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1978-03-03 第84回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月三日(金曜日)     午前十時開議  出席分科員    主査 笹山茂太郎君       栗原 祐幸君    住  栄作君       上田 卓三君    金子 みつ君       川俣健二郎君    鍛冶  清君       貝沼 次郎君    竹内 勝彦君       大原 一三君    工藤  晃君    兼務 上原 康助君 兼務 岡田 春夫君    兼務 斎藤  実君 兼務 山田 太郎君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 小沢 辰男君  出席政府委員         厚生大臣官房会         計課長     持永 和見君         厚生省公衆衛生         局長      松浦十四郎君         厚生省環境衛生         局長      山中  和君         厚生省環境衛生         局水道環境部長 国川 健二君         厚生省医務局長 佐分利輝彦君         厚生省薬務局長 中野 徹雄君         厚生省社会局長 上村  一君         厚生省児童家庭         局長      石野 清治君         厚生省保険局長 八木 哲夫君         厚生省年金局長 木暮 保成君         厚生省援護局長 河野 義男君  分科員外出席者         厚生省環境衛生         局乳肉衛生課長 岡部 祥治君         農林省畜産局牛         乳乳製品課長  中島 圭一君         労働省労働基準         局賃金福祉部福         祉課長     中岡 靖忠君         建設省住宅局住         宅計画課長   鴨沢 康夫君         建設省住宅局建         築指導課長   大田 敏彦君         消防庁予防救急         課長      荒井 紀雄君     ————————————— 分科員の異動 三月三日  辞任         補欠選任   小林  進君     上田 卓三君   貝沼 次郎君     広沢 直樹君   不破 哲三君     田中美智子君   大原 一三君     大成 正雄君 同日  辞任         補欠選任   上田 卓三君     金子 みつ君   広沢 直樹君     鍛冶  清君   田中美智子君     松本 善明君   大成 正雄君     工藤  晃君 同日  辞任         補欠選任   金子 みつ君     小林  進君   鍛冶  清君     竹内 勝彦君   松本 善明君     不破 哲三君   工藤  晃君     大原 一三君 同日  辞任         補欠選任   竹内 勝彦君     貝沼 次郎君 同日  第二分科員斎藤実君、第四分科員上原康助君、  第五分科員岡田春夫君及び山田太郎君が本分科  兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十三年度一般会計予算  昭和五十三年度特別会計予算  昭和五十三年度政府関係機関予算  (厚生省所管)      ————◇—————
  2. 笹山茂太郎

    ○笹山主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。  昭和五十三年度一般会計予算昭和五十三年度特別会計予算昭和五十三年度政府関係機関予算厚生省所管について質疑を行います。  まず、山田太郎君。
  3. 山田太郎

    山田(太)分科員 良識派として期待されております小沢厚生大臣に、スモンの問題並びに薬事法あるいは薬害法等の問題についてお伺いしたいと思いますが、その前に、医療保険制度改革とその前提としての今国会提出予定健保法抜本改正案についてお伺いしておきたいと思います。  改革要綱は昨日まとめられたと聞いておりますが、その要点。また、健保改正については、入院十割、外来七割給付と伝えられております。元来、医療給付負担不公平、軽症に厚く重症に薄い現行逆立ち診療は、当然早急に是正されなければならないと思いますが、以上のことについて大臣にお伺いしたいと思います。
  4. 小沢辰男

    小沢国務大臣 私の本当理想的なあり方に対する考えは、これは本当理想論でございますが、全国民がどこに勤めておりましょうとも、あるいはどういう職業でありましょうとも、全国民一億一千万全体が平等の立場に立ち、また能力に応じて負担をしていくというような保険制度であるべきだという理想を持っておりますけれども、直ちにそこまではなかなかいかぬだろう。そこで、できるだけ現状にも即しつつ制度改正をやっていきたいというようなことで、いろいろ考えておるわけでございます。  十割給付全部にすべきだとは思うのでございますけれども保険負担という面から考えていきますと、いまの国保についてはとうていそれが実現できないだろうと思います。一方、全体をならして、たとえば先生の方の党でたしか全部平均九割給付というお考えであったと思うのでございますけれども、そういうようなことを全部ならして考えるか、外来入院も合わせまして、これをならして九割給付なりあるいは八割なり八割五分なり、こういう考えでいくかどうかということも検討をしてみるのでございますが、家計に不安を与えるような非常に経済的な負担の重圧がかかるものは全部保険で見る方が本当じゃないかな、とも考えまして、若干負担の多いものについては十割給付、そうでないものは若干の負担をやむを得ずがまんしてもらう、こんな考え方考えておるわけでございますけれども、いま実はまだ決まっておりません。厚生省としてもいろんな角度から検討しておりまして、まだ正式には決定をいたしておりません。今月中には何とかまとめて、来月の上旬、中旬までの間に国会に出したい。いま申し上げましたような非常に遠い理想考えながらも、当面の問題として、地域保険職域関係を一本化し、地域保険地域保険、それからさらに老人保険老人保険という三本立てでどうだろうかなというような意味で、いろいろといま政府・与党内で調整をしている、こういう段階でございます。
  5. 山田太郎

    山田(太)分科員 改革要綱については、地域保険職域保険、それから老人保険の三本立てでいきたい考えでおる。また同時に、健保法改正については、入院十割、外来七割の考え方を持っておるが、今月中にはそれらの考えをまとめて来月の初旬、中旬には国会へ出したい、こういうふうに解釈してよろしいですか。
  6. 小沢辰男

    小沢国務大臣 その給付の点はまだ正式には決まっておりませんので、少し流動的になるだろうと思いますが、できるだけ早くまとめたいと思っているわけでございます。
  7. 山田太郎

    山田(太)分科員 では、現在のところそういう考えでおるというふうに理解いたしておきます。  そういたしますと、もう一つ重ねてお伺いしたいのは、スモン原因一つのいわゆる薬づけ医療でございますが、この薬づけ医療の改善についてはどういう面においてどのような方法で考えていらっしゃるか、この点もついでにお伺いしておきたいと思います。簡明にお願いいたします。
  8. 小沢辰男

    小沢国務大臣 やはり薬価を適正に持っていく、いわゆる実勢価格薬価基準との問の乖離がないように努力することが一番早い道じゃないかと考えております。
  9. 山田太郎

    山田(太)分科員 そこで本題に入らせていただきますが、一昨日の北陸スモン訴訟判決は、改めて国の薬務行改のずさんさとその原因ともなった薬事法の欠陥を浮き彫りにいたしました。内容的には、今回最大の争点となった国の薬事法上の法的責任、すなわち、医薬品の安全性確保の義務と国家賠償責任が明らかにされたわけでございます。この点については、私自身は画期的な判決であると思いますが、各方面からも評価されているようであります。したがって、この点については、余りにも明白な判決であり、控訴をするかしないか、聞くところによるとここ一両日に決定すると報道されておりますが、私は控訴すべきでないと思います。大臣の御所見をお伺いしておきたいと思います。
  10. 小沢辰男

    小沢国務大臣 尊敬する山田先生の御意見十分頭に置きまして、私どもは私どものまたいろいろ法的な面を担当する法務省立場もございますので、これらとも十分相談して態度を決めさせていただきたいと思っておりますので、今日現在で私がどちらかにお答えすることは、まだ差し控えさせていただきたいと思っております。
  11. 山田太郎

    山田(太)分科員 その点の結論は、やはり目標がなくてはならぬと思いますが、いつごろまでにはその結論をお出しになる予定か、この点もお伺いしておきたいと思います。
  12. 小沢辰男

    小沢国務大臣 御承知のとおり、連日分科会等で法務大臣と私がゆっくり話す間もございませんし、同時に、党内に対する他の仕事の面の、いろいろな予算修正問題になりますと私の方も大分関係がございまして、いろいろ引っ張られておりまして、どうもゆっくりお話をする間がまだないのでございますが、私ども薬務局事務当局の方と法務省専門家事務当局の方でいまいろいろ意見調整をしているようでございますので、それができましたところで私ども最高協議をし判断をする、こういうことになりますので、まあきょうとかというのは無理だろうと思うのですが、できるだけ早く結論を得たいと思っておるわけでございます。
  13. 山田太郎

    山田(太)分科員 きょうの報道によりますと、カネミ裁判では、カネミ倉庫控訴しない、敗訴しても控訴しないということを宣言している報道も、けさのニュースでございますが拝見しました。  このスモン事件については、実は昭和四十四年から国会で八回ばかり取り上げてきております。そういう経緯もございますが、キノホルムとの因果関係は国と武田とチバガイギーは認めていると思います。また、法的責任については、労働あるいは公安事件などと対象が違っておりますし、法的解釈裁判官によって変わるなどということは望めないのではなかろうかと思います。ましてや、厚生省全国スモン調査研究協議会、あの会長甲野博士で、スモン権威者であると同時にウイルス部長でございます。したがって、田辺製薬などがウイルス説などに固執して変な態度をとっていることは全く不可解なことでございますけれどもキノホルムスモン原因であるということは定説でございます。学説的にも定説になっております。裁判官としては、いわゆる科学的な判定裁判官立場からできなかったと思いますが、厚生省ではそういう機関を使って因果関係についてはちゃんと判定はできるはずでございます。法的責任については公安事件あるいは労働事件等と違う問題でございますし、裁判官によって判定が違ってくるなどということは余りないのじゃなかろうかと思います。したがって、どうか国としましては、ぶざまな控訴はしない、その方針をぜひ決定してもらいたいということを強く要望いたしておきますとともに、早い時期にとおっしゃいますが、大体目途をいつごろにしているかという点を一言お答え願っておきたいと思います。
  14. 中野徹雄

    中野(徹)政府委員 金沢判決は、先生承知のとおりに、薬害問題についての裁判所としての日本最初判決でございます。そこに示されましたところの法律上の見解現行薬事法のもとにおける政府責任等、実は非常に重大な、今後の薬事行政についても非常に影響力の強い事項が含まれております。その意味におきまして、私どもといたしましてもこの判決を非常に重大な事実として受けとめ、これを法律的に慎重に検討しなければいかぬという立場にございます。  当面、法務省及び厚生省両省におきまして、それぞれ厚生省意見法務省意見を現在掘り下げて固めつつある。この両省意見ができましたところで両省間の意見の突合を行いまして、速やかに政府としての結論を得、また内部的に財政当局との調整もございますので、なお多少の日時を要すると思います。  いずれにせよ、控訴期間は御承知のように二週間と定められておりますので、なるたけ早い機会に結論を得たいと考えております。いまのところあと何日ということは、ちょっと残念でございますが御報告するだけの状況には立ち至っておりません。しかし、いずれにせよ急ぎたいと思います。
  15. 山田太郎

    山田(太)分科員 何日ということは言えないそうでございますが、これは控訴期間は二週間許されているとはいえども、多くの患者方々が不安のまなざしでいま見詰めているところでございますから、やはり国民の健康を守る責任立場にある厚生省としては一日も早い決断を望んでおきたいと思います。  そこで、次に移りますが、あくまでも判決で黒白を決したいという患者並びに家族原告団は約四千名近い多数であります。また同時に、和解を希望する人もかなりいるようでございます。厚生省としてはどういう基本的な考えでいらっしゃるか、この点についてお伺いしておきたいと思います。
  16. 中野徹雄

    中野(徹)政府委員 先生ただいま御指摘の、金沢判決に対していかに対処するかということは、現在検討中でございますが、政府といたしましては、昨年東京地方裁判所におきますところの可部裁判長所見に従いまして和解に踏み切ったわけでございます。この和解による解決を望まれる方につきましては、当然、この金沢地方裁判所ですでに判決を受けられた方も含めまして、和解意向のある方に対しましては、政府はいつ何どきでも所定の鑑定を経たケースにつきましては和解に応ずるという姿勢をとっております。現在のところ、その選択の問題につきましては、金沢判決に対する原告側のいろいろなお考えもあろうと思いますので、それがどのような比率になるか、そのところは現在のところしかと判断をしかねる次第でございます。
  17. 山田太郎

    山田(太)分科員 その点についてもう一つお伺いしておきますが、和解の場合の金額——賠償という言葉はあのときは使えないかもしれませんが、その金額を最低限下回らないだけのものは当然考えておるということでございますか。
  18. 中野徹雄

    中野(徹)政府委員 金沢判決を受けられた方々につきましても、これは先生承知のとおり、まだ現在段階では判決は確定はいたしておりません。したがいまして、この判決を受けられた方々につきましても、和解意向があれば、東京地裁におけるのと同一条件におきまして和解に応ずる用意は政府としては持っておるわけでございます。
  19. 山田太郎

    山田(太)分科員 その点はわかりました。  さらに和解についてお伺いしておきたいと思います。  端的に言いまして、先ほどちょっと触れましたが、国立予研ウイルス部長甲野博士全国スモン調査研究協議会の当時の会長の御見解、また、せんだって判決が出たときにウイルス説など否定しないような文言がございましたが、これは非常に悲しむべきことだとおっしゃっておいででございます。また、同時に、昭和四十七年に社会労働委員会スモンとベーチエツトについて集中審議をいたしたことがあります。そのときに私もその質問者の一人として参考人の方にお伺いしましたが、そのときの甲野博士お答えでは、診断基準を決めたときはまだキノホルムがわかっていなかった。しかし、現在はキノホルムということがよくわかった。八五%という数字が出ておりますが、あとの一五%についても究明すれば必ず一〇〇%掌握できます。したがって、診断基準あるいは診断指針等変えるならば一〇〇%把握することができますということを明言していらっしゃいます。ところが、その点については、私何度か慫慂いたしましたが、厚生省はそういう診断機関等々を設けないまま今日に至っております。当時であるならば、血液検査あるいは尿検査等々を利用するならば、当然たちどころにわかった問題でございます。この点についてはもう過去になっておりますので追及しても始まらない問題ではございますが、厚生省責任であるということはこれは重大なことでございますので、ここで明言しておきたいと思います。  そこで、現在岡山県には、昭和四十七年末の時点スモン患者は千十六名と掌握しているようでございます。そのうち約三分の二が田辺関係でございます。現在提訴をしている方々が二百二十六名、そのうち百七名という約半数の方々田辺の薬を服用した方々でございます。  先ほど申し上げましたように、田辺は不可解なウイルス説などに固執して、和解を希望しても、田辺和解の席に着かないため苦しんでいるわけでございます。国は田辺に対して強力な説得を試みるべき立場にあると思いますが、その点について、当時厚生省は一〇〇%掌握できる状態にあったものを、なぜそのような診断的機関を設けなかったかという点は、振り返っていま責任を問いただしてはおりますが、多くは追及しないと言いました。しかし、一応は答弁の中にその点にも触れていただいて、田辺製薬に対しての厚生省のこれからの強力な指導をぜひ希望しておきたいと思いますが、どのようになさるおつもりかをお伺いしておきたいと思います。
  20. 小沢辰男

    小沢国務大臣 田辺製薬については、過去私が就任しましてから二回ばかり責任者を招致しまして、いろいろ努力をいたしてまいりました。まだ実を結ぶに至っておりませんので、さらに今後とも努力をいたします。  それから、前のことにつきましては、私よく存じませんので、局長から答弁させます。
  21. 中野徹雄

    中野(徹)政府委員 その経緯につきましては、先生の御批判があるかと思いますが、御承知のように、この裁判に臨みましては、スモン協主要メンバーによる鑑定団十五人が裁判所によって選任されておりまして、この鑑定団鑑定によってスモンであるかどうかの判断及びその症度認定を行い、それを政府としては全面的に受け入れる、こういう姿勢裁判に臨んでいるところでございます。
  22. 山田太郎

    山田(太)分科員 鑑定団鑑定人方々どもよく承知しております。またその中に学者の先生方が入っていることもよく知っておりますが、やはりぼくが申し上げたのは、あの当時、四十七年の時点でということです、そうすれば、血液検査なり尿検査などによって、キノホルムはすぐわかった、ところがそれをやらなかった、この点は大きな過誤であると私は思います。この点を一言付言しておきたいと思います。  したがって、鑑定人制度云々を私はここであげつらうわけではございませんが、やはり原告の中には、このことによって非常に不満を感じている方々おいでのようでございます。やはりはねのけのための鑑定人という印象をぬぐい切れないようでございますから、その点はよく注意していただきたいと思います。  そこで、訴外患者のことにつきまして一言触れておきたいと思います。  これまでの当局答弁では、訴外患者については裁判の決着がついてから考えるとか、厚生省掌握スモン患者だけでも一万一千七名、二万名以上いるとさえ言われておりますが、過去の議事録を見ると、この一万一千七名については調査個人票を活用して救済するとの考えを示していらっしゃるようでございます。  そこで、この訴外患者について一日も早く恒久的な救済措置を始めていく第一歩を、この判決が出た——第一審であるから確定しないとはいえども、しかし、この判決が出たときを一つの契機にして、第一歩を大きく進めてもらいたいと思います。これはカルテがあるなし、あるいは投薬証明があるなしによって、同じ症状でありながら非常な差別がつけられる、中には訴訟を好まない患者方々家族方々もいらっしゃるわけでございますから、国の責任でありながら、短い患者にして七年、長い患者は二十年以上も筆舌に尽くしがたい悲惨な生活を送っていらっしゃる、肉体的にも精神的にも非常に苦労し抜いていらっしゃるわけです。この点をそのまま放置しないで、恒久的措置をぜひ講ずるべきであると思いますが、この点について簡単に一言お答えしていただきたいと思います。
  23. 中野徹雄

    中野(徹)政府委員 先生承知のとおりに、現在の政府の取り組んでおりますのは、現に訴訟を提起されている方々について全国統一的な対処策というものの結論に一刻も早く到達したいというところに政府の精力の全部を注いでいるところでございます。  訴外患者につきましては、たとえば仮にカルテにかわり得るような、いわゆるスモン協原始データ等の活用によって解決の方策を見出し得るケースもあろうかとは存じますが、たとえば投薬証明を欠き、スモンとのキノホルム薬物関連性の客観的な証明を欠くようなケースについていかに取り扱うかということにつきましては、実は非常な難問でございまして、私どもとしては、現在のところこれに対してどうするかという判断をいたしかねているところでございます。  いずれにいたしましても、まず第一段階といたしまして、この訴訟を提起されておる方々についての全国統一的な救済策結論を一刻も早く得たい。訴外患者の問題については、当面、残念でございますが、どのように取り扱うべきかということについて確たる判断はいたしかねているところでございます。
  24. 山田太郎

    山田(太)分科員 先ほど申し上げたことがよくわかってないようでございますが、大臣、ひとつこの訴外患者に対して恒久対策第一歩を進めてもらいたいと思います。  そのためには、やはり先ほどぼくが申し上げたように、あの当時やっておりさえすればこのような問題はなかったはずでございます。したがって、この点については、やはり国も責任の一端はあるわけでございますから、この点について大臣の御見解を承っておきたいと思います。
  25. 小沢辰男

    小沢国務大臣 山田委員の御趣旨、私、前のことについて、大変恐縮でございますが、少し知識が不足でございますので、よくお伺いをいたしましてから改めて検討させていただきます。まことに申しわけありませんけれども
  26. 山田太郎

    山田(太)分科員 このスモン裁判問題、あるいは和解問題等々、これだけ大きな波紋を呼んでいるわけですから、その過去の経緯あるいはどういうことがあったかということをやはり大臣は精査しておいてもらわなければならぬと思います。したがって、きょうはこれ以上お尋ねしても答えが出ないかもしれませんが、やはり精査して、どのような経緯があったかということをよくわかってもらわなければならぬ。それでなければ、患者の気持ちにもなれないし、厚生大臣としての立場の筋がとれないと思います。その点を強く要請しておきたいと思います。  そこで、もう二分ばかりあるようでございますから、はしょって、薬害救済法の問題と、それから薬事法改正の問題について、こちらから要点だけ要望しておきたいと思いますから、これについてのお考えお答えをいただきたいと思います。  まず、薬事法改正の問題についてでございますが、第一点は、有効性安全性の見直し、第二点は、薬効の再評価、第三点は、副作用モニター制度、第四点は、周知徹底機関を設ける、第五点は、新薬製造許可の手続についての法制化、第六点は、中央薬事審議会の位置づけと民主化法制化が必要だと思います。  また、薬害救済法については、これも要点だけ申し上げますが、第一点は、無過失共同責任を入れること、第二点は、スモンなど過去の薬害患者を切り捨てないこと、第三点は、最高限度を設けないこと、第四点は、給付内容最小限度の直接費用にしぼらないこと、第五点は、認定機関給付機関の分離、同時に、国の費用負担ということを必ず設けるべきであると思います。この点は要望とも聞こえますが、やはり国民全体の要求でもあると存じます。この点についての大臣並びに局長のそれ相当の考え方決断を促しておきたいと思います。  同時に、昨日の社労委員会においては、次の通常国会に提出したいという御答弁があったと報道されたやに聞いております。したがって、これは通常国会あるいは次の臨時国会にでも出すというぐらいの決断をもって臨んでいただきたいと思います。  この両点、すなわち、薬事法改正要望要点薬害救済法要望要点、そして通常国会などと言わないで、もし開かれるならば臨時国会に早く提出したいという考え方を示してもらいたいと思います。
  27. 小沢辰男

    小沢国務大臣 大体山田委員のおっしゃる方向でと申し上げてよかろうかと思いますが、薬害救済制度につきましては相当詳しく数点お述べになりました。それぞれについて、まだ検討してから御返事をしなければいけないと考えられるものが承った中で一、二点あるような気がいたしますけれども……(山田(太)分科員「一、二点とはどういう点ですか」と呼ぶ)薬事法改正については、大体大筋は先生おっしゃるような方向をとりたいと思っております。  それから、もう一つは時期でございますが、できるだけ早くでございますから、まあ臨時国会等がどういう形で開かれるかわりませんが、問に合えばそうしたいと思いますし、できるだけ早く成案を得たいと思っております。  あと局長から、救済制度のおっしゃった数点についてもし何かあれば、私はよく把握しない面もございますので、お答えさせます。
  28. 中野徹雄

    中野(徹)政府委員 先生御指摘の薬事法改正点、御承知のとおり、ちょうど西ドイツにおきましては、新薬事法と損害補償問題がいわば全くリンクした形で制定されております。したがいまして、薬事法検討結果に基づきまして、当然、そこにおける製造責任あるいは国の責任論との関連におきまして、薬害救済制度そのものが、問題点としては先生のお挙げになった点が全部含まれると思いますけれども、そのあり方について、薬事法改正点からの見直しという点がございまして、その意味におきましては、昨年の十二月に厚生省の出しました試案自身も、ある面で基本的に再検討を要する点もあろうかと存じます。そのような意味において、それらも踏まえながら十分な検討を早急にいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  29. 山田太郎

    山田(太)分科員 時間が参りましたので、薬事法並びに薬害救済法の点については、早ければ臨時国会にでも出したい、そういうお気持ちがあることは非常に了といたしますので、これで質問は終わらせていただきます。また他日質問させていただきます。
  30. 笹山茂太郎

