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1978-02-28 第84回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年二月二十八日(火曜日)     午前十時開議  出席分科員    主査 藤田 義光君       加藤 六月君    金子 一平君       村田敬次郎君    毛利 松平君       太田 一夫君    川口 大助君       久保  等君    兒玉 末男君       佐野  進君    竹内  猛君       中村 重光君    森井 忠良君       瀬野栄次郎君    竹内 勝彦君       薮仲 義彦君    米沢  隆君    兼務 井上 一成君 兼務 日野 市朗君    兼務 和田 一郎君 兼務 山本悌二郎君    兼務 中馬 弘毅君  出席国務大臣         建 設 大 臣         (国土庁長官) 櫻内 義雄君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房同和対策室長 黒川  弘君         国土庁長官官房         長       河野 正三君         国土庁長官官房         審議官     四柳  修君         国土庁長官官房         会計課長    佐藤 毅三君         国土庁計画・調         整局長     福島 量一君         国土庁土地局長 山岡 一男君         国土庁水資源局         長       飯塚 敏夫君         国土庁大都市圏         整備局長    国塚 武平君         国土庁地方振興         局長      土屋 佳照君         建設大臣官房長 粟屋 敏信君         建設大臣官房会         計課長     加瀬 正蔵君         建設省計画局長 大富  宏君         建設省都市局長 小林 幸雄君         建設省河川局長 栂野 康行君         建設省道路局長 浅井新一郎君         建設省住宅局長 救仁郷 斉君  分科員外出席者         大蔵省主計局主         計官      宍倉 宗夫君         文化庁文化財保         護部記念物課長 横瀬 庄次君         農林大臣官房企         画室長     佐竹 五六君         農林省構造改善         局建設部整備課         長       泉  敏郎君         林野庁指導部治         山課長     江藤 素彦君         運輸省海運局参         事官      柳  昭夫君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部施         設課長     岩橋 洋一君         運輸省航空局飛         行場部計画課長 佐野 豪一君         気象庁観測部長 小林寿太郎君         建設省計画局宅         地開発課長   渡辺  尚君         建設省都市局下         水道部公共下水         道課長     遠山  啓君         建設省道路局企         画課長     渡辺 修自君         建設省道路局高         速国道課長   佐藤 秀一君         自治省財政局地         方債課長    津田  正君         消防庁予防救急         課長      荒井 紀雄君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     澤田  悌君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     有賀虎之進君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     櫟原 利嗣君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)    江里口富久也君         参  考  人         (本州四国連絡         橋公団総裁) 尾之内由紀夫君     ————————————— 分科員の異動 二月二十八日  辞任         補欠選任   石橋 政嗣君     佐野  進君   岡田 春夫君     中村 重光君   瀬野栄次郎君     大橋 敏雄君   河村  勝君     小平  忠君 同日  辞任         補欠選任   佐野  進君     太田 一夫君   中村 重光君     岡田 春夫君   大橋 敏雄君     渡部 一郎君   小平  忠君     中野 寛成君 同日  辞任         補欠選任   太田 一夫君     小川 省吾君   渡部 一郎君     竹内 勝彦君   中野 寛成君     米沢  隆君 同日  辞任         補欠選任   小川 省吾君     森井 忠良君   竹内 勝彦君     古川 雅司君   米沢  隆君     吉田 之久君 同日  辞任         補欠選任   森井 忠良君     久保  等君   古川 雅司君     伏屋 修治君   吉田 之久君     高橋 高望君 同日  辞任         補欠選任   久保  等君     竹内  猛君   伏屋 修治君     薮仲 義彦君   高橋 高望君     渡辺  朗君 同日  辞任         補欠選任   竹内  猛君     川口 大助君   薮仲 義彦君     瀬野栄次郎君   渡辺  朗君     小宮 武喜君 同日  辞任         補欠選任   川口 大助君     石橋 政嗣君   小宮 武喜君     河村  勝君 同日  第二分科員山本悌二郎君、第三分科員井上一成  君、中馬弘毅君、第四分科員日野市朗君及び和  田一郎君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十三年度一般会計予算  昭和五十三年度特別会計予算  昭和五十二年度政府関係機関予算  〔総理府(国土庁)及び建設省所管〕      ————◇—————
  2. 藤田義光

    藤田主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  昭和五十二年度一般会計予算昭和五十三年度特別会計予算及び昭和五十三年度政府関係機関予算建設省所管について質疑を行います。  この際、分科員各位に申し上げます。質疑の持ち時間は、これを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げます。  質疑時間が限られておりますので、答弁は要領よく簡潔に行われますようお願いいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。  まず、佐野進君の質疑に入るのでありますが、同君の質疑に対し、参考人として日本住宅公団総裁澤田悌君及び理事有賀虎之進君が御出席になっております。  なお、御意見質疑をもって聴取することといたします。  佐野進君。
  3. 佐野進

    佐野(進)分科員 私は、住宅建設の問題並びに公団家賃の問題について若干質問をしてみたいと思います。  まず、大臣にお聞きいたしたいと思うのでありますが、五十三年度予算景気浮揚のために積極的大型予算を組み、その中で特に公共事業中心とした予算が組まれておるわけでありますけれども、その公共事業中心とした予算の中においても、住宅建設がその大きな柱になっておるということを特に強調されておるわけであります。私どもも、公共事業の中に占める住宅のウエートというものが非常に高いということを認識する立場に立っておるわけでございますけれども、この住宅建設がともすれば公共事業費の中において相当程度優遇されておると言われておるにもかかわらず、個々の内容を分析いたしてみますと、これだけの予算をもってしていわゆる政府の言う公共事業こそ景気浮揚に対する最大の柱であるという役割りが果たして果たし得るのかどうか、いささか危惧の念を持たざるを得ないわけです。  特に、住宅建設を促進する上において重要な柱である金融公庫融資の問題につきましても、個人融資向けについては相当大幅な増額、いわゆる戸数面における増加も認められておりますが、これが中高層中心といたしました高層建築に対しましては比較的その伸びが緩やかである。緩やかであるというよりも、比較の問題としてはきわめて低いと判断せざるを得ないような状況にあるように私どもは分析をいたしておるわけであります。このことは、公共事業一般土木事業は結果的にそれを投資する、そこに対して工事を行うという形のみにおいて波及効果が低いのに対して、住宅建設はその及ぼす波及効果がきわめて大きいと言われておるにもかかわらずそのような形であるということに対しての不満というか、これが非常に軽視されておるのではないかというような印象を受けざるを得ないという点についての大臣見解がまず一点。  第二点は、それに関連いたしまして、個人住宅融資土地取得難その他もろもろの弊害によって、申し込みはあっても着工がなかなかむずかしい。特に、これからは地価高騰宅地供給減という諸条件と相関連してきわめてむずかしくなっていくのではないか、したがってこれの完全消化はきわめて困難ではないかというような見通しが一部において立てられつつあるわけでありますが、これらに対する大臣見解はいかん。  第三点は、中高層、いわゆる大規模住宅というものは開発行為が伴い、なかなか大団地建設ということはむずかしいとしても、中高層がきわめて旺盛なる需要の中に置かれておるにもかかわらず、これに対してそれに応ずるだけの資金用意がないということは、結果的に住宅建設を阻害する形に目下なりつつあるということが言われておるわけでありますが、これらに対して大臣はどのように認識し、どのように対応していこうとしておるのか。  この三点について、まずお伺いをしてみたいと思います。
  4. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 高層建築に対しての配慮が少ないということでございますが、戸数枠につきましても、昭和五十三年度は相当増加しておることは御承知であろうと思うのであります。  私としては、個人向け建設融資に比べて戸数枠が不足するということは考えておらないのであります。  それから、個人向けについては今度は逆に消化がなかなかむずかしいじゃないかというお話でありまして、それは特に土地関連からしてそういうふうに御指摘でございますが、今回の住宅金融公庫融資対象四十万戸の中で、土地手配をしなければならないものは五万戸程度の推定をしておるわけでございますが、この程度のものについての土地手配が非常に困難であるというようには見ておらないことを申し上げておきたいと思います。  それから、中高層についての資金用意がないではないかという御指摘でございますが、これにつきましては、どの程度手配したか、私はいまちょっと数字を記憶しておりませんので、担当の局長の方からお答えさせます。
  5. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 住宅金融公庫中高層住宅に対します融資につきましてはただいま大臣からお答えいたしましたが、五十一年度、五十二年度の実績を踏まえまして、私どもとしては個人住宅と同じように十分需要にこたえられるだけの枠を用意したというように考えている次第でございます。  具体的には、分譲住宅高層住宅につきまして、五十二年度当初予算に比べまして大体六千戸の増加を図っているところであります。
  6. 佐野進

    佐野(進)分科員 いまの大臣並びに住宅局長答弁をそのまま受け取りまして、ことし完全に需要にこたえるだけの対策を立てて対応していただきたいという要望を申し上げておきたいと思います。  第二点は、土地税制の問題を初めとするいわゆる宅地供給に関係する問題でございますが、これらにつきましては、御承知のとおり、目下宅地住宅建設に対する最大阻害要因になりつつあることは当然のごとき状態になっておるわけでございまして、特にその問題に関連いたしまして、個人住宅庶民住宅を建設したいと願う人たちの中で、その供給を阻害する税制緩和について強い要望が出されておるわけでございますが、これが大土地所有者から放出する土地ということでなく、小規模の土地所有者の放出に対して税制がネックになっておるという点について強い不満が主張されておるわけでございますが、これに対してどのように対処していかれる考えか。  これは住宅局長あるいは計画局長のどちらかから答弁をいただきたいと思います。
  7. 大富宏

    大富政府委員 所管省大蔵省でございますけれども住宅政策の支えになりますところの土地供給が非常に重要であるということから、今回租税特別措置法改正をお願いいたしております点は二点でございます。  一つ法人等土地譲渡益重課制度でございますけれども、投機の抑制地価高騰抑制枠組みはそのまま堅持いたしまして、現在重課制度適用除外になっておりますところの優良宅地民間デベロッパー譲渡所得につきまして、適正利益率要件を廃止いたしまして、適正価格要件にこれを切りかえる。したがって国土利用計画法によるところの規制を働かせるという改正が第一点。もう一つは、代理または媒介に相当すると認められるところの土地の売買につきましては、従来は重課適用対象になっていたわけでございますけれども、これを適用除外にする。この二点でございます。
  8. 佐野進

    佐野(進)分科員 大臣、いかがですか。税制の問題については。
  9. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 今度の重課税を、枠組みを崩さずに緩和したということはそれなりの効果があると私は思うのです。それで、  個人譲渡の場合の制限が恐らく佐野分科員の御質問の御趣旨ではないか、そういうものも緩和したらどうかと、こういう御意向ではないかと拝察したのでありますが、五十四年度の税制改正に際しましては、私としてはそれは検討してみたい問題だと思っております。
  10. 佐野進

    佐野(進)分科員 いずれにせよ、税制の問題は宅地供給あるいは住宅建設の上に欠くべからざる重要な要件になりつつあるわけでありますので、十分ひとつ前向きに御検討をお願いいたしたいと思います。  さて、私はけさ各紙に一斉に報道せられておりまする住宅公団家賃値上げの問題に関しまして質問をしてみたいと思うわけでありますが、この問題が明らかにされ、公団の方針として家賃値上げしなければやっていけないという形の中で、各公団居住者に対して値上げ必要性を訴えるビラを頒布されてから、家賃値上げ問題はきわめて大きな社会問題になっておるわけであります。こういう社会問題になりつつある家賃値上げ問題は、今日の経済情勢の中できわめて厳しい生活をしつつある公団入居者はもちろん、一般的な家賃にはね返ることを恐れる賃貸借家人にとってはきわめて重大な関心を持つ問題であったわけであります。  したがって、これに対して慎重なる取り扱いを、特にこれを認可する立場にある国に対して強い要望が出され続けてきたことは大臣あるいは局長等はよく御承知であったと思うのでありますが、にもかかわらず、いまだにこれらの問題に対して対応する公団入居者側の了解も十分得られない状況の中で建設省当局が昨日これの認可を行ったということは、現在の情勢の中においてこれはきわめて軽率のそしりを免れ得ないし、なおかつ軽率のそしりを免れ得ないだけでなくて、無用な混乱を惹起する要因をつくったのではないかと、このように判断されるわけでありますが、これに対して建設大臣及び住宅局長見解をまず最初にお伺いをしておきたいと思います。
  11. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 先生の御指摘日本住宅公団家賃変更につきましては、一月六日付で建設大臣申請があったわけでございますが、その後建設省といたしましては各方面の御意見をお伺いし、あるいは衆参両院予算委員会並び建設委員会等での御審議も受けましていろいろ検討いたしましたところ、結果として昨日公団承認をいたしたわけでございます。  内容的には、けさの新聞で御承知のように、実施期日を二カ月延長しまして九月一日とする、敷金の追加徴収はしない、なお、五十四年度以降に値上げになる団地につきましては改めて申請させるというようなこととともに、衆参両院での建設委員会の御要望がございました点を踏まえまして、老人世帯母子世帯身障者世帯のうち、生活に困窮する世帯につきましては生活保護世帯に準じて激変緩和措置を講ずるように、それから今回の増収分につきましては、五十四年度以降に管理開始をする住宅家賃抑制には使わない、それから入居しておられる方々に対して引き続き家賃変更趣旨の周知に努めなさいと、こういったような配意事項を付しまして承認をいたしたわけでございます。
  12. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私が昨年十一月二十八日に就任以来ちょうどまる三カ月たっておるわけでありますが、就任直後からこの問題につきまして、まず住居の皆さん方から値上げ申請前にいろいろこういう印刷物などが配られておるというようなことで、慎重に考えるようにというお話がございました。それから一月六日後は、今度はそういう申請について反対するようにというようなことで、三カ月間この問題についてはずいぶん御陳情も受けましたし、また書面もちょうだいいたしましたし、その間に、昭和三十一年以来据え置かれて二十余年ぶりにこういう問題が起きて、居住者の方にはその趣旨というものは相当浸透されておるものであると、それらのちゃうだいした要望書であるとかあるいは印刷物であるとか、あるいは書面であるとかで私はそういうように理解をしたものでございます。  そこで、ただいま局長から御答弁申し上げましたように、衆議院におきましても、参議院におきましても、それぞれ委員会における協議に際し、私も私の立場でいろいろ御説明やらお答えを申し上げるやらしてまいりました。なお、両院ともそれぞれ決議を手交されましたので、でき得る限りその決議を遵守しながら、先ほど申し上げたような認可を与えるについていろいろ付記したようなわけでございまして、私としてはせいぜい努力したつもりでおるわけでございます。
  13. 佐野進

    佐野(進)分科員 この問題が発生して以来建設当局が種々なる努力をしたことを私も否定するものではございません。しかし、何にせよ承認したということになれば、これの実施公団に任されるわけでございますから、その間においていろいろの条件がつけられたといういまの局長お話もございましたけれども内容をしさいに分析すれば、条件がつけられたということの意味は、世論に若干こたえようという程度でしか判断されないわけであります。  要は、政府立場において、公団当局に対して、この運営について、あるいはいままでの過去のそれぞれ公団が行ってきた業務の内容について、根本的にいま少し厳しく指導性を発揮した形の中で対応すべきでなかったか。この点がきわめて少ない。薄い。そういう観点から、公団値上げだから、公団の方から言ってきたのを若干検査して、それがよければ承認せざるを得ないのだろうという程度にしか受け取られ得ない政府対応が結果的に多くの住民に対して不満を与えておるのではないか。この際、政府が、公団に対する家賃問題等を初め種々なる運営についていま少しく強い厳しい態度をとるべきではないかと判断をせられるわけでありますが、この点についてはどうお考えになるか、いま一度お答えをいただきたいと思います。
  14. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 日本住宅公団が、その立場において経営的な努力をすることは当然でございますが、今回の値上げあるいは家賃の値下げという問題は一応その問題と切り離しまして、公共住宅である公団家賃の新旧の格差の不均衡是正という立場で行ったわけでございます。それと並行いたしまして、住宅公団経営自己努力によりまして、新しい家賃引き下げのための建設コスト引き下げ努力することはもちろんでございますし、建設省といたしましても、団地関連関連公共施設等の援助を通じまして建設コストの低減にこれからも努めなければならないところでございます。  そういったことを通じまして、これからも改めて住宅公団経営改善建設省としても最大限の努力をいたしたいというように考えている次第でございます。
  15. 佐野進

    佐野(進)分科員 総裁にお尋ねします。  総裁はかわられてからまだ間がないわけでございますから、私がこういう質問をすることが総裁に対して適切であるかどうかはわかりませんし、いささか逡巡せざるを得ないわけでございますが、しかし総裁になられたわけでございますから、最高責任者としてその立場を明らかにするとともに、積極的に、居住者はもちろん国民全体に対してその責任を果たしていただかなければならぬと思うわけであります。  そこで、今回の家賃値上げ問題を初めとし、ここに至るまでの経過の中において、公団運営についてはとかく社会的な批判を受けておるわけでありますが、その社会的な批判の中にこの問題が投ぜられたという条件の中で、より以上に大きな反発を招いておる。先ほど大臣お答えの中にもありましたとおり、各種陳情書要請書その他いろいろな書類の中において、公団のいままで行ってきたやり方に対する批判がきわめて大きいということを感ずるわけでありますが、この点について総裁としてはどうお考えになるか。  もう一つは、いまお話のございましたように、政府責任のある立場において積極的に公団を指導しなければならないのは当然であると同時に、公団もまた政府に対して言うべきところ、要求すべきところ、その他については具体的積極的に対応していかなければならない。問題が発生したから、その問題の発生した原因を除去するために、一般の弱い立場に立つ人たちにのみそれをしわ寄せさせようとするがごときことは断じてあってはならないと思うわけでありますが、今日、傾斜家賃制度を採用するに至った経過の中で家賃が高くなっていく。  その条件をつくり上げたのは公団の内部的な努力の不足と同時に、それに対する政府行政指導の甘さという問題が今日の高家賃を出現させ、それと均衡するという意味でこのような対策を立てたとするならばきわめて遺憾であると言わなければなりませんが、政府に対してどのような態度をもって今後接し、居住者ないしこれから公団に入ろうとする人たち対応していかれようとするのか、この点をまずお伺いしておきたいと思います。
  16. 澤田悌

    澤田参考人 住宅公団が、ここ数年来の非常に激動する経済情勢のもとで、その対応姿勢が必ずしも的確でなかったということのために、御存じのような未入居住宅の問題あるいは長期未利用土地の保有の問題等を抱えて、非常に難局に当面していることは御指摘のとおりでありますが、これにつきましては公団全体として深く反省し、その打開に全力を尽くしておるところでございます。  そういう問題を抱えた中で、居住者の負担になる家賃値上げをせざるを得ないということは公団としてもまことに心苦しいことでありますが、先ほど来行政当局からも御説明がございましたように、これはそういう公団難局の中で起こりましたけれども、それとは別個に、二十年間手をつけなかった家賃をこの際ある程度是正するということがどうしても必要だということの判断の中でこの改定を申請いたしたような次第でございまして、こういう困難な時期に解決しなければならぬという問題の重要さは十分認識いたしまして、最善の努力をいたすつもりでございます。  と同時に、第二の御指摘の点も非常に大事な点でございまして、公団はそういう問題を抱え、その現実の事態は公団の全責任において背負っておるわけでありますが、よって来たるところをいろいろ考えますというと、政府に対しても言うべきことは言う、やるべきことはやるということで真剣に努力していきたいと考えておる次第でございます。
  17. 佐野進

    佐野(進)分科員 私は短い時間でこの問題をすべて論ずるわけにはまいりませんので、大変抽象的な質問にならざるを得ないことを残念に思うわけでありますが、大臣並びに総裁にこの点だけはひとつ明らかにしておいていただかなければならぬと思うことが二点あるわけであります。  その第一点は、今回の値上げが、この承認に当たっての国の方針に示されているとおり、第二、第三の値上げを前提として行われる、承認しておる、あるいは申請しておるというように感ぜられる節が多々あるわけでありますが、二十年間も値上げをしないでおいたこの値上げが今回行われると同時に、これを承認するに当たって、次への段階のステップとしてこれが処置されておるとするならば、全居住者はもちろん、これに関連する多くの人たちに限りない不安の根を残すということにならざるを得ないと思うわけでありますが、この値上げを行われた後、未来永久に値上げをしないということではないであろうことはもちろん想像にかたくはございませんが、少なくとも、当面、この値上げによって家賃問題についての一定の決着をつけるというお考えでなされておるかどうかということをお伺いしたいのであります。  第二点は、この値上げ居住者ないし関係者の理解をまだ十分に得られておらないという段階の中で、家賃を不払いあるいはまた供託するというような措置が当然予想されてくるわけであります。不払いないし供託という形になりますれば、これが行政上大混乱を引き起こす要因になることは当然でありまして、それに至る間、そのようなことのないよう十分なる説明と理解を得られるような措置が当然行われていかなければならないと判断するわけでございますが、この問題について政府及び公団は、このことが当然予測されておりまするがゆえに、どのような措置をもって対応されようとするのか。  この二点についてお伺いしておきたいと思います。
  18. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 今回の値上げにつきまして、基本的に私ども考えておりますのは、五十年以降の家賃引き下げて四十九年以前の家賃を引き上げるという基本方針で臨んだわけでございます。したがいまして、今回の家賃の改定につきましては四十七年度までのものを主としておりますので、来年度以降、四十八、四十九につきましては引き続き従来の計画路線に沿って上げさせていただきたいと考えております。  ただ全般的な今後の家賃の改定問題につきましては、私どもは先ほど申し上げました建設コスト引き下げ等に最大努力をしまして、できるだけこの再改定というものが行われないように最大努力をするつもりでございます。  また、公共住宅家賃体系全般にわたりまして、現在住宅宅地審議会に御諮問申し上げて御検討をお願いしているところでございますが、そういったものを踏まえまして、将来の公共住宅家賃体系について検討してまいりたいというように考えている次第でございます。  それから、当然のことながら、そういった家賃の供託ないし不払いというようなことが起こりませんように入居者の方々に御理解を願うように最大努力をすることは当然のことであるというように考えております。
  19. 澤田悌

    澤田参考人 住宅局長から申し上げたことに尽きるわけでございますが、御指摘のございましたように、今後一斉値上げというものはもうあり得ないということではございませんが、これは重大問題でございますから、その必要があるかどうかということはさらに今後の経過を見て改めて十分検討してから御承認申請するということであろうかと思いますが、こんなものが年々引き続いて起こるというようなことは全然考えておりません。  それから、値上げが紛争を起こすという点につきましては、私どもは、ただいま住宅局長からのお話のように、そういうことのないように、今後実施までまだ半年の月日がございまして、十分努力をするつもりでございますが、今回の値上げが二十年間たって初めてのものでありますし、私どもの見るところでは最低限と申しますかの値上げでもございますし、世間一般家賃に比べますととても比較にならないようなものでございます。  また、国会におかれましても数々の御論議をいただいた点でありますので、そういった御指摘のような不払い運動というようなものは起こらないということを実は期待をいたしておるわけでありますが、いまの局長お話のように、今後この趣旨の周知につきましては手を尽してまいりたいと考えておる次第でございます。
  20. 佐野進

    佐野(進)分科員 時間が参りましたので、最後に大臣に一言だけお答えをいただいて質問を終わりたいと思います。  住宅建設の問題ないし公団家賃値上げ問題については先ほど来御質問申し上げたので、私の考えについては大臣は御理解をいただいたと思うわけでございます。特に、住宅建設については、中高層を初めとする高層化に対して住宅局長は十分対応し得るということでございますが、これに対して大臣もそのように、これを建設するについての要求に対してこたえるための万全の措置をひとつ御講じ願いたい。  第二は、家賃値上げ問題については、いま申し上げましたとおり、承認を与えたといえども、なおこれについては積極的に対応しなければならないいろいろの問題があると思うのであります。特に、公団の内部的な努力、行政の果たすべき責任等々については、承認を与えた以後における問題としても、それにかたくなに固執する立場を離れて、柔軟な態度において対処していただきたいという考えがあるわけでございますが、この点の御見解をお伺いし、私の質問を終わりたいと思います。
  21. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 中高層建築についての御要望は私もよく理解し、今後の施策の上に反映してまいりたいと思います。  それから、今回認可を与えた後のことでありますが、監督の衝にある建設省立場でございますから、でき得る限り混乱の起こらないように、十分住居者の理解を得ながら施策の遂行をしてもらうよう指導してまいりたいと思います。
  22. 藤田義光

    藤田主査 以上で佐野進君の質疑は終了いたしました。  太田一夫君。
  23. 太田一夫

    太田分科員 私は、本日は直轄河川の維持、管理について伺いたいと思います。  最初に、管理の部面からお尋ねをいたしますが、直轄河川の堤防の管理というのは本来建設省が直接おやりになっておりましたし、それがたてまえであると思います。その堤防の一番上の通路に当たるところに、このごろ需要増加してきたと思いますが、車の通行、人間の通行、言うならば非常に通行がふえてまいりましたことから、堤防が一つの道路にみなされてきておることは、道路法としては認定しておりませんが、認定外の道路として機能を果たしておりました。これは各地にたくさん現実がございます。  その通路部分につきまして、通行の用には供されておる客観状態でありますが、残念ながら建設省はそこに道路としての所要の条件を施しません。たとえばほこりが飛散をいたして、堤防に近づいておる民家等においてはほこり公害が非常に多いというような実態が出てきましたけれども建設省はそれに対して防じんの施設を講じようとはしておらなかった。仕方がないので、これを何とかしなければならぬというところから、窮余の策であると思うのでありますが、最近、その近くにある地方自治体、市町村にそれを道路として使わせてくれという占用願いを出させ、建設省はそれに対して道路と堤防の兼用協定を結ぶという形をとって、その上の舗装や管理を市に任せるという便法を取り出したという節があるわけです。  それを実際に実験しておるのは一級河川矢作川でありますが、そのような占用願いを基礎にした兼用協定というのは、建設省の河川管理のやり方としてはいささか邪道のような気がするのですが、一体それはどうなのか、その趣旨は一体何なのか、そういう点をひとつお答えいただきたいと思います。
  24. 栂野康行

    ○栂野政府委員 堤防というものは治水目的のためにつくられる構造物でございます。したがいまして、堤防の管理あるいは河川管理というために、堤防の上は日常の河川巡視の車あるいは水防用のための車とか、あるいは一般の人々が憩いの場として自由に使える、あるいは散策の場として自由に使えるということが堤防の趣旨でございます。しかしながら、そうでございますので、通常は道路としての利用を前提にしたものではないわけでございます。しかし、道路側から非常に交通が渋滞して非常に要請が強い場合には、堤防の治水目的を損なわない範囲で道路としての使用を認めておる場合があるわけでございます。  したがいまして、道路として使用される区間以外で、いわゆる兼用道路以外で、通行車両により、ほこりなどによる公害など沿線の住民に好ましくない影響がある場合、そういう場合にはその実態を十分考慮して、そういう車を正規の道路に迂回させるとかいう方法をとるなどして、今後ともその都度適切に処理していきたいというふうに考えております。  また、通行車両が特定の車両の場合、たとえて申し上げますと、特定の工事のためにダンプが通るとかいう場合には、路面の処理、簡易舗装などをその車の使用者に行わせておるというのが実態でございます。
  25. 太田一夫

    太田分科員 それでは、局長、兼用協定というのは最近そういう一つ制度化したような感じに思いますが、いつごろからそれが普遍化してきたのですか。
  26. 栂野康行

    ○栂野政府委員 先ほど申し上げましたように、堤防というものは河川管理施設として河川管理者が管理するものでございます。しかしながら、これを道路として使用される場合には、道路法による道路としての管理との間の調整が必要となってくるわけでございます。したがいまして、河川法や道路法による規定に基づきまして、あらかじめ河川管理者と道路管理者が協議して、管理の方法、管理に要する費用の負担に関しまして必要な事項を定めることにしておるわけでございます。  それで、これに対します準則でございますけれども、これは四十七年の六月に準則を制定して、河川管理者、道路管理者による適正な管理を行うというふうになっております。
  27. 太田一夫

    太田分科員 兼用協定とか占用願いを出して堤防の上を道路にしたこと、あるいはするということに対していけないとは私は別段言わないのですね。しかし、本来管理というのが建設省であるならば、ほこり公害をほったらかしにしておいて、さて、ほこり公害の苦情が多くなったから、しからばそこの舗装は市町村か県にやらせてやりましょうと地方自治体に押しつけるという権道、そういう力でやるやり方、あるいは弱いところにしわ寄せてくるというやり方、それは余り感心しないと思うのですね。理屈は立っているけれども、市町村に何か押しつけたという感じなんだ。  大臣、いままでの話をお聞きになってどうお考えになりますか。やむを得ない仕儀でございますか。大臣から一遍聞きたい。——局長、あなたは弁解するに決まっているじゃないですか。大臣、どうですか。
  28. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 それぞれ実態に即してお答えしなければならない問題だと思うんですね。全般的にずばりとお答えがしにくいと思うのです。  御質問を聞いておると御趣旨がわかる気もいたしますが、さりとて、それではそれでいいんだというわけの問題ではないんじゃないか。実態に即して考えなければならぬと思います。
  29. 太田一夫

    太田分科員 実態というのが問題だと思うのですが、いまは不況克服のために、今度の予算から見て、国の予算は三十四兆ですが、地方自治体の予算というものはそれに別にありますから、そういうものをひっくるめて二十五兆円を公共事業にやるというときに、道路として客観的に何年か通行が認められておるようなところに、市なら市に、町村なら町村に舗装を負担させ、草刈りを負担させて、そしてその費用を全部市町村に出させていくなんということは、建設省として見れば、河川局の予算が足らなくて道路局の方の予算が多いから、しゃくにさわるから道路の方に持たせてやれという気持ちなのか。それはちょっと邪道じゃないかという気がしてならない。局長、どうですか。
  30. 栂野康行

    ○栂野政府委員 河川局としましては、市や町村にそういうふうな負担を押しつけるという気は毛頭ございません。先ほど申し上げましたように、やはり堤防の使用というものはどうあるべきかという前提に立ちまして一般の自由使用に供している。しかしながら、道路交通によってほこりが非常に多い場合には正規な道路に迂回してもらうというのが望ましい姿でございます。しかしながら、市町村の方としましては、ほかの方の迂回道路が非常に渋滞する、したがってこの堤防をどうしても存続して自動車の交通に供したいというふうな市町村の要望も強いわけでございます。  そういう場合におきまして、兼用道路ということにおいて、お互いに道路管理者、河川管理者が共同して、協力して管理をするということを現実に行っておるという姿でございます。
  31. 太田一夫

    太田分科員 管理というのは、その本来の堤防の効用を維持し、決してその機能を低下させないということですね。いざ洪水のときになっても、堤防が崩れておったためにそこから大災害になるということがないようにするというのが河川法の趣旨ですから、当然そういうことですね。管理ですからね。  ところが、いままでの直轄河川の堤防の一番上の通路を見ますと、これはほったらかしなんですね。通るに任せておる。砂利を取るダンプが通ればダンプのじゅうりんに任せ、砂を取るダンプが通ればそのダンプの荒らすに任せ、そしてそれが、ほこりがかかろうが水がたまろうが知ったことじゃない。こういうほったらかしサービスの管理なんです。それでは困るという声が出てきて、しからばきちっとその高さを維持し、形を維持するためには舗装しておくにしくはなし、ほこり公害もなくなる、それでは市町村、あなたの方でおやりなさいということで、そこがあなたの方が独善的だと私は言っておるわけです。しかしそれはそれで一つの協定が四十七年の六月からできて、もう五年にも六年にもなっておるということならば、一つの定着しておる制度ですね。  私は、目の前に矢作川の一つの実例を見て奇怪に感じたわけでありますが、しからば、その堤防の上の通路を、認定外通路を、今度は正規の道路法による市町村道なり県道なりに指定をしてもらいまして、そして県や市町村が管理者となって舗装をいたしましたときには、その工事は補助対象になりますか。なっておるのでありますか。
  32. 栂野康行

    ○栂野政府委員 私は道路と所管が違うので、ちょっと正確には申し上げられませんけれども、地方道を新しく改築する場合あるいは維持修繕する場合そういう場合には国の補助対象になっておるというふうに聞いてございます。
  33. 太田一夫

    太田分科員 補助対象になる。そういうお話を聞いて、一応補助対象の程度で、とにもかくにも補助が出るからあとは少し市町村に負担をしてくれ、そのかわり公然と自動車が通ることができるようにする、しかも安全に通ることができるようにする、そしてまたその沿道の、その堤防の下の民家にはほこり公害を及ぼさないようにすると、こういうことであるとするなら住民の側に立った市町村としてはやむを得ぬことだと私は思うのですね。少しはそれは仕方がないかと思うのですよ。しかし、いささか弱い者いじめの気がする。地方自治体というのは、いま財政的にそんなゆとりがないですよ。国もないが、地方もないですね。特に弱小市町村などにおいては、もう起債もぎりぎり決着で、来年度の財政はゆとりのないというようなところがたくさん出てきておるときに、地方に余りかぶせるというのはいかがなものか。補助対象事業になっておるならそれだけでもいいとしても、いささか問題がある。  そこで、補助対象事業になるということを一つ認めて、あなたの方の直轄部門として残っておるところのほこり公害に対しては即時対策を講ぜられますか。
  34. 栂野康行

    ○栂野政府委員 まず、自動車などの非常な交通によってほこり公害を生ずるという場合には、先ほど申し上げましたように、それを正規な道路に迂回さすとか、そういう方法によりましてほこり公害をなくしたいと思います。  それから、先ほど堤防の天端がほったらかしになっておるということでございますけれども、私も現場の事務所長をしたことがあるわけでございますが、やはり、天端の維持管理というものは洪水時あるいは大雨のときに非常に大切な役をなすわけでございまして、これをほったらかすということはいたしませんで、常々維持管理をするように努力をしておるわけでございます。  それから、もう一点でございますけれども、結局、堤防の上を道路にするという場合には、既設の道路を、たとえて申し上げますと交通が渋滞している場合に二倍に広げるとか、そういう方法をとればその交通の渋滞は緩和して、堤防の上は通る必要がないわけでございます。しかしながら、そういう市街地の道路を倍にするのは非常にお金も、かかる、また用地で非常に難航する、その他いろいろなことがあって、やむにやまれずどうしても堤防の上を使いたいという、そういう総合的なことから、堤防の安全、治水等の安全の絡みにおきまして、お互いに協力しながらそういういわゆる兼用道路ということも浮かび上がっている次第でございます。
  35. 太田一夫

    太田分科員 兼用道路の話ではない。直轄部門の天端の荒廃です。荒れて砂ぼこりが立って、風のあるときには民家の家の中に舞い込む。だから、ほこり公害がその堤防のそばに住む住民にとっては大変なものなんです。それに対して建設省としては、そのほこり公害を防ぐ手段を講じますかと聞いているんです。
  36. 栂野康行

    ○栂野政府委員 それは、民家に非常な害を与える場合には、やはり河川局としてもいろいろな指導あるいは処置をとりたいと思います。
  37. 太田一夫

    太田分科員 指導、処置の内容を示してほしい。
  38. 栂野康行

    ○栂野政府委員 特定の車両、先ほど申し上げましたように、たとえば工事用道路の車両とかあるいは砂利のダンプとか、そういう場合にはそういう使用者に簡易舗装とか防じん処置をさすということでございます。
  39. 太田一夫

    太田分科員 いずれともあれ、まず特定の車が通ったことが原因ならば、その特定の車の所有者に防じん舗装をさせる。そうでないときには、建設省自身として維持管理上の責任からやる。どちらかをおとりになると理解してよろしいですね。
  40. 栂野康行

    ○栂野政府委員 そのとおりでございます。
  41. 太田一夫

    太田分科員 では、兼用協定の問題については一応以上で終わりまして、最後に、河川の中にある土砂の堆積ですが、土砂が堆積いたしまして、一つの島の形をなし、草木が繁茂いたしまして、洪水のときの流水の邪魔を著しくするであろうというような場面が各地にありますが、たまたま私が実地調査いたしました一級河川矢作川においてそれは顕著でありますが、そういう川の中の土砂の堆積についてはいかなる処置をおとりになるおつもりでありますか。
  42. 栂野康行

    ○栂野政府委員 河川の中に土砂が堆積しまして洪水時に流水に支障があるという場合には、いままでもそういう除去をやっておりますし、今後ともそういう土砂の堆積の除去はやっていきたいというふうに考えております。
  43. 太田一夫

    太田分科員 原則は除去するということですね。島を取るということでしょう。  それはどこでお取りになりましたか。実例はどこにありますか。
  44. 栂野康行

    ○栂野政府委員 矢作川におきましては、高水敷におきます木などにつきましては伐開を、これは五十一年以降ずっとやっております。また、川の中におきます土砂の堆積でございますけれども、これは四十九年に十二万立方メートルほど取っております。  それで、矢作川につきまして、土砂の堆積で流水に支障があるかないかいろいろ調べておるわけでございますけれども、現在のところまだそういうような目立って流水に支障のある場所は見当たらないということでございましたけれども、今後ともそういう点につきましては十分調査して、非常に支障がある場合にはその対策を講じてまいりたいというふうに考えます。
  45. 太田一夫

    太田分科員 目立って流水に支障のあるようなものは見当たらないという、何かそういう報告が来ておるようですけれども、それは現実と大分違うような気がいたしますね。  先ほど、十二万立方メートルの土砂をどこかで除去されたとおっしゃるが、私は現実の姿を見るに、いま水の問題がやかましくなりまして、ダムを大抵上流につくりますから、多目的ダム等の作用によりまして日常はわずかの流れしかないですね。ですから、そういう意味では非常に川というものが広過ぎて十分洪水に耐えられるように見られるけれども、一たん水が出たときには十分の容量を持っておる川というのは少ないじゃありませんか。意外なところで決壊しますね。  矢作川などは天井川でありますし、壊れれば、沿岸の民家にとりましては死活の問題だと思う。大変な川だと思うのですが、遅々として漏水工事とか護岸の工事は進んでおりません。しかもなおどういうかげんか、真ん中に堆積した土砂に草木が繁茂してしまった。鳥の巣になっておるわけですね。まるで初めから島があるようだ。川中島というのが幾つかできておる。それは支障があるようなものはないという報告だということではなくて、このことについて点検をすべきだという何か基準はありますか。基準なり指示をなさったことはありますか。
  46. 栂野康行

