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1978-08-29 第84回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年八月二十九日(火曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 美濃 政市君    理事 加藤 紘一君 理事 片岡 清一君    理事 平泉  渉君 理事 堀内 光雄君    理事 金子 みつ君 理事 武部  文君    理事 中川 嘉美君 理事 米沢  隆君       鹿野 道彦君    島村 宜伸君       板川 正吾君    鈴木  強君       西宮  弘君    長田 武士君       宮地 正介君    藤原ひろ子君       依田  実君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      宮澤 喜一君  委員外出席者         経済企画庁物価         局長      藤井 直樹君         資源エネルギー         庁長官     天谷 直弘君         資源エネルギー         庁石油部長   神谷 和男君         資源エネルギー         庁公益事業部長 豊島  格君         参  考  人         (電気事業連合         会会長)    平岩 外四君         参  考  人         (石油連盟会         長)      石田 正實君         参  考  人         (日本瓦斯協会         会長)     安西  浩君         特別委員会第二         調査室長    曽根原幸雄君     ――――――――――――― 委員の異動 八月二十九日  辞任         補欠選任   野口 幸一君     板川 正吾君 同日  辞任         補欠選任   板川 正吾君     野口 幸一君     ――――――――――――― 六月十六日  一、物価問題等に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件(円高差益還元問題等)      ――――◇―――――
  2. 美濃政市

    美濃委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  本日は、参考人として日本瓦斯協会会長安西浩君、石油連盟会長石田正實君、電気事業連合会会長平岩外四君に御出席をいただいております。  この際、一言あいさつを申し上げます。  参考人各位には、御多忙のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。  本委員会におきましては、去る四月二十日、本日御出席参考人各位から貴重な御意見をいただき、調査参考にいたしたところでありますが、本日は、特に急激な円高問題がひときわ大きく論じられている折から、円高差益還元問題につきまして再度調査をすることにいたしております。参考人各位にはそれぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  なお、御意見の聴取は質疑応答の形で行いますので、さよう御了承願います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀内光雄君。
  3. 堀内光雄

    堀内委員 私は、円高差益還元の問題について質疑を行ってまいりたいと思います。  本日、非常に御多忙の中を、参考人の諸先生方特に御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。  八月二十四日に政府電気ガス料金円高差益還元という問題について方針を決定いたしましたことから、一挙にこの問題が解決に近づいてまいったように思われるわけでございます。円高差益還元というものは国民的な要望でございます。特に電気ガスというような、公共料金として料金が一定に定められているもの、おまけにこのガス電気料金については流通経路がないというような、そういう特殊性を持っております。こういうものにつきましては、市場のメカニズムというものが作動しないために、円高還元についても非常に国民的な関心が強くなってきているものでございます。当委員会でもしばしばこの円高還元の問題につきまして与野党とも意欲的に取り組んでまいりましただけに、今回の政府の指導といいますか、並びに業界の対応と申しますか、こういうものにより解決に近づいてまいりましたことを心から喜ぶものでございます。  ところで、この政府の決定というものに基づきまして、毎日の新聞あるいはニュースというようなものについて見ておりますと、還元金額というもの、あるいは還元の時期というもの、あるいはその他の方法というものがいろいろ報道されているわけでございますが、未確定の部分が非常に多いと思われますので、その内容についてもひとつ審議を行ってまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。  まず、円高差益還元の額でございますが、これが非常にまちまちに取りざたをされております。  電力を例にとりますと、通産省算出額金額が一番少ない。社会党初め各野党はそれぞれまた数字を出しております。申し上げるならば、通産省の五十三年度の円高差益額は二千六百五十億円である。社会党のそれは四千五百四十一億円、公明党は四千八十四億円というようなまちまちな数字が出ております。さらに、けさほど、こういう経済の問題では非常に権威があると言われております日経新聞の円高差益額というものを出されておりますが、これが四千三百四十億円ということになっているわけでございます。国民は一体このまちまちな数字を見ながら、どの数値が本当に正しいのか、これがまた事態混乱をさしている原因にもなっているというふうに私は思うわけでございます。  そこで、まず通産省の方に承りたいのですが、通産省の出しました円高差益というものの金額、これと野党その他いろいろ出されております数字、これに大きな幅がございますが、この金額の違う理由と申しますか、これはなぜこういうぐあいに大きな差が出てくるようになっているか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  4. 天谷直弘

    天谷説明員 お答え申し上げます。  差益額につきましていろいろ相違があるわけでございます。  まず第一番目に、重油等国内取引にかかわる燃料でございますけれども、これにつきましては為替レート変動に自動的にスライドして低下するものではございませんので、通産省の場合はこれを直接差益ということではカウントいたしておりませんのに対しまして、社会党公明党等、あるいはけさ日経等の記事におきましてはこれを差益として含めているというところが第一点でございます。  それから第二番目には、直接差益計算の仕方でございますが、これは二百九十九円、すなわち料金査定の際の為替レートとそれ以後の為替レート変動円高によって生ずる為替差額、これが社会党等の場合には計上されているわけでございますが、通産省の場合にはこれから差し引きを行っております。何を差し引くかと申しますと、五十二年の一月と七月にOPEC値上げを行っております。この値上げ額を差し引いております。それから、関税率の改定、石油税の新設というようなことがあったわけでございますが、これらも通産省の場合には差し引きを行っております。これは五十年末の料金査定当時におきましては予想しなかったコスト増でございますから、原価には織り込んでいない、そういう新しい要素があらわれたわけでございますからこれは差し引くというのが通産省考え方でございます。  それから第三番目には、為替レートはしょっちゅう変化をいたしているわけでございまして、変化をある平均値でとらえなければいかぬわけでございますけれども、社会党あるいは公明党の場合におきましては、為替レートを通年二百円で計算しておるというふうに、為替レートのとらえ方が違っておるということでございます。  以上が、為替差益計算の仕方に関する主な相違点、細かいところはまだまだたくさんございますが、主な相違点はそういうところでございます。  それから次に、一家庭当たり一体幾ら還元可能であるかという計算の問題でございますけれども、これに関しまして、たとえば社会党の場合には、五十三年度以降の資本費人件費等、諸コスト増加分は考慮に入れていないというところが違うわけでございます。
  5. 堀内光雄

    堀内委員 それではただいまの御説明によりますと、直接差益、要するに外貨建て電力会社購入した原油というようなものについては円レート変更によって差益がはっきりつかまえられるからこれを計算はした。その中で多少の計算の違いはあるが、大体基本的に同じようなものであるということが言える。もう一つは、重油の方は国内業者からの取引の中で入手をしているので、これは為替レート変動するものではないから差益が出てこないというふうにお答えのように受け取りましたけれども、それでよろしゅうございますか。
  6. 天谷直弘

    天谷説明員 差益といいますといろいろな意味がございますので、差益を定義する場合に通産省は、言葉の混乱を避けるために直接差益とはこれこれを言うというぐあいに観念をいたしたわけでございますが、ただ今度は一体料金を幾ら割り引くかとか値下げが可能であるかとか、そういうふうな計算をする場合の原資といたしましては、重油等の値下がりに基づくもの、間接差益と仮に名前をつけるといたしますと、間接差益通産省は排除しているものではございません。
  7. 堀内光雄

    堀内委員 円高利益というもの、差益というものをしっかりつかまえるときには、間接差益の方も通産省としては検討して織り込んでいこうというふうにお答えになったように思われます。  そこで、まず先のドル建てで直接輸入をする、購入をしている分の円高差益というもの、これは通産省数字では五十二年度千二百五十五億円、五十三年度三千百五十億円という数字が出てきて、それから先ほど原油原価の値上がりだとかあるいは関税だとかいうようなものを差し引いて、五十二年度は九百二十五億円、五十三年度は二千六百五十億円という数字を出されておりますが、この金額算出については通産省としては自信を持ってお答えがいただける数字だというふうにとってよろしゅうございますか。
  8. 天谷直弘

    天谷説明員 そのとおりでございます。
  9. 堀内光雄

    堀内委員 いまの問題、直接の円高差益金額という問題が、通産省数字がいまはっきりと明確に確認をされたわけでございますが、これは電気事業連合会の方の会長さんはいかがでございますか。数値についてのお考えをちょっと承りたいと思います。
  10. 平岩外四

    平岩参考人 ただいまの堀内先生の御質問、直接の分についてという意味でございますか。――これはいま鋭意計算をいたしております。大体通産省数字に近いと思いますけれども、集計では二千五百億程度ぐらいではないかと考えております。これは現在詰めております。
  11. 堀内光雄

    堀内委員 このドル建て円高差益、この金額は、大体いまの業界の場合でも、通産省の場合でも、あるいは野党数字の場合でも、基本的にはそう数字の違いはないように感じられるわけでありますが、片方間接差益の方についてそれぞれの算出が非常にばらばらで、結果的には混乱を来しているもとになるというふうに思っているわけであります。  そこで通産省といたしまして、いよいよ最後の集計に来ればこの間接差益というものを算出をして還元の中に織り込もうというふうに考えられているというお話でございましたけれども、大体いまの見通しとしてどの程度のものをお考えになっていらっしゃいますか。
  12. 天谷直弘

    天谷説明員 重油価格が五十三年度当初、五十三年四月の価格で横すべりするといたしますと五百億円ぐらい、それから四-六のベースで横すべりするといたしますと七百億ぐらい、さらにその後、七-九以降為替レートの動きに対して、三ヵ月ぐらいのずれ重油価格変動をする相関関係を持っているのでございますので、七-九以降につきましてもある程度為替相場を反映して重油価格が下落するというふうに想定いたしますと、これはあくまでも想定でございますが、大ざっぱに言いまして一千億円前後ぐらいの間接差益が生ずるのではないか、これは一つ試算値として考えております。
  13. 堀内光雄

    堀内委員 いまの間接差益金額、大体一千億円ぐらいになるのではないかというお話でありました。これで参りますと、円高差益の直接の方の約三千億に比べて三分の一ぐらいのものしかないということになるわけだと思います。  そこで、ちょっと私疑問に思っている問題を石油関係者の方に承りたいと思っているのでありますが、私が石油関係の方から承ったところによりますと、電力会社に対する燃料納入というものはすべて石油会社を通じて行われているということでありますが、いかがでございますか。石油連盟会長さんに承りたいと思います。
  14. 石田正實

    石田参考人 原則石油会社を通じてということでございますが、具体的なことはちょっとわかりませんです。
  15. 堀内光雄

    堀内委員 原則は全部石油会社を通じて納入をされておるということであります。私のいま承った全部ということ、少なくとも電力会社納入されている原油重油、これは原則としてでも結構ですが、石油会社を通じて行うということは円建て決済ということではないかと思いますが、いかがでございますか。
  16. 石田正實

    石田参考人 石油会社を通じた場合にはすべて円建て決済でございます。
  17. 堀内光雄

    堀内委員 そうなりますと、重油原油もすべて両方とも円建て決済で同じように取引を行っているというふうに理解をしていいわけでございますね。もう一度ちょっとお伺いしたい。
  18. 石田正實

    石田参考人 そうでございます。
  19. 堀内光雄

    堀内委員 そうなりますと、恐らく石油業界から電力業界納入される原油あるいは重油というものは、備蓄料輸送経費あるいはそれにかかわるいろいろの諸経費を加えた価格で、一キロリットル当たり何万円というような日本の円の価格納入されるというふうに判断をいたしますけれども、いかがでございますか。
  20. 石田正實

