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1978-03-02 第84回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月二日(木曜日)     午前十時開議  出席分科員    主査 笹山茂太郎君       栗原 祐幸君    住  栄作君       小川 仁一君    川俣健二郎君       佐野  進君    島田 琢郎君       竹内  猛君    山本 政弘君       貝沼 次郎君    武田 一夫君       正森 成二君    大原 一三君       永原  稔君    兼務 井上 一成君 兼務 小川 国彦君    兼務 川本 敏美君 兼務 沢田  広君  出席国務大臣         自 治 大 臣 加藤 武徳君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房同和対策室長 黒川  弘君         警察庁交通局長 杉原  正君         警察庁警備局長 三井  脩君         厚生大臣官房会         計課長     持永 和見君         農林大臣官房予         算課長     田中 宏尚君         運輸省自動車局         業務部長    梶原  清君         自治大臣官房長 石見 隆三君         自治大臣官房審         議官      石原 信雄君         自治大臣官房審         議官      砂子田 隆君         自治大臣官房審         議官      福島  深君         自治大臣官房会         計課長     中野  晟君         自治省行政局長 近藤 隆之君         自治省行政局公         務員部長    塩田  章君         自治省財政局長 山本  悟君         自治省税務局長 森岡  敞君         消防庁長官   林  忠雄君  分科員外出席者         国土庁土地局国         土調査課長   高田 徳博君         国土庁水資源局         水源地域対策課         長       和田 萬里君         大蔵省主計局主         計官      足立 和基君         文部省大学局医         学教育課長   五十嵐耕一君         文部省管理局教         育施設部助成課         長       倉地 克次君         厚生省環境衛生         局水道環境部水         道整備課長   山村 勝美君         厚生省医務局指         導助成課長   岸本 正裕君         厚生省児童家庭         局企画課長   下村  健君         農林省農林経済         局総務課長   塚田  実君         農林水産技術会         議事務局総務課         長       金田 辰夫君         通商産業省立地         公害局工業再配         置課長     有岡 恭助君         通商産業省立地         公害局鉱山課長 嶋田 勝弘君         資源エネルギー         庁長官官房鉱業         課長      福原 元一君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部日         本鉄道建設公団         ・本州四国連絡         橋公団監理官  佐々木建成君         労働省婦人少年         局婦人労働課長 高橋 久子君         労働省職業訓練         局管理課長   名取 昭夫君         建設省河川局開         発課長     堀  和夫君         建設省道路局国         道第二課長   多田 宏行君         建設省住宅局住         宅建設課長   国吉  忠君         会計検査院事務         総局事務長官         房総務課長   磯田  晋君     ————————————— 分科員の移動 三月二日  辞任         補欠選任   小林  進君     島田 琢郎君   貝沼 次郎君     武田 一矢君   不破 哲三君     瀬長亀次郎君   大原 一三君     川合  武君 同日  辞任         補欠選任   島田 琢郎君     竹内  猛君   武田 一矢君     貝沼 次郎君   瀬長亀次郎君     正森 成二君   川合  武君     永原  稔君 同日  辞任         補欠選任   竹内  猛君     小川 仁一君   正森 成二君     不破 哲三君   永原  稔君     大原 一三君 同日  辞任         補欠選任   小川 仁一君     新村 勝雄君 同日  辞任         補欠選任   新村 勝雄君     佐野  進君 同日  辞任         補欠選任   佐野  進君     山本 政弘君 同日  辞任         補欠選任   山本 政弘君     小林  進君 同日  第二分科員井上一成君、第五分科員小川国彦君、  川本敏美君及び沢田広君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十三年度一般会計予算  昭和五十三年度特別会計予算  昭和五十三年度政府関係機関予算自治省所  管)      ————◇—————
  2. 笹山茂太郎

    笹山主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。  昭和五十三年度一般会計予算昭和五十三年度特別会計予算昭和五十三年度政府関係機関予算自治省所管について審査を行います。  まず、政府から説明を聴取いたします。加藤自治大臣
  3. 加藤武徳

    加藤国務大臣 昭和五十三年度の自治省関係歳入歳出予算につきまして、概要を御説明申し上げます。  第一に、一般会計予算でありますが、歳入は一千万円、歳出は六兆二十九億一千六百万円を計上いたしております。  歳出予算額は、前年度の予算額四兆九千七百八十三億九千九百万円(第一次補正後)と比較をいたし、一兆二百四十五億一千七百万円の増額となっております。  また、この歳出予算額組織別の額を申し上げますと、自治本省五兆九千八百六十九億一千六百万円、消防庁百六十億円となっております。  以下、主要な事項について、委員皆様のお許しを得まして、説明を省略させていただきます。  よろしくお願いいたします。
  4. 笹山茂太郎

    笹山主査 この際、お諮りいたします。  自治省所管関係予算の主要な事項につきましては、その説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 笹山茂太郎

    笹山主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔加藤国務大臣説明を省略した部分〕  以下、この歳出予算額のうち、主な事項につきまして、内容の御説明を申し上げます。  最初に、自治本省につきまして、御説明を申し上げます。  まず、地方交付税交付金財源繰り入れに必要な経費でありますが、昭和五十三年度は五兆三千九百六十七億五千六百万円を計上いたしております。  この経費は、昭和五十三年度の所得税法人税及び酒税の収入見込み額のそれぞれ百分の三十二に相当する金額合算額五兆三千六百八十億円から昭和五十一年度の地方交付税に相当する金額を超えて繰り入れられた額百八十二億四千四百万円を控除した額に過年度特例措置に係る昭和五十三年度の額四百七十億円を加算した額に相当する金額交付税及び譲与税配付金特別会計繰り入れるために必要な経費であります。  次に、臨時地方特例交付金繰り入れに必要な経費でありますが、二千二百五十一億円を計上いたしております。  この経費は、地方財政状況等を考慮し、昭和五十三年度の特例措置として交付税及び譲与税配付金特別会計を通じ地方交付税交付金として交付する財源の同特別会計への繰り入れに必要な経費であります。  次に、借入金等利子財源繰り入れに必要な経費でありますが、二千二百七十五億一千六百万円を計上いたしております。  この経費は、地方交付税交付金に係る借入金及び一時借入金利子支払い財源交付税及び譲与税配付金特別会計繰り入れるために必要な経費であります。  次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金に必要な経費でありますが、百五十一億五千万円を計上いたしております。  これは、いわゆる基地交付金でありまして、米軍及び自衛隊が使用する国有提供施設等の所在する都及び市町村に対し、助成交付金を交付するために必要な経費であります。  次に、施設等所在市町村調整交付金でありますが、四十四億円を計上いたしております。  この経費は、特定の防衛施設が所在することに伴い税財政上特別の影響を受ける施設等所在市町村に対し、調整交付金を交付するために必要な経費であります。  次に、交通安全対策特別交付金に必要な経費として、七百八十七億六千六百万円を計上いたしております。  この経費は、交通安全対策の一環として、反則金収入に相当する金額道路交通安全施設に要する費用に充てるため、都道府県及び市町村に対し交付するために必要な経費であります。  次に、新産業都市等建設事業債調整分利子補給に必要な経費につきましては、九十一億二千二百万円を計上いたしております。  これは、新産業都市工業整備特別地域等建設整備の促進を図るため、建設事業債特別調整分について利子補給金を交付するために必要な経費であります。  次に、地方公営交通事業再建債利子補給に必要な経費でありますが、三十六億七千三百万円を計上いたしております。  これは、地方公営交通事業再建を促進するため、再建事業を経営する地方公共団体が起こす再建債について利子補給金を交付するために必要な経費であります。  次に、再建公営路面交通事業バス購入費補助に必要な経費でありますが、十三億七千四百万円を計上いたしております。  これは、再建を行う公営路面交通事業を経営する地方公共団体に対する当該事業バス購入費補助に必要な経費であります。  次に、公営地下高速鉄道事業助成に必要な経費でありますが、百四十八億五千万円を計上いたしております。  これは、昭和四十六年度末における公営地下高速鉄道事業債に係る支払い利子に相当するものとして発行を認める企業債利子相当額について、地方公共団体助成金を交付するために必要な経費であります。  次に、公営病院事業助成に必要な経費として、五億百万円を計上いたしております。  この経費は、昭和四十八年度末における公営病院事業不良債務の範囲内で発行を認めた公立病院特例債利子について、地方公共団体に対し、助成金を交付するために必要な経費であります。  次に、公営企業金融公庫補給金に必要な経費でありますが、四十九億八千二百万円を計上いたしております。  これは、公営企業金融公庫水道事業下水道事業工業用水道事業交通事業市場事業電気事業及びガス事業に係る貸付利率の引き下げのための補給金を同公庫に交付するために必要な経費であります。  なお、このほか、同公庫につきましては、出資金を増額するための経費十億円が大蔵省所管産業投資特別会計に計上されております。  次に、選挙に関する常時啓発に必要な経費でありますが、十二億円を計上いたしております。  この経費は、選挙をきれいにするための国民運動を展開するとともに、常時、選挙人政治常識の向上を図るための啓発に要する経費について、地方公共団体に対し補助する等のために必要な経費であります。  以上が自治本省についてであります。  次に消防庁について御説明申し上げます。  まず、震災対策に必要な経費として、十六億一千三百万円を計上いたしております。  この経費は、大震災に対処するための防災体制の確立を図るとともに、初期消火及び避難のために必要な施設整備防災知識啓発等震災対策を推進するために必要な経費であります。  次に、消防施設等整備に必要な経費として、百二十一億九千四百万円を計上いたしております。  この経費は、地域の実情に応じた消防力の強化と消防施設及び装備の近代化科学化とを促進するために、防火水槽消防ポンプ自動車化学消防車はしご付消防車及び消防防災無線通信施設等に対して補助するのに必要な経費であります。  次に、石油コンビナート等防災対策に必要な経費として、八億百万円を計上いたしております。  この経費は、石油コンビナート等防災体制を確立するための、消防用特殊車両及び防災資機材助成並びに石油備蓄新システムの調査研究に必要な経費であります。  第二に、特別会計予算につきまして、御説明を申し上げます。  自治省関係特別会計といたしましては、大蔵省及び自治省所管交付税及び譲与税配付金特別会計がありまして、この特別会計歳入歳出予定額は、十一兆二千六百四十九億三千五百万円となっております。  歳入は、地方交付税交付金及び借入金等利子財源に充てるための一般会計からの受け入れ見込み額地方道路税収入見込み額石油ガス税収入見込み額の二分の一に相当する額、航空機燃料税収入見込み額の十三分の二に相当する額、自動車重量税収入見込み額の四分の一に相当する額、特別とん税の収入見込み額等を計上いたしております。  歳出は、地方交付税交付金地方譲与税譲与金及び借入金償還財源等国債整理基金特別会計への繰り入れ等に必要な経費であります。  以上、昭和五十三年度の自治省関係一般会計及び特別会計予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。     —————————————
  6. 笹山茂太郎

    笹山主査 以上をもちまして自治省所管についての説明は終わりました。     —————————————
  7. 笹山茂太郎

    笹山主査 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島田琢郎君。
  8. 島田琢郎

    島田分科員 自治大臣とは、御就任以来、北海道開発審議会を通じていろいろと意見を交換させていただいてまいりましたので、おおよそ大臣がお考えになっている点についても、私も理解をしつつあるところでございます。まじめに自治行政にお取り組みいただいております点を評価するものでございますが、きょうは、そういう中で特に地方自治に対しまして十分御理解をされております大臣に対して、私は、冒頭ひとつ地方自治原点にかかわります問題を提起いたしまして、御高見を承りたい、こう思うのでありますが、重ねて、御意見だけではなくて、ぜひこれを実行に移す、そういう考え方をお示し願いたいと思うのであります。  その第一は、昨年の参議院予算委員会におきまして、わが党の野口委員がこの問題を提案いたしました。時の小川自治大臣からあるいは総理大臣から考え方を示されているのでありますが、その後一年近くたちました今日におけるこの問題の処理が適切に行われているかどうかについて、私は大変大きな疑義を抱くものであります。  一年前の野口委員提案をもう一度降り返ってみますと、つまり、これはわが党も日ごろから地方自治に対しましての考え方一つとして示してきたものでありますが、何といいましても地方自治は、極端に申し上げますと、政治原点とさえ言われるわけであります。地方自治が育っていくかどうかというのは、やはり民主主義発展にとって大変大きなポイントでもございます。ところが今日地方自治体におきます大方の意見は、政府がいろいろな新規事業を興す、あるいは事業の変更を行う、また法律をつくったり改正したり、こういうふうなことが行われるたびに、地方自治体が振り回されるといいますか、何ら事前の意見調整なしに行われている場合が多くて、戸惑うことが非常に多い、こういう意見がしばしば私どもの耳にも入ってくるのであります。これは、政府みずからがお考えになっていることが着実に地方行政に生かされていくということでございませんと、政治というものは生きてこないのでありまして、各省庁がそのときどきの思惑でやるなんということは許されることではありませんけれども、ぜひ、そういう弊害をなくしていくという意味でも、もっと血の通った、コンセンサスを十分得ることのできる、そういう機関設置してはどうかという意味で、地方行財政審議会設置を実は呼びかけたのであります。時の大臣は、それに対しましてこう言っているのであります。制度調査会財政審議会等運用で、十分御指摘の点については調整ができると思うので、これらの現行の機関を十分運用して御趣旨に沿っていきたいと思う、こういう答弁をしておるのであります。それからまた福田総理は、少し言い方が違うのでありますけれども、かた苦しい審議会のような機関で話し合うというよりは、むしろ機動的、流動的に話し合いができるような方式というものを考える方が効果的ではないか、こういう話をしております。これはちょっと所管大臣総理考え方が違うようでありますけれども、きょうはその点について指摘をするのではなくて、さすれば、こうおっしゃった自治大臣が、この一年間に、現在の制度調査会財政審議会機関というものを、どのように提案地方行財政審議会機能にかわるような運用に変えてきたのか、その点については私どもどうもわからないのであります。むしろ何にもおやりになっていなかったのではないかという感じさえするのです。  そこで、ぜひひとつ地方自治の本旨、自治体の言っているようなそういうことが改善がなされて——いま政府かお考えになっている公共事業受け皿としての地方自治体機能というものは、非常に重要になってきているときでもあります。私どもは、前年比三五%近くにもなるような公共事業主導型の景気対策なんというものは、それ自体が、地方自治体における受け皿の点に限ってみても、大変大きな問題があって、これがなかなか政府がお考えになっているような状態で消化し切れないのではないかという指摘をしてまいりました。そういうことは、いま前段で申し上げましたこういう機能上の問題、あるいはお互いによく意思が通い合うような話し合いの場というものが不足しているという点に私どももう一つ心配を持っているから、今度の予算の消化に当たっても大変問題があるということを指摘しているのであります。  どういう点が改善されているのか、その点ひとつお聞きをしたい、こう思うのであります。
  9. 加藤武徳

    加藤国務大臣 ただいま島田委員が御指摘になりましたように、昨年四月の参議院予算委員会におきまして、野口委員地方行財政審議会設置提案をなされ、これに対して総理答弁をいたし、また小川大臣答弁をいたしたことを承っておるのでございまして、小川大臣は、非常にまじめな方であり、地方行政に大変な熱意を持っていらっしゃり、かつまた、民主主義なるものが何ものか、このことも十分に身をもって御経験の方でございますから、真剣に研究なすったのに間違いがないのでございます。  若干私ごとになりまして恐縮でございますが、私は第十七次地方制度調査会委員に昨年秋相なりまして、第一回の会合がございましたときに、小川大臣考え方をお述べになられました。その後、ある委員が質問されまして、行財政制度についてなるべく早く答申をしてくれということだけれども、短期的なものと長期的なあるいは中期的なものとに分けて答申をする方がいいのではないか、自治大臣考え方はどうだ、かような質問をされた委員がございました。それに対して小川自治大臣は、いやそのこともすべて民主的な審議会運営にお任せをいたします。かような答弁をされました。私が予想しておりました答弁は、もうちょっと深入って、五十三年度の予算編成の時期も近いことでありますから、でき得べくんば、目の先のことと中長期的なことに分けて答申が願えればありがたいという程度のお答えがあるのではないかと思っておったのでありますけれども、そうではありませんで、すべて地方制度調査会の自主的な民主的な運営にお任せをいたします。かような発言をされまして、ああ、やっぱり地方制度調査会自主性というものを十分に尊重をされ、自治省が容喙するがごとき印象をお与えしてはならぬ、かような強いお気持ちがあったのだな、かように私は思ったようなことでございますけれども小川大臣も真剣に考えられ、また私も、就任いたしまして以来、民主的な運営等につきまして真剣に考えてもまいっておりますし、かつまた、いま島田委員が御指摘のように、地方自治なるものがうまくいっておるかどうか、民主化され、そして地域住民皆さん方の福祉と発展に本当に寄与しておるかどうか、そのことが直ちに国につながってくるわけでありますし、また、政治信頼性の問題を考えてみましても、中央でどのように信頼高め云々ということを申しましても、地方行政の第一線で、本当にその団体の中に地域皆さん方が溶け込んでおりまして、そして地方行政信頼している、こういう形でありませんと、国政への信頼もまた薄らいでくる、かように思うのでありまして、民主主義の根底が地方団体にあり、かつまた、国民皆さん方の幸せも地方体制いかんにある、私はこのことを身をもって痛感いたしておるところでございます。  そこで、そういう地方意見をできるだけ中央に反映いたしまして、そして、地方団体のお世話をいたします自治省といたしましては、地方団体の首長なり議員の皆さん方のお考えやまた地域住民皆さん方のお考え等を十分にこなした中央行政でなければならぬ、かような気持ちをいつも持っておるようなことでございます。  ただ、ただいま地方行財政審議会の新たな提案があったことに対してどういうぐあいに考えるか、かような点でございますけれども、いま申しました地方制度調査会構成メンバーにつきましては、島田委員も御承知のとおりでございまして、各団体代表者をおおむね網羅し得ておるのでありまして、そして、この場におきまして地方行財政について活発な意見が展開され、また民主的に運営されておると私は思っておるのでございます。また、地方財政審議会がございまして、審議会は五名の委員から成っておるのでありますが、そのうち三名は、都道府県知事会並びに都道府県議会から推薦なさる方であり、さらに二人の方は市長会並びに市議会から推薦なさる方、そして町村長会町村議会から推薦なさる方、かように五人のうち三人までがいわば地方団体から推薦を受けた立場の方が審議に当たっていらっしゃるのでありまして、この方々が熱心に審議を尽くしていらっしゃるのでありますから、御提案の御趣旨気持ちはよくわかりはいたしますものの、さらに地方行財政審議会なり調査会を設けますことは、屋上屋を架するような心配がないでもないと思われるのでありますから、いままでの審議会を民主的に運営いたすことによりまして、十分に地方考え方をくみ取ることができますし、また、私ども地方団体会合等へは積極的に出てまいりまして、考え方も述べ、かつまた御意見も伺ってまいっておる、かようなことでありますし、また、地方へも出向いてまいりまして、たとえば九ブロックに分けた地方行政協議会等もあるのでありますから、さような場を通じまして、できるだけ地方意見を吸い上げた形において、今後も地方行政あるいは地方自治をやっていかなければならぬ、かように考えておるところでございます。
  10. 島田琢郎

    島田分科員 私がお尋ねしておりますのは、民主的な運営、こういうことについては、もうこれは原点でありますから、審議会の持ち方とかあるいは制度調査会運用の中で民主的であるべきだというのは当然過ぎることでありますので、その審議会調査会運用の中で消化し切れない、つまり、地方公共団体と国とが本当に意思を通じ合って、国民の代表として行政がスムーズに進められていくためにも、いまのようなやり方ではだめだということを野口委員提案をしたわけでありまして、それに対して総理も、確かにいまの審議会というのはかた苦し過ぎる、こう言っているわけなんです。ですから、決して運営を民主的にすれば済むというふうなだけで解決し得ない問題があるということを実は指摘をしているのであって、それにかわる具体的な、たとえば三者構成に変えるとか、いまの審議会運営の中で委員の構成を新たに組み直すとか、そういったようなことをおやりになるというふうに私どもはこの答弁を聞いて感じていたのであります。ですから、この一年間そういう点についても十分議論がなされ、検討がなされていかなければならなかったと思うのに、どうもその点は、いま大臣が民主的な運営でとおっしゃるというふうな、そういう範囲で受け流されていくというようなことでは問題の解決にならぬ、こう私は思うのです。ですから、積極的にわれわれが提案をしておりますような状態に変わっていくようなそういう機関に改めてもらう。そういう点で私はお尋ねをしたわけであります。  大分時間がたってしまいました。重ねて大臣から、一言で結構であります。民主的運営をやるためにはいまのこの組織のあり方ではだめだということを私は指摘したのですから、その点について、やはり具体的に今後検討される——いまのお話の中では、具体的なものは検討されてこなかったというふうに私は聞きました。今後、私が言っているような、あるいは野口委員がすでに昨年提案をしたような、そういう趣旨に沿って、この制度というものは制度調査会やあるいは財政審議会の中身を変えていくという点で検討する余地はないのかどうか、一言で結構でありますが、大臣考えを聞きたい、こう思います。
  11. 加藤武徳

    加藤国務大臣 私は、いまの諸制度を、その運営のよろしきを得ますならば、ただいま島田委員が御指摘のような運営形式といいますか運営の内容と申しますか、それが可能だとは思うのでありますけれども、しかし、私もまだ就任後間のないことでございますから、御提案趣旨をよく勉強いたしまして検討いたしてまいりたい、かように思う次第であります。
  12. 島田琢郎

    島田分科員 次に、最近特に地方自治体に対する各省からの天下りというような問題が大変話題をにぎわすわけでございますが、私は、きょうは逆に、天下りという言葉があるなら、天上がりとでも申しましょうか、地方自治体から自治省初め各省に、研修生という名目で、一年間あるいは省によっては半年間といったようなことで研修生が出ているようでございます。  時間がありませんから、余り細かに内容のことに触れることはできませんが、私の言いたい結論を申し上げますと、私は、これは否定するつもりで申し上げるのではございません。地方におきます自治体の職員の皆さんが、中央の仕事に触れて、その仕事の領域を広げられるということに貢献しているという点について、大変これは評価できるのだろうと思うのであります。しかしながら、どうも私は、中央省庁は少しわがまま過ぎるような気がするのです。というのは、天下りの場合も地方負担ですね。地方に出向きますと、人件費その他一切地方が負担をする。この天上がりもまた、自治省にやってきて、これもまた地方の負担によって、研修でありますけれども、研修ですからおまえさんたちが全顎を負担するのはあたりまえだと言えば、それは身もふたもない話であります。しかし、研修の内容をいろいろ聞いてみますと、実務研修やあるいは集合研修といったような名目でそれぞれ研修がなされているようでありますけれども、日常の仕事というのは、仕事を覚えるという立場からいって、その省庁におきます役人の人たちと同じ仕事をするわけであります。ですから、これは、たとえば自治省なら自治省にとっては、迷惑どころか大変ありがたい存在ということになるのであります。お金は向こう持ちで応援に来てくれるようなかっこうになるのでありますから、これは大変ありがたい、こういうことにもなるわけであります。せっかくの研修制度を生かしていくのなら、やはり出先の省庁が何割か持ったっていいんじゃないか。地方財政を圧迫するということが盛んにいま心配されている状態の中でありますから、中央に出てきたときには中央で応分の負担をしてやるという親切さがあっていいんじゃないか。  それともう一つは、自治大学がありますが、自治大学も、こういう省庁における研修制度をそのまま大学の機構の中に組み入れて、そして学生という立場から、必要によっては各省庁に実地研修に出かける、こういう仕組みに改めていくということも一つの方法ではないか、こんなふうに思うのです。地方財政が大変窮迫しているということだけではなくて、私は、中央官庁のわがままが少しばかり過ぎるのではないかという点で、もう少しお金の負担をしてあげるぐらいの親切な研修制度に変えていくべきだ。それから自治大学の機構なども、こうした地方の要望に応じてそのコースなども新設をするなど、こういう受け入れ体制を積極的にもう一つ大学の制度の中で考えていくというようなこともこの際検討願いたい、こう思って提案をするのでありますが、大臣考えはいかがですか。
  13. 加藤武徳

    加藤国務大臣 御指摘の研修生の制度は、自治省といたしましては、毎年約五十名がコンスタントに地方団体の職員の身分を持ちながら自治省で勉強いたす、それも二十八歳ぐらいまでの若い時代にしっかり勉強しよう、かようなことでございまして、実は地方団体といたしましては非常に希望しておりまして、そして多くの希望者のあります中、四月に研修に入ります者が二十五名、そして一カ年間、十月に研修に入ります者が同じく二十五名で、翌年の九月まで、かようなことでございます。ですから、二周期に分けて二十五名、二十五名で五十名。非常な希望者がございますし、それから研修を終えて地方に帰りまして、そして地方団体で、一カ年間ではあったが大変な勉強をしてくれて、そして実務の上でもまた人間的にも成長して帰ってくれておるので本当にすばらしい、かような好評を実は得ておるのであります。  そこで、この制度自身はもとより島田委員も御否定なさるわけではないのでございまして、そこで中央で一部その経費を持てという一個の御提案でございますけれども、やはり地方団体職員としての身分を持ったままのことでございますから、財源的には中央で持ち得ますような体制にもなっておりませんし、やはりやがては一カ年で地方に帰って、そして生涯のほとんどをその地方団体で活躍なさるのでありますから、この期間の負担が、長い目で見ますと決してマイナスにはならずプラスになっておると思うのでございます。  それから自治大学校は、これまた御承知と思いますけれども、係長クラスとかあるいは課長クラスのような、年齢的には相当いきまして、そして実務の経験はみっちり積んでおるけれども、もうちょっと理論的に勉強するとか、あるいは専門課程の専門教育をみっちり受けますとか、かようなところをねらいにしておるのでありまして、実はこれは、実務よりもむしろ実務の経験のあります者のその仕事の理論化、体系化、専門化、かようなことがねらいでありますから、研修生の制度とは若干色彩の違います現在の自治大学校、かようなことでございます。  そして実務修習は、研修生は実務の修習が主でございますし、かつまた、集合教育によって相互の連携をも保っていく、かようなことでございますから、私は、非常に喜ばれているこの制度でございますから、いまにわかにこの制度の考え方を変える必要はないのではないか、かような認識をいたしておるところであります。
  14. 島田琢郎

    島田分科員 いま大臣がおっしゃっているように、地方からは非常に期待をされている制度である、このことを私は否定はしておりません。ですけれども、重ねて申し上げますが、それをいいことに地方負担でというのは、余り、いまの地方財政の状態を考えますとひどいんじゃないか、少しは持ってあげろ、これが私の主張でありますし、自治大学は、先ほども私から申し上げておりますように、それはいまのありますコースの中に組み入れるということは私はむずかしいと思っているのです。そうではなくて、幾つかの、四つか五つのコースに分かれて自治大学というのは構成されているのでありますから、そのほかに新たに、こういう研修生を一年間受け入れるようなそういうコースを新設してはどうかということを言ったのであります。そのことは自治大学の本旨にもとるものではなくて、むしろ、そこに一年間勉強しながらそこから実務研修で各省庁に出向く、こういうふうにした方が、私は筋が通る、これなら身分についてもかなり国の負担、責任でやれる、こういうふうになるから、やはり真っ当な考え方をするのであればそれが一番いいと思うのです。しかし、それでは収容し切れないというほどたくさんの希望があるようでありますから、そうなりますれば、これは私は、自治大学というもの、自治省におけるようなそういう研修制度というものは並行してやっていかなくちゃならぬだろうと思います。中央に出向けば身分は確かに変わってくるかもしれませんけれども地方に天下れば地方の財政負担である、おまえら研修に来るんならお金を持ってこい、これはちょっと虫がよ過ぎるんではないか、私はそう思うものでありますので、考え方を述べたのであります。  時間がなくなりましたが、最後に、通告をしてあります点で一言考え方を聞かしていただいて終わりたいと思うのであります。  先ほど冒頭で長々私が申し上げましたが、何といいましても、政府がいま考えております公共事業主導型の不況対策、これを進めていかなければならぬということを盛んにおっしゃっているわけでありますが、しかしながら、こうした雇用を拡大しあるいは失業者を救済していくというにしても、いまの地方における職業安定所だけの機能では、四百ぐらいしかないのでありまして、とてもこれは対応し切れぬという声が地方にあります。きょうは労働省等のお話ではございませんから、そういう点はまた別なときにこれはやらなくちゃいけないのでありますが、私は、やはり市町村が窓口で、町民の労働あるいは雇用の問題、あるいは失業に苦しむ人たちの親切な相談に乗ってあげるという窓口が必要だ、こういうふうに思うのです。ただ、国がやらなければならない仕事を地方自治体にやらせるということになりますから、国がしっかり責任を持って、お金もちゃんとつけてやりませんと、これは地方に仕事を過重に押しつけるという結果になりますけれども、新たにこういう点で、雇用対策室を町村ごとに設置するぐらいの構えで、いまの不況あるいは失業者救済という問題、雇用の創出という問題に幅広く取り組むべきではないかという考え方を私どもは持っています。この考え方はいかがでしょうか。あと時間がなくなってしまいましたから一分以内の一言で答えていただかなければなりませんが。
  15. 山本悟

    山本(悟)政府委員 現行制度からまいりまして、職業安定の対策あるいは雇用対策が国の事業であることは、先生御案内のとおりでございます。そういうようなことでございますので、直接そのこと自体を所掌するというような意味での事務の配分ということから申し上げれば、どうしてもそれは国ということを申し上げざるを得ないわけでございます。  ただ、御案内のとおりに、非常に雇用問題が起こっているというようなことで、地域の実情に応じまして、市町村が独自の判断で自主的に施策をなさるということにつきましてとやかく申し上げるわけではないし、また、必要な場合には大いにおやりになるということもあろうと存ずるわけでございますが、制度論として申し上げますと、やはり国ということを一応は申し上げざるを得ない、その点は御了解を賜りたいと存じます。
  16. 島田琢郎

    島田分科員 終わります。
  17. 笹山茂太郎

    笹山主査 これにて島田君の質疑は終了しました。  次に、竹内猛君。
  18. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 私は、自治体の問題に関連をして、農村地域工業導入法の状況、取り扱い、それから米の生産調整の問題、それと筑波学園研究都市に関する諸問題、この三つの質問をします。  最初に、昭和四十六年に成立をした農村地域工業導入法によって、これは数年たっておりますが、この法律は自治省が直接関係をしているわけじゃありませんが、いずれにしても、自治体が審議会をつくって、そして工場を導入するためにいろいろな手当てを施しております。にもかかわらず、今日当初の目的のようになっておりませんで、むしろ自治体は借金をして土地を買ってその金利に困っているという状況、この問題についてどのように考えられているのか、総論としてまずお伺いをしたいと思います。
  19. 加藤武徳

    加藤国務大臣 御指摘のように、この法律は昭和四十六年に制定されまして、いわばわが国経済の高度成長期でございまして、既存の工業都市などで過密状態、環境問題等があって、勇敢に農村地帯に疎開してくれるであろうことを期待してつくられた法律でございますけれども、その後の石油ショック等で景気の沈滞が続いておりまして、そこで、市町村では、すでに土地を買い取りまして企業が立地できますように整備しておるところもございますし、また計画だけあってまだ買ってはおらないところもあるのでありますけれども、ただずいぶん土地を買いましたために、財政的に非常に困っているところなどがあるのであります。こういう経済状況下におきましては、そうにわかに企業の農村地帯への疎開が期待でき得る状況ではありませんので、そこで、すでに受け入れの体制ができて造成なんかもできておりますところへは積極的に企業を誘致いたしまして、そして文字どおりの実を上げてまいりますような指導をしていきますのが一点。  それから、計画はありましてもまだ用地の取得等ができておらないものは、私は、しかるべく処置をいたしまして、これ以上拡大しないような考え方でなければならぬ、こういう気がいたしますのと、それから大量に土地を抱えて財政的に困っておりますところは、やはり年次計画を策定させまして、その計画に従って指導してまいり借入金の返済等に充てる、そのような方向での指導が必要ではないか、このように思っておる次第であります。
  20. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 私は、所管であるところの通産省、農林省それから労働省に対しても先般いろいろ質問をしてまいりましたが、結局当初の予定どおりに進んでおらないわけであります。しかも、たとえば富山県なんかの例を見るように、当初の予定で、農村から中高年者を雇用する、こういうようなことについても思うようにいっていない。私の茨城県でも、土地を買っておりますけれども、これも金利の負担が多くて予定どおりに進んでおらない、こういうことであるわけですね。  そこで、いま三つの点についてお答えがありましたが、これはなるほどそういうようにしてほしいと私は思うのです。思いますが、何といっても、企業を中心にして考えると損か得かで、企業が倒産しても工場を残すわけにいかないですから、やはり人間を大事にしていくという立場に立たなければ、これはなかなかうまくいかない。しかし、資本主義の社会ですからそれは非常にむずかしい。そのむずかしいところを工夫をして、せっかく自治体が土地を買って、そこに草が生えて農家がそこに雇用を希望したのにそれができない、こういうことであれば、これは大変不幸なことにもなるし、せっかくの法律が生きない。このようなことのないように、これから私はこの委員会で質問をし、なおこれから調査もし、またいずれこの問題については委員会で進めていきたいと思いますから、もうこれ以上触れませんが、この農村工業導入問題については、大事なことでありますから、ぜひしっかり自治体の方でも構えてやっていただきたい、こう思います。  次は、米の生産調整に関する問題であります。この問題も、実は先般来予算委員会あるいは農林委員会で取り上げてきたわけですが、この重要な問題、日本の水田の一三%ないし一四%というものを米から別の物に変えていこう、こういう重大なことに対して、法律的な基礎もなしにやるわけでありますが、自治大臣はこの問題についていままでの過程でどういうような相談を受けてこられたか、そのことについてちょっとお伺いしたい。
  21. 加藤武徳

    加藤国務大臣 この政策が強く進められるような具体的な運びは、昨年十一月の農林次官通達が大きな柱をなしておると思うのでございますけれども、この通達を出しました際には、自治省といたしましては相談を受けておらず、もとより協議もなかったのでございますけれども、ことしになりまして一月二十日に水田利用の再編成につきましての閣議了解がございました。一月二十日のこの閣議了解につきましては、事前に協議が自治省にもなされておる、かようなことでございます。
  22. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 この問題は、農家の既存の所得が著しく減少する。いままでの農林省の農政、日本の農政は米を中心にやってきた。土地改良も品種改良もすべてが米中心であったし、四十五年から五十二年までの間の生産調整も、一兆二千億もの金を使いながら、なお百七十万トンの生産調整をしなければならないほどに米に偏重しておるという状況のもとで、今度は、先十年間相当な強い、罰則ではないということであるけれども、結果的にはこれは罰則になっておりますが、これはもうぜひやめなければならないと思うのですけれども、そういうような重要な問題について十分に相談なしにやられた。しかも、通達は去年の十一月十九日に出ている、相談をしたのは一月二十日ということになると、この間に一番悩むのは米の割り当てを農家に与える自治体の職員、これがいま一番苦しんでおります。この問題で、これは機関委任事務でないと前大臣答弁をされたが、いまでもそういうふうに理解していいかどうか。
  23. 加藤武徳

    加藤国務大臣 私は、この仕事は非常にむずかしくはありますけれども重要な仕事だと思っておりまして、機関委任事務ではございませんけれども地方もまた国の政策に対して協力をしていかなければならぬ、かようなことでありますし、また、一月二十日の閣議了解におきましても、都道府県市町村並びに各団体の協力を求めるという趣旨の中身にもなっておるようなことでございますから、機関委任事務ではございませんけれども行政指導に対して協力をいたす、かようなことでございます。
  24. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 いま各市町村の部落末端では、町内会、部落長、こういうものを通じて割り当てを押しつけている、そういう傾向がある。これは自治体の責任者として妥当だと思われるかどうか、その点について……。
  25. 加藤武徳

    加藤国務大臣 御承知のように、余剰米が大量に生じ、百七十万トンの生産調整をいたさなければ食管それ自体が持たないみたいな形になってしまっておるのでありまして、農家にとりましては、また農村地帯にとりましては、大変な問題でございます。問題ではございましても、しかし、消費が逐次減退をしてきておる、こういう状況下におきましてはやむを得ない処置であります。そこで、地方団体の首長や職員の皆さん方も、また農家それ自体も農協も、この問題は大問題でございますけれども、水田利用の再編成をいたしまして他の作目に転換していかなければどうにもならぬ客観情勢を、ぜひ御理解いだだきまして御協力を願わなければならぬ。大変苦しゅうございますし、割り当てをしたりしますのにえらく苦労いたしておりますことは私もよく承和しておるのでありますけれども、だからといって、このことは避けて通れない昨今の農政上の大問題になっておる、かように承知をしておるのであります。
  26. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 この部落長というのは行政の末端の下請機関ではないはずだ。そういう部落長に、農家が喜んでこれを受けようというのならいいけれども、そうじゃない、後で問題を出しますが、そういうものをやらせるということに対しては、何か手当でも出しているのですか。
  27. 加藤武徳

