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1978-03-01 第84回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月一日(水曜日)     午前十時開議  出席分科員    主査 藤田 義光君       加藤 六月君    金子 一平君       村田敬次郎君    毛利 松平君       川本 敏美君    兒玉 末男君       新盛 辰雄君    武部  文君       村山 喜一君    坂井 弘一君       瀬野栄次郎君    小宮 武喜君       中野 寛成君    西村 章三君    兼務 池端 清一君 兼務 上田 卓三君    兼務 小川 仁一君 兼務 木原  実君    兼務 島田 琢郎君 兼務 新井 彬之君    兼務 長田 武士君 兼務 山原健二郎君    兼務 大原 一三君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 福永 健司君  出席政府委員         運輸大臣官房長 山上 孝史君         運輸大臣官房審         議官      真島  健君         運輸大臣官房会         計課長     西村 英一君         運輸省海運局長 後藤 茂也君         運輸省船舶局長 謝敷 宗登君         運輸省船員局長 高橋 英雄君         運輸省港湾局長 大久保喜市君         運輸省鉄道監督         局長      住田 正二君         運輸省自動車局         長       中村 四郎君         運輸省自動車局         整備部長    犬丸 令門君         運輸省航空局長 高橋 寿夫君         海上保安庁次長 向井  清君  分科員外出席者         防衛庁防衛局防         衛課長     西廣 整輝君         環境庁大気保全         局自動車公害課         長       清水 達夫君         国土庁大都市圏         整備局整備課長 宮沢美智雄君         大蔵省主計局主         計官      角谷 正彦君         大蔵省主税局税         制第二課長   水野  勝君         中小企業庁小規         模企業部小規模         企業政策課長  富永 孝雄君         運輸省航空局飛         行場部長    田代 雅也君         労働大臣官房参         事官      野見山眞之君         建設省河川局治         水課長     川本 正知君         建設省河川局開         発課長     堀  和夫君         建設省河川局防         災課長     井沢 健二君         建設省河川局砂         防部砂防課長  大工原 潮君         建設省道路局企         画課長     渡辺 修自君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道常         務理事     高橋 浩二君         日本国有鉄道常         務理事     尾関 雅則君         日本国有鉄道常         務理事     吉武 秀夫君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     澤田 光英君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団理事)   平岡 治郎君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁)  大塚  茂君     ————————————— 分科員の異動 三月一日  辞任         補欠選任   石橋 政嗣君     武部  文君   岡田 春夫君     村山 喜一君   瀬野栄次郎君     坂井 弘一君   河村  勝君     小平  忠君 同日  辞任         補欠選任   武部  文君     新盛 辰雄君   村山 喜一君     岡田 春夫君   坂井 弘一君     石田幸四郎君   小平  忠君     小宮 武喜君 同日  辞任         補欠選任   新盛 辰雄君     湯山  勇君   石田幸四郎君     瀬野栄次郎君   小宮 武喜君     宮田 早苗君 同日  辞任         補欠選任   湯山  勇君     井上 一成君   宮田 早苗君     米沢  隆君 同日  辞任         補欠選任   井上 一成君     川本 敏美君   米沢  隆君     中野 寛成君 同日  辞任         補欠選任   川本 敏美君     石橋 政嗣君   中野 寛成君     西村 章三君 同日  辞任         補欠選任   西村 章三君     河村  勝君 同日  第一分科員新井彬之君、第二分科員上田卓三君、  第三分科員木原実君、島田琢郎君、長田武士君  、山原健二郎君、大原一三君、第四分科員池端  清一君及び小川仁一君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十三年度一般会計予算  昭和五十三年度特別会計予算  昭和五十三年度政府関係機関予算運輸省所  管)      ————◇—————
  2. 藤田義光

    藤田主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  昭和五十三年度一般会計予算昭和五十三年度特別会計予算及び昭和五十三年度政府関係機関予算運輸省所管について説明を聴取いたします。運輸大臣福永健司君。
  3. 福永健司

    福永国務大臣 昭和五十三年度の運輸省関係予算について御説明申し上げます。  まず一般会計について申し上げますと、歳入予算総額は、十七億一千四百七十六万八千円であり、歳出予算総額は、他省所管計上分一千十四億二千七百七十二万円を含み一兆二千四百五十一億七千三十三万二千円でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、比率で一八・九%の増加となっております。  次に、特別会計について申し上げます。  自動車損害賠償責任保険特別会計につきましては、歳入歳出予算額一兆二千九百八十二億百万円余、港湾整備特別会計につきましては、歳入歳出予算額二千六百八十一億七千八百万円余、自動車検査登録特別会計につきましては、歳入歳出予算額二百五十七億二千万円余、空港整備特別会計につきましては、歳入歳出予算額一千五百五十六億二百万円余をそれぞれ計上いたしております。  また、昭和五十三年度財政投融資計画中には、当省関係公社公団分として一兆五千六百九十九億円が予定されております。  運輸省といたしましては、以上の予算によりまして、まず第一に、日本国有鉄道再建を推進することといたしております。  国鉄再建につきましては、国会における国鉄問題審議経緯を踏まえて昭和五十二年十二月二十九日に閣議了解された「日本国有鉄道再建基本方針」に従って各般の施策を推進していくことといたしております。  これに基づき、昭和五十三年度においては、諸般の事情を考慮して所要の運賃等の改定を予定するとともに、国は、一般会計総額五千四百一億円を計上し、国鉄経営上の負担を軽減するための助成措置を一段と強化することといたしております。  第二に、新海洋秩序に対応して海上における警備救難公害監視等体制充実させるため、海上保安庁巡視船艇航空機等整備を強力に推進することといたしております。  第三に、交通基盤施設整備等投資的部門につきましては、港湾、海岸及び空港に関する各五カ年計画を推進するための予算を大幅に増額するとともに、東北、上越両新幹線を初めとする鉄道整備につきましては、これを重点的に進めることといたしております。  第四に、安全防災及び環境保全対策といたしましては、地震、火山対策集中豪雨対策海上防災対策空港周辺対策交通安全対策被害者救済対策等充実を図ることといたしております。  また、本年七月に予定される沖繩県における交通方法変更対策につきましては、必要な経費を計上し、その円滑な実施に万全を期することといたしております。  第五に、経営改善に努力している地方バス中小民鉄離島航路等に対し、地方公共団体と協力して助成を行い、国民の日常生活に不可欠な公共交通サービスの維持、確保に努めてまいります。  第六に、世界的な不況に直面している造船業対策に必要な財政投融資を確保する一方、最近の厳しい船員雇用情勢に対処するための船員雇用安定対策の一層の充実を図ってまいりたいと考えております。  なお、運輸省関係予算部門別重点施策の概要につきましては、お手元に配付してあります昭和五十三年度運輸省予算説明及び昭和五十三年度日本国有鉄道予算説明によりまして御承知願いたいと存じます。  以上をもちまして、昭和五十三年度の運輸省関係予算についての説明を終わりますが、何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  4. 藤田義光

    藤田主査 以上をもちまして大臣説明は終わりました。
  5. 藤田義光

    藤田主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は要領よく簡潔にお願いいたします。  これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武部文君。
  6. 武部文

    武部分科員 私は、公有水面埋立法に基づく境港外港埋め立ての問題について質問をいたしたいと思うのであります。  この埋め立ては、総工費百二十八億円、面積百十二ヘクタール、日本海沿岸では最大級規模のものであります。したがって、この埋め立て問題をめぐって数年にわたって賛否両論が渦巻いてきたわけでありますが、ことしに入って一月十九、二十日と環境庁現地調査団が訪れました。これは運輸省から環境庁長官環境アセスメントに基づく意見を求められた、これに対する現地調査団でありまして、私も二日間調査団と同行いたしました。この環境庁意見に基づいて、二月二十日に運輸省埋め立て認可をしたと聞いておるのでありますが、環境庁がいつ運輸省意見を述べ、あなた方はどういう経過をたどってこの認可をされたか、まず最初にそれをお伺いしたい。
  7. 福永健司

    福永国務大臣 ただいまお尋ねの点、環境庁長官より、本件埋め立て免許認可については異存はないが、埋立地土地利用具体化に当たっては、さらに環境保全上万全の措置が講じられるよう、また埋め立て工事実施に当たっては、環境保全上十分な措置が講じられるよう配慮願いたい旨の要請がつけられております。また環境庁における検討結果として、担当局長より、一、工事実施期間中の水質、埋立地背後地排水状況等監視結果、二、埋立地立地計画具体化される段階における環境影響評価、及び三、埋め立て完成後の事後評価について、その結果を環境庁あて報告するよう措置されたい旨、それから、これとあわせて、四として、自然環境保全について、緑地により調和効果等早期達成、及び五、地域環境管理体制充実を図る必要がある旨の意見が付されております。  これらの意見を慎重に検討した結果、環境庁からの意見要請等は、いずれも埋め立て免許大臣認可に支障を与えるものではないと判断されましたので、昭和五十三年二月二十日付で認可をいたしました。これとともに、これらの意見要請等のすべてについて、出願人である鳥取県または関係当局に対して指導等を行うよう免許庁に対して通達をいたしました次第でございます。
  8. 武部文

    武部分科員 今月の十八日の土曜日に環境庁運輸省に対して意見を提出し、中日曜日一日置いて二十日にはすでに運輸省認可をしたということになるのでありまして、まさに電光石火とはこのことだと思うのでありますが、この問題は、冒頭申し上げたように、数年間賛成反対がうず巻いた、しかも衆議院の公害対策特別委員会では反対のための請願が採択されたという経緯があります。そういう中で、本当に土曜日から日曜一日はさんでこういう認可がされたということは、環境庁調査の結果に基づく意見というものが、内容的には何ら考慮に値しないものだというふうに運輸省は考えてやったとしか私は思えないのであります。特にこの二日間、雪の中を環境庁皆さんは、非常にまじめに大変な寒さの中でやられたわけですが、その調査の中でも、賛成反対両方意見もいろいろ聞いておられました。大変重要な問題が出たわけです。そういう問題が、いとも簡単に、この短時間のうちに運輸省認可したことについて私は大変疑問を持つのであります。したがって、これから疑問の点について申し上げますから御回答いただきたいのです。  いま大臣から五つばかりの点についてお話がございました。その中で、非常に重要なことが一つあります。私はここに、環境庁運輸省に対する意見書を持っておるのでありますが、これは決して五つではない、全部で九つに該当するのであります。この九つの中で、私は三つだけ非常に重要なことがあると思います。  時間の関係ではしょってお話をいたしますが、まず第一は、検討事項の中に「企業立地計画が変化する可能性が考えられる」ということが載せらております。これはどういうことかというと、今日、境港は約四十五万坪の造成地がすでに昭和三十九年から四十二年まで三年間にわたって立地をされました。四十五万坪の土地造成されておりますが、しかし、その利用は現在わずかに四八%です。半分に満たない、あとは全部草っ原であります。そういう状況がすぐ隣にある。今度公有水面であなた方が埋め立てを許可される面積は、そのすぐ隣であります。  このようにして、すでに昭和四十二年に造成をされ、十年たっておるこの膨大な四十五万坪の土地が半分以下に利用されておるということは一体何を物語るか。これは少なくとも今日の経済状態の中で工場進出が不可能である、企業立地がとても行えないという状況を端的に示しておると思うのです。  したがって、公有水面埋立法に基づいて申請を出された内容を見ると、境港にある企業を、特に食品業を集中的にそこに持っていくのだ、こうなっておるのでありますが、一体立地条件として可能と見ておられるのか。ここに図面がございますが、このように確かに張りつけの面積はきちんとなっております。しかし一体、ここにどこの会社が、どういう規模会社進出するのか大変問題なんです。いま申し上げたように、すぐ隣でさえ半分以下なんですから、ここへ出てくる可能性は本当にあるのだろうか。  環境庁公有水面埋立法に基づいて遊休化を非常に懸念しておる、だからこそ、この中に「将来立地計画が変化する可能性が考えられる」、こうなってくると、この埋め立てをやろうとした目的である境港に点在する悪臭を放つ水産業等をみんな持ってきて、そこに集約化する目的は確かに理屈があり、それは私どもも認めますが、しかし、それができないとなったときに、今度は他の県外公害事業というものがここへやってくる可能性があるのじゃないか、そういう点について環境庁は非常に懸念をしておるのであります。これについて運輸省の見解をひとつ承りたいと思います。
  9. 大久保喜市

    大久保政府委員 ただいま先生の御指摘のように、ここに隣接する地域既存埋立地立地状況というのは、まだ相当あきがございます。しかしながら、この竹内地区埋め立て計画というのは、中海地区新産都市建設計画というような地域の長期的な総合計画一貫として計画されているものでございまして、この計画自体につきましては、昨年の新産都市建設計画の見直し、その際におきましても、やはりこれは必要であるということで、そのまま継承されているものでございます。そういうような新産都市建設計画一貫として考えられております計画でございまして、御指摘のように、ここに立地する企業につきましては、既存境港市の都市環境改善、こういうようなことのためにも、ここに集約移転することを目的にした土地造成を考えているわけでございますが、これはどこまでも長期的な一つの計画を逐次進めていくためにあらかじめ用意しなければならない用地でございまして、その用地必要量といたしまして、一応想定といたしましては食料品製造業二十三社、それから輸送用機械機具製造業六社、金属機械製品製造業十一社及び窯業土石製品製造業四社が移転するものと仮定いたしまして、土地利用計画環境アセスメントを行っているわけでございます。  それで、この埋立地の処分に当たりましては、具体的には公募により立地企業適格者を決定するという手続を踏むことになっておりますので、現時点企業名等を特定することはできない次第でございます。それは現行の公有水面埋立法におきましても、地方公共団体等がこういう地域開発のために計画的にあらかじめ用意をして分譲するための埋め立てをやることが認められているわけでございまして、その限りにおきまして、現在この立地企業が厳格な意味での特定はされておりませんけれども、これは公有水面埋立法上不適法であるという判断はできないわけでございます。しかしながら、当初想定したものと将来時点で立地した場合と状況が異なる場合に、あらかじめ行いました環境アセスメントというものがそごを来すおそれが懸念されますので、そういう点から環境庁といたしましては、ただいま先生から御指摘のような御意見をちょうだいしたわけでございます。したがいまして、この点につきましては、私どもといたしましても、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、この環境庁からの御意見をしかるべく免許庁を通じまして関係者に伝達をいたしている次第でございます。
  10. 武部文

    武部分科員 そういたしますと、ここに進出する、いまあなたが数字をおっしゃった食料品製造業二十二社等全部合わせて四十五、この四十五の会社進出すると仮定をしておる、こういうことですか。埋め立て申請者は、この四十五の会社名をあなたの方に、申請書の中に入れておるということを言っておりますが、間違いありませんか。
  11. 大久保喜市

    大久保政府委員 先ほど申しましたように、分譲のためにあらかじめ想定して土地利用計画を立てなければなりません。それで、そのための標準の姿を見出すために、現在の境港市に存在いたしますところの企業等から、その可能性ありと目されるものを一応摘出いたしまして、それをもとにして先ほど申しましたような想定作業を行ったわけでございます。その想定作業に使いましたサンプルにつきましては、これは私ども補足的な説明を徴しております。
  12. 武部文

    武部分科員 そういたしますと、その四十五の会社名は、あなたの方では仮定としてもう出ておるだろうと思いますが、それを資料としてお出しいただけますか。
  13. 大久保喜市

    大久保政府委員 これは先ほど申しましたように、想定をするために調査したもので、補足資料の方にはございますが、これはどこまでも想定のためのものでございますので、私どもといたしましては、これがそのとおりになるというふうには理解しておりません。しかし、この中にそのとおりになるものもあろうと思います。  そういうことからいたしまして、私どもといたしましては、この個々の会社名はこの事件につきまして直接の関係があるというふうには理解しておらない次第でございます。
  14. 武部文

    武部分科員 これは非常に大事な問題であります。なぜならば、冒頭申し上げたように何十万坪も隣には遊休地があるのです。それなのに工場進出仮定して、出てくるだろう、そういうことで反対も渦まいておるさなかに、あなた方がそんないいかげんなことで許可をされるということについて、私は納得できないのです。  私自身、想定される会社に当たってみたのです。そうしたら事前の協議も得ていなければ進出する意図も全然ない、こう答えている。それは窯業関係水産業造船もあります。具体的に会社名を言ってもいいですよ。  それなのに、隣の坪の単価は当時は一万数千円、今度県が開発公社に一万坪払い下げますが、現在造成されておる四十五万坪のうちの残りの約二十数万坪、この単価は二万四千九百五十七円、約二万五千円足らずですね。ところが、今度造成される竹内埋め立て単価は推定五万三千円ですよ。これは倍以上ですね。こういう不況下で、しかも水産業界がいま大変困難な面に陥っておるときに、隣り合わせにあるのですから、こんな中小企業が倍もするようなところに一体立地を求めて進出するでしょうか。そういう点に非常な疑問があるのです。  ですから、われわれはもっと具体的な会社名を知りたい、そしてこの会社名がわかれば従業員数もわかる、どんな工場かということがわかれば、そこが汚水を出し、そして公害をまき散らすというような企業かもわからない、こういう点も非常に心配するからこそ、この環境庁調査を依頼をしたわけです。  しかし、いまあなたの答弁を聞いておりますと、全く張りつけだけはりっぱなものができているが、一体ここのAというところに何の会社が、どういう規模のものがどういう汚水を出し、排水量はどのくらいかということが全然わかっていない。こういうときに、こういう計画一体皆さんの納得を得るでしょうか。私はそうは思わない。  だから少なくとも、仮定であっても結構ですから、四十五の申請された具体的なものの名前を明らかにしていただきたい。そうすれば、これならばある程度こういうものの排水汚水処理場が必要だということになるでしょう。現在、四十五万坪のところにも確かに汚水処理場があります。しかし、それは小さくなって全然だめだ、こうなっておるのです。今度は大きいところなんですから、どういう規模会社が来て、水産加工業ならばどのくらい汚水を出す、そういうことがわかって初めて汚水処理場規模も決まっていく。これは常識でしょう。そういうことがこの中では全然わかっていない。それなのになぜこんなことを急いであなたの方が認可されたか、私は非常に疑問に思うのです。  ですから、仮定であっても結構ですから出していただきたい。造船、特に二十三の食品業、これの進出する可能性は全然ないとわれわれは見ておる。だとするならば、これはあなた方が四十九年六月十四日付で運輸省港湾局長建設省河川局長の連名で県知事あてに「公有水面埋立法一部改正について」という中でお出しになっておる「埋立地遊休化防止について」、これに違反をすることになる。それは目に見えておる。  したがって現在、認可はされたけれども、これからの埋め立て実施に当たっては、いま言うような点を十分考慮すべきではないか、こう思うのですが、いかがですか。
  15. 大久保喜市

    大久保政府委員 最初に御答弁申し上げましたように、この埋め立て計画は、中海地区新産都市建設計画一環として長期的な地域開発計画の一部を構成するものとして計画されたものでございます。そういうような事情からいたしますと、ある長期的な見通しのもとに必要な用地造成をいたさなければなりません。したがいまして、それを現時点で、明らかにここに移るものということだけで決めるということについては、非常に問題を生ずるわけでございます。そういうことから、やむを得ず新産都市建設計画一環としてこの地域社会をどういうようにする必要があるか、どうすべきかということを考えまして、それの必要とするところの用地造成規模なり、それに関連する基盤施設整備の総合的な計画をつくったのが県の立場であろうと思います。  それにいたしましても、その際、工場関係想定をしなければならない、その場合には既存境港市にある工場の業種、業態、そういうようなものを一応参考にして標準規模想定していかざるを得ないということから、出願者である県の企業庁の方としてはそういう作業をなさったというふうに理解をしておりますし、また、その点が免許庁としてもそういう判断で免許するに当たるというふうに理解をし、認可申請をしてきたわけでございます。  そういうことでございますので、手続上といたしましては違法性がございませんので、これに対して速やかな行政の処理をしなければならないという判断で認可した次第でございます。
  16. 武部文

    武部分科員 この問題、私は納得できませんから、また改めて運輸委員会でやることにいたしましょう。  そこで、問題点が二つあります。あと時間が十分間しかありませんので、環境庁からあなたの方に意見が出た、その中の、大臣は先ほど五つ言われたが、私の申し上げることについて事実かどうか、それだけ聞かしてください。環境庁は「公有水面埋立てに関して調査検討した資料を求めに応じて明らかにすること。」「地域住民の理解をうるよう努めること。」、この二つを環境庁意見として運輸省に申し出た、こういう事実がありますか。
  17. 大久保喜市

    大久保政府委員 私どもの方が環境庁からちょうだいいたしました、長官から大臣あての回答に付随いたしまして局長から局長あてにいただきました文書におきましては、そのような表現はございません。
  18. 武部文

    武部分科員 これは大変重大なことでございます。私はここに具体的な文書を持っておりますが、これは環境庁から、同行した国会議員に対して、こういう意見書をあなたの方に出したというものでありますが、これが全然あなたの方にないとするならば、環境庁はうそを言ったことになりますよ。同席してもらって真偽をはっきりしなければならない。なぜこういうことが載ったか、どういう説明があったか申しましょう、時間がありませんから。  この二つについて運輸省が県を指導する、県知事は港湾管理者を指導する、県知事は港湾管理者なんです。自分が自分を指導するというのだから、こんなばかげたことはないが、いずれにしても、この問題で膨大な資料をあなた方に県は提出しており、その膨大な資料環境庁に持ち込まれ、環境庁はそれを調査してまたあなた方に返しておる、ところが、その膨大な資料が全然公開されないのです。われわれが見せてほしいと言っても見せない。ましてや反対派には全然見せない。一体どういう埋め立て申請書になって、一体どんな付属の書類が出たか全然わからぬ。だから、そういうことではなくて、環境庁としては、そういった膨大な資料を求めに応じて明らかにする必要がある。これを運輸省に明白に述べたと言っておるんですよ。それから住民の中には反対者が非常におる、請願も受け付けられておる、したがって、住民には計画をよく説明しなさいということをあなたの方に言った、こうはっきりなっておる、どうですか。
  19. 大久保喜市

    大久保政府委員 この点につきましては、出願のあった時点以降、私ども環境庁意見照会をするまでの過程におきましても、反対者の方々がいろいろお見えになりまして、その都度、反対の方々の申し分もよく聞きまして、県あるいは境港管理組合がわれわれの意見を聞いてくれないということを盛んに言っておりますので、そういうことのないように、私ども地域社会の人々の理解と協力を得て行政を展開するようにということを常々繰り返し申し述べてきたわけでございます。  それで、認可の直前におきましても、こういう点は大丈夫だろうなということの念押しをいたしましたところ、境港の管理組合の長でありますところの鳥取県知事からも、今後も住民の方々の理解と協力を得るように努力するということを私どもの方にはっきりと意思表示がございました。環境庁からの意見、これを今後履行するに当たりましても、このことは大事なことだと思いますので、私はこのことに関心を持っておったわけでございますが、管理組合の長の方からそのような意思表示もございましたので、そのことは環境庁の方にもお伝え申し上げたわけでございます。そういうようなことから、あるいは結果的にはそのものに触れていなかったのかもしれません。
  20. 武部文

    武部分科員 それはちょっとおかしいですね。いまあなたは、六と七、私が読み上げた二つの項については、管理組合の責任者である知事がかねがねそういうことについてそういう考え方を述べておった、こういうことをおっしゃったわけですね。私がこの文書を受け取ったのは、あなた方が認可された二十日ですよ。この日に具体的に環境庁は、意見二項目、検討事項七項目、こういうふうにして意見運輸省に提出いたしました。それで運輸省は本日付でもって認可をされる予定です。そういう話でした。  これは私がつくったものじゃないですよ。ちゃんと環境庁がつくって持ってきたものの中に二つの重要な問題がある。ところが故意にこれを落としてある。ここが問題なんですよ。二月二十一日付境港管理組合事務局長名でもって鳥取県企業局長に「公有水面埋立ての免許について」という具体的な文書が出ております。これは二十日に認可を受けてすぐ明くる日出した文書ですが、この文書の中に確かに大臣のおっしゃった五つのことが書いてある。しかし私がいま言った二つのことは故意かどうかわからぬが落としてある。ここが問題なんですよ。この二つの問題は、これからの埋め立てに関して一体どういう企業が出てくるのだろうか、あるいはこれにはどんな賛成意見があるだろうか、そういう点についての膨大な資料を見せてやれ、住民の理解を得るようにしろ、こういうことの二つだけが故意に落としてある。この二つの問題というのは、非常に重要だと私は思うのです。  現地は賛否両論非常に大変なんですね。しかし、もうあなた方は認可されたのだから、認可された以上は工事は進められるでしょう。しかし、円満に工事を進めなければいかぬ、地元で混乱が起きてはいかぬ、そういう意味で、わざわざこの二つの問題が載っておる。だから、この問題については運輸省としても十分理解を示して、県知事に対して、反対派にはこういうふうに理解を得るように努力しなさいとかいろいろなことを言うべきだ。私は環境庁意見は当然だと思う。それをあなた方は故意に、重要な二つだけをなぜ落とされるのか。しかも管理組合は、それをそのまま受けて、その二つの問題をここに全然載せていない。私は、ここに運輸省なり管理組合の姿勢を見るような気がするのです。もう時間が来ましたから、最後にその点だけ言ってください。
  21. 大久保喜市

    大久保政府委員 重ねて申し上げますが、私ども環境庁から文書をもってちょうだいいたしましたのは、先ほど申したとおりでございます。それでなお、先生指摘のように、関係地域社会の人々の理解と協力のもとに円満に大事な事業を進めることが必要でございますので、そういう点につきましては、私ども今後とも港湾行政の進め方一般の問題といたしまして港湾管理者によく指導してまいりたいと思いますし、また港湾管理者は出願者並びに地元関係者によくその点の協力を求めるように指導してくれるものと期待しておるわけでございます。その点につきましては、私どもといたしましては、はっきりと管理組合の長である鳥取県知事から、今後とも理解と協力を得るように努力するということの言を得ておりますので、私は、これを立場にいたしまして、今後とも指導してまいる所存でございます。
  22. 武部文

    武部分科員 時間が来ましたからこれでやめますが、しかし私は納得ができないのです。こういう重要な問題をなぜ、環境庁がいわゆる意見の中に付して出したのに、運輸省がことさらにそれを無視されるのかということについて理解ができません。ただ知事がどうだこうだとおっしゃっておるけれども、少なくとも環境庁運輸省との間には——この膨大な埋め立てをめぐっての環境アセスメント意見をあなた方は求めておられる。その意見について明白に九つの項目を述べておるにかかわらず、それを七つに縮めてあとの二つについては責任がないような、そういう答弁では私は納得できません。  しかし、これは水かけ論ですから、運輸省環境庁と今度は同席してもらって、その席上でこの問題についての経過をお聞きしたいということを申し上げて、質問を終わります。
  23. 藤田義光

    藤田主査 以上で武部文君の質疑は終了いたしました。  瀬野栄次郎君。
  24. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 熊本港建設、熊本空港整備、国際空港化問題、国鉄豊肥本線高架化と新駅設置並びに白川ダム、白川改修、竜門ダム建設等について、福永運輸大臣、建設省等関係当局に質問いたします。  熊本港は、物資流通の拠点である熊本都市圏に総合的な流通機能を充実させるためにも、また企業立地による所得の向上、雇用機会の増大に寄与するとともに、中国、東南アジア等の外国貿易に対する窓口を開くためにも必要不可欠のもので、本事業は、第五次港湾整備五カ年計画に組み入れられており、また第三次全国総合開発計画にもその整備促進がうたわれているもので、その重要性にかんがみ、一日も早い開港が望まれているところであります。  また熊本市は、昨年五月人日五十万を突破し、行政、経済、交通等各方面にわたって九州の管理中枢都市に位置づけられている現状であります。すなわち熊本港は、昭和四十五年度県、市で適地調査を行い、四十六年度計画策定に着手、四十九年度国の重要港湾に指定、五十年度第五次港湾整備五カ年計画に組み込まれているが、当初目標であった五十五年一部使用開始、六十年度完成は大きく延びているものであります。  私は、最初昭和四十六年二月二十五日、第六十五国会の当予算委員会第五分科会で熊本港問題を取り上げ、政府の見解をただし、その後、五十年の二月二十四日、さらに政府の見解を求めたところでありますが、あれ以来八年を経過しているが、この建設計画の最大のおくれの要因は、漁業補償交渉をめぐって、地元九漁協との話し合いがつかず難航している点にあるわけでございます。熊本県としても、漁業者の理解と協力を得るために日夜最大の努力をしていることは言うまでもございません。当然のことながら、地元漁民や住民に一人の犠牲も出さぬよう十分な対策を講ずるべきであります。  そこで、この漁業補償交渉についてこれまでの経過と問題点はどこにあるのか、その認識についてまず運輸大臣にお伺いをしたいのであります。
  25. 大久保喜市

    大久保政府委員 先生指摘のように、熊本新港につきましては、あの地域社会の非常に大事なプロジェクトといたしましてこの計画が進められてきたわけでございますが、御指摘のように、やはり利害関係が特にありますところの全面海域を利用しておる漁業関係者との調整ということが非常に難航しておったわけでございます。しかしながら、現時点におきましては、やはりともどもに将来成り立ち得るような空間利用ということについて理解と協力を得るように、水産振興策につきまして県からも具体的な考えを提示いたしまして、現在のところでは、たまたま現在漁業関係者がノリの収穫期等で忙しいという事情もございますもので御返事をちょうだいできない関係にあると聞いておりますが、その回答の集約を待って前進を図りたい。それで、やはり県当局といたしましては、港湾管理者といたしましては、これを一刻も早く、三全総にもうたわれている。プロジェクトでございますので前進させたいということで取り組んでおるやに聞いておりますし、私どもも、それを期待し、また応援をしたいと考えておる次第でございます。
  26. 福永健司

    福永国務大臣 ただいま瀬野さん御指摘のように、本件は非常に大切なことでもあり、私といたしましても、地元関係者との調整がうまくいって円満裏に進行することを切に希望いたしております。
  27. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 熊本港建設予定地の漁場には、御承知のように網田、網津、川口、海路口、畠口、沖新、小島、松尾、河内の九漁協に約五千人の漁業者がおります。漁業権だけでも共同漁業権が十二件、区画漁業権が三十七件、知事の許可漁業に至っては千九百八十一二件があり、これらの漁業権のうち沖新、畠口の二つの共同漁業権を初め区画漁業権五件が部分消滅するわけであります。また知事の許可漁業には地域指定がないため漁業ができなくなるということはありませんが、港建設による潮流の変化でエビ流し網を中心に多大な影響を受けることは明らかであります。熊本港建設は熊本県の将来がかかっているところの重要性は言うまでもないわけでありますが、一方、このように漁業者にとっては生涯の生活をかけた貴重な漁場であります。まさに地元五千人の漁業者並びに港建設による潮流の変化に伴う沿岸関係町村住民は、将来がかかっているだけに、不安のまなざしで見ているわけであります。  そこで、漁業補償交渉については、一名の犠牲者も出すことなく慎重に進めていただくことは当然のことながら、水産振興や将来計画についても、あらゆる角度から十二分に検討をしていただきたいし、そういったことを含めて今後の漁業交渉に臨む姿勢と方針、見通し等について再度運輸大臣から答弁を求めるものであります。
  28. 大久保喜市

    大久保政府委員 この点につきましては、現実にこの漁業交渉に当たりますのは、港湾管理者でありますところの熊本県でございます。そういうことで、私ども熊本県のこの問題に対する姿勢というものを徴しておるわけでございますが、先生指摘のように、漁業者にとってみればやはり生活のかかっている問題でございます。そういうことから、これまでの経緯からいたしますと、五十年の九月から十二月にかけまして熊本県が水産振興対策関係漁業協同組合に説明をいたしまして、また魚価の実態調査実施とか交渉委員の選出の要請等も行ってまいりまして、その後いろいろと紆余曲折を経てまいりましたが、一昨年、五十一年にようやく各組合の方で漁業交渉委員の設置がなされた。ようやく土俵に乗って話し合いをするような段階に来たということでございまして、それを受けまして五十二年、昨年の三月から十月にかけまして、県の水産振興対策、これを前回提示したよりもさらに具体的な形でつくりまして、それを個々に御説明を申し上げてまいったと聞いております。それで、その結果といたしまして、大体感触としてはある程度の理解を得られ、具体的にはなおいろいろ措置をしなければならぬ問題が今後の問題として残ると思いますが、どうやら見通しが明るくなったやに聞いております。  ただ、先ほど申しましたように、やはり漁業関係者もいろいろな業種、業態がございますので、それらの意見を集約いたしませんと、またおかしなことになるということを懸念いたしまして、現在の時点ではこの関係漁業協同組合からの意見の集約、それを待っているという状況と私、承知しております。
  29. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 せっかくひとつ国においても努力をしていただきたいと思います。  さらに熊本港が、これまでも申し上げたとおり、漁業補償交渉等の問題で当初計画の目標から大幅に延びておりますが、そのような関係から昭和五十一年度建設予算七億円のうち一億二千万円が本年三月で繰り越し期限が切れることになるわけであります。そこで、この一億二千万円は熊本港建設上必要な予算であるので、何とか使わせていただきたいと考えるわけでございます。  よって、これは私の一提案でありますけれども、従来、熊本港建設周辺干がたの変形防止調査を行ってきた経緯等これあり、ポートアイランドを結ぶ六百五十メートルの長大橋の建設等に予算使用ができるよう熊本県及び地元関係住民と積極的に誠意を持って話し合いを進めていただき、検討願いたいと考えるわけでございますが、当局はどのようにお考えであるか、答弁できる範囲でお答えをいただきたいと思います。
  30. 大久保喜市

    大久保政府委員 先生指摘のように、予算の制度上不用額になってしまうということが懸念されるわけでございますので、現在県当局におきましては、お話のございました橋梁の着工同意だけでもとりあえず全体の問題と切り離してちょうだいしたいということで、これは全体の問題と並行して関係のところと折衝していると聞いております。私どもといたしましても、せっかくの予算措置でもございますし、大分おくれているものでもございますので、部分的にそういう部分だけでも着工できれば予算のむだにならないということで、好ましいことと思って、いま見守っている状況でございます。
  31. 福永健司

    福永国務大臣 せっかくの瀬野さんの御指摘でもございますし、予算がむだになってしまうということは大変もったいないことでございますので、御意見の点等を念頭に置きつつ、急遽私からも関係方面にお話の趣旨等を伝えて善処せしめたいと存じます。
  32. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 よろしくお願いしておきます。  もう一点、熊本県の熊本港の五十三年度予算期待額は直轄事業六億円、補助事業四億五千万円、起債百六十八億七千五百万円で、計百七十九億二千五百万円を要求しておりますが、政府は、この要求に十分こたえて検討していただきたいと考えるわけですけれども、漁業補償交渉等残っておりますが、ひとつ積極的に推進を図っていただくように再度お伺いしておきたい、かように思います。
  33. 大久保喜市

    大久保政府委員 私どもといたしましては、先生の御要請にこたえるべく漁業補償の成り行きを見守っておりますが、現実には五十二年度予算も相当繰り越さざるを得ないという現実がございます。それで、やはりいま景気浮揚のために前倒しで早く執行しなければならないという事態もございますので、そこいらを勘案いたしまして、予算改算につきましては、できるだけ先生の御期待に沿えるように、しかしまた、港湾予算の効率的な執行を達成できるように検討してまいりたいと考える次第でございます。
  34. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 次に、熊本空港問題について運輸大臣にお伺いいたします。  成田新国際空港がようやく三月末に開港するということで、日本の空の流れは大きく変化することは明らかであります。政府は、三全総計画の中でも、現在国際定期便が就航している七空港に加え、新たに北海道、関西、九州に三カ所前後の国際交流の拠点となる空港整備し、国際航空網を形成するということから、関係各県でこの国際空港化問題が県民の声とともに真剣に検討、対策が講じられている現状であります。特に熊本空港は、九州の中心に位置し、また九州の中枢管理都市として、昭和四十六年四月開港以来五年目の五十一年末には利用客が百万人を突破し、昨年、五十二年には百二十三万七千人、一二四%増でございます。年々増加しておりまして、県民挙げて国内線の充実と国際空港化を悲願としておるのでございます。国際空港化に伴う滑走路延長も、現在の二千五百メートルから五百メートル延長して三千メートルが五十三年度予算で九州各県に先駆けて実現する見通しが立っておるわけでございます。  そこで運輸大臣は、九州における国際空港の対象港として具体的にはどこを考えていられるのか、まずお伺いしたいのであります。
  35. 福永健司

    福永国務大臣 わが国の地理的の環境等を考慮し、世界の進運をよく見るときに、いま先生お話しのようなことは非常に大切なことであると思います。日本全体といたしましても、空港について大いにここで考えなければならないことがあります。九州としてもまさにそのとおりでございますが、ここで国際空港に九州ではどこということを直ちに私が申し上げることは、私も多少考えがないわけではないのでございますけれども、いまとしては立場上慎まなければならぬことは御了承いただきます。ただ、九州も非常に大切であるということについては、強く私がそう思っていると言うことによって御了承をいただきたいと思います。
  36. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 そこで、この機会にお尋ねしておきますけれども、その条件、基準といつごろ設置するか、その見通しのめど等について、簡潔で結構ですからお答えいただきたいと思います。
  37. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 国際空港化の基準というふうなものを私ども持ち合わせていないわけでございます。将来の輸送需要の動向を見まして、その空港を国際空港化する必要があるということになりますれば、具体的には税関等の定員を配置する必要が出てくるわけでありますが、現在のところまだ税関の定員を配置いたしまして形式的にも国際空港とする事態になっておりません。将来の動向を見まして、いま大臣が御答弁申し上げましたような方向で検討いたしたいと思っております。
  38. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 熊本県では早くから韓国、台湾、東南アジア等国際チャーター便誘致に力を入れてきたわけでありますが、本年になって去る一月大型県議団が訪韓し、韓国政府及び大韓航空に対し熊本乗り入れの交渉を行いました。その運動も日増しに高まってきております。言うまでもなく国際化を実現するためには多くの難問が、ただいまも局長から答弁ありましたようにございまして、これらを解決しなければならないことは十分私も承知いたしておりますが、地理的条件、空港整備等諸条件からも熊本が最適であるので、ぜひとも九州の発展のためにも、九州の中枢管理都市である熊本県及び県民の熱意と期待にこたえてぜひ前向きに取り組んでいただきたい、かように思うわけでございますので、運輸大臣、どうかその点についてもひとつ力強い所信を承りたいのであります。
  39. 福永健司

    福永国務大臣 お話の点はよく伺っておきたいと存じます。
  40. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 よろしくお願いしておきます。  御承知のように、現在羽田空港は過密状態にありますけれども、成田空港の開港によって約百五十便の国際線が成田に移ることになり、羽田空港の過密が解消され、増便が期待されることになりますが、現在熊本空港は全日空一社の独占になっております。  そこで、東亜国内航空等の相互乗り入れ、すなわちダブルトラッキングについて運輸省認可をぜひしていただきたいのであります。このことについては昨年十二月、熊本県議会交通通信特別委員会に参考人として出席した全日空諏訪常務は、沼川県議の質問に答えて「ダブルトラックができないようにとは、全日空としては反対はしておりません。」と明確に答えておりますし、さらにまた、「熊本−東京あるいは熊本−大阪またその他の路線で、運輸省の方から認可があれば、われわれは一言も文句を言えなくなっております。誤解ないようにしていただきたいと思います。」と陳述されております。  よって、東亜国内航空等の航空会社から申請があれば認可されるようお願いしたいわけでございますが、運輸大臣の確たる答弁を求めるものであります。
  41. 福永健司

    福永国務大臣 お話しの点等につきましては、日本全体としても考え、また、いまお話しのような熊本の強き御希望も十分に考えていかなければならぬと思います。具体的にどういうように増便をしてどこにどうということは、ここで明言することについては御容赦をいただきたいと思います。
  42. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 補足いたします。  いわゆるダブルトラックの問題でございますが、これは私ども一般の産業政策でも同じでございますけれども、需要の多いところを供給者が一人で独占するということになるのは、やはり消費者保護のためによくないということから、航空路線につきましても、需要の多い路線については二社ないし三社で公正競争するということがいいと思っております。  最近の各路線の需要の増加動向を見まして、そういう必要がある路線につきましては、複数の会社による競争体制をつくるつもりでおりますが、具体的に熊本をどうするかということにつきましては、今後なお検討いたしたいと思っております。
  43. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 時間の関係で急ぎますが、次に、国鉄豊肥本線の高架化と新駅設置についてお尋ねします。  熊本市では市の中央を横断する国鉄豊肥本線を高架化することにより、その下に南北幹線道路ができないかどうかについて、昨年、民間の研究機関である日本交通技術株式会社調査を委嘱し、昨年六月、国鉄豊肥線高架化計画予備調査報告書として結果をまとめております。豊肥本線は熊本市を西北部と東南部に二分し、市街地を通る距離も長いため、交通渋滞の原因となり、経済発展の障害になっておるとともに、踏切も多く、事故も絶えない状況下にございます。しかも市の事実上最も中心である水前寺ガードの両サイドは、一キロメートルに近い盛り土区間があり、将来の百年の大計からして大問題であり、私が住んでいる地元も早くから、こういう市内のど真ん中に盛り土区間があることはナンセンスであるということで、高架化の要望が強く盛り上がっておるところでございます。  また、この構想は、昭和四十四年建設省と運輸省が結んだ都市における道路と鉄道との連続立体交差化に関する協定に基づき、都市計画事業として行うもので、今回まとまった報告によると、高架区間は竜田町陣内から十禅寺踏切区間七三キロメートルで、地下にもぐらせる方式なども考えられますが、鉄道高架式が実現性が強い、このように結論づけております。また、高架下に幅二十二メートルの道路を通せば、一日四万台の通行が可能となることになります。  運輸省は、この豊肥本線高架化についてどのように承知し、検討をされ、かつ対処される方針か、伺いたいのであります。
  44. 福永健司

    福永国務大臣 最初にお触れになりました調査の点は、熊本市が単独で行ったもののようでありまして、具体的な報告を運輸省が受けているわけではございませんが、いろいろいまお話も伺いまして、有益な御発言でございますが、私といたしましては、都市計画事業者からその種の高架等について申請がございまするならば、これを尊重して国鉄の方へ私からも申し伝えたい、そういうふうに考えております。
  45. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 運輸大臣には、ここに持ってきていますが、こういうのはいずれまたそちらのお手元に届けますけれども、こういう調査をしているわけです。  四十四年に建設省と運輸省との間で締結された運建協定の鉄道高架事業採択基準等を見ますと、この七・三キロメートルのうち本荘−渡鹿間の四・四キロメートルが基準適合区間となるわけでありますけれども、この区間は県、市より申請があれば当然採択してもらいたいわけでありますし、経済的効果から考えれば、熊本市の百年の大計等からして竜田−十禅寺の先ほど申し上げました七・三キロメートルのいわゆる総事業費は、約四百二十億くらい要すると思われますが、高架を一挙に行った方がメリットも大きいということでございますので、そういう方向でぜひ検討していただきたい。そして採択基準等も具体化してきたならば検討していただきたい、こう思いますが、その点もお答えいただきたいと思う。
  46. 住田正二

    ○住田政府委員 先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、まだ具体的な話が私どもの方へ来ているわけでございませんので、申請がありました段階で、現在の協定に沿うようにできるだけ指導してまいりたいと思っております。
  47. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 なおこの機会に、これに関連して申し上げておきますけれども、この熊本から大分へ参ります豊肥本線が通過している熊本市北部地区においては、隣接する熊本県菊池郡菊陽町とともに、近年楠団地、武蔵ケ丘団地等九州最大の大団地が建設され、人口が急増しておりますが、この団地は近くに国鉄駅がなく、住民の利用が困難な状態にあります。したがいまして、国鉄竜田口駅と三里木駅との間に新駅を設置し、住民の利用に供するよう早急に対処していただきたいというのが切なる願いでありますが、検討の御用意があるか、お答えいただきたいと思う。
  48. 福永健司

