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1978-05-12 第84回国会 衆議院 本会議 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月十二日(金曜日)     —————————————  議事日程 第二十八号   昭和五十三年五月十二日     午後一時開議  第一 銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正す     る法律案内閣提出参議院送付)  第二 農林省設置法の一部を改正する法律案(     内閣提出)  第三 国有林野事業改善特別措置法案内閣提     出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  中央更生保護審査会委員長任命につき同意を求   めるの件  日程第一 銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改   正する法律案内閣提出参議院送付)  日程第二 農林省設置法の一部を改正する法律   案(内閣提出)  日程第三 国有林野事業改善特別措置法案(内   閣提出)  航空業務に関する日本国イラク共和国との間   の協定締結について承認を求めるの件  女子教育職員出産に際しての補助教育職員の   確保に関する法律の一部を改正する法律案(   参議院提出)  加藤自治大臣地方財政法第三十条の二の規定   に基づく地方財政状況報告についての発言   及び質疑     午後一時三分開議
  2. 保利茂

    議長保利茂君) これより会議を開きます。      ————◇—————  中央更生保護審査会委員長任命につき同意を求めるの件
  3. 保利茂

    議長保利茂君) お諮りいたします。  内閣から、中央更生保護審査会委員長勝田成治君を任命したいので、本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出のとおり同意を与えるに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  4. 保利茂

    議長保利茂君) 起立多数。よって、同意を与えるに決しました。      ————◇—————  日程第一 銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付
  5. 保利茂

    議長保利茂君) 日程第一、銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。地方行政委員長木武千代君。     —————————————  銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔木村武千代登壇
  6. 木村武千代

    木村武千代君 ただいま議題となりました銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、最近における猟銃または空気銃を使用する犯罪及び猟銃または空気銃に起因する事故の実情にかんがみ、第一に、新たに猟銃所持しようとする者について猟銃の操作及び射撃の技能に関する技能検定を実施し、第二に、猟銃または空気銃所持許可基準整備するとともに、所持許可有効期間を短縮し、あわせてその保管委託制度を新設するほか、第三に、銃砲または刀剣類所持に関する規制を合理化すること等をその内容とするものであります。  本案は、四月二十一日参議院より送付され、同日本委員会付託となり、同月二十七日加藤国務大臣から提案理由説明を聴取した後、慎重に審査を行いました。  昨十一日質疑を終了し、討論の申し出もなく、採決を行いましたところ、本案全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  7. 保利茂

    議長保利茂君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 保利茂

    議長保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第二 農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提出
  9. 保利茂

    議長保利茂君) 日程第二、農林省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。内閣委員長始関伊平君。     —————————————  農林省設置法の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔始関伊平登壇
  10. 始関伊平

    始関伊平君 ただいま議題となりました農林省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、本案の主な内容を申し上げますと、  第一は、農林省省名を農林水産省に改めること、  第二は、本省について、構造改善局所掌事務整備するほか、農業技術研究所等試験研究機関の位置を茨城県に変更するとともに、沖繩とうきび原種農場を新設すること、  第三は、食糧庁について、その内部部局の組織を再編整備するとともに、食糧事務所に、食品全般についての流通の改善に関する事務を分掌させることができることとすること、  第四は、林野庁について、同庁に次長を新設するほか、旭川、北見、帯広、函館の四営林局を廃止し、札幌営林局北海道全域を管轄する北海道営林局に改めるとともに、所要の地に営林局支局を置くこととすること、  第五は、水産庁について、振興部並び養殖研究所及び水産工学研究所を新設するとともに、淡水区水産研究所及び真珠研究所を廃止すること等であります。  本案は、四月二十五日本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、同日本委員会付託されたものであります。  本委員会におきましては、四月二十七日中川農林大臣から提案理由説明を聴取し、五月九日より質疑に入り、慎重に審査を行いましたが、その詳細につきましては会議録により御承知願いたいと存じます。  かくて、五月十一日質疑を終了いたしましたところ、村田委員外三名から、営林局支局位置づけ等を明定することなどを内容とする修正案提出され、趣旨説明の後、採決の結果、全会一致をもって修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。  なお、本案に対し、水産行政農業行政の一層の充実強化、森林・林業の安定振興対策推進国有林野事業経営についての基本と、営林署等再編整備を図る場合の進め方等に関し、四項目にわたる附帯決議全会一致をもって付されました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  11. 保利茂

