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1978-04-13 第84回国会 衆議院 本会議 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月十三日(木曜日)     —————————————  議事日程 第十九号   昭和五十三年四月十三日     午後一時開議  第一 科学技術庁設置法の一部を改正する法律   案(内閣提出)  第二 森林組合法案内閣提出)  第三 各種手数料等改定に関する法律案(内   閣提出)  第四 簡易生命保険及び郵便年金積立金の運   用に関する法律及び資金運用部資金法の一部   を改正する法律の一部を改正する法律案(内   閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  日程第一 科学技術庁設置法の一部を改正する   法律案内閣提出)  日程第二 森林組合法案内閣提出)  日程第三 各種手数料等改定に関する法律案   (内閣提出)  日程第四 簡易生命保険及び郵便年金積立金   の運用に関する法律及び資金運用部資金法の   一部を改正する法律の一部を改正する法律案   (内閣提出)  村山大蔵大臣昭和五十一年度決算概要につ   いての発言及び質疑     午後一時四分開議
  2. 保利茂

    議長保利茂君) これより会議を開きます。      ————◇—————  日程第一 科学技術庁設置法の一部を改正す   る法律案内閣提出
  3. 保利茂

    議長保利茂君) 日程第一、科学技術庁設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。内閣委員長始関伊平君。     —————————————  科学技術庁設置法の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号(二)に掲載〕     —————————————     〔始関伊平登壇
  4. 始関伊平

    始関伊平君 ただいま議題となりました科学技術庁設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、科学技術庁付属機関である金属材料技術研究所の一部及び国立防災科学技術センター筑波研究学園都市への移転のため、必要な改正を行おうとするもので、その内容は、金属材料技術研究所の支所を所要の地に設けることができるものとすること及び国立防災科学技術センターの所在地を東京都から茨城県に改めることであります。  本案は、二月一日本委員会に付託され、二月九日熊谷国務大臣より提案理由説明を聴取し、四月六日より質疑に入り、慎重に審査を行いましたが、その詳細につきましては会議録により御承知願いたいと存じます。  かくて、四月十一日質疑を終了し、採決いたしましたところ、本案全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  5. 保利茂

    議長保利茂君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 保利茂

    議長保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第二 森林組合法案内閣提出
  7. 保利茂

    議長保利茂君) 日程第二、森林組合法案議題といたします。  委員長報告を求めます。農林水産委員長中尾栄一君。     —————————————  森林組合法案及び同報告書     〔本号(二)に掲載〕     —————————————     〔中尾栄一登壇
  8. 中尾栄一

    中尾栄一君 ただいま議題となりました森林組合法案につきまして、農林水産委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、最近における森林及び林業をめぐる厳しい諸情勢変化にかんがみ、森林所有者経済的社会的地位の向上を図るとともに、森林の保続培養と森林生産力増進とを図るため、森林組合制度について、これを森林法から分離独立せしめ、その広範な役割りへの制度的対応を図るとともに、森林組合事業及び管理運営体制について一層の改善強化を図ろうとするもので、その要旨は、  第一に、森林組合制度単独法化に伴い、森林組合、同連合会及び生産森林組合事業組合員または会員資格管理等について現行森林法中の森林組合制度に関する規定とおおむね同様の規定を設けること、  第二に、林業に関する共済事業についてこれを明文化し、他の協同組合に準じた規定を設けること、  第三に、森林組合による森林の受託、施業等の事業を一層推進するため、一体的に整備する必要のある一定森林について員外利用制限を緩和すること、  第四に、生産森林組合についてその事業範囲拡大総代会制の創設、行政監督簡素化等措置を講ずること、  第五に、新たに森林組合連合会会員の監査の事業を行うことができることとするとともに、当該事業に従事する者の資格を定めること等であります。  委員会におきましては、三月十七日中川農林大臣から提案理由説明を聴取し、四月五日、六日及び十一日の三回にわたり質疑を行い、参考人意見を聴取するなど、慎重に審査を重ね、四月十一日質疑を終了いたしましたところ、本案に対し、委員長提案による修正案が提出され、採決の結果、全会一致をもって修正すべきものと議決した次第であります。  なお、本修正は、農林省省名農林水産省に改められるまでの間は、本案農林水産大臣とあるのは農林大臣と、また、農林水産省令とあるのは、農林省令とそれぞれ読みかえることを内容とするものであります。  また、本案に対し、全会一致をもって附帯決議を付することに決しました。以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  9. 保利茂

    議長保利茂君) 採決いたします。  本案委員長報告修正であります。本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 保利茂

    議長保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————  日程第三 各種手数料等改定に関する法律   案(内閣提出
  11. 保利茂

    議長保利茂君) 日程第三、各種手数料等改定に関する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。大蔵委員長大村襄治君。     —————————————  各種手数料等改定に関する法律案及び同報告書     〔本号(二)に掲載〕     —————————————     〔大村襄治登壇
  12. 大村襄治

    大村襄治君 ただいま議題となりました各種手数料等改定に関する法律案につきまして、大蔵委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  最近における経済情勢変化等に顧み、政府においては、今般、各種行政事務に係る手数料等金額につきまして、行政コスト等を勘案して統一的な観点から全般的な見直しを行い、費用負担適正化を図ることといたしております。  本案は、各種手数料等改定に当たり、法律改正を必要とするものにつきまして、別途法改正を予定しているものは除き、関係法律を一括して改正することとして提出されたものであります。  その内容は、不動産の鑑定評価に関する法律等三十七法律規定されております各種手数料等金額または金額限度額につきまして、行政コスト等を勘案して、おのおの所要の引き上げを行おうとするものであります。  なお、この法律案に基づく各種手数料等改定は、本年五月一日から実施することを予定いたしております。また、この改定に伴う昭和五十三年度の国の歳入増加額は約百十億円と見込まれております。  以上がこの法律案概要でありますが、本案につきましては、審査の結果、一昨十一日質疑を終了し、昨十二日採決いたしましたところ、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、本案に対しましては、全会一致附帯決議が付せられましたことを申し添えます。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  13. 保利茂

    議長保利茂君) 採決いたします。  本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  14. 保利茂

    議長保利茂君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第四 簡易生命保険及び郵便年金積立   金の運用に関する法律及び資金運用部資金   法の一部を改正する法律の一部を改正する   法律案内閣提出
  15. 保利茂

    議長保利茂君) 日程第四、簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律及び資金運用部資金法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。逓信委員長松本七郎君。     —————————————  簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律及び資金運用部資金法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号(二)に掲載〕     —————————————     〔松本七郎登壇
  16. 松本七郎

    松本七郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、逓信委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、簡易生命保険及び郵便年金加入者の利益の増進を図るため、次のように改めようとするものであります。  まず、現在、簡易生命保険及び郵便年金特別会計積立金金融債に対する運用範囲は、長期信用銀行法規定する長期信用銀行、農林中央金庫または商工組合中央金庫の発行する債券に限られておりますが、これに長期信用銀行以外の銀行の発行する債券を加えようとするものであります。  次に、資金運用部に預託された積立金及び余裕金預託利率のうち、一定の要件を満たすものにつけられる利子利率は、現在、年六%等と固定したものになっておりますが、この利率算出方法等を、年五・九%の利率に、預託期間が七年以上の預託金につけられる特別の利子利率と同じ利率を加えたもの等に改めようとするものであります。また、これらの預託金につけられる利子の一部は、現在、預託金の払い戻しの日のみに限って支払われることになっておりますが、経過預託期間に応じ、毎年三月三十一日及び九月三十日にも支払われるように改めようとするものであります。  本案は、二月二十一日本委員会に付託され、三月二十九日服部郵政大臣より提案理由説明を聴取し、昨十二日質疑を終了、討論もなく、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対して附帯決議が付されましたことを申し添えます。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  17. 保利茂

    議長保利茂君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 保利茂

    議長保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  国務大臣発言昭和五十一年度決算概要   について)
  19. 保利茂

