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1978-03-10 第84回国会 衆議院 本会議 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月十日(金曜日)     —————————————  議事日程 第十一号   昭和五十三年三月十日     正午開議  第一 有価証券取引税法の一部を改正する法律     案(内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  議員請暇の件  日本銀行政策委員会委員任命につき同意を求め   るの件  日程第一 有価証券取引税法の一部を改正する   法律案内閣提出)  昭和五十三年度における財政処理のための公債   の発行及び専売納付金納付特例に関する   法律案内閣提出)の趣旨説明及び質疑     午後零時二分開議
  2. 保利茂

    議長保利茂君) これより会議を開きます。      ————◇—————  議員請暇の件
  3. 保利茂

    議長保利茂君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。  倉成正君、佐藤文生君及び山崎拓君から、三月十三日より二十日まで八日間、右いずれも海外旅行のため、請暇申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 保利茂

    議長保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも許可するに決しました。      ————◇—————  日本銀行政策委員会委員任命につき同意を求めるの件
  5. 保利茂

    議長保利茂君) お諮りいたします。  内閣から、日本銀行政策委員会委員平井富三郎君を任命したいので、本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  6. 保利茂

    議長保利茂君) 起立多数。よって、同意を与えるに決しました。      ————◇—————  日程第一 有価証券取引税法の一部を改正する法律案内閣提出
  7. 保利茂

    議長保利茂君) 日程第一、有価証券取引税法の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。大蔵委員長大村襄治君。     —————————————  有価証券取引税法の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号末尾に掲載〕     —————————————     〔大村襄治登壇
  8. 大村襄治

    大村襄治君 ただいま議題となりました有価証券取引税法の一部を改正する法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  この法律案は、最近における財政事情に顧み、今次の税制改正の一環として、株券、株式投資信託受益証券等譲渡した場合の有価証券取引税税率について、一般譲渡の場合は現行の一万分の三十から一万分の四十五に、証券会社が売買により譲渡する場合は現行の一万分の十二から一万分の十八にそれぞれ五〇%引き上げることとするほか、登録公社債譲渡につき所要の規定整備を図ることといたしております。  本案につきましては、去る二月十七日村山大蔵大臣から提案理由説明を聴取し、審査の結果、三月一日質疑を終了し、八日採決いたしましたところ、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、本案に対しましては、個人有価証券譲渡益課税について検討すべき旨の六党共同提案に係る附帯決議全会一致もって付することに決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  9. 保利茂

    議長保利茂君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 保利茂

    議長保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  昭和五十三年度における財政処理のための公債発行及び専売納付金納付特例に関する法律案内閣提出)の趣旨説明
  11. 保利茂

    議長保利茂君) 内閣提出昭和五十三年度における財政処理のための公債発行及び専売納付金納付特例に関する法律案について、趣旨説明を求めます。大蔵大臣村山達雄君。     〔国務大臣村山達雄登壇
  12. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 昭和五十三年度における財政処理のための公債発行及び専売納付金納付特例に関する法律案趣旨を御説明申し上げます。  最近の厳しい内外経済情勢にかんがみますと、当面の経済運営基本は、物価の安定に配意しつつ内需中心景気回復を図り、国民生活の安定を確保するとともに、対外均衡回復に努めることにあると考えられます。  また、わが国財政は、昭和五十年度以降、特例公債を含む大量の公債に依存する異常な状況にあり、このような事態からできるだけ速やかに脱却し、財政健全化を図ることが重要な課題となっております。  このような状況にかんがみ、昭和五十三年度予算は、財政節度維持にも配意しつつ、民需の動向を踏まえ、内需の振興のため財政が主導的な役割りを果たす必要があるとの基本的な考え方に立って、臨時異例財政運営を行うこととして編成いたしました。  ところで、昭和五十三年度においては、歳入面では、酒税及び有価証券取引税税率の引き上げを行うとともに、新たに石油税を創設する等の措置を講ずることとし、さらに、税収伸び悩みを補い、財源の確保を図るとともに、地方財政対策等にも資するため、昭和五十三年度内に納税義務が成立し昭和五十四年五月中に収納される税収について、年度所属区分を変更して、これを昭和五十三年度所属歳入として受け入れることとしておりますが、なお十分な租税収入を期待できないような状況にあります。  他方、歳出面では、投資的経費経常的経費とに分けて検討し、投資的経費については、国民生活充実基盤となる社会資本整備を一層推進するとともに、景気回復を早めるため、積極的に規模の拡大を図ることとする反面、経常的経費については、財政節度維持に努める見地から極力その規模を抑制することといたしましたが、特に緊要な施策については、社会経済情勢に相応して、重点的にその充実を図ることとしたところであります。  このような歳入歳出両面状況にかんがみ、昭和五十三年度においては、財政法規定により発行する公債のほかに特例公債発行によらざるを得ず、また、日本専売公社から通常の納付金のほか、特別の納付金を受け入れる必要があると考えられるのであります。  このため、昭和五十三年度において、同年度特例措置として、特例公債発行できることとするとともに、日本専売公社は特別の納付金納付しなければならないこととする法律案提案するものであります。  しかし、このような措置はあくまで特例的な措置であり、特例公債に依存する財政からできるだけ速やかに脱却することが財政運営の要諦であることは申すまでもありません。政府といたしましては、財政健全化を図るため、全力を尽くす決意であります。  以上、昭和五十三年度における財政処理のための公債発行及び専売納付金納付特例に関する法律案趣旨について御説明申し上げた次第であります。(拍手)      ————◇—————  昭和五十三年度における財政処理のための公債発行及び専売納付金納付特例に関する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  13. 保利茂

    議長保利茂君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。伊藤茂君。     〔伊藤茂登壇
  14. 伊藤茂

