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1978-03-03 第84回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月三日(金曜日)     午前十時一分開議  出席分科員    主査 塩崎  潤君      小此木彦三郎君    谷川 寛三君       中野 四郎君    井上 普方君       岡本 富夫君    鳥居 一雄君       林  孝矩君    兼務 井上 一成君 兼務 石野 久男君    兼務 大原  亨君 兼務 細谷 治嘉君    兼務 松本 善明君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 山田 久就君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       金子 太郎君         環境庁長官官房         審議官     石渡 鷹雄君         環境庁長官官房         会計課長    高橋 盛雄君         環境庁企画調整         局長      信澤  清君         環境庁企画調整         局環境保健部長 山本 宜正君         環境庁自然保護         局長      出原 孝夫君         環境庁大気保全         局長      橋本 道夫君         環境庁水質保全         局長      二瓶  博君         水産庁次長   恩田 幸雄君         資源エネルギー         庁公益事業部長 服部 典徳君  分科員外出席者         国土庁計画・調         整局計画課長  星野 進保君         大蔵省主計局主         計官      塚越 則男君         大蔵省主計局主         計官      窪田  弘君         大蔵省主計局主         計官      宍倉 宗夫君         厚生省環境衛生         局水道環境部環         境整備課長   森下 忠幸君         農林省農林経済         局保険業務課長 大塚 米次君         農林省農蚕園芸         局植物防疫課長 本宮 義一君         林野庁指導部森         林保全課長   小田島輝夫君         運輸省航空局飛         行場部長    田代 雅也君         建設省都市局下         水道部下水道企         画課長     高橋  進君     ————————————— 分科員の異動 三月三日  辞任         補欠選任   林  孝矩君     岡本 富夫君 同日  辞任         補欠選任   岡本 富夫君     鳥居 一雄君 同日  辞任         補欠選任   鳥居 一雄君     林  孝矩君 同日  第二分科員井上一成君、細谷治嘉君、第三分科  員松本善明君、第四分科員石野久男君及び第五  分科員大原亨君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十三年度一般会計予算  昭和五十三年度特別会計予算  昭和五十三年度政府関係機関予算総理府所管  (環境庁)〕      ————◇—————
  2. 谷川寛三

    谷川主査代理 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  主査所用のため、その指名により私が主査の職務を行います。  昭和五十三年度一般会計予算昭和五十三年度特別会計予算及び昭和五十三年度政府関係機関予算中、総理府所管について審査を進めます。  環境庁に関する事項について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石野久男君。
  3. 石野久男

    石野分科員 大臣にお尋ねいたしますが、産業公害が非常に多くなって、全国でこのことが非常に大きくなる、そして自然が破壊され、環境の面で非常に生活がしにくくなったりあるいは生産がしにくくなったりするという段階では、何よりも環境整備自然保護ということが重大になってまいります。特に日本現状を見ますると、環境整備自然保護ということの必要性を痛感するわけです。  私は、きょうは主として海洋問題についてお聞きするわけでございますが、列島周辺の海、これは二百海里時代に入りますると、海洋水産物生産という問題でかかわり合いが非常に多うございます。特に、産業公害による海水汚染、それから生活廃棄物等による海底汚濁あるいは損傷というものが目立ってきているように思います。日本が二百海里問題でだんだん外洋を締めつけられて、沿岸近海漁業というものに重点を置かなければならなくなってきている段階では、列島周辺の海上、海中海底の自然を守るということが非常に大切だ、こう思うのです。  そこで、私は、日本列島周辺の海がいまどのように自然を破壊されておるかということを重大な問題として取り上げなければいけないのじゃないか、環境保全という観点から、大気中の問題だとか陸上の問題だけでなしに、いま海中海底の問題について徹底的な調査をする必要がある、こう思うのです。特に水産資源に依存することが非常に大きい日本でございますだけに、このことの必要性を痛感します。大臣は、環境庁長官という立場からこういう問題についてどのようにお考えになっていらっしゃるか、所見をひとつ承りたい。
  4. 山田久就

    山田国務大臣 自然環境保全、そしてそういう意味での生活環境改善ということは、われわれの非常に重要な任務と考えております。無論、この水というものはその意味においての重要なファクターであるということは、ただいま石野委員の御指摘のとおりであろうかと思います。それにつきましては、現状の把握ということが対策のための前提として非常に重要な点であること、まさにこれ御指摘のとおりでございまして、現状につきましては、政府委員から答弁させたいと思います。
  5. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 二百海里時代を迎えまして、海洋関係汚染問題、環境保全、これが非常に重要性を増しておる、このように考えております。  沿岸漁業という観点から見ますと、概括的には海洋水質はよろしいのでございますが、ただ、閉鎖的な内海、内湾、こういう面を見ますと、水の交換が悪いというようなことがございまして、環境基準達成状況が必ずしもよろしくないというのが現状でございます。  それから、ただいま先生から、単なる水質だけでなくて海の底、底質、そういうものもというお話でございますが、この底質の方につきましては非常に複雑でございます。底質が悪くなっているという要因に、水銀とかPCB、そういう有害物質が流れたために底質が悪化している、あるいは有害物質ではないがパルプ工場等によりまして高濃度の有機汚濁ヘドロ、こういうものが出ておるというような底質の悪いところもございます。それで、水銀とかPCBヘドロは早急に除去するようにということで、除去も終了しているところもございますし、大部分は現在工事中、除去作業中でございます。それから、有機ヘドロのところも、鞆ノ浦初め逐次これも除去をしておるというようなことで、極力、水質だけではなしに、底質改善という問題に対しても取り組んでございます。  なお、海底によく、こみを投棄している、あるいは農業用ビニール等海底に沈んでおりまして、漁業操業その他に支障を来すというような事態もございます。この面につきましては、水産庁中心になりまして、そういう漁場機能回復という面でそういうものを除去する、こういう事業等も行っておるというようなことでございまして、今後とも、水質底質改善というものにつきましては、大いに充実強化を図ってまいりたい、かように思っております。
  6. 石野久男

    石野分科員 いまお話しのように、水質保全あるいは底質自然保護、こういう問題では雑多な問題がございます。非常に閉鎖的な湾内というようなところの作業は、被害も顕著に出るかわりに、また排除することも外洋と違って案外楽だと思うのです。しかし、私は、最後お話がありました生活廃棄物というようなもので、特にビニールだとか空きかんだとか、いろいろそういうもののために漁場が荒らされている、こういうことが存外多いように思われます。私は、これは海中自然保護という意味からいたしまして、積極的にこの問題を調査する必要がある、こう思います。六〇年代高度成長期に非常に消費生活が奨励されて、使い捨ての生活をずいぶん長い期間やりました。と同時に、また、農耕法の上でビニールなどを使って、それが全部収集もできないままに川を通じて外洋に出ております。これらのことによる漁場の、特に魚礁と言われるようなものが全部機能停止をする、むしろ岩が赤焼けをするというような状態を呈する、こういうようなことのために魚族の繁殖が阻害されているというような事態が、これは一地域じゃなしに、日本列島全域にわたってそういう状態が出ているというふうに関係する人たちは言っておるわけですね。私は、これを早期に、徹底的に調査することを、ぜひひとつ政府によってやってもらいたいと思うのです。  二百海里問題で、いやでもおうでも沿岸近海漁業日本が閉じ込められてくる事態でございますから、若干、外洋におけるところの漁業領域を広げる交渉もしておりましても、結局はやはり閉じ込められていく、これは日本水産業にとっては非常に遺憾なことでございますけれども、やむを得ないことだと思います。しかし、同時に、二百海里の問題は、日本列島周辺にそれだけの領域をふやしたことになって、水産の場を広げたことにもなりますから、これを積極的に活用するためには、どうしても基本的にそういう問題を調査して、そしてそこで新しい水産の場を広げていく、あるいはまた養殖漁業とか培養漁業というようなものを広げていく必要があると思うのです。  そういうことをするについても、基本的にこの一調査をしないといけないと思いますので、私は、長官にぜひひとつお願いしたいのですが、これは政府の中で、閣議等でもこのことについて積極的に発言をしていただきたいと思うのです。農林水産の場でも、農林大臣にも私はお願いをしたのですけれども、これはどうしても政府の中で、日本列島周辺海洋調査といいますか、海洋といっても上だけではなしに、中、底質、この問題全部を通じて一大調査をしていただいて、でき得べくんば、日本列島周辺海底の大掃除をするというプロジェクトをつくり上げていただきたい。水産大学佐々木学長は、本院に参りまして、いまから数年前でございますけれども、十年がかりぐらいでその掃除をやってもらわないと困るんだという発言もなさっておりますので、私は、ぜひそういうことを閣議等で議を起こしていただいて、この際、国のプロジェクトとしてそういう仕事をしていただく、水産日本の成果を上げていただくようなことをしていただきたい、こう思います。大臣、ひとつそういう点、あなたが環境庁長官という立場からも積極的にそのことについて発言をしていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  7. 山田久就

    山田国務大臣 まさに石野委員の御指摘のとおり、この二百海里時代になって、一方においては日本が、北洋あるいはニュージーランドその他において締め出しを食っておる。しかしながら、見方によっては、この二百海里によって新しい意味の海の領域というものは、世界の中の順位で七位にもなっておる。したがって、ここの活用ということをもっと真剣に考えるべきだという声が出ておるので、まさにこの点は石野委員の御指摘のとおりだと思います。  そのためには、無論、水産庁農林省としてもいろいろな対策を講じなければなりません。同時に、いま御指摘のように、いろいろな廃棄物によって近海魚礁というものが汚染されている。あるいは海洋の質の改善ということは一体にして考えなければいけないし、このためには関係各省の一致の協力というものが必要であろうかと思います。日本の将来を考えても、また、われわれの立場からいたしまして、また国務大臣としても、その点については、適当な機会に御趣旨の点ひとつ注意を喚起して、そういう方面への前進が見られるよう、私も努力をしたいと思います。
  8. 石野久男

    石野分科員 二百海里問題が出ましてから、日本は非常に悲観論ばかり出ているのですね。外が締め出されて、どうやっていったらいいんだろうかというようなことだけしか論じられておりませんが、むしろ政治の面では、この二百海里問題を機といたしまして、新たなわれわれの領域を積極的に活用するためにも、時を移さず、そういう活用の態勢に入らなくちゃいけない。それには基本的に調査することから始まりませんと、口では幾ら言ってもそれは実現できないと思うのです。このことは単に調査だけにとどまらないので、そういう海底のいろいろな障害を起こしている原因排除の問題にかかわってきます。これは当然産業公害の問題にもかかわる問題になりますので、この問題の解決はきわめて多岐にわたる問題を提起していると思いますから、ぜひひとつ早期にこの問題に手をつけていただくように私はお願いしておきたいと思うのです。  先ほどお話がありましたように、海洋汚染の問題では特に内湾汚染度が非常に厳しく出てまいります。それにはいろいろな理由がありますが、そういう原因排除すると同時に——原因排除しようといっても、周辺におけるところの生活態様なり産業構造の上から来るどうにも排除のできない、必然的にこれを必要とするものもあったりしますので、やはり閉じ込められた湾は、そこへいろいろな被害を加えてくるような原因排除すると同時に一汚染度を薄めていくという、水の交換なりあるいはその他の方法による汚染度を希薄化するということも積極的に考えなければいけないだろうと思うのです。  私は、きょうは多くのところを申しませんが、瀬戸内海等の問題はいろいろ立法措置によって講じられておりますけれども、きょう特にお聞きしたいのは、三重県の英虞湾の問題です。私は、いま選挙区は茨城でございまして、英虞湾には直接関係ございませんが、ただ私は、自分の生地でもありますし、古くからそのことを知っておる。その上になお英虞湾というのは、御木本真珠発祥の地でもありますし、最近におきましても、真珠業は主としてここで、一時は漸減しておりましたけれども、総体的には三重県の真珠はここが非常に多いところでございます。ところが、これが養殖がだんだんとしにくくなってきている。これはどういうふうにして水質改善をするのか、あるいは被害発生原因をなくするかという問題を考えなくちゃならないわけです。皆さんの方でも、すでに昭和四十三年に浅海漁場開発事業調査報告書ということで、英虞湾調査をされております。その結果も私は十分承知しているわけです。調査の結果としては、水位の差がないので水の交換度が必ずしもよくないから、提起されているいろいろの問題を取り上げるに足りないというようなことになっているのでございます。  しかし、このままにしておきますと、周辺地の陸地の開発なり、あるいは生活態様が、自然のままにしておけばよろしいですけれども、あの付近は景勝の地でもありますし、合歓の里とか何とかというように、いろいろ人の出入りも多い。生活排水の規制なんかもずいぶんとしておりましても、これからは悪くなってもよくなる条件はないと思うのです。私は、こういうように閉じ込められた湾というのには、新しい海水なり何なりを入れるということを積極的に考えない限りは、もうとても死んでいく水を生き戻らせるカンフル注射はないと思っております。どんなに皆さん手当てなさっても、汚染度は進む一方だと思うのです。  そこで、業界の方々がここを使って真珠養殖をしたり、またその他だんだん養殖培養漁場が多くなってまいりますと、あの湾内をまた別な形で使う業者も出てくるでしょう。そういうときに、非常に波静かで、漁場としても使い方によってはずいぶん有用に使える場所を積極的に開発するのには、やはりどうしても太平洋の水を大量に入れるということが喫緊の必要事ではないかというふうに私は素人考えをしているのです。これは素人考えではありますけれども、率直に申しますと、私のおやじ漁師でした。漁師という立場で、あの大王崎沖合いは非常に波が荒れるものですから、避難港を必要としております。波切港を避難港ということで、太平洋岸では第一号の避難港になって、あれは国が設定をしたものでしたが、そのとき、ああいう港だけではだめなんだと私のおやじがそう言うのです。どうしてもやはり英虞湾避難するということを考えなければならぬということが一つと、当時にしますと、えさとしていわゆるイワシだとか何かを確保するのに英虞湾がいいところでございまして、あそこはえさを置いておくのにもいいところである、そういうことから、ちょうど太平洋岸にある波切立神口というところがございますが、そのところは内湾に対しての距離は三キロもないのだろう、二キロ半ぐらいしかございません、そういうところを掘り割りをして水を交流すればずいぶん違うのじゃないか、こういう話もございました。これも素人考えですが、経験から言う言葉ですね。私は、いま英虞湾真珠養殖にとって非常に大事なところであり、そして真珠業者もあそこから離れようとしない、そういう状態のもとでは、やはりあの英虞湾をぜひひとつ従前の真珠業をやるに適したような状態に戻す、あるいはそれより以上によいものにする可能性を引き出すことが必要なのではないかと思う。  そこで、もうすでに四十三年に一応検討は加えておりますけれども、なお新たに深谷水道の水深をもう少し深くしたらどうだろうという意見も一つありますけれども、しかしそれよりも、太平洋岸から出る立神口のこの付近を掘削することによって水質改善の一助にしてもらいたい。全的には私はできないと思います。湾内の形状が非常に入り組んでおりますから、これは非常にむずかしいとは思いますけれども、しかし方法によっては相当程度の効果はあらわし得ると思うので、そういうことについてひとつ考え用意がないのかどうか。これは環境庁立場からもぜひそういうことをお考え願いたいし、国土庁なり水産庁なり、それぞれ関係するところでそういうことの調査に取り組む用意がないのかどうかということ、最近の事情等を含めてひとつ御答弁いただければと思います。
  9. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 英虞湾につきましては、ただいま先生おっしゃいますように、閉鎖的な内湾でございますので、水質状況は必ずしもよろしくございません。夏場などは赤潮が出るというようなことも現にございます。  そこで、この英虞湾水質改善の方途でございますが、一つは、先生のおっしゃいますように、排水といいますか、汚濁発生源、これを出す量といいますか、発生したものが英虞湾に入ってくるのを少なくする、これがまず一つでございます。確かに先生がおっしゃるとおりでございます。あの英虞湾は、伊勢志摩国立公園にございます。したがいまして、観光地といいますか、そういうことで、旅館、ホテルが相当ございます。したがいまして、一般的な生活排水のほかに、そういう旅館からの排水、これが相当大きな汚濁発生源になっております。したがいまして、そういう面につきまして、三重県の方でも上乗せ条例などをかけてやっておるところもございますけれども、さらにその面の強化、徹底ということを図るというのが一つの大きな手段であろうかと思います。  それからもう一つは、ただいま先生からお話がございましたように、薄めるといいますか、水の交換をよろしくする、そういうやり方はどうか。一種の導水事業でございます。これにつきましては、先生からもお話がございましたように、水産庁の方におきまして、四十三年度でございますか、浅海漁場開発調査という関係の方をやられたわけでございます。私もそれの概要は聞いております。余り潮位差がないものですから、掘削しても水が余りすっと入ってこないとか、中の湾が非常に入り組んでおりますので、英虞湾全体にうまくその水が回るかどうかという点がいろいろ問題があるというような感じの報告になっておると聞いております。  おっしゃるとおり、水の交換の悪いところに導水事業をやれば交換がよくなるということは、これは当然でございます。ただ、具体的にそれではそういうことを進めるかどうかという問題につきましては、私たち地元三重県の方にもいろいろ伺っているのですが、どうも三重県の方が具体的にそういう構想をまだ持っておらないということなんです。したがいまして、今後の進め方としては、やはり何といっても地元の県が一体英虞湾というものの水質を、現状よろしくないわけですから、これをどうきれいにしていくか。その実態に即した対策県自体が、汚濁発生源をどうする、あるいはそういう導水事業というものも検討範囲に入れてどうしていきたいという、ひとつ具体策考えてもらわぬといかぬのじゃないか。そういうものが出たところで、環境庁なり水産庁なり、あるいは国土庁も関連してくると思いますが、そのほかの省庁も関連してまいると思います。したがいまして、第一義的には、やはり県の方で英虞湾水質をどうするのか、ここは真珠生産発祥の地でもあり、現在三重県におきましても一番ウェートの高いところでございますから、どうするのかということで、県の方に具体的にその辺の対策考え方をただして、その上で対処したい、かように思っております。
  10. 恩田幸雄

    恩田政府委員 先生指摘のように、英虞湾におきましては真珠養殖が盛んに行われておりまして、現在あそこが非常に富栄養化しておるということでございます。私どもといたしましては、真珠不況の問題もございましたし、それからさらに真珠いかだ密殖されておる傾向もございましたものですから、過去におきまして、三重県を指導いたしまして、密殖の防止ということで生産調整をやらせまして、いかだの台数を減らして、できるだけ水の流通をよくするようにということでやってきたわけでございます。  そのほか、五十二年度におきましては、石灰を散布いたしまして海底土にカルシウムを補給すること、あるいはヘドロ分解促進等をねらいましてやったわけでございますが、さらに五十三年度は、新しい試みといたしまして、海底にどろをまきまして、要するにヘドロの上にどろをまいて、それでヘドロ原因といたします燐とか窒素の流出を防ごうというふうに考えております。  さらに、基本的には、本年度英虞湾ヘドロマップと申しますか、ヘドロ中心といたしました海底状況を現在調査中でございます。この結果を待ちまして、いろいろさらに具体的な対策考えてまいりたいと考えております。
  11. 星野進保

