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1978-02-06 第84回国会 衆議院 予算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年二月六日(月曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 中野 四郎君   理事 小此木彦三郎君 理事 加藤 六月君    理事 栗原 祐幸君 理事 毛利 松平君    理事 山下 元利君 理事 安宅 常彦君    理事 大出  俊君 理事 近江巳記夫君       伊東 正義君    奥野 誠亮君       海部 俊樹君    金子 一平君       川崎 秀二君    笹山茂太郎君       塩崎  潤君    澁谷 直藏君       田中 龍夫君    田中 正巳君       谷  洋一君    谷川 寛三君       葉梨 信行君    浜田 幸一君       藤田 義光君    古井 喜實君       坊  秀男君    松澤 雄藏君       松野 頼三君    渡部 恒三君       井上 普方君    石野 久男君       石橋 政嗣君    岡田 利春君       岡田 春夫君    川俣健二郎君       小林  進君    兒玉 末男君       藤田 高敏君    湯山  勇君       横路 孝弘君    沖本 泰幸君       坂井 弘一君    広沢 直樹君       二見 伸明君    正木 良明君       矢野 絢也君    大内 啓伍君       河村  勝君    安藤  巖君       柴田 睦夫君    寺前  巖君       大原 一三君    小林 正巳君  出席国務大臣         内閣総理大臣  福田 赳夫君         法 務 大 臣 瀬戸山三男君         外 務 大 臣 園田  直君         大 蔵 大 臣 村山 達雄君         文 部 大 臣 砂田 重民君         厚 生 大 臣 小沢 辰男君         農 林 大 臣 中川 一郎君         通商産業大臣  河本 敏夫君         運 輸 大 臣 福永 健司君         郵 政 大 臣 服部 安司君         労 働 大 臣 藤井 勝志君         建 設 大 臣         国土庁長官   櫻内 義雄君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長         北海道開発庁長         官       加藤 武徳君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      安倍晋太郎君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)     稻村左近四郎君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      荒舩清十郎君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 金丸  信君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      宮澤 喜一君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      熊谷太三郎君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 山田 久就君         国 務 大 臣 牛場 信彦君  出席政府委員         内閣法制局長官 真田 秀夫君         内閣法制局第一         部長      茂串  俊君         内閣総理大臣官         房管理室長   藤井 良二君         内閣総理大臣官         房同和対策室長 黒川  弘君         公正取引委員会         委員長     橋口  收君         公正取引委員会         事務局経済部長 妹尾  明君         公正取引委員会         事務局取引部長 長谷川 古君         公正取引委員会         事務局審査部長 野上 正人君         行政管理庁行政         監察局長    佐倉  尚君         防衛庁長官官房         長       竹岡 勝美君         防衛庁防衛局長 伊藤 圭一君         防衛庁人事教育         局長      渡邊 伊助君         防衛庁衛生局長 野津  聖君         防衛庁装備局長 間淵 直三君         経済企画庁調整         局長      宮崎  勇君         経済企画庁総合         計画局長    喜多村治雄君         科学技術庁計画         局長      大澤 弘之君         科学技術庁原子         力局長     山野 正登君         環境庁企画調整         局長      信澤  清君         国土庁土地局長 山岡 一男君         国土庁大都市圏         整備局長    国塚 武平君         法務省刑事局長 伊藤 榮樹君         法務省人権擁護         局長      鬼塚賢太郎君         外務省国際連合         局長      大川 美雄君         大蔵省主計局長 長岡  實君         大蔵省主税局長 大倉 眞隆君         大蔵省関税局長 戸塚 岩夫君         大蔵省理財局長 田中  敬君         大蔵省銀行局長 徳田 博美君         大蔵省国際金融         局長      旦  弘昌君         国税庁長官   磯邊 律男君         文部省初等中等         教育局長    諸澤 正道君         文部省大学局長 佐野文一郎君         文部省学術国際         局長      井内慶次郎君         文部省管理局長 三角 哲生君         厚生省公衆衛生         局長      松浦十四郎君         厚生省医務局長 佐分利輝彦君         厚生省薬務局長 中野 徹雄君         厚生省社会局長 上村  一君         厚生省児童家庭         局長      石野 清治君         厚生省保険局長 八木 哲夫君         厚生省年金局長 木暮 保成君         農林大臣官房長 松本 作衞君         農林省農林経済         局長      今村 宣夫君         農林省構造改善         局長      大場 敏彦君         農林省農蚕園芸         局長      野崎 博之君         食糧庁長官   澤邊  守君         通商産業大臣官         房審議官    山口 和男君         通商産業省産業         政策局長    濃野  滋君         通商産業省生活         産業局長    藤原 一郎君         工業技術院長  窪田 雅男君         資源エネルギー         庁長官     橋本 利一君         中小企業庁長官 岸田 文武君         運輸省航空局長 高橋 寿夫君         気象庁長官   有住 直介君         郵政大臣官房電         気通信監理官  江上 貞利君         郵政大臣官房電         気通信監理官  神保 健二君         労働大臣官房長 石井 甲二君         労働省労政局長 北川 俊夫君         労働省労働基準         局長      桑原 敬一君         労働省労働基準         局安全衛生部長 野原 石松君         労働省職業安定         局長      細野  正君         労働省職業訓練         局長      岩崎 隆造君         建設大臣官房長 粟屋 敏信君         建設省計画局長 大富  宏君         建設省都市局長 小林 幸雄君         建設省住宅局長 救仁郷 斉君         自治省行政局長 近藤 隆之君         自治省財政局長 山本  悟君  委員外出席者         会計検査院長  佐藤 三郎君         日本電信電話公         社総裁     秋草 篤二君         日本電信電話公         社建設局長   高橋 敏朗君         住宅金融公庫総         裁       大津留 温君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     澤田  悌君         予算委員会調査         室長      三樹 秀夫君     ――――――――――――― 委員の異動 二月六日  辞任         補欠選任   正示啓次郎君     谷川 寛三君   白浜 仁吉君     谷  洋一君   根本龍太郎君     葉梨 信行君   松野 頼三君     浜田 幸一君   兒玉 末男君     湯山  勇君   浅井 美幸君     沖本 泰幸君   矢野 絢也君     正木 良明君   松本 善明君     柴田 睦夫君 同日  辞任         補欠選任   谷  洋一君     白浜 仁吉君   谷川 寛三君     正示啓次郎君   葉梨 信行君     根本龍太郎君   浜田 幸一君     松野 頼三君   湯山  勇君     兒玉 末男君   沖本 泰幸君     浅井 美幸君   正木 良明君     矢野 絢也君   柴田 睦夫君     安藤  巖君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和五十三年度一般会計予算  昭和五十三年度特別会計予算  昭和五十三年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 中野四郎

    中野委員長 これより会議を開きます。  昭和五十三年度一般会計予算昭和五十三年度特別会計予算及び昭和五十三年度政府関係機関予算、以上三件を一括して議題とし、総括質疑を行います。  この際、一昨日の藤田君の質疑に関し、村山大蔵大臣から発言を求められておりますので、これを許します。村山大蔵大臣
  3. 村山達雄

    村山国務大臣 政府といたしましては、藤田委員指摘の御趣旨を踏まえて、これが解決への具体的構想予算審議中に提出するつもりでございます。
  4. 中野四郎

  5. 藤田高敏

    藤田(高)委員 大蔵大臣からあのような御答弁がありましたが、財政法四条の基本的な趣旨を十二分に踏まえまして、私が期待できるような、社会党が期待できるような、そういう具体的な構想が提示されることを強く期待いたします。  したがいまして、自余の質問事項につきましては、留保いたします。
  6. 中野四郎

    中野委員長 これにて藤田君の質疑は、保留した問題を残し、一応終了いたしました。  正木良明君。
  7. 正木良明

    正木委員 予算委員会も、始まりましてから相当多岐にわたる問題が論議されましたので、私はできるだけそれと重複しないように、別の観点から政府に御質問を申し上げたいと思います。  やはり何と申しましても本年度予算は、五十二年度の第二次補正予算とつなぎ合わせて十五カ月予算、しかもその目的は現在の深刻な不況をいかに克服するかということに問題が集中をいたしておりますし、その目的意識は私も同様でございます。ただ、わが党の矢野委員からも指摘をいたしましたように、少なくとも不況を克服するために必要な七%の実質経済成長率を、果たして公共事業一本やりで達成できるかどうかということにつきましては、私も大きな疑問を感じておるわけでございます。  そこで、問題を公共事業ないしは住宅建設問題にしぼりまして、これが果たして政府が期待しておるような成果を上げ得るかどうか、この問題について数々の障害となるべき問題点が予想されるわけでございますが、その点を具体的に総理並びに関係大臣質問を申し上げたいと思います。  まず第一に、政府が意図をいたしております公共事業執行によって政府財政支出がとみに高まる、このことによって建設資材中心とするところの民間設備投資が増大するであろう、同時に、このことによって雇用の拡大が行われるであろう、同時に、そのことがやがては個人消費増加につながっていくであろう、そのためには最も効率的な公共事業こそが適切であるという御判断であろうと私は思うのでありますが、果たしてこの公共事業執行民間設備投資がどのような形で増加してくるかというと、これはきわめて疑問と言わなければなりません。  一つは、やはり計画が明示されていないといけません。いわゆる五十四年度、要するに次年度以降の公共事業執行状況というものが、概略にしろ五十三年度公共事業よりも五十四年度、五十五年度はそのままの規模が維持されるのか、極端に小規模になるのか、この点がはっきりと判断できませんと、これはもう当然に先行きどうなるかわからぬということで、最も需要が高まると思われる建設資材設備投資においても増加をするということはあり得ないと私は思うのでありますが、こういう点において、一つは、わが党が提案をいたしておりますように、公共事業執行中期計画というようなものをつくる考えがあるのかどうか。もしその考え方がないというならば、いま総理がお考えになっている五十四年度以降の公共事業事業量というものについてはどのような予想を持っておるのか、これをお聞かせいただきたいと思います。
  8. 村山達雄

    村山国務大臣 ただいま正木委員のおっしゃったことはごもっとものことでございますが、御承知のように政府といたしましては、各種の公共事業につきまして中長期の計画を持っているところでございます。すなわち百兆円というものを五十年から五十五年までにやりますということを申し上げているわけでございまして、今度の公共投資を大きく伸ばしまして景気を伸ばそうというのは、現況にかんがみまして、それによって繰り上げ施行をやっていこうというところでございますから、全体としては、あの中期計画でごらんいただければおわかりかと思います。  それからなお、この前は試算の形でございましたけれども、財政収支試算、これはまあ別の角度で試算をいただいたわけでございますけれども、これも五十七年度特例公債から脱却しつつ、しかし、やはり全体としての経済成長がどうなるか、そしてまた公共事業との関係、五カ年計画との関係、こういったものについて整合性を持ちつつやっているところでございます。  しかし、もとより来年度中期計画の中でどのような公共事業投資についてやるかということにつきましては、これは来年度現況を見ましてさらに判断をしていかなければならぬと思っているのでございます。  私たちは、少なくとも今度のこれだけの大幅な公共投資、これだけ大きな借金をしておるのでございますので、何とかして経済安定路線に乗るということ、これをもうひたすら懇願し、それを期待している状況でございます。
  9. 正木良明

    正木委員 来年度、来年というよりもことしの景気の経過を見てみないとわからないけれども、少なくとも五十年代前期の経済計画ないしは、この間出して一応たな上げになりましたけれども、あの試算では、建設国債財源とするところの公共事業は減らすつもりはない、したがって、公共事業はやはり政府財政支出中心とするところの景気回復という意味で、今後も相当大幅なものを考えていると了解してよろしいですか。
  10. 村山達雄

    村山国務大臣 御指摘のとおりでございます。
  11. 正木良明

    正木委員 また、いま大蔵大臣から、五十二年度と同じように公共事業前倒しというふうに解釈される御発言がございましたが、果たして前倒しという意味は、昨年よりも三四%以上激増しておるところの公共事業が、別な言い方をいたしますと相当早い時期に集中発注されるであろうということになります。実は本年の、本年というのは昭和五十二年度公共事業執行状況というものを政府からちょうだいをいたしておりますが、あれは四月から九月までの上半期に集中発注をするのだということで、いわば七〇%程度の成約率があったわけですね。ところが、十一月に調査をいたしますと七八%、そして十二月末でようやく八〇%の台に乗せることができたということでありまして、これは必ずしも前倒しというものの成果は上がっていない。このことは何を意味するかといえば、そのように前倒し集中的に公共事業発注いたしましても、それの消化能力というものが地方自治体ないしは建設業者の方に準備されていないと考えて差し支えないと思いますが、その点どうですか。
  12. 村山達雄

    村山国務大臣 お答え申し上げます。  いま十二月末までの進捗率が出ておりまして、現在八三%台に乗せているわけでございます。その意味で私は、今度二次補正で三千六百億ほどのものをいたしましたけれども、完全消化は可能であろうということで、いま各省庁とその促進方を詰めているところでございます。
  13. 正木良明

    正木委員 過去の昭和四十一年度だとか四十六年度等の例が提示されておりますが、この辺で別段、前倒しというような形での公共事業執行をしたのではなくて、すでにもう本年の、要するに昭和五十二年度の八三%をはるかに上回っているわけですね。ですから、前倒しというやり方、必ずしも私は悪いとは思いませんけれども、ただ前倒し発注すればいいという説得だけで、われわれに公共事業というものについての執行の態度を表明されておりますが、それはきわめてむずかしい問題であるということを指摘をしなければなりません。  余り時間をとれませんから次へ進めてまいりますが、そのために必要な問題は、一つは、公共事業の七〇%、七割までが地方自治体発注をいたします公共事業であります。これは財政的には地方債等の問題について手当てをしたと地方財政計画の中では出ておりますけれども、しかし、この問題について地方交付税の隠された国債化の問題等々がございますが、これは別途わが党から地方行財政専門家が御質問を申し上げると思います。  このことはさておいて、これは政府保証をいたします政府資金以外の縁故債等の問題も相当部分含まれておりますが、これの消化について、自治大臣とそれから大蔵大臣から、その確信のほどを承りたいと思います。
  14. 加藤武徳

    加藤国務大臣 御指摘のように、国のいわゆる公共事業相当部分補助事業でございまして、地方がやらなければならぬのでありますのと、さらに五兆円を超えますような地方単独事業もやっていかなければならぬのでございますから、これが消化には、御指摘のように大変なことでございます。  そこで、国とよく相談をいたしまして、今年度比較をいたしますと相当大幅の政府資金起債に充当いたすのでありますが、なおかつ相当縁故債を必要とすることは御承知のとおりでございます。昨今は金融事情が従来とは若干違いますので、その点では恵まれているとも言えようかと思うのでありますけれども、ただ、公共団体が個々の金融機関と交渉いたしまして金利等を決めていきますには非常な苦労があるのであります。そして政府資金比較をいたしますと利息も若干高い、このことを実は心配をいたしておるのでありまして、中央からは積極的に地方団体金融情勢等を知らしてまいりますとか、また、むずかしい場合には私どもや都道府県が市町村を十分に指導をいたしますとか、さような措置を総合的にとってまいりまして、縁故債消化心配がないような体制をとる、かような方針でまいっているところであります。
  15. 村山達雄

    村山国務大臣 大蔵省といたしましてもその点を最も心配いたしたわけでございまして、結局は七割ぐらいの公共事業地方においてやらなければならぬところでございますので、第一に、いろいろな手当てをしたわけでございますけれども、いわゆる財源対策債、これはもう完全に見て、そして財源としてお困りにならないようにした点が第一点でございます。  なお、特にそのうち市町村財源対策債については、今度は起債がむずかしゅうございますから、運用部で全部引き受けることにいたしたのが第二点でございます。  それから、全体として政府資金割合、それから公営公庫資金割合、これを飛躍的に伸ばしたつもりでございます。  そういうことによりまして、縁故債は九%しか伸ばさない。ほかは二十何%伸びているわけでございますが、それを九%ぐらいにとどめる、絶対額では今年度よりもやや減らすというぐらいのところでございます。  さらに、その縁故債消化状況考えてみますと、最近は公社債市場が非常に大きくなりまして、おととしは大体公社債市場は私は六十何兆だと思いますが、去年は四月から暦年で申しまして百十何兆になりまして、約八〇%増の市場規模を持っておるわけでございます。  その中身を見てみますと、やはり縁故債相当流通しておりまして、金融債とともに縁故債の売買が非常に円滑にいっているという事情を見ておりますので、今度の政府財源手当て資金手当て、それから現在の市況から見て、まず大丈夫じゃないか、このように踏んでいるところでございます。
  16. 正木良明

    正木委員 いや、それはこれからやることですからね。お答えいただくのは、大丈夫だろうというよりも、もし大丈夫でなかったときにはどうするかという問題をこれからお答えいただかなければならぬだろうと思うのです。自治大臣は、もし都銀、地銀等縁故債を引き受ける金融機関について非常にその消化が円滑を欠くようなことがあれば自治体指導するとおっしゃいましたが、これは自治体を幾ら指導したってどうしようもないのであって、指導すべきは、それを引き受ける金融機関指導しなければいけないのでありますが、それは自治大臣としてはそこまでは言えないだろうと思いますが、大蔵大臣どうですか。もし円滑を欠いたときにはそういう手をお打ちになりますか。
  17. 村山達雄

    村山国務大臣 ただいま申し上げましたような理由で、私は、大丈夫いけると思いますが、正木委員指摘のように、もしそれが困難というような事情があれば、当然のことでございますが、大蔵省金融機関に対して指導してまいるつもりでございますので、御懸念になるようなことにはならないように努力してまいりたい、かように思っておるわけでございます。
  18. 正木良明

    正木委員 次の問題は、公共事業には自治体前渡金というのを渡すのです。前渡し資金というのを渡すわけです。これは、建設業保証会社が三つか四つございますが、そこで保証をさせて渡すわけですが、契約が成立いたしますと、国の直轄事業の場合は約四〇%、公団で約三〇%から四〇%、地方自治体、まあ県段階でございますが、二〇%から三〇%というふうに聞いておりますが、このことは、後ほど坂井弘一君がこの問題について詳しく御質問いたしますから、私は深くは申しませんけれども、問題は、これが実際の工事を施工する準備をしたり何かする下請業者のところへは全然回ってこない。私も金融機関の役員の友人がおりますが、政府公共事業発注いたしますと金融機関建設業者預金がにわかにふえてくるというのですね。これはなぜかというと、要するに前渡金ががばっと預金されてしまうわけです。これは材料の買い付けや何かの代金の支払いなんかにはその時期ではまだ回らないから、しばらく遊ばしておくよりもというので預金がふえる。これは下請業者にもある程度回すような指導が行われていかなければならぬだろうと思うのですが、これは坂井君にお譲りをいたしておきます。  その次に、幾ら前倒しをやってもなかなか工事が思うように進捗しない理由一つに、自治体がそれぞれ、公共事業は国庫補助事業でございますから、国庫補助事業の補助申請というのをいたしますが、これがまた、実に大変な時間的なむだを起こしておるということが言われておるわけでございます。しかも、このために使われる予算というもの、事務費が非常に膨大なものになっている。これは各省にまたがるわけでございますが、総理、これは各大臣に聞くのもあれですから、ちょっと例を申し上げますと、これは過去の例でございますけれども、公営住宅の建設事業で、これは市長会や知事会が報告していることでございますが、五十年度は二十八人上京している。そして県内出張が二百十五人。従事延べ人員が千六十九人で、経費の概算が八十二万三千円。国道改良事業、これはすごいのがありまして、これなんか、上京した職員が三十八人、県内出張が二百六人、従事延べ人員が千九百七十二人、それで経費を一億八千八百八十万円使っております。これは設計や何かの経費も全部入るわけですが、こういうことが常套行われておりまして、要するに何遍も何遍も本省へ足を運んで、そうして申請の手続をしなければならないということが報告されているわけです。こういう手続を簡略化することがきわめて必要だと私は思うわけでございますが、この点について、これなんか全く行政改革の最も実効の上がる面だと私は思うのですが、この点どうでしょうか。これはもう各都道府県、市町村、全部悩みに悩んでいる問題ですから、これは公共事業執行一つの大きな隘路になっている問題です。
  19. 村山達雄

    村山国務大臣 非常に事務手続の簡素化の問題でございますので、私から、いま考えており、各省と打ち合わしているところを申し上げます。  正木委員指摘のとおりに、公共事業の促進、消化の円滑化ということにつきましては、その手続の繁雑という問題が実際面では大きな隘路になっておると思うのでございまして、いま部内で各省と検討を進めておりますのは、たとえば継続事業のようなものにつきましては申請を省略することはどうか、それからまた、それ以外の事業につきましても、設計図をそんなに詳しいものをとらなくても概略でいいのだから、もう少し簡易設計図で間に合わせることができるかどうか。それからまた、その部数でございますけれども、大変部数を要求しているようでございますけれども、これを思い切って減らすというようなこと、そういうことをもうどんどん各省庁打ち合わせまして、おっしゃるような目的にぜひ沿いたいものだということで、いま部内の検討を進めていることでございますので、何とかして正木委員の御指摘のような点がないように鋭意努力してまいりたい、かように思っておるところでございます。
  20. 正木良明

    正木委員 私もこの事実を調べて愕然としたのですが、いまだにカーボンペーパーで複写した申請しか受け付けぬというようなことを言っておるのですが、いまゼロックスというので実に簡単に何枚でも複写できるのですが、せめてこんなことぐらいからでも改革できませんか。そうすると、申請書はもう鉛筆で書いて、それでそのまま複写機にかければいいわけですからね。それをカーボンペーパーではさんで、それも十部、ぼくもやったことはありますが、あれは七、八部が精いっぱいですよ、どんなに力の強い者でも。そんなことをいまだにやっているということ、どうでしょうか、こういうことこそばさっと改革すべきだと思うが。
  21. 村山達雄

    村山国務大臣 いま正木委員指摘の点を含めまして、十分検討してまいりたいと思っております。
  22. 正木良明

    正木委員 それは検討せずに、ここでやめればいいですよ。ぼくは別にゼロックスの会社の販売員でも何でもありませんが、あんなものはどこの役所に行ったってあるのですから使えばいいと思うのだ。総理、よく覚えておってください、これは簡単なことですよ。こういうことで行政改革をやっていったらいいと思うのだが、生首切る話だから、みんななかなかうんと言わないけれども。  それともう一つは、今度の公共事業重点で下水道事業が対前年比約五三%増の五千百四十六億円になるのですが、ところが一方、下水道の建設事業に携わる地方自治体のいわゆる設計監理のできる技術職員というのは非常に不足しているのです。中でも下水道法第二十二条に基づく有資格者数というのは全く不足をしております。ひどいところになりますと、この法律で規定する技術者、資格を持っている人が県で一人だというところがあるのです。これが大分県と島根県です。これで、これだけの大きな下水道事業を執行するために、その事前的などうしてもやらなければならない設計が果たして可能なのかどうか。計画設計をする有資格者、これはちょっと極端だと思いますが佐賀県が二人、鹿児島県が三人、大阪、東京はさすが多いです。二百八十八人大阪にいますし、東京は八百七十六人もおります。ところが下水道の普及率が非常に少なくて、そのために、これから重点的に下水道事業を執行していかなければいかぬという、大都市以外のところの技術者不足ということがあるのです。設計ができなければ当然に管理監督というのを非常にむずかしくしていくわけなんですが、これは下水道事業にしぼって御質問をいたしましたが、建築の方においても、そのほかの土木事業の上においても、技術者の不足は非常に重要な問題になっているのですが、どうですか、建設大臣、これの対策はどうしますか。
  23. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 特に島根県は、確かに計画設計は一人でございますが、監督管理、維持管理等、一応十六名おることになっております。そこで、これは私の県のことを申し上げて恐縮なんですが、全般的に大体この技術者が年々どれくらい伸びておるかというと、五十二年一六%、五十三年一%程度の伸び、こういうふうに見ておるわけでございます。それから、御承知のように下水道事業団が一方にございますから、この事業団に対しまして、そういう技術者不足の場合には設計の委嘱をするとか、あるいは建設そのものを事業団が受注をするとかあるいはその他の技術協力をいたす、こういうことに努めておるわけでございます。さらには、下水道関係ではコンサルタントの利用というのが相当行われておりますので、したがって、各県個々に御検討願うといろいろ御批判がございましょうが、大体消化能力を持っておるもの、また下水道事業団を大いに活用して進めてまいりたい、こういう考え方に立っております。
  24. 正木良明

    正木委員 日本下水道事業団というのは、技術職員は何人いますか。
  25. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 お答え申し上げます。  約三百七、八十名でございます。四百名足らずでございます。
  26. 正木良明

    正木委員 それは資格を持っている技術職員ですか。
  27. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 資格を持った技術者でございます。
  28. 正木良明

    正木委員 それで大臣、これは重ねて聞きませんが、責任だけ持ってもらいたいと思うのです。技術者が不足であったから執行が不可能であったとは言わないようにしてくださいね。これから申し上げることは全部そういうことでだめを押しているわけですから、責任を持ってくださいよ。  今度は用地の問題です。用地をそれぞれに確保しなければならない事業がほとんどでございます。私は何回もこの予算委員会の席上で、福田総理総理であられたときもそうでなかったときもお聞きになっていらっしゃると思いますけれども、できるだけ効率を上げるためには用地を使わない、と言うとおかしいですが、用地を新しく取得しなくても可能な工事というものをやはり優先的にやっていくべきじゃないだろうか。そのためには河川改修、それから老朽校舎の建てかえ、耐用年度が来ておるという公営住宅の平家建ての建てかえ、こういうふうな用地費だとか移転補償費等に関しまして――これは建設省の報告によりますと用地費、移転補償費が全国平均して大体二〇%ないし二五%といわれておりますが、しかし、これは平均したところで、過疎地域なんというのはただみたいな値段で土地が手に入るかわかりませんが、大都市並びに大都市周辺なんというのはもう五〇%を超すし、東京の高速道路なんというものは八〇%まで用地費だといわれているわけなんですが、これは地主さんのふところに入るだけで、そのまま銀行へ直行いたしまして、これは景気刺激には余り役に立たない財政支出になるわけなんです。だから、そういうものができるだけ要らないような工事をやりなさいということを再三にわたって要求をしているのですが、ここで用地確保の問題はちょっと後回しにいたしまして、用地を確保しなくてもいけるような建設事業というものを余り重点的にお考えになっていないのではないかというふうに私は考えます。  その一つは、この予算委員会の冒頭、自民党の足立委員が公営住宅の払い下げという問題について質問をしたときに、どうも私は、建設大臣の御答弁というのは、正確じゃないのですが、それで念を押すのですが、低層の公営住宅、特に平家建ての木造賃貸住宅なんですが、これを非常に積極的に払い下げていくような印象で御答弁を聞いたのですが、この点、ちょっと確認をいたしておきたいので、建設大臣、お願いします。
  29. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 これは私の記憶では、現在、公団の未利用、空き家のものが相当多いが、これを公営住宅に転用するような措置はどうかとか、あるいは公営住宅そのものの払い下げはどうかというような御質問があったと思うのであります。  そこで、前者の方は、それぞれの自治体の財政能力のこともあり、また法上からもなかなかむずかしいということを申し上げました。それから払い下げのものにつきましては、ものによっては現在でも考えておりますけれども、いまの正木委員の御趣旨から言うと、低層公営住宅あるいは公団住宅、これを中高層のものに建てかえて有効に使えというお気持ちを持っての御質問であろうと思うのでありますが、それはそのとおりにやっていきたいと思うのであります。恐らく私が申し上げたのは、全体として払い下げてもくし引きのようなことにならないようなもので払い下げてくれというようなときには考えるということを申し上げたように記憶しておりまするが、現在低層住宅のあるところは非常に交通至便な、立地のいいところが多いと思いまするから、これはより有効に活用する方がしかるべきだと思います。
  30. 正木良明

    正木委員 そうすると、そういうものについては原則的には高層ないしは中高層に建てかえるというふうに受け取ってよろしいですね。  それで、私はこう思うのです。これはよけいなことかもわかりませんが、あの木造の賃貸公営住宅を建てた時分の住宅条件というのは非常によろしゅうございまして、そんなに過密な建て方をいたしておりません。相当用地もとり、公園もとったりなにかして建てている。まあそれは抽せんという一つの幸運が伴ったわけでありますけれども、しかし、あの時分、あの安い家賃でその環境のいい木造賃貸住宅へ入れた人は、同じように税金を納めている立場からいうとある種の特権が与えられたと見ていいだろうと私は思うのであります。それが今度は、その家が古くなってきたから家賃に毛の生えたような年賦でこれを払い下げるというのは、これはやはり法のもとの平等に欠ける、二つ特権を重ねることになるのじゃないかというような気がいたします。そういうことで、やはりいま職住接近とも言われておるし、公団住宅は都内に土地を求められることがないので遠くなっている。遠い、狭い、高いというのが公団の空き家住宅の条件みたいに言われているわけでございますから、それはやはり土地の効率利用という面からその原則で進んでいただきたいと私は思うのです。  こういう意味から、これはちょっと質問が前後いたしますが、ついでに聞いてしまいましょう。要するに老朽危険校舎です。これは文部大臣にお願いしたいわけですが、これがことしは条件を非常に改められた。いままで、点数が四千五百点以下のものについては老朽危険校舎と認めて建てかえを許すということであったわけでございますが、これを五千五百点に千点上乗せをした。そうして老朽危険校舎の改築に補助金をつけようというお考えのようでございます。  ところで問題は、いま私どもの調べによりますと、大体四千五百点以下の危険校舎というのが五百六十六万二千平米ある。このうち廃校になる分が百万平米と言われておりますから四百六十六万二千平米。もうすでにこれは四千五百点以下ですから、耐久度を一万点にして四千五百点しか点数がないということは非常な危険校舎と言えるわけでございますが、これだけあるのですね。ところが、昭和五十三年度に組み込みましたものは、五千五百点に上乗せをしているにもかかわらず、四千五百点以下のものでこれだけあるのに、二百万平方メートルしか予算を組んでないわけですね。これは私は、土地の入手が必要でないという条件からいって、こういうことこそ優先的に五十三年度公共事業の中で取り上げるべき問題であるというのに、点数を上げたことは上げたけれども、しかし、点数を上げなくても、点数を上げる前のものがまだ半分以上残るということになるわけですね。こういうことがどうも私にはちょっと解せないわけでございますが、文部大臣はどういうお考えでおやりになろうとしているわけですか。
  31. 砂田重民

