活にとって大事な問題のように見受けますから、関係方面とよく御相談をさせていただきます。
  67. 大橋敏雄

    大橋分科員 本当に不思議なことでございまして、ぜいたく品に税金をかけるというのが物品税の本来の趣旨だと思うのですね。生活必需品にはなるだけそうした税金等もかけないでいって、消費者の便宜を図っていくというのが本来の趣旨だろうと私は思うのです。  では時間も迫ってまいりましたので、最後に、中小企業分野に属する家具産業における大手企業の進出と木材価格の急騰で企業基盤が根底から覆されようとしているわけでございますが、通産省として中小家具産業にはいかなる措置を講じようとなさっているのか、お尋ねをしてみたいと思います。
  68. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 いまお示しのとおり木製家具業界につきましては、近年家具の充足によりまして需要の一巡を見たこともございまして、また不況の長期化ということもございまして、消費の伸び悩みが見られるわけでございます。したがいまして、非常に困難な状態に陥っておるということは御高承のとおりでございます。  政府といたしましては、四十九年に木製家具を中小企業近代化促進法に基づきますところの指定業種に指定いたしまして、金融、税制面等での優遇措置を用意いたしまして構造改善事業を促進いたしているわけでございます。  なお、現在の不況状況に対処いたしまして、五十年一月以降中小企業信用保険法によりますところの不況業種に指定いたしまして、信用保険の別枠の利用とか、保険料率の引き下げ、てん補率の引き上げ等の措置を講じているわけでございます。また本年一月からは、雇用保険法に基づきますところの景気変動等の雇用調整事業の対象事業としても指定したわけでございまして、これらの施策の運用を通じまして今後とも木製家具製造業の経営の安定化を図ってまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  69. 大橋敏雄

    大橋分科員 とにかく個人消費の喚起という立場、また住宅政策の推進とあわせて、家具というものは並行して必需品となっていこうかと思います。どうか一般消費者が買いやすい状況にしていただきたい。それは税制面等も改善してということにもつながるわけでございますが、これは私のたっての要望でございます。  時間が参りましたのでこれで終わりますが、先ほどのキリとナラとの問題は通産大臣も本当に真剣に検討していただいて、やはりおかしいものは改めるべきである。もしキリが免税ならば、非課税ならば他のナラ製品等の家具も免税にする、非課税にする、こういうお考えを持っていただきたいことを申し添えまして、終わらせていただきます。
  70. 中島源太郎

    ○中島(源)主査代理 加藤万吉君。
  71. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 構造不況産業が今国会では大変大きな議題になり、その対策が各所で迫られております。きょう御質問申し上げる課題は、化学肥料の全般的な構造不況問題、特に過剰設備投資あるいは輸入の拡大によりまして国内の化学肥料工業の大変な廃棄あるいは休止、これらの状況について大臣がどのようにお考えになっているか、若干私の意見を加えながら御質問をしてみたいというふうに思います。きょうは特に化学肥料の中でも高度化成肥料、アンモニア系肥料について御質問をしてみたいと思います。  すでに化成肥料におきましては、この過剰投資、過剰生産、国内の大変なオーバーフローに対しましていま答申が出されまして、九十一万トン計画に対して二〇%、約十九万トンをカットする、このことが化学肥料問題の答申として出されております。またアンモニア系肥料につきましては、アンモニアで二〇%、尿素で四〇%のそれぞれカットないしは設備廃棄を行う——御承知でしょうが、五年前にできました日本の最新鋭のアンモニア工場がついにスクラップになる、こういう状況にあります。  そこでお聞きをいたしますが、この高度化成肥料に対する答申に対して通産省としてどのようなお考えをお持ちでしょうか。アンモニア肥料については同じように、これはまだ業界サイドの設備廃棄ないしは縮小計画でありますが、これらについて通産大臣ないしは通産の側でどのような行政指導、あるいは業界が決めたことに対してどのような御見解をお持ちでしょうか、お尋ねいたします。
  72. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 高度化成肥料につきましては、基本問題研究会、これは基礎産業局長の私的諮問機関でございますが、この基本問題研究会から答申をいただいておるところでございまして、その答申によりますと、先生指摘のとおり約二〇%の設備の処理をすることが妥当である、またそれに伴いまして、輸入につきましてもこれがむやみに拡大しないような指導を行うことが必要である、こういうようなことを骨子とする答申をいただいておるわけでございます。この答申の取り扱いにつきましては、さらに産業構造審議会の化学工業部会にかけまして正式の答申を得たいというふうに考えております。この高度化成につきましては農林業という非常に大きなユーザーがあるわけでございまして、その辺の合意を確実にする必要もございますので、私的諮問機関である基本問題研究会にとどまらず、さらに産業構造審議会という場におきまして確固たる合意をいただき、そして正式の答申をいただいた上でよく検討したい、その答申の方向に従って政策を進めるのが妥当ではなかろうか、こういうふうに考えておるところでございます。  それから次に、アンモニア、尿素につきましても業界で粗ごなしの合意ができておるようでございますけれども、これにつきましては産構審の化学工業部会にかけましてその他の関係者の意見等もよく徴した上で答申をいただいて、その上で考えたいと思います。いま業界だけの一応の線は出ておりますけれども、これにつきまして、産業構造審議会の検討が始まる前に当省の意見を申し上げるのは差し控えさしていただいた方がよろしいのではなかろうかと思います。
  73. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 そうしますと、高度化成については、答申を受けたやつを産構審にいま一遍戻しまして、そこでいま一遍討議を経て、さらに化学肥料小委員会ですか、今度産構審の中へ設置をされると聞いておりますけれども、そこの答申を受けて行政指導される、こういうことでございましょうか。  同じように尿素についても、いまのお話ですと、産構審の化学工業部会にお諮りになる、こういうことですが、同様に化学工業部会から化学肥料小委員会にお諮りになって、その上でと、こういうことでございましょうか。
  74. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  75. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 現段階で見解を述べることはなかなか困難だと思いますけれども、全体として過剰生産あるいは過剰設備、そういう動向にあるわけですね。私は去年もこの問題を取り上げて本分科会質問をさしていただきました。業界としてはもうこれ以上耐え切れないという状況の中で、特にアンモニア系については自主的な設備廃棄等が行われているわけです。どうでしょうね、あれからもう一年たっているのですよね。しかも高度化成肥料についてもそれぞれもう答申が出ているわけです。こうなりますと、私は、現状から見まして原状の回復が直ちにできるというふうには思われません。結果的には行政指導を早急にやられる必要があると思いますが、どうでしょう。新設される化学肥料小委員会、その答申その他を受けて、いつごろそのめどを持たれておるのでしょうか。
  76. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 先生の御指摘のとおり、なるべく早く結論を出して構造改善を行う必要があるということは痛感をいたしておるところでございます。昨年来ずいぶん時間がかかっておりますのは、まず必要な業界における合意がなかなかできなかったということもあるのでございますが、最近ようやく業界の方も固まってまいりましたので、産構審の場におきましては四月中くらいには結論を得て、構造改善を実施に移したいというふうに考えております。
  77. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 産構審の答申が大体四月をめどに出るということになりますと、そこから、業界が行っているそれぞれの構造改善、あるいは高度化成の場合には輸入問題を含めて行政指導上の対処をされる、こういうふうに理解してよろしゅうございましょうか。
  78. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 そのとおりでございます。
  79. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 申し上げるまでもありませんが、高度化成肥料については輸入の問題が非常な圧迫になっていることは御案内のとおりですね。答申にも輸入問題については規制を加えるように、半ばそういう意見を含めて答申が出されております、私は、国内産業をどのように位置づけるか、そのことが結果的には国内の価格も安定の方向に向かうし、業会全体も安定の方向を見出されるものというふうに思うわけです。これは答申が出ているわけですから、一刻も早い対処の仕方をお願いをしておきたいというふうに思うのです。  また、一方アンモニア系肥料の場合には、これまた御案内のように国内の生産がオーバーフローですね。逆に言えば、輸出依存度がいままで高過ぎたと言ってもいいでしょう。したがって、そこから来る設備廃棄なりあるいは縮小、こういう方向にあるわけです。そこで私は、その問題を直ちにとらえません。その一つの予防策といいましょうか、あるいは支える策といいましょうか、そういう形で今年度政府が対外援助の面で大変誘導的な政策をとられているというように聞いておるわけです。予算上も拝見をさせていただきました。昨年も私は、後進国開発援助にこの際日本の尿素ないしはアンモニア糸肥料を対外援助費として大幅に組んではどうかという御提言を申し上げたのです。今年度はこれらについてはどういう方向になっているのでしょうか。
  80. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 肥料に関する商品援助に関しましては柱が二つございます。一つは食料増産援助費でございまして、これは大蔵省計上予算でございますが、昨年五十二年度におきまして六十億円であったものを、五十三年度予算案におきましては百三十億に大幅に増額をするということになっておるわけでございます。この無償援助費は、肥料、農薬、農機具等を対象とするものでございますけれども、この昨年の実績によって見ますと、この中の半分以上、相当部分が肥料に使われておるというような実態でございます。  次に、もう一つの柱は、経済開発等援助費でございますが、これも無償援助費でございますが、外務省の計上予算でございます。これは昭和五十二年度におきましては百八十億円が計上されておりまして、これは主として医療であるとか教育であるとか、そういうような方面に使われておった無償援助費でございます。それが五十三年度予算におきましては三百九十億円に大幅に増大をされておりまして、そこで新たに基礎的な開発物資を商品援助として供与する方針であるということになっております。その中身といたしましては、この肥料も含まれるというふうに了解をいたしておる次第でございます。これは外務省予算でございますので、外務省その他関係方面とよく連絡した上、肥料等にこの援助費が活用されるように運んでいきたいというふうに考えております。
  81. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 尿素の場合、国内の設備能力、生産規模は大体四百万トンでございますね。国内消費が大体百五十万トン前後、中国への輸出が大体百万トン。今度二割カットしまして四百万トンの二割——尿素の場合は四割ですね、アンモニアの場合は二割。どうでしょうね、業界がいまこの過剰設備投資に対してみずから体質改善をしようというその中で、いまおっしゃられた対外援助費あるいは食糧増産の特別援助等を含めて、推定でも結構ですから、大体それで五十三肥料年度は賄える、こういうように推定ができるのでしょうか、いかがでしょうか。
  82. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 非常にむずかしい御質問でございます。肥料の内需につきましては想定はかなりな正確さをもって想定することが可能でございますけれども、ところが特に尿素の場合には輸出に非常に大きく依存をしておる、嫡出依存度が六、七割というようなそういう状況でございます。そういたしますと、輸出がどれくらい伸びるかということは、われわれとして自信を持って推定するということはきわめて困難でございます。一つには円の相場がどういうふうな動きをするかということもございますし、それから輸入する各国の為替事情、外貨事情がどういう状況にあるだろうか、あるいは自給度がどのように進展するであろうか等々きわめて不確定な要素がございますので、業界で考えておられる二割ないし四割の設備廃棄をすれば需給は果たして均衡するであろうかということに関する自信のある答弁を現段階ではいたしかねるような状況でございます。  なお、この辺につきましては産業構造審議会におきまして各方面の意見をよくお聞きしたいというふうに考えております。
  83. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 私も実はそう思うのです。恐らくそういう答弁だろうというように理解をしています。なぜかといえば、円高の圧力が相当加わるというふうに私は見るわけですよ。それから中国が尿素の生産を今度十四基新規増設するという話も聞いております。こうなってまいりますと、二割ないしは四割の生産規模の縮小ないしは停止、凍結が可能かというと、とても私は自信がないのではないか。業界の側でも自信がないのではないか。結果的にはそれらのものはやはり国の政治政策に求めざるを得ないという状況に私は陥ると思うのです。そうなってきますと、いま当面五十三年度予算では、先ほど御説明がありましたように対外経済援助費ないしは食糧増産特別援助の中に吸収されざるを得ない。そこで多少のコントロール、調整機能というものを国の政策として行わざるを得ない、こういうように推定されるわけです。  そこでお聞きしますが、食糧増産特別援助は昨年度六十億円ですね。いまの御説明で約半分と言いますから三十億円が肥料に充てられた、こう見てよろしいと思うのです。今度どうでしょう、いまの御説明で百三十億円になりました、こういうお話ですが、約半分と見まして六十五億前後を見込んでよろしいのでしょうか。さらに先ほどの対外無償援助は二百四十億、昨年度は教育の材料であるとか医療機械であるとかいうところにありましたが、今度三百九十億と、プラス百五十億ですね。この百五十億が、私の聞いているところでは小棒であるとか合繊であるとか肥料、いわば日本の構造不況産業の一つの脱出の窓口といいましょうか、方向として位置づけられているというふうに聞いているのですが、これは確かでしょうか  同時に、その面五十億円のたとえば丸棒に、小棒に、合繊にあるいは肥料にというそういう案分の基準等がもし話し合われておりましたらひとつお聞かせ願いたいと思います。
  84. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 まず食糧増産援助百三十億円のうちどの程度が肥料に向くであろうかということにつきましては、これは援助を受け入れる国の側の選択によるわけでございまして、その受け入れ国が一体肥料を買うか農機具を買うか農薬を買うかという選択は、受け入れ国側にゆだねられているわけでございます。したがいまして、そういう仕組みになっておりますので、われわれといたしまして、一体肥料がどの程度になるだろうかということの推定は困難でございますが、ただ昨年の比率が横滑りでいくであろうという仮定を立てれば百三十億の半分程度とか、そういうことではなかろうかと思いますが、自信を持ってこうだと言うことは相手国の意思によりますので申し上げかねるわけでございます。  それから次の、無償援助の百五十億の内訳でございますけれども、これにつきましては、私、基礎産業局長の立場からはお答えいたしかねますので御容赦をいただきたいと思います。
  85. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 大臣、いまお聞きのとおりでございます。私は、今日の構造不況産業と言われる小棒、合成繊維、肥料にその一つの調整の窓口をお求めになった政府の政策はやっぱり時宜に適しているというふうに思うのですよ。問題は、総体の対外援助費が多いか少ないかという問題もございましょう、あるいはその発展途上国が必要とするものにわが国のそういう援助が合致するかどうかという問題もありましょう。が、しかし日本の場合には総体としてこれほどのオーバーフローの状態になっているわけでありますから、それが今日日本が持っておる経済力からして、発展途上国に国際的な経済的な寄与ができればこんないいことはないわけであります。どうでしょう、大臣、この面の傾向、こういう施策というものを今後もお続けになる意思がおありでしょうか。
  86. 河本敏夫

    河本国務大臣 肥料は構造不況業種の一つでありますが、これに対する抜本的な対策は、やはり過剰設備の廃棄、先ほどから何回か議論が続いておりますが、これにあると思います。今度通産省が中心になりまして構造不況業種対策の緊急立法をいま進めておりますが、その中心はやはりこの過剰設備の廃棄、それに対して政府もお手伝いしていこう、こういう考え方でございます。まずそれをやりませんと、すべての問題は前進しないと考えております。  それから、あわせて一般的な景気対策、需要の拡大ということも大きな課題であります。しかしながら、同時に小棒とか肥料とか農機具、繊維、こういう種類の商品につきましては、あるいは一部食糧等もありますが、こういうものにつきましては、発展途上国から非常に強い無償援助の要請が来ております。私は、日本が現在世界に置かれておる立場から考えまして、こういう発展途上国からの無償援助についての要請というものはできるだけ拡大すべきである、こう思っております。むしろことしの予算でも少ないくらいだ、こう思っておるわけでございますが、これは将来とも拡大する方向に当然持っていかなければならぬと思います。
  87. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 そのとおりだと私も思いますので、一層の大胆のこの辺の施策の発展を期待いたしたいというように思うわけです。  いま大臣のお話にもありましたが、今度新しく不況業種に対する特別措置法の立法があるということですが、どうでしょう、いま平電炉であるとか段ボールであるとか、一般的に不況業種と言われておる代表的な産業があるわけですが、肥料の場合、この不況業種の対象業種になるのでしょうか。
  88. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 私の方といたしましては、不況業種の対象にしていただきたいと思っております。
  89. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 不況業種の対象になりますと、私が申し上げるまでもなく、あらゆる面での政府の誘導的政策が強くなり、同時にまたそれが業界全体の明るい見通しを得られる状況もつくるわけでありますから、せっかくひとつ肥料産業に対しては対象業種になるように御努力をいただきたい、こう思うわけです。  そこで、労働省に雇用政策動向についてお聞きをしますが、こういう設備廃棄ないしは凍結という状態の中で、御多分に漏れず、これらの企業、産業は大変余剰人員を持っているわけであります。どうでしょう、化成肥料とアンモニア系、尿素を含めてですが、直接携わっておる労働者の中で、もしこれらの計画が進むとなると、どのくらいの余剰人員が出るでしょうか。簡単に数字だけで結構ですからお示し願いたい。
  90. 白井晋太郎

    ○白井説明員 お答えいたします。  私の方の業界その他の調べでは、高度化成肥料関係で現在従業員が約九百六十名おられるというふうに聞いておりますが、いま先生のおっしゃいました設備能力の二〇%廃棄その他によりましてどれくらいの余剰人員が出るかということは、まだ計画がはっきりいたしておりませんので、今後関係官庁と連携をとりながら把握してまいりたいというふうに思っております。
  91. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 いまお聞きのとおりの計画ですから、相当余剰人員が出る、しかもそれが多角的ですから、そこで吸収されていけばいいのですけれども、吸収されない要素も出て、これは失業者ということになるわけです。私はその都度報告を求めますので、ぜひとも労働省もこの分野に対する調査を私どもに御報告いただきたい、こう思うのです。  いま通産省としてはできる限り不況対象業種にしたい、こういうお話です。今度の高度化成の答申を見ましても、たとえば労働者対策は特別に配慮し、不幸にして離職者を生ずる場合には、政府において、雇用保険法等による各種援護措置を重点的に活用し、雇用安定に組織的に取り組むという答申を出しておるわけですね。どうでしょう、不況業種に指定をされた場合に、私は離職者臨時措置法が即連動するとは思いませんが、この場合にはいわゆる離職者法の適用労働者、このように労働省としては把握をされますか。いかがでしょうか。
  92. 白井晋太郎

    ○白井説明員 お答えいたします。  いま先生のおっしゃいましたように、即連動するということにはなりませんが、しかし特定不況産業に指定されました場合には、特定不況業種離職者臨時措置法におきましても、第一義的には通産省がされます国の施策としての事業に対する施策、それを通じまして事業主に援助が行われるということの判断等が出た場合には、前向きに検討してまいりたいというふうに思っております。
  93. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 高度化成についても、いま言ったように雇用安定については組織的に取り組む、しかもそれは前提条件として「雇用保険法等による各種援護措置を重点的に活用し、」こう出ておるわけです。この文面からいっても、私は通産省の意を受けるまでもなく、ここから排出される失業者は離職者法の適用になる、こういうふうに思いますが、いかがでしょう。
  94. 白井晋太郎

    ○白井説明員 離職者臨時措置法上は政令で業種指定をすることになっておりまして、第一義的には事業官庁が国の施策がその業界に対して必要であるということで行政指導その他の措置を行うということによりまして離職者が発生するということで、通産と労働と合議の上指定するということになっておりますので、通産省のそういう意向があれば、当然前向きに推定の方向検討されるというふうに、労働省の方でも理解しております。
  95. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 いみじくも大臣も、肥料は不況業種であると即言葉に出るわけですね。恐らく平電炉あるいはアルミ、続いて肥料、これは完全な不況業種ですから、いま言いました答申を受けるまでもなく、そういう構えで労働省はひとつ対処していただきたい、こう思うのです。  最後に一つだけお聞きしますが、こういう状況でありますので、昭和五十四年六月までの時限立法になっております肥料価格安定等臨時措置法、これは私は当然延長されるべきだというふうに思いますが、通産省の方の御意見を聞きたいと思います。
  96. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 肥料産業を取り巻く産業組織はかなりの特色を持っております。一つは、まずその需要サイドでございますけれども、需要サイドは全農という非常に巨大な団体がございまして、需要独占というような産業組織になっておるわけでございます。第二番目には、先ほども申し上げましたように、輸出に対する依存度がきわめて大きくて、しかもこの輸出市場は非常に不安定である、こういうような形態を持っておるわけでございます。それから今度は供給サイドでございますが、供給サイドにおきましては、高度化成に関しましては輸入圧力が働き出しておりまして、この輸入の動向が、場合によってはダンピング的な動きをとることもございまして不安定であるという問題がございます。それから供給業界全体といたしましてきわめて過当競争的な体質を持っておる、こういう状況でございます。  こういう全体の状況をながめて、肥料の需要及び供給に関する産業組織がいかにあるべきかということは、これから産業構造審議会の審議も経た上で慎重に考えていきたい。現段階におきまして、通産省といたしまして一方的に考えを述べるということは、まだ時期尚早ではなかろうかというふうに考えております。
  97. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 慎重な答弁ではありますけれどもね、いま申し上げましたように特に構造不況として深刻な状況にあるわけですから、安定措置を含めて、これは大臣、ひとつ見解をお聞きをしたいというように思うのです。  いま不況業種の対象、臨時措置法の対象になることもさることながら、全般的なこの業界不振に対して、あるいは構造改善に対してどういう決意をお持ちなのか、大臣の所感をひとつお聞きしたいと思います。
  98. 河本敏夫

    河本国務大臣 いま局長が申し述べましたことは、全部きわめて困難な状態にあるということであります。業界全体がすべて困難な状態にある、むずかしい問題がたくさんあるということを申し述べたわけであります。むずかしい問題がたくさんあるわけでありますから、それに対処するためにはやはり何らかの対策が必要であると思いますが、しからば具体的な対策は、いまここで言いますと、これはまた時期尚早だと思いますので、関係方面とよく相談をいたします。
  99. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 終わります。
  100. 中島源太郎

    ○中島(源)主査代理 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時三十二分休憩      ————◇—————     午後一時三十三分開議
  101. 中島源太郎

    ○中島(源)主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  通商産業省所管について質疑を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。栗林三郎君。
  102. 栗林三郎

    栗林分科員 約四百万存在していると言われておる小規模企業者は、より大きな規模の事業者に比べて信用力等の面で不利な立場にあるから、政府は商工会や商工会議所が行うこれらの企業に対する経営改善普及事業に国民金融公庫の融資制度を組み合わせて、これらの経営改善普及事業を金融面から補完しようとして昭和四十八年に創設をいたしました無担保、無保証人で低利で融資するいわゆる小企業等経営改善資金融資制度に基づいて、五十三年度の予算には、前年度に比べますと約八・五%増の五千百億の資金が計上されておるわけであります。私はこの機会に、この制度の運用並びに融資消化の実績等についてお尋ねしてみたいと思います。  まず五十二年度の実績からお伺いしてみたいと思います。五十二年度の予算資金量は四千七百億円でありましたね。この四千七百億円の第三・四半期までの消化率はどうなっておりますか。第三・四半期までの数字はあろうかと思いますので、これをひとつお答え願いたいと思います。
  103. 岸田文武

    ○岸田政府委員 いまお尋ねのございました小企業等経営改善資金の五十二年度の貸付状況は、四月から十二月までの間で二千五百四十六億円でございす。これは前年同期と比べますと約一四%増しということである程度の伸びを示しておりますが、ただいまお話のございましたように、五十二年度の貸付予定規模は前年に比べまして非常に大幅に増大をいたしましたこととの関係もございまして、消化率といたしますと、第三・四半期までの間で五四%というふうになっております。
  104. 栗林三郎

    栗林分科員 第三・四半期までの消化率が五四%、いま、資金量がうんとふえたから、したがって消化率も少し下がっておるというような弁解を含めての御答弁でありますけれども、それなら、五十一年度の同期に比して一体どういうような状況になっていますか。——私の方から申し上げましょう。昨年も私はこれについて執拗に質問をいたしました。昨年の同期は、それでも消化率は六四%と私は伺っております。六四%の消化をされておったわけです。それが五十二年度はずっと下がって五四%、これでは予算資金量をふやしてもさっぱり役に立たないと思うのですが、一体、残されたあとの第四・四半期にどれだけの消化実績を上げることができますか、ひとつお答え願いたいと思います。
  105. 岸田文武

    ○岸田政府委員 従来のいわゆるマル経資金の消化実績を見ますと、四十八年度、四十九年度、五十年度、これはほぼ一〇〇%の消化をいたしておりましたものが、五十一年度から若干低下の傾向に入り、五十二年度で、いまお話に出ましたようなところへ行っておるわけでございます。ただ、そうは申しますものの、このような実績の背景には、一方で枠が伸びたという事情もございますが、そのほかにさまざまの経済的な要因もあろうかと思います。  これからの見通しでございますが、一方で、やはり不況下における後ろ向きの資金需要が依然としてある程度の水準続くであろう、さらに、それに加えまして、今年一月一日からこのマル経資金の貸付条件の大幅な改善を行いました。お耳に入っているかとも存じますが、運転資金につきまして貸付限度を従来の百五十万円から二百五十万円に引き上げる、また、貸付期間につきましても従来の二年というのを二年半まで引き上げる、こういうような措置を講じた次第でございまして、いわば使う方々のために少しでも有利な条件をということで、いま申し上げましたような措置を実現した次第でございます。こういうような措置が浸透するにつけまして、消化率の方は次第に上がっていくであろうと思っておるところでございます。  年度末までにどの程度までいくかということでございますが、大体七〇%程度の消化は可能ではないかと思っておるところでございます。
  106. 栗林三郎

    栗林分科員 五十一年度の際には、私どもの分科会質問に対してのお答えであったか、あるいは事務当局から直接お返事いただいたのかは定かではありませんけれども、しかし皆さんの方からお答え願ったことは間違いないんだ。その際に、かなり消化率が悪い、したがって年度末の消化はかなり未消化が出るのではないか、こういうように私お尋ねしてあるんですよ。それに対して、九〇%ぐらいの消化率は何とか見通しが立つ、またそれまで努力をする、こういうお返事が返ってきているんですよ。私も少なくとも九〇%ぐらいはこの資金をぜひ消化してほしい、そういうように思っておったわけでありますが、残念ではありますが九〇%はこれは私をだますお答えであったようでございます。私は全く素人でございますので、あなた方に言われればそのとおり信じ込んでしまうわけです。しかし、いまになってみますと、五十一年度はわずか七九%という低い消化率にとどまっておるではありませんか。この数字間違いありませんか。
  107. 岸田文武

    ○岸田政府委員 五十一年度につきましては御指摘のとおりでございます。
  108. 栗林三郎

    栗林分科員 この制度は、いまさら私が申し上げる必要はないと思いますが、無担保で保証人も要らない。無担保、無保証人で融資するものであります。しかも低利の資金。平俗な言葉で言うなら、小企業者にとってはのどから手が出るほど欲しい、希望する、彼らにとっては非常に需要の強い資金であろうと思うのであります。それが、なぜこのような未消化状態に置かれておるのか。五十一年度は七九%、今年度は長官のお答えのように七〇%程度だ、こういう見通しです。その理由などひとつ検討されておられるでしょうか。ただ資金の拡大ということだけでは私は納得がいかない。また、今度は限度を百五十万から二百五十万に広げる、それだけでは私は納得がいかないのであります。これほど需要の強いはずの資金がなぜ未消化になっておるのか、その根本原因。もうこの制度がしかれて四年、五年になるでしょう。予算措置をとられてから四年ですか。今日、根本的にこの内容検討する必要がある。少なくともその要因は何か、要因をよく検討する必要があると思うのです。また、その要因をきわめて、さらにこの融資が拡大する、そういう施策を積極的に考えていかなければならないではないかと思うのですけれども、なぜこうなっておりますか、その要因についてもう一遍ひとつ長官のお考えを聞かせていただきたい。
  109. 岸田文武

    ○岸田政府委員 このマル経資金の制度は中小企業の強い声を受けて発足した制度でございますから、私どもとしても、本当に喜んで使っていただけるようにするということが大切だと思っております。なぜそれにもかかわらず未消化が起こっているのかということ、いまになって振り返ってみますと、やはり二つの要因があるような気がいたします。  一つは、枠全体の問題でございます。消化実績自身は、先ほども申しましたように前年度と比べますと一四%程度伸びておるわけですが、それにもかかわらず達成率としては下がっている。これは、年度の初めに一体どの程度の見通しを立てるかという際に、私どもは、これだけ不景気が続いたので景気も多少は明るさが出てくるだろう、明るさが出てくると中小企業の設備投資はわりあい足が早いものですから、そういうような資金需要に十分こたえられるだけの枠を用意しておくことが必要だろうと思いまして、前年度三千五百億円の枠であったものを思い切って四千七百億円までふやした、この辺の見通しが多少甘かったという面はあろうかと思います。  それから第二の要因としましては、いまの見通しの問題とも関連があるわけですが、やはり中小企業の方で本当の意味での資金需要の盛り上がりが不足をしておったということが言えるかと思います。設備資金につきましては、御承知のとおり新しい設備を入れるというような雰囲気でない。それから運転資金の方も、後向きの運転資金についてはある程度の需要があっても、本当の前向きの運転資金というところまで至っていない。こういう事情が、これはマル経だけではなくて一般の中小企業全般についても起こった事態でございます。似たような制度でございます国民金融公庫の普通の貸し付けにおきましても伸び率ははかばかしくなかったというような経緯からも、この間の事情がうかがわれるように思います。  いま申し上げましたような二つの点が主な要因であろうと思いますが、私どももこの制度を少しでもよくして、そして中小企業、特に零細な方だが利用しやすくするということのために努力をし、それがうまく実れば一層消化率も上がっていくだろうと期待をしておったわけでございます。先ほど一月一日からの運転資金の貸付条件の改善のことを申し上げましたが、そのほかに、昨年の秋に従来貸付利率が七・〇%でございましたのを六・八%に下げてございます。こういったことも、いま申し上げましたような意味合いで御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  110. 栗林三郎