    星野説明員 御説明申し上げます。  先生指摘のとおり、私どもが策定いたしました第二次全国総合開発計画におきましても、閉鎖性内湾につきましては、特にその保全と利用が非常に重要であるということを、一般論でありますが、十分書いております。したがいまして、それを受けまして、これからそれぞれの地域におきますブロック計画なりあるいはそれぞれの県でおつくりになります独自の振興計画、そういったようなものと十分調整をとっていく必要がありますので、私ども立場から言いますときわめて一般論になるわけでございますが、そういう角度で先生の本日の御発言内容等につきまして十分参酌させていただきたい、こう存じております。
  12. 石野久男

    石野分科員 最後にお願いしておきますが、四十三年の調査ではそういう結果も出ておりますが、真珠研究所の諸君もいろいろ勉強していらっしゃって、やはりなお調査をしてもらうべき余地が十分あるということを、もう時間がありませんので申しませんけれども、結論を出しておられますので、ぜひひとつ関係各省庁の間でこの問題についての一層の御検討をいただくようにお願いしまして、時間がありませんからこれで失礼します。
  13. 谷川寛三

    谷川主査代理 以上で石野君の質疑は終わりました。  次に、細谷治嘉君。
  14. 細谷治嘉

    細谷分科員 最初に、きわめて初歩的な質問でございますけれども長官にお尋ねしたい。  八十四回国会に公害健康被害補償法の一部を改正する法律案というのが提出されております。その内容は、五十二年度で切れる自動車重量税の一部を引き続き補償の原資に充てる、こういうことでございますが、五十三年度にこのほかに公害健康被害補償法について、環境庁としておやりになろうとする問題点は何と何か、お聞きしたいと思います。
  15. 山本宜正

    ○山本(宜)政府委員 私からお答えさせていただきます。  ただいまお尋ねの、費用負担につきましての一部改正をお願いしているほかに、現在までいろいろな方面からこの健康被害補償法につきましての意見が出ておりますので、これにつきまして中央公害対策審議会の環境保健部会の中で当面の問題として御議論をいただこう、かように考えておるわけでございます。その答えを踏まえまして施策に反映してまいりたい、かように思っておるわけでございます。
  16. 細谷治嘉

    細谷分科員 いま環境保健部会で、この法案に盛られておる以外の問題について検討をしておる、それを踏まえてということでございますが、最近の新聞によりますと、環境保健部会では五十三年度の被害補償について平均八%程度のアップの答申をする、そういう結論が出た、こういうことが報道されておりますが、このことだけですか。もう答申が出たのか、このこと以外のことについて御検討があるのかないのか。     〔谷川主査代理退席、主査着席〕
  17. 信澤清

    信澤政府委員 その新聞記事は、毎年度患者に対する補償給付費の増額をいたしておりますので、その御諮問を先般環境保健部会にいたしまして、部会としては御了承を得たわけでございます。このほかに、当日御審議いただきましたのは、健康保険の医療費改定に関連する公害健康被害補償制度の方の医療費の改定もございました。
  18. 細谷治嘉

    細谷分科員 それ以外はございませんか。
  19. 信澤清

    信澤政府委員 なお今年度中に審議会の御審議を煩わすべき事項がございますが、当日は御諮問申し上げておりません。
  20. 細谷治嘉

    細谷分科員 昨年の三月の十二日に出された答申は、完全に実施されておりますか。
  21. 信澤清

    信澤政府委員 三月十二日に——いろいろ御答申をいただいておりますので、どの部分かわかりませんが、恐らく指定地域における汚染負荷量賦課金の調整に関する部分だと思います。
  22. 細谷治嘉

    細谷分科員 それは答申どおり実施されておりますか。
  23. 信澤清

    信澤政府委員 指定地域内では、先生御承知のように、二分の一調整をすべきだという御意向でございましたが、急激な負担の増加を避けるという趣旨で、五十二年度はとりあえず四分の一の調整をする、こういうことで終わっております。
  24. 細谷治嘉

    細谷分科員 昨年の答申について、二分の一の調整をすべきであるという答申が出されたわけですが、四分の一調整で終わっておる、残りの四分の一はどうなさいますか。
  25. 山本宜正

    ○山本(宜)政府委員 現在その点につきまして検討を加えまして、その答申の線に私ども近づけたいと思っております。
  26. 細谷治嘉

    細谷分科員 それはことしの答申にはないでしょう。去年答申されているんですから。近づける、具体的にはどういう方針ですか。
  27. 信澤清

    信澤政府委員 昨年の答申でも、現実的には五十二年度は四分の一がしかるべし、こういう御答申であったわけでございます。しかし、おっしゃるように、二分の一まではやるべきだという審議会の御意見でございますから、いずれ負荷量賦課金の料率等について審議会に御諮問いたす予定でございますが、その際は、私どもは昨年の答申を踏まえ、二分の一調整にまでなるような原案で御意見を伺うようにいたしたいというふうに考えております。
  28. 細谷治嘉

    細谷分科員 それはいつおやりになるのですか。
  29. 信澤清

    信澤政府委員 計数等の整理が終わり次第審議会の御意見を伺いたいというふうに考えております。
  30. 細谷治嘉

    細谷分科員 おかしいじゃないですか、計数整理終わり次第——去年答申されたんですよ。その際にもう計数は整理してこういう答申が出たんでしょう。それが激変緩和ということで四分の一になったわけでしょう。また計数整理しなければならぬのですか。
  31. 信澤清

    信澤政府委員 汚染負荷量賦課金をかけます場合に、前年度の汚染物質の量を推計いたしますその計数のことを申したわけでございまして、二分の一がしかるべしかどうかということについての計数整理という意味ではございません。  なお、本件につきましては、すでに御答申をいただいておりますから、先ほども申し上げましたけれども、改めてこういうことでやりたいという意思表示を審議会に申し上げて御了承を得れば足りるというふうに考えております。
  32. 細谷治嘉

    細谷分科員 そこで、ごく最近のデータというものに対して計数整理をするわけでありますから、すでに答申は出ているわけですね。その答申を尊重していかなければならぬ。しかも去年、五十二年度やらなかったのは、激変緩和ということであるならば、激変緩和ということで二年も三年もほったらかすということはできないでしょう。五十三年度におやりになるんですか、ならないのですか、お聞きしておきたいと思います。
  33. 信澤清

    信澤政府委員 先生お話しのとおり、審議会の二分の一答申を来年度実施したいということで、ただいま政府部内での折衝をいたしております。
  34. 細谷治嘉

    細谷分科員 長官、お尋ねしたいのですが、私はこの問題で昨年の十月ぐらいの国会で、かなりいろいろな問題点を指摘して政府環境庁とに質疑をやったことがあるわけです。私の手元にもたくさんの陳情書も来ているわけでありますけれども、いま少しあやふやなんです。これは環境庁が答申を受けてやらなければなりませんけれども、その後長官がかわっておりますから、激変緩和ということを私は理解いたします。理解いたしますけれども、五十二年度にやってそして五十三年度は見送ったということは激変緩和の措置にはなりませんから、どうなさいますか、大臣
  35. 山田久就

    山田国務大臣 細谷委員のただいまの御指摘でございますけれども、ちょっと私はまだその点をつまびらかにしておりませんので、よく聞いた上で御意見のことについてひとつ考えさせていただきたいと思います。
  36. 信澤清

    信澤政府委員 先ほども申し上げましたように、私どもとしてはやはり審議会の御答申どおり五十三年度からやりたい、そこでいま計数の整理をいたしておりますので、私ども単独で決められない事情もございますから、関係省庁と御相談をしているということでございまして、私どもの気持ちは、先生も御指摘のような二分の一調整に持っていきたいということでございます。
  37. 細谷治嘉

    細谷分科員 五十二年度は激変緩和という措置を講じて答申の二分の一を四分の一でやったということであれば、五十三年度には何らかの具体的な答申へのアプローチというのをやらなければならぬという責務が環境庁にあると思うのです。その責任を痛感しておりますか。
  38. 信澤清

    信澤政府委員 再三のお尋ねで恐縮でございますが、私どもは二分の二調整まで持っていきたい、ただ、昨年度激変緩和ということで四分の一にいたしましたが、もうワンクッション置いて三分の一とか、そういう考え方も一あるのではないか、こういう御議論も出るかと思いますので、その点の作業を含めていまやっているということでございます。
  39. 細谷治嘉

    細谷分科員 二分の一と四分の一の間には無限の数が存在するのですよ。激変緩和でございますから、その無限の考え方で四分の一と二分の一の間には三分の一もあるでしょう、あるいは二分の一に近いところもあるでしょう。しかし、行政措置としては二分の一という答申が出された以上は、とにかく一年でやるのか二年でやるのか、一年が激変緩和でありますから二年か三年のうちに処理しなければいかぬ問題でしょう。間の数がありますよなんということは、いまこの段階では問題だと思うのです。答申が出た以上は、私は多くのことは申し上げませんが、やはり環境庁としてはやらなければならぬ責任がある。もちろん各関係省庁とも折衝は必要でありましょうけれども、これはぜひ五十三年度でやっていただきたいということを強く要請をしておきたいと思います。大臣、いかがですか、詳しくはわからないと思いますけれども
  40. 山田久就

    山田国務大臣 先ほど来事務当局の方からもお答えしているとおりに、今度は二分の一ということを目標に達成をするようにやろうということでやっておるようでございます。よくそれを聞きまして、それからいま細谷委員のお話よく私も承知しましたので、それも考慮に入れて考えたいと思います。
  41. 細谷治嘉

    細谷分科員 私はこの前、現在の指定地域ということにいろいろの具体的な問題点があるということを指摘いたしました。きょうはそのことについては突っ込んだ意見は申し上げませんけれども、この指定地域の矛盾ということ、過去における汚染、そういうものが原因になって病気になっておるという問題、こういうことからいきまして、ある自治体では、独自の条例で指定地域以外の患者の救済をするということが起こっております。現に富山県でも、指定されておりませんから県の条例でやっておるでしょう。あるいは四日市あたりでもそういう動きがあるでしょう。福岡県あたりでも、市の独自の条例で指定地域外の患者の救済を行うことが具体的に決定いたしました。その際に、患者の数という問題、これはやってみなければわかりませんけれども、それからもう一つは企業の負担という問題、こういうことがぶつかり合いまして、条例の内容としてはPPP原則、汚染者負担の原則を外れると思われるような条項が事実存在するわけです。どうしてもPPP原則というものを守っていかなければいけませんよ、これがすべての出発点である、私は昨年こういうことを申し上げたわけでありますが、現に指定地域の問題に絡んでこういう事態が起こっております。これを環境庁としてはどういうふうに受け取っておるのか、これでいいと思うのかどうか、お尋ねいたします。
  42. 山本宜正

    ○山本(宜)政府委員 先生御承知のように、現在まで、地域を指定いたしますのには、中公審の御意見等も賜りながら、一定の要件を考えまして地域指定をしておるわけでございまして、その要件に合致いたしませんところは、私どもとしては指定できないというような方向でいっておるわけでございます。
  43. 細谷治嘉

    細谷分科員 合致しないところは指定できない、こういうことでありますが、そういうことから、法律によらないで独自の救済措置を自治体が条例をもって始めておるという事態を、どういうふうに受け取っているかということが私の質問なんです。それについては答えておらぬじゃないですか。
  44. 山本宜正

    ○山本(宜)政府委員 御承知のように、現在の地域指定のほかに、一部の市におきまして独自の方式をとっておるわけでございますけれども、これは私どもの方の考え方と違う面を出しているわけでございますし、私どもの方といたしましては特にそれをどうこうという形は言えないように考えておるわけでございます。
  45. 細谷治嘉

    細谷分科員 言えないと思う——市の条例を自治体がやるわけですから言えないかもしれません。その場合に、指定地域外の患者というものについては、出てきた場合にここまではよろしいけれども、これ以上になりますと自治体が負担しますよ、こういうのが明記されておるわけですから、これはPPP原則からいって外れておるでしょう。そう理解しませんか。
  46. 山本宜正

    ○山本(宜)政府委員 そういう意味で、私どもの現在のこの法律の実施の仕方は、PPPの原則を踏まえて、汚染負荷量の賦課金を徴収いたしましてやっておるわけでございまして、それ以上の点につきまして、自治体がある協定を結びまして負担をするということにつきましては、PPPの原則に従わない独自の法則でございまして、私どもの方の考え方とは乗らないわけでございます。
  47. 細谷治嘉

    細谷分科員 そういうこともやってよろしいということですね。指定地域外は私どもは存じません、おやりになるのならやってよろしゅうございますと、そこからPPPの原則が崩れてもやむを得ません、こういう態度ですね。
  48. 信澤清

    信澤政府委員 これは御案内のように、条例は法令に違反しなければいいということは先生御承知のとおりでございますから、やむを得ないということは先ほど部長が答弁したのだと思います。  問題は、PPPとの関係でございますが、国のレベルで民事上の損害補てんをするという制度として現在公害健康被害補償法があるわけでございまして、それについては全国統一的な一つの基準を持って私ども運営しているわけであります。したがって、その基準から外れている地域について地方公共団体なりが間に入って企業と患者の間に何らかの損害賠償の問題を議論する、あるいはそのための制度をつくるということは、いわば国の基準とはまた別の立場からやるわけでございますから、そのこと自身がPPPとどういう関係に立つか、先生指摘のように、違反するのかどうかという点については、私は必ずしも違反しないのではないかと考えております。
  49. 細谷治嘉

    細谷分科員 少なくともこの法律がPPP原則に貫かれておる、これが前提になっている、こういうことであれば、自治体が独自の条例をつくることは、憲法なり法令によって、国のものに違反しない限りにおいてはいい、こういうことになっているのですから、それはもう申すまでもありませんが、法律の前提であるPPP原則というのは崩れる。こうなってきますと、国の大方針、大前提から外れていっているじゃないですか。まだそういう事態が起こっておらぬというけれども、条例はそうなっておるのですよ。それでもいいのですか。ああそれは法律に指定されている地域以外は、法律の前提はPPPの原則であるけれども、それ以外は自治体がおやりになるんならば、国のやっている大前提、そんなもの、外れていいというお言葉ですか。
  50. 信澤清

    信澤政府委員 国の基準に合うものであれば、当然国の制度に乗ってくるわけでございます。したがって、それ以外の地域について条例でやるという場合には、これは支払う側の企業もそれで納得をいたし、また支払いを受けるいわゆる被害者の方も納得をして、そしてその条例ができているということになるわけでございます。ですから、国が決めている最小限度のPPPの考え方に立つ以上のことを企業が、仮に負担の側に立って物を申せば、やっている、こういうことでございますから、そのこと自体が間違っているとかどうかとうに考えておるわけてございます。
  51. 細谷治嘉

    細谷分科員 そこまではいいですよ。現実に一定の数を超した場合には自治体が負担しますよ、住民が税等を通じて持ちますよということになってまいりますと、汚染者負担じゃないじゃないですか。そうでしょう、大臣大原則はそこで崩れるんですよ。
  52. 信澤清

    信澤政府委員 私が承知しております範囲では、あくまでいわゆる汚染者、企業が負担する財源によって賄うということであって、公費を導入して地方自治体が給付をする、給付の財源を持っということになりますれば、これはおっしゃるように、従来のPPPの考え方から申せば適当でないというふうに思います。
  53. 細谷治嘉

    細谷分科員 私が質問しているのは、そういう条例の中で一定の数を超したならは——ずはり言いましょう。二百二十名までは企業が持ちます。こう言っているわけです。二百二十名を超した場合には自治体が負担します。こう言っているわけですよ。条例に明記してあるのですよ。そうなってまいりますと、いまのところは二百二十名の以内でありますけれども、二百二十一名になりますと、その一名はもはや自治体の負担でありますから、その条例自体が汚染者負担の原則ということから事実外れることになるのではないか、こう私は言っているわけですよ。そう思いませんか。なってみなければわからぬということですか。
  54. 信澤清

    信澤政府委員 条例にいま先生がおっしゃったようなことが明示してあり、かつそのとおり実行しておるとするならば、それは先生指摘のように、問題があると思います。ただ、私ども承知しております範囲では、条例にそのことをうたっているということは聞いておりませんので、いままで先ほどのような御答弁をしてまいったわけでございます。
  55. 細谷治嘉

    細谷分科員 これは地元でもずいぶん大きな問題になったわけですけれども、きょうは余り時間がありませんからこれ以上申し上げません。そこで、時間がありませんからごく簡単に、昭和五十二年度の汚染負荷量賦課金の申告事業所数について指定地域とその他の地域、これをお聞きしたわけでありますけれども、お尋ねしたい点は、件数はわかりましたけれども、五十二年度における指定地域の賦課金、その他の地域の賦課金はどういう数字になっているか、教えていただきたい。
  56. 山本宜正

    ○山本(宜)政府委員 割合で申し上げますと、指定地域内におきまする賦課金の申告状況は、額にいたしまして五四・二%、その他地域で四五・八%、こういう額になっております。
  57. 細谷治嘉

    細谷分科員 次にお尋ねいたしますが、この賦課金あるいは申告SOx量、こういうものについて産業別の資料をいただいたわけでありますが、この産業別の資料を見て一目にわかるのは、たとえば全体としては、あなたの方の資料では千ノルマル立米当たり全国平均は賦課金が八千百八十二万九千円。平均はそうでありますけれども、SOxの排出量と申告賦課金額の間にはかなり大きなデビエーションがあるわけですよ、あなたの方からいただいた表には。ちょっと表を見ただけでも納得できない構成比があるわけです。これについて私は掘り下げた議論をしたいわけでありますけれども、いずれまたその機会を見て質問したいと思うのですが、産業別に見てみますと大変なデビエーションがあるということを認めますか。認めるとすれば、その原因は何なのか、お尋ねいたします。
  58. 信澤清

    信澤政府委員 御指摘のように、業界全体をとりましてSOxの排出量と賦課金額を比べますと、その間にバランスが必ずしもとれていないということはそのとおりでありますが、先ほどもお話がございましたように、指定地域と指定地域外と料率を変えておるわけでございますから、したがってその立地の状態によってこういうことが出てくるということでございます。
  59. 細谷治嘉

