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1978-03-01 第84回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月一日(水曜日)     午前十時一分開議  出席分科員    主 査 塩崎  潤君      小此木彦三郎君    谷川 寛三君       中野 四郎君    井上 普方君       高沢 寅男君    山花 貞夫君       山本 政弘君    新井 彬之君       谷口 是巨君    林  孝矩君       工藤  晃君    小林 正巳君    兼務 中村 重光君 兼務 村山 喜一君    兼務 山口 鶴男君 兼務 柴田 睦夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      熊谷太三郎君  出席政府委員         人事院事務総局         職員局長    金井 八郎君         宮内庁次長   富田 朝彦君         科学技術庁長官         官房長     半澤 治雄君         科学技術庁長官         官房会計課長  劔持 浩裕君         科学技術庁計画         局長      大澤 弘之君         科学技術庁研究         調整局長    園山 重道君         科学技術庁原子         力局長     山野 正登君         科学技術庁原子         力安全局長   牧村 信之君         大蔵政務次官  稲村 利幸君         大蔵省主計局次         長       禿河 徹映君         水産庁次長   恩田 幸雄君         工業技術院長  窪田 雅男君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       武田  康君         資源エネルギー         庁公益事業部長 服部 典徳君  分科員外出席者         衆議院事務総長 大久保 孟君         衆議院庶務部長 福水 達郎君         参議院事務総長 植木 正張君         参議院事務次長 前川  清君         裁判官弾劾裁判         所事務局長   西村 健一君         裁判官訴追委員         会事務局長   山崎 宏八君         国立国会図書館         長       岸田  實君         大蔵省主計局主         計官      塚越 則男君         大蔵省主計局主         計官      的場 順三君         会計検査院事務         総長      鎌田 英夫君         会計検査院事務         総局第一局長  前田 泰男君         最高裁判所事務         総長      牧  圭次君         最高裁判所事務         総局経理局長  草場 良八君     ————————————— 分科員の異動 三月一日  辞任         補欠選任   井上 普方君     高沢 寅男君   林  孝矩君     谷口 是巨君   小林 正巳君     工藤  晃君 同日  辞任         補欠選任   高沢 寅男君     山花 貞夫君   谷口 是巨君     新井 彬之君   工藤  晃君     小林 正巳君 同日  辞任         補欠選任   山花 貞夫君     山本 政弘君   新井 彬之君     林  孝矩君 同日  辞任         補欠選任   山本 政弘君     井上 普方君 同日  第二分科員中村重光君、第三分科員山口鶴男君、  柴田睦夫君及び第五分科員村山喜一君が本分科  兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十三年度一般会計予算  昭和五十三年度特別会計予算  昭和五十三年度政府関係機関予算皇室費、国  会、裁判所会計検査院及び総理府所管科学  技術庁)〕      ————◇—————
  2. 谷川寛三

    谷川主査代理 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  主査所用のため、その指名により私が主査の職務を行います。  昭和五十三年度一般会計予算昭和五十三年度特別会計予算及び昭和五十三年度政府関係機関予算中、総理府所管について審査を進めます。  科学技術庁に関する事項について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上普方君。
  3. 井上普方

    井上(普)分科員 科学技術庁予算を拝見いたしまして、私ははなはだ物足りないものを感ずるのであります。と申しますのは、いま未開発国と申しますか後進国におきましては、このアジアにおきましてもどんどんと追い上げが行われておることは御存じのとおり。しかも中国は、御存じのように、文化革命後四人組の追放を行い、技術革新あるいは科学技術振興というのを大きな国是といたしております。しかも、中国には八億の人民があり、かつまた非常に優秀な民族である。そして政治体制としては社会主義という非常に効率的な政治体制をとっておる以上、わが国科学技術水準に到達するのはもう目前であろうと私どもには感じられるのであります。その中において、日本中国あるいはアジア諸国とともに善隣友好を重ねると同時に、いかに共存していくかというのは、大きな国家目標でなければならないと思います。それには、どういたしましても科学技術について、日本科学技術の将来はいかにあるべきかというビジョンがなければならないと思うのであります。  この点について、予算案の説明には何ら書かれておりません。日本の今後の科学技術としてはいかなる方向に進むのが、世界平和のために、あるいはまた中国との共存共栄のために必要であるか、この点についてお考えがあればひとつお示し願いたいと思います。
  4. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 いろいろお話がございましたが、御趣旨はごもっともであると考えるわけであります。いま余り具体的なお答えは十分いたしかねると思いますが、科学技術振興、これはある意味では国政にとりまして最も重要な問題であると存じまして、われわれといたしましては、その振興のために十分の努力をいたす考えでございます。  なお、具体的な点がございましたら、またお答えいたします。
  5. 大澤弘之

    大澤政府委員 補足さしていただきます。  先生のおっしゃいますのは、これからの科学技術政策方向というようなことかと存じますが、これにつきましては、科学技術庁と申しますよりは、科学技術会議といいまして内閣総理大臣を議長にいたしまして構成をいたしております諮問機関でございますけれども、その庶務科学技術庁がやっておるわけでございます。この科学技術会議が昨年五月に、長期的展望に立ったこれからのわが国科学技術政策についてと、こういう諮問に対する答申を出しております。  この中で、紀元二〇〇〇年を踏まえましてこれからの日本科学技術をどういう方向にもっていったらいいのかということにつきまして答申が出ております。これに従いまして私ども個々政策を遂行しておるということでございますが、大ざっぱに申しまして、この答申の中に示されております方向は、第一に、これから資源エネルギーのいろいろな困難な問題かございますが、これを克服していくための科学技術ということを挙げております。それから国民生活の安定を図っていくということを第二の目標にいたしております。それから第三番目に、先生いまお話がございましたような国際競争力というようなこと、あるいは国際協調ということを大事にした科学技術方向といったようなことを指摘をいたしておるわけでございます。
  6. 井上普方

    井上(普)分科員 ただいまお話しになりました科学技術会議なるものは、単なる総理大臣私的諮問機関にしかすぎません。日本学術会議なるものは正式に国として認めておる会議でございまずけれども、この科学技術会議というのは単なる内閣の、日本学術会議に対抗するための諮問機関にすぎないと私は思うのであります。  そこで、まあそれでもよろしい。いま、答申があって、資源エネルギーあるいは国民生活の安定あるいは国際協調、こういうことをおっしゃいましたが、私か先ほど申しましたのは、鉄鋼にいたしましてももうすでに韓国においては生産があるし、あるいはまた中国においても、今後日本協力によって非常な製鉄が行われる、あるいはまた宇宙科学にいたしましても、日本よりも中国の方がはるかに進んでおるでございましょう。あるいはまた、原子力科学にいたしましても、中国においてはすでに原子力実験が行われ、水爆の実験も行われるというように、日本よりもかなり進んだ水準にあるのじゃなかろうかと私どもには考えられるのであります。  そこで、日本独自として、中国からも世界からも畏敬せられるような科学技術方向というものを私どもは見出さなければならない。国際競争力というのじゃなくて、あるいは国際協調というのじゃなくて、日本民族としてともかく国際的に畏敬せられる科学技術というものを生んでいかなければならない。しかしながら、この予算を拝見いたしまして、あるいは先日科学技術白書を拝見いたしましたが、日本研究開発費というのはアメリカの大体三割ぐらいでございましょう、イタリアとそこそこであったのが、いままでの日本科学技術研究調査費であります。ところが、その大半は民間が受け持っておった。その民間が受け持っておった科学技術開発費というものが、昭和四十九年以来の不況によりましてどんどん減ってきている。その中において、国として持たなければならない科学技術予算というのがわずか二〇%ぐらいのふえ方では、これは話にならないと思うのであります。科学技術の一年のおくれというものが将来に及ぼす影響は非常に大きいものがある。もうすでに四十九年、五十年、五十一年、五十二年と四カ年にわたって連続して民間科学技術研究費というのが三分の一に減少しておる現状であります。これはおたくの技術白書に書いてある。この状況の中にあって果たして日本民族としては世界各国から畏敬せられるような科学技術、これをつくれる自信ございますか。いかがでございます。
  7. 大澤弘之

    大澤政府委員 お答えいたします。  先生いま御指摘のように、諸外国に比べまして、日本科学技術政府科学技術投資といいますのは三割でございます。諸外国は大ざっぱに申しまして大体五割くらい出しておるということから見ますと、政府予算の中での比率ということにつきましては、数字の上では日本の方が小そうございます。しかし、諸外国の中には国防研究費といったようなものも入っておりまして、たとえばアメリカなどはかなりの金額がそれに入っております。それを除きますと三割五分程度、もちろん日本より少しいいのでございますけれども、大きなお金を投じておりますアメリカでもそういうような状況でございます。私ども大いに努力をしていかなければならぬわけでございますが、政府投資ばかりじゃございませんで、科学技術を支えますのは、いま先生お話ございましたように、民間研究ということ、特に日本の場合にはこれが非常に日本科学技術を支えてきておるわけでございます。したがいまして、私どもは単に政府投資ばかりではなくて、民間研究投資ということにつきましてもやはり活発にしていっていただきたい。ですから、単なる比率の問題ではございませんで、トータルをふやしていくということに力をいたしてまいりたい、こう思っておるわけでございます。科学技術研究費というのは、おっしゃいますように、多ければそれだけの大きな将来に対する効果があるものと私どもも期待しておりますので、今後とも大いに努力をしてまいりたい、こう考えております。  なお、現在では私ども、いま御指摘がございました科学技術白書でも分析をしておりまして、まだアメリカ水準から見ますと多少落ちてはいるのでございますけれども、ここ十年ばかりの日本の動きといいますか、見ておりますと非常に躍進的に日本科学技術水準は伸びてきておるというふうに判断をいたしておりますので、こういう状況を続けていけばどんどん追いついていけるものというふうに考えておる次第でございます。
  8. 井上普方

    井上(普)分科員 どうもおかしいと私は思うのです。質の面も考えてほしい。この科学技術研究費アメリカあたりでは国防費の中にかなり含まれておるからこれを除いたら大体とんとんだという話はどうもおかしいと思う。というのは、あなたも御承知のように、海底開発探査技術にしましても、あるいは宇宙開発技術にしましても、すべてアメリカ国防費の中から出ているんじゃないですか。このごろ何とかシャトルというのを打ち出すのに金がなくて、日本協力を求めてくるようにはなりましたけれども、いままでの科学技術研究というのは、宇宙開発あるいは海底探査というのは全部国防費の中から出ているんじゃありませんか。そういうような面からいたしますと、もう五年間続いた不況の中で、民間科学技術研究費というのはともかくぐんと落ちてくる。この中において、先ほど来申しますように、日本独自、日本として世界各国に畏敬せられるような科学技術開発を一体どう考えるんだ。特にお隣りの中国との関係考えますときに、もう宇宙開発においては日本よりもはるかに進んでおるでしょう。あるいはまた、海底開発はまだまだかもしれませんけれども、他の分野における資源エネルギーに対する考え方につきましても中国の方が進んでおるように思われてなりません。そういたしますと、日本としては、独自の科学技術開発のために方向を一つ打ち出さなければならない。ただいま言われておりますような国民生活の安定のためにとかいうことでは始まらぬのじゃないか、私はこう思うのです。今度も中国に対しましても製鉄技術日本から輸出せられるということが報ぜられております。もう中国科学技術躍進ということを大きな国家目標の一つにしておる。この中において日本共存共栄をしなければいかぬし、善隣友好をやらなければいかぬ。その中で日本科学技術というものが持っておる使命というものは非常に大きいものがあると私は思うのです。  そこで、科学技術庁としてはもう少しと申しますか、全力を挙げて新しい分野の開拓ということに努力をしなければならぬと私は思うのであります、私は科学技術特別委員をやりましてもう六、七年になりますが、その間、科学技術の新しい費目というものはほとんど見られないのであります。科学技術と言えば原子力発電所だ、続いては宇宙開発だ、続いては何だといいますと海底探査だ、いずれもアメリカの後追いばかりをやっているんじゃありませんか。そしていまから五、六年前には科学技術庁の大きな分野シンクタンクなんということを考えてきたけれども、今度予算書を見てみますと、シンクタンクなんという言葉は全然ない。シンクタンクというのは一体どこに行ってしまったのです。どうなっているのです。あれは意味がなかったのですか。そういうように思いつきのものであってはならないと私は思う。科学技術というものはあくまでも一定の目標を持ち、それに経常的な、民間が行い得ないような質の——量じゃありませんよ、私が言うのは。質の研究開発費というものを投じていくことこそ日本のあるべき姿ではなかろうか、このように思うのです。これは単に役人にばかり任せておいては、大臣、だめなんです。大局的に、国家的な目標において、そしていかにアジアにおいて善隣友好を保ち、かつまた共存共栄ができるかという科学技術開発にわれわれは乗り出さなければならないと思う。大臣、いかがでございますか。
  9. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 先生お話はおっしゃるとおりでありまして、いかに努めましてもこれでいいという段階はないわけでございまして、科学技術庁としましても、ただいまお話にありましたように、エネルギーの問題のほか、また宇宙海洋開発のほか、新しいいろいろな分野でもそれぞれ研究開発を進めているわけであります。たとえて言いますとライフサイエンスの問題でありますとか、あるいはSTOL機開発でありますとか、そのほかの、まだ二、三いろいろあるかと思いますが、できるだけの努力はしておりますけれども、いま申しましたように、現在の努力で十分であるとは決して考えておりませんので、この上ともいろいろな御指摘や御指導に従いましてさらに一層いろいろな新しい分野日本としての当然進めなければならぬ分野研究開発を進めてまいりたいと考えております。
  10. 井上普方

    井上(普)分科員 いまライフサイエンスの話が出ましたので、ライフサイエンスというのは何をやるのかと思いますと、老化制御等研究開発プロジェクトと、秦の始皇帝考えるようなことが書いてある。これは何ですかね。たまたまライフサイクルだのライフサイエンスだのと言葉魔術師と言われる政治家が言ったとたんに、ライフサイクルなんということを言い出してライフサイエンスなんという言葉を使い出した。秦の始皇帝みたいなことができますか。ともかくこれができるとして一生懸命やられているんだろうと思うけれども、それに要する費用はわずか三億六千万円、これで世界に畏敬せられるようなものができるとお考えになりますか。どうも不可能に近いんじゃないか、私はこのように考えるのです。それよりもやはり国家として、ともかく先ほど来申しますような目的を持った科学技術の推進に努めていただきたい、このことを私はお願いする次第であります。これは単に政党というような立場じゃなくて、あくまでも国家国民がいかにして世界に畏敬せられ、かつまたアジアにおいて共存共栄ができるかというために私は申しておるのであります。この点、ひとつお間違えのないようにしていただいて、根本的に洗い直していく、そうして新しい日本科学技術あり方研究していただきたい。単に日本学術会議というものが、あるいは思想的に偏向しておるとかいうようなことでもって一流の学者の集まりをボイコットすることなく——御用学者ばかり集めて科学技術会議なんというものをつくり、ここの意見だけで、こんなつまらぬと申したらまことに失礼だけれども方向答申を得て、それによって日本科学技術をやっていけば悔いを千年に残しますぞ。考えてごらんなさい、民間にほとんど頼り切っておった研究開発費というようなものは、いまどんどん少なくなってきている。もうしばらくすると韓国あるいは中国、特に中国科学技術躍進というものはすばらしいものがある、日本は圧倒されるのじゃないか、共存共栄ができなくなるのじゃないか、このようなおそれすら私は持たざるを得ないのであります。特に御注意を願いたいと思うのであります。  続いて、私は、原子力開発についてお伺いいたします。  御承知のように、原子力発電所の設置につきましては、中部電力におきましてどこかの町長さんに対し原子力発電所をつくるのに賄賂を贈ったというので非常に問題になっておりました。これは単に中部電力だけの問題ではありません。私どもが住んでおります徳島県の蒲生田原子力発電所をつくろうといたしますと、漁民諸君住民諸君がこれに反対する。反対する理由も当然なんです。私も反対なんです。ところが、その漁民諸君に対しまして、徳島市内へ運んで飲めや食わせやでどんちゃん騒ぎの大盤振る舞いをやっている。こういうことは耳に入っていますか。
  11. 服部典徳

    服部政府委員 先生ただいま御指摘のございました中部電力芦浜地点につきましては、地元の前紀勢町長が贈収賄の関係中部電力職員とともに送検いたされまして事件になったということは御指摘のとおりでございまして、われわれとしては非常に遺憾に思っているわけでございます。  それから、二番目にお話のございました蒲生田地点でございますが、これにつきましては、いま御指摘のような飲み食いというような点で非常に行き過ぎがあったというふうな報告は私ども受けてないわけでございます。
  12. 井上普方

    井上(普)分科員 そうすると、通産省は刑事事件にならなければ知らないということですか。
  13. 服部典徳

    服部政府委員 いま御指摘蒲生田地点につきましては、そういった行き過ぎの事実の報告を受けてないということでございます。
  14. 井上普方

    井上(普)分科員 それじゃ知らしてあげましょう。蒲生田原子力発電所をつくるために漁業組合に対していかに大盤振る舞い料理屋攻勢をやったか、私は資料を持っているんだ、受け取りも持っているのです。そういうことをやりながらいまの原子力発電所を進めておる姿、これについては私は大きな疑問がある。もちろん六百戸がずらりと並んでおる、直線にして一キロ、そこへ、しかも海上につくろうというのだから漁民諸君反対するのはあたりまえの話で、私らも反対せざるを得ない。しかし、それを賛成派に回すために、またまた賄賂攻勢あるいは個人的にやっているのです。これは公益事業部の方において調査する気持ちはありますか、どうですか。ここで私が口を切っていく以上は調査してもらわなければいかぬ。そういうことを知らないといって済ましておられる問題じゃない。どうですか。
  15. 服部典徳

    服部政府委員 蒲生田地点につきましては、五十一年六月に四国電力から徳島県及び阿南市に対して環境調査の申し込みをしたわけでございますが、その後、御指摘のように、地元反対がございまして、現在立地につきましては進展を見てないという状況でございまして、地元の情勢を見て慎重に検討しているという現在の段階でございます。
  16. 井上普方

    井上(普)分科員 そうじゃないんだ。環境調査をやらせてくれというために飲み食いを盛んにやらせたんだ。私らは第一線に立って反対したんだ。この環境調査をやらさぬようにしてしまったんだ。そういう資料を持っているのですよ。しかし、公益事業ともあるべき電力会社がそういうような賄賂的なものを住民諸君飲み食いさすことがいいのか悪いのか、まずそれからあなたに聞いていきましょう。ごまかす答弁はおやめになって、それだけ聞きましょう。
  17. 服部典徳

    服部政府委員 発電所立地につきまして地元理解協力を求めることは当然でございますが、御指摘のように、その理解協力を求めるやり方行き過ぎ過度にわたって社会常識に反するというようなことは、当然行わるべきじゃないというふうに考えるわけでございます。
  18. 井上普方

    井上(普)分科員 これはあなたは御存じだろうと思う。四国電力が公文書まで偽造して、阿南の橘の火力発電所の建設のために、反対運動指導者に対して百万円の賄賂を贈ったことを御存じでしょう。そうしてまた、先ほども申しましたように、住民を自動車で一時間運んで大きな料亭へ連れていって飲み食いをさせる、こういうやり方公益事業あり方としてあっていいものか悪いものか、それだけ聞きたい。
  19. 服部典徳

    服部政府委員 先ほども申し上げましたように、過度にわたるそういった行為につきましては、われわれとしては社会常識に反するということで望ましくないことだというふうに考えます。
  20. 井上普方

    井上(普)分科員 望ましくないだけで済むのですか、監督官庁としては。少なくとも公益事業と銘打ち、あらゆる国家権力の擁護のもとにある電力会社がこのようなことをしていいのか悪いのか、調査する御意思はありますか、どうですか。
  21. 服部典徳

    服部政府委員 御指摘でございますので、私ども蒲生田地点について、四国電力のそういった地元に対する対策がどういうふうになっているか実情を調べてみたいと思います。御指摘のように、行き過ぎがございましたら、当然そういうことはやめるべきだと思いますので、行き過ぎについては厳重に指導してまいりたい、こういうふうに考えるわけでございます。
  22. 井上普方

    井上(普)分科員 指導だけで済む問題じゃない。少なくとも公の権力があれだけの庇護を与えておる電力会社が、発電所をつくるがためにという名目でもって、住民に対しましてあらゆる飲み食いをやらせておる。御存じでしょうが、四年前に四国電力阿南市の公害対策委員の一人に対して百万円の賄賂を贈って、その賄賂の捻出は公文書偽造によってつくり上げたことはあなた方も御存じでしょう。これに対してあなた方はどういう処置をとったのです。前歴のあるこの電力会社に対してあなた方はもう少し毅然とした態度であってもらわなければ困る。どうなんです。あの事件に対してどういう態度をとりましたか、処置をとりましたか。もう時間が参りましたので私はこの程度でやめますが、この住民に対する過度に主たる、過度以上です。接待に対してはどう考えられるのか。これをお調べになるのか、そしてそういうことがわかった時点でどうするのか、監督官庁としての処置をお伺いしたい。
  23. 服部典徳

    服部政府委員 阿南市の公害対策審議会の委員に対して百万円の贈賄容疑ということで書類送検されているという事実につきましては、私ども承知しているわけでございます。その件につきましては、会社の責任者を呼びまして、私どもとしても厳重に注意を与えたところでございます。  いま御指摘のございました行き過ぎた行為につきましては、事情を調べまして行き過ぎがあった場合には、厳重な措置をとりたいというふうに考えるわけでございます。
  24. 井上普方

    井上(普)分科員 時間が参りましたのでこの程度にしますけれども、厳重注意ぐらいで、ともかく公益事業と称するあの電力会社があきらめるわけはないと私は思う。利益追求のためにはどんなものにでもなるのがいまの電力会社の姿じゃないか。公益事業という衣をかぶって実際にはえげつないことを平気でやっているじゃありませんか。電力会社は土地が利益が上がるといえば土地に手を出す、ほかの会社、大企業がやっているのと同じようなあらゆることを平気で公益事業である電力会社がやっておるじゃありませんか。ともかくこれらに対する厳重なる規制をやっていただかなければ、公益事業の名に恥じますよ。こういうことを厳重に申し上げて、私の質問を終わります。
  25. 谷川寛三

    谷川主査代理 以上で井上君の質疑は終わりました。  次に、中村重光
  26. 中村重光

    中村(重)分科員 大臣に「むつ」の問題でお尋ねします。  就任されてから、いろいろとどうするかということでずいぶん苦労されているんだろうとは思うのです。ところが、何というのか、ずいぶん静かに構えていらっしゃるように思うのです。それで、四者協定というのが青森との間にはあるわけですが、ここからもまた積極的に迫っておるような感じも新聞報道等では感じないのです。むしろ長崎の方が核つきであるとか核抜きであるとか、佐世保の辻市長が返上したとかあるいは撤回をしたとか、さまざまな報道が伝えられている。それには、あなたがどうしても佐世保に持っていくつもりだから返上なんてしないでくれと説得にこれ努めたという報道もある。そこらはよくわからないのですが、大臣としてはどのようにお考えになっていらっしゃるのか。  時間の関係もありますからあわせてお尋ねをするのですが、長崎県としては核抜き、佐世保としては核つき、その佐世保も県の方に妥協して、核抜きでもよろしいというような考え方に傾いているとも一時伝えられてきたわけですが、科学技術庁は県と市を調整する立場に立ったので、核つきでないといけないというような態度を決めているとも言われているわけですが、そこらについてひとつ考え方をお示しいただきたい。
  27. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 最初の四者協定でございますが、これは御承知かと思いますが、期限を決めまして、その期限内にあそこを立ち退くということになっておりますことは御承知のとおりでございます。この期限が昨年の四月十四日で切れまして、あそこは立ち退かねばならぬということになっておりまして、これにつきましては直接に青森県の知事あるいは漁民の方々の代表、そういう方から非常に強い処置も受けているようなわけでございます。したがって、政府の現在の立場としましては、この四者協定の趣旨を尊重いたしまして、一刻も早く陸奥湾を立ち退かねばならぬ、こういう立場にあるわけでございます。ただ、行き場所がありませんので、無理にお願いしまして、あそこに係船しているという状態でございます。  一方、政府におきましては一昨年長崎県並びに佐世保港に修理港としての引き受けを御要請したわけでありまして、それに対しまして、これまた御承知のような経過で佐世保港としては引き受ける、また長崎県としては核燃料を抜いた上で修理港を引き受ける、こういうような決議がなされておりまして、これは……(中村(重)分科員「時間がありませんから経過はわかっていますから結論の方でちょっとお聞きしたい」と呼ぶ)いろいろ詳しくは申し述べませんが、政府としましては検討をいたしておる次第でありまして、これらの検討を踏まえまして重ねて、重ねてといいますか、改めて長崎県に佐世保港においての修理を実現させていただきたいということを御要望するつもりでおります。
  28. 中村重光

    中村(重)分科員 当時の宇野長官の考え方と、あなたになってから考え方は変わっていますか。
  29. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 その辺のことば私は十分確信を持って、違っているとかということはお答えできかねますけれども、ただ政府としてはそういう方向に進まざるを得ないのではないか、このように考えているわけでございます。
  30. 中村重光

    中村(重)分科員 科学技術庁としては核つきであるという考え方に固まっているのですか。たてまえ論だけを言わないで、われわれとしても関心を持っているだけにある程度のことは知っているわけなんで、問題は、科学技術庁がどうするのかということだけを知りたいわけなんだから、内容がわかっているものに対しては、余りたてまえ論で検討だとかなんとかということを言って質問者の真意に沿わないような答弁ではなくて、もっと的確に答えてください。
  31. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 的確にと言われますが、的確に申し上げられることは、何とかして佐世保港において修理が実現するようにお願いしたい、これが的確、ここまでは的確でございます。あとの問題につきましては……(中村(重)分科員「核つきかどうかだ」と呼ぶ)その点についてはまだはっきり明言はできません。先ほど申し上げましたように、いずれ改めて御要請する考えでございますので、そのときの結果を待たなければ、いま核燃料つきか核燃料つきでないかという点については、ここで公言はできかねるわけでございます。
  32. 中村重光

    中村(重)分科員 科学技術庁としては、核燃料棒抜きではだめなので、やはり核燃料棒つきでないといけない、そういうことで県の方に打診をしたが、長崎県知事の選挙の関係等もこれあり、その場合にはそういうような意思表示をすることは適当ではないということで、知事選挙の終了待ちというようなことになっているのじゃありませんか。ですから、知事選挙も終わったのです。核燃料棒つきでボールを投げるのですか、投げないのですか。
  33. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 先ほど申し上げましたとおりでございまして、公言できますことは先ほど申し上げたとおりでございます。
  34. 中村重光

    中村(重)分科員 長崎県が核燃料棒つきではノー、こういう態度を示した場合、科学技術庁はどういう態度をとりますか。
  35. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 なかなかむずかしい問題でございますので、どうとるかと言われますと、はっきりしたことはここで申し上げかねます。
  36. 中村重光

    中村(重)分科員 何のためにあなたはそうかたくなな態度をとらなければいけないのだ。検討だ検討だで、いつまで検討するのだ。あなた方は、地元、そういう関係者の立場を考えてみなさいよ。科学技術庁はどうするのか、いつまでも検討だ検討だということで態度を決めないでいる。迷惑な話じゃありませんか。そういう態度さえとっておったならば、人がどんなに迷惑しようとも構わないと言うのか。そんな無責任な態度であってはならぬ。はっきりしなさいよ。どうです。
  37. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 いつまでもということは言っておりませんし、人様にいかに御迷惑がかかろうとどうでもいい、そういうふうな考えは持っておりません。近く改めて御相談するつもりでいるわけでございます。
  38. 中村重光

    中村(重)分科員 長崎県に対していつ要請をするのですか。
  39. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 いつと言われましても、いつにもいろいろありますから、何月何日というふうなことは申し上げかねますけれども、見当を申し上げれば、大体今月中、こういうことに思っております。
  40. 中村重光

    中村(重)分科員 あなたは、核燃料棒つきか抜きかということについては検討している、こう言われたのだが、知事選挙の前に核燃料棒つきでどうかということで意向打診をさせたのでしょう。それがあなたの方の意思だということになりませんか、意向打診をさせたのですから。そういうことをさせておきながら、核燃料棒つきか核燃料棒を抜くのかいままだ検討しているのだから何とも言えないのだ、そんなロジックの合わないようなことはないでしょう。余りごまかさないで、はっきり答弁する責任があると私は思う。意向打診をしたという事実はお認めになるでしょう。
  41. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 非公式にはいろいろな打診もしておりますし、検討もいたしております。しかし、ここで公言します内容としましては、いまほど申し上げたとおりでございます。
  42. 中村重光