    議長保利茂君) 大蔵大臣から、昭和五十一年度決算概要について発言を求められております。これを許します。大蔵大臣村山達雄君。     〔国務大臣村山達雄登壇
  20. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 昭和五十一年度の一般会計歳入歳出決算特別会計歳入歳出決算国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書につきまして、その大要を御説明申し上げます。  昭和五十一年度予算は、昭和五十一年五月八日に成立いたしました。  この予算は、国民生活経済の安定及び国民福祉充実に配意しつつ、財政改善合理化を図るとともに、景気の着実な回復に資するための施策を実施することとして編成されたものであります。  さらに、その後における経済情勢等にかんがみ、公共事業関係費の追加を行うほか、農業保険費等について所要措置を講ずるため、補正予算が編成され、昭和五十二年二月二十二日その成立を見ました。  この補正によりまして、昭和五十一年度一般会計予算は、歳入歳出とも二十四兆六千五百二億円余となりました。  以下、昭和五十一年度決算についてその内容を数字を挙げて御説明申し上げます。  まず、一般会計におきまして、歳入決算額は二十五兆七百六十億円余、歳出決算額は二十四兆四千六百七十六億円余でありまして、差し引き六千八十四億円余の剰余を生じました。  この剰余金は、財政法第四十一条の規定によりまして、一般会計昭和五十二年度の歳入繰り入れ済みであります。  なお、昭和五十一年度における財政法第六条の純剰余金は三千四十四億円余であります。  以上の決算額予算額と比較いたしますと、歳入につきましては、予算額二十四兆六千五百二億円余に比べて四千二百五十七億円余の増加となるのでありますが、この増加額には、前年度剰余金受け入れ予算額に比べて増加した額三千二百九十二億円余が含まれておりますので、これを差し引きますと、昭和五十一年度の歳入の純増加額は九百六十五億円余となるのであります。  その内訳は、租税及び印紙収入雑収入等における増加額二千七百三十四億円余、公債金における減少額千七百六十八億円余となっております。  一方、歳出につきましては、予算額二十四兆六千五百二億円余に、昭和五十年度からの繰越額二千五百九十三億円余を加えました歳出予算現額二十四兆九千九十五億円余に対しまして、支出済み歳出額は二十四兆四千六百七十六億円余でありまして、その差額四千四百十九億円余のうち、昭和五十二年度に繰り越しました額は二千二百十三億円余となっており、不用となりました額は二千二百五億円余となっております。  次に、公共事業等予備費でありますが、昭和五十一年度一般会計における公共事業等予備費予算額は千三百五十億円であり、その使用額は千二百六十八億円余であります。また、予備費予算額は千五百五十億円であり、その使用額は八百三十六億円余であります。  次に、昭和五十一年度の特別会計決算でありますが、同年度における特別会計の数は四十一でありまして、これらの決算内容につきましては、特別会計歳入歳出決算によって御了承願いたいと存じます。  次に、昭和五十一年度における国税収納金整理資金受け入れ及び支払いでありますが、同資金への収納済み額は十六兆二千八百七十五億円余でありまして、この資金から一般会計等歳入への組み入れ額等は十六兆二千四百十三億円余でありますので、差し引き四百六十一億円余が昭和五十一年度末の資金残額となります。  これは、主として国税に係る還付金として支払い決定済みのもので、年度内に支払いを終わらなかったものであります。  次に、昭和五十一年度政府関係機関決算内容につきましては、それぞれの決算書を御参照願いたいと存じます。  以上、昭和五十一年度の一般会計歳入歳出決算特別会計歳入歳出決算国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書につきまして、その大要を御説明申し上げた次第であります。(拍手)      ————◇—————  国務大臣発言昭和五十一年度決算概要について)に対する質疑
  21. 保利茂

    議長保利茂君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。津島雄二君。     〔津島雄二登壇
  22. 津島雄二

    津島雄二君 ただいま大蔵大臣から昭和五十一年度決算についての報告がありましたが、私は自由民主党を代表して、現下の政治的、経済的な課題に関連し、特に重要と認められる若干の問題に限って、総理大臣並びに関係大臣に質問を行うものであります。  まず初めに、経済運営についてお尋ねをいたします。  さき報告にありましたように、昭和五十一年度の予算は、国民生活経済の安定及び国民福祉充実に配意しつつ、景気の着実な回復に資するための施策を実施することとして編成されたのであります。しかるに、その後における五十一年度経済の推移を見まするに、前年度からようやく上昇に向かった回復のテンポが中途で鈍化する一方、国際収支は大幅な黒字を続け、昭和五十一年度は、貿易収支で百億ドル、経常収支で五十億ドルを超える黒字を計上し、今日における対外経済の問題がすでにしてそのままの姿でそこに見られるのであります。昨年度の経済白書におきましては、このような内外経済両面における不均衡が、景気変動などの短期的な要因のみから来るものではなく、より長期的な産業構造変化に根差すことが示唆されております。  このような点を考慮いたしますと、当面の日本経済課題、すなわち、いわゆる不況下円高、そして貿易収支大幅黒字という現象は、減税のような一時的な総需要政策ではとうてい解決できるものではなく、インフレを招来するおそれのある無理な措置を避けながら、時間をかけて、その改善を図るほかはないという見方もあり得るのでありますが、総理の率直な御見解を承りたいと思います。  次に、予算執行についてお尋ねをいたします。  昭和五十一年度は、いわゆる国債依存度が二九%を超えておりますが、われわれは、昭和五十年度以来本年度まで四年にわたって景気回復至上命令とする巨額の公債政策がとられてきたことを忘れてはなりません。このような膨大な借金を抱える予算の編成とその執行に当たっては、行政のむだを省く努力が何よりも必要であります。不要不急支出を避けるため行政組織改善簡素化し、余剰人員を極力縮減するという国民的要請について、総理の御決意をここで改めて承りたいのであります。  また、国民の立場から見て、いやしくもむだ遣い不当支出とされる事実が許されるはずはありません。そのような観点からも決算の審議はいよいよその重要性を増すものであります。  しかるに、この五十一年度の決算に対する会計検査報告においても不当事項が七十四件指摘され、また検査院法三十四条により意見を表示しまたは処置を要求された事項は十六件、百八十九億円余で、前年度よりも大幅にふえております。さらに、昨年の暮れには、不幸にして会計検査のための出張に際しての関係省庁の接待について行き過ぎがあったとの批判を生じ、国民の不信を招いたことは御承知のとおりであります。予算執行につき、より一層厳粛な態度が求められているときに、政府として今後どのような心構えでこたえていかれるか、総理の御所信をお伺いいたします。  さて、いかに大きな予算も、それが将来についての正しいビジョンに根差し、平和と繁栄を願う国民の素朴な気持ちにこたえるものでなければ意味がありません。そのような健全な国家社会の礎は結局は人であり、その人を育てる教育こそ社会の発展のかぎであります。  私は、戦後の物質至上の風潮が国民の魂をむしばみ、教育の偏向や欠陥が次代を担う一部若人の心に誤った幻想を抱かせ、過激な反社会活動に陶酔せしめるに至り、ついにはかけがえのない人生を破滅させつつあるのを見るに忍びないのであります。  最高の教育機関であるべき大学、とりわけ国立大学において、一部とはいえ、過激派の温床とも言うべき状況が見られることを私は国民に訴え、強くその是正を求めるものであります。東京大学精神神経科病棟におきましては、すでに八年以上の長きにわたっていわゆる精医連に属するグループによる不当な占拠状態が続き、最近においても施設物品管理状況について、調査のため臨場した会計検査院の係官の立ち入りも拒否されるという状況が見られます。当該施設の上下二階にわたって占拠された十数室においては、平常一体いかなることが行われているか、一般市民には全くうかがい知ることを許されないのであります。このほか、東京大学などの構内におきましては、特定の教授に対する威嚇的な個人攻撃三里塚闘争を使嗾するような過激な掲示やビラが相も変わらずわが物顔に横行しております。われわれ市民から見て、とうてい学問の自由が保障されるような雰囲気とは見られないのであります。(拍手)  このように、学問の自由と国民の学ぶ権利に対する明白な挑戦が行われているにもかかわらず、大学当局において適切な処置がとられていると認められないのはまことに遺憾であります。戦後の大学教育が、ベビーブームでふくれ上がった青少年人口と、より高い教育を受けたいという国民的要請の前に、量的拡大路線に走らざるを得なかったことは御承知のとおりであります。そして、その学生急増という負担を担ったのは、主として財政的重圧に苦しむ私立大学と、いわゆる新制の国公立大学でありました。その一方、旧帝国大学は、たとえば東京大学が早晩国民の税金から一千億近い予算が与えられるという恵まれた環境にありながら、その管理運営、そして教育内容において、とうてい時代社会要請にこたえていると言えないのであります。  現在の大学制度の最も醜い一面は、一部有名大学を目指して青少年がむなしい受験競争に明け暮れし、大学存在意義とは受験生の選別だけにあって、その教育内容にはないとされる現状に見られるのであります。このような時代おくれの大学制度、その運営管理を抜本的に改め、真に国民の学ぶ権利にこたえ得るような大学を取り戻す必要性があることを私は叫びたいのであります。(拍手国立公立大学管理制度について、戦後数次にわたる論議と、あの忌まわしい大学紛争の経験を経ても、なお旧来の旧帝国大学時代教授会中心主義が牢固として残されておるのであります。私は、大学がその国民に対する責任にこたえるため、その閉鎖性を捨て、虚心に外部からの善意の助言に耳を傾けるべきことを訴えたい。私は、いまや高等教育を受ける権利についての国民的要望にこたえるため、大学教育内容改善管理体制の確立に向けて、具体的な一歩を進めるべきときが来ていると考えますが、総理及び文部大臣から明快な御答弁をお願いするものであります。(拍手)  また、昨年閣議決定を見ました全国総合開発計画、いわゆる三全総においては、大学大都市圏集中を改め、国土政策要請に沿った教育施設地域分散を進め、大都市の過密の解消と地域格差是正を図ることが提案されているが、今後これをどのようにして具体化していかれる方針か、できるだけ具体的な御答弁をお願いいたします。  これまで申し述べた大学の現況に見られるような不安定な精神的風土の中で、誤った反社会的な革命思想に取りつかれた人たちが、公共事業に対する一部市民の不満や疑いに乗じて、全国各地妨害のための妨害を試みていることは御高承のとおりであります。特に、成田国際空港政府方針どおり支障なく開港できるか否かは、すでに十年余にわたり費やされた二千五百億円に上る予算むだ遣いというような問題をはるかに超えた重大な意義を持つと言わざるを得ません。もし万が一にでも、過激派暴力集団の意図するところが現実になるようなことがあれば、全国における類似の妨害行為の火に油を注ぐことになり、その波及するところは、わが国はもちろん、世界各国における反社会的暴力行為を誘発しかねない大きさを持つものであります。  このような見地から、成田空港の開港について関係者の御努力に心からの敬意を表しつつも、その解決の見通しについて重ねて政府の御決意のほどをお伺いしたいのであります。  なお、この点に関連して、さき管制塔乱入などにより逮捕された暴徒の中に多数の公務員がいたことを重視せざるを得ません。このような事態を招くについては、公務員の採用、服務規律などを改める必要があると思われますが、これら犯罪者処分状況を含めて、この点について関係大臣からの御答弁を求めます。(拍手)  また、さきに述べたとおり、このような暴力集団が過去において大学内で培養されてきた例にかんがみ、大学内の過激分子活動扇動行為に対しては、従来にも増して学校当局の毅然たる姿勢が必要と思われますが、この点について文部大臣の御決意を承りたいのであります。  最後に、左翼過激派分子によって一般市民、特に純真な青少年が扇動されることを防止し、健全な批判力を培う意味においても、これら分子の反社会行為に対する迅速適正な司法裁判が行われなければなりません。ところが、これらの分子に対する司法手続は、一部弁護士らの阻害活動のため順調に進まない例が多く、あの浅間山荘事件の裁判のごときは、事件以来すでに十年近くなるにもかかわらず、多数の被告について、いまだに裁判のめども立たず、現在の進捗状況から見て、その結末までには今後五十年の歳月を要するとさえ言われております。  かように、反社会的で過激な分子を未決のまま放置してきた結果、日本赤軍による、善良な市民を巻き込んだハイジャックを誘発し、彼らの不当な要求の前に、みすみす犯罪人が刑を受けることなく、テレビで国民がくちびるをかんで注視する中を、堂々と自由の身になっていくありさまは、なお私たちの記憶に新たなるものがあります。(拍手)  この際、司法の機能を回復するためには、ぜひとも、現在提案されております刑事事件の公判の開廷についての暫定的特例を定める法律の成立が必要であると考えられますが、改めて、この点につき政府の御見解をお伺いしたいと存じます。  以上の質問に対し、重ねて政府の明快なる御答弁を求め、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇
  23. 福田赳夫