    福永国務大臣 私としてはよく調査させたいと思いますが、具体的に事務を担当する方面からさらにお答えをさせます。
  49. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 ただいまお話しのように、この付近は団地があって、かなり人口がふえておることは承知しております。現在、この国道あるいは団地から市へ直行しておりますバスは合わせて百八十本ぐらいありまして、それに対して国鉄が十一本ということで、かなり輸送の頻度に差があるということもございまして、いま御指摘の三里木と竜田口との間の駅にどのくらいお客さんがあるのかが一つの問題だろうと思います。  それと、この付近の駅の設置の物理的条件がございまして、実はこの区間はかなり連続した勾配区間でありまして、千分の二十四という急勾配の区間でございますので、仮に駅を設置するといたしましても、現在のところ最大千分の十ということで、千分の二十四ではちょっとむずかしいという事情がございますので、われわれとしては現在のお客さんの流動の実態から見て、それほど多くのお客の期待ができないということもありまして、現状では若干むずかしいのではないかという感じがいたしております。
  50. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 新駅設置については、十分今後とも引き続き検討して、住民の要望にこたえていただきたいと思います。  時間がございませんのではしょって質問いたしますが、次に、一級河川白川改修並びに白川ダム建設について、建設省に伺います。  昭和二十八年六月二十六日の水害により大災害をこうむった熊本県及び熊本市では、市内を貫流する一級河川白川の改修促進とともに、その上流で水量調節を図る必要からもダム建設が叫ばれ、昭和四十三年から白川総合開発調査、すなわち白川ダム建設の調査が行われてきております。昭和四十三年から五十二年までの調査費総計は二億四千八百万円を投じて来ましたが、この問題について私も当委員会で当初から七回、災害対策特別委員会においても二回の質問を行いまして、特に五十一年からは私の提案によって九地建に開発調査課を新設されまして、本格的な調査、建設促進が図られていることは、当局も十分承知のとおりであります。  すなわち、四十三年よりちょうど十年間という長い間調査を行い、いよいよ詰めの段階に入ってきていると思われますが、白川ダム調査結果と着工の見通しについて、建設省当局の答弁を求めます。
  51. 堀和夫

    ○堀説明員 白川ダムにつきましては、ダム地点が阿蘇溶岩地帯であるということで地質状況についてなお詳細な調査が必要な段階でございます。現在までボーリング、横坑、立て坑等の調査をやってきておるわけでございますが、さらに基盤の透水性等についてなお調査する必要があるということで、鋭意この推進を図っていきたい所存でございます。  私どもといたしましても白川水系における本ダムの重要性は十分認識しておりまして、地域の実情を十分考慮いたしまして、今後一層調査を推進するように努力してまいりたいと考えております。
  52. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 白川ダム建設の規模は今後も検討されるわけですが、いまどのように検討しておられますか。
  53. 堀和夫

    ○堀説明員 治水ダムとしては、洪水調節については私どもとしてもかなりの自信を持ってきているわけでございますが、問題は利水機能の方でございます。この点についてなお地質調査が必要でございますので、十分検討して対処したい、こういう段階でございます。
  54. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 次に、熊本市を貫流する一級河川白川の改修であります。  全体計画が六百八十三億円で、五十一年度までの施工額が百三十一億九千五百万円、進捗率一九・三%、五十二年度の実施計画は十一億四千万円で進捗率二一%となっております。これは大変おくれて、数年前から本委員会でもたびたび追及し政府を督励してきたところでありますが、私は一日も早く改修を促進していただきたい。二十八年の六・二六水害みたいなことが起きては大変なことであるということで、五十万市民の不安を解消するために促進を図ってきたわけです。五十三年度は予算が決まった上で配分になるわけですが、今後の見通しはどうですか。ぜひとも促進を図ってもらいたいと思いますが、簡潔で結構ですからお答えいただきたい。
  55. 川本正知

    川本説明員 白川につきましては、昭和三十一年から直轄事業として改修に着手いたしまして工事を進めてまいりましたけれども、最近では、昭和四十六年、四十七年、五十年、あるいは昨年もでございますけれども、毎秒千トン程度の出水がございまして、そのために当面毎秒千トンの疎通能力を持たせることを目標にいたしまして、河道の拡幅とか橋梁の改築、そういったものを重点に事業を進めてまいりました。昭和五十三年度、来年度末には熊本の市街地部分を、その千トンの暫定目標に対しまして何とか概成したいというふうに思っております。今後ともさらに狭窄部の拡幅あるいは下流の小島地区に対して重点を置きまして促進を図ってまいりたい、そう思っております。
  56. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 最後に、竜門ダム建設促進の問題について簡潔にお尋ねします。  熊本県菊池市において菊池川の支流迫間川に建設予定の総工費四百七十億円で計画されております竜門ダムがあるわけです。これについては、洪水調節、不特定用水、特定灌漑、さらに工業用水道の目的で地元ではぜひとも促進を図ってくれということでございますけれども、八十六戸の水没者もありますし、大分県の三津江村との分水問題等いろいろあるわけですが、時間がございません。この竜門ダムについても促進を図るべく数年前から私もたびたび政府を督励してきたわけですけれども、ぜひとも前向きに積極的に推進し、一日も早く完工をお願いしたいのですが、これらについての考えを建設当局からお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  57. 堀和夫

    ○堀説明員 竜門ダムにつきましては、地域の水没関係者の方々の御協力を得て、いままで一筆調査、それから代替地の造成等準備工事をやってきたわけでございますが、いよいよこれを本格化するということで、それには特定多目的ダム法による基本計画の策定が一番重要でございます。それで現在この問題について鋭意準備を進めておりまして、先生指摘の三津江の導水問題につきましても基本計画の中で関係者の御理解を得て進めてまいりたいと考えております。
  58. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 時間が参りましたので、以上で終わります。
  59. 藤田義光

    藤田主査 以上で瀬野栄次郎君の質疑は終了いたしました。  次に、池端清一君。
  60. 池端清一

    池端分科員 私は、深刻の度をますます加えております造船対策、とりわけ中小造船対策について、政府の御見解をお尋ねしたいと思います。  御案内のような状況で、かつて五〇%前後の進水量を誇っておりました造船王国日本も、いまやオイルショック、そしてそれ以後の円高不況という状況の中で、いま大変な状況に直面いたしております。五十二年度の倒産件数は実に上十三件、負債総額も一千六百六十一億円に達しておるわけでありますが、地域によっては造船パニックというような状況も招来しておるわけであります。  そこでまず最初に、時間の関係もございますので、この造船不況の現状と今後の対策等について概括的にその方針を承りたいと思います。
  61. 福永健司

    福永国務大臣 私の最も頭を痛くしておりますことの一つが造船不況でございます。わが国の造船業は、タンカーの船腹過剰等による新造船受注量の激減等によりまして、工事量の減少、それに伴う経営の悪化にいま呻吟をしておるということでございます。受注量も非常に減って、五十二年度四月から十二月のものについて見ますと、約四百二十万総トンであり、これは前年同期の六七%程度であります。特に五十三年度以降はまだ工事量の確保が十分でなくて、造船不況は一層厳しさを増しております。  このような情勢にかんがみまして、政府はこれまで過剰設備を防止するための造船施設の新増設の抑制とか、あるいは過当競争や国際的摩擦を避けるための操業調整及び船価指導等不況対策を講じてまいりましたし、また同時に、これらの措置が円滑に進められるよう一連の雇用、金融、事業転換の促進等の措置を講じてまいりました。  今後当面の措置として、仕事量の大半を占める輸出船の建造に必要な輸銀資金の確保、内航船の代替建造等の促進、造船業の仕事量確保に鋭意努めますとともに、造船業の有する技術を活用いたしまして、船そのものをつくるのみでなくて、大型海洋構造物等の新分野への展開を図ってまいりたい、おおむねこういうことを考えております。
  62. 池端清一

    池端分科員 いまその現状についてお話がございましたが、わけても深刻な危機に画面しておるのが中小造船業界だと思うわけであります。倒産の状況を見てみましても、波止浜造船の二十二億円は別といたしまして、おおむね資本金三百万円から多いところでも五千万円という中小企業に集中をしているわけであります。御案内のように、造船の場合は、中小企業といいましても従業員が数千人から少ないところでも数百人を抱えているという企業でございますし、地域的に見ましても、地場産業として地域経済に大きな貢献を今日まで果たしてきている、こういうような企業でございます。さらにまた、造船の場合、大手と中小では企業体質がすこぶる異なっておる。大手の場合は、五十一年度の生産実績を見ましても、たとえば三菱重工では、総生産実績が一兆三千百十億円のうち船舶部門というのは四千四百億円、また石川島播磨の場合は、これは総生産実績が六千九百九十一億円でありますけれども造船関係は二千百十九億円、こういうことで、三分の一にも造船関係はいっておらないわけであります。言うなれば、大手の場合は総合重工業でありますが、中小の場合は造船専業である、こういうふうに企業体質が異なるわけであります。ですから、こういう体質が異なるところへ、大手が中小の分野にいま、極端な言葉を言えば殴り込みをかけている、こういう状況でありますから、中小はもうどうしようもない、こういうのが今日の状況であります。  したがって、いま政府として緊急に対応しなければならない課題は、中小造船の保護対策、これが緊急の課題ではないかと私は思うわけでありますが、これについての政府の対策をお尋ねしたいと思う。
  63. 福永健司

    福永国務大臣 造船業全体が不況にあえいでおりまして、なかんずく中小のものが苦しいという御指摘は、私もそうだと思います。最近の船舶の建造需要はかつてのようでなくて、大型船がほとんどなくて一万トン以下の需要がほとんどであるというような、そういう状況でございますので、大手が小さいものに手を出すなというわけにもなかなかまいりませんが、そういう中でも大手が大型建造ドック等に、大きいのだから同時に二隻以上の船を建造するというようなことも可能ではございますけれども、そういうことをさせないようにいたすとか、また巡視船艇とか公団共有船等の建造に当たってはできるだけ中小造船所に対して配慮するというような、若干の例を挙げますとそういうように、いずれにいたしましても、ただいまお話しのような中小に重点を置いた措置等も講じておりますが、しかし、率直に申しまして、決してこれで足れりというわけではなく、現在もなお非常に苦しんでいるということについて、私も非常に頭を痛めておる次第でございます。
  64. 池端清一

    池端分科員 率直な御表明がございましたが、私も確かにいまのような対策では十分ではないというふうに言わざるを得ないと思うのであります。業界では昨今、四当三落というような言葉がささやかれているという話も聞いております。四割の値引きなら受注できるけれども三割の値引きでは受注できない、こういう意味だそうでありますが、労務費は出なくてもやむを得ない、他の部門で賄うという姿勢で大手が中小の分野に進出してくるということであれば、中小は一たまりもないと思うのであります。  そこで、こういった弱肉強食に歯どめをかけるためには、船舶局としては基準船価というものも決めておられるようでありますので、この基準船価以下では建造の許可は与えない、こういうようなチェックといいますか、規制を厳しくするということが必要ではないかと思いますし、また中堅なり中小の仕事量確保のためには建造能力別規制というものを厳しくしていく、そういう厳然たる姿勢でひとつ対応していかなければだめではないかというふうに考えるわけでありますが、その点についてはいかがでございましょうか。
  65. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 先生指摘の船価の指導につきましては、従来から過当競争によります赤字受注の防止等の観点からやってまいっておりますが、現在六つの船の種類、十六船型について基準船価を決めて実施しております。先ほどの問題とも関連いたしますが、大手、中手のA、それから中手のBというグループに分けまして、それぞれのコストに見合った基準船価で指導しておるわけでございます。したがいまして、今後とも苦境に立ちますれば立つほど船価の維持ということは非常に重要な問題である、こう考えておりますので、今後とも厳正に船価指導をしてまいりたい、こう考えております。
  66. 池端清一

    池端分科員 次に、先ほど大臣も言われましたけれども、新たな分野をひとつ積極的に開拓をしていきたいというお話がございました。特に最近いろいろ言われておりますことは、造船業の仕事量の創出拡大ということで、海上浮体空港、関西新空港浮島構想といったようなこともいろいろ言われております。技術上の問題あるいは安全性の問題と、いろいろあろうかと思いますが、こういった海上浮体空港等について、運輸省としては現在どのように考えられ、今後どのように対処されていこうとなさっておられるのか、その辺の構想をひとつお伺いしたいと思います。
  67. 福永健司

    福永国務大臣 率直に申しまして、私は運輸行政等については大変な玄人であるとは申せないのです。素人ではございますが、間々素人の考えることが案外常識的であり、妥当であるという場合もたまにはあると思うのでございます。いま池端さんがおっしゃるような問題については、確かに私、関西新空港の浮体工法による建設というようなことを申しましたのであり、現在も私の申したことが間違いないと私なりに考えているのであります。造船が非常に不況にあえいでおりますだけに、まあ船の建造というものは世界的に見て不況でありますから、何とか新分野を開拓して、こういう関係業者ないし特にその企業の中で働く人たちのことを考えなければならないということから、私は関西新空港の浮体構造について私なりの話をいたしましたのでありますが、よく御承知のように航空審議会からの答申では、埋め立て、桟橋、浮体等の工法を挙げて、あの答申の当時にあってはまあ埋め立てを主体とするのがよかろうという意味の答申を得ているわけでございます。あのころといまとはかなり情勢も違うと思いますし、その情勢というものは、経済情勢も違うということとともに、技術的にもその後いろいろの進歩が行われているというようなことを考えまして、私はいまも、一方において大きく不況対策にもなり、そしてまた、いい空港が環境問題その他を考えて最も多くの人が望むような形でできるならば大変結構だ、こういうように考えておりますので、ただいま運輸省といたしましては、その後情勢変化等も考慮に入れまして、何が最も適切か、先ほど主体としてという言葉を私申し上げましたが、しょせんはああいう大きなものをつくるとすれば、何々工法というのでそれ一つだけでできるものじゃないと私は思います。そこで、最も適切なことをいろいろ総合していいものをつくるというような意味で、私はこの関西新空港についてはかなりのものが浮体工法として可能であろう、そしてまたそれが適当であることもあろうというようなことも考えておりますが、そのほかにもいろいろ類似のものがございまして、ただいますでに九州方面で話が大略ついておりますが、これまた世界一の規模のものでございますが、海洋に石油を備蓄するというようなことで、かなり大きな仕事をやることになっております。これらは一、二の例でございますが、こういうことを考えて新しい分野を開拓していきますと、ひとりわが国のみならず外国からも注目され、注文も受けることにもなるであろうということを私は望んでおるわけでございます。せいぜいこういうような考え方で今後も進んでまいりたい、こういうように考えております。
  68. 池端清一

    池端分科員 備蓄基地の問題は、これはわれわれとしてもちょっと異論のあるところでございますので、また別の機会に議論をしたいと思うのでありますが、いまの海上浮体空港については、関西新空港のみならず地方でもいろいろ話も出ておるようであります。現に私、高松空港の話等も聞いておるわけでありまして、構想は非常に結構なんですが、しかし、県や市の負担というものもまた膨大になってくるわけであります。国が二千十億円の負担、県市が六百七十億の負担というようなことでは、もう財政負担にたえかねない、こういうような状況もございます。ですから、ひとつこういう財政問題も含めて総合的に検討をお願いをしたい、このように申し上げておきます。  次に、環境保全という観点から、国連の政府間海事協議機構IMCOで、先般タンカーの専用バラストタンクというのですか分離バラストタンクというのですか、この設置の義務づけがなされたというふうに聞いておるわけでございます。このSBTの設置というのは、海洋汚染の防止のみならず船舶の安全性、あわせてこの造船不況にあえぐ造船業界にとっては大変なメリットのある問題だというふうに考えるわけでありますが、日本政府としては、このIMCOの決定に対して今後どのように対処されようとなさっているのか、その辺の見解をお伺いしたいと思います。
  69. 福永健司

    福永国務大臣 この点につきましては私どもも強い関心を持ってまいったわけでございますが、御承知のようにこの会議でアメリカを中心とするものとイギリスを中心とするものとの意見の対立がありましたが、幸いにして話し合いができて、関係国がこぞってそのできた案に対し賛成をしたという形でございます。  まあこの議定書が採択されましたので、私どもといたしましてはまず第一に早期にこれを批准する、こういうことに努力をいたしたいと思いますし、同時に、これとあわせまして、こういうことになってタンカーの安全確保、海洋の汚染防止というそういう目的が大いに達成されると確信するのでありますが、SBTにいたしましてもCOWにいたしましても、そういうように改造するということが今度は義務づけられるわけでございまして、そうなりますと、率直に言ってその仕事のかなりの部分は日本でできるし日本へ注文も来るであろうということを望んでおります。まあ国内船はもちろん日本でやるんだし、外国船の何割かも日本へそういうように改造してくれというように頼んでくるであろうと思うのでございます。  そういうふうにいたしまして、先ほどからお話しのように日本の造船関係にまたいままでと違った仕事がかなりできるし、これによって雇用の創出もできるということで、私どもはそういう意味においてかなりの期待を持っており、せいぜい努力をいたしたいと考えておるわけでございます。
  70. 池端清一

    池端分科員 新聞の報ずるところによりますと、運輸省造船危機に対処するために三月早々にも海運造船合理化審議会いわゆる海造審の造船施設部会を開くということが報道されておりますし、あわせてメンバーについても増員をする意向であるというように報ぜられておるわけであります。  そこでこの際、労働者側の代表として現在造船重機労連の代表の方がこの審議会に参加をされておるわけでありますが、ぜひとも全日本造船機械労働組合、いわゆる全造船の代表もこの審議会に構成員として加えるべきではないか、このように私は思うわけであります。経過的に見ますと、昭和二十七年に海運造船合理化審議会が設置をされましたときには全造船の代表も参加をしておりました。四十六年以降除外をされている、こういう経過になっておるようであります。政府のいろいろな審議会がありますが、たとえば、私いま大蔵委員会に所属しておりますけれども、税制調査会などでは、総評の代表のほかに同盟の代表も加わっておる、こういうような構成になっておりまして、造船重機の代表だけでは片手落ちではないかというふうに思うわけであります。やはりこの造船不況を打開するためには、現場で日夜御苦労いただいている労働者の皆さん方の意見に率直に耳を傾ける、こういう謙虚な姿勢が今日望まれていると思うのでありますが、この全造船の代表を審議会に加えることについての見解をお尋ねしたいと思います。
  71. 福永健司

    福永国務大臣 貴重な御意見でございますが、ここで直ちにどういう方を委員にということはちょっと御容赦をいただきたいのでありますが、委員定数等との関連等も考慮しなければなりませんし、ただいま伺ったこと等を念頭に置いて、なお研究をさしていただきたいと思います。  いずれにいたしましても、労働界の方々の御意見をよく反映させる措置ということは大いに考慮しなければならぬと思います。その際において、労働界にもいろいろの分野があること等についてもよく研究をさしていただきまして、今後に対処いたしたいと思います。
  72. 池端清一

    池端分科員 ひとつこれについては前向きに御検討を、しかも早急にお願いしたい、こう思うわけであります。  最後になりましたが、いまの問題とも関連をいたしますけれども、現在船舶局長の、これは私的諮問機関というのでしょうか、懇談会というのでありましょうか、運輸省造船業界、学識経験者で造船問題懇談会を設けておられるというふうに承っておりますが、この枠を拡大して、やはり労働者側代表も加える。できれば政労使三者構成による造船会議というようなものを設置されてはどうかというふうに思うわけであります。先ほど申し上げましたように、不況、そして倒産となれば、最も被害を受けるのは現場の労働者であります。そういう意味からも、率直に現場労働者の具体的な提言を十分聞き入れる、こういう姿勢がやはり今日望まれていると思うのでありますが、そういう構想等についての見解をひとつ承りたいと思います。
  73. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 ただいま御指摘の船舶局長が司会をいたします懇談会を昨年の秋からやっております。これはたまたま海造審にどういうふうにかけるかということを内容にしているものでございまして、したがいまして、先ほど大臣が申されましたように、海造審については早急に開催するということでございますので、この運営を先生の御趣旨も十分入ったような形で機動的に運用していくということを現在考えておるところでございます。
  74. 池端清一

    池端分科員 終わります。
  75. 藤田義光

    藤田主査 以上で池端清一君の質疑は終了いたしました。  次に、新盛辰雄君の発言を許します。新盛辰雄君。
  76. 新盛辰雄

    新盛分科員 時間がありませんので簡潔に、国鉄再建の基本的な方針の中で、特に運賃問題、民営、分割論、さらにはこれからの再建方策の中における新幹線、ローカル線との兼ね合いについて、主に運輸省並びに国鉄関係者にお聞きをします。  第八十二回あるいは八十三回の国会を通して運賃法の法定主義緩和が決まり、三月三十一日から実施の運びになります。国鉄国鉄運賃問題懇談会をすでに第一回二月十七日にお開きになりましたし、三月末めどで意見をまとめたい。構成は学者、言論界、消費者、労働団体、産業界、中小企業、農民などで、広範に意見を聴取する中で最終的には国鉄が決める、そして運輸省はまたダブルチェックをもって、運輸審議会における専門調査委員会で、これまた学識経験者、消費者団体、荷主、労働団体、そういうものから意見を聞いて、一応値上げの額を決めるということになっているようであります。  しかし、本年度の予算を見て感ずるのですが、運輸収入二兆五千八十七億の中にはすでに二千五百五十億の物価上昇に見合う程度の運賃改定増額分が計上されているわけです。そうなりますと、実施時期の問題は物価上昇の変動によるということもありますが、これはそうしたダブルチェックを通してお上げになりますが、現実は予算化されている。大体一四%程度のものを見込んでおられるわけですね。これらは、ただ会議を開いて意見を多く広く求めたということで一応の手続は成っておるのですが、ある意味では、もう実施が決まっている、内容が、額が決まっている。これは隠れみのみたいなものになっているんじゃないかという危惧を多くの人は持っております。それで、この予算での運賃改定増額分と、これから相談されて最終的に国鉄が結論を出し運輸省でそれをチェックをして出す結論というのは、変動が起こるんでしょうか、額の面においても実施の面においても。まず運輸大臣にその点をお伺いしたいと思います。
  77. 福永健司

    福永国務大臣 いまお話しのように、二千五百五十億というものが改定による増収分として予算には計上されておりますが、大体決まっておるのに隠しておるんじゃないかというようなお話でございますが、少なくとも私に関する限りそういうことは全然ございませんし、国鉄の方にもまだそんな決まったようなものはないんだろうと私は思います。ただいまのところ、いつから実施するとかどれだけの率で上げるとかということはまだ具体的に示されているところではございません。  申すまでもなく、国鉄の方でいろいろ考えまして、こうしたいというのを私どもの方へ申請があった段階において、私の方はこれに対して措置をするということでございますが、まだ予備的にもどの程度にしようとかというような打ち合わせ等はないし、民有地等のことは国鉄の方からもございませんが、大変大事なことでございますので、これにつきましては日ならずしてやはり検討をしていかなければならない、そういうように考えております。
  78. 新盛辰雄

    新盛分科員 そうしますと日ならず発表せざるを得ないであろうということに印象づけられるのですが、額の面で、おととしの大幅な引き上げによっても現実的には六〇%もいかなかった。そういうことで、いまの鉄道利用する乗客あるいは荷主、貨物の関係でも非常に減少している。この面からも考え合わせまして、これは法定主義緩和ですから運輸大臣の裁決によるわけですし、そのことによって与える影響というのは非常に大きいわけです。だから、前広にそのことを明確にするとしても、三月めどなのかあるいは四月か五月になるのか、その辺のこれからの進めぐあいですけれども、そのことについてはどういうようにお考えになっていますか。
  79. 福永健司

    福永国務大臣 何月にというようなことは、私自身の方ではまだ具体的に申し上げられるほどに考えているわけではございませんが、これらの点につきまして国鉄総裁の方から答弁をしてもらうことにいたします。
  80. 高木文雄

    ○高木説明員 先生よく御存じのとおり、例のいわゆる弾力化法と言われております昨年の十二月に国会で御承認いただきました法律は、三月三十一日に施行されるということになっておりますので、三月三十一日以降でなければいろいろのそういう制度を前提とした動きをいたすことは許されないわけでございます。一方、予算ではかなりの額の収入増加を織り込んだものとなっておりますので、施行後の実際に改定をさしていただきます時期が遅くなりますと、もし予算のとおり収入を上げるべく改定をするということになりますと、上げ率が大きくなってしまうという問題もございます。  それで、現在私どもの気持ちといたしましては、四月に入りましたならばなるべく早い時期に運輸省の方にお願いに出たいと思っておりますけれども、まだしかし現実に法律が施行されておりませんし、また予算も今日ただいまのような状況で御審議をいただいている最中でございますから、いまのところまだ一切それに関するアクションをとり得ない状態にあるわけでございます。何月ということを申し上げられませんけれども、しかし実際四月に入らなければ申請ができないという現状でございまして、まあ、四月のしかるべき時期にお願いに出ようかなというぐあいで内意を持っておりますけれども、まだ作業に入っていないという段階でございます。
  81. 新盛辰雄

    新盛分科員 次に、国鉄再建対策要網の中でも示されておりますように、経営分野の責任を国と国鉄との間に明確にして、公共負担あるいは構造的欠損、割引制度、新線建設の投資採算の基準など、国鉄の負担軽減を図るこうした努力を五十五年以降の健全経営確立のためにいま準備されているわけでありますが、従来の企業努力、政府援助、運賃値上げ、この三本柱で例の収支均衡を図るという形になっているわけです。  そういう中で、いつもよく言われるのですが、今度の予算の中にもあるようですけれども、市町村の納付金約二百六億、鉄道建設公団の借料三百一億、こういうこと、あるいは長期債務は政府が肩がわりという形の中でいままでも努力をしてもらっているのですが、こういうものについてはやはり国と国鉄の経営分担、ある意味ではこういうものが災いをして国鉄経営を圧迫しているというふうに前々から議論があるのです。もう一回、ひとつこの点を大臣はどういうふうにお考えになっているか。  それから割引制度を、昨年一応グリーン料金の問題など、額の面ではわずかなものでありますが、国民にとってはある意味では非常に新しいユニークなあり方だとしてありました料金割引問題について、今後もそうしたいわゆる収益性の上に立って、どういうふうにお考えになっているかをお聞かせいただきます。  それから三つ目に、時間がありませんのでこれは中身に入りませんが、いまスト権と絡んで国鉄経営の民営、分割論がいろいろ議論がされています。これは現在経営形態懇談会国鉄部会、四月ごろをめどに民営移管あるいは分割、こうしたことに対して何かスト権問題に絡んで、こちらの方が失行しているような感を受けるわけです。これはもちろん、経営形態を抜きにして考えられないんだというスト権の問題でございますから、これは確かに議論はすべきでありましょうが、いまの段階で分割志向が強いという、このことについて政府が拘束性があるのかどうかは、これはいろいろ議論はあるところでしょうが、われわれはスト権はスト権、経営問題は経営問題とするとらえ方をしておりました。また民営、分割に対しては長年の議論があるわけですが、どういうふうにこのことについての政府見解を持っておられるかをお聞かせをいただきたいと思います。
  82. 福永健司

    福永国務大臣 国鉄につきましては、一面において多くの人々から赤字についてしかられるし、といってまた一面、赤字は出ても国民の利便を考えて鉄道のサービスをよくするようにという、これはいずれも当然のことでございますが、構造的欠損と言われるような事態も当然あるわけでございまして、これが国鉄の公共性から来る事態であるわけでございますけれども、これらに対しましていまもお話のように、公的助成を国及び地方公共団体等でやるということでございますが、地方の方もなかなか容易ではない、そういうように存じますが、この相矛盾するような両者をある意味において調和させつつ進めていくのが運輸行政であるというようにも、認識しておるわけでございます。頭の痛い問題ではございますが、いろいろ御意見等も拝聴しながら対処していきたいと存ずる次第でございます。  割引等について、新しい考え等も最近もあったが、まだほかにも考えているかというようなお話ですが、私自身はいまのところまだ、こういうことをやったらなと漠然と考えることはございますが、具体的にそういう案を持ち合わせているわけではございません。いい考えがございましたら、またひとつぜひ教えていただきたい、そういうように存ずる次第でございます。  なお、経営形態等につきましては、公共企業体等基本問題会議でいろいろ御検討をいただいているところであり、一部伝わっているものもあるわけでございますけれども、しかし、いま鋭意検討していただいている最中でございます。これもそう遠くなくて結論が出ることであろうと思いますが、ただいま新盛さんのお話の運輸当局としてはどうかということでございますが、こういうように多くの人々が一生懸命に検討していただいておるさなかでございます。いまここで私どもが何か申すということは、いたずらに混乱も生ずるわけでございます。私ども、さりとて人任せにして、自分では余り考えないということであってももちろんならぬと思います。鋭意私ども検討はしてまいりますが、ここで私どもの考えておりますということにつきましては、ひとつ御容赦をいただきたいと存ずる次第でございます。
  83. 新盛辰雄

    新盛分科員 そのお答えもこれからの問題でありますし、また別途機会があるかと思いますが、在来線の複線化の問題あるいは非採算線区における地方ローカル線の地方交通対策、これは今度の地方交通対策費で七百億計上はしてあるようですが、一級線、二級線というのは昨年から相当線路が悪いというのでわりかし向上しつつありますね。ところが三級線とか四級線になりますと、どうも質的に向上していない。材料費の不足や要員不足その他いろいろあると思いますが、ちなみに、いま新幹線をと言ったって、整備五線区に博多−鹿児島間はなっておりますが、それはいつ日の目を見るのかわからない。鹿児島本線の複線化を早急に図った方がいいのではないか、そういう声が出てくるわけですね。     〔主査退席、兒玉主査代理着席〕 そういう面で、ローカル線のつなぎの面では指宿線の電化の要請どもあるし、あるいは線路の増強、強化、そうした問題について要望が出されております。全般的に見て力の入れぐあいをどうするか、収益性を上げるためにどうするかということになってくるわけですが、新幹線ももちろんですけれども、在来線の複線化なり、あるいはローカル線における地方交通路線の対策としてどういうふうにお考えになっているか、その点をお聞かせをいただきたいと思います。  そうすると、結局その基盤になるのは線路の状況ですね。いま線路保守状況はどうなっているかという動静についていろいろ調査もしてみたのですが、線路延長は二万一千キロですけれども、軌道延長にしますと四万九百キロ、本線あるいは準本線、側線、いろいろございます。そういう中において最近では軌道の保守近代化の面でも見られるように、計画的な投資、機械化あるいは定期修繕体制とか作業の問合い、そうしたもの等でもいろいろと問題があって、最近はスピードアップ化あるいは通トンの増大とか、こんなことでPの値が非常に悪いというのであちらこちらで、競合脱線の場合は車両の関係もいろいろあるでしょうけれども、いろいろ話題が出ています。そういう面で線路強化の長期的な見通しはどうなっているのだ。これから十年先ますます老朽化していくのだが、PCにかえるにしましてもそうした面の手だて、これはどうなるのか。  それから、いま機械力を駆使してできるだけ広範に線路向上を図るというのでマルチプルタイタンパー、いわゆるマルタイというのを入れてやっています。この機械も四百台に近いのですが、これも日本産と外国産とではずいぶんと質、量が違う、仕事の稼働率の面でも。そういう面の手直しとかという問題も出てきているやに思われます。  そしてまた、五十三年十月にダイヤ改正が行われるわけですが、それに向かって貨物の合理化を初めとして問題が出ますが、特に作業間合いの問題について確保がなされておるかどうか。これは非常に保守能力を上げるために大事なことでありますし、今度は作業をする場合の要員、そういう関係が出ます。要員が出ると当然安全という問題が出ます。橋げたなど、いわゆる働く人たちが歩く場所とか、あるいは安全ぐつあるいは触車事故を負わないように、あるいは白ろう病対策、タイタンパーを使うのですから、あるいは総づき固め、小型のものを使ったにしましても、そういう問題が随所に起こってくるわけであります。そういう裏側の方の問題についてどういうふうにお考えになっていますか、お答えをいただきたいと思います。簡単に……。
  84. 福永健司

    福永国務大臣 お話の点非常に頭の痛いことでございますが、しかし何とかしなければならない大事な問題であるわけでございまして、せいぜい私たちとしては努力をいたしたいと思いますが、ただいまお話しの点、非常に広範にわたりかつ専門的なこと等もございますので、それぞれ関係者からお答えすることにいたします。
  85. 高木文雄

    ○高木説明員 線路の保守あるいは架線の保守の問題は、大変申しわけないことでございますが、四十年代に入りまして列車のスピードを上げた、それからフリクエンシーがふえてきたということ等の関連、それからだんだん人力によるよりも機械力によらざるを得ないということで保守体制を切りかえてきたことの影響というようなものがございまして、申しわけないのでございますが、いささか線路状態が悪くなっているということは否定できないのでございます。  そこでそれに気がついていろいろあれこれ対策をとり始めましたのが、数年前からでございました。五十一年、五十二年あたりでほぽ横ばいといいますか、これ以上悪くなるということにならない程度にいまやっと体制整備されてきたところでございまして、ぼつぼつ現状からまた四十年の初めの時代の状態に向けて回復を図るめどがついてきたというところでございます。  具体的には、たとえば臨時に特急列車について運休をいたすというようなことで間合いを積極的につくりまして、その間にレールの取りかえをやりましたり架線の取りかえをやりましたり、あるいはまた保守の中の路盤改良を伴いますものをいたしましたりということを始めておるわけでございまして、まだその緒につき始めたところでございますが、担当の方もそれぞれこれで大体方向がみつかったというような感じでございます。  また機械がうまく稼働しないという問題につきましても、人力による保守から機械による保守への切りかえに伴いまして、もう少し気を配っておかなければならなかった点、いささか抜けている点があったということで、それらの原因を明らかにしていまいろいろとやっておるということで、ごく最近の機械の稼働状況も少しは改善の兆しを見せております。  その他いろいろただいま御指摘ございましたが、いずれもごもっともな点でございますし、私どももいずれも気がついて対策をとっておる点でございました。  また、そうした職員の職場の環境をいろいろな意味で改善する努力も、細々としたことでございますが、それを積み上げていくのがよろしいのではないかということで、いままでよりはより一層気を配る方向で進んでおります。もうしばらくしますと、大体こんなふうに改善してまいりましたという御報告ができるのではないかと思いますが、いまはまだまだ整然と整理をして御報告できるところまでは至っていないという現状でございます。お尋ねの御趣旨を篤と胸に置きまして施策に取り組んでまいりたいと思います。
  86. 新盛辰雄

    新盛分科員 線路の安全対策として噴泥の対策ですね。いま道床が悪い、バラスが非常に古くなっているし、噴泥状態です。そういうようなことに対しては道路舗装のように、同じように景気対策とか失業対策の面からも、これは政府投資によって効果を上げていくことが必要じゃないか。下級線区、特に北海道、東北、裏日本、四国、九州などの各線においても、重軌条の交換あるいはコンクリートまくら木、PCですね、そういうものの投資あるいは落石防止等、老朽構造物の取りかえ、そういうようなものに対する防災対策、こうした面の予算も今度は相当ついているわけですけれども、特に今後そうした面でも配慮していただくように要望しておきます。そして特に作業間合いの問題は大事な問題であります。保守はまたそのことによっていかに充実をするかという問題でもありますので、今後この面の御対策をお願いいたします。  最後に、まだ記憶に生々しいのでありますが、災害の中における、昨年の六月二十四日発生しました日豊本線竜ケ水駅周辺のがけ地、いわゆる二百メーターぐらいの裏山が地すべりを起こして土石が流れて九名の人が犠牲になり、しかも十三棟が押しつぶされて、それこそ大変な大惨事でありました。私どもはその当時も要求をし要望もしましたけれども、特に国土庁、建設省あるいは農林省にも関係があるのですが、姶良カルデラ総合調査をやるべきじゃないか、二万五千年前の噴火口の跡、その周辺のカルデラ地帯に対する防災対策としてどういうふうにお考えになっているか。すでに御承知かと思いますが、現地では去年のあの事故は明らかに人災なんだ、道路管理の問題があった、あるいはまた国家賠償法を適用する問題なんだとして、実は国、県を相手どって今度告発をするというふうに聞いております。そういう面の総合的な対策をお立てになっているのか。  そしてがけ地近接危険住宅の移転事業の面でもいろいろな法律があるわけですが、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律あるいは防災のための集団移転促進事業に係る国の特別措置に関する法律あるいは地すべり等防止法、そしてまた災害救助法や災害対策基本法、こうしたものがたくさんございますけれども、どれをとりましても現実にああいう惨事が起こりますと、結局人と金との関係になってくるわけですね。そういう面についてもいま復旧作業はどうなっているのか。現実にいま着々進んでいるんですけれども、展望としてみればいつの日かまた災害を起こすんじゃないかという不安におののいておるようであります。そういうことについて、もう詳細は関係者にも話をしてございますから、この際、明確にお答えをいただきたいと思います。
  87. 井沢健二

    ○井沢説明員 お答えいたします。  あの地域は、被災後直ちに応急復旧をいたしまして、仮道と仮排水を完成したところでございますが、現在、上流端と申しますか、一番上のところは林野庁の緊急治山事業の一期工事を実際に施工しております。復旧する宅地の上流端付近は建設省の砂防工事を実施いたしております。その工事のための工事用道路といたしましてその道路を使っておりますので、工事が非常にふくそういたしまして、その下部の実際に復旧すべき河川、道路、宅地の復旧ができなかったわけでございますが、二月の中旬に治山工事が完成いたしまして、それから砂防事業が三月の中旬には完成いたす予定になっております。したがいまして、河川、道路、都市災害合わせますと大体一億ぐらいの工事費になるわけでございますが、すでに二月二十日に契約を済ましております。そういたしまして、これらの宅地の復旧と道路、河川の復旧につきましては、ことしの秋、九月上旬ごろには完成をいたしたいというふうな予定で現在作業を進める準備をいたしております。
  88. 大工原潮

    大工原説明員 先生指摘のあの地域は地質的に非常に悪うございまして、全国的にもああいった危険個所を、われわれといたしましては五十二年調査の見直しをいたしまして、危険個所としてとらえております。特に鹿児島県の中の危険個所といたしまして、いわゆる土石流が直接人家集落に向かってくるというふうな土石流の危険渓流、それから地すべりによります危険個所、それからがけ崩れによります危険個所、そういった危険個所のとらえ方をいたしております。特に人命に影響があります土石流あるいは急傾斜対策というふうなものは、われわれ建設省といたしましても重点事項といたしまして積極的に実施いたしておりますし、現在の政府案におきます五十三年度の予算におきましても、土石流対策といたしましては対前年比三五%増ということで取り組む所存でございます。なお急傾斜につきましては飛躍的に伸ばすということで、一・八倍というものを現在五十三年度の政府案といたしまして出しておるところでございまして、今後も促進は図っていく所存でございます。
  89. 新盛辰雄

    新盛分科員 時間が参りましたので終わりますが、ぜひこの姶良カルデラ地帯の調査機関を政府直轄によって早急に確立していただいて、これは鉄道にも関係あるわけですし全国的な問題でもありますので、対策をお立ていただきますように要望して終わります。
  90. 兒玉末男

    ○兒玉主査代理 これにて新盛辰雄君の質疑は終了いたしました。  次に、坂井弘一君。
  91. 坂井弘一

    坂井分科員 昨年暮れの十二月十二日でした、運輸大臣が総理とお会いになりまして、関西国際空港の設置に関してこれを早期に着工したい、あわせてその際、浮体工法による国際空港の建設ということについて運輸大臣から総理に進言された、こういうことが伝えられているわけでございますが、この経緯と運輸大臣の真意につきまして、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
  92. 福永健司

    福永国務大臣 関西新空港をどういうようにつくるかということでいろいろ関係各位に御研究をいただいているところでありますし、特に運輸当局はこれに重大関心を持っておるわけでございますが、総理大臣と私と話をいたしましたのは、こういうような不況下にあって、何か私の所管している中で、不況対策にもなるし、またその他の意味においても有益な仕事をというようなことから、私は私なりに、言うなれば素人でございますけれども、たとえば関西新空港につきまして浮体工法のようなことを考えれば、いま非常に不況にあえいでいる造船業界にしても、また鉄にいたしましても、そういうことで幾らかでも不況克服になるということは意義深い。もちろんこの新空港につきましてはいよいよ実際に工事に取りかかるというについてはいろいろな手順がございます。もちろんそれは踏むべきでございますが、新空港については航空審議会の方からよく御承知のような答申をいただいておりますが、それはそれとして、たとえば埋め立て方式を主体とするというふうなああいう言葉そのままをとらえてみましても、主体とするということはそれだけでやるということでは必ずしもございませんので、その後、浮体工法等についても技術的に非常に進歩を来しているようでございますし、その他事情の変化がいろいろございますので、私としては、新空港を急いでやることができたり、また同時に不況克服ということに役に立つということなら一石数鳥ということになるので、できればそういうこともということで総理大臣と話をしたわけです。その他にもいろいろ話をしました中にそういうことがございました。現在もなおそういうことで、先ほども申し上げましたように手順はいろいろございますが、それらを経て円滑にそういうことが進行するならば有益なことであるというふうに私は確信をいたしておる次第でございます。
  93. 坂井弘一

    坂井分科員 大臣のお考えがいま述べられたのですが、元来この空港建設は、いかなる工法によって建設をするか、つまり埋め立て方式あるいは桟橋方式あるいはまた浮体工法による方式、その他、これは空港建設そのものの非常に重要な問題である。したがって、航空審議会においてもその辺のことについては十分考慮する中で、いまお話のありましたような埋め立て方式、これを主とした考えのもとに調査を進めていく、こういうことであっただろうと私は理解しているわけでございますが、埋め立て方式を主体にした各種の調査を今日まで進めてこられたのではございませんか。
  94. 福永健司

    福永国務大臣 少なくとも答申の時点においてはそうであろうと思いますし、もちろんその答申を尊重しつつ、その後に対処しているということと私も了承いたします。  ただ、私の申しましたことは、いままでのことを変えるのだという意味ではなくて、その後の新情勢等を考慮しつつ、浮体工法等もさらにいままでの考えの上にその後の変化のうちの一部として考えることができれば、不況対策ということはその後非常に急激に必要性を増してまいりましたので、私はそのこともあわせ考えつつ、そういうことを総理大臣と話したわけでございます。
  95. 坂井弘一

    坂井分科員 大臣がお考えになる不況対策という側面、これは私なりに実はわかる気がするわけなんです。ただ、いかなる方式によるかということは非常に重要な問題だ。  そこで、申し上げるまでもございませんが、航空審議会での答申は、要点だけちょっと申しますと、埋め立て工法は「最も確実な施工を期待できる」、それから干拓工法につきましては「新空港に適切な工法とは考えられない。」全く否定的であります。桟橋工法は「技術的には十分に可能な工法である。」 いま問題の浮体工法につきましては「適切な工法とは言い難い。」きわめて否定的な答申が出たわけですね。したがって、まず「最も確実な施工を期待できる」、これは経験も豊富でありますし、工費も安いということから埋め立て方式でと、こういう審議会答申に基づいて今日までいろいろな調査を進めてこられた、こう私は理解するわけなんであります。  航空局長に伺いますが、そういう審議会答申を踏まえて、その後いまの浮体工法ということの大臣の進言、発言があった。その直後に航空局長が大阪にいらっしゃって、率直に言いまして、どうもいままでの基本的な方針、手順に一切変更はないという趣旨の発言をしている。大臣のせっかくの御提案の浮体工法に対して、これは必ずしも「適切な工法とは言い難い。」という答申を受けた、その趣旨に沿った航空局長の否定的な御発言。あるいはその後今度は兵庫の方へ行かれまして、ことしの一月二十六日でございますか、埋め立て工法のほか浮体工法、桟橋工法についてももう一度見直すという趣旨の御発言が航空局長からあったようでございまして、そういうことが伝えられてございます。  そうなりますと、大臣の考え方と運輸省事務当局との間には、航空局長の発言に代表されるごとく、これは非常に微妙なずれがある。つまり、新空港建設をめぐって、いかなる工法を採用するかということはきわめて重要な問題であって、この重要な空港建設の工法につきまして、航空局長のそういう御説明等を踏まえて考えてみますと、その後、従来の埋め立て方式というものが浮体工法ということにかなり大きく傾斜をしてきたのか、それとも、大臣のその趣旨の発言はあったけれども従来の方針に全く変わりはない、つまり、埋め立て方式で行くんだという考えのもとに、従来の埋め立て方式による調査を延長して続行されようとしておるのか。  そこで、そのずれ等についてもあわせお答えいただきたいのですが、具体的にお尋ねをいたしますと、たとえば五十二年度の予算におきましては、調査費が十七億、そのうち浮体工法分といたしましては三千五百万であったかと思います。今度の五十三年度予算におきます調査費は二十一億計上されてございますが、このうち浮体工法分を一体どれぐらい見込むのか。あわせて桟橋工法調査費、これは五十二年度はゼロであったと思いますが、五十三年度にはこれはっけるのかっけないのか。その辺を少しお聞かせいただきますとあらましの考え方が浮かび上がってくるのではないかと思いますので、御答弁いただきたいと思います。
  96. 福永健司