    栗林分科員 昨年は分科会の際に、不況であるから設備投資に対する意欲等が非常に少ない、そこから資金需要が減退しているということが一つの理由として述べられて、私はこれに反論したわけでございます。いま長官のお答えによりますと、明確にそう言ってはおらないが、盛り上がりが少ないという話でございます。不況による設備意欲の停滞をまずお考えになっていらっしゃると思うのですよ。しかし私の言いたいことは、大都市と地方はうんと違うということです。大企業と中小企業、特にこの制度の対象となっておる企業は中小じゃないのですよ。零細な小企業の皆さんです。ですから、そういうような零細な小企業の事業経営を一律に判断するということは、私は誤りだと思う。一般的に不況でありますから、やはり相当慎重な構えで求める人も資金を求めると思います。しかし小企業の皆さんは、いつでも資金が足りなくて困っておる皆さんなんですよ。景気のいいときも資金が足りない、景気が悪くなったときでも資金が足りない。いつでも資金不足に悩んでおるのがこの制度の対象になっておる小企業ではないでしょうか。それですから、不況だから資金需要がないのだということで済まされない側面があろう、こういうように私は思います。このマル経資金の方はこのとおり消化率が悪いのですけれども、国民金融公庫の方はそうでないんですね、国民金融公庫の方は、幾ら資金をふやしても足りないようでございます。五十一年度に比べますと、五十二年度はかなり資金量がふえておる。その資金は、第三・四半期までの割り当ては全部消化されております。完全に消化されておる。そして年末には二千六百億程度の追加がされておりまして、これも消化されておる。さらに、特別枠から三百六十億ばかり、これを一般口の方へ繰りかえる、こういうようにしまして、約一兆四千億の一般口資金は完全消化なんです。足りないと言われておるのですよ。ですから、一方においては資金が足りない、それほど需要が強いんですよ。保証人も要らない、担保も要らない、しかも利率はかなり下げられておる。国民金融公庫は、昨年までは八・九%であったはずです。それがいま七・六%。それに比べると、ただいまの長官のお話ですと六・八%にするというのですから、非常にこれは利息の面でも、利率の面でも優遇されておる制度だと思います。その資金がこのとおり未消化だ。これはやはりその要因をしっかりとひとつつかんでいただきたい。調査をしていただきたい。その上で、ひとつ改善を図っていただきたいと思うのでございます。  私は、その要因の一つに——私、ここへ指導要綱を持っています。この要綱を見ますと、非常にこれはむずかしい。この要綱に基づいて、末端における会議所や商工会の経営指導員の皆さんが、熱心に指導されておるんですよ。私、その姿を何回か見ております。しかし、示されておる要綱が非常にむずかしい。指導員は、とても指導し切れないという悲鳴を上げております。それですから、この要綱を、もう少し簡便なものに緩和する必要があるではないかと思うのです。  その中の一つを申し上げますと、六カ月前から指導を受けているものでないと推薦することができないという規定が一つあります。これは昨年も私は取り上げましたけれども、そうしますと、いますぐ間に合わない。六カ月間指導を継続されたものでないと融資を受ける資格がないわけでしょう。手続というか、六カ月の指導を受けなければならぬ。六カ月の指導を受けて、ようやく推薦された、今度は国民金融公庫で同じような調査をするわけなんです。二重の調査が行われる。そうしてようやく融資を受ける。私は、六カ月も指導を受けなければ推薦されないというこの要綱、これは原則と書いてありますけれども、やはりこれが大きな要因の一つではないかと思う。  それからもう一つは、この要綱を見ますと、「経営指導員による経営指導に基づく設備、施設の近代化、」云々と書いてありますけれども、企業者の企業であるのか、指導員の企業であるのか、企業者の自主性がもっと侵される。そこまで企業に介入されると、企業者は自主性を侵されますから、やはりいやになると思うんだな。それですから、何とかこういう経営者の自主性というものは尊重する。長い間、その土地で商売をしておる方々ですから、お金がなくても、商売は長い間やっておるというその実績、その営業上の信用というものは、私は莫大なものだと思う。だからそういう信用というものをもっと高く評価されて、六カ月であるとか、あるいは必要以上にその企業に介入する指導は、この際改めるべきではないだろうか。そういうようにして、その要綱、手続をもう少し緩和する必要があるではないかと思いますけれども、この要綱緩和についてはどんなお考えですか。
  111. 岸田文武

    ○岸田政府委員 まず冒頭に、枠の問題でございますが、私どもは、従来は、希望する小規模企業者があれば、もう資金の面では御迷惑をかけません、そういうことを胸を張って言うために、資金の枠の拡大ということについて大きに力を入れてまいりました。しかしながら、いまになって考えてみますと、むしろ資金の枠の量よりは質の面、すなわち貸付条件等の面でもっともっと前進を図るということが大切であろう、こういうふうに考えまして、来年度、すなわち五十三年度の枠につきましては、冒頭お話しございましたように、五千百億円というわずかな伸び率にとどめた次第でございます。そのかわり貸付条件の改善を図るという点に力を置いたことは先ほど申したとおりでございます。  そこで、これの消化につきまして、貸付要綱等をもっともっとわかりやすく、また使いやすくする工夫をするようにという御提案でございますが、私どもも、考え方としてはそのとおりであろうかと思っております。ただ、お話の中で六カ月の問題についてお触れになりましたが、これは原則として六カ月というふうに私どもは理解をいたしております。従来から指導を受けてきて、相手の企業の内容がよくわかっておるという場合には、改めて六カ月の指導を要するというようなことは必要のない場合が多いかと思いますし、また、相手側の経営のそのときにおける状況に即して、必ずしも六カ月ぎりぎりまで待たなければならないというようなしゃくし定規なやり方をやらないで済む場合も大いにあるだろうというふうに考えられます。その辺は、現実の運用の問題として改善をしていきたいと思っております。  もう一つ御提案のございました経営指導員の指導の行き過ぎにわたることがあるのではないかという点でございますが、私どもはマル経制度をつくりますときには、むしろその前に小規模企業に対する経営指導の体制というものがあり、その体制を資金的に裏づけるためにマル経資金ができた、こう理解をしているところでございます。いわば経営指導員の体制とマル経資金とは裏表の関係にあるわけでございまして、これを切り離すわけにはまいらないと考えております。ただ、そうは申しますものの、経営指導のやり方が余りに干渉的になるというようなことがあってはいけないわけでございます。しかし、私自身が商工会なり商工会議所に参って、いろいろ経営指導をやっておるところを見ておりましても、小企業の方々は往々にして、やはり経理の面での整理が不十分であって、どんぶり勘定のような経営をしておられる。それから労務の面でもルーズになっておられる。こういう点を手取り足取り、ある意味では親身に相談に乗りながら経営を改善するということが、長い目で見て小企業のために役立つ場合が非常に多いのではないかと思っておったところでございます。行き過ぎになってもいけませんが、やはり必要なことはやってあげる、小企業のために指導を行うというような体制をうまくやっていきたいものだと思っておるところでございます。
  112. 栗林三郎

    栗林分科員 時間がありませんから、これ以上、この場での質問はむずかしくなりましたが、利率の点につきましても、これはもう大幅に金利は下がっているわけです。ここで私は、その約定金利なども取り上げて、この利率が非常に安いです。安いけれども、これがほとんど据え置きでしょう。国民金融公庫は八・九%から七・六%に引き下げられている。いずれも利率は下がっているわけです。それを今度からようやく六・八%にする、こういうお話でございます。これは据え置きなんです。据え置きをしておる利息は恐らくこの資金くらいではないですか。いま約定金利を調べてみますと、銀行関係では六・八%、これは十二月の数字ですから、もっと下がっています。相銀で七・七%、信用金庫ですら八・四%、さらにまた下がっております。こういうように低金利時代ですよ。政府資金の中でも国の場合はうんと下がっておる。この資金については据え置きのまま、六・八%であります。私は、利率の点につきましても、これは融資制度でありますから、この種のものについてはさらに一段と考えてもらいたい。それから、設備運転資金の枠でございますけれども、二百五十万では何ともならない。少なくとも五百万程度の枠でないと、実際資金を効率的に使うことは私はできないと思う。もう少し資金の枠を拡大すべきである。さらに返済期間等についても、少なくとも国並みに考慮すべきではないかと思います。  最後に私は大臣にお尋ねしますが、いま金融機関においても無担保無保証の庶民、小企業向けの融資制度をどんどん開発して実施をしておるのです。政府の行っておる経営改善融資制度も、皆さんのどから手が出るほど非常に需要の強い融資のはずでございます。それなのに、期待に反して多くの未消化が出ておるこの実情は、まことに残念でならないのであります。したがいまして、単なる企業の指導だけではこれはいけないと思う。本省の皆さんがその原因を追求するために直接現場に飛び込んでもらいたい。現場に飛び込んでその理由、要因を詳しく調査をし、そうして改善を図っていただきたいと思います。その場合には指導員の待遇改善も当然考えなければならないでしょう。第一線に活動しておる彼らの待遇改善、さらに彼らに対する指準教育の面も十分配慮しなければならないのではないでしょうか。そういうような改善を図って、小企業の皆さんから本当に喜ばれ、歓迎される制度に大改革をしていただきたい。大臣の所信をひとつ承っておきたいと思います。
  113. 河本敏夫

    河本国務大臣 この制度は、御案内のように毎年内容を改善してまいりました。たとえば全体の金額も毎年のようにふやしておりますし、貸付金額、貸付条件、これも毎年のごとく改善をしてまいりました。それからまた貸し付けの対象も、特に五十二年度からは飛躍的に拡大いたしております。いろいろ工夫をしてまいりましたが、現在それでは完璧かといいますとまだまだ完璧ではございませんし、いま御指摘のような幾つかの問題点が残っておることは事実であります。しかし、小規模企業の経営の現状等を考えまして、どうすれば一番実情に合った内容にすることができるか、そういう点をさらに引き続いて研究をいたします。  それから、経営指導員の問題についても御指摘がございましたが、これも重要な点でございますから、数をふやすことあるいはまた待遇を改善すること、それから再教育、こういう問題にも積極的に取り組んでまいる所存でございます。
  114. 中島源太郎

    ○中島(源)主査代理 三谷秀治君。
  115. 三谷秀治

    三谷分科員 中小企業振興事業団の貸し出しております高度化資金の運用がはなはだしく乱脈をきわめておる事実があります。時間の関係がありますから、この事実関係の確認から最初にやりたいと思います。  一つは、山口県下松市に鶴松鉄工協同組合というのがあります。四十八年十二月二十五日に設立をいたしまして、出資金は百四十万円であります。事業内容は鉄工関係企業の共同工場建設、雇用安定のための従業員宿舎の建設、この二目的になっております。これに対して、四十九年の六月七日に高度化資金二億一千四百万円を貸し付けました。無利子、二年据え置き十年償還であります。他に商工中金から六千万円が融資されております。これが、貸し付けをしまして二年足らずのうちに理事長企業が銀行の取引停止を受ける、組合員は脱退をする、行方不明者も出ております。こういう事件が起きましたが、この事実関係は御承知でしょうか。  それからもう一つは、熊毛製砂工業協同組合、これも下松市であります。これは昭和五十年一月七日に設立しまして、出資金は三百五十万円。事業内容は真砂土から山砂を採取する、そしてブロック工場を設置する、こういう内容になっております。これも五十年五月以降十月までの間に高度化資金三億九千七百七十万円、約四億でありますが、これを無利子、二年据え置き十年償還の条件で貸し付けております。これは貸し付け後一年もたたない間に理事長企業が銀行取引停止を食う、組合員の二名は脱退の予告をする、名前だけ貸したものだから債務の請求には応じられないというのが脱退の理由になっておる。この事実も御承知でしょうか。  三つ目には、山口惣菜企業組合、これは山口市にありますが、昭和五十一年の六月七日に設立をいたしまして、出資金は二千八百万円であります。事業内容は惣菜、仕出し、すし、弁当等の製造になっております。組合の直売店を設置する、こうなっております。これは昭和五十一年十二月に高度化資金一億一千二百三十万円貸し付けましたが、五十二年七月、貸し付け後わずか半歳にして事業不振で休業という状態に入っております。  もう一つは、山口商業企業組合でありますが、これは山口市にあります。五十二年三月二十五日に設立をいたしまして、出資金は二千万円であります。事業内容は湯田温泉に鉄筋七階建て、八千百平米、九十室のホテルをつくり、従業員宿舎を建設する、こういう内容になっております。三月二十五日に設立をしまして、わずか五日後の三月三十日には高度化資金土地購入費二億円を貸し付けしております。そして五十二年から五十三年にかけまして高度化資金建物設備費十五億五千万円を貸し付け予定になっております。これは無利子、二年据え置き十五年償還の条件だと聞いております。ただし、これは湯田温泉組合、それから山口の旅館組合が猛烈な反対を起こしました。何といいましても旅客が年々減少しておる。その中で近代化を迫られております旅館が、近代化、高度化の利子に追われておるのに、一般業者の金融と対比しますと金利差だけで十一億四、五千万円の差が出てくるそういう事業をやられたのでは、一般旅館は立ち行かないというのが反対の理由になっておりますが、この四つの案件につきましては、事業団あるいは中小企業庁は御承知と思いますが、その点はいかがでしょうか。
  116. 岸田文武

    ○岸田政府委員 お話ございました四つの案件のうち、まず鶴松鉄工協同組合、熊毛製砂工業協同組合の両組合につきましては、山口県が同和高度化資金を貸し付けをいたしました後に……(三谷分科員「時間がないから、御承知かどうか、間違っているなら間違っているということを言ってください」と呼ぶ)組合員の倒産等組合運営上重要な支障を生ずるに至ったと聞いております。  それから、山口商業につきましては、土地代の貸し付けを行った後に地元の旅館組合等の反対運動が起こりまして、その後進捗していないと聞いております。  それから、山口惣菜企業組合につきましては、貸し付けを行った後に組合の内部事情、公害防止をめぐる地元との調整問題等がありまして、いま休業状態に陥っていると聞いております。
  117. 三谷秀治

    三谷分科員 事実関係は大体確認されたようでありますが、なぜこういう事態が発生をするのか、これをお尋ねしたいのです。  貸し付けをしますときには、二億円以上ですと県と事業団が共同で審査をする。ですから事業計画等についても、あるいは組合員の資格等についても、十分な審査をされて貸し付けをするわけでありますが、そういう貸し付けをしました後わずか半年、一年、二年、一銭も償還をしていない間に倒産が出てくる。そして組合事業の休止が行われる。しかもこれは返済の条件が全くない。どぶに金をほうったような状態になってしまっている。どうしてこういう事態が発生をしたのか、審査はどのようにしてされたのか、これをお尋ねしたい。
  118. 岸田文武

    ○岸田政府委員 高度化資金を貸し出します場合には、事前に県において貸出対象についての診断を行いまして、企業のこれからの経営内容の予想あるいは資金計画等をチェックいたしました上で貸し出しをすることになっております。  なお、特定の案件、いま二億円以上とおっしゃいましたが、最近では、五億円以上について県の依頼がございましたときには振興事業団も立ち会うという措置を講じておるところでございます。  本件四件につきまして、県としてもその診断を行ったわけでございますが、どうも診断当時と経済事情の変化、あるいは組合内部における意見の不統一、場合によっては一部の企業が倒産をした、いろいろな事情が重なって本件のような事態に立ち至ったのではないかと推察をいたしております。
  119. 三谷秀治

    三谷分科員 最近は五億以上になったかどうか知りませんが、当時は二億以上が共同審査の対象になっておりましたから、その時分の事件であります。  そこで、いまいろいろおっしゃいましたけれども、事業団としては県に任せているんだというお考えなんですか。県が全面的な責任を持つものであって、事業団には何の損害もかからないというお考えなんでしょうか。それではいまおっしゃいました点については一般的な遁辞にすぎません。  これを見てみますと、問題点指摘しておりますが、組合員の実体がない。倒産しかかった企業を集めて金を貸してやるから名前を貸せ、こういう交渉によって組合ができていく。ですから中心企業が不渡りなどを出しますと、名前を貸して組合を形式的に構成をした人たちは、おれはそういう債務責任は負えないからごめんだと言って脱退する。  それから鶴松の場合で見ますと、共同施設をつくると言いながら共同施設になっていない。各企業が分割して管理している。たとえば従業員宿舎をつくるのに一億六百万円貸し付けておりますが、これは組合員のうちのB社とC社が分割管理しております。ところがその三分の一だけ利用して、三分の二はキャバレーやバーのホステスが入居している。要するに員外者が三分の二以上を占めてしまっている  それから、共同工場でありますが、これは建設費に二千万円、土地代に五千百万円貸し付けておりますが、これも共同施設ではなしに組合員のA社が管理運用し、二分の一を員外者に貸しておる。初めから全く目的外の費用として提供されておるという状態になっておる。  一体、この事業計画というのはどこで確認をされて、その保証をどこで求められたのか、お尋ねしたい。  それから熊毛につきましては、購入したはずの機械がない。これはいま倒産状態でありますから、償還問題で資産調査などを県がやったわけでありますが、買うたはずの機械がない。調べてみますと、これは三菱キャタピラの徳山営業所発行の六千九百万円のにせ領収証を出してきている。つまり機械は買っていない。あるいはブロック機械、ブル、ホイルという機械もそうでありますが、代金を払っていないから販売業者が引き揚げてしまっている。  こういう状態を見ておりますと、本当に事業をするという意思や計画で金を借りたのか、あるいはそうでなしにこれを適当に流用する意図をもってこの融資を利用したのか、全くこれは不当な貸し付けになっておりますが、事業団の方はこの事態について、貸し付けのときから何らタッチされていらっしゃらないわけですか。
  120. 岸田文武

    ○岸田政府委員 中小企業の高度化資金につきましては、都道府県において、高度化事業として実施することについて妥当であると判断された事業を対象に助成をするというたてまえになっております。この妥当性等について判断をするために都道府県では当該事業計画について診断を行うというルールで処理をいたしておるところでございます。振興事業団におきましては当該診断の結果に基づきまして、都道府県の意向を尊重しつつ、都道府県と協議して、都道府県に対する融資を決定するという処理方法がとられているところでございます。  なお、お話にもございましたように、特に主要な案件については、都道府県からの依頼によって振興事業団が都道府県の診断に参加をし、府県からの相談に応ずるとともに、必要に応じて意見を述べるというようなやり方をとっております。いま御指摘の二つの案件の中で、熊毛については振興事業団が診断に参加をしておるという形でございます。  いまいろいろ現実に問題が起きておるではないかという点の御指摘でございますが、当初診断をいたしました際には、一応計画として私どもの審査にたえるような形になっておりましたが、現実に仕事を始めてみますと幾つか問題点が私どもの耳にも入ってまいりました。この点は山口県において改善方の指導をしておるところであると聞いておるところでございます。
  121. 三谷秀治

    三谷分科員 熊毛につきましては共同審査をされたそうでありますが、これは出資金三面五十万円なんです。砂を取ってブロックをつくるという作業なんです。これに対して四億の融資がなされておる。出資額と比べましても余りにも非常識な処置ではあるまいかということは、だれが考えても出てくる結論であり、しかもいろいろな機械類が実際には買われていない。そういう状態が融資後わずか一年の間にあらわれてきたわけでありますが、この審査については一体どのような内容のものを確認されて、それについて貸し出しをすべきだという結論になられたのか、お尋ねしたいと思う。  それから鶴松につきましては二億一千四百万円でありますが、これは審査されていないわけでしょうか。そしていまのように県が主体性を持ってやったものだから、書面で問題を見て、事業団としては、こういう二億とかその他の金を右から左に貸与されるということなんでしょうか。その点は、事業団としてどういう内部的な検討がなされていくのでしょうか。
  122. 岸田文武

    ○岸田政府委員 振興事業団の事業は広範多岐にわたっておりますし、また全国各地に対象がございます。こういうことから、実質的には各都道府県において高度化事業の対象案件の内容を吟味をし、その審査を経た上で事業団に持ち込まれたもの、いまおっしゃる表現をとれば、書類審査によって貸し出しをするというのが通例でございます。中に、幾つかの案件について、都道府県で行う診断に振興事業団の職員が参加をするという場合もございますが、これはあくまでも府県の行う診断に協力をするという形でございまして、その診断の結果を受けて、都道府県がいろいろの総合判断をした上で、貸し出しをするかどうかを決定するという方式をとっておるところでございます。
  123. 三谷秀治

    三谷分科員 話を聞いておりますと大変無責任な話になってくる。一方、県の方の事情を聞きますと、県はまた逆なことを言っているのです。私が会いましたのは副知事でありましたが、県の意見としては、この資金の運営には問題がある、たとえば今回の山口商業の融資などについては、計画全体を再検討してみる必要がある、この融資の制度については、実質的な権限は中小企業事業団が持っておる、形式責任は知事にあります、高度化資金制度は問題が多くて国に改善を求めたい、こういうことを言っております。これは中小企業振興事業団がおっしゃるのとはまた全然違っている。私は、違っているのには一つの根拠があると思う。これはおっしゃいますように、市が副申をつけて県に出して、県から事業団の方に申請が来るわけでありますから、形式責任が県にあるということは成り立ちません。確かに県にも重大な責任がある。しかし山口県の場合は、これは県がそう言う根拠がある。  それは、山口県の場合におきましては実際の制度のたてまえとは違っている。違っているのは、山口県出身の議員さんたくさんいらっしゃいますが、この方々がこういう融資を受けました方々と非常な特殊な関係にある。ですから、上の方で話を決めて県に持ってきて、そしてこれを適用事業としてやってくれ、こういう県に対する押しつけが実際にはなされている。こういう行政の公平性に反することが行われてきているわけです。だから、山口の場合は県が言うことと事業団の言うことは食い違っている。県の方は、私どもは形式上の責任があるだけであって、事業団の方がこういうものを決めてきますと言っている。事業団が決めたんじゃない。県選出の国会議員の方がお決めになっている。知事をなさっている方もいらっしゃる。つい先般まで大臣をなさっている方もいらっしゃる。そういうところで話が決まって県に持ち込まれますと、県の方としては、これは自分の方の責任ではないということを言う、そういう根拠ができてくる。  ですから山口県を見ますと、人口比で見ますと二%にも満たない県で、高度化資金の貸付件数というのは全国比二五%という巨大な額に達している。私はここに問題があると思う。今度は大臣おかわりになりましたから、大臣に直接お尋ねしましても、この件につきましてはお答えができないと思いますが、こういうことがあれば、これは決して好ましいことではありませんし、そういう状態で審査もしないで貸し付けをするから、こういう問題が起きてくる。これについて大臣の所見をお尋ねしたいと私は思うのです。それから、会計検査院がお越しになっておりますが、会計検査院の御所見もお聞きしたいと思う。
  124. 河本敏夫

    河本国務大臣 私がこれまで聞いておったところによりますと、不正行為などは一切ない、このように聞いておったのでありますが、いま改めていろいろ事実を挙げて具体的に御指摘になりましたので、これはなかなか重大な問題だと思います。もう一回よく調査をいたします。
  125. 東島駿治

    ○東島会計検査院説明員 お答えいたします。  御指摘山口県下の高度化資金の貸し付けにつきましては、突然のお話でございましたので、私ども実態についてはまだ十分把握いたしておりませんが、ただいま先生指摘のようなことでございますと非常に好ましくない事態だと思いますので、私ども早急に調査し検討してみたい、このように考えております。
  126. 三谷秀治

    三谷分科員 大臣が、何らそういう不正がなかった、誤りがなかったというふうにお聞きになったとしますと、事業団の方でそういう報告を大臣になさっておったわけでしょうか。私がここで出しました資料は、全部県が調査した資料なんです。私が個人的に調べた資料は一つもありません。全部県からちょうだいした資料ですね、それをまとめまして、そこで一応わかりやすく整理をして差し上げたものであります。  ですから、たとえば熊毛製砂を見ますと、製砂プラントのために一億二千四百万円貸し付けております。ブル、ホイルのために五千百八十四万円貸し付けております。ところが資産の評価を見ますと、全部ゼロになってしまっている。評価をするものがなくなってしまっている。ブロック機械につきましても千七百九十七万円貸し付けておりますが、これも、いざ返済を求める段になって資産の評価をしてみますとゼロになってしまっている。一体このお金はどこに行ってしまったのか。にせ領収証がわかりましたのは六千九百万円でありますが、しかし行方不明になりました融資額というのはまだまだ巨額に達しておるわけであります。これは熊毛でありますが、熊毛につきましては、にせ領収証を発行しました件につきましては、目下詐欺横領で起訴中である。  それからもう一つ鶴松でありますが、鶴松も熊毛も専務理事が同一人であります。この同一人はさらに詐欺罪及び宅建業法違反で別件で起訴されている、こういう状態になっている。それから、さっき指摘しました山口惣菜でありますが、ここでは理事長が覚せい剤取締法違反容疑で逮捕起訴されている、こういう状態。そういう中でこういうふうな巨額の公金が貸し付けられている。しかもそれが、貸し付け効果が全くない。むしろそれは一つの便法としてこれを取り込むという状態の中でこれが倒産をする、組合が機能を失ってしまう。しかもこれは償還の能力が全くない。一体これはだれが責任を持つのか、この損失はどこが負うべきものか、そういう点についてどうお考えなんでしょうか。
  127. 岸田文武

    ○岸田政府委員 お話の中で鶴松鉄工協同組合及び熊毛製砂工業協同組合、これは現に仕事が厳しい状況になっていることに加えまして、実態を県の方で調査をしてみますと、いろいろ問題点があるということから、やはりこれについては何らかしかるべき措置が必要なのではないかと感じておるところでございます。  なお、山口惣菜に関しましては、なお県の方でいろいろ、これをどう持っていくかということについて検討もされ、指導もされるというふうな段階でございますので、私どもはその推移を見守っておるところでございます。
  128. 三谷秀治

    三谷分科員 もしも回収できなかった場合には、この損失の分担はどうなりますか。
  129. 岸田文武

    ○岸田政府委員 これはやってみなければわからない問題でございますが、形としましては、県で極力回収の努力を払っていただき、その中で半額が振興事業団に還流をするというような仕掛けになっているかと思います。
  130. 三谷秀治

    三谷分科員 結局この損失は、県と事業団が折半で補償する、弁済する——弁済になりませんけれども、負担をするということになってくるわけでありますが、そういう重要な要因を持つものを、県が決めたんだからとか、県が審査をしたんだからというだけで、何億の金がすぐに即時流れていくというようなことがこのまま放置されていいでしょうか。たとえばその一つの例で申し上げますと、山口商業企業などは、組合ができたのが五十二年の三月二十五日なんです。ところが、そのわずか五日後にはすでに二億円、金が流れていっている。こういうことがどうして起きるんだろう。組合をつくりましてから、少なくとも正式組合として申請をして、そうして許可を受けて貸し付けが下るまでには、三日や四日でできるものじゃありません。ところが、そういうことが現実にある。つまりここに何らかの裏面的な癒着といいますか、不正といいますか、不正といいましても、犯罪行為だけを意味するものじゃありませんが、不正常な行政行為といいますか、そういうものがあることはだれが見ても窺知できる。こういう状態というものが、結局はこういう問題を生み出してきている。これについてはもう時間がありませんから、さらに資料を請求しておりますから、請求した資料はください。いいですね。御承知ですね。
  131. 岸田文武

    ○岸田政府委員 資料の御要求、私どもリストをいただいておりますが、その中で出せるものについては協力をさせていただきます。
  132. 三谷秀治

    三谷分科員 大臣、どうですか。いま申し上げましたように、こういう状態でこういうずさんな資金の扱いをするということについて、このままの制度でいいでしょうか、どうでしょう。
  133. 河本敏夫

    河本国務大臣 これはもし事実とすれば、中小企業の高度化事業、国としての非常に大きな政策でありますが、この事業の遂行上ゆゆしき問題だと思います。会計検査院も至急調査をする、こういうことを言っておられますので、通産省でも調査をさせまして、その事実関係によりまして善処をしたいと思います。
  134. 三谷秀治

    三谷分科員 時間ですから終わります。
  135. 中島源太郎

    ○中島(源)主査代理 和田一郎君。
  136. 和田一郎

    和田(一)分科員 数点にわたって御質問いたします。  まず最初に、歩積み両建ての問題なんですけれども、大臣の方にお聞きいたします。実はいわゆるにらみ預金、歩積み両建てにつきましては、いろいろいままでも国会でも御答弁がございまして、大体伺っておるのですけれども、実は私、選挙区が栃木県でございまして、栃木県の私どもの党の組織で中小企業の実態調査をやってみたんです。そのときにこういう結果が出ましたので、ちょっと結論のところだけ読んでみます。これはあくまでも私どもの調査でございます。  歩積み両建て状況につきましては、「にらみ預金、歩積み、両建て等の拘束預金の銀行からの要求があった件数は二一・四%に達している。尚、借入額に占める拘束預金割合が三〇%未満が五〇%、三〇%以上が二二・四%もあり、常識では考えられない厳しさである。」これは調査しましたものをまとめたらこういう数字になりました。この点に対しては、もう中小企業の方本当に困っているわけなんですが、実は大蔵省にはきょうは電話をしておいたんです。おいでになってないようですから、大臣の方でこの点に対しての御所見をお答え願いたいと思います。
  137. 河本敏夫

    河本国務大臣 これは大蔵省の方から御答弁になるべき事柄でございますが、私も経過を若干知っておりますので申し上げておきますが、中小企業にとりまして——中小企業だけではありませんが、一般にこの歩積み両建て問題は産業全体に非常に大きな影響がございますし、特に中小企業にとりまして非常に大きな経営の圧迫になっております。大蔵省が中心でいろいろ指導しておられたわけでありますが、これを解消するようにいろいろ行政指導もしておられるようでございます。残念ながら、まだ十分な所期の目的を達成してないというのが現状だと思いますが、やはり大事な問題でございますから、引き続いて私はこういうことが解消されることを強く期待をいたしております。
  138. 岡崎洋

    ○岡崎説明員 内部の手違いかもしれませんが、銀行局の方で参っておりませんので、私がかわりまして、私が承知しておりますところをお答えさせていただきます。  歩積み両建てにつきましては、私ども大蔵省といたしましても従来から鋭意その是正方を指導しておるところでございます。特にいま先生のおっしゃいましたにらみ預金につきましては、むしろ銀行が直接明示的に相手に要求しないで、取引関係その他から暗黙的に、あるいは受けられる方自体の方の気持ちとしてそういう形となってくるというような点で、なかなか解決がむずかしいという点もございますけれども、そのにらみ預金も含めまして是正に努めておるところでございまして、先生の把握なされました事実等もまた御連絡を承りまして、極力今後とも努力させていただきます。
  139. 和田一郎

    和田(一)分科員 中小企業庁の方の御意見はどうですか、具体的にひとつお願いします。
  140. 岸田文武

    ○岸田政府委員 歩積み両建ての実態につきましては、御承知のとおり大蔵省において調査され、また公正取引委員会においても別途調査をしておられる。その数字は私どもの参考にさせていただいております。  実はそういう統計と離れまして、私どもも中小企業の方々にお目にかかっておりますと、やはりこの問題がかなり広く根を張っておるということをよく言われるところでございます。実感から申しますと、先生の御指摘になったような数字、あり得ることではないかというような気がいたします。ただ、大蔵省の方もこの問題について非常に精力的に取り組んでいただいておりますし、ひとつこの面では、一層大蔵省の方で御努力をいただきたいと思っておるところでございます。
  141. 和田一郎

    和田(一)分科員 ことしの二月三日の予算委員会での村山大蔵大臣のこれに対する御答弁には、数字ははっきり覚えていませんけれども、たしか一・三%ぐらいになったのじゃないかと思います、そういう、預金に対する数字がだんだん減ってきた、そしてこれもどんどん下がっておると思います、こういう御答弁なんです。ところが、私どもの、これはあくまでもこちらの調査でございますけれども、にらみ預金と歩積み両建てを合わせましても二一・四%、これはものすごく開きがあるわけなんです。こういう数字について、ちょっと長官から御意見をひとつ。
  142. 岸田文武

    ○岸田政府委員 私どもにいただいております資料をちょっと引用させていただきますと、大蔵省の方で、いわゆる狭義の拘束預金比率について毎年お調べになっておられますが、その数字を見ますと、昭和三十九年十一月には三二・四%でございましたものが、五十二年五月には六・二%にまで低下をしておる。ただ、反面で、拘束の手続はとられていないが、債務者が拘束されていると考えているいわゆるにらみ預金につきましては、大蔵省のアンケート調査、あるいは別途公取がやっておられるアンケート調査を見ましてもほぼ同様でございますが、約一〇%程度存在しておる、こういうふうな報告を受けておるところでございます。
  143. 和田一郎