    ○内閣総理大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。  いま、この深刻な経済状態から脱却をする、その方策といたしましては減税のような一時的な措置でなくて、もっと長期的な立場に立ってこの問題に対処しなければならないじゃないかという御所見であり、御質問でございますが、私は、その御所見に全く同感でございます。  今日のわが国の経済というものは、単なる景気の循環現象じゃございません。これは、世界が資源無限時代から資源有限時代へ突入する、その転換期の苦悶の象徴、これが今日の経済情勢である、そのように受け取っておるわけであります。そういう認識の上に立ちまして、ただいま政府は一体どういうことをするかということになりますと、この低成長時代になりまして、やはり需給に相当のギャップがある、いわゆるデフレギャップと称せられるものであります。これを克服しなければならぬ、こういうふうに考えておるのであります。  そのためには、国民経済の中における需要を高める、創造するという努力をしなければならぬ。しかし、需要と申しましても、いま設備過剰の状態の中におきまして、民間の設備投資にこれを求めることはできません。  そこで、需給が回復され、そして民間の設備投資需要が起こる、そういう状態をつくり出すために政府が積極果敢な財政投資を行わなければならない、そのように考えておるわけでありまして、このような考え方に従って初めて日本経済は正常な軌道に乗り得るのではあるまいか、私はそのように考え、努力をいたしておるわけであります。  なお、津島さんは、これからの財政運営におきましては、行政の改革、財政の整理、これが大事であるということを強調されましたが、それも私は全く同感であります。いまの行政にいたしましても財政にいたしましても、やはり高度成長体制の行政であり、またその同じような財政の仕組みになっておるのであります。これを、資源有限時代を踏んまえての新しい体制に移しかえをしなければならぬ。これは財政ばかりじゃない、家庭の方もそうだ、あるいは企業の方もそうだ、地方公共団体もそうでありまするが、国がそれに先駆けてやるということが当然であります。  私は、そういう見地に立ちまして行政の改革等も進めてまいりましたが、行政のみならず財政につきましても、今後粘り強くその方向を推し進めてまいりたい、かように存ずる次第でございます。  なお、予算執行につきまして御指摘がありましたが、やはり財政の改革という中におきまして、予算執行面につきましてまた配慮をしなければならぬことは当然でありまして、お話のありました会計検査院に対する過剰サービス、このようなことがありましたことはまことに遺憾でありますが、一人一人の公務員に対しまして綱紀を正し、また国の会計に対しまして厳粛な態度で臨むように指示しておりまするけれども、この上ともその方向を進めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。  なお、成田問題につきましてどういうふうに対処するかというお話でございますが、これはこの前もこの壇上からお答えいたしたのですが、やはり安全、これを大前提といたしまして成田の空港の開設を取り急ぐ。五月二十日というふうに決めましたが、この五月二十日には安全な姿において開港の実現をするということ。  しかし、同時にいま津島さんの御指摘がありましたが、この成田問題というのは、成田でああいう事件が起きましたけれども根がある、根が成田で吹き出た問題であります。その根に対しましてわれわれは注意を払うということが最も大事である、このように考えておるのであります。  そういう見地から考えまするときに、いまお話がありました東京大学、京都大学における一部学生の教室の不法占拠の状態、まことに遺憾なことでありまするが、そういう問題、私は決して成田の問題と縁がないという問題じゃないと思うのです。これは縁がある。ああいう状態がずっとあるものですから、それがまた再び成田で吹き出す、こういうつながりを持っておる、こういうふうに思うのでありまして、いま御指摘がありましたが、そのような方向で大学の問題その他、日本の国民の法を守り社会を守るという精神の滋養、これにつきまして努力をしてまいりたい、かように考えておるわけであります。  なお、成田事件に関連いたしまして、この間の百六十名ばかりの逮捕者の中に公務員が十数名入っておる、まことにこれは申しわけない次第でございます。いま調査をいたしておりますが、違法事実が確認できた者につきましては、すでに三名、関係省庁におきまして懲戒免職の手続をとっておりますが、調査の判明次第、これは厳正な処置をとりたい、かように考えておる次第でございます。(拍手)     〔国務大臣砂田重民君登壇
  24. 砂田重民

    国務大臣(砂田重民君) お答えいたします。  現在、各大学におきましては、全国的な視野で見ました場合、おおむね平穏な状態にございますけれども、東京大学精神神経科病棟など、一部の大学におきまして施設の占拠等の不正常な、不当な事態が見られますことは、まことに遺憾な事態でございます。また、大学が真に学問研究の場としてふさわしい、自由でかつ静穏な環境を保持しているかについて、問題なしとしない大学が残念ながら存在しておりますことを深刻に認識をいたしております。  文部省といたしましては、学園の秩序維持と暴力行為の根絶について、従前から通達を発しましたり、あるいは学長会議等を通じまして趣旨の徹底を図ってまいりましたけれども、特に東京大学の問題につきましては、三月の六日に学長を文部省に招致をいたしまして、私から直接事態の正常化への努力を強く促したところでございます。これを受けまして、東京大学におきましてはそのための努力を鋭意進めております今日でございます。今後とも大学当局に対しまして、学園の秩序の維持と施設の管理について早急に適切な措置を講じ、もって国民の期待にこたえるよう、強くその努力を促してまいる決意でございます。  次に、大学管理体制についての御質問がございました。  各大学の自治というものは、大学におきます教育研究の自由を守るためのものであります。自治の名前のもとに、教育研究に対する阻害が放置されるようなことがあっては断じてなりません。  教授会を中心といたします従来の国公立大学管理運営のあり方につきましては、閉鎖的、独善的な運営に陥りやすいとか、あるいは責任体制が明確でなくて、異常な事態に対して時を得た適切な措置がとりがたいではないか、このような欠陥を指摘をされてまいったところでございます。学園紛争等の経験を経まして、各大学の中にも、自主的に管理運営のあり方を工夫する動きが出てまいっております。  文部省といたしましても、このような動きを助けますために、副学長でありますとか参与でありますとか、学長を補佐をいたしますそういう機関を置くことができるような法令の改正をいたしまして、筑波大学を初め新しい大学を設置いたしますに当たりましては、既設大学の参考となりますように、こういう意味を含めて、教育研究の基本組織に工夫を加え、また新しい管理運営方式を確立させる等の努力を続けてまいったところでございます。  今後とも大学社会要請に即応して適切に運用されるよう、その制度のあり方を研究し、改善のための努力を積極的にやってまいりたい、かように考えているものでございます。  大学等の適正配置の御質問がございました。  全国的に均衡のとれた高等教育の発展を図ってまいりますために、高等教育機関の適正配置は大切な非常に重要な課題でございます。このような見地から、大学等の高等教育機関につきましては、昭和五十一年三月の高等教育懇談会の報告を受けまして、私立大学の認可、国立大学の整備等の面では、大都市におきます新増設を計画的に抑制をいたしまして、地方の大学の拡充整備を促進してまいったところでございます。また、一部の大学の地方移転等につきましてもこれを援助してまいったのでございますが、大学等の大都市集中傾向というものは、若干ずつではありますけれども、改善を見てきております。大学等の存立というものは、大都市の機能と密接にこれが連絡をとり合うものでございますから、慎重な配慮は必要でございますけれども、今後ともこの方針を続けてまいることにいたしております。  最後に、いかなる暴力も許さないという国民的コンセンサスにつきましては、大学は決して別社会のものではありません。私どもといたしましては、この点を十分心して文教行政を進めてまいる決意でございます。(拍手)     〔国務大臣瀬戸山三男君登壇
  25. 瀬戸山三男