    細谷分科員 それはわかっているのですよ。  そこで、時間もありませんからきょうはこの程度にしまして、それでは指定地域内の業種別SOx申告量と賦課金額、その他の地域におけるSOxの量と賦課金額、この資料を後でいただけるかどうか、ぜひいただきたいと思いますが、いかがですか。
  60. 山本宜正

    ○山本(宜)政府委員 私、いま直ちにその資料が出せるかどうかちょっとわかりませんが、集計ができるようでございましたら、出させていただいて結構だと思います。
  61. 細谷治嘉

    細谷分科員 終わります。
  62. 塩崎潤

    ○塩崎主査 以上で細谷君の質疑は終了いたしました。  次に、林孝矩君。
  63. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の第一条には「本法ハ鳥獣保護事業ヲ実施シ及狩猟ヲ適正化スルコトニ依り鳥獣ノ保護蕃殖、有害鳥獣ノ駆除及危険ノ予防ヲ図り以テ生活環境改善農林水産業ノ振興ニ資スルコトヲ目的トス」と定めております。この第一条に基づいて環境庁の行政がこの鳥獣の保護また狩猟等に関してなされなければならないわけでございますが、最近の実態といいますか、すでに環境庁においても把握されていることと思いますけれども、たとえば岐阜県のニホンカモシカについて捕獲か保護かという論争が起こっております。国の特別天然記念物ニホンカモシカが岐阜県内に二千頭前後生息しておることが岐阜県の調査でわかった。この広がる一方の岐阜県内の食害に対して文化庁が百頭の捕獲許可を出したということでありますけれども、これだけ明確な数字が把握されたことは初めてだということで、非常に社会的な話題になったわけでありますけれども、このカモシカの生息を通してやはりここでも捕獲か保護かという問題が起こっておるわけであります。  こうした岐阜県のカモシカの生息調査だけではなしに、全国にわたって最近農林業の経営が食害によって脅かされているという現状があるわけです。沖繩においてもヤマネコですかを保護するということが行き過ぎではないかという問題がこれあり、そうした意味において鳥獣の保護あるいは捕獲、こうした論争が現在あって、行政がなされないままでいますと、いまから二年あるいは三年、四年、五年と年がたつに従って全国的にこうした問題が広がって、食害による被害、損害が非常に広い地域に、また大きな額になっていく、私はそれを非常に心配するわけであります。  ここに一例として奈良県の例を挙げますと、イノシシ、カモシカ、クマ、ノウサギ、カラス、ハト、スズメ、こうした鳥獣による稲、野菜、果樹、杉、ヒノキなどの被害は二千数百ヘクタールに及んでおります。金額的に少なく見積もっても数億円に上ると言われております。これは正確な報告がなされていると思うわけでありますけれども、こういう食害によって農林業の経営、生活というものにかなり重大な影響を与えておるということも事実です。この食害の予防、補償等の対応策、これもまた一つの大きな問題であるわけでありますけれども自然保護観点からは、当然鳥獣等は保護しなければならない。冒頭に読み上げました鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の第一条に言うところの鳥獣の繁殖、生活環境改善農林水産業の振興、この調整のあり方というものは、環境行政の問題として、現実から考えて重大な問題になってきたと私は思うわけです。  それで、まず先ほど申し上げました第一条をどのように受けとめられておるか、また特に一条の中の生活環境改善農林水産業の振興という問題と鳥獣の保護、この調整のあり方、これについて長官はどのように考えておられるか、お伺いしたいと思います。
  64. 山田久就

    山田国務大臣 この鳥獣というものは、いわゆる自然というものの中の重要なる一つの要素をなしていることは林分科員も御案内のとおりでございます。この中で有害鳥獣、鳥の場合にいたしましても、一方では有害だけれども一方においてはまた他の役割りもなしておるというように、大変複雑な様相をなしているわけでございまして、現在のところ、この有害鳥獣というものは、狩猟を通じてコントロールするというほかに、有害鳥獣の駆除の許可制度の適切な運用をするとともに、必要に応じて被害防止の施設の助成などを通じて未然に被害を防止するというようなことで、そのときのそのものの生態、いろんな状況を踏まえましてその防止を指導しているという状況でございます。  細部の点については、さらに政府委員をして答弁させたいと思います。
  65. 出原孝夫

    ○出原政府委員 大臣がお答え申し上げましたとおりでございますが、鳥獣によります被害と、それから鳥獣そのものが逆に貢献をしている部分と、非常に複雑に入り組んでおります。  被害の方で申し上げますと、実は被害を明確に把握することは大変むずかしゅうございます。特に金額的に把握することは大変困難でございますが、概要を申し上げますと、農林省の御承知の資料で私どもがいただいておりますのは、四十九年度で鳥による被害が七十二億円程度、五十年度でけだものによる被害が約二十億円程度というように承知をいたしております。その対策、対応につきましては、大臣から申し上げたとおりでございます。
  66. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 鳥獣等による農作物及び造林木の被害状況について、これは農林省から報告を願いたいと思います。  それから、食害の、加害鳥獣の種類、被害農作物の種類、被害面積、被害全額について……。
  67. 本宮義一

    ○本宮説明員 農作物に対します鳥類の被害の実態につきましては、昭和四十九年度に農林省が各都道府県の協力を得まして調査した結果では、一部未報告の県がございますので正確な数字ではないかもしれませんけれども、スズメ、カラス、ハト、ムクドリ、カモ、ヒヨドリ等が稲、麦、雑穀、果樹、野菜、豆等の農作物に対しまして全国で約二十一万ヘクタール、金額といたしまして約七十二億円の被害を与えているという数字でございます。それから獣類につきましては、昭和五十年度に同様に都道府県の協力を得まして調査した結果では、イノシシ、ウサギ、シカ等によります被害が大きゅうございます。特に被害地は山間地域の水稲、果樹、野菜、豆類、雑穀等で、これも一部未報告の県もございますけれども全国で約二万ヘクタール、金額にして約十八億円でございます。それから、この調査とは別に、山の被害につきましては全国で十四万ヘクタール、金額にして五十二億円という数字が報告されております。
  68. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 四十九年度のいまの農林省の掌握しているデータで、鳥類によって七十二億、それから獣類が十八億ということでありますが、これは四十九年。ことしは五十三年でありますから、それ以後やはり相当被害がふえている。また未掌握のところがあるということでございますから、そういうことを勘案しても非常に被害がふえつつある。先ほど例に出しました岐阜県の場合もその一例だと私は思うわけですけれども、特にこうした鳥獣の繁殖率というものを調べてみますと、獣類の一番被害の大きいイノシシなんかの場合でも、子供を五月から七月ごろに六頭から七頭あるいは十頭、こういうふうに産むわけですね。それが全部また大きくなっていくということで、この繁殖率から考えると、五十三年度、現時点でのこうした鳥獣の実態というものも、これを四十九年と比較すると相当変わっているのではないかというふうに私には考えられてならないわけです。いまこうした被害の面積あるいは被害金額というものを伺っても、繁殖率と考え合わせて非常に面積も広くなっているであろうし、また被害金額も大きくなっているであろう。特にその作物を見てみますと、やはり農林業の主体をなす作物がまともに被害をこうむっておる、こういう実態であるわけです。  そこで、さらにお伺いいたしますけれども、いま農林省の掌握されているデータの中にネズミは入っていなかったわけでありますけれども、これはどのようになっておりますですか。
  69. 小田島輝夫

    ○小田島説明員 御説明申し上げます。  民有林の被害の中に野ネズミの被害がございまして、昭和五十一年度の総被害面積が一万五千ヘクタールでございます。主な発生道府県は北海道、長野、広島、愛媛、高知、熊本等でございまして、それから主な被害樹種は杉、ヒノキ、カラマツ、松というような状態でございます。
  70. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 鳥獣による農作物被害についてどれほどの補償がなされているか、お伺いします。
  71. 大塚米次

    ○大塚説明員 農業共済の立場から御説明申し上げたいと思います。  御承知のように、農業共済の中身の事業としては、農作物の共済、それから蚕繭共済、果樹共済が行われておりますが、風水害等の自然災害のほかに鳥獣害による被害も共済事故に指定されております。そして鳥獣害等の被害によって一定の減収をした場合は、所定の手続によって共済金が農家に支払われる、こういうことになっております。  ただ、農業共済におきましては、いろいろな共済事故による減収分に着目をして評価するということになっておりまして、減収のうち鳥獣害部分がいかほどであるかということは明確にはつかんでおりません。ただ、経験的に申しますと、農業災害の主たる原因は風水害、台風や冷害あるいは干ばつが主たるものでございまして、割合といたしましては、鳥獣害による部分は比較的小さいものだというふうに私ども考えております。
  72. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 これもいま答弁があった中にありましたように、この鳥獣害というものは明確につかまれていない、これはもう実態だと思います。また共済制度そのものが本来こうした鳥獣害というものをメインにしたものではなしに、先ほど申されたように、風水害とか冷害とか干ばつとかいうものを主体にした制度でございますから、完全にこれになじむものではないということも考えられるわけです。  もう一つお伺いしますけれども、造林木被害についての補償はどういうふうになっておりますでしょうか。
  73. 小田島輝夫

    ○小田島説明員 御説明申し上げます。  鳥獣等によります造林木の被害につきまして、その被害に直接補償する措置はございません。ただ、これらの被害跡地の復旧造林につきましては国費十分の三、都道府県費十分の一、合計しまして十分の四の補助率をもって跡地の復旧造林ができるという制度はございます。
  74. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 さらにお伺いします。  食害の予防措置について、国の責任において食害予防のための防除事業、これはどれほどなされていますか。
  75. 本宮義一

    ○本宮説明員 農作物に対します鳥獣の被害の防止対策といたしましては、鳥の類でございますと、防鳥ネットとか音響あるいは光線といったようなこと、それから獣類については、防護さくを設けるとかあるいは爆音を出して追い払うといったような方法等が見られますが、こういうものはまた一面施設が高いというような問題、それから騒音に対します住民の苦情等もございますので、実は適切な鳥獣の被害防止技術が確立していないというのが現状でございます。ただ、五十三年度、農林省では、こういうような被害の実態並びに被害の防止技術が確立されてないということから、鳥獣類の被害防止技術確立のための委託費を社団法人日本植物防疫協会に支出しておるという現状でございます。
  76. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 長官、いまお伺いしたように、この話し合いをしておる過程で御理解をいただいたと思いますけれども、いわゆる共済制度にしても、またただいまの防除の事業にしても、不十分なんです。そして被害の補償ということも満足に救済できる措置はない。片一方で保護あるいは捕獲という調整の問題がある。これが実態なわけですね。そこで、食害に対する補償も十分でない、防除も不完全な現状、先ほども答弁があったように、非常に被害額も年々大きくなっていく、そしてとどまることがないという状態。こうなってきますと、やはりこういう実態に対して積極的な対応というものが環境庁において考えられなければならない。これが先ほどの冒頭に読み上げました鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の第一条の精神であると私は思うわけでありますが、その対応が環境庁において考えられているかどうか。鳥獣保護、狩猟規制の原則の例外的規定といわれる法十二条の有害鳥獣駆除の運用の現状はどうなっておるかという点。この二点についてお伺いしたいと思います。
  77. 出原孝夫

    ○出原政府委員 第一点につきましては、環境庁におきましては一つ被害対策の方策を樹立するための調査研究を行っております。昭和五十一年度以降におきましては、ゴイサギ、カモシカ等の害性の対策調査でございますとか、あるいは五十二、三年度にわたりまして薬物による鳥獣捕獲の研究をやっております。  なおそのほか、鳥獣の保護とそれから被害との因果関係、これは非常にむずかしいものでございますが、その面の検討をし、かつ補償問題についても、被害に対応するような施策をするために学識経験者の御意見を伺うというようなことで、昭和五十二年度から法学関係あるいは農業共済関係、あるいは鳥類の生態あるいは獣類の生態等をよく御存じの学者の諸先生方の御意見を承る勉強をいたしております。何分にも、先ほどから先生も御承知のように、鳥獣の持っておりますその自然を構成する非常に有益な面と、それからそれが一定程度以上にふえますと及ぼす害の面との調整その他との関連で検討しなければならない問題でございますので、大変むずかしゅうございますが、その検討を鋭意進めておるところでございます。  それから、第二点の有害鳥獣の捕獲につきましては、法の十二条に基づきまして、特に鳥獣が一定限度を超しました場合におきましては、申請に基づきまして捕獲を許可するというようにいたしておるわけでございます。
  78. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 結論を急ぎますが、環境庁の許可を得てそして捕獲する、こういうことになるわけでありますけれども一つの問題は、申請してより許可の発給まで手続的に非常に日数がかかるということ、その日数がかかることによって、相手は生き物でありますから、捕獲というものが十分行われない、こういう問題点があります。そうした手続の過程で繁雑な状態もこれあり、この点を改善すべきではないか、やはり考え方を変えなければいかぬのではないかというふうに申し上げた方がわかりやすいかもわかりません。というのは、鳥獣の生息状況というのは常に変わるわけですね。ですから、捕獲の許可を申請してそれがおろされるまでに二十日だとかあるいは一カ月だとかというような状態であっては追いつけない、その間に被害がまたふえていく、こういうことでありますので、問題点だと思います。それに対してのお答えを後でお願いしたいと思うのです。  さらに、保護区の設定。これも、どの地域を保護区にするかということについては、現実に対応して有機的に機能するような状態、こういうのでなければ、一たん決定してしまうと後は動かせないというような感じでずっと進みますと、また新たな鳥獣による被害が生まれてくる。これは特別天然記念物に指定されているカモシカの被害なんというのは典型的なものだと私は思うわけであります。こういうことに対する考え方もお伺いしておきたい。これは第二点目です。  それから、環境庁中心にして、環境、林野、文化の三庁で合同会議を開いてこのカモシカの被害の予防対策、補償措置等を検討しておるということでありますが、この内容についてどういうことになっておるかという点、これは第三点。     〔主査退席、井上(普)主査代理着席〕  それから第四点は、これは環境庁長官最後にお伺いしておくわけでありますけれども、ことしは五十三年でありますから、いま農林省にしても環境庁にしても、いわゆる古いデータしかない。非常に現状の掌握というものがなされていないと私は思うわけです。したがいまして、相手が生き物ですから生息状態というものはなかなか調査をしにくいわけでありますけれども、あらゆる知恵をしぼって調査されると同時に、被害状況というものが、いま五十三年度の予算の審議をしておるのに四十九年度のデータでその審議をするというようなことではなしに、少なくとも新しいデータで審議ができるようにしていただきたい。過去の被害じゃなしに、現在の被害がいま問題になっているわけですから、そういう形の対応をしていかないと、冒頭に申し上げましたように、これから先全国にわたってこうした問題が起こっていくということになると思いますので、この四点についてお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  79. 出原孝夫

    ○出原政府委員 第一点の有害鳥獣の捕獲の許可の手続の促進でございますが、これにつきましては、現状におきましては、捕獲の許可をいたします場合に、その種類によって都道府県知事が許可をするものと環境庁長官が許可をするものがございます。知事が許可をするものにつきましては大体一週間から十日程度、環境庁長官が許可するものにつきましては国に上がる関係上二十日程度を要しております。なお、これが促進につきましては、県ともよく打ち合わせをいたしまして促進を図ることに努めてまいりたいと考えております。  それから、第二点の鳥獣保護区でございますが、鳥獣保護区につきましては、私どもも鳥獣保護区の中で有害鳥獣がふえてくるというような場合には、有害鳥獣の駆除は当然認めることにいたしておりますので、そういった意味での対応は可能でございます。なお、鳥獣保護区におきましての被害が恒常的になるというようなものにつきましては、保護区の見直しというようなことも現実にやっておるところでございます。  第三点のカモシカによります被害対策につきましては、文化庁と林野庁と環境庁、御指摘のように三庁がしばしば会合をいたしまして対策検討いたしております。基本的には五十一、二、三年度にかけまして、文化庁ではカモシカの生態、環境庁におきましてはカモシカの生息数、それから林野庁におきましてはカモシカによる被害というものにつきまして三庁共同して全国的に調査をし、その結果をまって恒久対策を打ち立てたいというように打ち合わせておるところでございますが、なお当面非常にカモシカによる食害のひどい岐阜県等につきましては、文化庁、私どもの方が申し合わせまして当面の保護捕獲を認めたというのが、御指摘のとおりの事柄でございます。  それから第四点は、最後長官から。
  80. 山田久就

    山田国務大臣 第四点、ずっと一、二、三とこう重複しているような点があったように思うのでございますが、いずれにいたしましても、先ほど事務当局から言いましたように、この許可の促進というようなことについて、これはもう非常に早く促進する。ただし、確かに食害等の問題はございますけれども、先ほど申しましたように、この点はやはり鳥獣の保護というむずかしい問題がございますので、ひとつできるだけその害を防止する。したがって、同時に、これを防ぐ方法ということについては、対象によりましては、いろいろな物によってはかなり頭を使わなきゃならぬような面もございますし、ひとつ関係方面とさらによく調査研究を進めまして、できるだけ効率的に対応できるように今後とも一段と努力いたしたいと思います。
  81. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 終わります。
  82. 井上普方

    井上(普)主査代理 以上で林君の質疑は終了いたしました。  次に、大原亨君。
  83. 大原亨

    大原(亨)分科員 瀬戸内海環境保全臨時措置法が昭和四十八年の十月二日に施行されまして、三年間の時限立法でございましたが、これが二カ年間延長されたわけであります。     〔井上(普)主査代理退席、谷川主査代理着席〕 ことしの十月で五年間が終わるわけであります。つまり、法律の内容に基づいて瀬戸内海環境保全についての基本計画その他を策定するということが臨時措置法で規定づけられておるわけであります。法律に規定された跡継ぎ法については、これをいつお出しになるか、その構想はどういう構想であるかという、二つの点についてお答えをいただきたいと思います。
  84. 山田久就

    山田国務大臣 御指摘のように、この臨時措置法は十一月で期限が切れることになっておりまするので、ひとつこの国会においてぜひ通過させていくということで、目下鋭意成案について最後の努力をいたしているところでございます。  内容の問題ですけれども、これはもともと議員立法というものから出てきておりまするので、いまの臨時措置法の趣旨とする点を基本にいたしまして、それにさらにその後のいろいろな利害関係方面の意見、各方面の意見等も勘案いたしまして、そうして万全を期したい。なおまた、同臨時措置法の中にもございまするけれども、この機会に総量規制という問題についてもひとつ考えてみるというようなお示しもありまするので、十二月九日の中公審の答申というものも踏まえて、この際、総量の規制という問題も汚濁防止法の一部改正ということで相並んで考えていくというような行き方でいくべく、目下関係方面との詰めをやっているような次第でございます。
  85. 大原亨

    大原(亨)分科員 いつ国会に出されますか。
  86. 山田久就

    山田国務大臣 ひとつできるだけ早くということで、いつということはまだはっきり申し上げられませんけれども、とにかく今次国会の通過ということに間に合うように調整を終わりたいということで努力しているわけでございます。
  87. 大原亨

