○春田重昭君 私は、公明党・
国民会議を代表いたしまして、ただいま
議題となりました
昭和五十一年度
決算等に関して、現在の政治
状況に深くかかわりある幾つかの問題点を取り上げ、
総理並びに関係閣僚に
質疑するものであります。
まず、質問に先立ち、五月三日に開催される日米首脳会談に臨む
総理の所信を伺っておきたいのであります。
総理が、訪米までにわが国の
国際収支の
黒字を何とか縮小しなければならないと焦っているとみずから述べているように、首脳会談に臨むに当たって、わが国
経常収支の縮小のための具体策を講じなければならないことは、必至と言わなければなりません。
総理は、訪米前にこの
経常収支の
黒字縮小のためにどのような手を打とうとしているのか、伺っておきたいのであります。
また、首脳会談においては、米国のドル防衛策の実施を強力に
要請しなければならないことは言うまでもありませんが、
総理は、カーター大統領に具体的なドル防衛策を
要請する
決意があるのか。さらに、私は、現在、新しい通貨体制の確立が必要な段階に立ち至っていることを考えているのでありますが、通貨体制について話し合いの用意があるかどうか、あわせて
お尋ねしておきたいのであります。
総理は、世界のために日米はあるとされ、世界第一の
経済大国米国と、第二位の日本が世界の
経済を変えるとばかり言っておりますが、その自負は、そのまま日本の大きな責任を強調していることになります。
報道によりますと、
総理は、大統領との会談のほか議会にも行き、わが国
経済の状態を話し、理解を求めるとのことでありますが、その目的あるいは成果が期待できると考えているのか、その見通しを伺っておきたいのであります。
さて、本題に入りますが、
昭和五十一年度
予算の提出された当時は、物価狂乱やその後のオイルショックなど内外にわたる
経済環境の激変に揺れていたときであり、不況の中の物価高というスタグフレーションの色彩がなお色濃く残っていたときでありました。
そうした中で、
昭和五十一年度
予算の審議に先立つ
政府演説では、当時副
総理であり、
経済企画庁長官であった福田
総理は、
経済運営の実質的な責任者として、
昭和五十一年度を、「調整過程の最終年であるとともに、新しい長期
経済計画の門出の年」とされ、さらに、「わが国
経済の正常な姿を取り戻し、これを安定成長路線につないでいく記念すべき
時代の幕開けの年」とも
規定されたのであります。しかしながら、その後の推移は、
総理の思惑とは全く違う様相を呈してきていることは衆目の一致して指弾するところとなっているのであります。
また、
昭和五十一年度の
財政の特色は、五十年度
補正予算に引き続き、特例公債、つまり赤字国債の発行によって財源の不足を補う欠陥
財政であったと指摘されるところであります。
総理の言う記念すべき幕あけの年とは、欠陥
財政幕あけの年を指していたのでありましょうか。
さらに、五十一年度の
経済の特色は、下半期に至って不況色がつとに強まり、
総理の
発言とはうらはらに、わが国
経済は出口のないトンネルをさまよい、不安が一層強まり始めた年と言えるのであります。ここで注目しなければならないと思うことは、五十一年度は不況が深刻化し
景気が低迷していたにもかかわらず、
経済成長率は、
政府見通し五・六%を〇・一ポイントオーバーした五・七%に、
国際収支は不況にもかかわらず、伸びた輸出に支えられ、前年度の赤字を解消して、なおおよそ三十億ドルの
黒字をしるしたことであります。しかし、その成長は予想外の輸出の増大によってもたらされたものであり、その反面で内需の
拡大は停滞し、ミクロの面では産業間、企業間、地域間の
景気格差が
拡大し、福田
総理がこの年を記念すべき年とされたことは、
国民は大きな失望をしたのであります。
総理は、現時点に立脚して、この五十一年度をどう評価され、位置づけられようとしているのでありましょうか、お伺いしたいと思うのであります。
特に、五十一年度の下半期からの不況、それは今日まで長いトンネルの暗やみの