    伊藤茂君 私は、日本社会党を代表して、ただいま提案されました昭和五十二年度における財政処理のための公債発行及び専売納付金納付特例に関する法律案について、その主要な問題点指摘し、福田総理並びに関係大臣見解を伺いたいと思います。  いま、わが国財政は、世界に例を見ない巨額借金財政であり、その構造的危機はますます深刻なものとなっております。  五十三年度予算において十兆九千八百五十億円、形式三二%、しかも五十四年度税収のうち、約二兆円を五十三年度に繰り入れるという異常な会計処理を行った場合であり、これを除けば約三七%もの国債比率となるのであります。まさに異例、異常な状態であります。  予算財政計画は、時の政府経済政策の端的な表現であり、その顔とも言うべきものでありますが、今日の深刻な財政危機状況は、まさに自民党福田内閣経済財政政策の失敗を象徴するものと言わなければなりません。(拍手)  いま、多くの国民は、このような赤字財政が、やがて高物価狂乱インフレを招くのではないか、新たな増税重税時代の足音が迫っているのではないか、これで果たして日本経済に新たな活力が生まれるのだろうかという深刻な不安の気持ちと厳しい批判の目をもって注目しているのであります。  このような状況の中で、いま緊急に必要なことは、危機に瀕した財政をどう再建するか、その明確な展望計画国民の前に明らかにすることであります。それがいま政府に問われている責任であります。  このような立場から、私は、まず福田総理に、この重大な財政危機に当たっての基本姿勢を伺いたいのであります。  総理史上最高国債比率を盛り込んだ予算提案されたあなた自身が臨時異例措置と言われているように、日本財政経済はいま重大な節目に立っております。このような経済財政運営の重大な節目に当たって求められるのは、勇気をもって古い惰性を断ち切り、新たな長期の展望を立てることであります。それが、まさに国民に対する政治の責任であり、国政の最高責任者としての指導性でありましょう。  総理、あなたは、大蔵大臣当時から今日まで、国債増発に次ぐ増発政策を積み重ねてきました。しかし、その政策は、果たして効果を上げたのでしょうか。あなたが国債増発たびごと国民に約束したことが実現したのでしょうか。逆に、ますます深刻な事態となっていることは、事実として明白ではありませんか。  確かに、石油ショックがあり、円高という困難な現実があります。しかし、それのみに原因を求めるのは間違っています。むしろ、問題は、経済政策そのものの抜本的な転換が求められているにもかかわらず、国家財政の投入によって新たな有効需要をつくり出し景気回復し得るという、国際的にも現実への適合性をすでに失っているケインズ政策の論理を推し進めて、ただ借金という名のカンフル注射を打ち続けるだけであった、そのことにあるのではないでしょうか。あなたは、このような状況のもとで借金財政への歯どめと財政再建への具体的見通しをどうお考えになっているのか。ことしじゅうにさらに国債増発による大型補正予算を組んでも、いままでと同じ政策を進められるお考えなのか。財政再建に対する基本的なお考えを伺いたいのであります。  次に伺いたいのは、国債償還計画についてであります。  当然のことながら、膨大な借金をすることは国民に対して重大な責任を負うことになります。しかも五十三年度末の国債の累計は四十三兆主千九百六十億円、五十七年度末には政府試算でも九十兆ないし百二十兆の巨額に達し、五十三年度末で国民一人当たり四十万円もの借金を背負うことになるのであります。しかし、国債発行水準の異常さにもかかわらず、責任感危機感は逆に低下し、麻薄しているのではないでしょうか。いままでも国会に提出される財政収支試算は毎年書き改める全く権威のないものであり、むだな紙切れをつくるのと同じことでありました。今回政府国会に提出したのもケースAからEまで五種類の単なる見通しの数字並べであります。さらに今回予算委員会に提出しましたケースCを前提とした「国債整理基金資金繰り状況についての仮定計算」なるものも「予算繰入れ等が可能かどうか等の検証は行っていない。」と書かれてあります。このような無責任態度巨額国債発行への国民の合憲は得られるはずはないのであります。  国民が求めているのは歳出歳入構造的改革のプログラムを盛り込んだ責任ある再建計画であります。このような中期計画は西ドイツやイギリスですでに実行されていることではありませんか。償還計画償還財源見通しを含め、責任ある中期財政計画をどうするお考えか、村山大蔵大臣から明確にお答え願いたいのであります。  