    福永国務大臣 最初に私ちょっと申し上げますが、私は、学のある諸君が大ぜいで研究した何方式がいいというのを、どれがいけないと言うのではありません。そうでなくて、現下の国のいろいろな事情を考えつつ総合的に判断してどうするのがいいかということになればいいと思っているわけでございます。いろいろ研究したが福永健司の言うことはどうも本当にだめだというなら、本当にだめで結構なんです。結構なんでございますが、私は私なりに、学のある者が常に正しくて一般庶民はそうでないとは必ずしも言い切れない、衆知を集めて対処するということが必要である場合があろうかと思います。  そこで私は、その後浮体工法についてかなりの進歩があった事実等もございますので、時の流れとともにそれらをいろいろ総合して考えて、この重要な施設が最もうまくできればいい。先ほども主体ということを申し上げましたが、何工法によるといっても何もかもそれで仕事をするというわけじゃないんで、総合的に主たる部分は埋め立てであっても、浮体の部分もあり得るかもしれない。そういうようなこと等もございますので、その点をちょっと申し上げておきたいと思います。
  97. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 たしか昨年の晩秋のころでございましたか、私が大阪へ出向きまして、大阪、兵庫、和歌山の三府県の副知事さんに集まっていただきまして、関西空港調査のための基本的な手順についてお願いをしたことがございます。たまたまこの日は、たしか福永大臣が認証式をされた日でございまして、私は大阪へ行ったために大臣の初登庁に問に合わなかったということがございました。したがって、私の席での発言は大臣のお顔を見る前の話でございますが、私はそのときに申し上げたのでございますが、運輸省としては、関西空港環境アセスメント計画を五十一年度から三ないし四年でやることにしております。費用は五、六十億円かかりましょう、こういうお話をいたしまして、まず自然条件を調べます。このためにいろいろな観測塔を建てております。それからその次に、私ども空港条件と言っていますが、どんなふうな工法でつくるのか、そういうことを調べます。そしてこういう自然条件のところにこういう工法で空港をつくったらどういう影響が周辺に生ずるかということを調べるのですとお話をいたしました。中にはある副知事の方は、浮体工法なんかをどうするのだという質問もすでにございました。私は、この工法の研究という中には、従来埋め立てが主体となっておりましたけれども、最近の技術の進歩等から見まして、やはり私どもとしてはもう一遍おさらいをいたしまして、埋め立て方式以外の桟橋方式、浮体工法方式につきましては、この空港の建設工法の調査という中で調査をしたいと思います。こういうお話をしたわけでございます。したがって、これは私どもとしては手順に入っておったわけでございます。そこへ大臣お見えになりまして、先ほど来大臣の発言にございますような御趣旨で、ひとつ浮体についてもしっかりやってみろというお話もございましたので、私どもも従来予定をしておりましたことでもございますし、現在浮体工法、桟橋工法につきましても、五十三年度以降の建設工法調査の中に入れて調べたいと思っております。  ただ、浮体につきましては、たまたま船舶局及び港湾局におきまして、研究所で技術的可能性調査することが可能であるという返事が来ましたので、とりあえず五十二年度におきまして、三千五百万円を使いまして、浮体工法の技術的可能性を調べるということで、一歩先に調べております。これもしかしながら、五十三年度に継続して調べなければならないわけでございます。  それから、桟橋につきましては、いまのところまだ計画を決めておりませんが、当然五十三年度の工法の調査の中に入れまして調査をする必要がある、したがって五十三年度の実行予算の段階で調べる必要があると思います。  それから、この空港の建設は、埋め立て一本、浮体一本あるいは桟橋一本ということだけではなくて、現実的にはその三つの方法をコンバインしたものも考えられます。そうなりますと、当然三つのことを研究しなければいいものはできないということにもなりますので、この点につきましては、私ども従来進めておりました考え方と大臣の御方針とは食い違っておりません。  私が昨年の秋に三副知事さんに対して申し上げまして、従来の手順を変えないと申し上げましたのは、この工法の点ではなくて、環境アセスメントを先行させて、この結果を地元に公表する、そして公表した結果建設すべきかどうかを決めるという、かつて決めた方針は変えないと言ったわけでございます。その点についてはひとつ御了解いただきたいと思います。
  98. 坂井弘一

    坂井分科員 浮体工法を必ずしも私は否定して発言しているわけではございません。ただ問題は、非常に技術的な問題があるという認識については大方の認識のようでございます。なお技術的な進歩等もあるでしょう、あるいは不況対策等もあるでしょう、そういう側面は大事にしなければということについては、これは私も理解するにやぶさかではない。そういう前提に立って御質問を申し上げておるということでございます。  そこで、浮体工法、これは暗黒水面がずいぶん問題行なるということが言われるのですが、そういう問題もあろうと思います。そこで、浮体工法によるか、埋め立てによるか、桟橋によるか、いずれにしろこの空港の建設の工法、その三つのいずれによるか、それはいつ、だれが、どういう地点で判断するのですか、決定になるのでしょうか。
  99. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 これは、ただいま私が申し上げました環境アセスメント調査を初め五十一年度から三年間と思っておりましたが、観測塔の設置等が大分おくれまして、約一年おくれるだろう、そうしますと、五十四年度末に環境アセスメント調査は終わると思います。その環境アセスメントの中で、いまのような各種の工法の比較検討も行われまして、一番最適なものは何かという調査結果も出ると思います。そしてその結果は地元に公表され、地元の御意見が私どもにまたはね返ってくるということでございまして、時期といたしまして私どもは五十四年度末までに運輸省関係各省の意見も聞きながら決定するということになると思います。
  100. 坂井弘一

    坂井分科員 従来、関係三府県、大阪、兵庫、和歌山、この和歌山県の知事が最近、和歌山県は非常に軽視されてきた、これはもう県民感情でもございますが、そういう中で警戒的白紙であるという態度を崩していない。したがって、これに対して強い抗議要求を行っておることは先刻御承知のとおりでございます。  そこで、五十一年八月十六日付の運輸省航空局長、あなたから知事あて、文書確認要求に対する回答がございますね、いわゆる関西国際空港についての回答。空計第一〇八号、この中には「関西国際空港計画は、大阪府、兵庫県及び和歌山県の合意を得て決定する。」と明確になっておる。つまり、いまお答えのございました五十四年度調査の結果、この泉州沖の候補地が適当か不適当かの判断は国及び関係三府県の間においてする、仮に不適当と判断した場合には泉州沖に対する政府の建設計画の決定はあり得ない、この不適当の判断は、国が適当であると判断しても、たとえば三府県の中の一つの府県が不適当だ、こういう最終判断であるならば泉州沖候補地は撤回する、こういうことでございますね。結論だけお答えいただきたいと思います。
  101. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 私どもは、三府県知事の御意見を十分尊重して運輸省が決める、こういうことでございます。
  102. 坂井弘一

    坂井分科員 したがって、三府県の中の一府県でも最終的に不適当である、こういう判断をした場合には、泉州沖候補地は撤回をする、他に候補地を求める、こういうことに相なるでしょうと、こう聞いておる。イエスかノーかで結構でございます。
  103. 福永健司

    福永国務大臣 専門家的な見解はあるいは別にあるのかもしれませんが、私、素朴に考えて申し上げるのでございますが、この種の問題は非常に重大な問題でありますので、知事各位等においてもよく考えて対処してくださるものと私は確信するわけでございます。先ほど坂井さん、和歌山県が云々というお話がございましたが、私も実はいささか和歌山県にゆかりのある男でございまして、県の関係皆さんからも、今後よく話し合って自分たちも相談に乗るぞよというような——これは私の判断として聞いてください、どうおっしゃったというよりも——御理解を示していただいているように私は判断をいたしているわけでございます。  いまのような話、確かに、仮にそうならばということはございますが、ただいまから、どこかがどうも意見が違うことになりはしないかということを予想しての回答は、私はいたしたくないのでございます。ひたすらもう、こういうような重大問題でございますし、客観的にいろいろのことを判断していくと、説明その他理解が十分でないときにはいろいろあっても、手を尽くせばやはり皆さんにわかっていただけて、みんなで一緒にりっぱなものをつくろうということになることを、私は切に念願をいたしておる次第でございます。
  104. 坂井弘一

    坂井分科員 大臣、よくわかるのですよ。それで前段、警戒的白紙である、こう私は和歌山県の態度を申し上げた。で、文書でもって回答いただいたことに対するまだ強い疑い、懸念がある。そこで改めて確認をした。そのことに対していまのようなお答えが返ってきたから、これはこのことに間違いないというわけで、和歌山県議会において公式の場で、いま私が申し上げたように、たとえば三府県の中の一府県が反対の場合は空港建設は泉州沖には行いませんという運輸省からの明確なお答えをいただいておりますと、公式に議会において答弁があるから聞いたわけです。それはそのとおりの認識でよろしいですね。もちろんお互いに理解し合っていく、阻害要因があるならばそれを排除するという努力は前提ですよ。結論的にそういうことになればそういうことに相なりますねと、こうお尋ねしたわけですから、そのことについては明確にひとつお答えをいただきたい。
  105. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 そういう事態は予想したくございませんが、仮にそうなるとすればそれはそうだと思います。
  106. 坂井弘一

    坂井分科員 その「ございませんが」という前提がよろしくない。まあそのことについて議論はいたしません。  そこで、関連いたしますが、周辺地域整備調査でございますが、これは国土庁に聞きたい。五十二年度予算では千八百八十万円、そこで五十三年度の調査費は幾らくらい見込んでおるのでしょうか。及びこの調査結果は公表されるのでしょうけれども、全体計画も発表されますか、簡単にお答えください。
  107. 宮沢美智雄

    ○宮沢説明員 ただいま御質問の五十二年度の関西国際空港周辺地域調査は、御指摘のように千八百八十万円をもって現在進めておるところでございます。  五十三年度につきましては、国土総合開発事業調整費調査の部の中からこれを要求しようという考えにしておりまして、その調査費については五十三年度になってから固まってまいるというふうに考えております。
  108. 坂井弘一

    坂井分科員 考え方は、空港建設計画の是非の判断、この判断につきまして、環境影響調査だけじゃなくて地域周辺整備調査、これが不離一体関係で行われなければならぬのじゃないか、つまり、非常に広域的ですね、そういうとらまえ方の中でその二つの調査を並行して行う、これが大事だろうと思うのですね。しかも、このことは国のレベルにおける問題としてとらまえなければ、単に関係府県にその調査をゆだねるということであっては相ならぬのじゃないか、こういう考え方を持つわけですけれども、いかがですか。
  109. 宮沢美智雄

    ○宮沢説明員 先生指摘のように、私ども空港周辺地域整備につきましては国と地方公共団体が協力して行う必要があるというふうに考えております。このための地方公共団体調査はすでに一部始められておりますが、国としてもこのための調査を行う必要があるということから、昭和五十二年度、関係省庁協議いたしまして、国土庁、通商産業省、運輸省、建設省の共同調査を開始したところでございます。この調査実施に当たりましては、やはり関係地方公共団体の協力を得ながら進めていく必要があるというふうに考えております。
  110. 坂井弘一

    坂井分科員 そこで大臣、一つ御提案します。つまり、いまの二つの環境影響調査、それから地域周辺整備のための調査、これは全く不離一体だということについての御認識は全く同じなんですが、非常に広域的です。したがって、この辺の調査をやるということも各府県の主体的な、自主的な要請なり判断というものがありますから、これはこれとして尊重しなければいかぬ。しかし、少なくともこの空港建設はまさに国のレベルにおける大プロジェクト、広域的な一大事業ですね。そういう考え方に立ちますと、いま関係省庁でこうおっしゃっておるこの辺の窓口を国の一体どこがやるのか、その辺を運輸大臣からこれこそまさに進言されまして、ひとつ国のしっかりした機関、窓口といいますか、それを設置されたらいかがでしょう。
  111. 福永健司

    福永国務大臣 本問題に限らず、往々この種の問題では国に窓口がたくさんあるので話がやりにくいというような問題が起こり得るものでございます。まさに御指摘のようなことについて考えなければならぬと思います。よく考えさせていただきます。
  112. 坂井弘一

    坂井分科員 御検討ください。前向きにお願いしたいと思います。  それから土砂の問題、土取りですね。それから水、これまた大問題です。これはもちろん事業主体が決定しませんと、これはいきなりいまここで決められる問題ではない。しかし調査の段階、少なくともどういうところで土取りをするか、あるいは水の問題、どこから引っ張ってくるかということについても基礎データを整えなければならぬということで、あらましの考え方があるでしょう。これまた大阪も、兵庫も関係します。和歌山も実は重要な関心を持っておる。アウトラインはお示しになるわけにはいかぬでしょうか。
  113. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 私ども、いまの段階でまだ土取り等の計画を固めておりませんので、これは調査の進行に従って、幾つかの前提を置きながら調査を進めていきたい、こう考えております。
  114. 坂井弘一

    坂井分科員 埋め立てならば五億五千万立方メートル、膨大なものです。ただ浮体工法でも土砂は相当量必要とするわけでありますから、この土取りという問題についても実に重要な空港建設の要素、どこから取るか、この辺がいろいろな意味でずいぶん話題になる。と同時に、そのことが地域の環境問題等にも関連してくる、あるいはまた周辺の整備という問題とも関係をしてくる。関係市にとりましても地域にとりましてもきわめて重要な問題でございますので、この辺の扱いについてはきわめて慎重な配慮の中で、やはり一定の合意を得るところのよりベターな方法を寄り寄り相談されながら決定されていくということの必要性を私は感ずるわけでございまして、いきなり、基礎データをそろえた段階で、空港建設が四年後にいよいよここにこう決まったその段階で、ここから取るのだという強引なやり方、こういうことは断じていけません。したがって、そういう意味におきまして前車の轍ということもあるわけでありますから、御配慮をお願いしたい。  それからもう一つ伺っておきますが、この飛行経路でございますが、進入出発方式につきましては、待機空域圏、これも含めまして、高度あるいは頻度あるいはその範囲、これが一番問題になる。この場合どうですか、かなり具体的にいま明示できる段階にあるのでしょうか。どうでしょうか。
  115. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 これもまだそういう段階になっておりません。設置をする場合には、できるだけ海上を通って出入りできるように、陸上への影響が少ないような経路を選ぶべきであると考えておりますが、今日まだ計画を持っておりません。
  116. 坂井弘一

    坂井分科員 済みませんが、最後に一問だけお願いいたしたいと思います。現在の伊丹空港でございますが、関西国際空港ができた場合に伊丹空港を廃港にするのか、あるいはまた羽田、成田空港のように国際線と国内線の分離方式、こういう関係にするのか、もうぼつぼつ明らかにする時期が近づいてきておるように思うのですけれども、基本的な考え方というものはお持ちですか、それとも全く白紙の状態、こういうことなんでしょうか。
  117. 福永健司

    福永国務大臣 いまお話しのようにぼつぼつという考えもありますし、いまから言ったんじゃ大騒ぎに早くからなるということ等もございまして、なかなかむずかしいと思いますが、将来のあり方につきましては、関係地方団体と十分協議してまいらなければならぬ、こう思います。空港ということにつきましては成田でも貴重な痛い経験をしておりますので、この経験を将来に大いに生かしていかなければならないと思いますので、よく心得て対処いたしたいと考えております。
  118. 坂井弘一

    坂井分科員 終わります。
  119. 兒玉末男

    ○兒玉主査代理 これにて坂井弘一君の質疑は終了いたしました。  次に、小宮武喜君。
  120. 小宮武喜

    小宮分科員 造船の構造的不況については、私がいま改めて申し上げるまでもなく大臣はよく御存じのことと存じます。したがってくどくどは申し上げません。ただ心配なのは、造船の構造的不況がいつまで続くのか、これから先一体どうなるのか、それらの今後の造船業の将来の展望について、まず大臣からお答えを願います。
  121. 福永健司

    福永国務大臣 ただいま造船不況を憂えられての小宮さんの御質問でございますが、率直に申しましてこの不況が来年はよくなるであろうとか、今度の予算で急によくなるであろうかというところまでは、なかなか私どもも考えられない次第でございます。と申しまして、世界の造船国である日本が余り長くこの状態を続けていったんでは大変でございます。そこで、私どもとしては、できるだけ早く克服したいということでございますが、率直な話、まだここ二、三年大いによくなるというところへのなにはなかなか望めないんじゃないかというように心配いたしておる次第でございます。  なお、専門的なデータ等をそろえてお答えすることは、局長等から申し上げます。
  122. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 ただいまの造船不況の現状は、先生の御指摘のとおり国際的なものでありまして、その意味におきましては世界の他のグループも非常な不況に陥っているということでございます。  問題は、今後どのくらいの数字かということでございますが、石油ショックの後で海運造船合理化審議会をやってもらいまして、その答申、これは五十一年六月の答申でございますが、五十五年で四十九年の約三分の一、したがいまして六百五十万総トン程度に落ちるであろう。これに対応する操業度は四十九年比で六五%程度、こういうふうに予測をしたわけでございます。それから、六十年におきましても需要はある程度回復するだろうけれども、従来のような非常に大きな量の需要は期待できない、こういうふうなことが言われております。この辺の数量的な需給の見通しにつきましては、海運造船合理化審議会等におきまして、さらに最近の情勢も入れて詰めることにしております。
  123. 小宮武喜

    小宮分科員 これは昨年のこの予算分科会で、私が造船不況の一番ボトムはいつごろかという質問をしました場合に、船舶局長造船不況の一番ボトムは大体五十四年だと答弁されましたが、いまもその考え方に変わりはないかどうか。
  124. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 五十四年がボトムであるという考え方を昨年申し上げたわけでございますが、最近の状況は、御高承のとおりの為替レート等の問題もありまして、ボトムは五十四年から若干の年続くのではないか、こういうふうなことだろうと考えております。
  125. 小宮武喜

    小宮分科員 なかなかこれは、非常に見通しがむずかしい問題で、運輸省としても非常にその点お困りだと思いますけれども、そこで最近のわが国における受注状況とシェアがどれくらいになっておるのか、その点ひとつ簡単に御答弁願いたい。
  126. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 国際的な比較でございますのでロイドの統計を使わしていただきますが、五十二年が日本が六百二万総トン、世界全体で千百四十八万総トンということでございますので、五二・四%になっております。これは五十年が四九・一%、それから五十一年が五六・三%でございますので、先ほど申し上げましたように日本だけが極端に落ちているということではないかと思います。  なお参考のために、昨年OECDの中でかなり日本に対する攻撃が強かったわけでございますが、五十二年の一月−九月のこれはOECDベースの統計でございますが、OECD全体で七百五十一万トンに対して五百二十五万総トン、約七〇%ということで、五十一年の八三・一%からは落ちてはおりますが、まだかなりの高率であるということになっております。
  127. 小宮武喜

    小宮分科員 実際に受注量が減っておることも事実だし、五十三年度あたりではシェアも五〇%を割ることも明らかだし、操業度にしても一応目標だけは六三%とか五%と言っておりますけれども、現実にはこれは企業間のばらつきもありますから、造船所によってはもう二五%とか三〇%ぐらいの操業度しかないというところも出てまいります。  私、それは後でまた触れるとしまして、受注が激減している一番大きな原因としては、円高の問題が一つありますね。もう一つは、第三国の進出という問題もあります。もう一つは、EC諸国の造船、海運に対する保護政策にも原因がある。私は、この三つの問題がやはり一番大きな問題だと思うのです。そういう意味で、いろいろ具体的な数字はもう挙げませんけれども、円高の問題はこれは運輸省の力だけではどうにもならぬし、日本も努力はしておりますけれども、日本だけの力でもなかなかこれはむずかしい。そうしますと、第三国の問題にしたって、これはなかなか第三国にどうという決め手はないし、問題は政府助成の問題ですけれども、そういう意味でわれわれも本来そういうような政府助成をふやすとかあるいは強化するということは、これは余り好ましいこととは思っておりません。  しかしながら、現実に日本に対応して、欧米諸国、EC諸国あたりは盛んに政府助成をふやしておる。それが非常に日本の受注に悪影響が出ておることは事実ですから、そういう意味で、具体的に問題は申し上げませんが、日本もEC諸国もすべて政府助成を取っ払うか、そして対等の立場で競争するか、あるいは向こうが政府助成を強化しておるという以上は、造船の仕事量確保のためにも、政府の助成自体をある程度これに見合って強化していくという、いずれかをとらなければならないと思うのですが、いまこれは向こうの助成を取っ払うということはなかなかいかぬでしょうし、各般にわたる助成をむしろ日本は取っ払う方向に進んでおるわけですから、そういう意味では助成の強化ということについては何ら考えていないかどうか、その点ひとつお尋ねします。
  128. 福永健司

    福永国務大臣 お話のように、幾つかの国で船価助成を行っているということは現実としてあるわけでございますが、わが国がそれと同じことをやるかどうかということでございますが、現在やっている国にいたしましても、いずれもおおむね短期的なものでずっとやることではなかろう、こう思うわけでございますが、日本の場合、何としても国際競争力を十分持たせるというような観点からいろいろ考えた場合に、果たして船価助成、直接助成がいいかどうかということについては、なお考慮の余地もあろうかと思います。思いますが、現実非常に苦しんでおるわけでございますから、考えなければならないことは当然でございますが、構造改善等を含めまして、長期的に見て、ないし中期的に見て、強い競争力を持っていくような方向へ協力していくことが必要であろうと思います。いまお話しの点等については、なお研究をさせていただきたいと存じます。
  129. 小宮武喜

    小宮分科員 国際競争力は、いま私が挙げました三点からして、いまは完全に逆転しておるわけですから、そういう意味で必要な場合はやはり政府助成ということもひとつ前向きに検討してもらいたいと思います。  それから、時間が余りないものですからこれは要望しておきますけれども造船の雇調金制度が大体適用期間、ことしの四月で切れるんですよ。そうしますと、これはもう局長もよく御存じのように、恐らくことしの後半から大量の一時帰休が発生することは、もう容易に予測されているわけですから、そういう意味では、やはり雇調金の適用期間を延長するように労働省とも十分ひとつ協議をしてもらいたい、こう思いますけれども、いかがでしょうか。
  130. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 雇用調整給付金の問題につきましては、昨年の秋に新しく発足いたしました雇用安定資金制度というふうに切りかえておりまして、現在のところ船舶、船舶機関、または船体部品の製造修理業につきましては五十三年四月三十日でございますが、これの延長等につきましては、今後労働省と協議しながら実態に応じて検討をして対応したい、かように考えております。
  131. 小宮武喜

    小宮分科員 ところで、二月十七日にIMCOの全権会議で合意された海洋汚染防止の問題ですけれども、特に既存船に対してSBTが設置されることをわれわれは非常に期待しておったのですけれども、これが現実にはCOWとSBTのいずれかを設置すればよろしい、こういうように決定されたわけです。このIMCOの全権会議で決定された事項が日本の造船界の仕事量確保にどれだけつながってくるのか、その辺私は私なりにいろいろな見方をしておりますけれども、これはCOWとSBTということになれば、これは当然COWの方に日本の船主はみんないくわけですから大した効果はないと思いますけれども、しかし、COWを設置することによってもそこに二億か三億くらいの改造費も要るわけです。これらの問題もいまの造船界の現状から見ればやはり非常に欲しいところですから、そういう意味では、昭和五十六年六月以降ということになっておりますけれども、いまの造船不況で仕事がないという現状の中で、何とかこれらの三億の仕事でも繰り上げでもして着工するというようなこともぜひひとつ考えてもらいたいと思うのですが、どうでしょうか。
  132. 福永健司

    福永国務大臣 この国際会議等と関連いたしましていろいろ小宮さんから御注意等もいただいて恐縮に存じておりますが、今度の議定書によります四万重量トン以上の外国タンカーが千九百九十隻、それからわが国のタンカーは二百十隻あって、日本のものは全部日本でやるし、外国タンカーのうち仮に三分一くらいわが国で改造工事をやると仮定しまして、いまお話のようにSBT、COW、いろいろありますが、比較的楽なCOWの方によるといたしますと、いまお話しの五十六年六月、それが発効の日でございますので、この改造がたとえば三年間なら三年間くらいで行われるというように仮定して考えてみますと、私どもの推算では、年間二千四百人程度の雇用創出効果があろう、こういうふうに推算をしておるわけでございます。いずれにいたしましても、非常に大きな仕事とは言えませんけれども、こういう際にこの種の仕事が出たということは不幸中の幸いとも言えるわけでございまして、せいぜいこれを活用してまいりたいと考えております。
  133. 小宮武喜

    小宮分科員 国内船需要喚起のために官公庁船の発注をふやすべきではないか、こういう観点から海上保安庁の巡視艇の増強と大型化、高速化というものを進めてもらいたいと思います。特に、資料を見ましても、海上保安庁の船にしましても、大体耐用年数が二十五年になっているにもかかわらず、二十五年以上の船が二十一隻もおるわけです。さらには老齢船扱いになっている二十年以上二十五年の船も十一隻いるわけです。  だから、やはりいろいろ問題がありますけれども、これらの海上保安庁、特にこれは運輸省の所管でもあるし、その他官公庁の船にしましても、これはかなり耐用年数を超えた船がいるわけですね。やはりこれらの繰り上げ発注、そして早急に代替建造、これらの問題をひとつ強力に推進してもらいたいと思いますけれども、これは数字的なものがありますから、局長から答弁しても結構です。
  134. 福永健司

    福永国務大臣 その点、小宮さんのおっしゃるような趣旨に沿うよう極力努力をいたしたいと思います。  なお、ちょっと先ほど私が発言しました中で、五十六年六月ということを申しましたが、小宮さんの方ではすでにお気づきだろうと思いますが、五十六年六月までの——この五十六年六月というのは、発効目標としておるその日まで、約三カ年間に行われるとすればという意味でございますので、御了承いただきたいと思います。
  135. 向井清

    ○向井政府委員 お答え申し上げます。  海上保安庁巡視船艇関係でございますが、現在のところ、海上保安庁といたしましては、いわゆる二百海里体制に対応いたしますために全国的な応援体制をしきまして、北方海域と申しておりますけれども、北海道南岸から銚子沖までに至ります広域の海域におきましての取り締まりに万全を期しておるということでございますが、やはりこのような応援体制では将来にわたっての体制整備が図れませんので、五十二年度予算段階から本格的な巡視船艇整備等に着手しておるということでございます。  それでただいまの状況を申し上げますと、五十二年度予算並びに五十三年度予算案におきまして主なものを申しますと、ヘリコプター搭載型巡視船三隻、千トン型の新鋭巡視船十隻、三十メートルの高速巡視艇八隻等々が一応計上されておるということで、これが本年から来年にかけまして完成し、就役するということで、相当の勢力増強になるわけでございます。  今後の問題といたしましては、やはりいままでの外国漁船の操業状況、わが方の取り締まり状況、それからさらに広くは新海洋秩序をめぐりますところの国際的な客観情勢というものを見きわめつつ、それに対処すべく十分検討を進めていきたい、このように考えておる次第でございます。
  136. 小宮武喜

    小宮分科員 五十三年度予算は知っております。私が言いたいのは、もうそれぐらいでは焼け石に水だから、やはりこういう耐用年数を超えておる船舶について特別の措置を講じて、代替建造をやるべきじゃないかということですから、これについては具体的な数字は別として、ひとつ大臣の見解だけをお聞きしておきたいと思います。
  137. 福永健司

    福永国務大臣 一応予算はいま御審議をいただいているとおりでございますが、これからもいろいろな事態も起こってこようと思いますので、いまのお話の点を十分頭に置きまして今後に対処していきたいと思います。
  138. 小宮武喜

    小宮分科員 運輸省もこの点は十分内部で詰めてもらいたいと思います。  それから、防衛庁の艦艇にしても、大体耐用年数は護衛艦が二十年、潜水艦が十四年、それから老齢船扱いとしては護衛艦が十六年、潜水艦が十二年となっているわけですけれども、すでに現在就役しておる船の中でも、二十年以上の船、潜水艦の十四年以上のもので大体十九隻おるのです。それからまた船齢十六年から十九年までのいわゆる老齢船扱いになっておる船がやはり十九隻、合計三十八隻おるわけですが、防衛予算で非常に制約があろうかと思いますが、これらの問題も、造船という立場からだけではなくて、耐用年数を超えておる船は早期に代替建造をやるべきだ。これは安全上もそうだし、防衛上もやはり問題があるという考え方から、防衛庁の艦船の代替建造についての所見と、それから契約が非常におくれますから、たとえば、今度予算が通っても来年の三月にしか契約されぬということになれば一年間延びるわけですから、そういう意味では前倒しで繰り上げ発注、発注が正式にむずかしければ内示でも何でも結構ですから、早く造船が仕事にかかれる、あるいは資材の発注がでさる、設計関係が着手できるというような、少しでも仕事をふやすように、恐らく七月以降はもう大量の一時帰休が発生しますので、そういうような御配慮をお願いしたいと思いますが、防衛庁いかがですか。
  139. 西廣整輝

    西廣説明員 お答えいたします。  いま先生の御質問にございました耐用年数の件でございますが、私ども先生御案内のように一応老齢艦艇ということである期間を定めましてその段階で検査をする、そうして次の定期修理までの間をプラスしたものを一応耐用年数というように考えております。  そこで、現在の耐用年数に達したものでございますが、先生十九隻とおっしゃいましたけれども、私どもの手元ではすでに除籍をされあるいはまだ除籍になっていないものも入っているんじゃないかと思いますが、現在七隻の耐用年数を過ぎたものがある。十九隻と申しますのは、恐らく五十二年度から五十四年度にかけて耐用年数に達するものというように理解しております。  なお、この耐用命数でございますが、私ども、その段階で検査をいたしまして、そこでなお使えるものについてはある程度延命をするということをいたしておりますが、延命いたすものは、大部分はたとえば訓練、支援に使うとか、あるいは実用実験の実験艦に使うということでございまして、当然ながら、命数に達しもう使えないというものについては除籍をし、それに間に合うように新しい艦船を建造するというように考えております。  なお、もう一つの御質問の契約の早期発注という点でございますが、実は防衛庁でつくります艦艇につきましては、まず庁内で基本設計というものが必要になります。これが通常十カ月を要するわけでございますが、幸いにしまして、五十三年度お願いしております艦艇は全くの一番艦というのがございませんので、その点ある程度短い期間につくることができるというように考えております。いずれにいたしましても景気浮揚その他の観点も含めまして、防衛庁としても早期発注には最大の努力をしたいというように考えております。
  140. 小宮武喜

    小宮分科員 お願いします。  それから、省エネルギー対策の一環として、いまのタンカーのタービン船をディーゼル船に切りかえることによって三〇%から四〇%の省エネルギー、燃料節約になるわけですから、このタービン船をディーゼル船に主機換装することについては、運輸省としてはどう考えておられますか。
  141. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 省エネルギーの問題が起こりましてから、私どもとしましても輸送機関の、特に船につきましての省エネルギー対策を検討していたわけですが、その一環として燃料消費量の多いタービンからディーゼルエンジンに切りかえるということにつきましては、エネルギーの節減あるいは造船の工事量確保というような点から望ましいものと考えております。  ただ、換装費が一隻十数億円ということになりますので、これを不況によって非常に苦境にあります海運界に対しましてどういうふうな負担をしてもらうかということで、船主と造船所の間の話が煮詰まって実現まで達していないのも、そこに原因があるわけでございます。  それともう一つは、換装いたしますタービンエンジンが陸上で何らかの形で使えればかなりこれらの計算が違ってくるわけでございますが、この程度の馬力のエンジンになりますと、なかなか陸上にも適当な使途がないというようなことで、まだ具体化の状態までになっていない状況でございます。ただ、ほかの改装のときに主機もついでに取りかえるというようなものにつきましては、ぼちぼち具体的な受注があるという状況でございます。
  142. 小宮武喜

    小宮分科員 もう時間が刻々迫ってまいりますので……。  それからもう一つ、先ほどの質問にもありましたように、浮体構造物による空港建設の問題、和歌山県から土を取るとかすることはやはり環境破壊につながるし、それからまた海上埋め立てる場合も公害が生まれるし、二次公害、三次公害、いろいろな問題がありますから、そういう意味で私は先ほどのいろいろな質問を聞きまして、これはぜひ浮体工法でやるべきだというように考えたわけですが、先ほどの航空局長答弁では、浮体工式だとか埋め立て工式だとかいろいろ言われておりましたけれども海上空港の問題、これはもう関西空港だけではなくていろいろ高松空港の問題もありましょうし、ぜひひとつ、これは要望として申し上げますから何とかしてもらいたい。  それから特にもう一つ、本四架橋の問題、これは橋梁工事というのは造船の類似職種ですから造船でできるわけですから、本四架橋の問題、それからきょうは国土庁を呼んでおりませんけれども、離島の振興のための橋梁工事の問題、これは特に福田総理は予算委員会でも減税問題と関連して、子孫に残るような社会資本の充実をやるのだということを言われておるし、これこそ橋梁工事は子孫に残る社会資本の充実ですから、そういった意味で建設省関係あるいは国土庁関係、そういった関係各省とも十分協議してもらって、こういうような橋梁工事を繰り上げ発注するとか、やはりこの際不況克服のためにも一般的な景気刺激のためにも、これらの問題に運輸当局がひとつイニシアチブを握って、十分こういう工事をふやすようにしてもらいたい。これはもう時間がございませんから、いろいろ要望として申し上げておきます。  最後に、これは造船不況不況を一番もろにかぶっておるのは、造船もそうですけれども、特に下請の方々が真っ先に離職、倒産、いろいろ起きているわけですから、日造協あたりがこの前総決起集会を開いていろいろやっておりましたけれども、非常に悲惨なものです。だからやはり下請協力企業の雇用の維持のためにも仕事量確保というものがまた必要になってまいります。もちろん私がいま申し上げましたような工事量を確保することが直接下請にもつながってまいりますけれども、下請として直接中古船の解体工事をぜひやりたいということで現在非常に望んでおりますけれども、何せ五十二年度予算でトン当たり六百五十円のいわゆる一億四千七百万円の助成金がつきましたけれども、あれではとうてい買船をするスクラップの相場との関係からなかなか取り組みにくいということが現状でございます。私、参考までに、これはちょっと次元が違うから比較にはならないと思いますけれども、日ソ漁業交渉によっていわゆる不用漁船の解撤工事を大日本水産会がやっておりますけれども、ここの解撤工事というのはもう全く至れり尽くせりの解撤事業をやっておるわけです。買船する場合も相当いい値段で買い上げて、解撤する場合もスクラップ分は除いて全額まるまる損しないようなやり方をやっておるわけですが、これは一つの大きな日ソ漁業交渉という問題が絡んでおりますので同次元で比較することはできないと思いますけれども、同じ国がやる事業の中で片一方は非常にいい、片一方ではもう生産コストにも見合わぬということでは国の行政としては非常に問題もあろうかと思いますから、そういう意味で解撤事業についてもっと政府も力を入れてやってもらいたいと思いますが、大臣、その点ひとついかがでしょうか。
  143. 福永健司

    福永国務大臣 解撤事業につきましては、かつてはなかなか容易でないと言われておりましたが、よその国なんかでも事業として成り立っているところもあり、将来大型老朽船等の解体等も期待できますので、いまおっしゃいましたようなことを重々留意いたしまして、これに大いに力を注いでいかなければならないと思います。  また、類似の仕事でお話がございましたが、それらを参考にいたしまして今後に対処いたしたいと思います。
  144. 小宮武喜

    小宮分科員 これで終わります。
  145. 兒玉末男

    ○兒玉主査代理 これにて小宮武喜君の質疑は終了いたしました。  午後二時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時十一分休憩      ————◇—————     午後二時開議
  146. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  運輸省所管について質疑を続行いたします。島田琢郎君。
  147. 島田琢郎

    島田分科員 運輸省所管分科会ではありますけれども大臣にはしばらく私の話を聞いていただくということで、私は、きょうは主として国鉄総裁にお尋ねをしたいと思っていますが、大事なことですから、大臣にも後ほど見解なり所信なりを聞かせていただく、こういうことで進めさせていただきたいと思います。  少しかみしもを脱いだ話で、余りごつい話じゃないのでありまして、しかも型破りで、きょう私は三十分間、主として総裁に陳情、要請をしたい、こんな気持ちでお話ししてまいりますので、率直な御意見なりお話を承りたい、こう思っているわけです。  ほかならぬSLの問題であります。いまさらSLについていろいろなことを申し上げる必要はないのですけれども、伝え聞くところによりますと、電化あるいはディーゼル化がどんどん進みまして、われわれの夢のSLがいよいよタイムリミツトの時点に差しかかってきた。この存置をめぐりまして、国内では南から北まで、SLファンなりマニアがこの行方をじっと見守っているという状態でございますし、さらにまた、積極的にこの存置を働きかける向きも多うございます。地域によっては、わが方にぜひという誘致運動もかなり先行して活発でございます。  かく申す私も、赤字と言えば国鉄と言われるような状態の中で、御多分に漏れず私の選挙区も国鉄の運営は必ずしも上等のできでございませんで、私なんかの庭先を走っております湧網線というのは名にし負う赤字路線と言われているようなところですが、ここでもSLを何とか残したいという住民の切なる願いが最近だんだん輪を広げてまいりまして、ぜひおまえも一役買え、国鉄総裁にこの点はしっかりと頼んでくれよという要望がございますので、この点について、この際、ぜひ総裁のお考えをお聞かせ願いたいと思うのです。  総裁は、たまたまことしの正月に初夢を見たというようなことでSLについてかなり積極的な発言をなされて、マニアにとってはまことに大きなお年玉だと期待の夢をふくらませております。しかし、財政を預っている立場から、国鉄の本社内部でも必ずしも総裁のこうした夢がすんなりと実現するかという点について危ぶむ声などもあって、なかなか入り乱れて盛んでございますので、この際、国鉄総裁の立場でSLに対する見解をまず冒頭に伺いたい、こう思うのですが、いかがでございますか。
  148. 高木文雄

    ○高木説明員 御存じのように、数年前にSLが姿を消したわけでございますが、現在、京都の私どもの施設の一部になお運行可能の車両がございます。ただ、これにつきましても、従来の国鉄基本方針としては、一定の期間が過ぎて検査修繕をしなければならない時期が来ましたら、そこで終わりにするということで来ておったわけでございます。  しかし、考えようによりますと、単に国鉄のマニアといいますかSLのマニアといいますか、そういう方々の御希望とかなんとかということだけではなくて、いまや原子力時代になりましたけれども、近代文化の興る過程において蒸気機関が果たした科学技術発展上の役割りはきわめて大きいわけでございますから、そういう意味で、蒸気機関の代表的な存在であるSLを何とか残すことができないものか。営業運転はなかなかむずかしいわけでございましょうけれども、たとえば一部私鉄でいまやっておられますように、特定の日、特定のシーズンだけでも運転するというようなことができないものかということをいま研究させておるわけでございます。  その場合に、電気機関車もしくはディーゼル機関車で走ります場合に比べますとどうしてもコストがよけいかかるわけでございまして、そのコストの場が一体どのぐらいになるだろうかということでございますとか、あるいはまた修理のための技能者を温存しておかなければならぬわけでございますので、そのための人件費がどういうようになるだろうかというようなこと、それから、もしそれを実際に走らせるとしますと、その地元の御協力がなければいけませんので、地元でどういうふうに協力していただけるだろうかというようなことを、抽象論ばかりではいけませんので、具体的に詰めてみる作業をいま始めておるところでございます。  長ければ一年ぐらい、早くても半年以上の期間、もう少し時間をいただきませんとその検討の結果が出てまいりませんけれども、いずれにしましても、もし暮すとすればどんな形がいいかなどいうことで十分研究をさせております。
  149. 島田琢郎

    島田分科員 総裁は、いまお答えの中でも、蒸気機関車つまりSLの果たしてきた科学的な役割りや産業革命上の遺産としての役割りなど、そういうものを踏まえてぜひ残したいというお考えを根底に持っておられてお話をされているというふうに私は受けとめているわけであります。  もちろん、これを走らせるということになれば、黒字のところに走らせるなんということには当然ならぬのですから、SLマニアの期待をかなえるという意味から言っても、地域的にはかなり限定されてくることはおっしゃるまでもないわけです。具体的に検討を始めても結論が出るのは半年か一年かかるというお話でありますが、この話は、出てきてからもうかなり時がたっています。ですから、それに対して国鉄内部でもいま総裁のおっしゃった具体的な検討がかなり進んでいるのじゃないかと思うのですけれども、この場合、きっと幾つか条件がいまおっしゃったほかにもあるだろうと思うのですが、その条件をお示しになることが必要だと思うのです。いま、地元の受け入れ体制がなければだめだと言われました。しかし、それにしても、どういう条件が満たされれば地域で受け入れ体制がつくれるかということも地元でも進めていく上に一つの大事なポイントになるわけです。  そもそもその前段で、総裁はSLマニアというのはどれくらいいると推定をなさっていらっしゃいますか。
  150. 高木文雄

    ○高木説明員 大変な数だということは見当がつきますけれども、果たしてどのくらいであるのか、また若いお子さんたちの間でいま非常に広がっておりますので、さらにどんどんふえてくるのじゃないか、恐らく何百万あるいは千万にも近い数になるかもしれないと思われるわけでございまして、正確には知りませんけれども、とにかくその数たるや相当なものだということは想像いたしておるわけでございます。
  151. 島田琢郎

    島田分科員 私が五十人ぐらい集まっている規模のところでちょっとお話しして、マニアとは言わないまでもSLに対して関心の深い人というのはどれぐらいいるだろうと聞いたら、全く無関心の人というのは十人いませんでしたね。これは大変な数だと思いましたよ。それは言ってみれば、昔から、かく申す私自身も小さいときに、おまえ将来何になると言ったら、おれは機関車の運転手になる。ぼくらの同級生の中でも蒸気機関車の運転手になるというのが夢でありまして、これはずいぶん大きくなるまで、国鉄職員になる、とりわけSLの機関手になるんだ、これはすごい私どもの夢の対象としていままで発展を続けてきた。そういうことを一つ考えてみても、SLに対する期待というのは国民的に非常に高まっていて、輪の広がりが大きくなりつつあるというふうに私は考える。  そうしますと、これはもはや単なる総裁の思いつきだとか運輸省の側における一つの思いつきだといったような、そういうことで済まされないほど社会的な一つの問題になりつつあるというふうに、多少事大主義と言われるかもしれませんけれども、そんなふうにさえ私は思っているんですよ。  それで、そういう具体的な検討を、まだ発表の段階でないとしても、かなり進んでいるのではないかというふうに私は受けとめているんですが、その場合どういう地域、具体的にたとえばおまえのところの湧網線もその対象の一つだと言ってもらえば私は一番うれしいけれども、そこまでなかなか言えないかもしれませんけれども、いま総裁がおっしゃったような条件を満たす、そういう地域というのはかなりしぼられているんじゃないかと私は思いますけれども、差し支えなければ、どうでしょう、発表願えないのでしょうか。
  152. 高木文雄

    ○高木説明員 残す方がいいという方ばかりではないわけでございまして、たとえば人口密集地帯でございますと農作物に煙害があるとかそれから洗濯物が汚れてしまうとか、そういうことで必ずしも歓迎しないという地域もあります。そういう意味で、どうしてもやはり比較的人口希薄な地帯、そして主として農漁村、山村といいますか、そういう感じの地帯に限られてくるだろうと思います。都市近郊は、どうもやはりいろいろなデメリットの方が出てまいりますので、望ましくないのではないか。  それから、現に列車、電車がどんどん頻繁に走っている地域は、余りスピードを上げられませんSLをその合い間合い間に走らせることはむずかしいわけでございますので、そういう意味で、比較的一日走っております車両の頻度が多くない地帯ということが前提条件になるわけでございます。  同時に、実は残念なことに、蒸気機関車を動かしますために必要な設備を大分撤去してしまいましたものですから、いまからまたその設備をつくり直すということになりますと、これは投資に大変金がかかることになりますので、設備がいまもってたまたま残されておる地帯というようなところが、比較的投資経費が少なくて済むわけでございます。たとえば、蒸気機関車には、御存じのように石炭を積まなければいけませんし、水を積まなければいけません。そういう給水、給炭の設備がいまでも残っている地域。それから、目的地へ到達しまして、百八十度回してまたこっち側の先頭につけて走るために回転盤のようなものが昔ありましたですが、ああいう施設が残っている地域でありませんと、それをまたいまからつくるというのは、投資の額がよけいかかり過ぎるというようなことがございます。  そういう地元で歓迎する空気があるということが一つと、それからもう一つ設備がいまからもう一遍新しく投資をしなくても、まあまあ多少修理費にお金をかければできるということ、そうしたことの条件がそろっている地帯でないといけないと思います。  それから、もしこれを実際に動かしますと相当お客がふえる、観光地帯としてそこへ人が集まってくるということになると思いますので、他の観光資源との結びつきという問題を一つ考えていかなければいかぬのではないか。ただその汽車に乗るためにだけでお客さんが来られるということもございましょうけれども、やはりほかにもいろいろ観光資源があって、そして他の観光目的とあわせてSLを見に行こうというふうなことの方がより現実的ではないかなというようなことを考えるわけでございます。  最後に、それでもなおかつ相当赤字になりますので、今度はその運営について、経済的、財政的といいますか、そういう意味で、やはり国鉄だけに全部おまえのところで持てと言われましても大変つらいわけでございますので、関係地域の方々に、観光収入も上がってくるわけでございますから、その一部をお返しいただくような意味で、地元でも何がしかの負担をしていただくということが望ましい、ぜひ必要だ。われわれとしても赤字の状態でございますので、ただそれを全部うちだけの負担で処理をするというのは、ちょっと現在の国鉄の財政状態からいって適当ではないのではないか、そんなようなことを考えておるわけでございまして、いま申しました幾つかの点、特に設備が残っておるかどうかというようなことであるとか、線路の状態がどうだ……。  もう一つ言い落としましたが、余りアップ・アンド・ダウンがあるところはぐあいが悪いわけでございまして、ある程度レベルの平らなところの方が望ましいので、坂道の多いところはいろいろな意味でぐあいが悪いというようなことも、一つ線路条件として加わってまいります。  いま申しましたようなことを頭に置きまして、現在私どもの耳に入っております地元で非常に御熱心な地域というのは全国で十カ所前後になっておりますので、その各地域がいま言ったような条件からいっていずれがより適当であろうかというようなことを、いま検討いたしておるという次第でございます。
  153. 島田琢郎