    中村(重)分科員 あなたもずいぶん年をとられたので、老練の練達の士ということになるのかもしれないけれども、どうもわかり切っていることを、何というのか、ここでは言えないとかなんとかというような、それで実際はいろいろなことをやっておきながら、まことにわれわれにはわからぬあなたの態度だ、こう申し上げておきたいと思う。  そこで、あなたも「むつ」が欠陥炉であるということはお認めになっている。その原因というものは何かと言えば、肝心の舶用炉の陸上実験をやらなかったということです。だから、原子力船事業団法というものも実質三年でもって研究所法ということに変える。名実ともに研究所法による運営じゃないといかぬ、これが議会の総意である、こういうことになっているわけだから、したがってその舶用炉を陸上で十分実験する、それが当然なことだと思うのだけれども、その点いかがですか。
  43. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 この事業団法につきましては、昨年国会で御決議をいただきまして、その線に沿って着々いろいろな検討も進めているわけでありまして、これに必要とされます法案につきましては、近く成案を得まして、遅くとも今年中にはこれを研究開発する機関に移行する準備、いろいろ舶用炉とかいうお話もありましたが、そういう問題も含めまして、これを進めていくのに支障のないような成案を得たい、そしてまた御審議願う、こういうことになろうかと思っております。
  44. 中村重光

    中村(重)分科員 だから、研究開発ということで研究所法案にふさわしいやり方をしなければならないというのだから、ならば、もう再びあのようなことがないようにしなければいけないのだから、いわゆる舶用炉というものを陸上実験しなかったというところに最大の原因があるわけだから、陸上実験をする、そのことが当然だと思うのだけれども、いかがです。
  45. 山野正登

    ○山野政府委員 舶用炉につきまして陸上実験をするかしないかという問題でございますが、一般論といたしまして、動力炉の開発をいたします際に、実験炉、原型炉、実証炉、実用炉といくか、あるいは途中の段階からいくかというふうなことは、その動力炉の性格、炉型にもよるものでございまして、新型炉の場合と軽水炉の場合とではおのずから差があると思うのでございますが、原子力船の場合は現在軽水炉を使っておりまして、先生がおっしゃいますように、陸上で一たん実験炉をつくって実験しまして、それで船に積む舶用炉をつくるという方法も確かにあろうかと存じますが、私どもは従来すでに経験のございました軽水炉による舶用炉ということでございますので、特に陸上の実験を経ないで直ちに船に積む方法で実験船の開発を開始したということでございまして、この件につきましては、その後大山委員会における検討、あるいはさらに安藤委員会における検討で、今後ともその方向で進めてもよろしいといったふうな確証を得ておりますので、引き続き同じ方針で進めたいというふうに考えております。
  46. 中村重光

    中村(重)分科員 国会の意思として、現在の原子力船事業団法ではだめなんだ、やはり十分研究しなければならぬ、こういうことで研究所法に移行をするという院の意思がある以上は、いま大臣が答えたように、その趣旨に沿って研究開発をしていかなければならないというのだから、学者がこう言ったからそれでいくのだというように一方的に決めていくということは、院の意思を無視することにもつながる。だから、そういうことではなくて、院の意思がそういうことになっているのだからその院の意思を尊重しながら今後とも十分、再びあのようなことがないように対処していく、そういうことが当然なあなた方の義務でなければいけないですよ。まあしかし、時間がないから重ねてあなたに答弁は求めないけれども、十分そこらは反省をする必要があるということを申し上げておくのです。  次に、この舶用炉に関する安全研究というものを事故後にどのように進めてきたのですか、ずいぶん時間がたっているが。
  47. 山野正登

    ○山野政府委員 軽水炉についての安全研究と申しますのは、原研を初め各国立試験研究機関等で進められておることは先生も御承知のとおりと存じますが、舶用炉につきましては、日本原子力研究所あるいは運輸省の船舶技術研究所等において研究をいたしますとともに、私どもの方に原子力平和利用委託費という制度がございますが、これによりましても日本造船研究協会等を活用しまして、各種の試験研究等を進めておるという状況でございます。
  48. 中村重光

    中村(重)分科員 大臣、私どもは、いまのような答弁等があるので、この原子力船事業団法を研究所法に移行するということになっても、科学技術庁側の抵抗というものは相当強い、私どもが期待するようなことに中身がならないのじゃないかというような関係等もあって、実質三年間の延長ということについては反対をしたのだけれども、当時、前長官から研究所法に移行するという場合、原子力船「むつ」についてはこういう態度をとるということの考え方を固めていろいろ根回しをやったという事実はお認めになりましょうな、「むつ」の扱いについて。
  49. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 それはどうも、お認めになるかと言われますが、ちょっとそれは認めたという御返答——いま簡単なお尋ねでございますから、適当なお答えができないかもしれませんが、お認めになった、それを認めたじゃないかと後で言って怒られても困りますから、どうもひとつ的確なところはいまの段階ではお答えいたしかねるという考えでございます。
  50. 中村重光

    中村(重)分科員 私が、その後あなたが長官に就任をしたときに、党の原子力船や「むつ」の関係の特別委員会の委員長ということでお目にかかった。そのとき従来の経過というものはよく承知をいたしております。十分検討いたしまして速やかに結論を出したいと思いますとおっしゃったことはお認めになりますね。
  51. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 そういうことを申し上げたことはあると思います。ただ、検討いたしますということは、あらゆる場合、またあらゆる御意見を率直に受け入れまして、そして大局的な判断を下す、こういうことになるわけでございますので、結論がどういうことになるかは別といたしまして、いろいろな御意見に対しましては謙虚にいろいろ承って検討をいたしたい、こういう態度で今日まできているわけでございます。
  52. 中村重光

    中村(重)分科員 先ほど、今月中に長崎県に対して要請をするということを言われましたが、その要請は、前回あなたは非公式ということを言われたのですが、非公式に交渉した方向で要請をするということになるのですか。あるいはまた、それと違った、長崎県の意向に沿うような方向で要請をしようとする考え方になっているのですか。いかがです。
  53. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 大変厳しい御追及でまことに恐縮でございますが、まず先ほど今月中にということを申し上げましたが、きっちり三十一日までか、あるいは多少その間に前後するかわかりませんから、大体今月中ということを申し上げた、その趣旨には違わないようにいたしたい、このように考えております。  それから、要請と申しましても、はっきりした公式の要請か、あるいはそういうかたい言い方からしますと、打診ということになりますか、あるいは情勢を承るといってそれに応じてまたいろいろ研究するとか、そういうことをいたしました上での公式な要請ということになると思っております。それができましたら今月中にと、結論としましてそう思っておりますことを率直に申し上げた次第でございます。
  54. 中村重光

    中村(重)分科員 長崎は被爆県であるということは御承知になっていらっしゃる。それから水産県長崎ということもあなたは承知していらっしゃると思う。そうした長崎県民が、「むつ」を持ってきてはいけない、持ってくるようなところではない、佐世保という港の状態からして、徹底的にこれに反対をした。大問題、大混乱に長崎県は陥った。漁民がこれに反対をしたことは言うまでもありません。だがしかし、知事も、まあいろいろと、工作という言葉は語弊がありますが、態度をおとりになったと思う。そういうことで一応反対はありましたが、多数決でもって核燃料棒抜きという形で結論を出したのです。私どもは不可解なんだけれども、辻市長はこれを受け入れるというような態度をとった。その辻市長が受け入れを返上するという申し出があったのに対して、あなたが説得をしてその申し出を撤回をしてくれ、懇請これ努めたという態度に対しては、私も長崎県民でありますが、国会議員として、長崎県民として、あなたに対して強い抗議を申し上げたいと思う。被爆県長崎県を思い、水産県長崎県民の心情を考えるとき、辻市長がこれに返上の申し出をするならば説得これ努めるという態度は、私はあなたの良識を疑う。いかにあなたが長崎県に「むつ」を持ってこようとしても、絶対にそれは実現をし得ないであろうということを申し上げておきたいと思います。  次に、原子力発電の問題についてお尋ねをするのですが、現在運転に入っている炉は十四基あるのだけれども、事故とか敵陣とか定期検査ということで停止中のものが八基ある。また、けさの新聞でしたか、もう一基、事故のために停止をするということになってきたのですが、これは原因は構造的な問題にあると私は考えている。安全性の問題、信頼性の問題あるいは経済性の問題といったような点から考えてみるとき、これを見直さなければならない時期に来ている。これは、国際的にもそういうような傾向があるということは御承知のとおりであると思うのです。それから原子力発電というものは非常にコストが安いということを言われてきたのだけれども、このように多額の費用をかけて設備をしたけれども、もうほとんどこれが使い物にならぬということになってくると、発電コストというものは非常に高くなるというように考えるわけなんです。したがって、ここで原子力発電は見直す時期にあるのではないかというように思うので、その点に対して考え方を聞かしてもらいたいということ。  それから、原発がCANDUに対して研究をやっているのだけれども、これは天然ウランを燃料としているわけですが、アメリカ依存から脱却をするという点からこの点を検討しているのかどうかということを伺いたい。まずこの二点を答えてください。
  55. 山野正登

    ○山野政府委員 まず原子力発電の経済性でございますが、これは先生承知のとおり、原価の構成内容を見ました場合に、原子力発電の場合は燃料費というのが格段に少ない。大体三割程度でございます。これに比べまして、石油火力発電の場合には燃料費が六割以上というふうな原価構成になっておりまして、そういう観点から申しまして、今後とも燃料費の高騰といったふうなことを頭に入れますと、引き続き原子力発電の優位性というものは変わらないというように考えております。  それから第二のCANDUの問題でございますが、これは現在、通産省の指導によりまして、一部会社においていろいろ研究を進めておられますけれども、私ども並びに原子力委員会におきましてもこれを検討中でございまして、炉型戦略の点からどうであろうか、あるいは核燃料サイクルの観点からの利害はどうであろうか、さらに最も重要である安全性、耐震設計といった観点からはいかがであろうかといったふうなことを現在検討ししておる段階でございます。
  56. 中村重光

    中村(重)分科員 ただいまそれを質問したいのだけれども、時間がありませんのでこれで終わりますが、再処理の問題についてお尋ねするのです。  日米交渉の結果、二年間の暫定措置として単体抽出法による操業ということになったわけですね。そこで、二年後に混合抽出法を取り入れる意思があるのかどうかという点。このための費用及び技術開発面の用意というのがあるのかという点。それからもう一点は、再処理工場に福島発電から持ち込まれた使用済み燃料の再処理というのは、ホットテストは終わったと思っているのだけれども、それはどうなっているのか。ホットテストの段階で問題があったのではないかと思うのだけれども、改造とか手直しというのをやる必要はなかったのか。もしあったとすれば、それを明らかにしてもらわなければならぬということ。それから、二基目の再処理工場というものを計画しているのではないか。フランスであるとかイギリスに、一基では消化できないので持っていかなければならぬ、ところがイギリス、フランスというのは、これまた非常にむずかしい条件をつけているということになっているようだけれども、二基目についての計画があるのかどうか。  以上三点か四点でしたか、お答えをいただきたい。
  57. 山野正登

    ○山野政府委員 動燃の再処理工場の二年たちました後の運転方式でございますが、これは日米共同決定におきまして、今後の研究開発の結果、混合抽出法というものが技術的に可能であり、また有効であるということについて両国政府が合意をした場合には、これを混合抽出法の行い得る施設に切りかえようという合意を見ておるわけでございます。したがいまして、この二年間における研究開発の成果及び現在関係国の間におきまして核燃料サイクルの再評価というものが進められておるわけでございますが、この検討の成果といったふうなものも勘案をして、日米間で協議をして、三年目以降の再処理方法について検討するという運びになろうかと思います。  一般論としまして、もし混合抽出法というものが技術的に可能であり、また経済的にも十分採算のとれる、かつ抽出いたしました後、混合酸化物燃料に直ちに転換し得るといったふうなことであるとすれば、当然混合抽出法という方法をとるのも私どもやぶさかでないわけでございます。  それから、そのための研究開発につきましては、現在すでに動燃事業団において進めておりますが、さらに五十三年度におきましては、大体十五億円程度の予算を、現在お願いしております政府予算原案に盛り込んでおります。  それから、福島の第一原発からの使用済み燃料、これはただいま搬入いたしておりますけれども、これまでに再処理をいたしましたのは、原研のJPDRという研究炉から出ました使用済み燃料の再処理でございまして、福島のものにつきましては、ただいま勇断を開始したところでございまして、再処理後は今後の問題でございます。  それから、第二処理工場につきましては、現在、産業界におきまして濃縮・再処理準備会という組織をつくりまして、ここが中心になりまして、第二再処理工場の設立のための準備活動を進めておるわけでございます。これは非常にリードタイムの長い仕事でございますので、ただいま東海村の再処理工場並びに海外委託によりまして、一九九〇年ぐらいまでの再処理についての需給バランスはほぼとれておる感じでございますが、それ以降に備えるという意味におきまして、第二再処理工場を一九九〇年ごろには運開したいという方向で準備を進めておるという状況でございます。
  58. 牧村信之

    ○牧村政府委員 ただいま再処理工場におきましては、使用済み燃料のホットテストというのを実施しておるわけでございます。先ほど先生からお話がございました福島の燃料も使いまして、いま試験をやっておるわけでございます。このホットテストというのは、ことしの秋ごろまで続ける予定でございます。現在のところ数点のトラブル等が起きておりますけれども、これは主として管理上のミスが大部分でございまして、この施設全体をあるいは施設のある個所につきまして修理を施す、あるいは改造をする必要性があるというような問題点は起きておりません。
  59. 中村重光

    中村(重)分科員 失礼しました。
  60. 谷川寛三

    谷川主査代理 以上で中村君の質疑は終わりました。  次に、谷口是巨君
  61. 谷口是巨

    谷口分科員 私も、地元の非常に重大な関心がございます原子力船「むつ」について、重複するかもしれませんが、お伺いいたします。  現在、大湊港では、いわゆる修理能力ということに関しては、修理は可能なのかどうか、最初にお聞きをしておきたいと思います。
  62. 山野正登

    ○山野政府委員 私どもは、ただいま長崎県並びに佐世保市に修理の協力要請をしておるところでございまして、青森県において修理の可否という点については検討いたしておりません。
  63. 谷口是巨

    谷口分科員 あなた方の話を聞いておると、私たちは、いま何かキツネやタヌキと話しておるような感じばかりするのですが、とにかく何を答えようとするのか、あるいは答えまいとするのか、さっぱりわからぬわけですね。本当の話が、あなた方は地元に非常に迷惑をかけておるわけですね。そういうことでぬらりくらりということは許されぬことだと実は私は思うわけですけれども、答えないんだからいたし方ございません。  四者協定が結ばれておりますけれども、現在のむつの市長は、大体賛成だということで公約して、選挙にまた勝ってこられたわけですね。こういうことを踏まえてきますと、その政府考え方は、四者協定がありますから形式上佐世保に申し込む、再要請する、断わられたら、もうどうにもなりませんから、じゃひとつむつの方でお願いしますよ、そういうことで四者協定破棄とかいう方向に持っていく考えがあるのじゃないかという心配あるいは予想もあるわけですね。長官、それはどうですか。
  64. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 ちょっとおしまいの方が聞き取りにくかったのですが、何でございましたかな。
  65. 谷口是巨

    谷口分科員 もう一回質問します。  どうも私の言い方が悪かったかもしれませんが、要するに佐世保に再要請して断わられたら、それを一つの口実としてむつに持ち込む、そしてむつの方は、どうしてもほかにないらしいから、国を救うためにも四者協定破棄だ、こういう方向に持っていくことを考えていらっしゃるのじゃないか。わかりましたか。
  66. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 わかりました。  いろいろキツネかタヌキかわからぬということでおしかりを受けましたが、われわれの本来の目的は、申すまでもなくむつだ佐世保だというのではありませんので、御承知のように、何とかして「むつ」の修理を行いたいということが目的でございます。  そこで、いま一応佐世保の方に要請して断わられたら、むつの方でまた受け入れてもらうような、いわゆる四者協定を破棄するような方向へもっていくのじゃないか、こういうふうなお尋ねかと思いますが、なるほど、いま例に言われましたように、むつでは存置派の市長が云々ということも承っておりますが、しかしその条件は佐世保市も同じであると私は考えております。要するに、何とかして「むつ」の修理を実現しますためには、当面のところ佐世保において修理をお願いするという点に誠意をもって進めてまいらなければ、後のことはどうなるか、そういうことを、ここがだめだったらどこかへ持っていくのだというふうな考えは持っておりませんことを申し上げておきたいわけでございます。持ち得ないことを申し上げておきたい。
  67. 谷口是巨

    谷口分科員 実は、御承知のように、長崎県としては、県議会で核燃料体抜きであるということ、佐世保市としては核燃料体つきだと、二つに分かれているわけですね。現実に核燃料体抜きということは、実質拒否ということになると思うのですね。真っ二つに割れている。こういう状態の中で佐世保市長は、もう返上するのだという決意で来たのです。しかも、勢い込んで来たのだけれども、あなたと会って、いわば急転回してその意見を留保してしまった。その理由の中に、あなたの人柄に打たれたと言っているのです。あなたの誠意に打たれた、そういう発言をしているのです。話を聞いておると、確かにあなたは人柄はよさそうだけれども、政治の場でいくと、もうちょっとてきぱきと、ぱっぱっと答えなければいけないのじゃないでしょうか。私は、そういうことを考えて、ここに質問しておるわけですが、結局、長官は、再要請をするということをきょうも言っているし、そうなると県の説得ということがやはり大事になるのじゃないですか。そういたしますと、この前、長官は、長崎県議会の自民党に所属する議員を、福岡にですか、何人かお呼びになりました。そして何か懇談されておるようなお話ですが、そのときの感触をひとつ答えてください。
  68. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 佐世保市長を説得したということでございまして、これも先ほどのなにでも大変御非難を受けたわけでございますが、私は、佐世保市長が本当に事態を正しく見られて、その上で期待されるということであれば、何もそれをおとめしたり、説得したりというか、そういう考えはありません。ただ、政府考え方が、もうむつへ持っていくということを大体決めておいて、その手段として佐世保なり長崎なりに要請するのだというふうに実はおとりになってのお話のように承りましたし、またそういうことも直接にもちょっとほのめかされましたので、決してそうではありません、われわれとしてはどこまでも佐世保港にお願いする、ほかのことは考えておらないということを申し上げました結果、私の真意を御理解いただいて、そして翻されたというわけでございます。  済みませんが、もう一つの後のことは……。(谷口分科員「県議会の人を呼んだでしょう。」と呼ぶ)わかりました。  あれは、そのときも新聞にも出たかと思いますが、実は大体の御様子を承ったわけであります。お呼び申し上げた方のいろいろな御観測というか、御感想を承ったわけでございます。その内容でございますか。(谷口分科員「感触、可能性があるのかないのか」と呼ぶ)そこまで申し上げていいかわかりませんが、お会いしました方では、出方によっては御理解願えるのじゃないかというふうに考えました。
  69. 谷口是巨

    谷口分科員 どうも済みません、委員長の指示を受けないで発言してしまって。  実は、賛成派というのはよく理解されておると思いますが、心底から賛成している人は少ないですよ。何か条件が満足できればという前提が中に入っている。これは私、県議会に長くいたからわかるのですが、彼らが陳情に来るとわれわれのところに寄ってくる。そうして自信をもって話す。メリットがなかったら云々、メリットがあれば、とこういうことになっているのですね。それはあなたがいま条件次第だという発言をなさったわけです。要するに、いまそういうようなニュアンスを向こうの感触としては示されましたね。そういうことを含めて質問するわけですが、全く可能性がないという判断に立てば、これは再要請と言ってもなかなかむだですね。ある程度の可能性がそこになければ再要請はできないわけだと思うのですけれども、その再要請の条件は整ったと考えているのか、まだ整っていないと考えるのか、どちらですか。イエス、ノーで簡単に答えてください。
  70. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 イエスかノーか答えろということでございますが、これはいろいろ考えていけば切りもありませんが、イエスかノーかと言われれば、整いましたと申し上げざるを得ないと思います。
  71. 谷口是巨

    谷口分科員 長官の話を聞いていると、もう準備が整いましたということは、ある程度いわゆる県議会のあの議決が変更できるという目星がついたというふうに、発展すれば考えられるわけですね。あなたは、とにかく核心をぽんと答えていただかないと、何かよくわからないですね。——いいです。先に進みますからね。  そうすると、あなたとしては、結局条件が整ってきた、こういう判断のもとにいま発言されたわけですが、県と市のあの二つの相違は一体国が責任をもって調整するのかあるいは現地で責任をもって調整してきなさいというのか、どっちですか。
  72. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 いま条件が整ったという、イエスかノーか答えよということでございますから、整いましたということを申し上げましたが、条件が整ったということは、必ずそれが実現するとかしないとかの見込みがついて再要請するということとは違いますから、その点はひとつ御了承いただきたい。
  73. 谷口是巨

    谷口分科員 どうもよくわからないですね、あなたの答弁は。核心に答えていないと思うのですね。しかし、それで時間をかせがれても私は困るわけだけれども、私はその答えにちょっと満足できないですよ。全く答弁になっていないわけです。だから、要するにその調整については、国が責任を持ってやるのか、長官みずからおやりになるのか、あるいは地元で話すのか、どっちかはっきり言ってください。
  74. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 いま要件が整ったということが、私の舌足らずで十分御理解を願えなかったかと思いますが、われわれとしてはもうこれだけいろいろ条理を尽くしてお願いするという、そういう要件が整ったということでありますから、結果まで見越して、こうだ、ああだということは申し上げていないということをひとつ御了承願いたいと思うわけでございます。(谷口分化員「どっちが説得するのか、調和させるのはどっちの責任かということ」と呼ぶ)むろん政府でございます。
  75. 谷口是巨

    谷口分科員 はっきりとここで答えは一応いただいたわけですね。いわゆる二つの相反する議決、相反する意見、これを調和させるためには政府が責任を持ってやる、こういうことですね。これで明確になりました。  その調整に当たって長官は、ある程度の事前交渉というのが必要なようにおっしゃっていますね。それで、最後には段階を見て再要請するとおっしゃるわけですが、では、いよいよ目安がついた、そういう段階においては、いわゆるやり方でありますけれども、長官みずから現地に出かけていかれますか。
  76. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 また怒られるかもしれませんが、そこまで行くとか行かないとかということは決めておりません。
  77. 谷口是巨

    谷口分科員 私は決して賛成派じゃないけれども地元の意見を代表して、これほど迷惑をかけたことに対して考えてないということじゃなくて、これは長官みずから行くべきだと思いますよ。もう一度御答弁ください。
  78. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 それは、いま私が交渉に行くか行かぬかというお含みかと思って御返事申し上げたのですが、そういう御迷惑をかけたりいろいろの御配慮をかけているということについては、私として行くことも含めましてできるだけの処置を尽くしたい、このように考えております。
  79. 谷口是巨

    谷口分科員 じゃ、最後に詰めでございますが、もし佐世保が、いやもうだめだだめだと言う場合でも、一度断られても二度、三度というふうな決意を持って佐世保に要請をする政府の方針ですか。
  80. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 大変実はむずかしいお尋ねでございまして、これはもう少しお願いすれば、御理解を得ればこうなるということであれば、どこまでもお願いします。しかし、それも時期の問題もありますから、いつまでもということは私だけの考えで実行できないかもしれませんが、私としてはあらゆる方法を尽くしましてお願いしたい、このように考えているわけであります。
  81. 谷口是巨

    谷口分科員 それじゃ、話を進めますけれども、要するに非常に反対をなさっている団体の中に漁業関係があるわけですね。その漁業関係に対して反対を説得することがあなた方としては必要になりましょうが、そのことについて、漁民を説得する何かそういう自信、おありですか。
  82. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 自信と言われればそのような大それたものは持っておりません。ただし、お願いするという私の信念は持っておるつもりでございます。
  83. 谷口是巨

    谷口分科員 じゃ、もう少しお伺いしたいと思うのです。実は、かつて長崎県で米軍の潜水艦ソードフィッシュ号が入ってきまして、異常放射能が出てきまして非常に漁民関係が迷惑した事実があるんですね。それがいま後遺症にもなって残っっていることは事実です。したがいまして、こういう漁民の方々に対して、政府としてはそういう魚価に対する何か具体的な策をお持ちでございますか。
  84. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 いまその具体的な内容についてはまだ申し上げる段階ではないかと思いますが、そういう御不安が現実に万々が一あるとしますと、それに対しましては絶対に御迷惑はかけないという考えのもとに具体的な案を考えたい、このように思っております。
  85. 谷口是巨

    谷口分科員 そういうことではちょっとまずいと私は思うのです。そういう魚価に不安が起こった段階で事をやるんじゃなくて、こういうことに対しては絶対にこういう準備を整えて事に臨みますというような態度がなければ、たとえば青森県では現実にそういうことをやりましたね。当然これは条件、見返りじゃなくて、政府として当然これはひっ提げていかなければならない条件だと思う。
  86. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 まことにごもっともな御意見でございます。なってからこうだというようなことは申しませんので、なることがあってもと、前もって御心配がないようにという処置を講じてまいりたい、このように考えております。
  87. 谷口是巨

    谷口分科員 だんだん明らかになってきましたが、じゃ措置を講ずるということは、要するに魚価安定に関する何か基金みたいなものを準備するということに解釈してよろしゅうございますか。明確にお答えください。
  88. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 大体そのようにお考えいただいて結構でございます。
  89. 谷口是巨

    谷口分科員 それについて漁業のいわゆる振興対策としても地元としてはかなり深刻に考え、またお願いもする経緯があったかも存じませんが、それについてはどうですか。
  90. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 そこまでのことになりますと、私一存でここで確答はできませんけれども、しかし少なくとも私に関します限りは、国の事情、か許します限りそういう水産関係の方々に対しての処置を考えたい、このように思っております。
  91. 谷口是巨

    谷口分科員 その話はもうそこでとどめます。  その次は、長崎県は特に離島がたくさんありまして、大体四割ぐらいが離島なんです。したがって、これのいわゆる交通機関というのは非常に重要な役目を占めているわけですが、特に空港についていいますと、離島にはいま対馬と壱岐それから福江、それともう一ついま上五島に飛行場のいわゆる準備がなされるわけです。これがほとんど千二百メートルの滑走路、それから上五島においては八百メートルの滑走路になるわけです。したがって、こういう離島の問題に関して非常に関心があるわけですが、いま飛んでいる飛行機がYS11ですね。これがどうも話によりますと、あともう七、八年ですか、これで大体寿命が切れる。そうなってまいりますと、現在の飛行場の劣悪ないろいろな設備状況あるいは滑走路の不足とか、こういう問題を考えても非常に不安があるわけです。これについては、政府は五十三年度の予算に三十七億一千九百万円、これがいわゆるファンジェットSTOL機開発費として組まれているわけです。  これに関して伺いますが、このSTOLの開発プログラムは現在どのようになり、どのように進行しているか、簡単にひとつお答え願います。
  92. 園山重道

    ○園山政府委員 御質問のSTOL機研究開発計画につきましては、今年度五十二年度から開始をいたしておりまして、私ども目標といたしましては、五十六年度までに実験機をつくりまして、その後三年間の飛行実験を行いまして、ファンジェットSTOL機技術を確立したい、このように考えているところでございます。  なお、先生御質問の中で示されました三十七億という数字は、航空宇宙技術研究所の航空部門全体の予算でございまして、このSTOLの予算は約四億五千万でございます。
  93. 谷口是巨

    谷口分科員 YSの後の問題を非常に心配しているわけですが、これは長崎県だけでなくて、全国的な問題だと思います。  それに関連して、性能がいろいろな面ですぐれていると聞くわけです。離島のいわゆる非常に短い滑走路に対しては最適だというように聞いているわけですが、どういう性能がいままでのと違うわけですか。
  94. 園山重道

    ○園山政府委員 先ほど申し上げました航空宇宙技術研究所でつくります実験機は、現在輸送機のC1を機体として使いまして、それに通産省の大型プロジェクトで開発しております推力五トンのファン・ジェットエンジン四基つけるものでございます。これはあくまでも実験機でございますので、それがそのまま実用に使われるというわけではございませんけれども、この実験機そのものといたしましては、ただいま御質問の、必要な滑走路長というのは約七百メートルでございますけれども、この技術をもとにいたしましてどういった実用機が予想されるかということになりますと、百五十人乗りぐらいのものにいたしますと、滑走路長としては九百メートル以下というようなところを目標にすることになるか、こう考えております。
  95. 谷口是巨

    谷口分科員 そういたしますと、いま非常に離島空路で心配しております。現在のYS11が使えなくなっても十分にこのSTOLでやっていけるという状態にあるわけですね。それは心配ございませんね。もう一度はっきりと……。
  96. 園山重道

