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1978-02-15 第84回国会 衆議院 予算委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年二月十五日(水曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 中野 四郎君   理事 小此木彦三郎君 理事 加藤 六月君    理事 栗原 祐幸君 理事 毛利 松平君    理事 山下 元利君 理事 安宅 常彦君    理事 大出  俊君 理事 近江巳記夫君    理事 竹本 孫一君       井上  裕君    伊東 正義君       奥野 誠亮君    海部 俊樹君       金子 一平君    川崎 秀二君       笹山茂太郎君    塩崎  潤君       澁谷 直藏君    白浜 仁吉君       田中 龍夫君    田中 正巳君       谷川 寛三君    藤田 義光君       松澤 雄藏君    渡部 恒三君       井上 普方君    石野 久男君       石橋 政嗣君    岡田 利春君       岡田 春夫君    川俣健二郎君       小林  進君    兒玉 末男君       只松 祐治君    藤田 高敏君       横路 孝弘君    権藤 恒夫君       林  孝矩君    広沢 直樹君       大内 啓伍君    小宮 武喜君       高橋 高望君    津川 武一君       寺前  巖君    三谷 秀治君       大原 一三君    小林 正巳君  出席国務大臣         法 務 大 臣 瀬戸山三男君         外 務 大 臣 園田  直君         大 蔵 大 臣 村山 達雄君         文 部 大 臣 砂田 重民君         農 林 大 臣 中川 一郎君         通商産業大臣  河本 敏夫君         運 輸 大 臣 福永 健司君         郵 政 大 臣 服部 安司君         労 働 大 臣 藤井 勝志君         建 設 大 臣         国土庁長官   櫻内 義雄君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長         北海道開発庁長         官       加藤 武徳君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      安倍晋太郎君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 金丸  信君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      宮澤 喜一君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      熊谷太三郎君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 山田 久就君  出席政府委員         内閣官房内閣審         議室長         兼内閣総理大臣         官房審議室長  清水  汪君         内閣法制局長官 真田 秀夫君         公正取引委員会         委員長     橋口  收君         公正取引委員会         事務局取引部長 長谷川 古君         警察庁交通局長 杉原  正君         防衛庁防衛局長 伊藤 圭一君         防衛庁経理局長 原   徹君         防衛庁装備局長 間淵 直三君         経済企画庁調整         局長      宮崎  勇君         経済企画庁調整         局審議官    澤野  潤君         経済企画庁国民         生活局長    井川  博君         経済企画庁総合         計画局長    喜多村治雄君         経済企画庁調査         局長      岩田 幸基君         科学技術庁原子         力局長     山野 正登君         環境庁企画調整         局長      信澤  清君         環境庁企画調整         局環境保健部長 山本 宜正君         環境庁大気保全         局長      橋本 道夫君         国土庁計画・調         整局長     福島 量一君         国土庁土地局長 山岡 一男君         国土庁地方振興         局長      土屋 佳照君         法務省刑事局長 伊藤 榮樹君         外務省アジア局         長       中江 要介君         外務省アメリカ         局長      中島敏次郎君         外務省欧亜局長 宮澤  泰君         外務省条約局長 大森 誠一君         大蔵省主計局長 長岡  實君         大蔵省銀行局長 徳田 博美君         大蔵省国際金融         局次長     宮崎 知雄君         文部省初等中等         教育局長    諸澤 正道君         文部省体育局長 柳川 覺治君         農林大臣官房長 松本 作衞君         農林省農蚕園芸         局長      野崎 博之君         農林省畜産局長 杉山 克己君         農林省食品流通         局長      犬伏 孝治君         食糧庁長官   澤邊  守君         水産庁長官   森  整治君         通商産業大臣官         房審議官    山口 和男君         通商産業省通商         政策局次長   花岡 宗助君         通商産業省基礎         産業局長    天谷 直弘君         通商産業省機械         情報産業局長  森山 信吾君         資源エネルギー         庁長官     橋本 利一君         資源エネルギー         庁公益事業部長 服部 典徳君         中小企業庁長官 岸田 文武君         運輸大臣官房審         議官      真島  健君         運輸省海運局長 後藤 茂也君         運輸省船舶局長 謝敷 宗登君         運輸省自動車局         長       中村 四郎君         運輸省自動車局         整備部長    犬丸 令門君         運輸省航空局長 高橋 寿夫君         郵政省電波監理         局長      平野 正雄君         労働省職業安定         局長      細野  正君         労働省職業訓練         局長      岩崎 隆造君         建設大臣官房長 粟屋 敏信君         建設省計画局長 大富  宏君         建設省道路局長 浅井新一郎君         建設省住宅局長 救仁郷 斉君         自治大臣官房長 石見 隆三君         自治省財政局長 山本  悟君  委員外出席者         住宅金融公庫総         裁       大津留 温君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     澤田  悌君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     澤田 光英君         参  考  人         (宅地開発公団         総裁)     志村 清一君         予算委員会調査         室長      三樹 秀夫君     ————————————— 委員の異動 二月十五日  辞任         補欠選任   正示啓次郎君     谷川 寛三君   根本龍太郎君     井上  裕君   藤田 高敏君     只松 祐治君   浅井 美幸君     権藤 恒夫君   矢野 絢也君     林  孝矩君   高橋 高望君     小宮 武喜君   柴田 睦夫君     三谷 秀治君   寺前  巖君     松本 善明君 同日  辞任         補欠選任   井上  裕君     根本龍太郎君   谷川 寛三君     正示啓次郎君   只松 祐治君     藤田 高敏君   権藤 恒夫君     浅井 美幸君   林  孝矩君     矢野 絢也君   小宮 武喜君     小平  忠君   松本 善明君     寺前  巖君   三谷 秀治君     津川 武一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十三年度一般会計予算  昭和五十三年度特別会計予算  昭和五十三年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 中野四郎

    中野委員長 これより会議を開きます。  昭和五十三年度一般会計予算昭和五十三年度特別会計予算及び昭和五十三年度政府関係機関予算、以上三件を一括して議題とし、一般質疑を行います。林孝矩君。
  3. 林孝矩

    ○林(孝)委員 外務大臣にお伺いいたします。  昨日、佐藤中国大使韓念竜外務次官と日中平和友好条約問題に関して話し合った、こういう報道がなされておりますけれども、この会談位置づけはどういうものなのか。また、その内容について説明をしていただきたいと思います。
  4. 園田直

    園田国務大臣 佐藤大使が先般帰国いたしまして、日中友好条約締結についての打ち合わせをして帰ったわけでありますが、その後、廖承志日友好協会会長と面談をし、その続きとして、韓念竜部長がビルマその他に他出をしておりましたが、時間ができたので会った。したがって、その会談友好条約交渉再開のための手順手だて話し合いであった、こういうことでございます。
  5. 林孝矩

    ○林(孝)委員 この位置づけは、交渉再開を含めて、平和友好条約手続の中に含まれるものですか、それともそうでないのか。いまの答弁だと含まれるというふうに私は理解いたしますけれども。
  6. 園田直

    園田国務大臣 再開の話ではございません。再開するための手順手だて等についての話が話題になったということでございます。
  7. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そうしますと、日中平和友好条約交渉再開意味するものではないということだと答弁されておるわけですけれども、交渉再開前提とした話し合いであるということは、これは当然のことですね。
  8. 園田直

    園田国務大臣 交渉再開をするための手順手続等でございます。
  9. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そうしますと、今回の会談交渉再開前提としておる、したがって、交渉再開に向けての公式折衝と受け取ってよいものかどうか。すなわち、交渉再開への一歩前進を意味するもの、あるいは正式な交渉再開が間近である、そのように受け取っていいかどうか。
  10. 園田直

    園田国務大臣 それについては御勘弁を願いたいと思いますが、これで少し近づいたということだけは間違いないことだと思います。
  11. 林孝矩

    ○林(孝)委員 もう一度お伺いしますが、一歩近づいたといま御答弁があった。私の質問のもう一点は、交渉再開に向けての公式折衝と受けとめていいかどうかということ。
  12. 園田直

    園田国務大臣 再開するとなれば公式でございますが、いまのは、公式折衝というか、当面の日中間の問題は条約締結でございますから、これを前提にして大使が面会を求めて会った、こう解釈をしていただいて結構でございます。
  13. 林孝矩

    ○林(孝)委員 この会談において韓念竜次官が、日本政府やる気ならいつでも受けるという中国側立場を明確にしているわけであります。これについて政府はどういう認識を持っているのか。中国側は、日中平和友好条約締結交渉再開はいつでも結構である、こういう考え方なんですが、これは福田内閣決断次第であるということではないかと私は思うわけです。外務大臣のこの点についての認識をお伺いしたいと思います。
  14. 園田直

    園田国務大臣 この会談において佐藤大使は、中国側交渉再開については前向きであるという感触を得たという意味であると存じます。
  15. 林孝矩

    ○林(孝)委員 前向きであるということと、日本政府やる気ならいつでも受けるということは、少しニュアンスが違ってくるわけですけれども、外務大臣の受けとめ方として、日本政府やる気ならばいつでも受けるという中国側立場韓念竜次官が話したという報告はお受けになっておりませんか。
  16. 園田直

    園田国務大臣 こういう微妙な段階でありますから、的確に内容を申し上げることは御勘弁を願いたいと思いますが、日本側やる気ならばいつでもということではなくて、日本側もやる意向で、これを前提にして手順手続を進めておるわけでありますから、これはどちらがどうだとかという意味ではございません。
  17. 林孝矩

    ○林(孝)委員 本委員会でも議論されたかと思いますが、日中条約交渉再開に対して、現在政府として何らかの障害があると考えられておるかどうか、この点についてお伺いします。
  18. 園田直

    園田国務大臣 すでに手続手順等についての話し合いの第一歩が始まったわけでありますから、両方に特別の支障はないと判断いたしております。
  19. 林孝矩

    ○林(孝)委員 双方に何ら障害がない、手続が始まった、そうしますと、これはもう再開間近であるということも先ほど答弁がございましたし、いわゆる政府としての結論、強いて言えば福田内閣総理大臣決断ということがそのかぎを握っていると私は思うわけでありますが、その点についてはいかがでしょうか。
  20. 園田直

    園田国務大臣 決断の時期ではなくて、これに対する手続手順等に対して諸準備をする段階であると御解釈を願いたいと思います。
  21. 林孝矩

    ○林(孝)委員 一つの大きな問題と伝えられておることに自民党内の調整という問題がありますが、この調整はすでに決着済みになっているのかどうか。外務大臣はどのように受けとめられておりますか。
  22. 園田直

    園田国務大臣 与党に対しては、いろいろ説明、御理解を願わなければならぬことがまだ少々残っております。
  23. 林孝矩

    ○林(孝)委員 まだ調整は完全にできていない、そういう認識でしょうか。
  24. 園田直

    園田国務大臣 私の方で与党に対して報告をし、今後のことについて方針を申し上げなければならぬ段階がそろそろ近づいておる。
  25. 林孝矩

    ○林(孝)委員 この日中条約最大の懸案と言われている反覇権問題、こういう問題などについてすでに北京において事務レベルでの話し合いが行われているということが伝えられているわけでありますけれども、この点の事実はいかがでしょうか。
  26. 園田直

    園田国務大臣 覇権問題については、しばしば申し上げますとおり、日中共同声明に書いてありますとおりの立場をとっておるわけでありまして、これを条約締結の上でどうするかは条約中身でございますから、交渉再開後になる問題でございます。
  27. 林孝矩

    ○林(孝)委員 お伺いいたしますが、政府正式交渉再開を明言する条件はどういうものなのか。たとえば覇権問題での大枠の合意を初めとする条約交渉妥結への見通し、さらには調印の見通しまで明確にならなければ正式交渉再開はしないという考え方なのかどうか。この正式交渉再開政府が明言する条件は、どういう条件が整ったときに正式交渉再開を明言するおつもりなのか、お伺いしたいと思います。
  28. 園田直

    園田国務大臣 交渉でございますから、交渉中身にわたって前提条件をつけるようなことは両方ともないと思います。ただし、交渉再開をしたら、途中で中断をしたりひっかかったりしないように、円滑に進むであろうという見通しはつけなければならぬと思っておりますが、前もって前提条件等議論することはあり得ない。
  29. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そうしますと、あと残るのは時期ということになるわけでありますけれども、今日までのこの日中の平和友好条約議論を通して、もうすでに機は熟したとか、あるいは外務大臣はもうエンジンはかけっ放しであるとか、そういういろいろな話があったわけですね。その機は熟したと言われてから相当時間が経過しており、エンジンを吹かして相当吹かしっ放しで時間が経過しておる。熟してこれまで経過し、そしてエンジンを吹かしてこれまで経過しているということになりますと、吹かしっ放しだったらやはりバッテリーももうやられてしまうのでありまして、いつまでエンジンを吹かしっ放しでいくのか、機が熟した熟したと言いながら、いつまで明確な判断を発表しないままでいくのかということについて、これは一体どうなっているのかという疑問といいますか、そういうものが非常に生まれてくるわけであります。したがいまして、佐藤大使韓念竜外務次官との会談が始まって、そしてその会談位置づけは、交渉再開が近づいてきた、一歩前向きに進んでおる、また再開への手順が始まったという位置づけをされたわけでありますが、外務大臣としても当然専門家でございますから、こういう形になってくれば、双方にも全然障害もないわけですね、そうしますと、この交渉再開というめどを当然大臣として考えておられると思うわけです。たとえば今月中は開催は無理であるとか、三月中には再開したい、こういう考えあるいは希望というものを持っておるとかというようなこと、外務大臣としてすでに考えておられるのではないかと思うわけでありますが、その交渉再開の時期について、たとえば中国の全人民代表大会終了後であるとか、あるいは今回の五十三年度の予算審議めどがつく時期であるとか、あるいはそれ以外に何か大臣としてお考えの時期、そういう時期についてどのように考えられておるか。この段階に来て妥結とか締結見通しということではなしに、交渉再開見通しというものがはっきりしないということは、機が熟しているとかエンジンをかけっ放しでいるというようなことでは、もうこの時期に来ては、この段階に来ては説得力がないのではないかと私は思うわけでありますが、大臣はどのように見通しを立てておられるか、希望を持っておられるか、その点について明確にしていただきたいと思います。
  30. 園田直

    園田国務大臣 佐藤大使韓念竜氏の会談内容も、両方とも外に出さないという約束をいたしております。昨日の会談についても、少なくとも日中友好条約締結問題がとどまったのではなくて、いい方向に流れておるという判断はしていただいておると推察をいたします。私は、当委員会において委員の方々を説得しようなどということは毛頭ございませずに、陰ながら心の中でいたわっていただいておる、したがって私の仕事は皆さん方を説得することではなくて、ここまで来たものを間違いなしに進めていく、こういうことでエンジンもかけっ放しでありますが、エンジンはかけるときには充電もしてございますから、オーバーヒートをやらぬようにやるつもりでございますので、どうかその点で御勘弁を願いたい。したがって再開の時期がいつごろになるとかどうとかいうことは申し上げませんが、余りすげない答弁も失礼に当たりますが、中国大会であるとか、こういうことは関係はないと存じます。これが終わらなければできないとか、あるいはそういう関係はない。それから国会の方も、国会が最高の大事なところでありますけれども、日中問題は大事だということを御理解、応援を願って、激励をいただいておるわけでありますから、時と場合によっては、うまくいけば国会中でも皆さん方に御相談をしてお許しを得たい、こう思っているわけでございます。
  31. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そうしますと、もう一回伺いますが、大臣の御希望はどういう時期でありますか。
  32. 園田直

    園田国務大臣 総理も私もなるべく早く交渉再開したいということで、手順手続等を急いでおるわけであります。
  33. 林孝矩

    ○林(孝)委員 先ほどからの議論をまとめますと、双方には何ら障害もない、そしてすでに交渉再開への手続といいますか、そういうものが始まった、前向きに進み始めた、流れ始めた、こういうことであります。そうすると、外務大臣として、何ら障害がないわけでありますから、このまま進んでいけば、一つのタイミングとして、あと何日であるとかあと何十日であるとかという時間が手続上は必要だ、そうすると、それが終われば交渉再開ができるというような、こういうめどが当然立つのではないかと思うわけです。したがって、エンジンをかけっ放しで充電しているということでありますけれども、そういうことではなしに、そういうすでに時期が来ているということはもう明白なんですから、私はこういう時期にやりたいという希望を持っておるけれども、これは個人的な考え方であるとか、見通しというものをもう少し明確にできるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  34. 園田直

    園田国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、総理外務大臣も、準備が終わればなるべく早く交渉再開をしたいということでありますが、交渉再開その他のことについては、両方合意をして両方同時に申し上げることでございますので、きょうはなるべくならばお答えをしないでおきたいと思いましたが、失礼になりますので最大限の答弁をいたしておりますので、この付近で御勘弁を願いたいと思います。
  35. 林孝矩

    ○林(孝)委員 何が最大のサービスか、ちょっとわからないのですけれどもね。  重ねてお伺いいたしますが、これはことし早々のことになりますけれども、外務大臣が一月末訪中といったことを述べられた、これを福田総理が直ちにそれはでたらめであると否定されたといういきさつがございました。外務大臣としては、交渉再開ということになれば訪中して話し合うことになると私は思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。
  36. 園田直

    園田国務大臣 あのときは正式の話ではなくて、新聞記者の諸君に、いろいろ考えてみると私が訪中した方がいいかもわからぬという話をまだ総理意見具申をして総理お許しを得ないうちに言ったことが記事になりましたので、総理がああいうことを言われたわけでありますけれども、その後総理官房長官ともいろいろ相談をして、総理が昨日答弁されましたように、外務大臣訪中一つの手段であると考えておる、こういうことでございます。
  37. 林孝矩

    ○林(孝)委員 外務大臣から国会開会中であろうと、また中国全国人民代表大会が終わるとかに関係なしに、早い時期に、一日も早く交渉再開するという答弁がございましたので、この問題については終わりたいと思いますが、一点だけこれは確認の意味大臣にお伺いをしておきたいと思います。  一月二十六日の自民党外交調査会での質疑の中で、日中条約については米国の世界戦略の一環として考えているという発言を行ったことが報道されたわけであります。これについては、もし事実とすればきわめて重大な問題であります。外務省はこれを補足説明したことも伝えられておりますけれども、重要な段階となっているわけでありまして、日中条約に対して外相のこの発言はきわめて軽率ではないかと私は思うわけですが、この点について外務大臣の見解を、今後の条約締結への決意とあわせてお伺いして、この問題を終わりたいと思います。
  38. 園田直

    園田国務大臣 ただいまお尋ねを受けました件は、自民党外交調査会外交部会合同委員会世界的な軍事戦略の論議がされた中で私が答弁したわけではございません。  前後を少しお許しをいただいて申し上げますると、日中友好条約締結ということはアメリカはどうなんだ、アメリカは、勝手にしろ、おれは関係ない、こういう態度なのか、それとも日本中国友好条約締結することを好んでおるのか、こういうことに対する私の答弁であります。そこで、アメリカは、勝手にやれ、おれは関係ない、こういう無関心の状態ではありません、むしろ世界の平和、その中核であるアジアの平和というためには日本中国条約締結した方がアジアの平和のために間違いないことは事実であるから、アメリカとしても内々自分世界的な視野のもとに日中友好条約は支持しているのだ、こういう答弁の中に出てきた言葉でございますから、その点は軍事的な戦略ということではないことをはっきりしてございますので、御了解を願いたいと思います。
  39. 林孝矩

    ○林(孝)委員 では外務大臣、結構でございます。  法務大臣にお伺いいたしますが、昨日の当委員会で法務大臣は、九十ユニットの解明について御答弁をされました。その中で、ロッキードの売り込みと関連が認められないが、しかし政治的、道義的責任の基準を国会が決めれば、それに当たるものを秘密会で報告してもいい、こういう発言がなされたという報道がございますが、これは間違いございませんか。
  40. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 間違いありません。
  41. 林孝矩

    ○林(孝)委員 この九十ユニットについて新しい基準、そういうものを国会が決めれば国会に資料を提出してもよい。  ここでひとつ確認をしておきますが、きょうはロッキード特別委員会がございます。きょうのロッキード特別委員会でこの大臣の言われる政治的、道義的責任の基準、これを決めれば資料を提出する、してもいいというこの政治的、道義的基準が合意された場合に、きょうにでもその資料を提出する用意はございますか。
  42. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 ちょっとつけ加えて申し上げますが、御承知のとおりに、法務、検察はある特定の立場の人に道義的あるいは政治的責任があるのかどうかということを判定する機関ではございません。そういうことはやろうとも思いませんし、またやるべきでもない、これはもう御承知のとおりであります。そこで従来から国会、ロッキード委員会等において、この事件に関連して政治的、道義的に問われる立場の人があるのじゃないかということがしばしば論議されておる。そういうものはどうだという話がありますから、それはいま申し上げましたような立場で、こちらでそういう判断をすべきことではございません。国会で決めたらどうか。国会でお決めなさることはこれは国会立場でございますから、もしこういう条件にはまる者は政治的、道義的責任を問われるべき立場にある人だ、こうお決めなされば、そういうものに当たる人があるかどうか、捜査の段階でございますが、あればそれに対するお答えを秘密会の形でいたしましょう、こういうことで、過去においてそういうことがあったわけでございます。  九十ユニットの問題についてお話しでございますが、それはその際に、いま申し上げましたような条件にはまる人はいない、こういうことになって今日に至っておるわけでございます。でありますから、九十ユニットの分についてそういうものがあるのかどうかということを言われても、こちらでは現在はそういうものはないわけでございますが、国会の方でかくかくしかじかの条件の者は政治的、道義的責任を問われるべき者である、こういうことをお決めなされば、そういうものにはまる人があるかどうか、はまるケースがあるかどうかを見まして、あるという判断がつけば資料を秘密会でお示しをいたしましょう、こういうことでございます。
  43. 林孝矩

    ○林(孝)委員 この資料についてさらに申し上げたいことがあるわけでありますが、たとえばそういう基準が決まって政府が資料を提出する、いまの答弁の中に、きょうの時点でどうかということについての話、たとえばきょうの口特委員会で決まった場合に出す用意があるかどうか、この点はどうだったですか。
  44. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 きょう決めたからきょうすぐ出せ、それはちょっと無理でございます。やはりそれに当たる人があるかどうか、これは慎重に検討しなければならぬことでございますから、きょういま決まったからいま出せ、それはちょっと無理ではないでしょうか。
  45. 林孝矩

    ○林(孝)委員 いまのいまということではありませんよ。現在、それだけの用意ができているかどうかということです。
  46. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 こちらはそういう用意をしておる立場ではございませんので、決められたものが、それに当たる人があるかどうかを調査しなければわからぬことでございます。しかし、それは資料があるわけでございますから、そう長い時間をかける必要はない、こういうことでございます。
  47. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それからその資料について、三十ユニットに関連しての資料を提出された経過から考えますと、国会で灰色と認定された。しかし私は灰色ではないという反論がある。これをよく見てみますと、その資料に国会が灰色と認定したわけでありますけれども、資料そのものが非常に軽薄といいますか、具体的に言いますと、だれからだれに、どういう場所で、どれだけの金が渡されたかという金銭の授受の流れといいますか、そういうものが克明に証明されておるような資料でなければ、九十ユニットについて資料が提出されてもまた同じ議論を繰り返さなければならない。こういう点について、資料を提出する場合は、資料の内容政府側として配慮をしておいていただきたいと私は思うわけです。この点についていかがでしょうか。
  48. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 それはいわゆる三十ユニット関係、九十ユニット関係同じことでございますが、私どもが、国会で基準を決められて、それに当たるだろうというケースの者を秘密会で、こういう者がそれに当たるようでございますということで出しておるわけでございます。これは、捜査の段階で検察当局がそういう各種の資料で認めておるということであります。でありますから、これは世間一般に公開すべき立場のものではないわけでございます。そういう意味で絶対外には出さないという条件のもとで秘密会にお願いし、秘密会でも外には公表しないというお約束で示してある、こういうことでございますから、これはいま裁判で、最終確定したとかいうような問題ではありません。争いのある問題でございます。でありますから、これはいまのところ、重ねて申し上げますが、捜査の段階で検察当局としてはかくかくのことからこういうふうな判断がされました、こういうことを申し上げている。いまお話しの問題点は、ところが一方においてはこの関連事件が裁判中でございます。御承知のとおり今日の裁判はすべて公判廷で物事を証拠によって明らかにしていく。裁判所がいかにその証拠をとられるかは裁判所の判断でございますから、非常に微妙な段階にある。でありますから、その関係資料を、かくかくの状況でこういういきさつでこういう事実が出てきております。こういうことをいま出せる段階ではないということをしばしば申し上げておる、そういう事柄でございます。現在進行中の裁判にすべて関係あることでございますから、これを外部に出して議論するということは裁判の心証あるいは公訴の維持に重大な影響がある、こういうことで、いまおっしゃるような資料をすべて出せと言われても、いまの段階ではお示しができない、これは御理解をいただきたいと思います。
  49. 林孝矩

    ○林(孝)委員 その議論は別の場所に譲るといたしまして、官房長官お急ぎのようですからお伺いしますが、二月三日の当委員会で大久保証言について質問がございまして、その大久保証言に対する答弁と大久保証言を報道した新聞の内容に非常に大きな違いがあるわけであります。この点について質問いたします。  大久保証言に対して総理答弁は、「そういう渡すという計画があったことを伝聞している、こういう証言をいたしておるわけでありまして」、こういう答弁であります。しかし新聞報道等によりますと大久保証言の内容は、大久保がロッキード社側に金を要求して、金を受け取って、副島秘書課長に六名の高官に渡すことを指示した、その後秘書課長から御希望どおり義務を果たしましたという報告を受けた、さらに、若狭からあのことはやってくれたかと聞かれ、仰せのとおり済ませておりますと答えた、こういうふうになっておるわけです。そして、あのことというのはユニットのことだと思量していたというものなんです。  そうしてみますと、大久保が副島に指示して、副島から指示どおり取り計らったという報告を受けて、若狭に全日空側の要望どおり六名に金を渡したことを答えているわけでありますから、少なくとも大久保証言は当時の主観的判断としては、全日空側の要望どおりロッキード社から金を受け取って、お世話になった先生方に金が渡されたもの、こういう認識をしていたという証言なわけであります。ということは、間接的にであれ金を灰色高官に渡したことを大久保証言は物語っている。それに対して、渡すという計画があったことを伝聞しているという証言をしたのだという総理認識は、これは非常に事実を誤解しているか何かだと思うわけですけれども、その点について官房長官の見解を伺っておきます。
  50. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 いま御指摘の二月三日の衆議院予算委員会における総理答弁は、大久保証人の証言は、当時大久保が四名の国会議員に直接金銭を渡したというのではなく、渡す計画があったこと及びその計画が行われた旨を伝聞していることのみを内容としているという趣旨のお答えをしたものと承知をいたしております。
  51. 林孝矩

    ○林(孝)委員 計画があったことを伝聞しているという議事録ですよ。計画があったということを伝聞しているのと、大久保証言の内容というのは、ロ社に要求して受け取って、副島秘書課長に渡して、副島秘書課長から報告を受けた、若狭からあれはあのとおりやったかと言って、やりましたと報告した、あのことというのはそのユニットのことであったというこの証言内容と、そういう計画があったということを私は伝聞しておりますという証言をしたのだという総理答弁とは、罪名で言えば一緒ですけれども、これは量刑ということになれば結果は違ってくるわけでありまして、事実は何かということは公判記録を見なければわからないわけでありますけれども、少なくとも総理答弁内容と新聞報道等に見る内容とは意味を異にするわけです。法務大臣はどのようにお考えですか。
  52. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 後で誤解が生じないようにメモに基づいてお答えしておきます。  申しておきますが、総理のここにおける答弁が、趣旨においては誤解ではないと思いますが、後でこれは申し上げます。  去る一月三十日の東京地方裁判所における大久保証人の証言の骨子はかようでございます。元丸紅輸送機械部副部長松井直から、全日空がトライスターを決定するについて世話になった橋本、佐藤両被告人を含む六名の国会議員にお礼をしたいと言っているので、ロッキード社から三千万円出させてほしい旨の電話連絡を受けた。これは大久保が松井からそういう連絡を受けたということでございます。そこで、大久保証人はコーチャン、ロッキード社の社長ですか、副社長ですか、コーチャンと折衝し、三千万円を受け取ったが、右六名に対する贈与状況については知らない、こういうことです。後で元丸紅秘書課長副島勲から希望どおり任務を果たしたと聞かされた、こう答えておるわけであります。これを申し上げますと、直接大久保はその金を持って回って、そういう数人の人に渡したということは自分じゃない、こういうことであります。しかし、副島勲からその計画を、全部約束を希望どおり果たした、こういう連絡があった。ここは伝聞になるわけでございます。いずれも大久保証人が直接体験した事実を証言しているものでありますが、先般の国会において私から言ったのもそういうことを申し上げておるわけでございますが、総理答弁の真意は、大久保は四人の人々に金を渡したとは証言しておらない、渡す計画があったこと及び渡した旨を伝聞していることを証言したにとどまると述べられた、こういう趣旨に御理解をいただきたい。  そこで、二月三日の当委員会における塚本委員の質問に対してこういうふうに総理は答えられております。御承知でありますが。「私の承知している限りにおきましては、大久保証人は、例の四人の方にお金を渡したと、こう証言はしてないのです。そういう渡すという計画があったことを伝聞している、こういう証言をいたしておるわけでありまして」云々と、こうありますが、これは言葉の使いようがちょっと間違っておる、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  53. 林孝矩

    ○林(孝)委員 官房長官、いま法務大臣が言われたように間違っておるわけですよ、総理答弁が、事実と。わかりますか。
  54. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 いま法務大臣答弁されましたように、総理の真意というものは、渡す計画があった、そしてその計画が行われたということを伝聞した、こういうことであったというふうに了承しております。
  55. 林孝矩

    ○林(孝)委員 その了承というのは、いまはっきり法務大臣が公判記録を私はここで発表されたと思うのです。そうですね、大臣
  56. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 いま大久保証言の筋を申し上げましたのは、もちろん公判廷における証言の内容でございます。
  57. 林孝矩

    ○林(孝)委員 ですから、これは、総理答弁というのは言葉の使い方が間違っておったといま法務大臣が言われた、そのとおりなんです。  私、なぜこの問題をここで質問するかといいますと、このロッキード問題のいわゆる金の流れであるとか、いま問題になっておる大久保証言の内容である三十ユニットについて、三千万円についての金の流れ、そして裁判の法廷において証言されたことというものが新聞に報道された。国民の多くの人はそれを見て、やはりこうだったのか、そういう印象を受けておるんだ。ところが国会においてテレビ放映がされておる、その答弁は何かというと、そういう計画があったということを伝聞しておるということにすぎないんだ。だから、いま法務大臣答弁も私の認識も同じなんです。それに対して法務大臣が——総理答弁の議事録のそのちょっと前のところには、これは民社党の塚本書記長の質問に対する答えなんですけれども、塚本書記長も同じ大久保証言の新聞報道を見て質問されておる、そのところに「塚本さんは一つ誤解があるようですね。」という一言がついておるのですよ。いまの法務大臣答弁、それから私の認識理解というもの、塚本さんの理解と同じなんです。それに対して誤解があるというふうに総理は言われて後、先ほど法務大臣答弁された総理答弁が続いておるわけですね。これは伝聞にすぎないんだ、計画がなされておったということを聞いておる、こういう証言なんです。これだけ違いますと、もっとやはり総理大臣というのは責任を持った答弁をしてもらわないと、事が国民が重大な関心を持っておることだけに、これは真意はこうでした、言葉が違ったんだ、こんな説明では納得できないわけです。ですから、きょうは総理大臣は出席されておりませんから官房長官に来てもらっておるわけでありますけれども、その点こういう重大な問題に関して軽率な、いわゆる誤解を招くような、事実を曲げて国民の前に明らかにするような、そういう答弁をしてもらったら困るということを、官房長官から総理大臣に厳重に注意をしてもらいたいと思うのです。いかがですか。
  58. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 いまいろいろと御指摘がございましたが、先ほどから私が申し上げ、さらに法務大臣からも申し上げましたように、総理答弁の真意というものは、渡す計画があり、その計画が行われたということを伝聞しておる、こういうことがその真意でございますので、ここで改めて御了承をお願いしたいと思います。
  59. 林孝矩

    ○林(孝)委員 これは了承できないわけです。もっと正確にしてもらわないと。したがって、この問題が続いて、たとえばロッキードの特別委員会では証人喚問が議論されておるわけです。これとのかかわり合いのある問題でありますので、この質問については留保さしていただきます。委員長、よろしくお願いいたします。  次に、経済企画庁長官にお願いしたいと思います。  五十三年度の経済成長率の七%、これはもう当委員会でもすでに議論されましたように、いかなることがあっても達成しなければならないという政府の至上命令である、私はそのように認識しております。したがって、できるとかあるいはできなかったとか、あるいはできなければ責任をとるなどというような、そういう問題ではない。     〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕 日本が抱えている経済問題として、これは非常に重大な段階に来ていると思うわけでありますが、そのように、とにかくその七%成長率を達成しなければならない、これはとりもなおさず国民総生産を構成する各項目、すなわち個人消費支出であるとか、あるいは民間設備、企業設備であるとか、そうした項目のそれぞれの目標を達成しなければ、この経済成長率七%というものはおのずから達成できない、このように思うわけであります。  そこで、五十三年度実績一〇%成長のために必要な住宅建設戸数、これは何戸になるか、お伺いしたいと思います。
  60. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 経済企画庁といたしましては、諸般の情勢を考えながらマクロで把握をいたしておりますことは御承知のとおりでございますが、大体百六十万戸程度ではないかと考えております。
  61. 林孝矩

    ○林(孝)委員 五十二年度のGNP成長率見通しを見ますと、六・七%が五・三%にダウンしております。当然のこととして、住宅部門も十五兆二千億から十三兆二千億と減額修正せざるを得なかったわけですね。この減額修正せざるを得なかった理由はどこにあったのか、説明をお願いします。
  62. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 当初二八・五%の上昇を見込んでおりましたが、御指摘のように実績見込みとしては七・五%、二兆円ほどの減額を見ておるわけでございます。一般的に申されますように、基本的に土地の問題がむずかしいむずかしいと言われながら、具体的な案件になりますと、やはり実際にいろいろな困難が現実にあれこれあるというようなことが基本にございましょうと思いますが、それと同時に、やはり五十二年度に一般的に消費世帯の所得の伸びが思うようでない、先行きがなお不安を払拭できないといったような、個人個人の持っております心理の問題が大きかったのではないか。  なお、これは非常に大きな要因ではなかったかもしれませんが、住宅ローンの金利が待っておると多少下がるという期待を多くの方が持っておられ、また事実そうなりつつございますから、そのことが投資をその時期まで多少手控えたいという心理になっておったという、そういう要因も何がしかはあったのではなかろうかと見ておるわけでございます。
  63. 林孝矩