    ○砂田国務大臣 もう正木先生御指摘のとおりに、用地の問題の絡まない一つ公共事業で私ども重点的に考えて取り組んだわけでありますけれども、従来危険校舎の建てかえを先生おっしゃるように四千五百点、豪雪地帯等で五千点ということでやっておりました。五カ年計画でやっておりましたのを何とか三年でこれをやり遂げられないかということで全国の市町村から意見を求めまして、三カ年計画ということで全国市町村から申し出を受けましたところ、市町村から申し出てまいりました危険校舎建てかえの三年計画の総量を計算をいたしましても、私どもが五千五百点に上げた場合の面積、それと比べますと八〇%しか市町村から出てまいりませんでした。その事情調査をいたしましたら、用地と関係のないことばかりではなくて、この部分は危険校舎に該当する、この部分はまだ新しい、だけれどもどうせやるのならそれを一緒にやってしまいたい、だから三年目ではまだ無理だというのも出てまいりましたし、この機会にほかの場所へかわりたい、そういう希望を持っている市町村も出てまいりました。そういうものが二〇%、三年後でも残ってしまうということになったわけでございます。ただ、御承知のように逐次補助率等も豪雪、過疎地帯等は三分の二まで引き上げまして、市町村もできるだけ早くこれの解消に取り組んでいただけますように、できるだけの協力体制をとってこの問題の解決に努力をしてまいりたい、かように考えております。
  32. 正木良明

    正木委員 実は文部大臣、通常新設の校舎の場合には、特殊な離島であるとか過疎地域、特別豪雪地帯、振興山村、奄美群島、新東京国際空港周辺地域、活動火山周辺地域、こういうものは除いて、普通は二分の一でしょう、国庫補助率が。ところが、危険校舎の建てかえの場合、三分の一しか補助金はつかないんですね。これがやはり大きな一つ問題点だろうと私は思うのです。なるほど、地方交付税等の問題から考えますと、これの負担についてはある程度国がめんどうを見ているようでございますけれども、最初工事に着手するときにどうしても起債をやらなければならぬ、これがやはり大きな苦労になっている。この点があると私は思うのです。  確かにおっしゃったように、ある部分については四千五百点以下だけれども、ある部分については四千五百点を超える耐久度を持っているから、一斉にやれないから、五千五百点に上げると全部の校舎が改築できるということになるのかもしれません。だから、そういう点では五千五百点ということは私は決してむだじゃないと思うのです。ただ、私が申し上げたこの四千五百点以下が四百六十六万二千平米というのは、これはことしの調べでありまして、それで報告されているところによると、毎年八十万平米、四千五百点以下の校舎ができてくるわけです。こういうことになってまいりますと、三カ年計画とはいいながらも、これはよほどこの量を積み増しをしていき、補助率を二分の一、まあ増改築、新築、増築もこういう改築も、これは条件としては同じですから、補助率は同じ二分の一にすべきであろうと思うのでありますが、この点は改革の意図をお持ちになっているのかどうか。そういう気持ちがあったのだけれども大蔵省がうんと言わないからできないということになっているのか。その辺、こういう席ですから、はっきりおっしゃった方がいいと思いますよ。
  33. 砂田重民

    ○砂田国務大臣 大変ありがたい御質問です。ただ、先生おっしゃいました五百六十六万平米、廃校になるものを引いて四百六十六万平米、そのうちで過疎、豪雪地帯等が三百三十四万平米もあるわけでございます。こういう地帯につきましては逐次三分の二の補助率に改めてまいっておりますこと、どうぞひとつ御認識、御理解をいただきたい点でございます。  それから起債、交付税の話もございましたけれども、裏起債のほとんど全額を政府資金起債を見てもらっておりますのと、交付税措置がしてありますのと、その政府資金によります起債も、数年後で元利償還をやはり政府歩、自治省、大蔵省の努力で見ていってくれておりますので、逐次この点は改善をしてまいりたい、五十三年度予算ではこういう改善をいたしましたということで御理解をいただきたいと思います。
  34. 正木良明

    正木委員 私がなぜこういうふうなことを言うかというと、総理、学校が古くなったから建てかえる、それは土地が必要ないから結構な公共事業だというだけの観点ではなくて、いま非常に問題になっているのが震災対策ですよ。それで、いつ大地震が起こるかわからぬ、そのために避難場所として確保すべき広場がどれだけあるか、空地がどれだけあるか、そんなことで東京都もやっさもっさしていますよ。こんなことはどこにでもあることでありまして、地震は別にどこにというふうに地震の方で考えてくれるわけじゃありませんから。避難場所の多いところへ起こしてやろうなんということを考えてくれるわけじゃありません、どこで起こるかわかりませんからね。そういうふうに考えてまいりますと、この震災対策で、住民が避難する場所で最も有効なのが学校の庭だとか屋内体育館であるとか校舎なのです。これは震災対策としてもぜひとも必要な施設であるという認識を持たなければならぬだろうと私は思うのです。そういう意味から言いますと、いま木造でもう倒れかかったような教室の学校やなんか、これは避難場所にできはしませんよ。建物の中にはいれないのはもちろんのこと、その建物が地震でいつ倒れるかわからぬというような校庭へ避難させるわけにいきませんよ。ですからやはり、耐震耐火構造の鉄筋コンクートの屋内体育館であるとか校舎に建てかえるということは、単にこれは学校の校舎を建てかえるという意味以上に、震災対策としての、避難場所としての学校施設ということについては大きな意味を持つものであろうと私は思うのです。したがいまして、そういう意味から申しますと、やはり補助率を引き上げてやるとか、そのほかの財政対策をちゃんとしてやるとか、そういうことで、地方自治体がこの老朽校舎を積極的に建てかえるための意欲が燃えるような施策というものはぜひとも盛り込むべきであるというのが私の考えなのです。それはどうですか。
  35. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 老朽校舎の建てかえの問題は、いま地震対策だ、こういうお話もありますが、ごもっともだと思います。しかし、同時にいま景気対策、こういう側面から、土地はとにかくあるのだ、こういうようなことであり、かねがね建てかえについては強い自治団体側の要請もある、こういうことでありますので、これはとにかく積極的に進めておる、こういうので、いま文部大臣からお答えいたしましたような予算措置、そういうことになっておるわけでありますが、いろいろ具体的な御提言を含めての御所見を承りましたが、なおこの目的到達のためにはいろいろ工夫をしてみたい、かように考えます。
  36. 正木良明

    正木委員 用地確保の問題は、後ほどの住宅建設の宅地供給の問題と関連いたしておりますので、そのときに質問をすることにいたしまして、その前に、施行者側というか、要するに施行主体である地方自治体側からの隘路をもう少し申し上げてみたいと思います。  一つは、これほど急速に集中的に公共事業執行するに当たって、住民との合意が、簡単に得られるところもあれば、得られないところもあると私は思うのであります。その一番大きな問題は、やはり環境アセスメントの問題であろうというふうに思うのです。道路をつくるにいたしましても、じんかい焼却場をつくるにいたしましても、下水道をつくるにいたしましても。この前新聞には、東京都下のあるところでは、身体障害児の福祉施設をつくるのに反対運動が起こったところだってあるわけでございますから、これがやはり、どうしても市町村が、地方自治体公共事業執行する上において非常に重要なボトルネックになる問題であろうというふうに考えますが、特に建設省はこの所管で一番仕事が多いわけだが、建設大臣、どうでしょうか、その対策というものをあらかじめお考えになっていらっしゃいますか。
  37. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 公共工事をやるにつきまして地元住民の理解を得るということは、これはもうきわめて重要な前提条件だと思います。この点につきましては、私が就任する大分前ですが、四十七年六月の閣議了解事項がございまして、この了解事項からいたしますと、いま正木委員の御指摘のございました環境影響調査を含む事前調査を十分するようにということでございまして、この了解事項に基づきまして説明会を開き了解に努める、ちょっと数字は古うございますが、そういう件数が五十一年で一千百七十件ほどになっておりますが、鋭意この住民との了解に努めるということには努力してまいりたいと思います。
  38. 正木良明

    正木委員 予定よりも時間が足りなくなってきておりますので簡単に申し上げますと、公明党はもうかねてから国会に対して、環境アセスメント法という法案をわれわれの提出議案として提出いたしておりますが、これがなかなか成立しないということもございますけれども、もう一つは、この国会の審議にのらない理由は、政府の方から環境アセスメント法案というものを出すということがあるのです。これは環境庁ですでにもうその成案を見ておるものでございますが、通産省と建設省がやはり首を縦に振りませんで、これがなかなか具体化をいたしておりません。これはうわさでございますから、真相であるかどうかわかりませんが、石原長官の時代にこの環境アセスメント法案に非常に熱心であった環境庁の局長が詰め腹を切らされたなんという話が新聞に出ておりましたが、それはともかくといたしまして、かくも重大な法案であり、しかしそのことについてはなかなか進捗を見ない、こういうことが非常に大きな問題だと私は思うのです。この住民の利益を保護する、国民の利益を保護する、しかもそれを正確なデータを公開して納得してもらう者には納得してもらうという、その条件がいまだに整っていない、これがやはり住民との間のあつれきを生じさせる一つの大きな問題点だろうと思うのですが、これは環境庁長官、どう考えていますか。  もう何遍も立っていただくのはお気の毒ですから、このアセスメント法案というものをつくる気はあるのか、それは国会に提出するならいつごろになるのか、環境庁からそれを答えてください。
  39. 山田久就

    ○山田国務大臣 お答えいたします。  環境についての事前の調査を行うということは、その結果の内容を公表して、そして十分この点についての条件を整えてやることの必要なことはわれわれもそれを認めておりますし、また、そういうことによって後のトラブルをできるだけ少なくして、そうして円満にやっていく、こういう意味において関係官庁との間にはいろいろ話を進めております。  現在においても、大体そういう面についてのお互いの相互理解というものも進んでまいりました。いまこの段階においていつということをまだちょっと申し上げられる段階にはなっておりませんけれども、ぜひそういうことにという前向きの姿勢でいまこれに取っ組んでやっておるような次第でございます。
  40. 正木良明

    正木委員 同じことを通産大臣と建設大臣、答えてください。
  41. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 大筋は環境庁の長官が御答弁になったとおりでありますが、これから調整すべき問題がありますので、関係方面と至急に調整をしたいと思っております。
  42. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 建設省としても前向きに検討を進めてまいりたいと思います。
  43. 正木良明

    正木委員 日米共同声明以来、前向き、積極的というのは非常に範囲の広いお答えでございまして、余り積極的とは私は考えておりませんが、総理どうですか、これは必要な法案だとお思いになっておりますか。
  44. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 私は、これは本質論といたしましてはぜひつくりたい、こういうふうに考えています。ただ、いま通産大臣も、また建設大臣もお立ちになりましたが、やはり経済活動の活力、こういうこともかなり調整に注意深くやらなければならぬ、そういう性格のものだと思うのです。そういうことを考えて、各方面との調整がうまくいくようにした上でこの調査、アセスメントのシステムを進めるべきだ、そういう見解でございます。
  45. 正木良明

    正木委員 これも余り時間とりたくありませんが、要するに、こういう法律ができるとかえって反対のための道具を相手に与えてしまうことになるというふうな、非常に後ろ向きの考え方があるのではないかと思うのですね。これは、武器があろうとなかろうと自分たちの生活に関連する問題で、公害がどの程度あるかということになりますと、どうしても被害者の立場になる人たちは過大に評価するのは当然のことなんですよ。     〔委員長退席、小此木委員長代理着席〕 だから、そういうものがないために、事前評価がきちんと行われないためにかえって問題の処理というものについては複雑にしてしまいまして、結局は、解決すべきものが時間をかけなければならぬということになってしまうので、私は、相手に武器を与えるというような考え方ではなくて、かえってこちらの武器にもなるのだ、武器というか説得の材料にもなるのだという考え方でこれは積極的に処理すべき問題だと思います。これはまた別な機会にやらせていただきます。  さて、もう一つ大きな自治体としての問題に安全の問題があるのです。  これは恐るべき数字が実は私の手元に来ているのです。これは新幹線の場合でございますが、新幹線の工事のために起こった事故、新大阪-岡山間で死亡者が五十三名、岡山-博多間で九十八名。百五十一名、山陽新幹線の工事のときに死んだ人が出ているのです。死者ですよ。東北新幹線、五十年十二月末現在で東京-盛岡間でもう五十二名死者が出ているのです。上越新幹線ではすでに大宮-新潟間で四十二名死者が出ておる。負傷者の数に至っては千三百五十三名です。  私の手元に、労働省から資料をちょうだいいたしましたが、この中で、長々とやれませんので、五十一年が一番新しい資料だそうでございますのでこれで申し上げますと、土木工事だけで去年一年間、これも死者だけです。死んだ人、国の事業で九十七名、三公社で二十三名、公団等で六十名、都道府県で二百四十四名、市町村で百六十七名、その他十八名、小計六百九名。民間で百十六名の死者が出ておりますから、合計七百二十五名というのが公共事業執行のために出てきた死者です。  この事故対策というものをきちんとやりませんと大変なことになるのですよ。これも一つは大きなネックなんです。こんな死者対策なんかやってぐずぐずしていると公共事業はできないなんというような考え方を、もし仮にお持ちになると大変なことだと思うのです。これもやはり事故対策として十分に考えていかなければならない問題であろうと思うのです。しかも、この死者というのは、ゼネコンでは比較的出てないのです。下請、孫請というところで出ているのです。しかも、出かせぎ等の人たちが多うございますので、これの手当てというものが十二分にできておりませんで、もうくたばり損。くたばり損というのは言葉は悪いですが、死に損ということになるわけですね。こういう状況を放置しておいていいのかどうか。労働大臣に、この私の申し上げた数字を確認していただくと同時に、その対策について、まず労働大臣から災害予防という問題からおっしゃってください。
  46. 藤井勝志

    藤井国務大臣 ただいま正木委員から御指摘のございました労働災害、公共関係、建設関係、御指摘のような数字になっておることは私も心得ております。したがいまして、今度は相当公共事業拡大をされたわけでございますから、特に労働省といたしましても、公共事業の建設現場に労働災害防止のための監督を重点的に配置する、こういう手配も現在準備しておるわけでございまして、今後やはり大型プロジェクトという場合は、特に死亡者の多い現状、また同時に、いま御指摘のごとく日雇い、臨時雇い、こういったところに災害の発生が多いということも事実でございまして、これは、この監督についてはなかなか苦労いたしておりまして、就労の経路がいろいろございます。そういった点、同時に労働条件についてもいろいろ問題ございますから、特に公共事業拡大の五十三年度においては現場監督に最重点を置きたい、このように心得ております。
  47. 正木良明

    正木委員 これはなぜこういう問題を出したかと言いますと、先ほど大蔵大臣がお答えになった集中発注をいたしますと、こういう結果がなお大きくなってくるのです。いわゆる突貫工事を強いられるわけです。これだけの大量の公共事業が出てまいりますとどうしても人員の配置は手薄になりますし、というのは労働省からの人員という意味ではなくて、要するに労働者の超過労働が非常に多くなるのですね。そして夜間工事をやらせる。そうして工事執行についてハッパがかかる。このことにおいてこういう災害が起こってきますから、公共事業はふやせばそれだけ景気がよくなるというのじゃなくて、公共事業というのは執行の量にはおのずから限界があるということを明らかに示しているのです。こういう面からも。これは十分心得ておってくださいよ。これでこれ以上死者がふえたら、私は今度また予算委員会で問題にしますよ。  以上、大体私が予想できる、施行主体、要するに地方自治体側のネックになるべき問題を幾つか申し上げたわけです。今度は、それを請け負って工事執行していく建設業者側からのいろいろな問題点を申し上げたい。  一つは、先ほどの技術職員が少ないということもございますが、今度は施工者である建設業者に技術労務者が非常に不足をしておるということであります。  これは労働省の技能労働者需給状況調査によりますと、不足率は大変なのです。びっくりしますよ。鉄筋工においては三五・四%、建築大工については二一・二%、ブロック建築工については二〇%、タイル張り工については一八・九%、配管・鉛工二八・三%。重要な部門についての技術労務者の不足がもうすでに発表されているのです。鉄筋工の組合からは、これじゃもうとてもじゃないけれどもわれわれとしては手に余る、どうしようもない、幾ら注文があってもそれはお受けできないかもしれませんという、要求がすでに出ているでしょう。五十三年一月下旬、ことしの一月、ついこの間、建設労働問題研究会の席上で、鉄筋工の不足によって公共事業の一部が中止に追い込まれるかもしれませんということを鉄筋工の組合から、そういう公式の席上ではっきりした言明があるわけです。どうします。建設大臣。
  48. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 公共事業を大幅に消化しなければならない、その点からいろいろ細心の注意を御要請いただいておって、傾聴しておるわけでございますが、一般的な雇用情勢などを考えまして、これは相当失業者もおる現下の情勢であります。  それから、御指摘になった鉄筋工、型枠の技術工、これらの者が訓練などに非常に長期の時間を要するかどうかというところが問題だと思うのですね。建設業界自体も、昨年の一次補正以降、いずれこういう職種の技術労務者の不足を生ずるということから、建設業界自体が努力をしておりますし、また労働省の職業訓練所などにつきましては、この情勢について緊密な連絡をとって、鋭意努力をしてもらっておるという状況でございます。  御心配のことを私は否定するものではありません。これは確保に努めなければならない、こういう前提は当然持っておりますが、全般の雇用情勢など、あるいは建築業界自体の努力等からいたしまして、まず充足していけるものではないか、このように建設省としては見ております。
  49. 正木良明

    正木委員 非常に楽観的なんですね。楽観的に答えざるを得ないというお立場もございましょうが。  それで、事実、確かに構造不況産業からも相当な失業者が出ているわけであります。農村からの出かせぎの人たちの労働力というのは相当なものがございますが、こういうものには単純労働と技能専門職と二つあるのです。だから、単純労働の場合には、本人がその気にさえなれば、出かせぎの人たちだって、また構造不況産業から出てくる失業者の人たちだって、ここで就労のチャンスはあるでしょう。また、そういう人たちも使えるでしょう。しかし、いまそれぞれに挙げました、私の申し上げているのは、技能専門職なんです。これは素人が行って、すぐさま明くる日から工事現場で役に立つような仕事ではないということです。これは何年間か、長期の訓練と実習を重ねて、俗な言い方をしますと、手に職のついた人なんです。こんなのがそう簡単に養成できるわけのものではありませんし、しからば、この養成についてどういう積極的な姿勢をとっているかどうかということもきわめて疑問です。  労働大臣、職業訓練所では、こういう職業についてはどの程度やっていますか。
  50. 藤井勝志

    藤井国務大臣 御指摘のごとく、技能労働者の数は、先ほど数字でお話がございましたが、五十一年、五十二年ずっと不足しております。特に鉄筋工あるいは型枠工、こういったものも相当不足しておるようでございますけれども、今度の職業訓練法の改正、これはいますぐ、どろなわ式のようなことを申し上げて恐縮でありますけれども、これは積極的にやらなければならぬということと、同時にやはり民間の職業訓練施設、これに委託をいたしまして急場をしのぐ、こういった体制で現在準備をいたしておりまして、都道府県に対しても、労働省からこのような問題を中心に連絡をとることにいたしました。  特に具体的な問題について、必要があれば担当局長から詳細報告をいたさせます。
  51. 正木良明

    正木委員 これは労働省の職業訓練局の調査表です。昭和五十年六月には、たとえば建築大工というのを例に挙げてみますと、一万六千八百人、率にいたしますと――これは率は書いてないな。ところが、五十一年六月、要するに一年後、不足数が三万五千七百人になっているのですね。ふえているのです。これは需要も大きいからふえたということも言えると思いますけれども、こういう建築大工さんだとか鉄筋屋さんだとかいうようなものは、むしろ減っているというのが状況でありまして、老齢化いたしまして、なかなか若い人たちがその仕事をやらないものですから。ですから、これは公共事業執行の上において非常に大変な大問題なんです。建設大臣。  何とかなりましょうという、まあ、あなたの答弁はそういうふうに受け取らざるを得ないのですが、きわめて楽観的です。そのためにはどうきめの細かい手を打っているかという御報告は全然ないわけでありますからね。この点についても、私は、公共事業執行についてはこの面について大きな隘路があると認めざるを得ません。  さらに申し上げたいことは、建設資材の値上がりの問題です。もうすでに住宅建設関係の資材が相当な値上がりをいたしております。細かく聞きたいのですが、時間がありませんのでこちらの方から申し上げてみますけれども、たとえば道路工事が非常に大きく組まれておりますね。これはコンクリート舗装のところもあればアスファルト舗装のところもありますが、主としてアスファルト舗装でしょう。このアスファルトの輸送は加熱装置が必要なんです。要するに、暖めながらいかなければいかぬということですね。これの輸送体制というものがきわめて不十分です。特に輸送のタンカーにつきましては、四十八年には四十五隻の船があったのですが、五十二年末、昨年の末には、これが三十七隻に減ってしまっています。しかも、一般公共事業の道路整備費は、四十八年度には一兆円であったのが、五十二年度が一兆二千六百億、五十三年度が一兆六千五百億、こういうふうに、五十三年度は四千億ふえていますね。だから、この船の関係から言いますと、要するに輸送のタンカーが四十五隻あったのが三十七隻に減っている。ということは、これはアスファルトだけを考えてみましても、この輸送体制から言いますと、四十八年の倍になっているのに船はあべこべに減っているということですね。これは安定供給ということはできるのですか。どうでしょう。
  52. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 アスファルトの件につきましては、御指摘のとおり、輸送上に問題がある。これは一次補正公共事業をふやした後にも部分的な状況、たとえば東北地方でそういう問題が起きました。そして、いま御指摘のような専用船の減少という事実があるわけでございます。  しかし、われわれとしては、地域的に、時期的に円滑を欠くことのないように、各地建を動員してそういうようなことのないように相努めておるわけでございまして、輸送の方を私が云々するのはいかがかと思いますが、現在の海運界の情勢からいたしまして、今後相当アスファルト輸送の需要量が伸びるということについては対応してもらえる情勢ではないか。しかし、これは私が責任を持って申し上げるのは行き過ぎかと思うのですが、そういう観測をしながら、確かに昨年あたりにもアスファルトが地域的にショートしたこともございますので、細心の注意を払いながら進めてまいりたいと思います。
  53. 正木良明

    正木委員 これは通産大臣でしょうけれども、まあいいでしょう。  私は、重ねて建設大臣に質問しませんが、いまの答弁を納得したという意味でお聞き取り願ってはいけませんよ、聞いている時間がないということですから。  資材の価格動向ですね。これは棒鋼が十九ミリで一トン、去年の十一月から十二月が五万二百十九円でありました。ことしの一月の末におきましては五万三千二百五十円、約六%値上がりしています。山形鋼だとかH形鋼だとかいうのもそれぞれ値上がりをいたしております。そのほか、薄鋼板であるとか厚鋼板もそれぞれ値上げをしております。これは構造不況産業的なもので、高炉をもう三分の一はとめて生産調整をしているというような状況の中で、これは幾らでも生産能力があるわけですから、これで値段が上がってくればどんどん出てくるのだろうと思うのですが、これは一番高いときが四十八年の末でございましたが、棒鋼においては九万五千円でありました。合板、これも値上がりしていますね。セメントも、袋詰め一トンが一万二千二百五十円、これは一昨年の末でございますが、昨年末では一万二千五百円というふうに上がって、きわめてセメントは強含みと言われております。しかも、セメントは十二月三十一日までは不況カルテルを組んでいたというかげんもありましょうが、不況カルテルは解除になりましたね。セメント業界は、これは値上げ含みということだ。六〇%台の操業率でどうして値上げの強含みなのかと聞いてみますと、いままで生産していたのは非常に能率の高い、高性能の機械で生産していたけれども、これからは古い施設を使わないといけないから、コストプッシュになるから値上げです。こう言っている。何とか理屈のつくものだというふうに私は感心をいたしました。  いずれにしても、そういうものがずいぶんございます。下水道をやるヒューム管にいたしましても、生コンにいたしましても、そのほかもろもろ、全部値上がりです。ということは、予算で見積もった原材料費が強含みであるということは、それだけ工事量が減るということにつながってまいりますから、予算効率が非常に悪くなってくる。工事効率が悪くなってくる。工事効率なんか関係ないんだ、政府から金さえ出せば景気回復できるんだというお考えなのかどうかわかりませんが、しかし、少なくとも、この建設資材中心としての値上がりが回避できるのかどうか、そのための対策はどうなのか。建設省、どうですか、建設大臣でいいのかな。責任ある立場からお答えできませんか。そんなことないでしょう。
  54. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 今回の公共事業の大幅増加をお願いした当時から、この資材関係については、ただいまのお話のような問題点をわれわれは非常に心配をしておるわけであります。しかし、一言で申し上げますと、いまお挙げになった資材関係は、全部昨年から、まだ現在にもそうでありますが、不況カルテルを結んで生産制限をしてまいったものでございます。したがって、物によりましては価格がある程度上がって、正常に戻りつつある、こういう場合もございます。しかしまた、すでに需給関係相当上がっておって、影響を受けておる面もございます。これらの点につきましては、セメント業界の古い生産設備であるから云々というようなことにつきましてはもっとよく調べてみなければなりませんけれども、全般的には生産余力は十分あるのでございまするから、そこで現在では地建別にこの資材及び工事施行者、それから監督の担当の役所、それらが緊密な横の連絡会議をいたしながら、いま御指摘になったような問題が起こらないように努力をしておるというのが現状でございます。  しかし、もし御指摘のようなことであれば、まさに事業量の減少も来すことでもございまするから、そのようなことのないように、私も口を開けば、このことについては繰り返し申し上げておるようなことでございます。
  55. 正木良明

    正木委員 ちょっとその辺には実は矛盾を感じるんですね。やはり片方で民間設備投資増加することを望んでいる。そのために一番有望なのは電力であり、その次ぐらいにセメント業界が来ているようです。セメント業界においては、スクラップ・アンド・ビルドの方式で設備投資がふえるであろうという予想がなされているというふうに聞いておりますけれども、そういうことから考えてくると、値下げの条件なんというのはどこにもないのであって、値上げの条件ばかりしかそろっていないような感じがいたします。それは十分に注意をして、この点での過熱の起こらないようにしてください。できなかったときに、また結果として、私は注意をしてあるのにそうなったわけでありますから、また質問で追及をいたしましょう。  だんだん時間がなくなってまいりましたので、住宅問題に進んでいきたいと思います。きょうは、住宅公団総裁も御足労願っておりますが、金融公庫総裁も御足労くださっていますか。――どうも済みません。  それで、一つは、矢野質問にもございましたので、私は重ねて深くは申しませんけれども、何といっても大事なことは、確かに持ち家を建設するということも決しておろそかにできる問題ではございませんけれども、片方では、やはり住宅金融公庫の融資を受けて個人住宅を建てようとする人たちは、土地を持っていなければなりませんし、あらかじめ一定の収入がなければなりませんし、頭金程度のものについては自分で自己資金を調達する能力がなければなりません。それのできない人は、それじゃいつまでも木造賃貸アパートでしんぼうしろということであっては、やはり政治としては片手落ちだろうと私は思います。  そういう意味から、賃貸住宅というものをやはり公営のもの、公共のものとして建てていかなければなりませんが、御承知のとおり、昨年よりも公営住宅の建設戸数が一万戸減っておりますし、住宅公団の賃貸住宅の建設戸数も減っております。これは隘路はいろいろあろうと思うのです。私は、これは何回もこの予算委員会で申し上げておりますので、ことしはようやくちょっと芽を出してまいりましたけれども、一つは、関連の公共施設、これの負担が地方自治体としては大変だということです。もう一つは、賃貸住宅というものについては、失礼な言い分になるかもわかりませんが、お入りになる方々がそんなに高い収入ではありませんから、いわゆる低収入の方々が主でありますから、どうしても、まず第一に固定資産税が、公共ですから、入りません。二番目には、住民税の負担の割合が非常に低い、その結果、やはり行政コストが高くなるということですね。だから、大まかなことを言いましても、関連公共施設の負担、それともう一つは行政単価の負担というものが非常に大きくなるということが、地方自治体が公営住宅、賃貸住宅お断りの理由になってきただろうと私は思うのですね。ですから、それの個別の対策をやはり立てなければいけません。私がかねて申し上げているように、地方交付税の算定基準も、後者の行政コストの問題から言いますと、そういう大規模な団地についてはやはり別枠で考えてやるということをやりませんと、地方自治体はそれに対してとても気持ちが動かないだろうと思うのですね。  これはこれとして別の問題といたしまして、ここで、ことし三百億、公共施設に対しての予算を建設省はつけましたね。これの使い道は、この間の答弁ではきわめて不明確ですが、明確に、この三百億はどういう使い方をなさろうとするのですか、そして三百億で足りると思っておりますか。
  56. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 これはただいまお話があったように、地方自治体が関連公共施設をやろうとしても財政上非常に困難であるというようなことから、どちらかというと民間デベロッパーなどにそういうものを、言葉は悪いですけれどもおっつけてしまう。従来でありますると、どんどん土地の値上がりがございまするからその中で吸収していきますので、施行者もまあまあしようがないというようなことでまいったのでありまするが、現在ではそういうふうにいかない。こういうことから、関連道路、下水道あるいは公園、そういうような公共施設についてこの三百億でお世話をしよう、事業量としては約六百億円近くなると思うのでございます。したがって、三大都市圏を中心考えまするから、相当この都市圏内の自治体の負担は軽くなって、そのことによって土地造成に寄与するものである、このように見ておる次第でございます。
  57. 正木良明

    正木委員 建設大臣、これは三百億を一切地方自治体へ配分をして――配分というのは、実際、宅地開発や住宅造成が行われなければなりませんけれども、そういう形になるわけですか。あなたのところの説明によると、そうは言ってませんがね。
  58. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 どの資料か存じませんが、今回新規のことでございまするから、現在まだ配分計画などについては具体的には作業がいっておらないと思います。ただ、三百億円はどういう性質のものであるかということに私がお答えをしたわけでございまして、もちろん今回、公共事業を促進しなければならない立場でございまするから、この予算編成中にも省内を督励して、具体的にどう配分していくかということについては、これからの作業でございます。     〔小此木委員長代理退席、委員長着席〕
  59. 正木良明

    正木委員 では、計画局長、来ていますか。あなたに聞きましょう。この中で、「宅地開発に関連する公共公益施設の整備に伴う地方財政負担の増大に対処し、その軽減に資するため、宅地開発公団については関連施設整備事業助成金の増額二、日本住宅公団について、地域環境施設整備費の立替制度の改善、地方公共団体が行う関連公共公益施設整備事業にかかる地方債については利子補給制度」こういうふうに書いてありますが、これは、いまの三百億とは全く関係のない別の既定予算の中の問題ですか。
  60. 大富宏