    大原(亨)分科員 この種の法律は、当時、昭和四十八年の国会においても、言うなれば、話がありましたように、実質は議員立法というような形であの法律をつくったわけです。これは、環境庁だけでは、住民の意見を吸収するような法律案をつくるのに、新しい庁ではあるし、言うなれば生活行政でありますから、縦割り行政との接触が非常にむずかしい、こういうこと等々もありまして議員立法でつくったわけですね。ですから、跡継ぎ法をつくる場合に、たとえば三月中には出さないと、五月の会期末には間に合わないというふうに私は思うのです。もし政府にそういう立法の能力がないとか、あるいは出す出すと言いましても出さないのが環境庁の従来からの慣例のようになっておりますから、一生懸命努力しておることは認めるのですが、これはかなり障害のある問題であることは紛れもない。ですから、そういう点は住民の意向を十分代表して全体の視野から、やはり議員、議会各党においてやるということも必要な場合があるのではないかと私は思うわけです。そういう点で、三月いっぱいぐらいには出さないと、これは跡継ぎ法としての体をなさないのではないか、こういうふうに思います。私はそういう目標について考えておりますが、大臣はいかがでしよう。
  88. 山田久就

    山田国務大臣 いま御指摘のような点がございましたので、ひとつできるだけそういうことをめどにしてがんばっていきたいと思って努力しております。
  89. 大原亨

    大原(亨)分科員 この臨時措置法の第一条に規定をいたしておりますが、政府のやるべき仕事といたしまして、「瀬戸内海の環境保全に関する基本となるべき計画を策定すべきことを明示するとともに、」というのが第一条にあるわけですね。それから第三条は、議員立法といたしましても、環境庁が当時事務当局も全力を尽くして書いたので、私は読み上げてみたいと思うのですが、非常にりっぱな文章がありますが、第三条「政府は、瀬戸内海が、わが国のみならず世界においても比類のない美しさを誇る景勝地として、また、国民にとって貴重な漁業資源の宝庫として、その恵沢を国民がひとしく享受し、後代の国民に継承すべきものであることにかんがみ、瀬戸内海の環境保全上有効な施策の実施を推進するため、すみやかに、瀬戸内海の水質保全、自然景観の保全等に関し、瀬戸内海の環境保全に関する基本となるべき計画を策定しなければならない。」第一条を受けて第三条でこの趣旨の規定をいたしておるわけです。非常に高い理想を掲げて発足をしてやったわけですが、ここで言う策定すべく政府が義務づけられた基本計画、その中身は、具体的に臨時措置法をとのような方向で——主な柱でよろしいのですが、どういう政策を中心として進めようとするのか。基本計画の概念、その概念に対する中身を御答弁いただきたい。
  90. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 基本計画につきましては、五十一年十二月に瀬戸内海環境保全審議会から答申をいただいております。その答申は、この基本となるべき計画の基本的考え方ということでの御答申でございます。したがいまして、現在この答申の趣旨に沿って具体的な基本計画の策定作業を進めておるところでございます。  そこで、基本計画の性格ないし中身でございますが、基本計画は、まず瀬戸内海の環境保全の目標を示しまして、それに対しまして国、関係府県等がその目標を達成するために講じます施策等の基本的な方向を明示する、こういうことでその内容を考えております。したがいまして、現在具体的にいろいろな作業を進めておりますが、これは後継法の規定事項、そういうものとも関連いたしますので、後継法の検討と並行して現在基本計画の策定作業を進めておる、こういうことでございます。
  91. 大原亨

    大原(亨)分科員 話もありました総量規制が課題となっておりますが、これは臨時措置法の条文にもございますけれども、非常にむずかしい規制の問題です。総量規制については、水質汚濁防止法で閉鎖的な広域水域の規定をやるという考え政府考えとして言われてきたわけですが、後継法との関係でそれはどういう関係になりますか。それから総量規制の中身は何ですか。具体的な中身をお答えいただきたい。
  92. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 まず総量規制の中身でございますが、従来濃度規制を水濁法に基づいてやっておるわけでございます。ただ、瀬戸内海につきましては、先生御案内のとおり、産業系排水に係るCOD二分の一カットの措置をやっておる、こういうことでございますが、総量規制におきましては、これは産業系のみならず生活排水その他の排水も含めまして、すべての汚濁発生源を対象にいたしまして具体的な削減措置を講じていきたい、その際に広域的な閉鎖性水域を対象にしまして、そこに流入をする汚濁発生、ただいま申し上げました産業系のみならず生活系も含めて、それで一定の年度までにどの程度の削減をしていくかということを計画的に進めていきたい、こういう趣旨のものでございます。  それで、あとお尋ねの点は、そういう総量規制と瀬戸内海の関係でございますが、こういう総量規制は現在の瀬戸内海の臨時措置法の十八条にも量規制の導入の規定がございまして、量規制の導入について措置を講ずるものとするという規定があるわけです。したがいまして、今度の後継法におきましては、瀬戸内海は当然総量規制は導入するということをはっきりさせたいと思っております。ただ問題は、その総量規制の、冒頭申し上げましたようなそういう物の考え方なり仕組みなり、これは水濁法で書きたい。そして瀬戸内海のみならず東京湾や伊勢湾、こちらの方も総量規制が導入し得るようにしたいということでございます。ですから、後継法では、瀬戸内海には総量規制は導入を必ずするという形で規定を盛り込みたいと思って目下検討中でございます。
  93. 大原亨

    大原(亨)分科員 いままでの臨時措置法で、産業排水で一日五十トン以上のものについてCODで二分の一のカットという措置をとったことが瀬戸内海の環境保全には一定の実績があった、こういうふうに評価されておるわけです。その二分の一を産業排水について一歩進めるべきかどうかという問題が一つ。  それからもう一つは、こういう専門家の意見があります。五十トン以下の中小の零細な産業排水にいたしましても、施設に対する税法上あるいは資金上の重点措置は必要ではあるけれども、これを野放しにしておくと、五十トン未満の事業場から排出する産業排水生活排水と一緒に流し込んで処理するという方式をとるならば、言うなれば薄くすればパスするということや、産業排水の中に含まれておる有毒物質を放任するということになって、しり抜けになるのではないか、こういう議論があるわけです。だから、中小の産業排水についての規制や処理の仕方について考えがあるか。  もう一つは、下水の処理の仕方について、流域下水道等の問題を含めてずっと議論があるわけですが、特に終末処理において二次処理の問題があります。これを三次処理に進めるべきであるという議論と、いや、三次処理によって窒素とか燐を分離して赤潮対策をやる、そういう方針よりも、二次処理において残滓というか、汚泥の処理の仕方についてやり方を変える、そういうことによって二次処理でも窒素や燐の総量規制の内容を進めていくことができるのではないか、こういう専門家の意見もあります。私どもは、第三次処理について少々値段がかかってもここでやるべきだということを主張いたしましたが、その一つの点についての考えがあれば、お答えいただきたい。
  94. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 第一点は、現行法四条で産業系排水に係るCOD二分の一カットをやった。これにつきましては、確認調査の結果一三〇%の達成率だ、相当なところにいっておる。今度の総量規制という制度を展開した場合に、CODのカットというものをさらに産業系排水についても進めるかどうかというお尋ねかと思います。この第一点につきましては、要するに、目標年度というものを今後立てますから、その間においては産業活動の伸びも今後日本経済の伸びとともに活発になることは当然でございます。したがいまして、CODの排出量もふえてまいるわけでございますから、今後とも産業系排水についてもCODのカットは実現可能の範囲内で努力をしていただく、規制をするということは当然でございます。ただ、そういう際に、従来非常に努力したところと非常に甘いところとあるようでございますから、総量規制基準といいますものを今後つくります際も、十分その辺の実態に即したかっこうで規制の基準は考えたい、これが第一点でございます。  それから第二点は、規制の対象は五十トン以上のところになります。そうしますと、五十トン未満のすそ切りのところ、これはもう野放しかというお尋ねになろうかと思いますが、むしろそういうことは、規制というわけにはまいらぬと思いますが、やはり削減努力は十分やっていただきませんと、瀬戸内海全体として見た場合のCODというものの負荷量が目標の線までいかぬという場面もありますから、そういう点につきましても、これは行政指導というような形でいろいろ削減の御努力をお願いしたいということで、検討をいたしております。  それから、第三点の下水道の問題でございますが、これは所管が建設省でございますので、建設省の方からお答えいただく筋合いのものかと思いますけれども、現在建設省の方で第四次下水道整備計画に従いまして下水道の整備を進めておるわけでございますが、その際の考え方といたしましては、二次処理というのを軸に考えておるわけでございます。二次処理をベースとして考えておる、いわゆる活性汚泥法による生物的処理、これをベースにして考えておるわけでございます。こういう処理によりましても、CODも落ちますし、さらに燐、窒素もこういう面では若干落ちるということは当然でございます。  ただ、もっとCODをぐっと落とすための三次処理、あるいは燐をさらに落とすための三次処理ということも、技術的には一応可能だというめどは立っておりますが、三次処理になりますと、これは非常に経費が大きくかかります。そういう問題もごございますし、その辺は、やはり現段階におきましては、二次処理でも五十一年度末ではまだ全国的に二四%の普及率というような姿でございますから、その二次処理の普及率を伸ばしていくということを軸に考えていくべきではないか。三次処理というのはほんの、もう二次処理が一〇〇%いったというようなところとか、あるいは二次処理であったものが大量に一定のところに流れるので漁業との関連があるとか、そういう特殊なところは、これは考えようもあろうかと思いますけれども、全般的には二次処理ベースで進めるべきではないかという感じを持っております。しかし、これは所管が建設省でございますので、その辺の向きとも十分連格をとって進めたいと思います。
  95. 大原亨

    大原(亨)分科員 一般法に対して特別法を瀬戸内海環境保全法でつくるわけですが、そういう側面からいって、細かな議論はいまはいたしません、法律の枠の議論ですが、下水道の一貫した施設について、たとえば臨時措置法では十五条がありまして、財政上の援助という抽象的な規定があるわけです。その他のところにもあるわけですけれども、つまり、全体から見てみますと、瀬戸内海沿岸だけで見ると、大阪、兵庫県等は都市ですから下水道の普及率が高い。しかし、他の周辺は、コンビナートがどんどんできたのですけれども、下水道の施設という面についてはおくれておる。今回は少しは努力しておるのでしょうけれども、そういうふうにでこぼこがあるわけですね。そして、高度成長を通じて、民族移動や工場の移動もあったわけです。したがって、私どもが瀬戸内海全体を見て特別法をつくる際には、補助の対象地域を拡大する、あるいは補助率を特別に上げていく、大阪や兵庫等の普及のスピードを下げるということではなしに、この傾斜配分を全体としてやっていって、おくれておるところについて重点的に上げていく、対象の拡大、補助率の特例あるいは傾斜配分、こういうことを後継ぎ法において考慮をして、関係各省意識統一をして法律に盛る、そういうふうな意思があるかどうか、お答えください。
  96. 高橋進

    高橋説明員 建設省の方の立場からお答え申し上げます。  下水道事業につきしての国の補助措置にうきましては、先生御承知だと思いますが、一般的に十分の六ないし四分の三という、ほかの公共事業に比べましても相当高い措置をとっております。特に瀬戸内海地域におきます下水道事業の緊急性といいますか、重要性はございますけれども、そういった一般的に高い措置をとっていることから、当面補助率そのものについては考えておりませんけれども、そういった事業の非常な緊急性にかんがみまして、下水道事業に対する国の補助の配分につきましては、必要なものについては十分確保するように努めてまいりたい、重点を置いてまいりたい、こういうふうに考えております。
  97. 大原亨

    大原(亨)分科員 中身の議論は省略をいたします。  私が言ったのは、補助率とか傾斜配分ということを言ったわけです。  そこで、たとえば基本計画をつくって総合的に、第三条にあるように瀬戸内海の景観や魚族の保護、特に二百海里時代における瀬戸内海のそういう面における見直し、あるいは赤潮等からの、たとえば集中的なハマチの養殖が飼料その他で赤潮の原因をつくったりいたしておりますが、たくさんのえさを使ってそういうふうに公害を残すような問題についてはどうかとか、こういう議論等があるのですが、その基礎の計画といたしまして、後継ぎ法において、いままでずっと浅いところを埋め立ててきてコンビナートをつくったのですが、それが汚染を進めてきたという原因でありますけれども、たとえば人工の海浜をつくるとかあるいは藻場をつくるとか、二次汚染の問題を十分配慮しながら海底の汚泥のしゅんせつ、そういう事業を基本計画の一部といたしまして総合的、計画的に進めていくというふうな積極的な施策が必要ではないかという意味があるわけですね、これについてはどういうふうに対応をいたしますか。
  98. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 基本計画は、先ほど申し上げましたとおり、現在中公審の答申を軸にしながら策定作業を進めておるわけでございます。その際には、中公審の答申の中でも、瀬戸内海の環境保全という角度から、やはりヘドロのしゅんせつなり藻場の造成というのも必要であるということも記述してございます。したがいまして、いま策定作業をやっております基本計画にもそういう面を織り込んでいきたいというふうに考えます。  以上でございます。
  99. 大原亨

    大原(亨)分科員 赤潮が非常に大きな政治問題になっておるわけですが、従来から言われているように、この法律にも書いてありますが、臨時措置法にあるのは、たとえば赤潮等による漁業被害の救済ということや、他のところにも若干ありますが、赤潮のメカニズムがはっきり究明されないということについて、やはりこれは非常に大きな瀬戸内海環境保全の上では問題ですね。これの研究機関は、それぞれ水産庁とか通産省とか大学とか文部省とかいうふうに縦割りであるわけですが、しかしこれは横の連絡がとれない。汚濁一つのバロメーターである赤潮の問題についても総合的な研究がなされない、メカニズムが解明されない。これを徹底的に解明をしてもらいたい。そしてそれを基礎にしながら、科学的な総合政策をつくってもらいたいという意見があるのですが、そういう赤潮のメカニズムについて、原因その他の総合対策について研究を一歩進めながら対策を立てる、そういう視点を置いた跡継ぎ法を考えていますか。
  100. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 跡継ぎ法の中におきましては、技術開発の推進といいますか、そういう面の規定は現行法にもございますし、そういうものを跡継ぎ法の中でも考えたいとは思っております。  ただ問題は、赤潮ということに焦点を置いた研究ということについては、ただいま申し上げましたような広い規定の仕方になりますので、それにも包含されるという形になろうかと思います。そういうことで現在考えております。
  101. 大原亨

    大原(亨)分科員 アセスメントについては、これは後で井上委員の方から質問がありますから、これはおきます。  埋め立ての規制については十三条で規定をいたしておるわけです。公有水面埋立法を改正いたしまして、瀬戸内海においてはアセスメントの導入をいたしたわけですね。これはやはり科学的な根拠で影響評価をやるということと、それから総合対策で瀬戸内海全体がよみがえる、自浄能力を回復するということの観点での対策が必要なわけですが、第三条を受けて十三条が埋め立てについてはあるわけですが、埋め立てについての規制はどのようにするつもりですか。
  102. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 埋め立ての規定は十三条の規定が現行法にあるわけでございます。それでその後の運用状況を見ますと、埋め立ての件数にしても面積にしても大幅に減少をしておりまして、この規定は運用上十分生かされておるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、跡継ぎ法で埋め立ての規定をどうするかということにつきましては、環境庁としては、基本的にはやはり現行法の規定の趣旨を堅持していくべきであろう、かように考えております。ただ、具体的にどんなふうに後継法に規定するか、これにつきましては目下検討中ということでございます。
  103. 大原亨

    大原(亨)分科員 瀬戸内海全体の環境保全の問題で問題になるのは、タンカーの規制等の問題があります。時間が参りましたから以上で終わりますけれども漁業の問題もあります。それで、やはり第三条に、魚族を保護することと景観を保持することについては、従来からのきれいな海に育った魚が全体として育っていくような対策を立てるべきだという議論があります。これは、魚が住むということは人間の環境として整備されるということですね。ですから、そういう点についても、農林省水産庁とも十分に、研究体制もいままでかなりあったわけですからやって、真に総合的な立法として跡継ぎ法が速やかに出される、そういうことについてひとつ三月中をめどに、できるだけ早く、三月十四日という話があったのは私も知っているのだが、これはできぬかもしらぬということですが、三月いっぱいではちょっと延ばし過ぎておると思いますけれども、速やかに原案を出して、そうして跡継ぎ法として環境庁長官の仕事としてりっぱなものを残してもらいたい、そういうことを私は要望しておきます。最後大臣から御答弁いただきます。
  104. 山田久就

    山田国務大臣 御趣旨のようなところで私の方もせいぜい尽力いたしたいと思っておるわけであります。
  105. 大原亨

    大原(亨)分科員 終わります。
  106. 谷川寛三

    谷川主査代理 以上で大原君の質疑は終わりました。  午後零時三十分から再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時五分休憩      ————◇—————     午後零時三十一分開議
  107. 谷川寛三

    谷川主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。岡本富夫君。
  108. 岡本富夫

    岡本分科員 本論に入る前に、環境庁長官せっかくおいででございますので、ちょっとお聞きしておきたいのですが、瀬戸内海臨時措置法は大体十一月に議員立法が切れるわけですが、その後、政府の方でこの手当てというものをなさっておるのかどうか、これをまずお聞きしておきたいと思うのです。
  109. 山田久就

    山田国務大臣 瀬戸内海の臨時措置法、御承知のように、十一月に期限が切れることになっておりますので、その後継法をひとつ今次国会で通過を図るという目的をもち、この国会へ提出ということで、目下鋭意最終的な成案を急いでいるような状況でございます。
  110. 岡本富夫

    岡本分科員 そうすると、政府の成案としてこの国会で出せるということでございますね。しっかりしたりっぱなものを出していただくように希望いたしておきます。  それから、アセスメント、これは、私ももと環境公害に所属しておったときにも再三やかましく言ったわけですけれども、この環境アセスメントは今国会にちゃんと出せるのかどうか、これをひとつ長官からお聞きしておきたい。
  111. 山田久就