    ○笹山主査 これにて山田君の質疑は終了いたしました。  次に、上田卓三君。
  31. 上田卓三

    上田分科員 まず、高齢化社会における国の老人対策はどうなっているかということから聞いていきたいと思います。  現在の日本の社会福祉を考える上において、高齢者、老人に対する対策は最も重要かつ緊急な課題だと思うわけであります。人口構成も高齢者の比率が急激な勢いでふえつつあるわけでありましで、これに対して年金あるいは医療の問題で抜本的な対策を樹立しなければならぬと思うわけであります。年をとり、そして働けなくなったらどうするのか、病気で倒れたら一体どうなるのかということは、いわば福祉の原点の問題ではないでしょうか。日本が本当に福祉文化国家と言えるだろうかと私は大いに疑問を感じるし、この問題について真剣に討議される時代に来たのではないか、このように思うわけであります。  国民生活における切実な関心事でありますところの、たとえば子供の教育の問題、あるいは日本が他の国々に比べて貯蓄が非常に盛んであるということ一つ見ましても、子供に非常に関必が深いというのは、自分たちが年をとったときに子供に養ってもらわなければいかぬというような気持ちから、何としても人の子供よりもいい会社に入り立身出世をしてもらいたいという親の下心というものもある。子供の人間性よりも、そういう目先の問題として考える場合が多いのではないか。乱塾とか言われ、その結果、子供の非行が大きな社会問題になっておるところではないか、こういうように思うわけであります。子供のためにちょっとでも多く貯蓄しなければならぬということも一つありましょう。マイカーとかマイホームの問題も大きな問題でありますけれども、やはり貯蓄の多くは老後の問題という形が多い。ところが、この急激な物価高によってせっかくの貯金が目減りする、こういう状況になっておるわけでありまして、いずれにいたしましても、国民一人一人の老後に対する深刻な不安が国民全体を貫いておると言っても過言ではない、このように思うわけであります。  さて、わが国では七十歳以上の老人に対しては無拠出の老人福祉年金があるわけでありますが、現在三百九万人がこれを受給しておる、こういうように言われております。ところが、この支給額は、何と一カ月たった一万五千円というわずかな金額であります。一万五千円で実際どうなるのか。お孫さんの小遣いにも果たしてどうか、こういうように考えざるを得ない、このように思うわけであります。お年寄りが、自分の育てた子供に厄介払いされて、たらい回しにされるというような状況が本当にあるわけでございます。  そこで、私は考えるわけでございますけれども、こういう七十歳以上のお年寄りは、現在無拠出の老齢福祉年金を受けている三百九万人以外にもおられるわけでございまして、現在、七十歳以上の老人は五百四十万人に達しておる、こう言われておるわけであります。このお年寄り、まあお金を持っているお年寄りもいるし、それはいろいろ千差万別であろうというように思いますけれども、たとえば一カ月五万円の年金がもし出されるということになりますと、一年で六十万円でありますから、五百四十万に掛けましたら三兆二千四百億円があれば足りる、こういうことになるわけであります。厚生年金のいわゆる累積が十五兆円もある、こういうように聞いておるわけでございますが、そういうものをこういう老齢福祉年金に回すとこれは十分いけるわけでございまして、個人が自分の親を見るというよりも、若い世代が年寄りの世代をめんどうを見ていく、そして、自分たちが年寄りになればまた若い世代にめんどうを見てもらうという関係がなければ、老人問題を個々人の家庭で問題解決するということは、とうていむずかしいのではないか、私はこういうように思うわけであります。七十歳以上のお年寄りが五万円国から年金が入るということになれば、いやもうお父さんはわしが見る、お母さんもわしが見ると言って、恐らく逆にいい意味での引っ張り合いになるのではないか。お孫さんかて、おじいちゃんから、おばあちゃんからお小遣いを欲しいものだから、おじいちゃん、おばあちゃんということで、これはもう銭金の問題だけじゃなしに、新しい、やはりお年寄りとそういう若い層とのそういうものの断絶というものが一遍に解決していくのではないか、こういうように考えるわけでございます。  そういう点で、本当厚生大臣は、そういう点について、無拠出の年金受給者といってみましても、拠出年金というものはあるわけでございますから、対象がだんだん減っていくということにもなるわけでありますから、私は、そんな先々と言ったって、いま生きている人をまず大事にしてあげていただきたい、こういうように思うわけでありまして、まずその点についてお聞かせをいただきたい。  次に、医療の問題。結局、私もそうでございますけれども、年とったらどうするか、若いときはいいけれども、病気になったら一体どうするのかということで、病気の問題もわれわれの最大の関心事であろう。こういうように、そのためにちょっとでも貯金しておかなければいかぬという形になるわけですけれども医療というのは、国がやはり社会的に見ていくべき問題ではなかろうか。これは、幾ら近代医学が進んだといっても、結局お金がないためにとうとい命が奪われていくということも大いにあるわけでございまして、これは私事でございますけれども、私も小学校六年生のときに父が肺結核を思いまして、三年の闘病生活の結果亡くなったわけですけれども、当時一本一万円のマイシンがあったわけですけれどもあと二十本打てばお医者さんは治ると言ってくれたんだけれども、もうすでに借金を残して——私もいまから考えるならば、あのときにもう少し金があれば、何とか借金でもしてと、こういうような悔いを残しておるところでございますけれども、やはりそういう点で、私は、医療という問題に対して絶対差別があってはならない、このように考えるわけであります。  老人のうち本当に健康であるのは一七%程度でありまして、直ちに治療を要するのが四三%もある。十人のうち実に九人の老人が体に異常がある、こういうように言われておるわけであります。特に、この老人対策を考える場合、単に健康管理だけでなく治療とセットして考えていく必要があるのではないか、このように思うわけであります。  そういう点で、現在の老人施設、特に特別養護老人ホームなどは、ほとんど満足な看護あるいは治療体制もなく、ずばり言って死ぬ順番を待っているといったような悲惨な状況にあるのではないか。寝たきり老人といっても、その多くを占めておるのが脳卒中で、その場合は、その後遺症は適切なリハビリテーションによって六カ月程度の入院で八割は歩行可能になるわけでありまして、身の回りのことは自分でやれるようになると言われておるわけであります。それが全くといっていいほどできていないわけでありますから、端的に言えば、寝たきりの状態にさせられて、この施設に送り込まれていると言っても過言ではなかろう、このように思います。そういう点で、この老人医療に関して言うならば、まず脳卒中リハビリテーションの施設を備えたところのいわゆる老人専門病院の全国的整備が必要ではないか、このように考えるわけであります。  次に、脳卒中リハビリテーションをやるためにも、現在決定的に不足しているところの理学療法士あるいは作業療法士の計画的育成が絶対不可欠だ、このように思うわけでありますが、私が先ほど申し上げた諸点について御説明をいただきたい、このように思います。
  32. 小沢辰男

    小沢国務大臣 老人の福祉年金につきまして御提案がございまして、五万円の福祉年金の実現をしたらどうだ、それには何も国が全部出せと言わない、若い者も全部負担していくというお考えでございまして、現在の積立金を利用したらどうだとおっしゃいましたが、私は、現在の積立金は、やはり自分たちの老後保障をするためにサラリーマンが積み立てていきまして、そしてそれは事業主がその自分の事業所の従業員のために積み立てていただいておりますので、この制度と別個に、先生の御提案のように福祉年金を、いま七十以上の人、何ら年金拠出制には関係のない人、その方々の福祉年金を、国も出せ、若い者もみんな出すぞ、こうして金額を上げていこうじゃないかという考え方は、私は一つの非常にいい考えだと思いますので、これは十分私ども検討していきたいと思います。  それから、老人の医療の問題でございますが、おっしゃるとおり、私どもはこの老人の医療を確保するために、ただ単なる治療というだけでなくて、保健サービスとそれから後のリハビリまで含めました老人保健医療サービスというものを別建ての制度として法律をつくってみようというので、いま鋭意検討中でございます。来年は何とかひとつ成案を得まして通常国会にお出しして、来年の秋ごろから制度としては発足してみたい、こう思っていま鋭意努力中でございますので、ひとつ御了承をいただきたいと思うわけでございます。  なお詳しいことは事務当局から……。
  33. 佐分利輝彦

    ○佐分利政府委員 脳卒中のリハビリテーションの問題でございますが、すでに国立療養所の一部で行っておりましたけれども、新年度から、五十三年度からさらにカを入れたいと考えておりまして、その関係のベッドも五百四十床計上していたと思います。で、御指摘のように、全国的に国立療養所の脳卒中リハビリテーションの機能の強化を計画的に進めてまいりたいと考えております。  また、その際必要となります理学療法士、作業療法士の数の問題でございますけれども、確かに御指摘のように現在理学療法士は二千百余人、作業療法士は七百人程度しかおりません。国といたしましても、明年四月から善通寺病院だとか東名古屋病院の養成所を開校することにいたしておりますし、さらに新年度予算案には新設一校の予算を計上して努力をいたしております。しかし、これにつきましては、国だけではとても計画を全部遂行することは困難でございますので、今後、都道府県とかあるいは関係団体の協力も得て、御期待に沿えるように理学療法士、作業療法士の養成に力を入れてまいりたいと考えております。
  34. 上田卓三

    上田分科員 年金の問題については、私は大臣は勘違いされているんじゃないか。いまみんな若い人が年金拠出しているのは、やはりお年寄りにそういうものを使ってもらって、自分たちが年とったらまた若い人の掛金によってという形でこれは順送りをしていかないと、結局、自分が年とったときにもらうお金は自分が若いときにやったものだということで、同じ解釈になるわけでありますから、そういう点で、私は、そういう十五兆円になんなんとするお金を一体どこへ使っているのか、そういう大企業に奉仕するような形で目的以外に使うこと自身に私は大きな疑問を持っておるところでございます。時間の関係もありますので、別途私はその問題について追及していきたいというふうに思うわけであります。あるいは老人専門病院というものについて明確に私は位置づけをしてもらいたい、こう思うわけであります。  さて、国立病院の問題でございますが、国立病院というものは、国民医療要求にこたえる先頭に立って、特に民間ではできにくい特色を出して、いわゆる社会的医療要求を満足させていく模範とならなければならないことは言うまでもない、このように思うわけであります。しかるに、現在の国立病院は、種々の点で自治体立病院あるいは民間病院と比較して余りにも不十分な点が多いのではないか、このように思うわけであります。  私の地元には大阪南病院があるわけでございますが、これはこの大阪南病院だけではございませんよ、もう全国の病院がそういうことになっておるわけです。例を挙げて申し上げるならば、いわゆる基準看護等がなければならぬにもかかわらず、実際には相当数の付き添いがあるわけでございまして、患者家族の大きな負担となっております。夜間看護体制はいわゆる二・八体制にはほど遠く、平均して二人勤務とすると月十二、三日という過酷な状況にあるわけでありまして、実際には看護婦一人で夜勤しているのが普通となっているわけであります。これは患者にとって万一の場合非常に危険な状態に置かれることになるわけであります。さらに、医師とか看護婦以外の職員に至っては、正規以外のいわゆる賃金職員が二十九名もおるわけでありまして、このうち三分の一近くは予算上の人件費を組まれておらず、施設費やらあるいは職員の超勤手当の一部をカットして流用しているという状況があるわけであります。こういう不安定な労働条件に置かれているのはほとんどが調理師、洗たく婦、清掃、消毒などの労務職員に集中しておるわけです。これは医療労働者の人権問題として重要な問題であろう、このように思うわけであります。  このような状況にある国立病院の質、量ともに水準の低下の原因というのですか、これはもう全国的に言えることでありますけれども、やはりそれは総定員法による定員の削減の結果ではないか、こう考えられるわけでありまして、ぜひとも増員が必要ではないか、このように思います。実際には全国では十年間で五千五百七十人もの定員削減が行われておるわけであります。このような定員削減のいわゆるツケといいますか、医療労働者の労働条件の悪化と同時に、結局、患者国民の命や健康を保障し切れないというところに回ってきておることは重大なことではないか、このように思うわけであります。国立病院や療養所の場合、これは国民のいわゆる健康で文化的な生活を営む権利に発するところの、命と健康を守る上でいわば絶対的な必要性の中に位置されておらなければならないだろう、このように思うわけであります。命にかかわる問題であるわけでありますから、そういう点で、病院とか療養所を一律的に総定員法の枠の中で処理するというよりも、やはりこの特殊性というものを十分考えられて、この定員削減から病院や療養所を分離するということが最も望ましいことではないか、私はこう思うわけでありますが、ひとつこの問題、理解ある大臣の政治的な決断といいますか、心構えというものを十分お聞かせいただきたいと思います。
  35. 小沢辰男

    小沢国務大臣 国立病院、がんセンターあるいは療養所、循環器センター、国立らい療養所等につきましては、おっしゃるように、総定員法で縛られたり、あるいは毎年の行政整理等で非常に窮屈にはなっておるにもかかわらず、私どもは、おっしゃるような趣旨から、逐年増員を図っておりまして、たとえば五十二年度では七百四十七名の純増として定員を増加しておりますし、五十三年度も非常に窮屈な中から純増としては約六百数名増員をすることになっておりますので、おっしゃるようにひとつ逐年改善をしていきたい、かように考えておるところでございまして、これによって国立病院、療養所の機能を十分果たすように努力してまいりたいと思います。
  36. 上田卓三

    上田分科員 総定員法の関係はどうですか。
  37. 小沢辰男

    小沢国務大臣 国会で総定員法というものが決まっておるわけでございますから、私がこれを御批判申し上げるということはちょっとあれでございますが、私は、病院、療養所みたいな現場のサービスあるいは年金業務をやるようなところ、これは外してもらった方がいいのじゃないかと思っているのです。これはぜひ皆さんの御協力を得たいわけでございまして、ひとつよろしくお願いします。
  38. 上田卓三

    上田分科員 厚生大臣がいいとおっしゃったわけでありますから、われわれ全面的に協力しますから、ひとつぜひとも進めていただきたい、このように思います。  次に、いわゆる電動車いすを補装具として認定してもらいたいということで申し上げるわけでございます。というのは、障害者の切実な真剣な願いであり、特に施設によっては相当数の障害者が電動車いすを必要としておるわけでありまして、都立の清瀬療護園では、二十七人の電動車いす利用者のうち十二人は手動車いすを申請し、電動購入残額の二十万円余を自己負担をしておるわけであります。五人はいわゆる全額、約三十万から四十万かかると言われておるわけですけれども、自己負担になっているようでございます。歩行のできない障害者にとって、他人の介助なしに自分の行きたいところへ自分の力で移動し生活範囲を拡大することの意義は、まことに大きいであろう、このように思っておるわけであります。  そういう点で、施設に入所をしている重度の障害者は、車いす以外で外へ行くということは非常に困難な不可能な状況にあるわけでありますから、大体施設関係で一万人ほどおられる——実は子供もおるわけでありますから一万二千人ほどですか、一万台にしましても、一台三十万円として三十億の金があればそのことが実現するわけでございます。いわゆる危険というような問題もちょっと聞きますので、あわせて聞きたいわけでありますけれども、従来、電動車いすだから危険であったというケースは実際あったのかどうか、あるいは科学技術庁なり通産省のプロジェクトチームは、どこまでそれの開発研究を進めておるのかという点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  39. 上村一

    ○上村政府委員 まず、電動車いすが危険であるという点につきましては、それほど問題はないのではないか。JISの規格も決められるようになったわけでございます。ある時点ではまだわからなかったものですから、そういったふうなことを申し上げた時期もあったと思いますが……。  そこで、お尋ねのように、施設に入っている人も含めまして一般的に体の不自由な方に電動車いすを補装具として支給することにつきましては、いろいろ問題があるわけでございます。  一つは、電動車いすというのは体の能力を補完するのにどの程度の効果があるのかいろいろ問題がありまして、いま直ちに補装具として支給することはむずかしいというふうに思うわけでございます。御案内のように、いま、所得の低い人で両上肢、両下肢、この両方に重い障害がある人につきましては、日常生活用具として支給をして、これに国の補助をするというふうなことをしておるわけでございますし、その金額につきましても従来から増額してまいっておるわけでございますから、今後ともその方向で努力させていただきたい。  施設に入っておる人につきましては、施設の中での処遇をどう考えるかということと絡んでまいりますので、この際は直ちに踏み切るというわけにはなかなかまいらないのではないかというふうに思うわけでございます。
  40. 上田卓三

    上田分科員 在宅障害者には認められておるわけでありますから、やはり施設の方についても、共同で使用するというようなことも、大事にするというような問題も含めて、一本一本のかさでさえも共同というよりも自分で扱えば大事にするというような時勢でございますから、施設に入っている方についてもそういう個人負担のないように額だって知れておるわけでございますので、恐らく予算的な関係からおっしゃっているのではないかと思いますけれども安全性もあるいはコストの問題についてもはっきりしておるわけでありますから、ぜひともひとつ実現をしていただきたい、このように思うわけであります。時間の関係がありますので、後から大臣を含めてお答えいただきたいと思います。  次に、結核は大体今日の時点では治る病気ということになっておるわけでありますけれども、しかし肺機能の全体的低下のために生きていくこと自身危険な状態にあるところの低肺機能者の実態はまことに悲惨な状況でありまして、重大な社会問題であろう、このように思うわけであります。肺活量が健康な人の四分の一程度、千cc以下で、ちょっと風が吹いても息苦しく、階段を数歩ずつあえぎながら上っておるというのが現状であろうと思うわけであります。そういう点で、この低肺機能者で結核が治ったけれども病院を退院するのを非常に恐れている方があるわけでありまして、他人のたんでも自分のたんだ、こう言って病院に残りたがる、ベッドにしがみつく、こういうような状況があるわけであります。ところが、病院の方は何とかベッドの回転率を上げるために早く退院させようというような形で追い出されておるというのが現状であろう、このように思うわけであります。特にかぜを引いて息がとまって、亡くなっていく方々が多くあるということを聞いておるところであります。  たとえば、こういうような実態というものに対し、東京都では三十億で百床の呼吸機能障害者の専門施設いわゆる喜望園をつくったということを聞いておるわけであります。暖房とか換気とか湿度は調整され、あるいはふろの設備も工夫されて、リハビリとか健康管理とか授産も呼吸機能障害者の特性に合わせて行われておる、こういうふうに聞いておるところであります。ところが、こういうような施設全体について言えることは、設置基準、運営基準がなくて、重度の障害者施設設置運営基準に依拠をしておりまして、利用者に心身障害者福祉手当あるいは老人福祉手当は支給されていない。要するに、徹頭徹尾放置しているのが国の姿勢ではないか、このように思うわけであります。  そこで、たとえば先日喜望園におけるところのわが社会党の委員長であります飛鳥田一雄氏のいわゆる対話集会において障害者より多くの要望が出されておるわけでありまして、五つばかり出ておりますので申し上げて、その点についての国の考え方というものを聞かしていただきたい、このように思います。  一、呼吸機能障害者の実態調査を実施し、総合的対策を確立してもらいたい。二番目は、内部障害者収容授産施設の設置運営要綱法制化を図ってもらいたい。三番目は、内部障害者収容授産施設を全国的に建設していただきたい。四番目に、福祉手当法を改正して内部障害者収容授産施設の利用者に心身障害者福祉手当、それから老人福祉手当等を支給してもらいたい。五番目に、内部障害者の障害認定程度の等級を改正してもらいたい。こういう要求が出ておるわけでありますが、これに対して明確にお答えいただきたい、このように思います。
  41. 上村一

    ○上村政府委員 一番新しい数字はつかんでおらないわけでございますけれども、四十五年の調査では、約二万三千人くらい低肺機能障害者を含んだ呼吸器の障害者があるというふうに考えておるわけでございます。こういった人たちの社会復帰対策の施設といたしまして、現在、内部障害者の更生施設というのが二十三カ所あるわけでございます。そこでは近くの病院と連携をしていろんなリハビリもやっていただくというふうなことを考えておるわけでございます。  具体的に御指摘になりました五つの点についてでございますが、実態調査というものはいま申し上げましたように四十五年以来やっておらないわけでございまして、いろいろむずかしい点もあるわけでございますが、できる限りその実情をつかむように努力をしてまいりたいというふうに思うわけでございます。  それから、内部障害者の施設につきましても、ちょっと御質問の趣旨がわかりかねたわけでございますけれども、職員の配置、看護婦が何人とか指導員が何人とか、そういった基準は一応私ども行政通知として決めておるわけでございます。  それから、授産施設としての整備の問題でございますが、現在先ほど申し上げましたように二十三カ所で定員が千二百五十名の施設があるわけでございます。その内容の充実につきましてはこれからも努力をしてまいりたい。数をふやす問題でございますけれども、最近の傾向を見ますと、低肺機能障害者というのは多くは結核でございますから、結核療法が進むにつれて減ってきておるのじゃないかというふうに思うわけでございます。  それから、福祉手当の問題でございますが、福祉手当は最後の等級改定と絡んでまいる問題だと思いますけれども、障害等級の重い人につきましては……
  42. 笹山茂太郎

    ○笹山主査 時間が来ておりますから、答弁は簡潔にお願いいたします。
  43. 上村一

    ○上村政府委員 他の障害者と同様に、福祉手当を支給する道が開かれているわけでございます。  以上でございます。
  44. 小沢辰男

    小沢国務大臣 一つ要望のございました電動式車いすの給付費につきましては、今後ともその増額に努力いたします。
  45. 上田卓三

    上田分科員 どうぞよろしく。  ありがとうございました。
  46. 笹山茂太郎

    ○笹山主査 これにて上田君の質疑は終了しました。  次に、斎藤実君。
  47. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 私は水の問題について御質問をいたしたいと思います。  わが国の水の需要につきましては、産業の発展あるいは都市の人口の急増、あるいはまた生活水準の向上に伴って急激に増加をしておりまして、都市用水の安定的な供給が困難になっているわけでございます。この水資源の問題については行政管理庁でも勧告をいたしておりまして、現在のような施策では将来相当量の水の不足が起こり、大きな社会問題になるだろうというふうに警告をしておるわけでございます。  そこで、この莫大な大都市及びその周辺地域において水をどうするかという問題につきましては、従来のように、水が足りなくなった場合にダムをつくればいいではないかという、ダム開発だけに単純に依存するということでは、もはやこれから水対策としては対応できなくなったというように私は考えるわけであります。  そこで、水の利用の合理化、あるいは水利用の改善等が各方面から強く要望されておるわけでございまして、この水の問題をどのようにこれから解決をし、対応していくのか、まずこの点について基本的な考えを伺いたいと思います。
  48. 国川健二

    ○国川政府委員 ただいま先生御指摘のように、水問題はわが国の全般的な政策の問題で、大変大きな問題だと思っております。  特に、私ども、水道行政を張かっているわけでございますが、申し上げるまでもなく、水道事業というものは、主として生活用水、都市用水を確保すべき事業でございまして、これは法律にも明らかではございますけれども国民の生活のために必要な必要最小限の水は十分確保して、生活の安定、公衆衛生の向上を図るということでございますので、限られた水資源ではございますが、有効にこれを利用していかなければならないというように考えております。  いろいろな方策が考えられるわけでございますが、先ほども先生お話しのように、当面は水源開発、ダムやあるいは湖沼の水を新しく利用するという施策も当然必要ではございますが、あわせて利用者サイドにおける水の使い方の問題も十分考えなければいけない。それは国民一人一人の節水というような問題もございましょうけれども、その中で、私ども現在注目しておりますのは、一つは、漏水防止の問題、こういうものもあわせて進めていきたい。そういうことによりまして、今後とも水道用水、必要な水はあくまでも確保するという姿勢で臨んでいきたいというように思っております。
  49. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 いま部長から話がありましたように、ダム開発あるいは水の使い方あるいは漏水防止ということで答弁がありましたが、私が問題にしたいのは、大都市における水道のロスですね、漏水。この比率を見ますと、東京都は二二%、名古屋市では二一・九%、北九州市では二一・四%、全国平均の一八・八%を上回っています。特に、東京都の無効水量年間三億七千万立方メートルは、千葉県における上水道の年間給水量の三億三千万立方メートルよりも多いわけであります。  この無効水量は漏水によるものが大部分だと思いますが、この漏水防止対策について一体どうするのか、これは大問題なんです。これをどう対処されるのか伺いたい。
  50. 国川健二