    ○園山政府委員 これは私どもの航空宇宙技術研究所の実験研究開発というのはあくまでもいわゆる研究の問題でございますので、この技術を使ってどのような実用機を開発するかということは、私どもの任務と申しますよりも航空機産業の問題でございます。  この時期といたしましては、いま申し上げました五十九年までに予定どおり進んだといたしまして、飛行実験が終わりますと、通常でいきますと、それから約二、三年後に、これは非常にスムーズに実用機開発が行われたといたしますと、六十二、三年ごろというのが実用機の飛ぶ時期になるかと思っている次第でございます。
  97. 谷口是巨

    谷口分科員 では、ひとつ計画どおり手落ちなくがんばっていただきたい。その問題については要望いたしておきます。  最後に、あともう七分ぐらいしかないのですが、「むつ」問題と並んで原子力行政の問題の一つに原子力発電の立地問題というのがあるわけですね。さらに最近は米国の濃縮ウランの輸出規制が非常に強くなってきている。カーター政権の不拡散政策に伴う米国からの締めつけ、こういうことで非常に圧力が大きくなってきていると思います。このことは将来、エネルギー需給における原子力のウエートを高めようとする日本にとって非常に不安な要因として新たな問題を提起しておると思います。そこで、米国の二〇%以上の濃縮ウランの輸出規制、これはわが国原子力研究技術開発に大きな影響を与えかねないと思うけれども日本の濃縮ウランの安定供給に問題はないのかどうか、お伺いしておきたいと思います。
  98. 山野正登

    ○山野政府委員 高濃縮ウランを輸出するに際しまして、米国はかねて規制政策はもちろんとっておったわけでございまして、日米原子力協定におきましても、二〇%以上の高濃縮ウランの輸出については経済的並びに技術的な必要性について十分審査をするということになっておるわけでございますが、昨年の十一月にこの新しい審査手続というものを公表したわけでございます。これによりますれば、従来同様、当然この技術的並びに経済的な必要性について十分審査をするということに加えまして、十五キログラム以上の高濃縮ウランの輸出許可は大統領の決定事項とするという新しい項目が加わっております。わが国の場合は、高濃縮ウランを使っておりますのは日本原子力研究所の研究炉と京都大学の研究炉とあるわけでございまして、年間にしまして大体九十キロ程度の高濃縮ウランが必要なわけでございますが、これにつきましては、今後、低濃縮ウランに切りかえて研究目的を果たし得るものがあるかどうかという検討はいたしますが、恐らく、私の見通しとしましては、なかなか簡単には切りかえ得ないといったふうな事情もあると思いますので、経済的並びに技術的に十分にその必要性を米側に説得しまして、今後も必要な所要量というものは確保してまいりたいというように考えております。
  99. 谷口是巨

    谷口分科員 米国の不拡散法の通過によってわが国の再処理工場建設、プルトニウムの有効利用に制限が加えられる感じがしてくるわけです。わが国として八百万キロ前後の原子力発電があり、東海村の工場能力が大体それに見合うような規模でございますから、現在は英国、フランスに多く依存しているわけでございますけれども、原則として日本国内で処理するというたてまえからすると、現実はかなり乖離している状況にあるわけですね。このギャップを今後どのように埋めて、そして国内処理のウエートを高めていこうとしているのか、お伺いしたいと思います。
  100. 山野正登

    ○山野政府委員 再処理の需給バランスにつきましては、現在動燃事業団の東海再処理工場で再処理するもの並びにすでに海外に委託したものに加えまして、近々のうちに委託するものを含めて考えますと、大体昭和六十五年程度までの需要量というものは賄い得る体制になっております。  したがいまして、その後の手当ててございますが、私どもといたしましては、昨年原子力委員会におきます検討結果等も踏まえまして、国内に第二再処理工場をつくってこれに対応していく、もちろん将来の需要の増加というものを考えますれば第三、第四という再処理工場というものも当然に必要になるわけでございますが、ただいまからその準備に着手したいと考えております。  なお、この再処理事業の態様につきましては、一方、国際的にも核燃料サイクルの再評価というものが行われておりまして、その場におきまして国際協力面でこれをどうしていくかというふうな問題もいま検討されておりますが、そういったふうなものも含めて今後対処してまいりたいというふうに考えております。
  101. 谷口是巨

    谷口分科員 原則として国内で再処理をするというたてまえに立っていきますと、要するにアメリカの方のいろいろなウエートがかかってくると思うのです。したがって、いま答弁されたように、第二、第三、第四とつくっていくということに対して、米国の意向に相当大きく左右されるであろうと思いますが、そういう見通しはいかがですか。この答弁を伺って、私は質問を終わります。
  102. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 これは大変先のことでございますからむずかしいことでございますが、いまのところは一応理解を得られるであろう、このように考えておりますが、決してそれで安心しているわけではありません。もう一つは、いまの新型転換炉でありますとか高速増殖炉などを開発しまして、そしてウランの効率的な活用ということもあわせて考えているつもりでございます。
  103. 谷川寛三

    谷川主査代理 以上で谷口君の質疑は終わりました。  次に、村山喜一君。
  104. 村山喜一

    村山(喜)分科員 熊谷長官、けさの新聞をごらんになったと思うのですが、原発の稼働率は五十二年度は最低に落ち込むのではないだろうか、十四基あるうち五基しか二月末現在で動いていない、こういうのが新聞に出ております。また、二十三日の新聞によりますと、これは通産省でありますが、「原発建設見通しに狂い 通産省、上積み要求 業界に“粉飾加算”の声も」という記事が目につきます。そこで、私は、こういうような状況の中で、通産省としては、昭和六十年の時点において原子力発電所のその努力目標というものの数字は伺っておるわけでありますが、いまのようなこういうトラブルが続出をしていく中にあって、どこまでその達成ができると考えているのか。また、定期検査が長くかかるというような状況の中で稼働率が最低の線に落ち込もうとしている。そういうような状況の中にあって、熊谷長官はどういう態度で原子力の問題に取り組んでいこうとしていらっしゃるのか、この考え方をまずお伺いをしておきたいと思うのであります。  エネルギー研究開発費関係予算を調べてみると、新エネルギーは六十二億で四%ですね、そして原子力は千百八十億で八五%、原子力に最重点を置いていることは間違いない。そういうような状況の中で、原発の稼働率がことしは最低に落ち込むだろう、こう言われているのに対して、原子力委員長という立場もございます。また国務大臣の立場からお考えをまずお伺いしておきたいのでございます。
  105. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 原子力発電所の稼働率が最近、ことに昭和五十二年度は非常に少ないということは大変残念に思っております。ただ、これらにつきましては、原因も十分正確に調べてまいらねばなりませんから、その点も調べてまいりますとともに、これは通産省でもお考え願っているかと思いますが、いま原子力発電所の定期検査に要します日数は年間大体九十日というように承っているわけでありますが、これらにつきましても、さらに安全に支障なしに短縮できる余裕がないかどうか、そういうことも調べて早く結論を出さねばならぬではないかと考えているわけであります。そういうことも早急にいろいろ検討いたしました上でまたいろいろの考えを立てていかねばならぬじゃないか、さしあたっては、いま申し上げたように思っております。
  106. 武田康

    ○武田政府委員 まず、現在の稼働率の状況でございますけれども先ほど先生指摘になりましたように、従来の一番悪かった記録が昭和五十年度の時間稼働率にいたしまして約四八%でございました。五十二年度の一月末までの実績をちょっと下回っている状況でございまして、まだ三月いっぱい残っておりますけれども、まあ五十年度と同程度あるいはちょっと下回るかもしれないし、これは何分運転の状況次第によるものでございまして断定できませんけれども、御指摘のとおりの状況でございます。  その最大の理由は、定期検査の過程でいろいろ調べまして、これはもちろん一年使いますといろいろなところにがたが出てまいります。こういったものを手直しをするというような作業が予想よりも長引いたということが要因でございます。そういうことでございますが、そういう手直しは逐次進行いたしております。  それからまた、先生承知のとおりなのでございますけれども、比較的稼働率のいい発電所は順調に動いているものもございます。中には長くとまっているものもございます。そういうので、成績だけで言いますといい発電所、悪い発電所がございます。悪い発電所についての手直しが進行いたしますと、これは平均としての稼働率も今後上がっていくものと考えているわけでございます。  また、長期的な対策といたしまして、改良標準化という作業をこの二、三年来進めておりまして、第一次的な成果が出て、これからアプライしていくということでございますので、これもあわせまして、将来長期にわたりましては、従来目標といたしておりました年間七〇%というのは無理かもしれませんけれども、六〇%台になっていくものと私ども考えているわけでございます。  先ほど昭和六十年の三千三百万の努力目標はどうなのかというお話でございましたが、私どもといたしましては、現在までに電調審を通っております二千二百万キロワットに加えまして千百万キロワットの開発をしなければいけないわけでございます。それで現在、電気事業者でも施設計画の検討を進めている段階でございまして、新聞にはいろいろ予測なり新聞としての御判断の記事等が出ているようでございますけれども、私どもも電気事業者もあの努力目標を達成すべく最大限の努力をしたい、こう考えているところでございます。ただ、現実の立地問題は当該地域の御理解と御協力がなければできませんし、また国全体としてのコンセンサスのもとで当該地域の御理解、御協力をいただかなければいけないわけでございまして、そういったことに全力を挙げて努力目標を達成すべく鋭意努力をしたい、また努力をいたしているところでございます。
  107. 村山喜一

    村山(喜)分科員 長官、原発の稼働率の成績のいいところは設置して間もない新しいものですね、それは故障が起こる率は少ないに決まっているのですから。ところが、過去においては優等生と言われたものもこのごろは劣等生になっているのですよ。だから、十四基のうち五基しか稼働しないでおるという状態は、これはやはり欠陥炉であるということを指摘せざるを得ないわけです。欠陥炉ですよ。指数から見たら、ことしは最低の稼働率になるだろうという見通しだと聞いておる。いま通産省の武田審議官は非常に楽観的なことを言われるのだけれども、事実問題としてはそういうような状況であればあるほど住民の不安というものはなかなか解消しませんから、これは、そういうような立地の上においても支障が出てきているということは長官もお認めのとおりですよね。そういうような点から考えますと、どうもやはり怪しいのではないだろうか、私は、原発建設の見通しには狂いが出てきている、こういうことを指摘しておきたいと思うのです。そこで、きょうお尋ねをいたしますのは、第一に、私が昨年の十二月二十七日に「川内原子力発電所にかかわる安全審査に関する質問主意書」というものを議長に提出をいたしました。五十三年一月二十四日に内閣総理大臣から議長あてに「答弁書」が送られてきたわけでございますが、この「答弁書」の内容については、所管の大臣であります科学技術庁長官が責任を持っていただけますか、責任の持てる範囲はどこまででございますか、その点をお伺いします。
  108. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 もちろん責任は持ちますが、もう少し詳しいことにつきましては政府委員から答弁させます。
  109. 村山喜一

    村山(喜)分科員 それだけ長官に聞いておけばいいんです。  私が第二点としてお尋ねをしますのは、安全審査についてでございます。これは五十二年十二月三日に原子炉安全専門審査会は原子力委員会の委員長である熊谷委員長に、審査の結果、川内原子炉の設置にかかる安全性は十分確保できるものと認める旨を報告した。そして、十二日、原子力委員会は答申を決定して、内閣総理大臣が設置許可を十七日に与えている。そこで、この安全審査についても、あなたは原子力委員長という立場でその内容については責任をお持ちになりますね。その点だけで結構です。
  110. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 仰せのとおり、責任を持ちます。
  111. 村山喜一

    村山(喜)分科員 そこで、これからの内容は、詳細にわたる点でございますから、長官では十分にお答えがいただけないかと思いますが、安全局長にお尋ねをいたします。  私に対する答弁の第一ページでございますが、いわゆる秩父帯というその地帯構造の帯の問題でございます。これを読んでまいりますと、「いずれに属するものであるかについては、化石による地質年代の検討の外、岩質、層序、地質構造などについての地質学的検討の結果、総合的に判断されるものである。」こういうふうに書いてございますね。  そこで、私はお尋ねをするのですが、この帯というのは地質構造上の同一の特徴を持った地域のうち、帯状に細長く伸びる構造区を言うんだというふうに考えるわけです。その構造区に同一の地質構造または構造発達史で特徴づけられる区域である。こういう立場から検討をしてまいりますると、帯の区分というのは構造線の位置で南北に分けてそこで決めるというのが、これは地質構造上の決め手になるんだというふうにわれわれは考えておりました。ところが、化石による地質年代の検討ということになりますと、これは生層位学、それから岩質、層序ということになると層序学それに地質構造。こういうようなものを、生層位学と地質学的検討とを加えて総合的に判断をする、こういうとらえ方というものが一体正しいんだろうか。中央構造線で内外の帯に分けまして、中央構造線から北の方に領家帯かある、南の方に三波川帯がある、御荷鉾構造線の次には秩父帯がある、そしてその次には、仏像−糸川構造線の次に四万十帯がある、こういう地質学上の分類というものを、これは総合的にあなた方は判断をして、そういう決め方をされるんですか。この点についてお答えをいただきたいのです。
  112. 牧村信之

    ○牧村政府委員 ただいま先生、帯についての御質問でございますけれども、この川内の原子力発電所がございますところに仏像線というのが周辺にあるわけでございますが、この仏像線の仕分けといたしまして、一方が秩父帯、一方が四万十帯という学説をとっておるわけでございます。  先ほど、帯とはどういうものであるかということでございますけれども、答弁の方で化石だけで年代を決めてそれで決めてしまうということではございませんで、審査会の方、先生方といたしましては、いろいろな学者の方が研究をされた文献等を参照いたしながら、その化石等の地質年代を含め、そのほかに岩質であるとか層序であるとか、その地質の構造というような地質学的な検討を踏まえて、このサイトがございます地帯が秩父帯に属する地層であるというふうに判断したわけでございます。
  113. 村山喜一

    村山(喜)分科員 どうもはっきりしないのですがね。  じゃ、続いて尋ねてまいりますが、敷地内の断層についてです。太田氏の地図によりますと、これは推定断層でありますが、北西から南東の方に走っている。九州電力の古い資料によりますと、南から北に走っている。これは推定断層です。  そこで、審査会は、九電の新しい資料によりまして太田氏の断層と同定をした。九大の橋本教授の推定断層は北東から南西に走っている。三者三様の断層が推定をされておる。そこで審査会は、これは太田氏の断層と同じだということで断定をされたというのですが、そうですか。  そうであるとするならば、その炉心部からの距離は何メートルになりますか。
  114. 牧村信之

    ○牧村政府委員 確かに先生おっしゃられました断層の走り方でございますけれども、これは北西から南東に走った走り方をいたしております。それでもう一方、他の学者では逆のあれがあるわけでございますが、審査会といたしましては、九州電力が行いました地表調査あるいはトレンチ調査を踏まえまして、その結果を確認いたしまして、ただいま私が申し上げましたような走り方をしておるというふうに判断しております。  それから、炉心からどのくらいの距離であるかという御質問でございますが、約五百メートルのところにこの断層は走っております。
  115. 村山喜一

    村山(喜)分科員 五百ですか、三百じゃありませんか。
  116. 牧村信之

    ○牧村政府委員 ただいま私、五百と申し上げましたのは、炉心から北東部の方角で五百、それから東側に参りますとその距離がずっと縮まりまして三百近くということになるそうでございます。
  117. 村山喜一

    村山(喜)分科員 長官、炉心部の敷地内の断層が、近いところでは炉心部から三百メートルしか離れていないところに川内原子力の一号炉が建設をされるのだということを長官は御承知の上で、これについては安全上差し支えないということで判断をされたのですか、その点だけお聞かせください。——いや、私は長官に聞いているのです。
  118. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 私は、率直に言いまして、一応、炉は見ましたけれども、その点で審査会の答申を信頼するというたてまえでおりますので、その点も差し支えないと考えたわけでございます。
  119. 村山喜一

    村山(喜)分科員 安全審査会の審査報告を見ますと、それは距離は書いてありましたか、安全局長
  120. 牧村信之

    ○牧村政府委員 距離が申請書に書いてあるかどうかにつきましては、私、確認しておりませんが、詳細な地図がございますので、当然それは判定できるわけでございます。
  121. 村山喜一

    村山(喜)分科員 書いてないのです。時間がありませんから、この点は指摘だけしておきます。次に、工業技術院長がお見えでございます。お尋ねをしておきますが、これは私が取り上げて、当時の地質調査所長の小林さんがこれを変える意思はないんだということであったのを、今度の安全審査会は小林所長の見解をひっくり返して、そして安全審査を通して、結論を仏像線の位置等については反対の意見を出してパスさしているわけですから、そういうような意味においてお尋ねをいたすわけです。  政府回答書の十一、これについては工業技術院長は責任を持っていただけますか。
  122. 窪田雅男

    ○窪田政府委員 お答えいたします。責任を持つことができます。
  123. 村山喜一

    村山(喜)分科員 お尋ねしますが、現在は五万分の一の地質図幅がありますね。そこで、この文書を見てみると、百万分の一の地質図を編さん作業中である。編さん作業中ですから検討はいいと思うのですが、「調査検討」と書いてありますから、いつ、だれが調査に行かれたのですか、そのための予算はどれだけあったのですか、それが第一点。まだあるのですからよく聞いておってください。新しい五万分の一の地図はあるのかないのか、これが第二点。それから、地質調査所のシステムをあなたは御存じでしょうか。というのは、あなたは工業技術院の院長さんですから、直接的に業務にタッチしていらっしゃらないわけです。その地質調査所のシステムというのは、決定的な誤りがない限り変えられないというシステム、当事者の納得がない限り変えられないということ、そういうシステムがあるわけですね。それから百万分の一の地図をつくるというのは、これは部屋の中で作業するという作業内容じゃありませんか。だから、地質調査所が以前にやったところはやらないという原則がシステムになっておるとわれわれは聞いておる。そうなると、「秩父帯に属するとすることがより適切であるとみられるデータも得ており、」本当に得ているんだろうか、ますます疑いが濃くなるわけであります。  そこで、私が五十一年の六月質問いたしましたときには、これは当時川内川をはさんで南岸の久見崎地区は四万十層群だ、北岸の月屋山地区は秩父古生層が分布するという従来の見解を変更する理由はないというふうに答弁をされている。この答弁が事実であるとするならば、仏像線の位置というものは甑島との間の海中にある。それがないことを確認したという証拠がない限りこれは証明になりませんよ。ですから、いま私が申し上げた点についてお答えができますか。
  124. 窪田雅男

    ○窪田政府委員 お答えいたします。  まず、原子力安全専門審査会は、この久見崎地区の地層につきまして、申請書及び同添付書類に基づきまして所要の審査、検討及び現地調査を行いました結果、昭和五十二年十二月三日に「同層は秩父帯に属するものと判断する」という結論を出したということは伺っております。地質調査所におきましては、昭和四十七年以来進めております百万分の一の日本地質図の編さん作業の一環といたしまして、久見崎地区付近の地質についても調査検討を行っておりまして、現時点におきましては、久見崎地区の地層につきましては秩父帯に属するとすることがより適切であるという結論を得ております。今後、地質調査所におきましては、この見解に立って百万分の一の日本地質図の編さんを進めることにいたしております。  なお、昭和五十一年六月十日の衆議院科学技術振興対策特別委員会におきまする先生の御質問に対しまして、当時の地質調査所長でございました小林勇氏が、いまのところ私どもは五万分の一の地質図幅にかいておりますように川内川の北側は古生層、南側は中生層というふうに思っている旨答えておりますのは、所としての公式見解を変えるような場合にはこれを支持するはっきりしたデータが必要でございまして、それまでは従来の見解によるべきであるという見地に立っていたことによるわけでございます。今般、久見崎地区の砂岩の構成鉱物の量比についてのデータが得られたことなどによりまして、従来の見解と異なる結論を得たものでございます。なお、百万分の一の日本地質図の発行は昭和五十三年度中に行う予定でございますが、久見崎地区の砂岩の構成鉱物の量比についてのデータにつきましては、研究成果の一つとしてなるべく早い機会に公表したいと考えております。なお、秩父帯に属すると見ることがより適切であると見られるデータも得ておるということでございますが、これにつきましては、このデータは、久見崎層の砂岩につきまして合わせて十個のサンプルにつきましてその構成鉱物の量比を測定した結果得られたものでございます。このデータによりますと、久見崎層の構成鉱物量比は、四万十帯に属する白亜紀砂岩のものに比べまして次のような相違点が認められるわけでございまして、第一に基質の量が少ない、七%ないし一二%程度である。それから第二に、岩片の多いものを除きますと、石英に富んでおりまして、長石が少ない、その他二、三の点がございます。  なお、その他の点につきましては、研究業務課長の方から……。
  125. 村山喜一

    村山(喜)分科員 もうよろしい。後で資料を出してください。委員長に要請をしておきますが、いま読み上げられたものを資料としてお出しいただきたいと思うのですが、いいですね。
  126. 窪田雅男

    ○窪田政府委員 わかりました。
  127. 村山喜一

    村山(喜)分科員 そこで長官、国会の場で私が科学技術委員会で問いただしたことが、この安全審査をめぐりまして、その当時五十一年六月には明らかに地質上従来の地質図幅に基づくものが間違いない、そのうちに安全審査が進んでまいりまして結論が出るころには、全然違ったものになっていく。こういう形の中から、それらの証拠も十分に示されない。しかも、さっき長官もいみじくもおっしゃったように、安全審査の報告書を見ましても、断層のところが炉心部から三百メートルなどという数字も書いてない。現地の住民はそういうことを心配するわけですよ。だから、安全の確認なくして建設なしというのが基本的な考え方でなければならない、私はそう思うのです。残念なことには、きょうは十分な時間の余裕がございませんが、この点についてはさらに問題を詰めてまいりたいと考えておりますので、長官もぜひそういう立場から——最近は通産省がエネルギー危機だということで粉飾加算までするような姿勢でやっていることも事実です。それで、科学技術庁は少なくとも科学技術の立場で対処してもらわなければ、そういう政治的な風によってぐらついていくようなかっこうでは、ますます原子力に対する国民の信頼は裏切られる結果になると私は思うのです。  そういう点で、この川内原子炉安全審査の問題だけではなしに、今後の原子力行政の中で十分に御留意願いたいということを最後に長官に要請をいたしまして、私の質問を終わります。
  128. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 お話しするまでもなく、原子力発電所につきましては、何といいましても安全性が第一でございますから、御趣旨を踏まえまして、今後とも安全性の確認ということに十分努めてまいりたい、このように考えております。
  129. 谷川寛三

    谷川主査代理 以上で村山君の質疑は終わりました。  これにて総理府所管中、科学技術庁に関する事項についての質疑は終了いたしました。  午後零時三十分から再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時十二分休憩      ————◇—————     午後零時三十分開議
  130. 谷川寛三

    谷川主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。国会所管について審査を進めます。まず、衆議院関係予算の説明を求めます。大久保衆議院事務総長
  131. 大久保孟

    ○大久保事務総長 昭和五十三年度衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和五十三年度国会所管衆議院関係の歳出予算要求額は、三百四十九億三千四百二十一万一千円でありまして、これを前年度予算額三百二十一億四千六百五十二万八千円に比較いたしますと、二十七億八千七百六十八万三千円の増加となっております。  次に、その概要を御説明申し上げます。  第一は、国会の運営に必要な経費でありまして、三百十八億三千三百九十四万円を計上いたしております。この経費は、議員及び委員会関係の諸経費、職員の人件費並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し二十二億二千百十九万三千円の増加となっておりますが、増加したものの主なものは、議員文書通信交通費の月額五十五万円を六十五万円に増額計上したほか、海外派遣に必要な経費、招へい外国人滞在費、議案類印刷費及び通信費等の増加と、議員第二秘書の給料月額を秘書官二号俸相当額から三号俸相当額への引き上げでございます。  第二は、本院の施設整備に必要な経費といたしまして、三十億九千三百二十七万一千円を計上いたしております。このうち主なものは、五十四年夏完成予定の事務局庁舎の新営費二十二億五千二百七十五万六千円のほか、この新庁舎に設置いたします電話交換設備費二億一千五百三十四万円、港区高輪に地上九階地下一階戸数七十六戸の議員宿舎を五十五年度完成を目途として建築しようとする新営費一億七千六百五十三万四千円、国会周辺等整備に必要な土地購入費一億五千万円等であります。  第三は、国会予備金に必要な経費といたしまして、前年度同額の七百万円を計上いたしております。  以上、簡単でありますが、衆議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  132. 谷川寛三

    谷川主査代理 次に、参議院関係予算の説明を求めます。前川参議院事務次長
  133. 前川清

    ○前川参議院事務次長 昭和五十三年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和五十三年度国会所管参議院関係の歳出予算要求額は、百八十八億四千六十五万八千円でありまして、これを前年度予算額百七十九億一千八百八十九万二千円に比較いたしますと、九億二千百七十六万六千円の増加となっております。  次に、その概略を御説明申し上げますと、第一は、国会の運営に必要な経費でありまして、百八十四億二千九百九十九万九千円を計上いたしております。  この経費は、議員及び委員会関係の諸経費、職員の人件費並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し、九億五千二十二万八千円の増加となっておりますが、増加したものの主なものは、議員文書通信交通費の月額五十五万円を六十五万円に増額計上したほか、海外派遣に必要な経費、招へい外国人滞在費、議案類印刷費及び通信費等の増加と、議員第二秘書の給料月額を秘書官二号俸相当額から三号俸相当額への引き上げでございます。  第二は、本院の施設整備に必要な経費といたしまして、四億五百六十五万九千円を計上いたしております。このうち主なものは、分館理事会室増設費その他でございます。第三は、国会予備金に必要な経費といたしまして、前年度同額の五百万円を計上いたしております。  以上、簡単でありますが、参議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  134. 谷川寛三

    谷川主査代理 次に、国立国会図書館関係予算の説明を求めます。岸田国立国会図書館長。
  135. 岸田實

    ○岸田国立国会図書館長 昭和五十三年度国立国会図書館関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和五十三年度国会所管国立国会図書館関係の歳出予算要求額は、六十一億三千八百二十二万二千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、五億九千一百十一万一千円の増加となっております。  次に、その概要を御説明申し上げますと、第一は、国立国会図書館の管理運営に必要な経費でございまして、五十八億七千七百三十八万円を計上いたしております。  増加いたしましたものの主なものを申し上げますと、職員の給与に関する経費、立法調査業務を充実するための経費、図書館資料の購入に要する経費、機械編さんによる基本的書誌の刊行に要する経費、米国の日本占領関係資料の収集に要する経費、国立国会図書館創立三十周年記念事業に要する経費、別館建設計画の調査に要する経費、その他でございます。  第二は、科学技術関係資料購入に必要な経費でありまして、二億三千九百五十六万九千円を計上いたしております。  第三は、国立国会図書館の施設整備に要する経費でございまして、二千一百二十七万三千円を計上いたしております。これは、図書館資料の増加に伴う特殊書架の増設等に要する経費でございます。  以上、簡単でございますが、国立国会図書館関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  136. 谷川寛三

    谷川主査代理 次に、裁判官弾劾裁判関係予算の説明を求めます。西村裁判官弾劾裁判所事務局長
  137. 西村健一

    ○西村裁判官弾劾裁判所参事 昭和五十三年度裁判官弾劾裁判関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和五十三年度国会所管裁判官弾劾裁判関係の歳出予算要求額は、六千六百十九万七千円でありまして、これを前年度予算額五千九百九十四万八千円に比較いたしますと、六百二十四万九千円の増加となっております。  この要求額は、裁判官弾劾裁判所における裁判長の職務雑費、委員旅費及び事務局職員の給与に関する経費、事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官の弾劾裁判に直接必要な旅費庁費でありまして、前年度に比べて増加となっておりますもののうち、主なものは、職員給与関係経費の増加によるものであります。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  138. 谷川寛三

    谷川主査代理 次に、裁判官訴追委員関係予算の説明を求めます。山崎裁判官訴追委員会事務局長
  139. 山崎宏八

    ○山崎裁判官訴追委員会参事 昭和五十三年度裁判官訴追委員関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和五十三年度国会所管裁判官訴追委員関係の歳出予算要求額は、七千六百四万五千円でありまして、これを前年度予算額六千九百五十五万七千円に比較いたしますと、六百四十八万八千円の増加となっております。  この要求額は、裁判官訴追委員会における委員長の職務雑費及び事務局職員の給与に関する経費並びに訴追事案の審査に要する旅費その他の事務費でありまして、前年度に比し増加となっておりますもののうち主なものは、職員給与関係経費の増加によるものであります。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  140. 谷川寛三