    島田分科員 運行可能なSLというのは何台あるのですか。
  154. 尾関雅則

    ○尾関説明員 現在直ちに使えるというのは、梅小路に三両ございます。そのほかに、少し手を入れるなり動かすためにお金をかければ使いものになるというのが数両まだ残っております。
  155. 島田琢郎

    島田分科員 先ほど総裁のお述べになった条件というのは最低の条件ということになるのでありましょうが、率直に言って、きょうは陳情でございますから、わが湧網線はその資格に入りますか。
  156. 高木文雄

    ○高木説明員 それが検討の対象になっているわけでございまして、あの地域で非常に御熱心であるということはよく承知をいたしております。そして当該地域の管理局もいま熱心に勉強してくれておるわけでございます。いま御熱心なところといいますか、お申し出があるところが十数カ所あると申しましたが、その十数カ所の中に湧網線は入っておるわけでございまして、そこで、その十数カ所の中でそれぞれの設備の面とかその他の面につきましていま検討させておるわけでございます。  あえて難を言いますと、修理のための施設をどうするかという問題がある場合に、国鉄自身で修理工場をどこかに持って持ち続けていくということはなかなかできにくいものでございます。これは大変金がかかりますものですから、民間の修理能力を持ったところに委託をして修理するということを考えなければいけないわけでございますが、その場合に、走っている地域のすぐ周辺にそういう修理工場がある必要があるのかどうか。つまり、修理工場がどこか固定した場所にあって、そこへ車両を持ち込まなければ修理できないという考え方をとるか。従来の国鉄の機関区とかなんとかという制度はそういう制度であったわけでございますけれども、必ずしもそう考えなくてもいいので、日本国内のどこかに修理能力を持った会社なりなんなりがあって、そこから軽便なる設備を運んで行って、そしてそこで修理をすれば出先で修理ができるかどうかというような、そういう修理方式というようなことをもう少し研究しませんと、いま各地域から出していただいておりますところの御要望の中で、どの地域がより適当であるかということの選択基準がまだ出てきていないわけでございます。  そういうふうに、走らすこともさることながら、この修繕の問題をどうするかというのは結局非常に大きな問題でございまして、その修繕の方式をどうしたらいいかというのをわが内部でいま検討させておるところでございまして、そういったことでどんな結論が出てくるか、それによっていま出ております十幾つの御希望のところの優先順位が決まってくるんじゃないか。優先順位が決まってきました上で、地元でどの程度の御協力をいただけるかという御相談を始めるということになろうか、そんな手順かと思っております。
  157. 島田琢郎

    島田分科員 それらが煮詰まってきて、具体的に地元と話し合いができるというのは、見込みとしてはこれから先どれくらいかかる予定ですか。
  158. 高木文雄

    ○高木説明員 先ほど半年なり一年くらいかかるのではないかと申しましたのは、いまの修理方式をどういうふうにしたらいいかということも含めて、いわば優先順位選択基準みたいな、優先順位を決める基準となるべき事項を確定いたすのに半年ないし一年くらいかかるのではないかと考えているわけでございます。その時点でおのずから、A線が百点とかB線が九十五点とかというふうに、メリット、デメリットも出てまいりましょうから、その段階で御相談をするということになりましょうから、申しわけございませんが、やはりあと半年ないし一年待っていただかないと、地元にお話を具体的に持ちかけるということにはなかなかなり得ないのではないかというふうに思っております。
  159. 島田琢郎

    島田分科員 十数カ所というのを何カ所に最終的にしぼるかも、まだいまのところは決めていないわけですね。何カ所と想定して、それに合うような条件を見つけ出していくというような方式でなくて、全部洗ってみて、最終的に十数カ所が全部適格であるならそこに走らせる可能性もある、こういうふうになるのですか。
  160. 高木文雄

    ○高木説明員 先ほど担当常務からお答えいたしましたように、いますぐ動ける車が三両しかないわけでございまして、修理をして動かすことにしましても、恐らく十両まではとてもいかない数量であろうかと思いますから、もし十数カ所の全部がぜひやれ、こう言われましても、そこまでは手が届かない。ちょっと私見当つきませんけれども、せいぜい五カ所とか六カ所とかというくらいの感じのものしかいまの段階では考えにくいのではないかと思っております。  それからもう一つは、私は、これはどこまで国鉄の方で負担してやるべき仕事であるのか、場合によりましたら、要するに科学技術教育資料としての価値のあるものでございますから、教育教材としての価値を認めて文教予算といいますかそういう角度から、あるいは科学技術関係予算といいますか、そういうとごろからもいろいろお手伝いを願ってもよろしいのではないかと思ったりしておるのでございますが、まだ幾らかかりますよということが出ませんものですから、それぞれ御担当のお役所の方にお願いに出るわけにもまだいかないので、頭の中で、そんなこともやってみなくちゃいかぬと思っているわけです。  そういう面で援助をしていただける、また、地元からも相当御援助が願えるということになれば、個所数をふやしてもまたやっていけるかもしれませんけれども、もし私たちのところだけでやらなきゃならぬとしますと、これまた赤字の大きさ、SLを動かすことによってふえる赤字額というものがやはり気になるものですから、そう何カ所でも動かすわけにいかなくなってくるというふうに考えております。
  161. 島田琢郎

    島田分科員 いろいろ新聞にも出ておりまして、私も国鉄の技術屋さんからもお話を聞きましたけれども、大分とてつもないお金がかかる、いまの条件を満たすための当面の施設なども含めますと、二けた台の億単位の金がかかるなんて聞かされて、私もびっくり仰天しているのでありますけれども、これはいまおっしゃったように、総裁がしばしば言っております科学のシンボルだとかあるいは産業革命の遺産であるとか、こういった立場からいいますと、科学技術庁、文化庁などの応援ももらえるという道が開けてきましょうし、また、子供の夢を限りなく発展させ、これからもまた夢をそこに求めていくというような教育資料として使えるというようなことになりますれば、これは文部省だって黙っていないだろうと私は思うので、鋭意その点を今後詰めていただいて、ぜひひとつ、国鉄の合理化のみ追い続けている中にも、こういう現代の世知辛い中にもロマンを見出していく、そういう意味で、これはぜひこの夢を実現してもらいたい。総裁の初夢が正夢になるように私は心から期待する一人なんであります。  先般も、先週の土曜日の夜でしたか、私は、テレビのチャンネルをひねりましたら、かって私どもが小さいころ夢のようにあこがれていた国鉄の、国鉄マンの一生涯を描いた「大いなる旅路」という白黒の映画が出ておりまして、私も涙流しながら見ていた。私なんかもSLマニアの一人だからそういうふうに特に感ずるのかもしれませんけれども、ぜひこの際、国鉄の新任務なんというような大げさなことを私は申し上げるつもりはありませんけれども、まあそろばん抜きの部分を育て上げていくというようなことにも目を向けていってもいいのではないか、無責任なことを言うなとおしかりをいただくかしれませんけれども、私はそんなふうに思っている一人なんです。  そこで、運輸大臣、いまの国鉄総裁と私のやりとりで、すでに深い認識を持っていらしゃる運輸大臣だと思いますけれども、私は、地域の夢を代表いたしまして、期待が期待どおりに実現するように、私もそんなふうに考えている一人ですが、いまのお話を聞いておりまして、御感想なりあるいはまた積極的な決意などが伺えれば大変ありがたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
  162. 福永健司

    福永国務大臣 いまお話を伺いながら、ある意味において私も多大の共感を覚える一人でございます。このごろの世の中を見ながら、私はつくづく、人生に夢を、政治に夢をというような気がいたします。したがって、いま島田さんがなすったような論議等は、人によってはでございますけれども、余り多くの人がなさらない、そういう意味において私はいまの論議は貴重なものである、こういうように思います。  実は、私のいま住んでおります町もある意味で国鉄の町である。したがって、私の町の市役所にも、それから付近の幾つかの町のそういう市役所のようなところにもSLが置いてあるところがあるわけです。子供が非常に喜んでそれを見たりさわったりしておりますが、しかし、それは動かざるSLでございますから、本当の夢は動くSLということであろうと思うのでございますが、これからいろいろ検討いたしまして、国鉄総裁もいろいろ考えていることであるし、これはしかしひとり国鉄に関するところでなくて、もっと広く広く関係して考えられていい問題であるようにも思います。私も私なりに努力をさせていただきたいと考えるところでございます。
  163. 島田琢郎

    島田分科員 終わります。
  164. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 これにて島田琢郎君の質疑は終了いたしました。  次に、山原健二郎君。
  165. 山原健二郎

    ○山原分科員 最初に、造船不況に関する問題でございますが、私の県は高知県ですが、昨年の九月に今井造船というのが倒産をしました。これは現在、管財人がいないということで、この三月の十五日までに会社自体で管財人を探せという地裁の判定が出ておる、こういう状態です。引き続いて、ことしの二月に入りまして新山本造船というのが、これが和議申請をいたしまして、事実上の倒産状態に入っております。こういう事態、いままで倒産のことはずいぶん耳にしてまいりましたけれども、目の前で県内の最大の規模造船所がばたばたと倒産するという事態はまさに深刻な事態なんですが、それがある場合には会社更生法の適用という形で倒産する、ある場合には和議申請という形で倒産する、こういう状態にあります。新山本のごときは最近まで設備を拡張しまして、ずいぶん大きな騒ぎになったのですが、高知港という、浦戸湾という港がありますけれども、その湾の埋め立てをしなければならぬということで、ずいぶん議会あたりでも騒がれて、しかし埋め立てをやって船台を広げて、そして二年もしないうちに倒産する、こういう状態にあるわけです。  そこで、労働省にもお見えいただいておるわけですが、運輸省としてこういう倒産に対してどういう対策を立てておられるか、また、労働省としてどういう方針を持っておられるか。今井、新山本についても調査をされておると思いますので、最初に伺いたいのです。     〔村田主査代理退席、主査着席〕
  166. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 最近の造船不況にかんがみまして、特に中堅企業以下の企業が非常に厳しい状態にさらされております。そういう苦しい中にありましても、操業度につきましては大手を厳しく、中堅、中手についてやや緩やかにということで対応してまいったわけでございますが、昨今、主として海運会社の倒産、あるいはキャンセル、あるいは船価の値引き、あるいは海運会社からの技術的なクレーム等によって倒産するというケースが出てきておるわけでございます。  これにつきましては、倒産に至ります前に、私どもとしては個別企業に対して、地方の海運局を通じ、あるいはある場合には本省でみずから個別の金融対策等を講じてまいるわけでございますが、しかし、やむを得ず倒産のやむなきに至って和議あるいは会社更生法の申請に至るというケースが出ておるわけでございます。  これの再建につきましては、もちろん裁判所の判断が第一義と考えておりますが、適当な管財人が任命され、会社更生法あるいは債権者との和議が調って更正されることを期待するわけでございます。その間におきまして、一つは、当該会社についてはそういう手段をとりながら、関連倒産の防止ということで、関連の中小企業を中心としまして関連倒産防止の手を打ってきておるわけでございます。  それから、その再建の過程におきましてやむを得ず発生いたします離職者につきましては、前から手当てをしておりますが、さらに引き続き、新しくできました特定不況業種離職者臨時措置法の指定業種としてお願いをして、それによって対応をしているというのが現状でございます。
  167. 野見山眞之

    ○野見山説明員 お答えいたします。  労働省といたしましては、企業の整理状況につきまして毎月各県から情報をとっているわけでございますが、御指摘造船につきましては、今井造船につきましてはこれまで二百三十七名の整理、それから新山本造船につきましては本社二百四十五名のうち百五十二名の整理が行われているというふうに承知いたしております。先ほど運輸省の方からも御説明がありましたように、特定不況業種離職者臨時措置法に基づきまして関係会社から再就職援助計画が出ておりまして、これに基づいて離職者に対する措置を講じているということをいたしております。
  168. 山原健二郎

    ○山原分科員 私は、新山本造船のごとき会社がつぶれるということになりますと、このままいけば七つの大手の造船企業以外はほとんど倒産をしていく運命にあるのではなかろうか、そういう心配をしているわけですが、運輸省としても見通しというものをいままで持っていなかったんだろうか。たとえば世界の造船界の造船状況その他を見て、本当に二年前まで船台を広げて、新山本のごときはもうでき上がった二万何千トンの船が一つあるのです。これももうでき上がっているのです。その後へ八割でき上がった二万何千トンの船がまたできようとしているのです。ただ、これはその主機をキャッシュでなければ渡さぬということで、まるで目の前でつぶすようなかっこうになるのです。それからまだ一台あるのです。次々と仕事はあるのにかかわらず倒産をしていく、こういう状態でありますけれども、しかし、世界の造船界を見まして、今日不況が押し寄せてくるということを見通しを立てて運輸省として指導をされなかったんだろうかという疑問が一つあります。  それからまた、現在の状況で倒産をしてしまって、それに対してどう手当てをするかということになりますと、まあいろいろなことがあると思いますが、結局仕事をふやすということですね。そうすれば、公共事業とか、あるいは鉄鋼を使う事業であるとか、あるいは業種の転換であるとかというふうな、そういう細かい指導方針を立てておかないと、これからまたそういう状態が起こりかねないという心配をしておりますが、この点についてはどうでしょうか、簡単に伺いたいのです。
  169. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 設備の新増設に関連いたしまして見通しの議論でございますが、四十八年の末の石油ショック以来、世界の船腹需要、ひいては造船建造需要について大きく変わったということは事実でございます。したがいまして、私どもとしましては、その過程におきまして先ほど申しましたような操業短縮等をやりながら来たわけでございます。ただ、それが過ぎた後におきましても、中手の造船所で資金的にあるいは技術的に確実なところというものにつきましては、できるだけ希望に応じた船が建造できるようにという配慮から、スクラップ・アンド・ビルドという方式で、船台の拡張をスクラップを条件にして認めてきたことも事実でございます。  ただ、最近の倒産の例を見ておりますと、一つは、外国船主との結びつきにおきまして技術上のトラブルがあるとか、あるいは船主の倒産あるいはキャンセルという問題につきましては、これは私どもの予想以上に早く中堅の海運業者にも不況が出てきた。これの倒産に関連いたしまして、あるいはキャンセルに関連しまして、関連する度合いが濃い中堅、中小の造船所が倒産しているというのが事実でございます。ただ、あるケースを除きましては、好況期におきましても若干経営上の問題がありまして、赤字あるいはほとんど収支トントンというような状況でございまして、その意味においては、造船所の側の管理能力といいますか、そういう点にも問題があったかと思います。  ただ、先生指摘の新山本造船につきましては、五十一年度まで黒字でございまして、私どもも、その限りにおきましては、技術的にも問題ございませんし、倒産ということについてはさほど心配をしてなかったわけですが、ただ問題は、関連の海運会社であります大和海運に対する債務保証等がかなり大きな額に上っていたというような点もありまして、したがいまして、そういう点の評価いかんでございますが、内容としましては手持ち工事もかなり持っておりますので、一日も早く債権者との問で和議が調いまして信用が回復されて、御指摘の資材、主機等が信用によりまして購入でき、残りの工事が円滑に進むということを期待しておるわけでございます。
  170. 山原健二郎

    ○山原分科員 この問題の最後に大臣にお伺いしたいのですが、両方で二千名の労働者が職を失うわけですね、家族を含めて四千名。高知県の職安の状態を見てみますと、高知市の職安で約五千名が職を求めて窓口へ来ています。それから中村市で二千名、宿毛、安芸で二千名ずつ、相当な就職希望者がおる。こういう状態の中でこれがまた倒産をしていくということになりますと、何とかしなければなりませんが、たとえば公共事業を下請とかなんとかいうさまざまな形で受けようとしても、建設業法の問題があるとか、いろいろな隘路があるわけです。しかし、地方自治体も会社も労働者も一緒になって、公共事業あるいは何か仕事をしなければならぬ。いま今井造船の場合は、隣の会社の下請を、六百万円程度の仕事をやったり、ささやかではありますけれども、何とか再建しなければならぬという血みどろの努力を続けているわけですね。私は、これに対して運輸行政としても何らかの前進的な措置がとられるべきだと思いますが、この点についてお考えを伺いたい。
  171. 福永健司

    福永国務大臣 いま山原さんのおっしゃる点は全く同感でございまして、造船それ自体も何とか仕事をということでございますと同時に、どうしても離職者が出るということである現実において、何とかしてほかに仕事も発見しなければならぬ、そういうこと等がいろいろあるわけで、いま御指摘のように、私も実は、たとえば本州と四国の間に橋をかけるというようなこと等についても、いろいろ公共事業はあるけれども、私どもといたしますと、私ども関係するような方面の人たちに関係する仕事が多かれと望みますので、できるだけ橋をかけてくれるようにしてくれというようなこと等の折衝等もいたしておりますが、こんなのはほんの一例でございますけれども、ひとり運輸省ばかりでなくて、いまもお話のありましたように、いろいろな関係者みんなが一緒になってその成果を何とかして上げていくということにいたすべく、私どもの方の地方の出先機関等にもやかましく言っておる次第でございまして、この上とも、その点につきましてはさらに一層努力をしていかなければならぬと強く感じておるところでございます。
  172. 山原健二郎

    ○山原分科員 実は、本四架橋の場合には、四国の中小土建業はほとんど関係ないのです。大きいところがほとんどもう決まっていましてね。だから、公共土木事業、県内にもずいぶんたくさんあります。鏡川大橋なんてできますね。それにも大手が入ってきていますけれども、なるべくそれは遠慮していただいて、地場の中小の企業がやれるような状態をつくっていくとかいうような手は今後当然講じていかなければならぬと思いますので、その点はよろしくお願いしたいと思うのです。  それから次に、外洋港の問題ですが、この浦戸湾の今井造船、新山本造船のあるその目の前に種崎海岸という海水浴場がありますけれども、ここに現在の計画では六つのバースを持つ巨大な外洋港建設計画が発表されておりまして、建設総工費が三百億円、こういう状態で、果たしてこんなものが現実の問題として可能なのかどうかという疑問もあるわけですね。この点について、たとえば五十三年度の予算にこの建設費とかいうようなものがつくのかどうか、これを伺っておきたいのです。
  173. 大久保喜市

    大久保政府委員 ただいまお言葉のありました高知の外港計画でございますが、御承知のように、港湾の行政は、港湾管理者が中心になってその地域港湾計画をつくるという仕組みになってございまして、この計画は、港湾管理者である高知県知事が策定いたしまして、四十九年の六月に港湾審議会の計画部会の議を経て運輸大臣によって公示された計画でございます。それでまた、この計画は、高知県の総合開発計画の主要事業の一つにもなっておるわけでございます。  こういうような計画を高知県といたしましてつくりました背景といたしましては、私ども承知している限りにおきましては、御承知の浦戸湾が自然景観にも非常に恵まれておりますし、また、一つの内湾であるだけに、水質保全、汚染防止、こういうような環境問題も考えなければならない、また、これまでも再々水害等もありました、こういう防災上の問題も考えなければならない、こういうことで、浦戸湾のいわゆる地域社会を支える港湾をつくる場としての価値というものが、いま言いました調整に非常にやっかいな問題を残している。それからいま一つ、御承知の四十五年の台風十号、こういうような災害によりまして港湾整備そのものが非常におくれをとってしまっておるというようなこと、さらにはフェリーの出現ということに伴いまして、あの浦戸湾港の狭い湾曲した航路を大型のフェリーが通らなければならない、こういうようないろいろと問題がございます関係上、やはりこれからのあの地域社会を支える港湾としては外港に計画をつくらなきゃいかぬということがこの計画になったというふうに理解しております。  ただ、現在のところ、やはり地元関係との合意が完全にできていないというように承知しております。私どもといたしましては、この地元関係者との合意が現地着工の前提と考えておりますので、しばらく地元の状況の推移を見守りたいと考えておる次第てございます。
  174. 山原健二郎

    ○山原分科員 これは無謀な計画です。あの太平洋の一番台風の来るところへこんなものをつくったって、船長さんとか、外国航路の船長さんにも全部に聞きましたら、危なくってもうそんなことできやしないと言うのです。  そしてこれは、安全性の問題と、それから貨物の取り扱い量が、計画によりますと三千五百万トンとなっておりますけれども、福島の小名浜港が八百二十四万トンなんですね。小名浜の場合は、大きな企業がどっさりあって、バースがいっぱいあるところです。数字の上からも、まさにそういう全く荒唐無稽な数字を並べて、しかもさんふらわあというフェリーがもうすでにやまったのです。こういう事態の中で外洋港の問題、しかもあそこは種崎海岸という海水浴場、千松公園という松原がある。これを切ってしまってテトラポットを置いて、住民を入らさないということを運輸省はやっているのです。そんなばかなことでなく、もうちょっと地味な検討をして、住民の声も聞くべきだと私は思いますので、この点、もう時間がありませんから申し上げておきたいと思うのです。  それから三つ目に、高知空港の拡張問題が出ておりまして、いよいよ予算もついて、いざこれからだということになっておりますけれども、しかし、住民はほとんど意見も聞かれないという状態でございます。この計画は、お聞きしますと、第三次計画では間に合わなくて、第四次計画、すなわち五十六年から六十年にかけて行われるというお話を聞いておりますが、これは事実でしょうか。そして六十年の完成時にどれくらいの便数、そして機種、大体727百七十八人乗りが主力だと聞いておりますが、完成の暁にどれだけの便数の飛行機が発着するのか、伺いたいのです。
  175. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 高知空港は、東京、大阪から相当距離が離れておりまして、飛行機の便益を受けるのにふさわしい空港ということでございまして、現在YS11しか飛んでおりませんので、最近の輸送需要に照らしましてこれを大型機の発着する空灘にしたいということで、かねてから御議論があったわけでありますが、最近、高知県知事及び南国市長その他の方々のお話によりまして、現在の空港を拡充しようということが決まったことは先生御承知のとおりでございますが、五十五年で終わります五カ年計画では間に合いませんで、いまおおむね五十八年度いっぱいくらいにはジェット化が完了する、つまり二千メートル化が完了するであろうということで工事を進めております。総工費約三百二十億円でございまして、五十三年度には九十二億円ほど計上いたしまして、いよいよ本格的に工事が始まるわけでございます。  これができ上がりましたときの予測でございますが、昭和六十年時点の予測といたしまして、利用する年間の乗降客が百九十万人というふうに予測しております。機材につきましては、二千メートル化いたしますとB727クラスのものが就航可能になります。したがいまして、現在のYSの便数をかなり上回った便数の飛行機が飛ぶようになるというふうに予想されるわけでございます。
  176. 山原健二郎

    ○山原分科員 現在YSが四十便くらい発着している。ジェット機と両方入れましてそれを上回るということになりますと、東京−高知あるいは大阪−高知、さらには名古屋とかあるいは宮崎の便数も入ると思いますが、これがこの飛行場に発着をするわけですね。ところが、この周辺には大学、高専、それから高等学校、小学校、中学校、十校あります。それから病院が医院を含めまして十五あるのです。これは大変なことでございまして、教育の問題が一体どうなるのか、騒音の影響がどういうふうに出てくるかというようなことの調査もほとんどないのです。それからいまでも、YS11でも、これは病院に行って聞きますと、頭の上を通るときには看護をちょっととめて通り過ぎるのを待たなければならぬ、こういう状態です。もちろんいまのYS11の飛行場をのけろなどということをだれも言っているわけではありません。また、高知県民の足を守るという意味でも、飛行場を高知につくる、あるいはジェット機を入れるということについてはだれも反対する者はいないのです。  しかし、ここへ入れるということになると、この周辺の人たちは永久にこの影響を受けるわけですから、幾ら公共の利益だといっても、ほぼ永久に犠牲を受けるなどとということを押しつけるということは、政治家としてすべきことではないと私は思っているのです。だから、この点の意思統一を本当に真剣にやってもらいたいと思うのですが、もともと海軍があれを取り上げたのです。あの中には農道もありました、水路もありました。それもずたずたになってあの辺の農民は苦しんでおる上に、今度拡張というのは、滑走路を延ばすのではなくて、もう一本別に滑走路をつくるのですから、飛行場の新設と同じくらいの金も要ります。  そういう点から考えますと、私の考えとしては、YS11はあそこへ置いて、あそこへレーダーもつける、それからコントロールタワーもつけて、もっと安全な整備された飛行場にしてもらいたい。しかし、ジェット機を入れるということになると、将来はもっと大型化して、エアバスからジャンボから入れたっていいわけですが、それならそれなりに各党一致して、県政挙げて場所を探したっていいじゃないかというくらいに私は思っています。  だから、予算がついた、用地買収費はことしと来年で百五十億という予算でやるというわけですけれども、二年間で百五十億の金を使って用地買収するなどということは相当な問題だろうと思います。また、地権者にとりましても、あそこはいわば二期作地帯の一番の美田地帯であります。ハウス園芸地帯でありますし、高知県のデンマークと言われるところです。そのど真ん中に八十一ヘクタールの土地を買収するということは大変なことです。そういう意味で、大臣はよく高知のことは御承知ですから、本当に住民の声、教育の問題その他考えていただきたいと思います。  同時に、いまの飛行場の整備、あるいは周辺に対する整備というものもほとんどやられていないのです。空港関係者に聞きますと、レーダーが欲しい、コントロールタワーも欲しい、こう言っているのですが、これなどは、いまの計画としてはジェット機の導入が完成するまでほうっておくのかどうか、この辺も伺っておきたいのでございます。  最後に、あと二、三分しかありませんから、局長の御答弁の後で、大臣、私が言いました学校もある、病院もあるというところは、住民の声を本当にもっと聞いてもらいたいという私の質問に対して最後にお答えをいただきたいのです。
  177. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 高知空港は、現在YSが飛んでおります状況でも騒音対策を講ずる必要がございますので、五十二年度に特定飛行場の指定をいたしまして、現在そのための民家防音工事等の対策を進めておるところでございますが、先ほどもお話し申し上げましたような五十八年時点でジェットが入るということになりますと、当然いま先生指摘のような騒音問題はなお深刻化するわけでございますので、当然この騒音地域の見直し等をいたしまして、特に住宅、学校教育施設、病院等に対する被害が及ばないように万全の措置を講ずるつもりでございます。  同時に、レーダー等につきましても、五十三年度予算整備を開始いたしまして、五十四年度に完成する予定でございますが、そういった航空安全施設、あるいは周辺対策施設につきましては万遺漏がないようにいたしたいと思っております。
  178. 福永健司

    福永国務大臣 騒音対策を十分にやることなどを初めとして、いろいろ環境問題等に配慮をしなければなりませんし、問題はいまも山原さんのおっしゃるようにいろいろあるようでございますが、いずれにいたしましても、地元の皆さんの十分の理解を得て事業を進めるというのがわれわれの本旨でございます。せいぜい気をつけて対処いたしたいと思います。     〔主査退席、村田主査代理着席〕
  179. 山原健二郎

    ○山原分科員 終わります。
  180. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 以上で山原健二郎君の質疑は終了いたしました。  次に、上田卓三君。
  181. 上田卓三

    上田分科員 城東貨物線を複線電化し、客車運行するという国鉄大阪外環状線の計画についてお聞きしたいと思います。  本線複線化のための路線敷は全線にわたって大部分確保されておるわけでありまして、橋梁や橋脚等も多くがすでにでき上がっておることは御存じのことだと思うわけであります。あとは複線電化、客車運行を待つばかりでありまして、現在一日数回の貨車が走るだけでありまして、それもたまに走りますと踏切で数十分もとまるというようなことで、踏切周辺の交通停滞は住民に本当に大変な迷惑をかけておるところでございます。  この貨物線ができるについての用地買収については、沿線の住民に多大な御協力と御迷惑をかけてきたことをあわせて考えるならば、この際やはり思い切った対策がなされるべきだというように思いますし、とりわけ国鉄は資産の有効利用を方針にしているわけでありますが、地価の高い大阪で国家資産が数十年も遊んでいるということは重大な損失ではないか、このように考えるわけであります。  外環状線の建設は地域住民にとって緊急の課題であります。大阪東部地域の人口は急増いたしておるわけでありまして、爆発的な人口増加を見ておるところであります。他方、大阪における鉄道はいま放射状に発達いたしておりまして、これを南北に同心円的に連絡するものが全く未整備であるわけであります。このことが交通の混雑なりあるいは事故、公害の原因になっておるわけであります。しかも、円高不況の直撃を受ける大阪経済圏にとって、外環状線の建設は景気回復、雇用促進の効果の点から見ても切実な問題であろうと、このように考えるのであります。  地元の機運も非常に盛り上がっておりまして、大阪市も東大阪市もそうでございますが、関係七市も建設促進を大臣に要望いたしておりますし、早期実現のために利用債の引き受けをも約束をしておるところであります。また、大阪総評や大交運、国労、動労などの労働組合なども「いのくら共闘」という組織をもって、強力に推進してもらいたい、また全面的な協力もやぶさかでないということを言われておるわけであります。にもかかわらず本計画が実現しないのは、運輸省なりあるいは国鉄の関西に対する力の入れ方が少な過ぎるからだと思うわけであります。事実、五十二年度から制度化しましたところの大都市交通施設整備費は、東京、大阪の配分は六対一という、この現実を一つ見ましても大阪冷遇を端的に示しているものだと思うわけであります。  このようにあらゆる条件から照らしても、外環状線の実現は緊急な切実な地元の超党派的な要求であろうと思うわけでありまして、そういう点で運輸大臣なり国鉄総裁の明確な、この外環状線に対する計画を示していただきたいと思うわけであります。
  182. 福永健司

    福永国務大臣 私といたしましても、別に大阪の方を軽視しているというつもりは毛頭ありませんが、ただいま数字等もお挙げになってのお話でございましたが、そういう点についてはわれわれもさらに一層心して臨まなければならないと思います。  大都市圏における通勤、通学輸送の隘路打開のための輸送力増強対策につきましては、もちろん従来から重点を置いてきたところでありますし、本年度から大都市交通施設整備のための補助金も制度化されたことから、さらに一層努力をしていかなければならないところでございます。  大阪外環状線の計画につきましては、都市交通審議会の十三号答申の中で答申を受けている路線でもありますので、かねてから検討を加えてきておりますが、ただいまのお話等もあり、さらに一層努力をいたしたいと考えております。
  183. 高木文雄

    ○高木説明員 東京につきましてはもう十年以上前になりますが、通勤対策のために、いわゆる五方面作戦と称しまして、放射線状に増強するということが進められてきております。すでに計画を達成していなければならない年度になっておりますけれども、まだそれができない現状でございます。そうした経緯がありましたために、また大阪の場合には私鉄が東京よりも発達の程度が高いというような事情もありまして、大阪方が東京方に比べていささかおくれておるということはいま上田委員から御指摘のとおりでございまして、私どももそこらをもう少し考え直さなければならないというふうに思っております。  特に、環状線の問題につきましては、国会におきましてもしばしば地元関係議員の方々からこれまでも御熱心な御要請があったわけでございますが、いろいろな事情からまだはっきりとした計画に上ってきていないわけでございまして、大阪におきます通勤事情対策といたしましては、他を差しおいてでもいたさなければならない仕事であるというふうに私どもも認識をいたしております。最近しばしば関係の市長さんその他各方面の方々からも熱心な御要請を私どもの方に寄せられておるところでございまして、いままたこうして上田委員から御指摘を受けましたが、決して言葉の上だけでなしに、真実この問題にいよいよ取り組まなければならない差し迫った情勢になりつつあるというふうに考えております。  しかし、これから具体的にそれを進めますにつきましては、全体としては御賛成ということでありましても、直接御迷惑の及ぶ方々もございますものですから、なお一段と地元の方々とのお話し合いの機会をふやしまして、計画の促進といいますか、具体化といいますか、そういう方向に向けて取り組んでまいらねばならぬというふうに考えておる次第でございます。
  184. 上田卓三

    上田分科員 国鉄が全体の計画を示していないので、地元では、道路との交差等基本的事項について具体的に検討することができないわけでありまして、そういう点で、本路線の事業費、それから着工時期あるいは完成時期、そして年度区分、さらには運行計画を含むところの全体の計画をぜひとも出していただきたいと思います。  いわゆる景気浮揚、雇用の促進という立場から見ましても、何としても、七%経済成長達成云々ということも福田内閣の大きな政治責任にもなってきておるわけでございますが、高木総裁も大阪には縁の深い方でもあるわけでございますし、御理解もいただいておるところだと考えておるわけでありますけれども、遅くとも五十三年度の前半には全体計画を提出して、地元の協議が終了するように国鉄運輸省は——特に運輸省国鉄に対してそういう指導をするということはもう当然のことだと思うわけでありますが、いま指摘しましたところの事業費を初めとするところの項目につきまして、わかっている範囲で詳しく御説明をいただきたいと思います。
  185. 高橋浩二

    高橋説明員 外環状線につきましては、私ども、従来、城東貨物線と阪和貨物線をおのおの複線化いたしまして、そこに旅客を通すという計画で進んでおりましたところ、大阪圏の整備推進会議の方々の御意見もいろいろあって、長吉から南側について阪和線とどういうふうに連結するかという点については、別途いま検討をいたしております。  これまでに、新大阪付近から長吉付近までについて、一応こういう高さのものでこういう幅のものを計画いたしますので、こういう高さでよろしゅうございましょうか、あらかたこういう構造でよろしいでしょうかということを関係の自治体の市長さんにお示しをいたしましたのですが、その際に、従来からある盛り土をコンクリートの高架橋に直してほしいとか、あるいはもう少しこの位置は、高架橋の長さを直してほしいとか、そういうような御要望がございました。私の方は、この高架化事業は都市計画事業によって行われるものでございますので、いろいろ費用の御負担等も含めて御協議を申し上げたいと思っております。ところが、いろいろな関係市がたくさんございますけれども皆さんの御意見がまだ十分まとまっておりませんので、十分その点も御協議申し上げて、どういう構造物にするかということを決めた上で全体の工事費が固まってくるというふうにいま考えております。  大ざっぱに申して、この辺は新大阪から長吉付近までで約千億かかる予定でございます。それから長吉から阪和線に結ぶところ、これはルートによりますけれども、これも五百億ないし一千億ぐらいのお金がかかるのではないかと思います。その場合に、これはその高架化の量によりますけれども、そのうち一割ないし二割ぐらいの地元の方々の御負担がまた出てくるというふうに考えております。  それで、先ほど先生は、用地は大部分買えているではないかというふうにおっしゃいましたけれども、五、六年前に一部利用債を約十億ほど持っていただきまして、新大阪の駅の付近とそれから吹田の一部でございますが、そこについては区画整理事業が当時市の方で行われましたので、それとこの線との関連する部分の用地買収については済ませておりますけれども、当時買収した面積は約一万八千平方メートルぐらいでございまして、全体の計画を長吉まで進めますにも九万平方メートルぐらいの用地買収がまだ必要でございます。そういうことも今後詳細に詰めまして御協議を申し上げていきたいと思います。  まず、確定する前に地元の方々と御協議を申し上げなければならぬものがいろいろございますので、その点、地元の方々の御協力も得ながら、私の方もお打ち合わせを進めていきたいというふうに考えております。
  186. 上田卓三

    上田分科員 地元との協議は当然やっていただかなければならぬというふうに思いますし、工法等についても、地元に余り負担のかからないような、また、同時に、地元の方々の便利のいいような工法を考えていただかなければならぬと思うのですけれども、ただ、大体いつから着工のめどを立てておるのか、大体いつごろに終わるのか、それが地元の大きな関心でございますので、私が先ほど申し上げましたように、少なくとも五十三年度の前半に云々ということでお願いを申し上げておるわけでございますので、そういう点についてひとつ詳しくお聞かせいただきたいと思います。
  187. 高橋浩二

    高橋説明員 ただいま申し上げましたように、設計が確定をいたしませんと——これは運輸大臣の御認可をいただいて進めるのでございますけれども、その設計を固める前の協議がいろいろございまして、これは着工ということと意味が違うかもしれませんけれども、着工する前にその協議を完結しないと工事ができませんので、その協議はずっとやっておりますし、いま総裁が申し上げたような方針でなお一層協議を進めていきたいというふうに考えております。
  188. 上田卓三

    上田分科員 これはもう戦前から、あるいは戦後だけでももう三十年近い経過を持っているわけですからね。あなた方はそうおっしゃるけれども、たとえば新幹線、東京−大阪だけじゃなしに、福岡の線もあるいは東北新幹線も含めてすべて、国鉄の問題一つ取り上げても、大体何年から何年というある程度の目安を立てて、あとはそれに合うような形で地元と協議したり設計するということになるんじゃないですか。なぜこれだけ地元の協議とかいう形で——恐らく地元からいろいろ陳情させて、地元にたくさん負担させようというような国鉄なりあるいは運輸省のずるい考え方から出ているんじゃないかというふうに私は思うのですけれども、少なくとも、こういう景気浮揚というような至上命令もあるわけでありますから、そういう一定のめどを立てて、あなた方として強力に国鉄を督励して地元の要望にこたえるということが必要だ、こういうふうに私は思うのですけれども、その点はどうなんですか。  ぜひとも早く設計して着工にかかるという決意を運輸大臣からお聞かせていただきたいと思うのです。
  189. 高木文雄

    ○高木説明員 まさに御指摘のとおりでございまして、何とか早く手をつけたい、あるいは早く目標を明らかにしたいという気持ちを持っておりますが、たとえば、現在私どもが一番大きなプロジェクトとして取り組んでおります東北新幹線の例をとりましても、最初完成予定であった目標年度はもうとうに過ぎておるわけでございますのに、現在なお大宮と東京の間の用地が一カ所も買えないというような現状でおわかりいただきますように、都市部で地元の方々と円満にお話し合いがつきますのには大変時間がかかるわけでございます。  東海道の大船から西の方、茅ケ崎とか平塚とかあちらの方面、あるいは横須賀線の方面がいま大変込んでおりますのも、ほかはほとんど完成しておるのですけれども、わずか何百メートルの距離のところの地元の方とのお話し合いがつきませんために、これまたその目標年度からすでに数年経過しておりますのにまだ目的を達せられないということになっております。  今日の国鉄の仕事の悩みは、ごく一部の方々に反対がありましてもできないということでございますので、そういう過去の経験、失敗から、先に用地問題についてのお話し合いを何とか早く具体的に詰めて、その上で始めるということにしませんと、私どもは決して年限を引っ張っておるわけではないのでございますが、逆に投資が寝ておる例がたくさんございますものですから、いま常務理事が御答弁申し上げましたようなことになっているわけでございます。  しかし、それだからといってこの大阪の環状線の問題を後ろへ延ばしてもいいとは私ども考えていないわけでございますので、いよいよ精力的に地元の関係市町村にもお願いをいたしまして、用地その他の手だてを大至急とるように進めてまいりたいというふうに思っておりますので、ただいま御指摘の、いつ着工するかとかいつ完成するかとかいうことの計画年次をここで明らかにすることだけは——事実問題として、お約束をいたしましても守れないというのでは何もなりませんものですから、そういう意味も含めまして、ここでその年度を明らかにすることだけは御寛容を願いたい。  しかし、そういうことができますように、一日も早くそこへこぎつけますように努力をしてまいりたいというお約束といいますか、決心を申し上げて、御勘弁願いたいというふうに思います。
  190. 上田卓三

    上田分科員 いずれにしても、大体何年度で完成するという目標は立ててもらわなければ困るわけで、目標を立ててもそのとおりにいままでいってませんからといって目標を立てないという法はないと思うのです。やはり、一応のめどを立てて、それの実現のために努力するというのは当然あってしかるべきだと私は思うのです。確かにそういう土地買収等でいろいろおくれるということはありますけれども、特に外環状線については多くが買収済みである、あと若干の問題点が地元との協議が残っているということでありますから、その点でやはり早急に地元と協議をしていただきたい、このように思います。  それともう一つは、いわゆる国鉄の第三次長期計画の中にこれは入っておるわけですけれども、第一期工事が新大阪から長吉間ということでございます。これは早急に第一期工事を始めていただきたいということでありますが、同時に、第二期の工事が加美と杉本間にすでに線があるわけでございますが、ただ、第二期工事については、いわゆる長吉から松原を通って南下して和歌山との連絡を考えるという意味で阪和線に接続せよという要求も非常に強いし、これはどう考えておるのか。  また、同時に、すでにあるところの加美から杉本間についても、地元に反対意見もあるかもわかりませんが、同時にやはり電化してもらいたい、客車にしてもらいたいという熱意もあるわけでありますから、いままで地元に迷惑をかけてきたということも含めて、やはり両方生かす道を考えるべきだというふうに私は考えておるわけでありますが、その点もあわせてお答えをいただきたいと思います。
  191. 高橋浩二

    高橋説明員 長吉から南へ向かいましては、最初外環状線という意味では、先ほど申し上げましたように、阪和貨物線と城東貨物線ということで、いま長吉−杉本町間に旅客運転をしたらどうだということを一応考えております。  ところが、この線自体が杉本町の入口のところに非常にきついカーブがございますのが一つと、仮に外環状線をつくりました場合に、その目的が、域内の通勤交通というものと、それから阪和線から新大阪へ直通するという二つの目的を持つ線ではないかという問題と、もう一つは、杉本町から以南の阪和線自体が最近非常に混雑状況でございますので、そこの輸送量がもたない。そういういろいろな事情が実は最近考えられます。  そこで、総合的に勘案をして、いま先生のおっしゃったようなことも十分御意見として取り入れることを考えながら、いろいろ今後検討していきたいというふうに考えております。
  192. 上田卓三

    上田分科員 全体の計画と、それから着工は五十三年度の上半期でもできるように地元と協議してもらいたいということにあわせて、少なくとも大都市交通施設整備費を全額これに投入してでも実現のためにすべきだと私は思うし、さらにそういう設備費の補助率なども上げて取り組んでいただきたいと思うわけであります。  この点について、最後に運輸大臣から、地元の要望に従って、私の発言の趣旨を踏まえて、早急に実現方を図りたいという決意の一端を聞かせていただきたいと思います。
  193. 福永健司

    福永国務大臣 いろいろお話のありました点等を念頭に置いて、せいぜい努力をいたしたいと存じます。
  194. 上田卓三

    上田分科員 次に、大阪における国鉄線の建設計画のもう一つの問題は、片町線と福知山線を直結する片福連線の建設であろうと思います。  現在建設中の片町線の四条畷−長尾間の複線化、それから福知山線の園田−宝塚の複線電化及び宝塚−三田間の複線化が実現すれば、この両線を直結して直接都心へ乗り入れる計画は不可欠なものと聞いておるわけでありますが、この計画はどうなっておるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  195. 高橋浩二

    高橋説明員 ただいま、その片町線の複線化と福知山線の複線電化に全力を挙げておりまして、この片町線と福知山線とをいま先生がおっしゃいますような位置で連絡をするということは、構想は持っておりますけれども、具体的にまだ調査をいたしておりません。  一番問題になりますのは、福知山線がどんどん発展をしてまいりましてこの輸送が大きくなってまいりますと、いまの大阪駅に入れる尼崎−大阪間の輸送が一番詰まってまいりますという、そういう技術的な問題と、いま言った地域の発展と両方を考えた上でいろいろ片町線と福知山線の連絡については考えなくちゃいかぬのじゃないかということですが、これについては大阪市からの相当の御協力をいただきませんと事実上できませんので、今後もう少し具体的に検討を進めていきたいというふうに考えております。
  196. 上田卓三