    和田(一)分科員 これは相当大きな数字でございまして、予算委員会の大臣の御答弁も、これはまた数字が違うかもわかりませんけれども、しかし実態は、とにかく皆困っています。  そういうことで、確かに大蔵省のやる仕事かもわかりませんけれども、中小企業を守る意味で、ひとつ通産省の、そういう意味での、何といいますか、指導をもっと強力にお願いしたいと思うのですけれども、その点についてどうでしょうか。
  144. 岸田文武

    ○岸田政府委員 中小企業の方々を、やはりあしたの経営を考えてみますと、銀行は大事にしなければならないという立場にあるわけでございます。私どもも、もし問題があったら私どもなりに大蔵省なり何なりに取り次ぐよと言っておりますが、なかなか表にできにくい仕事かと思っておるところでございます。  私どもは、中小企業全般の金融を円滑にするという意味合いから、かねて大蔵省及び公正取引委員会に対しましては、この問題は非常に根の深い、むずかしい問題であることはよく承知しておるけれども、しかし非常に大事な問題なので、ぜひこれは、まげて努力をお願いしたいということを繰り返し申してきておるところでございます。また、今後ともこういう御指摘を受けたのを機会にお願いを続けていきたいと思っておるところでございます。
  145. 和田一郎

    和田(一)分科員 とにかく、銀行をおこらせるとまずいというからこそ、皆さん方の方で、ひとつがんばってもらいたいと思います。  もう一つ、制度融資に対してのいわゆる拘束預金の要求があるというわけです。これはいろいろな制度融資がございますけれども、銀行が肩がわりして貸すとか、または協調融資するとかというような場合、制度融資に対する拘束預金の要求は、にらみ預金で一六・七%、歩積み両建ての拘束預金が一四・七%にも達しているのですよ。この制度融資に対してまでもこういうことがあるということは、これはゆゆしき問題じゃないかと思うのですが、この点についてどうです。
  146. 岸田文武

    ○岸田政府委員 私も細かい事情はわかりませんが、いまお話を承って、とっさの印象としましては、せっかく制度融資をつくっておいて、それにさらに歩積み両建てがつくというのは合点がいかないような気がいたします。恐らく県の方でも、そういったことのないように、いろいろ御指導になっておられるのだと思いますが、もしあるとすれば、これはやはりもう一段努力をしていただいて、特に取引先の金融機関はおわかりになっておられるのですから、そことじっくり話をしていただくということが特に大切なのではないかと思っておるところでございます。
  147. 和田一郎

    和田(一)分科員 それはその借り主が銀行と相談しろということですか。
  148. 岸田文武

    ○岸田政府委員 むしろ、制度融資を実行し、恐らくは相当な金額の預託をしておられる県当局と金融機関との間で、じっくりお話をしていただくことが問題解決のために非常に役立つのではないかという気がいたします。
  149. 和田一郎

    和田(一)分科員 時間がありませんので、ほかに移りたいのですけれども、長官もこの実態について余りおわかりになっていないようなんです。県が預託しておくのだからおかしいじゃないか、そうじゃなくて、協調融資の場合もあるわけです。ですから、こういう点に対して中小企業庁としても実態を調査するお考えはございませんか。
  150. 岸田文武

    ○岸田政府委員 まず私、一遍県の金融担当者と会合する機会に、こういう問題が出されたのだけれども、本当にどうだろうかということを聞いてみたいと思います。その上でそれをどうするかということを考えさせていただきます。
  151. 和田一郎

    和田(一)分科員 それでは次に移ります。  次は、大店舗法のことに関する質問でございます。この質問についてはずいぶんの方がお取り上げになっているという話を聞いておりますけれども、私がお聞きしたいのは、地元のいろいろな紛争または問題をよく聞きまして、そうして自治体の方々と一生懸命話しておりますのを見ますと、その大店舗法の第三条の届け出、これは直接通産大臣の方に業者が届け出ることになっている。ところがこれは県知事の方は一切関係ないわけですね。そういうことなので、これはやはり県を通ずるような形はどうなんだろう、そこでやはり地元での意見も調整できるのだということもあるわけです。  もう一つは、一応地元との話し合いだとか、または大丈夫だという感触を得てから届け出るような形になっているらしいけれども、実質はそうではなくて、業者が自分で希望してぱっと先に届けてしまう、それから後で騒ぐというような形が多いんですが、その点に対して御所見はどうでしょうか。
  152. 山口和男

    山口(和)政府委員 現行の大規模小売店舗法によりますと、大規模店舗を建設いたします段階で、まず法律の第三条による届け出をいたしまして、それ以後、実際に出店をする届け出を第五条に基づきまして行うことになっております。そしてこの五条の届け出が行われますと、三カ月以内に通産大臣が周辺の中小小売商業への影響等につきまして審議会の意見を聞き、審議会はさらに商工会議所等の意見を聞きまして意見を出すわけでございますが、その上で勧告が必要な場合には勧告を発するという手続になっております。  地方自治体のこの間の手続面への関与につきましては、ただいまの審議会のもとで行われます商工会議所で編成いたします商調協での検討の中で、地方自治体の関係者も参与になっていただきまして参加していただくというようなことを実際上行ってきておるわけでございますが、地方自治体の関与につきましては、さらにもっと強化すべきではないかというような意見もございますし、ただいまいろいろ検討しておる中でこういった問題も含めて取り上げてまいりたいと考えております。
  153. 和田一郎

    和田(一)分科員 地元としては、三条申請はいわゆる戦闘開始のようなかっこうで見ているわけなんです。そして、それということであちらこちら人が走るわけですけれども、その前に一応いろいろな公的機関も入って調整をした方がいいのではないかということなんです。いま検討するとおっしゃっておりますから、その点ひとつお願いしたいと思います。  次は、いろいろケースがございますけれども、いまの大店舗法では、その店舗を出そうとするところの商工会議所または商工会と業者との話し合いということですね。ところが隣接には関係ないということになっています。例が幾つもございまして、一つの自治体の中で商工会議所と商工会がたくさん同居している場合がございます。大体その都市の中心地が商工会議所、そして近隣が合併されて商工会が一緒になって、こうあるわけです。その商工会の方の地盤に大店舗が来るという場合、この商工会というのはほとんど田舎なんですよ。しかしいわゆる市街地と紙一重のところにそういうのが出てくる場合に、現実にはその商工会よりも隣の商工会議所の区域の方が被害が多いといいますか、被害というよりも問題が多くなってくるのではないか。ところが現在の法律ではどうすることもできない。ですから、こういう場合、皆さん方が勧告等をされることがございますけれども、通産省としてお考えは、特に直接そういう問題になるところの隣のところもやはり一緒に意見を聞いてやるべきじゃないだろうか。現実問題としてそうなんです。わずか十メートルか十五メートルかぐらいの、橋を越したら隣の区域に入ってしまうということなんです。お客さんは全部橋を越して向こうへ行くわけですから。そういう点についてどうでしょう。
  154. 山口和男

    山口(和)政府委員 法律に基づきまして商工会議所または商工会の意見を徴して大臣が勧告等の決定を行うわけでございますが、そのもとで行われます商調協につきましては、その店舗の所在地の地区の商工会議所または商工会に設置される商調協において検討を行うということになっております。大型店の出店による中小小売商業者への影響が単一の商工会議所等の範囲を超えるような場合には、必要に応じて隣接の商工会議所等の意見を聞くというように、私ども通達等によりまして指導をいたしておるわけでございます。基本的にはどこかの単一の商工会議所あるいは商工会が責任を持って調整を図っていくということが必要でございますので、こういった意味で一応担当の商工会議所、商工会を決めるわけでございますが、問題が広がる場合には当然、周辺の関係のある商工会議所等の意見を十分取り入れて、調整を図っていくという運用をするように指導をしておるところでございます。なお、こういった広域商調協についての先生指摘のような御意見もいろいろございますので、ただいまの大店法の見直しの中でそういったものについて検討を進めてまいりたいと思っております。
  155. 和田一郎

    和田(一)分科員 指導をされるというのですけれども、具体的にどうなるのでしょうか。たとえば一つの商工会と大店舗が話し合いをしている。この商工会に対してお隣の意見を聞きなさいよという指導なんでしょうか。それとも一緒に合わせたところの協議会といいますか、それをつくって、そして話し合いをさせるというような指導なのか、具体的にどうなんですか。
  156. 山口和男

    山口(和)政府委員 現行のたてまえといたしましては、その所在地の商工会議所、または商工会に設けられた商調協で責任を持って調整をしていく、その意見を聞いていきます段階で、周辺隣接の商工会議所なり商工会等の意見を十分取り入れた形で調整を行っていくというやり方をやっております。先生指摘のような関係の商工会議所あるいは商工会等が一つの協議体のような形で検討したらどうかという点につきましては、いろいろ御意見のあるところでございますが、ただいま現行法ではそういう形になっておりませんので、法の見直しの問題の中でいろいろ検討してまいりたいと思います。
  157. 和田一郎

    和田(一)分科員 大臣、この問題はあちらこちらにもあるらしいのです。現実にはお互いに隣同士の商工会と商工会議所の間でももやもやがあるし、いたずらにただ商店街の方が大騒ぎしますので、いまの審議官のおっしゃったようなことだと思いますけれども、もう少ししっかりとした方向で両方の意見を聞くようにというような形で、何とか法的な措置はとれないものかどうか、御意見いかがです。
  158. 河本敏夫

    河本国務大臣 いま大店法の改正問題が起こっておりまして、いろいろ議論を重ねておるところでございますが、その場合にはいま御指摘のこの問題はやはりある程度取り上げて改正しなければいかぬと思っております。ただ現在は、いま審議官が申し述べましたような制度になっておりますので、そのように運営をしておりますが、要は問題を解決するということが、地元の話し合いをつけるということが大事でございますから、余り形式にとらわれないで、現実に効果が上がるような方法で、法の許す限度において運営をしていく、こういうことが望ましいと思います。
  159. 和田一郎

    和田(一)分科員 それでは次の問題に移らしてもらいます。  次は、繊維産業のことなんですけれども、これはまず大臣にお伺いしますけれども、円相場の高騰等によりまして、輸出関連繊維事業者は相当な影響を受けておりますので、これに対する対策をひとつ簡単にお願いします。
  160. 河本敏夫

    河本国務大臣 繊維は長い間の不況でございますので、幾つかの対応策をずっとこれまで進めてまいりました。そこへ輸出関係の中小企業関係の繊維は円高の打撃も受けております。この円高による打撃につきましては、この一月、国会の方で緊急対策を通していただきましたので、それに沿って必要な対策を進めております。
  161. 和田一郎

    和田(一)分科員 それじゃ具体的に聞いていきますけれども、長期にわたる不況に悩む繊維産業、特に産地に対する対策ですね、それに対してはどうでしょうか。
  162. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 いま大臣から申し上げましたように、繊維企業は長期不況に悩まされておりますので、一般的に短期の需給調整とかあるいは過剰設備の廃棄というふうな対策を進めているわけでございますが、お示しのように、繊維につきましてはそれぞれ産地を形成しているものが非常に多いわけでございまして、産地対策というものが必要になってまいっておるわけでございます。五十三年度から実は新たに産地振興対策といたしまして、産地組合及び地方公共団体に対しまして、産地産業の将来のあり方を含めましてそれぞれ地域業種の特性に応じました産地振興ビジョンや計画の作成を促すような補助金の交付も考えておるわけでございます。産地関連につきましては、さらに関連事業者の経営安定等に必要な資金の低利融資というふうなこともあわせて含めまして総合的な施策を推進してまいりたい、このように考えております。
  163. 和田一郎

    和田(一)分科員 繊維産業の設備共同廃棄事業をやっていらしゃいますけれども、その進行状況をお聞きしたいと思うのです。また、設備共同廃棄によって繊維産業の体質改善が図られていくかどうか、どういうふうにお考えですか。
  164. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 繊維産業の構造不況対策といたしまして、本年度から設備の共同廃棄事業を中小企業振興事業団の十六年無利子というお金を使いまして進めておるわけでございまして、すでに本年度におきまして、絹織物業、綿スフ織物業等四業種につきましてはすでにスタートいたしまして、相当織機の破砕も進んでおる、こういうふうな状況でございます。その融資につきましても一月中にすでに借り入れの申請を事業団に行っておる、こういう状況でございます。また五十三年度におきましてはメリヤス製造業あるいは短繊維紡績業等六業種につきまして事業を実施する計画になっておりまして、先般一月の末から二月の初めにかけまして当省及び都道府県等におきましてその具体的な計画の説明を受けたところでございます。今後とも関係の都道府県と協力いたしまして円滑な実施に格段の配慮を図ってまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  165. 和田一郎

    和田(一)分科員 この維繊産業、いろいろ聞きますと、非近代的な慣行に従って取引をやっているという、これはそちらでもよく御存じだと思います。一つ申し上げますと、歩引きというのがありまして、現金を払うときに一割なら一割引いて渡すとか、五分引いて渡すとかいうようなことが常識化している。では商売人同士だから引かれる分ぶっかけて、というわけにもいかない、お互いにやはり過当競争でございますから。これ一つでも解決つけば本当に助かるのだという声があるわけですね。そういうことで通産省の方もずいぶん御苦労されておるようなんですけれども、どうなんですか、現在の進行状況、その後のお考えを。
  166. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 お示しのように繊維につきましては、これは非常に古い産業でございまして、昔からの取引慣行というふうなものが相当定着をいたしておるわけでございます。したがいまして確かにお話のようないろいろな不合理な取引慣行があるわけでございますけれども、一朝一夕に改善することはなかなか困難であるということでございます。ただ私どもといたしましては、何とかこれを合理的な取引状態にしたいということで、五十一年の十月に繊維取引近代化推進協議会というものを設けまして、とりあえず繊維取引憲章という一つのビジョンを立てまして、あとそれの具体的な実行方法といたしましては、書面契約推進に関する行動指針等を作成しておりまして、本年になりまして実は本年の二月、きょうまででございますが、繊維取引近代化推進月間ということで非常にPRしてやっておるわけでございます。  ただ、そうはいたしましても、実際の取引は確かに力関係によるところが非常に多いものでございますから、基本的には、やはりその取引の基礎にありますところの力関係、あるいは古い慣行の基礎になっておりますもろもろの要因を除きませんとなかなかまいりません。しかも最終的には、その基礎にある過剰生産体質というものを解消しませんと、なかなか近代化も進まないだろうというふうに考えるわけでございますが、そういうふうな基本問題を解決いたしますとともに、こういうふうなあり方をやはりビジョンとして出すということも一つの必要な方法であると思いますので、私どもといたしましてはその方の推進を極力進めておる、こういう状態でございます。
  167. 和田一郎

    和田(一)分科員 具体的に繊維取引近代化推進協議会、これが活動されておるようでございますけれども、そういう慣行ですね、本当に近代化できるかどうかということは、これはどうでしょうか。
  168. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 いま申し上げましたように、非常に古くから定着いたしております関係でございますので、一朝一夕にはなかなかむずかしいかと思います。しかし、やはりその基礎にあります生産関係なり取引関係なりを近代化していきますにつれて少しずつよくなっていく、こういうふうに期待をいたしておるわけでございまして、その目標として近代化推進協議会の力を使いたい、こういうことでございます。
  169. 和田一郎

    和田(一)分科員 なかなか苦戦のようですが、よくなっておりますか、現在。
  170. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 その実態につきましてはなかなかむずかしい点がございますが、私どもとしては、最近の事態といたしましては少しずつよくなっているというふうに感じております。
  171. 和田一郎

    和田(一)分科員 時間がございませんので結論に入ってしまいます。次にいきます。  中小企業倒産対策緊急融資制度、これが現在行われておりますが、三月末までで一応おしまいということなんですけれども、これに対しての制度そのものの再延長、いま御検討されておるそうでございますが、この点についてはどうでしょうか。
  172. 岸田文武

    ○岸田政府委員 いまお示しの緊急融資制度は去年の四月からスタートしたわけで、その後十月に延長して三月までが一応の期限になっております。実績を見ますと、かなり使われておりまして、スタートしてからことしの一月までの十カ月間で八千五百八十四件、四百七十五億円の利用が行われておるところでございます。  これを延長するかどうかということでございますが、目下検討中でございまして、最終的な答えを申し上げるのは早いかと存じますが、御承知のような経済事情でございますので、これを三月で打ち切るというのはなかなかむずかしいのじゃないかという感じを持っておるところでございます。
  173. 和田一郎

    和田(一)分科員 もう一つですけれども、中小企業為替差損変動対策緊急融資というのがございますが、これについては、借りようとしても担保がなくて借りられないという中小企業者が多い。いままでもいろいろ何回も借りているわけです。本当にこれはもうありがたいのですけれども、担保の問題については困ってしまうということが多いので、この担保の問題について政府系中小企業金融機関をどのように指導しているかということをひとつお聞かせいただきたい。
  174. 岸田文武

    ○岸田政府委員 為替変動対策緊急融資の窓口は政府系三機関でございます。その中で国民金融公庫につきましては、金融が小口であるということ等の関係もありまして、従来から貸し出しの大部分が無担保で行われております。実績を見ますと、件数で九四・三%、金額では八七・八%が無担保貸し付けになっております。  それからもう一つ申し上げておきたいのは、これらの政府系三機関につきましては、担保を取るときに極力弾力的に行えということを指導いたしておりまして、担保として取る範囲であるとか、評価の仕方であるとか、こういった面では従来と比べるとかなり前進が図られておると思っておるところでございます。  なお、こういう異常の事態でございますから特に気をつけるように申しておきたいと思います。
  175. 和田一郎

    和田(一)分科員 以上で終わります。
  176. 中島源太郎

    ○中島(源)主査代理 小林正巳君。
  177. 小林正巳

    小林(正)分科員 大臣に最初の一問だけお答えをいただきましたら御退席いただいて結構でございます。  私も繊維問題をお尋ねしたいわけでございます。  今月の構造不況業種の中で、来年度大変積極的な大型の予算を組んでおりますが、繊維業界には余り関係がないわけでございます。そこで抽象的で結構なんですけれども、日本の繊維産業の将来を一体どういうふうに展望したらいいのか。拡大再生産といってもなかなか望めそうにもない。それじゃ均衡再生産なのか、あるいは縮小再生産の道をたどらざるを得ないのか。これは国際的な需給の関係もございますが、通産省として繊維業界の将来というものをどういうふうに展望され、またどのように繊維業界を指導されていこうとされておるのか、大臣からお考えを承りたいと思います。
  178. 河本敏夫

    河本国務大臣 一つは、繊維対策を進めていきます場合に一番大きな問題は、繊維関係の従業者が非常に多いという雇用問題であります。これをよほど気をつけませんと社会不安につながる、こういうことをまず基本的に考えなければならぬと思います。  それから繊維対策、ずいぶん長い間いろいろ工夫をしてきておりますけれども、要はやはり構造改善事業を進めるということだと思います。設備が相当余っておる、この構造改善事業を進めるということも抜本的な課題だと思います。ただ、近隣諸国からの追い上げがございますから、それだけでは不十分でありまして、やはり近隣諸国からの追い上げを避けてそして新しい道を切り開いていく、つまり高度の分野に進出していくということ、こういう方向転換もある程度必要だと考えております。  それから抜本的には、需要そのものが拡大をしなければなりませんから、当然その前提としての一般的な景気対策が必要である。一つの決め手はありませんので、いろいろなことを総合的に判断をしながら、雇用問題の非常に重大である繊維問題と取り組んでいきたいと考えております。
  179. 小林正巳

    小林(正)分科員 いま確かに大臣がおっしゃるとおりであろうと思うのですが、発展途上国の追い上げによって日本の繊維業界が大変苦境に立っておるという事実もあると思います。かつて日米繊維交渉のときの日本とアメリカの関係というものが今日では日本とその周辺の発展途上国との関係に置きかえられてきておる。量的な拡大も、それは望むらくはそうありたいわけですが、それがなかなかむずかしいとするならば、質的な拡大といいますか、付加価値を加えたところのトータルで拡大をしていくという方途があるのではないか。その場合にいまの発展途上国との関係、たとえば韓国その他と日本との国際分業の問題が今日でもある意味で必要になってきておるし、今後将来においてなおさらその必要性が出てくるのではないか、そういうふうに思うわけでございますが、大臣、いかようにお考えでございましょう。
  180. 河本敏夫

    河本国務大臣 国際分業といいましても、両国がそういうことを明確に決めるわけにもまいりませんし、決めてもそのとおり実現できるものでもありませんが、ただアメリカやヨーロッパの例を見ましても、やはり近隣諸国からの追い上げがあった場合には、いまお話がございましたが、付加価値の高いそういう分野に先進工業国は転換をしていかざるを得ない、やはりこれが筋道ではなかろうか、こう思います。
  181. 小林正巳

    小林(正)分科員 国と国との関係でそういうことを決めていくといってもなかなか実現性に乏しいということもよくわかります。それはむしろ他の国の業界との話し合いというふうな問題、そうした場合に政府がやはりサポートするというふうなあり方が望ましいのではないかと思うわけでございます。  大臣、もうこれで結構でございますから、御退席をいただいても結構でございます。  そこで、ひとつ具体的な問題に入らせていただきます。  繊維業界の不況といいましても、産地産地いろいろ種類によって高低があるわけでございます。その業種によってはそれほどこたえていないというところもありますし、もう致命的であるというところもあるわけでございますが、一つの例として兵庫県の西脇市を中心といたします播州織の産地でございますが、ここでは輸出比率が九〇%、その西脇市を中心としてあと一市一郡にまたがっておるわけでございますが、大体はこの西脇市というところで、この西脇市の総出荷額の七、八〇%は織物、こういうことになっておりますから、その地域においては繊維産業の好不況ということは死活問題であるわけでございます。  そこで、この西脇市の播織の場合はいわゆる先染という、言うならば特別な品目でございますが、それにしてもそういった商い輸出比率を持っておりますから、昨今の円高によって大変不安を招来しておる。大体は家族労働ないし近所の人を集めた家内労働が中心でございます。非常に広がりも広いわけでございまして、こういった先染の将来について、あるいは現況についてどのように把握をしていらっしゃるかお聞きをいたしたいと思います。
  182. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 大変具体的なお話でございますが、繊維産業につきましては、お示しのように産地を形成している場合が非常に多いわけでございまして、産地ごとにそれぞれ特色ある形で発展してまいっておるわけでございます。播州のいわゆる播織と称せられる地区につきましては、お話のように先染の特殊な、輸出に集中した産地でございまして、今次円高の直前ぐらいまでは、実は繊維産業全体が非常な不況の中に、特殊な地位を持っていたがゆえに輸出で非常に好調な業績を上げておった、繊維産業の中では特別な恵まれた事態にあった地区であるかと思います。それだけに今回のように円高になりますと、その反動といたしまして、先行き成約の困難性というようなことから非常にむずかしい問題が生じておることは御高承のとおりでございます。したがいまして、それをどう打開していくかという問題になるわけでございますが、当面円高対策といたしましては、中小企業の円高対策法等も御利用いただきまして当面のあれをしのいでいただかなければならぬかと思いますが、播織の先染は特殊な品物でございますので、これは品物をさらに高度化すれば十分に輸出競争力が持ち得るものであると私どもは解しております。  したがいまして、そういう方向でなお十分の道が開けると思っておりますが、しかしながら、一般に言いまして、産地全体の問題として全部が全部うまくいくとも必ずしも限らないかもしれません。私どもといたしましては、産地問題に対しましては、五十三年度予算におきまして特別の産地対策というものをとりまして、その中で場所によっては転換した方がいいものもあろうかと思いますので、そういうものにつきましては、転換のビジョンをつくるための費用の補助というふうなことも考えておるわけでございまして、あわせていろいろな運転資金あるいは設備資金等の総合的な対策というものも考えておるわけでございます。ただ、播織のような場合、現在なお十分に工夫次第でやっていけるのではなかろうか、こういう感じでございます。
  183. 小林正巳

    小林(正)分科員 大変前向きな目で見守っていただいておるということはわかりましたけれども、しかし、よかったといっても相対的によかったのであって、絶対的によかったわけではございません。やはり長期の不況と円高で経営的に大変困難を招いているところもある。そこで、産地の中でもそういったいろいろなばらつきがございますが、制度融資の返済に大変苦慮しているところもあるわけでございます。そうした企業に対して償還猶予というものを弾力的に考えていただかなければならないと思うわけでございますが、通産省としてどのようにお考えいただいておるか、お伺いいたします。
  184. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 織維産業につきましては、いまお話がございましたように、長期にわたる不況、円高等により全般的に非常に特に中小企業は不況に陥っているわけでございまして、政府といたしましては、従来から中小企業金融の三機関からの制度融資等につきましては、企業の実情に応じまして償還猶予等の返済条件の緩和を行うよう指導してまいっておりまして、今後ともこういう方向で徹底するように指導してまいりたい、このように思っております。
  185. 小林正巳

    小林(正)分科員 実情に応じてというのはどういうことでございましょうか。手続的にそれぞれの産地なら産地の商工会議所とかあるいは組合とか、そうしたところを通じて——なかなか通産省自体で個々の企業について把握するというのは不可能なことだと思うのですが、どういうふうなことで手続的に配慮されるのか。
  186. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 いま申し上げました返済条件の緩和につきましては、昨年の二月でございましたか、中小企業庁の金融課長と大蔵省の特別金融課長の方から各政府の三機関に対しまして通牒が出ておりまして、それで個別のケースについて極力寛大な、条件の緩和を図るようにという通達を出してあるわけでございます。それに従いましてケース・バイ・ケース、その実態を各金融機関の窓口で審査いたしまして返済条件の緩和を図る、こういうことに相なっておるわけでございます。
  187. 小林正巳

    小林(正)分科員 それでスムーズにいっておるのだろうと思いますが、先ほども出ましたように、やはり繊維産業というものはデザイン性とかファッション性とか、そういった付加価値の高いものをつくることによって伸ばしていかざるを得ないと思うわけでございます。  そこで、そういった新しい商品の開発センターといいますか、そうしたものをそうした産地に設置をする、これは受けざらの方の問題もあると思うのですが、そういう指導をすることによって、通産省としても低利融資といった条件の面でそれを促進していくという方向をとっていただかなければいかぬのじゃないかと思うわけでございます。そうした点について、どのような御用意があるのか承りたいと思います。
  188. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 いま先生のお示しのようなこと、まさにそのとおりでございまして、先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、日本の繊維産業は近隣諸国との競争上からも高付加価値のものに移行して、また日本の非常に高度な消費需要にマッチするためにも資本性の高い高付加価値のものへ移転していかざるを得ないと思います。そのためには、確かにデザインその他含めまして新しい商品の開発というのが何よりも必要であるわけでございまして、現行の繊維工業構造改善臨時措置法という法律によりまして知識集約化を目指した構造改善を推進することになっておるわけでございます。そのためには、その中核としての商品開発センターの設置を基本的な事業として遂行することになっておりまして、中小企業振興事業団から長期低利の融資により助成をしておるわけでございますが、現在のところ一般的な不況状態でございますので、それが思ったほど進んでいないというのも事実でございますが、基本的にはそういう方向でやっていくべきだと思いますので、その方向でさらに指導してまいりたいと考えております。
  189. 小林正巳

    小林(正)分科員 金利その他返済などの条件は  どういう条件でやられておりますか。
  190. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 商品開発センターの設置資金につきましては、中小企業振興事業団の融資条件といたしまして、貸付比率が事業規模の七〇%以内、金利二・六%、返済期間十六年以内、それからその運営資金につきましては、事業規模の七〇%以内の貸付比率で、同じく金利は二・六%、返済期間は七年以内、こういうことになっております。
  191. 小林正巳

    小林(正)分科員 これからの進路としてはそうした付加価値の高いものをつくっていかなければならない。当面は過剰状況でございますから、設備の廃棄をしておるわけでございますね。ところが、設備を廃棄して生産を落としても、一方で輸入がどんどん入ってくるということになるわけですから、これはイタチごっこになるのじゃないかというおそれもあるわけでございます。  そこで、繊維の輸入の実態は一体通産省として把握しておられるのかどうか、あるいは秩序のある輸入という問題についてどういう形で通産省が関与しておられるのか、その辺を承りたいと思います。
  192. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 繊維の輸入でございますが、昨年の実績から言いますと、実はふえておりません。対前年比横ばい程度でございまして、むしろ鎮静した形でございます。これは繊維産業全体が不況状況でございましたので当然でもあるわけでございます。ここで設備廃棄等が進行します際に、国内の生産がしぼられた際に輸入が増大してくるということは論理的に考えられるわけでございまして、またそういう気配がないとは言えないわけでございます。しかしながら、現状で考えますのに、日本の膨大な国内需要の比率から言いますと、それほど大きなものが入ってくるとも思えないわけでございますが、特殊な品物に対してラッシュするということはまたあり得るわけでございまして、全体のバランスではそれほどでなくても、ある品物についてオーバーフローする、それが被害を及ぼすということはあり得るわけでございますので、そういうことのないように私ども十分に監視をしてまいりたい、このように思っております。  対応する組織といたしましては、一昨年繊維工業審議会の提言に基づきまして、審議会の中に需給貿易部会及びその調査小委員会というのを設けまして、これで常時監視いたしまして適切な対策を講ずる、こういう体制でおるわけでございます。
  193. 小林正巳

    小林(正)分科員 産地の関係者が、輸入の問題について、韓国の産業界、繊維業界に一遍話をしてみようというふうな機運があるというふうにも仄聞しておるわけですけれども、通産省はお聞きになっていらっしゃいますか。
  194. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 何しろ近いところでございますし、技術指導の関係もあったり、いろいろ密接な関係がございまして、韓国の繊維業界のいろいろな部面でわが国の繊維業界との話し合いが進んでいるものもございます。できれば、そういう関係からうまく調整がとれれば一番望ましいのではないかと思っております。
  195. 小林正巳

    小林(正)分科員 私、先ほど大臣に伺ったときに、国際分業の面であるいは大臣ちょっと誤解をされたのかもしれませんけれども、何とか産業の国際分業ではなくて、繊維産業の中においてそれの、たとえば非常に技術的に初歩的なもの、あるいは非常に高度なものというふうな分業が将来は必要になるのではないかというふうな趣旨で私はお尋ねしたのです。  それはともかくとして、この産地にはそういう機屋さん、そうして西脇市の場合は先染めの染色業界、それにもう一つ産元商社というのがあるわけでございますね。この産元商社が、大体でき上がった物を仲介しておるわけでございます。西脇市のような零細業者がたくさんおる、また付加価値を高めていくということになりますと、そういう形態の方がむしろ望ましいのであって、集団化するということは必ずしも付加価値を高めるということにそぐわないわけでございますが、そういった一つ一つ商品の付加価値を高めていくという上でこの産元商社の持っておる機能、役割りというものも評価しなければならないと思うのです。ところが、商社でございますから、現物がないから抵当に入れる物もない、あるいは制度融資の面でも、いわゆる織物業者の範疇にならない、あるいは対象にならないというふうな制度上の問題があると思うのですね。しかし、その機能上から判断をして、やはり産元商社に対する融資その他、何せ産元商社がその下にたくさんの機屋さんを抱えておるわけでございますから、そうした配慮もしていくことが実態に合うのではないか、こんなふうに思うのですが、いかがでございましょうか。
  196. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 産元商社につきましては、従来確かに繊維政策の対象として余り重きを置いていなかったということは言えるかと思います。私どもといたしましては、今回の長期の不況を通じまして、産元商社の機能というものを再認識したような状態でございます。産元商社と申しましても、地域別にいろいろ機能も違うようでございまして、一概に産元商社とも言いにくいような面もございますので、地域別にそれぞれ産元商社の機能もいま検討しておるところでございまして、これの繊維政策全体における位置づけというものをしてまいりたい、このように思っております。
  197. 小林正巳