    議長保利茂君) 採決いたします。  本案委員長報告修正であります。本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 保利茂

    議長保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————  日程第三 国有林野事業改善特別措置法案   (内閣提出
  13. 保利茂

  14. 中尾栄一

    中尾栄一君 ただいま議題となりました国有林野事業改善特別措置法案につきまして、農林水産委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、国有林野事業現状並びに国民経済及び国民生活におけるその使命の重要性にかんがみ、国有林野事業改善に関する計画の作成、一般会計から国有林野事業特別会計への繰り入れ等措置を定めようとするもので、その主な内容は、  第一に、農林水産大臣は、昭和七十二年度までに国有林野事業経営健全性を確立するために必要な基本的条件整備昭和六十二年度までに完了することを旨として、昭和五十三年度以降十年間を改善期間とし、この間における国有林野事業改善計画を定め、これに従って国有林野事業運営するものとすること。  第二に、政府は、改善期間において、一般会計から特別会計所要繰り入れを行うことができるようにすること。  その他、改善期間における特別措置として、政府国有林野事業に対する資金の貸し付けについての配慮、国有林野事業特別会計利益処分特例等に関する規定を設けることとすること等であります。  委員会におきましては、四月二十七日中川農林大臣から提案理由説明を聴取し、五月九日、十日及び十一日の三回にわたり慎重に審査を重ね、五月十一日質疑を終了いたしましたところ、本案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党及び新自由クラブの共同提案に係る修正案提出され、採決の結果、修正案全会一致修正部分を除く原案は多数をもって可決し、本案修正議決すべきものと決した次第であります。  なお、本修正は、改善計画趣旨について、昭和七十二年度までに国有林野事業経営健全性を確立することを目標とし、これに必要な基本的条件整備昭和六十二年度までに完了することを旨とするよう改めること等を内容とするものであります。  また、本案に対し、全会一致をもって附帯決議を付するととに決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  15. 保利茂

    議長保利茂君) 採決いたします。  本案委員長報告修正であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  16. 保利茂

    議長保利茂君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————
  17. 加藤紘一

    加藤紘一君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、航空業務に関する日本国イラク共和国との間の協定締結について承認を求めるの件を議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  18. 保利茂

    議長保利茂君) 加藤紘一君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 保利茂

    議長保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。     —————————————  航空業務に関する日本国イラク共和国との   間の協定締結について承認を求めるの件
  20. 保利茂

    議長保利茂君) 航空業務に関する日本国イラク共和国との間の協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。  委員長報告を求めます。外務委員会理事塩崎潤君。     —————————————  航空業務に関する日本国イラク共和国との間の協定締結について承認を求めるの件及び同報告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔塩崎潤登壇
  21. 塩崎潤

    塩崎潤君 ただいま議題となりました航空業務に関する日本国イラク共和国との間の協定締結について承認を求めるの件について、外務委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  政府は、昭和五十年十一月以来、イラク共和国政府との間で航空協定締結のための交渉を行ってまいりましたが、合意に達しましたので、本年三月二十日にバグダッドにおいて本協定に署名を行いました。  本協定は、わが国イラクとの間の定期航空業務を開設することを目的としたものでありまして、そのための権利を相互に許与すること、業務の開始及び運営についての手続及び条件について規定するとともに、両国の指定航空企業がそれぞれの業務を行うことができる路線を定めております。  本件は、三月二十四日外務委員会付託され、三月三十一日園田外務大臣から提案理由説明を聴取し、質疑を行いましたが、その詳細は会議録により御承知を願います。  かくて、本十二日質疑を終了し、引き続き採決を行いました結果、本件全会一致をもって承認すべきものと議決いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  22. 保利茂

    議長保利茂君) 採決いたします。  本件委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 保利茂

    議長保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、本件委員長報告のとおり承認するに決しました。      ————◇—————
  24. 加藤紘一

    加藤紘一君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、参議院提出女子教育職員出産に際しての補助教育職員確保に関する法律の一部を改正する法律案議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  25. 保利茂

    議長保利茂君) 加藤紘一君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 保利茂

    議長保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。     —————————————  女子教育職員出産に際しての補助教育職員確保に関する法律の一部を改正する法律案参議院提出
  27. 保利茂