    山田国務大臣 これもできればひとつ出したいという考えで、いま関係方面と鋭意折衝中でございます。
  112. 岡本富夫

    岡本分科員 このアセスメントの問題は、長官、これはもう先国会または先々国会、盛んに環境庁としても出そうとして、各省庁から相当の抵抗があったということで非常に後退をしておるようなわけであります。したがって、今国会には必ず成案をつくって出していただきたい。と申しますのは、各地方自治体でもいろいろな事業を推進するに当たりまして、アセスメントの手法といいますか、どういうようにやったらいいのかということの明示がないために非常に困っているということでありますから、これも特にひとつ要求をしたいと思います。  次に、本論に入りまして、きょうは私、大阪国際空港の騒音公害問題について若干お聞きをいたしたいわけであります。そこで、環境公害委員会でもたびたびこの問題は論議をされたわけでありますけれども、私は四十三年からこの問題に取り組んでおりますが、その後、私どもの意見を聞かずにどんどんジェット機を導入し、大阪空港にBラン、要するにもう一つの大きな滑走路をつくってからどんどんジェット機がふえた。そのためにもうどうしようもない状態になりまして、御承知のように、川西市やあるいはまた豊中では裁判に踏み切っておるというような状態であります。私は、この裁判も大切であるけれども、裁判よりもまず公害等調整委員会というものを利用して、そして何と申してもまず地元対策を航空局あるいは運輸省にしっかりとやらせることが大切であるというように話をいたしまして、公害等調整委員会に約一万五千名の伊丹の方が申請いたしておりますが、この公害等調整委員会の調停にもありますところの、結論として四十八年から五十三年度、この中間目標の達成をまずやりなさい。ことしがちょうど五十三年でありますが、この五十三年度の中間目標はどういうように達成するのか、これをひとつ運輸省航空局の万からお聞きをしたいと思います。
  113. 田代雅也

    ○田代説明員 ただいま先生指摘のように、ことしの十二月に環境基準の中間目標の時期が参るわけでございます。私どもといたしましては、まず第一に、音源対策といたしましてできるだけうるさい飛行機を低騒音の飛行機に取りかえていくということが一つ、それから環境基準に示されておりますように、周辺の民家の防音工事をできるだけいたしまして環境基準を達成する、さらに激甚地につきましては、移動補償をいたしましてそこをどいていただきまして、そこに緩衝緑地をつくる、そういうようなことでありまして、私どもはこの十二月に参ります環境基準をぜひとも達成しなければいけない、かように考えておる次第でございます。
  114. 岡本富夫

    岡本分科員 そこで、民家の防音工事のことでありますけれども、いま五人家族では民防二室というように規則が変わってまいりまして、いま盛んに行われておるわけでありますけれども、四人家族以下でも、家の中に心身障害者の方あるいはお年寄りの方、また病人すなわち加療中の方、こういう人がおりまして、そういう家庭ではどうしても二室なければ生活ができないというのが私は現状であろうと思いますし、また現実に向こうを視察しますとそういうことでありますが、この点についてどういうようにお考えになっておるのか。これもひとつ航空局の万からお聞かせ願います。
  115. 田代雅也

    ○田代説明員 民家防音工事、その内容の充実ということにつきましては、かねてから私どもも真剣に考えておりまして、従来五人以上の方で一定の年齢制限あるいは病人のおられる万、そういうところについてのみ二室ということでございましたけれども、昨年十一月から若干その年齢制限等を緩和いたしまして、五人以上の世帯の方々につきましては原則として二室ができるように改善したわけでございます。しかしながら、いま先生の御指摘のように、それ以外の方々、四人以下の方であっても病人を抱えているとかあるいは老人がいるとか、そういった世帯につきましてやはり非常に御要望が強うございます。私どもといたしましては、五十三年度に大阪空港を含みます空港周辺の各世帯の実情あるいは家屋の構造等につきましていろいろ調査をいたします。あるいは住民の方々の御要望につきましても、アンケート等によりまして調査をいたしたいと思います。その結果によりまして、その内容の充実に今後努力していきたいと考えておるわけでございます。
  116. 岡本富夫

    岡本分科員 あなたいま、これから調査をしてからということですが、いつごろこの調査に入って、そしてこの要望にこたえることができるのか、この見通しをひとつお答えいただきたい。
  117. 田代雅也

    ○田代説明員 現在すでに調査に入っておるわけでございますけれども、本格的な調査につきましては、五十三年度の予算でお認めいただいておりますものですから、それを使いまして調査いたしまして、五十四年度以降におきまして引き続き必要な措置をとっていただきたいと考えておるわけでございます。
  118. 岡本富夫

    岡本分科員 次に、騒音コンター、すなわち第一種地区、第二種地区、第三種地区というコンターをいまつくられておるわけですけれども、私、たしか四十七年の予算委員会でもやかましく要望いたしておきましたが、この騒音コンターがどうも実態と合ってないんじゃないか、実態に即したコンターができておらないのではないかということで、当時も要望いたしておきました。その後、一度見直しがあったようでありますけれども、まだこの見直しがはっきり実態に沿ってないように考えられるわけであります。特に、地方自治体とも話をして聞きますと、国による騒音対策事業のうち騒音コンターは、低騒音機導入、すなわちエアバスを導入するときの予測のコンターだということでありますので、まだこのエアバスが百便全部入っていませんから、まだまだ予測コンターと実質の被害のあるコンターとは違うわけです。したがいまして、この騒音コンターの見直しをもう一遍きちんとやるべきである、私はこういうように考えるのです。その点いかがですか。
  119. 田代雅也

    ○田代説明員 御指摘の点につきましては、予測コンターのほかに地元公共団体等と合同で実測調査をいたしまして、五十二年度の当初に一度コンターの手直しをいたしました。なお、ことしの暮れに中間目標の達成時期が参ります。その点を踏まえまして、五十三年度に入ります早々からもう一度航空機騒音に係る基準がどのようになっているか、どのように達成されているか、その点につきまして点検をいたしまして、さらに実測値に基きまして地元公共団体と相談いたしながら、次の五十八年目標のためのコンターを引き直したいと考えているわけでございます。
  120. 岡本富夫

    岡本分科員 五十三年度のこの達成時期にもう一度見直すということでありますから、これは了といたしておきます。  なお、その際、特に検討をして入れてもらいたいことがあります。それは逆発進のときであります。六月、七月、夏場、風の向きが変わるときの逆発進で非常に——ちょうと窓をあけておるときでありますし、この見直しもそのときにぜひひとつやっていただきたい。これはひとつ要望をいたしておきます。  そこで、次は激甚地、たとえば川西むつみ地区というところがありますが、ここでは借家人が、大概借地で百六十世帯ばかりありまして、そして激甚地でありますから、出ようとしますと地主との話し合いで非常に難航をしておるわけです。借地されている方はやはり借地権というものがある。こういうことを要求されるのは当然でありますし、また地主の方はそういうものは必要ないのだということで、利害関係ということで非常に話がつかない。しかし、これは、この地形から申しましても、何としても移転をしていただいて、そしてここを緑地にしないとどうしようもないところであります。したがって、私は、運輸省でできれば一括購入してその人たちの移転代替地をちゃんとつくってあげて、何とかここを移転していただく。そういうことはできぬとかいう考えはひとつのいていただきたいと思うのです。なぜかならば、飛行場のこの被害がなければ、この人たちは悠々として生活できるところなんですね。その点をひとつ考えて、一遍検討いただきたいと思うのですが、この点いかがですか。
  121. 田代雅也

    ○田代説明員 御指摘のように、川西市あるいは豊中市等の激甚地区につきまして、周辺対策上一番問題になりますのは、やはり借地借家人対策でございます。御指摘のその川西の地区につきましても同様でございますが、特にいま先生指摘のように、借家人あるいは借地人とそれから地主との間で、地上権をめぐりましていろいろ意見が食い違っている、これがその地区の移転に当たりまして非常に大きな障害になっているということは事実でございます。私どもといたしましては、やはり民事の問題でございますので、本来は当事者同士の円満な話し合いによって解決すべきものであると考えておるわけでございますけれども、なかなかそれをもちましては周辺対策が進行しない現状にございますので、私ども、出先機関であります大阪航空局、さらには大阪空港周辺整備機構の職員を督励いたしまして、その両当事者の話をよく聞く、調整する、それによりまして一刻も早く円満な解決を図られるように努力してまいりたいと思っておるわけでございます。  それから、代替地の問題でございますけれども周辺整備機構が各地に代替地を造成しているわけでございます。これもできるだけ手当ていたしまして、低廉にそういった方々の御要望に沿えるように造成してまいっていく、そのような所存でございます。
  122. 岡本富夫

    岡本分科員 これはいま飛行場部長さんが答えたような簡単なものじゃないのですね。したがって、大阪空港整備機構ですかのいろんなものもありますけれども、その規則の中で運用しようとするとなかなかむずかしかろうと思うのですよ。だから、この点については大臣ともまた大蔵省とも一遍よく相談をして、実態に合った適切な施策を講じないことにはどうもならないと思うのですね。また、一番激甚地でありますから、ひとつその点を特に要望いたしておきます。  そこで、移転補償区域、四十五年当時に移転補償区域が指定されて、その後四十九年、それから五十二年と、こう予算がつくに従って区域が広がっていった、拡大された。もちろんこれは被害地域でありますからそういうことになったのでありますけれども、この四十五年当時の移転補償あるいは民防できる区域の中で、新築をされた、家が壊れたりあるいはまた土地があったからといって移転された。     〔谷川主査代理退席、主査着席〕 それで今度四十九年になると、この四十五年のところは移転補償やあるいはまた民防ができない。その区域よりも外にあるところの、四十九年に告示された以内の中でしたら、四十五年以降に新築されたところも移転補償あるいはまた民防の対象になるというような非常に矛盾した現在の区域になっているわけですね。これはひとつぜひ、四十五年、四十九年、五十二年と対象地区が大きくなったわけですから、みなし規定というものを考えてこの人たちも救済をしていくということが大事ではないかと私は思うのですが、この点についての御意見を承りたい。
  123. 田代雅也

    ○田代説明員 先生ただいま御指摘の点につきまして、特に地元から非常に要望が強いということは聞いているわけでございます。しかしながら、現在の制度というものが、現に存する建物について移転補償なり防音工事なりを行う定めになっているわけでございます。告示の時期というものが一つの基準になりまして、その前後によりまして国が手当てするかしないかという制度になっているわけでございます。ほかの種類の問題と同様でございますけれども、この点につきまして、先生の御指摘もございますので、今後の検討課題とさせていただきたいと思っておるわけでございます。
  124. 岡本富夫

    岡本分科員 ひとつ検討課題にしておきますからよく検討して、現実に被害を受けているわけですし、またその後こうして拡大されたということはそこは激甚地に近いということになるわけですから、この点もひとつ考えてやっていただきたいと思います。  そこで、特に今度は激甚地の営業所、たとえば事務所あるいはまた仮眠室、こういうところ、あなたも御承知だと思いますけれども、事務所に行っておりましても、飛行機が通るたびに電話は聞こえない、一日の仕事の間は絶えずこうした被害に遭っているわけですから、この事務所や仮眠室、こういうところの防音工事の助成も考えるべきではないかと思うのですが、この点いかがお考えですか。
  125. 田代雅也

    ○田代説明員 現在の騒音防止法の基本的なたてまえの一つ生活環境の維持であるわけでございます。日常生活の本拠となります住宅につきまして当面防音工事をやるということが、私どもとしましてはその観点から先決であると考えておるわけでございます。大阪空港の周辺におきましても、まだ民家防音工事の進まない、残っている住宅がかなりあるわけでございまして、そういったところを先にやることが先決であると思います。現状におきまして営業所、事務所につきましては手当てする考えはないわけでございますけれども、先ほどの問題等含めまして、非常にむずかしい問題でございますが、今後の検討課題とさせていただきたいと思っておるわけでございます。
  126. 岡本富夫

    岡本分科員 これは予算ということもあるからと思って私もいままでは黙っておったのですけれども、毎日そこで勤務するということは、生活しておるわけですね。あながち帰って休むだけが生活ではないわけでありまして、あの方面の普通の中小企業に参りますと、確かに電話を聞いていると頭が痛いです。また、事務所におりましても、ようこんなところで事務をとっているなと思われるような状態ですから、それは民防のように全部が全部というわけにいきませんけれども、ある程度助成をして、この不景気でございますけれども少し生活環境を、職場も生活環境ですから、よくしていくようにひとつやっていただきたい。いますぐにと言いましてもあなたも考えられませんから、ひとつ来年の予算委員会にははっきり答えられるように、いまから努力をしていただきたいと思います。  そこで、大蔵省、来ておりますね。大阪空港あるいはまた空港周辺の各市町村、こういうところが、非常に被害を受けた住民に対してサービスをしなければならぬというわけで、私、やかましく言って四十七年でしたか、燃料譲与税を創設していただいたわけですけれども、昨年の当予算委員会におきましては、この燃料譲与税の見直しが五十三年度になるからこのときに増額するというような御答弁をいただいておるわけですけれども、それはいまどうなりましたですか。
  127. 宍倉宗夫

    ○宍倉説明員 昨年来岡本先生からそのようなお話がございまして、私ども、早急にそうした機会も来るでしょうが、とにかく航空燃料税の見直しのときに一緒に検討すべき問題であります。このようにお答え申し上げてまいったわけであります。五十三年度、航空燃料税は諸般の情勢から据え置きのままになっておりますので、今年度の予算案につきましては、航空燃料の譲与税につきましても従前のとおりになっているわけであります。  この後一体どういう見込みかということかと存じますが、五十四年度以降なるべく早い機会に、いろいろ客観的な条件が整いますれば見直しをしてまいりたい。そのときに、ただいまの燃料譲与税の問題も、市町村それから府県、そういったものの事務分担といいますか、どういった事業をやっているか、それからそうしたものの財源事情、それを踏まえまして、一緒に検討してまいりたいと思っております。
  128. 岡本富夫

    岡本分科員 大蔵省の主計官の方の御答弁は、西垣さんでしたか、五十三年がちょうど四年目で見直しの時期になるのだからというような答弁をいただいておるわけです。課税の割合、あるいはまたその課税されたものの十三分の二をここに回す、こういうような問題について皆一遍再検討をしようとされておったわけですが、今度なぜできなかったのか、これをひとつお聞きしておきたいのです。  それから、県に対する配分もお願いしてあったわけですが、これはちょっと聞くと別に予算を取っていただいておるそうですか、これもあわせてひとつ御答弁いただきたい。
  129. 宍倉宗夫

    ○宍倉説明員 お答えいたします。  航空機燃料税の見直しをことしなぜしなかったかということでございますが、これはいろいろ事情がございますが、たとえばその一つを申し上げますと、五十三年度に石油新税をつくろうということになってございますが、石油関係の税金の全体の調整の問題、こういった問題もございまして、五十三年度の予算では見送りになったわけでございます。  それから、府県の方のお話でございますが、特に騒音の著しい飛行場の関係の府県、たとえば大阪ですとか福岡ですとかでございますが、その府県につきましては、先生御承知のように、市町村と同じように、まあ言い方によりますれば市町村以上に航空機の騒音対策に事業費を使っているということで、これがまた、市町村はとにかくあるわけでございますけれども府県は何にもないということで、とにかく何とかしなくてはならないのではなかろうかということで、本年十億円交付金をつくるということで特別会計の中に予算を組んでいるわけでございます。
  130. 岡本富夫

    岡本分科員 いまここで時間がありませんからあれですが、大蔵省の主計官は石油新税についていろいろなことによってできなかったというようなお話ですけれども、道路財源のあの揮発油税ですか、あれとこれ、割合も、航空機から取っている税金というのは割合が違うのですよ。非常に少ないのですね。前は非課税だったものでありますから非常に少ないわけですから、もう一度この点をひとつよく検討していただいて、石油新税と切り離して来年度は検討していただいて、地方自治体のいろいろの要請に対する譲与税を増額していただくように希望しておきます。  ただ、環境庁に、大阪空港に今度はエアバスがどんどん入ってくるわけですから、それによって大気汚染、特に窒素酸化物の総量の規制をここらでひとつやっておかなければならぬのではないかということで、いま御検討いただいておるようでありますけれども、その計画と決意だけを承って終わりたいと思います。
  131. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生から御指摘のございましたように、昨年伊丹にエアバスを導入しますときに、確かに騒音の方には有効に働くが、窒素酸化物の排出量は非常にふえるということで、環境庁としても運輸省に対しまして要望をはっきり申し述べたわけでございます。その中で、一つはできるだけ排出量の少ない航空機を将来使っていくということと、もう一つ段階的に評価をしながらやっていくという問題と、それから必要に応じて総量削減を行うことという条件が入っておりまして、五十三年度には、これは工場の方でございますが、窒素酸化物の総量規制の問題に着手しよう、これは地域指定でございますけれども、あの地域をやりますときには、航空機の問題も中に組み入れて計算をしてみる。それから、先ほど申し上げました運輸省に対する申し入れということに対して、運輸省としても誠実な努力をしていただくということを強く押すようにいたしたいと思います。
  132. 塩崎潤

    ○塩崎主査 以上で岡本君の質疑は終了いたしました。次に、井上一成君。
  133. 井上一成

    井上(一)分科員 私は、地方自治体が、人間が住むにふさわしい環境をつくりかつ守っていくために非常に積極的に取り組んでいるということは、国の方でも十分御承知いただいておることだろうと思います。また、環境庁環境保全のために一定の基準を設け、たとえば大気汚染のNOxについては〇・〇二PPmというように、地方自治体にも一定の責任を負わせているわけであります。大都市を中心にそれぞれの地方自治体は、この環境庁の設定した基準に準じて努力をしているわけであります。しかし、地方自治体の権限の中というか行政指導の枠の中では、固定発生源の指導はできても移動発生源に対しては何ら権限を持っておらないわけであります。この移動発生源である自動車排気ガスの問題については、これは一に国の権限にまたなければいけない、こういうことであります。とりわけ、東京なり大阪の大都市では年間十万トンのNOxが排出されているという統計が出ているわけであります。そして、その八〇%が移動発生源である自動車の排出ガスによるものである。そういう中で、現状は、環境庁が人間の健康に影響を与えないという環境基準、四十八年の五月八日に告示をされたその数値の約五倍の濃度である。もちろんこの目標達成に努力をされているとは考えるわけでありますけれども現状においてその目標達成の見通しというものをまずお伺いをしたいと思います。
  134. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生の御質問のございました窒素酸化物の環境基準でございますが、一日平均値の〇・〇二というのは、非常な安全率をもって見込んだものでございますが、それに対する達成状況というものは、日本全体でまだ一〇%足らずしか達成されていない。しかも、大阪のような場所では一カ所もまだ達成されていないという実情でございます。また、その中間目標として一日平均値の〇・〇四PPmという数字も出しておりましたが、この問題につきましての達成状況も、全国で大体六割弱という程度でございます。この点につきましては、その設定いたしましたときにその技術の見通しというものはほとんどないままにやっておったわけでございますが、現在の見通しから申し上げますと、これは五十一年及び五十二年の環境白書で明らかにしておりますが、当初の目標の本年の五月の初めまでには、これは達成はまず不可能であるというのが実情でございまして、この問題に対してどういうぐあいに根本的にその対策を立て直して軌道に乗せるかということにつきまして、現在中央公害対策審議会に、この基準の基礎となります科学的な判断条件が五年間で相当新しくなりましたので、その問題につきまして鋭意御審議を願っておりまして、その答申を得ました上で、はっきりした健康を守るための窒素酸化物対策を新しく確立したいというところでございます。
  135. 井上一成