    谷川主査代理 以上で説明は終わりました。     —————————————
  141. 谷川寛三

    谷川主査代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高沢寅男君。
  142. 高沢寅男

    高沢分科員 私は、ただいま御説明のありました国会関係予算に関して、その中で衆議院の職員の待遇の問題、幾つかありますけれども、中でもまた級別定数の問題について衆議院事務総長にお尋ねをいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。  終戦後、帝国議会から国会となり、本会議中心から委員会中心に変わりまして、それに伴い機構も拡充され、常任委員会制度もしかれて三十年たちました。  現在、衆議院では千八百名弱の職員が勤務しておりますが、昭和二十三年から二十七、八年の機構の拡充に伴って採用された職員がちょうど中堅以上になって、それぞれの分野で重要な役割りを果たしています。戦後の機構の拡充に伴って人員がふえたのは他の行政官庁も同様でありますが、国会が他の省庁と大きく違う点は、他の省庁においてはそれぞれの出先があり、あるいは外郭団体があって、この急増の職員の部分もそれぞれに吸収されていっているのであります。ところが、国会の場合は、採用から退職まで一生の大半をここで過ごし、他へ転出するポストもありません。したがいまして、必然的に職員の年齢構成も高くなるし、高位号給に滞留することも当然であります。国会には行(一)、行(二)、速記、議警の四表がありますが、それぞれ級別定数によって頭打ち状態がひどく、これは大きな問題となっております。事務総長もこの点の特殊性を考慮されて、五十三年度の予算においても上位等級の定数拡大に努力されたことは私も認めます。しかし、行き詰まりのひどい現状からすれば、まだまだ十分ではありません。  そこで、行(一)表では課長職が一等級にランクアップされているところから、課長補佐職の二等級定数の拡大を図るとともに、三、四等級にもそれを及ぼすべきだと思います。現在三等級で間差ダウンを来す十五号から十九号までに四十二名の人、四等級でも技術職を除いて三十二名という多数の人が滞留しています。これらの人たちが将来に対する明るい希望を持って職務に専念できるように早急にこのところを改善すべきだと思いますが、総長の見解はいかがでしょうか。
  143. 大久保孟

    ○大久保事務総長 お答え申し上げます。  先ほど先生から御指摘ありましたとおり、国会の職場は特殊な勤務でございます。それと同時に、他の省庁のように転出する機会がございませんので、どうしても息の長い職場になっております。ただ、一面また職制の壁がございまして、現実には昭和二十二年から二十五年にかけて事務局を非常に拡大した時期の方が、確かにある意味において高位号俸でとまっておるというのも事実でございます。これはもう数年来の現象でございまして、われわれといたしましてはこれを何とか打開しなければならぬということで、例年級別定数の拡大については非常な努力を重ねております。  今年度につきましても、先生御存じと思いますが、二等級並びに三等級につきましてかなりの定数是正を行っておりますが、先ほど先生の御趣旨を体しまして、現実の運用に当たりましては十分に手当てしたいと思っております。
  144. 高沢寅男

    高沢分科員 ぜひその方向で御努力願いたいと思います。  次に、それぞれまた具体的な問題でお尋ねをいたしたいと思います。  行(二)職表の問題であります。当局が初任給の有利さを強調されることは理解できます。しかし、行(一)移行後、昇給間差の悪い二けた号給ばかりを歩かされて、第二双子から三つ子のところまで行ってやっと上位等級に昇格するという現状がございます。しかも、やっと昇格しても、またもや二けた号給に突っ込んでしまうという実態であります。この傾向は特に用務員に顕著であります。これは行(二)五等級で採用されてから、ひどい場合は十二年、普通の場合でも九年から十年も行(二)表に置かれて、それからやっと行(一)の七等級に昇格するといういまの方式の結果であります。この行(二)表在級期間をもう少し短縮できないものか、また行(一)移行後いろいろ運用面で考慮されていることは私も承知しておりますが、引き続き総長のこうした運用面における御努力をお願いしたいと思うわけですが、お考えはいかがでしょうか。
  145. 大久保孟

    ○大久保事務総長 お答えいたします。  行(一)職の中で、特に先生指摘のように、用務員につきまして行(一)移行がおそくなっておるというお話でございます。ただ、先生御存じと思いますが、用務職を採用する場合にどうしても行(二)職で採らざるを得ない。それにつきましては一応基準がございまして、一応行(二)の五等級という採用になっております。そこで、毎年少しずつ改善しておるわけでございますが、なかなか一般職のようなわけにいかないということも事実でございまして、今後はその点を少しでも短縮できるように努力していきたい、こう考えております。
  146. 高沢寅男

    高沢分科員 次に、同じく行(二)から行(一)へ移行する職種の自動車課の運転者の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  ここは行(一)移行後の運用に問題があるんだと思います。七等級に移行後、在級年数に関係なく七の十四号まで歩かされて、さらに六等級に昇格しても六の十四号まで行って、それから五等級に昇格、こういうふうに二けた号給で、いずれもそれは昇給の間差の悪いところばかりを歩かされている、こういう実態であります。この不利益を救済するには六、七等級の在級年数を短縮する、それと同時に双子号給にぶつかる以前に上位の等級へ昇格させる、こういうやり方が必要ではないでしょうか。そうでないと、五等級の昇格がおくれているため、五等級に昇格してもまたすぐ間差ダウンの号給に達し、現在、在級者の七一%の人は間差ダウンのところにいる、こういう実態であります。  五十三年度の予算では技術職の四等級に十名の増加がありました。これは非常な前向きの前進ではございますが、この分を全部運転者に回しても明年度に三つ子昇格予定者が残留している実態で走ります。運用面の活用も含めて大幅な四等級昇格を図っていただきたいということが私の希望でありますが、総長の御見解をお尋ねしたいと思います。
  147. 大久保孟

    ○大久保事務総長 お答え申し上げます。  運転手さんにつきましては、行(二)職から行(一)職への移行が非常に早く実施されております。そういう意味でもございませんが、移行した場合にどうしても高い号俸に行くというのは、初任給の有利さをそのまま引き継いでいるという現実に矛盾した形になっておりますが、そういう意味におきまして、行(一)五等級に行きましてからどうしても二けた号俸に行くということも事実でございます。ただ、すぐ五から四というわけには、これは基準がございましていきませんものですから、その点は毎年苦労しながら少しずつ上位定数、たとえば四等級定数の拡大には努めております。今年度も先生指摘のように、十名とらしていただいたわけでございますが、その十名を含めまして今年度の実行は不満がないような形でやりたいと考えております。
  148. 高沢寅男

    高沢分科員 その四等級の問題ですけれども、いま四等級に在級の人がどうかといえば、これもまた四等級の高位号給者のほとんどはもう三十年間この道一筋に精励している人たちで、しかも高齢というだけの理由で昇給延伸になっている実態があります。これを解決するには、今度は三等級の昇格を実現する、これしか道がないわけであります。  この三等級昇格については、五十三年度の予算ではまだ具体的な内容は明らかではありませんが、当然何らかの要求が大蔵省に対してなされて、それに対する大蔵省の回答があったものと思われますが、この具体的な内容をひとつお聞きをいたしたいと思います。  ともかく、現在の詰まっているところをどうやって出口をあけるかということが問題でありまして、昨年のこの分科会でも私お尋ねいたしましたが、総長から、専門職定数も含めて運用面でひとつ打開を図っていきたいと、こういうお答えがありましたけれども、本年もひとつ、どうやってこの運転者の三等級昇格要求を解決していくのか、さっきの大蔵省からの答えも含めてひとつ御説明をいただきながら、総長のお考えをお聞きしたい、こう考えます。
  149. 大久保孟

    ○大久保事務総長 お答えいたします。  運転手さんの処遇につきまして、三等級昇格というのは非常に困難な面がございます。もちろんわれわれとしましては、三等級本定数要求はしておりますが、そこにいまネックがございまして、なかなか実現しにくいというのが現状でございます。予算的には定数はふえておりませんが、昨年度につきましては、専門職定数というものを活用いたしまして、現実にいま解決したわけでございますが、ことしにつきましても、そういうことを含めましてやっていきたい、こういうように考えております。
  150. 高沢寅男

    高沢分科員 次に、速記の職員の待遇の問題であります。  近年、一般職においては、人事院に向けていわゆるランクアップの要求も出し、また上位等級の定数増の措置もなされてきております。この衆議院におきましても、行政職ではそれに見合った措置がとられております。ところが、速記職においては、ここ数年努力はされておりますが、まだまだ実態は立ちおくれておりまして、いまだに大きな行き詰まりを解消できない実態にあります。  そこで、五十三年度の予算を見ますと、行(一)二等級への定数移行が一名認められたにすぎない、こういう状態でありまして、速記職の上位等級の級別定数は四十六年からずっと据え置きのままであります。このため、特に速記職一等級への昇格については、昇格基準に達している人が十四名もいる現状で、しかしこの昇格難はきわめて厳しい状態にあります。職場の中核ともなるべき層が速記職二等級上位号給に滞留している、そして非常な不利をこうむっている、そのためにかなり不満もうっせきしているというふうに私も聞いております。この際、行(一)二等級定数の及び速記職一等級定数の大幅な拡大を図り、有資格者がスムーズに昇格できるというようにすべきではないかと思います。総長のお考えをお聞きしたいと思います。
  151. 大久保孟

    ○大久保事務総長 お答え申し上げます。  速記職につきましては、確かに定数上は行(一)二等級適用一名増だけでございますが、この点につきましては、例年非常な苦労をしながら定数増を考えております。一つは、暫定定数の運用でございます。先生も御承知と思いますが、速記の一等級監督につきましても、暫定行(一)二等級適用、あるいは速記副監督につきましても、二等級と一等級暫定適用、それを漸次改善しまして現在まで来ておるわけでございます。この点につきましては、今年度もこれからのこともございますので、漸次改善していきたいと考えております。
  152. 高沢寅男

    高沢分科員 次に、議警職表についてお伺いをいたします。  ここも速記職表と同様に、行(一)表のランクアップに対応する措置を強く要求されている職場であります。その具体策としては、衛視長昇任と同時に特一等級に格づけをして、また二等級上位の頭打ちを解消する、そのためにも、一等級の副長課長補佐は特一等級に暫定移行の道を開くべきだと思いますが、この点はいかがでしょうか。
  153. 大久保孟

    ○大久保事務総長 お答え申し上げます。  議院警察職につきましても、その点がいつもネックになっておりまして、問題になっております。ただ、衛視長の中で特一等級というのは、特に困難な業務を担当する職ということになっておりますので、衛視長就任と同時に特一等級というのはなかなかむずかしい面がございます。現実の職員構成を見ますと、衛視長でもうほとんど特一等級以上になっておりますので、この点は御指摘されたと思いますが、衛視長になってすぐということはなかなかむずかしい面もございますが、今年度におきましては行(一)二等級の定数に若干の欠もございますし、その点も含めまして不満がないような形で運営していきたい、こういうように考えております。
  154. 高沢寅男

    高沢分科員 次に、私は女子の昇格促進の問題についてお聞きをしたいのでありますが、その前提として、総長のいわば一般論としての見解をひとつお聞きしたいことがあるわけであります。  一九七五年の国連の国際婦人年に際して開催されました世界婦人大会において、世界婦人行動計画が採択され、それを受けて各国政府あるいは団体がこれを具体化するような呼びかけが行われたのであります。同年の六月、わが国の衆参本会議においても、「国際婦人年にあたり、婦人の社会的地位の向上をはかる決議」というものが採択をされております。これらを受けて政府も総理府に、婦人問題企画推進本部を設けて、昨年の二月に日本政府としての国内行動計画を発表されております。この国内行動計画は、多くの問題点を含んではいますが、婦人の地位向上の基本路線と憲法に保障する男女平等のあらゆる分野での確立を目指す、そういう趣旨に基づくことは、これは明らかであります。一現在、衆議院に働く婦人の職員は三百四十八名あるわけでありますが、総長は、これからこうした婦人問題の行動計画の基本理念を実現する、具体化する、こういう責務を本院においてお持ちの立場でありますけれども、このことについて、まず、総論的に総長の御見解をお尋ねしたい、こう思うわけであります。
  155. 大久保孟

    ○大久保事務総長 お答え申し上げます。  その国内行動計画に掲げてあります基本理念、男女平等並びに婦人の地位向上ということにつきましては、当然尊重していかなければならないものと考えております。
  156. 高沢寅男

    高沢分科員 そこで、その具体化の問題に移るわけでありますが、ここ数年行(一)表適用の女子職員の昇格について、一定の改善は見られております。しかし、現在もなお、採用当初から同資格であっても、女子であるがゆえに補助的職域に制限される、その能力発揮の場が十分に与えられていないという実態あります。このため、職階制的な構成をとっている現在の俸給表では、上位等級への昇格が男子に比べてやはり女子の場合は不利になっております。一方、結婚、出産を経て働き続ける、職業人として自立を目指す、そういう女子職員も少なくありません。旧来の男女分業的な職場配置から一歩進んで、意欲ある女子職員には能力発揮のチャンスを積極的に与え、昇任昇格の促進を図るべきだと思いますが、総長のお考えはいかがでしょうか。
  157. 大久保孟

    ○大久保事務総長 お答え申し上げます。  全職場を平均的に見ますと、確かに若干の差があることも事実でございます。ただ、数年来できるだけ昇格昇給につきましては差がないようにというように運営してまいっております。今年度におきましても引き続きそのつもりでやっていきたいと考えております。
  158. 高沢寅男

    高沢分科員 具体例として、行(一)表女子職員の六等級から五等級への昇格実態を見ると、男子の職員では通し号俸的に運用されているのに対して、女子の場合はかなりのおくれが見られます。職務内容的に言っても、差があるとは言えない段階でこの差があるわけでありますから、これは早急に改善すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  159. 大久保孟

    ○大久保事務総長 お答え申し上げます。  六等級から五等級への昇格につきましては、一応定数的には確保しております。また女子職員につきましては、一応主任制度というのがございまして、それは当然五等級でございますが、それを活用いたしまして、男女の区別のないような形で運営してまいりたいと考えております。
  160. 高沢寅男

    高沢分科員 私、きょうは職員定数の問題について各分野でもってお尋ねをいたしましたが、昨年も同じ問題でお尋ねをして、昨年からことしへは、先ほど申しましたように、前進は見られますが、ただ滞留している実態から見ればまだまだ不十分である、こういう状態であります。したがいまして、これは五十三年度の予算でありますが、さらに今後、来年にかけ、また再来年にかけてこの問題の解決にさらに格段の御努力をお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  161. 谷川寛三

    谷川主査代理 以上で高沢君の質疑は終わりました。  次に、山口鶴男君。
  162. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 今度の国会関係予算を拝見いたしました。昨年度とどのくらい伸びているかを調べてみたのですが、衆議院の場合は事務別館とか宿舎等のいわば投資的経費もありますから一一・八%伸びている。参議院はそういった投資的経費の関係でしょうか、八・二%。国会図書館は一二・二%。国会予算全体として一〇・七%の伸びですね。しかるに、国の一般会計は一体どうか。全体で二〇・三%の伸びだと承知をいたしておりますが、そのうち経常経費と投資的経費を分けてみますと、経常経費は一七・四%、それから公共投資を通じて景気浮揚を図るということなんでしょう、公共事業費は三四・五%伸びたというような関係もあって、投資的経費が三一・七%という数字ですね。国会の方は経常経費に類する経費だ、こういうふうに言われるのかもしれませんが、衆議院二・八%、国の一般会計の経常経費の一七・四%の伸びに比べてもはるかに低い伸び率じゃありませんか。しかも、衆議院の場合、先ほど言ったように、事務別館その他投資的経費に類する経費もあってのことなんですから、そうなりますと、なおその隔たりは大きい、こう見なければならぬと思うのですね。少なくとも国会は国権の最高機関でしょう。国の一般会計の伸び率よりも国会の伸び率がいつも下ということでは、国政全般の中で国権の最高機関たる国会はいつも地盤沈下している、こういうことになるのじゃありませんか。それに対して政務次官の御感想を承りましょう。
  163. 稲村利幸

    ○稲村政府委員 山口先生のいまの御意見でございますが、国会が国権の最高機関であることは、もうこれは憲法で認めているとおりで、例年国会の要求に対しては十分意を尽くして予算編成に当たっている。それと一その年その年による経済事情、財政事情等によって、たとえばことしは景気浮揚というスローガンを掲げた。また、社会保障ということで行政部門の経費が、予算手当てが少なくなっていることは、いま山口先生の触れられた中に入っているとおりでございますが、その年その年のことですので、数字的にはそうですか、十分配慮をして編成している、こう理解をしておるのでございます。
  164. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 そんなことを言っていいのですかね。この問題は後でまた財政法の条文を挙げて私は議論したいと思います。とにかく一般会計の伸び率の二〇・三%よりもはるかに低い、投資的経費を除いた経常経費の伸び率よりも低い、こういうことは問題じゃないかということを私はまず申し上げておきたいと思います。  そこで、具体的に国会予算の中身について申し上げたいと思うのですが、ロッキード問題が起きまして国民の間からいろいろな国会に対する声というものが寄せられたと思いますが、その中で、やはりアメリカのチャーチ委員会等の活動に比べてわが国会はこれらの問題を究明するのにどうも力が弱いのではないか、アメリカはあれだけの証人喚問をやり、具体的な事実を次々と摘発しておるのに、日本の国会の追及は弱いのではないか、こういう国民からの御批判がございました。私どもは素直にこのような御批判には耳を傾けなければならぬと思っております。  事情はいろいろありましょう。わが国が証人喚問というものの扱い方に習熟をしていないという点が一つあるかと思います。それは大体自由民主党が野党の証人喚問をいつも拒否してきたからそうなったのであって、責任の大半は与党自民党にある、私はかように考えておりますが、いま一つ問題は、アメリカの場合は、そういった特別な調査の必要がある事態が起きると、日本の国会の議院運営委員会に当たる委員会で議論をいたしまして、それではチャーチ委員会には幾らこの予算をつけましょう、フレーザー委員会には幾ら予算をつけましょうということをするわけですね。そうして、その予算によって当該の委員会は相当なスタッフを持って、そうして事前の調査というものを徹底的にやる。そうして、それらの調査を徹底的にやった後に、具体的にこの公聴会に証人を呼んで追及をする、こういうことになっているわけですね。  証人喚問について与党がいつも拒否してきたというようなことについては、ここではこれ以上の議論はやめておこうと思います。問題はいま申し上げた仕組みなんですね。こういう点、どうですか事務総長、現在の国会の職員のスタッフをもってしては、アメリカのように国民の期待にこたえて事態を究明する、国民の疑惑を解明していく、こういうことにはきわめて不十分だというふうに私は思いますが、いかがですか。
  165. 大久保孟

    ○大久保事務総長 お答え申し上げます。  いま先生指摘アメリカ議会との比較でございますが、もう御承知のとおり、アメリカ合衆国はいわゆる立法府と行政府が整然と分かれておりまして、立法府は立法府で予算をつくり、調査をする。日本の場合にはどっちかといいますと、イギリス的といいますか、イギリスの議会制度で、政府・与党がやる議院内閣制をとっておりまして、その意味の基本的な差はございます。したがいまして、調査につきましても、おのずからそこに国の政治の形態が違うものですから、差が出てきていると思います。ただ、先生指摘の点につきましては、われわれといたしましては、特別委員会の設置につきましてもその都度必要があれば要求はしております。これが現状でございます。
  166. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 大統領制のアメリカと議院内閣制のわが国の制度の違いは私もよくわかりますし、総長の言われた点は理解できぬわけではないのです。しかし、総長も言われたように、特別委員会をつくればある程度のスタッフは置いていますが、これはアメリカのチャーチ委員会とかフレーザー委員会の状況に比べれば、まさにお粗末と言っては恐縮ですが、非常にさびしい状況であるということは総長もお認めになりますね。こういう点を私はやはり改善していく必要があると思うのです。  それからいま一つ、事務総長も触れられましたが、予算の問題です。確かにアメリカは三権分立が明確になっておりますから、予算についても国会でもってつくる、大統領は予算教書を出して国会が予算の作成に当たる、こういう仕組みの違いは私もわかります。ただ、昨年三千億円の減税を積み上げ、六百三十億だったと思いますが、福祉関係、年金関係予算の修正をいたしました。本来なら私はあれは国会で修正すべきだと思いました。ところが、残念なことに、款項目節、予算書をつくるのには国会のスタッフをもってしてはなかなかむずかしいという事情もあったでしょう、その他の政治的な事情もあったとは思いますが、結果は政府修正、衆議院本会議政府の方から修正の承諾を求める、こういう形で修正が実現をいたしました。私は本来ならば、国会かこれについは修正しようということになれば、国会のスタッフで、ここにおいでの予算委員会の調査室の皆さんと衆議院の法制局あるいはその他の職員の方々が応援するなりして、国会でもって予算の修正案をつくり得る、こういう状態にすることが必要だと思います。そういった仕組みをつくりたいというようなことは、事務総長も衆議院の職員の人たちもみんな思っているのではないかと私は思いますが、いかがでございますか。
  167. 大久保孟

    ○大久保事務総長 お答えいたします。  常任委員会調査室制度ができましてもう三十年でございますか、その間漸次調査機構を拡張しております。この点につきましては、この数年間特に調査室の内部から非常な意欲が出まして、なるべくわれわれの範囲でできることはやりたいということで、調査の能率化それから共同調査、そういった面でやっておりますが、おのずからそこにはスタッフの数の問題もございまして、限界があることは事実でございます。
  168. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 稲村さん、いまのような状態に国会はあるわけですね。これをもっと国権の最高機関たる国会、それにふさわしい形に持っていくということは、お互い議会人として理解し合えるのじゃないでしょうか。そのことをまず申し上げておきたいと思います。先ほどの問題は後で財政法の問題で議論したいと思いますけれども、それはひとつ念頭に置いておいていただきたいと思うのですよ。  それから、あそこに主計局次長がおられると思うのですが、私は国会の予算を審議するときぐらいは分科会に主計局長が出てきてもおかしくないと思うのですよ。当然出るべきだというので私は要求をした。ところが、いや主計局長というのは予算委員会の本委員会にしか出てこないんだから、しかも他の委員会にも出ていかないんだからというようなことを言って、出るのを渋っていました。私はそういう姿勢に問題があると思うのですよ。次長、どう思いますか。
  169. 禿河徹映

    禿河政府委員 私の立場から大変お答えしにくい先生の御意見でございますが、私の個人的なあれといたしましては、主計局長は非常に広範にわたる予算関係を総括いたしておりまして、いろいろ各方面、各省庁その他に関係いたしておりますので、大変恐縮でございますが、至らない私どもでございますけれども、何とぞそれをもって御勘弁願いたいと思っております。
  170. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 各省庁全般の予算で忙しいので国会の予算は余り重視をしないというふうに聞こえますよ、いまの御答弁は。そういうことでは絶対に私は了解できません。このことも後でまた議論しましょう。  次に、図書館長にお尋ねしたいと思うのですが、国会図書館法という法律を拝見いたしましたが、国会図書館法の二十四条あるいは二十四条の二、二十五条等々で、他の図書館とは違って国会図書館には、資料を集める、図書を集めるということについては特別な権限と義務というものが規定されていると思うのですが、その点はいかがですか。
  171. 岸田實

    ○岸田国立国会図書館長 現在、当館におきましては国立国会図書館法によって業務を実施しておるわけでございますが、わが国で刊行されます図書は、納本制度がございまして、これはすべて国会図書館に納本をしなければならないというたてまえになっております。官公庁の発行します政府刊行物につきましても、法律におきましてそういう規定がございます。したがいまして、それは当然納本されるものであり、われわれといたしましては、わが国から発行されますすべての図書を収納する、それに対しまして代償金を支払うというたてまえになっております。片や、外国の文献につきましては、やはり文献的価値ある外国の文献をできるだけ広範囲に取り入れまして、これをわが国の文化、学術の基礎として提供するという責務が法上認められておるわけでございます。外国の図書につきましても最善を尽くしてできるだけのタイトルを集めなければならないという責任があるわけでございます。
  172. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 そういった責任をお持ちの国会図書館、それだけの責務をお持ちの国会図書館の経費として今回の国会図書館の予算というのは、私は決して十分ではないと思います。きわめて不十分だとも思います。参考までにお伺いいたしますが、アメリカの国会図書館、アメリカの場合は議会図書館といっているそうですけれども予算あるいはスタッフ、大体どのくらい規模は違うものですか。
  173. 岸田實

    ○岸田国立国会図書館長 当館が設立される際には、アメリカの議会図書館をモデルにして国立国会図書館法というのはできておるわけでございますが、これはLCと申しておりますけれども、米国の議会図書館の予算、定数と比べますと、簡単に申し上げますが、いまから十五年前の昭和三十八年におきましては、当館の予算額の八・一倍でございました。その後、多少の推移はございますが、昭和五十三年度の予算、当館は六十一億三千八百万円でございますが、それに対しましてアメリカは四百億六千二百万円、六・五倍の予算になっております。十五年前に比べまして若干幅は狭まっておりますが、六・五倍ということでございますから、これは比較にもならないと申す方がよろしいかと思います。  定数について申しますと、十五年前の昭和三十八年には当館が八百五名に対しましてアメリカは三千九十三名、約三・八倍でございます。その後当館にも若干の増員がございましたが、米側は飛躍的に逐年増員を重ねまして、五十三年度に「おきましては当館が八百四十七名のところ、アメリカ側は四千八百二十七名、五・七倍というふうに、いよいよ定数の幅を広げておるわけでございます。
  174. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 大蔵省、お聞きのとおりですね。人口が約一対二、一対二よりもっと近いと思います。一・五倍ですか、人口は。国民所得は一対三ですから、せめてその三分の一くらいになっておかしくないだろうと私は思います。そういう意味では、もっと国会図書館の充実にお互い努力する必要があるなという気がいたします。さてそこで、次官とそれから主計局次長にお尋ねしたいと思うのですが、財政法十七条、十八条、十九条——十六条以下が「第二節予算の作成」です。他の行政官庁の予算の作成と国会の場合は明らかに違った規定があるわけですね。十八条によりますと、内閣は歳入、歳出というものの概算を作成して閣議決定をしなければならぬが、そのような決定をするときには、「国会、裁判所及び会計検査院に係る歳出の概算については、予め衆議院議長、参議院議長、最高裁判所長官及び会計検査院長に対しその決定に関し意見を求めなければならない。」こうなっております。十七条も同じような趣旨で、他の行政官庁とは違った規定をいたしております。第十九条についても同じですね。ですから、国会で予算を要求するときには、一たん議院運営委員会で、意見を付さないでこれを送付することに御異議ありませんかということで一応決めておるわけです。だから、稲村さんが言ったように、国会が送付したものはみんな認めているじゃないか、形式的に言えばそうでしょう。しかし、現実には国会の事務局があらかじめ作成した予算要求を大蔵省に持っていく、そこにおいでの主計官やあるいは主計局次長が勝手な難癖をつけて予算を削る、それが現実ではありませんか。そして私ども野党の議運の理事がけしからぬということを言っても、与党の諸君が私どもの言うことになかなかずばり同意しない、まあまあというところで適当におさめて、そうして形式的には意見を付さないで送付するということになっているわけです。他の行政官庁と同じような予算査定が行われているというのが現実ではありませんか。そうでしょう、いかがですか。
  175. 禿河徹映

    禿河政府委員 先生指摘のとおり、国会あるいは検査院等の独立機関につきましては財政法上特別の規定がございまして、その独立性を確保するという意味から、いろいろの規定が設けられております。その辺、私どもは十分頭に置いておるわけでございます。ただ、財政の立場で申し上げますと、全体の予算のフレーム等の関係もございますし、経済情勢等もございまして、その段階におきまして十分お話も伺い、御意見もちょうだいしながら、最終的に十分意見を調整いたしまして、そして国会のお仕事に差しさわりのないような配慮をさせていただくように相努めておるわけでございます。
  176. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 国会のお仕事に差し支えないというようなことをおっしゃいましたが、五十二年度で、たとえば予算委員会が日韓問題について追及する、それには金炯旭さんが日本の国会においでをいただけるかどうかということをアメリカに行って確認してくる必要があるということが起きたのですが、すでにもう国会の海外出張の予算はなくなっている、そういうことで行けない。やむなく自民党と社会党の代表が一人ずつ行って、金炯旭さんの御意向をお伺いしたということもあったじゃありませんか。また、衆議院のロッキード特別委員会でも、予算委員会の方でそういうことで行くならば、ロッキード特別委員会としても同じような趣旨でアメリカへ行って、実情も調べたいという意向がありましたが、予算はもうすでに全くない、どうしようもないということで終わっておるわけですね。これからは各国会との議会人の交流というものはもっともっと盛んになるべきだと私は思うのです。あそこに渉外部長もおられますけれども。またそればかりではなくて、国民の期待にこたえて疑惑を解明しなければならぬ等々の問題で、どうしても議員が海外に出かけなければならぬという事態がこれからはもっともっと起こり得ると私は思うのです。決して差し支えないなんという状態ではありませんよ。主計局次長、どうですか。
  177. 禿河徹映