    上田分科員 片福線の連絡線については、これはもう本当に地元の大きな要望でございますから、ぜひとも早期に実現できるように御努力をいただきたいと思います。  次に、大阪駅ターミナル整備について、ことしの四月に新会社が発足して五十八年春開業だというように報道されておるわけでありますけれども、大阪駅改造及び駅前ターミナル整備に当たっては、利用者、乗客の便利と公共交通輸送優先の立場から、次の事項について万全を期すべく御要望を申し上げておきたいと思います。  それは、まず、一は、大阪駅改造及び駅前ターミナル整備は、国鉄、私鉄、地下鉄、市バスの連続利用の乗客の便利を第一義的に考慮してもらいたいこと。第二に、バス発着停留所を駅前に集中し、バスターミナルをつくること。第三に、駅前ターミナルは、バスを基軸とするタクシーなどの公共交通輸送を優先させ、駅周辺の円滑な交通規制を図るとともに、駅前の自家用車の駐車、発着の規制を大幅に実施してもらいたいこと。こういう要望でございますので、その点について、要望について検討するということでお答えいただきたいと思うのです。
  197. 高木文雄

    ○高木説明員 ただいまお示しがありました国鉄と地下鉄と私鉄との乗りかえ、乗り継ぎ等を円滑にやるという点は、今回あそこの駅を改造いたします第一目的のようなことでございますので、それはお言葉のとおり、駅改造に当たって最大重点事項として考えます。  それからバスターミナルの整備、それから公共広場の有効な利用、特に自家用自動車の抑制といった点も十分考えております。  特に、あそこの広場の使い方の問題につきましては、私どもの方もさることながら、大阪市の方にいろいろお願いをして具体案を立てていただく必要がございまして、昨年来、駅ビル問題を議論するに当たりましても、市長の御相談相手というような意味で、十名足らずの方に集まっていただいて御協議いただいたわけでございます。その御協議の結果でも、いま上田委員が御指摘のような方向でやるべしということになっておりますので、市側においても十分考えてくださっておるようでございまして、私どもも御指摘の点を注意してもう一遍よく見直してみますが、御指摘の数点のいずれにつきましても、お示しいただきましたような御趣旨にまずまず沿い得るものと確信をいたしておるわけでございますので、どうか御安心をいただきたいと存じます。
  198. 上田卓三

    上田分科員 申しわけございませんけれども、あと一点だけ……。  昨年の十月二十七日に、衆議院内閣委員会で、八尾空港の民航部分の地元払い下げについて私は質問させていただきまして、そのときに、地元の八尾市長、大阪航空局、大阪府の三者の問で年内に一定の結論を出すべく協議中だというように答えていただいたわけでございます。そして、さらに、三者の話し合いの上で年内にぜひとも結論を出したいというように私の質問に対して答えていただいたわけでございますが、その結果いかなる協議がその後行われ、結論が出たのかということについて、かいつまんでお答えいただきたいと思います。
  199. 田代雅也

    ○田代説明員 ただいま先生指摘のとおりでございまして、昨年内閣委員会でお答えいたしましたとおり、昨年末を目途に、地元の大阪府、八尾市、それから私どもの現地出先でございます大阪航空局の三者問で協議をいたしまして、八尾空港整備案の作成作業を急いできたわけでございますけれども関係者が多うございますし、いろいろな案がございまして、その調整に手間取っておりまして、現在、三者問におきまして幾つかの素案を持ち寄りまして、その点につきまして現地で調整中でございます。地元府、市とも協議中でございます。  地元の要望も非常に強うございますので、いろいろ問題ございますけれども、できるだけ早く成案が得られますように努力したいと思います。
  200. 上田卓三

    上田分科員 五十五年の春までに決着を、という形でお願い申し上げておりましたし、ぜひとも地元の協議を進めていただいて、地元の要望に沿えるように御努力いただきたい。  あと詳しい問題については留保させていただいて、後ほどいろいろ折衝させていただいてお答えいただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  201. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 これにて上田卓三君の質疑は終了いたしました。  次に、長田武士君の質疑に入るのでありますが、同君の質疑に対し、参考人として日本住宅公団理事澤田光英君が御出席になっております。  なお、御意見質疑をもって聴取することといたします。  長田武士君。
  202. 長田武士

    長田分科員 私は、都市交通輸送体系の問題と、国鉄の未利用地及び再開発問題について、運輸大臣並びに国鉄総裁にお尋ねをしたいと思っております。  まず、最初に、昭和四十七年三月一日、当時の丹羽運輸大臣は、都市交通審議会より、昭和六十年を目標とする基本計画、すなわち、東京圏高速鉄道整備計画の答申第十五号を受けまして、その後各関係者の尽力によって、実現の方向で推進されていることは私もよく承知いたしております。  そこで、お伺いしたいことは、以上の経過を踏まえて、すでに六年を過ぎておるわけでありますが、この整備計画の中で、これまでの進捗状況はどうなっておるか。この点についてまずお尋ねをいたします。
  203. 真島健

    ○真島政府委員 十五号答申におきまして、いわゆる地下鉄の新設計画は、これは先生御承知のとおり百九十六キロでございます。  そこで、進捗状況でございますが、現在までにすでに供用になっております。開業しております部分、さらに、工事中でございまして、この二、三年に供用できる部分、これを合わせますと大体百九十六キロの三分の一程度、六十六キロでございまして、進捗状況といたしましては、私どもといたしましてはすでに免許をいたしておる部面もございますけれども、現在あるいはここ二、三年間で供用できるということに限って申し上げますと、大体三分の一くらいの進捗程度である、こういうことでございます。
  204. 長田武士

    長田分科員 工事中のものを含めまして七十六キロありますから、私の調査ですと、進捗状況は全体の三二・五五%という状況じゃありませんか。
  205. 真島健

    ○真島政府委員 私どもの計算ではちょっと数字が違います。三四%程度でございます。これはもとの数字のとり方がいろいろございまして、あれでございますけれども、大体三分の一というところかと思います。
  206. 長田武士

    長田分科員 それでは伺いますが、全長四百二十七キロということですね。それに対して現在三〇%前後、三分の一前後という状況であります。これでは余りにも低過ぎないか、おくれていないかという疑問を私は持つわけであります。六十年までに達成できるかどうか、これはちょっと危ないのじゃないかという感じを私は持つわけであります。  そこで、運輸大臣にお尋ねしますけれども、六十年までに達成できる見通しがあるのかどうか。もし達成できない場合、未着工の路線について重点化政策が必要じゃないかと思いますが、この点はどうでしょうか。
  207. 福永健司

    福永国務大臣 大変大事な点でございますが、私もまた早期進行を希望するものでございます。  やや詳細にわたっては関係の事務当局からお答えさせます。
  208. 住田正二

    ○住田政府委員 先ほど御説明がありましたように、現段階で約三分の一程度の進捗状況でございますが、十五号答申が考えております昭和六十年の達成というのは大変むずかしい状況ではないかと思います。  その十五号答申が出ましたときの背景といたしましては、高度成長ということで、いまから考えますとかなり大きな計画になっております。その後、経済情勢、社会情勢も変化いたしておりますし、また、東京都の財政状況など非常に逼迫いたしております。また、新しい路線を引く場合の環境問題も非常に大きな問題になっておりまして、そういう面からの障害があるわけでございます。  いま御指摘がございましたように、私どもといたしましては、できるだけ重点的に整備を進めていく必要があるということを考えております。
  209. 長田武士

    長田分科員 それでは、具体的に十二号線の問題についてお伺いをしたいと思います。  整備計画の中における十二号線は環状部分と放射部分とからなっており、この放射部分には、新宿から東中野、練馬を経由いたしまして練馬区の高松町に至る路線が計画されておるわけであります。そして、さらに、高松町からは大泉方面への延長が検討されることになっております。この路線は練馬区の東西を走る西武新宿線と西武池袋線、さらに東武東上線の間に囲まれたいわゆる交通過疎地区でありまして、これを解消するために計画されたものだと私は考えます。その上、この地区には、都内最大の大規模開発でありますところのグラント・ハイツの跡地がございます。  この開発につきましては、五十三年度には都市計画が決定される予定であります。住宅公団を中心といたしまして、住建三社による一万二千戸の住宅が建設されるわけであります。施設では、小学校九、中学校五、幼稚園十二、高等学校二、病院その他の各種公共施設も建設され、人口も四万二千余にふくれ上がるのではないかと予想されておるわけであります。こうした状況下にあるこの地区が、現段階においても十二号線着工のめどが立っていないということに私は非常に疑問を持つわけであります。  もし、こうした状況を放置しておけば、この開発地区周辺の整備を含めて、六万ないし七万人の人口を抱える足なし団地というものができるおそれがあるのではないかと私は思うのですが、これに対して住宅公団は、この交通輸送機関をどのように考えておられるのか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  210. 澤田光英

    ○澤田参考人 ただいまのお説のとおり、グラント・ハイツの団地の中心を十二号線が通っておるわけでございまして、私ども、この団地の足としては最も主要な交通路だと思っております。  そこで、計画はこのようなことに基本がなっておりますけれども、それがおくれるような状態にあるというふうなことでございますけれども、御存じのように、十二号線のほかに、ここに、十三号線あるいはそのほかの私鉄がございます。私どもは、できるだけ早くこの土地を生かして、住宅を希望する世帯に早く住宅をお届けしたいと思うわけでございますけれども、お説のように足がなければ足なし団地になるということでございまして、ただいまこの地区に協議会ができております。御存じのように、これは両区と都と私どもで、都が主導権を持っております。十二号線はすぐれて都の計画になるということでございますので、その辺の調整を都がやっておりますので、お願いをして、できるだけ早く十二号線をつくっていただきたい。しかし、住宅事情の方もございますので、私どもも五十五、六年にはできるだけ住宅を供給したいと思っております。  その辺のギャップができますれば現地の区等では問題が起こりますので、この協議会の中で諮りまして、いずれにいたしましても足なし団地というふうなかっこうがなくなるような状態で、たとえば十三号線なり、そのほかの層に可能な手段を講じて流していく、しかも混乱を招くような戸数はそれ以上建てない、こういうふうなかっこうになろうと思います。  しかし、あくまで私どもは住宅をできるだけ早くに都民の皆さんに供給したいということでございますので、十二号線の問題につきましては方々に促進方をお願いするというふうなつもりでおります。
  211. 長田武士

    長田分科員 ただいま、暫定的に人を流すというような、そういうことでありますけれども、私は、非常に計画が明確でない、その中にあって暫定的に人を流すということは非常に危険をはらんでいると思います。  現在、練馬区というのは、御存じのとおり、東西は西武線あるいは東武東上線がございますけれども、南北が交通機関がございません。そのために自転車が都内有数な非常な台数を誇るわけですね。そこへもってきてさらにそういうような流し方をする。あるいはバス輸送か何かをするでしょう。こうなれば交通渋滞はさらに激しくなるし、交通麻痺を起こすのではないか。私はそういう懸念を抱いておるわけでありますが、そういう点について住宅公団はどうですか。
  212. 澤田光英

    ○澤田参考人 十二号線以外の十三号線その他に結びつけるといたしますれば、当然バス輸送ということになろうと思います。自転車などでは、駅前広場の整備その他の問題もございまして、これは問題があろうかと思います。しかし、十三号線にしましても、その他の私鉄にいたしましても、これはキャパシティーがあるわけでございまして、それを超える分につきましては非常な問題が起こるということになりますので、先ほど申しました協議会あるいはそのほかのところともよく相談をいたしまして、混乱の起こらぬ限度で住宅を供給するというふうなことに現実はなるのではないかというふうに私は思っております。  ただ、私どもは、こういう枢要の地に高遠狭の問題を抱えまして、近いところに便利な住宅を、ということが達成できる場所でございますので、できるだけ早く数を多く供給したいということを念願しております。
  213. 長田武士

    長田分科員 それでは、十二号線の問題について具体的にお尋ねしますが、十二号線の計画はいつごろという計画をされておるか。この点についてお尋ねをいたします。
  214. 住田正二

    ○住田政府委員 十二号線につきましては、昭和四十九年八月に東京都に対しまして免許をすでにいたしております。  免許を受けて、その次の手続といたしましては、工事実施計画認可を東京都から運輸省へ出してくるということに相なるわけでございますけれども、現在の段階ではそういうような動きが東京都にないわけであります。  その理由といたしましては、一つは、先ほどもちょっと申し上げましたように東京都の財政が非常に悪いということで、資金的にめどが立たないのではないかというように考えております。もう一つは、いま住宅公団の方からいろいろお話を伺いましたが、グラント・ハイツの計画についてもまだ具体的なものが十分固まっていないということもその理由の一つというふうに聞いておりますが、主な理由は先ほど申し上げました財政的な理由ではないかというように理解いたしております。
  215. 長田武士

    長田分科員 この十二号線は、いまお話にございましたとおり、免許については、東京都が昭和四十九年八月三十日に取得しております。グラント・ハイツの開発もあるという理由でもって、とりあえず、第一期工事といたしまして、練馬−高松間四・四キロの工事施工認可申請が、昭和五十年十二月二十三日運輸省に提出されております。そして現在に至っておるということを私は聞いておりますが、この件について運輸省はどう対処されておるのですか。
  216. 住田正二

    ○住田政府委員 大変失礼いたしました。  いまの先生の御指摘のように、工事実施計画は私どもに出ております。しかし、先ほど申し上げましたような財政的な理由でちょっと待ってくれといいますか、見合わせてもらいたいということで、いまとめてあるという状況でございます。
  217. 長田武士

    長田分科員 私も、財政的な問題ということはよくわかっておるつもりでありますが、いずれにしても、足なし団地のまま放置しておくことは非常に問題だと私は思っております。そういう意味で私は質問しておるわけであります。  したがって、間もなく着工されるであろうところの八号線の立体化と並行いたしまして、練馬−高松間はいま申し上げましたとおり四・四キロで、これは最も短い距離の路線でありますが、これが実現されれば西武池袋線と八号線の乗りかえが可能なわけでありまして、当分の間はこれで足なし団地という汚名は返上できると私は考えておるわけであります。  こうした観点から、これが早期に施工許可をされるよう運輸大臣より特段の御配慮をいただきたいと私は考えておるわけでありますが、大臣、どうでしょうか。
  218. 福永健司

    福永国務大臣 努力いたしたいと思います。
  219. 長田武士

    長田分科員 次に、地下鉄の建設、経営などについて、とりわけ膨大な建設コストを賄うために現在政府が行っておりますところの補助制度の中で、補助率が低いために思うように建設が進まないという現状であります。  そこで、地下鉄を持つ地方自治体からも強い要望があり、また、昨年十二月八田に、地方公営企業経営研究会より、地下鉄事業の経営の改善を図るための方策といたしまして、補助制度改善の答申がありました。これを受けて運輸省の五十三年度予算案に計上されておると私は伺っておるのでありますが、これは改善されたとはいえ、十分とは言いがたい。今後においても補助制度の拡大はせひとも必要であると利は考えますが、運輸大臣、この点はどうでしょうか。
  220. 福永健司

    福永国務大臣 大都市の地下鉄の必要性にかんがみまして、従来からもある程度のことをやっておりますが、低いというのでしばしばおしかりもいただいているのでございますが、最近建設費等も特に高騰を来しております。来年度から補助対象範囲を若干拡大する等の改定を行いまして、この補助を強化することにいたしております。  これも十分だといってほめていただけるようなところへはなかなかまいらないかもしれませんが、いずれにしても、これらの改定によりまして地下鉄整備の促進も可能である、こういうように考えております。
  221. 長田武士

    長田分科員 十二号線については、どうかひとつ特段の御配慮をいただきたいと思っております。  次にお伺いしたいことは、現在池袋副都心に建設中でありますところのサンシャインビルがことし四月にオープンされるわけでありますが、これにかかわる交通機関が実は心配されておるわけであります。その背景にあるものは、同ビルの完成後一日の流動人口が大体十五万から二十万人ではないかというように推定されておるわけでありますが、こうした過密状態に対応できるかどうか、実は地元では非常に心配されておるわけであります。  池袋駅における一日の乗車人員は、五十一年度で平均四十五万五千三百六十三人で、これは新宿駅の六十六万九千二百五十八人に次ぐものなんです。こうした過密状態の上にサンシャインビルのオープンを控えるわけでありますが、国鉄当局としてはこれに対してどのような対応策を考えていらっしゃるのか、この点についてまずお伺いしたいと思います。
  222. 高橋浩二

    高橋説明員 ただいま先生がおっしゃいますように、池袋駅自体のただいまの一日の乗降は、私の方では約四十七万かと実は考えておりますけれども、池袋の駅は国鉄線だけじゃなくて、東武東上線あるいは西武池袋線、地下鉄丸ノ内線、有楽町線等いろいろな線が池袋駅で一緒になっておりまして、そのおのおのの線がいまのこういうサンシャインビルがオープンすると、そのお客様を輸送することになろうかと思います。  いま池袋駅で、国鉄側で一番混雑しておりますのが赤羽線のホーム及び有楽町線との連絡口というところで、ここがただいまでも私の方では一番混雑しておりますので、これからのそういう輸送の実態に応じて、赤羽線のホームの増設等を含めまして改良を考えたいというふうに考えております。
  223. 長田武士

    長田分科員 私は、こうした事態に対応するためには——いまの理事お話ですと、状況を判断してということでありますけれども、実は、大塚駅が非常に至近距離にございます。ところが、この大塚駅は明治三十六年四月一日に開業いたしておりまして、現在の駅舎は昭和二十三年三月三十日に戦災の跡地に建設された老朽駅舎であります。山手線の中では最も古い駅だとも言われているわけであります。こうした状況下において、駅舎の改修工事がささやかれる一方、山手線の貨物扱いが廃止されることによって本来の業務が減少いたしておりまして、加えて日通の跡地というか、日通用地等が利用できるという条件がそろっておると私は考えるわけであります。特にこの日通の用地等は、都内でも山手線内では大きな空き地と言われているわけであります。  この国鉄用地に、空蝉橋口の改札を含め、サンシャインビル側の方でありますけれども、駅ビルの再開発計画検討されておると私は伺っておるわけでありますが、将来を展望し、国鉄当局といたしましてはどのような計画を持っていらっしゃるか、この点についてお尋ねしたいと思います。
  224. 高橋浩二

    高橋説明員 いま御指摘の大塚のあいている土地は、四十九年まで貨物を扱っておりました土地がただいま手小荷関係の扱い所として一部使われて、大部分は十分な使用状況になっておりません。  そこで、いまの先生の御指摘のサンシャインビル等のお客様も、確かに大塚駅に相当の乗降を寄せるものというふうに考えておりますので、それらの問題と、この空き地を有効に立体的に国鉄利用するという問題と含めまして、この空蝉橋方向のいろいろな計画は至急検討してまとめていきたいというふうにただいまのところ考えております。  具体的に何をやるかということについては、この地域では通常の地域、池袋等と違いまして、そうすぐに商業的に成り立つかどうかという問題がいろいろございますので、そういうものを含めまして、具体的な問題については十分検討を進めていきたいというふうに考えております。
  225. 長田武士

    長田分科員 東京の北口玄関は、従来上野駅がその役目を果たしてきておりますが、東京駅の過密を救済する上からも東北新幹線の上野駅が設置されたと私も伺っておるわけであります。  そこで、東北線、高崎線の通勤輸送について見ますと、大宮以南が一本になっておるわけでありまして、これはどうしても増強される必要があると思いますが、この増強策においては、現在の上野駅に対してさらに東北新幹線の上野駅までの設置がされるわけであります。そうなりますと、新幹線を引くことによって逆に過密状態になることは当然予想されます。  そこで、東京都の都心分散策を配慮するならば、東北線、高崎線の大宮以南を分離いたしまして池袋への乗り入れを図り、これに伴う池袋ターミナルの整備、拡充を早急に検討すべきだと私は考えますが、これに対する国鉄当局の御見解をお示し願いたいと思います。
  226. 高橋浩二

    高橋説明員 以前に新幹線の東京駅が決まりますときにも、東京都知事から、ターミナルの分散を将来にわたって図るべきだ、したがって新幹線の駅も分散すべきであるという意見がありましたが、いまの先生の御質問はそれに加えて、通勤のお客さんも上野、東京に集中させるのではなくて、池袋方面にも通勤客をもっと直接持ってくるような方式を考えたらどうかという御意見かと思います。  確かに、東北、高崎線から参ります朝の通勤時間帯のお客様を調べてみますと、約三割の方が池袋、新宿の方面に参ります。約六割から七割の方が上野、東京の方へ参っております。そういう意味においても、乗りかえなしに池袋の方へ列車が来るということは混雑の緩和においてはよろしいんじゃないかというふうに私どもも一応考えております。なお、かつ、池袋駅自体には私の方の用地自体にも若干の余裕を持っておりますので、そういう面も含めまして、一点集中主義じゃなくて、先生のおっしゃるように、池袋あるいは新宿方面にも分散するような通勤対策というものもあわせて考えていきたい。  ただ、これには、先生は早急にとおっしゃいますけれども、赤羽線自体の増強をどうするかとか、あるいは池袋だけではなくて中間の線路自体をどういうふうにするかとか、そういう両方の問題がございますのでいろいろ検討してまいりますが、できるだけ早い機会にいろいろな面を考えた検討をしたいというふうに考えております。
  227. 長田武士

    長田分科員 時間の関係でもう一問質問をしておきたいのでありますが、現在、池袋駅には、西口に国鉄の施設を含む未利用地が約一万七千三百平米あるわけであります。この隣接地となる学芸大学付属小学校跡地には東京都が芸術文化会館の建設を予定いたしております。  そこで、地元としても、周辺に緑が少なく、防災計画の上からも避難場所としてこの土地は最適であるということから、公園や広場をつくってほしいという強い要望が出ておりますが、こうした強い地元の要望に対して、国鉄当局はこの土地利用計画をどのように考えているのか、この点について最後にお尋ねしておきたいと思います。
  228. 高橋浩二

    高橋説明員 いま御指摘いただいた敷地というのは、先生面積をおっしゃいましたのですが、私も、具体的にその面積がどことどこというふうには、ちょっといま手持ちの資料がございませんのでわかりませんが、実は、いま池袋の西側に私の方の木造あるいはブロック建ての低い建物の宿舎敷がございます。それからすぐ駅の近くに、従来私の方の事務所に使っていた部分と、芝浦工業大学の、これは高等部だと思いますが、そこへただいまお貸ししている土地がございます。それらを含めますと先生のおっしゃるような面積のものがございます。  これは、一つには、将来の通勤あるいはその他ターミナルとしてどういうふうな使い方をするかということを私どもとしては考えなければなりませんし、それからまた、この付近のターミナルという意味は、お客さんだけではなくて、今度お客さんが出てきた場合のターミナルの駅前広場としてどうあるべきかということも検討して、なおかつ私の方もなるべく有効に使いたいということと、いま先生のおっしゃるような、都民の方々の御要望をどういうふうに入れるかということについていろいろこれから研究していきたいというふうに考えております。
  229. 長田武士

    長田分科員 以上で終わります。
  230. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 これにて長田武士君の質疑は終了いたしました。  次に、大原一三君。
  231. 大原一三

    大原(一)分科員 大臣、細かい質問を申し上げるわけで、どうも申しわけありません。御苦労さんでございます。  最初にお伺いしたいのでありますが、四国に橋を三つかけることに方針が決まっているようであります。これは国鉄も同じでございますね。私は九州の人間でありますが、四国に橋を三つかけるというのは大変ぜいたくな感じがするのでありますけれども、この三つかけることになった理由でございますが、大臣はこれを基本的にどのように御認識になっていますか。
  232. 福永健司

    福永国務大臣 これは長い間の経過で大変複雑なことがございまして、私自身もちょっと必ずしも正確に把握いたしておりません。  むしろ、事務的に客観的に見たところを事務当局からお答えさせることにいたします。
  233. 住田正二

    ○住田政府委員 いま御指摘のように、本四の橋は三本、三ルートというのが決まっていたわけでございますが、そのうち二つのルート、Aルート、Dルートと言っておりますが、それが鉄道との兼用橋になっておりまして、Eルートが道路専用になっております。これを決めましたのが四十八年ではなかったかと思いますけれども、その後の情勢の変化で当面一ルート、三橋に手をつけるということで、DルートとAルートの鳴門大橋、それからEルートの二つの橋をいま着工いたしております。したがいまして、現段階では三ルート全部つくるということじゃなくて、当面は一ルートでいくというように方針が変わってきておると御理解いただきたいと思います。
  234. 大原一三

    大原(一)分科員 それではお伺いしますけれども、Dルートですか、児島−坂出ルートを先に着工することになったのはどういうわけでありますか。おわかりになっている範囲で結構ですから。
  235. 住田正二

    ○住田政府委員 非常にお答えしにくい質問ではございますけれども、Dルートは真ん中のルートでございますし、鉄道の立場から見ましても、現在連絡船で旅客、貨物の輸送をいたしております。それが橋で渡れるということになると非常に便利であるということで、道路、鉄道両方の面から見ましてDルートが一番便利ではないかということで先に取り上げることになったものであると考えております。
  236. 大原一三

    大原(一)分科員 大変不明快な答弁でありまして、私はよくわからないのでありますけれども、九州人のひがみかもしれませんが、(「ひがみじゃない」と呼ぶ者あり)こっちに九州の人が二人いらっしゃいます。何で四国だけに橋を三つかけるのだろうかという感じはみんな持っているのですね。特に大分県、宮崎県というところは、四国に三つかけるかわりに淡路ルート——簡単に淡路ルートと申しましょう、松山に行って佐田岬をくぐって佐賀関、こういう開発があれば、四国に橋を三つかけるよりはるかに日本列島改造的有効性が高いのではないかと期待をしておったのですが、どうもみんな金比羅さんに行きたがるのですね。この辺が余り明快でないのです。いま担当の大臣も余りはっきりおっしゃらないわけでありますが、大臣、この辺明快にお答えいただかないと困ると思うのであります。  ところで、国鉄関係の二ルートプラスもう一つの道路ルート、合わせて総工事費は幾らになりますか。——道路と別々で結構です。
  237. 住田正二

    ○住田政府委員 ちょっと古い数字になるわけでございますが、Aルート、Dルートの工事実施計画を決めました四十八年の計算でございますが、淡路を通りますルートの工事費が二千二百五十億円、児島−坂出ルートが二千億円、計四千二百五十億円でございますが、その後相当工事費も高騰いたしておりますので、一兆円近い価格になろうかと思います。
  238. 大原一三

    大原(一)分科員 道路の方はわかりませんか。
  239. 渡辺修自

    ○渡辺説明員 大変申しわけございませんが、ただいま資料を持ってきておりませんので、後ほどお答え申し上げます。
  240. 大原一三

    大原(一)分科員 私が申し上げたいのは、先ほども触れました豊予海峡の問題でございます。現在、国鉄におかれては豊予海峡の調査をおやりになっていますね。その調査の現在までの進行状況と、その結果どういうお見通しでいらっしゃるか、お教え願いたいと思います。
  241. 住田正二

    ○住田政府委員 豊予海峡の調査は鉄建公団でやっております。四十九年以降毎年二億をつけまして調査をいたしております。調査期間は大体五年ぐらいの目標でやっております。現在の調査はきわめて初歩的な調査でございまして、豊予海峡トンネルをつくる場合の地形、地質等がどうなっているかという点について調べているということで、本格的な調査にはなっていないわけでございます。
  242. 大原一三

    大原(一)分科員 いまの調査の内容がよくわからないのですが、何を調査していらっしゃるのですか。
  243. 住田正二

    ○住田政府委員 いまやっております調査は、陸上部の一万分の一の地図をつくったり地質踏査をやる、あるいは海底部のボーリングをやったり地形測量をやる、その他音波探査、磁気探査などの物理探査をやっている状態でございます。
  244. 大原一三

    大原(一)分科員 この豊予海峡はまだずいぶん先の話だろうと思うのですけれども、青函トンネルに比べて、国鉄並びに運輸省がお持ちになっている将来のトンネルをおつくりになるについての難易度、その辺の御判断はいまの段階でどうでありますか。
  245. 住田正二

    ○住田政府委員 非常にむずかしい御質問でお答えしにくいのですが、青函トンネルも、当初非常にむずかしい工事ではないかということで工事にかかったわけでございますけれども、現在までの進捗状況から見まして大体先が見えてきております。したがいまして、青函トンネルで得ました経験等を利用すれば、豊予海峡についても決して不可能ではないと考えております。しかし、いま調査が十分行われているわけではございませんので、いまの技術で十分やれるということは、いまの段階では言いにくいわけでございます。
  246. 大原一三

    大原(一)分科員 大変初歩的な調査でありまして現段階では判断が非常にむずかしいというお話でありますが、先ほど二つの橋で一兆円と申されましたね。青函は幾らぐらいかかるのですか、そして仮に豊予海峡をいまの段階でつくったといたしますと幾らぐらいかかるのですか。
  247. 住田正二

    ○住田政府委員 青函トンネルも途中の段階でございますので最終的な工事費は出ませんけれども、現段階では四千億円程度ではないかと見ておるわけであります。豊予海峡の場合には、先ほど申し上げましたようにまだ調査も十分できておりませんので、いまの段階で幾らぐらいかかるかということはちょっと申し上げにくいわけでございます。
  248. 大原一三

    大原(一)分科員 一兆円かかる、道路を入れたら四国の三ルートはまだずいぶんかかってしまうのですね。豊予海峡というのは青函よりちょっと長い程度です。四国に橋を三つかけるうちの一つ分ぐらいでできてしまうのじゃないかと思うのですよ。なぜ四国に橋を三つかけて九州をほったらかしておくのかその辺がわからないわけであります。予算というものは国土の全体的な有効性を高めるものだという見地から言いますと、四国に三つ行ってしまってこっちの方はほったらかす。しかも、大分南部から宮崎というのは陸の孤島と言われているわけです。その辺に着眼をして、何とかいまの調査の進捗を図っていただきたいという気持ちで御質問申し上げているわけであります。  そこで、大臣にお伺いしたいのでありますが、道路は人のいるところにつくるものですか、いないところにつくるものですか。
  249. 福永健司

    福永国務大臣 何か禅問答みたいでなにでありますが、どっちにも必要であると思います。
  250. 大原一三

    大原(一)分科員 どっちにも必要であれば、ぜひどっちもやっていただきたいわけであります。そういう意味で、大臣、この豊予海峡はこれから列島改造といいますか、地域開発の大きなポイントになろうかと私は思うのです。仮に九州でも大分でもそうでありますが、農作物にしてもこれを直接そこを通してさらに関西へ行くというルートであれば三角形の一辺になってしまうわけですから、非常に効率の高いルートではないか。ここに児玉さんがいらっしゃるから恐らく賛成してくださると思うのですが、そういう意味でぜひそこに焦点を——あれはどうも九州のやつらの話だからと大臣おっしゃらないで、大いに検討を加えていただきたい。いまいつつくるかとかどうするかというお話は私はお聞きはいたしませんが、今後の——ところが三全総にそれが入っていないのです。豊予海峡は。少なくともこれに書き加えていただきたかったのでありますけれども、何とか読めば読めないこともないわけでありますので、その辺の調査も、せっかく運輸大臣におなりになったのですから、ぜひ御配慮をいただきたいという気持ちであります。  次は段落が落ちて恐縮でありますけれども、いま九州東海岸の開発は非常におくれております。九州といいますとすぐ西の方に行ってしまって、東海岸は後回しであります。そういうことで、今後の九州全体の開発ということから考えますと、さしずめ国鉄では日豊本線の問題があるわけでございます。  まず第一にお伺いしたいのですが、日豊本線の電化はいつまでに完成されますか。
  251. 尾関雅則

    ○尾関説明員 ただいま日豊本線の宮崎から鹿児島までの工事をやっているわけでございますが、五十一年の三月に着工いたしまして、現在およそ一〇%程度の進捗だと考えております。完成の見通しにつきましては、五十四年度には完成させたいと考えております。
  252. 大原一三

    大原(一)分科員 五十四年度は、宮崎で国体があるのです。国家的な行事でございますので、運輸大臣も国体に御出席になるかもしれませんので、ぜひひとつ国体までに問に合わせていただきたいというお願いであります。  それから、電化はそれでいいのですが、複線化の問題が出ております。これはどういう段取りでいつごろまでにおやりになりますか、お伺いしたい。
  253. 高橋浩二

    高橋説明員 日豊線の複線化は、ただいま小倉から大分の間の複線化を進めておりまして、ただいままでに約七〇%、延長にしまして七割方が複線化されて、残り三割についてただいま工事を進めているところでございます。一番隘路の区間から逐次進めておりますので、できるだけ隘路の区間を早く完成しながら、逐次大分までの複線化について進めてまいりたい。  大分から南、宮崎の方につきましては、ただいまのところまだ正確には予定が立っておりません。なるべく都市付近の通勤を中心に考えながら、しかし、この間には宗太郎峠という非常な急勾配の区間もございまして、列車速度も遅いし、また輸送力も非常に少ないという隘路区間があるということも十分検討いたしております。それらの問題も含めまして、大分から南につきましては今後検討したいと考えております。
  254. 大原一三

    大原(一)分科員 検討はわかりましたが、大体何年くらいの間かわかりませんか。
  255. 高橋浩二

    高橋説明員 大分までにつきましては、ただいま大いに進めておるところでございますので、今後の輸送の伸びは、私、ただいま百数十本列車本数があることはわかっておりますので、これ以上ふえるようですとピッチを上げてまいりますが、大分までについては三、四年くらいで完成させたいと考えておりますけれども、大分から南についてはただいまのところまだよく検討されておらないということでございます。(兒玉分科員「それじゃ困る」と呼ぶ。)
  256. 大原一三

    大原(一)分科員 兒玉先生からも声がかかりましたが、それから先はもう調査をする必要はないのでございましょう。その段取りを先ほどお伺いしたのでありますが、どういうことでありますか。
  257. 高橋浩二

    高橋説明員 先ほどもちょっと申し上げました宗太郎峠の前後が実は一番隘路区間でございます。その区間は新しく輸送力をつけますためには、ただいまある駅も、場合によっては中間駅を通り抜けたようなルートを選びませんと輸送力のついた線路ができない。そういう意味で非常に広い範囲の調査は進めております。しかしそれには、いま言った地域の方々の関係もありますし、また技術的な問題もございまして非常にむずかしい工事でございますので、調査は進めておりますが、いつの時点にどうするかということはただいまのところまだ決めていないということでございます。
  258. 大原一三

    大原(一)分科員 宗太郎の話はよくわかりました、私もよく知っておりますので。  延岡−宮崎間ないしはその先をとりあえず電化する方法はありませんか。
  259. 高木文雄

    ○高木説明員 従来は、どちらかと申しますと幹線をだんだん太くするといいますか、線路容量を大きくするという形で複線化なり電化なりを進めてまいったのでございますが、最近交通事情が大分変わってまいりまして、長い距離のものは、貨物につきましては私ども鉄道から船への移行が非常に目立ってき始めております。また旅客につきましては、長距離のお客さんは鉄道から飛行機への移行が非常に目立ってきておりまして、最近南九州と大阪もしくは東京間におきましては実は相当速いスピードでお客さんを飛行機の方にとられているという現状になっております。そこで、全体的にレールを強化しなければならないことはもちろんなんでございますけれども、その場合のウエートの置き方につきましていま改めて考え直さなければならないのではないかと思っておる次第でございます。  ただいまちょっとお触れになりました宮崎を中心とした整備はどうかという御指摘でございますが、むしろそういう地方の主要都市を中心とした通勤通学のための線路の強化ということにかなりウエートを置いて考えていくべき時代に来たかなと考えておるわけでございますが、そうした考え方を持ち出しましたのはごく最近でございますので、いままだ具体的にどこの線区についてどうというところまでは作業が進んでないわけでございます。私も、宮崎の場合を例にとりますれば、県庁所在地である宮崎を中心とした交通整備について国鉄でももう少し従来とは違った形で考えてみるべきではないかなと考えて、そういう気分で各セクションで検討するように指図をしておる次第でございます。
  260. 大原一三

    大原(一)分科員 せっかく国鉄総裁にお答えいただきまして、国鉄問題についていろいろお伺いしたいのでありますけれども、きょうはもっぱら個別問題に限定して、次の問題に入らせていただきますが、総裁、どなたでも結構ですけれども、SLの復活を、観光目的で復活していただきたいという希望があちこちに出ているやに聞いておりますが、この条件、もし仮におやりになっていただくとしたら、どういう条件があったらこれをお認めいただけるだろうか、いま鋭意国鉄の方で御検討いただいておるようでありますが、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  261. 高木文雄

    ○高木説明員 従来は、国鉄の方針といたしましてはもう営業運転はSLではやらないということで、もっぱら縮小整理の方向で考えておったわけでございます。しかし、私はそれではぐあいが悪いんじゃないかということで、いわゆる動態保存ということについてもう一遍考え直すべきではないかということでいま検討を命じております。その場合に、申すまでもなく電車もしくはディーゼル機関車で運行します場合と蒸気機関車で運行します場合とでは運行コストが大変に違うわけでございますが、これはある種の動態保存という意味で運行するのであれば、従来の概念のような形で金をかけて運行しなくてももう少し経費を切り詰めながらやっていけるのではないかということで、どういうふうにしたら安く、主として観光といいますか、あるいは科学技術の教育のためといいますか、そういう意味で最小限のコストで運行するとすればどういう運行の仕方があるかということをいま大至急検討させております。しばしば、どこかで、一路線で数キロないし数十キロ動かすにしましても年間で十億近いコストがかかるんじゃないかというようなことが言われておったのでございますが、それでは現在の国鉄の赤字の状況からしましてもとてもやっていけないということになりますので、まずこのコストの切り詰めの方式を研究させておるところでございまして、コストがある程度詰まってまいりましたならば相当部分は国鉄でも持てないこともないと思いますし、地域の方でも持っていただける可能性が出てくると思うのですが、一体一日もしくは一年間で幾らコストがかかるのか、コストが増加するのか、電車、ディーゼルに比べて何ぼコストが増加するのかという計算そのものがまだつかまっていないものでございますから、大体半年ないし一年ぐらいを目途にまずそれを計算といいますか、運行の仕方を変えて、従来の概念とは仕方を変えて、そして運行するとしてどのぐらいのコストで済むかということの計算をいまやり直しをさせている段階でございまして、その上で条件をお示しをして、各地元で御協力いただけるかどうかという御相談の提示に入ってまいりたい。こちら側の作業を完了いたしますのに大体半年ないし一年ぐらいの期間の御猶予をいただきたいというのがいまの段階でございます。
  262. 大原一三

    大原(一)分科員 宮崎からも一つ出ているのでございますが、どうかひとつよろしく御検討をお願いしたいと思います。  それから、総裁、実はこういうことを、思いつきで大変恐縮でありますけれども、汽車は線路の上を走るわけで横へ徐行ができないのでいろいろ問題があると思うのでありますが、たとえば私、郷里へ帰りまして、夜の汽車というのは、ローカル線というのはほとんど人が乗っていないんですね。翌日の運行の関係で動かさなければならないということでそうなるんだろうと思うのでありますが、今度ようやく、私、賛成であります国鉄の料金体系の自由化をもう少し進めていただいて、総裁のこの前の新聞を見ますと、ああいうのは、ローカル線は料金を上げるという発想でありましたけれども、せっかく空で走るんなら、安くしちゃって、人を乗せる手はないものかということも考えてみるわけであります。その辺はいかがでございますか。
  263. 高木文雄

    ○高木説明員 これまでの国鉄の考え方は、やはり東京、大阪、博多、鹿児島あるいは上野、仙台、青森、札幌、そういうふうな非常に長い距離のところをいわば優等列車といいますか、特急を優先的に走らすということを考えておりました。ほかの交通手段が整備されておりませんでしたから、そうした役割りが国鉄にとって非常に重大な使命であったわけでございます。ところが、近時お客さんの流動を見ますと、そういう非常に長い距離の区間につきましては飛行機を御利用のお客がずっとふえてまいっております。私どもも、無理に鉄道に向かない地域で列車を走らすということに重点を置いて仕事をするということをしてみても、資源配分的に意味のないことであると思いますので、むしろ私どもは私どもに適した運行をすべきではないか。そういう意味から言いますと、先ほど申しました大都市、中都市を中心とする通勤通学のためにもう少しウエートを置いていくべきじゃないか。長い距離のものを少しカットいたしましても、近い距離のものにもう少し運行のウエートを置いていくべきではないかというふうに考えております。現在は近距離、中距離のものについて、走ります頻度がだんだん間引かれてまいってしまいましたために、いま御指摘のようにあいている車が走っているというようなことが大分あるわけでございますので、その辺のダイヤの立て方をまず考え直さなければならないということで、そう急に変えられませんけれども、漸次そういう方向で地域中心のダイヤ編成に変えてまいりたいと思うわけでございます。  そういうサービスの切りかえと関連いたしまして、ただいま御指摘のような点も一つのアイデアとして研究してみたいとは思いますが、その前にまず、運賃問題の前に、ダイヤの立て方を少し変えることを大至急研究してみたいというふうに思っております。それと関連していまのアイデアを検討課題の一つとしてちょうだいをいたして研究の対象にしてみたいと思う次第でございます。
  264. 大原一三

    大原(一)分科員 よろしくお願いしたいと思うのです。  きょうは個別問題で、飛行場部長さん、いらっしゃいますか。——宮崎空港、これも国体に関係があるのですね。九州で一番りっぱだった飛行場が、いま一番さもしい飛行場になっておるのでありますが、いま百メートルに対してことしの予算十四億何千万でございますか、これはいつ完成されますか。
  265. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 御指摘のように、宮崎空港は九州の中では最も先進的な空港だったのでありますが、ただいまはかなりおくれているわけでありまして、知事さんも大変その点を心配されまして、五十四年夏には国体もございますしということで、現在千八百メートル滑走路を百メートル延ばしまして千九百メートルにするということで計画をしておられます。私どもこれに協力いたしまして五十三年度中には延長工事を完成したいと思っております。
  266. 大原一三

    大原(一)分科員 これで終わりますが、実は運輸大臣、飛行場問題はいろいろ漁場とかその他のことでその延長がむずかしい。騒音のトラブル等々から地元で非常に大きな政治的な問題が起きて、なかなか思うとおりに延長ができないというような場合に、やはり知事さんの段階でいろいろ迷っちゃうのですね。もう一ついい飛行場はなかろうかとか、あっちの方がよかなかろうかとかいろいろ考えるわけでありますけれども、何とか運輸省の方でもう少しリーダーシップを持っていただいてそういう迷いが出ないように未然にこれを防止して、どうしてもこの飛行場が一番適格でいいんじゃないかというような御判断も、ただ県段階のいろいろの折衝の様子を見てというのも大事でございましょうけれども運輸省のそういう毅然としたやはり指導力がありますと、むだなトラブルが起きぬでも済むことがあります。そういう対応がやはり今回の宮崎の空港問題にしても欲しかったと思うのでありますが、運輸大臣、これは宮崎だけの話ではございません。宮崎には飛行場の専門家はおりません。運輸省しかいないのですから、そういう点を御配慮いただいて、起きなくてもいいようなトラブル、迷いを未然に防止するような対応を示していただきたい。私の希望でございますが、運輸大臣、いかがでございますか。
  267. 福永健司

    福永国務大臣 これからますます飛行場は大事になってまいります。そういうさなかでございまして、いまお話しのようなことにつきまして、運輸省もできるだけお役に立つように力をいたしたいと存じます。
  268. 大原一三

    大原(一)分科員 では、終わります。
  269. 藤田義光

    藤田主査 以上で大原一三君の質疑は終了いたしました。  次に、川本敏美君に発言を許します。
  270. 川本敏美

    川本分科員 私も国鉄当局並びに運輸大臣に、ローカル線、特に都市近郊における通勤通学の問題についてお聞きをいたしたいと思います。  まず、国鉄の方にお答えいただきたいと思います。私は奈良の選出でございますが、国鉄桜井線と和歌山線の王寺−五条問の電化工事については、御承知のように昭和五十年の九月に認可されまして、十一月一日に国鉄高田駅において起工式が行われておる。ところが、その後どうも工事を何もやらない。二年間ばかり全然何もやらなくて、最近になって電柱が何本か立ってきたという事態なんです。この電化工事については、完成はいつごろを予定をしておられますか。
  271. 尾関雅則

    ○尾関説明員 御指摘のように、いままで予算事情、もろもろの事情で大分御心配をかけておりましたけれども、最近に至りまして、少し工事を本格的に始めることができるようになりました。来年度は相当の予算をいただきまして、五十四年度じゅうには開通できるように工事を進めてまいりたいというように考えております。
  272. 川本敏美

    川本分科員 これはただ電柱を立てて電化すればいいというだけではなしに、現在ディーゼルが走っておるわけですから車両の問題等があろうかと思うのですけれども、総予算一体どのぐらいになっておりますか。
  273. 尾関雅則