    ○栂野政府委員 堤防の安全などにつきましては総点検というもものをやりました。  それで、川の中におきます堆積土砂の問題でございますけれども、これは毎年事務所におきまして河川の横断測量というものをやっております。そういうものから土砂の堆積の程度を見て常に河川の適正な管理というものに当たっておるという次第でございます。
  47. 太田一夫

    太田分科員 それはあなたの方の指導原則でしょう。指導原則であって、実際がそのようになされないということは、予算がないということですか。もし島がそのままになっておるところがあるとするならば、川の真ん中の流れの中心に島ができて、草木が繁茂しておって、それが洪水の調節をする、洪水に対する河川の機能としてはその方がいいだなんて、そんな結論はないでしょう。初めから川の真ん中に島がつくってあるならいいですよ。右と左に流れをここは分けるところである。左へ行けば古川、右へ行けば放水路とかいうなら話は別ですが、そうでない。一本の川の真ん中に一つの大きな島ができてしまって、そしてその島をめぐって流れが急になったりよどんだりいたしまして、そこは急に深くなったり浅くなったりしておるわけです。一たん洪水が出たときには、そこにおいて大きく渦を巻き、流れの水位が違ってくる。島の前と後ろ、上流と下流じゃ違うことは常識ですね。  だから、その原則があるならもっと督励して、洪水の際の安全を保つためにはできるだけ遺漏なきを期すべきだということはあなたの方としては言えることですね。予算がないから、まあ少しずつ取っておけということじゃないでしょうね。取るべきものは取りますね。
  48. 栂野康行

    ○栂野政府委員 河川工事をやる場合には、川の中の堆積土砂の掘削、それから堤防の補強、それから護岸、そういうものを総合的に見て実施しておるわけでございます。  それで、先生がおっしゃいますように、大きな島が川の中にあって洪水時の流水の非常な支障になっておるという場合には、これは取らせます。
  49. 太田一夫

    太田分科員 念を押しますが、そういう島を取ったり、あるいは大型漏水等の危険なる個所の漏水を防止する工事等について、予算が不十分で手も足も出ないということは建設省としては考えられないとわれわれは受け取ってよろしいですか。
  50. 栂野康行

    ○栂野政府委員 そのとおりです。
  51. 太田一夫

    太田分科員 終わります。
  52. 藤田義光

    藤田主査 以上で太田一夫君の質疑は終了いたしました。  ちょっと速記をやめて。     〔速記中止〕
  53. 藤田義光

    藤田主査 では、速記を始めて。  次に、和田一郎君の質疑を許します。
  54. 和田一郎

    ○和田(一)分科員 私は具体的な問題で数点御質問を申し上げますが、明治三十年代から四十年代にかけまして、栃木県の谷中村というところで、御承知のとおり、いわゆる公害の原点と言われる足尾銅山の問題で谷中村が廃村になりました。その辺一帯の人たちが全部追いやられて、そこに渡良瀬遊水地というのが現在できております。これはいろいろな歴史を持っております。また田中正造代議士の活躍でも知られる場所でございますけれども、そういう由緒のある土地のことについて私は質問をしていきたいと思います。     〔主査退席、村田主査代理着席〕  まず、その谷中村の跡に建設省が現在管轄しておられる渡良瀬遊水地がございますが、その遊水地の中で水がめ構想、いわゆる貯水池をつくるといういろいろな案がございました。そろそろ事業に入っているようでございます。その点についてまず一つは、計画区域内でヨシ、アシ等を採取している業者がたくさんおりますけれども、これらの関係者に対する生活保障等はどうなっているか、まずお答え願います。
  55. 栂野康行

    ○栂野政府委員 いま先生おっしゃいました水がめ構想、貯水池の中で現在ヨシ、アシを採取している人がおられるわけでございます。そういう方々に対しては、今後とも遊水地の中で、広大な遊水地でございます。そのほんの一部を水がめに使うわけでございますので、その遊水地のほかのところで今後とも継続的にアシが採取できますように考えていきたい。したがいまして、遊水地内のヨシ、アシ等の採取利用区域を調整するごとにつきましては、昭和五十一年の十二月に地元関係者と現在合意に達しておるわけでございます。今後ともその趣旨に従いまして処置していきたいというふうに考えます。
  56. 和田一郎

    ○和田(一)分科員 次は、相当な深さに貯水池を掘り下げるわけでございますけれども、現在地元で一番問題になっているのは、周辺の地下水に影響が出るかどうかという問題なんです。影響はないということになっていると思いますけれども、完成後予期しない事態が発生して地下水に悪影響を及ぼしたという場合、国はどのような処置を考えているか。
  57. 栂野康行

    ○栂野政府委員 遊水地を掘ることによりまして地下水の低下、これは私たちもこの事業に着手する前に非常に関心を持った次第でございます。したがいまして、入念な地質調査、地下水調査を実施しまして、周辺の地下水に悪影響を及ぼさないというふうに十分配慮しておるつもりでございます。  たとえて申し上げますと、池の回りに矢板を打ち込む、そして地下水の低下を防ぐというふうにやっておるわけでございます。しかしながら、万一この事業によりましてそういうことが原因になって周辺地下水に悪影響を及ぼすというような場合につきましては、速やかに適切な処置、対策をとりたいというふうに考えます。
  58. 和田一郎

    ○和田(一)分科員 速やかに適切な処置というと、具体的にはどうなりますか。
  59. 栂野康行

    ○栂野政府委員 周辺におきまして、たとえば井戸を掘っておって、井戸によって灌漑用水あるいは生活用水を使っている場合、そして井戸水がかれたという場合にはその井戸を深く掘る、そういうのは国でやっていくというふうに考えております。
  60. 和田一郎

    ○和田(一)分科員 次に行きまして、掘削土、相当掘りますから土の処分がございますけれども、それはどのように考えていらっしゃるか、また周辺住民より利用要望があると聞いておりますけれども、その対策はどうでしょうか。
  61. 栂野康行

    ○栂野政府委員 貯水池の掘削によりまして約千八百万立方メートル、大量な土量が発生するわけでございます。この処置につきましては、従来から地元市町村の利用の希望、こういうものをいろいろ聞いておるわけでございます。今後ともこの地元の要望を十分に尊重しまして、掘削土の有効適切な利用を図ってまいりたいということでございます。
  62. 和田一郎

    ○和田(一)分科員 そうしますと、地元の各市町村から要望があればそれに応じるということですか。
  63. 栂野康行

    ○栂野政府委員 そのとおりでございます。
  64. 和田一郎

    ○和田(一)分科員 次に、新規に開発された貯水池の水の利用については、周辺住民に優先的に配分するのが適当だと思いますけれども、これに対する見解はどうか。また、地方公共団体に湖水面を利用することについての考え方、どのように考えていらっしゃるかお答え願います。
  65. 栂野康行

    ○栂野政府委員 この遊水地の水がめ事業によりまして毎秒二・五立方メートルの都市用水が新しく生み出されるわけでございます。この水の利用といいますか、配分につきましては、栃木県を初めとして関係都県及び関係機関とも調整を図りまして適正な配分が行われるよう進めていきたいと考えます。  また湖面の利用でございますけれども、水面の変動が非常にはなはだしいわけでございますけれども、湖水面の利用につきましては、河川管理上支障のない範囲で実現できるよう今後とも検討していきたいということでございます。
  66. 和田一郎

    ○和田(一)分科員 水の利用なんですけれども、渡良瀬の遊水地を抱えておる周辺、特に藤岡町という町がありますけれども、私、あの辺を歩きますと、明治の三十年、四十年ごろのいわゆる谷中村を追われた方々も住みついておるわけです。あの辺の方々からすれば百年近く恨みのある場所なんです。現在は違いますけれども。それを抱えておる藤岡町に対して特に考えておることはないでしょうか、水の配分等について要望があれば……。
  67. 栂野康行

    ○栂野政府委員 藤岡町から水の要望がありますと、それは先ほど申し上げましたように関係都県の中に十分意見が反映されると思います。私たちとしましても、本当に地元そのものの藤岡町でございますので十分尊重してまいりたいというふうに考えます。
  68. 和田一郎

    ○和田(一)分科員 それから湖面の利用なんですけれども、これは去年のこの委員会で私もこの問題を質問しまして、そのときに当時の建設大臣から、当然これは藤岡町に、いわゆる水上権という表現をしておりましたけれども、水上権は藤岡町に差し上げるのが適当であるというご答弁があるのです。去年のこの委員会で。それについて、私はまたことし再度の質問なんですけれども、具体的にはどうなんですか。
  69. 栂野康行

    ○栂野政府委員 この湖面の利用につきましては、非常に水深が変動しますので、危険などいろいろな問題が伴うわけでございます。したがいまして、地方公共団体とかあるいは公共的な団体にこれを使ってもらう。そういう場合に藤岡町だけでいいかあるいはどういう機関でやった方が安全管理からいってもあるいは湖面の適正な利用からいっても望ましいか、それは今後とも十分検討してまいりたいと思います。
  70. 和田一郎

    ○和田(一)分科員 御検討はいいですけれども、もうそろそろ工事が始まるわけですから、去年から御検討だったのですけれどもね。藤岡町に対してはいろいろあると思いますけれども、あの辺の住民の方だとか、または広く国民が湖面を利用できるような計画、これは当然いまあってしかるべきだと思うのです。以前に国立公園の構想もあったくらいですから。そういう点についてもう一遍御答弁願います。
  71. 栂野康行

    ○栂野政府委員 建設省としましても早く利用計画の方針を決めたいと考えております。この池ができますのは、千八百万立方メートルの土を今後数年かかって掘るわけでございます。そしてさらにそれに矢板を打ちまして、できるのは早くても、五、六年ぐらいかかるのじゃなかろうかと思います。しかしながら、できるだけ早くこの方針は立てて決めていきたいというふうに考えます。
  72. 和田一郎

    ○和田(一)分科員 次に、遊水地に関連しまして、周辺地区の内水排除が現在問題になっておる、りっぱな堤防ができましたから。雨がたくさん降りますと遊水地の中もだんだん高くなってくる。したがって渡良瀬川の水位も上がる。そうなってまいりますと、遊水地に直接注ぐ小河川が入らなくなってしまう。当然ポンプでいま現在やっておりますけれども、それに対しての対策をどう考えておるか。それからほとんど農業関係であるとか、または市町村等が負担をしたところの内水排除のポンプを動かしておるわけです。しかし遊水地の工事等とも関係しまして、そういう排除が現在困難になっておるわけです。ですから、これは排水機場等を国で直轄管理する方がいいと思うのですけれども、その考えはどうですか。
  73. 栂野康行

    ○栂野政府委員 先生おっしゃいますように、だんだん遊水地が締め切られてきて、内水の問題が若干あるわけでございます。したがいまして、まず一番の問題は遊水地に注ぐ渡良瀬川の合流点のところでございますね、あれが非常に狭い、ネックになっておるということで、この低水路を広げる工事、これをいま積極的にやっておるわけでございます。これによりまして排水の影響が大分緩和されるということ。と同時に、渡良瀬川に注ぎます支川の三杉川、それから秋山川、こういう改修も直轄あるいは中小河川改修として現在促進しておるわけでございます。  さらに、これらの地域の内水湛水排除の問題でございます。これにつきましては、三杉川の排水機場、これはもうすでに五十二年度に揚水にかかりまして、新年度から本格的なポンプ工事にかかりたいと思っております。それと蓮花川の排水機場、これはもうすでに本年度土木工事に着工しておるわけでございますけれども、それを大いに推進して早期に完成させたいというふうに考えます。  それから、先ほど先生おっしゃいました農業のためのポンプの管理をどうするかというお話でございます。こういう農業が管理しておりますポンプというものは、農地の排水のためにつくられた、農業サイドでつくられたポンプ場でございます。したがいまして、原則としてはその設置目的が違いますので、国が管理するとかそういうことは、原則としてはいろいろ問題あろうかと思います。しかし、そういう河川が法河川であって、治水上にも河川の水も吐く。しかもそれが大規模の場合、そういう場合につきましては、今後とも河川管理者が直轄管理することにつきましては慎重に調査をしまして、どうするかというものを決定していきたいと思います。
  74. 和田一郎

    ○和田(一)分科員 質問が渡良瀬遊水地についての質問なんですよ。次に出てくる質問をいまお答えになったように私は思うのですけれども、この渡良瀬遊水地は国の一つの事業として堤防を築いたわけです。しかも堤防を補強する。しかも堤防の中にもう一ついろんな堰堤ができるわけですね。確かに、雨が降る、農水の排除には違いないですよ。違いないけれども、いままでだったらそんなにかからなかったのに、これだけの事業ができるためにうんとかかるということになるわけなんです。それも、いやおまえたちの農水を排除するんだからおまえたちでやれと言うのか、そういう点をいま私は質問したのです。ひとつ、ちょっと早目に答えてください。長過ぎます。
  75. 栂野康行

    ○栂野政府委員 遊水地は、三つのブロックに分けて現在やっておるわけでございます。このブロックの中に入ってくる河川につきましては、従来は最初から湛水しておったわけでございますけれども、大きな洪水にならないとこの池の中には湛水が生じないということでございますから、従来よりか排水がよくなるというのが実態でございます。しかしながら、この三つのブロックの池以外の渡良瀬川に入ってくる問題につきましては、前よりか若干湛水がふえるというかっこうになろうかと思います。したがいまして、内水がよくなる河川もあれば若干悪くなる河川もあるわけでございます。  それで、この農水のポンプにつきましては先ほど申し上げましたように、その規模あるいは法河川になっておるかどうか、そういうものを今後とも慎重に十分検討してまいりたいと思います。それで必要なものはやはり取り入れていくということだと思います。
  76. 和田一郎

    ○和田(一)分科員 この事業に伴いまして大量の土砂を搬出いたしますけれども、その搬出路に当たる県道、いわゆる佐野古河線等が渋滞している。しかもいま二車線ですから現存でも渋滞をし、また葛生、田沼方面からダンプが非常に通る道なんです。そこへまた土砂を満載したのが通りますから、それに対しての対策はどうですか。
  77. 栂野康行

    ○栂野政府委員 この掘削土砂の運搬でございますけれども、土砂の運搬に伴う交通量の増加というのがあるわけでございます。そういう交通量の分散を図るように、一カ所から出さないように、いわゆる池の中に工事用道路を配置しておるわけでございます。しかしながら、県道を利用する場合には、交通の安全対策につきましても十分考慮していきたいと考えます。
  78. 和田一郎

    ○和田(一)分科員 最後に、大臣にこの遊水地について御質問いたしますけれども、渡良瀬遊水地総合開発事業の実施に当たって地元住民対策を十分に行う必要があると思いますけれども大臣見解をお願いいたします。
  79. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 御質問を承っておりまして、現在でも相当地元住民との交渉があるようでございまするが、ただいまおっしゃるとおりに、さらに一層理解を深めていく必要がある、話し合う必要があると思います。
  80. 和田一郎

    ○和田(一)分科員 次に、下水道関係なんですけれども、現在巴波川流域下水道が採択になって事業を始めておるようでございますが、その現状、それから今後の見通しについてお伺いいたします。
  81. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 この流域下水道は、計画面積二千百九十三ヘクタール、計画人口十三万八千人、処理水量は最大十二トン・パーデーでございまして、関係市町村は栃木市、古河町、壬生町、西方村の一市二町一村にわたっておるわけでございます。それで、これは五十二年度に新規事業として採択したものでございまして、五十三年度におきましては、補正後には当初の約十倍ぐらいになる見込みでございます。そこで、この予算で本年度中に終末処理場の用地買収を完了する予定にしております。  そこで、来年度五十三年度は、終末処理場及び幹線工事に着工するということを考えておりまして、県の要望も勘案しながら、できるだけこの促進に努めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  82. 和田一郎

    ○和田(一)分科員 そうしますと、大体計画どおり終わるのは何年ごろになりますか。
  83. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 これは全体事業に約百三十億程度、そのうち一期工事が六十億程度と見込んでおりますが、処理場の一部供用開始には、あと四、五年ないし五、六年はかかると思われます。
  84. 和田一郎

    ○和田(一)分科員 時間がありませんので、次に行きます。  両毛線の沿線で特に中都市がずっと並んでいるんですね。そこへ両毛線が通っているということで、交通の渋滞であるとか非常に都市的な機能が低下するということで、駅の周辺の鉄道高架事業ということが相当言われておりますけれども佐野駅の鉄道高架事業、この早期の完成が望まれておりますけれども、今後の事業の進め方はどうであろうか、ちょっとその点についてお答え願います。
  85. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 佐野駅の鉄道高架事業につきましては、実は東武鉄道と国鉄の間で話し合いが進められておりまして、この決着を待って着工したいというふうに考えております。     〔村田主査代理退席、主査着席〕 東武鉄道の石灰岩を運び出す鉄道高架事業工事中の仮の中継基地等をどうするかというふうな点につきまして、まだ両者の間の話し合いが詰まっておりませんので、私どももこれを急いでやってもらうようにお願いもしておりますし、その辺の調整がつき次第、事業に取りかかりたいというふうに考えております。
  86. 和田一郎

    ○和田(一)分科員 東武との話し合い、確かに大変なようでございますけれども、見通しはどうなんですか。
  87. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 どうも昨今の状況では、はかばかしく近々中に解決するというふうなこともまだ耳に入っておりませんが、今後ともできるだけ促進方に、われわれの方からもひとつ催促をしてまいりたいと思います。
  88. 和田一郎

    ○和田(一)分科員 あわせて、栃木市の鉄道高架についてはどうだか、お答え願います。
  89. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 栃木県にはいま鉄道高架事業、実は三つ計画がございます。栃木駅とそれから先ほどの佐野ともう一つ足利があるわけでございますが、栃木が一番後発でございまして、先ほどの佐野、それから足利の先発の進捗状況等を勘案しながらこの事業の進捗を考えてまいりたいというふうに思っております。
  90. 和田一郎

    ○和田(一)分科員 どうもお答えが要を得てないのですけれども、要はおやりになる気があるのかないのかということになってくると思うのですが、その点について……。
  91. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 これはやらなきやならぬ大事な事業だと思っておりますが、何しろ一つの県内で鉄道高架を三つも同時に着工するというようなことになりますと、限りある予算でございますので、全国のバランスの問題もございますし、まずそれよりも第一に地元の負担が非常に膨大なものになってまいります。その辺のこともございますので、県の方とも十分に打ち合わせながら、先発二つの高架事業の進捗状況等を考えながらこれを進めていきたいということでございます。
  92. 和田一郎

    ○和田(一)分科員 次に、もう一遍河川の問題に移りますけれども、先ほどの質問は渡良瀬遊水地の中の問題だったわけでございます。今度は、渡良瀬遊水地の中にいろいろな堤防ができます。それから、何と言いますか、潮流堤というのですか、できまして、そこへ二つか三つの遊水地ができますね。その一つのところが水がにごるというようなことでございますけれども、そうなりますと、ちょっとわれわれが見たところでも、河川が首を絞められる、中にいろいろなものができますから流れがそれだけ遅くなってくるのではないか、そういう考えがあるわけなんです。そのために、十年に一度かそれはわかりませんけれども、大洪水が出た場合——渡良瀬遊水地じゃないのです。今度は外の、上流の問題です。あそこは局長もよく御存じだと思うのですけれども、遊水地に入るところはぐっと狭くなっているわけです。いわゆる首が絞められているわけですね。その上流で冠水するというのが現在たくさんあるのですよ。水位が上がりますと、特に渡良瀬川に北側から入ってくる川がなかなかのみ切れない。そのためにあの辺の土地のほとんどが冠水するという事故があるのです。先ほど局長の御答弁の三杉川なんかは最たるものです。  そういうことに対しての御質問をこれからするわけなのですけれども、御答弁がさっきありましたから、三杉川だとか秋山川のことはいいですが、現在、あそこにポンプがずいぶん置いてありまして、そのポンプでも吐き切れない現状なんです。しかもいままではたんぼの水だけやっていればよかったのですけれども、そこへこれから都市的な水がうんとふえてくる。そういう点でも、やはり農民は農民でおまえらでやれという考えなのか。しかも国の事業としての渡良瀬遊水地の改修ということになってきますと、これは排水機場等大変な費用がかかるわけですね。各市町村ともこれは補助をしておるようでございますけれども、その点についてはどうですか。
  93. 栂野康行

    ○栂野政府委員 現在、三杉川の排水機場は、建設省から補助をして、計画は二十トンでございますけれども、暫定として五トンのポンプ場をつくっておる、これは国の補助でございます。そのそばに農林省のポンプがあるわけでございます。三杉川のわれわれのやりますのは最終的には二十トンでございますけれども、これは二トン程度の非常に小規模な農林省の排水機場があるというのが実態でございます。これにつきましては、いわゆる農水の排除のためのポンプでございますので、従前どおり管理をお願いしたいというふうに考えます。
  94. 和田一郎

    ○和田(一)分科員 そうじゃなくて、いわゆる都市的な水が増加する、そういうことなんですよ。工場の進出、それから宅地化、それに伴う道路の整備等によって流水が変わってきて、そしてたんぼの排水だけではないんだ、都市的な水も排水しなければならぬ、そういうことにかかわっておるんだけれども、どうだろうかという質問です。
  95. 栂野康行

    ○栂野政府委員 一部そういうような都市の排水を吐く場合もあろうかと思います。しかし先ほど申し上げましたように、これは河川管理者が直接管理するかどうか、そういう問題につきましては、やはり効果あるいはポンプ場の規模の大きさ、そういうものを勘案しまして、総合的に慎重にその可否を決定することとしたいというふうに考えます。
  96. 和田一郎

    ○和田(一)分科員 それは具体的には補助金ぐらい出してもいいというお考えなんですか。
  97. 栂野康行

    ○栂野政府委員 建設省が直轄管理すると決まった場合には、これは全額国の金で管理するということでございます。
  98. 和田一郎

    ○和田(一)分科員 直轄だといいんですよ。農民が、何といいますか、耕作組合とか利水組合がありますね、そういうのが持っておるところにも補助金は出せるかということなんです。
  99. 栂野康行

    ○栂野政府委員 農林省が持っておりますポンプというのは、建設省のポンプよりか歴史が早くて、もう全国にたくさんあるわけでございます。したがいまして、先ほどから申し上げておりますように、直轄管理にするかどうかということを私たちは慎重に検討しておるということでございます。
  100. 和田一郎

    ○和田(一)分科員 時間もありませんので次にいきます。  今度は道路の方なんですけれども、国道四号線、「国道シ号線」これは「シ号」と言ったって数字の四じゃなくて、死ぬ方の「死号線」、そういう名前がついておるわけでございますけれども、この国道四号線につきましては、第二四号バイパスという考え方が出ております。しかしもうこれはいつまでたったってできない。それについて簡単に御質問しますけれども、現況と今後の進め方、それから五十三年度としてはどうか、五十五年の国体までにはどうかということ、三つあわせてお答え願います。
  101. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 国道四号線は御指摘のような混雑状況でございまして、現在第二四号ということで大規模バイパスに全面的に手をつけておるわけでございますが、非常に膨大な事業費がかかる事業でございます。このうち現在小山石橋バイパスが十六・三キロの間でございます。四十七年度から事業に着手いたしまして鋭意施行中でございます。このバイパスのうちすでに用地取得済みの約十キロの間、上三川町から南河内の区間でございますが、ここにつきましてはすでに改良工事に着手しておりまして、いま工事がどんどん進んでおるわけでございます。ただ南河内から起点の一般国道五十号までの約六キロの間につきましては、地元の一部に反対等があったために、まだ用地が買収できない状況になっております。お話しの国体が五十五年に開催されるということも承知しておるわけでございます。今後とも事業の促進を図り、県、市当局とも十分に調整を図った上に国体運営に支障のないような形で仕上げてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  102. 和田一郎

    ○和田(一)分科員 時間がありませんので、この国道四号線の国体までの問題ですが、一部の県道を利用してとにかく五十号までのところは通すというお答えかどうか、それをひとつ確認します。  それから時間がないからもう一つやってしまいます。  今度は五十号なんですが、小山−岩舟間の未開通の場所がございますけれども、その現状と今後いつごろ供用になるのかということをあわせてひとつお答えを願います。
  103. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 国体までということになりますと、五十三、五十四、五十五と三年になるわけでございますが、先ほどのまだ未買収の区間につきましては、三年間でこれから用地を買収して工事を完成するというのはなかなか困難なわけでございまして、この間については幸い県道小山環状線という、ほぼ並行して二車線の道路がございますので、これを一部使うような形で、これにすりつけて国体の運営に支障のないようにルートを確保したいというふうに考えておるわけでございます。  それから国道五十号でございますが、これは北関東を横断する主要な幹線国道としましてつとにその整備を図ってまいったわけでございます。幸い五十年度末までに足利バイパス、佐野パイパス全線供用を終わっております。それから五十三年度には桐生バイパスの全線供用を目標にいま鋭意工事を進めておる段階でございます。御指摘の岩舟小山バイパスにつきましてもこれから工事をやるわけでございますが、現在までのところ圃場整備事業区間を主体に用地買収を進めている段階でございまして、今後ともさらに事業を促進いたしまして、第八次の五カ年計画の期間には全線、これは暫定二車になりますが供用したい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  104. 和田一郎

    ○和田(一)分科員 終わります。
  105. 藤田義光

    藤田主査 これにて和田一郎君の質疑は終了いたしました。  午後一時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時三十一分休憩      ————◇—————     午後一時三十二分開議
  106. 藤田義光

    藤田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  建設省所管について質疑を続行いたします。日野市朗君。
  107. 日野市朗

    日野分科員 私は、国道のいわゆるバイパスの問題について、若干の点について伺いたいと思います。  最近、国道沿線のいろいろな都市、ちょっとした大きい町なんかで、国道が非常に混雑するというようなことから、バイパスをつくってくれという要求が各地で非常に盛り上がっているというように私、見受けるところでございます。     〔主査退席、村田主査代理着席〕 その問題というのは、いろいろあるのでございましょうが、まず交通の渋滞を緩和するという、つまり道路交通を非常に能率的に行うというような観点もあろうと思いますし、またその混雑する場所における住民の民生関係の問題なども非常に多くあろうと思います。それで、このバイパスを建設するについての基準というものはどういうものなのか。これは余り細かくなくても結構でございます。非常に大ざっぱな基準で結構でございますから、その基準というものがございましたならばお示しをいただきたい、こういうふうに思います。
  108. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 御指摘のように、バイパスの建設が最近各地で行われて、それが比較的滞っているということから、特にその要望が最近激しくなってまいっているわけでございます。それで、バイパスを建設する場合の考え方といたしましては、やはり何といいましても現道の交通量と現道の整備状況、この両方から来ます混雑の実態、それは混雑度という指標であらわしておりますが、混雑度と申しますのは、道路の幅員によって車を流せる実用交通容量というのがありますが、その容量いっぱいに流れる場合を混雑度一ということで、その容量を超えて容量の倍の交通が流れているという場合には混雑度二というような数字であらわしますが、そういった混雑度の指標を中心にいたしまして、そのほか、いろいろ地域の都市の開発の状況、それから周辺の家の張りつき方、バイパスをつくった場合の交通ネットワークとしての機能、そういったものをいろいろ総合的に勘案しながら決めているわけでございます。
  109. 日野市朗

    日野分科員 その混雑度なんかを調査をするということになろうかと思いますが、大ざっぱで結構でございますから、その混雑度の調査の方法というのをお教えいただけましょうか。
  110. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 混雑度は、ただいま申し上げましたように、交通量調査の結果——交通量調査というのは、定期的には三年に一遍全国的なものでやっております。この全国的な交通情勢調査でその道路の区間別の交通量が一応出るわけでありますが、その区間別の交通量を現実の車道幅員からくる交通容量で割りまして、それで一・二とかあるいは一・五とかいうことで、その交通容量の倍率という形で混雑度を出しておるわけでございます。
  111. 日野市朗

    日野分科員 この混雑度がどの程度以上になったならばバイパスを必要と認めるとか、どの程度であれば必要ではないという、そういう具体的な数字はお示しいただけるでしょうか。
  112. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 理想を申しますならば、混雑度一以上の区間をなくするのが道路のネットワークを確保する目標としては理想だと思いますが、しかし、それはなかなか膨大な事業費が要るわけでございまして、やはり現実のバイパスの整備というものは、混雑度の高いところから逐次やっておるわけでございます。大体申し上げますと、混雑度一・五以上になりますと大体一日じゅう交通渋滞が繰り返されているというような形、一以上になると朝晩のピークだけがちょっと渋滞するというふうな形の交通状況になると思いますが、まあ、そういうようなことで、混雑度の多いところから逐次やっております。現在、直轄国道で三百三十カ所のバイパスを抱えておるわけですが、大体一・五ぐらいを実用目標に現在では拾っておるという状況でございます。
  113. 日野市朗

    日野分科員 今度は、そのバイパスを少し場所を限定させていただいて恐縮なんですが、いわゆる国道四十五号線の気仙沼バイパスというのは御存じであろうかと思います。これは現に事業計画のあらましが策定されていると思うのでございますが、ここの場合、その混雑度の指標から言うとどういうことになりましょうか。
  114. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 御指摘の国道四十五号の気仙沼バイパスの区間でございますが、この区間の現道は、現在、一日交通量が一万五千台ないし二万台でございますので、そして車道幅員が六メーターないし八メーターということでございまして、混雑度に計算しますと一・四から二・一ということで、容量の一・四倍から二・一倍流れているということで、かなり混雑している状況でございます。
  115. 日野市朗

    日野分科員 混雑度の幅が数字的にかなりあるようですけれども、これはやはり早急にバイパスをつくる必要がある個所というふうに私も、これは私の選挙区でもございますので、そういうふうに理解したいというふうにも思いますし、客観的にもそういうふうに理解しても構わぬ、そういう状態にある個所である、こういうふうに伺ってよろしゅうございますね。
  116. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 部分的には混雑度二というようなことで非常に高い、全国的なベースからいってもかなり高い混雑度になっているポイントもあるわけでございまして、そういうことからバイパスの建設を急ぐべき区間であろうというふうにわれわれも認識しております。
  117. 日野市朗

    日野分科員 この計画の概要ですが、大ざっぱに御説明いだだけますか。
  118. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 気仙沼バイパスは、全体としては延長が十キロ二百でございまして、暫定で通す場合の事業費が、総額で百五十三億というようなことになっております。このうち比較的急いでやらなきゃならぬ区間といたしましては、国道二百八十四号から県道気仙沼本吉線間の二・八キロメートルを重点的に整備することにいたしておりまして、この区間を第八次五カ年計画の期間内に供用することを目途として事業を促進したいというふうに考えているわけでございます。
  119. 日野市朗

    日野分科員 これは全体の事業費としては、百五十三億程度が見込まれているということで伺っているのですが、それでよろしゅうございますか。
  120. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 全体として百五十三億、これは暫定供用で、全体計画は幅員四車線で計画していますが、そのうち暫定二車線供用ということで考えておりまして、その事業費として総額が百五十三億です。
  121. 日野市朗

    日野分科員 いままでの事業費、これの支出を見ますと、五十一年度で五億二千万、それから五十二年度で二億六千万というふうに支出されているようですが、これは全体の事業費の割合から見ると、非常に何とも私たち見ておりまして歯がゆい思いが実はしているわけなんです。先ほど局長お答え伺いますと、かなり混雑するところは混雑度二が数えられるところが現実にあるわけなんですが、われわれ何とも歯がゆい思いがいたしまして、この計画がそういう一応緊急性が認められるにもかかわらず、これではもうどんどんおくれていくのではあるまいかという懸念がどうしても離れないわけなんですが、そこいらの見通し、いかがなっておりましょうか、お尋ねいたします。
  122. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 御指摘のように、全体事業費百五十三億のうち、現在までに使われているものはわずかに数億ということでございまして、非常に少ないわけでございます。これは全国的なバイパス建設の事情を御説明申し上げなければならぬわけでございますが、御承知のように、石油ショック前、かなり道路事業が伸びた時期に、全国的にかなりな量のバイパスに手をつけておるわけでございます。ところが、石油ショック以後、総需要抑制策の中で、道路事業はほとんど毎年の伸びがゼロというぐあいに四、五年抑えられてきた。ようやくこの一、二年上向きかげんになったということで、その間のいろいろな建設費の高騰等もありまして、恐らくそのころ着工しましたバイパス事業はほとんど足踏み状態になったわけでございます。そういうようなことから、現在、直轄事業でも三百三十カ所の、先ほど申し上げましたようなバイパスに手をつけておりますが、そのうちわずかに八十五カ所が暫定供用を含めて供用されているというにすぎない。そういうようなことでございまして、なかなか膨大な、しかもバイパス事業は都市周辺で相当な道路の幅を必要とするというようなことで、非常に事業費もかさむわけでございます。そういうようなことから、なかなか全国的な御要望にこたえられないのが実態でございます。  しかも、石油ショック前に手をつけたバイパスは、その当時、いわゆる用地の値上がりを何とかかぶらないようにということで、用地先行をいたしておりまして、そのときの借金をこの苦しい時期に返さなきやならぬというようなこともございまして、なかなかその必要なバイパスの進捗を図れないというのが実態でございます。そういうようなことで、この気仙沼バイパスもその一つの例だと思います。ようやく、そういうことで、バイパス建設費も、今度の新しい五カ年計画の中で相当見込んでおりますので、ひとつこの新しい五カ年計画の発足を契機に大きく伸ばしていきたいというふうに考えているわけでございます。
  123. 日野市朗

    日野分科員 いまその用地を取得するについての非常に困難とか土地の値上がりとか、そういう、これは建設省にとってはですね、非常に困った事態が相次いだことはよくわかるのですが、どうでしょう、この気仙沼バイパスについては、特に気仙沼地域のいわゆる道路予定地の地権者たちというのは非常に協力的であって、もうほとんど全員がこのバイパスの建設に賛成して、その土地も提供しようということになっている。これもかなりの熱意を持って、どうぞこの土地をいまのうちに取得してくれというようなことを言いながら、このバイパスの建設に努力をしているというような事情があるわけですが、これは御承知になっておいでになりましょうか。
  124. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 昨年来私どものところにも気仙沼の皆さんが何回かお見えになっておりまして、用地買収の実情と地元の要望をいろいろお伺いしております。先生おっしゃいますように、確かに地元では早く買ってくれ、計画が発表されてからずいぶん日にちがたつので、早く買ってくれないとむしろこのルートに対する反対の動きが出てくる気配も感ぜられるというようなお話もございました。買収を大幅に進めるべき時期だというふうにわれわれは認識しておるわけでございます。
  125. 日野市朗

    日野分科員 買収を大幅に進める時期であるという認識では一致しているのですが、これは非常に幅のある考え方も入ってくるわけでございますから、こういう時期にどんどん用地を——まあどんどん用地を取得しろと言っても、それはいろんな予算の関係で限度はありましょうけれども、可及的速やかにこの用地買収を進めていただきたいというふうに私、思いますし、そういう気持ちは、これは建設省の方も変わりはない、このように伺ってよろしゅうございましょうか。
  126. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 私どもも、地元の御要望にこたえて、できるだけこのバイパスを大幅に進めたい、そういう時期に来ているというふうに認識しておるわけでございますので、用地買収もできるだけ進めたいと考えておるわけでございます。ただ、五十三年度、いわゆる景気刺激ということで工事費の方にも相当金を向けなければならぬという制約も若干ありますので、そういうこともいろいろ勘案しながら、しかし用地買収もこれは後々の事業に絡めて当然必要なものはやっていかなければならないわけでございますので、その辺のバランスを見ながらそのバイパスについてはできるだけ五十三年度以降積極的な整備を図ってまいりたいというふうに考えております。
  127. 日野市朗

    日野分科員 このバイパスは決して気仙沼だけではなくて、国道四十五号線沿いにかなり大きな町が幾つかございます。盛、大船渡、宮古というふうな、いわゆる三陸海岸をずっと走る国道なわけでございまして、そこいらからずっと気仙沼を通りまして車が生活物資の運搬、また人間の運搬ということでどんどん動いていく。そしてさらには、今度は宮城県内に国定公園がまたできる、恐らく今年中に認められてできると思うのですが、そういう点から言っても、これは交通量というのはさらに増加するというふうに私たちは思うのですが、建設省の方ではそこいらの見通しをお持ちでしたら聞かせていただきたいのです。
  128. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 四十五号線全体の交通量の数字はちょっと持ち合わせておりませんが、先ほど申し上げましたように、気仙沼地域で二万台近い交通量が流れておるわけでございます。最近の傾向を見ますと、特に三陸方面からの海産物を運ぶための冷凍車、そういうものを初めトラック交通がかなり伸びておるわけでございまして、今後も高速道路等の整備とあわせて沿岸地域の交通もかなりふえるものというふうに予測いたしております。
  129. 日野市朗

    日野分科員 基本的な認識としては私も建設省もこれはほぼ一致するところなんですが、これをできるだけ促進するというふうにいまお答えをいただいて私も一安心はしているところなんです。それで、具体的にことしはどの程度の事業費が一体予算として見込まれているのか、それをお答えをいただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  130. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 来年度予算の地域別の事業費は現在作業中の段階でございまして、数字をはっきり申し上げられない段階でございますが、このバイパスにつきましては、先ほど申し上げましたように、バイパス整備の緊急性にかんがみまして大幅な事業の進展を図ることとしたいというふうに考えているわけでございます。その内容としましては、五十二年度に引き続いて用地買収の促進が中心になるわけでございますが、場合によっては一部工事に手をつけることができるかなというようなことをあわせまして現在検討中でございます。
  131. 日野市朗