    井上(一)分科員 最初から目標を達成する気がなかったのではないかと私は思うのです。五年以内に達成をしなければいけないということでありますから、本年の五月七日までには達成しなければいけない。にもかかわらず、いまのお答えでも明らかなように、非常にむずかしい。これはもう、取り組む姿勢が全くもって十分でなかったということを私は特に指摘したいわけでございますが、この点については特に長官の方から、反省の上に立って、あるいは過去の環境行政が、大気汚染のみをとらえてすべてを判断することは早計かもわかりませんけれども、少なくとも大気汚染については取り組みが不十分であったということをお認めになられますか。
  136. 山田久就

    山田国務大臣 その点については先ほど事務当局からもお答え申し上げました。客観的な事実について申し上げますと、現在の目標が設定されました当時は、とにかく一生懸命になってやりたいという当時の雰囲気の中ではございましたけれども、しかしながら、科学的ないろいろなデータというものは、その後においても指摘されているとおりに、非常にその点不十分であったということ、これは正直に言って事実ではなかったかと、こう思われます。したがって、その後において達成するつもりはなかったのじゃないかというのは、これは井上先生の御指摘ではありますけれども、私は、当局の熱意をそのようには受け取っておらないわけです。私は、関係者は一生懸命にやっておると思います。しかしながら、現実的に言って今日まで発見されているところの技術的手法その他から言って、やっているけれどもそこに至ることができなかった、これが偽らざる客観的な事実ではなかったか。したがって、先ほども申し上げましたように、中公審にも、その後のいろいろなデータに基づきまして、ちょうど五年の見直しということがあるのですけれども、その結果というものはどうなるか私はわかりません。しかしながら、一定の基準を考えていくに必要な条件その他のことについてただいま御審議いただいておる……
  137. 塩崎潤

    ○塩崎主査 御答弁は簡潔にお願いいたします。
  138. 山田久就

    山田国務大臣 そういう状況でございますので、ひとつこの点の熱意、客観情勢を御理解いただきたいと思います。
  139. 井上一成

    井上(一)分科員 長官、私も環境庁は熱意をもって努力をしていると信じたいわけであります。しかし、過去においても、御承知のように、いわゆる五十三年排ガス規制の折に、五十一年に予定をしておったのが、五十三年に、メーカー側のいわゆる外部の要望を受け入れて延ばした経過があるわけです。技術的な問題があるということで。しかし、現実の問題として、五十三年規制はメーカーの方もこれに短期間で対応した事実があるわけです。だから、やろうとすればやれるんじゃないか、外部からの何らかのプレッシャーで環境庁の方は若干の足踏みをさせられておるのではないかと私は思うわけであります。  さてそこで、そのような過去のことについては、地方自治体がいろいろと独自の組織をつくって環境庁に一定の報告書を提出して、協力体制をとった事例もあるわけであります。それで、中公審の答申が昨年の十二月二十六日になされて、本年の一月末に告示されたその目標、いわゆる第一段階、第二段階に分けられておるわけでありますが、第一段階としては非常に甘い、いま通常走っている車両にほんの少しの手を加える程度、あるいは極端な言い方をすれば、いま走っておる車そのままでも基準の枠の中に入る程度の甘い規制である。もちろん、これは来年の一月にガソリン車なり、あるいは四月にディーゼル車を対象に規制を加えたわけでありますけれども、私は非常に甘いと思うのです。それはそれとして、第二段階として五十年代という非常に抽象的な表現で示されたわけであります。  そこで、一体五十年代のいつやるのか、時期を明示すべきである。時期を明示しなければ、それに対応するメーカー側のめどというものも持てないではないだろうか。長官、いかがでございますか、五十年代というのはいつなんですか、はっきりと長官からお答えをいただきたいと思います。
  140. 山田久就

    山田国務大臣 先ほども申し上げました、われわれは非常に客観的な事実によってやろうということでやっておるわけです。したがって、物によっては、乗用車のごときは非常に大きな成果を上げておる。これは技術的な改革、それの公表、それに対してのそれぞれの協力、こういうことの成果の結果であろうと思います。  次の目標につきましては、先ほども申し上げましたように、いまに公害対策審議会での見直しの結果も出てまいりましょう。そういうものを踏まえて、そして科学的に、しかも技術的には本気にいろいろ進歩を考えながらやろうという考えでございまして、いつということは、まだいまここでは申し上げられませんけれども、その目標についてはできるだけ早くやりたいということで、答申を待ってがんばっていきたい、これが現在のわれわれの立場でございます。
  141. 井上一成

    井上(一)分科員 長官、おかしいじゃありませんか。目標も持たずに、一生懸命やっているんだ、そんなことは普通通りませんよ。めどを立ててそれに向かって努力をしていくんだ、こういうことなんですよ。いつかわからないというような無責任なお答えは、全く環境行政についての努力の誠意が見受けられない。いつかわからないのですか、めども立たないのですか。
  142. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 将来のめどでございますが、専門委員会としては、五十四年の規制をやってしまってから数年後でできるかどうかというところを、専門家としては言い切れない。それを政策的に、どんなことがあっても五十年代中にはやれということを部会の政策の方針として出したわけであります。  そういうことで、五十四年規制車ができてきた以降の技術評価を見ながらこの点のめどが初めてつくのではないかということでございまして、世界で最も厳しい目標になっておるということと、それから、先ほど五十四年が甘いと言われましたが、音の方は非常に厳しくなっております。これから先は音とNO、と、それからトラック、ディーゼル、ハイドロカーボンもございます。黒い煙が出ます。そういう点で、全体として本当にいい車をつくって公害を減らすということでございますので、いま年次を明示できないのはきわめて遺憾でございますが、五十四年規制車ができてきまして、それからの技術評価におきましてはっきりした目標をつくっていきたいということを申し上げておきたいと思います。
  143. 井上一成

    井上(一)分科員 遺憾であるというのは私の方が申し上げたいことであって、あなた方がそういうことを早急にめどを立て、かつまたどのような状態まで規制をかけていこう、あるいはその結果十分な環境基準が保持できるのかどうかということが明らかにされなければいけないと思うのです。この点について長官から、ひとつ詳細に私はお答えをいただきたいと思います。
  144. 山田久就

    山田国務大臣 先ほど事務当局から答えましたように、答申というものを踏まえて、政治的に延ばすのでもなければ政治的に縮めるのでもない。それを踏まえて、五十年代中にはそれをやるという目標で努力しておる。私は、これが現在において申し上げ得るところで、いわばそういうような客観的なものに基づいて忠実にやっておるつもりでございます。
  145. 井上一成

    井上(一)分科員 このことについてはさらに深く御質問をいたしたいわけでございますけれども、時間の関係もあり、いずれかの機会に譲ります。  なおもう一点。昨年十一月だったと思うのですが、通産省の産業構造審議会が提出をされました報告書、答申と申しますかについて環境庁長官はどうお受けとめになられていらっしゃるのでしょうか。
  146. 山田久就

    山田国務大臣 構造審議会の答申は答申として私も目を通しました。われわれの方は目下、先ほど申し上げましたように、中公審の答申をきわめて客観的に出してもらうということでおりますので、それについて考えたいと思っております。
  147. 井上一成

    井上(一)分科員 次に、私は、地盤沈下の問題について若干の質問をいたします。  大阪地区における地盤沈下は非常に激しいわけであります。五十一年度においては、泉大津市では年間九・三四センチメートルという記録があるわけであります。大阪湾に近い此花区では二百四十六・八センチメートル、昭和十年から五十一年までの間にこれだけの地盤が沈下をしているわけです。これ以上地盤沈下を——地盤沈下というものは復旧がなりませんし、地盤沈下から起こり得る公害というものについては、大変市民生活、国民生活に影響を及ぼしておるといういろいろな意味から、何としても地盤沈下を生じないような予防対策というものが必要であります。そういう意味で、地下水のくみ上げを規制すべきであり、あるいはまた、地盤沈下防止のための総合法の早期制定が必要ではないかというふうに思うわけであります。  この点については、環境庁の案なり、建設省の案なり、あるいは昭和五十年度には国土庁が地下水の保全及び地盤沈下の防止に関する法律案を調整案として取りまとめて国会に上程をする手はずになっておったわけでありますけれども、各省庁間の調整がつかずに、現段階では、当初案より相当後退をした形の中で原案が検討されているというふうに聞き及ぶわけでありますけれども、その点についてはいかがなものなのか。あるいは、先ほど申し上げました総合法を早期制定して、代替水の確保なりあるいは水使用の合理化による節水、再使用の促進だとか、あるいは調査研究体制の整備だとか、いろいろと施策を講じるべきだと考えますが、いかがお考えでしょうか。
  148. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 お答え申し上げます。  地盤沈下は、ただいま先生おっしゃいますとおり、一たん沈下いたしますとなかなか回復不可能、こういう公害でございます。したがいまして、従来から、環境庁といたしましては、工業用の地下水採取の規制につきましては工業用水法、それから洗車、水洗便所用といいますか、そういうたぐいのものは、俗称ビル用水法と言っておりますが、こういう法律で規制をするということでやってまいっておりますが、ただいま先生から御指摘のございますように、そのほかに上水道の関係あるいは農業用水の関係等々ございますので、総合的な法制をということでございまして、この面につきましては、四十九年の十一月に中公審の答申をいただき、自乗、環境庁といたしまして、その法制化に取り組んでまいっておるわけでございます。  ただ、問題は、環境庁が地盤沈下防止法ということでの総合規制立法を考えておりますのに対し、建設省等におきましては、地下水を公水というふうに観念をいたしまして、表流水と一体的に管理するということで、地下水法案といいますか、そういうことで提案を企図しておりますし、ただいまお話がございましたように、国土庁の方でも地下水の保全及び地盤沈下の防止に関する法律というものの提案を考えておるというようなことで、その間の各省間の調整がつかずに現在に至っておるわけでございますけれども、今後とも根強くこの調整に努めて、何とか提案の運びになろように努力をしたいという考えでございます。
  149. 井上一成

    井上(一)分科員 さらに私は、環境アセスメントについてお尋ねをいたします。  先月の二十四日に示された内容を見るときに、本当に環境庁環境保全に真剣に取り組もうとしていらっしゃるのか、環境庁設置の当初の心意気というか精神を忘れていはせぬだろうか、こういうふうに思うわけです。きょうまた、さらに後摂した報道がなされておるわけであります。環境庁長官に、環境庁を設置したときの精神というものはどういう精神であるのか、そしていまもそれは変わりないのか、ひとつお伺いをいたします。
  150. 山田久就

    山田国務大臣 環境庁立場、役割り、責任、その基本的なものは、今日においてもこれは不動でございます。  アセスメント法については、これは要するに事前に環境の評価が行われる、こういうことが望ましいということ、そしてまた、この環境評価についての基本的な方針あるいは標準、そしてまた、大事な手法というものが環境庁のわれわれの見る見解によって決められていくということ、そうしてそれが環境保全という基本的な目的達成に貢献する、その点についてわれわれの果たしていく役割りというものが維持されていくということ、これが基本的に望ましい点で、その点においては全く不変でございます。
  151. 井上一成

    井上(一)分科員 私は、環境庁が発足した意義というものは、やはり過去のわが国の縦割り行政の弊害をなくして、環境行政を総合的に推進していくことだと思うのです。  今度の環境アセスメント法案が明らかにされた中身を見ますと、まさにこれは事業の主管大臣にその権限が持っていかれている。ただ、主管大臣である環境庁長官とは協議するぐらいの程度に後退をしている、こういうことなんです。これはもっと端的に表現をすれば、環境庁みずからの仕事を環境庁は放棄した、あるいはまた、それを各省庁に分散したということになるわけであります。そんなことが環境庁を設置した当時の意義とかけ離れておるということを指摘しているわけです。長官、いかがですか。
  152. 山田久就

    山田国務大臣 お言葉を返すようで非常に恐縮ですけれども、私は全くそのように考えておりません。  環境庁ができた時分と違いまして、まず今日においては、第一に各方面とも環境ということについての認識、したがいまして環境アセスメント、事前にそういうものが行われてくるということについての基本問題では、もう相当認識は進んできている、こう申し上げて差し支えないと思います。したがって、事前にこの評価というものが、その方針、基準、そしてその手法が環境庁のわれわれの考え方によって行われるということ、そしてその評価についてわれわれが関与する機会を持つことが留保されている点においてそれが保持されるならば、私はそれぞれのたとえば業界等について——専門的に言えば専門のむずかしい点があるかと思います。しかしながら、環境評価の方針、手法がわれわれの考え方によって行われ、またさらにこれについてわれわれの発言する機会がりっぱに保持されている限りは後退とかそういうことは全くないと申し上げて差し支えない、こう私は考えております。
  153. 井上一成

    井上(一)分科員 長官は、環境庁に協議があるから、環境庁発言が確保されているから全く設立時の意義をなくしていないとおっしゃるわけですね。むしろ、環境庁の中に各省庁との連絡調整機関を設置して、環境庁が総合的に行政を推進していくのだというのが、筋の通った発足当時の意義をそこに私は見つけることができるのですよ。分散をしていく、環境庁の意見は聞いてくれるけれども環境庁の行政権限枠内からだんだん飛び出してしまうというものが、今後どんどん出てきたらどうするのですか。環境庁の存在それ自体が危ぶまれるわけじゃないのですか。
  154. 塩崎潤

    ○塩崎主査 簡潔に願います。
  155. 山田久就

    山田国務大臣 そうは考えておりません。従来はわれわれが環境評価についての基本の方針、基準あるいは大事な手法について発言して、これによってやっておったのです。その点のわれわれの見解というものが維持されて行われる限り、そしてわれわれがなおその必要の細部について発言をその上で持つ限り、私はわれわれの任務と役割りはちっとも後退してはおらないと考えております。この点はどうか御理解をいただきたいと思います。
  156. 塩崎潤

    ○塩崎主査 時間が経過いたしましたので、簡潔に願います。
  157. 井上一成

    井上(一)分科員 私はさらに環境庁長官に、本当に環境庁の存在を明確にする時期はいまである、もっともっと真剣に環境庁で最大の努力をし、また環境庁に生きがいを求めて一生懸命やっている環境庁職員のためにも、あなたの考えは誤りである、環境庁を守るためにしっかりした考えをいまこそ持ちなさい。
  158. 塩崎潤

    ○塩崎主査 以上で井上君の質疑は終了いたしました。  次に、松本善明君。
  159. 松本善明

    松本(善)分科員 長官に伺いますが、公害健康被害補償法でいまだに窒素酸化物が地域指定の要件になっておりません。このことによって東京の世田谷、杉並、中野、練馬のいわゆる除外四区を初め、全国で指定地域が制限されて多くの公害病患者が放置されております。東京では七環ぜんそくとか大原ぜんそくとかいう言葉もありますし、その周辺では店をたたんでいるというような商店も出てきております。この点では、私は再々質問主意書を出したりあるいは去年も分科会で質問をしたりいたしましたが、ほとんど進展がない。場合によっては後退しているとさえ言える状況ではないかと思います。昨年の九月にはいわゆる除外四区の区長が環境庁長官に要望をしておりますし、これらのいわゆる除外四区では、区議会で超党派で、指定区域にするようにということも決議されておるわけです。この問題について、環境庁はいまどう考えているかということを、まず伺いたいと思います。
  160. 山本宜正

    ○山本(宜)政府委員 細かい事情でございますので私から答えさせていただきます。  現在、東京都十九区を指定いたしまして、四区がまだ未指定であるわけでございますが、これにつきましては、従来とも救済法の第一種地域として、中公審の答申に基づきますいわゆる指定要件というものを満たすところを指定いたしまして、四区につきましては要件を満たしていないということで、いまもって指定していないわけでございますが、それにつきましていろいろと陳情があることもよく承っているところでございます。
  161. 松本善明

    松本(善)分科員 それは結局、窒素酸化物が指定要件になっていないからそういうことになっているのだと思いますが、この問題で、いままでの政府答弁では、たとえば山本部長は、窒素酸化物が、この補償に取り組むべき健康被害が多発しているかどうかについては明確な証明が出ていないとか、あるいは橋本局長は、ちょっと悪いが、とうてい補償の議論をするに足るだけの確かさと悪さというのはないというような答弁をしておるわけですけれども、いまもそういう考えでおりますか。
  162. 山本宜正

    ○山本(宜)政府委員 おっしゃるとおりでございまして、私ども窒素酸化物による著しい健康被害につきましては、現在まで、学問的な評価といたしましてもそういったものを手にしておりませんし、また現在の窒素酸化物の状況から見まして、これを指定要件に加えることにつきましては、いま少しいろいろな調査なりデータなりを持たなければ判断できないものと考えておるわけでございます。
  163. 松本善明

    松本(善)分科員 長官に伺いますが、今国会に補償法の一部改正案が提案をされております。これは自動車排ガスの汚染負担分を現在暫定的に自動車重量税から支出している、この措置を延長するものだと思いますが、この自動車重量税によって自動車に汚染負担分を負担させる、これは自動車が何を排出しているからでありますか。
  164. 山本宜正

    ○山本(宜)政府委員 現在の補償法におきまして、自動車による大気汚染というのも見逃すことができないものであるという考え方から、自動車から費用を取る、こういった考え方に至ったわけでございます。自動車の排ガスの中で大きい役割りを占めておりますのは窒素酸化物でございますが、当然のことながら、そのほかの汚染物質が入っているわけでございます。
  165. 松本善明

    松本(善)分科員 そうすると、これが全補償費の二割となっておりますが、その二割となっている根拠を御説明いただきたい。
  166. 山本宜正

    ○山本(宜)政府委員 補償法を組み立てますときに、いわゆる大気汚染に寄与しているものといたしましては、主として硫黄酸化物それから窒素酸化物、浮遊粉じん、その他いろいろあるわけでございますけれども、やはり大きい役割りを占めておりますのは硫黄酸化物、窒素酸化物というようなところであるわけでありまして、この汚染の中で自動車が排出量としてどのくらいを占めるかということを固定発生源との関係で調べましたところ、二〇%前後という数字が年々出てまいりますので、固定発生源からは八〇%の賦課金を取り、自動車につきましては二〇%の費用を自動車重量税から引き当てる、こういう方式をとっているわけでございます。
  167. 松本善明