    ○大富政府委員 お述べになりましたとおり、従来、住宅団地宅地開発については、関公の問題が非常にウェートが高いわけでございまして、従来の施策に加えて、今度別枠として国費三百億をつけたということでございます。従来の施策とは別の施策でございますから、従来の施策は従来の施策のとおりやって、そのほかに三百億の国費別枠ということでございます。
  61. 正木良明

    正木委員 そうすると、三百億についてはまだ、どのような使い方をするかということは明確ではないけれども、予算の編成時において、関連公共事業を行うに当たっては何らかの措置を講じなければいかぬというので三百億積み増したということと受け取ってよろしいですか。そうすると、あなたのおっしゃっている、たとえば宅地開発関連公共施設等の整備事業、これは去年からの予算にありますね。これが前年度は六十億であったのが六億になっちゃってるんですね。十分の一になっていますね。要するに、三百億つけたためにほかの方の予算を減らしているのではありませんか。宅地開発公団の分については十億、それから日本住宅公団については約二億三千万ほどふやしていますね。要するに、ほかの方ががばっと減っていますね。こんなことでいいのかな。  それで、三百億の使い方というのはまだ決まっていないなら決まっていないという立場で御質問しましょう。  そこで、仮にこのつけた動機が、恐らく民間デベロッパーにおいても、宅地開発をいたしますと、学校を初めとする保育所であるとか道路であるとか、そういう関連公共施設のための地元からの相当な負担金というものがかぶってくる。これが不動産協会等の報告によりますと大体五二%ぐらいかかってきていると言われているわけですね。たとえば一例を申し上げますと、総事業費八百八十九万円で五一%かかっているというのがここに出ております。一区画二百一平米で総事業費八百八十九万円、これに対して四百五十八万円、五一・五%を負担金として取られるわけです。そうすると、民間デベロッパーはその宅地を分譲するためには、この負担金を引いては分譲しませんで全部おっかぶせるわけですから、おっかぶせるということになりますと、この間矢野さんが言ったように、当然にこれは最終消費者であるところの、この宅地の分譲を受ける人たちにかぶってくるわけです。かぶってきますと、かぶったというだけではなくて、これで評価額が上がってまいりますから、固定資産税の算定ががらりと変わってきます。固定資産税の算定が変わりますと都市計画税も変わってくるのです。要するにこういうものが全部糸を引きまして、当然に地方自治体や国がめんどうを見なければならないものを、めんどうを見切れないものだから民間デベロッパーにおっかぶせているために、最終消費者国民がその分を負担しておる。まあ税金の二重取りみたいなことになっているわけでございますが、これを何とかしろという要求をわれわれはしておるわけです。これはまあ民間デベロッパーだけではなくて、日本住宅公団にしろ宅地開発公団にしろそうでしょう。これはまあ五省協定等があっていろいろとうまいことは書いてあるけれども、実際は背負い込まされているのが事実であります。結局、地方自治体が金を出しませんから、買い取ってはくれませんから、五省協定なんて生きているようで死んでいるようで、わけのわからぬものになってしまっているわけであります。  ここで私が計算してまいりまして、仮に住宅宅地関連公共施設整備促進事業費三百億というものを開発者にぽんとぶち込んでどれぐらい使えるかというと、たとえば負担率五一・五%を二五%にいたしますと二六・五%の引き下げになるわけなんですが、これが二百二十六ヘクタール一万二千七百二十五区画として、それで八百八十九万円が六百六十六万七千五百円に一区画なるわけです。一〇%までおろしてしまいますと五百十九万九千円になってしまいますが、そのかわりに面積としては百六十三ヘクタールしかつくれません。だから結局の話が、この三百億をまるまる民間デベロッパーの方へ直接渡すのではなくて、地方自治体の負担分として回して、そして地方自治体がいままで五一・五%かけていたのを二五%に引き下げたとしても、たった二百二十六ヘクタールしか宅地造成はできぬのです。三百億というのはそれぐらい微々たる金だということです。  ですから私どもは、そういう形にするかどうか、これはまだ検討なさると思いますけれども、少なくとも有効に使うためには、やはりこれは地方自治体には非常にお気の毒だけれども、地方債という形をとって、その利子補給にこの三百億を使っていくというのが一番理想的な形ではないだろうかという感じがするのですがね。どうでしょうか、建設大臣。
  62. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 今回の予算折衝の折に、正直に申し上げると、そういう利子補給の方法などについてもわれわれは一応の考慮を払った次第でございまするが、今回の場合はこの三百億だけでなく、先ほどからお話しのような民間の宅地造成の状況である、負担を非常にかけておる、そのために単価も高くなる、造成もしなくなるというようなことから、このほかにもいろいろな方策を講じておるわけであります。たとえば敷地整備事業もございますし、民間開発事業者への資金提供について、ちょうど個人の融資の場合と同じように条件緩和をするとか、御承知の土地税制を重課税を手直しするとかというようなことをあわせ行いまして、少なくとも政府の使う金がより有効に使えるように民間と協力の上で実績を上げよう、こういうような方策で進んでいったことを申し上げておきたいと思うのであります。  いまお話しのように、三百億、それからの計算でありますと、私、計算してはおりませんけれども、御指摘のようなこともございましょうが、いま申し上げたような各般の施策をやりながらやっていくという点を御理解いただきたいと思うのであります。
  63. 正木良明

    正木委員 それは建設大臣、ちょっとお話が違うと思いますよ。確かにそのほかにもたくさん予算は組んであります。組んでありますが、私がいま申し上げているのは、最終需要者の宅地分譲価格を下げるためには、どうしても民間デベロッパーのこういう公共施設の負担金というものの率をもっと引き下げてやらなければいかぬということを言っているわけです。確かに日本住宅公団とか宅地開発公団に対しての予算は、ある程度ついております。そして民間デベロッパーに対しては、開銀の融資の問題がここについております。しかし、開銀が融資をするという枠を与えただけでありまして、これは、地方自治体が民間デベロッパーに対して負担を強制する、その緩和の何物でもないのです。金の都合がつくだけの話なんです。大事なことは、地方自治体が民間デベロッパーに負担させておるところの負担金を安くするためには、地方自治体に対しての何らかの手を打たなければこの実効は上がらないのですよ。にもかかわらず、地方自治体地方債については「新産業都市等建設事業債二百七十億円の枠内で六億円を限度として運用」、これは実は五十二年度、去年は六十億だったのです。六億に下げているじゃありませんか。そういう手当てはことしは下げておって、別に三百億をつけておるけれども、その三百億はどういう使い方をするかまだ決まっておりませんが、少なくとも私の言ったような使い方をしない限り、このことについては何の解決にもならぬということだと私は思うのですよ。確かにいろいろの条件は有利になったことはなりましたけれども、これそのものについては何の影響力も持たない施策と見てよろしいと私は思いますよ。
  64. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 おっしゃる点はわかるのでありますが、なお、地方公共団体の負担増につきましては、これは私、お答えすべきではないのですが、御参考までに申し上げると、負担分にかかわる起債の利子補給などを講ずる、あるいは関連公共施設の立てかえ施行のできるようにしておるというような別途の方策もあるということを御勘案くださいまして、そして私の方も、御指摘の点については十分この施策遂行の上に参考にしてまいりたい、こういうふうに思います。
  65. 正木良明

    正木委員 これは、これ以上問答を続けてもすれ違いになるおそれがある、きわめてすれ違い的な発想のようにも思うわけです。ですから結論を申し上げましょう。  それでは、ことしの施策として、党首会談でも非常に大きな問題になったこの関連公共施設の負担という問題について、宅地の供給というものについての一番大きながんになっているこの問題について、建設省としては民間デベロッパーの負担金というものを下げる、それはすなわち最終需要者の分譲価格を下げることになりますが、どの程度まで、あなたがいまおっしゃった、あなたの所管ではないところで利子補給をやったり何かしながら、総合的な成果として何%まで下げる自信がありますか。
  66. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 これは建設大臣としてはなかなかお答えしにくいところだと思うのです。まあ、建設省の側として宅地造成供給というものが円滑に図られるということが、私の立場からは一番主眼であるわけでございます。  そこで、これも当委員会で繰り返し申し上げておるわけでありますが、本来いうと、当面の直轄事業、単独事業等の用地につきましてはまずまずその確保ができる、こういう見通しの上で、さらに、ことし、いま持っておる用地のストックを出してしまえば後が問題である、したがって次の年、次の年を考える土地造成先行投資のでき得るような施策を進めておる、こういうことでございまして、いま何%どうか、こう言われましても、正直に申し上げて、私としては手元に計算をいたしておりません。
  67. 正木良明

    正木委員 重ねて申し上げますが、これはあなたの所管でないとは言い切れないと思うのですね。これはやはり宅地供給を円滑化する、しかもそれは安定的な価格において最終需要者の手に入るというための施策。もし建設大臣としてお答えしにくければ、国土庁長官としてお答えいただいても結構でございますけれども、しかし、いずれにしてもあなたの所管の問題でありまして、なればこそ計画局、要するに建設省の予算としてこの三百億が組まれたのであります。これは自治大臣の所管であるというなら自治省の予算の中に組まれるべきものであろうと思いますが、しかしそういうことで、この点については、三百億は党首会談等で問題になったから一応はつけたけれども、きわめて実効の上がらない少額であるということは、ひとつ総理も頭の中にとどめておいてください。ないよりもましです。これはありがたいことだと思いますけれども、しかし、これはわれわれが要望した形のものとしては具体化されていないということであります。  さて、それでは建設大臣に重ねて聞くのもあれでございますから、自治大臣質問の矢は突発的にそっちに向いて申しわけございませんけれども、これは非常に重要な問題なんです。  私は、民間デベロッパーに肩入れをしようということではありません。民間デベロッパーはこれを全部最終需要者におっかぶせればいいわけですから、安くなっても、民間デベロッパーは決して肩が軽くなったり何かするわけではありません、確かに売りやすくはなるでしょうけれども。少なくとも宅地を購入する国民が大きな負担を強いられておるということです。そういう意味から言うと、あたりまえに税金を払いながら、また自分たちが宅地を買うのに、そういう当然国や地方自治体が施設しなければならないものの負担金までかぶさっているということは、税の二重取りじゃありませんか、こういう立場で申し上げておるのですから、こういう点の指導を自治省は今後どういうふうに地方自治体になさいますか。
  68. 加藤武徳

    加藤国務大臣 先ほど来いろいろお話がございましたように、大規模な住宅団地を建設いたします際には、その施設内あるいはその周辺に大量の公共投資が必要であることは申すまでもないことでございます。そこで、本来なら当然公共団体が負担すべき性格であろうと思うのでありますが、実際は地方団体の財政状況がきわめて厳しゅうございますし、また、中にはとうてい負担し得ないような財政規模公共団体もあるのでありますから、勢いデベロッパーに負担を願う、かようなことに相なっており、さらにまた、協力金等もちょうだいをいたさなければデベロッパー負担分以外も見ていけない、かような財政状況下でございます。そこで今回三百億円の措置がなされたのでありますが、私どもは、この金が有効に利用されまして、少しでも公共施設の整備にその金が使われ、そのことによって質のいい住宅を円滑に供給し得ますような体制に持っていくべきである、かように考えておるのでございます。  そこで、先ほど来、固定資産税なり都市計画税等の二重取りになるではないか、かような御指摘でございましたが、公共施設等が整備されますと、それだけ地価の評価も高くなってくるようなことでございますから、それは当然、その市町村市町村が評価いたしまして課税いたすべき性格のものだ、かように承知をいたしておるところであります。
  69. 正木良明

    正木委員 これも時間がありませんからやめておきましょう。私が言っているのは、その二重取りともう一つの二重取りがあるのですよ。あたりまえに税金を納めている者は、ただで義務教育の諸学校の施設を利用できるのです。地方道、有料道路以外はただで使えるのですよ。しかし、それをつくるために税金を納めておきながら、宅地を分譲を受けた分の中にそういう負担金まで含まれているのなら二重取りじゃありませんかと言っているのですよ。この二重取りもあるのですよ。  それで、総裁が二人来ておられるのに手ぶらで帰らすわけにいきませんので、ちょっとそっちの方へ質問を向けます。たくさんあるのですが、質問を選びます。  一つは、金融公庫総裁、中古住宅ですが、これは私たちが各委員会でやかましく主張をいたしまして大分ましになりました。中古住宅というのは、私はなぜやかましく言うかというと、やはり住宅の流通という面から言うと、中古住宅というものについての手当てをいたしませんと、若いときに小さな家を建てた、家族がふえてきたら大きな家にかわりたい、しかし、いま住んでいる家が売れないでは新しい家を購入するわけにいかぬから、中古住宅も対象にしてやれという意味で申し上げているのです。ざっと言って。ところが、ある程度、六階建て以上、十室以上でなければならぬ、耐火構造でなければならぬという条件の中から三階以上になりましたから、これは中高層もこれに該当することになりましたね。これは一思いに耐火構造ではなくていわゆる防火構造、こういうものにまで本当は広げてやってもらいたいと私は思うのですね。いわゆる鉄筋コンクリートのマンションでなければ、それを購入するに当たって住宅金融公庫から融資を受けられない、こういうことになってしまうわけです。しかし、一軒建ちの家であったって、モルタル塗りで防火構造であるというものまでやはりその範囲は広げるべきであると思う。これがあなたに対する質問一つです。  かためていたします。大蔵大臣、この中古住宅については住宅ローン減税というのはないのです。これは五十三年一月一日からの新築住宅について今度は値上げになりましたね。だから、中古住宅も新しく購入するという場合には、新築と同じように住宅ローン減税の対象にしてやってくれませんか。この二問、簡単に答えてください。まだ住宅公団が残っているから。
  70. 大津留温

    ○大津留説明員 中古住宅の流通を円滑化するということは、これからの住宅政策上きわめて大事な問題だと思います。したがいまして、五十一年度に中古住宅に対する融資を始めたわけでございますが、なかなかこの実績が上がりません。これはいろいろ条件が厳しい等のこともございますので、やはりこれは逐年改善してまいりたいということで、今度からは三階以上というふうに対象を広げたわけでございますが、これからも逐次改善を加えていきまして、正木先生のおっしゃる方向に持っていきたいと思います。
  71. 村山達雄

    村山国務大臣 今度の住宅減税は、ローンの償還を含めまして住宅取得控除を最高限を拡大したことは、正木委員承知のとおりでございますが、ねらいとするところは、今度の景気対策に焦点を合わしているわけでございまして、その住宅を取得する人の負担という面から特に考慮しているわけでございませんので、今度はそちらの方の問題は金融に任せまして、税の方では景気対策に中心を置いた次第でございます。
  72. 正木良明

    正木委員 流通ということは、先ほど申し上げたように、家族の少ない若いときに小さい家しか建てられない、家族がふえて大きい家を、また住宅金融公庫から融資を受けて大きいものに建てかえる。そうすると新しく、家の建てられない若い人たちが、低収入の人たちが、そこへ入るのです。そういう形でリンクしていくという形での流通が一番理想的な形なんですね。ところが、いま小さいところに入っておったって、融資の対象にならぬからだれも買ってくれない、不動産屋さんにたたかれるだけの話だということになると、なかなか新しい家を建てられないわけでしょう。これを同じ条件にしてやればリンクしていくのですよ。私は決してやっつけようという意味ではなくて、これからの住宅政策、景気対策の上において住宅対策が非常に重要な部面を占めるならば、こういうきめの細かいやり方をやらないとだめですよということを言っているのです。景気対策にならないから減税しないという、そういう発想が常につきまとっているというのはおかしいのであって、新築の家に入ると同じような形で、住宅金融公庫から融資を受けて入る人たちにやはり減税の恩典というものを与えてやらなければいけません。これ、三年でしょう。これから考えると言ったって、この三年、この減税の期間、済んでしまいますよ。  住宅公団総裁、お願いいたします。  あなた、わざわざ来てもらって、いやなことを聞くために来てもらったようになって申しわけないのですが、毎度私はこの予算委員会で申し上げておりますが、今度の家賃の値上げ等にも関連する休眠土地、あなたのところが買ったというよりも、どこからか買わされたと私は思いますが、それでもう手に余っていますね。あれは大分、半分くらいは処理がつきつつあるということでありますが、その状況を聞かしてください。
  73. 澤田悌

    ○澤田参考人 お答えを申し上げます。  会計検査院から指摘されましたいわゆる長期未利用土地でございますが、これは住宅建設部門で十四地区、五百六十六ヘクタール、宅地開発部門で八地区、約千二十三ヘクタール、合計で二十二地区、約千五百八十九ヘクタールあるわけでございます。これらの地区の開発につきましては、公団といたしましても重大問題でございますから非常に努力をいたしておるのでございますが、その中で一番ネックになっている一般的な問題は、市街化区域への編入が非常に困難であるということでございますが、その他道路、上下水道等の関連公共諸施設の整備等も障害になっておるわけでございます。公団といたしまして地方公共団体と協議を重ねて努力をいたしておるところでございますが、すでにその中で処理の決定いたしておるのが二地区出てきておりますし、また今明年中に事業に着手できるめどのついた地区も数地区あるわけでございます。公団といたしまして部内に経営改善推進本部を設けまして、それが中心になりまして、今後より一層関係地方公共団体等と協議、調整を進めて、一日も早く事業に着手できます地区を増加するよう最善の努力をいたしておるところでございます。
  74. 正木良明

    正木委員 いまもおっしゃったように、宅地部門で千二十三ヘクタールのうち、めどがついたと住宅公団がおっしゃるものが五百九十七ヘクタール、これは五八・三%です。まだ半分足らず残っていますね。住宅部門が五百六十五・六ヘクタールのうち二十六ヘクタール、これは少ない。四・六%しかめどはついていませんね。ほとんどめどがついていませんね。いまおっしゃったように市街化調整区域の土地で開発許可がおりないとか、また下水道だとか上水道がないためだとか、交通の足がないとか、そんなことは初めからわかっているのだ。そういうものを買わされたのでしょう。だから、一方的に住宅公団を責めるのもちょっと酷なような気がします。これは建設省が責められなければいかぬ問題かもわからぬけれども、しかしこれは問題なんです。そこで、これはもっと長く議論を続けたいわけですが、もう結論へ急ぎます。  実はこれの金利だとか、これを抱えておるのが住宅公団の赤字において大きな部分を占めるのです。この赤字を解消するために家賃を上げるというのだが、これはそういう意味から言って、こういう休眠というか冬眠というか遊休というか、眠っている土地、これを抱えている、この部分の赤字は家賃を値上げするような問題とは完全に切り離して、国の方も無理やり住宅公団に買わしたというきらいもないことはないわけですから、これはめんどうを見てやらなければいけませんよ。そうして一緒に方策を考えてやらなければいけません。これを処理するためにどうするか。これは家賃問題との関連で切り離すということと、それとあと、大蔵大臣、えらい気の毒だけれども、あなた、この問題をちょっと手助けしてやるということで、建設大臣と大蔵大臣、これで大体時間になるでしょう。
  75. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 家賃問題と切り離して考えるべき問題だ、それはそのとおりに心得ておるつもりでございます。
  76. 村山達雄

    村山国務大臣 いま建設大臣がそういう考えでございますので、われわれもよく……(正木委員「処理について、後始末について」と呼ぶ)後始末につきましては、建設大臣と十分協議をして、そしてやりたいと思っております。
  77. 正木良明

    正木委員 関西空港問題について質問しようと思ったのですけれども、時間がなくなりましたので、それはまた、分科会ないしは運輸委員会でやりましょう。  そこで、一連のものを総理もずっと、そこにお座りになってお聞きをいただいたと思います。公共事業一本やりで今回の予算は組まれております。その中で、公共事業をこれだけ大量のものを消化するためにどんな隘路があるか、その七割を消化しなければならない責任のある地方自治体側にはどれだけの大きな隘路が幾つあるか、これを請け負った建設業者の側にどれだけの隘路があるか、これは公共用地の確保の問題も本当はここで言いたかったのですが、時間がありませんから省略いたしますけれども、いずれにしてもこれだけのものを、しかも前倒し発注、上半期に集中してということになってまいりますと、これはもう現在予想できないような大きな障害、ボトルネックが生まれてくるに違いないと私は思います。  そこで、私どもは、この公共事業一本やりではなくて、この公共事業一本やりというものは成功すればいいですよ、成功する可能性がきわめて薄いとわれわれは判断いたしておりますが、ならば、これが破綻したときには、七%の実質経済成長、いまの深刻な不況克服は不可能であるという判断に立つがゆえに、どうしても別な方策、景気対策というものも補完的に用意をしておかなければならないのじゃありませんか。それがいわゆる個人消費を刺激するための何らかの方策です。これは福祉の上積みであり、同時に減税という問題を当然考えなければならないではありませんか。いや、そんな財源があるなら公共事業をふやす方が効果がありますと繰り返しおっしゃいますが、これだけの隘路があるのをこれ以上公共事業をふやすような余地がどこにあるか、こう考えてくると、公共事業はもはや限界を超えていると見なければなりません。そういう立場で、一連の問題について御質問を申し上げました。この点については今後また、われわれの同僚が重ねて質問を続けていくでありましょう。ただ問題は、もしこれでいくのだというのであるならば、もしこれが破綻したときに、これが失敗したときに、政治責任をどのようにおとりになるか、これだけを最後にお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  78. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 今回の公共事業費は、これはもう大変急激に多額になっておりますので、これが順調な消化ということは容易なことではありません。容易なことではありませんけれども、しかし、これは実現をできるという限度におきまして予算化いたしたものでありまして、予算化をいたした以上は責任を持ってこれが消化をする、かような決意でございます。
  79. 中野四郎

    中野委員長 これにて正木君の質疑は終了いたしました。  午後零時四十分より再開することとし、この際、休憩をいたします。     午後零時四分休憩      ――――◇―――――     午後零時四十二分開議
  80. 中野四郎

    中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。湯山勇君。
  81. 湯山勇

    湯山委員 私は、同和対策についてお尋ねをいたしたいと思います。  と申しますのは、この同和対策の基本である措置法は、五十四年の三月で期限が切れることになります。そういたしますと、長期計画も、あるいはいま審議しておる予算がこのままだと最後になるということに形の上ではなっておりますが、そうだからといって、一体そういうことでいいかどうか。今日までの同和対策を振り返ってみて将来の同和対策を考えていくという非常に重要な時期でございますので、この質問をあえてさせていただくということになりました。  まず、総理にお尋ねいたしたいのですが、総理は、先般の私どもの党の中村重光議員の質問に対して本会議で、「憲法に保障されました基本的人権にかかわる重要問題でありますので、政府といたしましては、昭和四十四年に制定された同和対策事業特別措置法及び同和対策長期計画を基本として、同和対策事業の推進を図ってきたところであり、相当の効果は上がっているものと考えられますが、なお問題が残っていることも十分承知いたしておるわけであります。」こういう御答弁がございました。  そこで、まず二点、御確認いただきたい。その一つは、この同和対策事業特別措置法というのが同和対策の推進に非常に効果を上げた、つまり非常に推進に役立ったというふうに評価しておられるということが一点と、第二点は、残る問題が多いことは十分承知しているとおっしゃった。私はこの「十分」という言葉は千鈞の重みのある言葉だと思います。ただ、どうするという御意思の表明がございませんでしたが、十分存じておるということは、もちろんその解決のために積極的な努力を続けていかれるという意思がその言葉に含まれておる、このように理解してよろしゅうございましょうか。総理から伺いたいと思います。
  82. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 昭和四十四年に成立いたしました同和対策特別措置法、これは同和問題の解決のためにかなり大きな貢献をした、私はこのような認識でございます。ただしかし、湯山さんよりただいま御指摘のように、十年目が再来年は到来をする、こういうことになるわけでありますが、その時点においてなお同和対策といたしまして未解決の問題が残るであろう、たとえば当時予定いたしました同和対策事業、これなんかもまだ積み残しが残るんじゃないか、そのように考えられるわけでございます。  さて、そういう段階におきましてこの問題のこれからの措置はどうするかということにつきましては、同和対策協議会もあります。また地方団体の意見を聞くという問題もありますが、とにかく同和対策特別措置法が成立いたしました経過を顧みてみますと、これは何よりもまず各党間で話し合いをしなければならぬ問題だ、このように考えるわけであります。この各党間の話し合い、これにつきましては、これを尊重して今後の対策についての結論を出すべきものだ、このような理解をしております。
  83. 湯山勇

    湯山委員 たまたま総理の方から御指摘がございましたが、十カ年計画では最後の予算がいま出ておるわけでございまして、五十三年度予算執行されたとして、いま総理のおっしゃった十カ年計画の残事業がどれくらいあるか。これは数字であらわれますからわかりやすいと思います。総務長官からひとつ状況の御報告を願いたいと思います。
  84. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 お答えいたします。  政府は従来から、同和対策事業特別措置法を基本として積極的に推進をしてまいりました。相当大きな効果が上がったものと考えておりますが、なお五十四年度以降想定されます事業、すなわち残事業につきましてはどのようにして実施するか、真剣に検討してまいりたいと思います。  なお、残事業につきましての詳細な数字は、政府委員をもって答弁させます。
  85. 黒川弘

    ○黒川政府委員 昭和五十年に行われました同和地区の調査によりますと、昭和五十年度以降の同和対策事業費として約一兆二千億円、国費にして約七千六百億円が見込まれております。この額から昭和五十年度以降昭和五十二年度までの実施分及びただいま御審議中の昭和五十三年度予算に計上している実施予定分を差し引いて計算いたしますと、昭和五十四年度以降にかかると想定される同和対策事業費は、国費ベースで約三千二百億円になる見込みでございます。
  86. 湯山勇

    湯山委員 対策室長、いま五十年度事業量ということでしたが、その間かなり物価上昇がございましたね。物価上昇はいまの三千二百億には見込んでおられるかどうか、これをまず。
  87. 黒川弘

    ○黒川政府委員 ただいま申し上げました金額の中には、物価上昇分は見込んでおりません。
  88. 湯山勇

    湯山委員 それから、対象地域の数です。政府の資料によりますと、四十六年から五十年までの間に四百ふえています。現在が四千二百ばかりで、一割ふえているのです。五十年度以降増加したのは見込まれているかどうか、それからその数はどれだけあったか。これを長官から。
  89. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 全国同和地区の調査をいたしました。これは今後の同和対策に対する基本的な資料として行われたものであります。全体で四千四百八十、そのうち百六地区が追加をいたされました。あとまだ未調査地区がございます。それは、市町村長を経由して届け出がございますならば、五十年度調査報告の追加として受理するということにいたしております。
  90. 湯山勇

    湯山委員 はい、わかりました。  そこで総理、残事業といいましても、政府べースで、いまの御答弁そのままいけば三千二百億。それから、物価上昇を見込んでないそうですか、これは五十一年に一一・八、五十二年に七・六、それから五十一年度、来年度総理おっしゃっておられたように六・八%と見ると、五十四年度からのが残っておるわけですから、この分だけで二六%以上になります。これを掛けますと大体四千億を超えます。それから地区の数も、四十六年から五十年までこの四年間で四百ふえている。それから、いまの御答弁でこれ以後に百六ふえている。こういうことになりますと、残事業は四千億をはるかに超える。で、従来のことから見ますと、一兆二千億に対する国負担が七千六百四十四億という計算でございますから、これから見ると、実際の事業量から言えば、まあスタートが遅かったこともありますけれども、全体の量の半分程度がいまの御答弁からも残っている、こういうことになるわけです。これは私は政府にも重要な責任があると思いますし、なお未調査地区も相当あるということで協議会はいまも調査を進めているということですから、これは少し残っているというような問題でないということをひとつ御理解いただきたいと思うのです。  そのおくれた理由です。いろいろありますけれども、おくれた理由の大きいものとして、やはり地方財政の圧迫、これが挙げられております。先般、この委員会で多賀谷委員質問自治大臣も御確認になったところでは、昭和五十年度において同和債、同和事業に対しての起債が認められている。その同和債が現在高二千八十三億。ところが、これは措置法に伴って地方交付税法が改正になりまして、指定された事業については起債の十分の八、つまり千円に対して八百円は元利償還を国が見ることになっています。ところが、せっかく同和事業をやっても、十条指定になっていない、あるいは土地取得等については、たとえば同和地区の保育所、これは建物はいまのような補助と起債がありますけれども、土地はゼロである、隣保館の土地は二分の一補助というように、補助がきちっと三分の二になっていない。こういうことから、結局、本来ならば八〇%元利償還を見てくれるはずのものが、実際はいまのように二千八十三億に対して四百五十五億ぐらいしか見られないで、その率は二一・八%。八〇%になっていいものが、いまのような点が整っていないために二一・八%、その残が地方へかぶさってくる、それがいまのような状態になっている。  こういうことでしたが、加藤自治大臣、これよりも新しい資料がおありになれば、ひとつお示し願いたい。  それから、自治大臣は岡山県知事として、岡山県は御熱心に同和対策に取り組んでおられました。実際にやられてみて、さて、こういうことであれば、これはもうやめた方がいいとお考えになりますか。重要な事業だから、いまいろいろ自治省の方で局長通達等もお出しになって、もっと国負担をふやすとか事業の枠を拡大するとかいったようなこと、御要望を述べておられますが、改めて、とにかくこれはやり抜かなければならないとお考えになるか、この点、自治大臣から御答弁を願いたいと思います。
  91. 加藤武徳

    加藤国務大臣 ただいま、地方団体起債で事業をやりました場合にその起債総枠のうち交付税に算入いたす対象のパーセンテージの御指摘がございました。私どもの手元にありますものも昭和五十年のものしかございませんで、昭和五十年度起債現在高が二千億円を超えておるのでありまして、そのうち四百五十五億円がいわゆる十条対象、かようなことでありますから、そのパーセンテージは御指摘のように二一・八%と、かようなきわめて率の低いものでございます。  同和対策事業につきましては、すでに明治初年後百年以上経過しておるのでありますから、当然差別がなくなっておらなければならぬと思うのでありますが、実際問題といたしましては、なかなかそうではないのでございます。かつまた、先ほど総理府から御発言がございましたように、相当の残事業もあるのでありますから、特別措置法が十年の時限を経過いたしましても補助制度さえ存置すればいいではないか、かような議論が一部にあるのでありますけれども、しかし、ここ十カ年間、この法律によって非常な成果が上がったことが明らかなのであります。地方といたしましては、この補助制度の拡大を強く望んでおるのでありまして、先ほど総理からも御答弁がございましたように、この法律の存否につきましてはこれから十分に検討いたさなければならぬのでありますけれども、その問題とは別個にやはり幅広い事業の実施、これがぜひ必要である、かように痛感いたしておるところでございます。
  92. 湯山勇