    ○林(孝)委員 経済指標を見る限りにおいて、各年度とも見通しを上回ったことは過去三年間とって見当らないわけであります。見通しを全部達成されていない。ことしこそは十五兆円を下回ることは許されないというのが、これは冒頭に申し上げました政府の至上命令、成長率七%を達成するためには、この住宅建設部門において十五兆円を下回ることがあると、先ほど申し上げましたように当然その目標を達成されないわけですね。したがって、その目標値を達成するに必要な条件、逆に言いますと、過去に達成されなかったというには、いま長官が言われたような要素というものがあった。そうすると、そういう要素、阻害要件とでもいいますか、それが解消されなければ、ことしもまたその要件が継続していきますと目標が達成されない。必然的に結果はそうなるわけですね。そうしますと、問題はそうした阻害条件といいますか、目標が今日まで達成されなかったその原因、それを除去するためにあらゆる手を尽くさなければならない。五十三年度に当たってはこの阻害要件というものをどのように考えられておるか、またそれがもう除去されておるのか、それとも除去する可能性といいますか、することができるのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
  64. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私からは一般的な条件について申し上げたいと存じますが、従来不振でございますのは、概していわゆる民間資金分といわれる部門でございまして、公的資金部分のうち、住宅金融公庫関係は申し込みも多うございますし、まずまず順調に伸びてまいっておりました。したがって、ただいま仰せのように昭和五十三年度のこの目標はどうしても達成をいたさなければならないと考えたにつきまして、この住宅金融公庫を中心にいたしまして融資の枠の増大でありますとか、融資限度の改善でございますとか、あるいは住宅ローンについての税制措置でございますとか、御承知のように幾つかの改善を考えております。なおそのほかに、土地につきましても若干の税制等等の変更を考えておるわけでございます。  そういうような基本的な条件の整備と、さらに、先ほど申しましたような五十二年度に見られましたような経済の極端な気迷い状態というものが、五十三年度にはある程度解消されるであろう、私ども今回の経済見通しでは基本的にそういう期待をし、またそれなりの施策を御提案を申し上げておるわけでございますので、そういう住宅投資をする人々の心理的な変化、幾らか明るくなってきたという気持ちの上での変化、さらにはまた、資材等々もまずまず価格が落ちついておるというようなことを加えまして、五十三年度には、過去何年かにございましたような、途中で見通しの下方修正をするというようなことがないように、施策に努めたいと考えておるわけでございます。
  65. 林孝矩

    ○林(孝)委員 いま長官がお答えになったように、過去にも同じことが行われてきた。見通しがあって、そしてスタートするわけですけれども、途中で、たとえば五十年の二月、三月、六月からずうっと今日に至るまで、閣議を開いて、何とか目標を達成しなければいけない、景気を回復しなければいけないというようなことで、閣議決定のもとに施策を講じられてきたわけでありますけれども、先ほど言いましたような結果になっておるわけですね。したがって、長官は腹の中ではわかっておられると思いますけれども、とにかく、五十一年、五十二年の例から見ても、こうした目標が達成されなかった原因というものを除去しなければ、今回、五十三年度の百六十万戸達成というものも非常にむずかしい。いま答弁を聞いておりますと、長官もそういう認識である、そのように私は理解しておるわけであります。  経済企画庁の出している景気指標、国民所得統計を見ますと、五十二年度の第三・四半期の民間住宅、これは公庫融資によるものも含みますけれども、対前年同期比では、五十一年の十−十二月よりマイナスに転じているわけです。この点を長官はどのように認識されておりますか。
  66. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま仰せのように、見通しを下方修正しておるぐらいでございますから、四半期ごとの五十二年の歩みは実は期待に反しておりまして、前年同期比で申しますと、五十二年暦年ではマイナス一%でございます。これは着工戸数で申し上げております。さらに、五十二年の一−三はよろしゅうございましたが、四−六ではマイナス二・八、七−九でマイナス三、十−十二が最近出てまいりましてプラスになっておりますけれども、五十二年暦年全体としては仰せのようなマイナスになっておる。それは先ほど申し上げましたようないろいろの要因によるものであろうと考えております。     〔毛利委員長代理退席、山下(元)委員長代理着席〕 まさに言われますように、同じことを五十三年に繰り返すようでございますと、これは政府の経済見通しの大切な部分の一つが崩れるということになりますので、先ほど申し上げましたような新しい施策を最大限に動員をいたしますとともに、また民間のローンの条件も少しずつよくなってまいっておりますので、何とか目標を達したいと考えております。
  67. 林孝矩

    ○林(孝)委員 さらに、景気刺激のためのてことして過去に、たとえば住宅建設は五十年二月の第一次景気対策以来、前倒しあるいは枠の追加拡大、こういうことをずっと続けて行ってきたことは先ほども話したとおりであります。しかし、期待した効果を示さなかった、これも事実なわけであります。  いまも大臣答弁されたように、もう祈るような気持ちで何とか五十三年度は目標を達成したい、そういうことだと思うわけですが、そういう心情的なことは別にして、何回も申し上げますけれども、目標値を達成できなかったその原因を取り除かない限りにおいては、これはもう七%は達成できない。住宅建設部門、それにしぼっていま私は経済成長というものを議論しておるわけでありますけれども、この部門が政府の五十三年度の予算の中で非常に重要な位置を占めておる。それだけにやはりこの問題を見逃して通ることはできない、こういうことであります。  経済指標においてマイナスを記録するということは、五十年二月より積極的に行ってきた住宅融資、これが実際はGNPの伸びの鈍化に対して下支えの役にも立たなかった、ですから、住宅融資というファクターだけでは効果がなかったということですね。いろいろなファクターが寄り集まって効果を発揮するものだと私は思いますけれども、たとえば住宅融資ということをもって問題解決の阻害条件をなくしたというような錯覚が起こると、これはまた結果として非常に憂うべき状態が訪れます。     〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、GNPの伸びの鈍化に対しては、過去の住宅融資というものは役に立たなかった、こういう認識を私は持っておるわけでありますけれども、長官はどのように理解されておりますか。
  68. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 たとえば住宅金融公庫について考えますならば、過去常に応募者は、予定されております融資の枠よりは多くなっております。したがいまして、国民の住宅金融公庫に対する資金需要というものは、私はやはり引き続いて十分にあると考えてよろしいのだと思いますけれども、それにもかかわらず、なお住宅の着工戸数というものが政府の予定どおりいっていない。先ほども申し上げましたが、主として民間資金部門にその原因が大きいように存ぜられます。  しかしながら、全体として見ますと、繰り返すようでありますが、土地問題というむずかしい問題が基本にございますほかに、融資を受けますときに、やはりおのおの返済ということを考える。そういたしますと、所得の将来について確たる見通しを持ち得ない、不安でありますときは、勢い、金を借りようかということをちゅうちょする心理もございます。それらのことが過去においてあった。したがいまして、私は、住宅金融公庫等を初めとする政府の制度というものは今日でも十分に国民のニーズに沿ったものだと考えますけれども、それにもかかわらず、ただいま申し上げましたような理由で、過去、見通しをその都度下方修正しなければならないようなことであった、こう解釈いたしておるわけであります。
  69. 林孝矩

    ○林(孝)委員 全くそのとおりでありまして、そのニーズにも合ってないし、また、いま、最大の部分は民間建設部門にあったということでありますが、後ほど質問をいたしますけれども、公営、公社あるいは住宅公団、こうした建設部門についてもいろいろな問題があるわけです。それ以外にもまた、さあ家を建てようという場合に、いまも長官がおっしゃったように土地の問題がある。金融公庫融資といっても、それだけでは家は建たないわけです。ですから、民間民間といっても、どこまで民間に責任を持たせるのかという声も民間側にはある。したがいまして、そうしたさまざまな、種々多様な問題を抱えて五十三年度の予算を見てみますと、はっきり申し上げまして、そうした過去の五十年、五十一年、五十二年度のいわゆる目標値を達成できなかった要件というものが、正直言って五十三年度予算の中において除去されているかというと、されていないわけです。されてないけれども、百六十万戸建てるという目標が出されておる。そして、それを達成することによって七%という経済成長率が達成される、こういう論理になっているわけでありますから、私は、住宅建設部門というものを通して考えても、この七%達成というものは非常にむずかしいのではないか。しかし、日本の国というものを考えれば、経済成長率をどうしても達成しなければいけない。そのためには、もっともっと政府がそうした現実の問題、事実の問題に対して的確に、先ほど長官が、いろいろな人心の不安であるとか先行き不安であるとか、あるいは土地の問題であるとかという要件を挙げられましたが、そういうような問題も含めて、的確にそれをつかんで対処していかなければ、五十三年度の予算の消化あるいは住宅建設の目標、ましてそれが一つの構成要件となっております経済成長率七%という目標は達成されない。  それから、政府は、景気回復のために公共事業を精力的に行って個人消費や民間設備投資を刺激しよう、こういうふうにしているわけでありますけれども、これは、政府、地方公共団体がみずからの力でそれをやろうということですね。ところが、住宅関係については、データが出ておりますけれども、みずから直接手を下して行う公営あるいは改良住宅、公団住宅、これを今回減少させておるわけです。そして民間の潜在需要の高い持ち家への力を利用しようとしている。民間に頼るというか期待する、こういう五十三年度の方向が見受けられるわけです。ですから、経済企画庁の資料なんかを見ますと、政府主導による景気回復、こういう趣旨がうたわれておるわけでありますけれども、実際、住宅建設については、政府主導というよりも、民間に期待する、民間に頼るという政策なんですね。ですから、言ってみれば、住宅については全く民間に頼り切った状態、民間の責任においてのみ目標が達成できる、こういう住宅行政であると私は理解せざるを得なくなるわけです。したがって、民間にそれだけの期待をしても、頼っても、本当に民間がそれに対応できないような、体力が衰えているという場合は、またここで目標値が達成できないという問題が起こってくるわけです。こういう点について経済企画庁長官の答弁を伺って、最後に、いまの議論を聞いておって建設大臣はどのように考えられるか、お伺いしたいと思います。
  70. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは、むしろお求めのように建設大臣からお答えをいただくべきことかと存じますが、私の仕事に属します部分では、やはり一般に民間の人々が経済の先行きについて、五十二年度とやや変わった自信と申しますか、見方をしてくれるような、そのような経済全体の運営というものが大事ではなかろうか。したがいまして、そうなりますと、ローンを受けるにいたしましても、返済について従来よりは多少の明るい見通しを持って、したがって積極的にローンを借りるというような気持ちに国民がなってくれる、そういったような経済の運営というものを基本的に考えてまいりたいと考えておるわけです。  なお、民間、公的というお話がございましたが、公的の中では、住宅金融公庫につきましては国民のニーズがやはり非常に高いという事実がございますので、その点については手厚くいたしておりますことも御承知のとおりと存じます。
  71. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 林委員先ほどからの御所見、非常に参考になりました。私が実施担当者でございますから、経済企画庁長官の見通しとは若干趣が違うことは御了承をいただきたいのでありますが、たとえば五十二年の住宅建設の模様について、私としては、一次補正後の十万戸追加後、相当状況の変化を認めておるわけでございます。これは、先ほど長官がお答えのように、十−十二月はプラスに転じておるということを申し上げたと思いますが、五十一年百五十三万戸、五十二年ほぼ横ばいとは思いますが、一次補正、二次補正の効果というようなものを考えていきますときに、暦年度におきましてはすでにマイナスではありますが、十−十二月にプラスになっておる。したがって、年度としては若干この百五十三万戸を上回るのじゃないかと、私はこう見ておるわけでございます。  それから、五十三年の百六十万戸見当ということにつきましては、五十二年七・五、六%の伸びとこう見て、五十三年実質九・八になりますね。九・八がいけるかどうかということを考えますときに、企画庁長官の言われたとおりに、今度の住宅金融公庫を通じての個人融資、これは、限度枠あるいは返済についての緩和措置あるいは住宅ローン減税など総合的に見ますと、五十二年度よりはずいぶん大幅に条件がいい。これは二次補正の、この一−三月の段階、ここで七万四千戸で前倒しもいたしました。これが一週間ぐらいでさっともう申し込みを締め切るというような状況から見まして、民間の意欲は私は相当あると思うのです。また、それを期待しておるわけでございますが、住宅問題の中で大事なのは、土地のこともお触れでございましたが、宅地供給の方につきましては、新市街地の整備の促進をする、そこで従来やっておる公共施設整備に加えて別枠の整備をやるという手段もとっております。あるいは民間に対する宅地造成について、住宅金融公庫あるいは開銀の融資範囲の拡大、条件の若干の緩和、それから宅地開発公団の事業量の拡大ということも今度の施策に織り込んでおりますし、また同時に、土地税制の緩和を行う、あらゆる努力を講ずるべく今度の予算措置をお願いしておるわけでございますから、御心配をいただいた点は、それはそれなりに貴重な御意見として私ども参考にし、しかしまた同時に、こういう施策を相当やるということ、こういう努力をするということにも御理解を賜りたい、こう思います。
  72. 林孝矩

    ○林(孝)委員 時間の関係でこの問題はこれでひとまずおいて、住宅問題に関連して、団地サービスの問題について触れておきたいと思うのです。  株式会社団地サービスについてお伺いいたしますが、この株式会社団地サービスというのは、団地の住民に対して側面よりさまざまな利便を図るために、昭和三十六年の六月に設立された法人であります。株式会社団地サービスは、日本住宅公団法第三十二条の二の規定に基づいて、日本住宅公団より三分の二の出資を受けております。したがって、一般的な利益を追求する法人というよりも、公益を目的とする、いわゆる特殊法人ともいうべき法人であると私は思うわけです。さらに、この株式会社団地サービスに対する二億四千万円の住宅公団の出資金は、入居者から預かった敷金の運用益であると私は理解しているわけでありますが、これでよろしいでしょうか。
  73. 澤田悌

    澤田(悌)参考人 団地サービスの性格、設立の事情、それから公団から出資しております金額、仰せのとおりでございます。
  74. 林孝矩

    ○林(孝)委員 ところが、現在、団地サービスは入居者の利便を図るというふうに言われておりますけれども、じゅうたんであるとか、シャワー、雨戸、家具を初めとして、レコードに至るまでの商品を販売しておる。そういうところからの利益を上げておる。これは本来の使命であるサービスを提供するというよりも、むしろ営利追求に走っていると思われるのですね。このことに対して、住宅公団は十分な監視をしなければならないという立場にあると私は思うのですが、実際は、たとえば、入居の際の説明会の会場、こういうところにおいて、公団の職員が団地サービスの商品のパンフレット、ビラ、これを配布しておる。住宅公団の職員が団地サービスの仕事をやっているわけですね。そして、そのビラに入居者の申込受付番号を記入したりしておる。そして、その商品の奨励をしておるというのが実態なんです。これは公団の納得のいく説明を聞きたいところであります。それが一点。  その配布されているビラを見ますと、たとえば、ここにビラの現物を持ってきておりますけれども、シャワーのビラ、ここには住宅公団の浴室には団地サービスの商品しか使えないというような表現がなされていたり、特別価格と称して、何か特別安く売るかのごとき錯覚を与える表示がなされている。この点については不当表示の疑いがある。  この二点について、後の方は公正取引委員会委員長からお伺いしたい、先の方は住宅公団の方からお伺いしたいと思います。
  75. 澤田悌

    澤田(悌)参考人 団地サービスにつきましては、先ほどの御指摘のような設立の趣旨にかんがみまして、その運営方針、運営の実態については、サービスに徹するように公団としては常時指導しているところでございます。  商品の販売等につきましても、各種のサービス業務の一環といたしまして、特に公団が団地というようなものをつくった初期の経緯から申しましても、商品の販売もまた必要なサービスでございましたので、そういうことで始めておりました。御指摘のように、営利に走るというようなことのないように、極力指導しておる次第でございます。
  76. 林孝矩

    ○林(孝)委員 私の質問の大事な点が抜けておるのですよ。公団の職員が団地サービスの仕事をしておるという点、こういう事実をどう思いますか。
  77. 澤田悌

    澤田(悌)参考人 公団の職員は、御承知のように、現在五千百人ほどございます。そのうちに、作業員を除きますと、いわば正規の職員と申しますのが二千人以上ございますが、この設立のいきさつから申しましても、公団から出向し、あるいは公団の職員で退職した者が向こうに行って向こうの仕事に従事するということは、これまた公団の仕事の、居住者に対し直接接触する大事な一面を補完しておる点でございますので、そういう点で公団の職員がタッチしている面がございますことは事実でございます。
  78. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それはいいことですか悪いことですか、あり方として。
  79. 澤田悌

    澤田(悌)参考人 あり方としては、そのための弊害を生じてはいけないのでありまして、たてまえが悪いというふうには私は考えていないのでございます。
  80. 林孝矩

    ○林(孝)委員 公取委員長、それでは答弁してください。
  81. 橋口收

    ○橋口政府委員 株式会社団地サービスが配布いたしておりますビラ、私も見ました。おっしゃいますように、価格表示とかあるいは商品の品質等につきまして全く問題がないとは言えないと思います。さらによく実態を調査しまして、住宅公団ともよく相談をいたしてみたいと思います。
  82. 林孝矩

    ○林(孝)委員 全く問題がないとは言えないという公取委員長のいまの答弁です。そういうものが配布されている。弊害があれば問題だと言うけれども、これは弊害なんです。いいですか。  それと同時に、そういうビラを、これは団地サービス株式会社というのは全然別個のものじゃないですか。それを公団の職員が入居者に配って、そして扱っている品物、これしかないというようなビラを渡している。こういうことを平然としているような住宅公団であるから、問題が起こってくると私は思うのですよ。もう少し認識を改めてもらいたい。住宅公団総裁としていかがですか。
  83. 澤田悌

    澤田(悌)参考人 こういう団地サービスというのがありますよということを入居者の方々にお知らせしたりすること、これは私差し支えないと思いますが、その行為の中に、先ほど申しましたように弊害があれば、これは当然改めるべきものと考えております。
  84. 林孝矩

    ○林(孝)委員 これはちょっと時間がないもので、はしょって言いますけれども、団地サービスの販売している商品は、往々にしていわゆる団地サービス物あるいは住宅公団特有の商品を販売しているわけでありますが、たとえば洗たく機の台、特殊シャワー、これらは住宅公団が浴室の設計を少し変えれば、一般市販の物でも間に合うわけです。ところが、その商品しか間に合わないような設計になっておって、それを一手にこれが引き受けて販売しておるというところに一つの大きな問題があると思います。  それから、団地サービスの営利追求の問題であるとか、あるいは住宅公団と団地サービスの癒着、いま公団の職員が団地サービスの仕事を手伝ってもいいというような発言がありましたが、私はここで一つの重要な問題を指摘します。それは、団地サービスの販売する商品を公団の職員が買う場合は、定価の二割なり三割引きで購入できるという事実です。一般の会社ですと社員割引というのがございますが、これは社員でも何でもありません。住宅公団の職員です。職員がその団地サービスの品物を買う場合は割引がある。こういうことがあった場合は一体だれのための団地サービスなんだ。住宅公団の職員のための団地サービスなんですか、これは。こういうことがある。それから考えると、仕事を手伝うということも、団地サービスの商品の宣伝をするということも、宣伝の内容が問題であってもそのような仕事に携わるということも、さもありなんという気持ちが起こってくるわけです。団地サービスというのは住宅公団が三分の二出資しておる。その出資金額は、公団住宅に住んでいる人の敷金の運用益から資本金が出ておって、そして公団住宅に住んでいるその人たちは割引なしで買うわけでしょう。住宅公団職員は割引、こんな矛盾したことが事実ある。うそだと思うなら電話して聞いてごらんなさい。こういう住宅公団であるから、国会でもいろいろな機会に問題になっておりますけれども、建設大臣は頭を痛めておられる。第二の国鉄になるのではないかという心配をしておられる。いいですか。こういうような実態があるわけです。私は、先ほど留保した問題がありますので、その時間を置いて、この問題でやめますけれども、この点について、先ほど不当表示の問題は公取委員長から答弁がありました、住宅公団の総裁と建設大臣答弁を伺って、あとの問題を留保して終わりたいと思います。
  85. 澤田悌

    澤田(悌)参考人 団地サービスにつきましては、冒頭申しましたように、常時指導監督いたしておりますけれども、御指摘のような本来のサービス機関としての任務を逸脱するようなことがございますれば、厳重に改めさせる考えでございます。
  86. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 団地サービスのあり方について種々御批判をちょうだいいたしました。私はその事実をよく存じませんでしたが、よく調査をいたし善処をしたいと思います。
  87. 林孝矩

    ○林(孝)委員 終わります。
  88. 中野四郎

    中野委員長 これにて林君の質疑は終了いたしました。  次に、只松祐治君。
  89. 只松祐治

    ○只松委員 東洋には古来、矛と盾という話がありまして、これを矛盾と言うわけであります。近来の防衛論争を見ておりますと、どうもそういう感なきにしもあらずといいますか、そういうことできわめて無限の防衛力というものが想定され、あるいは論争をされつつあるのではないか。きのうの防衛庁の見解によりましても、相対性あるいは相対的という言葉が使われております。この問題はきわめて重要な意義を持つと私は思います。  きょうは、私はそういう点が本来ではございませんので、この問題を掘り下げては論議いたしませんけれども、防衛力の限界、相対的である、相手の力に呼応して防衛力を漸増さしていくということになれば、一口に言えば無限だ、こういう論もあるいは展開されようかと私は思うのですが、しかし、憲法九条の精神は、あくまでもそういうことは認めておらないわけでございますから、この限界というものをひとつお示しいただきたい。特に防衛力の質という問題については、いままで多少論争が行われて、限界論がきのうも若干示されました。しかし、量という問題につきましては、たとえばいまでも、ソ連やあるいは近ごろの英国の週刊誌等には、やはり日本の軍事力について脅威を感じるということが言われております。そういう中で、たとえば自衛隊を五十万にする、あるいはF15を五百機、千機にするということになれば、一機一機は質としては百歩譲って皆さん方の言い分を認めるとしても、これは明らかに脅威を与えるものになると思う。したがって、質とともに量というものの限界をお示しをいただきたい。
  90. 真田秀夫

    ○真田政府委員 お答え申し上げます。  憲法で許されている自衛力の限界の話でございますけれども、これは結局、前々から申しますように、わが国の自衛のために必要な最小限度というきわめて抽象的なことにならざるを得ませんが、そういう歯どめがある、こういうふうに申しておるわけでございまして、抽象的であるとしか表現ができないものですが、これは事の性質上、たとえば何人までならいいとか何人を超えたらもう最小限度を超えたとか、あるいは飛行機の足の長さも何百海里までならよろしいとか、そういうふうに一線を画して言うことにはなじまない性質のものだろうと思うのです。結局、相対から言いまして、もちろん質も問題になりますし量も無縁ではないと思います。外国に対して脅威を与えないとか攻撃機でないとかというような言い方で説明をしておりますけれども、要するに憲法第九条第二項で許されている自衛力というのは、自衛のために必要な最小限度の範囲内である、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  91. 只松祐治

    ○只松委員 それでは私が聞いた答弁には一つもなっていませんね。そういうことだから、矛と盾じゃありませんが、どんどん矛盾が増大をしてきておる、こう言っておるのですよ。だから、一定の限度あるいは経済力から見て、いままで言われておるのはGNP一%以内である。このごろはGNPの一%を超す——五十九年だ五十六年だ、いろいろ言われておりますけれども、超すこともあり得る、こういうことも言っておる。こういうことはもう無限を意味することではないですか。したがって、これは大蔵委員会ではありませんが、大蔵委員会で公債論議をするときも、やはり歯どめをどこに置くかという論議をずっと私たちはいたしてまいりましたが、いま歯どめがとれてしまいました。これと同じように、やはりいまのままでいくならば、防衛論争も歯どめがなくなる、これを私は大変に恐れるわけです。したがって、私はきょうは時間がありませんから質的な面は論議いたしません。まとまった機会に論議しますが、量的な面の経済的な面から、あるいは軍隊の数量なり飛行機の機数なり艦船なり、そういうものをひとつお示しをいただきたい。
  92. 金丸信

    ○金丸国務大臣 先生のおっしゃる、歯どめというものは心配だ、限界というものはどこだ、その限界はどこだということはむずかしいと思います。しかし、私も、先生のおっしゃゃられることは十分にわかるわけでありますが、ソ連が二千機持っておる、それだから、では日本は千機持てばいいか、私はそれもいかないと思います。日本の国情から考えてみましても、また、いわゆる平和憲法という立場から考えてみても、現在四百機持っておるわけでありますが、その程度がきょうの日本の防衛にふさわしい飛行機を所持している量ではないか、こう考えております。
  93. 只松祐治

    ○只松委員 今日の数量をもって一応の限界、私はいまこういうふうに受け取ったわけでございますが、ひとつぜひ、これ以上大幅な数的な増大というものもなさらないように、まず希望をいたしておきます。  それから、きのう防衛庁の見解の中に「その他の諸条件」というのがあります。これもいろいろありますが、日本の場合はやはり本音とたてまえといいますか、本文はしっかりしておる、ところが後に、が、しかしとか、ただし書きということによって本文をネグってしまうということが往々にしてあるわけでございますが、この場合も、前文を読むと、それも私は前文を認めるというわけじゃありませんけれども、まあまあだと思いますが、「その他の諸条件」ということによっては問題がまた他の方向にそれるという可能性もなきにしもあらずだと思うのですが、「その他の諸条件」とは、たとえば一例でも結構でございますから、具体的な例をお示しいただいて、「その他の諸条件」とは一体何であるか、ひとつ御見解をお聞きいたしたいと思います。
  94. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 「その他の諸条件」ということでどういうものを考えているかということでございますが、かつて池田総理は、国力、国情に応じて国際情勢、軍事技術の水準等にマッチしたものを持つというような御答弁もなさっております。私どもは、一つ考え方、いま先生が御指摘になりましたように量の面でどういうものかということでございますが、これは国防の基本方針にも示されておりますように、軍事力だけが安全保障のすべてではないというふうに考えているわけでございまして、そういったそのときどきの経済情勢というものも諸条件一つには入ると思います。それからまた、自衛隊は専守防衛、いわゆる戦略守勢のたてまえでございます。いま大臣からも申し上げましたように、この運用する運用構想に従って、その軍事技術の中でどういう形のものを持つのかというようなことも当然条件の中に入ってくるというふうに考えているわけでございます。
  95. 只松祐治

    ○只松委員 次に、核兵器の持ち込み問題が繰り返し防衛問題について論議をされます。私は一番最初、原潜の日本寄港のときにこの問題を取り上げました。いわゆるサブロックを原子力潜水艦が積んでおるかいないかという論争をいたしたわけでございます。私は、当然に積んでおる、お答えは、判明いたさないというようなあいまいな言葉でございました。しかし、皆さん方常識的にお考えいただいて、防備、防衛あるいは力、軍備、いろいろこういう言葉はありましょうが、そういうものは、そのときの自分の最大限の力をもって守る体制というものをしいておるわけですね。いわば最高、最強の軍備、いまそれは何かと言えば、これは核であることは常識的ですね、世界的に。日本は非核原則をとっておりますから別ですが、世界的には核です。そうすると、その最大強国の一つであるアメリカの艦艇や飛行機やその他が常時警戒体制をしいておるときに、核を持たない、最強の武器を装備しない、それは常識的にあり得ないでしょう。しかも核兵器というのはきわめて高度、いわば最高度の軍機に属する、またその取り扱いというものはきわめて危険である、こういう諸条件を加味するならば、水兵が日本に慰安に来る、あるいは給水に来る、補給に来る、こういうときに、何かおもちゃでもちょいと置いてくるみたいに、サブロックあるいはいろんな核兵器をグアムのところにちょっと置いてきたり、あるいはハワイにちょっと寄って置いてきたり、こういうことは常識的に考えられますか。こういうことはないでしょう。とするならば、それを積んだまま日本に来ておる。潜水艦だって空母だって来ておる。潜水艦、空母も絶対に核装備をしてないと皆さん方が断言するなら、これはまた別です。しかし、それは常識上あり得ない、世界の軍備の常識上。少なくとも日本の、専守防衛にしろ防衛しようと担当している皆さん方が、そういう非常識なお考え方はお持ちでないと思う。とするならば、それを持って日本に積んだまま寄港していることば当然だと思いますが、そういう私の考えは誤っている、いや、そうじゃない、あなたの考えはそうだろう、こういうふうにお考えですか、どうですか。
  96. 金丸信

    ○金丸国務大臣 日米安全保障条約の問題でございますから、わが庁の担当でない、外務省の担当でありますから、私の申し上げることは限界があるわけであります。  核兵器のわが国への持ち込みはすべて事前協議ということになっておるわけでありますから、持ち込むときは当然事前協議があるわけでありますが、先般も総理からお話がありましたように、三原則というものは憲法に準ずるものだと言っておるわけであります。そういうことから考えてみましても、日米関係の信頼関係からいっても、遵守する、またそれを確認いたしておるということでありますから、持ち込みはない、こう私は確信をいたしておる次第であります。
  97. 只松祐治

    ○只松委員 では、日本という問題を仮にちょっと外しまして、世界に、軍事行動として空母、潜水艦が常に配備されておる。そのときに、日本じゃない、たとえばほかの国に、韓国にしろあるいは台湾にしろ、そういうところに寄るときに、ちょいと外したり、あるいは何か、最高の軍機、取り扱いのきわめて困難な、貯蔵その他もきわめて困難な核兵器を取り外したりなんかするようなことがあると思ったり、想像できますか、できませんか。
  98. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 先生のただいまの御質問は、いわゆる戦闘力として最高の能力を持っているものは、常時あらゆるものが装備しているという前提に立ってのお話でございます。私どもは、軍事常識から考えまして、実はこの核兵器というものはきわめて強力な、恐るべき兵器だという判断をいたしているわけでございます。そしてまた、この核兵器は、実はこれを装備している国がその脅威というものを一番痛切に感じているというのも事実でございます。したがいまして、ことしの国防白書にもありますように、戦術核を使用するということは全面核戦争にエスカレートする危険があるから、この使用というものを避けなければならないという考えを示しております。この考えは、以前、六十年代にはソ連でも同じような考えを示したことがあるわけでございます。  そこで、ヨーロッパの状況と極東の状況を考えてみますると、極東におきましては、最初からこの戦術核を撃ち合うというような場面というものはほとんど、アメリカもソ連も予想していないというふうに想像されるところがあるわけでございまして、とするならば、あらゆる核装備可能な艦艇なり航空機が常に核弾頭を持っているとは考えられないわけでございます。したがいまして、日本に入ってくる艦艇が核の弾頭を積んでいないということは十分あり得ることでございまして、ことにアメリカ日本に対する事前協議の約束を守っているという前提に立ちますと、日本に持ち込まれているということはないというふうに確信をいたしているわけでございます。
  99. 只松祐治

    ○只松委員 私はそれを了解するものではありませんが、きょうは本論でございませんので、おきます。  本論のF15の選定問題についてお尋ねをいたしたいと私は思います。  F15は、当初予算で約七十億円でございますが、F14、16は、値段は幾らでございますか。
  100. 間淵直三

    間淵政府委員 アメリカ軍が調達する価格でございますが、F14は、一九七八年度のアメリカの調達要求によりますれば千六百万ドル弱、それからF15は千三百九十万ドル、F16は一千万ドル強ということになっております。
  101. 只松祐治

    ○只松委員 後で価格の問題はまた別の面からお聞きいたしますが、F15は、訓練する場合に半径が約百四十マイル以上必要だとされております。このことは五十二年七月の防衛庁の白書にもあらわれておるわけでございまして、そういう訓練空域がない。ところが、すでにF4も訓練に実際上いろいろな面で困っておるし、基本的な訓練さえも十分行われておらない、これが現状ですね。ところが、そういうときに、きわめて行動半径が広い、あるいはいろいろな意味で、質的な問題は私は論議しませんでしたが、すぐれておるこういう飛行機をお買いになるわけですが、訓練その他はどういうところで、せっかく買ってもどうしようもないだろうから、訓練する方法がありますか、ありませんか、どうですか。
  102. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 いまファントムですら訓練が十分できないところに、F15を買って訓練ができるかというお話でございますが、私ども、全日空の事故がありました以降、訓練空域というものがかなり制限されているのは事実でございます。しかしながら必要な要撃訓練、そういったものは十分こなせるという判断のもとに、現在もファントムは行っておりますし、F15も行うことは可能でございます。
  103. 只松祐治

    ○只松委員 あなたたちの防衛白書に、そういうことはできない、困難だと書いてあるし、さらにF4の、現在使われておるものの訓練というものは、基本的な攻撃訓練や何か、そういうことはできてないでしょう。時間がないから、私はそういうことを全部微に入り細に入ってやりませんが、私もかつては戦闘機に乗ったことがあるのですよ。どの程度まで訓練をしたならばそのパイロットは役に立つ、立たないということはあるのですよ。ただ操縦できて、要撃しているからというだけでは、そんなものは、パイロットは何の役にも立ちませんよ。どの程度なら役に立つか。  大蔵大臣、こういう役に立たない、現在のF4でさえも十分な訓練ができないで役に立たないのに、さらにF15というような非常に性能の高いものを買っても、日本の狭い領域では十分な訓練ができない。こういうものに莫大な金をかけるということは、たとえば防衛上は百歩譲って一応認めるとしても、予算のむだ使いというようなことになりはしないでしょうか。ひとつそれぞれからお答えをいただきたい。
  104. 村山達雄

    ○村山国務大臣 防衛に関する問題は、只松さん御承知のように、国防会議において決定されるところでございまして、国防会議におきましては、F15につきまして費用対効果の問題、その他あらゆる角度から詳細な検討が行われたのでございますけれども、これはやはり輸入することが、特にライセンス生産を中心とするわけでございますが、そういうことで計画としては百機、ことし二十三機を購入することが適当であると決定されたわけでございます。財政当局といたしましても、現在の防衛費の範囲でございますから、私は財政上決してむだであるとは考えておりません。
  105. 只松祐治

    ○只松委員 時間がありませんので一つ一つ反論できないのが残念ですが、次に進めてまいります。  さっき価格をお聞きいたしましたが、米国の国防省の買い入れ価格、これはもうお聞きする前に私は言いますが、七九年度の防衛予算から算出されましても、一機千八百十五万ドル、概算二百四十円とすると四十三億円、こういうことになるわけでございます。ところで、日本でお買いになるのは幾らでございますか。
  106. 間淵直三

    間淵政府委員 アメリカの調達価格、先生、いま七九年度千八百数十万ドルという仰せでございましたが、七八年度の価格でいたしますと千三百九十万ドルで約三十六億円になるわけでございまして、私どもがいま御審議いただいております予算でお願いしておる平均単価が六十一億円でございます。
  107. 只松祐治

    ○只松委員 当面六十一億円ですね。しかし、平均いたしますと、五年間で七十億円の予算が組んでありますね。当面六十一億円といたしましても、四十三億円との間に相当大きな開きがございます。十八億円ございます。大体こんな大きな開きというものは、たとえばライセンス生産をいたしましても三〇%ぐらい値上がりするだろう、こう言われておりますけれども、そのほかに、いま私も事務当局から一応の説明はお受けはいたしておりますけれども、改めてひとつ国民の前に、アメリカの国防総省から買う値段よりなぜこんなに上がってくるかということをお示しいただきたい。
  108. 間淵直三

