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1978-03-02 第84回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月二日(木曜日)     午前十時開議  出席分科員    主査 藤田 義光君       加藤 六月君    金子 一平君       村田敬次郎君    毛利 松平君       小川 国彦君    兒玉 末男君       沢田  広君    西宮  弘君       瀬野栄次郎君    吉浦 忠治君       高橋 高望君    兼務 横路 孝弘君 兼務 渡部 行雄君    兼務 古寺  宏君 兼務 玉城 栄一君    兼務 中川 嘉美君 兼務 長谷雄幸久君    兼務 荒木  宏君 兼務 正森 成二君    兼務 川合  武君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 福永 健司君  出席政府委員         運輸大臣官房長 山上 孝史君         運輸大臣官房審         議官      真島  健君         運輸大臣官房会         計課長     西村 英一君         運輸省船舶局長 謝敷 宗登君         運輸省船員局長 高橋 英雄君         運輸省港湾局長 大久保喜市君         運輸省鉄道監督         局長      住田 正二君         運輸省自動車局         長       中村 四郎君         運輸省航空局長 高橋 寿夫君         運輸省航空局次         長       松本  操君  分科員外出席者         環境庁企画調整         局環境影響審査         課長      大塩 敏樹君         国土庁大都市圏         整備局整備課長 宮沢美智雄君         大蔵省主計局主         計官      角谷 正彦君         建設省計画局総         務課長     台   健君         建設省道路局企         画課長     渡辺 修自君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道常         務理事     高橋 浩二君         日本国有鉄道常         務理事     吉武 秀夫君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁)  大塚  茂君     ————————————— 分科員の異動 三月二日  辞任         補欠選任   石橋 政嗣君     小川 国彦君   岡田 春夫君     西宮  弘君   瀬野栄次郎君     小川新一郎君   河村  勝君     山本悌二郎君 同日  辞任         補欠選任   小川 国彦君     川本 敏美君   西宮  弘君     岡田 春夫君   小川新一郎君     大橋 敏雄君   山本悌二郎君     高橋 高望君 同日  辞任         補欠選任   川本 敏美君     沢田  広君   大橋 敏雄君     田中 昭二君   高橋 高望君     西田 八郎君 同日  辞任         補欠選任   沢田  広君     石橋 政嗣君   田中 昭二君     古川 雅司君   西田 八郎君     河村  勝君 同日  辞任         補欠選任   古川 雅司君     吉浦 忠治君 同日  辞任         補欠選任   吉浦 忠治君     瀬野栄次郎君 同日  第一分科員渡部行雄君、玉城栄一君、第二分科  員横路孝弘君、古寺宏君、中川嘉美君、荒木宏  君、第三分科員森成二君、川合武君及び第四  分科員長谷雄幸久君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十三年度一般会計予算  昭和五十三年度特別会計予算  昭和五十三年度政府関係機関予算運輸省所  管)      ————◇—————
  2. 藤田義光

    藤田主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  昭和五十三年度一般会計予算昭和五十三年度特別会計予算及び昭和五十三年度政府関係機関予算運輸省所管について質疑を行います。  この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げます。  質疑時間が限られておりますので、答弁は要領よく簡潔に行われますようお願いいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。  まず、小川国彦君の質疑に入るのでありますが、同君の質疑に対し、参考人として新東京国際空港公団総裁大塚茂君が御出席になっております。  なお、御意見質疑をもって聴取することといたします。  小川国彦君。
  3. 小川国彦

    小川(国)分科員 最初に、運輸省予算に関連をいたしまして、現在建設中の成田空港米軍郵便物取扱所設置の問題が起こっております。運輸大臣としてこれにどう対処されるおつもりですか。
  4. 福永健司

    福永国務大臣 在日米軍人軍属及びこれらの家族への郵便物は、米国民間航空機定期便によって羽田へ運送されており、航空機から取りおろした郵便物を引き渡すための施設が、羽田空港には設けられております。羽田から成田への国際航空路線移転に伴いまして、成田空港へ運送されてくるこれらの郵便物を取り扱う施設を、羽田と同様に成田にも施設したいという要望が、かねて米軍よりは提出されております。  そこで、われわれは、この問題につきましては、昭和四十六年ごろ羽田空港の非軍事空港化という論議の中で種々いきさつがございました。これらを踏まえまして、目下関係省庁間で適切な対応方法を検討いたしております。運輸省といたしましては、いま申し上げましたような適切な対応方法を発見いたしたい、こういうことで努力をしておる次第でございます。
  5. 小川国彦

    小川(国)分科員 適切な方法対処をしたいということでございますが、三月三十日開港ということになりますと、すでにもうあと二十九日しかない、こういうような状況なわけですね。しかも、成田市長及び成田市議会において、昭和四十六年十月十四日に要望書というものを出しているわけです。これは成田市長長谷川録太郎成田市議会議長小池正、この両名の名前をもって、要旨は「成田空港用地への米軍施設郵便物取扱所移転申入れについては、これを拒否されるよう配慮願いたい。」こういうことで、説明として、以下、地元がこの問題に非常に不安を感じている、したがって、今日まで国や公団の施策に協力をしてきたけれども地元市長としてもこの問題は憂慮にたえない、市民の不安は事実である、「歴代の運輸大臣国会において成田空港軍事目的に使用させないと答弁しており、一般市民はその答弁を確信しております。このような意味からも当初の計画どおり純然たる民間空港として、たとえ郵便物取扱所といえども米軍関係施設は一切設置しないよう特段の配慮を願いたく要望いたします。」この要望書が出ているわけです。四十六年十月十四日ですね。  これに対しまして政府の方は、運輸省内村航空局長、それから空港公団今井総裁名をもって、それぞれ「新東京国際空港建設については、常に貴市のご協力を頂き感謝しております。先般ご要望のあった標記の件については、新東京国際空港には郵便物取扱所を含め軍用施設設置は考慮していないので、ご了承下さい。」こういう公文書をもって、これも運輸大臣の印が押してある。それから公団総裁の印が押してある。そういう文書をもって、成田市には設置しないという確約をしてきているわけです。  一方、防衛庁からは、いま大臣が言われるように、昭和四十六年から設置してもらいたいという話が来ている。すでにその四十六年の段階でそういう要請があり、厳然として羽田にその国際便が到着しており、国際線の移動に伴って成田にはそれをつくらなければならないという必須の条件を踏まえておりながら、成田市に対して運輸大臣総裁が絶対つくりませんと言ってきて、諸般の事情設置せざるを得なくなってきた。しかもあと二十九日という開港目前状況において、政府への不信もこれははなはだしいと言わざるを得ないと思うのですね。  こういうようなことを、いま大臣が言われるように適切に処理したいなんということで、一体今日まで十二年間の経過の中で、千葉県の議会においても成田市の議会においても、千葉県の知事成田市長も、軍事的利用は一切あり得ないということをもう十二年間一貫して言ってきたわけですよ。その千葉県の知事成田市長うそをついてきた、こういうことになる。そのうそをついてきたことになる大もとは、国の、公団のきわめて無責任なこのやり方なんです。こういうことがまかり通るならば、一体国民や地方自治体はだれを信頼していいのか。全くこの銚子ボルタックの問題じゃないですけれども自治体をいつもペテンにかけて、最後に謝ればいい、こういう姿勢で成田空港を進めてきたことが、きょうもジェット燃料の輸送が始まったけれども、六千人の機動隊を動員しなければ燃料が輸送できないというような事態は、地域の住民不信の中にこういう空港政策を進めてきたことにあるわけで、大臣あと二十九日後に迫った開港目前にして、この問題にまだ処理が尽くされない、こういう無責任なことは私は許されないと思うのですね。あなたとして、つくるんならつくる、断るんなら断る、いままでの約束どおりこれは守れるのか守れないのか、はっきりひとつ答弁していただきたいと思います。
  6. 福永健司

    福永国務大臣 小川さん、いろいろ過去のいきさつ等もお述べになりました。私もある程度承知をいたしております。私は、円満に開港をいたしたいというのが本意でございます。  そこで、いま、決めないのがいけないとおっしゃいましたが、いまなお決まらないような状況関係筋いろいろ話をしているというところに私どもの苦心を御了承をいただきたいと思うのであります。簡単に、置くと決めるとか置かないと決めるとかというようなことだけなら、まさに御指摘のごとく、すぐやればいいじゃないかとこういうことでございますが、私どもとしては、過去に運輸大臣なりそれから空港総裁なりという名前において文書等も出しておる、そういう事情を聞いておりますので、そういう諸君の従来いろいろやったことについては、後継者としての私はそれなり責任がある、こう考えております。したがって、運輸省が言ったことについては責任を持ちたい、こう思うわけであります。  それならそれで、置かないんだと早速言えばいいじゃないかとおっしゃるかもしれませんが、そこのところが、一方に米軍があり、一方に防衛庁その他の主張がある、これとの間で折衝をいたしておりますので、今日の時点において、この場所で、それは置かないんだというようなことを言うのも適切でないと私は考えております。  したがって、相談している方となるべく、まあ先ほどからも御指摘のように、いろいろ言っているのにその結果が違うようでは話にならぬじゃないかとおっしゃる。よくわかるのです。だからどうしますということは、ここではちょっと言いにくいのでございますが、私が責任を持って、なるほどという解決に持っていきたい、こういうことでございますので、御鞭撻を感謝しながら大いに努力をいたしたい、こう思っております。
  7. 小川国彦

    小川(国)分科員 くどくどの答弁は要りませんからね。  それじゃ大臣、これはいつ結論を出すつもりですか。
  8. 福永健司

    福永国務大臣 開港までに出すということにいたします。
  9. 小川国彦

    小川(国)分科員 あなたの方が結論を出せば事足りるという問題じゃないわけです。千葉県に対しても成田市に対してもそれぞれこの念書を出して、そういうことを表明してきた。あなたの方が勝手に、つくるようになった、 こう言えば事足りる問題じゃなくて、地元成田市議会もこの三月十日から開かれるわけです。きょう私が地元の市に問い合わせしても、運輸省に対してこの問題どうなったかということを問い合わせをしたところが、まだ十日ほど前だそうですか、依然としてつくらないという方針でいるということを電話で言ったまま、その後何らない。大臣、これは重大な不信行為だと私は思うのですよ。開港までに決めればいいという問題じゃないのですよ。十二年間あなた方がつくらないと言ってきたことを守り切れるのか切れないのか、これは運輸省として、政府としての重大な信義の問題ですよ。その責任はどうお考えになりますか。あなた、じゃ三月三十日に決定すればそれで事は済む——成田市に対してはどういうふうな対策を持って臨むつもりですか。
  10. 福永健司

    福永国務大臣 その決定の仕方でありますが、あなたが言われる重大不信事不信になるようなことをするとするならば事前に了承を得る方途を講じなければならぬと私は思います。でございますが、何とかいままで言ってきた線に沿った措置を講ずるということになれば、これは開港までに間に合えばいい、こう私は思うのでございます。早ければ早いほどいいと思いますが、いまのところなかなか容易ではない事態で、小川さん御了承のとおりでございますが、私といたしましてはいままで申し上げていることによって、信を裏切りたくないという気持ちで鋭意対処しているのである、そこでいままで申し上げているようなことになっておるというわけでございまして、もう少し見ていていただきたいと思います。
  11. 小川国彦

    小川(国)分科員 あなたの腹は見えているのですよ。だまし続けていって最後に往生させようということですよ。それはそうなんです。  具体的には、防衛施設庁の方からは、「昭和四十五年十一月、在日米軍から現行の郵便取扱業務を継続するため成田空港内に郵便取扱所を提供するよう提案があり、その提案を受けて運輸省航空局郵便取扱所を提供することについて意見照会を行った。」これはもう四十五年十一月の段階米軍から防衛施設庁を通じて運輸省に話が来ているのです。その時点で、米議会では、私、議員立法かと思いましたらそうじゃなくて、合衆国の公法で「航空軍事郵便物は、合衆国民間航空機で輸送される旨規定されている」そうして「米軍郵便物は、積載可能なスペースの範囲内において、各民航会社に公平に割当てることとされている」こういうことで、現在羽田には三社が毎日郵便を運んできているわけですよ。三月三十日に成田開港したその日から、アメリカの民間航空三社で運んでいるこの郵便物を一日たりともとめることはできないだろうと思うのですよ。日米安保条約行政協定二条でいけば、それは断われないものなんですよ。日米関係というものをあなた方が重視し、しかも軍事的な安保体制下の中でのこの協定を重んずるならば、これは断れないのですよ、運輸大臣。  その断われないものをなぜ、不審があって自治体から照会したときに、四十五年十一月から来ておるときに、客観的状況は断れないものだ、そのことを自治体に、これは一部軍事施設とならざるを得ないけれども了解願いたいということを、なぜやらないのか。自治体に対して運輸省航空局長が言ったことがうそだということになれば、今後高橋航空局長の言うことだってみんなうそだということになるわけです。必ず後になってひっくり返る。公団総裁だって、今井総裁約束したことを総裁が変わったから責任がないと言われたら、航空局長総裁にも、これから私どもこういう委員会で何を聞いてもそれは後になってひっくり返る、だまされる。銚子ボルタックと同じということになるわけです。そういうだますようなことを政府がやっていていいのかというのです。運輸大臣あと一カ月しかない期間になっていて、なおもう一カ月うそを言い続けようというのですか。
  12. 福永健司

    福永国務大臣 だますとかうそを言い続けようということはよくないと思うのです。そこで、われわれの方の関係者諸君文書を出したというようなことは、それなりの理由があってやったと私は確信をしております。苦しまぎれで何でも言うたらいいというものではないと私は信じております。  あなたの御指摘のように、米国から送ってくる、米軍米国飛行機の間でそういうように決まっておるということは、これはこれでわれわれがどうこう言うべきことではない。来ました郵便物を特別の取扱所という施設を設けてやることがいけないというお話であります。来た郵便物を受け取らないというわけにいきませんけれども一般郵便物も来るのであります。いまお話があるような、刺激をするような特別扱いというか郵便物取扱所を別に設けてぎらつくようなことをすることについて、いろいろの意見がある。これはこれなりに私はわかるのであります。  したがって私は、軍事郵便ということは確かに言うのではありましょうが、普通の家庭等から軍人軍属ないしその家族に来る普通の郵便物でありますから、私はそれなりに、いまいろいろ御心配をいただいて小川さんから強くお話がございますが、そこいらのお気持ちも私ども考えて、ということは同時に多くの日本人の気持ち考えて、なるほどという処置をとりたい。ただ、ここでどうしますということは、現在一面において関係筋いろいろ話をしておりますので、どうしますということは私の現在の立場では差し控えなければなりませんが、福永健司もだましたと言われることのないようにいたしたいと思っておるのが本意でございます。
  13. 小川国彦

    小川(国)分科員 だまさないということは、じゃ断るということに理解していいですか。
  14. 福永健司

    福永国務大臣 その言葉ずばりでは申し上げませんが、気持ちはお察しをいただきたいと思います。
  15. 小川国彦

    小川(国)分科員 これは禅問答じゃないので、断るということを——軍事郵便取扱所というのは、米軍が私服を着ようが官服を着ようが羽田でも四、五人おるし、成田でも四、五人おるし、それから受け取ったものは立川の基地に持っていって仕分けをするそうですけれども、受け取る場所がなければならないのですよ。飛行機から直接米軍が受け取るわけにはどうしてもいかないのですよ。だから取扱所設置というものは不可欠の条件ですよ。  大臣取扱所をなくして直接民間機から持っていかそうというそんなことでもお考えになっておるのですか。
  16. 福永健司

    福永国務大臣 そこいらのあたりをいま折衝しておりますので、どうぞひとつ、折衝中の内容にわたることでございますから、どうするということの言葉でなくて、先ほどから申し上げておりますような、私の本意とするところを御了察いただきたいと思います。私は、あえてこういうことに明言を避けたいというような性格では実はないのであります。言いたいところでありますけれども、一面において、いまも申し上げましたような話し合いをしておる最中でございますから、それについては御了承をいただきたいと思います。
  17. 小川国彦

    小川(国)分科員 千葉県知事成田市長立場があると思うのですね。こういう念書をもらっていたことを、開港の数日前になって突然、いままで断ってきたけれどもどうにも断り切れなかったということをいきなり大臣から言われても、これは地元市長立場もないですね。ですから、タイムリミットというものがおのずからおありになる。  じゃあなた方は、成田市に対してこういう文書を出してきたことに対して、成田市長立場成田市民に対する配慮、それからまた軍事空港を懸念していた国民に対する説明をする立場からも、いつをタイムリミットというふうに考え成田市長にこの問題に対する結論を持ち込むつもりですか。
  18. 福永健司

    福永国務大臣 小川さんのおっしゃるように、いままで言ってきたけれどもそういうわけにいかないのでというようなことを言うとすれば、なるべく早い方がいいと思います。思いますが、先ほどから申し上げておりますような私の本意からいたしますと、せっかくいままでそういうようないきさつがあって相互に信頼し合ってきた、小川さんから言うと余り信頼できないというようにおっしゃいますが、そういう相互信頼があるように、われわれの方は誠心誠意努めなければならぬ、少なくとも福永健司運輸大臣である限りにおいて、そうでなければならぬと私は強く感じておりますだけに、正直言って、いままで言ったことを裏切りたくないのです。でございますから、そういう裏切らないような結果になるとするならば、開港までに間に合えばいい、こう思っております。これは延ばすという意味ではなくて、何とかして解決をしたいという私の至情にほかならない、そのことについて御了承いただきたいと思います。
  19. 小川国彦

    小川(国)分科員 あなたもやはり本当のことを言いませんね。自分の、福永健司立場は主張してますが、成田市長立場考えてないのですよ。自分はぎりぎりまで努力したけれどもだめだった、そう言えば事足りると思っているのですよ。相手の人が市長議長議会立場公文書をもって申し入れ、航空局長公団総裁公文書をもって回答したことに対して、自分努力したけれどもだめだったと開港までに言えばいい、こういうことなんでしょう。それじゃ市議会を招集して市長市民にどういう経過かを説明する立場もないのです。人のことを考えてないのですよ。政府がそういう得手勝手なやり方でやってきたから、成田空港の問題は、いま現実に三月三十日を迎えても、交通アクセスでも騒音対策でもいろいろな問題で大混乱を生じるだろう。あなたの責任はもっと重大になる。それは政府のずるさですよ。住民をだまして、防衛庁関係米軍関係はもうのっぴきならないところへ政府自身が追い込まれているのですよ。追い込まれていながら、あなたはそのうそ最後まで言い続けようということなんです。  私は国会でこの次もう一回、四月にあなたとお目にかかれると思いますが、あなたはそのとき恐らくおわびするのじゃないかと私ははっきり言えると思うのですよ。見通しが非常に悪かった、ぎりぎり丸めたくても福永運輸大臣の力は弱くて米軍を断れなかった、結局は自治体をだましたことで終わりました、申しわけありませんと。どうですか、そういう結果は予測できませんか。
  20. 福永健司

    福永国務大臣 おわびをしなければならぬようなことにならぬようにと思って、私はいま一生懸命に対処をしておるわけでございます。  先ほどから小川さんは結論をお決めになって、そうなるのだからおまえはこうじゃないかとおっしゃる。それはまあお立場がそうであるかもしれませんが、私は決して、いまはこう言っておって結局ごまかして最後おわびしてというようなつもりでいるわけじゃございません。もうしばらく時をかしていただきたいと思います。
  21. 小川国彦

    小川(国)分科員 ではもう一度聞きますが、相手立場はどういうふうにお考えになっているのですか。
  22. 福永健司

    福永国務大臣 相手立場を尊重するがゆえに、私は申し上げているのであります。つまり、いままでいろいろな約束をしている、それと違うことになれば、おわびさえすればいいとは、私は必ずしも考えておりません。でございますから、いま申し上げておるようなことを繰り返し申し上げて大変恐縮でございますが、そういう次第でございます。
  23. 小川国彦

    小川(国)分科員 福永さんも議会人ですから、やはり市長市議会立場というものをわかると思うのですよ。その手続の期日というものはお考えになっていないのですか。
  24. 福永健司

    福永国務大臣 いまもおっしゃるように、地元議会等のことも考えれば考えるほど、私がいま申し上げている気持ちを貫きたい、こういうように思っている次第でございます。
  25. 小川国彦

    小川(国)分科員 最後までそういうことで徹するようですが、恐らく四月の議会ではあなたは謝るだろう。そういうことは、運輸大臣としていろいろな国際関係国内関係の問題の厳しさというものに対する認識がきわめて甘くて、この問題は断れると思って自治体をだまし続けるという結果になるということを、私はもう一度大臣指摘しておきますよ。  それから次に、建設省に伺いたいのですが、土地収用法を行った土地ホテル実質ホテルが建っている、こういう状況にありますけれども土地収用法あるいは公共用地取得に関する法律をして事業認定をしてきた建設省として、このレストハウスに対してどういう見解を持っておるか。時間がありませんので、ひとつ簡潔に。
  26. 台健

    ○台説明員 御指摘のレストハウスは、国際線搭乗員の宿泊、休息、それから入国禁止者の宿泊等のために計画されておる施設でございますので、新東京国際空港がその機能を十全に果たすために必要な施設と認められますので、起業地の中に存することは土地収用法上問題はないというふうに考えております。
  27. 小川国彦

    小川(国)分科員 これも建設省指摘しておきますが、あなたの方で公共目的というものは何なのか。このレストハウスは、皆さんの方から事情説明すると外国から不法上陸してきた者の防止のためだと言うのですが、これは年間七百九十人しかいなくて一日二人しかいないのですね。それから航空乗務員の宿泊予定ということを説明されていますが、これも現状羽田にあるTFKのあれは、日航乗務員が使っているのは三室ぐらいしかないのです。これに対して、シングルで百六、ツインで百四、二百十室のホテルをつくって、先日私このTFKの社長に会ったら、下にバーやクラブもつくりたい、こういうことまで言っておるわけですね。そうすると、現実にあそこは公共用地の取得に関する法律で強制収用を背景にして買収した土地、その土地実質ホテルやバーやそういうものをつくって、果たして強制収用された農民が今後納得するだろうか。この点はどういうふうにお考えになりますか。
  28. 台健

    ○台説明員 レストハウスの運営、管理につきましては、私たちは、土地収用法に基づきます事業認定あるいは収用委員会の収用裁決の際の事業計画等の計画の趣旨に従いまして管理、運営されるであろうということを期待しております。
  29. 小川国彦

    小川(国)分科員 これに反した場合には、私どもさらに具体的な事実を申し上げますが、あなた方は全国で公共用地の取得をしていきますが、公共目的以外の私企業に建物を建てさせたりホテルやバーまでやるものも土地収用法で強権発動で事業認定してやっていくということを認めたら、今後建設省の皆さんのこの土地収用をやる当局の権威なり行政の権威というものは恐らく大きく失われるということを、私は指摘しておきたいと思います。  それから、公団総裁最後に一言お尋ねいたしますが、先般の出店者問題の文書漏洩について、その漏洩のルート、それからどういう文書が漏洩したか、何部出たか、この点はお確かめになりましたか。
  30. 大塚茂

    大塚参考人 先般先生からそういうお話がございましたので、早速調査をいたしました。その結果によりますと、ことしの一月十日に県の空港対策課に対しまして二部、これは空港対策課で空港内に出店をします飲食店等に地元の農産物等をなるべく買わせるようにしたい、そういう関係の指導として出店者の名簿が欲しい、こういう理由で差し上げました。それを県の中では農政課と商政課それから水産課に必要な部分だけを摘記してお渡しになったというふうに、そこまでは私どもも確かめております。そのほか成田市の固定資産税関係に一部、やはり一月でございますが出しました。それから先どういうルートで先生のお手に入ったかということまでは、私どもはっきりいたしません。  以上でございます。
  31. 小川国彦

    小川(国)分科員 国政調査権で調査を求めたものに二月二日まで回答しなかったものを、すでに年末の段階でこういうふうに地方自治体に流すということは、地方自治体の方が優先されるというふうに総裁はお考えになったのですか。
  32. 大塚茂

    大塚参考人 地方公務員は御承知のように守秘義務がございます。したがって、秘密を守るという条件のもとに守秘義務を持った者に業務上必要な限り知らせるということは、秘密を漏洩するということにはならないと私ども解釈いたしております。
  33. 小川国彦

    小川(国)分科員 この問題は後続いてやります。
  34. 藤田義光

    藤田主査 以上で、小川君の質疑は終了いたしました。  中川嘉美君。
  35. 中川嘉美

    中川(嘉)分科員 私は、まず東北・上越新幹線の問題につきまして、若干伺いたいと思います。  昨年の三月十五日に予算委員会分科会におきまして、田村元運輸大臣と国鉄当局に対しまして、東北・上越新幹線の上野駅設置に関する質問を行ったわけでありますが、以来、運輸省あるいは国鉄側の御努力によりまして上野駅の設置が昨年の十二月十二日に決定を見たわけであります。このことは住民にとっても大変に喜ばしいということで感謝を申し上げているわけですが、ただ、工事の方がその後どのように進んでいるか、その進行状況と、あわせて当初の予定どおり昭和五十五年末には上野始発駅がスタートできるものかどうか、この辺についてまず御答弁をいただきたいと思います。
  36. 福永健司

    福永国務大臣 ただいま中川さん仰せのごとく、上野に駅を設置するようにとのお話で、私も光栄でございますが大臣になりまして間もなくその認可をいたしましたので、特に印象が強いのでございますが、この認可いたしました上野駅が十分に機能を発揮するように、いろいろ中川さんもおっしゃるようなことにお役に立つようなことにさせたいと強く念じておる次第でございます。  詳細につきましては国鉄の方から答えさせます。
  37. 高橋浩二

    高橋説明員 いま先生のおっしゃいますように、十二月に大臣からの御承認をいただきまして、直ちに私の方は関係する地元の方々に工事の説明をただいま繰り返して実施いたしております。それからまた、ルート上の地権者、いわゆる土地所有者等についてその権利設定の関係がどうなるかということを個々にお話し合いと御説明を申し上げ、徐々に御理解をいただいているところでございます。  具体的な設計についてはすでに部分的には詳細設計を進めておりまして、工事は一挙に進めるというよりもまずいろいろな準備、あるいはトンネルでございますのでそのシャフト等部分的な工事をまず先に進めなければならぬということで、その工事も、都道の上を使わしてもらうものあるいは区道の上を使わしてもらうもの、いろいろございまして、おのおのその関係機関等に御相談を申し上げて、いま御了解を得べく努力をして、間もなく工事の発注ができる段階になるというふうに、ただいまのところ予想いたしております。  それから、五十五年度目標期間に完成できるのかという御質問でございますが、これは五十五年度いっぱいにぜひ完成させたいということで鋭意努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  38. 中川嘉美

    中川(嘉)分科員 御承知のように上野駅は、東北、上越地方への玄関口である。それと同時に東京都北部あるいは東部、埼玉県、千葉県北部等のターミナルであるということで、これら地域の新幹線利用者は上野駅でさばくわけですから、一日も早い工事の着工、先ほども発注という言葉がありましたが、着工と完成をここで重ねてお願いをしておきたいと思います。  なお、三月三十日に成田空港が開設になりますと、京成上野駅を含む拠点として上野駅自体が大変な混雑が予想される。そういう混雑の予想される中において老朽化した現上野駅、これを改築する予定があるのかどうか、あるとすればその計画についてもあわせてお聞かせをいただきたい。
  39. 福永健司

    福永国務大臣 いまお話しの点は、せっかくあそこへ駅をつくって十分に機能を発揮させるためには、りっぱな駅を構築しなければならぬことは当然のことと考えるわけでございます。私、先般も国鉄総裁に対しまして、これを認可するからついてはりっぱなものをつくりなさい、地元の皆さんともよく話し合ってうまくやりなさいということを申した次第でございます。     〔主査退席、兒玉主査代理着席〕 したがって、この老朽化しているものをどうするかということはおのずから結論は明らかでございます。当然改築すべきものと私は考えておりますが、ただその時期等につきまして、最初から新幹線が入るのと一緒にということになるかどうかでございますが、先ほどの国鉄からのお答えからいたしますと、大体間に合うような印象を私自身も受けるのであります。本意といたしておりますところはいま申し上げたようなわけでございます。国鉄がそういうような考え方で対処してくれることを私は期待しておるものでございます。  いま国鉄の方からもお答えすることにいたします。
  40. 高橋浩二

    高橋説明員 いま上野駅は通勤客及び長距離の急行列車からのお客さんを一日に九十五万人ほど実はさばいております。しかし、この駅舎自体は昭和七年に、もう四十五年以上前に完成したものでございます。先生のおっしゃいますように、上野駅は建設当時に比べまして、非常にいま混雑もいたしておりますし、またこれからもだんだんお客さんがふえてまいるというふうに考えております。したがいまして、新幹線のお客さんがまたふえるということもございまして、しかも新幹線がただいまの上野駅の地下に入ってくるという計画でございますので、そういう将来のことを考えまして、いま上野駅の本屋口といいますか南口といいますか、その付近の駅前広場も非常に狭いという問題もございます。そういうものを総合的に勘案いたしまして、いま大臣の申されますように、上野駅全体の将来の姿を考えて改築していくべきではなかろうかというふうに私ども考えております。  ただ、新幹線の開業時にはすべての問題が完成するというのではなくて、将来の構想を決めておいて、それに関係する部分については、新幹線の工事とあわせて基礎関係についてはまず施工をしておきたい。全体の計画については国鉄だけで決められる問題でございません。これは東京都その他関係自治体あるいは付近の方々、いろいろと御相談を申し上げていかなければならないと思いますので、今後そういう方向で御相談をしながら将来の構想を描いて新幹線の工事を進めていきたいというふうに考えております。
  41. 福永健司

    福永国務大臣 中川さんに先ほど申し上げたことにつきまして、いま国鉄の答弁を聞いて、私、言葉の足らなかったことを申し上げさしていただきたいと思います。  私は新幹線と一緒に、どっちもというように申し上げたのでありますが、新幹線の工事とともにやれることももちろんございますが、建物等によりましては、下へ新幹線の工事をして、それを敷いた上でないと上へ建てられないという部分があろうかと思います。私、先ほど新幹線と一緒にということを願望を込めて申し上げたのでありますが、手順といたしまして一緒にというわけにもいかない部分もあることも、ちょっとつけ加えさしていただきたいと思います。
  42. 中川嘉美

    中川(嘉)分科員 いまもいろいろと御答弁がありましたけれども、私は新幹線の上野駅を含めた百万人ターミナルにふさわしい拠点として、大臣のお言葉にあったりっぱな駅、私に言わせれば日本一りっぱな上野駅としていただきたい、このことをここで切に要望をしておきたいと思います。幸い国鉄は、新幹線上野地下駅を、新幹線の東京地下駅よりも長さで百九メートル長い、幅では二メートル広い、さらには深さですが、これは三メートル深いわけで、東京地下駅の一・二五倍のものを計画をされているというふうにこちらも理解しておりますが、このことに関連をしまして、昭和五十年五月であったわけですが、当時国鉄の東京第一工事局次長から岩倉高校付近に北口を開設する約束がなされた、このことは私も承知しているわけですけれども、ことしの一月二十五日、請願書をもって、上野駅北口開設促進協議会が国鉄側に上野駅の北口開設についての説明を申し入れたわけです。このときに国鉄側が現在計画している二カ所の改札口を提示されたわけですけれども、まず第一点としてその場所を明確にこの際示していただきたい、このように思います。
  43. 高橋浩二

    高橋説明員 北口につきましては、新幹線を計画する以前からの御要望がございましたことはよく承知いたしております。私の方はその後といいますか、昨年の十二月に新幹線というものが正式に決定いたしましたが、新幹線の乗降関係と、それからいままでの御要望は主として通勤関係のための北口設置というふうに理解しておりまして、ただいまその通勤関係のお客様と、新幹線のお客様をどういうふうな関係で北口の方へ誘導し、お客様の便益に資するかというふうなことを、いま詳細に検討いたしております。間もなくそういう検討の結果私の方の案ができましたら関係自治体あるいは地元関係の方々にお示しいたしまして、いろいろ御意見なり御要望なりを得た上で決めたいというふうに考えております。  ただ、駅の裏口設置といいますか、新しく駅を設置する場合には、いろいろ地元の方々の費用の負担の問題、あるいは駅前広場等の造成の問題、車寄せ等の問題、いろいろ問題がございますので、そういう点を関係の方々とよく御協議申し上げまして、裏口の問題については前向きに検討したいというふうに考えております。  ただいま正確にどこにいつというふうには申せませんが、大体この付近は先生いま二カ所と申されましたけれども、ここは都道が接近いたしておりますので、その都道との関係をどういうふうにするかということを考えて決めたいと考えております。
  44. 中川嘉美

    中川(嘉)分科員 そうすると、私二カ所と言いましたけれども、まだ決定をしていないというふうに現時点では理解し七よろしいということですね。
  45. 高橋浩二

    高橋説明員 そのとおりでございます。
  46. 中川嘉美

    中川(嘉)分科員 それでは近い将来そういった結論の出る時期を待ちたいわけですけれども、そういったものと、それから促進協議会要望している場所ですね、これとがどのように違うのかというようなことも出てくると思いますが、この辺の違いが明確に出てくるのかそうでないのか、この辺はどうなんでしょうか。国鉄当局の考えておられるところ、それはいかがでしょうか。
  47. 高橋浩二