    小林(正)分科員 ひとつ地域の実態に応じて前向きにサポートしていただきたい、こういうふうにお願いをいたしておきます。時間がございませんので結構です。  あと大型店舗の問題について伺いたいと思います。  先ほどの発言者もこの大型店舗法のことを言われておられましたが、確かに法律的に通産大臣に届け出るということになっておりまして、その地域の県知事なりあるいは市長なりが全く関知できないというたてまえになっておりますね。ところが、一番地域の実情を知っておるのはその地域の県なり市なりというわけですから、そうした意味での法改正というものを前向きに考えていかなくちゃならぬのじゃないかと思うのです。  そこで、これも具体的な例ですが、兵庫県の加古川市の日本製麻という会社の工場敷地跡にニチイが進出をするというふうな話がございまして、地元の数多い商店の皆さんは大変脅威に感じておるわけでございます。その面積たるや五万一千平方メートル以上であったかと思いますが、恐らくいままでの例を踏まえて、どうせこれで申請をしたら四割か半分か切られるだろうと、あらかじめ掛け値をつけて出してきておるのであろうと思うのです。しかし、こういった大型スーパーが出てくるということによって、その地域の消費者にとって利益になる場合もございます。しかし、それがその地域の需給関係、購買力等から見て、そういった競争が逆に安かろう悪かろうというふうな形で、消費者にとってマイナスになるという場合もあるわけでございます。この加古川市の場合は、かなりいままでスーパーが入ってきておりますね。そうしたところにこれまた物すごい大きいものが進出をしよう、こういうことでございます。このニチイの問題について、果たして通産省はどれだけ実情を把握されておるのか、またこの問題に対してどういうふうに対処をしていかれようとするのか、そういった点について伺いたいと思います。
  198. 山口和男

    山口(和)政府委員 ただいま先生からお話がございました加古川市のニチイの件でございますが、昨年の五月三十一日に大規模小売店舗法三条の届け出が受理されております。届け出者は日本製麻株式会社ということになっておりまして、一応店舗面積は四万二千二百三十五平方メートルという届け出内容になっております。自来、関係方面の加古川商業連盟の方々あるいは市の関係者の方々その他からいろいろな御意見も出されておるようでございますし、ただいま地元の方でいろいろな調整のお話が徐々に進んでおるのではないかと思いますが、いずれにいたしましても私どもは、大阪通産局の方でこの調整について十分時間をかけてやっていく必要があるというような考え方で、慎重に取り運んでまいりたいというように考えております。
  199. 小林正巳

    小林(正)分科員 慎重に取り扱っていただきたいと思います。大変多くの人たちの生活上の利害にかかわることでございますから、そういった実情をよく踏まえて判断をしていただかなければならぬ。そういった点を特にお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
  200. 中島源太郎

    ○中島(源)主査代理 高橋高望君。
  201. 高橋高望

    高橋分科員 私、昨年もこの分科会で下請問題についていろいろお伺いをさせていただきました。ことしもと言うよりも、私がこの席におじやましたら、あいつが来たら下請の問題だなとお考えいただいて結構でございますので、どうぞひとつよろしく御答弁を願いたいと思います。  最初に中小企業庁長官お尋ねしたいのですが、中小企業の対策を政府がいろいろとお考えいただいて、その都度その都度手当てをされておることに対しては、私はある場合には敬意も表し、またありがたくも思っておることが多うございます。しかしながら、本質的に中小企業対策ということをお考えになったときに、どうも現在までの進め方がいわば場当たりに、起こった問題に対して手当てをする、このことは、何遍も申すようですけれども、ありがたいことではございますけれども、本質に対しての御理解が欠けていらっしゃるように思えてならない。  たとえばどういうことかと申し上げますと、一つの例を挙げれば、中小企業に働く方々が依然として組織率が低い。きょうは労働省の方はお呼びしておりませんけれども、中小企業の方は組合組織率が依然としてそう高くならない。幾ら上部団体からいろいろ誘いかけや呼びかけがあっても、それほどの組織はできてこない。働く方にはまずこういう姿勢が一つあると思うのです。それから、中小零細企業者というものも、政府がお考えになるような倒産という事態を現実にする前に廃業していってしまうのですね。こういうものはむしろ倒産の件数の中に出てこない。極端に言えば、倒産という形で御近所に迷惑をかけたり騒がれるよりは、そこまでいかないうちに廃業して自分で自分の身を処理してしまう、こういうことが基本的な体質として中小企業並びに中小企業に働く人々の中にあるわけです。だから、こういう人たちをどういうふうに国として考えていかれるかということになりますと、私は一つの御提案としては、やはり中小企業あるいは中小企業に働く人々に対して、大企業並びに大企業で働く人と比較して、より公平な取り扱いをしてほしいということが基本的な願いであろうと私は思う。この辺についてお手当てがないと、あらゆる施策がすべて表面的なことにしかとられないし、そのありがたさの深さも感じないで終わってしまう。言い方を変えれば、特に中小企業者は、よい意味でのしたたかさがあると私は思う。これは率直に認めてもいいと思う。しかし、したたかさがあるという反面は、独立心も旺盛なのです。だからこの独立心を満足させ、したたかさを満足させるためには、やはりどうしても公平に取り扱う、大企業並びに大企業に働く方々と公平に取り扱うという基本姿勢が中小企業対策の根本にならなければいけないと思いますけれども、この辺について長官はどのようにお考えになりますか。
  202. 岸田文武

    ○岸田政府委員 中小企業政策の体系は中小企業基本法に述べられており、私どもはその基本的な精神に沿って、中小企業対策を少しでも前進させるように、また充実したものにするように、私どもなりに一生懸命努力しているつもりでございます。先生のように、実際の仕事についての豊富な御経験のおありの方から見ますと、いろいろ御指摘もあろうかと思いますが、私どもは各方面の意見を聞いて、よいというものはどしどし取り入れていくということでやっていきたいと思っておるところでございます。いまお話の中で、中小企業の経営者あるいは働く人、これが大企業に比較していろいろ不利な立場にある。この面につきましては、基本法でも不利の補正ということを大きな柱にいたしておるところでございまして、私どももその辺は十分気をつけてやっていく必要があるだろうと思っておるところでございます。中小企業はいろいろの弱点がございます。その弱点をカバーしながら、本当に中小企業の、いまおっしゃったしたたかさを発揮できるようにするということのために、今後とも努力をしていきたいと思います。
  203. 高橋高望

    高橋分科員 昨年から一年間経過しました。この一年の中で、中小の企業を取り巻く環境というのは、少なくとも今日の時点までは決して明るくなったと言えないと私は思う。むしろ円高問題でもおわかりのように、環境はいろいろ悪化している。その具体的なあらわれとして、親企業が、たまたまある下請を限った場合に考えていただきたいのですけれども、親企業が下請に対して、代金の支払いで不都合なことを要求してきているおそれというか、現実があるのじゃないかとまず思います。というのは、現実に私どもへそういったいろいろの訴えも来ておりますし、陳情も来ております。こういう中で、昨年私がお尋ねした時点での前一年と、それ以後の、ことしの質問をさせていただくまでの一年間との間でまず伺いたいのは、現金と手形の支払い比率というのはどのような変化がございますか。と同時に、手形のサイトはどのような変化をつかんでいらっしゃいますか、お答えいただきたいと思います。
  204. 岸田文武

    ○岸田政府委員 まず、受け取り現金比率でございますが、下請は業種もさまざまでございますし、また、従業員別の規模もさまざまでございます。とりあえず平均でその推移を御報告をさせていただきます。  いま手元にございます一番新しい資料が昨年十二月の数字でございます。これによりますと、受け取り現金比率が四三・八%になっております。昨年の十二月が四六・二%でございまして、若干悪化したように見受けられますが、ただ前後を比べてみますと、十月、十一月ごろが四三%でございますから、若干悪化したという程度ではないかという印象でございます。  次に、手形サイトの問題につきまして平均的に御報告を申し上げますと、ごく最近の下請の受け取っている手形の平均サイトが、十二月で百十九・九日と報告をされております。ちょうど一年前が百十九・八日でございますから、ほぼその前後でその間も推移しておるわけでございまして、この点は従来と余り変わりばえがしないという姿ではないかと思います。
  205. 高橋高望

    高橋分科員 そこで御提案を兼ねて御検討いただきたいことの一つに、この支払われるまでの間、いわゆる六十日間、この六十日間というものをそのままこの一年間も変えずにやってこられたと思います。私は、一年間のうちに何らかの変化が、あるいは好転があったのではないかと、関係資料を絶えず注意深く見ておったのですけれども、とうとう私が昨年お願いしたような意味での好転なしに、一年間同じ状態で、この六十日以内ということで済まされてきた。長官、どうでございますかね、これはやはり昨年も申し上げたのですけれども、納入してから六十日以内の支払い方、これを何とかもう少し短縮するというふうな御決断はいただけないものでしょうか。そういうふうな行政的な手を打つというふうに御決断はいただけないものでしょうか。
  206. 岸田文武

    ○岸田政府委員 これは昨年もお話をいたしましたことでございますが、いまは納品後六十日以内に支払いをするということが法律上、義務づけられておるところでございます。その背景にございますのは、実際の商習慣を見ますと、月の一定日を締め切り日にいたしまして、それから大体一月たつと支払いをするという形になっておりますために、一番短い場合で三十日、一番長い場合で六十日、こういうような通常の商取引を頭に置いて、六十日というものが定められたわけでございます。平均をすれば大体四十五日程度になるわけでございますが、この最高限である六十日を改めますと、いまの商習慣を相当思い切って変えることになりますので、これは実際問題としてなかなかむずかしいことではないかなあと、部内でもいろいろ議論をしておるところでございます。ただ、実態は、最近のように景気が悪くなってまいりますと、むしろこの六十日という、法律で定めた期限をいかに守るかということの方がまずもって大きな問題になってきておるところでございます。これも昨年御報告申し上げたところでございますが、通産省と公取と手分けをいたしまして、下溝関係の企業について、支払い代金遅延法がいかに守られているかということについての監視を続けておるところでございまして、特に昨年は、従来よりも対象をかなりふやして調査を行ったわけでございます。ただ、結果としましては、昨年一年のこの監視網にかかった、問題ありとされる件数は、前年よりもふえておるという実情でございまして、私どももこの辺の問題はよく気をつけておかなければならないと感じておるところでございます。
  207. 高橋高望

    高橋分科員 その点は、大臣も含めた関係の方方の御決断になろうかと思いますけれども、私は、これが一日でも五日でも短縮されるまで、あらゆる機会をとらえてお願いを続けるつもりでおりますので、どうぞひとつ御記憶を新たにしておいていただきたい、かように思います。  そこで、昨年末の、いま振り返って考えるのも忌まわしいような円高問題の中で、親企業が下請に対して値引きの強要をしているということの事実が私たちの耳には大分入っております。この辺について、長官のところにはどのような御報告が現実にございますか。
  208. 岸田文武

    ○岸田政府委員 昨年の夏以降、円高問題が大きな中小企業問題として浮かび上がってまいりまして、私どもも早速各産地の実態調査をした際に、いまお話に出ておりますように、どうも商社なり親企業から下請に対して値引き要求が出ておるということを幾つかの産地から報告を受けたところでございます。  そこで、私どもとしても、この際少し掘り下げて実態を調べてみようということで、昨年の十二月から今年一月にかけまして、円高の影響を受けている業種及び産地を合わせて三十二業種の企業、この中には親企業も中小企業もございますが、これを対象に調査を実施いたしました。細かく御報告を申し上げている余裕もございませんが、どうも全般的に申し上げまして親企業が為替差損を下請企業に転嫁するという事例がかなり多く見受けられるということは申し上げられるかと思います。特に幾つかの業種についてはかなり広くそういう事態があらわれているように思っているところでございます。
  209. 高橋高望

    高橋分科員 この種の問題は、後段申し上げることもそうなんですけれども、なかなか特定の企業名が出て、あるいは下請の企業名が出てやりとりのできる筋合いじゃないのです。これは力関係といいましょうか、現在までの商いという点から言って、取引先に対して何か申し出るということは、やはり納入側にしてみると勇気の要ることですし、ある場合には取引をもうやめることを覚悟した上でないと、あるいはやめてからでないと、こういう問題を露骨に取り上げられない。  そこで、私たちのようなこの立場で、そういう事態を先取りといいましょうか、前もって考えて手当てをしていってやらないことには、いつになってもこういう問題は私は解決できないと思う。いいか悪いか、とにかくいろいろの社会の変化がございました中で、親企業と下請企業の持つ古さぐらい前のままで残されているものはないのですね。何かの形でペナルティーが出てくるから言えなくなってしまう。また御調査なさる方もそうだと思う。調査される、あるいはだれが調査を申し出たかということだけでもペナルティーのおそれがあるから、そういう意味で調査に出向く方も手控えられる場合も出てくる。そうであればあるほど、先取りして対策をお立ていただかないと、いつになってもこういう問題は抜本的な解決ができないと私は思うのです。そういった意味で、あえて申しますならば、弱い立場に立った下請あるいは中小零細企業に対して、先取りの姿勢でひとつ取り組んでいただきたい、お願いを申し上げておきたいと思います。  現実には、私なんかの知っている範囲ですと、トータルして約三割ぐらいの企業がこの責めに遭っている。そして言い方はいろいろあります、親企業のことですから。皆さん方の声もあるいは公正取引委員会の動きも十分知った上での親企業の動きですから、言い方とか文書等々に対しては非常に神経質にやっておりますけれども、その裏側では必ず力でもって押し切る、悪ければ出入り差しとめだ。その瞬間ではがまんするけれども、次の機会、三カ月先か六カ月先には何らかの形でうるさいことを言うやつは遠のかしていってしまう、こういうことが繰り返されているのが現実でございます。  たまたま今度は、ありがたいことには円高の不況対策で中小企業をお取り上げいただきましたけれども、ああいった法律の手当ての裏側に実態をきちんと把握された上でお取り上げになっていただきたい、かように思います。  そこで、私はもう一つ申し上げておきたいのは、前回予算委員会一般質問でも大臣並びに長官にもお願いを申し上げておったのですけれども、いわゆる中堅企業、中小企業の卒業生といいましょうか、中小企業から一歩進んでしまった、というのは、自分の意思ばかりでなしに、経済の成長に合わせてそうせざるを得なくなった中堅企業というものが、この下請業界の中で重要なウエートを占めている。この中堅企業が公正取引委員会の調査の対象とされる場合には、親企業の立場で調査されることがある。そうすると頭から、たとえば先ほどの納入後六十日以内というものに対して責任をとらされるし、また手形のサイトについても配慮しなければならない。ところが、全く同じことを大企業が中堅企業に対してしているのに、中堅企業が中小零細企業に支払いをしていく場合に、どうしても絶対日数が必要だ、その差が必要だ。大企業、必ずしも毎回同じような手形のサイトで出してくるわけでもなければ、現金あるいは手形比率も変わってくる。その変わってきたものの柔軟性をとるためには、どうしてもある日数を予備をとらなければならない。だから、大企業から中堅企業に六十日以内で払い、あるいは百二十日以内で払われても、今度その中堅企業が下請に払う場合にはプラスアルファを見なければ、きちんとした経営にならない。これに対しては配慮がない。この辺は、長官どんなふうに御配慮なさいますか。
  210. 山口和男

    山口(和)政府委員 中堅企業につきましては、確かに先生指摘のような下請のさらに下請の中小企業との関係もございますが、中堅企業と大企業の関係について見ますと、やはり一般的には経済的、社会的な制約を受けるという面では、中小企業のような悪い条件といいますかそういったことは必ずしもないと申しますか、そういった点では若干違っておるということもございます。したがいまして、中堅企業と大企業との間の差というものは一般的には不公正な取引が行われにくいというように考えられるかと思います。大企業が中堅企業に対しまして優越的な地位の乱用を行うというような場合には、独禁法の不公正取引の規制もございますし、そういったことで実態面から十分究明をいたしまして検討していく必要があろうかと考えております。
  211. 高橋高望

    高橋分科員 私はただいまの御答弁では不満足なんですけれども、ちょっときょうは先を急がしていただいて、後段もし時間が残りましたら、また続けさしていただきます。  きょう私が中小企業庁長官を含めて関係の方にお尋ねしたいことは、前回に前もっての御連絡はしておいたつもりでございますけれども、下請企業が獲得したパテントを大企業がどう管理し、どう押さえ込んでしまっているかというその実態でございます。例の資本自由化問題が起こりましてから、大企業が特許室並びに特許関係のそういった部署を企業内にしっかりとつくって、自社の特許を守り、またある場合には特許を売るというようなケースもずいぶんと出てきている。その中でたまたま下請の部品並びに製品を納入している会社が考え出した特許があったときに、これに対して大企業が、ある場合にはそのまま自分のところで押さえてしまう、一歩譲っても連名で届け出させる。その見返りとしては、発注してやるからいいじゃないかと。このことは実はアメリカにも例のあることでございまして、発注をあるパーセンテージ以上するから親企業の方にその特許の使用を任せろ、こういうことはアメリカでも例のないことではないようですが、特許問題の基本から言って、私はこれは違うと思う。特許はあくまでも考案者が、そして権利を認められた人がそれなりの権利を行使してしかるべきであって、もし仮にビジネスの面でそういうことを考えるとしたら第二の段階として取り扱うべきことであって、当初から連名というような形でこれを押さえ込んでしまうというのは大変筋が違うと私は思うのです。こういう実情は長官のお耳に入っておりますか。
  212. 岸田文武

    ○岸田政府委員 いま御指摘になりましたように、下請企業にとってこれから生きていく道として技術の開発が特に大事であるということはいまさら申し上げるまでもないことでございます。中小企業の方も一生懸命何か独自の技術を身につけようということで努力をしておられますが、私どももそういう御相談があるとき、一体何が一番問題ですかと伺ってみますと、せっかく技術ができても、それを企業化し、いかに売りさばくか、この辺が一番むずかしい問題だという声も聞いておるわけであります。中には、そういう販路の問題を解決するための一助として大企業と組むという事例もいろいろあるように聞いております。
  213. 高橋高望

    高橋分科員 長官、現実には、ひどい例でいきますと、自分の考え出した特許を大企業の方に押さえられてしまったために、ある組み立ての部品の一部を担当しているような企業の場合には、その部品がサービスパーツとして市場に出る、あるいは一般市場品として売りたいというときに、その大企業に対して特許の使用料を払ってまでも売らなければならないという現実があるのです。これも商売の場へいくと、大騒ぎをしたくてもできない。これを政府並びに私たちが何らかの形で、先ほども申し上げたように前向きに実態の中からこういうものをキャッチして手当てをする、そういう姿勢が国の政治という名の中で展開されることを私は望むのですけれども、長官いかがでございますか。
  214. 岸田文武

    ○岸田政府委員 御意見はもっともかと思います。現に私どもも、下請中小企業振興法に基づく下請振興基準におきましては次のような基準を定めております。「親事業者は、下請事業者が開発した技術の実施について十分な理解を与えるとともに、その成果が適正に下請事業者に帰属するよう十分に配慮する」というふうにうたわれております。何とかこういうような姿へ持っていけるようにしていきたいと思っておるところでございまして、いろいろの要請も行っておりますが、いま御指摘のようなケースというのは常識的に考えましてもなかなかひどいケースじゃないかという感じがいたします。
  215. 高橋高望

    高橋分科員 長官、ひどいとおっしゃるのですけれども、逆に言うと、問題として出てこないということです。いまお読みいただいたその基準に対して違反があったとかあるいはひどい例があったとかということの下請側からの実情調査をしてほしいというようなことは、恐らく長官のお耳には行かないと思うのです。なぜかと言えば、国でいろいろ対策を立ててもらう反動として自分のところの企業が大変な罰をこうむっては困るからという、そういう恐れがあるわけです。だからといって放置しておいていいかということになるのですね。だから、声が出ないからそれは問題になってないのだという取り上げ方ではなしに、声が出せない状態があるのだということを関係の方々に私はこの席をかりて申し上げ、知っていただきたい。  現実に、某社が一年に数千件の特許の申請をしていることは御承知だと思います。どんな会社でも一年に数千件もの特許の申請なんかできるはずはないんです。名前はあえて私申しません。この数千件の特許の中身というのは、ある時期に、先ほど申し上げた資本自由化に合わせて特許室を整備し、あるいは特許の窓口を整備したときに、下請のものを全部ひっくるめて持ってきた、その数字が一年のうちに数千件の特許申請という形になっている。これは特許庁のお仕事としてはそういう部署はないように思います。また実際問題としてなかなかむずかしいことかもしれません。しかしながら、ひとつお仕事として、こういう中小企業の置かれている実態の一つを私が御提示申し上げたので、改めて御検討いただいて、声を出せない立場にある人に対しての手当てというものをお考えになっていただきたい。  残念なことに質疑の与えられた時間が来てしまいましたが、大臣、私が申し上げましたこと、特に中小の立場、零細企業の立場、下請企業の立場に立った場合には、表に出てこない世界にこそ問題があるのだということの御理解を改めてお願い申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  216. 中島源太郎

    ○中島(源)主査代理 日野市朗君。
  217. 日野市朗

    日野分科員 まず最初に建設省に伺いたいと思います。  建設省の方で優良住宅部品認定制度というのをいまやっておられますね。BL認定制度と言っているらしいですが、ベターリビング認定制度ということになりますか、これは大体どういうことを目的としている制度なのか、その概要を、きわめてかいつまんでで結構ですから御説明いただき  いと思います。
  218. 松谷蒼一郎

    ○松谷説明員 お答え申し上げます。  ただいま御質問のございましたBL認定制度は、住宅の性能を向上させること、価格をできるだけ低廉化させることを目的といたしまして、住宅を構成している部品——内装、外装、設備、いろいろな部品がございますが、そういった部品のうち、特にすぐれたものを建設大臣が認定をいたしまして、これを公共住宅を初めとして一般の住宅に普及させる、こういうことを目的とした制度でございます。
  219. 日野市朗

    日野分科員 いま目的を伺ったのですが、現在まで大体どんな製品が認定されているのでしょうか。そして、その認定した品目はどのような普及状態になっているか、これもかいつまんでお願いしたいと思います。
  220. 松谷蒼一郎

    ○松谷説明員 これまでに認定されたものは、品目別に申し上げますと、キッチンユニット、これは台所の厨房設備をユニット化したものでございます。それから給湯器のユニット、手すりのユニット、防音サッシ、浴室のユニット、屋外の収納ユニット、浴槽、洗面化粧台、内部に使用いたします収納ユニット、換気システム、暖房システム、以上でございます。合計で現在のところ約五十六万台ほど出ております。
  221. 日野市朗

    日野分科員 BL認定を受けた品目は五十六万台ほど出ているということですが、主としてどのようなところに用いられているか。つまり住宅メーカーとか公社等いろいろございますが、どのようなところでBL認定を受けた品物を使っているか、一応伺っておきたいと思うのです。
  222. 松谷蒼一郎

    ○松谷説明員 部品の種類によって若干異なりますが、主として公共住宅、すなわち公団住宅でございますとか、あるいは地方の住宅供給公社の住宅でありますとか、あるいは公営住宅でありますとか、そういった住宅に主として使われております。
  223. 日野市朗

    日野分科員 これは建設省の意向としては、公団住宅であるとか公営住宅であるとかのほかに、一般の民間における住宅にもどんどん普及させていこう、こういう意向をお持ちですか。
  224. 松谷蒼一郎

    ○松谷説明員 お話のとおりでございまして、公共住宅に使いまして、それがすぐれたものであれば、当然一般にも普及するであろうということでございます。
  225. 日野市朗

    日野分科員 優良住宅部品認定規程というものがございますね。昭和四十九年七月四日、建設省告示第九百四十八号、これによってBLの認定基準が一応定められているわけでありますが、その第二条によりますと「この規程において「住宅部品」とは、住宅の一部を構成する躯体、内外装又は建築設備のユニットで、工場生産によるものをいう。」という規定がございます。ここで、特に私、気になるのは「工場生産によるものをいう。」というのが何でわざわざ入ってきたのか、これについて御説明いただきたい。
  226. 松谷蒼一郎

    ○松谷説明員 この規程は、一応品質の確保を図ろうということでございますのと、それから工場生産、すなわち大量生産方式によりましてできるだけコストダウンを図ろう、そういうことを目的としておりますので、この第二条にございますように、原則としては工場生産によるものを優良住宅部品の認定の対象として考える。特に、一つ一つ手づくりのものでございますと、認定いたしましても大量に使われますときに品質の確保が大変むずかしゅうございますので、工場生産品という規定を設けたものでございます。
  227. 日野市朗

    日野分科員 いま通り一遍の御説明は伺ったわけなんですが、建設省としては、BL認定を受けた品物をどんどん普及させて一般の住宅にもこれを用いさせたい、用いるようにしていきたいという意向を持っている。そうすると、これが非常に大きな行政指導の流れとなってきた場合、BLマークをもらっていない、BL認定を受けていない品物を使うということについて、これはもう一般の大工さんを初め、住宅建築業者一般についてかなり大きいプレッシャーがかかってくるというようなことが十分考えられると思うのですが、そのようなことは建設省ではお考えになっておりませんか。
  228. 松谷蒼一郎

    ○松谷説明員 現在のところは、先ほど申し上げましたように部品の普及状況は全体で五十六万台でございます。たとえばキッチンユニットが二千三百台でありますとか、収納ユニットが九百台でありますとかということで、全体の生産されております台数に比べますとまだまだ微々たるものでございますし、これがほかの業界に対して特に大きなプレッシャーとなるというようには考えておりません。しかしながら、こういうような優良な住宅部品が普及していくにつれて、全体の部品の品質が向上し、また価格も適正になっていくということは、ひいては住宅そのものの性能がよくなることでございますので、私どもとしては、こういった制度を一つ方法として住宅政策を進めていきたいというように考えております。
  229. 日野市朗

    日野分科員 現在使われているBL認定の品目、それからこの品目の中での品数などというのは、現在このBL認定の本来の趣旨から見れば成績が悪いというにすぎないことであって、本来は、それがどんどん進んでいくならば、BL認定を受けたものというのは圧倒的に市場を占拠してしまうであろうというようなことは疑うまでもないことであろうというふうに私は思うのです。  ところでハウス55計画というのがございますね。これは住宅供給システムについて技術を研究していくということでありますけれども、そのシステムの中にBL認定の品目を組み入れていくというようなことも積極的に建設省としては推進しているというふうに考えてよろしゅうございましょうね。
  230. 松谷蒼一郎

    ○松谷説明員 ハウス55開発計画は現在進行中でございますが、いま御指摘のとおり、優良な住宅部品で価格が安くてしかも品質がいいものであれば、当然ハウス55の中にも採用していきたいと思っております。しかしながら、もちろんBLだけでハウス55は構成されるわけではございませんので、先ほど申し上げましたようにBLの部品は十一部品でございますし、また若干成績の悪いものもないわけではございませんので、これについてすべてを採用するということではございません。
  231. 日野市朗

    日野分科員 先ほど私は優良住宅部品認定規程の中の第二条で「工場生産によるもの」という点を一つ指摘をしたのですが、現実に建設省では、いわゆる脱わら畳と言われるもの、わらを使わない畳、これをBL認定をするということでその検討をしたことがございますね。
  232. 松谷蒼一郎

    ○松谷説明員 御指摘のとおり、化学畳と申しておりますが、わらを使わない骨につきまして検討したことがございます。その理由は、数年前に稲わらが不足いたしまして、そのために畳の供給が需要に追いつかないというような状況がございましたことと、それから、これは確実な検証をしたわけではございませんが、どうも稲わら畳からはダニが発生するのではないかというような意見が若干ありましたので、そういう観点で、化学畳というものが工場生産に乗ってしかも適正な価格で供給できるかどうか、その点につきまして検討したことがございます。
  233. 日野市朗

    日野分科員 脱わら畳、いわゆる化学骨というものは、これはもはや畳とは言いがたいような形状をしておりますね。私見ますと、発泡スチロール、かなり高密度のものらしいですけれども、その上にベニヤ板を敷いて、その上に畳表をかぶせる、はい、畳でございます、こうやっているわけですね。ダニが発生しやすいという在来型の畳の欠点はそれはありましょう。しかし、こういう発泡スチロールなんか、火災のときどうなりますか。畳なんというのは火災のときでも非常に燃えにくい。一方、この化学畳なんというのは、まさに火災に遭えば恐らくメロメロとなってしまって有毒ガスを発生するというていのものではないかというふうに私理解しますし、こんなもの畳と言うに値しないのではないかというふうに思うのです。日本の住宅というのはどこにすばらしさがあるかというと、その大きな利点の一つは、空間を非常に高度に利用できるというところにあるんですよ。そういう機能を担うのは、畳が非常に大きな役割りを果たしているわけですが、そういう畳の特性を十分に生かさないで、BL認定というマークをくっつけて、化学製品があたかも畳であるかのように出回るということになりますと、従来の畳というものは、少なくとも公営住宅であるとか、公団なんかがつくった住宅であるとか、そういうところから駆逐されてしますという危険が非常に強いと思うのですが、そういうことになりますと、畳などというのはなかなか大量生産になじまないという点もあります。そういう欠陥もありますが、しかし、従来の日本の本当にすばらしい生活の知恵が生んできた畳というものを徐々に日本の建築関係の業界から締め出していく、そういうようなおそれがかなり強いのではないか、そういう点について、建設省どう考えておられますか。
  234. 松谷蒼一郎

    ○松谷説明員 先ほど申し上げましたように、脱わらの畳をBL認定できるかどうかというような観点で委員会をつくりまして種々検討をしてまいりましたが、先生がいまお話しのように、火災のときの問題でありますとか、あるいは性能上の問題、防湿性の問題いろいろな問題においてまだ十分にその性能を検証することはできない。BLに認定するには時期尚早であるということと、それからまたこういった化学性の畳を住宅に使用することが基本的にいいかどうかというような問題もございまして、現在のところはBLに認定することは見合わせようということにしております。
  235. 日野市朗

    日野分科員 私もこの優良住宅部品認定規程をかなり検討してみたのですが、この規程からすると、畳のようなもの、これは認定の対象にはちょっとなりにくい——なりにくいというよりは、私はすべきではないというふうに思うのですが、建設省の御意向どうでしょう。この点については業界といろいろお話し合いをされたようですね。そして、特にこれは全国畳床工業会との間での話し合いで、これには建設省の住宅局、それから住宅部品開発センターなんかも参加した話し合いのようでありますが、そこでは建設省側の見解として、近い将来においては脱わら畳床のBL認定は行わないという見解を示されたらしいが、いま私が指摘した点、間違いありませんか。
  236. 松谷蒼一郎

    ○松谷説明員 業界の方と種々懇談をいたしまして、その席上業界としては、かなりこの脱わら畳のBL認定につきましては大きな反対があるということを伺いましたし、先ほど申し上げましたような性能上の基本的な問題もございますので、これについてはBLの認定を見合わせるということとしております。なお、近い将来と申しますのは、業界全体の合意を得ない間はBL認定というようなことはいたしません、こういうことでございます。
  237. 日野市朗