    加藤国務大臣 農林省で約二千億円の予算が組まれておることは承知しておりますが、それが末端までどのような手当として出されておりますかは、私どもの所掌ではございませんので、つまびらかに承知をいたしておらないのであります。
  28. 笹山茂太郎

    笹山主査 金田総務課長
  29. 金田辰夫

    ○金田説明員 私はその問題担当しておりません。所管ではございませんので……。
  30. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 いいです。その問題は午後大蔵省に尋ねますからよろしいですけれども、とにかく部落長にそういうことを肩がわりさせて、部落長が非常によく農家を集めてそれで割り当てを迫るというようなことは少し行き過ぎじゃないか、こういうふうに思うわけでありますから、この点については問題を一つ出しておきます。  次いで、これは自治大臣の管轄でありますが、自治体の職員で組織している自治労の組合が、米の生産調整は農家の既得権を剥奪し農業を壊すものであるという、表現は別ですけれどもそういう意味に集約されるような方向から、これに対しては反対であるということをやっております。私は、この自治労の皆さんの気持ちがよくわかる。米をつくれば、一反歩で十俵とりますと少なくとも十七万から十八万収入があるものを、農林省の奨励金を加えても、表をとっても十二、三万にしかならない。明らかに手取りが減るということがわかっていて、農家の手取りが減るということはその町村に生活する農民の収入が減るわけでありますから、法律の基礎もないそういうようなものに対して協力できないということはよくわかるが、大臣は、その運動に対して、何かけしからぬあるいは処罰をしたり抑えたりするようなことをするかどうか、その点どうですか。
  31. 加藤武徳

    加藤国務大臣 自治労の皆さんが一週間か十日近く前に臨時大会を持たれまして、水田利用の再編成の問題についての意思を明らかになすったことは承知をいたしております。その理由はつまびらかにいたしませんけれども、先ほど来申しておりますように、水田利用の再編成は、日本の農政上もう避けては通れない問題になっておる。なるほど、米をつくることによりまして最少の労働日数で相当の成果を上げ得るのでございますから、いまの米価では米が一番採算に合うでございましょう。しかし、消費が減少いたしまして、これ以上つくりましてはどうにもならぬ状況でありますことも、十分に御理解をいただき、かつまた地方団体の首長もそのことをよく理解されまして、苦しい中でもがんばってくだすっていらっしゃるのでございますから、どうぞ自治労の皆さんや職員の皆さんも、それはそうなんだ、かようなことで、この重要性に御理解をいただきまして、ぜひ御協力をいただきたい、かように思っておるのであります。
  32. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 私が聞いておるのは、法律的に何らかの処置をとるかとらないかという問題これはどうですか。
  33. 加藤武徳

    加藤国務大臣 自治労の皆さんがこの政策に反対をされましても、その反対の具体的な事実が、たとえば違法行為が随伴いたしますとか、あるいは懲戒上の問題になりますとか、そういうことになれば、問題は別個でございますけれども自治労が反対なすったから直ちにそのことが違法だ、かようなことにはならぬでありますから、懲戒上の問題などにストレートに結びつくとは思っておりません。
  34. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 これは予算委員会でも議論になったし、農林委員会でも議論しておるように、法律に基づいたものではない。行政であります。でありますから、それはいわゆる主権者である農民の利益を著しく損なうし、農家が喜んでおらない。喜んで転作できるような環境をつくることがまず先だ。農家にしてみれば、やはり損か得かということで割り切る以外にはない。明らかに損であるということがわかっていて、それを強制するということは、強制する方が無理だ。だから、大臣もそういうところをよく理解をしていただきたい。自治労の皆さんが大会でいろいろな要求を出すのは当然だと私は思います。そのようにひとつ取り計らいを願いたいと思います。  時間の関係から先に行きますが、今度は筑波問題について文部省にお尋ねします。  筑波学園に相当な移転が行われておりますけれども、そのときに、私はしばしば病院がないではないかということで要求をしてきました。そこで、筑波大学に大学病院ができました。五十一年の十月に開院をして、一年四カ月ぐらいたちまして、今日、六百ぐらいのベッドができ、やがて八百になるだろう、看護婦も二百七十三名ぐらいのものを確保する見通しができた、こういうふうに言われており、ますます充実はしておりますが、問題は、これが非常に開かれない。入院の予約制度という問題がある。病気というものは予約して病気になる人はいない。だれでもいつ病気になるかわからない。そういうときに、予約をしなければ入れないというのは、救急医療のためには間に合わない。しかも、ああいう広範な原っぱの中で相当人間が移っているときに、予約といったってそれは無理だ。第一、病院の価値がないじゃないか。まずこの問題を一つ問題にします。  二つ目には、地域の人の不満は、お医者さんが大学の先生であってたくさんいらっしゃるだろうと思うが、五年生の学生が治療をする、診察をする。そうすると、入院した者が学生のモルモットになるのじゃないか、こういう心配がある。やはり病院であるからには資格を持った医者が当然それに当たるのが筋であって、学習と治療というものは仕分けをしなくてはならないと思う。  そういう二つの点から、筑波大学病院のあり方について文部省はどう考えているか、お尋ねをしたいわけです。
  35. 五十嵐耕一

    ○五十嵐説明員 お答えいたします。  筑波大学の付属病院につきましては、先生のお話にもございましたように、充実をしておりまして、五十三年度中には六百床に達するというふうに考えております。看護婦の確保につきましても、おかげさまでだんだんとよくなっております。  そういう結果をもちまして、入院患者数におきましても、五十二年の十一月の時点で見ますと、一日平均二百三十人になっておりまして、五十二年の四月に比べまして相当大幅にふえております。五十二年四月は一日平均の患者数は百六十四人であります。それから外来患者数につきましても、一日平均、五十二年四月二百五人でございましたが、五十二年十一月には三百九十三人ということで、地域の要望にこたえているのではないかと思います。  それから、ただいま予約制度のお話がございましたが、大学病院におきましては、高度な専門的な治療を行うということで、地域の医療機関と十分な連絡をとりまして、たとえば地元のお医者さんでまず第一次的な診療をやっていただきまして、そこでやはりこれは大学病院にやっていただくのがいいのではないかというルートがとれるように、予約制度をとっております。そのほかに、また、直接においでになるということも当然やっております。その場合でも、患者さんの利便もありまして、いつの時間に来ていただければ非常にスムーズにいくというようなかっこうでやっております。  それからもう一つは、先生の御指摘のございました救急のことでございますが、救急患者も当然受け入れております。そういう緊急な事故がありました場合には、当然予約なしに受け入れるということはやっております。この数を申し上げますと、五十二年四月に救急患者の数は二十三人でございましたが、五十二年十一月に四十七人、五十三年一月には七十人というふうに増加をしておりまして、緊急の患者につきましても筑波大学におきましては十分配慮しておるということでございます。  それから、学生が臨床実習に当たるという点でございます。大学の付属病院は、まさに学生の教育のためにありますし、先生方の研究のためにある、それから、それと密接不可分の関係におきまして高度の診療を行うということでございます。ですから、大学の付属病院におきましては当然学生の臨床実習をやっていかなければいけません。五年生から臨床実習をやりますのは、どこの大学の付属病院におきましても同じことでございまして、それは当然大学の病院としてやっていかなければいけないということでございます。ただ、学生の臨床実習をやっていきます場合には、患者さん方に不安感を与えないように、大学の方で十分密接な充実した指導体制のもとにやらなければいけません。そのためには、たとえば学生の臨床実習をやりますグループを小人数でやるというようなことにつきまして十分留意しているところでございます。
  36. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 いまるる御説明がありましたが、現地ではやはり、これは閉ざされた病院になってしまっている、だから、国家公務員の共済病院でもひとつ移さなければとても安心ができない、こういうふうに言う声が非常に強い。それから学生のモルモットになるのではないかという心配もあるので、もう一度文部省の方でこの問題は検討してもらいたいと思う。しばらく様子を見ます。そういう声が出ればまたやりますから、ひとつ検討してもらいたい。  続いて、厚生省にお尋ねします。  筑波学園の中の上水道の問題ですが、いま予定の人口が移ってきておりません。そのために水が余っているはずです。水が余っているときには、当然この水は高く供給しなければならないだろうし、あるいは別のところに回した場合には、今度は逆に、予定の人口が入ってきた場合にその水を一体どうするかという問題が出てくる。この上水道の問題についてひとつ厚生省からお答え願いたい。
  37. 山村勝美

    ○山村説明員 ただいま御指摘の筑波学園都市の水の供給は、御案内のとおり、県営水道から受けた筑南水道企業団というのが供給しておるわけですが、計画といたしましては、五十五年を目標年次といたしまして計画水量十万トンということで施設整備を図ってまいりました。先生御指摘のとおり、現在必ずしも人口がそのとおりいっておりませんで、五十二年度で九千トンの給水をしておるという実情でございます。  御指摘の、そういう過大なといいますか、現状に対して大きな設備ができておることに対して、住民の負担が大きくなるのじゃないかという御懸念に対しましては、一般の水道事業が普通企業債を中心といたしまして実施をしておりまして、企業債の返還ということが当然料金にも入ってまいりますけれども、この事業については、全部住宅公団の負担金という形で実施しておりまして、政保債その他による企業債というものを抱えておりません。したがいまして、言いかえますと、そういう先行的なといいますか、そういう負担がいきなり住民に料金としてはね返ることはないというふうに考えております。
  38. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 今度は農林省にお尋ねします。  農林省の機関がかなり移ってきているはずです。それで、地元の土地を供給した農家の人々あるいは地元に対して、いままでしばしば自治体を通じて、協力した者に対しては地元優先でやっていくということを約束した。ところが、どうも地元優先というのは言葉だけで中身がないと言われる筋もある。これは本当は文部省にも聞きたかったのだけれども、時間がないから文部省には聞きませんが、農林省は今日事務職員を何人ぐらい雇っていて、地元からの雇用数は幾らで、労働条件、賃金、こういうものをパートも含めて一遍農林省から説明をしてもらいたいと思います。
  39. 金田辰夫

    ○金田説明員 農林省は現在まで四機関が移転してございます。職員の数につきましては、四割が大体移転してございます。  地元の雇用の数でございますが、職員としましては五十四名、そのうち地元の六カ町村からは約三十六名を雇用してございます。取り扱いにつきましては、公務員法によりまして一般の公務員と同様の処遇、労働条件になっております。  以上でございます。
  40. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 これは農林省に特に要求をするのですが、私のところには、しばしば、労働条件が悪い、こういう要求がある。だから、それは具体的に要求を整理をして出します。きょうは中身については言う時間がありませんが、問題はなお存在をしている。あるいはまた、施設の中にりっぱな建物ができて、そこにはショッピングやいろいろなものができているけれども、これがまた地元から見ると、地元の方を無視して自分たちだけがいいところに入ってうまくやっているという印象を非常に高めている。これも本来地元優先ということから言えば矛盾をする。こういう点があります。  最後に、これは自治大臣にお尋ねをしますが、筑波研究学園というのは非常に縦横に長い地域にまたがっております。これは土地の取得上やむを得なかったと思うのです。郡が三つ、町村が六つにまたがっている。中には桜村のように村がすっぽり中へ入っている中心的なところもあるし、筑波町のように建物はあるけれどもそこに人が余り住まないというところもある。こういう行政上きわめてやりにくい状態にあるときに、これを上からどうとかしろと言うことは地方自治の精神に反するからそれはできないにしても、何か自治体の効率化というものを考えているのかどうなのか、これをひとつ最後にお尋ねしたいと思います。
  41. 加藤武徳

    加藤国務大臣 筑波学園都市に関連をしておりまする公共団体は、四町二村の六カ町村でございますことは御承知のとおりでございます。そこで、ただいま六カ町村で広域市町村圏を形成いたしておりまして、広域的に処理をいたさなければならないものは広域圏としての処理を行っておるのでありますけれども、地元の皆さん方がそのつもりにおなりになれば、地形的にはやや長いみたいな感じではございましょうけれども一つ行政団体地方団体というのは不可能ではないのではないかという感じを持つのでございます。しかし、おっしゃいましたように、あくまで地元の意思を尊重しなければなりませんし、昨年六月に地元の知事は、地元がそのつもりになれば合併のことについて適正な指導はいたしてまいりたいというような考え方を持っておるようでありますけれども、もしそういう方向へまいりますならば、六カ町村が一行政区域、一市あるいは町、かようなことは考えられると思うのでございます。
  42. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 時間が参りましたから終わりますが、筑波研究学園都市の問題は、国の仕事でありますから、ぜひ地元の既存の人々の気持ちを害さないように、別に公害が出るわけでも何でもない、鹿島のような利益は余り生まないが、地元をつまはじきをして疎外しないように、大学においても、あるいは農林省においても、各省庁がもっともっと、土地を提供して協力した地元の気持ちに立ち返ってやってもらいたいということを重ねて要求をして、終わります。
  43. 笹山茂太郎

    笹山主査 これにて竹内君の質疑は終了しました。  次に、小川国彦君。
  44. 小川国彦

    小川(国)分科員 私は、成田空港に関連をいたしまして進められております政府の諸対策を見ておりますと、現状にさまざまな政府の施策上の問題点が多過ぎるわけでございます。特に燃料の輸送問題、交通アクセスの問題、空路の問題、飛行機の発着規制の問題、それから騒音対策、こうした中で福田内閣は三月三十一日開港を決めて進めておりますが、それに伴う自治体の状況というものは、非常にさまざまな問題で苦境の中に追い込まれている状況がございます。特に騒音対策などにつきましても、自治体が独自で負担せざるを得ないという問題が出てきております。現実には、三月三十一日の開港時点で騒音対策などがすべて完了しているかというと、実は移転についても民家の防音についても相当戸数残ったまま開港せざるを得ない、こういうような状況にありまして、結局、そこを地方自治体が肩がわりをしまして民家の防音対策などもやるという状況になっているわけであります。  この点について、自治省所管の立場から見て、成田空港の開港対策というものは万全であるのかどうか、そういう点について自治大臣に、自治省の現状の空港関連の事業に対する取り組み方、それから三月三十一日開港に当たって自治体に対する対策というものは万全なのかどうか、この辺をまずお伺いしたいと思います。
  45. 加藤武徳

    加藤国務大臣 十一カ年の日月をけみしてはおりますけれども、その間、空港公団としても、運輸省といたしましても、懸命の努力はしてきておるようでありますが、しかし、いま御指摘がございましたような防音装置、改造工事等につきまして残っているところもあろうかと思うのでございます。成田空港整備のための特別立法があることは御承知のとおりでございまして、この法律の範囲内において鋭意関係者が努力をしておりますが、しかし、足らない点があるといたしますならば、さらに努力をしてもらわなければならぬ、かように思っているところであります。
  46. 小川国彦

    小川(国)分科員 特に空港関連で成田ニュータウンのようなものがつくられております。現実はこれは空港施策の一環でつくられましたが、千葉県の企業庁が新住法に基づいてつくったニュータウンでございますけれども、現在航空関係従業員あるいはまたさまざまな航空関係者が成田ニュータウンに非常な勢いでふえてきているわけです。ところが、そのための学校その他の教育施設、社会施設、これが全部地方自治体の負担になってきている。それからまた、空港周辺の市町村にも同様の事態が引き起こされているわけで、これに対してはかさ上げ法という大臣いまお話しの法律がございますが、すでに期限切れを目前にしておって、これでも足りないところへ、この法律が切れたらさらにまた自治体の赤字が増大していくのではないか、こういうことが非常に懸念されているわけです。その点については、かさ上げ法の期限延長の問題、さらにまたそれでカバーし切れない問題等についてはどういうふうな対処の方針を持っておられますか、その点をお伺いいたします。
  47. 山本悟

    山本(悟)政府委員 成田開港に伴いまして周辺市町村にいろいろと問題があることは御指摘のとおりでございます。新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律、御案内のとおりの法律によりまして、教育施設等につきましても国庫負担率のかさ上げということは行われているわけでございますが、なお、事業等も非常に多量にしなければならないという状況であるのは御指摘のとおりだろうと思います。当初の計画に対しましては相当の進捗率を示してはおりますけれども、なお残留がある、こういうような状況でございますので、自治省といたしましては、もちろん地元の要望もございますし、関係省庁と十分協議をいたしまして、その法律の延長問題というものを前向きにぜひ推進をしてまいりたい、かような気持ちでいるところでございます。
  48. 小川国彦

    小川(国)分科員 次に、私は、成田空港関係の警備問題についてお伺いいたしたいと思うのですが、きょうから成田空港の燃料輸送が始まったわけでございますが、これには警備のために約六千人の機動隊、警察官を動員して、燃料輸送に取り組む、こういうところに政府が追い込まれているわけでございます。これはもとをただせば、いま大臣も言いましたが、十二年という歳月をかけてきたけれども、周辺住民の十分な納得や理解を得られた形で万全の対策が行われたのではなくて、一つ一つびほう的な対策で対処してきた結果が、地域住民なり地域の労働者なりの国に対する大きな不信感、不安感というものになってきております。  燃料輸送にしましても、当初千葉から成田までの本格パイプラインで運ぶといって始めた仕事が、いまだに半分も完成しないで放置されたまま。その結果、暫定輸送に切りかえられて、そしてしかも、それは危険な貨車輸送という形に頼らざるを得ない。言うなれば、政府の空港の立地そのものが、羽田のように海に隣接したところの空港立地であれば、今日のような燃料輸送の問題は起こらなかったわけで、内陸のど真ん中に欠陥の多い内陸空港をつくったがゆえに、燃料輸送一つ見ても、周辺住民に危険や不安を与える、それを輸送する労働者にも危険や不安を与える、それからまた、空港周辺の住民に騒音公害の大きな問題を引き起こすということで、これは根本的には、政府の決定した成田空港の政策の位置決定というものが、十二年たったいまにおいてもなお問題として存しているということを私ども指摘せざるを得ないのですが、そういう意味では、加藤自治大臣も含めて、将来的に政府の方向の中で成田空港というものをもう一遍考え直してみる必要があるのじゃないかというふうに思うわけでございます。  さしあたって、きょう燃料輸送のために六千人の警備を警察庁当局が配置しているわけですが、これは一体いつまで続けられるのか。燃料輸送というのは、もういまの状況では向こう三年間は続けざるを得ない。場合によっては、本格パイプラインができないとこれ以外に燃料輸送の方途がないわけですからさらに引き続く、こういう状況にあるわけで、六千人もの警察官をずっと続けて配置していくということは、とてもいまの警察予算、警察力をもってしては不可能じゃないか。ならば、もう少し政府として考え直すところがなければならないのじゃないかと思いますが、現実に第一線の警備当局として、きょうは六千人配置できましたが、一体いつまでこういう警備状況が続けられるのか。そういう予算的な手当てがあって続けられるのかどうかということと、警備というものについての今後の見通しとしては、この六千人をいつまで続けて、それが続けられない段階ではどういうふうになっていくのかということを、ひとつ御答弁いただきたいと思います。
  49. 三井脩

    ○三井政府委員 ただいま六千人の警察官が従事しておることは御指摘のとおりでございます。  私たちが警備いたしますのは、これに対する警備すべき対象事象というものとの兼ね合いで、警備の必要性の有無並びにその規模というものを決めてまいるわけでございまして、御指摘のように、予算というような制約もあるわけでございますが、その辺はいろいろ工夫をしながらやってまいりたいと思うわけでございます。  本日やっておりますこの警備は、すでに第一便が出発しておる時間でございますけれども、この辺の状況を見ながら事態にマッチするような形でやっていきたい、こう思っておりますから、とりあえずはきょうの様子を見るということでございますが、それによって弾力的に伸縮をしてまいりたいというふうに考えております。  私が基本的に考えますのは、反対運動というものはもとよりそれぞれの考え方において行われるわけでありますから、それが法の枠内で行われる限り、警察としては何らそれに対して出る幕はないわけでございます。したがいまして、こういう空港がこういう状態で開港されるという事実を踏まえまして、反対闘争も合法の枠内でやっていただくというような時代にだんだんなっていくことを期待しておるわけでございます。
  50. 小川国彦

    小川(国)分科員 それは警備局長のおっしゃるとおりでございますけれども、問題は、きょう一日形の上の警備が行われたということでございますが、この六千人の配置は何日間お続けになるつもりでございますか。
  51. 三井脩

    ○三井政府委員 いま申しましたように、基本的に申せば、警備すべき事象、つまり法をあえて犯して反対行動をやろうという人たちの動き方いかん、こういうことでございますから、いつからやめますと言ったら、それじゃ警察がやめると言ったその翌日からやろうかということにもなりかねませんので、その辺のところは相手方の出方次第、こういうふうに考えておるわけでございます。
  52. 小川国彦

    小川(国)分科員 私は、六千人の警備というのは異常な事態だろうと思うのです。いまおっしゃるように、六千人いるからそういう不祥事が起こるとか起こらないというふうにだけは考え切れないと思うのです。現に成田空港の問題というのは、地域住民の、いまおっしゃったような本当に生活権の立場に立った反対運動、あるいはまたおっしゃられるような非合法な反対運動、いろいろなものが混在しているわけですね。そういう中で、政府は非常に無理押しの開港をしている。こういう状況の中では、いまの警察の力からして、六千人を二日か三日続けるといっても、恐らく二日、三日とは続け切れないような、その他一般の治安とか交通とか、対処しなければならない問題があるわけだと私は思いますが、この六千人の動員というのはかなり広範囲から動員されていらっしゃるわけでしょう。
  53. 三井脩

    ○三井政府委員 警察のいまのその関係をちょっと申し上げますと、機動隊は全国で一万人おります。そのほかに管区機動隊というのが約四千余りおりますから、全部で一万四千余りというのを私たちは運用するわけでございます。この部隊はもっぱらこういう警備事象の取り締まりに当たる。それがないときには、ほかの交通関係とか一般警らということにももとより活用いたすわけでありますが、本来の任務がこういう警備問題に取り組むというものでございますので これを運用してまいるということで、ただいまおっしゃいました六千という、数からいきますと半分以下、こういうことになるわけで、まだ半分の余裕があるということも言えるかと思うわけでございますが、そのうち管区機動隊というのは、全国に管区が数個あるわけでございまして、今日動員しておりますのは、北は東北管区、西は近畿管区、したがって、まだ中国、四国、九州、北海道が残っておるわけでございます。管区機動隊というのは各県の部隊が寄り集まって編成いたすものでございますから、たとえば東北管区機動隊といいますと、一番遠い青森県の警察官もその中に含まれておる。また近畿管区機動隊と申しますと、一番西の端の兵庫県の警察官も入っておる。こういう意味で、地域的な広がりからいいますと、北は青森県、西は兵庫県、こういうところに広がって、その間の府県はすべて何がしかの部隊がこの中に含まれておるという状態でございます。
  54. 小川国彦

    小川(国)分科員 この一日の経費はおよそどれぐらいになりますか。
  55. 三井脩

    ○三井政府委員 いまのところまだはじいておりませんけれども、そう楽なものではないと思います。警備実施のために出動で来るということでございますから、旅費、日当、宿泊料といったようなものが必要でございます。ただ、普通の出張と違いまして警備出動のためでございますし、警備出動車で参りますから、通常の出張のような旅費は要らないということになりますし、宿泊施設もまた、現場で旅館に泊まるわけでも必ずしもありませんので、そういう経費の点は、普通の場合と違いますから、警備出動らしく、警備出動にふさわしく簡素にやっておるということでございまして、どれくらいの金額かということは、現在まだ進行中でございまして、集計はいたしておりません。
  56. 小川国彦

    小川(国)分科員 およそ一日どれくらいかかりますか。
  57. 三井脩

    ○三井政府委員 全体の人数にもよりますので、ちょっと数はわかりかねますが、一人頭何千円程度だと思います。一万円まではいかないということはわかっておりますが、何千円であるのかわかりかねます。
  58. 小川国彦

    小川(国)分科員 一万円とすると六千万円ですし、五千円に見ても三千万円、大変な警備費がかかるわけですね。だから、そういう点からいけば、これは政府全体の問題になると思うのです。  それから、日常的な警備はどういうようにおやりになるつもりですか。ずっと三年間こういう状況じゃないと思うのですが、その後の日常的な警備はどういうふうに……。
  59. 三井脩

    ○三井政府委員 成田問題についての日常的な警戒ということと、燃料輸送だけの警戒ということと両面あると思いますけれども、成田だけの問題について申しますと、空港警察署が先日発足いたしました。これは、要員が二百二十名余でございまして、現在の羽田空港署よりも多い人数を充てておるわけでございます。  そのほかに、直轄警ら隊というのを置きまして、これは計画では約百名余りでございますが、四月一日から発足させる、新しい年度の警察官の定員が増員される予定でございますので、それを充当しようというように考えておりますが、これは本部直轄、本部の直接の指揮下に置いて、成田空港署と連携をして警戒に当たるわけでございます。  そのほかに機動隊が常駐をいたします。現在、この機動隊が約六百名常駐いたしておりますが、恒常体制におきましては百名になりますか、過去数年百名ずっと常駐しておりますけれども、それを現在は六百名の常駐にしておる、これを状況に応じて百名から六百名くらいの間を伸縮しながらやるということでありますから、三本立てで成田の問題に当たる。  したがって、今度は成田空港一般の問題でございますけれども、燃料輸送につきましては、先ほど申しましたような、これに対する妨害行動等の状況を見ながら、この部隊を振り向ける場合もありますし、また、それぞれの沿線を管轄をいたします警察署部隊を充てるということも考えておるわけでございます。
  60. 小川国彦

    小川(国)分科員 これは羽田の何倍くらいになりますか、この配置状況は。
  61. 三井脩

    ○三井政府委員 警察庁は、羽田よりは若干多いという程度でございまして、そのほかに羽田にも機動隊が若干おりますから、正確に人数をはじいたことはございませんけれども、現在の体制からいけば数倍の要員が行っておる、こういうことになろうかと思います。
  62. 小川国彦

    小川(国)分科員 次に、こういう異常な状況の中でやらなければならないというところに政府の大きな問題があろうかと私は思いますが、去る三月六日の第二次鉄塔と言われる鉄塔の除去の問題についてですが、これが、第一次の岩山にございました鉄塔除去の際には、民事上の手続で仮処分申請をしまして、その仮処分申請が裁判所で認められてからこれを撤去するというような手続をとったわけです。ところが、今度の第二次の鉄塔の除去につきましては、これは証拠の押収というような、刑事訴訟法の捜査と証拠の押収、こういうような形でいきなり刑事処分でこれの除去に当たる、こういうやり方をされているわけですね。ですから、一次の鉄塔除去のやり方と、二次の鉄塔除去のやり方では、警察当局のやり方が非常に違うのじゃないか。これはどういう考え方でそういうやり方に出たのか。一次と二次の鉄塔除去の考え方の違い、やり方の違い、これはどういうところからきているのか、その辺をお伺いしておきたいのです。
  63. 三井脩

    ○三井政府委員 一次、二次、外見上大変違うように印象を与えておるようでございますけれども、また、その違いについての御質問でございますのでお答え申しますけれども、その前に、これは大変共通点もあるわけでございまして、何が共通点かといいますと、どちらも裁判官の判断を求めて、裁判官がそうやってよろしいという裁判官の判断を求めて、それでやったという点は両方とも同じでございます。  一般的に申しまして、民事手続と刑事手続、これは本質的に関係がないわけでございまして、両者は並列的に、どちらを採用してもいいし、同時にやってもいい、こういう関係になるわけでございまして、第一次と言われました岩山鉄塔のときも検証をやったわけでございます。刑事手続をやった。今回も検証をやったわけでございまして、その点から言えば全く同じである。ただ違いは、前回はそれにプラス仮処分の執行というものがあり、執行吏がやる仮処分に民事訴訟法による要請がありましたので、警察官がこれの補助をしたというところがプラスアルファでございまして、今回それはなかったということではございますけれども、いずれも裁判官の判断を求めてやったという点においては共通しているところでございます。  なお、いまの点についてちょっとつけ加えますと、今回は現行犯状態でありますから、現行犯を逮捕する場合には、捜索も押収も検証も裁判官の令状なくして捜査機関がやっていい、警察官がやっていい、こういうことになっておるわけでございまして、普通はそういうやり方をするわけでございます。しかしながら、事の性質上、どうせ後でいろいろ文句を言われるだろうということを私たちも予測をいたしましたので、ただいま申しましたように、あえて裁判官の令状発付を求めて、裁判官がそのとおり令状をくれた、こういうことでありますから、第一回、第二回全く同じ、裁判官の判断を経てやったという点は共通でございます。  それを前提といたしまして、御指摘の、その中で今回は民事手続を併用しなかった、前回は刑事プラス民事、二つあった。だから、民事手続は今度は逮捕者につけ加わっておらない、こういう点でございますが、この点は、一つは、除去すべき岩山の鉄塔あるいは今度の横堀の要塞というものが建設された経緯といいますか、その事情、状況によるわけでございまして、御存じのように、岩山鉄塔の場合には、第一鉄塔が四十六年、第二鉄塔が四十七年に建設をされたわけでございまして、これを撤去いたしたのが昨年の五月でありますから、その間に五年ないし六年間の時間の経過がある。つまり犯罪がもう終わってしまって、あと犯罪行為の結果としての鉄塔というものが残っておる、こういう状態なんですね。ところが、片っ方の横堀要塞と言われるものは、これは現に建設中であり、建設を終わって、ただ伸びるかもわかりませんけれども、そういうようなことでありまして、法的に言いますと、現に犯罪が行われておるか、犯罪が終わった直後であるか、こういう状態ですから、これは現行犯の状態、こういうことでありまして、そういう事実が違いますので、おのずから処理の方法も違ってきたというニュアンスの差があるわけでございまして、岩山鉄塔の場合にはそういう状態でありましたので、では、その数年間何しておったか、こういうことになるわけでありますが、これに対しましては直接の被害者あるいは被害者的立場である公団が、これは自主的に撤去をしてもらうように努力するということに期待をかけた。結果的にはだめだった。したがって、仮処分にいったということでございます。その点が一つ、われわれもまた、警告を発し、そういう自主的撤去にかけるという、被害者的立場である公団の立場を私たちは尊重をした、こういうことでございまして、犯罪が行われた後数年たってから、つまり現行犯状態でなくて違法状態が既成の事実として存在しておる、こういう中でこれを措置するには、民事でやるという公団のやり方も適切であるということで、それを主とし、私たちは検証をやりましたけれども、むしろ事務的な立場でやった、こういう法的な構成になるわけでございます。その点が一番違っておる、民事を併用しなかったということの違いはそこにあるというのが主たる理由であろうかというように考えております。
  64. 小川国彦

    小川(国)分科員 私は、法の執行というのは、どういう状況にあろうとどういう場面にあろうと、やはり公正な判断の中で行われなければならないと思うのです。三里塚の状況というのが非常に異常な状況にある、いろんな状況にあるということは私も認めるところです。しかし、その中にあっても、警察の行う法の執行というのは常に適正でなければならないし、それは何が適正でなければならないかと言ったら、手続が適正でなければならないのじゃないかと思うのです。  その点から言うと、先般撤去された第二次鉄塔の場合は、これは民有地に建っているわけです。公団の敷地内ではない。それから二期工事の延長上にあるものであって、現在航空法上の障害となる問題はまだ発生していない。二期工事はまだ一メートルも滑走路の工事が行われていない。そういう状況ですから、直ちに航空法違反と言い得る状況というものはまだ発生していないわけなんです。  それからもう一つは、航空法の四十九条に基づいて空港公団が告発をしたから警察庁はやった、こういうように言われるのだろうと思うのですが、しかし、航空法の四十九条の中で見ると、そういう物件の制限というものについては、「供用開始の予定期日前に除去される物件については、この限りでない。」これを見ますと、この物件が供用開始の前に除去されるかどうかということはまだ判断がつかない段階です。ですから、本来ならば恐らく公団や警察当局は仮処分でやりたかったのでしょうが、仮処分で申請しても、二期工事の滑走路もできてなければ全然何もしてない。そこの先にできた鉄塔が航空法上障害だと裁判所に言っても、飛行機が飛べる状況じゃないのに、滑走路がないのに障害にはならないわけで、恐らくこれは仮処分認められないだろう、こういうことで、便法として、いわゆる捜索と証拠の押収、こういう形でやったのではないか。だから、法を踏まえてやる場合にも、その手続というものが何よりもきちんと守られなければならないのじゃないか、法を執行する民主的な手続というものが必要なのじゃないか、その点がこれにおいては欠けておったのではないか、こういうふうな点が指摘されるわけなんですね。ですから、いままでその点はどういうふうにお考えになりますか。
  65. 三井脩

    ○三井政府委員 いまの点は、法的な見解、つまり警察が執行するにつきまして、警察活動するについて、法の手続に準拠しなければいかぬという点はそのとおりでございまして、私たちもそのようにいたしておるわけでございます。そのことは私たちがそういうふうにひとり言っているだけでなくて、千葉の裁判所が、警察があのようにやったことは正しいということを二月十三日の決定で明らかに言っております。そのことは、相当おくれましたけれども新聞にも大きく出ました。したがって、皆さん御承知のところでありますが、総本として見まして、警察が手続に違反がなかった、適法に行ったということは、事前に令状をもらうときに、裁判官がよろしいと令状をくれて、済んでから後で裁判官が、反対派が文句言ったら、いやいや、警察がやったのは正しいのです。法的に問題ありませんという決定を合議制の裁判所が出しておるということによって、全体において警察が何ら法に、手続に違反していない、むしろ適法にやったということが積極的に、私たちが言うのみならず、裁判官及び裁判所によって明らかにされておるという点をぜひ評価をしていただきたいと思うわけでございます。  なお、それが総体でございますが、いま中身についてのお話でございまして、航空法四十九条違反にならないという御指摘でございますが、あれは航空法四十九条違反になる。なるから、令状を請求したら裁判官がくれた。警察もなると解釈をし、裁判所もなると解釈をしということでありまして、そうすると、飛行機が飛ばないから妨害にならない、妨害にならなければ航空法違反にならないというのではありませんで、航空法四十九条は、飛行機が飛ばないときにこそ四十九条の罪、行為を禁止し、それを罰するというところに存在価値があるわけでございまして、飛行場としての告示があった後においてはそういうものをつくってはならない、こういうことでございます。現実に滑走路ができ、それを使用して飛行機が飛ぶ、それに妨害になるということになりましたら、四十九条の罰金五万円以下という、そんな手ぬるい罰則じゃなくて、航空危険罪と俗称されております航空機に危険を及ぼす行為の処罰に関する法律というものがございますから、これによって多分長期、二年か三年の懲役刑があったと思いますが、それに当たるわけでございまして、さらに、その行為は同時に危険でありますから、飛行機を運航するという業務に対する妨害になるわけでありますから、これは刑法の二百三十四条の威力業務妨害罪になる。これまた二年か三年の長期の刑だったと思うわけでございますけれども、そういうふうに告示があったら、飛行ができるまで四十九条でいきます。できてからでももちろんやるが、現実に飛行機が飛べばこれは危険罪です。威力業務妨害罪です。というふうに法の体系というものはできておるわけでございますので、いまの滑走路ができておらない、飛行機が飛ばないということは四十九条の罪の成否に関係がないということでございます。  なお、いま、四十九条ただし書きで、供用開始までに除去するものはこの限りでない、十分そのことを承知しております。したがって、四十九条のただし書きがあるから、岩山鉄塔のときには五年間も六年間も待った。しかし、のかなかったではないか。今度の場合は、去年の十二月二十四日から建て始めて、われわれはもう十三回も警告しているのです。それでもあえて建てた。航空法四十九条ただし書きの適用の余地なしと私たちは判断したわけでございまして、そういう点も含めて、先ほど申しました二月十三日の裁判所の決定は警察の措置適法ということでございますので、その内容の各論におきましても総論におきましても、警察措置に何ら欠点はなかったというように私たちは考えておる次第でございます。
  66. 小川国彦

    小川(国)分科員 一点だけ……。  建築基準法で違法建築物があった場合、警察が証拠収集という名のもとでこういうふうに取り壊しを行った事例は恐らく一件もないと思うのですがございますか。
  67. 笹山茂太郎

    笹山主査 三井警備局長、簡単にお願いします。時間も経過しております。
  68. 三井脩

    ○三井政府委員 それは、建築基準法に二通りありますけれども、代執行で知事がやることになっております。したがって、警察がやるまでもないということだと思います。
  69. 笹山茂太郎