    間淵政府委員 ただいま御説明申し上げましたように、二十三機の平均単価が六十一億円でございまして、その内訳を多少細かく申し上げますと、先頭の二機というのはアメリカの軍から防衛庁が直接輸入するものでございますが、二機の平均が約四十五億円でございます。それから練習機と申しますか複座型の飛行機を六機見込んでおるわけでございますが、これを含めた平均が約四十六億円。それからライセンス生産機十五機を予定しておるわけでございますが、この平均単価が六十九億円でございます。  アメリカが買い入れます価格の三十六億円と、私どもが完装機と申しますか、そういう形で輸入する価格の四十五億円との差というものは、まず第一に取得年度の差がございます。取得年度の差が、アメリカは七八年の予算で計上したものは八〇年、八一年の間の八ヵ月間にわたって調達するわけでございますが、私どもは、昭和五十七年に最後のものを調達する予定になっておるわけでございまして、この取得年度の差が二年あるわけでございます。この間の物価の値上がり、その他ということがまず第一の原因でございます。それから、研究開発費というものは、アメリカ軍の取得する場合には、これはアメリカ軍の支出した研究開発費でございまして、軍の取得のときにはこれは価格に含まれないわけでございますが、御承知のように、F15の研究開発費というのは二十億ドル以上にわたっておるわけでございまして、その振り掛け金と申すものを私どもは払わなければいかぬ。それから、アメリカは飛行機、航空機の調達というものに関しましてかなり手厚い措置を講じておるわけでございまして、治工具の調達であるとか、あるいは専用機械の調達、時によりましては建物までもあらかじめつくってやるといったようなやり方をやっておるわけでございまして、こういうものの費用も、私どもが調達する場合には払わなければならない。それから、FMS、アメリカの軍の販売機関の管理費あるいは輸送費といったようなものを、私どもが調達する場合には払わなければいかぬことになっております。  それから、ライセンス生産機がどうしてこんなに高くなるかということでございますが、これに加えまして、私どもといたしましてはライセンスフィーあるいはロイアルティーというものを払わなければならないということ。それから、製造機数の差というのが非常に大きくなってくるわけでございまして、御承知のとおり、いまアメリカは全部で七百二十九機を調達する予定になっておるわけでございまして、大体月十二機の平均で生産を行うということになっておるわけでございますが、私どもは、ピークになってもせいぜい月一・二機とか一・三機というような調達計画をもくろんでおるわけでございまして、     〔委員長退席、栗原委員長代理着席〕 そういう調達機数の差といったようなものも、初度投資に対する償却、金利その他で非常な大きな差になってくる、これらが原因でございます。
  109. 只松祐治

    ○只松委員 そういうふうに大変高くなるというお話でございますが、これは後で申しますが、きわめて不確定なものでございます。  その前に、今度はもう一つお伺いをいたしますが、F104の採用のときにも、エンジン関係で約百のふぐあい事項、URあるいはECP、技術変更提案というものがなされました。しかし、このF15には四百件のまだこういういろいろなふぐあい事項やあるいは技術変更事項が提案をされておるわけでございます。ということは、今後さらにそういうものをずっと開発していくわけですから、値段がどんどん上がってくる、こういうことになるわけです。将来一機大体百億を超すだろう、こう言われておるわけでございます。このことは決して六十億円や七十億円にはとまらない。四百件に及ぶこういう未処理事項、それからそれを開発していく、こういうものを皆さん方はどういうふうに調査され、どういうふうにお考えになっているか。しかも、なおかつ、減りはしてきましたが、これだけ多くの欠陥があるということが指摘されることに対して、どういうふうにお考えになっておるか。     〔栗原委員長代理退席、委員長着席〕
  110. 間淵直三

    間淵政府委員 先生御指摘のように、F15はまだ実戦部隊に配備されてから数年しかたっておらないというようなことから、いろいろのECPと申しますか技術改善条項というものがあるわけでございますが、私どもの今回御審議願っておる予算におきましては、通常の技術改善事項といったようなものは予算上に含ませております。  それから将来値上がりして非常に高くなるのではないかというようなお話でございますが、F4ファントムの場合を見ますと、最初の買い入れ値段が二十億円、それが十年ほどの間に三十七億円になったわけでございますが、これは先生御承知のように石油ショックといったようなものが間にはさまっておるわけでございますが、航空機の価格の値上がりの約六割というものは人件費の上昇に起因するものでございまして、このファントムが最初に比べまして一・八倍強になっておるというその間の賃金の上昇を見ますと、三倍以上になっておる。あるいは消費者物価、GNPといったようなものが三倍近くになっておるといったようなこと、それからGNPの伸びのデフレーターといったようなものを考えてみましても、航空機の値段だけが通常の賃金、物価の値上がりとかけ離れて急上昇するというようなことは考えられないと思います。
  111. 只松祐治

    ○只松委員 後からお聞きしようと思ったら先にしゃべられましたから、ついでに言っておきますが、F4の見積もり価格のときには十六億円でお渡しになっているのですね。それから、採用されたときが二十億円なんですね。それで去年は三十七億円。見積もりの倍になっているわけですよ。したがって、このF15もいま一応六十一億円、まあライセンスは六十九億と言われたけれども、こういうふうになっている。これも予算はことし一応提示されておりますけれども、採用は昭和五十五年度から始まる。これは始まるのですよね。それから十年間くらい続いていくわけです。それにあなたたちは平均七十億円という値段をお出しになっておる。それをインフレや何か自然増的なことにおっしゃっているけれども、私がさっき一つ問題を出した、やはり四百件からに及ぶ、こういういまから開発していかなければならない、直していかなければならないものが当然に高くなるということは、すでに識者の間あるいは業界の中から指摘されておるのですよ。そういうことをほおかぶりしておきながら、ただ人件費が上がった、物価が上がったからこういうふうに上がるのだ、そういう答弁はここでは通用いたしませんよ。訂正しなさい。  それで、やはりこういうふうに未開発のいろいろな研究開発費が、今度の場合は約二百万ドル近いものがアメリカからこの価格の中に含まされておるわけでしょう、政府政府の売買のときに。だからそういうごまかしの答えではなくて、やはり本当に、いまから未開発の分野や何かを入れるとF15というものは上がっていくのだ、将来百億円ぐらいになっていくのだと、正直に答えなさい。
  112. 間淵直三

    間淵政府委員 先ほど申し上げました平均六十一億円という価格は五十三年度に契約する価格でございまして、最終のデリバリーが終わる五十七年度までの物価上昇その他の要因は含まれておる次第でございます。
  113. 只松祐治

    ○只松委員 そうじゃないでしょう。含まれておるけれどもなおかつ上がる。そんなことをあなたたちが言うなら、絶対にこれはもう上がらない、このF15に関する限り予算追加要求はしない、こういうことを断言いたしますか。
  114. 間淵直三

    間淵政府委員 非常な経済的な変動、たとえば石油ショックとかあるいは円の急激な下落というようなことがない限りは、この予算でやっていく所存でございます。
  115. 只松祐治

    ○只松委員 よほどの異常な事態がないと上げない。こういうことでございます。そのことだけをここでは一応確認をいたしておきます。  それからF15は、一応いまのところは昭和五十七年度ということで予算が組まれております。しかし、アメリカの国防総省の計画によりますと、このF15は大体昭和五十八年度で一応打ち切る、こういういまのところ予定になっておるわけですね。特別にいまこれを買うのは日本とイスラエル。将来サウジアラビア、いろいろなところが買う、こういうことが起こってもそんなに長くはない、大体このF15は昭和五十八年度に打ち切る、こういうことになっております。ところが、逆に日本昭和五十六年度からライセンス生産を始めて、これが四機、五十七年度に十一機。それからようやく始まっていくわけですね。いいですか、アメリカが打ち切るときに今度は始まっていく。そうするとここに、アメリカに対していろいろな部品や何かを購入していかなければならない。さっきおっしゃいました五十七年度までのやつは、それも私はそのとおりいかないと思いますよ。いかないけれども、アメリカが一応この生産を打ち切って部品や何かがなくなった、こういうときにはこれはまた大変な値上がり等が出てくる。そういう値上がりをどういうふうに見積もっておられるか、あるいはまた、そういう部品がなくなったらその部品なんかをどういうふうにするか。これは日本の防衛の本質にかかわってくる問題でございますが、こういう点をどうお考えになっておりますか。
  116. 間淵直三

    間淵政府委員 アメリカにおける現在のところの計画は、先生御指摘のように一九八一年度の発注、その納入が一九八三年度で終わるということになっておるわけでございますが、戦術空軍でこれを採用するかどうかといったような問題、あるいはイスラエル、サウジアラビアといったようなところの調達がどうなるか、そういうことによりましてまだいまのところの計画がそのとおりいくかどうかというのは定かではございませんが、そういうことも予想いたしましてライセンス生産、国産化ということを進めていく所存でございまして、その間になるべく国産化率を上げて、よしんばアメリカで生産が打ち切られたということになっても、その被害を最小にとどめるというような所存で進んでいきたいと思っておるところでございます。
  117. 只松祐治

    ○只松委員 希望的観測ばかり述べて軍備というものはできはしませんよ、言っておきますけれども。あなたが言っているのは希望的観測ばかりだ。  通産大臣、航空機担当でございますが、昭和五十八年度アメリカが打ち切って、そのとき日本の航空機産業がそこまで、できるだけという限定の言葉がありましたけれども、F15というような優秀なものをつくる方針がありますか。どうです。
  118. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 数年先のことはわかりませんが、さしあたりは、ここ二、三年間非常に低迷をいたしておりました日本の航空機産業は、今回の新しい機種の決定、それと過去数年間懸案になっておりましたYX、民間機の製作の着手、こういうことがありまして、ようやく新しい展望が開けてきたところでございます。私どもは大いに期待をいたしておりますが、世の中が次から次へと変わりますから、数年先あるいは十年先のことにつきましては、客観情勢の推移を見てまた判断をしなければならぬと思います。
  119. 只松祐治

    ○只松委員 では、当面これはライセンスで、いま日商を通じて三菱と言われておりますが、この三菱重工なり何なりが何百億設備投資をするか、そういう御予定をお聞かせいただきたい。——通産大臣
  120. 間淵直三

    間淵政府委員 非常に技術的なお話なので私があらかじめお答えさせていただきたいと思うわけでございますが、まだどこがどうするというようなことは決定しておらないわけでございますが、初度設備投資及びその治工具で約三百八十億円と聞いております。
  121. 只松祐治

    ○只松委員 いま約三百八十億とおっしゃいましたけれども、普通は五百億と言われております。この場合も、参考までに言っておきますが、F15ならば国内生産が四〇%、F16ならば六〇%国内生産ができる、こう言われておるわけですね。将来の日本の航空機産業——軍需産業は別ですが——という観点からしても、これはF16を入れる。そして、F16が空戦で勝った負けたということは別にいたしましても、こういう面から見ても、国内産業を、航空機産業というものを発展させていくという観点に立てば、F16というものの優位性はこういうところにもあります。本当は私は時間をかけて、F15を選定した理由をずっと個条を挙げてお聞きしようと思ったのですが、後で私がお聞きいたします問題等に差しさわりますからそういう点は触れなかったのですが、いろいろな面からいって、F15を日本が採用するのに必ずしもいい条件とは私は思わないわけです。  いまの話から出てくるものは約三百八十億と言われた。私が入手しているのでは約五百億かかる、こういうことになります。そうすると、さっきライセンス生産で六十九億円、こういうことをおっしゃいました。いま、どこにライセンス生産をさせるか、どこと契約するかということもまだ定かでない。しかし、私が言いますように、日商を通じて三菱ということは巷間もう明確になっておる。しかし防衛庁はどこに製造させるかわからないと言う。それから、一応三百八十億と言ったけれども、これも確たるものではない。こういう不確定要素を前提として六十九億円という単価をはじき出すということは、私はこれは僣越至極といいますか、きわめて不可解といいますか、あり得ないことです。こういう不確定要素をもとにして数年先のものを六十九億円とはじき出せますか。通常の会社なら、これははじき出せませんよ。しかも、国会に提出する予算として、一機当面平均して七十億、それから、いまおっしゃったように数年先のやつを六十九億円と算定をする。これは私は別な角度から今度は財政法との関係をお聞きいたします。財政法では、継続した場合には、各年度のものを提示しなければならない。これも提示をされておらない。いいですか。内容は、皆さん方御承知のとおり、昭和五十五年に単座が二機、五十六年度に単座が四機、五十七年度に十一機、その四機と十一機をライセンス生産を始めるわけでございます。それから、五十六年度にいわゆる練習機がやっと来る。練習機が四機、複座。それから五十七年度に二機複座が来る。こういうことをずっと考えて、そしてなおかつライセンス生産の製造の基礎というものが全然不明確のまま六十九億円とはじき出すということは、きわめて私は不謹慎というか、国民に対して不遜といいますか、そう思う。こういうことがどうしてできるか、ひとつお答えいただきたい。
  122. 間淵直三

    間淵政府委員 先生御指摘の五百億円という初度投資でございますが、これはP3Cを含めての話でございまして、F15に関しましては三百八十億円でございます。  それから、いろいろ不確定な要素があるにもかかわらず、どうしてこういう数字が出るかということでございますが、これはマクダネルダグラス社あるいは米政府等からその詳細な内容を取りまして、それからまた、わが国で経験を有する各社の見積もりと申しますか、評価と申しますか、そういうものを取りまして、非常に厳重な価格査定を行った結果でございまして、異常な事態がない限りは、この数字で十分やっていける、こう考えております。
  123. 只松祐治

    ○只松委員 F15のほかに、F15は単なる機体ではない、F15を動かすいろいろなものが必要となってくる。燃料その他消費器材、それに伴う訓練、人件費あるいはバッジ、ナイキその他の軍事施設の改善改良、あるいはそういうものの維持費、それからこれは騒音が大変出るというので騒音対策費、そういうものをいたしますと、単なる一機七十億円、総額七千億というようなことでは済むわけではない。一兆円を大幅に超し、十年後には一兆五千億、大体このF15の採用に伴って生ずる、こう言われておりますが、これは防衛庁ですかそれとも企画庁長官ですか、こういうものを合わせると総額は幾らになるか。その中に占める場合に、防空費だけでもそれだけF15関係だけでも上がってくる。それからP3Cその他でも防衛費は増大をしてくる。GNPに占める比率というものは、私は当然に一%を超してくるというふうに思いますが、全体の額。きょうできなければ、これに伴う全体の額はひとつ資料として提示をしていただきたいということを要求いたします。  それとともに、ここで一応答弁を求めます。
  124. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 まず第一の問題といたしましては、来年度の予算でそういった運用経費というものは入っておりません。これは五十六年度以降に入ってくるものでございます。  それからもう一つの点は、いま先生がおっしゃいます御質問の趣旨からいたしますと、F15が入ってくることによって、現在の航空自衛隊の飛行機の数、そういったものがふえれば、それがネット増となってくるわけでございます。しかしながら、御承知のように十個の要撃飛行隊の中でどういった飛行機をもって代替すれば一番効果的であるかというようなことを私どもといたしましても勉強いたしました。したがいまして、毎年の運用費というものは、その減っていくものと、それからF15になって必要となるものとの差ということになるわけでございますが、これは年々の予算で計算することになりますので、そこの差がその時点でどうなるかということは、はっきりつかんでいないわけでございます。  しかしながら、このトータル・ライフ・コストと申しますか、その飛行機が採用になって、どれぐらいの燃料を使って、教育にはどれぐらいかかり、訓練にはどういった面が必要であるか、それから施設の面ではどういうものが必要であるかということを、この飛行機が入ってくる時点におきましてはファントムの飛行隊が五個飛行隊あるわけでございますが、それとの組み合わせによりましてF15あるいはF16、それからF14につきまして、十五年というトータル・ライフ・コストといったものをインプットいたしましてオペレーションリサーチをいたしました。その結果、費用対効果の面でこのF15が一番すぐれておりますし、また一定の費用というものをかけました場合に、一番限られた機数で防空効果を与えるということが結果として出ているわけでございます。したがいまして、現時点におきまして、十年、十五年先のすべての燃料費その他を含めてどういう価格になるかということは具体的にはなかなかつかみ得ないところでございますが、この作業をいたしましたのは五十二年度でございますが、そのときの単価によりまして今後十五年間、それぞれの飛行機の保有機数、それから運用の形態、それに伴う費用というものは比較してございます。
  125. 只松祐治

    ○只松委員 私が幾つか御質問をいたしました中からおわかりのように、まだまだいまから採用するのだから確かにそういう面もあろうかと思いますが、不確定な要因というのが非常に多いわけでございます。そういう中で計算するのは大変だろうと思いますけれども、すでに国会予算が千六百十二億円出されておるわけでございますから、これは実現の段階に入るわけです。したがって、これのトータル予算というものを本予算委員会のうちにひとつできるだけ確かなものを出していただきたい。委員長、要望いたします。
  126. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 いま先生の御指摘がございましたバッジあるいはナイキ、そういったものすべてを含んだトータルコスト予算ということになりますと、これはまさに航空自衛隊というのは防空作戦をやっているわけでございますから、航空自衛隊の予算になるわけでございます。したがいまして、その中からF15だけの十五年間の運用コスト全部を含めた予算というのは、はじき出してもとても正確な数字というのは出ないわけでございます。したがいまして、毎年度の予算におきまして、私どもは来年度航空自衛隊を運用し、F15、F4、それからF104を運用するのにはこれだけの予算が必要でございますということを予算書の中で明らかにしているわけでございます。
  127. 只松祐治

    ○只松委員 だから私は一番最初、抽象論、矛と盾の論を展開もしたわけです。しかし、F15を導入することは、いまから契約問題は聞きますけれども、契約はいまからでございますが、閣議決定している。そうすると、それに伴って具体的な問題が生じてきて、国民が税金を払わなければならない。どこかからこの金が出てくるわけじゃない。国民の税金から払っていく。そのあれが毎年毎年計算してあと幾らになるかわからない、そんなでたらめな答弁がありますか。全体をくくればこういうことで幾らかかる、三矢研究みたいなつまらない研究だってする防衛庁が、そんなことができないわけがないでしょう。それはぴたっとした一億円も違わないということは無理でしょう。しかし概算としてのものを出してくれと言っている。出ないわけがない。もし出さないならば、きわめてそれは不謹慎ですよ。いいですか。導入はした、幾らあと金がかかるかわからない。洋服買ったら、くつや何かも要る。やはり家を建てるならばあと周りのへいが幾らかかる、何がかかるという予算を一応立てるでしょう。飛行機だけは、七千億で買うけれどもあとはその付随費用が幾らか、無限にかかるかわからない、そんなでたらめな予算の出し方はありませんよ。
  128. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 それはいま先生がおっしゃいましたけれども、防衛予算というものは国防会議の御決定がございます。そして当面一%の枠内でいくということになっております。したがいまして、その中でF15を整備し運用するという限度というものははっきりしているわけでございます。しかしながら、F15だけがその時点で運用し訓練をするのに幾らかかるのだということを十五年先まで推定するということは、現実の問題としてはきわめて困難でございます。したがいまして、私どもがやりましたのは、五十二年度の単価においてこのF15が使用する燃料、それからそれにパイロットが一人でございます。F14の場合にはパイロットが二人でございます。そういった関係の積み上げをやりまして、トータルコストといたしましては、やはり防空効果を上げるという面では、F15と14とを比較いたしまして、F15が費用対効果の面でも一番すぐれているという判断をしたわけでございます。
  129. 只松祐治

    ○只松委員 推定でいいですよ。なかなかそれは全部は、十年以上は出ませんから、五十二年度の時点における推定で出してください。
  130. 中野四郎

    中野委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  131. 中野四郎

    中野委員長 速記を始めてください。金丸防衛庁長官
  132. 金丸信

    ○金丸国務大臣 概略の書面によって提出をいたしたいと思います。
  133. 只松祐治

    ○只松委員 そういうふうにF15にはまだいろいろな未確定な部面、いまから国内生産するについては多くの問題がある。こういうのをいまから特にライセンス製造する場合にどことどういうふうに契約するかということになりますと、通称いま日商岩井を通じて三菱だろうと言われております。しかし直接にはマクダネルダグラス社と契約するわけですね。これについてこういうきわめて膨大な費用がかかるわけですから、よもやロッキードや何かのような汚職が再び起こるとは思いませんが、起こしてはならない。そういう点について、契約をいまから進めるに当たってどういう対策をお講じになっているかをお聞きしたい。
  134. 間淵直三

    間淵政府委員 FMSと申しますか、アメリカ政府から直接輸入する先頭の二機及びその練習機六機につきましては、防衛庁とアメリカ政府とが直接契約をいたすわけでございます。それから後のライセンス生産機につきましては、国内のメーカーと防衛庁が契約をいたすわけでございまして、国内のメーカーがその契約ができた後で、部品の調達その他に関しまして、商社にその実務を代行させるというようなことは当然起こり得ると思いますが、防衛庁といたしましては、商社を通じて契約するとか、そういうことは一切ないわけでございまして、直接メーカーと契約する、そういうことにいたしております。
  135. 只松祐治

    ○只松委員 マクダネルダグラス社と契約なさるのですか。
  136. 間淵直三

    間淵政府委員 国内のメーカーでございます。国内のメーカーがマクダネルダグラス社とライセンス生産の契約をする、そういうことになると思います。
  137. 只松祐治

    ○只松委員 それに当たって、先ほど申しますように汚職やその他一切起こさない、そういうことをどういうふうにお考えになっておりますか。その歯どめや何か、何かできるとお考えになっておられますか。
  138. 間淵直三

    間淵政府委員 先ほど申し上げましたように、防衛庁といたしましては、商社とは一切直接の関係はないわけでございますが、その歯どめといたしましては、マクダネルダグラス社からそういうことは一切行わないし、行うことをさせないという誓約書もとってございますし、それから国内のメーカーと契約するとき、その原価監査といったようなものを厳重に行いまして、その価格の正当性というものを見きわめる所存でございます。
  139. 只松祐治

    ○只松委員 誓約書を出されるからには要望書をお出しになっていると思いますが、どういう要望書なり通達をお出しになっているか、ひとつここにお出しをいただきたいと思います。
  140. 間淵直三

    間淵政府委員 昭和五十一年防衛庁装備局長の名前でマクダネルダグラス社に対して、こういう事項を誓約できるかどうか、できるのだったら出せということを要求しております。
  141. 只松祐治

    ○只松委員 その中に、いろいろなことをお書きになっております。全部読むとあれですから、ポイントになるところを読みますが、「下記の諸点に同意されることが現段階においては機種選定上極めて重要であると考え」られます。したがって、機種選定上、後で読み上げます皆さん方が要望されたことが受け入れられなければ、この契約はしない、あるいはこの契約が受け入れられなければどうする、こういうお考えはありますか、ありませんか。
  142. 間淵直三

    間淵政府委員 この要求書は、当時候補に挙がっておりましたグラマン、マクダネルダグラス、ゼネラルダイナミックス、三社に出しておったわけでございまして、当然この誓約が出ないということになれば、契約はできないという所存でございました。
  143. 只松祐治

    ○只松委員 さっきはマクダネルダグラスだけで、いま三社と訂正をされました。三社の方が正しいのですか。(間淵政府委員「はい」と呼ぶ)三社にお出しになったわけでございます。その中に「贈賄又は不当な影響力を及ぼす金品の提供等の販売工作を行ったことがなく、又今後も行いません。」こういうことを書いてある。きわめてこれはばかげた話ですね。「若し、当社又は当社代理店等が上記に違反する行為を行った場合は、防衛庁又は防衛庁が発注した者(ライセンス・メーカー)が当該契約を解除し又は贈賄額又は提供された金品の額に相当する金額を当社より防衛庁が徴収することについて、何ら異議を申し立てず又何らの請求も致しません。」これは贈収賄をしない、一切起こさないと言いながら、金品を徴収するということが明確に書いてありますが、そうするならば、これは贈収賄が行われるということを前提としてお書きになっておる、こう私は断定をいたしますが、どうですか。
  144. 間淵直三

    間淵政府委員 これはそういうことを行わないという、いわばその抑止力でございまして、こういうことは行わないということを希望し、かつ確信しておった次第でございます。
  145. 只松祐治

    ○只松委員 しかもこれは外国の一流中の一流のそういうメーカーに対して、贈収賄を行うな。本来こういうものは防衛庁長官が発注するのですね、会計法上。しかし、それは長官は局長に代行させることができる。したがって、私は局長がしたのだと思うけれども、これは防衛庁長官がしたのと同じですよ、委嘱されただけだから。この防衛庁長官が外国に対するのに、こういう汚職をしたら徴収をいたしますぞ、こういうことがどうして出せるのです。絶対にしては相ならないということで厳命なり何なり要求するなら別として、した場合にはその罰金を徴収いたしますぞ、こういうことをしたのですが、どうです。これは取り消されますか、もうすでに出したことですけれども。これは国辱ですよ。防衛庁長官、どうお考えになります。
  146. 間淵直三

    間淵政府委員 これは絶対そういうことは行わせないということを強く要求しておるわけでございまして、徴収するとか何とかということは、もしそういうことが過去にあったとか、そういうときには、その変なふうに使われたお金というものがF15の価格に上乗せされて国民に損害を与えるというようなことがないために、こういうことを指定したわけでございます。
  147. 只松祐治

    ○只松委員 こういうことを指定したって、国家を代表する防衛庁長官がたまたま委嘱しただけなんですよ。その日本国家を代表する者が、防衛庁長官が外国の一流中の一流のメーカーにこういうものを出して、徴収する。絶対二度と起こさないように注意するなら別だけれども、した場合には徴収する。いまからでもこれは取り消すのが私は国辱を回復する道だと思うのだが、どうです。防衛庁長官。これは私はきわめて不適当な言葉だと思います。  ついでに。こういうことは一防衛庁が恣意によってできるのではなくて、刑法によってしかこういう贈収賄なんかは金を回収できませんよ。一防衛庁が、これがあったからと言って、どうやってそれを認定して、どうやって回収するのですか。あなたたちは詐欺、横領罪が成立しますよ、言っておくけれども。これは刑法上摘発されたとき以外にこういう金を徴収することはできませんよ。本当は法務大臣を呼ぼうかと思ったけれども、そこまでぼくはきょう詰めるわけじゃなかったから、来ていない。あなたがもう少しあっさり答弁するだろうと思ったけれども、そこまで言うのならば、これは、あなた、詐欺、横領罪が成立いたしますよ。
  148. 間淵直三

    間淵政府委員 先生の御趣旨のようなことをさらに念押しのために言い渡すということは検討いたしたいと思いますが、徴収するというのは契約条項に入れまして、もちろんそれが刑法上のことというのは私どもの権能ではございませんが、契約条項の中に入れさせて、その金額が代金に上乗せされて国民に損害を与えるということがないように、契約条項の中にそういうふうに入れていきたい、こう思っております。
  149. 只松祐治

    ○只松委員 法制局長官、こういうことが可能ですか。防衛庁がこうやってみずから徴収して、それをすることができますか。これは一土木事業やいろいろなものの契約書ができたときに、建設省やらあるいは通産省あたりが、何か起こして、こういう契約しなさいといって契約金のようなものを徴収できますか、恣意的に。
  150. 真田秀夫

    ○真田政府委員 突然のお尋ねで、思いも寄らぬ御質問なのですが、結局契約なんですね。契約条項として、一方当事者が他方当事者に対して、やってほしくないという希望を書く、そしてそれに対して違反をした場合にはそれに対する違約金を取るということは一向構わないです。その性格は、徴収という言葉にとらわれては余りよくないのであって、それは結局相手方も同意によって任意にそれに署名、捺印かサインをするわけでございますから、それはできないわけではございません。違約金でございます。(発言する者あり)
  151. 只松祐治

    ○只松委員 「贈賄額又は提供された金品の額に相当する金額」で、ほかに違約金とかなんかじゃないのですよ。それは違約金はありますよ、土木や入札なんかには。違約金じゃないのですよ。贈収賄されたその金品を防衛庁が恣意的に取ると言っておるのですよ。これが通産省が何か契約したときに、通産省がそれに相当するものを、第一、その額をだれが確定いたしますか。だれが確定するのです。幾らこれが贈収賄されたと。通産省がそれをやった場合に、通産省が幾らしたということを、業者の言うことを一方的に、恣意的にその額を認定しますか。刑法による以外、裁判所による以外、それは認定できない。どうしてできる。そんなでたらめ言いなさんな。
  152. 中野四郎

    中野委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  153. 中野四郎

    中野委員長 速記を始めてください。  この点については後ほど理事会で相談をいたしまして、適当なる措置をとるようにいたしたいと存じます。  どうぞ質問をお続けください。
  154. 只松祐治

    ○只松委員 委員長、よろしくお取り計らいをいただきます。  続いて、その問題の内容についてお尋ねをいたします。「(FX)の販売契約に関しては、既に契約前に行う原価調査を受け入れる旨御回答をいただいていますが、特定の部品等確定契約(FFP)による場合を除き、当庁(当庁の委託した者も含む。)の原価監査により最終価格を決定する契約方式によるものとする。」こういう文章がありますが、これを出させた三社とも応諾をいたしましたか、いたしませんでしたか。
  155. 間淵直三

    間淵政府委員 三社ともこれを応諾し、書面でいただいてございます。
  156. 只松祐治

    ○只松委員 私の調べた範囲では、F14のグラマン、F16のゼネラルダイナミックス社は要望を受け入れております。しかし肝心の皆さん方が契約されたF15のマクダネルダグラス社は、要望どおりにはしていないはずです。あれば、ひとつ文書を見せていただきたい。
  157. 間淵直三

    間淵政府委員 ここにマクダネルダグラス社からの書簡は所有しておりますが、これはその字句に多少差異があるとは思いますが、基本的にはこの精神を応諾しております。
  158. 只松祐治

    ○只松委員 基本的には応諾しておるけれども、字句には多少の問題がある、何です。そんなあいまいな答弁は。いいですか、これは二社は受け入れたけれども、マ社は当初の一年間だけ原価調査を受け入れる。全面的に受け入れてはいないはずです。しかもその人は東京のマクダネルダグラス社の支社長で、かつて太平洋方面軍司令官であったゴートン・グラハム氏の署名になっておるわけでございます。この人が一年間の原価計算した約束しておらないはずです。というのは、後のライセンス問題に響いてくるわけですが、ほかの社は、ずっといつでも原価計算を受け入れる、こういうふうな誓約書が出ている。ところが、F15は一年間の誓約しか出ておらないはずです。あるかないか、ひとつ提示してください。
  159. 間淵直三

    間淵政府委員 マクダネルダグラス社から書簡にはそういうことは載っておりません。いずれにいたしましても、このコピーを先生に御提出いたします。
  160. 只松祐治

    ○只松委員 長い文章でございますから、ちょっといま全文確認する時間がありませんから確認することができませんが、ちょっと見ただけでも、この防衛庁が要求しておる、「原価監査により最終価格を決定する」——全部見せるということは、いまたまたま若干異なっておりますという話が出ましたけれども、それを全部応諾しておらない、こういうことでございます。いまの一つは副社長の署名になっております。ただ、これは写しでございますから、サイン入りの原文ではございませんから、私はまたこれを了承するわけにはまいりません。私が調べた範囲内においては、当面のあれは東京支社長であったゴートン・グラハム、この人はその後やめさせられておるわけでございますが、この人の署名入りのものは私が言ったようなことでございます。そのゴートン・グラハム氏がみずから誓約したというのですから、出したというのですから、その文書をひとつ出していただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  161. 中野四郎

    中野委員長 それは出せるのですか、装備局長
  162. 間淵直三

    間淵政府委員 私どもの受領しております書簡は、そのグラハムさんでございますか、そういう方でなくて、グラマン・インターナショナル・インコーポレーテッドの社長あるいは副社長からでございます。
  163. 中野四郎

    中野委員長 出せるかね、君。それは、写しは出してあげられる。——只松君の御要望のように写しは出すそうですから……。
  164. 只松祐治

    ○只松委員 それが出ましたときに、またその問題については論議をいたしたいと思います。  この誓約書にありますように、もし誓約に違反した場合には解除するということもありますが、そういう不祥事が生じた場合に解除される意思はありますか。
  165. 間淵直三

    間淵政府委員 そういうことはもう万々一もないと思いますが、もし万々一そういうことになった場合は、その違反の態様、そのときの情勢その他を検討いたしまして、厳重に処置したいと思っております。
  166. 只松祐治

    ○只松委員 厳重に処置と解除とはもう全然違うのです。そういうところがさっきから聞いておると、ずっとあいまいにお答えになっておりますけれども、時間がないから一つ一つ言葉じりで論議しておられないのですけれども、厳重に処置するのは罰金をかけたりいろいろあるわけですから、「解除」と文書にあるわけですから、解除なさいますかということを聞いておるのです。
  167. 間淵直三

    間淵政府委員 先ほども申し上げましたように、その違反の態様その他を考えまして、解除をも含めて厳重に対処したい、こう考えております。
  168. 只松祐治

    ○只松委員 解除すると、こう文書に書いてあるのです。だから、解除を含めてというのは論議はいたしませんが、もし仮に解除されて、P3Cという五百億からも、三菱なら三菱なりあるいは国も多少援助するでしょうが、設備資金を投下して、とにかく国内生産が軌道に乗ってきた、そういう段階で、万が一にもロッキードみたいなことが発覚をしたり、そういうものがあったとする、往々にして。そういうようなものが解除されますと、それは日本の防衛問題が根本的に狂ってくるでしょう。あるいはそういう航空機産業に重大問題が生じてくるでしょう。その会社にとっては決定的な打撃を生じてくるでしょう。いろいろな問題が出てくる。だから解除するか。解除を含めてというような、そういうあいまいな言葉というものは、次に出てくる結果から見て非常な影響を及ぼしてくるのです。だから、また逆に言えば、簡単に解除すると言えないのかもしれないけれども、この誓約書には解除するということを前提として書いているのですから、そういう場合には解除すると明確に言っておいていただきたい。
  169. 金丸信

    ○金丸国務大臣 この問題は、ロッキード問題等があるわけでありますから、厳正にこれを取り扱わなくちゃならぬという考えで、十分防衛庁は慎重にこれに対処しているという考え方で、まさかこれを取るつもりで言っておるわけじゃありませんが、また国防会議でF15が決定した現在、これにいろいろな今度向こうが工作をするという考え方は私はないと思いますが、そういう点から考えましても、もしそのようなことがあったら解除する、それでいいと思います。
  170. 只松祐治

    ○只松委員 私はそのとおりだと思います。  それから、この契約あるいは予算の執行に当たっては、その前に、さっきちょっと言いましたけれども、こういう契約をする場合には、会計法上の契約条項というものがあるわけです。これは法制局長官、こういう契約をするのに、さっきちょっと私やじの応酬みたいなところでやりましたけれども、契約をするには二十九条以下契約条項があるわけですね。やはりこれに基づいて契約というものは行われなければならないと思うのです。ところがさっきみたいに、多少ロッキード問題にこりてでありましょうが、こういう各庁が恣意的な契約というものを行った場合には、各官庁もさることながら、県庁や市役所や地方自治体も、これは大変な混乱やいろいろな問題が生ずると思うのです。この契約は契約条項に基づいて行うべきで、一方的にそういう官庁が刑事罰に類したようなものを科したり何かする権限はないし、余り好ましいことではない。明確に違約金なら違約金ということを土木の入札や何かのときみたいにするのは、これはまたいまの慣習や何かいろいろありますけれども、さっきの防衛庁のああいう誓約書みたいなことは、私はこういう契約条項からも違法だと思いますが、その点をお聞かせ願っておきたい。
  171. 真田秀夫