    石田参考人 そういうことでございます。
  21. 堀内光雄

    堀内委員 それでは電気事業連合会会長さんに承りますが、電力会社で直接原油輸入しているものがあるのかないのか、承りたいと思います。
  22. 平岩外四

    平岩参考人 全部石油会社を通して購入いたしております。
  23. 堀内光雄

    堀内委員 ということになりますと、電力会社ではドル決済をしている輸入原油というものは皆無だというふうに考えてよろしゅうございますか。
  24. 平岩外四

    平岩参考人 原重油についてはそうでございます。LNGが別途にございます。
  25. 堀内光雄

    堀内委員 そうなりますと、通産省先ほどからの御答弁あるいは通産省から回っておりますこういう全部の資料、これはすべて電力会社原油購入というものはドル建てだということでございました。そしてこのドル建てによって円レートに換算をされる分が円高差益に出てくるから、これは直接差益であって、重油に関しては国内業者を通して売買をされるから、これは間接的なもので直接な円高差益ではないというような、すべての御答弁資料もそういう統一されたものになっておりました。そうしますと、この通産省資料というものはそのまま受け取ってはいけないということになるわけでありますか。
  26. 天谷直弘

    天谷説明員 原油につきまして外貨建て輸入している分につきましてはそのときそのときの為替相場によって円決済されるものというふうに理解をしております。したがいまして、為替相場変動いたしますと、そこでいわゆる仕入れ差益が発生するというふうに考えております。
  27. 堀内光雄

    堀内委員 そういうことはちょっとおかしいと思うのですね。少なくとも石油業界原油輸入をして日本の国まで持ってくる、CIF価格で持ってくる、このユーザンスは全部石油会社責任の中、危険負担の中で行われていて、そこで原油価格円建てになって国内で売買されるというときに、このドル建て相場変動するということは、これは変動した価格によって作動して動いていくということ、これはもちろん出てくると思います。それなら重油の場合も原油の場合も同じになると思いますが、いかがですか。
  28. 天谷直弘

    天谷説明員 細部に関しましては承知いたしておりませんが、外貨建て輸入した原油につきましては、通関時――多分通関時の為替レートによってドル建て価格を円に直して電力会社石油会社との間で円決済されるということと承知をいたしております。
  29. 堀内光雄

    堀内委員 先ほど石油連盟会長さんのお話でも、重油原油もともに国内に入って、それを円建てに直して、さらに備蓄経費、それから輸送の費用とかいろんな経費、そういうようなものも全部含めて、それを織り込んで販売をしているということでございました。そうなりますと、先ほど通産省の御答弁差益から石油税を控除するということ、これも蔵出し税でございますから恐らく石油業界の方で負担をすることになっていると思います。あるいは価格の面でも、OPEC値段値上げというものを控除されておりますが、これも少なくとも値上げ分石油業界において消化をされて入ってくるということになると思います。そうなりますと、先ほどの控除する金額自体も非常におかしいことになってくるというふうに思いますが、こういう何かごまかすような、隠すような、事実に反することをなぜ通産省はなさるのか、ちょっと承りたいと思います。
  30. 天谷直弘

    天谷説明員 差益がなぜ発生するかということでございますが、五十年末に料金査定をいたしましたときと現在との間で想定ずれが生じておるということに基本的な原因がございます。そのずれが生じた一つ原因為替相場でございます。それから第二番目はOPECその他の値上げによりましてそもそもCIF価格変動が生じたということであり、それからさらに関税上乗せがあった、あるいは石油税上乗せがあったということでございます。  この場合に、そういうコストの転嫁が現実にいかなる形で行われておるかということは、個々の取引によりましてそれはかなり相違があることもあり得べしと存じますが、理論的にはこういうコスト上昇石油会社から電力会社に転嫁されるというふうに想定してやるということが、この査定原価現実事態との相違を明らかにする上において、コストは転嫁される、それから他方為替レート差益は、これはプラスになりますし、コスト上昇分はマイナスになるというふうに計算をするのが妥当ではないかと考えます。
  31. 堀内光雄

    堀内委員 どうもちょっとわかりにくい御答弁でございますが、それじゃ端的に承りたいのですが、全く同じ輸入方法をとって、重油原油も同じ状態電力会社納入されるような状態をとっていて、原油については円高差益が、先ほど通産省責任を持ってはっきりと回答された金額が出て、片方重油についてはまだ計算をしないとなかなかわからぬというようなことがまず第一点おかしいと思いますし、同じような形でいくならば、原油円高差益というものと重油円高差益というものは大体近寄ったものに来なければおかしいと思います。原油が二千二百六十万キロリッターであり、重油が三千百万キロリッターであって、片方は九十ドル片方は八十一ドルというような一キロリッター値段でまいりますと、そんなに、三分の一に下がってしまうというようなものではないと思います。  この二つの点についてお答えをいただきたいと思います。
  32. 天谷直弘

    天谷説明員 先ほども申し上げましたように、原油に関しましては、為替レート変動電力会社の支払うところの原油価格に対しましてストレートに反映いたします。これに対しまして重油の場合には、為替レート変動市場価格変動となってあらわれるのに大体三カ月ないし四ヵ月のずれがあるというのが通常でございます。と申しますのは、輸入された重油製油所に入り、精製過程を経まして、しかる後にマーケットに出ていく、こういうことになるわけでありますから、三カ月ないし四ヵ月前の為替レートを反映しておる。したがいまして、為替レートが急激に変動する場合におきましては、この為替差益の大きさは原油の場合と重油の場合とでかなりの差を生ずるということではないかと考えております。
  33. 堀内光雄

    堀内委員 ないかと考えられるような状態では、本当を言うと困るのであります。私は、全く同じ経路で同じような状態で来て、そこでその二つが全く違う状態円高差益計算方法になるということがおかしいと思うのです。  そこで、ちょっと承りたいと思いますが、ただいまの通産省お話でまいりますと、原油の方はすぐに価格円レート変更が作動する、重油については期間を経てから出てくるというようなお話でありました。それではひとつ、私が調べてまいりました状態の中で、石油業界から電力業界納入する、これは、原油の場合にはミナス原油であり、重油の場合には低公害用の〇・三%の重油でありますが、この価格でございますが、重油の方を申し上げると、五十一年の四月から六月に対しましては二万九千四百円だった。五十二年の四月から六月、ちょうど一年過ぎにはやはり二万九千六百円だった。五十三年の四月から六月には二万五千五百円になってきておるというふうになっておりますし、原油の方につきましては、五十一年が二万六千九百五十円、五十二年につきましては二万五千五百円、五十二年については、一-二月でありますが、二万三千四百五十円という価格電力会社円建て納入をされているというふうに聞いております。それぞれの石油会社からの納入価格というものは、いろいろ違う場合も多いと思いますが、大体においてこれが正しいものでないかと思いますが、石油連盟会長さんにお答えをいただきたいと思います。
  34. 石田正實

    石田参考人 御承知のとおり、石油連盟の方では価格の方を扱っていないものですから、はっきりしたことを申し上げられませんですけれども、特に私の方の出光という会社立場から見ますと、大体そういうようなことじゃないかというふうに思われます。
  35. 堀内光雄

    堀内委員 大体こういう程度数字が妥当なところではないかというようなお話でございます。そうなりますと、このただいま申し上げた数字というものを見ますと、五十一年から五十三年に対しましては、重油は大体八六・七%になっております。原油は、一-三月でありますが、八七%ということになっております。円レートの方は、大体当時二百九十円ぐらいからいまの、ことしの三月ぐらいを考えましても二百二十円、大体七七、八%、八〇%足らずぐらいのところで上がっているわけでございます。これを見まして、さっきの輸送経費だとか備蓄費だとかあるいはそのほかのいろいろな経費、こういうものを織り込んだ値段がこの双方の円建て価格ということになるわけでありまして、この備蓄経費だとかそういうものは、原油価格円レート変更で下がってきた場合にはかえってウエートが大きくなってまいります。したがって、そういうものを控除して考えてみますと、大体原油価格も、重油価格石油業界の場合には円高差益分をそのまま吐き出してしまっているような数字考えられますが、その辺はいかがでございますか。
  36. 石田正實

    石田参考人 ちょっと先ほど答弁の中に、大体そんな価格と申し上げましたけれども、これは大体ほかの各社とも同じだと思いますが、電力さんとの取引重油ですと半年おくれぐらいになります。それから原油では大体一年くらいおくれまして決済なんということで、その間は仮価格というふうになっていますから、先ほど申し上げました最近の原油の一年間の値段というものは仮価格重油は半年分が仮価格になっておりますので、そのように御承知おき願いたいと思います。  それから、ただいま御質問の点につきましては、ちょっと私いますぐはっきりした数字を申し上げられませんけれども、大体そういう数字は、私ども石油全体について業界はそのときのレートによりまして還元するという方法をとっているわけであります。先ほど、これはエネルギー庁長官からも話がございましたように、為替レートが動いてすぐわれわれのところに変わるかといいますと、やはり在庫とかその他がありますので、実際に下がるのは二ヵ月ないし三ヵ月後になるということでございます。そういう点もお含みおき願いたいと思います。
  37. 堀内光雄

    堀内委員 そういうぐあいに考えてまいりますと、石油会社からはほとんど円高差益は移ってしまって、今度は電力とかガスとかいうところはそれを一定の料金、決まった認可料金というもので出してしまいますから、全くのところすべてそこにストックされて、消費者のところまでは間接にしろ何にしろ円高差益が戻っていかないということになってしまうと思います。  そこで、ちょっと通産省の方に承りたいのですが、恐らく現在の現行料金電気料金ガス料金というようなものは、料金の決定のときには燃料費の査定を少なくとも円建てでなさっていたということだけは間違いないことになると思いますが、その円建てで現行料金原油重油燃料単価を一キロリッター当たりそれぞれ幾らに査定をされておられたかということを承りたいと思います。
  38. 豊島格

    ○豊島説明員 料金原価に織り込みます燃料単価につきましては、基本的にはそのときに最も適切だと考える、当時でしたら標準単価か何かでなかったかと思いますが、そういうものを、価格を前提に織り込んでおります。ただ、それを参考にして決めておるのですが、これにつきましては、対外的ないろいろな取引の問題がございまして、一応トータルとしての燃料費は公表しておりますが、個別の価格につきましては、実は公表しないことになっておりますので、この場で若干申し上げるわけにはいかないということでございます。
  39. 堀内光雄

    堀内委員 この現行料金のときの一キロリットル当たりの価格査定というものは出すわけにいかないということであります。しかし、私はやはりこういうものはもっと明確にしておかないといけないんではないかというふうに思います。この問題は、また後ほど取り上げさしてもらいます。  それではエネルギー庁の長官に承りますが、円高差益について原油重油、この二つを区別をして直接差益間接差益として算出をされるお考えですか、その辺を承りたいと思います。
  40. 天谷直弘

    天谷説明員 計算は区別していたしますが、先ほども申し上げましたように、割引をするときの原資としては両方を合計して考えます。
  41. 堀内光雄

    堀内委員 計算は別々というんですが、もちろん別々でされてもいいんですが、直接のドル建てのものとして、そして片方国内円建てのものとして、そういうぐあいに別々に計算をなさるというお考えですか。
  42. 天谷直弘