また、償還計画に関連して、財政再建への明確な展望を立てるためにも、すでに経済運営指針としての権威を失った五十年代前期経済計画の単なる手直しや、経済審議会つじつま合わせ暫定試算程度のものではなく、今日の経済危機を打開するための新たな中期計画をつくり、国民の前に示すべきであると思うのでありますが、宮澤経済企画庁長官にその見解を伺いたいと思います。  第三に、財政再建と今後の税制についての考えを伺いたいと思います。  政府国会に提出した財政収支試算増税キャンペーンを目指すものであり、勤労国民が切実に要求している減税要求を抑圧しようとするものであることを私たちは強く指摘をしてまいりました。そして、経済危機突破のためにも大幅減税を初めとする予算修正を要求したのであります。この国民的要求に背を向けた政府自民党態度は厳しく批判をされなければなりません。  いま財政再建についても、今後の税制についても最も重要なことは、民主主義不公平是正立場であります。わが党はすでに不公平な税制を抜本的に是正するため、高額所得者への課税の強化、土地の再評価税引当金準備金の見直しを初め、早急に措置すべき提案を行ってまいりましたが、政府は、財政再建に名をかりて、不公平税制をそのままにして、一般消費税の導入を初め、国民に犠牲と高負担を押しつける道をとるのか、わが党が提示しているように、抜本的な税財政改革の道をとるのか、今後の税制への態度について明らかにしていただきたいのであります。  第四に伺いたいのは、国債管理運営政策、特に、いかにしてインフレを防止するかであります。  現在予定されているような膨大な国債を、従来のような御刑金思想市中金融機関に押しつけることはもはやできないことであります。従来のような方法では、市中金融機関新規預金のほとんどが公共債消化に充てられることになり、クラウディングアウトの危険性は潜在的なものから現実のものとなる可能性をはらむでありましょう。さらに、市中機関における莫大な国債の累積が爆発して、売却要求日銀買い支え事態になれば重大な通貨インフレを招くでありましょう。いまや、インフレという火山大爆発の火種を抱えているのであります。  このような中で、発行条件弾力化多様化公社債市場の育成、金利自由化など、今後の国債管理政策をどう考えているのか。特に、マネーサプライ目標値を明らかにするなどの具体的対策を初め、インフレを防止する確固たる対策について、大蔵大臣から明らかにしていただきたいのであります。  第五に、財政構造抜本的改革のための措置について伺います。  国の財政危機を打開するためにも、国と地方との財政関係改革することは必須の要件であります。現在の制度では、財源権限中央に集中している反面、地方自主性責任が大きく損なわれております。国から地方権限税財源を大胆に移譲することによって初めて国の財政も余裕を取り戻し、地方財政自主性回復することになるのであります。分権と自治を拡大する方向での国と地方財政関係改革を、いまこそ断行しなければならないと思うのでありますが、いかがでしょうか。  さらに、軍事費大幅削減を初めとする財政支出の思い切った洗い直し、各種補助金制度整理不急不要部門整理による行政改革や、強い批判を受けている公団、特殊法人整理などを断行して、今日の時代国民的要求に合った行政民主的改革を進めることが必要であると思いますが、いかがでしょうか。大蔵大臣行政管理庁長官から答弁を願います。  最後に、専売納付金納付特例について伺いたいのであります。  私は、今日の財政危機の打開のためには、こそく一時しのぎの手段では効果はないと思います。今回のこの特例のような一時しのぎではなく、財政再建の骨組みを大胆につくり上げるべきであることを指摘しておきたいと思います。同時に、この特例によって専売公社の今後の運営に問題はないのか、また、たばこの値上げや労働者労働条件の改悪につながることはないのか、明らかにしていただきたいと思います。  いまや、日本財政は重大な転換が求められております。このまま坂道を転がり落ちるように先の見通しのない借金を積み重ねるならば、後年に過酷な負担を残すだけでなく、救いようのない破綻に陥ることは明らかであります。そして福田総理、あなたは日本財政を破局に陥れた責任者として、その名を残すことになるでありましょう。  いまこそ大胆な再建の方策を立てるときであることを強く指摘し、以上の質問について明確に答えられるよう要望して、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣福田赳夫登壇
  15. 福田赳夫