    ○国川政府委員 御指摘のように、漏水防止という問題は水道行政の上でも大変大きな問題であるということで、従来から、実は漏水防止対策については積極的に取り組むべき課題であるということで、従来の話を申し上げますと、昭和三十五年に、全国的に漏水防止対策を進めるべきであるということで、具体的な指導要綱というようなものも出しまして、これが改善に努めてきているところでございます。  本来、漏水防止というのは大変むずかしい面があるということも御承知いただきたいと思いますが、大変長い長さの水道の管というものが長年月布設されているということがございまして、地盤の状況その他さまざまな要因によりまして、漏水は放置すればふえてくるという傾向がございますから、これを常にチェックし、早目に対策を施し、あるいは老朽化したようなパイプは取りかえるというような施策を同時並行的に進めなければいけないということで指針を出しているわけでございます。  その結果、逐年漏水防止が改善されてきているわけでございまして、過去十年の間に、有効率で申し上げまして約七%程度は向上してきたわけでございまして、現在は、全国平均で八一%程度になっているわけでございます。しかし、私どもとしては、これをさらに、これに甘んずることなく、もっとより高い目標を設定して、一層これを推進していきたいという考えで取り組んでいる次第でございます。
  51. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 漏水の原因につきましては、地盤が軟弱だとか、あるいは重量車によります交通量の増大、あるいは地震だとか老朽の鉄管だとかということを言われているわけでございます。先般も横浜の西口の水道管の破裂ということで大きな問題になったわけですが、これは昭和三十五年に布設をした比較的新しい鉄管なんですけれども、地下一・六メーターのところで、どういう原因か知りませんけれども、水が大分出たわけです。この鉄管は、各水道事業におきましても、大体古いものが多いのですね、四十年とか五十年とか。わずか十六、七年でもこういう事故が起きているわけです。これが上に出たからいいようなものですけれども、こういう振動だとかいろいろな要因によって地下へもぐって浸透していく水というのは莫大にあるだろう。  そこで、それじゃ鉄管を今度は新しく入れるとなると、水道事業者というものは、御承知のように、企業の採算を度外視してやらなければならぬ、財政的に非常に巨額な資金が要るわけでして、私は、確かに管を新しく入れなければだめだということは知っているのですけれども、水道財政ではとうていもう負担できないだろう、こういうふうに考えるわけですが、これは何らかの手だてがないものか。  そこで、独立採算制を原則とする水道事業では、これは本当に新しく鉄管を入れて埋設し直すということは私は無理だろうと思う。そこで、五十三年度には水資源に三百四十億円の補助がついているわけですが、私はこの漏水防止対策は水源開発と同じように考えるべきだろうと思うし、それで、水の有効的な利用の観点からも、この漏水防止対策について水資源と同じように国庫補助をつけるべきではないか、こういうふうに考えるのですが、いかがですか。
  52. 国川健二

    ○国川政府委員 先生のお話のいわゆる漏水防止対策と目される事業といいますのは、非常にいろいろな広範な部分がございます。先ほど申しましたように、非常に老朽化したパイプを部分的に取りかえるというような仕事もございます。それから、一般的に破裂事故等の起きましたものを応急的に修理するという仕事ももちろんございます。そういうことで、一般的には、漏水防止作業といいますのは、維持管理に属する事業ではないかというように考えているわけでございまして、現在のところ、この事業をとらえまして、直ちにこれを補助事業というようなことはなかなかむずかしいのじゃないかということに思っております。
  53. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 東京都の水道専用ダムの小河内ダム、これは一億八千万トン、全国の無効水量は、五十年で二十二億六千万トンある。そうしますと、この全国の無効水量というのは、小河内ダムの十二倍だ。ダムを建設する場合、地元の反対があって膨大な資金がかかるわけです。     〔主査退席、住主査代理着席〕 ダムをつくるということは、一朝一夕にはなかなかむずかしい。したがって、漏水防止対策に国庫補助をつけて無効水量を低くするという方が、私は手っ取り早いし、得策だろう。なおかつ、国庫補助をつけることによって水道関連事業にも影響を与える、景気浮揚にもつながる。単に、漏水防止対策は指導の強化で効果が上がるものではないわけです。非常に私は重要な問題だと思うわけですが、大臣いかがですか。
  54. 小沢辰男

    小沢国務大臣 おっしゃるように、供給面だけ一生懸命になってこれに補助をつけて、大きなダムをつくれとかどうだとかやっておっても、一方において漏水が二割もあるというようなことになると、これは本当におっしゃるようにそっちの方に力を入れた方がかえって早いじゃないかという御意見本当にもっともだと思うのですね。したがって、設備をとにかく改修しなければやはり漏水はなかなか防げぬだろう、そこに補助したらどうだ、一つの御意見で、私どもも十分検討さしていただきますが、いまのところは補助はないのですね。水道はみんな起債で、どうせ後で料金で改修していけということになっておりますので、これはひとつ私はよく検討さしていただきます。いまちょっと早急にこれを、やるといういままでの制度になっていないものですから、検討さしていただきたいと思います。
  55. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 大臣から漏水防止についての補助については検討されるということで、ぜひともひとつこれは積極的に検討していただきたい。  次に、簡易専用水道に関してお尋ねをしたいわけです。今回の水道法の改正に伴って、新たに簡易専用水道の規定が設けられたわけでございますが、これまでこの法の盲点として放置をされていた受水槽以下の管理責任が明確になったわけです。この施行に当たっていろいろな問題が起きることが予想されるわけでありますが、簡易専用水道施設の数は全国で約三十四万とも言われておるわけであります。水道法の第三条の七項で「ただし、その用に供する施設の規模が政令で定める基準以下のものを除く。」と改正されておるわけですが、適用の対象として、受水槽が何トン以上を想定をしているのか明確でないものですから、ぜひこの際伺っておきたい。
  56. 国川健二

    ○国川政府委員 現在、実はその政令で定める基準を慎重に検討しているところでございます。検討の方法といいますか、内容といたしましては、先ほど先生おっしゃいましたように、たとえば個人で設けているような受水タンクのようなものもございまして、そういうものも一切合財含めて全国で三十四万と推定されているわけでございますが、今後法に基づく規制に当たりましては、飲料水の衛生確保という観点からはすべてが非常に大事な問題ではございますけれども、当面は法に基づく規制の必要性とか、あるいはそういう建物設置者の負担能力の問題とか、あるいはその一方、並行して、建物の設置者サイドが守らなければならない検査業務といいますか、そういったものの整備状況等もあわせて考えなければいけないというようなことで、現在慎重にいろいろ各方面の御意見ども伺いながら検討しているところでございます。
  57. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 もう六月から施行されるわけですから、いまだに検討中ということは、ちょっと私はおかしいと思うのです。新聞報道によりますと、厚生省の内部では、受水槽二十トン以上というものを予想しているのではないかというように報道されているわけですが、二十トン以下という施設がほとんどなんですな。全国で十トン以下の受水槽が約二十二万、全体の六六%を占めておる。私、この十トン以下の小規模な施設、たとえばマンションだとか、あるいは小さなアパートだとか、あるいは小さなビルだとか、こういう目の届かない、管理のずさんな施設が問題があるのだと思う。これも各方面から、新聞でも報道されていますように、鉄さびだとかごみだとかネズミだとか昆虫だとかいう、大変これは問題が起きているわけですよ。大きなビルであれば、管理責任者がおって、定期的に掃除をしたり検査をするということもあるでしょうけれども、小規模施設の十トン以下の施設が私は問題だと思うのですね。もうとにかく五年も七年もほったらかしておる、こういうのもずいぶんあるわけでございまして、どうせ規定をするのであれば、やっぱり人体に影響のある水ですから、やる以上はやはりきちっとした、あらゆる施設に適用するということが、私は国民の生命を守る上から大事だろうと思うのですが、いかがですか。
  58. 国川健二

    ○国川政府委員 先生のおっしゃること、大変ごもっとだと考えております。ただ、具体的に当面直ちにいろいろな規制をかぶせ、法律上の検査義務その他を負わせることが一度には困難な面があるのではないかという感じがしております。そういう意味で実は慎重に考えておりまして、先ほど先生からお話のございました、たとえば二十トン以上というようなものも、これは一つ検討に値するレベルではないかというような心づもりは持っておりますが、さらにこれは、最終的に実はまだ決まっていない、その方向でなるかどうか、今後十分検討いたしたいと思います。  それから、よしんばその法の規制以下の小規模なものでございましても、ただいま先生がおっしゃいましたように、いろいろな問題がありますのは事実でございますから、行政指導の形で同じような強い指導で、施設者の啓蒙を図るとか、あるいはさまざまな保健衛生機関指導を十分徹底を図っていきたいというように考えておるわけでございます。
  59. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 ぜひひとつきめ細かな対策をお願いしておきたいと思います。  それから、簡易専用水道の検査機関の問題なんです。この検査機関として「地方公共団体の機関又は厚生大臣の指定する者」とされているわけですが、この「地方公共団体の機関」とは具体的にどういうものを指すのか明確ではないわけです。あるいは「厚生大臣の指定する者」とは具体的にどういうものを考えているのか、御答弁いただきたい。
  60. 国川健二

    ○国川政府委員 昨年の水道法改正で盛られました条文と申しますか、法律改正では、検査を行う者を「地方公共団体の機関」ということにあらわしてございます。したがいまして、この法律の趣旨から申し上げますならば、こういうものは、何といいましても水の衛生確保に関して専門的な十分な技術と能力を持っている機関だということになりまして、具体的に衛生部局の場合もありましょうし、あるいは水道部局が適当だという場合もあるかというふうに思います。  いずれにしましても、その執行能力といいますか、実施能力が十分な機関をそれぞれの地域で検討しまして決めていきたいというように考えて、各都道府県ともいろいろ相談しているところでございます。
  61. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 いまの答弁では、衛生部だとかあるいは水道事業者というふうに言われているわけですが、衛生部というのは、県という意味ですか、それとも市の場合を指すわけですか。
  62. 国川健二

    ○国川政府委員 都道府県及び市町村、いずれも該当する、どちらの場合でもという意味でございます。
  63. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 そうしますと、両方で検査をするということになるのか、最終責任は都道府県知事が責任を持って検査をするのか、あるいは水道事業者が責任を持って検査するのか、この点いかがですか。
  64. 国川健二

    ○国川政府委員 先生の御質問は検査機関の話でございますから、その検査機関はそれぞれの地域でダブるようなことはもちろんないようにいたしたいと思いますし、ある県では県のレベルで全体的にそういう検査制度を整備するということもありましょうし、ある県におきましては、一部の市は市町村で行う、残りの部分は都道府県が行うというような場合も想定されます。それから、さらに具体的に申し上げれば、市町村サイドで行う場合におきましても、先ほど申しましたように、衛生部局の場合もあれば水道部局が適当だと思われる場合もあり得るかと思っております。これは、それぞれ地方の実情が非常に異なっておりまして、従来からの経緯等もございますので、それぞれの地域で十分話し合いまして、一番適正な合理的な機関を選定しようということで準備を進めているところでございます。
  65. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 全国の水道事業者というのは、金はかかるし、料金値上げすればまた住民からいろいろな問題がはね返ってくるということで、赤字を抱えて大変なわけですね。それで、いまのお話のように市町村の水道事業者が検査機関に含まれるとすると、水道事業者の業務が大幅に拡大されるわけです。ところが、この検査の結果によっては、都道府県知事が当該施設の改善命令あるいは給水停止命令等の措置をとることができることになっておるわけですが、こうなりますと、トラブルも非常に多くなるし、相当の業務量にもなるわけです。それでなくとも地方団体が赤字で困っているわけです。なおかつ検査人員の確保だとかあるいは検査料金制度など大変な財政的な負担になるわけです。これ以上水道事業者に負担をかけるということはちょっと無理ではないか、したがって、この検査のように衛生上の行政分野に属するわけでございまして、地方公共団体の水道事業のサービスの範囲外と私は思うわけでございます。むしろこれは都道府県の衛生部が中心となって責任を持って検査をするという体制が妥当ではないかと思うわけですが、いかがですか。
  66. 国川健二

    ○国川政府委員 ごもっともな御意見だと思います。地域によりまして、先ほど申しましたけれども、いろいろな事情、差がございます。実態上から見まして、地方の中小都市におきましては、従来から、水道部局サイドにおきまして、この種の簡易専用水道のめんどうといいますか、相談事といいますかを含めまして、いろいろ実情に一番詳しい部分もあるわけでございますから、非常に積極的にめんどうを見ている事業体もあるわけでございます。そういう意味から、私ども実は画一的に決めることは不適当じゃないかというように思っておりまして、水道事業体の団体等ともそこらについての十分な意見交換をやっているわけでございます。第一義的に衛生部局が適切ではないかという御意見は、私どももそのようには思います。ただ、十分専門的な能力を持っておる、しかも余力があれば水道部局が行っても十分差し支えないのじゃないか、地域の実態に即したいというふうに思います。  それから、費用の問題でございますが、これは直ちに水道事業者の料金に反映するのではないかというようなお話がございましたけれども、たてまえといたしましては、この検査はそういう建物の設置者に義務を課すという形になっておるわけでございまして、必要な経費等はその設置者からいただくというたてまえでいきたい、そういうことになっているわけでございます。
  67. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 今後、水道の水質管理におきまして、試験検査はますます重要になってくるわけです。したがって、水質試験検査の体制の強化を図るという意味から、五十三年度予算に新たに水質検査施設整備費国庫補助制度が設けられました。ところが、この補助はどういうところにされるのか、また、この内容はどういうものなのか、どういうものが対象になるのか、ぜひ伺っておきたいと思うし、それから検査をする場合、いろいろな器械だとか器具が要るわけです。これも財政上の問題から考えれば、こういう検査設備あるいは検査器具、器械、これらも起債の対象にしていいんではないかと思うわけですが、いかがですか。
  68. 国川健二

    ○国川政府委員 先生御指摘の五十三年度予算案に計上されております水質検査施設整備費の補助金でございますが、御承知のように、水質検査というものは、本来的には水道事業者が自分でやるべき仕事ではないか、そういう観点から大都市を初めかなりの都市が全部自分のところだけの検査施設を完備しているケースがございます。ところが、中小規模の水道になりますと、なかなか全体のすべての水質検査はできない、部分的にしかできないという面もあるわけでございます。そういうことから、また他面、今後、水質検査をますます厳格にきちんとやらなければいけないという必要性が強まっておりますので、この予算案の考え方といたしましては、中小規模の水道事業体独自に個別に検査施設を整備することが困難な場合に、相当数の事業体が一緒になって共同で水質検査施設を持つというようなケースを想定し、また、そういう形での促進を図ることが一番合理的ではないかというようなことで考えているわけでございます。したがいまして、実質的には地方それぞれ中心になる都市がありまして、その周辺の数十の小規模水道、簡易水道等も含めまして、そういうものをネットとした枠の中での共同の水質検査センター、そういうものをつくる。そのときの必要な分析機器に対しても補助をいたしたいということでございまして、具体的な補助内容あるいはその起債等につきましては、今後、関係省とも詰めて必要な起債といいますか、そういうような点につきましても、十分御趣旨の方向で努力したいというふうに思っております。
  69. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 最後に伺っておきますが、都市用水を中心とした水需要というものは、もうこれから崩れて、水不足というものが当然予測されるわけでありますが、水の再生利用、これは新しい資源として私は期待をしなければならないと思うし、この再生水の利用、これは中水道といわれているのですが、これからこの中水道の設置が検討されるべきだろうと思うし、その中水道について基本的な厚生省考えを伺っておきたいと思います。
  70. 国川健二

    ○国川政府委員 先生おっしゃいましたが、いわゆる雑用水道と私どもは言っておりますけれども、飲み水とかその他を除いた雑用的な用途に、水洗便所その他空調とかいろいろな用途がございますけれども、そういうものの必要性につきましては、私どもとしましてはいろいろ条件はございます。水需給が非常に逼迫した地域だとか、そういう二元系統の施設を整備することが可能な地域とか、そういう前提はありましょうが、そういうことに合致する地域におきましては、これは大変有効な水資源対策だというふうに認識いたしております。この問題については、私どもとしては積極的に取り組まなければいけない課題だというように思っております。  ただ、具体的な実施に当たりましては、いろんな衛生上の配慮といいますか、そういうような問題もありますし、利用者の合意の問題だとかあるいは経済性の問題、さまざまな問題がございますので、その辺につきましては慎重な検討を加えていきたい、こういうようなつもりで対処していきたいと思っております。
  71. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 以上で終わります。
  72. 住栄作

    ○住主査代理 これにて斎藤君の質疑は終了しました。  次に、岡田春夫君。
  73. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 若干住宅問題で御質問いたしますが、大臣も私の場合もお互いに政治家でございますから、余り細かい点は一々御答弁いただかなくても結構でございます。しかし、肝心の点では大臣お答えをいただかなければならないと思いますから、そのつもりでお聞きをいただきたいと思います。  最初、細かい点でございますが、厚生年金の積立金ですが、昭和五十三年度末の累計見込み額、大体どれぐらいになりますか。
  74. 木暮保成

    ○木暮政府委員 厚生年金の五十二年度末の積立金の累積見込み額は十七兆七千九百九十二億円というふうに見込んでおります。
  75. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 五十三年度の見通しはありますか。
  76. 木暮保成

    ○木暮政府委員 五十三年度末には二十兆四千四百九十二億円になるというふうに見込んでおります。
  77. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 それから、年金福祉事業団の貸付残高、これの見込み額をそれぞれお答えをいただきたいと思います。
  78. 木暮保成

    ○木暮政府委員 昭和五十一年度末で、七千六百九十七億円、それから五十二年度末では、見込み額でございますが、九千六百四十一億円というふうに考えております。
  79. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 五十三年度の見込みはありますか。
  80. 木暮保成

    ○木暮政府委員 いま直ちに準備いたしますので、いま資料を検討いたしますので……。
  81. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 それじゃ、それは後で御一緒に答弁いただくとして。  年金福祉事業団の貸付資金枠の問題を含めて御答弁いただきたい。
  82. 木暮保成

    ○木暮政府委員 年金福祉事業団の貸付枠でございますが、昭和五十二年度当初二千七百八十二億円でございますが、五十三年度では三千三百八十億円を予定いたしております。
  83. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 建設省に伺いますけれども、住宅金融公庫の分譲宅地融資、これの償還期限と据え置き期間、現在の状態と今後の見込み、まずこの点を伺いたいと思います。
  84. 鴨沢康夫

    ○鴨沢説明員 御質問、分譲宅地ということでございましたが、住宅一般というふうに……
  85. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 それで結構です。
  86. 鴨沢康夫

    ○鴨沢説明員 現在、木造住宅につきましては、十八年の償還期間でございます。それから、簡易耐火建造の住宅は二十五年、耐火構造の住宅は三十五年となっております。  据え置き期間につきましては、従来は一般的な据え置き期間制度としては設けておりませんで、災害等の特別な場合にのみ据え置きを設けております。
  87. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 今度これは改正しますね。どういうふうになりますか。
  88. 鴨沢康夫

    ○鴨沢説明員 現在、金融公庫法改正を提出して御審議を願っておりますが、先ほど申し上げました木造十八年は二十五年に、簡易耐火構造二十五年は三十年にそれぞれ改正をいたしたい。  また、五十三年度限りの措置といたしまして、五十二年度の新規借入者については元金の一年間据え置きをできることとするような改正案を提出いたしております。
  89. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 これは法的改正が必要ですか。
  90. 鴨沢康夫

    ○鴨沢説明員 住宅金融公庫法は非常に細かいところまで法律で定めておりまして、償還期間は法律事項になっておりますので法律改正が必要でございます。
  91. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 次は、労働省。雇用促進事業団の財形融資、これの場合も償還期間並びに据え置き期間、こういう点について現状と今度の改正、これをひとつお答えいただきたい。
  92. 中岡靖忠

    ○中岡説明員 財形の持ち家融資の償還期間につきましては、現行制度は、いま建設省の方からお話ございましたのと全く同じでございます。  それから、今後どうするかという問題につきましては、私ども五十三年度からは、いま建設省が法律改正をやっておやりになるという内容のものを、私どもは政令でございますが、同じ趣旨の改正をいたす予定にしております。
  93. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 同じというのは、雇用促進事業団の財形融資の場合、今度の改正では十八年が二十五年になる。二十五年が三十年になる、これは簡易耐火住宅というのかな。それから耐火関係、これも三十五年。そして、一年間の五十三年度限りの据え置きを行う、こういうことですね。
  94. 中岡靖忠

    ○中岡説明員 そのとおりでございます。
  95. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 その次は、これは厚生省に伺っておきたいんですが、厚生年金の場合は、これは私が申し上げるまでもないのですが、被保険者に対して保険料は法的に強制されている。積極積立方式といいますか……。もう一つは、そういうお金でございますからこれはできるだけ大蔵省の資金運用部の中に一括されている。これは郵便貯金と同じような形をとっている、大体そういうことですね。
  96. 木暮保成

    ○木暮政府委員 さようでございます。
  97. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 それから、これは建設省に伺いたいんですが、さっきの住宅金融公庫の原資ですね、これも大蔵省の資金運用部の金ではありませんか。
  98. 鴨沢康夫

    ○鴨沢説明員 住宅金融公庫の原資につきましては、そのほとんどの部分が政府低利資金である財政投融資でございます。一部、自己回収資金あるいは過去における出資金その他の財源はございますが、ほとんど全部が財政投融資であるというふうにお考えいただいて結構でございます。
  99. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 それは資金運用部の金ですね。
  100. 鴨沢康夫

    ○鴨沢説明員 そのとおりでございます。
  101. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 そこでもう一つ、厚生年金の場合は、先ほど言いましたように、法的な拘束力がある。それだけに還元融資に対しても非常に大切に扱う。だから、毎年の積立金の増加額、先ほど五十二年、五十三年を対比して伺ったのですが、約三兆、五十三年見込み額としてはふえますね。これの場合の三分の一が被保険者の生活向上、福祉、その関係に使われることになる、これは低利で運用されている、そういうことになっていると思うのですが、具体的にこれはどういう面にお使いになっているのですか。
  102. 木暮保成