    天谷説明員 そのとおりでございます。
  43. 堀内光雄

    堀内委員 なぜですか。それはやはりすべて円建てで入っていて、円建て電力業界石油業界から納入を受けているんですから、それをドル建てにまたわざわざ戻さないとならない、それちょっとおかしいと思うのですね。余り前のことにこだわらないで、はっきりとひとつお考えを言っていただきたいと思いますが、いかがですか。
  44. 天谷直弘

    天谷説明員 円決済と申しましても、原油につきましては先ほども申し上げましたように、到着時の為替相場によってこれを直ちに円に換算をしておる。要するに為替相場変動が直ちに円決済額にスライドするようになっておりますので、これは重油とは価格決定のメカニズムが違うわけでございます。したがいまして、私どもの方では区別をして計算をいたしておりますが、しかし原資としては両方を合計して考えておるということでございます。
  45. 堀内光雄

    堀内委員 両方のものを原資として考えられるということは、一歩前進で非常に結構なんですが、それぞれが違う性格のものであるというのはやはり私は何か理解ができませんが、原油はそこで国内価格に切りかえられるときに、すぐいくから円レート変更がそのまま反応する。重油につては反応しないんだ。時期的な問題がどうあるかは別にしまして、少なくとも国内に入った価格というものについては全く同じだと思うのですけれども、それについてお考えちょっともう一回、理解しにくいものですから御説明願いたい。
  46. 天谷直弘

    天谷説明員 外貨建て原油輸入は、これは電力会社の委託によって石油会社が行っているものであって、したがいまして輸入した石油を今度は電力会社石油会社との間でネゴシエーションをやって値決めをするという性質のものではないというふうに私どもは理解をしております。  他方重油は、これは石油会社の財産をそのときのマーケットの状況に従ってネゴをして電力会社に売り渡す、そういう種類のものでございまして、取引の性質が明白に違っているというふうに考えております。
  47. 堀内光雄

    堀内委員 それでは一つ承りますが、国内円建てにかわる、ドルがそのまま変化を来すというお話の中でまいりますと、それはそれで一歩譲ったとしましても、原油価格円高差益から蔵出し税石油税をさらに利益から削るというのはどういう意味でございますか。
  48. 天谷直弘

    天谷説明員 石油税輸入業者が負担すべきものではなくて、石油と電力の間の取引によれば、石油税電力会社に転嫁されてしかるべきものであるというふうに考えております。
  49. 堀内光雄

    堀内委員 内容的にどうもはっきりしないんでありますが、重油の方について原油と同じように持ってきながら、重油についての差益金の方は間接差益として計算を非常にしにくいということをさっきお話しになりました。計算自体でいくと、私は一つもしにくいものではないと思うのですが、その点はいかがでございましょう。
  50. 天谷直弘

    天谷説明員 重油は加工された品物でございます。たとえて申し上げますならば、輸入小麦とパンみたいな関係にあるわけでございます。パンの場合の一体為替差益はどれだけであるかということを計算しますのは、輸入小麦のコストのほかに、あとパンをつくるいろいろなコストというものがかかわってまいります。重油につきましても、輸入された原油を精製という加工過程を経て、それがマーケットに出てくるわけでございまして、そのコストの中では為替差益というのはきわめて部分的なものでございまして、そのほかのいろいろな要因によって左右されるような性質のものであるというふうに考えております。
  51. 堀内光雄

    堀内委員 ますますわからなくなるのですが、電力会社購入する中に、一部輸入重油というのが通産省の方で出されている資料にございます。約三千百万キロリットルのうち、百三十万キロリットルを五十二年度に直接重油輸入をした。五十三年度にはそれが百十万キロリットルであるということでございます。これについては、やはり商社のようなものを通じて入れられているというふうに思うのですが、これは為替のレートをそのまま適用して、円高差益の中の先ほど通産省の確認の数字というものの中に織り込まれておりますが、これはどうしてでございますか。
  52. 天谷直弘

    天谷説明員 公益事業部長がお答え申し上げます。
  53. 豊島格

    ○豊島説明員 原油の場合と同様に、その通関時点の為替レートで実際円決済をされているということでございますから、輸入重油につきましては原油と同じように、当然直接差益考えてよろしいかと思います。そのように考えるのが妥当だと思います。
  54. 堀内光雄

    堀内委員 石油業者から入ってきた場合と商社を通じて入ってきた輸入原油重油というもの、これが全く違う取り扱いをしなければならぬというのはどうもはっきりわかりませんが、どうしてですか。
  55. 豊島格

    ○豊島説明員 先ほど来、同じ理論を御質問があるわけですが、外国から委託といいますか、直接輸入いたします原油それから重油につきましては、その決済は当然商社ないしは石油会社から円建て決済しておるわけですが、その決済方法通関時点の為替でやっております。したがって、いわゆる為替の変動によって若干のコストがありますが、それはネグリジブルコストで、それで計算できるので、われわれとしては円ルートの変動によって直ちにスライドして計算できるものでございます。  これに対しまして重油は、御承知のように先ほど長官もお答え申し上げましたが、輸入するのは原料として精製会社輸入しまして、それを加工して出すわけでございまして、しかもその価格につきましてはいわゆる市況製品でございまして、ネゴによって決まるわけでございまして、より具体的に申しまする五十二年度につきましても下期はまだ成立してない、価格が決定してないということで、為替レートによって自動的に決まるものではないわけでございまして、そもそも円高をどう計算するかというのは非常に困難なものでございます。  ただ、実際問題として、いろいろな業種によって若干は違いますが、現在プライスリーダーといいますか、鉄がそれに先行して決まっておりまして、現在一-三月、最近四-六月決まったわけでございまして、これの基本的考え方は、円高レート変更というのは、先ほど長官が申しましたように、三ヵ月おくれぐらい調整するのでございますが、それに実際の価格、精製コストといいますか、そういうものも勘案して、それを参考にして決めておるということでございまして、したがって、われわれが円高差益は幾らかということを言いますと、これは概念にもよるわけでございますが、実際そのような一定のルールで今後も決まるとすればどうなるかということで想定しておるわけでございまして、これはあくまでも理論値でございますが、原油のように直接為替レートをスライドして計算できるものではない、しかしあえて計算すればそういう計算ができるということで、今後二百円ぐらいに推移すれば恐らく従来の傾向でいけばこのくらいになるであろうというのが、千億前後という長官のお答えでございます。
  56. 堀内光雄

    堀内委員 もう余り時間がなくなってまいりましたから、そろそろ切り上げたいと思うのですが、最後にひとつもう一回念押しだけしたいと思うのです。  先ほど電力会社に対する重油あるいは原油納入価格というもの、これと各電力会社の主要資材としての在庫の一キロリッター当たりのたな卸しの金額、まあ近いような数字になっているわけでございます。それで、そういうことを考えますと、ただいまの、原油についてはこういう数字が出てはいるけれども、この各電力会社購入した円建て金額による差益、この金額はそう大きなものではありませんが、それ以上のものが原油については円高差益として入ってきているというふうにわれわれは理解をしていいのかどうか、その点をお願いします。
  57. 豊島格

    ○豊島説明員 大変恐縮でございますが、いまちょっと意味がよく理解できなかったので、もう一度お願いいたしたいと思います。
  58. 堀内光雄

    堀内委員 ちょっと説明が、そちらの説明もむずかしいので言いにくくなってくるのですが、要するに、原油ではことし、五十三年度は二千六百五十億ですか、差益が出るということは、これははっきりしているのだ。これはさっき、直接でも円建てでもこの数字は変わりませんということを通産省としてお答えになっているわけです。そうしますと、この原油価格というものを見ますと、電力会社がこの五十三年度いっぱいに入れる原油価格ですね、これと五十一年当時の料金査定金額との比較を考えてみますと、そんなに利益は出てこないわけです。二千六百五十億というような利益――円高差益だけでは三千百五十億ですか、それくらいの利益が出ることになっていますけれども、その円建て電力会社に入った料金というもの、これを五十一年の三百円レートの当時の金額と比較をしまして、今度はその間の量を掛けてみますと、非常にわずかなものになってしまいます。それでも三千百五十億の円高差益は出てくるんだなということを承りたい。
  59. 豊島格

    ○豊島説明員 御質問の御趣旨、よくわかりましたのですが、円高差益といいますのはあくまでも理論値でございまして、円高にならなかった場合に比べてこれだけのものが余分に入ったということでございまして、五十一年度の実績とか料金決定時との比較ではございませんで、五十三年度中に、四-六月は二百二十二円でございますか、その後二百円で推移したという場合に計算上どれだけ出るかということでございまして、したがって五十一年度とか五十二年度との比較ということではございませんので、計算上は二千六百五十億に五百億のOPEC値上げ分を含めた三千億というものは出るということでございます。それではそれが全部もうけになっているのかといいますと、五百億を差っ引くという問題のほかにも五十一、二年度当時に考えられなかったコストというものもあるわけでございますから、したがって還元額がどうなるかというのはこれとは別でございまして、差益そのものを素直に理論上出せばいまのような数字になる、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  60. 堀内光雄

    堀内委員 そういうことになりますと、五十一年度の当時の原油購入価格あるいは重油購入価格と現在の原油購入価格重油購入価格との差、これは料金設定時の基礎の数字とは全く関係がないということになると思いますが、いかがですか。
  61. 豊島格

    ○豊島説明員 基礎の数字とは関係がございません。
  62. 堀内光雄

    堀内委員 そういう意味で、円高差益自体の問題はもちろん非常にございますが、現行料金を認可するときの原油あるいは重油燃料単価の査定というもの、これは非常に大きなものになってくると思います。それだけにいまの、企業秘密でこういうものは話すわけにはいかないんだというようなことになってくるわけでありますが、電力会社にとって火力発電は一番大きなウエートを占めている、その火力発電の燃料費が全営業費の四〇%を超えるぐらいのところの会社がほとんどになっております。私は、電力料金算定の一番のポイントになるのではないかというふうに思うのです。こういうのは普通の、コカ・コーラの原料が何であるいは原価がどれだけかというような企業秘密とは全く違うものでありまして、これは国民生活あるいは産業界の問題にも大きく影響を及ぼす基礎になるものだというふうに思うのです。こういうものを企業秘密という砂の中で公表しないんだというようなことは私は間違いじゃないかというふうに思うのです。今度の円高差益還元の声が電力あるいはガスに強く出てきたのも、やはりそこに源があるように私は考えております。  円高差益還元、これは間接差益――結果的に言えば両方ともそういうことになったようでありますが、間接差益でありますが、非常に多額に上ることは間違いないと思います。しかしいまの電力料金を設定するときに査定をした重油原油価格の単価、これの予想の違い、少なくとも業界にとってはいい方であったと思いますが、そういう燃料費の査定がプラスの方に回ってきて、いまの計算をする場合に一キロリッター当たりの原油重油の単価を非常に高いものに査定をしてしまっているように私は感じるわけでございます。こういう生活あるいは産業に重大な関連を持つ料金の決め方、こういう料金体系の見直し、特にウエートの高いものについての公表、これについて通産省はどういうぐあいにこの時点でお考えになっているか承りたいと思います。
  63. 天谷直弘