    ○尾関説明員 私、正確には覚えておりませんけれども、電化が三十八億、電化に伴いましていろいろ関連工事がございますが、これが二十二億、電車等の車両が四十八億、合計百八億ということになっております。
  274. 川本敏美

    川本分科員 そこでひとつ総裁にお聞きするのですが、先ほど来もお話が出てましたが、大体この電化工事をやるということは国鉄としてはどういうメリットがあるのですか。
  275. 高木文雄

    ○高木説明員 最近、複線化の問題と電化の問題が各地域にございます。で、両方とも御要望が多いわけでございますが、私どもとしては、現在のところは通勤通学の強化という観念からいきますと電化の方がメリットが早く出るということで、乏しい予算の中でございますけれども、電化の方にはかなりウエートを置いていっております。何といいましても電車の方が運行コストが結局は安いということになりますので、今後通勤地帯の電車の頻度といいますかフリークエンシーを上げるためには、やはり通勤地区については電化を進めることが望ましいというのが一般論でございます。ただ、現実的には工事予算はそう潤沢というわけではございませんので、思うようにいっておりませんでいま御指摘のような御迷惑をかけておりますが、基本的にはそういう考え方でございます。
  276. 川本敏美

    川本分科員 いまこの電化工事が始まっております奈良県の王寺駅といいますのは、これは申し上げるまでもなく御承知だと思いますけれども、大阪天王寺から関西本線で王寺までの区間が現在快速電車で十五分なんです。だから、王寺駅から仮に国鉄高田駅、桜井駅あるいは御所、五条というところまでを想定しても、電化が完成すれば大体三十分から四十分程度で全部通える。いわゆる東京近郊の通勤通学と比べますと問題にならぬ。三十分か四十分で大阪の町のど真ん中にまで行ってしまうというような、時間的には非常に近距離にあるわけです。     〔主査退席、兒玉主査代理着席〕 だから、いま奈良県におきましては、大阪のベッドタウンとして年々人口が急増しつつあるのは御承知のとおりです。ところが、現在この国鉄桜井線、和歌山線は赤字路線だと思うのですけれども、ここのダイヤは、運行状態は現在どうなんでしょう。一日にどのくらい運行しておるのですか。
  277. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 五条−王寺間で申し上げますと、五十二年現在で本数が三十六往復。それでラッシュには、上りで見まして一時間帯で三本でございます。
  278. 川本敏美

    川本分科員 私の調べたところでは、いまおっしゃるのは上り、下り合わせての本数を言っておられるのだろうと思うのですが、現在のところは、ラッシュといいますか朝の通勤帯を除きますと、一時間にほぼ一本だと思うわけです。一時間に一本のディーゼルカーを走らせて、それで通勤通学用に使えるのかどうか。通勤通学の客がそれで乗ってくれるのかどうか。もし乗りおくれたら一時間待たねば乗れない、そんなものに定期券を買うて乗るかどうかということを考えたら、これはもう通勤通学用の路線として考えていないのじゃなかろうかと私は思わざるを得ない。ところが、今度この電化をするに当たって国鉄は、たとえて言いますと電化が完成すれば通勤通学の旅客を輸送しよう、こういう意図を持って電化をされるのだと私は思うのですけれども、その点、どうなんでしょう。
  279. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 先ほど来先生の御指摘のように、この付近はかなり人口も増加しておりますし、大阪に対する通勤もふえております。そこで、電化をしましてどういうふうにするかということにつきましては、目下われわれも勉強しておるわけでございますが、先ほど御説明しましたように完成が五十四年度でございますので、いまこういう形でもってこういうダイヤでやるのだということの決めはいたしておりませんが、何とか少しはよくなるようにというような勉強はしております。ただこの区間は、御所あたりからですと近鉄が出ておるとかそういったような、ある点について見ますと大阪に対して非常に便利なところもございますので、その辺は十分考慮に入れながら、どういうダイヤを引いたらよろしいかということで勉強しておるわけでございます。
  280. 川本敏美

    川本分科員 昭和五十年の十一月ですか、高田駅で起工式を挙げました当時、天王寺の鉄道管理局が発表しました方針の中には、電化後も大体単線でやる、もう一つは、したがって列車の運転本数もおおむね現行どおりでございますというような言い方をしておるわけです。せっかく多額の百億からの経費をかけて電化しながらダイヤをそのままということでは、地域の住民も納得しないし国鉄もそれでは赤字がふえるばかりじゃないかと私は思うわけです。  ちなみに、いまちょうど並行して走っております近畿日本鉄道の大阪線の列車のダイヤについて見てみますと、朝の六時台は急行と準急と合わせて八本、七時台は同じく急行六本、準急六本、八時が急行三本、準急四本、これはみな大阪上本町行きです。こういう形で、七時台などについては一時間に十二本の準急と急行が走っておる。このほかに一時間に三本ないし四本の特急が走っておるわけですから、いわば七時台などは十五本くらい走って、三分間に一回くらいの回数になっておるわけです。これ以上過密ダイヤを編成しようとしても編成できない。ダイヤのぎりぎりのところまで現在輸送計画を立てておると思うのです。それと同時に近畿日本鉄道もプラットホームなどを延長しまして連結台数をふやしてきていますけれども、ほぼ現在では限界に近づいておる。これ以上輸送力を倍増するというようなことはとうていできない状態だ。ところが同じ時間帯の国鉄桜井線、あるいは和歌山線両方あわせましても、六時台が一時間二本なんです。二本ということは桜井から来るのが一本と五条、和歌山から来るのが一本と二本。七時台も二本、八時台と九時台が三本ずつなんです。言いかえますと、王寺とか高田付近の人は別として、桜井とか五条方面から通勤通学する人としてはちょうど通勤通学の時間を外して三本走るというような形になるわけです。ダイヤの編成の仕方としても問題があるけれども、ともかくせっかくこれだけの設備をしながら、一時間に一本じゃ通勤通学用に使えないということはだれが見ても明らかなわけですから、どうしてもこれはダイヤを改正して、そして電化ができましたときにはもちろん増発してもらわなければいけないと私は思うわけです。  と申しますのは、現在奈良県から大阪へ通勤しております人口は、大体五十年の国勢調査によりますと十三万六千三百九十四人という数字が出ておるわけです。これは近畿で、大阪近郊で兵庫県に次いで奈良県が第二番目の大阪への流出人口です。そのほとんどがいま言います国鉄三寺駅を始めとして王寺から奈良間、それから同じく王寺から高田間、この区間に集中しておるわけです。奈良県の人口は、御承知のように昭和五十年の国調では約百七万人でしたけれども、現在百十万を超えています。六十年になりますと、奈良県の総合開発計画では当初百六十九万という予定でしたのが、現在百四十三万に訂正されました。七十年には二百十二万という予定だったのですけれども、二百万を若干割る、そういうことで、まだまだこれから奈良県の人口はここ十年か十五年の間に倍増していくわけですが、その大部分がこの国鉄沿線に集中をしておるわけです。これは国鉄御当局でも御承知だと思いますが、西大和ニュータウンあるいは真美ケ丘団地、こういうところは宅地が造成されただけでまだ全部張りついていないわけです。これからなんです。こういう大きなニュータウンがあちこちに造成されておると同時に、中小のデベロッパーがたくさんの宅地を造成しておるわけですから、人口はこれから数年間に急増することは間違いない、このように私どもは考えておるわけです。先ほど国鉄総裁にお答えいただいておりましたけれども、運輸大臣、私は先ほど来国鉄総裁にお答えいただいておったように、いわゆる電化とかいうことについては、従来の遠距離の大都市と大都市をつなぐ輸送から、都市近郊の通勤通学用の足をどのようにして確保するかということに重点が変わりつつあると思うのです。やはり都市近郊の通勤通学輸送、これは現在の都市交通上の対策という見地から見ても早急に充実強化されなければならぬ問題だと私は思っておるわけです。その点について運輸省としてもそういう方針を明確に打ち出して、こういう都市近郊のローカル線の近代化あるいは輸送力の増強のために力をいたすべきではないかと思うのですけれども大臣からこの点について……。
  281. 福永健司

    福永国務大臣 いまお話のようないろいろの点につきまして、時代はまさに大きく動きつつある現状を私もある程度認識しているつもりでございます。お説のようなことについても、長い間従来こうだったからこうというようなことでなくて、大いに新しい変化に対応する措置等をとっていくように考えてまいりたいと存じます。
  282. 川本敏美

    川本分科員 そこで、電化したならば一般住民が期待しておるのは何かということになりますと、一つは通勤通学に使えるような輸送力のアップですけれども、もう一つはやはりスピードアップということがあろうかと思うわけです。先ほど申し上げたように、国鉄天王寺から王寺駅までは快速で十五分で来ますけれども、今度王寺駅から桜井線あるいは和歌山線に乗りかえてディーゼルカーに乗りました途端に、そこは単線ですから非常に時間がかかる。電車と電車の対向待ちというのがあるわけですね。その場合にはタブレットがあるわけです。先発のディーゼルカーが駅に着いて対向するものが入ってきて、その後にそのタブレットを持って駅の助役さんがプラットホームを一生懸命走って渡すわけですから、後から着いたのが先に発車して、先に着いて待っておったのが後から発車する、こういう状態で、対向待ちのためにほとんどの時間が使われてしまうというようなことがあるわけです。これは電化になればスピードアップできますか。
  283. 尾関雅則

    ○尾関説明員 御指摘のような運転状況でございますが、電化になりますと単線のままでも、線区によって違いますが、桜井線なんかで奈良から高田、王寺までくらいの線区ですと大体一割くらい、一割と申しましても四分でございますけれども、そのくらいは短縮になると思います。しかし、複線ができませんと御承知のとおり待ち合わせということは電化でもあるわけでございます。ただ電化と一緒に自動信号化というのをやりますので、タブレットを持って助役さんが走る時間は節約できると思います。しかしそれとても本当の行き違いの時間までは節約できませんので、やはり本格的にスピードアップをするということになり、本格的に増発をするには複線化ということがどうしても必要になってくるというふうに考えております。
  284. 川本敏美

    川本分科員 そこで私は、複線化の問題について若干お聞きをいたしたいと思うのです。  いまおっしゃったように単線ではどうしてもスピードアップというのには限界があろうかと私は思うわけです。ところが、先ほど申し上げた大型デベロッパーの宅地造成、そういうものの集中しておりますのが王寺−高田間でありますし、さらに王寺から高田まで行って、高田で桜井線と和歌山線に分岐するわけですから、この区間をどうしても複線化しなければダイヤの増発もあるいはスピードアップもできないということになる。ちょうどその両方の手前の五位堂で現在信号待ちの時間が非常に長いわけです。そういうことで、本来であれば王寺から高田駅まで電化、複線すれば十分、だから、国鉄天王寺から王寺を通過して高田まで二十五分で来れる。これは近鉄電車が大体二十五分ですが、全く同じ時間で走れる。現在であれば王寺まで十五分で来て、そこで乗りかえる待ち時間も要るわけですけれども、途中の対向待ちや信号待ちがたくさんありますから、大体王寺−高田間が二十四、五分かかるわけです。そうしますと四十分ほどかかる。こういうようなことでは地域住民の期待にもこたえられないということになるのじゃないか。  そこで、やはり電化工事が終わったら直ちに複線化する、この王寺−高田間の複線というものは、この電化工事と密着して必要欠くべからざることであり、それができなかったら電化しても意味がないのじゃないか、せっかく投資しても意味がないのじゃないかと思うわけですが、この点についてはどうでしょう。
  285. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 ただいま先生がおっしゃいました王寺から天王寺までは、実は十五分じゃなくて、いま快速で二十五分ぐらいかかっておるわけですが、それにいたしましても、かなり早くなるのではないかというふうなお話がありましたが、先ほど近鉄あたりはかなり頻度が高い、それに対して桜井線は頻度が低いではないかというお話がありまして、確かにそのとおりでございますが、国鉄におきましても、奈良から王寺を経て大阪方面に行く、直接に入ります線につきましては、いまラッシュで一時間に十八本ということでかなり入っていることは確かでございます。お客さんの流動からいきまして、南北方向よりは東西方向の方が多いということで、近鉄も国鉄もその方向につきましてはかなり頻度も高いし、お客さんの流動も多いということはあると思います。  そこで、桜井線の複線化というお話が出ましたが、現在桜井線は、さっき私が申しました三本というのは、七時半から八時半までで三本という意味でございますが、いまのところお客さんもそのぐらいの、大体三両から四両ぐらいで乗車効率一三〇%ぐらいの数でございまして、一日当たりで見ましても六、七千というところでございます。複線化の工事の必要性といいますか、これは全国的にいろんなところで複線化の話が出ておりまして、それに対応しながら進めておるわけでございますが、複線化の前提といたしまして、現在の需要がどうであるか、それから将来どういうふうに伸びていくのか、どういうサービスが適当であるのかということを勘案しながらやるわけでございますが、ただいま申しましたとおりの実績でございますので、ここ当分の間は増結であるとか、あるいは単線で増発ということで対処していくことになろうかと思いますから、当面線増というところまではいかないのじゃないかというふうに考えております。
  286. 川本敏美

    川本分科員 そういう対処の仕方では時期的にずれてくる、間違いを起こすと私は思うわけです。現在の国鉄の桜井線の例をいま引かれましたけれども、こんなお客さんを乗せるために走っているのじゃなくて義理で走っておるような、一時間に一本程度のディーゼルを走らしておって乗れというのが無理で、通勤通学用には絶対使えない。そんな定期持っていたら月のうち半分も乗れないということになるわけです。少なくとも三十分に一回とか二十分に一回ということであれば、これはまだ使えますよ。ですから、そういう状態にしたならば、乗客というのは集まってくると思うのです。そしてスピードアップすればなおさら集まる。こういうことですから、やはり将来の交通麻痺をなくしていくためには、との区間は距離も短いのですから、早急に複線化すべきだと私は思う。  特にここでちょっと申し上げますが、国鉄関西線の奈良−天王寺間の全電化、昭和三十五年の国勢調査によりますと、沿線の各町村から通っておりました国鉄利用者、それが昭和五十一年になりますと七〇%ほどふえておるわけですね。これはやはり人口がふえただけじゃない、いままで近鉄を利用して、押し込んでもらわなければ乗れないような電車にすし詰めでぎゅうぎゅう乗っておったのが、国鉄利用すればもう少しすいていいということでこっちへ変わってきた人もあるわけです。近鉄の電車も、現在香芝町の、大阪との境目の関屋という駅に行きますと、ラッシュ時は全然乗れない、押し込んでもらっても乗れない、そういう状態になってきておるわけですから、これは早急に複線化の方向について検討していただきますように強く要望しておきたいと思うのです。  それから、最後に一つだけお聞きしたいのですが、関西本線の新駅設置の問題についてであります。王寺と大阪府の河内堅上の駅の間に三郷町という町があるわけですが、この町も昭和三十五年には六千七百二十三人ぐらいの人口であった町が五十年の国調では一万三千七百七十一人、現在では一万四千二百四十四人、人口はもう倍増しておるわけです。さらにそれに対して、何とか新駅を設置してもらわなければ困るということでコンサルタントに依頼して調査していただきましたところ、この三郷町に新駅を設置していただいた駅勢圏の人口が五千六十三人で、昭和六十年になりますと一万三千六百三十六人になるというコンサルタントの数字が出されておるわけです。現在でも新設駅が設置されますと、利用者数は四千四百四十五人ぐらいだという同じ答えが出されておるわけです。この三郷可といいますのは、王寺の駅から大和川をはさんで川の対岸にあるわけです。そしてまた国鉄線は、大阪府下に入って、大和川を越えて対岸に出てしまうわけです。だから、川の向こう側には、いま奈良県内においては駅がないという形の中で、通勤者は非常に不便をかこっておるわけです。  三郷町では新駅設置推進協議会というのをつくって、町当局がすでにもう新設駅の用地あるいは駅舎の用地、プラットホームの用地、退避線の用地等も準備をして、いつでも受け入れるように準備を整えておりますし、駅前広場については、もう奈良県の都市計画審議会で計画決定をいただいて、これも駅前広場までつくる計画が進んでおる現状にあるわけです。そういう状態の中で、ぜひこの問題について地域の要望にもこたえ、実情から見ても設置すべきではないかと私は思うのですけれども、これについてひとつ国鉄当局の御意見をお聞きしたいと思います。
  287. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 ただいまお話しの新駅につきましては、王寺と河内堅上の問の点であるというふうに聞いております。それから付近に農住団地とかそういったものが徐々に形成されまして、だんだん人口もふえておるということ、それから新駅の設置要望がかねてからあるということも承知しております。ただ、いまどの程度の人口がいるかということもございますが、これからだんだんふえていくだろうということは考えられますので、そういった開発状況であるとか駅への乗降、いろいろな条件を勘案しながら検討していきたいというふうに考えております。
  288. 川本敏美

    川本分科員 時間ですので私はもうこれ以上申しませんけれども、ひとつ国鉄当局が、こういう大阪近郊、近畿圏の近郊の将来の交通上大きな役割りを負っておるということを自覚していただいて、先ほど来申し上げましたことについて早急に善処されますように強く要望して、私の質問を終わりたいと思います。
  289. 兒玉末男

    ○兒玉主査代理 これにて川本敏美君の質疑は終了いたしました。  次に、小川仁一君の質疑に入るのでありますが、同君の質疑に対し、参考人として日本鉄道建設公団理事平岡治郎君が御出席になっております。  なお、御意見質疑をもって聴取することといたします。  小川仁一君。
  290. 小川仁一

    小川(仁)分科員 時間もありませんから、早速お聞きしたい点を申し上げてまいりたいと思います。  最初に、岩手県交通の問題についてお聞きいたしますが、新聞によりますと、運輸省は二月の二十八日から三日間、岩手県交通の特別監査をやっておられるようであります。いろいろお伺いしましたところ、かなり問題があるようでございますが、この監査の行われている目的と理由についてお伺いしたい。
  291. 中村四郎

    ○中村政府委員 ただいま先生申されましたように、岩手県交通につきまして二月の二十八日から三月の三日までの間、私ども本省と現地の陸運局、陸運事務所の職員で特別監査をいたしております。  これにつきましては、岩手県交通は五十一年の六月に、各方面の期待を担いまして岩手県南、岩手中央、花巻バスの三社が合併して発足したわけでございますが、その後の経営状況を見ますと、発足時に労使間で合意されまして経営改善を進めていこうということでございましたが、なかなか予定どおり進んでいない。また予定いたしました合併の効果につきましても発揮されないままに、ここ二年連続して赤字が増加しつつある、見込まれておる、こういう状況でございます。  そこで、私どもとしまして、このままの状況で推移してまいりますと、この会社の赤字につきましてはますます増加していくのじゃなかろうか、また、その結果、終局的には国や地方公共団体の負担に転嫁されていく、さらには地域住民の足の確保という上におきまして大きな問題が生じてくるのじゃないかというふうに思われたわけでございます。  そこで、私どもとしまして、今回、いま申し上げましたような特別監査を実施いたしまして、その結果いかんによりまして、経営改善について必要な指導、勧告と申しますか、そういう措置をとってまいりたい、かように考えたわけでございます。
  292. 小川仁一

    小川(仁)分科員 いまお聞きしましたとおり、ここ二年ぐらい問題があるわけなんです。私たち岩手県におります者は、実は四国くらい広い岩手県では、バスというのが本当に県民の足なわけであります。これがどう動くかということに県民が非常に大きな関心を持っているだけに、どうでしょう、二年間もこういう状態が続いているという岩手県交通の首脳陣、特に稲垣社長等の経営能力といいますか手腕といいますか、そういうものについて運輸省の方では不信感等お持ちでございますか。
  293. 中村四郎

    ○中村政府委員 岩手県交通につきまして、先ほど申し上げたような三社合併いたしまして、その集約の効果を発揮していくというわけでありましたが、その後の経緯を見てまいりますと、経営上も改善を要する点が見られるわけでありますので、そういった意味合いから、経営の体制につきましても強化して経営改善を一層進める、そういう必要があるように見受けております。
  294. 小川仁一

    小川(仁)分科員 いまの経営陣であなたがお考えになっているようなことが果たせそうでございますか。
  295. 中村四郎

    ○中村政府委員 私どもとしまして、先般も社長ともお話し合いいたしまして、現在の経営陣の方々が、さらに一層心を入れて労使問題等をよく話し合うとともに経営の改善に努力したい、こういうことを申しておるわけでございます。
  296. 小川仁一

    小川(仁)分科員 労使問題だけに問題が限られておりますか。それ以外の経営努力上の問題もあるのではないでしょうか。
  297. 中村四郎

    ○中村政府委員 先生申されたとおりでございまして、まず第一に経営改善への熱烈な努力と申しますか、それが肝要だろうというふうに思います。
  298. 小川仁一

    小川(仁)分科員 いまのお話は、労使間の協約は別として、この問題はまたこの問題で別にしますが、経営陣自身としても経営の努力が足りない、あるいは経営する過程において実は経営者として不適当だと思われるような状況もある、こういうふうに認識しておられると聞いてよろしゅうございますか。
  299. 中村四郎

    ○中村政府委員 なかなかお答えしにくい問題を含んでおるわけでございますが、私どもとしては、やはり経営体制を強化していかなければならぬというふうに思っております。
  300. 小川仁一

    小川(仁)分科員 じゃいまの話は、経営陣のいろいろな、交代と言えば非常に差しさわりがございますけれども、そういうふうなものも含めたような意味において経営陣を一層努力させ、努力過程の中では、刷新という表現はややきつい表現でございますけれども、そういう努力も含めてやはりこの問題を考えていきたい、こんなふうにお考えになっているように受け取ってよろしゅうございましようか。
  301. 中村四郎

    ○中村政府委員 私どもとしましても、先ほど先生申されたように、岩手県の交通ということになりますと、バスのウェートが非常に高いわけでありますから、適正なバス運営、運行の確保という観点から、仰せのような趣旨で臨んでまいりたいというふうに思います。
  302. 小川仁一

    小川(仁)分科員 わかりました。  岩手県は御承知のように、非常に広いわけでございまして、そういう中で私たち県民は、いまバス路線の縮小その他で非常に不安を感じているわけであります。今回の特別監査の結果、県が申請をいたしました二億八千万ですか、県が厳しい姿勢でもって経営陣に臨んで査定をした上で出した申請額というのは、これ自体とは直接的なかかわりがない、こんなふうに考えてよろしゅうございましょうか。
  303. 中村四郎

    ○中村政府委員 私どもとしましては、現在の地方バスの補助制度において、その経営の実態から経営改善計画というものを御提出願い、これは地元の知事さん、われわれの方で承認いたしておるわけでありますが、それに沿った運営というものが確保されていない場合には、その補助につきましても考慮される、こういう仕組みになっておりまして、現在、先生申された申請額について、他の府県の分も合わせて慎重に内容の検討をしておるという段階でございます。
  304. 小川仁一

    小川(仁)分科員 岩手県の交通事情は篤とおわかりと思います。いままでの経営努力の不足という問題もあることを認めた上で、なおかつ減額措置等をとられますと、あと具体的に路線の切り捨てという問題しか残らないような感じが私はいたします。そういたしますと、あの広い県の県民の足、交通を確保するという立場から大変なことになるわけです。したがってこの点について、経営陣の刷新という課題と県民の交通、日常生活というものを守る立場からのその事業の維持、こういう課題を切り離して考えていただきたい。県でもそういう立場から現在の経営陣に対して非常に厳しい条件をつけて査定をし申請したわけですから、この点は御理解いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  305. 中村四郎

    ○中村政府委員 私どもといたしましては、いま御指摘の問題点を十分認識しておりまして、この補助制度の実行に当たりましても、究極的に国、県民の負担という問題に全部が全部転嫁されるということでなしに、やはり経営の改善という道を通じまして補助金が適正に執行される、こういうことを考えておるわけでございます。
  306. 小川仁一

    小川(仁)分科員 さらに、この話を進めますと、実は現在のようなああいう広い地域における交通の問題は、ただ単に民営に任しておくだけでは解決がつかない課題が幾つもあると思う。そうなってまいりますと、本当に県民の交通を守る立場から、こういう公共的性格を持つ交通事業、さらにはそれが県民の生活にとってどうしても他に代替するものがない状態の中では、公的一元化という形での施策が必要になってくるのではないかと私は考えるわけであります。  いまやっているのを見ますと、実は市町村自治体に一部を譲り渡して路線を減らしておりますけれども、あれは管理責任者が存在しないし整備も不十分、運行管理も不十分、しかも村営の場合等は二種免許も要らないといったような、ある意味では非常に危険な交通の状況があるわけであります。したがって、公的一元化を考える場合には、ただ単に市町村に安易にこれを移譲するという立場ではなくて、基本的には県民、住民の足を守る、二つ目には自治体もこれに公的資金の参加も含めて考えていかなければならない時期になっている感じがいたしますので、この点について伺いたいと思います。
  307. 中村四郎

    ○中村政府委員 この地域につきまして、従前も公的一元化問題があったわけであります。現在は、五十一年の六月に三社が合併して岩手県交通という形になったわけであります。まだ合併してそれほど長期になっているわけでございませんので、そういった経営体制の中でこれに補助という問題を絡めまして進めていく、ただ、その場合におきまして、いま先生指摘のような公的な色彩をどういうふうにしてこれに加味していくかという問題はあろうかと思います。したがって、そういう問題についても今後慎重に検討していかなければならぬと思うわけでございます。  ただ、現在も公営、民営といろいろな経営体制の中で長所短所があるわけでございます。われわれとしては、能率的な運営ということについて、どういう形なりがその地域に一番いいかという観点で考えてまいりたいと思っておるわけでございます。
  308. 小川仁一

    小川(仁)分科員 話はもとに戻りますが、監査の結果は公表なさいますか。
  309. 中村四郎

    ○中村政府委員 経営内容の監査につきましては、従来から特別に公表はいたしておらない状態でございます。
  310. 小川仁一

    小川(仁)分科員 県民は非常に大きな関心を持っておりますし、それによっては岩手県のバス路線がなくなるかもしれないという不安まであるわけでございますから、公表できる範囲内において公表し、問題点を住民の前に明らかにしていただきたい、これはお願いを申し上げておきます。  では、続いて盛線の釜石−吉浜間の問題に移らせていただきたいと思います。  建設公団の方にお伺いをいたしますが、釜石駅の三百メートル手前まで路線が引かれてきていながら、駅構内に乗り入れをしていないのは何か理由がございましょうか。
  311. 平岡治郎

    ○平岡参考人 お答えいたします。  盛線は釜石に取りつくわけでございますが、盛線の釜石の駅は、御承知のように構内が非常に狭うございまして、山田線、釜石線がこれに入ってきております。この中へ割り込んで今度盛線が入ってくるわけでございますが、構内を増容量するのは大変むずかしい地形になっております。したがいまして、現在あります構内の整理をいたしまして、その中に盛線を入れてくるということで、現在、国鉄と釜石駅の連絡設備の協議を行っております。近く結論に到達すると思いますので、釜石の駅の工事もまた再開できるのではないかと考えております。
  312. 小川仁一

    小川(仁)分科員 たしか駅と路線の端は三百メートルぐらいでしたね、接続していないのは。
  313. 平岡治郎

    ○平岡参考人 そうでございます。
  314. 小川仁一

    小川(仁)分科員 市民は、その三百メートルを見ながら、国鉄なのか建設公団なのかずいぶんのんびりしたことをやっているものだなと思っているんですよ。釜石の地形は、日本の国ができたときからああいう地形をしているわけですよ。釜石駅の構内は、鉄道路線ができたときからああいう構内なんです。入るのが狭うございますという話は、あれをつくるときからわかっている話です。いまごろになって協議するというのはどういうわけですか。釜石駅のあの構内の狭さというのは、いままでわからなかったのですか。
  315. 平岡治郎

    ○平岡参考人 構内の狭さその他わかっておったわけでございますが、釜石に入るところに国道四十五号線がございまして、それのけた下空頭を取るために従来考えていたのではちょっとフォーメーションレベルが低いものですから、約六十センチくらい高く持ってくるために、釜石駅構内を約三百メートルかさ上げしなければならないという……(小川(仁)分科員「三百メートルかさ上げですか」と呼ぶ)そうでございます。
  316. 小川仁一

    小川(仁)分科員 いまの話、わからぬのですが、六十センチ高いのに三百メートルかさ上げするのですか。
  317. 平岡治郎

    ○平岡参考人 延長距離でございます。高さではございません。高さは六十センチで、千分の三・五の勾配で取りつけます関係上、延長にして約三百メートルの間ゼロから六十センチぐらいの高さにかさ上げしなければならない、こういうことでございます。
  318. 小川仁一

    小川(仁)分科員 国道四十号線も実はあなたが新線をおつくりになる前から存在していた。前から皆そろっている条件の中で六十センチ上げなければならないとか、そのためにホームがどうのこうのとおっしゃるとすれば、最初の新線をつくるときの設計に甘さがあったのかミスがあったのか、その辺はどうですか。
  319. 平岡治郎

    ○平岡参考人 現在、釜石線の引上線が国道四十五号線の上をまたいでおるわけでございますけれども、これはけた下空頭が不足したかっこうでまたいでおるわけです。当初は、その高さでまたげるのではないかというふうにわれわれ想像したわけですけれども、国道の管理者と協議した結果、所要の空頭はどうしても取ってほしいということで、そこで六十センチ上げなければならないような状態になったわけでございます。
  320. 小川仁一

    小川(仁)分科員 そうすると、当初計画に甘さがあったわけですね。
  321. 平岡治郎

    ○平岡参考人 そういう意味では甘さがあったということでございます。
  322. 小川仁一

    小川(仁)分科員 それはわかりました。  それでは、協議をしていつごろまでに三百メートルがつながるのですか。たった三百メートルですよ。
  323. 平岡治郎

    ○平岡参考人 その問は三百メートルでございますが、先ほど申しましたように、駅の構内の配線変更を全部して整理をしないと釜石線は入ってこれないわけでございまして、その辺の切りかえ等に相当の時間がかかるのではないかというふうに思います。
  324. 小川仁一

    小川(仁)分科員 駅の構内も何十年も前からわかっていたことなんでしょう。それがわかっていながら協議していないということはどういうことですか。
  325. 平岡治郎

    ○平岡参考人 大体私どもはその協議を、路盤工事、これは一貫の路盤工事でございますが、そういう路盤工事と、それから連絡する駅の設備、こういうものの協議と二つに分けてやっておるわけでございます。と申しますのは、路盤工事をやりますのに相当日数がかかりまして、開業時期になりますと、いろいろ社会情勢が変わるものですから、そういうようなやり方で進めておるわけでございます。
  326. 小川仁一

    小川(仁)分科員 その協議はいつから始めていつ終わって、そして協議の結果、いつごろまでに三百メートルがつながるわけですか。
  327. 平岡治郎

    ○平岡参考人 昨年、約一年ほど前から地元でいろいろ協議を進めております。これは地元の協議が終わりましてから本社間で協議をいたすわけでございますが、近く地元からの協議が終了してまいるというふうに聞いております。したがいまして、この協議が終わってから駅構内の配線変更その他をやりまして、完全に終わるのには約三カ年ぐらいかかるのではないかと思います。
  328. 小川仁一

    小川(仁)分科員 大臣にもひとつお考え願いたいのですが、駅がここにあって、三百メートルのここまで路線が来ているんですよ。これに三年かかったら、数字で言うわけじゃないけれども、一年百メートル、そういうわけにはならぬと思いますけれども、これじゃ市民はどういう感情を持つでしょうか。ですから、これは技術の問題ではなくて政治の課題だと率直に思います。  したがって大臣、たった三百メートルをつなぐというのに、こんなのんびりした国鉄さんなり建設公団さんなりあるいは運輸行政なりというものが、県民や市民からどういう評価を受けるとお考えになりますか、この点大臣の決意のほどをひとつ……。
  329. 福永健司

    福永国務大臣 実は私も、いまあなたのお話、初めて伺いました。したがって、この問題についてほかの人からはいままで聞いておりませんので、初めて伺ったのでありますが、専門的知識に乏しい私といたしますと、先ほどから不思議な思いで聞いておったわけでありますが、私は私として速やかに調査いたしまして、善処いたしたいと思います。
  330. 小川仁一

    小川(仁)分科員 複線になっているわけでもないし、それから本数がそんなに多いわけでもないから、釜石の構内へいまの盛線が入っていくことは、あの地勢からいっても、そんなに大変なことだとは私、思いません。ただし、あそこに車を置く場所とかいろんなものまで置けば、それは問題になりますけれども。ですから、技術的な問題ではない、こう考えています。  問題は、地方赤字路線といいますか、そういうものなので、あれを開業するとまた赤字がふえてというふうな印象が国鉄当局にあって、乗り入れを渋っているのではないか、こういう感じがするのですが、国鉄の方どなたかこの点について御答弁を願えればありがたいと思います。
  331. 住田正二

    ○住田政府委員 実は、いま問題になっている点について、大変に申しわけないわけですが、私も詳しく知っていないわけでございます。  実は、盛線につきましては、これまでの予算を見ていただきましたら御理解いただけると思いますけれども運輸省といたしましては、重点的に予算をつけてきております。したがいまして、いま初めてあと三年ぐらいかかるという話を聞いてちょっと驚いているわけでございますが、先ほど大臣からもお話がありますように、十分この点は調査をいたしまして調整をいたしたいと考えております。
  332. 小川仁一

    小川(仁)分科員 大臣調査をしてやるということになれば、これは一つの進歩の方向になると思います。ただ、やはりあれは三陸縦貫鉄道一環でございまして、釜石は三陸の中心都市なわけであります。釜石はさらに花巻へ来る線、宮古へ行く線、この接点になるわけでございまして、あの中心であるだけに、この三百メートルが三年もということになりますと、これはやはり交通政策上からいっても非常に大きな問題になるだろうと思いますし、同時にまた、あれが通ると通らないとでは三陸縦貫の意味が全然変わってまいります。  私は、三百メートルという問題について率直に問題を申し上げますと、技術的な解決ではなくて、国鉄と建設公団の話し合いが、あるいは感情があるのか、あるいはそれぞれのなわ張りの争いがあるのかわからぬが、その辺のところで話が進んでいないのじゃないか。最初から地形はわかっている話です。国道の話だって、これはなかったのではなくて前からあったんですからね。それで六十センチがどうのこうのと言われるのじゃ、とても岩手県民としても承知できないし、また、こういう国の政治に非常に大きな責任を持つ一人としてもいまのお話、特に建設公団の話には納得できないわけです。  いま運輸省からお話があったとおり、あれは八 〇%以上の予算執行が行われておりますから、残るのはもう一カ所あるのはありますけれども、例のトンネルの中の路盤の関係ですね、これだってもう技術的には一年や半年で解決のつく問題だ。したがって残るのは、国鉄の方がきょうはお見えになっていませんから御返事いただけないようでしたけれども、釜石線のこの問題をやると言ったら、私は当然国鉄当局が来ておられると思ったのですが、特に鉄道建設公団は来てくださいとお願いはしておきましたけれども、お見えになっていないので、この辺のところに問題があるような気がするのです。ぜひ運輸大臣として、この岩手県から出ております自民党、社会党を含めた議員すべての人の関心事であり、特に釜石市民としてはあと三年も投げられておったのじゃ、三百メートル三年も投げられておったのじゃ、これは本当に政治不信、運輸行政不信を起こします問題だけに、善処をお願いをしておきたいと思います。  これ以上申し上げても国鉄も来ておりませんので、私はお願いをして、終わらせていただきます。
  333. 福永健司

    福永国務大臣 篤と承っておいて善処いたします。
  334. 兒玉末男

    ○兒玉主査代理 これにて小川仁一君の質疑は終了いたしました。  次に、中野寛成君。
  335. 中野寛成

    中野(寛)分科員 私は、大阪国際空港の周辺整備の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  昨年四月三日に、問題になっております大阪国際空港周辺住民の皆さんと、その公害対策等について十項目の覚書が運輸省との間に交わされました。そして、そのほとんどの内容は、予算措置もしくは制度改正を要する問題であります。周辺住民は、この昭和五十三年度予算がどのような形で編成をされ、そして、そこからどのような解決策が見出されるか、きわめて注目をしているところでございます。そして、その覚書が交わされたことを条件として、昨年から大阪国際空港にもエアバスが導入されたわけであります。  さてそこで、そのエアバス導入の理由も幾つかの理由はあるわけでありますけれども運輸省サイドとしての説明の中には、エアバス導入によって音源対策、音そのものが小さくなるということと同時に、一挙に多くの人たちを運ぶことができるわけでありますから、回数もそれ相当に減らすことができるということが理由に挙げられておったわけであります。  私は、むしろ今回は、着陸側の問題を中心に取り上げさせていただきたいと思いますけれども、着陸側でその後はかってまいりましたところ、果たして音源対策になっただろうかということが一つの疑問として出されるわけであります。  ちなみに、短時間ですから数字を申し上げますと、あの該当する勝部地区の防音林の中でWECPNLの変化をその後はかっているわけでありますけれども、昨年調査をされました五十二年五月十八日の段階では、これが九〇一・三、そして、その後エアバスの導入に従ってどう変化したか、六月が九一・〇、七、八月が九〇・九、九月が九〇・八、十月、十一月九〇・七という変化であります。これを利倉の測定塔に当てはめますと、五十二年五月十八日九七、これが六月九六・九、七、八月九六・六、九月九六・三、十、十一月九六・二というような状態であります。一番高い穂積センターなどになりますと、六月で九八・一、七、八月が九七・八、九月が九七・五、十、十一月九七・四というふうなことで、若干下がっていることは確かに数字があらわしていますけれども、しかし、下がっていると言えるほどの数字でもまたないというふうに思うわけであります。そういう意味で、ましてそれと引きかえに、いわゆるNOxの問題も解決をされているわけではございませんし、地域住民の立場から見ますと、今回のエアバス導入というものは、着陸サイドから見れば、これは全く音源対策にはなっていないという考え方がどうしても出てくるわけであります。  そういう意味から考えますときに、これはどうしても周辺整備というものがこれからの対策上、決しておろそかにできない、きわめて重大な意味を持つということになお一層なろうかと思うわけでございまして、そのことにつきましての御判断をまずお伺いしたいと思います。
  336. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 私ども大阪空港の騒音対策のために、いろいろ総合的な手を打っていく必要があるということでいろいろやっているわけでございまして、その中の一環といたしまして、いま御指摘の低騒音大型機導入の仕事も始めたわけでございます。  ただいまお示しの御数値は、そのとおりであると存じます。私どもの期待といたしましては、現在エアバス百便導入計画が四十六便でとまっておりますので、これが計画どおり百便入れば、その数値はもう若干下がるのではないか、つまりDC8とか727のような高騒音機とそれが代替いたしますから、さらに下がるのではないかと期待いたしておりますけれども、しかしながら、先生もその点はもう十分御存じのとおりでございまして、エアバスの音源対策としての効果は確かに離陸側には大きゅうございますけれども、着陸側には離陸側ほど効いてこないという点も事実でございます。したがいまして、この点につきましては、空港周辺の地域整備を進めるということによって解決するほかはないというふうに考えております。
  337. 中野寛成

    中野(寛)分科員 そうなりますと、昨年四月三日に地元住民と結ばれました覚書、これは文字どおり、あのときに私も立ち会わせていただきましたけれども局長がそのときに、まさに自分の身命を賭してその実現のために努力をするとお約束になり、そして私も決してその御努力が小さかったとは申し上げません。大変御努力をいただいたことは私も率直に認めているところであります。しかし、ともに協力をしながら、その住民のために今後その覚書を、そしてまた覚書にあるからということでなくて、住民生活を守るためになお一層努力しなければならないことがますますはっきりしてきたのではないかというふうに思うわけであります。  そこで、幾つかのその解決しなければならない問題のネックになっている部分について若干お尋ねをしたいと思います。  さきに、住民や自治体から要望が出ておりますが、航空機騒音にかかる環境基準の早期達成と、特に目前に迫っております中間目標値の完全達成を何としても図ってほしい、これがきわめて強い要求であります。特にその中でも中間目標値の達成期限は今年末であります。そして、それはWECPNLで言えば八五以下にする、こうなっておりますし、それができない場合には、住民の住んでいる室内で六五という数値も出されている。それからまた、この最終的な目標値の達成は昭和五十八年末、これが七五WECPNL、こういうことになっており、住居区域は七〇以下と、こういうふうになっているかと思います。果たしてそれの達成への御自信、また見通しはいかがでございましょうか、お尋ねをいたします。
  338. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 五十三年末にやってまいります中間目標を達成するために、いま音源対策のほかにやっておりますことは、地元の住宅に対する民家防音工事、あるいは移転補償をいたしまして、激甚地区から他へ移転していただくという事業でございます。  まず民家防音工事につきましては、かなりこれは進展をいたしております。私ども五十二年度末の見込みでは、大阪空港周辺の第一種地域の中で八割方民防工事が終わるという目算を立てております。問題は、特に豊中市に多いいわゆる文化住宅と言われる共同住宅の借家人の問題でございまして、借家人の方と家主さんの間の利害関係がなかなかむずかしくて、民家防音工事をやろうといたしましても、これが進まないという点がございまして、この点を解決しない限り、特に豊中市の民家防音工事については、あるところで限度が来てしまいます。そこで私ども、現地の航空局及び周辺整備機構を督励いたしまして、これを単に大家さんと借家人の間の問題といたしませんで、積極的に役所が中へ入りまして話し合いをつけるという方向を打ち出すように、ことしの一月に強く指示をしたところでございます。寄り寄りやっておりますので、地元の有力な方々のお力もかりながら、また豊中市のお力もかりながら何とかこれを進めまして、できるだけ目標に近い線に近づけたい、こう考えております。  それから問題は、移転の問題でございまして、なかなか移転補償価格が高くできない、一方、移転補償をもらって新しく移り住む土地の値段を安くできない、こういうときに逆ざやになりそうな現象もございまして、移転されようと思う方の非常な障害になっております。  そこで、昨年来特に空港のすぐ横の勝部地区につきましては、早くあそこの移転補償を片づけまして緩衝緑地帯をつくりたいということでやっております。そのために移転補償価格につきましても、いわゆる公共用地の補償基準を最大限に運用いたしまして、できるだけ手厚い補償をいたしたい、そしてまた、この方々が買われる新しい代替地価格につきましては、代替地の、あるいは公共道路部分の補助率を高めるとかいろいろ方法を講じまして、新しく買われる土地の方の値段を下げるという両方のことをやりまして、逆ざやは免れております。何とか少しでも手もとに残りまして、うちをお建てになる場合のこれまた金融公庫からの借金の利子に充てる必要もございますので、そういう努力を続けまして何とか移転を促進したいというふうに考えております。  どうもなれない仕事でございまして、周辺整備機構も一生懸命やっていますが、なかなか話がうまく進展いたしませんで、私ども申しわけなく思っておりますけれども、何としても五十三年末の中間目標が来るまでには、これをできるだけ、あらかた片づけたいということで、いま覚悟を新たにしておるところでございます。
  339. 中野寛成

    中野(寛)分科員 いま局長お答えのように、持ち家についてはかなり進捗されているわけですね、ところが、借地借家人問題というのが大変な一つのネックになっている。そして、その方々があそこに住んでおられる方々の実に七〇%に及んでいるわけであります。そしてその中で、私も地域でお聞きをいたしますと、いわゆる二種区域でおよそ一万戸、そして一種区域でもおよそ一万戸が存在をする。こうなりますと、これは本当に「言うならばトータルで占めるその率はきわめて高いというふうに言わざるを得ない。かつ、その中で大変問題なのは、持ち家の場合は、確かにおっしゃるように一種区域八六%、二種区域七三%、三種区域の四三%、トータルしますと七五・九%、このくらいが民防の申請が出されて工事が進行しているわけですが、いま問題になっている借家の場合には、一種区域で二一%、二種区域で一四・六%、三種区域に至るとわずか七%、トータルしますと一七%しか申請が出せない、出したくても出せないというのが実情ではないかと思います。  そういう状態の中で、よほどの対策が講じられなければ、いま局長のお答えでは、役所が直接入っていってということでございますけれども、この二五尺かなりの仕事の量になろうかと思うわけでありまして、これを一挙にすべて一〇〇%にしてしまって初めて今年度の目標値が何とか達成できるかどうかということではなかろうかと思うのですが、このまま行くと、結局そのほとんどがまだ残ったままになってしまうというのが実情ではないかと私は思うわけであります。  ましてこの二種区域の一万戸は、移転補償の絡みもあるわけでございまして、いまその逆ざやの話をされましたけれども、実際にこういう借家等の問題になりますと、本当に数が多いだけに、ちょっとやそっとのことはできない、そのことを局長御自身が一番心理的な負担にもお感じになっておられるというふうにお察しもいたしますけれども、これは本当に、まさに運輸省挙げてというか、自治体の協力ももらいながら重大な決意を持ってやらなければいけないと思うわけでございまして、その辺の見通しはいかがでございますか。
  340. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 これは私どもも、目標に向かって全力を挙げて進むという以外にないわけでございまして、大阪の航空局を中心にみんなの力を集めましてこれを進めていくということでいまやっております。強力に進めていくという以外に道はございません。
  341. 中野寛成