    内閣総理大臣福田赳夫君) お答え申し上げます。  財政が非常にむずかしいことになってしまったが、さてその再建をどうするんだ、こういうお話でございますが、これは財政背景にはどうしても経済があるのです。経済再建されませんと、財政再建はできません。私は、何よりもまず経済再建しなければならぬ、そういう考え方であり、経済再建考える場合におきまして、さてどうするかということになると、もう輸出は余り期待することができないでしょう。また、設備過剰、これは今日の経済不況の実態である、そういうことから思いまするときに、製造業設備投資が期待される、そういう状態ではありません。そうすると、どうしても財政、これに期待をかけなければならぬという状態であります。財政は、さなきだに非常に苦しい状態でありまするけれども、さて財政背景であり、財政基盤である経済が、財政が発動しなければ立ち行かぬということになれば、そこで財政も思い切った施策をとらなければならぬ、このように考えまして、臨時異例措置でありまするけれども、実質公債依存度三七%というような思い切った措置をとったわけであります。  さて、そうなりますと、これからの財政をどうしていくのだ、特に公債をどうしていくのだということでございますが、これは五十三年度予算におきまして、考え方といたしましては、予算経常勘定投資勘定に分けたのです。投資勘定につきましては、これは当分国債にその財源を依存しなければならぬと思います。しかし、この経常勘定につきましては、なるべく早く赤字依存体制から脱却をしたい、このように考えておるのでありまして、もちろんこれから毎年毎年の公債発行額、それは厳正に査定はいたしまするけれども、しかし一応形式的な歯どめがあった方がいいだろう、こういうふうに思いまして——五十三年度における経常勘定国債依存度が二四%になるのです。この二四%というものを手がかりといたしまして、だんだんこれを下げていく、こういう考え方をとり、なるべく早期に、いわゆる赤字公債というものはこれはないものにしたい、このように考えておるのでありますが、その間におきましても、いま御指摘もありましたけれども、公債管理政策、これは非常に大聖だと思うのです。  その公債管理政策の第一は、何といっても公債発行額を減らすことです。減らすためにはどうするかというと、やはり高度成長が終わったものですから、財源収入の方はそう思わしく入ってこないのです。ところが、国の歳出の方は高度成長体制でやっていっておる、こういうわけでありまするから、歳出の面におきまして皆さまの御協力を得て、これはかなり思い切った施策をする必要がある、このように思います。同時に、それでも私は財源は足らぬだろうと思う。増税問題につきましても真剣に御検討のほどをお願いいたしたいと思うのであります。  それから次に、今年度補正予算を組んでまた国債増発するのかというようなお話でございますが、いま本予算の方は参議院で審議中である、そういう段階において、この予算は後にいって補正するのですというような考え方は、これはとり得ざるところであり、私は、補正予算ということは今日全然考えておらぬということをお答え申し上げます。(拍手)     〔国務大臣村山達雄登壇
  16. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) お答え申し上げます。  単なる収支試算でなくて中期財政計画を出せ、こういうお話でございます。  非常にむずかしい問題でございますが、政府におきましては財政審中心として鋭意勉強いたしまして、できるだけ早い機会に御希望に沿いたいと思います。  また、一般的増税が必要なときに、不公平税制あるいは一般消費税をどういうふうに考えるかということでございます。  増税の前に不公平税制について片をつけなければならぬという点については、全く同感でございます。  一般消費税の問題、これは政府税制調査会で、将来負担を求めるとすれば所得税かあるいは一般消費税かどちらかによらざるを得ないであろうということから、この問題を今後検討し、具体案をつくって国民にお示しし、そして国民のいろいろな論議を踏まえた上で実施に移したい、かように考えているわけでございます。  国債管理計画重要性については言うまでもございません。弾力化多様化流動化、特に個人消化重要性については、われわれいま着々やっているわけでございまして、伊藤議員の御指摘のとおりに今後とも一生懸命やりたいと思っております。  マネーサプライ目標値の話でございますが、目標値というものはあらかじめ決めるということではなくて、そのときどきの必要に応じて管理していく方が実際的ではないであろうか、私はこんなふうに考えております。  それから、国、地方税財政抜本的改正、これは確かに大きな問題でございますが、現在は、非常に変動している経済基盤にいたしまして、国と地方が両方とも非常に財源難でございます。経済が安定した時期を見計らってこの問題に手をつけるべきではないかと考えております。  最後に、専売の特別の納付金、これで納めさせて大丈夫かというお話でございます。大丈夫のようにすべて資金手当てをしておりますので、この納付金によりまして公社運営が困ることはないと考えております。  以上でございます。(拍手)     〔国務大臣宮澤喜一登壇
  17. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 政府が新たな中期計画を策定すべきではないかという御指摘でございました。  ただいま、政府昭和五十年代の前期計画を持っておりまして、この中で目標年次に達成すべき雇用、物価社会保障財政国際収支等々の目標を掲げておりますが、五十一年、五十二年におきまして想定されましたコースを、経済運営がかなり離れたことは御承知のとおりでございます。したがいまして、先般、試算をいたしてみました。それによりますと、五十三年度に七%程度経済成長をすることによってなおこの目標の達成は可能であるということが試算の結果出てまいりましたので、当面といたしましては、五十三年度経済運営全力を尽くしたいと考えております。  ただいまの内外経済情勢がこのように不確定要素が多うございまして、新たな中期計画をつくりますのに適当な情勢かどうかということもいろいろ問題があろうと存じます。したがいまして、御指摘につきましては、しかるべき時期を待ちまして考えたいと存じております。(拍手)     〔国務大臣荒舩清十郎登壇
  18. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) 御質問のように、目下非常に経済の容易ならざるときでございます。したがいまして、行政のコストダウンをしなければならない、それから税金のむだ遣いをしないようにしなければならない、こういうことで、昨年末の閣議で、過去十数年間にないところの広範囲な行政改革案をつくったわけでございます。  その内容について、簡単に申し上げます。  農林省を農林水産省に改組するということ、なお中央省庁の課を二年間のうちに五十一削減をするということを決定いたしました。なお、地方出先機関のうち支所、出張所等約千カ所を整理することに決定いたしたわけでございます。  なお、国家公務員につきましては、昨年度昭和五十二年度から計画しておりまして、四年間のうちに二万八千人を削減することを決定いたしました。なお、定年制の導入を決定したわけでございます。  なお、いろいろ議論があります特殊法人につきましては、新たに十四法人を対象に整理合理化いたします。現在は、合わせますと二十一法人を整理するということになるわけでございます。なお、特殊法人の退職金が非常な高額である、高い、こういう非難が大変ありますので、これは二割削減をするということを決定いたしました。  なお、審議会につきましては、四十八の審議会を整理統合することに決定をいたしました。  なお、補助金につきまして、千四百二十二億に上る大幅の整理をすることを決定いたしました。  なお、許可、認可等の事務の整理合理化を、千二百四十の事項について廃止あるいは規制の緩和をすることに決定をしたわけでございます。  以上のようでございまして、これで十分とは思いません。満足するとも思っておりませんが、なお御激励を得まして、ひとつこれらについての法案を提出いたしますから、どうぞひとつ御賛成を願うようにお願いをいたします。  いろいろ考えておりまして、行政改革をするということは非常に重要な問題であります。しかし、議員各位、総論では皆さんが全部賛成なんです。これをやれ、あれをやれという総論ではどなたも異議がございません。しかし、各論に入りますと、おれの方のこういう役所を切っちゃ困る、おれの方を縮小しちゃ困る、こういう御意見が多いのでございます。  したがいまして、そういうようなことを踏まえまして、一生懸命ひとつ税金のむだ遣いのないような行政改革をしていきたいと思います。ありがとうございました。(拍手)     —————————————
  19. 保利茂