    笹山主査 これにて小川君の質疑は終了しました。  午後二時再開することといたし、この際、休憩します。     午前十一時三十八分休憩      ————◇—————     午後二時十八分開議
  70. 住栄作

    ○住主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。川本敏美君。
  71. 川本敏美

    川本分科員 私は二、三の問題について御質問いたしたいと思うのです。  まず最初に、自治省に税制の問題について一点質問を申し上げたいと思います。それは実はいわゆる所得税の山林所得の問題についてであります。  御承知のように、山林所得というのは、現在、日本の租税は属人主義をとっておりますから、私は奈良の吉野ですけれども、仮に奈良県の吉野で東京の方が山林を持っておられる。それが毎年一億ずつ立木を伐採して利益を上げていくということになった場合、その所得税の申告は東京都においてなされると思うのです。その場合の山林所得による地方税は、やはりこれは東京都に入ることになるのですね。ちょっとお聞きしたいと思います。
  72. 森岡敞

    ○森岡政府委員 そのとおりでございます。
  73. 川本敏美

    川本分科員 この前国税庁で調べてみますと、これは昭和四十八年がピークになっておるわけですけれども昭和四十八年の山林所得による東京都での申告所得額が、人数にして九百三十人で、所得額にして三十八億六千三百万円、大阪府が四百二十二人で十二億六千四百万円、こういう所得が出されておるわけです。四十九年、五十年、だんだん経済の情勢によりまして減少はいたしておりますけれども、こういう状態です。  そこで、私ども奈良県は全国的に林業王国と言われるほど、民有林地帯として全国的なモデルにされるほど林業の先進地でございます。ところが、奈良県の場合の山林所得というのはこの東京都や大阪をはるかに下回っておるわけです。そこで調べてみますと、先ほど申し上げましたように、現在のいわゆる山林所得というものに対する地方税は全部その人の住所地で課税がされる。それが事業税にもあるいは市町村民税、地方税にも全部課税されることになっておると思う。私は学生のころにアダム・スミスの課税の原則とかあるいはアドルフ・ワグナーの原則とかいうようないわゆる税制の原則の問題についていろいろ講義を受けたことがあるのですけれども、ほとんどそういうことは忘れてしまいました。公平で確実で、そして便宜であってなお徴税費がかからない、こういうような税金の取り方をしていくためにいまの日本の税法というものが組み立てられておるのじゃなかろうかと思います。  一番不公平なのは林業所得に関する地方税でありまして、大体、立木というのは植林しましてから六十年ぐらいで伐期になるわけです。六十年間営々として守り育てて、私ども奈良県の吉野へ行きますと、山道を歩いておって木に絡みついておるツタを一本かまでほんと切ったら一年寿命が延びると言われておる。これは木をすくすくと育てるために祖先伝来そういうふうに言われるから、道を歩く人はかまを腰に持ってつるを一本ずつ切っていくのです。人のものでも全部切っていくのです。そういうことで初めて山というものは育ってきておるわけです。  ところが、いよいよそれが伐採されて所得が上がった段階では、その地元の村には一文の収入もないわけです。固定資産税があるじゃないかと言いますけれども、固定資産税は一平米当たり大体百円にも評価されてないのじゃないかと思う。そうしますと、こんなもの微々たるものです。そのためにいま過疎地帯と言われる山村地帯の税配分が少なくて皆財政的に疲弊しておる。日本の地方税、事業税にしても住民税にしても所得税にしても同じですけれども、いわゆる重化学工業といいますか、事業中心の課税体系になっておるところに一つの問題があるわけですし、属人主義になっておるところに問題があると思うのです。少なくとも所得税について、これは東京であろうと大阪であろうと、どこで申告をしても国税で国へ入るものですから構わぬのですけれども、そのうちの山林所有に関する部分については、ひとつこれをその所得の生ずる場所のその土地の市町村地方自治体に課税権を与えるような改正が今日必要ではなかろうかと私は思うわけなんです。いわゆる属地主義にするということなんです。  この点について自治省考え方をまずお聞きしたいと思います。
  74. 森岡敞

    ○森岡政府委員 ただいま御指摘がありました住民税の課税権の問題でございます。現在は、御指摘のように、住所地の市町村で課税をするという仕組みをとっております。  その趣旨とするところは、まず第一に、住民税は地域社会の費用を住民が負担するという観点に立っておるということですね。したがって、住所地で課税するという基本的な考え方をとっております。いま一つは、個人の所得に対する課税でありますからすべての所得を原則としては総合いたしまして累進税率を適用する、こういう仕組みをとっておるわけです。  山林所得の場合に、その山林所得自身が数カ市町村にまたがることは当然あり得ることでございますし、さらにまた住所地で他の所得がある場合ももちろんあるわけでございますから、仮にお説のようにいわば所得源泉地主義課税をやりますと累進効果というものが失われてしまう。そこで、住民税自身の負担の求め方といたしまして、そういう観点から非常にむずかしい。この二点から、現在ずっと住所地課税主義のたてまえをとっておるわけでございます。  それじゃ山林所在地は困るじゃないかという御指摘でございますが、先ほどお話しの固定資産税の問題、それからそのほかに木材引取税というふうな税を組み合わせまして、十分ではもちろんないかと思いますけれども財源付与については苦心をしておる。さらにまた、全体といたしまして、財源を保障いたしますために地方交付税の交付というような措置も講じまして、過疎山林地帯における財源措置に努力をしておる、かようなことでございます。
  75. 川本敏美

    川本分科員 多分そのようなお答えだろうと思っておった。局長さんだって奈良県でおられて、林業のことについて私よりよく御存じだと思う。だから、それは補完するために交付税があるじゃないか、あるいは木材移出税があるとか木引税がある。木引税とか木材移出税というものは、昔は村の境目に監視所をこさえまして二十四時間体制で監視をして、そして全部検査をしてそれに課税しておった。今日、人件費が高くなりまして、それをやっておると税収よりも人件費の方が高くつくから、今日は全部申告税制に変わってきておる。そうなりますと、自主申告ですから微々たる申告しか出てこないということで、徴収総額というものは十分の一ぐらいに現在低下してきておるというのは各市町村おしなべての現状ではなかろうかと思うのです。交付税で補完をしておるということになるかもしれませんけれども、しかし本来、過疎の市町村、山村というものの税配分、財源配分をふやすということが地方自治を確立し、地方財政を確立することにつながる一番大切な問題だと思うのです。  だから、現在の税制を肯定する立場からではなしに、そういう山村をどのようにしてこれから振興していくのか、こういうような立場から考えた場合に、林業から生ずる所得についてはその山林のある地域の町村に課税権を与える、こういうようなことで、私はこの点についてはぜひ前向きで検討していただきたいと思うわけです。  その点についてもう一度お聞きしたいと思います。
  76. 森岡敞

    ○森岡政府委員 実はお説のような御主張がかなり強いことは承知いたしておるわけでございますが、たとえば宅地開発をいたします場合に、土地を売ります。譲渡所得が発生いたしますが、それについても、宅造すればそこで人口もふえ、いろいろな施設財源も必要になってくるものですから、属地主義で課税させろという御意見がかねがねあるわけです。また、さらに進みますと、職住分離という形態が一般化しておるわけですから、住所地と勤務地は明らかにいま市町村が分かれておる。それについてもその勤務地で課税させろという話は当然あるわけであります。  そういうことがいろいろございますので、特定の所得だけを源泉地課税というたてまえをとることはなかなかむずかしい問題であろうかというふうに考えております。それをやっていきますと、結局、累進税率効果というものが失われてしまうということにならざるを得ない。それから、そういう意味合いで住民税というものが個人所得に対する課税であります以上、一人の納税義務者に総合するというたてまえは崩すわけにはまいらぬと思うのです。  ですから、山村振興の重要性は十分私ども理解し、承知いたしておりますので、税制だけでなくて全般的な財政措置を通じまして山村振興に努力していく、かような気持ちでやらしていただきたいと思います。
  77. 川本敏美

    川本分科員 私は、時間がないので話を進めたいと思うのですが、一つだけ誤解がありますので、申し上げたいと思います。  私は、いまおっしゃるように、勤労者の所得とかすべての人をそういうふうに扱えと言っているのではない。特に山村というところは過疎地帯です。これは大体辺地、僻陬という地域と過疎地とは若干違いますけれども、しかし山村におる者はもう林業で働くしか、ほかの農村工業といいましても現実にはそんなものはないわけです。林業所得あるいは山かせぎで働いて収入を得る以外にない。村も財政の主たるものは林業、山林所得からしか村の収入にはならぬわけです。だから、そういう実情で都会周辺のいわゆる奈良市から大阪市へ通勤しておるサラリーマンなんかと違って、吉野の十津川村や川上村では奈良市へも通勤できない。十津川村は役場へ行くといったって泊まりがけで行かなければいかぬようなところです。日本一の大きな村です。そういうようなやはり僻地というものを頭に入れたならば、そういう過疎地帯の財源を確保するためには、まず山林所得については分離すべきではないかというのが一つ。  それから、累進税率を妨げるとおっしゃいますが、所得税の申告はどこでしても構わない。山林所得は五分五乗方式で申告書の中に別枠になっていますから、これを抜き出してその分を市町村へ送ればいいのですから、これは事務的には非常に私は簡単だと思うわけです。だから、その点について強く要望を申し上げて、次の問題に移りたいと思うのです。  そこで、いま言いました山林所得の属地主義の問題とも関連があるわけですが、奈良県の一番林業地帯の中心にあります川上村で、いま建設省の大滝ダムというのが、昭和三十八年以来今日まで延々として十五年になりますが、まだ建設途上にあるわけです。昨年秋に計画が変更されました。いわゆる大滝ダム建設に関する基本計画の変更がありまして、昭和五十二年までに完成する予定であったのを昭和五十九年度までということに変更されると同時に、建設費の総額二百三十億円を七百七十五億円に変更する。水資源の配分方法その他について若干の変更が行われたわけです。  ところが、この三十八年から今日まで十五年、当時生まれた赤ちゃんでももう中学校を卒業するようになっている。さらにこれから七年といいますと、二十四、五年かかる。その間、村はどうなるだろう。ここの村は村の役場も水没する、小学校も中学校も水没、五百戸以上水没するという、これは村の中心部が水没する大変なダムなんです。いままで十五年間、村の行政というものはもう全く麻痺してしまっておる。そして、そこに住んでおる地域の住民たるやこれまたその被害の犠牲に遭うて、水没する、しないにかかわらずこのダム問題の中で埋没をして苦しんでおるわけです。  こういう状態に対して、これは起業者の建設省の対策でやることで、自治省は財政的には何もめんどうを見る必要はない、こう考えておられるのですかどうですか。その点についてまずお聞きいたしたいと思います。
  78. 山本悟

    山本(悟)政府委員 ただいま御指摘のございました奈良県の川上村の大滝ダムの問題は、だだいまのお話にございましたように、昭和三十七年に実施計画調査に建設省で着手されまして、その後なかなか進展を見ず、現在のところまだ水源地域対策特別措置法等によりますところの基本計画といったようなものができていないというように承知をいたしているわけであります。  自治省といたしましては、ダムの建設事業の推進そのものにつきましては、建設省というただいまおっしゃいましたようなとおりのことでございますが、こういったような相当多くの村の基本の部分というのが計画によって影響を受けるというような地域でございますので、整備計画の策定の過程を通じまして地元の対策が十分に行われますように関係省庁なり県なりと十分連絡をとりながら措置をしてまいりたい、かように思っているところでございます。
  79. 川本敏美

    川本分科員 私はその前に村がつぶれてしまうと思う。だから、やはりこういう特殊ないわゆる大型プロジェクトの犠牲になる地方自治体に対しては国がめんどうを見る、こういう体制がなければ、ダム対策のために要った直接経費建設省が見ると思うのです。しかし、口に言いあらわせないようないろんな行政経費の膨張、あるいは地方自治体では住民の生活を守っていくためにいろんな支出がある。そういうような問題については現在の交付税の中でどういうウェートをもって見られておるのですか。
  80. 山本悟

    山本(悟)政府委員 地方の町村当局がそういうかっこうでいろいろな諸対策を要するために財政が非常に窮迫する、こういうような事情になってまいりますれば、財政全体の状況というものを踏まえました上で、交付税で申し上げれば六%ございます特別交付税というようなものの運用によりまして、その村自体の財政の状況を見ながら処理をしてまいりたい。この点につきましては、県におきまして各団体ごとの特別交付税の額というものを決定するわけでございますが、そういう際にも十分事情を聞いてみたいと存じております。
  81. 川本敏美

    川本分科員 建設省にお見えいただいておると思うのですが、この大滝ダムの直接の起業者である建設省におきましては、昭和四十七年と昭和五十年の二回にわたって、いわゆる行政需要費という形でだと思うのですが、交付されておると思うのです。川上村に若干のものを交付されておる。これは五十年に交付されておるから、本来は五十二年に交付されるべき性質のものじゃなかろうかと思うのですが、あるいは五十三年かもわからぬと思うのですが、これは建設省としてはどう考えておられるのですか。
  82. 堀和夫

    ○堀説明員 川上村に対します行政需要増大の経費につきましては、先生御指摘のように、いままで四十七年、それから五十年に必要経費をお払いしております。  それで、その後の分につきまして、いままでの分でございますが、現在、村当局といろいろ詰めておりまして、五十二年度予算、現在の予算でございますが、ここで措置するよういま努力しておるわけでございます。
  83. 川本敏美

    川本分科員 建設省に重ねてお聞きしておきたいのですが、これはもうダム対策のために必要な直接的経費じゃなしに、ただこのダムという問題のために行政需要がかさんだということに対するいわゆる支払い金というか補助金というか交付金というか、そういう性質のものですね。
  84. 堀和夫

    ○堀説明員 そうでございます。
  85. 川本敏美

    川本分科員 そこで、国土庁おいででございましたら、私は国土庁に一つお聞きしたいと思うのです。  水源地域対策特別措置法、いわゆる水特法というのがございます。その水特法の第五条によって、この指定ダムになっております大滝ダムでは、目下水源地域整備計画について村と県との間の詰めを急いでおる段階です。そこで、私感じますことは、この施行令の第三条の一号から十一号まで、第五条の第一号によって政令指定をすることになっておる部分について政令の指定があるわけですけれども、どうも過疎対策の場合にたとえて言えば、過疎対策法でしたら地方債の起債を認めるあの第十一条だったか何かで、いわゆる政令で定めておるところがある。その事業とこれはダムだからということで大きく違うのかどうか、私としてはどうしても理解に苦しむところがあるわけです。  それはどういうことかといいますと、いわゆる水源地域整備計画の中で、第五条にも入っていないし、施行令第二条の政令にも入っていないものとして、一つは、農林業の近代化のための施設とか、あるいは観光またはレクリェーションに関する施設とか、あるいは住民の用に供するための自動車駐車場、あるいは保育所というのはありますけれども、児童館というのは抜けておるわけです。あるいは公民館というのはあるけれども、集会施設というのは抜けておるわけです。老人福祉施設もないわけです。労働者の福祉施設もないわけです。あるいは母子保健センター等の、そういう種々の福祉施設が全部この水特法では明記されてないわけです。私は、こういう点はやはり時代の変遷と国民のニードといいますか、そういうものが変わってきて、それに行政の方が応じていくという立場で、最近、母子保健センターとか、あるいは老人福祉施設とか労働者の福祉施設というのがどんどんできておるわけですから、そういうものにこたえるためには、政令を改正してこういうものも整備計画の対象事業の中に入れなければいけないのではなかろうか、このように判断するわけですけれども、この点についてひとつお聞きしたいと思うのです。
  86. 和田萬里

    ○和田説明員 水特法が昭和四十九年に施行になりまして、昨年で申しますと約三年ほどたっておりますので、国土庁といたしましても制度の検討に入ったところでございますけれども、たまたま昨年の夏、全国知事会、町村長会等からかなり具体的な御要望が出てまいりました。ただいま御指摘になりました事業は、現在の整備事業の内容は比較的根幹的事業が多いと思われますから、それに対しまして比較的小規模事業あるいは農山村の産業基盤整備についての共同施設といったような色彩を持つ施設だと考えております。それで、御指摘のありました事業等を新たに整備事業の内容に加えるべく、政令改正についていま各省と検討を進めておるところでございます。
  87. 川本敏美

    川本分科員 私は、ただいまおっしゃったように、各省と相談をしながらこの問題については早急に前向きで善処、措置されますように、強く要望申し上げたいと思うのです。  もう一つやはり問題があると思うのは、国の負担区分についてです。  現在法律によりますと、事業ごとに負担区分が違うわけですけれども、少なくとも法第十二条の第一項、あるいは施行令の第九条等を見ましても、実施される地方公共団体経費の一部を負担させることができるというような言い方で、受益者に対して一部を負担させることができるという言い方、あるいは関係当事者が受ける利益その他諸般の事情を勘案して負担の公平を期せというような言い方、こういうところから見て、ダムで犠牲になる者に対して負担をさせて、一部しか受益者に負担させないという発想、こういう点で、これこそ被害者と受益者との間に公平を欠くものではないかと私は思うわけです。  そこで、法律を改正して少なくとも四分の三以上の国の負担にすべきだと私は思う。これを現状のままで置くとすれば、いわゆる犠牲になる市町村に対しては一切負担させないということを明らかにしなければ、犠牲になる者と受益する者との関係がどうなるのか、この点だけがこの法律では明確になっていない。なるほど同じ村の中で受益する者と犠牲になる者との場合がありますけれども、大滝ダムの場合でしたらまるまる村ぐるみ犠牲ですよ。先祖の生墓を掘り返す、水没地域の住民が祖先伝来の墓地を掘り返す気持ち、そういうものが行政をやっている皆さんにはわからないのではなかろうかと私は思うわけです。その人たちに、今度は整備計画で行う事業の負担もしなさい、こんなばかげたことがあたりまえのように行われているところに私としては納得できないところがあるわけです。  それからもう一つ、指定地域の拡大の問題があると思うのです。いわゆる川上村の大滝ダムの場合なんかは経済圏も生活圏も一つの流域ですね。そういう流域に住んでおる場合、経済圏を一つにし、生活圏を一つにしておる場合はやはり村全部を法律の指定地域に拡大すべきではないか、そして、そこでいわゆる振興整備計画の事業をやるべきではないか、このように私は思うわけです。  この点について、もう一度国土庁の御意見をお聞きしたい。
  88. 和田萬里

    ○和田説明員 前半の費用の点についてお答えいたします。  水特法によります整備事業についての国の負担または補助の割合の特例といいますものは、水没規模が特に多い水源地域につきましてはこれに伴う地方公共団体の負担が非常に多くなるという傾向にあるものから、この特に大きい負担を軽減するために設けられたものでございます。こういった特例措置と申しますものは、類似の制度とのバランスというようなこともございまして、他の財政特例制度と比較いたしましても、水源地対策にかかるものが、特に低いとは感じられないわけでございます。  また、整備事業に要します費用の受益者等への負担につきましては、先生おっしゃいましたように、水特法の十二条によりまして関係地方公共団体あるいは直接ダムを利用して利益を受ける者との協議によりましてダム等の実態に応じて決まってまいりますので、これらの協議の行方を見ながら対処してまいりたいと思うわけでございます。
  89. 川本敏美

    川本分科員 ただいまの御意見で私としては納得できない部分もあるわけです。犠牲になる者が一部を負担せにゃいかぬ、こういうことは全くけしからぬ話だと思う。この大滝ダムの場合は、だれも村の住民がダムをつくってくれと言っておるわけじゃないわけです。しかし、国の大きなプロジェクトで、国家的事業だということで、反対であったのが渋々しんぼうして賛成しておるわけですから、その人たちに、後の整備計画の負担をしなさい、このようなことは全くもってけしからぬ話で、その点について、早急に、村の負担が全然なしに、すべて受益者の負担によって整備計画が実行に移されるように特段の指導をお願い申し上げたいと私は思うわけです。  建設省にもう一つだけお聞きしたいと思うのです。  実は、このダム計画のために国道百六十九号線が麻痺をしておるわけです。ちなみに、国道百六十九号線の川上村内の交通量を調査したものがあるわけです。若干古いのですけれども昭和五十年の七月二十六日に調査をしております。上りと下りがあるわけですけれども、上りは奈良方面、下りは熊野方面ですが、一日の通行台数が、上りが四千五十一台、下りが千四百三十八台、こういう形になっております。一番ピークの午後五時から六時までは一時間に六百六十七台、大体一分間に十一・一一台、こういう自動車の通行状況です。ところが、この間、国道が水没したら新しく水没代替道路がつけられるのだからということで昔のまま放置されておるから、青信号三十秒で赤信号八分というような一方通行の信号があるわけです。そこで詰まってしまってともかくどうにもならなくなる。村の役場まで十分で行けるところの人が朝出たところが、役場へ着いたら午後で、帰ってくるのは夕方で、一日がかりになってしまう。私たちが、川上村の自然の家で集会があって、たまたま日曜日なんかにちょっとあいさつに行こうと思ってそこを普通に行くつもりで行きましたら、午前十時から始まる会合に、午後の一時ごろにしか着かない、こういうような事態に陥っておるわけです。ところが、建設省も放置し、県の方も、どうせ水没道路ができるんだからということで今日まで放置している。こんなことでは、地域の住民は仕事にも行けない。奈良の方へ仕事に行こうと思って大工さんが朝出発しても、行けないわけですから、弁当を持って、結局村の役場までも着かぬと帰ってこなければいかぬ。  このようなことをどのように理解をし、何と心得ておるのか。このことについて建設省は早急にこの交通状態を改善するために措置してもらいたい。大台ケ原があって、夏になると大台ケ原への登山、熊野の海での海釣り、川釣り、そういういろいろなレクリエーションと重なりますから、土曜、日曜になるとかいもく通行できない状態にあるわけです。  この点について建設省の意見をお聞きしたいと思うのです。
  90. 堀和夫

    ○堀説明員 御指摘の国道につきましては、つけかえ国道の工事がやがて始まることになろうと思います。私どもといたしましては、その工事が始まるときに、工事関係者による交通の混雑、そういうものが加わった場合に、先生御指摘のような問題にさらに混雑が加わるということに対しまして特に今後配慮いたしまして、特にむずかしい個所については迂回路の設置あるいは仮橋とかそういうものを含めて検討したいと思っております。  それからなお、当面の問題につきましては、現在、川上村交通安全対策協議会、会長は村長で、県の土木事務所——吉野土木事務所てございますが、それから労働基準監督署等も入っておりますが、こういう協議会ともども協議いたしまして、十分な対策を講じてまいりたい、かように考えております。
  91. 川本敏美

    川本分科員 最後に、ちょっと一つだけ大臣に。  大臣、先ほどから申し上げたように、この過疎地帯でダムのために川上村という村はもう十五年間大変な目に遭うておるわけです。こういう村のために自治省としても積極的な財政援助を与える気持ちがあるかどうか。最後に、一言だけで結構ですから。
  92. 加藤武徳

    加藤国務大臣 ただいま川上村の大滝ダムの事情をつぶさに伺いまして、長い年月でございますから、地方の財政に目に見えないいろいろの支出があろうかと思うのでございますから、交付税交寸金等におきましてできるだけの考慮をいたすように県にも連絡をいたしたい、かように思う次第であります。
  93. 住栄作

    ○住主査代理 これにて川本君の質疑は終了しました。  次に、武田一夫君。
  94. 武田一夫

    武田分科員 私は過疎対策について二、三お尋ねいたします。  この過疎対策、すなわち国土の均衡ある発展のためには非常に大事な問題でございますから、私は国政の基本路線であって、しかも今後二十一世紀に向かっての重要な政策課題だと思うわけでございます。過疎過密の解消というのがその中の一つの大きな仕事ではないか、私はこういうふうに思いますが、最近三全総が打ち出されまして、人間生活を重視し、住みよい地域社会の形成、こういうものをうたいながら、いわゆる地方圏定住構想を打ち出して、その仕事が今後十年をめどに行われる、こういうわけでありますけれども、過疎問題の解決は国だけでもできない。地方自治体の協力がもちろん必要である。主体性が地方自治体にあると言っても国の大きな方針の中で動いていく。また、国の中でも一省一庁だけの問題ではない。各省庁等の連携の中で総合力を発揮しながら進めなければこれは解消できない大きな問題を抱えておると思うわけであります。そういう観点から、私は最初に建設省、運輸省、そして通産省、最後に自治大臣、国土庁にお伺いしたい。  最初にまず建設省にお伺いいたしますけれども、過疎化を解消する一つの条件としては、皆さん方も御承知のとおり道路の整備拡張というのが大きな要素になっていると思います。市町村道の舗装率等を見てみますと、全国の市町村道の五十年度末の未舗装率が二〇・七%であるのに対して過疎地域市町村道の整備は五十四年末でようやく二〇・五%になるであろうというおくれ、非常に目立つわけでありますけれども、このおくれを早急にとり返すことは私は今後の課題だと思いますが、その日程、そうした努力をいたしておるの小どうか同いたいと思います。  また、この過疎地を走る国道、県道で非常に問題のところが多いわけです。特に県境に非常に悪路が多いということが過疎住民にとっては耐えがたい問題でございます。  そこで、具体的な問題としまして、宮城県の七ヶ宿という町がございます。これは典型的な過疎地でございますが、そこを通り抜けて山形県へ走る国道百十三号線、ここは冬になりますと雪も多い。その上に悪路ときて、非常に危険を伴っている。この地域がいつの日に安心して通れるものかというのが地域住民の切なる願いであり、心配の種でありますけれども、その道路がいつのときになったら安心して地域の住民が通れるような道路になるか、この問題、ひとつお聞かせ願いたいと思います。  それから、二番目に運輸省にお願いしますが、過疎対策で問題なのは交通機関の確保だと思います。  運輸省に二点について伺いますが、一つは宮城県の南部に丸森線という線路が走っているわけでありますが、これは全線開通がいつになるのかということで、全然見通しがきかないとか、あるいはこれは問題にされてないというので非常に心配でございます。この丸森地方というのは、宮城県内でも一、二番の広い地域でありまして典型的な過疎地であります。これは昭和四十八年以来工事が全く進んでおりません。ところが、すでにこの路盤が完成しておりまして、ただその上にレールを敷いて東北本線につないでいけばいいというところまできて全線開通ができないでストップしている。なぜストップしているんだ、過疎地域を大事にしてもらいたい、するというような観点から言うと、人がどんどん流れていく、こういうようなところに全然温かい配慮がないんじゃないかと地域の住民の不満や不平というのは多いわけでありますが、こうした過疎地域の交通確保という大事な丸森線の全線開通というのがいつのときに行われるのか、この点をはっきり答えていただきたいと思います。  それからもう一つは、バス問題であります。過疎地のバス対策というのは、走れば赤字ということで非常に苦労している。これはバス会社も苦労している、市町村の負担も大きいということで大変苦労しておりますが、このままの状態でいきますと、その悩みは増すばかり。市町村においては、財政負担に耐えかねてどうしようか、あるいはバス会社も困ったものだということで悩みを大きく持っているわけでありますけれども、当面の手当てだけでなく抜本的な対策を考えなければいけないんではないかと思うわけでありますけれども、この点について、運輸省としてはどういうお考えであるか、伺いたいと思います。  次に、通産省に伺いますが、過疎対策の中で最大のウェートを占めているのは、私は、生活の安定を得るための働き場所を確保する問題だ、こう思います。しかしながら、工場誘致にしましても工業の導入にしてもままならず、現在に至っているわけであります。通産省としましては、この問題の解決のためにどういう努力をし、今後どういう対策を講じていくか、その見通しについて伺いたい。  もう一つは、宮城県のこれも仙北地方にあります典型的な過疎地に栗原郡鶯沢町があります。ここは御承知のとおり細倉鉱業所というものに支えられております。ところが、最近この鉱業所がいろいろと事情がございまして、思わしくない、これは御承知のとおりだと思いますが、どうもこの鉱業所に対する手の打ち方がぬるい。このままでいきますと、病人が死んだ後に注射をするんではないか、そういう評判さえ出ているわけでありますけれども、どういうような対策を講じ、この危機を救おうとしているのか、伺いたいと思います。そして、当面の対策として、低利の緊急融資についてはどうか、また探鉱補助金の増額についてはどうなのか、さらに不況対策資金融資制度の確立について要望があるが、それに対してこたえる心づもりがあるかどうか、その点について伺いたいと思います。  各省庁、時間がございませんからポイントだけの回答で結構でございます。よろしく御回答いただきたいと思います。
  95. 多田宏行

    ○多田説明員 お答えいたします。  御質問、二つあるかと思います。  第一点の過疎地域の生活基盤整備のための、幹線道路はともかくも、一般に市町村道の整備がおくれているではないかということは、先生の御指摘のとおりでございます。そして、市町村道の事業を促進する用意があるかということでございますが、まだ国会で御審議中のことでございますけれども政府案によりますと、明年度の予算の道路整備事業全体の伸びはおよそ二八%増しという具合いに予定されておりますが、その中で市町村道につきましては四〇%以上アクセントを置いていこうじゃないか、このようになっております。私どもの姿勢をおくみ取りいただきたいと存じます。  それから、第二点の過疎対策における基幹道路である国道の整備というものが重要ではないかということ、これもまた御指摘のとおりであると存じます。建設省といたしましては交通量の多い混雑区間の解消もさることながら、同時に地域の生活基盤整備の道路ということにつきましても重要として実施しておるところでありますけれども、御指摘のような百十三号七ヶ宿のようなところにつきましてもたくさん仕事がございますので、特に幅員が狭いとか石が落っこちてきて危険であるというようなところの解消、現道の舗装、本格的な改良を待っていたのではいつになったら舗装ができるかわからないというようなところは現道の簡易舗装を進めるというようなことで、特にバス路線を優先的に整備を進めていく考えでございます。
  96. 佐々木建成

    ○佐々木説明員 お答え申し上げます。  丸森線の実情につきましては先生が先ほど申されたとおりの実態でございますけれども、工事がおくれておりました原因としましては、一つには福島市の入口のところの矢野目の信号所の立体交差の協議にかなり手間取ったということが一つでございます。  それから、もう一つの問題は、少し大きい問題でありますけれども、この線が開業いたしましたときの赤字をどういうふうに処理していくかという問題でございます。先生御承知かと思いますけれども、丸森線につきましては、計画をつくりました当初はいわゆる東北本線のバイパスとして貨物列車を通すとか優等列車を通すとか、そういう主要幹線として建設に着手したわけでございます。ところが、その後貨物が輸送ダウンをするとか、あるいは東北線の線増が行われるとか諸情勢の変化がございまして、現状から見ますと、主要幹線というよりはローカル線的な性格に近くなっておるのではないかという問題がございます。そこで、ローカル線ということになりますと、現在の鉄道建設公団の仕組みでございますと、借入金ではございませんで、全額政府出資という建設資金でもってつくるというのがローカル線の場合でございまして、これをAB線と称しておりますけれども、現在までは丸森線はC線、幹線といいまして、全部借入金でつくっておるということで、制度の違いがあるわけでございます。このまま借入金でつくってまいりますと、金利の負担が非常に大きくなってまいりますし、それを国鉄に貸し付けますと国鉄の経営上の負担がまた増大するという悩みを私どもは抱えておるわけでございます。私どもとしましては、できるなら全額政府出資金でつくりますAB線の方に切りかえたいという考え一つ持っておりますし、それでもなおかつ赤字が大分生じてまいりますものですから、それにつきましてはローカル線対策の一環としてできるだけ赤字が出ないような仕組みを考えていくという方向で検討しておるわけでございます。  ローカル線全般につきましては、国鉄の赤字要因の大きな一つでございますので、現在、運輸政策審議会で議論をいただいておるわけですけれども、そういうものの答申を得ました上で、政府部内でもいろいろ関係省庁と協議をいたしまして、国鉄経営上の負担が軽減されるような方向で地元にも御協力をお願いしながら対策を立てていきたい、かように考えておるわけでございます。
  97. 梶原清

    ○梶原政府委員 先生御指摘地方バス路線問題でございますが、御指摘のとおり昭和四十年代に入りまして以来、地方バスの市場といいますか、縮小型に転じておりまして、特に過疎地域のバス経営が非常に苦しくなっておるわけでございます。したがいまして、国としましては昭和四十一年から所要の補助制度を実行してまいったわけでございますが、とりわけ四十七年に大体現行の補助制度、地方バス路線維持補助制度を創設をいたしまして、地方公共団体と手を携えて過疎バスの維持をやっていく、こういうことでまいっておるわけでございます。予算額におきましても本年度は七十二億一千万円、来年度としましては現在御審議をちょうだいしております。十三億五千万円を予定をいたしておるわけでございます。  今後この地方バス路線の維持を図っていきますためには、地方バス事業の経営の合理化、適時適切な運賃の改定、交通環境の改善等々の施策を総合的に進めてまいらなければいけないと思うわけでございますが、いま申しました地方バス補助制度につきましても、バス事業の経営状況等を見つつ必要な見直し、検討というものを進めてまいりまして、地域住民の足として必要なバス路線の維持のために努力をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  98. 有岡恭助

    ○有岡説明員 お答え申し上げます。  地方に雇用の場をつくりまして住民の定住を進めていくという先生の御指摘につきましては、私ども全く同様に考えておりまして、昨年の七月に決定いたしました工業再配置計画の中におきましても、過疎地域を含みます誘導地域への立地につきましては、今後全国の新増設の七割はこの誘導地域に誘導するという目標を掲げているわけであります。最近の立地動向を見ますと、件数といたしましては全般的に設備投資の低迷を反映いたしまして減少いたしておりますが、誘導地域について申し上げますと、四十八年以来全国の立地の大体七割を誘導地域で占めております。それから、過疎地域について見ましても、大体一二、三%から一一%というようなところを続けておりまして、地方への新増設がかなりの程度を占めているということが申し上げられるのではないかと考えます。  今後の対策でございますが、特に誘導地域の中で地理的、社会的条件あるいは気象条件等のいわゆる立地条件の不利な遠隔地方だとか、あるいは構造的衰退産業に依存しておりますために影響を受けております鉱山、繊維の産地等につきましては、これを特別誘導地域といたしまして、工業再配置促進費補助金のかさ上げというような措置を五十三年度から実施するように政府案では予定をいたしております。さらにそのほか、地域振興整備公団の移転融資につきまして五・五%の特利を設ける、あるいは北東公庫、開銀の基幹特利の適用範囲を拡大する等の措置をとりまして、少しでも過疎地域を含みます誘導地域への工場立地の促進を図りたい、かように考えている次第でございます。
  99. 福原元一

    ○福原説明員 細倉鉱山を初めといたしまして、国内の鉱山が、最近国内のみならず世界的な需給のアンバランスあるいは円高によりまして非常に苦しい立場に置かれておりますことは、先生御指摘のとおりでございます。そのため御指摘のございました探鉱補助金につきましては、企業が実施いたします探鉱に対する助成といたしまして、大手企業に対しましては融資、それから中小鉱山が行います探鉱につきましては補助金という形で私ども実施してまいっております。     〔住主査代理退席、主査着席〕 細倉鉱山は五十年度までは三菱金属の鉱山でありまして、それまでは融資という形で助成してまいりました。五十一年度から独立いたしまして分離いたしましたので、中小鉱山ということで新鉱床探査費補助金を交付して探鉱の助成をしてまいっておるわけでございます。今年度の予算におきましても、私どもこの新鉱床探査費補助金の増額に特段の力を入れまして、増額並びに単価のアップを図って御審議をお願いしておるところでございます。そのほかに細倉鉱山につきましては、金属鉱業事業団を通して行っております精密地質構造調査というのがございますけれども、企業が実施いたします探鉱の一つ前の段階の探鉱でございますが、これにつきまして栗原地域を新しい地域に指定いたしまして、五十三年度から実施をするということで予定しております。  それから、緊急融資につきましては、中小鉱山に対しまして、円相場高騰関連中小企業対策臨時措置法によりまして低利の融資を実施するということを考えております。  それから、過疎対策といたしましては、ただいまお答え申し上げました工業再配置促進法によります再配置促進費補助金の中で、新しく指定されます特別誘導地域に鶯沢町を、最近の状況を調査いたしまして、必要に応じて指定をするという方向で検討いたしたい、このように考えております。
  100. 武田一夫