    日野分科員 来年度予算は、これはかなり公共事業中心の大型予算だというふうに喧伝されているところでありますし、現に三十四兆円という実に大型予算になっているのですが、数字は具体的にはおっしゃれないということでございますが、建設省側の意向としては、五十一年度、五十二年度の事業費とは比較にならないくらいのものはつけていただけるというふうに伺っておきたいんですが、よろしゅうございましょうか。
  132. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 五十二年度予算は、先ほど先生からもお話ございましたように、当初が一億五千万、変更いたしまして二億六千万ということでございます。もちろんこれよりも大幅に、先ほど来お話し申し上げましたようにふやすことといたしております。地元の御期待がどの辺にあるか、ちょっとわかりませんが、われわれとしてはかなり大幅というふうに考えております。
  133. 日野市朗

    日野分科員 これは宮城県側ばかりではなくて、岩手県側からもかなりの陳情等が恐らく局長さんの手元に行っていると思います。この三陸沿岸地域、特にどちらかというといままでの国の開発から非常におくれてきたような地域と非常に密接な関連を持っているのでございますが、三全総との関係なんかもいろいろ出てくると思いますが、こういう地域には特にこういうバイパスの建設とか道路網の整備とか、ここらについては一層他の地域よりも力点を置いてひとつ配慮願いたいと思うところなんですが、その配慮をしていただけるというお約束はいただけましょうか。
  134. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 国道四十五号線は、御承知のように三陸沿岸をずっと連ねて八戸から仙台に至る大幹線でございます。これは数年前にでき上がりまして、一次改築が一応済みました途端に交通量がぐっと伸びてきているというような路線でございまして、先ほど申し上げましたように、今後も相当な交通量の伸びが考えられるわけでございます。その中で幾つかの都市の周辺でかなり渋滞が起きているというようなことで、これらのバイパスを逐次やっていかなければならないわけですが、その中でこの気仙沼バイパスはかなり前から路線の計画が発表されているバイパスで、従来おくれていたという認識があるわけでございますから今後大幅に伸ばしてまいりたいというふうに考えております。
  135. 日野市朗

    日野分科員 気仙沼市民としては、まさに地域の発展という観点も大きな観点としてございますし、それからもう一つは、渋滞の結果の生活環境に及ぼす影響というのは非常にこれは大きいものがございます。ぜひ局長とか大臣なんかも、あの近くに行ったらごらんになっていただきたいというふうに思うのですが、まさに渋滞もきわまれりという状態でございます混雑度二という数字でお示しいただいたのですが、まさに渋滞の状況というものは気仙沼の市民の生活にとって、また気仙沼市周辺から気仙沼に通う、通勤、通学をする、またいろいろ仕事の関係で気仙沼市に入るという人たちにとっても、これは非常にゆゆしい問題を引き起こしているというふうにも思いますので、ぜひとも、先ほどお約束をいただきましたように、ここには最重点的にひとつ予算配分などもしていただきたいということをお願いをいたしまして、私の質問、若干早いのでありますが、終わらしていただきます。どうもありがとうございました。
  136. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 これにて日野市朗君の質疑は終了いたしました。  次に、竹内勝彦君。
  137. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 まず私は、昨年の六月でございますけれども、この衆議院建設委員長提案の議員立法、これは十年間の時限立法として国際観光文化都市の整備のための財政上の措置等に関する法律施行令ということでございますけれども、この法律ができたこの内容というものを最初にお伺いしたいと思います。概略で結構でございます。よろしくお願いします。
  138. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 国際観光文化都市の整備のための財政上の措置等に関する法律は、国際観光文化都市の重要性にかんがみまして、これらの都市において特に必要とされる公園、下水道、道路等の施設の整備を促進するというふうな目的で制定されたものでございますが、中身としましては、この国際観光文化都市の長は、事業計画を作成し、主務大臣に提出し、その完成に努めなければならない。それから国の方は、この事業計画に基づいて施行される事業につきましては、当該事業の進捗状況あるいは当該都市の財政状況等を勘案しまして、補助金あるいは地方債について特別の配慮をし、事業の促進と完成にできるだけ積極的な援助を与えるというようなことを決めてある時限立法でございます。
  139. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 この時限立法に関連しまして、昭和二十五年ごろあるいは二十六年ごろと幾つもございますけれども、京都であるとか奈良であるとか、いま話がありました文化観光都市、こういったものに関しての建設法ができておりますね。これと今回のこの特別措置法との関連でございますけれども、これはどうなっておりますか、その辺をまずお伺いします。
  140. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 どの法律もみな同じでございますが、たとえば京都の場合でございますと、昭和二十五年に成立しました京都国際文化観光都市建設法というものがございます。この二十五年の法律と昨年の新しい法律との関係でございますが、仮に古い方を旧法、旧法というとおかしいのでございますが、古い法律と比較しますと新しい方は、古い法律に書いてあります建設計画、これは中身については特段の規定がないわけでございますが、新法は都市公園、下水道、道路等、特に必要とされる施設ということで具体的に内容を規定してあるということが一点ございます。それからもう一点は、先ほども申し上げましたように、財政上の措置等について旧法に比べまして比較的具体的な規定を設けてあるわけでございます。またもう一点は、御指摘のように十年間の時限立法であるということでございます。  大体そういうようなことが内容の違った点と思います。したがいまして、これは旧法の趣旨に沿った援助に加えまして、この特定の施設につきまして一定の期間に限りとるべき具体的な財政上の措置等を規定したという点が相違点であろうかと思われます。
  141. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 そこで、旧法ということでいま言われましたので、そういうことで申し上げますが、この旧法の方は、昭和二十五年あるいは二十六年にいろいろなところでできておるわけですけれども、特別なものとして何か実行して効果が上がったとかそういったものがないように私どもちょっと伺っておりますし、こういうようなもので何かありましたら、どこかの例、あれば京都の例などをちょっと引いて説明いただければありがたいと思います。
  142. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 京都の例で申し上げますと、昭和三十三年度に京都国際文化観光会館、これは全額国庫補助でつくっております。これはこの法律に基づく具体的な国の財政援助の具体的な例であるということが申し上げられると思います。  いま一つ、旧法におきましては、国有地の無償譲渡につきましての規定がございますが、これに基づくものとしましては、昭和二十八年に国立の陶磁器試験所の跡地、これを無償で京都市に譲与ししており、これは現在、京都市の工芸指導所がこの跡地を使っておるわけでございます。
  143. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 そこで、今回の財政上の措置等に関するこの法律の中で、特に第三条は、事業計画ということで、都市公園、下水道、道路、ごみ処理施設についての事業計画を提出する、あるいは財政需要の算定に当たり流動人口を織り込むということであります。さらにまた第四条には、補助金に関して特別の配慮をする、こういうようにございます。また第五条には、地方債についてこれも特別の援助をする、こういうように書かれておりますね。  そこで、こういった面で五十三年度予算でもいろいろと考慮に入れられたと思いますけれども予算編成で果たしてこういった面で何か行ったのかどうか、そういう具体例があれば、ここで教えていただきたいと思います。
  144. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 この法律で規定しますところの事業計画でございますけれども、これがまだ作成されていないという状況でございますが、これも事業計画に定められて来ました場合には、この計画に基づきまして施行される事業につきましては、法律の趣旨に従いましてできるだけの努力をしなければならぬというふうに考えております。
  145. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 具体的なものがいま伺えないわけですが、それならば今後で結構でございます。そうすると五十四年度の予算に入っていくのか。今後の計画はどうやるのか。建設省関係でいいですから、今後の計画として具体的にこうスケジュールとしてやっていくのだという面をここで述べていただきたいと思います。
  146. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 この事業計画は、御承知のとおり、これを作成する当事者といいますか、これは国際観光文化都市の長が、法律の目的に照らし、かつ流動人口の状況を考慮して、特に必要とされる都市公園、下水道、道路、及びその他政令で定める施設の整備に関する事業計画、これのアクションを起こしましてつくって、それを主務大臣に持ってくるということになっておるわけでございまして、私ども、こういうものが出てきましたならば、先ほど申し上げましたように、この計画の内容を十分尊重して具体的に対応してまいりたいというように考えておるわけでございます。
  147. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 それは長が出していくというのはわかるのですが、たとえばこの第三条にある都市公園あるいは下水道、道路、ごみ処理施設、こういったものについての事業計画を提出することになっておるわけでございますから、建設省の例でいいわけですが、具体的にいつ出させて、どういうようにやっていくというものができてないのですか。
  148. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 旧法に基づく計画は、御承知のように、毎年提出されておるわけでございますけれども、新法はまだできたばかりでございまして、これは政令で具体的な中身を決めてあるわけでございますが、私どもの方は、積極的に指導をするということももちろん必要でございますけれども、こういう法律の性格から見まして、直接には市の行政について責任を持たれる長の方から出てくるべきものではなかろうかというふうに思っております。  ただしかし、この計画がまだ出てきていない状態ではございますけれども、それぞれの公園、下水道等の施設につきましては、毎年度、市の方から必要とされるものにつきまして要望が出てきておるわけでございまして、市の財政状況等も勘案しながら、できるだけのお手伝いはしてまいっておる状況でございます。
  149. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 これは特に「国際観光文化都市の整備のため」、こういうことをうたって時限立法としてあるわけでございますから、やはり積極的に各地方の長と連携をとりながらこれを進めていかないと、昭和二十五年あるいは二十六年のこういったものが現在まであるわけでございますけれども、はっきりしたものが出ない、効果が上がっていかないというようなものになってはならないから、私は、何か期限を、たとえばこういうものは五十四年度の予算に盛り込んでいくためにもいつまでに出せ、この面に関してはどうせいというようなものがあるやに考えられるのですが、その辺はどう考えておるのですか。
  150. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 私どもの方としましても、市が自発的に出してくるべきものではございますけれども、御指摘のように、法律の趣旨にかんがみまして今後も指導をしまして、できるだけ早く出してくるというふうにしたいと思っております。とりあえず来年度の問題につきましては、二月中にできれば出してほしいということの指導はしておるわけでございますが、まだ出そろっておるという段階ではないようでございます。
  151. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 二月中と言っても、きょうで終わりでございます。一体どれくらい集まっていますか、その辺調査していますか。
  152. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 まだ出してきておる市が一つもない状況でございます。
  153. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 そういったところが前の関連からも——こうして国としての措置をとったからには、委員長提出としてやったからには、これはやはり前向きに取り組んでいかなければならない、それを私はここで強く要望しておきます。したがって、いつまでという期限はございませんが、しかし地方としては、こういうようなところは特にいろいろ財政上でも負担が大きいわけでございますから望んでおることだ、こういうように解釈されます。したがいまして、この五十四年度の予算にぜひ盛り込んでもらえるように、そのためにはこの計画は一体いつまでに出したらいいのか、これはどういうように考えていますか。まず期限を、五十四年度の予算の場合はいつまでにやった方がよいという考え方があったら、それを示してください。
  154. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 概算要求の作業を始めますのは、おおむね六、七月ごろでございますので、やはり私どもの方で、概算要求作業に入る時期の前後、六、七月ぐらいまでには出してきてもらえば、いろいろと配慮もしやすいということかと思います。
  155. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 最初は二月中というようなことでございますが、しかし現在としては取り組み方がどういうようになったのか、その詳しいことはよくわかりませんが、しかし現状としては余りいい連携がとれていない、こういうように感じます。そこでぜひ、六月なりあるいは七月、そのタイムリミットを考えて、この面を、積極的にこういったところと連携をとっていただいて進めていただきたい、これを要望しておきます。  そこで、この計画が出た段階で、五十四年度予算で補助金あるいは地方債の特別措置、こういったものが盛り込まれておりますけれども、これをやることは間違いございませんか。出したならばこれはやるという御返事をここでいただければありがたいと思いますが、その辺間違いないか、確認しておきたいと思います。
  156. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 これは法律の規定によりましても、計画が出されましたならば、当該計画の事業につきましては、「事業の進捗状況あるいは当該都市の財政状況等を勘案して、法令及び予算の範囲内において、補助金の交付の決定について特別の配慮をする」というふうな規定がしてございますので、この法律の趣旨に従いまして対処してまいりたいと思います。
  157. 津田正

    ○津田説明員 国際観光文化都市に対する措置につきましては、いまお話が出ておりますように、計画がまだ具体的でございませんので、計画が出された段階で具体的な措置を考えていきたい、かように考えております。  そこで、このような状況で申し上げられますのは、要するに考え方というような点でございますが、建設事業関係につきましては、この基幹的な事業でございます下水道、都市公園等につきまして、地方債計画におきまして下水道事業債あるいは都市公園債というようなものの配分におきまして優先的に配分してまいりたい。しかし実際問題として、そのような事業以外にいままででも若干出ておりますが、たとえば駐車場を整備するとかほかの事業債では対応できないというようなものにつきましては、一般単独事業の中で枠を設定いたしまして措置してまいる。資金の面につきましても、政府資金中心といたします良質な資金を配分する、このように考えています。  なお、維持管理等の問題につきましては、普通交付税あるいは特別交付税で考えなければならないわけでございますが、たとえば清掃費におきましては、通常でございますと、当該団体の人口から清掃費の経費を計算するわけでございますが、国際観光文化都市というような特性にかんがみまして、入り込み客の人口要素と申しますか、たとえば入湯税の納税義務者数とかそういうようなとらえ方をいたしまして、入り込み客に伴います特別な財政需要というものを配慮してまいりたい、かように考えておるわけでございます。まあ現段階におきましては、具体的措置というよりも考え方の程度でございますが、以上のように考えておる次第でございます。
  158. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 いま自治省の方からそういうようにお答えをいただきましたが、ぜひこの面を——先ほど建設省の方にお聞きした状態では、二月中ではまだはっきりしてものが出ておりませんし、自治省としてもこの計画がきちっと出てきてそうして検討、こういうふうになっていくわけですが、やはりこれは五十四年度の予算に盛り込むという意味から、自治省としての考えは先ほどの建設省考え方で果たしていいのか、六月なり七月で十分間に合うのか、あるいはそれ以外にいつまでということですでに折衝をしておるのか、その辺、自治省の方からもお答えいただきたいと思います。
  159. 津田正

    ○津田説明員 当該団体の方におきましても、昨年の六月この法を制定以来、いろいろな計画をつくっておるようでございますが、なかなか煮詰まっておらない、このように考えております。しかし、五十四年度予算の要求には間に合いますようなかっこうで計画が出されることを、自治省としても期待しておるような状況でございます。
  160. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 だから、それをいつまでにやったならば、こういったものが——まあいまの建設省のでいいですと言うのでしたらそれでいいですが、その辺いつごろに考えておるか、それをまずお伺いします。自治省に。
  161. 津田正

    ○津田説明員 八月の概算要求の前にそのような計画が出されることを期待するわけでございます。
  162. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 では、ぜひそのように連携をとってこの面をお願いしたいと思います。  そこで、私の住んでおる京都でもそうですか、あるいは奈良、鎌倉にも社寺、古文化財等が数多くあります。ですから、学校等の公共施設を建設したり、あるいは地下鉄工事をしていると、史跡や文化遺産が多くあるので、その保護やあるいは発掘調査のために工事と関係のない出費がかさんでくることは、これはもう御承知のとおりでございます。たとえば京都において五十二年の例をとってみても、この古文化財の保護ということで文化財保護費あるいは古都保存費等で全部で十四億六千万円、これだけのものがかかっております。そして、そのうち国の補助金としては約五億八千万円、こういうものが出ております。あとの八億七千何がしというものは地方の負担になっておるわけでございます。だから、助成措置はなされているとはいえ、これだけの負担になっておるということをよく御認識いただいて、ぜひこの特別措置を十分に生かしていただきたい。特にこの第三条にある都市公園、下水道等のこの四つの事業については、他の指定都市よりもこういった文化観光に関係のある指定都市にはぜひ補助率やあるいは負担金、こういったものを増額する必要があると思います。そこで、その面の具体的考えを、ここでもう一度述べていただきたいと思います。
  163. 津田正

    ○津田説明員 たとえば文化財関係でございますと、いわゆる文化財の所在個所数あるいは件数というものを参考にいたしまして、交付税におきましてその他教育費の増額、割り増しをする、このような措置をとるように考えております。  ちなみに、従前からも若干の手当はしておるわけでございますが、五十一年度におきまして特交で文化財関係、これは全国総額でございますが、三十二億円手当てしておるようなことでございますが、今後におきましても、その充実改善に努めてまいりたい、かように考えております。
  164. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 地方債についても、やはりそれでいいのですか、その面のお考えをお願いします。
  165. 津田正

    ○津田説明員 地方債におきましても、先ほど申し上げましたが、下水道債あるいは都市公園債、そういうような事業債がありますものにつきましては、その中で優先配分する、そういうような事業債に当たらないものにつきましては、一般単独事業債の方で手当てしてまいりたい、かように考えております。
  166. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 そこで、この三条の中に四つあるわけですが、その中の下水道に関して私は論議を進めてみたいと思います。余り時間がないので、ぜひ簡単明瞭にお答えいただきたいと思います。  下水道に関しても、前向きな助成がぜひ必要でございます。そこで、現在の下水道に対する補助率あるいは調査について、この点どうなっているか、まず全国の状況について、これをお伺いします。
  167. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 下水道整備事業につきましては、県が施行する流域下水道事業、それから市町村が行います公共下水道事業、この二つが主なものでございまして、特に大部分は事業量としましては市町村が主体となって行う公共下水道事業ということでございます。これはそれぞれ処理施設あるいは管渠等につきまして補助率を分けて決めております。たとえば流域下水道の場合処理施設が四分の三、管渠等のその他施設が十分の六、それから公共下水道につきましては処理施設が三分の二、その他施設が——ちょっといま細かい資料を手元に持ってきておりませんが、そういうようなことで定められております。  なおまた、その裏づけの地方債につきましても、それぞれの事業また施設の内容に応じまして最高九五%まで起債の対象とされております。
  168. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 全国の状況はそれでわかりますが、下水道に関してわざわざ第三条にうたわれておりますが、国際文化観光都市としての配慮、補助率等のアップがあるのかどうか、その辺を明快に答えてください。
  169. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 この関係の都市につきましては、特に補助率等をアップするというふうな制度にはなっておりませんし、また、ただいまのところ補助率等を引き上げるよりも、むしろ事業量を拡大するという方が急務ではないかと考えておる次第でございます。
  170. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 確かに事業量等のアップ、これは大事な面でございます。しかし地方自治体としては、それをこなしていくだけの財政事情ではいまないのです。したがって、たとえば下水道をやろうとしても、こういう国際文化観光都市はいろいろなものの費用がかさんでいく、したがって、補助率等にもその率においても、ぜひアップをしてもらいたいという考えも大きくあるわけです。その辺を考慮に入れて今後ぜひ検討してもらわないと、こういったものをつくった意味が、せっかくのこれだけの配慮が半減してしまうのではないか。こういった意味で、この国際文化観光都市といったものには、ぜひ前向きにそういった面まで考慮に入れていただけるように要望したいと思いますが、今後の考えをここで大臣に聞いておきたいと思いますから、よろしくお願いします。
  171. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先ほど局長の方からお答えを申し上げましたように、下水道事業については要望が非常に多いのであります。したがって、予算措置をする場合に事業量の方に重点を置いて考えてまいりました。補助率の点につきましては、他の各種事業に比較いたしますと比較的いい方でもございますので、この程度の補助率で事業量の方をせいぜい拡充していきたい、こういう方針で臨みたいと思います。
  172. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 だから私の言っているのは、いろいろとこういった費用がかさんでいく地方自治体の状況、ましてやこういった国際文化観光都市として出さなくてもいいものが余分に出ていく、史跡であるとかあるいは文化遺産、こういったものを発掘調査しなければならない、いろいろなもので出ていくわけですから、ぜひ補助率においてもその率の方もアップをせよ、こういう要望をしておるのですから、ひとつ今後の考えをぜひそういった面に向けていただきたい、この面をとりあえず要望しておきます。  そこで、下水道の普及に関してここでちょっとお伺いしておきますが、京都の普及率と大阪、名古屋との比較をここでしていただきたいと思います。
  173. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 下水道の京都市の処理人口普及率が五〇%でございます。大阪、神戸等含めました指定都市の全体の平均が約六〇%となっております。
  174. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 全体はわかりましたが、大阪、名古屋、近くですからこれを言ってください。
  175. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 ちょっと手元に資料を持ち合わせませんので、後ほどまた……。
  176. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 私がこの前検討したときには、大阪、名古屋はもうほとんど九〇%、九五%。これはまたあとで調べてほしいのですが、こういうように同じ指定都市でありながら、全体でも六〇%、こういうふうになっておるのに、国際文化観光都市として特別にやっていかなければならない、しかも第三条にはこういうようにうたわれておりながら、なぜこれだけ低いのか、その辺の見解をまず言ってください。
  177. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 御指摘のとおり、京都市は中心部はほぼ下水道はでき上がっておるわけでございますけれども、急激に人口が増加しました周辺の市街地に未整備の地区が多うございまして、御指摘のような他の都市に比べて普及率が低いという状態になっておるわけでございます。私どもとしましては、京都市の下水道は国際文化観光都市という面からも、また淀川の水質保全という面からも非常に重要なものであるというふうに考えておりますので、今後とも重点的に整備を進めていきたいというふうに考えております。  ちなみに、五十一年度におきましては事業費約九十八億円、五十二年度におきましては百三十億円、五十三年度は市の方からの要望としては百五十億円の事業費の要望が出ておる次第でございまして、ほかの地域に比べまして最も重点的に国家資金を投入しておる地区であるということは申し上げてよろしいかと思います。
  178. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 時間ですのでこれで終わりますが、最後にこれを申し述べておきます。  というのは、御存じのように、琵琶湖の水を京阪神の一千三百万人の人たちが飲んでおる、これは御存じだと思います。これはもう日本には例のないことです。これだけ多くの人たち一つの湖の水をずっと、あとは河川を通してあるいはまた上水道を通して、こういったもので飲んでおるわけです。そうすると、まず一つは琵琶湖を汚してはならない。滋賀県等の下水の普及率、これは非常に低い、四%弱です。こんなのは早急に、湖沼を汚してはならないという面からも対処しなければならない。同時に、今度は京都等を通って淀川へ流れていきます。その水を、大阪であるとかあるいは神戸、奈良の一部の人たちが飲んでいくということを考えても、ぜひこの点のおくれておる措置を早急に改善できるようお願いしたいと思います。同時に、特別措置ということで国際文化観光都市としての特別措置をわざわざここに掲げたのであるから、それならばそれに対して、特別に下水道に関して補助金であるとか地方債、こういったものの配慮をぜひお願いしたい。この点を要望しますので、その辺の前向きな御答弁をいただいて質問を終わりたいと思います。
  179. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 御指摘のとおり、京都市という町の性格、また淀川水系という非常に重要な水系の水質の保全、また京都市民の環境の保全というふうないろいろな点からしまして、京都市の下水道事業につきましては、従来も最も重点的に整備を進めてきた地域でございますが、今後もその姿勢で、できる限り市の要望も踏まえまして重点的な整備を進めてまいりたい、かように考える次第でございます。
  180. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 どうもありがとうございました。
  181. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 これにて竹内勝彦君の質疑は終了いたしました。  次に、米沢隆君。
  182. 米沢隆

    米沢分科員 私は、道路建設と文化財保護行政との関連について御質問をいたしたいと思います。  御案内のとおり、日本の道路整備というものが先進諸国に比べまして非常におくれておるというのは周知の事実でありますが、五十二年二月に総理府がやりました社会資本の整備に関する世論調査等でも、今後整備してほしいという社会資本の中に道路が圧倒的多数を占めておる。その意味では国民的なニーズとして、社会資本の充実として道路を整備するということは、納得性のあるものであるというふうに認識しておるわけであります。したがいまして、従来より公共事業の中でも特に道路を柱にしましてかなりの努力はいただいておりますけれども、その進捗を考えましたときに問題になりますのは、特にこのごろ急激に問題になりつつありますことは、環境問題との調整、同時にまた、埋蔵文化財の保護との調整、そういうところに非常に大きな問題があるやに聞いております。  聞きますところ、日本の国土の中で約三十七万平方キロメートルの中に埋蔵文化財包蔵地なる個所が約三十万カ所存在するというふうに聞いておりまして、日本の国土の開発面積を約三割から四割にいたしますと、約一キロメートル当たりに二、三カ所埋蔵文化財が土の中に埋まっておる、そういうことになるわけであります。公共事業をやる場合にも、そこらを避けて通れば、それは一番ベターでありましょうけれども、実際は狭い国土でありますし、有機的な計画路線みたいなかっこうでつくるとなりますと、そう簡単に避けて通るわけにはいかない。そういう意味で、この問題の調整が道路そのものを建設する場合の非常な障害になっておるというふうに考えるわけであります。その意味では、このような事業を促進していきます場合には、いかにこの文化財発掘調査を効率よく行うかという、そのところに焦点が当てられなければならないのではないかと私は思います。  そこで、建設当局にお伺いしたいのでありますが、公共事業、特に道路の新設等をやっていく場合に、埋蔵文化財の発掘、保存との関連でその調整がおくれたり、あるいは発掘作業の長期化などのために大幅な計画の変更をしなければならぬ、あるいはまた工事がかなり遅延する、そういうものが大変多発しているというふうに聞いておりますが、その現状とどのような点で支障を来しておるのか、具体的に御説明をいただきたいと思います。
  183. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 道路建設に伴います埋蔵文化財の発掘調査との関連、全国各地でいろいろな問題になって、現実に御指摘のように道路建設がそのためにおくれておるという例が各所に見られるわけでございます。道路建設に当たりましては、私どもは、あらかじめ文化庁及び都道府県の教育委員会と協議した上で、道路予定地の埋蔵文化財の調査を実施してきておりまして、この関係の予算も年々ふえてまいっております。高速道路、一般国道の直轄事業合わせまして五十二年度でも三十数億というような金になってきておるわけでございまして、その面積も数十万平方メートル、先ほど先生からキロ当たり二、三カ所というようなお話がございましたが、大小の文化財を入れますと、大体そのくらいの数字になろうかと思います。  そういったような関係で、道路予定地の文化財の調査につきましては、あらかじめ分布調査をやるわけでございますが、その精度が余り十分でないために、発掘調査中に調査範囲とか出土品の保存方法とかが変更されるケースが非常に多い、また調査員が不足しているといったようなことのために、調査にかなりの期間を要しているというのが実情でございます。  具体的にというお話でございますので、若干例を申し上げますと、たとえば九州道の塚原古墳群の調査とかあるいは東北道の太田方八丁とかあるいは近畿道の東大阪北から松原の間、それから一般国道二十六号、第二阪和国道なんかでの文化財調査は非常に大規模なものでございまして、これによりまして道路建設の工程がかなりおくれまして、請負時期がそのためにおくれたという例が、これだけではなく全国各地にあるのが実態でございます。
  184. 米沢隆

    米沢分科員 そこで、文化財の分布調査の段階での問題点として指摘しなければなりませんことは、埋蔵文化財でありますから、土の中に入っておりますので、正確を期してそれを把握するというのは大変むずかしい問題ではありましょうけれども、現在ある遺跡の地図あるいは遺跡の台帳というのが、お聞きしますと非常にあいまいである。したがって、発掘調査の段階でまたこんなものがあったというふうに新しく発見されたり、あるいは対象になる面積が大きくなったり、そしてまた、出てきた場合に、その重要度という点に関しまして施工者と文化庁と県の教育委員会等とかなり価値判断が違うということで、その協議に大変時間を要する、そういうものが結果的に工事の進捗状況に非常に大きな支障になっておるというふうに考えるわけであります。  文化庁の方にお尋ねをしたいのでありますが、いま文化庁または地方公共団体等で行っております文化財の包蔵地の分布調査とは一体どういう方法で調査をされて、どの程度精度の高いものか、そのあたりからちょっと聞かしていただきたいと思います。
  185. 横瀬庄次

    ○横瀬説明員 文化庁の文化財保護行政の側で備えております遺跡分布地図というものの調査の方法でございますが、一般的な方法といたしまして、これは大変原始的な方法なのでございますが、考古学を専攻した専門家の方が地表を観察いたしまして、遺物の散布とかあるいは遺構の一部が露出しているようなところを見つけまして、そして遺跡の所在を知るという方法が最も多くとられている方法でございます。したがいまして、この方法では分布調査を行う時期とかあるいは場所とかそういったものでかなり効果が違ってまいりまして、田や畑の栽培中のときであるとかあるいは夏季の雑木林というようなところにつきましては、なかなか発見がむずかしいというように難易の差がかなりあるのでございます。  ただ何分にも、先ほど先生から御指摘ありましたように、三十万カ所という非常に多いものでございますから、一般的な方法としてはそういう方法をとっております。これは、これまでに全国的な調査を二度ほど行ってきておりまして、昭和三十七年から三十九年、昭和四十三年から四十五年まで二回、各都道府県に依頼をいたしまして調査を重ねてきているわけでございますが、この埋没包蔵地の分布状況の精度を高めるためには、こういった方法を何度も積み重ねていく必要があると思います。現在のところ、こういう都道府県単位の調査ではとても精度が高まりませんので、各市町村ごとにそういった調査をやるように補助金も特につけて実施をしてきている状態でございます。最近、五十一年度でございますが、補助金を全国的に交付いたしまして、各市町村ごとに地図を用意いたしまして、この情報が刻々変わるたびにこれを書きかえていくというような、もとになる地図をつくりまして、それを各市町村に備えておきまして、それを必要な方々にお見せするということでなるべく埋没文化財包蔵地の状況がわかるようにしてきているつもりでございます。
  186. 米沢隆

    米沢分科員 調査の精度を高めるためにいろいろ努力をしていただいている、そして五十一年度もかなり大規模にそのような調査をされたというふうにいまお聞かせいただきましたが、一体どれほどの金を使って実際にそういう調査がなされておるのか。確かに、この精度を高めると一口に言いましても、むずかしい問題ではありましょうけれども、こういう各地のトラブルを避けていくためには、もう少し積極的に、文化庁自身も主体性を持って、予算もかなり大幅なものをつけて、ある程度精度を高めていく、毎年毎年努力をしていただかない限り、常にこういうものは後を引くわけでありまして、そういう意味で、もうちょっと私は積極的な文化庁の姿勢がほしいという感じがします。  現在のものを見ておりますと、何しろほとんど施工主の企業体が費用を負担するわけですから、それにおぶさって出てきたものについて、何かいろいろと調整作業に入っていくという後ろ向きな保護行政になっておるのではないかという感じがするわけです。昭和五十年度の発掘調査費の原因者負担額というのは、全国で約七十億といいますが、政府機関の占める割合が三二%、関係省庁、都道府県を含めますと八一%です。ということは、文化庁が主体的にこの調査を進めていって精度を高めていくという努力よりも、何しろ開発をする、そのためにいろいろそんなものが出てくる、そのものにおぶさって、人が出してくれる金におぶさって何とかこの精度を高めていこうという、みんな後ろ向きな議論のような気がしてならぬのでありますけれども、そのあたりいかがなんでしょうか。
  187. 横瀬庄次

    ○横瀬説明員 私どもの文化庁のサイドから申しますと、埋蔵文化財というものが開発とぶつかって、それを調査するというのは、私どもとしては本当を言えば望まないところでございまして、できれば埋蔵文化財のまま保護されている状態が望ましいわけでございます。したがいまして、そういう必要性が出てきたときには、それを原因者の側で負担していただきまして調査していただく、そして最低限度記録を保存していただきまして、それで開発をしていただく、こういう方法をとっておりますのは、文化財サイドから見ますとやむを得ない方法であると考えております。
  188. 米沢隆

    米沢分科員 そうおっしゃいましても、確かに保護行政というものを積極的にやられる立場からしたら、まだまだ非常に後ろ向きで、余り主体性のないことだという感じがしてなりません。今後の御努力を私は切にお願いしたいと思います。  しかしながら、そういうかっこうで文化庁の努力によって精度が高められていったといたしましても、事前に避け得るものはそれをもとにして極力避けるにいたしましても、先ほどのお話にありましたように、約一キロ平方メートル当たり二カ所か三カ所ぐらいの遺跡の分布があるわけですから、どうしてもこういう公共事業をやっていく場合には避けることのできない部分が出てくるはずでございます。そのときに現実的にその公共事業を促進させていくという立場に立ちましたときに、やはりもとに返るのは、文化財の発掘調査の  スピードをいかにしたら早くできるのかという、そこに私は焦点があるのではないかと思います。  先ほど局長説明にもありましたように、実際は発掘調査の中心となる各都道府県の調査員の絶対数が足りない、そういう意味では開発側の需要に応じ切れない、これは長年そういう話がなされておるわけであります。確かに道路をつくるといいますと、建設工事なんか大型のブルドーザーでばっとやるわけですから、そういうものに比べまして文化財発掘の調査は、へらとかはけなんかを使った本当に手作業ですから、スピードが合うはずがない、そういう意味では、調査員の増員といいましょうか、あるいは調査体制を整備するといいましょうか、そういうものはかなり前からいろいろと議論もされ要請もされて、文化庁自身もそういう発想を持っておられたと思うのでありますが、一向に調査員というのは増員しない。年々確かにふえてはおりますけれども、開発の事業に比較したら伸び率なんか全然問題にならない、その結果、いつまでたっても工事が進捗しないという問題を残しておるのではないかという感じが私はするのでありまして、この発掘調査体制の整備というものに関しまして、文化庁としてどういうような御見解を持っていらっしゃるのか、今後の方針等もあわせてお伺いいたしたいと思います。
  189. 横瀬庄次

    ○横瀬説明員 埋蔵文化財の発掘調査につきましては、調査が専門的な知識、技術を要するということから、また先ほど御指摘のように、三十万カ所という非常に多くの文化財包蔵地を持っておるということから、この調査の大部分は地方公共団体に担当していただく、特に都道府県に担当していただくということになっておるわけでございます。  そこで、お尋ねの発掘調査体制の充実ということは、地方公共団体における発掘体制の充実ということになろうかと思いますが、これは私どもも年々その努力をしておりまして、たとえば昭和四十九年度には都道府県、市町村の専門職員の数は五百二十七人でございましたが、五十二年度には千二百人というふうに三、四年の間に二倍以上にふやしているつもりでございます。今回もいろいろ公共事業等の促進ということが言われておりますので、私どもといたしましては、各都道府県に対しまして、こういう機会にひとつ埋蔵文化財調査体制を充実するように特に指示をいたしまして、各都道府県、現在のところはその集計をいただいておるわけじゃございませんけれども、かなりふえてきているという状態にあると思います。  したがいまして、こういったことで年々この改善に努めたいということで、たとえば地方交付税の積算におきましても、都道府県及び市町村の担当者の人員をふやしていただく、それについて私どもが各都道府県に具体的に指導をするという形で今後とも増員に努めてまいりたいと思っております。
  190. 米沢隆

    米沢分科員 確かにそういうじみちな御努力はいただいておりますけれども、そういう増員体制との関連では需要の方が逆にスピードが早くなっておるわけですね。そのところにそごが来されておる、私はそう思うのでありまして、いままでのように都道府県に指示して増員をお願いをするなんという、そういう調子じゃ、そんな簡単に増員なんかできるはずがない、私はそんな感じがするのです。  同時に、遺跡の台帳とか地図あたりがあいまいでありますゆえに、やり始めてからこれは大変だということで、個人的な趣味もありましょうし、いろいろ価値判断の違いもありましょうけれども、やり始めてからこれは大変だ、これは大事だと、悪いけれども、大したことのないやつまでみんな掘っくり返すという、そういうものに余りにも時間がかかり過ぎるという感じがするのです。ですからもし、そんなのを放置するならば、幾ら人間をふやしましても実際は追いつかないわけでありまして、この際やはり発掘していかねばならないという重要の度合いを何らかの形で統一した基準をつくって、それに応じて発掘をするものはする、保存をするものはする、放置していいものは放置する、記録保存でとどめるものはそれにとどめる、そういうかっこうでやっていかないと、能率という面では完全に不経済ですね。いまやっておられるのは、ほとんど最初は記録保存でもいいじゃないかというものが結局全面発掘ということになってみんな掘らないと気が済まない、そういう状況になっておるわけですね。それではこれは大変なことになるのじゃないかと私は思うのでありますが、もう一回そのあたりどういう御見解を持っておられるのか。  特に遺跡に対する統一的な価値判断の基準みたいなものはつくればできるのだと私は思います。確かに、その土地にそのものが出てきたから大事だという、そんな理屈を言えば何ぼでも理屈は言えますけれども、しかし、それでもやはり掘らねばならぬものというものは、ある程度の統一基準をつくって、それに従って発掘作業をやっていくという、そういう一つのけじめみたいなものをつくらない限り、これは大変なことになるのじゃないですか。
  191. 横瀬庄次

    ○横瀬説明員 埋蔵文化財というものは、地下に埋没しておりまして、全く発掘調査を行わないですべてその性格を見抜くということは非常にむずかしいわけでございます。しかし、この三十万カ所という数の埋蔵文化財包蔵地をすべて重要だ、保存するということじゃ決してございませんで、これについては、あらかじめできるだけ資料を収集いたしまして、一応私どもとしては、その重要度について各都道府県に依頼いたしましてそれをピックアップいたしまして、重要なもの約六千件を抽出しておりまして、その中でさらに文化庁で専門家による検討をいたしまして、さらにAグループといいますか、Aクラスのものを抽出するというような作業を行っております。これは重要遺跡というふうに唱えまして、各都道府県、市町村に周知させるようにしております。したがいまして、そういった区別はしているわけでございます。  ただ、具体的に発掘調査を進めていきます段階で、埋蔵文化財の性質上、新たにその性格や重要性が変わってくるというケースも幾分かはあるわけでございまして、これはなるべく早く知って調整するように努めたいと思いますが、埋蔵文化財の性質上、これを皆無にするということはなかなかむずかしいわけでございます。  ちなみに、私の方で五十一年度に届け出がありました遺跡の発掘個所数というのは、大体三千八百件ございます。その中で、特に後で設計変更とか発掘中に性格が変わってきて調整をしなければならなくなったものというのは、その三千八百件のうちではほんの数件くらいでございますので、すべてについてそういうトラブルが起こるわけではないということを御承知いただきたいと思います。
  192. 米沢隆