    ○木暮政府委員 先ほどお尋ねございました事業団の五十三年度末の貸付残高でございますが、一兆二千五百億の見込みでございます。  それから、いま先生お尋ねの資金の利用状況でございますが、来年度で申し上げますと、還元融資の総額は一兆四百五十一億円でございます。これは新規預託額の三分の一を還元融資に充てるという大筋のルールがございますけれども、来年度につきましては保険料の伸びが余り大きくないということ、それから受給者がふえてまいりまして新規預託額が伸び悩んでおりますので、従来三分の一でございましたけれども、来年度につきましては三九%を還元融資に使うという形になっております。それで、一兆四百五十一億円のうち年金福祉事業団において福祉運用いたしますのは三千八十六億円でございます。それから、特別地方債ということで地方公共団体が住宅とか病院とか厚生福祉施設等に利用いたしますものは六千二百二十七億円でございます。その他は医療金融公庫に四百三十一億円、社会福祉事業振興会に二百四十九億円、国立病院特別会計に四百四億円、公害防止事業団に五十四億円、こういう内訳になっております。
  103. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 そこで、厚生省にもう一つ伺いたいのは、年金福祉事業団でいわゆる住宅融資をする、これの現在の償還期限、貸付期間ですね、これは現状はどうなっていますか。
  104. 木暮保成

    ○木暮政府委員 まず、返済期間でございますが、耐火構造につきましては三十五年、それから簡易耐火構造につきましては二十五年、木造につきましては十八年でございます。  返済方法は元利均等半年賦返済という形をとっておるわけでございます。  それから、貸付利率は大企業の場合には七%、中小企業の場合には六・五%、生協等の場合には五・五%でございます。  それから、融資率と申しますか、貸付限度額は大企業につきましては七〇%以内、それから生協その他の団体につきましては九〇%以内、こういうことで分譲住宅資金貸し付けを行っております。
  105. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 そこで、これは大臣にお伺いしたいのは、いま答弁でお聞きのとおり、先ほど労働省、建設省、すなわち住宅金融公庫と雇用促進事業団、これの場合の償還期間は今度改正になっているわけです。これは先ほど御答弁のあったとおりです。ところが、年金福祉事業団だけは、この後どういうように御答弁になるのかそれはわかりませんが、いままでのところは改正になっておらない。資金運用部資金の金でそのように大切にしておって、被保険者がこれを使うという場合にはむしろ有利でなければならないのに、ほかの役所の関係の金よりも償還期間が短いというようなことでは、どうもわれわれは納得いきかねるわけであります。  そういう点から、この前、厚生大臣にも非公式ではございましたが、私として、これはおかしいじゃありませんか、これは直していただかなければならないと思いますということをお話し申し上げたわけでございますが、その後この点がどのようになりましたか、この点をお答えいただきたいのであります。
  106. 小沢辰男

    小沢国務大臣 御指摘のとおりでございますので、償還期間の延長及び一年の据え置きは、これは他のものと同じようにしたいと思います。
  107. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 その点、局長、もしあるなら答弁してください。
  108. 木暮保成

    ○木暮政府委員 ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、分譲住宅の資金貸し付けにつきましては、建設省、労働省と合わせまして、簡易耐火構造につきましては現在二十五年のを三十年に、木造十八年は二十五年以内に、それから返済元金の据え置きにつきましても五十三年度一年分を据え置くというふうにする予定をいたしております。
  109. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 予定でございますとおっしゃるのは、これはすでに決まっていると見てもいいですか。
  110. 木暮保成

    ○木暮政府委員 そうでございます。
  111. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 大蔵省にも確認をとられましたか。
  112. 木暮保成

    ○木暮政府委員 財政当局とも協議済みでございます。
  113. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 間違いないですね。これは大臣に伺っておきたいのですが、間違いございませんか。
  114. 小沢辰男

    小沢国務大臣 ございません。やります。
  115. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 それでは、もう一つそれに関連をいたしまして、被保険者の住宅転貸融資の据え置き期間、これについてもかねがね関係する団体からも陳情がございますし、この点も御改正をいただかなければならない。こういう点についても厚生省としてお話しいただいたと思うのですが、この点はどうなりましたか。
  116. 木暮保成

    ○木暮政府委員 個人住宅資金の貸し付けにつきましても、今回労働省、建設省と合わせまして元金の償還を据え置くという措置をとることにいたしておりますが、若干事情が違いまして、住宅金融公庫と雇用促進事業団の方はすべて元利均等ということで返済方法が決まっております。厚生省の年金の部分につきましては、転貸分につきましては原則として元金均等でございます。住宅金融公庫に委託をいたしておりますのは元利均等でございます。したがいまして、建設省、労働省と同じ返済方法をとっております住金委託部分につきましては一年間の元金償還を据え置くということにいたしておりますが、転貸分につきましては元金均等でございまして、初年度によけい返していただくということになっておりますので、これにつきましては半年分を据え置くということにいたしたいと考えておるわけでございます。金額的には、元利均等償還のものにつきましては四百万円の融資の場合が七万五千円の据え置き、それから元金均等償還の場合には半年分ではございますけれども、八万円の据え置きということになるわけでございます。  なお、個人住宅の貸し付けのうち、年金福祉事業団の分譲住宅の融資の上乗せ分につきましては、これは元利均等償還方式をとっておりますので、この分は建設省、労働省と同じように一年分の元金据え置き措置を講ずるというふうにいたしております。
  117. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 どうも余り細かいことになると私も余りわからないのですが、ほかの労働省、建設省とは大体同じ線になるということに理解してもよろしいのでしょうか。
  118. 木暮保成

    ○木暮政府委員 そういうふうにバランスをとってやる予定でございます。
  119. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 あなた、予定とおっしゃられると、まだ信用できないのですよ。
  120. 木暮保成

    ○木暮政府委員 バランスをとってやることに決まっております。
  121. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 労働省に伺っておきたいのですが、先ほどの建設省の場合もございますように、いわゆる勤労者財産形成促進法の一部を今度改正する、そして先ほどの問題を具体的に適用していく。その場合に持ち家融資制度の場合の拡充として、今度は中古住宅の購入あるいは住宅の改良、こういうような改正が対象になるというようなことをわれわれは聞いているわけです。それからもう一つは、融資の枠を二倍から三倍にする、こういうようなことを聞いておりますが、これはどうなんですか。
  122. 中岡靖忠

    ○中岡説明員 先生お話しのとおりでございまして、今度の財形法の改正も実は国会に提出済みでございますが、持ち家融資の関係の拡充では、一つは融資対象に中古及び増改築、補修といった住宅の改良についての資金も融資対象にするというう点と、それから転貸融資、それから直接融資についての現在の貸付額がその人の保有しておる貯蓄残高の二倍ということになってございますが、これを三倍に引き上げるということに予定しております。
  123. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 これが年金福祉事業団の場合にはどうなりますか。
  124. 木暮保成

    ○木暮政府委員 中古につきましては五十一年度からすでに実施をいたしております。  それから、いま労働省に関してお尋ねの点でございますが、貸付枠につきましては、五十二年度当初千五百億でございますのを二千二百三十五億ということで約五〇%の伸びを見ておる次第でございます。  それから、貸付限度額につきましても、二十年以上の被保険期間のある者につきましては四百五十万を五百万に引き上げると同時に、いままでは五年以上の被保険期間のある方に限って貸し付けをいたしておりましたものを、三年以上五年までの方にも新しく貸すということで二百万円の資金枠を設けておるところでございます。  それからさらに、老人または身体障害者と同居する世帯につきましては、この貸付枠にさらに六十万円ずつを上積みしてお貸しするというような改正考えております。
  125. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 先ほどの御答弁で改良が入ってないのですが、改良はどうですか。
  126. 木暮保成

    ○木暮政府委員 改良は制度発足当時からやっております。
  127. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 もう一つは、日本勤労者住宅協会の委託に係る住宅金融公庫融資分譲住宅の上乗せというのですか、この被保険者転貸融資も住宅金融公庫と同じように元利均等償還をやってもらいたい、関係団体からこういう希望が出ておりますが、これはどうですか。
  128. 木暮保成

    ○木暮政府委員 この点につきましては、率直に申し上げまして今後の検討課題にさせていただきたいと思っておるわけでございます。  その理由は、私どもの年金の積立金は、先ほどお話がございましたように、一応資金運用部に預託をいたしまして資金運用部から借りるという形式をとっております。資金運用部から借りる形は、元金均等払いで返すということで借りておりまして、元利均等償還を認める範囲を多くいたしますと償還資金がショートするということになるわけでございます。今度の措置も、そういう事情から、できる最南限度まで建設省、労働省とあわせてやるということにいたしたわけでございますので、その点につきましては今後の問題にさせていただきたいと思っております。
  129. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 だけれども、住金の方も、建設省が資金運用部資金だと言っているじゃないですか。しかも、厚生年金はあなたの方のですよ。あなたの方の金を大蔵省に預けているのですから、あなたの方にむしろ権限があるんだよ。それなのに貸した方から御相談をいただいて、貸した方の条件で何とかさせていただこうというのは、これは筋が通らない。  それで大臣、これは重要な問題ですから、局長から先に答弁してもいいですけれども大臣もひとつ積極的にお考えいただかないと、被保険者ですからね。私はさっきから何度も言っているように、被保険者が一番条件がよくなければならないのでしょう。それなのにほかより悪いというのじゃ問題にならないし、そういう点はひとつ思い切って——持ち主の厚生省が大蔵省に預けているのでしょう。預けている方が、預けると返せませんなんて言われたんじゃ話が通らないでしょう。
  130. 木暮保成

    ○木暮政府委員 一つは、先ほど建設省から御答弁ございましたように、住宅金融公庫の場合には自己資金が非常に多額にございまして、その範囲内でやりくりができるという事情があるわけでございます。  それから、資金運用部に年金の金を預けておるわけでございますが、やはりこれも先ほどお話がございましたように、郵政省の貯金とか、そういうものと一緒になっておりまして、条件を同じにするということになっておりますので、年金の場合、例外措置をとってもらうということがなかなかむずかしい事情があるわけでございますが、御指摘の点、さらに今後検討させていただきたいと思います。
  131. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 大臣、これはどうですか。さっき、住金の場合には自己資金でございますから云々と御答弁があったけれども、厚生年金こそ自分で出している金ですよ。出している人が使うというのですから、そのときは、これはひとつ厚生大臣、大蔵省に精力的にお話し合いをいただいて何とかめどをつけないと、これはやはり被保険者を虐げることになります。やはりここで大臣として積極的な御努力、御尽力をいただけるように、これはひとつ言明をいただきたいわけです。  なお、これは郵便貯金の場合と全然性格が違いますからね。郵便貯金はある意味で銀行預金の一つの形ですし、厚生年金の場合は強制力をもってやるんですから、その点はひとつ、この実態をあなたは政治家としてこういう問題はよくおつかみのはずでございますので、ひとつ確固たる決意のほどを伺っておきたいと思います。
  132. 小沢辰男

    小沢国務大臣 おっしゃることももちろんごもっともだと思うのですが、私どもは被保険者から全部預かりまして——お前が預かっている金じゃないか、こう言われますけれども、やはりこれは安全、確実、有利に利用していかなければいかぬものですから、それを専門家にお願いをしてやっているわけでございます。そういたしますと、やはり専門家にお願いをしているということは、財政全般を扱っている大蔵省の方にお願いをしてやっているわけでございまして、われわれ素人がそれを安全かつ有利確実に運用するということは——やはりそういうことになっております点だけは御了承願って、そうして、ただ利用者の側から見て元利均等償還ということは、当初は大変いいだろうと思うのですが、長期的に見て必ずしも有利かどうかという点もあるのじゃないか。たとえば、元金均等方式と比較してみて、だんだん支払い利息の面ではむしろ相当多額になる点もありますものですから、そういう点も含めて十分検討させていただきますが、私もまだ専門的な詳しいことについての知識が不十分な点もありますので、なお少し研究させてください。  それでいずれ、御趣旨等もよくわかるものですから、態度を決めさせていただきますが、きょうのところはしばらく預からせていただきたいと思います。
  133. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 それじゃ最後に、大臣のいまの御答弁は前向きに検討するのだというように理解してもよろしゅうございましょうか。
  134. 小沢辰男

    小沢国務大臣 私の方の運用について支障が起こってくると困りますものですが、起こらないように前向きに検討させていただきます。
  135. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 それじゃもう時間がありませんからこれで終わりますが、最後に、これは法的改正は必要ないのですか。
  136. 木暮保成

    ○木暮政府委員 業務方法書等の改正でいけると思います。
  137. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 これで終わりますが、実は大臣、お聞きをいただいておきたいのは、たとえば年金福祉事業団の融資の場合、住宅生協にもずいぶん貸すのですよ。そういう場合の土地取得の対象などが住金の場合あるいは財形の場合とは大分条件が実際問題として違うようですよ。たとえば、基準面積とか融資の単価とか、こういう点を含めて、やはりバランスがとれてないとうまくないと思うのですよ、横並びにしないと。そういうような点はきょうは具体的には申し上げません。しかし、その点は大臣もいまお話しのありましたように、私も余り細かい点はわからないのですが、ひとつ関係部局を督励されまして、住金とあるいは雇用促進事業団、横並びのバランスのとれるようにせいぜい御尽力をいただくことをお願い申し上げておきます。  それはよろしゅうございますか。
  138. 小沢辰男

    小沢国務大臣 よく検討してみます。
  139. 岡田春夫

    岡田(春)分科員 では、これで終わります。
  140. 住栄作

    ○住主査代理 これにて岡田君の質疑は終了しました。  午後零時三十分再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十二分休憩      ————◇—————     午後零時四十一分開議
  141. 笹山茂太郎

    ○笹山主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。金子みつ君。
  142. 金子みつ

    金子(み)分科員 私は、きょうは牛乳の問題にしぼって御意見を伺わせていただきたいと思っております。  初めに、農林省、お見えになっていますか。——まだですか。農林省は後回しにしましょう。  それでは厚生省に。最近の「厚生の指標」の中に「国民栄養摂取上の問題点」というのが出ていました。ここに国民栄養調査の結果報告が載っているわけです。この国民栄養調査の結果報告によりますと、栄養の過剰摂取が非常に問題になっているということが報告されています。たとえば、成人男子の所要量は二千五百カロリーと決めているわけですが、その二千五百カロリーを二〇%も上回る三千カロリー以上もとっている世帯が三一.三%もある、こういう報告です、それから、女子の栄養所要カロリーは二千カロリーとなっているので、この違いもちょっと疑問に思うのですが、そうなっています。その男女のカロリーの平均が二千百カロリー、これが男女合わせた平均の所要カロリーということになっていますね。そうすると、この二千百カロリーというのは男女の平均値ですから、この平均値よりも少なくとっている世帯というのが一四・六%しかない。ということですと、これは逆に言いますと残りの八五・四%は平均所要量以上にとっているというふうに言えるわけです。以上にとっているということの問題から起こってくることがありますが、これはカロリーが必要量以上にあるというだけでなくて、あわせて同時に出てくる問題はたん白質も多くとっている。七十グラムが標準値ですが、それが百グラム以上になっている。あるいはまた脂肪が、植物性と動物性の脂肪をとっているわけですけれども、その比率というのが、報告によりますと、二対一でいいものが一対一・一一にもなっている。これは動物性脂肪の摂取の限界だというのですね。これ以上とってはならないというふうに国民栄養調査の報告は出ているわけです。  どうしてこれ以上とらないようにしなさいと言っているのかといえば、その結果は肥満の傾向になるからだ、こういうことを言っているわけです。その肥満の状態が、細かい数字が挙がっておりますが、一口にして申しますと、各年齢層で一〇%以上の肥満があるというのですね。それだけよけいなんです。ことに女子は多いですね。四十歳台で二七%、五十歳台では三〇%というのですから大変なものだと思うのです。これは余談ですが、実はけさ、テレビでお母さんたちのお話し合いの時間がございます。毎朝ありますが、あれで肥満児を取り扱っていたのですね。ちょっと興味がありましたから、前半だけ見ていたのですが、肥満児がものすごいのです。肥満児が十人に二人いるのですね。ですから、小学校なんかでは四十人クラスだったらば八人いるわけですよね。ずいぶん大ぜいいると思ったのですが、その肥満児の理由をいろいろ言っていましたが、結局食べ過ぎと運動不足、それに子供の場合につくのが遺伝というようなことが言われていました。これは学者が言っていたのですけれども、そういう肥満する体質を遺伝しているというんですか、そのきょう集まってきて問題を提供していたお母さんたちというのは、まさしくそういう見本みたいなお母さんたちがいっぱい来ていらしたわけです。これは遺伝は確かにあるんだろうなということをそのときも笑いながら話をしていましたけれども、要するにお母さんたちの肥満、女性の肥満というのは非常に多い。集まってきていらした方たちは大体四十歳台ぐらいのお母さんでしたから、二七%肥満傾向があるというのに確かにぴったり当てはまるなと思いながら私は見ていたわけです。  肥満が問題になるというのは、肥満だから、太っているからといって、それはそれで別に悪いとは思わないのですけれども、問題は、肥満であるということが、高血圧であるとかあるいは動脈硬化であるとか糖尿病であるとかという問題を引き起こす、これはもう定説になっていますね。ここに問題があるというわけです。ここに別に国民健康調査の資料もあるわけですが、五十一年度の国民健康調査の資料ですが、これを見てみましたら、やはり女性の有病率は男性の有病率よりも高いというのが数字で挙がっています。しかもその病気の種類ですが、これは男女合わせてですけれども、五十一年度の有病率を見ると、八人に一人が病気になっているわけです。病気の種類はやはり循環器系の疾患、高血圧、心臓病、それから呼吸器疾患というふうになってくるわけで、これは男女ともそういうふうになっているという報告がございました。このように、いま問題になっている国民の保健の重要な問題に肥満というものが出てきているということなんです。  それで私はお尋ねしたいと思いますのは、国民の健康づくりというたてまえから考えて、これはどうやら国民の健康破壊づくりみたいなことになるんじゃないだろうかというふうな感じがいたします。それで問題は、戦後何もなかったころは、確かに物資の不足な時代には十分食べることもできませんでしたから、あるものは全部食べたわけですね。ともかく提供されるものは選ばずに、所構わず、選択も何もなしに食べていたわけです。食べられるものは皆食べた。ところが最近は、高度経済成長になってからというものは、物が豊富なんという言葉では言いあらわせない、あらゆるものがはんらんしていますよね。私たちの生活の回りはあらゆるものがはんらんしていますが、その品物、いろいろな物資は、やはり消費者が選んで買って使っているわけですね。消費者が選択するということによってさらに開発されてまた新しいものができる、またそれを消費者が選んで買う、また新しいものができる、この繰り返しをやっているわけですね。ですから、私どもは家庭生活をしていて、皆さん御主人の立場では余りおわかりにならないかもしれませんけれども、洗たく機ですとか、ああいったものは去年買ったものがもう古いタイプになるんですね。新しいものが出てしまう。冷蔵庫もそうです。そういった特に家庭で使うものというのは非常に変わり方が激しいです。そうやって新しいものを買わせる対策なんだとは考えますが、そういうふうに、いろいろな物資が出回り過ぎて、そしてそれを消費者が選択しながら買っているという状態の中で、たった一つ、牛乳だけは現在選択性がないという、これまた珍しい現象になっているわけです。牛乳は食品ですからね。ほかの食品はどうかといったら、ほかの食品はすべて選択、あらゆる食品がみんな選択。野菜でも肉でも、とにかくいろんな種類が出ております。銘柄がたくさん出ております。ことにお米でも、これは価格が管理されているお米ですよね。価格が管理されているお米ですら銘柄があって、消費者はちゃんと選択してお米を買っているわけです。それなのになぜ牛乳だけが選択されないでいいかという問題なんですね。私は牛乳だって選択性があっていいのじゃないかと思うのですが、その点についてどうお考えになりますか。牛乳の選択性です。
  143. 山中和

    ○山中政府委員 食品を消費者が選択する自由があるということで、牛乳はどうかということですが、現在の牛乳には、牛乳、加工乳、脱脂乳の別がございます。これは御承知のように乳等省令で決めてございまして、その規格あるいはその定義を決めております。それで、その三つを種類別に表示することになっております。現在の段階では消費者がその三つを選択するという現状でございます。
  144. 金子みつ

    金子(み)分科員 そういうふうに解釈できないこともないでしょうけれども、そうすると、牛乳と特別牛乳と、三つ目は何ですか、脱脂牛乳ですか。
  145. 山中和

    ○山中政府委員 牛乳と、それから脂肪を取りました脱脂乳と、それから牛乳その他の乳製品からつくります加工乳と、いま三つを申し上げたわけでございます。
  146. 金子みつ

    金子(み)分科員 よその国では牛乳にもいろんな種類がつくられているわけです。たとえば普通牛乳とか、どういう名前を使うかよくわかりませんが、普通のいわゆる牛乳、それから脂肪の多い高脂肪の牛乳、脂肪の少ない低脂肪の牛乳、あるいは脂肪を全く外してしまった無脂肪ですね、日本では脱脂乳と呼んでいますが、大きく分けてもそれぐらいあるわけです。それを消費者がみんな選択して使っています。その状況は、御存じだとは思いますけれども、その状況を国際酪農連盟の資料で見てみますと、たとえばカナダであれば一般脱脂乳を三九・四%使っている。スウェーデンが二八・一、アメリカが三一・五、デンマークは二一・九とか、フランスは二〇・何とか、その他いろいろございますね。そういうふうにだんだんふえてきている。ことにアメリカというような国は、一九五〇年から七六年までを見てみますとずっとウナギ登りに上がってきていて、五〇年で五・一だったものが七六年には三一・五というふうに広がってきております。いわゆるこれは低脂肪乳のことですね。こういうふうに広がってきているのですが、その広がってきている理由は何かと言えば、やはりこれは消費者の選択なんですね。消費者がそれを欲しいと思っているからなんです。  そうすると、私がいま選択というふうに申し上げましたが、日本の牛乳の場合には、いま局長おっしゃいましたように、牛乳と、それから脱脂乳と、そして乳飲料ですか、三つに分かれるわけですけれども、これはみんな牛乳というカテゴリーの中に入るんじゃないでしょうか。これはみんな牛乳じゃないでしょうか。
  147. 山中和

    ○山中政府委員 その一般にいう牛乳というカテゴリーでございますが、牛乳は牛からとった生の乳というような定義で分けておるわけでございます。まあ、牛の乳の飲料という解釈をいたしますれば、それは全部牛乳ということにもなろうかと思います。
  148. 金子みつ

    金子(み)分科員 大臣、これは牛乳じゃないでしょうか。
  149. 岡部祥治

    ○岡部説明員 牛乳とは、私どもは、「直接飲用に供する目的で販売する牛の乳をいう」、したがって、牛乳というのはしぼった生乳を殺菌したものと解しております。したがって、そのほかの加工乳でございますとかあるいは乳飲料、こういうものは牛乳と考えておりません。一般的には飲用乳という範囲の中に通称として入っておりますが、省令の規定ではそう考えておりません。
  150. 金子みつ