    高橋説明員 駅の口と申しますのは、どうしても道路と広場との関係が出てまいります。したがいまして、ごく周辺の地元の方々の御要望と、そこに接続する道路と、少し広い範囲の要請と両方をかみ合わせた上で計画は決めなくてはならぬというふうに考えております。地元の方々は、いま先生のおっしゃる以外にも、鴬谷まで地下道をつくってもっと先に出したらどうだというような御意見もあるやに聞いておりますし、いろいろございます。そういう関係自治体の方々及び地元の方々とよく相談しまして決めてまいりますので、もう少し計画をお示しする時期についてはお待ちをいただきたいというふうに考えております。
  48. 中川嘉美

    中川(嘉)分科員 この上野駅北口改札所が仮にできますと、合羽橋通りを結んで浅草地区に直結される。これは地域の発展にも有効ですし、また浅草まで十五分、地下鉄入谷まで歩いて三分、こういうことで、利用者も増大することはまず間違いがない。よって早急に北口改札所を設置すべきだと思いますので、この点をぜひひとつ強力に推進していただきたいと思います。いろいろ保安上の問題とかあるいは職員の配置の問題等があることは一応私たちも理解しているわけですけれども、その対策対策として別途検討した上で対処していくならば改善は可能ではないか、このように思います。あくまでも利用者の要望、あるいはまた地域住民の利用の便に沿うように、上野駅の工事とあわせて是が非でも、台東区全域の要望として北口開設を促進をしていただきたい、こう思うわけですが、一言で結構です。大臣のこれに対するお考えを述べていただきたい。
  49. 福永健司

    福永国務大臣 お話しのような点を念頭に置きまして、善処いたすように努力をいたします。
  50. 中川嘉美

    中川(嘉)分科員 新幹線上野地下駅の問題、あるいはまた北口改札口の設置等に関しましては、さらには上野駅の改築もありましたけれども、この辺で一応終えておきたいと思います。  次に、これも昨年私は予算委員会第六分科会で御質問したわけですが、地下鉄の八号線、この月島延伸問題これについてその後の経過あるいは現況、見通し等をこの場で御報告を願いたいと思います。
  51. 福永健司

    福永国務大臣 申すまでもなく、八号線は池袋から銀座一丁目まではすでに開業しており、銀座一丁目から明石町までについては五十四年度開業を目途に工事が進められております。  明石町から月島方面への延伸につきましては、交通営団がいろいろ考えて、いま盛んに検討していると存じますが、私どもといたしましては、その検討の結果を待って適切な処理を図りたい、こう思っております。
  52. 中川嘉美

    中川(嘉)分科員 結果を待って処理をしていきたいというお言葉も一応は理解できるわけですけれども、いずれにしても地域住民の通勤とか通学のためにも、また交通緩和のためにも、これはもう必要に迫られているわけですから、たとえば利用客が少ないとかというようなお話も若干前に聞いたことがあるわけですけれども、中央区の人口の三分の一は月島に在住しているわけで、交通の不便なところはいつまでたっても不便なところとして置き去りにされてしまうようではいけないのじゃないか、このように思うわけです。     〔兒玉主査代理退席、主査着席〕 この月島地区というものをいつまでも陸の孤島ということにしないためにも、また地下鉄八号線そのものは幻の八号線とならないためにも、運輸省当局から帝都高速度交通営団に対して具体的に指導、推進力を申し入れていただきたい、このように思うわけです。先ほど大臣の御答弁としては私は若干受け身のような感じがしてならないわけですけれども、この点について、この際むしろ意欲的な御答弁をいま一度賜りたい、このように思います。
  53. 福永健司

    福永国務大臣 言うまでもなく、地下鉄には工事費も大変かかりますし、いろいろむずかしいこともございますので、いま中川さんのおっしゃることの申し方も、これは監督官庁としてはなかなかむずかしいのでございますが、お気持ちをそんたくいたしまして営団の方へ適当な顔色をいたすことにいたします。
  54. 中川嘉美

    中川(嘉)分科員 工事費がかかるということ、これはもう当然だと思います。この予算のかかる問題、仮にめどが立たないというようなことが考えられるにしても、いま明石町までは一応来ているわけですから、あと千五百メートルくらいの月島延伸だけはぜひとも早目に実現をしてもらいたい、このように思うわけです。このことは、地下鉄建設促進五区協議会を初めとして再三にわたって住民の代表が熱心に陳情もしておられることですし、私もこの際、再度強く要請をしておきたいと思います。  次に、地下鉄十一号線の箱崎への延伸計画ですけれども、この十一号線の現況はどうですか。今後の見通しとあわせて、さらに箱崎までの延伸計画そのものはどうなっているのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  55. 住田正二

    ○住田政府委員 地下鉄十一号線につきましては、現在工事をやっておりますが、すでに免許といたしましては渋谷から三越前を経まして蛎殻町まで免許をいたしておるわけでございます。現在営団で渋谷——三越間の工事をやっておりますが、三越と蛎殻町の間の工事実施計画がまだ出ていないわけでございます。いずれにいたしましても、今回の成田開港によりまして、箱崎のターミナルが都内における一つの出発地になりますので、この十一号線と箱崎町のターミナルとの連絡について今後十分配慮していく必要があろうかと思います。したがいまして、工事実施計画が出ました段階で、そういう点につきまして十分配慮いたしました上で認可をいたしたい、さように考えておるわけでございます。
  56. 中川嘉美

    中川(嘉)分科員 ことしの三月三十日に成田空港開港になりますと、高速六号線に入るところの箱崎インターチェンジ、これは東京シティコアターミナルとして、成田空港の玄関として成田の乗客の三割が乗りおりする場所として利用されるであろう、このように言われております。そうなりますと、蛎殻町周辺は当然人とか車で大変な混雑になることはもう目に見えているわけですから、この利用客と住民の生命の安全上からも、私はこの地下鉄十一号線の箱崎延伸というものは非常に大きな交通緩和の役割りを果たすのではないか、このように思うわけなんです。  そういった観点から、運輸省当局の御見解あるいは意欲的なところをひとつぜひ見せていただきたい。いま一度そういう立場からも考えていただきたい、こう思います。大臣に御答弁をお願いいたします。
  57. 福永健司

    福永国務大臣 箱崎のターミナルから空港関係の旅客をうまく地下鉄利用をしてもらえるように誘導するということは、非常に大事なことだと思います。それを考え関係方面へしかるべき指導をしなければならぬ、こういうように思います。大いに努力をいたしたいと存じます。
  58. 中川嘉美

    中川(嘉)分科員 いろいろと御答弁の中で、現時点で具体的にすべての御答弁をちょうだいすることは非常に困難であろう、それは私も十分理解するわけですけれども関係方面とよく相談をしてしかるべき指導を、こういうお言葉をいまいただいたわけですけれども、ひとつこれは地域住民の交通難あるいは混雑、そういう現実の問題に対処するためにも、真に大臣の、また運輸省当局の積極的な取り組みということを重ねて強く要望をしておきたいと思います。  当初の開通予定としては、日本橋三越前まで昭和五十二年までというふうになっているにもかかわらず、当初から大幅におくれておる責任というものは、これは当然感じていただかなければ困ると私は思いますが、三越前から箱崎まではわずか五百メートル、これくらいな距離であるわけですから、費用もそんなにかからないんじゃないか、若干延ばしてもらえれば事足りるんじゃないか、こう思うわけです。利用する見通しがあるわけで、これは間違いないわけですから、ポイントの切りかえ、こういった問題、技術的に当然検討していただいて、箱崎までの延伸ができるだけ早く実現をするように強く要望をしてまいりたいと思います。  きょう私のお聞きしたかった諸点は大体こんなところですけれども、これらの交通網の整備ということに対して、最後にもう一度大臣の意欲ある御答弁というものをぜひここで聞かしていただいて、きょうの質問といたしたいと思います。
  59. 福永健司

    福永国務大臣 いろいろお話しの点をよく伺いましたわけでございます。せいぜい努力をさせていただきます。
  60. 藤田義光

    藤田主査 以上で中川嘉美君の質疑は終了いたしました。  渡部行雄君。
  61. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 最初に、運輸大臣並びに国鉄総裁にお伺いいたします。  それは、東北新幹線の見通しと対策についてでございますが、御承知のとおり、いま東北新幹線は総延長約四百九十六キロメートル、総工費約二兆一千五百億円、こういう膨大な予算をかけて進行しておるわけでございますが、しかしその進捗状況を見ますと、去る二月一日現在で中心測量完了延長というものは九三%に上っておりますが、しかしその中身というのは、東京都が一七%、埼玉県が五四%、こういう状態でございます。さらに用地の方はどうかと申しますと、用地取得済みの面積は九一%というふうになっておりますが、これを都県別に分けますと、東京都がわずかに四%、埼玉県が六二%、そして今度は工事の進捗状況はと申しますと、契約済み延長というのが全体の七八%、その中で東京都が二%、埼玉県が四〇%。これは東京都から遠ざかるに従って非常に進んでおるわけですが、問題なのは東京都と埼玉県、つまり大宮以南がほとんど進んでいないというのが実態でございまして、こういうようなこの数字を見てまいりますと、遠いほど東北新幹線に対する期待というものは切実なものがあるということだろうと思います。それに引きかえ、都心の方では全く問題が進んでいない。  こういうような一つのやり方でいけば、見通しがつかないのではなかろうか。しかも、東海道やあるいは山陽の新幹線と比べて考えました場合、東海道の場合は工事が始まってから六年で営業開始をしておる。山陽も同じように六年でやっておるのに、東北新幹線だけは四十六年から取り組んですでに八年になろうとしておるわけですが、いまだにその見通しがつかない、こういうようなことでは東北の住民は非常に困るわけでございますので、一体東海道、山陽と比べてなぜこういうふうな問題が起きておるのか、その原因についてひとつはっきりした御答弁をいただきたいと思います。一応その点でまず見通し、これからの対策、これをお願いいたしまして、次の質問を展開したいと思います。
  62. 福永健司

    福永国務大臣 渡部さん仰せのごとく、東海道や山陽に比しまして東北新幹線が大変おくれておるということは、私も非常に残念に思います。ことに私はいま御指摘のございました埼玉県南部の住人でございますだけに、この点については非常に痛切に感じるものがあるわけでございます。こういうやり方ではという御表現がございましたが、東海道や山陽線と同じように速やかにというようにやっているわけではございますが、当局の方針としてそうではございますが、御承知のように埼玉の南部、それから特に東京に入りましてなかなか住民の理解を得ることが困難であるという事情のために、まあその他にも事情がございますが、おおむねそういうことのためにおくれております。  しかし、詳細についてはさらに関係事務当局等からお答えをさせますが、私の見るところでは、そういう中にあって、住民その他の人々もだんだん理解を深めてきてくれつつある。地方議会等においてもこれは何とか早くやらなければいかぬという動き等が進行しつつある。この状況を目の前にいたしまして、私どもは一層馬力をかけまして日本全体のためにこの問題の解決を図らなければならない、強くそれを考えておる次第でございます。
  63. 高橋浩二

    高橋説明員 ただいま大臣からお答え申し上げたことと同じでございますけれども、もうちょっと具体的に申し上げますと、東海道新幹線、山陽新幹線は、先生のおっしゃいますとおり、計画を着工してから六年で完成をいたしております。東北新幹線全体につきましては、例の四十九年ごろの石油ショック等がございまして、若干ペースを伸ばさなかったという事情はございますが、五十二年度、本年度以降は、ただいまのところ予算的にも、また私の方の工事要員の配置等も、全力を挙げて五十五年度いっぱいに完成すべく最大の努力をいたしております。あとまる三年ございますので、その間全力を挙げて完成をさせたいというふうに考えております。  いま一番ネックになっておるのは、先生も御指摘のように、埼玉県の南部といいますか、大宮は解決いたしておりますけれども、大宮を含まず、いわゆる与野、浦和、戸田の三市及び東京都内という点が、ただいまのところまだ工事が発注できないという状況でございます。五十二年の十二月二十三日になりまして、埼玉県の県議会は「新幹線等建設に関する決議」というものを決議をなされまして、ようやく県の自治体もこれについてもっと具体的にいろいろな点について御支援をいただくような態勢になってきたというふうに私どもの方も考えております。それに私ども呼応いたしまして、埼玉県及び都内につきましていま全力を挙げておるところでございます。関係の市及び市議会等にもいろいろお願いを申し上げまして、進めてまいりたいと思っております。範囲が狭まってまいればまいるほど私の方の工事関係者の力もそれだけ密度が高くなってまいりますので、範囲が狭くなればなるほど短期間に完成ができるんじゃないかというふうに考えております。
  64. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 与野、浦和、戸田は市会に働きかけて早急にやりたいと申しますが、東京都内に関する部分はどういうふうな方法と手順でやるおつもりなのか、それをお伺いします。
  65. 高橋浩二

    高橋説明員 都内で一番新幹線の線路延長が長く関係いたしますのは北区でございます。御承知のように、それ以外の台東区、これは上野駅の絡みもございまして全面的に御賛成をいただいておりますけれども、一番延長が長くしかも難航いたしておりますのは北区でございます。しかし、北区の中にもようやく昨年の夏以降になりまして国鉄を区議会に呼んで事情説明を受けていただくような段階になりました。ごく最近北区の一部において地権者の方々からぜひ用地買収を進めてというお話もございまして、北区のうちの約三分の一ぐらいの範囲内においては用地買収の折衝にいま入れる段階になりました。用地買収等、地権者との間でどういうお値段になるか、どういう範囲になるかということをただいま部分的には進めてまいりましてだんだん御理解が深まってきているというふうに考えております。また、北区の議員の方々も、実際に山陽新幹線等の騒音、振動等がどういうものであるかということでこの一月には現地視察等にも行っていただいておりますので、そういうことから見ても徐々に御理解をいただいておるものと、またそういう方々の御支援をいただいて、私どもの方も努力していきたいというふうに考えております。
  66. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 非常に時間がありませんから、深く掘り下げることができないで残念ですが、実際反対しておる方々というのは、地価のいわゆる補償価格が少ないというところにあるのか、それともそういうものではなくてもう絶対に反対なんだというところに問題があるのか。もしそうだとすれば、そういう点について住民の代表機関である市議会や区議会等ではどういうかかわり合い方をしながらこれに協力しようとしているのか、その辺をお伺いしたいと思います。
  67. 高橋浩二

    高橋説明員 絶対に反対という方もたくさんいらっしゃることは新聞等にも載っておるとおりでございます。しかしそれ以外に、条件づきには賛成だという方もたくさんいらっしゃるというふうに私の方は考えております。  例を申し上げますと、この二月になりまして、与野市の議会では、絶対反対という方々の意見だけでなくて条件づき賛成だというグループの方が三つほど与野市内にございました。そういう条件づき賛成という方々の御意見も、どういう条件なら賛成なんだという意見を聞きたいということで、与野の市議会等においての説明が行われております。そういう状況でございますので、絶対反対という方ともう条件づき賛成という方がこもごもいらっしゃるというふうに考えております。  私の方は、いままで埼玉県知事から伺っておるところでは、あるいは県知事が埼玉県の議会で表明されておりますところでは、公害対策は完璧を期せ、それから埼玉県内において県南においては同時に通勤線等の対策も十分やれ、それからその他総合的な交通政策として一部地域交通の便を図るようにというような三つないし四つぐらいの条件が入れられるならば、埼玉県としても条件づきには賛成であるというふうなお言葉も聞いております。そういうふうにいろいろの点を、私の方もできるだけ、条件については対応できるものについては誠意をもって対応して、この新幹線についてもあわせて解決を図りたいというふうに考えております。  ただいまのところまだ用地買収に入れない状況でございますので、用地の値段が高いとか安いとかいうことでもめているのではなくて、全般的にそういう条件がどうだということがいま徐々に煮詰まりつつあるといいますか、そういう声がだんだん上がってきているというのが現状でございます。
  68. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そうすると、条件を積極的に提示していけば五十五年度開業ということは可能である、そういう確信を持っている、こういうふうに解釈していいでしょうか。
  69. 高橋浩二

    高橋説明員 ぜひ五十五年度中に工事を完成させたいというふうに考えております。
  70. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そこでもう一つ、この東北新幹線の問題についてでございますが、去る二月二十日に宮城県沖の地震によって部品にひびが入ったり橋脚基部に亀裂が入ったりした事故が起きておるようですが、これは東海道や山陽と同じような設計でやって、しかもこの東北の一部分にこういう問題が出るというのは、一体何が原因しておるのか。私なりに想像すると、やはり一部の設計ミスや工事の欠陥、こういういずれかに原因するのではなかろうか。もしそうでないとすればこれは大変な問題だろうと思うのですが、その辺についてはどのようにお考えでしょうか。
  71. 高橋浩二

    高橋説明員 先般の東北における地震は、一般に震度階四ということで公表されておりますけれども、私の方の現地の実態といいますか被害の状況を調べましたら、ごく一部ではございますけれども相当の大きな力が作用したのではないかという部分もございます。そういうことで、あの付近ほとんど高架橋をもって建設いたしておりますけれども、その全体のうちの一、二割のものについてけたが少しずれたという事象が出ております。これはどうしてそういうふうになるのかということを、ただいま専門の技術屋を現地に派遣いたしまして詳細に調べておりますので、詳しくはまだ結論が出ておりませんけれども、設計自体が東海道と違う点については、これは東海道新幹線の場合には大きな橋梁はほとんど鉄げたをもって建設をいたしました。東北新幹線では騒音対策あるいは振動対策ということで、鉄げたは特別の場合以外は全部使用いたしておりません。鉄筋コンクリートをもってけたをつくっておりますので、そういう意味で頭の部分が重いということはございます。その重いけたを支えております橋脚との間にくつをはかせまして、それで橋脚とけたとを連結いたしておりますけれども、そのシューの設計に、私の方が少し設計上、一つの場所に大体けたを八連かけて支点の幅になるのでございますけれども、八連のけた、したがってくつも八つあるわけでございますが、それが今回の地震で各個撃破を受けて、そのシューが壊れたのではないかというふうにただいま原因を推定いたしております。八つのけたが地震でぐっと動いたときに、そのくつが荷重を支えてまいりますと各個撃破を受けるというようなことでいかれたんではないかというふうに、ただいま想定をいたしておりまして、その点は今後十分検討いたしまして、そういうことのないような設計に若干設計をし直そうということで、ただいま検討をいたしております。
  72. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そこで、本当に時間がなくて申しわけないんですが、少し要領よく御答弁をお願いしたいと思います。  宮城県沖、特に金華山沖というのは、いつも地震が多くて、その辺に大体震源地があるわけですね。ですから、そういう地域の状況というものを十分考えた際に、こういうところはやはり特別の設計をして強化策を講ずるべきだと思うんですが、ひとつその点をよろしくお願いします。  次に、国鉄只見線についての安全運行の確保についてでございますが、これは特に冬季間非常にダイヤを削減され、あるいは豪雪のために汽車が、いまの列車がとまって通勤者に非常に迷惑をかけておる、こういうことの解消をぜひ急いでいただきたいということでございます。  これは御承知のように、昨年はいままでのそれこそ何倍という大きな予算をとっていただいてなだれ防止の対策等をいただいたわけですが、しかしそのなだれ防止の対策にいたしましても、もう五メートルか十メートルさくを延ばしていただければ完全にできるものを、それが中途半端に終わっているところが多々あるわけです。そういう点をやはりああいう工事でなくて、やるなら完全にやる、そういうようなやり方をしてもらうわけにはいかないだろうか。この点がまず第一点。  それから、こういう防護対策をする際に、一方においては林野庁に頼めば治山事業としてできる、あるいは鉄道を守るという意味でやるのが、その下に国道があって国道の防護の対策にもなるという、関連した場所がたくさんあるわけです。そういう際に、林野庁や建設省と連携をとってやればもっと予算を効率的に有意義に使うことができるのではないだろうか、こういうことを痛切にこの間の調査で感じさせられたわけでございますが、この点についてもひとつ十分配慮していただきたいと思います。  それからもう一つはレールでございますが、只見線は電源開発のためにつくられた線路を引き継いだわけで、三十キロのレールがまだ七十四・一キロメートルもあるわけでございまして、こういうレールは早くつけかえをしていただきたい、交換を進めていただきたい。そしてまた、そういう路線ですから路盤が非常に悪い。この路盤改良を進めないと本当に国鉄らしい運行確保はできないではないか。しかも、会津蒲生から只見間にある叶津川橋梁というものは半径が二百五十メートル、そうしてこの橋脚は非常に傷んでおり、なおかつカーブにカントがほとんどない、こういう状態から、列車は常に時速三十キロの制限を受けてのろのろ運転をしておるというのが実態でございまして、こういう問題の解消にも十分配慮していただきたいということであります。  時間がありませんから、言うべきことを言わせていただきます。それから要員の適切な配置についてでございますけれども、只見——川口間というものは、ダイヤの中でも運休されておる一番しわ寄せを受ける区間でございまして、ここに、この中間にある横田駅に除雪車を中継駅として配置するなりあるいは要員一名くらいは常置させれば、何とか冬も常時並みに列車を通すことができるのではなかろうか、こういうふうに考えるのですが、その点はいかがでしょうか。  さらには、国鉄の運行確保とそういう防護施設の工事に当たっても、地元住民との対話が非常にない。そのために国鉄の施策というものが地元から非常に反発を買っている面もあるわけでございます。したがいまして、今後はダイヤの編成やあるいは踏切等の除雪の問題等については、十分地域住民やその自治体との話し合いを進めるべきではないかと思いますが、その点についてもひとつよろしくお願いしたいと思います。  それからもう一つは、冬季間の作業の環境でございますが、なだれを監視するために監視所がありますが、これは言ってみれば全く監獄のようなもので、小さな窓一つに便所もない、そして畳一枚敷かれていない、こういうような中で監視を続けさせられているわけでございます。こういう点についてはもっと温情ある国鉄の業務の推進というものが必要ではなかろうか、こういうことを非常に強く感じさせられました。  それから最後に、五十三年の一月一日から五十二年の四月十日まで延べ日数にして百日間、列車の運行がとまったわけでございますが、この列車の運行がとまったことによって定期券を持っておる方が一体どのような影響を受けたか、これに対して国鉄はどんな措置をしたのか。また現在、こういう通勤、通学の乗車人員五千六百三十三人の中で、冬季ダイヤを組まれたために影響を受けておる人たちはどのくらいいるのか、この辺を明らかにしていただきたいと思います。
  73. 福永健司

    福永国務大臣 御質問が多岐にわたりますので、国鉄責任者からも答えさせることにいたしますが、まず私といたしまして、いま御指摘の中で林野庁、建設省等いろいろそういう方面と連絡をとってやればもっとうまくいくから気をつけろというお話につきましては、私の方からも関係者に連絡をいたしまして、そういうように心がけるようにいたしたいと思います。  地元との話し合いにつきましては、御説の点を当然考えなければならぬと存じます。要員の配置とか冬季の作業環境とかあるいはいろいろの点で御説がございました。また、冬、列車運行がとまって定期券を持った人に非常に御迷惑をかけたということの御指摘でございます。そういうことがあったことは私は遺憾に思います。それぞれ国鉄がこういうことに対処することについて申し上げると思います。  実は私、只見へは大竹作摩君が知事のころに、電源開発の工事のさなかにどうしても来てくれと言われまして伺ったことがありまして、いまお話を伺いつつ現地を連想しながらいろいろ考えたわけでございます。私は私なりに努力をさせていただきたいと思います。
  74. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 私から、最初に定期券の問題についてお答え申し上げます。  昨年、かなり長い期間運休をしたわけでございますが、それにつきましては、なだれのときとかを除きましては、一応通勤列車だけは確保するというやり方でやっておりますので、一般的に申し上げて、その確保がなされている場合には定期の払い戻しはやっておりません。ただ、公示した列車が五日以上とまった場合には払い戻すという規則になっておりますので、それに該当するものについては払い戻すということにしております。  先ほどの五千六百三十三人の通勤客に対してどのような影響があったかというお尋ねでございますが、ことしは去年非常に長い間運休したことにかんがみまして、冬季ダイヤを設定いたしまして、只見で相互に折り返すということでやっておりますので、そういう折り返しダイヤという意味では御迷惑をかけておりますが、そういうことで全体としてはダイヤの確保をなるべく図るということでやっておりますので、本数も只見から川口までで一本減、只見からこちら側は全体として本数を確保しておるということでございますので、特例としての払い戻しの扱いはいたしておりません。
  75. 高橋浩二

    高橋説明員 私からは全体の線路関係について、一言お答えをいたしたいと思います。  先生おっしゃいますように、この区間は電源開発の専用線としてつくられたためにカーブが非常にきついとか、あるいはレールが十分りっぱなものでないといういろいろな欠陥を、実はそういう意味では持っております。私どもは安全でなおかつ列車がとまらないようにということをただいま最大の目標にいたしておりまして、まずそういう方面から手をつけたいということで、防災関係とかなだれ防止関係の設備強化あるいは除雪のための機械の強化をまずもってやらせていただいております。昨年から相当のお金を入れまして、来年度も引き続いて防災関係については予算を投入いたしまして、まず列車がとまらないようにということをやって、その後で列車の速度を向上していくという方策で進んでいきたいと考えておりますので、ただいまの先生の御趣旨を踏まえて、いろいろの点で努力していきたいと考えております。
  76. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 時間が参りましたので終わりますが、とにかく誠心誠意この運行確保に当たっていただくよう、なお職員の労働環境についても十分配慮されるようお願いいたしまして、終わります。  どうもありがとうございました。
  77. 藤田義光

    藤田主査 以上で渡部行雄君の質疑は終了いたしました。  午後二時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時三十三分休憩      ————◇—————     午後二時十九分開議
  78. 藤田義光

    藤田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  運輸省所管について質疑を続行いたします。西宮弘君。
  79. 西宮弘

    西宮分科員 私は、いわゆるローカル線の問題で若干お尋ねをしたいのでありますが、俗に言う政治線と称する政治的ないろいろな意図のもとに建設をされて赤字の原因になっているという、そういうやり方は私はまことに好ましくないと考えておるわけです。しかし、同じローカル線の中にも、そういうのではなくて、いままで政府なり国鉄なり鉄建公団なり相当やってきたけれどもあとわずかなところが残っておって、そのために九仞の功を一簣に欠くというようなところがあることは大変不経済でもあるし、これを完成させることがむしろ赤字を軽減させるというようなことにも役立つんじゃないかというようなことを考えるわけですが、そういう観点から一、二お尋ねをしたいのであります。  丸森線というのは、これは福島、宮城にまたがったいわゆるローカル線でありますけれども、元来はローカル線というよりもいわゆるCD線、こういう規格のもとに発足をしたわけであります。むろん政治運動の所産としてでき上がったのではないのでありまして、むしろ運輸省なり国鉄なりの立場で必要性が強調されて着工した線なんでありますが、昭和三十七年の五月に着工して、三十九年には鉄建公団が発足をいたしましたので、それから急に工事が進捗をいたしまして、昭和四十三年には槻木と丸森間が十七キロほど開通をいたしました。  しかし、まだ残りが三十四キロあるのであります。三十四キロありますけれども、ただし、その区間はもうすでに路面の土盛りももちろんできているし、その上に線路も完全に敷かれて、ただ残っておりますのは駅の庁舎だとかあるいは電化の施設だとか、そういう点がおくれておるだけなんでありますが、それが残っているために、それがまだ完了しないために三十四キロが使われておらなくて、したがって、全体で五十一キロという計画でありますが、その五十一キロ全体が半分死んでしまっているという状況にあるわけであります。その点は、私は経営面から見ても大変に遺憾なことだと思うのでありますが、これについてどういう見通しを持っておられるか。鉄建公団あるいはまた鉄建公団にかわる本省の立場でも結構でございますが、お聞かせを願いたいと思います。
  80. 福永健司

    福永国務大臣 ただいま鉄建公団等からも答弁をさせますが、最初に……。  西宮さん御指摘の丸森線の重要性につきましては、私もある程度認識をいたしておる次第でございます。いまおっしゃいました点についても、運輸当局としても大いに意を注がなければならぬと存じます。そういう精神から今後どのようにいたしますかを担当者から答えさせることにいたします。
  81. 住田正二

    ○住田政府委員 丸森線の建設の経緯につきましては、いまお話しのとおりでございます。ただ、工事費といたしましては、なお百億円以上必要ではないかと考えております。  お話がございましたように、この線はもともと東北線の代替線というような感じで工事をいたしておったわけでございますけれども、その後の諸情勢の変化によりまして幹線的な性格をすでに失ってきておって、いまやローカル線的な性格ではないかというように見ておるわけでございます。三十七年に着手し、鉄建公団に移りましてからはC線としてやっておるわけでございます。C線は、御承知のように、借入金で工事をやりまして、国が四分まで利子補給をするということでやっておるわけでございますけれども、そういうC線では、この路線を完成させましても大きな赤字が出て、国鉄として非常に大きな負担になるということで問題が出ているわけでございます。  私どもとしては、もはやいわゆるC線として建設を続けるということは非常にむずかしくて、むしろいわゆるAB線として建設をする方がいいんじゃないか、仮にAB線としてやりましてもなお相当な赤字が出るということが予想されますので、こういう赤字問題について国鉄の負担とならないように、地元の方々と今後よく話し合いをして解決策を見出していきたい、さように考えているわけでございます。
  82. 西宮弘

    西宮分科員 なお残り百億を要するというお話でありますが、私の調べたところでは、いままでに投資したのは百三億四千五百万、間違っていたら訂正していただきますが、今日までそういう投資をしているということでありまして、それがいま申し上げたように途中でとまっておるというために、いままで投資したものが、全部とは言いませんけれども、大半がむだになっている。しかも先刻申し上げたように、もう路盤その他はすっかりできておるわけでありますから、そういう点でそれをそのままにしておくというのでは大変に不経済だという感じがするわけであります。  それでは、百億残っているといたしますと、それを何年ぐらいで完遂させるという見通しを持っておられるのか。去年もおととしも五億三千万ほど使ったわけですね。そういう程度では全くそれこそ大変な年月がかかってしまうわけで、そんなことではとうてい問題にならないと思う。ですから、ぜひ早期に完遂して早く赤字解消にも役立てたい、これはわれわれも当然そうあるべきだと考えるのですが、その点はいかがですか。
  83. 住田正二

    ○住田政府委員 先ほど工事費がなお百億ぐらいかかると申し上げましたのは、大体総工事費をいまの価格で見積もりまして二百八億円ぐらい見積もっております。いまお話がございましたようにこれまで百三億でございますので、なお百億円以上かかるということでございます。  先ほど申し上げましたように、この線の性格がすでにローカル線という、当初の目的から変わった性格になってきておりますので、ローカル線につきましては、現在運輸政策審議会で今後どういうふうにしたらいいかということでいろいろ御検討いただいている段階でございます。その中の考え方といたしまして、こういうものについて、いま新しく建設するもの、現在あるもの含めまして、国鉄の負担とならないような措置を講ずるという考え方が示されているわけでございます。したがいまして、そういう答申も受けまして、今後地元福島県、宮城県の県の方々とよく話し合いをいたしまして、どういうふうな方法をとれば国鉄の負担にならないで済むか、そういうことを詰めた上で、できればAB線として建設を進めたい、建設を進める前提として国鉄の負担にならないような方法を県と私どもとの間で見つけていきたい、それが先決ではないかと考えているわけでございます。
  84. 西宮弘

    西宮分科員 いわゆるローカル線、AB線にするかどうかという問題については、また後に少し申し上げたいと思うのでありますが、CD線についてことしの予算は二百五十億組まれていますね。それに該当する二百五十億充当されるものとして、いわゆるCD線で札幌、盛岡、東京、名古屋、この四つの鉄建公団の支所の管内で八つの線があるというふうに、これは当局の資料でありますが、載っておるわけです。それで、この八線で三百二十キロということになっておりますが、全体の額が、去年の二百六十億がことしは二百五十億に減っているわけですから、十億減っている。十億減っているということは、この線に対して後回しになるということではなしに、これは私の想像ですが、八つの線の中でももうすでにいままでに相当工事が進捗している、したがって、五十三年度としてはそれほど大した金を使わなくて済む、ですから、そういう意味では残っているところに充当する金額は相当ふえているのではないかというふうに想像をするわけです。なぜならば、ことしは公共事業優先ということで総予算が非常に多くなったわけです。ですから、実質的には相当ふえているのではないかというふうに私は想像をするのですが、いかがですか。
  85. 住田正二

    ○住田政府委員 C線、D線の場合には、必ずしも工事が順調にいっていないわけでございます。いま公共事業の促進という点からいいますと非常に申し上げにくいわけでございますけれども、CD線の場合には、工事が順調にいかないためにかなりの使い残しが出ているわけでございます。そのために本年度予算が若干減っているということでございまして、前年の繰り越しを入れますと相当の金額になるわけでございます。
  86. 西宮弘

    西宮分科員 それでは、前年の繰り越しを加えて相当な額があるということであれば、八つのCD線——私はほかのことはわかりませんので、丸森線だけを問題にしているわけですが、これに充当される金額は、五十二年度の五億三千万というような金額よりは相当ふえるのではないかというふうに考えるのですが、どうですか。
  87. 住田正二

    ○住田政府委員 先ほど申し上げましたように、丸森線につきましては、いわゆるC線ということではなくて、建設を進める場合にはAB線という姿でやりたいと思っているわけでございます。それで、AB線の場合には、御承知のように全額政府出資ということで、金利のつかない金でやることになるわけでございます。C線の場合には借入金でございますので利子がつく、こういうことで大きな差があるわけでございます。  したがって、AB線として建設をするに当たりまして地元いろいろ話し合いをしたい。AB線で建設をいたしましてもなお相当な赤字が出て、国鉄の角担になるものですから、そういう点で、先ほど申し上げましたように地元と十分話し合いをして、また、政府部内でもいろいろ検討を必要とするわけでございますけれども、今後やる場合にはやはりAB線としてやらざるを得ないのではないかというふうに考えております。したがって、CD線の方に金が残ったからそれを入れるということになりますと、また金利がふえてますます赤字になるということになりますので、金利のつかない金でやりたいということを前提にいろいろ検討をいたしているわけでございます。
  88. 西宮弘