    日野分科員 そうすると、この規程から言うと、BL認定の対象として当てはまらないということをはっきり言っていただけませんか。
  238. 松谷蒼一郎

    ○松谷説明員 BL認定規程から見ますと、私どもはこういった畳等につきましても認定の対象としてあり得るとは思いますが、ただこういった化学畳でありますとかいわゆる脱わら畳につきましては、現在認定することは適切でないというように判断しております。
  239. 日野市朗

    日野分科員 今度は通産の方にお伺いしたいと思います。  この問題をめぐって、わら、いわゆる在来型のわら畳ですね。その業界、かなり大騒ぎをしたというふうに伺っております。特にわら畳関係の業者というのは非常に中小というか零細というか、そういう業者が多くて、それがかなり日本の住宅のよさというものを生かすような仕事をしているわけですが、こういう業界の現状に照らして、いわゆる化学畳、脱わら畳というようなものがBL認定を受けるというような形で市場に出回ってくるということについて、通産としてはどのような御見解をお持ちでしょう。
  240. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 本件につきましては、いまお話しございましたように、昨年の九月十四日に全日本畳組合連合会の方から反対陳情を受けております。稲わらを素材といたしました畳につきましては、素材である稲わらというものが天然産物でございます関係もありまして、いろいろ確かに原料わらの安定確保とかあるいはダニの発生問題というものはあるわけでございますが、その対策を従来から指導いたしてきている次第でございます。     〔中島(源)主査代理退席、澁谷主査代理着席〕 また稲わらを使用いたしました在来の畳業者は、いまお示しのように非常に経営規模が零細でございまして、大企業が生産いたしますところの工業製品を素材とした畳、いわゆる化学畳でございましょうか、BL認定制度の対象品目になりますと、確かに大企業系列外の中小畳業者に与える影響はきわめて大きいというふうに予想されるわけでございまして、当省といたしましては、脱わら畳のBL認定ということにつきましては慎重に対処すべきものというふうに考えておる次第でございます。また、稲わらを使いました畳の一層の品質向上ということによりまして消費者の期待にこたえられるように指導してまいりたい、このように考えております。
  241. 日野市朗

    日野分科員 畳の場合は、確かに品質としてはいろいろ区々になるであろうと思うのですが、そのよさと、昔から日本人の生活の知恵が生んできたよさというものも非常に捨てがたいところがあるというふうに思います。それで、どちらにしても品質が向上していくということはいいことでありますし、その品質の向上のために通産省としてはどのような指導というか対策といいますか、そういうものを講じておられるか、伺いたいと思います。
  242. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 いまもお示しのように畳、日本の伝統的な製品でございまして、風土に適したそれなりのよさがあるわけでございますが、また反面、先ほど申し上げましたような天然産品から来ますところの問題点は確かにあるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、その品質向上というのは非常に重要な課題であると考えておるわけでございまして、畳及び畳床に関しまして日本工業規格が制定されておりますが、このJISと同等またはそれ以上の品質性能を有する畳を供給するよう指導をいたしておる次第でございます。  また、全日本畳組合連合会の事業といたしまして、傘下組合員が製造いたします畳につきまして、本年の四月以降同組合が品質保証マークというものを発行いたしましてこれを貼付することを企画をいたしておりまして、品質管理規程、検査基準等の作成を急いでおるわけでございまして、私どもといたしましてはその指導に当たっていきたいと思っております。同組合連合会におきましては、品質保証マークを貼付した畳につきまして、ダニの発生その他消費者からのクレームがありました場合には、これに対処するため、損害保険会社と契約いたしまして苦情処理に当たるという方向でも検討が進んでおるような状況でございます。私どもといたしましては、このような畳業界の現実の動きを勘案いたしまして、積極的に指導いたしまして、伝統的な産業でございます畳産業の発展のために努力をいたしたい、このように考える次第でございます。
  243. 日野市朗

    日野分科員 また建設の方に戻って伺いますが、本当は局長さんでもおいでいただければよかったのですが、住宅のいろいろな部品、これは内装、外装、躯体、そういったものについて、やはり手づくりのよさということをもう一回見直すというような指導をしていかないと、日本の風土に合ったすばらしい日本の住宅、これがどんどん姿を消していくような感じが私は非常に強くするわけです。われわれは、日本の住宅のよさというものをもう一度見直すべき時期に来ているということはよくいろいろ指摘をされるところでありますけれども、今後の考え方として、確かにある程度の規格化も必要でありましょうし、ある程度大量生産をして安価に仕上げるというようなことも必要な一面もありましょう。しかしそれが行き過ぎて、何でもその規格に合ったものでなければならない、それから、ある程度の規模のメーカーでなければ生産できないようなそういった資材を使っていく、こういったことが根底にあるように思うのですが、言うなれば、余り使いたくない言葉ですけれども、大資本優位の建築資材についての政策がずっと一貫して流れているように思うのですが、建設省、いかがですか。
  244. 松谷蒼一郎

    ○松谷説明員 建設省といたしましては、基本的には良質な住宅を適正な価格で供給をするということが基本でございまして、そのために、たとえば公共住宅のように規格化された形の住宅を大量に建設するというような場合には、先ほど来申し上げておりますBL制度によって認定されました部品を使用して、できるだけ住宅の価格を安くしていくというような対策をとっていきたいというふうに思っておりますし、現実に実施をしております。が、たとえば一戸建ての木造住宅のようなものにつきましては、これは在来からございます現場の工法、現場の大工さんによって建設されておりますその工法を十分に生かして、手づくりのよさを十分に発揮できるような形で住宅を供給していく、こういうような観点からもいろいろ在来工法についての指導をいたしておりますし、本年度四千万円の予算を計上いたしまして実施をしているところでございます。
  245. 日野市朗

    日野分科員 早い話が、わら床の畳、これについても部品開発センターがわら床はだめだというようなことを強く言ったのだとか、公団が大手の化学畳メーカーからBLにしてはどうかというようなことを言われたとか、いろいろな情報が耳に入ってくるのですが、こういう大手メーカーの意向を受けてやっているような感じが非常に私としても強くするのですが、そのようなことには絶対にしないでもらいたいというふうにも私は思いますし、建築資材などというのは、やはり長年の経験を経ながら、経験を積み重ねながらいろいろ研究を重ねていくということでないと、いろいろな障害が次から次へ出てくるということであろうと思いますので、余り先走った態度はとらないということをひとつここでお約束いただけますか。
  246. 松谷蒼一郎

    ○松谷説明員 脱わら畳につきましては、先ほど来申し上げておりますように、BLの認定は業界全体の同意を得ない限り認定いたしませんということをここでお約束いたします。
  247. 日野市朗

    日野分科員 これ以上聞いても無理なようですから、これで終わります。  どうもありがとうございました。
  248. 澁谷直藏

    ○澁谷主査代理 次に、水田稔君。
  249. 水田稔

    水田分科員 一つは、ゴム工業、ゴム履物の問題についてお伺いしたいと思います。  これは大臣も御承知のように、日本のゴム履物というのは、昭和三十年代には国内生産の三〇%をアメリカ、カナダ、ヨーロッパへ輸出しておった、そういう産業だったのです。ところが、昭和四十六年のドルショック以来逆転いたしまして、輸入国に転じたわけです。もちろん開発途上国の韓国、台湾そして中国からさえも現在は輸入されてくる。それで国内のゴム履物がバランスがとれていればいいのでありますが、労働者の数を見ても、昭和四十三年、五万二千人からおったのが、今日では半分の二万五千四百人。そして、これは業界の調べた数字でありますけれども、昨年の十一月現在では国内消費の三六・四%が実は輸入になっておる、こういう状態であります。もちろん通産の方の調べもありましょうが、一体この状況を通産の方ではどういうぐあいにとらえられておるのか、まずお伺いしたいと思います。
  250. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 ゴム履物の関係でございますが、いまお話がございましたように、従来輸出産業でありましたものが、むしろ輸入に悩むという時代に立ち至っておりますことは御承知のとおりであります。  若干数字的に申し上げますと、ここ五年間で見ますと、輸出は昭和四十八年、千五百万足の輸出をいたしておりましたのですが、五十二年には輸出は七百万足に減りました。輸入につきましては、二千四百万足の輸入でございましたものが、四千九百万足に増加いたしておりまして、内需に占める輸入比率は、私どもの方の計算におきましては大体二十数%と相なっております。生産量は、この結果、四十八年、一億六千万足ございましたものが、五十二年には一億四千万足へと減少しておりまして、停滞ないし縮小現象が顕著でございます。  現状は大体こういうふうな状況でございます。
  251. 水田稔

    水田分科員 最近の情勢というのは、もう輸入が毎年のように十数%、場合によったら三〇%ぐらいふえている年もあるわけです。これは、一つの産業はどの場合でも同じでしょうが、たとえば国内生産が五〇%を切るようになればその産業というのは成り立たなくなる、私どもそういうぐあいにこのゴム履物についても理解をしておるわけでありますけれども、一体通産省としては、これは開発途上国の追い上げがあればやむを得ないことだ、つぶれても仕方がない、そういうぐあいにお考えなのか。私どもはこれは少なくとも五〇%を切らない中で何とか考えなければならぬ、こういうぐあいに考えておるわけですが、通産の方はどういうぐあいにお考えになっているか、お伺いしたいと思います。
  252. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 ゴム履物産業の将来についてのお尋ねでございますが、中小企業の大宗を占める業界でございますし、非常に大きな雇用も抱えておる産業でございますので、急激な変化というものは好ましくないと基本的に考えておるわけでございます。また一面、非常に労働集約的な産業でもございますので、国際競争力の問題というものが非常に問題でございます。  私どもといたしましては、今後のゴム履物業界の対応をどうすべきかということにつきまして、わが国のゴム履物産業の国際競争力の実態及び今後の方向につきまして、広く内外にわたりまして調査を実施したところでございまして、その調査結果を活用いたしまして、業界におきまして体質強化のために適切な対応を図ってまいりたい、このように考えておるわけでございまして、その比率がどの程度に落ちつきますか、これはいましばらく様子を見なければならぬと思っております。
  253. 水田稔

    水田分科員 そうすると、いまの御答弁は、国内でのゴム履物の生産がつぶれてしまう、そういうことは考えてない、こういうぐあいに受け取ってよろしゅうございますか。
  254. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 そういうことでございます。
  255. 水田稔

    水田分科員 ところで、この業界というのは、大きいところと小さいところの差が大変あるわけです。しかも、大きいと言っても日本の産業全体の中で言えば中小とも言えない零細。現状は、たとえば韓国へ進出してそこから業者が輸入するとか、あるいはダイエーのようなところが直接輸入するとか、いろいろむずかしい問題を抱えておるわけであります。いまいろいろ調査されて対策を講ずると言われたのですが、それにしても、たとえば通産省がこうしろとか、こうしてやるとかいうようなことは言えないと思うのです。業界が生き延びていくためにはこういうことをしたい、こういうことをする、そして国においてもこういう助成策は考えられないか、そういうことにならなければなのぬと思うのですが、これまでの業界の実態は、私どもが聞く範囲では、そういうまとまりがなかなかないように思う。その具体策を練る前にまずそういう指導が大切だと思うのでずが、一体業界の指導をどうされるのか。それから、いま具体的な対策を何もおっしゃらなかったのでありますが、そういう中で、国内で完全に消滅しないようにするために、生き残っていくために通産としていま具体的に何か考え方の基本でもあればお聞かせいただきたいと思います。
  256. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 いまお話しのように、確かに業界は、大きい企業でも規模は小そうございますし、全体として中小企業であるということは仰せのとおりでございます。したがいまして、これは中小企業対策として基本的な近代化とかその他を講じていかなければならぬと思っておりますが、先ほどの輸入との関係もございますように、いまの規模を全部そのまま保たなければならぬということは非常にむずかしい問題かとも考えられます。現在、中小企業事業転換対策臨時措置法等の対象業種にも指定いたしておりまして、やむを得ないものにつきましては所要の措置を講じてまいりたいと思っておりますし、なお今後とも伸ばしていくべきものにつきましては、基本的な国際競争力の強化を図れるような諸般の金融措置その他をとってまいりたい、こういうふうに考えております。
  257. 水田稔

    水田分科員 生き延びられるかどうかは、業界がどう対処するかということが一番問題なんです。その点についての御答弁が抜けておったようなんですが……。
  258. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 これは国際競争力が問題になっている業種一般的に言えることでもございますけれども、基本的には品質を高め、付加価値の商い品物、日本の高度の消費需要に適応できるような品物をつくる方向へ転換をしていくような諸般の手だてを講ずべきである、こういうふうに思っております。
  259. 水田稔

    水田分科員 私が申し上げたのは、たとえば肥料であれば、むしろ政府に余り口を出してもらいたくない。業界が戦後の復興時代以来ずっとそういうことをやってきた。あるいはソーダについて言いますと、転換組と非転換組との間の調整等、あるいは内容が全然違うものですから、大きい中で一部やったのと、小さい中で全部ソーダをやっているのとなかなかまとまらなかったけれども、これでは生き残っていけないという状態の中で、業界はいままとまって基本問題研究会をつくってやる、そういう形になっている。ところが、このゴム履物業界ぐらいむずかしいものはないわけです。それをほうっておいて、いま答弁があったようなこと、近代化とか付加価値の高いものとか、そんなことを言ったところで生き残れるところはないわけです。ですから、その点をまとめて指導できる体制を業界の中につくらなければならぬと思うのです。そのことを申し上げておるのです。それについてどういうぐあいに指導なさるお考えか、伺いたいと思います。
  260. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 お話のように非常にまとまりのむずかしい業界でございます。したがいまして、私どもといたしましては、業界として中小企業の諸般の施策に乗れるようなまとまりができますことを期待しておるわけでございますけれども、いままでのところ必ずしも十分に対応できていないわけでございますが、今後ともそういう方向指導していくよりほかないと思っております。
  261. 水田稔

    水田分科員 どうもすっきりしないのです。別に業界に介入しろという意味じゃないのですけれども、いまの業界の姿勢では自滅以外にないと私は思うのです。ですから、業界自身が、そこに働いておる労働者の生活も含めて、自分たちも生き残っていこうとするならば、自分たちでもっと性根を入れた生き残るための方策をむしろつくっていくべきじゃないか、そういう点の指導を——これは答弁はよろしいです、その点をやっていただかないと、先ほど来の答弁のことだけをやっていただいても、これは外国との関係で完全に壊滅してしまう、こう思いますので、指導を強く要望しておきます。  それから、そういう基本的な、どれだけの量で生き残っていけるかということを考える中で、当面一番問題なのは、輸入が年次計画五%、一〇%で上がっていくということならいいのですけれども、最近の傾向は一年間に三〇%、四〇%どかっとふえるわけです。それは、そこに働いておる労働者を使って仕事をするわけですから、国内で生産ができるわけですから、それが急激に変化するということになかなか対応できないわけですね。外国からの輸入を制限するというのは大変むずかしい問題ではありますけれども、アメリカでもこの問題では、アメリカのゴム履物の労働者が失業する、それが急激に来るということで、その場合には何らかの二国間の話し合いによってでも規制する。普通の状態で伸びていくのなら、国際貿易上問題がありますからなかなかできないでしょうが、少なくとも前年に比べて二〇%とか三〇%というような形でふえることについては、何らかの対策、二国間の協定等について考えざるを得ないのじゃないか、そういう点については通産としてはどういうぐあいにお考えになっていますか。
  262. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 輸入問題につきましては、確かに現在自由貿易の原則からストレートな輸入制限は非常に困難でございます。ただ、このゴム履物業界について申し上げますと、先ほど業界の実態についてのお話もございましたが、輸入のうちの約六〇%はメーカー自体が輸入しているわけでございまして、普通商社が輸入して販売しているというものとは若干様子が違うわけでございます。したがいまして、その辺の手当てといいますか業界間の申し合わせというようなことも必要かと思うのでございますが、なお輸出国であります韓国、台湾の業界とわが国の業界との間の接触というものも、他の業界と比べますと相当密接のようでございます。したがいまして、今後の輸入問題につきましては、業界間の接触ということをさらに密接にするということが一つ方法ではなかろうかと思いますし、その方向で私どももバックアップをしてまいることが可能ではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  263. 水田稔

    水田分科員 時間が少ないのに盛りたくさんなものですから、次はソーダの問題です。  これは先般、二月十五日に通産大臣あてにわが党からの申し入れもいたしているわけでありますが、これも同じように構造不況の最たるものであります。ようやく業界もまとまって基本問題研究会で検討していこう、通産省の方でも基本問題研究会をつくって三月末を目途に結論を出していこう、こういうことになっているわけであります。ところが、これは水銀汚染の問題でとにかくやみくもに隔膜転換をやった。その資金というのが膨大なものですし、その返済の時期が来ておる。しかも、ソーダにしても塩化物にしたところで、二次製品がほとんど不況でありますから、全体的に操業率が五〇%あるいは六〇%という状態にある。そこで、そういう基本問題研究会の結論が出るまでの間でも、何とかそこから失業者を出さないというための手だてとして四つのことを申し入れたわけでありますけれども、その中の三つについてひとつお伺いをしたいと思うのであります。  一つは、あの転換が長期的な展望ということなく、しゃにむに金を借り入れて隔膜転換させた。そのために業界の中にもいまだに尾を引いて問題が残っているわけであります。これは二年据え置き八カ年間返済でありますけれども、いまの状態ではそういう資金手当てができないために倒産せざるを得ぬという一これもいろいろなあれがありますから総合化学の中の部分を持っているのは何とかその中で吸収できるけれども、単独で小さいソーダだけでやっておるのはまさにもたない。たとえば北海道曹達のような例も出てくるわけでありますから、これは一つは、一体繰り延べはできないだろうか。もう一つは、当時は民間の金利の方が高かったわけでございますけれども、いまになってみますと民間の金利がだんだん下がってきたものですから、政府系資金の方が——金利が八・二と七・七ですから平均して七・九%で、民間は七・六%になっておる。この金利の問題を、せめて民間並みぐらいには考えられないだろうか。まずこの点についてのお考えを聞かしていただきたい、こう思います。
  264. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 いま先生指摘のとおり、ソーダ工業界は過大な設備を抱えており、それの金利の重圧に苦しんでおり、他方需要は不振であるというようなことで非常な苦況にございまして、そこで何らかの金融上の措置を講じてほしい、そういう助成策を要望する声が強いことはよく承知をしているところでございます。  こういった実情にかんがみまして、通産省といたしましては、業況が著しく悪化している苛性ソーダ企業に対しましてはできる限り配慮をしていただくよう開発銀行等関係金融機関に要望を行ってきているところでございまして、すでに幾つかの企業に関しましては個々の実情に応じて借入金の返済猶予措置が講じられていると承知をいたしております。これを業界一律にすっぱりやるということは、やはり金融当局の立場もございまして、そうしていただきたいところでございますけれども、それは実現がなかなかむずかしいのじゃなかろうかと思っております。  なお、製法転換に必要な設備資金に対する政府金融機関の貸付金利でございますが、これにつきましては特利を適用してまいったわけでございまして、これまた一般的に金利の引き下げを一律に行うことはやはり現段階ではむずかしいのではなかろうか、むしろ個々の企業の実情に応じてケース・バイ・ケースに対処していくというところではなかろうかと考えております。
  265. 水田稔

    水田分科員 それから二つには、あの製法転換によって、いま約二千百トンの水銀が凍結されておるわけです。これはどうすることもできないわけです。資産としてはあるのですが、金としては全く使えない。外国へ出そうにも、これはシンジケートがあってなかなかそう簡単に売れない。国内の消費が大体年間二百トンですから、二千百トンというと十年分ぐらいのものがあるわけです。それをそのままどんどん出すわけにもいかないという問題があるわけです。しかし現実には、いま資金の問題が出ましたように、将来どうするかということが出てくるまで何とか生き延びていくためにも、これは資金の財源として何か考えられないだろうか。そういうことで、生き延びていくために、処理をすることはまた順次やるとしても、これを担保に融資ということは一体やれないものだろうかということについて、お考えがあれば聞かしていただきたいと思います。
  266. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 苛性ソーダ工業におきまして水銀法から隔膜法への転換に伴いまして、現在業界全体で二千百トン程度の余剰水銀がございまして、簿価では三十七億円、時価では約十二億円くらいのものかと考えております。  ソーダ工業の経営が苦しくなってきておること、あるいはソーダの水銀法から隔膜法への転換の経緯等考えてみますと、この水銀についていま先生がおっしゃったような金融措置をとれという声が出てくるのは当然であるかと思われます。しかしながら、こうした製造法の変更に伴いまして不要となったものについては、社会の原則は個々の企業がそれを始末するということでございまして、それを政府資金により買い上げるというようなことは、たとえばPCBその他ございまして、そういうバランスもございますからなかなかむずかしいのではなかろうかと思います。  それから、余剰水銀を担保とする長期、低利の融資を行ってはどうかという声もあるのでございますが、個々の企業における資金需要の対象は区区でございまして、これを政府金融機関によるとか制度金融にするということもこれまた非常にむずかしいことではなかろうか。しかも、規模といたしまして時価で十二億とか簿価で三十億くらいのものでございますから、これでもって開銀その他の制度金融はなかなかむずかしいのではないか。業界全体として、こういう在庫を処理するためのあるいは保持するための何か一つのスキームでもつくった場合に、それを支援する余地がないかどうかというようなことは今後とも検討を続けたいと思います。
  267. 水田稔

    水田分科員 もう一つは、ソーダがここ数年来不況なものですから、前の基準をとってみても生産が落ちていて横ばいにいっておるものですから、なかなか特定構造不況業種というものはむずかしいわけです。     〔澁谷主査代理退席、中島(源)主査代理着席〕 実際問題としては、いまそういう指定を受けた業界よりも実はもっと深刻な状態であるわけであります。これの業種の指定はできないものだろうか。その点についてのお考えを聞かしていただきたいと思います。
  268. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 先生御承知のとおり、特定不況業種離職者臨時措置法におきましては法律で要件が定められてございまして、現段階では、残念なことかあるいは幸せなことかどっちかよくわかりませんけれども、この法律の要件には該当しないというのが実情でございます。  通産省といたしましては、ソーダ業界がこの法律に定義されているような不況状態に陥らないように業界ともども今後とも努力をしていきたいと考えておりますが、本業界がこの法律の要件を満たす事態に現実になってしまった場合には、速やかに指定の措置をとるよう労働省と交渉いたしたいと思います。
  269. 水田稔

    水田分科員 もう時間がありませんので、アルミの問題については一点だけお伺いをしたいと思います。  私どもアルミ対策についていろいろ検討いたしましたが、いまこれは全体的な特定不況産業安定臨時措置法の中でいろいろ考えられております。ただ、私ども検討したものから一点だけ抜けております。しかもこれは産構審のアルミ部会の答申に基づいて通産が考えたことと同じようなことをわれわれ考えておったわけですが、関税割り当て制度の一次税率をわれわれはゼロと考えておったわけですが、五・五ということになったわけです。私どもはその財源によって対策が相当できるのではないか、こういうぐあいに考えておったわけですが、三・五%で一体どの程度の効果がアルミ産業に対してあるのか、私どもが考えておったよりもずっと低いものですからそういう感じがするわけですが、通産省としては効果をどういうぐあいに見ておられるか伺いたいと思うのです。
  270. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 このアルミのTQ制度によりまして、財源といたしましては約三十億円程度のものが入ってくるというふうに考えておるわけでございます。この三十億円を使いまして約四十万トンの設備凍結を考えているのでございますが、この四十万トン凍結された設備をすべて借金で賄っておるものと想定をいたしまして、その借金の金利が大体この三十億程度に相当するというふうにわれわれ考えておりますので、この借金で抱えておるところの過剰設備を、この三十億円を利用することによって円滑に凍結させることができるのではなかろうかということを期待をいたしておるわけでございます。しかしながら、この三十九万トン程度の設備凍結をやればアルミ業界の問題がすべて解決するという性質のものでは全くございませんので、この凍結によりましてアルミ業界の不況を軽減するための一助にしたいというふうに考えている次第でございます。
  271. 水田稔

    水田分科員 もう時間がありませんので、要望だけしておきます。  私どももいろいろ計算いたしました。しかし、これは一次関税の割り当てを、税率をとにかくゼロにして、それでも十分ではないかなといういろいろな計算をやってみました。結果的にはこういうことになったわけですが、いま局長は、とにかく凍結した金利だけですから、それ以外に問題がないわけではない、ほかの面でたくさんあり過ぎるわけですから、そういう点ではアルミ対策についてさらに効果のあるような最善の努力をしていただきたい、そのことを要望いたしまして質問を終わります。
  272. 中島源太郎

    ○中島(源)主査代理 池田克也君。
  273. 池田克也

    池田(克)分科員 公明党の池田克也でございます。  私は、昨今話題をにぎわしております、鹿島建設の鹿島守之助会長の遺志を受け継いで今日建設が進められておる、こう伝えられておる八重洲ブックセンター、この問題に焦点を当てながら、大規模小売店舗法について、大臣並びに通産当局の考えをただしていきたいと思っております。  この問題についてたしか二月二十二日だと思いますが、予算の集中審議の折に同僚委員から質問が出まして、河本通産大臣は、調べる、こういうふうな答弁をなさっていたと思いますが、最初に率直な大臣のこの問題に対する認識をお伺いしたいと思います。
  274. 河本敏夫

    河本国務大臣 いまお述べになりましたように、予算委員会で問題になったわけでありますが、その後調査をいたしました大略のことを申し上げます。  八重洲ブックセンターにつきましては昨年の九月初め新聞紙上に、国内の全出版物を常備し、これを販売するという出店者側の計画が報道され、同年十月二十八日、鹿島建設から大店法第三条の届け出が提出されました。その概要は以下申し上げるとおりであります。  第一が、各テナントは八重洲ブックセンターという商号であります。所在地は御案内のように八重洲五丁目三番地。店舗の面積は四千九百五十七平方メートルであります。建物の構造は地下二階地上八階であります。開店日を五十三年五月一日、こういう内容であります。  それに対する対処方針でございますが、本件につきましては東京都の書店商業組合を中心に反対が強いことから、通産省といたしましても必要に応じ助言、あっせんを行うことによりまして、両当事者間の妥協点を見出すよう話し合いを促します一方、話し合いのつかない点は商調協の場におきまして調整を図るよう指導をしてまいりたいと思います。
  275. 池田克也

    池田(克)分科員 いま大臣の御答弁の後半部分で、話し合いのつかない部分は商調協において話し合いをするようにというお話が出ました。通産省としてはいわゆる五条の受理ということをかなり早期に考えているのでしょうか。
  276. 山口和男

    山口(和)政府委員 特に五条の届け出を受理をいつにということはございませんが、出店者側から五条の届け出をしたいということになりますれば、一応法律上はこれを受理せざるを得ないということになろうかと思います。ただ、従来から通産局あるいは東京商工会議所におきまして、話し合いをいろいろあっせんしておる状況でございますので、その状況を見守って処理してまいりたいと考えます。
  277. 池田克也

    池田(克)分科員 大臣の御答弁にも、テナントは小売書店である、こういうふうにございましたので、この建物に、つまり書店だけ、いわゆる単一業種が入居する、こういう事情を通産省としては認識されていらっしゃるのでしょうか。
  278. 山口和男

    山口(和)政府委員 大型店舗法によります手続につきましては、御案内のとおり、一般には千五百平米以上の店舗、大都市、十大都市につきましては三千平米以上の店舗につきまして適用の対象になっておるわけでございます。一般的には百貨店あるいはスーパー等のいろいろな商品の販売店が大多数でございますが、中には専門的な全的な大型店というものもございまして、従来の状況で見てみますと、大体届け出されましたうちの一割程度は専門店というような状況であります。
  279. 池田克也

    池田(克)分科員 私が聞いているのは、今回の届け出が単一業種だということを承知しているかということなんです。
  280. 山口和男

    山口(和)政府委員 よく承知しております。
  281. 池田克也

    池田(克)分科員 よく承知していらっしゃるそうであります。そこで、なぜ今回の件がいわゆる商調法、小売商業調整特別措置法ですね、商調法で処理されないで、大店舗法になっているのでしょうか。
  282. 山口和男

    山口(和)政府委員 御案内のとおり、商調法は昨年議員提案によりまして改正されました部分につきましては大規模小売店舗法の適用にならない。東京の場合には三千平米未満の店舗につきまして対象になっていくということになっておるわけでありまして、本件の場合は、一応ただいまの届け出状況では三千平米を超えておりますので、大店舗法の対象の店舗ということになっております。
  283. 池田克也

    池田(克)分科員 そうしますと、大規模小売店舗法というのは一体どういう法律なのか、こういう問題になってくるわけです。私が承知しております限りにおきましては、昭和四十八年の七月十一日、本院の商工委員会でこの法律につきまして審議をされております。このときに板川正吾さんから「「大規模小売店舗」というのを百貨店に読みかえると、百貨店法のほぼ延長、百貨店法と同じ趣旨を持っておる、こういうふうに理解してよろしいか」こういう質問が出ているわけです。これに対して山下政府委員が「おっしゃるとおりでございまして、大規模小売店舗という名前で、百貨店と、俗にいうスーパー等々が入ったこと、これが大きな一つの要素でありますのと、消費者の利益ということを明文化したこと、これが違いでございますが、中小小売商業との事業調整がやはり根本であると思います。」こういうふうに答弁をされているわけであります。  これを見ますと、あくまでもこの大規模小売店法という法律は、百貨店あるいはスーパー、俗にワン・ストップ何とかと言うのですね、こういうような多業種のお店がテナントとして入っている、さまざまな種類の業種というものがそこに入っていわゆる百貨を扱う、こういう種類の仕事と小売業界との調整のためにこの法律がつくられておる、それに従って面積も決められている、私はこう認識しているのですが、間違いでしょうか。
  284. 山口和男

    山口(和)政府委員 御案内のとおり、現在の大規模小売店舗法は、それまでございました百貨店法の改正が行われまして昭和四十八年の改正で成立した法律でございますが、現行法によりますと、十大都市の場合には三千平米を超える大規模小売店舗について小売を営む者が一応すべて調整の対象になるという解釈をせざるを得ないと申しますか、条文もそういう形になっておりますので、このような店舗の規模から見ますと、確かに大部分のものは百貨店あるいはスーパーの大型店というようなことになるわけでございますけれども、たとえば家具店とかあるいは家電の専門店とか、そういったものも大量販売店というようなことで相当大型の店もあるわけでございまして、そういったものにつきましても、基準面積を超えるものにつきましてはやはり中小小売商業に与える影響が大きいというような問題もございますし、そういった意味で法の対象になっておるわけでごございます。先ほど申し上げましたように、現在までそういった専門店の数から見ますと約一割ぐらいが該当するのじゃないかと思われます。
  285. 池田克也

    池田(克)分科員 私は、この法律を適用して通産省が処理した結果を聞いているのじゃないのです。あくまでも、この法律が生まれたときに、四十八年の七月十一日にこういうことを通産省政府委員が答弁している。「百貨店に読みかえると、百貨店法のほぼ延長、百貨店法と同じ趣旨を持っておる、」はっきりこう言っておるのですね。それを、私はそういうふうに認識するけれども、ここで言っている政府答弁は間違った答弁をしたのか、このことを通産省は忘れていらっしゃるのか、こういうことを聞いているのです。答弁してください。
  286. 山口和男