    湯山委員 自治大臣の御把握、御理解も、私はそのとおりだと思います。  さて、いろいろ申し上げたいのですが、時間の関係もありますから……。この措置法の第六条には、同和対策事業としてどういうものというのが挙げられております。八項目ありますけれども、その中で、第六条の第五項ですかに雇用の促進及び職業の安定を図る事業というのがございまして、従来から地区住民に対する、つまり被差別部落の人たちに対する雇用上の差別が非常に大きかった、これを解消しなければならないということで、いろいろ努力は払われておりました、たとえば就職指導官を五十三年度では累計百八十人、それから職業相談員というのは初め百五十名ぐらいでしたが、いま二百十名と、いろいろ努力はしておられますが、この資料によりますと、昭和四十七年、まだ高度成長華やかなころで、ちょうど列島改造論の真っただ中、そのときで雇用上、就業上の地位はどうであるかというと、臨時日雇い、それが大体全国平均で七・四%、それに対して同和地域の人たちでは三五・一七%、つまり五倍です。一方七%、一方三五%ですから。この高度成長の中においてもなおかつ、この地区出身者は雇用条件が非常に悪い、臨時日雇いの割合がそんなに大きいということでございました。その後どうなっておるか。これは労働省、資料がございますか。
  93. 藤井勝志

    藤井国務大臣 ただいま湯山委員から御指摘の数字でございますが、これは四十七年の調査でございまして、八地区八百世帯、その後五十二年、今度は七百地区一万一千世帯の調査の結果は二三・三%、こういうことになっております。しかしながら、御指摘のごとく全国平均から比較いたしますとまだ大変比率が高い。私はやはり同和問題解決の中心課題というのは雇用の機会均等ということにあると考えておりますから、今後積極的にこれが雇用の拡大、安定化に努力しなければならない、このように思います。
  94. 湯山勇

    湯山委員 幾らか改善されておるようですけれども、なおかつ三倍以上、四倍近い数字は変わっておりません。ことにいま重要なのは、今日の不況、倒産、この影響です。おととい藤田委員からもちょっと御指摘がありましたが、造船関係の倒産、これは下請、臨時が非常に多いので、二千人くらい、全員解雇というようなものもありますけれども、その周辺では恐らく臨時、日雇い、下請関係で千人以上が失業するだろうということです。私の地元でも、繊維産業の関連の会社で常時大体七百人余り就業しておりましたが、不況でどんどんやめさしていって、七百人余りが今日四百人です。つまり臨時を切っただけで半分近くになっている。こういうことですから、今日の不況の中では同和対策としての雇用対策、これをうんと強化しなければならない、私はこのように考えますが、これは労働大臣は御異議のないところですから、指摘だけしておきます。  さらに重要な問題は、このときに出てきたのが、あの有名な「全国特殊部落地名総鑑」、これには「人事極秘」というサブタイトルがついています。こういうものが出てきて、これは何に使われるかはもうおわかりのとおりであって、これを書いた坪田というのが新聞に発表しておるところによりますと、「結婚、就職、管理職登用等で調査をする。特に結婚については九九・九%が被差別部落出身か否かである。」その次です。「大企業では複数の興信所と年間契約を結び、チケット制でやっている。」「購入先の数は百五十二になっております。」こういうことですから、これはきわめて重大な問題だ。措置法が施行されて、――これが出たのが五十年ですから、七年たってなおこういう悪質な差別が出てくる。これは一体どうしたことか。どうしなければならないか。労働大臣としては、これにも書いてございますけれども、従来とておった施策、たとえば戸籍公開の制限とかあるいは原戸籍を書きかえるとかあるいは就職の応募用紙を改定するとか、やってこられましたね。しかし、なおこういうものが厳として残っておる。しかも、これがこういうふうに売り出される。これでは、従来の施策、これを反省し、点検して新たな政策を立てなければならない、こういうことになっていますが、労働大臣はどうお考えですか。
  95. 藤井勝志

    藤井国務大臣 御指摘のとおり、政府の推進する政策に大変逆行するようなきわめて遺憾な「地名総鑑」、これをまた営利の目的で使うということは、私は二重、三重のけしからぬことだと思うのでございまして、労働省でも引き続きいろいろ懸命にこれが対策を進めるべく努力しておるわけでございまして、五十三年度におきましては、特に雇い主の同和問題に対する正しい認識と理解、こういったことが必要でございますから、そういう面において企業内同和問題研修推進員制度というものを新たに設けましてこれが認識を深める、こういったことと同時に、やはり職業あっせんにきめ細かく配慮すること、同時にまた、必要な技能を職業訓練によってこれまた手厚く対策をいたす、こういったことと相まってせっかく努力しておるにかかわらず、御指摘のような事実があるということはまことに遺憾千万でございまして、今後一層努力をいたしたい、このように思う次第であります。
  96. 湯山勇

    湯山委員 このときに、労働大臣それから総務長官は、全く憤りにたえないという声明を出しておられます。それから各省次官連名で、いまおっしゃった日経連その他使用者側五団体にも要請の通達をしております。官庁へもやっておる。しかし問題は、やっておる真っ最中に、それをあざ笑うかのごとく第六、第七、これが出ております。そして買った企業が、その中にはいろいろ問題のところもたくさんありますけれども、とにかく名前が出るものですから、今度は第七なんかを買っておるのはもう企業じゃありません。買い入れ先は全部興信所、探偵社、つまり企業が買うとそういうふうになるから、結局そういうのが買って引き受けてやる。一層悪質化してきています。一体これでいいかどうかです。いまのようなことで済む問題じゃない。私はやはりこの労働対策、これは根本的に御検討願わなければならない、このように考えます。これは労働大臣に強く要請します。  さて問題は、これを買ったところがそういうところだけじゃなくて大学にもあるのです。結局、同和問題の最終的な解決は教育にある。人の心にある。実態的な差別、心理的な差別、その心理的な差別をなくさなければならないのが教育だ。その教育の場へもこの「地名総鑑」が入り込んできている。いま同和教育というのは、むずかしいが、緒についたばかりですが、文部大臣、学校で購入しておるという事実を御承知ですか。それから今後どうされるか、伺いたいと思います。
  97. 砂田重民

    ○砂田国務大臣 先生御指摘の事実を昨年の三月に法務省から連絡を受けまして、文部省は承知をいたしたわけでございます。学校法人がこのような資料を購入いたしましたことはきわめて遺憾なことであると考えております。文部省といたしましては、直ちに法務省と協議をいたしました上で関係機関等と協力をいたしまして、当該資料を購入いたしました学校法人に対しまして啓発を行いました。その際に、同和問題の正しい理解と認識を深め、基本的人権、特に就職の機会均等等が侵害されるようなことのないように万全の配慮を促しましたところでございます。問題解決のためには学校法人としての社会的責任というものの重要性を認識させるべく措置をいたしました。同様に、購入いたしました大学だけで事は済むことではございませんから、この趣旨の徹底方につきまして、私立大学関係団体及び各都道府県の私立学校担当部局等に対しましても同様な指導を行ったところでございます。なお、その六つの大学につきましては、当該資料は全部法務局に回収をしていただいたところでございます。
  98. 湯山勇

    湯山委員 まだまだこれは、やらなければならないことがそういうふうにたくさんあります。  それから法務大臣にお尋ねします。  この答申の中に、この差別というものは人の命を断ち、あるいは家出あるいは自暴自棄になる、刃物よりも深い傷を負わしている、そういうことだから、法的にこの差別の悪質なものを排除する措置を講ずべきだということが答申にあるのですけれども、私は何回もここでお聞きしましたが、しかし、それは法的に排除するというのは好ましくない、あくまでも教育、啓蒙によって差別をなくする、こういうことで、今日まで教育、啓蒙の方針をとっておられました。しかし、今日のように、悪質な差別を売り物にして金もうけをする、こういった者が出たのを一体啓蒙、教育でできるかどうか。私は、やはり法的措置をとらなければならない、法的排除の措置をとらなければならない、このように考えますが、法務大臣の御見解はいかがですか。
  99. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 湯山さんからいろいろお話がありまして、そういう特殊の地域をあるいは差別するような資料といいますか「地名総鑑」等の書籍といいますか、ピックアップしたものを販売しておる事実、御承知のとおりに昭和四十五年から今日まで七件、さようなことがありました。最近といいますか近くでは、昭和五十一年の春から夏ごろに出回っております。その際には、事、人権に関する重要な問題でありますから、法務省といたしましては直ちにそういう出版元あるいは配付元等をできる限り調査をいたし、回収すべきものは回収する、あるいは焼却すべきものは焼却する、こういう措置をとっておりますが、全部それで処理ができたという状況ではないようでございます。  そこで、いまのお話でございますが、こういう問題は人の信条に関するものでございますから、事、言論あるいは信条の自由、こういうものに関するものでございますから、できる限り心を改めてもらうという教育といいますか、学校教育、社会教育、こういう点で解決するのが一番ベターといいますか、いいのじゃないかと私は思いますが、最近また、こういうものが出回っている、そういう関係者に非常に重大な打撃を与えている状況があります。いま労働大臣からもお話がありましたが、金もうけのためにさようなことをするということはきわめて遺憾なことでございます。  法務省といたしましては、現在、これは最終決定方針ではありませんけれども、何とか法的規制をしなければこういうものを防除することはできないのではないか、かような観点から検討を進めておるところでございます。検討を進めておりますが、申し上げるまでもなく人権問題あるいは言論出版の自由にも関係がありますから、事、憲法問題に関係ありますから、各方面の意見を聞き慎重に対処したい、かように考えておるわけでございます。
  100. 湯山勇

    湯山委員 九カ年堅持してきた方針を改めて、法的規制の措置をとるとはおっしゃいませんけれども、検討しておるということでございます。私は、やはりこれだけ悪質なものについては速やかに結論を出して法的規制をすべきだと思いますので、これを要望しておきます。  さて、いま法務大臣、人権の問題にお触れになりましたが、措置法実施以来九年たちました。もう人権侵害ということだけは減ってきたということにならなければならないと思います。法務局なりあるいは地方法務局で人権侵害事件として取り上げる件数というものは、これはもう当然に減らなければならないし、それからまた、従来やっておられる同和問題に対処する特設人権相談所の取り扱い件数、これも、九年努力を重ねたのだからこんなに減ったという答えが出てしかるべきだと思うのですが、これはいかがでしょうか。法務大臣でなくても政府委員でも結構です。
  101. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 お答えいたします。  これは人権侵害事件が多くなっておるのかどうかという判定にはなりませんけれども、遺憾ながら人権侵害ありとして法務局等に申告がありますものはふえておる傾向でございますから、法務省としては、御承知のとおりこれは強制力のある制度でありませんので、努めて、そういうものは間違いであるということを一般啓発、個別指導しておるというのが現状でございます。
  102. 湯山勇

    湯山委員 相談件数は。
  103. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 それは事務当局から御説明させます。
  104. 湯山勇

    湯山委員 よろしい。私が言います。時間がありませんから。  この資料によりますと、いまおっしゃったように、差別事件として取り扱い件数は遺憾ながらふえている。それから特設人権相談所、ここでの取り扱い件数は、五十年までですけれども、四十八年が三万五千、四十九年四万一千、五十年五万と増加しています。これは一体どういうことなんでしょう。これは怠慢とか無能とかいう御批判もあったようです。しかし、私はそう思いません。それは、いままでは泣き寝入りしていたのが、やはり人権を自覚して、言うべきことは言う、相談すべきものはする、こういうふうになってきたために増加しているものと善意に解釈しています。しかし、まだ上り坂です。これがとまって下りに向いて、本当に解決に向かうわけで、まだ上り坂にある。これをほっておくわけにはまいりますまい。このことは私はそう期待して、さらに強力な施策を要望したいのですが、法務大臣、いかがですか。
  105. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 先ほどもお答えいたしましたように、私の感じ方では、人権問題そのものが、事件そのものがだんだん多くなっておるというよりも、人権思想が非常に発展してきたといいますか、進んできた。そこで、さようなことはいかぬのだ、こういう思想がだんだん徹底といいますか、普及といいますか、それが申告件数にあらわれてきているのじゃないか。こういう傾向は私はいいことであると思いますが、これは先ほど申し上げましたように信条の問題でありますから、強制的にさような言動を処罰するとかなんとかいうものでもございませんので、これはあらゆる機会を通じて、そういうことは間違いであるということをやはり徹底させることが必要であると思います。
  106. 湯山勇

    湯山委員 そういう状態にあります。  それから、こういう問題は、これは遠いところにある問題じゃないのです。国会の中でもありました。そして議長が各党代表を集めて注意を喚起したというような事例を初めとして、国会の中でもありました。それから政府、皆さんのお持ちになっている各省、その中にもありまして、省の幹部を集めて、人権擁護局長を講師として再教育をやったというような事実があります。あるいは現職の検事に差別事件があった。決して遠くじゃありません。この周辺にもやはりあるわけで――一体そういう事実があったかどうか、総務長官から、御存じかどうか。
  107. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 お答えいたします。  国会あるいはまた職員関係にもこの事件があったことを、詳細に報告を聞いております。
  108. 湯山勇

    湯山委員 総理は御存じないでしょう。――総理は恐らく御存じないと思いますけれども、そういう状態です。これは福田総理の責任とは申しませんけれども、やはり福田総理を含めて大きく政府全体の責任――いつこの中からそれが出てくるかわからない状態です。これは、私はやはり総理政府の責任としてしっかり受けとめていただきたい。決して遠くにあるんじゃありません、足元にたくさんあるということを御認識願いたい。  さてそこで、こうなってくると同和対策というものは、いま各担当大臣おっしゃいましたように、決してこれでどうこういうものじゃなくて、ますます強化して努力しなければならないということが明瞭になってまいりました。ただ、先般来、あるいは先ほどの総理の御答弁でも、ただこれの延長というようなことについては、これは同和対策協議会の意見も聞かなければならない、あるいは各公共団体の意見も聞かなければならない、あるいはまた各党の意見の一致も見てほしいという御要望でございましたが、これは時間がございませんからですが、法律がなくて一体続けてやる、五十四年度以降の概算要求ができるかどうか。今年の八月にはもう各省概算要求を出します。そうしないと五十四年度は間に合わない。法律がなければ、各省の判断で概算要求を出すのは自由ですけれども、まちまちになってしまう、地方自治体も迷います。申し上げて失礼ですけれども、瀬戸山法務大臣の地元の宮崎県なんかは、もうちょっとがんばってもらわぬと困る状態です。こんなところはもう落ちてしまう。それじゃこの同和対策が停滞する、後退する、こういうことになりますので、これは延長するんだといったようなことをはっきり決める必要がある。あるいはそうでなくてもそれ以前に、八月以前の機会と言えば閣議でやるかなんかでしょうけれども、やはり法律でこうするというのが一番正しいやり方だと思いますので、大蔵大臣、いかがでしょうか。
  109. 村山達雄

    村山国務大臣 いまの湯山委員の御質問、もっともだと思います。私は、法律の延長がなくとも概算要求は当然できると思っております。その点は総理府の方と十分打ち合わせまして、そして概算要求ができるようにいたしますとともに、法律改正につきましても総理府と十分な連絡をとりまして善処してまいりたい、かように思っております。
  110. 湯山勇

    湯山委員 法律がなくてもできるという、それは事務当局の答弁です。私は大蔵大臣のこれに対するそれを聞いておるので、いまも大臣おっしゃったように、総務長官と協議しなければいかぬ。では、総務長官と大蔵大臣が協議したら五十四年以降もこの事業は続けると言い切れますか。そうでなければ概算要求はそろわないでしょう、地方自治体もあって。全体にわかるようにそのことをやらすということになれば法律が一番適切だ、これはそうでしょう。そうだと言ったらいいのです。
  111. 村山達雄

    村山国務大臣 いま私に御質問があったからお答えしたわけでございますけれども、もちろん、これは総理府が中心になってやるべきことでございますので、それらの問題は総理府総務長官の方が中心になりまして、それとあわせまして法律改正あるいは予算措置についても十分な措置をとってまいりたい、かように存じておるところでございます。
  112. 湯山勇

    湯山委員 総務長官、全体をそろえなければ後退したり停滞します。だから、全体にわからすということのためには法律改正をするのが一番適切だということは、いいですね。後でまた言いますが、いまこっくりうなずかれましたから、私の言ったことを理解されたもの、このように思います。  さて問題は、総理が言われました三つの条件、確かに同和対策協議会の協議が終わっていません、結論は出ていません。しかし総務長官、対策協議会の動向というのはおわかりでしょう。――これもうなずかれたから、わかっておるようです。それから公共団体、これはもう具体的な数が出ています。知事会はどうか、市長会はどうか、市町村議会でこのことを意見書にして決議したのが幾つあるか、都道府県で幾つあるか、おわかりでしたらお示し願いたい。
  113. 黒川弘

    ○黒川政府委員 地方議会等における同和対策事業特別措置法の延長についての決議等の状況でございますが、府県議会、市町村議会を合わせまして八百九十一件の議決が行われ、要望が寄せられております。それから府県知事、市町村長からは合わせまして七十件、このほか全国知事会等の地方自治六団体を初め、約六十件の要望が寄せられております。
  114. 湯山勇

    湯山委員 いまお聞きのとおりです。総理公共団体の意向というものは、それはこの事業は厳しいですから、難儀さはあるし、気持ちの上ではやってもらわない方がありがたいと思う人もあるかもしれません、わからない人は。しかし、とにかくやらなければならないというので、該当千四十の中で八百以上の市町村は、該当県を全部引いたって三十六ぐらいですから、千四十の中で八百六十からの自治体、九〇%近いものが、延長してほしい、強化してほしい。都道府県も三十幾つの中の二十八、こういうことです。知事会、市長会、これでもう公共団体の意向はつかめますね。  各政党ですけれども、公明党さん、民社党さん、延長しようという会に出ておられますから問題ないと思うのですが、われわれの党ももちろん問題ありません。自民党がどうお考えか。ですけれども、私ども、大原議員と一緒に当時の政調会長河本さんにお会いして、これこれこれでひとつぜひ御一緒にやらなければならないのでというお話をいたしました。そのときには具体的にお名前もうわさには出ましたが、私のメモではこれだけしか書いていませんけれども、とにかく進めるように話しましょうと、当時の河本政務調査会長はおっしゃったわけです。河本通産大臣、党役員のときのことをいまお聞きするのもどうかと思いますが、そういう事実、いかがだったか、お願いしたいと思います。
  115. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 たしか昨年の秋だったと思いますが、いまお述べになりましたような申し入れを、私が政調会長当時受けたことは事実でございます。そこで申し上げましたのは、この法律ができましたのは各党が相談をしてつくりました経過もありますので、各政党間で今後の取り扱いをどうするか相談していかなければならぬことでございますが、そういう意味におきまして前向きに検討いたしましょうと御返事をいたしたことは事実でございます。
  116. 湯山勇

    湯山委員 そういうことです。それで本来、皆さん若干誤解しておるのは、つくったときは各党協議してつくったというのじゃなくて、つくることを決めたのは同対審の答申です。答申の結びの第一項に、つくれと書いてある。ですから、当時の佐藤総理は、受け取ったときにつくるということは決まって中身を相談したわけで、総理はよく御存じだと思う。だから、延ばすのも同じです。つくる責任は政府にあって、延ばすことも政府で、中身の協議がお互いの問題ですが、さて、もうおわかりのとおりです。  私は時間がありませんので特にこの際申し上げたいのは、これでもうはっきりいたしました。やらなきゃならない、大変だ、各大臣おっしゃったとおりです。総務長官、担当大臣として、この問題解決にどうするのか、措置法をどうするのか、ひとつしっかり腹を据えて、ここで御答弁を願いたい。
  117. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 お答えいたします。  同和問題解決のためには、同和対策事業特別措置法を、延長を含めて今後真剣に努力をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
  118. 湯山勇

    湯山委員 まだ若干不満な点もありますけれども、従来、総理もおっしゃったように、検討、検討であったのが、それらを含めて真剣に努力するということですから、これは一つ政府の意思の方向が示されたこと、それから、それに対して真剣に努力する、いま二つの点で二歩前進したものというように評価はいたします。しかし、これを確認した上で、総理にはもっと、うんと前進した御答弁を願いたいわけです。と申しますのは、前回出たもの、これに総理の名前がたくさん出ています。私の名前も二カ所出ておって光栄に存じておりますが、その中では、八木さんからほめられている。あの八木さんにしかられるということが多いのに、総理はほめられている。政府を代表して大蔵大臣の前向きな御答弁に感謝しますと。それからやはりこの書いてある中に、佐藤総理に、第二次の四党協議が進まないときにお願いしたら、当時幹事長である総理を呼んで、何とかせいと言われて、そこで二次のができて進んだということもあります。私は、佐藤元総理に敬意を表して、総理は、佐藤元総理にまさるとも劣らぬとは申しませんが、同じような情熱をこの問題に持っておられるということを信じます。したがって、その熱意を事実をもって今後お示し願いたい。そういう意味で、ただいまの総務長官の御答弁を受けて、総理から、そういうお気持ちの込もった御答弁をいただきたいと思います。
  119. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 同和対策特別措置法が大きな効果があったということ、また、それにもかかわらず、あの同和対策特別措置法のねらいとした諸事業のうち相当の部分がまだ残っておる、そういう認識でございます。そういう認識の上に立ちまして、先ほど申し上げましたように、同和対策協議会、また地方公共団体、そういう方々の意見、これは大体わかっておりまするけれども、最終的に聞きます。同時に、この対策がこのように進められることになったいきさつは、これはやはり各党間の協議にあったと思うのです。ですから、この辺でまたひとつ、各党間の協議を見なければならぬ。私は、その協議の結果はこれは本当に尊重する。尊重するという構えを持ちましてこの問題の処理に当たっていきたい、このように考えております。(湯山委員「努力をされる……」と呼ぶ)もちろん、これは各党間の協議を踏まえまして、それを尊重しながら努力をいたします。
  120. 中野四郎

    中野委員長 これで湯山君の質疑は終了いたしました。  次に、川俣健二郎君。
  121. 川俣健二郎

    ○川俣委員 総括質問ももう五日目に入っているわけですが、いままでの質疑応答の中で、端的にまず最初に確認をしてみたいと思います。  年金の論議もかなりありました。野党の提示する福祉年金二万円、八百億財源が要るので……。そこで、年金の積み立てというのは一体どのくらいあるのだろう。きのうからけさの新聞じゃありませんが、なけなしの楽しみにしておった厚生年金に計算機によるミスがあって、これが三十万人とかに上る。お年寄りだから、これはわれわれとちょっと違って、さらにショックは大きかったと思うのですが、計算機を扱うのもこれ人間でありますので、そのミスを私は決して追及しようとするのではございません。  そこで、早々厚生大臣に伺いますが、いま年金は八種類あるわけですが、一つの例を取り上げて厚生年金。この厚生年金の保険金というのは、一体年間にどのくらい入ってきて、どのくらい年金として支給して、現在どのくらい残っておるのだろうか、こういうところを御説明願いたいと思います。
  122. 木暮保成

    ○木暮政府委員 昭和五十一年度の決算で、厚生年金保険の収入は四兆百九十億でございます。それに対しまして、支出が一兆三千九百三億でございます。この収支差額を含めまして、五十一年度末に十四兆九千百五十七億円の積立金がございます。
  123. 川俣健二郎

    ○川俣委員 総理、このように五十一年だけを見ても、四兆円入ってきて一兆四千億支給した。そうやってたまった金、国民から集めた金が十四兆九千億、約十五兆あるわけですね。これは八つのうちの一つでありますが、こういったものを考える場合に、いままで衆参両院あらゆるところで出たのですが、皆さんから集めて積み立てた年金の額を一元化して、所管の官庁に運用の妙味を発揮させたらどうか。それには当然ながら、年金を納めたであろう国民側の代表とか、あるいは官庁の農林省なり厚生省なり大蔵省でそれぞれ所管しておるわけですから、さらに財政面で大蔵省、こういうような三者構成で、もう少し民主的な運営をしてみたらどうか、シーザーのものはシーザーに返せというせりふまで参議院の本会議で出たくらいですから。もう一回申し上げますと、四兆円集まって一兆四千億しか使わない、そうしていまの残りが十五兆円ある。ところが、福祉年金は八百億もかかるからとてもじゃないが、こういう総理のせりふは、とてもじゃないが一般の国民には理解せいと言ったってこれは無理なんだ。したがって厚生大臣、ひとつ長年検討されておった一元化と民主的な運営と、もっともっと効率的に年金というものを、積み立てた国民側のサイドに立って年金というものを運用していくべきではないか、ここが賦課方式に将来移行していく一つの糸口になるんではないか、こういう論議が重ねられてまいりました。その辺の所見を伺っておきたいと思います。
  124. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 先生も専門家でいらっしゃいますから御承知のように、日本の社会は急速に老齢化社会に移行するわけでございまして、諸外国に比べますとその速度はまさに非常な勢いでございます。したがいまして、この積立金というのは、少なくともそうした老齢社会を想定した場合には当然給付の非常な増高ということを考えなければなりませんから、この積立金は軽々に取り崩したりいろいろな方面に使ったりするようなことなく、最も効率的に運用していかなければならない。そうでないと世代間の負担の不均衡という問題が出てまいりますから、そういう意味で慎重を期さなければならないと思うわけでございます。  いま厚生省がやっているのだからおまえのもとに一元的に運用をしたらどうだ、そうしてその際に被保険者なりあるいは負担をする事業主の代表等を加えて民主的にその運用をいろいろ考えていったらどうだという御意見でございます。私がその激励をいただいた当事者としてどうもこんなことを申し上げて恐縮ですけれども、やはり積立金は最も有効、安全に運用していかなければなりません。同時に、財政金融関係整合性を保ちながら、これはひとつ効率的に運用していかなければならぬものですから、先ほどシーザーの物はシーザ~に返せという御意見がありましたが、私どもはもちはもち屋に任せた方がいいのじゃないかという意見で、財投資金としてこれをひとつ活用してもらって、そのかわりこの利用方法等につきましては、いろいろ厚生省の中で私の諮問機関として年金問題懇談会を置きまして、ここには先生のおっしゃるような労使の代表に入っていただいて、そしてこの使い方について意見をまとめて、これを財投資金の運用の方に注文をつけて、できるだけ被保険者の便利のような運用をしていただくようにお願いをして、逐年改善をしてまいりましたから、私は大体この方法でいくのか最も有効な方法ではないか、かように考えておるわけでございます。
  125. 川俣健二郎

    ○川俣委員 別に激励しておるわけじゃないので、もちはもち屋に任せろと言ったって、投融資に回った金が一回は大蔵省に戻る。だけれども、その後はどこへどう行っているものか、一遍この辺で、きょうは時間がありませんから、予算委員会の名において、一体どういうところへ使われているんだろうか、それこそ返済計画だ、十五兆円の。十五兆円もたまっておって、国民に回るのは一兆四千億だから、言わしてもらえば銀行の利子よ。これが実態であるということなんで、決してこれは厚生大臣を大蔵省からお金を取ってそっちの方でやったらいいんでないかというくすぐったいような激励をしているんじゃない。  そこで、さっきさらにそれにちなんで一元化ということがぼつぼつ話題になってまいりました。しかし八種類という年金の生い立ちというのはかなり違う。積立金もかなり額が違う。これを格差があるからけしからぬと言う方がおかしい、急に。ただ、私が思うには、それぞれの分野において、将来は、いまは年金局ですが年金庁か年金省になる世の中になると思うから、そうして一元化をする場合、やっぱりそれぞれの分野で整備をしていく必要があるのではないか。これはいろいろと論議してまいりました。そこを聞きたい、基本的な姿勢を。  たとえば厚生年金と共済年金と、一つの例ですけれども遺族年金という種類が両方にあります。そこで業務上本人が亡くなった場合は、妻は厚生年金の場合は二分の一なんです。これは業務上であろうが業務外であろうが、二分の一なんです。ところが共済年金の場合は、公務上の場合は主人がもらっておった年金そのまま十割なんです。ところが公務外は二分の一なんだ。これは決して格差があるというのじゃなくて、将来の一元化を検討していくと言うならその気持ちを知りたい意味で聞いておるのは、障害年金一つ取り上げてみます。厚生年金の場合は、障害年金、けがをした場合はこれは会社を退職しなくても支給される。ところが共済年金の場合はやめない限りにおいてはもらえない。名前から廃疾年金と障害年金と、もう国民から見ればとてもじゃないが、なるべくこういう用語の統一とか、そういう一元化に向かってやっておる意思があるかどうかということを基本的に聞きたいので、どうかその辺を触れてください。これで終わるから。
  126. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 おっしゃるように、それぞれの制度は独自の沿革を持ちまして、それぞれやはり仕組みといいますか組み立ても違うものでございますから、いま直ちにこの制度間の格差というものを問題にして、直ちに不公平だから一本化しろという議論にならぬことは先生のおっしゃるようなことだろうと思います。しかし基本的な方向、将来の方向としては、できるだけ給付の格差がないようにしていかなければなりませんし、しかも負担の公平も図っていかなければいけない。年金制度全般としては、被用者関係の年金は被用者保険で大体負担も給付も統一するような方向で、その他一般の国民年金のものについては国民年金として給府の改善を図っていく、こういうのが方向でなかろうかと思いますが、しかしその制度間の格差を問題にしてそれが解決をするまでの間でも、年金業務としての一元化はこれはぜひ図っていくべきじゃないかと思うのです。それぞれのところでやるよりも、やはり年金の業務というものは、いろんな制度下に移った場合の計算とか、いろんな問題がございますものですから、これは現業部門としてのその業務関係はやはり私どもの方に一元化をして事務量は合理化をしていった方がいいのじゃないか、これは国民のためじゃないか、こう思います。
  127. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そういう、これは姿勢が前向きになったのか言葉だけなのか、私は、渡辺前厚生大臣にかわって専門家である小沢厚生大臣が出てきたので、その姿勢を聞きたいと思って一つの例を出しておるのですが、それではひとつこの問題はどうです。  医療の抜本改正、財政措置が先か抜本改正が先かと、これを先輩議員方が何年かかっても――強行採決だ、いろいろとやってきた経過がある。ところが、いよいよ昨年の十一月に、前の渡辺厚生大臣がひとつ抜本改正というのをやろうという姿勢を示して、十四項目というものを具体的に出して、これはこのように何月までにやります。これは何月までにやります。いよいよそれが五十三年度である。そうなると、いまの小沢厚生大臣はこの十四項目を受け継いで、これを確認していく方針ですか。
  128. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 衆議院、参議院におきまして、社会労働委員会で前大臣が厚生省としての十四項目の改革すべき点についての計画をお出しいたしました。これは当然私は引き継いでまいります。  これを大体集約してみますと、全国民を通じた公平な負担と給付、これを実現するということが第一点だろうと思うのです。十四の項目がありますけれども、これをまとめてみますと、それと総合的な老人の保健医療制度を確立するということが第二点。それから重い疾病については、あるいはまた患者の重い負担については重点を置いた給付を行う、この改善を行うということが第三点。それから、患者側も診療側も含めまして、国民全般の中でむだな医療がないようにするということが第四点。それと、あとは医療の供給体制あるいは医薬制度あるいは健康管理施策などの保健医療関連諸制度を整備改善する。大体この五点に、あの十四項目というものを整理するとまとめられると思うわけでございまして、この方向で私はいま鋭意検討いたしております。  老人の総合的な保健医療制度につきましては、いろいろ負担の問題その他検討しますと、この国会にはとうていまだ間に合いません。したがいまして、少なくとも来年の通常国会までにはまとめまして、これを御提出を申し上げて、御協賛を得れば来年の秋からは実施をしてまいりたいと思います。  それから、健康保険の根本改正は、いま申し上げました老人保健を除きますと、四点に一応主眼を置きまして、この国会中にはぜひ御提出を申し上げるようにいたしたいということで、鋭意準備中でございます。
  129. 川俣健二郎