    武田分科員 いろいろ具体的な問題で聞きましたけれども、これから大臣と、国土庁がそれに関係がある問題がありますので、国土庁に二、三お尋ねします。  自治省としましては、過疎対策にいろいろと御苦労なさってきている。これは四十五年に過疎法を制定されてから過疎債や辺地債の発行許可など、あるいは国庫助成のかさ上げなどをしておりますが、全国的に見ましてまだ各市町村の三分の一強が過疎地であって、人口の増加が見えてきたというのはわずか六十一町村しかないということでございますから、相当これは深刻な問題として受けとめているんじゃないか。大臣としましては、まずこの過疎について、今後徹底的な歯どめというものをお考えがあれば聞かしていただきたい。  それからもう一つは、三全総が打ち出されまして、三全総は先ほど申し上げましたように定住圏構想です。これとすでに自治省で打ち出している広域市町村圏構想、さらにまた建設省の計画によって行われている地方生活圏構想というものがございますが、この三つの間の調査が十分に行われているか、今後行われて効果あるその展開ができるのかどうかという心配があるわけです。もし、この三つの間の調整がうまくいかないと、行政上で衝突するおそれがあって、せっかくのいい計画が絵にかいたもちになってしまい、かつての旧全総、新全総のような計画変更というものも出てしまうのじゃないかというおそれがありますけれども、その間の調整については心配がないのかどうか。  もう一つは、この財源の問題でございますが、三全総の実施によってはまた各地方自治体の超過負担という心配が当然出てくると思います。その点の配慮を自治省としては十分に御検討願い、また、そういう決意で取り組んでいかれるものかどうか。  最後に、もう一点は、過疎地の皆さん方は、その財源として過疎債、辺地債を頼りにしておるわけでありますが、あと二年で切れる、こういうことになる過疎地域対策緊急措置法の、もう一層充実した形での延長が各市町村の切なる願いでございますが、三全総が十年という一つのめどで行われていくということを考えれば、十年程度の延長を考えるべきじゃないかと思うわけでございますが、その点についての所信をお伺いしたいと思うわけでございます。
  101. 加藤武徳

    加藤国務大臣 ただいま宮城県の実情につきまして武田委員から過疎の具体的な状況の詳しいお話と、それに対しまして建設省、運輸省、通産省の詳細にわたっての答弁がございました。  そこで、自治省への御質問は、過疎問題を解決するのに決定的な案があるか、かようなことでございますけれども、過疎問題はきわめて重要ではございますが、しかし、なかなかむずかしい問題でございまして、昨今若干過疎現象が緩和をいたしておるとは申せ、なおかつ全国には一千九十三の市町村が過疎市町村、かようなことでありますから、全体の三分の一の相なっておるようなことでございます。ただ、決定的な案とまではいきませんが、私の過去の経験からいたしまして、そう大きくはない村へ三、四百名ないし五百名程度の企業がぼこっといきましたら、その企業を中心にいたしましてその町がすっかりよみがえった、かような例もあるのでありますから、決定的な処置がどうか、かように言われましてもなかなか具体的な妙案がないのでありますけれども、一般的に申しますならば、もろもろの施策を総合いたしまして過疎現象を解消いたす、かような絶えざる努力をやりますこと以外には、オーソドックスな道はない、かような感じを深くいたしておるようなことでございます。  二番目の御質問は、三全総の定住構想と、私どもが十カ年間推進してまいりました広域市町村圏構想と、そして建設省の地方生活圏構想との関連でございます。私どもは、三全総の定住構想なるものは、自治省が十カ年間推進してまいりました広域市町村圏構想にいわば理念を与えてくれ、いままでは自治省なり建設省で取り進めておりましたものを国政全体の場でとらえまして、住みよい郷土づくりを行い、そして、その地域皆さん方の幸せを増進するための理念が付与された、かような考え方でございます。数の点から申しましても、定住構想は三全総に二百ないし三百、かような数を書いておりますが、現在指定をいたしております広域市町村圏は三百二十九でございますから、数においてほぼ一致いたしておる、かようなことでございます。  ただ、三全総がこういう考え方を打ち出したのを契機にいたしまして、自治省といたしましても従来の定住圏構想を見直す時期に来ておる、かような考え方を持っておるのであります。と言いますのは、いままでは広域市町村圏の数カ市町村だけであれやこれやの考えをめぐらし、策を取り進めておったのでありますけれども、しかし県が一枚かんで、都道府県が一役買うような形がよくはないか、こういう観点に立ちまして、そういたしますならばさらにスケールの大きいものになり得るのではないか、かような考え方を背景に持ちまして、たとえば起債の面でも、五十二年度は百六十億でございましたものを一挙に広域的に事を運ぶためには五百億円の起債を考えていく、かような処置をとっておりますのと、いま一つは、新しい予算づけを行いまして、定住構想なるものと広域市町村圏構想をどのようにマッチさせていくかということの研究をいたしますために、モデル的な地域を指定いたしたい、かようなことで、事業費といたしましてはそう莫大なものではないのでありますけれども、数カ所を指定いたしましてさような研究を行ってまいりまして、今後定住構想と広域市町村圏構想の吻合を図っていくために努めていこう、かような考え方を持っておるところでございます。  それから三番目は、財源等の処置のことでございました。先ほど武田委員は、交付税交付金の問題にもお触れになりましたし、また過疎債や辺地債の問題にも触れてこられたのでありますが、今日、過疎地域と言われる都道府県市町村に交付金を算入いたしております額は三千八百十二億円、かような金額に相なっておるのでございますけれども、今後もできるだけ交付金等につきまして配慮いたしてまいらなければならぬと思っておりますことと、過疎債や辺地債なんかも積極的に許可をいたしてまいりまして、過疎問題解決のために役に立つように努めていこう、かように思っておるところであります。  それから、最後の御質問の過疎地域対策緊急措置法の関係でございます。御承知の昭和四十五年に議員立法として成立をいたした法律でありまして、五年の時限立法でございました。それが昭和五十年に期限が来まして、五カ年間延長いたしまして、昭和五十五年三月までの期限の時限立法であることは御承知のとおりでございます。  そこで、議員立法でありましただけに、政府の立場において、いや何年延ばすんだ、五年の延長では足らぬという言い方をいたしますことは若干僭越のきらいがあろうかと思うのでございますから明言は避けたいと思うのでありますが、私は、過疎問題がきわめて重要であり、なおかつ緊急措置法で処置をいたしましてもなお今日の状況でございますから、延長しなければならぬのかどうかと、こうおっしゃいますと、昭和五十五年三月で若干の期間がございますけれども、この間に完全に過疎問題が解決し得るとは思えないと思うのでありますから、当然延長さるべきものであろう、かように考えておるところでございます。  以上、四点につきましてお答えした次第であります。
  102. 武田一夫

    武田分科員 もう時間が来たようですが、先ほど建設省、運輸省それから通産省の皆さんにお答えいただきましたが、過疎地の皆さんというのは、そういう一つ事業をしてもらえるんだと、またそういうものがわが町でも行われていくんだという、そういうところに大きな心理的な波及効果があるんだということを考えまして、どうか早急に打つべき手を打っていただきたい、このことを最後にお願いして、質問を終わります。
  103. 笹山茂太郎

    笹山主査 これにて武田君の質疑は終了しました。  次に、小川仁一君。
  104. 小川仁一

    小川(仁)分科員 時間の関係もございますので、先に警察庁の方にお願いしておきます。  自動車教習所に対しまして、高速道路講習というものを、通達をおたくの方でお出しになって各県一斉に御指導しておられるのか、それは一体あなた方自身の発意なのか、それとも教習所自身からの要求なのか、一体ねらいは何なのか、こういう点をまず最初に……。
  105. 杉原正

    ○杉原政府委員 お答えをいたします。  これは、最近免許を教習所でとる方が大半を占めるということでございますが、一方、いわゆる高速自動車道というものがかなり伸びてまいりました。いま高速自動車国道、自動車専用道を含めますが、こういうところにつきましてこのドライバーの十万人当たりの事故率を見ますと、経験が一年、二年、三年のところというのが非常に事故が多いわけでございます。四年目になるともう事故率が半分になるというふうなことでございまして、特にこの経験年数の浅いところの高速自動車国道の安全運転について、やはりもう少し積極的にやらなければいかぬのではなかろうかという関係でございます。これは昭和四十四年から静岡で始めておりますが、今日まで五県、五十カ所を超える教習所で高速自動車国道での教習を自発的に、これはせっかく卒業をしたドライバーが、免許をとったままで運転をしてないと高速が非常に危いという、非常にドライバーに対する善意だと思いますけれども、自動車国道での教習を、隣に教習員がついての教習をやって、約七万人を超える高速自動車道で練習をしたドライバーが四十四年以降出てきているというふうな観点から、これは私どもいま、みんなを義務づけてそれをするということではなくて、高速道路が近くにあって、しかもいろいろな、本人についても、もうすでに普通免許をとってしまった人及び教習所は卒業をしてしかも学科試験も通って、もういつでも免許証は送ってくるんだけれども、免許証を送ってくるのに十日以上いまのところかかるものですから、そういう免許には合格したがまだ免許証を送られてきてない人、その人に限定して、しかもその人が高速で練習をしたいという申し出があった場合に、いろいろ教習所で区々でございますので、そういう教習員の中で適当な人がいる場合に、これで運転をしてもらうようにしていったらどうかという趣旨で、通達という形でいま協力をお願いをしておるという状況でございます。
  106. 小川仁一

    小川(仁)分科員 そうしますと、通達は警察庁の方で出したということになりますね。  では、続いてお伺いしますけれども、高速道路というのはあなたも御承知のとおりの道路です。ここで教習をする段になりますと、いまおっしゃいましたけれども、これは任意の教習か、それともあなた方自身これを学校にある程度心理的に強制している教習なのか、あるいは将来これを義務的に教習させるという考え方がいまの通達の前提にあるのか、この点……。
  107. 杉原正

    ○杉原政府委員 いまやっておりますのは、県によりまして高速道路がまだないところの県がたくさんございます。そこで、一つの条件としまして、インターまで大体三十分以内で行けるところで一時間程度ということで示達をしておるわけでございますが、高速道路での技能教習は任意のものでございまして、希望しない者にまで強制してやらすという性質のものではございません。  それから、これをいまの段階で全国で義務化するということは考えておりません。
  108. 小川仁一

    小川(仁)分科員 これは任意というのは学校自体の任意なのか、教習生自体の任意制なのか、その点明らかにしてください。
  109. 杉原正

    ○杉原政府委員 これは練習生の方から言いますと、希望をまず申し出ますが、今度は片方でその施設について適当な教習員の訓練が済んでいるかどうかというふうな問題があります。それから、距離的な問題がございます。もう一つは、高速道路といいましても、時間帯によって混んだりいろいろする場合がございますので、そういう閑散な時間帯を選ぶ、危なくない時間帯を選ぶ、それから気象条件が危ないようなときにはやめるというふうないろいろな条件のもとで、管理者等が見てこれは可能であると思われるものについて実施をしていただいているということでございます。  私どもはそういう方向で指導をしておるわけであります。
  110. 小川仁一

    小川(仁)分科員 そうしますと、これはあくまで本人の希望、学校の任意、しかも、いろいろな条件ということになりますから、特段、実施しなければしなくてもいい性格のものですね。
  111. 杉原正

    ○杉原政府委員 基本が義務づけでございませんから基本は任意でございますが、ただ、これは教習所そのものが生徒に対する教育の問題として、この人が高速に入って大丈夫だろうかと思うことが前提になっての措置であるというふうに考えております。
  112. 小川仁一

    小川(仁)分科員 さっきのお話ですと、普通免許証を取った人あるいは合格して普通免許証が来るまで十日間くらいかかる、そういう状態、いわゆる免許証を取った人に対して教習所が教育上必要があるとかなんとかというふうな判断をしたり、あるいは教えたりということ自体、免許証を持っている者に教えるという、教習所の性格を逸脱しているのではないかと思うのですが、この点は……。
  113. 杉原正

    ○杉原政府委員 要するに、教習所はドライバーの教育機関でございますから、そのドライバーが免許を取って出られた場合に、高速に入る——一般にドライバーが高速に入るときには非常に不安を感ずるわけでございます。そういう者について条件が許される中で教えてあげようということになっておるわけでございます。
  114. 小川仁一

    小川(仁)分科員 私が聞いているのは、教習所というのは免許証を持った者に教習する場所かどうかということなんです。免許証を持っている人に教習するというのであれば、普通の学校で言ってもそうでしょう、中学を卒業した者にまた中学校で教えるんだというふうな言い方は当然ないはずなんだ。  それからもう一つ、高速道路へ入ることに不安を感ずる、これはいろいろあると思います。しかし、普通免許証というのは元来高速道路に入ることを前提にしてくれているのでしょう。とすれば、不安除去という問題と、それから普通免許証の性格と高速道路との関係をきちっとお答え願いたい。
  115. 杉原正

    ○杉原政府委員 先ほどお話ししましたように、そういう免許を取った人が希望して教えてもらえないだろうかと言う、いまの教習員の中で教えるのに適当な人がないというふうな場合、あるいは時間帯で教えることができない場合、いろいろなケースがありますので、希望と教習所の体制とが合致した場合にできるということでございまして、義務化をしていないのはそういう理由によるものでございます。
  116. 小川仁一

    小川(仁)分科員 そうすると、教習所は何ら拘束されるものではなくて、普通免許証を取った者または取った免許証が来るまで日数的に足りない者がどこへ行って頼んでもいい性格のものですね。何も教習所でなくてもいいわけですね。教習所というのは、元来免許証を出してしまっているのですから、高速道路だからといって特別教えなければならないという、あるいは教えるような条件、こういうものがあるところもあればないところもあるわけですから、教える方自体も何ら責任のないもの、個人対個人の関係、こういうふうに理解してもいいですか。
  117. 杉原正

    ○杉原政府委員 これを制度化し、義務化をしない理由はそこにあるわけでございます。現実に高速道路がないところは教えることができないわけでございます。
  118. 小川仁一

    小川(仁)分科員 聞いているのはそういう意味じゃなしに、任意的に本人が希望した場合と言う。学校は卒業しているわけです。卒業した学校なのですから、また行くとすれば、もう一遍入り直して、授業料とかいろいろな問題があるはずだ、そういう問題もないということは、そこの教習所の人に個人的に頼む、そうして教えるということ以上に存在しないはずだ、普通の教習所または学校等の制度から言えばですよ。こういう個人対個人の関係と理解してよろしいか、こう聞いているのです。
  119. 杉原正

    ○杉原政府委員 個人対個人といいますか、個人が、教えてもらえませんかということで教習所にお願いをして、教習所が、それじゃ教えてあげましょうということで——これはもう通常の教習外のことでございますから、教習はもう終わっておりますから、それについてこういうことを教えてほしいという場合には教えてあげるようにしたらどうか、それは従来もうすでにそういうものが、いままでも教習生のためを思って自主的にやってこられたずっと過去の歴史が、四十四年からの歴史がございまして、そういうことが可能であれば教えてあげてください、こういうことになっておるわけでございます。
  120. 小川仁一

    小川(仁)分科員 いままでの分は自発性ですから、これはあくまで個人対個人の問題です。ただ、あなたがやるようになりますと、これは一つの制度になります。教習所というものが責任を持った一つの制度です。こうなってまいりますと、いままでの自発性とは違って、あらゆる条件がそこに整備されなければならなくなってくるのではないか、こう考えるのです。ですから、制度上やらなくてもいいこと、あるいはやるべきでないこと、これを警察権力でと言っては大変失礼ですけれども、交通事故からいろいろなものに対して、警察がドライバーに対する非常に大きな権威があるのをバックにして押しつけているという印象しか受け取れないのです。ですから、決して教習所ではなくて、その教習をやる指導員個人に頼むのではないのかと念を押しているのはそこなんですが、あくまで教習所ですか。
  121. 杉原正

    ○杉原政府委員 教習所に希望を申し出ておられるという実態でございます。
  122. 小川仁一

    小川(仁)分科員 どうも私の聞くこととあなたの答弁がずれるので、時間がないもので、まだ次の質問があるので大変気になるのですけれども、そうしますと、教習所が依頼を引き受けるという前提でおやりになっているとすれば、その教習所に対して、高速道路で教習をさせるような指導員、自動車あるいはそれに係る費用の徴収というものを認める、設備をさせたり認めたりするということになりますか。
  123. 杉原正

    ○杉原政府委員 これは、いまやられる場合には、希望のある向きについて高速に必要な学科、術科が中心になっておりますが、学科が一時間、それから術科が一時間ということになっておりまして、それに必要な料金というものは教習所で徴収をして教えてあげるということでございます。
  124. 小川仁一

    小川(仁)分科員 教習所の職員でも高速道路なんかで乗ったことのない職員もいるわけですから、非常に危険なわけですよ。そこで、たとえば教えてやる自動車自体に対するブレーキ設備その他、現在の設備でいきますと、低速、中速ぐらいのときは何とかなりますけれども、高速道路で助手席にいてブレーキをかけてとめるなんて非常に危険なことになるわけですよ。そういう設備等はどういうふうに教習所に義務づけるのですか。
  125. 杉原正

    ○杉原政府委員 いま指導しております高速道路での指導員は、現在おられます技能指導員のうちで、技能指導員としての経験とか高速道路での運転経験からして、教習所の管理者が適任者であるとしてあらかじめ指定した者だけにやってもらうということになっております。  それから、確かに先ほどおっしゃいましたような高速道路でのブレーキというのは非常に危ないあれでございますので、時間帯等を、先ほど申しましたように、道路の条件それから気象条件というふうなものを見ながら、またスピードも、追い越しなどは一切させないという前提で、それぞれスピードなども調整をしながら教習をしているということでございます。
  126. 小川仁一

    小川(仁)分科員 私が聞いたのは、ブレーキのことを聞いているのですよ、ブレーキ設備等をどういうふうにするか。いま指導員は助手席に乗っていてブレーキをかけますね。あれは低速、中速まではきくようになっていますよ。高速道路というのは追い越しはしなくても、あそこで三十キロや二十キロで走られたらあたりがえらい迷惑でしょう。時間帯にしたって、一台も走ってない時間というのはないのですからね。そういうときに、一定のスピードで走っているときにブレーキをかけた場合に、そのブレーキがきかないという事実があるわけです。そういう設備とかいろいろなものを教習所に義務化させるのか、こう聞いているのです。  それから設備は、ブレーキはどういうブレーキを取りつけるのか。
  127. 杉原正

    ○杉原政府委員 まず、私ども、これは義務づけの段階として考えておりませんので、これを制度として義務づけるような場合には、その教習の車両というものにはどういうものの装置がなければならぬとかなんとかということを全部あれすることになると思います。ただ、こういう個々のドライバーについて非常に慎重な形でやっておりまして、過去七万人がこれは教習をしておりますが、自分の責任での事故というのは全く今日までございません。それだけにやはり慎重に、しかも自分の卒業生に対して何とか措置をしてやろうという善意から出てきている措置であるというふうに考えております。
  128. 小川仁一

    小川(仁)分科員 ブレーキは危険だということを前提にして、しかも任意の段階だから義務づけないんだとしておいて、しかし、やらせるのはやらせる。非常に危険だと思いませんか。これは命にかかわりますよ。したがって、私は、義務づけないでおいてやらせるということ自体の方に問題があるのじゃないか、こう思うのですが、この点はどうですか。
  129. 杉原正

    ○杉原政府委員 要するに、管理者の方でやってやろうという体制のもとでやれるときにやってやるということになっておりますので、私どもちょっとそれ以上のあれを考えておりません。
  130. 小川仁一

    小川(仁)分科員 どうも聞いてみますとますますわからなくなって、大変危険だということだけはわかってまいりましたが、仮にそのブレーキ、十分設備をしてないブレーキで助手席に乗っておりまして事故が起こった場合の事故の責任者は、普通免許状を持っておるから教習生自身ですね。そして、指導員には事故責任はございませんね。
  131. 杉原正

    ○杉原政府委員 一般的にはそうだと思いますが、個々の状況によると思います。
  132. 小川仁一

    小川(仁)分科員 普通免許状を持っている人がやっているのですよ。そばに乗っている者に個々のケースでも責任があるという場合があるのですか。
  133. 杉原正

    ○杉原政府委員 教えている状況の問題でございますので、個々の例に照らして判断することしかないと思います。
  134. 小川仁一

    小川(仁)分科員 そして、同時に事故には補償がかかわります。非常に大きな補償金等があるのですか、教習所に対してそういう補償金等をかけさせるような指導をしておりますか。
  135. 杉原正

    ○杉原政府委員 現在は、この補償金の問題につきましては個々の教習所の措置にまっておるということでございます。
  136. 小川仁一

    小川(仁)分科員 お聞きすればするほどどうにも危なくてしようがないという感じ。補償金も個々の教習所かやるというから、ない場合——ないということはないだろうけれども、非常に低額の場合もある。ブレーキの装置は義務づけないから、それで、そこの中で安全にやれと言う。しかも、普通免許状を持った者のそばに乗っていても、事故が起きた場合には、ケースによっては指導員にも責任が来る、こうなってまいりますと、私は高速道路であるがゆえに非常に危険である、こう考えますので、この通達は当然撤回されるべきものと考えます。  それはあなたは、なるべく車がいない時期をねらってとおっしゃるけれども、後ろから来たり横から来たりする車は、別に教習所に断ってやってくるわけではないのだから、どんどん後ろから三台も五台も来る場合もあるのですよ。そういう中で、いま言った条件でやらされるということは指導員にとっても大変危険なんです。したがって、かなり心理的強制力を持ち、しかも料金まで取るという形でやられるようなこの計画は撤回されるのが国民の命を守る上から大事だと思うのですが、この点どうですか。
  137. 杉原正

    ○杉原政府委員 運用には従来どおり慎重な運用をしたいと思いますが、いまこの通達を撤回するつもりはございません。
  138. 小川仁一

    小川(仁)分科員 命にかかわるような問題の事故が発生するという状態があっても、あなたは撤回する意思はないのですか。国民の命にかかわるのですよ。
  139. 杉原正

    ○杉原政府委員 そういうことにならないように運用に努めてまいりたいと思います。
  140. 小川仁一

    小川(仁)分科員 ならないようにという話になれば、これは何でもそういう話で終わってしまいますよ。そうではなくて、現実、全国で何十カ所、何百カ所と行われる状況の中で、いま言った危険な状態になるというのですからね。こうなりますと、あなたの方もおわかりと思いますが、これは指導員の方では非常に重大な労働条件の変更になるということはおわかりいただけると私は思うのです。そうなりますと、当然これは労働組合と経営者との協議が成立しないうちは実施できないものと考えておられますかどうか。
  141. 杉原正

    ○杉原政府委員 教習所というのは管理者と教習員から成り立っておりまして、教えるのは教習員でございますから、教習所としてそういう適当な教習員がいない、車両もないということであれば、できなくなるということになると思います。
  142. 小川仁一

    小川(仁)分科員 時間がなくなってしまいますので、もう一遍聞きますが、教習所にいる指導員の労働組合があるわけですよ。その労働組合の組合員は、教習所のいままでの労働条件、時間にしても、賃金にしても、教え方にしても、そういうもので契約をして仕事をしているわけですから、これに新たなこの部分が加わるとすれば、これは労働協約の変更になるわけです。したがって、組合と協議をして協約が変更になった以後でなければこういうことは実施できない、そう考えますが、これは労働基準法その他の法律の関係からです。労働省から聞くまでもなく、あなた方の見解をお聞きしたい。
  143. 杉原正

    ○杉原政府委員 内部の関係は別にしまして、こういうふうな形で可能であればやってもらえないかということでお願いをしているものでございまして、内部的な問題は私ども直接タッチはいたしません。
  144. 小川仁一

    小川(仁)分科員 私は法律解釈論で物を聞いているのですよ。一つ一つの、組合と会社とのこれがどうなっているなんということを聞いているのじゃない。労働組合法というのは労働省から聞かなくても皆さんおわかりのはずだ。そうなると、いま言った御答弁では私の質問に答えたことにはならないから、もう一度明確に答えていただきたい。
  145. 杉原正

    ○杉原政府委員 教習所の管理者に対してそういうことをお願いをしておりまして、それをどのように内部的に処理をされるのかというのは、個々の教習所の問題であろうというふうに思っております。
  146. 小川仁一

    小川(仁)分科員 どうも時間がなくなってしまいまして、この問題は後でいずれ改めて、労働法の関係を含め、それから人間の命にかかわる問題ですから、御質問を申し上げますから、先ほど来幾つもすれ違いの御答弁がございましたが、今度は議事録を読んでおいていただいて私の質問にきちんとお答えできるように御準備を願っておきたい。  最後に大臣にお伺いしますが、こういう人命にかかわる事故が起きるような形で一つ行政が、お願いという形で心理的強制がされている。行政のあり方として、このような行政というのは大変まずいんじゃないか、そう私は思います。出した者自身が無責任で、しかも下では現実に命にかかわる事故が起こるかもしれない、それを防止するような義務的なものとしての設備、施設もやらない、ただお願いしているだけ、こういう行政のあり方ということについて、大臣の御見解をひとつお伺いしたいと思います。
  147. 加藤武徳

    加藤国務大臣 私は通達の内容をつまびらかにはいたしておりませんが、いまの御質問に対して交通局長が答弁いたすのを聞いておりまして、強制するものではございませんで、任意の処置としてやり得るならやっていただきたい、かようなことでございますし、また教習を受けます教習生がすでに免許証を持っておりまして、そして教習を受けなくても高速道に出得る資格を持っておる者でございますから、その者が不安であるから高速道に出る前にいろいろ教えてもらいたい、かような希望がありますならば、教習所としてはその希望に沿い得るような体制をとってよろしゅうございますよ、かような趣旨の通達と判断をいたしたのでございますから、こういう通達を出しましたのは、教習所が、こういう希望があった場合にどうしたらいいんだろうか、かような疑念等がありまして、むしろ親切な通達を出したのではないだろうか、かような感じを私は持っておるようなことでございます。
  148. 小川仁一

    小川(仁)分科員 事実をよくお調べを願いまして、実態をよくごらんをいただきたい。事故が少ないからとか、一件しかないからとかということでそういう仕事をやらせるということは、非常に行政的には問題があると思う。事故がないということを前提にした通達でなければ、どんな善意の通達であってもこれは非常に大変なことになると思いますので、大臣も、そして警察庁の方でもお考えを願っておきたいと思います。  終わります。
  149. 笹山茂太郎

    笹山主査 これにて小川君の質疑は終了しました。  次に、井上一成君。
  150. 井上一成

    井上(一)分科員 私は、まず地方財政について若干の質問をいたしたいと思います。とりわけ、地方財政は五十年度から大幅な財源不足に見舞われておるわけでありまして、五十三年度では三兆円の大台を超すという状態にあるわけであります。地方自治を何としてでも確立させなければいけないし、そういう意味ではいまこそ、小手先の対策ではなく、いわゆる三割自治ともあるいは一割自治とも言われる現行の地方財政制度を根本から見直すべき時期に来ていると考えるわけでありますけれども、この点についてはいかがお考えでしょうか、お尋ねをいたします。
  151. 加藤武徳

    加藤国務大臣 御承知のとおり、自治法施行後三十一年目に入っておるのでありまして、かような年数を経過いたしながら今日なおかつ、地方自治の本旨が顕現できておるかといいますと必ずしもそうではないのでございます。私どもはあらゆる機会に、地方自治発展のためには地方団体自主性を高めていかなければならぬ、こういう考え方で対処いたしてまいっておるのでございますけれども、御指摘のように昭和五十年以来毎年財源不足が生じまして、五十三年度におきましては三兆円を超える不足額が生じた、かようなことであります。この不足財源を完全な形において埋めはいたしましたものの、その埋め方に関して完璧なものとは言いがたいのでありますから、このことをもって地方自治自主性の体制が十分にできた、かようには思っておらないのであります。
  152. 井上一成

    井上(一)分科員 とりわけ、交付税の算定に当たって非常に実態から乖離したものがあるのではないか、こういうふうに私は思うわけであります。特に人口急増の地域の財政需要を的確に反映をさせるべきであり、当面は、用地費にかかわる義務教育施設債の元利償還の算入率を公社並みに十分の六に引き上げることが必要である、あるいは新たに保育所費、幼稚園費の費目を設けるべきであると考えるわけであります。あるいはさらに焼却場の排ガスの洗浄集じん装置の運転経費など、いわゆる清掃事業で特別に要した経費についても交付税の算定基準に入れるべきだと考えるわけでありますが、この点についてお答えいただきたいと思います。
  153. 山本悟

    山本(悟)政府委員 交付税の算定に当たりまして、特に財政需要の多い人口急増団体につきまして特別な考え方を持つべきではないかという一応の御主張であろうかと思います。ただ、交付税制度においては、御案内のとおり、基準財政収入額というものは標準税収入の二五%を留保しているというような点、あるいは都市計画税といったようなものにつきましては基準財政収入の計算から除外しているというような、それぞれの措置もなされているわけでございまして、いろいろな面で財政需要の実態を的確に反映いたしますことが必要でございますが、同時に、都市的な団体におきますところの、財政力のある団体におきますところのそういった別途の財源というものもある、こういうような両面からひとつお考えをいただきたいと思っているところでございます。  ただいま具体的にお申し述べになりました児童、生徒の急増市町村におきますところの義務教育施設の用地取得費の元利償還金の算入問題、御案内のとおりに、五十一年、それから五十二年度におきましてもそれぞれ算入率を一〇%ずつ引き上げまして、なるべくそういった御希望に沿えるように努力をいたしているところでございますが、全体として申し上げますと、他の事業におきます用地費についての公債費はほとんど算入しない。これは土地でございますからその団体の財産になるというような配慮でございますが、そういったような問題、それから全団体に等しく適用されるという問題としては把握しにくいといったような点から申しまして、われわれといたしましても次第に上げまして、現在は御案内のとおり五〇%、半分まで持っていったというような段階であるわけでございまして、まあやはりこの程度、半分というのが一つのめどではなかろうかというような感じもいたしているところでございます。  それから、第二番目にお挙げになりました保育所並びに幼稚園に要する経費につきまして、より的確に算定ができるように測定単位を起こすというようなことを考えたらどうだという御主張でございまして、確かに測定単位を起こすということによりましてより的確な算定が可能になるという説もあるわけでございますが、また同時に、余り費目を多くいたしまして算定することは非常に複雑化につながるという、両説もあるわけでございます。御案内のとおりに、現在保育所それから幼稚園等につきましては、社会福祉費、それからその他の教育費におきまして単位費用を積算する、そしてまた措置児童の数あるいは園児の数を指標といたしまして補正係数、これは御案内の密度補正でございますが、それによりまして財政需要額の計算をするというようなことをいたしておりますので、ほぼ測定単位を起こすのと同様な効果のある、比較的的確な算定というものが可能になっているわけでございまして、全体といたしまして、算定項目をより多く起こすことの可否という問題もございますものですから、ただいまのような方法によりましてもほぼ的確な計算ができておるのではないかというように思っているところでございます。  それから第三番目にお述べになりましたごみ焼却場の問題、ことに排ガス洗浄装置の運転資金の問題があるわけでございまして、これは大阪府の衛星都市に非常に多い問題であると承知をいたしております。御案内のとおり、大阪府におきましては条例による上乗せ規制というような関係もございましてこういうようなことが行われているわけでございまして、そういうような問題から申しますと、地方団体の標準的な財政需要に対応いたすための普通交付税というものとの関連から申すとそれを基準財政需要額の中に入れていくというのはいささか困難じゃなかろうか。全国的な規模によりまして、全国的な標準によっての行政というところまでが基準財政需要額の中に算入し得る限度でございまして、それ以上の問題となりますと、個々の団体の財政状況というようなものも勘案しながらの別途の考え方というものをとっていかざるを得ないのではなかろうかというように存じております。
  154. 井上一成

    井上(一)分科員 とりわけ大都市、ことに人口急増地域では、義務教育施設整備に伴う地方債のうち、金利の高い縁故債の金利負担が地方財政圧迫の一つの大きな原因にもなっているわけであります。このために、義務教育施設整備事業借りかえ債の枠を新設して、全額政府資金による縁故債の借入措置をとるべきである、こういうふうに思うわけであります。また当面は、縁故債については利子補給制度を十分に確立することも必要であろうかと考えるわけでありますけれども、この点についてはいかがお考えでしょうか。
  155. 山本悟

    山本(悟)政府委員 人口急増地域におきます義務教育施設整備費債につきましては、現在は、五十二年度から義務教育関係の地方債につきましては全額政府資金ということがようやく可能になった段階でございまして、現在のように政府資金が非常に少ない、かつては地方債全体に対しまして六〇%まで政府資金であったわけでございますが、現在は四〇%弱、これは財政投融資関係におきまして非常に需要が多く、政府資金かなかなかそれに対応できないというような点から出発いたしているわけでございますが、そういうような状況下におきましては、新規に起こされます義務教育関係が全部五十二年度から政府資金になったということが大きな進歩の点でございまして、過去におきます借りかえまで全部政府資金で借りかえるということは、非常に困難が伴うのじゃないかと思っているわけでございます。  なお、御案内のとおりに、先ほども御議論に出ましたように、義務教育関係の地方債の建設費に係るものにつきましては六〇%、用地に係るものにつきましては、急増地域だけでございますが、生徒急増地域の用地費分につきましては五〇%、それぞれ基準財政需要額に計算をいたしまして交付税措置をいたしているところでございますので、そういう意味から言えば、利子補給以上の手厚い財政措置をしているということが申せるのじゃないかと思うわけでございます。  また、個々の団体につきまして地方債の利子補給という制度をとりますことは、例の零細補助金の問題と申しますか、補助金の手続の繁雑さというような点から申しましても別な意味の問題点もあるわけでございまして、ただいまのように、建設費については実際の元利償還金の六〇%、用地費が急増分については五〇%、交付税の中に計算されているというような状況下におきましては、よりよき状況を考えまして、政府資金をより手厚くできるか、あるいは交付税措置がより手厚くできるかというようなことにおいて努力することは可能といたしましても、利子補給そのものを取り上げることは、どちらがいいのかなと、ちょっとそういう意味で疑問に思っているところでございます。
  156. 井上一成

    井上(一)分科員 さらに、私は超過負担の問題でお尋ねをいたします。  これはもうまさに、私から多くを語る必要がないわけでありますけれども、超過負担は国と地方自治体の財政秩序を乱す。そればかりではない、地方自治そのものを空洞化する一つの大きな原因になっているわけであります。もちろん自治省当局が超過負担解消を目指して御努力をいただいておることについても、私は一定の評価を申し上げたいわけでありますが、なおまだ今日超過負担が大きく地方財政を圧迫しているという事実、国はその責任において完全解消を図るための具体的な施策というものをどのようにお考えなのか、また同時に、過年度分の超過負担についても、超過額の著しいものについては何らかの補償措置を講じていくべきである。そういうことが困難だということになれば、少なくとも今後超過負担を生じないような努力が必要であり、具体的には、そのために特に私は標準仕様、標準設計を明確に設定すべきであるという意見を持っておるわけであります。これを含めて、超過負担解消のための努力、対応というものをお聞かせいただきたいと思います。
  157. 山本悟

    山本(悟)政府委員 国庫補助負担事業に係りますところのいわゆる超過負担の問題でございますが、これは基本的には何しろ国、地方の財政秩序を乱すものでございますので、早急に是正しなければならないことは御指摘のとおりでございます。このような考え方に立ちまして、従来から政府といたしましては超過負担の問題を解消すべく取り組んでまいってきたところでございまして、各種の対策を各年度にわたりまして努力を積み重ねてきているところと存じております。  ただいま具体的に御指摘になりました標準仕様、標準設計といったような問題にいたしましても、何が超過負担だということについての議論の一番出発点になる問題であるわけでありまして、これがなくて本当の意味での議論にはならない。実際に各団体がある建物なら建物をお建てになりました場合に、支出されました額と、補助金の額との差が超過負担だ、こういう論理になりましても、それはなかなか政府側としてもそのとおりだということにはならないわけでございますが、少なくとも、ある建物について補助をするのに、こういう設計、こういう仕様なんだということもなしに、ただつかみ金でもって金を出して、それが三分の一とか三分の二とかいうのでは本当のところは話にならない。それは一番基本の問題の御指摘であったと思うわけでございます。そういうような意味で、たとえば、従来警察署とか保育所とかいうものにつきましては実はこういうものもなかったわけでありますが、各省庁間の共同の調査によりましてそういうものを解消しようということで、いま申し上げましたような警察署なり保育所なりというものにつきましては、五十三年度におきまして標準仕様を作成をいたしまして補助金の基準の明確化を図った、そして五十三年度に計上されました予算からはそういうものに従ってそれの何分の一を国が負担をするということが明確になる。やはりそれぞれの項目につきましての進歩、前進であろうと思っているわけでございます。そういうようなことによりまして、そのほか各種の人件費補助につきましての対象の問題とかいろいろございますが、そういったものを各年度、可能なものを取り上げてまいりまして、明年度で申し上げますと、事業費ベースにおきまして九百三十億、国費ベースで約五百五十億の超過負担の解消を図っているというようなことでございまして、そういう意味での努力というものは今後とも重ねていかなければならないというように存じておるところでございます。
  158. 井上一成