    議長保利茂君) 女子教育職員出産に際しての補助教育職員確保に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。文教委員長菅波茂君。     —————————————  女子教育職員出産に際しての補助教育職員確保に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔菅波茂登壇
  28. 菅波茂

    菅波茂君 ただいま議題となりました参議院提出に係る法律案につきまして、文教委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、小中高等学校等に勤務する女子事務職員出産する場合についても、女子教育職員の場合と同様に補助職員臨時的任用を行うことにしようとするものであります。  本案は、四月二十一日当委員会付託となり、本日提案理由説明を聴取した後、唐沢俊二郎君外五名から、本案に対し、女子学校栄養職員出産する場合についても、女子教育職員の場合と同様に、補助職員臨時的任用を行う趣旨修正案提出され、採決の結果、全会一致をもって修正議決すべきものと議決いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  29. 保利茂

    議長保利茂君) 採決いたします。  本案委員長報告修正であります。本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 保利茂

    議長保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————  国務大臣発言地方財政法第三十条の二の規定に基づく地方財政状況報告について)
  31. 保利茂

    議長保利茂君) 自治大臣から、地方財政法第三十条の二の規定に基づく地方財政状況報告について発言を求められております。これを許します。自治大臣加藤武徳君。     〔国務大臣加藤武徳登壇
  32. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 地方財政法第三十条の二の規定に基づいて、先般政府国会提出いたしました地方財政状況につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和五十一年度地方財政のうち、普通会計決算について申し上げますと、決算規模は、歳入二十九兆五千三十五億円、歳出二十八兆九千七十億円でありまして、これを前年度と比べますと、歳入において一三・三%、歳出において一二・七%それぞれ増加いたしております。また、決算収支は、二千八百三十三億円の黒字となっており、前年度と比べますと、二千二十一億円黒字額が増加いたしております。  次に、歳入内容を見ますと、同年度において景気がジグザグ型ながらも緩やかな回復を示したこと、また、地方財源不足対策が講じられたことにより、地方税地方交付税等一般財源及び地方債は高い伸びを示しております。  歳出内容を見ますと、投資的経費歳出総額に占める割合は、前年度より低下しており、他方、義務的経費歳出総額に占める割合は、人件費についてはある程度の抑制が図られたものの、公債費及び扶助費が大幅に増加したため、前年度を上回り、財政硬直化が依然として続いております。  次に、地方公営企業につきましては、昭和五十一年度決算規模は六兆二千九百九十八億円でありまして、前年度と比べますと、六・〇%増加いたしております。収支状況は依然として厳しく、単年度の純損失は一千九百三十四億円、累積欠損金は八千九百三十三億円となっております。  今後の地方財政につきましては、厳しい財政状況のもとにおいて、住民に直結する行政の担い手である地方公共団体が、よくその責務を果たし得るよう地方財源充実強化を図るとともに、財政運営に当たっては、財源重点的配分行政経費節減合理化に徹することにより、財政硬直化を打開し、安定成長下にふさわしい財政運営を確立することが必要であると存じます。  また、現下経済情勢に対処し、景気回復を図るとともに、立ちおくれている生活関連社会資本整備し、総合的な地域づくりを進めるため、投資的経費の積極的な拡大とその執行の推進を図ることが、当面緊急の課題として強く要請されているところであります。  なお、地方公営企業につきましては、引き続き経営合理化推進し、料金水準適正化を図るとともに、負担区分制度の適正な運用を図るよう努力を払う必要があると存じます。  以上、地方財政状況につきまして、その概要を御報告申し上げた次第でございます。(拍手)      ————◇—————  国務大臣発言地方財政法第三十条の二の規定に基づく地方財政状況報告について)に対する質疑
  33. 保利茂

    議長保利茂君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。これを許します。新村勝雄君。     〔新村勝雄登壇
  34. 新村勝雄