    ○川俣委員 十四項目というのは十分に念頭にあるのですね、もちろん詳しい大臣ですから。私の聞きたいのは、さきの渡辺厚生大臣が十四項目というものを文書にして確認していったわけだ。たとえば制度間格差の是正、当面、健康保険組合問財政調整の実施、これは五十三年度立法、同年度実施、こういうふうに一つずつ確認していっているわけですよ。それから保険料及び財政基盤に応じた国庫補助による保険財政の安定、これは五十三年度立法、五十四年度実施、こういうふうに一つずつ十四項目確認していっているわけだ。この十四項目の確認に変わりがありませんかという端的な質問なんですが。
  130. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 先ほど私が申し上げたのも変わりがない、受け継いでまいります。したがって、今国会におきましては、根本改正の案を御提出の場合に、まずその内容の中には、いまお挙げになりました組合間の財政調整の法的根拠ももちろん与えるつもりでございます。
  131. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それから、もう一つ確認というか聞いておきたいのですが、近いうちに公聴会があるという理事の報告で、その際の質問に関連するのでこの際どうしても聞いておきたいのは、さきのわが党の書記長の国際人権規約に関する質疑に対する政府考え方は、国内法の調整にいま時間がかかっておるのだ、こういうことであったのですが、いまこれをさらに聞く時間がありません。  そこで、これだけは私は文部大臣に聞いておきたいと思いますが、国連が中心となって作成した十八本の人権関係の条約のほか、ユネスコ、ILO等々の条約や勧告が多数あることは御存じのとおりでございます。そこで、六年前に効力を発生した一九六〇年のユネスコの条約に、教育における差別待遇の防止に関する条約、これをいまだに批准できない。これも姿勢を聞きたいので文部大臣に伺いたいと思います。  それで、さらに一九七二年四月十九日、当時の文部大臣高見さんですか、参議院予算委員会でこの条約の問題で次のように述べております。これは調べてまいりました。「わが国の場合、教育における差別の実態は実はないのであります。」「文部省がイニシアチブをとってどうこうという問題じゃありません。むしろ外務省の所管の問題でございますが、私ども別にこの問題に反対をする意思もございませんし、また、この条約そのものは、わが国にとって特別に大事な問題であるという性質のものではないと考えております。」こういうように前の文部大臣はおっしゃっております。ところが、ぎくしゃくして、国内調整法に関係する官庁が、調べてみたら十二か十三ございます。そこで、文部大臣に代表と言ってはあれなんですけれども、この問題を例にしてひとつ御意見を伺いたいと思います。
  132. 砂田重民

    ○砂田国務大臣 お答えをいたします。  ほかの省を代表してというわけにまいりませんけれども、文部省といたしましては、同人権規約の重要性を十分認識をいたしつつ、規約の問題点につきましては鋭意検討を進めているところでございます。
  133. 川俣健二郎

    ○川俣委員 この問題は、いずれ公聴会をやって、また一般質問の時間をいただければ、さらに論議を深めさせてもらいたいと思います。  そこで、この前補正予算委員会でも質問させてもらいましたが、例の水田利用再編対策でございます。いろいろとこの問題についてああいう論議をさせてもらって、いろいろな関係者の考え方、最もあれなのは農業従事者、農民であるわけです。あの論議を聞いてみると一体どうなるのだろうか。この間まで農林省からあった通達は水田総合対策であったわけです。ところが今度は水田利用再編対策。この間までの農林省からの指示は、五十一年から五十三年までやるのですよ、こういう指示であった。ところが、こういう言葉だってなかなか、これは町村長だって、今度は農林省はどういう名前でおろしてくるのだろう、言葉を追うだけでもなかなか容易でない状態であるところへ、今度はまた五十三年という期限が終わる前に水田利用再編対策という指示が流れてきた。ここにまた一つの混乱の理由があります。  それから、私の思うのは、国会にかけなくても、専門家、もちはもち屋で、農林省が十分に論議しておるのですから、これはもう、先生方に心配していただくのもいいのだが、国会にかけぬでも大体やれそうだという、この前、総理大臣を初めとして、突っぱねた、新聞は一様にこういう表現でしたけれども、突っぱねて通ることと通らないことがあるようなんです。末端に行きますと。  そこで、五十一年から五十三年までやってみて、ああこれはやはりちょっと誤算だった、もう少しきつくやろう、方向を変えてやろうというなら話はわかるが、五十一年という、まだ一年ちょっとたったそのころです。今度の再編対策というのが入っていったのは。そうすると、農民はもちろんですけれども、所管に当たっている町村長や農協組合長だって、今度の名前はどうなるのかな、あの名前はどうだったかなと、まずその混乱から始まる。  それから二つ目の混乱の理由は、今度はたんぼをやめて本人も二五%出すわけですけれども、せっかく構造改善をしてもらったのだから、暗渠排水もやったのだから、これからいよいよたんぼを植えようと思った途端に、米をつくるな、こういうのがばっとくると、さあこれはどうするかな父ちゃん、とこうなる。ところがその父ちゃんは大阪、東京周辺にいるわけだ。これからつるはしで公共事業に従事するわけだ。そうすると農林省の通達は非常に丁寧に、部落座談会もやりなさいとかいろいろとやっているけれども、きのうあたりの日曜日に米どころの町村長のいる場所というのは、どこにいるかといったら、まずほとんど出かせぎが働いている飯場小屋に行っている、あるいは一様に集めて出かせぎ集会をやっている、これが実態なんです。追っかけて行っているわけだ。  それから三つ目の混乱は、皆さんはどう思っておるのか知りませんが、いろいろな法律にひっかかるわけです。無数な法律にひっかかるわけだ。ところが、これは至上命令だから、国会なんかかけないで持ってきたからやりなさい。これはちょっといつかの時代に似ているのでないかな、実はこう私は感じたわけだ。  総理大臣はこれは法律にはなじまない、こうおっしゃいますけれども、私の方から見ると、そちらの方のひな壇にすわっている人方というのは、防衛論の解釈がかなり変わってきたし、紀元節には後援をしようと言うし、さらに赤字公債の償還計画は大体定着してきたから一々返還計画は出さなくたっていい、こういう発言に見えてきた。  それからさらに、補助金行政というものを、この間荒舩行政管理庁長官がいい顔をして写真に出て、やってみたけれどもなかなかむずかしかった、これは一遍整理統合をしよう。この補助金行政というのは非常に多くなってきた。この数字を大蔵省にはじいてもらいましたけれども、特に農林省が一番多い。ところが、私が思うのには、年金とか保険とかを預かっているわけですから厚生省なんかむしろ多いのじゃないか。労働省も労災保険なんか預っているわけですし、通産省なんかも多いはずです。ところが、その比率の一番高いのは農林省なんです。法律予算と補助予算との比率が。これは前の国会の人方に言いにくいことを言うようですけれども、いつの間にか法律をくぐって補助金行政の方に金を使うようになったのだろうかというように見えてきた。  それから、この前の論議のように通達行政だ。福田総理は、私はこれは一つの雑誌で見ただけですから大した権威のあるものではないが、やはり福田総理というのは大変なことを考えておるのじゃないだろうかということがちょっと目に入った。それはどういうことかと言いますと、中身はデノミと天皇退位のうわさなんだ。それで、こういうものをずっとやって、国会なんかに一々かけぬでもいいのだ、そして最後に元号制を出して、そしてデノミをやる。ちょうどドゴールがやったわけだ。国民にぐうの音も言わせないで第四共和制でやって、それっというのでデノミをやって元勲になった。福田総理は元勲かどうかそれは別として。  そこで、これは総理、どうですか。かなりなうわさなんですが、こういうように何かの筒音というか何か聞こえてくるような気がする。そう言われてみれば、車で軍艦マーチをやって国会を取り巻くのがこのごろいなくなった、静まってきた。こういうことを考えると、これはげすの勘ぐりかもしれぬが、元号制というのは十二月末で党も政府も協議したと思うのだけれども、元号制をもしやるとすれば、法制化して国会に提示するつもりですか。
  134. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 元号制につきましてはいろいろ議論があることは承知しております。しかし、政府といたしましてこれをどうするかということを相談したことはまだございません。私自身としては、元号は存続をするというのがいいのではないか、こういうふうに思いますが、それを立法手続でやるのか、あるいは政令でやるのか、そういうようなことにつきましては慎重に検討すべき問題である、このように考えます。
  135. 川俣健二郎

    ○川俣委員 慎重におやりになければならない重大な問題ですけれども、私が伺いたいのは、元号制を条例でやるか法制化するかということもまだ決めかねている、こういうことですか。私の質問は、いつ出すかということじゃないのです。
  136. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 まだこの問題は私のところまで問題として持ち上がっておりませんです。
  137. 川俣健二郎

    ○川俣委員 総務長官、相談したのじゃなかったかしら、どうですか、この問題は。ざっくばらんに、総理にそれとなくメモ書きぐらいで協議したぐらいを言うたのじゃないですか。
  138. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 お答えいたします。  元号問題について御相談をしたことはありません。
  139. 川俣健二郎

    ○川俣委員 この問題をやると自分の本論に入れませんし、かわってどなたかやると思いますので、どうか……。  そこで、この前、法制局の長官にも答弁をもらって、通達行政というのはやはりよりどころの法律がなければだめなんだ、法律がなければだめなんだということは大体理解してくれた。ただし、行政指導的な意味の行政通達があるのだ、しかし、それは決して権利義務が発生するようなことを行政通達のつもりで出してはいかぬのだ、それはそうでしょう。権利義務に触れるようなものまで行政指導的に行政通達を解釈してはいけないというように、長官の先輩の林修三さんですらと言っては語弊があるが、非常にそこを注意して書いておる。「現行憲法下における行政は、法に基づいて行われることを建て前とすべきものである。そういう意味で、行政指導ということが、あまり、幅ひろく、かつ、盛んに用いられることは決して好ましい傾向ではない。それは、えてして恣意に流れ、不公正に行われやすく、しかも、相手方に対して不当な損害、損失を与えることになっても相手方は泣き寝入りせざるを得ないケースが多いからである。」こういうように注意して書いてくれておるわけです。この林さんの解釈が一番やわらかくてこういう解釈です。それから、かつての第一部長をやられた山内先生なんというのは、もう法律がなければできないのだというところまで断定しておるわけです。  そこで、それじゃ一体、水田利用再編対策というのは行政指導なのか通達なのか、この点はどう考えて事務当局がこれを出したのか。昨年中に出した考え方を聞かしてもらいたい。
  140. 松本作衞

    松本(作)政府委員 ただいまの御質問は水田利用再編対策、いわゆる米の生産を制限して他作物への転換を促進するという事業自体が法律によるべきであるかどうかという問題と、それから農林省が昨年の十一月に出しました通達自体が国会の審議を十分に経ないままの、いわゆる行政が先行したものではないかという点と、二つの問題を含んでおると思いますが、最初の方の、米の生産を縮小し農業の再生産を図っていくという水田利用再編対策につきましては、これはこの前も大臣からお答えいたしましたように、農民の協力を得ながら進める方がより適切であるということで、法律ではなくて行政的な指導によって行うのが適切であろうというふうに判断をしておるわけでございます。しかし、その内容自体は当然予算とも関係するわけでございますので、最終的にはこの予算委員会ないしは国会の決定を経た後に通達ないしは指導の内容として出されるべきものでございます。そういう意味で、すでに昨年の十一月に出しておるものは、その準備のための指導通達ということでございまして、農林省の考え方を示し、また実行する場合にはこのような案にのっとってやっていきたいというふうな水田利用再編対策案要綱という形のものを出し、また各都道府県に対します配分につきましても、これは配分についての内定であり、いわゆる仮配分であるという意味で出しておるわけでございます。  このような行政措置を早目にとりました事情につきましては、この前、大臣からも御説明いたしましたように、農家の明年度に対する営農の準備をしていかなければならないということもございまして、関係農業団体、都道府県等から、なるべく早く来年度やろうとする内容を具体的に示してくれというふうな要望が強くございましたので、そのためにいわゆる指導通達を出したものでございます。したがいまして、何遍も申し上げますように、この指導通達の中身は、最終的には予算の決定を経た後において決定さるべきものの準備行為としての指導通達であるというふうに御理解いただきたいと思うわけでございます。  しかし、それにいたしましても、このようなものを出すに当たりましては、行政府だけが独断で出すということは差し控えるべきでございますので、この前も申し上げましたように、農林水産委員会におきまして、衆議院において実質四回、参議院において一回、内容の御審議をいただきました後に通達として出したという経過であるわけでございます。
  141. 川俣健二郎

    ○川俣委員 あなたの説明を聞いていますと、何せ早いところやらないと種まきその他に間に合わないので、どうせ予算をやってから最終的に通達を出すのだからというように聞こえる。ところが、ちょうどこの前の質問が、十時ごろ速記ができ上がってきた。そこでちょっと、そうだったかなと思って読んでみたら、前の政府委員は「都道府県から市町村への内定配分についてはほぼ完了をいたしております。」これが二十八日現在のお話です。あなたの話を聞いてみると、予算のときにどうせやるのですから、大体、まず準備のために配分したのだ、こういうことなのです。どっちなのだ。国会にかけてからではとても間に合わないのだ、農家も困るのだ、それは私も知っておる。だから私は、去年のうちにやりなさい、臨時国会なりあるいは理事会なりにかけなさい、予算措置もあることだから、こう言ったのに、ずるずるやってきて、いまになって、間に合わなかったのであらかじめ出させてもらった、どうせ予算措置は予算委員会にかかるであろう。ところが、予算委員会にかかったときには、「ほぼ完了をいたしております。」こうなるわけだ。しかし、実際は完了してないのですよ。これはどういうことになるのだろうか、こうなっておる。  それでは、あなたはどうせ手を加えて書いたのだろうが、「目標未達成等の場合の措置」、これを読んでごらんなさい、そして皆さんに聞いてもらってください。これは行政指導でいいのかどうか。福田総理にも聞かしてみてください、この「目標未達成等の場合の措置」というものを。これは権利義務にどうしても抵触すると私は思う。どうです。これは。
  142. 松本作衞

    松本(作)政府委員 この前の答弁、野崎農蚕園芸局長が答えました……(「読め」と呼ぶ者あり)最初にちょっと……(「よけいなことを言うことはない」と呼ぶ者あり)はい。仮配分についての末端までの内容をほぼ終わっておるという意味でございまして、そのこと自体が本決定の配分であるという意味ではないという点だけを最初に申し上げておきたいと思います。  先ほど申しました指導通達の中で、農林省の考え方ということで、「農産物の総合的な自給力の強化と米需給均衡化対策について」という考え方を示しておるわけでございますが、その中の「転作目標面積等の配分」という中で「米の生産調整目標数量、転作目標面積及び予約限度数量は、米需給の実勢を的確に反映させて決定するものとし、1の各期」、これは一応三年を考えておりますが、「初にこれを定め、その期間中は、原則としてその総数を固定するものとする。」というのが一つでございます。  その次の加算措置でございますが、「転作目標の未達成があった都道府県については、次年度の転作目標面積は、転作目標未達成相当分を加算するとともに、次年度の予約限度数量についても、転作目標未達成相当分を減じて定めるものとする。」というふうに書いてあるわけでございます。
  143. 川俣健二郎

    ○川俣委員 水田利用再編対策案要綱、大綱というものを示して、各県の農政部長を集めてやったでしょう。この前の自治大臣は、協議にはあずかっていない、機関委任事務でもないと返事をしておる。あなたが、だれの権限でだか知らないけれども、農政部長さん方を集めて大綱を示したじゃないですか。それの第七に「目標未達成等の場合の措置」というものがあるじゃないですかと言うんだ。それをちょっと読んでごらんと言うんだ。
  144. 松本作衞

    松本(作)政府委員 それでは、いまの大綱案の第七番目の「目標未達成等の場合の措置」について申し上げます。  「目標未達成の場合の目標面積及び限度数量の補正 農林大臣は、当該年度において転作等の目標が未達成の都道府県があった場合には、翌年度の第3の一」、これは目標面積でございますが、「目標面積及び第6の限度数量の総量の決定に当たり、当該未達成面積の合計面積を加算し、その米換算数量を控除するとともに、」これは限度数量から控除するという意味でございますが、「未達成都道府県の翌年度の目標面積及び限度数量の配分に当たり、当該都道府県に係る未達成面積を加算し、その米換算数量を控除する」、いわゆる目標面積を加算し、限度数量を減ずるという意味でございます。「(2) (1)の配分を受けた都道府県知事は、当該配分に係る加算面積及び控除数量を、当該年度における目標未達成市町村の翌年度の目標面積及び限度数量の配分に当たり、それぞれの未達成面積に応じて加算及び控除するものとする。」「(3 (2の配分を受けた市町村長は、(2に準じて農業者別に加算及び控除を行うものとする。」ということでございます。
  145. 川俣健二郎

    ○川俣委員 これ、どうです。法制局長官、これでも行政指導ですか。ことしとてもやれなかった、そうしたら、来年にそれを加えてやる、こういうことですよ。それを今度は知事が受けて、知事が町村長にやって、町村長が各家々にやるわけだから、この権限は法律だと思うのですね。なぜ法律かというと、あなた御存じですか、昭和三十六年に同じような問題が麦でやったじゃないですか、皆さん方先輩が。同じですよ、麦の減産調整のときも。そのときに国会にかけているじゃないですか。全く同じですよ。知っていますか。農林省、知っていますか。昭和三十六年に出したときには全く同じなんだ。そうしたら、一回目の出したときの国会では、それはちょっと強制的だからもっと農民の希望も受けて割り当てなさいという修正案で出した。ところが、また廃案になった。ところが、今回は国会に出さないというのは、これは先例主義というか、私はわかりませんけれども、こう国会の慣例というのを直していいものだろうか。これはどうですか、官房長。
  146. 松本作衞

    松本(作)政府委員 確かにお話しのように、麦の減反の場合には法律を出しまして減反をした経過がございます。この違いは、米の場合におきましては、この目標面積によって減反をいたしました結果を食管法に基づきます予約限度数量とリンクをしておりまして、最終的には食管法によりましてこの政府の買い入れを決めるということになっておるわけでございますが、麦の場合におきましては実質上、全量政府が買い入れるという形をとっておりますために、この政府の買い入れに関係する部分につきまして法律によって措置するのが適当であるというふうな考え方で麦の場合におきましては、いわゆる減反と政府の買い入れを一貫した形での法律措置をとったものというふうに理解しております。
  147. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そうおっしゃるでしょうと思って、昭和十七年の食管法をつくるときの井野国務大臣の答弁――いいですか、いまの農林省もしっかり法律を守ってくれよな。こういうように書いてある。「主要食糧に関する限り農民が安んじて生産に従い得るように、生産せられたる米麦は、必ず政府が之を買うという態勢を明らかに致しまして、国民食糧の確保と国民経済の安定を図らんとする」と、こういうように書いてある。  それから、あなたは限度数量、限度数量ということで麦と違うと言うけれども、数量じゃなく面積も規制するのでしょう。どうなんです。これはやはりペナルティーじゃないですか。ペナルティーですか、ペナルティーでないですか。
  148. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 食糧管理法は、国民食糧の確保とそれから国民経済の安定を図るために、主要食糧の需給、価格の調整、それから配給の統制を行うということが目的になっておるわけでございます。その目的に従いまして第三条におきまして、政府が食糧を管理する必要のあるものを買い入れするというふうになっておるわけでございますので、食管法は直ちに全量買い上げ、無制限買い入れというような規定にはなっておらないわけでございます。  先ほどの麦との関連で申し上げますれば、麦の場合は、現在食管法上無制限買い入れになっております。したがいまして、三十六年に特別法を出しました場合には、その無制限買い入れの規定を外す、適用を除外するということ、それからまた買い入れ価格につきましても、それまでの、パリティ価格を下回らないというような規定がございますのを、パリティ価格は一つの参酌事項にとどめる、こういうような特別立法をするという法律事項が必要でございましたので立法を提案した、こういう経緯でございます。
  149. 川俣健二郎

    ○川俣委員 あなたの方は一方的に説明してうまく通り抜ければいいんですが、問題は、つくる農民の気持ちにもなってください。これはペナルティーでないですか、ペナルティーですか。
  150. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 私どもは、ペナルティーという言葉を実は使っておるわけではございませんけれども、最低限の公平確保のための措置と申し上げておりますが、転作目標面積の配分につきましては、これは行政指導でございますので、法律的な意味でのペナルティーという性格は全く持っておらないわけでございます。ただ、そのうらはらといたしまして買い入れ限度数量の配分をしております。これはあくまでも食管法に基づく配分でございますので、これは法律に基づきます義務なりあるいは拘束というような形での配分をするわけでございます。それを転作面積等を基礎といたしまして算定をして限度数量を定める。したがいまして、前年度転作目標が達成されなくて、次年度におきまして転作目標面積が上乗せ増加されました場合には、それを基礎といたしまして限度数量の配分をする、こういう関係になるわけでございますので、限度数量の配分自体は法律的な拘束力を持つ、こういう性格のものでございます。
  151. 川俣健二郎

    ○川俣委員 おかしいな。総理大臣は、法律に余りなじまない、こういうお話だったのですよ。だけれども、法律に抵触するところがうんとあるのだ。ところが法律に従ってこれをやっている、こう言うのです。それじゃ、私は最終的に聞きたいが、村長からもらったあれにはこういうように書いてある。一つの例ですけれども、これは新潟、山形、秋田、ほとんどそうです。「五十三年度に実施しないあるいは達成しない場合にはペナルティー(罰則)方式であくまでも次年度以降に加算され、限度数量も控除されますから御注意願いたい。」それじゃ、これから削除させるか、ペナルティーはかけないということを別通達でやるか。その点どうです。農林大臣どうです。
  152. 中川一郎

    ○中川国務大臣 一見ペナルティーのようには見えますけれども、もしこの仕組みをつくりませんと、正しい者がすなわち生産調整をやらなければならない。どなたもこれを好んでやる人は少ないわけでございますので、正しい人が報われるという最小限度の規制措置でございまして、法的に、これをやらないから罰金をかけるとかいうような刑法上あるいはその他の罰則はかけておりませんので、法律上のペナルティ、ではない。この目的を達成するためには、この程度の最小限度のことをやりませんとでき得ないわけでございます。  そこで、法律でやったらどうか、こういう御議論もございます。しかし、農家の皆さんにこういうものを法律で抑えることこそまさにペナルティーであって、自主的に御協力をいただくということが一番望ましいことである。  それから、事務当局が法律に基づいてやったと答弁いたしましたのは、買い入れ数量については法律に基づいてやる、予約限度数量は。減反の方は法律に基づいたものではございません。
  153. 川俣健二郎

    ○川俣委員 その点は、前段は一緒なんですよ。総理も聞いてください。ペナルティーをかけるとかかけないとかという論争は、やはり立法機関の法律論争でやるべきであって、これをやらないとペナルティーではないが、協力する人としない人とのアンバランスを調整する意味もあって、いみじくもこう言ったのです。しかし、これはやる以上ははっきりやらなければだめだと思うのです。やっていいものなのか、やらなくたっていいものなのか。やって超過米が出た場合は、みんな買うというのか。農林大臣の言うことを聞いてやっても超過米が出た、それじゃみんな買ってやる、こういう気持ちなのか。いま混乱のどん底ですよ、そうでしょう。だから、やはり立法機関である程度論議をして、それから通達というものがあるべきではないのか、私はこう思う。  そこで、食管法をつくったときは昭和十七年で、大東亜戦争だという後から不規則発言があったけれども、農業基本法をつくったのは、そうはいかないよ。農業基本法をつくったときは、まだ皆さん、ここにおられる人たちがつくってくれたわけだ。その際に、こういう一分冊がある。やはりその問題に触れておる。そうして念を押しておる。社会党の案と民社党の案と政府の案が出て、半年以上かかっている。それで当時の総理大臣の池田さんが「農業基本法の条章によって、われわれは、そのつどそのつど、自立経営農家ができるように、法制上、財政上あらゆる措置を講じて参ります。」これが第四条の質問に対する答弁です。さらに、農林大臣はこうも言っていますよ。この農業基本法というのは「あくまでも農業憲法として基本を示すものであり、それに基づいて今後関連法案、関連の制度、関連の予算措置、金融措置というものについてそれぞれ法律制度を必要とするのであって、」-八項目あるでしょう、「その方面に関する要望を満たすということでやっていけると考えておるから、特に今日法律そのものを修正する必要はないと思っておる。」野党の方は、これは修正してがんじがらめにした方がいいじゃないか、こう言ったら、総理大臣もさらにつけ加えて、主管大臣も、農業の憲法となる基本である、だから、その都度それぞれ法律をつくって実施するときにやります。――この一分冊を読んでごらんなさいよ。農業基本法をつくるときの第四条の解釈。そうでしょう。それをいまの皆さん方が、これは法律によらなくたっていいのだ、こういうようにどこまでも突っぱねるなら、ペナルティーと指導しているところは全部削除させるように指導し直しなさいよ。そういうようにならざるを得ないでしょう。そうでしょう。これはとてもじゃないが、どうです委員長、せんだってからその問題に関連しているんだよ。
  154. 中川一郎

    ○中川国務大臣 農業基本法では、はっきり三つのことを言っておるわけでございます。第二条でございますが、一つは、農産物の生産の増進、それからもう一つは、農産物の生産の転換、すなわち減少する農産物の転換、第三番目は、外国農産物との競合関係にあって弱くなった農産物をめんどうを見ていこうではないか。こういうことを実施するために、四条を設けまして必要な財政上、法制上の措置を講ずる、それから次の第二項では、今度は融資についても必要な措置を講ずる、こういうふうになっておるわけでございます。「必要な」と書いてございまして、いま言うように、増産なりあるいは外国との競争なり、減少する農産物の転換なり、全部を法制化すべきではないか、予想されるそのときそのとき、基本法をつくるときにも必要なことを考えたでございましょうが、その時代に必要な法律をつくるのではなくして、先々農政その他を見てやるべきである、こういう判断からこの法案ができたものと解釈をいたしておるところでございます。  そこで、必要であるかどうかということになりますと、確かに川俣委員発言のように、これだけの大きな政策でございますから、法案をもって国会で議論をしてやったらいいかなという議論もまさにあるわけでございます。これは私ども否定はいたしません。しかし、こういった農家に義務規制をするような、強制的な規制を与えるようなことを法律でやることが、このものを実効あらしめることのためにいいことかどうかということは、御判断はいろいろありましょうが、われわれとしては、これを実効あらしめるのには、法律による規制ではなくして、自主的に理解を求めていく方がいいことではないか、米の余る余らないの問題は決して政府だけの問題ではなくして、農家みずからが食管法を健全なものにしていくという自発的行為がこれと伴わなければこの仕事はできない、こう思いまして、鈴木農林大臣のやったことではありますけれども、私も、やはりこの方法がよかろう、こう思って御理解を求めておるところでございます。
  155. 川俣健二郎

    ○川俣委員 必要な場合はじゃないのですよ。よく読んでごらんなさいよ。必要な場合じゃないのですよ。こういうことをやるときには、それに必要な法律措置をとりなさいという言い方ですよ。皆さん聞いてくださいよ。先輩議員方がこれをつくるときに、さらに池田総理が、四条に対してわざわざこういうように言っている。「私は、農業基本法に関係したさしあたって必要な法案は御審議願っておると思っている。農地法の問題とか、あるいは金融関係のいろいろな措置とか、出ておると思います。ただ、私は、今後の進み方によりまして、」これは進んできたわけであるが、「今まで出しておる法案以外にいろいろなものが将来出てくると思う。従って、第四条に書いておるように、法制上、財政上必要な措置をとると、画期的な条文を入れておる」、だから皆さん理解してくれ――この実施に当たっては、今後の国会なんだ。「また、その次の次、ずっと農村がほんとうにりっぱになるまで法制上、財政上の万全の措置をとろうということをお誓い申し上げるのがこの農業基本法案であります。」こういうように、時の総理が第四条の解釈までわざわざ答弁しておるのですよ。それをいまになって――ちょっとこれはいかぬと思いますよ。  そこで、だれしも考えるのは、農地法との問題で混乱しておる。農業委員会がどう判断しているか。いいですか総理、いろいろ勉強なさっておると思うのですけれども、ちょっと聞いていてください。五つあるというのですよ。それは特定作物をつくった場合と、永年作物をつくった場合と、一般作物、管理転作、通年施行、この五つに分けて補助金を出す。ところが、サクランボとかミカンとかブドウとかお茶とか、そういうのはいけません。そんなの植えたってくれませんよ。それから、たばこなんか奨励品種ですよと、こうおっしゃる。たばこなら水田と暗渠工事関係で合う。ところがたばこはそれこそ生産調整、いまはもう絶対に許さない、こういう状態なんです。そうなってきて最後の管理転作ということになった。管理転作というのはどういうことかといいますと、私のうちはとてもじゃないがたんぼに大豆をつくれと奨励されてもつくることができません、だから私のうちのたんぼは農協に預けます。農協が預かったものを、ほかの人が、じゃ、おれつくってやろう――その際に、預けた人が転作奨励金をもらうんだよ。一生懸命に米以外のものをつくろうとする人にはやらないんだ。だから社会党がよく言っておるのですけれども、考え方が逆立ちだと言うんだ。一兆四百億使ってきたのでしょう。社会党だけじゃない、自民党の良識ある農村代議士も、農村に行けば演説でおっしゃっております。茨城県の岩上参議院議員がこういう演説をぶっていると教えてよこしたのだが、こんな転作は承知せぬ、私は当選して直ちにやめさせますという演説をぶっておるわけです。いいですか総理大臣、ほかの大豆とか麦とかつくってくれたら奨励金をやるというなら自給率は高まるのです。そうじゃないんだ。たんぼを貸した人がもらうのだからね。(「そんなことない」と呼ぶ者あり)そうだよ。じゃ、そんなことないというなら教えてやれよ、何も知らないんだから。
  156. 中川一郎