    井上(一)分科員 努力をなさっていらっしゃるということについては理解をするわけですけれども、まだまだ実情というものは超過負担完全解消にほど遠いということも十分御認識をいただいて、ひとつさらに超過負担解消に向けて最善の努力をお願いしたいと思います。  さらに、事業所税については、課税団体の制限を廃止して、課税するかいなかは地方公共団体自主性にゆだねるべきではないだろうか。少なくとも人口の規模ではなく集積の度合いによって課していくべきである、こういうふうに考えるわけです。この点についてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  159. 森岡敞

    ○森岡政府委員 事業所税は、人口、企業が集中いたしまして、都市的な施設整備が急増するという特殊の市町村を課税団体にしておるわけでございます。資産割、従業者割という形のほかの税とは違った課税の仕組みをとっておる税で、事業に対してはかなりの負担になっておることは事実でございます。この種の税を、ある団体では課税し、ある団体では課税しないということになりますと、これは全国的な企業の負担のバランスという点からいっていかがなものかという問題があろうかと思います。そういう意味合いで、一定の都市を課税団体として定めておるわけでございます。そういう意味合いで、任意にするということは税制のあり方として不適当ではないかと私ども考えております。  次に、課税団体の範囲をどう線引くかということでございますが、確かに、基本的な理念といたしましては集積の度合いというものを考えるのは当然のことだろうと思います。その場合に何を物差しに使うかということになりますと、やはり客観的な手法としては人口というものが、集積の度合いを示す一般的な基準としては最も合理的ではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  160. 井上一成

    井上(一)分科員 それでは、現在の人口による度合いを、さらに対象を拡大をしていくというお考えはお持ちでしょうか。
  161. 森岡敞

    ○森岡政府委員 最初発足いたしましたときには、御承知のように人口基準は五十万以上でございました。翌年それを、地方公共団体の大変強い要請もございまして、三十万に引き下げたいということで税制調査会に諮りましたところ、税制調査会の中では大変異論がございまして、それを何とか押し切って税制調査会の御答申を得て三十万に引き下げたわけでございます。そのとき、調査会では、今後人口基準を引き下げるのは非常に慎重に扱えという注文がついております。今後の問題でございますので、いま少しく時間をかけて検討してまいらなければならぬのじゃないか、かように思っております。
  162. 井上一成

    井上(一)分科員 私は、やはり人口規模で一つの枠を決めていくということについては疑義がある、こういうふうに思っております。五十万が三十万になったということですけれども、三十万都市、三十万の人口に満たない都市の中でも、集積の度合いから考えれば当然課せられるような事業所に対しても課せられないということになりますし、これはひとつ十分御検討をいただいて、今後の課題として私は期待をしておきます。  さらに、固定資産税、都市計画税は一定規模以下の居住用の土地、農地あるいは中小零細企業の事業用の土地等については基礎控除の制度の導入を検討すべきである。さらに、大企業等の所有する土地については不均一超過課税が可能となるよう法解釈の変更を、あるいは法解釈の変更が困難である場合には法そのものの改正を行うべきである、このように思うわけであります。このことについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  163. 森岡敞

    ○森岡政府委員 基礎控除という制度は、これは申し上げるまでもないことでございますが、所得に対する課税をいたします場合に、最低限度必要な生活費等を控除して、それは課税の対象から外していきましょうという基本的な考え方に立つ制度だと考えております。そういう意味合いでは、物税であります固定資産税には基本的にはなじまないというのが従来からの一般的な考え方であろうと思います。ことに市町村税でありますので、仮にこの制度を導入しますと、一カ市町村に相当の資産を持っておる方と分散して持っておる方との税負担に、非常にバランスを失してしまうわけでございます。そういう実際上の問題もございますので、物税であります固定資産税につきましては、やはり基礎控除というのはなじまないというふうに考えておるものでございます。  それから、大企業等の所有しております土地について超過不均一課税ができるようにしろという御指摘でございますが、固定資産税の基本的なたてまえとしては、資産の価値に応じて一定の比例税率で比例的な負担を求めるということでございますから、所有者がだれであるかとか、あるいは資産の大きさによって税率に区分を設けるということは、税の本来のたてまえとしてはなじまない。同時に、実際問題として、基礎控除のところで申しましたように、分散して持っておる場合とそうでない場合とで負担にアンバランスが出てしまう、こういうことがございますので、お説ではございますが、固定資産税のあり方としては超過不均一課税というような仕組みは本来はなじまないというふうに考えておるわけでございます。
  164. 井上一成

    井上(一)分科員 私は、資産そのものの価値に対する課税、十分理解できるわけですけれども、先ほども申し上げたように、一定規模以下という条件の中で、それも居住用あるいは中小零細企業の事業用の最小限度の資産ということの枠を決めた中で検討すべきであるということと同時に、不均一超過課税も今後さらに前進した取り組みをしていただくことをお願いしておきます。  そこで今度は、国有資産等の所在市町村交納付金制度は、市町村の固定資産税の課税の代償措置として現行制度があるわけでありますが、きわめてこれは不十分である。その実態を見直して、今後制度の改善を図るべきではないか、図るべきである、こういうふうに考えるわけです。この点についてはいかがでございましょうか。
  165. 森岡敞

    ○森岡政府委員 いわゆる交納付金制度の中で、交付金といいますものは、固有財産あるいは地方公共団体の公有財産の中で第三者に貸し付けておるものとか、あるいはその他の一定国有林野の土地でありますとか、そういうものを選んで、地元の財政需要も考えながら固定資産税相当額を納めてもらっておる。この仕組みは、お説ではございますが、固定資産税の代償措置として、制度としても中身としてもほぼ完全な機能を果たしておるのではないかというふうに私は思います。国有財産台帳価格を使いますので、古いものは安い価格、新しいものは高い価格という問題があるではないかということは一つございますが、これについては価格の修正要求が市町村からできることになっておりまして、それが出ました場合には適切な修正をしなければならぬことにいたしておりますから、そういう是正措置も含めて考えていただきますと固定資産税に相当する税収を付与しておることになると思います。  それから、納付金は三公社の資産でございますが、これも制度といたしましては全体の二分の一にしておるという問題はございますけれども、そこは三公社の公共性ということを考慮した上での特例でございますからこれはやむを得ない。そうしますと問題点は、やはり土地の分について古いものと新しいものとの間で台帳価格にバランスを失する、そこのところの是正をどうするかという問題が一つありますが、それ以外は大体において十分機能しておるものではないかと思います。その土地の問題につきましては、いま鋭意三公社と協議をいたしまして、適切な是正を行うように努力を進めている次第でございます。
  166. 井上一成

    井上(一)分科員 納付金についても三公社と協議をしていらっしゃるということですが、実態は、地方自治体にとっては非常に低い額であるということもここで特に私から申し上げておきたいと思います。十分に今後配慮すべき課題である、こういうふうに思います。  最後に、日本道路公団等の有料道路については、地方制度調査会答申によっても「道路利用の実態、料金プール制の導入、関係市町村に与える財政上の影響等にかんがみ、固定資産税等の負担を求めることについて、」「所要の措置を講ずべき」と指摘をされておるわけです。ところが五十三年度は所要の措置が講じられていないのであります。なぜなのか。あるいは五十四年度には何らかの措置を講じられるのか、この点について詳しくお答えをいただいて、私の質問を終えたいと思います。
  167. 森岡敞

    ○森岡政府委員 御指摘のように地方制度調査会等の答申もございまして、自治体といたしましては建設、運輸両省と、五十三年度をめどに結論を得るように鋭意協議を進めてまいりましたが、率直に申しまして、自治省考え方建設省の考え方意見の一致を見ることができなかったわけであります。そのようなことから五十三年度の解決は持ち越さざるを得なかったわけでございます。私どもはいままで政府部内で話し合いをやってまいりましたが、それだけではどうも十分な結論を得ることがむずかしいということで、学識経験者あるいは道路公団あるいは地方団体の代表を含めました委員会をできるだけ早くつくりまして、五十四年度に向けて結論を出すように努力をいたしたい。その委員会におきまして検討いたしますことは、一つは、高速道路の負担のあり方をどうするかという問題、いま一つは、個別的な地元対策について拡充できるものはできるだけ拡充するということ、その二点をこの委員会において鋭意御検討願って、五十四年度には適切な結論を得るようにいたしたい、かように思っております。
  168. 井上一成

    井上(一)分科員 最後に、地方自治体の十分なる財源確保のために格段の努力をいただくことを期待いたしまして、質問を終えます。
  169. 笹山茂太郎

    笹山主査 これにて井上君の質疑は終了しました。  次に、沢田広君。
  170. 沢田広

    沢田分科員 自治大臣にお伺いし、また同時に対策室長にもお答えをいただくことになると思うのです。自治大臣に、はなはだ失礼なことになるかと思うのでありますが、これから数点についてお伺いをしていきたいと思います。  自治大臣は前は首長でもあったのでありますから十分その点理解をされておると思うのでありますが、まず、世界人権宣言というものを御承知でしょうか。これも失礼な質問でありますが、特に第二条をごらんになったかどうか。それから憲法の「基本的人権」とあります第十一条についてもごらんになったかどうか。それから同時に、第十四条に差別の禁止という項目もございますが、これもごらんになったかどうか。これはイエスかノーかでお答えいただければいいのであります。  同時に、あなたが首長であった当時においてもそうでありますが、部落差別というものについてあなたはどのように認識をし、実態を把握されてきたのか、そして今日、自治大臣としてこれをどうとらえたらいいと思っておられるのか、その点、御見解を承りたいと思います。
  171. 加藤武徳

    加藤国務大臣 ただいま御指摘の世界人権宣言の第二条、また憲法の諸規定は承知をいたしております。  それから、明治初年後百年以上を経過いたしております今日、なおかつ差別問題が残っておりますことは私は非常に残念なことでございまして、それも歴史的には全くいわれのない徳川幕政下におきます差別が、その一部がそのまま今日まで残っておるようなことでございまして、全くいわれのないことでございます。それでありますだけに、一日も早くこの問題を解消しなければならぬのでございまして、かような趣旨から特別措置法も制定されたようなことでございます。しかし、なかなか完全な解決を見るに至っておらないのでありますが、自治省の立場からいたしますとなすべき多くの処置があるのでありますから、さようなことを総合的に進めまして、一日も早く差別のない社会をつくってまいらなければならぬ、かように考えておるところであります。
  172. 沢田広

    沢田分科員 なすべきことが多いというその第一に、措置法が延長されなければならぬということについては同意見とみなしてよろしゅうございますか。
  173. 加藤武徳

    加藤国務大臣 自治省が直接所掌しております法律ではなく、総理所管のために、私が申しますのはやや僭越かと思うのでありますけれども、十カ年計画で事業を進めてまいりましたにもかかわらずまだ相当量の事業が残っておる。若干前の統計を見てみましても、地方団体が希望しております四千数百億円というものが事業としては残されておる、かようなことでございます。ただ、特別措置法と同じような補助制度等がとられればいいではないか、かような意見が一部にはないでもないのでありますけれども、確かに法のありますことが事業を進め得る道であろうと思いますから、私個人の見解といたしましては、特別措置法は延長さるべきものであろう、かような考え方を持っておるのであります。
  174. 沢田広

    沢田分科員 それは自治大臣としてでもあり、同時に、現在の福田内閣の閣僚の一人としても同じ立場に立って主張される、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  175. 加藤武徳

    加藤国務大臣 自治省に関係は深うございますが、この特別措置法を所掌、主管しておりますのが総理府でございますし、かつまた予算委員会等におきましての総理答弁等を私は聞いておるのでありますが、いまこの段階で自治大臣という立場において、あるいは国務大臣という立場において主張いたすというところまでは考え方が固まっておらないのでございますけれども、少なくとも私個人といたしましては、延長さるべきもの、かような認識を持っておることを申し上げた次第であります。
  176. 沢田広

    沢田分科員 では、あなたが自治大臣になられて、地方自治団体が現在の措置法を適用していろいろの事業を行っておりますが、その事業の執行状況については十分だと思っておられますか、それとも不十分だと思っておられますか。
  177. 加藤武徳

    加藤国務大臣 政府といたしましては財政の許す範囲内において努力をいたしておる、かように私は判断をいたしておりますが、しかし、絶えざる努力にもかかわらず、いま進められておる程度の事業で十分かといいますと、必ずしも十分ではないと言わざるを得ないと思います。
  178. 沢田広

    沢田分科員 地方自治法には、百四十六条に職務執行命令という項目もございます。これは、各首長が執行を怠るものがあったときにはそれぞれその大臣が職務の執行の命令を行うことができる。加えて、二百四十六条の二には懈怠に対する監督、怠けた者に対する監督、こういう項目があるのであります。さらに二百四十六条には財務の監視、こういうことを権限としてあなたに与えられているわけであります。でありますから、今日までの事業の執行状況が十分でなかったとするならば、当然これらの条項が自治大臣としての権限において行われるか、あるいは行われようとするか、あるいは行おうとする努力をするか、何らか行われなければならなかったのではないか。同時に、そのことは自治大臣としての固有の義務であると考えますが、いかがですか。
  179. 加藤武徳

    加藤国務大臣 同和対策事業がスムーズに進まない多くの事例を私も承知をいたしておりますが、だからといって、都道府県市町村が懈怠でありますことが原因だとは思いがたいのでありますし、また、かような事業を執行してまいりますことの進捗度合が低いことによりまして職務命令等を出しますような、そういう状況ではないと私は思っておるのであります。しかし、かような規定がありますことはよく承知をいたしております。
  180. 沢田広

    沢田分科員 憲法で、先ほど述べたように基本的な人権、またそれぞれの条項に差別の禁止がうたわれておりますが、同和対策事業という言葉は、地方自治法の第二条の第二項のそれぞれの市町村団体が行うべき事業の中には明記はされておりません。しかし、その根底にあるものはやはり憲法であり、いま言われたようなものがその根底にあるわけでございますから、いわゆる対策事業ということではなくて、基本的に差別をなくすという観念あるいは意識というものは地方自治法の根底をなす一つ考えになければならぬものだと思うのですが、自治大臣はどうお考えになっておられますか。
  181. 加藤武徳

    加藤国務大臣 法に明定してあると否とにかかわらず、差別は断じてあってはならぬのでありますから、差別をなくします行政を強力に進めてまいりますことは当然のことである、かように承知をいたしております。     〔主査退席、川俣主査代理着席〕
  182. 沢田広

    沢田分科員 自治省設置法には、自治大臣はそれぞれの審議会にかけ、あるいは審議会項目がありますけれども地方財政審議会を含めて、こういう問題について自治省としては当然審議会にかけて、どう行っていくのが一番いいのか、そういう方法を検討する道もあるわけでありますが、その方法を検討される意思はありますか。
  183. 加藤武徳

    加藤国務大臣 ただいまの審議会という意味が私には明確にわからないのでございます。したがって、審議会にかける方がいいかどうかという御質問にもちょっと答えにくいのでございますけれども政府委員がその点を承知しておりましたならば答えさせたい、かように思います。
  184. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 同和問題につきましては、御案内のように総理府の方に同和対策協議会という一種の審議会が置かれておりまして、そこでいろいろ御論議がされておるところでございます。私どもは、この同和問題というのは単に一自治省というよりも政府全体が取り組む大きな問題でございますので、そこで十分論議されることを期待しておるものでございます。
  185. 沢田広

    沢田分科員 そこが違う。そういう形式を言っているのではないのです。私は、地方自治法という法律の中に、そういう差別をなくすという基本的な理念というものが生かされなければならぬ。その生かすという方法としてどうやったらいいか。それが、自治省設置法があるわけです。地方自治体地方自治の本旨に基づいて運営をされるわけであります。そういう、総理府に窓口があるから自治省は知らぬふりでいいという。それじゃ簡単に聞きますが、これだけの事業をやっているという実績報告を自治省では把握していますか。各種自治体がこれだけたくさんの事業をやってきているんです。いま四千何百億の残事業があると言っているのは、そう言われているから言っているだけの話です。あなたが実際に把握しているんですか、自治省として。あったら言ってみてください。
  186. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 この事業内容が関係各省にわたっておりますのでその取りまとめを総理府がやっておるわけでございまして、単独事業等についてはもちろん自治省はわかりますけれども、全貌ということになりますとやはり総理府が一括して取りまとめているという実情でございます。
  187. 沢田広

    沢田分科員 だから私は、地方自治法の精神の中に含まなければならない条項であると、こう言っておるわけです。形式的にどうだこうだというんじゃないのです。差別をなくすというその事柄は、地方自治法の一つの大きな柱にならなければならぬことじゃないか。そういう意味においての対応の仕方が少し甘過ぎないか、言うならばそう言っているわけです。あなたは、各省まちまちだからそれを全然把握しない。いわばその腹はないんじゃないですか。地方自治法の一つの骨格をなしているものだという考え方がないのですよ。あれば当然自治省としては、各省が幾ら縦割りでやっていようがいまいが、各自治体に、どうだお前のところの起債はどうだと、そういうめんどうを見ていくのが自治省のあり方じゃないですか。総合調整を図るということはそういうことじゃないですか。おまえのところはちっと足らぬじゃないか、もう少し励んだらどうだとか、おまえのところは、もっと起債を加えてやるからもう少し仕事をやったらどうだと言うのがあなたの方の仕事じゃないんですか。あるいは、建設省は足らないからふやしてやれと、窓口になって折衝してやるのがあなたのところじゃないのですか。その法の考えをいま聞いているんですよ。どうですか、その点は。
  188. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 同和対策のそれぞれの事業につきましては、地方団体がいろいろ計画いたしまして、補助金のつくものは各省を通じて補助金等が流れるわけでございまして、それに伴いまして当然地方負担というものも生じるわけでございますが、その地方負担等につきましては、御承知のように起債は一元的に自治省で取り扱っておりますので、私ども、そういった面での十分の財源は把握していきたい、こう思っております。
  189. 沢田広

    沢田分科員 まだ官僚的な答弁が抜け切らない。大臣地方自治法の本旨の中に、憲法で規定された、差別をなくすという、その基本の理念というものは地方自治の中にあるんでしょう。どうですか、あるわけでしょう。
  190. 加藤武徳

    加藤国務大臣 先ほどお答えいたしましたように、法に明定されていると否とにかかわらず、地方団体といたしましてはその地域に住まっていらっしゃいます方々みんなの幸せをこいねがっていき、地域発展を図っていかなければならぬのでございまして、差別をなくいたします同和の仕事もまた当然地方団体として一生懸命にやっていかなければならぬ仕事だ、かような認識であります。
  191. 沢田広

    沢田分科員 事務官僚にいま大臣が答えられたことをよく銘記してもらって、いわゆる地方自治法の一つの柱なんだ、それが一つの基底になっていくんだという立場に立って、いままでの悪かったところは別にとがめることはせずとも、今後はその姿勢がなければならぬということをいま大臣が言われたのだと思うが、よくこの点は銘記しておいていただきたいと思うのであります。  そこで、起債についてだけはめんどうを見ます。ということだけではどうにもならないのです。現在まで予算委員会の中でも質問をされているわけでありますが、いま延長ということについては大臣も同意見であったようであります。延長をされるとしたとしても、いまのままでいって、自治省として考えてどの程度の年限を必要とすると考えておりますか。
  192. 山本悟

    山本(悟)政府委員 財政の立場から申し上げますと、同対法に基づきますところの事業につきましてまだ相当程度残事業があるというように承知をいたしておるところでございまして、そちらの方の立場から言えば、相当程度の同じような措置あるいはそれ以上の措置というものが行われるような状況が続かなければ、なかなか事業分量というものの解消ができないのではないかというよう  に判断しているところでございます。
  193. 沢田広

    沢田分科員 相当、相当と言われますが、相当というのにもいろいろな解釈があるわけなんですが、十年ぐらいというのも相当だし、二十年というのも相当だと思うのですけれども、どういう意味の相当なんですか。
  194. 山本悟

    山本(悟)政府委員 具体の問題といたしまして何年というようなところまではじけるわけでもございませんものでございますから、現状において各地方団体からいろいろとお話を伺っているような状況から言えばまだ相当期間、これも先ほど申し上げましたように具体的に何年ということをはじいたわけではございませんものですから、申しわけございませんがそういうお答えで御了承を賜りたいと存じます。
  195. 沢田広

    沢田分科員 こんにゃく問答をやっているわけではないのです。あなたが考えている相当というのはいつなのか、それを言ってください。
  196. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 同和事業の残事業量がどの程度であるかということの把握はなかなかむずかしいわけでございます。御案内のように、五十年に調査いたしました時点、その単価ではじきまして一兆二千億と言われたわけでございますが、五十年から五十二年度までに消化した分、それに五十三年度の予算で計上しておる見込み額、そういったものを合わせましてもなお四千六百六十八億残るというようなことでございます。ちなみに、五十三年度の事業費の現在の予定は二千六百億というようなことでございますので、このペースでいきますと、この事業を消化するだけでもあと二年とかいうようなものは当然かかるわけでございますが、先ほど申しましたように、この調査時点の事業量はこれでいいのか悪いのかという問題が一つございますので、なお相当の事業量が残っておるということだと思います。
  197. 沢田広

    沢田分科員 では、いま言った最低限度を超えてみても数年間は要するというふうに解釈して間違いないと思います。  そこでもう一つ、これは大臣にお伺いをするのですが、事業の問題ではなくて、その思想の問題が大切だということを私はさっき言ったわけであります。地方自治法を改正してでも、憲法で規定をされている差別、また同和対策というものについて、地方自治体の固有の事務として明記していくことが必要なんじゃないか、こういうふうに思うのですが、この点は大臣はどう考えておられますか。
  198. 加藤武徳

    加藤国務大臣 地方団体がやってまいります仕事の中には、法に明定されておりますものもございますし、またそうでないものもあるのでありまして、したがって、私は先ほど法に規定してあると否とにかかわらずという言い方をいたしたのでございますけれども、明確に同和対策事業なるものが明定されておらないといたしましても、そのことによって、この事業を取り運んでいき差別をなくしてまいりますことに遅延があってはならぬ、かような考え方を持っているのであります。
  199. 沢田広

    沢田分科員 では話を変えます。  十条指定は二割程度しかない。自治省としては十条指定というものをもっと拡大していく、こういう必要性はあると思っておられますか。
  200. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御指摘の十条指定の問題でございますが、御案内のとおり、十条関係で国庫が支出をするもの、そしてそれの地方負担につきまして措置をするものというものにつきましては、議員立法でされましたときの経過というようなものがありまして現在のような状況になっているところでございます。この同対事業というものをより一層進めていきますためには、何と申しましても国費の大幅な増加というものが必要なことは御案内のとおりでございます。自治省といたしましては常にその国費の増加というものにつきまして要請をいたしているわけでございまして、毎年のようにそれぞれの時期におきましては、事務次官から各省に対しましてその同対事業につきましての国費の増加につきまして要請を申し上げている、そういうような状況が続いているわけでございます。単純に地方財源という中からこれを処理いたしていこうといたしましてもなかなか困難な問題でございますので、十条の対象になります事業というものが国費の段階におきましてより一層増大し、したがって当然にその地方負担も十条関係として処理ができるようなことに持っていくことが、同対事業全体をスムーズに遂行していくためにぜひとも必要なことではないかというように存じているところでございます。
  201. 沢田広

    沢田分科員 それは考えはわかりますが、いま、いままでの実績として低いと思っているかどうかということを聞いているのです。二割では十条指定は低いのじゃないのか、もっと温かみのある方法がとられるべきじゃないかという問いに対して答えてください。そういうことを聞いているのじゃないのですから、時間が私は限られているのですから、何とか言っていれば、時間がたったらいいだろうと思っていたら困っちゃう。二割は低いと思いませんか、どう思っているのか、それを率直に答えてください。
  202. 山本悟

    山本(悟)政府委員 二割というのは確かに単独事業が多いということを一方では示しているわけでございまして、その意味から言うと、国費をふやすことによってそういう事態が解消されることをこいねがっている次第でございます。
  203. 沢田広

    沢田分科員 続いて、措置法六条に基づく国庫補助事業になっていないものが相当たくさんあるわけです。これについて努力をする意思はありますか。
  204. 山本悟

    山本(悟)政府委員 ただいまお答え申し上げましたように、毎年度のように事務次官名等をもちまして各省に申し入れをいたしておりますものはただいま御指摘のあったところでございまして、そういったものにつきましては国費の対象範囲を広げるということによって、地方団体としても非常に苦しい中から単独事業をやっているわけでございますから、それの解消になるように努力をしていきたいと存じます。
  205. 沢田広

    沢田分科員 以上で同和問題については質問を終わりますけれども大臣も閣僚の一人として、総務長官の言われたようにこのことがいわゆる放言にならないように、公約になるように願って、特に最善の努力をしていただきたいと思います。  次に、地方交付税法第六条の三第二項の規定をどう解釈しておられるのか。もしこれから調べるのでしたらば後でお答えをいただきます。  第二の問題に行きます。地方債の金利を引き下げる必要性があるのではないか。お答えいただきたいと思います。
  206. 山本悟

    山本(悟)政府委員 地方債の金利でございますが、昨年来たびたびの公定歩合の引き下げというような措置によりまして、現在は比較的低金利というような時代を迎えているところでございます。例の市場公募の金利も政府資金に比べまして〇・二%程度上というような段階までになっているわけでございまして、そういう意味では、現在のように金融が緩んでいる時期におきましては比較的金利は下がっているというように存じております。ただ、政府資金に比べますとなおやはり高いわけでございまして、私どもといたしましては、なるべく政府資金なりそういったような良質の資金というものによって地方債の措置ができるように努力をいたしてまいりたいと存じております。
  207. 沢田広

    沢田分科員 あなたの回答は少し長過ぎる。金利を下げる必要はないか。必要があるならあると答えてください。言いわけは別です。  それから、知事をしておられた大臣は、直轄事業負担金が非常に地方財政を圧迫していると思っておられたと思うのです。直轄事業負担金であります。国道、河川あるいは道路の掃除、草刈りに至るまで地方自治体はその負担を負っているわけであります。国が行うべき事業は国が当然負担するべきでありますから、この直轄事業負担はやめるべきだ、こういうふうに思いますが、大臣はいかがでしょう。
  208. 加藤武徳

    加藤国務大臣 地方でやります事業にも国が助成をいたしておりますし、また直轄事業はその地域地域に利益をもたらすことも多いのでありますから、私fいまの制度はやむを得ない制度だ、かような考え方を持っております。
  209. 沢田広

    沢田分科員 直轄事業負担金は、ときによりますと内容的にはある程度審査をされるべきではないか。県道は全然手が出ない。しかし、たとえば国道の掃除、ガードレールの洗浄まで直轄事業負担金がかかってくる。こういうことは正しいと思っておられますか。
  210. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御指摘のように直轄工事の負担金、特に維持管理の部分につきましては問題があるであろうと思っております。御指摘のようなことも一つでございましょうし、人件費の持ち込み方というようなことも一つかも存じません。そういうようなことでございますので、自治省といたしましては、建設省、運輸省等に申し入れをいたしまして、少なくともそういった分野につきましてどういうものが入っているのか、どういう積算であるかということにつきまして、それぞれの地方団体に内容を示せというようなことも申しておりまして、道路なり河川なり等につきましてはそういうことが本年度から行われてきているというようなことでございます。
  211. 沢田広

    沢田分科員 さっきの答え、できたら答えてください。
  212. 山本悟

    山本(悟)政府委員 交付税法の第六条の三第二項は、御案内のとおり、引き続き著しく多額な財源不足の場合には、地方行政または財政に係る制度の改正または交付税率の引き上げを行えという規定でございまして、そういう事態に該当いたします場合、すなわち、いま具体的に申し上げれば、五十三年度の地方財政で言えば三兆五百億円の財源不足でございまして、すでに四年目というようなことでこの規定に該当するということで考えまして、そのためのこの規定に合いました行財政制度の、ことに財政制度の改正ということで、交付税法の一部改正を御提案申し上げているところでございます。
  213. 沢田広

    沢田分科員 それで十分だと思っておられますか。
  214. 山本悟

    山本(悟)政府委員 この規定の精神から申しまして、この規定に該当しないということではもちろんございません。これに適法に該当しているとは存じますが、現在御提案申し上げておりますのは、何と申しましてもこういった経済情勢下でございますので、暫定の措置といたしまして御提案を申し上げているところでございます。
  215. 沢田広

    沢田分科員 それでは完全にこれは解決はしていない。では、いつごろこれを解決していく意向であるわけですか。
  216. 山本悟

    山本(悟)政府委員 現在の経済情勢というものが安定経済成長へ完全に移行いたしまして、また御案内のとおり、現在のような国、地方を通じまして大幅な財源不足というような状況を解消するということが必要なわけでございまして、そのためにはやはり国民の負担の増も含めまして物事を考えていかざるを得ないのではないかというようにも存じているわけでございます。その過程におきまして、国、地方を通じましての税源の増加というようなことが行われなければならないわけでありますが、そういう際には当然、地方の取り分と申しますか、地方の一般財源の増加というものを図ることによりまして解決をしてまいりたいというように存じておるわけでございまして、なるべく早くそういう機会が来ることを願っている次第でございます。
  217. 沢田広

    沢田分科員 時間がだんだん迫りましたが、地方交付税率を引き上げるということは当然の行為として行わなければならないんじゃないですか。特別のことだけをやらないで、地方交付税率を、現在のものをこの前の国会でも三四に変えたら否決をいたしましたけれども、これを当然変えていくということは、基本路線としてのあり方として考えていく道じゃないんですか。
  218. 山本悟

    山本(悟)政府委員 交付税を含めまして地方の財政の立場から申せば、一番希望いたしますのは自主財源の増加、要するに地方税としての税源の配分におきましてより増加をすること、これが第一の願いであるわけでありますが、それらを含めましてやはり地方一般財源の増加が必要である。その一般財源の増加の場合には、国税三税に対します交付税率の問題もございましょうし、あるいは新税等が起こされました場合には新税を交付税対象にするというようなことも考えられるわけでございまして、そういった問題を含めまして対処する必要がある基本的な改正であろうと存じます。
  219. 沢田広

    沢田分科員 最後に、これで質問を終わりたいと思いますが、総理府がこの同和対策事業の窓口にあるなしにかかわらず、自治省としても固有の一つの任務として今後これを扱っていくのだということが確認をされた。さらにまた、残事業の消化については相当の年月をさらに要するということが確認をされた。さらに、この四十九年度に行った精密調査の結果については、今後私の方に提示をしていただく意思があるかどうか、これもあわせてひとつお答えをいただきたい、このように思います。同時に、この措置法対策事業という事業だけでなく、そこにあります精神をひとつ自治省においても十分生かして集約されるよう、自治大臣に心から願って私の質問を終わりたいと思います。回答の部分は回答してください。
  220. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 四十九年度の精密調査の件につきましては、総理府と相談いたしまして善処いたしたいと思います。
  221. 沢田広

    沢田分科員 終わります。
  222. 川俣健二郎

    ○川俣主査代理 これにて沢田君の質疑は終了しました。  次に、佐野進君。
  223. 佐野進

    佐野(進)分科員 私は都市交通、特に公営交通問題について若干の質問をしてみたいと思います。  御承知のとおり、今日の都市交通事業、公営交通事業は大変な困難な状態に直面をしているわけでありますが、この困難な状況を発生した要件は主として社会的な問題としてあるわけでございまして、交通事業そのものの持つ内面的な努力は、自治省当局も大臣も御承知のとおり、ここ十数年にわたって厳しい試練の中に耐え抜いてきておるわけであります。しかし、この事業は、その持つ本質的なあり方からして庶民の足を守る。特定の人たち、いわゆる持てる人たちと言わざる庶民の足を守るというところにその目的があるわけでありまして、この事業の存続はきわめて重大な意味があろうと思うわけでございます。今日、きわめて厳しい情勢下においてその存立の基盤すら失われようとしておるところもあるようでございますが、大臣は公営交通企業に対してどのような御認識を持って対処しておられるか、原則的な立場をひとつ明らかにしていただきたい。
  224. 加藤武徳

    加藤国務大臣 いわゆる大衆の皆様方が利用いたしますものは、御指摘のように地下鉄であり、あるいはバスであり、あるいは国鉄であるわけでございますから、国鉄の場合は除外するといたしましても、かようなバスなりあるいは地下鉄はいわゆる公営企業としてやっていっておるものでございます。今日多くの公営企業が財政的に非常な苦労をいたしており、そういう中にも再建の意欲を持って努力をしていらっしゃる方々も多いのでありますから、自治省といたしましては、所掌のこと以外で運輸省のこともございますけれども、少なくとも自治省の所掌しております範囲内におきましては最大の努力をいたし、たとえば補助金でございますとかあるいは起債の償還でありますとかあるいは交付税計算でありますとか、各面にわたりまして努力をしていきたい、かように考えているところであります。
  225. 佐野進

    佐野(進)分科員 大臣も御承知のとおり、五十一年度決算で公営企業全体の累積赤字は四千二十七億円に上っております。特にバス事業だけをとりましても二千四十九億円という深刻な累積赤字を抱えながら公営企業が運営されておるわけであります。そこで私は、いま大臣のお答えにもありましたとおり、大衆の足を守るという立場において、この赤字が累積された公営交通事業をどう維持し運営していくかということに対しては、まさに深刻な事態を迎え続けてきておると思うのであります。  そこで、この問題が発生いたしました当初、第一番に対策を立てられたのはいわゆる路面電車の撤去であり、路面電車を撤去すれば公営交通事業が存続するかのごとき印象を与え、あるいはまたそれに基づくところの指導が行われたことは御承知のとおりであります。路面電車を撤去してしまったら今度はバス事業が赤字になった。そして今日、このバス事業に対して、これに対する合理化、路線再編成の名による廃止、いわゆるバス事業そのものの存続の基盤すらいま厳しい合理化の中で失われようとしておる。そうすると、マイカーを持たない、地下鉄もないというような地域等においては、庶民の足は必然的に失われていかざるを得ない状況下にあるわけでありますが、それが自治省のこの累積的な赤字に対する対策、いわゆる合理化を初めとする自治省内簡によるところの指導であるとすると、これは根本的に国民の期待、庶民大衆の期待に反する行政ということになるのではないかというふうに考えるわけでありますが、第一次、第二次の再建の経過の中で今日行われつつあるその対策に自治省としては誤りないのかどうか、この点をひとつ御見解をお示しいただきたい。
  226. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 すでに御案内のとおり、四十一年と四十八年の二回にわたりまして交通の再建をいたしたのはお話しのとおりでございます。四十一年のときの再建と申しますのは、一般的に見まして公営企業全体が大変赤字が多かったというので、この際何とかして解消しなければいかぬという趣旨に立脚したものであります。四十八年にやりましたのは、御案内のとおり交通に関します健全化を図るという意味で、法律をつくりまして、その中で助成をしてまいったわけです。ただ、この四十八年の法律をつくりました後に、御案内のとおりオイルショックがございまして、そのために、バス事業のみならず一般的な公営企業に赤字の波が押し寄せてきたことも事実であります。自治省といたしましては、実はこの二つの法律を構えながら全体的に公営企業をどういうふうに存続させていくか。私たちは、公営企業がむしろ住民の足になりましたり住民の福祉にたりまし太りいろいろな点で大変重要な役割りを果たしているわけですから、そういう観点から公営企業というものを存続させるのにどういうふうにするかというので、この二つの法律を実は制定をいたした経過があるわけであります。そういう点に立ちまして考えますと、いま交通の再建をやっております二十三団体がございますが、おおむねの団体では、最近の決算状況から見ましてよくなっておりますけれども、欠損金なりあるいは不良債務が出ております団体というのは特定の団体にかたまっているという感じがいたしますので、そういう点からもう少し効率的な指導をしていくことの方がむしろよろしいのではないか、かようにいま考えております。
  227. 佐野進

    佐野(進)分科員 いまのお答えで感ずることでございますけれども、そうすると、第一次再建はしばらくおきましょう。第二次再建は特定の地域を除いてはきわめて良好にこれが実施されつつある。したがって、その特定の地域と称するものがそれではどことどこなのか。除いてということですからきわめて少数であろうと判断いたしますが、お示しいただきたい。
  228. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 二十三団体のうちで非常に悪いと申し上げますと語弊があるのかもしれませんが、大都市がおおむね悪うございます。東京は四十八年の再建に加わっておりませんので、大阪でありますとか名古屋でありますとか京都でありますとか、そういう大都市がこの再建について計画どおりなかなか進まないので、非常に不良債務がたまっているという実情はございます。
  229. 佐野進