    金子(み)分科員 省令で読めば、その前段がそう書いてある。後段おっしゃったことはどこにも書いてない。これは厚生省見解というふうにしか理解できませんね。間違いありませんね。——そうすると、省令にはそこまで書いてないのですが厚生省見解としてほかのものを乳と言わないというのは、どうも社会的になじまないのですよ。やはりこれは牛乳なんです。ですから私はこれは牛乳と解釈すべきだと思うのです。  今日、低脂肪乳の必要性ということ、これは私が必要だと言うだけではなくて、社会的にも消費者の希望が非常に強くなってきているわけです。栄養価の高い低カロリーの食品として低脂肪乳を使うわけです。これは非常に健康のためにいいわけですよ。特にたん白質やカルシウムは、この省令で言っている普通の乳よりも内容としては含有量は高いのです。牛乳をなぜ飲むかといえば、牛乳から脂肪をとるのではなくて、たん白質やカルシウムがとりやすくできている。体に入っても、それが体の中で使いやすくできている。だからこれが、赤ちゃんでいえば主食になっているし、病人の主食にもなっているわけですね。それをとるのが目的なんであって、脂肪をとるのが牛乳を飲む目的ではないわけです。ですから、そういう意味で言いますと、今日のように肥満が多くなる傾向で非常に問題が起こりつつあるときに、先進国だといっている日本がなぜ低脂肪乳を取り扱わないのか。これは私は時代錯誤だと思うのですよ。  それで、消費者はそのことでは大変賢いです。それから業者も賢いですね。ですから、御存じだと思いますけれども、今日すでに三十社のうちの十一社が低脂肪をちゃんと販売しているのです。ところが厚生省はそれを乳だと言わないで、乳飲料だと称するわけですね。あるいは脱脂乳のカテゴリーに入れると言うのですが、脱脂乳というのは全然脂肪がないものを言うのだと私は理解する、あるいは〇・五%以下ぐらいのものを言うのでしょうに、いま販売されているのは平均して脂肪が一・五%入っています。だから、一・五%入っているものが何で脱脂乳になるのかということも不思議だと思いますし、それから、ややこしい言い方ですが、これを乳と言わないで乳飲料という言い方をして、そうしてカロチンを使って色をつけているわけですね。色が少しついているからこれは牛乳じゃないんだ、こういう言い方をしようと思っている。しかしそれは、たとえカロチンが有害物質じゃないとしても、色をつけたということで満足しているのはおかしい。しかも、牛乳はこのごろ紙容器に入っています。これは消費者の要求なんです。びんではないんですね。紙容器に入って、表にローファットと書いてあるのですけれども中身は見えないですね。白いか、色がついているかなんて紙の外からわからないですよ。それも薄い紙じゃなくて分厚い紙ですから、それもまた非常にナンセンスだと思うのですね。こういうナンセンスなことを、言葉は悪いかもしれませんけれども、法律を盾にとって言うのは、法律の番人であるお役人の自己満足みたいなものじゃないかと思うのですね。牛乳と言わないんだ、牛乳じゃないんだと盛んに言いたい、そうじゃないかと思ってこれは大変ナンセンスだと思うのです。  そこで、私がお尋ねしたいのは、大臣にもお尋ねしたいのですが、ローファットミルク、すなわち低脂肪乳の必要性というものをお考えになっていらっしゃるか、なっていらっしゃらないかなんです。そのことを聞かしたいただきたい。
  151. 小沢辰男

    小沢国務大臣 詳しいことはわからぬのですが、いまいろいろ承っておりまして、低脂肪牛乳というものが低脂肪牛乳として売られることは大変いいことじゃないかと思いますが、なお詳しいことは局長から……。
  152. 山中和

    ○山中政府委員 ただいま先生からずっと御意見も承ったわけでございますが、厚生省といたしまして、国民がいろんな食品を享受するという意味で、牛乳というものをたくさん飲んでもらうということはやはり栄養の見地からも非常に結構なことだと思うわけです。もしそういうことでもって消費が伸びると、それは栄養分をたくさんとるということになりますが、非常に高級な栄養をとる、こういうことになりますから、いろいろな銘柄といいますか、そういうものがあるということは結構なことだ、こう思います。  問題は、ただいま先生から、そういうことでローファットがあってもいいじゃないか、ローファットを脱脂乳で売ったり、それから乳飲料で売ったりするのはおかしいじゃないか、こういう御質問でございますが、実は脱脂乳というのは生乳から脂肪を取ったもの、こういうことに乳等省令でなっておるわけでございます。それで、生乳から脂肪を取るといっても、その脂肪含有量というのは規制していないものですから、まあ三・〇%以下になったという状態でもって生乳から脂肪を取った、こういう意味に解釈しまして脱脂乳、こういうことでいまの乳等省令内では売っていただこう、こういうことでやっておるわけです。乳飲料で色をつける、こういいますのは、実は、加工乳と申しますか、こういうものはなるべく生乳からつくるんだ、そういういままでの、ここ数年の国会論議もいろいろございまして、それで加工乳という範疇でこれを見る。そうしますと、加工乳は全くその成分規格が牛乳と同じでございますから、それで脂肪が足らぬ、こういうことになりまして、そうすると乳飲料の範疇に入る。乳飲料の範疇に入りますと今度は外観が牛乳と似てはいけないということで色をつけた、こういう形になっております。  それで問題は、こういういろいろなローファットというものがあるということは何ら栄養学的にも問題はないと思いますが、やはり牛乳というのはほかの食品と違いまして、原料は牛の乳でございますが、何が原料でつくられるか。つまり、昔はすべて生乳からつくられてきたものでございます。しかし、現段階では、いろいろな乳製品からまた還元をしてこういういろいろな種類の牛乳をつくるという技術が厳然としてあるわけでございます。それでいま問題になるのは、還元した低脂肪牛乳ということが問題になるわけです。問題になるというのは、これは私ども所管しておりませんが、畜産振興の問題と非常にかかわり合いがあるということで、何が原料でつくられるか、大部分生乳から脱脂乳をつくるような方式で、脱脂乳ほどは脂肪を取らないというやり方であれば何ら問題はないということでございますが、ほとんど大部分をすでにつくった乳製品から還元してつくるという段になりますと、これは政府全体として考えなければならないので、この点は農林省とも相談をしなければならない、こういう絡みになっておると私は思います。
  153. 金子みつ

    金子(み)分科員 さっき大臣が、低脂肪牛乳があることは構わないではないか、いいと思うという返事をなすっていらっしゃいました。ですから、低脂肪牛乳というものがあることが正しいし、間違いないということで進めていこうということになるとすれば——いまいろいろと説明をされた、局長がおっしゃっているのは乳等省令との関連になるわけですよね。ですから私は最後に申し上げたいと思っていましたのは、つくることが間違いでないし、それがあることが正しいし、それがいいというのであれば、この乳等省令を改正するということが必要になってくるので、乳等省令を改正するということをお考えになっていただけませんかということをお尋ねしたいわけです。それをする意思がおありになるかどうか、前向きで考えていただけるかどうかということを申し上げているわけです。
  154. 山中和

    ○山中政府委員 実は四十七年に社会労働委員会の附帯決議がございます。その一つとして、加工乳の原料というのは、三年を目途にしてでございますが、七〇%は生乳からとってくるという附帯決議がございます。こういうこともございますので、ローファットをつくっていくということに関しては厚生省は異議がございませんが、これに関しましては、いまの附帯決議にもございますので、畜産振興の問題とも絡みまして農林省と十分相談をしてみたい、そう思います。
  155. 金子みつ

    金子(み)分科員 農林省がおいでになったようですので、早速で済みませんが、いまの問題なんです。低脂肪牛乳の問題なんです。厚生省では、低脂肪牛乳をつくるということには異論はないわけですし、それはあるべきだというふうに考えているわけですが、農林省の方の関係でむずかしいんだというふうなニュアンスに聞こえます。いまここで時間がありませんので農林省のお考えを長々と聞かしていただくということができなくて残念ですけれども、いずれ機会を改めますが、一言で結構ですが、農林省では、低脂肪牛乳というものがいまの時代にふさわしく、あってしかるべきであるというふうにお考えですか、それともそんなものは要らないとお考えでしょうか。それをお聞かせ願いたい。
  156. 中島圭一

    ○中島説明員 ローファットミルクの問題でございますが、農林省といたしましては、消費者の需要に応じまして、多様な要請にこたえまして、牛乳が全体の消費拡大につながっていくということであればメリットがあるというふうに考えておるところでございます。ただ、同時に、この問題につきましては、いわゆる還元乳問題、低脂肪牛乳をつくりますために脂肪を抜くわけでございますが、他方、脱脂粉乳とたん自分を相当に添加するというようなことがございまして、還元乳問題と関連しましてこれが市乳化促進の阻害要因になるのではないかという議論も他方であるわけでございます。したがいまして、これらのメリットを生かしつつ、デメリットをできるだけ少なくするというような方向で対処していくことが望ましいというふうに考えておるところでございまして、ローファットミルクにつきましては関係者間にいろいろな意見がありますので、これは関係者間のコンセンサスを要請いたしまして、その中で妥当な解決を図っていきたいというふうに考えておるところでございます。この問題につきましては今後とも厚生省とも十分連絡をとりながら、適切に対処をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  157. 金子みつ

    金子(み)分科員 もう時間ですので一言だけにしますが、いまのはわかりました。それで、牛乳の消費の拡大ということを考えて、それにメリットがあればというお話がありましたが、消費の拡大を考えるのだったらローファットをつくるべきですよ。ローファットがないから牛乳はいま敬遠しているのです。そういう傾向もあります。もともと日本人の牛乳の飲み方というのは少ないですね、一人一日に平均一本飲んでいないのですから。せめて一人一本飲んでもらおう、飲もう、飲ませようということであるとすれば、みんなが喜んで飲むような形の牛乳をつくるべきだと思うのです。飲みたいと思うけれども、ローファットがないから飲まないというのがこのごろの傾向なんです。そういうことも考えて、消費拡大の意味からも、小学校で土曜日に飲ませるなんということも結構ですけれども、全部の国民が飲むようにならなかったら消費は拡大はしないと思うのです。ですから、そういう意味合いからもぜひこのことは考えていただきたい。  それから、あちこちの関係者、いろいろな方々の団体その他あるのでしょうけれども、コンセンサスを得てということですが、これは農林省の方にも、それから厚生大臣にも申し上げてお願いしておきたいのですけれども、いろいろなコンセンサスを得ることはわかっております。必要だと思いますけれども政府としてどういうふうな形でどういうものを国民のプラスのために準備し、そしてそれを奨励したらいいかということはやはり行政の線だと思うのですね。ですから、行政をまず正しく立てて、そしてその立てられた行政が運営できることのために関係の人たちのコンセンサスを得るという方向に持っていっていただかないと、外側の関係者の方が先に立って行政が後回しになる、それについていくというのはおかしな形だと思うので、ぜひ形を変えていただくように。いままで非常にそれが多いのです、この牛乳関係では。厚生省の関係も農林省の関係もそうです。ですから、そういう周りのコンセンサスにばかりとらわれていないで、まず行政を先行させていただくということを強く要望いたしまして終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  158. 笹山茂太郎

    ○笹山主査 これにて金子委員の質疑は終了しました。  次に、鍛冶清君。
  159. 鍛冶清

    鍛冶分科員 私はビル内の飲料水の問題について、時間いっぱいお尋ねをいたしたいと思います。  本件につきましては、わが党の近江衆議院議員、それから宮崎参議院議員が、昭和五十年と昨年と二度にわたって、政府厚生省の皆さんにお尋ねをし、その後いろいろこれについての施策が進められているようでございますけれども、まだまだ十分でないということが言えると思います。今回この御質問をするに当たって私の方から資料として要求をして出していただいた、昭和五十一年四月一日より五十一年十二月三十一日までの問に各都道府県で行いました立入検査の実態調査、これを私の手元にいただいておりますが、この内容についてまず御説明をお願いいたしたいと思います。
  160. 山中和

    ○山中政府委員 これは、ビルの立入検査をできるビル管理法にございますが、五十一年度に厚生省で府県のこういう特定のビルに対する立入検査の結果を調査し、集計したものでございます。それでこれは、一つはビルの水の残留塩素の検査と、それから飲料水の水質の検査、それから貯水槽の掃除についての検査、これを集計したわけでございます。その結果は、残留塩素の検査につきましては約六五%を検査した、飲料水の水質については五六%、貯水槽の掃除については六五%を検査した、こういう結果でございます。
  161. 鍛冶清

    鍛冶分科員 このいまのパーセントというのは、都道府県で立入検査をいたしまして、確かに各ビルでちゃんと規定どおりに検査をしている実施数、たとえばいまお話がありました残留塩素の検査については全国集計で実施率が六五%となっておりますが、これは要するに実際にその特定の構造物の中で法に定められた検査を実施しているのが六五%である、こういうふうに受け取ってよろしいわけですか。
  162. 山中和

    ○山中政府委員 そういう結果でございます。
  163. 鍛冶清

    鍛冶分科員 これは、福岡県の方でいろいろ昨年調べたものをちょっと当たってみてもほぼ同じ結果が出ております。これは私は大変重大な問題であると思うのですね。この内容を若干当たってみたのでありますけれども、非常に各県によってばらばらであるということがまず言えると思います。そして、いいところは確かに、滋賀県等三県ぐらいでしたか、一〇〇%実施しているところがある。ところがそれに比べて実施率が五〇%以下という県がずいぶんと出ております。拾い出してみますと、残留塩素の定期的検査の実施率が一番悪いのは、名前を挙げてあれですが、香川県の九%ということになっているのですね。それから長野県が次いで一六%しか実施していない。だからあとの八〇%、九〇%というものは全くビル管理法ないしは水道法による検査をやっていないという実情です。次が秋田県の二七%というようなことで、結局、残留塩素の関係では四十七都道府県のうちの十三県もが半分以下というようなまことにひどい状況になっております。これは四十七都道府県のうちで二七・七%ということになっているわけですね。それから、飲料水の水質検査につきましては、一番ひどいのが長野県で一四%、それから次が岩手県の一五%、宮崎県が二五%、こういうようなことで、実施率が五〇%以下であるという非常によくないところが十九県、四〇%もあるわけです。さらに、貯水槽の掃除の関係については、一番悪いのが秋田県の一八%、長野県の二五%、徳島県の同じく二五%というようなことで、これは五〇%以下の実施率のところが十四県、約三〇%あるわけですね。そうしてその中に、さらに当たってみますと、三つの検査、残留塩素と水質検査、それから貯水槽の定期検査ですね、この三つの検査で五〇%以下に全部名前を連ねているという県もあるわけですね。これが八県に及んでいる。申し上げますと、長野県、香川県、秋田県、岩手県、栃木県、青森県、茨城県、大分県。これは全く大変な状態であろうと思います。  後でまた議論の中で私は当局の方とやりとりをやりたいと思っているのでございますけれども、これからますます悪くなるのじゃないか。新しく建っていくビルについては、多少後でも触れますが、貯水槽、それから高架水槽の規制が大分シビアになってまいりました。そのチェック体制がどうかということは問題がありますけれども、それ以前に建てられた建物というのは一年一年、毎年古くなっていく。ということはそれだけ非常に危険が多い。それでなくても、新聞紙上等を見てみますと、現実に集団下痢が起こったとか、それからいろいろな品物が貯水槽、高架水槽の中に入っているとか、風でふたが飛んだとか、何か貯水槽、高架水槽はあたかもデパートの展示場のように、あるいはハンマーが入っておった。ここへ写真も持ってまいりましたけれども、ハンマーやら入っておるのがあるのです。それから脚立とか、灯油が流れ込んでおってみたり、鳥の死骸が入っておってみたり、いわば悪い方の展覧会みたいで、日本国じゅうの受水槽、高架水槽をされいに掃除すると、ある品物は輸入しなくて済むんじゃないか、これは変な言い方になるかもしれませんが、それくらい大変に汚れておる。それが法で規定されておるにもかかわらず、今回こういう全体的な実態調査というものを初めておやりになったのではないかというような気がしておるわけですが、こういう点についてのこの結果についての厚生当局のお考えと、今後の対策についてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、お尋ねをしたいと思います。
  164. 山中和

    ○山中政府委員 先生御指摘のとおり、五〇%、以下のところが非常に多いということでございます。このビル管理法の水質管理につきましては、これは保健所が現場としてやっておるわけでありますが、確かに食品や何かと違いまして新しい分野でありますし、その実態把握がなかなか食品のようにいかないという現状がございます。しかし、この実態調査を踏まえまして、その後も、本当の実態をもっとつかみたい、こういうことで、実はやはり五十一年度にビルの非常に多いと思われる十大都市を抽出して、二十八項目ぐらいのいろいろな物質の検査ということでやってみまして、中身としては一割ぐらい不適なところがあった、こういう結果も出ております。それでわれわれといたしましてはなおこういう実態把握をしまして、それをもとに指導したい。歴年、いろいろ主管官庁その他では指導しあるいは通知も出しておりますけれども、やはり実態把握をして、本当にあなたの県はこうなんだよ、こういう実質的な指導をしたいということで、目下、五十二年度におきましても大阪とか東京なんかの実態把握に努めております。今後も全国調査というようなことを必要に応じて行いまして、実態を把握して、それでこれからもこの指導には万全を期してまいりたい、こう考えます。
  165. 鍛冶清

    鍛冶分科員 これに付随して、私がまたほかに清掃業の厚生省の指定業者の数字もいただきましたが、その中で特に水質検査、これをやっている業者の数を綿密に見てみますと、ゼロというふうには書いてありませんけれども、表の中で水質検査の業者が全くいないと思われるような報告がなされておるところが八県あるわけですね。それからたった一業者しかいないという県が十五あります。さらに二業者しかいない県というのが七県ある。三業者が四県というようなことで、一番多いのが東京、さすがにビルが多いですから、三十四と報告されておりますし、次いで大阪が十七というふうに報告をされておるわけでございますけれども、先ほどの調査結果を見て、それにこれを書き込んで入れてみますと、水質試験等についての業者の数が県内に少ないところないしは報告されてないところ、これはゼロか、ないしは支店とか何とかあるのか、それはわかりませんけれども、やるとすれば恐らく公共事業体の、地方団体の衛生研究所等を使ってやる以外にないのだろうと思いますが、そういうふうに体制が整っていないところがやはり非常に内容の実施率がよろしくないと、これは当然かもわかりませんが、出ているわけです。  特に水質検査については、いまお話があったように正規には二十八項目を挙げてあって、これを検査しなければならないとしてあります。年二回、そのうちの一回は略して十三項目ぐらいでいいだろう、こういうことになっているわけですが、実際にいろいろ当たってみますと、検体を持っていってこういう業者に出す、ないしは地方の公共団体のそれぞれの試験設備のところに出して水質検査をしてもらうということになりますと、こういうものを持っていって分析してもらうものが非常につんでいるために、分析の期間が非常におくれてくるというような事態が起こっておるわけですね。同時にもう一つは、これは後でもまたちょっと出てまいりますが、非常に分析料が高いというようなこともございまして、こういった問題が一つの実施の隘路になって、いわゆるオーナーの方がちゅうちょする。財政的に豊かなところはこれはやりましょうということになりやすいわけですが、そうでないところは非常にちゅうちょするというようなこともございます。しかし、これはやはり飲み水で、人体に重大な影響がある問題でございますので、こういうものを乗り越えてやらなければいかぬと思うのですが、こういったことを含めてどのように対処されようとしておるのか。  そしてまた、今度この六月ごろに、これは省令ですか、施行令ですか、これをまとめて新たにいろいろな網をかけて、そして検査体制を十分にやっていきたい、こういうふうな取り組みをなさっているようでもありますが、あわせて、実際に内容ができ上がる期日といいますか、日にち、その見通しと、内容等について大体わかっている問題があればここでお聞かせ願いたいと思います。
  166. 山中和

    ○山中政府委員 指し定業者の件でございますが、実は県によりましていろいろ事情が違っておりまして、元来は保健所とか衛生試験所で大体水質検査をやるということで、基本はそうなっております。それでその余力のないところは業者にやってもらう、たてまえはこうなっておるわけでございます。やはり都道府県の方針によりまして、なるべく委託でやるとか、あるいは県自体でやる、あるいは県がそういう水質検査の団体を持ってやる、いろいろなやり方になっておるわけでございます。私どももその辺のもう少し質的なところをよくこれから見ていきたいと思います。民間に委託をやっていて業者がいないというようなところにはやはり指導するというような態勢で、実態調査や、それを通しましてそういうものもよく把握して、水質検査のシステムをちゃんとつくっていきたい、こう考えております。
  167. 国川健二

    ○国川政府委員 お尋ねの後段の部分の方につきまして、私から御説明申し上げたいと思います。  先ほど先生が水道法関連の簡易専用水道のお話を申されましたので申し上げますが、昨年六月、水道法が改正されまして、一定の規模以上の受水タンクを持っているような給水施設は簡易専用水道として規制することになったわけであります。そうしまして、具体的な法の施行は、一年の経過を置きまして本年六月から施行されるということになりました。そういう意味で、従来ビル管法でカバーしていなかった部分も含めまして相当大幅に受水タンク以下の給水設備を簡易専用水道として規制することになりますので、どの程度の規模のものから規制の対象にすればいいのか、あるいは規制の必要の度合い、強さと申しますか、あるいはまた、省令で今後定めることになります管理の基準だとか、それからいま先生がおっしゃいました水質検査の実施体制、そういうものを総合的にひっくるめて勘案しなければいけませんので、目下鋭意検討している段階でございます。おしなべて受水タンク以下の施設と申しますとこれは大変数が多うございます。個人住宅などで持っている場合もございますので、総数約三十四万ぐらいあるかと推定しておりますので、そこらは慎重に、地方公共団体等の意見等も聞きながら現在検討を進めているというところでございます。
  168. 鍛冶清

    鍛冶分科員 大変時間がありませんので簡単に要約してお答えいただきたいのですが、いま三十四万という数字が出ました。いわゆる平米の規制からいけば八千が五千、五千が三千ということで下がってきているわけですが、今度はタンクの方での規制をやって、いわゆる受水槽、貯水槽ですか、入れ物の容量によって決められるようですが、どうしてもどこかで線を引いてそれ以上を網をかぶせようということのようですね。かぶせられた方は曲がりなりにも何とか進んでいくとしても、それ以下のところが実はわれわれにとったら非常に心配です。これはもう国会でもいろいろと議論になっているわけですけれども、そこらあたりはどういうふうな形で規制をするのか、ないしは事故が起こらないように対処していくつもりなのか、この点もちょっとお伺いしたいと思います。
  169. 国川健二

    ○国川政府委員 御指摘の点、大変ごもっともな御意見でございまして、私どもも、保健衛生上の観点から言いますと、事飲料水といたしまして細大漏らさずと申しますか、非常に大事な問題と考えているわけです。ただ、現実の問題といたしまして、先ほど申しましたような事情からある一定の規模以上をストレートに法律の規制とすることは、将来は別といたしまして当面やむを得ないのではないか。そしてまた、その他の非常に小さな規模のものでも趣旨は全く同じでございます。私どもといたしましては、行政指導という形ではございますけれども、従来よりもさらにきめ細かい、設置者の啓蒙とか教育とか、あるいは相談事あるいは必要があれば指導というような形を十分やっていきたい、そういうように思っております。
  170. 鍛冶清

    鍛冶分科員 これはどうなんでしょうか、一つ考え方として、民間委託をするとかないしは特殊法人をつくってやる。数が多いし、大変命にかかわる問題ですから、そういう考え方というのはできないのでしょうか。簡単で結構です。
  171. 国川健二