    松本(善)分科員 大臣に伺いますが、この自動車重量税を取りますのは、いまのお話でわかりますように、結局、窒素酸化物を自動車が主として出しているということを理由として取っている。この自動車のユーザーに対して、窒素酸化物は有害だから公害病患者の発生に二割の責任があるということで補償費の負担をさせているのだと思います。そうであれば、これは当然に窒素酸化物を補償法の対象物質とする、そして地域の指定要件とするということにしなければならぬのじゃないだろうか。片一方では自動車側に窒素酸化物が発生の原因として責任を負わせて、そして片一方では、窒素酸化物によって公害ぜんそくでありますとか、そういう公害病になっている人たちに補償をしない。これはどうしても矛盾だと私は思うのです。私どもは自動車のユーザーから取るのではなくて自動車のメーカーから取る、こういうふうにすべきだということを考えておりますけれども、自動車に原因があるということについてはそのとおりだというふうに考えていたわけです。この点は一体長官はどういうふうに御説明になるか。自動車のユーザーに対しては窒素酸化物に原因があると言いながら、公害病患者に対しては窒素酸化物は有害であるというふうには認定できない、こういう立場であろうかと思います。この点についてはっきり御答弁をいただかないと、これは国民はとうてい納得のできないことであるのではないかと思いますが、いかがでしょう。
  168. 山本宜正

    ○山本(宜)政府委員 細かい事情にございますので、私から答弁させていただきたいと思います。  現在、大気汚染を問題にしておりますのは、御承知のように、固定発生源、いわゆるばい煙と称するもの、それから自動車の排ガスというものでありますが、従来、四日市等汚染の著しいところで明らかな被害があったわけでございます。その当時といたしましても、ばい煙を中心とした汚染の中には、御承知のように、硫黄酸化物、窒素酸化物、それから浮遊粉じんというのが入っているわけでございますが、その汚染の態様の中で硫黄酸化物を一つの指標として、いま含まれているそれぞれのものの代表値といたしまして考えておったというわけでございまして、窒素酸化物を考えの中にカウントしてなかったわけではございません。  また、窒素酸化物を自動車から引き当てるというところにつきましては、自動車の汚染の負荷も全体の負荷の中で二〇%ある、こういう考え方でしておるわけでございまして、そういう意味では従来におきましても、今日におきましても、硫黄酸化物を一つの指標として指定要件にしておるわけでございますけれども、その中には当然のことながら窒素酸化物も含まれた大気汚染ということを考えて指定をしている、こういう形でございます。
  169. 松本善明

    松本(善)分科員 長官、いまの話では私は一般の庶民はわからないと思うのですよ。地域指定の要件に硫黄酸化物をしているのは、窒素酸化物も含めてその代表的な指標にしているのだと言うけれども、窒素酸化物が有害だということは前提にして、その指標を硫黄酸化物でとっている、簡単に言えばこういうお話なんですね。しかし、この場合であっても窒素酸化物が有害だということが前提になっております。いま硫黄酸化物はどんどん低くなっているということを政府でも言っているし、現に窒素酸化物によって被害を受けているという訴えがたくさんあるわけですよ。このことをあなたは有権者に、あなたの選挙区にも公害病の方がたくさんいると思うし、それからユーザーで重量税を払っている方もいると思いますが、この矛盾をどういうふうに御説明になりますか。大臣に伺いたいと思います。これは政治家として聞かなければならぬ。
  170. 山田久就

    山田国務大臣 この点は私は、政治家というより、きわめて科学的な実証によるべきものだと思っております。したがって、全部窒素酸化物も含めたもので、その中で一番代表的なしかも病気というものに結びついているというふうに思われたSOxの指標によってこれをやったのだ。そこで現在、その後の調査で、たとえば窒素酸化物というものがそれほど結びつくような役割りを負っているということが今度の答申その他でわかったということでそれを考えるというなら、それはわかります。私は、それまではそういうものに結びつく根拠というものはないということになる、これはきわめて科学的な客観的な判断、先ほど事務当局から言いましたけれども、そうだと思いますが、いかがでございまょう。
  171. 松本善明

    松本(善)分科員 そうしたら長官、もし窒素酸化物は科学的に有害だというのが出てないと言うならば、ユーザーから金を取るというのはおかしいんじゃないか。私たちは、自動車に原因があるから、ユーザーではなくて自動車メーカーから取れという主張ですけれども、あなたの言うので言えば、ユーザーからなぜ金を取るんだ、自動車重量税をなぜ取るんだという説明がつかないですよ。あなたは、なぜユーザーから取りますか。これは大臣から伺いたいと思います。なぜ自動車重量税を取りますか。
  172. 山田久就

    山田国務大臣 さっきから繰り返し言っているように、複合汚染ということで、その責任という問題で課しているわけです。SOxという問題だけでやっているわけじゃありません。
  173. 松本善明

    松本(善)分科員 長官、それではとても納得しないと思いますよ。ユーザーの方では、複合汚染だといったって、窒素酸化物を出しているから金を取られる。片一方は、複合汚染だと称して、窒素酸化物でぜんそくになっているというような人について全然補償しないということになるわけですね。あなたはそれで構わないと思いますか。ユーザーとそれから公害の七環ぜんそくの人と二人並べて、あなたの説明で通ると思いますか。
  174. 山本宜正

    ○山本(宜)政府委員 大気汚染というのは、先ほども申し上げましたように、硫黄酸化物、窒素酸化物、浮遊粉じん等々、複合したかっこうであるわけであります。したがいまして、従来は指定地域といたしまして、その複合の状況をあらわす一つの代表として硫黄酸化物に着目して地域を指定している。しかしながら、この複合汚染の中で、窒素酸化物の汚染の中については自動車からの排ガスの汚染というものがそのシェアからいって見逃すことのできないものであるということに着目いたしまして、自動車重量税から引き当てる、こういう方式をとっているわけでございます。その間につきましては私ども矛盾はないというぐあいに考えているわけでございます。
  175. 松本善明

    松本(善)分科員 これは私はとても環境庁の説明は納得できませんし、今国会では問題になりますが、残念ながら私ちょっと国会運営上の都合で質問を早くやめなければなりませんので、公害委員会その他で今国会では徹底的に論議するということを申し上げて、終わりたいと思います。
  176. 塩崎潤

    ○塩崎主査 以上で松本君の質疑は終了いたしました。  次に、鳥居一雄君。
  177. 鳥居一雄

    鳥居分科員 公害対策基本法第十九条に基づきまして公害防止計画指定地域、これは第一次から第七次まで延べ五十地域で実施されています。私は、これらの地域のうち、昭和五十三年度が計画期限の千葉臨海地域の計画のおくれにかんがみまして、同計画の見直しと期間の延長が絶対に必要であるという考え方に立ちまして、さまざまな課題を取り上げ、伺ってまいりたいと思います。  五十二年度に第二次及び第三次の十一地域の中間見直し作業を進めていますけれども、この中で大分地域、鹿島地域は、計画期間が終わったので、五十二年六月に計画の見直しをし、五十二年度から五十六年度までの新計画が決定しています。その理由は何でしょうか。
  178. 信澤清

    信澤政府委員 ただいまのお話のとおり、計画期間が切れた地域でございますが、両地域におきまする現状並びに将来人口あるいは産業の伸び等を見込みましたときに、先ほどお挙げになりました公害対策基本法で言う公害の発生についての総合的な防止策をなお講じなければならない、こう考えまして、お話しのような措置を講じたわけでございます。
  179. 鳥居一雄

    鳥居分科員 第四次地域の富士、播磨南部、大牟田、この三地域は五十二年度に調査解析が行われています。これらの地域を含む五十二年度で計画の終わる第、次から第四次までの地域は、五十三年度に計画の策定作業を行うことになっていますけれども、計画の策定作業に当たって、全面的に見直しをして新しい計画を策定するのか、達成率が低いために期間の延長をするのか、または個々の地域別に計画の策定あるいは打ち切りをするのか、これを伺いたいと思うのです。
  180. 信澤清

    信澤政府委員 ただいま三番目に仰せになりました、そういう考え方で対応したいと考えております。
  181. 鳥居一雄

    鳥居分科員 五十三年度には苫小牧地域ほか八地域調査解析を行うとありますけれども、この八地域とは、第五次地域の十地域のうちどれを指すのか、またその結果によっては新規計画策定の用意、これが必要だろうと思うのですが、それがあるのか、どうでしょうか。
  182. 信澤清

    信澤政府委員 五十三年度の予算の執行にかかる問題でございますので、ただいまどの地区ということは決めておりません。ただ、いままで先生お話しのような公害防止計画の見直しの問題とこの解析の問題とは別の問題と申しますか、関連がないとは申しませんが、別に考えるべき問題だというふうに従来から承知いたしております。
  183. 鳥居一雄

    鳥居分科員 先ほどの五十二年六月に決定した鹿島、大分両地域の五十六年度を目途とした新しい公防計画、その基本方針の中で、策定理由を見ますと、「工場等の新規立地により汚染物質の負担量の増加が予想される」と、いずれもこのようになっていますが、公害対策基本法第十九条第一項二号、その中には「人口及び産業の急速な集中等により」とあります。今後の計画策定に際しても十九条にうたわれている人口集中地域、これも産業の集中地域と同様に計画策定の対象地域考えてよろしいでしょうか。
  184. 信澤清

    信澤政府委員 公害防止と申しましても、いわゆる産業公害だけが問題じゃございません。つまり、お話のような人口がふえるということに伴ってたとえば排せつ物等がふえる、あるいはごみがふえる、こういう問題があるわけで、そういうものの総合的観点から公害防止計画というものをつくっておるわけでございますから、したがってお話のようなことは当然公害防止計画の見直し等の際に問題になり得るというふうに考えております。
  185. 鳥居一雄

    鳥居分科員 そこで、千葉県臨海地域における公害防止の実績を見てみますと、第三条でいう事業者の講じた公害防止計画の進捗率、これは五十一年度末には六二・七%に達しております。しかるに、第四条、第五条でいう国及び地方自治体が講じた公害防止計画の実績、これは五十二年度末見込みを入れてもわずかに二六・七%という達成率になっております。これは一体どういう理由によるのか、大変理解に苦しむところであります。企業は一生懸命努力して三年間で目標の六二・七%を達成しているという現状、これに対しまして行政府の方の事業としては四年かかっても目標の二六・七%しかいっていない。いかに怠慢であるかということを明瞭に物語るものじゃないかと思うのです。環境庁はこの公害防止計画の進捗率を年二回、二月と七月に報告をとっておりますけれども、このおくれに対し、関係各省に何ら働きかけをしなかったのか、ただ報告だけをとってきたのか、疑問であります。企業が努力していて目標を達成している、国はわずか二七%、これじゃもう全く話にならないと思うのです。私はこんないいかげんなことでは断じてならないと思うのです。  そこで、具体的に問題点の指摘をして、同地域の新規計画の策定の必要性、これを取り上げたいと思うのです。  まず大気汚染ですけれども、窒素酸化物の場合、主な発生源は工場等の固定発生源と自動車等の移動発生源があるのですが、この地域の傾向を見ると、移動発生源による汚染が大変深刻になっております。これは計画当初に予想されなかった新しい問題として注目されるべきであります。計画地域内の二酸化窒素環境基準の中間目標値、五十三年度のものでありますが、その適合状況を見ても五十一年度の平均で四三・五%。そして地域別に見てみますと、人口集中の激しい東葛地区あるいは葛南地区は何と適合率ゼロです。千葉地区はだんだん悪化して、五十一年には二七・八%。これでは五十三年度末に一〇〇%なんという目標はとても実現できない状況にあると思うのです。これらの地域はますます悪化してもよくなるとはとても思えませんが、この問題にどういうふうに取り組んでいかれますか。
  186. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生指摘のございました窒素酸化物の達成状況大気汚染では最も悪いわけでございます。これは非常に厳しい基準で大きな安全率を見込んだもので、企業としてはすごい努力をしたのですが、まだここまでこないという実態でございます。いまの東葛の問題を挙げてまいりますと、東葛の場合には、確かに人口が集中しておって、そして大きな工場がない、また一方、道路が非常にふえてきておるということと、もう一点、御指摘がございませんでしたが、これはもらい公害の様相がありまして、東京都から入ってくる、これだけの問題がございます。そういうことで、対応といたしまして、まず五十三年規制は、御承知のごとく、これは実行に入りました。それからトラック、バスの規制が二段階の目標を立てまして五十四年規制が入りますが、これはまだわずかでございます。そういうことで五十年代末までには非常に厳しい規制が入ってまいりますが、これだけではどうにもならないという問題があろうかと思います。一方交通量の分散というような問題もございますし、そういう点で総合的な対策としてよくしていくということをしなければいけないということで、中央公害対策審議会の十二月末の長期目標答申のときに、排出規制としては五十年代末が大体限界に来るような感じでございますので、あと総合対策をよくやるということで、警察庁でも交通量を削減するとかあるいは道路の流し方をもっと考えるとか、そういうことで対応をしていく所存でございます。
  187. 鳥居一雄

    鳥居分科員 人口急増による家庭系のごみの排出量の増加と公防計画にあるごみ処理施設のおくれ、これが大変深刻になっております。四十九年の計画時のごみ焼却施設は十三カ所あり、このうち五十三年度までに完成予定の施設、これが十カ所だったものが計画のおくれによりまして、五十三年度の計画期間内に完成できるものはわずかに五カ所という状況になっております。つまり、あとの八カ所の施設はすべて五十四年度、五十五年度にならないと完成できないというのが現状であります。たとえば船橋市は当初、五十二年度と五十三年度の二年計画で八十億円のごみ処理施設の建設を予定していましたけれども、計画がおくれたために着工は五十三年度になり、完成は五十五年度にずれ込んでいます。このため、万一公防計画が五十二年度で期限切れになった場合に特別負担を受けられない、そのために市の財政負担は八億にも上る、こういう状況にあります。  以上のような現象は各自治体に見られるわけでありまして、人口が急増している自治体の抱えているごみ処理施設の建設問題、これは公防計画が切れることに伴って大変大幅なおくれが予測されるわけです。船橋、習志野あるいは松戸の各市では、その施設は現在でも処理能力が限界に近い状態でありますし、埋め立て処分地が全く確保できない、こういうことを考えたときに、早急に対策を立てなければならないと思うのです。対策をどう考えていらっしゃいますか。
  188. 信澤清

    信澤政府委員 ただいまお挙げになりましたように、ごみ処理施設につきましても、計画で考えておる処理量になかなか達していないという実情は私どもも存じております。先ほどから御指摘のように、一般的に公共投資と申しますか、公共的な分野がおくれているということは、これまたそのとおりでございまして、やはり公害防止計画をつくる以上、企業の努力はもちろんでございますが、それと相まって国、地方公共団体の施策も並行的に進んでいく、そして総合的にその地域における環境保全が図られる、これが公害防止計画をつくる趣旨でございますから、いわば片ちんばのかっこうで進んでいるということは御指摘のとおりでございます。したがいまして、私どもといたしましていまこうするということを申し上げる時期ではないと思いますが、やはり公共投資のおくれを取り戻すためには、それ相応のことをやらなければならないことは十分承知しておりますので、たとえば公害防止計画をさらに見直して延長するとかということで、そのことが解決できるのかどうか、その点は関係省庁ともよく御相談をいたして決めていきたい。しかし、いずれにせよ、先生のおっしゃるような方向で物事を進めるべきだというのが私ども考え方でございます。
  189. 鳥居一雄

    鳥居分科員 屎尿と公共下水道の問題です。  首都圏の中でも二十キロ圏から四十キロ圏にある、いわゆるドーナツ圏でありますが、これはきわめて激しい人口集中という傾向が続いております。この地域の屎尿処理施設の建設のおくれと下水道整備計画のおくれ、これが相互に作用いたしまして生活環境を悪化させている、この問題は重大な問題であります。この二つの事業の直接の所管は厚生省と建設省ということでありますが、公害防止という立場で主管庁である環境庁にも大変大きな責任があるだろうと思うのです。たとえば、昨年、埼玉県の大宮市で、どうにも処理がし切れなくなって、三年間にわたって、およそ百トンという莫大な量の屎尿が夜陰に乗じて投棄されてまいりました。こうした事態に追い込んでいる責任というのはまことに大きいと私は思うのです。  千葉臨海地域は、幾ら人口抑制策を講じてみても、いま人口がどんどんふえている地域であります。一方、下水道整備は一向に進まない現状です。むしろ全国の普及率とこれらの地域の普及率の格差は年々拡大する一方です。下水道の供用が開始されないために、これらの地域の屎尿は収集して処理しなければならない状況にあります。その量は人口増の一・四倍でふえていくという計算がなされております。しかし、屎尿処理施設の建設が進まない一方で既存の施設の処理能力が半減していく、その結果、大宮のようなたれ流しをするしか方法のないようなところに追い込まれているだろうと思うのです。大宮市のような事例を出さないために、厚生省、環境庁では今後どういうふうに対策を立てていきますか。
  190. 森下忠幸

    ○森下説明員 お答えいたします。  大宮市の例をお引きになったわけでございますが、できるだけ早くからきちんとした計画を立てまして、整備をやるようにということで指導しております。私どもの屎尿処理の整備計画と申しますのは、一定期間の人口を定めまして、そのうち下水道がどのくらいをカバーするか、屎尿浄化槽がどのくらいをカバーするかということを決めまして、屎尿浄化槽からも汚泥が出てまいりますが、そういった汚泥と残ったくみ取り屎尿の分を投入して処理するということでございます。  そして一番おくれの原因になりますのは、地元の御協力が得られないというふうなこともあります。その原因を探ってみますと、やはり公害を出さないきちんとした施設が過去につくられなかった例もございますし、適切な管理がされなかったということもありますものですから、十分な時間をかけて、公害を出さないいい施設をつくると同時に、適切な管理をして住民に迷惑をかけないというふうなことで指導してまいりたいと思っております。  なお、こういった施設の整備につきましては五カ年の計画をもってやっておるところでございますが、これは過去三次にわたる計画をやっております。第三次の計画の概況を申し上げますと、これは五十年度に終わったわけでございますが、当初の計画一〇〇%に対しまして、実績が一五八%ということになっております。これは下水道のおくれをカバーしたということもございますし、先生のおっしゃいました老朽化した施設を建て直すということもございますが、そういったことを含めまして、いままでの進捗は、全国的に見ますとかなりいいと思っております。そういう面で今後対処してまいりたいと考えております。
  191. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ただいま先生から、大宮市の例等も引かれまして、人口急増地域における屎尿処理施設あるいは下水道整備の問題等々につきましてお話がございましたけれども環境庁といたしましては、二度とこういう大宮市のようなことが起こらないように、その面は厚生省なり建設省とも十分連携をとってやっていきたいと思います。  屎尿処理施設につきましては、ただいま厚生省の担当課長の方から御答弁があったとおりでございますが、下水道の方につきましても、千葉市は五十二年三月末で四六・二%の普及率ということで、ここはややいいのですが、市原市が一五・九、それから木更津がまだ全然あれでございますし、君津の方もさようでございます。そういう状況で、千葉県臨海といいますか、人口急増地帯に焦点を当てて下水道の整備等を見ますと、まだまだ不十分という実態でございますので、これは所管省の建設省の方にも強く要請をいたしまして、ただいまの屎尿処理施設の整備とあわせまして下水道の方も整備するように、環境庁としても十分配慮をしたい、かように考えております。
  192. 鳥居一雄