    佐野(進)分科員 したがって、私は、大都市がその対象になりつつあるということ、そのことの持つ意味を冒頭、大臣に質問いたしました。その置かれている条件が、その企業体なり労働者なりの努力の不足によって発生したものでなく、社会的な環境の変化ないしそれぞれ行政機関なりあるいはその他の失策、失政、それらの問題を条件として発生しておると考えざるを得ないわけです。したがって、それらの問題を解決するためにはそれぞれの根本的な状態に対して鋭く対策を立てなければならぬのに、自治省当局はいわゆる合理化の推進、路線の廃止、そういうような、庶民の足を失わせるような方向の中で対応しておることにきわめて遺憾な感じを持たざるを得ないわけでありますが、この大都市におけるところの第二次再建をどのように処理されようとしておるのか。東京は指定団体になっておらないとは言いながら実質的にそのような状況下にあるわけでありますけれども、その点についてのお考えをひとつ明らかにしていただきたい。
  230. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 いまお話しのように、都会全体の交通対策というのが大変大事であることは申し上げるまでもないことだと存ずるのであります。特に、先ほど申し上げましたように、オイルショックの前後非常にマイカーがはやりまして、そのために路面電車を通すのに大変困難である、むしろ路面電車というのは廃止してバス事業に切りかえた方がいいじゃないかという住民の一つの要求というのがあったと思います。そういう形の中で路面電車を廃止いたしましてバスにいたしました。ところが現実にはまたマイカーが大変ふえてまいりました。そのために今度はバスもなかなか定時制を保てなくなったという状況があります。そういう中でバスの赤字というのが次第にふえていくということもこれは事実であります。ただ、私たちはこういう問題について拱手傍観をしておったわけではなくて、御案内のとおり、バスの購入費の補助を設定いたしましたり、あるいは地下鉄に関しまして、今年度はいろいろな問題がございましたが、その整備拡充を図る、そういう点で交通事業に対する何らかの対策をいままで打ってきたわけです。そのために、現実には交付税で措置をしてみましたりあるいは利子補給をしてみましたり、いろいろな形の国の補助を重ねながらずいぶん努力をしたつもりではあります。ただ、先ほど申しましたような事実が現実出てまいりますと、なかなか一般大衆の要求というものと現実に動いているバスなどというものとが一致しませんで、これがともかく一致しないとなかなか交通対策としての実も上げにくい。そういうこともありますから、現実には、各省ともいろいろお話ししながら、専用レーンとかあるいはバスの優先レーンでありますとか、そういうものを設定しながら、この交通事業が円滑に進みますように連絡調整を図っているところでもあります。
  231. 佐野進

    佐野(進)分科員 大臣、いまお聞きのとおりで、あなたも地方行政には詳しいわけでありますし、交通事業にも関心があると思いますが、私がいま質問している要点は、いわゆる路面交通が渋滞し、それに対する行政上の措置がどうしても手おくれになる。そうするとそのために、大衆輸送機関である大都市におけるところの交通機関がその悪影響を受ける。結果的に企業としての存続の基礎である収支のバランスが崩れる。そうなりますと、赤字が出たからそれはやめなければならぬという形の中で、いま審議官御発言のとおり、路面電車は大都市から一部を除いてほとんど撤去されておる。そしていままさにバスがその対象になり、東京都においては昨年の暮れ、いわゆる合理化の名においてバス路線の短縮が行われ、各都市においてもその兆しが方々にあらわれつつあるわけです。そうなりますと、一体庶民は何によってその足を守ろうとするのか。タクシーに乗れと言うのか、マイカーを持てと言うのか、こういうことにならざるを得ないわけでございますから、自治省当局におけるところの行政上の立場からそれぞれ果たさなければならぬ責任は大変大きくなってきておると思うのであります。いま審議官お話しのとおり、五十三年度予算の中で大変な努力を自治省としてなされたということは私は否定していないわけであります。努力したことは評価するにやぶさかではない。にもかかわらず、今日その問題の本質的な解決への方向はいまだ明らかにされていない状況の中で、大臣としてはどのようにそれに対応されるかということが問題になろうと思います。  その中で幾つかの問題点もあるわけでありますが、一つにはやはり地下鉄の問題、さらにバスの問題、残存する路面電車の問題、さらにはまたそれぞれのバスの路線の中においても、特に長い間叫ばれ続けてきておる行政路線と称する、赤字が存在することを前提として、赤字になることを前提として路線開拓が行われている、開設が行われている、それらの問題に対して、これを地方自治体にのみその負担を押しつけることは、今日の地方財政の現況からいって、もはやでき得ない限界点に到達しているという場合において、これらに対してどう対処するのか、きわめて緊急な当面の課題ではないかと思うわけであります。五十三年度の予算の中で、それらの問題について大臣もそれぞれ折衝せられて解決されたと思うのでありますが、この際、その経過を含めて御見解を明らかにしていただきたい。
  232. 加藤武徳

    加藤国務大臣 五十三年度の予算編成に当たりましても、大衆が主として利用されます地下鉄、バスあるいは公営交通事業等につきまして格段の努力をいたしたと自負をいたしておるのでございますが、具体的には、公営交通事業再建債及び地下鉄特例債の利子補給を行いますほか、これは従来に引き続いてそうでございますけれども、地下鉄につきましては補助制度の拡大を図ってまいりましたし、また再建交通事業につきましてのバスの購入補助をさらに一年間継続をいたす、かような処置をとってまいったところであります。
  233. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 いまお話のございましたバスの問題がございますが、これは一つはその歴史的経過と申しますか、そういうものを中に含んでいるという考えもございます。と申し上げますのは、路面電車を廃止をしますときに、路面電車を廃止をするから少なくとも輸送上はバスが必要である。その次にはバスが次第に渋滞をしてきた。そこで公共団体みずからがそれじゃやはり地下にもぐらなきゃだめだろうというので地下鉄をつくりましたのです。ところが、路線のときには完全に路線が撤去されてしまいますから問題がなかったのですが、バスのときには、結局地下鉄と上下を並行に走るという問題が出てまいりました。そのために、このバスの方の地下鉄と並行して走っている部分については何とかこれは合理化できないだろうか、そういう問題がやはり必然的に起きてまいりますし、しかも、またおしかりを受けるかもしれませんが、民間の自動車会社というのはわりあいに効率よく運転をしているということから見ますと、その点もやはり公共団体としてもないがしろにはできないだろう。そういう点を総合的に考えながら、このバスの事業というものに対して考えをひとつ改めなきゃいかぬところがあるだろうということで、いろいろな団体とのお話し合いをしている部分はございます。  それから、行政路線の件ですが、これは前からいろいろなお話がございまして、そういうことを踏まえながら、私的な諮問機関だということで、都市交通労組の方々なり、あるいは現実に仕事をおやりになっている公共団体の管理者なり、それに私の方と、三者でいま実は協議をしながら、これに対してどういうふうに対処をするかということを真剣に討議をしている段階でございます。
  234. 佐野進

    佐野(進)分科員 真剣に協議をされておることでございますが、その協議をさらに発展されるよう望むわけでございます。いずれにせよ、いま大臣答弁にもありましたとおり、五十三年度においては政府は一応前向きな姿勢で対応をされておることについては、その実績を認めるわけでございますが、ただ、現状を考え、将来を見通したとき、私は、いま審議官なり大臣の御答弁のように、地方公営交通事業というものがきわめて深刻な状態にますます向かっていくのではないかという状態が存在していると思うのであります。したがって、これに対して、それに対応しながら庶民大衆の足を守ることがこれはもう絶対必要なことであり、これを民営に移管するといったって、民営自体がいままさにバス事業においては、大都市においてはその経営に苦慮いたしておるわけでございまして、民営の場合には路線を廃止すればいいということも言えますけれども、公営企業の場合にはそのようなことも言えない。特に条件の悪い路線をもあえて引き受けなければならない、いわゆる行政路線等も存在するわけであります。  そういう面からするならば、大臣にこれはお尋ねしたいと思うのでございますが、現状を基礎にして、第二次再建がなかなか円滑に行われ得ない、特に大都市においてはきわめてむずかしいという審議官のさっきの答弁を踏まえた形の中で、この際、発想の転換を含むあらゆる対策をお立てになる必要を、この現状態の中においては必然的に第三次再建に向かわなければならないであろう情勢の中で感ずるわけでございます。法律の体系、その独立採算制を含む経営の実績、あるいは合理化のもうすでに完全に行われたという状況の中において、自治省がいま内簡として指導をしておるところのその方針の撤回を含む新しい事態に対して、積極的にお取り組みになるお考えがあってしかるべきだと思うのでありますが、大臣の御見解はいかがか、お伺いしておきたい。
  235. 加藤武徳

    加藤国務大臣 ただいま第三期の計画のことにお触れになったのでありますけれども、私は、第二期の計画を着実に進めてまいりまして再建を図ってまいりますことが当面の大きな課題だ、かような認識に立っておるのでありまして、御承知のように、第二期の計画は昭和四十八年にスタートいたしまして、長いものは六十二年でございますから、まだ十年近くを期間としては持っておりますこともこれまた御承知のとおりでございます。各団体におかれましては、きわめて厳しい中にはございますけれども、堅実に、また着実に事を運んでまいりまして、健全化のために最大の努力をしていらっしゃいます。なるほど四十八年から二、三年間は大変な不良債務を生じました。先ほど数字を審議官が申しましたように、九百億円という大変な不良債務を生んだのでございますけれども、ここ一年間の努力を評価いたしますと、三百億前後の不良債務の解消ができたようなことでございますから、私は、努力をなさればきっと健全化は可能だ、かように考えておるのでありまして、当面の大きな課題といたしましては、第二期の今回の計画を着実に実行してまいりまして健全化をなし遂げてまいること、これが当面の課題だ、かように認識をいたしているところであります。
  236. 佐野進

    佐野(進)分科員 大臣としての現在のお立場ではそのような御発言はやむを得ないと私も思うのでありますけれども、その考えは、第一次再建が行われているとき私も質問をしたことがあるわけですが、結果的に第二次再建に入らなければならなかったという状況から言うならば、いずれ御訂正になる時期が来ると思うのであります。しかも、そのことは、先ほど審議官が発言しておられました大都市交通事業の状態の中においては、特にバス事業をめぐってそのような状態が来ざるを得ない情勢がつくられつつある、客観的につくられつつあると指摘せざるを得ないと思うのであります。したがって、私は、いま大臣の立場で、それは即そうするということが発言され得ないということを認めるとしても、第一次の経験を踏まえ、第二次の現状の上に、第三次ということが適切かどうかわかりませんが、新しい情勢に、特に大都市の交通事業がいま抱えつつある難問に対して積極的にひとつ対処していただきたいと思うのであります。具体的な面はきょうは省略せざるを得ないと思うのでありますが、その考えがあるかどうかだけをこの際聞いておきたいと思います。
  237. 加藤武徳

    加藤国務大臣 先ほど申しましたように、各団体、企業におかれましても積極的に健全化の努力をしていただくことを期待をいたしており、また私どもといたしましてもやっていかなければならぬことでもございます。先ほど、五十三年度の予算編成に当たりましての三つの点についての取り運んだことを申したのでありますが、今後もさらに努力をいたしてまいりたい、かように考えているところであります。
  238. 佐野進

    佐野(進)分科員 それでは、具体的な問題について若干質問をしてみたいと思います。  御承知のとおり、交通事業債につきましては、この認可によって各再建の諸事業が執行せられ、各団体とも非常に大きなこのことによるところの成果というか、運営上におけるメリットを得ておるわけでございます。ところが、一般交通事業債の一部合理化の問題と関連する、あるいは自治省方針に対してそのおくれが出ている、こういうような状況の中で、この発行に対する制限を加えつつある具体的な例が見られておるわけでありますが、このようなことは、かつてそれぞれの国会における論議を通じても、いたしませんと言って自治省当局が約束していたことに対する違反にも該当するやに私どもとしては判断するわけでありますが、そのような事実があるのかないのか、あったとするならば、どのように対処していくお考えなのか、この際ひとつ明らかにしていただきたい。
  239. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 すでに御案内のとおり、現在再建の計画を進めておりますのは、例の交通法、新しい促進交通法のたてまえ上、健全化の計画を立てまして、それを議会の議決を経て、自治大臣がこれを承認するという形をとりながら、この計画を遂行することになっているわけです。言うならば、公共団体と国とが共同の責任においてともかく交通事業の健全化を図ろうと図ったのがこの法律の趣旨でありますから、そういうたてまえから申し上げますと、公共団体自身の方におきましても、どうしてこの健全化が成り立つかという自己努力がやはり必要であろうと思うわけです。そういう自己努力の中に立ってお互いに持ち分を出し合うというやり方をしない限り、この交通事業というのは、お互いに責任をなすり合ってもどうしようもないものだろうと思います。そういう意味で、国といたしましても、自治大臣が承認をするに当たって、少なくとも一般の民間なり他の問題とも絡めながら比較検討してこれをやらざるを得ない、そこが健全化計画をつくる一つの問題であろうと思います。  そこで、この健全化計画をつくります場合に、これは別に交通事業だからという意味でなくて、一般の事業に関しましても起債の制限というのはあるわけであります。言うならば、この交通事業で言うなら、不良債務というのが営業収益の一〇%を超えるというようなことが起きたときには、ある程度起債の制限をせざるを得ないじゃないか。これは別に再建団体であるとかないにかかわらず、一般的にやらざるを得ないことだというふうに理解をいたしておるわけです。そこで、たとえば一〇%以上超えるような場合がありましても、これが健全化計画の中で解消されるという見通しがあるなら、あえて私たちは現実にはこれに起債をつけているわけです。ですから、そのことによって直ちに再建団体になったから起債を制限されたという事実は、私はないと思います。またそういうことをすべきでもないと思いますので、やはり健全化計画というのを堅実に公共団体に立てていただく、そのところから出発しなければこの問題の解決にはなかなかならぬのじゃなかろうかというふうに考えております。
  240. 佐野進

    佐野(進)分科員 大臣、いまの問題については大臣もお詳しいわけですから、私の言っている意味はおわかりだと思うのですが、いまの審議官の言っていることも私は否定しているわけじゃないですよ。ただ、こういう今日の情勢下において、この起債に対して、事業債に対してきわめて大きく依拠している地方公共団体、そして内部的な努力もなかなか現状の中においてはむずかしい、しかし、将来に向かってはそれに対して積極に取り組もうという姿勢が見えたときは、それに対して積極に対処していくというのが自治省本来の姿勢であったと思うわけです。したがってその点については、いわゆるあらぬ誤解というか、合理化あるいは路線の廃止あるいはその他厳しい条件をつける中で、無理やり地方自治体に対して路線を廃止させるというようなことにつながるような意味合いが含まれる事業債の許可、認可ということであってはならないのではないか、そういうことを考えるわけでございますが、この点について大臣の御見解をお聞きしておきたいと思うわけです。  時間がなくなりましたので、まとめて残った問題について質問をいたしてみたいと思います。  地方自治体意見書の取り扱いであります。これはもういまさらここで意見書を尊重するのか、しないのかという子供じみた議論を私はしようとは思いません。ただしかし、意見書によって示された地方住民の意思が、地方自治体の意思が、政府においてどの程度尊重されるのかどうかということについては、意見書を提出した機関としてはきわめて大きな期待を持っておるということは、大臣もよく御存じだと思うのであります。これらについては、特に地方行政の立場に立つ自治大臣としては、この種公営交通事業に対する意見書の採択が行われ、これが送付された場合に、積極的にひとつ対応していただきたいと思うのでありますが、その点についての御見解をお示しいただきたい。  最後に、これはもう先ほど来お話がございますので、質問することは蛇足ではございますけれども地方財政全体を見通した上に立っての対策になるわけでございますけれども、特に私は東京都出身でありますから大臣にこの際お聞きをしておきたいと思うのでありますが、たとえばいま要するに都民が必死の願いというか、新しい交通体系をつくり上げるというか、その願いを込めて営団あるいは都営両方の地下鉄の建設促進に対して積極的に要望を続けてきておるわけでありますが、それが財政上の事情として、特に成田新幹線に関連する面として十号線の建設というものがきわめておくれておる。あるいは大都市の交通事業として非常に重要な意味を持つ十二号線の建設がおくれておる。このおくれておる原因が起債、いわゆる政府の起債が得られないという形の中で、もちろん東京都の財政がそれに見合うだけの支出をすることができないという悪条件がございますけれども、そういう形の中でいまなお着工されてない。やっと調査費が延伸についてはついた。こういうことは私どもとしてはきわめて残念であり、地方行政の立場に立つ政府の善処をひとつお願いしたいなあという気はしているわけでありますか、これは全く蛇足でございますので、大臣のこの十号線延伸に対する政府債許可に対して積極的に御対応していただけるかどうかという点についての御見解をお聞きしておきたいと思うわけであります。
  241. 加藤武徳

    加藤国務大臣 三点の御質問の最後の十号線、十二号線につきましては、審議官からお答えをいたすことにいたしたいと思うのでありますけれども、第一点の起債の点でございます。私は、赤字をずいぶん抱えていらっしゃりながら健全化の努力が余り見られない公営企業なり団体に対しまして、さらに起債をつけていきますことは、結果的には雪だるま式に大変なことになるのではないであろうか。したがって、かような公営企業や団体に対しましては、いかがでございますか、もうちょっと工夫はありませんか、かようなことで努力を促しますような処置はやらなければならぬこと、むしろそのことが、地方団体や公営企業に対しましての親切ではないであろうか、かように思うのでございますけれども、しかし、いまここで起債の許可をすることが将来を展望して非常にいいことだ、やらなければならぬ、かように考えました場合には、積極的に起債をつけていく、そういう考え方がぜひ必要だ、こういう感じを深くいたします。  それから、第二点の意見書でございますが、なるほど、地方議会で議決をしまして紙に書いて持ってこられたものは、変哲もないみたいな感じで受け取る向きがあるといたしますならば、これは大変な誤りでございまして、私も、地方議会の皆さん方が何遍も何遍も討議をしましての考え方をまとめてきていらっしゃるものでありますから、まして自治省といたしましては、地方団体の実情に沿いました、また願望強き方向への努力が要る、かように思うのでございますから、意見書なるものがなるほど、年間三千件も四千件も出てまいります。数が多いからといって、それを粗略に扱うみたいなことがあってはみじんもならぬと思うのでありまして、最大限にこれを地方行政地方財政に反映いたす努力が要る、こう私は基本的に思っておるところであります。
  242. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 十号線の延伸の問題についてお答えを申し上げます。  十号線の延伸の問題については、すでに御案内のとおり、千葉県と東京都の話し合いがまだついていないように聞いております。もともとこの問題は運輸省の所管でありますので、私から簡単に申し上げることにとどめたいと思いますが、十号線の延長の認可の問題につきましては、まだ東京都から運輸省に出ていないと聞いております。もしこの認可申請が出てまいりまして、運輸省がこれを認可をするということであれば、自治省といたしましては、これに起債を十分つけることにやぶさかではございません。
  243. 佐野進

    佐野(進)分科員 終わります。
  244. 川俣健二郎

    ○川俣主査代理 これにて佐野進君の質疑は終了いたしました。  次に、山本政弘君。
  245. 山本政弘

    山本(政)分科員 きょうは消防法の第二条第九項に規定する救急業務、それから消防法施行令第四十二条に関する救急業務、このことについて実はお伺いをしたいと思うわけでありますが、私は法律は余りよくわかりませんが、いま申し上げた条文によって解釈をすると、救急業務というのは、一つは災害によって生じた事故、もう一つは屋外または公衆の出入する場所において生じた事故、これを「災害による事故等」と、こういうふうに言うんだろうと思いますが、そういう傷病者を医療機関その他へ運ぶ。もう一つは、政令で定める場合における災害による事故等に準ずる事故ということで、これは恐らく施行令四十二条の搬送手段がない場合ということだと思うのです。もう一つは、「政令で定めるもの」とあるように屋内において生じた事故、こういう傷病者を医療機関へ運ぶんだというふうに理解をしておるのですが、そういう理解で間違いないのかどうか、ちょっとイエス、ノーだけで結構でございます。
  246. 林忠雄

    ○林政府委員 結構であると思います。
  247. 山本政弘

    山本(政)分科員 厚生省の方いらっしゃいますか。——たとえばの話ですけれども、心筋梗塞なんかで急に体のぐあいが悪くなったというような場合は、いま申し上げた「政令で定めるもの」、つまり屋内において生じた事故というふうに理解をしていいのかどうか、いかがでしょう。あなたの解釈でしてください。
  248. 岸本正裕

    ○岸本説明員 先生御指摘のような場合につきましては、消防庁の方で救急業務の対象に含まれるというふうに解釈をされまして、事実そのように救急業務が実施されているというふうに考えております。
  249. 山本政弘

    山本(政)分科員 それじゃ事実を一つ申し上げたいと思うのです。  一月二十四日二十二時、発生地は東京都杉並区本天沼二の十四の十六、患者は六十六歳の女性の方であります。二十二時に一一九番に電話をかけた。二十二時五分に杉並消防署から救急車が到着した。病状説明に対して心筋梗塞を確認、希望入院病院を聞く。過去の経緯から東大病院を患者の方では告げた。東大病院は距離的に遠いということから同意をしなかった。他の病院を聞く。そこで患者の方の家族は、河北病院、発生地より五分、前田外科病院三分、衛生病院三分、以上いずれも救急指定病院で、特に河北病院は企業指定病院でありました。前田外科病院は、四十九年九月二日に同患者が同病で救急車によって入院をしたという経緯があり、その後そこから東大病院に入ったといういきさつがあります。右の希望病院について救急車から問い合わせた結果、いずれも病床満員につき受け入れられないという回答があった。  二十二時三十分、西荻中央病院に輸送するとの意思表示があり、時間、距離的にやや遠方ということについて同意を求められたので、患者の家族が承諾、同意をいたしました。  二十二時四十五分、西荻中央病院に到着。病院側の体制上の問題から受け入れを拒否されました。拒否の理由は、現在百十一人の入院患者に対して当直医一人、看護婦二人の体制では、この病態に対して対応し切れぬ。それから他の病院に転送を要請された。病院側の要請に対して救急車は、救急センターに連絡し、他の病院を探した。  二十三時二十分、救急センターから榊原記念病院へとの連絡があった。二十三時二十五分、榊原記念病院は取り消しとの連絡があった。二十一時四十分、杉並区西永福町の東京大塚病院へとの連絡が救急センターからありました。  この間、患者の受け入れ病院がなかなか見つからぬことから、患者の実子、お嬢さんの勤務先である国家公務員共済稲田登戸病院に収容ベッドのあることを確認の上、同病院に移送を希望したけれども自治体をまたがる移送は規則上不可能であるということで拒否の回答がありました。  西荻中央病院から大塚病院への移送に当たって、医師または看護婦の添乗を病院側にお願いしたけれども難航した。結果として看護婦一人の添乗に病院側が同意をした。  一月二十五日零時五分、東京大塚病院に到着。医師診察の結果、受け入れ病床なしという理由で入院を拒否されました。再度、患者側の意向として稲田登戸病院への移送を希望したけれども、救急センターと救急車の協議の結果として、自治体をまたがる移送という理由で再度移送を拒否されました。  さらに、患者側の意向として、自治体境、つまり境で相手側の自治体の救急車への患者引き継ぎをやってもらえないだろうかということをお願いしたけれども、これも拒否されました。病院側の救急車側への要請、つまり病院側の診断で酸素マスクと点滴注射が必要だと言われたのでお願いしたけれども、これも拒否された。  零時四十五分、たび重なる救急車側の移送拒否の態度から、患者側としては時間の経過等から、民間の寝台車による移送を決断をして、そして患者側から、お医者さんか看護婦さんの添乗をしてもらえないかという要請をしたけれども、病院側はその義務なしとして要請を拒否されました。  一時、民間車にて大塚病院を、酸素マスクなし、患者付添人の点滴注射、これは家族がやったわけでありますが、やりながら出発をして、一時三十分稲田登戸病院に収容、心筋梗塞と診断、三時三十分死亡であります。  それでお伺いしたいことは、法的にいま確認をしたのですけれども、つまり消防法第二条第九項と施行令第四十二条によって、救急車というものを使うということはこれは法的に決められたことであるわけですね。この点、いかがでしょう。
  250. 林忠雄

    ○林政府委員 御質問の御趣旨が、いま先生がお挙げになったような事例の場合、当然救急車を使うべきである、ないしはその利用者の方に使う権利があるかどうかという御質問でございますれば、まさにそういうときは救急車を使うべきときであると考える次第でございます。
  251. 山本政弘

    山本(政)分科員 そうすると、ひとつお伺いしたいわけですが、消防署の方から病院の方に、病床といいますか、病院の方で受け入れてもらえるかどうかということで、これは救急センターの方に照会をするのだろうと思うのです。私、聞いたところによると、消防庁は午前、午後と二回、そういうことについて確認をずっとしていらっしゃるという話も聞いたわけでありますが、消防署から消防庁の救急センターの方にそういうことを照会した場合に、救急センターの方では、要するに拒否をされるような病院ということがわかっておって、なおかつ、そこへ行けというような指示を与えているのでしょうか、その辺をぼくは理解ができないのです。つまり、非常に急を要する患者さんが救急車に乗せられて、そして何カ所かの病院に行く。しかしそこで拒否をされるということが理解ができないのですが、そういうことについて、一体救急センターというのはどういう処置をおとりになっているのだろうか、このことをちょっとお伺いしたいわけであります。
  252. 林忠雄

    ○林政府委員 ただいまのこの具体的な事例については、私つまびらかには存じませんでございまして、東京二十三区の場合は、東京消防庁において統一的に病院の状況を把握し、指令をしているわけでございます。ですから、そこへ行けば収容できるということを確かめて指令をするはずでございますので、確かめていってさらに拒否をされる、おっしゃるように二度、三度にわたる事例は大変嘆かわしいことでございますけれども、たてまえ上それはあり得るはずがないわけでございます。ただ、病院の状況というのを救急センターで常に把握しているわけでございまして、一応そこから病院に問い合わして、収容余力ありということで指令するのが通常でございますから、よほどの手違いないしはよほどの事情の変更、そういったものがない限り、まさに先生がおっしゃるとおり理解に苦しむ点でございます。
  253. 山本政弘

    山本(政)分科員 長官、私がお伺いしたいことは、一度ならいいのですが、ここは繰り返しが行われているということです。そういう実態がある。とすれば、それはどこかに欠陥があるのじゃないかという気がしてなりません。つまり、救急車がなぜ確認をしないで連れていったのかということが一つ問題として残るだろうと思うのです。同時に、そういう言い方は失礼に当たるかもわかりませんが、救急車は運びさえすればいいというものじゃないのじゃないでしょうか。その辺をきちんとしていただきたいと思うのですが、その点どうでしょうか。
  254. 林忠雄

    ○林政府委員 まさにおっしゃるとおりでございますが、救急車の実態は、私もときどき拝見させていただいておりますけれども、先生のおっしゃるような運びさえすればよいというぐらいの気持ちではやっておらないと思います。病院との交渉、救急センターとの交渉、それについても大変な苦労を払っておることは事実でございます。全国で年間百六十万件、百五十万人余りを運んでおりますが、一遍で収容されます者が九八%ぐらいでございまして、三万八千余り、二%近くが転送を要求されておりますけれども、その理由も、医師不在とか、その病院では処置困難とか、専門外とかいう、客観的に見てやむを得ない件、その転送が三万八千件でございます。全体としては、数字的には一回の収容がほとんどであるし、二度、三度転送、新聞に十何回転送ということがよく出ますが、そういう例があってはいけないとは思いますけれども、非常にレアケースであることは、救急の実態からして断言できると私は思います。  いま先生のお引きになりました設例は、本当にひどいといいますか、異常な状態でございまして、かつ、最後には患者さんが亡くなっておられますので、これはおろそかにはできない事例でございますが、恐らく何らかの事情がありましたでしょうか、東京消防庁にさらに詳しく確かめたいと思いますが、これが通例であるとは私は思っておりません。
  255. 山本政弘

    山本(政)分科員 こういう言い方は大変失礼なのかもわかりませんが、いまお話があったように、一般の人の中に、常識的に考えて生命に別状はないけれども一一九番をかけるというようなケースがあると私は思うのです。それはそれとして理解できるのですけれども、しかし、少なくとも前に心筋梗塞だというふうに確認をなさっているわけですね。ですから、そういうことであるならばなおさらのこと、要するに十分な配慮もしなければならぬでしょうし、受け入れの方にちゃんと確認をして処置をするということが必要だと思うのですが、その点、これからこういうことがないようにぜひお願いをしたいと思うのですが、大臣、どうでしょう。
  256. 加藤武徳

    加藤国務大臣 いま消防庁長官が申しましたように、きわめてレアなケースではあろうかと思うのでありますけれども、しかし、こういうこともあってはならぬことであると思うのでございます。ことに、最後には亡くなられたということを聞きまして、本当に胸の迫る思いをいたしたようなことでございますが、いろいろの悪い条件が重なった結果であろうと推測はいたしますものの、しかし、かようなことの皆無を期して今後努力をしていかなければならぬ、かように思う次第であります。
  257. 山本政弘

    山本(政)分科員 いまお話を申し上げた中で、病院側の方では救急車側へ要請を申し上げたと思います。酸素マスクが必要だ、点滴注射が必要だということを病院側の方から救急車側へ要請したのだけれども、それを拒否されたというのですが、私はよく知りません、救急車に乗ったこともありませんのでね。だけれども、そういう要請があった場合には、やはり救急車でありますから、そういう処置をとり得る装置があるのでしょうかないのでしょうか。応急手当をするような設備といいますか、そういうものは備えておるのか、あるいはそういう設備があるのかないのか、お聞かせいただきたいのです。
  258. 林忠雄

    ○林政府委員 救急車の標準的な設備として酸素ボンベ、酸素吸入器一式はございますので、大体東京都あたりの救急車はまずそれは備えていると考えられます。それから救急隊員というのは、ただ運ぶだけではなくて、応急措置必要な措置をやる教養をやはり受けておりますので、点滴も必要であれば当然やる用意があるはずでございます。ですから、いまの御質問の病院から要請されたのに拒否をしたということは、私ちょっと考えられないという気がいたします。
  259. 山本政弘

    山本(政)分科員 救急センターの方で確認をしたのか、あるいは救急車の方で確認をしたのかしないのかわかりませんが、長官はレアケースだとおっしゃいました。いまの場合は今度は、考えられないということでございました。つまり二つ、レアケースか、考えられないかということが起きているわけです。これはよほど慎重に、きちっとしていただかなければ大変困ると私は思うのです。たとえレアケースであれ、考えられないことであれ、二度とあってはならぬことだと思うのです。  それでは、これもよくわかりませんので教えていただきたいのですが、消防組織法の二十一条に「市町村相互の応援」というのがありますね。「市町村は、必要に応じ、消防に関し相互に応援するように努めなければならない。」「市町村長は、消防の相互応援に関して協定することができる。」ということがあり、同時に、これはたしか消防法の三十五条の八の二項にもこの読みかえで援用されていると思うのです。  そこでお伺いしたいことは、消防に関して相互の応援があるということがあるのですが、救急業務について応急の場合にそういう措置はとれないものでしょうか、とれるものでしょうか。
  260. 林忠雄

    ○林政府委員 この相互応援協定は、通常の火災を消火することのみならず、救急も当然消防の業務としてその中身となり得ます。それで現在、消防本部の九〇%以上が隣接の消防本部と応援協定を結んでおる、これが現実でございます。救急業務についても当然、お互いの応援、相互の助け合いということは可能になっておりますが、実際上、救急業務あたりの応援協定は、何か大事故が発生いたしまして、その管内だけでは足りないというときに動くようになっておりまして、通常の救急業務はまず自分の管内でやれるというのが運営の実態のようでございます。
  261. 山本政弘

    山本(政)分科員 救急車が何カ所かの病院を回っていって、結局杉並区内では病院で受け入れられなかったという現実がある。しかし、その患者さんのお嬢さん——お医者さんですけれども、その勤めている稲田登戸病院、国家公務員共済の病院で、要するに受け入れますということがはっきりわかっておったときに、川一つ越えれば稲田登戸病院に入れる、もしそれが早かりせば、そして酸素マスクも点滴もやっていただいたならば、あるいはという気持ちがやはり家族の側にはあるだろうとぼくは思うのですよ。そのときになぜそれが拒否をされたんだろうか。     〔川俣主査代理退席、主査着席〕 つまり、法というものは運用じゃないでしょうか。ぼくは大臣にお伺いしたいのですが、その場合に救急車が川を渡って、そして稲田登戸病院に行ったということによって、法的にはそれは違反だということで、あなたはやった人たちを責めることができますか、いかがでしょう。
  262. 林忠雄

    ○林政府委員 まず先生のお指摘の事例は本当にこの際、初耳でございますし、伺えば伺うほど、その疑問点が非常に多いわけでございます。この件については恐らく記録がございますから東京消防庁の方に詳しく調べてみたいと思っております。  実際問題がどうであったかは、まず別としまして、管外に行くのを断わったということでございますが、いまのようなケースは、まさに連れていってやればいいところという気がいたします。東京消防庁として一般にどう扱っておりますかというと、まず通常一一九番に入って救急車が出た場合には、まず原則としては管外は断わるという一応原則がある。ただ、これは絶対ではございませんので、管外でも、たとえばすぐ近くである、あるいはかかりつけである、それから、ある病院に行って、そこの病院では満床でだめだけれども、そこの病状の相談を受けた医者から、あそこへ連れていきなさいと指示があった、そういう場合には管外へ実際に運ぶようにしておるのだそうでございます。  したがって、この原則から言えば、いまのすぐ近くにかかりつけかどうか存じませんけれども、いまおっしゃったような症状の例によって見れば当然管外にまで運んでいってもいいんじゃなかろうか。いま伺ったところでは常識的にもそう判断いたします。ただ、詳しく調べてみたいと思いますけれども、その間にどんなトラブルがあったのか、どんな感情的な行き違いがあったのか、その辺がまだよくわかりませんので、ここでそれが悪いとは断定できませんけれども、よくこの点については調べてみたいと思っております。
  263. 山本政弘

    山本(政)分科員 ひとつぜひ、それは調べていただきたいと思うのですが、つまりこういうことなんです。もう一遍繰り返しますと、二十二時に一一九番にかけて、いま申し上げた稲田登戸病院へと言った時間というのは二十三時四十分をもう過ぎた時間ですね。その間に、要するに患者の受け入れ病院がなかなか見つからぬということで、患者の実子の勤務する国家公務員共済稲田登戸病院に収容ベッドがあるということを確認したわけです。そして同病院に移送を希望したけれども自治体にまたがる移送というのは規則上不可能だ、ここなんですよ、私はこの点は何回も念を押しました、そう言ったんですねと。規則上とこう言っている。規則上と言うから、私は、いまさっき消防組織法の二十一条というのが要するに法文として救急業務にも適用されるものかどうかということを実はお伺いしたわけですけれども、そうすると、要するに救急業務に係る、何というか従事されている方に大変申しわけないけれども、法規的にも習熟をされておらぬということになりはしないだろうか、要するに、もしそれが事実とすれば。もしという言葉を使って結構です。もし事実であったとするならば、指導上の問題として問題が残りはしないだろうか。レアケースとおっしゃいました。そしてもう一つは何とかとおっしゃいましたね。これが事実であるとすれば、これもまたぼくは大変な問題じゃないだろうかという気がしてなりません。この点はいかがでございましょう。
  264. 林忠雄

    ○林政府委員 規則上という言葉が正確に法律とかあるいは政令とか、その他の決まりといいますか、法的規制という意味よりも、もっと広く一般には使われる。たとえば一般の運用方針として管外には特別の場合以外は行かないとなれば、それをもって規則上行けないんだというような表現をすることは、私はしばしばあると思います。  そこで、いま御指摘になりました事例では、法規上、管外へとても稲田登戸病院へ行けないという拘束は、あるいはなかったのではないかという気がいたしますし、事実その患者の心筋梗塞というのは結構ケースが多いのでございまして、救急隊員もこれについてはなれているはずでございますので、いままで伺った限りでは、断わったとか、それから酸素マスクもしなかったということが先生同様、私にはちょっと理解できない点がありますので、その点については本当によく調べてみてお答えいたしますので、先生の事例は私の方でぜひいただきたいと思います。
  265. 山本政弘