    ○真田政府委員 会計法二十九条によりますと、「各省各庁の長は、第十条の規定によるほか、その所掌に係る売買、貸借、請負その他の契約に関する事務を管理する。」ことになっておりますので、各省各庁の長が国を代表して契約なさることは一向構わないし、それからただいま「徴収する」という言葉がおかしいじゃないかとおっしゃいますけれども、これはもともとが契約でございますから、その契約に際して、誓約した事項に違反した場合には違約金を取るということは通例のことでございますから、これは言葉がなるほど「徴収」という言葉になっておりますからといって、それは逸脱した、法律に違反であるとまでは言い切る必要はない。もともと徴収に反対であれば、相手方の当事者がその契約を拒否すればいいだけでございますから、決して会計法違反だとは言い切る必要はない、こういうことでございます。
  172. 只松祐治

    ○只松委員 それはあなた、法制局長官ともあろうものが大変な曲解ですよ。いわゆる金銭でございますけれども、刑事罰に相当するそういうものを初めから契約条項の中に入れたり、それから恣意的にそれを一官庁や、国だからいいけれども、とにかく県や市やそういうところがするということは、これはあり得ることではない。私は再度答弁を聞こうとは思いませんけれども、そういうことでやられたら、本当は、法務大臣を呼んで聞くと、その所属をどうする、罰金や何かをどうするのだという取り扱いから全部なっていきますよ。だから、そういうことはあなたは大変な曲解でございますから、まあ時間がないから取り消しまで求めませんけれども、それは誤りであるということを指摘しておきます。  それから、この契約は財政法に基づく継続事業でありますね、明らかに。財政法二十五条に基づく継続事業だと思うのです。そうすると、これは原則としては年割り額などを示していかなければならない、こういうことになります。機数や何かのあれも明確には——私が聞いた範囲内においてはお教えをいただきましたけれども、こういうものを提出する場合には、やはり財政法に基づく年割り額、具体的な数字というものを示さなければならないわけですが、これにはどういうふうに対処されますか。
  173. 間淵直三

    間淵政府委員 年割り額を申し上げますと、五十三年度約五億円、五十四年度約二百五十七億円、五十五年度約四百六十八億円、五十六年度四百四十二億円、五十七年度四百四十億円、計千六百十二億円でございます。
  174. 只松祐治

    ○只松委員 この金額と、それから、私がちょっと話しましたけれども、先ほどの、昭和五十五年度から購入が始まる、毎年購入予定のものは、やはりこれだけのものを出す場合にはちゃんと国会に提示すべきだと私は思うのです。この額と購入の状況等、財政法に基づきましてもぜひひとつ明らかにしていただきたいと思いますが、これの資料と申しますか、あるいは文書によって提示をいただけますか。
  175. 間淵直三

    間淵政府委員 購入の機数、内訳及び年割り額は提出いたします。
  176. 只松祐治

    ○只松委員 以上要求いたしました、特に見解が異なりましたダグラス社の契約書の内容、これはいまからダグラス社が製造を行い、日本の製造会社と契約を結んでいくわけでございますから、この内容については私たち国民は今後きわめて重大な関心を持たなければなりません。したがって、この出されておるもの、私が要求いたしました、本人が書いたと言っておる、首を切られました東京支社長の当初の署名入りのものをひとつお出しいただくことをお願いいたしまして、これで質問を終わります。
  177. 中野四郎

    中野委員長 これにて只松君の質疑は終了いたしました。  午後一時四十分より再開することとし、この際、休憩をいたします。     午後一時三分休憩      ————◇—————     午後一時四十二分開議
  178. 中野四郎

    中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。兒玉末男君。
  179. 兒玉末男

    ○兒玉委員 まず第一点としまして、一月三十日に、五十四年バス、トラック等の排気ガス規制に関する告示がなされたわけでございますが、これに関しまして運輸、環境庁、関係各省にお伺いしたいと存じます。  まず第一点としましては、環境庁として、今回の中央公害対策審議会から受けましたこの答申について多くの問題が指摘をされておりまするが、この実施に当たりまして、総体的にどのような決意で対応されるのか、まず長官の見解を承ります。
  180. 山田久就

    ○山田国務大臣 この自動車問題については、昨年、ちょうど昭和五十四年の排気ガスの数値、これが中央公害対策審議会から示されているということは御存じのとおりでありまして、われわれとしてはこの答申に基づいて、しかも一方、騒音に関する規制、やはりこれが五十四年から実施されるということになっているものですから、音とそうして排気ガスというのはちょうどうらはらの関係になって、切っても切れないということになっておりますので、したがって五十四年度、これと  一体の関係において、しかも審議会の答申を踏まえまして、これに基づいて遺憾なきを期したいということで対処するという方針で臨んでいるような次第でございます。
  181. 兒玉末男

    ○兒玉委員 運輸大臣にお伺いしますが、この排気ガス規制は、全大気汚染中の汚染の八〇%を占めるのが自動車でございます。そういう点から、今回の規制によりまして、トラック、バス等でございますが、当然道路運送車両法等のいわゆる内部改正もしなければいけないわけですが、そのような、これに伴う法的な措置はどんなにされているのか、お伺いしたいと思います。
  182. 福永健司

    ○福永国務大臣 御指摘のような諸点は当然考えなければならぬと存じますが、それぞれの具体的日程等につきましては関係局長から答えさせることにいたします。
  183. 中村四郎

    ○中村政府委員 お答え申し上げます。  環境庁の排出ガスの許容限度の告示を受けまして、騒音基準と同様に、道路運送の車両の保安基準によりまして規制値を定め、その適用時期を示したわけでございます。
  184. 兒玉末男

    ○兒玉委員 この答申の中で、第一段階の目標は昭和五十四年に達成すべきである、こういうことが、この出されましたところの答申の内容に書かれてあります。明らかに設置目標は明確にしいてありますが、「第二段階の目標値の達成のためには、ガソリンエンジンにあっては、乗用車において開発された低減技術の大幅な採用」等を中心として開発があるけれども、ディーゼル車が技術的になかなかむずかしい、こういうことでもって、第二段階の実施の期日が全然明らかにされてない。このことは、自動車公害専門委員会報告からいきましても、早急にこの体制が強化されてしかるべきだということが明確にされておりながら、答申において最も大事な第二段階の規制目標の期日が明らかにされていない理由は一体何なのであろうか、この点お伺いしたいと存じます。環境庁長官
  185. 山田久就

    ○山田国務大臣 お尋ねの点でございますけれども、これはやはり自動車の車種といいますか、ディーゼルと一般というのではおのおの関係が違うわけでございまして、ディーゼル車については黒い煙をさらに吐くわけですけれども、ガソリン車とは違う技術的な困難な問題があるものですから、したがって、中公審の答申においても、ほかの車種に比べて低減率が少なくなっているということは、御案内のとおりであります。ただ、大気汚染の現状からもできるだけ早い機会に第二段階の目標値を達成しようということで、技術開発の状況等も定期的に検査する等のことでその努力は払っていくという、そういうつもりでございます。ただ、その技術的な専門部会なんかもこの点については、まだ時日というものを明定するというのは、やはり技術的な面から見て時期がそこまでいっていないということで、触れておりません。したがって、答申自身としては五十年代なら五十年代に何とかこうやりたいものだという、そういう考え方は示しておりませんので、われわれもそこら辺のところを踏まえて、そうしてできるだけ技術的な改善をするなり何なりして、ひとつ少しでも早く第二段階というものを決めていけるように努力をしてやっていきたいというつもりで、関係方面とも協議いたしまして努力いたしておる現状でございます。
  186. 兒玉末男

    ○兒玉委員 いまの長官の御答弁を聞いておりますと、昭和五十二年十二月二十日の、自動車排出ガス許容限度長期設定方策についての報告並びに今回のこの答申をあわせ検討します場合に、この排気ガスが与える地域住民への影響ということ、たとえば呼吸器関係の病気とか疾患あるいは光化学スモッグ、非常にはかり知れないところのいわゆる排出ガスの被害というものが大きいわけであります。しかも、この自動車公害専門委員会のいろいろな指定事項につきましても、このままの状態でいきますならば、たとえば本年四月から実施される乗用車関係のことも、この排気ガス関係というのはすでに昭和四十八年以来問題となり、指摘をされた課題であります。今日、日本の自動車技術というものが工程過程でも高度に発達している現状から、一昨々年の当予算委員会で、私はトヨタ工業の社長を呼んでこの問題の指摘をしました。あるいはその後、たとえば東洋工業とかその他のメーカー等については完全に可能だということを答弁しながら、世界でも有数であり、日本のいわゆるビッグツーといわれる日産なりトヨタ自動車等が、これだけの技術の粋を集めた製造過程で対応できないということはおかしいじゃないかということを、私は当委員会で指摘をしたわけであります。Aという会社ができてBはできない、こういうことはおかしいと私は思うのです。環境庁長官は、国民の重大な生命と財産を守る義務があると私は思うのです。その取り締まりの最高責任者であります。しかも大気、空気汚染の八〇%がいわゆる自動車の排出ガスによる汚染というならば、いま少し厳しい姿勢で第一規制、第二規制への目標値の達成に対する前向きの姿勢が必要だと思うのですが、再度、長官の見解を承ります。
  187. 山田久就

    ○山田国務大臣 排気ガスの健康方面に与えるいろいろな点を考慮して、したがって、これにわれわれができるだけ大きな努力を払うということは、われわれとしても非常に大きな関心を持って当たろうとしている点はひとつ御了解いただきたいと思います。  ただ、この第二目標達成という点になりますると、やはり多くの技術開発というものが必要のようでございまして、したがって、たとえば乗用車というような面ではこれは非常に大きな効果を発しておりまするけれども、しかしながらバス、トラックあるいはディーゼルというようなものについては、やはり技術的な問題があるために、なかなかいろいろな点が設定しにくいという、これは技術専門家の答申というものを踏まえて、現時点ではそういう第二段階の実施の時期を確定するのがどうもいろいろ技術的に見て困難だということは、客観的に一応頭に入れておかざるを得ないだろう。ただしかしながら、五十年代においてはあらゆる技術革新、それに対する援助というようなことで、ひとつ何とか早くそこら辺の目標というものが出るように尽力したいということでは、われわれ一生懸命になって努力を払っている次第でございまして、この点はひとつよく御了承いただきたい、こう思う次第でございます。
  188. 兒玉末男

    ○兒玉委員 私は、長官のただいまの表現だけでは非常に理解できません。  それで委員長、この際要求しますが、少なくとも中央公害対策審議会の中の大気部会の中の自動車公害専門委員会が——いま長官は非常にむずかしいと言われておりますが、とするならば、約二年有半にわたりこの報告書ならびに答申はそれに基づいて出されたわけですから、この公害専門委員会ではかなり高度の技術的な論議がなされているはずであります。ですから、私は、この委員会の議事録をこの際ひとつ当委員会に提出いただくことを御要望いたしますが、委員長のお取り計らいをお願いします。
  189. 山田久就

    ○山田国務大臣 大気保全局長から補足の説明をさせたいと思います。
  190. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 いま先生の御要望のございました件は、省内で検討いたしましてお答え申し上げたいと思い、ます。(「そんなのはだめだよ」と呼ぶ者あり)
  191. 中野四郎

    中野委員長 ちょっと橋本君、省内で検討をして、出すというんじゃないんだな。どういうこと。もう一遍明確に言いたまえ。
  192. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 省内で検討いたしまして提出の問題を決定いたしたいと思います。
  193. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これは公的な文書でございますから、この報告をつくる基準となるのは、この自動車公害専門委員会のいわゆる各委員発言なりその記録に基づいて策定された以上は、私は庁内で検討とかそういうこと自体がおかしいと思うのですが、その点、再度確認願います。
  194. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 いま御質問ございましたが、少し言葉が足りませんでしたので、御説明申し上げます。  専門委員会の意見は専門委員会報告書にすべて出ておりまして、また、専門委員会で行われました議事録の要約は整理をいたしております。その内容につきまして、私たちは何ら、まずいことがあって出さない、そういう意味で申し上げているのではございません。  技術的にどういう問題点があるかということにつきまして若干の御説明を申し上げますと……(「出せるか出せないか、それだけでいい」と呼ぶ者あり)それでは省内に戻りまして、大臣と御相談をいたしましてお答えをいたしたいと思います。
  195. 中野四郎

    中野委員長 ちょっと橋本局長大臣はここにおるんだからね。(発言する者あり)  お静かに願います。  出せるものは出したらいいじゃないか。秘密文書じゃないんだろう。
  196. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 いま質問のあった件でございますが、専門的にどういうところがむずかしいかという点でございますけれども、これはディーゼルと、それから一般の自動車とのメカニズムが非常に違うわけでございます。端的に申しますと……
  197. 兒玉末男

    ○兒玉委員 何もこの問題はきょうに始まったのではございません。この問題で私もかなりいろいろなデータ等集めて見ておりますが、今回の答申というのはバス、トラック、それにディーゼルが非常にむずかしいということですが、そういう点について技術的にどういう論戦が展開されたかというのがこの委員会でやられているわけですよ。聞くところでは、かなり自動車工業会等から圧力もかかったやに聞き及んでおります。とするならば、当然この委員会の議事録というのがポイントなわけですから、その点だけひとつ聞いておるんであって、説明は後日論争します。
  198. 中野四郎

    中野委員長 そうむずかしい問題じゃないじゃないか、出せるんだろう。
  199. 山田久就

    ○山田国務大臣 その議事は、もうそのまま出します。  ただ、私が言ったのは、そこは後から出すなんということの必要のない問題だから、わかるところまでは事務当局でひとつここで説明をしなさいと、こう言ったんです。だから、もう少し……
  200. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それでは、運輸に関連する問題を含めて、次に移ります。  そこで、この答申によりますと、「自動車排出ガスによる大気汚染低減のための諸対策」として、この答申書の三ページの二項として、一から四号までそれぞれの具体的要求が出されております。第一項は建設省関係、第二項と第三項は運輸省関係、第四項は警察庁関係でございますが、この四項についてそれぞれの対応策、対策をどうしようとしておるのか、あるいはどうしたのか、この四点について、それぞれ関係の責任者から御答弁願います。
  201. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 最初の項が建設省でございますが、排気ガスが一番出るのは交通渋滞のときですね。それで、その渋滞を来さないように、建設省がバイパスとか立体交差について鋭意努力する、このことは当然だと思います。
  202. 加藤六月

    加藤国務大臣 御指摘のように第四項には、警察関係といたしましての自動車の交通総量抑制でありますとか、あるいは円滑な自動車の運行等についての御指摘がございます。そこで警察といたしましては、すでに昭和五十一年から、東京や大阪を初めとする十大都市におきましてはいわゆる一割削減を行っておるのでありまして、それは駐車の禁止でありますとか、あるいはバスレーンの設定でありますとか、あるいはまた、大型トラックの都市内への入り込みをチェックいたしますとか、かような処置をとりまして、いわゆる交通規制を行っており、かつまた、信号機等にはコンピューターを設置いたしまして交通の円滑化を図っておる、そこで一割削減はおおむね所定の成果をおさめておる、かように判断をいたしております。  なお、十大都市以外の都市におきましても、たとえば交通管制センターを設置いたしまして、総合的に交通体系を把握しての制限を行ってまいりますとか、あるいは円滑化等に努力をしてまいっておるところでございます。
  203. 福永健司

    ○福永国務大臣 御指摘の諸点につきましては、専門にわたる点も多々ございますので、関係政府委員からお答えさせます。
  204. 真島健

    ○真島政府委員 中公審答申の中の「自動車排出ガスによる大気汚染低減のための諸対策」について、運輸省の関係は二つございます。これにつきまして私どもが現在やっておりますこと、対応策について簡単に御説明申し上げます。  旅客関係の旅客輸送の問題につきましては、これは大都市、非常に空間が限られておるというようなことから、私ども、できるだけ大量交通機関、すなわち都市高速鉄道、バス、こういうものを大いに整理していこうということで、これは毎年度所要の財政措置を講じて、補助金等を計上して努力をいたしておるわけでございます。さらに、ソフト面といたしまして、停留所施設の整備であるとかあるいはバスの終車の延長であるとか、そういうようなバス輸送の改善対策、これを実施してきておるわけでございます。  また、貨物輸送の問題につきましては、できるだけ集配送の合理化をしなければならない。これによってできるだけ交通量を削減するという立場から、都市内の配送拠点の整備ということについて財政投融資を活用し、あるいは大きな東京、大阪等におきましては、宅配というような形で共同配送というようなことをモデル的に実施して、さらにこれの定着化を図っておりますが、業者におきましても、私どものこういうような指導に基づきまして、共同輸送という形で、各都市におきまして共同輸送が実施をされております。  そのほか、隔地間の輸送につきましては、貨物の輸送情報システムの研究あるいは帰り荷情報の充実というような細かい対策をやりながら、できるだけ交通量が少なくなるように努力をいたしておるところでございます。
  205. 兒玉末男

    ○兒玉委員 運輸省に再度お伺いしますけれども、先般この問題についていろいろとお聞きしたわけですが、問題は、本年四月からの乗用車のいわゆる一応の規制が完了の状態ですが、肝心のこの排気ガスを測定する機能といいますか、あるいは整備機構といいますか、この器械がほとんどメーカー以外にはないということが第一点であります。聞くところによりますと、この測定器が非常に金がかかるからこれは無理なんだ。とするならば、全国何十万台という、このようなトラック、バス等が故障した場合、それは一体どこで測定をし、それに対応するのか。少なくとも、私はやはり、このような規制措置をとる以上は、当然その排気ガスの状況が随時どこでも観測できる状態を措置をしなければ、あるいは測定するテスターを整備工場でも持っていなければ、この効果を実現することはできないのではないか。いわゆる機構上の測定器の設定の問題と、それから、少なくとも全国四十七都道府県において相当数の車が走るわけでございますか、これが全く測定ができないとするならば、このせっかくの規制の意味がない。こういう点から、自動車関係に関連する運輸省当局は一体どういうような対応策を考えているのか。取り締まりといいますか、その元締めにある環境庁長官としては、一体どのような対応策をとろうとしているのか。この点を明らかにしていただきたい。
  206. 福永健司

    ○福永国務大臣 御指摘の点ごもっともに伺います。関係政府委員から専門的な点にわたってもお答えさせることにいたします。
  207. 中村四郎

    ○中村政府委員 私どもといたしましても、窒素酸化物の排出量を正確に測定いたしまして、特に使用過程車についてもその規制水準というものを保持していく、こういう目的につきまして努力いたしているわけでございます。  窒素酸化物の排出量を測定するためには、シャシーダイナモ等による測定施設が必要なわけでありまして、これによって測定を行っておりますが、いま先生も申されましたように非常に高価でございまして、ただ値段だけでございませんで、これを操作します専門的な技術者も必要である。また、測定時間につきましても非常に長い時間を要するということでございまして、これを直ちに全国的に配置いたしまして測定に携わるということには、非常にむずかしい問題があるわけであります。  他方、窒素酸化物につきましては、排出の実態あるいは使用過程における追跡調査というものを私ども毎年やっております。その結果によりますと、窒素酸化物の場合には、一酸化炭素あるいは炭化水素と違いまして、使用に伴いまして横ばいあるいは減少の傾向をたどるということがわかってきておるわけであります。  そこで、ただいま先生申された考え方ももちろんございますが、私どもとしましては、使用過程車の排出ガスを良好な状態に保持していこうというために、点検整備の充実強化ということで対応いたしておるわけでございまして、いまお話しのような施設等につきまして、簡易なテスター等の研究開発ということももちろん考えてまいりますが、現状におきましては点検整備の充実強化というものを一段と推進してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  208. 兒玉末男

    ○兒玉委員 環境庁、答弁は聞いたことだけ答えてください。
  209. 山田久就

    ○山田国務大臣 われわれ環境庁の所管といたしましては、目標値の決定ということがわれわれの責任でございまするので、いま第一次の目標値というもの、つまり環境基準を決めまして、各省においてそれを達成することのために、せいぜいわれわれとしてもこれを見守っていきたい、こういうことでございます。
  210. 兒玉末男

    ○兒玉委員 通産大臣お見えになりましたのでお伺いしますけれども、排気ガス規制というのは日本は非常にうるさいわけですが、輸入車がなかなかこれに対応できない、こういうことでもって、今回の告示でも輸入車については全車種とも五十六年四月一日、まる三年後になるわけですね。ですから、たとえばアメリカ等の場合は、その国の人口密度を考えた場合でも、与える被害というのは少ないのです。日本の場合は人口密度はアメリカの二十倍ぐらい高いわけですよ。それですから、アメリカ並みの判断とこの過密的な日本の国内の場合とは、状況が違うわけです。ですから、これは環境庁と運輸省の関係もあるでしょうが、輸入車に対して三年間もこの適用ができないということでは困るので、この際やはりそれぞれの輸入国に対してはもう少し排気ガスに対するところの認識を高めていただいて、国内において被害をまき散らすということでは困りますので、その点、特に輸入は通産関係かと存じますので、この際大臣の見解を承りたいと存じます。
  211. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 日本の五十三年規制というものは非常に厳しい内容になっております。世界一厳しい内容ではないかと思います。そういうこともありまして、外国ではすぐ五十三年には対応できないという事情等もありまして、若干の余裕期間を置いたわけでございます。
  212. 兒玉末男

    ○兒玉委員 通産大臣は専門じゃございませんけれども、たとえば西ドイツ等は同じようにその密度が百五十六、日本は二百九十八、アメリカは二十三でございます。これはそれぞれの国々がやる気があればできるのですよ。西ドイツの場合はかなり日本に近い状況で車を製作されていると聞いていますが、こういうことで、アメリカのようなだだっ広いところで運行する車と密度の高い日本とは、その客観情勢が違うということを十分通産省も認識しながら、今後の輸入車対策に対して対応していただきたい。同時に、運輸省としては、この与える被害、特に外車の場合は大型車が多いし、排出量も多いわけですから、外車に対するところの規制をもう少し高める方法を考えるべきではないかと思うのですが、いかがですか。
  213. 福永健司

    ○福永国務大臣 御説の点を念頭に置いて検討いたしたいと思います。
  214. 兒玉末男

    ○兒玉委員 特にこの環境破壊というのは大都市が大変多いわけです。先ほど自治大臣あるいは環境庁長官は、数値を示して対応しているというわけですが、ちなみに東京都の場合を調べてみますと、東京都としては排ガス排出係数算出調査あるいは道路周辺のNOxと転換率調査、さらに排ガス汚染予測モデルづくり、こういう三つを基準に五十一年以来調査をしてまいりました。ところが、皆さんが先ほど答弁したのとうらはらに、五十一年度から始めた調査の結果、今日現在で三十五ヵ所の観測地点を設けて、一日平均〇・〇二PPm、これが環境基準でありますが、この基準値に達している個所はたった一ヵ所しかないということが、都の公害局の調査ではっきりしているわけです。とするならば、交通規制の問題あるいは基準値の設定の問題、そういうような対応策に対して、特に八〇%の被害を与えているこの自動車の排ガスに対する国の施策、国の指導が怠慢であるということをはっきり数字が示しております。この点について環境庁長官並びに運輸省、自治省はどう対応されようとするのか、再度お伺いしたいと存じます。
  215. 山田久就

    ○山田国務大臣 ただいまいろいろおしかりをこうむったわけでございまするけれども、実際問題としてそういう数字が出ております。何とかしてこれにこたえるということのために、いま交通規制の問題とかいろいろな点がございましたけれども、道路の拡充、いろいろなことを考えなければならないし、技術的な非常な努力も必要でございます。事は健康にさわる問題でございますので、あらゆる努力を払って、少なくとも中間値の目標達成ということについてはせいぜい努力をいたしたいというつもりで現在やっておりまするので、この点だけはひとつ御了承いただきたいと思います。
  216. 中村四郎

    ○中村政府委員 運輸省といたしましては、当然、自動車の発生源対策として排気ガス規制の強化を充実させていくわけでありますが、他方、先ほど答弁もございましたように、大量公共輸送機関中心の交通体系、また貨物につきましては集配送の合理化等を通じて交錯輸送を排除してまいる、こういうことで対応していく所存でございます。
  217. 加藤六月

    加藤国務大臣 大都市におきましての交通頻繁な地域の八〇%前後が自動車の排気ガスによるものでありますことは、御指摘のとおりでございます。そこで警察といたしましては、ことに汚染濃度の高い地点等には、できるだけ車を入らさないような処置をとってまいりますことが第一点。その方法といたしましては、先ほど申しましたように、大型トラックが入ってまいりますことを制限いたしますとか、あるいはバスレーンを設けてスムーズにバスが運行できますような体制をとってまいりますとか、あるいは駐車の禁止を行いますとか、もろもろの処置をとってまいっておるところでありますのと、いま一点、大変重要でありますことは、自動車が停滞いたします際のアイドリングによって生じます排気ガスが非常な汚染度を高めておる、これも実験的に明らかでございます。そこで、信号機にコンピューター等をつけることによりまして円滑な交通を図っていく。要するにポイントは二つでございまして、できるだけ車を多く都市内に入らさないような処置と、入ったものは円滑に運行できる、この二点に重点を置きまして今後も指導、取り締まりを十分にやってまいろう、かように考えておるところであります。
  218. 兒玉末男

    ○兒玉委員 この問題についてあと二、三点ほどお聞きします。  これは運輸省でございますけれども、今回のトラック、バスの規制の中で、特にライトバンのトラックがあるわけです。これはほとんど乗用車と同じような内燃構造でありまして、しかも最近は非常にLPガスの使用が多いわけです。ちなみにNOxの排出量、発生量を見ますと、ガソリンが大体、これは空転、加速、定速、減速と四つの段階でございますけれども、加速の場合で一三四五PPm、定速の場合で六五五PPmですね。LPGの場合はその数値がさらにふえまして、たとえば加速の場合が一二九〇、定速の場合で二〇五二という異常なNOxの排出を統計上示しております。とするならば、ともすればライトバン型のトラックに対する対応が甘いじゃないか、こういうことが指摘をされているわけですが、一般のトラック並びにLPガス等を使用するこのようなライトバン等に対するところの対応というのが、やはり十分注意をしなければその効果が期待できないと考えるわけですが、そのことについての見解を承ります。
  219. 中村四郎

    ○中村政府委員 トラック、バスにつきましても、現在の技術開発段階あとう限りの規制値を今回決めたわけでございますが、御指摘のようなバン等につきましても、今回初めてその区分を設けまして、厳しい規制値を決めたわけでございます。しかしながら、乗用車に比較してまだその域に達していないということにつきましては、外観は似ておるわけでありますが、やはり荷物を積む、荷重がかかる、こういうことで、エンジンにそれだけの特性が出てまいるわけでありまして、これらの点も考慮しながら今後もその充実に努めたい、かように考えております。
  220. 兒玉末男

    ○兒玉委員 環境庁長官に再度お伺いしますが、この答申書の三ぺ−ジの上に書いていますが、二酸化窒素による大気汚染の現状は、第二段階の規制目標による規制が実施され、初めてその効果が十分あらわれる。こういう点等からも、少なくとも汚染の特に著しい地域においては、環境基準の中間目標を達成することがきわめて困難と試算される状況であるけれども、そのような困難な状況を考慮するとしても、第二段階の目標値に対する規制は、少なくとも昭和五十年代中には実施される必要があると考える、こういうような答申がなされております。  先ほどから私がなぜこのことを強く、しつこく言うかというのは、この自動車公害専門委員会において、恐らく自動車生産のメーカー関係からの強い抵抗があったことが十分予測されるわけです。とするならば、私は、この点は質問の機会を保留することにしまして、後日、再度長官に対して、このネックとなっているのは何であるのか——もちろん、航空機なり工場ばい煙もありますけれども、八〇%のこの排気ガスの及ぼす人類への影響ということを深刻に受けとめるとするならば、環境庁長官としては、そのネックになっているところの具体的な問題を摘出をしまして、国民の前に明らかにする義務があります。その点からも、五十年代中に第二規制値に達成するために、長官としてはいかなる決意を持っているのか、このことを最後にお伺いします。
  221. 山田久就

    ○山田国務大臣 先ほどもお答えいたしましたように、技術的な面を考慮に入れて、少なくとも数年内にはできるんじゃないかということを言われておりますが、ぜひ何とかそういう点も達成したい。ただ、まだ現在の技術開発の段階では、この採用のめども立っていないというようなものもあるという現時点で、したがって、確定した実施時期ということがむずかしかったということなんでございますけれども、ひとつぜひ努力目標としては何とか、ここにも書いてありますように、五十年代にその目標を達成し得るように努力したい、そういう考えで対処しようと思っております。
  222. 兒玉末男

    ○兒玉委員 大蔵大臣先ほど輸入外車の問題あるいは非常に技術的に困難な問題、こういう点が指摘をされておりますが、この点は運輸省、自治省あるいは環境庁等の総合的な協力と同時に、やはりこれに対しては相当高度の技術が要るということが指摘をされておるわけでございますが、たとえば、少なくとも各県単位に故障車等を測定する機構の設定ですね、こういうところについて財政的な措置を講ずることによって、先ほど運輸大臣答弁があり、自動車局長答弁がありましたが、そのような財政的なネックがこの問題の解決をおくらしておるとするならば、十分に考慮すべきだと思うのですが、この点について大蔵大臣の見解を承ります。
  223. 村山達雄

    ○村山国務大臣 大気汚染の問題は、環境の改善のためにきわめて重要な問題でございます。したがって、いま児玉さんが言われたような趣旨をくみまして、各省庁で十分検討して、大蔵省に協議があると思いますから、その段階で十分考慮したいと思っております。
  224. 兒玉末男

    ○兒玉委員 排気ガスに関する件は、資料の提出を待ちまして再度伺いたいと思っております。  次に、運輸に関する問題として、特に最近の過疎現象から地方バス対策ということが、住民の足として強く要望されておるわけであります。バス会社は、もう採算のとれぬところは車が走らないのだと。そうしますと、保育園から学校に至るまで、あるいは通勤まで大変な困惑をする。当然これは地方自治体における対策も関係がございますので、この地方バス関係について自治大臣と運輸大臣の御所見を承りたい。
  225. 福永健司

    ○福永国務大臣 日本でも最近、人口等もいろいろに動いてはおりますが、その中にあって、地方バスの問題はかなり深刻でございます。一方において必要度が非常に高いということともに、経営が非常に困難であるというようなこと、この二つの要請を解決していかなければなりませんので、私どもといたしましても、できるだけ補助その他に留意をいたしておるところでございますが、今年度もある程度そのものには増額等をいたしましたが、まだ必ずしも万全というところまでいっておりませんが、今後とも努力してまいりたいと考えておるところでございます。
  226. 加藤六月

    加藤国務大臣 地方バス、ことに過疎地域を走っておりますところのバスは、その地域の皆さん方の本当の足でありますし、また通学等にも非常な影響がありますことは申すまでもないことでございます。  そこで、いま運輸大臣から答弁がございましたように、過疎バス路線につきましては国が補助をいたしておるのでありますが、しかし地方におきましては、国の補助金額と同じ金額を都道府県が負担をいたしまして過疎バス路線の維持に当たっておるのでありますのと、かつまた、過疎の市町村は単独に過疎バスを持ちますとかスクールバスを持ったりしておるのでありますから、また、遠隔の地域から小中学校に通っております子供さんの数も把握をされておるのでありますから、さようなことを交付税計算に算入いたしておりますようなこととか、そしてまた、先ほど申しました、たとえば国が甲というバス会社に一億円の補助をします場合には、都道府県が一億円をつけて二億円の補助をいたしますが、都道府県の負担分につきましてはその八〇%をいわゆる特交によって算定いたしておる、かような処置もとっております。  なお、市町村の過疎バスでありますとかスクールバスの購入等につきましては積極的に起債の活用を願う、かような方法もとってまいりまして、できるだけ足を確保する、かような方向で地方団体も努力をしておるところであり、また、自治省もそういう方向で指導いたしているところであります。
  227. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これは三全総に関連する問題と、それからやはり環境に関する問題で、経企庁長官と国土庁関係、環境庁関係について伺います。  若干ローカル的でございますけれども、九州の大隅開発というのがいま進められておりますが、これは三全総の中に入っている問題として、いわゆる今後のエネルギー政策の一環としての石油コンビナートの問題が提起をされております。この点は特に南九州におきましては重大な課題として、環境破壊とそれから石油コンビナートの新設によって沿岸漁場が大変な汚染をされるという問題が提起をされておりまして、特に住民からの激しい抵抗が起きているわけでございますが、いわゆるエネルギー政策というものとそれから石油コンビナートに伴うところの海洋汚染、沿岸漁業に対する打撃、環境破壊、この三つの関連から、大隅開発に対するところの処置について、経企庁長官、国土庁、環境庁の見解を承りたいと思います。
  228. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 志布志湾大隅開発の問題につきましては、いろいろ地元関係県で御調査があり、また、あるいは調整も必要な状況ではないかというふうに承知をいたしておりますけれども、これは御承知のように、具体的には国土庁長官の方の御所管でございますので、国土庁長官からもお答えをお願いいたしたいと思います。
  229. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 ただいま経企庁長官が言われましたように、三全総の中で基礎資源型の工業が、御承知のような太平洋ベルト地帯に集中しておりますので、西日本地区においても数ヵ所必要ではないかと指摘をしておるわけであります。この指摘に対応して、鹿児島県が中心で大分前に新大隅開発計画というものを発表しておりますが、その後問題があって、これを一応取り下げる。それで今度は二次案を出して、この二次案につきましては、いま問題として挙げられました、特に環境アセスメントの問題についてはいま調査を実施しておるところでございます。これによってどういう見解を国土庁に持ってくるのかどうか、こういう段階でございまして、御質問の御趣旨、問題点があるのじゃないかということにつきましては、その際よく検討をいたしたいと思います。
  230. 山田久就

    ○山田国務大臣 いま建設大臣から御答弁がありましたけれども、具体的な案の提出はまだございませんので、それを待って、われわれとしては十分の事前の環境アセスメントというものを行って対処したいという見解でございます。
  231. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これは大隅開発予定地が国定公園になっている関係で、指定解除との関連もありますので、環境庁としてはひとつ十分に住民の意思が尊重されるように御配慮を要望します。  次に、農林水産関係についてお伺いしますが、農林大臣は、この前の私の質問の際に、最後で私が聞く機会がありませんでしたが、日米経済交渉に関連する問題として、たとえば牛肉の輸入の問題とかあるいはオレンジ関係等の問題はまあ大したことはない、新聞の報道に書いてもないということを言われたわけでございますが、実は夕ベ、NHKが特集しました日米経済交渉をめぐる、ワシントンにおけるNHK記者とストラウス氏ですかとの間でございましたところの一問一答の中から聞いておりますと、日米交渉による声明は、これは確かに日本も優が与えられる、しかし実行の段階については全くゼロである、恐らくこれから大変厳しい情勢になることを覚悟しなければいけないということが、NHKのブラウン管を通して報道されておりますが、今後のこの種の日米交渉による合意事項について、そのように簡単に楽観できる状況じゃないと私は思うのですが、農林大臣に、この点についてひとつ簡潔な答弁を求めます。
  232. 中川一郎