    天谷説明員 現在の料金査定制度は、一ドル三百六十円という固定レートの時代、それから原油価格も二十年間ほどほとんど動かない、そういうような時代につくられた制度でございます。現在のように為替レートあるいは原油価格が大幅に変動する時代におきまして電気料金制度の運用というものは非常な困難に直面しておるわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、こういう経済変動の激しい情勢下におきましてこの料金制度をどういうふうに運用すべきかということに関しまして、ディスクロージャーの問題も含めて電気事業審議会でよく御検討いただきたい、そして基本的な方向をそこで打ち出したいというふうに考えておる次第でございます。
  64. 堀内光雄

    堀内委員 ただいま、そういう方向の見直しをしようという姿勢のお話がありました。これから先の問題としては、こういう産業、生活に非常に密着した料金については、今後の料金改定というものを踏まえましても、ある程度納得のできるような材料を国民の前に示しておいて、そしてその理解のもとに進めていかなければならないというふうに私は思います。それだけに、重箱のすみをつつくような、他人の財布の中を見るようなそういうところまで考える必要はありませんが、主要資材の価格というような程度のものについては、原価の公表を勧めるような姿勢でいくべきだというふうに思いますが、いかがでございますか。
  65. 天谷直弘

    天谷説明員 いま申し上げましたように、原燃料価格のディスクロージャーの問題も含めて電気事業審議会で御審議をいただきたいというふうに考えております。
  66. 堀内光雄

    堀内委員 最後に、円高差益還元というものは一応決まって、さらにいわゆる間接差益も直接差益と申していたようなものも一緒に含めて還元を行うということになって、まことに喜ばしいと思うのでありますが、今度のこの還元方法の中で、電力会社ごとに返還を行うということになりますと、これは通産省資料を見ましても地域によって高低の差がいっぱい出てまいります。北海道などはゼロになる、あるいは中国あたりは数字でいくと東京の三分の一ぐらいになってしまうというようないろいろな差が出てまいりますが、こういうような問題について通産省としてはどういうふうにお考えでございますか。
  67. 天谷直弘

    天谷説明員 電力会社の地域格差をできるだけ少なくしたい、たとえば広域運営その他いろいろな努力を通じまして、できるだけ少なくいたしたいとは思っておりますが、しかしその問題とこの差益還元の問題とは別個の問題であるというふうに考えております。差益はいろいろな事情によってでこぼこが発生するのはやむを得ないことでございまして、差益の発生そのものを全国均一にするということは全く不可能なことでございます。この発生した差益を返せという場合に、発生額が会社によって差異がある以上はこの還元額にも差異が発生するということはまことにやむを得ないことであるというふうに考えております。
  68. 堀内光雄

    堀内委員 電力の場合もガスの場合も、地域によって、特にガスは東京、名古屋、大阪しか還元が出てこないというようなことを考えましたとき、全国的に円高差益ガス電気も下がるんだ下がるんだというような印象をみんな持っておるところへ、何か割り切れないものを残してしまうようなことになっては、せっかくの円高差益還元というものが意味がなくなってしまうのではないかというように思います。それだけに通産省としてあるいは業界としてのこれに対する対応というものを早速つくっていただいて、国民の理解が得られる、円高差益が効果があって成果が上がるようなもので終わるようにぜひしていただきたいというふうに希望を申し上げておきます。  最後に、ガスの方も電力と全く同じでよろしいというふうに判断してよろしゅうございますか、せっかくおいででございますから、会長さんに一回だけでもちょっと伺っておきたい。
  69. 安西浩

    安西参考人 お答えいたします。  全く同じということはどうか知りませんが、電力と同じような考え方で進めてまいりたいと思っております。
  70. 堀内光雄

    堀内委員 どうもありがとうございました。以上で終わります。
  71. 美濃政市

    美濃委員長 武部文君。
  72. 武部文

    ○武部委員 私は、時間の関係で二つの点についてお尋ねをいたしたいと思います。  一つ為替差益金額について、たびたび当委員会でこの問題はやりとりをいたしましたが、一向にこの金額について一致点を見出しませんでした。しかも、同僚委員からいまお話ございましたように、今日いろいろな数字があらわれておりまして、国民それ自体も非常に困惑をしておるだろう、このように思います。私ども社会党も、すでに御案内のように具体的な数字を明らかにいたしました。これについていろいろ反論があるようですが、もちろん私どもの案が完全なものだとは思っておりません。それは少なくとも通産省が今日までそういう問題についての態度を明らかにしないから、われわれとして独自にいろいろな資料に基づき、特に有価証券報告書に基づいてこういう数字をはじき出さざるを得ないのであって、むしろその原因は監督官庁である通産省自体が今日までこの問題について私どもの前に明らかにしなかった、そういう責任があると思うのです。  具体的には後で二つ、三つ例を申し上げますが、まず最初に、政府電力会社に対する為替差益の国民への還元について電気料金の据え置きでやるということを主張し続けてこられたわけです。為替レートが二百四十円になりましたことしの一月、料金算定期間が切れる五十三年度も料金を据え置く、そういうふうな約束をされたわけです。さらに円高が進行して一ドル二百二十円になったこの四月、当委員会でやったときですね、四月には、北海道を除く電力ガス会社三社について五十四年度も料金を据え置く方針だ、こういう約束がこの委員会で正式になされたわけです。だとするならば、円高によって為替レートが一ドル二百四十円になった場合に、九電力為替差益分が各社別にどの程度発生をして、その差益が五十三年度の差し引き収支にどのように反映するか、こういう点について何ら明らかにされておらない、ただ単に、ドルがこういうふうになれば五十三年度は据え置きだ、もうちょっと上がれば五十四年度も据え置きだ、こういう程度のものしか、あなた方の発言は今日までなかったのです。したがって、差益の根拠となる電力ガス会社の収支の見通しというものは全く明確でなかった。  そこでこの際に、五十三年度以降の差益の根拠となる電力ガス会社の収支見通し、そういうものを年度別に、会社別に、国内、国外に分けて、還元額というものは一般標準家庭には一体どのくらいになるのか、そういう点を通産省としてはちゃんと用意しておりますか、この点、いかがです。
  73. 豊島格

    ○豊島説明員 お答えいたします。  いまの御質問といいますか、為替差益が各社別にどうなるかという一応の試算は五十三年度については各社別に出ております。  なお、コストとの関係について申しますと、私ども各社別の計算ももちろんわれわれ独自でいたしておりますが、いわゆる料金計算を査定するときのような非常に膨大な資料をもとにした、非常に積み上げた精緻な計算はいたしておりませんで、従来申し上げておりますことは、二百円ぐらいで大体四百億ぐらいの収支差が全国的に出る、したがって二千六百五十億の直接為替の中から四百億を引っ張った二千二百五十億ぐらいが一応五十三年度としては、還元しろと言われればその程度のものがあるということを申しておったわけでございます。
  74. 武部文

    ○武部委員 こういうことをやりとりしておると時間がたちますから、それじゃ次に、あなた方の前回の値上げのときは電灯料金の平均の値上げは二一%、このときに標準家庭で百八十キロワットアワーという形で計算をいたしますと、二一%で五百七十四円の値上げになる。したがって、これを二年原価方式でやるわけですから五百七十四円となったわけですが、今度あなたの方が還元されるという額の数字を私ども若干承知をいたしておりますが、この場合、百十四円ぐらいだということをおっしゃっておるわけですね。値上げの場合は五百七十四円ぐらいの値上げになる。一体百十四円と五百七十四円とはどういう関係にあるのか。しかもこの額で大体一年間の原価値上げ分というものやあるいは据え置きの額というようなものがどうしてそういうふうになるだろうか。大変これは単純に考えても疑問に思うわけです。あなた方は円レートがこうなったんだから、一年分は据え置きましょう、はい、もう二十円上がったから据え置きましょう、こういうことをおっしゃっておるが、値上げのときの金額と、あなた方が今度返されるという額との間にこんなに差があるじゃありませんか。これは一体どういうことですか。
  75. 豊島格

    ○豊島説明員 ただいまお話のございました値上げのときの事情というのは、そのときのコストアップ要因を考えて上げたわけでございまして、このたび割引をするという場合には、今回の割り引ける原資を前提としてどれだけ下げるかということで一応事実としては関係がないわけでございます。  なお、百十四円というのは一応二千六百五十億という数字を前提としておりますが、間接差益をどうする問題とかあるいはコストアップをどうする問題という問題は、現在検討中でございますので、この数字そのものは、単なる直接差益コスト増を見込まない、間接差益も見込まないでやった場合の数字でございますので、一応参考までに申し上げておるだけでございます。
  76. 武部文

    ○武部委員 もうこのことはやめました、こういうことをやっておったら時間がたっていけませんから。  そういたしますと、いまやりとりを聞いておりますと、五十三年度に二千六百五十億円出るとかあるいはその他の差益はどう出るとか、いろいろなことございますが、私は五十二年度の問題をなおざりにして、この五十三年度の問題を論ずることはいけないと思うのです。五十二年度は一体どういうことになっておったのか、これは後で申し上げる具体的な料金の制度の問題に関係するわけですから、これを明らかにしていただきたい。  当委員会で、政府側は九百二十五億円、電力会社は九百十七億円の差益が出る、こういうことをおっしゃいました。私どもの計算でいきますと、千八百三十九億円という差益が出るはずだ。公明党は千二百四十五億円という数字を出しておられます。ついせんだって、ある全国紙が具体的な計算をした金額は千三百八十三億であります。この千三百八十三億、私どもの金額よりも若干下回りますが、政府の額よりも約四百五十八億円多いのであります。この根拠は一体何であるか、これは先ほどここで論議されました国内における重油購入料の差額だということが計算上出てくるのであります。  石油連盟が、現在の重油価格料金改定のときよりも一キロリッター平均四千円も下がっておる、これは差益分を下げてほしいという電力業界の強い要求から還元されたものだ、こういうふうに述べておられるわけですが、これによって一体幾らぐらいの国内差益が出てくるか、こういう点を私どもはいろいろ問題にしたいのです。しかし、これはいま申し上げたのは、五十三年度のことですから、五十二年度もこういうことと同じことがあったに違いない。これは当然当時の取引の中であったに違いない。その金額差し引きであるところの四百五十八億円、私は国内差益だとこれを主張したい。なるほど取引であるかもしらぬけれども、現実石油会社円高によって得た利益、差益そのものが今度は取引によって電力会社に下げて売っておるわけですから、下げて売るようにという要請に応じられたわけだから、これが四百五十八億円、このように五十二年度で出るというふうに思うわけですが、いかがでしょう。
  77. 豊島格

    ○豊島説明員 重油につきましては、先ほども申し上げましたように五十二年度下期についてはまだ値段も決まってないわけでございます。したがって、幾ら差益が出たかということをまだ申し上げる段階でございませんが、先ほど申し上げましたように鉄鋼が具体数字が出ておりますので、それに準じて下がるとすれば大体二百億円ぐらいが五十二年度の差益になるのではないか、このように考えております。  なお、先ほど来先生言っておられますが、要するに重油価格というのはネゴで決まるわけですが、全部スライドするわけじゃございませんで、五十二年度にOPEC値上げがあればそれもそれなりに計算されておるわけでございますので、直ちに為替レート変動差益というふうに計上するのは若干、考え方にもよると思いますが、私どもの計算でよろしいんじゃないかというふうにわれわれは考えております。
  78. 武部文