    ○中川国務大臣 御指摘のように、転作しようと思ってもつくるべき作物がないというような人は農協に管理をお願いするわけでございます。そこで、農協みずからがまたほかの農家の人に、おまえさん何かつくってみないかということを言ってつくっていただいたり、あるいはまた農協みずからがほかの作物をやる、こういうふうに指導してまいるわけでございます。しかし、どうしても米以外につくれないというところについては管理転作としてやる。管理転作にもいろいろございまして、レアケースとしては、どうしてもつくれないというものであるならば農協に管理を委託しておこう、こういう仕組みになっておるのでございまして、奨励金はやはり貸した人に差し上げるという趣旨になっております。  それでは農地法との関係はどうなるかというと、農地法は、当初は農地の権利義務といった土地関係だけをやっておりましたが、耕作権についても有効な使い方をしようということを四十五年に改正をしておりまして、四十五年の改正を受けてこれができる仕組みになっておる、こういう考え方でございます。
  157. 川俣健二郎

    ○川俣委員 この平均五万五千円から六万円というのは、地主から借りた小作人がとてもつくれないといった場合は農協に預ける、そして農協が預かったものをつくる人は、その六万円には一切あれはない。そうすると、地主から借りた人に六万円をやるぞという法律というか通達です。ところがいまもめているのは、その六万円をおれが貸しておる小作人が着服するのか、貸しているのだから、それをおれの方にも少し分けろ。そうでしょう。小作契約というのは、これだけのものをつくった場合に小作させますという契約だから、休んで、休んだほかにもらえるという金をおまえにもらわせるために何も貸しているのじゃないということで、農業委員会ではどうにもならない。この農地法、やれますか、これで。これはとてもじゃないけど委員長だめです。やれないですよ。
  158. 大場敏彦

    ○大場政府委員 管理転作に出す場合の奨励金の交付対象でございますが、いま大臣が御答弁申し上げましたように、管理転作に出した後の展開がいろいろあるわけでありますが、それによって異なっております。基本的な考え方といたしましては、八月一日現在で使用収益している者に奨励金を交付する、こういった形になっております。ただ、農協等から管理委託を通じまして使用貸借――小作料を取っていない使用貸借の場合には、これは小作料を取っておらない関係上、預託者に管理転作奨励金がいく。  それからさらに、農振法のいわゆる農用地利用増進事業というものに基づきまして、賃借人を他に見つけましてそれに貸す、こういうケースがあり得るわけでありますが、それはまさに私が申し上げました原則に従いまして一般の転作奨励金はその転作者にいく、こういった構成をとっているわけであります。  そこで、いま御指摘になりました小作と土地所有者との関係でございますが、管理転作に出しました場合の土地所有者の取り分といいますか、手元に残る部分は、いわゆる転作奨励金からその農協が管理保全に要する費用等を差し引いたものがいわば手取りになるということであります。  この額はもちろん各地によっていろいろ違います。具体的に申し上げますれば、個々の水田の生産力、反収によっても当然違ってくるわけでありますし、あるいはそのたんぼの保全管理がむずかしいか容易であるかといった問題もありますし、態様によっても異なるわけであります。そういう意味で地域の実情に応じて農協等が決めるということでございます。  一方、小作料の方はやはり農業委員会が地域の実情に応じて決めるということでございますから、それぞれ地域の事情に即して決められるということでございまして、両者の間に基本的な大きな差異が出てくるというふうには私ども考えておりません。  それからさらに、その小作地が農用地利用増進事業を通じまして第三者に転貸される場合におきましては、先生御指摘になりましたように、一般転作のほかに特殊転作の場合には特別の奨励金が交付されますし、あるいは計画加算も交付されるわけでありますから、そういった者の取り分とそれから地主の取り分というものをよく調整した上で転作が円滑に進むよう私ども指導してまいりたいと思うわけであります。
  159. 川俣健二郎

    ○川俣委員 農業基本法をつくるときのいきさつと、総理と農林大臣の答弁、これはどう考えたって法律条項だと思います。それから二つ目は、ペナルティーですということを町村長が流しておるのを撤回させるようにしますと、それから三つ目は、計画加算という一万円のものがある。というのは、これは草ぼうぼう生やさせたらくれない。だから、草ぼうぼう生やさせたのか、麦を植えたけれども草になっちゃったのか、その点はだれが調べるんだ。食糧事務所はなくすると言うし、だれがやるんだろう。そうしたら町村長がやりますと、こう言う。町村長と農協との関係はどうなっておるか。これは将来会計検査院もよく目を開いておいてくださいよ。五万五千円から最高九万九千円です。米以外のものをつくった人にやるというのなら、これは意欲的に、非常に効果があると思う。そうじゃないのです。農協に預けた人にやるのだから、手ぐすね引いてやっていない人にさえやるのだから、これは必ず問題が起きます。この三つの問題を取り上げても、とてもじゃないけれども通達なんというものじゃないですね。答弁は質問に答えてないと思います。委員長、これはどうですか。とてもじゃないけれども……。
  160. 中野四郎

    中野委員長 野崎農蚕園芸局長。(川俣委員「答弁要らないです」と呼ぶ)川俣君に申し上げますが、答弁でなく説明をもっと懇切丁寧に、納得するようにさせたいと思いますから、説明をお許しください。
  161. 野崎博之

    ○野崎政府委員 先ほどお尋ねいただきました、単にまいておけば、ばらばらに大豆をまいておいても補助金をもらえるのか、そういうようなお話さえもあったわけでございますが、これは従来の水田総合利用対策でも一緒でございますし、今後も一そういう方針で参りたいと思っておるわけでございますが、奨励補助金の確認は市町村長がやるわけでございます。その場合に、市町村長は、栽培密度あるいは病害虫あるいは雑草の防除がうまくいっているか、あるいは圃場条件が整備されているか、要するに、はっきりそういう作物を収穫して転作の実を上げるかどうかという、そういう実情を踏まえて奨励金を交付することにいたしているわけでございます。
  162. 川俣健二郎

    ○川俣委員 せっかく説明に来てくれたけれども、どうもそういう答弁を受けてみたところでだれも理解していないと思うのですよ。連帯と協調でやってくれというわけだ、総理は。これはとても法律事項にはなじまないから。ところが、食管法に基づく減反の方は法律だと言う、それから面積の方は法律じゃないと、こう言う。とてもじゃないけれどもこれは一貫してないのよ。それから、従来もやってきた、こう言うけれども、あなた方が出した通達は違うでしょう。いままでは緊急避難だからできたんだ。今度は緊急避難でないんだよ、十年だから、三年計画だから。しかも違うのは、大豆を植えてみましょう、麦を植えてみましょうという人にやる金じゃないんだよ、二千百二十億というのは。手ぐすね引いて、やらないという人にさえやるものだから、これはとてもじゃないけれども問題ですよ。これはだめです。審議できません、委員長。これはだめです。問題ですよ。
  163. 中川一郎

    ○中川国務大臣 いわゆるばらまき転作というのは、悪い人がいればそういうこともあり得ようかと思いますが、過去の実績においても農民はそのようなことで十数年間やってまいりましたが、当初ありましたが、最近は町村長が実施計画を出して大体まじめにやっていただいておりますので、今後どういうことになるかはわかりませんが、こういう仕組みをしたからといって、私は農村の人を信用してやっていただきたいと思うのです。そしてまた実効が上がってきたことでございますので、御理解をいただきたいと存じます。(「とめればいいというものじゃないぞ」と呼び、その他発言する者あり)
  164. 中野四郎

    中野委員長 この際、安宅常彦君より議事進行についての申し出があります。川俣君の持ち時間の範囲内でこれを許します。安宅君
  165. 安宅常彦

    ○安宅委員 議事進行について発言いたします。  総理が、この間第二次補正のときに、これは法律に基づくと大変だから、いろいろ問題が出てくるから、だから法律に基づかないで協調と連帯でやれ。農林大臣はいろいろ答弁なさった中で、私が記憶があるのは、これは間違っておったらなんですが、一々やっていたらこれはやれっこないじゃないか、ここで言ったのかもしれませんが、そのときには、定着している、やはり大蔵大臣財政法第四条と同じ、いままでもやってきたのですから、こういう答弁をはっきりしていますね。そうしたら今度は、きょうは、局長質問するともっとおかしいんです。この水田利用再編事業を実施するには抵触する法律が大体十くらいありますよ、植物防疫法に至るまで言ったら。それをあなた方は国民が知らないと思って、ペナルティーというのはその差をつけることだけ、来年の転作に協力しない者は倍にするぞ、ここだけがペナルティーみたいに言っているけれども、自治大臣が委任事項ではありませんと言ったのに、一月十九日と二十日の日に全部集めて、そして全部説明していますね。これは予備的な通達でもなければ説明でもない、国会で審議してもらって、それから「(案)」を抜くんだと言っていますが、表書きはなるほど「(案)」と書いてありますけれども、中を全部読んでごらんなさい。「(案)」なんて一つも文章の中に入っていない。最後に「(案)」を抜けばいい。表書きだけ「(案)」を書いてある。全部調べているのです。ぼくは。  それから今度は、構造改善局長ですか、あなたに至っては、面積はこれは法律に基づかない、減反は食管法の前例を変える問題と関連してくるから法律に基づくんだ、面積とそれから減反の数量とを一緒にして出してきたのがこの水田利用再編事業です。こんなことを一々言ったらまた向こうでぐずぐず言うかもしれないけれども、そういうことから言って、法律に基づかないでこういう大事業をやる。小事業でも同じです。法律に基づかなければ何でもやれない。都合のいいときは全部そういうことでしょう。たとえば美濃部さんが起債を認めてくれ、返還計画皆出せという中で、今度は赤字国債は返還計画を出さなくて返還予定計画でもいい、そういう一般の風潮というものを私らは正さなければならないですよ。この意味で言うならば、川俣さんは一つ一つ法律の関係を言っている。それから、どういう具体的な波及効果があるのか。いまじっとしているやつに補助金がいく、こういうことまで言っていて、このやり方は徹底して矛盾があるから――法治国家というのは法律でやらなければならない。それは農業基本法に書いてある。農地法から、地方自治法から、食管法から、すべて違反ではないか。そして、非常に困った事態が起きますという具体例一つだけを時間の関係で言ったわけですね。まともに答えていないではありませんか。したがって、この問題は、私ども日本社会党としても、川俣さんが代表していま質問をやっておりますが、明らかにいけない、そういうことがはっきりしましたから、総理答弁から全部です。官僚がちょこちょこ出てきて、そしてこうだああだなんて言いわけしても、これはだめです。私どもは審議に応ずるわけにいかない。そういうことだけはっきりしておきますよ。
  166. 中川一郎

    ○中川国務大臣 われわれ法律国家で、法律に違反してものをやったら裁判所でたちまちやられるわけでございますから、十ほどあるというのでありますれば、十のうち何条何項に違反するか、逐一挙げていただきたいと思います。予備的に質問の御要綱も来ていますから、何条何項、すべて弁解できることであって、法律によった方が好ましくないか好ましくあるかということについては議論はありますけれども、およそいやしくもこの場において法律に違反していると言われたのではちょっと困りますので、私は法律違反しているならば何条に……(「挑戦的だ。挑戦的だったらそれでもいい」と呼ぶ者あり)挑戦的であろうと何であろうと、何条に違反しているか御指摘いただければ御答弁申し上げます。何条にいたしているか、逐一御答弁申し上げてまいりたいと思います。
  167. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そういうぐあいに具体的におっしゃっていただくのでしたら、まず第一番目に農業基本法をつくるときのこの一分冊をよく読んでみてください。八項目全部法制化してやるのだ、こう書いてある。  それから、さっき言った農地法との関係は、だれが読んだって違反じゃありませんか。もうこれは一々やれといったって、時間を取られてあとは終わりと言われたら私も損だから……(発言する者あり)冗談じゃないですよ。変なやじが、とめればいいだとか各駅停車なんということじゃないでしょう。つくる人から言わしてみなさい。あなた大変ですよ。いいですか。いままで一兆五百億使ったのでしょう。どこに自給率は上がった。大豆は依然として三%じゃないですか。ほかのものをつくった価格補助をすれば初めて自給率は上がるのです。そうじゃないですか。休んで手ぐすね引いて、それで転作奨励金をくれるという法があるのかと言っているのだ。それは見解の相違だと言うだろうから、私は法律論争をやるしかない。それだったら最小限度このペナルティーと書いたものは全部やめなさいと通達しますか。(発言する者あり)何をおっしゃるのですか。それは農林大臣はお気の毒ですよ。(「議事進行」と呼ぶ者あり)
  168. 中川一郎

    ○中川国務大臣 農業基本法の精神に反するではないかと言われる。そう言うのであれば、それは議論のあるところでございますということで、法律の条文ということになればどこの条文にあるか、こういうことになるわけでございます。  そこで必要なというのは、絶対全部必要であるかどうかは、これは法制局の判断に任す以外にないと私は思うのです。ですから、川俣委員の農村を思い、厳しさから出る発言につきましては、私も十分理解するところでございます。特にペナルティーについては議論は十分ございますから、今後ともペナルティーのあり方等については十分審議をしてまいりますから、要は、この仕組みをやって、やはり過剰生産というものを抑えて、そして需給のバランスをとっていくことがひいては国家のためであると同時に農村のためであると思って、自主的に話し合いでやっていこう、このことがまさに農村のためである、こう思ってやっているところでございまして、精神その他においてありましたら議論はいたしますけれども、法律違反と言われますと、法律何条には違反してないのではないか、こう思うわけでございます。
  169. 川俣健二郎

    ○川俣委員 私は、時間内で法律論争をやれというならやりますよ。だけれども、やはり一応うちの方の理事から、議事進行上の発言があるから、委員長、ひとつ公正にやってくださいよ。いままでの様子をよく聞いておるでしょう。理事の方でやってくださいよ。
  170. 中野四郎

    中野委員長 川俣さんに申し上げますが、安宅君からの議事進行の意見はありますけれども、しかし政府当局から、法律違反であるならばそれを解明すると言うておるのですから、その点で私は議事をお進めいただきたい、こういう意味を申し上げておるのであります。(発言する者あり)不規則の発言はお慎みください。  各党の理事、ちょっとお集まりいただけませんか。(発言する者あり)不規則の発言は注意いたします。委員外発言を禁止します。ちょっと静粛に願います。(発言する者あり)浜田君に御注意申し上げますが、不規則の発言はしばらくお慎みください。――この際、四時半まで暫時休憩をいたします。     午後三時四十一分休憩      ――――◇―――――     午後六時五分開議
  171. 中野四郎

    中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。川俣健二郎君。
  172. 川俣健二郎

    ○川俣委員 質問で、ほかの質問者にも大変時間的に御迷惑かけておりますが、委員長、さっきの論議を聞いていただいたように、どういう方法で生産調整をやったらいいかという知恵をしぼりながら、質問する方も答える方もやっておるわけですが、ただ、そういう論議が核心に触れた段階で、農林大臣の方から、それじゃどこが違反しておるかということを具体的に個別に挙げてやろうではないか、こういう提言がありました。しかしながら、皆さん聞いていただいておるように、いろいろと主観的な解釈もあることだろうと思うのですが、ただ、私はこれだけはだれも否定できないと思うのです。農民にはやはり耕作権というのがあるんだと思います。個人の権利として。しかし国策上、この権利を規制するということ、これもやはり政治の場でやらなければならないということも否定できないと思うわけです。  しかしながら今回の問題を、それじゃ県も町もあるいは個人も返上した場合は一体どうなるかということに発展していきますと、返上した場合は何らかの措置をとるということになると、やはり権利を規制することですから最低限法律事項ではないか、こういうように、農林大臣にも――いま答弁は要りませんけれども、私は思うわけです。したがって、私の言うのは、一貫して、何でもかんでも自由奔放につくらせるということを言っているんじゃなくて、国策上規制するところはやはり立法機関で十分に検討して、そして法律事項としてやるべきではないんだろうか、こういう思想で一貫しておることだけは理解できると思うのです。  それから二つ目は、やはり米は得だから米をつくるのを黙ってやらせるという、これは政治家の態度ではない。問題は、いま日本の国は大豆が三%、四%を低迷しているという自給率なんです。したがって、管理転作をやる場合に、大豆をつくるという農民に対して奨励金をくれるというんならわれわれは理解できる。そうじゃなくて、私はとても大豆はつくれない、だから農協を通じてだれかに貸す、こういった場合、つくれないと言った貸し手に奨励金をくれたんでは、自給率はいつまでたったって高まるもんじゃないんだ、私らそう思うわけです。  しかし、この論争をやっておったってこのとおりの時間ですから、そこで法制局長官にもいろいろと教えを受けて、あらゆる文献を見ました。そこで、できるならば通達というのは法律に基づく方が好ましい、これだけは長官も認めておるわけです。しかし、今日行政指導的な通達も非常に多くなってきたということ、これも理解しなければならぬ、これも私は抵抗するのではない。それじゃひとつ一体人間の、個人の権利義務に抵触するものであるならば、私はやはり法律事項ではないか。いまのあなた方のやっているのは法律違反かどうかという論争をやっていると、このとおり平行線ですから、本当にやるんなら国策上規制して、こういうものをこういうようにつくっていく、そうしたら国はこのようにめんどうを見るという、やはりもう少し、あっちへ行ったりこっちへ行ったり右往左往する農業政策ではなくて、きちんとしたものをやっていかないと日本の国はえらいことになるぞ。これだって、いまの農林大臣が悪いわけじゃないと思う。やはり国際分業論から来て、米以外のものは外国から買ってくる、日本の国はじゃかすか工業製品をつくればいいんだという一つの路線からこういう結果になったということは、これはだれしも否定できないわけだ。  したがって委員長、私はこういう提案を申し上げたいと思います。  それじゃ一体、論議をしておるペナルティーという問題、第一番目ですけれども、政府はペナルティーじゃないとこう言う。ところが、町村長は御承知のようにペナルティーをかけますぞ、こう言われている。したがって、ペナルティーをかけるのではないという撤回の通達をやるかどうか、これが第一点です。  それから、第二点は、じゃ一体政府の言いなりになって、言いなりというか協力してつくってみたが、やっぱり超過米が出た、二つ目ですが、超過米が出た場合にそれじゃどうするんだろうか。その場合に、うんとこさ政府に協力したいい子に対しては超過米をうんと買う、余り協力しない者には買わない、こういうことになると、これまた差別という問題で食管法に触れてくるので、一体超過米というものを差別なく買うという考え方があるんだろうか。  それから三つ目ですけれども、自治大臣は機関委任事務じゃない。しかしながら、本当に政府が言うように米以外のものを植えているかどうかという調査は町村長にやらせるわけですから、その町村長の調査だってこれは大変だと思います。したがって、こういったような問題は、ある程度国会でいま論議しているわけですから、無理やりにどこそこの県のどこそこは割り当てが完了したかとか、あるいは早く通達行政に協力せいとか、そういう態度で配分すると非常に論議があるわけです。従来と今回と違うというのは、いままでの生産調整というのは一応個人の協力、自主的な協力で手を挙げさせて決めさせたわけだ。今回はそうじゃなくて、協力しなかったら県全体に割り当てを次の翌年にやらせる、今度は県は町村に責任を持たせる、町村は個人に翌年やらせるということになると、村で暮らしているやれない人はどういう肩身でこれを受け取るだろうか。こうなると、やはりちょっといまの行政は行政指導という範囲を逸脱しているのではないんだろうか。  こういう三つの問題だけは私はどうしても解明できないので、ぜひこれは委員長のところで処理していただきたいと思うわけです。それで私の、処理の方法を聞いて……。
  173. 中野四郎

    中野委員長 本問題につきましては、理事会においてその取り扱いを協議することにいたします。
  174. 川俣健二郎

    ○川俣委員 終わります。
  175. 中野四郎

    中野委員長 川俣君の質疑は、保留分を除き一応終了いたしました。  次に、坂井弘一君。
  176. 坂井弘一

    坂井委員 冒頭、総理にお伺いしておきたいことがございます。ロッキード事件が起こりましてちょうど満二年になります。私は、この事件の最大の教訓と申しますか、反省すべき点はやはり日本の政治の金権体質ないし腐敗の体制、これが徹底してメスを入れられて根本的な療治をするというところにあったと思います。残念ながら、今日なおこの真相解明には、国会といたしましてもほとんど無力であったということを言わざるを得ないのが実情ではないかと思うわけでありますけれども、そういうことに相なりますと、国民の政治に対する不信というものがなおなお増大されていく、私は実はそれを内心きわめて憂えるものでございます。  そこで、総理に伺いたいのでありますが、先般来私どもの矢野書記長や二、三の方々から質疑がございました。総理はそれに答えられまして、国政調査権に基づく要請があるならば、政府としては協力をいたしましょうということでございます。最大限の協力を政府は当然私は国会に対してすべきである。その場合、国政調査権に基づく国会からの正式な要請があれば、総理は具体的にいかなる内容をもって国会に協力しようと心組みをされておるのか。つまり、たとえば国会の要請に基づく資料、この資料というのはいろいろあると思います。法務省、検察が保管する資料あるいは米側提供の資料、あるいは別に国会の意を受けた政府が作成する資料、そうした資料の全部ないしは一部を国会に提出をいたしますということなのかどうか。さらに、総理としてほかに具体的に協力の方法、その内容、それをお考えであるならば、この際明確にしていただきたいと思います。
  177. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 ロッキード事件はまことに遺憾な事件であったわけであります。私は、しかし、これを遺憾であるということで終わらしてはいかぬ。これは災いを転じて幸いとする。どういうことかと言えば、再びこういうような忌まわしい事件が起こらないようなための諸措置をとることについての反省、これが非常に私は大事な問題である、こういうとらえ方をいたしておるわけであります。  ただいま、国会の調査権に対しまして政府はどういう態度をとるか、こういうお話でございますが、これは、具体的な案件についてでありますると、またそれぞれの意見も申し述べることができますが、概括的、一般的には、いまこの事件は公判が係属中でございますから、公判の円滑な進行、これを阻害せず、こういうこと、これが大きな一つの制約になりまするが、その制約の範囲内においてできる限りの御協力をするというのが政府の方針でございます。
  178. 坂井弘一

    坂井委員 余り押し問答したくないのです。だから、私は具体的に聞いたわけです。たとえば、資料を出してもらいたいということは、この間から何回も要請したわけです。国会の国政調査権に基づく国会からの正式な要請があれば、資料の一部ないし全部はお出しになるでしょうか。全部または一部、こうお聞きしたわけです。いかがでしょう。
  179. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 いかなる資料、いかなる調査政府に命じまたは要請されるか、その具体的な案件が国会の調査権発動といたしまして出てくるということになりますれば、政府といたしましてはそれに対してどういうふうにするということをはっきり申し上げなければなりませんけれども、一般的な姿勢といたしましては、公判がいま係属中である、この円滑な執行、これに支障がないという範囲内におきまして、他にもいろいろ事情のあることはありまするけれども、できる限りの御協力をしなければならぬ、このように考えています。
  180. 坂井弘一

    坂井委員 あの事件解明の国会としての役割り、国民に対して果たすべきその責務という点を踏まえますならば、この事件真相解明への国会の責任ということにつきましてどう認識するかという問題がおのずから根本にあろうかと思うのです。このことについての議論をきょうはなんなんと繰り返そうとは思いません。思いませんが、ただ国政調査権に基づく協力要請に対して総理が協力するとお約束された以上は、最大限の協力、やはり要請に対しては具体的に協力をしようという姿勢がまず大事であろう。つまり、公判係属という一定の制約要件はございます。これは刑事責任の分野においてあるわけでありまして、元来国会が真相解明をしなければならぬとわれわれが意図したところのものは、こうしたロッキードの金の流れの中で政治がどうゆがめられ、政策あるいは行政がどう変わっていったか、どこにゆがめられていくという一番根本的なポイント、ポイントがあったのか、この辺をただしていくのが本来的には国会の役割りであろうと私は思うのですね。そういうことについて、きょうは総理に聞こうとは思いません。  なお、一点だけお伺いをいたしますが、瀬戸山法務大臣が先般、全容報告について、政府と相談して出してもいいようなことをおっしゃったようでありますが、総理、どうでしょうか。ロッキード事件の全容報告、つまり第一次、第二次の中間報告はなされました。第一次が五十一年の十月、二次が五十二年の二月でございました。しかし、この内容はそれぞれ捜査状況の概略を述べるにとどまったということできわめて不満足なものです。われわれロ特委員会は不満足だと抗議しました。少なくとも全容報告をされる以上は、いま私が申し述べましたような政策とか行政、そういうものが変わっていくという節々、変更されていくという、そういう流れ等まで含めたものであって初めて私は全容報告だと思うのですが、それはそれといたしましても、近く全容報告をしようという御意思はおありなんでしょうか。
  181. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 私からまずお答えをいたしておきます。  いま坂井さんからお話がありましたように、過去に二回にわたって政府といいますか法務大臣から事件の概要の報告をいたしております。その後、それ以上に新たな事実を発見することに至っておらないわけでございます。そういう意味で今日に至っておりますが、参議院のロ特委員会でも申し上げましたように、ロ特委員会あるいは国会において最終のまとめた報告をした方がよろしい、こういう御意見であれば、以前から政府は総括的な報告をいたしますと、かように言明して今日に至っておりますから、そういう報告をいたすことは政府部内で相談をいたしてみましょうと、こういうことにしておるわけでございます。  ただ、重ねて申し上げますが、過去二回御報告を申し上げました以上の新たな事実ということは今日出ておらないということだけはここで申し上げておきたいと思います。
  182. 坂井弘一

    坂井委員 そうしますと、つまり全容報告というのは最終版だと私は思うのだけれども、これで終わりました、その内容すべてを明らかにします。この全容報告というのは、ここのところ出せませんね。お出しになるというような意思は、いま法務大臣、お持ちじゃございませんね。あわせて同時に、その後解明が遅々として進んでいないということでございますが、さらにそれを解明した後でなければ、また解明は必ずして、前総理でありました三木さんがお約束されましたように、全容報告はいつの時点かにおいては必ず出しましょう、こういうことでしょうか。
  183. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 事件の概要については、先ほど申し上げましたように、過去二回御報告申し上げた以上のことは出ていないわけでございます。でありますから、もし御報告をするということになれば、そういうものを含めて、あの事件によってどういう点が行政上その他において間違いを起こす要因であったか、そういう点を含めて政府部内では閣僚協議会を開いて各般の防止策を考えたわけでございますから、そういうものを含めて報告する以外にはない、かように考えておるわけでございます。
  184. 坂井弘一