    議長保利茂君) 吉浦忠治君。     〔吉浦忠治君登壇
  20. 吉浦忠治

    ○吉浦忠治君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま提案されました昭和五十三年度における財政処理のための公債発行及び専売納付金納付特例に関する法律案について、総理並びに大蔵大臣に対し質問を行うものであります。  そもそも、本法案は、通称財政特例法と呼ばれているように、均衡財政をたてまえとしているわが国財政運営から見るならば、きわめて異例の法案であります。  しかし、この特例措置昭和五十年度より五十三年度で四年間連続して行われることになり、それによる赤字国債発行額も五十年度二兆二千九百億円、五十一年度三兆六千五百億円、五十二年度四兆九千五百七十億円、五十三年度四兆九千三百五十億円と年々増加の一途をたどっております。また、大蔵省が国会に提出した財政収支試算によれば、この赤字国債発行は早くても五十七年度まで避けられないものとなっております。もはや特例が恒常化した異常な状態としか言えないものであります。しかも、こうした赤字国債にのまれた財政運営が、財政の硬直化はもとより、後世代における税負担の大幅増、インフレ要因、民間資金需要の圧迫など、国民の生活や経済活動に対し多大な影響を及ぼすことは明らかであります。  以上の観点から、私は最初に総理にお伺いいたします。  わが国財政が今日このような状態に立ち至った原因は数多くありますが、中でも政府財政経済運営の失敗こそその最たるものであり、政府責任は重大であると考えますが、この点について、総理の明確な答弁をお聞かせ願いたいと思います。(拍手)  次に、仮に赤字国債発行が避けられない状態であったとしても、その発行の前提として、政府はあらゆる政策の努力を行うべきであります。  その具体的な方法としては、行政改革、経費の節約、不公平税制の是正はもとより、公社債市場の育成等いわゆる国債管理政策整備などであります。しかるに、当然とらるべきこれらの政策制度改革が赤字国債発行後三年を過ぎた現在でもなお遅々として進んでおりません。  しかも、こうしたものについては、われわれが要求するばかりでなく、政府部内でも具体的な検討や意見具申がなされているにもかかわらず、日の目を見ていないのであります。  行政改革は、昨年の二月に総理自身が思い切ってこれを行うとの約束をされながら、結果としては竜頭蛇尾に終わっているのであります。  不公平税制の是正についても、総理の諮問機関である政府税制調査会が、昨年の十月に、いわゆる中期税制答申の中で、国民一般的な増税を求める前に不公平税制の是正が優先すべきであるとしていたものの、政府は糊塗的な是正にとどめ、その一方で所得減税の見送りなど大衆課税の強化を図ろうとしているのであります。  また、財政制度審議会からは、昨年七月、中期的な展望に立って、歳出の節減、合理化、制度の改善等に着手することが要望されており、証券取引審議基本問題委員会からは、昨年の十月に、国民経済的視点から望ましい公社債市場のあり方について、発行条件弾力化、競争的決定、流通市場の拡大と深化、投資家保護などが必要であると報告されているのであります。しかしながら、その実現が期待されていながら、いずれも五十三年度に具体化されないばかりか、次年度以降の方途についても明確に示されていないのであります。  したがいまして、私は、国債発行にかかわる前提の基本問題として、行政改革不公平税制の是正、さらにいわゆる国債管理政策などについて、総理はどのように取り組み、対処されるのか、その具体策をお答え願いたいのであります。(拍手)  次に、大蔵大臣にお伺いいたします。  まず第一は、財政健全化についてであります。  大蔵省の財政収支試算によれば、赤字国債発行を五十七年度にゼロとすることにめどを置かれているようであります。この試算それ自体の問題点指摘はこの際おくとして、収支試算では、いずれのケースでも財政法の四条国債、いわゆる建設国債は五十七年度に至っても十兆七千億円以上も発行することになっております。  この建設国債については、将来に実物資産が残るからよいのではないかという考え方でしょうが、建設国債であってもその累積は、財政経済国民生活にとって多くの問題を含むものであります。  たとえばその第一は、国債の利払いや償還等に要する国債費であります。国債費が加速度的に増大することによって財政の伸縮性が失われ、また、国債費のうち利払い分は納税者から国債保有者への所得の移転となるなど、所得の分配にも影響してくるからであります。第二は、後世代に実物資産が残るといっても、後世代はその計画に参加できず、常に受け身にならざるを得ないし、制約すら受けかねないのであります。第三は、現在のような金融市場である限り、インフレや民間の資金需要を圧迫することになるわけであります。  以上の観点から見てまいりますと、単に赤字国債発行をゼロにすれば、建設国債財政運営の根雪として残ってもよいのではないか、こういう安易な考えは許されないことになります。したがって、建設国債についても財政健全化の一つとして検討を加え、一定の枠をはめることなどの対策が必要だと考えますが、大蔵大臣の答弁を願うものであります。  第二は、先ほど総理質問いたしましたが、証券取引審議会が諮問している「望ましい公社債市場の在り方に関する報告書」についてであります。  その第一点は、この報告書指摘する内容が、最近の公社債市場の活発化や大量の公債発行状況から見て、いずれも検討に値し、国債発行の歯どめとして早急にその実現を図るべきであると考えますが、大蔵大臣はこの具体化についてどのように考えておられるか、お答え願いたいのであります。  第二点は、同委員会は特に、国債発行についても、円滑な消化を図るために、従来のようなシンジケート団の一括引き受けも限界があり、市場の需給実勢に基づく発行条件弾力化、投資家の資産選択上のニーズに応じた国債多様化、現在のような金融緩和期こそ国債流動化を図る好機であり、金融機関保有分は市場で売買しないなどの制約を取り除き流通の促進などを提言しておりますが、これらについて大蔵大臣はどう対処されるのか、明確な答弁をお願いするものであります。  最後に、専売納付金納付特例について、国民はこうした特例措置が翌年度以降のたばこ価格の値上げに連動されるのではないかと懸念しております。たばこの値上げは行わないという確約を要望しますが、大臣の所見を伺うものであります。  以上をもちまして私の質問を終了いたしますが、どうか具体的な答弁をお願いいたします。(拍手)     〔内閣総理大臣福田赳夫登壇
  21. 福田赳夫