    禿河政府委員 先ほど私が申し上げました差し支えないというのは、ちょっと言葉が足りないと申しますか、適切な表現ではなかったと思います。ただ、私どもの気持ちといたしましては、そういう気持ちでできるだけ国会の方々とも御相談を申し上げ、御了解をいただきながら予算の編成に当たっておるということを御理解賜りたい、こういうふうに思っておるわけでございまして、また、個々の問題等でそういうことがございましたら、私どもできるだけ御相談も申し上げ、できるだけ御不便をおかけしないような配慮をこれからも相努めてまいりたいと思います。
  178. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 それでは、これからは、足らぬときに予備費をどんどん要求すれば、認めるという趣旨ですな。結構です。五十三年度においては、国会の必要な海外出張等が予算関係で行けないなどということは大蔵省絶対にさせないように、いまの御答弁があったのですから、ここで確認をしておきたいと思います。いいですね。それで申し上げたいのは、国会の予算というのは財政法で別に書いてあるわけですから、国会図書館も同様ですが、裁判所もそうだし会計検査院もそうですか、特に国会、国会図書館、国権の最高機関である国会の予算というのは、私は編成の仕方はもっと工夫すべきだと思うのです。確かに、他の省庁と類似した職務、職員というものはあるでしょうから、全体のバランスの上でこの経費はこうですよというようなことで、大蔵省が国会の側にある程度注文をつける、私はそれをしも否定しようとは思いません。しかし、国会が予算要求を出した、他の行政官庁と同じようにずたずた予算査定をするというようないままでのやり方は根本的に改める必要がある。事務総長も言われましたが、わが国会の調査機能が他の国会に比べてきわめて不十分な状態にあることも稲村さんわかっていただいたと思うのです。したがって、これは与党出身である細田議運委員長も言われたのですが、これからは国会の予算編成については工夫をしよう、出した要求を査定するなどということはやめろ、そのかわり事前に国会の側とそれから大蔵省との間で十分話し合いをして、そして最後に決めたものは大蔵省は査定などしないで全部のむ、私はこういうルールをこの際、国会の予算、国会図書館の予算については確立すべきだと思います。これについて稲村さん、いかがですか。
  179. 稲村利幸

    ○稲村政府委員 いまの満額査定ルールの御意見でございますが、私、先ほど触れてしまいましたけれども、そのときそのときの経済事情、財政事情というものを考えて、予算の全体のフレームというものもあると思いますし、予算編成方針が決定されて、財源の見通し、そして経済見通しがついた段階で、やはり意見の調整を十分して国会側の要求、意見というものを尊重して決めるというのが正しい、私はこう考えておる次第です。  先ほどの、ちょっと一言触れさせていただきますが、衆議院の予算の伸び率と全般の一般会計の伸び率という山口先生のお触れの言葉は、事務的に、客観的に見て、衆議院の方は人件費と事務経費というものが大変占めて、一般の方はやはり国債あるいは地方交付税あるいは今予算の柱である社会保障重点、そして景気浮揚等の施策で義務的経費の伸びのために、先ほど先生が触れられた数字の差が出ていると思いますので、国会の意見を軽視しているというふうには解釈していない、こういうことでございます。
  180. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 稲村さん、私はいまのようにちゃんと投資的経費と経常経費を分けて伸び率を言っているのですから、景気浮揚のための云々なんということは取り消したらいいじゃないですか。いまのは失言ですよ。
  181. 禿河徹映

    禿河政府委員 ちょっと補足的に数字のことを申し上げさせていただきますと、確かに先生おっしゃいますとおりに、先ほど先生が一般会計の伸び率の中で経常経費と対比して言っておられますので、投資的経費は別でございます。  ただ、政務次官が申し上げたいと思われたのは、恐らくその経常経費の中でも非常に伸びが高いのは地方交付税であるとか社会保障費であるとか国債費とか、そういうものの伸びが大変大きいというふうなことを申し上げたのでございますので、御了承願いたいと思います。
  182. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 そういうことはわかっていますから結構です。別に稲村さんを困らそうと思って言っているわけではないのです。     〔谷川主査代理退席、主査着席〕  少なくとも細田議運委員長も言ったように、これからは国会の予算編成のルールは改めようじゃないか、だから八月に予算要求を出したものを満額認めろと私は言っているのじゃないのですよ。要求は一たんする。その後政府の方は、明年度の予算編成方針を決めるでしょう。またそういう中で国会と大蔵省とで話し合いをして、そうしてわが国の国会を他の国会と遜色ないように、チャーチ委員会やフレーザー委員会の活動はりっぱだが日本の方はだめだということのないように、あるいは国会図書館の予算もそうでしょう。さらには外国の議員との交流その他調査活動万般について、国会が国会としての機能を果たせるようないわばぎりぎりの要求を国会側も出す、そうしてそれについては、つまらぬ他の行政経費と同じような査定はやらぬで満額認める、いわばそういう話し合いを事前に徹底的にやって、その結果は大蔵省が他の官庁とは違って全部それを認める、こういう仕組みをつくったらどうかという、自民党議員である細田議運委員長さんの提案ですよ。そのくらいは結構だと言っておかしくないのじゃありませんか。それだけお聞きして、私、質問を終わりましょう。
  183. 稲村利幸

    ○稲村政府委員 予算編成の前に衆議院、参議院もですけれども、国会側と十分に事前の話し合いをしてそれを認める、これでもしいけなかったら補足……
  184. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 あなたの方があっちより偉いのだから、間違っちゃ困る。
  185. 稲村利幸

    ○稲村政府委員 話し合いは十分しますが、決定してしまうということはできない、こういうことでございます。
  186. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 そんなことを言えば、今度は財政法によって意見を付すことになるんだよ、国会は。与党まで含めてそういうルールをつくったらどうだ、こう言っているときに、せっかく話し合いをしたものを認めるということを言わない。そういうことになれば、財政法十九条によって意見を付する。与野党一致していれば意見を付することになるのだから、そうなってもいいのですかと私は聞いている。事前の話し合いをしたらそれは素直に認めます。こうお答えになりなさい。
  187. 禿河徹映

    禿河政府委員 財政法の規定にいわゆる二重予算の規定がございます。それが過去の例でまいりますと、一度、裁判所予算につきまして昭和二十七年度に調整がつかずに提出されたことがございましたが、それも国会へ出ました段階で取り下げに相なりまして、いまだかつて一度も……(山口(鶴)分科員「ここは国会なんだから」と呼ぶ)独立機関という立場で申し上げますと、そういうことは法律上の規定はございますけれども、いまだかつて一度もそういうふうな規定の発動がなされたことはございません。私どもそういう従来のあれを踏まえまして、十分事前に御意見も伺い、また私ども考えるところがございましたら御理解もいただきながら、十分その辺のところは相努めてまいりたいと思いますけれども、最終的に政府原案ができるその前に全部決めてしまうということは、実際上なかなか困難かと思います。御趣旨は十分頭に置いて私どもお話し合いはこれからもしてまいりたいと思いますが、……(山口(鶴)分科員「事前ではなくて一緒に決めればいいのだ」と呼ぶ)形式的に申し上げますと、従来からそういうことで、政府原案決定の段階で意見の調整が終わったというふうなことに相なっておるわけでございます。私どもそういう慣行のもとに、またいままで以上に十分お話を伺いながら御納得いただける予算に持っていきたい、かように考えております。
  188. 塩崎潤

    ○塩崎主査 山口君、時間がなくなりました。
  189. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 時間もありませんから言いますけれども、そういう不十分な答えでは納得しません。少なくとも議運委員長、与党の議運の理事も含めて仕組みは変えようじゃないか、事前に話し合いでまとめるようにしようじゃないかということになったことを、大蔵省が明年度予算についていまおっしゃったような態度で臨むとするならば、今度は国会は、財政法十九条によって意見を付することになりますよということだけ警告をして、質問を終わっておきます。
  190. 塩崎潤

    ○塩崎主査 以上で山口君の質疑は終了いたしました。  次に、新井彬之君。
  191. 新井彬之

    新井分科員 私は国会図書館の問題について若干質問したいと思うわけでございます。  先ほど山口委員への答弁を聞いておりますと、原稿を読んで答弁をするというような状態であると思うわけでございますけれども、そうではなしに、図書館長、本当に忌憚のない意見を、それこそ現状に合わせてどんどん遠慮なく申していただきたい、こういうぐあいに初めに要望しておくわけでございます。  そこで、この国会図書館の問題については、国立国会図書館法という法律の中でいろいろと定められておりますし、機能も使命もいろいろ書いてあるわけでございますけれども、それが十分に現状のままで生かされているかどうか、そのことについて初め図書館長にお伺いしておきたいと思います。
  192. 岸田實

    ○岸田国立国会図書館長 お答えいたします。国会図書館の予算は、通常言われておりますいわゆる庁費的な扱いで予算の取り扱いを受けておるわけでございます。印刷製本費であるとか、旅費であるとか、通信料であるとかいうようないろいろ庁費的な費目で業務の予算が構成されておりますので、一部のごく限られた法律義務費的なものを除きまして庁費の取り扱いを受けておる。したがいまして、年々の予算の編成に当たりまして、その伸び率というものは一応限られておるわけでございます。片や現在の図書購入の状況を見ますと、国内におきましては逐年相当に図書が増加しておりますし、また外国の文献につきましても異常な伸びを示しておりまして、かつ価格が非常に値上がりをしておるというようなことで、年々の予算の伸び率ではなかなか図書購入の拡充を図るということもできない。むしろ外国の学術文献の購入につきましては、従来購入しておったものを一時ストップさせるということをせざるを得ないような状況が続いておるわけでございまして、最近十年来の各国の図書館業務のかなり目立った前進を目の前にいたしまして、われわれといたしましては非常に遺憾に思っておるわけでございます。今後何とかして図書館業務に必要な予算を獲得し、先進諸国に伍して回復を進めてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
  193. 新井彬之

    新井分科員 大蔵省はこの図書館の使命とかあるいはまた役割り、それから現状というものを、いまも図書館長からお話がありましたけれども、どのように認識されておりますか。
  194. 塚越則男

    ○塚越説明員 ただいま館長からもお話がありましたとおり、図書館の中心となりますものとして非常に重要な仕事を担っているものというふうに認識しております。
  195. 新井彬之

    新井分科員 先ほど山口委員からお話がありましたけれども、国会図書館の予算というものは、本来ならば議運にかかり、そして両院議長にかかってそのとおり認めるというのが筋じゃないんですか。財政法とか国会図書館法からいきまして、それを認めていくというのが筋じゃないんですか。
  196. 塚越則男

    ○塚越説明員 私どもといたしましては、図書館の方々と十分意見を調整いたしまして、御相談の上決めているわけでございます。
  197. 新井彬之

    新井分科員 さっきも図書館長からお話があったけれども、図書の購入費とかそういうことについては非常に後退をしておるんだ。あなた、そんな調整しているの。どうなんですか。
  198. 塚越則男

    ○塚越説明員 図書の関係でございますが、図書館の方の当初のお話はいろいろございましたけれども、大蔵省といたしましても現在の財政状況その他をいろいろ御説明いたしまして、御納得いただいた上で予算を組んでいるわけでございます。蔵書の関係でございますが、先ほど庁費の扱いというお話がございましたけれども、一般の行政事務運営上必要な参考資料とか文献というものにつきましては厳に抑制した編成をいたしましたけれども、国会図書館の蔵書の充実につきましては、これが国会、行政、司法各部門、さらには一般公衆に対する図書館奉仕の重要な柱であるという認識のもとに、特に別個の配慮をいたしまして、前年度予算に対しまして大幅な増額をいたしております。一六・九%でございます。
  199. 新井彬之

    新井分科員 とにかくこれは認識の違いというのが非常にはなはだしい。この国会図書館を本当に充実するということが、いかに国益にとっても、また国民の要望というものにとっても大事なことかということですね。日本にたった一つしかないんですよ。よその図書館に行って外国のこういう書類を見せてくれと言ったって、そういうものはどこもないんですよ。国会図書館は日本でたった一つですよ。それしがなくて、その予算だって、後で言いますけれども、大した金額じゃないのに、それを、いまは財政がこうです。ああですと言って、一番大事な頭脳になるべき国会図書館の本の予算を削るなんて、これはもう全く文化国家でもなければ、全く国会そのものをまた無視したような、ただ金だけで動いている。そういう考え方が大蔵省にある間はだめなんですよ。そうでしょう。ちょうど去年の二月十五日でございますけれども、わが党の渡部一郎代議士がこの問題について、さっきも出ましたけれども、米議会図書館それから日本の国会図書館、その内容についてもいろいろ審議されたのです。そのときに福田総理が答弁されている内容で、これは多分国立国会図書館法とか財政法との絡みを考えて言ったと思うのですけれども、とにかく議院運営委員会で合議が成るものならば全力を挙げて協力したい、こういうぐあいに言っていることを御存じですか。
  200. 塚越則男

    ○塚越説明員 御指摘のことについては承知しております。
  201. 新井彬之

    新井分科員 そういうことについてはさっき山口委員からいろいろ質問があったわけでございますから、それについては、今後議運としてもいろいろと新しいことを考えて何とかしていかなければいけない、本来の立法の趣旨に沿ったやり方をしなければいけない、こういうことで先ほどやりとりがあったわけでございますけれども、あなた、それを聞いていて、そういう去年の総理の発言とか先ほどの発言を踏まえまして、とにかくそういうことについては——それは確かに全額認めるかどうかということについては問題を残すものの、少なくともそういうところで決まったことについては基本は一〇〇%認めていくのだ、そういうぐあいに思われませんか。どうですか。
  202. 塚越則男

    ○塚越説明員 従来からも国会図書館の方々と十分意見を調整いたしまして、私どもの事情もよく御了解いただいた上で予算編成をしております。その点は御理解いただきたいと思います。
  203. 新井彬之

    新井分科員 よく要望を聞いた上でやっているということだそうでございますから、一つ一つ具体的にお伺いをしていきたい、こういうぐあいに思います。そこで、さっき私が十分にその機能というものが発揮されているかということをお伺いしたわけでございますけれども、一つは立法考査局の拡充、増員問題、これが非常に問題になっております。それで、その後どういう経過になっておるか、これについて御説明を願いたいと思います。
  204. 岸田實

    ○岸田国立国会図書館長 昨年二月十五日の予算委員会におきまして、公明党の渡部一郎議員の御発言に対し、福田総理からただいま先生お話しになりましたような答弁がございました。それを受けまして、八月三日に議院運営委員会図書館運営小委員会におきまして御審議の上、この件の推進については小委員長に一任するということになりました。その後図書館運営小委員長がアメリカの議会図書館を御視察になられる等のことが間にありまして、十一月に調査及び立法考査局整備拡充三カ年計画を作成し、主計局に提出してございます。本年の一月二十日の図書館運営小委員会におきまして、この本格的な増員の措置は後日に期するということにして、当面はとりあえず、昭和五十三年度予算において調査及び立法考査局関連諸経費の増額、特に非常勤の特別調査員を十名から十七名に増員する等の措置を行うということで御了承をいただいておるわけでございます。
  205. 新井彬之

    新井分科員 現在この調査立法考査局、百五十五名ですね。それから専門調査員が十六名、主幹が八名、それが十四課に分かれて九十五名でやっている、こういうぐあいに理解をいたしております。そこで、十四の課がありますけれども、その中に商工課があるとかあるいは環境課とか、いろいろ課がございますね。いま非常に多様化されている社会の中で一つの問題、たとえて言うなら、環境なら環境という一つの問題をやりましても、これは瀬戸内海の汚染からあるいは大気の汚染から、あるいはまた成田空港ができればそれに対する騒音はどうなっているのだ、振動公害はどうなんだと、これは大変な仕事が出てくるのじゃないかと思うわけですね。したがいまして、それらの資料が幾ら山ほどありましても、それを料理するといいますか、それをうまく使い分ける専門調査員あるいは調査員の方々がやはりベテランであり、そしてまたきちっとした一つのそういう知識を持っている方、そういう方が集まるかどうかによって、国会はもとより、日本国民の知識向上というのは大変なことになるのじゃないか、とういうぐあいに理解するわけです。したがって、それの人件費の、たとえて言ったら三名や十名、二十名ふやしたその人件費と、今度は与えるところの利益、国民に奉仕するところの利益ということを考えた場合に、そういうものを値切っては、一番の基礎が、幹がだめになるのじゃないか。だから、よしんば国会図書館にいろいろなことをお願いしても、何人かが頼めばもう手がいっぱいで一月先になります。資料はこうです。またそれに対してもちょっとなかなかまとまりにくい。国会図書館法の中に書かれていますけれども先ほどもありましたけれども、十五条以下ずっといろいろとその使命が書いてありますけれども、これが十二分に発揮されないということについてはとんでもない。だから、少なくとも国会図書館長は、これだから人数がなくてはいけない、それでこういうぐあいにしなければ……。さっきも言いましたけれども各国の図書館が整備充実されている中で日本の図書館はおくれているのだ、だからこうしたいという気持ちはあると思うのですね。大蔵省はいいかっこうを言うのですよ。どういうことを言うかというと、さっきみたいに、いやよく打ち合わせをしまして、そしてこういうことになりましたと。そういうようなことで、いろいろ議運との関連等がございますけれども国立国会図書館法の第二十八条には「国立国会図書館予算は、館長がこれを調製し、両議院の議院運営委員会に提出する。委員会はこの予算を審査して勧告を附し、又は勧告を附さないで、両議院の議長に送付する。」こうなっているわけですね。したがって、国会図書館長としては遠慮なく、これだけ人員を増加していただけなければ国会図書館が国会にもあるいは国民の皆さんにも期待に応ずることはできないのですよという確固たることでやっていただきたいと思うのです。先ほどから大蔵省の方は、よく話し合いをしておりますと言うけれども、そんなことでは全然納得をされていない、本当はもっとこういうぐあいに拡充したいのだということがあると思います。  そこで、現在立法考査室としては、何名いなければ本当の機能が果たせない、このようにお考えになっているか、それをお聞きしておきたいと思います。
  206. 岸田實

    ○岸田国立国会図書館長 先ほど申しました拡充三カ年計画では、現在百五十五名でございますが、これを倍加いたしまして、百五十名くらい増員していただきたいというのが私たちの意見でございます。と申しますのは、アメリカは極端に違うと申しますが、立法考査局に対応するところには八百数十名のスタッフを持っております。ドイツ等におきましては日本より遅くこの調査業務を始めたのですが、最近では四百名を超しておるというふうに聞いております。いずれにいたしましても内外のあらゆる問題についての諸先生の御照会等がございますものでございますから、それから地域的に申しましてもいろいろの世界の各地のことをお尋ねになる、外国のことをお尋ねになりますものが全体の中の三五%ないし四〇%に達しておるというような状況でございますので、現在の資料整理のための職員を五十五名といたしまして、残り九十数名の調査員では、とてもそれは各先生の十分の御満足を得るような資料が常につくり得ることは期待できないのでございます。私たちといたしましても内部を督励してやっておりますけれども、いろいろやはり突っ込みの足らないもの等々が出まして、諸先生から御批判をこうむっているというような状況もございまして、われわれとしてはできるだけ早く相当の陣容を整えて、当館に与えられた使命の達成に努めたいと考えておる次第でございます。
  207. 新井彬之

    新井分科員 次に、先ほどちょっと出ましたけれども、図書の内容についてお伺いをしておきたいと思うわけでございます。  いろいろの本がございますけれども、少なくとも国会図書館には世界の雑誌から学術書をそろえておくことが絶対に国益にかなうことであると思います。したがいまして、その本の値段が上がるとかいろいろのことでお話がございましたが、大蔵省、その図書購入費、五十一年、五十二年、五十三年、どういうぐあいになっていますか。
  208. 塚越則男

    ○塚越説明員 図書購入の全体でございますが、五十一年は四億三千八十六万七千円、それから五十二年度が四億五千八百八十七万八千円、それから五十三年度が五億三千六百二十八万一千円でございます。
  209. 新井彬之

    新井分科員 先ほど一六%強の伸びだ、こう言っていましたね。こんなものは伸び率ではかるのじゃないのですね。本がどういうぐあいに出ていて、それをどういうぐあいに集めるか、これが基本になって予算を組むというのがあたりまえのことなんですよ。国会図書館で伸び率で予算を削減されたら一体何が残るのですか。さっきも、庁費で賄う。事業費というのは国会図書館はじゃ何をやっているのかというと、何もないそうでございますけれども、じゃ一体国会図書館は庁費だけで事務だけやっているのかということです。これは伸び率が何%なんだといった一番の査定の基本は一体何ですか。
  210. 塚越則男

    ○塚越説明員 ただいま申し上げましたのは、その全体の数字でございますが、その中身を図書購入費これは古い本でありますとか外国の本とかを買うという関係の経費、それから先ほど館長からお話のありました納入出版物代償交付金の関係、それから立法資料購入費、それから科学技術関係資料費、それぞれの費目に分けまして、それぞれについてお話を伺いながら金額をはじいたものでございます。
  211. 新井彬之

    新井分科員 私はそんなことを聞いているのじゃないのですよ。要するに、たとえて言うと、フランスで総選挙が行われますね。それでは、その資料はどんなのがありますか。わかりますか。何もないでしょう、ちょっとしか。フランスの総選挙はどう行われるのかと思って調べようとしたって、外国の図書館に手紙を出さなければならないでしょう。あるいはアラブ問題がありますか、中東であれだけ石油をやっている問題にしたって。アフリカ問題が日本の図書館で完璧に調べられますか。どうなんですか。それじゃ、言ってごらんなさい。
  212. 塚越則男

    ○塚越説明員 その本の内容を、どういう本を持っておられるかということは、一々私の方では承知いたしておりません。
  213. 新井彬之

    新井分科員 私、何も怒って言っているわけではないのですよ、ほめているわけでもありませんけれども。とにかくそういう認識だから、査定のときに、この本ぐらいはいいでしょうなんて、フランス語百冊出てきたら何かわからないけれども、これはいいんじゃないですかというようなことでやられたのでは——やはり本というのは、雑誌にしたって何だって、一年たってから取り寄せるというのは非常に大変なことなんですよ。御存じのように、国では法律までつくって地方公共団体でできたものまで納本制度というのをつくってやっているのでしょう。その納本制度だってなかなか協力しないところもあって、三十冊とか二十冊とか決められていても五冊に値切ったり、そういうようなことで、本当にとんでもないことだと思います。外国の本だって、たくさん要りますけれども、国会図書館の専門家が見てこれだけは必要だというものは当然買っておきたい。また、雑誌にしても、いま買っておかなければ一年後にあれがどうだったかということは調べられない、こういう非常に大切なものですね。要するに、もう歴史的なものが全部あるという一番大切なものなんですよ。だから、そういうものについては、今後予算の査定については、そうではなしに、やはり専門家の立場に立って、そういう意見を本当に一〇〇%聞いていこう、こういうふうに考えなくちゃいけないということを私はあなたにお話をしているわけです。そこはわかってください。わかりますか、意味
  214. 塚越則男

    ○塚越説明員 図書館の方からいろいろ専門的なお話をよく伺いまして、また私どもの財政事情等もよく勘案いたしまして、今後対処してまいりたいと思います。
  215. 新井彬之

    新井分科員 もうそこら辺がおかしいのですよ。たとえて言いますと、日本で一年間に出る本というのは幾らですか。二億か三億のものでしょう。たとえて言いますと、各都道府県の図書館に日本で出る雑誌とかそういう本は、では全部買ってあげましょう。二億か三億のものを積んで、そして県民の方が勉強できる。こんないいことはないのです。本当に。県だっていまは何千億の予算でしょう。それを知事が、ああ、そうかそうか、そんならその本、買ってあげましょうと言って——十億も二十億もするものじゃない、とにかく二億か三億のものを予算関係でと削る、その考えをやめなさいとさつきから言っているのですよ。これで日本が文化国家としてあれだったら、大蔵省の責任ですよ。  日本へ行ったら大した本もない。何を削ったかといったら、国会図書館の本を買うのに、もう一億出せば全部買えたのに、その一億を削った。そして景気浮揚策です。それで何ぼです。何を考えているか。何もでっかいものをこうしろ、ああしろと言っているのではないのです。それが一番の基礎で、そこから初めて日本の前進が始まる、こういうことの認識がないからそういうことができのだということを再三にわたって言っているわけですよ。後で議事録を読んでもう一遍よく考えてくださいよ。答弁するとまた予算との関係で一それは主計局長か大蔵大臣か、さっきの稻村さんか知りませんよ。おまえ、何を言ってきたんだと怒られる。あなたが正義感を持たなくてだれが持つのですか。大蔵省の体質を変えてくださいよ、あなたが。いかがですか。
  216. 塚越則男

    ○塚越説明員 いろいろ御指摘をいただきましたが、私どもも十分図書館とも相談いたしまして、検討してまいりたいと思います。
  217. 新井彬之

    新井分科員 たくさん質問を言ったのですけれども、もう時間が参ったので、最後にお伺いしておきたいのですけれども、国会図書館長は、国会図書館法第二十一条第二号によって、「あらゆる適切な方法により、図書館の組織及び図書館奉仕の改善につき、都道府県の議会その他の地方議会、公務員又は図書館人を援助する。」ことが義務づけられておるわけですね。そういうわけでいろいろのことをおやりになっていると思います。が、これもやはり予算が非常に少なくてできない。やりたいことはたくさんあると思います。公明党といたしましても、御存じのように、一つの国民教養、福祉充実のために新しい時代の豊かな知識ということで、図書館政策を四十五年に発表しているわけです。その中にはそういうようなこともいろいろきめ細かくうたっておるわけでございますけれども、とにかくその中でそういう問題と、それからいま一様に問題になっておりますのが、図書館はあるけれども、それを総括して見ていくところがない。したがいまして、全国図書館振興委員会、こういうものをつくって、これはもう国会図書館が中心になってほかの図書館をいろいろ指導とか助言をしてあげるというような形にして、図書館の交流こそ日本のこれからの文化の発展でありますし、本当に国民の皆さんの福祉にも非常につながっていく、こういうぐあいに私は理解いたしておりますけれども、その件をお伺いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  218. 岸田實

    ○岸田国立国会図書館長 公明党におかれましては、全国図書館振興対策という政策をかねてからお取り上げになっておいでになりますことは、まことにありがたく感謝いたしておるところでございます。  国立国会図書館は、納本図書館でございまして、日本における図書館事業の中心と申しますか、最後のよりどころであるという自覚に私たちは基づいておるわけでございます。そういたしまして国の中心的な文献センターとしての使命を遺憾なく果たしたい。これは、さらに砕いて申し上げますと、国内の各図書館に対しまして各種の事業のサービスを通じて援助、助言・指導等をいたしたいというふうに思っておるわけでございます。ただし、国立国会図書館は立法府に付置されておりますので、いわゆる図書館行政そのものを行うという立場ではございません。あくまでも図書館事業振興の内容面での推進の中核になるという立場で今後最善を尽くしてまいりたい、このように思っておる次第でございます。図書館法第二十一条におきましては、あらゆる適切な手段によって各種図書館を援助し、また日本国の図書館資料資源の連係ある利用に資することが国立国会図書館の使命であると規定されておるわけでございます。この立場から、今後、館の総力を挙げまして図書館事業の振興のために努力してまいりたいと思います。
  219. 新井彬之

    新井分科員 終わります。
  220. 塩崎潤

    ○塩崎主査 以上で新井君の質疑は終了いたしました。  次に、山花貞夫君。
  221. 山花貞夫

    山花分科員 私は、日ごろ大変御苦労をおかけしております国会職員の皆さんの労働条件、労働施設環境についてお伺いしたいと思います。  労働条件、労働施設環境と申しましても、賃金、労働時間、休日、休暇あるいは残業、そして労働施設環境ということになりますと大変問題が広範であります。したがって、幾つかしぼってお伺いしたいと思うのですが、まず冒頭、最近労働界で大変関心が集まっている週休二日の問題に関連してお伺いしたいと思います。  週休二日問題については、われわれは長期的な雇用問題、雇用総量を確保するという観点から労働時間の短縮の問題、休日の拡張、拡大の問題は大変重要な意味があると考えているところですが、まず公務員の関係について人事院にお伺いしたいと思いますが、週休二日の本格的な実施は一体いつごろになるのかということをお伺いしたいと思います。この問題については過日、一月二十日でありますけれども、昨年度行いました週休二日の試行についての結果の報告が発表されていました。まず冒頭、公務員関係について昨年行いました週休二日制の試行についての結果、その概要をお伺いしたいと思います。
  222. 金井八郎