    ○国川政府委員 具体的な実施に当たりましては地方公共団体ともよく意見を交換しなければなりませんけれども、おっしゃるような民間的な、公益法人のようなものを設立して進めることが非常にいいという場合も十分考えられますので、そういうことも含めて考えております。
  172. 鍛冶清

    鍛冶分科員 これは北九州市でわが党の議員団が行った一種の意識調査みたいなものですが、出ております。先ほどの調査とずいぶん似たるものが出ているわけですが、これは市営住宅、それから市の供給公社住宅、県営住宅、それから公団住宅、こういったものを網羅して当たって、中に住んでいらっしゃる方々に、飲料水についての濁りと臭気という問題、それから掃除をどういうふうにやっているかという調査の集計が出ております。ほかにもやっておりますが、それだけを抜粋してちょっと申し上げますと、千二百六十五配付した中で六百六十一回答があっているのですが、飲料水の濁りについては、全く濁りがないというのが六五・八%、それからときどき濁りが出てくるというのが三一・九%です。常時濁っておると答えた人が二・三%。それから臭気、においについては、全くにおいはしないという人が五七・八%、それからときどきにおいがするというのは三九・六%、常時悪臭がしてしょうがないというのが二・六%、こういう結果が出ているわけですね。そして、掃除の回数については、年一回確かにやっているというのが二三・七五%、それから年二回掃除をやっていると答えた方が一・〇六%です。それから二十年ぶりにようやく今度やりましたというのが〇・一五%、それから二十年間いまだにやっていないというのがやはり同じパーセントあります。それから十年に一回やりましたというのが〇・六一%、六年に一回がやはり同じ比率です。五年に一度やりましたというのが一・〇六%、四年に一回というのが〇・一五%、三年に一回が二・七二%、二年に一回が一・六六%、そのほかに、建ってから三年間しかたっていないところのようですが、最近三年間やっていないというのが、結局一度もやっていないということになるのですが、二・四二%、こういう結果が出ているわけですね。  そしてこの中で、その他の記入欄の中でこれはちょっと問題になるなと考えさせられたのは、清掃をその中に住んでいる方がやっているというのですね。その理由は何かというと、清掃費が高いということを言っていらっしゃるようです。だからやむを得ず自分たちでやっているんだという意見が出ているのですね。その中のもう一つ意見として、われわれでやっているから非常に危険だ。同時に、手不足である、男手が不足だ。なるほどこれは御主人が出られた後、どうも奥さん方がやっていらっしゃるのかな、そういうあれが出ているわけです。ほかには、やかんに水あかがついて水が出にくいというのもあるわけでございます。  ここでやはりこれからの問題として当局でもお考えいただかなければならないことがずいぶんあるんじゃないかということを思います。費用の点については、事は衛生的なものでございますから、飲み水のことでございますから、費用はかかってもきちんとしなければならぬだろうという気がするわけです。本当に素人の方が、消毒するでもなく、どういうふうな清掃の用具を持って中へ入られてやられるのかわかりませんけれども、非常に苦労しながら、危険を感じながらやっておられる、こういうことが全国各所に起こっておると私は思うのです。だからこれはひとつ真剣にお考えをいただきたい。そしてこれに対して何か対策はできないのかという気がいたします。衛生的な感じからすれば、きちっとしたものにやってもらうというのが一番いいんでしょうけれども、公団住宅なんかでも、聞いてみると団地サービスというようなところが中にありまして、それに委託のようなかっこうでやっているようです。しかしこれも、厚生省の指定も受けないでやっていらっしゃるようです。そういういろいろな問題点が今後たくさんあるわけですけれども、こういうものは早く乗り越えながら体制確立をしなければいかぬ、こう考えるわけですが、それについて簡略で結構ですから御決意をお伺いしたいと思います。
  173. 山中和

    ○山中政府委員 いま三千平米ということになっておりますが、これもやはり規制の総合性という見地から、先生御指摘のように、水と空気と清掃、こういうものが十分できるように、こういうことでいま三千平米としておるわけでございます。ちなみに建築基準法で申しますと、木造から鉄筋にしなければならないというのがちょうど三千平米になっております。そういうことで完全にできるようにという取り扱いをしておるわけでございますが、これから簡易水道の政省令の問題がございますので、その政省令の改正の中でこの辺をどこまでカバーするかということを十分考えていきたい、こう思います。
  174. 鍛冶清

    鍛冶分科員 建設省の方から来ていらっしゃいますね。時間がございませんので簡単にお答えください。  まず、いま受水槽のチェックについて、あれは告示の百何ぼでしたかで、五十一年からでしたか、チェック体制がつくられていると思いますが、新しく建てるビルについてはどういうチェック体制をしいて厳重にやっているのか、これが一つ。  もう一つは、その告示以前に建ったものについては、先ほど申し上げたようにだんだん古くなりますから危険度が大きい。もう時間がないので申し上げられませんけれども、東京都で調べたらあっちこっち資料が来ているわけです。受水槽のいろいろな欠陥がたくさん報告されているわけです。そういうものがいよいよ危険である。そういうものを今度はどうしてもつくりかえなければならぬだろう。また配管にしたって、現在は違いますけれども、昔は鉄管が多いですから、きょう持ってきませんでしたけれども、十センチのパイプでも十年目に取りかえたところは中は水あかで、もうみごとに詰まっているのですね。そういう状態ですから、そういう古いビルについてはどうしても手を入れないと危険である、こう思うのですが、そういう点についてどういうふうに対処なさるか、ごく簡単にお願いします。
  175. 大田敏彦

    ○大田説明員 まず、チェック体制のことについて申し上げますが、新しいビルを建てる場合には確認申請書が当然提出されます。給排水設備の詳しい構造についての提出の義務づけはございませんけれども、こういった受水槽、貯水槽に関しましては衛生上特に注意を要しますので、申請者等に対しまして受水槽、貯水槽等の配置図あるいは構造の概要図等の提出を求め、確認時に審査を行うよう通達をもって指導しております。  それから、古い貯水槽でございますが、これは昔の基準でつくりましたもので、違反ではございません。ただし、私どもの方も一定期間の定期検査をやる制度がございます。そういうこととか、あるいは衛生関係部局とタイアップしまして、どうしても維持管理だけでは処置できない、構造から直さないとどうにもならないというケースでございますれば、建築基準法第十条に、たとえ規定前につくったものであっても、著しく衛生上有害であると認める場合においては、衛生上必要な措置を命ずることができるという規定がございますので、こういったものを活用しながら、本当に衛生上有害であるものについての改善をしてまいりたい、こう考えております。
  176. 鍛冶清

    鍛冶分科員 もう時間が詰まりましたので、最後に大臣、関係あるほかの方でも結構ですが、大臣にはぜひ御決意をお伺いしたいのですけれども、その二つをちょっと並べて申し上げます。  一つは、ここに西日本新聞の二月二十五日号に出ているのですが、熊本で水道からマンガンが八年間出っ放しだというのが出ているわけです。「水質基準に定めるマンガン許容量の〇・三PPmを二十八倍も上回る八・五PPmのマンガンが検出された。」こう出ておるわけですよ。これに対して厚生省水道整備課の話として「マンガンは重金属の一種ではあっても、水銀などと違っていわゆる有害物質ではない。基準値も、洗たく物に色がつかない程度のいわば利用基準だ。八・五PPmぐらいでは人体への影響はまず考えられない」これは要約したことでしょうが、前厚生大臣の渡辺議員も国会答弁でおっしゃっていましたけれども、日本は基準値は非常に巌し過ぎるのだ、外国は大変緩い、だからそれで人体に影響ないんだから差し支えないんだということをよくおっしゃるわけです。果たしてこれにもこういう形で談話が出てくるわけですね。そうすると、法で規制されている基準値というものは、人体に異常がなければ、赤かろうが黒かろうがそれは違っていても構いませんという、悪く言えばそういうふうにとれるわけです。そうすると、何のために法の規制をしたのか、理由があったからやっているはずなんですね。それならば法の規制を緩めて、いわゆる分析なんかもたくさんせぬでいいようにして、費用がかからぬようにすればいいと私は思うのだけれども厚生省大臣を初め皆さん必ず、ここにもあるように、こういう問題であると、人体に影響ありませんから差し支えないですと言わんばかりの言い方をなさっておる。私は大変けしからぬと思うのです。  この点について、法律の規制基準というのはどういうふうに考えてやっているのか、それと、こういういまおっしゃっているような基準値を超えても人体に影響なければ差し支えないのかどうか、そこのところをお聞きしたいと思います。
  177. 笹山茂太郎

    ○笹山主査 結論を急いでください。
  178. 鍛冶清

    鍛冶分科員 これは大臣にお聞きしたいのですが、先ほどから申し上げましたように、飲料水の問題で、これは大問題だと思います。最初厚生省でおやりになりました実態調査を見ても、ああいう実施率ではこれはもううかうか水も飲めない……。
  179. 笹山茂太郎

    ○笹山主査 時間が経過しておりますので、簡単に願います。
  180. 鍛冶清

    鍛冶分科員 私もきのうあれに行ってきましたけれども、真っ赤な水ばかりだという話をしておりました。そういうことから、これは大臣、こういう問題についてどういうふうな決意でおやりいただくのか、再度、最後に大臣の御決意をお聞きして私の質問を終わらせていただきます。
  181. 国川健二

    ○国川政府委員 前段の御質問にお答えいたします。  新聞等に載っておりますのは多分要約されたことでございまして、意を尽くしてないと思います。衛生上人体に有害か無害かという質問であれば、八・五PPm程度は、現在知られている知見におきましては衛生上の問題がないということは事実だと思います。ただ、水道が供給する水質基準として基準値が決められておるわけですから、その基準を守るようにしなければいけないのは当然でございますし、従来も今後ともそういう考えに変わりはございません。
  182. 小沢辰男

    小沢国務大臣 ビル等の水質管理につきましては、当然規制を強化してまいりまして国民の安心のいくようにいたしたい。ただ、単に基準値をどうやらマークしていけばいいとか、そういうことではなくて、やはり一番いい水を供給するようにできるだけのことをしなければいかぬことは当然でございますから、例の建築物における衛生的環境の確保に関する法律と相まちまして十分努力をいたします。
  183. 鍛冶清

    鍛冶分科員 どうもありがとうございました。
  184. 笹山茂太郎

    ○笹山主査 これにて鍛冶君の質疑は終了いたしました。  次に、工藤晃君。
  185. 工藤晃

    工藤(晃)分科員(新自) 二月二十日の予算委員会の一般質問で、大蔵大臣及び厚生大臣に、いわゆる医師優遇税制、すなわち社会保険診療報酬の所得計算の特例についていろいろ御質問をいたしました。また、その問題に関連しまして、その周辺のいろんな医療に関する問題点についていろいろと質疑をし、また御答弁をいただいたわけでございます。それに関連いたしましてきょうは大臣に、よりその問題を前進させた質問をし、また御回答をいただきたい、かように考えるわけでございます。  きょうはどういうことを御質問申し上げるかといいますと、この間、とにかく二八%は五十三年度限り、五十四年度からは何らかの手直しをしていくのだ、こういう前提のもとに、その条件整備をしなくちゃならない、こういうことは両大臣ともその旨の御発言がございました。大蔵大臣の方は、そういうことはよくわかっているし、そういうことについては十分配慮していきたいが、といってそういう条件整備が全部できなければこれはできないということではいかがなものか、こういうふうな発言をされていたように思います。しかし、厚生大臣の方は、ではもし条件整備が具体的にできなければ、積み残してでも見切り発車してしまうのか、こういう質問に対して、いやそれは絶対させない、こういうお話がございまして、多少そこにニュアンスの違いがございます。ついては、いずれにしても二八%を五十四年度から是正していくという前提に立って、一年の間に条件整備が、できないというのではなくて、やらなければならない、そういう前提でいろんな問題の解決に御努力を願わなければならぬ、こう考えるわけでございます。  つきましては、それについて大臣から、こういう部分的な点だけ取り上げましてお答えをいただきたいと思う。  「何らかの条件整備を図っていこう、」ということを大臣お答えになっていらっしゃる。その「何らかの条件整備」とは一体どういうことを具体的に意味するのか。それからまた、私がお聞きいたしましたことに対しましても、「ことし一年かかりまして、制度面あるいは診療報酬のあり方等、全体を踏まえた上で、こうあるべきだという意見を私どもは税務当局に出したい、かように考えております。」こういうふうに厚生大臣お答えいただいているわけですが、こういう条件整備とは一体具体的に何だ、また「意見を出したい、」とおっしゃっているが、これは具体的にどういう意見をお出しになるのか、そこら辺のところをできるだけ明快に、具体的にお答えをちょうだいしたい、かように思います。
  186. 小沢辰男

    小沢国務大臣 せっかくのお尋ねですが、そういうものをこれから一年かかって検討するのでございますので、いま直ちにそれを言えと言われましても、ひとつお許しをいただきたいのです。  先生もおっしゃるように、税の立場の大蔵大臣が、税体系から見て、ことに所得税の体系から見て特例中のこの医師優遇税制というものを直したいということは、これは理解できるわけですが、しかし、さりとてこの生まれた経過並びにその後の診療報酬改定をめぐるいろいろな経過等を見たり、あるいはまた、医業というものあるいは医師というものの特殊性から考えてみたり、あるいは社会保険全体が、医師と患者の間に社会保険という経済が入り込んで、しかも政府が決めた一定の点数で処理をしなければならないというような点をいろいろ考えてみまして、そして、特にどういう点が税制の面で考えられなければならないかという点を、今後一年間かかって検討しまして、そして医師税制の正しいあり方を決めていかなければいけないわけでございますので、まさに御指摘のような点を、これから今年いっぱいかけまして検討して決めていきたい、こういうことでございますから、いま直ちに、どういうことだ、こう言われましても、ちょっとお答えができる準備がまだ整ってない、こういうことでございます。
  187. 工藤晃

    工藤(晃)分科員(新自) この問題は、いまここで急に起き上がってきた問題じゃないので、このことについては非常に前から、いろいろなところでいろいろな角度から十分問題の提起がされ、またその問題についてもいろんな御意見が出ておるわけでございますから、いまここで、いまからやるんだとおっしゃっているようでは、あと一年間あるなしの期間の中でそういうものが十分整備されていくとは非常に考えがたい、こう私は思うわけでございます。もちろん具体的に、それじゃこれとこれとこれをやりますというところまではなかなか持ち込めないでございましょうけれども、少なくとも大臣、こういう骨子で進めたい、あるいはこういう範囲の中で考えていきたい、それぐらいの大体の枠ぐらいは、大臣としては当然お考えのことと思うのですが、その点、そういう範囲の中でも結構ですから御回答いただけませんか。
  188. 小沢辰男

    小沢国務大臣 非常にめんどうな問題であることは先生もよく御存じだろうと思うのです。医師優遇税制をもし廃止した場合に、一般の所得税並みでいいのか、あるいは医師、医業の特殊性から見て、どういう点を特に考慮しなければならないのかという点については、しかも診療報酬の体系とも密接に絡んでくる問題でもございますので、非常にめんどうな問題でございます。したがって、今日まで長い間の問題じゃないか、もうそろそろその大きな枠組みぐらいは見当はついているんじゃないかと言われますけれども、私どもは軽々にいま公の場で申し上げるようなところまで行っていないので、特に慎重にしなければならないと思います。一方、医療保険制度の根本的な改革等についても、近く世に問わなければいかぬような立場にもございますし、そういうような意味で、しばらく検討さしていただきたいと思っておりますので、御了承いただきたいと思うわけでございます。
  189. 工藤晃

    工藤(晃)分科員(新自) それでは、大体いつごろまでにそういう骨子がまとまってくる見込みでございますか、その見込みだけでもお教えいただきたい、こう思うのです。
  190. 小沢辰男

    小沢国務大臣 医師税制について私ども立場検討しまして税制当局考え方を示すというのは、今年いっぱいかかってやりたいと思っております。
  191. 工藤晃

    工藤(晃)分科員(新自) それでは、国民の前でそういう問題について意見を闘わす日時がないじゃないですか。たとえば一年ぎりぎりで出されて、そこで、こういう点についてはこうではないか、ああではないかという判断国民に求めなければならない。言えば、国会の中で審議されなければならない期間はその中に含まれておりますか、おりませんか。
  192. 小沢辰男

    小沢国務大臣 私は、この問題は非常に大事な問題でございますので、各方面の意見も聞き、なお、各国会でいままで社会労働委員会におきまして専門的にいろいろ御研究いただきました先生方意見等も十分承って考え方をまとめたいと思っておりますから、私どもだけで考え結論を得たものを、すぐ何らの皆さん方の御審議を得ないまま実行するというようなことは避けたいと思っております。
  193. 工藤晃

    工藤(晃)分科員(新自) この問題は、国民にとっても大変重要な問題ですし、それから正しい国民の認識というか理解を得なければ、あるいはごまかすという言葉は語弊があるでしょうが、そういう形でこの問題が解決されてしまうということは大変危険だという危機感は持っているわけなんだ。だから、医療の荒廃というものは国民にとって大変重要な問題点だし、その改善を求める声も非常に高い。ですから、これだけ話が煮詰まってきているのですから、この機会に、できるだけ国民の前にあからさまにそういう問題点を提示しながら国民的コンセンサスを得る努力が必要だと私は思うのです。臭いものにふたをしながら問題を解決しようということであれば、その結果は、当然また大きな非難を受ける、そういう問題にすりかわっていくだろうという危険性を非常に感じますので、大臣にできるだけ早くそういう問題を御提示いただいて、そういう問題点についてざっくばらんに討議しながらその選択をしていかなければならない、そういうふうな考え方から言いますと、時間がなければどうにもならない。その時間がぎりぎりであったということであれば、これは大変未来に禍根を残していくだろう、こういうふうに大変心配をするわけです。  そういう点、大臣もいまお答えできないと、非常に慎重な態度でございますし、また、その慎重であられる点についても、ある程度私も理解できるわけでございますから、いまあえてそれを出せとおっしゃられても出せないというお気持ちもある程度理解できます。しかしながら、これはいつかはっきりしていかなければならぬ、黒白をつけなければならぬという日時はもう来ているのです。一年というのは決して長い将来ではないと思います。この環境の問題一つ解決するについても重要な問題がたくさんあるのですから、そういう問題について一日も早く骨子だけでも御提示なさるという前向きの姿勢を示していただかなければならぬというふうに私は考えるから、きょうはこういう問題を詰めていきたい、こう申し上げているのです。  たとえば、この前からいろいろ申し上げているのだけれども、要するに、議員立法で昭和二十九年に成立いたしましたこの特例法も、診療報酬の適正化が図られるまでという付帯条件がついている。適正化という言葉の解釈すらはっきり決まっていない。それがいろいろな問題で、ある人はこういう問題をこういうふうに考えて適正化だと言い、ある人は、そんなものは適正化じゃないんだ、こういう問題はこういうふうに適正化しなければならないということもあるので、そういうことについても、適正化というのは一体何を意味するのかというぐらいの問題は、政府としてはそこに投げかけていただいてもいいんじゃないか、こう思うのですが、その点はいかがですか。
  194. 小沢辰男

    小沢国務大臣 私は、この点はやはり各方面の意見を十分聞かなければいかぬだろうと思うのです。特に医療担当者側の意見等も十分聞く必要があるし、また先生は、一年間というのは短いのだから、おまえのところでいろいろ検討して、ことしの末になったら、ばさっとこうなった、こういうことじゃだめじゃないかとおっしゃいますが、私はその過程においても先生方の党との懇談もやったり、御意見のある方からも意見をずいぶん出していただいて、それを参考にして最も妥当な案を決めていきたいと思います。そういう態度ですから、いつでも御意見を出していただきたいし、またお互いに話し合ってみて最善の道を探っていきたいと思います。そういう気持ちでございますから、どうぞ先生の方でも意見がありましたらどんどんお聞かせ願いたいと思うわけでございます。
  195. 工藤晃

    工藤(晃)分科員(新自) 私は、この問題は大変重要な問題だといままで考えておりましたので、与えられた機会ごとにこの問題については意見を出してきたと思っております。それも特に重要な総論の部分について、私は、真剣に討議をしていただきたい、こう思ってやってまいりましたし、意見も出してきましたけれども、のれんにひじ押しじゃこれはどうにもならぬ。どうですかと言えば、いやそれは慎重にという言葉が返ってくるだけで、何もそこに各論めいたことが一つも出てこないのでは、これは私が幾ら声を大にして叫んでもどうにもならないのじゃないかという、何かどこへ足がかりをつけていけばいいのか非常に不安な気持ちでおります。  そういうことで、いまも小沢厚生大臣おっしゃいましたとおり、確かにこれは一方的な意見で処理されてはならない問題だ、こういうふうに考えておりますので、こういう将来の医療制度全般にわたる、診療報酬を含めて、こういう問題についても全般にわたっていろいろと検討しなければいけないし、各般の御意見もちょうだいしなければならぬという御意見でございますが、専門家会議の意見をお聞きになるという御意思はあるかないか。また、そういうところへ早くこういう問題すべてをかけて検討してもらう、あるいはまたその意見の結果を早く出させる、こういうお考えはありますか、ありませんか。
  196. 小沢辰男

    小沢国務大臣 専門家会議の座長を務めております武見先生も、この問題を真剣に専門家会議で取り上げて自分たちの意見も出したいと思うとおっしゃっておられまして、十分御検討いただこうと思っておりますから、それも来年の三月までには、五十三年度末までにとこうなっておりますので、ぜひ出していただこうと思っていろいろお話を進めております。
  197. 工藤晃

    工藤(晃)分科員(新自) 正式にいままで要請されたことはございますか。
  198. 小沢辰男

    小沢国務大臣 専門家会議というのは私どもの方の機関でございますので、もうこの当初から、この医師優遇税制に関する閣議決定に基づいてああいう機関ができたわけでございますので、当然いろいろな機会にそういうお話をしているわけでございます。
  199. 工藤晃

    工藤(晃)分科員(新自) この前未来の医療を展望して、厚生省医療費の問題、中期、長期にわたる未来の展望について報道されていたことを私目を通したのですけれども、高福祉高負担がいいのかあるいは低福祉低負担がいいのかという問題を投げかけておられたと思います。それは、私はいままでなかった大変いいことだというふうに受け取っているわけなんです。  というのは、国民はやはり選択しなければならぬ。ところが、一方的な意見だけが出てしまって、もう一つ選択しなければならない別の意見が全然出てこない、隠れてしまうということであれば、選択する余地がないのです。ですから、あのように、いまから厚生行政については特にいろいろな意見が出てまいろうと思いますし、それからまた、そういうことについて国民は非常に深い関心を持っている。しかしながら、情報が少ない。そのために、正しい判断をする資料は与えられない。そこから生まれてくる世論というのは、やはり一つのゆがめられた世論も生まれてこないとも限らない。ですから、そういう問題について常に意見を並べながら、併記しながら、こういう意見もあります、また逆にこういう意見もありますということを、できるだけ明確に国民の前に提示をなさっていかれることは非常にいい方法だと私は思うのです。  ですから、そういう意味において、この前、こういう選択をさせるという、国民に選ばせるという手段、方法をおとりになったことについては、私は大変よかったと考えておりますが、これからもこういう問題についても、国会の中でいろいろな審議がなされていることが国民の前に十分提示されないということであれば、情報を国民に与えなければ、これは国民はどれを選択していいのかわからないということにもなりますので、できるだけそういう問題を中立的な立場からいろいろな意見について選択をさせるような形で国民の前に公表をしていかれる御意思はありますか、その点について大臣……。
  200. 小沢辰男