    内閣総理大臣福田赳夫君) お答え申し上げます。  今日の異常な経済財政状態、これをこのようなことにしたのは福田内閣責任ではないか、そのようなお話でありますが、私はそういう認識は持っておりません。  とにかくいま、五年前の石油ショックで世界じゅうが大変な混乱状態なんです。その中でわが日本は、申し上げるまでもございませんけれども、石油エネルギーにエネルギー源をうんと依存しておる。しかもその石油エネルギーの石油、これは九九・七%を海外から輸入する。その値段が一挙に四倍、五倍になったのでありまするから、日本経済の受ける打撃、影響というものは、これはもう他のいずれの国よりも深刻、重大であったわけであります。しかし、その後の状態は一体どうかというと、初年度、四十九年、あれは国際収支が百三十億ドルの大赤字であります。経済成長は初めてマイナスであります。物価は狂乱状態であります。そういう状態でありましたが、もうそれらがほとんど解決されまして、そして国際収支のごときは黒字黒字で、黒字過剰を国際社会からとがめられているという状態じゃありませんか。経済成長は、とにかく五十二年度、一九七七年、各国ともそうはかばかしくありません。その中で五・三%成長を実現する、こういう状態じゃありませんか。あるいは物価はどうだというと、とにかく卸売物価は前年度に比べましてマイナスになっている、消費者物価も年間上昇率が四・五%だというのですよ。そういう状態まで来ておるわけでありまして、この状態を見まして、世界の各国は、戦後日本における第二の奇跡である、こういうふうに言っておりますが、私はそう日本経済が悪い状態であるとは考えません。  ただ、財政立場から見ますると、とにかく三七%公債に依存をするという一般会計の状態、これは私は異常だと思うのです。しかし、とにかく国のかなめは何と言っても、財政の問題もありまするけれども、その前に経済をよくしなければならぬ。経済をよくしようとすれば、輸出に頼るわけにはいかぬ、設備投資に頼るわけにはいかぬ、といえば、財政が出動する以外に道はないのであります。  そこで、臨時異例措置といたしましてこのような措置をとったわけでありますが、今後におきましては、まず何といたしましても経済を早く正常に戻す。そしてその上に立ちまして自然増収に期待する。また、歳出の面におきましては、経済情勢高度成長時代から安定成長時代へ移ったというにかかわらず、いまなお高度成長体制でありまするから、これを時代転換に対応するようにつづめていかなければならぬ、こういうふうな問題があります。  さらに、それだけの努力をいたしましても、やはり国民負担、これの増高ということは避けられないんじゃないか。いわゆる増税問題につきましても、いつするか、いつどういう形にするかは別といたしまして、これから先々、皆さんにおかれましても御検討を願いたいところである、このように考える次第であります。  いずれにいたしましても、当面相当多額の公債発行する。その発行する中におきましても、先々のめどを立てなければいかぬ。そのめどというのは何だといいますると、いま財政経常勘定と資本勘定に分けましたが、資本勘定の方は当分は公債で支弁をする、しかし、経常勘定の方はなるべく早く公債依存体制を脱却する、こういうふうにいたしたいと存じ、なお、五十三年度における経常勘定における公債依存率、これが実質二四%であります。この二四%というものを踏んまえまして、これを毎年毎年低くしていくという方針を堅持することによりまして、なるべく早い時期における赤字公債依存体制の脱却を実現いたしたい、そのように考えます。  それから第二に、赤字国債発行問題と並行いたしまして行政改革の問題の御指摘がありました。これは全く同感でありまして、私も何とかいたしたいと思いますが、ひとつ何とぞ御協力のほどをお願い申し上げたいので彫ります。  それから、租税特別措置につきましては、これは大蔵大臣が先ほどもお答え申し上げましたが、これも鋭意特別措置整理に取り組んでおる次第でございます。  それから、国債管理政策、これを強力にやっていけということでありますが、この国債管理政策はいよいよ重大になりますが、何よりもまず国債発行額を規制する、こういうことを考える必要があるのです。それは、先ほど申し上げたとおりの考え方でやっていきたい。  そのほか、個人消化の促進でありますとか、発行条件弾力化でありますとか、国債の種類の多様化でありますとか、公社債市場の拡大、安定化、これらの問題にも積極的に今後とも取り組んでまいりたい、かように存じます。(拍手)     〔国務大臣村山達雄登壇
  22. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 建設国債といえどもやはり元利償還を要する、だから歯どめが必要ではないかということでございます。  この前お示ししました財政収支試算は、経済計画との整合性の観点から試算をお示ししたものでございまして、あのとおりやるというものではございません。できるだけやはり、建設国債といえども元利償還を要するわけでございますから、なるべくならば普通歳入で賄いたいのでございます。しかし、同時に、これは民間の資金需要との関係がございまして、民間の資金需要が旺盛になりますと、建設国債の方にはおのずからなる歯どめがかかるという点も御留意願いたいと思うのでございます。いずれにいたしましても、野方図でいいということではございません。  それから、証券審の報告書についてお触れになりました。あれは非常に理論的にできておりまして、われわれはあの方向が直ちに実現できるとは思いませんけれども、あの方向に向かいまして、先ほど総理からお答え申しましたように、流動化多様化、あるいは弾力化個人消化の促進あるいは市場機構の整備を通じまして、公社債市場の拡大に努めておることは、吉浦議員御承知のとおりでございます。今後といえどもこの線に沿って努力をしてまいりたいと思っておるところでございます。  それから、専売納付金を今度取るが、来年たばこの値上げはしないと確約してくれ、こういうお話でございますが、現在のような財政事情でございますので、残念ながら、来年のことをこの場で確約はできないことは遺憾に存じているものでございます。(拍手)     —————————————
  23. 保利茂