    ○金井政府委員 ただいまお尋ねの週休二日制の試行の概要でございますけれども、五十一年の十月から昨年九月までの一年間にわたりまして行ったわけでございますが、各省庁からその実施状況につきまして報告を求めまして、その取りまとめた結果の概要を申し上げますと、まず試行参加職員でございますが、試行に参加した職員は約三十八万三千人でございまして、このうち交代制勤務等の職員が三万一千人でございます。  それから、試行の実行率と申しまして、実際に計画どおり職務専念義務の免除を受けて休んだ職員の割合でございますけれども、その実行率は九五・四%と相当高い率を示しております。そのうちで一般官庁の執務時間の職員、これが九五・六%、それから交代制職員はちょっと少なくなりまして九三・四%となっております。  それから次に、試行のためにとった業務処理の各省庁における対応策でございますけれども、まず職員相互間の協力体制及び応援体制の確立など事務処理方法を改善したものが相当多数の省庁においてございます。  次に、人員配置の変更を行った省庁が五省庁、それから交代制勤務者等の勤務時間の割り振りを変更いたして試行を行った、こういうところが九省庁となっております。  それから次に、試行期間中に生じた問題点でございますけれども、試行実施四十省庁中何らかの点で問題があったとするものが二十六省庁、それから特に問題がなかったとするものが十四省庁でございました。  なお、試行の打ち切り等の状況について触れますと、前回の試行におきまして業務上の都合等によりまして当初の計画どおり試行が実施できなかった官署は二十三でございまして、そのうち全く実施できなかったというのは十二官署となっております。  大体概況は以上でございます。
  223. 山花貞夫

    山花分科員 御報告の中で問題をしぼって伺いたいと思うのですが、試行期間中に幾つかの問題が生じたということで、その内容について御報告がありました。二十六の省庁というお返事でしたけれども、国会職員の皆さんの場合は結果はどうであったのか、問題はなかった方なのかあった方なのか。あった方とするならば一体どんな問題があったのか、あったとするならばほかの省庁と比べて問題が多かったのか少なかったのか、こういう国会職員の皆さんの関係についてお伺いしたいと思います。
  224. 大久保孟

    ○大久保事務総長 お答え申し上げます。  国会職員につきましては、先生御存じだと思いますが、私の方では国会の閉会中に限りまして土曜日における人員を半減いたしまして週休二日制というものを試行的に実施しております。もちろん、これは有給休暇の振りかえでございますが、その点に関しましては私どもの知っている範囲では、特別に職員から苦情等のことは来ておりません。
  225. 山花貞夫

    山花分科員 いま事務総長のお答えはむしろ人事院の調査の内容ということでお答えをいただきたかったわけですけれども、人事院の方はどうでしょうか。先ほどの質問ですが、調査の中身に国会の職員関係は整理されておられるのではないでしょうか、入っていませんか。
  226. 金井八郎

    ○金井政府委員 私どもの週休二日制の試行はこれは行政省庁関係でございまして、特に一般職の給与表の適用職員を対象としているわけでございまして、立法府に所属する職員は週休二日制のわが方での対象にはいたしておりませんです。
  227. 山花貞夫

    山花分科員 それでは、公務員の関係で結構ですけれども、週休二日制を実施している民間との比較において現状がどうだったのかということを職員の皆さんについて伺う前に、公務員全体の関係についてお伺いしておきたいと思います。
  228. 金井八郎

    ○金井政府委員 民間における週休二日制の状況でございますけれども、これは昨年の四月一日に人事院が調査した結果でございますが、企業規模百人以上の事業所について出したものでございます。それによりますと、全体の六九・一%の企業が何らかの形での週休二日制を採用しております。これは昭和四十七年当時は一七%の普及でございましたけれども、その後逐年増加いたしまして六九・一%というふうに相なっております。  そして、その六九・一%の内訳でございますけれども、最も多い施行の形態は月二回土曜日を休むという形態が一番多うございまして、これがそのうちの一八・五%を占めております。  それから、なおちなみに週の所定労働時間と申しますか、これを同時に調べてみたわけでございますが、五十二年の四月におきましては一般公務員が四十四時間のところ、四十二時間十八分という数字が出ております。それから、年間の休日数でございますけれども、公務員の場合は六十八日間年間にございますが、民間におきましては八十六・四日という状況に相なっております。
  229. 山花貞夫

    山花分科員 いまの人事院の方のお答えを頭に置きまして事務総長に伺いたいと思うのですけれども、国会職員の皆さんの休日の日数の関係、もう一つお伺いしておきたいのは、年次有給休暇の消化の実情ということです。加えて勤務時間についても実際どのくらいになっているかということをお答えいただきたいと思います。
  230. 大久保孟

    ○大久保事務総長 お答え申し上げます。勤務時間につきましては、衆議院の職員につきましては一週四十四時間でございます。それから一年間の有給休暇は二十日間ということになっております。(山花分科員「消化の実情です」と呼ぶ)大体消化状況は、平均でございますが、十一日間になっております。
  231. 山花貞夫

    山花分科員 いま、これからお尋ねする資料ということでお伺いしたわけでありますけれども、いま事務総長の方から衆議院の関係では年間一人当たり平均十一日を消化している、こういうお話がありました。私が伺っているところでは、参議院の方では年間一人当たり七・一日という数字が上がっています。実はそれは消化日数ということでありまして、大体日本の勤労者が平均して有給休暇をどのくらい消化しているかということを日数の方で調査してみますと、十二・五日から十二・六日というのが最近の実情だと思います。  その日数では十一日とか七日ということですと、それほど差がないような気もするわけでありますけれども、消化率ということで考えてみますと、労働基準法に基づいて、あるいは一年勤続するごとに増加するというようなことが一つの基礎になりまして、それぞれの職場、産業によって実態は違いますけれども、トータルした結論で実情を調べてみますと、消化率が日本の勤労者の場合大体七一・〇%と、こういう数字が上がっているわけであります。これは私が労働省を通じて調べておるものですけれども、もし食い違いがありましたら出していただいても結構ですが、しかし衆議院の事務局の皆さんの消化率ということで比較をしてみますと、実は衆議院関係年間一人当たり平均十一日、消化率ということで考えますと、年間に与えられた平均日数というのが二十八・四日ということでありますので、三七%であります。参議院の方はもっと少なくなってまいりまして、二四%であります。     〔主査退席、谷川主査代理着席〕 したがって、一〇〇ある権利のうち日本の平均的な勤労者が七〇%を消化しているという実績に比較してみると、国会の職員の皆さんの消化率は余りにも悪いのではないか。衆議院で三七%、参議院二四%ということになりますと、一〇〇のうち四分の一、二五も消化していないという、こういう実績が出てきているわけであります。  有給休暇がとれるとれないの問題は、さまざまな要因があると思いますけれども、やはり忙しいからなかなかとりにくい、人員が不足しているからなかなかとりにくい、そういう実情があるのではなかろうか。国会職員の皆さんの議会との関係におけるいろいろな事情ということもあるとは思いますけれども、消化率が余りにも低い、二四%あるいは三七%ということではやはり問題があるのではないかと思いますけれども、その点いかがでしょうか。
  232. 大久保孟

    ○大久保事務総長 お答え申し上げます。  確かに消化率の悪いという点につきましては、もちろんその年その年の議会の開会との関係もございますが、忙しい面もあると思います。ただ、それだけですべてとも考えられませんでしょうが、できれば、私の考えとしましては、議会がない、閉会中でございますね、それは十分に職員に休養をとるように指導はしております。現実には先生おっしゃったような消化率でございますが、それは漸次改善されていくものと考えております。
  233. 山花貞夫

    山花分科員 衆議院の場合三七%、大体一般的な日本の勤労者の平均の半分ということであります。いまいろいろ指導はしているし、していきたいという趣旨のお答えだったと思いますけれども、単なる指導ということだけではなかなかとれないのが実態です。やはりここで有給休暇をとったならば、あした一体仕事がどうなるか、人手がどうなるかということもいろいろ心配ということもあるでしょうし、根本的な問題は、忙しいから、人が不足しているからという問題につながっていくと考えざるを得ないような実態ではないかと思うのです。いま指導されると言いましたけれども、そうした実態についてもひとつ把握されて、有給休暇の消化、まさに働いている皆さんの権利なわけですから、これがこのように格段の差が生じているという実態についてはひとつ目を向けていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
  234. 大久保孟

    ○大久保事務総長 お答え申し上げます。  先ほど申しましたように、特に現実の問題といたしましては、議会が終わった閉会中につきまして、休養もございますし、それぞれ職場の管理者におきまして休める範囲において休むようには指導しております。ただ、基本的に人員不足等ございますが、それはむしろ開会中の問題に入っていくと思います。  もちろん人員増、それから待遇改善については私どもは毎年努力しておりますが、いま先生指摘になりました有給休暇をなるべく消化する、そういう意味におきましては私も本来同じ考えを持っておりますので、その点は漸次改善したいと考えております。
  235. 山花貞夫

    山花分科員 権利としての年休についても大変まだ改善が残っているということですと、いわんや週休二日についてはということについて不安を覚えざるを得ないわけですけれども、人事院の方に、先ほど冒頭お伺いした観点でお伺いしたいと思うのです。  昨年の実績を踏まえまして再試行、重ねて本年度試行を実施するというように伺っておりますけれども、その概況についてひとつお話をいただきたいと思います。その上で冒頭お伺いしました、そういう試行を去年もやった、ことしもやる、いつまでやるのか、一体いつごろになったらめどをつけようというお考えなのかということについても、つけ加えて御見解を明らかにしていただきたいと思います。
  236. 金井八郎

    ○金井政府委員 前回の試行におきまして先ほど申しましたような問題点がございまして、本格実施をするにはなお問題点の究明をする必要があるということが認められましたので、改めて再度の試行を要請したところでございます。現在政府の方において御決定をいただいておりますので、四月から再度の試行が始まると思います。私どもといたしましては、さきに国会から附帯決議をいただいておりまして、早期に実現すべく努力はもちろんしておるわけでございますけれども、公務の中には非常に国民生活に密着している面もございますし、行政サービスの急激な変化というものを避けながら導入しなければならないという事情もございます。  そこで、今回新たに試行が始まりましたならば、問題点についてどういうふうに解決していくかということを各省庁それぞれお考えいただくとともに、私どもの方といたしましても再度の試行が終わりましたならば、早急にその結果をしさいに分析検討いたしまして、同時に国民生活に与える影響であるとか、あるいは民間の動向であるとか、その他社会、経済情勢等にも気を配って早期に実現するように努力していきたいというふうに考えております。
  237. 山花貞夫

    山花分科員 なお詰めてお伺いしたい点もありますけれども、時間の制約がございます。  事務総長にお伺いしたいと思いますが、いまのお答え、若干頼りない気もいたしますけれども、全公務員について本格的な週休二日というものが実施された場合には、当然国会もそれに準じて行われることになると思いますけれども、その点いかがですか。
  238. 大久保孟

    ○大久保事務総長 お答え申し上げます。  公務員につきまして週休二日制が本格的に実施されました場合には、私どもといたしましては、どういう形で実施しているのか、どういう方法であるかを十分参考にいたしまして、われわれ国会の特殊的な立場を考慮しまして検討、実施してまいるつもりでございます。
  239. 山花貞夫

    山花分科員 実施するというふうに受けとめまして、次の質問をお伺いしたいと思います。  人事院の関係でお伺いしておいて、後で事務総長に伺いたいと思いますが、婦人の関係です。  産前産後の休暇、今日六週間ということでありますけれども、これは働く婦人、また次代を担う乳児の健康保持ということから考えるときわめて不十分であるということが従来から指摘されています。産前産後八週間という要求がもうここ十年来公務員関係で要求され続けてきておるわけですけれども、その間、昨年ですけれども、人事院の方が女子職員の妊娠出産に関する調査を行ったと伺っています。私がお問い合わせいたしましたところ、まだ結論は集約されていない、こういうお返事だったものですから、その限度でお伺いしておきたいと思いますけれども、いつごろまでにその結果について集約される予定なのか、あるいはこの問題についての見通しはどうなのかということを御質問したいと思います。
  240. 金井八郎

    ○金井政府委員 女子職員の妊娠出産に関する調査を、ただいま御指摘のように、昨年の三月から六月にかけて行いました。その結果、現在手元に集まっておりますが、これをただいま専門家を交えまして最終的取りまとめを行っているところでございまして、おおむね年度末、今月いっぱいぐらいを目途に取りまとめを完了したいと思っております。それが終わり次第、さらに産科医あるいは婦人労働関係の専門家を交えて、取り急ぎその検討を進めていきたいと考えております。
  241. 山花貞夫

    山花分科員 いまのお答えは、要するに、説明されたような検討を進めた中で延長問題について結論を出される、こういうことですね。
  242. 金井八郎

    ○金井政府委員 これは御承知のように、民間の動向等も多少われわれとしてはやはり把握する必要もございますし、どういうふうに結論を持っていくかということは、いまの段階ではまだちょっとはっきり申せませんけれども、いずれにいたしましても、婦人職員の、特に母性保護の観点から、いわゆる産前産後の休暇は、これはどうあるべきかということを検討する目的で調査したわけでございますので、そういう方向で検討したいと思っております。
  243. 山花貞夫

    山花分科員 総長の方にお伺いしたいと思いますけれども、いまの御説明ですと、いつどうなるという内容はいささか明確ではありませんが、もし公務員について産休の延長という問題について措置がとられる、結論が出されるという場合には、先ほどの週休二日と同じことですけれども、国会職員の場合にも準用される、こう理解しておってよろしいでしょうか。
  244. 大久保孟

    ○大久保事務総長 公務員につきまして八週間ですか、措置がされました場合には、わが方もそれに準じた扱いをいたします。
  245. 山花貞夫

    山花分科員 次の質問に移りたいと思います。  いよいよ成田空港が開港されるという問題が生じてまいりました。職員の皆さんはこれに対応するに人員の増加の問題があるだろう、こういうことで、五十三年度概算要求のころから関係部課の人員増を要求してまいった経過があります。当局の方も成田空港を視察して十分実情をつかんでいらっしゃると思いますけれども、空港までの往復所要時間、片道二時間半かかるのではないか、道路事情で混雑すればもっと時間を要するのではなかろうか、また往復の時間を合わせれば大体一日がかりの仕事になってしまうのではないか、また国際線の専用のために、発着の時間が大幅におくれたりするというようなこともあるのではないか。いま私、二時間半と申し上げましたけれども、これは大変幸運に恵まれた場合だと思います。実際はもっと、その何割増しか、倍ぐらいかかるかもしらぬ。こういう状況ですと、空港内に衆参それぞれ何か部屋を準備したということのようでありますけれども職員の皆さんが宿泊するということになりますと問題が生ずるのではないかという気もいたします。こういういろいろ悪条件があるのではないかと思いますけれども、従来の検討、対策ということで具体的にはっきりしている問題があるならば、ひとつ御明示いただきたいと思います。そして、その点まだスタートしてない問題ですから、わからぬという事情もあるとするならば、もしいろいろ問題が生じてきた場合には、次年度、生じてきた問題をもとにいろいろ職員の皆さんの要求についても考慮していただきたい、こういうことですけれども、この点、いかがでしょうか。
  246. 大久保孟

    ○大久保事務総長 お答えいたします。  成田空港が開港いたしました場合にどうするかという点につきましては、あらかじめ予想しておりましたので、関係部課において目下具体的な対策を検討中でございます。ただ、いまの時点で考えられますことは、国会が議員団を派遣する、あるいは議員団をお迎えするという時期は、従来慣例的に申しますと、ちょうど閉会中の一時期一カ月あるいは二カ月の間に集中しておりますので、そういう点を考慮しまして、成田の場合には羽田と違いまして時間がかかりますから、一応その間は職員を出張させるとか宿泊設備を確保するとか、そういったものを考えて実行してみたい。その上でなお具体的な問題があれば、来年度については検討していきたい、こういうように考えております。
  247. 山花貞夫

    山花分科員 いまのお答えにもありましたけれども、いろんな問題が出るのではないかという気がいたします。そのときには、来年度ぜひそうした問題解決のためにひとつ御尽力をいただきたいと思います。  人員増の問題でちょっと伺っておきたいと思うのですけれども、常任委員会の調査室の関係。  国政審議が充実して、加えて多党化現象ということの中で仕事量が増大している、複雑化している、こういう問題が指摘されています。国政調査の機能の充実ということも要請されています。議員の調査依頼ということもふえている、こういう状況です。そうした中で、常任委員会の調査室の中には特別委員会を兼務して負担を強いられている、こういうような方もいらっしゃるというように伺っているわけですが、こうした人員確保の問題については早急に御検討いただく必要があるのではないかと思いますけれども、この点について総長の見解を伺いたいと思います。
  248. 大久保孟

    ○大久保事務総長 お答えいたします。  この問題につきましては、すでに数年来、調査事務が多くなる、また非常に専門的な調査要求もあるということで、すでに常任委員会調査室の中におきましても自発的に研修をやったり合同調査をやったりいたしまして、人員が不足しておるという点がございまして、これは事務局の定員の中で、どうしてもそういう部門に必要な場合は、緊急の場合としてこちらから応援といいますか、出しております。ただ、その点の認識は徐々に高まりまして、ここ三年間調査員の定員としての増は毎年やっております。なお、この点につきまして、将来大いに検討してみたいと考えております。
  249. 山花貞夫

    山花分科員 事務局庁舎についてお伺いいたしたいと思います。  現在着々と工事が進んでいるという状況のようですが、完成時期五十四年夏と伺っておりますけれども、間違いないのかということが一つと、なお、完成に伴いまして、人員増については次年度に大蔵省に要求してもらわなければならないのではないかというように思いますし、また部課の移転等も当然予想されるところだと思います。ひとつ万全の措置を講じていただきたいと思います。  事の関連で、職員の健康保持の関係から、屋内体育施設等を設置すべきである、こういう議論が従来からあるわけですけれども、この点について具体案があるのかどうか、この辺の御見解を伺いたいと思います。
  250. 大久保孟

    ○大久保事務総長 お答えいたします。  最初に、完成時期は予定どおりかということでございますが、現在までの段階では順調に工事は進捗しておりますので、五十四年夏完成の予定でございます。間違いないと思います。  第二点の、庁舎開設に伴って当然人が要るんじゃないかというお話でございますが、これはわが方といたしましても、五十四年度、次年度予算要求におきましては、管理要員として要求するつもりでございます。  第三点の、庁舎に職員の健康管理のために屋内体育施設をつくってはどうか。この点につきましては、前々から話がありまして考えておりますが、同時に、先生方の健康管理センターという構想がいま出ておりまして、それと兼ね合わせまして、庁舎内では現実にいろいろ要求がございまして、無理な場合には、−庁舎を移した後の施設があくわけですから、その点を利用いたしまして、議員さん方の健康管理センターとあわせて職員についても考えてみたいと現在は考えております。
  251. 山花貞夫

    山花分科員 前向きの答弁というふうにお伺いしておきたいと思います。  時間がなくなりましたので、一つだけ伺っておきたいと思うのですが、五十三年度の予算書によりますと、高輪の議員宿舎建設の予算というものがついておるようであります。概略御説明いただきまして、人員問題について検討がなされているのかどうかということをお伺いしておきたいと思います。
  252. 大久保孟

    ○大久保事務総長 お答えいたします。  旧高輪議員宿舎の跡地に新しい議員宿舎を建設するという計画は、今年から始めまして五十五年度完成を目途に考えております。規模は、鉄筋コンクリート地上九階地下一階、延べ一万二千平米、一戸当たりの大きさは九段議員宿舎の新館とほぼ同じの広さでございます。  なお、全部完成しますと、百三十五戸宿舎になります。ただ、この場合には、古い宿舎と申しますか、たとえば九段の一番奥にありますアパートあるいは青山の宿舎、そういったものは当然移転するつもりでおりますので、純粋にふえますのは、現在より四十六戸ふえるという結果になるわけでございます。  人数の点も御質問にございますか。
  253. 山花貞夫

    山花分科員 職員の配置などについて適切な配置と、労働条件その他について悪くならぬようにひとつ十分検討、対策を立てておいていただきたい、こういうことでございます。
  254. 大久保孟

    ○大久保事務総長 その点につきましては、その時点におきまして十分に検討さしてやっていきたいと考えております。
  255. 谷川寛三

    谷川主査代理 以上で山花君の質疑は終わりました。  次に、山本政弘君。
  256. 山本政弘

    山本(政)分科員 主として人員増のことについてお伺いいたしたいと思います。  国会の機能というものを発揮する要件の一つには、事務局の体制というものが整備をされ、それが円滑に運営をされるということが必要だろう、こう思うのですが、同時に、事務局の機構を支えておるのが職員だろうと思うのです。国会は一般の行政官庁と違って、任務の内容とかそれから勤務の形態とかというのがかなり違っているだろうと思うのですね。そういう中で、特に最近は通年国会というようなことが恒常化してきておるとか、あるいは多党化、あるいは国民のニーズの多様化、そういうものがありまして、国会審議にもそれがかなり影響しているだろうと思うのです。  そういう意味考えてみますと、五十三年度の予算というものについて、総定員というものが昨年と比べてみて一名の増員もない。昨年の分科会で私、質問したわけですけれども、議員定数の二十名の増に対して三名の増員では十分と思っておらない、内部の合理化とか配置転換等を行って、それでも足らない場合は検討してみたいと総長はおっしゃったと思うのです。本年の場合、もちろん民間の雇用不安とかあるいは不況とかというものを反映して、政府の厳しい予算策定の経過というものはもちろんあっただろうと思うのですけれども総長としては、一体内部の配置転換というものを図ればまだ何とかやりくりができるというふうにお考えになっているのかどうか、この点について、まず冒頭に総長のお考えをひとつ聞かしていただきたいと思います。
  257. 大久保孟

    ○大久保事務総長 お答え申し上げます。  昨年この席で、人員増につきましては合理化、配置転換等を行いまして、なお足らない場合には増員について検討してみたいと申しました。なおその際、先生から端的に、議員二十名増について三名で十分かというお話がありました際に、十分とは思っておりませんと言ったこの認識といいますか、この気持ちはいまでも変わっておりません。  ただ、現実には、御承知のような不況と雇用不安という壁がございまして、純増ができておりませんでした。この点は大変残念だと思っております。もちろん今後もできる範囲で合理化と申しますか、必要な部門に人員をふやすために、業者等で賄えるところは賄ってその分を増員に回したいと考えておりますか、これも一応限界がごさいましてなかなかそういかない面もありますので、その点を考慮いたしまして、次の年度におきましては、先ほど触れましたが、事務局庁舎完成に伴う管理要員等もありますので、あわせて検討してみたい、こう考えております。
  258. 山本政弘

    山本(政)分科員 あわせて検討してみたいというお言葉がありましたので、これはひとつ私、前向きに受け取っていきたいと思います。  昨年の分科会で私は宿日直の問題を取り上げました。そのときに人事院総裁の見解もあわせて伺ったのですけれども、衆議院の場合、ことしは三日に一回という厳しい宿日直というものが改善されたようでありますけれども、これは、業者委託によって浮いた人員をほかに回すという内部のやりくりもあっただろうと思うのですね。しかし、それでもまだ五日に一回という職場もあると思います。たとえば青山の宿舎はそういうふうになっているというように私は伺っているわけですけれども、そうすると、一般公務員の場合の週一回が限度だという人事院の基準には達しておらない、こう言えると思うのですね。したがって、内部運用というものは限界に達していると私は思うのですけれども、この点ひとつ人員増の御努力をぜひお願いをしたい、これが一つであります。  さらにもう一つ考えていただきたいことは、内部の人員配置の操作だけではすでに限界にきているというのがあるのじゃないかという気がしてなりません。それはどこかというと、自動車課の運転手の代者要員の問題が一つあるだろうと思うのです。くどくど申し上げませんけれども、かなり無理をしているのじゃないだろうか。そういう無理というものが疲労を蓄積してくる。そしてそういう不健康な状態で業務を遂行しているとするならば、これは事故につながる問題でもある。まあまあいまのところ、皆さんたちがやはり節制しているといいますか、そういうこともあるだろうと思いますが、幸い不測の事故というものを免れておる。これは大変に結構でありますけれども、しかし同時に、多少の無理は承知の上で勤務をしているのじゃないかというような気もするわけであります。個々の皆さんたちの意見を聞くと、どうもそういうことがありはしないかという感じが私はするのです。  具体的に申し上げましょう。百六十三名の運転者のうちで、常時国会の役員等の専属者が五十名ですね。これらの人たちが急病等で緊急やむを得ない事情によって勤務を休む場合には、事務局の供用車に配属されている職員というものが代替者として乗務をする。いま事務局の供用車の配属というのは十六名ですけれども、その中にはバスの要員が四名おる、宿直の要員が二名、その他体の弱い人も多分いらっしゃるだろうと思うのですけれども、事務局本来の業務というものが増大をしているということを考えると、これは代替要員というものを常に確保することが容易でないのじゃないかという気もするわけです。したがって、専属車の担当運転者というのは、これは先ほど山花さんの質問と関連するわけでありますけれども、よほどの緊急時以外は年休をとることができないという状況にあるのじゃないか、私はそう思うのですが、そういう点をどういうふうにお考えになっているのか、ひとつ意見を聞かしていただきたいと思うのです。
  259. 大久保孟

    ○大久保事務総長 お答え申し上げます。  最初の宿日直の点でございますが、昨年御指摘を受けまして、三日に一遍、これは確かに私も極端な感じがいたしまして、それは今回解消さしていただきました。なお、まだ五日に一遍というのがあるのではないかということで、宿日直につきましては昨年十分検討いたしまして、できる範囲においてはなるべく宿日直の日を延ばすといいますか、極端なのを下げるという意味で、先生指摘の宿舎関係につきましてはまだむずかしい面もございましたが、その他については若干改善さしていただいたと思います。宿舎につきましてはめんどうな問題がございますが、将来に向かってはなるべくそれを改善していきたいと考えております。  次に、自動車課の代者の点でございますが、代替要員ですか、この点につきましては、確かに勤務の厳しさといいますか、その点は他の職種に比べまして高い点は高いと思います。ただ、代者だけの要員のための人員増となりますと、ほかの職種につきましても同じような現象がございますので、なかなかその点は、むずかしいのじゃないかと考えております。ただ、もちろん自動車を運転される方の健康管理につきましては十分に配慮をいたしておりまして、無理のないような運営をしていきたい、このように考えております。
  260. 山本政弘

    山本(政)分科員 私はこういうことを余り聞くのはちょっと気がひけるのですけれども、政党の配属者が八十一名ありますね。政党に車がどうかということは別といたしまして、ともかくも運転をする人たちは八十一名おるとして、こういう人たちが仮に休むということになると、各政党の配属数というのがそれだけ減ります。そうすると、配属車がいま全車運行してもなお不足だ、こういうことが言われているようでありますけれども、そういう現状を考えますと、運転者自身が自分の健康状態が不十分な状況でも出勤せざるを得ないという状態があるだろうと思う。そういう状況の中で、職場における代者要員というのは、代者要員だけを置くことは無理だというお話がありますけれども、やはり実態としてはそこに幾らかの要員というものを確保されて、それを回していくといいますか、そういうことがないとなかなか大変じゃないかという気がしてならぬわけですが、重ねてひとつそういう点について、総合的な増員というものを図れないものだろうかどうだろうか、もう一遍お伺いしたいのです。
  261. 大久保孟

    ○大久保事務総長 お答えいたします。  結論的に申しますと、事務局に確保している十六名ですか、その人を若干ふやして、もし政党関係の車でどうしても病気で休むという場合に出すとか、専用車についてやる、そういう方法しかないわけでございますが、その点につきましては、もう一遍検討さしていただきます
  262. 山本政弘