    国務大臣(瀬戸山三男君) 裁判の迅速化についてのお尋ねであります。  申し上げるまでもないことでございますが、法治国家においては、争われる場合は裁判によって決着をつける、速やかに結論を出すというのが、法治国家の最終目標でございます。それによって法治国家が円満に維持されるものと確信をいたしております。そういうことでございますから、政府といたしましては、裁判が進捗するように各般の行政的な協力をいたしておるのはそのためでございます。なお、刑事裁判においてはできるだけ速やかに罪の黒白を定め、責任の所在を明らかにするということが刑事裁判の最大の目標でございます。  ところが、お尋ねの、最近におけるいわゆる過激派の事件というもの、あるいは浅間山荘事件、あるいはたび重なりましたいわゆる連続企業爆破事件等の刑事事件につきましては、非常に裁判がおくれております。裁判がおくれておる理由にいろいろありますけれども、事件の複雑さもありますが、どういうところに最大の原因があるかといいますと、裁判を闘争の場としておるところであります。その闘争の場とする根本の考え方はどういうところにあるかというと、国家の権力に抵抗してこれと闘うことは人民の権利であるという立場でやっておるわけでございます。でありますから、すでに裁判開始前から、闘争精神を持ってあらゆる手段を講じ、裁判の進行を妨げる、これが現状でありまして、遺憾ながら裁判が進行しておらない。  その中で、一番有効的な裁判の阻害の方法としては、御承知のとおりに、憲法あるいはまた刑事訴訟法で規定しております死刑、無期または三年を超える刑については、必ず資格を有する弁護人を付するという規定がございます。この規定によって、これを闘争の手段として、あるいは被告人と通謀し、あるいは被告人と意を通じ、そして法廷に出ない、退席する、あるいは期日に出頭しない、こういう戦略を使って、期日の指定をされましても裁判が進まない。また期日を指定いたしましても、退廷して裁判ができない、こういう状況が一部の弁護士あるいは弁護人でございますけれども、行われておる。これは憲法や、わが国の刑事訴訟法が絶対望んでおるところではございません。また、国民全体がさようなことは望んでおらないところであります。でありますから、政府といたしましては、法治国家の実を上げるため、また、憲法、刑事訴訟法の望むところ、こういう違法な、不当な行為を許すべからざることとして、今回、こういう裁判の促進を図るために、刑事事件の公判の開廷についての暫定的特例を定める法律案を、もうすでに三月上旬に国会に提案いたして、御審議を願っておるところでございます。  どうかひとつ国民の期待しておるところに向かって、国会の速やかなる御審議をお願いいたすわけでございます。(拍手)     —————————————
  26. 保利茂

    議長保利茂君) 馬場猪太郎君。     〔議長退席、副議長着席〕     〔馬場猪太郎君登壇
  27. 馬場猪太郎

    ○馬場猪太郎君 日本社会党を代表し、昭和五十一年度決算及び関連する諸問題について総理並びに関係大臣お尋ねいたしたいと思います。  昭和五十二年度は経済の年と言われました。結果は不況の深刻化と円高の追い打ちの年でありました。ことしもまた経済の年と繰り返さざるを得ませんでした。それでは、五十一年度は福祉の年とは言われましたけれども、同時にまた経済の年ではなかったのでしょうか。遅くともこの年から不況対策に全力を傾けていたならば、後手だとかあるいは手形の出しおくれだというような批判は生まれなかったのではないでございましょうか。  この二年で九%から三・五%と、三月十六日の引き下げによって最低の公定歩合になりましたが、期待どころか、ぬれた紙にマッチをつけているようなものだなどという経済界を初め、支持率二五%という総理への皮肉な世論の答えが返ってきております。  この年は、ロッキードの火を消すことで国民の暮らしどころでなく、政治の浄化を願うグループと、臭い物にはふたをしようとするグループの与党内の争いが、一層不況対策をおくらせたことは否定できません。(拍手総理と同時に、自民党の総裁としてその責任を素直に感じていらっしゃるかどうか、お伺いいたしたいと思います。  あれほど議論されました昨年の減税も、公定歩合に連動して個人性の預金、貯金の利息が下がったために、約四千二百億円の目減りがあった。家計は差し引き赤字であった。景気の刺激どころか冷やしていることは否定できません。ことしもすでに銀行預金の金利引き下げは決まっていますけれども、郵便貯金も連動すれば、個人性預貯金は約五千億の目減りと予測され、同じような過ちを繰り返さないようにという庶民の願いにどうおこたえいただけるか、郵政大臣にお尋ねいたしたいと思います。  裁判の進むにつれまして、大久保、副島、伊藤証言等、ロッキード事件のベールは次第にはがれて、ますます疑惑を濃くしております。政治家としてのあるいは社会的、道義的な責任はすでに明らかであります。まだまだ自浄作用は残っているんだという政治への信頼を取り戻すため、この際、何らかの処置をおとりになる勇気をお示しになるかどうか、総理にお伺いいたしたいと思います。(拍手)  小康を保っておりました円高も、三月中は激しく、さらに不況業種への影響は深刻であり、失業中の人々に対する特定不況業種離職者臨時措置法の適用に当たって、指定された業種とされない業種に新たな差別を生じております。特定不況産業に対する対策も、かえって大量解雇を誘うきっかけにもなりかねないという批判が強く、業種の転換も短い時日では簡単にできるものではありません。  公共事業も、一部を除いて、受け入れる自治体の自己財源の不足や人員、技術の不足など、消化が危ぶまれています。せいぜい五%程度の成長しか予測できないと民間の調査機関も見ています。今後の雇用をより厳しく受けとめなければなりませんが、企業本位の姿勢から、失業に直面している人のための特定産業対策によって新しい雇用をつくり出すべきだと思いますが、労働大臣にお答えをいただきたいと思います。  物価だけは安定と言われておりますが、生活実感からはだれもが不況下の物価高と感じ、酒税や医療費をきっかけに、鉄道運賃等アップの気配があり、魚価はすでに大幅に上がり、地価もじり高であり、金融緩和は流動資金を市中にだぶつかせてインフレのおそれも予測されますが、そのおそれはないのでしょうか。総理お尋ねいたしたいと思います。  暖冬によるでき過ぎのために、その野菜の価格によって救われた物価、元も取れないで犠牲を強いられた農家、その農家に対して百七十万トン、約四十万ヘクタールの稲作をやめさせようと押しつけています。食管会計だけ見れば赤字は累積しているでしょう。一時的な余剰米は援助物資など国際経済協力の方法もあります。世界の食糧事情から見れば、四十億の人口のうち、アフリカ、インド等飢餓状態にある人々が三分の一もある中で、総合的に見て六〇%程度までは自給率を高め得る条件にあるわが国が、国際分業論、貿易立国論に乗って自給率を下げ、輸入をふやす方向を向いているということは、飢えている人々から食糧を奪うことになるので、五十年の四月ないし五月ごろから決められました食糧政策の方向等に基づいた減反政策は再検討すべきときではないでしょうか。(拍手)  ただでさえ魅力を失った農業に、さらに生産意欲を奪い、日本農業荒廃への道を歩ませていいのでしょうか。一たん休耕や転作をすれば回復はむずかしい。麦作一つ例をとってみても、三十五年当時に戻ろうとしても種がない。種を育てる育種家がない。二千の品種が必要というのに十分の一にも満たない。大豆やカンショや畜産も同じく条件がそろっていません。豊作貧乏に泣く農家に価格保証もなく転作を強いても、結果は見え透いております。食糧も戦略物資であると言われておりますそのときに、食糧自給を減らすことは主権を侵されることになるという認識を持って減反政策を改め、長期の展望に立って、産業としての農業水産政策を新しい観点に立って考え直す必要があると思いますが、農林大臣お尋ねいたしたいと思います。  輸出に強い自動車や家電も、今日の円高で限度にきています。繊維を初め、不況業種はますますふえ、アジア各国からの輸入もさらに圧力を加えるでしょう。七〇年代の初めから、公害や立地条件等から産業構造の転換は迫られていましたけれども、対症療法に終わり、過剰設備の廃棄など、いわゆる葬式代を払うだけの結果に終わっています。  あれだけ非難を受けた集中豪雨型の輸出も、自主的に規制しなければならないと五十年の通商白書で述べていながら、翌年の五十一年度では、資源の乏しい日本が貿易で、輸出振興で国を立てることは当然だと主張し、方針が一貫しておりません。国際感覚の鈍さが今日の円急騰の原因の一つではないでしょうか。果たして円の値打ちがどこまで上がると予想をされておるのか、また、経済成長は修正しなくてもいいのかどうか、総理にお伺いいたします。  内外の情勢から見て、なおトンネルから出るめどもつかないいま、産業界からは兵器産業育成や兵器輸出の声が出始め、防衛問題をめぐって戦力の解釈を拡大し、自衛のためなら核保有も許されるかのような発言、余ったドル対策も含めて、P3CやF15の輸入をめぐって軍事力を強化するキャンペーンを張り、わざわざ「防衛は国家の存立の基本」と施政方針に一項を設けるなど、一連の動きは、経済から軍事的にも進出をするのではないかとの諸外国の不信の目に対し、この際、疑いを解く意味からも、平和を守る信念を一層明らかにしていただきたいと思います。  最後に、五年越しの日中友好平和条約は、もはや総理の決断のみという段階まで来ています。与党内を取りまとめて、一日も早く締結すべきだと思います。決意のほどをお示しいただくとともに、昨日の尖閣列島水域への中国漁船の出漁が、条約と同時に大陸棚の石油採掘の権利にも深い関係がありますので、政府方針をお示しいただきたいと思います。  以上、雇用、円高、産業政策、農林水産等の今日の問題点は、すべて五十一年度決算の結果を生かし得なかったことに起因していることにかんがみ、反対を表明するものであります。(拍手)     〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇
  28. 福田赳夫