    議長保利茂君) 藤原ひろ子君。     〔藤原ひろ子君登壇
  24. 藤原ひろ子

    ○藤原ひろ子君 私は、日本共産党・革新共同を代表し、ただいま議題となっておりますいわゆる財政特例法案につきまして質問をいたします。  深刻な財政危機のもとで組まれた昭和五十三年度政府予算は三十四兆二千九百五十億円、これは、一般会計予算の三二%、実質三七・八%に上る十兆九千八百五十億円を国の借金である公債収入に依存し、財政の破綻に一層拍車をかけるものにほかなりません。しかも、五十三年度末には四十三兆円を超える未償還国債を残し、今後もなお大量の国債への依存を続けなければならないのであります。  顧みますと、自民党政府は、四十年度補正予算での公債発行以来、好況期の財政にゆとりがあった時期にも公債に依存をし、放漫な財政運営を取り続けました。これは、七〇年代初期からベトナム侵略戦争に巨額軍事費を投入していたアメリカをも上回る異常なありさまでありました。そして、その大量の国債財源として予算を大膨張させ、新全総、列島改造など大企業本位の公共事業を推進してきたのであります。  戦後、わが国国債を導入された当の福田総理並びに大蔵大臣、このような財政危機を招いた責任、さらには、償還のめどもなく国債発行を続け、昭和六十年度以降には年々実に十数兆円の元利償還のための支出を余儀なくされる破局的事態を準備している責任を、あなた方は一体どう考えておられるのですか。  さらに、総理は、昨年十月十二日の本院予算委員会で、「公債依存度三〇%という状態を放置することは、社会経済の崩壊につながる」とみずから答弁なさったではありませんか。もうお忘れになったのですか。あれからわずか一カ月の後に編成された予算案は、全く反対の内容となっております。この違いは一体どこから起こってくるのか。総理、あなたのさきの発言は間違いだったのですか。国民によくよくわかるように御説明ください。  第二に、国債発行の歯どめについてお尋ねをいたします。  政府は、今回、みずから定めた依存度三〇%の危機ラインをあっさり放棄し、新たに特例公債依存度一八・四%をもって今後の歯どめにするとしております。しかし、五十三年度予算案でも、新規発行国債のうち過半数を占める六兆五百億円はいわゆる建設国債であり、この発行につきましても節度を保たなければならないことは当然のことでございます。  あなた方は、建設国債発行の歯どめ、さらには国債全体の歯どめをどのように考えていらっしゃるのか。建設国債であれば、対象公共事業のある限りどれだけ発行しても構わないと考えておられるのか。総理並びに大蔵大臣の明確な御答弁をお願いいたします。  第三に、福祉予算や文教予算など、国民向け支出が切り下げられるおそれはないのかという問題です。  財政役割りは、国民へのサービスなど、所得の再配分機能と景気調整の機能があるわけですが、五十三年度予算は、「景気はかり」に重点を置き、所得再配分機能は全く忘れ去られております。  そればかりか、今回発表された財政収支試算を見ましても、支出を投資部門と経常部門に二分し、福祉など国民向け支出が大勢を占める経常部門の圧縮を図ろうとしております。  現に、福祉を示す振替支出の伸び率は、昨年出されました試算の一六・六%を下回り、最高でも一五・七%、最低は三・五%に抑えられております。ところが一方、投資はすべてのケースにおいて一六・七%が確保されております。これでは、福祉の圧縮を心配するのが当然ではありませんか。総理並びに厚生大臣、大蔵大臣、これで経費の二分化をてこに、福祉や教育など国民向け支出は圧迫しない、切り下げるおそれはないと確約をしていただけますか。  第四には、インフレ増税の問題です。  政府は、国債を大量に発行しても、市中消化されているからインフレにはならないと主張しております。しかし、公共事業の膨張による地価や資材の高騰はもうすでに動き始めているではありませんか。その上、十数年来の国債大量累積を背景とした日本銀行の国債買いオペレーションで国民総生産の伸びを上回る通貨の供給が行われているのであります。日銀の過大な国債買いオペを厳しく規制するなどして、インフレを促進するような通貨金融政策はとらないと、ここでかたくお約束を願いたいと思います。総理並びに大蔵大臣の決意のほどをお示しを願います。  増税の問題について大蔵大臣は、租税の一般的な引き上げは避けられないと述べ、国民向け増税の意図を露骨に示しておられます。しかし、税金と社会保険料負担の合計額に対する社会保険の支出額の割合は、昭和四十九年度でフランスでは三九・五%、西ドイツでは四四・七%などに比べまして日本はわずかに二九・五%にすぎません。また、夫婦と子供二人の給与所得者の課税最低限は、昭和四十六年から五十一年の間にアメリカでは実質で一・一六倍の引き上げでありますが、わが国は一・〇二%とほとんど同水準にとどまっております。それにもかかわらず国民への大増税を当然のこととする政府態度は、きわめて不当なものと言わざるを得ません。  大蔵大臣、あなたは増税をどの税目で行うつもりですか。一般消費税の導入はどうするつもりなのですか。明らかにしていただきたい。  さらに、金融市場に与える影響の問題であります。  五十三年度は、国債十一兆円に加え、政府保証債、地方債など、公共債発行の予定総額は実に二十兆円を超える大規模なものとなり、年度発行残高は百兆円にもなると見込まれております。この大量の公共債の市中消化が容易ならぬものであることは火を見るよりも明らかであります。特に、地方自治体の発行する縁故債は、金利が下がっている現在でも九%を超える不当な高金利を余儀なくされているのです。これこそ次には国債の姿となることは明らかです。現に、十年もの利付国債の金利六・六八三%は都市銀行の本年一月の貸出約定平均金利六・二九五%をはるかに上回っており、まさしく銀行にとってもうけになる国債となっているのであります。そればかりではありません。七%成長実現に向けて一たび民間の資金需要が動き出したときには、消化不可能という事態を招くか、あるいは民間資金需要を圧迫し、景気回復を妨げるものとなることさえ考えられるのであります。  そこでお尋ねをいたしますが、国債はもちろんのこと、公共債の円滑な消化は保障できるのかどうか、特に、地方の縁故債の消化については、政府としても責任を持ち、高金利など無理な条件とならないよう指導や援助をするのかどうか、ここで明らかにしていただきたいのであります。  それにしましても、今後の国債の元利償還が、国民はもちろん、わが国財政経済にとって大きな負担となることははっきりいたしております。政府財政経済運営のもとでふくれ上がった国債残高を、政府は一体何によって償還するつもりなのですか。増税か、国民向け支出の圧縮か、それともインフレの促進か、総理並びに大蔵大臣の御所見を伺います。  最後に、今回の予算案では、当然手をつけるべき大企業や大資産家への優遇税制の是正、あるいは不要不急の経費の節減は、きわめて不十分にしか行われておりません。これこそ行政責任をないがしろにする自民党政府の姿そのものであります。(拍手)いまからでも決して遅くはありません。大企業、大資産家向けの優遇税制の是正、不要不急の経費の節減を追加し、財政健全化への一歩を踏み出す決意があるのかどうか、総理並びに大蔵大臣の明確な答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣福田赳夫登壇
  25. 福田赳夫