    米沢分科員 しかしながら、各都道府県によって教育委員会の価値判断の相違あるいは発掘される担当者の価値観の相違、そういうものでかなりばらつきがあるということは否めない事実ではないか、私はそう思います。そうした中でこういう事態を打開していく道は、やはり国のサイドで専門調査員みたいなものをプールして、機動的にそういうものに対応できる、あるいは発掘作業の手法等について能率のある手法を開発する、そういうもののために、私は国そのものの中に専門調査員のプール制度みたいなものをつくることが、この事態を打開する唯一の、まず最初の道ではないか、そう思うのでありますが、私は建設大臣にこの点、これは公共事業ですから、建設省だけの問題ではありません、農林省もかんでおるかもしれませんし、文部省もあれば厚生省もあるかもしれませんが、特に公共事業建設省が一番多いわけでありまして、その際、常に文化庁の管轄される文化財保護とのトラブルというものを避けていくためには、もう少し機動的にそれに対応することが公共事業を早期に進捗させる唯一の道だ、そう思いますので、ぜひ国の段階でも専門調査員等を確保する、そういうものを前向きに検討していただく腹はないのかどうか、聞かしていただきたいと思います。
  193. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 米沢委員から文化財発掘、また一方における道路事業の推進、この両者の調整をいかにうまくやっていくかということについてるる御意見がありまして、私は非常に傾聴をいたしました。  そこで、いまの締めくくりのように、重要度の度合いを何かちゃんとした尺度をつくるようにとかあるいは国において専門調査員のようなものをプールして機動的に動くようにしたらどうか、これはもうすべて大変参考になるところでございまして、われわれの立場としては、何とかして道路整備を促進してまいりたい。しかしまた、文化財を保護していかなければならない、尊重していかなければならぬということも言うまでもないことでございますので、ただいまの御意見は、私としても文化庁の関係ともよく話し合って、御趣旨に沿ってまいりたいと思います。
  194. 米沢隆

    米沢分科員 あと一つ質問したいと思うのでありますが、もう一つの問題は、たとえば当初は記録保存という形で発掘調査をしていたものが、発掘の結果、保存しなければならぬという結論に達する場合が多い、そうした場合、その保存方法とか費用の負担について大変協議が難航するというふうに聞かしていただいております。それが工事着手を遅延させる、あるいは工期が延期される大きな原因になっておる。  そこで、一つの保存方法の問題でありますけれども、たとえば道路等の開発に当たりまして、もし遺跡を傷つけないと判断される場合で、かつ学術的価値の高いもの以外につきましては、発掘を行わないで、たとえば道路を通す場合に、盛り土みたいなもので保存する方法がないかどうかですね。確かに道路が通る、したがってそこにあるやつはみんな掘らなければならぬというよりも、そう重要度でないものについては、盛り土で保存するという方向をとった方が保存方法についてもそう問題を起こしませんし、逆にスピードアップという面では、盛り土方式による遺跡の保存方式、そういうものを大々的にとる必要があるのじゃないかと私は思うのでありますが、文化庁の見解を聞かしてほしいと思います。
  195. 横瀬庄次

    ○横瀬説明員 道路というものが遺跡にかかった場合に、盛り土をしてその上を通過させるという方法は、調整の方法の一つとしてよく行われているところでございます。ただ、私どもの現在とっております方針といたしましては、盛り土をしたものの上に施設が半永久的に構築される場合にはその下にある遺跡の性質、価値を知る機会がほとんど半永久的に失われることになりますので、そういった場合には盛り土であっても事前調査を行って記録保存の措置をとることは必要だと考えておるところでございます。  ただ、たとえば工事用の仮設道路あるいは災害等で非常に緊急な場合は、もちろんそういう必要がない場合もあると考えております。
  196. 米沢隆

    米沢分科員 しかし、現在までの発掘調査の状況を見ておりますと、四十六年までの開発による緊急調査の届け出件数は年間百件前後の伸びを示していたのでありますけれども、四十七年以降三百件から五百件という大きな伸びを示しております。五十一年度の発掘届け出件数は約三千七百件、五十二年度は四千件を突破しそうな勢いなんですね。  そうすると、そういう需要に比して増員体制も、いまさっきの説明を聞いておりますと簡単に増員されそうにもない。そうなりますと、常にこのトラブルがどんどん大きくなっていく可能性が十分あるわけですね。  同時に、確かにそこに道路が通る、盛り土をやったとしても、その下に埋没をしておる遺跡については半永久的に調査ができないので盛り土は余りよくないとおっしゃいますけれども、実際はその道路の下にある遺跡よりも、皆さんの価値判断からしてまだまだ重要で掘っていかなければならぬものがたくさんあるわけでしょう。そっちの方がずっと先行するはずですね。そういう意味では盛り土方式の文化財保護は何もそうおかしくないと思うのです。そんな掘らなければならぬような学術的価値の高いものがあるならば、それは最初からわかっているはずでしょう。そこはまず道路なんというのは通しませんね。ですから、ひょっとしたらそこに遺跡があり、ひょっとしたら重要であるかもしれないくらいの範囲のものは、盛り土方式で保存しても結構じゃありませんか。もしその周辺から歴史的に大変貴重なものが出てきたとなったら道路をのければいいじゃないですか。簡単なことじゃないですか。盛り土そのものによって保存していく道をとる方が工事をスムーズにやり、逆に皆さん方の価値判断からして貴重な重要文化財だとすればそっちの方に仕事が何ぼでもあるのでしょう。半永久的に皆さん方立場からあるはずですね、どうなんでしょう。
  197. 横瀬庄次

    ○横瀬説明員 盛り土をした場合に、その下について記録保存の必要があるという方針をとっております理由は、先ほど申し上げましたように、下に来る遺跡の価値を知る機会がなくなるからだということでございます。したがいまして、その機会が得られるような、なくなってはいないような構造物であった場合には、あるいは省略する場合があるかもしれません。そういった実際具体的な判断については、私どももいろいろ知恵を働かしてやっておるわけでございますが、こういった情勢は埋蔵文化財というものが学問的なものに支えられている、あるいは世論というものに支えられているということでございまして、これを調査をしないで壊してしまうということがありますと、必ずそれは非難を受ける結果になりますので、私どもの務めが果たせない、そういうことを懸念してこの方針をとっているわけでございます。
  198. 米沢隆

    米沢分科員 私も何も文化財保護なんかどうでもいいという議論ではなくて、文化財保護はやりながら、その大きな調整の中でいろいろな公共事業の推進を早くやってほしいというのが趣旨でありますから、誤解をしていただくとおかしいのであります。  それにしても文化財保護というものの、特に価値判断によって非常に相克が多発しているというところにもつと注目をすべきではないかと私は思います。もしそういう意味で文化財を保護し、保護行政の立場から一生懸命やるとするならば、もう少し文化庁としても多額の予算をとり、国民世論をバックにしてそういうものを保護する予算を、過去においてももう少し積極的に獲得なされておってしかるべきではなかったか。ただ開発される方が結局お金を出すからといって何かそれにおぶさって文化財保護をしようという姿勢が大変おかしいということを、私は申し上げたかったわけであります。  終わります。
  199. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 これにて米沢隆君の質疑は終了いたしました。  次に、中馬弘毅君。
  200. 中馬弘毅

    中馬(弘)分科員 来年度予算におきましては政府は七%成長率達成ということで非常に大きな公共投資中心予算を組んでおられます。     〔村田主査代理退席、主査着席〕 このところをちょっと振り返ってみますと、建築着工あるいは住宅着工、いずれにしましても石油ショック以来ほとんど横ばいの状況が続いているわけです。しかし、ここへ来て特に住宅にあれだけの予算をつけて伸ばすことになってまいりますと、宅地供給がいままでのようにスムーズな形でいくのか、そのことについてどういうお考えでやられるのか、御答弁をお願いしたいのであります。
  201. 大富宏

    大富政府委員 御案内のとおり第三期住宅五カ年計画に必要な新規宅地需要は、私ども六万六千ヘクタールと見込んでおるわけでございます。六万六千ヘクタールということになりますと、やはり年間一万三、四千ヘクタールずつ出さなければいけないわけでございますけれども、石油ショック以来宅地供給の諸条件が非常に厳しくなりまして、四十七年をピークといたしまして最近はほとんど一万ヘクタール前後になっているわけでございます。したがいまして、このままでいきますと、御指摘のように長期的に見ますといろいろ心配ごとが出てくるわけでございます。  宅地供給対策といたしましては、やはり一番ネックになっている問題は、幸いにいたしまして非常に続きました地価の上昇が横ばいになってきたわけで非常に結構なことではございますけれども、一面不動産をいじるのは非常に長期にかかるものですから、金利もカバーできないような地価上昇しかないということになりますとデベロッパーが事業意欲を非常に喪失するということもございますので、今度どしどし宅地供給をやってもらう以上は、ある程度使うところの金利を低いものにしなければならないという金利政策の問題。それからもう一つは、これは宅地開発の一つのネックと言われておりますけれども関連公共公益施設に大変金がかかる。これは地方財政の問題とも絡む話でございますけれども、やはりこういった関連公共公益施設の整備につきまして相当の助成策を講じなければならない。さらには、補完的には税制の問題もあろうかと思います。  そういう面で、公的開発、民間開発が計画的に宅地開発意欲を増すように、一方においてミニ開発と呼ばれている非常に劣悪な開発もありますので、やはり計画的な宅地開発を皆が志向するような諸政策を今後集中してやるつもりでございます。
  202. 中馬弘毅

    中馬(弘)分科員 宅地開発をやられる場合にいろいろな、特に住民の反対だとかが起こってくるわけでございますけれども、そういったことについての一つのはっきりした方法論なんかもお考えなのでしょうか。
  203. 大富宏

    大富政府委員 方法論と言いますが、やはり基本的には、大きい話になりますけれども三十七万平方キロのわが国土をどう計画的に有効に使うかという問題に帰しようかと思います。したがって、市街化区域内における、あるいは調整区域も含めてでございましょうけれども土地をどう使うか、基本的には国土利用計画法に基づくところの全国計画、都道府県計画、市町村計画が国土庁中心に作業がなされておりますが、さらには土地利用基本計画というようなものを整備しまして、そういった土地利用計画に基づいて計画的に土地を使うということが、何よりも私は前提であろうと思います。  そういう計画をまず前提といたしまして、最近住民参加という議論も出てきておりますけれども、地元——地方公共団体の意見を前提にするのはもちろんでございますけれども、やはりそこの地域社会の住民の意見も十分反映させたような計画を練るということが重要なことだろうと思います。
  204. 中馬弘毅

    中馬(弘)分科員 先ほど地価お話が出ましたが、いままで動いていなかった住宅なり工場用地が動いてくるということで、地価高騰が場合によっては予想されるかと思うのです。四十八年、石油ショック以前、あの列島改造で大きな地価暴騰が起こった際、その以前の段階を指標的に見てみますと、やはり金融が緩んで投機のものを探しておった。そこに一つの列島改造ということでのブームになってきたわけでございますが、いまの状況、企業も非常に資金をだぶつかせております。前向きの資金がないような状況で、それが株式あたりに流れて株価を押し上げていっているという要素もございます。これからこれだけの公共投資、住宅をも含めてでございますけれども、それが行われてまいりますと、ここに来てまたああいった地価高騰が起こるのではないか。現実に少しは上がってきておりますが、そのあたり、あの過ちを繰り返さないという、どういう方策をお持ちでございましょうか。
  205. 山岡一男

    ○山岡政府委員 先生のお話のとおり昭和四十八年には三〇・九%、それから四十九年には三二・四%、非常に高騰いたしまして、その後五十年に九%ほど下がりましたけれども、五十一年で〇・五%、それから五十二年一・五%——五十二年の一年間につきましては、最近の速報によりますと二・六%というように、わずかずつではございますが上がっているのは事実でございます。  ただ、昭和四十八、九年のころと非常に事情が違いますのは、国土利用計画法が定着を見ておるということであろうかと思います。三年たちまして、その中の届け出制度というのは現在すでに定着をいたしております。直轄とか補助とか、いわゆる公的事業主体が行いますものは、地価公示法に基づきます地価公示価格を規準とした価格で買い占めが進みますし、それから民民の取引につきましては、地方公共団体を中心とします届け出制度によって十分に監督をしているということでございまして、私どもは当面国土利用計画法の適確な運用を行っていけば地価に対する対策は十分に講ぜられるというふうに考えております。  それからなお、補正予算を含めまして十五カ月の投資、それから住宅につきましてもオールジャパンで非常にたくさん行われるということがございますが、これは建設省等にお伺いいたしますと、やはりすでに用地を取得しているところで事業が行われる、もしくは住宅におきましても事前に用地を取得した方々の住宅建設がほとんどであるということでございまして、そういうふうなことに伴いまして直ちに値上がりするとはわれわれ危惧はいたしておりません。  しかしながら、取引が非常に活発化するということは当然予想されるわけでございますので、現在国土利用計画法に規制区域の制度というものがございます。これは事実上地価を凍結する制度でございますけれども、それにつきまして絶えず詳細事前調査というのをやっておりますけれども、そういうものの調査を今後十分気をつけて監視を続け、必要があればそういう制度の発動を見るということによって対処してまいりたいというふうに考える次第でございます。
  206. 中馬弘毅

    中馬(弘)分科員 その中でそういった制限を少し緩和すべきじゃないか、これは土地をかなり保有している企業あたりの圧力なんかもあろうかと思いますが、そういうような危惧も行われておりますけれども、その点についてはどういう御決意でございましょうか。
  207. 山岡一男

    ○山岡政府委員 国土利用計画法の運用につきまして、施行後三年を経ております。その間に施行の段階につきまして取引の実情に合わない等の点につきましての改善は行ってまいっております。しかし、基本の精神といたしましてあくまで適正ということでございまして、きつくも緩くもしないというのがわれわれの態度でございます。
  208. 中馬弘毅

    中馬(弘)分科員 私が非常に前段でそういうことを述べましたのは、日本の大都市というのが、欧米先進国に比べて、皆さん方もお感じのとおりに非常にみすぼらしいものでございます。自由世界で第二の経済大国と言われる日本が、都市の形態の面では、また住宅という面では、はるかに欧米先進国におくれている、この状況をどう今後解消していくか、すばらしいものにしていくかということなんでございますが、欧米におきましては大抵、いまのパリにしましても、ロンドンにしましても、一つの大火だとかあるいは何か戦争でその跡に強権力をふるってといった形でのあのすばらしい町づくりがなされたわけでございます。日本の場合大震災というようなことを期待するわけにもまいりません。やはり私たちの力でこれをすばらしい町にしていかなければならないと思っております。大正から昭和にかけまして東の後藤新平、西の関一といった人が大きな都市改造に手をつけたこともございます。しかしそれ以後、あの戦争直後におきましても少し手を抜き過ぎたという気がいたしております。それがいまの混乱ではないかと思うのですが、今後都市をすばらしい町にしていくということについて、その御決意のほどをまずは大臣からお答え願いたいと思います。
  209. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これからの都市をいかに欧米並みのりっぱな市街形成にしていくか。第一には、公園などを比較して非常にその率が低いと思います。だから公園をどんどんつくる。あるいはもう少し広く言えば、緑地帯をふやすという必要があるのじゃないか。それから文化都市にするために、下水道のおくれておるような都市につきましてはこれを促進させなければならないと思いまするし、あるいは密集地帯がある、これを改造していく上に再開発事業をどんどんやらなければならないというような各種の施策を総合しまして、そしてよりよき市街の形成をする、これが大事ではないか、こう思います。また特に東京などの場合、筑波学園都市を進めまして、そして研究機関などを移したわけでございまするが、場合によれば大阪などでもそういう必要があるのじゃないか。いろいろと考えられるところがございますが、まあ一応申し上げてみますると、そんなところではないかと思います。
  210. 中馬弘毅

    中馬(弘)分科員 そういった本当に後進国並みの都市を近代的な町にしていくためには、相当な思い切った施策が必要じゃないかと思います。まずは都市設計をしていく上に公有地が少ないということが決定的なマイナス点だと思います。これをふやす施策、これをどう進めていかれるか。もちろん公有地の拡大推進に関する法律ができておりますけれども、先買いにしましても、たとえばいま売りたい人たちはかなりいます。工場をどっかに移転させたい、あるいは経営が苦しいから土地を売りたい。しかしそれを買う公共団体、自治体も金がないというようなことでございます。いまこそ何かの手を打つべきではないかと思うのですが、ちょうど三すくみのような形になりまして、売りたい方がある一方、買う方はその買う金もないということで、本当に今後の大都市改造のために一大チャンスだと思うのですが、それがいまの形でございますと進められないという状況になっております。このあたりも含めまして、公有地を今後いかにふやしていくか、何か一つの御構想がおありか、お聞かせ願いたいと思います。
  211. 大富宏

    大富政府委員 御指摘がありましたように、わが国の都市というのは諸外国に比べて大変みすぼらしいという御指摘でございます。これはひっきょういたしますに、わが国の都市施設の整備水準が非常に見劣りするのがやはり基本だろうと思います。無秩序に市街化区域がだんだんと広がっていく。それに見合うところの公共投資が効率的に投資できないというところが基本でございます。  御案内のように、都市計画法を改正いたしまして、市街化区域と調整区域に区分いたしましたのも、市街化区域に公共投資を集中してやりまして、そこで少なくとも十年以内には優先的に計画的に市街地を整備しよう、その間は調整区域は市街化を抑えよう、こういうことにしたのも、やはり市街地を整備するために限られた財源を集中投資するというのが、私は目的だったと思うわけでございます。  よく言われる公有地の拡大でございますが、御案内のとおり、わが国も公有地の拡大の推進に関する法律の施行を四十六年の十二月以降やったわけでございますけれども、現在までの累積で言いますと、投資額で二千六百億円、取得いたしました面積が二千ヘクタールということになっております。まず基本の都市施設を整備するその施設整備額ですらまだなかなか十分な投資額を確保できない。ましてや面的整備に至っては、大都市の面的整備に至ってもまだまだ非常に未熟な段階でございますから、少なくとも今後必要とする土地をどんどん買っておくというような余裕すらもない状況でございます。  先生御指摘のように、今後計画的に都市施設を整備するためには、やはり公共投資量をふやすということも必要でございますけれども、こういった施設整備が計画的に推進できるだけの必要な土地を、国あるいは地方公共団体でそういったストックを確保するだけの用意といいますか、執行体制といいますか、そういうものを整えるということが非常に重要なことだろうと思いますので、今後勉強していきたいと思っています。
  212. 中馬弘毅

    中馬(弘)分科員 いま、先買いにも一つの目的がなければ先買いができないような決まりになっておりますね。これは無目的で先買いができる形はできないものですか。
  213. 大富宏

    大富政府委員 現在の公有地の拡大の推進に関する法律で買えるのは、都市施設用地、それから収用事業に使うもの、それからそういった公共施設の代替用地として確保すべきもの、こういう種類になっているわけです。したがいまして、一応そういうところは、土地取引につきまして、三百平方メートル以上のものについてはひとつ届け出をしてくれというのが一つでございます。五条というところがございまして、市街化区域で二千平方メートル以上、あるいは市街化区域以外の都市計画区域につきましては五千平方メートル以上については買い取りを申し入れるという制度があるわけでございます。これもそれを買うところの地方公共団体等がこれを何らかの目的に使うという用意があれば、こういう買い取りの申し出に応じて買い取ることができるわけでございますが、買い取る側も、いつ何にそれを使うかという計画なしには買い取れない仕組みになっております。
  214. 中馬弘毅

    中馬(弘)分科員 仕組みはわかっておりますけれども、そういう一つ考えがおありになるのかどうか、いまの法律をそのとおり守っていかれるのかどうか、少なくともそれを前向きに検討されていくのかのお答えをひとつお願いします。
  215. 大富宏

    大富政府委員 無目的な土地を買い取るということは、これはもう財源の問題もございまして、非常にむずかしい問題だと思っております。
  216. 中馬弘毅

    中馬(弘)分科員 そういうことで、結局いまのところは、そういう時期であるにもかかわらず公有地がふやせない。公有地がふやせないから思い切った都市計画も何もできない。このような状況になっておるわけでございまして、そこに何らかのはっきりした十年後、二十年後を見た施策が必要じゃないかという気がいたすわけでございます。  それに関連しますが、都市の再開発ということが行われます。その都市の再開発にしましても、やはりいまでは、その地区の住民の盛り上がりあるいは了承が得られなければそれをできないという形になっておりますね。これをもう少し指導的な立場から前向きに、この地域はこうするんだからということで、都市の再開発を指定し、ある意味では住民の、住民と言いましたら語弊がありましょう、一部の人の私権を制限してでもそれを進める御用意があるかどうか、御答弁お願いいたします。
  217. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 再開発は、多数の零細な権利者の権利関係が錯綜しておるという状態をクリアにして、りっぱな町をつくろうということでございますが、そのために、この権利者相互間の調整というのは非常にむずかしいわけでございます。  そこで御指摘のように、話し合いを待っていたんじゃなかなか片づかぬから、ある程度権利の制限を行って、私権の制限を行って公的な力で再開発をやったらどうか、こういう御趣旨かと思いますが、御承知のように、現在の再開発法におきましては、あくまでもたてまえは関係権利者の同意が前提でございますけれども、一定の地区を地方団体が指定しましたならば、五カ年間そこで再開発をやらなければ、パブリックな同意なしでやるという、こういう制度は一応できてはおります。おりますけれども、しかしながらこれは自治体が行うものでございますから、関係の市民の間でまずおおむねの同意がなされないという状態におきまして、一方的に強圧的に公権力を使ってこれを行うということは実際問題としてなかなかむずかしいというふうな感じじゃないかと思っております。
  218. 中馬弘毅

    中馬(弘)分科員 大臣にお聞きいたしますが、政府委員からの御答弁では、はっきり言いまして、十年後、二十年後、場合によっては百年後すばらしい日本の都市にしていくという方策は少なくとも出てこないわけでございます。これは政治家としてお答え願いたいと思うのですが、そういった市街地における私権というものでございます。公共の利益のためにはある程度は私権は制限せざるを得ない。多くの人間が集まって住む場合に、そこにおいては自分の権利だけを主張しておってはその他大ぜいの人に迷惑をかけてしまうというケースは往々にしてあるわけでございます。いまそのことで都市改造すら進まないのが状況じゃないかと思うのです。たとえば日照権というものにしましても、この大都市の中で日照権を主張すること自体がある意味ではおかしいという気もするわけです。こういった、人間が集まって住む大都市というものにおける個の権利、私権といったものですが、これをどうお考えか。  先ほど言いました日照権の問題、これは個人の問題かもしれません。それから少し大きな問題でいきますとこれは企業の問題にもなってくるかと思います。たとえば大都市におきまして幹線道路と踏切が交差しておるその場合に、その鉄道、これが国鉄であっても私鉄であってもよろしゅうございますが、それがたとえば赤字の場合にはその踏切は立体化できない、そうすると毎朝自動車が何キロも渋滞する。これのマイナスといいますか非効率といいますか、これはもう大変な額になるわけです。そうしますと、それをある意味では国家的な見地から立体化さして、都市の動きというのを効率化する、そういうことも必要じゃないかと思うのです。  いずれにしましても、一つの個の権利というものはある意味では制限されなければならないという気がするわけですが、大臣、その点についてはどのような御見解をお持ちですか。
  219. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私は比較的現実的に物を見ておるわけでございますが、中馬委員の言われる考え方は非常に理想的だと思うのです。また一面、こういう機会にこそ公有地を拡大せよという御所論もあったわけでございますが、いま一、二例を取り上げられて、たとえば立体交差をする場合に一部の者が反対してそれができない、そういう場合に土地私有権の制限をしたらどうか、こういう御論旨であったかと思うのですが、全国各地で都市再開発あるいは高架事業の要望というものが相当ありますが、中にはおっしゃるようなことで進まない向きもありますけれども、ある時間をかけると、本当にこれはやらなければならぬという機運がその地域に起こってきておる事実も、また一方にあると思うのですね。狭いし、渋滞を来すし、あるいはほこりや何かをかぶるし、騒音も出るし、もうたまらない。それでむしろ逆にもう早く買ってくれ、早くやってくれという機運もあちこちで見られる折からでございますから、したがって、民主政治には多少苦労が要るものである、まあしんぼう強くやっていってもいいんではないか。  と申しますのは、一方に、先ほどから担当局長それぞれお答えをしておりますが、国家財政にも相当制約がありますから、強いてがんばっておる者がいる、場合によれば何か不当に所有権を主張しておる向きもある。しかしそれはそれでおいでおいでも、ほかに国としてまだあちこちずいぶんやるところがあるのだということから、理想的にはおっしゃるとおりかと思いますけれども、現実的に考えていくとまだまだいまのままでも相当やれる、こういうことで臨んでおる次第でございますが、御所見は十分参考にしたいと思います。
  220. 中馬弘毅

    中馬(弘)分科員 時間が参りましたので終わりますが、そういった機運も盛り上がってきておる状況でございますから、過去の法律なり制度にこだわらずに新しい観点から進めていただきたいということを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。
  221. 藤田義光

    藤田主査 これにて中馬弘毅君の質疑は終了いたしました。  次に、森井忠良君の質疑を許します。
  222. 森井忠良

    森井分科員 私は、五十三年度で期限が切れます同和対策事業特別措置法の建設省における実施状況についてお尋ねをしたいと思います。  まず最初に、すでに法施行以来今日で九年が経過をしておるわけでありますが、建設省の今日までの同和行政についてどの程度進んでいるか、その辺からお伺いをしたいと思います。
  223. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 同和対策事業特別措置法ができましてから九年経過したわけでございますが、その間建設省では住宅対策あるいは環境整備といったような形に取っ組んできたわけでございます。先生御承知のように、五十年度にいわゆる残事業量というものを調べまして、そのときに建設省の所管の事業の残事業量が七千四百六十二億というようになっておりました。現在の進捗状況を申し上げますと、五十三年までの予算を含めますと大体六一・一%という進捗状況になろうかというように考えております。
  224. 森井忠良

    森井分科員 ちょっといきなりの質問で恐縮でありますが、たとえば災害危険地域、たとえて言いますと急傾斜地の崩壊対策、これは全国で同和指定地域以外にもずいぶんあるわけでありますけれども、大体どのくらいあるものでしょうか。その中で同和地域がどれくらい入っているものか、お伺いしたいと思います。
  225. 栂野康行

    ○栂野政府委員 昭和五十二年に総点検を行ったわけでございます。その結果によりますと、全国の急傾斜地崩壊危険個所でございますが、約六万四千カ所、このうち同和地区におきます危険個所は約千三百カ所あることが現在わかっております。
  226. 森井忠良

    森井分科員 それで同和地区については何カ所くらい五十二年度おやりになりましたか。
  227. 栂野康行

    ○栂野政府委員 同和地区につきましては昭和五十二年度までに防止工事に着手した個所は約三百四十カ所でございます。このうち五十二年度末までに約百四十カ所を概成さしております。
  228. 森井忠良

    森井分科員 いま聞きますと、全国で六万四千カ所くらいあって、いま御答弁のようにわずかですね。それで先ほどの御答弁によりますと、いままでの法に基づく執行状況というのは大体予定の六一%、こうなっているわけですが、御承知のとおり同和地区は、たとえば川と川の合流地点であるとか、あるいは後ろに非常に高いがけがあるとか、いつ崩壊してくるかわからないというふうな、言うなれば劣悪な条件のもとに部落が存在しておるわけですけれども、いまお聞きをいたしますと、この急傾斜地の問題だけでもまだ何年かかるかわからない。この面に関して言えばとてもじゃないけれども、それこそ百年河清を待つという言葉がありますが、いまのテンポだといつ終わるかわからないということになると思うのですが、特に重点的におやりになるというお気持ちはないのですか。
  229. 栂野康行

    ○栂野政府委員 この急傾斜地崩壊対策事業でございますけれども、これは昭和四十二年度に発足した事業でございます。それから毎年特に大幅に伸ばしてきておるわけでございます。昭和五十三年度におきましても前年度の一・八倍というほどに、非常に重点を置いてこの急傾斜地崩壊対策はやっておるわけでございます。  その中におきましても同和地区につきましては、府県から申請がありました場合には最優先的に取り扱って事業を極力積極的にやっておりますし、今後もその趣旨に沿って進めていきたいというふうに考えます。
  230. 森井忠良

    森井分科員 総理府の同対室長さんお見えでありますが、部落差別というのはいろいろ分類の仕方がございますけれども一つの分類の仕方として心理差別と実態差別というのがございますね。これは部落差別をなくしていく場合にはどっちから手をつけたらいいものでしょうか。
  231. 黒川弘

    ○黒川政府委員 おっしゃるとおり分けて考えれば、物的な原因に起因する差別、心理的差別、二通りあるかと思うわけでございますが、対策といたしましてはいずれが先ということは非常に言いがたい問題かと思いますので、両々相まって進めらるべきものであろうというふうに考えております。
  232. 森井忠良

    森井分科員 私は、これはもう私だけじゃありません、大方の皆さんの意見だと思うのでありますが、まず実態をなくする、あと心理差別は長い時間かければやがて消えるのじゃないかと私は判断をするわけであります。  そういたしますと、先ほど具体的な例で申し上げましたように、たとえば急傾斜地の崩壊対策事業等は全国で六万数千カ所あって、わずかに今日まで百幾つというふうな形の進捗状況であります。これは私はそういう意味で、せっかく十年間に限った時限立法ではありますけれども、まだまだやらなければならないことは建設省としても山ほどあると思うのです。大臣、いかがでしょうか。こういった点をとらえてこれから建設省としてどのように対処なさろうとされるのか、お伺いをしたいと思います。
  233. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 一例として急傾斜地崩壊危険個所の問題をお取り上げで、残事業が多いじゃないか、そのとおりでございます。そこで、五十四年度以降におきましても、建設省所管の各種事業につきまして真剣に進めてまいりたい。御承知だろうと思いますが、公営住宅建設事業、住宅地区改良事業、下水道事業、公園事業、街路事業等の同和対策事業を実施いたしまして、同和地区における住宅事情の改善住宅地区の環境の整備等を推進してまいりたい。五十四年度以降も大いに努力してまいりたいと思っておるところでございます。
  234. 森井忠良

    森井分科員 大いに努力と言いましても、御承知のとおり法律は五十三年度で切れるわけでありますが、いまの大臣の御答弁は、昨日の総理府総務長官の御答弁もそうであったように、いままでではまだ執行し切れなかったから、したがってやはりおくれを取り戻す意味でも、もう延長せざるを得ないという大臣のお気持ちだと理解をしてよろしゅうございますか。
  235. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 特別措置法の延長の問題につきましては、関係各省と協議を重ね、同和問題の解決を図るため、同法の延長問題を含めて大いに努力を重ねてまいる考えでおるわけでございます。
  236. 森井忠良

    森井分科員 そこになると少し固くなりましたけれども、きのう何か聞くところによりますと、総務長官は延長しますと言い切っているようでありまして、これは建設省の方が少し遅いわけでありますが、それはそれなりに認識をいたしまして、私もうちょっと御質問を申し上げたいのでありますが、先ほど申し上げましたように、まず劣悪な部落の実態を改善をしていく、そして実態がなくなったところで将来にわたって心理差別をなくしていく、そして国民的な課題を達成をするという形に理解できると思うわけですね。  大臣、私、広島県でございますけれども、私のところには非常に戸数の少ない部落が多いんですよ。少数点在部落と申しておりますけれども、これが非常に数が多うございます。ちなみに申し上げますと、九世帯以下の部落が広島県全体の部落の中で四五・一三%、適当な調査がないのでありますが、いま申し上げましたように、九世帯以下の小さい部落が四五・一三%、十九世帯以下の部落でとってみますと七〇・一三%、実に七割ぐらいは十九戸以下という非常に小さい部落が散在をしているわけであります。ところが現在では、建設省によりますと、小集落地区改良事業というのがございますね、これは基準が十五戸以上、こうなっておるわけであります。そして不良住宅率が実に五〇%以上。とてもじゃありませんけれども、このままいきますと、先ほどは表のとり方でちょっと問題がありますけれども、私二十戸未満で申し上げましたので問題があるわけですけれども、ざっと推計をいたしましても六割くらいは小集落地区改良事業の基準に合わないわけであります。いつまでも差別の実態をそのまま残すことになってしまうわけであります。余りにかた過ぎる。この際こういった基準について、つまり、どんなに現行の同和対策事業特別措置法がありましていろいろ同和事業を進めようとされても網にかからないのですから、しかもそれが県によりましては、申し上げましたように六割から七割ぐらいに相当するわけであります。  それから、これはあと御答弁いただきたいのでありますが、不良住宅率につきましても、同和地区五〇%という基準になっているわけでありますが、地区外の不良住宅率というのは一体どれぐらいなのか、もし比較をしたものがあれば、ひとつお答えをいただきたいと思うのです。
  237. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 先生御承知のように、現在小集落地区改良事業というものを同和地区に対して四十四年から行っているわけでございます。これはいわゆる同和対策審議会の答申を受け、また同和対策の長期計画の中で示されておりますように、従来住宅地区改良事業は五十戸以上というような地区改良の基準を持っておりましたので、これを同和地区の実態に合わせて十五戸以上ということで、現在実施しているわけでございます。これはやはり住宅地区改良事業と申しますのが、地区の改良というようなことをその事業の内容にしております関係上、地区というような観点から十五戸というようなことにしているわけでございます。また、それじゃそれ以下の部落に対してどういうような対策をとってきたかと申し上げますと、これも先生御承知と思いますが、同和向けの公営住宅の建設とかあるいは住宅新築資金宅地取得資金あるいは改修資金といったような、いわゆる住宅対策というものは従来も行ってきたわけでございます。  そういったことを踏まえまして現在の時点で考えますと、まだ十五戸以上の小集落が残事業として残っていることも、残念ながら事実でございます。そういったものも鋭意進めなければならない。それから、なおまたそういった十五戸以下の対策ということも、いま申し上げました単なる住宅対策といったような面からだけでいいのか、そういった面も踏まえまして、今後とも検討してまいりたいというように考えております。
  238. 森井忠良

    森井分科員 この法律は、当初できたときは、十年のうち前期五カ年で一応の計画は達成をする、残り五カ年はむしろ補完的な意味でさらに充実をしていく、そういう立場で発足をしたわけですね。しかし、あなたのいまの答弁だと、たとえば私のおります広島なんか少数点在部落は、少なくとも申し上げましたような事業はできないじゃありませんか。七割残りますよ。余りかたくななことを言わないで、私は、この際、十五戸という基準についてはもう一遍やはり考え直す必要がある。少なくとも弾力的に、一戸というのは無理かもしれませんけれども、せめて思い切って基準を下げていただいて五戸ぐらい。五戸でもこれは四五%くらいになるわけですから、そういった点からすれば、これは別に法律ではないんでしょう、十五戸というのは。したがって、ぜひともひとつ基準を、十五戸というのは絶対にいけない、先ほど申し上げましたように、これでは六割ないし七割残るのですから。したがって、この機会にそういった少数点在部落の多い県等については御検討いただいて、五戸と申し上げたいわけでありますが、いま明確な数字は出しにくいかと思いますけれども、先ほど申し上げました実態差別がなくなるような基準をこの際弾力的に考え直すというふうにひとつお願いしたいと思うわけでありますが、いかがですか。
  239. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 先ほども答弁申し上げましたように、私ども決して少数の点在部落につきましてないがしろにしているわけではございませんし、従来とも住宅対策といったような面からはやっているわけでございますが、ただ、先生御指摘のように、そういった十五戸以下の部落に関しましてもやはり環境施設といったような面の整備の必要性が全然ないとは私も申し上げられません。したがいまして、そういった面から住宅対策とあわせて環境整備というものをどうやっていったらいいかということも、あわせまして検討させていただきたいというふうに考えております。
  240. 森井忠良

    森井分科員 先ほどちょっと確認が漏れたわけでありますが、災害対策についても先ほど私はたった一つ急傾斜地の問題を申し上げましたけれども、六万もあって年に数えるほどしかできないということについて、これもやはり私は非常に問題があると思うわけですね。したがって、これから少なくとも一定の計画をおつくりになって計画的に消化をしていく、そういうおつもりはありませんか。
  241. 栂野康行

    ○栂野政府委員 急傾斜地の問題でございますけれども、六万四千あって、そのうち同和地区が千三百カ所でございます。今後とも鋭意促進を図る。と同時に、いわゆる現在採択の問題につきましても弾力的に考えていきたいというふうに考えております。
  242. 森井忠良

    森井分科員 次に、これもまた問題として指摘をしておきたいわけでありますが、都市、なかんずく大都市の中にある混住部落の環境改善の問題です。  これは事柄上非常にむずかしいことになっておりまして、たとえば用地買収でありますとか、あるいはまた産業対策、公害対策、そしてまたもちろん建設省だけの所管でございませんで、各省にまたがる問題でありまして、結果としてむずかしいものでありますから、言うなれば取り残された感じになっておるわけでありますね。これらの問題については建設省だけでは無理かと思うのでありますが、聞くところによると、そういったおくれを自覚されて、去る一月二十日に通産省あるいは厚生省などと一緒に建設省も含まって担当の方々で現地を御調査なさった。これは場所は大阪でありますけれども、この結果どういうことが問題になりましたか。また対策はどうなのか、これも明らかにしていただきたいと思うのです。
  243. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 先生いま御指摘のように、大阪の西成、浪速地区等につきましては単なる住宅だけの問題でなくて、商店あるいは工場が混在しております。したがいまして、建設省所管住宅対策あるいは環境対策だけでは整備できない問題がたくさんございます。そういった意味で先生御指摘のように調査を行ったわけでございますが、私現在聞いておりますところでは、やはり各省総合的な対策を立てなければいけないんじゃないかというような結論で、今後とも検討したいということになっているというように聞いております。
  244. 森井忠良