    ○内閣総理大臣(福田赳夫君) お答えを申し上げます。  五十一年度に政府がとった政策と違った政策をとっておれば、今日の経済情勢というものはもっと変わってきておるのじゃないか、そういうようなお尋ねでございますが、後になってみれば、ああ、あのときああすればよかった、こうすればよかった、それはあります。ありますが、大筋におきまして、私は、政府がとった政策というものに間違いはなかった、このように確信をいたしております。(拍手)  そういう経済情勢に対して私が責任は一体どう感じておるかというようなお話でございまするけれども、私は、この五カ年にわたりまして国の経済政策にずっと関係してきております。しかし、この五カ年間の経済の動きというものは、これはもう世界では、日本における戦後の第二の奇跡と言われるぐらい評価をされておるのです。私は、とにかく今日世界が非常に混乱しておる、そういう中でわが国の経済も思うようにはまいりませんけれども、それにいたしましても、七%成長を目指しまして、そして財政拡大するあるいは金融政策を強化するというような政策をとり得る。それは、なぜそういうことができるのかといいますれば、物価が安定しておるからなんですよ。この物価の安定、これは五年間の政府の粒々たる苦心の結晶である、このように考えておるのでありまして、私がこの五年間の経済実績に対しまして責任を負わなければならぬという理由は見当たらない、私はそのように考えておる次第でございます。(拍手)  ロッキード問題につきまして、これを徹底的に解明する決意いかんというお話でございますが、私は、ロッキード事件が起こりましたその当初から、この事件は解明しなければならぬということを主張してきておるわけであります。すでにその解明は、一部は刑事事件となって裁判が進行中である、御承知のとおりであります。また、裁判にかからない部門につきましては、これはぜひ国会におきまして調査権の発動といたしまして御調査を願いたい、このように思うのであります。政府におきましては、この調査権の執行に対しましては、政府のでき得る範囲における協力を申し上げるということを明快に申し上げたいと思うのであります。  さらに、物価問題に触れられまして、酒税をきっかけに公共料金が上がるが、これも心配だというお話でございます。公共料金全体としてながめてみますると、五十二年は大変楽な年であったのです。物価全体に及ぼす公共料金の影響度が二%ぐらい。五十一年度、これは三%近くの影響があったと思うのです。五十二年度に続きまして、本年度、五十三年度、これは恐らく二%程度のことではなかろうか、このように思います。  一方、円高の影響というものは、これはもう物価に相当の影響があるわけでありまして、今日わが国の物価水準は、先進諸国の中で一番成績のいいところに位しておるわけでありますけれども、この傾向というものは私は堅持できると思いますし、また堅持いたしたい、このように考えておるのであります。  また、円高は一体どこまで続くのだというようなお話でございますが、これは円高というよりは、むしろドル安と言っていただいた方がいいかと思うのでありますけれども、さあそのドルがどこまで安くなるであろうか、これを私がこの席で申し上げたら相当問題を惹起いたしますので、それは御勘弁を願いたいと思います。  また、ドル安が経済成長にどういう影響を及ぼすか、成長率修正というようなことを考える必要があるのじゃないかというようなお話でございますが、確かに、二月以降の再びの急激なドル安状態、これはわが国の経済に対しまして相当大きなデフレ効果を持ってくる、こういうふうに見ておるのであります。しかし、その傾向が一体どういう程度に出てくるかわからない、まあ状態を注意深く見守っていきたい、こういうふうに考えておりますけれども、事態の推移によりましては、有効な手段を果敢にかつ大胆にとっていきたい、このように考えておるのでありまして、七%程度の成長というその成長の率を修正するという考え方はいたしておりません。  さらに、わが国の政治姿勢といいますか、平和国家としての姿勢についてお触れになりましたが、私は昨年の八月、マニラにおきましていわゆる福田演説なるものをやっております。その中でわが国の行くべき道というものを明快に話しておるわけでありますけれども、私は、あの私の演説によりまして、東南アジアにおきましてはわが国の平和思想そのものにつきまして相当理解を深めた、このように考えておるわけであります。  わが国は、持たんとすれば強大な軍備が持てます。また、持たんとすれば核まで持てる、核兵器まで持てるという立場にありますけれども、そういう立場にありながら、あえて強大な軍備は持ちません。また、非核三原則を堅持いたしまして核兵器は持ちません。そして、国として世界で生きていく新しい道を求めておるのだ、こういうことにつきましては、私は、最近国際社会においてとみに理解を深めつつある、このように考えておるのであります。逆に、日本に対する再軍備の不安を持っているなんというようなことは、これはみじんも感じておらないのであります。  また、最後に、日中平和友好条約について、どういうことになっておるかというお話でございますが、これはしばしばお答え申し上げておりますように、いまやこの交渉再開に入るべき時期が熟した、そういうふうに判断いたしまして、交渉開始につきまして、いま自由民主党、与党に対しまして、その理解と協力を求めておるというところでございます。いずれ野党の皆さんに対しましてもお願いをいたしたい、こういうふうに考えますが、そういう手順を経ましてこの交渉を再開をいたしたい、このように考えます。  ただ、馬場さんは、私の決断だけで一瞬で決まるのだというようなことをおっしゃいますが、わが国にはわが国の国益というものがあるのですから、その国益を十分踏まえて、国民のために、期待を裏切らないようにしなければならぬわけでありますから、私だけの決意でこれは決まる問題ではございません。双方が満足し得る状態になって、初めてこの問題は最終的決着に至るのだというように御理解を願いたいのであります。(拍手)  そういう決意をいたしておりますやさきに、尖閣列島で御指摘のような事態が起きた、私は大変これを憂慮をいたしております。  尖閣列島は、申し上げるまでもありませんけれども、わが国の固有の領土でありまして、したがいまして、その周囲十二海里はわが国の領海であります。そうして、わが国はこの島々に対して実効的な支配を及ぼしておるのであります。しこうして、国際法上、外国の船は領海内で漂泊するということ、これは正当な理由がなければできないことであります。また、領海内で操業をするということは、これは主権国の許可がなければできないことであります。しかるに、相当数の中国の漁船と見られる外国漁船が尖閣列島周辺領海内で操業をいたしておる、正当な理由なくして漂泊をしておる、まことに遺憾な事態でございます。政府といたしましては、この事実に即しまして、中国政府に対し、しかるべき申し入れをすることを検討いたしておる次第でございます。(拍手)     〔国務大臣服部安司君登壇
  29. 服部安司

    国務大臣(服部安司君) 御指摘の郵便貯金の利率につきましては、郵便貯金法第十二条において、預金者の利益の増進に考慮を払うとともに、あわせて民間金融機関の預金の利率についても配意をしなければならないとされていることは御承知のとおりであります。  私といたしましては、郵貯金利は決して公定歩合と直接関連するものではないという基本的認識のもとに、預金者の利益を最大限に守らねばならないということで、諸情勢の推移を慎重に見守ってまいったところであります。  しかしながら、民間金融機関の預金金利は、来る四月十七日から引き下げることをすでに去る三月二十二日に決定いたしておりますことは御案内のとおりであります。こうした状況のもとで郵便貯金の利率をどうするか、預金者の立場を考えますとまことに忍びがたいものがあり、非常に苦慮している次第でありますが、去る三月三十日、郵政審議会の開催をお願いをいたしまして、利率改定についてお諮りをいたしました。同審議会において三月三十日、四月六日の二回にわたって熱心な意見の交換をいただきましたが、なお、各界の方々から広く意見を求めるため、参考人意見を聴取することとし、本日、三回目の審議会が開催される運びとなっております。  民間金融機関の金利の引き下げがすでに決定されておりますし、いま仮に郵便貯金の金利をこのまま据え置くことといたしますれば、郵便貯金に預金が集中し、ひいてはわが国の金融秩序にどのような影響をもたらすか、あるいは現下の深刻な経済状態のもとで雇用不安につながるおそれはないかなどのあれこれを総合的に考えますと、郵便貯金の預金者の保護という精神は十分理解しつつも、この際、一定の方向を打ち出さざるを得ない時期に立ち至っているものと考えているところであります。(拍手)     〔国務大臣藤井勝志君登壇
  30. 藤井勝志

    国務大臣(藤井勝志君) 現下の厳しい雇用失業情勢に対して労働省の雇用政策はいかにというお尋ねでございますが、この問題につきましては、すでにしばしばお答えを申し上げておりますように、基本的には、何といっても公共事業を主軸といたしまして積極的な財政運営をやることによって、何としても七%の実質経済成長率を達成する、これが景気回復、雇用の安定につながるというこの前提を踏まえて、いろいろな施策を展開をしているわけでございます。  特定不況業種離職者臨時措置法の積極的な活用はもちろんでございますけれども、実は先般、去る三月二十五日、経済対策閣僚会議にあわせて雇用問題閣僚懇談会を開催をしてもらいまして、これには、造船不況あたりが大変な問題でございますから、とりあえずそういったものも含めて、官公庁の船舶の早期発注をお願いをしたい、こういったことも、労働大臣の立場において、運輸大臣を初め関係大臣にお願いをいたしまして、需要の拡大ということを積極的にやらなければならぬというふうに考えるわけでございます。  また、五十三年度の新しい雇用政策といたしまして、中高年齢者の雇用の促進のために、中高年齢者を雇い入れた事業主に対して助成措置を講ずる、中小企業者の場合では三分の二賃金の助成をしていく、こういった手配をいたしておるわけでございます。  それから、やはり中長期的に考えますと、現在、まさに日本は産業構造の質的な転換を遂げなければならぬ実情にあるわけでございます。そういったことに対応いたしまして、これから伸びる産業としては、やはり付加価値の高い製造業あるいはまた第三次産業に雇用の場を求めなければならぬ。これには、福祉関係であるとか、あるいはまた教育関係、情報関係、あるいは保健衛生関係、これはむしろ日本の国内においてはおくれた部門でありますから、こういう面への雇用のチャンスをつかむような配慮を今後していかなければならぬ。それに対応するためにはやはり職業訓練のあり方ということについても検討をすべきであるという考えで、ただいま御審議を願っております職業訓練法の改正、これは十年ぶりにいたすわけでございますけれども、時代要請にこたえ得るような職業訓練法の改正をやっていこうという、こういった総合施策をやることによって、私は、現在の不況の中に悩んでいる日本が、この不況を通り抜けたときには、質的に転換をした産業構造の担い手としての労働者の配置を考える、そういう配慮で雇用政策を展開すべきである、このように考えるわけでございます。(拍手)     〔国務大臣安倍晋太郎君登壇
  31. 安倍晋太郎