    坂井委員 どういうことでこういうことになったのであろうかという内容等も含めて、つまり私が言いますところの行政なり政策変更、そういう重要な内容等も含めて御報告されるということであるならば、それはそれなりの意味があろうと私は思うのですね。ただしかし、その場合においても、位置づけをするならば第三次中間報告というようなことだろうと思う。事件の終結を宣言するような全容報告ということには相ならぬであろう、これは私の感じとして、そう一応申し上げておきたいと思います。  さて、通知をいたしてございます問題につきましてお伺いしてまいりたいと思います。  五十三年度予算を見まして、確かに景気浮揚、きわめて重大な使命をこの予算に持たした、かつてないほどの公共事業中心の内容になっておりますことは、先般来質疑のあるとおりでございます。そこで、私は、この建設業界にひとつ視点を当てて論議をしてみたい。  この問題を考えます前提として、少なくとも二つの重要な要請を忘れてはならぬと私は思っております。まずその一つは、この公共事業という大型予算は、景気浮揚という目的達成のために、より高い効率を持たせなければならぬということ、さらにもう一点は、最近とみに不公平の是正ということが言われるわけでございますが、この不公平を是正するどころか、なお拡大していくというようなことがあっては断じて相ならぬ、この二点はやはりしかと踏まえて、具体的に公共事業の実施、これを推進していかなければならぬ、こう思うわけでございます。残念ながら過去の公共事業を見ますと、建設業界そのものがきわめて重層的な構造になっておる、そういう中で一体どのような問題が提起されてきたかということを、実は具体的に申し上げてみたいと思います。  特に元請と下請の関係。元請といいますと大手業者が多いわけであります。下請はやはり中小業者ということに相なるかと思いますが、この関係状況はどういうことであったか。お手元にお配りしました表をひとつ参照していただきたい。  まず表I。これは発注者、ここでは住宅公団、それから道路公団が取り上げてございますが、今度の予算でも、一に道路、二に住宅、三、四がなくて五に下水なんということが言われておりますけれども、この発注者であります公団、これが元請に対して代金をどういうふうに支払ったかということ、そういう内容であります。  一見すればおわかりいただけますように、元請というのは相当優遇されておる。優遇という言い方は言い方がよくないとしますと、公共事業を完成するのに非常につつがないような十分な手当てを国費、公費によって行われておるということが言えると思います。  たとえば、契約金額を見ますと、当初契約額と最終支払い金には非常に大きな開きがございます。一・七倍、二倍と。契約が倍になった、こういう例もここに表示いたしました。つまり公正な競争入札を終わって受注をした仕事であるにもかかわらず、この最終支払い金額は一・七倍、二倍になるということは一体どう考えたらよろしいのか。この資料では、それはインフレスライド分、それから設計変更分だ、こう説明をいたしております。そういうことになりますと、それでは一体予定価額とは何なのであろうか、果たして公正な入札が行われたのであろうか、こういう素朴な疑問が実は払拭できないわけであります。難工事だから金額が倍加した、その他やむを得ない事情もあった、いろいろあるのでしょう。いずれにいたしましても、元請の請求に対しては国、公団、唯唯諾々として支払いをしておる、こういうことを結論づけるのは、非常にうがった見方でしょうか。  さらに、前渡し金四〇%、これが現金で支払われております。このこと自体、私は悪いと言っているわけじゃない。物価狂乱時の工事等につきましては、資材とか人件費の値上がり、ひどいものがございました。工事着工当初ではとうてい予測もできなかった。それにしても、インフレスライド分が、ごらんください、四七%、あるいは四二%、これはまたいかがなものだろうかと首をかしげたくなるわけであります。現在、大手元請業者外注分、これは下請に依存するわけでございますけれども、半数余りが下請依存であります。つまり大手元請業者の商社化ということがだんだん進行しておる、こうも言われてございます。  さらに、この表をごらんください。大手元請が受注した工事を再度請け負ったところの下請業者はどのような扱いを受けたか、このことにつきまして具体的なアンケート調査をいたしました。表IIでございます。  まず、元請は下請におろす際にはマージンを取ります。この中には、本社で受けた仕事を支店に出す際にもマージンを取って、支店もマージンをさらに取る。下請におろす。同じ会社で二重マージンというような会社すらございます。さて、そのマージンの率が、回答者の半数が二〇%以上と答えておるわけでございます。たとえば、元請に国の工事を一億でおろしたといたしますと、下請が実際その工事を請け負う価格が七千万ないし八千万、こういうことになるわけであります。元請も商売ですから、何もマージンを取って悪いと私は言っておるわけではありません。ありませんが、余りにもそのマージンーマージンと言っていいのですか、どうですか、ちょっと大き過ぎるのではないか。それのみではございません。後でだんだん申し上げてまいりますが、仮にマージン一つをとってみましても、もっと狭めれば安い価格で公共事業ができるのではないかという一つ問題点として出したわけです。  それから、設計変更分について元請は、先ほど申しましたように多額の請求をして受領いたしてございますが、下請にそれが払われておるかということになりますと、この表IIに示しますとおり、ケース・バイ・ケース。額が大きい場合には下請は元請からいただいておる、しかし小さい場合はがまんしろ、こういうことであります。工事期間中に種々の理由工事の変更等、これが予想されることがございますが、そのうち、元請の事由で変更になった、元請の責任で変更になった、そこで工事金額がふえた、そういう場合は事由を生じた元請が負担しなければならぬのは当然のことだと思うのですけれども、下請は、そのような場合においても泣き寝入りをしておる。つまり、元請は増額修正には全く応じない。ちなみに、発注者が国の場合、国の責任で変更ということの事由が生じた場合には、元請に対して国はその分に対してはちゃんと払っているわけですね。下請は、いま言ったような状態であります。  さらに、下請代金の支払い状況はどうか。この調査では、五〇%が現金、五〇%は手形、そのサイトは百五十日、こういうケースが非常に多いわけであります。個別的には一〇〇%手形という大手もあるわけです。また、現金で払う場合にいたしましても、いつも繰越分を残しておくのですね。たとえば一千万円、これは五百万円払って五百万次に繰り越す。翌月に一千万の工事が出ますと合算して千五百万円、これを二つに割りまして七百五十万払う、また七百五十万繰り越す、こういうやり方がまかり通っておるようでございます。  いずれにいたしましても、元請の優遇、優位に対して下請がきわめてひずみを食って劣位に置かれておる。たとえば先ほどの元請の前払い金四〇%、公共事業ですと現金で受けるのですね。ところが、それが下請におりていかない。下請は、今度は金融機関から高い金利の金を借りる。元請は国から受けた現金四〇%から金利を生むのです。下請は金融機関から高い金を借りて金利を負担しなければいかぬ、こういうことが現実に行われておるというような、まああらましを申し上げました。  そこで、建設省にお伺いをいたしたいのでございますが、建設省、一番大きな公共事業を抱えておる省でございますのでお答えいただきたいが、下請代金支払いの実態を調査されておりますか。おりましたらその概要をお述べいただきたい。  同時に、公取にこの際お伺いしておきたいと思います。いま私が申し上げましたようなことが公共事業の実施上の実態、これは私どもの調査による実態でございます。こういう実態でございますが、これは建設業法四十二条で公正取引委員会に措置請求ができることになっておりますが、過去十年間ぐらいに限定しましょう、そういう措置請求がなされましたかどうでしょうか、その結果についてお答えをいただきたい。
  185. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 実態調査昭和五十年度にやっております。それから、直轄工事については現在調査をしておるところでございますが、計画局長から詳細申し述べさせます。
  186. 大富宏

    ○大富政府委員 ただいま建設大臣からお答えいたしました下請代金支払いの実態調査昭和五十一年一月に行った実態調査でございますが、代金支払い期間でございますが、まず注文者からの受取条件では、三十日未満というのが五一・三%、三十日から四十日未満が三四・四%でございます。それから、下請への支払い条件でございますが、三十日未満が七九・三%、三十日から四十日未満が一七%でございます。それから、手形期間でございますが、注文者からの受取条件では、三カ月未満が一七・四%、三月から五カ月未満というのが六七・一%でございます。それから、下請への支払い条件でございますが、これは三月未満が三四・一%、三月から五カ月未満が六〇・四%。それから、現金の比率でございますけれども、注文者からの受取条件の場合に七割以上が四一・八%、五割から七割未満というのが一五・四%、それから下請への支払い条件は七割以上が五〇・二%、五割から七割未満というのが一五・五%、主な内容はこのとおりでございます。
  187. 橋口收

    ○橋口政府委員 お答え申し上げます。  下請代金支払遅延等防止法は、先生御承知のように製造委託、修理委託の場合についてだけ適用があるわけでございまして、それと類似の規定が建設業法に置かれておるわけでございます。  お尋ねがございましたように、第四十二条の規定によりまして、建設業法に基づきまして主務大臣あるいは都道府県知事が公正取引委員会に対して措置の請求をすることができることになっております。措置請求をいたします場合の取り扱い基準というものを昭和四十七年に公正取引委員会で決めておるわけでございますが、ただ、取り扱い認定基準のみでは、すべての問題を残念ながらカバーできないのが実情でございまして、また建設業法も、支払遅延等防止法に比べますと、規定の整備が必ずしも十分ではないという点があろうかと思います。それら種々の点があろうかと思いますが、ただいま御質問のありました建設大臣からの措置請求は、今日まで一件もございません。
  188. 坂井弘一

    坂井委員 建設省、かなり以前の調査でございますのでいまのようなお答えかと思いますが、現状においては私はきわめて認識は甘いのではないか、この点をまず御指摘申し上げておきたい。後で具体的に申し上げてみましょう。  それから、措置請求の請求は一件もないということでございますが、元請から下請にどういう形で支払いされておるか、このことを後ほどさらにるる具体的に申し上げてみたいと思っておりますが、確かに、下請業者というのは苦情を訴えたいと思っても、やはり力関係がございますからこれは言えないのですね。訴えたならばもうあすからの仕事が干される、これは具体的な事例がございますから、それも後で出しましょう。そういう構造の中にあるからこそまた行政が、こういう下請中小業者に対してはやはり手を差し伸べなければならぬということを、私は強く申し上げておきたいと思うわけであります。  瑕疵担保責任、この求償権、これは大方留保されておるようであります。工事の完全施工のためには元請が発注者に対して責任を負う、これは当然のことでございますけれども、しかし、実際に施工するのは下請である、そういう理由でもって、元請側が求償権を実行すれば、結果としては下請がこれを全面的に負担しなければならぬ、こういうようなことも実情のようであります。  そこで、このことは差しおきまして、先ほど申し上げました前渡金、このことについて、これも建設省にお尋ねをしてみたいと思うのですが、確かに前渡金というのは私は必要であろうと思う。必要であろうと思うのですけれども、実際にこの前渡金を受けて工事をやるのは下請でございますね。下請が前渡金に対して大手からどう受けておるかということについてはI表で先ほど申しましたけれども、大手元請が四〇%、しかも公共事業については現金で前渡金を受ける。ところが、下請にはほとんどこの前渡金が渡されていない。支払われていない。おりても率がうんとダウンする、あるいは手形に化ける。  さて、この前渡金でございますけれども、いま申しましたように、国が公共事業、あるいは公社、公団地方自治体等も公共事業発注する場合に、受注者である元請、これは大体大手業者が多いようでございますけれども、ここに保証会社の保証があれば国の金、公金が現金で渡される。大体三〇%から四〇%ということになっております。この前払いの保証会社というのは、日本全国を三つに分けましてブロック別に三社あるわけですね。北海道建設業信用保証株式会社、東日本建設業保証株式会社、西日本建設業保証株式会社、この三社で独占するわけだ。この三社がどういうことでできたかといいますと、公共工事の前払金保証事業に関する法律に基づいて設立された私の法人であります。  ちなみに、この三社の五十一年度の実績合計を見ますと、保証件数が十七万二千九百九十三件、これに対します保証金額が一兆八千八百三十三億八千万、これだけ前払金で保証会社が保証して国なり地方自治体の金が先に出されておる。それから前年の五十年度に比べますと、件数でも一万件ふえております。保証金額で五百八億、こう伸びておる。五十二年度の実績見込み、それから五十三年度どれくらい見込まれておるのか、建設省お答えできるでしょうか。
  189. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 五十二年四月から十二月の実績は十七万四千件で、保証額は一兆九千八百億円でございます。五十三年は、非常に大まかなことでございますが、保証額が三兆円ぐらいになるのではないか、こういうふうに推定いたします。
  190. 坂井弘一

    坂井委員 後でほかの省庁の大臣にも、手持ちぶさたみたいなので、お伺いしたいと思う。建設省だけじゃないのですよ、公共事業は。後で聞きます。いま建設省に一つ焦点をしぼってお尋ねしておるわけであります。恐らく五十三年度ではまだ約一兆円余りもふえるということですね。これは大変な金額になるようであります。  重ねて建設省に伺いますけれども、先ほど申しましたように、建設省は大体四〇%現金で出しておる。これが元請から下請に適切な形で渡されていない、こういう実態を私は申し上げたわけでございますが、下請に対してどのような形で前払金が出されておるか、実態調査をされたことございますか。
  191. 大富宏

    ○大富政府委員 お答えいたします。  先ほどの五十年度に実施いたしました調査の結果でございますが、元請人からの前払いは、全然前払いをやっていないというのが八一・五%、三割未満が一六・二%、三割以上が二・三%、下請人への前払いでやっていないというのが六三・五%、三割未満が三三%、三割以上が三・五%ということでございます。
  192. 坂井弘一

    坂井委員 ずいぶんひどいですよね、実情は。「下請代金支払の適正化について」という通達を建設省はお出しになっておりますけれども、これは実が上がっていないということだろうと思うのです。大体建設省がお考えになっている通常の場合といったら、どうでしょうか、平均してと言いましょうかね、元請に四〇%国の金が出た場合に、そのうち何%程度が下請に回ったならばまずまず大体適当だろうというような試算はございますか。
  193. 大富宏

    ○大富政府委員 三七、八%だと思います。(坂井委員「四〇%のうちですか」と呼ぶ)はい。
  194. 坂井弘一

    坂井委員 そういうことになりますと、これは総理、実態的にはめっちゃくちゃですわ。私どもの調査がいみじくも実情を、いまお答えいただきましたことと全く符合すると思うのですがね。  そうしますと、昨年も建設省は通達をお出しになりましたね。この通達の第五項を見ますと、「元請負人が前払金の支払を受けたときは、下請負人に対して、資材の購入、労務者の募集その他建設工事の着手に必要な費用を前払金として支払うよう努めること。とくに公共工事においては、発注者から現金で前金払がなされるので下請負人に対しても相応する額を現金で前金払するよう努めること。」こういうふうになっているのですがね。「相応する額」とは一体具体的にどういう額かと聞きますと、大体三七、八%ということです。お答えは。ただこの「努めること。」というのは言い方ですから、努めた結果、全く努力したけれども、残念ながら下請には渡されません。つまり下請に出す金はゼロですというようないまの実情が出てきているのだろうと思うのですが、ちょっとこの通達は甘いのじゃないですかね。つまり実効性の伴うそういう方法を考えなければならぬのじゃないか。これは後で一括してお答えいただきたいと思います。その前に、公正取引委員長にお伺いしたいのです。これは一般論として聞きましょう。  実は私のところに、ある公共事業を請け負った下請の方から手紙が来たのです。その内容を概略申しますと、前金払いを元請業者に請求した、元請が前金を国から受け取るわけですね、だが断られた、それでとうとう倒産したというのです。結論を言えばそれだけなんです。その際に、前払い金を国からあなたのところは、元請は四〇%受けているのだから、事業をやるのは私の方ですから、私の方へ何とかひとつ前払い金を出してくださいよ、こうお願いをしたならば、おまえのところがそんなことを言うんだったらほかの業者に乗りかえるぞ、こう言われたというわけですね。それで、泣く泣く銀行からかなり高い利息の金を受けたというようなことで、運転資金にかなり事欠きまして、とうとう倒産、こういうことに相なった。これは、相手方に対して優越していることを利用して、相手方に不当に不利益な条件で取引すること、これは独禁法に完全に触れますね。
  195. 橋口收

    ○橋口政府委員 一般的なお尋ねでございますから一般的にお答えをいたしたいと思いますが、いまお挙げになりました事例は大変残念な例であると思いますし、お話を伺っただけで断定的に判断をお示しするということはむずかしいかと思いますが、よくケースを調べてみまして、場合によっては、先生御指摘の独占禁止法で定めます不公正な取引方法の十号、優越的地位の乱用行為に該当する場合もあり得ると思います。  ただ、先ほどもちょっとお答えを申し上げたのでございますが、建設業法の規定は必ずしも十分でない面がございますし、ことに前払い代金につきましては、建設省の通達にございますような文言が実は法律の中に入っておるわけでございます。つまり配慮事項としての訓示規定でございますから、それに基づいて建設省がああいう趣旨の通達を出しておられるわけでございまして、また私どもの方でも建設業に関する不公正取引の認定基準の中に、残念ながら前払いの認定基準というものを置いておりません。それは法律的な背景が違うからそういうふうになっておるわけでございまして、この点は確かに問題点一つではないかというふうに考えております。したがいまして、繰り返しになりますが、お示しのようなケースにつきましてよく事案を調査いたしてみました場合には、場合によっては独占禁止法違反というケースになるということもあり得るというふうに考えております。
  196. 坂井弘一

    坂井委員 建設大臣、先ほど計画局長にお答えいただいたのですけれども、念のために伺っておきたいのです。  つまり、下請に対します国の前渡金が適切な形でおろされていない。これは明らかに、昨年十一月八日でございましたか、建設省は通達をお出しになっておりますけれども、その通達の内容からしまして、この実態は適切ではございませんね。それはお認めになりますか。
  197. 大富宏

    ○大富政府委員 大臣がお答えになる前に、事務的なお答えをちょっとしておきたいと思います。  先ほど、元請から下請に対して前払いが余り行われていない、どのくらいが適当かというお尋ねに対しまして私が三七、八%と申し上げましたのは、前払い金というのは建設資材の購入あるいは労働力の調達のための準備金でございます。私どもの調べによりますと、まず建設資材費に前払いの五一%ぐらいが支払われておりまして、あと外注費、これは要するに元請から下請に払う外注費に当たるわけですが、これが三七、八%でございます。その他が労務でございますので、私が申し上げました三七、八%というのは、公共事業から四〇%前払いするものの三七、八%ということでございます。
  198. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 元請、下請の関係について坂井委員よりいろいろ御指摘でございます。そして、実態についても先ほど局長から申し上げたのでありまするが、これはまことに私としても不本意なことでございます。昨年十一月に通達が出ておりまするが、それが十分徹底しておらないという御趣旨の御指摘かと思うのでありまするが、私といたしましては、これは元請、下請の間でしっかりした約款でも結んでおってもらえば、それが一つの根拠になって改善をさせることができる、それが好ましい姿ではないか、こう思うのであります。また、このことにつきましては、昨年の四月に中央建設業審議会からの勧告もございまして、そこで、この標準下請約款でやるようにということを業界ごとに現在指導しておりまして、実施約款の策定が進められておる実情にあるわけでございます。  こういうことは極力私として今後進めてまいりたいと思うのでありまするが、この元請、下請の関係で非常に私も頭が痛いのは、こういう実態だから、それではもう下請に直っすぐやり得るものかどうか、こういうことになってまいりますと、元請が受ける、そして土木関係、建築関係といろいろの分野にわたります。そうすると、元請が受けてそういう関係の下請に逐次注文をしていくというようなかっこうになります。それから、実態としては確かに前払いなどについて不十分といいますか、四〇%も出ておることから言うと感心しない点がございまするが、また一面、業界の習慣として出来高払い制がとられておるというのが現在の実情のようでございます。しかし、それはそれといたしまして、先ほど申し上げましたような標準約款によりまして元請、下請関係をでき得る限り合理的な、適正なものにしてまいりたい、このように考えております。
  199. 坂井弘一

    坂井委員 建設省だけじゃなくて、たとえば農林省、あるいは郵政省、あるいは運輸省、非常に公共事業多いわけですよね。この三省の大臣は、たとえばいま私が指摘してまいりました公共事業に対する前払い金、これがたとえば五十一年度の実績なんかではもうはっきりしているはずだと思いますけれども、御存じですか。農林、郵政、運輸、三大臣お答えください。
  200. 福永健司

    ○福永国務大臣 率直に申し上げまして、余り詳しく存じ上げておりません。
  201. 服部安司

    ○服部国務大臣 お答えいたします。  残念ながら十二分に掌握いたしておりません。十分調査いたしまして、適当な機会に御返答申し上げます。
  202. 中川一郎

    ○中川国務大臣 農林省も、調査の上、詳細御報告申し上げます。
  203. 坂井弘一

    坂井委員 では、御参考と御勉強のために、私から親切に申し上げておきましょう。  五十一年度の取り扱い実績、農林省は保証件数が三千八百九十七件ございました。これに対します保証金額が三百五十九億九千四百万円。運輸省は五百七十一件、二百億七千九百万。郵政省は八百七十四件、二百三十二億八千万、こういうことでございます。五十二年度の実績も間もなく見通しとしてははっきりするだろうと思います。五十三年度予算につきましては、それぞれ各省の大臣御承知のとおり、各省におきましても相当公共事業がふくれております。したがって、それに対します前払い金は当然ふえると思います。そういうことをひとつよく御研究ください。そして、いま建設省を一例として申し上げましたけれども、きわめて不満足な形で、これが十分な効率のよいといいますか、あるいは実際施工に当たる下請がつつがなく公共事業が着工できるような、そういう生きた前渡金になっていない、こういうことを私は実例として申し上げたわけでございますので、関係の各省大臣は、よく自分の省の公共事業について精査していただきたいと思うわけであります。  ほかの省の大臣、えらい澄ました顔みたいです。時間が過ぎているのでお疲れかもわかりませんが、なんだったら全部いま申し上げますよ。あるのです。人ごとじゃないのです。  まとめて総理に伺いましょう。つまり、そういうことでございまして、鳴り物入りで公共事業だと、ずいぶんいろいろな議論がございました。未消化の分が相当出るのではないか、まあいろいろございますね。しかし総理、せっかく四〇%先に国の金が出るのですよ。これが下請あるいは中小業者にしてみれば、元請から早く欲しい、この金があればわれわれも資材の調達ができます。人間の確保もできます。これがなかなか回ってこないわけです。これを何とかしてくれと言ったら、元請は何と言うかというと、おまえ、そんなぜいたくなこと言うのだったら、ほかの業者にかえるぞ、こうやられるわけです。さっきの手紙のとおりであります。だから、この辺が公共事業消化していく上の一つの大きな隘路になっている。したがって、各省にもまたがることでございますので、この前払い金については適切な形で下請におりるように、総理としては当然そういう措置を講ぜられてしかるべきだろうと私は思います。一言総理から御所見を伺っておきたい。
  204. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 その点は、ひとつ政府におきましてもよく気をつけてやってまいります。ちょうど公共事業の推進本部長大蔵大臣でありますから、大蔵大臣中心といたしましてよく精査いたしまして、遺漏なきを期したい、かように存じます。
  205. 坂井弘一

    坂井委員 ですから、できれば一度実態調査、この実態調査というのは、いまのことに限ってでも焦点を当てておやりになってみる必要があるのではないかと私は思うのです。御指摘申し上げておきたい。  これまた会計検査院に念のために聞きますが、従来こういう前払い金の検査をやったことがございますか。
  206. 佐藤三郎

    ○佐藤会計検査院長 前払い金はもちろん国費の重要な部分を占めておりますので検査はしておりますが、いまお話のありました下請に何%払っているかというような事態についてはいままで検査しておりません。
  207. 坂井弘一

    坂井委員 そうしますと、会計検査院長、下請に対します分については会計検査院法二十三条一項の七に基づくのかと思いますけれども、この項目では下請は検査の対象にはなり得ますか。
  208. 佐藤三郎

    ○佐藤会計検査院長 その規定を発動できるかどうかの問題でございますが、前払い金が払われている、それが効率的に使用されていないということになれば、その意味では検査はできます。しかしながら、いま坂井委員からいろいろお話がありましたように、前払い金自体が非常に規定が不備なんですね。そして、業者が前払い金をもらいまして、この金をいつまでに、何にどの程度使うかというような細かい制約がないわけです。したがって、われわれといたしましても、検査しましても非常に検査の物差しがはっきりしていないものですから、詰めが非常にむずかしい問題だ、こういうふうに考えております。
  209. 坂井弘一

    坂井委員 その辺のむずかしさはあろうと思いますけれども、検査院長どうでしょうかね、せっかくあれですから、各省庁の出される元請の段階を若干検討されて、もう少し、これは大変煩わしいことかもしれませんけれども、さらに検査をより正確にといいますか、この正確にという意味は、この四〇%の金を生きた形で、実効のあるものにしたいという趣旨なんです。そういうことを踏まえて、なお一歩前進させたような検査をおやりになる御意思はございませんですかね。
  210. 佐藤三郎

    ○佐藤会計検査院長 効率的に使用されていないという事態がございますれば、積極的に検査いたしたい、こう存じております。
  211. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 この前払い金に対するチェックでございますが、公共工事前払保証事業法第二十七条というのがございまして、これによりまして、公共工事の前払い金の使途については、その前払い金が適正に当該公共工事に使用されているかどうか監査を行うことができ、しておるわけでございます。また、具体的に使途監査をやる場合がございます。請負業者が保証契約を保証会社としますときに、保証会社に当該工事に前払い金が適正に使用されるよう前払い金使途内訳明細書を提出させてチェックをするというようなことは行われておるところでございまするから、不十分な点は十分注意をしなければならないと思います。
  212. 坂井弘一

    坂井委員 この締めとしまして――若干その前に申し上げておきますけれども、この保証会社というのは、三社とも大体高級官僚の天下り、それから銀行さん、それから大手建設会社、この辺でできているわけですよ。だから、元請大手業者との関係が非常に強いわけです。勢い強者の論理がまかり通るのでしょう。どうしてもそこに、そういうところから疎外されておる、人的なあるいは金的なつながりを持たない下請が弱い立場に置かれる。必然的にそういうことになるのでしょう。     〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕 ですから、下請が泣かされる。先ほどからくどく申しますけれども、直接公共事業に当たるのは大体下請中小業者ですね、ここに直接前渡金が、もちろん大手元請を通じて、これは通じなければどうしようもないと思いますが、通じて確実に渡る、保証も中小下請業者が受けられる、そういう実際的な効果のある対策をもう一遍根本的に御検討されたらどうでしょうかね。これは各省共通の問題ですけれども、大蔵大臣、本部長ですな、あなた。ぼくは一例としてこの問題を掘り下げて申し上げておるのですが、ぼくの言っている意味は御理解いただけると思う。とにかく実際効果を持たせたいということですから、その辺、工事に当たる中小下請業者がせっかく国から出る前渡金工事に生かされるような、そういう具体的な対策といいますか措置といいますか、それをひとつ講じられるお気持ちはございませんか。
  213. 村山達雄

    村山国務大臣 ただいま坂井委員からるる非常に貴重な資料をお示しいただきまして、ありがとうございました。私も推進本部長としてやるわけでございますし、ことしの公共事業完全消化には本当に最大の力を入れているところでございますので、各省庁と十分協議いたしまして実効があるようにいたしたいと存じております。
  214. 坂井弘一

    坂井委員 なお、先ほど指摘した問題で、さっきの表Iでも申しましたけれども、インフレスライド分、これが元請に払われている。ところが、下請にはほとんどインフレスライド分あるいは工事変更分、設計変更分、これが渡されない。そういうのが実情だということのアンケートの回答を御披露したわけであります。中にはずいぶん低い率で受けておる、あるいは機械の購入に限ってはございます。こういう回答もあるようであります。  公正取引委員会、これも伺っておきましょう。こういう元請が得たインフレスライド分とかあるいは工事設計変更分、これが実際工事をやった下請に渡されない、これは独禁法上どういう判断になりますか。
  215. 橋口收

    ○橋口政府委員 お尋ねのございましたケースは、独占禁止法の問題になります前に、建設業法の規定に触れるのではないかというふうに考えられるわけでございますし、また、先ほど申し上げました建設業についての不公正取引の認定基準から申しましても、恐らくは適当な措置ではないということになろうかと思います。
  216. 坂井弘一

    坂井委員 実情について申し上げてまいりました。つまり、元請と下請のこの立場の大きな格差は、もちろんほかにもいろいろ下請の締めつけがあるわけでございますけれども、いま申しました調査は、一次下請に対して行ったものでございまして、さらに孫請、二次下請、これはさらにひどいことであろうと容易に想像できるわけでございます。したがって、こういう建設業界、特に重層的な構造にあるそういう中で、いま申しましたような問題点を解決するには、やはり何らかの具体的な措置、手を打っていく必要があろう。そうでありませんと、金の動きが上の方でとまってしまって下へ流れていかない、あるいは時間が非常にかかる。きわめて即効性を持たした今度の景気浮揚のための公共事業というものがマイナス要素になってしまうということ、これは景気浮揚上好ましいことではない。その前段としてこういう不公正が拡大されていくということは、これまたきわめて好ましからざることである、こういう二点について御指摘申し上げてきたわけでございます。そういう二つの、私は重要な要請だろうと思いますが、それが二つともゆがめられる危険性があるということをるる述べてきたわけでございますので、この問題、総理もう一度締めていただきまして、こういう二つの、つまり景気浮揚上好ましくない、一つは不公平ないし不公正あるいは不公平の拡大、これは断じて許すべきではないというお立場だろうと思いますので、ひとつ御決意なり御所見を承っておきたいと思います。
  217. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 御指摘の点はまことにごもっともなことでございますので、政府におきましても十分調査いたしまして、抜かりのないようにいたしたいと存じます。
  218. 坂井弘一

    坂井委員 さて、いまのは保証株式会社の保証による前払い金を中心にして申し上げた。  図示いたしました表に従いまして、その次は設計コンサルタント、この辺の関係につきましてもやはり実態上の一つ問題点として御指摘申し上げておきたいと思います。  端的に言いまして、設計コンサルタントに委託しました設計内容がばっと漏れてしまうのですよ。大手元請業者に出てしまうのです。ということになるとどういうことになるか、これは言わずもがなです。こういうことが公然の秘密となって流されておる。わが党は昨年指摘したわけです。建設省は、何とか手を打とうというわけで、確かに昨年の四月一日付で設計コンサルタント是正の通達が出された。つまり、設計コンサルタントの株式が五〇%または資本の総額が五〇%を超えるもの、さらにコンサルタントの代表役員が建設業者の代表役員と兼務している場合、こういう場合は入札には参加させない、あるいは請け負わさない。きわめて厳しい内容ですね。その他二つの理由もあります。つまり、設計コンサルタントと大手元請の業者が株と資本、それから人間、これでツーツーなんですね。こういうところには公共事業工事は入札もさせません、請け負いもさせません、こういう内容なんです。ずいぶん厳しい。これの是非については別途の議論といたしまして、いずれにしろそういう通達をお出しになったわけでございますが、これに該当する設計コンサルタントはどれぐらいございますか。日本全国すべてで大体千六百社ですが、千六百社のうち、建設省が出されましたいまの条件、そういうところには請け負わせないし入札もさせないという条件に該当する設計コンサルタントは何社ぐらいあるでしょうか。
  219. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 お答え申し上げます。  先ほど先生がお話しございました兼業とみなされるような資本、人的構成に関係あるコンサルタント会社は五十社程度と考えております。
  220. 坂井弘一

    坂井委員 それはあなた、勘でおっしゃったらだめですよ。つまり、調査していないのでしょう。なければないでいいですよ。なければ、正直に調査されたらどうでしょうかと私は申し上げるのです。昨年の四月に通達したのですよ。日にちがずいぶんあるわけだよ。しかも、このこと自体も、今度の公共事業一辺倒による五十三年度予算、これに対する景気浮揚に重要な関係があるから私は指摘しておる。こんなことすら調査していない。いま五十社ぐらいと言うが、およその勘だ。これはおよその勘ですよ。でたらめもいいかげんにしてもらいたい。そんなことで、本当に心配ですよ。私の方の調査は三項目に限って調査した。もし必要だったら後でお出ししましょうか。きちんとありますよ。業者名も全部あります。少なくとも三つの項目にしぼっただけでも、いま挙がっているのは八十一社あるのです。もし仮にあなたが反論されるならば、いや実はその後資本を低くしました、株を引き揚げました、人間も引き揚げました、ですからそれは建設省通達に基づくこの五つの項目には該当しないところになりましたので少なくなっております。こういう御回答をされるでしょうか。恐らくそうでもないでしょう。だから御忠告申し上げておきましょう。調査したらどうですか。建設大臣、せっかくあなた方が基準まで決められて、そういう通達をお出しになっているのだ。である以上は、この通達に基づく実情をつかむ必要があることは理の当然ですから、これは的確に一遍調査をされてはいかがでしょうか。
  221. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 坂井委員指摘の昨年四月の建設省の通達でございますが、コンサルタント、大手業者のつながりと申しましょうか、そういうようなことがあったのではいけない。で、これにつきましては指名などの場合にそういうことがありますれば、もちろん参加させないという措置はとっておるのでありますが、ただいま御指摘のように、一体何社ぐらいそういうものがあるのかということにつきまして官房長から一応のお答えを申し上げましたが、先生の御調査の八十社は、それも条件を付しての調査で八十社もある、こういうことでございますので、私の方でも慎重に調査をしてみたいと思います。
  222. 坂井弘一