    中野(寛)分科員 強力にというお答え、それ以外にないということでございますが、私は、一番最後に申し上げたいと思いますけれども、そのためには単に航空局のみとか運輸省のみとかいうことではなくて、もっと総合的な都市計画としての、または地域開発としての感覚というものが当然その中へ含まれなければいけない、そういうふうに昨年も申し上げてきたところでございますが、そのことについては後ほど申し上げることにして、次に進ましていただきたいと思います。  こうしてたとえ少しずつでも移転等が進んでまいりますと、そこで、やはり問題になりますのが、例のその地域でおふろ屋さんを初め営業しておられる方々の問題であります。この営業の問題につきましても、それなりにその対策を講じておられて、貸付金制度その他が運用され始めておりますけれども、ことし一月の航空局からいただいております資料では、一軒八十万円の制度を十一月に発足させた、それからいろいろな調査をしてきて、調査はやっと終了して結果を分析中だ、そして三番目は、抜本対策は調査結果等を見てから検討を予定しておる、こういうことでございますけれども、もうすでに移転も幾らか進んでいるけれども、その移転が実際は被害住民の目から見れば遅々として進まない、こう思っているけれども、しかし営業者にしてみれば、それがたとえ数軒なりとも移転をすることによって、非常に大きな影響を受けていることもまた事実であります。これらの対策についてどのような検討がなされて、いまどのように対処されようとしておられるのか、このことを次にお伺いいたします。
  342. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 御指摘のように、五十二年度から限度額八十万円ということで期間三年以内という制度を大阪府、兵庫県でつくっていただきました。経営安定資金緊急融資制度というものでございます。第二種区域内居住者の営業者に対しましてお貸しするということでございます。これに対しましては利息が七%ちょっとつきます。その半分の利子補給を府県が行う、こういうことでございますが、地元の評判必ずしも芳しくございませんで、八十万では少な過ぎるという声もございます。また積極的に新しいところへ事業を展開していこうと言われる方については、とてもこんな金では足らないという声もございますので、五十三年度につきましては、いま大阪府にお願いいたしております点は、この八十万円というお金をもっと引き上げるということ、あるいは新しく移転先で仕事をしたいというふうな方には、前向きの移転資金融資というもの、これは相当の金額のものをお出しする、たとえば一千万円というような案もございますが、そういうふうなものをお出しする、そして、しかるべき利子補給を府が行う、こういうことをいま大阪府にお願いいたしまして、検討はいたしてもらっております。  こういうことで大阪府、いずれ兵庫県にもぜひお願いいたしたいと思っておりますが、こういうことをいたしますと、府なり県の側に財政負担もかかることとなりますので、五十三年度につきましては、新しく空港周辺整備促進臨時交付金という、これは燃料譲与税を府県にもよこせということの実現しなかった身がわりでございますけれども、こういう交付金を五十三年度予算で十億円計上いたしました。約七割が大阪府、兵庫県、それから福岡県の三県に行くことになります。そういった財政の裏づけもいたしましたので、府県当局におきまして、こういう方のための方策を抜本的に講じていただくことを期待し、かつまた私どもも一緒にやっていきたいと思っております。
  343. 中野寛成

    中野(寛)分科員 大変深刻な問題でございますから、いま大阪府、兵庫県等とも真剣に取り組んでおりますけれども、これまた地域の行政的な意味での負担にも非常につながっているわけでありまして、この交付金がこれだけ組まれたから万全だということでは当然ないわけでございますし、十分な対策がこれから組まれますように重ねてお願いをしておきたいと思います。  続いてもう一つ、特にその着陸地点または離陸地点に一番近い場所で問題になりますのが、勝部の緩衝緑地の問題でございます。私は実は昨年も、これだけのことができなくてどうして対策が進むのですかと申し上げました。あの地域におって、まさに直接、真正面から飛行機の排ガスを受ける住民がこの勝部にいるわけであります。この緩衝緑地というものは、そのまさに目にも見える、においも感じる、そういうものから少しでも被害を防ぐ、そのためにどうしてもまず取り組まなければならない大切な問題であります。健康上の問題だけではありません。むしろ逆に申し上げれば、航空局の皆さんがああよくやっているな、せめてまずあれができたならと、住民の皆さんが目に見て納得するその一番いいもの、それがこの勝部の緩衝緑地ではないかとさえ私は思うのです。  そして、そこにいまこの緩衝緑地をつくるために御協力をお願いしなければいけないおうちというのは三十三戸です。その三十三戸に個々に当たったとしても、先ほどの一万戸の対策を講じるよりも、むしろ数の上では本当はしやすいはずであります。そしてまた、航空局でも一戸一戸の内部的な事情も十分おわかりのことだと思います。後は実行あるのみだと思うのです。しかしそのためには、その三十三戸の皆さんに御協力はお願いしなければいけないけれども、決して犠牲にするものであってはならぬと思います。最大限その皆さんの要望というものが尊重されなければいけません。制度上の問題、補償価格の問題、そしてまた税金対策等取り組まなければいけないものが幾つかあろうと思います。  制度上の問題としては、特に農家の場合には、そんなにべらぼうに遠いところへ移るわけには参りません。確かに被害はまだひどいけれども、そのすぐお隣の地域に移ることによって、せめて今日までの生活が維持できるというところがあるわけであります。いわゆる二種区域からみなし二種区域、いわゆる旧指定区域になっておって、そこから外されたみなし二種区域、この区域への移転というものを制度上可能にすることによって、この三十三戸のうちの何戸かに御協力をいただくことができるようになるわけであります。  補償価格の問題は、先ほど触れられましたけれども、たとえば差額を航空会社等の協力も求めながら貸付金等の新しい制度を設け、少しでも協力しやすい体制をつくるということも一つの方策なのではなかろうかというふうに思います。  また、税金の問題にいたしましても、現在約二千万の控除があるだけ。ですから、これらについても格段の制度上の工夫をこらして、このことによって税金を取られてしまうなんてことのないようにまず工夫がなされなければいけないというふうに思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  344. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 御指摘のように、空港のすぐ横にございます勝部地区に緩衝緑地帯ができますと、これはもう大阪空港問題解決の一つの突破口ができたという形になりますので、何とかこれをやりたいと思って努力をしておるわけでありますが、先ほど申し上げたいろいろな事情で進んでおりませんけれども、お示しのように個々のおうちの実情をよくわかっておりますので個々に当たっております。歩みは遅うございますけれども、逐次移転の話が実りつつございます。  ごく最近にも、空港のすぐ横のところで問題になっておりましたおうちが一、二軒動いてくださるというふうなことも聞いておりますので、この辺を突破口に、何とか三十三戸のうちでも特に空港に近いところだけでも早くめどをつけたいということで努力をいたしております。  そのために、いま先生の御指摘のような、たとえば貸付金制度あるいは現在の二千万円頭打ちの控除をもっと上げられないかというような問題につきましても、なかなか制度上の壁がございまして、特に控除の問題は税制の問題でございますので簡単にいかないと存じますけれども、貸付金の問題等につきましては、地元で言われるいわゆる第三者機関の活用というふうなことの中に、民間の、大阪空港によって利益を得ている、エアラインだけではなくて空港関連の事業の方からの拠出による何か一つの基金をつくりまして、そういったところの利子の運用等で貸付金の原資にするとかいうふうなこともいろいろ考えておりますけれども、なかなかうまいめどがつきません。しかし、こういったことをやはり総合的、多角的に考えまして、できるだけこの大阪空港周辺の象徴的な場所である勝部地区の移転を促進し、緩衝緑地帯の造成のめどをつけたいということで考えたいと思います。
  345. 中野寛成

    中野(寛)分科員 時間がありませんから、最後に大臣に一点だけお聞きします。  関西新空港の問題を調査するために、今度、関西国際空港周辺地域調査委員会というものが発足をいたしました。お聞きいたしますと、その中に、運輸省のみならず建設省や国土庁、四省庁というのですから、多分環境庁などが入るのかと思うのでありますけれども、むしろ先ほど私が御指摘の中で申し上げましたこの大阪空港の問題も都市計画や近畿圏整備等の一環として考える、そういうふうに、単に空港の問題として考えるのではなくて、地域の発展の問題として考えていく、この姿勢と対応が必要だと思うのであります。  昨年七月に大阪国際空港周辺整備計画調査委員会というのができまして、国や府県や関係市、それから周辺整備機構等がそれを構成しているわけでありますけれども、たとえばこれらにつきましても、国土庁や建設省やその他の省庁が、ともに手を携えてこれらの地域の問題に取り組むことが大変肝要だと思うのであります。大臣のこの問題に対します重要性の御認識と、そして今後のこのような対策に対します御見解をお伺いしたいと思います。
  346. 福永健司

    福永国務大臣 先ほどからいろいろお話を伺いつつ、私、大いに敬意を表しておる次第でございまして、まさに広い視野から、高い観点からお話のような諸種の問題の解決に資していかなければならぬということを、私自身強く感じておった次第でございます。  具体的にはまだいろいろ問題もあろうかと思いますが、そういうような意味で、ただいまいろいろお話も伺いましたので、私は私でそういうことを念頭に置きつついろいろ考えてみたいと思います。いろいろ含蓄のあるお話を伺いました点につきましては、お礼を申し上げておきたいと思います。
  347. 中野寛成

    中野(寛)分科員 終わります。
  348. 兒玉末男

    ○兒玉主査代理 これにて中野寛成君の質疑は終了いたしました。  この際申し上げます。  木原実君の質疑に対し、参考人として新東京国際空港公団総裁大塚茂君が御出席になっております。  なお、御意見質疑をもって聴取することといたします。  木原実君。
  349. 木原実

    木原分科員 時間が制約をされた中なので端的に伺いますので、ひとつ端的にお答えを願いたいと思います。  まず初めに、昨夜の東西線の事故について伺いたいと思います。  東西線は、これは私も利用者の一人なんですけれども、従来から車両の揺れがひどいとか、強風のときなど乗客の中に不安の声があったわけなんです。特に事故のありました荒川の橋梁付近はふだんでも、海に近いし川の上ですから、風で車両が揺れる等のことがあったわけですね。不測の事態というよりも、これは車両の軽量化あるいはスピードアップといったようなことに対応する安全の措置に欠陥があったのではないのか、こういうふうに考えるわけですけれども大臣のひとつ御見解を伺いたい。
  350. 福永健司

    福永国務大臣 ただいま木原さんのおっしゃいます点につきましては、私も実は昨晩事故がありましたその時点から鉄道監督局長等の連絡を受けまして、急遽現地にとも思いましたが専門家をすぐ派遣をいたしまして、いろいろ調査にも当たらせ、われわれとしてやるべきことをというように心がけたのでございますが、いまも御指摘がございました点もございましたが、われわれとして果たしてどういう欠陥があったか等はさらに研究を要し、調査を要するところであろうと思います。ああいうことはいままでに余り起こったことのないことでございますが、一つのとうとい教訓としてこれを将来に生かすように、大いに調査も進め研究も進めて今後に処したいと考えておる次第でございます。
  351. 木原実

    木原分科員 事故が起こったわけですから、検討をし研究をし対応策を考えてもらいたいということなんですが、どう考えましてもああいうところを走っているわけですから、ある程度予測をされる。したがって、聞きますと風速計もつけたりあるいはまた風向きによって徐行やあるいは運行の停止などの措置も従来行われていたわけですね。瞬間的にどれぐらいの風が吹いたかということは、何か非常にデータは不足のようですけれども、しかし事故が起こったことは間違いないわけで、したがって検討をされるというわけですけれども、ここでどうしても究明しておかなくてはなりませんのは、やはり車両の軽量化、しかも地下鉄で特にあの線は全長の恐らく四割ぐらいは地上を走っている。しかも走っているところは海岸が近く、あるいは荒川だとか江戸川の河口の近くを走っている。ある程度風といったようなことについての予測も考えられるわけですし、現行の車両でどれぐらいの風に耐えられるといったような計算は、あらかじめできていなかったものでしょうか。
  352. 福永健司

    福永国務大臣 ごもっともな御意見に拝聴いたします。ただいま専門家の方から所見を述べさせることにいたします。
  353. 住田正二

    ○住田政府委員 実は昨日の事故の報告を受けまして、私どもとしても全く思いがけない事故と受け取っているわけでございます。といいますのは、いまの段階でまだ原因がはっきりいたしておりませんけれども、多分突風によるものではないかという推定がなされているわけでございます。戦後、突風によって電車あるいは列車が転覆したというケースは全くないわけでございまして、そういう意味で全く思いがけない事故であったわけでございます。  営団の車両は確かに軽量化いたしておりますけれども、しかし御承知のように東西線は総武線あるいは中央線と相互乗り入れをやっておりますので、車両的に見てもそう国鉄の車両と違うわけではないわけであります。  先ほどもちょっと御質問の中にございましたけれども国鉄の場合と比較いたしまして、営団の場合にはさらに慎重な措置をとっております。といいますのは、国鉄の場合には二十メートルで警報装置が鳴る、二十五メートルになると場合によっては停止する、三十メートル以上の場合には完全に停止する。それに対しまして営団の場合には、十五メートルで警報装置が鳴る、二十メールで場合によっては出発を見合わせる、二十五メートル以上の場合にとめるということで、五メールほど低い数字で運用いたしております。そういう意味では、かなり慎重な配慮もいたしておるわけであります。恐らく突風でございますので、そういうような慎重な配慮もあるいは役に立たなかったのではないかと思います。  この事故が起きまして、まだ十分検討いたしているわけではございませんけれども運輸省国鉄の専門家等、一体どういうことだろうかということでいろいろ話をいたしてきているわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、専門家にとっても全く思いがけないという事故でございますので、いまの段階でどうしたらいいかということについて、いま思いあぐねているといいますか、これからもう少しよく検討してみないと何とも言えないというのが、専門家の現段階における意見でございます。
  354. 木原実

    木原分科員 聞きますと、風速計も全長一キロを超える鉄橋の中には一カ所しかなかった、こういう話なんですけれども、昨夜事故を起こしました車両編成の中で、自重どれくらいの車で編成していたのですか。
  355. 住田正二

    ○住田政府委員 昨日の電車は十両編成でございまして、車両の重さは二十七トンから三十トンぐらいでございます。
  356. 木原実

    木原分科員 いま問題の営団の線で一番軽い車両はどれくらいですか。
  357. 住田正二

    ○住田政府委員 二十七トンでございます。
  358. 木原実

    木原分科員 それは東西線のほかに、どこかほかの地上部分を走っているわけですか。
  359. 住田正二

    ○住田政府委員 御承知のように、営団の場合に地上に出るというのはほとんどございませんで、たとえば丸ノ内線で御茶ノ水のところが少し出るとか、あるいは四谷の近辺が少し出るという程度で、地上部分を相当の長い距離走っているのは東西線だけでございます。
  360. 木原実

    木原分科員 二十七トン、もっと軽い車両があるんじゃないですか、二十三トンクラスはないですか。
  361. 住田正二

    ○住田政府委員 それはちょっと手元に資料がございませんので、もう少しよく調べますが、私ども聞いておりますのは、二十七トンという数字を聞いているわけでございます。
  362. 木原実

    木原分科員 いずれにいたしましてもきのうの事故、私どもけさちょっと現場に寄ってきたわけですけれども、真ん中辺に大体軽い車両があって、それがまずやられまして、あとの三十トンとおっしゃいましたけれども三十六トンの車両が引きずられるようにして倒れた、こういう形になっているんです。ですから、それはいままでもある程度予測をされたから、風速計もつけたりあるいは規制も行ったりしてきたわけなんですね。突風に対しては対応策はなかった、こうおっしゃるわけですけれども、しかしこれは私も素人だから、こうしろという案があるわけじゃありませんけれども、しかしながら、ああいうようなところを走っているわけですから、しかも車両は軽量化し、スピードが上がっているというのは、あれは十年近く走っているわけですけれども、これは当然データの中に入れて、事故対策というのは、ともかく起こり得べからざる事故に対応する——運輸大臣の前ですけれども、一二〇%の防災対策を立てなければならぬのだということをおっしゃった運輸大臣がおりましたけれども、そうだと思うのです。きのうは不幸中の幸いで、橋げたに、防護さくにひっかかったというかっこうであの程度で済んだのは、事故に遭われた方には申しわけないけれども、不幸中の幸いだった。しかし、これがただ天災でやむを得ない、不測の事態だったんだ、やることはやっていたんだというだけでは、毎日あれを利用する者にとっては、風の日はとてもあの電車には乗れないという不安感があるわけですね。ですから、当然のことですけれども、軽量化、スピードアップに伴う最悪の事態に対する安全措置については、二重、三重の安全保障を講ずる。こういう姿勢でない限りは、きのうの事故も天災で、いろいろな偶然が重なりあってどうしようもなかったんだというだけでは、これは当局の責任はそれで逃れられましても、乗客の不満は持っていくところがないわけなんです。どうでしょう。
  363. 住田正二

    ○住田政府委員 御指摘のように、とにかく事故が起きたことは間違いないわけなんです。先ほど申し上げましたように、ああいうような開床式の、床が開いておる橋というのは全国に恐らく何百あるいはもっとたくさんあるのではないかと思うわけでございますが、従来の知識といいますか経験では、ああいう開床式の橋で突風で電車がひっくり返るということは専門家として予想していなかったわけでございます。したがって、単に東西線の問題だけではなくて、これは全国的な問題になるわけでございまして、そういう意味では、国鉄、私鉄の関係者が受けたショックというのはかなり大きいものだろうと考えておるわけでございます。したがいまして、天災だからいいということではなくて、原因をよく探求いたしまして、今後どういう対策をとったらいいか、専門家を集めましてよく検討いたしたいと思っておるわけでございます。仮に、国鉄の場合には三十六トンぐらいの電車が走っているわけでございまして、そういうものの方が抵抗力があるということであれば、そういうような方向でいろいろ検討いたしたいと思います。  いずれにいたしましても、もう少し原因をはっきりいたしませんと、どういうようなことを考えたらいいのかわからないという現状でございますので、もう少し時間をいただきたいと思います。
  364. 木原実

    木原分科員 現状を率直におっしゃっているのだろうと思うのですが、これは運輸大臣、乗る方の身にもなってもらいたいと思うのです。  たとえば、地震などに対しましては、自動制御装置みたいなものが働くとか、ATSというのですか連動するとか、それなりに慎重な運行が、たとえば新幹線等で行われているものがあるわけですね。しかし、たった一つの風速計があったのも事実上機能していないとか、気象庁に聞いてみましても、これは別の話ですけれども、千葉県でゆうべ観測したのは、最高風速が二十二メートルぐらいだったというような話もあったり、確かにそういう意味では予測しがたかった風が吹いたということになるのでしょうけれども、しかし激しい風が吹く可能性というものは、あそこを毎日見ている者にとっては、吹きさらしの吹き抜けのところですから、それに対応する車両側の措置としては、たとえば自動制御装置を配備をするとか、それと連動する風速計をふやすとか、何かこの事故を契機に前向きの対応策あるいは究明を行ってもらわないことには、どうも引っ込むわけにはいかないのですが、いかがでしょう。
  365. 福永健司

    福永国務大臣 貴重な御意見でございまして、今度ああしたことがありましたことを、この貴重な経験を必ず生かすように対処いたしたいと考えます。
  366. 木原実

    木原分科員 これは私も、何と言うんでしょうか、多少ふんまんやる方ないところがありましてね、現場でもどうも風の吹き方が悪かったんだというんで、みんなおてんとうさまの方に責任を持っていっている。これじゃとてものことには引っ込むわけにはいかないと思うわけですが、いずれにいたしましても、厳しい究明の措置を監督官庁としてやってもらいたい。  それから、少なくとも乗客に対しては、最悪の起こり得る、たとえば突風とか地震等に対してはこれだけの措置ができるんだということを速やかに示してもらいたいと思うのですが、いかがでしょう。
  367. 福永健司

    福永国務大臣 御期待に沿うようにあらゆる努力をいたしたいと思います。
  368. 木原実

    木原分科員 きょうはたくさん問題を持っていたのですが、これで時間がなくなりましたけれども、肝心の成田の問題を一つ二つ伺っておきたいと思うのです。  恐らく開港は予定どおりに行われるはずだと思うのです。もし予定どおりに行われるということになれば、その時点で行政上もしくは——総裁にもお見えいただいておりますけれども、ともかく後へ残る問題というのはどういう問題があるのか、ひとつ列挙してもらいたい。
  369. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 いろいろございますが、大きく区分けいたしまして幾つか申し上げますと、一つは、本格パイプラインを早くつくりまして、いわば三年以内に完成いたしまして、成田空港への航空燃料供給体制の万全を期する、これが第一点。  第二点は、第二期工事、なかんずく横風用滑走路を早くつくりまして、一本滑走路という非難を早くなくなすということでございます。  第三点は、これは二期工事にも関連いたしますけれども、地元の農民、土地を提供された農民を中心に、地元の住民対策というものを強力に打ちまして、愛される成田空港にするということであります。  それから第四番目には、それらに関連いたしまして、今後開港後の騒音問題に対しましてできるだけの対応をいたして、地域住民を騒音被害から守るということでございます。  あとは、五番目といたしましては、アクセスの問題です。これは私ども必ずしも一〇〇%理想的なものだと思っておりません。したがいまして、開港後もなお理想的なものにすべく努力をいたすと同時に、開港後の事態に即しまして機動的に対応いたしまして、利用者の御迷惑をなくし、また、地域の住民に対する交通の混乱による御迷惑をなくすということを心がけるべきであると思っております。
  370. 木原実

    木原分科員 公団としてはいかがですか。
  371. 大塚茂

    ○大塚参考人 ただいま航空局長から申し上げましたとおりでございまして、その中で公団としてぜひやらなければならぬことは、騒音対策の問題と、それから第二期工事、ことに急ぐのが横風用滑走路の問題ということになります。
  372. 木原実

    木原分科員 もうこれは改めて申し上げるまでもないわけですけれども、パイプラインの問題といい、それから二期工事を含む問題といい、あるいはまたアクセスの問題といい、騒音対策といい、私は場合によっては空域の問題も残ると思うのです。いずれにいたしましても、十年がかりで、私も十年これに引き回されたわけですけれども、まあ欠陥空港大臣の前で申し上げるのはおかしいんですけれども、いずれにいたしましても、空港が成立をする基本的な要件がいずれも問題を残したままスタートをせざるを得ないというのは、まことに不幸なことだと思うのです。きょうはそのことについて追及をするのは別の機会に譲りたいと思うのですが、その中で一つの問題は、二期工事の問題があるのです。  二期工事の問題につきましては、いま局長もおっしゃいましたけれども、成田空港の最大の問題は、土地所有者の問題についていまだに十分な対応策がとられていないというところにあるわけです。したがって、二期工事の施行のやり方その他については、われわれも意見を持っているわけですけれども、どういうふうに対応するのか、簡単に一言だけお答え願いたい。
  373. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 端的には、やはり土地空港公団に提供される方のための代替地をきちんとしたところにつくるということ、それからやむなくあの場所に住めなくなる方に対して、農業をなさる方には農業の転作のためのお手伝いをするとか、あるいは農業を捨てる方に対しましては、転業のためのお手伝いをするというふうなことであると思います。
  374. 木原実

    木原分科員 もう一つの問題はパイプラインの問題なんです。これは大臣に申し上げておきたいのですけれども、かつて、燃料の輸送はどうするのだ、私は委員会でこう伺いましたときに、たしか橋本さんだったと思うのですが、総裁は今井さんの時期に、パイプラインの問題は心配要りません、本体の方が見通しがつきましたら三カ月もあれば大体できる予定でございます。こういう話なんです。これはいまだに暫定輸送で、大変難航しながらスタートした。それから本格パイプラインが千葉市の方に示された。関係の地元に、運輸当局それから出先の公団に対する不信感が十年来積み上がっているわけですパイプラインについて申し上げますと、私どもがパイプライン事業法に関連をいたしまして審議をいたしました際にいろいろ論議がございまして、附帯決議をつけました。何よりもやはり安全の確保の問題だ、同時にそのパイプラインの通る近くの住民の皆さんに合意を得ることが必要だ、衆議院としましてこういう意味の附帯決議をつけたわけです。いまパイプラインは、本格パイプラインの案が千葉市の方へ示された。これからどうして住民の合意を得られようとしておるのか、まずそのお考え方を聞いておきたいと思うのです。
  375. 福永健司

    福永国務大臣 御指摘のようにいろいろ難問がございまして、パイプラインのこと等につきましては、私自身もあの法案が出ますころに党役員の一人といたしまして、率直に申しまして、今日いろいろ頭を悩ましていることとは違った話も私自身実は聞いておったのでございますが、事態はなかなか容易ならざるものでございました。たまたまその開港の日に、このままいくとするならば私が責任者であるということで、より一層そうしたことについて深刻な気持ちでいるわけでございます。欠陥空港云々というお話等もございましたが、そういうものでなく、曲がりなりにも何とか開港に持っていきたいものだと私は強く念願しておる次第でございまして、ただいまお話のございました点につきましてはいろいろ具体的には方法、考え等もありますが、私といたしましては誠心誠意このことに当たって万全を期したい、そういう所存でございます。
  376. 木原実

    木原分科員 大塚総裁に伺いますけれども、昨年のたしかいま時分だったと思うのですが、内閣委員会にお見えいただいたときに、本格パイプラインのルートについては新しい案がほぼ腹が固まった、こうおっしゃいまして、ほぼ一年経過しましたね。先般千葉市の方にもお示しになり、聞きますと二十五日の日でしたか、地元の住民の方々に対して最初説明会が行われた。これは大変不十分な説明会だったとわれわれは聞いておるわけですけれども、この一年間、案が固まりまして、これら住民の理解を得ようという努力が始まったとわれわれは理解しているわけですけれども、これは政府でも案が固まって示すまでに一年時間をかけているわけですね。住民の皆さんの中にもいろいろ不安を持つ方が多いわけです。理解を得られるまでに一定の時間といいましょうか、日時が必要だと私は思うのですね。住民の納得が得られればいつごろから工事にかかりたいと考えていらっしゃるのか、それからまた、住民の皆さんの合意を得るためにこれからどういう努力をしようとしておるのか、御見解を聞きたいのです。
  377. 大塚茂

    ○大塚参考人 パイプラインの問題につきましてはかねてから私どももいろいろのいきさつを承知いたしておりまして、今回は地元の方々に十分御説明をし、御納得をいただくということに精力を集中してまいりたいと考えております。  そういうふうなことから、去る一月二十日に県及び市にルートを提示して協力を御要請申し上げたわけでございますが、その後、先日市内の自治会連絡協議会に御説明をいたしまして、それからまた先ほどお話しの二十五日に沿線の七十五町内、自治会の会長さんを対象とした説明会を開催させていただいたわけでございます。これを初めといたしまして、今後市及び自治会の会長さんと御相談をしながら、自治会ごとあるいは幾つかの自治会を集めた単位ごとに説明会を沿線にいたしまして、十分御理解を得るようにしてまいりたい。そしてできることならば、公団としては御承知のように暫定輸送は三年という期間がございまして、工事に約二年八カ月を欲しいと思っておりますので、できることなら七月に着工できるように、それまで何遍でも説明会を開催をして御理解を深めていきたい、かように考えております。
  378. 木原実

    木原分科員 七月には、工事にかかりたいというお話でございますけれども、これはあと数カ月でございますね。相当精力的に理解を求める措置をやってもらわなくては困るわけです。もう申し上げたくないわけですけれども、成田空港の最大の諸悪の根源は、公団として関係住民のコンセンサスを得ることができなかった。これは十年にわたる集約をされる最大の問題なんですね。いままた新しいパイプラインの問題が起こりまして、関連をする付近の住民の皆さんが非常に不安を持っていらっしゃる。不安の根源の中には、いま申し上げましたように、公団の姿勢に対する不信感があるわけです。つい先日公団の方がおいでになりまして説明会という形で行われたときも、何か非常に中途半端なと言いましょうか、不誠意な態度だったという声が私のところに来ております。これは言うまでもありませんけれども、党派の問題でもないわけなんですね。あの地域に住宅を求めてお住まいになった人たちが、ある日突然政府の都合によって、ある意味では危険物、不安なものが敷設をされる、それに対する説明も従来の措置も十分でなかったというところに根源があるわけですから、十分なコンセンサスを得るためにはそれだけの必要な措置を講じてもらいたいと思うのです。七月というのは公団としてはどうしても譲れない工事開始の時期ですか。
  379. 大塚茂

    ○大塚参考人 私どももおっしゃられる趣旨をよく理解しておりますので、できるだけ御理解を得たいということで、七月は公団の希望でございます。絶対かどうかとおっしゃられますと、まあこれは公団の希望する月であるというふうに申し上げさせていただきたいと思います。
  380. 木原実

    木原分科員 総裁はいつか、住民というのは当該市の、たとえば千葉市であるとかあるいは千葉市の議会であるというふうなことをおっしゃっておりましたが、これは一つの機関でございまして、代表する側面もあるわけですけれども、敷設をする近隣の住民の皆さんの合意を得られる、こういう姿勢でございますね。
  381. 大塚茂

    ○大塚参考人 もちろん住民を代表しておられるのは議会であると考えますが、しかしそのもとである住民の方々の合意を得るべく、われわれとしてはあらゆる努力をいたさなければならぬと考えております。
  382. 木原実

    木原分科員 あわせて伺いますけれども、花見川の新しいルートになる川底、この調査は行っているのですか。
  383. 大塚茂

    ○大塚参考人 花見川につきましては、直接公団が調査ということはいたしておりませんけれども、外部に委託をいたしまして比較設計業務の研究をやってもらいまして、その中の一つとして花見川の土質等についても調査をいたしております。
  384. 木原実

    木原分科員 これはデータがあるならば私どもも見せていただきたいと思うのです。  時間がありませんので、もう一問だけ聞きますけれども、新しく決定をされました案の中に高浜地区というところがあるのです。海岸沿いですけれども。これは住宅公団の方で将来住宅建設の計画があるわけです。これが建ちますと、いまは人家とはかなり離れておりますけれども、パイプライン事業法による人家の密集地帯にひっかかる可能性がある地域なんです。非常に心配をする向きもあるわけですけれども、同じ政府部内ですから、将来その辺の調整が可能なのかどうか、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  385. 大塚茂

    ○大塚参考人 私どもとしてはパイプラインは安全であるという自信を持っておりますけれども、しかし御不安をお持ちの向きもございますので、なるべく人家稠密地帯はルートから避けるというような方針で新ルートの計画をいたしたわけでございます。おっしゃられます地域については現在は人家が大分離れておりまして、ございませんけれども、将来はそういうふうになる可能性もございます。私どもとしては、現在決まっております都市計画を参考にいたしまして、学校その他からできるだけ離すようにということで、五十メートルばかり道幅があります道路の海岸寄りの下をパイプラインを通すというふうにいたしておりますので、道路幅だけでも少なくも五十メートルは人家から離れるということになります。しかし、それで満足かどうか、これは法律的には十分保安距離を保っておるわけでありますが、今後住宅公団等ともひとつ協議をしてまいりたいというふうに考えております。
  386. 木原実

    木原分科員 時間が超過して申しわけございませんが、運輸大臣、いずれにいたしましても、パイプライン問題、二期工事にかかわる問題、アクセスの問題で二つお願いがあるのです。  一つは、残された諸問題について、ぜひわれわれと一度詰めた話をする機会をつくっていただきたいということ。  それから、いずれにしましても、関係をする住民の人たちとのコンセンサスを得るために、ひとつ監督官庁の運輸省としても前面に出て最大の努力を払ってもらいたい。われわれも供用開始になる飛行場が欠陥空港であっていいなどとは考えません。そういう前提でぜひ努力してもらいたいと思うのですが、お考えをひとつ聞かしてください。
  387. 福永健司

    福永国務大臣 お話のような努力をせいぜいいたしたいと思います。
  388. 木原実

    木原分科員 終わります。
  389. 兒玉末男

    ○兒玉主査代理 これにて木原英君の質疑は終了いたしました。  次に、新井彬之君。
  390. 新井彬之

    新井分科員 私は、自転車の駐車場問題、あるいはまた国鉄の陳情等を受けつけた場合の解決の方法等について若干の質問をさせていただきたいと思います。  初めに運輸大臣にお伺いしておきたいわけでございますが、日本の交通というのはいま非常にいろいろな問題が出ているわけですね。確かに新幹線七千キロメートル走らそう、あるいはまた高速道路を七千六百キロメートル延ばそう、こういう中でいままで進んでまいったわけでございますけれども、その中で自動車の普及とかいろいろの問題がありまして、非常に総合交通体系というものが再三論じられてまいったわけでございますけれども、その中で総合交通体系というのはいまどのような方向で進んでおるのか、ガイドラインとなる基本計画は何かということをまずお伺いしておきたいと思います。
  391. 福永健司

    福永国務大臣 いわゆる総合交通体系につきましては、昭和四十六年の運輸政策審議会答申、臨時総合交通問題閣僚協議会の報告がございますが、これらは各交通機関間の競争原理を活用しつつ、それぞれの特性に応じた効率的な交通体系を確立するというものであります。こうした考え方は今後においてもおおむね妥当するものと考えますが、資源エネルギーの制約の強まりや安定経済成長への移行等、経済社会情勢の変化が非常に著しいので、こうした変化を踏まえつつ、第三次全国総合開発計画等の政府の計画と整合のとれた具体的施策を進めてまいりたいと存じます。
  392. 新井彬之

    新井分科員 余り具体性のある答弁ではないですが、時間が非常に短いわけですからそれをやりとりしている時間がございませんけれども国鉄はこれから乗客が減ると見るのかあるいはふえると見ていますか、いかがですか。
  393. 高木文雄

    ○高木説明員 非常に地域、条件によって違うと思います。たとえば東京から札幌とか、大阪から鹿児島とかいういわば足の長いフィールドについてはむしろ減るといいますか、航空の方のお客さんがふえて、うちの方が若干減りぎみになるというのは大勢としてやむを得ないといいますか、前提として当然受けとめざるを得ないのではないか。ところが都市の近郊、都市と申しましても大阪とか東京とかいう大都市ではなくて、もう少し地方の主要都市とその近郊との関係については、一部通勤者の方々が自動車をあきらめてまた鉄道を使っていただくというような雰囲気になっていくのではないかというふうに見ております。
  394. 新井彬之

    新井分科員 総裁の判断は非常にに的確だと思います。確かに私たちいろいろなところに参りまして見ておりますけれども、交通の手段としては、まず一つは歩く、その次が自転車、それから今度は単車、それから自動車、それから公共のバスとかあるいはまた電車、あるいは汽車ということになるわけでございますけれども、田舎の方にいきましても、現実問題としては近くの駅に自転車なり自動車を置きまして、そして汽車に乗って通いたい。これは交通事故等の問題もあるでしょう。しかしながら、実際現在の都市というのは駐車場も何もないわけですね。したがって車に乗ってきても、交通混雑とともに、駐車場といったって公営のものがあるわけじゃございませんし、非常にそういう面も厳しい取り締まり、こういうようなことからだんだんと汽車とかそういうものに乗る率というのが非常にふえてくるのではないか。こういう傾向に対しまして一体国鉄は今後どのような対策を講じようとされていますか。
  395. 高木文雄

    ○高木説明員 そのような情勢の変化に対応いたしまして、私どもといたしましても、列車のダイヤを組むのに当たって、いわば長距離列車というようなものは、今後状況を見ながらではございますが、むしろ撤退といいますか、少しずつ落としていってもいいのではないか。反面通勤のサービスについてはむしろ強化をしていかなければならないのではないかというようなことを、漠然と考えております。  ただそれは漠然と考えておっただけではだめでございまして、具体的に地域ごとにだんだんそれをよく検討いたしまして、そういう方向でダイヤ編成等、あるいは車両運用等を考え直さなければならないときが来たなという感を深うしているわけでございまして、そのような気持ちで地方の鉄道管理局の指導をほんのいま始めたというところでございます。
  396. 新井彬之

    新井分科員 この交通事故がなくなるという一つの問題に対して、日本の道路に歩道というのが非常に少ない、そういうことを再三言って、いま新しい道路をつくるときは歩道がなければいけないというような形になっておりますけれども、駅で駐車場のあるようなところを見ましたときに、これはもういっぱいでなおまだ自動車がどんどん来ている、あるいは自転車置き場というものはほとんどやっておりませんから駅周辺にほったらかしにしているわけですね。したがいまして、これからは駅をつくるとき駅で一番考えなければいけないものというのは、やはりそういう自転車置き場あるいはまた自動車の駐車場というものにでき得る限りのスペースというものをとっていかなければいけないわけですね。私はこう考えるわけでございますが、具体的にこれから着手するとはまた非常にゆっくりしたお話でございますけれども、これはことしの一月の交通対策本部の決定でそういうことが出てきたと思うのですけれども、そういう問題で、それではその場合に国鉄が主体となってやるのか、あるいは地方公共団体が主体となってやるのか、あるいは警察がやるのかということがまだ明確でないわけですね。とにかく協力し合ってやりましょう、こういうことですね。  そこで、国鉄としてはどのくらいやる気があるのか、一遍まずお伺いしておきたいと思います。
  397. 高木文雄

    ○高木説明員 お言葉ではございますが、ことしの一月に決められましたこの考え方では、やはり都市側あるいは道路管理者側が主体となって自転車駐車場の整備をするという思想になっております。なぜそうなっているかと申しますと、長い歴史の中において国鉄鉄道だけ走らせておればいいんだという感じが非常に強いわけでございまして、私鉄のようにたとえば鉄道もつくるが団地の開発もやるんだというような観念ではございませんので、駅をつくるにしましても、線路用地を買うにいたしましても、まさに走らすのに必要なところだけしか手を出してはいけないというような思想で私ども長年来ましたから、駅前にもめったに土地は持ってないわけでございまして、そういう意味から言いまして、自分のところに土地を持っておりませんものですから、やはり都市側なり道路管理者側が主体となってやっていただかなければならぬ。しかし、たまたま昔貨物駅があったのがなくなっていま土地がありますという場合があれば、これはもう積極的に私どももそれに臨んでいきたいというふうに考えております。
  398. 新井彬之

    新井分科員 この前の予算委員会答弁等も若干お聞きをしておるわけでございますけれども、それではこれはひとつ具体的な問題について明確にしておきたいと思うのですけれども、去年の七月に交通安全対策特別委員会で兵庫県の姫路市を初めといたしましていろいろとそういう自転車置き場の問題について視察をさせていただいたことがあるわけです。そのときに国鉄側も出席をされて、姫路市としては何とか自転車駐車場をつくらなければいけない、具体的に言えば英賀保駅とか、姫路駅とか、あるいは御着駅、こういうことでいろいろプランを言ったわけでございます。  その後姫路市にもいろいろ聞いてみたのでございますけれども国鉄も乗り気で鋭意検討していただいておるというようなことであるわけでございますけれども、いつごろどういう決定になってくるのかということはさっぱりわからない。そういうことで、それではそういうぐあいに土地もここにお願いしたいと具体的な問題があった場合に、それがいいとか悪いとかの判断とかそういうことも明確に言わなければいけませんね。一体だれが国鉄側の窓口になり、だれが決定をしてそういうときに交渉に臨まれるのですか。
  399. 高木文雄

    ○高木説明員 率直に申しまして、今日までの国鉄の対応は俗に言う言葉で腰が引けておったと思います。たとえば、どこかに土地がある、あるいは高架下があいておるというような場合におきましても、それを自転車置き場に使うかどうかということについてそれぞれの駅長なり何なりの判断に非常に個人差が大きかったのではないかと思います。  今回、内閣といいますか、総理府といいますか、交通対策本部で自転車駐車場対策の基本的な思想がはっきりしてまいりましたから、したがいまして、私どもも、道路管理者側あるいは都市側が責任を持っていろいろお進めくださるということの案が都市側から出てまいりましたならば、その案がきわめて現実的な案である限りにおいてはそれに従って御協力と申しますか、私どもも駅前に自転車がたくさん放置されて困っておるわけでございますので、私ども自体の問題でもございますし、また都市行政への御協力という面もございますので、自治体でプランを立てていただきますれば、積極的に取り進めていきたい。  その場合に、場合によりますと各駅の駅長のところで処理できる場合もございましょうし、管理局の方に駅が相談してこなければならぬ場合もあると思いますが、率直に申しましていま痛いところをつかれたわけでございますが、その理由としては、政府全体の施策体制というものがはっきりしなかったものですから、うちの中もどうもはっきりしていないというような実態でございますが、今後はそういう御指摘を受けることがありませんように、中の体制整備いたします。  ただ、きょうの段階では、どの窓口に持っていけばいいのかということについてここということを申し上げるところまでまだいっておりませんけれども、こういうことで政府の方針が決まってまいりましたから、私の方も緊急にその体制を明確にいたしたいと思います。
  400. 新井彬之

    新井分科員 そうしますと、国鉄の総裁の答弁は了といたしますけれども、私は本当にわからなかったのは、たとえて言いますと、姫路市が一生懸命にプランをつくり図面をつくりして、そしてこうしたらいいんじゃないかということを国鉄に再三お話しをした。ところが姫路市とすれば、もう国鉄は一生懸命やってくれていますよ、具体的にはどういう交渉をやっているんだ、いや、初めは用地課が出てまいりましたけれども用地課じゃどうもだめだ、だから企画に行こうというようなことで、順繰りに回って、もう結論が出ると思いますよということは再三言うのですけれども、なかなかそんなのは出てくるような状態ではない。そのうちに、たとえて言うと、英賀保駅の場合は現在もう自動車の駐車場として、これは写真にも全部出て、図面にも入っておりますけれども、自動車置き場として個人に三千円で貸しているところがあるわけですね。実際問題それも姫路市の計画からいきますと、もっと利用価値が——いろいろ建物を建てさせていただいて、のけろと言われればいつでものけますよ、だからそういうような条件で建てさせていただきたいということが出ておるのですけれども、そういうことを交渉する傍らで、また別の用地のところへ自動車を三十台置くんだ。だからそういう統一されてない場合には、総裁にそれだけ言っていただいたんですから、そういう問題だって早速向こうと連絡をとって進むと思いますけれども、だめなものはだめだ、こういうわけでこうなんだ、だからうちの方はこういう計画はどうなのか、こういうような形で、協力すると言っても、協力の仕方が非常に受け身の場合と、それからこっち側から率先して知恵を出し合ってやっていかなければいけない、こういう問題があるわけです。  確かにこの本部のいろいろな通達によりますと、地方公共団体がやらなければいけないということでありますけれども国鉄用地があいているようなところについては、当然国鉄の方の御協力があれば解決するようなところもたくさんあるわけですね。したがいまして、そういう問題については第三者的に見るのではなくて、本当に国鉄利用するお客さんでございますから、決して商店街に行くところのお客さんではありませんので、いろいろな問題については前向きにやっていただきたい、こういうぐあいに再度要望いたしておきます。  それからもう一つ、それに伴ってお伺いしておきたいと思うことは、国鉄再建計画の柱の一つに、資産の運用ということがございますね。私は大体日本の国は何で栄えたかと言えば、これは駅から栄えておると思うのですよ。人が集まっておるから駅ができた、あるいは駅ができたから人が集まった、これはどっちから言えるかわかりませんけれども、どちらにしても交通網のきちっとしたところから日本の国というのは都市もでき、きちっとやっているわけでしょう。  そうしますと、いま国鉄土地を持っているのは王子製紙に次ぐぐらいの土地を持っているわけですけれども、何たってすごい、六万七千ヘクタールですか、琵琶湖に匹敵するような土地を持っている。その持っているのは確かに、北海道から九州の果てまであるわけでございますから、非常に値段の安いところもありますけれども、少なくともその地域においては全部一等地を占拠しているというのが現状ですね。したがって、そういうところの高架下なりあるいはまたあいている土地を活用するということ、すなわち国鉄がそういうことに乗り出すということは、これはもう都市再開発とかいろいろなことをひっくるめまして、これから日本の国が本当に大きく発展するかしないかというような立場にあるのじゃないか、私はそういうぐあいに考えているんですが、その件について福永運輸大臣国鉄総裁の御見解を承りたいと思います。
  401. 高木文雄