    内閣総理大臣福田赳夫君) 今日の財政経済状態を招いたその責任は福田内閣にあるのではないか、こういうような御質問でございますが、私も神様ではありませんから、いろいろ間違いもあります。ありまするけれども、大筋におきまして、私は、国の経済財政のかじ取りにおいて過ちをしたとは思いません。(拍手)  先ほども申し上げましたとおり、いまはもう地球が揺らいでおるのですよ。その上で各国がいろいろ努力をしておる、苦心をしておる。その中ではわが日本が最もいい部類に属するということ、これを重ねて強調しておきたいのであります。(拍手)  しかし、財政が非常に困難な状態になったということを踏まえまして、財政再建には鋭意努力をいたします。つまり、歳出面の抑制ですね、それから歳入面におきましては、何といっても景気政策景気がよくならなければ、これは自然増収が出てまいりません、そういうこと。それからさらに、場合によりましては新税を御検討願わなければならぬだろうか、このように考えておるのであります。  次に、公債依存度三〇%という状態に対しまして、私は昨年、そういう状態は、これは日本社会の秩序を混乱、転覆する、それくらい深刻な問題だ、こういうことを強調してきたのです。なぜかと言いますと、大方というか、かなり多数の人々の間に、どんどんどんどん公債を出してこの際景気をよくしなさいという声があって、節度ある公債発行というにおいがしないのです。そういう言動に対しまして、私は、それは大変なことなんですよ、これは経済が大事だけれども、財政、これも非常に大事な問題であって、ここから狂いが来ますと、経済、社会、みんな非常に大混乱になる、そういうことを力説したわけでありますが、先ほど来るる申し上げておりまするとおり、いまとにかく財政が出動しなければ、これは景気回復はできません。そういうことを考えますと、これは、財政が残って日本社会が滅びたのでは困るのですから、そこで財政臨時異例の処置をとって、ああいうことにいたしたわけでございます。  それから、建設公債の歯どめを一体どうするのだというお話でございますが、これは、財政法第四条という歯どめがあるわけでございます。これは御承知のとおりでありますが、しかし、だからといって、私どもは建設公債、つまり投資的経費の対象としての財源であれば幾ら公債を出してもいいのだというふうには考えておりません。これもまず急ぐのはいわゆる赤字公債でありまするけれども、その後におきましては建設公債発行枠の漸減を図ってまいりたい、このように考えております。  それから、今度五十三年度予算で経費を二分してその財源考えるというきわめて近代的な考え方を打ち出したわけなんです。それを何か反対みたいなことをおっしゃいますが、これは私は理解はできません。何かの誤解があるんではあるまいか、そのように思うわけでありますが、いずれにいたしましても、そういう考え方をとりましても、福祉だとか文教だとか、そういう方面につきましては格段の配慮をするということははっきり申し上げさせていただきます。  それから、日銀の買いオペが乱に流れては困るじゃないかというお話でございますけれども、これはそんな乱に流れるようなことは考えておりません。いま、ごらんなさい、もう日本銀行券の発行は非常に鎮静しておるのです。お調べ願いますると、びっくりするような状態であるということを申し上げさせていただきます。  それから、ふくれ上がった公債、これを何によって償還するんだというお話でございますが、これは国庫に余裕をつくって償還するのです。その余裕はどうやってつくるかというと、歳出を抑えるという方法、それから景気をよくして財源を、自然増収を多額に徴収できるような状態にするということ、それから場合によりましては新税を御審議願わなければならぬかとも考えますが、それらの方法によって国庫余裕金をもって国債を償還をいたしたい、このように考えておるわけであります。  それから、いわゆる不公正税制の是正問題、それから不要不急の歳出の節減問題、御言及がありましたが、これは先ほどお答え申し上げたとおりでございます。(拍手)     〔国務大臣村山達雄登壇
  26. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 財政収支試算で、一般的増税負担増が避けられないという姿を試算としてお示ししたところでございますが、藤原さんから、それは一体どの税目でどのようにやるのかということでございます。  その問題につきましては、今後、経済の推移等考えまして、具体的に検討してまいりたいと思っております。ただ、政府税制調査会では、やはり一番大きな税目としては所得税かあるいは一般消費税によるべきではないか、日本の租税体系から考え所得税が大体先進国の二分の一、消費税が三分の一という現況から考えてその辺ではないであろうか、こういう指摘があるわけでございますから、その辺が検討の中心問題になろうかと思うのでございます。  それから、公共債が大量に出ておる、二十兆三千億も出ておるが大丈夫か、こういうお話でございますが、これは、現在の資金の需給状況から見て、大丈夫でございます。  特に地方縁故債はどうか、こういう話でございますが、地方縁故債は、ことしの追加予算、補正後の額よりも減らしております。それから、金利は、いま史上最低に下がっておるわけでございます。われわれは、しかし、この消化につきましては大きな関心を示しておるところでございまして、銀行局で十分指導してまいらしたいと思っておりますので、この消化については御心配要らないと存じます。  以上でございます。(拍手)     〔国務大臣小沢辰男君登壇
  27. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 国民の福祉を守る厚生大臣といたしましては、これからも福祉の後退は許さずとのかたい決意で努力をいたします。(拍手
  28. 保利茂

    議長保利茂君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  29. 保利茂

    議長保利茂君) 本日は、これにて散会いたします。     午後一時二十分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  福田 赳夫君         大 蔵 大 臣 村山 達雄君         厚 生 大 臣 小沢 辰男君         国 務 大 臣 荒舩清十郎君         国 務 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         大蔵大臣官房日         本専売公社監理         官       大槻 章雄君         大蔵省主計局次         長       山口 光秀君      ————◇—————