    小沢国務大臣 おっしゃるとおり、そういう方法をとることが非常に大事なことだと思いますので、要は、国民のための改正をやろうという考えでございますから、御趣旨のような方向でできるだけ私ども努力したいと思っております。
  201. 工藤晃

    工藤(晃)分科員(新自) それはぜひひとつ今後とも機会あるごとに厚生当局も御努力を願いたいと思います。  それから、大臣にこの問題についてお願いがございますが、たとえばいつごろまでにこういう問題がそろそろ自分たちの考え方も出せるとかあるいは税務当局意見が出せるんだというようなことがございましたら、少なくとも私どもにそういうものについてのせめて骨子を文書でちょうだいしたい、こう思うのです。それについて、大臣、できるだけ早い機会にそういう問題の骨子だけでもちょうだいしたい。あるいはまた、発表できる範囲の中で結構ですから、そういう問題についてできるだけ早くわれわれに情報を提供していただきたいし、また、文書でちょうだいしたい、こう思うのですが、それについて大臣ひとつお答えいただきたいと思います。
  202. 小沢辰男

    小沢国務大臣 私、先ほど申し上げましたように、医師税制のあり方について私どもの方が、条件整備というのはこういう点じゃなかろうかなというような考え方がまとまる、まとまらぬにかかわらず、一つの問題点だけでも整理しまして提示をしたり、またそれについて御意見を承ったり、そういうことを繰り返しやっていきたいとさえ思っている方でございますから、もうおっしゃるようにいつでも、大体考え方がまとまってくれば御相談を、社会労働委員会なりあるいは各党なり、それぞれお願いをしたいと思っておりますから、おっしゃるとおりに考えておりますことを御了解いただきたいと思います。
  203. 工藤晃

    工藤(晃)分科員(新自) あと残り時間が少なくなりましたので、その範囲の中で簡単にお答えいただきたいと思います。  大臣はこの前も、見切り発車はできないということに関連して、やはり各般の条件整備というものを十分考えてからやりませんと、むしろ混乱を起こすおそれがあるということをおっしゃっている。いまそれが一番問題の点でございます。こうお答えになっていらっしゃる。この混乱について、時間がもっとあれば詳しくお聞きいたしたいと思いますが、もうそれだけの時間もないと思いますので、その中に私は混乱を起こすのじゃないかと心配している点が一つあるのです。  これは、きのうの予算分科会でも私は大蔵大臣に申し上げた。ただ税制上の不公平という問題だけにとらわれて物を考えていると、いまの診療報酬体系の中では、自由経済体制の中で、カルテを診療報酬明細書に書き直すという作業が大変大きな労働の作業になっているし、それに対して時間も非常に費やしている。何円何十銭という細かい数字をすべて出さなければ請求はできないという様式になっている。しかし、こういう制度が自由主義経済体制の中で行われているのは医療制度だけじゃないかと思うのですね。所得を得るのに、収入を得るのにこういうめんどうな作業をしなければならぬという職域はほかにどこにもないと思う。にもかかわらず、今度は逆に、その得た所得に対して申告をしなければならぬという義務が生じます。これはすべて証拠主義ですからそういうものに対してすべて証拠を残していかなければいけない、集めなければいけない、整理しなければいけない、これはまた大変な時間の浪費をしなければならぬ。しかしながら、医師に一番大切なことは、患者のために時間を費やすことであって、そういうことに時間を費やすことではないのだということを十分配慮していただかなければならぬ。これこそ私は社会資本を活用するか、逆に大きく阻害するかという問題だと思うのです。  だから、経済的に優遇されているとかされていないとかいう問題も部分的にはございましょう。しかしながら、それよりか一番大きなことは、時間は再生産できないのだから、これだけはひとつ患者のために利益になるように、また医学の勉強もできるようにそういう時間を与えてあげなければならない。ところが毎年毎年、一年に一回、マージャンの牌をごじゃごじゃにするようにすべての制度を変えてしまう、やっと覚えたころになるとまた次の制度に変えなければいけない、診療報酬の請求からすべて変わってしまう、そのために項はみんなそっちにいってしまう、こういうことを何年繰り返していたとしても医療の荒廃はよくならない。  だから私は、医師優遇税制という中で一番いいのは、すべてに優遇されているのは何かと言えば時間が節約できるという点においてはもう全くいい制度だ、優遇されている制度だと思うのです。しかし、その時間は患者に与えられる、あるいはまた医学の勉強のために費やされるということであれば、それは国民のために大変大きな利益じゃないか、こう考えるわけです。優遇という言葉の中にもそういうものがあるのだということをひとつ御記憶願って——そういう問題を考えないでぽんと何でもかんでも整理してしまったときに混乱が起きる。三時間待って三分の診療で不満がいっぱいある、医療の荒廃がある、そういうことにより荒廃してしまう、三時間待って一分になってしまう、そういうこともお考えいただいて、私はやはりその条件整備という中にも考えなければいかぬ問題がある、こう思います。  あと残された時間はほんのわずかですが、きのうも大蔵大臣にもお願いした。不公平、不公平と言っているけれども医療問題の中で不公平は山ほどある。何も医師税制だけが不公平ではない。医療制度そのものが矛盾のかたまりなんですから、そういう中に不公平が当然ある。だけれども、そういう中でも将来の社会保障制度を確立しなければならぬときに、どうしても是正しなければいけないのは医師優遇税制だけではない。健保組合の黒字と政管健保の赤字、同じかまの飯を食べても、片一方はどんどん優遇されていっている、片一方はどんどん落ち込んでいく、こういう不公平も——これはもう時間がないからきょうは言いませんが、また社労委員会ではっきり具体的に言います。しかし、こういう不公平もあるのだから、こういうものに目をつぶって知らぬ顔して、そしてそこのところだけ直せば逆に医療の良質サービスができるのじゃないかというような発想があるとすれば大きな誤りだ。しかしながら、そうではなくて、いまの医療が余りにも荒廃し過ぎているのはすべて医師の責任である、こう考えて、一矢報いるためにその二八%を撤回していい気味だというふうなことを考えるとすれば、これはまた大変大きな誤りがそこに起きてくるという感じがします。  そういう意味でどうかひとつ、この不公平というものが一体何かということを、この医療制度という特別な一つの職域の中で行われる問題点を、体質的な問題の処理としないで、私はいまから出していきますけれども、そういう環境の問題も十分お考えいただいて改善していかなければ、国民の求める良質な医療制度というものはつくれない、もっともっと医学が荒廃していくというふうに考えるわけでございます。  そういうことを含めて、税金の問題にしても、健康保険組合の持っている不動産に対しては非課税である。保険収入というものが入ってきて、それが黒字だからこの不動産に再投資していく、それが全部非課税だ。これだって私は、考え方によっては大変不公平な税のあり方ではないかというふうに考えるわけです。  ですからこういうことを含めて、時間が参りましたのでひとつ最後に大臣お答えいただいて終わりたいと思います。
  204. 小沢辰男

    小沢国務大臣 健康保険制度の中には、この制度の由来、歴史から見ましていろいろな面で課税上の優遇措置が行われていることは事実でございます。そういう問題を含めて検討しなければならないことは事実でございますが、ただ医師優遇税制と一緒に健康保険組合のいろいろな財産に対する非課税問題を同じ面としてとらえて議論をするのは、私は少し違うのではないかと思うのです。  健康保険保険料も非課税になっておるわけでございますし、健康保険保険者が被保険者のためにいろいろ考えていく保険施設等については、これはもう当然非課税にしているわけでございまして、これらは別個の問題として考えていかなければならぬだろうと思います。  医師の優遇税制について、これを廃止するならばいかなる税制が医師については最も適当であるかということについて、今日の皆保険下における医業というものを考えた場合に、また医師が医師法、医療法等によりまして非常に公的な性格を強く求められているような点等も考慮して、当然一般と違った特例措置を考えていかなければいかぬことも事実だと思うのでございまして、それぞれ両面からその必要性等あるいはまた歴史的な沿革等を十分踏まえて検討してまいります。いずれまた、ひとつ皆様方に十分よく御議論願い、意見も承っていく機会もございますので、またその間に御意見がありましたら、ぜひ具体的にいろいろ意見を出していただきまして、私どもがこの税制の最も正しいあり方を探っていくことができますように御協力もお願いしたいと思うわけでございます。
  205. 笹山茂太郎

    ○笹山主査 これにて工藤君の質疑は終了しました。  次に、竹内勝彦君。
  206. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 私は、まず福祉の充実という意味から、社会的に弱い立場にある人たちに果たす厚生省の役割りというものは非常に重要なものがあると思うのでございます。     〔主査退席、住主査代理着席〕 そういう中で、特に体の不自由な人あるいは精神的な障害を持っておられる人たち、あるいは寝たきり老人等社会の谷間において苦しんでおられる人たち、こういった人たちに対する施策というものが非常に重要になるわけでございます。そういう意味で、こういった人への施設の状況並びに入所人員等、あるいはまた、そこへ入りたいけれども入れない、待機しておる、その人数等についてはいろいろな考え方があるでしょうけれども、その人員等、全国の状況を、全部でなくていいですけれども、全国的にはこうだというものをまず概略的に述べてもらうのと、同時に、私ちょっと京都の面で論議を進めますので、京都市の状況はこうだ、この面を最初にお答えいただきたいと思います。
  207. 石野清治

    ○石野政府委員 まず初めに全国的な数字を申し上げます。  心身障害施設の整備につきましては、先生御案内のとおり私どもも重点的に進めてまいりました。現在の段階では、その中度、軽度の心身障害児・者につきましては、おおむね入所の希望については満足できるような状態にまで達成してまいりました。  ちなみに、五十一年の十月現在におきます施設の現状を見ますると、主なものを挙げますと、精薄児・者施設につきましては全国で九百九十七カ所、定員が六万六千人、それから肢体不自由児施設につきましても百二十三カ所で一万一千五百人、それから重症心身障害児施設、これは精神薄弱と肢体不自由のダブルハンディでございますが、これは百二十三の施設で一万三千四百人、それから盲聾唖施設につきましては、六十八カ所の四千百七十八人、こういう全国的な数字でございまして、これらを合わせますと、個所数で千三百十一カ所で、定員で九万五千二百六十五名、こういう数字になっております。  ただ、全国的な問題でいろいろございますけれども、中軽度の施設の方が、入っている入所者につきましてやや重度化の傾向が見られてきておるという点で一つ大きな問題がございます。これは、御存じのとおり、養護施設等の普及によりまして、中軽度の人につきましては養護教育の方に入ってまいりましたので、したがって、そういう形で施設の方はどうしても重度化の人が滞留する、こういう傾向がございます。したがいまして、重度の心身障害施設につきまして、これから整備していかなくちゃならぬわけでございますけれども、それも地域的には相当なアンバランスがございますので、私の方は都道府県の計画を十分聞いて、その上で重点的に整備を図っていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。  第二番目の京都市内の状況でございますけれども、京都市内に設置されております施設では、精神薄弱児・者施設が五カ所で定員は二百三十二名、それから重症心身障害児施設が一カ所で定員五十名、それから肢体不自由児施設が一カ所で百七十一名、こういうふうになっております。
  208. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 それでは、その中で特にこういった施設に入りたくてもいろいろな事情があると思います。自分から、場所が遠いから無理だとか、あるいは家族といた方がいいからとか、いろいろな状況からも入りたくないとか、もっといい設備ならば入りたいけれどもというようなものもあるかもわかりませんが、それを一々言っていると非常に複雑なものになりますので、その中で一応待機人員というものはどうなっているのか、全国的にはもうほとんど問題ないのか、あるいはまだ非常に足りないとかそういった面があるのか、それからいま言った京都市の中で現在どれくらい掌握しておるか、その点をお答え願いたいと思います。
  209. 石野清治

    ○石野政府委員 まず全国的なことで申しますと、精神薄弱者の重度の患者がかなり待機しておるという実情がございます。その数はまだ十分つかんでおりませんけれども、そういう傾向がございます。それから精神薄弱児施設あるいは肢体不自由児施設等で、中軽度の人につきましては一〇〇%入所いたしておりまして、待機はほとんどございません。ほとんどというか、ゼロに近い数字だと思います。なお、現在のそういう中軽度の肢体不自由児施設でございますとか、あるいは盲聾唖施設等につきましては、むしろ定員を割っているという施設がかなり出てまいりました。  そういう事情でございます。  それから、京都市でございますけれども、京都市の場合は、京都府が非常にはっきりと数字をつかんでおりますので、具体的な数字を申し上げますと、現在京都市内で施設に措置いたしております人が百十五名。なお在宅として残されております者が、これは重度の障害児だけでございますけれども、重度の心身障害児の場合に百八十九名ございます。そのうちで、判定いたしまして要収容、収容を要する、こういう方が百十二名。それから施設の措置を必要としないというのが七十七名。なお、要収容の措置を必要とする者の中で施設へ希望いたしております者はそのうちの約半分の五十二名、こういう数字で、これは五十二年の二月におきます京都市の調べでございます。
  210. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 詳細に報告いただいたのですが、五十一年のときの実態というものが私の手元にいまあるわけです。重症心身障害児・者というのが京都市の場合、五十一年度現在で全部で三百四人、これは「昭和五十三年度国家予算に関する要望」ということで昨年の八月京都市から出ておるものでございますから、皆さんの手元の方にも行っておると思いますけれども、一応こういうふうになっています。五十一年度現在で三百四人おる。その中で施設措置人員として百十五人あり、入所待機者が一応百八十九人、その中でたとえば希望している人とかあるいはそうでない人とか、こういうようになってくると、その人数まではいまわかりません。ただ、潜在数等を入れればもっとふえてくるんではないか、こういうように考えますし、一応多くの人たちが入所を待っておるという現実がここにあるように受け取れるわけでございます。  そこで、設備だとかあるいは環境、地理的な条件、いろいろなものが問題になってきますけれども、そういう意味におきましてこの障害者は、それはそういったところに入るにこしたことはないんで、そういう希望をしておる人たちはかなり多くおると思うわけでございますし、その環境であるとか内容であるとかそういった面を向上さしていかなくてはならないんじゃないか、こういうように私はここで考えるわけですけれども、血の通った行政がなされていかなくてはならない、そういった面ではどうお考えでございますか。
  211. 石野清治

    ○石野政府委員 先生おっしゃるとおりでございまして、入れ物をつくっただけで事足れりとするわけでございませんで、やはりその内容の改善というのが私どもの一番重点に考えなくちゃならない点であろうと思います。  内容の改善と申しましても二つございまして、一つは、施設の中身の改善、つまり建物の基準面積と申しますか、そういうものを改善していくことが一つと、それからあと、運営してまいります場合の、私ども措置費と言っておりますけれども、たとえば措置費の対象になります職員の数の問題とか、あるいは給与の問題、あるいは施設側で言いますいろいろな庁費、旅費、そういうたぐいのいわゆる経費の問題、それから入所者の生活費の問題、こういうものを一番充実していかなければならぬわけでございますので、いろいろむずかしい条件はございますけれども、私どもはその内容改善について、いままでも努力してまいりましたし、今後も重点的に内容の改善をしていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  212. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 それでは、その内容をよくするのと同時に、現在、確かにこうして待機しておる人たちが、かなりの人がおるわけでございますので、今後の設置状況、今後の計画等を含めて、決まっているのもあるし、もうできるというのもあると思いますが、その面をわかっている範囲でお知らせください。
  213. 石野清治

    ○石野政府委員 全国的なことにつきましてはなかなかむずかしいわけでございます。その理由は、実は昭和五十年度におきまして心身障害関係の実態調査をやろうといたしたわけでございます。ところが、東京とか大阪、京都、そういうところで、実は一部の調査反対運動が起こりまして、現実にはその調査ができなかった、こういう問題がございます。そのために、私どもは心身障害児に対します全国的に網羅した施設整備を考えておったわけでございますけれども、残念ながらそれは放棄せざるを得ない、こういう状態になりました。しかし、それは放置するわけにいきませんので、実は各県の方から施設の整備要請が参りますたびに、各県の方に全体の計画はどうなっているのか、それを一々確かめながら実は推定をいたしておるわけでございます。従来のペースでまいりますと、過去二カ年間の情勢を見ますと、大体三千人程度の施設収容を要しますものについての整備を行っております。現在、各県からヒヤリングを行っておりますけれども、大体そのぐらいの数字が出てくるんではないか。そのほかに、自転車振興会でございますとか船舶振興会、そういうものがございまして、その辺の希望もわかりませんので、具体的な数字は言えませんけれども、全体でそれぐらいの数字ではなかろうかな、こう考えているわけでございます。  それから、お尋ねございませんでしたけれども、京都市の場合も、実は、先ほどの数字がございましたので、市の方としてもぜひ障害児施設をつくりたい、こういう御希望があるやに聞いておりますけれども、それは見てその上で判断をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  214. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 いまの京都市の問題で、今後、設置がどうなっておるか、もう決まっておるものとか、ことしにはこれができるんだというようなものがあれば、ちょっと説明してもらいたいのですけれども……。
  215. 石野清治

    ○石野政府委員 まだ京都市の方から具体的に聞いておりません。
  216. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 それでは、これだけの「五十三年度国家予算に関する要望」ということで、京都市からもこうして実態まで出して出ておることでございますから、当然こういつた面においての要望等が出てくると思いますしっ十分な御検討をいただいて、ぜひ前向きな措置をとっていただきたい、この点を要望しておきます。  そこで、次に老人ホーム関係、これをお伺いしたいと思います。  特別養護老人ホームであるとか養護老人ホーム、この設置状況、あるいは建設状況、今後の計画でいいですが、こういったもの、あるいはいまの状況で結構でございますが、これも京都に関して、ここで知らしていただきたいと思います。
  217. 上村一

    ○上村政府委員 特別養護老人ホームの全国的な数から申し上げますと、特別養護老人ホームは全国で六百二十七カ所でございます。今年度末中に七百カ所ぐらいになると思います。それから、京都府で五カ所、京都市で五カ所ということになっておるわけでございます。  それから、養護老人ホームの方は、現在九百三十六カ所ございまして、京都府で九カ所、京都市で八カ所というふうな状況にあるわけでございます。  老人ホームの中で、寝たきり老人を対象にいたしました特別養護老人ホームというのは、現在定員に比べまして需要が相当多い状況でございます。したがいまして、五十三年度の施設整備の中でも、特別養護老人ホームに重点を置いて整備を進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  京都府なり京都市から事情を聞きましたところによりますと、特別養護老人ホームの入所希望の状況というのが、府下で百九十名、市内で八十名あるというふうに聞いておりまして、五十三年度までの整備計画を京都府なり京都市が予定通り進めてまいりますと、ほぼその入所希望がかなえられるような状況になるのではないかというふうに判断をしておるわけでございます。
  218. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 日本として高齢化社会、これがどんどん比率が進んでおります。そういった意味では、この需要も年々増加してくるのではないか、こう考えますが、それにこたえられるだけの設備の状況、それからいま言った内容面での質をよくしていかなければならない、こう考えますし、それにこたえられるだけの自信はございますか。
  219. 上村一

    ○上村政府委員 まず、特別養護老人ホームの需要そのものというのは、その地域によって相当差がございます。地域における老齢化の状況なり、あるいは扶養や同居に対する意識の差というものに相当差があるように見受けられるわけでございますが、そういうふうな地域の実情に応じながら、各県あるいは各市町村で計画されましたものに対して対応するように、施設整備の面で予算措置を講じておるわけでございます。  同時に、特別養護老人ホーム等の寮母、調理員その他の所遇の改善につきましても、これまでも努力してまいりましたし、五十三年度の予算案におきましても改善するよう計画を立てておるわけでございます。
  220. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 それでは、私は今度は内容面においてのことをお伺いしたいと思います。  特に、いまお話がありました調理員であるとか、寮母さんであるとか、看護婦さんであるとか、栄養士さんであるとか、どうしても必要になってくる重要な立場でございます。こういった人たちの待遇面はどうなっておるか、大体平均で結構でございます。それから国の補助等がその中からどういうふうに行われておるのか、その面を説明いただきたいと思います。
  221. 上村一

    ○上村政府委員 まず、寮母なり調理員の給与の原則でございますけれども、一応国家公務員の給与で格づけをまずするわけでございます。それから寮母につきましては、その仕事が特別であるという点を考えまして、特殊業務手当と、それから給与特別改善費というのを上積みしておるわけでございます。本俸に即して申し上げますと、寮母さんの場合には、格づけの基本給与というものが基本給になるわけでございますが、現在大体十一万五千七百円見当、これに給与特別改善費とか特殊業務手当というものがつくわけでございます。五十三年度は、さらにそれを上乗せをする予定でございます。
  222. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 私がちょっと調べてみたのですけれども、京都にある一つの養護老人ホームの例でございます。京都には養護老人ホームとして八カ所、特別養護老人ホームとして五カ所市内にございますけれども、その中で、たとえば収容人員が百二十人未満のところは、調理員さんの場合を例にとりますが、常勤の人が三人、非常勤の人が一人、こういうようなことで四人調理員さんをお願いしている、こういった形でございます。ところが、この調理員さんがたとえば八年間そこに勤めた人、年齢で見れば、ここの例の場合で大体平均五十歳ぐらいになるそうです。高い人で六十一歳の人も京都ではおるそうでございまして、低い人で三十七歳、こういう状況でございます。一つの例でございますが、五十歳の人のを見てみますと、基準給与としては八万八千四百円でございます。そこに手当等約八%がプラスされる、こういった形で、いまお話がありました税込みで平均十一万円、こういうことです。いまの説明では、そこには何かプラスされるというようなお話がございましたが、私の調べたのではこういうような実態なんですよ。  そうすると、こういう人たちは、皆さん調理員でございますから、日曜だから食べるなというわけにいかないわけでございますので、休むこともこういった少人数の中からやりくりをしてやっていかなければならない、非常に大変な立場で働いておる人たちです。調理員のみならず、栄養士さんですとか看護婦さんですとか、いろいろと重要な人たちが多くおるわけでございますけれども、こういった待遇では、やはり質をまずよくしていこうというものを考えても、これはちょっと考慮していかなければならないんじゃないか、こう考えるものでございますけれども、こういったものへの国の補助なり運営費等への負担金増額、こういった面をどのように考えておるか、説明していただきたいと思います。
  223. 上村一