    ○高木説明員 ただいまの御指摘の点は御指摘のとおりでございます。国鉄の体質としては、何としてもレールを使ってお客さんを運ぶということを第一義と考えておりましたから、いろいろなところにいろいろな意味での用地がございました場合に、それをどう使うかということはサイドワークのまたサイドワークぐらいのことで考えておった、そういう体質でございます。したがって、いま御指摘のような住民の方といいますか町の方からごらんになると、何か少しいろいろとおかしいじゃないかと言われる点があったかと存じます。一昨年の暮れからそうしたところをだんだん直さなければいけないということで、いま勉強いたしておるところでございまして、やはり職員諸君の協力にはいささか時間がかかりますが、おっしゃるような方向で、町の御便宜ということも考え、またうちのわずかな土地でありましてもそれを放置しないでそれから多少の収益を図るということを考えてやってまいらねばならぬということで、大分その方向にいま動きつつあるところでございます。  と申しましても、まだやっとそういうことをやるセクションを多くの管理局にこの二月の初めに設置したような状況でございますので、それが実際に動き出すにはまだちょっと時間がかかるかと思います。しかし、方向はそっちの方へ向いておりますので、いろいろ御意見を賜りましてそれに即応して処理してまいりたいというふうに考えております。
  402. 福永健司

    福永国務大臣 国鉄に限らず、政府あるいはその関係のところで持っている土地等を高度に活用するということはぜひ必要であると思うわけでございまして、そういう観点から、いま国鉄については総裁が申しましたようなことで極力それをやるように私どもとしても指導してまいる責任があろうかと思います。  ただ私、よけいなことのようでございますけれども一言申しますと、国鉄はと申しませんけれども、どうもやはり政府の関係で持っている土地を放したがらぬ傾向なんかもあるわけでございまして、これは私は大臣として言うのでなくて、従来から議員の一人として日本全体を効率的に使うという点から、たまたま私はただいまの立場におります関係上、ぜひそういうことにするようにいたしたいと考えております。
  403. 新井彬之

    新井分科員 次に、陳情書の処理の仕方についてお伺いをしたいと思いますが、少なくとも各地方公共団体の長、知事さんとかあるいは市長さんが国鉄に訪ねて、この問題はこうしていただきたい、踏切の問題もありますでしょうし、いろいろな問題がございますけれども、そういう問題についてはやはりできるものはできる、できないものはできない、あるいは三年かかるのはかかるということを明確に言ってあげるというのが当然だと思いますね。請願書の場合は国会の委員会で各審議して、それで採択されたか、されなかったかということをいろいろ報告するわけでございます。  そこで、具体的にちょっとお伺いしておきたいのでございますが、これは姫路の保線区長にあてて赤穂の笠木市長が昭和五十二年六月十四日、この時点に「国鉄赤穂線敷下の下水路等の整備について」という陳情を行っているわけでございます。この前まではこれに対する何の返事もないということであったわけでございますが、この内容というのは御存じのように、赤穂市塩屋向地先の、住民が初めから住んでいた、その後に国鉄の赤穂線ができて、下水路ができないために雨が降るたびにその住民の方へ水が入るというようなことで、後から自分たちが家をつくったものでも何でもありません。当然だと思いますけれども、こういうような問題で、これについてはいつ、どういう返事をされたか、御答弁願いたいと思います。
  404. 高橋浩二

    高橋説明員 昨年の六月に書面で赤穂市長から私どもの姫路保線区長に、側溝の整備並びに雑草の整理ということでお願いの書が出たものでございます。私どもの方も実は存じ上げませんでしたけれども、調べましたところ、文書では回答をいたしておりませんが、まず雑草の整理については、昨年の夏一回雑草の整理をいたしたようでございます。しかし、基本的には排水路等側溝の整備をしないと何回も何回も同じような問題が出るということで、この件についてはまだ正式に御返事をしてないという実態がわかりましたので、私の方もこの点は現地に、すぐ市当局と協議を申し上げておのおのの仕事の分担を決めて実施するようにということを、先生からの御指摘を受けまして実はそういうふうに指示をいたしたところでございます。  今後このようなところについては速やかに御返事をいたすことができますように、よく現地を指導したいというふうに考えております。
  405. 新井彬之

    新井分科員 次に、播但線の問題についてちょっとお伺いしておきたいのでございますが、私はこういうぐあいに思うわけです。国鉄がもうこれは過疎地域で赤字でどうしようもないという線路、この路線についてはもうどうしようもないと思います。しかしながら、たとえて言いますと、播但線だとか姫新線の線路の沿線には比較的新しい住宅がまだどんどん建っているわけですね。その方々は何を使ったかといいますと、先ほども言いましたように、ほとんどが自転車であるとかあるいは自動車を使って勤務先まで行ったというようなことがあるわけです。ところが、もう自動車は込みますし、朝の八時なり八時半なりの勤務時間に間に合わないからということで、お客さんが国鉄の方に乗った方がいいのじゃないか、こういうぐあいになっているわけでございますが、反面、国鉄の方は列車制御装置ですかそういうようなことで、CTC化によって無人化をしたりいろいろなことをやっているわけですね。  そういう中で、現実の問題としましては、たとえて言いますと、日ノ本学園あるいはまた兵庫県立の香寺高等学校、あるいは兵庫県市川高等学校、兵庫県立の福崎高等学校、こういうことでこの沿線については学校もたくさんあるわけですね。したがいまして、その生徒さん方がバスで来るということは時間も非常にかかる金もかかる、そういうことで、播但線は少なくとも福崎町なら福崎町まではお客さんががっとふえているわけですね。ところがそういうような配慮というものをされないで、ただ向こうの、遠いところの和田山まで行くのは余り乗客がいないからというようなことの配慮であってはならないのじゃないか、こういうぐあいに思うわけです。したがいまして、国鉄側も御存じだと思いますけれども、播但線の利用状況の五十三年度の予想というのが、少なくとも学校の生徒さんだけの数においても出てきている。そういう中で、本当にこの列車では積み残しも出るし、不便でもある。したがって、時間帯も一つの例を挙げると、現行の姫路発寺前行七時十一分及び姫路発甘地行七時二十六分の列車は非常にあふれているけれども、それについてまた千名の女子学校が移転をしてきて、また乗るようになるんだ、そういうようなことで具体的な例を挙げておりまして、その中で列車を増発していただきたいというような要望があるわけです。こういうような具体的な、それこそ公立の学校の先生方が連名でもって出してきて、現実にこれだけの利用があるという場合については、二両ほど何か増結すると言うのですけれども、御存じのように、播但線というのは駅が非常に短いわけですね。そうすると乗ったりおりたりするときでも危ないというような現状もあるわけでございますから、少なくとも福崎行きくらい、行って帰ってきてまたやるというぐらいのことは当然、やはりこれからまたお客さんもどんどん——そういう方に対して、あそこには自転車置き場もあります。自動車置き場もやろうと思ったらできるわけですから、そういうものをつくるとともに、やはり国鉄としてもこれだけお客さんにサービスしてふやしていくという努力をしていかなければいけないと思いますけれども、この件についての御見解をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  406. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 確かに、播但線の沿線は非常に人口もふえ、お客さんもふえております。特に、御指摘のように、本年の四月から日ノ本学園の生徒が千人ぐらい香呂の方に移る、それがかなりお客さんとしてふえるだろうということも承知しております。列車の増発につきましては、車両の問題、人の問題で早急にというわけにはまいりませんので、とりあえず四月七日から、先ほど御指摘のありました姫路発七時十一分の列車につきましては六両を八両にする、それから七時二十六分姫路発の甘地行きにつきましては七両を八両にする、それからこういう列車の中のあるものにつきましてはクロスシートをロングシートにするとかということで、なるべく乗りやすいような形の車に漸次かえていきたいということで考えております。  なお、土曜日の帰りの問題も話を聞いておりますので、これも何か処置をしなければいかぬだろうということで、いずれにいたしましても、従来は姫路の方に向かってお客さんが多くなるものが、学校を中心としまして郊外に移っていくということは無視できませんので、今後のダイヤその他につきましては、十分その辺を考慮に入れまして検討していきたいというふうに考えております。
  407. 新井彬之

    新井分科員 終わります。
  408. 兒玉末男

    ○兒玉主査代理 これにて新井彬之君の質疑は終了いたしました。  次に、西村章三君。
  409. 西村章三

    西村(章)分科員 私は、新関西国際空港問題につきましてお伺いをします。  関西新空港は、本年に入りまして本格的に調査元年を迎えたわけであります。自然条件調査を行う観測塔も、いよいよ本年の一月一日を期して始動いたしましたし、ちょうど昨日、二十八日から地元泉州地区におきましては航空機や気球、船舶を多数動員いたしまして、騒音や大気汚染などについての大がかりな現地調査がスタートいたしました。今後、これらの自然条件調査に加えまして、社会条件調査あるいは空港条件さらには環境影響調査等々の調査を推し進められるわけでありますが、まず、調査についての基本方針といいますか、これを明らかにしていただきたい。
  410. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 調査基本方針につきましては、新しく計画いたしております空港が、地域の環境に対して悪い影響を与えないことということの調査を時間をかけましてじっくりやる、そしてまた、その結果につきましては地元住民に公表し、関係府県知事の意見を聞きまして建設の計画を決める、これが私ども調査基本方針でございます。
  411. 西村章三

    西村(章)分科員 調査の期間はどの程度見込んでおられるのですか。
  412. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 当初、五十一年度から五十三年度までと思っておりましたけれども、先ほど先生もお示しの観測塔の建植が約一年おくれました。したがいまして、一年近くずれ込むのではないか。したがいまして、五十四年度末には何としてでも全体の調査を終わり、かつ公表もできるという段取りにしたいと思っております。
  413. 西村章三

    西村(章)分科員 いま局長さん御答弁の中で、じっくり調査をしたい、こういうことをおっしゃいました。調査を十分することが最も重要な基本だと思うのでありますが、同時に、期限を切ること、これとの関連、調査を十分するというところに力点を置くべきだ、私はかように考えますが、いかがですか。
  414. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 従来の調査計画の段取りを私ども検討いたしましても、五十一年度から五十四年度まで事実上四年間という期間は、じっくり調査ができる期間であると考えております。
  415. 西村章三

    西村(章)分科員 これらの調査は、今日まで何を基本にして進めてこられたか、今後何をベースにして進められようとするのか、その点について教えてください。
  416. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 基本にしてというお尋ねが、もう一つ私にはっきりつかめなかったのでございますけれども、あくまでもこれは環境アセスメントでございますので、この空港計画によりますところの地元への環境影響がどのようになるかというふうなことを中心に調べることにいたしておるわけであります。
  417. 西村章三

    西村(章)分科員 もちろん空港建設に伴う環境アセスメント、これを進める前に、航空審議会の答申というものが各項目にわたっての調査条項というものを挙げております。私は、この答申に基づいていろいろ進められておると思いますが、間違いございませんか。
  418. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 間違いございません。全体として答申の趣旨を尊重いたしまして、自然条件、社会条件、空港条件というようなものを調べまして、環境への影響を最後に結論を出すということでございます。  ただ、ここで若干説明を要しますのは空港条件でございまして、答申の中では、御承知のように、埋め立て、桟橋、浮体、干拓と四つの工法を挙げまして、干拓は否定いたしました。そして残りの三工法のうちで、当時の結論としては埋め立てを主体とするのが最もよろしいという結論が出ております。しかしながら、答申を議論いたしておりましたころから比べますと、実質的には、四、五年の月日がたっております。その間、沖繩博における大型海洋構造物の実現等のこともございまして、海洋構造物に関するかなりの技術進歩もございますので、私ども、いまの段階で空港条件調査をする場合には、現段階におきましてあらゆる技術を調べたいということで、航空審議会の答申はそれといたしまして、もう一度改めて埋め立て工法、桟橋工法、浮体工法、三つにつきまして、技術的な安定性、また、これが環境に与える影響度合い等を調べて結論を出すことにいたしております。
  419. 西村章三

    西村(章)分科員 答申は、浮体工法につきましては、まとめの中で、「浮体工法は桟橋工法と同様な長短があるが最大の難点は技術的に未解明な問題が多いことである。今後、このような問題を解明して設計方法を確立し、実用化するには長期間を要すると考えられ、現在のところ、新空港には適用できないと考えられる。」こう述べております。  当初、審議会の中では四種類の工法が考えられたわけであります。その中では埋め立て工法が最も適しているのではないかということで、従来の調査もこの埋め立て工法を中心に行われてまいりましたし、また、関係三府県初め地元の八市五町の地方自治体や地元住民に対しましても、公聴会、説明会を通じて、運輸省は過去一貫して埋め立て工法を前提として説明され、理解を求めて来られました。  ところが、昨年十二月十二日、運輸大臣は福田首相と会談をして、当面する景気浮揚のために浮きドック式の浮体工法として早期着工を図るということで合意したと発表されまして、翌日の新聞は一斉にこれを大きく報道いたしました。寝耳に水というのはこのことでありまして、この発言はこれまで行ってきた調査のいわば前提を覆すものでありますし、審議会の答申を軽視する重大な軌道修正の発言であります。  航空審議会に諮問されたのは一体どなたでありますか。運輸大臣ではないのですか。大臣の固有名詞は変わりましても、みずから諮問をし、三カ年近く年月を費やしてあらゆる角度から検討され、調査が始まってからも、いわばすべてこの答申を中心に調整、説明、説得が続けられてきたのであります。これを突如として一方的に変更し、決定するとは一体どういうことなんですか。しかも、空港建設の最高責任者である運輸大臣の口から、それも国の最高責任者であります総理大臣と合意したといういわば付録までついて不用意に発表されましたことは非常に遺憾なことであります。  同時に、新空港のような長期的な大規模プロジェクト、これの問題の性格あるいは反対機運の強い住民感情、これを考えてまいりますと、当面の景気対策上という見地から、いわば非常に狭い視野だけで首相や大臣が性急な判断をし、発表をするということは、軽率であると私は思います。  大臣は、審議会の答申をどのように受けとめられておるのか、今後どのように答申を尊重されていくのか。また、今回の発言によって、今後浮体工法を中心に据えて空港建設を推し進めていかれるのか、この十二月の発言の真意とその位置づけというものを明確に大臣にしていただきたい。
  420. 福永健司

    福永国務大臣 いま西村さんがおっしゃるように思われると私も大変不本意なんでございますが、もとより審議会の答申は尊重すべきであると私は心得ております。  私、運輸大臣になりましたころは、いよいよ不況の度を加えて、わけても自分の所管する造船等で非常に深刻な事態がある。そこに関西新空港の問題があるわけでございますが、御説のごとく、答申を尊重しつつ対処するというのが私のとるべき方途でございますが、同時に、運輸大臣としてないし国務大臣といたしましては、不況克服というその時点で非常に考慮すべき問題、これも持っているわけでございます。  私といたしますと、あの答申に「埋立工法を主体とする」という表現もございます。私は余り専門家ではございませんけれども、ああした大きな施設は、たとえば「主体とする」という表現がありますと、主としてそういうことではあるが、いろいろな工事を総合してつくるものでございますから、主体ということはそれ一本やりで、それ以外何にもないという意味じゃない。決して埋め立て工事だけが空港の工事であると思いませんので、先ほども申し上げましたように、もしこういう工事を行うに際して造船不況等もある程度救うことができればということから、関西新空港を進めていく上において、「主体とする」という表現でございますので、造船なんかを救うような方途があればこれはまたこれで考えられれば大変いい、こういう所存で、確かに総理大臣とも話をいたしまして、そのときに必ずしも空港の話だけでなくて、全体としていかに不況を克服すべきかということの中でそういうことがあったわけでございます。  したがって、先ほど航空局長答弁をいたしておりましたが、これからの扱いといたしましては、私が答申を無視してそれに変更しろなどといったことでは全然ございません。そういうことではなくて、こういう大きな問題は広くいろいろ考えて、いろんな知識を集めて対処するということであろうと思う。何年か前に得られた答申であり、また、権威者が大勢集まって出された答申でありますから、一面においてこれを尊重するとともに、その後の変化がいろいろもしありとするならば、その変化も考慮に入れつつ対処すべきである。こういうようなことをいろいろ考えましてああした私の発言にもなったわけでございます。  したがって、これからいろいろさらに地元とも話をしたり、権威者の人たちにも研究をしてもらって、福永健司の言うことなどのごときは一顧を与えるに値しないというようなことなら、それで結構なんであります。ただ、私としましても、空港のことも大事だが不況の克服も大事だ、いろいろ考えましてそういうことになったわけでございます。御理解をいただきたいと存じます。
  421. 西村章三

    西村(章)分科員 空港建設の可否につきましては、大臣も御承知のとおり、運輸省と大阪府など三府県や地元との合意、こういった手続順序があるはずであります。空港建設の賛否が出ない前に、早期着工だ、建設工法はこれだ、こういう言動はいたずらに混乱を起こすだけで、マイナス効果だけしかないと私は考えるわけです。  そうでなくとも、地元には従来から根強い運輸省への不信感がございます。たとえば、空港建設だけが目的であって、地域の環境整備は適当にお茶を濁されるのではないか、あるいは食い逃げされるのではないか、どこまで信用できるのだというような疑念が非常に強いのです。観測塔の建設が一年おくれましたのも実はこの辺にあったわけでございまして、これは如実にこのことを物語っておる。  そのような状況の中で、しかもこれから本格的に調査を始めようという最も重要なこの時期に行われた大臣のあの発言は、住民感情を逆なでするのもはなはだしいということでありまして、大臣がかわるたびに思いつきや場当たりの発想で国の方針が軽々に変更されると、住民ははなはだ迷惑であります。私は、地元住民の不信感が増幅することを一番恐れますし、また、事実地元関係者や大阪府もこの大臣発言には非常に戸惑いぎみであります。  私、最高責任者である運輸大臣の言動は慎重の上にも慎重であらねばならぬと思うのでありますが、大臣の率直な御意見を聞かせていただきたいと思います。
  422. 福永健司

    福永国務大臣 確かに西村さんが御心配いただくようなこともあろうかと思いますが、私は、また一面、環境整備等の観点からいまお話もございましたが、そういう観点をとらえてみましても、大量の土砂で埋め立てるということだけで環境問題等との関連においても何にも問題がないかというと必ずしもそうではない、こういうふうに思うわけです。しかし、それらも考えて答申も行われているのでありましょうが、本格的にいろいろ決めていくところで言ったのではとおっしゃいますけれども、私の先ほど申しましたような気持ちからいたしまするならば、決まってしまってから後で言ったのでは話にならぬので、せめてこの時点で私は私なりに先ほども申し上げましたような不況克服その他を考えつつ言ったことでありますが、何も固執するものではない次第でございます。  まあ先ほど申したとおりの所存でございますから、これが考慮に値するということになればそれでもよし、値しないとするならばこれはこれでまた意味はあると思うのでございます。先ほど御指摘のように、地元の方々の不信感を増すというようなことになってはいけませんが、地元の人たちの方でも、私に対しましては、あの考えも大変よいという人も中には——西村さんからごらんになると物好きだとおっしゃるかもしれませんけれども、そういう人も大分ございまして、だからそうだと私は言っているのじゃ決してございません。ほかの大臣じゃなくて、空港のことについて決めなければならぬ責任者である私でございますから、先ほど申し上げましたような考え方で、決して自分の言ったことに固執するような性分でもございません。いまいろいろおっしゃっておられますようなことも十分念頭に置きまして、とうとい教訓として承って今後に対処したいと考えておる次第でございます。
  423. 西村章三

    西村(章)分科員 そうすると、基本的な従来の答申の方針、手順に余り大差はない、かように考えられるわけであります。大臣は政治家として、いま不況のどん底にあります造船業界あるいは鉄鋼業界の救済、それらにつながる労働者の雇用確保を通じて景気回復のきっかけをつかみたいと思われておるようでございます。これは所管の大臣として当然の配慮というよりは、むしろ私は義務であるとさえ思います。したがって、それはそれなりに十分私も理解はできるのであります。  しかし、この新空港は、いわば国際空港として将来西日本の玄関口になる。地元泉州の地域の長い将来というものを考え合わせますと、先ほど来質疑の中にもございましたが、やはり近畿圏の広い分野での町づくり、都市づくり、こういう観点からも当然この空港の位置づけをしていかなければなりません。いわゆる大所高所から総合的かつ長期的に百年の大計の上にあらゆる要素を勘案して計画を立てるべきでありまして、当面する景気浮揚とは無関係ではありませんが、私は、基本的にはあくまでも景気対策とこの空港問題とは別問題である、かように思うわけであります。  それよりも、むしろ運輸省としては、将来の関西における航空需要の伸びあるいは現大阪空港の現状を考えるのであれば、この際、何としても関西に新しい空港をつくるということ自体の方がより大きな目的ではないかと思うのです。したがって、環境の悪化なりあるいは地元の合意などのあらゆる制約条件を踏まえて、その中で空港の建設が可能になるのだという工法を選択していくことが、目的達成のための運輸省の基本的な態度でなければならないと確信をいたします。それなのに、工法を一方的に決めてそれを押しつけるような印象を与えるやり方は、主客転倒で、逆に反発だけを買うのではないか。  私は、空港をつくる限りにおきましては、いま申し上げました観点に立ちまして、建設目的に合致したもの、しかも安全性が一〇〇%保証され、公害や迷惑ができるだけ少なく、工費や工事期間など総合的に検討を加えて、最も適したものを選んでいくことが非常に大切だ、こう思いますし、そのためには一つの工法に固執するのではなくて、可能な工法を十分に検討され、結果として、場合によってはいろいろな工法がミックスされたものが最適だということもあるわけであります。その結論が出た後に景気対策あるいは雇用問題を加味して建設に着手していく、これが非常に正しい考え方ではないかと思うのです。いずれにしてもこれからの問題であります。  そこで、重ねてお尋ねをいたしますが、今後検討の上に十分検討を重ね、空港地域も将来に禍根を一点も残さない、こういう心構えと姿勢が運輸省におありになるかどうか、この点について、非常にくどいようでありますが、再度大臣の責任ある答弁を聞かせていただきたい。
  424. 福永健司

    福永国務大臣 大変いいことも言っていただいているのですが、一部どうも私の真意を理解していただけないような気もいたします。  まさに関西によき空港をつくらねばならない、これが関西のためでもあり、日本のためでもある、こういうふうに思います。将来、長い間を考えてりっぱなものをつくらなければならない、そういう意味で、大所高所から、また、総合的かつ長期的展望において、いま西村さんおっしゃった言葉をおかりして申しますならば、りっぱなものをつくらなければいけない。正直に申しまして、私が浮体工法と言ったことは、あの答申のころから多少時間もたっておりますし、いろいろの研究開発等も行われておりますし、言うことは無意味でないと思って私は言っておるわけでございまして、どうぞその真意は御理解をいただきたいと思います。  空港はかくあらねばならぬとおっしゃる点については、私も全く同感でございます。
  425. 西村章三

    西村(章)分科員 時間が乏しくなってまいりましたので、先へ進めます。  調査はいよいよこれから本格化いたしますが、調査実施については、その順序なり調査結果と計画の策定、いわゆる青写真づくりはどういう関連を持つのか、全調査が終了してそのデータをもとに計画を具体的に定められるのか、同時に並行して行われるのか。  また、建設工法や空港施設の配置形態が決まらなければ、実際には環境影響調査、アセスメントの対象や内容も決まらぬのではないかと思うのでありますが、建設工法並びに施設の配置形態についてはいつごろまでに結論を出されるのですか、具体的に明らかにできればしてください。
  426. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 調査項目の中で自然条件調査につきましては、すでにできるものはやっておりますし、観測塔ができましたので、これから本格的にやりまして、またこれは継続して五十四年までやりたいと思います。  それから空港条件、これが一番問題でございますが、いかなる工法でつくったときにどういう環境影響があるかということで相互に関連いたしますので、一つの仮説といたしまして、調査の過程におきまして、埋め立てでつくればこんなふうな計画でつくる、浮体の場合にはこういうことになる、桟橋の場合にはこういうことになる、それから三つをコンバインする方法もございますし、幾つかの建設工法の仮説をつくりまして、その仮説ごとに所要の環境影響を調べる、こういうことになろうかと思います。したがいまして、この調査の各項目は、あるものはそれぞれ独立に行えるし、あるものは相互に関連し合って行われる、またあるものは別の調査の結果がフィードバッグされてさらにもう一遍やるという関係が出てくると思います。それらを全部ひっくるめまして五十四年度末には一つの評価をつくり上げたいと考えておるわけでございます。
  427. 西村章三

    西村(章)分科員 工法によって建設年数はそれぞれ異なってこようと思うのでありますが、建設年数は、着工してからおよそ何年ぐらいと見ておられますか。
  428. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 現在の大阪空港の実情から申しますと、一日も早く欲しいわけでございますが、大工事でございますから、なかなかそう簡単にできないと思います。私ども、できれば六十年には欲しいと思いますが、六十年に果たして開業できるようになるかならないか、この点は必ずしも自信はございませんが、願望としては、六十年度にはぜひ開港をするようなことでつくっていきたいと思っております。
  429. 西村章三

    西村(章)分科員 これから十分に調査をしていただいて、そして地元の合意なり三府県の同意なり、こういうものを得ていくわけであります。  仮に、そういうものが順調に進むといたしまして、閣議決定がなされて建設段階に入ったときには、空港建設の新しい事業主体といいますか、これにつきましてどう考えておられますか。
  430. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 大変な工事費の必要な事業でございます。また、成田空港建設の経験にかんがみまして、地域社会の全面的なバックアップがないとなかなかできないという経験もございます。そういったことを勘案いたしまして、いかなる事業主体にするのが一番いいのかという点についてはこれから検討いたします。いま全く白紙でございます。
  431. 西村章三

    西村(章)分科員 時間がないようでありますが、最後に、これから調査を進められるに当たりまして、府県や自治体の要望あるいは意向をどんな方法で吸い上げられて活用されていくのか、また、公聴会あるいは地元説明会はどの時点で考えられておるのか、明らかにしてください。
  432. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 これは、調査が進むに従いまして、節目節目ごとに必要な機会をつくりたいと思います。そういったものの全体の運営委員会と申しますか、私と地元の三府県副知事の会をつくりまして、これを少なくとも四半期に一遍は開きまして、全体の調査の運営計画に支障のないようにいたしたいと思っております。
  433. 兒玉末男

    ○兒玉主査代理 これにて西村章三君の質疑は終了いたしました。  次に、村山喜一君。
  434. 村山喜一

    村山(喜)分科員 私が最後でありますが、きょうは自動車整備工場の問題を中心にお尋ねをいたしてみたいと思うのです。  環境庁は、一月三十日に告示五号によりまして自動車の排ガス中の窒素酸化物の規制を厳しくいたしましたが、そのねらいは一体何なのかということが第一点でございます。  そこで、この内容からいたしますと、NO2の環境基準の問題に関係が出てくると思うのですが、一日平均0・0二PPm改正の問題にどのような関係があるのか。さらにまた、HCの問題については、五十一年の八月十三日にガイドラインの指針が出ておりますが、この問題についてはこれから一つの基準を設定して規制を厳しくしようという考え方があるのか、この三点についてまずお尋ねをいたします。
  435. 清水達夫

    ○清水説明員 お答えいたします。  まず、第一点でございますが、本年の一月三十日に告示いたしました自動車排出ガス規制の五十四年規制につきましては、昨年十二月末に中央公害対策審議会からトラック、バスの長期的な排気ガスの低減目標によって示されました線に沿って出したものでございまして、先生御質問の点につきましては、窒素酸化物の環境基準をなるべく早く達成するために長期的な目標として設定したものでございまして、窒素酸化物そのものを考慮したものでございます。しかし、窒素酸化物の低減は光化学スモッグの防止にも役立つということでございます。  それから、第二点でございますが、窒素酸化物のクライテリアの見直しの件だと思います。この件につきましては、現在中央公害対策審議会で御審議いただいておりまして、近くその結論が出るかと思いますが、自動車個体につきましては、その結果にも十分配慮いたしまして、第二段階の規制の早期実施を図る、あるいは交通総量の規制あるいは交通量の円滑化、そういった諸対策の推進も強力にやってまいりたいと思います。  それから、第三点でございますが、HCにつきましては、現在のところ大気汚染の状況は横ばいでございますので、この点につきましては今後とも十分監視を続けてまいりたい、かように存じ上げております。
  436. 村山喜一

    村山(喜)分科員 そうおっしゃいますが、七六年十一月号の「かんきょう」という雑誌を見ておりましたら、その中に、いまから二百年後には、工業時代の副産物である炭化水素が地球の大気の大半を占めるかもしれない、その場合には、人間は現在のような形では生き残れないであろうという記事が出ているわけですよ。そして、オキシダントの問題にいたしましても、アメリカの場合にはNO2の毒性の問題よりもこのHCの方から攻め寄せることにして、そしてO3の毒性比率が、NO2の毒性と比較をすると一対十五の比率であるというようなことで、光化学スモッグ対策としてはHCの低減対策を中心にやっておるわけですね。日本の場合には窒素酸化物の防止戦略という上に立ってこの光化学スモッグという問題をとらえている、こういうふうにわれわれは承っているのです。そういうような点から、いまのところ環境汚染が進んでいないからだということで今回は見送られたようでございますが、この問題については今後さらに検討をしておいていただきたいと思うのです。他日、またほかの機会に質問をいたします。  環境庁、結構でございます。  運輸省にお尋ねをいたします。大臣は後でお答えいただけば結構でございます。  今回改正されましたのは、NOxだけが五十四年規制として改正された、こういうふうに承ってよろしゅうございますか。
  437. 中村四郎

    ○中村政府委員 先ほど環境庁から御答弁申し上げましたように、今回の排ガス規制につきましては、環境庁の許容限度の告示を受けまして、私どもの方の道路運送車両の保安基準、これは省令でございますが、これを改正いたしまして排出ガスの規制強化を行うことにしたわけでございまして、その内容は、騒音と同時にNOxについての規制でございます。
  438. 村山喜一

    村山(喜)分科員 今度は運輸大臣にお答えをいただきたいのですが、今回省令の改正がございまして、自動車分解整備業の認証基準の一部改正が同時に行われております。詳しいことは政府委員の方からお答えをいただきたいのですが、自動車整備業約六万、最近の状態を調べてみますと、大臣の耳にも入っているかと思いますが、メーカーの指定工場、農協の整備工場、こういうものにはさまれまして、零細な民間の自動車整備工場は青息吐息という状態です。それで、統一的な基準価格を示しておりますと、公取の方からそれは独禁法違反だということでやられてしまったという事例もございます。したがいまして、最近過当競争の中で、しかもそういうようなお客さんに対するサービスという問題が、自動車税や自動車重量税の実質的な立てかえまでやらされなければならないというような状態にまでございます。  そういうようなときに、今回は、指定工場のみならず、認証工場まで排ガス測定器を持たせるとかあるいは設置基準を厳しくするとか、こういうような措置がとられているわけですが、自動車整備業界の状況というものを見てまいりますると、いろいろな問題がございます。たとえば、陸運事務所は増大をする車両の前に職員の業務はふえるばかりであるという状況の中で、離島のあたりのそういうような工事用のトラック等の車検を受ける場合にも、一遍プレートナンバーをはずしたようなものについては、それをもう一回もらうためには現車を持ち込んでいかなければならぬ。したがいまして、十万円ぐらいの運賃をかけまして陸運事務所のあるところまでその検査を受けにいくわけですね。そして、それをもらって帰って仕事をするというようなシステムになっておりますので、何とかならないだろうか。それで、出張検査という方式がこのごろとられておるわけでありますけれども、これも人員等予算関係でなかなかうまくいかない。そこで、中古車の新規の持ち込みが不要にできないだろうかという相談もわれわれはよく受けるわけであります。  そういうような状況の中で、経営が悪化し、倒産に追い込まれつつあるような現況の中で、このたびの認証工場整備基準についての強化が行われた。中には、設置基準を厳しくするというような意味においては私は必要だろうと思うんですが、排ガス測定器を今回は持たせる。やはりそれについては、それだけの規制を厳しくする以上は見合うところの措置をとらなければならないだろうと思うんです。金融的な面あるいは税制の面からそういう措置を講じてやるということまで考えて措置をされなければならないと思うのでありますが、大臣の御所見をまず承りたいと思います。
  439. 福永健司

    福永国務大臣 いま村山さんお話しのように、一面においては高度の知識——もっとも、一番先に余りむずかしいことをおっしゃったので、よけいその印象を受けたのでございますが、いずれにしても、工場関係者もやはりある程度の高度の知識を持たなければならぬようにだんだんなっていきつつあることは事実でございますが、さりとて、いまいろいろお話がございましたような零細な工場等が非常に困る、あえぐというようなことになるということについては、われわれも政治のあり方としてはなはだ不本意でございます。そこで、一面において必要なことは必要なことといたしまして、先ほどお話しのようなことにならないように、私どもはいろいろ処置すべきものと考えておる次第でございます。これらにつきましては、それぞれ具体的に問題の解決に当たっていきたいと考えておる次第でございます。
  440. 村山喜一

    村山(喜)分科員 そこで、私は、具体的に過去の事例からどのような措置がとられてきたのかということを点検する必要があるだろうということで、こういう整備工場が三十七業種の設備近代化資金の対象業種として設定されてその一つになっているわけでございますが、それの全国的な貸付金額の中で自動車整備関係がどのような取り扱いを受けてきたのか、これは指定工場が適用された段階で統計的に調べてみたものでございます。この点については——通産省はおいでになっていますね。そういう点検をされましたものがございますか。あれば発表願います。
  441. 富永孝雄

    ○富永説明員 お答え申し上げます。  現在、国と県が、中小企業者の設備の近代化のために、折半いたしましてその必要な資金の半分を負担しております中小企業のための設備近代化資金貸付制度というのがございますが、この制度におきまして、御指摘のございました自動車整備業、これに対する貸し付けでございますけれども、たまたま手元にございますのが四十八年からの数字ではございますが、四十八年以降五十一年度までの実績を見ますと、四十八年の数字を申し上げますと約三億八千万円、四十九年が五億三千万円、五十年が三億六千万円、五十一年度が二億七千万円、金額で見ますとそういう数字で推移しております。件数でございますと、ほぼ二百件の水準でまいりましたが、五十年、五十一年度になりますと百件程度の水準になっております。
  442. 村山喜一

    村山(喜)分科員 大臣、聞いておってください。いま通産省はずるいんですよ。自動車整備関係の貸し付け実績と件数だけしか言わないんです。それは全国の貸付金額の中でどういう割合を占めるかということを言わなければならないわけです。  件数対比を申し上げます。四十八年が一万二十二件ですね。一万二十二件のうちで自動車整備関係に貸し付けたのは二百三十二件です。それから、四十九年は八千六百九十三件に対して三百七十二件です。五十年は七千七百九十件に対して百四十九件、五十一年は八千二十九件に対して百三件しかないんです。これは、いわゆる指定工場のそういう公害測定の機器を備えつけるというのに対して余りにも資格要件が厳し過ぎるがためにほとんど利用されていない、このことを雄弁に物語る数字なんですよ。  そういうような状況であるがゆえに、今度認証工場となると指定工場よりもこれは信用力もない、力も弱い、そういうところの層ですから、今度省令の改正に伴いましてその規制の対象になる工場数は幾らですか。
  443. 中村四郎

    ○中村政府委員 今回排ガステスター等の備えつけを義務づけましたのは、従来の指定整備工場に限りませんで、一般の認証工場に拡大したわけでございまして、これは現在、そのうちで一酸化炭素測定器につきましては九一%に当たる工場がすでに設置しておりまして、もう一つの炭化水素測定器につきましては三四%に当たる工場が設置しておる、こういう状況でございます。したがいまして、あと一酸化炭素測定器の工場につきましては約七千、炭化水素測定器の関係につきましては四万九千工場、これらに設置をしていく必要が出てまいるわけでございます。
  444. 村山喜一

    村山(喜)分科員 大臣、お聞きのように、認証工場とそれから指定工場——指定工場が一万四千ですから、認証工場は大体六万、こういうことですか。六万の中でCOとHCの測定器を備えている率の割合はおっしゃるとおりかもしれません。これは二年間の余裕がありますけれどもね。そこで、こういうようなものを設置するのに当たりまして規制を厳しくする場合には、金融上あるいは税制上こういうような措置を考えてやりますからということで、運輸省が通産省と話をしまして、万全の対策を講じながらそういうようなことをやってもらわなければ困るのではないかと思うのですよ。  そこで、お尋ねをいたしますが、この保有というのは、近代化資金の中でも中小企業機械貸与制度というのがございますね。そういうようなリース物であってもこれは保有と認める、こういうふうに解釈してよろしいですか。
  445. 中村四郎

    ○中村政府委員 自動車分解整備業につきまして保有すべき設備機器というものは、常時使用可能な状態になければならぬわけでございまして、そういう要件に合致いたしておりますならば、長期の貸付制度というものによって測定器を保有するということは、私どもこれを否定しておりません。
  446. 村山喜一

    村山(喜)分科員 そこで、大蔵省にお尋ねをいたしますが、中小企業者の公害防止施設の特別償却の対象として考えられるのか、もしそれが不可能であるならば租税特別措置法の四十五条の二によります中小企業の特別償却、これに該当するものとして税法上の恩典があるのか、この点について明らかにしてください。
  447. 水野勝

    ○水野説明員 ただいまのお話につきましては、前者の点、公害防止施設の機械装置の方には該当はしないようでございますが、先生指摘の後者の点、中小企業者の一般の機械等の特別償却、六分の一の特別償却でございますが、これは金額が七十万円以上のものでございましたら適用がございますので、七十万円以上と私ども聞いておりますので、そちらの方の適用になる、このように考えております。
  448. 村山喜一

    村山(喜)分科員 そこで、私は、運輸省あたりにぜひこういうようなことも考えながら、きめの細かい措置をとってもらいたいと思いますのは、この法律は前からあるのです。ところが、HCの測定器、COの測定器、別々に考えて、これを買えこれを買えということで指導をされる。ところが、最近は兼用のものがあるのですね、HCもCOも両方測定ができる。これは七十二万円ぐらいですよ。そうなると、やはり両方測定ができる機械の方がいいわけですね。税法上も恩恵を受けるのです。小さな企業なんですからそこまで指導をされて、いまの状態はCOの測定器はもう九一%備えつけております。HCの方は三四%しかございません、こういうように分けて問題をとらえるのではなくて、どうしたら税法上のそういうような措置がとれるのか、金融上の措置で近代化資金が指定工場の場合には件数が非常に少なかったけれども、今度はそういう金融上の措置もやって、整備工場として十分な機能が果たせるようにしようではないかという立場から行政的には取り組んでもらわなければならない問題だと思うのですが、いかがでございましょうか。
  449. 福永健司

    福永国務大臣 私、拝聴しながら重々ごもっともに存ずる次第でございまして、そういう御趣旨に合うように、いままでどうであったかはともかくといたしまして、今後われわれ努力いたしたいと存じます。
  450. 村山喜一

    村山(喜)分科員 そこで、自動車税の問題でございます。これは、運輸大臣としては非常に重大な関心を持っていただかなければならない点だと私は思うのでございます。  自動車はもういろいろな段階で税金を取られておることは、大臣も御承知のとおりでございます。取得をする場合、それから保有、利用の段階で九つの税がございますね。そこで、私は、地方税まで入れてどれぐらい取っているかということを調べてみたら、五十一年度決算で、国と地方分と合わせて、自動車関連の税金は二兆八千五百三十九億円取っているわけです。五十三年度は三兆円を超えていることはもう間違いない、こういうふうに見ていいわけであります。  ところが、自動車重量税という税がございます。これは陸運事務所の方で取っておる税で、印紙を張りまして納税をするわけですが、これは国税ですね。そうすると、自動車税という地方税があるんです。私たちはこの税の性格がきわめて不明確だと思うのですが、自動車重量税というのは、道路の破損に対する責任を重量に対応させるものだ、いわゆる道路損傷税的な性格のものではないかというふうに見ているわけであります。ところが、そこに自動車があるから税金を取るんだ、課税物件としての自動車を定めて、そうして自動車検査証の交付を受ける者や所有者が納税義務者というふうに決められておる、こういう形で五十三年度は三千二百六十億税金を取るわけです。それは税金はいろいろなところから、担税力を持っている者から取らなければならないことは言うまでもありませんから、それをどうのこうのということは申しません。  ところが、同じ保有税にあります自動車税、これは地方税であります。地方税の場合には、これは減耗をいたしまして廃車の手続をとる、陸運事務所でも盛んに登録の抹消などもされているようでございますが、もう使えなくなったので、あるいは人に譲り渡したのでということでそういうような登録の取り消しをいたします。そうすると、納めた税金がその利用しない分については還付されるのです。  ところが、国税であります自動車重量税は、乗用車については二台分取られるのです。衝突をしましてもう使えなくなる、そうして新車を買いますね。そうすると二台分の自動車重量税を取られるんですよ。そういう仕組みになっているんです。これは非常に苛斂誅求な税制ではないだろうか。現に保有しなくなって、道路を損傷する何もないのにそういうような目的のための税金を取られている。片一方、地方税ではこれは還付されている。地方税の自動車税の方が筋としては通ると私は思うのです。そういう点から、この税制の問題というものをこの際見直してもらいたいという気持ちがいっぱいであります。  そこで、出さなきゃならない税金はユーザーも当然払わなきゃならぬと思うのですが、こういうような現存しない自動車から税金を取るというのはおかしいわけでございますから、そういうような意味において、いまの税制を改正をすべきであるという意見を私は持っているのでございますが、大蔵省はどういうような考え方でございますか。なお、その後大臣の御所見もいただいたらと思うのです。
  451. 水野勝

    ○水野説明員 ただいまのお話につきましては、先生指摘のように、自動車関連といたしましてはかなりの種類の租税があるわけでございますが、それぞれにつきましての性格の違いと申しますか、そういう点からそういったことになっておろうかというふうに私どもは考えておるわけでございます。  地方税の自動車税につきましては、これは先生お話のように、自動車を保有することについての課税でございまして、一般的に保有税でございますところの固定資産税と類似した税金である。そこで、保有につきましての税金でございますので、保有期間に応じて課税されるということに相なっておるわけでございます。四月一日を賦課期日といたしまして一応課税されますけれども、年度途中で取得されましたら月割り、年度途中で廃車されましたら月割りで還付するという制度になっていると聞いております。  これに対しまして、自動車重量税につきましては、実質的には先生お話しのような道路損傷につきましての一つの負担金という性格もあるのでございますが、税そのものの性格といたしましては、車検を受けることによりまして道路を走行する権利と申しますか地位と申しますか、それを取得するという権利の創設を受けることにつきましての税金であると私どもは考えているわけでございます。そういたしますと、一年なり二年なりの期間につきましての権利の創設を受けた、その受けたことにつきましてその権利を取得された段階において課税させていただきますと、あと一年なり二年間なり、どういう期間をお使いになるかはその権利者の任意のお使い方にお任せしておる。  一年で廃車される方もあるし、一年半くらいで事故で廃棄される方もある。そこは権利者の方のお使いの方法にお任せしておるということでございます。そして、先生お話のように、事故によりまして廃車、廃棄される場合におきましては、その権利もその中に含めまして、交通事故の関係でございますれば賠償の金額の中にも含めて、そういったものとして処理される、私どもはこんなふうに考えているわけでございます。
  452. 福永健司

    福永国務大臣 私、正直な性分でございまして、大蔵省の話を聞くとそうかなとも思いましたが、その中に、実質的にはこうで税そのものの性格はこうだという分け方をして説明をされましたが、どうも実質を認めながらまた別のお話等もございました。私の頭ではなかなかすっきりしないような感じがするわけです。ただし、閣僚の一人といたしまして、法律的によく研究すれば十分筋が通っているということなら別でございますが、まだそれまでの研究は私しておりません。村山さんの説にも大いに先ほどは共鳴しておったわけでございます。余り率直に感じを申し上げて恐縮でございますが、事ほどさように、どうもこの税金がわれわれ素人にとってはわかりにくいものだという感じを深くするものでございます。
  453. 村山喜一

    村山(喜)分科員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、本当にわからぬのです。そうして、実際修理を請け負って仕事をしている整備業者は泣かされているのです。というのは、前のやつは廃車しなさい、別なやつを買いなさい。そうなると、前のやつは税金を払って、また今度のやつも税金を払うのでしょう、じゃ金を持たないから、あなた立てかえておきなさいとやられてしまうのです。  そういう整備業者泣かせの税制でもあるし、現実に存在しないものが道路を損傷することはないわけですから、せめてこの点は、実在をする自動車から税金を取るようにしてもらわなければ、苛斂誅求の大蔵省ということになります。私も長い間大蔵委員をしておりましたが、この点についてはどうも筋が通りませんので、運輸大臣も私の意見をもっともだとお考えになるならば、運輸行政を預かる立場から問題をとらえていただいて、今後閣議等で十分意見を出していただくように要望いたしまして、終わります。
  454. 兒玉末男

    ○兒玉主査代理 これにて村山喜一君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二日午前十時より開会し、運輸省所管について審査いたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後八時五分散会