    ○中川国務大臣 このたびの調整は、牛肉について約一万トンの高級牛肉の需要開発を行って輸入に協力します。こういうことでございますし、オレンジについては四万五千トン、そのうちの半分二万二千五百トンは六、七、八月、それから果汁についてはブレンド用として三千トン、ほかに二千トンのグレープフルーツジュース、これでもって、わが国の農政に大きく悪影響を与えることは時期的にもない。特に肉については、全体の枠をふやすのではなくして、一定の枠の中で高級牛肉ということでございます。調整としては、わが国にも影響がなかったが、アメリカ側でも、決まった以上これでいいのだという評価はあると思われます。  しかし、実行段階で心配だということですが、恐らく言っておられることは、高級牛肉一万トンの開発輸入ということが実効が上がるだろうかなということで、今後の問題だと心配しているものと思います。しかし、このたび調整しました以上のものを、今後また第二、第三の波をもってわが国に迫ってくることはまずないであろう、こう思っておりまして、その点、農家の皆さんも御不安がないように、こう申し上げておるところでございます。
  233. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これはたしか二月二日の新聞でございますが、「政府・自民首脳は困惑、農林系議員の対米強硬措置要求、コーラ局課税など紛争再燃を懸念」という新聞の記事があります。これは畜産振興議員連盟の山中貞則氏、それから果樹振興議員連盟の桧垣徳太郎氏、この二人が代表になっているそれぞれの振興議員連盟が出す議員立法として、全く日米経済交渉の結論を逆なでするような決議内容が発表されております。  具体的に言いますと、いま大臣が心配されていないと言ったこととうらはらに、コーラの物品税を三倍か四倍に引き上げる、オレンジ、グレープフルーツの関税を、現行は六−十一月二〇%、十二−五月四〇%であるのを、通年四〇%に引き上げる、輸入生牛の重量税を約四・五倍に引き上げる、この三点が、合同会議で満場一致の形で決まったということが載っております。これはもちろん私は、単なる見せかけの決議や議員立法提案の声明だとは軽々に受け取りたくないのであります。というのは、今回の米の減反調整の問題でも、これは後で触れますけれども、やはり全国の農民が、一体いまの農政は長期の視点があるのかどうか、一体農民はこれからどの道を歩けばいいのかという、その不満の一つのあらわれではないかと私は判断をいたします。これが単なるかけ声だけで終われば、自民党首脳としてはほっとするわけでしょうが、そう簡単にいかないと思うのです。この新聞に載ったところの事実を中川大臣はどのように受けとめておるのか、お伺いしたいと思います。
  234. 中川一郎

    ○中川国務大臣 わが党の議員より成る畜産と果樹の議員連盟がありまして、そのような決定をしたこともよく承知いたしております。私の受けとめておるところでは、アメリカにも保護貿易主義者という、自動車や鉄鋼でございますが、議員側に動きがある。さすれば、日本の国内にも農業を守る保護主義の議員連盟があってもいいのではないか、こういうところからああいう御決定になり、もちろん畜産農家や果樹農家の将来を心配してのことであろうと存じます。しかし、これを実行に移す段階におきましては党の機関もございますし、また、これが実行可能なような今日の国際情勢であるか、いろいろと研究をいたしましてこの要望に対応してまいりたい、こう思っておるところでありますが、いま政府として、これがいいからにわかにこれに応ずると言えるような段階にはない、十分今後の成り行きを見て対処してまいりたい、こういうわけでございます。
  235. 兒玉末男

    ○兒玉委員 私は、この際、文部大臣と農林大臣にお伺いしますけれども、やはり私は、ミカン類にしてもジュースにしても、せっかく農民がつくったものを国民の力で消化する方に建設的な努力をすることが、こういう紛争を起こさないポイントじゃないかと思うわけであります。米が余ったから米をつくるな、私はそれは後でも触れますけれども、やはり消費拡大ということについて、社会党は、たとえば一般の消費拡大としては百万トン、これに一千億の財源を要しますが、現在の古米なり、もちろんこれは精米の方で十分新米並みの味が保証されると思うのですが、これを一人当たり一日二十五グラム、茶わん一杯程度のいわゆる消費拡大の協力を呼びかけて、そして少なくとも値引き、大体キロ百円程度の努力をすることによって消費の拡大ができると思うのですが、これに対してどう考えるのか、それがまず第一点。  第二点は、現在学校給食では、五十二年度が二万四千トン、五十三年度が四万五千トンの財源措置が講じられております。が、もちろんこれなども、さらに給食米の値引きをして、これからさらに、少なくとも二十万トン程度の学校給食への展望を切り開く努力をすることが、米の消費拡大につながる欠くことのできない問題点だと私は考えるが、いかがですか。これが第二点。同時にこの点は、文部大臣からもお答えをいただきたい。  さらに、園芸作物であるリンゴとかミカン等の消費拡大について、現在の全国の子供たちに与えているこのような、ミカン、リンゴ等の代金というのは、わずかの金額であります。とするならば、きのうも問題となりましたが、防衛庁に使うP3CなりF15なり、この飛行機を二台か三台分の予算節減したならば、完全にこの給食の状態は解消できますし、過剰生産に悩むミカン作農民、リンゴ作農民は大きな期待が持てると考えるわけであります。しかも農林省は、あり余っているミカンの処置のために、ミカンをしばって濃縮果汁にして一万五千トンも調整保管するということが報道されております。この保管料だけでも国の助成金が六億円を超えているわけです。そういう点からも、ミカンなりリンゴ等をいわゆる生食用の学校給食として枠を拡大することに努力していただきたい。  以上申し上げた三点について、まず給食関係は文部大臣と農林大臣、消費拡大については農林大臣の御見解を承ります。
  236. 中川一郎

    ○中川国務大臣 私も農林大臣を担当いたしまして、百七十万トンからの生産調整は非常に厳しいものがある、技術的にもいろいろと御批判があるようになかなか大変でございます。これは、古来固有の日本の米作農家になじんできた米を、百七十万トン、約四十万町歩の面積を作付転換することでございますから異常でございますが、現在の需給動向から見るならば、どうしてもこの程度は避けられないということでございます。  そこで、私は就任以来、その方も円滑な推進を図らなければなりませんが、やはり消費の拡大、これは総合的な食糧自給率の向上という点からいって、米をまず食べていただくということぐらい国家安全保障上——生産調整をしないでもいいように食べていただくことが国民的課題だと私は思うのでございます。しかるがゆえに、一日一ぜん、もっと細かく言うと、一回につき三はし口に運んでいただくならば……(「二十五グラムと言え」と呼ぶ者あり)二十五グラムになるわけでございますが、そうすれば、この生産調整も避けられますし、ぜひとも御協力願いたいということで、あらゆる機会をとらえてお願いを申し上げておるところであり、まず政府みずからが会合等については米を利用し、また、洋酒よりは米を原料としております日本酒、こういうふうにお願いしているのも、まさにそのためでございます。これを値引きという方向でやるかどうかについては、主食がそれほど家計費に大きな影響を与えるものかどうか、もちろん慎重に配慮しなければなりませんけれども、スイス等の主食を大事にしているああいう姿から見るならば、これは一層国民の皆さんの理解が得られるように、今後とも政治段階においても御協力いただいて、そういう方向にさらに一層誘導してまいりたい、こう思うわけでございます。  次に、学校給食でございますが、学校給食も一遍にこれを全部米にかえたらどうかという議論もございますが、実は父兄の方々や学童にも長年なじんできたパン、牛乳、この仕組みもございますので、先年来御理解をいただいて、昭和五十六年までに、週五回の学校給食のうち二回だけは全国の学校で米食をしてもらう、そうしてそのために必要な米は三五%値引きをする、こういう仕組みでいま計画的に、これは計画より早目に推進いたしております。そこで今後は、二十万トンになるためにはこれを倍にすれば、週四回という方向でいけばできるわけでございますから、これはまず十万トンの完成を急いで、その後はひとつ、文部省やあるいは学校給食関係の皆さんのまず理解と協力がなければこれもできませんで、国が一方的に押しつけるわけにはまいりませんので、これまた、ひとつ理解と協力によってそういう方向に農林省としてはやっていきたい、こう思う次第でございます。  それからリンゴ、ミカンも学校給食でと、こういうお話でございます。これも、新鮮な果実を子供さんに食べていただくということは非常にいいことでございますので、すでに実施はいたしておりますが、最近は余ったものは皆学校給食というので、米も牛乳もというようなことで、その辺の調整に苦慮はいたしますが、何分にもこれも、まず学校給食会やあるいは父兄や、児童さん方の栄養の問題もあれば、学校給食費の単価の問題等もありますので、前向きでは検討いたしますが、急激なことでこれを処理するわけにはなかなかまいりませんけれども、御指摘の点はまさにそのとおりだと思いますので、さらに前向きで検討して対処したいと思う次第でございます。
  237. 砂田重民

    ○砂田国務大臣 給食の関係も、ほとんど農林大臣からお答えをいたしたとおりではございますが、学校数で申しますと、五十一年に三六・三%程度の普及率でありましたのが、五十二年は五八・三%まで普及率が高まってまいりました。大変順調に伸びているところでございます。精米消費量も、児玉委員御指摘の大体あの数字のとおりに伸びてきております。今後私どもといたしましては、施設、設備、これの整備と懸命に取り組みまして、なお一層の消費拡大を学校給食の場でも図ってまいりたい、かように考えるわけでございます。  もう一つ、やはりどうしても克服しなければなりませんことは、市町村へ参りますとこれの人件費がなかなか問題でございます。地方交付税に算出はされておりますけれども、現実問題として、この人件費の問題を何とか克服をしてまいらなければなりません。このことも努力をしてまいりたい、かように考えます。  果物は、大変学校で取り入れて、給食にふえてまいりました。地域、地域によりまして、たとえば児玉議員の地元であれば、ミカンであるとか、東北ならばリンゴだとか、沖繩ならばパインであるとか、いろいろ学校当局も工夫して取り入れていっておりまして、そういう援助、奨励も、文部省としても引き続いてやってまいりたい。なお、御参考までに申し上げますと、日本学校給食会は、関係者の要望もございまして、昭和四十五年からミカンのかん詰めを一括購入しておりますけれども、昭和五十一年度の取り扱い量は二千七百トン、約四億円までに達しました。これは営業用ミカンかん詰めの三分の一に該当する量までふえてまいりました。県ないし市町村独自で現場で供給をいたしますミカン類、こういった柑橘類を中心といたしました果実の使用のより一層の発展を、文部省としても努力を続けてまいります。
  238. 兒玉末男

    ○兒玉委員 まだ農政問題で輸入差益の問題等もありますが、ちょっと順序を変えまして、水産関係についてお伺いしたいと存じますが、もちろん二百海里水域の設定をめぐりまして、日本の漁業が大変重大な局面を迎えているわけでございますが、その中で、特に私がお聞きしたいことは、公共事業投資ということで漁業関係もかなりの予算の伸びがあるわけでございますが、第一点にお聞きしたいことは、今後の水産行政の中で、二百海里の水域の中でどういう点に力を入れるべきであるのか。それはやはり何といっても沿岸漁業の開発整備が重要な課題でございますけれども、問題は、これに対応するだけの人的な配置あるいは技術水準というものが低いということが言われておりますが、少なくともこのことは、たとえば水産研究所等の研究機関でも、全国でわずか四百名足らずであります。たとえば養蚕関係では、中央だけで六百の検査技術者の養成、研究がなされておる。それでまた、各県にも水産研究所がありますけれども、これとても、その半分は内水面であります。こういう技術陣の開発のおくれで、今後の二百海里水域における沿岸漁業等の開発が果たして可能なのかどうか。  それから第二点は、流通を含めたところの、いわゆる価格安定政策であります。マグロ等が大量に輸入されておるが、これはそれぞれの商社がやっております。そういう流通改革と同時に、調整保管を含めたところのこの流通機構に対応する一元化の問題についてはどう考えるのか。  それから第三点は、今回の二百海里問題を含めて、約八千人の漁業労働者が行き場がないという深刻な状況にあり、一級船員が二級、二級漁船員が二級以下、そのために、沿岸で仕事をしているこの漁業者の老齢者は職場から追われようとする深刻な課題であります。この点は、漁業後継者対策として鳴り物入りで宣伝しておりますけれども、予算わずかに九千万、漁業に関係する県が三十八県、一県当たり二百五十万か三百万程度で、中川大臣、後継者の育成ができますか。魚とりになる人がおりますか。  こういった点について、まずお伺いしたいと存じます。
  239. 中川一郎

    ○中川国務大臣 まず第一番目の、二百海里時代を迎えて沿岸資源を大事にしなければならない、その場合、試験研究機関が非常におくれておるのではないか、技術開発をすべきである、まさにそのとおりでございまして、今回、そういったことに対応するため、水産増養殖に関する養殖研究所、それから水産土木、漁船、漁具等の工学的研究を担当する水産工学研究所、この二つを新設するとともに、県立、国立の試験場とも十分連携をとりながら、こういった技術の面については前向きで対処したい。初年度でございますからまだそれほどでもありませんけれども、今年度を水産元年とも考えて、ひとつ強力に取り組んでまいりたいと存じます。  第二番目の、調整保管事業でございますが、これは数年前から魚価安定対策で調整保管事業、すり身から始まりましたが、カツオ、マグロ及びイワシ、サバの多獲性漁業も保管対策に入れまして価格の安定を図っておりますし、同時に、外国からの輸入についても、これは割り当て制度をとるなり、あるいは貿易管理令の発動等によって調整を図ってまいりたいと思いますし、さらに冷蔵庫その他流通対策もまた思い切り前向きに対処して、これらを総合的に組み合わせて水産を守ってまいりたい、こう思っておる次第でございます。  なお、北洋漁業で一万五千人ほど余剰となりまして、そのうちの約半分近くは兼業で吸収されておりますが、約八千人の者が失業というかっこうになっております。これらの方々については、職業訓練所で訓練をしていただきます者、あるいはまた職業転換給付金というような措置で措置をすると同時に、将来沿岸漁業の整備を図り、新しい水産での仕事も積極的に探して、これに就職ができるように、前向きにこれもまた検討してまいりたい。  つきましては、後継者について、全国九千万では足りないではないか。確かに足りのうはございますけれども、昨年度が千四百万でございましたものを、予算というのは急激というのはなかなかむずかしゅうございまして、千五百万を九千万にふやした、姿勢だけは十分とっておるつもりであり、これをさらに翌年度から急増して後継者対策を講じてまいりたい、こういうわけでございます。
  240. 藤井勝志

    ○藤井国務大臣 農林大臣からも言及をされましたが、特に陸上の産業部門に職業転換を希望されるならば、御承知の漁業離職者臨時措置法、これによりまして訓練手当、訓練待機手当、こういつたことによって離職者の生活の安定と再就職の促進を図る、こういったことで体制を整えておりますが、本人側から、やはり船の生活をずっとやられておりましたから、陸上の産業部門に再就職したいという意思表示がまだ職業安定所へ届いておらないというのが現状でございまして、いずれこの体制を整えまして、特に現地の実情に対応をして、そして職業のあっせん、再就職のための職業訓練を積極的にやっていく。それと、何と申しましても、やはり農林大臣から言及ありましたように、沿岸漁業の振興による雇用の拡大というもの、この線が私は大切だと思いますし、同時に、職業訓練をやる場合には、水産試験場、こういった技術者との緊密な連絡をとって、職業訓練にも万遺憾なきを期すべきだ、このように思います。
  241. 兒玉末男

    ○兒玉委員 農林大臣とそれから外務大臣にお伺いしますが、現在、前農林大臣の鈴木さんがニュージーランドに行っておりますが、いわゆる南太平洋のフォーラム諸国が、今回、四月からですか、二百海里規制をします。そのために日本のカツオ、マグロなりイカ等、約二十数万トンの漁獲に大変な影響を与えるわけでございますが、この前も拿捕されて、かなりの罰金を取られたという新聞報道がございましたが、これらのフォーラム諸国に対してやはり外交的な取り組みが欠けているのではないかということで、この点農林大臣外務大臣双方関係でございますけれども、やはり向こうとしては後進国でございますし、また豪州等は余り魚を食わない国でありますから、外交的な配慮を通して——日本の漁民がいろいろなトラブルを起こしたり、あるいは文字が全然わからない、言葉が通用しない、そういう関係におけるトラブルもかなりあるし、また漁業規制に対する通達等の理解が一般の漁民に理解されない、こういう点等は、当然外交的措置を通しながら問題の処理に当たるべきではないか。また現在は、メキシコなりアルゼンチン等はかなりの漁業資源がありながらも、両国間の外交交流が十分でないために、あるいは大統領がかわったために、多くの問題が難航しているやに聞いているわけでありますが、これらの諸問題は、やはり外交的な処理ということがきわめて重要でございますが、これについての見解を伺いたい。  同時に農林大臣には、通産も含めて、輸入差益の問題が提起をされております。これはドル安、円高によって、自分たちが聞いた範囲だけでも、輸入食糧で大体九百十五億、輸入飼料で二百八十七億円の輸入差益があることが、農林省からいただいた資料でも明らかにされておりますが、このような点は当然、消費者なり生産者にこの差益金は返還すべき、還元すべき問題と考えるが、この差益金の問題についての見解をお伺いしたいと思います。
  242. 園田直

    園田国務大臣 南太平洋水域における漁業の問題は、まさに御指摘のとおりでございます。この地域は、特にわが国漁業の伝統的操業の実績もあり、かつまた、いまるる御指摘のとおり、新規漁場開発の必要もありますので、わが政府としては、これら諸国の沿岸漁業のための漁業協力を推進する一方、また他の経済協力あるいは輸入の問題等も考慮をして、わが国漁船による操業の円滑な継続を図るべく、南太平洋諸国との間に満足のいく合意を求めるべく鋭意努力をいたしております。  御承知のとおりでありまして、豪州、ニュージーランドに対しては、両国沿岸漁業振興のために、イカ釣り漁業、トロール漁業、養殖技術等につき漁業協力を行ってきております。豪州は本邦漁船の操業については好意的でございますけれども、ニュージーランドは、漁業問題といま御指摘の同国産品の対日市場アクセス問題を絡めるとの態度をとっておりまして、アクセス改善がない限り、わが国との漁業交渉に応じない、こういう態度をとっております。前農林大臣の鈴木善幸氏が幸い両国の招待で行っておりますので、鈴木善幸氏に対しましても、他の経済協力その他も勘案をして、この折衝をお願いしておる次第でございます。  なお、パプア・ニューギニア、トンガ、西サモア等、南太平洋の開発途上国に対しては、わが国の経済協力の一環として、漁民訓練施設、漁船供与、漁業専門家派遣等を行っておりますが、この上とも農林大臣とよく相談をして、新規漁場が開発でき、操業が継続できますよう、最善の努力をする所存でございます。
  243. 中川一郎

    ○中川国務大臣 対ニュージーランド、豪州の問題につきましては、いま外務大臣答弁のあったとおりでございまして、今後ともまた前向きで、混乱のないように、特に漁業外交は大事でございますから、鈴木前大臣の派遣等きめ細かく対処して、水産に被害の起こらないように責任を持ってやっていきたい、こう思っております。  それから、食糧関係の円高によるメリットでございますが、これは麦にいたしましても大豆にいたしましても、飼料用穀物にしましても、すべて相当下がっております。これは円高の下がりばかりじゃなくて、国際価格も下がったということで、相当大幅な、特に飼料作物などは一五%も、八千八百円トン当たり下げる等、あるいは政府操作飼料の値下げ等、あるいは大豆油の値下がり等、相当これは消費者に直結して値下がりをしておるものと、自信を持っておる次第でございます。  ただ食糧用の麦だけは、これは還元すべきという論と、対米比価が非常に安くなっておる、この結果、先ほど議論のありますお米の消費が減って、むしろ麦が伸びるというしかけになっておる、そこで対米比価からいくならばこれは相当大幅に引き上げて米とのバランスをとるべきだという議論がございまして、その関係もあって今回は据え置くということで、先般米価審議会の御答申を得て決定いたしたところでございまして、この点は、円高による下げなければならない要素と、対米比価との関係で上げなければならない要素と、二つありまして当分の間据え置く、こういう措置をとったところであり、でき得る限りこの円高のメリットは消費者あるいは畜産農家等に還元するように、今後ともさらに一層の努力を払っていくつもりでございます。
  244. 兒玉末男

    ○兒玉委員 時間の制限がありますので、あとまとめて質問します。  第一点は、現在、農家の所得が国民平均所得の大体六五%、これは多くの問題があります。これは大蔵大臣にも関係がございますが、いまの農業関係の金融、特に農林中金でございますが、この金利が一般的に高いという問題、当然金利を下げろ。それから一般の運転資金というものが農協系統以外の金融からなかなか依存ができない。この点について、資金量を十分に保有する問題、金利の引き下げ。  それから、特に酪農、和牛、あるいは園芸にしても、いまの流通市場機構というのを整備しなければいけない。ということは、いわゆる中央卸売市場法の適用と、地方卸売市場による地方市場においては、たとえば仲買人とか卸とか、そういう中間的な経費が地方市場の場合非常に少ない。そのために生産者にも消費者にも恩恵を与えている。同時に、いまよく指摘されている第三セクター方式でございますが、これは地方自治体が五一%、民間が四九%の出資構成で、国からの助成率も、一昨年、当時杉山流通局長答弁されまして若干の前進は見ておりますが、こういう流通市場機構の積極的な改善と国からの法的なり予算的な問題を含めての助成策を強化する中で、生産農民と消費者がどちらも利益をこうむるような抜本的な流通対策。以上、農林省、大蔵省関係。  それから第三点は文部大臣にお伺いしますけれども、昨今の新聞を見ておりますと、特にこれから大事な年を迎える中学生の非行行為ということは私も憂慮して見ておりますが、これらの問題はなかなか根の深いものがあろうかと存じます。これはやはり教育者並びに父兄、両方の積極的な取り組みがなければ不可能かと存じますが、これに対するところの対応策。  同時に、現在の文教行政で、いわゆる非常におくれをとっている子供が多いということが言われております。というのは、学校における小、中、高の定数の関係でございますけれども、西欧先進国等は、大体三十から三十五、四十、日本の場合上限が四十五となっておりますが、もちろんこれは財政的な問題もございましょうし、特に都会の非常な過密区域においては、この問題の解決が、自治省との学校建設の予算関係等もあって、大変困難が指摘をされておるわけですが、これらの問題につきまして、大蔵、農林そして文部、自治大臣の見解を承ります。
  245. 村山達雄

    ○村山国務大臣 いま、農林中金の金利が高いではないかという御指摘でございます。  確かに商工中金に比べますと、政府出資がございません、ほとんど系統金融の方から資金源が成り立っておる関係がございまして、少し割り高でございますが、ただ、長期につきましてはかなり勉強しているんじゃないかというふうに見ております。特に近代化資金につきましては七%でございまして、国の方から〇・五ないし一・五利子補給しておりますので、実際は五・五ないし六・五、こういうことになっております。プライムレートが七・六でございますから、まずまずというところではなかろうかと思うのでございますが、なお一層関係省とも協力いたしまして、金利の引き下げの方向に努力してまいりたいと思います。  なお、制度金融といたしまして、こういう点を補完するために農林漁業金融公庫がございまして、最近は三分五厘まで下げておることは御承知のとおりでございます。
  246. 中川一郎

    ○中川国務大臣 金融につきましては、いま大蔵大臣からお話があったとおりでございます。プロパー資金の農協系統の貸付金利がなるべく下がるように農林省も行政指導としてやっておりますし、また、制度金融についてはきめ細かく、近代化資金、この前のマル南、マル寒資金等数多くございますが、農業を取り巻く情勢は非常に厳しくございますので、金融行政によって農家の生活なり営農が前向きにできるよう、これまた、今後とも大事な政策課題として取り組んでまいりたいと存じます。
  247. 砂田重民

    ○砂田国務大臣 お答えいたします。  中学生の非行の問題がまずございました。滋賀県におきまして、ほとんどの人が常識では考えられないというような事態が事実発生したわけでございます。きわめて遺憾な事件でございます。詳細につきましては警察当局等の調査を待たなければなりませんが、当面文部省といたしましては、滋賀県の教育委員会から様子を電話で、とりあえず聞いたわけでございます。これは、滋賀県教育委員会自体が市町村の教育委員会あるいは市町村の中学校長会等を開いて善後策をとっておりますために、とりあえず電話で様子を聞きまして、十七日に滋賀県から正式にお出ましをいただきまして事情聞き取りをいたすわけでございますが、率直に申しまして、やはり児童生徒のこういった非行の問題行動の背景には、今回の事件に見られるように家庭におきます過度の甘やかし、あるいは放任、こういったことが事実ございます。それから、生命を軽視をするという風潮が社会自体にある。学校教育という立場から文部省が考えましても、教師が一人一人の児童生徒の実態を把握できているかどうか。この問題が起こりまして、確かに私、学習指導要領の新しいのも前のも読んでみ、副読本も読んでみ、教師に対します指導書も自分で読んでみました。副読本でどういうことが生命の尊厳かということを教えているかということも、自分で読んでみました。そういうハードウェアと申しますか材料はそろっているわけでございます。それを児童生徒に理解させ得たかどうかというところに問題があると思いますし、理解させ得るだけの時間的な余裕が学習指導要領で、あったかどうか、やはりこれは文部省も両親も教師も社会もみんなで一遍、原点に返って反省をしなければならぬという気持ちが非常に強くいたすわけでございます。  教育の基本的な価値観というものが政府、社会、教師、両親、同じ価値観を持てるということでなければ適切な教育というものは行えない、こういう観点から、私は、少し時間をいただいて真剣に勉強させていただきたい、前向きに勉強させていただきたいと思っているところでございます。  学校の学童数の編制の基準のことでお話がございましたけれども、確かにただいま四十五人を上限にいたしております。実態はもっと低いところにあることももう御存じであろうと思います。ただ、まだこれから四、五年の間に、人口過密地帯、急増地帯に百二、三十万の学童生徒がふえてまいります。それにも対応いたさなければなりません。しかし、全国的に見ますと、過疎地帯では二十名あるいは二十名を割る教室もあるわけでございまして、全国一律に四十五名ということでいっていいかどうか、人口急増地帯百二、三十万人の児童増をどう受けこたえるか、御承知のように教員の定数も四十九年からの五ヵ年計画を五十三年度で努力をいたしまして、完全にこれは実施することになったわけでございますけれども、それだけでも対応し切れない、こういう事態をどうしていくか、これからの問題点として検討を続けさせていただきたいと思いますが、ただ一つだけ率直に申し上げますと、確かに四十五名というのは多過ぎる、一人一人の生徒のめんどうが見切れない指導し切れないという声もあろうかと思いますけれども、一つの教室の児童の数の少ないところで落ちこぼれが少ない、児童の数の多いところで落ちこぼれが多いということでもないようでございますので、この点ももう少し掘り下げた検討を続けさせていただきたい、かように考えます。
  248. 加藤六月

    加藤国務大臣 学級編制基準の改定に伴います措置につきましては、いま文部大臣からも答弁がございましたように、第四次の義務教育学校の先生方の定数改善措置がとられて、五十三年度におきまして一万七千八百名を超えますような教職員の増、かような地方財政計画にいたしておるのでございますが、今後四十五人の基準をどのように改善していくかは文部省が検討なさるところでございましょうけれども、文部省の検討と随伴いたしまして私どもも慎重に対処してまいりたい、かように考えているところであります。
  249. 中野四郎

    中野委員長 これにて児玉君の質疑は終了いたしました。  次に、権藤恒夫君。
  250. 権藤恒夫

    権藤委員 私は、初めに水俣病対策に関しましていろいろとお聞きいたしたいと思います。  政府の方に熊本県から、水俣病認定業務につきましては十月から百五十人検診、百二十人審査の態勢をもって臨んでおる、そうして「四千三百名を超える滞留者の解消に鋭意努力しているところでありますが、今なお月百件を超える新たな申請があり、かつ、これらの申請者は二十六都府県にわたっていて、滞留者はむしろ増加する現状であります。」そして「制度の改正等を含めて所要の措置を講じられるようお願い申し上げます。」という要望書があります。     〔委員長退席、加藤(六)委員長代理着席〕 その中で「健康管理の対象者は環境庁長官に対し水俣病の認定の申請をすることができるものとし、その認定業務は環境庁長官が行う。」それから「政府系金融機関等は、加害企業の民事責任の履行に要する資金について必要な融資を行うことができるようにする。」というような要望書でございます。  巷間伝え聞きますと、水俣病患者補償に関するチッソの危機というものが伝えられておりますけれども、政府は一月二十四日、水俣病関係閣僚会議を開いたと言われておりますが、その内容につきまして説明をしていただきたいと思います。
  251. 山田久就

    ○山田国務大臣 この認定促進業務ということについては、御案内のとおりに昨年の六月二十八日、これについての関係閣僚会議において、ただいまお話がございました、政府が促進に対応する対策についての申し合わせをいたしまして、これによって百五十人の検診、そして百二十人を審査に付するということで、関係各省及び熊本県の協力を得て整備に努めてまいったところでございまして、ちょうどこの体制がスタートいたしたところでございまするので、先般の関係閣僚会議のときにも、わが方といたしましては、ひとつちょうど緒についたこれを全面的に促進して、力を入れてやってあげようではないかということで、努力いたすことになったような次第でございます。  なお、この機会に、結局この促進というような体制の整備に加えて、御承知のように県の認定困難な事例に関しては症例研究班というものをやっておりますが、これの業務についてもできるだけこれを促進して、ひとつ協力しようじゃないか。ひとつこれだけは政府でやってくれというような要望もございます。このことはわからぬことはないけれども、やはりこれは臨床ということと切っても切れないような関係になっておるものでございますから、切り離してそれだけをやるということは、どうも医学的に非常に困難になるというような点もあるようでございます。したがって、熊本県の検診機能を強化するというような趣旨から、さらに施設整備といいますか、この点についての補助金を増額してやっていくという施策の充実強化ということのほかに、水俣病に関する総合的な研究ということで、御承知のように水俣病研究センターというようなものも設置いたしまして、とにかくこの認定促進ということを関係各省の協力も得まして一生懸命に、われわれとしては最善の努力をいたしておるところでございます。
  252. 権藤恒夫

    権藤委員 その席に熊本県の沢田知事も同席しておったということでございますけれども、知事から具体的にどのような要望があったか、その内容についてお聞かせを願いたいと思います。
  253. 山田久就

    ○山田国務大臣 かねて知事から、チッソの状況ということにも関連して何か特別の提案でもあるかとも考えられたのですけれども、いろいろな事情もあったのだと思います。とにかく、この件について政府の方として何とかひとつ考えてほしいのだというような一般的な希望、御意見、こういうものの開陳がございましたほか、特別の提案というものはなかったようでございます。
  254. 権藤恒夫

    権藤委員 現在チッソの経営の状態というものはどのようになっておるのでしょうか。二月分の補償費十九億円が支払い困難ではないかというようなことが言われております。また、いままでのチッソから支払われました患者に対する補償状況、それから今後ずっと百二十人以上審査をしていく、環境庁としても特例班を設けてその強化をするとおっしゃるわけでございますが、この患者の数でございますけれども、大体どのくらいになるのか。その推定でございますが、熊本の地元で研究なさっている原田先生等のお話を伺いますと、もう沿岸漁民は全部なのだというようなこともあるわけでございますけれども、そのようなことについて説明していただきたいと思います。
  255. 山田久就

    ○山田国務大臣 いまのは細かい数字等の問題がございますので、政府委員から答弁をさせます。
  256. 信澤清

    信澤政府委員 現在までにチッソの補償に係る患者として認定されております者が、大体千三百人でございます。お話しのように、四千数百名がまだ申請中でございまして、そのうち何名が認定されるか、医学的な判断をすべて終わっておるわけではございませんので、見通しは困難でございますが、十月から始まりました百五十人の検診、百二十人の認定という推移を見てまいりますと、各月によって異同はございます。異同はございますが、大体二十人ないし三十人が認定されておるというのが実情でございます。
  257. 権藤恒夫

    権藤委員 そのように認定患者もふえてくるのじゃないかと思いますし、また、毎月百件ずつくらいは申請者があるということであります。心して対処してほしいと思うわけであります。  仮にチッソが倒産いたしました場合、補償金の支払いが不能になる、そういうことが予測されると思うわけでございますが、こういうことに対して何か対応策を持っていらっしゃるのかどうか、そのことについてお伺いします。
  258. 山田久就

    ○山田国務大臣 御承知のように熊本、鹿児島県の水俣病患者は、現在公害健康被害補償法及び旧法によりまして認定が行われていることは御承知のとおりであります。この補償は、御承知のように患者とチッソの間の補償協定ということで行われておりまして、法律に基づく補償給付というものは行われていないことは御承知のとおりであります。一般法による認定患者が法律に基づく給付を求めてきた場合に本制度に基づく給付を行って、その財源については特定賦課金として、この汚濁の原因である物質を排出した施設の設置者、つまりチッソから徴収するというのが、実は片一方の方の公害補償法による仕組みになっておりますけれども、ただ、その場合も結局加害者というものが負担するということになっていて、万一払えなくなったときはどうかという問題になりますと、実はその点についての規定を欠いているというのが現状でございます。したがって、いま御質問のあったような点、チッソが払えなくなったらどうするのだというような事例が生じた場合、この補償制度をどうするかということは、実は現状においては、残念ながら新しい問題としてこれに対処せざるを得ないという状況でございます。
  259. 権藤恒夫