    ○上村政府委員 勤務条件を考えます場合に、二つの要素があるわけでございます。  一つは、ちょっとお話が出ましたけれども、職員の数をふやすという問題、したがいまして、一人当たりの労働が過重にならないようにするという点でございます。これにつきましては五十年、五十一年の二カ年計画で大幅に寮母等の増員を行ったわけでございますし、それから休日等が確保できるように年休代替要員の確保のための予算措置も講じておるわけでございます。  それから、給与の場合には、さっき例に挙げられました数字、そのとおりでございまして、国家公務員の給与に合わせてその計算をする、そういうふうにいたしまして積み上げましたものの八割というのを国が負担をする、残りの二割というのを自治体の方で負担をするというのが特別養護老人ホーム初め福祉施設の運営費に対する国の負担考え方でございまして、それが安いか高いかという議論になりますと、どうしても国家公務員の給与が安いか高いかというふうな話に落着するのじゃないかなというふうに思うわけでございます。
  224. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 私が言っているのは、こういった、たとえば老人ホームにおいて寝たきりの人を扱っていかなければならない重要な立場でございます。一人の寝たきり老人をふろに入れるには四人がかりですよ。これは大変です。勤務時間も長時間になる、そういう中でやっていく人たちに対して、何しろ国家公務員の状況でそれは一律というようなものでなくして、こういった立場の人たちに対してもっと血の通ったものを私は要望したい、こういうことで最初から言っておったわけでございますので、その辺を今後ぜひ考慮に入れていただきたいと思います。この件に関しては回答は結構でございます。  次に移りたいと思います。  そこで、このような社会福祉施設の緊急災害時、特に火災等が起きた場合、寝たきり老人がいる施設ですと、これは動くことも困難な状況になりますし、あるいは障害者、こういうような人の場合でも非常に避難が困難である、こういった意味で、こういうところに消防設備を今後どういうように検討しておるのか、この辺を消防庁の方からもあわせてお願いしたいと思います。
  225. 荒井紀雄

    ○荒井説明員 お答え申し上げます。  現在病院あるいは社会福祉施設につきましては、御承知のとおり一定規模以上のものにつきましてはスプリンクラー等義務設置になっております。したがいまして、その猶予期限でございます五十四年の三月末を期しまして、一〇〇%設置を目標として私ども現在鋭意努力をいたしておるところでございます。  しかしながら、いろいろな社会情勢あるいは技術的な問題等もありまして、率直に申しまして、現段階でなかなか進捗状況が思わしくないということは認めざるを得ないわけでございますが、なお一層この点につきまして、鋭意努力をしていきたいというふうに考えております。
  226. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 このスプリンクラーの問題でございますけれども、確かに消防設備の中でこれは非常にお金がかかります。大変な負担になるわけです。収容人員であるとか建物の規模、こういったものでいまこの設置基準というものが設けられていますが、このスプリンクラーに関しては、それも私は大事です、病院であるとか百貨店であるとか大ぜい集まるようなところでそういったものが必要になりますが、同時に、人命尊重という立場でいくと、逃げられないのですから、普通ならばまあ助かるものが、寝たきりであった、スプリンクラーが作動してくれたならば助かったという例は幾つもあるわけでございますので、この際ここで、収容人員とか大きさ、こういうようなものでの基準ではなくて、質において、内容面において検討する用意がないかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  227. 荒井紀雄

    ○荒井説明員 このスプリンクラーは、確かにおっしゃるとおり現在一定規模以上のものにつきまして義務設置になっておるわけでございます。これをいまのお話のように小規模のものにまで範囲を広げたらいいのかどうかという問題でございますけれども、福祉施設の場合には、非常に技術的にも、たとえば病室等に水をかけていいかというふうな問題もありますし、それからまた、特に小さい場合ですと天井が低いものがありますとか、あるいはまた、建物の強度からいきましてスプリンクラーの設置が可能かどうかというふうな非常に技術的な問題を含んでおるわけでございます。  そういった問題がございますので、一定規模以下のものにつきましてまで義務設置をするかどうかということにつきまして、非常に慎重に対処したいと思っておりますが、現在建設省の方でいわゆる建築物防火の問題につきましての懇談会と、うものを持っております。これに私どもも参加いたしておるわけでございますけれども、ここではやはりスプリンクラー設備と、それから建築物の防火施設、たとえば防火区画の問題でございますとか、あるいはまた二方向に避難する二方向避難の問題でございますとか、あるいはまた内装材料の不燃化、難燃化の問題でございますとか、そういったいろいろな問題を、現在スプリンクラー設備との関連におきまして検討をいたしておるわけでございますが、そういった検討の機会に参加をさせていただいておりますので、今後そういった方々の御意見等も十分参考にしながら、ひとつ積極的に検討してまいりたいというふうに考えております。
  228. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 私は、本分科会で昨年同じようにスプリンクラーの設置に関して要望しました、御承知のとおりでございますが、そのときに同じ問題を、私はこの内容面において検討しなさいということで要望いたしました。そのときに、林政府委員は、私ここに持ってまいりましたけれども、こういうふうに言っているのです。「もっと規模の小さいものとかいうふうに検討をするという合理性は十分にあると存じます。」そういった動けないような人たち、避難しにくい人たちということで前置きして言っておりますが、十分検討しなければいけない。そして「病院なり福祉施設を主管する役所ともいろいろ意見を交換し合って、この人命救助のための法制の整備を今後もずっと図ってまいりたいと思っております。」こういうように回答しておるんですよ。同じような回答じゃしようがないじゃないですか。その後どういうようにやったかということを私は聞きたいのです。
  229. 上村一

    ○上村政府委員 いまお話が出ましたけれども、消防庁からお話がございましたように、四十九年の政令改正でスプリンクラーの設置が義務づけられまして、この時限が五十三年度中でございます。したがいまして、厚生省といたしましては、そのスプリンクラーの設置が義務づけられた施設につきまして、五十三年度、その社会福祉事業施設整備事業の一環として国庫補助の対象にして、いまない施設についてスプリンクラーの整備を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  230. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 ぜひよく御検討をいただきたいと思います。  時間でございますので、いまの回答、それから基準面、それから私の手元にあるのでも、スプリンクラーの設置は、福祉施設に関しては、現在のところ基準面がいろいろと規制がありますので、わずか二カ所ですね。こういうような状況ではしようがないので、やはり人命尊重というその大事な立場からいけば、ぜひそういった内容面において御検討を願うことを、このスプリンクラーの設置に関しても可能になるようにすると同時に、あるいはまた、各関係省庁との連携をよくとって、ぜひ前向きな状態に持っていけるようにお願いしたい。  大臣の決意を最後にお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  231. 小沢辰男

    小沢国務大臣 社会福祉施設におきます防災の問題は最重要でございますので、私もこれが整備一事業の促進が図られますように努力をいたしてまいりたいと思います。
  232. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 どうもありがとうございました。
  233. 住栄作

    ○住主査代理 これにて竹内君の質疑は終了しました。  次に、上原康助君。
  234. 上原康助

    上原分科員 私は、大変限られた時間ですから、この十月から沖繩県の宜野湾市我如古に開設を予定されております国立療養所沖繩病院ですか、仮称かもしれませんが、その件について最初にお尋ねをしたいと思うのです。  いま申し上げたこの国立療養所沖繩病院の設置は、申し上げるまでもなく、現在金武村にある国立療養所、結核療養所を移転をさせるという計画で復帰後進められてきたことであります。そこで現在の状況はどうなっているのか、いろいろお伺いをしてみますと、この十月には開所したいということで鋭意御努力をいただている、また地元もそういう方向で移転準備なりその他進めているということですが、まずその概況といいますか近況等について御説明を賜りたいと思います。
  235. 佐分利輝彦

    ○佐分利政府委員 ただいまお話がございましたように、本年十月新病院が開院できるものと考えております。ベッドの数は三百九十床でございまして、結核が二百五十床、一般が百床、それから進行性筋萎縮症が四十床、合計三百九十床でございます。
  236. 上原康助

    上原分科員 当初の計画はどうでしたか。
  237. 佐分利輝彦

    ○佐分利政府委員 地元の方からいろいろ御要望がございましたが、当初からこの程度の計画と私は承っております。
  238. 上原康助

    上原分科員 しかし、いまの御説明、少しおかしいのです。当初計画はそうではないのではないですか。病床数は入院の方が六百床、病床内訳が、結核が三百五十、これがいま御説明のように二百五十床に落とされているわけですね。それから小児科百床、内科の方が五十床、循環器が五十床で一般五十床ということで、別途に筋ジス病床を整備する予定、これがいまお答えがありましたように、全体計画で三百九十床に落とされているわけですが、当初計画より縮小したいきさつなり、あるいはまた、今後は当初計画まで拡大していく御計画があるのかどうか、その点もまずお伺いをしておきたいと思います。
  239. 佐分利輝彦

    ○佐分利政府委員 現在、金武にございます金武保養院の規模は三百十床でございます。したがって、宜野湾の新病院は三百九十床で、八十床ふえるわけでございます。  また、ただいまお話がございましたように、地元等では六百床の病院をつくってもらいたいという、かなり強い要望がございました。しかしながら、私どもといたしましては、沖繩の場合には、特に医師とか看護婦のスタッフの確保がなかなか困難でございます。そういったこともまず考えなければなりません。また最近、先生もよく御存じのように、市立の那覇病院など新しい病院も建設されております。そういう関係から、先ほど申し上げましたように、現在においては三百九十床ということで計画を進めたわけでございます。  なお、将来の問題といたしましては、地域の医療需要、また、ただいま申し上げました付近の病院の建設状況、数年先にはまた琉球大学の医学部の付属病院等の問題も起こるわけでございますが、そういったものをよく総合勘案いたしまして検討いたしたいと考えております。
  240. 上原康助

    上原分科員 そこで、この新しい療養所の性格ですが、運営方針を見てみますと「沖繩県における中心的医療機関として地域医療の需要にこたえるため、充分な機能と体制を整備し、国民の期待と信頼にそう医療活動を推進する。」そのほかいろいろ挙げてあります。「教育研修関係病院としての機能を整備し医療技術者の教育、研修にあたる。」あるいは「看護婦養成施設を附置し、医療従事者の確保を図る。」というような、いまおっしゃったようにスタッフ等の養成や確保を図るためにということを挙げられておるわけで、何も金武保養院が三百十床であったからその規模程度のものであっていいという計画じゃなかったと思うのです。そこは篤と当初御計画をなさったスタートというものを御理解をいただいて、この計画の規模の拡大については対処をしていただきたいと思うのです。  そこで、現在この金武保養院には何名の職員が働いておって、新しい病院に何名が転勤といいますか配置をする御計画になっているのか、その点を御説明ください。
  241. 佐分利輝彦

    ○佐分利政府委員 ただいま手元に資料がございませんが、三百十床の国立療養所でございますから、百六十六八の職員がおります。そこで先生御指摘のように四十キロ離れておりますから、どうしても通勤できない、また地元に残りたいという方もあるわけでございます。したがって、私どもとしては、原則はやはり現在の職員の方は宜野湾市の新しい病院に全部移っていただくというのがたてまえではございます。またそのために若干の宿舎等の整備もしたいと考えておりますが、どうしても四十キロ通えないというような方々については、幸い隣に琉球精神病院という国立精神病院がございます。したがって、そちらの方に配置転換をするといった方法もあるのではないかということで、現在地元でお話し合いをしている段階でございます。
  242. 上原康助

    上原分科員 そこで、この関係該当者にとってはいま非常に深刻な問題になっているわけですね。なぜ宜野湾市が選定されたかという問題もあるわけですが、どうも皆さんの頭の中では、本土の場合ですと鉄軌道がある、交通網というのはわりあい整備されておりますから、四十キロだって通勤距離としてはさほど問題にならない、そういうことでこの問題を処理しようとすると、現在金武で働いておられる職員にとっては死活問題になりかねない面もあると言っても言い過ぎでない。私は関係者からもいろいろ聞いてみたのですが、仮に金武から新しい宜野湾に通勤するには、皆さんバスでどのくらいの時間を要するとお考えですか。
  243. 佐分利輝彦

    ○佐分利政府委員 私は、実際にその間のバスを利用したことがございませんのでよくわかりませんけれども、沖繩も道路の事情がかなりよくなってまいりましたので、一時間以内では行くのじゃなかろうか、しかし、これも朝夕のラッシュ時ということになるとそうはいかないであろうという感じを持っております。
  244. 上原康助

    上原分科員 ちょっとスピード感覚が余りにもおかしいですね。四十キロですから、直線をノンストップで行っても一時間ですよ。こういうことでは少し局長としては御答弁としてお粗末ですね。通常で行って、スムーズに流れて四時間かかりますよ、四時間、金武から新しいところまでは。乗りかえがありますと五時間かかりますよ。の異動に対しては万全の措置をとっていただかないといけない問題が出ているということ、ここについてはどうするおつもりですか。
  245. 佐分利輝彦

    ○佐分利政府委員 先ほど申し上げましたように、宿舎についても相応の考慮を払いたいと考えておりますが、そういった方々に全部宿舎をつくるということは、これはいろいろな関係でまたむずかしいことでございます。したがって、どうしても宜野湾に通えないという方々につきましては、現在隣にございます琉球精神病院の方へ移っていただくということもやむを得ないのじゃなかろうかと考えております。
  246. 上原康助

    上原分科員 琉球精神病院の方に移ってもらうのもやむを得ない。移ってもらえる条件はどのくらいあるのですか。
  247. 佐分利輝彦

    ○佐分利政府委員 そういったことも含めまして現在地元で話し合いを進めております。
  248. 上原康助

    上原分科員 定員の問題とかいろいろあって、これなどもそう簡単にいきそうにもないというのが現地の感触ですね。そこで、移ってもらえる条件があればそれは解決一つの方法だと思うのです。そういうことも含めておやりにならなければいけないと思うのですが、同時に、移れない者には、精神病院だけじゃなくて、名護の保健所、名護の県立の病院などもありますよ。あるいは名護市の方に愛楽園もある。そういう政府立、県立の公共機関に、定員問題とは関係なくとは言えないかもしれませんが、職員の皆さんの意向を尊重した形で十分配置転換ができるようなことをやっていただきたいということ、これが一つです。これはぜひ満たしていただかなければいかぬ。  もう一つは、たしか五十二年度までは、そういった職員に対する退職手当については特別の配慮がなされておった。これは特別措置でありましたので、五十三年度から打ち切られる。中身を簡単に言いますと、通常の三倍の退職手当が支給されて、いわゆる勧奨退職制度的なことで特別措置をとっておったのですね。この措置なども、この病院の場合は当然考えに置いて政令なり何なりで特別の措置をおとりになっておかなければいけなかった問題だと思うのですが、結果論を言っても始まりませんから、まず第一に移ってもらう。移ってもらえない方々はその近隣関係の病院なり公共機関に転職をしてもらう。それでも無理だということに対しては特別措置のあり方もぜひ厚生省としては御検討を賜らなければいけない問題だと思うのです。  こういう点も含めてひとつ御努力いただきたいと思うのですが、その御意思は十分ありますね。
  249. 佐分利輝彦

    ○佐分利政府委員 まず第一の配置転換の範囲を広げるということにつきましては、これまでも最終的には県とか市とかその他のところにもお願いをして、そういったところにも採用をしていただくという努力をしてまいりました。したがって、それと同じように、またただいま御指摘のように、幅広く考えてまいりたいと考えております。  ただ、二番目の退職手当等に対する優遇措置でございますが、これはなかなかむずかしい問題でございます。ほかのいろいろ関連した問題が出てまいりまして、それとのバランスの問題が起こってくると思うのでございます。なかなかむずかしい問題だとは思いますけれども、よくよく慎重にこの問題は検討をさせていただきたいと考えております。
  250. 上原康助

    上原分科員 それはむずかしいということは私もわかりますよ。しかし、こういう特殊な事情であるということ、しかも病院を設立をする宜野湾に移るという段階においては、地元においての厚生省からの御説明も、一人の犠牲者も出さない、職員の身分については十分保障するという前提で移転計画も職員団体の皆さんと話し合って進められている経緯があるわけです。このこともあわせて御理解をいただきたいと思いますし、同時に、通勤手当の問題にしても、たしかいま最高は二万円が限度かと思うのです。いま四十キロ以上バスに乗ると、片道だって五百円以上かかると思いますよ。自家用を運転したってそう簡単なものじゃないですね。そういう問題なども当然職員には大きな負担となって出てくるということ。これまでここでどうしなさいということは言いませんが、移る条件にある人々でもそれだけ大きな負担が出てくるということも御理解をしていただいた上で、この問題については対処をしていただきたいということ。  そしてもう一つは、先ほど申し上げましたように、この病院の性格は、沖繩の医療水準を引き上げていくための中心的役割りを果たす、そういう医療機関の中枢部門に位置づけていくという皆さんの構想が当初あったようでありますから、ぜひそのこともあわせて、いまおくれている医療体制の充実強化という面に役立てるように、当初計画したものまでどうしても拡大をしていくように進めていただきたいということ。  もう一つ、これはどの厚生大臣だったか、ちょっと私も記憶が定かでございませんが、先ほど申し上げた筋ジストロフィー症のベッドを設ける。これは全国的に問題になっておりますが、この筋ジストロフィー患者というもの、主に幼児だと思うのですが、どのくらいおって、この面の治療対策はどうか。この新しい宜野湾病院で十分治療なりあるいはリハビリを含めてできるのかどうか、医師の確保の問題等を含めて、そういった面の御検討がどうなされておるのか、この際お答えをいただいておきたいと思います。
  251. 佐分利輝彦

    ○佐分利政府委員 現在沖繩には、在宅の筋ジストロフィーの患者さんが百二十三名、入院していらっしゃる方が二十三名、合計百四十六名いらっしゃいます。したがいまして、今後宜野湾の国立沖繩病院に四十床の筋ジストロフィー病棟ができれば、新たに四十人の患者さんの収容ができるわけでございます。ただ、筋ジストロフィーの場合の最近の傾向といたしまして、小さい患者さんは手元で育てて、大きくなると施設の方へ預けようというような傾向が出てまいりました。また医学、薬学も進歩いたしましたので、わりあいに軽い患者さんもふえてきたわけでございます。したがって、私どもは当面四十床でよかろうと考えておりますが、この点も実際の医療需要だとか、あるいはいま先生からお話のございました専門医などの確保の問題だとか、そういったことをよく考えて、将来の計画は慎重に検討いたしたいと思っております。
  252. 上原康助

    上原分科員 それと、新しい施設になると、さきのお答えのように三百十床から三百九十床にふえるので、職員の方も、医師や看護婦その他含めて当然増員にならなければいけない面が出てくるわけですね。増員要求もたしか出されていると思うのですが、そういう面の御配慮はどういうふうになっておりますか。
  253. 佐分利輝彦

    ○佐分利政府委員 もちろん、本年十月オープンでございますので、それに合わせて定員の増を確保いたしております。しかしながら、病院というのはなかなか一気に満杯になりません。やはり患者さんはだんだんふえましていっぱいになるという傾向がございますし、過去の実績もはっきりしているわけでございますから、そういったものも予想の中に入れながら増員計画を立てております。
  254. 上原康助

    上原分科員 具体的にはどういうことですか。
  255. 佐分利輝彦

    ○佐分利政府委員 ただいま手元に資料がございませんけれども、まず基本になりますのは従来の定員百七十名くらいでございまして、これは三百十床分でございます。そこであとの八十床分が足らないわけでございますけれども、これは従来の慣例ではおおむね二年計画くらいでいっぱいにしていく、完全に充足をしていくということになっております。
  256. 上原康助

    上原分科員 あなた具体的に言えぬでは困るのじゃないですか。少なくとも、医師が十一名、看護婦が百二名、その他の職員が八十三名、百九十六名の陣容でなければいかぬという計画を地元がちゃんと出しておるじゃないですか。その程度の確保は御自信がありますね。
  257. 佐分利輝彦

    ○佐分利政府委員 ただいま申し上げましたように、一遍にそれだけを確保するということは、新しい増床をやりましたときの患者の入りぐあいからしても、それほど初めから用意をする必要はないという問題が一つございます。そのほかに、申しわけないことでございますが、沖繩でございますので、医師とか看護婦などの確保については特別の努力をしなければならないという問題がございます。
  258. 上原康助

    上原分科員 金武の場合は結核の患者の皆さんを対象にした療養所だったのですが、ここはどちらかといいますと新たに総合病院的性格を持っておる施設なんですね。そのことをぜひ御理解の上でやっていただかないと困るということと、地元はこういう要求を出しておるのでその面を満たすようにひとつ御努力をいただきたいと思います。  それと、もう時間のようですが、先ほどもありました老人問題との関連においては、沖繩の気候条件を生かした形での国立老人総合施設的なものも県の方もいろいろ考えているようでありますので、その点も国としても十分御検討いただきたいということと、もう一つは、昭和四十年から今日まで問題になってきた沖繩の医療水準あるいは医療体制を確立していく上では、何としても琉球大学に医学部の設置、これは国全体で——直接の管轄は文部省でありますが、すでに基本構想もできて発表されておりますが、厚生省としてもぜひ積極的な御努力をいただいて、いま出されておる五十六年四月からの開議というものは何としても実現をしていくということでなければいけないと思うのです。その点については、沖繩のおくれておる医療行政の問題をどう解決していくかということを含めて、大臣の方から御所見を賜りたいと思います。
  259. 小沢辰男

    小沢国務大臣 国立病院を宜野湾市に移転新設をいたしますのも、沖繩の医療体制をよりよくしようという趣旨から出たものでございますし、また、ただいまお話のありました医学部並びに必要な付属病院の設置問題等について、これは文部省の計画で進めていくわけでございますが、医療を確保する面の責任者として私もできるだけ推進していくように努力したいと考えます。
  260. 上原康助

    上原分科員 老人総合施設問題についてはどういうお考えを持っていらっしゃいますか。
  261. 上村一

    ○上村政府委員 老人福祉施策を進めてまいります場合の国と自治体の役割りはおのずから決まってまいるわけでございまして、国が直接老人のための施設を設置することはむずかしゅうございます。むしろ自治体である沖繩県で老人休養ホーム等の利用施設の整備を計画されました場合には十分御相談してまいりたいと考えるわけでございます。
  262. 上原康助

    上原分科員 これで終えますが、琉球大学の医学部の開設、開議ですね。これはもちろん文部省ではあるでしょうが、ぜひ大臣、五十六年四月の開議ということは、政府としてはこれ以上おくれをとらないということはここで方向づけはやっていただく、そのためには厚生省あるいは文部省が協議をしていただいて——もう長い間、佐藤総理が行かれてからもう十三年たっているわけですね。そういうことですから、改めてこの点については御見解をお伺いしておきたいと思うのです。
  263. 小沢辰男

    小沢国務大臣 沖繩は私は何遍も参りましたので、よく知っております。この問題はぜひ推進しなければいけないと思います。  ただ、問題は、医学部なり病院だけをつくればいいという問題ではない。先生承知のように、環境整備が大事なんですね。環境整備と言いますと、たとえば水の問題を解決していかなければならぬわけでございますから、そういうものからまず十分整備していきませんと、学校ができた、病院ができた、さあ水がないというのじゃ困る。したがって、関係町村等とよく連絡をとってそういう環境、施設の整備をまず急がなければいかぬ。それには、必要な援助は私ども考えまして進めてまいります。しかも、これは日本の医師会長みずから、沖繩の医療のあり方、医学部のあり方について、これは御存じかもしれませんが、相当新しい考え方の案を出したこともございまして、そういう重要な問題でもございますので、私は十分心得ているつもりでございます。
  264. 上原康助

    上原分科員 終わります。
  265. 住栄作

    ○住主査代理 これにて、厚生省所管についての質疑は終了いたしました。  以上をもちまして本分科会の審査は全部終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の格段な御協力によりまして、本分科会の審査を無事終了することができました。ここに厚くお礼を申し上げます。  これにて散会いたします。     午後三時二十三分散会