    ○武部委員 あなたの金額と私の金額は倍半分違いますね。それでこれは少なくとも国産のC重油、ナフサの値下がり、そういうものが現実には一キロリッター当たり千四百円下がっておる。これは間違いないでしょう。千四百円程度下がっておる。これは東京電力日本石油が大手同士で交渉をしてそこで大体決まれば、あとの八電力は右へならえやってこの金額に従っておる。これはもう過去の実績が示しておるんだから間違いない。だとするならば、これでもってC重油が四百八億円、それからナフサが五十億円という数字が出てきた。この金額が私が申し上げるような四百五十八億円になる。そうすると、九百二十五億円と言われたあなた方の計算の上にこれが上乗せされて当然差益として電力業界のふところに入る、こう見ていいでしょう。
  79. 豊島格

    ○豊島説明員 ただいまの千四百円ということにつきまして、詳しく先生とつけ比べてみないと私もわからないのでございますが、たびたび申し上げておりますように、一-三月を含め下期の値段というのは決まっておらないわけでございまして、実際に幾らに決まるかということはわからないというのが現実の問題でございまして、私どもがそういう計算を一-三月も仮に想定していたしますと、実際は二百億円ぐらいにしかならないということでございます。ただ価格につきましてはまあ油種の違いとか、いろいろございまして、現実の問題につきましてはいつと比べて変わるかということでございますが、われわれが為替差益という計算をするのに最もふさわしいという前提を置いて一応計算しますと、もちろん間違いも全くないということは計算でございますからあれでございますが、何遍計算しても大体二百億程度というふうになるのが当面の結論でございます。
  80. 武部文

    ○武部委員 電力会社は五十二年の決算であなた方は差益として九百十七億円程度ということをおっしゃいました。税金に四百六十九億円取られた。残りの四百四十八億円は別途積み立てをしておる、こういう話でございました。私はそのほかに、いま申し上げた四百五十八億円程度のいわゆる国内取引による利益というものが電力業界にあったと見ておるのであります。したがって、決算上は四百四十八億の別途積立金をおやりになっておるが、そのほかに四百五十八億円程度の、五十二年度は後で申し上げますが、千百億円程度のものがあったことは先ほどのやりとりでおわかりになったと思いますが、少なくとも五十二年度でも大体この程度、四百五十億円程度のものが国内の売買によって電力会社の利益になっておる、このように見ておりますが、電力関係いかがですか。
  81. 平岩外四

    平岩参考人 御承知のとおり五十二年度につきましては九百十七億の為替差益業界から出しております。そしてこのうちで約半分を税金、法人税で還元をいたしまして、あとそれを別途積立金としてはっきりと区分経理をいたしております。そして、いま武部先生のおっしゃいましたようにそのほかに利益が出ているはず、そうおっしゃられますその分につきましては、コストアップ分、そういうものと相殺――財務の中で、財務諸表経理処置ではっきりと処分をされておるわけでございます。
  82. 武部文

    ○武部委員 私がいま申し上げました四百五十八億円程度国内取引による利益というものがあったけれども、それはコストアップその他に使った、このように理解してよろしいんですか。
  83. 平岩外四

    平岩参考人 四百五十何億のそれ以外の利益があったかどうかということは、はっきり申し上げられません。わかりません。
  84. 武部文

    ○武部委員 こういう問題が実は明確でないことです。いままで何回か私どもとやりとりした中で、数字が合わないということは実はここにあったわけです。こういう問題についての解明がされてないからいつまでも数字が一致しなかったわけです。今回はしなくも一千百億円程度国内差益があるといって新聞紙上をにぎわしてきた。こういうことは一体だれが言ってきたか、だれが言い出したかと言えば、私どもの承知するところでは、これは石油連盟から出た言葉なんですね。石油連盟、石油の幹部がこのことをマスコミに明らかにされて、先ほど私が読み上げたように、四千円程度一キロリットル当たり下がっておるのだ、だからそれは電力会社から当然還元しろ、下げろという要求があったので、それに応じて下げました、その金額は五十三年度で大体千百億円ぐらいと思われる、こういう発言が出ると、通産省はすぐ今度は、千百億円と言われたら、五十億円上積みをして、同じ金額じゃぐあいが悪いのか知らぬが、千百五十億円という金額を出されました。それで、二千六百五十億円に千百五十億円加えて三千八百億だとあなた方はおっしゃっておるじゃありませんか。新聞に大見出しで、こんな大きな字でちゃんと出ておる。そういうことが突如として出てきたでしょう。われわれは前からこういう点があるじゃないか、だから数字が違うのだ、この点をはっきりしたらどうだということを言ったけれども、あなた方は、あなた方の資料の根拠については私どもは納得できぬ、こういう答弁ばかり続いておった。たまたま前回の四月二十日にここの席で、石油連盟はこんなにたんさんの差益があるじゃありませんかと私が言いましたら、石田会長は、これは還元しておりますとおっしゃいました。その還元の中に、いま私が言ったような、こういう国内取引の形において下げておるのだから、これは還元の中に入っておるのだなあということが今回初めてわかりました、電力会社現実にそういうものが行っておるのですから。  そこで、私はそういう立場から見てこういう差益の取り扱い、あるいは料金体系がこんなに変わってきたということについて、このまま、通産大臣が二十四日に発言されたような、あの談話の趣旨でこういう問題を取り扱っていいかどうか、こういう点について大変疑問に思うので、この点をこれから尋ねていきたいと思います。  通産大臣の二十四日の談話によりますと、一時的な割引ということが載っておりますが、その中に根拠として述べておられるのは、電気事業法の第二十一条、供給条件についての義務、このただし書きを適用してやりたい、こういう発言でございます。そして、ガスについても同様な趣旨でこれをやりたい、そういうことをおっしゃっているのです。私どもは、本来この電気料金なりガス料金というものは電気事業法の第十九条、この精神に基づいてあくまでも原価主義を貫かねばならぬ、これが料金決定の基本だと思うのです。したがって、この第十九条は原価主義あるいは公平主義、そういうものを中心に置いたものですね。ところが、この供給規程によらずして、第二十一条のただし書きを適用して還元をするんだ、割引をするんだ、こういうことになっております。しかし、この電気事業法なるものは、それまで公益事業令により通産省令で料金が定められておったことについていろいろ問題があるというので、電気事業法というものに変わってきた、これは昭和三十九年、そういう経過がございます。したがって、あくまでも原価主義というものは公共料金である電気ガスについては当然貫かれていかなければならぬ、私はこれが精神だと思います。したがって、これほど原価主義が重視されるということはどういう意味を持っているかというならば、公益事業の独占性を社会的に容認するといたしましても、それが私的独占である限り、その独占的な地位を利用して生活必需のサービスが安くかつ公正に供給されることは保障されがたいおそれが生じてくる、そこで、公益事業の独占による弊害をなくすために、独占的権利を与える反面、行政官庁すなわち通産省によって特別法をもって公益事業の経営に対して種々にわたり規制が行われている、これが現実のこの法律だと思うのです。その規制の根幹をなすものが料金規制だ、その料金規制は原価主義である、こういうふうに考えていかなければならぬと思います。しかるに、今度通産大臣のこの談話によりますと、そういう原価主義の供給の基本を抜きにして、第二十一条のただし書きを使って還元をする、こういうことをおっしゃっておる。ところがこのただし書きは、この電気事業法の解説の中にはっきりとうたわれておりますが、こういうふうになっておるのであります。ただし、「供給規程により難い特別の事情がある場合において、」これをやる、こういうことになっておるのですね。「特別の事情」とは何か。「「供給規程により難い特別の事情がある場合」とは、たとえば天災地変等による災害を受けた地域について緊急にかつ、臨時的に料金を割り引く必要が生じた場合、」こういうのが二十一条の精神です。「したがって認可をすべきか否かは通商産業大臣の判断に委ねられているが、本条の趣旨からいえば前述のように臨時的かつ、緊急に必要のあるときまたは供給規程化が困難な事柄等に限って適用すべきであり、供給規程化することが可能なものについては、供給規程の変更を行ない、本条本文」二十一条を適用すべきものだ、こういう解釈が通産省の解説の中に明確に書いてある。少なくとも今日まで第二十一条を適用されたのを調べてみれば、新潟地震やあるいは宮城沖地震、そういうときの災害に臨時的に適用された例があります。それから、夏季のピーク時に工場の夜間操業に適用した例があります。しかし、今回のようなときにこういうことを適用するのは全くこの条文を逸脱した行為だ、このように私は思います。災害時は特に原価を割ってでも供給をしてやろう、そういう精神がこの二十一条のただし書きの精神です。それを、為替差益が莫大に出てきた、原価状態コスト状態が完全に変わってきておるこういうときに、こういうものを使って一時的に割り引くというようなことが理屈上成り立つでしょうか。私はそう思わないのです。したがって、今回は急激な円高によってまさにコストそのものが変わったのですから、供給規程の変更が最も必要だ、供給規程の変更をやるべきだ、これがこの条文の精神から見て当然だと思うのですが、通産省どうでしょうか。
  85. 天谷直弘

    天谷説明員 私どもは、今回の円高すなわち二年足らずの間に百円近くも円レートが変わってしまうというようなことはまことに異例の事態である、かつ緊急の事態であるというふうに考えております。  そこで、こういう異例、緊急の事態に対してどのように対処すべきかということでございますが、これに対処するための電気事業法上の規定といたしましては、いま先生御指摘の二十一条とそれから二十三条、十九条の系統と二種類あるわけでございます。一体どちらをとるべきか、あるいはどれもとらずにじっとしておるかという三つの選択があるわけでございますが、われわれの方は、じっとしておるのではなくて還元をするという立場に踏み切ったところで、二十一条でいくのか、二十三条でいくのかという選択の問題が発生をするわけでございます。ところで、先ほども私申し上げましたが、いまの電気事業法というのは為替レートは固定、石油の価格も余り変わらないという事態、要するに余り変動しないという前提のもとでできておるものですから、二十三条も二十一条もオーダーメイドと申しますか、ぴったり体に合うようにできておる条文ではございません。いずれもぎくしゃくしたところがあるわけでございます。そのぎくしゃくした二つのうち一体どちらが妥当であろうかということの選択の問題であるというふうにわれわれは考えております。ところで、この緊急の事態でございますから、余り時間をたくさんとるというのもどんなものであろうか。  まず二十三条、十九条の系統でまいりますと、通産省で厳密な原価査定というものをやらなければなりません。ところが、問題の根源は、原価の基礎になるところの為替レートがむやみに浮動いたしまして原価の査定がきわめて困難である、そういうところから問題が発生しているわけでございます。したがいまして、供給規程を改正する手続で原価の査定をするといたしましても、一体どういう方法でやるべきかということで非常な困難に逢着せざるを得ない。そういたしますと、料金査定、供給規程の改正に非常に多くの時間がかかってしまう。そういうことでじんぜん日を過ごしていると、審議をしている最中にまた為替レートが上がったり下がったりするかもしれない。そういうことではいつまでたっても問題が解決しなくなりますので、こういう現在のような緊急事態にありましては、ちょうど災害と同じような緊急事態考えまして、二十一条のただし書きということで処理する方が現実的、実際的ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、先生が御指摘になりました原価主義の原則というのをわれわれはそれから離脱するというようなつもりは毛頭ないわけでございまして、たまたまいま急激な為替変動の結果、たまったところの差益分だけを二十一条ただし書きを利用いたしましてできるだけ早く国民に還元をしよう、こういうふうに考えておりますので、二十一条ただし書きによったということでございます。  しかしながら、将来のこういう原価変動する時代におきましての料金制度が一体いかにあるべきかという基本的な問題はございますので、その点につきましては電気事業審議会で御審議をいただいて結論を得たい。今回の二十一条ただし書きの措置は、そういうような新しい見解が出るまでの臨時緊急の手段として二十一条ただし書きを活用していきたい、こういうことでございます。
  86. 武部文