    山本(政)分科員 速記者の欠員補充についてお伺いいたしますが、私が申し上げる必要はないと思うのですけれども、多党化あるいは与野党伯仲、そういう中で審議時間がだんだん増大してきております。そして審議内容も、先ほどお話言葉じりをつかまえるわけではありませんが、専門化をしている、こういうことも私は最近あるだろう、こう思うのです。そういう意味で、会議録の作成に当たる現場の体制というものは、私は考えてみると十分じゃないだろうという気がするわけです。  速記の仕事というのはかなり神経を使う仕事じゃないだろうか、こう思うのですが、そういう職場である上に、聞きますと、最近は退職者も多い。私の友人もおりましたけれども退職いたしましたが、そういうことを考えて、これは毎年新規採用についても配慮されておりますけれども一、実際には速記職の定員というのが言六十六名中八名、行(一)表適用の速記監督というものを含めると百七十二名中、十名という欠員を生じているという状態です。したがって、そういう結果、第一線で速記に当たっている職員が六十四組、百二十八名となって、速記者の数が不足をしている。とりわけ二月とか三月とか四月とかという繁忙期は、ぼくは大変だろうと思うのですが、これはもう私が申し上げる必要はないと思いますが、四十八年の七十一国会では頸肩腕症候群の患者が出たという話も聞きましたし、また、一日の最高の速記の時間というのが、四十九年の七十二国会では三月七日が七十七時間二十五分、五十年の七十五国会では二月二十六日の七十八時間、五十一年の七十七国会では五月十二日の九十三時間五十八分、昨年の八十回国会においても三月十五日の七十八時間五十四分という時間がある。そうしますと、ここに表を一つつくっていただいたのですけれども昭和四十年度の一日当たりの最高から比べますと、昭和四十年度が速記時間が四十七時間で出務回数が七回、そのときに速記者の数というのが百十六人、五十二年度は速記時間が七十九時間になって、出務回数が十回で百二十四名の速記者しかおらない。こういうことを考えると、一日の適正執務回数というものが三回、これに間違いがなければ、かなり私はそういう意味ではオーバーをしておるのじゃないかという感じがするわけですね。つまり、ピーク時を中にして前後数カ月の繁忙期間というものが続いておる、こういう気がするわけです。  これもぼくがたしか過去の分科会でお尋ねしたときに、現総長ではございません、たしか前総長だったと思いますけれども、そのときにお答えをいただきました。そのお答えというのは、年間の数字をとって答弁をしておられたわけですが、年間の平均というのをとるということ自体が少しおかしいのじゃないか、つまり人間というのは生身の体ですから、そういう生身の人間の仕事というものを単に年間にならして、そうして時間というものは平均的には少ないというような表現の仕方でぼくはいいのだろうかどうだろうかという感じがするわけですね。同時に、いま申し上げたように、二月、三月、四月というような繁忙期間というのがかなり長期にわたるということになると、これは健康にかなり大きな影響を与えるのじゃないかという気がするわけです。  そういうことを考えますと、何かやはり対策が必要ではないだろうかという気がするわけです。もちろん、最近繁忙時の臨時速記要員の委嘱等の措置を講ぜられておるというような話も聞きますが、これはやっぱり私は、あくまでも臨時の措置であって、きちんとしたものじゃない、そうすると、一体抜本的な解決というものはどうすればいいのか、これはやはり速記の職員の大幅な増員しかないのじゃないかという感じもするわけです。そういう点で、いま十名ですか、欠員がある現在、この欠員に対しては、一体どうしてふやしていただけるのだろうか。昨年お尋ねしましたら、優秀な者を採れれば定員にはこだわりません、こういう話もたしかあったと思います。したがって、将来計画も含めて、一体総長としてはどういうふうなお考えをお持ちになっておるのか。これはやはり私はずっと毎年お尋ねをしてきた問題ですので、この辺で少し抜本的な計画といいますか、将来計画といいますか、その辺をひとつぜひお示しをいただきたいと思うのです。
  263. 大久保孟

    ○大久保事務総長 お答え申し上げます。  第一点は、現在すでに欠員があるという点についてどう対処するか、この点につきましては、昨年も同じ御質問をいただきまして、昨年におきましては、普通の職員の補充と違いまして速記者というのは最高のレベルの方を採らなければなりませんので、三カ年計画をもちましてとお話しいたしました。その三カ年目がちょうどことし五十三年に当たりまして、昨年の段階では、ことしの十月で大体欠員については補充できるというお話を申し上げたつもりでございます。ただ、現実には若干退職をされる方がふえまして、ことしの十月段階では一、二名、若干の欠になるのではないかというふうに思われます。ただ、来年度におきましても定数上は十名程度確保いたしまして、来年卒業する方を採用すればほぼ欠員については解消されるのではないかと考えております。  なお、先生の第二点といたしまして、抜本的なことをどうするのかというお話でございますが、現実の問題といたしましては、本年すでに分科会は始まっておりますが、従来とも養成所の研修生の応援を頼むとか、元速記者の方の応援を頼んでしのいでおりますが、こういう国会の審議の実態というのが恒常化いたしまして、たとえば二カ月、三カ月に及ぶような状態になりますと、このままいつもそのような形でいいというわけにはいかなくなると思います。この点につきましては、基本的な計画を立てまして将来は考えてみたい、こういうふうに考えております。
  264. 山本政弘

    山本(政)分科員 手元にある速記職員の欠員状況を見ますと、四十七年、四十八年、四十九年、五十年、五十一年、五十二年、五十三年、要するに欠員かゼロという年はないのですよね。四十七年が四名とか八名とかいうような数字で、一番少ないときで四十八年の十月に欠員が一名ということで、逐年、五十年、五十一年、五十二年となるに従って欠員がだんだんとふえてきているわけです。少なくとも数字から見れば。私は三カ年計画によってそれがゼロに近くなるということを聞いて大変うれしいのですけれども、同時にぜひお願いしたいことは、国会の通年国会と言われますのが恒常化されているという現状をお考えいただいて、ぜひひとつ将来計画をつくって対処していただきたいと思います。お願いです。  それから、それと関連いたしますけれども、いま速記者養成所の方々を臨時にお願いをするというような話がありましたが、もちろん、速記者の採用につきましては一般の公募というものもあるでしょうけれども、しかし速記者の養成所の皆さんに頼らざるを得ないというのが現実であろうと私は思うし、事実速記者の養成所に優秀な人材が数多く集まっておるだろうと私は思うのです。そして、もちろんなお一層積極的な努力というものをしていただきたいと思うのですが、それについて、これもこの前お伺いしたのですが、どうも養成所の生徒さんの手当が少ないのではないかという感じがするのです。  たとえば海上保安学校の高卒の男子の方、これは水路課程とか灯台課程とかいうのがあるようですが、仮に灯台課程というのを見ますと二年です。全寮制になっておりますが。ここに在学中には、要するに行(一)ですか、ちゃんと給与がもらえるようになっているわけですね、七万四千九百円ですか。しかも国公共済までちゃんと受けられるようになっているのです。ところが、衆議院の速記者養成所の方は二年半、寮はありますものの、ただ手当だけだということは少し均衡を失するのじゃないだろうか。しかも国公の共済は何にもない。そのほかのところと比べてみても、衆議院の速記者の養成所は生徒手当という名目になっておりますが、これは防衛大学なんかは学生手当となって、そしてちゃんと給与をもいただいている。給与といいますか、手当をもらっていますが、その手当は衆議院の速記者の養成所におる生徒の方方に比べるとかなり格差がある。というようなことがあると、どうもやはり社会通念といいますか、一般通念からしても、少し違いがあり過ぎるのじゃないかという気がするわけですね。ですから、そういう意味でひとつ思い切った増額を図ってもらえないものだろうかどうだろうか。もちろん今度たしか幾らか上げていただいたと思いますが、それだけでは少し少ないような気がするわけで、ひとつ生徒さんが安心して速記の勉強ができるという体制をとるには、ぼくはこれが積極的な措置の一つではないかという気もするのです。どうでしょう。
  265. 大久保孟

    ○大久保事務総長 お答えいたします。  昨年度も同じ御質問がございまして、私の方もその点は検討してみました。ただ、先生御存じと思いますが、養成所で十倍以上の試験をするわけなんですけれども、そこで一応衆議院の場合、衆議院の養成所の生徒として採用された者は全部研修科を卒業して本院に採用できればいいわけなんですけれども、現実には衆議院の速記者というのは日本の最高レベルでございまして、なかなか全部は、採用した頭のいい方でもついていけないような現状なんです。したがいまして、最初から職員で採りますとその部分をどうするかという非常にむずかしい問題が出てくるわけでございます。それで、現在といたしましては毎年一年生千円、研修生につきまして千五百円ということで、漸次改善していくという方法を考えているわけでございます。
  266. 山本政弘

    山本(政)分科員 確かにそういう点がぼくはあると思うのですよ。しかし、さっき例を挙げました海上保安学校だって、約二百十五名の高校の男子の人たちを採用するわけですが、その中には航海、機関、通信、主計、水路の各課程が一年ですか、灯台の課程で二年の科があるが、これだって全部ついていけるかというと、ついていけない場合だってあるのじゃないかという気がするのです。そうすると、やはりそういうふうに一刀両断に考えていいだろうかどうだろうか。やはりどう考えても千円、千五百円というのはぼくは少し少な過ぎると思うのです。委員長、そう思いませんか。——うなずいていらっしゃるのですよ。どうですか。
  267. 大久保孟

    ○大久保事務総長 お答え申し上げます。  もちろん、衆議院の速記技術がたとえば海上保安庁、気象庁等の技術と差があるとは考えておりません。ただ、現実問題といたしまして、われわれ生徒としてぎりぎりに採用するわけにはいかないものですから、かなり余分に採用するという状況で、非常に定員のきつい現段階におきましてそれだけのゆとりがないというのがいま現実の問題でございますが、現在では手当を少し増額するというしか方法がないのじゃないかと考えておる次第でございます。
  268. 山本政弘

    山本(政)分科員 まあ、ひとつ努力をしていただきたいという御要望を申し上げまして、最後に技術職の関係の欠員についてお伺いをしたいと思うのですけれども、たしか昨年の分科会総長は、もし技術職の関係の方々が欠員になった場合には、「すぐその時点で採用するというたてまえをとっております。」というお話が、私の聞き違えでなければそういうふうにお答えをいただいたと思いますが、本年一月から三月末までに技術職の人で高年齢に達して退職あるいは退職予定者が七名いるそうです。ちょうど国会も最繁忙の時期に当たりますが、その補充を直ちにして、そして関係部課職員の余り重荷にならないような万全の措置を私はやはりとっていただきたいと思うのですけれども、その点はいかがでしょう。
  269. 大久保孟

    ○大久保事務総長 お答えいたします。  先生指摘の年度内七名の欠員につきましては、技術職あるいは運転手さん、そういう方でございますので、一般的な試験とは別に即時採用という方針でやっていくつもりでございます。
  270. 山本政弘

    山本(政)分科員 ありがとうございました。
  271. 谷川寛三

    谷川主査代理 以上で山本君の質疑は終わりました。  次に、柴田睦夫君。
  272. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 国会図書館の問題についてお伺いします。  まず、非常勤職員の問題です。行政機関の側を含めて非常勤職員問題は、いまでもいろいろな問題があるわけです。通常の非常勤職員の問題は、常勤化した非常勤の扱いをめぐる問題が中心問題になっているのですけれども、図書館では、月に十八日間勤務に制限された非常勤の勤務日数制限の撤廃ということと、勤務条件の改善が当面の焦点になっております。職員組合の協力を得まして、調査いたしましたところ、非常勤職員は現在図書館に七十五名、常勤者の約一割弱に達しております。このうち夜間閲覧アルバイトが十八名、月十八日以下勤務者、つまりパート的非常勤が七名、残り五十名は、月十八日間勤務者ということになっております。十八日間勤務者の職務と責任の実態を詳細に調べてみますと、一部で一時的、臨時的な業務にアルバイト的に携わっている者が若干おりますけれども、多くは常勤者と全く変わらないというのが現状であります。勤続年数を調べてみますと、中には十年前後のものが少なからずおります。その勤務条件は、たとえば給与は、一カ月間まるまる働いても月六万三千円にしかならない。その他の手当としては、一時金が支給されるだけで、その額はわずか日給の七日分しかない。しかも、国会職員ですから、国会職員法で本属長の許可なく給料を得て他の事務につくことを禁止しているわけです。こういう月給で人間らしい生活ができるとちょっと思えないのですけれども、まずこの点についてどうお考えでいらっしゃるか、お伺いします。
  273. 岸田實

    ○岸田国立国会図書館長 私のところで、非常勤職員と申しますものの中には二色ございますが、一つは、学識経験を持たれた方に、その経験によっていろいろ御助言を願うために非常勤職員として採用しているものがございます。それ以外のものは、司書的業務の補助業務と申しますか、きわめて機械的な業務に当たっていただく。具体的な例を申しますと、いろいろな出版物等の発送事務を行うとか、手紙の上書きを書くとか、あるいはコンピューターの入力の際にデータシートに移し書きをしてもらうとか、その種の機械的な業務に充てるために非常勤職員というものを採用してまいった、もともとは、俗に申します学生アルバイト的なものから今日に至っておるわけでございます。もとより、勤続を希望する方に業務が終わったからと言ってすぐやめていただくというようなことはいたしておりません。また、ほかの個所のそういう業務に移すというようなことでまいっておりますけれども、現在五年以上勤続している職員は一人だけでございまして、十年というのは、ちょっとそういう方はおられぬのじゃないかと思います。  そういうことでございますので、私ども考えとしては、それによって生計を維持するものであるという考え方は初めからないのでございまして、そういう機械的な業務の内容に相応する手当を検討して給しておる。むしろ採用の際に、それによって生計を維持するというような御事情のある方は、この仕事はこういう性質のものでありますということを申し上げてお断りをしておる。それでパートタイム的な、あるいはいま申しましたようなことで結構という人だけを採用するということで今日に至っておるわけでございます。
  274. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 そのアルバイトやパート的なものはともかくとして、問題は常勤者と職務と責任が同等であるにもかかわらず、本人の意思に反して、定員枠の限界だとかあるいは予算上の都合だとか、いま言われましたような歴史的な経過というようなことを理由にして、十八日間というような勤務日数の制限をつけるという任用の仕方をいつまでも続けるということに問題があると思うのです。  伺いますけれども、国会職員法は、その第三条で、「国会職員の任用は、別に定のあるものを除き 各本属長の定める任用の基準に基いて、これを行う。」こう定めておりますけれども、臨時職員の任用の基準は今日なお定められていないようでありますが、この点。  それから、任用基準については人事院規則を準用しているということも聞いておりますけれども、準用できる、または準用するという、この法律上の根拠は何か、何という法律の何条に書いてあるか、この点をお伺いします。
  275. 岸田實

    ○岸田国立国会図書館長 非常勤職員の任用の基準というものは、現在規定はございません。私どもは、人事院の任用の最高限度額を定めた規定等は直接は私どもに適用があるとは考えておりません。ただ、私どもは非常勤職員として採用しておりますので、その非常勤職員としての扱いをするという観点、すなわち常勤職員でないという扱いをするという点と、もう一つは、大ぜいの職員をあれしておりますけれども、それを配置する個所は十数個所の部署に分かれるわけでございまして、その一つの個所に全員をあれするというわけでございませんから、その部署部署の業務の量等を考えて十八日とか十七日とかいう日にちを割り当ててやっておるわけでございます。業務量に応じてそれを決めておるということでまいっておるわけでございますから、これをある特定の部署の非常勤職員だけの日にちを延ばすというようなわけにはまいらないのでございます。また、現実に、現在そうやって雇っておるのでございますから、その人たちの処遇の点も、公務員のベースアップ等がありました場合には考えなくちゃなりませんしいたしますので、非常勤の期間を長くするという考えは持っておりません。  それから、基準はなくても、運用といたしましては、そういうことで業務量に合った日数で採用しておりますし、それからその仕事が終わってほかの業務にまた働きたいという人には、また配置転換をしてやるというようなことで、仕事がなくなればすぐやめてもらうというような扱いもしておりません。処遇の点も考えてやっておりますので、運用としては、私は現在のやり方以外にやる方法はないのじゃないかというふうに考えております。
  276. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 問題は、国会職員の任用は、この任用の基準に基づいて行うといった、いま言った法律がありますし、それから実際人事院規則の十五の四で決めております「非常勤職員の勤務時間及び休暇」という規則があるわけですけれども、これを準用するというように聞いているのですが、そうじゃないのですか。
  277. 岸田實

    ○岸田国立国会図書館長 人事院の規則は、常勤職員の週の勤務時間の四分の三以内という規定がございますが、私の方ではそれを準用しているというようなことでなしに、非常勤職員として採用するということから、最高の日数を十八日と決めて運用しているわけです。  それから、具体的な基準を定めるということになりますと、衆参両院の事務局及び国立国会図書館一本で規定をつくらなければならぬということになるわけですが、それぞれのところの非常勤職員の採用の仕方、仕事の内容等が違いまして、なかなか統一的に基準を定めるというわけにもいかない事情にございますので、そこは本属長の運用でやらしていただいておるということでございます。
  278. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 行政機関の非常勤職員の場合は、人事院規則というものがあって、勤務時間や休暇というものが決められているわけです。国会図書館の非常勤職員の辞令を見てみますと、「出勤日数は一か月十八日とし 出勤日は配置部局の長が定める 一日の勤務時間は午前九時から午後五時三十分までとし その間休憩時間三十分を置く」、こういう辞令の内容になっているわけです。やはりこれは非常勤職員の任用の基準というものをちゃんと定めておかなければ、安定した、安心した仕事ができないというように思うのですけれども、この任用の基準をつくるということについて、職員団体との協議も必要であると思うのですけども、そういう基準を定めるべきであると私は考えますけれども、この点はどうですか。
  279. 岸田實

    ○岸田国立国会図書館長 任用基準を定めるということになりますと、衆参両院事務局とも協議をいたさなければなりませんし、人事院の一つの基準がございますから、同じ公務員としてそれとはなはだしく違うものをつくるというわけにもいかないと思います。結局のところ、ただいま私たちが運用しているようなところを限度にするというようなことにならざるを得ないのじゃないかというふうに考えますが、なおひとつ、その点につきましては今後検討いたしてみたいと思います。
  280. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 大蔵省の方にお伺いしますが、行政機関の非常勤の場合、委員や参与、パート、アルバイトを除くほかは、昭和三十六年二月の「定員外職員の常勤化防止について」の閣議決定によりまして、日々雇用の形式をとっておって、十八日間勤務制限をしているところはいまほとんどないわけです。職務と責任の特殊性が認められない常勤的非常勤勤務者については、正規の手続を経て常勤化すべきであると思うのですが、少なくとも本人が希望する場合には、十八日間という勤務日数制限をやめて、日々雇用の非常勤職員化すべきであると私は考えます。日々雇用とした場合、庁費予算から給与を支出することになって、経常経費が抑えられた予算の中では、やりたいと思ってもやれないという事情が図書館側にあるようなので、大蔵省としては、そのために必要な予算上の措置について、今後特段の配慮を払うべきであるというように考えますけれども、この点について大蔵省のいまの考え方をお伺いしたいと思います。
  281. 塚越則男

    ○塚越説明員 御質問の件は、賃金の単価の話であろうかと思いますけれども、各省庁とも統一した予算単価を設定しておりまして、その単価は人勧アップ率を参考として決めておりまして、五十二年度に比しまして五十三年度は六・五%のアップということになっております。
  282. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 単価を決めているのはいいですけれども、現実に、一番最初に言いましたように、六万円程度に抑えられるような月給で常勤者と同じような仕事をしている、そのことについて、単価を変えて現実に合うようにしなければならない、そういうことについての見解を伺いたかったわけですけれども、この点はひとつ大蔵省としても現実を踏まえて考えてもらいたいということを言っておきたいと思います。  それから、非常勤職員の勤務条件を含む国会職員の勤務条件の基準と憲法二十七条第二項との関連について、問題点を指摘しておきたいと思います。  憲法二十七条第二項では、「賃金、就業時間、休息その他の勤労條件に閲する基準は、法律でこれを定める。」と規定しております。これを受けて、民間労働者に対しては労働基準法やその他の法律が制定されているわけです。一般国家公務員については国家公務員法や一般職給与法などがあります。国会職員については国会職員法があるわけです。  ところが、国会職員法の場合、第二十四条、第二十五条を見てみますと、「国会職員の勤務時間、居住地、制服その他服務上必要な事項は、本属長がこれを定める。」これが二十四条。それから二十五条の三項では、「国会職員の給料、手当その他の給与の種類、額、支給条件及び支給方法並びに旅費については、別に法律で定めるものを除く外、両議院の議長が、両議院の議院運営委員会の合同審査会に諮ってこれを定める。」というように、勤務条件の基準設定の手続を規定しているだけで、給与、就業時間、休息など、憲法が特に例示した勤務条件の基準については何ら規定していないわけです。  こうした憲法二十七条の規定に対する不備、欠陥をカバーするために、国会職員法は、第四十五条を設けているわけですが、四十五条にあります労働基準法の規定を準用するために必要な事項は、今日に至ってもまだ定められていないというのが現状です。この点で、憲法二十七条第二項の趣旨から見て不備、欠陥があるというように私は考えるわけです。いま言いました非常勤職員問題も、この不備、欠陥と無関係じゃないと思うのです。  たとえば、非常勤職員の諸手当等について見ますと、国会職員法の二十五条第二項では、「国会職員は、給料の外、必要な手当その他の給与及び旅費を受けることができる。」こう規定しているのですけれども昭和二十二年十月十六日付の両院議長決定の給与等に関する規程の第十五条第二項は、非常勤の職員に対しては日額手当以外の給与は支給しない、こう規定しております。法律で手当を受けることができると規定しているのに、法律外の規程で支給しないと定めることは、法理上も問題があると思うわけで、これは、憲法二十七条第二項が給与に関する基準を法定することを規定し、これを受けて国会職員法二十五条第三項が給与法の制定を予定する規定を設けているにもかかわらず、今日なお立法措置がとられていないということに問題があるわけです。  そういう意味で、給与法の制定を含め、勤務条件の基準についての国会職員法の規定の不備、欠陥を改めて、憲法二十七条二項の趣旨に適合するよう整備する必要があると考えております。ちょっと長くなりましたけれども、それらの問題についての法律の洗い直し、こういうことについてお考えがあるかどうか、お伺いします。
  283. 岸田實

    ○岸田国立国会図書館長 私どもは、国会職員法を根拠にいたしまして、両院議長決定等を踏まえ、また本属長にゆだねられた権限の範囲内で、適法にこの問題を処理しておると考えております。ただいま、それが憲法違反になるのではないかというようなお言葉でございましたけれども、そのようには考えておりません。しかし、きわめて法律的な問題でございますから、今後両院の法制局等にも連絡をとりまして、その間の、どう見るのかということは検討してもらいたいと思います。
  284. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 国会職員の給与等に関する規程の第八条の中に国会特別手当というのがあり、国会の開会中に勤労の強度が著しい事務に従事した衆参の職員に対しては一カ月分の国会手当が支給されておりますけれども、図書館職員に対してはその七二%しか支給されておりません。これは、この数年間、この格差を埋めるために毎年四%ずつ増額されてきているわけですが、この格差是正措置は今後も引き続きやらなければならぬ問題であると考えておりますけれども、館長の御意見をお伺いします。
  285. 岸田實

    ○岸田国立国会図書館長 両院の事務局と国会図書館とは、成立の時期、沿革等が違っておりまして、ただいま両院事務局の職員は一〇〇%、一カ月分、私の方は七二%ということになっておりますが、同じ国会職員でございまして、私のところの職員も国会のためにいろいろ働いておるわけでございますから、引き続いてこの国会手当の増額を進めてまいりたいと考えております。
  286. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 次に、閲覧部職員の腰痛問題ですが、現在、図書の出納業務をしている閲覧部では、腰痛を訴える職員が激増しております。昨年十二月に職員組合が行ったアンケート調査では、八十四名の回答がありまして、自覚症状のある者が四十一名、医師の診察を受けた者が十一名に上っております。また、ことしに入ってから数名の者が通院し始めたということも聞いております。  昨年の十一月八日に、館は、元閲覧部の一婦人職員の腰痛に対し、公務上災害の認定を行いましたが、この事実は、館自身閲覧部の業務内容に腰痛患者を生む条件があることを認めたということになると思うのですが、いま言いましたような腰痛問題、この実態は館として把握しておられますか。
  287. 岸田實

    ○岸田国立国会図書館長 最近、特に閲覧部関係職員の中に腰痛を訴える者が少なくないということはもちろん聞いておりますし、職員組合からも、この件について申し入れを受けております。  この腰痛の訴えは、腰痛が個人的な体質的なものか、あるいは業務上に起因するものであるかということはなかなか判断のむずかしい問題でございますが、ともかく、職員の中にそういう者がおるということでございますので、館としても目下この実態の調査を進めております。  なおまた、現在は、腰痛のために通院加療しております者は二人、いずれも女子職員でございますが、一人は出産に伴うものであり、他の一人はさほど重症のものではないと私は聞いております。  なお、公務災害の認定をいたしまして、公務災害上の補償をし、他の部局に移した女子職員が一人おります。この場合は、本人からの申し出がございましたので、医者数名の方にその判定をお願いしたのでございますが、なかなかこの認定はむずかしかったのでございますが、ともかく、職員がそういうふうに仕事のために腰痛が起こったと言っていることでもありますので、この点は医者とも相談いたしまして、業務上の災害そのものであるとは言えないにしても、多少関連があったのではないかという一つの認定をしまして、公務災害補償の措置をとったような次第でございます。  なお、そういうことでございますので、その後われわれとしては、できるだけ腰痛が起こらないようにする措置といたしましては、書庫内の運搬車をふやしまして、本を箱に入れて抱えるという、腰痛の一番大きな原因になるようなことのないように、運搬車をふやしたり、また実際上の指導といたしましては、本を入れる箱に満杯にしないで、その八割ぐらいのところで運搬をするようにという指導をいたしましたりしております。そのほか、ただいま申しました、本を入れる箱を抱えるようなことをしないで済むような方法はないかということで、いろいろ車とか機械のことを検討さしておる。必要があればそういう手段を用いまして、腰痛の原因と思われることのないようなふうにしたいと考えておる次第でございます。
  288. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 閲覧部で腰痛を訴える職員が多いということは、これは結局は仕事の量がふえたということに比べて職員の数がふえないというところに最大の原因があると思うわけです。閲覧部の業務は、いわゆる省力化がむずかしい、省力化になじまない職場であると言われております。この点については、昨年八月に図書館が発行しました米国議会図書館の業務改善調査特別委員会報告でも明らかであります。腰痛者発生予防対策としては、業務量の増加に見合った人員増を初めとする予防措置を早急に講ずべきであるというように考えます。     〔谷川主査代理退席、主査着席〕 いま、この予防の今後の対策ということも一応言われましたけれども、やはり人員の増加ということをやらなければならないのが現状ではないかと思うのですが、この点についてはいかがですか。
  289. 岸田實

    ○岸田国立国会図書館長 確かに最近、閲覧部の図書の出納の量は年々増加いたしてまいっておりまして、閲覧部の職員の方々もなかなかお仕事が大変であろうと思っておるわけでございます。しかし、なかなか増員というものは認められませんで、ほかの部も皆同様に仕事を手いっぱいやっておるような状況でございますから、閲覧部だけに人手を回すというわけにもまいりませんようなことで、苦慮いたしておる次第でございます。今後とも、でき得れば現在の事務量にふさわしい増員を得まして、はなはだしい事務の負担にならないように努力はいたしたいと思っております。
  290. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 この腰痛を訴える職員につきましては、本人の意思もあるわけですけれども、腰痛の起きないようなところに配置転換する、それを最優先して行うというようなことだとか、あるいは勤務時間の短縮を行うというような配慮がなさるべきであると考えます。そういうことができるかどうか、お伺いします。
  291. 岸田實

    ○岸田国立国会図書館長 腰痛を訴える職員を配置転換するということは、ちょっと現在の私どもの立場ではできません。と申しますのは、その腰痛がどの程度のものであるかということがはなはだ不明確なんであります。たとえば、管理者が、腰痛があるなら早く医者に行ってお診せなさいと言えば、いや医者に行くほどのこともないというようなことを言う方も、やはり腰痛を訴えておられる方の一人に入っておるわけです。そういうことで、本当にその腰痛がその職にたえないものに達しておるかという認定が困難でございますし、仮にその人を配置転換いたしましても、閲覧部の仕事そのものに腰痛の原因があれば、また新しい方に腰痛が起こるということになるわけですから、異動するということは完全な解決になりません。したがいまして、私どもとしては、現在慎重に、またよく職員の事情も検討しておる反面、いまのそういう解決策を先決の問題だとして考えておるわけでございます。
  292. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 私が言っているのは、やはり腰痛がひどくて仕事にたえられないという問題です。再発防止ということについてさきに触れられましたけれども、これはひとつ実態をしっかりと把握してもらいたい。そして職員組合と協議して、その実態を把握することをやって、その結果に基づいて、人員の増加ということも含めて、また言われたような再発防止の計画をきちんと立てるべきであると思いますし、この点について前向きに検討していただきたいということを最後に言っておきます。
  293. 塩崎潤