    西宮分科員 AB線にするかCD線にするかということは、これはなかなか重大問題で、今日までC線ということでまいりまして、このことは地元関係者もみんな承知をしているわけです。承知をしているというか、いわゆる幹線になるんだ、たとえば東京なりあるいは北の方は青森なり、そこまで直行できるのだ、こういうことで土地の買収等に協力をするとか——それはその当時もっぱらそういう説明土地の所有者の協力を求めるとか、地元の町村等に協力を求めるとか、そういうことを極力やってきたわけです。したがって、そのためにいわば犠牲になった人たちは、やがてそうなるんだということに非常な期待をかけて協力をしてきたわけですから、これはぜひとも従来のC線でいってもらいたいということを私は強くお願いしたいわけです。  無論私どもも、AB線の場合と比べて、利子がつくかつかぬかということは承知はしたしております。しかし、そうは申しましても、そういう沿革があるわけです。あるいはこれは本線が勾配があるとか距離も若干長いというようなことで、最初のときはあれを幹線として計画をした。今日電化になりましてからそういう条件は若干変わったと思うのですけれども、ただ、われわれ現地でいろいろ見ておりますると、たとえば、まあ勾配はなくなったけれども、風が非常に強いので、そのためにあの区間でしばしばスピードをダウンしたり、あるいはまたしばらく走れないというような状況等が本線の場合にあるわけです。そういう点もあるし、なお基本的には、さっき申し上げたように、そもそもそういうことで地元協力を仰いでやってきたわけですから、これはぜひとも従来どおりのC線で貫徹をしてもらうということを私どもは強く要請しないわけにいかない。これは後で大臣の御意見もお尋ねをしますが、鉄監局としてもその点は十分腹に入れてやってもらいたい。いかがですか。
  89. 住田正二

    ○住田政府委員 確かに、この線の工事に着手いたしましたときには、いま先生のお話にありましたような経緯であったわけでございます。しかし、その後東北本線を複線化するとか、あるいは新幹線をつくるということで情勢が大きく変わってきているわけでございます。本来ならば、その変わった段階で適切な措置をとるべきであったということではなかったかと思うわけでございますけれども、そういう措置がとれなかったために今日にまで及んでしまって、そのために私どもとして対策に非常に苦慮しているわけでございます。ただ、これを従来の形でつくりますと、恐らく年間二十億ぐらいの赤字が出るのではないかというような試算もいたしているわけでございまして、現在の国鉄の財政状況からいって、幹線という形で工事を続けるということは、国鉄の方としてもなかなか受け入れがたいといいますか、やはり何か措置を講じていかないと、国鉄にその業務を引き受けさせることがむずかしいのではないかというように考えているわけでございます。私どもとして非常に苦慮いたしている問題の一つでございます。
  90. 西宮弘

    西宮分科員 さっき申し上げたように、現在営業されている区間が非常に短いものですから、したがって利用者も少ないというようなことで、効率的な運営にはなっていないと思います。私の調べたところでは、いわゆる収支係数が一四一二ということになっておるようですが、この一四一二という係数はかなり高いと思うのです。私、いわゆるワーストテンという表を持っておりますけれども、そのワーストテンの中には入っていないのですね。どのくらいのランキングになるかわかりませんが、たまげるほど大きな収支係数ではない。なお、これはさっきから申し上げておるように、まことに中途半端な状況にあるわけですね。それでこういう係数でありますが、全体を貫通するということによって、恐らくことは下がってくるんじゃないかというふうに期待をされる。そういうことになれば、ほかのたくさんの赤字線の中で特に問題だということにはならないんじゃないかと思うのですが、どうですか。
  91. 住田正二

    ○住田政府委員 営業係数がどのぐらいになるかということにつきましては、あるいは国鉄の方から答弁していただいた方がいいかと思いますけれども、私どもの方で試算をいたしております数字では、やはり年間二十億ぐらい。したがって、完成した場合の営業係数はやはり一〇〇〇を超えるのではないかというように見ているわけでございます。したがいまして、そういう負担をどういうふうに解消するかということについてのめどが立ちませんと工事の続行はむずかしい。先ほど来何遍も申し上げておりますけれども、C線として建設いたしますと国鉄の負担がますますふえるわけでございまして、仮にもし工事続行するのであれば、AB線にせざるを得ないのではないかというように現段階では考えているわけでございます。
  92. 西宮弘

    西宮分科員 これは国鉄の方にお尋ねをいたしますが、いわゆる実施計画その二と称するのだそうですか、駅の庁舎をつくったり、いよいよ営業を開始する、そういう段取りをこれからしなければならぬということですが、そういう準備等はどうなんでしょうか。つまり、さっき申し上げたように、線路は敷かれているわけですから、駅の庁舎をつくったり、あと電化が残っております。これは電化の方もかなり大きな仕事ではありましょうけれども、その駅の庁舎をつくっていよいよ営業を開始するということで、実施計画をつくって運輸省の承認を求める、こういうことになると思うのですけれども、その体制はいかがでしょうか。
  93. 高橋浩二

    高橋説明員 いま先生のおっしゃいますように、今後建設公団と協議する事項は、いまの線路の関係、駅の関係、電化の関係、それがその二工事として今後協議をすべき問題でございます。ただ、その一の協議の中で、福島を出ましてすぐ先に矢野目という信号所がございますが、矢野目の信号所のところで道路との交差の問題がございまして、ただいまその交差についてようやく地元の方々との話がまとまりまして、その交差のための道路の立体工事をただいま進めているというふうに私どもは伺っております。  私どもは、いま運輸省からもお話がございましたように、C線としてもしこれを全線を開業いたしますと、年間借損料だけでも十六億くらいの借損料をお払いしなければならないということに計算上ではなっておるわけでございまして、そういう問題について、ぜひ借損料その他について軽減の御負担を強くお願いをしているところでございまして、まずその辺をぜひ解決をしていただいて、この工事を進めさせてもらいたいものだというふうに考えております。
  94. 西宮弘

    西宮分科員 いまの立体交差の問題が妨げになっておったことも承知をいたしておりますが、それは関係者努力解決をしたというので私どもとしても喜んでおるわけですが、実はそういう状況を、その立体交差の問題なども含めて、昨年の五月に運輸委員会が現地の調査をいたしまして、もうすでに何もかもでき上がっておる、このまま遊ばせておくのはもったいないということで、視察をされた運輸委員の皆さんが一致してそういう見解を持って帰られたようであります。したがって、とにかく早く残りを完遂して汽車を走らせてもらいたい。そうすることによって全体としての負担も軽減するというふうに私ども考えるのですね。ぜひそうあってほしいということを願うわけです。いまのC線かAB線かという問題については、私どもは、最初の経緯もあるわけですから、さらにまた本線についても若干の問題もあるわけですから、ぜひ最初の計画どおり進めていってもらいたいということを強く要請をし、私としてはそういう点で主張しておきたいと思います。  それから、残っておる時間がまことに短いのでありますが、もう一つ、この間開通をいたしました気仙沼線、これはおかげで沿線の住民が非常に感謝をしておるわけです。いま前谷地というところまで来ておるわけですが、あれを、わずかな距離でありますから、突き抜けて本線に結ぶということになりますと、これまた大変便利になって、利用者も現在以上にふえるのだろうと思う。  開通されてから、利用の状況は一体どういうふうになっておりますか。
  95. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 気仙沼線は、昭和五十二年の十二月十一日に柳津と本吉が開通しまして、通り抜けができるようになったわけでございますが、現在五往復やっておりまして、全体として当初予想していたよりは二割ぐらい多いかなということで、かなりお乗りいただいているのが実態でございます。一月の数字で申し上げますと、定員が約千三百に対して乗車が千四百ぐらい、これは下りでございます。ですから、上りも合わせまして大体乗車定員と同じぐらいのお客様がお乗りになるという実態でございます。
  96. 西宮弘

    西宮分科員 おかげで、これができまして沿線の住民は大変喜んでいるわけですが、決して瀧を得て蜀を望むというのではなくて、最初から沿線の住民は全部、いわゆる一市十町村が一緒になりまして、やがてその前谷地からさらに一歩を進めて本線に結んでもらいたいという非常に強い運動が行われてきたわけであります。いわば三角形の一辺を通す、そうすることによって恐らく、いま利用状況も大変よろしいという話でありますが、それがさらに効率的になるのではないかというふうに私ども考えるのですが、この点について、いかがですか。
  97. 住田正二

    ○住田政府委員 前谷地と東北本線の間を短絡したらどうか、短絡してほしいという御要望は前から伺っているわけでございますけれども、こういうAB線といいますか、鉄道新線をつくる場合には、鉄道敷設法の中に別表がございまして、別表に該当いたしませんと建設ができないという仕組みになっております。したがいまして、現在の段階で鉄道敷設法を改正して新たにこの短絡線を予定線にするということは、現段階では考えていないわけでございます。鉄道敷設法自体についてもいろいろ御批判があるものですから、そういう御批判を前提に考えますと、いまこの段階でこの問題を取り上げるということは非常に困難ではないかというように考えております。
  98. 西宮弘

    西宮分科員 その別表の改正というのもむろん方法の一つ、あるいは大事な方法だと思いますが、あるいは場合によったら、線増という形式をとることもできるのではないかというふうに私ども考えるのです。とにかくその辺はお任かせをいたしますが、ぜひこの問題も考えていただくようにお願いをしたいと思います。  最後になりますので、大臣あるいは国鉄側でも結構ですが、いま国鉄が赤字で非常な苦労をしておられるということはわれわれもよくわかるのですが、これは赤字の絶対額は申すまでもなく幹線で生まれているわけですね。だから、地方の線で生まれている赤字というのは絶対額はごくわずかだ。したがって、東海道線を初めとしてああいうところで生まれる膨大な赤字、これを何とかぜひ軽減させる。ほんのわずかでいいからこれを節減するということによって地方の線などは解決がつくという問題をわれわれは痛感するので、その点についてのお考えがどうなのか。  それからもう一つ、これは運輸省として運輸系統全体をながめてみて、たとえば陸上交通の場合、鉄道輸送というのが非常に能率的だ。いろんな資料がありまして、私ども、全く釈迦に説法でありますが、たとえば一リットルの石油で一キロ走るとすると、電車ならば三百三十人、あるいは乗用車ならばわずかに五十人しか走れないというふうな数字とか、あるいは貨物列車の場合には二百トン走る、トラックなどは三十トンしか走れないとか、あるいはまた事故の件数などを見ても、死亡事故について国鉄が一ならば自動車は六五八である、しかもその六五八の事故が発生をし、それに付帯をして弁護士とか、示談屋とか、警察とか、病院とか、あるいは保険会社とか、あるいは裁判所とか、葬儀屋とか、いろいろそういう点できわめて大きな社会的負担を生じている、こういうことで、むしろもっと早く鉄道を中心とした陸上交通を考えるということが講ぜられてしかるべきだったと思うのですが、決していまからでも遅くはないので、そういう点について抜本的な考え方をすべきだと考えるわけですが、御見解をお聞かせください。
  99. 福永健司

    福永国務大臣 いまいろいろお話しでございますが、おおむね私自身がこの仕事になりまして悩んでおりますことに触れていただいておるわけでございます。一面において国鉄の赤字を何とかしろというお話とともに、やはり鉄道というものをさらにもっと活用するということを考え直せというお話もございます。これまたごもっともな点でございます。  そこで、私どもつらつら考えておるわけでございますが、最近、世の中急速にいろんな事情が変わったのでございまして、昔の考え方からだけではとうてい律し得ないものでございまして、いま西宮さんお話しのようなことをよく考えてみることも必要だと思います。そういう観点からただいまのお話等も伺ったわけでございますが、さらに私どもよく慎重に検討をいたしたいと考えるところでございます。
  100. 藤田義光

    藤田主査 これにて西宮弘君の質疑は終了いたしました。  次に、荒木宏君に発言を許します。
  101. 荒木宏

    荒木分科員 関西新国際空港の問題で、従来から本分科会でしばしば質疑をさせていただきました。瀬戸内海の環境を守りたいという地域住民の願い、大阪南部の民主的発展を図りたいという関係自治体要望、さらには、成田の流血の惨事を再び繰り返すまいという関係行政当局の御検討などなど相まちまして、国会における審議の中でも幾つかの共通理解、原則というものが生まれてまいったように思います。従来、歴代の運輸大臣に、その点諸般の事情を踏まえましてお尋ねしておったのでありますが、大臣御就任後本分科会では初めてお尋ねをいたしますので、その一つであります。  調査を積み重ねていま候補地とされております泉州沖が、調査の結果、科学的にあるいは諸般の検討の結果不適当である、こういう結論が出た場合には、候補地の白紙撤回といいますか、再検討ということも考えなければならない、これが一つの原則でございます。もう一つは、候補地決定には地域の合意が必要である。申すまでもなく、公有水面の埋め立て許可権限は関係の都道府県知事にございまして、そういう意味合いからも、地元との合意が成ったときが計画決定のときである、これが二つ目の原則でございます。  前者は、昭和五十年の二月二十六日の本分科会でも、私、当時の運輸大臣にお尋ねをいたしまして、御確認をいただきました。また、後者は、審議会の答申の中にもその趣旨が触れてあるのでありますが、改めて大臣に御所見を伺いたいと思います。
  102. 福永健司

    福永国務大臣 いまお触れになりましたような点について、もとより大方針が変わっているわけではございません。具体的に泉州沖の問題等についていろいろ研究した結果不適当なら、その時点において再考をする、あるいはこれを決定するについて地域の合意が必要である、こういうような点につきましては別に私も異存がないので、原則を守りつつ、しかもいろいろな情勢の変化を踏まえて最もよき進展を見るように、こういうように考えております。
  103. 荒木宏

    荒木分科員 そこで、いま気象観測その他調査、自然環境調査をお進めになっておるわけですが、この環境調査、環境評価につきまして、先ほど申しました航空審議会答申の中にも問題はありはしないか、これを一点お尋ねしたいと思います。  具体的に申しますと、審議会答申の中で、航空機の運航に最も影響がございますNO2につきまして、審議会調査では三地点を抽出いたしましてそれぞれ測定をいたしております。航空審議会答申の六十四ページにございますが、泉佐野市は〇・〇〇六PPm、神戸市灘区は〇・〇四〇PPm、高砂市は〇・〇三六PPm、こういう数値を挙げまして、その結果、神戸沖と播磨灘、これはいずれも四〇と三六でありますから問題がある、泉佐野は六であるからその点問題が比較的少ないと、こういう結論を出しておるようであります。     〔主査退席、村田主査代理着席〕  環境庁に伺いますが、この航空審議会でやられた調査の方法、それからこの比較のやり方並びにこの結論、これに問題はないかどうか、伺いたいと思います。
  104. 大塩敏樹

    ○大塩説明員 お答えいたします。  航空審議会の答申の資料によりますと、三地点におきます窒素酸化物の濃度について御指摘のような数字が挙がっていることを承知いたしております。なお、この方法につきましては、測定方法並びに測定期間が違うと伺っております。  四十七年当時は大気汚染の特に窒素酸化物の常時監視、測定体制が十分でなかったという点もございますけれども、その後、各自治体が多くの測定地点を置き、測定体制が整備されておりますが、その結果を見ますと、必ずしも泉佐野の測定のデータが他の値よりも決して問題がない、こう言い切れない現状にございます。
  105. 荒木宏

    荒木分科員 結論といたしまして、航空審議会では、泉佐野は他の比較二地点に比べて問題が少ない、逆に言いますと、候補地でないとされた高砂それから神戸は選定することに問題がある、こういう結論になっておったわけですが、いまの環境庁の担当者の御説明では、むしろ結論が逆になるというふうに伺ったわけでございます。  私は、もう少し詳しくもう一言伺っておきたいと思うのですが、調査の方法が、泉佐野市は四十八年八月の運輸省による二日間の調査の結果である。三百六十五日のうち二日間だけを取り上げた調査結果である。神戸市及び播磨灘の方は、環境庁の実施された日本の大気汚染状況という報告に収録されておりますが、大体年間を通しての調査結果である。したがって、調査の期間が違うわけですね。神戸、高砂は年間、泉佐野は二日間。それから、調査の方法が泉佐野の方はケミカルルミネッセンス法、高砂と神戸の方はザルツマン法で行われている。したがって、調査の期間と調査方法が違うということについての環境庁の御意見、これを伺いたいと思うのです。そして、もし一番新しい時点で同じ方法で調査をしたらその数値が幾らになるか、もし御存じなら、あわせてお示しをいただきたいと思います。
  106. 大塩敏樹

    ○大塩説明員 お答えいたします。  窒素酸化物の測定にはいろいろな方法がございます。大気汚染防止法に基づきます測定方法は、いわゆるザルツマン法に基づくものでございますので、先ほどお示しのケミルミ法とは違う方法でございます。しかしながら、その方法自身は、一定の標準ガスによります検定を行うことによって相対的な比較検討は行えるわけでございますが、先ほどお話もございましたように、やはり期間が違うという点は問題があろうかと思います。  この比較の資料を整備するときに、環境庁として直接的にその資料の作成に当たったものではございませんので、詳細な点はわからないわけでございますが、三つの地点の比較を後背地の一つの地点のデータで比較するというのは、先ほど申しましたように、四十七年時点では測定点が少なかったという関係でやむを得なかったと思いますが、その後、環境庁では常時監視体制を整備する方向で県を指導しておりまして、候補地の周辺には多数の測定点が設けられております。ただ、いま簡単にその一カ所だけということで比較いたしますと、泉佐野市におきます保健所の測定点は、他の地点よりも高いというのが最近のデータとして出ております。
  107. 荒木宏

    荒木分科員 大臣もお聞きいただいたと思いますが、一番最新の調査は、ここにございます環境庁の編集にかかる昭和五十二年版日本の大気汚染状況というのに収録されてございます。これによりますと、いまも環境庁の担当課長から説明がありましたが、昭和四十九年、五十年、五十一年、三カ年通してとりまして、泉佐野の保健所の地点では〇・〇八八PPmになっております。それから、航空審議会で比較地点とされました神戸市の灘の測定局をとりますと、〇・〇八七PPmでございます。もう一カ所高砂の市役所の測定局をとりますと、これが〇・〇五四PPmでございます。したがって、審議会答申の当時に最も問題がないとされた泉佐野市が、実はこの五十二年版によりますと一番問題がある、こういうふうなことになっております。  もとより、測定点の数の多少など後背地関係ども決して無関係ではありませんから、私は、このことだけでもって航空審議会結論を全面否定するものではありませんけれども、少なくとも十分検討すべき問題があるということは指摘できようかと思うのです。そこで、大臣、この点を十分御認識をいただきたい。今後の調査に当たって御留意をいただきたい。御要望申し上げたいと思いますので、大臣の御見解を簡潔に伺いたいと思います。
  108. 福永健司

    福永国務大臣 いま荒木さんからそうした御指摘がございました。私、正直に申しまして、この種の話は初めて伺いました。私、こういう学は余り深くありませんのでございますが、感心しながら実は聞いておったわけでございますが、感心するだけでなくて、私自身も研究といいますか、検討といいますか、さらにこの点について一層認識を深めさせていただきたいと思っております。
  109. 荒木宏

    荒木分科員 そこで、大臣から率直な御意見をいただきましたので、現在の実際の大気汚染測定がどのようになされているか、現実の方法に問題はないかということについてお尋ねを申し上げたいと思います。  ことしに入りましてから、観測塔が設置をされまして、本観測に入っております。気象海上観測でございますが、この本観測につきまして、本年の一月十三日、京都大学の原子炉実験所に所属しております研究員の人たちほか数名が、御了解を得ましてこの観測の施設の中に入りまして、いろいろ御説明を受け、かつ現地を見聞させていただきました。その際御案内をいただきましたのは、関西国際空港連絡室の入江室長、それから第三港湾建設局の担当課長さん、当局の皆さんも御一緒いただいたのであります。  そのときに幾つかの問題点を申し上げておるのですけれども、その中で、特に大気汚染の汚染濃度を測定いたしますために、大気汚染測定器の中へ大気を導入いたします。この導入空気量を実際にメーターで示されるわけですけれども、それをレコーディングいたしましてこれを分母にいたします。つまり導入大気量が分母になって、分子に汚染分子が幾らあるかということで汚染濃度が出てくるわけでございます。ところが、施設のメーターの前に立ってじっと見ておりますと、導入大気量を示す針の位置、それで目盛りでわかるわけですが、それをレコーディングいたしますペーパーの方は必ずしも目盛りのとおりの空気量になっていない。これは機械装置の性能その他の関係から許容度、ラチチュードというのがあるそうでございまして、JIS規格では大体五%ということになっておるそうでございます。ところが、先ほど申した大学の研究者数名がその場で現認をいたしておりますと、このラチチュードが一〇%から一五%、間々JISの五%を二倍から三倍超えた目盛りのぶれと、それからペーパーレコーディングの記録が見られる。これはその場におりませんと、目盛りの針はそこで見るしかないわけです。あとは紙に記録された数字しか残らないわけで、これがラチチュードを超えておるわけですから、後のデスクワークではその大気導入量が果たして実際からどの程度外れているかということを確認することはできない。これが間々許容度の二倍から三倍超えて多くなっておるものですから、それだけ分母が多くなって汚染濃度が低下している、こういう指摘をいたしたそうでございます。  これは私は、先ほどの航空審議会の答申の問題点とあわせ考えますと、さらに環境調査という科学的な真実を追求する目的からは問題が加重されるということで、早速大阪府の大気汚染の担当者も関与しておりますので連絡いたしたのですけれども、まだ今日まで回答をいただいておりません。この自然環境調査はもとより運輸省責任を持っておやりいただいておる調査案件ですから、この点について、研究者、科学者の指摘しておる問題点の解明のために早速調査し、御回答いただきたいと思うのですが、ひとつ御答弁を願いたいと思います。
  110. 福永健司

    福永国務大臣 私は、専門ではございませんが、その方の係の連中は連中で、私も荒木さんのおっしゃることをもちろん疑っているわけじゃございませんが、立場の違った者は違った者であるいは何かあるかもしれませんので、まずそれをお聞きをいただきたいと思います。
  111. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 実は私も、いま先生お尋ねの点につきましては当該事実を承知いたしておりませんけれども、関西空港の環境アセスメントのための、特に大気汚染の調査につきましては、関西空港調査会あるいは日本気象協会あるいは関西産業公害防止センター等々のいろいろの機関に委託をしておるわけでございまして、何せ初めてこういう大規模なことをするわけでございますから、調査に入るためにもいろいろな方の御意見を伺い、そしてプログラムをつくり、かつまたそれを実施していく段階におきましていま先生御指摘のような問題があるとすれば、やはりそれはすぐに解明いたしまして、だれにも疑惑が残らないような方法で調べるということが肝要かと存じますので、御指摘の点につきましても早速現地に連絡いたしまして、疑義の残らないようにいたしたいと思います。
  112. 荒木宏

    荒木分科員 もちろん、当該の調査方法をより科学的に、もし問題があれば是正をしていただくというのはもとよりと思うのですが、同時に、そのことについての地域住民の信頼を担保していくこと、私はそれに劣らず大事なことだと思うのです。そこで、先ほど航空局長答弁いただきました御調査の結果をひとつ御報告いただきたい。  それからなお、科学者の指摘でございましたので、地域のさまざまな団体、組織の中でもこのことがいろいろ論議をされております。そこで、私は、だれかれなしに観測施設に入って見聞するということもまた一面問題があろうかという気もするのですが、たとえば大阪府あるいは地域の市町村の理事者、責任ある立場の人ですね、それから関係議会の方々、そういったいわば地域の住民の人たちの意向を代表していると見られる立場の人たちから、ひとつ施設の中を拝見したい、御説明も願いたい、こういう話がございますときは、十分その要望にこたえるようにしていただきたい。先ほど申しました京都大学の実験所の所属の科学者の人たちももとよりでございますけれども、そうした信頼確保の手だてについても十分な道を講じていただきたいと思うのですが、ひとつ御見解を伺いたいと思います。
  113. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 調べておりますものが大変微細なものを調べているわけでありますので、そういう調べている方の仕事を邪魔してはいけないと思いますけれども、いま先生御指摘のように、やはりそういう方々にごらんいただいて、むしろオープンな形で公明正大に調査をするということが、かえってまた調査結果に対する住民の方の信頼を増すゆえんかと存じますので、調査をしております現場の方に十分相談いたしました上で、御趣旨に沿えるようなことにいたしたいと思います。
  114. 荒木宏

    荒木分科員 もう一つ、今度は周辺整備計画について伺っておきたいと思います。  これは御案内のとおり、国土庁初め四省庁が、それぞれの立場から地方自治体の整備計画に援助をしようということで取り組みを進めておられると伺っております。決して運輸省だけがこの所管庁であるということはないと御説明があるわけでありますが、しかし、この周辺整備計画につきましては、それぞれ立場が違えば御要望も違うといったようなことで、ある意味ではこれは非常にむずかしい問題を含んだテーマだ、私はこう思うのですけれども、しかし、いずれにしましても、十分科学的な調査を尽くして、その結果によって地域社会あるいは関係自治体の意向をもとに決定が進められる、こういうことでありますから、自然環境調査と並んで、注目されております周辺整備計画調査につきましては、やはり地方自治体の意向、地元住民の意向というものが一つの基本になろうかと思うのです。  そこで、窓口を務めておられると聞いております国土庁に伺いたいと思いますけれども、大阪府なり関係市町村の実際のやり方は、空港ができる場合はどういう周辺地域整備になるであろうか、それから空港ができない場合は地域の将来展望はどうであろうか、やはりメニューは二つ用意をして、そして住民の皆さんあるいは地方議会の皆さん、地方自治体の理事者の方々、どうでしょうかと比較考量、判断ということになろうかと思うのです。事の筋道はそういうことなんですが、しかし、実際の作業としましては、いろいろな懇談会をやったり、関係各階層の要望を聞いてそれを記録にまとめたり、いろいろな自然と分離できない調査作業というものがやはり進められる。ですから、見ようによっては二本立てということにもなります。ある見方によっては、合わせて一本ということにもなります。いずれにしても、大阪府や関係市町村の周辺整備についての調査、要望を中心に、ひとつ国の方の協力ですね、これを進めていただくということも検討しなければならぬじゃないかと思うのですが、国土庁の御見解をひとつ伺っておきたいと思います。
  115. 宮沢美智雄

    ○宮沢説明員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘のように、関西国際空港の周辺地域の調査を昭和五十二年度から関係四省庁で開始したわけでございますけれども、この調査につきましては、かねてから関係地方公共団体からの要請もありまして、国においても協議、検討して始めるということにいたしたわけでございます。  調査の内容は、御案内のように、泉州沖候補地の周辺の地域につきまして、関西国際空港建設を初めとするこの地域の開発の方向を見通しながら、この地域の広域的、根幹的交通施設に対する将来の交通量等の予測を行おうという内容を持ったものでございます。  この調査の実施に当たりまして、関係地方公共団体の協力を得ることが必要であるということを私ども十分考えておりまして、調査の実施を行います調査機関におきまして、関係省庁、それから関係地方公共団体の職員も加えまして、学識経験者を中心といたしました調査会を設けていただきまして、そこで検討しながら進めていただくということにいたしております。そういう観点から、地方公共団体の御要望等もそういう調査の中で十分に取り入れて進めてまいりたいというふうに考えております。
  116. 荒木宏

    荒木分科員 時間が参りましたので、最後大臣に一言お尋ねいたしますが、いまの周辺地域の調査、これは四省庁御担当ということですが、やはり施設そのものは運輸省の所管でありますし、地域住民もやはり運輸省が一番関係が深い、こう見ておりますので、関係自治体の意向を十分おくみいただくということを、所管大臣として最後に重ねて御表明いただいて、質問を終わりたいと思います。
  117. 福永健司

    福永国務大臣 努めてそういうことにいたしたいと存じます。
  118. 荒木宏

    荒木分科員 終わります。
  119. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 これにて荒木宏君の質疑は終了いたしました。  次に、沢田広君。
  120. 沢田広

    沢田分科員 先輩であります福永先生が今回運輸大臣になられて、私と同じ地元でありますので、いろいろと私が地元の実情を申し述べなくとも十分理解をされていることだと思うのでありますが、ただ、現在の高崎線の通勤緩和の問題でまず伺いたいのですが、これは各首都圏には共通の問題でありますが、とにかく三千万近い人たちの、その通勤の中で、時間の関係もありますがらきょうはその一部を取り上げながら、それを全体に敷衍をしてもらうという期待を込めながら質問していきたいと思います。  特に、いま、高崎線は国鉄財政の中で唯一の黒字線でありますが、その限りにおいて、そのサービスというものは県民の期待に沿ってはいないという実情にもあります。ちなみに、高崎から大宮までの駅は十七でありますが、その通勤している人は東北線と加えて実に七十万、高崎線だけをとらえましても二十万であります。小さな記憶のないような駅かもわかりませんが、北本という駅がありますが、これが一万三千の乗客であります。実にこれは前橋から足尾に至る十七駅の乗客に匹敵をする人員であります。その線を私は別にどうこうしろと言っているものではありませんが、しかし、それだけの乗客を持っているのだということです。新前橋にしてみても北本と同じである。言うならば、駅の名前から見ればずいぶん差があるようであって、その質的なものは相当違っているということを前提としながら、以下の質問にお答えをいただきたいと思うのであります。  現在、高崎線は東北線と大宮で交差いたしますから、結果的に高崎線が七分、東北線が七分という間隔で三分半で上野へ入っていくということになっております。しかし、これではとにかく現在の乗客を輸送するということは困難な状態であることは御承知だと思うのであります。そこで、従来から問われておりました高崎−大宮折り返し、七分間隔の間にこの大宮折り返し運転を開設してその緩和を図る意思はないかどうか、そういう点についてお答えをいただきたいと思います。  時間の関係もありますから続いて伺いますが、朝の時間でも八時三十二分が通勤時間帯の最終であります。その後はもう急行がずっと入っておりまして、これは熊谷で例をとりますと、九時十五分まで通勤電車はないのであります。後は急行が入ってきている。時差出勤を勧めている国鉄としては、この点はさらに配慮するべき余地があるのではないか。あわせて、冬の期間など、夜間の通勤の場合等については一時間に一本、四十分待ちも数多い通勤ダイヤでありますので、待合室等の改善も必要と思いますが、どう思われているか。  以上、二点について先にお答えいただきたいと思います。
  121. 福永健司

    福永国務大臣 詳細の点はさらにお答えをさせますが、お話のように、新幹線等を除けばただ一つの国鉄が黒字を出している線である。もうかるところだから特にサービスをよく、その他のところはどうでもよいとはもちろん申さないのでありますが、いずれもサービスをよくしなければならないが、もうかるところは特にそうでなければならぬというふうに私も存じます。  私も私なりに、いまお話しになりましたようなこと等につきましてはある程度認識をいたしておるわけでございますが、高崎線の大宮折り返し運転の点につきましては、私は個人的にはごもっともに思いますので、すでに検討もしているかとは思いますが、国鉄にぜひ検討をするように指導してまいりたい、こういうように存ずるわけでございます。  なお、いまお話がございました待ち合い室等につきましても考慮すべきものであろうと私は思いますが、ちょうどこれから新幹線もてきていくというときでありますから、この新幹線の完成等と並行してこの種のことは特に考えることがよかろう、このように存じます。  以下、担当の方からお答えさせることにいたします。
  122. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 高崎線の通勤混雑緩和の対策として、大宮で折り返しをしたらどうかというただいまの御指摘でございますが、確かに、かなり大宮に対する通勤もございます。そういうことで、その考え方は一案だと思いますが、ただ、いま七分ヘッドで入っておりまして、大宮から東北線と合わせて三分半のヘッドで上野の方に向かっております時間帯に、七分の間をくぐってやれるかどうかということにつきましては、大宮の駅の設備その他の関係で何とも申し上げかねるわけでございますが、大宮の通勤の時間帯あるいは東京の通勤時間帯等に差がございますので、そのあたりを勘案しまして、ただいま勉強をしておるところでございます。  それから、待合室の件につきましては、最近高崎の線内におきましても改築を幾つかの駅でやっております。その改築した駅舎を除きましてはかなり古い駅舎でございまして、いずれも経年が四十年くらい、あるいはそれ以上かと思いますが、そういうような駅でございますので、待合室だけを改造するということはなかなか困難でございますので、駅舎の改築とか、そういうような機会をとらえまして、いずれ待合室も手を入れていきたいというような考え方でおります。
  123. 沢田広

    沢田分科員 若干順序が変わりますけれども、いま新幹線の問題が出ましたが、新幹線が大宮を出まして上越と東北に分かれるわけでありますが、それの一番最初の町が伊奈町なんであります。その伊奈町は、言うならば町が三つに分かれてしまうことになるわけで、伊奈町の切なる要望としてはモノレールを——これは国鉄の方で言い出したのかどうかわかりませんが、モノレールを伊奈町の地域住民のためにやりますから新幹線の用地買収に協力をしてほしいという話があったようであります。ただ、それは字名でありますが、丸山という地区を一応指定されたようでありますが、地元としては、それではとてもじゃないが、頭の先の毛のところへ届いただけであって鼻のところまでは来ないということなんであって、最悪の場合でも羽貫まで——だから抜き通るという言葉になっておるのでしょうけれども、羽貫までは来なくちゃ困るということを言っておるわけであります。  モノレールが採算的にどうかわかりませんが、専用自動車道であってもせめてそれを通過するということは、当面新幹線の上にも必要ではないかと思うのでありますが、この点はいかがでしょうか。
  124. 福永健司