    権藤委員 私がここで改めて申し上げるまでもございませんが、私も熊本のお隣の県でございますので、水俣病が発生しました当時からの実情はよく認識しておるつもりでございます。とにかく、患者の状態というものはきわめて悲惨であります。したがいまして、この救済につきましては、やはりあらゆる方法、手段を用いてもチッソの補償義務の履行にてこ入れするような、そういう道を探るべきじゃなかろうか、私はこういうふうに思うわけでございます。このことは、あくまでもPPPの原則というものの上に立って申し上げておることは当然でございます。  先ごろ水俣市の選挙がございました。そして今度当選なさった方が、チッソを救済しろ、そうすることによって患者の救済もできるじゃないかというようなことをスローガンにして選挙をやられて、当選されたわけだ。また熊本県も、十分に国に要望して、そして患者の救済というものに対処するというふうに聞いておるわけであります。したがって、今後また新たにチッソ救済、患者救済という論議が出てくるのではなかろうかと思うわけであります。  そこで考えられますことは、PPPという一つの原則の上に立ちまして、チッソが自主再建する道を切り開いていくというのが私は一番妥当な道ではないか、こういうふうに思うわけでございまも。企業の自己責任というたてまえから、今日の社会体制にありましては当然のことであると思います。  そこで、チッソ及びチッソグループは、さらにチッソにまで役員を送り込んでおります興銀などが、自主的に努力をしていかなければならない、これは不可欠であろうと思います。興銀らは、この問題については、いろいろ報道される範囲の認識でございますけれども、逃げ腰のように思われるわけでございます。そうして、最初から地方や国の公的救済を当てにするような、そういうことも見当たるような次第です。初めから公的機関に救済を求める道を前提として密室の中で対策を進めることは本末転倒であると、新聞社の社説等でもこのように論じておりますが、このチッソ救済の是非というものは、あくまで当事者が責任を持って提出した具体的な再建案に即して論議をする、そういう姿勢を強く持つべきだろうと私は思います。  そこで、これはチッソグループ二十五社の協力が肝要であります。したがって、こうした方向で通産省の今後の行政指導というものは非常に大事であり、最優先さるべきものである、こういうふうに思いますけれども、通産省は、チッソグループが自主再建に当たるような、そういう行政指導というものをどのような形で今日までやっておるか、お答えをいただきたいと思います。
  260. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 チッソの再建問題につきましては、通産省としての立場から、一部の製品等につきまして不況カルテルを結成させる、そういうことで再建に役立たせております。  それからまた、将来チッソが新しいいろいろな商品を開発する、そういう場合には、これは産業政策の一環としてできるだけ応援をしていかなければならぬ、こう思っておりますが、産業政策として応援をする場合には、また援助する場合は、おのずから限度がございまして思うようにはできませんが、チッソの出方いかんを見まして、できるだけのことはしていきたいと思っております。
  261. 権藤恒夫

    権藤委員 まあ県債の話がちらほらと聞かれているわけでございますが、このことにつきまして地元にいろいろと問い合わせもし、話を聞いたわけでございますけれども、チッソグループの中の水俣工場というものは、一グループじゃないか、それにそういうような県債というようなことはとんでもない話である。だから、是が非でも、みずからの責任で患者に対して補償義務が履行できるような体制をとってほしいというのが、一貫した地元の要望のようでございました。今後とも強烈に行政指導等を行っていただきたいと思うわけでございます。しかしながら、やはり厳しい立場に立っておりますので、果たして再建ができるのかどうかということにつきましては、見通しが暗いというふうにも思われるわけでございます。  そこで、先ほど熊本からの要望にもございました、政府系金融機関等は、加害企業の民事責任の履行に要する資金について必要な融資を行うべきである、そういうふうに要望もあっておるわけでございます。あの閣僚会議の席上で大蔵大臣がいろいろ言われたというようなことが新聞等で報道されておりますけれども、国や政府機関の特別融資というような中でチッソが再建できるようなそういう方法はないものか、こういうふうに考えるわけでございますが、もし方法がございましたら、そういうことに対して政府の御見解がいただければと、こういうふうに思うわけでございます。
  262. 村山達雄

    ○村山国務大臣 沢田知事がおいでになったときは、別にいまの起債の問題あるいは政府金融機関から金を貸してもらいたいというお話は、知事さんからはなかったように記憶しております。  その中で、おられたどなたであったか、いま覚えておりませんが、開銀融資はできないのか、こういう、どなたか閣僚の方からお話がありまして、それに対して私がお答えしたのは、いや、開銀融資というのは制度金融ではあるけれども、長期の重要な産業についての設備資金を貸すたてまえになっておるから、いまのようなチッソと、それからいわば被害者の方が私的契約で賠償責任を決めておる、その支払い資金に充てるというわけには制度上まいらないことになっております。そういう説明をいたしたことを覚えております。
  263. 権藤恒夫

    権藤委員 そこで、この要望書にもございますように、何らかの政府系金融機関の融資を行うことができないかということなんですが、これは何か検討していらっしゃいましょうか。そのことについて再度お尋ねしたいと思います。
  264. 村山達雄

    ○村山国務大臣 私は、本当に個人的な立場で申し上げるわけでございますが、チッソの水俣病患者の方の悲痛、その周囲の方々のあれというのは大変なものだろうと思います。また、加害者の立場であるチッソの人たち、会社の立場も、それは自分たちが原因をつくったとは言いながら、いま大変な負担を負っているわけでございます。そういった中で金融機関もできるだけ努力し、また通産省もできるだけ努力しているのでございますけれども、この問題は、先ほど環境庁長官が申しましたように、いまの制度自体の上ではなかなかむずかしい問題を含んでおりますから、よほどみんなが知恵を出し合って検討してまいらないと、どういう原則でどのようにやるかということは、私は新しい問題ではないかと思っておる次第でございます。
  265. 権藤恒夫

    権藤委員 それでは、もし原因者が支払い能力を喪失するような場合、これはもう患者はたまったものではございません。そういう意味で、倒産ということを見越してということじゃございませんけれども、あらゆる処置を早目に講じておく必要があるのではないか、こういうふうに思います。  したがいまして、現在民事協定によって補償を受けております。けれども、将来公害健康被害補償法への切りかえ等は考えられないのかということが一案であろうかと思うわけでございますが、制度的に果たしてどうなのか、また、いま認定をされておる人、申請しておる人でございますけれども、チッソの将来に不安を持って、民事協定の方ではなくして、補償法の適用を受けたいというような考えもあると聞いておるわけでございますが、このようなことについてはいかがでございましょうか。
  266. 山田久就

    ○山田国務大臣 先ほどもちょっと触れました点でございますけれども、補償法という場合におきましても、結局、補償法の支払いに必要な資金というのはチッソが、つまり加害者が負担するということになっているわけで、したがって、そのときに一体チッソそのものが払えなくなったらどうするのだという問題は、いまそれに対しての対策は、大蔵大臣も言われましたけれども、新しい問題としてわれわれは対処しなければならぬ問題だと思います。  ただ、事柄は大変深刻な問題でございますので、私といたしまして、私見といたしましても、何しろ救済を要する被害者の大部分が地元である、あるいはチッソというものが万一のことが起きたという場合にも、雇用等の問題も含んで、その社会的、経済的な大きな利害関係が、これは地元の問題だということに思いをいたしますると、やはりチッソなりあるいは県なりが真剣になって、ひとつイニシアチブをとって対策を考えてみるということが、問題を打開していくときのやはり大事な糸口になるんじゃないかというふうに考えているような次第でございます。
  267. 権藤恒夫

    権藤委員 これはけさの新聞情報でございますから、真偽のほどというのは私にはわかりませんけれども、「政府、間接肩代わり」ということで、「水俣病認定、医師グループに委託」。これは先ほど長官の方からお話があったことだろうと思うわけであります。「チッソ救済県債発行に道」ということなんですが、このことにつきましては、真偽のほどはいかがでございましょうかね。「政府は」ということで、だれが言ったということではございませんけれども、環境庁長官が一番よく御存じだろうと思いますので、これについて伺います。
  268. 山田久就

    ○山田国務大臣 その点は、ただいま私が申し上げましたような私見としてのもの、局面打開の考え方というようなことについて、それでそういうような新聞に伝わったんじゃないかと思うのです。この問題、一体だれがネコに鈴をつけるかというような問題とも関連しているのですけれども、先ほど申し上げましたように、やはりこれは現地がいずれにしても重大な利害関係を持っておるということになってみると、やはりここでいろいろな方策を考えて、ひとつそこから物を始めていくということが具体的な打開の道じゃないだろうかというような趣旨のことを触れた点が、そういうふうに伝えられたのじゃないかと思いまするけれども、私もちょっとそういうふうに考えておりますので、そういうような私見を申し上げたような次第だったわけでございます。
  269. 権藤恒夫

    権藤委員 県債で肩がわりするということになりますと、これは地方自治の問題、重大な問題であると思うわけであります。一企業の公害のたれ流しと申しますか、それによって起こした問題に対して地方公共団体が県債を発行することが、果たして地方財政法上可能なのかということもあると思うわけであります。しかしながら、熊本県がいわゆる県内に企業があるということだけでこの救済に乗り出すということは、財政上の問題も非常に困難だろうと思うわけであります。したがいまして、やはり最終的には、倒産というような中で補償義務を履行できないような状態になったときに、救済しなければならぬという患者に対して、これはやはり国民福祉という重大な立場からも、地方公共団体ではなくして、国が責任を持って救済に当たるという姿勢が望ましい姿だろう、当然じゃないか、こういうふうに私は考える次第でございますので、そういう意味でひとつ国も十分に前向きで対処していただきたい、こういうように思うわけであります。  それから、企画庁長官にお伺いいたしますけれども、「消費者被害救済制度海外調査団報告書」というものをいただいております。これは「欧米における消費者被害救済の現状」、製造物中心ということでございますけれども、ヨーロッパ、アメリカ等を視察されたということでございますが、これはどのようなものでありましょうか、その内容についてお尋ねいたしたいと思います。
  270. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 かねて国民生活審議会消費者保護部会で消費者保護あるいは消費者被害救済制度の確立の検討を進めてまいったわけでございますけれども、その一環といたしまして、関係四省庁から成ります調査団を結成いたしまして、欧米諸国の消費者被害救済の現状を調査してもらいました。その調査報告が、ただいまお尋ねの報告書でございます。  そこで、欧米諸国の消費者被害救済制度の主要内容として報告されたものは、多くのヨーロッパの国でいわゆる挙証責任の転換と申しますか、無過失であることの立証をむしろメーカー側に負わせるというような判例がかなりでき上がっておる。イギリスでもそのような製造物責任について積極的に検討しておるし、判例としてでき上がったヨーロッパの国々では法的調整考えつつあるようである。ただし、アメリカにおいては法制度としては非常に進んでいるけれども、こうなりますと、これは製造者の方においてそのような救済責任を保険にかけるということになりまして、そのために保険料が非常に急増をしておるというような運用面での問題が出てきておる。概してそのような報告でございました。
  271. 権藤恒夫

    権藤委員 この調査団の調査対象としたものは、製造物中心というようなことでございます。しかし、これを広義に考えますときに、あと公害で訴訟がなされておるものはチッソだけではございません。やはり福岡県に発生しましたカネミライスオイルの問題、あるいはイタイイタイ病の問題、これから先、特にカネミライスオイル等につきましては補償金も払えないというような窮状に立っておるわけであります。したがいまして、このような消費者の生命というもの、あるいは身体というもの、あるいは財産、そういうものに被害を受けることが増加しているということで、このような調査団もつくって、やがてはわが国においても立法化しようというようなことで検討なさっておると思うわけでございますが、何らかの形で、こういう食品公害でありますとか、何らかの原因による公害というもので生活の保障が立たない、そういう人には今後十分に救済する道を開いていく、そういう立法こそ大事でなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。  重ねて企画庁長官にお伺いしますけれども、今後そういうような地域的に発生しました公害等によるものに対しても、たとえば発生源が不明であるとか、あるいは加害者が資力を喪失した場合、支払い能力がない、そういうときにこういう法をつくっていくというようなお考えがございましょうか、これに関連してお願いいたします。
  272. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほど私にお尋ねのございましたのは、消費者保護の見地から、一つの物を製造した製造者が、その物の品質について最終的に消費者に対してどのような責任を負うべきかというような問題に関してのことでございます。この挙証責任の転換の問題というのも、わが国の法制の基本にかかわる問題でございますから、立法の問題としてはまだまだよほど各省間でも、また世論にも聞きつつ検討しなければならない問題ではないかと存じておりますが、ただいま御指摘の後の方の問題は、企業が環境を汚染したといったようなこととの関連でございますので、私が先ほど申し上げました消費者と製造者との関係とは、また多少異質のものがあろうかと存じます。しかし、どのような立法が問題について可能であるか、好ましいかということにつきましては、ちょっと私自身の所管を越える問題でございまして、問題のあることはよく存じております。政府としても真剣に研究しなければならない問題であるとは存じますが、ただいまにわかにかくかくとお答えを申し上げることが、準備ができていないような状況でございます。
  273. 権藤恒夫

    権藤委員 環境庁の長官にお尋ねしますけれども、先ほどから、既存します公害健康被害補償制度の適用に切りかえというようなことも申し上げましたけれども、この制度にぜひともひとつ適用されるようなそういう検討をしていただきたいと思うわけでございます。また、加害者、被害者という、これはあくまでもPPPという原則に立たなければなりませんけれども、もし加害企業が補償能力を喪失した場合、後は一体だれがどうするのかというものが現在の法の中にはないわけでありまして、したがいまして、そのようなものについてどう補完をしていくのかということを再度尋ねたいと思うわけであります。  たとえば補償法を改善するのか、あるいは大気汚染疾病に対しまして、公害発生源の企業が賦課金を出し合って補償しているというような制度もございますし、ただし、大気汚染は拡散というようなことで、固定発生源、移動発生源ということで、割合を別にして補償金を出し合っている、賦課金を出し合って補償しているということでございますが、固定したところで、特定のところの企業が発生させている公害というものに対して、果たしてこういうものが適用できるかということははなはだ疑問であろうと思うわけでございますけれども、しかし、当初申し上げましたように、救済の道を探らなければならぬというような観点から、今後このような問題を契機として何か検討していらっしゃるかどうか、くどいようでございますけれども、重ねてお尋ねしたいと思います。
  274. 山田久就

    ○山田国務大臣 事柄は私は非常に大事なことだろうと思います。ただ、いま申し上げましたように、率直に言ってその点に、万一の場合、加害者が払えなくなったらどうするのだという点について触れてなかったのが、ある意味の盲点であろうかと、こう思います。  そこで、この場合どうするかということの法的解釈の問題も含めて、これについては考えてみる必要があるということで検討いたしたいと思っておりますので、ひとつ御了承いただきたいと思います。
  275. 権藤恒夫

    権藤委員 ぜひともひとつ、水俣のために御検討をお願い申し上げます。  次に質問を移らせていただきます。  本年度は、国債の予算に占める比率というものが、歯どめとしておりました三〇%、この枠を超えて赤字国債を大幅にふやした、いわば背水の陣をしいた予算である、このように思うわけであります。この予算によっていかに景気を喚起させるかということが、総理初め国会最大の課題であるわけであります。そこで、国債という、後年度に国民の負担をかけます重大な問題でありますので、私は、予算編成及びその執行に当たりましては十分に慎重を期すべきである、こういうふうに思うわけであります。そういう観点から、まず初めに、予算編成に対しまする基本的な姿勢についてお伺いして、次に、当面する課題について質疑を進めてまいりたいと思う次第でございます。  大蔵大臣にお尋ねいたしますけれども、昭和五十年、五十一年、五十二年度の一般会計当初予算で外貨関連の経費が措置してあるわけでありますが、その額が幾らぐらいであったかということと、また対ドル円価格、レートでございますが、これは幾らぐらいに設定したのか、五十年、五十一年、ちょっと古い話になりますからわかりにくいかと思いますけれども、わかる範囲で結構でございますから、御説明願いたいと思います。
  276. 長岡實

    ○長岡政府委員 お答え申し上げます。  外貨関連の予算額は、五十年度約千九百億円、五十一年度約二千億円、五十二、三年度約千八百億円でございます。  それから、いかなるレートで予算を組んだかという、予算の積算のレートだと存じますけれども、五十から五十二までにつきましては一ドル三百八円で組んでおります。
  277. 権藤恒夫

    権藤委員 経企庁にお尋ねいたしますけれども、五十年、五十一年、五十二年度の経済見通しのベースになりますと、対ドル円の価格、これは幾らぐらいに設定してあったかをお尋ねします。また、そのレートを設定した根拠になるものについてお尋ねしたいと思います。
  278. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 経済見通しをいたしますときには、見通しをつくります一番近い月の円の平均レートをここ数年使っておりまして、したがいまして、五十年度は四十九年十一月の平均値でございました三百円、それから五十一年度は五十年十一月の平均値でございました三百五円、五十二年度は五十一年十一月の平均値でありました二百九十五円、五十三年度は先般も申し上げました二百四十五円、はしたは丸めまして、ただいま申し上げましたような数字を使っております。
  279. 権藤恒夫

    権藤委員 そうしますと、五十年度は千九百億ということでございますが、これは対ドルの外貨経費は一千六百億ぐらいだろうと思うわけでございまして、五十年で私が聞きたいことは、この経済見通しの円価格と大蔵省が決定します円価の基準でございます。五十年度は三百八円が支出官のレートであるわけでありますが、そのときの経済見通しは三百円。そうしますと、この対ドル一千六百億が、予算の作成のときからすでに四十一億ほど多目に組んであるというふうに感じ取られるわけであります。それはスミソニアンのレート三百八円を支出官レートとなさったということでありますから、それはそれなりに結構だと思うのでありますけれども、しかし、経済見通しとこの大蔵省が基準としますレートというものは全くかけ離れたものではない。と申し上げますのは、やはり経済見通しというものが立って、そして税収が決まる。それによって予算の編成に当たるわけでありますから、そういう意味で、この経済見通しのレートと支出官のレートというものの定め方に、はなはだ疑問を持つものであるわけであります。  そういうことで考えていきますと、経済見通しの方でこの一千六百億というものを見ますと、当初予算で四十一億円余分に計上したのではないかということなんです。また、五十一年も一千六百億ほど対ドル外貨というものが措置されておるわけでございますけれども、五十一年度は経済見通しのレートが三百二円でございますから三十一億円、五十二年度になりますと経済見通しのレートが二百九十五円になるわけであります。そうしますと、単純な計算でございますから間違いがあるかと思いますけれども、予算編成のその時点で約六十七億円近い不用となるような額が見込まれるわけであります。  このようなことから私は思うわけでございますけれども、通貨はフロート体制をとりながら、スミソニアンで合意した一ドル三百八円というものを支出官のレートとなぜしなければならなかったかという疑問があるわけであります。そのようなことについて、そうしなければならないという理由があるのか。経済見通しのこのレートと変えなければならぬ理由があるのか、ひとつその点についての見解を承りたいと思うわけでございます。
  280. 長岡實

    ○長岡政府委員 お答え申し上げます。  予算積算の根拠になっております支出官レートと、経済見通しの根拠になっております為替レートが違っておる点は、御指摘のとおりでございます。経済見通しにつきましては、やはり経済の見通しを立てる場合の最も直近の実態に基づいていろいろの推定その他をなさるわけでございますから、経済見通し作成時の一月前の平均というレートをおとりになったのも一つ考え方であろうと存じます。予算の場合には、これは予算編成時は大体、権藤委員御承知のように、前年度の年末ごろ最終の詰めをやっておるわけでございますけれども、翌年度の四月から一年間にわたっての執行に耐え得るようなレートということがまず一つ考え方の基本にございまして、また、支出官のレートを決める場合に何を基準にしたらいいかという点につきましては、かねてから外為法上基準外国為替相場、これはドルの場合でございますが、それからドルに換算しますというのですか、対比しまして裁定外国為替相場というのがございます。この基準外国為替相場及び裁定外国為替相場が一つの基準と考えられるわけでございまして、それを一応支出官レートにとりまして、それで予算を組んでおったわけでございます。食い違いの点は確かに御指摘のとおりでございますけれども、予算というものの性格上、一年間の執行に耐え得るようなものというようなことからも、基準外国為替相場が一番支出官レートとして採用するのに適しているのではないかということから、これをとっておる次第でございます。
  281. 権藤恒夫

    権藤委員 五十年それから五十一年はフロート制に移行しましたと言いましても、円の価格というものはそう乱高下というのはないように思います。それはそれでよかったのじゃないかというように思うわけでありますが、しかし、五十二年度になりますと二一・六%も円が切り上げられるというような急激な変化が起こっているわけでありますね。そのような中でも依然として当初組まれた予算というものを——円の価値が出てきたわけでございますから、当然、物を買うにもそれだけの少額で済むわけでございます。そうすると、先ほど申し上げましたように、当初の予算で、ほぼ実勢に近い二百九十五円でございますか、それで見ても、なおかつ六十七億金が余るわけであります。これだけ切り上がったわけでありますから、相当額の余剰額が出ておるのじゃないかと思うわけでございます。このように大量の、多額の余剰が見込まれるような場合、何かこれを補正をするとかというような、そういう処置がとられておったのかなかったのか、そういうことについてお伺いしたいと思います。
  282. 長岡實

    ○長岡政府委員 お答え申し上げます。  外貨関連予算の支払いの方法には幾通りかございまして、国の支出官が、先ほど来お話に出ておりますいわゆる支出官レートで小切手を切りまして、これを日銀がその支払いの時点で、その時点での相場で外貨を獲得して対外債務者に支払うというような方法、これが一番代表的なものでございます。こういう場合には、国庫から支出官レートで小切手が切られるわけでございますから、実勢よりも金額の大きなものが日銀に渡されるわけでございますけれども、日銀はその支払い時点での実勢で、ドルならドルを獲得して国の債務を支払ってくれますので、その差額は雑収入として国庫にまた還納されるという仕組みになっておるわけでございます。  その他いろいろの方法がある中には、予算として不用に残すというような制度のものもございますけれども、いずれにいたしましても、予算レートと支払い時の実勢レートとの差が損にならないようにという点については、ただいま申し上げましたように、日銀から還納されるもの、あるいは予算の不用として残るものということで、むだにはなってないわけでございます。  ただ、御指摘のように五十二年度の予算につきましては、これはやはり予算の積算レートと実勢のレートとの間に、最近の円高傾向もございまして相当の開きが出ております。この点につきましては、第一次補正予算及び第二次補正予算で御審議をいただいたところでございますが、一部不用額等を予算に反映させまして、予算の減額をするといったようなこと、あるいは交換差増として雑収入に上がってまいりますものを予算に受け入れるといったような措置をとりまして、予算の姿を現実に近づけるという措置を五十二年度はとった次第でございます。     〔加藤(六)委員長代理退席、委員長着席〕
  283. 権藤恒夫

    権藤委員 企画庁長官にお尋ねしますけれども、五十三年度経済成長率は七%程度とし、経常収支で六十億ドルの黒字と言われております。これを達成するのは、国際的にも国内的にもきわめて重大な争点となっております。  そこで、企画庁長官は、これらGNPの積算の基礎になっておりまする円の対ドル価格は、総括質問で、矢野質問に対しまして二百四十五円である、このようにおっしゃっておりますけれども、そのように認識してよろしいでしょうか。
  284. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 従来と同じ方式によりまして、昨年の十一月の平均レートをとりましたので二百四十五円でございます。
  285. 権藤恒夫

    権藤委員 一ドル二百四十五円という円貨基準で五十二年度の経済見通し、GNPは計算された、こういうふうに言うわけでございますが、この二百四十五円というのが今後どういうふうに推移していくかということについて御見解を、これはむずかしい問題だと思いますから断言はできませんでしょうけれども、少なくともこの二百四十五円というものを維持していくためのいろいろな施策は打ってあるわけでございますから、その見通しはいかがでございましょうか。
  286. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この点もすでに申し上げたところでございますけれども、わが国は現在のフロート制のもとで、乱高下の場合を除きましてクリーンフロートというものをとっております。したがいまして、これこれでなくてはならないという、いわばターゲットを持っておらない、またクリーンフロートというのは、持つべきでないという考え方であろうと存じます。したがいまして、昭和五十三年度内において円がどのぐらいのところにあることが望ましいか、またあるであろうかということについては、事実上、ただいまの政府の政策からして申し上げることができませんし、またそれをいろいろ予測いたしますこと自身も、クリーンフロートという立場から言えば適当なことでないというふうに存じます。したがいまして、見通しを立てましたときに用いましたレートは従来のような同じ方式のものを使っておるということでございまして、これが昭和五十三年度の円の動きとこれとの関係はいわば無関係と申しますか、そういう予見というものを政府はいたしておらないという立場でございます。
  287. 権藤恒夫

    権藤委員 五十年、五十一年、五十二年、五十三年と、経済見通しの円レートの設定というものは、やはり前年度の十一月の平均レートを切り下げたり切り上げたりということでなさっているということは、データの上ではっきりしておるわけでございますが、重ねてお伺いしますけれども、この二百四十五円で推移するとお考えでしょうか。それからまた、いろんな民間の団体が、このくらいで推移するのではないかというような予測も出しております。その中で野村総研が二百三十五円ということを発表しておるわけでございます。また企業も、これから先の円高に対してどう対処するかということで、非常に円高という問題については知りたがっておる、こういうふうに思うものでございますので、企画庁長官、この一ドル二百三十五円という野村総研の発表をどのように評価されますか、承りたいと思います。
  288. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この問題について政府が予断をすべきではないということは、先ほど申し上げたわけでございますけれども、べきかべきでないかということのほかに、できるかできないかということになりますと、申し上げるまでもなく、これはわが国だけの事情によるものでございません。本来為替レートはそういう性格のものでございますから、いわゆる予測能力というものをわれわれが持っておるかどうかということも、実は相手のあることでございますだけに、なかなかむずかしい問題ではないかと思っております。  そこで、確かに野村総合研究所は二百三十円前後という想定のように聞いておりますけれども、どういう根拠によるものでございますか、ちょっと私も定かでございません。その他幾つかの予測がここに出ておりますけれども、まあ二百四十円あるいは四十五円、大体その辺のところ、二百五十円というのもございますが、恐らく予測者自身の、何と申しますか主観でやっておられるのではないかと存じます。と申しますのは、こういう研究所自身が主観を発表いたしますことは、その当たっているかいないかは別といたしまして、自由でございますけれども、政府となりますとそうはまいりませんので、先ほど申し上げましたような理由から。それで一番近い月の平均レートを計算上使っておるということでございます。
  289. 権藤恒夫

    権藤委員 各民間の機関が、先ほど申し上げましたようにいろいろと経済見通しを発表しておるわけでございます。その中でこういう批判をしております。政府だけが強気の経済見通し、こういうことであります。そして成長率七%の達成はできないだろう、あるいは経常収支六十億の黒字もほど遠い。これは宮澤長官も、一昨日でございましたか質問に、きわめて見通しは厳しいというようなことを答弁なさっておるようなことから考えまして、外圧による円高になることは必至だろう、こういうふうに思うわけであります。  また、木村元外務大臣が新聞に発表していらっしゃいましたけれども、五十三年度は積極予算を編成したと言われるが、問題を克服するにはなお不十分だと思う。このことは秋を待たずに判明するだろう。日米経済関係は再び危機が訪れるのではないか。六、七月ごろには円相場への攻勢がかかる可能性が十分ある。そうなった場合には、国際経済社会では日本は袋だたきに遭い、信頼感を取り戻すことは不可能になってしまう。福田内閣の命運も尽きかねない云々というような批判もなされております。このことから見ても、やはり円高こそあれ、円が安くなることは考えられない、こういうふうに思います。  それから、昨夜テレビで放送しておりました、ワシントンでアメリカの上院議員、下院議員三名にインタビューしております。その中で、牛場・ストラウス特使会談につきましていろいろコメントがあっておりました。その中でこのように言っておりました。この牛場・ストラウス会談についてはいまは静観しておきたい、しかし日本が約束を実施しようとしないとき、十一月には中間選挙もあり、タカ派の議員が出てきて保護貿易法をどんなことがあっても通過させる等の意味の強硬な発言をしておったわけであります。したがって、これから先、やはり厳しい環境の中で円が安くなるということは考えられない、こういうふうにも思います。  また、経済成長七%が達成できなかった場合は日米通商協議の実施を行わない、アメリカは二百円、二百二十円をターゲットとしたローザ構想を押しつけてくる可能性もあるというような論調もいろいろなされておるわけであります。数日前の新聞にも、中曽根さんがローザ構想を取り入れたいというような話もあっておりました。  このような幾つかの政府の試案に対しまする批判をここに申し述べたわけでございますが、今後きわめて厳しい事態が予測されるということは考えられるわけであります。したがいまして、この円のレート、円がどうなるかということにつきましても、私はこれから先、円安になるという可能性はないということを、ここに強く指摘しておきたいと思う次第でございます。  そこで、それはそれとしてでございますが、経済企画庁の二百四十五円とした場合で論議を進めさしていただきたいのでありますが、五十三年度一般会計予算案で外貨関連経費は一千六百億措置してあると聞いておりますが、この数字には間違いございませんでしょうか。この一千六百億の外貨措置は対ドルであります。
  290. 長岡實

    ○長岡政府委員 お答え申し上げます。  五十三年度の外貨関連予算、これはドル建てで計算いたしまして約千八百億円でございます。
  291. 権藤恒夫

    権藤委員 失礼しました。千六百億じゃなく千八百億円でございましたので、訂正します。  いま千八百億とおっしゃっておりますけれども、対ドル建てば千六百億と思っておりましたが、それは間違いでした。
  292. 長岡實

    ○長岡政府委員 訂正申し上げます。  全体が千八百億円でございまして、うち、ドルの分が千六百億円であります。
  293. 権藤恒夫

    権藤委員 そこで、大蔵大臣は対ドル円価格を、先ほど説明がございましたように、スミソニアンレートから、五十二年度は二百六十二円、それは五十二年度の六、七、八、九、十、十一月の六ヵ月間の実勢レートの平均で設定した、こういうふうに言っていらっしゃいますが、これも間違いございませんですね。
  294. 長岡實

    ○長岡政府委員 そのとおりでございます。
  295. 権藤恒夫

    権藤委員 そこで、また話はさっきに戻るわけでございますけれども、経済企画庁の対ドル価格が二百四十五円、大蔵省の立てておりますのが二百六十二円というわけでありますが、これは一ドル当たり十七円の差があるわけですね。そうしますと、この一千六百億円、そうして二百六十二円というこの円価と、企画庁の見通しております二百四十五円のこの十七円の差を見直しますと、大ざっぱな計算でございますけれども、格差額が百三億円になるわけであります。これは財政の運用上、若干の弾力的措置というのが必要だというお話でございましたけれども、私は余りにも離れ過ぎておるのではないかというふうに思うわけでございますが、どうしてもこの辺が理解できないわけでございます。その説明を願いたいと思うのです。
  296. 長岡實

    ○長岡政府委員 先ほども申し上げましたが、予算を編成いたします際に用います。いわゆる支出官レート、これは何を基準に求めたらいいかという点でございますけれども、先ほどもお答え申し上げましたように、外為法に基づく基準外国為替相場によっておる。この基準外国為替相場が、ただいま権藤委員がおっしゃいましたように、六月から十一月までの六ヵ月間の平均値をとるということになったわけでございまして、支出官レートとしては、機械的にそれを採用して予算の積算の根拠といたしたわけでございます。  おっしゃるとおり、仮に二百四十五円が実勢といたしまして、二百六十二円との差を計算をいたしますと、年度を通じますと相当な金額になりますけれども、私どもといたしましては、この四月から来年の三月まで、どのような相場の変動をたどるかということの予測も大変困難でございますし、仮に円高傾向が続きまして予算が余るような場合には、先ほど申し上げましたように、日銀から雑収入として国庫に戻るか、あるいは予算の不用として残すか、いずれかをとりまして、むだにならないようにする仕組みになっておりますので、その点は御了承いただきたいと存じます。
  297. 権藤恒夫

    権藤委員 おっしゃる意味はよくわかるわけであります。要するに、平均値で出してレートを二百六十二円にした、それで使わなきゃ返しますよということのようなんです。  しかし、考えてみますと、ことしは、冒頭にも申し上げましたように、大量の赤字国債を発行しておるわけであります。そうして、外に向かいましてはもう非常の予算措置だ、こう言われます。しかし、中身を見ますと惰性であるんじゃないかというふうにも思われるわけですね。だから、私が先ほど五十年、五十一年、五十二年、わざわざお聞きいたしましたのは、いわゆるスミソニアンの三百八円、それと経企庁が見通しを立てておられます実勢レートにほぼ近いものをレートとして採用しておる、それが過去において正しかったわけであります。ですから、こういう非常事態のときであるならば、やはり実勢に近いものを採用するということも考えていいのではないか。何も基準外国為替相場というものを基準にする必要はないじゃありませんか。やはり非常のときは非常のように、研究して、そしてほぼ実勢に近いものを採用する。そして、少額たりとも不用を出さないようにしてそれを有効に使っていく、そういう精神が問題じゃないかというふうに私は思うわけでございますが、それについて何か御意見ございましょうか。
  298. 長岡實

    ○長岡政府委員 お答え申し上げます。  国が支出官レートとして、年度を通じていかなるレートを設定するかという問題を考えます際に、やはり一年間を通じての予算の執行に耐え得るものという考え方一つ必要でございますし、それから、そのレートは一体いかなる考え方に基づいて設定したのかという点も考慮に入れなければならないと存じます。支出官レートが機械的に外為法上の基準外国為替相場をとっておること自体、現在のように、現時点で見ますと、権藤委員御指摘のような乖離が若干あるわけでございますから、その分は結果的に予算をむだ遣いしないということは申し上げられますけれども、やはり現在御審議をいただいております予算の中でそれだけの分が不用のような形で残る可能性もあるわけでございますから、御指摘の点はよくわかるわけでございますけれども、やはり私どもとしては、従来と同様に基準外国為替相場を支出官レートとすることが一番問題が少ないのではないか。ただ、その基準外国為替相場自体、六ヵ月の平均——従来は、スミソニアンレートの三百八円を機械どおりに採用してまいったわけでございますけれども、六月から十一月までの六ヵ月の平均をとってその相場ができたわけでございまして、現時点におきまして予算を組む場合の単価としては、これを用いることが適当ではないかというふうに考えた次第でございます。
  299. 権藤恒夫

    権藤委員 あなたは適当とおっしゃるけれども、私は見直す必要があるんじゃないかと言うのです。それも、あなた方がきわめて具体的な資料をもとにしてこのレートを設定されたわけじゃないでしょう。要するに、前の年の十一月以降半年間の平均値じゃございませんか。今度そういうふうにしたわけでしょう。いままでは、要するに、日本の円というのは固定相場から変動相場制に変わってきた。しかし、支出官レートというものはスミソニアンの三百八円を採用してこられたじゃありませんか。昨年になりまして急激に円が変動したために、ようやくこういうような方法をとられた。けれども、過去の経済見通しのレートというものが、円価というものがいわゆる実勢とほぼ変わってきていないわけでありますから、いま新たにこういうものを採用しようというわけじゃございません。ずっと皆さん方が研究なさればわかるはずじゃございませんか。だから、基準外国為替相場というものはございましょう。それは相場があるのは当然でございます。けれども、政府予算を編成するに当たりましてのベースになるこの一ドルを幾らにするかということは、実勢に近いものがより妥当じゃございませんか。これから先、円が高くなるか安くなるかということはわかりません。けれども、先ほどからいろいろなエコノミストのお話だとか、あるいは経済見通しだとかということをお聞きしましたのは、円がこれ以上安くなることはないという感触を私たちは持つわけであります。そういうことで対ドル円価格というのは、多少の増減はあったといたしましても、そう狂わないということで確信が持てるのじゃないかと思うわけです。  そういうような観点から見ますと、経企庁の立てております二百四十五円で本年度の一千六百億というものを見直しますと、百三億すでに、予算審議する過程において不用と思われるようなものが出てくるじゃないか。何回も申し上げますけれども、非常の予算であるならば、その執行に当たりましても、やはりこういうことのないような決意が必要だろう。これがルールじゃないですか。そう思いませんか。私はそう思うのですけれども、いかがでございましょうか。
  300. 長岡實