    国務大臣(安倍晋太郎君) 馬場議員の私に対する御質問は三点でございますが、その第一点は、世界には食糧不足で困っている国があり、飢餓人口が多いが、わが国の余剰米を海外援助に使うべきではないかということでございますが、余剰米を海外援助に使うということにつきましては、中川農林大臣も従来から申し上げておりますが、海外援助を予定して米の生産を行うということは、わが国の生産価格というものが国際価格の五倍もしておるという状況から見まして、問題も多く、困難でございますが、すでに発生をしておる余剰米を海外援助に使用することにつきましては、相手国の要請あるいはタイ、ビルマといった伝統的な輸出国との関係、さらに国内における原材料用の需要との関係、財政負担との関係等も検討を行いまして、そのときどきの諸事情に応じまして対処してまいりたい、これは積極的に取り組みたいという考えを持っているわけであります。  次に、米の生産調整を行うということは、わが国の農業を荒廃に導くものではないか、これもまた、中川農林大臣がしばしば申し上げておりますが、最近における米の需給の状況を見ますと、生産者の稲作志向がきわめて強い一方、需要面においては引き続き停滞傾向にあり、その過剰基調は一層強まっておるわけでありまして、また、今後増産をしなければならない農作物についても停滞傾向を脱していないという状況でございます。  そうした事情にかんがみまして、本年度から実施をすることになりました水田利用再編対策は、単なる一時的な、緊急避難的な米減らし対策というものではなくて、長期的な視点に立って米の消費拡大に努めながら、米の生産を計画的に調整をするというやり方でございまして、今後、自給力向上の必要な飼料作物、大豆、麦等への転作等を推進をして、需要の動向に安定的に対応し得る農業生産構造の確立を期するために推進しようとするものでありまして、わが国の農業のこれからの新しい展開を図る上にはぜひとも必要な施策である、こういうふうに考えておるわけであります。なお、現在、生産調整は、農家の皆さんの御協力を得まして、非常に順調に進んでおります。  また、第三点として、新しい観点に立った長期的な食糧政策を考えるべきであるという御意見でございますが、もちろん食糧を安定的に供給するということは、国民生活の安全保障という見地からも必要でありますし、そうした意味における農業の振興というものは、わが国経済の発展にとりましても不可欠であると考えております。  昭和五十年に策定をいたしました「農産物の需要と生産の長期見通し」がありますが、このような観点に立って、この見通しは、こうした食糧の安全保障というふうな観点に立って、わが国の総合的な自給力の向上を図ることを基本として策定をいたしたものでありまして、したがって、長期的な食糧政策としては、今後ともこの見通しで明らかにした点を実現をするということが必要であると考えております。その実現のために努力をいたしますが、これに必要な生産基盤の整備、生産の担い手の確保、構造政策、価格政策の充実等、各般の施策充実をいたしまして、この見通しをぜひとも実現をいたしたいと考えておるわけであります。(拍手)     —————————————
  32. 三宅正一

    ○副議長(三宅正一君) 春田重昭君。     〔春田重昭君登壇
  33. 春田重昭

    ○春田重昭君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和五十一年度決算等に関して、現在の政治状況に深くかかわりある幾つかの問題点を取り上げ、総理並びに関係閣僚に質疑するものであります。  まず、質問に先立ち、五月三日に開催される日米首脳会談に臨む総理の所信を伺っておきたいのであります。  総理が、訪米までにわが国の国際収支黒字を何とか縮小しなければならないと焦っているとみずから述べているように、首脳会談に臨むに当たって、わが国経常収支の縮小のための具体策を講じなければならないことは、必至と言わなければなりません。総理は、訪米前にこの経常収支黒字縮小のためにどのような手を打とうとしているのか、伺っておきたいのであります。  また、首脳会談においては、米国のドル防衛策の実施を強力に要請しなければならないことは言うまでもありませんが、総理は、カーター大統領に具体的なドル防衛策を要請する決意があるのか。さらに、私は、現在、新しい通貨体制の確立が必要な段階に立ち至っていることを考えているのでありますが、通貨体制について話し合いの用意があるかどうか、あわせてお尋ねしておきたいのであります。  総理は、世界のために日米はあるとされ、世界第一の経済大国米国と、第二位の日本が世界の経済を変えるとばかり言っておりますが、その自負は、そのまま日本の大きな責任を強調していることになります。  報道によりますと、総理は、大統領との会談のほか議会にも行き、わが国経済の状態を話し、理解を求めるとのことでありますが、その目的あるいは成果が期待できると考えているのか、その見通しを伺っておきたいのであります。  さて、本題に入りますが、昭和五十一年度予算の提出された当時は、物価狂乱やその後のオイルショックなど内外にわたる経済環境の激変に揺れていたときであり、不況の中の物価高というスタグフレーションの色彩がなお色濃く残っていたときでありました。  そうした中で、昭和五十一年度予算の審議に先立つ政府演説では、当時副総理であり、経済企画庁長官であった福田総理は、経済運営の実質的な責任者として、昭和五十一年度を、「調整過程の最終年であるとともに、新しい長期経済計画の門出の年」とされ、さらに、「わが国経済の正常な姿を取り戻し、これを安定成長路線につないでいく記念すべき時代の幕開けの年」とも規定されたのであります。しかしながら、その後の推移は、総理の思惑とは全く違う様相を呈してきていることは衆目の一致して指弾するところとなっているのであります。  また、昭和五十一年度の財政の特色は、五十年度補正予算に引き続き、特例公債、つまり赤字国債の発行によって財源の不足を補う欠陥財政であったと指摘されるところであります。総理の言う記念すべき幕あけの年とは、欠陥財政幕あけの年を指していたのでありましょうか。  さらに、五十一年度の経済の特色は、下半期に至って不況色がつとに強まり、総理発言とはうらはらに、わが国経済は出口のないトンネルをさまよい、不安が一層強まり始めた年と言えるのであります。ここで注目しなければならないと思うことは、五十一年度は不況が深刻化し景気が低迷していたにもかかわらず、経済成長率は、政府見通し五・六%を〇・一ポイントオーバーした五・七%に、国際収支は不況にもかかわらず、伸びた輸出に支えられ、前年度の赤字を解消して、なおおよそ三十億ドルの黒字をしるしたことであります。しかし、その成長は予想外の輸出の増大によってもたらされたものであり、その反面で内需の拡大は停滞し、ミクロの面では産業間、企業間、地域間の景気格差が拡大し、福田総理がこの年を記念すべき年とされたことは、国民は大きな失望をしたのであります。総理は、現時点に立脚して、この五十一年度をどう評価され、位置づけられようとしているのでありましょうか、お伺いしたいと思うのであります。  特に、五十一年度の下半期からの不況、それは今日まで長いトンネルの暗やみの状況を持続しているわけでございますが、この不況と国際収支黒字増大とが同居するというパターンが、すでにその中に顕在していることを指摘しなければなりません。そして、このパターンは五十二年度に大きく口をあけて、総理御自身、心労されている今日でありますが、その点についていかなる所感をお持ちなのか、承っておきたいのであります。  しょせん、このような対応のあり方は、内需の拡大しかないところでありますが、総理の伝統的手法というものは、国民総生産の半分以上は国民の消費支出であるという厳然たる事実にもかかわらず、国民消費支出の抑圧策しかとらなかったことを見逃すわけにはいきません。  いまや資源有限の時代に入ったことは、総理の言われるとおりであります。しかしながら、それは観念の問題ではなく、政府としての施策の中にどう生かしていくかという具体的な問題でなければなりません。国民大衆に向かって、買うな、使うな、捨てるなと訓示する政府が、みずからはこの資源有限時代にどう対応しているかという問題であります。  福田総理をカーター大統領になぞらえるのは、総理としては御不満かもしれませんが、カーター氏は、大統領就任早々、エネルギー節約の所信を発表すると同時に着目したのは、政府みずからが使用している自動車の問題であったのであります。これは米国政府にとっては小さな問題であったかもしれません。しかし、国民に節約を打ち出す前に、政府みずからの姿勢を正すべきだとの所信に基づくものとして大きく報道されたのであります。  わが政府は、その点いかがでしょうか。総理の率直な御見解、とられた措置があったら御説明いただきたいのであります。  わが党の調査によると、石油ショック以前の各省庁の自動車保有台数が、今日まで五年間に著しく増加しているのは、大蔵省の本省分ないし一般会計分で六百一台を初めとして、文部省、法務省、運輸省などでありますが、定員法で定員増加の認められるはずのない状況において、このような放任の状況をどう説明しようとするのか、お伺いしたいところであります。  特に大蔵大臣に、この際、自動車の件について、物品管理法に基づく総括大臣として、各省庁の地方支分局の分も含めた自動車、特に乗用車の現有台数の御報告をお願いするものであります。  また、いまだ提案されていないのが省資源エネルギー法案であります。政府は、提案の意思があるのかないのか明らかにされ、出されようとすればその時期を明らかにされたいのであります。また、今日まで提出に至らない理由は何か、障害は何かについて、政府の考えはどうなのか、克明に御説明いただきたいのであります。  次に、五十一年度予算の特徴として言われているのは、公共事業に重点が置かれたことでありますが、景気対策としての大型公共事業の五十一年度よりの登場、あるいは赤字国債の増発などの財政状況が、現在に至るも引き続いております。こうしたことを考えますと、決算審査機能の重要性はますます大きくなっているのであります。このことは、決算委員会の審議を通じても常に指摘されているところでありますが、一部言われているような決算軽視の風潮がいまだ政府の中に見られることがあるとするならば、まことに遺憾と言うほかありません。本来、決算予算と並んで国政の根幹をなす重要なものではないかと思うのであります。  総理並びに大蔵大臣は、決算審査重要性をどのように認識しておられるのか、お伺いしたいのであります。  また、会計検査院の検査体制の強化拡充についても、つとに指摘されているところでありますが、ことに公共事業等の検査に関連して、会計検査院と受検側の行政官庁との癒着の事実も発覚した今日、その対策は、検査院のみならず、政府自体としても重大な関心を持つべきであると考えるわけであります。  検査体制の綱紀粛正、検査権限の強化拡充についての総理のお考えを承りたいのであります。  以上、総理並びに関係大臣の誠意ある御答弁を要求して、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇
  34. 福田赳夫