    山口(和)政府委員 ただいまの答弁、私の考えますところでは若干——どう申しますか、経緯から申しまして、確かにそれまでございました百貨店法の改正という形で現在の法律ができておりますので、考え方としまして、そういうものを中心に問題を取り上げていったということは御指摘のとおりだと思いますし、この答弁でも、そういった趣旨から、実際上考えておりますものはそういったものが中心であるというような意味で申し上げたものだと考えます。
  287. 池田克也

    池田(克)分科員 これは大臣に伺わなければなりませんが、答弁というものは、そういう趣旨だとかそれから時代の推移に従ってだんだん法律の運用というものをゆがめる、また幅を広げる。確かにいま答弁があったように家電とか家具とか、まあ百貨店と言われるようなものとはちょっと違う種類で大型店舗がこの法の適用を受けておりますけれども、私は、この法が、そんな古い法じゃありません、まだ三年しかたってない法律ですね、こういうものがこの当時の答弁で「同じ趣旨を持っておる」と言えば百貨店とスーパーだと思いますよ。どこかそこに幅があるような答弁は、ここでしていないですよ。当時そういうものが当然あったですよ。家電だって大きなお店がありました。家具だってありました。後になって、この法律ができてから生まれたような業界じゃありません。ついこの間できた法律について、こういう答弁をしておきながら、運用の面でこういう単一業種まで広げているというのは、法律を運用する役所としては間違った行き方じゃないだろうか、私はこう考えるのですが、私の考えは間違っておりますか。大臣、どうですか。
  288. 河本敏夫

    河本国務大臣 山下政府委員の答弁は、もう少しその前後を詳しく読み返しませんと何とも判断できませんが、現在通産省といたしましては、いま山口政府委員が答弁いたしましたように、三千平米以上のものは大店法の対象になる、こういう判断でございます。
  289. 池田克也

    池田(克)分科員 それは大臣、話をはぐらかしていらっしゃる。これは議事録でございますから後で読んでください。要するに三千平米であれば何でもいい、こういう考え方です。さあそうすると、この法律の目標であるところの第一条の「目的」は何かと言えば、中小小売商のそうした機会の均等を保証する、こういう目的ですよね。これは法律にきちっとうたわれている。こういうような法律ができてまだわずかの期間しかたっていないのに、その運用の面でこういうふうな状況に推移しているということは、私は非常に遺憾なことだと思うのです。しかも、この法律の内容につきましては、すでに見直しのそういう方針、中間報告といいますか、小売問題懇談会の報告というのが二月の十三日に出てきておる。たった三年しかたっていないこういうような法律に、見直しをするべきだというようなこういう答申が出るということ自体、運用の面でかなり問題がある。また、法律できちっとしなければならない面もある。やはりこれは問題があるのじゃないか。通産省として小売問題懇談会報告に対応して何らかのこの法律の見直しをしておるというふうに報ぜられており、私もそう認識しておりますが、大臣、その点いかがでしょうか。
  290. 河本敏夫

    河本国務大臣 大店法が制定されましてからほぼ四年を経過しておりますが、この間に流通部門で相当の変革が進んでおると思います。そこで、御案内のように各地で紛争も起こっておりますし、地方自治団体がこれに対するいろいろな意見を述べますと同時に、また条例等を制定いたしましていろいろなことをやり始めております。そういう幾つかのことがございますので、小売問題懇談会に先般意見を聞いたわけであります。大体答申をいただきましたので、今度は産構審の方に正式に審議をしていただきまして、今後、法の改正を含めましてこの問題をどう取り扱ったらいいか、こういうことをいま御検討いただいておるところでございます。
  291. 池田克也

    池田(克)分科員 いま御答弁がありましたように、改正、見直しということが現実問題になっているわけですね。つまり、先ほどから申し上げましたように、運用の面でそういうような、私指摘しましたように、もう一遍原点に立ち返ってその設立当時の考え方をきちっと把握しなければならない、そして、そのもとに今度は見直しをしなければならない。私、いま大臣の御答弁を伺っておりまして、それじゃ、見直しをしているのならば、見直しをし法改正ができるまではこの法律を動かさないかというと、私はそういうわけにいかないと思うのです。そういう点からいくならば、やはり先ほどの山下政府委員が答弁しておるような百貨店、スーパーという問題についてこれを適用するということであればわかりますけれども、単一業種、しかも中小企業から反対がある、こういうような業種に対してこの法律を適用して三条で受理する。さらに五条でいろいろと商調協の協議にかける、こういうふうないわゆる流れ、私はこれは非常に問題があると思うのですね。大臣にお伺いをしたいのですが、その見直しをする、こういう方向がある、そういう見直しができるまで、もう一遍原点に立ち返ってこの法律をきちっと運用していくというお考えはないでしょうか。
  292. 河本敏夫

    河本国務大臣 その当時の山下政府委員の答弁につきましては、その前後を私も一応全部読み返してみたいと思います。ただ、法律を制定いたしましてからはずっと、先ほど山口政府委員が答弁いたしましたような方針でこの法の運用をしております。でありますから、しばらくの間現在の法律を凍結する、そういうことは考えておりません。
  293. 池田克也

    池田(克)分科員 そういうことであれば、ぜひひとつこの議事録をお読みいただきたいと思うわけであります。  そこで、こういうような事態、単一業極をこの法律でくくっているということになりますと、出版企業というものがどのくらいの面積で運用されているか、たとえば全国の書店平均面積、一番大きな書店の面積を通産省としてはどのように認識されておるかお伺いしたい。政府委員の方で結構です。
  294. 山口和男

    山口(和)政府委員 ただいまの先生のお話は書店の平均面積の点だろうと存じますが、昭和五十一年の「商業統計速報」によりますと、平均いたしますと五十一・七平方メートルということになっておるようでございます。(池田(克)分科員「最大はどうですか」と呼ぶ)最大が、一応いま考えられますのは大阪の紀伊国屋と言われておりますが、これが千九百八十平米というようになっております。
  295. 池田克也

    池田(克)分科員 いま御答弁がありましたように、書店の平均は大体十七坪です、大臣。また大きいところでも七百坪、八百坪前後ですね。つまり一番大きな業界の中でナンバーワンと言われるところでも八百坪です。小さいところは十七坪です。こういう業界ですね。百貨店の方はどうでしょうか。最大面積はどのくらいですか。
  296. 山口和男

    山口(和)政府委員 大体五万平方メートルくらいが一番大きなものだろうと考えられます。
  297. 池田克也

    池田(克)分科員 五万平方メートルですね。本当にこの面からいきますと三千平米なんというこの法の基準はかなり下の位置に置かれておるわけですよ。そしてスーパーや百貨店を調整しようという法律でもって、最大八百坪、普通は十七、八坪の需細企業を見る、このこと自体に私は問題があると思うのです。しかもそれがこの法律の第一条にある中小企業の営業の機会均等、商売を調整し、そうした周辺産業が痛めつけられないようにするんだという精神はたちまち吹っ飛んでしまうのではないですか。私は小売の書店の商売に関しては、大規模小売店舗法というのは、まず第一条の運用の精神から見て適用されるべきじゃない、特別な場合だ、こういうふうに判断するのですが、いかがですか。
  298. 山口和男

    山口(和)政府委員 ただいま出てまいっております三条の届け出でございますが、それによりますと、一応店舗面積が四千九百五十七平方メートルということになっておるわけでございまして、そういう意味では大規模小売店舗法の、先ほど申し上げましたように、基準面積の面から対象になるということでございますが、それをどういうように最終的に調整していくかという問題になろうかと思いますので、その点について今後十分対処していくことを考えてみたいというふうに思います。
  299. 池田克也

    池田(克)分科員 そういう事情がわかって、十分対処されるという審議官の御答弁ですが、となりますと、五条での処理というのを急がずに十分時間をかけて処理される、こういうふうに理解していいですか。
  300. 山口和男

    山口(和)政府委員 ただいままで、東京通産局あるいは東京商工会議所等が中に入りましていろいろ話し合いを進めてまいっておりますので、その状況を踏まえて対応していきたいと考えております。
  301. 池田克也

    池田(克)分科員 いまのは先ほどの御答弁と全く変わりませんね。私が申し上げたいのは、こういうふうな面積的にも比較にならないような問題である。しかも山下政府委員の答弁もある。私は納得できない。決して私はこの法律をゆがめたりなんかするのではなくて、まともに勉強をして調べてみておかしいなと率直に思うのです。そのことはおわかりいただけると思うのですね。そういう意味で、私は、今回の問題について通産当局がそういう事情を十分に勘案された上で処置をしてもらいたいと思うのです。  もう一点伺いますが、五十二年五月三十日の「公取情報」というパンフレットの中に、出版流通問題について幾つかの問題点指摘がなされているわけであります。これは私が調べたところによりますと、今日の出版流通の状況の中で、卸業、取次が非常に寡占化している、二社で七五%、こういうふうな状態になっておる。これは後でぜひとも通産当局でお調べいただきたい。そしてさらに大手出版社上位三社で、そのシェアが非常に大きな部分を占めておる、あるいはまた定価の再販制が課せられている、こうした問題はこれから公取としても関心を持っていかなければならぬ、こういうふうなことが公取の中で議論されていると報道されている、これはごらんになったことがありますか。
  302. 山口和男

    山口(和)政府委員 私自身は拝見したことはございません。
  303. 池田克也

    池田(克)分科員 この事情はこの機会にいろいろと申し上げなければならないと思いますが、書物というもの、つまり出版物というものは完全な再販制である。完全とは言い切れない、調査によりますと八割方です。つまり定価というものが決まってしまっている。小売の経営者が定価でサービスの競争をすることはできない、こういう状態です。そういう状態から考えまして、結局のところ品ぞろえで勝負する以外ない。また商売の内容が非常に多品目ですね、また多様です。  もう一点、これは大臣もぜひ御理解いただきたいのですが、宣伝が小売屋さんにはできないのです。たとえばスーパー、百貨店は自分で値段がつけられます。また自分で宣伝もできます。しょっちゅうそうしたバーゲンもやっております。ところが出版業界に関しては、出版社によって全部宣伝が握られている。これは事の成り行きからそうなっているのです。値段もつけられている。自由な商売は認めるというたてまえの中から、小売屋さんに一体何ができるかと言えば、結局商品を集める、こういうことになってくると思うのです。それによって商売をするということしかないと私は思う。そういう意味でいけば、今日の状態からいけば、大きな力のある業界というもの、お店が出てくればそこに品物が集まってくる、こういう実態をぜひ承知していただきたいと思うのです。しかもこの出版業界の特色は委託制というものがとられている。ともかく売るものをある期間預かって、売れなければ返せる、こういう状態になっているのです。御承知かと思います。したがって返品ができる。出版のメーカーの側は、返品が自由にできるものですからやはり恐れます。なるべく返品がこないようにしなければならない。しかも返品というものは、今日の時代では非常にファッショナブル、時代の流行が早く移り変わっていく。たとえば「ルーツ」という本が売れた、あるいは「黄金の日日」という本が売れている、時代がどんどん推移していく、もたもたして一年もたってしまえば、返ってきたものは使い物にならなくなってしまう、こういう状態です。したがってどうしても早く売りたい。そうなってくると、目につく場所のいい大きな店に力点がいってしまいます。そこで、これは流通問題でありますが、指定配本制度という制度が今日とられている。どこそこの小売屋さんに何冊本を配ってくれというようなことが出版社側から言われる。私はこういうような事態を見ていて非常に懸念するわけであります。小さなお店はどうするのです。本が来ないところもあります。小さい小売屋さんはしようがないから注文するのです。注文した場合には買い切り制といって返品できません。ところがお客さんから予約金でもとればいいのですが、とれない場合にはデッドストックを抱えてしまうことになるのです。こういうふうにして出版社の方では、いいところへどんどん品物を送るが小さいところへ行かないという事態が今日来ている。大きな本屋さんがぽんとできることによって、中小の小売商が非常に大きな痛手をこうむるということは想像にかたくないんですね。こういう事態の中で出版流通の問題も、先ほど申し上げたように公取も指摘しているわけですから、ぜひともこういう特殊事情にあるということを認識をしていただきたいのですね。  最後に、この問題についてもう一点だけ重要なことを申し上げておきたいと思うのでありますが、この八重洲ブックセンターの趣旨は、鹿島守之助さんの遺志を継いで全出版物を展示販売する、こう言っているわけです。欲しい本がいつでもありますよと言っている。きわめて公益性の高い文化事業的なうたい込みであります。この話を聞いてみまして、これはそうあれば非常に望ましいという気持ちを素人の人は持ちます。しかし、それならば財団法人、公益を重視して、そうして図書館のような形、こういうものであるべきだと私は思うのです。現実問題として、こういうふうな形をとりながら、表向きはどんな本でもそろいます、いいものがそろいますと言いながら、結果的には商売になる。出版業界では八対二の原則なんて言っていまして、大臣、ぜひ御理解いただきたいのですが、二割の面積で八割の売り上げ、八割の面積で二割の売り上げ、まあおわかりと思います、非常によく売れる本というのは限られている、また売れない本というのは八割のスペースを使いながら二割しか売り上げがない、こういう実情になっているわけです。そういたしますと、これが株式会社八重洲ブックセンターという形で設立され、大店舗法でくくられますと、どうしたって経営が成り立つようにしなければならない。とすれば非常に大きなスペースを、たとえば売れない本です、先ほどお話があったように、全出版物というのですからこういうものを並べる。二割のところで採算をとらなければならないとなれば、どうしたってそこにいい品物、いわゆる回転のいい、売れ行き良好書をうんと積んできてそこで売って採算をとらなければならない。多くのスペースを、在庫されている二十万点の本を入れるとおっしゃっていますその趣旨はわかります。そうするとレファレンス、どこに何があるかということを従業員にもよく教えなければならない、資料もそろえなければならない、こういうふうな事態をずっと勘定していって、これが株式会社で採算——設立の趣旨はわかりますが、現場でもってその任に当たる人たちは採算というものを当然とってくるだろうと思うのですね。そうなりますと、品物を集め、力任せにある面では商売を運営するようなおそれを抱く。小売の業界が反対するのは当然だと私は思うのですね。  そういう意味で今回の事態というのは、先ほど来申し上げておりますように、出版業というものが小さな面積で今日までやってきた、そこへ大きいのがばんと出てきてみんなを脅かす、このことはもう大規模小売店舗法の第一条にはっきりうたわれている、このことを守るためにできているんじゃないかと私は思うのですね。しかも、最後につけ加えましたような公益的な名目のもとに世論を刺激し、ああそれならありがたいなという声も中にはありますが、それは欺瞞じゃないか。そういう公益的なうたい込みならば財団とかその他の形でいくべきであって博物館、図書館の方がよっぽどいいと思う。こういう処置というものは私まことに遺憾であり、ぜひとも通産当局としてはその特殊事情というものを十分に理解された上で、大規模小売店舗法でこれを処理するのではなくて、少なくとも当事者間の話し合い、協議というものを尊重されて、時間をかけて処理されるべきじゃないか、私はこういうふうに申し上げたいわけなんです。どうでしょうか。
  304. 河本敏夫

    河本国務大臣 これは結局当初の御質問に返るわけですが、また私も当初答弁したことに尽きると思います。両当事者間で話し合いをしていただく、そして八重洲ブックセンターも御趣旨のようなことで仕事を始められるわけでありますから、私は両当事者間で当然話し合いはつくと思います。もし万が一、つかないというような場合には、商調協にかけまして検討させますけれども、両当事者間での話し合いがつくことを期待をいたしております。
  305. 池田克也

    池田(克)分科員 大臣のそういう御趣旨でございますので、本当にこういう文化的な事業であり、出版の事業というのは種をまけば生えるというようなものではございません。日本は世界に名だたる出版国だと言われております。しかし産業の規模としてはようやく一兆円に到達したような産業でありますし、それに至るまでさまざまな人たちが苦労してきたこういう業界に、いわゆる建設業界の最大手が、大きな資本を持って東京の目抜きの場所にぽんと出てくる。しかもなかなかはだざわりのいい、耳ざわりのいいそうした名目でうたい込んでくる。私はこの問題、本当にいま大臣のおっしゃる趣旨を通産当局として実行されて、万一話し合いがつかなかったならばとおっしゃいますけれども、私は、徹底的な話し合いをして当事者間の協議にゆだねていただきたい、五条の受理はすべきじゃない、このことを最後に申し上げて、私の質問を終わらしていただきます。  ありがとうございました。
  306. 中島源太郎

    ○中島(源)主査代理 渡辺朗君。
  307. 渡辺朗

    渡辺(朗)分科員 渡辺朗でございます。  私は、去る一月十四日でございましたが、東海地方特に伊豆半島を直撃いたしました大島沖地震に関連いたしまして、質問させていただきたいと思います。  非常にたくさん問題があるわけでございますけれども、その中で特に私は持越鉱山のシアン流出問題、これをまず取り上げさせていただきます。  御存じのように、大変多量の鉱津が川の中に流れ込みました。そしてまたその中には多量のシアンが入っているということで、住民たちは大きな不安に見舞われたわけでございます。しかも、この狩野川という水系には、実を言いますと十二市町村ございまして、この流域の人々というのはこの川によって生活水、飲料水を得たり、あるいはまた田んぼ、畑、そういうところの水を得たり、あるいはアユ漁業、こういうふうなものをしているというわけでございますので、大変大きな不安をいまなお持っているわけでございます。つきましては、このシアンの流出問題、そして二度、三度と同じようなことが起こらないようにということで事故調査委員会が設立されまして、原因、保安基準、こういったものも考えながら調査をしておられるというふうに聞いております。これにつきましていまどのような調査段階であるのか、ひとつ報告を聞かせていただきたいと思います。
  308. 左近友三郎

    ○左近政府委員 事故原因調査委員会の現在の進行状態を御説明申し上げたいと思います。  本件事故は、地震という状態で従来われわれの方で考えておりました基準で建設したものが、いわば予期しない崩壊ということがあったものでございますから、この原因はやはり徹底的に究明をいたしたいというふうに考えております。それで学識経験者、学校の先生あるいは建設省、農林省の研究所の方などを網羅いたしまして検討しておるわけでございますが、大体一月二十八日に第一回の委員会を開きまして現在まで三回やっております。これまでの審議で、徹底的に検査するためには堆積場の周辺をボーリングをいたしまして具体的な試料を抜き出してそれを分析する必要があるということでございまして、そういうことを進めるというために二つの分科会を置いております。堆積場の専門委員会、それから地震の専門委員会という二つの専門委員会を置いておりまして、そのうちの堆積場の専門委員会では、三月早早から先ほど申しました実際のボーリングをやる、そうしましてその試料を集めて分析する、それから室内でもいろいろな実験をやってみるというようなことをいたしまして、結果を出していくということになっております。そうして、その結果を見まして地震専門委員会がまた、その時期にあの場所で具体的にどういう震動が起こったかというようなことを分析をしていただいておりますので、その結果をあわせまして、本委員会において具体的な事故の原因を究明しようという段取りになっております。現在はそういう段取りで進行いたしております。
  309. 渡辺朗

    渡辺(朗)分科員 調査を十分にしていただくことは大変重要なことでございますけれども、実を言いますと、先般も東北の方で地震があった。それからまた、東海地域というのは常に東海大地震というような不安感を抱いている住民たちが多いわけでございます。あるいは大島沖地震の再度の発生ということもあり得るかもわからない。ですから、私はやはりここら辺で早急にめどをつけていただきたい。いつごろ結論を出すのか、ここら辺についてはいかがでございましょう。
  310. 左近友三郎

    ○左近政府委員 おっしゃるとおりでございまして、なるべく早く結論を出したいということでございますが、ボーリング調査というふうなことがございますので、それのための実際の時間がかかるということでございます。現在のところ、急ぎましても六月か七月というところまでかかるのじゃないかと思いますが、しかし、これは極力先生方に急いでもらって早く結論を出したいというふうに考えております。  なお、若干つけ加えでございますが、その時期まで何もしないというのは、おっしゃるように、ほかの地域で地震なり何なりが起こるという場合にやはり問題がございますので、現在とりあえず各堆積場について問題がないかということの調査をいたしておりますので、とりあえずは現在の基準できちっと調査をする、それから、なるべく事故調査委員会で急いで結論を出して、その結果で必要があれば手を打つ、こういう二段構えにいたしたいということで考えております。
  311. 渡辺朗

    渡辺(朗)分科員 実を言いますと、だんだん水もぬるんでくる時期になりました。そうして、狩野川というところは早いときには三月初めにはアユやなんかが遡上してくる。これが果たして来るのか来ないのか、こういうような問題もある。それからまた、連年災害に襲われた地域でございまして、梅雨どきになりますと、また大きな不安感が出てまいります。いまお聞きいたしますと、結論は六月、七月ごろということでは、ちょっとこれは住民にとって不安感を除去するものとはならぬと思いますので、たとえば保安基準の問題なんかについては、もっと早急に何とか出していただく。そうして、いま扞止堤をつくっておられる、いろいろな作業をやっておられますけれども、これが大丈夫だ、あるいはまた補強せぬといかぬ、こういうようなことを梅雨どき以前にやっていただきたい、この点はいかがでございましょう。
  312. 左近友三郎

    ○左近政府委員 おっしゃるとおり、扞止堤の補強工事をいま始めておりますが、これが、おっしゃるように梅雨どき、あるいはその後の台風時というときに十分安全でなければいけません。したがいまして、これについては実は一般的な基準の問題とは別に、具体的な鋼矢板を打ち込む工事については、事故調査委員会にもいろいろ御意見を承っております。その御意見に従ってやっていくということでございますので、この鉱滓堆積場の増強工事については、そういう事故専門委員会の結論が出るまでもなく、途中でこの先生方の御意見を聞いて、問題のない仕上がりにいたしたいというふうに考えております。
  313. 渡辺朗

    渡辺(朗)分科員 関連いたしまして、大臣の考え方をぜひ聞かしていただきたいのです。といいますのは、あの鉱山があります地域におきまして、やはりある人たちは心配している。そして、どういう状態になっているのか、立ち入りをして見せていただきたい。ところが、鉱山保安法を盾にとりまして、会社側の方では立ち入りを拒否された、こういうようなことも聞いております。私はすべての企業というわけにはならぬと思いますけれども、特に最近のように地震災害が多く起こっている、そういう危険なときに際しまして、住民が生活している山の上の方にある鉱滓の堆積場、そんな場所は、少なくとも住民の不安をなくすためにも立入検査権というものを条件づきで許すべきではあるまいかというふうに思いますけれども、大臣、この問題についてはいかがでございましょう。
  314. 河本敏夫

    河本国務大臣 ああいう事故が起こったわけですから、法律を盾にとりまして見せるとか見せないとか、こういうことではなく、できるだけ現地の住民の方にも安心をしていただく、そういう意味から、見たいとおっしゃれば見せた方がいいと私は思います。ただ、立入調査権とか、そういうことではなく、現場を見て安心をしていただく、こういう意味においてそれは大変いいことだと思います。
  315. 渡辺朗

    渡辺(朗)分科員 さらに私はこの問題についてお尋ねしたいのですけれども、実は衆議院の災害対策特別委員会でも、狩野川に堆積している鉱津の除去の問題について、大体二月二十日ぐらいまでには、四万立方メートルぐらいのものが残っているので、これを除去するのだというふうなお話もあったのですが、実際に進捗状況はいかがでございましょうか。
  316. 左近友三郎

    ○左近政府委員 狩野川がことにアユの有名な漁場であるというふうなことも考えまして、この持越川に堆積いたしました鉱滓を極力早く除去する必要があるということは、われわれ、地元の御意見も伺いまして急いで工事をやったわけでございます。大体予定の時期までに、谷川の非常にむずかしいところを残して完成したわけでございますが、完全に取り切って、しかも河床をならすということに関しましては、この間私の方の担当官が参りまして県と相談しながら決めたのですが、大体三月上旬が終わりますれば完了するというめどがつきまして、県もそれで大丈夫だろうというふうに言っておられます。それが進行状態でございます。
  317. 渡辺朗

    渡辺(朗)分科員 さらに、飲料水として果たして大丈夫なのか。これは大変毒物が混入したということでもございますので、恐らく調査は大変頻繁にやっておられると思いますけれども、どういう手順で調査をしておられ、シアンの量というようなものをはかっておられるのか、あるいは他の重金属なんかの含有についても調査をしておられるのか。それで、どういう場所でそれを発表し、住民の方々が不安感を持たないような形が講じられているのか、そこら辺を教えていただきたいと思います。
  318. 左近友三郎

    ○左近政府委員 狩野川の水域につきましては、県が地震発生以来経常的に調査をいたしまして発表しております。われわれの方も調査して突き合わせておりますが、大体県の調査がずっと続けられておりますので、県の調査が発表されておるということでございます。  それで、御案内のとおり、地震の当座は狩野川本流にもシアンが検出されたわけでございますが、十七日以降は狩野川本流ではシアンの検出はされておりません。持越川自身につきましては、鉱津が滞留していることがございましてシアンの検出があったわけでございますが、これについては、先ほど申しました鉱津が全部回収できました上は、十分検査をして、これで安全であるという時期をはっきり定めたいというふうに考えて、地元の県当局あるいは地元の町とも御相談をしておるところでございます。  なお、堆積物については、これも水質汚濁防止法その他によります溶質試験その他をやってみましたところ、現在では問題がないという結論になっております。
  319. 渡辺朗

    渡辺(朗)分科員 次いで、今度は災害による復興、復旧ということに関連をいたしまして、中小企業庁の方にお尋ねをいたしたいと思います。  二十五名の命を失い、そして多くの方々が被災をされました。直接に被害を受けなくとも、たとえば交通がストップしたりしまして失業者も出るという観光地帯の実情でございます。そういったものを救済するさまざまな方法が講じられなければならぬと思いますが、特にその中の一つ方法は金融措置であろうと私は思います。それも温かい思いやりといいますか、心の通った政策が実施されることでなければならぬと思います。その点で、現在被災地に対する融資の条件といったものはどのような形で行われておりますでしょうか。
  320. 岸田文武

    ○岸田政府委員 政府系の中小企業金融三機関におきましては、今回の地震によって被害を受けられた中小企業者の方々の早急な事業の再建に資するために災害貸し付けというものを実施いたしております。具体的に申し上げますと、普通の金融に対しまして貸付限度の引き上げが行われます。たとえば、中小企業金融公庫の場合でございますと、一般枠は一億二千万円が限度になっておりますが、それの別に別枠として三千万円というものを用意いたしております。国民金融公庫の場合でございますと、一般枠は千二百万円でございますが、別に別枠四百万円を用意をし、商工中金についてもそれに準じて措置をしております。また貸付期間、据え置き期間等につきましても、一般の場合よりも有利な条件を用意をして、なおかつこれらの貸し付けについては極力、簡易、迅速な融資ということに心がけるようにいたしておるところでございます。  なお、御承知かとも思いますが、これらの政府関係金融機関の金融措置と並行いたしまして、静岡県におかれましても災害対策としての制度融資を実施しておられることを御報告させていただきたいと思います。
  321. 渡辺朗

    渡辺(朗)分科員 その点で、国の方、県の方のそういう金融関係の連係プレーというのはどのように行われておりますでしょうか。うまくいっておれば大変ありがたいのですが、どうも聞いてみますと、大変に申し込みや何かが多くなってきて、実際にはなかなかさばき切れなくて大変だ。たとえば国民金融公庫の沼津支店だけをとってみますと、九百三十件以上も申請がある。そして処理に大変困っているという事態が出てきております。その点で、連係プレーの方法、それから国と県とでやっていただいて、実際には現行法規のもとでは金利を下げてほしいという要望があっても、これはどうも実施をしていただけないようでございますが、そういう連係プレーの中で何らか金利を下げるような効果をもたらす形にはなっていっているのでございましょうか、そこら辺について御説明をいただきたいと思います。
  322. 岸田文武

    ○岸田政府委員 災害の場合には、私どもは政府関係金融機関にすぐ指示をいたしまして、現地での迅速、簡易な処理体制を用意することにいたしておりますが、それと同時に、県とは絶えず密接な連絡をとりまして、いまのお言葉をかりれば連係プレーで処理できるように心がけておるところでございます。  融資の実績でございますが、ごく最近の時点で三機関に問い合わせましたところでは、申し込みとしては、正式に申し込みを受けたものでございますが、三機関合計で八百六件、六十三億円の申し込みがあり、その中ですでに貸し出しを行ったというものが八十九件、九億円でございます。現在、貸付事務処理をいたしておりますので、この金額は急速にふえていくのではないかと思っております。また静岡県の制度融資を利用された方が、これは実績はわかりませんが、三十億円用意をされておりますので、これまた順調に処理をされておるのではないかと思っておるところでございます。  災害のたびに、少しでも条件をよくという御要望、私どもも承っておりますが、これにつきましては先生御承知のとおり、激甚災害の場合はこうである、それ以外の場合はこうであるというようなルールをもって処理をいたしておるところでございます。今回の場合にも、激甚災害の要件を満たしておるところはそのような措置をいたしたわけでございますが、それ以外のところは一般のルールによって処理せざるを得ない。ただ、その部分を県の方でもきめ細かく拾っていただきまして、全体として中小企業の方々が早く立ち上がれるように応援をするという気持ちで処理をいたしておるところでございます。
  323. 渡辺朗

    渡辺(朗)分科員 私関連いたしまして、この地域なんかをとってみますと、もう連年災害なんですね。ですから、もうすでに災害復興のために前前から金も目いっぱい借りている。むしろ、いま返すことが大変になっている。そういう点を考慮していただきますと、既往貸付分というものの猶予はやはり最大限延ばしていただくことが本当にありがたい、みんなが喜ぶことであろうと思うのです。その点について、どうでしょうか、思い切ったところ、最大限の検討をしていただいて、どこら辺まで猶予をいま考えておられますか、ひとつ積極的な御意見をお聞かせいただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  324. 岸田文武

    ○岸田政府委員 中小企業の方々が資金繰りに困って順調に返済ができない、しかしその難局を乗り切れば何とかなる、こういう場合には金融機関の返済猶予を当然弾力的にやってしかるべきものであろうと考えておるところでございます。一般に不況による影響を受けるるいは円高による影響を受けておる場合にも、そのように措置をしておるところでございますが、災害の場合には本当に予期もしない、しかも翌日の経営にも大きな支障を及ぼすような事態が突如として飛び込むわけでございますから、この辺は返済猶予についても一般よりもさらに弾力的に措置をしていきたいと考えておるところでございます。  具体的に申しますと、一般の場合の返済猶予、これは大体支店長決裁ではどのくらいというような一般のルールがございます。しかしながら、災害にかかわる返済猶予につきましては、一般の場合よりもさらに長い猶予期間を支店長限りで処理できるように、いま内々で処理をいたしておるところでございます。
  325. 渡辺朗

    渡辺(朗)分科員 非常に抽象的なものですから、そこら辺をもう一つ詰めてお聞かせをいただきたいと思いますが、さらに長い猶予期間を考えていると言っておられますけれども、どこら辺までの猶予が認められますでしょう。
  326. 岸田文武

    ○岸田政府委員 通常の場合でございますと、国民金融公庫は支店長決裁で一年まで、それから中小企業金融公庫は代理店限りで六カ月までという返済猶予を認め得るということにいたしております。もちろん相手方の個々の事情を聞いて、どうしても必要だというときには、この程度までは支店長限りでやれるというルールを採用しておるところでございます。ところが、災害の場合にはこれでは不十分な場合も多々出てくるであろう。そういう場合には借入人の事情もよく聞きまして、どうしても必要だという場合には二年程度まで猶予が行い得るというような内々の指導をいたしておるところでございます。
  327. 渡辺朗