    ○塩崎主査 以上で柴田君の質疑は終了いたしました。  これにて国会所管についての質疑は終了いたしました。
  294. 塩崎潤

    ○塩崎主査 次に、会計検査院所管について審査を進めます。  まず、会計検査院当局から説明を求めます。鎌田会計検査院事務総長
  295. 鎌田英夫

    ○鎌田会計検査院説明員 昭和五十三年度会計検査院所管の歳出予算案について説明申し上げます。  本院の昭和五十三年度予定経費要求額は、七十六億九十二万九千円でありまして、これは、日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく、本院の一般事務処理及び検査業務を行うために必要な経費であります  いま、要求額の主なものについて申し上げますと、  一、人件費として六十四億八千九十六万八千円を計上いたしましたが、これは総額の八五%に当たっております。これらのうちには、会計検査の充実を図るため、技術専門官一人、調査官三人などを増置する経費も含まれております。  二、旅費として五億二千四百五十一万三千円を計上いたしましたが、このうち主なものは、会計実地検査旅費が五億八百六十二万三千円、外国旅費が六百十九万三千円であります。  三、施設整備費として三億二千五百十四万四千円を計上いたしましたが、このうち主なものは、庁舎別館増築及びこれに伴う改修工事費二億七千八百四十七万二千円であります。  四、その他の経費として二億七千三十万四千円を計上いたしましたが、これらのうちには、検査の円滑化を図るため新たに計上された会計検査活動費一千七百五十六万六千円が含まれております。  次に、ただいま申し上げました昭和五十三年度予定経費要求額七十六億九十二万九千円を前年度予算額六十八億一千百五十六万六千円に比較いたしますと、七億八千九百三十六万三千円の増加となっておりますが、その内訳について申し上げますと、一、人件費において四億三千九百四十四万一千円、二、旅費において五千五百八十七万九千円、三、施設整備費において二億六千六百九十九万六千円、四、その他において二千七百四万七千円となっております。  以上はなはだ簡単でございますが、本院の昭和五十三年度予定経費要求額の概要の説明を終わります。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  296. 塩崎潤

    ○塩崎主査 以上で説明は終わりました。     —————————————
  297. 塩崎潤

    ○塩崎主査 質疑の申し出がありますので、これを許します。工藤晃君。
  298. 工藤晃

    工藤(晃)分科員(新自) この間の二月二十日の予算委員会の一般質問で、私が大蔵大臣、厚生大臣に、いわゆる医師優遇税制に関連した問題点について質疑をいたしまして、その中に昭和五十一年度決算検査報告会計検査院報告書について、二八%の問題について質疑を申し上げましたが、時間の関係上いろいろお聞きするわけにもまいりませんでしたので、本日はそれに引き続いて御質問を申し上げたい、かように考えたわけでございます。  まず最初に、社会保険診療報酬の所得計算の特例について、いわゆる医師優遇税制と言われておる問題でございますが、これが会計検査院の「特に掲記を要すると認めた事項」の中に含まれておりますが、この「特に掲記を要する」という言葉意味を、簡単にもう一度御説明をいただきたい、かように思います。
  299. 前田泰男

    ○前田会計検査院説明員 お答え申し上げます。  従来から会計検査院は違法、不当事項というものを摘出する、さらに是正改善の余地がありといたしますと是正改善の意見を述べる、これでいままでやってきたわけでございますが、昨年から国会方面の御意向もございまして、特に違法、不当あるいは改善をしなければならない、そういう事態でなくても、国民的関心の高い事態につきましてはその事実だけでも述べて、そして大方の御意見あるいは御議論をいただくというようにしたらどうかという声がございまして、去年から、いわゆる不当であるとも違法であるとも申し上げられない、またすぐに改善の道があるともちょっと考えられない、大体これは政治的な問題が多うございますけれども、そういうものにつきまして「特に掲記を要すると認めた事項」ということで、それであわせて事態の促進を図ろう、こういう趣旨のものでございます。
  300. 工藤晃

    工藤(晃)分科員(新自) それに関連いたしまして御説明を伺いたいと思うのですが、この間も申し上げましたが、要するに世間では医師税制のことを不公平税制、優遇税制という言葉で一般化しております。ところで、会計検査院がそういう掲記を要するという定義のもとにこの問題を取り上げられた。ところが、この間お聞きした以外にも、たとえば私は幾つかの点についてお聞きをいたしたいのですが、これはおたくの資料です。「この特例は、昭和二十九年に社会保険診療報酬の適正化が実現するまでの暫定措置として創設されたものであるが、その後、数次の診療報酬の増額改定が行われたり、患者数が増加したりしたため、この間の数次にわたる薬価基準の引下げにもかかわらず社会保険医療費は逐年増加を続け、五十年分の医業等事業所得者の平均所得額は給与所得者の平均収入額の四・六倍(二十九年分一・六倍)、」こういうふうな数字が出ております。何のためにこういうふうな比較をされたのか、その点一言お答え願いたいと思います。
  301. 前田泰男

    ○前田会計検査院説明員 この制度ができました二十六年から二十九年の間の動き、七二%という根拠がどういう根拠であるのかということをわれわれずいぶん調べたわけでございますけれども、結局はっきりわからない。ただ、その際に言われましたことは、いまわれわれが聞いております限りにおきましては、やはりお医者さんというのは一般に優遇さるべきではないのか、それで、それを診療単価というものに持っていって一遍にやるということはむずかしい、そういう意味で、いわば所得補完という制度として一応それはお認めになられたものと私は考えておりますけれども、その時代から比べると収入の伸びがかなりなものであるのではないかという客観的な事実を書いただけでございます。
  302. 工藤晃

    工藤(晃)分科員(新自) やはりこういう比較をなさいますと、要するに収入という部分に対する医師の経済的な優遇を受けているという証左のために比較をされているというふうにもとれるわけなんですが、主として世間一般ではそういうふうにこういうものを取り上げると思います。ただ医療というのは非常に特殊性なものでございますし、それからまた、これは個人経営でございます。経営者と給与所得者を比較するということも、比較の対象としては妥当性を欠くのじゃないか、私はこういうふうに考えますし、それからまた、この平均収入額というものの中にボーナスが含まれているかどうかということもあわせてお聞きしたいと思います。それから、そういう比較をなさるよりも、外国における、たとえば先進ヨーロッパ諸国において同じ職業の方々がどの程度の収入を得ているのか、それが国民の所得に対してどういうものを持っているのか、そういう方がより適切な比較じゃないかと私は思うのです。ただこれだけで、一般給与所得者に比べればと言ったって、給与所得者というのは大変幅がありますね。そういう者と比較する比較材料としてはなはだ条件がそろわない、そういう問題をここにくっつけておられるということは、かえってそういう問題についての適切な判断をする資料としてはややこしくなってしまうということが感じられたわけです。続いて、この総平均五二%という問題、これもこの間申し上げたように、はなはだ雑多な資料をそのままくっつけて割って平均をとったというふうな、言えばあり合わせな資料でやったということなんで、これも一大変お粗末きわまりないと私は思います。なぜならば、それが正しく医業の所得の投影になっていないという事実関係がこの前はっきりとしたわけですから、そういうものを比較してみたり、あるいはまた五二%という数字にしても、その対象者の二十何%ですか九%でしたかは七二%以上の経費がかかっているということでこの適用を受けていない。それからまた一千万以下の所得者に対して全然資料を持っていない。そうすると、一体こういうふうなやり方をしたとしても、それを前提としたとしても、そういうものを全部ひっくるめて大体経費かどのぐらいかかったということならまだ話はわかるのだけれども、この高額所得者一千万を対象にして、そういう部分は全部除いてしまって、それで平均したものを一般の総平均五二%の経費率で、二〇%の開差があるというふうな、こういう結論づけるようなやり方というものは、私ははなはだ疑義がたくさんあるわけです。  そういうことを含めて、何となくこういう資料を見ると、いかにも個人開業医が経済的に非常に優遇をされておるというふうに理解されやすい、そういうふうな意図的な資料を出されているのじゃないかというふうにも私はとらえるわけです。それで、いやそれは違いますと言えば、ただし書きが下の方に書いてございますけれども、こういうものは生命保険の紙の裏側みたいなものですから、一般にこういうところまで目を通すというのじゃなくて、書かれているそのポイントが問題になってくる。そうすると、資料そのものが適切でないということになると、国民に大変大きな誤解を生んでしまう。一たん生んだ誤解というものはなかなかとれない。そういうところで、医療の問題というのは、人命の尊重されなければならない非常に重要な業種ですから、そういう中で、こういう資料がまず第一番に出てしまって、それが基準になっていろいろな問題が云々されていくということについては、はなはだ配慮に欠けるところがあったのじゃないかというふうに私は考えるのですが、その点について一言お答え願いたい。
  303. 前田泰男

    ○前田会計検査院説明員 お答え申し上げます。  一番初めの、給与所得者と単純に比較するというのは間違いではないか、こういうお話でございます。それからその前に、この給与所得者の収入の中にボーナスが入っておるか、こういう御質問でございますが、ボーナス込みでございます。  確かに、業務の形態と申しますか、そういうものは、給与所得者と開業医の方とはかなり違っておられる。ただ、二十九年の際にいろいろ御議論のあった際は、やはり給与所得者の何割増しぐらいが適当かという議論がかなり積極的に展開されたというぐあいに私は聞いておりますので、その意味で給与所得者の平均との比較を書いたわけでございます。  それから、諸外国の実情を調べるべきではなかったか、これはおっしゃるとおり、調べた方がベターであるとわれわれも考えますが、実は的確な資料が得られなかったわけでございます。  それから、五二%という数字を挙げたのは何か、これはこの前お答えいたしましたとおり、七二%を適用されましたお医者さんの平均である、それで千五百五十三人の方は七二%を超しておるという意味で適用されなかった、これはこの前申し上げたとおりでございまして、一般にはこの五二%というのは、お医者さん、開業医の方々のすべての平均だというぐあいにとられておりますけれども、われわれも事あるごとにそれはそうでないということを言い続けてきたわけでございまして、そういった誤解が周りにあるということは、われわれとしてもまことに残念に思っている次第でございます。  では、なぜ五二%という数字を挙げたか、こういうお話でございますが、結局は七二%という数字が一律にそこに提示をされておったということから、その比較におきまして五二%という数字を出しただけでございまして、この前にも先生に御説明申し上げましたとおり、最高七一・八%から最低一九・七%まで、これは千差万別であるということはわれわれ自身が非常に意外にも思いましたし、それからもう一つは、優遇税制とは言っておられますけれども、千五百五十三人の方、この方は大体人件費あるいは減価償却費の非常に高かった方でございますけれども、こういう方は受けておられない、それから先ほど所得一千万未満の者についてはどうか、これについては調査はいたしておりませんけれども、しかしわれわれ自身が、経費率が一〇〇%を超すということで申告に至らないお医者さんがかなりあるということは存じております。
  304. 工藤晃

    工藤(晃)分科員(新自) 私はなせこういうことをしつこく申し上げるかというと、やはり国民に正しい判断をしてもらうためには、そのもとになる資料そのものが、だれが見ても妥当であるという、妥当性のある資料で云々しなければならない。ところが、何か考え方によっては大変意図的な考え方を持って出されたのじゃないかという考え方も持てるし、あるいはまた大変不注意に、何となくそこにある資料で発表しておいたらいいだろうというので発表なさったのか、二つに一つであって、適切という言葉からはほど遠いものだというふうに私は思う。  それからまた、先ほどのことでございますけれども、諸外国比率を見たらどうかと言ったら、それは資料がなかった、これは厚生省にお尋ねになればすぐ出てきます。そういうことすらなさっていない。私はそれでははなはだこれは不十分な資料が出てしまったのだなというふうに思わざるを得ないですね。  それから、私がこういうことを申し上げるのは、この間村山大蔵大臣もこういうことをおっしゃっているわけです。「昭和二十九年に議員立法をもって出発しましたいわゆる医師優遇税制につきまして、従来、不公平であるとか優遇であると言われたのは何かというお尋ねでございますが、従来言われておりますのは、私の理解では、収入に対する経費の割合、逆に申しますと所得の割合というものは、極端に申しますれば一人一人違うであろう、それを一律に経費率が七二%だ、それを法定しているところが、それが優遇であり、不公平税制だと言われていると私は理解しているのでございます。」こういうふうに答えておられる。あなた自身も、「租税の特別措置といった制度的なものを検討すべきであるという声が非常に強かったわけでございます。それをお約束いたしまして、特に医師の場合には減税額が多いというような発表もありましたので、このいわゆる不公平あるいは優遇と言われております税制の実態というものは一体どういうものなのか、これをきわめて客観的な数値でもって御披露申し上げるということは、独立機関としての会計検査院がやって決しておかしくない仕事であると考えまして、きわめて中立的に客観的な数値をとろうとしたのが今回の調査であります。」こういうことを言われている。ところが、あなたのいまおっしゃっていることとこの前おっしゃったこととは大分私は違うと思うのです。こういう客観的に御披露申し上げるという「客観的」というのは、もっと中正な正しい資料ということを普通一般にはとるんじゃないでしょうか。  それから、もう一遍ここのところでお聞きしたいのだけれども「特に医師の場合には減税額が多いというような発表もありました」、こういう発表、どういう発表でございますか、その点ひとつお答えいただきたい。
  305. 前田泰男

    ○前田会計検査院説明員 これは、大蔵省当局が特別措置によりまして税の軽減額が幾らになっているかというのを毎年発表しておられますけれども、その中で一番金額が多かった、こういう意味でございます。
  306. 工藤晃

    工藤(晃)分科員(新自) その資料をひとつ私の方に後でちょうだいしたいと思います。  それから、先ほどの問題に返りますけれども、あなたの方の御発表によりますと、昭和二十九年分が給与所得者の一・六倍にしかなっていないのです。医業等事業所得者は、後の方ですが、二十四・二倍になっているという現況だ。しかしながら、そのときに非常に低いところから医療費が上がっていって、そして二十四・二倍になったということは、こういう数字そのものは原点が非常に低かった、一般水準より非常に低かったからそういう特別措置というのが議員立法で立法化されたと私は思うのです。その原点の数字が、社会環境に比較して妥当な点から何倍上がったというのなら、これは話はわかると思うのだけれども、過当に低いという状況の中から何倍上がったのにその上がり方はあれであるという考えも私はおかしいと思うのです。そういう意味において、一・六倍が果たして妥当であったかというと、どう考えたって一般給与所得者の平均から比べてたった一・六倍しかない、医師の所得は。これを適切だとあなたはお考えになりますか。
  307. 前田泰男

    ○前田会計検査院説明員 一・六倍程度がいいかどうか、これはたしかこの税制の特例ができますときにかなり議論がされた、恐らくは一・六倍というものが適切だとは考えられないということからいわゆる優遇税制というものはできたのだろうと私、考えております。したがって、そう考えます限りにおきましては、一・六倍というもとが正しくなかったのではないかというぐあいに考えるわけでございますが、しかし、それから後お医者さんの収入はぐんぐん伸びたわけでございまして、二十四・二倍といった伸び率を示すというのはかなり大きなものではないか、このように考えておる次第でございます。
  308. 工藤晃

    工藤(晃)分科員(新自) 数字の専門家がそういうことをおっしゃるというのは私のような素人にとっては大変理解しにくい。ただ二十何・何倍になったから——じゃもう一遍置きかえて計算してみていただければどうなるか。じゃ、逆に私が持っておる資料で御発表申し上げましょう。これは大蔵省から出た数字でございますから間違いございません。国民所得は、昭和三十年を一〇〇といたしまして、指数は昭和五十年が一七四五・六、それから雇用者所得が、昭和三十年を一〇〇といたしまして昭和五十年が二二四二・八です。国民の医療費が、昭和三十年を一〇〇といたしまして昭和五十年が二七〇九・三、それから問題の開業医一人当たり社会保険診療報酬指数が、昭和三十年を一〇〇といたしまして昭和五十年が二〇六二・六、こういう数字になるのですね。あなたは二十何・何倍になったから大変な上がり方であるとおっしゃいますけれども、逆なこういう数字を見れば、これが果たして皆さん方がおっしゃっているようなことと一致するかどうか、これも御検討をいただかなければならぬ、こう思います。  それから、こういう資料を私、手元に持っておるのですが、昭和四十年を基礎にいたしまして、縦軸を指数とし、横軸を年度とします「診療報酬と賃金・料金の上昇比較」、こういう比較をごらんいただいても、一番下が医療費なんです。報酬です。それから一番高いところが春闘妥結賃金引き上げの率で、あと点々になっているのが理髪業、散髪屋さん、こういう数字もあるのです。これは公務員給与の引き上げの率、それから新聞購読料の率、医療費の引き上げ率、こういうようなこともあって、数字というのは、出し方によって幾らでも自分に都合のいい数字も出すことができれば、都合の悪い数字も出すことができるわけです。だから、こういう問題は目的というものをはっきりしなければならぬと私は思います。  そういう中で私が申し上げたいのは、そういう医者が幾らもうけているかという問題よりも、大蔵大臣も言われているし、あなたもおっしゃっておるように、制度上不公平だから制度を直すのだということを主眼になさる場合にはそういう別の物差しでやる。幾ら経済的にもうけておるとかもうけてないとか、そういうものを出すと、そういう数字というのはどうしても利益を追求した数字じゃないか、こういう形になりやすいのですね。そうすると、片一方の、お答えになっておる税制上の不公平であるという立場からの不公平税制という言葉が逆に引っ込んでしまう、誤解を大変大きく生む根本になると思います。もちろん、優遇という言葉の中に、事実上優遇されている方もいらっしゃるでしょう。しかしながら、優遇を受けていない方も事実いらっしゃるわけで、わざわざ恩典がありながらそれを適用しないで、青色申告しているのが二七%おるわけです。また一千万円以下の所得の人たちはもっともっと低いと私は思うのです。そういう方々がいるという事実を国民の前にはっきりさせなければいかぬ。だから、一概に経済的に優遇されておるのだというふうな感覚でとらえさせるということは判断の大きな誤りにつながる、こういうことをもう一遍指摘したいと思いまして、きょう申し上げたわけです。  それから、それに関連しまして、医師優遇税制と言われておる問題も、医療制度のいろいろの矛盾点の中の一つとして取り上げなければならないということは、この間の質疑の中でも、大蔵大臣も厚生大臣もそういう御見解を述べておられた。そこで、ぜひ会計検査院にお願いをしてみたいのは、「掲記」ということの中に適用されるかどうかは私は御検討いただきたいと思うのですが、健康保険の制度の中には、政府管掌健康保険と組合管掌健康保険というのがありまして、これをワングループにしているわけです。ところが、制度間の格差か非常に大きい。給付、負担が非常にアンバランスである。そこに社会保障的な意味合いが何もない。こういうふうな制度を一つにして、その中で卑近な例を言いますと、貧乏人は貧乏人同士保険をし合い、金持ちは金持ち同士保険をし合い、健康な人は健康な人同士保険をし合い、病人は病人同士保険し合っておる、こういうふうな制度の中で本当に正しい社会保障というのが行われるかどうか、私ははなはだ疑問に思います。  それで、ぜひお願いしたいのは、あと時間がございませんから簡単に申し上げますけれども、そういう不公平についてもこのまま放置していっていいのかどうか。特に高齢化社会をいまから迎えながら医療費も大変かかっていく、こういう時代になって、そういうものの公平化を図っていくというお考えがなければ、片一方の医師の方だけ公平化して、税制をその面だけ直したって、医療の内容がよくなるのでなければ、かえって医療の荒廃が起きると私は思います。  ですから、そういう中でお願いしたいのは、保険組合のたとえば保険料収入、これが毎年毎年黒字になるわけです。これは私の知る限りにおいては税金がかかっていない、非課税だと思うのです。非課税が公平なのか、非課税であることが不公平なのか、ひとつ見解を伺いたいことが一点。  それからもう一つ、これは私が誤っておれば後で訂正していただきたいのですが、非課税で得た保険料で保険組合の保養所をつくったり、いろいろ不動産投資をしておるわけです。これにも税金がかかってないというふうに私は聞いておるのです。こういう制度をつくらしていることが公平なのかどうかということを、改めて医療の問題としては考えていかなければならない、こういうふうに考えるわけです。それで、そういう問題についてぜひ御調査をお願いしたい。そして、そういう不動産に対して永久に税をかけないでいることが、適切な、公平な社会をつくることに妥当性があるのか、あるいはまたそういうことについて税金をかけていくのは、これはやはり税の公平という立場から、医師優遇税制を片っ方で公平化しようというなら、そういう問題を非課税で置いておくことは、なおさら不公平だと私は思うし、それからまた、そういうものを非課税にするのが妥当であるというのは、逆に言って、医師優遇税制二八%も全部非課税にしてしまう方がかえってそういうものが公平感が生まれるのじゃないかというような考え方も持つわけです。そういう点について、時間がありませんので、簡単にお答え願いたい。
  309. 前田泰男

    ○前田会計検査院説明員 初めの先生のお示しになりました資料でございますけれども、もし差し支えなければ、お貸しいただきますれば、検討さしていただきたいと思います。  それからもう一つ、先生のおっしゃいましたのは、恐らく会社あたりの健康保険組合、これが不動産あるいは寮とかなんとか持っておられますが、これが非課税だ、こうおっしゃるわけですか。
  310. 工藤晃

    工藤(晃)分科員(新自) そうですね。これが一点。  保険料収入で、結局年度末になると、健康保険組合すべての中で何百億、私がいま持っておる資料でも、四十九年の黒字組合の額が七百四十七億円で、赤字組合の方は八十五億、それから五十年が赤字組合が百五億で、黒字組合が六百七十九億、それから健保組合の赤字組合が五十一年で百六十九億で、黒字組合が七百七十九億、それから五十二年度が赤字額が百九十三億で、黒字額が三百九十七億、こういうふうに年々黒字なんですね。こういうことに対して課税対象になっていないと思うのですが。
  311. 前田泰男

    ○前田会計検査院説明員 その点につきましては、突然のお尋ねでございますので、課税の実態がどうなっておるか、資料を手元に持ち合わせませんので、後日調査いたしまして先生に御報告さしていただきたいと思います。
  312. 塩崎潤

    ○塩崎主査 工藤先生、法人税法の四条は、健康保険組合非課税であると書いてあることの御指摘だと思いますが……。  工藤君。
  313. 工藤晃

    工藤(晃)分科員(新自) そういう法律上は合法性があっても、逆に言って、いまの二八%もこれは非合法じゃないので、ちゃんと議員立法で制度化されているわけですから、それを直せというのだが、制度化されている中にも、こういう面において、これが社会的に公平であるのか、公平でないのかということを調べていただかなければならないと私は思うのです。やはり社会正義のもとに全部公平にしていかなければならぬことは私は必要だと思う。そういう意味で、会計検査院が二八%も取り上げられた以上は、そういう問題についても取り上げて国民の前に明らかにしながら、そういうことに対して妥当かどうかということについて正しい資料を提供する必要があるのじゃないか、こう思うわけですから、そういう点についてぜひお調べ願いたい、こう思うのです。
  314. 前田泰男

    ○前田会計検査院説明員 租税の特別措置あるいは特別措置と言われませんでも、一応一般に優遇税制と言われておりますようなものにつきましては、毎年毎年予算までに一遍に取り上げるということはなかなかむずかしゅうございますけれども先生のおっしゃいました精神に沿いまして、少しでもおかしな不公平税制をなくしていこうというために努力するということを申し上げたいと思います。
  315. 工藤晃

    工藤(晃)分科員(新自) 私が申し上げているのは、保険組合に対して私が疑義を持っている。そういう点も、やはり国民の目から見ればおかしいのじゃないか、そういうところに税金がかかっていってないのはおかしいじゃないか。だから、これはかけるべきか、かけるべきでないかという議論をする資料を集めてください、調べてください。保険組合はどれだけの不動産、資産を持っているのか、それが税金が全然かかっていないとすれば、かけるべきかどうかという前に、そういう資料をちゃんと出していただかなければ私は検討できないと思うのです。そういうことでひとつ具体的に調べていただきたい、こういうふうに申し上げているので、最後にお願いします。
  316. 前田泰男

    ○前田会計検査院説明員 実は、会社の健康保険組合というのは、会計検査院の検査権限が及ばないわけでございます。したがいまして、税務署に上がってきました資料、これに基づいて検査をする、できる限りにおいて、ということでございますので、健康保険組合そのものをひっかき回すということは、ちょっとわれわれの権限上できかねます。
  317. 工藤晃

    工藤(晃)分科員(新自) それじゃ、そういう資料で結構でございますから、そういう資料にのっとった結果を文書で私にちょうだいしたい。  これを最後に、時間が参りましたので、終わります。
  318. 塩崎潤

    ○塩崎主査 時間がありませんので、簡潔に願います。
  319. 前田泰男

    ○前田会計検査院説明員 そういうものが税務署に提出されておりましたらば、調査の上御報告申し上げる、そういうことにしたいと思います。
  320. 塩崎潤

    ○塩崎主査 以上で工藤君の質疑は終了いたしました。  これにて会計検査院所管についての質疑は終了いたしました。
  321. 塩崎潤

    ○塩崎主査 次に、皇室費及び裁判所所管について順次説明を求めます。富田宮内庁次長
  322. 富田朝彦

    ○富田政府委員 昭和五十三年度における皇室費の歳出予算について、その概要を御説明いたします。  皇室費昭和五十三年度における歳出予算要求額は二十四億八千三百二十七万円でありまして、これを前年度予算額二十三億六千四百三十七万二千円に比較いたしますと、一億一千八百八十九万八千円の増加となっております。  皇室費の歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費、宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。以下、予定経費要求書の順に従って、事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費一億九千万円、宮廷に必要な経費二十一億七千五百三十五万円、皇族に必要な経費一億一千七百九十二万円であります。  次に、その概要を御説明いたします。  内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上したものでありまして、前年度と同額となっております。宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費三億百二十八万五千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費十八億七千四百六万五千円でありまして、前年度に比較して一億一千八百八十九万八千円の増加となっております。  皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上したものでありまして、前年度と同額となっております。  以上をもちまして、昭和五十三年度皇室費の歳出予算計上額の説明を終わります。  よろしく御審議くださるようお願いをいたします。
  323. 塩崎潤

    ○塩崎主査 次に、牧最高裁判所事務総長
  324. 牧圭次

    ○牧最高裁判所長官代理者 昭和五十三年度裁判所所管予定経費要求額について御説明申し上げます。  昭和五十三年度裁判所所管予定経費要求額の総額は一千六百二十二億四千六百八十二万二千円でありまして、これを前年度予算額一千四百七十八億六百十七万円に比較いたしますと、差し引き百四十四億四千六十五万二千円の増加となっております。  これは、人件費において百十六億一千二百十万六千円、裁判費において四億七千五百十五万八千円、営繕費において十九億八千二百四十六万二千円、司法行政事務を行うために必要な旅費、庁費等において三億七千九十二万六千円が増加した結果であります。  次に、昭和五十三年度予定経費要求額のうち、主な事項について説明申し上げます。  まず、人的機構の充実のための経費であります。一、特殊損害賠償事件の適正迅速な処理を図るため、判事補三人、裁判所書記官三人、裁判所事務官六人の増員に要する経費として一千八百二十七万七千円。二、会社更生事件の適正迅速な処理を図るため、判事補二人、裁判所書記官二人、裁判所事務官四人の増員に要する経費として一千二百十七万七千円。三、差しとめ訴訟事件の適正迅速な処理を図るため、判事補三人、裁判所事務官九人の増員に要する経費として一千七百九十一万一千円。四、調停制度の充実強化を図るため、裁判所事務官十五人の増員に要する経費として一千百八万五千円。五、交通事件(道路交通法違反事件)の適正迅速な処理を図るため、裁判所事務官三人の増員に要する経費として二百二十三万四千円、合計六千百六十八万四千円を計上しております。  以上、昭和五十三年度の増員は合計五十人でありますが、他方、定員削減計画に基づく昭和五十三年度削減分として、裁判所事務官三十二人の減員を計上しておりますので、これを差し引きますと十八人の定員増加となるわけであります。  次は、裁判運営の効率化及び近代化に必要な経費であります。一、庁用図書、図書館図書の充実を図る等のため、裁判資料の整備に要する経費として四億一千七百十一万円。二、裁判事務の能率化を図るため、複写機、計算機等の整備に要する経費として三億二千四百四十一万四千円を計上しております。  次は、裁判所施設の整備充実に必要な経費であります。裁判所庁舎の新営、増築等に必要な経費として百億三千六百十八万六千円を計上しております。  次は、裁判費であります。一、証人等の日当を増額する経費として一千七百三十二万三千円、二、国選弁護人報酬を増額する経費として一億八千五十三万三千円を計上しております。  以上が、昭和五十三年度裁判所所管予定経費要求額の大要であります。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  325. 塩崎潤

    ○塩崎主査 以上で説明は終わりました。
  326. 塩崎潤

    ○塩崎主査 別に質疑の申し出もありませんので、皇室費及び裁判所所管については終了いたしました。  次回は、明二日午前十時第一分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十三分散会