    山本(政)分科員 時間に協力してくれという話ですから、私はできるだけ時間の範囲内でやりたいと思いますが、一つは、いま申し上げたように確認の問題がございますね。第二番目は、自治体との境の問題を私は申し上げたつもりです。第三番目は、病院側の要請に対して、どうこたえたかという問題に対して、不十分だったという問題があっただろうと思います。第四番目は、いま申し上げたように、説明はよくわかりますが、しかし、規則というものについての、要するに患者側にそういう場合にする対応の仕方ということについて、まだまだ不十分な点があると私は思うのですが、この辺について、ひとつもう一度ぜひ御指導をしていただきたい、これは私のお願いであります。  それから厚生省の方にお願いいたしたいのですが、これは時間を改めて私はこの点については御質問したいと思うのです。救急病院というのは要するに一つの条件というのがあるだろうと思います。そして、それを許可するについても一つの判断がやはりあるだろうと思うわけです。しかし、あちらこちら引き回されてはたまりませんわね。そしてお医者さんの対応も私の聞く範囲では大変、非人間的とは申し上げませんけれども、ちょっとつれないなという感じがする対応の仕方があるのです。時間がないから申し上げませんけれども。そういう点はぜひ厚生省としても御指導をしていただきたい。特にぼくは、榊原記念病院というところをセンターが指示をした、そしてすぐ帰していった。榊原記念病院というのは医療救急病院かどうか知りません。しかし、そういうところにも非常にずさんな気もいたします。そして、榊原記念病院が救急病院でありますかどうですかということを、かつてお伺いしたことがあったけれども、そのときにも、すぐにお答えはしていただけなかったという事実もあるのですよ。ですから、そういう点についてぜひきちんとした対応を厚生省もしていただきたいと思います。
  266. 林忠雄

    ○林政府委員 ちょっと訂正がございますので。  先ほどの御答弁のうちで私ちょっと誤りましたのは、点滴については現在実施基準に入っておりません。救急隊員がどこまで応急的な措置ができるかという医師法との関係があって非常にむずかしいわけでございますが、いま点滴についてはどうするかということで検討中でございまして、実際問題は医師が同乗して点滴をすることはよくあるようでございます。この点訂正させていただきます。
  267. 山本政弘

    山本(政)分科員 それはよくわかりました。したがって私がお伺いしたいことは、せめて酸素マスクだけはしてあげるようなことをやっていただきたいということなんです。つまり、それは人間性の問題ではないかということなんですよ、私が申し上げたいことは。患者にどう対応するかという問題だと思うのです。それが救急医療あるいは救急車というものの性格だろうと思うのですね。そのことを忘れてしまったら、ただ要するに運び屋ということでしかないだろうと思うのです。それは長官の本旨でもないだろうし、同時に大臣の本旨でもないだろうと思うのです。いかがでしょう。
  268. 加藤武徳

    加藤国務大臣 全く本旨ではございません。
  269. 山本政弘

    山本(政)分科員 終わります。
  270. 笹山茂太郎

    笹山主査 これにて山本君の質疑は終了しま  した。  次に、正森成二君。
  271. 正森成二

    ○正森分科員 それでは私は、昨年十一月二十二日に法務委員会でも質問をいたしましたが、婦人の問題について伺いたいというように思います。  御承知のように、昭和五十年に国際婦人年の世界会議において世界行動計画が発表されました。そして婦人少年問題審議会昭和五十一年十月に「雇用における男女の機会の均等と待遇の平等の促進に関する建議」というのを採択いたしました。そして、昭和五十二年六月に労働省婦人少年局婦人労働課が若年定年制と結婚退職制等の改善計画を発表いたしました。ここに労働省に来ていただいていると思いますが、前回も伺いましたので、その計画期間を通じて年次別にどういうことを重点的に行おうとしているかという点にしぼって簡単に御答弁をください。
  272. 高橋久子

    ○高橋説明員 お答えいたします。  昨年六月に労働省婦人少年局におきましては若年定年制、結婚退職制等改善年次計画というのを策定いたしました。この計画は、計画期間を通しまして広く労使に、これらの差別的制度の解消について行政指導を行うことといたしておりますが、重点的に年次別に行う事項を定めております。昭和五十二年度におきましては行政指導対象の実態把握を行うということで、これはいま鋭意行っております。それから昭和五十三年、五十四年の両年度におきまして、男女別定年制のうち女子の定年年齢が四十歳未満のものと結婚・妊娠・出産退職制等の解消を図る。それから昭和五十五年、五十六年の両年度におきまして、男女別定年制のうち女子の定年年齢が五十五歳未満のものの解消を図る、こういう計画でございまして、現在、この計画の実施に努めているところでございます。
  273. 正森成二

    ○正森分科員 私は、職業が弁護士でございますから最近の判例の傾向も知っておりますけれども、たとえ労使の労働協約等によって若年定年制を定めておる場合でも、それが合理的な根拠を欠く場合には憲法の法のもとの平等の規定あるいは民法九十条の公の秩序、善良の風俗に反するということで無効であるという判例が大勢であると承知しておりますが、いかがですか。
  274. 高橋久子

    ○高橋説明員 先生がおっしゃいますように、最近、若年定年制、結婚退職制等についての判例がたくさんございますが、若年定年制、結婚退職制につきましては、出されました判例は例外なく労働者側の勝訴になっております。それから、男女別定年制につきましては判決がやや分かれておりますけれども、最高裁の判決におきまして女子の訴えが認められたというケースがございます。
  275. 正森成二

    ○正森分科員 いまお聞きになったとおりであります。  そこで、大臣に伺いたいと思いますが、大臣も、もちろん男女の平等、そして国際婦人年の行動計画というようなものは実現されなければならない。いやしくも、そういうものに反するようなことを地方自治体等あるいは国等がやっている場合には、それは是正されなければならない、当然そうお考えになると思いますが、いかがですか。
  276. 加藤武徳

    加藤国務大臣 御指摘のように私も考えます。
  277. 正森成二

    ○正森分科員 ところが、私が前回指摘いたしましたように、たとえば非常に大きい自治体である大阪市におきましては、女子の車掌について三十三歳の若年定年制をしいているわけですね。これはとんでもないことだということで裁判になりましたが、容易に是正しようとはしておりません。最近になりましてようやく、三十三歳というのはひど過ぎるから四十五歳に少し延ばそうではないかという状況になってきておるわけであります。  しかし、ただいま労働省の課長がお答えになりましたように、終局的には五十五歳という男女平等を昭和五十五年までには目指しておるわけですから、いやしくも地方自治体が雇用者側になっている労働関係について、このような態度は許されない、私はそう思うのです。先ほど自治大臣も婦人行動年についての行動計画は実現されるように協力しなければならない、こうおっしゃいましたが、大きな地方自治体のこのような男女平等についての理解のなさについて適当な助言、指導あるいは何らかの措置をおとりになる必要があると思いますが、いかがですか。
  278. 加藤武徳

    加藤国務大臣 大阪市交通局の場合は恐らく車掌さんについての年齢のことであろうかと思うのでありますけれども、車掌という職務の立場に立ちまして定年制を設けますことが、どの線が正しいかどうかの議論がございましょうけれども、しかし私どもは、それ以前の問題といたしまして、現在の地方公務員はいわゆる定年制を設けますことは許されておらないのでございます。御承知のように分限規定の中におきまして、その人の意思に反して退職せしめることは困難なのでございますから、さような根本の問題もあろうかと思います。ただ、本人の意思そのままではないといたしましても、いわゆる肩たたきと言われますような、一定の年齢に達しますと、どうでしょうか、あなたはおよし願えぬでしょうか、かようなことをいたしておりますことはよく承知をいたしておるのでございますけれども、しかし、これは一定の年齢の線を引いて、その年齢に到達された方にさような措置をとっておるのでございますが、これはいわゆる定年制とは言いがたいのでございます。ただ、公営企業等におきましては、労使の間の話し合いによりまして、協定などで線が引かれていることは承知をいたしております。そして、その引かれておりまする線が合理的な理由に基づいておりますものならば不当だとは言えないと思うのでございますけれども、そのいわゆる線引きが合理的なものでない場合には大いに問題がある、かような認識であります。
  279. 正森成二

    ○正森分科員 いまの御答弁ですけれども、大阪市交通局の場合は単なる肩たたきではないんですね。車掌という職種について三十三年という一定の年限を設けまして、しかも、私が前回質問しましたら、公務員第一課長は、それは労使が協議の上で、その年になってやめる場合の退職条件を決めたものである、こういうように答えましたが、私はそのときに指摘したのですが、そうではなしに協約の五条では、三十三年で退職しない者には今後一切昇給、昇格をしない、退職給与金や死亡給与金を減額する、希望退職の応募資格もなく、行政整理の処遇もないというような、明白に、やめないならば、こういう報復措置をとるぞということを決めておるわけですから、肩たたきの線などをはるかに越えているわけですね。ですから私は、こういうことをいやしくも大きな地方公共団体の交通局等がやるべきではない、こういうように考えて、大臣にぜひ善処していただきたいと思うのです。  しかも、その職種について合理的なことがあるかないかという問題ですが、私は前回も指摘したわけですけれども、乗合自動車の車掌があったのです。そこに男子が車掌でおる場合には五十五歳だ、ところが、それが女子になると、職種は同じなのに三十三歳になった、こういう事実があります。また、車掌さんが駅の切符売りをしておりましたけれども、自動販売機ができましたために構内放送だとか、そういう他の職種に変わったのです。そうすると、それまで男子のときには五十五歳だった、女子がその仕事を占めるようになると三十三歳になったということですから、職種による合理的な差別でないことはきわめてはっきりしており、まさに婦人なるがゆえの差別であるということが言えると思うのです。ですから、そういう点をぜひ考えていただきたい。  そこで、労働省にもう一度伺いますが、あなた方は婦人行動年の計画に従って民間企業にもいろいろ指導をしておられると思います。また政府も、国際婦人年にちなんで、総理大臣を本部長として十一省庁の事務次官で構成された婦人問題企画推進本部を設けて、この五カ年計画を遂行しようとされていると承知しております。ところが、あなた方が少ない人員で全国的に民間企業について実態調査を行い、あるいは指導をした場合に、いろいろ民間でもやろうと思うけれども地方自治体がこういうことをやっているじゃないか、こういうことを言われて指導上非常に困難を来しているということはありませんか。
  280. 高橋久子

    ○高橋説明員 私ども行政指導いたしております場合に、先生がおっしゃったようなことを言われるというようなことが全くないわけではございません。そこで、私どもといたしましては関係省庁と十分連絡をとりまして、国とか地方公共団体におきまして少なくとも男女平等ということが確保されるような体制をつくるように、それは十分連絡をとってやっていきたいというふうに考えております。
  281. 正森成二

    ○正森分科員 そこで自治大臣、私はお願いがあるのです。  もう一つ例を挙げますと、肩たたきの点については、たとえば石川県の輪島市では一般職の男子は五十六歳なのに女子は五十三歳で肩たたきが始まるとか、あるいは石川県の宇ノ気町では男子は五十七歳なのに四十七歳で肩たたきが始まるとか、あるいは志賀町では男子が五十五歳なのに女子は四十五歳で肩たたきが始まるというように、非常に平等でないという点があるわけです。  そこで、自治大臣の御努力によって、地方公共団体の雇用関係について、若年定年制が定められているのはどういう県であるか、それからまた退職勧奨について男女の差別を設けているのはどういう地方公共団体であるかという実態調査をまず進めていただきたい。そしてできれば、それについてどういう合理的な理由等があると考えてやっておるのかという理由づけも改めて御調査を願って、それを国会に提出していただく。それに基づいてわれわれが、国際婦人年の行動計画があるのに国や地方自治体がそれに反してやっておらないかどうかということを国会の側からも調べて、まず地方自治体が率先してそれをなくしていくという一助にしたいと思いますが、それについての御助力をぜひ自治大臣にお願いしたいと思いますが、いかがでしょう。
  282. 塩田章

    ○塩田政府委員 実態調査の件でございますが、私どもが承知しておりまする範囲では、都道府県の場合、知事部局においてはないように承知いたしております。ただ、教育委員会関係の部局で若干そういった点がある県があるようでございます。それから、一般の市町村等につきましては、都道府県の場合もそうですけれども、これは先生御承知のように定年制ではございませんで、条例でやっているわけではございませんので、いわゆる内規と申しますか、そういった形のもの、あるいは団体によりましては内規さえもない、いわゆる運営でやっているというのが実態でございまして、調査するにいたしましても、そういうでき上がったものがありますと、すぐ調査ができるのですけれども、その辺はひとつ御了承いただきたいと思います。できるだけのことはいたしたいと思いますけれども、実態はそういうことでございまして、なかなかむずかしいというのが実情でございます。
  283. 正森成二

    ○正森分科員 いまの部長の答弁は、やるのかやらぬのか、ちょっとわかったようなわからぬような答弁ですけれども自治大臣にお答え願いたいと思うのです。  総理大臣を本部長として、十一省庁の事務次官で、自治省も入っておりますが、婦人問題企画推進本部まで設けているわけですから、少なくとも実態を調べるということは当然やるべきである。それをやらなければ国際的にも信義則に反すると思うのですね。それだけは少なくともやる。そして、むずかしい点は後回しになってもいいですから、わかった点から国会へも報告をしていただくということをお約束いただいて、次の問題に移りたいと思います。答えてください。
  284. 加藤武徳

    加藤国務大臣 地方団体都道府県市町村を含めますと三千三百の多数の数に上るのでありまして、なかなか全部の実態を把握いたしますことは困難であろうかと思うのでございます。しかし、いま公務員部長答弁いたしましたように、都道府県段階のものにつきましては比較的よく掌握をいたしておる、かようにいま聞いたのでございまして、さらに実態の把握に努めてまいりたい、かように考えております。なお、さような調査をいたしましたものを資料として出しますかどうかは、これまた担当の委員長等とよく相談をしなければならぬことだ、かように思っておるところであります。
  285. 正森成二

    ○正森分科員 それでは、この問題はこれで終わりますが、労働省の方も、自治省大臣がそういう答弁でございますから、府県段階のものは少なくも当たる。そして、それ以外の下の段階のは三千数百あるそうですけれども、各地方自治体自治省とも協力して鋭意入手して、男女の平等のために、これからも努力していただきたいと思います。  それでは次の問題に移ります。  大阪市が、同特法が施行された四十四年から今日までに同和対策事業用地として、どのくらいの面積を買収しておるか、その買収総額がどのくらいか、御存じですか。御存じなければ私から言います。
  286. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 大阪市が同和対策事業用地として先行取得いたしておりますのが、ちょっと金額はわかりませんけれども、全保有地で二十六万五千平方メートルということだそうでございます。
  287. 正森成二

    ○正森分科員 その答えは必ずしも正確ではございませんで、買収した土地は八十八万六千平方メートル、その買収費は千百六十四億円であります。その中でまだ未利用のままにほっておかれているのが、いまお答えになりました二十六万五千平方メートル、金額にして四百七十二億二千万円であります。  そこで伺いたいのですが、二十六万五千平方メートルといったらどれくらいの広さがあるか御存じですか。甲子園球場の何倍か答えてください。——わからぬでしょう。じゃ私が答えましょう。甲子園球場の七倍あるのです。そして、そのうちの五〇%が浪速区と西成区という非常に狭い地域に集中しているのです。ここに私はそのうちの浪速区の一部の地図を持ってきましたけれども大臣もよくごらんになってください。赤い部分があるでしょう。この赤い部分が買収をして、しかも何も建てないで未利用地のままほっておかれている部分なんです。ですから町の非常に広い部分がこういうぐあいになっているのですね。そしてその周りを金網で囲っているのです。ですからこの町の近くは夜になったら真っ暗でゴーストタウンです。  いま、われわれは景気をよくしなければならぬということで、お金がなくてもいろいろ公共事業をやっておる、ところが、その中で大阪市というような一地方公共団体が数百億円のお金を使って先行取得しているけれども、何にもつくらないでゴーストタウンにしているから、町がさびれてしまって、この先行取得されたと言われる地域をカバーしている大国小学校というのは、つい数年前まで児童数は六百幾らあったのだけれども、いま二百七十六名しかいない。つまり、それだけ人間がいないということなんです。ですから、飲食店はさびれる、散髪屋さんはさびれる、文房具屋さんはさびれるということになって町が非常に景気が悪くなったという声が起こっているのですね。これは当然のことである、こういうように私どもは思うわけであります。  そして、こういう同和対策用地というのは、もちろん府からも貸し付けられているし、それから同特法に基づいて国からも何がしかの金が出ている場合がある、こういうことですから、同特法に基づくと、同和対策事業というのは国も地方公共団体と相協力して進めなければならぬということになっていますね。ですから、こういう実態についてはもっとお調べになって、先行取得するならするで結構ですから、それは必ず一定の目的があって、取得できればすぐ工事にかかるということでなければいかぬと思うのですね。それについて何らかの指導なりあるいは是正をしてほしいというのが地元の声です。いかがお考えですか。
  288. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 地方公共団体が土地の先行取得をいたします場合には、同和対策事業のみならず、そのほかの場合も同じでございますけれども、やはり一定の目的があって先行取得をするというのが当然であろうと思っておりますが、いま御指摘の事実につきましては詳細に私、調べておりませんので、いろいろ実情を調べてみたいと思います。
  289. 正森成二

    ○正森分科員 この点につきましては、五十一年度決算認定に付された附帯決議というのが大阪市議会にあるのです。その中でも「同和行政の現状と現下の厳しい財政状況に鑑み今後の同和行政の推進にあたっては、同和対策事業用地の取得をはじめ、同和行政各般にわたるこれまでの施策を見直すとともに、市民の理解と協力を得て実施せられたい。」これは超党派で満場一致、自民党から左は共産党まで入れて決まっているのですね。ですから、これはよくよくのことだというように思うのですね。そういう点を是正しませんと、これは幾ら同和事業をやりましても本当に差別を撤廃する、心の底から撤廃するということにはならないです。  私、自治大臣についでのことに申し上げておきますけれども、施策をいたしましても同じ同和対象地区住民が均等に受けられないという問題も起こっているのですよ。たとえば部落解放同盟に入っていない住民は、たとえ未解放部落出身でありましても、ここに写真入りのものまで持ってきましたけれども、たとえば同和住宅で道路公団と大阪市が共同で設置したテレビ共同アンテナというのがあるのです。ところが、それをつくりましても部落解放同盟に入っていないとか気に入らない地区住民には共同アンテナを引いてやらないということで、そのうちだけは小さなアンテナを横へ立てているのです。それからまた、盗難や火災予防のために非常ベルをつけるでしょう。それもほかのうちにはつけるけれども、部落解放同盟に入っていない地区住民にはつけてやらない。保育所があるでしょう。保育所に子供を連れていって、子供に対して遊び着やスモックが支給されるでしょう。それに対しても部落解放同盟に入っていない地区住民にはそれを支給してやらない。だから、ここに幼稚園の写真がありますけれども、その子供だけは別の運動着を着て、そして運動会をやらなければならない。親が子供と一緒に一晩泣き明かしているのです。そういう状態が起こっているのです。いいですか。  ですから、こういうように先行取得だといって甲子園の七倍もあるようなものをほんと買うてゴーストタウン化する。そして同和対策の費用についても同じ未解放部落の住民にさえ差別を拡大しているというようなことでは、本当の未解放部落の解放、他地区住民との本当の、心の底からの融合は絶対できないですね。総理府、来ていますか。どう思いますか。
  290. 黒川弘

    ○黒川政府委員 同和対策行政はそれぞれの地区の実情に即して行われるべきものでございますけれども、同時にまた、これは関係地区の住民を等しく対象にいたしまして公平に実施されるべきであるということも当然であります。  政府といたしましては、そのような同和対策行政の執行についての基本方針を、昭和四十八年でございますか、各省事務次官通達をもって地方に示しているところでございますし、各地方公共団体におきましては、具体的な事業の執行についてこの通達の趣旨に基づいて、かつ地方自治のたてまえにのっとって行うべきであるというふうに考えております。なお、この通達の趣旨の徹底につきましては、機会のあるたびにその徹底を図っているというところでございます。
  291. 正森成二

    ○正森分科員 抽象的にお答えになりましたけれども、百日の説法何とかということで、実際にこういうことが起こっていれば無力なんですね。それを直すためにやはり地方公共団体、この場合には大阪市がそういうことを実際上許しているということについて自治省はもう少し目を向けていただきたいというように心の底から私は思うのです。福沢諭吉は「天は人の上に人をつくらず、人の下に人をつくらず」という有名な言葉を「学問のすすめ」の中で言いましたけれども、これはだれでも思っていることです。けれども、それを本当に実行するためにはまだまだわれわれが反省し、改めていかなければならない問題があるというように思います。  時間がございませんからもう一点だけ御質問いたします。  大阪市の住吉区の上住吉町というところに旭衛陶という会社があったのです。そこが立ち退きましたために広い地域があきました。その地域の住民は、子供の遊び場がない。そこで、道路なんかで遊んで危いからそこは遊び場、公園にして、災害の場合には避難場所にしてほしいということで交渉していたのです。この土地の買収資金というのは一般住宅向けの資金から出されていたのです。ところが、去年の五月ごろからここへ同和住宅を建てるということで、地域住民との話し合いが十分にできてないのに同和住宅を強行して建て始めようという問題が起こっているのです。  こういう点については御存じであろうと思いますけれども、この同和住宅を建てるということについて、その下の土地と上の建物について建設省はどれくらいの割合で補助をしておられるのか、御答弁願いたいと思います。
  292. 国吉忠

    ○国吉説明員 お答えいたします。  同和向けの公営住宅の建設の場合には、上物の補助につきましては三分の二の補助率でございます。それから下の用地につきましては全額起債充当で起債で処置しておるところでございます。
  293. 正森成二

    ○正森分科員 結局上も下も三分の二補助していることになるのですね。ですから、非常に安く建つわけですけれども、問題は、そこに建つ、旭衛陶の跡地というのは同和地区ではないということです。同和地区からずっと離れているのですよ。そこへ持ってくるということで、しかも住民がずっと前からここに子供たちのための公園、そして避難場所をつくってほしいと言っておったところへ持ってくるというところに非常に問題があるのです。そして九月十七日に地域住民と交渉しまして、超党派のところもありまして、自民党の市会議員さんも入って住民が一万八千名、公園にしてくれというようなことを署名しておられるのです。何も一つの党だけじゃないのです。そこで市と交渉して、住民が納得するまでは工事をしないということで九月十七日に決めているのに、交渉を打ち切って十月十一日には建設業者を入れて、住民が反対しても強行しようというようなことを言っておる。  さて、国の方に補助申請が出たのは一体いつで、決定したのはいつですか。
  294. 国吉忠

    ○国吉説明員 お答えいたします。  九月二十四日に市から申請が出されまして、二十六日に交付決定をしております。
  295. 正森成二

    ○正森分科員 ですから、九月十七日に住民との間では、住民の納得がない限りはやらないと言いながら、舌の根も乾かないうちに二十四日に申請をして、二十六日に決定がおりたというので、すぐ業者に請け負わして、そして住民が反対しようがやるんだといってやりかけた。そこで住民が怒りまして、近所の奥さんが団結小屋を入り口につくって、かわりばんこでそこへ出向いて工事をさせないようにして、もう三月になるのにいまだに工事ができていないのです。工事計画は三月末に終了でしたけれども。  そこで、私はお伺いしたいのですけれども、そういう状況のもとでは予算が年度内に使われないわけだから繰越明許その他で繰り越しの要請が出るかもしれないけれども、そういう繰越要請については慎重であるべきだと思いますが、いかがですか。
  296. 国吉忠

    ○国吉説明員 お答えいたします。  住宅団地をつくる場合に周囲といろいろな調整の点で難航するということは間々あることでございまして、そのために事業がおくれるということが全国的にございます。これは繰り越しの理由としては普通に認めている事例でございます。
  297. 正森成二

    ○正森分科員 繰り越しの事例として普通に認めていると言われますけれども、こういうような状況でおくれている。まだもう一つ理由があるのです。自治大臣、ゲリマンダーという言葉がありますね。選挙のときにあっちの選挙区を自分の有利なようにこっちへ持ってくる。それと同じようなことをやろうとしている。ここに地図を持ってまいりましたけれども、よくおわかりにならないかと思いますが、問題はここの旭衛陶の跡地というところ、そしてここの子供たちは普通はここの墨江小学校というところへ行っているのです。近いでしょう、直線距離が四百メートルないわけですから。ところが、同和地区の住民だから越境をして、ここに六十戸建てるのですけれども、それだけは八百メートル以上離れた住吉小学校へ集団的に登校させる、こう言うのです。地方自治体が、やってはならない越境を公然とやる、こう言っているのです。ですから、住民が何だということになるのはあたりまえで、そういうことができないというのであれば、解決としては、その周りを全部同和校に入れるか、あるいは新しく墨江小学校といういままで同和学校でないのをひっくるめて同和学校にするかというようなことになるんじゃないか、そういういろいろな考えが住民の間でも出ているのですね。  私は、幾ら同和事業推進のためといいましても、こういう公然とした、通常では許されないようなことをまかり通すというようなことはやってはいかぬ。そういうことをやって、地域住民と同和地区住民とが本当に心がしっくりするかというと、絶対そんな、いきっこないです。いかないようにしているのですから。  だから、そういう状況にあっては、建設省は安易に繰り越しを許さない、むしろ地方自治体に、もっと住民と話し合って、どうしても納得が得られなければ、地方自治体の方から工事の取り消しとかそういうことを言ってくるべきだという指導をすべきだ、こう思いますし、自治大臣にお願いしたいのは、地方自治体がそういう合理性に反する、常識に反することをやっているということをよく御承知おき願って、何らかのルートで地方自治体行政指導をするということはできないだろうかということを、私は地域の住民からもよく聞いてきましたし、お父さん、お母さんが団結小屋に入って、無法なことを許さないということでやっておられる姿を見てきましたので、ぜひそれについての御意見を承りたい。  時間が参りましたので、それで終わらせていただきたいと思います。
  298. 加藤武徳

    加藤国務大臣 住宅を建設いたします場合にはいろいろトラブルが伴いがちなのでございますが、基本的には、地域皆さん方がよく話し合いをいたしまして事の解決を図っていかなければならぬ、かように私は思っておるのでありまして、このことは同和対策事業についても全く同様だ、かように理解をいたしているところであります。
  299. 正森成二

    ○正森分科員 ありがとうございました。
  300. 笹山茂太郎

    笹山主査 これにて正森君の質疑は終了しました。  次に、永原稔君。
  301. 永原稔

    永原分科員 過日の福田総理の御答弁に関連する問題です。  地交法の六条の三第二項の問題が、昨年も論議が大分熱心に交わされました。昨年は特別会計の借り入れ、地方債措置というようなことであったわけですけれども、これは臨時の措置だったと思います。何か坊大臣小川自治大臣、自民党三役の方の間の覚書で「異例の措置である。」というような覚書が交わされたということも聞いておりますが、今度は特別会計で借り入れの半分は国が一般会計で補てんするという新しい制度をつくったんだ、だから、六条の三第二項の前段の方の改正をやったんだというお答えがございましたけれども、ここに言う地方財政あるいは地方行政の制度というのは、特別会計財源措置について言うのではないというような気がいたしますので、そのことについて御質問するわけです。  地方交付税法の三条に、「運営の基本」というのが示されております。「自治大臣は、常に各地方団体の財政状況の的確なは握に努め、地方交付税(以下「交付税」という。)の総額を、この法律の定めるところにより、財政需要額が財政収入額をこえる地方団体に対し、衡平にその超過額を補てんすることを目途として交付しなければならない。」  ここで言う地方交付税というのは、用語ではっきり定義されております。「第六条の規定により算定した所得税法人税及び酒税のそれぞれの一定割合の額で地方団体がひとしくその行うべき事務を遂行することができるように国が交付する税をいう。」こういうようになっておりますけれども、今度の改正措置は、特別会計の借り入れについての措置であって、こういうような制度の措置ではないというように思いますけれども、その点どうお考えでしょうか。
  302. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御指摘のとおり、五十三年度の財政対策といたしましては、三兆五百億円に上る財源不足があったわけでございまして、五十年度から通算いたしますと、四年間にわたりまして二兆を超すような大幅な財源不足が続くという状況であったわけでございます。したがいまして、その地方財政の状況は、まさに交付税法の第六条の三第二項に言いますところの引き続き著しく財源不足であるという条文に該当いたすことでありますことは御指摘のとおりだと存じます。  さような状況を踏まえまして、これまた御指摘のとおりに、五十二年度は五十二年度限りの措置といたしましての、その財源不足を交付税地方債で埋める、その交付税の分については償還を法律に書いていくというような措置をとったわけでございますが、今回は単年度の措置だけでなく、当分の間の措置ではございますが、やはりこういった財源不足が続いて、交付税特別会計が借り入れという方法によりましても総額を確保しなければならないというときに対応いたします措置を規定いたすような法案を提出いたしておるところでございます。  この六条の三の第二項に掲げてありますところの「地方財政若しくは地方行政に係る制度の改正」いかなる内容のものであるかということは、これは地方行財政全般の基本にわたります制度の改正であるのが法律といたしましても一番望ましいと予定をいたしておることはよくわかるわけでございますが、ただ、こういった経済事情の変動の激しい時期におきまして、やはり当分の間にいたしましても、地方財政の安定のため、総額の確保のために働き得るような措置を法律の改正によってつくるということは、ここに言うところの制度の改正の一つではある。最も望ましい姿ではないかもしれませんが、現状においてはそれによって対処することもやむを得ないのではないか、こういう考え方で法律改正をお願い申し上げておるところでございます。
  303. 永原稔

    永原分科員 平衡交付金法の時代を思い起こすわけです。やはりあのときに、力関係によって非常に政治的な問題になったというようなことを解決するために、この主税の三O——まああのときは二〇%から始まりましたですね。そういうような率を決めて争いを鎮静させよう、しかも地方の独立財源ということで、しかも調整機能を果たした、そういうような地方交付税ということでお始めになった、そういう経緯がございます。  そういうものから見ますと、特別会計の借り入れというのは、これは別に歯どめがないわけです。また、どれだけ借り入れるかということについて、あの平衡交付金時代と同じような政治的な摩擦が起こる可能性がある。そういうことで、非常に大きな退歩ではないかという気がしてしようがない。と同時に、いま局長おっしゃいましたように、本当に全体にわたる地方財政制度をやるのが望ましいけれども、次善の策というようなお話です。たとえば義務教育費の国庫負担、これを直すだけで一兆七千億というようなものが国庫から流れるわけですね。あるいは生活保護費にしても、そういうようなものを直してこそ本当の制度改正だと思いますけれども、何か胸を張って福田総理がお答えになったような、ああいうような制度改正とは非常に異質のものである、こういう気がしてなりません。どうでしょうか。
  304. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御指摘のとおりに、たとえば義務教育の負担金制度を全額国庫にするというようなことにすれば、金額的には非常にそういった事態が起こることは御指摘のとおりであろうと思いますが、ただ、ああいうものについて制度としてどちらがいいのか。やはり地方も国も両方責任を分担するということ自体に意味があるのだろうと思います。生活保護費にいたしましても、八割は国、二割が地方と、このこと自体に、地方の責任分担というような意味も含めまして、価値のある制度になっているんじゃなかろうか、こういうように思えるわけでございます。  ただ、何分にも、現在のように非常に経済が変動し、かつ国も地方も大幅な財源不足に悩まされている、こういうときでございますので、そのためには、やはり国、地方を通じましての財源の確保ということが将来行われなければならない時代にいま差しかかっているんじゃないかとは存じます。ただ、そういうこともいまの経済の状況のもとにおいては、たとえば増税その他というようなことも非常に困難であるというような時に会いましての措置であるわけでございまして、なるべく早い機会に経済が安定成長の軌道にちゃんと乗り、そのことによりましてそういった安定経済成長下におきましての地方財政のあり方というものが基本的に制度改正としてできるようなときが一刻も早く来ますことを私どもとしても望んでいる次第でございます。
  305. 永原稔

    永原分科員 いまこの借入額、一歩譲って一般会計からの補てん額を交付税の率に換算するとどのくらいになるのでしょうか。
  306. 山本悟

    山本(悟)政府委員 各年度におきましてどれほどのものに財源不足額がなり、かつ、そのうちどれだけ建設地方債によって措置ができ、あるいはその残りの分といたしましての交付税の増額ということによって措置しなければならないか、かようなことが将来にわたっての数字としてはまだ出ないわけでございますので、交付税の率を改定いたしましたように幾らに相当するという言い方はいささかしにくいわけでございます。  ただ、御案内のとおり本年の分で考えてみますと、この措置によりまして一兆五千五百億円の借り入れ、それに対しまして将来国の方におきましては一兆五千五百億円から四百二十五億円を引きました分の半分、七千五百億円余になると思いますが、それだけのものは五年据え置き十年償還というかっこうで、それと同じようなかっこうで臨特として地方財政繰り入れるということを法律上約束するわけでございますので、相当大きな地方財源の付与というかっこうに将来にわたってなってくるというように存じております。
  307. 永原稔

    永原分科員 数字はおっしゃいませんでしたけれども、国の方で補てんする一兆五千五百億、そのほかは地方団体の借り入れになるわけですね。本来は両方とも財源措置をすべき額ですから、これはかなり高くなってまいりますね。そういうようなものについていまの財政状態、国家財政が特例公債に頼っているというような状態の中ではやむを得ないと一応認めるとして、そうするとこういう制度を開きますと、今後三二%の税率については余り手を触れるという見込みはないのでしょうか。
  308. 山本悟

    山本(悟)政府委員 先ほど申し上げましたように、現在の国、地方を通じましての財政状況というのは両方とも大幅な歳入不足に悩まされている状況にあるわけでございまして、いつかの早い時期に、国も地方もあわせましての公経済といたしまして何らかのかっこうでの収支バランスがとれるような状況に持っていかなければならないということが一つあるわけであります。その際、地方財政の立場から申せば、やはり地方の自主財源の増強ということを第一に願いたいわけであります。その地方財政の自主財源の増強という意味から言えば、もちろん増税等というような国民の負担増を求める際に、なるべくは自主財源として地方税というかっこうで地方団体財源付与されることが一番望ましい姿であろう。それができない、あるいはその額がそれで十分でないという段階におきましては、やはり国の、国税としての増収分につきまして地方財源の一般財源に回してもらう手段というものを考えなければならない。この場合にはいろいろな方法があろうと思います。たとえば国が新税を起こすというようなときにはやはり交付税の対象税目に加える必要があるんじゃないか。いろいろな新税のことも議論としてあるわけでありますけれども、そういう際にはぜひとも地方交付税の対象税目にしてもらう必要がある、三税が四税になるというようなことを私どもとしてはぜひ主張していかなければならないこと、こう思っておるわけでございます。  そういった総体のこと等を含めまして、やはりそのときに率が一体どれが適当なのかということも当然議論になってくること、こう思っているわけでございまして、そういう基本的な改正が一刻も早くできますような経済情勢になってもらうことを願っている次第でございます。
  309. 永原稔

    永原分科員 一般消費税の問題が絡んでくると思いますけれども、そういうものが出た場合に、四税を対象にしていけば、当然この率は変動いたしますね。それだけでカバーし切れない、当面はし切れないと思いますので、そういう中ではやはり六条の三の条項が生きてくると思いますけれども、どうか平衡交付金時代のような摩擦が起こらないように、自治省大蔵省に押されっぱなしにされないようにがんばっていただきたいと思いますので、その点をひとつお願いしておきます。  それから、地方債の問題ですけれども、これについてもこの前大臣に対して質問が出ました。大蔵大臣が民間の設備投資に対して大きな圧迫にならぬということをお答えになったように記憶いたしておりますけれども、やはりいま政府資金が非常に少なくて、縁故債が非常に多くなっている。確かに五十一年をピークとして縁故債の率は下がってきております。しかしネットはふえている。二兆八千八百二十五億ですか、こういうようにネットが増加している。そういう中で国債の方を見ていきますと、国債の縁故債的な民間資金に依存する分が十兆九千八百五十億、政府保証債が一兆三千六百億、それから政府関係機関の民間資金の導入分が一兆七千七百億、合わせますと十六兆九千九百七十五億、非常に膨大なものを民間に依存するわけです。それの一七%が地方団体の縁故債になってまいります。これを引き受ける指定金融機関というのはとてももうカバーし切れないでしょう。やはりそれぞれの地方団体においては都市銀行を含めたシンジケートを結成していかなけばならない。ところが、指定金融機関だけでしたならば金利もある程度は抑えることができますけれども、金利コストの高い都市銀行まで含めたシ団構成ということになりますと金利は高くなってまいります。そういうものについて縁故債にこれだけずっと依存してきていますので、やはり中央の指導が必要である、こう思いますけれども、縁故債の消化について、特に金利政策について自治省はどういうようにお考えになっているでしょうか。
  310. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御指摘のとおりに、明年度の地方債計画におきましてもなるべく政府資金なり公庫資金なりというもののウェートを高めるような努力をいたしておりまして、縁故資金は、御案内のとおり純粋縁故は約八・六%の増でございますが、政府資金は三二・一%、公庫資金は三一%、こういうように伸び率をそちらの方を高めるような努力はいたしております。しかしながら、まだなおかつ縁故資金というのも絶対額として予定が増加していることは御指摘のとおりであると思います。  そういうような情勢下におきまして、やはりこれだけの縁故資金を銀行等から借りますにつきましては地方団体におきましてそれぞれ相当な努力と苦労とを重ねておられる、これもよく存じているところでございます。何と申しましても、縁故債ということになりますと、当該地方団体と引受金融機関との縁故性の強弱というようなことも含めまして、多少の利幅というものが出てまいるということでございまして、実は昨年の前半のような時代におきましては相当に利率が高いというようなところもございまして、特に余りにも他に比べて高いというようなところには特別な指導をした事例もあって、再検討して下げさせたというような事例もあるわけでありますが、いずれにいたしましても、現在は公定歩合の引き下げその他によりまして市中金利がずっと下がってまいっておりまして、政府資金ともそれほど大きな違いがなくなってきている。市場公募の場合は〇・二%程度でございますが、そのくらいの差しかなくなってまいってきているような状況でございます。ただやはり弱小の団体の場合はその辺の心配はあるわけでございまして、明年度におきまして予定いたしております政府資金の増額分もなるべく一般市町村の方に振り向けていくというやり方をとっているわけでございます。ことに財源対策のために特に起こします一兆三千五百億の地方債、そのうちの一般市町村分は全額政府資金をもって充てられるのではないか、かようにも思っておりますし、また、公営企業金融公庫の融資対象を普通会計まで広げる、そのことによりまして道路その他一般市町村の起債をなるべく多く公庫によって引き受ける、そういうような手段によりまして良質な資金を弱小地方団体の方に多く流すことによりまして、力関係によって金利の高いのを押し切られるという状況をなるべく少なくしていこう、こういう努力もいたしておるわけでございます。
  311. 永原稔