    ○長岡政府委員 たびたび同じお答えをすることになるわけでございますけれども、支出官レートとしていかなるレートを基準にとるかということは非常にむずかしいわけでございまして、従来から基準外国為替相場を用いてきておるわけでございます。現在のように国際通貨情勢が大変微妙な時期でございますので、そういう意味において、予算編成の段階でいかなる支出官レートを設定するかということは、私どもにとりましても大変むずかしい問題であるわけでございますけれども、基準外国為替相場自体、改定されたことでもあり、また、それが予算編成の直前の時点であったということから、やはり従来どおり、基準外国為替相場を支出官レートとして採用することが適当ではないかというふうに考えた次第でございます。なお、予算の執行につきましては、再三申し上げておりますように、むだがないようにという点についてはそのような仕組みになっております。  それから、これだけ景気対策に全力を挙げるべき財政の中で、最初からそれだけの不用が出る、そういう姿勢はどうであろうかという御指摘はよくわかりますけれども、予算執行全体を通じまして、たとえば不足するものについては予備費の用意等もあるわけでございまして、全体の予算の執行が景気対策に資するようにという点につきましては、私ども最大の努力を払って予算の執行に努めてまいりたい、かように考えております。
  301. 権藤恒夫

    権藤委員 防衛庁予算の中でこの外貨は、五十三年度でどれくらい組んでありますか。そして、その外貨を使う目的はどういうものでありましょうか、お聞きしたいと思います。
  302. 原徹

    ○原政府委員 防衛庁予算の中で、五十二年度予算で外貨に関連があるものと見込まれますものは、これは私どもの推計でございますけれども、約五百億でございます。これはたとえばF15を買うとか、あるいはFMSでいろいろの部品を買うとか、機材を買うとか、主としてそういうものでございます。
  303. 権藤恒夫

    権藤委員 いま御答弁いただきましたとおりのようでございます。P3Cを三機とか、F15、それからAHlS、これは攻撃用のヘリコプターということでございます。そのほか合わせて五百億ということです。それは、この防衛庁予算というものがいわゆる何を買うかということが決められておるわけでございますから、それをほかに流用するということはきわめてむずかしいことだろうと思うわけでございます。そういう中で、あくまでもこれは私どもが主観でやったことでございますから、大蔵省と必ずしも一致するとは思いませんけれども、それでも五百億の外貨の中から約三十二億、当初で不用が出るのではないかと思われます。また、外務省も七百億を措置しておりますけれども、これも約五十億近い不用が出るのではないかというふうに計算されるわけです。  そこで、先ほどから、むだのないように不用、雑収入で上げるとおっしゃっておりますけれども、それは当然のことだろうと思います。しかし、何回も重ねて申し上げますけれども、いわゆる大量の赤字国債を発行して、そしてそれは金利を払っているわけであります。その金利は私たちの血税じゃありませんか。にもかかわらず、当初から不用が見込まれるというような予算の編成の仕方というものは、考えてしかるべきじゃないかと思うのですよ。それはある程度は弾力的な運用のできるようなことをしなければならぬ。いまおっしゃいました。あらかじめ決めておった予算というものが狂ってきたときには——狂う場合があるでしょう。だから、予備費というものを置きなさい、これは憲法で決めてあることじゃございませんか。当然のことであります。しかしまた、財政法の中には、いわゆる適正な予算を編成しなさい、そして、あらかじめ予定しておったものが狂ったときには、補正もしなさい、またその二では、減額もしなさい、こういう補正予算の条項というものも組み込んでおるわけであります。予備費もあるし、補正もできるわけでございますから、過去の実績の中から外貨の一ドル幾らにするというそのベースを設定するときには、やはりそういうことを考慮してやるべきじゃありませんか。  あなた方、決めた、決めた、決めた、こういうようにおっしゃるけれども、そんな、すべて決めたことやっているかというと、いろいろありますよ。私は一年生議員でございますから、国会の運営につきましては、初めてでございまして知りません。地方議会におきますと、当初予算審議をする前には、必ず予算書でありますとかすべてのものをそろえて議会へ提出します。それから市長なり知事なりの施政方針演説が始まるわけであります。ところが、あなた方、いわゆる当該年度の予算審議する場合には、前年度の十二月中に予算の明細書を添えて国会に提出しなければならぬということが財政法の中で決められておって、一つも出さぬじゃないですか。昨年なんかは、もらったのは一月の二十八日でございました。五十二年度予算の案をもらったのが一月の二十七日でございます。ずっと調べましたところが、一遍も、一緒に出したことないじゃないですか。あなた方がそういうようなことを守らぬで、そして、こういうような都合の悪いときには、こうでございますからこれは動かせませんというような身勝手な言い方というのはないじゃありませんか。  先ほどからも質問がございましたけれども、いま民間の企業が円高というような中で為替差益が二百億あった、三百億あったというように言っております。それを吐き出せと言って政府は出させておるじゃありませんか。それは本来は、自由な競争の中で得た利益でございますから、社会的な道義問題ということは別にして、出すべき筋合いのものじゃなかろうと思うわけであります。けれども、やれ議会だ、あるいは客観的な条件というようなそういう状況の中で、企業も努力して、何とかしてこの円高の差益というものを国民に還元しようという努力をしているじゃありませんか。  しかしながら、政府予算では——これが途中でありますならば、これはまあ狂ったということも言えましょう。けれども、かつてないほどの二一・六%というような円の切り上げというのが昨年行われた直後、これから先の客観的な条件が必ずしも円が弱くなるというような状況ではない中にありまして、国債を発行した、借金だらけであります。あなた方、外には経済見通しでありますとか収支見通しでありますとかということで、大量に税金を取らなければならぬということを言っているじゃありませんか。それはわずか千六百億の金でございますが、その中の五%か六%か知りません。けれども、私が言いたいのは、外にはそういうようなものを持って出る、内にありましては、審議の過程においてすでに百億というような不用の金が出るというような予算の編成の仕方というものは、これは厳重に改めていくべきじゃなかろうかというように私は思うのです。そしてまた、雑収入だとか不用だとかおっしゃいますけれども、この雑収入にするか不用にするか、それを集めて福祉に回すか何にするかということは、これは議院の審議権の問題じゃありませんか。あなた方が雑収入にするとか不用にするとかと言うことは、いわゆる役人的発想であって、予算審議する議院の審議権というようなものから考えてみましたときには、はなはだこれは疑問がある、こういうふうに私は思うのです。ですから、先ほどわざわざ、何回も何回も繰り返し、幾らですかということを長官でありますとか大臣にお聞きしました。それは過去の実勢レートというものが経済見通しとさほど狂ってないというようなことから、この支出官レートというものだけがかけ離れて組まれておるというようなことに対して、もう少し実勢を見ていくべきじゃないかというふうに私は申し上げておるわけであります。いままでしておられて、それでは狂いが大きかった、だから半年にしようというふうに、今度努力されてそうされたわけでありますが、これはいわゆる支出官のレートを決めることでございますから、半年が長ければ、では、これを四半期の三ヵ月に一回見直しをしよう、あるいは前月ものを採用していこうということになりますと、余分の予算を組む必要がないようになるじゃありませんか。そうして実勢に近づけていって、また景気が回復してよくなったときには、そういうようなこともゆったりと幅をとって、弾力的な運用をなさることも必要だろうと思います。けれども、非常のときには非常のように皆さん方の姿勢を直していく、そういう姿勢が予算編成の底流にあってこそ、今日の非常事態を乗り切っていくことができるというように国民に皆さん方が訴えられることが、国民に理解をされるのではなかろうか、こういうように思うわけであります。これはいろいろと主観の問題もございましょうから、あえてここで、これに対して答弁を求めるつもりはございませんけれども、私が申し上げたいことはそういうことでございますので、どうかひとつ心していっていただきたい。強くこれは指摘してというよりも要望いたしまして、これの質問は終わらしていただきます。  次に、時間がございませんので簡単に申し上げますけれども、最近、海外から伝えられましたお話によりますと、ヨーロッパやアメリカのドル建て金市場価格が大幅に値上がりしておるようであります。一般投資家の市場取引が盛んに行われて、海外の金市場は大変盛況であるということであります。その背景にある主たる理由といたしましては、昨年秋以来の主要国通貨に対するドルの全面安、あるいは総選挙を目前にしたフランスの政情不安、あるいは各国の構造的なインフレ懸念といったようなことが指摘されているのでありますが、一方、わが国におきましても、海外におけるこうした状況に加え、先般福田総理の為替対策に対する自由化構想が公表されました。大蔵省はこれに基づいて、五十五年の完全自由化を目標として、本年四月から数々の為替制限の撤廃に踏み切るということでございます。その一環として、今回は金輸出の自由、また海外での金保有及び売却の自由を認めることになり、わが国においても当業者はもちろんのこと、一般国民が金を売買する、取引する環境も一段と進んできたと考えられます。  しかし、国で金の自由化が実施されて以降、自然発生的に、任意団体による旗上げ、組織されてきた金取引を行う何々協会、それから何々市場というものが発生しております。この中には、かなりいかがわしいと思われるようなものもあるわけであります。そうして、最近とみに、売買に関する刑事問題や社会問題が引き起こっておるようであります。しかも、そのいかがわしいものがますます分派し、派生化しておりますが、どんどん数がふえてくるので、今日の状況は決してこのまま放置できるものではなかろう、こういうふうに思うわけであります。これらの業者が国内法、商品取引所法でありますか、この国内法に抵触する差金決済の禁止条項を公然と犯し、予備知識のない一般国民を引きずり込んで、現にいまも動き回っております。一般国民のそうした被害はます多発しておるわけであります。  ここに私は資料を持っておりますけれども、その被害状況というものは、金を三十キロ買わせられた、三千八百九十万円、あるいは五キロ買わせられた、これに気づいて解約をしたところが六十万円の保証金を取られたというようなことがここに七件、そして十件ほど金の取引で被害を受けたその被害状況を持っておるわけでございます。時間がございませんので一々申し上げる時間はないですが、このように金の自由化に伴いまして金の先物取引、こういうものが行われております。したがって、今日ございます商品取引が、農林省や通産省の行政指導で整理をされて、そして今日の日本経済に寄与しておるわけでございますが、この金の取引というものが、今後日本をねらって続々と外国から来るということでございますが、これを整理する国内法律が現状のところでは何もございません。したがって、国民をこういうような被害から守るために、何か整理をする機関が必要ではなかろうかと思うわけでございます。これに対して、何かそういうお考えがありましたならばひとつお聞かせを願いたいと思います。これは通産大臣じゃないですかね。
  304. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 最近、金の自由化が具体化してまいりましたので、先物取引と称して、いま御指摘のような大変いかがわしい取引が行われておることは事実であります。そこで通産省といたしましては、商品取引所の会員に対しまして、こういうことのないよう会員としては厳に慎むように厳重注意を喚起いたしております。しかし同時に、取引所の会員がそういうことをしなくても、それ以外にもこういういかがわしい仕事をする者がたくさんおりますので、やはり一般の国民の方々に対してもよほど徹底したPRが必要かと考えております。
  305. 権藤恒夫

    権藤委員 以上で終わります。
  306. 中野四郎

    中野委員長 これにて権藤君の質疑は終了いたしました。  次に、小宮武喜君。
  307. 小宮武喜

    小宮委員 最初に、原子力船「むつ」の問題についてお尋ねします。  原子力船「むつ」の修理受け入れについて長崎県及び佐世保市からそれぞれ正式回答がなされてから、すでに一年近くを経過しておりますが、政府の「むつ」修理に対する基本的な考え方、どういう修理をしていこうと考えておられるのか、ひとつ明らかにしてもらいたい。
  308. 熊谷太三郎

    ○熊谷国務大臣 ただいまの「むつ」の修理に関します政府の方針でございますが、いろいろの経過がいままでございましたことは御承知のとおりでございます。昨年の四月に佐世保の市議会において受け入れが決議され、また三十日には長崎県の県議会においてこれまた決議がなされておる、これも御承知のところだと存じます。政府といたしましては、これは正式の回答というよりは連絡みたいな形で承知しているわけでございますが、いずれにいたしましても、その後政府では関係閣僚懇談会を開催いたしましたり、あるいは安藤委員会といったような委員会によりまして、燃料棒が安全に抜けるか、あるいは燃料棒をつけたまま修理ができるかというふうな検討もいたしましたり、いろいろな検討を続けてきておるわけでございますが、政府といたしましては、これらを踏まえまして、何とかして佐世保港における修理を実現すべく諸般の検討を急ぎまして、なるべく早い機会に結論を得まして地元に御協力方を要請したい、このように考えておるわけでございます。
  309. 小宮武喜

    小宮委員 いま大臣答弁の中で、長崎県と佐世保市からの回答は正式回答とは理解しない、何か連絡みたいなものだ、こういうように受けとめておると言われたのですが、それは何を根拠にそういう判断をされたのか。  それからもう一つは、佐世保港で修理をするということになりますと、これは長崎県と佐世保市の受け入れ条件が違っております。佐世保の場合は、政府の要請どおり、いわゆる燃料棒づきで修理を受け入れましょうという決議をし、回答しておるわけです。県の方は、燃料棒を抜いてきなさい、それならば受け入れましょう、こういうことですから、佐世保港で修理をするということは、いわゆる燃料棒を抜いてこいという長崎県の態度と食い違うことになるわけですけれども、その場合に、長崎県に対してもう一度再考を促すための再要請をするのかどうか、その点と、二点についてお答え願いたい。
  310. 熊谷太三郎

    ○熊谷国務大臣 ただいま連絡と申し上げた点につきましていろいろお話がございましたが、連絡と申し上げましたのは、たとえば、たしか市に関しましては助役さんかと思いますし、県に関しましては副知事さんかと思いますが、それが、たしか科学技術庁の原子力局長だと思いますが、そういう決議を行ったという連絡があったわけでございます。ただし、その問題は、いま私といたしましては、それが連絡であったか正式の回答であったかということには、率直に言いまして余り深く拘泥はいたしておりませんので、いずれにいたしましても、最終の結論としましては佐世保港における修理ということを実現すべく、政府として近く地元に御協力を要請したいということでございます。大体これで趣旨はおわかりかと思いますが、もしさらになんでございましたら、改めてまた申し上げますが、それで私は十分意味は申し上げているつもりでおりますが、なお不明確でございましたらお答えいたします。
  311. 小宮武喜

    小宮委員 われわれは長崎県も佐世保市も、やはり正式の態度を政府には伝えたと思っておるのです。これはこだわるわけじゃないのですが、しかしながら、連絡を受けたというような理解政府の公式の見解としていま答弁されておるとすれば、やはり若干問題を感じますので、その点は政府の公式の見解として、連絡だというふうに受けとめておるのかどうか、この点は大事な問題ですから、再度ひとつ御確認をいたしたいと思います。  それから、佐世保の場合に、これは大臣が言っておるわけですから疑うわけじゃありませんけれども、いま言われておるように、佐世保港で修理をするということも政府の正式の方針かということを、もう一度確認いたしたいと思います。
  312. 熊谷太三郎

    ○熊谷国務大臣 三たび申し上げますが、佐世保港における修理を実現すべく、地元の御協力を近くお願いするという考えでおります。正式の見解でございます。  なお、いまの連絡か何かにつきましては、政府委員からお答えいたさせます。
  313. 山野正登

    ○山野政府委員 「むつ」の修理につきましては、先生御案内のとおり、五十一年の二月に、内閣総理大臣から長崎県知事並びに佐世保市長に協力をお願いしたわけでございますが、先ほど大臣の方から御答弁申し上げましたとおり、県並びに市におかれましては、本件について県議会並びに市議会で検討なさいました結果、佐世保市議会におきましては政府の要請どおり「むつ」を受け入れる、また長崎県議会におきましては燃料棒を取り外して入港することを条件に受け入れるという結論を出された次第でございますが、そのような結論を議会が出されたという事務連絡を市の方からわが方に、また県の方からわが方に連絡があったということでございまして、五十一年二月の政府の正式要請に県知事並びに市長が正式に答えるという形ではなかったということを申し上げておるわけでございます。  ただ、実質的には、県並びに市の御意向というものは十分に私どもはそれによって理解し得たわけでございますので、先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおり、本件につきましてできるだけ早い機会に政府の態度を打ち出しまして、地元に再要請をするという運びにいたしたいと考えておるわけでございます。
  314. 小宮武喜

    小宮委員 地元と言うけれども、やはりこれは長崎県側に要請するということになろうかと思いますが、それは時期はいつですか。
  315. 熊谷太三郎

    ○熊谷国務大臣 できるだけ早い機会にと、こういうふうに御理解をいただきたいと考えるわけでございます。
  316. 小宮武喜

    小宮委員 それでは、仮に早い時期に長崎県側に再要請をしたとして、やはりこれは一応県議会の議決で、ああいった研究委員会まで設けて態度を出しておるわけですから、その意味では、仮に要請があったとしても、はいそうですかということになるにはかなりの時間がかかると思うし、また、そうなるかどうかもわかりません。そういう状態の中で、いまの、佐世保市で燃料棒つきのまま修理をするという政府の方針が、そのまま受け入れられるかどうかということは非常に疑問がまだあります。  そういう立場から、再要請するのは結構だし、また、やっていただかねばならぬと思いますが、自信がありますか。
  317. 熊谷太三郎

    ○熊谷国務大臣 諸般の情勢を十分に理解いたしまして、全力を尽くす考えでございます。
  318. 小宮武喜

    小宮委員 これ以上はもう言いますまい。  それと、日本原子力船開発事業団法の改正後、政府はこの原子力船事業団の研究開発機関への移行についてどのように検討されておるのか、その点ひとつ政府のお考えをお聞きしたい。
  319. 熊谷太三郎

    ○熊谷国務大臣 お尋ねでございますが、これにつきましては、まず第一に、この事業団法が国会の御協力によりまして成立いたしまして、非常に事業団の職員としては士気も高まり、業務も非常に順調に進められているということを、まずもって申し上げたいと存じます。  この移行につきましては、さきの国会におきます事業団法改正法案の審議の経緯及び法案修正の御趣旨を体しまして、わが国における原子力船開発の長期的展望に立ちまして、研究開発機関のあり方あるいは体制、規模、その他ほかの機関との関係等に配意しつつ政府部内におきまして目下鋭意検討中でございます。今後さらに広く関係方面の専門家の意見を聴取いたしますために、要すれば、原子力委員会に専門部会等を設けるなどによりまして、その成案を得ました上で、先のまたいろいろな処理をいたしてまいりたい、このように考えているわけでございます。
  320. 小宮武喜

    小宮委員 「むつ」問題に対する質問はこれくらいにして、次のエネルギー問題に対して質問いたしたいと思います。  通産大臣は、本予算委員会の質問に答えて、電力業界の設備投資は来年度三兆一千億、それ以外にも八千億程度が見込まれるので、全体として四兆円強となる、さらに一兆円の追加投資も要請中であると発言されておりますね。景気対策の重要な柱として、通産大臣は電力業界の設備投資に大きな期待をかけておるようにも見受けられますけれども、それでは九電力、それに電発を含めてそれぞれの投資額をひとつ示してもらいたいと思うのです。
  321. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 全電気事業者の五十三年度の設備投資額は、ただいま御指摘のように、三兆二千億円程度と見込んでおるわけでございます。このうち九電力会社が二兆九千億、その他電源開発会社等を含めまして三千億、合計三兆二千億ということでございますが、電力会社ごとの投資額についての御質問でもございますので、まず北海道電力につきましては約千三百億、東北電力約二千五百億、東京電力約九千四百億、中部電力約三千九百億、北陸電力約千百億、関西電力約五千五百億、中国電力約二千億、四国電力約千百億、九州電力約二千四百億で、この九電力合計が二兆九千二百億、電発が約千四百億でございます。
  322. 小宮武喜

    小宮委員 すでに電調審で決定されていながら、やはり地元民の反対に遭って、未着工の分だけでも全体で千三百六十五万キロワットに達しておるわけですが、このいま挙げられた数字は、そういう電調審は通ったけれども地元民の反対による未着工の分は含まれていないのかどうか、この投資額は全額地元民の了解も得て建設中のものあるいは着工可能のものかどうか、その点ひとつ改めてお聞きします。
  323. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 ただいま申し上げました五十三年度の設備投資額の大部分は現在継続中の工事でございますが、その中に、ウェートとしては必ずしも大きゅうございませんが、電調審を通過しながらまだ着工に至らない電源工事も一部含めております。おおよそ金額にいたしまして二千億円程度ではなかろうかと推定いたしております。
  324. 小宮武喜

    小宮委員 昨年八月末に、総合エネルギー調査会基本問題懇談会から「整合性と実効性のある総合エネルギー政策の推進」という中間報告が出されておりますけれども、この中間報告によりますと、昭和六十年度及び六十五年度においてそれぞれ原子力発電が三千三百万キロワット、六千万キロワット、石炭火力発電が九百八十万キロワット、二千万キロワットの目標が示されておりますけれども、達成できる見通しはありますか。
  325. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 昨年八月、総合エネルギー調査会で策定いたしましたエネルギーの暫定需給見通しにつきましての数字は、ただいま御指摘のとおりでございます。  この暫定需給見通し策定に当たりまして、総合エネルギー調査会といたしましては、今後六%程度の経済成長を維持するといたしまして、昭和六十年度あるいは六十五年度においてどの程度のエネルギーを必要とするか、またそれを各種エネルギーでどのように供給確保するかということで策定されたものでございまして、われわれといたしましてはこれをぜひとも達成しなければならない、達成し得ない場合には六%の経済成長が維持できないということでございますので、まず省エネルギーを推進すると同時に、石炭、水力、地熱といった国産エネルギーの最大限の活用、あるいは石油に代替すべき原子力、LNGの開発、あわせて今後ともトータルエネルギーの中で高いウエートを占める石油の安定確保を図ってまいりたい、さようなことにおいて必要エネルギー量を確保いたしたいと思うわけでございます。  ただ問題は、電源あるいは石油の輸入基地等にかかわる立地問題がございます。この立地をどのように確保していくかということがこの目標値を達成するために大きなポイントになってくる、かように考えておりますので、地元住民の理解と協力を得る方向においてこの問題を適切に、また友好に解決していきたい、かように考えておるわけでございます。
  326. 小宮武喜

    小宮委員 率直に私の意見を言わしてもらうならば、原子力発電はもちろんのこと、石炭火力発電に対しても、現状のままでは達成は不可能に近いという意見を私は持っております。原子力発電についても、いわゆる核エネルギーと安全性の問題で住民に強硬な反対がありまして、建設が遅々として進んでいないのが現状なんです。それと火力発電にしても、温排水による漁業の被害を懸念する漁民の反対に遭って立ち往生しておるところがたくさんあります。そういうことから、この報告書にも、長いところでは建設に十年近い年月を要しておるということが言われておりますけれども、こういう硬直した現状を打開するために、こういった反対が起きないようにどうするか、この人たちとの間にコンセンサスを得るためにはどういう方途を講ずべきか、これらの問題をやはり真剣に考えなければ達成は不可能に近いということを私は考えるわけですが、政府はいかがですか。
  327. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 小宮委員御指摘のとおりだと思います。  したがいまして、われわれといたしましては、全体的、総論的な問題といたしましては、内外におけるエネルギー事情、その中におけるわが国の立場といったものを十分国民に理解していただくよう努力したいと思います。  個別的な問題につきましては、特に先ほどお話が出ております立地問題につきまして地元民の理解と協力を得る。そのためには、御承知のとおり、住民感情としてまだ不安感をぬぐい切れないものも一部にあるかと思います。あるいは地元に対する雇用機会の確保を含めまして経済的メリットが少ないといったようなものもその大きな原因になっておるのじゃなかろうかというふうに考えております。さようなところから、われわれといたしましては、より安全性、より高い信頼性のものとして関係の設備機器を改善していくと同時に、地元に対しまして、たとえば立地促進交付金等によりましてその経済的還付を図るといったような方策を進めていく必要があろうかと思います。この点、石油備蓄基地につきましても新年度から立地促進交付金制度を創設いたしたいということでお願いいたしておるわけでございます。また、電源につきましては、交付金を従来よりも五〇%ないしは一〇〇%増に拡充いたしまして住民の理解を得ていきたい、かように考えておるわけでございます。
  328. 熊谷太三郎

    ○熊谷国務大臣 お話のありました点につきまして、特に原子力発電所につきまして一言申し上げたいと存じます。  原子力発電所につきましても、先生の御指摘のようにきわめて困難な状況にあるということは御指摘のとおりでございます。特に原子力発電所につきましては、安全性ということが非常に問題になりまして、これが種々反対の原因をなしているという状態でございます。これにつきましては、同じ安全性に対する反対にいたしましても、緻密に考えてまいりますと、いろいろな面の反対があります。またその相手も、あるいは地元の市町村であったり、あるいは地元の県であったり、あるいは政府自身に対する不満や疑念であったり、いろいろあるわけでございます。したがって、そういう点に対する配慮をさらに密にいたしまして、そうして少なくとも地元と政府との間にそういういろいろな点に対する信頼性が一貫して貫かれるような、そういう理解と協力の方法を今後慎重にかつ周到に進めてまいりまして、原子力発電所がたとえ少しでも目標を達成できるように全面的な努力をいたしたい。決意を新たにいたしておるような次第でございますので、この上とも御理解と御声援をお願いしたい、このようにお願いを申し上げる次第でございます。
  329. 小宮武喜

    小宮委員 私どもにお願いされてもちょっと困りますけれども、私はやはりこういった発電所建設の問題、あるいは先ほど話が出ましたような石油備蓄の問題にしても、やはり漁業者とのコンセンサスを得ることが一番大事じゃないのか。幾ら計画を立てても、幾ら大所高所からいろいろ推進をしても、問題は必ずそこにひっかかるわけです。そこで前に一つも進まぬというのが現状ですから、そういった意味で、特に私は火力発電所の場合は、そういった漁民、漁業者とのコンセンサスを得るためにどうするかということが一番大きな問題だと思う。その立場から私は、主務官庁である水産庁の協力は絶対必要ではないか、こういうふうに考えます。その意味で農林大臣はエネルギー政策推進についてどのような考え方でおるのか、その点ひとつお聞かせ願いたい。
  330. 中川一郎

    ○中川国務大臣 わが国におけるエネルギー政策はきわめて重要なことでございますので、積極的に御協力しなければなりません。ただ、漁業者に対して農林省が直接説得に当たるということは、むしろ漁業者の反発を買いまして問題を一層複雑にする、こじらせるという心配もあります。  そこで農林省は、漁業者を守るという立場を堅持しつつも、漁業者が納得し得るような影響調査の実施手法等について関係者の指導に当たるとか、あるいは調査手法開発のための基礎的な調査をみずから行うとか、安全基準の設定に協力するとか、事業主体の拠出に基づく関連水産振興策について指導するとか、漁業者との間に入って調整を行っている都道府県当局等に指導助言を与えるとかを通じまして、側面的、間接的ではありますけれども、漁業者の円満な納得と、水産振興上問題のできるだけ少ない形で事業実施ができるように努めてまいっておるところでございますが、この辺は漁民感情もあることでございますので、われわれとしてもできるだけ御協力はいたしますけれども、われわれが先頭に立って説得ということになりますれば、弱い漁民の立場擁護の機関がなくなりますので、そういった態度を堅持しつつ、適宜この解決に側面的に協力したい、こういう態度でございます。
  331. 小宮武喜

    小宮委員 エネルギー政策というのは国の一つの大きな政策ですから、また、政府もこれを推進しようとしておるわけですから、閣僚の一人である農林大臣がこれを推進するために協力するのは、私は当然の責務だと思う。そういう立場から、先頭に立つということはいろいろ差しさわりもあるとか、確かにいろいろ問題もあります。しかしながら、いままでの現状を見てまいりますと、やはりある程度県に任せたきりだ、県の方も、いま言われたような立場に立って、余り積極的じゃない。だから、実際は行政の面からは何ら指導とかあるいはコンセンサスを得るための努力ということがなされておらぬと言っても私は過言ではない、そう思います。  そこで私は、なぜこの人たちが反対するのかということを考える場合に、漁業者の生活の保障というものを考えてやらなければいかぬと思いますよ。そういう立場から、最近の漁業界というのは、二百海里の問題からいろいろな問題が出てきて、非常に生活に不安を感じておることも事実ですから、そういう意味でむしろ、いま側面的協力とかなんとか言っておるけれども、大臣としてできることは、そういった漁民の方々の生活を保障し、安心できるような漁業政策というものを私は農林大臣立場としてはやるべきだと思う。大臣が直接行って交渉するとかなんとかいうことはなかなかむずかしいでしょうから、その面はそれとして、安心してそういうような建設にも石油備蓄にも協力しても生活が保障されるような漁業政策というものを私は樹立すべきじゃないかと考えますが、どうでしょうか、大臣
  332. 中川一郎

    ○中川国務大臣 御指摘のとおりでございます。ただ、電源三法によって交付金の制度もございますので、その方との関連において、漁業者が希望を持って、安心ができて操業ができ、電源開発にも協力できる、この両面から協力申し上げたい、こう思う次第でございます。  御指摘のとおり、エネルギー政策はわが国の将来にとって本当に大事な問題でございますので、ただ事業者だけに、あるいは都道府県の知事さんや市長さんに任せるだけの態度ではいけない、こう思う次第でございます。
  333. 小宮武喜

    小宮委員 そこで、私はやはりいま障害になっておる問題を具体的に取り除いていかぬと、エネルギー政策は全然前へ進みません。そういう立場から具体的な問題を提起してみたいと思う。  というのは、温排水の問題が一番大きな問題になるわけですよ。したがって、温排水が漁業に与える影響について、これは国としても、水産庁あたりと環境庁あたりで共同で研究して、そして何らかの温排水の安全基準というものをひとつ国としてもはっきり出すべきじゃないのか。いまは電力会社が、温排水によって発生するプランクトンを利用してタイの養殖だとかエビの養殖をやっておるわけです。しかし、企業がそういうことで安全だと言っても、なかなか受け取る方はそれは我田引水的に聞こえますから、国としても温排水に対する安全基準というものをつくるべきではないか。特にこれは水産庁と環境庁あたりでやるべきじゃないかと思いますが、どうですか、大臣
  334. 中川一郎

    ○中川国務大臣 全くそのとおりでございまして、大量の温排水が出ますと、排水口の周辺の海域の水温が上がることによって水産業に大きく影響するということで、目下海域環境の変化や生物相への影響等について、影響がありますので、環境庁では温排水の排出基準の設定についていま鋭意検討中でございますので、水産庁としてもこれに積極的に取り組んで、ともどもに排水基準というものをつくっていきたい、こう思っております。
  335. 小宮武喜

    小宮委員 特に大臣にお願いしておきたいのは、その温排水の安全基準というものをやはり早急に出していただきたいということをお願いします。  それと同時に、私は、いま電源三法によって、いわゆる立地とか周辺の自治体に対しては、いろいろ交付金がありますけれども、これを漁業組合に対しても——かなりいまころは、発電所建設も、原子力発電所建設も遅々として進まないので、交付金はもう五百億ぐらいたまっていますね、そのまま使い切れずに。毎年電源開発促進で取るわけです。しかし実際は、発電所建設がなかなか進まないということで、交付金が五百億ぐらいたまっておるわけだ。そういう状況の中で、漁業組合に対しても、私は、電源立地交付金の対象にしたらどうかという提言をするわけですが、これに対して農林大臣と、通産大臣でもいいし、ひとつその点の見解はどうでしょうか。
  336. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 いわゆる電源三法によりますところの電源立地促進対策交付金、これは、都道府県知事が策定いたします整備計画に基づきまして、公共用施設の整備事業の経費に充てるために地方公共団体に交付するというのが現行法の規定でございます。これとの関係におきまして、水産業につきましても、養魚施設、共同貯蔵所、水産加工品、こういった普及展示施設等、周辺地域の水産業の振興に役立つような施設に対しましても、事実上交付金は出ておるわけでございます。ケースによりましては、漁協がこういった事業の主体になっておるという例もございます。  御指摘は、直接漁協に対して交付できないかということでございますが、ただいま申し上げましたような整備計画の中に、都道府県知事が漁協等の意思を尊重して、その計画を組み入れていくということによりまして、事実上、御指摘のように漁協の意向を入れた交付金の交付ということも可能である、かように考えておるわけでございます。
  337. 中川一郎

    ○中川国務大臣 ただいま通産省から御答弁ありましたように、一定の整備計画でもって手続をすれば、市町村のみならず、漁業協同組合にも交付金が出るという仕組みになっておりますので、今後とも、水産業者を指導して、そういう方向に行くように取り組んでまいりたいと思う次第でございます。
  338. 小宮武喜

    小宮委員 いま、そういう実態になっておっても、電源三法でも、やはり地方自治体から見ればいろいろ条件がつくわけです。だから、いっそやるものなら、向こうの地方自治体がやはり自由に、ある程度裁量で使われるようなことにしないと、それは非常にそういうような意見が強いんですよ。ただ、もう枠をはめて、こういうような場合はできないとか、こういうような場合は使ってはいかぬとか、いろいろな条件が厳しいものだから、どうにも困るという声がいろいろ地方自治体から出ておりますから、そういう意味で、少し弾力的な運用ができるように、そのために、必要とあればいろいろな規定の改正も行って、それで漁業組合に、いろいろ制度としてはやれるようになっておっても、現実になかなかむずかしい。したがって、そういうようなものでむずかしい枠を設けないでも、向こうの漁業組合にやる、あるいは地方自治体にやるものについては厳しい制限を設けなくても、向こうの自由裁量で使用できるように、電源三法の改正を私はやるべきだ、こういうように考えるのです。したがって、そういう立場から考えると、もっとも交付金の引き上げの問題もあります。それは今度の五十三年度予算ではある程度引き上げられておりますけれども、そういったものを、やはりそういう一つ一つの規則にこだわり、いろいろな規定にこだわっておることによって、やはりエネルギー政策が一つも前に進まぬということになれば、私は、これは本末転倒だと思うんですよ。いかにしたらエネルギー政策が前に進むかということで、漁業者の方々のコンセンサスを得るための弾力的な運用をやっていかぬと、幾ら政府がエネルギー計画を立ててみても、それは絶対に前へ進みません。そういうことを私は特に申し上げたいのです。特に石油備蓄の問題についても、やはり漁業組合に交付できるように、石油立地交付税というか補助金というか、そういうようなものを、いまのところ、石油備蓄については立地交付金も今度から初めて実施されるわけですけれども、やはりこういったこともあわせて、いかにしたらエネルギー政策は前に進むかということで一つ一つの隘路を取り除いていくということを考えなければ、私は、机上のプランにすべて終わってしまうということを考えておりますので、その点、また通産省と、特に農林大臣からも、この問題は特にそういうような面で、いかにしたらエネルギー政策を推し進めるかという立場から、この問題にひとつ前向きに取り組んでもらわぬと、いたずらにいままでの規則だとか規定にこだわっておったのでは進みませんよ。どうですか、所見を聞きたい。
  339. 中川一郎