    ○武部委員 私は納得できません。少なくとも電気事業法のできた経過、最初申し上げたように公益事業令というものから電気事業法に変わった経過、それから当時の解説そのものをずっと読んでみて、供給規程がこんなに大きく変わっておる。これはこんなにドルが安くなって円が急激に上がるということは全然あなた方自身も予想もしなかったということをおっしゃっているわけだ。これはいままでの答弁でそうなっているのですから。そうなってくると、まさにこの供給規程そのものが根底から変わってきておるということになるならば、たとえ時間がかかってもそういう基本的な原則の上に立って供給規程の改正、原価主義に基づいたそういうやり方をとるべきだというのが私どもの主張であります。  しかもこの条文からいくならば、これだけ円高になったわけですから、供給規程の変更は本来事業者から自発的に変更の申し出をするべきものだというのがこの条文の解釈の中にも明確に書いてありますね。事業者自身が、こういう事態が起きたときにはみずから自発的に供給規程の改正をやるべきだ。それをやらぬときには二十三条によって通産大臣は職権をもって供給規程の変更の申請を命ずることができる。職権をもって命ずること、こうなっておるのですよ。  私はお二人の会長さんにお聞きしたいのですが、あなた方はそういう供給規程の変更を申し出る気持ちがあったかどうか、どうでしょうか。
  87. 平岩外四

    平岩参考人 ただいま天谷長官からおっしゃられましたように、この問題は緊急、臨時に国民の要望にこたえて早く処理すること、これがまず第一に考えなければならないことだと思います。そうした場合に、二十一条か二十三条かという問題が一つ選択の問題としてあると言われますけれども、二十一条の過去の例がありませんが、一つの緊急臨時、そういうものに対処する条文であろう、そういう趣旨に合った条文であろう、こういうふうに解釈いたしております。
  88. 安西浩

    安西参考人 ただいま武部先生から、自発的にどうしてやらなかったという御質問だったと思いますが、去る四月二十日に当委員会が開催され、私も参考人として出席いたしました。あのときは為替レートは一ドル二百二十円であったことは先生も御承知のとおりであります。私は、為替差益を活用して現行料金を一日でも長く据え置きたいという方針を強く述べたことも先生御承知のとおりでございますが、八月になりましてから、御承知のように異常な円の高騰に遭遇いたしましたので、私は、単に料金の据え置きだけではなく、これに加えまして料金引き下げについても何らかの措置が必要ではないかと実は日夜考え抜いておりましたが、その段階におきまして通商産業大臣の御方針が出されましたので、早速私は東京、大阪、名古屋の三社の社長に集まっていただきまして、大臣の指示に御協力申し上げることにした次第でございます。決して忘れておったわけではございません。
  89. 武部文

    ○武部委員 時間がございませんから、私は最後にもう一点だけ申し上げておきますが、この通産省からいただいた資料によりましても、電気業界の配当は、通産省の指導によって、税引き後一〇%の配当をするということを指導しておるわけです。一〇%の配当というのは、現在の状況から見て非常に高い数字だと思います。しかも東京電力は、五十二年の九月、税引き純益三百五十一億、五十三年三月四百億、一年間に七百五十一億円という純益を得ております。しかも、この一株当たりの利益は、前回新しい料金が認可されたときの五十一年九月期は四十三円です。それが五十二年の三月には七十三円になり、五十二年の九月には八十六円。認可されたときの一株当たりの利益の二倍になっておるわけですね。こういう中で一割もの配当をするということは一体どういうことだというふうに私は思います。  東京電力、五千百億円という資本金を持っておりますね。したがって、この五千百億円の一割、五百十億円の株式配当があります。九電力全部合わせて一兆六千百四十四億円という膨大な資本金を持っております。この一〇%は千六百十億円の配当であります。  しかも、このあなた方の株主は、ほとんどが金融機関です。ほとんど全部――位から十位まで全部金融機関で占めておりますし、この一位から十位までの金融機関があなた方の株の半分以上を占めておる。北海道電力に至っては六〇・七九%、東京電力でも四五・七六%が金融機関です。そういうふうに金融機関がこのあなた方の一〇%もの株主配当を受けておることになりますね。現在の公定歩合のパーセントから見てもこれは異常というべきだと私は思うのです。  いまもう時間がありませんからやめなければなりませんが、五十一年度の為替差益は大体百九十億円ぐらいあったはずです。五十二年度の為替差益も、先ほど私が申し上げたように、千三百億を超えておるじゃないかというふうにも思います。これは一応決算が済んで特別に積み立てられておりますが、そういうもの、さらに五十三年度の国内取引によるところの千百億以上――私は千百億以上だと思うのですけれども、そういうもの、こういうものを合体した場合に、この流れの中で何で供給規程の改正を通産省がやらぬのか。あなたは時間がかかるとおっしゃったけれども、時間がかかるかもしらぬが、そういうことをやって、原価を明らかにして国民の理解を得る、そういうことでなければならぬ。さっき私が申し上げたように、原価主義がこのように重視されるのはそういう意味を持っておるんだ。この経営の上にあぐらをかいて――そういう言葉は悪いかもしれませんが、そういうことではなくて、国民世論がそれを注目しておるのですから、こういうような具体的な、五十一年、五十二年、五十三年はどうなるというふうな内容を明らかにしないから、いろいろとあっちこっちに数字の違ったのが出たり、いろいろなものが飛んで出るわけです。これは明らかに通産省がそういう実施をサボっておった責任だと私は思う。同時に業界もそれに協力して、少なくともこういうふうに大幅に供給規程が変わっていくという状態が起きたんですから、せめて電気事業法なりガス事業法の精神に基づいて、ただし書きを利用するというふうなことではなくて、還元のあり方はやはり根本的に原価主義に徹して、そしてこの第十九条にある「適正な原価に適正な利潤を加えた」、これはかくかくでこうなりましたということを言えば、それが上がろうが下がろうが国民は納得すると思うのですよ。上がるときだけぼんぼん上げておいて、下げるときには全然ほおかぶりして下げないというようなことでは、これは将来通産省にも業界にも決してプラスにならないと私は思います。そういう意味で、たとえ時間がかかってもそういう問題について努力をしていかなければならぬ、したがって、二十四日の通産大臣の談話のあの割引返還ということは、私どもとして納得できない、時間がかかろうとも原価主義に基づいて供給規程の改正を通産大臣が職権をもって命ずる、そういう態度を明らかにして、そこで国民の納得を得るようにしていただきたい、私はこのように思います。ちょうど時間になりましたから、通産大臣の回答をひとつ承りたいと思います。
  90. 平岩外四

    平岩参考人 ただいま武部先生から配当の問題が出ましたけれども、ちょっと釈明をいたしたいと思います。  それは、一割配当について非常に高いということ、それが金融機関で全部占められているということでございますけれども、私ども三十五万人の株主がおりまして、そのうちのほぼ三十万人というものは大体千株程度の株主でございまして、これは非常に零細な株主でございます。そして、その人たちが当社の株を信頼して持っていただいているわけですが、それが景気がいいからといって株の配当をふやすわけでもなし、常に一割配当ということは続けているわけでございます。高度成長のときに、皆さん非常に景気がいいときに株の配当を非常によくしましたけれども、当社の場合一割以上の配当をしたことは最近はないわけでございます。これはなぜかと言うと、一割というのは現在においては高そうに見えますけれども、これは一つには今後の膨大な設備資金を賄うために社債を募集しなければなりませんし、そのためにはどうしても資本を集めなければなりません。そのためにはある程度の配当というのは絶対に必要でございまして、非常に大きな利益のもとに配当を行っているようにおっしゃられましたけれども、現実には配当性向というのは当社の場合非常に高くて、配当をするために利益を出しているというのが過去の大体の実態に近いような点でございますので、その点ぜひ御理解をいただきたいということを申し上げておきます。
  91. 武部文

    ○武部委員 時間が過ぎたようですが、一つだけ企画庁長官にちょっと私は要望しておきたいと思うのですが、電気、石油、ガスすべてが輸入に頼っておるというのがわが国の現状です。それで円が高くなった、大騒ぎしてどうするか、これから先のことはよくわかりませんが、そういうふうにそのたびごとに大騒ぎをするというようなことが現状の姿でありますね。今度もまさにその例に漏れないわけです。したがって、毎年出たとこ勝負でそういう対策を立てるということではなくて、少なくとも、時間がかかっても一年ぐらい後でもいいからそれがスライド制につながって、問題がやはり国民としてはそうなったかというようなことにならないと、私は物価政策上国民が納得しないと思うのです。ですから、まさに円が高くなったから、ほらというので大騒ぎする、また下がったからというので大騒ぎする、そういうことではなくて、少なくともいま申し上げたような、一年くらい後になってもいいからそのことがスライドになって具体的にあらわれてくるというようなこと、検討すべき問題をいま投げかけておるじゃないかというふうに思いますが、どうお考えでしょうか。これだけ聞いて終わりたいと思います。
  92. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 この問題につきましてはすでに本委員会において長いこと御関心をお持ちになり、私どももいろいろ御示唆をいただいてまいりました。そういうことも考えまして、このたびのような決断を通産大臣がされたわけでございます。  ただいま武部委員の御指摘の問題につきましては、先般通産大臣の談話にもございますように、このように為替が非常に変動するというようなときに、料金の問題にそれをどのように反映させるか、新しい問題として考えなければならないということを通産大臣は言われておられますので、政府としてはやはり御指摘のように考えていかなければならないと思います。
  93. 武部文