    新村勝雄君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま御説明のありました地方財政の問題について、総理大臣並びに関係大臣に御質問を申し上げたいと存じます。(拍手)  まず、初めに地方自治に対する政府基本姿勢についてただしたいのであります。  従来、わが国地方自治制度は、明治以来、近代的な諸制度整備が進められるとともに、その形骸だけは確かに与えられたわけでありますけれども、住民の自発的な創意による自治は許されず、地方団体は常に国家目的に従属させられ、国政の下部構造としての役割りを担わされてまいりました。  戦後、現憲法の施行とともに、初めて地方自治が正当な位置づけを与えられ、憲法上も「第八章 地方自治」として明文化され、地位が保証されたのであります。  ところが、その後の経過を考えますと、憲法の理想は必ずしも実現せず、自治機能は常にゆがめられてまいったというのが実態であります。戦後一応整備された民主的諸規定は次々と取り上げられ、地方自治の根幹をなす地方財政権能は、完全に有名無実のものになっております。課税も起債もすべて国の許可制のもとに統制をされ、住民創意工夫が生かされる余地がほとんどありません。  地方自治の健全な発展を阻害している最大の原因は、政府初め中央官僚の根強い地方不信にあります。自治体はほうっておくと何をしでかすかわからないという不信感が、政治姿勢、すべての施策の底に流れているというのが実態であります。  現在の自治体はそんなに未熟なものでございましょうか。そんなことは絶対にありません。戦後三十年の修練を経て、住民自治は十分にそれを行う能力を備えておるわけであります。  総理は、いつも、国と地方は車の両輪だとおっしゃいますが、果たして両輪の一方に値するだけの行財政権能地方に与えられているでございましょうか。形は両輪でも、一方が極端に小さい両輪では、車は一方に傾いて前進をすることができません。中央地方財源配分問題超過負担の解消、事務の再配分など、古くして新しい課題として常に論議をされながら、何一つ解決をしていないのであります。これらは抜きがたい中央集権の思想、地方軽視住民不信的発想によるものでございまして、断じて容認することはできません。速やかにこの宿弊を改め、住民参加による自治発展を期さなければならないと存じます。  そこで、福田総理大臣総理にお伺いをいたしますが、憲法第九十二条に、「地方自治の本旨」という言葉がございますが、この言葉がどのような理念と内容を持つものであるか、また、現状において憲法規定が、地方自治運営の中で十分に機能しているかどうか、お考えをお示し願いたいのであります。(拍手)  御承知のように、いわゆる地方財政白書は、地方財政実態問題点を調査、解明し、制度運営改善に資することを目的として国会提出をされるわけであり、地方財政計画と一体をなす、きわめて重要な報告でありますが、残念ながら、最近の白書は、公表時期、内容とも、このような目的を十分満たしていると言えません。また、地方団体地方自治関係のある国民各層からの要望を謙虚にくみ上げるという姿勢に乏しく、年来の懸案がほとんど解決をされていないわけであります。特に、昭和五十年度来の地方財政危機対策について、国民的関心が高まっていることを考えれば、いまこそ白書の目指す本来の機能を発揮しなければならないときでございます。  こうした観点から、今回の白書を見ますと、多くの基本的欠陥を持つばかりでなく、一方的に政府政策を宣伝し、財政危機の責任を地方に転嫁しておる側面が多いのであります。  昭和五十一年度地方財政計画を決定するに当たりまして、政府は、交付税特別会計における一兆三千百四十一億円の借り入れ、財源対策債一兆二千五百億円の発行という二つの借金政策で、二兆六千二百億円と見込まれる財源不足を穴埋めしたのでございます。しかし、このような交付税法趣旨を曲げ、その性格を変質せしめるような措置についての評価や反省に乏しいのであります。また、行政水準決定の根拠が明確でなく、当初達成すべき行政水準と、実施された行政水準との乖離が示されていません。  こうした内容上の問題とともに、公表時期が遅過ぎることも指摘されなければなりません。