状況を持続しているわけでございますが、この不況と
国際収支の
黒字増大とが同居するというパターンが、すでにその中に顕在していることを指摘しなければなりません。そして、このパターンは五十二年度に大きく口をあけて、
総理御自身、心労されている今日でありますが、その点についていかなる所感をお持ちなのか、承っておきたいのであります。
しょせん、このような対応のあり方は、内需の
拡大しかないところでありますが、
総理の伝統的手法というものは、
国民総生産の半分以上は
国民の消費
支出であるという厳然たる事実にもかかわらず、
国民消費
支出の抑圧策しかとらなかったことを見逃すわけにはいきません。
いまや資源有限の
時代に入ったことは、
総理の言われるとおりであります。しかしながら、それは観念の問題ではなく、
政府としての
施策の中にどう生かしていくかという具体的な問題でなければなりません。
国民大衆に向かって、買うな、使うな、捨てるなと訓示する
政府が、みずからはこの資源有限
時代にどう対応しているかという問題であります。
福田
総理をカーター大統領になぞらえるのは、
総理としては御不満かもしれませんが、カーター氏は、大統領就任早々、エネルギー節約の所信を発表すると同時に着目したのは、
政府みずからが使用している自動車の問題であったのであります。これは米国
政府にとっては小さな問題であったかもしれません。しかし、
国民に節約を打ち出す前に、
政府みずからの姿勢を正すべきだとの所信に基づくものとして大きく報道されたのであります。
わが
政府は、その点いかがでしょうか。
総理の率直な御見解、とられた
措置があったら御
説明いただきたいのであります。
わが党の調査によると、石油ショック以前の各省庁の自動車保有台数が、今日まで五年間に著しく
増加しているのは、大蔵省の本省分ないし
一般会計分で六百一台を初めとして、文部省、法務省、運輸省などでありますが、定員法で定員
増加の認められるはずのない
状況において、このような放任の
状況をどう
説明しようとするのか、お伺いしたいところであります。
特に
大蔵大臣に、この際、自動車の件について、物品管理法に基づく総括大臣として、各省庁の地方支分局の分も含めた自動車、特に乗用車の現有台数の御
報告をお願いするものであります。
また、いまだ提案されていないのが省資源エネルギー法案であります。
政府は、提案の意思があるのかないのか明らかにされ、出されようとすればその時期を明らかにされたいのであります。また、今日まで提出に至らない理由は何か、障害は何かについて、
政府の考えはどうなのか、克明に御
説明いただきたいのであります。
次に、五十一年度
予算の特徴として言われているのは、
公共事業に重点が置かれたことでありますが、
景気対策としての大型
公共事業の五十一年度よりの登場、あるいは赤字国債の増発などの
財政状況が、現在に至るも引き続いております。こうしたことを考えますと、
決算審査機能の
重要性はますます大きくなっているのであります。このことは、
決算委員会の審議を通じても常に指摘されているところでありますが、一部言われているような
決算軽視の風潮がいまだ
政府の中に見られることがあるとするならば、まことに遺憾と言うほかありません。本来、
決算は
予算と並んで国政の根幹をなす重要なものではないかと思うのであります。
総理並びに
大蔵大臣は、
決算審査の
重要性をどのように認識しておられるのか、お伺いしたいのであります。
また、
会計検査院の検査体制の強化拡充についても、つとに指摘されているところでありますが、ことに
公共事業等の検査に関連して、
会計検査院と受検側の
行政官庁との癒着の事実も発覚した今日、その対策は、検査院のみならず、
政府自体としても重大な関心を持つべきであると考えるわけであります。
検査体制の綱紀粛正、検査権限の強化拡充についての
総理のお考えを承りたいのであります。
以上、
総理並びに
関係大臣の誠意ある御
答弁を要求して、私の質問を終わります。(
拍手)
〔内閣
総理大臣福田赳夫君
登壇〕