    ○内閣総理大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。  私が今月末に出発いたしまして、来月の二日、三日、ワシントンにおきましてアメリカの首脳と会談をする、それにつきましてのお尋ねでございますが、私は、アメリカという国は、わが国から見ますると、これは本当に特殊な立場の国であります。その国の首脳と年に一回くらいは会って、そして世界の諸問題あるいは両国間の問題について意見の交換をしておく、そして相互理解を深めておく、これは非常に大事なことである、そのように考えまして今回の会談を申し入れ、実現する、こういうことになったわけなのであります。  その際に、率直に申し上げますと、両国間においていわゆる談判、交渉するというような、そういう案件はございません。しかしながら、いま世界では経済の問題が非常に深刻になっておるのです。その深刻な経済に対しまして、アメリカはともかく自由社会で第一の経済大国である、わが国はアメリカに次いで自由社会第二の工業力を持っておる、そういう両国の首脳の会談でありますから、やはり世界経済を今後どういうふうに安定させていかなければならないか、そういうことをめぐる話というものが多かろう、こういうふうに思います。  もちろんその間、これはアジアの政治情勢あるいは中近東の情勢、アフリカの問題いろいろ政治的な側面の話し合いもあるわけでございますけれども、主として経済を一体どうするか、そして七月の先進国首脳会談をどういう形で成功させるかというような話し合いが多かろうと思うのです。そういう中で、いま世界経済の中で大きな問題になっておる通貨の安定をどうするかという話、これも十分大統領との間で意見を交換してみたい、このように考えておるわけであります。  また、せっかくアメリカへ参りますのですから、アメリカの議会人にも幅広く会いまして、そしてわが国に対する理解を深めていただくという機会といたしたい、そのように考えております。  次に、五十一年度というその年をどういうふうに評価しておるか、こういうお話でございます。  五十一年度という年は、いまいろいろ御指摘がありましたけれども、世界の中におきましては、わが日本とすると大変実績を上げた年であった、このように考えております。つまり、物価は非常に落ちついてまいりました。それから国際収支は、いまお話がありましたが、経常収支で五十億ドル程度の黒字を出すというところまでやってくる。それから経済成長は、先進国の中で第一の高成長、五・七%成長を実現する、このようなことになる。まあよかったというふうに思いますけれども、しかし顧みて、あのときああすればというような点がなかったわけではございませんけれども、大局におきましてまあまあ妥当な政策をとり、また妥当な結果を得た、こういうふうに考えておる次第でございます。  さらに、春田さんから、省資源時代に向けての大胆な政策の打ち出しをやるべきではないか、こういう御指摘でございますが、これは私もそう思います。ただ、いま景気問題があるものですから、余り私は節約、節約という声を大きくしない。しかし基本的には物を大事にしなければならぬ時期に来ておる、このことは国民によくわかっていただきたいというふうに思うのであります。  物を大事にする、そういうことを言いますと、どうもしみったれたことを言うなというような感じを持つ人もあるかもしれませんけれども、実はわが国が、変わり来ったこの世界の中で本当にたくましく生きていくためには、物を大事にする、これは非常に大事なことになってきておると思うのでありまして、また同時に、物を大事にするということが、これは生き物を大事にするということにもつながっていくのです。また、お互い人を大事にするというところにもつながっていくのでありまして、そういう見地からも、私は、物を大事にするということは、これからの政治運営、また世の中の運営のために非常に大事なことだ、大事にしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。(拍手)     〔国務大臣村山達雄登壇
  35. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) お答えいたします。  私に対する質問は、いまアメリカの方でも財政節約をやっておるときに、五十三年度予算でどのような切り詰めをやったか、特に自動車に関連してどのような切り詰めをやったかというのが第一問でございます。  御承知のように、昭和五十三年度は、景気拡大のために内需拡大を中心といたしまして公共事業をふやさせていただきました。その反面、経常経費につきましては極力節約したところでございます。特に庁費関係は前年横ばいを原則といたしたのでございます。したがいまして、その一部であります保有自動車等につきましても、原則として、もう使用ができなくなったもの、耐用年数が過ぎたものでなければ買いかえは認めないという厳しい方針を出しまして、前年よりやや低めに抑えたというところでございます。  それから、決算委員会審査についてどういうふうに考えるか、こういうお話でございます。  私も、実は前に決算委員長をやらせていただいた経験がございますので、この決算審査の機能につきましては非常に重視しているところでございます。国会の議決を得ました予算が果たして政策目的を達成しているかどうか、あるいは不正不当な使用がないかどうか、これは一にかかって決算委員会で長時間かけて御審査を賜るわけでございます。政府といたしましては、その審査の結果を踏まえまして、翌年以降の編成並びに執行の重要なる参考資料にさしていただいておるわけでございますので、私たちも今後ともこの姿勢でまいりたいと思います。  会計検査院の検査体制の重要性についても、この決算審査のいわば基礎をなすいろいろの資料を御提出願うわけでございますので、非常に重要な問題でございます。特に財政が非常に増大化し、それから検査対象が複雑化しておりますので、今後とも会計検査院の機能の充実に、人の面でも予算の面でも、苦しい中でも重視してまいりたいと考えておるところでございます。  以上でございます。(拍手)     —————————————
  36. 三宅正一