一年おくれの決算報告では、現下の変転する政治経済情勢に有効に対処できないことは明らかであり、過年度欠陥を当年度あるいは翌年度に是正をすることが不可能であります。  一般的な税負担の引き上げを求めることは不可避だと政府は主張し、自治省もまた、これに追随して、増税への露払いの役目を果たしておりますが、地方財政の立場から考えれば、税種や税率ではなく、総財源を国と地方がいかに配分をするかというところに焦点がなければならないわけであります。  自治大臣は、適正な財源配分を約束なさっていながら、予算編成の決定的な段階になりますと、大蔵省の圧力に屈して、いつも御自分の正しい主張を放棄されているわけであります。この白書においても、地方財政構造的な欠陥が明らかであり、地方交付税総額安定的確保を図る必要があるとしております。借金政策はすでに限度に達し、五十二年度末における基準財政需要額に占める公債費は三・三%にも達していることを思えば、二分の一政府負担ルール化ぐらいでは、とうてい事態の解決にはなりません。  そこで、自治大臣にお伺いをいたしますが、この際、全国三千有余の自治体財政再建地方自治を守るために、交付税額必要額確保を含めて、国と地方財源配分について抜本的な改革をおやりになる御決意があるかどうか、お答えをいただきたいわけでございます。  また、政府は、五十一年度地方財政計画を策定するに当たっては、景気回復を優先し、そのために公共事業及び自治体単独事業を大幅に増加をして目的達成に努力すると強調されたのでありました。ところが、決算を見ると、政府の言い分が一時逃れの説明にすぎなかったことが明らかになっております。  すなわち、補助事業は四兆二千二百八億の計画に対し、四千七百五十七億増加し、四兆六千九百六十五億円と一一・三%も増大をいたしておりますが、逆に単独事業は、当初の三兆七千六百三十三億から二兆九千八百三十一億円と、七千八百二億円、率にいたしまして二〇・七%も落ち込んでいるのであります。これは交付税特定財源化縁故債市場の制約と無関係ではございません。地方財政構造を変質させて、国の政策地方にまで貫徹させようとする方策にほかならないからであります。  五十二年度においても、また公共事業とともに五兆六千億の単独事業を予定いたしておりますが、十分な一般財源なしに推進することに根本的に無理があり、完全な消化が懸念をされております。政府の目指す。%成長が末端から崩れるおそれなしとしないのであります。自治大臣の御見解を伺いたいと存じます。  自治体運営に当たっては定員、人事管理に適正を期さなければならないことはもちろんでありますが、住民サービスには人を媒介として達成をされる部分がきわめて多いわけであります。雇用と国民所得の増大が期待をされておるとき、自治大臣は従来のサービス低下につながる人減らし合理化の方針を再検討し、雇用の拡大と住民サービスの充実を図るお考えはないかどうか、大臣のお答えをいただきたいのでございます。  すでに、先進的な自治体におきましては、雇用創出を目指して住民サービスに役立つ事業に着手をしている事例がございます。かつて、福祉や公害対策を中心として、全国の革新自治体が先頭となって多くの先駆的な役割りを演じた実績がございます。これによって国の施策も大いに促進強化をされたのでありました。今度こそ政府は、わが党が提唱いたしております自治体レベルにおける雇用対策を取り上げ、積極的に推進をされるべきであります。自治大臣のお考えを承りたいと存じます。(拍手)  以上、五十二年度地方財政報告について若干の問題点を指摘し、御質問申し上げたわけであります。いまや地方財政は、報告内容が如実に示すようにきわめて重大な局面に立ち至っております。これは一部の見直しや小手先の工夫で解決のできる性質のものではありません。地方自治について発想を一新するとともに、憲法のいわゆる地方自治の本旨に思いをいたし、政治の原点に立ち返って再建に努力をすべきときであると信じます。  総理大臣自治大臣初め、関係各位の地方自治振興に対する一層の御努力をお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)     〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇
  35. 福田赳夫