    森井分科員 そうしますと、これは黒川同対室長さん、どこかでまとめていただかないと各省庁横並びでは困ると思うのでありますが、あなたのところでまとめていただけますか。
  245. 黒川弘

    ○黒川政府委員 幾つかの省にわたります事業でございますので、総理府といたしましては連絡調整の機能を発揮してまいりたいというふうに思っております。
  246. 森井忠良

    森井分科員 そこで、これは大臣にも御認識をいただきたいわけでありますけれども、時間の関係で細かい残事業量等の額面まではきょうは聞きませんでした。ただ、最大の問題は、該当する地区がまだ全部把握をされていないというわけなんです。これは一番大きな問題なんですね。具体的に申し上げますと、かつて昭和十年にいまの総理府に当たるところでしょうか、いわゆる調査を行っているのですが、そのときの部落の数は、同和地区の数は五千三百六十五となっているわけであります。このときはこういう数なんでありますけれども、いま私の手元に何回か地区数を調べたものがあります。たとえば昭和三十八年、これは同対審答申が出たのが昭和四十年でありますから、同対審の答申の以前でありますが、そのときには四千百六十、これは恐らく国が県等に依頼をして調査をなさった数だと思うのでありますが、四千百六十であります。ところが、同対審答申が出されまして、いよいよこれは真正面からこの問題に取り組まなければならないということになって、もう一度調査をしましたら、これは三千五百四十五で、減っているのであります。そしてその後昭和四十六年の調査で、今度は解放運動が盛んになってまいりましたから三千九百七十二、そして一番新しいのが昭和五十年の調査でありまして四千三百七十四であります。  しかし、私どもの想像では、これはきちっとしたものはありませんけれども昭和十年調査の五千三百六十五というのは、私はやはりその当時の貴重な数字だと考えているわけでありまして、少なくとも千以上の開きがまだそこに出ているわけです。事実、県の名前はもう時間の関係で申し上げませんけれども、かつて昭和十年調査では幾つかの県が自分の県には同和地区があると調査の結果答えておりながら、いまゼロというところが数県もございます。そうかと思いますと昭和十年調査のときにはかなりな数報告をしておきながら、いまはもうがたっと十分の一以下くらいに減っているような県もありまして、いま私が申し上げましたような年次ごとの調査でもおわかりのように、順次ふえていっている傾向にはありますけれども、私の県にもまだ把握をしていない同和地区というのがずいぶんございます。  したがって先ほど来答弁のありましたようなもろもろの事象については、限られたことでなくて、これから建設省サイドでもやはり同和地区はどんどん掘り起こしていただきまして、申し上げましたように、日本の国の中に一つでも被差別部落が残っているということは、これは実態差別を温存することになるわけでありまして、私はきわめて問題があると思うわけであります。その意味ではぜひ御認識をいただきますと同時に、この機会に総理府から、一体地区数の把握はどういうふうになっているのか、明確なお答えをいただいておきたいと思うわけであります。
  247. 黒川弘

    ○黒川政府委員 最近の時点におきましては昭和五十年に調査をしているわけでございますが、いま御指摘のように四千三百七十四地区の把握が行われております。その後この調査に漏れたと申しますか、追加報告の形で百六地区報告が寄せられておりまして、それを仮に合わせますと四千四百八十という地区になっているわけでございます。確かに御指摘のとおり調査をするたびに数字が違っているという問題がございますわけですが、現在におきます同和地区の把握は、先生御承知のとおり、同和対策事業特別措置法に決めております対象地域としての把握でございまして、いわば住民の生活環境等の向上安定が阻害されている地域ということでございますので、その辺の数字の違いにひとつ関係するかというふうにも考えております。
  248. 森井忠良

    森井分科員 阻害されていない非差別部落があたかもあるようないま報告でしたけれども、そういうところがあったらひとつ連れていって見せてもらいたい。御承知のとおり、意図的につくられた差別で、今日まであらゆる市民的な諸権利が不完全にしか保障されていなかったということを考えていただきますと、いまのお言葉はぜひとも訂正をしていただきまして、この機会にさらに次から次へとまだ出てまいります。もちろん解放運動もこれから盛り上がっていくわけでありますから、したがって、それぞれの市町村や県から具体的な指摘があった場合は、ぜひひとつ対象地域に加えていただくようにお願いをしておきたいと思います。いかがですか。
  249. 黒川弘

    ○黒川政府委員 昭和五十年の調査につきましては、先ほど申し上げましたように、その後百六地区の調査が追加報告されているわけでございまして、総理府といたしましては、いわゆる窓口をあけておるという態度をとっているわけでございます。したがいまして、先生御趣旨のとおり、新たなまた追加報告がございますれば、それを従来把握しております地区の中に加えてまいりたいというふうに思っております。
  250. 森井忠良

    森井分科員 最後に、大臣お聞きのように、まだ問題をたくさん抱えております。先ほどメモをお読みになりまして、きわめてガードのかたい態度をお見せになったわけでありますが、だれが見ても、特別措置法の延長、しかも全国市長会等の真剣な討議の結果出された意見書等を見ますと、現行の法の内容ではとても律し切れない。したがって、中身について、たとえば労働でありますとか教育でありますとか産業でありますとか、問題はたくさんありますけれども、そういった中身も踏まえて私は実施をしていかなければならない問題が山積をしておると思うわけでありまして、最後に建設省の、言うなれば同和対策事業の大体四十数%を執行していらっしゃる所管大臣としての決意のほどを承って、私の質問を終わりたいと思います。
  251. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先ほど来お答え申し上げておるように、建設省所管で進捗率六一・一%、こういうことで残事業が非常に多いことはまことに恐縮に思っておるのでありまして、五十四年度以降真剣に同和対策事業に取り組んでいくという決意には変わりございません。
  252. 藤田義光

    藤田主査 これにて森井忠良君の質疑は終了いたしました。  次に、久保等君の質疑に入るのでありますが、同君の質疑に対し、参考人として本州四国連絡橋公団総裁尾之内由紀夫君が御出席になっております。  なお、御意見質疑をもって聴取することといたします。  久保等君。
  253. 久保等

    久保(等)分科員 私、きわめて限られた時間でございますので、本四架橋の問題、特に四国側の問題についてお尋ねをしたいと思っております。同時に四国横断自動車道、これも徐々に進んでおるようでありますが、これとの両者の関連性でいまだきわめて不明確な点がございますので、そこらの問題を中心にして若干お尋ねしたいと思うのです。  本四架橋の四国側の例の陸へ上がって横断自動車道と接続する間、国道のバイパスとの地点あたりまでの計画は、一応進んでおるようでありますが、問題はその本四架橋の道路部分、四国側に上がっての道路部分と、それから四国の横断自動車道、これがどこで接続をせられるのかいまだ不明確でありますが、その点についてのお考えを承りたいと思います。
  254. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 お答えいたします。  本州四国連絡道路と四国側の幹線道路との連結地点でございますが、現在坂出南インターチェンジまで計画をしておるわけでございます。     〔主査退席、兒玉主査代理着席〕 現在の計画では、基本計画に決められておりますように、坂出北と坂出南の二カ所で国道十一号線とそれから臨港道路に接続する計画になっております。
  255. 久保等

    久保(等)分科員 お尋ねをいたしておりますのは、その先の話なんです。横断自動車道の方も、すでに善通寺−川之江間については、これが整備計画ということで進められておるわけでして、特に地元との話し合いもずいぶんいろいろとなされておるようですが、問題は善通寺からまたさらに東の方に、高松方面に当然これが延びてまいるわけであります。善通寺のすぐ隣あたりのところで接続がなされるのではないかという一応憶測はあるわけですが、具体的に申しますると、あすこに飯野山、例の讃岐富士と言われておりますが、この山の一体北側なのかあるいは南側なのか、そこらが地元でいろいろうわさをされておるところであります。この問題も早急に一つの計画を決定をしなければならぬ段階にすでにあるのではないかと思うのですが、そこのところがお尋ねしたいところなんです。
  256. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 御指摘の点は、いわゆる南のインターチェンジの位置だと思いますが、御承知のように四国横断道高松−善通寺間が、これは高松−豊浜間の一部としてすでに基本計画が決められておりますが、そのうち整備計画が決められておりますのは善通寺−豊浜間ということでございまして、残る善通寺−高松間については、まだ整備計画が決められておらないわけでございます。  この間は、御承知のように、四国で最も土地利用の発達したところでもございまして、計画路線も企画線が数本ある、路線計画のきわめて困難な場所でございますが、今後県と一層協議しながら、早い時点でこの路線を決めるように努力しておるわけでございますが、そのルートの位置がどういうふうに決まるかによって若干この南インターチェンジの位置が変わってまいりますが、まあそういうことで正確な位置は企画線の中で数本ありますので詳しく申し上げられませんが、早い時点でなるべく決めたいというふうに考えています。
  257. 久保等

    久保(等)分科員 いま局長の御答弁で、坂出南インターチェンジがその接続いかんによっては変わるかもしらぬという御説明なんですが、これは実は非常に大事な問題なんです。そういうことですと、これまた、すでにいろいろと話がなされている問題が、また非常に確定的ではないような話に変わってまいるわけでして、その問題はいま触れてはおらないわけなんでして、その位置いかんにかかわらず、当然、とにかく横断自動車道と本四架橋との接続は、本来ならば当初からの統一的な総括的な判断でやはりそういった計画をお立てになる必要があると思うのです。そうでなくても、現在、本四架橋は本四架橋、四国横断自動車道は自動車道、こういうふうに進めておるところに私は非常に問題があるのではないかと実は思っておるのです。  たとえばインターチェンジの問題にしても、総合的な上に立つならば、一体どちらの方はどこに、どちら側の方はどちらにというようなことで総合的に判断すべきだし、またされなければならぬと思うのですが、それが残念ながら、本四架橋の場合には端末が、いま言う十一号バイパスのところを端末にしたインターチェンジをつくる、それから横断自動車道の方は善通寺にとにかく設けるんだということを前提にしたいろいろな話し合いがなされているのですが、果たしてその南インターと善通寺インターをどうしても設けなければならぬのかどうか。これ自体、私は実は若干疑問を持っておるわけなんです。  だから、そういう点からも、その接続を一体どこでするのか、ずっと南に延ばせば延ばすほど土地がよけい必要なことは申し上げるまでもありません。したがって、いま局長もおっしゃられたように、香川の場合には特殊な、人家が非常に稠密でして土地がきわめて少ない、そういう中で、一体効率的にどう橋をつけるか、あるいはまたどう横断自動車道をつけるかという問題については、土地という問題について特殊な御配慮を願わないと、いまお話があった南に延びれば延びるほど土地がそれだけ必要ですし、また、それ自体大変問題が発生すると思うのですが、そういう点からも、この大事なポイントを、接続をどこにするという問題についての結論は、私はむしろ遅きに失しておるのじゃないかという感じがするのですが、現在その計画を説明せられる段階にないとすると、一体いつごろ計画をお決めになる予定ですか。
  258. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 先ほどちょっと若干あいまいな答弁を申し上げましたが、基本計画に南インターの位置は国道十一号バイパスに取りつけるというふうに決められておりまして、国道十一号線との接続をしなければならぬわけでございますので、現在直轄で十一号バイパスの建設が進められておりますので、それに取りつけるということですと、おのずからの位置が大体決まってまいるわけでございます。設計上若干の移動は、位置の変更はあると思いますが、いずれにいたしましても十一号バイパスの場所に取りつける。それからやや南に下がって、まあ将来先ほど申し上げましたような横断道路の位置がはっきり決まりますと、ジャンクションの位置はまだ今後若干流動的でございますが、決まるわけでございます。  それから、その横断道路の西寄りに、約十キロぐらい離れた位置で善通寺のインターチェンジができるわけでございまして、これらはいずれも基本計画に決められておりまして、両インターチェンジの間は約十キロ前後の距離があるわけでございますので、高速道路のインターチェンジの間隔といたしましては、まあ内地の本州側の高速道路のいろいろな計画のインターチェンジの平均の間隔距離からいいましても、おおよそ妥当な位置間隔というふうに考えておるわけでございます。
  259. 久保等

    久保(等)分科員 現在は善通寺−高松間の横断自動車道については、目下基本計画という段階で、これが最も近い将来、整備計画に決定を見るのだろうと思うのですが、またそういう方向に当然持ってまいらざるを得ないという状況にあると思うのですが、この計画そのものは一体どういう見通しですか、整備計画に決定せられる見通しというものはいつごろになる予定ですか。
  260. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 これは、先ほど御説明申し上げましたように、現在鋭意路線計画をしぼっておる段階でございますので、県と協議しまして早急にこの路線を確定したいというふうに考えております。
  261. 久保等

    久保(等)分科員 御承知のように非常に狭隘なところでして、県下全体が大体狭隘でして、人家がほとんど密集していると言ってもいいほど非常に人口稠密の地帯だけに、この路線の問題も非常にむずかしいと思うのですが、しかし、それはむしろおくれればおくれるほどよけいむずかしくなっていくわけですから、そういう点からも、この整備計画に切りかえるという問題が当面の焦眉の問題じゃないかと思うのです。それと同時に、いまお尋ねしておる例の本四架橋と横断自動車道との接続位置も、おのずからといいますか、当然その機会には決定をせざるを得ないと思うのです。  いずれにしても、現在のような宙ぶらりんになっておるような形で、片方、善通寺−豊浜間はいろいろかんかんがくがくの御意見もあるわけですし、片やまた本四架橋の方も、これまた環境アセスメント問題そのものが非常に地元で議論せられて、また御意見も出て、目下公団の方で実は取りまとめ中という段階にあるようですが、したがって私は、そこのところが不明確でありまするがために、横断自動車道の方が準備として本四架橋に比べて非常に立ちおくれている、そういう感じがいたしますし、同時に決定をしなければならぬ問題が何か取り残されておるといったような感じで、非常にこの全体計画そのものを総合的にながめるということができない、そんな感じがいたします。  それから、いまお話があった善通寺と坂出の南インター、この間はまあ十キロ程度あるようなお話ですが、正確には十キロ少し欠けるのじゃないかと思っています。恐らく八キロないし九キロ程度ではないかと実は思うのです。そういったところから考えますと、果たしてインターをその間で二カ所設ける必要があるのかどうか、こういうことにも若干検討を要する問題があるのじゃないかと実は思っておるのです。そういたしますると、五十三年度あたりにはいま申した接続地点あるいは整備計画といったようなことに切りかえられてまいるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  262. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 現在整備計画策定のための調査を地方建設局で進めておるわけでございまして、整備計画を決める問題は、実は全国にいろいろ、まあここ数年整備計画の延長がなかったために要望が強いわけでございますが、現在いろいろ作業をいたしておる段階でございまして、どの区間の整備計画を決めるかということは現在まだ白紙の状態でございますので、いつの時点にということはちょっといま申し上げられない段階でございます。
  263. 久保等

    久保(等)分科員 特に早急に御決定になる必要があると思っていますし、その点は特にお考えを願いたいと思っております。  それから今度は、坂出の北インターのことについてちょっとお尋ねしたいと思うのですが、現在の計画では、海面から上がってきて最初の陸地に取りつけたところに聖通寺山という小さな山があるのですが、この山のところは、その山の中腹を東側に迂回して南の方に延びていくという計画のようでございまして、それで、北のインターを東面についてだけ出入りができるようなものをつくろうという計画のようなんですが、西側の方、すなわちもうすぐ隣に、まあ坂出の一部と言ってもいいのですが、宇多津だとかあるいは丸亀、さらには多度津と、ずっとあの沿岸には都市が並んでおるわけなんで、この方面に対する出入りという問題は考慮に入れてない、そういう形の、まことに東側だけの簡単なインターを考えておられるようですが、そこいらのことについては当然西側の方面を考えたインターをつくらざるを得ないのじゃないかというふうに判断されるのですが、どんなふうにお考えですか。
  264. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 本四架橋の坂出地域の取りつけにつきましては、その地形上の問題あるいは都市の配置といったようなことから、考え方が幾つかあるかと思いますが、現在私ども考えておりますのは、大体十一号線との接続、これをもう本来的なインターチェンジの位置というふうに考えておりまして、それに対して、やはりそれだけでは坂出、丸亀方面への臨海部へのサービスが非常に悪いということから、片側のランプでございますが、坂出側に一応取りつけた形の北インターというものをあわせて考えておるわけでございまして、御指摘のように北インターの形はハーフインターでございまして、臨海部の交通サービスを図るためにつくるわけでございますが、方向としては丸亀方向へのサービスは若干悪いということはございます。  しかし、この辺は御指摘のようにああいう市街化された区域の中に山があって、環境上の配慮もありますし、相当大きな面積を使ってのインターチェンジというのが坂出の北インターではとりにくいというような面もありまして、こういった形のインターチェンジをつくることを計画いたしておりますが、これはインターチェンジとしてこういった僅々二、三キロの間に二カ所設けるというような比較的変則な形ではありますが、あの地域のサービスを考えますとこれが一番妥当な形ではないか。  そのほかにも、あそこに国鉄の予讃本線が東西に走っておるというようなことで、臨海部と内陸部の南北交通が鉄道に遮断されている現状を考えますと、やはり南北に強い幹線道路を整備する必要がある。そのかわりの機能と申しますか、南北接続機能を果たすということにもなりますし、それから十一号バイパスはいま完成されつつあるわけでございますが、将来はこの十一号バイパスを使っての乗り入れというのが非常に多くなるのではないか。国道のネットワークとの接続は、この本四架橋ルートとしてはまず第一に考えなければならぬ問題でございまして、そういうことからこれは絶対必要だ、その上さらに臨海部のサービスがあった方がベターであるというような判断から、こういった形のインターチェンジがあの地域のサービスとしては一番望ましい形ではないかというふうにわれわれは考えておるわけでございます。
  265. 久保等

    久保(等)分科員 いま私が申し上げた西側の各都市といいますか町、これは特に塩田が廃止された跡地、これが西の方にずっとあるわけなんですが、こういったところが当然、何らかの形で非常に将来は市街地になってまいると思うのです。それから、あるいは工場等の進出されることも予想されますし、いずれにしても現状ではない、非常に変わった沿岸が今後栄えてまいるという状況考えますると、私は当然西側に対する配慮というものがなされなければならぬと思っていますし、これはぜひ十分にお考えを願うとして、その問題についてここで結論的なお話を伺おうとは思っておりませんが、十分にひとつ長期的な展望に立った計画をお立てになる必要があると思うのですね。  きょう、あすのことだけ考えますると、確かに現在は塩田が廃止せられたという跡地でして、建物もございませんし大した町ではないという印象を持たれるでしょうが、とにかく本四架橋という十年後に大体完成を見ようとする施設、しかもこれが永久施設として画期的な大事業でありまするだけに、長期的な展望をひとつ十分に考慮に入れられて計画をお立て願いたいと思っております。  それから、その聖通寺山という山のところ、いま申し上げましたように東側の方を通るという計画のようですが、この聖通寺山のルートをトンネルでもってやはり南へ抜ける、こういったやり方の方がもちろん土地面積も少なくて済むわけですし、特に東側を回りまするとずいぶん民家があるわけです。住宅地があるわけですし、そういった方面に対する公害、あるいはまた遠くからの景観というものに対しましても、トンネルであればもちろん隠れてしまうわけですが、露出をして山のちょうど中腹を取り巻いたような形になる計画になっておりますが、そこらの問題は、特に公団側に対しまして強い地元からの要望がかねがね出ておる問題でありますが、これまた私は、御検討をいただくに値する重要な問題ではないかと思っておりますが、局長どういうようにお考えになりますか。
  266. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 御指摘のように、聖通寺山のルートについての地元の要望があることは承知しております。われわれの選びましたルートは、聖通寺山の東側の端部、それからその山の西側端部を橋梁で一応通るという形で、坂出、宇多津町の人家密集地を可能な限り避けてルート設定を行ったものでありまして、環境上の問題となる個所については、必要に応じて環境施設帯、遮音壁の設置など、十分な環境対策を講じる考えでおるわけでございます。  聖通寺山の景観破壊は、道路が高所を通りますので大きな切り取りにはならないというようなことで、景観との調和を図るために緑化修景などの対応策を図っていけば、景観上の問題はないのではないか。  一方、トンネル案についても検討を行ったわけでございますが、これにつきましては、インターチェンジの関係でトンネル内にランプが入るというような交通安全上の問題があるということと、聖通寺山を抜けて南側の坑口の部分が環境上いろいろ問題があるのではないかというようなこともございまして、現ルートがあの地域の環境対策等を考えましてベターなんではないかというふうに考えておるわけでございます。
  267. 久保等

    久保(等)分科員 いまの御説明で、特に景観の問題にしましても、単に山を削り取る部分が比較的少ない、またできるだけ少なくするんだということで、景観が保全できるとは考えられないのです。騒音と同時に、山を取り囲んだような形でずっと道が中腹にできるわけですから、遠くからながめても、そういった露出した道路があるのとないのとでは、聖通寺山そのものの景観というものはこれはおのずから違ってまいりますし、それらの問題についても、これはぜひなお一層十分に長期的な展望に立って御検討願いたいと思います。  時間もありませんから、ひとつ運輸省の方にお尋ねしたいと思うのですが、あれだけの大プロジェクトで本四架橋が道路並びに鉄道併用でできるわけですが、もちろんこれは岡山側の方にも問題があって、現在明確になっておらないようですが、四国側の場合には、特に四国自体としての関門駅というかターミナル駅、そういったものが構想として当然あるはずだと思うのですが、これまた全然その点が明確にされておらない。私は、環境アセスメントの問題にいたしましても、同時に道路の問題、橋の問題について、いろいろと地元の意見が反映されておりますが、鉄道の問題についても相並行して、これらの問題がやはり地元の意見として十分に吸い上げられてまいらなければならぬと思うのですけれども、これが一体どういう計画になっておるのか。時間もありませんから簡単に……。
  268. 岩橋洋一

    ○岩橋説明員 本四連絡橋の鉄道線路は、一番四国寄りのつり橋でございます南備讃瀬戸大橋のところで、航路確保のために水面上七十メートルという高いところを通っております。これから千分の十で陸上部に向かって下りまして、高松方へ行く線路と多度津方へ行く線路とが分岐する形になっておりまして、     〔兒玉主査代理退席、主査着席〕 四国側の関門の駅と申しますか、いま先生のおっしゃいました第一の駅は、旅客の利便、勾配、曲線、そういった物理的な条件考えまして、それから駅前広場等を含めました駅用地の確保という点を考慮いたしまして、宇多津町内の塩田跡地に駅を設置することにしております。
  269. 久保等

    久保(等)分科員 それらの問題に対して、いろいろ環境アセスメント等の問題についての取り運びはどんな予定でおられるのですか。
  270. 岩橋洋一

    ○岩橋説明員 これはすでに工事実施計画の中に入っておりますので、環境アセスメントの対象になっております。
  271. 久保等

    久保(等)分科員 それでは、時間がないですから、私締めくくり的にちょっと要望も申し上げておきたいと思うのですが、環境アセスメントの問題については、本四架橋の問題に関連して、特にいま私が指摘いたしましたインターチェンジの個所、それからルート変更の問題、そういったことを中心にして本四架橋公団の方でいろいろ進めてまいられたようですが、やはり公害問題等についての調査も二日くらい実測をやられたりした等のことがあるようですが、公害問題等について二日程度で調査をせられる、あるいは実測をせられるという程度では、公害の実態を予測することは非常に困難だと私は思いますし、そういった点で非常に地元の住民の方面でも不満が強いようです。あるいはまたルート変更の問題にいたしましても、これはなお念には念を入れて十分に調査していく必要があるのではないかと私は思っております。というのが、この施設がとにかくでき上がれば永久施設になるわけですし、そういう点から、あらゆる角度からひとつ御検討を願うことが必要ではないかと思うのです。したがって、十分に地元の理解と納得が得られない状態で持ってまいりますことは、悔いをずっと後に残してまいると思うのです。  そういう点では、今後ともそういったアセスメントの問題については、何月何日をもって終わるということではなくて、これからまだまだ相当長期にわたっていろいろな準備を必要とするわけですから、そういう中で現実的に対応していただく、このことをぜひひとつお願い申し上げたい。したがって、建設省はもちろんのことでございますが、実際実施をせられる本四架橋公団並びに道路公団の関係にその点ぜひひとつ御善処を願いたいと思うのですが、大臣なりあるいは総裁の方からその点についてのお答えをいただきたいと思うのです。
  272. 尾之内由紀夫

    ○尾之内参考人 いろいろお話しございましたインターの問題でありますとかあるいは計画の問題、現地ですでに前から御意見が出ておりまして、私どもの方でも検討いたしました。県なりあるいは市の御意向等もいろいろお聞かせいただいた結果、いままで私どもが提案しておりました線が一番総合的にいいだろうというようなことで、それに基づきましてアセスメントもやっておる次第でございます。もちろんこれは現実には関係地元住民といろいろ密接な関係がございますので、私どもは今後とも関係市、町等と連絡をとりながら、また地元の住民の方々とはお話し合いをしつつ、地元の了解を得るよう最善の努力をするつもりでございますが、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。そういう決意でいい架橋といいますか、それができることを期待しておるわけでございます。
  273. 久保等

    久保(等)分科員 結構です。
  274. 藤田義光

    藤田主査 以上で久保等君の質疑は終了いたしました。  ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  275. 藤田義光

    藤田主査 速記を始めて。  次に、井上一成君の質疑に入るのでありますが、同君の質疑に対し、参考人として日本住宅公団総裁澤田悌君、理事有賀虎之進君及び理事江里口富久也君が御出席になっております。  なお、御意見質疑をもって聴取することといたします。  井上一成君。
  276. 井上一成

    井上(一)分科員 昨日、日本住宅公団の賃貸住宅値上げ案を、一部条件づきではありますが、建設大臣が御承認になられたわけであります。そこで、私は住宅公団にこの値上げの問題に関連して二、三御質問をいたしたいと思います。  家賃の積算の基礎の原則として、個々の原価を主体に置いた原価主義で積算をすると理解してよろしゅうございますか。
  277. 澤田悌

    澤田参考人 結論を申しますとそのとおりでございますが、ただ新たに建設されます公団住宅家賃の算出方法は、御承知のように、公団法施行規則第九条の規定に基づきまして、建設に要する費用を償却期間中年利率五%以下で元利均等に償却する額に、修繕費その他をいろいろ加えて公団が定めるということになっておりまして、これが御指摘の原価方式と言われるものでございます。  ただ家賃の算定に当たりましては、実際の借入金利を下回る年利率、五%以下でございますが、四・五%または五%で、償却期間も非常に長い七十年間という、低利かつ長期にわたって償却するということになっております。実際の借入金と回収金利の差額は国の一般会計から利子補給を受けるという仕組みでございます。これは御承知のとおりでございます。近年高額化いたします家賃対応して、入居当初からの家賃負担の軽減を図るためにいろいろ財政上の措置を加えておりますので、原価家賃ではございますが、かなり政策の入ったものと理解する方が正確ではないか、かように考えておる次第でございます。
  278. 井上一成

    井上(一)分科員 政策的なものである、それはあくまでも物価を抑制していくという政策に力点を置いた御発言だというふうに私は理解をし、基本的には原価主義であるというお答えだと受けとめてよろしゅうございますか。
  279. 澤田悌

    澤田参考人 よろしゅうございます。
  280. 井上一成

    井上(一)分科員 そこで、私はさらに公団は営利を目的としない企業だというふうに受けとめておりますが、これまたその私の受けとめ方でよろしゅうございますか。
  281. 澤田悌

    澤田参考人 そのとおりでございます。
  282. 井上一成

    井上(一)分科員 さすれば、今回の値上げの基礎はもちろん公団経営体質それ自体に大きな要因があるわけだと私は思うわけでありますけれども、ごく簡単に要点だけ、値上げの基礎をひとつお教えいただきたいと思います。
  283. 澤田悌

    澤田参考人 担任の有賀理事が参っておりますので、御回答いたします。
  284. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 先生御承知のように、公団住宅は、空き家家賃として改定されたものを除きまして、ずっと家賃の改定をいたしていないわけでございまして、その結果、古いものと新しいものとの間には相当な格差が生じておる。それからまた負担の面から見ましても、私ども従来から勤労者の平均所得に対しまして大体一六%前後というようなことでやってきたのですけれども、そういう負担の面から見ましても、古いものは負担が一%にも満たないものもできているというような状況でございます。そういうようなこと。また一方、公営住宅も近年家賃の改定が行われまして、本来、政策的には公団住宅よりも、所得の階層からいいますと低いものを対象にするわけでございますけれども、それとの間でも家賃の逆転現象がある。こういうことから、先日、住宅宅地審議会でもってこのような不公正を是正しなさいというような御指摘もございました。そういった意味で、今回はそういった不均衡を是正するというような観点に立って家賃の改定を行いたい、こういうように考えたわけでございます。
  285. 井上一成

    井上(一)分科員 私は、基本的に原価主義をそのベースにした家賃積算である、さらにそれを物価抑制策という一つの政策的な形を取り入れて家賃を算出していくんだ、そういうことで、新しく建設をされた公団との格差についての問題は家賃を積算する基盤にはならないと思うのです。個々の団地については、原価主義にのっとった家賃収入でもって採算が合っておるという団地が随所に見受けられると私は思うわけであります。  そこで、具体的にきょうはお尋ねをいたします。大阪吹田市の竹見台団地では十分収支バランスがとれていると私は理解をしているわけであります。竹見台団地での家賃収入は、公団側の資料で当初家賃で年間五億の家賃収入が見込まれているわけであります。しかし、実際には年一〇%程度の退居率で四十八年から割り増し家賃実施していますので、これを含むと現実的な家賃収入は五億六千万程度になると思うわけであります。この家賃収入に対して、公団側の資料をもってしてもその支出は四億七千二百万円であるわけであります。そういう現実的な数字を私は申し上げて、なおかつこの団地値上げを必要とするのか、あるいは私が申し上げたこの数字が、さらに詳細を申し上げたいわけでありますけれども、このような数字に間違いがないわけでありますから、公団側としてこのバランスをどのように受けとめていらっしゃるのか、お聞かせをいただきたいと思うわけです。
  286. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 私ども家賃の算定は、先ほど総裁から御説明申し上げたとおりのような方式によりまして算定しているわけでございますけれども、当公団家賃は一応そういうような基準によって算定いたしておりますけれども、私ども家賃はその団地の収入をもって年々その団地の支出を賄っていく、こういうふうな家賃の仕組みにはなっていないわけでございまして、先ほど総裁申し上げました、原価をもとにして政策的な配慮でもって家賃を決めていくということは、一定の基準によってやっていくということでございまして、言ってみれば実費精算的なといいますか、そういう意味での家賃の個別団地ごとの算定ではございません。  そういう意味におきまして、必ずしも先生おっしゃっているような数字、全く手元に具体的な明確な数字は持っておりませんけれども、あるいはそういうような状況がございましても、今回の値上げにつきましては、先ほど来御説明申し上げましたように、古いものについて不均衡の是正を図るという観点からやっているわけでございまして、仮にその団地について詳細な検討をした場合に、あるいは収入が支出を上回るというふうな状態がある場合におきましても、今回のような考え方に立った家賃変更はやはり考えていかなければならぬのではないか、こういうふうに私ども考えているわけでございます。
  287. 藤田義光

    藤田主査 速記をとめて。     〔速記中止〕
  288. 藤田義光

    藤田主査 速記を始めて。
  289. 井上一成

    井上(一)分科員 私はいま竹見台の資料をお渡しいたしました。現実的に原価主義という形の中では、個々の団地においての収支が明確でなければいけないわけです。いまお渡ししたように、全くその団地は黒字なんです。むしろこれは取り過ぎだ。原価主義の家賃積算の考え方からいくと取り過ぎているのですよ。住民にその分だけ返却しなければいけない性質のものなんです。あるいはそれをプールしておく、積み立てておく、それをその団地の必要なときに必要経費として充当していくというならまだわかるわけですけれども、極端な言い方をすれば、その黒字分は積み立てていらっしゃるのかどうか、あるいは私がいま出した資料、その金額をどこに使っていらっしゃるのか、お聞かせいただきたい。またそれ以外に竹見台の場合は環境整備費として年一千二百万円以上の収入があるわけです。これらはどうなさっているのですか。どこへお使いになっていらっしゃるのですか。
  290. 澤田悌

    澤田参考人 先ほど有賀参考人から申し上げましたように、公団経営におきまする収支は団地ごとに採算をとっているというものではないのでございます。先ほどの原価主義の原則でございますが、それにいろいろの政策的配慮を加えまして公団全体の家賃のあり方というのを決めておるのでございます。この先生にいただきました資料、これは私の方の関西支社から差し上げたものかと思いますが、これは平均の数字であろうと存じます。たとえば具体的に竹見台は五億円ということでございますが、実際に私大急ぎでその資料を整理いたしてみますと、これは若干数字が違いまして、たとえば公租公課等におきましても違っておるのでございます。これは後で差し上げてもよろしゅうございます。そういうことで……(井上(一)分科員「あなたのところの資料だ。関西支社から出した資料がどうして違うのだ。竹見台と書いてありますよ」と呼ぶ)
  291. 藤田義光

    藤田主査 ちょっと、発言を求めてください。
  292. 井上一成

    井上(一)分科員 はい。
  293. 澤田悌

    澤田参考人 最近の詳細に実際の家賃を算定したものと若干の食い違いがございます。これは団地ごとに黒のところもあれば赤のところもある、団地ごとの単独決算でやっておるのではないという点を御理解願えれば、私の申す趣旨をおわかり願えるかと思う次第でございます。
  294. 井上一成

    井上(一)分科員 公団の関西支社から資料として私がちょうだいをした数字をいまお渡しをしたわけで、それが間違いだというのは本当にばかげたお答えになるわけですよ。五億以上の収入があるのですよ、総裁。だから、普通の企業にすれば利益を上げているというふうに理解ができるような、家賃収入だけで黒字であるという団地があるということをお認めになられますか。一言。
  295. 澤田悌

    澤田参考人 ただいまちょっと言葉が足りませんで、その点はおわびいたしますが、ただいま申しましたように、団地ごとに黒字のところもあれば赤字のところもある、それからその程度もいろいろあるということは御指摘のとおりでございます。
  296. 井上一成

    井上(一)分科員 そういうことは本来なら入居者に十分説明をしなければいけない。そうしてこれは、私は一特定の団地を挙げて指摘をしたわけでありまして、まだまだたくさんの団地がこの竹見と同じような状態であるということをここで申し上げておきます。  さらに、個々の入居者に対して今回の家賃改定、引き上げに関しての説明会というか、話し合いというものが持たれていないわけでございますけれども、なぜ持たないのか、なぜ話し合いの場をつくらないのか、そしてそのような誠意ある姿勢をお持ちであるのかどうか、この点についてお尋ねをいたします。
  297. 澤田悌

    澤田参考人 公団といたしましては、これまでも居住者の方々に十分な御理解を願うために、何回もパンフレットあるいは「営業所だより」ということによって家賃値上げ趣旨、方法等についてお知らせをいたしておるわけでございまして、今回その申請について御承認をいただいたわけでございます。国会のいろいろな御要望の線に沿った、御指示の入った御承認をいただいたのであります。  それから、近く個々の具体的な家賃値上げ額を入居者の方々にお知らせするという手続になるわけであります。こういうことによってだんだんと御理解を得てまいれると思うのでありまして、今後も手を尽くしてこの趣旨の徹底には努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  298. 井上一成

    井上(一)分科員 総裁は、常に最大努力を払っております。あるいは誠意を示しますということをよくおっしゃられるわけですけれども、実際は三回ばかり団地にビラを配ったということなんです。私は、それは最大努力だとは思いませんし、それが誠意だとも考えておりません。個々の団地へ出向いて行って、入居者と担当の方々、関係者が話し合うことが誠意であり、またそれが、家賃値上げに関しては借家法の基本的な精神からいっても当然でありますし、もう一つは、同じ建物、同じ団地の中でも家賃が個々に違うわけですね。具体的にいま同一条件の住居で、八十七世帯中十四種類の家賃に分けられているのがあるわけであります。だから一律値上げの理由説明というのは、本来からいけばできないわけなんですけれども、そういうことを考えても当然個々に話し合い、説明を持たなければいけないわけでありますし、個々の入居者が理解をしなかった場合には、これは徹底が図られないわけでありますし、その場合には公団側としてどうなさるおつもりなのか。むしろ公団側から積極的に話し合いに参加をすべきではないかと思うわけですけれども、もう一度この点について公団側のお考えを聞かせてください。
  299. 澤田悌

    澤田参考人 家賃の改定にはいろいろの方法があるわけでございますが、今回の方法は、御承知のような公営限度額方式というものに準じまして改定を行うものでございまして、一律な原則によるわけでございます。しかし、それではじきますと、御指摘のようにいろいろの違ったものもあると思いますけれども、これから具体的に家賃の額をお知らせいたしますので、それによってさらに御理解が深められるのではないか。  それから、何かこういうことが世間に頻繁に行われるんじゃないかというような御心配もあるようでありますが、こういう一斉改定がそう頻繁に行われるものではないということも、いままでの経過で御理解願えていると思うのでありまして、今後もできるだけいままでの手を尽くし、それから自治体等とも従来どおりよく話し合って、一層この趣旨の周知に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  300. 井上一成