    福永国務大臣 この問題は、皮肉にも私がいま担当いたす大臣ではございますが、同時に、その深刻さを最も認識している一人といたしまして、かつて国鉄当局にいまの沢田さんがおっしゃるようなことによく似たことも私も言ったこと等がございました。  そこで、当時の国鉄の責任者等ともいろいろ話し合ったのでございますが、伊奈町は本当に小さな町でありながら、新幹線が二つとも入ってきてあそこで分岐するというようなことで、大変な犠牲を払うところでありますだけに、これは特別の考慮を払ってやらなければならぬということは当時の運輸大臣もしかと言っておったところでございますが、私がどうだこうだと言うと、自分のところをどうしたということで、まあ昔もそんなことの話もあったようでございますから、私はそういう意味で申し上げるのではございませんが、政治のあるべき正しい姿としてかく考えなければならぬという観点から確信を持って申し上げますならば、これは何とかしてやるべきものだし、私もかってその種の回答を受けているのでございます。  モノレールにつきましては、これはたしか国鉄が言い出したのじゃなくて、埼玉側で言い出したことでございます。考え方によってはモノレールではかわいそうだという考えすらあるわけでございますが、それはともかくといたしまして、そういうようなことでございますので、このモノレールを含めまして、地元政府ないし国鉄がよく話し合って解決すべき問題だと思います。それは、私は、こちらが逃げるという意味ではなくて、ともに熱心に解決するべきであるという意味で申し上げたいと思うのであります。
  125. 沢田広

    沢田分科員 汽車ですから後でまた折り返す場合もありますが、質問もそのつもりで一応行きまして、後で折り返しをさせていただきます。  新幹線の大宮始発ということは、当面の段階としてやむを得ないのではないかというきわめて強い意見がわれわれ地元にはございます。同時に、大宮以南の住民はきわめて強い反対の運動をいたしております。もちろん市街化区域の中に入っていく、これはとても耐えられるものではないという立場から反対しています。しかし、東北の人その他の人から見れば、何とかがまんしてくれないかというのが希望であろうとは推察はできます。しかし、住民の犠牲の上に成り立つということであってはならないということになりますと、これからの以南に対する考え方あるいは騒音についてはどうなんだ、あるいはその他の公害についてはどうなんだ、スピードについてはどうなんだ、あるいは通勤線の併用についてはどういう考えを持っておるのかということについて、短い時間でありますが、簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  126. 高木文雄

    ○高木説明員 まず、大宮始発でスタートしてはどうかという御意見が各方面から寄せられておるわけでございますが、私どもとしては、やはりぜひとも東京とつなぎたい、そしてそこからスタートをさせていただきたいと切なる願いを持っております。  と申しますのは、大宮で始発ということになりますと、何としても新幹線ができることによる便益がかなり落ちることになりますので、御迷惑をおかけする大宮以南の住民の方々にははなはだ申しわけございませんけれども、何とか御理解いただいて通させていただきたいという気持ちでいまいっぱいなのでございます。そういう心組みでもうしばらくお願いを続けてまいりたいというふうに思っております。  ただ、その場合に国鉄側にいろいろ不手際がございまして、たとえばかってはなるべく御迷惑を小さくするために地下を通るというようなことが考えられておったわけでございますが、地盤その他の関係でどうしてもそれが不可能だということから高架にせざるを得ないということになり、そうしたことが住民の皆さんの非常に強い反対を呼ぶ理由になりましたわけです。そうしたことについてどうしてできないかということもよく御説明をいたすことにいま全力を尽くしておるわけでございます。  それからスピードの問題ですが、これはいずれにしましても、東海道に向けて東京駅を出ましても、カーブその他の関係もありましてなかなかスピードが出ていないのと同じようなことでございまして、東京側から大宮までのスピードというのは、何キロというようなことは、まだ構造物がしっかりできておりませんものですからあれですが、東海道の例でもおわかりいただけますように、とても速いスピードはそこでは出ない。また、同時に、それは公害によって御迷惑をかけない限度で考えなければならぬというふうに思っております。  それから通勤線につきましては、まだ正規に運輸省の方にお願いに出てはおりませんけれども、私どもとしては、やはりこれは通勤線を併設いたしたい。そういうことによって、先ほどもお触れになっておりますように、本来大宮、赤羽、上野といったところの通勤電車が大変込んでおりますこともございますし、また、いまの新幹線が通ろうとしておるところはこれからいよいよもって発展をするところでございますので、この機会にここに通勤線を投げさせていただきたいということで計画を立てて、運輸大臣の方にお願いをするべく準備を進めております。  ただ、線路は新幹線と全く並行してつくるわけでございますけれども、たとえば駅をどこにつくるかというようなことについては、まだそこまで検討が煮詰まっておらない状況でございますが、この通勤線をつくるということは、これは埼玉県の知事からも絶対的な条件だぞということでお話もございますので、地元の御要望といいますか、そうしたことをくみ取りながら計画を進めるということにしたいと思っております。
  127. 福永健司

    福永国務大臣 ただいま国鉄総裁から、通勤線については私の方へそういうように願い出たいというお話でありますが、そのままにしておきますと大臣がどうするかわからぬということになりますので、ちょっと一言つけ加えさせていただきますと、私は深き理解を持ってこれに臨みたいと存じます。
  128. 沢田広

    沢田分科員 先に行きますが、高崎線の上り急行など、さっきも申し上げましたが、「あかぎ一号」なんというのは中曽根列車などと言われていたわけであります。荒舩駅もあったと思いましたが、それを警戒されて運輸大臣がさっき答弁されなかった点もあるのでありますが、この「あかぎ一号」というのは大宮だけが停車しないのであります。しかし、高崎から八時六分に乗ってきます人にとってみれば、ちょうど上野が九時二十九分到着なんでありますが、この間はようやく熊谷にとまることになりました。しかし、これは大宮は通過なのであります。通勤時間帯でありますから、せめて大宮はわずかな時間でもとまって乗客を収容していくということはきわめて必要ではないかと思うのです。この点が一つ。  それから、高崎から上りだけなんでありますが、下りはどこへ行くかわかりませんからこれは別としまして、上りは上野が終わりなのでありますから、大宮なり赤羽は終わりの方なのでありますから、急行を快速並みに扱って——もうほかにも扱っているところが全国ではたくさんあるわけですね。なぜこれだけ乗客がいて黒字のところが扱われないのかということがわれわれは疑問なんです。ですから、大宮からで言えばわずか二十分足らずのところなんですから、定期で乗れるということがまず第一段階だと思うのです。  定期でも同じ料金を取る、普通料金を取って急行料金を取るというのは詐欺ですよ。定期券が安いか高いかの問題は別問題として、一応払ってある。その払ってある者からさらに普通乗車券を取って、それに急行券を上乗せして取っていく。国鉄がいかに赤字であろうとも、これは詐欺にも等しいということだと思う。ですから、最悪の場合でも、とにかく定期で乗れるというのが前提である。  それから中央線その他には快速がたくさん出ているわけですから、この高崎線にないというのはおかしいのであって、せめて快速並みに扱って、大宮なり高崎なり熊谷からは急行でも乗って——どうせ立つのですから、立っていく以外にないのですから、そういう状態でとにかく運んでもらえるように配慮されるべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  129. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 最初の御指摘の「あかぎ」でございますが、これは両毛線の桐生から出まして上野に到着する時間が九時二十九分ということで、この列車は時間帯が九時半ごろ上野に着くということで、むしろいろいろな会議その他でできるだけ早く東京に着きたいというようなお客もあるので大宮は通過しておる。そういうお客が多いというふうに私は聞いておるわけなんでございますが、ただいまの先生のお話は、大宮にももっと乗って着きたいお客がおるのではないかというようなお話でございましたので、もう少し勉強させていただきたいと思います。  それから、いまの「あかぎ」も含めまして、急行列車に定期券で乗れるようにすべきではないかというお話でございますが、これは昭和四十七年十月から、急行列車に対して定期券を持っているお客さんもお乗りいただく制度を始めたわけですが、急行列車は急行列車としてローカル列車とは別の目的がございます。したがいまして、その目的を阻害しない範囲、たとえば末端輸送のかなりすいておる時間帯でございますとか、あるいは非常に時隔が長い間に急行が入っておるとか、そういうようなケースでやっておりまして、現在、全国で約二百七十本ぐらい急行列車に定期で乗れることになっておりますが、ただ、この高崎線につきましては、そういった条件考えてみますと、かなり乗車効率が高いということで、いま定期のお客さんにお乗りをいただくということは、その目的別ということに対して非常に区分けがむずかしくなるわけでございますので、上越新幹線ができたときに、新幹線と在来線の使い方とか、そういうふうな中で考えていくべきではないかというふうに考えております。
  130. 沢田広

    沢田分科員 若干時間が迫ってきておりますから、簡単にお答えいただきたいのですが、たとえば水上一つを例をとっても、一日の乗車人員千九百三十六ですよ。これは一番小さな町と言われている吹上の町をとってみても九千ですよ。これは乗車効率から言ったって基本的に全然違うのですよ。それは幾ら温泉のお客を運ぶからといったって、通勤線で急行を待ちぼうけして見逃しながら待っている一般の通勤の人の立場考えていただきたい。しかも、朝ちょっと遅くなった人ならば、各駅停車で行くならば上野まで四十何分かかるけれども、それが二十何分で着けるという長所もあるわけですよね。それをせめて定期券で乗れるというぐらいの返答がないなんというのは、全く何で給料をもらっているのかわれわれは疑いたくなる。余りばかにした答えはしないでもらいたいと思う。  あなただって通勤の一人でしょう。遊んでいる人間とまじめに働いている人間とが——まあ、遊ぶことも必要なんだけれども、そういうように見逃しながら乗れないなんて、そんなばかな話はないでしょう。もう一回答弁してください。
  131. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 急行列車のお客様は温泉のお客様もいらっしゃいますが、東京において会議があるというようなお客さんもいますし、あるいは地方の主要都市との間を結んでおりますので、それはそれなりの使命を持っておるわけでございますから、定期のお客さんにかなり込んでおる列車にお乗りいただくということは客扱い上も非常に困りますし、ということも含めまして、急行とローカルの列車は乗車を区分しておるわけでございまして、かなり線路容量ができたときに考えさせていただきたいと考えます。
  132. 沢田広

    沢田分科員 時間の関係がありますが、そういうことでは了解できません。とにかく、新幹線ができてからじゃなくて、いま考えながら新幹線のことを進めるという、そういう発想の転換を切に要望しておきたいと思います。  次に、通勤圏の拡大に伴いまして、いまドーナツ現象と言われておりますけれども、禁煙区間の延長についてどう考えているか、お答えをいただきたいと思います。
  133. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 列車の中での禁煙区間は国電から始まりまして、最近ではかなり地方の都市でも御要望が多くて、広がりつつはございます。ただ、禁煙に対するいわゆる世論と申しますか、そういった反応が地域によって必ずしも同じではないわけで、これは管理局の方の判断でやらせております。  ただいまの先生のお話は私としてはいいことだと思いますので、管理局に伝えまして検討させたいと思います。
  134. 沢田広

    沢田分科員 ちょっと問題が多かったと思いますが、これももう通告で、朗読は省略いたします。  すでに事前に通告いたしております川越線の通勤緩和あるいは複線化、電化について、ホームその他の改善等も含めて、要望といいますか、通告をいたしておきましたので、その点については簡単にお答えいただきたいし、もし時間の関係がありましたら書類で後刻回答されても結構ですが、一応お答えいただきたいと思います。
  135. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 川越線の通勤混雑緩和につきましては、ただいまのところ川越−大宮間で見まして、設定は大体四本でやっておりますが、いまの乗車効率といいますか、混雑度から見まして、今後、編成長増大とか、そういうことは考えるにしても、当面は直ちに線増、電化というようなところまではいかないかと思います。  それから、駅舎その他いろいろ先生からも御要望は承っておりますので、このあたりにつきましては、利用の実態を見ながら今後検討していきたいというふうに考えております。
  136. 沢田広

    沢田分科員 では、次に行きますが、これは私の従来からの主張でございまして、総裁にも建言したのでありますが、SLを八王子−大宮間に通すという考えはないか。  首都圏がさっき言ったように三千万で、それを含めると恐らく五千万ぐらいに近い関東の人たちの武蔵野というもの、あるいはハイキングとか、文化財とか、あるいはニーズとかいうようなもの、また、営業収益上の利益も考えてみても採算は成り立つし、また、八高線なんというのは上下十五センチ移動の幅のある路盤の悪い線路であります。事故も起きた線でありますが、そういうものを改善していく上に立ってもSLを通していくことが国民要望にこたえる道ではないか、また、子供たちの夢をかなえる道ではないか、こういうふうに思うのでありますが、この点をひとつ両者からお答えいただきたいと思います。
  137. 高木文雄

    ○高木説明員 SLについては、いま営業線に走らすことはやめております。そしてごく一部で、京都でごく短い区間走らせておるという現状でございますが、いまお話がありましたように、確かにこれはこのまま消えていくべきものかどうか、はなはだ残念でございますので、何とか一部でも走らせられないかということで検討いたしております。  ただ、どの地域でどういうふうにしたらいいかということについてはよほど研究を要しますし、また、ディーゼル、電気機関車に比べてコストがかかりますのですけれども、その点を何とかもう少しコストを詰める方法かないかということを工夫させております。検討期間約半年ないし一年の御猶予をいただきたい、その間にいろいろ詰めてまいりたいと思っております。
  138. 福永健司

    福永国務大臣 私からも答えるようにというお話でございますが、私は私なりに考えて、東京、大阪というような人口のうんとあるところから遠いところで、余り列車も通らないというところだけを考えるのではなくて、いま沢田さんが言われるような、夢を持つ多くの子供たちのいるような人口稠密の地帯で、しかもそういうことができるところがあったら、私は、国民の夢をかなえてやるのに非常にいいことのように、先ほどから拝聴しながら思ったわけでございます。  八高線のごときはそういう意味から見ていいところじゃないかなと、これは素人考えでございますけれども、いま検討しているという話でございますから、それで私はあえて申し上げたので、決まっているところにそんなこと言ったんじゃいけませんけれども、そんな気がいたします。
  139. 沢田広

    沢田分科員 時間が来たようですから、これで最後で終わりますが、これは運輸省としての問題として質問して終わりたいと思います。  個人タクシーの場合のタクシーの資格要件が厳し過ぎはしないかということであります。これは一般の営業車の方のタクシーの運転手は失点その他についてもきわめて甘いのでありますけれども、個人タクシーは三年間無失点あるいは十年間というように、非常に厳しい条件がつけられておりますが、この点の改善の意思はあるかどうか。  それから、外国にもありますように、荷物を持ったお客のためのライトバンのタクシーというものが今後活用されなければならないんじゃないかというふうに思います。しかも、また、これは成田開港ということになればなおさらそういう要請があると思うのでありますが、これを許可していく方針があるかどうか。  最後に、船舶振興会につきましては、いろいろな意見が今日までたくさん出てきております。船員の厚生用物品に関する通関条約というようなものが定められておりまして、厚生施設、物資の輸送、それからまた各国の寄留港に対しましてそれぞれの新聞、雑誌を送ること、こういうようなことが国際条約で決められているわけであります。船舶も不況産業の方になっているわけでありますけれども、せめて船員の厚生福祉のためにそれらの資金を充当することがまず第一に考えられるべきことではないか。このような点を思いますので、その点の意見を聞き、最後総裁に、新幹線のスピードはあいまいにすべきではない、やはり明確にこの程度以下であるということを言わなければ大宮以南の住民は納得しないであろうということを忠告して、質問を終わりたいと思います。
  140. 中村四郎

    ○中村政府委員 個人タクシーの資格要件についての問題でございますが、先生も御存じのように、個人タクシー制度というのは、長年運転を職業としてきた方に希望と夢を与えるということで、優秀な適格者に限って免許をしていこう、そして良質なサービスの供給力を確保しよう、こういうことで発足したわけであります。したがいまして、事業者としてはもちろんのこと、運転者としても、資格要件というものにつきまして一定の要件を定めておるわけであります。  最近、個人タクシーにつきましても非常に増加いたしてまいっておりまして、一部におきましては質の低下ということも云々されている向きもあります。そこで、私どもとしては、せっかくの御指摘でございますが、法人タクシーの運転者との均衡ということは十分念頭に置きますが、個人タクシーの資格要件をここで直ちに緩和するということについてよりも、法人タクシーの運転者についてその資質の向上ということに努力したいというふうに思っております。  それから、手荷物等荷物を多く積めるタクシーについて考えはないかという御質問でございますが、私どもとしても、需要の多様化に対しまして、従来のような形でタクシー営業を続けるということでなしに、そういう需要を取り込んでいこうという考えを持っております。  そこで、道路運送車両の保安基準によりまして、旅客事業用の車両基準に合う適格な車両でありますならば、荷物を積む部分の多いタクシーというものについても今後考慮していく考えを持っております。
  141. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 船舶振興会の関係についてお答え申し上げます。  振興会の補助金につきましては、関係の法律に定めております目的に従いまして関係の団体が振興会に申請をいたしまして、それに基づいて審査をし、補助金を出すということでございます。  そこで、船員関係につきましても、従来から約八件ないし十件ということで補助金が出ておりますが、いま先生がおっしゃった問題につきましては、担当の団体から補助の申請が出ていないというのが現状でございます。その点につきましては、関係の団体から出るかどうか、まだいまの段階で申し上げかねますが、出るとすればその段階で検討をしたいと考えます。  それから、振興会全体の運営の問題につきましては、現在公営競技の運営全般について総理府の公営競技問題懇談会で検討されておりますので、この結論に沿って運輸省としましては、従来厳正に監督をしているところでございますが、その結論が出ましたら、結論に沿って今後とも振興会の業務が適確に遂行できるよう監督を行っていきたいと思います。
  142. 沢田広

    沢田分科員 どうもありがとうございました。  終わります。
  143. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 これにて沢田広君の質疑は終了いたしました。  次に、高橋高望君。
  144. 高橋高望

    高橋分科員 私は、大都市圏の私鉄の一つの問題をここで提起していろいろと御意見を承りたいと思います。  大都市圏の交通網の一つとして、私鉄の占めている率は大変に高いものがあろうと思いますが、まず端的にお伺いいたしますけれども、関東周辺の私鉄大手、準大手の最近の経営状態をどんなふうにとらえていらっしゃいますか。
  145. 住田正二

    ○住田政府委員 大都市圏全部でお答えいたしますが、五十一年度でほぼとんとんの収支状況でございます。五十二年で若干悪化しているというように見ております。
  146. 高橋高望

    高橋分科員 その収入の中で、常識的に考えられる、本来あるべき収入の主体となる運賃収入の占める比率はいまどのくらいになっておりますか。
  147. 住田正二

    ○住田政府委員 先ほど申し上げました大手私鉄の経営状況がほぼとんとんであるというのは、鉄道部門でとんとんであるという意味でございます。
  148. 高橋高望

    高橋分科員 わかりました。  その状態の中で依然として増加を続ける大都市周辺圏の人口に対処する私鉄を仮に延長したい、あるいは建設したいというような問題が出たときに、現在の監督官庁としてはどのようなお取り組み方をされる計画がおありでございますか。
  149. 住田正二

    ○住田政府委員 いま、大手私鉄に対します助成として二つやっておりますが、一つは鉄建公団を通ずる助成と、もう一つは日本開発銀行を通ずる助成と、二つあるわけでございます。  鉄建公団の場合には、ニュータウンができて、ニュータウン線を新たに建設するとか、あるいは通勤のお客さんがふえて複々線化するというような場合、あるいは地下鉄と相互乗り入れをするというような工事につきまして、鉄道建設公団がかわって工事をやって、後長期にわたってできた施設を会社に譲渡していく、その場合に五%の金利負担まで国と地方公共団体で利子補給をするというような形で助成をやっておるわけでございます。  日本開発銀行の方は、工事の目的によって違いますが、特定工事については金利を軽減いたしております。
  150. 高橋高望

    高橋分科員 私は、一つの具体的なテーマとして、神奈川県に動いている相模鉄道の問題をこの際取り上げさせていただきたいと思います。  相模鉄道は、従来の線から枝線を走らせて、二俣川駅から平塚に向かって約二十五キロの工事計画を持ち、すでにその六キロは建設が終わり、営業をしておられます。ところが、この六キロで本来予定されていた二十五キロの延長計画がすべてストップしてしまっておる。工事計画全体がストップして営業されていないなら話は別なんですけれども、六キロの間だけは営業し、現実にいま車が動いている。ところが、この六キロでストップした現在の最終の地点は、言葉はちょっときつうございますけれども、陸の孤島みたいなところでストップしてしまっておる。しかし、仮にも路線が敷かれた以上、地域の住民の方はこれを利用したい。ところが、周辺の開発を含めて、これが一切計画どおりにいっていない。たまたまこういう状況の中で、夜間に婦女子の方に対する忌まわしい事件も起こってくる。利用者にとって不便であると同時に、企業的にも、私が見ても、失礼だが盲腸みたいな感じで、相模鉄道全体の乗客の数に比べて一%にも達しないような乗客の数にしかなっていない。すべては途中の六キロでとまってしまったがだめで、利用者も企業側もどうにもならないという状態で放置されている。  こういう原因を監督官庁としてどういうふうに受けとめておられますか。
  151. 住田正二

    ○住田政府委員 御承知のように、最近の工事費の高騰によりまして、こういう私鉄の建設の工事費が非常に高くなっているわけでございます。そのために先ほど申し上げましたような助成措置を講じているわけでございます。  この相模鉄道のいずみ野線につきまして、確かに免許は二十五キロでいたしておるわけでございますが、いま申し上げましたような工事費の高騰あるいは沿線区域の開発状況を見ながら、これは私企業でございますので、採算というものを考えながら建設するということで六キロの建設に終わっているわけでございます。この六キロにつきましても、いま御指摘のようにお客さんもそう多くないということで、実際には、現在稼働いたしております線路を含めまして全体として採算をとっておる状況でございます。  したがって、こういう新線を工事費が高い現状でどんどんつくっていくということになりますと、やはり経営に相当の圧迫を与えることになるわけでございまして、そういう点を考慮して、経営者の方がこの先の建設に二の足を踏んでいる状況ではないかと考えております。
  152. 高橋高望

    高橋分科員 経営者が私企業であるから足踏みをしておる。それは企業としてそういう姿勢をとる場合もございましょう。しかし、本来の交通網の持つ社会的な責任からいった場合に、仮にそれが私鉄であるからといって放置しておいてよいものかどうか。この辺については、何か、私鉄だから国鉄と違って直接の監督下にないからという意味で、取り上げ方としては同じように取り上げなければいけない問題を放置しているように思われてならない。  あえて申しますと、この最終の駅を利用するための道路すら住民の方には満足にない。もし計画が仮に中期であっても、本当にはっきりしているものであれば、土地の方とのお話し合いをして、それこそ緑を壊してでも道路をつくろうと皆はお考えになる。ところが、その計画自体が依然として、やめたのでもなければ先へ行くのでもない宙ぶらりんのままだから、道路一つつくろうという地元の声もまとまらない。こういう状態の中でみんなが毎日いらいらしてこの鉄道を見ている。あるいは考えている。  この状態を私はもう一度伺うのですけれども、監督官庁としてこのままにほっておくのかどうかということなんです。プライベート企業だからほっておくのだという考え方では、今日の住民感情からして私は納得できないが、いかがでございますか。
  153. 住田正二

    ○住田政府委員 非常にむずかしい問題であろうかと思うわけですが、率直に申し上げまして、免許を与えているけれども実際に工事をやっていないという線は、私鉄だけではなくて、公営を含めまして全国にかなりあるわけでございます。  この委員会でも早く工事を促進しろという御指摘を受けている線が公営の場合にあるわけでございますが、公営、私営を通じまして、やはり一つの企業でございますので、企業者の意向も十分尊重せざるを得ないということでございまして、せっかく免許を与えたものがそのまま工事がとまっているということは非常に残念なことでありますし、いま先生の御指摘になったような地元住民の期待感を裏切るという問題もあるわけでございますけれども、現行法制のもとで、幾ら赤字が出てもおまえ工事をやれということはちょっと言いかねる現状でございます。  確かに問題点は理解できるわけでございますけれども、いま直ちに、全国にかなりありますこういう状態の線路について、従来の計画どおりやれ、いかに赤字が出てもやれということはちょっと言えないのではないかと思います。
  154. 高橋高望

    高橋分科員 局長、私たちの党がつくった言葉で、国鉄の構造赤字という言葉を御存じだと思う。われわれの先輩並びにいろいろとお考えになる方は、構造赤字の原因になっている路線を引いていることも十分知っていらっしゃると思う。  私は、これは構造赤字になるような対象じゃないということをまず申し上げたいのですよ。本当に利用できる状態になれば、大ぜいの人口を抱え、発展しつつあるこの周辺の地区の方々は必ず乗るのですよ。そうであるのに、それこそ発想の転換もないままに、現行法制のままではこれに対しては直接に手当てはできないという割り切り方は、発想の転換どころか、今日までの悪いお役所行政をそのまま残しているとしか私には言えないのですね。  とにかく人口が急増して、特にこの場所などは、現場を御承知だと思いますけれども、バス路線も十分にないのですよ。この鉄道があるからというので期待してみんながまんしていた。ところが、現実のこの鉄道は、いざとなるとこういう状態でこっちへ来ない。しかも、とんでもないところで、いわば盲腸的に残されてしまっている。いわゆる構造赤字路線に対する配慮さえなさるときに、国全体の行政のあり方として、こういうふうに利用できる人がたくさん待っておるものにみすみす手をつけないというところに問題があると思うのです。  では、逆に伺いますけれども、この問題について、相模鉄道という会社に対してどれほどの実行方の話し合いをなさっておられますか。その実情を私に御説明ください。
  155. 住田正二

    ○住田政府委員 相模鉄道の責任者が参りましたときに、このいずみ野の先をどうするのかということを伺ったわけでございますけれども、会社の責任者の言い分といたしましては、あの先の開発がまだはっきり見通しが立たない、また、現在つくっている線についての経営上の負担もかなり大きいので、そういう負担が軽減した後でいろいろもう少し検討したいという言い方をいたしております。
  156. 高橋高望

    高橋分科員 開発の見通しがつかないとか、現在の収支状況が思わしくないとか言っても、だからといって線を途中でとめていいということにもまずならないと思いますよ。  さらには、そうであればあるほど、この線は利用価値のある路線であるだけに延ばして、それこそ前向きに取り組む方がこの会社自体に対してもプラスであろうと思うし、そういうふうに行政指導をなさるのが関係官庁のお仕事じゃないのですか。もうかりませんからやりません、途中でやめました、そうだなと、それだけで終わるような内容ではないと思う。  しかも、私が申し上げる前に局長の方からお話が出ましたけれども、免許の更新を一度や二度じゃないのです。建設の期限の延長をすでに何回もしていらっしゃいますね。こういうことを考えると、何かそこにもう一つ踏み切れない会社側のずるさがあるというか、これは企業側だからあたりまえですけれども、それに対する国としての行政官庁の取り組む姿勢が彼らをして免許の更新ということで時間かせぎをさせ、ある場合には、まあまあ模様を見て、そのうちに景気でもよくなったらまたやればいいじゃないかというふうな程度におさめさせてしまっているのじゃないかと私は思うのです。  この免許をこうやって何回も更新させているということに対して、何か責任をお感じになりませんか。
  157. 住田正二

    ○住田政府委員 一般的に申し上げまして、この鉄道に限りませんけれども、免許を与えて、そのとおり実行しないで、何回も期限を延長していくというあり方は望ましくないと考えております。これは場合によっては利権的なものを与えるというようにとられる場合もあり得るわけでございますが、ただ、最近の鉄道の状況から申し上げまして、鉄道の免許を受けて、それを利権としてよそへ売るということは考えられませんので、本件について、何遍も工事の着工時期を延ばしているということが利権につながるというようには見ていないわけでございます。  行政上の扱いといたしましては、何遍も工事の実施の期限を延長するという場合にはそれを認めない、したがって免許を失効するというやり方もあるわけでございますけれども、しかし、やはり、一つの計画を持って地元住民にも期待を与えているわけでございますから、そういう利権的な色彩がない限り免許失効をさせるのもいかがかということで、これまでたびたび更新をいたしてきているわけでございます。そこら辺の取り扱いは非常にむずかしいと思いますけれども、現在の免許の更新が非常に問題があるというような認識はいたしておりません。
  158. 高橋高望

    高橋分科員 私も免許失効なんかされては困るのですよ。免許失効をされたらそれでやれないのですから、そうじゃなしに、やってほしいという前提の上に立って、こういうふうに免許を更新しているという姿勢を早く実現させる方向に持っていってほしいという割り切り方をしていただきたいのですよ。高橋がうるさいことを言ったから免許を取りやめてしまうと、それでは困るのです。そうじゃないのです。これはおわかりいただけると思う。  そこで、大臣、すでにおわかりいただけたと思うのですが、こういうふうな大都市圏の周辺における私鉄のあり方について、特に、いま私が申し上げたような、工事半ばにして、周辺の住民の方に非常に期待等を持たせながら、なおかつ現実には焦燥感を持たせているというこの問題について、大臣は余りお耳に入っていなかったかと思いますけれども、ここでのやりとりの中でどんなふうにお感じになりますか。
  159. 福永健司

    福永国務大臣 私は、伺いながら困ったものだと思っておりますが、といって、ここでお話があったからすぐに、じゃやめておけといって免許を取り消すというようなわけにも簡単にはまいらないわけでございますが、高橋さんの望まれるところも、何とか早く工事をやって大衆の利便に供するようにしろということが御本意であろうと思いますが、そういう意味から申しますと、こういうように熱心にこの国会の場を通じて正しい主張を高橋さんがなさることは必ずしも無意味ではない。いずれにしても、関係会社の首脳部の諸君の耳にも当然入ることでありましょうし、よく考えれば考えるほどこのままではいかぬということでございます。  私どもといたしますと、現在は先ほどから局長がお答えしておりますようなことであるわけでございますが、お話の趣旨はよくわかりますし、ごもっともに拝聴いたしておる次第でございます。
  160. 高橋高望

    高橋分科員 くどいのですが、局長、最近相鉄さんは新しい計画を局長のところへお持ちしておりますか。
  161. 住田正二

    ○住田政府委員 新しい計画は来ておりません。
  162. 高橋高望

    高橋分科員 免許の期限がまた来ると思うのですけれども、そのときにはどう取り扱われるお気持ちですか。
  163. 住田正二

    ○住田政府委員 まだ申請が出ておりませんので、この段階でどうするということは申し上げにくいわけですけれども、私どもといたしましては、できれば申請期限内に会社が何らかのアクションをとることを期待いたしているわけでございます。
  164. 高橋高望

    高橋分科員 局長、免許のお願いに来るときに、行政のあり方として、より一層工事の進捗方を会社側にもひとつ求めていただきたいのです。  というのは、この場合にとかくよく問題になりますのは、鉄道の敷設については地元の反対が多いとか、あるいは個別買収に対してのいろいろな声が出てくるとか、こういうことが大きなネックになって今日まで皆様を悩ませてきたと思うのですが、ところが、この地区に限っては、地元の連中にはそういうことで全くそろった合意ができているわけであります。何とかしてほしいということで、地元周辺の人たちは、ある意味においては自分たちの利害を少々超越して、この線はがまんして引いていただくべきものだという割り切り方さえしてまとまっておられるのですね。ところが、相模鉄道さんというのは、そういうことに対して前向きに取り組んで当たってくるということすらしないで、いわゆる片手にそろばん持ってはじいているだけですね。  確かに、おっしゃるように一千億からの建設費がかかる。これは大変なことだと思うのですが、特に、最近のように、相模鉄道さんがはじき出した線路をつくると同時に、周辺地区にすでに買っておいた土地に新しい住宅を建てて、その益金をもってさらにまた延長計画をしようというような、古くは小林一三さんがおやりになったような、あるいは東急がやられたような考え方というのではこれから先の私鉄というものはできないと私は思うのですよ。やはり、国家的な立場考え住民の声というものを考えた上での建設というものに取り組まない限りできないと私は思う。そうであれば、今度は逆に国として、いままでの枠を越えたいろいろな配慮、手段をどうしても講じなければいけない。  そこで御提案を申し上げるのですけれども、たとえば大阪の堺に泉北鉄道があります。これは鉄道の敷設は大阪府がやっておられる。運行に関するいわゆる営業の配慮は南海電鉄がやっている。こういうことの展開の中から、新しい路線の建設に関しては国が全部やる、そして実際の経営というものに対しては私鉄に任せるという、こういう方向を全体の問題としてより大きく展開する時期が来ているのじゃないですか。局長、いかがでございますか。
  165. 住田正二