    ○武部委員 終わります。
  94. 美濃政市

    美濃委員長 鈴木強君。
  95. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 時間が余りございませんので、もう端的にお尋ねをしたいと思います。  まず第一番に、これから参考人の方々に御意見を承るのでございますが、その前提になります経済問題、特に円高の問題についてのこれからの見通し、こういうものについて若干経済企画庁長官に伺っておきたいと思います。  いま、御承知のように円は百九十円台を前後しておるわけでありますが、一時は百八十円に突入するというようなことになりまして、いま武部委員からもお話がありましたように、かなり混乱をしている面がございます。そこで、今度の差益還元につきましても五十三年度ないし五十四年度にまたがっておるわけでありまして、この際、私は、長官として円高というのは一体どういうふうな筋をたどっていくとお考えになっているのか、その見通しについてひとつあなたの考え方を示していただきたい。
  96. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 最近は相場かなり神経質になっておりますので申し上げ方も気をつけなければならないわけでございますけれども、一般に国の内外でその方の専門家が言っておりますことは、現在程度の円の相場になりますと、これはある意味かなり心理的な要因で円が、むしろどちらかというと過大に評価されておる、あるいはドルが過小に評価されておる、そういうことと見る向きが多いのではなかろうか、私はそのように国の内外の評価を理解をいたしておるわけでございます。
  97. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 これは非常にむずかしいことだと思います。いろいろ原因があるでしょうが、今日の日米間の貿易収支の問題こういうことも一つの問題ではないかと私は思うのでございますが、いずれにいたしましてもドルが異常に安くなっておりますので、アメリカにおきましてもカーター大統領がそれぞれの手を打っておられるようです。わが国におきましてもこの貿易収支の、日本からすれば黒字、アメリカからすれば赤字でございますね、日本の黒字を縮小しアメリカの赤字を少なくしていくという、赤字から黒字に転換していくという基本的な問題があると思うのですね。それに対して日本政府がはっきりした手だてをしておきませんと、私はこの円高というのはなかなか姿を消さないように思うわけでございます。特に電力九社とガス三社が社長会議でお決めになりました今度の電気ガス差益還元の内容を見ますと、五十三年度は平均レートを一ドル二百円として計算しておるようですね。五十四年度は一ドル二百一十円、こういうことで計算をしているのですが、ここらはひとつの目安でございましょう。しかし、少なくともいまここで論じられるような五十四年度の料金は据え置いて返せる分は返します。こういうような方針を立てておるわけですから、こういうようなものを一つの目安にどこがしたか私は知りませんけれども、政府の指導もあってやったんだと思うのですが、この辺はどうなんですか。
  98. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 この円高一つ原因がわが国の国際収支、ことに経常収支の黒字幅にあることは御指摘のとおりでございますので、すでに御承知のとおり、通産大臣におかれまして、四月からわが国が輸出をしております八つの主な商品につきましては、輸出の数量が前年を超えないようにという行政指導を始められました。円高もそれに手伝ったこともあろうとは思いますけれども、すでに四-六月期におきましてわが国の輸出の数量は、前年同期に対しまして二・七%の減でございます。七月におきましてはほぼ八%の減でございます。したがって、このことは逆にわが国の成長の足を引っ張る要因になりますけれども、しかし国際的には、このことはわが国の誠意を行動であらわしたことになると思っておりまして、この点は国内的には困難のあることでございますけれども、やむを得ない措置として、政府としては輸出を事実上ある程度数量において調整するということはしばらくやむを得ないのではないかと考えております。また、これがだんだん世の中にもわかっていくことでございますので、そうなりますと円の傾向にもどちらかといえば鎮静化的な影響を与えるのではないかというふうに考えております。  なお、この際、電力会社ガス会社において料金、いわゆる為替差益の一部を還元するということにつきましては、五十四年度において料金を据え置けるような範囲において、現状においてどの程度が可能であるかということを基準に算定するということになると理解しておりますので、したがいまして、今後の円の相場がどうなるかということはその際一応捨象して考えられておるのではないかと思います。
  99. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 確かに円高によるメリットと輸出面におけるデメリットはあるわけでして、長官おっしゃるように通産の発表でも七月は輸出認証統計によっても八十億六千六百万ドルで前年同月比七・四%の増にとどまっているんですね。円べースからすると一三%の大幅な減になっているわけです。これはもう昭和四十八年十一月以降、石油危機以来の大幅ダウン、こういう面がこれからの日本経済に悪い影響を与えることは言うをまちません。ですから、その辺を考慮して、特に自動車関係がずいぶんダウンしているようでございますから、経済企画庁としても通産と十分連絡をとり、九月二日に経済関係閣僚会議も開かれるようでございますから、その際に国民の納得できる、そして日本経済が三十四兆円の金を使ってとにかくここに動き出しているわけでしょう。しかし一体本当に日本経済が前に進んでいるのかどうかということになると非常に疑問がある。われわれが過ぐる通常国会でいろいろ示しました社会党の景気浮揚への政策というものも十分に生かされておらない、そういうこともあるかもしれませんが、御苦労いただいていることはよくわかりますけれども、現実には私ども選挙区を回りましてもまだ景気の動きというものは油断できません。ですから、そういう点を十分配慮して、円高によって喜んでおる面と、一面におきましてはこういう面があることをわれれわは十分知っておるわけですから、長官としても十分配慮して今後やってほしい、こう思います。
  100. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ただいまの点はまさに御指摘のとおりでございます。一-三月におきましてはいわゆる海外経済余剰は国内の成長を助ける要因になったわけでございますが、プラスとして出てまいりましたけれども、四-六月の輸出入の動向を見ておりますと、今度は逆に成長を引っ張るマイナスの要因にそれが働くのではないかと思われます。したがいまして、ただいま鈴木委員が御指摘のように、この際決定すべき経済総合対策は、何とかしてそのような、いわば穴を埋めるような形で行わなければならない、またそのような規模を目指さなければならないというふうに考えておりまして、せっかくただいま努力をいたしております。
  101. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 わかりました。ぜひひとつがんばっていただきたいと思います。  次に、われわれの悲願でございました電力ガス差益還元がやっと爼上に上ってきたわけでありまして、私も同慶にたえない一人でございます。いままで御苦労された皆さんにも感謝をいたします。いろいろ紆余曲折がありましたが、時間がありませんので、ここでは触れません。  そこで、私は端的にお伺いしますが、先般電力九社の社長さんとガス三社の社長さんがお集まりになりまして、差益還元の方針をお決めになりましたね。その方針というのがまだきょうはっきりと示されておらぬのです。一体どういうふうな内容で、幾らをどういう方法でいつ還元するのか、この点が明らかでない。還元方法についても、一括かあるいは分割か、何か十月から二百円ずつ六カ月間、千二百円を電気については、東京電力の場合を例にとれば返すというようなものもございますけれども、いま申し上げたような点を簡単でいいですから、これは平岩会長さんでしょうか、それからガスの方と、ひとつ説明してくださいませんか。それからこれに対して通産省の長官、九月二日に経済閣僚会議にそれらの案を示してどういうふうにこれを調整するか、これは通産の立場でおやりになるのでしょうが、通産としてはどういう態度でやっていこうとするのか、時間がありませんから概略でいいですから、どうぞお三人からお願いいたします。
  102. 平岩外四

    平岩参考人 鈴木先生にお答えいたします。  現在、通産当局ともお話し合いをしながら急いで検討を進めておるところでございます。現時点で申し上げるならば、電力業界といたしましては割引の期間は五十三年の十月から五十四年の三月分の六ヵ月間、毎月の電気料金から割引をする、そういう方法にいたしたいと考えているわけです。また割引の額につきましては、OPEC値上げによる原油価格の見通しを初め、五十四年度以降不確定要因が非常にたくさんございまして見通しはなかなかむずかしいので、いま鋭意詰めている最中でございますが、これをなるべく早くお返しする、ぜひ一日も早くお返ししたい、こういう気持ちでおるわけでございます。
  103. 安西浩

    安西参考人 お答えいたします。  すでに先生御承知と思いますが、五十二年度におきましては百五十五億の直接差益がございました。間接差益はその約一割でございますが、五十三年度におきましては直接差益三百八十億円、間接が四十億円ぐらいに考えておりまして、この還元方法につきましては、これから通産省と打ち合わせて、目下検討中でございます。  ただ、一括返せというようなことがよく新聞なんかに出ておりますが、これは実際においてやりにくい、需要家にも非常に迷惑のかかることでございますから、需要家の移動も激しいことでございますから、やはり月別がいいのじゃないかと思っておりますが、こういう問題は目下検討中でございます。
  104. 天谷直弘

    天谷説明員 お答え申し上げます。  まず原資でございますけれども、直接差益間接差益の合計額を原資として考えたいと思います。この原資をもとにいたしまして五十四年度の料金の据え置きが可能になること、それから為替の変動あるいはOPECによる原油価格値上げ等の予測しがたい事態にもある程度対処し得るようにすること、というようなことを念頭に置きまして、どの程度の払い戻しが可能であるかということはこれからよく検討をいたしたいと思います。  次に、一括か、あるいは、いま十月から三月までというお話がございましたが、こういうふうなやり方にするかという問題につきましては、技術的にもあるいはそのほかいろいろ問題があるようでございますので、検討させていただきたいと思っております。
  105. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 検討、検討で、まだ結論らしいものはないのですね。たとえば還元方法一つとってみましても、十月から毎月支払うということになると、十月に東京におりまして十二月に北海道へ移った、こういう人たちには、北海道は除外されているわけですから、恩恵がないということになるのではないですか。その辺の問題はどうなるか。後から申し上げますけれども、北海道の方では、国策に即して石炭を使って電力をやっておったら、内地の人のように円高差益というものが全然ない、そういう不公平が出てくるでしょう。これを一体どういうふうにしてやるかというようなこともあわせて考えておかなければいかぬと思うのです。私は、大変であっても一括支払いをやるべきだ、こういう考え方を持っているものですから、北海道の問題と絡めて、その点、もう一回。
  106. 天谷直弘

    天谷説明員 いま御指摘の問題は、法律的にもそれから公平を保つという実際上の問題からも非常にむずかしい問題かと存じます。いま御指摘になりました一括というやり方でございますと、むしろ不公平性の方が増すのではなかろうか。それから、それを計算する手続も大変むずかしいことになるようでございます。しかしながら、どちらの方法がいいかということにつきましては、なお目下細かく検討させていただいておるところでございます。  それから北海道の問題、これはわれわれも非常に頭を痛めている問題でございます。北海道だけではなくて沖繩も似たような問題がございますが、いずれにしましても、北海道と沖繩の経営内容が非常によくないわけでございまして、差益を払うような力もありませんし、北海道の場合には差益そのものが発生しておらないというような状況にございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、差益が全国一律に発生するというようなことにはなっておりませんので、でこぼこがあるのはやむを得ないこととわれわれは考えておりますが、北海道等の経営改善につきましては、今後とも一層努力を続けていきたいと思っております。
  107. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 もう少し具体的に北海道電力に対して――日本国民ですから、たまたま北海道に住んでいて、国が国策として石炭を使えと言った、石炭でやっておったら、内地の方は石油で差益があるが、北海道の方はない。これは国民の心理として当然出てくる。だから、今後の問題であっても、そういうものに見合うだけの、いまあなたがちょっとおっしゃったような政府の全体のバックアップを何らかの形においてやるとか、そういうことをちゃんとしなければ納得しませんよ。
  108. 天谷直弘

    天谷説明員 北海道の石炭問題につきましては、石炭政策を通じまして、たとえば石炭の増加引き取り交付金制度を復活するとか、そういうようなことも来年度予算で実現をしたいと考えております。しかし、それだけで解決する問題でもございません。いろいろと多面的な取り組みが必要であると考えております。
  109. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それはわかりました。  それから平岩さん、安西さんにお伺いしたいのですが、さっきもちょっと問題になりましたが、結論だけ言いますと、重油を原料にしておりますね。そういう場合に、間接的な差益だとさっきおっしゃった。あなたの方の社長会ではその差益の一部を間接的なものとして返してやるという点が含まれていますね。今度どのくらいを見込もうとしているのですか。ガスの方も、もしあったらお聞きしたいと思うのです。
  110. 平岩外四

    平岩参考人 重油還元につきましては、この前のときには国内精製重油については、市況の問題が主であるからこれはネゴシエーションのあれが主である、といって差益が入っていないわけでは決してない、こういう主張をとってまいりましたけれども、現実にその中に差益が相当入っていることも事実でございますし、われわれは、国内精製重油について、ネゴシエーションの要素が非常に強いけれども、差益のものも相当あるという考えでいま検討を進めております。
  111. 安西浩