    井上(一)分科員 方法として個々にお知らせをいたしますというその方法は、どのようにして知らされるわけですか。
  301. 澤田悌

    澤田参考人 書面によりましてお知らせをすることになります。三十数万人の方々に全部書面でお知らせいたす手続をいま進めつつあります。
  302. 井上一成

    井上(一)分科員 なぜ入居者とひざを交えて話し合いをするというお考えを持たないのですか。物理的に一定の限界というものはあると思います。あると思いますけれども、なぜそういう姿勢をお持ちにならないのか。一枚の書面で事足りるというふうにお考えなのですか。
  303. 澤田悌

    澤田参考人 ひざを交えるという御指摘はよくわかるのでありますけれども、四十万に近いお客さんとの関係でございまして、そういう行き方は方法としてなかなかなじみにくい点もございます。それで、一般的にお知らせできる方法を手を尽くして今後も努めてまいりたいと考えておりまして、支社ごとに御相談の窓口を増加しまして、電話も増加しました。今後、個々に新しい家賃をお知らせすればいろいろとお尋ねもございましょう。そういうことに対する御説明や応対にも努めてまいる考えでおる次第でございます。
  304. 井上一成

    井上(一)分科員 私は、そういう公団の物の考え方が、欠陥住宅を初めとして、本当に住まいをしていらっしゃる方の実態、実情というものが把握できない証拠だと思うのです。  そこで、建設大臣にお伺いをいたします。  いま私は総裁質問をいたしておりましたが、入居者に対する話し合いをし、かつまた入居者の実情あるいは公団の実態をひざを交えて話し合うのだという姿勢が見られないわけでありますけれども、昨日御承認になられた大臣としていかがでございますか。こんな形が本当に国民の住宅政策に対する取り組み方として納得がいけるとお考えなのでしょうか、大臣の御所見を承りたいと思います。
  305. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私、就任後三カ月をちょうど経過いたしました。就任と同時に、当時住宅公団値上げの方針を持って書面をいろいろ出されておる、こういうことから、全国の団地から多くの陳情書をちょうだいしたわけであります。また、そうでなく、個々にお手紙もちょうだいいたしました。それは前大臣以来相当の数に上っておると思いまするが、一月六日以降、いよいよ申請があったということで、またこれはおびただしい書面をお受け取りして、トラックいっぱいも持ってきていただいた場合もあるわけであります。そして、私だけでも居住者の方々の代表と何回お会いしたか、ちょっと記憶にないぐらいでありまするし、また、各政党の代表の方々、そういう方々ともお会いをいたしたわけであります。そして衆議院、参議院におきましても、委員会の協議をお願いをし、また、理事会等からの決議もちょうだいいたしました。  その間をずっと総合しまして、これは私申し上げたことが何遍もあるのですが、全く私の知らないようなことも刷り物などに出ておって、それを一々事務当局に、これはどういうことだということまでもやってきた経緯がございまして、私は、相当に今度の家賃値上げの問題が徹底しておる。また、いま、いよいよいろいろと手を入れての認可ではございました。本筋が大きく動いておりませんから何か御批判があるようでございまするけれども、しかし、いろいろ協議をする間に、公団経営の実態であるとかあるいは団地サービスの会社の実情であるとかも、いろいろなことが全部解明されて、これが将来に向かって非常に役立つものであるというようなことをも全部総合してみて、まず私は、そう御批判を受けることではないのじゃないかというふうに受けとめておるわけであります。
  306. 井上一成

    井上(一)分科員 大臣批判を受けないという値上げの問題もさることながら、公団の取り組み方を大臣に私はお尋ねをしているわけなんです。これは大臣、監督省庁の大臣、所管の大臣として、国民から、住民から寄せられた大臣あてのその書面の重みを十分に感じていただきたい、私はこう思うのです。その重みを感じるならば、もっと居住者に対する取り組みを公団側は考え直すべきだ、こういうふうに思うのです。いかがでしょう。私の考えについて、もっともであるのか、私の言っていることは無理なのか、もう一言で結構です。
  307. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私は、恐らく、ここに総裁以下おられて、そしていろいろの論議というものが反省にもなり、今後の経営の上に自分らが考えなければならないいろいろな問題点を受けとめられたものと思いますが、私も監督官庁として、いまの御指摘につきましては今後も留意してまいりたいと思います。
  308. 井上一成

    井上(一)分科員 そこで、もう一点。  同じ千里の団地の中で、いわゆる星型住宅というのが四十六年に建設をされておるわけなんですね。この星型住宅の二DKの端の住宅の非常口がないわけであります。本来好まないことですけれども、火災が発生をした、そんな緊急な事態が起きたときの避難経路は全くもって十分でないわけであります。こういう実態を御承知なのでしょうか。
  309. 江里口富久也

    ○江里口参考人 先生御指摘の過去のスターハウスについては、いま行っておるような二方向避難という設計指針がございませんでしたので、階段が一つだけで避難することになっております。現在は、そういうスターハウスだとか階段が一つのものは、別の避難経路、たとえばバルコニーに避難用マンホール等で対処するとか、それからその階段室が別室になって煙が上階に行かないような設計にするとか、いろいろ配慮をされております。過去のものについてはそういうものがあったことは事実でございます。
  310. 井上一成

    井上(一)分科員 いわば緊急避難時に備えて非常に欠陥とも言えるわけなんですが、この団地はそれに対応のできる対策というものがなされていないわけです。いかがでございますか、対応するお考えがあり、あるいはこの現地を十分調査をされて、それに見合った対策をお立てになるお考えがおありでしょうか。
  311. 江里口富久也

    ○江里口参考人 先生御指摘のように、十分調査いたして検討したいと思います。
  312. 井上一成

    井上(一)分科員 それでは、私がいま指摘をいたしました千里竹見台団地の星型住宅については、調査をしていただけますね。
  313. 江里口富久也

    ○江里口参考人 調査をいたします。
  314. 井上一成

    井上(一)分科員 さらに、私は、日照権の問題について若干触れておきたいと思うわけであります。  これは、私自身も現地を確認いたしております。いま申し上げた千里竹見台団地の中で、いわゆる北側に位置する一階については、最悪の場合は二時間程度しか日照時間がないということであるわけでありますけれども、このことについても同時に調査をしていただけるでしょうか。
  315. 江里口富久也

    ○江里口参考人 調査をいたします。
  316. 井上一成

    井上(一)分科員 私は、いまも前段で指摘をいたしましたが、居住をされる住民の方々、国民の皆さんに十分納得のいただけるような取り組みを総裁以下関係各位に特に強く要望をし、そうして調査を一日も早く実施していただくことを、これまたお願いをしておきます。そして、大臣から御答弁があったその意を十分くみ取られるように、これまた私から進言をしておきたいと思うわけであります。  もう一点、私は今度は建設省にお尋ねをいたします。  いま、大阪府と兵庫県の境、いわゆる大阪の北部でございますが、北部全般にわたって非常に地域開発が進み、都市化が激しくなっておるわけであります。具体的には大阪府の池田市、能勢町、豊能町、あるいは兵庫県の川西市を中心として、その周辺が目まぐるしい都市化の現象があるわけであります。その地域に住まいをされる住民の方々には、生活の幹線道路として国道百七十三号線、そして同じく百七十六号線を主として生活圏の中で利用しているわけであります。  ところが、いま申し上げたように非常に地域開発が進んだものですから、交通渋滞が激しくて、その交通麻痺は住民の生活に大変な障害になっているわけであります。この渋滞解消対策と申しますか、その地域の住民の足の利便をどのようにお考えになっていらっしゃるのか、あるいは具体的にどのように取り組みをなさっていらっしゃるのか、詳細にお聞かせをいただき、そして十分な対策を一日も早く立てていただくことを私はここでお願いしたいわけであります。お答えをいただきます。
  317. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 百七十三号、百七十六号の池田市、川西市周辺地域は、御指摘のとおり大変混雑をしております。現道拡幅による改築は非常にむずかしい地域でございますので、関連道路網の整備、鉄道輸送と一体的な総合的な対策が必要であるというふうに考えております。  そこで、大都市幹線街路調査という調査費を、五十一年度から三カ年、約二千万の予定でございますが、それで調査をいまやっております。この調査の結果をまちまして総合的な対策をやってまいりたい、かように考えております。
  318. 井上一成

    井上(一)分科員 私の質問をこれで終えます。
  319. 藤田義光

    藤田主査 これにて井上一成君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして昭和五十三年度一般会計予算昭和五十三年度特別会計予算及び昭和五十三年度政府関係機関予算建設省所管についての質疑を終了いたしました。     —————————————
  320. 藤田義光

    藤田主査 次に、昭和五十三年度一般会計予算昭和五十三年度特別会計予算及び昭和五十三年度政府関係機関予算国土庁所管について説明を聴取いたします。国土庁長官櫻内義雄君。
  321. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 総理府所管のうち国土庁昭和五十三年度一般会計歳出予算について、その概要を御説明いたします。  国土庁一般会計歳出予算は、二千四十一億四千余万円を予定しておりまして、前年度(補正後)予算に比べ三百六十八億四千八百余万円の増加となっております。  その主要な内容は、第一に、第三次全国総合開発計画を実施するための調査及び調整等の国土計画の推進、第二に、地価の安定、適正な土地利用の確保等の総合的土地対策の推進、第三に、水資源の開発、水源地域対策の促進等の水資源対策の推進、第四に、良好な都市環境の整備を図るための大都市圏整備の推進、第五に、人口の地方定住を促進し、国土の均衡ある発展と活力ある地域社会の形成を図るための地方振興の推進、第六に、地方都市の開発整備、工業の再配置及び産炭地域の振興を図るための地域振興整備公団の事業の推進、第七に、国土を保全し、国民の生命、財産を災害から守るための総合的災害対策の推進であります。  国土庁予算の重点施策の概要につきましては、お手元に配付してあります昭和五十三年度国土庁予算概要説明によりまして御承知願いたいと存じます。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  322. 藤田義光

    藤田主査 以上をもちまして説明は終わりました。     —————————————
  323. 藤田義光

    藤田主査 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。  まず、竹内猛君の質疑に入るのでありますが、同君の質疑に対し、参考人として日本住宅公団理事檪原利嗣君が御出席になっております。  なお、御意見質疑をもって聴取することといたします。  竹内猛君。
  324. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 私は、筑波研究学園都市の建設をめぐっての諸問題について質問をいたします。  まず、長官にお伺いをいたします。国土庁長官建設大臣一緒ですから、ちょうどぐあいがいいわけですね。分かれているとはなはだぐあいが悪いのだけれども、これは一緒だから、あわせてしっかりした答弁をいただきたいと思います。     〔主査退席、兒玉主査代理着席〕  まず、現段階の筑波研究学園の進捗状況は予定どおりに進んでいるかどうか、その問題からお答えをいただきたいと思います。
  325. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 筑波研究学園都市の建設は順調に進んでいると思います。  新設または移転予定の研究教育機関の建設は、現在工事の最盛期の状況にありまして、四十三機関のうち二十三機関についてはすでに現地で業務を開始しております。  研究教育機関は、昭和五十年三月の閣議決定により、昭和五十四年度に概成することとなっており、この閣議決定を達成するよう建設を進めているところでございます。  公共公益的施設については、道路、河川、上下水道等の公共施設の整備をおおねむ完了しており、また、学校、幼稚園、保育所等の公益的施設については、人口の増加に対処しつつ整備を進めておるところでございます。  以上でございます。
  326. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 概成というお言葉がありましたが、概成ということはどういう意味か。概成と完成とどこがどういうふうに違うのか。
  327. 国塚武平

    国塚政府委員 概成の意味合いでございますが、御承知のとおり、筑波研究学園都市に新設または移転いたします各機関の概成時期につきましては、五十年三月十四日の閣議決定でそれぞれ決めておるわけでございますが、概成の状況につきましては、一般的には、当初予定をいたしました研究教育業務を支障なく現地で開始するために必要な施設が整備されている状態を指すように考えております。
  328. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 いま順調に進んでいると言われましたが、実は順調に進んでおりません。現地は大変迷惑をしておるところが幾つかあります。  まず、人口が順調に移っておるかどうか、そのことをお尋ねします。
  329. 国塚武平

    国塚政府委員 人口関係でございますが、私どもが調査をいたしました五十三年一月時点の人口でございますが、地区内人口の内訳を申し上げますと、移転機関等の職員二千五百七名、同家族三千七百八十五名、学生三千四百七名、その他五十五名、計九千七百五十四名が地区内に居住いたしております。
  330. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 私が聞いておるのはそういうことだけではなくて、たとえば桜村なら桜村という自治体に、何年には何人の人口が移転をする、だから、そこでは小学校をつくれ、中学をつくれ、いろいろなものを整備しろといって、その自治体では移転人口を予想して、それは確かに住宅公団が立てかえをしたかもしれませんが、やがてはこれは村の負債として支払わなければならぬ。そういう場合に、一つの例を桜村にとると、桜村の場合には五十三年の人口、ことしというか、これは五十二年度でありますが、二万一千人、これは当切の予想から言えば三万五、六千人になっていなければならない。五十五年には四万六千人にならなければならない。こういうことからいって、すでに一万数千人というのは桜村一つとってみても人口の移転がおくれている。したがって、そのために小学校を建てても生徒がそれに入ってこない。中学にもまた入ってこない。しかしながら維持管理はしなければならないというこの矛盾を、順調に行っているというようなことで言われると、これは地元ははなはだ迷惑します。その点について認めるか、認めないか。
  331. 国塚武平

    国塚政府委員 いま桜村の人口を仰せになりましたが、そのとおりでございます。想定の数字は、たとえば首都圏整備委員会事務局が当時述べた数字等がございますけれども、全体といたしましては、職員、家族、学生を含めまして四万人の移転を考えておるわけでございまして、個別に各市町村に何名ということはむずかしゅうございますが、いま先生がおっしゃいますように、そのような移転をいたします人員を基礎として施設計画が立てられるわけでございますので、その間に過渡的な問題が生ずる可能性があるという点は御指摘のとおりでございます。
  332. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 何がこの人口の移転を妨げているか。つまり建物が建った。確かに建っております。研究機関も建っていることは事実だ。道路も幹線はできております。それも事実です。しかし、それならばなぜ人間の移転がおくれているのか、この原因はどうです。
  333. 国塚武平

    国塚政府委員 施設との関係で申し上げますと、施設計画を立てます場合の人員の算定は、たとえば義務教育施設で申し上げますと、文部省が用いております義務教育学校の児童生徒の算定方法を用いて算定をするわけでございまして、それをもとにいたしまして地元町村が関係機関と協議して建設の規模を決めるわけでございます。  そこで、筑波研究学園都市の場合について申し上げますと、先生がおっしゃいましたような事情がございまして、私どもの調査によりますと、やはり特定の中学校などにおきましては在学者がその収容力に比べて少ないという状況がございます。これは、移転機関等の職員のうちすでに移転をいたしております者の平均年齢が、一般的に一般より低いという事情がございます。それから、子弟の教育問題あるいはその他の家庭の事情によりまして転入学等がおくれているという事情があろうかと思います。
  334. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 それは理由のうちの全部ではない。そのうちのごくわずかな一部だと私は思う。まだ言いたいことがたくさんあるけれども局長は大分遠慮しておられる。それも結構でしょう。だけれども、問題は、その受け入れる自治体が学校を建てたり保育所をつくったり、いろいろなものの設備をして、過剰設備でこの維持管理に非常に困っている。そのおくれている責任は一体だれがとるのか。自治体がとるのか、それとも責任ある官庁がとるのか。これは国の仕事ですから、いやしくも自治体に責任を持たせるようなことはいけないと思う。おくれたときの維持管理の責任はだれがとってくれますか。
  335. 国塚武平

    国塚政府委員 義務教育学校を設置する主体は地元町村でございます。そして、その事業を代替施行いたしますのは日本住宅公団でございます。したがいまして、その建設規模を決めます主体は自治体でございます。しかし、この自治体が設計をいたします学校に収容力と現実に就学する人間の差が出てくるのをだれが責任を負うかというお尋ねだろうと思います。  私は、細かいことを申し上げるつもりはございませんけれども、先ほど申し上げましたように、これらの学校の設計をいたします場合には、文部省の指導もございまして、義務教育施設の国庫負担法に基づきます小中学校の児童生徒のはじき方、算定方法に基づいてはじいておるわけでございまして、それで現実に差が出てくるということが起こってまいります。それはマイナスの面かとも思いますけれども、しかし、将来子弟が多くなった場合には収容しなければならぬという運命にある学校でもございますから、その間の調整をいかにうまく図っていくかという問題だろうと思います。  したがいまして、このような状態が起こりますのはいわば新都市建設の過程において生じます問題でございますので、私どもといたしましては、できるだけ就学者と収容力の差が大きくならないように、各省庁に対しまして、職員、家族の移転を促進していただくということを進めております。そのかたわら、過渡的には、就学者と収容力の差が一時的に大きくなるような学校が出てまいります場合には、個別に開校時期を調整するといったような措置によりまして、公共団体の負担が大きくならないような努力をしておるということでございます。
  336. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 いろいろお話がありますが、これだけやると時間がなくなるが、問題があります。その問題をさらに別な機会に追及しなければなりません。関係機関は、当初予定している人間の移動が前提になっていろいろな施設ができ、いろいろの計画ができているわけですね。それがそのとおり進まないということになると、大臣、それは順調に進んでいないということですよ。余り順調だというふうに思われたら困るのです。それだけは特に言っておきます。  続いて、この建設は特別立法ができておりますが、昭和四十五年だと思いましたけれども、あの二条七項あるいは七条というようなところには、項は別にしても、二千七百町歩の内部の建物の建設とそれから周辺開発地区整備計画ができるはずになっている。内部の方の建設はいま言うように概成と言われる形でかなり進んだかもしれないが、外部の整備計画というものは一体どうなっておりますか。
  337. 国塚武平

    国塚政府委員 筑波研究学園都市建設法に基づきます周辺開発地区整備計画のお尋ねだと存じます。  この計画は、昨年御指摘になりましたように、七条の規定によりまして作成することになるわけでございますが、御案内のとおりに、この計画は茨城県知事が関係市町村長の意見を聞いてつくることになっております。それで、この計画はもう少し早く作成すべきであったというおしかりはそのとおりだと思いますけれども、県当局の方でかねてから検討を続けておられまして、私ども承知いたしております範囲では、周辺開発地区整備計画のもとになる「筑波研究学園都市の新しい都市づくりの基本的方向」と題します計画の基礎資料をただいま県で作業を進めておられるわけでございまして、これをもとに周辺開発地区の整備計画を本年中にも県ではまとめたいというふうに伺っておりますので、私どもといたしましては、これを受けまして、その提出がございますればできるだけ早い機会に関係機関と調整をして承認をするようにしたい、こう考えておるわけであります。
  338. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 周辺というのは、どの辺を周辺と言われるのか。
  339. 国塚武平

    国塚政府委員 筑波研究学園都市建設法の定義で申し上げますと、周辺開発地区は、筑波研究学園都市の地域のうち研究学園地区以外の区域でございます。
  340. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 それは、具体的に市町村の名前を言えばどうなりますか。
  341. 国塚武平

    国塚政府委員 具体的に申し上げますと、筑波研究学園都市の区域は、筑波町等六カ町村の区域を研究学園都市の区域といたしておりますので、その中心にございます研究学園地区約二千七百ヘクタールを除いた部分、すなわち二万五千八百ヘクタールの部分が周辺開発地区に該当するというふうに考えております。
  342. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 それなら、土浦であるとかああいう六カ町村以外の周辺のものは周辺とは言わない、こういうふうに断定してよろしいか。
  343. 国塚武平

    国塚政府委員 そのとおりでございます。
  344. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 これまでもいろいろ投資をされてきました。その投資を一兆、こういうふうに計算がされていたと思いますが、いま七千数百億投資がされているはずです。これは変更して今後さらにふやすのか、それともそのような形のものをあと残りを埋めていくというのか、その辺はどうですか。
  345. 国塚武平

    国塚政府委員 これまでの投資額は、五十二年度までの予算の累計額で申しまして約六千八百億円、五十三年度予算案に計上されている分約千八百億でございますので、合わせますと八千六百億円でございます。今後筑波研究学園都市において実施いたします仕事の内容は、研究・学園都市建設推進本部の決定にもございますし、要綱にも決めてあるわけでございます。まだ残事業がございますが、それらの事業を完成するためにはなお相当額を必要とするというふうに考えております。
  346. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 先ほどから指摘をしているように、国の計画が三度、五十年、五十二年、五十四年、こういうぐあいに変わったし、またそういう変化がある。したがって、五十四年というのが一応のめどになっていて、それまでに概成をして公団が引き揚げる、こういう形になるわけですが、その間に関係六カ町村に対して特別交付金といいますか、筑波研究学園関係町村に対する交付金が毎年五億円で六十年まで出ております。これは金の値打ちがあるときにもないときにも同じであって、一つも変化がない。当初のときとまた十年目とは大分違うはずだ。こういう問題、あるいはまたその後においても交付金の問題について考慮されておるのか、その二点についてお尋ねします。
  347. 国塚武平

    国塚政府委員 ただいまお話の筑波研究学園都市対策特別交付金の見方でございますが、確かに維持管理等の経費を見ますと、累年単価も上がっておるという実情があろうかと思います。当初、この特別交付金の交付方法を決めますときに、後年度になるほど金額を多くしてはどうかという意見もあったわけでございますが、やはり初年度から五億円の交付が適当だというような県側の御要請もございまして、実は六十年まで十カ年全く同額の交付をするという形にいたしておるわけでございます。  それから、これの増額の問題あるいは期間、計画の問題につきましては、ただいまのところは増額ということは考えておりませんけれども、この要綱にも書いてあるわけでございますが、筑波研究学園都市における町村財政負担特別措置要綱によります現行の特別措置につきましては、その「実施後、なお筑波研究学園都市経営に係る財政運営に予想外の困難が生ずる場合には、その時点で別途検討する」ことにいたしたいと思っております。
  348. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 私は、やはり物価の変動に応じてこれは考慮してもらいたいということと、さらに延長を求めるということ、同時に、それを弾力的に、余りひもをつけないで、がんじがらめにしないで弾力性を持たせるという三つのことを要望します。  続いて建設省にお尋ねしますが、第三セクターの問題ですね。第三セクターの問題はこの委員会で年じゅう私は取り上げてきて、その性格、運用等々を取り上げてきました。大体わかりましたけれども、これは商法に基づく株式会社ですからね。地元からは、公団が出ていった後は第三セクターがすべてのことをやってしまうのではないか、そうなればわれわれの要求やそういうものはどうしてくれるんだ、こういうことになっているが、今日までどんな仕事をしてきて、これから何をしようとしているのか、その点について概略を説明してください。
  349. 渡辺尚

    渡辺(尚)説明員 もう先生御存じだと思いますが、筑波新都市開発株式会社は、筑波の研究学園都市、それからその周辺地域の地域住民の利便あるいは居住環境の向上ということを図るために、店舗でありますとか事務所でありますとか、そういったものを先行的に投資する、それによって先ほどの目的を達成するという目的で設立されたものでございまして、いままでにショッピングセンターはもう三カ所やっておりますが、それらの事業をやっておるところでございます。
  350. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 そのほかにこれから計画をするというような、もっと大きなものはないのかどうなのか、どうなんですか。
  351. 渡辺尚

    渡辺(尚)説明員 先生御指摘の点は、恐らく周辺地域の振興の問題かと思うわけでございますけれども、いわゆる周辺地域の振興の問題は、周辺の開発整備計画の一環として考えるべきものではないかというふうに考えております。先ほども指摘ありましたように、会社組織をとっておるということ、あるいはその設立の目的等からいたしまして、第三セクターといたしましては、そういう全体を考える中で、事業目的あるいは事業経営の観点から適当なものがあれば、そういったものに積極的に協力していくということになるかと思います。
  352. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 これは大臣に要請します。  学園都市の問題は五十四年に基盤整備ができる、その後引き揚げるかどうかわかりませんが、そういう形になっている。その後の問題については第三セクターにウエートがかかるとすれば、これは商法に基づく株式会社ですから、利益というものを中心にするのですから、本来学園都市は利益などというものを中心としない形で研究都市としてできたものが、それが出ていくということは非常に危険だということ。それから、いま言われたように、いろいろな周辺整備計画が県の仕事になっている。確かにそうです。ですから、県を督励して、国と県とがもっと地元と緊密な関係をとって、そこには水も漏らさないような、そういう計画を速やかに立てるべきだ、そういうことを要請をしたい。  そこで、住宅公団が見えていると思いますが、住宅公団伺います。  今日まで買い取った土地の総面積、事業に使った面積、残地、その残地をどうされるか、この辺を住宅公団の方からお聞きします。
  353. 櫟原利嗣

    ○櫟原参考人 お答え申し上げます。  住宅公団では、研究学園都市のための事業用地といたしまして、昭和四十一年の十二月から四十八年の十月までの間に一千八百三ヘクタールの土地を取得いたしました。これらの用地を取得するために要した金額は、補償費を含めまして約九十億円でございます。それからこのほかに、公団といたしましては、代替地等の用に供するために地区外で約五十七ヘクタールの土地を取得いたしております。以上が現在までの状況でございます。  それからその次に、いまお話のございました処分等についてでございますが、五十四年度概成を目途として現在鋭意事業を進めておるわけでございますけれども、同都市の土地利用計画に基づくいわゆる宅地の処分予定面積は、約千六百九十ヘクタールを予定いたしております。現在、五十三年の二月末まででございますが、それまでに処分等を行いましたものは約千二百八十六ヘクタールでございまして、今後処分等を行う予定のものは約四百四ヘクタールでございます。なお、今後処分をいたすものにつきましては、土地利用計画に従いまして、関係機関と鋭意協議を進めた上でできるだけ早急にその利用の促進に努めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  354. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 時間がもうありませんから、まとめてあと三点を御質問しますので、一遍に答えていただきたいと思います。  まず、下水道の問題については、区画内においては下水道がきれいにできているけれども、周辺都市の下水道はこれをどうされるかということが一つ。  次には、この区画内においては道路はきちんとできておりますが、その道路が区画外の周辺都市の道路との接続が余りよくない、こういう問題が問題としてあります。  なお、谷田部という町の今泉というところでは、これは建設省や何かの関係ですけれども、そのところの人々は学園都市に土地を出し、高速道路にも土地を出し、そして協力をしたにもかかわらず、いま高速道路に接続する土地改良をやっているが、そのために水が逆流をしてきて、畑も家も雨が降ると危なくなる。そういうことが前から陳情されているにもかかわらず、だれも責任をとる機関がない。少なくとも国の機関である以上、ここは戸数が少ない三十戸ぐらいの部落でありますけれども、これはだれに言うわけではないけれども、そういう問題があるということをぜひここで明らかにしておいて、国の機関の仕事に協力をした者に対しては愛情を持ってぜひやっていただきたい。それで関係機関からちょっと答弁をいただいて、いまの話について最後に大臣からお答えをいただけば、それでよろしいと思います。
  355. 遠山啓

    ○遠山説明員 学園都市につきましては、先生御指摘のように、下水道の整備はできております。それで、周辺六町村が霞が浦常南流域下水道の区域に入っておりまして、このうち二町村が五十二年度から事業に着手いたしております。今後は、未着手の都市を含めまして、地元の要望を勘案しながら下水道の整備を推進していきたい、このように考えております。
  356. 渡辺尚

    渡辺(修)説明員 道路の問題についてお答えいたします。  先生のおっしゃいましたのは、先ほど来話の出ております周辺開発地区のことかと思いますが、中央、地方道、それから県道、市町村道合わせまして二十一路線ほど整備をやっております。これにつきましては、私どもの方の調べではかなり進捗をしておるわけでございます。ただ、中の方のいわゆる研究学園地区の方の細かい区画整理等がございますから、それに全部接続するという状況ではいまやっておりませんので、若干目立つかとは思いますけれども、周辺も一生懸命いまやっているところでございます。
  357. 佐藤毅三

    佐藤説明員 高速道路の問題についてお答え申し上げます。  高速道路に関連いたします排水につきましては、計画及び建設の段階から、沿道地域の地形、地質、気象等の自然状況に加えて、水の利用形態、水路状況等を十分勘案した上で地元関係者と協議し、地域の利水、それに治水にも支障を与えないように十分配慮してまいっているわけでございます。  常磐道の今泉地区につきましては、その場所が低湿地帯であると聞いております。しかし、ここに通ります高速道路は、道路構造が切り土構造になっております。したがいまして、沿道地域の排水に対して高速道路が支障になるというふうには実は私どもの方としては考えておりません。現在、地元関係者との設計協議も済みまして、工事用道路の工事に着工したところでございます。ただし、なお水路のつけかえを要する三百五十メートルほどの区間につきまして、現在仮の水路を設けておりますが、本年の四月には本水路を完成する予定でございます。本水路の完成するまでの間、沿道地域の排水に支障を生じないよう十分配慮いたしまして工事を進めることを、日本道路公団に十分指示いたしたいと思っております。  以上でございます。
  358. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 一つには、周辺開発地区整備計画が今後問題になると思うのであります。これは、計画の提出があれば関係行政機関と協議して速やかに承認をいたしたい。それから、国土庁として関与していかなければならないのは、先ほど御答弁申し上げておりますように、昭和六十年度まで特別交付金が出ますね。それに関与していかなければならないと思うのでありますが、筑波新都市開発株式会社の件は、先ほど御答弁申し上げたように、公共施設の整備を行うものではないのでありますから、その第三セクターと国、県が緊密な連絡をとってということには当たらないのではないか。この開発会社が店舗、事務所、病院、スポーツ施設等の建設、管理、運営を行う、こういうことになっておりますから、これはこれとしての目的があると思うのであります。ただ、全体として筑波学園都市に対して、担当大臣の私とし、あるいは国土庁建設省がこの概成後どういうふうに進めていくかということは、今後の問題であると思います。
  359. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 もう時間がありませんから、私の質問にもちょっと不十分なところがあったと思いますけれども、問題は、国の仕事に土地を提供し、協力した地元の農民の人たちが、本当にこれを誘致してよかった、協力してよかった、こういうような気持ちになってもらわなきゃ困る。現在はなかなかそういう気持ちになっていないという状態ですから、そういうふうにますます格差ができそうでありますから、そこのところを十分に注意をしてやっていただきたい。  農林省やほかにも出席をいただきましたが、時間の関係で質問ができなかったことに対してお許しをいただきたいと思います。  これで終わります。
  360. 兒玉末男

    ○兒玉主査代理 これにて竹内猛君の質疑は終了いたしました。  次に、川口大助君。
  361. 川口大助

    川口分科員 私は、特に三全総の中で、秋田湾工業開発の問題につきましてお尋ねをするわけでありますが、三全総の中では、これからいろいろ調査をしてかかる、こうなっておりますが、ということは、具体的にどういう手順でお進めなさるのか、まずお伺いいたしたいと思います。
  362. 福島量一

    ○福島(量)政府委員 三全総におきましては、先生つとに御案内かと存じますけれども、東京湾それから瀬戸内、そういった地域に過度に基幹資源型の工業が集中しておりまして、これからの進め方としましては、これらの地域の集中を抑制する、同時に地方の脆弱な経済基盤を強化するということもねらいまして、これからの必要となる基幹資源型の工業立地については、これら地域以外のところで立地を図っていく必要がある……
  363. 川口大助

    川口分科員 発言中ですが、限られた時間でありますので、よその方はいいのです。秋田湾の手順をどうするか、そこからひとつお進め願います。
  364. 福島量一

    ○福島(量)政府委員 そういった趣旨から、秋田湾地区につきましても、環境影響評価等を含めまして調査研究を進める、その結果を踏まえてその建設を図るということになっております。そのため、現在開発の可能性を探るべく、各種の基礎的な調査を鋭意実施しておる段階でございまして、この調査結果を踏まえまして今後の対応を決めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  365. 川口大助

    川口分科員 いまどの程度まで調査が進んでおられるわけですか。
  366. 福島量一

    ○福島(量)政府委員 ただいま申し上げましたように、海洋に面する自然条件、海洋関連の自然条件の把握と申しますか、情報を集めまして、解析するための基礎調査ということに現在は主力を注いでおります。
  367. 川口大助

    川口分科員 大体いつごろをめどにして、いつごろまでに調査を完成なさる御計画ですか。
  368. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 秋田湾地区につきましては、ただいま計画・調整局長からお答え申し上げましたとおり、調査段階でございますが、実は四十六年から五十二年度までの間に、埋め立て可能性等の検討のためのいろいろな海象条件とか、地質、地盤あるいは環境保全関係の検討のための気象条件とか、大気、水質、そういった調査を行い、また同時に、計画に関連いたします港湾、水資源、道路、都市計画、そういった関係の調査をかなりな金をかけて調査をしておりまして、御承知のように、二月に、まだ計画案でございますけれども、県としては県議会でいろいろ検討していただくような案を出しておられるわけでございます。  そういうものが、私どもが聞いておりますところでは、本年度中にその計画案の案が取れれば計画として固まるわけでございますが、それができた段階で引き続いて環境影響評価等を行い、あるいはまた漁業補償とかいろいろな具体的な問題が出てくると思いますが、少なくともそういったものを踏まえて、計画として決定した段階でいろいろ御相談もあろうかと思っております。私どもとしては、それに対応して検討を進めたいというふうに考えております。
  369. 川口大助

    川口分科員 私の聞いているのは、この調査の主体は、それではどこですか。
  370. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 それぞれの関連する省庁でございますが、大きいところでは、港湾等については運輸省でございます。それからその他については、建設省が道路その他の関連がございますし、また通産省も検討いたしております。そういった国の調査、国が主体として調査をしておるものと、それから県自体で、県が主体となって調査をしておるものと、二つあるわけでございます。
  371. 川口大助

    川口分科員 そこで、私は、その調査の段階がどの辺まで行ったのかということをお伺いしたいわけでありますが、その御答弁が、秋田県の開発計画ができた、こういう御答弁でありますので、どうも基礎調査の段階なんでしょう。基礎調査の段階で計画案というのはできるのですか。
  372. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 ただいま申し上げましたような、いろいろな埋め立てあるいは環境保全計画については検討された結果がございますが、その調査を踏まえて秋田湾地区の開発基本計画をつくられたわけでございまして、全般的には大体そういった調査をもとにその計画案としての姿が出ておるものと思っております。ただ、それだけではまだ案の段階でございますから、今後それを議会等で検討されて、計画として決定された後で、先ほども申し上げましたように、環境影響評価その他いろいろななお残された調査等もあるわけでございます。そういうものを進めながら次第に実現の方向を探っていただく、こういうことに相なろうかと思っております。
  373. 川口大助

    川口分科員 どうも答弁がピンぼけなんですよ。秋田県開発基本計画というのが二月に出ました。これは昭和六十年の前半までに製鉄所をつくるのだ、そのためにはこうするのだという基本計画なんですよ。おたくの答弁は、当初の答弁は、いまいろいろ基礎調査の段階だ、こうおっしゃっているわけですよ。ですから、私は、その基礎調査がどの辺まで進んだのか、そういうものが明らかでないとこの計画というのは組めないのじゃないかと思うのですが、その辺はいかがですか。
  374. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 基礎調査とは申し上げましても、この計画案に示されておるような規模においてどういったものをつくるかという点で、影響その他についてはおおむねもうこれで基本的な調査ができておる。それを踏まえて計画をおつくりになったわけでございますが、具体的に鉄鋼なのか、いろいろまだ三全総でも明確な指示がないわけでございます。県としては一応鉄鋼としておられますが、そういうものに当てはまるような形で整備していくのがこれからだろうというふうに私どもは伺っております。
  375. 川口大助

    川口分科員 そうしますと、基礎調査をやって、その基礎調査に基づいて適正な企業を選ぶ、こういうふうな御答弁にも聞こえるし、製鉄所をつくるということを決めて、その条件にかなうようなものをこれから整えるという答弁にも聞こえるし、一体どっちなんです。
  376. 福島量一

    ○福島(量)政府委員 私ども国がやっております調査は、公共事業関係を中心にした調査であるわけでございます。それで、大体の基礎固めと申しますか前提条件を、一通りは調査は終わったと申しますか、基礎的なところは調査を済んでおる。それを踏まえまして県が、まあ県独自の御判断でございましょうが、一つの基本計画をつくられた。そこで今度は、いわばその基本計画と、まあ計画のフィードバックと申しますか、その辺、その基本計画を一つのまた資料として、今後どういうふうな手順で詰めていくかというのが今後に残されてくる課題であろうかと思います。
  377. 川口大助

    川口分科員 三全総に書かれておるその工業というのは、通産省が発表しておる工業再配置計画というものとのかかわり合いの上で行われるわけでしょう。
  378. 福島量一

    ○福島(量)政府委員 工業再配置計画全体の上に乗っかって考えられておるものでございます。
  379. 川口大助

    川口分科員 この計画を立てるためには、国と地方公共団体と地域住民と企業などとが結集をして、いろいろ調査なりその計画を立てる、こうなっているのですよ。いまの答弁は、国土庁は余りわからぬけれども、運輸省の方でもやっている、建設省の方でもやっている、県の方でもやっているでしょうと、こういうことでは困るわけですから、ぼくは、当初に、一体——三全総ですから、取りまとめは国土庁だと思うのです。ですから、国土庁でどの辺まで調査が行っておるか、その調査の段階をお知らせ願いたいというところから質問が始まったわけでありますが、どうもいまの答弁は的確なお答えでないと思うのですよ。
  380. 福島量一

    ○福島(量)政府委員 調査を各省に分けましたのは、先ほど地方振興局長お答え申し上げましたように、港湾の問題であれば運輸省、道路交通の問題であれば建設省というふうに、調整費として調査費をそれぞれの専門のところに配りまして、担当課題を決めて調査をお願いしておるということでございます。  それで、全体としてはまだ基礎的な範囲にとどまっておるわけでございますが、これからそれらを踏まえまして、県の方でも計画をつくられたということを聞いておりますから、それらも見せていただきまして、より具体的な詰めと申しますか肉づけをするというような調査が、またこれに引き続いて行われるということになってまいろうかと思います。
  381. 川口大助