    ○住田政府委員 先ほども申し上げましたように、鉄道の建設費が非常に高騰いたしております。そのために私企業ではなかなかできないような状態に現在なっているのではないかと思っております。したがいまして、従来とは違った考え方でいろいろやっていく時期に来ているわけでございまして、いまお話のございました泉北ニュータウン鉄道もその一つの形だろうと思います。ただ、いま先生のお話がありました国が全部つくって私鉄に運営させるというのは非常にユニークな構想だと思いますけれども、その前にやはり地域の問題でございますので、地元公共団体がこういうことをやるから国もめんどう見ろというような段階があっていいのじゃないか。現に泉北ニュータウンの場合には大阪府が金を出して第三セクターをつくってやっているわけでございます。今後そういう第三セクター的な行き方が考えられるのではないか。その場合に主導権を持つのは国ではなくて地元の公共団体ではないかというように私どもは理解いたしておるわけでございます。それでもだめだというときに先生の御提案にいかざるを得ないかと思いますけれども、現段階ではもう少し地元公共団体も主導権を持ってこの問題に当たっていただきたいというのが、私ども気持ちでございます。
  166. 高橋高望

    高橋分科員 私、言葉が足りなかったかもしれません。おっしゃるとおり、鉄道施設はあの場合は大阪府がやっておるようですね。ですから、この場合で言えば、神奈川県あるいは横浜市が、両方がまず決断をするということがあろうかと思います。ところが、いつの場合でもこういう問題というのは両方がもたれ合うのですね。片方は国が踏み切ってくれたら、片方は地方団体が踏み切ってくれたら、こういうことで現実にはずるずる展開が遅れていく。それがプライベートの企業と地方団体ということになると、またそこで問題がずるずるとずれてくる。そしていらいらするのは取り残された周辺の住民の方だけだ。こういうことが、これは一般論で申し上げては恐縮ですけれども、現在の政治の中にはとかくありがちで、その例がまたここに出てきちゃうことを私は恐れるのですよ。ですから、神奈川県を刺激し、あるいは横浜市を刺激するということを考えれば考えるほど、この際、国がこういう一つの私鉄に対する対策の一例として、特に関東、東京周辺、これに対して相模鉄道を一つのモデルケースとして取り上げていく、こういうふうなお取り組みをしていただかないと、お互いに失礼ですけれども職務のなすり合い、責任のなすり合い、もたれ合いでずるずる遅れていくということが繰り返されるのじゃないですか。局長いかがでございますか、この辺は。
  167. 住田正二

    ○住田政府委員 非常にむずかしい問題だと思うのですが、現状ではいま先生の御提案になったような形をとらなくてもやっていっているケースはたくさんあるわけでございます。最近の例では、千葉の方で千葉から先を千葉急行というのがやることになっております。これは鉄道建設公団の工事でやることになっております。また、千葉市と県が中心になりまして、モノレールを第三セクターでやるというようなことでやっておられる例があります。また神奈川県あるいは横浜市の場合にどの程度の御熱意があるか私どもわかりませんけれども、やはりほかの県の例から言って、横浜市、神奈川県はもうだめなんだというふうにいまの段階で決めるのは早いのじゃないだろうか。やはり県、市が中心となって、県、市の住民の利便の問題でございますので、国が主導権をとるよりも地元が主導権をとって私どもにいろいろ御相談をいただくのが現段階では筋ではないかというように考えているわけでございます。
  168. 高橋高望

    高橋分科員 時間が参りましたので質問を終えさせていただきますが、大臣、こういう例が生々しくこの周辺にあるということを御認識いただけたかと思います。そして大臣のお力で一日も早く工事を着工して住民気持ちを安らがせていただきたいとお願い申し上げまして、私、質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。
  169. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 これにて高橋高望君の質疑は終了いたしました。  次に、川合武君。
  170. 川合武

    川合分科員 昨年五十二年三月の分科会で、通勤輸送力の増強方策として戸塚駅、保土ケ谷駅に湘南電車を停車させるべきだという発言をいたしました。そのときの総裁等の国鉄当局のお答えは、貨物別線ができればそれは可能であるというお答えだったと思いますけれども、その後どう進んでおりますかお尋ねをいたします。
  171. 高木文雄

    ○高木説明員 残念ながらまだ非常に強い反対がございまして、工事ができないという状態でございます。土地収用法に基づきまして現在神奈川県の土地収用委員会で審理中でございまして、早期の御裁決を願いたいと思っていろいろお願いはいたしておりますけれども、まだいつごろどういうふうにしていただけるかというところまで参っておりませんので非常に困っております。ただ、戸塚−保土ケ谷間に新駅をつくったらどうかということにつきましては昨年御指摘といいますか御要請がございまして、私どもも神奈川県あるいは横浜市ともよく御相談をいたしまして、むしろ早目に明らかにしてほしいということがございまして、戸塚−保土ケ谷間に新駅をつくるということについてすでに決定をいたしておるわけでございまして、その細部の計画につきましてただいま関係者と協議をいたしておるわけでございます。駅設置の問題以外に、その機会にいろいろもう少しサービスの改善を図るべしということを川合委員から昨年も御注意をいただきまして、私どももぜひそうしたいと思っておりますけれども、この駅設置を除きますいろいろな意味でのサービス向上、いわば輸送力の増強につきましては、どうもやはり新しい線ができないとうまい案が立たないので、御要請にこたえることができないまま今日まで過ごしております。
  172. 川合武

    川合分科員 いま総裁おっしゃった新駅、東戸塚駅でございますね、これをつくることを発表なさった、しかしそれも、この東戸塚駅が実際に業務を開始するのは貨物別線ができてから、こういうことでございますね。それで私は、そういう前提づきだけれども、しかし新駅のできることを発表された、そのことはいいと思います。同じ考え方で、貨物別線ができたら何本列車本数を、戸塚駅、保土ケ谷駅は混雑して困っているところでございますね、そのあたりと申しますか、大船−東京間に何本列車がふやせるか、その計画、数字というものは、これはもう国鉄当局におありになるのではないか、あるべきではないか、こう思います。  昨年の分科会での議事録を見ますと、「もう七、八年前から工事を進めておるわけでございます。」こういうお答えでございました。確かにそのとおりでございます。そして「ただいま一部土地が買収できないためにまだ完成いたしておりませんけれども」というようなことで、途中を略しますが、「それが解決いたしますれば」「東京−大船間の列車本数は飛躍的に増強できるという事態になります。」こういうお答えでもございました。いまもう七、八年前からかかってやっているこの問題でございますから、貨物別線ができましたときには何本本数がふえる、まあとりあえずにいたしましても、またそれは予定にいたしましても、こういう御計画は当然あると思うのですが、それをお示しいただきたいと思います。
  173. 高木文雄

    ○高木説明員 まだ実はそこまでまいりませんわけでございます。どのくらいサービスを向上できるかということは、一つは車両をどのぐらいふやすか、一つは人員がどのくらい必要であろうか、さらにはこの東戸塚以外にも若干の地点で駅を設けることになっております。現在の品鶴線に沿いまして、一、二の駅を増設することが計画をされております。それによって所要時分がどういうようになるかというようなことがいろいろ総合されまして案になるわけでございますが、実は想定であればそれはやれないこともないかもしれませんですけれども、国鉄の従来のやり方は、非常に言わば完全主義といいますか、正確に計画が立ちましてから、外向けに申し上げるということになります。現在は、五十三年十月二日からのダイヤの改定につきまして、運転関係の職員諸君はもっぱらそれを中心にいろいろな作業をいたしております。この改定というのは全国皆影響いたしますものでございますので、これは大変大きな作業でございますけれども、それに取り組んでおります。したがって、いまのところまだ開始時期が確定をしておりません湘南の線なり横須賀の線なりのダイヤ計画については、実は率直に言ってまだ手が回ってないということでございます。もしこれが五十三年十月にでもやれるということで、他の阻害要因が除去されておりましたならば、いまごろははっきりするころであったかと思いますが、それがまだ延びておりますものですから、とりあえず、いま、この秋にどういうふうにダイヤを変えるかという仕事に関係諸君は全力を挙げております関係で、まだこちらの方のプランを立てるところまでいっていないという実態でございます。
  174. 川合武

    川合分科員 非常に良心的な総裁のお答えでございますから、隠していらっしゃるとも思いませんし、また隠す必要もないのではないかと思います。と申しますのは、これを阻害している原因というのは、一部の土地が買収できない、こういうことでございますね。これは大臣にひとつ御意見を聞きたいというか、ひとつ私の考えに同調していただきたいのですが、いま住民運動というものが各地で行われている傾向でございます。それで、この国鉄のいまの問題も、一部の方といいますか、ある一定地域の方の住民運動の反対があるわけでございまして、反対される方は反対の理由を無論示されております。この貨物別線をつくるという計画を行えばどれだけのメリットがあるか。たとえば先ほど申された東戸塚駅を、新駅をつくれる、これも解決しなければできない前提づきなんですけれども、しかし国鉄はそれを発表された。こういうメリットが一つ示された。しかし、もっと大きなメリットとも言うべきこの大船−東京間の非常な混雑、戸塚駅に朝ラッシュアワーにいらっしゃればおわかりのように、怒濤のごとく人が駅に入っていく、こういう問題を解決できるんだというそのメリットを、具体的にあるいは数字的に、国鉄としては、将来でございますから、控え目な計画でもいいと思うのですが、そういうものを発表されることが、反対の人もそれで妥協してほしいということになるんではなかろうか。これは住民運動における一般論でございますが、国鉄のこの問題におきましてもそう思うのでございます。いかがでございましょうか運輸大臣、いま国鉄総裁お話では、戸塚駅、保土ケ谷駅に湘南電車をとめてほしいという問題からでしたが、この本数がふえる、また湘南電車もとめることができる、こういう姿になるんだということを、きょうここでは無理にいたしましても、近々に、その計画を数字的に具体的に御発表になるということがいいんじゃないか、こう思いますが、いかがでございましょうか。
  175. 福永健司

    福永国務大臣 川合さんもおっしゃるように、一般論としては大まかに言えましょうが、具体的には、それぞれ理由があって必ずしもそういかない場合もあろうかと思います。大して支障ないんなら、それをやってもよさそうなものだというような気持ちで実は聞いておりましたが、総裁がああいうように言うには言うなりの理由もあろうかと思います。ですから、この問題についてそうあるべきだというお答えをというとお答えしにくいのでございますが、せっかくのお話でございますから、相互に話がわかるように進展を図ることが望ましいと思います。
  176. 高木文雄

    ○高木説明員 多少補足して申し上げますが、たとえば車両にいたしましても、車両をつくるという場合に、現在毎年大体千億をちょっと超える金額を、主として車両の更新でございますが、それを多少増強に当てておるわけでございます。その場合に、全国でいろいろ工事が進んでおりまして、そして工事が完了いたしますと、いままでよりも少し列車の走る頻度を上げる、それにはどういう地帯向けの車両が何両要るというようなことが出てくるわけでございますが、各地域の御要請が非常に強いので、それが競合いたすわけでございまして、線路ができましたら、すぐその線路のできましたのに応じて、どんどん車両をふやすというわけになかなかまいらない。東京周辺でも、たとえば中央線にいたしましても総武線にいたしましても東北線、高崎線にしましても、いずれもちょっと申しわけないほど込んでいるわけでございますので、いろいろな設備が改良されますのに伴いまして、そっちにも車両を回さなければなりません。また大阪にしましても名古屋にしましてもさらに地方都市にしましても、通勤問題というのは山のようにありまして、それをどの程度にどっちに回していくかというのはなかなか骨が折れるわけでございます。それを施設設備の増強に伴って回しておりますけれども、たとえばここはいわば線路容量が倍になるわけでございますが、とても一挙に倍にサービスをよくするというわけにもまいりません。そうしたことがありますから、いつできますかということがわかりませんと、はっきりしたことも申し上げられないということでございます。しかし、五十三年十月のダイヤ改正が終わりましたならば、何とかそういう勉強をさせてみたいというふうに思います。
  177. 川合武

    川合分科員 総裁は私の言う気持ちはおわかりと思いますが、さらに念を押して申しますけれども、この大船−東京間においては、いろんな要素が絡まってこれがおくれておるというのではない、もう一にかかって一部の地域の買収の問題だけだ、こういうふうに私どもは承知しておるし、またいままでのお答えはそういうふうだったと思うのです。それで、くどくなりますが、去年の分科会での答弁でも、いまの問題が解決できれば、列車本数を逐次増していきたいという計画でございますね。そのしぼられたこの問題の一部地域の買収の問題を解決するためにも、これならばこれだけのたくさんの人が混雑している通勤客の問題が緩和されるんだ、こういう数字を発表されることがこの一部の地域買収の問題解決にも役立つんじゃないか。むしろそういう態度をとるのが正しい態度ではないか。さればこそ東戸塚駅という新駅を条件づきながらつくるということも発表されたと思うのですね。そういう点でございますから、重ねて時間も迫りましたので一言で結構ですが、私の考え、希望につきましてまげてひとつ御承知いただいて、そういう方向をとっていただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
  178. 高木文雄

    ○高木説明員 お気持ちもよくわかりますし、なるべくそういうことで関係の通勤者の方々にもう少しお待ちいただきたいということを申し上げるのに当たっても、おっしゃるようなプランをお示しすることが一つの考え方かと存じます。でございますけれども先ほど来申しておりますように、今日ただいまの状況ではこの十月の改定に追われておりますものですから、その作業が一段落いたしましたならば御趣旨のようなことで、きちっとしたものにはならぬかもしれませんが、御趣旨のようなことを少し検討さしてみたい。  もう一つは、御存じのように、いま総武線が東京駅の地下へ入って品川までつながるようになったわけでございますが、現在品川から千葉へ行く通勤電車が走っておるわけでございますが、これとも実は関連がございますものですから、もう少しダイヤをどう走らすかということを組まなければならないわけでございまして、ちょっとお考えいただきますよりはなかなか複雑な作業なものでございますから、ということでやや後回しになっておりますが、御趣旨を体して考えてみたいと思います。
  179. 川合武

    川合分科員 この程度にいたしますが、ちょっといま大臣がおっしゃって、はなはだくどくて重ねてでございますが、混雑している戸塚駅の人を待たせるための理由の発表というだけでなく、これはそうか、それだけのことがこの問題によって解決というか通勤輸送の混雑も緩和されるのかという数字的な具体的のものが出れば、反対されている方も、あるいはそれならばと言って妥協もされる気持ちにもなるんじゃないか、こういうことを申し上げておるので、ぜひひとついろんな問題、複雑な問題あろうかと思いますが、その問題はいずれまたこれはどうせやらなければならない作業でございますから、ひとつ早目に控え目な計画でも数字でも結構でございますが発表すべきだ、こう思います。  次に、同じく昨年に私申しました問題根岸線の大船−磯子駅の間が列車本数が少ないということを申し上げましたのに対して、これはわりあいと、国鉄の理事さんの御答弁でございましたが、これはわりあいと色よい返事でございましたですね。輸送力増強の際にも勘案しながら検討していきたいということで、わりあいと色よい御返事だったように思いますが、その後どうなっておりますか。
  180. 高木文雄

    ○高木説明員 五十三年の十月に、全国的にダイヤ改正をいたします。いまダイヤ改正作業のために本社の方で計画も立てますし、地方の管理局で計画を立てますし、また管理局から管理局にまたがって走る列車がたくさんございますから、それの調整をやるという作業を進めております。その作業の中で、地域の通勤線の増発についても検討をいたしておるわけでございます。これはいまお示しの地域のほかに、この周辺でもいろいろございますし、地方でもいろいろございます。その中でいまの磯子地帯のラッシュの状態が、ここ一、二年の間に急激に悪い状態といいますか、混雑状態が進んでおりますので、これらの地域の増送計画といいますか増発計画については、私どもの頭の中の計画に入っておる問題でございます。ただ具体的に何本にいたしますか、現在、朝七時半から八時の列車本数が七本になっておるわけでございますが、これをどの程度ふやしますかということについては、もうあと数カ月の間に最終決定までこぎつけたいと思っております。
  181. 川合武

    川合分科員 そうしますと、どのくらい本数がふえるかとかいう具体的な数字はちょっと時間があるけれども、これはふえるというふうに考えてよろしゅうございますね。
  182. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 ただいま総裁が申しましたように、かなりお客さんがふえておるという実態がございますので、その辺を踏まえてどの程度になりますかということを含めて、現在検討中でございます。
  183. 川合武

    川合分科員 検討は去年のお話でも検討なんで、もう少し前進してもらいたいと思いますね。いま国鉄総裁お話から少し今度また後じさりしているみたいな感じですが、ふえるということで検討していただいておるというふうに理解してよろしゅうございますね。
  184. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 そのようにいたしたいと思って、それをどの程度にやりますかについてはもうちょっと時間がかかりますので、ここで申し上げるわけにはいかないということでございます。
  185. 川合武

    川合分科員 何本ふえるかということはまだ未定であるが、ふえるべく検討されている、ふえると思っていい、こういうふうに考えます。  次に、今度は通勤輸送力の基本の問題と言うと少し大げさになりますけれども、首都圏といいますか東京へ通っているお客さんの輸送力並びに輸送量の現状を伺いたいのですが、これを全部お聞きするのも大変だと思いますし、その混雑している姿を知りたいわけでございます。混雑していることは、もう私ども実感で知っておりますけれども、それを数字的にその模様を知りたいのでございまして、たとえば東横線の祐天寺と中目黒の間、それから京浜急行本線の戸部と横浜の間、この間で最混雑一時間の輸送力と輸送量、混雑度、この二つを例として伺いたいのですが、どんな姿でございましょうか。
  186. 真島健

    ○真島政府委員 いま御質問の横須賀線の保土ヶ谷−横浜間でございますが混雑度、これは私ども大体一五〇ぐらいが最も理想的な姿ではないかと考えておりますが、最混雑の一時間をとりますと、この区間は大体二八〇から三〇〇程度で非常に混んでおるという状況でございます。
  187. 川合武

    川合分科員 大変な混雑度だと思います。私どもは別のところで聞くと、これは通勤輸送の問題じゃございませんが、二千五百万の人がいま東京へ依存しているというようなことを聞きます。これはひとつ大臣に今度はお伺いいたしたいのでございますが、政治論として申し上げ、またそういうお答えをいただきたいのですが、私は首都移転、分都論といいますか首都を移すという、これを運輸省も主張されるべきではないか、こう思います。いままで首都移転の問題あるいは遷都、分都の問題は、国土庁とか建設省のみの課題だったような気がしますが、運輸省もこれを主張されるべきだと思います。  時間の制約がございますので私が一方的に私の考えを申し上げます。本当は、見識あり、そしてまた豊かな経験を持たれておる大運輸大臣でございますので、できれば一問一答して味のある御答弁をいただきたかったのですが、時間が迫りましたので、私が一方的に申し上げましてお考えをお聞かせいただきたいと思います。  通勤の混雑ということは、これは肉体の疲労だけでございませんで、気持ちがいらいらいたしまして、いまのラッシュ時に電車に乗って通勤する者はあの混雑では社会、公共のことを思う気持ちなどということはちょっと薄らいでしまうという実情でございます。ですから私は非常に通勤輸送力の問題は大事な問題だと思います。それを担っていらっしゃる運輸省の任務というのは非常に大きいと思っております。  そこで運輸省は、与えられた条件のもとと申しますか、現在の過密のこの現状のもとにおいて、非常に通勤輸送力の増強に努力をされておる、その努力とがんばりは一応りっぱだと思いますけれども、しかしやはりこれは限界があるんじゃないか。積み残しだとか、あるいはすし詰めだとかいうことは、さっきの一例の混雑度から見ましても、これはやむを得ない現象になってきておる。ですから限界があるのではないか。そうするならば、やはり通勤輸送力の任務を担っていらっしゃる運輸省がむしろ積極的に首都機能を分散して、そして健全な健康的な私どもの日常の生活を維持していくために、通勤輸送力としてはいまは首都機能を分散すべきだ、こういう発言をされるべきじゃないか。大臣も御承知のように、戦争の疎開でしばらくの間移ったでございましょうが、昭和二十年以後も統計局などというのは小田原にございましたね。局長さんはちょっと御不便だったと思いますけれども、普通の方は日常業務にそれほど決定的な支障はなかったと思います。でございますから、この問題につきまして大臣のお考えを、私の申しました気持ちをいかがお考えになりますか、お答えをいただきたいと思います。
  188. 福永健司

    福永国務大臣 私も川合さんのお話、傾聴いたしておった次第でございますが、東京の現状等を見ますると、まさに御説のようなことについて真剣に考えなければならぬ時期に来ているという気がいたします。東京ほどではなくても、たとえばアメリカについては首都をワシントンに決めた、オーストラリアは、多少ほかの理由もありますがキャンベラにいたしました。あるいはカナダにいたしましてもモントリオール、トロントを避けてオタワにした、それなりの理由がございます。またブラジルにいたしましても、これまたほかの理由もありますが、リオデジャネイロからブラジリアに移した。私はそれぞれ教訓を持っていると思うわけでございます。お話しのように、先年日本においてもここで考え直してはどうかというような話が出たときもありますが、それにはこれが不便だ、これが困るというようなことからまたそのままになってしまいました。現在そういうことになったことで落ちついておりますが、この調子で東京がますます膨張していく、その周辺がますますお話しのように混雑していく、通勤なんかに大変だというようなことがさらに度を増すに至っては大変なことだと思うわけでございまして、私もここですぐにとまで言うのではございませんが、よく政治家というものが考えなければならない問題の一つであると認識をいたします。
  189. 川合武

    川合分科員 最後に、いまの大臣答弁で私非常にうれしく思いますが、重ねてお願い、要望をいたしたいと思います。  いままで首都機能の分散の問題首都移転論は、国土庁、建設省、これはもちろんやられるのは結構でございますが、その役所のいわば物理的な移転考え方だけだったような気がいたします。あるいは災害を防ぐというようなことから言われたかもしれませんが、主として物理的でございました。非常に国民の精神生活にも影響を与えるので、通勤輸送力の問題からも、あるいはもっとほかの役所もそれぞれの立場からこの問題を取り上げていただきたい、ことに運輸省はこの問題を取り上げて検討していただきたい、かように要望いたしまして私の質問を終わります。
  190. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 これにて川合武君の質疑は終了いたしました。  次に、玉城栄一君。
  191. 玉城栄一

    玉城分科員 せんだっての予算委員会の一般質問におきましてもこの問題は取り上げられまして、大臣の方からもきわめて前向きのお答えがあったやに承っておるわけであります。御存じのとおり、国内航空運賃が九月から大幅に値上げされる。日航、全日空、東亜国内航空の値上げ申請の現在準備をしているというように報道もされ、承っておるわけであります。特に航空運賃の値上げの問題につきましては、沖繩県を含む離島住民にとってはきわめて重要な死活問題であるといっても過言ではないと思うわけであります。それにもかかわらず最近航空運賃の値上げが先ほど申し上げましたとおり取りざたされておる。特に沖繩県のようにほとんど一〇〇%近い形で飛行機を利用しているところにとっては、経済的にも、またこれから沖繩の振興開発という立場からも、これが予想されるような形で値上げされますと大きな打撃を受けることは間違いないわけであります。したがいまして、現地の方でもこの問題につきましては非常に大きな関心を持っています。特に沖繩県のように国鉄の恩恵を受けてないと申しましょうか、先ほど申し上げましたとおり、本土−沖繩間の交通手段というものはほとんど飛行機に頼っている。これは五十一年度の実績でありますけれども飛行機の利用率が九六・八%、ほとんど飛行機を利用しておるわけであります。  そこでまず大臣とされまして、離島県である沖繩県や離島住民飛行機がどういう位置づけがされているとお考えになっておられるのか、まず基本的な御認識からお伺いしておきたいと思うわけであります。
  192. 福永健司

    福永国務大臣 交通機関それぞれに重要ではございますが、今日の日本全体の事情考え、特に沖繩と本土との地理的条件その他いろいろの事情考えますと、非常に航空による輸送ということがここしばらくの間に急速に重要になってまいったと認識をいたします。したがって、この重要になってきた航空輸送につきましては、その認識に基づいて、そしてまた特にいろいろの沖繩の事情にかんがみて、行政、政治は正しくなるほどというように行われなければならない、さように感じておるところでございます。
  193. 玉城栄一

    玉城分科員 ただいまの大臣の御答弁からもうかがえるわけでありますけれども、特に沖繩県と本土間を結ぶ場合、国鉄等県内にはないわけであります。そういう立場航空機の利用というものがぜいたくな交通手段、交通機関でもないわけです。現実にこれは住民の足という立場になっておるわけです。したがいまして、先ほど申し上げました、今回うわさされておりますところの各航空会社の運賃の値上げの問題につきまして、聞くところによりますと、現在の運賃よりあるいは二〇%程度値上げされるのではないか、こういうような予想もされておるわけであります。したがいまして、大臣先ほどもおっしゃいましたとおり、ほとんど航空機を利用しておる沖繩県を含めて離島住民にとって今回予想されるような運賃の値上げというものは深刻な問題であるわけです。特に沖繩の場合、繰り返しますけれども、国鉄がない、こういうようなことから今回の運賃の値上げの問題について、本土の場合でありますと新幹線あるいは国鉄あるいは高速道路、いろいろな交通手段の選択の幅がたくさんあるわけですね。沖繩の場合は飛行機と船しかないわけです。しかし、こういう高速化されている時代にあって船で行き通うということは、二日もかけて本土−沖繩間を行き通いをすることは現実的には、そういう時代ではないわけです。そういう立場から考えますときに、沖繩の場合の航空運賃の値上げの問題については、本土の場合とはやはり変わった立場で検討されなくてはならない、当然そうなくてはならない、そういうふうに私自身考えますし、沖繩の場合は地元でもそういう考え方に立っておるわけであります。したがって、今回予想される運賃値上げについて、そういう点を考慮されるのかどうか、それをお伺いをいたしたいと思います。
  194. 福永健司

    福永国務大臣 いろいろ取りざたはされております。それはそれといたしまして、私は率直に申しまして沖繩については慎重でありたいと思います。
  195. 玉城栄一

    玉城分科員 大臣がいまの段階で明確な御答弁ができない御事情もいろいろあろうかと思いますが、そういうふうに国鉄が沖繩には入ってない、そして完全にいまの状態では住民の足になっておる。これは五十一年度の実績で先ほど申し上げましたとおり、百人中九十七人は飛行機を利用して本土−沖繩間を行き通いをしている、こういうことが当然考慮されるというふうに、先ほど大臣の慎重という言葉はそういう意味が含まれているのかどうか、そういうふうに解していいのかどうか、それを重ねてお伺いしておきたいと思います。
  196. 福永健司

    福永国務大臣 その言葉について注釈をつけますとなかなかむずかしくなりますので、どうぞ私の申し上げたままで御了承をいただきたいと思います。
  197. 玉城栄一

    玉城分科員 本当に慎重というお言葉をお使いになられたわけですけれども、私といたしましては、そういう先ほどの最初の大臣の御答弁の趣旨から言いましても、当然私が申し上げました点はその中に含まれている、そのように解しておきたいと思います。  もう一点は、実は航空運賃の値上げの問題につきましてはいろいろな理由が言われておるわけであります。したがいまして、予想される各国内三社の航空運賃値上げの理由を運輸省とされましてどういう理由で——何か九月ごろから値上げしたいというような話も聞いておるわけでありますが、その値上げの理由はどういう点が考えられるのか、その点をお聞きしておきたいと思います。
  198. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 航空会社の経営者がどういう気持ちで運賃値上げの意向を示しているか、その心中は察することかできませんけれども、私の想像で申し上げますと、ことしの九月一日から特別着陸料を倍に値上げする、これは騒音対策に充てる料金でございますが、それを倍に値上げするということが予算に計上されております。また、航行援助施設利用料、いわゆる無線施設とかそういうものを利用する利用料を国内線につきましてやはり九月一日から五〇%値上げするということで予算が組まれているわけでございます。すでに昨年の八月からいわゆる一般の着陸料、これは騒音対策関係ない一般の着陸料が倍になったわけであります。それから航行援助施設利用料が五〇%上がったというふうなことがございまして、昨年、ことしと続きましてこの種の利用料金を値上げするということを予算に計上いたしたわけであります。これは第三次五カ年計画を進めるための財源確保という観点から値上げを図ったわけでございます。しかしながら、この値上げが果たして運賃改定を必要とするようなインパクトを与えるかどうかという点は全く別でございまして、この点につきましては、それぞれの航空会社ごとに、あるいは燃料費あるいは機材あるいは人件費等の値上がり等からこういう利用料金以外にも社内的にコストアップ要因があると考えているかもしれません。しかしながら一方におきまして、輸送実績が伸びまして収益が上がっていけば、こういった費用の増加がありましても増収効果で消すことができるということもございますので、私たちといたしましては、五十二年度決算を見ました上で慎重に判断したいということでございまして、いまのところ全く白紙の立場でございます。
  199. 玉城栄一

    玉城分科員 ただいま今回予想される各社の航空運賃の値上げについての考えられる理由につきまして、こういうこと、こういうことが考えられるというような御答弁があったわけであります。  そこで、一般的な航空運賃の値上げについて判断される基準とされては運輸省としてはそういういろいろな理由が考えられると思います。私が冒頭に申し上げました沖繩の場合については、やはりさっきから強調しておりますとおり、いわゆる交通手段を選択する余地かほとんど——ほとんどといいますか、本土の場合と違いまして、ないわけですね。それとほとんどこれが住民の足になっているというような点から考えましたときには、本土−沖繩間の航空運賃の値上げについて運輸省が判断される場合には、私がさっき申し上げました点は、当然検討の大きな一つの理由になってくると私は常識的に考えますが、局長さんのお考えいかがでしょうか。
  200. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 航空運賃を決める決定原則は、適正原価を償い、それに適正利潤を乗せたものというのが、航空法その他各種交通事業法規に書いてあります原則でございます。そういったことで、航空につきましてはおおむね路線ごとに運賃の原価計算をいたしまして運賃設定をいたしておるわけでございます。沖繩につきましては、そういう単純な路線ごとの原価計算による運賃設定の数字よりも従来若干低目の運賃を認定いたしてきております。本土の幹線の平均一キロ当たり約二十円というふうなものに比べまして、沖繩−本土間では、たとえば沖繩−東京間では十七円六十銭というふうに若干引き下げて従来やっております。これをさらに本土の他の路線と比べて引き下げるということをいたすためには、結局航空会社の総合的な収支の中でバランスをとるわけでございますから、言ってみますならば、本土−沖繩間の路線運賃を安くする、その分は本土の他の幹線あるいはローカル線の利用者が負担するという結果になるわけでございますけれども、その点につきましては、沖繩振興という日本国家としての政策目的もございますので、私ども十分に配慮をするつもりでございます。そういう考え方でございますので、先ほど大臣が慎重にとお話しになったのだと思います。
  201. 玉城栄一

    玉城分科員 大変くどいようなんですけれども、いまの御答弁の中に本土−沖繩間の航空運賃については考慮されているというような意味お話があったようでありますけれども、国鉄との問題からしまして、沖繩には国鉄が入っていないから沖繩の航空運賃については考慮しているという理由だとは受け取っておりません、先ほど局長のお答えについては。私が申し上げている理由は、住民の足になっているということ。ですから、航空交通という立場からでなくして総合的な交通体系の立場で御判断をしていただかないと、この問題は進まないのじゃないかと思うのです。そういう意味におきまして、最初大臣答弁されました、本土−沖繩間の航空運賃についてはいろいろな点を考慮して慎重に検討していきたいというお話がありましたので、それに大いに期待をいたしまして次の質問に移ってまいりたいと思います。  これは一部新聞の報道でありますが、私もいろいろ関係筋に伺いますと、そういう方向があるやに伺っております。日本航空が沖繩−香港間の定期便を新設して四月二日から運航したい、そういうようなことで近々国際定期便運航路線新設のための申請を政府に行いたいという準備をしている、これは一部新聞でも報道されておるわけであります。したがいまして、この件につきましては後ほど少し申し上げたいわけでありますが、沖繩の場合は、本土復帰の前におきましては国際線として那覇空港が非常に活況を呈しておりました。日本航空のほか中華航空、トランス・ワールド航空、ノースウエスト航空、コンチネンタル航空というぐあいに国際線が華やかと申しますか那覇空港に出入りをしておったわけでございますが、現在第二種空港ということで、そういう状態にはないわけです。したがって、今回日航が考えておりますこと、これは福岡−沖繩−香港という路線のように伺いますけれども、これは沖繩にとりましても非常に好ましいことである。御存じのとおり、香港にはいろいろな東南アジアの航空会社も入っておりますし、またヨーロッパの航空会社も入っておるわけですね。そういうようなことで非常に好ましいと私は理解しております。そういう申請が現在なされているかどうか、それを伺います。
  202. 福永健司

    福永国務大臣 これは特に私からお答えをいたします。  まだ正式に申請は受けていないようでございますが、先ほどからも申し上げておりますように、私ばかりではございません、沖繩に対する日本国民全体の認識等からいたしまして、沖繩の那覇の空港をさらに一層国際的な存在にすることが、沖繩のみならず日本全体として必要であろうと私は思います。そこで、その種の申請が出てまいりますならば、認可する方向で検討いたしたいと思います。
  203. 玉城栄一

    玉城分科員 いまきわめて明快な大臣の御答弁がありまして、これは沖繩県自体にとりましても非常に好ましいと思いますし、四十七年五月の復帰の時点で制定された沖繩の振興開発に関する計画の中にも、沖繩は日本の南の玄関にする、南の表玄関としては那覇空港であるという位置づけがあるわけです。今後中国、東南アジアあるいは米国、そういう意味でも地理的に沖繩はきわめて適している、こういう考え方の計画も政府はすでに持っておるわけです。今回のそういう運輸省の御方針についてはきわめて歓迎すべきことであると思うわけであります。  それと、この問題をもう一歩発展させまして、この日本航空の沖繩−香港間の新路線の考え方もそうなんですが、成田開港後の国際線の補助空港として現在の那覇空港は非常に適している。南回り国際線を一度那覇におろして国内幹線に乗りかえさせ、航空貨物も那覇で中継し各地に仕分けするなど、空路の中継地としてはきわめて条件がいいというような専門家の指摘もあるわけです。そういうような意味におきまして、現在那覇空港は第二種空港になっておるわけです。これを第一種空港に格上げすべきではないか、そういう要請も現地には非常に強いわけです。そういう立場から現在第二種の那覇国際空港を第一種空港に引き上げができないかどうか、その点のお考えを承りたいと思います。
  204. 福永健司

