○藤原ひろ子君 私は、
日本共産党・革新共同を代表し、ただいま
議題となっておりますいわゆる
財政特例法案につきまして
質問をいたします。
深刻な
財政危機のもとで組まれた
昭和五十三
年度政府予算は三十四兆二千九百五十億円、これは、
一般会計
予算の三二%、実質三七・八%に上る十兆九千八百五十億円を国の
借金である
公債金
収入に依存し、
財政の破綻に一層拍車をかけるものにほかなりません。しかも、五十三
年度末には四十三兆円を超える未償還
国債を残し、今後もなお大量の
国債への依存を続けなければならないのであります。
顧みますと、
自民党政府は、四十
年度補正予算での
公債発行以来、好況期の
財政にゆとりがあった時期にも
公債に依存をし、放漫な
財政運営を取り続けました。これは、七〇年代初期からベトナム侵略戦争に
巨額の
軍事費を投入していたアメリカをも上回る異常なありさまでありました。そして、その大量の
国債を
財源として
予算を大膨張させ、新全総、列島改造など大企業本位の公共事業を推進してきたのであります。
戦後、
わが国に
国債を導入された当の
福田総理並びに
大蔵大臣、このような
財政危機を招いた
責任、さらには、償還のめどもなく
国債発行を続け、
昭和六十
年度以降には年々実に十数兆円の元利償還のための支出を余儀なくされる破局的
事態を準備している
責任を、あなた方は一体どう
考えておられるのですか。
さらに、
総理は、昨年十月十二日の本院
予算委員会で、「
公債依存度三〇%という
状態を放置することは、社会
経済の崩壊につながる」とみずから答弁なさったではありませんか。もうお忘れになったのですか。あれからわずか一カ月の後に編成された
予算案は、全く反対の内容となっております。この違いは一体どこから起こってくるのか。
総理、あなたのさきの発言は間違いだったのですか。
国民によくよくわかるように御
説明ください。
第二に、
国債発行の歯どめについてお尋ねをいたします。
政府は、今回、みずから定めた依存度三〇%の
危機ラインをあっさり放棄し、新たに
特例公債依存度一八・四%をもって今後の歯どめにするとしております。しかし、五十三
年度予算案でも、新規
発行国債のうち過半数を占める六兆五百億円はいわゆる建設
国債であり、この
発行につきましても節度を保たなければならないことは当然のことでございます。
あなた方は、建設
国債の
発行の歯どめ、さらには
国債全体の歯どめをどのように
考えていらっしゃるのか。建設
国債であれば、対象公共事業のある限りどれだけ
発行しても構わないと
考えておられるのか。
総理並びに
大蔵大臣の明確な御答弁をお願いいたします。
第三に、福祉
予算や文教
予算など、
国民向け支出が切り下げられるおそれはないのかという問題です。
財政の
役割りは、
国民へのサービスなど、所得の再配分機能と
景気調整の機能があるわけですが、五十三
年度予算は、「
景気はかり」に重点を置き、所得再配分機能は全く忘れ去られております。
そればかりか、今回発表された
財政収支試算を見ましても、支出を投資部門と経常部門に二分し、福祉など
国民向け支出が大勢を占める経常部門の圧縮を図ろうとしております。
現に、福祉を示す振替支出の伸び率は、昨年出されました
試算の一六・六%を下回り、最高でも一五・七%、最低は三・五%に抑えられております。ところが一方、投資はすべてのケースにおいて一六・七%が確保されております。これでは、福祉の圧縮を心配するのが当然ではありませんか。
総理並びに厚生大臣、
大蔵大臣、これで経費の二分化をてこに、福祉や教育など
国民向け支出は圧迫しない、切り下げるおそれはないと確約をしていただけますか。
第四には、
インフレと
増税の問題です。
政府は、
国債を大量に
発行しても、市中
消化されているから
インフレにはならないと主張しております。しかし、公共事業の膨張による地価や資材の高騰はもうすでに動き始めているではありませんか。その上、十数年来の
国債大量累積を
背景とした
日本銀行の
国債買いオペレーションで
国民総生産の伸びを上回る通貨の供給が行われているのであります。日銀の過大な
国債買いオペを厳しく規制するなどして、
インフレを促進するような通貨金融
政策はとらないと、ここでかたくお約束を願いたいと思います。
総理並びに
大蔵大臣の決意のほどをお示しを願います。
増税の問題について
大蔵大臣は、租税の
一般的な引き上げは避けられないと述べ、
国民向け
増税の意図を露骨に示しておられます。しかし、税金と社会保険料
負担の合計額に対する社会保険の支出額の割合は、
昭和四十九
年度でフランスでは三九・五%、西ドイツでは四四・七%などに比べまして
日本はわずかに二九・五%にすぎません。また、夫婦と子供二人の給与所得者の
課税最低限は、
昭和四十六年から五十一年の間にアメリカでは実質で一・一六倍の引き上げでありますが、
わが国は一・〇二%とほとんど同水準にとどまっております。それにもかかわらず
国民への大
増税を当然のこととする
政府の
態度は、きわめて不当なものと言わざるを得ません。
大蔵大臣、あなたは
増税をどの税目で行うつもりですか。
一般消費税の導入はどうするつもりなのですか。明らかにしていただきたい。
さらに、金融市場に与える影響の問題であります。
五十三
年度は、
国債十一兆円に加え、
政府保証債、
地方債など、
公共債の
発行の予定総額は実に二十兆円を超える大
規模なものとなり、
年度末
発行残高は百兆円にもなると見込まれております。この大量の
公共債の市中
消化が容易ならぬものであることは火を見るよりも明らかであります。特に、
地方自治体の
発行する縁故債は、金利が下がっている現在でも九%を超える不当な高金利を余儀なくされているのです。これこそ次には
国債の姿となることは明らかです。現に、十年もの利付
国債の金利六・六八三%は都市銀行の本年一月の貸出約定平均金利六・二九五%をはるかに上回っており、まさしく銀行にとってもうけになる
国債となっているのであります。そればかりではありません。七%成長実現に向けて一たび民間の資金需要が動き出したときには、
消化不可能という
事態を招くか、あるいは民間資金需要を圧迫し、
景気回復を妨げるものとなることさえ
考えられるのであります。
そこでお尋ねをいたしますが、
国債はもちろんのこと、
公共債の円滑な
消化は保障できるのかどうか、特に、
地方の縁故債の
消化については、
政府としても
責任を持ち、高金利など無理な条件とならないよう指導や援助をするのかどうか、ここで明らかにしていただきたいのであります。
それにしましても、今後の
国債の元利償還が、
国民はもちろん、
わが国の
財政、
経済にとって大きな
負担となることははっきりいたしております。
政府の
財政経済運営のもとでふくれ上がった
国債残高を、
政府は一体何によって償還するつもりなのですか。
増税か、
国民向け支出の圧縮か、それとも
インフレの促進か、
総理並びに
大蔵大臣の御所見を伺います。
最後に、今回の
予算案では、当然手をつけるべき大企業や大資産家への優遇
税制の是正、あるいは不要不急の経費の節減は、きわめて不十分にしか行われておりません。これこそ
行政の
責任をないがしろにする
自民党政府の姿そのものであります。(
拍手)いまからでも決して遅くはありません。大企業、大資産家向けの優遇
税制の是正、不要不急の経費の節減を追加し、
財政健全化への一歩を踏み出す決意があるのかどうか、
総理並びに
大蔵大臣の明確な答弁を求めて、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣福田赳夫君
登壇〕