    川口分科員 どうも時間がなくて、これだけでも半分になっちゃったから大変残念ですが、整理しますと、国土庁ではいま基礎的な調査の段階だ、しかし、県の方では具体的な基本計画を立てられた、こういうふうに理解していいですか。
  382. 福島量一

    ○福島(量)政府委員 基本計画の内容はまだ詳しく承知しておりませんけれども、県として独自の構想のもとに計画をつくられたものと思っております。その計画といままでの従来の調査結果、あるいは今後必要となるであろう調査等をどう調整してこれから進めていくかということが今後の課題であろうかと思います。
  383. 川口大助

    川口分科員 そうしますと、国土庁としては、企業の選定や、あるいはどういう企業を選ぶか、どういう業種を選ぶかということについてはまだ全然考えていないということですか。
  384. 福島量一

    ○福島(量)政府委員 お説のとおりでございます。
  385. 川口大助

    川口分科員 そうしますと、この工業再配置計画にあるところの企業などが結集して相談をするというのは、国土庁としてはどの段階を指すわけですか。
  386. 福島量一

    ○福島(量)政府委員 企業と相談をされて云々というのは、その立地をどういう業種のどの程度の規模のものにするかというようなことを固める段階において、あるいは同時並行的かもしれませんが、誘致すべき企業がそこに想定されるならば、その企業の対応等も絡まってくるわけですから、その間でいろいろと調整されるということだと思います。  現段階で、私どもは、先ほど冒頭に申し上げましたように、基幹資源型の工業立地予定地として秋田湾を考えておるということでございまして、明確に鉄鋼基地というふうにはまだ三全総の段階では決めておりません。ただ、地元の県が鉄鋼基地ということを前提にしていろいろ計画を組まれておるという事情は承知しております。
  387. 川口大助

    川口分科員 そうしますと、理解としては、この県の計画は千二百万トンの製鉄所をつくって、昭和六十年前半には一部操業を開始するとはっきり明確にうたってあるわけですよ。  そうすると、それは国土庁から見ると、県が先走ってどんどん進んでおるというふうなものだというふうに考えておると理解していいのですか。
  388. 福島量一

    ○福島(量)政府委員 県の方が先走っておるとか、あるいは独断であるとかということをまだ申し上げる段階ではないと思います。県は県独自の立場でいろいろお考えになり、計画をつくられておる。それが客観情勢にどうマッチし、今後の社会、経済情勢の推移の中でどう生かされていくかということは、これは県とわれわれとも、あるいは関係各省庁とも十分相談をして詰めていかなければならない問題であると考えております。
  389. 川口大助

    川口分科員 そこで、長官にお伺いしますが、実は、きのう通産大臣にこの問題についてお尋ねしたわけです。鉄鋼所をつくるというわけですから、一体これからの鉄鋼需要がどうなるのかというふうにお話し申し上げたところが、大臣としては、いまは大変不況で鉄も非常に深刻な状態になっておるのだ、しかし、昭和六十年ころになればそろそろ足りないような時期に到達するかもしれないので、通産省としては鉄鋼所をつくることに積極的に参画し、協力をしていると、こういうふうにお答えになっているわけです。  そうすると、その答弁は各省相談の上などと言っておるけれども、実際問題は全然ちぐはぐじゃありませんか。この点を長官はどうお考えになりますか。
  390. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 鉄鋼需要の一長期的な見通しにつきましては、これは所管大臣の言うことを私どもも信頼をしていきたいと思います。  それから、今回の計画は、秋田県もこれを第二次素案として出されております。ですから、これがもうがんじがらめと受け取るわけにはいかないと私は思うのです。そこで、国土庁としては、基本的には東日本の方に基礎資材をやるような基地が必要ではないかということが一つで、それからもう一つは、地域の自主的な判断を待とうということをわれわれは言っておるのです。ですから、基礎調査がある程度できておる、そこで秋田県はそれを受けてこの素案を出した、こういうことだと思いますので御理解をいただきたいと思います。
  391. 川口大助

    川口分科員 鉄鋼見通しにつきましても通産大臣はそう言っておりました。しかし、事務担当者は、五十五年度まではわかるけれどもその先はわからぬと言っているわけです。ですから、私の理解は、通産大臣は見込みがないということを言えないから、これは希望的観測だろう、事務当局の答弁が的確じゃないかというふうに私は理解しているわけです。  そこで、いまの大臣お答えの中から観測するに、仮に国土庁の方でいろいろ検討した結果、どうもこれは鉄鋼所では思わしくないという場合には、調査はしたけれども場合によっては中止するというふうなことがあり得るか。また、過去において、調査はしたけれども中止した個所があったかという点についてお尋ねいたします。
  392. 福島量一

    ○福島(量)政府委員 非常に端的に申し上げますれば、中止することもないとは言えない。ただ、先ほど申し上げましたように、これからの経済発展を一応前提にして考えますと、冒頭に申し上げた大都市集中を抑制して地方分散を図るという見地からすると、私どもとしては、いまの段階では、あえて鉄鋼とは申し上げませんが、基幹資源型の大型工業基地として秋田湾を念頭に置いておるということは間違いございません。  それから、過去に中止した例があるかというお尋ねでございますが、新全総のときに、西瀬戸地区という、瀬戸内の西の方でございますが、考えておりましたが、しかし、これは撤回いたしました。調査もやりましたけれども撤回いたしましたということも過去の例としてはございます。
  393. 川口大助

    川口分科員 それで国土庁としては、県の方では製鉄所を考えたし、また、気持ちの上では、これからの日本の全体のことを考えると秋田に鉄鋼所をつくりたいという気持ちはある。しかし、たとえば海の関係あるいはその他もろもろの環境等を考えて、希望としては建てたい気持ちはあるけれども、基礎調査の段階でそういう基礎的な条件で不適格な面が出れば中止をなさるという考えはありますか。これはたとえですが、ありますかということです。
  394. 福島量一

    ○福島(量)政府委員 当然、基礎的な調査の結果条件が満たされない、あるいは条件が不適格であるということになれば、これは中止をするのが当然のことだと考えております。
  395. 川口大助

    川口分科員 では、また観点を変えてお尋ねします。  仮に基礎調査が十分であった、県の言うとおり製鉄所をつくる、基本計画でそうなったという場合に、いま考えられておる企業はどこですか。
  396. 福島量一

    ○福島(量)政府委員 まだ、私どもの方から具体的にどの企業ということを考えておりません。
  397. 川口大助

    川口分科員 この点につきましては、私どもいろいろ調査をしているのです。私は私なりの調査をしておる。現に、わが党では、去年むつ小川原に調査団を派遣しまして現地を調査したわけでありますが、ここでも第三セクターをつくって受け入れの準備を整えておるけれども、なかなか思うような企業の進出がないわけです。困り果てておるわけです。  国土庁の力、権限ですか、それによって、仮にそれが適当だという場合に、どこかの鉄鋼所を持っていけるという自信がおありですか。
  398. 福島量一

    ○福島(量)政府委員 国土庁の仕事としましては、そこまでは立ち入ったことはできないわけでございまして、仮に適格であり、かつ工業立地の問題として必要であるということであれば、これは仮に鉄鋼所の問題であれば、これは通商産業省の方でいろいろ御尽力を願う問題であろうかと思っております。
  399. 川口大助

    川口分科員 しかし、長官、三全総の取りまとめはやはり国土庁でしょう。ですから、それはいろいろ分担はするだろうが、最後の締めくくりといいますか、そういうものは国土庁でいろいろ指導、監督するようなことになっておらぬのですか。
  400. 福島量一

    ○福島(量)政府委員 端的に、企業を誘致するのに国土庁は力をいたすかというお話であったものですから先ほど申し上げたのですけれども、秋田湾というものがフィージビリティーと申しますか、その開発可能性がある、可能性があり得るという結論が出ますれば、関係省庁の会議等を持ちまして、これはむつの場合もそうでございますが、十分に意見を調整して、本来望ましい姿の工業基地をつくるという方向に国土庁も当然努力はするということでございます。
  401. 川口大助

    川口分科員 そこで、私は、具体的な計画はまだ先にいたしましても、とにかく三全総の中に秋田湾というものを頭の中に描いていたわけです。とすれば、それに伴った諸施策というものも当然あってしかるべきではないかと思うのです。ところが、これを見ますと、鉄道の場合であっても道路の場合であっても全然計画がないわけです。しかも、この三全総というのは六十二年ないし六十五年の一つの長期の展望に立っているわけですから、その長期の展望に立っている計画にないということは、県が六十年前半を目指して一部操業をすると言っても、実際問題は環境が整っていないということになるのじゃないかと思いますが、その点はいかがですか。
  402. 福島量一

    ○福島(量)政府委員 仮に——仮にといいますか、秋田湾に大型工業基地を立地させるということに決まりますれば、それに関連しまして、自然保護の問題とかあるいは環境保全の問題は当然のことながら、道路なり港湾あるいは鉄道、空港といったような交通体系の整備とか、あるいはその回りにありますところの地方都市の整備とか、さらにはそういった大規模工業基地を支えるに足るだけの医療とか文化とか、そういった高次の機能と申しますが、そういうものを配置するということで総合的、一体的に建設を図っていくという方針でおるわけでございます。
  403. 川口大助

    川口分科員 それは言葉では簡単ですよ。しかし、東北新幹線を一つつくるにもこの騒ぎでしょう。なかなか思うように進まぬでしょう。それが決まってから計画を立てて実施いたしますなんと言っていて、実際問題としてできますか。やはり、そういう経験があればあるだけに、せめて計画路線だけでもつくっておき、そして事が決まれば実施することです。  計画路線と実施計画と違うわけですから、いまの答弁は直ちに実施計画を立てるという御答弁のようですが、そんなにうまくいくものですか。
  404. 福島量一

    ○福島(量)政府委員 工業基地の建設となりますと、かなりのリードタイムと申しますか、準備期間もあるわけでございます。結局、計画の規模その他に見合ったふさわしい条件を整備するということが必要でございますから、いわば同時並行的と申しますか、計画案を固める段階でそういった関連の施設整備というものもあわせて検討してまいる、こういうつもりにしておるわけでございます。
  405. 川口大助

    川口分科員 それじゃ確認をいたしますが、この計画が仮に認められ、六十年前半に一部操業を開始するというふうになりますと、その時点ではいまお話し申し上げた条件が整う、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  406. 福島量一

    ○福島(量)政府委員 整える方向で努力してまいりたいと思います。
  407. 川口大助

    川口分科員 そこで、どうも時間が非常に足りなくて申しわけないのですが、一方的になるかもしれませんが、私がいまいろいろ調べた結果においても基礎的に非常に問題があるということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。  まず、私が大変不思議に思うのは、いま調査の段階でもあるにかかわらず、県の計画の中では離島方式に変わったわけです。つまり、海の中に島をつくって、その上に鉄工所をつくるというふうになったわけです。そこで、調査の条件がさらに大きな問題になった。なぜかと申し上げますと、秋田湾というのは、湾という名前を使っておりますが、地理的には秋田湾という名称はどこにもないのです。これは一つの呼び名なんです。ここは対馬暖流が大体一ないし二ノットで北上しておるところなんです。しかも、それが男鹿半島に当たりまして渦を巻いているところなんですよ。非常に条件の悪いところだ。現に昨年オークランド号という外国の貨物船が座礁をして、いまちょうど鉄工所をつくるという、その海岸の波打ち際にまだ巨体をさらしているようなざまなんです。日本海沿岸で座礁が起きるなんというところはまことに特殊なところなんですよ。ひとつそこを御理解をいただきたい。渦潮を巻いているのです。その渦潮の真ん中に島をつくるという状態になっている。  ところが、現在はそこは浅瀬であるから埋め立てをすることになっておりますが、なぜ浅瀬であるかというと、そこに河川が流れ込んでおり、子吉川、雄物川、新城川、八郎潟などで、これらの流砂のために浅瀬になっている。浅瀬になっていますからそこにはないのですが、そこの前後、南の方二十キロくらい行きますと、また男鹿半島に行きますと海岸浸食がすごいのです。これは建設省がよく御存じでしょう。毎年多額の金をかけて海岸浸食を防いでいるわけです。でありますから、いまそこを掘って、大体船が入るとすれば水深二十メートルは必要でありましょう。砂丘地を、二十メートル海岸線をしょっちゅう掘っているというのですから、砂丘地帯でありますから掘ることによって海岸がえぐられる。こういう状態が必ず起きてくるわけですよ。そういう状態が一つあるということ。  それから、もう一つは、いまでも赤潮が出るのです。秋田ではこれをスス水と言っておりますが、赤潮が出る。つまり、これは真水が海の中に流れ込んだのが、渦潮のために上下の攪拌ができないために赤潮が発生するわけです。でありますから、そこにまた島をつくることによって今度は水がよどむわけであります。これが大変大きな影響を漁業に与える。さらに八郎潟、大潟村の大干拓事業の排水も来るわけですが、これには肥料の燐酸が大変含まれております。その燐酸もいままでは拡散しておったのが、島ができることによってよどむ危険性があるから、漁業は大変な問題が起きかねないと思うのです。  さらに、もう一つ問題になるのは、約十六キロの防波堤をつくることになっておりますが、この十六キロの防波堤も一年度にできるわけじゃないから、区分して年度ごとに何キロかやるわけですから、何キロかやるたびごとに波の流れが変わるわけです。変わることによって海岸浸食を早める。こういう状態も懸念されるわけです。  もう一つ問題なのは、防波堤をつくるために、確かに防波堤は波は防げます。しかし、しぶきは防げないのですよ。ここは荒海でありますから三メートル、四メートルのしぶきが上がると思いますが、そのしぶきが男鹿半島特有の季節風に乗りますと、今度は沿岸地帯の田畑に対して塩害を起こす。大潟村にも塩害が起きますし、また、秋田湾一帯は果樹や園芸地帯でありますが、ここに対して塩害の公害が起きる危険等もはらんでおるわけであります。  ただいま基礎調査をやったようなやらないようなお話でありますが、一たんつくりましてから島が流されたのでは困るわけでありますから、この基礎調査を十分にやって——ただ拙速的に、こういう計画書ができて、冊子が整えばいかにも鉄工所が来るような錯覚に市民がなるわけでありますが、いまの計画では県民一世帯当たり二百五十万ぐらいの負担であります。でありますから、県民の中には、なぜ県民一世帯二百五十万の金を負担してそういう基地をつくって受け入れ体制を県がやらなければならないのかという疑問が非常に多いのであります。  特に、総合開発審議会というのが秋田にありますが、その中で、名前をはっきり申し上げても結構でございますが、日本銀行秋田支店長も委員になっております。また、魁という新聞がありますが、そこの編集局の人も委員になっておりますが、この御二方は、日本銀行の支店長は計画倒れになるおそれがあるという意見をはっきり述べられておりますし、それから魁の高橋という人でありますが、この方は秋田湾開発そのものに疑問があるということを言っておるわけです。  県は非常に急いでおりますが、県のやられる気持ちもわからないわけではありませんが、拙速をやめまして、後顧の憂いのないような御指導を国土庁からがっちりやっていただくことをお願いしまして、時間がないので一気にしゃべりまくりましたが、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思うのです。
  408. 福島量一

    ○福島(量)政府委員 先生の数々の御指摘は、これから計画を進める段階で当然十分に検討して、その結果に対応することを迫られる問題だろうかと思います。  私どもとしても、まさにおっしゃるようにこれだけの大規模基地でございますから、大変に多額な投資をしたわ、あげくの果てはどうにもならぬわということじゃまことに国家、国民に相済まないことでございますから、せいぜい力をいたしまして計画の的確な立案実施ということに努めてまいりたいと思います。
  409. 川口大助

    川口分科員 お願いします。  では、終わります。
  410. 兒玉末男

    ○兒玉主査代理 これにて川口大助君の質疑は終了いたしました。  次に、薮仲義彦君。
  411. 薮仲義彦

    薮仲分科員 初めに、限られた時間でございますので、御答弁は要点を簡潔にいただければ幸いでございますので、よろしくお願いします。  私は、本日は地震に関してのみ問題をしぼりまして、何点かお伺いしたいと思います。  最初に消防庁長官にお伺いしたいのでございますが、去る二月二十日午後に宮城沖地震が発生しました。仙台市の消防局が、石油ストーブの自動消火装置が作動したかどうか、百軒をアンケート調査した。その結果、自動装置のついているストーブが四十六台、うち十八台だけが消えて、残りは消えなかった、六割が燃え続けたということなんですね。これはJIS規格が示すように、いわゆる地震のときには二百五十ガルで十秒間揺れたら消えなさい、百五十ガルでは消えてはいけない、これがJISの規格です。しかし、こういう専門的なことは国民の側は理解はしていないわけです。国民の側はどう理解するかというと、激しい地震が来ればうちのストーブは消えるんだなという単純な理解が多いと思うのです。  また、消防庁が四十八年一月に火災予防条例準則で、いわゆる耐震装置のついた石油ストーブを使用しなさいというように規定してあるわけです。各地方自治体もついていないストーブを禁止するというような動きになったわけですが、この際どのように指導したかと言えば、激しい地震で驚いてうちを飛び出しても石油ストーブが自動的に消えて火災が防げますよと、このようなPRが国民に行きわたっているわけです。  こういうPRの中から今回の結果を見ますと、震度四だったとか八十ガル以下だとか、いろいろな意見が確かにありますけれども、国民の側に立って考えるときに、消えなかったという不安に対しての問い合わせがあったことに対して私はここで消防庁にお伺いしたいのは、いわゆる精度、消えるということに対しての国民の不安材料を除くためにこの精度等の基準の見直しを将来にわたって図る必要があるんじゃないか。これが第一点。  第二点は、仙台の消防局がその不安をなくすために起震車を持っていってやった。ところが、その中では消えたものもあれば消えないものもあった。そうなりますと、装置そのものの機構についてやはりもっと研究開発する必要があるんじゃないか。これが第二点。  第三点は、いわゆるJISの規格。製造したときはJISの規格は満足でした。でも、あのようなものですから、二年、三年と経年変化によって精度が落ちる可能性があるわけです。かえってこのことは国民にとって大きな危険要因にならないか。消えないものがあった場合には、ついているという過信がかえって大きな危険を呼ぶんじゃないか。そういう意味から、消防庁としては、こういうものを経年変化の時点で、いわゆる使用者に負担をかけない形で安全確認をする体制が将来は必要じゃないかと思うわけです。  さらには、もしもこのような消えないケースが多いならば、自動消火装置がついておっても手で消すということは大事ですよというような意味合いのPRもあわせて必要に思うのですが、その辺の見解はいかがでございましょうか。
  412. 荒井紀雄

    ○荒井説明員 お答え申し上げます。  まず、第一点の今後基準を改正する必要があるのではないかという御質問でございますが、ただいま御指摘をいただきましたとおり、私どもの方の耐震装置の感震精度の基準につきましては、いわゆる水平加速度、ガルと申しますが、それをもとにいたしまして、百五十ガルの震動で十秒以内に消えてはいけない、それから二百五十ガルのときは十秒以内に必ず消えるということでJIS規格を決めておるわけでございます。  そこで、したがいまして、震度五の場合でございましても、場所によりましてガルに差がございすまので、消えるものと消えないものとがあるわけでございます。ただ、御指摘のとおり、震度五の場合は消えるのだというふうなことで消防庁といたしましても国民の側にPRをしてまいりましたし、そういう点につきましては若干説明につきましてPRの不足があったというふうに反省しておるわけでございますけれども、現段階におきまして、おっしゃるとおり国民の抱く不安といったものもございますので、そういったことも十分考慮いたしまして、たとえば上限でございます二百五十ガルというものをどの程度下げたらいいのかといった問題につきまして、これは所管が通商産業省でございますけれども、このJIS部会の関係者の方々とも十分協議いたしまして検討を進めてまいりたいというふうに考えております。  それから仙台市の調査につきましては、これは実は起震車というものを使いまして装置の感震性を実験したわけでございますが、この起震車につきましては、いわゆる地震波の水平波につきましてとらえ得るというふうな仕組みになっておりまして、上下動につきましてはとらえ得ないというふうなものでございます。したがいまして、ある意味におきまして装備の不完全なもので実験をしたということでございますので、この実験結果が必ずしも適正であるというふうには私ども判断をしていないわけでございまして、現在の段階におきましては二百五十ガルであれば確実に消えるというふうに考えております。  それから、第三点の、将来この耐震装置が国民の手に渡っておりまして、耐久性の問題をどのようにチェックするかという問題でございますが、経年変化につきましては消防庁といたしましても今後十分に検討いたしてまいりたいというふうに考えております。つまり、どの程度の年数がたちますとどういった変化が起こるか、これは置かれる場所によりましても、あるいはまた管理の状況によりましても違うわけでございまして、そういった一つのサンプリングを作成いたしまして研究いたしまして、その研究成果にもよりますけれども、必要に応じまして今後チェックなりあるいは国民に対するサービス体制なりを考えていきたいというふうに考えております。
  413. 薮仲義彦

    薮仲分科員 この問題につきましては、非常に国民にとっては不安な材料ですから、どうか十分検討して万遺漏なきをお願いをいたしておきます。  次に、私は、伊豆大島近海地震に関する諸問題について何点かお伺いしたいのでございますが、初めに、今回の地震で二十五名の方のとうとい命が失われたことに対しまして心からお悔やみを申し上げる次第でございます。  その上に立ちまして今回の地震を振り返ったときに、何点かの教訓があるわけでございますが、いま一番問題になりますのは、今回の地震で伊豆半島の幹線道路がほとんど寸断されて、一部の町村は陸の孤島のようになってしまった。これは現地にとっては非常な経済不安を引き起こす大きな要因でもあります。このことから、現在道路があるところの地質的な問題あるいは急傾斜地に隣接しているというようなことから、がけの崩壊等によって道路が寸断したわけでございますけれども、こういう点を十分考慮して、将来、この伊豆半島には、地震に強いといいますか、しっかりした道路がなければならないんじゃないか。このことが今度非常に大きく指摘された課題であります。  そういう意味合いから、現在ある道路の地質上の問題あるいは急傾斜地を避けるなどルート等の変更を図って、安全な幹線道路を早期に実現してほしい、しなければならないというように私は感じておるわけでございますが、その辺の建設省の御見解を承りたいと思います。
  414. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 このたびの伊豆半島の地震による幾多の教訓があると思います。  ただいま御指摘のように特有の地質である、これに耐えるような基幹道路をつくるようにということは、これはそのとおりに私も受けとめておりますので、鋭意研究をいたしたいと思います。
  415. 薮仲義彦

    薮仲分科員 よろしくお願いをいたします。幹線道路ができますと伊豆半島には明るい希望が持てますので、どうぞよろしく実現を図っていただきたい。このことをお願いしておきます。  次に、同じように今回の地震でにわかに不安材料になった点をもう一点指摘しておきたいのでございますが、これは林野庁の関係になると思うのでございますけれども、由比地区ですね。あそこにはひどい地滑りの地帯がございます。この安全というのがやはり大きな課題でございまして、この事業は昭和五十年から始まって、五十二年度からは五カ年計画で対策を進めておいでになる。  その問の林野庁の努力は地元でも非常に感謝しておりますが、御承知のように、由比地区というのは、日本の経済の大動脈である国道一号とそれから国鉄の東海道線、東名高速がちょうど全部あそこにかたまっております。もしあそこに災害が起きますと、これは日本経済に大きな障害があるのではないか。しかも、住んでいる方にとってもいつ地すべりが起きるかという不安要因になっておりますので、これらの解決になお一層の御努力を願いたい。  これは日本の将来にとっても大きな問題じゃないかと思う。いろいろむずかしい困難な事情もあるかもしれませんけれども予算の増額等を図って、一日も早く安全対策を確立してほしいと思うわけでございますが、その辺の取り組みについてお伺いしたいと思います。
  416. 江藤素彦

    ○江藤説明員 ただいま先生から御指摘いただきましたように、確かに林野庁といたしましても、由比地区におきますところの地すべり防止事業につきましては、国土保全上最も重要な地区の事業であるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、本地区につきましては、斯界の権威者から構成されました由比地区地すべり対策技術委員会という委員会の調査報告がもうすでに出されておるわけでございまして、この報告に基づきまして昭和五十年度から国の直轄工事で積極的な事業の推進を図ってきておるわけでございます。  その内容としましては、昭和五十年度以降五十二年度までに約十七億円の事業費を投ずることといたしまして万全を期しているところでございますけれども、特に昭和五十二年度、本年度には全国二十七カ所に直轄施行地というのが及んでおるわけでございます。この全国二十七カ所の中でも最大規模の事業費でございますところの九億六千四百万円というものが計上されておるわけでございまして、これによりまして事業推進に努めてきたわけでございます。直轄治山事業施行地、先ほど申し上げました二十七地区の一地区の平均規模というのは約三億五千万円ということでございますので、本地区につきまして申しますれば、約三倍規模の事業費を投じまして促進を図ってきたというのが実態でございます。  また、昭和五十二年度を初年度といたしますところの、先ほど先生からも御指摘がございました第五次治山事業五カ年計画が策定されておるわけでございますが、この計画の中でも、当由比地区につきましては事業費七十億円という規模が計画されておるわけでございます。当地区の地すべり危険個所に対しまして、たとえば谷どめ工とか排土工とか、あるいは鋼管くい打ち工とか排水ボーリング工といったような必要な工事を積極的に実施いたしまして、先生からいまお話がございましたように、でき得る限り早期に概成できるように努めてまいりたい、このように思います。
  417. 薮仲義彦

    薮仲分科員 その点もよろしくお願いいたします。  次に、私は、今度国土庁が提出予定の大震立法に関して二、三お伺いしておきたいと思うのでございますが、このことにつきましてはまず最初に大臣の御見解を伺っておきたいのでございます。  この法案が成立することを、絶えず地震の被害で悩んでおります関係地域は大変待っておりますが、ここで一つ大臣に確認しておきたいのでございますが、この法案が成立すると地震についての諸問題は大方解決されるというような錯覚というか、それほど大きな期待をしている面があるわけです。しかし、この法案をよく見てまいりますと、地震の規模で言うとマグニチュード八、百年に一度起きても困るような大きな地震ですが、例を挙げるなら関東大震災程度の地震のときに初めてこれが適用されるとわれわれは聞き及んでおりますが、その点はどうなのか。  マグニチュード八以上でなければこれが適用されないとなりますと、今回発生しました伊豆大島近海地震のような局地的な地震には適用されない。この法案の立法の起因となった東海地震、こういうものによって地震立法というのは非常に誘発されたわけでございますが、こういうことで被害が想定される東海地方の各県があるわけでございますが、しかし、実際にこの大震立法が成立しても、マグニチュード八以上の巨大な地震でなければ適用されませんよということになりますと、被害を受ける各県においては従来と何も態様が変わらないのかなと、こういう面がございます。  特に、静岡などを例に挙げますと、絶えず地震の直接的な被害に見舞われているわけでございます。しかし、一番期待を持っているのはこの静岡の直接被害に遭った方々だと思うのでありますが、こういう方々が、やはり静岡などは大震立法は直接は適用されないかもしれないと思っている。でも、非常に重要な地点なんだ。そういう意味合いから、大臣は、将来、この立法と同時に、可能な限りな予知に対する予報を含めて、行政の責任ある対応あるいは大震立法そのものを準用しても、そういう県民の不安を除いてやろうというお考えがないかどうか、まず伺っておきたいのであります。
  418. 四柳修

    ○四柳政府委員 大臣ということでございますけれども、技術的な点もございますので、また現在検討中でありますからかわってお答えいたします。  御案内のように、現在検討中の法案は、地震が発生した場合に広域かつ激甚な被害を及ぼす、そのことによって関係地域が非常に被害をこうむる、そういう被害を最小限にとどめたいということで、御指摘のような関東大震災クラスの規模を一応想定しております。規模が小さくなりますと、御案内のように現在の技術水準では予知することが困難になります。たとえばマグニチュード六程度の規模の地震でございますと、これを新しい法律の仕組みの中に取り入れますことが残念ながら非常にむずかしくなろうかと思います。  ただ、先ほどの御指摘の中で、東海地区だけではなくて、確かに対象の強化地域は東海地区に限定的にあるかもしれませんけれども、万が一関東大震災クラスのものが生じますと、関係周辺の県にもいろいろ被害があろうかと思いますから、そういう点につきましては、法律ができました段階でしかるべく関係省庁と御協議した上で指導してまいりたいと思います。
  419. 薮仲義彦

    薮仲分科員 それでは、今度は大臣に、専門的なことというよりも基本的なことで伺いたいのですが、静岡県がアンケート調査したデータが一つあるわけです。これは恐らく御存じだと思いますが、静岡県民は七九・二%、約八割近い人が、たとえ外れてもいいから積極的に予報をしてくれないかという認識を持っているわけです。しかも、国が今度の大震立法等で一番問題にした補償という問題に対しては、補償すべきだという人はわずかに九・九%しかいないわけです。やはり県民の理解は、少しでもこの異常について教えてもらえればわれわれは十分な対応をしますよという心構えで、絶えず地震に遭っているあれほどの地域ですから、他の府県とは全然違った理解があると思うのです。先般余震情報等でいろいろ御批判もありましたけれども、パニックが起きた等の御意見がありますが、ある意味ではあれは非常に健全な、というよりもやむを得ない事態であったかもしれませんし、多くの教訓を県民は決してむだにはしていないと思うのです。  いまお話しのように、予知に対する予報という問題は非常に困難だ。これは私はよくわかります。しかし、県民側にとりますと、いわゆる予報に近い情報というものは、行政が流さなくても、予知連のニュースとして同じように受け取らされるわけです。ただ、行政がやるか予知連が発表するかという違いだけであって、ニュースは県民の側が受け取る。国民の側が受け取る。ならば、これは将来の問題として私は伺っておきたいのですが、予知の精度が上がるならば、予報というものは慎重でなければならないけれども、国民に不安を与えない範囲で可能な限り予報をすべきじゃないかと思うのですが、その辺の基本的なお考えだけでも伺いたい。  それから、もう一点は、ニュース等については行政がある程度責任を持つべきが正しいやり方じゃないかと思うのですが、専門的なことは抜きにして、大臣のそれに対する基本的なお考え伺いたいのでございます。
  420. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 提案を予定しておる地震立法に予知情報がどういうふうに取り込まれるのかということについて先ほど審議官の方からお答えをしておるわけでございますが、静岡県民の世論調査の動向などで、大きな意味での予知というものに対する関心も非常に強いことは私も承知をしております。  そこで、気象業務法ですか、あれによりますと、いろいろな気象、地象などの異常について、これを予告するという手段はあるわけですね。ですから、この間の経験にかんがみまして、そういう地象情報のようなものを重要視するということなどが、仮にいま予定されておる立法の中でこれでは期待外れである、しかし——先ほどの御説明でおわかりのように、技術的にマグニチュード六ぐらいな予知というものがなかなか困難であるというのを、私どもがいやそれでもいいからと言うわけにはいかないと思うのであります。気象業務法などの活用ということが考えられるのではないか、そんなふうに思っておるところでございます。
  421. 薮仲義彦

    薮仲分科員 どうかそういう点を踏まえて、なるべく国民の期待にこたえていただきたいということをお願いしておくわけでございます。  気象庁の方にちょっとそれに関連してお伺いしたいわけでございますけれども、今回の伊豆大島近海地震のとき、一月十四日、手元に資料をいただきましたけれども、いま大臣お話しになったように、気象庁が地震情報として、通常の気象業務の一環として通報を行ってくださった。率直に申し上げて、このことに関しては、ある意味では私は非常に好感を持っておりますが、いま大臣お話しのように、現行の気象業務法ではいわゆる地震であるとか火山活動についての予報とか警報をする義務は負っておりません、ただ、これを気象業務法の十一条のもとでなさったことだということはわれわれはよく理解しております。  しかし、このことが現実に流れていって、受け取った側の自治体、町村はどうだったかというと、ただテープに巻き込んで聞き流したというケースも多々あるわけです。ということは、通常の気象情報と地震情報どの明確な理解の仕方がない。こういう意味合いも含めて、いま大震立法の中心である国土庁長官の発言もあったわけでございますが、今回のような伊豆大島近海地震に見られるような群発性の地震を伴う著しい異常に対しては、今後は明確な形で関係機関に通報をしていただければはっきり今度は地震情報という形で伝えますよという点、その点はいかがですか。  それからもう一つは、今度の地震にかんがみていろいろパニック等の問題もございましたけれども、あれはやはり国民の側が何らそれに対しての訓練を受けていないわけです。台風だとかその他の洪水についてはもう理解がされておりますから、この程度だなとわかるんです。台風の大きさ、規模ですね。これから大震立法もできるわけですが、大震立法ができても、国民の側、受ける側にトレーニングがないとかえって不安をかき立てるだけにしかならない。そういう意味合いから、この地震情報で訓練をしておくということは大事な意味合いがある。  さらにここでもう一点質問したいのは、テロップ等も各テレビ会社あるいはいろいろな報道機関によって表現が違うわけですね。あれは非常に混乱と不安をかき立てますので、こういうテロップについての統一性というか、台風情報のような決まった形、さらには国民に対する理解を深めるという努力が地震情報を通じてなされていった方がいいのじゃないか。  このように思いますが、ただいまの三点についての御見解を伺っておきたいと思います。
  422. 小林寿太郎

    小林説明員 ただいまの先生のいろいろな御質問に対しましてお答えさせていただきます。  まず、一点目は地震情報のことかと思います。これにつきましては、すでに気象業務法等で地震、火山いずれもいろいろと現象を観測いたしまして、特に群発地震あるいは余震といったものにつきましては、それの今後の推移というものも過去の経験から照らしまして、やはり国民の皆さんに情報を流す以上、それを受け取られる側でお役に立てていただかないことには何もならないわけでございますので、そういったことにつきましては私どももできる限り意を尽くしまして、今後ともいままで以上にお役に立ちたいというように考えております。  先ほど先生が御指摘のように、地方自治体等の受けとめ方あるいは地域の住民の方々の受けとめ方の問題について、もう少ししっかりした道筋というものを考えるべきではないか、あるいは内容についても、報道機関のテロップ等誤解の向きがある点については考慮の余地があるのではないかという御指摘がございましたが、私どもも全くそのとおりだと思っております。特に、地方自治体等につきましては私どもはバックアップしていく責務がございますものですから、日常的に、県で申しますれば消防防災課というのがございますが、そういうところと緊密な協力という体制をさらに強化していきたいというふうに考えております。  また、報道機関につきましても、確かに、テロップとなりますと言葉が非常に圧縮された形で出ますものですから、やはり誤解等も起こり得るということで、この方面につきましては、報道機関の方の御協力をいただきまして、今後そういったことが起こらないように詰めていきたいと考えております。  特に、地震立法に関連いたしましては、やはり大きな災害を伴うということでございますものですから、その点はきめ細かく、いまからでも対応していかなくてはいけないのではないかと私ども考えておりますし、これからも詰めていきたい、かように考えております。
  423. 薮仲義彦

    薮仲分科員 どうか、よろしくお願いします。  それでは、最後に大臣にお願いとお伺いをしておきたいのでございます。  一つは、この大震立法の早期成立という点は大きな期待でございますので、どうかよろしくお願いしたいと思いますし、先ほど指摘したように、局地的な地震に対しましても、その対応といわゆる防災に対する行政サイドの確立、予報を伴った防災の確立ということが災害を最小限に食いとめる最高の方法じゃないかということも考えられます。また、こういう地震あるいは火山爆発等が起きますと、いつも問題になりますのは、間接被害が大きいという、いわゆる逸失利益の問題もこれから解決されなければならない大きな問題だというようにも思います。  こういう点を踏まえまして、大臣のこれからの地震に対する御決意を伺って私の質問を終わりたいと思います。
  424. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 気象業務法の活用とか、あるいは今度の立法による予知とか、これはこれで一応御理解を賜ったと思うのでありますが、一たび地震ということになりますれば、現行の災害基本法であらゆる場合に対応するわけでございますので、今後は常に地震の問題を念頭に置いて、問題が起きたときにそれにどういうふうに対応するかということを検討してまいりたいと思います。
  425. 薮仲義彦

    薮仲分科員 終わります。
  426. 兒玉末男

    ○兒玉主査代理 これにて薮仲義彦君の質疑は終了いたしました。  次に、中村重光君。
  427. 中村重光

    中村(重)分科員 櫻内長官は、離島振興については非常に熱意を持って今日まで取り組んでこられたわけです。  二十八年に制定された離振法はたしか二回延長になったと思いますが、これが五十七年に期限が来るということになる。議員立法の中で離振法ぐらい有効に働いている法律はないと私は思っております。むしろ恒久立法にする必要があるのじゃないだろうか。ところが、一方、本土と離島の格差が、生活水準の上で、あるいはその他の条件の中でいつまでも続くということは適当ではない。そのことから考えてみると、そういったような法律が恒久立法であるということは、一面から言えば決して正常ではないと考えるわけです。しかし、離島振興というものが、法律もよく働き、政府もその法律に基づいて非常に積極的な取り組みをしているけれども、まだ不十分な点があるわけですね。  内容の点においても、離島振興というのが単に公共事業に対する高率補助にとどまらないで、離島の農業であるとか、漁業であるとか、林業であるとか、その他離島特有の観光を含めた産業の総合的な振興政策を強めていくのでなければならない。そういう意味内容を充実した法律にさらに改善をしていく必要があるであろうと私は考えております。五十七年ですから、あと三、四年あるわけですね。その先でありますけれども、恒久立法すら必要であるということを考えると、私はさらに延長していく必要があると思う。  そのことについて、内容改善の問題を含めて大臣見解伺いたいと思います。
  428. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 離島振興につきましては、中村委員と相ともども長いこと努力をしてまいった次第で、御質問の御趣旨は十分私はわかるところでございます。  毎年の予算措置を見ましても、本土よりは若干伸び率をよくしておるわけでございますが、本土と離島の状況というものにつきましては、われわれの理想とする本土と同じようにというところにはまだまだほど遠いものがあると思います。  いま時限法でやっておるわけでございますが、若干の年数が残っておりますから、この期限到来の時期にはただいまの御指摘などを踏まえてよく検討し、善処してまいりたいと思います。
  429. 中村重光