    福永国務大臣 第一種空港にするということはちょっとむずかしいところがあるわけでございますが、沖繩空港の整備に要する費用等につきましては、第一種空港と同様に一〇〇%国費担当とするというようなことにもなっておりますように、そういう名前をつけるかどうかは別といたしまして、実質的に余り変わりがないように扱っていくことになろう、こういうふうに思うわけでございます。第一種という名前をつけることについてはいろいろ考えなければならないところもありますので、いま直ちにここでそうは申しませんが、実質的な面をよく考えていきたいと思います。
  205. 玉城栄一

    玉城分科員 ただいまの問題なんですが、私もいろいろと事情はこれまでも伺ってまいりましたけれども、財政的な立場から言えば、沖繩の那覇空港については実質的に第一種と同じようにされているのだから、別にいまでも支障がないのではないかというような話も伺ったことがあるわけです。しかし、財政的な問題としては十分の十の国の財政負担ということになっておりますが、これは沖繩の振興開発の特別措置で、五十六年までの期間でそういう措置がされているわけですね。したがいまして、先ほど申し上げましたとおり、沖繩を今後の日本の南の玄関として位置づけ、それを機能させていくためには、それではその特別措置が切れた後はどうなるのかというような問題もあるわけですね。ですから、先ほどの沖繩−香港間の新路線申請なり、今後そういうふうな意味でどんどん那覇空港の重要性が位置づけられるということから考えますと、当然第一種国際空港として検討されてしかるべきではないかと思いますが、いかがなものでしょうか。
  206. 福永健司

    福永国務大臣 いま御心配になるように、何年か後にそういうことになってはということで早手回しにおっしゃるわけでございますが、私といたしますと、そういうふうなことになって非常に待遇が変わるというようなことになっては沖繩に対しても大変お気の毒でございます。さようなことで、この関係法律が改正されるというような場合には、その時点までに考えなければならないという問題であろうと思うわけでございまして、いまこの法律をどうしますというわけにもいきませんが、率直に申して、私がいま申し上げたような気持ちでございます。
  207. 玉城栄一

    玉城分科員 時間がございませんので、最後に。  大臣は沖繩においでになったこともおありだと思いますが、これも那覇空港の問題なんですが、今後の空港整備計画の中で考えていただきたいのは、いまの那覇空港というのは、国内線と国際線のターミナルと、それから各離島を結ぶ発着便のターミナルがあるわけなんですが、御存じのとおり沖繩県は非常に離島の多い島で、各離島にほとんどではないのですが、重立った離島にはローカル線が通航しております。その離島航空の発着している乗客のターミナル、ここは非常にお粗末な状態で、国内線からそのターミナルに行くにも時間はかかるし、荷物は抱えなくちゃならぬし、タクシーに乗せてくれと言ってもタクシーも行かないわけですね。それで、そのターミナルに行くにはこういうように迂回していって、そしてその真ん中に建物があるわけですが、そこのターミナルの中は座るいすもない。非常に不便をかこっておるわけです。このままでは非常に不便を来しておるわけですが、この件について運輸省とされてどのように考えていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
  208. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 確かに現在、利用をする路線によりましては、かなり乗り継ぎ等に御不便をかけている事実があるようでございますので、至急に調べまして、なるべくそういった御不便が早く解消するように努力をしていきたいと思います。
  209. 玉城栄一

    玉城分科員 最後に、特に改めて大臣に御要望を強く申し上げておきたいわけでありますが、沖繩の航空運賃の問題につきましては、これは今後の観光、沖繩の経済の一つの柱になっておるわけでありまして、国鉄のない沖繩としてこれは現実にもう住民の足と化している。また、政府の出されている三全総の総合的な交通体系の中のその認識からしましても、沖繩の航空路というものは現実にそういう本土並みではぐあいが悪いわけです。その点を十分御考慮していただいて、沖繩の航空運賃については現状でも高いのではないか、むしろ公租公課の負担の減免の措置も当然考えられてしかるべきではないか。これは国鉄との問題からしましてもそういう点を強く御要望をいたしまして、よろしく善処方をお願いしたいと思います。
  210. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 これにて玉城栄一君の質疑は終了いたしました。  次に、横路孝弘君。
  211. 横路孝弘

    横路分科員 私は、成田開港に伴う空の安全という観点から、この開港に伴う問題点を指摘し、それからまたニアミスの問題についても、若干の時間がありますから議論をしたいと思うのでありますが、この成田空港というのは、決められたのもきわめて政治的に決められ、開港もきわめて政治的に急がれているということで、いまの対策から見ると、まあ、こういう仮定の話はどうかと思いますが、もしジャンボとジャンボが空中衝突するなどといえば、成田関係空域で起きる危険性が一番大きい状況にあるんじゃないかというように私は考えますので、問題点を幾つか指摘をしたいと思うのです。  まず、開港は五十三年三月三十日ということですが、一番機はいつですか。
  212. 松本操

    ○松本(操)政府委員 一番機という御趣旨でございますが、現在私どもで航空会社と一緒に練っている案では、まだ最終的に固まっておりませんが、多分四月の二日になると思います。インランドと申しますか、到着便が入る、こういう予定でございます。
  213. 横路孝弘

    横路分科員 四月二日の午前六時ぐらいらしいのですが、現在羽田は一日四百六十機ですね。これが羽田成田にどういう割り振りになるのですか。
  214. 松本操

    ○松本(操)政府委員 現在羽田で扱っております四百六十のうち、おおむね三分の一、つまり百五、六十が国際線でございますので、この国際線が成田へ移行する、こういう形になりまして、残りの三百が羽田へ参ります。
  215. 横路孝弘

    横路分科員 その百六十の方はしばらくそれで押さえておくのでしょうね。
  216. 松本操

    ○松本(操)政府委員 当面の数字は恐らく百六十までいかないであろうと思います。御案内のように、成田ができますことによって、空域の様相あるいは飛行経路その他、大幅な変更も伴いますので、当分の間はなるべくこれをふやさないで、パイロット及び管制官が十分なれた上で追っての措置をとる、こういうふうにしたいと考えております。
  217. 横路孝弘

    横路分科員 今後の議論の上で大臣にもぜひこの状況を理解していただいた上で答弁を願いたいので、後でちょっと図を示したいと思うのですが、成田というのは百里に二十五ノーチカルマイル、羽田に三十二ノーチカルマイル、これは飛行機の上昇中のスピードにしますと成田羽田で大体七、八分、成田−百里で五、六分、これを普通の飛行速度に直せば、大体三、四分ぐらいの距離のところに空港が三つあるわけですね。(図面を示す)この黄色いのが羽田です。今度成田がここにできるわけですね。さらにここに百里の空港がある。空域は実はこのように重なっているわけです。後で具体的に示したいと思うのでありますけれども、百里、成田羽田、それに東京管制部と、もう縦横に空域が重なっておって、その間を飛行機が着陸したり離陸する、こういう綱渡りみたいなことをやらなきゃならぬような状態になっている。つまり、これは場所の選び方を間違えたからですね。そもそも百里にできた当時でさえニアミスが大変発生いたしまして問題になったわけでありますが、こういうように空域が非常に重なっているというところにまず根本的な問題があるのです。  地図を広げてばかりもおれませんから、それをもうちょっと具体的に指摘をしますと、これは皆さんの方はもう御承知だと思いますが、一番問題なのは、たとえば百里の七番という空域がありますね。これはちょうど飛行機が百里に着陸する空域になって、地上から千八百フィートです。今度はそこから千フィートの間隔をとって、その上に成田に着陸する成田の四番という空域があるわけですね。これは二千八百フィートから七千フィートまで、これが成田の空域になるわけです。その上はどうなりますかというと、千フィートの間隔をとって、今度は羽田から札幌に向かって飛び立っていく飛行機がその上を飛んでいくわけです。これが八千から一万四千フィートですね。羽田から離陸して飛んで行く飛行機の空域になるわけです。じゃその一万四千で終わりかというとそうじゃなくて、そこからまたさらに千フィートとって今度は東京管制部、これはどういう飛行機かというと、成田を離陸して韓国に向かう飛行機、モスクワに向かう飛行機、モスクワはどうも海に飛び出してから高度を上げて飛ばすようでありますけれども、韓国に行く飛行機ですね、これは成田を飛び立ってから、離陸をしてぐっと迂回をしてその空域の中を上昇を続けながら、このさらに頭を飛び越して、つまり札幌に行く便の上を通り越して韓国へ行く、こういう入り組んだ空域になっているわけです。トンネル空域ですね。トンネル空域が二本も三本もある。あるいはサンドイッチ空域ですね。サンドイッチ空域ですからどうなるかというと、千フィートといったってわずかなものですよ、ちょっとした乱気流でもってあっという間に飛行機なんというのは百五十、二百下がることはざらにあるわけであります。だから、もし何か飛行機のニアミスが起きたというときに、下から飛行機が来たときに、上に逃げようといったって上には別の空域がある。上から飛行機が来たから下に逃げようといったって下に逃げようもない。そういう、しかも一番着陸に関連したところの空域がこういう重複空域になっているわけですね。サンドイッチ空域、トンネル空域になっているわけです。これはどうしてこんなぐあいになったのですか。それは飛行場の設定が悪かったからだと言えばそれまでなんですけれども、こんなので一体きちっとやれるのですか。
  218. 松本操

    ○松本(操)政府委員 先生非常にお詳しいので、私もなかなかうまい御答弁ができますかどうかでございますけれども、確かに、百里と成田が二十六マイルであったと思いますが、成田羽田が三十一マイルであったかと思います。そういうふうなところで、いわゆる広域管制と申しますか、コモンIFRという形で、かきねなしに管制をするというのも一つの考え方ではございます。やはりいまの私どもの持っております管制の施設なりあるいは技術上の問題点、あるいはトラックの数等から判断して、空域を分けて管制するというのが一番確実ではないか。  こういうふうに分けて管制するということにいたしますと、管制のとり方というのは、御承知のように、前後、左右、上下につけるわけでございますので、したがって空域のとり方も多少御指摘のように複雑な面がございます。百里の上に成田が乗っかり、成田の上に羽田が乗っかっているという部分があるのは事実でございますが、その上に東管が乗っかっているではないかと仰せられましたが、東管は日本国じゅう全部乗っておりますので、これは乗っかっているというよりも、むしろ東管の空域を分けてあるというふうに御理解いただいた方がよろしいかと思います。  そういう意味で、技術的にいろいろ検討しました結果、区分けをいたしました管制機関間で調整をやらなくても、ほっておいても安全確実が担保ができる、まず第一にそこで安全に飛行させることができるという、もちろん計器飛行に限っての問題でございますけれども、そういうふうなことを念頭に置いて分けた、こういう次第でございます。
  219. 横路孝弘

    横路分科員 成田空域というのは、重なっていないのが十番、十一番、十二番だけで、あとは全部ほかの空域と、そういう意味で言うと空間が重なっているわけですね。こんなに重なっているのはちょっとないだろうと思うのでありますけれども、たとえば南風で成田に着陸するとき、これは実は慣熟訓練をやっている中で大変大きい問題が出てきているわけですね。  南風の場合に、たとえばホノルルから来た便、アンカレッジから来た便は、銚子ボルタックの上を通ってレーク、レークというのはこれは本当は潮来の上なんでしょう。レークなんという全くの架空地点を、本当は潮来と言うべきところを、潮来と言ったのでは住民から反対されるからレークという架空の地名にして、そこからハガというポイントでもって回して羽田におりる、こういうことになっていますね。東南アジア線もややそれと同じようなものですけれども。  そうすると、レークから先はレーダー誘導なしでしょう。レークそのものにも無線の標識というのはないわけですね。そうすると、いままでの慣熟訓練が大体ハガのところでは回り切れなくてオーバーシュートしてしまう、オーバーシュートして羽田の空域に入ってしまうというケースが、日航パイロットによる慣熟訓練の中で非常に多いということが指摘されているわけです。慣熟訓練している日航のパイロットはいいですよ。これから飛んで来る外国人パイロットなんというのは初めて飛んで来るわけでありますから、ちょっと天気が悪いとかなんとかといったら、そこから先ほっておいてともかく角度とあれでもって回れというわけでしょう。回っていって、そういう慣熟でもってオーバーシュートしているところを、初めて飛んで来る外国人パイロットなんというのは、一体どこをうろついていってしまうのかわけがわからぬような状況なんです。ここは。これについてはどういうぐあいに、慣熟訓練の結果そういうようなのが出ているわけでしょう。どういう対策考えておられるのですか。
  220. 松本操

    ○松本(操)政府委員 いまおっしゃいました北からおりてまいりますのは、カスミポイントから——カスミポイントというのは、銚子へ向かっている線上をDMEでとるわけでございますが、そこから右へ旋回をいたしまして、関宿へ向かっていきます。(横路分科員「南風着陸だよ」と呼ぶ)守谷です。守谷へ向かってまいりまして、ハガというポイントは、守谷の方から方位と距離が決まってございますので、そこで左旋回をしてローカライザーに乗るというわけでございますから、ハガポイントそのものがとれないということは、私はないと思っております。  それから、レーダー誘導をしないわけではございません。これは当然この空域は成田のレーダーのカバレージの中に入っておりますので、必要があればレーダー誘導をいたしますけれども、これは何回も私どもフライトチェックをして飛びました結果、このバンク角度で回り得るというふうに判断をして、この角度を、いろいろ途中で何回も修正をいたしましたけれども、最終的にはAIRACに載せたような形でおさまっておるわけでございますので、仮にオーバーシュートを多少いたしましても、アラインメントを正確にとるという点については支障がないのではないか、このように考えております。
  221. 横路孝弘

    横路分科員 それは机上の計算ではそうなっても、実際に操縦しているパイロットの方から、ここでもってきちんとおりるのがなかなかむずかしいという話を私たち聞いているわけですよ。オーバーシュートしてしまうのが本当に多いそうですよ。レーダー誘導するというけれども、実際レーダー誘導はそのレークまでで、そこから先はやらぬわけでしょう。これは現地の諸君いろいろ話を聞いてみると、そこから先レーダー誘導するなんということにはなってないわけです。この辺のところにも問題点のまず一つがあるわけです。  もう一つは、百里の関係ですね。これがやはり非常に問題があるのじゃないかと思うのです。百里基地におけるタカン進入方式というのは、現行では十五マイルですね。ARCで百里タカン二百二度まで降下してきて、そこからおりる。それが今度の新しい方式では十三マイルですね。十三マイルARCで百里のタカンは二百二度ということになるわけです。そうすると、百里は、東側の空域は拡大して、南側は削除しているわけでしょう。これが、いわゆる南風の場合に成田に入ってくるのと、一体どういうことになるのかという問題があるわけです。  だから、場合によっては、その百里のタカン進入のあるたびに、成田を北方に向けて銚子方向に飛ぶ民間機というのを抑えたり、あるいは銚子からレーク、ハガを通って着陸する民間機を待機させたりということをしなければだめになるのじゃないですか。かなりな無理がありますよ。特にこの四マイルのバッファーをとろうと思えば、レークそのものとこれは重なっちゃうでしょう。違いますか。
  222. 松本操

    ○松本(操)政府委員 まず百里のタカン進入につきまして、従来十五マイルのアークでございましたものを十三マイルのアークに変更いたしたのは事実でございます。これはおっしゃるとおり、成田から北の方の空域を成田にとってなるべく有利に活用する。しかしながら、成田を使います民間機の飛行特性と、百里を使います軍用機と申しましょうか自衛隊機の飛行特性との間に差がございますので、その特性を最大限有利に活用できるようなところに線を引いた。そこで十三マイルのアークでタカン進入をするというのは、これは常時行われるわけではございませんので、レーティングをとるために年に何回というふうに限られて行われると承知をいたしておりますが、この場合に、まず御指摘のレークから入ってくる場合でございます。これは高度差が極端に違っております。レークポイントで六千フィートでございまして、タカン進入で入ってございます場合には、恐らくその点では二千五百ぐらいまで下がってきておりますから、バーチカルセパレーションは十分にとれる。  それから、銚子2デパーチャーというのが後の方で先生御指摘のものだろうと思いますが、これは平面的には三マイルあけてございます。それからさらに、そうは言いながらも、四マイルのバッファーをとったときに、バッファー同士が重なるということは事実でございます。そこで、バッファーと、つまりタカン・アーク・アプローチのバッファーと銚子2デパーチャーの経路とが交錯する点、大体離陸して十一マイル、DME十一マイルから十二マイルの近所でございますが、その時点で上下千フィートのセパレーションをつけてしまう。つまりそこで二千八百に上がるかどうかという問題です。上がらない飛行機があれば、先生御指摘のように、これはやや調整をしなければなりませんのでめんどうなことになります。私どもは、計算とシミュレーションと両方で、ジャンボが七十七万五千ポンド、気温三十度、無風状態で北に上がるということをやってみたわけでございますが、いずれも十一マイルで二千八百に十分上がれるというふうに私ども思っております。  ただ、上がれない飛行機ももちろんございましょう。したがって、AIRACの中では、上がれないというときには初めからその旨を言ってこい、そうすれば私の方はタカンをとめてしまって民間機の出発の方を先に出します。恐らく二分程度の差しかないと思いますので、一回回ってもらえば三、四分でございますから、タカンをとめて民間機の方を出してしまうということで支障はないはずでございますが、通常の場合には七十七万五千ポンドの最大離陸重量で三十度で北に上がらねばならないケースというのは年間あるかないかというふうなことであろうかと思いますので、御指摘のような点はまず実務的には起こらないのではないか、このように考えております。
  223. 横路孝弘

    横路分科員 大体飛行機の接触事故なんて、あるかないかという、そのわずかなところで発生するわけですよ。こんな広い空を飛んでいてどうして飛行機同士ぶつかるのかなと、常識的に考えてみてもわかるわけですね。昔よくYS11のちっちゃい飛行機に乗るときに体重から荷物から全部重量検査して、これはちょっと重いからおまえだめだとか、いいとかいうのをやったことがありますね。それみたいな話で、とてもじゃないけれども、聞いておって心配になるだけの話ですよ。それは、荷物がどうだとか全部見て、国際線でしょう、みんなそれは重量ポンドきちっと積んでいくわけですよ。それにさらに荷物も多いなんてことになれば、上がれるかどうか聞いてみて上がれなかったらちょっとこっち待たしておいてともかく飛ばすわみたいな話では、これは飛行機がどんどん込んできて、しかも天候も悪いというようなさまざまな悪条件が重なったときには、やはり問題が発生しますよ。問題があるということは認識しておられるようだけれども、問題があるというところを十分にやはり皆さんの方で調整されないで開港を強行するというところに、私は事故が起きなければいいなというふうに思うんですが、大臣、話を聞いておっておわかりになったかどうか、ともかく危険だということだけはわかったでしょう。
  224. 福永健司

    福永国務大臣 なかなかむずかしい話で、相当な専門的知識がないとこれはわからぬなという感じで伺ったのでございますが、専門家ないし専門家に近い知識の持ち主である横路さんが危険があるぞと言われるし、わが方では答弁しております航空局次長もこれまた相当な専門家であろうと私は思うのでございますが、いずれにいたしましても、私どもはいまお話が出ておりますようなことがあっては絶対ならないのでありますから、そういう気持ちで伺っております。
  225. 横路孝弘

    横路分科員 そこで、そういうように、特に百里基地の着陸とそれから成田の着陸のところにまず一つ大きい問題があるわけです。特に南風のときに大きい問題が起きてくるわけです。  そこで私、大臣の方にお願いをしたいのは、羽田三百、それから成田百六十という当面の割り振りですね。すぐ航空会社というのはまた便数をふやすことを考えるんですよ。だから、まず少なくとも羽田の方だけまたそれをもとに戻してしまうなんてことでなしに、ともかく成田がきちんと、管制官を含めてパイロットも慣れるまでは羽田をふやすのを当分やめる。成田もこの百六十で抑えるという方針をまず立ててもらいたい。いかがですか。ふやしたんじゃだめなんです。ともかくいまは成田はそういう状況なわけで、外国人パイロットは何も知らないで飛んでくるわけですよ。そこの地形をよく知って、慣熟訓練しているわけじゃないんですから、したがって混乱が起きないようにともかく羽田成田を当面便数を抑える、これはどうですか、運輸大臣。安全のために私はどうしても必要だと思うのです。
  226. 福永健司

    福永国務大臣 いませっかくのお話、貴重なお話でございますが、伺っておって、私がそれをそうしますとか、どうとか言うだけの十分な知識も持っておりませんが、大事なことでございますから、大事な問題であるという認識のもとによく検討させていただきたいと思います。  なお、必要がありますれば、航空局次長の方から答弁させることにいたします。
  227. 横路孝弘

    横路分科員 たとえば東京管制部から成田へレーダー・ハンド・オフしますね。つまりレーダー調整席というのは管制官の中でいま非常に重要性を持ってきているわけです。ところが来年度予算では成田に十人、羽田に十人と二十人要求したのが、これ、たしか削られて十人ですね。そうすると、羽田がばあっとふえちゃうとやはりその辺のところの余裕がなくなってくるわけです。私が言っているのはそういう意味もあるのです。これは航空局長、どうですかな。
  228. 松本操

    ○松本(操)政府委員 おっしゃるように、羽田成田を分離いたしました当初においては、御指摘のように慣熟ということも必要でございましょうが、しかしまたやみくもにいきなり始めるわけではございませんので、去年の十二月三日にもうすでにAIPを出してみんなに勉強してくれよと言うてあるわけでございます。慣熟の方も実際に飛んでみた外国会社もございますし、日航から資料を買っていったあるいは買おうとしているところももうすでに二十社近くあると聞いております。     〔村田主査代理退席、主査着席〕  したがって、空域の設計そのものは、いろいろ先生から御指摘がございましたけれども、まあそう私は問題のある空域であるというふうには考えませんが、それにしても、特にいまおっしゃったレーダー・ハンド・オフのようなものにつきましては、ダブルチェックと申しますか、そういうふうな意味でやはり何か適当な措置を講じるということは必要であろうかと思います。そういう点においては今後ともせっかく努力をしていきたい、こう思います。
  229. 横路孝弘

    横路分科員 それからやはりレークのところにボルタックなんか必要じゃないですか。あるいは、時間がないので言いますが、成田、大分長い間たちましたから、レーダーそのものも、羽田や大阪に入っているような新しいレーダーがあるわけですね。これは国の財政という面から見ると、せっかく金を出してつくった施設がほっている間に古くなったということなんですけれども、しかしそれにしたって、新しいレーダーがある。やはり安全というのを十分考えないといけないのじゃないかというように思って、この辺、考えてみると、一つはやはり成田のレーダーの問題と、もう一つはレークにやはり航空安全施設が必要じゃないかというように感じますが、いかがでしょうか。
  230. 松本操

    ○松本(操)政府委員 まずレークの方からお答え申し上げますと、これはVORとDMEで正確に場所がとれますので、さらにこれも先生十分御承知と思いますが、これからエリアナビゲーションのようなものが普及、発達してまいりますと、必ずしもオーバーステーションということにはなりませんので、レークにVORを置くということは私は必要ないと思います。  それから成田のレーダーにつきましては、これはまさに先生御指摘のように、当座は百五、六十か、まあそれに多少ふえても急に倍になるというふうなわけでもございません。大体福岡と同じような数を扱うわけでございますし、流れもかなりスムーズにこしらえてあるつもりでございますので、もちろん最新鋭のARTS−Jのようなものがあって悪いことはございませんけれども、いまのレーダーであるがゆえに管制上はなはだしく不便になる、あるいは安全上心配でならないというところまでの御指摘は、ちょっと余りにも厳しい御指摘ではないかというふうに私ども考えております。
  231. 横路孝弘

    横路分科員 いや、それで安全が確保されるならいいですよ。いいですか、ニアミスの報告概要、時間がないのですが、五十一年、五十二年のを見てみますと、五十二年度が、報告があったのが十三件、五十一年度が十五件ですね。そうすると、たとえば五十一年の場合も、一月の八日にナウル四二〇便、TIKE四〇、「水平飛行中、前方至近距離に対向する相手機を発見し、瞬時に通過したとの報告があったものである。調査の結果、両機は回避のいとまもなく至近距離にまで接近したものと推定され、空中衝突等の危険があったものと判断された。」というような報告が五十一年にありますし、五十二年にも、二月の九日に、これは大阪空港の北方で、やはり「調査の結果、両機は回避のいとまもなく至近距離で通過しており、異常接近に該当するものと認められた。」  最近余りこういう空中衝突の危険があったなんという表現を皆さんの方でしなくなってきていますけれども、中身は同じことですね。こういうように、やはり最近厳しくなってきてますから、わりとパイロットも管制官も、報告すると処分されるのじゃないかなんということもあって、どうも報告されないでいるのがかなりたくさんあるようであります。報告されたのは氷山の一角でしょう。それでも、その中にもやはりこういう危険性があるわけですね。こういうやはりいわば空中衝突寸前というのが年間に数件でも発生しているという事実をまず見ておかなければいかぬと私は思うのですね。  そして皆さんの方は、昭和五十年にはそれぞれのケースを分析をして指摘するところにちゃんと指摘をしている。ところが五十一年、五十二年の方は、そんな意味で言うとこれがまだ十分解析が行われていないでしょう。つまり、飛行機事故がないからというのでやや安心している面があるんじゃないかと私は思うのですよ。だから、これはきちっと解析をやってもらわなければ困るので、たとえば昨年の二月二十七日の千葉の上空の話ですが、イギリス航空機のケースですけれども、小型機に英国航空機は接近し、「余裕をもって回避していること等から、空中衝突等の危険はなかったものと推定された。」というように答えられているわけですけれども、回避できたから空中衝突の危険はなかったという判断をほかのケースについても皆さんお示しになっているんだけれども、実は回避動作をせざるを得なかった原因というのはどこにあるのかというところの分析をしなかったら、全く意味がないわけでしょう。そのためにちゃんと運輸省にそういうセクションが、安全調査室でしたか対策室でしたかあるはずなわけですね。したがって、これは最近やや怠けておられるようだからきちっと解析を行って、それぞれ関係部署に対策をちゃんと提示をする。調べてみますと、時に米軍磯や自衛隊磯との関係が多いですよ。昨年なんか十三件のうち七件ほど、やはり自衛隊機や米軍機との関係のニアミスなわけですね。だから、この辺のところをきちっとやってもらいたいというように思うのですけれども、いかがでしょう。
  232. 福永健司

    福永国務大臣 よく伺っておいて善処したいと思います。専門家の方も一緒に聞いておりますから、ぜひ御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
  233. 横路孝弘

    横路分科員 最後になりますが、その解析をきちっとやると同時に、先ほどお話ししたように、成田周辺空域というのは、これはまだほかにも羽田との関係で軍事空域の問題とか、空域の問題だけでも大変大きな問題があるわけです。特に大事なのは、やはり最初が肝心なのでありまして、この間いきなり羽田を増便するとか、成田関係も、外務大臣中東の方へ行って約束してきたとか、いろいろなものがあるでしょう。これは二、三十機またばっと一遍にふえるのですよ。先ほど次長はそんな心配はないとおっしゃっているけれども、われわれの調べているところではどうもそういう心配があるわけです。したがって、そういう関連の措置をきちっととってもらいたい。  たとえば、自衛隊機や米軍機は百里空域を不定期便などを含めて余りよけいな飛行機を飛ばさないようにするとか、百里の離発着を少し抑えるとか、安全のための措置を、私が指摘した点を含めてともかく事故の起きないように対策をとってもらいたいというように思うのです。最後に御答弁をいただきたい。
  234. 福永健司

    福永国務大臣 率直に申しまして、私が就任しましてから大分外国の大臣とか大使とかという連中が参りまして、成田開港になったら増便させてもらえるものとか、あるいは新たに乗り入れをさせてもらえるものという認識で私のところへ参りますものが大分おります。そういうように聞いております。とこう言うのです。そこで私は、成田開港したらということを前に答えた者があるそうだが、それは成田開港してしかる後適当な時期にという意味に解釈してもらわなければ困る、開港したとたんにやたら入られるということでは困るということを、私素人なりに、横路さんの話もっと早く聞いておればなおよかったと思いますけれども、いずれにいたしましても、その種のことを言っておりますので、いまのところ外国の連中が運輸大臣はどうも渋いやつだ、こう思っておる連中もあろうかと思いますが、しかしいまにして考えればまんざらそうでもなかったという気がするわけでございます。お話よく伺いましたので、私はせいぜい努力をいたしたいと考えます。
  235. 横路孝弘

    横路分科員 終わります。
  236. 藤田義光

    藤田主査 以上で、横路孝弘君の質疑は終了いたしました。  古寺宏君。
  237. 古寺宏

    古寺分科員 昨年の四月に整備五線の凍結が景気刺激のために解除になりまして、新幹線の建設を今後進めるスケジュールでございますが、この点について運輸大臣の基本的なお考えを承りたいと思います。
  238. 福永健司

    福永国務大臣 率直に申しまして、整備五線等につきましては、各方面から急いで何とかしろという話も一面においてございます。また国鉄全体の赤字等について責任者たる私に善処すべきであるという説等も非常にたくさんございます。しかし、余り赤字だけを恐れておりますとこれはどうにもならない。そこですでに決まっていることは尊重しなければなりませんが、同時に景気も確かにこういうような状況ではございますが、わずか待てば何とかなるような状況でもなさそうでございます。なかなかこれから骨が折れると思いますので、私といたしますと、どうしてもまだ具体的に示すということにはいきませんが、何とか整備五線等についてもさらに考えるところがありたいものだという気持ちでただいま臨んでおる次第でございます。しかし、それを具体的に示すというところまでまだ行ってはおりません。
  239. 古寺宏

    古寺分科員 整備五線を着工するためにはやはり相当の財政的なてこ入れを政府として考える必要があると思うのですが、その点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  240. 福永健司

    福永国務大臣 まさに御指摘のとおりであると考えております。そういうこともありまして、簡単にどうというわけにもいかないというところで苦慮しておるのが実情でございます。
  241. 古寺宏

    古寺分科員 現在着工しておりますところの東北新幹線の開業の見通しはどうなっておりますか。
  242. 高木文雄

    ○高木説明員 東北新幹線につきましては、御存じのようにトンネルでございますとか長大橋とかを先に着工いたしたわけでございますが、それらの工事の推捗は順調に行っておるわけでございまして、いろいろな機会に申し上げておりますとおり、昭和五十五年度中にはぜひ開業いたしたいという考えで取り進めております。  その場合に一番心配でございますのは、大宮と東京の間の用地問題について大変強い反対を受けておりますので、この区間はそう長期に工事を要する部分ではないわけではございますけれども、それにしてもまた土地の手当てができたらすぐというわけにもいきませんので、後はこの問題がどう早期に解決できるか、御協力いただけるかというところにかかっておるということでございます。
  243. 古寺宏

    古寺分科員 それと関連いたしまして、青函トンネルが昭和五十七年には完成の見通しになっているわけでございまして、世紀のトンネルということで、トンネルの工事に従事している方々は盛岡以北の新幹線の着工を非常に心配をいたしているわけでございますが、この盛岡以北の新幹線建設についてはどのようにお考えでしょうか。
  244. 福永健司

    福永国務大臣 世紀のトンネルができて鉄道が敷けないというようなことではまことに遺憾な次第でございまして、私も素人ながら関係閣僚が集まったときにその種の発言等もいたしておるわけでございます。そのゆえんのものは、何とか続いていま御指摘のような線についても仕事を進めたいものた、こういうことでございますが、これとて、ただいまのところはまだ私がそう強く念願しているということでございます。事務的にどういうようにしておりますかということにつきましては、その方からお答えさせることにいたします。
  245. 住田正二

    ○住田政府委員 整備五線につきましては、いまお尋ねの盛岡以北の線を含めまして、徹底的な環境調査をやるということになっているわけでございます。ただ、現段階では、環境アセスメントの方法につきまして、運輸省、国鉄、鉄建公団、いろいろ相談いたしております。まとまり次第、環境庁といろいろお打ち合わせをすることになりますので、それが済みました上で調査を始めたいと考えているわけでございます。
  246. 古寺宏

    古寺分科員 大宮以南の問題につきましては、一坪運動等の反対運動が起きているわけでございますが、当初は昭和五十二年開通の見通しだったわけでございます。それがいまだに大宮以南の問題が解決を見ていないわけでございますが、この点について、国鉄としては具体的に大体五十五年の開通の見通しがあるのかどうか、承りたいと思います。
  247. 高木文雄