    内閣総理大臣(福田赳夫君) お答えを申し上げます。  憲法第九十二条に規定している地方自治の本旨につきまして、その理念と内容はどうだ、どう認識しているか、このような御質問でございますが、私は、憲法第九十二条に規定する地方自治の本旨とは、地方公共団体の自主性、自律性、それが十分発揮できるように地方自治制度を決め、またそのように運営すべきもの、そのように理解をいたしております。  新村さんは、どうも地方自治が形骸化しておるという御指摘でございまするが、しかし、地方自治三十年余りの歴史を経てまいりまして、わが国地方自治は一応定着したと私は考えておるのであります。今後とも地方自治の理念に十分配意をいたしまして、その一層の実現を期するとともに、国及び地方公共団体が相協力し、車の両輪といたしまして住民福祉の向上に当たる、この方向で努力をいたしてまいる、さような決意であるということを申し上げてお答えといたします。  自余の問題は、自治大臣からお答え申し上げます。(拍手)     〔国務大臣加藤武徳登壇
  36. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 御質問の第一点は、地方財政計画内容が不十分であり、かつまた公表時期ももっと早くやらなければならぬではないか、かようなことでございました。  内容につきましては精いっぱいの努力をしたつもりでございますけれども、しかし限られた枚数でございますから、足らざる点があるといたしますならば反省いたしまして、今後努力をいたしたいと思うのであります。  それから公表時期につきましては、三千数百の地方団体決算を単に集計するだけではありませんで、それを分析いたしましたり補整いたしましたり、あれやこれやのことや、かつまた印刷等に相当日数を要するのでございますから、報告期日の繰り上げは困難であろうと思うのでありますけれども、なお検討いたしてまいりたい、かように考えます。  それから、白書政府政策を宣伝したり財政危機の責任を地方に転嫁しているではないか、かような御指摘でございましたけれども、従来から決算上の計数に基づく財政報告を主体といたしておるのでありまして、政府政策の宣伝という考え方はみじんもないのでございますし、また地方財政危機の責任を地方に転嫁いたしておる、かような考え方ではないのでございます。  それから、行政水準決定の根拠が不明確であって、当初の地方財政計画財政白書の間に乖離があるではないか、かような御指摘でございました。  行政水準の目標につきましては、客観的な水準を設定することが困難な面もございますけれども、したがって白書にはなかなか取り入れがたいのでありますが、なお今後、内容の充実を図っていく際に検討の資料といたしてまいりたい、かように考えます。  それから四番目に、交付税率を引き上げることなくして借金政策によっておる、このことには限界があるんだ、政府が二分の一借入金を負担するルール化など問題解決にはなっておらぬ、かような御指摘でございました。  交付税率を引き上げることが理想ではございますけれども、今日の国、地方財政状況を判断いたしまして、交付税率の引き上げが困難だ、かようなことでございますから、交付税特会におきまして借入金を行い、そしてその二分の一を国が負担をいたす、かようなルール化を行ったのでありまして、このルール化が恒久的な制度とは考えておらないのでございますから、当分の間は耐え得る制度として考えておるのでございますけれども、今後地方財源の不足が生じました場合に対応する制度改正を積極的に考えていきたい、かように思っております。  そこで、五番目には、地方財政地方自治を寄るために国と地方との財源配分の根本的な改革を行うべきではないか、かような御指摘でございました。  当分の間の処置はいたしましても、これが恒久対策とは考えておらないのでありますから、なるべく早い時期に根本的な改正を行いまして、地方財政の健全化、積極性を確保してまいるために努力をいたしてまいりたい、かように考えておるところでございます。  それから五十三年度の予算におきまして単独事業を五兆六千億円予定しておりますことは御指摘のとおりでございます。そこで、地方交付税の中にもこの考え方を織り込んでおりますし、また、地方債所要の額の確保に当たる、かような考え方でございますから、各都道府県や市町村が当初予算を編成いたしました編成状況等から見まして、私どもが予定しておりまする単独事業は十分に消化してもらえる、かような確信を持っておるところでございます。  それから、最後の御指摘は、雇用と国民所得の増大が期待されているときに、雇用の増大と住民サービスの充実を図る必要があるのではないか、その対策地方団体レベルでもやれ、かようなことでございます。  住民サービスの充実、向上を図ってまいりますことは地方団体の中心の課題でございますから、今後も努力してまいるのは当然のことでございますのと、雇用問題は国の段階においての問題であるだけではございませんで、地方におきましても大変な問題でございます。そこで、公共事業配分単独事業の実施等に当たりましても、積極的に事業を展開することによりまして雇用創出を図ってまいる、かような努力をしておるのでありますけれども、今後、さらに地方団体に指導を強化いたしまして、そういう考え方を徹底させてまいりたい、かように考えておる次第でございます。(拍手
  37. 保利茂

    議長保利茂君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  38. 保利茂

    議長保利茂君) 本日は、これにて散会いたします。     午後一時四十八分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  福田 赳夫君         法 務 大 臣 瀬戸山三男君         外 務 大 臣 園田  直君         文 部 大 臣 砂田 重民君         農 林 大 臣 中川 一郎君         自 治 大 臣 加藤 武徳君  出席政府委員         自治大臣官房審         議官      石原 信雄君      ————◇—————