    永原分科員 地方公募債七・一四二%、政府資金六・五%、その差額について臨特の対象になっていると思いますけれども、実効金利は七・一四二という数字と比較してどうなっているでしょうか。
  312. 山本悟

    山本(悟)政府委員 五十二年の十二月の借り入れ分の普通会計債の状況を見てみますと、多少の幅はございますが、たとえば北海道におきましては表面金利六・七、発行者利回り七・〇六、秋田県では表面金利六・八、発行者利回り六・九一というようなことで、大体七%ちょっと上から六・九%台というようなところが利回りになっておりまして、比較的発行者利回りといたしましても全体として下がりつつある、こういうように判断いたしております。
  313. 永原稔

    永原分科員 そういうところは、交付対象は臨特には関係がございませんね。
  314. 山本悟

    山本(悟)政府委員 臨特は総体でもって一括して算入計算をいたしておりまして、個別のものには関係させないようにいたしております。
  315. 永原稔

    永原分科員 公共事業の消化というのが非常に懸念されるということはしばしば論議されているところですけれども事業量の拡大ということで一番問題になるのが技術屋の確保だと思うのです。それぞれ地方団体において増員をしなければあれだけの事業がこなせられないというのが実態になっているように見受けられます。  そういう中で、地方財政計画においても増員計画は一応ありますけれども、こういうような公共事業の増大に伴う技術者の増員というお考えがこの中に含まれているでしょうか、その点を伺いたいと思います。
  316. 山本悟

    山本(悟)政府委員 公共事業の増大に伴いまして、各地方団体におかれましても非常に努力をして各種の対策をとっておられるようでございます。実施推進本部というようなものを設置し、それぞれの技術者の動員を図る、また事務の簡素合理化を図るというようなことで対応していただいているようでございます。また、政府の方におきましても、各省の公共事業の執行に当たりまして各種の手続の簡素合理化というようなことをそれぞれ努力をしていただいている次第でございます。  そういうような意味で、今回の公共事業の増加に伴いまして、直接にどれだけの職員が要るというような意味での地方財政計画上の計上はいたしておりません。
  317. 永原稔

    永原分科員 これは一つの至上命令のようになっていますので、こういうものについてもやはりある程度の御指導が必要ではないかという気がするわけです。こういう人件費について、それぞれ地方団体においていろいろラスパイレス計算をすれば非常に大きな差がある。非常に強力に御指導にはなっているようですけれども、やはりこういう人員の扱いについてもっと積極的に前に出た方が、結果論でもっていい、悪いを言うよりはいいのではないかという気がしますので、その点も御配慮をいただきたいということをお願いをいたします。  最後に、私、ちょっと地域の問題になりますけれども、原子力発電所を抱えております。電源立地促進ということに国は特に力を入れていらっしゃる。原子力発電所の建設も、これからのエネルギー政策上どうしても必要だという観点で国策として取り上げていらっしゃる。ことしの景気浮揚策としても設備投資の拡大というのを電力機関に期待していらっしゃる。そういう中で、現実にこういう原子力発電所を抱えて増設というような事態に追い込まれている町村——電源立地の促進交付金というのが交付されますけれども、これは基準財政収入額には算入されない金ですので地域にとってはありがたい金です。しかし、これは施設にだけ交付されますので、今度は運営費においてそういう施設を構えた場合に町村財政は非常に苦しくなってくるわけです。  たとえば、原子力情報センターというようなものの建設費は、これは交付金を受けた町や県が一緒になって建設いたします。大きいところではそういう運営費が年間六、七千万かかるのです。そういうものについて、この交付金の対象にならない。やはり施設をふやせばその運営のために運営費が要るのです。そういうので、この対策としてこの交付金が運営費にも回るような御指導を自治省としてやっていただきたい。そうやっていただくか、あるいは大規模償却資産が、これは固定資産税ですから当然基準財政収入額の中に算入されてまいります。片一方で施設をふやすというような措置がとられるなら、それに特別需要のかかる町村についてこういうものを一般の基準財政収入額から外すわけにいかないか、また、そういうものについて特別交付税で補てんするのが筋なのか、どの考えが一番いいか、私もいまここでにわかに結論を出し得ませんけれども、本当に交付金を運営費にも回せるようにしていただきたい、どうしてもできない場合には大規模償却資産の基準財政収入額算入をどうにか取り除いていただきたい、そういう気がしますけれども、これについてはどんなお考えでしょうか。
  318. 山本悟

    山本(悟)政府委員 電源立地の促進等の資源エネルギー関係に関する事務は基本的には国で負担してやってもらう、それで、そのために地方団体にもいろいろと財政上の措置が要るというものにつきましては、いま御指摘のございましたように電源三法によります交付金ということによって処理をされているわけでございますが、電源三法のいわゆる交付金が施設建設という段階だけで運営に回せないじゃないかという御指摘、確かに現行ではそうなっていると存じますが、私どもの方の立場から主張をさせていただけば、そういったものはなるべく地方団体の真に必要とするものに使えるようなかっこうにしてもらうというのがやはり一番望ましい姿ではないかというように存じます。  御提案のございました固定資産税を交付税の計算上基準財政収入額に入れないという問題になりますと、全くの目的税についてはそういうようなことも可能でございますけれども交付税制度そのものとしまして、一般財源でありますところの固定資産税についてさような取り扱いということになりますと普通交付税の計算上の基本に触れる問題になりかねないわけでございまして、直ちにそういうような措置によってこの電源立地というものを解決するというわけにもいきにくいのじゃなかろうかというような気持ちがいたします。
  319. 永原稔

    永原分科員 時間が来ましたので最後にいたしますが、いまの立地交付金というのは通産省の所管しているものですけれども、非常に使途が制限されているから交付がなされないで余っているのが実態です。本当に生活関連のいろいろな施設がどんどんそういうふうにできていくのはいいのですけれども、それだけでは足りなくて、今度は産業関連施設にも拡大するというようなお答えも出ておりました。そうなってくると、産業関連ということになれば直接市町村の経営をするというのはあるいは少ないかもしれません。しかし、現実にそれの運営に要する経費はやはりふえてくるわけです。そういうような需要のあるところに限ってそういう固定資産税を算入しないというような方法がとれないかということですけれども、これは全体の基本にかかわる問題だということで不可能だとすれば、やはり立地の交付金を何とか考えていただかないと、地方自治体を御指導なさる自治省の立場としても、そういう窮迫している町村の実態を見た場合に、援助してあげるのが筋じゃないかと思いますので、ぜひお考えいただきたい、こう思うわけです。  こういう経済のいろいろな問題は、十二省庁に関連しますので、閣僚会議で毎月のようにやるのだということを通産大臣は私にお答えになりましたけれども、そういう中で自治大臣もぜひこういう町村の実態というものをわきまえて、電源立地は、特に国策である原子力発電は充実していかなければならないというような観点、また、設備投資上どうしてもこういうものを進めるのだという福田総理の方針、七%達成のためにはぜひそういうものに力を入れるのだという方針に沿ってできるだけ善処されますようにお願いするわけです。お考えをお聞かせいただいて、終わりといたします。
  320. 加藤武徳

    加藤国務大臣 電源立地の市町村は非常に苦労をいたしておりますし、ことに原発の場合はその苦労が何倍かに倍加されまして大変でございます。そこで、地域皆さん方に納得していただきますためには、いろいろ施設等の整備もやってまいりましたり、あれやこれやのいわば手を打たなければならぬわけでありまして、そのためにはずいぶんと財源を必要といたしますことは申すまでもないことでございます。交付税交付等につきましても格段の配意をいたさなければなりませんし、ただいま立地交付金のお話がございましたが、立地交付金の使途あるいは額の増加等につきましても今後努力してまいりたい、かように考える次第であります。
  321. 永原稔

    永原分科員 どうもありがとうございました。
  322. 笹山茂太郎

    笹山主査 これにて永原君の質疑は終了しました。  次に、川俣健二郎君。
  323. 川俣健二郎

    ○川俣分科員 これで自治省所管分科会の質問が終わるわけですが、分科会はえてしてお願いと前向きの検討、これの受け答えで終わりがちなんですが、自分の予定しておる質問に入る前に、ちょっと気になる質疑応答だけを、せっかくですから大臣に確認しておきたいのです。  というのは、朝からの質問の中で、こういう質問者がいました。高速道路へのただいま練習中という車の乗り入れにかかわる通達をたしか警察庁が出した。ところが、私らの聞いておるところによると、どうも担当の局長と質問者との受け答えがすれ違いというか、これはどういうわけだろうか、あえて聞く方も答える方もすれ違いさせているのか。だけれども、聞く方は実態を資料を持って質問しているのだから、もう少し答え方があるのではないかな、論調は、きわめて怜悧な頭脳で答弁していましたけれども、これはどういうわけだろうかなと思って、私も副主査の一人として、野党側の責任者として聞いておりました。  最後に自治大臣答弁に立った、その答弁は、きわめてそのとおりの行政指導的な通達だったろうな、こういうふうに自分としても納得したわけなんです。ところが、大臣就任前のことなのかどうか知りませんが、担当の局長がああいうことをおっしゃるとなると、全国的にああいうことはあり得ることだし、これからも大いにあり得ることです。ただいま練習中というのが高速道路にじゃかすか入ってくることだろうから、大変に関心もあることだから、ひとつ大臣答弁したところを骨子としてこの委員会で、あえて第三分科会で私は答弁は要りませんから、あの局長の考え方なり通達を出したいきさつなり、義務と責任がどこにあるのかというようなものを私らにも後で何らかの方法で聞かせてもらえるだろうか、これを大臣にお願いしておきたいのですが、よろしゅうございますか。
  324. 加藤武徳

    加藤国務大臣 私も実は通達のことはよく知らずにおりまして、この席での御質問やそれへの警察庁の交通局長の答弁を聞きましてその内容が若干わかった、かようなことでございます。  そこで、通達を出しておりますのですから、私はその通達を見てみたいという気持ちを持っておりまして、恐らく、私が先ほど答えましたように、免許証を取りますとその運転者は早晩高速自動車道に入る機会があるでありましょうから、のっけから入ってうろうろしたりして交通事故や交通渋滞の原因などになっても大変なことだから、あらかじめ教習所へ相談をして、教習所の指導員が一緒に乗って指導してほしいというような希望等がある、それが実情であって、それならということで、そう遠い距離から入るのはおかしいだろうから、三十分以内にインターチェンジに入り得るような教習所は、そういう希望があったら希望に応じていったらどうです。ドライバーがみずから自分だけで入っていきますよりも前もって訓練を経た方がいいから、かような親切心から出たものだ、かように私は質疑応答を聞いておりまして判断いたしたようなことでございます。  なお、私も通達をよく吟味いたしまして、もし足らざる点かあれば——といいますのは、先ほどの質疑応答の中で、果たして乗り入れるにふさわしい教習者であるかどうかの問題、万一事故がありました場合に、事故は一件しかないというさっきの話がございましたけれども、万一ありましたような場合にはその損害の補てん等について体制ができておるのかどうか、かような心配も私も率直にいたしておるようなことでございますから、警察庁からいろいろ聞きまして、補正すべき点があれば補正し、また仮によろしからざる点があればそれはため直していく、かようなことをやってみなければならぬな、かような感じを持ったところであります。
  325. 川俣健二郎

    ○川俣分科員 そういう考え方で私らも通達の内容を見たいと思っていますし、大臣の方から、私らにも理解できるように何らかの方法で、個別にでも教えていただければと思って、あえて質問しました。
  326. 加藤武徳

    加藤国務大臣 わかりました。
  327. 川俣健二郎

    ○川俣分科員 それから、予定を申し上げました超過負担の問題です。私の時間は本務員ということで一時間あるわけですが、むしろ予算の大きな眼目の、総括的な質問項目のように感じました。というのは、さすが自治省であるだけに、いまの私の前の方もそうでしたが、私ずっと調べてみたら、やはり自治体の財政の逼迫という問題を各質問者が不思議と全部取り上げておるのです。これはなるほどと思います。御多分に漏れず私らの東北は、主査をやっておられる笹山先生と同じ秋田ですが、かせぎ頭がいないところに限って、都会だったらまだ高所得者がいるわけですが、僻地寒村の東北の方は、疲れ切って帰ってきた人が国民健康保険に入って老後を暮らすわけですから、まず国保でも想像以上にかなり圧迫されています。  それから二つ目は、何といっても、さっきも話が出たが地方交付税。三割自治じゃありませんが、何とかならないかということ。これは所管委員会の地方行政委員会で毎回おやりになっておりますことですから、あえて言うことはない。  あえて私が今回取り上げたいのは、三つ目のいわゆる超過負担です。これは一体何が原因だろうか。これは恐らくどこかの分科会でも取り上げてきた問題だろうと思います。  そこで、平易な言葉で言えば予算の出し方が少ないのだろうか。それは少ないから逼迫しているわけだろうが、やはり国の財政だって限度があるわけだ。  そこで二つ目は、予算を出したくたって制度がないんだ。それからまた、制度上それ以上は出せないんだ。これは面積、数量、それから単価と大体三つに皆さん方お挙げになって分析しておるわけです。学校の門とかへいとかというのはおかげさまで去年からですか、入ってきた。雪国の学校なんかどうしても必要なのは体育館です。雪に耐えられる二階建てではないが三階建てぐらいの大きさの体育館がなければ教育にならない。音楽教室へ行くといったって、いままでは廊下は対象にならなかった。やっとなったですかね。したがって、そういうような問題を一遍ここで整理する必要がないだろうか。  それから三つ目は、これもやはりわれわれはひとつこれから党派を超えて検討しなければならないのは、自治体の支出の仕方、いわゆる金の使い方が、平たく言えばぜいたくなんだ、不要なものに金を使うから単価増になってしまってそういうことになるんだ、こういうように国の方では見ているのだろうか。  それから四つ目は、私は総括質問で例の米の生産調整の問題を取り上げました。私の基本理念は、生産調整は与党も野党も逃げちゃいかぬのだ。米ばかりつくっていたらどうするか。したがって、これは国会できちんと制度上も政策上も論議してやるべきであって、一片の局長の通達でやるのはおかしいのじゃないか、こういう考え方から、いろいろとペナルティー論議というのが沸騰したわけです。ところが、いろいろと聞いてみると、あれだって本来から言うならば自治省に一番先に相談しに行かなければならない問題なんです。大蔵省とも相談しなければならない問題なんです。それは国から二千百十二億という予算が出るから、その予算の中でやれるんだからいいだろう、こう言うけれども、それではとてもじゃないが生産調整には農民は応じないのです。やはりこれは隠し金というか、各町村長はプラスアルファの加算金を加えて何とか減反してくれぬかというのがいまの実態なんです。こういった積み重ねでやはり財政を圧迫しているというのはなるほどと私は感じ取っておったわけです。  そこで、これはどう見たって自治省所管だけの大臣に質問するよりも、総括的な質問だろうと思うので、後ほど予算委員会の総括に入る入らないは検討さしてもらいますが、超過負担の問題は古くて新しい問題でしょうから先輩議員方もいろいろやってきたでしょう。そして毎年要望書が出る。その要望書の厚みがだんだん厚くなる。六団体の要望書、知事会、町村議会、全部厚くなる。しかも全部年ごとに金額が多くなる。そしてついに五十二年度は六千四百億という大額になる。こういうことを考えますと、自治省としても何らかの手を打つのだろうか。  これは地方行政の調査室にもいろいろと勉強さしてもらいましたが、自治省自治省なりにこれは自治省事務次官のお願いなのか。これは通達というわけにいかぬだろうから、各省の事務次官にこういう膨大なものを出して、おたくの省はこれに気をつけなさいよ、おたくはこういうところはいかぬですよ。しかし、先ほど申し上げましたように自治省が知らないことを通達で流してやっておるわけです。この第三分科会で時たまこういう質問もありました。  これは、自治大臣は聞いておられないけれども、厚生省がいま三歳児の健康診断をやらなければならないといって予算をつけて出しているわけです。ところが、行政指導のサービスが行き届き過ぎたのかどうか知らぬけれども、一・六歳児も健康診断をやりなさいという通達を児童家庭局長がお出しになった。そういう通達をもらったものだから役場としてもやらなければならぬ。ところが、それに対する補助金というのは五%で、九五%はその町村が持つ、こういうことなんです。まあこれはどなたが言ったかということじゃなくて、大臣に聞いておいてもらいたいのは、そういう通達を出したが予算はつかない、それは法律予算じゃないわけだから、通達を出したら自治体が困るからちょっとそれは待ってくれといういざこざもあったというのです。なるほど、そう思うんだ。そうなるとこれはやっぱりいよいよ立法機関としても——通達行政というのはこのごろ非常に多くなりたわけですから、特に厚生省なんというのは仕事の内容上、一々法律にかけないでサービスということでやっているのか制度化しないでやっているせいか、非常に多い。  そこで、私は、この程度で総括質問に移したいのですが、ただせっかく各官庁の皆さんに来ていただいておりますから、この自治省の事務次官が出したお願いの文書を各官庁はどのように受けとめて評価してやったのかということを、ピックアップしてというか、みんな聞いたら各官庁全部ですから、お行儀の悪い官庁もいるし、わりあいに言うことを聞いてやっている官庁もいるわけですから、私の方から名指ししますから、時間も遅くなっているから、その順番で聞かしてください。  まず国土庁。地籍調査というのはいま四三%ぐらいだと思います。日本の国に土地台帳の本物はないわけだ。四四、五%の測量しか国として調査してない。これは早くやるべきなんだ。やるべきなんだが、やはり自治体も持ち分があるものだから、秋田県なんかはわりあいに持ち分を出せないものだからおくれている方なのかどうか知りませんけれども、地籍調査。  それから文部省は、学校のあたりを少し触れてどういうように——どうせ注意事項に学校は入っていますから。  それから厚生省は、これは悪い方の横綱というか、これは後で。  農林省は、いま農業委員会というあの制度、あれは戦後つくって笹山先生方がやったのだろうと思うのだけれども、いまあの手当、何ぼだと思います。一カ月間の農業委員の手当。こういった問題を指摘をしておく。  それから通産省は、いま休廃止鉱山というのは非常にふえてきた。この間伊豆の地震による持越鉱山のシアンのあの流ればかりじゃなくて——あれだってもう恐らく銅の値段、不況の関係で休廃止するしかない。そうなると国として、まだあれは鉱業権者がいるわけです。権者のいない山が日本の国に無数とある。鉱山のなかったという県は、皆さん、東京だけです。東京都だけが金属鉱山を持たなかった県なんです。あとは全部ある。そのかつてあった休廃止鉱山をどうするつもりなのか。  それから労働省は、これも委託の業務だと思うのですが、身体障害者の職業訓練の委託業務、これに対してもやはり注意を受けておる。  それから厚生省も何か一つ、保育所か何かを一つ代表して。  以上六つの代表者から特にこれを意識して、それから自治省に一切相談しないで通達を出したことを意識して、しかも事業費と国費と——今度自治省が大分出したということになったわけだから。ところが、一方からどんどんふやしていけば、何ぼ出してもだめなんです。そういう考え方を打ち立てて、大蔵省に総括質問でみんなでやっていかなければこれはいかぬのじゃないのだろうかというように思って、あえてひとつ各官庁からそういう観念で説明してくれませんか、いま言った順序に。
  328. 高田徳博

    ○高田説明員 地籍調査につきましては、その実施に要します経費に対する国費率を当初は四分の一でありましたものを、昭和二十八年度には三分の一に、それから三十一年度には二分の一に、三十二年度には三分の二と、こういうふうに改善しております。また、昭和三十二年度からは特別交付税の対象といたすことといたしまして、この交付率につきましても補助残の二分の一であったものを、昭和四十三年度には五分の四に引き上げて改善を図ってきたところでございます。さらに単価につきましても、超過負担の解消を図るべく毎年度単価の引き上げに努めてまいったところでございます。  御質問の趣旨でございますが、これにつきましてはこのように対処してまいったところでございますけれども、今後ともなお調査の進展に支障のないように努力をしてまいりたい、こう思っておる次第であります。
  329. 倉地克次

    ○倉地説明員 文部省の関係といたしましては、まず第一に義務教育の施設の関係があるわけでございますが、これはやはり先ほど先生のおっしゃいましたように、単価の問題とそれから事業量の問題、それから面積の問題などあるわけでございますが、私どもといたしましては補助単価につきましては毎年物価の上昇に見合う単価の改定を行っているわけでございまして、五十三年度におきましても六・三%の単価アップを行って物価の上昇に見合うよう措置している次第でございます。  それから、面積の点につきましては、いろいろ実施と補助の面積に差があるのは事実でございましたので、五十三年度におきましては、小学校の十八クラスの学校で申し上げますと、約一六%の基準面積のアップを行いまして、補助基準の改善を行っている次第でございます。  それから、対象などの点につきましては、先ほど先生のお話がございましたように、五十二年度から門、さく、へいなどを対象に入れましてその改善に努力しているところでございます。  それから、自治省からいただきました事項はたくさんあるわけでございますが、その中で特に大きな問題についてお話申し上げますと、人口急増地域に対します財政措置の強化という点につきまして、五十三年度で一般地域につきましては二分の一の校舎の補助を行っている次第でございましたけれども、これが五十三年度から切れるということになっておった次第でございますが、今回予算で三分の二の措置をいたしまして目下法律案を提案いたしましてその延長を図るよう努力をしている次第でございます。  それから、小中学校の用地の問題につきましては、これは補助対象面積を大幅に増加いたしましてこの改善に努力している次第でございます。  それから、高等学校の整備の国庫補助の充実の問題でございますが、これにつきましても単価につきましては小中学校と同様その改善を図ると同時に、事業量の大幅な拡大を図っている次第でございまして、補助金額では約七〇%を超える改善を図っている次第でございます。  おおよそ、私どもの担当いたしておりますような点につきましてはそのような改善を図っている次第でございます。
  330. 塚田実

    ○塚田説明員 お答えいたします。  御質問の農業委員会費、特に委員手当でございますけれども、私ども委員会費補助金につきましては、御指摘のような御要望もいろいろございますので、毎年補助の改善に努めてきております。  まず、委員手当について申し上げますと、毎年度補助単価の引き上げを私ども図っております。五十二年度には会長手当を新設しました。そのほかの委員手当についても一〇%強の引き上げを行っております。それから五十三年度の予算案におきまして……。
  331. 川俣健二郎

    ○川俣分科員 会長手当の引き上げは幾らですか。
  332. 塚田実

    ○塚田説明員 会長手当は一五%であります。
  333. 川俣健二郎

    ○川俣分科員 それで幾らになりますか。
  334. 塚田実

    ○塚田説明員 五十三年度の要求でまいりますと、会長手当が一回当たり二千五百七十円、それから委員手当は二千二百四十円でございます。
  335. 川俣健二郎

    ○川俣分科員 一カ月どのぐらいになりますか。
  336. 塚田実

    ○塚田説明員 これは大体月に一回程度委員会が開かれるものですから、その委員会が一回、数時間開かれるものに対する手当でございます。それで申し上げましたように、会長が二千五百七十円、委員が二千二百四十円でございます。  それから、農業委員会には職員がございますが、職員設置費につきましては、毎年度のベースアップのほかにそのような御要望もありますので、五十三年度の予算要求におきましては——実は去年の秋に急遽補助対象経費の拡大が必要があるかどうかにつきまして大蔵省自治省、農林省の三省でその共同実態調査を行いまして、それで十二月に結果が出たものでございますから、そうしますとその実態調査の結果を踏まえますと多少の不足があるということでございましたので、いま農業委員会全体で補助対象職員が三千三百二十名おります。それをプラス五百三十二人相当分が不足であると私ども考えまして、急遽追加要求をいたしまして、十四億七千万円相当の要求をプラスして行っております。  以上が農業委員会関係の主な改善状況でございます。
  337. 嶋田勝弘

    ○嶋田説明員 お答えいたします。  原因者が不存在または無資力の休廃止鉱山の鉱害防止事業でございますけれども昭和四十六年度から休廃止鉱山鉱害防止事業補助金制度を設けまして、地方公共団体に工事費等の三分の二の補助金を交付してまいったわけでございます。しかし、さらに地方公共団体の財政負担を軽減すべきであるという要請を受けまして、昭和五十年度からは補助率を三分の二から四分の三へと引き上げておるわけでございます。現実の問題といたしましてこの補助率は類似します他の補助金と比べてもかなり高額の補助率ではないかと考えておるわけでございまして、今後ともこれによって事業の円滑な実施を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  また、昭和五十年度から金属鉱業事業団に工務部を設け、また各地に事業所を設けまして、地方公共団体の実施します技術的に困難がある工事の設計管理について地方公共団体の依頼を受けましてこれを支援するという体制を整備して工事の推進を図っているわけでございます。  ちなみに申し上げますと、昨年度事業所は十二でございましたけれども、五十三年度においては十四事業所ということでいま考えておるわけでございます。
  338. 名取昭夫

    ○名取説明員 お答えいたします。  身体障害者の職業訓練校の運営委託につきましては、私ども毎年その改善を図っておるわけでございますけれども、なお都道府県経費の一部について御負担をいただいておるという実態がございます。特にこの御負担をいただいております経費の中は人件費によるものが非常に大きいというように私ども理解いたしております。実は先生先ほど御通達のお話がございましたけれども、私どもは五十年度に大蔵省自治省、労働省の三省でそれぞれ給与の実態につきまして御調査をいただきまして、五十一年度にかなりの予算の増をいただいたわけでございます。しかしながら、依然としてまだこういう負担の実態がございますので、今後につきましても十分増額について努力をしてまいりたいと思っております。
  339. 下村健

    ○下村説明員 保育所関係についてお答えをいたします。  保育所の整備費と運営費と二つあるわけでございますが、保育所の整備費につきましては四十九年度に厚生省、大蔵省自治省の三省合同調査をやりまして、さしあたりまず建築単価の大幅な引き上げをやっておるわけでございます。それに引き続きまして昭和五十一年度には補助基準面積の改善を行い、五十二年度に入りまして従来対象外ということになっておりましたが、門、さく、へいというたぐいのものを補助対象に組み入れたわけでございます。この間ずっと補足的な調査等も行いましていろいろ検討したわけでございますが、五十三年度におきましては標準仕様の設定を行いまして、これを単価に反映させたいということで目下ほとんど詰めを終わっておりまして、まだ最終的な結論を得るところに至っておりませんが、五十三年早々にはこれの結論を出したい、五十三年の予算でこれを反映させたいというふうに考えておるわけでございます。  それから運営費につきましては、同様に昭和四十九年に三省合同調査をやりまして、主として人件費関係を中心にいたしましてその改善を図ったわけでございます。それからその後、引き続き補足的に五十二年、五十三年においても改善を図っておるわけでございますが、この間、五十一年に運営費のうちの残された部分の大きなものでございます飲食物費の関係についての調査を行いまして、それを昭和五十二年度の予算に反映さしているわけでございます。  五十三年度におきましては、人件費関係では主として保母さんの問題が大きいわけでございますが、さしあたり九十人以下の施設につきまして、従来休憩時間の問題でありますとかあるいは端数の問題でありますとかいろいろ言われておるわけでございますが、この改善策として、さきの四十九年の実態調査の結果、非常勤の保母を五時間つけているわけでございます。それを八時間に延ばす措置を行うことにいたしております。  それから、社会保険料あるいは年休代替制度の改善あるいは特別管理費の新設、ほかに職員健康管理費の新設というふうな形で中央負担の改善に努めてまいるということを考えておるわけでございます。     〔主査退席、住主査代理着席〕
  340. 川俣健二郎

    ○川俣分科員 いまほんの一部であり、しかも各官庁がかなり持っているわけです。  そこで、いろいろ反論があるわけだ。たとえば休廃止鉱山なんかかなり高額な補助率だと課長は遠慮して言っているのだけれども、これは鉱業権者がいなくなった、掘り尽くされて無用の長物として捨てられて、いなくなっているわけですからね。これをその町村が何も責務がないのをやらなければならないのですから、自治体から見た場合には、とてもじゃないけれどもこれだけの比率で高額な補助率だということにはならない。通産省から見れば、いままで大蔵省と折衝してがんばってやっとこれだけになったのだからという気持ちはあるだろうと思うのです。ところが、向こうの方から見れば、むしろ国からお金をもらいたいという気持ちはあるかもしれぬけれども、出して、ごみを片づけなければならないというあれでは、なかなかそういう気持ちにならない。  農業委員会だって、三年に一遍れっきとした選挙をして出てくるのですからね。いま生産調整の問題ではほとんどかかりきりですよ。かかりきりだけれども、私の記憶では東北の米どころで一ヵ月一万五千円くらいで、ほとんど毎日のように農業委員会を開いて、あのたんぼを休ませるか、こっちを動かすかという仕事をやっているというのが実態。したがって、それは気の毒だというので役場が少し足しているというのが実態です。でなければ生産調整がスムーズにいかぬわけだ。  これを一々やっておったら大変ですけれども、ひとつどうですかな。自治省の局長おられるが、こういうお願いの文書も出したが、この件で一覧表をつくって、これは制度上足りないんだ、これは自治体がぜいたくというかやり過ぎなんだ、これは制度がないのに通達で一方的にやるからこういうことになるんだ、先ほど申し上げましたように区分が四つか五つになるように、これを一遍つくって大蔵省の方と検討を深めないと、いま想像以上です。これは大臣はせんだってまで知事をやってこられているから一番わかると思うが、想像以上です。  大蔵省来ていますか。——したがって、ひとつそういう考え方大蔵省取り組むように、われわれも予算委員会の本委員会でやりますから、その考え方はどうですか。きょうはあなた一人しか呼ばなかったのですが……。
  341. 足立和基

    ○足立説明員 超過負担の解消の問題でございますが、国といたしましてはもちろん大蔵省自治省相談しながら、関係省庁相談しながら従来とも超過負担の解消に努めてきておるところでございます。  先生が先ほど超過負担の解消の問題で四つほど項目を分けて挙げられたわけでございますが、若干私どもと基本的な考え方に相違のある点と申しますのは、私ども狭い意味での超過負担と申し上げる場合には、補助負担の基本額というものは、定められた制度のもとにおきまして合理的な予算、合理的な予算執行というどころで実際に幾ら金が不足するであろうか、こういう問題が確かに実際あるのだろうと思います。経済事情の変更に伴いまして補助負担の基本額というのは変更されなければなりません。そういう点のものは、私ども特に四十九年、五十年、中心になりまして鋭意解消に努めたつもりでございまして、私ども考え方からすれば、そのような狭義な超過負担というものはわりあいに解消されてきておるのではないかと考えております。  しかしながら、いわゆる六団体に行っております。先ほど数字がございましたけれども、六千四百億というような数字は、いま申し上げましたような狭義の超過負担というものではございませんで、実際に補助基本額とそれから実支出額との差をすべて超過負担ということで集計しておるわけです。その中には先生が先ほど申されましたような要因が全部入っておるわけで、それが全部超過負担だというとらえ方をされますと、ちょっと国としてはつらい点がございます。したがいまして、私どもはそういうものを含めまして補助規準の改善というような言葉を使っておるわけでございまして、それは先生よく御存じのとおりでございますが、そういう点は、いままで補助対象に入っておりませんでしたものを新しく補助対象に取り入れますとか、あるいは面積、そういった仕様等を改善いたしますとか、そういう点をやはり国としても考えていかなければならない。これは狭い意味での単価差に基づく超過負担だけでなく、毎年毎年そういった補助基準の改善を見直していかなければいけないんじゃないか、こういうぐあいに考えて、今後とも自治省を中心に各省とも相談にあずかりながら、補助基準の改善は進めてまいりたいと考えております。
  342. 川俣健二郎

    ○川俣分科員 一番最後の言葉でいいのだけれども、あなた方が事務的に間違ったことをやっているのではないのですよ。政治ベースで六千四百億はいまの制度、大蔵省から見たメジャーから見るとはみ出ている分があるのだ、この指摘はわかるのですよ。ただし、自治体から見れば超過負担であることは間違いない。持ち出しだということには間違いない。だから、おまえらは勝手にぜいたくしたから、あれはやらなくていいことまでやったからとかいろいろあるだろう。それは政治家の立場で委員会でやらなければならない。ただ問題は、大蔵省としてはやはり自治省を中心に素直にやっていくという前向きの姿勢は、ぜひ上の方にも伝えておいてもらいたいというのが私の目的です。  それから、自治大臣の耳にも入っておるのだけれども、このごろ自治体の汚職事件が非常に多い。ところが、これは議長就任とか、それからおとといの山形のどこかの助役の汚職、あれも金の出どころで大体共通しているのは、建設いわゆる施設で、土建屋との関係が金の出どころでは非常に多い。これは大分補助の金の方から来ているのか、役場自体から来ているのか。表書きは業者がおまけをした金になっていますが、この辺ひとつ。いわゆる地方財政措置に対する補助金に対して、会計検査院の報告というのは非常に少ないのですよ。ひとつこの辺で、その面もやはり重点項目として検査項目に入れる必要が出てきたのではないか、やるべきではないか、こういうように思うのですが、会計検査院、来ていますか。
  343. 磯田晋

    ○磯田会計検査院説明員 お答えいたします。  会計検査院は、補助金の検査ということに関しましては、戦後の混乱期以来、相当力を入れてやってきているわけでございます。最近、結果的な、定性的な分析をしてみますと、確かに先生御指摘のように、世情も非常に安定してきた関係でよくなっているのではないかというふうに考えておりますが、今後とも十分に留意して検査をしてまいりたい、こう考えております。
  344. 川俣健二郎

    ○川俣分科員 最後に大臣に伺いますが、せっかく昨年の七月十三日に自治省の事務次官から各省庁の事務次官に出しておる、しかも指摘しておる。第何条、行儀の悪いのも指摘しておる。いま大蔵省の担当者が言ったように、この狭い制度というだけでの注意じゃなくて、政治的な立場も大分入れて前向きで注意しておる。これを率直に、平易な言葉で言えば、関係官庁がなかなか言うことを聞かないのだ。だから、総理以下、やはり総括的な舞台でないとできないと思うのだが、自治大臣に、これは大変だと思うのですけれども、一遍、閣議でも機会を見て——自治体の方では六千四百億だ、大蔵省はそんなにあるはずがない。自治体の超過負担の六千四百億だけは、自分が悪いのか、自治省が知らないで制度で来たものを忠実にやって出たのかは別として、いずれにしても超過負担だけは間違いがないわけですから、その点、今後大臣考え方はどうですか。
  345. 加藤武徳

    加藤国務大臣 地方団体といたしましては、超過負担は困ることでございますし、また財政を乱るものだ、かように認識いたしております。そこで、毎年予算編成期には、いまお手元にございますような事務次官通達を各省庁の事務次官に渡しまして、これが実現を大いに期待をし、せひやってくれ、かようなことでございますが、しかし、あらゆる機会をとらえまして、超過負担は困るから解消しなさいということで個々の事例を挙げながら推進をしていかなければならぬ、かように考えております。閣議等におきましてもしかるべき時期に発言をいたしますとか、あるいは個々に各省庁にお願いいたしますとか、今後も努力いたしまして超過負担の解消に努めてまいりたい、かように考えておるところであります。
  346. 川俣健二郎

    ○川俣分科員 終わります。
  347. 住栄作

    ○住主査代理 これにて川俣君の質疑は終了しました。  以上をもちまして自治省所管についての質疑は終了いたしました。  次回は、明三日午前十時から開会し、厚生省所管について審査いたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後七時四十七分散会