    ○高木説明員 古寺委員も御存じのことと存じますけれども、昨年の暮れごろであったかと思いますが、従来必ずしもこの問題について態度を明らかにされておりませんでした埼玉県の方で、県知事も、公害を十分に配慮してやるのであれば新幹線が通ることもやむを得ないであろう、ただしそれには幾つかの条件があるということで、そういう態度を表明されたわけでございます。従来は、一般的に住民の方々の中に反対が非常に強いということで、その辺の影響もあったかと思いますが、行政責任者である知事さん御自身も、どうももう一つ積極的に取り組むわけにはいかないという姿勢をとっておられました関係で、いわば私どもちょっと手がかりがなかったわけでございますが、知事がそういう態度をとっておられますし、県会でも特別な決議がございまして、これを促進しようではないかということが決議になっておるわけでございます。その条件は私どもとしましてはいずれも受けるつもりでおるわけでございますので、何とかこれは展開を図り得る機会が来たのではないかというふうに思っております。  それがいつどういう時期に解決すれば五十五年開業が間に合うかという問題は、いま私が申し上げるのはまだ余り適当でないと思うわけでございます。われわれとしては、一日も早く用地問題が解決するということをひたすら念願をして、いろいろな段階においていろいろとお願いをして歩いておるという状況でございます。
  248. 古寺宏

    古寺分科員 これは運輸大臣地元と非常に関連が深いわけでございますが、大臣はこれはどういうふうにお考えでしょうか。
  249. 福永健司

    福永国務大臣 お話のごとく、まさに私の選挙区、それからつい最近まで私の選挙区であったところ、それから多少距離はありますが東京に入ってというようなところでございますが、私も、自分みずからが住んでいる地域であり、率直に申しまして私の住んでいる大宮市は問題は解決をいたしました、与野以南がさらにいろいろ問題があるわけでございますが、どうにか、県会とかあるいは市議会等、さらには知事市長などの人たちで最近は大分前よりは理解が進んできているわけでございます。反対運動もありますと同時に、非常に数多くの諸君が、これは日本全体を考えて早くやらなきゃいかぬということを私のところへ言ってくる人たちも大変あるようなわけでございます。地方自治体責任諸君ともいろいろ話をしておりまして、なかなか骨は折れるけれども、私は必ずしも暗い見通しを持っているものではございません。それには誠意を尽くして対処していかなければならぬと思うわけでございまして、今後一層そうありたいと考えておる次第でございます。
  250. 古寺宏

    古寺分科員 私は、こういうような問題が発生する原因の一つとして、やはり環境アセスメントを徹底してやらなかったというところに問題があったと思うのです。これは前の田村運輸大臣は徹底した環境アセスメントを行ってから整備五線については着工するということを発表しておりました。したがって、今後この整備五線の着工に当たっては、やはり徹底した環境アセスメントを行っていただきたいと思うわけでございますが、現在国鉄並びに運輸省、鉄建公団でもっていろいろ検討中だというお話でございますが、環境アセスメントの技術指針を大体いつごろをめどにお出しになるのか、そしていつごろからおやりになるのか、その点について承りたいと思います。
  251. 高橋浩二

    高橋説明員 いま環境アセスメントの技術指針とおっしゃいましたけれども、私の方で鉄道に関係いたしましてあるいは鉄道の工事に関係いたしまして関係する項目というのは、一番大きな問題が騒音、振動、日照の問題、それからトンネル等においては水の変化の問題。それからもう一つ大きな問題は、鉄道は当然駅ができるわけでございますので、駅を中心といたしました都市計画との関連においてこの鉄道がどういうふうに相互に有効に生かされ、またそれに取りつけられた道路等との関係をどうするか、重立った項目はこういう項目だと思います。  技術基準と申されますけれども、すでに騒音、振動については、環境庁から新幹線についてはこの基準が示されております。日照の問題についても、環境庁ではございませんけれども一応の基準を持っております。あとは道路の関係、都市計画との関係、これは基準というよりも個々の問題として対処していかなければならぬというふうに考えております。  そういう基準の問題よりも、どういう手順でこの環境アセスメントで得られた評価を地元の方々にお示しをし、それの御理解を深めていただいて工事を進めるかという、むしろそういう手順の問題等がこれからいろいろ審議されていく段階だと思います。私の方は、そういう手順の問題は政府でいろいろお決めいただけると思いますけれども、手順の問題以外に、いろいろ実質的な調査をただいま進めているというのが現状でございます。
  252. 古寺宏

    古寺分科員 私がお尋ねしているのは手法の問題でございまして、たとえば住民に対する縦覧の問題ですとか、あるいは住民意見をどういうふうに吸収するかというような、そういう問題をお尋ねしているわけなんですが、時間がございませんので前に進みます。  この新幹線問題と関連をいたしまして、現在青森駅舎問題で非常に地元で問題が起きているわけなんです。この点について国鉄は今後どういうふうに対処していくお考えなのか、承りたいと思います。
  253. 高橋浩二

    高橋説明員 四十八年に整備計画が、運輸省から指示を受けました。それ以来ルートの問題についていろいろ検討をいたしております。その検討のさなかに、青森については現在の青森駅にぜひ近づけた駅にしてほしいという御要望、それからまた一方、必ずしも青森駅付近でなくてもう少し環境の、いわゆる人家密集でない地域を通ったルートで将来の発展性のある位置に駅をつくったらという二つの御意見を青森市並びに県等からお寄せいただいていることは、十分承知をいたしております。  ただ、駅の問題については、私の方もその環境の問題以外に将来の利用の計画あるいは将来どういうふうにそれが先へ延びていくかといったような問題等を含めまして、私の方の案をいまいろいろ検討しているさなかでございまして、そういう案がある程度まとまってまいり、最初に先生がおっしゃいましたように、いつの時点でどう進めるかという基本的な問題が、財政の問題等も含めまして政府からお示しいただければ、いつでもまたおこたえできるような体制でいま進んでいるというのが現状でございます。したがって、青森駅の問題については、どこの場所が一番いいのだという腹案を一応私らは持っておりますけれども、いまの段階では私の方からどうすべきだというふうに申し上げる段階ではないと考えております。
  254. 古寺宏

    古寺分科員 そこでお尋ねしておきたいのですが、駅舎の問題が決まらなければ盛岡以北の着工はできないわけでございますか。
  255. 高橋浩二

    高橋説明員 工事計画書として大臣の御承認をいただくためには、ルートと駅の位置が決まらなければ工事計画書が作成できません。工事計画書を作成する前に、いま話題になりました環境アセスメントの評価を地元の方々にお示しして、ある一定の手順、手続を経て、そしてお認めいただければ、恐らくそれを政府に出せば政府が御認可していただけるものというふうに考えておりますので、ルートと駅舎の問題が決まりませんと工事には着手はできないというふうに考えております。
  256. 古寺宏

    古寺分科員 そうしますと、青森市の場合は現在、現駅併設の問題と石江案と二つのルートがあります。その二つのルートについて環境アセスメントを行うわけですか。
  257. 高橋浩二

    高橋説明員 その手続については政府からまだお示しいただいておりませんけれども、私らの考えといたしましては、いろいろ私の方で検討いたしまして、この方がよろしいんじゃないかというルートにしぼりましてお示しした方がよろしいのじゃないかとただいまは考えております。
  258. 古寺宏

    古寺分科員 これは大臣に、政府が国鉄の方にアセスメントを指示する場合の参考にしていただきたいのです。昭和四十九年八月に盛岡工事局の金原局長が青森市に参りまして、青森市としてどのルートが一番いいか、五本のルートを市民考えているのだ、この五本のルートのうちからどの案が一番よろしいか検討してもらいたい、こういう意味の発言がございまして、四十九年の十月二十二日に青森市の総務部長が局長さんのところへどういうふうにしてやったらいいのかということで確認に行ったのです。そうしましたら、青森市でもって意見を統一して青森市の案というものを出してもらいたい、こういうお話だった。それで昭和五十年七月に青森市新幹線問題に関する懇談会、これは学識経験者を初めいろいろな方にお願いしまして懇談会を行いまして、そしてその懇談会が結論を出し、さらに五十年十一月二十日にはこの懇談会の結論を青森市議会の全員協議会に諮って意見を統一して、現駅併設という結論が出ているのです。ところが、その後国鉄の方から、どうも現駅併設では技術的にもあるいは環境上の問題でも経費の面でも非常に無理があるのでちょっと不可能に近いような回答が来ているわけです。こういうことを国鉄の方が仕掛けておいて、早く言えば仕掛け人ですが、そうしておいて、石江案の方に決めなさいということをやりますと、これは大宮以南と同じような問題がまた提起されてくるのです。  やはり私は、今後の新幹線建設というものは地元住民の合意が一番大事な問題だと思うのです。あるいは地元自治体なり各種団体の協力がなければ新幹線工事というのは進まないと思う。世紀のトンネルはできた、それで盛岡以北、北海道新幹線をこれから建設する場合において、そういう問題がしこりになって再び大宮以南のような問題が起きないようにするためには、環境アセスメントというものは少なくとも二本なり三本のルート、これはすべてのルートについてやる必要はないけれども、こういう問題の起こるような場合には二本か三本のルートについてきちんとした環境アセスメントを行って、科学的ないろいろな知見あるいは社会的ないろいろな条件、そういうものを住民によく納得していただいて判断を下していただく、こういう進め方がこれからは必要ではないかと思うのですが、大臣いかがでございますか。
  259. 福永健司

    福永国務大臣 伺ったうちで、青森県の方で全員協議会等でお決めになった一つの考えに対して、後から国鉄がそれはどうもというようなことを申したとかということでございます。私はよく事情を知らないのでございますが、そう言ったとすればそれはそれとして何か理由があるのだろうと思いますが、いずれにしても余り上手なことじゃないと思います。そこで、いまお話しのようなことをよく心して今後に対処させるようにいたしたいと思います。
  260. 古寺宏

    古寺分科員 次に、奥羽本線の川部−青森間の複線化の問題でございますが、通勤通学の利用者も非常に多いし、また貨物の輸送量もふえております。ところが、複線化については運輸大臣の認可が必要になるわけでございますが、国鉄の方から申請が出ていないわけです。国鉄の財政再建のためにはこういう収入の上がるドル箱に近いような路線の複線、電化というものは早急にやらなければいけないのではないか、私はこういうふうに思うわけでございますが、総裁はこの点どうお考えですか。
  261. 高木文雄

    ○高木説明員 一般論で申しまして、複線電化がなかなか思うように進まない実情でございます。現在、私どもの仕事は東北新幹線の完成というところに大変集中をいたしておりますので、技術者その他がそちらの方に全力を傾注しております関係上、技術余力もそう十分でございませんし、また予算の面におきましても、工事費の中で非常に大きな部分を新幹線の方にとりあえず充てておりますために、複線電化の予算が十分ない、そして現在手持ちの計画区間がたくさんございますものですから、おくれがちになっておるというのが実態でございます。  ただ、いまお示しの線区については、私どもの方としても、かなりの優先度をもって考えなければならない地区であるというふうに認識をいたしておるわけでございますので、いずれそう遠からざる時期に具体案を立てなければならないと思っておるわけでございますが、今日の段階でいつそれをいたしますというところまではまだ準備もできておりませんし、仮にそれをいたしましても、予算の規模あるいは手持ちの計画の量というようなものから比べてすぐには手がつけられないということになってもいけませんものですから、その辺をいまにらみ合わせて篤と考えているところでございます。
  262. 古寺宏

    古寺分科員 現在、公共企業体等基本問題会議が行われておりますが、この中で地方交通線の経営分割、こういう問題を指摘しているわけでございます。よく赤字ローカル線の問題がやり玉に上がるわけでございますが、この問題について総裁は、経営を分割するようなお考えをお持ちかどうか承りたいと思います。
  263. 高木文雄

    ○高木説明員 昨年の十月三十一日でございますが、いまの懇談会の方から正規に国鉄の考え方はどうなんだということを尋ねられました。私、その会合に出席をして国鉄の考え方を御説明したわけでございます。私ども申しましたのは、民営論、分割論にはいろいろと問題もございますので、国鉄内部の研究の結果では、これらの考え方によった場合に、現在国鉄が直面している問題が直ちに改善に向かうであろうという結論を得るには至らない、したがって、民営に移行もしくは分割することについては、私どもとしてはちゅうちょせざるを得ないということを申しておるわけでございます。ただ、各方面から非常に強くいまの国鉄の経営について御批判がございますので、これについて謙虚に耳を傾けまして、いろいろ研究してまいりたい。ただ、いま直ちにということについては、どうもちゅうちょせざるを得ないというのが私どもの現在の考え方でございます。
  264. 古寺宏

    古寺分科員 そこで、今回貨物駅廃止の問題が起きております。青森県で申し上げますと、陸奥岩崎駅が目標年度として五十三年十月、津軽線の蟹田駅が五十四年度、奥羽本線の大鰐駅が昭和五十五年度、五能線の木造駅も同じでございます。また五能線の深浦駅、こういうふうになっておるのですが、この陸奥岩崎駅にしましても蟹田駅にしましても、非常に不便な問題が起きてまいります。岩崎駅の場合は、お隣の秋田県の東能代駅に集約をするのです。これは距離が六十キロもございます。さらに蟹田駅というのは、先ほどお話し申し上げました北海道新幹線のルートになるわけでございまして、現在も青函トンネル工事その他で非常に渋滞をいたしておるわけでございます。  こういう点について、私、これは机上で考えた貨物駅の集約ではないかというふうに思うわけでございますが、現地の実情というものをよく調査して、また現地の意見も十分に尊重してこういう問題を進めていただきたいと思うのですが、総裁はどのようにお考えでございましょうか。
  265. 高木文雄

    ○高木説明員 全般的に申しました場合に、現在私どもが運んでおります貨物の量が最盛時に比べて七割以下に減ってまいりました。そういうことも一つの要因で、御存じのように貨物の輸送に起因する赤字の金額がきわめて巨額になっておりますので、これをどうして立て直していくかということを検討いたしておるわけでございます。  それがためには、やはり荷物の量が多い駅に集中的に扱い場所を集めるということをやる以外に方法がないのではないか。その廃止になります駅に依存しておられる方々には大変御迷惑になるわけでございますけれども、逆に全体として考えますとスピードも上がってまいりますし、到達時分が短くなってまいりますから、必ずしもサービスが落ちるばかりでなくて、向上する面もあるわけでございます。  そういう意味で、相当思い切った貨物駅の削減案を立てまして、いま各地域で各方面とお話し合いをいたしておる最中でございます。  ただ、いまおっしゃいますように、それはまた国鉄も公共的使命も持っておるわけでございますから、地域の方に余り大きなショックがあるということではいけないわけでございまして、そういう意味では、あくまで地域の方々に国鉄のいま置かれております立場を理解していただくと同時に、どういう便、不便を生ずるかということをよく御説明申し上げなければいけないわけでございます。何分大変大きな計画でございますために、それらについての御説明その他にどうもかゆいところに手が届かないようなところがございまして、各地域でいま強い反対というような声が上がっておるわけでございますが、この点については決して無理をしないで繰り返し繰り返し御説明をして御納得いただくべく督励をいたしております。  なお、いま陸奥岩崎について東能代の方に統合、それが隣の県になってしまうじゃないかというようなお話がございましたが、その点は確かに、地域感覚というものをよく考えなければいけないわけでございまして、そうした個々の問題については、私どももまた改めていろいろ御意見を拝聴した上で、必要があれば考え直すということをいろいろやることもしなければならないと思っております。  ただ全般的には、どうしても相当思い切った削減をやらしていただかないと、きわめて巨額な貨物の赤字がなくならぬといいますか、縮小しないということでございますので、どうかひとつ御理解、御協力を賜りたいと思っておる次第でございます。
  266. 古寺宏

    古寺分科員 国鉄の財政再建は国民協力なしにはできないわけでございますので、十二分にひとつ住民の意思というものも尊重していただいて今後の行政を進めていただきたいと思います。  空港の問題につきましては、時間がございませんので、次の機会にさせていただきたいと思います。
  267. 藤田義光

    藤田主査 これにて古寺宏君の質疑は終了いたしました。  次に、吉浦忠治君の質疑に入るのでありますが、同君の質疑に対し、参考人として新東京国際空港公団総裁大塚茂君が御出席になっております。  なお、御意見質疑をもって聴取することといたします。吉浦忠治君。
  268. 吉浦忠治

    吉浦分科員 本当に開港して大丈夫か、こういうふうに問われますのは成田空港問題でございまして、福田総理の号令一下、今月の三十日に開港が決定となっているわけでございます。時間の問題となっておりますが、十二年間の長い間空港建設経過をつぶさに見てまいりましたのは地元民の方々であります。その疑念が晴れないまま開港を迎えようとしておる現状でありまして、きょうは私、空港の騒音問題、特に防音民家の問題等につきまして細かくお尋ねをいたしたいと思うわけでございます。  昨年、第一次、第二次にわたる騒音テストが実施されたわけでございますが、このテストの結果、驚くべきことが次々と判明してまいりまして、秒読みに入ったと言われる現段階においても、騒音区域の見直し問題等を初め、いままでの対策が覆されるような問題が起こっているわけでございます。特に、防音民家につきましては、その効果とかあるいは居住性の問題あるいは住民の費用負担の問題等に対しての当局の姿勢について多くの疑問がございます。住民の方々の要望を通しながらその声を当局が開港一点張りでかき消されようとしているような現状でございまして、今日までこの要望が日の目を見ないで来たことも大変残念に思うわけでございます。あと一カ月足らずという段階に入りまして、これらの声を放置しておくわけにまいりませんし、もしこの声が放置されるようであるならば、政治不信の根は深いものとなりますし、また、そればかりでなくて、あらゆる角度から政治に対して、私どもに対しても不信の念がなお深くなるわけでございます。  そこで、私ども千葉県の公明党の県本部といたしまして、ことしの正月早々に実態調査を行わせていただきました。大臣の方にもこういうのを一月二十五日にお届けをいたしました。空港公団総裁の方にもこれをお届けして、その要望書と一緒につけましてお願いをしたわけでございます。この点につきまして、きょうは事細かにその一つ一つを、提出したものについてお尋ねをしたいと思うわけでございます。  全室防音化の早期実施という項目を提出させてもらいましたが、これは地元住民の方々の家族数の問題やあるいは建物の構成等からいたしまして一部屋や二部屋ではどうにもならず、開港後の騒音下における生活に強い不満を持っている現状でございます。いままでの家屋がそっくりそのまま防音化されないと、日常生活等に支障を来すのは当然でございまして一公団は地方自治体で工費を一年間立てかえ払いすれば五十三年度から全室防音化をする、こういう方針を示されておるようでございますが、何はさておいても防音化を進め、完了させるのが当然でございまして、公団の方針は、住民に無防備のまま何年間も、あるいは何カ月間も生活するようにというふうながまんの押しつけではなかろうと思います。したがって、全室防音化について次の点にお答えを願いたいと思います。  第一点、全額国庫負担で全室防音の完全実施をしてもらいたいと思いますが、まずこの点についてお答えを願います。
  269. 大塚茂

    大塚参考人 公明党で実際にこうした調査をおやりいただいたことに、私ども敬意を表したいと思います。お申し出の点につきましては、できるだけ今後、われわれの騒音対策の参考として活用させていただきたいというふうに思っております。  その中で、ただいまの全室防音の全額国庫負担という問題でございますが、公団としましては、関係方面の御了解を得まして早急に全室防音工事を実施できるように目下準備中でございます。ただ、これにはまず仕様書及び標準図面等を作成しなければなりませんので、そうした上で費用が大体どれぐらいかかるかという計算をしてみないことには結論を早急に出すということは困難でございますが、この費用の負担につきましては、家屋の構造とか広さとかあるいは老朽度等各家屋によりましてそれぞれ差があると思いますので、これらをできるだけ公平に扱うということと、できるだけ地元住民の負担をないようにしたいという趣旨で努力いたしてまいりたいというふうに考えております。
  270. 吉浦忠治

    吉浦分科員 第二番目に、総裁、どうしても年度内に着工していただきませんと、防音というのは飛行機が飛ぶ前でなくては防音の設備にはなりませんので、第二番目に要望いたしましたこの点についてはどのように対処してもらえますかお尋ねをいたします。
  271. 大塚茂

    大塚参考人 私どもも、開港前に全部防音工事を済ませたいということで極力勧奨してまいりましたが、まだそこまで行かないことを非常に残念に思う次第でございます。先生がいまおっしゃいましたのは、全室防音工事を年度内に着手するようにという御要望と承ったのですが、これにつきましては、先ほども申し上げましたように、必要な図面とか仕様書を作成いたしまして、それに基づきまして試験的に工事を実施いたしまして、その防音効果の確認を行うという必要がございますので、そうした手続を考えますと、この年度内といいましてももう一カ月でございますので、これはちょっと工事に着手するということは不可能であるというふうに私ども考えております。しかし、できるだけ早く実施できるように努力をいたしたいというふうに思っております。
  272. 吉浦忠治

    吉浦分科員 もう少しきょうは総裁、いい御返事がいただけると思って私は本当は楽しみに思って質問をいたしておるわけでございます。と申しますのは、この調査をいたしますときに、住民の方々が、よくやってくださった、どこにも自分たちの窓口がなくて訴えどころがない、だんだん希望が遠ざかっていくときに私ども調査をしたわけで、その時を得ましたが、そのときに、ぜひとも年度内に着工して完了していただきたいという強い強い要望でございましたので、総裁、ひとつぜひお忘れなくお願い申し上げますよ。  続きまして、この全室防音でございますけれども、やはりこれは建設のいろいろな規格がございましょうけれども、十分個々の希望というもの、あるいは家庭の状況等を聞いていただく。これは通り一遍の規格であっては困ると思うのです。と申しますのは、農家というのは、決められたところをつくられますと、作業場もございませんし、何かをしまうような、農家の農機具等を入れたり、または極端に申しますと、倉庫に使えるようなものも規格一点張りじゃ困るわけでございまして、いろいろ事情もおありでございましょうが、その農家の個々の実情等をよく把握していただいて着工していただくようにお願いをしたいわけでございますが、この点について総裁、どのようにお考えかお尋ねをいたします。
  273. 大塚茂

    大塚参考人 全室防音工事を行います場合には、遮音性の高いアルミサッシ等を使用いたしまして、それから家の外側に防音壁を回しまして大体全室防音ということをやりたいという一応の考え方でございます。そして家の内部の構造等につきましては、従来からの設備を変更することをできるだけひとつ最小限にしたいというふうに考えておりまして、その上に空調施設等を設備いたしまして居住性を高めるというふうなことをぜひ考えていきたいというふうに考えている次第でございます。
  274. 吉浦忠治

    吉浦分科員 次に移りますが、第二番目に、総裁、別むねの改造と補修ということで御要望を出しておきましたけれども、十分検討していただけたと思いますけれども、いま申し上げました中で、せっかく費用をかけて建てても、日常の使用に不便だから使用しないという方が、私どもの調査ではっきりいたしました。民防が建っても、これを使用しないような民防であっては困るわけでございまして、大変な費用がかかっているわけでございますが、こういう点について、やはり改造と補修というものが次の段階で起こってくるわけでございます。  そこで第一番目に、トイレ、水道設備、押し入れ等を全額国庫負担で全戸に完備していただきたい。お忙しい中でも総裁、これを読んでいただけたと思うのですが、この中にトイレのないところ、水道の設備のないところが明確にうたってございますけれども、時間がございませんけれども、ちょっと申し上げますと、トイレのない家が四二・二九%、水道もない家が八九・〇六%、こうなりますと、生活には全く不向きな防音民家であるというふうに言われるわけですが、こういう点に対してどのように総裁はお考えかお尋ねをいたします。
  275. 大塚茂

    大塚参考人 別むねとして建てました防音室については、一室または二室でございますので、おっしゃられるような状況のところがございます。  それで今後、全室防音ということになりますと、果たして別むねとして建てた一室または二室のところをお使いになるかどうか、これはひとつ居住者の方とよく御相談をいたしまして、もしその一室、二室の別むねを全室防音の対象として使うということでございますれば、そういう設備を取りつけるようにいたさなければならぬというふうに考えております。
  276. 吉浦忠治

    吉浦分科員 千葉県で、四十七年ごろでございますか、指導によってつくられた独立民防の家屋を私は見てまいりましたけれども、これは大変問題がございまして、通風の点、採光の点、あくまでも人間の住む家に適していないような居住のつくり方でございます。天井はもう落ちかかっておりますし、成田の近くは夏は大変高温になっておりますし、冬はかなり温度が下がるようなところでございますが、そういう中で非常に湿気が多くございまして、人間の住めるようなものでないような状態でございます。  こういう面も総裁、どういうふうにお考えになっていらっしゃるか。まず人間の住めるようなものを考えてくださらないと、私どもが参りましても、むっとするようなあるいは変なにおいがするような、そういう民家では困るわけでございます。どのようにお考えかお尋ねをいたします。
  277. 大塚茂

    大塚参考人 防音室として別むねで建てました中にも、昭和五十年以前に建てた物とその以後に建てた物で違いまして、五十年以前に建てた物につきましては空調施設がございません。これについては、先ほど申し上げましたように、今後防音室を使っていかれるということでございますれば、早急に空調施設をつけまして居住性を高めるというふうにしたいと思っております。それから五十年後につくりました物については、換気施設もございまして、いろいろ老人の部屋とか子供の勉強室というようなことに使用されておりまして、必ずしも人間の生活を無視したような家屋というふうには私ども考えておらないわけでございますが、しかし居住性が十分かというと、やはり防音性といいますか、遮音性の方に重点が置かれておるというきらいは必ずしもなきにしもあらずというふうにも考えるものでございます。したがって居住性をさらに高めるような努力をしたいというふうに思っております。
  278. 吉浦忠治

    吉浦分科員 総裁、ごらんになったことありますか、中を見られたことございますか。(大塚参考人「はい」と呼ぶ)ちょっと返事が遅いようでございますが、これはいま簡単におっしゃいますけれども、こういう家屋をつくる場合には、やはり責任者は当然入って見るくらいの熱意を持っていらっしゃらないと、返事が遅いということは私も大体想像できますけれども、やはり十分な配慮をしていただかなければならないと思うのです。騒音というのは、簡単に申しますけれども、何にもいままでない方々が、これから一生耳のつんざくようなそういう被害を受けなければならないことでございますよ。これは大問題なんです。もっと真剣に取り組んでもらわなければならないと私は思うのです。  そういう点で、くどいようでございますが、すでに破損している場合もございますし、欠陥の部分等もありますので、これから修理をしなければ入れないような面もございますので、第三番目に要望いたしておきました全面修理を国庫で早急に行っていただきたいという要望を出しておきましたが、この点についてお答えを願いたい。
  279. 大塚茂

    大塚参考人 私も、騒音テストのときは実際に近くの民家へ行きまして、防音室の中と外で音を聞いたりして実際を承知しておるつもりでございますが、御承知のように、防音室は鉄骨のプレハブ建てでございまして、破損等はいまの段階じゃまだ少ないというふうに私は見ております。しかし破損、欠陥等について申し出がございますならば、その原因を明らかにして必要な措置をとるようにしたいというふうに考えております。
  280. 吉浦忠治

    吉浦分科員 だんだん声がふるえてきたようでございますよ。ちゃんときちっと答えてもらわなければ困る。  私は、くどいようですが、何回も申し上げますけれども、こういう要望書をきちっと総務に住して、そして必ず委員会で御回答いただくという約束で私、きょうは質問しているわけでございまして、通り一遍の御回答は私としては納得できないわけでございます。  そこで、これは大変厚かましいお願いでございますけれども、独立の民防にお年寄りや何かが休まれるような場合にもしものことがありますと、これまたつくった意味もございませんので、そこへ内線電話等のことも何とかしていただきたいというふうに要望がございましたが、これを公費等で設置する面に御協力してくださるかどうか、一言で結構でございますのでお答え願いたい。
  281. 大塚茂

    大塚参考人 別むねになっておりましても、防音室は同じ屋敷内にあるものでございますので、これに電話ということになりますと、むしろその前にやることがあるのではなかろうかという気もいたします。いずれにいたしましても、全室防音をやる段階でひとつ検討させていただきたいというふうに考えております。
  282. 吉浦忠治

    吉浦分科員 現在かかりました防音家屋についての自己負担分と申しますか、こういう点を調査いたしますと、大体百万円以上自己負担をなさった方々が四七・四一%いらっしゃるわけでございます。私どもの調査によりますと、農協から借りてそういう費用に充てたという方がございますが、こういう点について、私は国庫でもって全額支払っていただきたいと思いますが、総裁、いかがでございますか。
  283. 大塚茂

    大塚参考人 従来の家屋の防音改造については、自己負担はないわけでございますが、別むねにした防音室につきましては、財産、資産の増加ということになりますので、固定資産税の対象とならざるを得ないということでございます。  また、その際借り入れました資金につきまして、農協から借り入れたものも確かにございます。それらにつきましては、その利息が住宅金融公庫の融資額の利息を超える額につきましては、千葉県の御協力によりまして利子補給を行っておる状況でございます。
  284. 吉浦忠治

    吉浦分科員 私が先ほどから総裁にお願いをいたしておりますのは、この騒音というのはよけいなものが入ってきたのでございまして、したがって、よけいなものが入ってきて、そういう民防の独立にしてもあるいは防音化にいたしましても、二重三重の負担を農家に強いていたわけでございますから、そういう意味における固定資産税等の軽減あるいは減免措置等は、私はぜひ行っていただきたいと強く強く要望するものです。何か前向きでないような御答弁が、まだ聞かないうちからございましたけれども、私の要望をぜひ生かしていただきたいと思うのです。  続きまして、防音化により必要となる冷暖房の器具購入等あるいは取りつけ費用、電気使用料等も、防音家屋の維持管理費ということで国庫等でぜひとも支払いを、このために起こってきた問題はひっくるめてやっていただきたいと思うわけですが、この点についていかがでございましょう。
  285. 大塚茂

    大塚参考人 暖冷房の施設につきましては、五十年以降は全額公団負担で設置をいたしております。それから、それ以前のものにはございませんが、これも申し出によって公団で負担をして施設することにいたしております。  その他の維持管理費ということになりますと、これはなかなか問題がございますので、私どもとしては、なお慎重に検討させていただきたいと思います。
  286. 吉浦忠治

    吉浦分科員 第四番目に、当局の対応についてお願いをいたしておきましたが、ひっくるめまして一、二、三の御要望を私はお願いいたしたいと思うのです。  防音効果を実際に確認した人で、その防音効果がないと訴えている人がかなりの数に上っておるわけでございます。これは設計もしくは施工のずさんさが原因ではないかと思われますが、この原因の調査を行って今後の防音化の再検討をぜひしていただきたい。細かい点は申し上げられませんけれども、中でコオロギやスズムシの音もしますし、外の音が聞こえてくるぐらいのずさんな面もあるわけでございます。そういう点は問題であると思いますので、お考えを願いたい。  また将来、民家の耐用年数が来て建てかえをしなければならないような場合は、何年の耐用年数であるということも民家の方々に明確に示していただきたい。四十七年ころ建てたものはほとんど腐りかけている現状もございます。中に住まわなかったから早まったとも言えるかもしれませんが、そういうことを考えますと、耐用年数等も明確にしていただきたい。  また、騒音区域の問題で、おとといでございますか、ある新聞に民家の方々が大変怒るような問題が出ました。総裁も頭を痛めていらっしゃると思うのですが、この点についてお尋ねをいたしたい。  これは新空港のすぐ近くの成田市三里塚の旧御料牧場内にあるとこるでございますが、そこに新東京国際空港公団の職員住宅がございます。その地域の八百世帯くらいの方々の民家には一切その要求を突っぱねていて、その公団の方々にだけ二重窓の防音工事が施されていることが二十八日に明確にわかっております。こういうやり方住民の言うことを聞いた上でやっていらっしゃるのならいいけれども、要求を突っぱねておいて、公団の職員の住宅だけ完全防音をやっていることについて、総裁はどういうふうにお考えになっていらっしゃるかお尋ねをしたい。
  287. 大塚茂

    大塚参考人 公団の独身寮があります場所と三里塚の住宅の場所とは違いまして、公団の独身寮のある場所は騒音コンター、騒音地域の中に入っております。ところが、三里塚の方はAランでなくて、むしろCラン関係でありますが、われわれの作成した騒音コンターの中に入っておりません。ただ、第一次、第二次騒音テストの際に高い音が出たということがございましたので、私どもとしても、その後の慣熟飛行についてずっと市と公団と両方で騒音の測定を続けております。その結果は、平均的に見まして騒音コンターをつくったときのデータとそう違わないという結果になっておるのでございますが、なおしかし開港後、実際の音を継続して測定いたしまして、その結果、騒音コンターの中に入れるべきだということになりますれば、当然コンターの修正をいたしたい、かように考えております。
  288. 吉浦忠治

    吉浦分科員 時間がないのでいいところで終わってしまいますが、総裁、もう一つだけ。  成田市の久住地区に騒音区域外の問題でそこだけ取り残されたところがございますが、御存じですか。これも二十五日に発見されたところです。落ちていたところです。これは手を打ってくださいますね。久住地区の問題御存じですね。
  289. 大塚茂

    大塚参考人 ええ知っております。
  290. 吉浦忠治

    吉浦分科員 これもぜひ手を打っていただきたい。  最後に、大臣にお願いをいたします。  この問題は、私の地元でございますので長いこと要望して、大臣就任早々ではございましたけれども地元に行かれたかどうかということをちょっとある方に申しましたら、その声が聞こえたかどうか知りませんけれども大臣はあわてて空港の方に行かれたようでございます。警備やいろいろな点で公表なさって行かれることは、私も考えますけれども、最高責任者でございます。きょうのジェット燃料輸送等におきましても、七千名の機動隊が守る中で第一列車が旅立つというふうなことで、きょうのニュース等で大変騒がしくなっておるわけでございまして、警備等の問題、あらゆるこれからの問題を大臣が全責任を持って、私ども地元の方々が安心いただけるような体制にしていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  大臣も現状をごらんになって、交通アクセス等の問題もございますけれども、時間がございませんので申し上げられませんでしたが、どうか地元民に安心していただけるような、世界じゅうの人からも喜ばれるような、りっぱな空港ができたと言われるような、私どももできる限りのことはいたしますけれども、最高責任者として最後に一言だけ、その決意なり方法なりを述べていただきたい、それで終わらしていただきたいと思います。
  291. 福永健司