    ○中川国務大臣 弾力的運用によって大事なエネルギー政策が遂行されるように、余り手続その他という御指摘で、まさにそのとおりだと思うのでありますが、法律そのものが非常に厳しく、公共事業であって、整備計画を立てて、主務大臣の許可を得てというふうにきちっとなっておるものですから、法律がこうしてある以上、弾力的運用にはおのずから限界があると思いますが、そういった気持ちで処理をしたいし、また、法案についても、もし改正でもしてというようなことでもあれば、通産省ともよく相談をして、いずれにしても実効あらしめなければなりませんので、十分検討してみたいと思う次第でございます。
  340. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 交付金制度は、立地促進のために非常に有効な手段であると思います。もちろんこれがすべてではない。先ほども御指摘になった諸般の事情について、現地住民の理解と協力を得ていく必要があろうかと思います。ただ、交付金制度に限って申し上げますと、まさに御指摘になったようなことでございます。いろいろ法制的な問題もございますので、本来の交付金制度の趣旨に照らしまして、また、御指摘の点を十分念頭に置きまして、極力弾力的に運用してまいりたい、かように考えております。
  341. 小宮武喜

    小宮委員 石油備蓄の問題にちょっと入りたいと思いますが、これは石油備蓄法によって、昭和五十四年度末までに九十日間の備蓄が定められておるわけですが、最近、石油の需要が落ちたために、九十日間の備蓄をすでに達成したというような声もありますけれども、この石油備蓄については、大体百二十日分ぐらいまでふやす考え方がおありかどうか、これをひとつ通産省からお答え願いたいと思います。
  342. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 御承知のように、現在、五十四年度末を目標に九十日備蓄計画を民間主体、政府が側面から助成するという形で進めております。したがいまして、当面、民間ベースの九十日備蓄達成というのはまず第一次的目標でございますので、これが計画どおりに進捗するように最大限の努力をいたしたい。一方、こういった民間備蓄のほかに、石油開発公団法の改正をお願いいたしまして国家備蓄を進めたい、かように考えております。そういった主体性、国もみずからやるといったような新しい制度を創設することによりまして、さらに備蓄を強化してまいりたい。  民間備蓄を九十日以上に進めるかどうかということにつきましては、五十四年度末に九十旧備蓄を達成いたしましても、その後の需要の増大に応じまして、九十日備蓄ですら毎年数百万キロリットルの積み増しをやっていかなければいけない。そのためには、広大な土地と膨大な資金も必要であるといったようなことも踏まえまして、引き続き検討してまいりたい、現状においてはさような考え方でございます。
  343. 小宮武喜

    小宮委員 いまの説明にもありましたように、民間備蓄の九十日分以外に国家備蓄を一千万キロリットル行おうという方針でございますけれども、この問題にしても、最近タンカー備蓄という問題が出てまいっておりますけれども、このタンカー備蓄にしても、結局停泊地をどこにするかという問題で、また漁業組合との問題が起きてまいります。だから、もうすべてがそういう問題でやろうとすれば、やはり必ずそういうような問題にぶつかってくるわけです。だから、私は先ほどからこの石油備蓄の問題についての漁業組合とのコンセンサスを得るためにどうするかという問題をしつこく聞いておるわけですが、すべてそれみんなひっかかるわけです。そういう意味でこれは農林大臣に期待するところが非常に大でございますけれども、そういう意味では一千万キロリットルの石油備蓄は可能かどうか、自信があるかどうか、その点長官からひとつお答えを願いたい。
  344. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 一千万キロリッターの国家備蓄をやるためには、タンク容量は約一千二百五十万キロリッター必要とするわけでございまして、そのために現在私たちといたしましては三つのプロジェクトを進めたいということで、土地の手当てに新年度から入りたいということで準備を進めておるわけでございます。
  345. 小宮武喜

    小宮委員 余りこれで時間を費やすわけにもいきませんけれども、そこで、この石油備蓄の問題について海上備蓄の場合に、いわゆる安全性の問題、環境保全の問題について、これは運輸省がちょうど昨年の十月二十六日ですか、運輸技術審議会に諮問しておりますね。その結論が、大体答申が三月中には出るという話を伺っておりますけれども、三月中にはこの審議会の答申は確実に出ますか。運輸大臣にお聞きします。
  346. 福永健司

    ○福永国務大臣 私どもが関係しております海上備蓄につきましては、いまお話しのように審議会にかけております。  それで、実は小宮さん先ほどから御心配いただいております現地の漁民の人たちも、この考えに対しては大いに賛意を表してくれておりまして、できればもちろん世界一のものでございまして、五百五十万キロリッターないし六百万キロリッターというスケールのものでございますが、大体審議会の方は、いまお触れになりましたが、三月末か遅くも四月初めごろには答申があるもの、こういうように期待しておりますが、関係者は、その審議会でもこれならいい、大丈夫だと言っていただける自信を十分に持っているようでございます。ぜひ期待に沿いたいと考えております。
  347. 小宮武喜

    小宮委員 次は、雇用問題に入りたいと思います。  五十二年度の平均失業者数がどれくらいになる見込みですか、労働大臣
  348. 藤井勝志

    ○藤井国務大臣 現時点で、完全失業者は百十万人前後と推定いたしております。
  349. 小宮武喜

    小宮委員 百十万人とすると、現在まで明らかにされておる昨年四月から十二月までの平均失業者数が百六万人ですね。だから百十万人というと、一月、二月、三月にどれくらいの失業者が予想されるということになりますか。
  350. 藤井勝志

    ○藤井国務大臣 政府委員から……。
  351. 細野正

    ○細野政府委員 お答えいたします。  五十二年度の平均的な完全失業者の数は百十五万人というふうに政府は推定いたしております。  それから、いまお尋ねの五十三年の一−三についてのお尋ね……(小宮委員「いや、五十二年度の一月から三月までにたとえばどれくらいの失業者が出るか、ことしの一月から」と呼ぶ)ですから、ことしの一−三のあれにつきましては、例年雪などの季節的要因がございまして、それで失業者が増加する傾向でございますが、さらに構造不況業種とか円高の影響等も考えますと、かなり厳しい情勢が続くのではないかというふうに考えているわけであります。  なお、数字そのものにつきましては、景気の動向とか季節的な要因も絡みますので、なかなか予測が困難でございますけれども、前年の同期を上回るということを懸念いたしておるわけでございます。
  352. 小宮武喜

    小宮委員 政府がさきに閣議決定した来年度の経済見通しでは、五十二年度の失業者数の実績見込みが百十五万人と出ておるわけです。そうしますと、いま言う四月から十二月までの平均失業者数が百六万人ですから、もし政府見通しのとおりに百十五万人になる場合を想定してみますと、本年の一月から三月にかけて百四十一万人の失業者が出るということになるわけです。だからその意味で、恐らく構造不況業種からの失業者を予想されておられると思いますけれども、特にそういう問題で構造不況業種からの離職者を一月から三月までどう見ておるかということと、それから五十三年度の平均失業者数が幾らになるのか、その中で構造不況業種からの失業者がどれくらいになるのか、ひとつ数字を示してもらいたいと思う。
  353. 藤井勝志

    ○藤井国務大臣 五十三年度の失業者の見込みは確かに大変厳しい、五十二年度よりも一層厳しい状況だというふうに推定をいたしまして、大体、数字は未確定でございますけれども、少なくとも百三十万人台になる、このように一応見込んでおるわけでございます。そうして現在、特定不況業種離職者臨時措置法に基づく再就職者の援助計画に係る離職者の予定数は、一月二十五日現在で六千三百十一名出ております。そのうちの離職者求職手帳をもらっておる人は、その時点において八百五名、このようになっております。——私が百三十万台と言うのは五十三年の一−三月。補足訂正をいたします。
  354. 小宮武喜

    小宮委員 だから、それも必要だけれども、五十三年度の平均失業者数はどれくらいになる見込みかということです。その数字を言ってください。五十三年度の平均失業者数はどういう見込みか、それは一月から三月じゃなくて、三月も必要だけれども。
  355. 細野正

    ○細野政府委員 五十三年度の年平均につきましては、百十万人というふうに予想いたしております。
  356. 小宮武喜

    小宮委員 いまの五十二年度の失業者数、五十三年度の失業者の見込み数を見てまいりますと、やはりかなり構造不況業種から離職者が出てくるというふうになりますと、これはいま七%の経済成長率がどうだ、あるいは建設業者の雇用増が十七万とか八万とかいろいろ言われておりますけれども、むしろそういった構造不況業種から離職者が出てくることによって、たとえ七%の経済成長率を達成したとしても失業者は減らないということなんですよ、問題は。景気が回復した、失業者は減らぬ。むしろ逆に言えばふえる傾向になるかもわからぬ、そういう状態で果たして景気になったと言えるかどうか、七%経済成長を達成した場合でも。だから、そこにはやはり雇用問題が非常に大きな問題になってくるわけですけれども、そういうためにたとえば雇用機会の創出の問題ですね。これらをどういうふうに考えるのか、その点ひとつ労働大臣からお聞きします。
  357. 藤井勝志

    ○藤井国務大臣 御指摘のごとく雇用情勢はきわめて厳しい見通しでございまして、その前提の上にことしの一月二十日、円高不況下における雇用政策としていろいろ政策を打ち出しております。その中で特に新しい政策といたしましては、離職者を雇い入れた事業主に対して助成をする、そして民間の活力を生かして雇用の造出を図っていく、こういった政策と、それからもう一つ、やはり付加価値の高い産業あるいはまた第三次産業、こういった面、内容的にはいろいろございましょうが、消費とか生活とか福祉であるとか、こういった面において職業訓練などとの結びつきにおいて積極的に新しい雇用をつくり上げる。特に昨今の産業構造が変化し、したがって雇用構造が変化するというこの時代に対応する雇用政策、これはいまのような問題と関連をして解決していかなければなかなかむずかしい、このように思うわけでございます。もちろん公共事業の拡大によって失業者吸収率制度というものを積極的に活用することは当然でありますけれども、それだけでなくて、いまのような新しい雇用をつくり出していく努力をやらなければならぬ、このように思っております。
  358. 小宮武喜

    小宮委員 いろいろ抽象的なことを言われますけれども、これからの雇用対策の中心は、やはり雇用機会の創出が中心にならなければいかぬと私は思います。その立場から政府は、中期、長期に雇用の増大が期待されるような産業分野はどこか、そしてどれくらい雇用が確保できるかというような展望のもとに雇用機会の創出を検討すべきである。特に、この前労働省は技能者の需給実態調査をやりましたが、あれの調査結果を見れば、いま八十万人の技能者不足だということがはっきり出ておるわけです。たとえば自動車の運転者あるいは機械工あるいは縫製工、いろいろ出ておるわけですね。そうすると、そういうような問題を職業訓練とマッチさせながら、こういったところにどうして雇用を増大させていくかということをやはり労働省は抜本的に考えていただかぬと、ただいまのままでは、一方は好景気になると言ったって、仮に七%達成したとしても、しかし一方では失業者は一つも減らぬどころか、むしろふえていくということで、果たしてこれが景気回復だと言えるかどうかという問題があります。  だから、そういった雇用創出の機会について中期的、長期的に、いまの技能者の需給調査もやっておるわけですから、それをどう受け入れていくか、あるいは不況業種からの離職者をどういうふうにして受け入れていくか、そういう雇用対策をひとつぜひ考えてもらいたいと思いますが、大臣、どうでしょうか。
  359. 藤井勝志

    ○藤井国務大臣 御指摘の考え方は私も全く同感でございます。したがいまして、これからの雇用政策は職業訓練と表裏一体で推進すべきである、このように考えるわけでございまして、そういう面から考えましても、職業訓練法の改正ということを大いにやりたい、こういう考えを持っております。
  360. 小宮武喜

    小宮委員 こればかりやっていると時間がなくなりますから、せっかく外務大臣も来られましたので……。  一月二十七日に在日米軍司令長官の名前で全国に駐留する同軍関係者全員に、NHKの受信料は支払うに及ばずといういわゆる不払い宣言が出されております。内容は、在日米軍人及び軍属、その家族は、日米地位協定によって日本政府から免税特権を得ているので、国営放送であるNHKの受信料は一つの税金であり、支払う必要はない、こういうものになっておるわけですが、NHKの主張としては、米軍の受信料税金説を真っ向から否定しておりまして、やはり日本国内に居住する全居住者に適用されるものだという見解を持っておるわけです。  日米地位協定の第十三条第三項の免税条項の中にNHKの受信料は含まれているのかいないのか、その点をひとつ明確にしてもらいたい。
  361. 園田直

    園田国務大臣 お答えをいたします。  ただいま御指摘されました点は、これはNHKと米軍との折衝によってできるものでありますが、一方的にどうこう言うわけではありません。外務省としては、地位協定の第十三条第三項にこれが当たるかどうか。と聞かれれば、当然免除さるべき筋合いのものではない。
  362. 小宮武喜

    小宮委員 しかしながら現実にはやはり日米地位協定によって、集金のために基地内に入るということは不可能に近いことです。基地外の居住者に対しては受信料は徴収されておるのかどうか、その点郵政大臣から御答弁願いたい。
  363. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  日本国民同様、徴収いたしております。
  364. 小宮武喜

    小宮委員 まあ、その問題、信用するとしましょう。しかし、受信料の不払い問題はいつもNHK予算審議の中で問題になる問題でありまして、昨年も郵政大臣から意見書もつけられたという経過もあるぐらい非常に問題になっておるわけです。そういう中でいまNHKも一生懸命取り組んでおるところですけれども、基地内ではなかなか徴収というのは不可能に近い。だからそういう意味では、いま外務大臣は、これはNHKと在日米軍との間の問題だ、そちらの方で話し合いをして解決すべき問題だということを言われましたけれども、実際問題としてそんなことはできるはずはないのです。私がわざわざ外務大臣に来ていただいたのは、いまの免税条項の中には入っていないということははっきりしたわけですから、そうしたらやはり外務省としても在日米軍の方に働きかけをしていただいて、それは免税条項に入っていないのだ、だからひとつ協力してくれという理解と協力を求める努力をやっていただく以外にないじゃないかと考えるからです。その点、やるお気持ちはございますか。
  365. 園田直

    園田国務大臣 これは答弁しにくい問題でありますけれども、占領中の米軍様という感情が残っておりまして、NHKさんの方でもこれを当初からぴたっと取っておけばよかった問題でありますが、それが何か慣習みたいになっております。これは当然ひとつ、基地内に立ち入りができなければまとめて払ってもらうとか、方法は幾らでもあるわけでありますから、折衝をやってもらいたい。その折衝の段階において外務省にそういう話があれば、当然第三項に入るべきものでないという見解は述べるつもりであります。
  366. 小宮武喜

    小宮委員 大臣も努力しようということですから……。ただ、アメリカではテレビの受信料なんというのは取ってないし、アメリカの人たちはなじまぬわけですよ。金を取っているのは日本だけです。大体。だからそういう意味では、米軍の居住外であろうと基地内であろうと、テレビの受信料を払うということそのものについてやはり抵抗があるわけですよ、アメリカはただだから、日本だけだから。そういう意味ではなかなかなじまない点がございますから、やはり個々の家族が払うということは問題がありはせぬかという気もします。だからそうでない場合は、在日米軍として一括払っていただくか、それともそれも無理であれば、日本の在日米軍関係費が防衛庁あたりはあるでしょう、そういうところから大体一括して支払うということも考えられるではないか。この点外務大臣どうでしょうか。
  367. 園田直

    園田国務大臣 向こうで一括して支払わぬからといって、防衛庁であろうとどこであろうと、日本政府から金を出すことは、米軍駐留分担金の肩がわり負担、こう言われますから、出すわけにはまいりません。ただし、NHKの方もおられるかどうかわかりませんが、もっと激しくやっていただいて、そして問題にならなければ、片方が通告して払わぬでもいい、こう言ったときに、NHKさんの方で黙っておるのに、こっちが入って、それは払うべきだということではさまになりませんから、その点はひとつよろしくお願いいたします。
  368. 小宮武喜

    小宮委員 大臣、この問題が発生した背景というのはそこにあるわけですよ。基地外居住者に対してNHKが何とか納めてくれということで、いろいろ集金に行くわけです。だから、そういったことで米軍の家族の方々が、こういう受信料を取りに毎日来るけれども何とかしてくれということで、在日米軍の方に、司令官の方に申し込んだ。そこで司令官の方では、これは税金の一種であるから支払わなくてもよろしいという不払い宣言をやったといういきさつがありますから、大臣が言われておることは、もうすでにそのことによって不払い宣言が発生してきたということを考えていただいて、十分ひとつ検討してください。  もう時間が押し詰まりましたので、次は、造船の問題を質問いたします。  造船界の現状は、私からいまさら申し上げるまでもございません。したがってこの際、造船界の中でもやはり設備廃棄を含めた構造改善を早急に行うべきじゃないかという意見が強く出されておりますが、この所管省庁としての運輸大臣は、この造船界の設備廃棄を含む構造改善に対してどのように指導しようとしておるのか、この点ひとつお聞きします。
  369. 福永健司

    ○福永国務大臣 造船不況に対処いたしまして、当面どうするかということ等については、いろいろやっておりますが、いまお触れになりましたように、この状態はそう簡単に終わりそうにもない、なかなか受注環境等も悪い、こういう中においては、お話しのような構造改善を含む長期対策をぜひ必要とするわけでございます。私どもはいま関係審議会等にも諮っておりますが、こういう学のある人たちの話はもちろん参考に聞くといたしまして、諸般の施策をぜひ進めてまいらなければならない、強くそう感じておる次第でございます。
  370. 小宮武喜

    小宮委員 これは海造審にこの問題について諮問をしましたか。
  371. 福永健司

    ○福永国務大臣 審議会を開いて、その意見を取りまとめてもらって参考にしたい、こう書いてありますから(小宮委員「まだしておらぬじゃないですか」と呼ぶ)それで、もうすぐにやる、こういう意思表示と御理解を願いたいと思います。
  372. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 補足をさせていただきます。  昨年の十月以降、造船の受注環境は非常に厳しくなってまいりまして、十月から海運造船合理化審議会の有志の先生方と非公式に構造改善を含む問題について懇談をしてまいりました。年末に至りましてその事態が業界にも非常に強く認識されまして、そういう意味で業界関係者挙げて構造改善に取り組むべきだという意見にまとまってきましたので、そういう意味でできるだけ早く審議会にかけて関係者の意見を聴取し、その上に立って進めてまいりたい、こういうことであります。
  373. 小宮武喜

    小宮委員 参考のために聞いておきますけれども、設備廃棄を進める場合に必要な借入債務を保証するための債務保証基金制度の適用についてはどう考えますか。これは通産あたりでやっておりますけれども、運輸大臣
  374. 福永健司

    ○福永国務大臣 お話しのようにいたしたいと考えて、ただいま関係省、通産省などと折衝いたしております。ぜひそうしたいと思っております。
  375. 小宮武喜

    小宮委員 これは構造改善を進めることも必要なことではございますけれども、私はやはり、雇用維持を図るという立場からもっと積極的に仕事量拡大に努力すべきだと思うのですよ。構造不況業種、たとえば繊維の問題にしても平電炉の問題にしても、こういった不況業種というのはただ切り捨て御免ということじゃなくて、切り捨て御免で、そのためにあとは不況業種の離職者法案で受けざらをつくっておるから大丈夫だというような、そんな消極的なことじゃなくて、やはり不況業種対策をやらなければ、仕事の拡大をやらなければ、先ほど言うように逆に失業者はふえてくるというような問題もありますから、政府はこの造船業の仕事量拡大にどういう努力をされておりますか。
  376. 福永健司

    ○福永国務大臣 この点につきましては、当面の対策として幾つかのことをやっているということは、すでに小宮さんもよく御存じのとおりでございます。これを強力に推進してまいりますが、私が強く念願いたしますことは、先ほどお話しのように、職を離れたからその者にどう処置するというようなこともこれまた大変必要なことではございますが、それはそれといたしまして、将来に対して新需要を開拓するなり新分野を見出すなり、いろいろいたしまして、先の明るいものにしなければならぬ、こういう観点から、中にはすぐに間に合わぬじゃないか、きょうすぐに間に合わなくてもしばらくたてば花開くということにするような、そういう施策をどんどんやっていかなければならない、こういうように考えまして、その種のこともおいおい始めているところでございます。
  377. 小宮武喜

    小宮委員 すぐには間に合わぬけれどもおいおいやっておったら、というのでは間に合わぬ。それまでにつぶれてしまう。だからやはり早急に対策を立てなければ、構造不況業種と言われる業種はすべて、造船にしても鉄鋼にしても繊維にしても、その地域経済の中核になっておるわけです。だから構造不況業種がつぶれることは地域経済もそのまま沈没するということなんです。だから大臣、そうのんびりと待たれぬのです。そういう意味で、もっともっと運輸省は前向きで取り組んでいただかぬと、私の目に映るところでは、どうもその積極性が運輸省はない。  これは運輸大臣にもこの前言ったけれども、たとえばいま六日からロンドンでIMCOの全権会議が開かれております。それに対して日本はどういう態度をもって行ったかというと、向こうに行った上で、まあ各国の動きを見た上で態度を決めようということ、これは造船不況対策の問題だけでない、海洋汚染防止条約の改正ですから、大義名分としてはどこの国といえども海洋汚染防止条約に反対する立場でないわけです。日本政府はこの全権会議に臨むに当たって、SBTの問題をやるのだというぐらいの態度をもって行ってもらいたかったと思うけれども、この問題はもう時間が大体迫ってまいりますので……(福永国務大臣「それについていま一つ」と呼ぶ)それならひとつ、どういう態度で臨んだのか、大臣から答弁してください。
  378. 福永健司

    ○福永国務大臣 お話の途中で大変恐縮に存じますが、小宮さん、そういうようにお感じになっておったかもしれませんが、ロンドンの会議に臨むに当たっては、日本世界一の造船国であるし、同時に海運国としても相当なものだ、そういうような観点から、アメリカとイギリスが対立しているあの問題について、余り露骨に一方づいたようなことを言って片一方からいろいろ言われると、あれで決めた結果やはりその国々から注文が日本へ来るわけでありますから、船の改造にしましても。そういうことでありますから、そういう意味で余り刺激はしないけれども、話がうまくまとまるようにすることについては大いに留意しておけ、そのつもりで行けと言って行かせたのでございますが、一昨日電報が参りまして、こうこういうことで投票でけんかするのでなくてまとまりそうになった、こう対処してよろしいかということで請訓してまいりましたから、そのとおりにしろ、これが十七日の向こうの本会議で決まることになると思いますが、ただほおかぶりして見ておったというわけではないので、かなり積極的にその辺をうまくやれよと——その前に、ぼつぼつやっておって間に合わぬとおっしゃったが、当面のことは当面のこととしてやって、さらにその次への発展ということについてはつないでいかなければならない。どうも積極性がないようにおっしゃいましたが、私は多少積極性のある性分だとみずから思っておりますので、御鞭撻をいただきつつ今後に対処してまいりたいと思います。
  379. 小宮武喜

    小宮委員 これはわれわれから言わせればいろいろな意見があるわけです。特にOECDの造船部会あたりでも、向こうから押されっ放しで、それで標準船価の五%上げてみたり、そのために——円高が現在続いておる。そうすると、実際問題として日本の実質船価はどれだけ上がったことになりますか。
  380. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 お答え申し上げます。  OECDで船価の五%引き上げ、これは数字は約束しておりませんが、船価を引き上げる努力をするという話が出たのは昨年の二月でございますから、当時から見て約二〇%強上がっておると思います。したがいまして、五%を加えますと二五%上がっておりますが、ただ競争相手でありますヨーロッパ諸国の通貨もドルに対しましてはかなり上がっております。そういう状況でございます。
  381. 小宮武喜

    小宮委員 いろいろ言いたいことはあるのだけれども、余りやると時間がなくなるので……。  それでは、カーター政権がアメリカ領海における海洋汚染防止の立場からタンカー規制法をいま国会に提出しておりますが、このタンカー規制法の行方はどうなる見通しですか。運輸省、わかっておるでしょう。
  382. 後藤茂也

    ○後藤(茂)政府委員 お答え申し上げます。  現在、アメリカの議会で審議されておりますカーターの提案にかかわるタンカー規制法案は、上院の委員会を通過をいたしまして、まだ本会議を通過したということは承知しておりません。同様の法案が下院で審議されるのを待っておるという状態であると承知しております。ただ、アメリカの国内もこの問題についてはきわめて論議が紛糾しておるようでございますから、原案どおりタンカー規制法案がアメリカ議会で通過するかどうかということについては予断を許しませんし、また従来のアメリカ政府がわれわれに向かって説明しておる態度から想像いたしますと、ただいま話題になりましたロンドンにおきますIMCOの会議の帰趨というものもアメリカの行政府としては当然に考慮をするものだ、このように承知をしております。
  383. 小宮武喜

    小宮委員 IMCOの会議で大体その結論が出たことは私もけさの新聞で承知しておりますけれども、この中身については、もう時間がないので触れません。ただ、こういう円高傾向はいつごろまで続きますか。大蔵大臣おられますな。
  384. 村山達雄

    ○村山国務大臣 為替相場のことでございますので、相手方のあることでなかなかわからないのでございますが、またその見込みを述べることも、仮に私的なあれでございましても、立場上ありますので、ひとつ御容赦いただきたいと思うのでございます。
  385. 小宮武喜

    小宮委員 まあいいわ。時間がたつのがもったいない。だから、運輸大臣、いま実質的な日本の船価が——標準船価の上積みを五%やった、OECDからの圧力に屈して。それで円高問題で実質的に二五%に上がっている。これだからなおさら受注が困難になってきたという経過になっておるわけですね。だからここで円高傾向が今後もやはり長期間続くとするならば、当初五%の船価上積みをやった時点と情勢が変わってきておるわけですから、円高傾向の問題について、運輸大臣が、円高を下げるとかなんとか一人で騒いだってどうにもなるものではないし、少なくとも大臣ができることは、標準船価の五%切り下げぐらいが大臣ができることですから、その意味では標準船価の五%をもう取っ払ったらどうですか。
  386. 福永健司

    ○福永国務大臣 いま小宮さんの激励をいただいて、その話だと簡単にいくかのようでございますが、これまたなかなか問題がございます。問題はございますけれども、こういう情勢下にあって御説のごとく何らかの措置を講じなければならぬということは私も同感でございます。いろいろこれから研究をいたしまして、御説のとおりになるかならぬかはわかりませんが、何らかの措置をとりたいというように希望をいたしております。
  387. 小宮武喜

    小宮委員 希望より、みずから努力してもらわなければいかぬですね。  そこで、ひとつ私の方から具体的に、どうしたら仕事量がふえるかということについて一つのヒントを与えますから……。たとえば昨年六月、総合エネルギー調査会の需給部会が発表した「長期エネルギー需給暫定見通し」によれば、石炭輸入は対策促進ケースで六十年度が一億二百万トン、六十五年度が一億四千四百万トン、五十年度の実績の六千二百三十万トンに比べて一・五倍、二・三倍にふえるようになっておるわけです。したがって一般炭の輸入あたりはものすごいほどで、これはもちろん火力発電所の完成するものが含まれてくるわけですが、一般炭も五十年度実績は五十万トン、これが六十年の対策促進ケースでは一千六百万トン、それから六十五年は四千万トン、こうなりますと、私は念のために運輸省の海運局と船舶局、それから通産省の石炭部に計算させてみた。そうしたら、十万トンの石炭運搬船が昭和六十年までには、年十回航海したとして、いまの邦船積み取り比率を三六%見ても、早速もう八隻ぐらいつくらなければいかぬということです。それで、五十五年から一般炭の輸入はものすごくふえるわけですから、五十五、六年までにつくるとすれば、もう来年くらいから、昭和五十四年くらいから常に十万トンの石炭運搬船を計画造船あたりでやらなければ間に合わない。もちろんいま六千万トン、八千万トンまでの輸送に対しては少し余裕がありますけれども、その八千万トン輸入までの余裕を見ても、私が言う数字は、これはもう十万トンの石炭専用船を大体七隻か八隻、六十年までに間に合わせなければいかぬわけです。だからその意味では電力会社が荷主保証をやるわけですから、運輸省は、船をつくります。ああそうかとただ判こを押すだけじゃなくて、造船不況がこれだけ深刻になってきておれば、ひとつ電力業界にも呼びかけて、海運業界にも呼びかけて、そうしてやるというぐらいのことをしないから、私が運輸省は消極的だと言うわけですよ。やる方法はあるじゃないですか。だから石炭専用船についてどういう姿勢で取り組むのか、ひとつお聞きします。
  388. 福永健司

    ○福永国務大臣 激励をいただいておりますところは恐縮に存じます。ただ、いろいろ事情があって、いま小宮さんがおっしゃるとおりにはなかなかいかぬような話も私のところで耳にいたしております。その点に関しまして局長からお答えさせます。
  389. 後藤茂也

    ○後藤(茂)政府委員 お答えいたします。  長期的に見まして、先生御指摘のように、石炭、石油その他のエネルギー源を専用船をもって輸送する、当然の形でもございますし、従来の日本の船舶整備の基本的な考え方もそのような考え方に基づいてまいってきております。ただ、当面、ただいま目の前の問題として考えますと、一般的に船腹は非常な過剰ぎみでございまして、ただいまお話にございましたような荷動きというものが、現実にはまだ商売上の問題になっていないと思いますけれども、具体的に仮にあるといたしましても、現在過剰なる船腹というものの一部がそれに吸収されるということであって、新たなる船体整備というものの話と結びつくかどうかについては相当に疑問に存じます。
  390. 小宮武喜

    小宮委員 それは船舶全体はやはり過剰傾向にありますけれども、やはり石炭を専門に運搬する船と、タンカーとか、そういうようなバルクキャリアとか、いろいろ船型が違うわけですから、船全体は余ったとしても、そのためにはそういうタンカーにしても、そういうようなバルクキャリア、オアキャリアにしても、こういうようなもので改造しなければならないという問題があるわけですよ。だから、本当に取り組むならばまだまだやることがあるのじゃないか、こういうふうに考える。それを検討してみて、そうかということに皆さんが言われるなら、まだわかる。たとえばLNGにしても、これも五十年度実績は五百六万トン、これが六十年度は三千万トン、六十五年は四千四百万トン輸入することになっている。LNG船の問題、いままではLNGのプロジェクトに日本は参加していないから、もうみんな向こうの船を使っておったけれども、今度はイランとインドネシアのプロジェクトに日本は参加するわけだから、金も出すかわりに口も出していいわけで、すべて外国のLNG船、LPG船を使わなくても、われわれのもつくろうじゃないかという発言力が出てくる。いますべてが外国の船に依存しているでしょう。こういう状態では事一たんある場合は、エネルギーの安定的確保の問題は、これは不可能ですよ。だからそういうことも考えて、大体邦船の積み取り比率は、やはり五〇%くらいにしておかぬと大変なことになりますよ。そういう意味でLNG船、調査費が今度ちょこっとついておりますね、LNG船、LPG船の建造について運輸省はどう考えておるのか。
  391. 福永健司

    ○福永国務大臣 御説のように、まるまるいくというわけにはあるいはいかぬかもしれませんが、明るい話でございますから、検討させることにいたします。
  392. 小宮武喜

    小宮委員 これも私が海運局と船舶局に計算をさせてみて、これだけ輸入するのにはLPG船だけでも昭和六十年までに十九隻要る。LNG船がイランとインドネシアと合わせた場合に二十九隻なんです。未手当て船として不足するわけです。だからそういう問題を考えれば、政府が本当に取り組むならば、いまの構造的不況業種と言っても、本当にたとえばほかの業種にしたってある程度の歯どめはできるはずです。問題は、それをやはりやるか、やらぬかです。私がどうも運輸省は消極的だと言うのはそこにあるわけです。これでは運輸大臣も一生懸命やっておるとは言えませんね。  それから、そろそろ時間も来ますので、いわゆる浮体構造物による空港問題、どうですか。
  393. 福永健司

    ○福永国務大臣 関西新空港の建設について、埋め立て方式とか、桟橋方式とか、浮体構造方式とか、いろいろあるわけであるが、一応航空審議会の答申は、埋め立てを主体とするという表現になっておりますが、私が申し上げるまでもなく、いま造船が非常に不況である、また鉄なんかも幾つか溶鉱炉をとめているというような状況等であるにかんがみまして、私はそういうことも念頭に置きつつ、かつまた海上につくるということは騒音等公害問題を考えた場合に最も適切であるというようなこと等から考えまして、これは私が言ったからすぐにそうなるという問題ではありません。地元とも相談をしなければならないし、いま審議会等でもいろいろ検討もしてもらっておるのですが、こういう事態であればあるほど、いろいろなことを念頭に置いて最もいいことにする。主体ということは、それっきりでやるということでもないし、いろいろの方法を講じて最もよきものを最もいま望ましいような方法でやるということであろうと思いますので、その中において私は浮体構造というようなことも考慮していくのが賢明な方策ではないか。いまもかたくそう信じております。
  394. 小宮武喜

    小宮委員 もう時間が大体あと一、二分というところですから、最後の質問を行います。  特に二、三日前も造船の下請業者の方々が総決起大会を開きまして、船舶局長も来てあいさつをされたわけですが、ここにおる方々も、この中に二、三人来られた方もおりますけれども、やはりもっと、一番問題になっている解撤事業を積極的に進めるべきではないか。これは、いまはなるほど五十二年度予算で総トン当たり、一トン当たり六百五十円の助成金がついておりますけれども、これではやはり中古船の買船の価格の問題あるいはスクラップの現在の相場から見て、もう大幅な赤字が出るということで、その解体事業組合をつくっておるけれども、だれもこれを取り組もうとしない。だから五十二年度予算はもうゼロなんです。全然使っていない。そうすると今度は運輸省は、使ってないから、これはもう五十三年度要求はしないということ。もちろん、大蔵省からもそう言われたかもしれませんが、そういうことではだめなんで、この造船不況でやはり一番しわ寄せが来るのは下請なんですね。もう気の毒ですよ。だから、そういうふうな人のために、もっともっとやはり公的機関によるいわゆる買船を、中古船を買うとか、あるいは解体したスクラップはたとえば備蓄をするかということで赤字の格差をなくして、この人たちが解体事業によって雇用をいかにして維持していこうかと一生懸命ですから、そういう意味でこの解体事業の推進の問題について運輸大臣はどう考えられておりますか。
  395. 福永健司

    ○福永国務大臣 いまも御指摘のような次第でございますから、解体事業につきましては大いに推進いたしたいと考えます。
  396. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 ちょっと補足させていただきます。  五十二年度で一億四千六百万、解撤の補助金をいただきまして、当初技術改善のためにということで使う予定でございまして、最近ようやく関係者の努力が実りまして、一部において実行に移されつつある状態でございます。
  397. 小宮武喜

    小宮委員 以上のように造船不況克服の問題について幾多の具体的な例を申し上げましたけれども、ほかにもまだまだあるのです。この造船だけでなくて、繊維の問題、いろいろありますけれども、ただすぐ切り捨て御免ということでなくて、本当に不況克服対策に政府が本気で取り組んでいただくならば、ある程度の歯どめはできるわけですから、そういう意味で、今後政府がこの造船不況対策に積極的に取り組むことを強く要請して、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  398. 中野四郎

    中野委員長 これにて小宮君の質疑は終了いたしました。  次回は、明十六日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十分散会