    ○副議長(三宅正一君) 安藤巖君。     〔安藤巖君登壇
  37. 安藤巖

    ○安藤巖君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、昭和五十一年度決算について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。  第一に、わが国経済国民生活に重大かつ深刻な打撃を与えている不況、円高を招いた経済財政運営の責任についてであります。  五十一年度予算に対し、わが党は、それまでの大企業中心の高度成長型経済政策から、国民本位の経済政策への転換を強く要求をいたしました。  五年来の不況、さらに今日の異常な円高という事態は、わが党のこうした主張に耳をかさず、大企業本位の従来型不況対策を続けてきたことの結果であると言わなければなりません。  すなわち、大企業には、公定歩合の相次ぐ引き下げと大型公共事業など、至れり尽くせりの施策をとった一方で、国民には、国鉄運賃、電力、電報電話など公共料金の大幅引き上げ、所得税減税の見送り、福祉関係支出の切り詰めなどの犠牲を転嫁したのであります。個人消費を伸ばさなければならない、まさにそのときに、逆にそれを抑えつけてしまったのであります。  しかも国内市場が極端に冷え込んでしまった中で、政府が輸出主導型景気回復策を追求し、一部大企業の低賃金と合理化を武器とした集中豪雨型輸出を促進してきたことが、今日の円高の国内要因を生み出してしまいました。  さらに、こうした大企業本位の従来型不況対策の財源を膨大な国債発行によって頼ってきたことが今日の財政危機をもたらしたのであります。  そこで総理に伺います。総理が本当に不況克服、円高対策をとる気があるならば、まず、こうした結果をもたらしたこれまでの経済財政運営を反省し、その上に立って抜本的対策をとるべきであります。  すなわち、第一に、大幅減税、年金制度の拡充、実質賃金の引き上げを図るとともに、失業防止、雇用安定に万全の対策をとることであります。ところが、総理は、四月一日の参議院予算委員会で、賃上げは景気対策にならないと述べ、逆に国民の購買力を抑制する姿勢をとっているのであります。これは、現在の不況、円高を解決できないばかりか、さらに激化させるものではありませんか。  第二には、国際収支大幅黒字の原因となっている一部大企業の異常に高い国際競争力、それを支えている社外工制度や下請企業への締めつけに対し、大胆にメスを入れ、わが党提案の方向で下請代金遅延防止法の抜本的改正を図るべきであります。  まず、以上の二点について総理の所見を求めるものであります。(拍手)  次に、本決算の具体的な問題点について伺います。  会計検査院の五十一年度決算検査で指摘された不当事項処置要求事項などのむだ遣いは、合計九十九件、二百四十六億六千万円、前年度の五倍以上にも上っていますが、これは実地の検査執行率八・三%という狭い範囲の検査結果でありますから、国全体としてのむだ遣いは数千億円にも達するものと思われます。  中でも重大なのは、政府関係特殊法人による国費のむだ遣いであります。検査院が指摘した不当事項金額の五二%、処置事項金額の四四%、会計上重大な問題があるとして指摘された特記事項八件のうち五件、二兆三千三百億円が政府関係特殊法人に関係するものであります。たとえば、十一の休眠会社に対する出資金二百五十一億円を焦げつかせたまま、長いものでは六年余りも放置している石油開発公団の例などは、特殊法人のルーズな運営、管理の典型的な例であります。  法人の役員人事を初め、最頂点から事業運営に直接参画する顧問、参与のポストや法人の日常的な運営に参画する政策委員会、経営委員会等の審議機関の委員ポストの大部分が、一部の政治家とOBを含む高級官僚、財界、大企業代表によって占められておることが、こうした事態を生み出している重要な原因となっております。  したがって、特殊法人による浪費にメスを入れ、人事面でも、財・官癒着を改め、公正を期すためには、さしあたり顧問、参与や政策委員会等の委員人事を、関係各方面の意見が公正、かつ総合的に反映するよう適正にするとともに、特殊法人の運営全般について有効なチェックが行われるような制度的改善を行うべきであります。総理並びに関係閣僚の明確な答弁を求めます。  特殊法人の浪費問題には、天下り官僚役員の高額な給与と退職金の問題があります。昭和五十一年度の公社、公団、公庫等の総裁の給与の最高額は、月額百五万円で、現在でも主務官庁の事務次官の約一・四倍にもなっております。役員の高額退職金は、さらに驚くべき実情であります。公務員の退職金は、勤続一年につき給与の約一カ月分の率で計算されているのに対して、これらの役員は勤続一カ月につき給与月額の四五%というような法外な率で計算され、巨額の退職金を受け取っているのであります。  天下り人事を厳しく規制するとともに、非常勤役員を含め約一千名にも達する役員の高額給与と法外な退職金算定率を、国民の納得できる水準に改め、特権的待遇をなくすべきであります。総理並びに関係閣僚の答弁を求めます。  最後に、輸銀、開銀等の融資をめぐる疑惑の徹底的な解明と、不正防止の問題であります。  五十一年度末における政府出資と国庫からの貸付金残高は、この二つの銀行だけでも七兆二千九百八十一億円の巨額に達しているのであります。しかも現に、輸銀融資を使った全日空のエアバス購入に絡んでロッキード事件が起きているのであります。このような国家資金を使って行われる融資については、厳しい監視が行われなければならないのは当然であります。  ところが政府は、国会で再三要求されているにもかかわらず、これらの融資の具体的内容は一切明らかにせず、国会による国政調査権の有効な行使を妨げてきたのであります。  そこで、第一に、輸銀、開銀等の融資については、融資額、融資先、融資目的等を国会に報告すべきであります。また、これらの融資を受けているものの会計についても、会計検査院の検査が行えるよう法的措置を講ずべきであります。特に、海外経済協力に関しては、莫大な国家資金が投入されているにもかかわらず、一切その検査すらできない仕組みになっており、国民の疑惑を招いているのであります。たとえば、ソウル地下鉄建設に対する海外経済協力基金からの借款をめぐって、大幅な価格の水増し、それによって生み出されたリベートが不正な工作資金に使われるなど、いわゆる日韓癒着への疑惑が、本院でも繰り返し追及されてきたのであります。  このような疑惑を徹底的に解明し、不正行為を一掃するためには、政府援助によって相手国から受注したわが国の商社や、製造に当たった国内メーカーを検査できるようにすることがきわめて重要であります。  総理は、本院予算委員会でのわが党の追及に対して、会計検査院が検討すべきことだとしてこれを放置しておられますが、検査院が国会の場で要望しているところでもあり、必要な法改正等を行うべきであります。  以上三点について、総理及び大蔵大臣の責任ある答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇
  38. 福田赳夫

    ○内閣総理大臣(福田赳夫君) まず第一に、円高を招いた経済財政運営を反省すべきではないかというようなお話でございますが、円高は、国の経済力に対する海外の信用が高まる、そういうことでありまして、これは決して悪いことだとは思っておりません。ただ、急激にこれが来過ぎちゃった、そこに問題があるのでありまするが、その点につきましては、しばしば申し上げているのですが、あんなに急激に来るだろうというふうには思っておらなかった、その点は不明の至りであるというように存じております。  また、大幅減税をという話でございますが、これはしばしば申し上げておるとおりであります。財政の非常に窮屈なこの際、貴重な財源を使って減税をして、果たして公共事業のような効果があるだろうか。これは、ありません。減税をして、一体雇用がどんなふうにふえますか。一体物財の需要がどういうふうにふえますか。そういうことを考えていただきますれば、おのずから明らかである、このように考えます。  それから、年金を拡大せよと言いますが、これは、年金もかなりのところへ来ておるのです。五十三年度の予算でも措置しております。まあ年金をふやしてもらえば皆さん喜ぶでありましょうけれども、国家財政、これをどういうふうに持っていくんだということを真剣に考えますると、軽々にそういうことは言えません。  また、私が、賃上げは景気回復にはならぬ、こういうことを申し上げたことについての御指摘でございますが、これは、私は賃金問題について労使間に介入をする考えはございません。これは労使間で決めてもらいたい。ただ賃金を上げれば景気がよくなるんだということを言うものですから、それはいまの経済の実情をおわかりにならない人の議論だ、いま景気が悪い悪いと言っているのは企業の経理が非常に苦しいからだ、その重圧をなしておるのは人件費の負担であり金利費の負担なんだ、そこへまた賃金を上げるということになったらいよいよ企業の不況は深刻化する、決して景気はよくなりませんよ、こういうことを申し上げておるだけの話でありますから、ひとつそのように御理解を願います。  それから、大幅黒字の原因となっている社外工制度や下請締めつけにメスを入れ、下請代金支払遅延等防止法を改正せよという御所見でございまするけれども、これは、下請代金支払遅延等防止法、下請中小企業振興法、そういう法制を推進してまいりますれば事足りる、こういうふうに考えておりますので、新法といいますか、法改正は考えておりません。  輸開銀の融資先へも会計検査院の検査が及ぶよう法的措置を講ぜよ、経済協力の相手国から受注する国内法人の会計を検査できるような法改正をせよ、こういう御所見でございまするけれども、これにつきましては、大蔵大臣の方からお答えを申し上げます。(拍手)     〔国務大臣村山達雄登壇
  39. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) お答え申し上げます。  特殊法人の役員の給与と退職金の問題でございます。特殊法人は、その公共性と特殊性にかんがみまして、やはり練達の人、それからまた人材を広く求めることにいたしておるわけでございます。したがって、その給与は、民間給与とバランスのとれました公務員の中の特別職、指定職、これに従来から準ずることにいたしておるのでございます。  退職金につきましては、任期が非常に短いという関係もございまして、民間の役員の退職金に比準しているのでございます。ただ、いま安藤さん、退職金支給率が四五とおっしゃいましたが、これは民間の方の実態調査の結果、この四月一日から三六に変更しております。  それからなお、私に対して直接お話がありました輸開銀融資の国会への報告の関係でございます。これはすでに御承知のように、輸開銀につきましては業務報告書を発表しておりますし、公表いたしております。また、国会の要求に応じまして、政府の方でも業種別分類による融資状況等は出しておるところでございます。ただ、一件別の金額、目的、これを出せとおっしゃるのでございますが、これは政府機関とはいえ、金融機関でございます。したがいまして、相互の信頼関係は守られねばならぬのでございますので、その点は差し控えさせていただきたい、かように思うわけでございます。  それから、輸開銀に対する会計検査の問題でございますが、これは必要があればできるのは当然でございます。  以上でございます。(拍手)     〔国務大臣藤井勝志君登壇
  40. 藤井勝志

    国務大臣(藤井勝志君) 雇用政策につきましては、すでにこの場でしばしばお答えをいたしましたし、本日もお答えをいたしましたが、そのお答えを踏まえまして、特に今度は公共事業が非常に多くなるわけでございますから、その公共事業の配分に当たっては特に失業者の多発する地帯に傾斜配分をしてもらいまして、そしていわゆる失業者の吸収率制度を活用する、こういうことで当面の危機に対応し、今後の雇用政策については、産業構造変化に対応するように、職業訓練制度の改正と相まって今後万全を期していきたい、このように考えるわけでございます。(拍手)     〔国務大臣荒舩清十郎君登壇
  41. 荒舩清十郎

    国務大臣(荒舩清十郎君) 特殊法人の問題ですが、私の方といたしまして、特殊法人については思い切った整理をしていく方針でございます。  なお、また、給与の問題等がありますが、行政管理庁といたしましては、閣議で去年決めたとおり、なるべく高額のものはこれを上げないようにする、それから、なお、退職金は二割減ずるということを決めましたから、その方針に従いまして実行していくつもりでございます。  なお、また、特殊法人は経営委員会とか管理委員会というようなものがございますが、これらの委員の任命は、各省の大臣がこれを所管しております。しかし、御質問の趣旨のとおりでありまして、私どもといたしましては、この委員会の目的をよく考えまして、そうしてその運営の円滑を図るばかりじゃなく、人選等につきましても十分注意を払っていきたいと考えております。(拍手
  42. 三宅正一

    ○副議長(三宅正一君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  43. 三宅正一

    ○副議長(三宅正一君) 本日は、これにて散会いたします。     午後三時七分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  福田 赳夫君         法 務 大 臣 瀬戸山三男君         大 蔵 大 臣 村山 達雄君         文 部 大 臣 砂田 重民君         農林大臣時代         理                国 務 大 臣 安倍晋太郎君         郵 政 大 臣 服部 安司君         労 働 大 臣 藤井 勝志君         国 務 大 臣 荒舩清十郎君         国 務 大 臣 熊谷太三郎君      ————◇—————