    渡辺(朗)分科員 二年程度ですね。これは長いにこしたことはありませんけれども、ひとつさらに積極的な御検討もいただいて、地域における罹災者の方々の復興が一日も早いように御助力を賜りたいと思います。  最後に、時間も迫ってまいりましたので、この問題についてもう一つだけ質問をさせていただきます。  これは、そういう金融措置を講じていただくという場合、手続の簡素化なんです。長いものではこれは数カ月もかかる。それからまた、短いものでも三十日、一カ月かかっている。これではちょっと時間がかかり過ぎる。特にそういう被災地というのは、これはもう非常に大きな不安感や何かに駆られておりますし、焦燥感もある。こういう中で余り時間がかかるということはいかがなものかなと思います。これを何とか縮めていただく方法はとれぬものであろうか。ここら辺についてはいかがでしょうか。
  328. 岸田文武

    ○岸田政府委員 御指摘の点は、金を借りる側からすれば当然の御要望であろうかと思います。ただ、私どもも気になりましたので最近の動きを調べてみましたところ、たとえば国民金融公庫の場合でございますと、現地に商工会あるいは商工会議所がございます。そこに相談所を設けて受け付けをするというようなやり方をやっております。その場合には現地の商工会、商工会議所の御協力も得まして、非常に迅速な処理をいま行っていると聞いております。中にはその場で即決貸し付けを行うというような措置も講じておるように聞いておるところでございます。中小企業金融公庫の場合には金額も多いわけでございますし、資金も長期にわたるわけでございますので、なかなか即決というわけにはまいりませんが、それでも一般の貸し付けと比べますと、大体半分ぐらいの処理期間で貸し付けを行っておるように報告を受けております。
  329. 渡辺朗

    渡辺(朗)分科員 この問題につきましては、重ねて申し上げますけれども、非常な焦燥感の中で一日も早く復興をというふうに住民の方々が努力しておられるときでございますので、ぜひともこの手続については簡素化を進めていただきたいと思います。これを要望いたしまして私の質問を終わります。ありがとうございました。
  330. 中島源太郎

    ○中島(源)主査代理 鍛冶清君。
  331. 鍛冶清

    鍛冶分科員 鍛冶でございます。  本日は、旧産炭地域の諸問題につきましてお尋ねをいたしたいと思います。この件につきましては石特委員会その他で種々突っ込んだ議論がなされておることは承知しているのでございますが、私も地元の福岡県下におきまして広大な産炭地域を抱え、非常な問題で悩まされておりますので、きょうは幾つかの点で質問を申し上げたいと思いますので、明快なる御答弁をお願いを申し上げます。  最初に、五十三年度における石炭及び石油対策特別会計における予算の中で、石炭勘定分の予算の伸び率が他の公共事業費等に比べて非常に低いというふうに思うのでございますが、どういうわけでこのような予算の組み方になったのか、お聞かせを願いたいと思います。
  332. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 石炭勘定につきましては、来年度は五十二年度に比べまして約八十三億の増額になっておるわけでございます。御承知のように石炭勘定ではいろいろ石炭対策をやっておるわけでございますが、財源としては御承知のように原重油関税をこれに充てておる。私どもといたしましては項目ごとに必要な額は計上いたした。伸び率といたしましては公共事業費等に比べますと低いという点もございますが、必ずしも伸び率がすべてでない、必要な事項については必要な額を計上いたした、かように考えております。
  333. 鍛冶清

    鍛冶分科員 必要な額は計上したというお答えでございますが、いろいろと過去におけるいきさつやら、それから石炭特別会計の中に石油が入ってまいりましてからの昭和四十七年からの問題と、ずっとそれからのいきさつ、予算の推移等を見ておりますと、十分な予算であるかどうかということについては、必ずしもそうでないんじゃないかという思いがいたしております。  その一つの理由としては、臨鉱法によりまして、十年計画で、鉱害復旧等を含めまして、すべてのいろいろな残存鉱害を含めて、産炭地域の振興を含めて終わらせようという計画をお立てになって、予算を組み、進めていらっしゃるようでありますけれども、現状における鉱害復旧の状況等をいろいろ見てまいりますと、この十カ年で、いわゆる五十六年度末で完全にその予定を完成する、完了するという見通しにはなってない、こういうふうに思うわけでございますが、その点についてお尋ねをいたしたいと思います。
  334. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 いわゆる鉱害復旧のための長期計画でございますが、御承知のように昭和四十七年から五十六年までの十年間に農地につきましては七千二百三ヘクタール、家屋につきましては二万五千九百五十八戸を復旧する、こういう計画になっておりますが、現在時点におきます進捗率の見込みは、農地で四〇%弱、家屋で六〇%弱ということでございます。農地につきましては若干計画よりおくれているのじゃなかろうかというふうに見ております。
  335. 鍛冶清

    鍛冶分科員 いまのお話によりますと、大体計画どおり行っているようにおっしゃっておるわけでございますが、たとえば福岡県下で例をとってみましても、昭和四十七年度当時に予定いたしました鉱害残存量に対する復旧の度合いを見てみますと、これは五十一年度末でございますが、農地は全国シェアでいきますと福岡県は七〇%あるわけですが、当初の目的に対しまして五十一年度末で二二%しかできてない。それから公共施設関係では四三%、さらに家屋等については四五%、それからみなし復旧工事等は四〇%、合計いたしますと県下における五十六年度末までの計画に対する——五十一年度ですからちょうど半ばだと思いますが、合計の復旧率は三二%にしかなってない、こういうデータが出ているわけでございます。なお、現在の金額にいたしまして、残存の鉱害金額は二千六百十七億円まだある。いまのままではとうてい十年度末までに目的は達成しないのじゃないか。  そのまた一つの裏づけといたしまして、昨年の三月に福岡の地方監察局、ここからこの鉱害復旧状況につきまして調査が入りまして、その結果、福岡通産局を初め関係各方面にその結果に基づいての改善意見が出されているようでございますが、その内容を読んでみましても、明らかに鉱害復旧の促進について早くやるべきであるということを促しております。復旧工事が進んでいない、五十七年三月三十一日までに達成するためには工事を促進すべきである、こういう改善意見が出されておるわけでございまして、これはいま私が申し上げました裏づけの数字と一致する、こう思うわけでございます。先ほどお答えいただいた数字は私としてはちょっと納得しがたいような気がするわけでございますけれども、再度その点についてお答えをお願いいたしたいと思います。
  336. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 鉱害復旧工事を極力推進いたしたいということは、私たちも御指摘のとおり全く同じ立場にあるわけでございます。さようなところから、五十三年度の鉱害対策関係予算といたしましては四百二十八億円を計上いたしております。これは五十二年度に比べまして約一四%、五十二億程度の増額でございますが、石炭勘定全体としての増加額の中で六二・五%、まあ過半数以上を鉱害復旧対策費として計上いたしておる、こういうことでございまして、私たちとしても一段と努力をいたしたい、かように考えております。
  337. 鍛冶清

    鍛冶分科員 一段と努力をいたしたいというお言葉でございますので、十年計画の中で四十七年度当初予定のものについては絶対にこれは消化をして鉱害復旧を完成する、こういうような意味を含めての御答弁だと思いますが、再度お答えを願いたい。
  338. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 御指摘のとおりでございます。
  339. 鍛冶清

    鍛冶分科員 そこで、いま産炭地の皆さんが非常に心配しておりますのは、どこを歩いてまいりましても一様に出てまいりますお話は財源問題でございますが、この財源問題につきましても、最初御質問申し上げた内容と関連して過去のいきさつをずっと私なりに見てみますと、四十二年ごろはこれは石炭会計であったようでありますが、四十七年からこれに石油の会計が入ってきて、ここでいろいろ議論が交わされたようでありますが、やはり石炭に重点を置くべきであるという観点から、わざわざこの石特会計を石炭及び石油ということで石炭を先に持ってきた、こういういきさつもあったと聞いております。しかも、その中で石炭勘定と石油勘定との比率を、石炭勘定は十二分の十というものをこれに配分をするというふうな話があったと聞いておるわけでございますが、これが現実に四十七年度には、十二分の十と対比をしてまいりますと十二分の九・五ぐらいの予算であったようです。四十八年度には十二分の九・六、約十に近い予算として一応認められておったようでございますが、四十九年度からはこれが会計法の中の四条でございますか、その中で予算の中で配分を決めるというふうな形で若干ニュアンスが変わってきたようで、この時点では予算が十二分の九・二になり、五十年度ではこれが十二分の八・六になり、五十一年度では十二分の八・八に下がってきた。さらに五十二年度は十二分の七・七で、今年度は計算をいたしてみますと十二分の五・六という非常に石特会計の中で低い配分ということになってきているわけです。しかも、先ほど申し上げましたような残存鉱害というものがまだまだ予定どおり進められておりませんし、それと同時に、これは過去の石特の委員会等でも議論されているようでありますが、いわゆる鉱害残存量の見直し、これは認定というものがまだまだいままでのあれが甘いのじゃないか、見直しすべきではないかという話も現地ではずいぶんと起こっているわけで、現実にそういう被害がまた起こっている状況が出ております、第二次公害という問題も含めて。そういったごとを考えますと、こういった形でいっているということ、そしてさらには今年度の予算の中で、昨年の十月末ごろには原重油関税の収入が、不況のためかどうかわかりませんけれども、非常に予算で予定しておったよりも下回ってきている。十月現在では九十億ぐらいこの予算執行には財源が不足するのではないか、こういうふうに仄聞をいたしております。その中で、いわゆるボタ山の防災事業やらそれから鉱害復旧の事業等が、一部だったようでありますが予算執行の抑制というものが言われたというふうにも仄聞しているわけです。さらには、五十三年度の予算の中では収入の不足八街五十五億というふうに私仄聞しておりますが、そのまま予算案として計上してきている。そういう実情の中で、さらに石炭勘定が非常に低くなってきている。こういういろいろな関係を見てまいりますと、われわれ災害を受けました産炭地域の一員といたしまして、今後の財源ということについて非常に不安があるわけです。そういうことを含めまして、この財源問題について、先ほどの予算の収入不足の問題等も含めまして、ひとつ御返事をいただきたいと思います。
  340. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 石炭対策に必要とする財源は、御承知のように原重油関税をもってこれに充てておる、それから石炭勘定で措置している、こういうことでございますが、御指摘のように、石油勘定が設定されてから、これは当然のことでございますが、石炭に割くべき比率がだんだん下がってきておるということも事実でごごいます。さようなこともございまして、五十二年度におきましては、関税をキロリットル当たり百十円増徴いたしましてその不足分に対処いたしたわけでございますが、さらに五十三年度におきましては、現在、関係の法案、予算案を御審議いただいておりますが、この六月からいわゆる石油税なるものを創設して、これを石油対策財源として特定いたしたい、こういうふうに考えておるわけでございまして、そういった面から結果といたしましても石炭勘定に回る資金量が増加してきておる。先ほど来だんだん減ってきているという御指摘でございましたが、五十三年度について原重油関税に限って申し上げますと、八対二と申しますか八割方まで石炭勘定に充当されるような予算要求になっておるわけでございます。そういったいろいろな財源措置も含めまして、石炭対策を進めるに当たって支障を来たさないように今後とも努力していきたい、かように考えておるわけでございます。
  341. 鍛冶清

    鍛冶分科員 私はいろいろ申し上げておりますが、決して通産当局の皆様方をいろいろとつるし上げるという意味ではなくて、ぜひとも前向きにお願いしたいという立場から申し上げておるわけでございます。  やはり予算の多い少ないということについては考え方はいろいろあろうと思いますけれども、私ども地元で実際そういう悩みを抱えておる立場から言いますと、先ほどから繰り返して申し上げますように、残存鉱害に対する手当てはどうなっているのか、産炭地振興の費用についていろいろな企業誘致等についての手の打ち方はどうなっているかとか、またはボタ山の処理等はどうなっているか、こういうものがどれくらい予定より進んでおるかおくれておるか、こういう現実に合わせて予算というものが果たして多いのか少ないのか、適正であるのかどうかという判断を私たちはしていくわけです。また、それが当然ではないかと思うのですね。特にそういう計画が立てられております以上は、政府においてもおやりいただく責任があると思うのですけれども、そういう意味では先ほどからの御答弁に対してわれわれ地元の者としてちょっと不満であるというように思うわけでございます。  先ほどちょっと申し上げましたように、特にこの石炭及び石油特別会計がいまお話のありました原重油関税を財源としておる、こういう点で、それはそれで結構なわけでございますけれども、その石油関税という収入財源というものはほぼ予測されている数字がありますが、その予測されている財源の数字が初めにあって、それからその中で石炭勘定、石油勘定に分けていく、こういう予算の組み方になっておるように私は思うわけですね。そういう中での多い少ないという議論になっているものですから、私ども地元の者としては現状と合わせてどうも納得がしがたい、そういうお話になっている。この予算の組み方というのは逆ではないか、こういうふうにも思っておるわけでございますが、その点について御返事をいただきたいと思います。
  342. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 地元における御懸念の点というのは私も重々わかるわけでございますが、ただ、この特別会計の経緯といいますか、過去の実情、推移というものを考えてまいりますと、私は石油対策もこの中に組み込んだことにおいてむしろやりやすくなったのじゃないかという気持ちを持っております。本来的には、石油の進出によって石炭が被害を受けたわけで、そのために原重油関税をもって石炭対策財源とするというのが本来の設立の趣旨であったということも私はよく承知いたしておるわけでございますが、一方、石油につきましても、備蓄の問題だとかあるいは探鉱開発の問題などが出てまいりますと、それに対する財源手当てということも必要であった。そういたしますと、同じく原重油関税を一部は石炭対策に使い、また一部を石油対策に使うということは、やはりエネルギー対策を進めるに当たり、あるいは原重油関税といった財源の性格からいたしまして、そういった方向一つの必然の方向でなかったのではなかろうか、かように思うわけでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、それでもなおかつ財源が足りないということもございまして、いわゆる石油新税を起こすことによって石油対策を推進すると同時に石炭対策にも必要な資金を極力確保したい、こういう経緯をたどって現状に至っているという御認識もいただきたい。ただ、私どもとしましても、ただいま鍛冶委員の御指摘になりましたように、地元における石炭対策の必要性、これは総合エネルギー政策の一環としてであると同時に、地域経済との関連においてきわめて重要な課題であるということは十分認識いたしておりますので、その方向で今後とも努めてまいりたいということでございます。
  343. 鍛冶清

    鍛冶分科員 次に移らしていただきますが、企業の誘致問題に絡んでお尋ねをいたしたいわけですが、遠隔地や衰退地域への企業の移転、新増設を推進するためという趣旨のもとに、昨年、昭和六十年を目標とした工業再配置促進法に基づく工業再配置計画が決定されたようでございますが、その中で特別誘導地域をつくるということで、その指定基準の決定もなさったようです。福岡県下、特に産炭地域については筑豊地域にその特別誘導地域の指定がなされてほしいということで、強い期待とそういう確信的なといいますか、必ず指定がなされるのだみたいな言葉まで出てくるほど非常に期待感を持っているわけでございます。これについて、その基本的な考え方、また今後どういう形でいつごろこういう特別誘導地域などの地域指定をしていくのか、またこの筑豊地域はその対象として当てられるものであろうかどうか、大変これは心配になる問題でございますので、お答えを願えればと思います。
  344. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 産炭地域振興につきましては、いままでいろいろ対策を講じてまいりまして、一応の成果は出てきておるというふうには見ておるわけでございますが、ただ、いま御指摘のように筑豊内陸部の六条地域だとかあるいは石狩の六条地域、同じく産炭地域の中にありながら地域間格差というものは非常に拡大してきており、経済的、社会的疲弊から立ち直っておらないというのが現状ではなかろうかと思います。さようなところから、昨年十一月の産炭地域振興審議会でも、御指摘のように特別誘導地域なるものを設定して、一段と企業誘致に努めるべきではないかという御指摘もあったわけでございます。そういった御趣旨を受けまして、五十三年度から特別誘導地域を設定いたしたいということで、現在作業を進めておるわけでございますが、その具体的な基準といたしましては、人口の増減だとか、一人当たりの工業出荷額あるいは財政力指数、こういった地域の振興、逆に言えば衰退の度合いを計る従来の物差しがございます。こういった物差しをもちまして産炭市町村を現在検討中でございます。そういったところで、いまの段階でどこの地点を指定するかということは申し上げかねるわけでございますが、極力作業を急いでおりまして、三月の末か四月の初めには地域指定までこぎつけたいということで努力をいたしておるというような現状でございます。
  345. 鍛冶清

    鍛冶分科員 筑豊が指定されるかどうか、お聞きするのが大体無理な質問でございますので、ひとつそういう形でぜひとも筑豊内陸地域を御指定いただきたいという強い要望を申し上げておきたいと思います。特に現地に行っていろいろと話し合いもし、いろいろ工場立地等もだんだん促進をしてはきておるわけですけれども、そういう関係が進んでおっても実際に企業が来るということはきわめてむずかしい。関係道路の整備やらいろいろな問題がございまして、地元の市やら町の執行部の当事者、県の知事を初め理事者その他当事者が何とか誘致したいということで駆けずり回り、真剣にそれはやっておるようでございますけれども、どうしてももう一歩というところがございます。そういう意味では、国のそういった政策的な誘導とか、ないしは具体的な動きの中で、ぜひとも企業を誘致して旧産炭地の振興を図るということが大切な一環になってくると思います。そういう意味合いも含めまして、これは要望でございますけれども、ぜひひとつこの点についての御配慮をお願いいたしたいと思います。  続きまして、いまもう一つ問題になっておりますが、先ほどちょっと申し上げましたボタ山の問題がございます。やはりこれは非常に問題でございますので、若干お尋ねをいたしたいと思います。  ボタ山については、ぼた山災害防止工事費、補助金という形で国から援助がされているようでございますけれども、やはりこれは非常に少ないという感じがいたします。今年度どれくらいの予算をお組みになっていらっしゃるのか、五十二年度との対比で御返事を伺いたいと思います。
  346. 左近友三郎

    ○左近政府委員 ボタ山の災害防止工事費補助金の五十三年度予算で提出しております予算額は十億四千九百万円でございまして、五十二年度の予算額は九億五千二百万円でございますので、大体一〇・三%程度の伸び率になります。
  347. 鍛冶清

    鍛冶分科員 ボタ山はたくさんございますが、いままで本当に放置されているというような状況でございます。特に福岡県内では、県で調べました資料によりますと、三百十八のボタ山がございまして、総面積にすれば当議事堂がございます千代田区の約一・二倍ある、また総堆積量はこの近くの霞が関ビルの約四百杯分ぐらいあるのだ、こういうふうに言われておりますが、このボタ山の流失崩壊の危険というものが非常にございますし、この前も川崎でこのボタ山に関連して流失事故がございました。またさらにこれも川崎で昨年でしたか、火が燃えて煙が出るというような事故もございまして、地元ではこのボタ山の処理ということについて非常に神経を使っているわけです。同時に、私ども地元の者としまして、ああいう田川地区等旧産炭地域に参りますと、町が非常に暗い感じがするわけですが、その一つに炭住街がございますし、それからこのボタ山がやはり典型的なものとしてあるわけです。これはいつまでもおいておく問題ではないと思いますし、同時に、福岡県下におけるボタ山の処理状況を見てみますと、実際問題として県営事業としてやっておるのが現在十一山で、これは七億八千四百万円の予算をかけているようです。それから市や町営の事業としてやってこられたのが六山で、約七億七千八百万円ぐらい予算をつぎ込んでやっているようです。合わせて十七山。だから三百十八あるうちの十七山がどうにかその対策として処理をしてきておる。その中で私ども考えますのは、ボタ山をぜひ除去して、そしてその跡に公共的ないろいろ建物なり住宅なり、産炭地振興に役立つ方向でこれを生かしていきたいという希望が多いわけでございますが、これが遅々として進んでないわけでございます。こういう関係についてのひとつ抜本的な対策というものがこの際必要ではないか、特別立法してでも必要ではないか、こういうふうに思うわけでございますが、この点についてお聞かせを願いたいと思います。
  348. 左近友三郎

    ○左近政府委員 ボタ山が非常に災害が発生するというようなこともございますし、あるいは公害防止という観点からもゆるがせにできないということから、鉱山保安法で、鉱業権者のあります場合には、その義務者存在のボタ山ということで鉱山保安監督局で監督検査をして災害防止に努めておるわけでございますし、義務者が不存在あるいは無資力というような場合には、お話しの補助金で県あるいは市町村の工事の補助をいたしておるわけでございます。お話のとおり、このボタ山を何とか処理して安全なものにしていくということは必要なことでございますので、われわれといたしましても常に府県あるいは市町村というふうな関係者と協議をしておるわけでございますけれども、今後も十分地元の御意見も承って、現在の制度を極力うまく運営いたしまして、そして少し長期的な観点からこれをどう持っていくかというところを検討いたしたいというふうに現在考えております。
  349. 鍛冶清

    鍛冶分科員 時間が迫りましたので、いまのボタ山問題は現在の法内でということでなくて、ひとつ特別立法等を考えながら抜本的にお考えいただきたいということを御要望申し上げておきます。  最後に、大臣に一言だけ御決意のほどをお伺いいたしたいのでございますが、最初御質問申し上げましたように、今回の限られた財源の中での枠の割り振りですから、その伸び等も地元の私どもから言いますとまことに不十分ではなかったかというふうな感じがいたしているわけでございます。同時に、一般公共事業費の三四・五%という伸びから見ますと、財源の中での配分だからやむを得ないと言えばそうでございますが、私、行政上の事務的な処理のことはわかりませんけれども、この際鉱害の十年計画での復旧等も若干おくれているようでもありますし、一般会計からでも石炭勘定の中に打ち込んで、一般公共事業と同じような伸びの予算を組んでいただいて復旧事業等をやっていただくと、大変地元の景気浮揚にも役立つし、また十年計画のおくれを取り戻すことができるのではないか。これは素人考えでございますから、それができるかどうかわかりませんけれども、気持ちとしてはそういうところがあります。その背景には、やはり財源というものについて非常に心配がある。そういう問題を含めて、財源問題、ないしはこの十カ年の計画を終了させ、さらにはこの残存鉱害ないしは二次鉱害等ございますので、そのときに見直しという問題も含めてぜひともおやりいただきたいというのが地元の総意でございますが、こういった点について最後に大臣の御決意を一言お伺いして質問を終わりたいと思います。
  350. 河本敏夫

    河本国務大臣 石炭政策を進めていくための財源は、いま長官が申し述べたとおりでございますが、今後とも必要な財源は確保してまいります。御心配をかけないようにいたします。
  351. 鍛冶清

    鍛冶分科員 どうも大変ありがとうございました。
  352. 中島源太郎

    ○中島(源)主査代理 東中光雄君。
  353. 東中光雄

    東中分科員 いわゆる冠婚葬祭互助会について、業者と契約者との間で最近トラブルが頻繁に起こっているわけでありますが、最初に、現在のいわゆる冠婚葬祭互助会の業者の数、それから前受け金の残金合計、それから四十七年の割賦販売法の改正によって法人として許可を受けた業者の数、それからいわゆる未許可の、みなし業者の数、それから許可を受けた業者の内訳、株式会社その他の法人の種類、数、それから加入者の数というのを明らかにしていただきたいと思います。
  354. 山口和男

    山口(和)政府委員 昭和五十三年一月末日現在におきまして、互助会事業者数は全部で三百五十七社になっております。そのうち許可済みが二百七十八社で、法の附則によりますみなし許可が七十九社になっております。この三百五十七社の法人の種類別の分類は、株式会社組織のものが二百五十五社、有限会社が七十八社、合資会社が二社、社会福祉法人一社、協業組合が一社、未法人のものが二十社になっております。  互助会事業者の前受け代金の総額は千二百億円になっております。  なお、加入者数につきましては、明確な数字は判明いたしませんが、おおよそのところ一千万人というようにいわれております。
  355. 東中光雄

    東中分科員 加入者数にしましてもあるいは前渡金の残金合計にしましても、相当大きな規模になっておるわけですが、これが非常にあいまいな観念でつかまれておるように思うのです。通産省は割賦販売法の適用をされておるわけですから、いわゆる互助会業務というのは商業ベースの行為としてとらえて、事業としての取り扱いといいますか前渡式特定取引というものとしてつかんでいらっしゃるのだと思うのですが、そういう規定づけでよろしいのですか。
  356. 山口和男

    山口(和)政府委員 昭和四十七年に割賦販売法の改正が行われまして、前払い式特定取引という形でいわゆる互助会事業をこの割賦販売法の対象にいたしております。
  357. 東中光雄

    東中分科員 前にも問題になっておりましたが、株式会社であって、したがって営利を目的とする商業ベースの行為であるわけです。それが、たとえば神奈川県あるいは大阪市というような自治体の名前を冠したものが相当あるわけですけれども、そういう県、市、自治体名を商号の中に入れているのはどのくらいあるのか、まずお伺いしたいと思います。
  358. 山口和男

    山口(和)政府委員 一応何々県という名前を使っておりますのが四十六、市の名前を使っておりますのが約四十社という状況でございます。
  359. 東中光雄

    東中分科員 実質上、社会的には同じ経営者で、たとえば大阪市冠婚葬祭互助会、兵庫県冠婚葬祭互助会、こういう形で、一般から見るとそれが非常に公共的な仕事、自治体の仕事のように誤認させられているのが多いわけでありますが、そのことについては後でお伺いしたいと思うのです。  その前にもう一つ、互助会が役務の提供をやるわけですけれども、たとえば掛金が五百円で六十回というような形になって合計三万円ということになるわけですが、そういう掛金で決まっておる規定サービスの内容ですね、そのサービスの内容をそのとおりいわゆる会員に対して施行しているのと、それは実際上はほんの内金になって、超過金、超過分といいますか超過費用を支払っておるものがあると思うのですけれども、規定どおりにサービス内容をやっているのは大体どれぐらいのものなのか、その点、わかっておりましたら明らかにしていただきたい。
  360. 山口和男

    山口(和)政府委員 規定契約と申しますか、たとえば何万円コースというような形でやっているわけでございますが、実際にそのサービスの段階で追加金徴収ということが行われておるという実態があるわけでございます。  その状況につきまして正確なデータは必ずしもございませんが、また事業者によって違っておりますので、はっきりとした数字では申し上げにくいのでございますが、大体契約に基づく範囲内で施行されておるというのが一、二割程度ではないかというように考えられます。
  361. 東中光雄

    東中分科員 互助会に入っておれば冠婚葬祭が施行される、そして、普通一般にやられておるように施行されると思っておったら、その規格どおりにやればかっこうが悪くてどうにもならないということで、実際上は普通にやるためにはまた追加金をずっと払わなければいかぬ、それの方が八割、九割と圧倒的に多いという実情になっておると思うのですが、そこにも社会的には一つの大きな矛盾が出てくるわけなんです。  ここに株式会社大阪市冠婚葬祭互助会、大阪市互助センターと称する互助会のパンフレットを持ってきておりますが、これはちょっと大臣、参考に見てください。  これによりますと、私は端的に申し上げて非常にひどいのじゃないかというふうに思っておるのですが、表紙のところに株式会社ということが書いてないのです。株と書いて括弧してあるだけなんですね。「大阪市冠婚葬祭互助会」今度はパーレンをやって「大阪市互助センター」こう書いてあります。普通ならこれだけではなかなか直ちに株式会社と感じない。むしろ市の、あるいは公的なもののような感じを与えるわけであります。それだけではなくて、その表面の中央に書いてあります「互助会の趣旨」というのがあるわけです。「地域住民が力を合わせ、お互いの利益のために、お互いに助けあい、人生の二大行事である結婚式・葬式をりっぱに、しかも安く行なうための、消費者どうしの助けあいの組織です。すなわち町の厚生部(日赤・町内・婦人・老人各会)が自然発生的に大きくなったようなものです。したがって互助会は利益を本位としない市民ひとりひとりからなる組織体(福祉的事業)なのです。」こういうふうに書いてあるわけであります。  これは法務省に来ていただいておるのでお伺いしたいのですが、株式会社が、消費者同士の助け合いの組織あるいは利益を本位としない市民一人一人から成る組織体、福祉的事業と言えるかどうか。株式会社の性格からいって、その点は法務省としてはどうお考えになるか、お聞きしたいと思います。
  362. 元木伸

    ○元木説明員 お答えいたします。  商法の五十二条によりますと、会社と申しますのは商行為を業とするものである、または営利を目的とするものということになっております。したがいまして、商法の五十二条の商行為と申しますのは、商法の五百一条、五百二条にあります非常に営利的な色彩の強い行為ということでございます。  それから、先ほど申しました営利的な行為と申しますのは、会社の活動によって利益を得て、これを公正に分配する、こういうことでございます。したがいまして、福祉事業あるいは他人に利益だけを与えるようなことを目的として会社を設立するということはできないわけでございます。
  363. 東中光雄

    東中分科員 要するに株式会社は助け合いの組織でないし、それから利益を本位としない市民一人一人から成る組織体、いわゆる福祉的事業といいうものではないということだと思うのであります。それを、商号に市が入っているだけではなくて、こういう宣伝文句を含めて書いてあるということについて、割賦販売業として、あるいは顧客の勧誘という点からいって、通産省から見て、これもまた一つ方法だというふうにお考えなのか、これはまずいということになるのか、この点いかがでしょう。
  364. 山口和男

    山口(和)政府委員 法人名称の表示の問題につきましては、ただいまお示しいただきましたようなパンフレット、約款等で事業者名を表示する場合に、株式会社あるいは有限会社等の明示をしないで、消費者に誤解を与えるというようなことが起こりますと問題でございますので、従来からそういうことを明示するように業者を指導してきておるわけでございますが、さらに昨年十二月、社団法人全日本冠婚葬祭互助協会あてに局長名で通達を出しまして、参加会員に対してこの点の周知徹底を図るように要請し、同時に通産局にも管内事業者の指導をするように通知、指示をいたしておるところでございます。  こういった互助事業につきましては、福祉事業であるような誤解を消費者に与えるというようなことになっては困りますので、今後さらに業者を適正に指導してまいりたいと考えております。
  365. 東中光雄

    東中分科員 この表紙がそうでありますが、その中を見ていただきますと、一番上に大きく「毎月五百円×六十回の会費でこんなに素晴らしいプランが実現します。」と書いて、冠婚の部では、おぜんがずっと並んでいるなかなか盛大な結婚式場の写真が載っております。それから葬祭の部では、花輪がずいぶん立ち並んでいる葬祭の式場の写真が載っております。それから同時に、平安閣、大阪祭典という写真のごときものが載っているわけです。あえて写真のごときものと言ったのは、これは写真じゃなくて、かいたものを写真にしてあるのです。私は実物を見てきましたけれども、実物とは若干やはり違うわけであります。これは「こんなに素晴らしいプラン」となっていて、表紙には「お互いに助けあい」「利益を本位としない」、商号が市になっておって、そうして五百円掛ける六十回でこういうすばらしいものができます、こういう印象を与えておるわけであります。  これは先ほど冒頭に聞きましたように、非常に多くの、全国的に言えば一千五百億ですかもの掛金を集めているということになるわけでありますから、こういう宣伝のやり方というものは非常に誤解を与え実害も生じておると思うのです。この前、昨年十一月二十五日の商工委員会の論議の中で公取の長谷川取引部長が、「市がやっている、あるいは地方自治体がやっているというふうに思い込んで加入している実例があるじゃありませんか。実害があるのですよ。どうなんですか。」という質問に対して、「実害のあることは認めます。したがいまして」いろいろ検討しているのだ、こういう論をされておるわけでありますが、会社、団体の名称だけがすぐ「取引に関する事項」ということで不当景品類及び不当表示防止法第四条に該当するとは言えないという趣旨のことを答弁されておるわけであります。きょうは公取から長谷川さんに来ていただいておるのでありますけれども、これは、商号だけではないわけです。説明がついておって、それで取引内容でないインチキというか写真らしきものがついておる。こういうことになると、これは不当景品類及び不当表示防止法四条の関係でいって私は違反になるのじゃないか、こう思うのでありますが、いかがでしょう。
  366. 長谷川古