    坂井委員 調査の結果につきましては、ひとつ御報告をいただきたいと思います。  それで総理、えらいショッキングなことを申し上げましょう。これです。「当社希望工区」、これは設計コンサルタントの業者をあえて外しました。これはちゃんとここにあるのです。これは実は四枚あります。五十三年度予算はまだ通ってないのです。もう工事の場所は決まっているのですよ。これはどこから出たかというと、設計コンサルタントから出たのです。この設計コンサルタントにはどういう方がおられるかということを申し上げた方が本当は皆さんの御理解がより早いだろうと私は思うのですね。しかし、そんな、人の名前はきょうは言いません。ここに、この設計コンサルタントにだれがあるか、そして大手業者のだれがここの役員に入っておるか、それから銀行さんはどこが来ているか、もうその辺まで言ったら、皆さんはおやっというふうにおっしゃるだろう。これは一例だから申し上げておる。すべてはっきりしておるのです。もちろんこれは印までちゃんと押してあるのですよ、これには消してありますけれども。入札以前です。建設業者、もう決まり。しかも、このメモを大手の建設コンサルタントが売って歩いたのです。売った。かなりな金を出した。裏金ですよ。脱税にもひっかかるという問題にも入るでしょうね。ずいぶん驚いたやり方ですね。恐らくや談合が行われていたであろうということは明々でしょうね。ということになりますと、刑法上の問題が発生するでしょうね。これは実情です。  なぜこんなことを言うかといいますと、ここだけはいいのです。この大手の設計コンサルタントと結びついた大手の元請さんは。ところが、これから外れたところはどうなりますか。公正な競争入札に参加するという権利まで剥奪されたのですよ。それを何とかといって売りに来た。おまえさんのところは向こうの方を取れ、そのかわりそれはおれのところへ回してくれ。早い話がざっとこんなような調子です。こんな不明朗なことがいまの建設業界で大手を中心にして行われているということは、とんでもない話だと私は思う。結果的には、このことによってだれが一番ばかを見ているか、困っているかといったら下請業者ですよ。系列化しようというわけで、大手がまた一生懸命になって下請を締めつけている。だから、おれのところへ食らいつけ、損はさせないぞ、いや、どうやらあっちの方がよさそうだというので、うろうろしている。これだけの大型の公共予算を組んで、それでまた国がいま自治体に対しても、早くやれ、予算を取ったらすぐに工事にかかれ、前倒しで。前倒しといったって去年の前倒しが精いっぱいで、第二次補正の分についてはまだ消化できないというようなことであたふたしているようですがね。一方、そんなことでまた自治体にハッパがかかる。だからこういう建設コンサルタント、大手はここを先途とばかりに、いよいよもって自分たちでそういう国が委託をした設計を、そいつを手にしたら、これを利用していまのようなことが行われておる。これが実情です。     〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕 すでに小さな談合事件では、公正取引委員会が決定書を出した分で、きちんと事実関係の中に表示されたものもありますよ。公正取引委員会は、やはりそういう面でも協力されたらどうでしょうかね、そういうことについて関係省とよく連絡、相談し合って。こんなことのないようにぜひしていただきたい。これは警告にとどめておきます。  問題は、情報が筒抜けになっておる。通達では、こういう委託を受けた設計の――設計をやりますと、およそ予定価格というようなところまで出てくるのですね。だからそういうものは、国は通達で守秘義務をつけました。つまり、これを漏洩し、あるいは複写をし、あるいは譲渡してはならぬ、こうなっておるわけですね。ところが、いま言ったように、もうとっくに漏れているわけですよ。もう売られているわけですよ。だから、こういう国の方針に違反をした設計コンサルタント、これはどう処置されますか。
  223. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 もしさような不公正な事実がございますれば、建設業法等によって厳正に処分しなければならないと思います。
  224. 坂井弘一

    坂井委員 登録の取り消しとか、こういうところにはもう委託しないというぐらいの強い態度でやはり臨むべきだと思いますね、大臣。まあ、厳正にということですから、そういう意味だろうと理解をしておきます。いまは設計コンサルタントのことについて、問題点指摘を実はしたわけであります。ひとつ、よく実情をごらんになっていただきたい。  それで、先ほどもちょっと触れましたけれども、この公共事業が非常に大きいわけですけれども、特に地方に対します分、補助事業、これがざっと七割程度。先般発表されました地方財政計画によりますと、投資的経費では前年度比二六・一%増、全体の伸び一九・一%ですから、やはり地方公共事業のウェートがかなり大きくなっている。それで、政府地方自治体に対して、予算が通ったらもうすぐに事業の執行にかかれというわけで督励をされておる。よくわかります。ただ、先ほど言いましたように、この前倒しが五十年度相当効きましてね。その裏返しとして勢いあおりがありまして、五十三年度でそれだけせかれても、前倒しはなかなか困難じゃないか、思うようにいかぬのじゃないか、うまくいかぬのじゃないかと、心配している自治体がかなりあるようですね。これらに対して、そういう意見を吸い上げておるかどうか、また、しからば、前倒しをどういうふうに具体的に進めていこうとされておるのか、これが一点。  それから、公共事業自治体によってどういうバランスでやるか、おのずからその地域地域の特性がございますね。ところが、一方的に、とにかく一に道路だ、二に住宅だ、三、四なくて五に下水だというような形で、一律にこの五十三年度予算で押しつけるような形になりますと、地方自治体の主体的な判断に基づく、自治体のバランスある公共事業というものが崩される心配がある。またそのこと自体は、公共事業の未消化というようなことにもなりかねない。つまり、自治体が望むところの公共事業、これは特に生活関連が多いと私は思いますが、そういうものを、国としてはできるだけその自治体の方向に沿っていくような形で公共事業を進めていくということが、より効率的な公共事業執行のあり方ではなかろうか、こう思います。そういう点についても、それを配慮してもらえない、こういう苦情なりあるいはまた意見がかなり私どもの方にあるようでございますので、いま申しました二点につきまして、ひとつ御答弁いただきたいと思います。
  225. 加藤武徳

    加藤国務大臣 御指摘がございましたように、公共事業の七〇%を超えますものがいわゆる補助事業でございまして、地方が実施をいたすのでございます。そこで、地方といたしましてはいろいろ工夫をこらしてくれておりまして、そして完全消化を目指して努力をいたしてくれているのでありますけれども、しかし個々の企業におきましては、必ずしも消化体制が十分ではないところがあろうことは予想にかたくないのでございますから、さようなところに対しましては、できるだけ緻密な、きめの細かい指導を行いまして、完全消化に努力をしていかなければならぬ、かように考えておるところでございます。  それから、地方では、いわゆる補助事業もその地域その地域に適応いたします。生活と関連いたしますものに心を配ってはおりますけれども、しかし、何といいましても、単独事業と比較をいたしますと、やや粗い感じがありますことは覆うべくもないのでございます。そこで、五十三年度におきましても、五兆六千億円という大幅な単独事業を組むことにいたしておりまして、これはその公共団体がおのおの生活に密着をいたしました、たとえば地方の道路でありますとか、河川改修でありますとか、あるいはその他の施設等をやってまいる、かようなことでございますから、国が直轄でやりますものと対比いたしますと、公共事業はさらにきめの細かい、単独事業はさらにきめが細かい、かようなことでございますから、生活と密着をいたしました事業の遂行に努力をいたしてまいらなければならぬ、かように考えておるところであります。
  226. 坂井弘一

    坂井委員 さて、だんだん時間がたってまいりましたので、これは郵政省、電電公社にお聞きいたしますが、電電公社の場合を見ますと、五十三年度予算案では一兆六千一百億の建設投資計画が組まれておりますね。もちろん財投がうち四百八十億予定されておるようでございますけれども、かなり大きな額を組んでおられます。この電電公社の建設工事関係について、これはきわめておもしろいと言っていいのか、不可解なと言っていいのか、けしからざると言っていいのか、実は判断に苦しむのですが、たとえば業者の用語では単契工事と言うのですか、正確には加入者開通工事と線路、室内土木、これを単契工事と呼んでいるそうです。電話を引く場合に、外の線それから電話を引くまでの室内線、こういう工事だそうです。この単契工事は電電公社あるいは実際には局ですね、単契局、局が発注するのです。具体的にどういう形で、どういう方法で発注しているのですか。
  227. 秋草篤二

    ○秋草説明員 お答え申し上げます。  電電公社は契約の公正と経済性を高める意味におきまして、競争契約によって発注しております。ただ、発注業者は一般の土建、これは電電公社にも建築業務がございまして、千七、八百億の建築予算を持っておりますが、これに指名する会社は無慮三千くらいが登録されております。これは建設省は約四千五百ぐらいと聞いておりますが、これと非常に趣の違うことは、電気通信事業はほとんど完全に独占と言っていいくらい電電公社だけの商売でございます。したがって、その工事も限られた範囲でしかできません。その工事業者も、非常に品質の高い技術的な基準を要請されるものでございまして、間違えれば直ちに公衆にも迷惑をかけるというので、非常にうるさい基準がございます。したがいまして、業者は限られた、いまは六十九社ぐらいの業者の範囲の中で指名をしておりまして、その中で競争契約というものをやっております。
  228. 坂井弘一

    坂井委員 よくわかります。そういう事業の特異性といいますか高度な技術も要するというわけで、業者六十九社にしぼって指名競争入札をさせておる、こういうことですね。六十九社の業者で指名競争入札ということですか。
  229. 秋草篤二

    ○秋草説明員 六十九じゃなくて、いま事務当局が、六十八だそうでございます。御訂正申し上げます。  それの中から選びまして、三社なり八社ぐらいを選んで、年に二回ないし四回、指名競争に参加させて契約をしております。
  230. 坂井弘一

    坂井委員 それでは伺いますが、いま年に二回ないし四回、私どもの調査では大体三カ月ないし六カ月ごとに入札をやっているようですね。ところが奇妙なことにはと先ほど申し上げたのは、最初に落札した業者が、何回次の指名競争入札をやっても同じ最初の業者が二年ないし三年と続くのですね。これは一体どういうことなんですかな。指名競争入札というのは全く意味がなくなってしまうように私は思うのです。まず二年ないし三年間最初の業者がずっとその領域を独占し続ける。何回指名競争入札をやっても他の業者がそこに介在する余地は全くない。これは私がいま申し上げたとおりでしょうか。
  231. 秋草篤二

    ○秋草説明員 ただいま前段に私が申し上げましたように、全国に指名業者というものは六十八社しかございませんから、継続してその契約を落札することは当然でございます。しかし、絶対固定して変わらないということではございませんで、対象業務が変わることがあれば、また会社も一社、二社ときどき交代することはありますけれども、継続することはございます。
  232. 坂井弘一

    坂井委員 私はちゃんと正確に申し上げている。二年ないし三年間と申し上げている。永久にとは言っていない。二年ないし三年間で業者が変わるのです。そういう仕組みになっているのでしょう。――それだったら実情を言いましょうか。あなたがその辺をお答えいただかないと、また電電公社さんに対しては、えらい失礼なことを言わなならぬことになるので、おわかりだろうと思って言っているのですが、逐一御説明しましょうか、業者名を挙げて、局名を挙げて。そこまで言えば、あなた、御納得いただけるのならば、全部挙げてもいいですよ。ただ、私が言っているのは、二年ないし三年間、永久にとは言っていません。そういう形なんでしょう。工事の、事業の特異性もあることはわかるわけです。だから、そういうことになっているのでしょうということを申し上げているのであって、あなた自身が私がいま指摘するような、業者が次から次へとかわっているのだ、二年ないし三年間は最初の落札者がずっと続ける、こういうことになるのでしょう、こう申し上げたわけで、そういうことであればそうだ、違うなら違うとお答えいただきたい。
  233. 秋草篤二

    ○秋草説明員 先生のおっしゃったとおりでございます。ただ、二年半で必ずしも交代するということはございません。もう少し延びるのもございましょう。
  234. 坂井弘一

    坂井委員 まあそうですな、関東では大手五社と言われる五社は私ずっと調べました。いまおっしゃるとおり、二年半あるいは三年、それからかわっている。これは各府県調べてみたら、皆そうですね。東京もそうです。三多摩もそうです。関西もそうです。関西なんか大手三社。全国ほぼそういうことですね。これは承知されておるわけですね。
  235. 秋草篤二

    ○秋草説明員 承知いたしております。
  236. 坂井弘一

    坂井委員 御説明いただきたいと思いますが、そうしますと非常に素朴な疑問が起こります。だれが見てもわかるとおり、それならば二年ないし三年間の間に、まあ短いのは三カ月、長いので六カ月、三カ月としますと年に四回の指名競争入札がある。ほかの業者もその競争に加わるわけですね。年に四回と申しますと、二年間で八回、三年間だったら十二回競争入札がある。あるにもかかわらず、最初の落札者がずっと自分の地域を独占する、最初の受けた地域、領域を独占する。そうしたら指名競争入札とは一体何のためにあるのか、これは素朴な疑問であります。つまり指名競争入札が形骸化と言うよりも有名無実、何かのためのカムフラージュに指名競争入札をしているのか、こう疑問を抱かざるを得ないのであります。どうお答えになりますか、御説明いただきたいと思います。
  237. 秋草篤二

    ○秋草説明員 先ほど申しました私どもの建設業界の実情、また本質的な由来から考えれば、やはり一件あるならばそこに本店の所在なりあるいは支店の所在があるというところはどうしても有利になりまして、全国から一斉にそういうところに集まってくるということになっても、実際上競争は成り立ちません。負けるに決まっておりますから、当然入札に参加いたしません。当然、そういうところには二社か三社の業者がいる。隣県の業者も出てくるという程度でございまして、どうしてもそういう点には固定する、またローテーションも大体限られた範囲の業者がやるということに必然的になると思います。その点は本質的にやむを得ないと思っております。
  238. 坂井弘一

    坂井委員 ちょっと総裁、いまの御答弁は無理があるのですよ。私は特殊性があるというのはわかるのですよ。しかし、全国みんな一緒や。それでなかったら何で指名競争入札をわざわざせないかぬのかと、こうなる。必然的にその業者になりますといういまの御説明は、それは工事の特殊性があって、その地域へ、ほかの遠いところからそんなところまで電話工事に来れぬということは一応理屈としては、あるいは常識的にもよくわかります。しかし、それだったら何も競争入札をやることないじゃないですかと、こう言いたいわけです。つまり、このことをもっと端的に申し上げますと、私も指名競争入札に加わるのですが、最初からおまえやめておけということになっております。まあ仕方なしに形だけ行っているにすぎないのです。それから来てもむだだからもう来るな、こういうことにもなってございます。こんな不明朗なことでよろしいのでしょうかというある大手の業者からの話がございました。だから申し上げている。これはちょっと是正した方がいいと思いますが、しかしどういう方法がよろしいのかについては、これは電電公社、郵政省が知恵をしぼってもらいたいと思うのですが、その前にもう一つ問題を指摘しておきましょう。  さて、落札いたしまして契約しますな。工事契約のまた内容が問題ですね。確かに単契工事の電話の工事というのは、この工事の性格上非常にむずかしい面があるのですよ、入札契約が。それはわからぬではないのです。しかし、大体過去の実績として、この地域についてはこれだけの電話の工事量があるだろう、たとえば一億なら一億、およその見積もり、それで落札して契約する。契約書をちゃんと交わすのだけれども、その契約書の中身、また問題だな。つまり、契約をした一億なら一億で責任を持ってその工事をやっていますか、請負者は。お答えください。
  239. 秋草篤二

    ○秋草説明員 お答えいたします。  単価契約というものは、単価の契約であって、単価のスタンダードをお互いに競って入札するのでありまして、それに量を掛けて契約金額というのは決めるのでございまして、初めから一億ということでやるならば、これは単価契約ではなくなりますから。そういう契約もございます。長年月、数年かかるのも一番長いのではありますし、それから大きな局舎の機械工事の据えつけ工事で何十億かかるようなものもございます。そういうものは単価契約ではございませんから、単価契約は加入者の開通工事あるいは移転工事のようなものが一番手っ取り早い卑近な例でございまして、その一億というものは初めから決めて契約金額を決めるわけではございません。
  240. 坂井弘一

    坂井委員 わかります。ただ、そういうあれも、たとえばで私言っているわけです。契約一億、ところがそれを超える工事量があった場合、二〇%まではそれは認めましょう、それを超える工事、二〇%までは。そういう契約を交わされておりますね。
  241. 高橋敏朗

    高橋説明員 お答えいたします。  単価契約につきましては、ただいま総裁が御説明申し上げましたとおり、三月ないし半年の間の工程をある程度想定をいたしまして契約をするものでございますから、その期間があるいは途中において当初予定した工程と相違するということは十分あり得るわけでございます。ただ、余り大幅にこれが当初の予定と異なります場合には、書面によりまして業者と協議をして契約の更改をやる、こういうふうになっております。
  242. 坂井弘一

    坂井委員 予定をうんとオーバーした、その場合には業者と協議をして更改を行う。その際の更改というのは、やはり指名競争入札をやるのではないですか。
  243. 高橋敏朗

    高橋説明員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘のように、当初予定いたしました工程をかなりオーバーした工事が出たという場合には、当然、業者といたしましては能率が上がりまして有利になるわけでございます。したがいまして、当初半年間というふうな契約をしていたものが、たとえば五カ月で予定をオーバーする、こういうふうな場合には、そこで一応契約を打ち切りまして、以後のものについては改めて公開競争入札によって契約をする、こういう処理をいたすわけでございます。
  244. 坂井弘一

    坂井委員 そこで、公開競争入札でありますが、他の業者が落札するという場合はあり得ますか。
  245. 高橋敏朗

    高橋説明員 先ほど総裁が申し上げましたように、公社といたしましては、あくまでも公正な入札を行おうということにしておるわけでございますから、必ず従来工事をやっておりました業者のほかに数社を指名して競争入札をさせるわけでございます。ただ、この場合、従来から工事をやっておりました業者が、非常に地理的事情に明るいとか、あるいはそこに営業の本拠を持つとかいうふうな有利な条件があることが多うございますから、その場合には、公正な競争入札を行いましても、われわれの方は厳正に積算をした予定価格を下回る価格であればこれを落札するということでございますから、先生御指摘のように従来の業者が有利であるということは確かでございますけれども、それを前提にして契約をする、あるいは入札をするということはいたしておりません。(坂井委員「業者がかわることありますか」と呼ぶ)ございます。可能性としてございます。(坂井委員「いままであったかどうか」と呼ぶ)その点につきましては、もう少し調査の上御説明申し上げたいと思います。
  246. 坂井弘一

    坂井委員 まあ十分調査してくださいよ。ただ可能性としてあるとかあり得ないとか、そんな議論は私はしたくないのですよ。そういうことを言われるのは実は非常に困る。せっかくぼくはまじめな提案をしているわけです。  総理、お聞きになったとおり、この指名競争論争、全く意味がないですね。工事の特殊性というのは非常にわかるわけです。わかるわけですけれども、なぜこんなことになってきたかといいますと、もっとずばり言っておきましょう。これはやはり高級官僚の天下りですな。それで、そこに大手業者ですね、協会に入っている。そこへ銀行が入る。それから人的支配、それから株の支配、それはまあずいぶん露骨だとあえて申します。露骨、そういう質的な中から出てきている問題、これはやはり根本的なことだろう、私はこう見る。ですから、この辺も姿勢をやはり正さなければならぬと思いますよ。これは総理がおっしゃられる行政改革、この辺とも非常に重要に絡む問題です。  もちろん職業選択の自由があるわけですから、私は公務員の天下りについて否定するものではありません。ありませんが、この業界との癒着関係の中で、きわめて一部の特権的な階層が非常に有利な状態、それもきわめて恣意的に行われておるということ、ここの根っこを押さえませんと、これも一緒ですよ。せっかくの工事やる人たちはやっぱり中小下請の人たちなんですよ。元請の方で、天下りの人たちと、それから銀行と、そんなところで全部決めてしまって、勝手な決め方をして、というようなことですから、これもまた下請は泣いているわけです。だから、こんな、元請間においても、おもしろくない。ここの辺が一番根っこですね。ですから、これはやはり、総理、後でお答えいただきたいと思いますが、この辺も正してください。  そこで、その前に、公取、公正取引委員長に伺っておきます。いまるる申し上げてきたとおり、また、このやりとりをお聞きになっていただきまして、こういう入札のあり方、契約の方法、内容、これは、公正取引委員会、公取委員長として、どう判断されますか。
  247. 橋口收

    ○橋口政府委員 お話を伺っておったわけでございますが、契約の内容、入札実施の方法等につきまして、そう詳しく承知をいたしておらないのでございますが、一般的に申しまして、産業構造の変化に伴いまして、先進諸国の独禁政策、ことに業者の行う共同行為に対する取り締まりの方針は漸次製造部門から非製造部門に重点を移しつつあるわけでございまして、中でも入札談合につきましては、ことに西独は大変強い態度で臨んでおるわけでございます。  いままでの独占禁止法によりますと、仮に共同行為がございましても、入札のような行為の場合一回限りの行為でございますから、入札行為が済みますと、それによって後は法違反の状態がないという状態になりますので、これに対して十分な措置がとれなかったわけでございます。昨年改正されました改正独禁法によりましては、既往の行為に対しても必要な措置がとれるようになりましたし、何よりも、必要な場合には、仮に入札価格等につきまして談合の事実がはっきりいたしました場合には、ケースによりましては課徴金を課するということができるわけでございまして、十二月二日以前と以後では全く様相が変わってまいったわけでございます。  したがいまして、いまお話がございましたようなケースが、具体的にどういう内容のものであるか、先ほどもちょっとお触れになりましたように、公正取引委員会でもすでに事件として取り上げたケースもございますし、仮に入札予定者というものをあらかじめ決めておく、しかもそれに落ちるように入札価格というものをあらかじめ談合して低い価格に設定するという行為が行われております場合には、恐らくは独占禁止法違反の行為に該当するというふうに考えております。ただ、いまのケースにつきましては、十分事情承知しておりませんから、断定的なこことを申し上げるのは御容赦いただきたいと思います。
  248. 坂井弘一

    坂井委員 電電公社も、こういう形をやる方が管理監督上いいのかもしれないですね。実は私も非常にいま心中複雑なんですよ。こういう形が惰性で流されてきたのではないか。まず便利がいいということだろうと思うのですね。しかし、かといって、最初から業者を、おまえこの領域はおまえのところにやる、この領域はおまえのところだ、こういうことを決めることはいかぬ。いかぬから指名競争入札だ。こうしたものを最初から協会のえらい人が決めて、おまえはこれでしんぼうせい、おまえはこれで入札やってみろ、ここはおまえのところへ落とすんだ、ここはおまえのところだ、こういう形が今日まで、延々とその惰性が続いてきたのであろう、こう実は思われるわけです。私が思うのです。いずれにしても指名競争入札、これは余り意味がないということになりますので、郵政大臣いかがでしょうか、少しこの辺の問題を調査の上整理していただきまして、ちょっと何かうまい方法に改善する余地ないものでしょうかね。
  249. 服部安司

    ○服部国務大臣 お答えいたします。  先ほどから聞いておりましたが、片や高度の技術と厳格な仕様といわゆる規格、片や公正な公開入札という言葉が盛んに出ましたが、坂井議員の御指摘の御趣旨は、私は十二分に理解できたつもりであります。したがって、残念ながら私もまだ就任日も浅いので十二分にその内容を把握できておりませんが、早速調査をいたしまして、明朗な、しかも誤解を受けないような状態に強力に指導いたしたい、かように考えている次第でございます。
  250. 坂井弘一

    坂井委員 どうか電電公社総裁、郵政大臣、前向きにひとつ御検討ください。  それで、一応この総括編として、締めくくりとして、総理、ちょっとごらんくださいよ。これ、大手から出した見積書です。下請、こういう条件で受けたんだという内容があるのです。先ほど御答弁がありましたけれども、決してそんなめちゃくちゃなことで契約はしておりませんと言わんかのごとき建設省のお役人ありましたけれども、この内容を見ますと、ひどいですよ。もうずいぶん高圧的で、これは下請の締めつけの請書ですよ、この見積条件なんか、中を見ますと。もしあれでしたら後でまた御参考に供します。  あるいは、ごらんください、これはわび状です。だれのわび状かといったら、中小下請業者の組合長に対するわび状です。何で組合長にわび状を書いているかというと、内容をざっと見ますと、実は私の方の元請の大手さんが前払い金を受けたので何とかしてください、私の方に下さい、工事をやる私の方の資材の購入とか人の手配をする必要がございます。当然いただけるお金と思いますので下さいと言ったけれども、元請さん、くれません、くれなかった、それで組合の方でもいろいろ心配されてあっちこっち金策に回った、私の方も精いっぱいの努力をしました、しかし残念ながら、このつなぎのための金策をすることができません、ついに倒産のやむなきに至りました、その間、組合長には種々御配慮をいただきましてまことにありがたい、結果としては組合の皆さん全体に御迷惑をかけることになった、まことに申しわけない。わび状ですよ。これは本当に泣かされるじゃないですか。  下請は悲惨ですよ。この見積条件なんかこういう条件ですとつけてあります。とんでもない話です、この内容は。下請代金支払遅延等防止法というのは一体どこにあるのだといったような内容です。こういうことがまかり通っているという実態に、もっと率直に目を向けてもらいたいと申し上げたいわけです。  公共事業、大体大走りにかいつまんで申し上げてまいりました。  最後に一、二問伺いますが、犯罪被害者補償についてでございます。  最近の犯罪というのは、世相を反映してか、非常に凶悪化しておりますね。いろいろな問題が起こります。内ゲバの暴行、殺人、コーラ、チョコレート事件、暴力団員の発砲事件、爆破犯人の横行、毎日のニュースに事欠きません。昨年のハイジャックは世界じゅうを騒がせました。あわててこれに対して緊急避難的に防止法を国会でつくったわけですけれども、いつまた起こるかもわからない。そういう中で一番泣いているのは、やはり凶悪な犯人の手による被害者、またその遺族、家族、この人たちは今日まで何の補償もないわけですね。したがって、何とかしてくれというずいぶんたくさんな声が上がってきた。私も実は認識不足でございまして、そんなに凶悪犯による被害者というのは数ないのじゃないかなと思っておったのですが、そうじゃないですね。ずいぶんある。  この間なんか六十万名ですか署名して、法務大臣のところへも御陳情に行ったかと思いますが、したがってそういう実情を踏まえまして、わが党におきましても犯罪被害者補償法、これを出しました。しかし、今日日の目を見ない。法務省の方ではこの要綱をおつくりになって、法案までつくってお出しになろうというところまでこぎつけたのだけれども、大蔵省さん、どうやら反対らしいですな。反対とこうはっきり言い切っていいのかどうかわかりませんが、どうもちょっと難色をお示しであったかのようなことを漏れ聞いております。総理、ずいぶんお聞きになっていただいているのだろうと思いますので、これは法務大臣、総理、どちらにお答えしていただいていいのかわかりませんが、つまり犯罪被害者補償法、これを早く提出して通す、これをつくる、これはいまやはり決断されるべきじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  251. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 坂井さんのお話の犯罪による被害、これは一般理論から言いますと、御承知のとおり加害者にもし損害があればこれの補償を要求する、こういうことが一般理論でございますが、しかし、いまおっしゃったように、実情を見ますると、犯罪を犯したり人を殺したりいろいろなことをする者に、ほとんどと言っていいくらい補償をするとか損害賠償をする能力がないし、実際は非常にお気の毒な状態が多いわけでございます。  そこで、いまおっしゃるように、最近は何とかこれに国家的といいますか国民的といいますか、救済の手を伸べなくちゃいかぬじゃないかという意見が各方面から起こっております。と同時に、国際的に見ましても、世界十数カ国でしょうか現在、そういう種類の立法をしておる状況でございます。おっしゃるように、公明党さんの方からもその提案がなされておるわけでございます。そういう事情を見まして、法務省といたしましても、何とかそういう立法をする必要があるのだという前提のもとに、諸外国の立法例とかあるいは犯罪被害者の実態等々を鋭意調査、検討中でございます。  ただ簡単にいきませんのは、他の一般社会保障との関係あるいは国家財政の問題があります。どういう範囲の犯罪被害者に、どういう形態の者にそういう救済の手を伸べるかということはなかなか簡単にいかないところがあります。率直に言って、公明党さんから出ておるような案をそのままうのみにするということは簡単でありません。立法をできるだけ早くするという意味でいま検討中でございます。これは国家財政、国民の負担にもなりますから、相当きめ細かに検討しませんといけませんので、できる限り早く成案を得たい、こういうことでいま各省庁と詰めをしておる、こういう状況でございます。
  252. 坂井弘一

    坂井委員 いま法務大臣お答えいただきましたけれども、そういうことだそうですか、総理、これは早く法務省で各関係者との間で詰められまして、成案を得て早くお出しいただきたい、内容はともかくとしましても。総理、どうですか、やはりそういうことで督励をされて、犯罪被害者補償法についてはできるだけ早くこれを成立させる、こういう御意思はおありですか。
  253. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 ただいま法務大臣からお答え申し上げたとおり、これはいろいろむずかしい問題があるわけなんですが、大事な問題でありますから、鋭意勉強、検討いたします。
  254. 坂井弘一

    坂井委員 泣き寝入りしているのですよ。本当に持っていくところがないのですよ。これはいたたまれないような気持ちだろうと私は思うのですね。その遺族、家族に対する補償ということでもってすべて解決するわけじゃありませんけれども、せめてもの思いやりのあるあらわれだろうと思います。景気浮揚も大事です。大事ですけれども、こういうことを一刻も早く政府が手をつけるということが、本当に政治に対する国民の信頼の回復への一つのきっかけといいますか、一助にもなる、こう思うので、これは早くお出しになることをひとつ要請しておきたいと思います。  時間が間もなく参るようでございますので、最後に一問だけはしょってお聞きしておきたいと思いますが、エネルギー問題です。  長期エネルギー需給暫定見通しを昨年つくりましたね。これをもう一遍見直さなければいかぬのじゃないですか。その後の電源立地等、これは大変困難をきわめております。何か百五十数億ですか、来年度に持ち越さなければならぬということがありましたな。半分ぐらいしか消化できませんでしたね。というようなこと等々から勘案いたしまして、その暫定見通しの目標の達成はまずできないのじゃないか。とりわけ原子力発電が昭和六十年三千三百万キロワット、これはまず不可能でしょう。昨年は電源開発調整審議会が一つも設置を認めてございませんね。完全にとまったまま。それから世界の原発計画というのは非常に冷え込んでおります。このことについての議論は別途いたすといたしまして、いずれにしろこの見直しをしなければならぬのじゃないか、こう思いますので、政府はどう考えていらっしゃいますか。これは科学技術庁ですか、通産省ですか。
  255. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 いまお述べになりました総合エネルギー十年計画でありますが、昨年の夏つくりまして、五十三年度からスタートするという計画であります。まだスタートしておりません。したがいまして、二、三年の様子を見ましてあるいは途中で修正ということになるかもわかりませんが、現在のところは昨年の夏つくりました計画に従って進めるつもりでございます。  それから原子力発電のことについてお述べになりました。原子力発電は十年間に一二千三百万キロの計画でありますが、現在ややもするとおくれがちでございます。よほど努力をしませんとこの目標には達しませんので、さらに一段の工夫と努力が必要だと心得えております。
  256. 坂井弘一

    坂井委員 終わります。
  257. 中野四郎

    中野委員長 これにて坂井君の質疑は終了いたしました。  次回は、明七日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時六分散会