    中村(重)分科員 政府側ですから、いまのように善処という言葉以上は出ないのだろうと思います。これは延長する必要があるという真意でお答えになったというように私は受けとめておきたいと思います。でないと、そうじゃないのだということで答弁を変えていただかなければなりませんからね。時間の関係がありますから、真意がわかっているのに余り根掘り葉掘り大臣にただそうとは思いません。  そこで、具体的な問題についてお尋ねをしたいのですが、離島が離島でないということが一番好ましい。そのためには、橋をかけるということによって一応離島でなくなるわけです。天草にいたしましても天草五橋がかかる。あるいはその他の地域で漸次橋がかかって、さらに離島であって後進地域であったものが非常に前進している。国民生活の向上、島であった地域である地域の発展ということに大きな役割りを果たしているわけです。  ところが、橋がかかっても、途端にその地域がよくなるというわけではない。そのための配慮というものがあって直ちに適用を外すということにはなっていないのですが、いま、私の県に、私の選挙区ではありませんけれども平戸大橋というのがかかった。それで橋がかかって、たしか五十四年がその適用を解除する年次に当たるのだろうと思っているわけですが——そうですね。違っていれば後でお答えいただきたいと思うのですが、ところが、まだ後進性が非常に強いのですね。だから、直ちにこれを外されると地元の負担が非常に大きくなってくる。それで、せめて五十七年、現在のこの法律の期限到来時まで延長してほしいということが、当該平戸市は言うまでもなく、長崎県、地域住民のたっての願いであるわけです。私どももいろいろと実情調査をしてみましたが、なるほどと思う点があるわけです。  その期限が到来いたしましても、その地域が後進地域であるとさらに適用解除をしないでずっと延期しているというところも多いわけですから、平戸もその線に沿って延期をしてやる、適用解除をしないでしばらくおくということが適当であろうと考えるのですが、その点に対する大臣の御見解はいかがでしょうか。
  430. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ちょっと局長から答えてもらいます。
  431. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 御承知のように、離島に架橋が行われまして本土との間に常時陸上交通が確保されるということになりました場合は、いわゆる隔絶性がなくなるということで、離島振興法の適用を解除しておるという措置をとっておることはお示しのとおりでございまして、過去すでに十六島を解除しておるわけでございますが、ただいまお尋ねの平戸につきましても、昨年の四月に橋がかかりまして開通いたしましたので、従来の方針によりますと、かかった翌年度は猶予期間といたしまして、その翌々年度から解除するということにいたしておりますので、五十四年度から原則的には一応解除ということに相なるわけでございます。  私どもといたしましては、確かに、おっしゃいますように、離島に橋がかかってまいります場合には、できるだけその間に公共事業等を進めまして促進を図ってきておるわけでございますけれども、それによって直ちに後進性の除去につながるわけではないということもあろうかと思います。ただ、申し上げましたように、橋がかかって隔絶性はなくなるということになりますと、本土におけるいろいろな後進地域と別に異なる点もないわけでございまして、そういった意味から、先ほど申し上げましたような解除措置をとっておるわけでございます。しかし、それだけでもなお問題がございますので、一年猶予期間を置いて、さらにまたその解除をされたときも、三年間にわたってでございますけれども、一定期間財政的な措置をすることによって激変を防ぐというような措置をとっておるわけでございます。  全部申し上げてしまうことになるわけでございますけれども、架橋離島の取り扱いについては、平戸についても過去いろいろと陳情もございました。私ども承知をしております。そういうことで、離島振興対策審議会の御意見も聞いて、今日までいろいろと研究会も開いて検討を加えてまいったわけでございます。従来、申し上げましたように、一応原則的には解除するといったことを踏まえながらも、近く審議会等において解除基準の御検討も願った上で、実情に合った結論を得たいというふうに考えておるわけでございます。
  432. 中村重光

    中村(重)分科員 審議会にかける基準はいろいろ伝えられているわけです。それで、平戸の場合も適用解除に当たって地元負担の軽減をするためにあなたの方でいま審議会の審議をしてもらいたい、私も審議委員ですからその際に十分審議はいたしますけれども、もう行政当局との間のいろいろな打ち合わせも相当あったことでしょうから、審議会にかける前に行政当局とやったことは、それは必要な点もありましょうから厳しく言おうと思いません、ですから、平戸の場合に、具体的にどのようにお考えになっていらっしゃるのか、もう端的にお答えいただけませんか。
  433. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 先ほど申し上げましたように、原則的には常時本土との間に陸上交通が確保されるということになりました場合は解除するのが、過去の例を見ましても、また今回いろいろな方を集めて研究会を開いて検討した結果においても、そういった結論が出ておるわけでございまして、それが原則的には妥当であろうと思っておるわけでございます。  しかし、常時陸上交通が確保されたかどうかといったことにつきましては、過去の例を見ましても、橋がかかっても本当にその橋が……(中村(重)分科員「時間がありませんから、端的に私の質問にだけ答えてください」と呼ぶ)それじゃちょっとはしょって申し上げます。  陸上交通が確保されたかどうかといった点について、いろいろと実情に合った取り扱いをすべきであるという御意見もございますので、そういった点と、それから急激な財政負担の増をさらに緩和する必要があるのではないかといったことを含めていま検討しておるわけでございまして、先ほどお尋ねがございました審議会の意見も聞いて決めたいと思っておりますので、いま直ちに私どもがこういうことにしますと言うわけにはまいらないわけでございます。いまの二点について、鋭意検討をいたしておるところでございます。
  434. 中村重光

    中村(重)分科員 私は、審議会にかける前に行政当局との間に話し合いをしていることを厳しく言おうとは考えていない。だけれども、すでにそのことが明らかになっているのだから、この際ひとつそのことを、どういうような話し合いが進められているのかということについてお答えをいただけませんかと言って、これほど理解を示した質問に対して、抽象的な答弁というのはおかしいじゃない。  現に旧平戸は五十四年に解除する、その他の六カ町は五十五年に解除する、それから後四年間にわたって〇・八、二年目が〇・六、三年目が〇・四、次の年度、最終年度が〇・二、そういうように漸次地元の負担を大きくしていくけれども、過疎債であるとか辺地債であるとか特交というものによって地元負担にならないようにしていこうということを地元と詰めているじゃないですか、そういうことを、われわれは地元から、こういうようにいま国土庁と詰めておりますと逆に説明を受けていることなんだ。それを私のこの質問に対して、どういうような話し合いが進められていこうとしているのかということに対してその考え方を答えられないことはないと思うのです。どうですか。
  435. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 私ども審議会を開いてまいります前に、現実に関係する団体といろいろと話をしながら、どこらのどういう点を改善していったらいいだろうかといったこと等は相談していることは事実でございます。その意味において、申し上げましたように常時陸上交通が確保されているかどうか、いまの基準がはっきりいたしておりませんので、その点を明確にしまして、それについて基準が仮に変わりました場合は実態調査もいたしまして、その結果新しい基準に照らしてそれはどういうふうに扱うべきであろうという結論が出ましたらそれに従った結論を出そうということでございまして、私どもとしてもそういう実態調査をしないうちにあるいはこうなるかもしれぬという前提のもとにいろいろ話はしていますけれども、結論を出すというかっこうでは詰めてないわけでございますので、その点は審議会も開かないで私どもが結論を出すようなこともちょっといたしかねますので、なお検討していただいてから結論を出したいと思っておるところでございます。
  436. 中村重光

    中村(重)分科員 結論ではないが、変更もあるかもしれないけれども、私がいま具体的なこととして申し上げたようなことが一応地元との話し合いの内容になっていると理解してよろしいですか。
  437. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 おおむねおっしゃったような点が内容になっております。
  438. 中村重光

    中村(重)分科員 大臣、実は平戸の場合は特殊事情があると私は見ているのです。橋がかかる。その場合、いつまでも適用解除しないでおくということは、従来十六島も外しているのだからそういう前例もこれあり、一定の筋は筋として通していく必要があることはいま局長お答えになったようなことで私は理解するのです。だけれども特殊事情はやはり考えていかなければならない。その特殊事情というのは、過疎の状態は当然要件になるでしょう。もう一つは、平戸の場合、橋は有料橋であるということです。全額地元負担であるということですよ。天草五橋でもそうじゃない。その他の島にしても、皆無であるとは言いませんけれども国が助成をして橋がかかっている。ところが、全額地元で橋をかけるということは全額地元の負担になっているということだ。橋がかかったというそれだけをもって年次が来たからその適用を外していくということは適当でない。そういう特殊事情は当然考慮しなければならぬと思うのだけれども大臣見解はいかがですか。
  439. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 個々の特殊事情は特殊事情としてよく検討しなければならない問題だと思います。ただ、私は一問一答の中の経緯は余りよく知らないのです。私も就任するまで審議委員だったけれども審議会が一遍も開かれなかったのだ。それはどういうことかというと、いまのような調整が進んでおって、それなしでやってみても審議会はむだだ、平たく言えばこういうことだ。そこで、早く審議会を開いてもらって——研究会の方の小委員長は浅野さんだと思うのですよ。あの人も離島のことは詳しいのですから、いまのような問題は率直に話し合ってもらいたいというのが現在の私の偽らざる心境です。ただ、いつ審議会が開かれるかということにつきましては、事務当局の方でいま寄り寄り折衝をしておることと思いますので、審議会の場でまた御意見もちょうだいする、こういうことでどうぞ御容赦願いたい。
  440. 中村重光

    中村(重)分科員 特殊事情を知っている田澤前長官は非常に前向きな発言をしてきているのです。これは委員会の場を経ないで私は直接話したことがありますけれども、そういうことをきょう言おうとは思いません。一般論として結構なんですけれども、国の助成によって架設された架橋であるのか、あるいは地元が全額負担をする形で架設された架橋であるのか、そういうことは地元負担の問題になってくるわけだから、そういうような点は当然配慮しなければならぬと考えますが、一般論としてはいかがですか。あなた、しゃくし定規の答弁しかしないからだめだよ。
  441. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 若干中身についてお話を申し上げた方がいいと思う点がございますので、恐縮でございますがちょっと答えさせていただきたいと存じます。  おっしゃるように、平戸の場合も有料橋でございます。あそこの天草の場合も公団がやった有料橋でございます。その点については、有料であるか無料であるかによって差をつけるべきかどうかについても研究会で御検討いただいたわけでございますが、それはそれといたしまして、この平戸の場合でも、国からの貸付金あるいは公営企業金融公庫からの貸付金、そのほかが縁故債ということで、借り入れてやっておられるわけで、公団であろうと、この場合であろうと、いずれも、その借り入れた額を、あるいは島の人もお払いになるかもしれませんが、使う人が全部で負担をするというかっこうになりまして、一般財源というのはいずれの場合でも使っていない、税金は使わないという仕組みにはなっておるわけでございます。そういう事実がございますが、県の方からのいろいろな御意見もございましたし、先生方の御意見もございましたので、研究会あたりでもそういったものも含めていろいろ御研究をいただいたということでございました。そういった経緯だけ御説明申し上げます。
  442. 中村重光

    中村(重)分科員 それは研究会でやったろうけれども審議会にそういうものも含めて私は審議を求めるということが当然だと思いますよ。有料橋の場合だって全部その利用者に負担させるということにならない、余りそれが運賃なんか高くなっては、通行料が高くなってはいけないからというわけで、有料橋の場合に地元が一般会計の方から支出をするということだってあるんだろうから、いずれにしても地元の負担になることにもう間違いがないわけなんだ。だから、やはり国の助成によって、補助によって橋がかかったのか、全額地元の負担によってかかったのかということは区別をしていくのでないと、これは自分の金で橋をかけたのだけれども、一向国がめんどう見てくれぬということになれば、橋をかけることを促進するのではなくて、これをチェックすることになる。そうすると、離島振興と逆な方向に持っていくことになるんだから、そういう点はしゃくし定規に考えないで、有料橋であろうとも、国がやったのであろうとも、橋がかかったことに変わりはないなんという物の考え方というものは私は適当ではないと思う。だからして、そういうことは研究会は研究会でどういう構成でやっているのか知らないんだけれども、ともかくそういう問題は私は重要な問題であると思う。したがって、審議会にやはりかけて、十分な議論を求めるということが私は適当であろうと思う。その場合に、私はきょうは時間の関係があるから触れないけれども審議会においては審議委員としてもっと私の考え方を申し上げたい、こう思うのだが、大臣はいかがですか。こういうことはやはり審議会の議を経るべきだと思うのだけれども
  443. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 この離島解除の問題でいろいろ御議論があり、また問題点がある、こういうことで審議会に付議をすることになっておりますので、御論議をちょうだいしたいと思います。
  444. 中村重光

    中村(重)分科員 次に、離島として航路、空路それから医療という問題が重要な問題点になるわけです。  医療の問題については、厚生省の関係でお尋ねをすることにいたしますが、大臣に特に御配慮いただきたいことは、離島医療というのは、口では最も重要問題として議論もし、われわれの質問に対しても答弁があるんだけれども、なかなか実態が伴わないから、ひとつ大臣から、厚生当局と離島医療の振興のために格段の取り組みをするように、担当国土庁長官という立場に立って進言をされるように、推進をされるように、このことは期待をしたいと思います。  それから航路対策なんだけれども、いまジェットフォイルの時代になってきたというように思うのですよ。いま新潟と佐渡だけ。あれが一時間四十分かかっておったのが、いま四十分で行く。長崎でも、長崎−福江、博多−厳原、博多−壱岐、これは正式に申請がまだ出るような段階ではないのであろうと思うのですが、希望をしている。だがしかし、これは製作はアメリカのボーイング社であるというように思うので大変高い。したがって、現在の運賃でやると物すごい赤字が出るということになって、これは助成の方法というものも講じなくちゃならない問題になってくるんだろうと思うのだけれども、そういう時代になったということは肯定されるのだろうと思いますけれども、この点に対してはどうお考えになっていらっしゃるのか、伺ってみたいと思います。
  445. 柳昭夫

    ○柳説明員 離島の航路につきましては、そのサービス水準の向上につきまして、われわれも常に心がけておるわけでございますし、そのスピードにつきましても高速化あるいは安全性の確保その他につきまして鋭意努めておりますが、ジェットフォイルにつきましては、これは先生御承知のとおり、現在佐渡汽船が一杯昨年から入れておるわけでございますが、いまのところは、われわれの聞いております範囲では、順調であるというふうに聞いておりますけれども、いずれにいたしましても非常に高価、二十八億円ということでございますし、高価でございますので、その航路が採算を維持するためには非常に高い運賃を取っておるということと、それからその航路が非常に利用者がたくさんおりませんともちろん企業としても採算がとれる話ではございません。  数字を申し上げますと、佐渡が島につきましては、利用者が年間大体二百万人ぐらいおるわけでございまして、その二百万という大台を持っておる離島航路はほかにはございません。大体多くても五、六十万人ぐらいしか年間動いておらないわけなんで、そういう点で、直ちにジェットフォイルをほかの航路に持っていくということにつきましては、採算性あるいは経済性、そういう面につきまして非常に問題がまだあるんじゃないだろうか。  これを補助金でやったらどうかということでございますけれども、御承知のとおり、離島航路補助金と申しますのは、生活航路の維持ということが基本的な命題でございまして、ジェットフォイルは便利であることはもちろん言うまでもないのでございますけれども、言うならば観光客と申しますか、そういうものを主としてねらった船でございますので、これをいま直ちに離島航路に入れるということにつきましては、まだ問題があるのじゃないかというふうにわれわれ考えております。
  446. 中村重光

    中村(重)分科員 それでは時間の関係がありますから、まとめてお尋ねをすることにいたします。  いま離島航路はおっしゃるとおりだと思うのです。しかし、造船不況という問題もこれあり、これは国産のマリンエースというのか、これもいま試作中であるというふうにも聞いているので、十分ひとつ検討して、これは私は拙速をたっとぶということではないけれども、やはり前向きで取り組むというようなことで検討してほしい、それで実現に移してほしいというふうに希望します。  空路の問題については、厳原空港が現在千二百メートルを二千メートルにして滑走路を延ばしてほしいということ、ジェット機を就航させてもらいたいという希望がある。この点に対する考え方をお聞かせいただきたい。  それから、長崎空港の国際空港の見通しというものはどうかという点のお答え。  それから、きょうは、運輸省から、建設省からもお見えいただいていると思うのだけれども、新幹線について、この前三全総で国土庁の計画が明らかになった。あれによると、抑制という方向であったというように思うのだけれども、その後原局との話し合いによってまた内容が修正をされるということになったのか。具体的には、長崎新幹線ということについて、先般来、下関工事局から、環境調査についての委託を受けて、ようやくこれは結論が出て、工事局の方へ報告をされるということになった。早期着工を働きかけるということになっているわけですが、ルートや終着駅、そういったような問題を含めて、どこまで具体化するのか、見通しをあわせてお聞かせいただきたい、こういうことでございます。  それから、離島の公共事業の問題のおくれということについては、具体的にお尋ねをしたかったのですが、長官から先ほどお答えもございましたから省略をいたしますが、ともかくせっかくフェリーが就航するけれども道路がうまくいかない。長崎の比田勝の場合なんかそうなんですが、区画整理なんかをやって都市の大改造をやるといったようなことを強力に推進をしていくのでないといけないというように私は思いますから、その点に対する考え方をお聞かせいただきたいという点であります。  最後のお尋ねになりますが、建設省に対してでございますが、道路というのは、国土庁としても総合交通政策という見地から関心を持っていることであろうと思うのですが、具体的な問題は建設省からお答えをいただきたいのですが、道路の主目的は何かということなんだ。これは産業基盤の整備かあるいは地域住民の福祉増進か、このいずれに重点を置いて道路整備をやろうとしているのか。いずれもこれは関連があることは私は認めるわけだ。私の住んでいる長崎県長崎市は日本一の交通渋滞のところなのです。そういうところの交通渋滞を緩和する、いわゆる住民の福祉増進ということは第二に置いて、狭いところに現在長崎バイパスとか日見バイパスがある、国道三十四号線がある、それに九州横断自動車道を整備しようとしている。そういったことにむしろ重点が置かれている。これをやることによって市内の交通渋滞の解消にもつながっていくことは私も認めるのだけれども、どうも力が入らない。だから産業基盤の整備という方面に力点が置かれているような感じがしてならないのです。それらの点に対する考え方。  大変いろいろまとめてお尋ねしましたが、それぞれお答えいただく担当の方は違うわけですから、それぞれの点についてお答えをいただきたい。
  447. 佐野豪一

    佐野説明員 俗称厳原空港、正式名を対馬空港と申しますけれども、これのジェット化につきましてまずお答え申し上げます。  対馬空港は、先生御存じのように、長崎県の知事さんが設置、管理をします第三種空港でございまして、昭和五十年に開港しまして九州本土、これはたしか長崎、それから福岡ですか、航空輸送の基地として重要な役割りを果たしておりまして、私らとしましても今後需要が相当伸びるのじゃないかというふうに考えております。  この空港の整備につきましては、こういう需要増加を見込んでおりますので、現在、昭和五十一年を初年度とします第三次空港整備五カ年計画を進めておりますけれども、この五カ年計画の中でジェット化に対応するために、先生御案内のように現在滑走路の長さは千五百メートルございますが、それを千八百メートルに延長する工事に着手する予定になっております。これにつきましては、地元からぜひ千八百という要望を承っておりますし、県の方でいまいろいろ実施のための調査を進めておられますので、この結果を待って私どもの方もそれに対応したいというふうに考えております。  それから長崎空港の国際化でございますけれども、いま先生がおっしゃった国際空港化というのは、恐らく国際線の定期便が就航する空港という意味だろうと思います。国際線の定期便が就航するということになりますと、日本と飛びます相手の国と両国の航空需要の動向が一番問題になるわけでございます。それから、もしそういうところがありました場合には、税関とか検疫とか、そういう国際線に必要な施設等を十分設置する必要がございますので、私どもとしましても国際定期路線を入れるにはどうしたらいいかということで、今後の航空需要の動向を見ながら検討していきたいということでございます。  以上で終わります。
  448. 渡辺尚

    渡辺(修)説明員 道路の考え方についてお尋ねがございましたのでお答えいたしたいと思います。  もとより社会経済の基盤という効果がございます。それから生活基盤としての効能があるわけでございます。われわれが住んでおります町のいわゆる足元道路、こういったものも整備をしなければ生活基盤にならないわけでございます。もう一つの大きな効果といたしましては空間的な機能でございまして、上下水道とかそういったものを収容する空間的な機能があるわけでございます。したがいまして、私どもは、この道路は経済の発展と国民生活の向上の両面に寄与するものと考えておるわけでございます。先生が先ほど御指摘になりましたいろいろな道路でございましても、たとえば渋滞解消が行われれば、それはまた大気汚染の排ガスの減少にもなるわけでございまして、そういう意味では福祉の一端も担っておる、このように考えておるところでございます。
  449. 岩橋洋一

    ○岩橋説明員 長崎新幹線のお尋ねがございましたので御返事いたします。  通称長崎新幹線と申しておりますけれども、いわゆる整備五線のうちの九州新幹線福岡−長崎間のものを長崎新幹線と言っております。整備五線につきましては、かなり前に、四十八年に整備計画を決定しながら、その後のオイル・ショック等で着工が延び延びになっております。昨年、今後さらに環境等を十分に調査するということで、先ほど先生からお話がございましたように、下関工事局が各県にお願いをして環境調査を初めとした各調査をやっております。ただ、この調査はやや範囲を広くさせていただいておりまして、いまだルートを決定するには至っておりません。複数のルートを目下いろいろ比較検討しているという段階でございます。     〔兒玉主査代理退席、村田主査代理着席〕  ただ、整備の進め方につきましては、国の経済社会の発展あるいは国鉄の再建問題といったようなものもございます。整備五線につきましては、輸送需要がこれまでの新幹線と比べまして大変少のうございます。そのために従来どおりの仕組みでつくったのでは大幅な赤字が出るであろうと推測されます。国鉄経営をさらに悪化させるということが予想されますので、この点は慎重に対策を検討しなければならないというふうに現在考えておりまして、いつ路線を発表するかということはいまだお答えできない段階にございます。
  450. 中村重光

    中村(重)分科員 大臣国土庁が三全総で計画をつくって、新幹線についてはどうだ、自動車高速道路についてはどうだという方針を出したわけですが、そうなってくると、新幹線は、すでに着工しているものは別として、抑えていくということである。いまの具体的なことについての運輸省のお答え国土庁が当初三全総で出した方針との関係はどうなってきておるのか、やはり原局と話し合いをしてあれを緩和して、いま福田内閣は公共事業中心で進めている、そういう方向でできるだけこれを促進していくという考え方の上に修正をされたのか、そこらあたりはどうなんですか。
  451. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 突然のお尋ねでお答えがしにくいのですけれども、新幹線あるいは高速道路という大型。プロジェクトにつきましては、三全総の計画の中では十年で二百四十兆円の社会資本の投資をするということで、全然抑制するという方向にはございません。しかし、個々の計画につきましては、大体五カ年計画というようなものをそれぞれが持っております。ですから、ある時点をとらえると該当しない場合がある、長期にとれば入ってくる、そういう場合があると思います。
  452. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 これにて中村重光君の質疑は終了いたしました。  次に、山本悌二郎君。
  453. 山本悌二郎

    ○山本(悌)分科員 大臣にお尋ねする前に一言申し上げたい。  先ほどここで御答弁になりましたが、私は佐渡が島の出身だから、うそを言ってもらうと困っちゃう。佐渡は確かにジェットフォイルが就航しております。お帰りになったからいいですけれども、ジェットフォイルの就航で、二百万も観光客が来るからもうかってやるなんて、そんなでたらめを言ってもらっちゃ困ります。これは、佐渡が島は百万観光ということでかなり売り込んだけれども、昨年就航してから大体、昨年度七十万から九十万の間である。百万に満たないのです。特に、昨年度だけジェットフォイルを見れば、これは悪くはないのですよ。実際悪くはないのですけれども、百万観光を唱える佐渡が島としては不十分であったと、こう思うのです。だから、先ほど御答弁がありましたように、ジェットフォイルは単価が高くてそろばんが合わないのも事実であります。  それから佐渡へ行く船が一時間十分のが四十分で行くなんて、これも全くうそだ。そんなでたらめを言ってもらっちゃ困ります。いままでのフェリーでは、遅いのは二時間二十分、早いので二時間十分、それが五十五分で行く、こういうことです。  私が質問しようと思っておること以外のことを申し上げるのですけれども、運輸省さんもひとつ正確に把握して御答弁していただかないと困る。それは、これから御質問する佐渡に関してのことでございますから特に私はそれを取り上げるのでありますけれども、運輸省さんお帰りになったから、御答弁できなければ結構です。  確かに、観光客あるいは人を運ぶについてはそれほどいま不便を感じてはいない。ジェットフォイルをもう一機つくるという話になっておりますけれども、ところが、困ることには、貨物の輸送に大きな問題を生じておるのですね。これは、日本を取り巻く三千幾らの島がありますけれども、いわゆる貨物の運賃が非常に高いものですから、離島としては非常に困っておる。なぜならば、これからお尋ねをするところでありますけれども、離島振興の公共事業費をことしは大分つけていただいた。一千億以上になったわけでありまして、去年から見れば三八%も上回っておるし、ありがたいのでありますけれども、さあ公共の投資をするということになりますと、道路にしても建物にしても、皆何かで運んでいかなければならぬ。何かというのは船であります。先ほど橋の話がありましたけれども、橋のかかるところはいいけれども、船で運ぶ。この船で運んでいく貨物の運賃が高いので、願うことならば、これは国土庁長官にお願いすることではございませんけれども、何とか補助制度のようなものを確立できないものだろうか、これは離島ということでお願いをするのでありますが、補助をしてあげませんと実際困ってしまうのです。そういうことが第一点であります。それは結局は島民の生活物資にも大きな影響を与えているのです。佐渡が島を一つの例に取り上げますと、あんな大きな島でありますけれども、人口八万七千人、昔は十二万と言われたが、過疎になりまして、一市九カ町村ございますけれども、本土と佐渡が島の物価の対比というものは、大体一・五倍ぐらい高いのです。一・五倍ぐらい高いというのは、結局運賃がかかるということなんであります。そういうことで、ここのところを改めてお願い申し上げておきますけれども、ぜひひとつ補助制度ができるような仕組みにしてあげていただきたい、そうすれば、かなり離島の人も助かるのではないかと思います。  そこで、それにあわせてもう一つは、公共事業をやることは非常に結構でございますけれども大臣、これは離島に限らずでありますけれども、特に、いわゆる貧乏町村、赤字町村では超過負担がかなり影響するのですよ。それでこの点をどういうふうにお考えになっておるのか、まずそこからお尋ねしてまいりたいと、こう思います。
  454. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 最初にお尋ねのございました点でございますが、離島の生活が船に依存している点が非常に大きいということはお話しのとおりだと思うのでございます。ただ、この離島の貨物運賃についての補助制度という点につきましては、いろいろと経緯もあって、直ちに補助制度にはなじまないということで今日に至っておると聞いておりますが、御趣旨については関係省によく伝えておきたいと思います。  超過負担については、これは大臣から基本的にお答えがあろうかと存じますが、御承知のように補助基本額の問題とか、いろいろな点で従来から超過負担等があると言われておりますが、いろいろ物によっても違うと思いますけれども、地方団体の立場から見ますと、超過負担という点についてはなるべく是正さるべきものだというふうに考えております。
  455. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 超過負担の問題は、ずばり申し上げると自治省の所管でございまして、私、ちょっと一つ一つ例を挙げてお答えがしにくいわけでございます。しかし、原則的に離島における超過負担の解消が望ましいということは言うまでもないことでありますから、問題ごとに善処してまいりたいと思います。
  456. 山本悌二郎

    ○山本(悌)分科員 ごもっともだと思います。私は定位置が地方行政ですから、当然そのことを非常に懸念をしている一人ですから、自治省にも厳しく言いますけれども国土庁さんの方も、事業をする上に余り負担をかけないようにしてやっていただきたいと思います。  そこで、離島振興関係の公共事業のうちで、治山治水、海岸、道路、漁港、農業基盤、農用地開発、ごみの処理施設、簡易水道、こういうものの補助率をもう少し上げることができないのだろうか、これはどうでしょうかね。
  457. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 各種事業については、御承知のようにかなり本土よりも高率の補助制度を講じておるところでございますが、いまおっしゃいました点で、たとえば簡易水道等につきましては、私どもとしても現在の十分の五、あれはせめて若干でも上げたいということで検討はしておったわけでございますが、なかなか実現に至っていないわけでございます。また廃棄物処理事業につきましても、屎尿処理施設は二分の一でございますが、ごみ処理施設が三分の一補助になっておるといったようなこともございまして、特にこのごみ処理施設等につきましては地方負担が多くなっておるということも御指摘のとおりでございます。引き上げについて検討してまいったわけでございますが、これも今日まで実現をいたしておりません。ただ、こういった点については私どもとしても問題意識を持っておるわけでございますので、ただいまの簡易水道なりごみ処理施設等については、今後なお関係省庁と一緒に、財政当局ともよく相談をして、できるだけの努力をしていきたいというふうに考えております。
  458. 山本悌二郎

    ○山本(悌)分科員 廃棄物処理の話が出ましたのでそこへ焦点をしぼってみたいと思うのですけれども、確かに屎尿処理については現行の二分の一、これを三分の二にはできないですかね。それからごみ処理については三分の一を二分の一にするという、これもかなり強い要望があるのです。いかがなものでしょうか。今年度は無理にしても、将来に向かってできないですかね。
  459. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 御意見はよくわかるわけでございますが、私どもとしても、いまの廃棄物処理の中で特にこのごみ処理施設が三分の一だという、その点にまず力を入れていきたいと考えておるわけでございまして、屎尿処理施設を直ちに三分の二にするかどうかということについては、趣旨はよく理解できるわけでございますが、いろいろな全般的な補助制度の絡みがございますので、よく相談をして、できるところから徐々に前進をさしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  460. 山本悌二郎

    ○山本(悌)分科員 この屎尿処理の中で対象になっていないのがあるんですね。屎尿処理の運搬車、船、屎尿処理船あるいは中継糟というようなものが国庫補助の対象になっていないのですけれども、これは対象に入れるということは不可能ですか。
  461. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 私ども直接お答えする立場にはないわけでございますが、屎尿運搬船等については補助対象にはなっていないわけでございます。なお関係省庁と、いまの御意見については伝えまして、十分検討してみたいと存じます。
  462. 山本悌二郎

    ○山本(悌)分科員 同じ廃棄物処理の中で、私がいつも心配している一つの問題があるのですが、魚腸骨というのがある。魚のはらわた、頭で、これを取り上げる人がわりあいとないのです。ところが、地方に行きますと非常に困っている。最近、科学が発達いたしまして、ここ数年来、この魚腸骨を鳥のえさにする、あるいは肥やしにするということでそういう炉ができたりしておりますけれども、その炉をつくったところがこのにおいのためにどうにもならないのです。一例を申し上げますと、新潟市もそうでしたけれども、佐渡が島に両津市という市があります。その市で黒姫という地域にそういうものをつくった。そうしたところが大変なにおい公害でいられないということでつぶしてしまって、いまはどうしようもないので、これを船で全部沖へ持っていって捨てている。ところが、これは毎日のことでございますから、びろうな話だけれども、東京湾が尿の捨て場になっておって真っ黄色になってしまったという話がありましたが、いまは魚を捨てるので——生きた魚は魚腸骨は食わないのです。そうすると沈澱してしまいまして、それが腐って海流に流されるのですね。これが海の中の公害になっているのだ。これはこれから出てくる非常に大きな問題なんですが、国土庁の問題であるかどうかわかりませんけれども、私はこれもぜひお願いいたしておきますけれども、魚腸骨処理という問題は取り上げてもらいたい。いまの廃棄物の中でこれは特に重要な問題になっているということを申し上げておきます。
  463. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 家庭廃棄物の場合は、いまの魚腸骨等についてはそれほど問題があるとは思っておりませんが、いまお話しの点は、市場なり何なり大きな産業廃棄物的な意味のものであろうかと思います。これは、いまの段階では原因者負担といったような考え方から補助対象にはなってないようでございます。今後、おっしゃるようないろいろな問題が出てくると思うので、そういった意味では問題意識を持って検討すべきだとは思いますが、直接私からどうしたいというようなことをお答えする立場にございません。これも関係省の方へ御意見はよくお伝えしたいというふうに考えます。
  464. 山本悌二郎

    ○山本(悌)分科員 大臣も離島のところに関係しておりますから十分おわかりだと思いますが、佐渡が島では国定公園になっておりますが、観光地のレクリエーション施設といったようなものが災害に遭うとどういうことが起きるかというと、たとえば高波、がけ崩れ、なだれ、そういうことが起きるわけです。ところが、この自然景観を保っていくために地方の自治団体は一生懸命にやるわけですよ。一生懸命にやるのはありがたいことなんだが、金がないものですからあるところまでいくとストップする。ほっておくわけにいかない。所管からすれば環境庁かもわかりませんけれども、しかし、災害の防止や災害に対しての問題は国土庁だろうと私は思っているのです。どちらでも結構でございますけれども、災害の復旧に関して制度的に何か手当てをする方法はないものだろうか、こういうことでございますが、いかがでしょう。
  465. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 具体的に一つ一つで大分違うのじゃないかと思うのです。ただ、災害でやられておるということであれば災害復旧は当然考えられることだと思うのですが、それがどういうことで災害復旧に該当しないのか、私、ちょっと理解しかねたわけでございますが……。
  466. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 お話のございました公園とかいろいろな観光レクリエーション施設が災害を受けました場合でも、公共土木施設災害復旧事業として国庫負担の対象にはいま扱われていないようでございます。そこらの事情はよく私も存じませんが、公共土木施設ではないという取り扱いを受けておるということは、結果的にそうなっているわけでございます。したがって、災害等によっていろいろ被害があった場合には、それぞれの省庁でも復旧について努力をしておりますけれども、仰せのように不十分な点もあろうかと思います。  ただ、率直に申しまして、離島について直ちに国庫補助負担制度を導入して制度化するということについてはにわかにはお答えできないわけでございますけれども、おっしゃったようなお考えもございましょうし、関係省庁非常に多岐にわたっておりますので、そういった点、私どもとしてもよく研究してみたいと存じます。
  467. 山本悌二郎

    ○山本(悌)分科員 局長がそうおっしゃるのですから、もうこれ以上追及しませんけれども、いまお話があったように各省にまたがるのですよ。そうしてめんどうくさいのですよ。そのためにやらないのです。しかも大きな災害ならいいけれども、本当に大した災害ではないのです。ところが、それを抱えている町村にしますと大変なことなんですね。私に言わせれば、あんなものもやはり超過負担だと思うぐらいに気の毒なほど手当てをしなければならぬ。そうかといって、観光時期になれば必ず観光客が来るし、通るし、ほうっておくわけにいかない。レクリエーション地域だから人は来るし、こういうことで何とかかんとかおくれた手当てを一生懸命しているのですから、ぜひひとつこの辺は関係各省と御協議願って制度化ができるような方向にひとつ持っていっていただきたいと思います。  大分時間も遅くなって、大臣もそろそろお立ちになりたいようでございますから、最後にお尋ねをいたしておきます。  これは離島ではございませんけれども、高齢者の問題で、私の方の新潟県で一カ所だけ、小千谷かなにかに指定をしているようでありますけれども、高齢者の生産活動センターの建設モデル事業というのを考えているのです。何か要求してきたのは一億ちょっとでありますけれども、山村地域における人口がだんだん老齢化をしていく、若い者は出かせぎに行ってしまう、年寄りだけが残る、その年寄りが何もしないでいるということもよくない。そこで高齢者に対して何とか生産活動ができるようなモデルをつくってみたいということなのですが、局長、御存じでございますか。
  468. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 実は、高齢者生産活動センターは、私どもの所管といたしまして、五十一年度から振興山村において取り上げておるわけでございまして、五十一年度に初めて三カ所、五十二年度が六カ所、五十三年度は予算案には十カ所を予定しておるところでございまして、お話しのように、山村地域の高齢者の就業機会を増大させる、あるいはまた、老人の生きがいを高めるとか、もっと申しますと、伝統的な土地の技術を残すといったような意味で非常に期待をされておるというふうに私ども受け取っておるわけでございます。そういった意味で個所数もふやしておるわけでございますが、何せモデル事業としてやっておるわけでございますので、いろいろとその成果等も見ながら今後そういった山村地域の対策考えていきたいと思っておるわけでございます。
  469. 山本悌二郎

    ○山本(悌)分科員 時間を余しますけれども、大分時間が遅くなっていますから、私も会合がありますし、これで質問を終わりますが、離島といたしましては佐渡が島というのは非常に恵まれているというか、大分応援していただいているのです。本当にありがたいと思っているのです。ですけれども、何といっても八万七千人も人口があるのでございますし、一市九カ町村もありますし、その中に住んでおる——しかも、最近は若い人がいなくなりまして老齢者ばかりになっていくという現象もありますので、いわゆる農地の問題、それから公共事業の問題こういうものも含めてひとつ一層の御支援を賜りたいと思います。これは私が佐渡だというだけではございません、離島の悲哀、悲しさ、そしてさびしさ、困難さということを十分勘案していただいてこれからの国土庁としては十分な対処をしていただきたいということをお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  470. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 これにて山本悌二郎君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして昭和五十三年度一般会計予算昭和五十三年度特別会計予算及び昭和五十三年度政府関係機関予算国土庁所管について質疑は終了いたしました。  次回は、明三月一日午前十時より開会し、運輸省所管について審査いたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後七時五十一分散会