    ○長谷川政府委員 お答えいたします。  具体的なケースにつきましては、ただいま御意見を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般的に申しまして、消費者に対してこの互助会の提供する役務につきまして非常に有利であるというふうな誤認を与える表示がありました場合は、不当景品類及び不当表示防止法第四条に違反すると考えます。
  367. 東中光雄

    東中分科員 一般的に言って、それは条文にそう書いてあるわけですから。この具体的例で申しますと、これは割賦販売というような形でやっておるから、しかも互助会だということで、それから市の名前を冠しておる、それからここにも書いてありますように、「(日赤・町内・婦人・老人各会)が自然発生的に大きくなったよなものです。」こう言っておりますから、そういう組織を通じてあるいはそういう組織との関連で勧誘活動がやられるわけですね。そういうことになってきますと、これは非常に被害が大きくなる、少なくとも不正競争になっていく。安閑としている問題ではないのではないかというふうに私は思うのですが、いかがでしょう。
  368. 長谷川古

    ○長谷川政府委員 お答えいたします。  御案内のように、私どもは具体的な個別の事件については意見を述べることはできないということになっておりますので、本件につきましては、意見は申し述べることは差し控えさせていただきますけれども、少なくとも本件につきまして調べるということはお約束いたします。
  369. 東中光雄

    東中分科員 私は、この前の委員会の論議では、市という名前あるいは県という名前だけでは、該当するとしても三項の指定をするかどうかということについて検討するのだというように公取の方ではおっしゃったわけです。ところが、現実に出ているこれを見ますと、そういう点では単に市という名前だけではなくて、これは全体の構造からつかめば二項に該当するおそれが非常に多いと私は思っておるわけです。特に、先ほどもちょっと触れましたが、ここにこういう平安閣というすばらしいところで、こういう祭壇なり、こういう結婚式場でやるのだという宣伝をしているわけですけれども、この平安閣という建物自体を見ましても、現状と少し違う、こう申し上げた。大体において一致しているのですけれども、たとえばこれによりますと、車庫といいますか、車を入れるところがあるようにかいてあるわけですね。ところが、実際はそこはコーヒー店になってしまっているのです。それで不法駐車がずっとやられるというかっこうになるのですね。付近の被害が相当多いわけです。駐車場はあることはあるのですが、非常に小さ過ぎてそうなった。ところが、今度はその駐車場のところへ葬祭場をつくるのだ、こういうことになっているのですね。そうしますと、駐車場がまたなくなるわけですから、これは大変な不法駐車が行われるようになってくる。それから、ここには何ともかいてないのですが、前へ張り出して、歩道の上へポーチと言うのですか、ファサードと言うのですか、何か張り出しているのですね。これも無許可でやっているらしいのですが、こういう冠婚葬祭というと、何か人生それぞれ、普通は一回しか経験せぬことを扱っているところで、それで公益的なもののような感じを与えながら、非常に営業活動が——会員さんはもう一回来たら次は来ないのですからね。そういうことで、いまやりたいからといって行くのではなくて、将来のことを思って勧誘されるとつい入っちゃうという経過ですから、行ったときはもうそれが最後である。だからどんな目に遭わされても、もうしようがないということになっちゃうのですね。これはありようによっては、本当に互助の組織として新生活運動の出発点としてやってきた、そういう面での積極的な面が私はあったと思うのです。しかし、それが今度は逆用されてくると、これは大変なことにむしろなってくる。私の知っているのでは、景品といいますか引き出物を追加料金で注文した。それをちゃんと配ってくれたはずなんですね。たまたまそれをもらった人に聞いてみたら、自分の注文しておったのと全く違う物を、ずっとランクの低い物を送っておったということがわかった。普通は引き出物を送って、こういう引き出物が着きましたかというようなことを冠婚葬祭ではちょっと聞きに行きませんね。それっきりです。そういうことさえ耳にしたのでありますけれども、そうすると、この互助会を割賦販売法でやっていくということが、これは場合によっては非常に社会的にいろいろ問題を起こしている。現にいまそういう問題が起こっておるわけですから、そういう点で、この場合は公取の方でぜひひとつ調査をしていただきたいということ。これは通産省の方で、そういう点の業者が言っていることと、実際に進んでいく方向とが、全く逆な方向にいっているということについての指導とか——全部が全部そういっているとは私は言っているわけではありませんけれども、そういうことになればむしろ非常に害毒を流しているということがありますので、そういう点の指導をぜひ強めていただきたい、こう思うのでありますが、いかがでしょう。
  370. 山口和男

    山口(和)政府委員 パンフレット等に互助会加入契約によって提供されます衣装あるいはその他の用具等を写真で示すという場合に、その写真中に契約によって提供されます役務以外の部分も含めて載せてあるというふうなことにつきましては、御指摘のとおり消費者には誤解を与えるというようなことがございますので、先ほど申し上げましたように、昨年十二月局長名で通達をいたしました中にも、そういった点を含めまして、そういうことをやらないようにという通達をいたした次第でございます。今後ともそういった点については厳しく指導していきたいと考えておりますが、なお、全日本冠婚葬祭互助協会におきましては、そういったパンフレット等の広告物につきまして自主的に監修制度をやって、できるだけ自主的にその規制をしていこうというようなこともやっておりますので、こういった点での指導も含めまして進めてまいりたいと考えております。
  371. 長谷川古

    ○長谷川政府委員 お答えします。  本件につきまして、先ほど申し上げましたように、直接お答えすることはできませんので、御参考までに申し上げますと、従来これに似たような、公共団体等がその仕事に直接何かの形で関与しておるような宣伝をした例がございまして、たとえば昭和三十七年の東京都圏開発社とか、あるいは三十九年の、これはちょっと件名は違いますけれども、東京住宅建設促進事務所とかいう名前の団体が勧誘している、あの宣伝した例とか、あるいは昭和三十九年の株式会社日本住宅協会とか、あるいは国鉄が払い下げに関与しておるような宣伝をしたものでございますが、これらはこのように公共団体等がその業務に何らかの関与をしておるかのごとく惑わせる表示をしたものは全部排除命令を出しております。ただ、前回、昨年の商工委員会のときにお答えしましたのは、名前そのものを変えろということは現行法ではややむずかしいのではないのかというふうに、いまのところ思っております。なお、本件につきましては、先ほどお答えいたしましたように、至急調査いたします。
  372. 東中光雄

    東中分科員 時間がありませんので、もう一つお聞きしておきたいのは、これは冠婚葬祭互助会に関する苦情相談、神奈川県の分を私いま持っておるのですが、解約問題がずいぶん問題になっておるようであります。この間、十二月に契約の解除及び月掛金の払い戻しについての標準約款の改定を指示されているようでありますが、法律論は別として、これによりますと「加入者は、転居により互助会の役務提供を受けることが不可能となったとき、生活保護を受けることになったとき等真に止むを得ぬ事情によるときはこの契約を解除することができます。」というふうに変えて「当会が認めたとき」という従来の文を削除するというようになっているのです。これは法律論としては合意解除ということになるのでしょうけれども、解除を申し入れて、費用は全部天引きして返すのですから、解除の申し入れがあれば当然合意解除に応ずべきだ、こういう経過で加入した者であれば、という指導がなされるべきであると思うのです。そういう点で言えば、たとえば「生活保護を受けることになったとき等真に止むを得ぬ事情」というふうになっておりますけれども、たとえば失業したとき、あるいは定年でやめたとき、あるいは病人が出て毎月の掛金がかなわぬというようになったときというようなものは解除するということにしなければ、依然としていろいろ問題が起こってくるのではないかというふうに思うのです。そういう点は、今度標準約款を変えられた趣旨を私がいま申し上げたような趣旨に解して、そういう指導をやられるというように聞いていいかどうか、この点をひとつ。
  373. 山口和男

    山口(和)政府委員 先生指摘のように、互助会事業の急成長に伴いまして加入者数が増加したとか、あるいはまた加入者の互助会事業に対する認識が変わってきたというような点もございまして、最近、解約の問題あるいは追加金の徴収の問題、パンフレットの問題難いろいろトラブルがかなり見られるようになってまいりました。こういった情勢の変化に対応しまして、標準約款につきまして昨年改定を指導したわけでございますが、その内容は、主要点は三点ばかりございまして、クーリングオフ制度の導入を明記する、あるいは解約条項の改善を加える、追加金の徴収についての取り決めを明確化する、こういった内容でございます。  お話しの解約条項につきましては、従来の条項をある程度客観的にやむを得ない事情というものの判定ができるような形に標準約款では改正したわけでございますが、さらに私どもといたしましては、実際の取り扱いという面で、契約者からたとえば家族に反対されたというような理由で解約申し入れが出たというようなときにも、実際運用においてはそういった解約の申し出に応じていくべきであるというような指導をしてまいりたいと考えております。
  374. 東中光雄

    東中分科員 時間が来ましたので、最後に大臣に、これは冒頭にお伺いしましたように、相当大きな、しかも成長率毎年四〇%にも及んでいるということでありますだけに、公益的な仕事のような装いで、もしそういう被害者がいっぱい出てくるようなことになったら問題は非常に大きいと思いますので、適正によく規制あるいは指導を徹底して、付近の人たちにはもちろん、詐欺的な行為にならぬように厳重な指導をしていただきたいと思うのですが、大臣の御所見を承って終わりたいと思います。
  375. 河本敏夫

    河本国務大臣 昨年の十二月に消費者に誤認を与える行為をしてはいけないと——いま詐欺的な行為になってはいかぬというお言葉がございましたが、とにかく実情を誤認させるようなことをやってはいけないということを厳しく指導をする通達をしたわけでございますが、模様をもう少し見まして、なおその効果が上がらないようであれば、さらに重ねて徹底するようにいたします。
  376. 東中光雄

    東中分科員 終わります。
  377. 中島源太郎

    ○中島(源)主査代理 小宮武喜君。
  378. 小宮武喜

    小宮分科員 石油ショックを契機に石炭の見直しが行われたわけですけれども、国内炭は二千万トン体制を確保するということが約束されながらも実際には達成されておらないというのが実情です。昨年が一千九百万トン、一昨年が一千八百六十万トン、これは既存炭鉱だけでは二千万トン体制は非常に無理ではないのかというふうに考えます。やはり二千万トン体制を確保するためには新規開発が必要ではないかと思います。通産省も新規開発の問題については取り組むということが前前から言われておるわけですけれども、具体的には新規開発の問題はどうなっておるのか、実際に開発されつつあるのか、その辺の事情をひとつ御説明を願いたいと思います。
  379. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 御指摘の点は、新鉱の開発可能性調査にかかわる問題かと思います。  御承知のように、この調査につきましては五十年と五十一年に調査を行っておりまして、その調査結果に基づきまして、比較的問題が少ないだろうと見られる地点といたしまして天北と釧路の西部地域につきまして、昨年七月時点におきましてそれぞれに検討協議会を設置いたしております。その協議会におきまして、地元住民のコンセンサスを得るとか、あるいは地域社会開発計画との調整を図るとか、さらには地上権との調整、こういった問題につきまして調査検討を続けておる、こういう段階でございます。
  380. 小宮武喜

    小宮分科員 最近国内炭の貯炭がふえつつあるということを聞いておりますけれども、現在どれぐらい貯炭されておるのか、また貯炭の原因は、多分鉄鋼業界の不況に一つの大きな原因があると思いますが、大体どれくらい貯炭されて、貯炭の原因は何なのか、その点ひとつ御説明願いたい。
  381. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 ただいまの貯炭の状況でございますが、今年度末におきましては大体百万トン以上ぐらいの感じでございます。  原因といたしましては、原料炭、これは実は今年度の上期におきまして有明炭鉱のノリの問題で出荷がおくれた次第でございまして、そのための貯炭がございます。基本的に一番多い問題は、主として九州におきますサルファ分の高い石炭の在庫が公害規制の関係で売れ行きが非常に悪くなってふえてきておる、こういうのが現状である、このように考えております。
  382. 小宮武喜

    小宮分科員 理由はわかりましたけれども、私が貯炭の問題を非常に心配するのは、政府が国内炭の開発よりは輸入炭の依存度を高めようとしておるのではないかということを考えるわけです。もちろんこの絶対量が不足する以上は、海外炭に依存することは私も理解いたします。絶対海外炭はけしからぬというようなことは考えておりませんけれども、やはりまず基本は、新規開発を含めて国内炭の開発を行う、そうして国内の石炭資源をまず開発する。そうして、場合によってはどうしても不足する場合に海外炭に依存するというような基本姿勢は、多分そうだろうと思いますけれども、ややもすれば、この石炭見直しの問題が起きたときにも、いまのままで進んでいくと、どうしても国内炭と輸入炭との炭価の格差が出てくると私は思う。そうなった場合に、需要者の立場から見ればやはり安い方がいいわけですから、そういう意味で、非常に輸入炭に傾斜していくのではないかということを懸念するからいろいろ質問しておるわけですけれども、先ほど申し上げましたように、あくまで国内炭が優先するという基本方針はいまも堅持しておるわけですね。
  383. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 確かに御指摘のとおりでございまして、五十年七月の石炭鉱業審議会で、総合エネルギー政策の一環として石炭対策を見直すようにという御指摘があったわけでございますが、まさにそのこと自体が、国産の石炭エネルギーを極力活用して、石油に対する依存度を低減していこうということにほかならないわけでございます。さような意味から、国内炭、特に一般炭につきまして積極的に活用する。そのための需要の拡大を図っていくことに相なりますと、当然火力発電所の新増設、したがって、六十年には一千万、六十五年には二千万キロワットまで石炭火力を増設しようという計画を持っておるわけであります。そのためには、必要とする炭量を確保しないと火力発電所の増設ができませんので、輸入炭がふえてくるということに必然的になってくるわけでございます。本来の趣旨からいたしましても、国内炭を優先的に使うための輸入炭である、こういう認識でございますので、まさに御指摘のとおり、まず国内炭を優先して使って、足りないところを海外炭で補完していく、こういう関係になろうかと思うわけでございます。
  384. 小宮武喜

    小宮分科員 そこで、ちょっと私、違った質問をいたしますけれども、いま石炭鉱業合理化臨時措置法という法律が現存しておるわけですが、この法律は、石炭のスクラップ・アンド・ビルド時代の遺物だと私は考えておるのです。だから、新しい石炭政策が打ち出されるようになった今日、そのスクラップ・アンド・ビルド時代の遺物をそのまま衣がえもしないで、あくまで合理化臨時措置法という名前で法律が現存しておるということに何か奇異な感じを抱くわけです。ここら辺で日本の石炭産業も、もちろん炭量を掘り尽くせば別ですけれども、そういう意味では、新しい時代に見合った、たとえば石炭鉱業安定化法とか、そういうものに何か衣がえをしてもいいのではないかというように考えるのですが、昔からの合理化臨時措置法という法律が残っておるということについて前々から非常に奇異に感じておったわけですが、この点いかがですか。
  385. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 現行の石炭鉱業合理化臨時措置法が制定された当時、御指摘のようにスクラップ・アンド・ビルドと申しますか、能率炭鉱に生産を集中するということで制定されたという経緯がございます。その後、炭鉱についても総合開発の規定だとか入っております。また、御承知のように昨年の第八十国会では所要の改正をやり、あるいは適用期限を五十六年まで延長した、こういうことで、五十年七月の石炭鉱業審議会の趣旨を受けて持っていっておるわけでございます。また、現行法の第一条の中にも、石炭鉱業の合理化、安定を図るといったようなことが入っております。そういったところから、法律の名称のいかんにかかわらず、新しく石炭政策を見直す事態に即応した形で石炭政策を展開していきたい、かように考えておるわけでございます。
  386. 小宮武喜

    小宮分科員 中身は確かにそういうことになっておりますし、また五十六年まで延長もされましたけれども、名前がどうもちょっと気にかかるということで、これからの石炭の需要は、総合エネルギー調査会の長期エネルギー需給暫定見通しによっても、また電気事業審議会の長期電源構成目標を見ても、石油の代替エネルギーとしての石炭が飛躍的に増大されることになっておりますので、通産省もそうこだわらぬで、中身はそうであるから名前を変える必要はないということでなくて、これは外部から見た場合に、何か昔の遺物が残っておるということについて、もちろんそういう名前があるからなじんではおるかもしれませんが、石炭産業も昔と違って、今後二千万トンの安定的供給もしなければならぬという時代ですから、石炭鉱業安定化法案ぐらいに名前を変えて、いよいよ政府も石炭の安定化のために本当に取り組んだぞというような印象を与えるぐらいにしたらどうかということを私は言っておるわけです。いまの法律が五十六年までですから、いますぐというわけにもいきませんけれども、法律改正のときぐらいは少し考えたらどうかと思うのです。
  387. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 別に小宮分科員の御意見に反論するわけではございませんが、安定という言葉をどういった意味で使われるか。先ほどからお話が出ておりますように、総合エネルギー政策の一環という立場において国家的位置づけをしている、そのためにはもちろん安定しなくてはファンクションを果たせないということがありますが、どうも一般的に安定と言うと、むしろ消極的な意味の方が強くなってしまうのではなかろうかというふうな気もいたします。ただ、いずれにいたしましても、総合エネルギー政策の一環として合理化を進め、経営的にも安定していくということは当然必要なことでございますので、御趣旨を体して政策を展開していきたい、かように考えるわけでございます。
  388. 小宮武喜

    小宮分科員 そこで、国内炭の二千万トン体制の確立について隘路と考える問題について、若干お尋ねいたします。  最初に、深部移行に対応して採炭フィールドを的確に把握するために、現存炭鉱の炭層状況だとか、あるいは採炭可能炭量あたりを明らかにする必要がありはせぬかと思いますが、この点はどう考えますか。
  389. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 炭層状況だとか採炭可能量を把握していくということは、鉱業を続ける限りきわめて重要な問題でございますが、ただ、それぞれの企業の持っておる鉱区内でさような作業をやるわけでございますので、本来的にはやはり企業がやる、それに対して国が助成していくという体制でなかろうかと思います。そういったことからいたしまして、現在、企業が行うボーリング費用に対しまして無利子で融資をするとか、あるいは坑内の骨格坑道整備のためのいわゆる坑道補助金を出すとか、そういった側面から国がこれを助成していく。従来どおりの体制で進めてまいりたいと思うわけでございます。
  390. 小宮武喜

    小宮分科員 通産省もかなりいろいろ手厚い施策を施しておるようですが、ボーリングの問題について、九州は特に海上炭田ですから、海上ボーリングというのは非常に金がかかるのですよ。だからそういう意味では、ボーリングに必要な経費については陸上、海上を問わず、全額国の補助金で賄えるようにすべきじゃないか。これも前々からいろいろ言われておる問題ですけれども、ここらあたりで発想を変えて、国の石炭見直しの問題、二千万トン体制を確保するためには、国がボーリングぐらい全額見ようというぐらいに踏み切っていいのではないか、こういうように考えますが、いかがですか。
  391. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 企業が行います陸上、海上でのボーリングにつきましては、現在石炭鉱業合理化事業団を通じて近代化融資制度の対象にしておることは御承知のとおりでございます。その条件も無利子でかつ融資比率が七〇%、現状で他の産業に比べましてさほどまで厚い助成をいたしておるというのは例がないわけでございます。海上ボーリングが高くつく、またリスキーであるといったところから一〇〇%までと御指摘になるお気持ちもわかるわけでございますが、融資比率七〇%を無利子という制度は、わが国にはちょっと類例のない制度でございますので、当面これをさらに高めていくということの必要性はないのじゃなかろうかと思うわけでございます。
  392. 小宮武喜

    小宮分科員 時間が迫ってきますので、次は炭価の問題ですが、国内炭については事業団が一括買い上げる方式にしたらどうか。また、買い上げ炭価は当然生産コストに見合うようなものにしまして、私が心配するように、輸入炭と国内炭の炭価の格差が出てくれば、いまの基本姿勢は持っておりながらも、需要家の中ではやはり商売ですから安い方がいいということになれば、ただ基本姿勢で指導をされたとしても問題が出てくるのではないか。そういうように考えますと、輸入炭と国内炭との整合性を持たせるために事業団あたりが一括買い上げたらどうかという構想もあちらこちらに出ているわけですけれども、その点はいかがですか。無理ですか。
  393. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 無理ですかと言われますと、無理だという答えになるわけでございますが、石炭鉱業の合理化なり安定を図っていくために企業の自主性を前提としてやっていくということも必要でございますし、それから輸入炭について一括購入ということになりますと、民間貿易に対して政府が介入し過ぎるという問題がございます。また、たまたまお触れになりました国内炭と輸入炭との価格プールというお話なども耳にはしておるわけでございますが、結果として、火力発電の新増設が進まなければアブハチ取らずということにもなるわけでございまして、そういったところから、従来どおりのコマーシャルベースでやっていくのが必要じゃなかろうか。ただ御承知のように、石炭の価格につきましては、石炭鉱業審議会の意見を聞いて毎年通産大臣が定めることになっております。あるいは引き取り量につきましても、需給計画をベースにいたしまして行政指導もできましょうし、あるいは現在まだ輸入割り当て制を維持しておる、こういうこともございまして、御懸念になるようなことは、この国内炭の炭価の決め方あるいは優先引き取りといったような対処によって十分それは克服できるのじゃなかろうかと考えておるわけでございます。
  394. 小宮武喜

    小宮分科員 次に進みます。  炭鉱のボタ捨て場の問題ですけれども、今日公害、環境問題が非常にいろいろやかましく言われておる中で、このボタ捨て場の確保について政府はどう考えておるのか、その点いかがですか。
  395. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 当然ボタ捨て用地を安全な場所につくっていくということは必要になってくるかと思います。そういった意味で、ボタ山の堰堤の築造あるいは補強工事につきましては、石炭鉱害事業団を通じて現在融資を行っているわけでございます。その他なお必要な問題があれば、その都度検討をしていきたい、かように考えております。
  396. 小宮武喜

    小宮分科員 これは、発電所の灰捨て場の問題も非常に大きな問題になっておりまして、この前の新聞報道でも、電発の磯子発電所ではやはりこの灰捨て場に困って、いまのままでいけばあと一年ぐらいしたら運転を停止しなければならぬというような問題も出てまいります。長崎県あたりの炭鉱は、出たボタをそのまま捨てておるわけですけれども、それがずっと埋まっていくわけです。これに対してもまたいろいろ苦情が出ておるようです。陸地の場合はまだいいとして、海上炭鉱の場合は、ボタ捨て場の確保に非常に困るわけです。だからそういう意味では、長崎にある池島にしても高島にしても、自分のところの島で捨てるわけにいかぬものだから、最終的にほかのところに持っていってその捨て場を確保しなければいかぬという問題もあります。そうすると、このボタ捨てだけで今度は運搬しなければいかぬという問題も出てまいりますので、この用地の取得だとか漁業補償の問題、こういうものに要する経費についてもやはり国も助成を行う必要がありはしないかと考えるのですが、この点はいかがですか。
  397. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 漁業補償につきましては、御承知のように石炭鉱業事業団から現在その必要資金の一部を融資しておるわけでございます。それから、公有水面等を埋め立ててボタ捨て用地をつくるといったような場合には、それぞれ運輸大臣、建設大臣あるいは県知事の認可事項になっておるわけでございまして、これは当然企業としてそれぞれの手続を進めなくてはいけないと思いますが、それに対する助成をどの程度必要とするかということにつきましては、これは具体的なケースについて検討させていただきたいと思います。
  398. 小宮武喜

    小宮分科員 それから次は保安問題についてお尋ねします。この問題は長官にも一度陳情したことがございますが、いわゆる深部開発に伴って、山はねだとかガス突出とかガス排除、高温などの諸対策研究や技術関発がいろいろ行われておるとは思いますけれども、この技術の開発、研究は大体どの程度まで進んでいるのか、ひとつお答えを願いたいと思います。
  399. 左近友三郎

    ○左近政府委員 深部開発に伴いましてガス突出、山はねというような災害が憂慮されますので、これに対する災害防止技術を開発するというのは非常に重要な問題であるというふうに認識しております。現在、財団法人石炭技術研究所に委託研究をお願いしておりまして、推進を図っておりますが、これについても一部実用化ができるものも出てくるというようなことで、着実な成果を上げております。このような民間の研究所の研究と並行いたしまして、国の研究機関でございます工業技術院の公害資源研究所の石炭鉱山技術研究センターというのがございます。これは九州と北海道にございますが、ここにおいて、先ほど申しました民間の研究と並行いたしまして深部保安技術に関する基礎的研究を実施しておりまして、今後はこの民間の研究と国の研究機関両々相まちまして、深部開発に伴いますいろいろな保安問題の技術を研究し、これを実用化してまいりたいと考えております。
  400. 小宮武喜

    小宮分科員 そこで、この保安対策の問題について、災害が発生した場合、坑口が落盤で埋まってしまう。そうすると、奥におる人たちは救出するまでなかなか生命がもてないという場合もございますので、私は、そういう意味では、坑内で何かそういう災害が発生しても、緊急避難をして、そこでやはり長時間、救助隊が来るまで何とか生命を持ちこたえるような避難場所というものをつつくる必要がありはせぬか、またそれをむしろ各企業に対して義務づけるぐらいしたらどうか。それに対する国の補助の問題もありましょうけれども、やはり保安問題については特に力を入れてもらいたい、こういうことも考えておるわけですが、御答弁いかがでしょうか。
  401. 左近友三郎

    ○左近政府委員 鉱山保安の要諦は予防というこが第一でございますけれども、不幸にして万一事故が発生した場合に、御指摘のとおり避難所というようなものがございますと非常に効果があるわけでございます。これにつきましては、すでに石炭鉱山保安規則によりまして義務づけをいたしております。したがいまして、この義務づけに従いまして具体的に各炭鉱にどういう形でどう持っていくかということを指導しておりますので、これが適切な形になるように指導してまいりたいというふうに考えております。
  402. 小宮武喜

    小宮分科員 それから確認したいことは、石炭及び石油特別会計制度を今後も堅持していくつもりなのかどうか。いろいろ石炭関係者の中には心配もあるようですが、その点、心配は要りませんか。
  403. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 御承知のように、石炭対策は石炭、石油対策特別会計の石炭勘定で措置しておるわけでございます。現行法では一応五十六年までということの臨時法になっておりますが、石炭対策が必要である限り、それに対する財源も当然必要になってくるという立場においてこの問題を判断していきたい、かように考えております。
  404. 小宮武喜

    小宮分科員 その場合、石炭会計が石油会計に圧迫されないように石炭関係予算は今後も確保するのか。その意味で、これは通産大臣も石炭対策特別委員会で私の質問に対しては、もう石炭会計はそのために圧縮するようなことはしない、その場合は金はどこからでも持ってくるということをはっきり言われておるわけですが、近年の石炭、石油特別会計の石炭と石油の予算の対比と、この推移はどうなっておるのか、その点ひとつ数字を挙げて説明願いたい。
  405. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 石炭勘定のウエートでございますが、五十年度におきましては千百億で、全体の七割でございます。五十一年度は千百二十六億で七三%、五十二年度は千百九十九億で六四%。若干ながら石油勘定が入ってから石炭は下がってきておるというのも事実でございます。ただ、御承知のように、昨年、五十二年度におきまして、財源不足に対処するために、原重油関税を一キロリットル当たり百十円増徴するといったような措置も講じましたし、それから五十三年度以降におきましては、石油対策財源が大幅に必要になるといったようなところから、いわゆる石油新税なるものを現在お願いいたしておるわけでございます。そういったことによりまして、石炭への石油勘定の食い込みというものはだんだん減っていくと思います。現に五十三年度につきまして原重油関税だけで見ますと、石炭勘定に八割、石油勘定に二割を回しておるにすぎない、こういう状況でございます。
  406. 小宮武喜

    小宮分科員 最近、石炭企業も黒字が出てきたということをよく聞くわけですけれども、黒字が出たから石炭経営も楽になったのだというように考えるのは少し早計ではないかというふうに考えます。私がもう言うまでもなく、石炭企業は深部化に伴う悪条件のもとで、二千万トン体制を確保するために一生懸命努力を続けておるし、また今後もいろいろな合理化も進めなければなりませんので、かなりの資金を必要とするわけでございますが、単年度で黒字が出たからといって、炭鉱経営はもう補助もあるいは資金の融資もむしろふやすより減らしていってもいいのではないかというような考え方があったら、これは大変ですから、やはり単年度で黒字が出ても、長い間のスクラップ・アンド・ビルド時代の膨大な累積赤字を抱えておるわけですから、そういう意味では、炭鉱経営に必要な資金についてはやはり長期、低利の政府関係資金あたりの融資を国の責任において確保できるように協力をしてもらいたい、こういうふうに考えますが、いかがですか。
  407. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 御指摘のように石炭企業の経理状況なるものは、石油危機の後石油価格が上がりましたので、炭価につきましても大幅な値上げが可能になった、あるいは石炭企業の自主的な努力によりましてこのところよくなってきていることは事実だと思いますが、ただ今後とも石炭企業が必要とする長期、低利の資金等の確保につきましては、引き続いて努力してまいりたい、かように考えております。
  408. 小宮武喜

    小宮分科員 最後に一つだけ。  かねてから通産省検討をしておられた石炭の中継備蓄基地、いわゆるコールセンター構想は、大体どの辺まで進んでおられますか。これはいつごろ具体化するのですか。その点ひとつ最後にお尋ねして、私の質問を終わりたいと思います。
  409. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 いわゆるコールセンターにつきましては、昭和五十一年度から調査を実施いたしております。それから五十三年度につきましても引き続いて基本設計等調査を続けていきたいと思っておりますが、現在時点ではまだ具体的な立地地点というのを決めるに至っておりません。これは電力業界の動向だとか、あるいは電源立地との関係で調整する必要があるということで、まだ最終的には決まっておりませんが、一応七百五十万トン・パー・イヤーの取り扱い量のセンターを二カ所つくりたい、できればここ一年ぐらいの間に最終的に地点を決定したい。ただこれは相手方のあることでもございますので、われわれとしてはできるだけ早く実行に移せるように努力いたしたいと思います。
  410. 小宮武喜

    小宮分科員 これで質問を終わります。
  411. 中島源太郎

    ○中島主査代理 以上をもちまして、昭和五十三年度一般会計予算昭和五十三年度特別会計予算及び昭和五十三年度政府関係機関予算通商産業省所管についての質疑は終了いたしました。  次回は、明三月一日午前十時より開会し、経済企画庁及び農林省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時三十八分散会