    鳥居分科員 大宮の事件が起きた背景には一つの大きな問題があると私は思うのです。厚生省の屎尿処理施設の廃棄物処理施設整備計画策定要領を見てみますと、計画収集区域人口というのがあります。屎尿処理施設は、着工後九年後の人口を想定して建設するわけでありますが、下水道整備計画がある地域の人口は、屎尿計画収集区域人口から除くことに現在なっておるわけです。これは一見、二重投資の防止という意味があり、補助金の適正化に関する法律にも該当するように思えるのですが、またそうとばかりは言えない重大な面があります。それは、千葉臨海地域の公防計画に見られるように、下水道整備目標に対する達成率は、四年経過した今日、終末処理場の進捗状況が実に一五%にも満たない、あとの八五%の区域内の人口に対する屎尿処理は全く放置されている状況と言えるわけです。これはどうするお考えでしょうか。
  193. 森下忠幸

    ○森下説明員 一般的に、先生がいまお出しになりました資料の説明があろうかと思いますけれども、九年先ということでございますが、その間に一番屎尿処理の需要が多い時期はいつかということを計算いたします。もちろん下水道の計画は先へと延びるわけですが、それと浄化槽によって処理される部分というものを勘案しまして、その九年間に一番屎尿処理の需要が大きくなる時期をつかまえて、それに見合う施設をつくるということでございます。計画はそうでございますが、たとえば下水道の計画がおくれるということで足りない、それでも市が施設をおつくりになるという場合には、実は屎尿処理施設といいますのは下水道の終末処理場と似たような構造でございまして、ただ物の流れが逆になっているということでございますから、将来はその一部は下水道の終末処理場で使える部分もあるものですから、そういうところを合理的に考えながら、おくれた部分についてつくるというふうなことで、そういう計画については私どもも御援助を申し上げるということでやっておりますし、五十三年度、これはこれから財政御当局とも御相談するわけでございますけれども、そういう細かな、たとえば老朽化した施設についてはどのくらい将来耐用の下がりぐあいを見込むかということについても、きめ細かく計画を立てるようにしてまいりたいと考えております。
  194. 鳥居一雄

    鳥居分科員 人口がぐんぐんふえます。人口のふえるのに比例して、一・四倍で屎尿処理をしなければならない。こういう状況の中で、大変施設が古いものばかりです。十年で当初の処理能力の大体七割しか処理ができなくなってしまう。公共下水道はおくれて供用できない。しかし、計画中であるために、その地域の屎尿処理施設は建設の対象にはならない。したがって、人口急増地では処理能力を超える屎尿が排出される。関係者の間でも幽霊処理などというような処理が強いられるような形で現にあるわけですね。  一方、河川の汚濁状況でありますけれども、特に都市河川につきましては、一向によくなる気配がありません。これは特に人口急増、これに伴いまして、雑排水やあるいは屎尿浄化槽、これからの排水原因と言われております。五十年度と五十一年度の河川のBODの測定地点変動を見ますと、測定点九十三カ所のうち、国の環境基準を満足したのが二十四カ所、逆に悪化したのが三十二カ所、三四・四%に当たる数字で、大変ひどい状況です。真間川、海老川、坂川、都川、こういう都市部の河川は特に深刻な状況の中にあります。この原因は、人口急増による家庭の雑排水等の急増によることは明白です。  生活環境は年々よくなって私は当然だと思うのです。公害対策基本法の目的あるいは環境庁の使命からいっても、決して後退は許されないと思います。しかし、現実においてはいままで指摘したとおりでありますし、公防計画の見直しは当然として、これまでの三倍、四倍という対策を講じていかなければ、そうした目的の達成はできないと私は思うのです。これに対して、厚生省、大蔵当局、環境庁長官に、今後どうするのか、伺いたいと思うのです。
  195. 窪田弘

    ○窪田説明員 大蔵省に対するお尋ねは、予算措置の問題であろうかと思います。ただいま御審議をいただいております五十三年度予算では、下水は五三・一%、屎尿処理施設は五一%と非常に大幅な拡充を図っているわけでございます。  いま御指摘の点は、これらの事業の地域的な配分の問題でもございますが、御承知のように、下水の普及率はまだ二四%というように非常に低いわけでございまして、やるべきところは非常に多いわけでございます。これをどう配分するか、建設省、厚生省の実施計画の相談がいずれあろうかと思います。その節は、ただいま御指摘の点を十分念頭に置いて検討してまいりたいと考えております。
  196. 森下忠幸

    ○森下説明員 お答えします。  屎尿処理の件でございますが、下水道の計画地域にはつくらせないということではございませんで、そういう計画のおくれということが明らかでありますれば、それに対応した施設の拡充というのを私ども御支援するということは申し上げたとおりでございます。  それから、雑排水のことに関連してでありますが、ただいま全国に大変数多くの屎尿浄化槽があるわけです。一般にそういった小さな浄化槽では雑排水の処理ができない構造になっておりますが、中規模以上といいましょうか、五百一人以上の人間を処理できるような大型の浄化槽は、私どもの方では地域屎尿処理施設という形で国庫補助の対象にしてございます。これは、新しく家を建ててそこに浄化槽をつくるということばかりでなく、古い家の便所、こういったものを水洗化して、こういう地域屎尿処理施設に切りかえるという場合にも国庫補助ができる制度がございますものですから、こういったものを活用いたしまして、地域的な水質保全対策には御援助してまいりたい、このように考えております。
  197. 山田久就

    山田国務大臣 環境庁といたしまして、公害対策基本法の趣旨にのっとりまして、できるだけ関係方面、各省とも連絡をとって、ひとつ実現に努力してまいりたいと思っております。
  198. 鳥居一雄

    鳥居分科員 以上で終わります。ありがとうございました。
  199. 塩崎潤

    ○塩崎主査 以上で鳥居君の質疑は終了いたしました。  次に、井上普方君。
  200. 井上普方

    井上(普)分科員 きょうのある新聞によりますと、環境影響評価法案が今国会に提出されるということが載っておりますが、確かに出すのですか、どうでございます。
  201. 山田久就

    山田国務大臣 その目標をもって目下せいぜい努力中でございます。
  202. 井上普方

    井上(普)分科員 そのつもりで目下努力中というのは、私は何年聞いてきたことだろう、こう思うのです。これは大臣に言ってもわからないかもしれないが、この法案を出すと言って、もう何年たちます。
  203. 信澤清

    信澤政府委員 たしか二年前でございますから、ことしで三回目になるかと思います。
  204. 井上普方

    井上(普)分科員 なぜできぬのですか。出すということを決定したのは、石原長官のもう一つ前じゃなかったですか。三木長官のときじゃなかったですか。三木環境庁長官が総理大臣になっても、あの人は言うこととすることとは違った人だから無理もないのだけれども、つくると言って、出しますと言って約束しながら、もう何年になりますか。
  205. 信澤清

    信澤政府委員 五十一年に開かれておりました通常国会でそのようなお話が出たというふうに記憶いたしております。
  206. 井上普方

    井上(普)分科員 それで大臣、これはぜひともやってもらわなければ困る。いまだに成案をまってやる予定でありますなどというのでは困るじゃありませんか。どうでございます。
  207. 山田久就

    山田国務大臣 事前に環境評価を行うということ、そのための一つのルール、システムがつくられている、これが一番効果的だ、目的を達成する上に必要だ、こういうことで、この実現を努力しているわけです。ただ、過去においてもそうでありましたけれども、非常に関係筋が広いのです。しかしながら、ずいぶんこの点について、今度は基本的な認識は相当進んできて、一言で言えば、過去においては、いろいろな表現は用いられておったけれども、実際は土俵に乗っていなかった。いまや土俵に上がって非常に詰めてやっている段階でございます。
  208. 井上普方

    井上(普)分科員 各方面からいろいろ問題がある、おっしゃるとおりでしょう。一番問題になったのは、産業界だと思う。これがやかましく言ってきて、そしてまた石原環境庁長官は、産業との調和などということを言い出しまして、これまたおくれてきたということは私も存じております。  そこで、今度山田長官のもとでつくろうとする法案では、通産省が公害防止の諸施策を独自に講じるという意向なら運用を通産省に任せる方向で検討する余地がある、その結果、環境アセスメント法案の対象から電気事業を除いてもよろしいということを発言されたということが新聞に出ておりますが、そのとおりでございますか。
  209. 信澤清

    信澤政府委員 私の発言でございますから、私からお答えさせていただきます。  昨日、ある陳情を受けまして、その際、先般これまた新聞に出た記事でございますが、都市計画については対象から外す、こういう御趣旨のお尋ねがあったわけであります。対象から外すのではありません。ただ都市計画は、先生御承知のように、すでにもう工事縦覧とか、意見書を出すとか、わが方で考えているような一連の手続の一部は向こうに規定があるわけでございます。したがって、こちらが考えているような規定を向こうを改正して織り込むならば、本法の対象事業から外しませんが、手続はいまある都市計画法の手続にいろいろなものをつけ加えてそちらの方で進める、こういう考え方もあるのではないか、こういうことを前に申したのでございますというお話をしたのでございます。そのことに関連して、じゃ、電気はどうなんだということでございますから、電気は、私どもはこの法律でやっていただくことを考えております。またその方向で折衝しております。じゃ、仮に都市計画みたいにお話が来たらどうするのだというお話でございますから、それは、いま通産省から何らそういうお話は伺っておりません、しかし出てきた段階検討いたします。じゃ、そういう話が来る余地があるかというお話がございましたので、いまのところ通産省からはお話はありませんが、これも先生御承知のように、大気汚染の規制等について電気事業法自身がいろいろ決めておりまして、環境庁所管の大気汚染防止法と電気事業法との平仄をとりながら運営している、こういう実情もありますから、あるいはそういう話が来るかもしれぬ、こういうことを申したわけでございます。
  210. 井上普方

    井上(普)分科員 局長、私は都市計画法を審議してつくった一員なんです。そこで、あの法律、原案というのは明治以来の都市計画法、大正でしたかね、都市計画法のままで来た。それをかたかなをひらがなに直した程度でやってこようといたしましたので、私どもは住民参加の道を開かなければならぬという観点から、縦覧制度もするし、あるいはまた公聴会を開ける道も開くし、やってきたのです。そして明くる年になってみますと、都市計画法改正一周年記念なんというので皇太子さんがおいでになったらしい。そこで麗々しく言うのには、今度の都市計画法は住民参加の方法を講じたのが一大特徴であってなんという、初めになかったものをわれわれが入れたことを、それを得々とするような政府の態度であったのであります。  それはそれといたしまして、この考えておる環境影響評価法案では、住民参加はどの程度入っているのです。この都市計画法とどういうようなところが違うのです。ひとつお伺いしたい。考え方です。
  211. 信澤清

    信澤政府委員 まだ法案としては固まっておりませんので多少流動的な面がございますが、従来公表いたしております考え方を申し上げますと、環境影響評価というものを一つの方針、準則に従って事業者が実施する、その案を都道府県知事に御相談をして、そして工事縦覧をする。と同時に、影響が及ぶ範囲の地域において地域住民の方々に説明会等をいたします。そのほか、周知のためのいろいろな措置を講ずる。それからさらに、その結果に基づいて住民の方々の意見を意見書の形で出していただく。これが第一段階の手続でございます。
  212. 井上普方

    井上(普)分科員 それじゃ、都市計画法と余り変わらぬじゃありませんか。どこが違います。
  213. 信澤清

    信澤政府委員 お話のように、都市計画法の十六条、十七条とその限りにおいては余り変らない。したがって、何もそこの部分を外してこっちへ持ってこなくてもいいじゃないかという御意見が出るわけでございます。
  214. 井上普方

    井上(普)分科員 そうすると、昭和四十三年の住民参加の方法と今度の参加の方法とは何ら変わらぬということですな。一歩も前進しておらぬということですね。都市計画法ができたのは昭和四十三年なんです。五十三年に出そうという法律も、その手法において、住民参加の方法、住民の声を聞こうというこの環境アセスメント法も手段、方法としては十年間全然前進してないということですな。
  215. 信澤清

    信澤政府委員 四十三年国会で御修正いただいた経緯から考えますと、いま先生の仰せのようなことも当然言い得ると思います。
  216. 井上普方

    井上(普)分科員 大臣、どうです。こういうことではなかなか住民は納得しませんよ、この法律をつくっても。つくらぬよりはいいですけれども。しかもその上に、持ってまいりまして発電所建設も除外なんというこれを見まして、一体環境庁は何を考えているのかと思って、けさびっくりしたのです。いま承りまして安心はいたしました。通産省からあるいはまたエネルギー庁から言うてこられても、まさかそれは聞きませんでしょうな。どうなんです。これは長官、どうです。
  217. 山田久就

    山田国務大臣 井上委員からわが庁に対しての非常な激励と御関心、まず私はありがとうと謝意を表しておきたいと思います。  ただ、多少誤解があるんじゃないか。これは一般にそうじゃないかと思うのは、つまり環境庁が従来その任務を果たしていくについては環境のアセスの上からの基本的な方針あるいは行うべき場合の基準、あるいはその重要な指標、そういうことについてわれわれの方から申し入れて、それに従っていろいろ相手方において、あるいは公団なり事業主体においてそれをやらしていくということでやらしておったわけでございます。  また住民参加についても、先ほどお話がございましたような方法でそれを公表し、示し、そして意見を言ってもらう。それによってまたさらにわれわれの方としては、それを踏まえての全般的な環境評価についての申し入れというようなものをやるという行き方で実際上今日まできたわけでございます。だから、今度の面についても、その根本の点は実は変わりはないとわれわれは了解いたしている次第でございます。  ただ、いまの都市計画法等で、従来それはそれなりのいろいろ技術的にむずかしい点については、これはわれわれの基本は変えないけれども、さらにそれにわたっての細かい点についての評価という手続を彼らに任しても、それについてわれわれがチェックするポイントを持っていれば、むしろその点は何ら心配がなくなっていく、こう申して差し支えないんじゃないか、こういうふうに考えているわけでございまして、この点はひとつ御理解いただきたいと思う点でございます。
  218. 井上普方

    井上(普)分科員 長官、いまのお話、何をおっしゃったのか、実は私は理解に苦しむのです。この環境アセスメント法は今度出すのですね。その内容はいままでの基本のとおりの考え方でくるんだ、ただし、新聞に出ておるような、電気事業法にあるものは環境アセスメント法案の対象からこれを除外するのかということ、この点をはっきりしていただきたいのです。
  219. 信澤清

    信澤政府委員 私の発言でありまして、大臣の御了解を得たものでございませんから、私から申し上げます。  私は、環境影響評価の対象から電気事業を外す考えは持っておりません。入れるという考えでいま関係方面と折衝させていただいておるわけであります。
  220. 井上普方

    井上(普)分科員 これはぜひともそうしていただかなければいかぬ。実は行政指導でいま環境庁がやっておるアセスメントの一例を申し上げると、私の方に蒲生田原子力発電所というのを計画した。これに対して、反対運動が起こるのは当然な地域であります。私もその先頭に立って反対をしてきた。ところが、漁民に対して、これはこの間も言ったことだが、とにかくものすごい飲み食い、宴会工作をやっている。しかし、大衆は一人一人は愚かに見えるけれども、賢なり。愚にして賢なりという言葉が昔からあるが、やはりそのとおり、漁業組合は大多数をもって、県から言ってきたこのアセスメント実施を断ったという事実がございました。そのときにはものすごい宴会工作をやったのです。その際に、漁業組合が環境アセスメントすることを拒否いたしますと、四国電力の責任者はついに自殺いたしました。鉄道自殺をした。これの原因は、ともかく自殺であるけれども、私らが推測するところでは、恐らく、これだけの金を使っておきながら漁業組合の態度を変えることができなかったという責任をとったのではなかろうかと思われるのであります。これが一つ。  あるいは、その近くに橘の第二火力発電所というのがありますが、この火力発電所をつくる際に、四国電力は高知県におきましてある村の村長、町会議長の領収証を勝手につくり公文書偽造をやって金をつくって、そして阿南市の公害対策委員に金を渡した。ついに汚職事件となって、これはいま係争中であります。  公益事業とはいいながら、しかも電気事業法という法によって守られておるいまの電力会社というものは、営利一点張りであります。私はそう言っても過言ではないと思う。こういうようなところに環境アセスメント法案の適用を除外するというのは絶対やってはいかぬ、私はこう思うのです。通産省、私が言ったことは間違いないでしょう、どうです。
  221. 服部典徳

    ○服部政府委員 蒲生由の原子力問題につきましては、一昨日、当分科会井上先生から御質問がございまして、私どもも四国電力の担当者を呼びまして事情調査をしているところでございます。(井上(普)分科員「自殺者はあったかね」と呼ぶ)自殺者につきましては、去年の四月に四国電力の用地部次長が自殺したという事実については承知いたしておりますが、その原因については、私どもとしては承知いたしておりません。
  222. 井上普方

    井上(普)分科員 橘発電所における汚職事件は御存じですね。
  223. 服部典徳

    ○服部政府委員 阿南火力と私ども呼んでおりますが、阿南火力につきましては、先生指摘のように、本川の揚水発電所に絡みまして、そこで公文書偽造がございまして、百万円の資金を捻出して、その資金を阿南火力の、警察の捜査によりますと、公害対策に使ったという事実は承知いたしております。
  224. 井上普方

    井上(普)分科員 かくのとおりです。公益事業であるといいながら、電力会社は利益を追求する企業体になり下がっている。この点を十分お考えの上で、長官、新聞に伝えられるようなことのないようにひとつやっていただきたいことを強く要求いたす次第でありますが、いかがでございますか。
  225. 山田久就

    山田国務大臣 先生のいまのお話、その趣旨をよく了承いたしました。
  226. 井上普方

    井上(普)分科員 それでは、これで終わります。
  227. 塩崎潤

    ○塩崎主査 以上で井上君の質疑は終了いたしました。  これにて総理府所管中、環境庁に関する事項についての質疑は終了いたしました。  以上をもちまして本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の熱心な御審議と格別の御協力によりまして、本日ここに本分科会の議事がすべて終了することに相なりましたことを深く感謝申し上げます。ありがとうございました。  本日は、これにて散会いたします。     午後二時三十六分散会