    福永国務大臣 私が伺いましたのは、予算審議中にありがたい話で、一日数時間何とか暇が得られるときに参りました。夜でも伺えますならば行きますが、夜ではちょっといろいろ見られませんので……。ただいま、おしかりをいただきまして、行ったのかのごとくに言われましたけれども、これは、その種の御注意をいただけば、それを拳々服腐すべきは当然でございまして、私は前々から行きたい行きたいと思っておりましたが、いかんせん、このところ全然お暇がもらえませんでした。しかし、間隙を縫って行ってまいりました。まさに御指摘のように、行けば行っただけのことはあるのでございまして、今後暇がある限りちょいちょい伺いたいと思っております。いずれにいたしましても、行ってきてよかったと私は思っております。ただいま御激励等をいただきまして恐縮に存じますが、いろいろおっしゃっていただいたこと等につきまして、私は私なりにせいぜい努力をいたしたいと考える次第でございます。
  292. 吉浦忠治

    吉浦分科員 終わります。
  293. 藤田義光

    藤田主査 これにて吉浦忠治君の質疑は終了いたしました。     〔主査退席、瀬野主査代理着席〕
  294. 瀬野栄次郎

    ○瀬野主査代理 次に、正森成二君。
  295. 正森成二

    ○正森分科員 私は、港湾運送事業について現在末端のはしけ業者が不況の中で非常に困っているわけでございますけれども、その問題について若干質問したいと思います。  この問題は、昭和五十二年の四月のたしか六日でございますが、決算委員会で当時の田村運輸大臣に、わが党の安藤巖議員が質問したこととも関連するわけですが、はしけ業者が非常に生活が困っている一つの理由には、運賃には認可料金が定められておるわけですが、その認可料金が守られていない、そのために第一種業者から第三種業者へ行く、その第三種業者が用船しているはしけ船主に代金を支払うというのが、順次非常に切り下げられて生活が困難しているということになってくるようであります。  そこで、私の承知しておりますところでは、昭和四十四年の一月三十日に、たしか港政二三号で通達が出ているはずであります。そしてさらに最近では、五十二年十一月八日に、港政第九一号というので、大久保港湾局長名による日本港運協会あてのたしか通牒のようなものが出たように理解しておりますけれども、この点について、たしか本年の四月と五月に料金の監査もされたようでございますが、その結果も含めて行政指導の状況について御報告を願いたいと思います。
  296. 大久保喜市

    ○大久保政府委員 お答え申し上げます。  まず、監査の結果からお答え申し上げたいと思います。  御指摘のように、五十二年の四月から五月にかけまして地方海運局が各地方海運局所在地の港、具体的に申しますと、横浜、名古屋、大阪、神戸、関門、小樽、塩釜、新潟、高松、広島、こういうような港につきまして料金監査を行いました。その結果によりますと、監査件数に占めますところの料金の完全収受件数、これは実は残念ながら、基本料金について見ますと、はしけ運送料金の場合約八〇%となっております。すなわち、一部において認可料金が遵守されていないという事例が見受けられたわけでございます。  こういうような事実を踏まえまして、先ほど先生から御指摘ございましたように、五十二年の十一月に、港湾運送事業者の全国的な団体でございますところの社団法人日本港運協会に対しまして「港湾運送料金の定額収受の確保について」という通達を発しまして、認可料金の完全実施について指示するとともに、また元請の下請に対する下払い料の適正化についても十分考慮するよう、あわせて指摘しておる次第でございます。これを受けまして日本港運協会におきましては、中央、地方に料金実施委員会というようなものを設置いたしまして、認可料金の完全収受のため努力を行っているというふうに承知いたしております。  また、個別の事業者に対しましては、先ほども申しましたような毎年行いますところの料金監査の際、料金の収受状況をチェックいたしまして、違反事実がございますれば、これを是正するよう指示し、定額収受の励行に努めているところでございます。  運輸省といたしましては、今後とも認可料金の完全実施につきまして、港運業界を強力に指導してまいりたいと考えておる次第でございます。
  297. 正森成二

    ○正森分科員 一応そういう御答弁があったのですが、ここに私は「ニュースレーダー」という業界関係の書面を持ってきておりますけれども、それを見ますと、こう書いているんですね。「対荷主料金請求の場合は、はしけ料金に顕著なように、料金表はあってなきが如く、荷主と業者の力関係で収受率が決っているというのが大方の現状である。」とか、あるいは「現実には、完全収受にははるかに遠い、というのが実状である。したがって、そのシワ寄せば三種専業とその労働者に及んで業界の不安動揺を招来している。」というように書かれているのです。  私は、認可料金が決められたのは、一つは荷役業務あるいははしけ運送業等の公共性に由来するものであり、一つは中小企業保護のためであり、一つは港湾において労働条件が非常に悪化してストライキが頻発するということを事前に防止するというような、いろいろな目的があると思うのですけれども、現実がこういうことでございますれば、中小企業にとっても非常に困るし、それから港湾運送事業にとっても困るというように申さざるを得ないというように私は思うのです。  そして、ここに私は、本当に提出すればいいのですけれども、提出しますと、その第一種業者や第三種業者がだれかということがわかりまして、はしけ業者が締めつけられて仕事ができなくなるというので、持っておるけれども申さないですが、実際末端の第三種の免許も持っていない用船のはしけ業者、それがどういうふうな実情であるかという支払書があるのですが、それを見ますと、トン当たり、第三種業者のところへやってくる値段というのは、三百四十円とか三百円になっているのです。現在、認可料金が改定されて、たしか八百円前後になっているのではありませんか、答えてください。
  298. 大久保喜市

    ○大久保政府委員 いま認可料金は、先生おっしゃるとおりでございます。
  299. 正森成二

    ○正森分科員 そうしますと、荷受けから第一種へ、それから第一種から第三種へ来たときには、三百円ないし三百四十円ということですから四割ぐらいになっているんですね。そして、これに基づいて現場の実際に船を持っているはしけ船主に仕事がおろされる。本当ははしけ業者というのは、月決めで雇わなければいけないので、トン当たりの出来高制にすれば、港運事業法の四条違反とか、あるいはちょっと法律を調べてみると、三十五条か何かそこら辺で罰則にかかるわけでしょう。ところが、それも無視しまして、第三種業者が事実上自分はこれだけしか取っていないのだからというので、はしけ業者におろしまして、そして、その出来高の中からまた一五%第三種業者が引いて、それで渡しているから、実際上の末端の者が受け取る値段というのは、きわめて微々たるもので、一カ月二十二万円から二十五万円ぐらい。ところが、船を一隻持っておりますと、油代とか何とかで維持費が十万円はかかるということになりますと、船を一隻持っているのに十二、三万円で生活しなければならないということになって非常に困っているのです。  ですから、こういう実情をもっと調査していただいて、行政指導をさらに一歩進めていただく必要がある。業界から出ているのは、伝家の宝刀といいますか、立入検査をして、そして第一種業者、第三種業者が認可料金を守っていない、第三種業者に対して適正な値段でおろしていないということになりましたら、営業停止措置をとってもらうより仕方がないのじゃないか、同時に、荷主に対しましては、運輸省の管階下ではございませんが、他省庁と協力してもらって、十分に認可料金が守られ、末端がその利益を享受するようにしてほしいという声があるのです。それについて局長ないし大臣から、善処していただけるかどうかお答えを願いたいと思います。
  300. 福永健司

    福永国務大臣 局長局長で少し申し上げるかと思いますが、尊敬する正森さんのおっしゃることで、私は全面的にそのお言葉を拝聴して思いますことは、先ほどから局長も厳しく指導監督すると言っておりましたが、その厳しく指導監督しながら、いまのお話のようなことがありとするならば、これはとんでもない話だと思うわけでございまして、今度は本当にさらに一層厳しく対処せしめたいと思いますし、またお話しのように、政治は何も運輸省ばかりではないので、いろいろ関係するところもありますので、しょせんは政府部内でございますから、連絡をとりまして善処しなければならぬ、そういうふうに考えます。
  301. 大久保喜市

    ○大久保政府委員 先生御指摘のようなひどい事実というものもあるやに私どももときどき耳にいたします。そういう問題の生じておりますところの一つの原因には、はしけが実際の輸送量に比べて余剰になっているという事実がございます。  それで、港湾の機能が健全に確保されるためには、その港湾を場として港湾運送事業を営む者がやはり健全な姿で存在しなければ、これは不可能でございます。そういうことからいたしまして、私どもといたしましては、余剰はしけ対策ということが、いま一つ必要ではないかというふうに考えております。  それはそれといたしまして、現実にいま御指摘のような事実がございますれば、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、私どもといたしましても、これは彼ら業者自体の自殺行為になってしまうわけでございますので、よく港湾運送業界全体を通じての問題として指導してまいりたいと考える次第でございます。
  302. 正森成二

    ○正森分科員 いま福永運輸大臣から非常に配慮のある御答弁をいただきましたので、私も非常に意を強くする次第です。ただ大久保局長から、はしけの余剰というものがあるのだという問題が指摘されました。確かにそのとおりで、いまから数年以前に、はしけの第一次買い上げというのがございましたね、そして、たしか昨年でございましたか第二次買い上げが実施されました。ところが、第一次買い上げのときには、政府の補助金と近代化基金で買い上げて、はしけ業者の負担がなかったわけです。ところが今回の場合には、買い上げに要した費用が、私の調査では四億八千五百万円でございますけれども、近代化基金から約三分の一が出まして、残りはやはり貸しつけで返済しなければならないということになっているのです。その返済は結局、免許業者から返済せしめるということになっているのですが、実際に私は、ここにその領収書を持ってきておりますけれども、免許業者でない、実際の免許を持っていない、ただ雇われのはしけ所有者、そこにトン当たり四十円で全部つけて払わせておる、だから、踏んだりけったりで、認可料金がずっと減って少ない上に、買い上げ料金まで免許業者でない末端のはしけ所有の小型船主が負担しておる、だから、もうますます生活が苦しくなるということになっているのです。ですから、時間がございませんので、そういう点も指摘しておきますから、ぜひ適正な行政指導をしていただきたいということを申し上げて、次の問題に移らしていただきたいと思います。  次に、私が申し上げたいと思いますのは、国鉄総裁もお見えになっておるようでございますけれども、大阪市に三十間堀というところが港区にあるわけであります。ところが、そこに鉄橋がかかっておるわけでございますけれども、その鉄橋が大阪の有名な地盤沈下のために沈下したわけですね。これは大阪東港臨港線というところにある三十間堀の橋梁の問題であります。橋梁の上の方に従業員が十数名から四、五人という小さな造船所がございますが、地盤が沈下してしまいましたために、そこでつくる船が鉄橋の下を通れない、そこで新造船を縁起でもないのにまず沈めまして、それでそろそろと外へ出すということを長年続けてきているわけです。約十年近く続けております。そうしますと、注文するところは縁起でもない、それからまた大きなのはつくれないということで、さびれてくるというようなことになるわけですね。なぜそれを改善されないかというと、大阪市とそれから国鉄との間で、もしそれをかさ上げするとしたら、費用負担は協議して決めるということになっているけれども、協議ができない、おまえもっと持てや、おれはこれだけ持てないということで、国鉄と大阪市の間で責任をなすり合いして、結局、橋梁の上の方にある造船業者等が、ここ十年来苦しんでいるという問題なんです。  これは、その両者のなすり合いでは事態解決しませんので、何とかお知恵を出していただいて、地域住民が困らないように、営業ができるように努力していただきたいと思いますが、この点について御答弁をお願いしたいと思います。
  303. 高木文雄

    ○高木説明員 まことに恐縮でございますが、私、実は詳しい事情を今日まで知りませんでしたので、まあそういうこともありそうなことでございますから、それでは問題がいつまでたっても片づきませんから、よく調査をして、しかるべく指導してまいりたいと思います。
  304. 正森成二

    ○正森分科員 調査をして調べるようにしたいという国鉄総裁のお言葉でございますから、私は、それを御信頼申し上げたいと思いますけれども、もう十年来困っているところなんですね。  それで最近、大阪市がアンケートを出したのです。それを見ますと、移転の希望があるかと、こう書いてあるんですね。そうしますと、私ここにアンケートを持ってまいりましたけれども移転の希望があるというところに造船業者は丸を入れているのです。その理由はというと、橋が下がって船が通らないからという理由が書いてあるんですね。ところが、大阪市は理由はそっちのけにして、大部分の業者が移転希望だから、かさ上げしても仕方がない、せっかく金を使っても効果がないというように逆用して開き直っている面があるんですね。これでは私は全く困るというように思いますので、もしかさ上げしないならしないで適当な代替用地にかわるような措置をとるとか、あるいはそれをやらないなら、両者が話し合ってかさ上げを速やかにやるとかいうことでございませんと、造船所が新造船を初めから沈めて、橋の下をそろそろ外海へ出さなければならぬというようなことを続けさしているようなことでは絶対いけないと思いますので、再度その点について申し上げて、必ず近いうちに善処を両者話し合ってお願いしたいと思いますが、よろしゅうございますね。
  305. 高木文雄

    ○高木説明員 どういう実態になっているのかよくわかりませんので、まず私自身よく調査をして勉強いたしまして、しかるべき対処をいたしたいと思います。
  306. 正森成二

    ○正森分科員 それでは、次の問題に移りたいと思いますが、運輸大臣にお伺いをいたしたいと思います。  たしか昭和五十二年の四月二十六日、田村運輸大臣の時代でございますが、物価問題に関する関係閣僚会議が開かれまして、六大都市のタクシー運賃の改定問題について一定の結論が出されました。そのときに、終バス後の深夜輸送等につき旅客の利便を図るため、鉄道駅等特に必要な場所に乗り合いタクシーの導入を進めるというのが一つの項目に入っておるわけでございます。この点については、現在もお考えにお変わりがない、そして、そういう乗り合いタクシーを進めて、関係住民の利便を図るという御決意だと思いますが、いかがでございますか。
  307. 福永健司

    福永国務大臣 いま正森さんのおっしゃるようなそういう交通事情のところでは、それなりの考慮が必要であろうと思うわけでございまして、すでに一部実施しているところもあると聞いておりますが、おっしゃるような方針で臨みたいと思います。
  308. 正森成二

    ○正森分科員 この五十二年四月二十六日のお考えによりまして、たとえば大阪府下におきましても、高槻から安岡寺団地とか旭ヶ丘団地へ、あるいは兵庫の仁川、奈良学園前等、乗り合いタクシーが認可を得て、現在運営が進んでいるわけでございますけれども、大阪市内でも、たとえば大阪市の乗り合いバスの時間が十時半なら十時半、十一時なら十一時ごろに終わる。ところが実際上、地下鉄というのは十二時、十二時半までやっている。その差が一時間半ぐらいあるという場合に、近郊の住宅密集地に、たとえばタクシーで十五分か二十分で行けるという場合には、乗り合いタクシー制度があると非常にいいわけですね。  そこで、そういう問題について、大阪市と近郊との間にもこの原則をお守りになって、こういう制度を広げていかれるというのはもちろんのことであるというように思いますが、いかがですか。
  309. 中村四郎

    ○中村政府委員 住宅団地と大都市あるいはその周辺の最寄り駅との連絡につきましては、私ども基本的には路線バスの輸送力を確保していくということであろうと思いますが、終バスの延長とかそういう手段がなかなか諸条件によってできないというときには、御指摘のような乗り合いタクシー制度ということによってこれを補完していく、これが基本的な考え方でございまして、ただいま先生申されたように、大都市の周辺部にわれわれ限定して考えておるわけでありませんで、市内におきましても、そういった条件が満たされている場合には、この制度を適用して推進していく、こういう考え方でございます。
  310. 正森成二

    ○正森分科員 こういう分科会での質問でございますから、特定の地名を挙げて質問するということは差し控えさせていただきますが、大阪市内でも、タクシー協会や近代化センターあるいは警察等からの承認があるにもかかわらず、一部の事情から、申請にこぎつけ、そして承認をしてもらい、認可というケースがあるわけですね。いま局長が御答弁になりましたけれども、いまの御答弁の趣旨は、関係者の協議が調って申請があれば、できるだけ認可をするという方向で善処したいというように伺ってもよろしゅうございますか。
  311. 中村四郎

    ○中村政府委員 先ほどの物価問題に関する関係閣僚の会議の決定もございますので、私どもとしては、まず第一に、利用者の利便を図っていくということでございます。そういう観点から、関係者間の意向また輸送需要なり乗り合いバスの対応状況、実施上の体制といった諸点につきまして、よく検討いたして適切に対処して進めてまいりたい、かように思います。
  312. 正森成二

    ○正森分科員 それでは国鉄さんに、三十間堀の問題については、私がいま聞いたところなので、調査してというようにおっしゃいましたが、実は私、二度ほど事前に私の部屋にあなたの部下の方をお呼びして、詳細に事情を御説明しているわけです。それがお耳に入ってなかったのだというように思います。ですから、その点について詳細な対応策が聞けないのは残念ですけれども、いま初めて聞いたので調査するという答弁ですからいたし方ありません。そうだとしますと、私はここで質問を一応終わらしていただきたいと思いますけれども、調査ができましたら、この分科会の席を離れましても、私どもの方へ、どういうような対応策を国鉄としてとろうとしておるか、あるいは関係の大阪市と協議をしたかということについて御報告だけはいただきたいと思いますが、それはよろしゅうございますか。よろしゅうございましたら、これで質問を終わらせていただきたいと思います。
  313. 高木文雄

    ○高木説明員 結構でございます。  ただ、私がいま得ております情報というかあれでは、昭和五十年に私の方から大阪市に、こういう行き方ではどうですかという提案をしておるのですが、どうも大阪市との間の協議が調っていないということのようでございます。その事情を、大阪側ではどういう主張でうちの提案を受けてもらえないのか、その辺をよく聞いてみないと、ただ協議が調わないからというようなことでは何にもなりませんので、その辺をよく調べてみたいと思います。また進行状況は御報告申し上げたいと思います。
  314. 正森成二

    ○正森分科員 結構でございますが、大坂市の言っておりますのは、私はもう大分前から耳にしております。国鉄側は、つくったときも双方が費用を出したのだから、かさ上げに要する費用の二分の一を大阪市が出してくれれば、いつでも二分の一出します。こう言っておる。ところが大阪市の方は、三分の一は高い、できれば国鉄が全額出せ、あるいは全額出せないにしても、自分の方の二分の一をもっと下げろということでもめておりまして、そのための調査費が約二百万くらい要るのですけれども、その調査費をどういう割合で出すかというのがもめて一年間調査できなかった。つまり調査費用を半々で出せば、費用も半々ということを認める端緒にならないかということです。私は余りの官僚仕事に大きな声を出してどなりまして、やっと調査だけはやるようになったということなんです。  ですから、そういういきさつでございますので、ちょうちょうとは申しませんけれども、いろいろ事情を調査していただき、大阪市とも相談していただいて、付近の住民が、この不況の折に、橋げたが下がって船が通れないために仕事をやっていけないというようなことのないように、行政の責任でやっていただきたい、そしてまた、できるだけ早く御報告をいただきたい、こういうことを申し上げて質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  315. 瀬野栄次郎

    ○瀬野主査代理 これにて正森成二君の質疑は終了いたしました。  次に、長谷雄幸久君。
  316. 長谷雄幸久

    ○長谷雄分科員 私は、公明党の長谷雄幸久でございます。  運輸交通問題について関係省庁の見解を求めます。  運輸交通体系を含めた国土利用のあり方について、その基調になるものは、国民福祉最低水準の実現と国民諸階層の福祉向上に置くものでなければならない。過密過疎の問題を含めて、いわゆる国土のナショナルミニマムとして憲法二十五条の具体化への方途であると考えます。この要請に基づいて運輸交通問題についても、高度経済成長政策の中でとられてきた従来の路線について、鉄道、航空、自動車、海運の各分野にわたり鋭意検討する必要があると思います。  さて、大都市圏における交通対策として、特に混雑度の高い通勤通学輸送について混雑の緩和を図り、これにより当該地域住民の不便、負担を解消することはきわめて重要であり、交通運輸事業を主管する関係官庁の責務であることは言うまでもありません。  そこで私は、まず大都市圏旅客輸送問題について見解を求めたいと思います。  昨年十二月二十九日の閣議了解にかかる「国鉄再建の基本方針」と題する書面の中で国鉄経営の在り方として大都市圏旅客輸送の役割りが位置づけられております。そして昭和五十三年度予算案においては、これを裏打ちする大都市交通施設整備費補助金が二百五十四億円に増額をされており、そのことは評価できるのでありますが、問題は、こうした背景に立ち、国鉄としてこの大都市旅客輸送の改善に今後どう取り組んでいくか。大都市圏においては、この点について共通の問題を抱えておるところでございます。中でも、東京都下の三多摩地域におきましては、人口急増地域として集中した経済活動の中枢部門である都心部への輸送需要が増大しており、これに対応するための鉄道の整備は急務であると考えます。  そこで質問は、この三多摩地域については今後どう取り組んでいくか、その基本的な見解を伺いたいと思います。
  317. 高木文雄

    ○高木説明員 都市周辺の人口急増地帯への私ども対策は、いままでも相当努力はしてまいりましたが、また人口増がそれを追っかけるというか追い越す、そういう関係になっておりまして、はなはだ苦慮いたしておるところでございます。  基本的には、国鉄の仕事といたしまして非常に長距離のお客さんを運ぶというような仕事のウェートが、どちらかというとウェートとしてはだんだん下がってきて、都市周辺対策のウェートが高まりつつあると認識をいたしておりますので、基本認識としては、いまお示しのようなことで臨みたいと思っております。ただ、個別にはいろいろ問題がありまして、率直に申しまして、私どもも、思うように事が進まないというので、何とかこれを一つ一つ打開していきたいと思っているのですけれども、どうもなかなか進まないので弱っておるというのが実態でございます。
  318. 長谷雄幸久

    ○長谷雄分科員 それでは、具体的な問題について幾つかお尋ねをしますが、輸送力の増強問題についてですが、この同じ地域の中で横浜線というのがございますが、この横浜線が現在大部分複線化されておりますが、一部複線化されていない地域がございます。これに対する複線化とあわせて立体化について今後の見通しはどうか、この点についてお答えを願いたいと思います。
  319. 高橋浩二

    高橋説明員 横浜線につきましては、ただいま鋭意複線化の工事を進めておるところでございまして、一番いま工事で時間がかかるというのは、いま先生おっしゃいます恐らく八王子と相原の間に国道との交差する個所がございまして、ここの区間だけは、いままでいろいろ協議の関係で大変手間取って時間がおくれておりますけれども、それ以外の区間につきましては、この五十五年の十月までに、それ以外といいますか、小机−相原の区間につきましては、五十五年の十月を目途に全部複線化をしたいということで鋭意進めております。それから、いまの国道との交差いたします相原−八王子については、その後一、二年おくれて完成をさせたい、また完成するのではないかというふうにただいまのところ考えております。
  320. 長谷雄幸久

    ○長谷雄分科員 この問題とあわせて青梅線というのがあります。また五日市線もありますが、これについては利用者が大変多うございまして、増発について相当強い要望がございますが、これについての見通しはどうなっておりましょうか。
  321. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 青梅線あるいは五日市線のお客さんが非常にふえておるということは事実でございます。そこで、これはかなり前からいろいろ地元の方の御要望もたくさんございまして、われわれもそれによっていろいろ対処をしておるわけでございますが、現在、青梅線の七時から八時までのラッシュの一時間で列車本数が十二本ございまして、そのうちの五本が東京へ直通いたしております。この立川の駅の関係あるいは青梅線から立川を経まして直通する場合には線内が七両でございますので、これに三両つけて十両にして流しませんと中央線のお客さんが乗れないということで、拝島の容量の問題が一つございます。そういうような問題がありますが、とにかく五本をもう少しふやしてもらえないかという御要望も非常に強いものがあります。  ただ、いま立川で高尾の方から来ますものと、それから青梅線の線内から来るもので、現在の駅設備としては容量がいっぱいでございますので、もしこれをふやすとすれば、豊田の方から来ております電車を減らしてそれを振りかえるというようなことも必要かと思いますので、絶対量としてふやすということはなかなかむずかしい。そこで、いままでやってきましたことは、立川の駅の行きどまりのホームがございますが、これを昨年十一月から六両を七両設備にするということで、基本的には三鷹−立川の線路増設が行われる、それに伴いまして、青梅線の線内を十両編成にするということがありませんと、現在のところでは、ちょっとこれ以上の増発というものはむずかしいのじゃないかと考えます。
  322. 長谷雄幸久

    ○長谷雄分科員 いまのお話もありましたが、東京圏における通勤輸送のメーンである中央線の三鷹−立川間の複々線化がなされなければ抜本的な解決にはならないということは、十分われわれも承知をいたしておりますが、この複々線化についての見通しはどうでございましょうか。
  323. 高橋浩二

    高橋説明員 私の方は、複々線化をぜひ進めたいということでいろいろ計画を立てておりましたところ、複線化をするならば、同時に在来からあります複線、従来からあります線路、これも全区間ではございませんが、大部分の区間について地元からぜひ一緒に高架化してほしいという強い要望が出てまいりました。高架化事業は、実は都市計画事業でございますので、それならば都市側と国鉄と一緒になってよく調査し、その線路その他の設計についてもよく協議してやりましょうということで、関係の市並びに東京都の関係者と共同の協議会をいま持ちまして、関係者の間でどういう設計にしたらよろしいかということをただいま協議いたしており、それによって設計が固まってまいりますと、ただいま高架化事業の方は都市計画事業でございますので、国の助成金も出るし、また都並びに市の負担金も伴ってまいりますから、そういうお金の問題もあわせて両方の意思が合いますれば設計が決まる、そして工事にかかるという段階になろうかと思います。できるだけ早くこれは進めていきたいというふうに考えております。
  324. 長谷雄幸久

    ○長谷雄分科員 この問題については、認可の決定権者である運輸省も承知をしてもらわないとということだと思いますが、これについて運輸省の方はどのような見通しでございましょうか。
  325. 福永健司

    福永国務大臣 先ほどからいろいろ伺っておりますが、大変大事なことでございます。ことに最近の事情よりしてぜひ特に考えなければならぬと思います。私どもは、その種の申請がございますれば、深く理解しながら対処したいと思います。
  326. 長谷雄幸久

    ○長谷雄分科員 運輸大臣の前向きな答弁をいただいたので、次の質問に移りたいと思います。  次は、旅客輸送設備の改善についてお尋ねをいたします。同じく中央線における各駅の中で、現在老朽、狭隘等の問題を抱えて緊急に改善を要する駅があることは御承知のとおりでございます。その中で特に、八王子駅と立川駅については早急に改善を望む声が大変強いわけでございますが、国鉄内部でその改善の対象として検討しているものの中に、いま申し上げた八王子、立川の両駅は含まれているかどうか御答弁願いたいと思います。
  327. 高橋浩二

    高橋説明員 先生のおっしゃいますように、立川駅、八王子駅ともに狭隘である、混雑しているというほかに裏口との関係その他ございます。また、ただいまございました三鷹−立川間の複線化の問題等ありまして、いろいろ手順を考えながら、そういう全体の計画の中で、八王子駅の旅客扱いあるいは立川駅の旅客扱い関係の設備について改良を図っていきたいというふうに考えております。
  328. 長谷雄幸久

    ○長谷雄分科員 それでは、国鉄としてこの八王子と立川の両駅の改善について、その計画内容がいつごろになれば明らかになるか、その見通し、見込みというものはどういうことでございましょうか。
  329. 高橋浩二

    高橋説明員 いずれも国鉄だけではこれまたできない点がございますので、いろいろ地元の方々あるいは場合によりましては自治体とも御協議を申し上げなくてはならないというふうに思っております。  ただ、私の方の都合で申し上げれば、たとえば八王子駅の改良をいたすためには、八王子駅の貨物関係を、ただいま少し離れたところでございますけれども、別な場所へ移して、そしてその空いた土地と、それから全体的な計画というのは、旅客関係のホームも増設をしなければならないだろうし、あるいは裏口との自由通路等も御要望がございますので、それらについては市と協議申し上げて、自由通路等をどういう費用でどういう設計のものにするかということも御協議申し上げて進めていかなくてはならぬと思っておりますので、いま時期についてははっきり申し上げられませんけれども、いずれそう遠くないうちに具体的に設計を固めていきたいというふうに考えております。
  330. 長谷雄幸久

    ○長谷雄分科員 非常に明るい見通しを述べられたので、地元の方も大変喜んでおられると思いますが、ぜひ早急に改善の方向に進んでいただきたい、こう要望申し上げておきます。  次に、国道の整備についてでございますが、鉄道の整備と並んで、鉄道による大量輸送網の目が荒く運行密度も低い地域については、自動車輸送の役割りが重要であることは言うまでもありません。自動車輸送量の急激な増加により、いわゆる車社会と言われるように、自動車はわが国の旅客及び貨物の輸送に大きな役割りを果たしております。特に自家用乗用車は、こうした地域においては市民生活の中で重要な位置を占めているのが実情でございます。こうした自動車輸送の役割りを過不足なく発揮させるためには、道路の整備が急務であります。  そこで、問題を同じく多摩地域について見ますと、同地域において国道十六号線というのがございますが、この十六号線の交通渋滞のすさまじさというのは目に余るものがあり、国内でも屈指のものであることは周知の事実でございます。これに対応して建設省では、八王子市の左入から相模原市橋本までの全長約十キロメートルほどにわたり国道十六号線のいわゆる八王子バイパスを計画しておりますが、現時点では八王子市の大和田地域で約三キロメートルが完成しただけでございます。その余の地域ではこの計画はほとんど進んでいない、これが実情であるように思います。  そこで、早期完成を望む声が強いのでありますけれども、完成を目指して用地買収の問題、いろいろと問題があろうと思いますが、用地買収等そうした懸案となっている問題の解決の見込みがどうなっているか、それとまたあわせて、完成のめどとして第八次道路整備五カ年計画の終わる昭和五十七年度までには何とかできないものか、こういう声もございますので、見通しとこれに取り組む決意のほどをお伺いしたいと思います。
  331. 渡辺修自

    ○渡辺説明員 八王子バイパスにつきましては、先生のお話のように、北の区間二・九キロメートルを昨年の十二月に通したわけでございますが、残っております南の方の七・六キロメートル、これがまだ残事業費が約四百億円となっておりまして、かなり長期間を要する状況でございます。  そこで、五十三年度予算におきまして、残っております。六キロのうち、都道の上館日野線から都道の相原浅川線まで、延長にいたしまして四・五キロメートルでございますが、これを日本道路公団の一般有料で整備をしようということで、ただいま御審議をいただいております予算の中に含めてございます。五カ年計画の終わります五十七年度までにというお話でございますが、いろいろ用地買収その他の問題もございますし、私どもとしては、極力急ぎたいとは思いますが、五十八年くらいというふうにただいまは考えておるところでございます。
  332. 長谷雄幸久

    ○長谷雄分科員 この国道十六号線の八王子バイパスが仮にいまの時点で完成したとしても、現線及びバイパスにおける自動車輸送量は相当なものになるであろうことは、十六号線の現線の現状から見て明らかに予測できるところでございます。  そこで、将来の展望として、八王子バイパスの早期完成とあわせて国道十六号線の機能を補完し、あるいはこの地域における交通需要に対応するため、新たな国道を建設する必要性についてどういう認識を持っておられるか、この所見をお伺いしたいと思います。
  333. 渡辺修自

    ○渡辺説明員 先生のお話のものにつきましては、八王子周辺のいわゆる東西方向と南北方向と両方あろうかと思いますが、東西方向は幸いにしまして中央高速道路等もございまして、かなり強いわけでございますが、南北方向が弱い。いまの八王子バイパスもそういうことでございます。  そこで、私どもといたしましては、十六号線のもう一つ外側に、広域的な都市圏の形成に資するとともに、その交通対策にもなるということで、都心を中心にいたしました半径四十キロから五十キロメートルくらいの大きな環状線をただいま調査しておるところでございます。名前は一応仮に首都圏中央連絡道路と申しておりますが、横浜、厚木、八王子、青梅、それから茨城の方にまいりまして水海道、それから千葉の佐倉、木更津、こういったところを連絡するようなものでございます。  ただ、これにつきましては、五十一年十一月に決まっております首都圏基本計画にも、この路線が入っておるわけでございますが、延長が約二百六十キロメートルになりまして、現時点で積算をいたしますと、全体事業費が六千五百億円にも達する大きなものでございます。私どもといたしましては、なるべくこの調査を進めまして、関連地域の整備の動向等を勘案しながら、この計画をなるべく早期に固めてまいりたいと考えております。
  334. 長谷雄幸久

    ○長谷雄分科員 こうした道路問題については、生活環境の整備と並んで住民の合意が得られることが非常に大事だと思いますので、この計画の策定並びに実行に当たっては、ぜひとも住民の意向を尊重した上で前向きな検討をされるよう望んで質問を終わります。
  335. 瀬野栄次郎

    ○瀬野主査代理 これにて長谷雄幸久君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして昭和五十三年度一般会計予算昭和五十三年度特別会計予算及び昭和五十三年度政府関係機関予算運輸省所管についての質疑は終了いたしました。  次回は、明三日午前十時より開会し、郵政省所管について審査いたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後七時五十一分散会