    安西参考人 お答えいたします。  原油重油お話がございましたが、ガス事業三社では今日、原油重油は一滴も使っておりません。これは大気汚染防止という観点からLNGに切りかえたわけでございます。ただ、国産ナフサという問題がございますが、もちろん輸入するナフサにつきましては直接の差益として計上いたし、国産ナフサにつきましてはわずかでございまして、ガス事業三社で約四十億くらいでございます。地方のガス会社については後ほど触れる機会があると思います。原油重油は一切使っておりません。
  112. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 安西さん、おたくのガス三社、全部かどうか知りませんが、製鉄会社から依頼を受けてコークスをつくっておりますね。そのコークスの原料は、ほとんど輸入石炭に頼っている。この場合、さっきの堀内委員質問との関連ですが、製鉄会社が直接石炭を輸入して、それをおたくの方に回してコークスをつくるわけだから、実際の円高メリットというものは製鉄会社の方に行くのじゃないかと思うのですよ、円建てでやっているのでしょうから。その場合には、さっきの電力と同じように、石炭の価格変動した場合にはスライド制で自動的に変わっていくというようになっているのですか。
  113. 安西浩

    安西参考人 お答えいたします。  御指摘のように、石炭は、製鉄会社にメリットが入るわけでございます。われわれはそれをコークスにつくっている、したがいまして、差益ガス会社には発生いたしません。いま三社で、五十二年度においては二百八十七万トン、五十三年度には二百六十七万トンの委託の石炭がございますが、このメリット、価格差益は製鉄会社に入るものでございます。
  114. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 だから、あなたの方はただ奉公しているようなものではないですか。委託であっても、こういうコークスをつくるのがガス会社の仕事ではないでしょう。どうなんですか。  それで関連して、プロパンを使っている家庭が日本全国で一千八百万くらいあるのです。都市ガスは千五百万世帯。だから、いま都市ガスをもっとふやしてくれという意見がずいぶんあるのですよ、私は山梨県ですけれども、甲府を中心にして。プロパンは非常に危険性もあるし、安全保持の問題もある。だから、そういう方面にあなたは一生懸命力を尽くすべきであって、コークスなんというのは会社の自家用にして、製鉄会社にお返しになったらどうですか。製鉄会社がもうけて、あなたの方は指をくわえているような、そんなことを何でやっているのですか。政府の命令でやっているのかどうか知りませんが、そんなものはお返しして、それよりこっちの方にお金を使って都市ガスをどんどんとふやしたらどうですか。何か。プロパンガス会社の方は都市ガスの普及に猛烈に抵抗していると聞きますけれども、そんなものはけしからぬですよ。国民が希望したら、それをやったらどうですか。そして、よく話し合いをして、少なくとも会社同士のそんな摩擦がないような配慮もやりながら、政府にも出てもらって、その方に力を入れなさいよ。どうですか。
  115. 安西浩

    安西参考人 お答えいたします。  先生はこの前の四月二十日の委員会には御出席がなかったように思いますが、あの際申し上げましたが、私は昭和三年に学校を出ましてからちょうど五十年間ガス事業に携わっております。終戦後におきましては、経営者の一員として参加し、その後常務、副社長、社長、会長、そして日本瓦斯協会会長を十年務めております。LPGの導入は、実は私が始めたのでございまして、LPGの元売協議会会長を初めから今日までやっております。  私は、LPGと都市ガスというものは競合燃料ではない、この二つのエネルギーが結局民生安定に貢献をするものだと考えております。御指摘のように、ただいまはLPGの需要家は千七百七十六万軒ですね。ガス事業が千五百万という御指摘がありましたが、私は両方の会長をしておりますからはっきり申し上げますが、あれはボンベ売りでございまして、供給量というものは非常に大きな違いがあるのでございます。私は、LPGは、昔のまき、炭というような、補完燃料だと思っております。  都市ガスの普及につきましては、御指摘のように今後全面的に拡充計画をいたして御期待に沿うつもりでございます。
  116. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 立志伝中の会長に失礼なことを言ったかもしれませんが、私は、そういうプロパンが都市ガスの普及に対して、何か自分の領分を取られるというような、そんな小さい根性でいるということはちょっと残念だと思ったのです。たまたまあなた一人でやっているのだから、両方の親分なんだから、そこらをひとつうまく調整していただいて、ひとつ国民の期待に沿えるような都市ガス開発をやっていただきたいと思うのです。  それで、時間、時間と本当に時間を気にするわけですが、いずれにしても、この円高差益というものがいろいろ俎上に上ってきて、これから九月二日に結論を出していただくわけですが、私はもう一つわからないのは、五十二年度分を還元しないというのですよ。明らかに差益がある、なぜこれを還元しないか。もうこれは決算してしまって使ってしまったのですか。どこへ使ったのですか。使ってしまったのならば、ことしまだほかに回しているところがあるのでしょうね。人件費だとか、資本だとか、そういうところにも回しているように聞いておるのですけれども、そうだとすれば、そういうものは削っても五十二年度分をお返しするというのが筋じゃないですか。これは天から降ってきたようなもので、皆さんが努力してもうけたお金じゃないですよ。これは不労所得ですね。これは消費者に還元するのはあたりまえのことなんだ。それをネコババしたような形でどこかへ使ってしまったということは納得できない。ことし還元すればなおさらそういうことが出てくるわけで、その辺に対してはどうなんですか。
  117. 安西浩

    安西参考人 四月二十日の本委員会におきまして、私は武部先生と不労所得でないという問題は詳細に論議いたしました。これは官報で記載されておるとおりでございます。  いま、五十二年度分を返せということでございましたが、三社では八十六億円特別積立金にいたしております。東京瓦斯を例にとりますと、九十億の差益が出ましたから、四十五億特別積立金としてがっちりそのまま通産省の監督下に置かれておるわけでございまして、これは、五十四年度の値上がりをこれで抑えようという考えで、決してむだ遣いもいたしておりません。この問題につきましては、武部先生と詳細にわたりまして四月二十日に論議いたした問題でございます。
  118. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 平岩会長、何か御意見ないですか。  一緒にお答えいただきたいのですが、私は、電力の需要というものが非常に最近多くなってきておりますから、この先、十年先、二十年先どうなるのか非常に心配をしておる一人なんです。  ヨーロッパあたりを回ってみますと、スウェーデンあたりでは、もう五十年先まで物を考えて、もちろん原子力も、ああいう完璧な国ですから、岩盤の国ですからそういう安全性ということも確保されるのでしょうが、原子力発電を盛んにやっておられました。日本の場合には、みみっちいですよね、五年先とか三年先とか、そんなことしか考えてない。非常に残念だ。ですから、もっと大きな展望を持って、日本の二十年後の電力はどれだけの需要があるのか、これを考えまして、それに対する供給体制というものをどうしていくか、これをちゃんとやってくれなければ困るんですね。ですから、そういうものとの関連で国民が納得できるような還元というものが出てきた場合には、これは私は理解できるのですよ。そうでなくて人件費とかコストアップにこの金を使ったなどということになったら、利用者は納得しないですよ。ひとつ平岩会長もそういう展望を持って、国民の前に電力需要に対しての電力安定供給の展望を示して協力を得るというような、そういうPRをもっとちゃんとおやりになったらどうですか。少し下手くそじゃないですか。
  119. 平岩外四

    平岩参考人 最初の、不労所得であるかどうかという御質問に対しては、安西会長お話ししたように、私も不労所得ではないと、還元すべきものではあるけれども、不労所得だから還元するということではないと、これは武部先生と安西会長とよくおやりになったのと全く同意見でございます。  それから、電気事業の課題と対応という問題、これは、時間がもしいただけますならば問題を申し上げたいと思いますけれども、私どもとにかくいま心配な点は、やはり五十年代後半における供給が需要に追いつかなくなるのじゃないか、こういう心配を切実に持っているわけです。そのために安定供給をどういうふうにしていったらいいか、そのためには日本の国にないエネルギーをどういうふうに確保していくべきかという問題、これがエネルギーの多様化あるいは多角化、そういう問題でいま国を挙げて論議をされているところであるわけですけれども、電気事業の場合にはそれだけでは足りないのであって、今度はそのエネルギーを確保した上で発電所、送電、そういう立地の問題が解決され、同時にマッチしなければ安定供給ができないわけでございますので、この点の将来展望、それを考えながら、しかもそれに対しては非常に膨大な資金が要る、そういうことを考えますと、そういう長期的視点に立って電気事業はどうあるべきか、こういうことの問題が非常に大切であるし、いまわれわれ最も切実な問題であろうかと考えています。詳細に申し上げてもいいと思いますけれども、時間がありませんから……。
  120. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 大変恐縮ですが、私もぜひ聞きたかったのですが、時間の関係でかえって御遠慮いただいて恐縮に存じます。できましたら、そういう大綱だけでも結構ですから、私たち委員にも出していただきまして参考にさしていただきたい、これだけお願いしておきます。  委員長にも、どうぞ後からお願いします。  それから、あと二つだけにしぼりますが、石油連盟会長さんにもいらしていただいておりますが、石油業界は、五十三年度に大体二兆円を超すような円高差益が全体から見るとあるのではないかというようなこともございます。そこで、当面問題になります灯油でございますが、何か、急遽通産省の方も、十八リットル入りの一かんについて二十円くらいを小売実勢価格から引こうというような、そういうような方針を打ち出されたようですが、これは民族系の出光がそういう方針を決めたようでして、その他はまだそういう方針を決めておらないようですが、いよいよ冬季を控えまして、北海道あたりですともう九月ごろからぼつぼつ特約店に対して卸すようなことになると思いますが、この場合に、もうちょっと安くならないものですかね。これは、二十円というのは限度ですか。二十円程度というのですけれども、ここのところをひとつ説明していただけませんか。
  121. 石田正實

    石田参考人 実は私の方の連盟の方では価格を扱っていないものでございますから、参考のために、私は出光の会長も兼ねておりますので、出光の数字について、簡単でございますけれどもお話ししますと、御承知のとおり、石油というのは五十年十二月に石油業法で標準価格というものが決定しまして、そのときに灯油は三万二千六百円という値段で抑えられたのですが、その後六月以降にこれが解除になりまして、あと二百円アップということになりまして、大体三万二千八百円というのがそのときの標準的な値段になったわけですね。それでいろいろその後いきさつがありまして、OPEDの値上がりがあるし、また為替レート変更するというようなことで、実は昨年の暮れにいろいろ要望がございましたので、これは私の方の出光で二千円下げるということで三万八百円という数字にしたわけです。ところが御承知のとおり一月以降また為替レートが動くというようなことで、この為替レートに大体合わせていこうというようなことで、その後この四月の価格で見ますと、大体二万九千百円ぐらいになっているわけなんです。この間、結局千七百円下がって、去年から通算しますと三千七百円下がっているわけです。ところが御承知のとおりまた最近、この六月以降、六月の二十一日ですか、二百十円を割るというようなことになりました。七月の二十四日にまた二百円を割るというようなことになりまして、いま百九十円前後になっているというような状態でございます。  いろいろありますけれども、今度電力さん、それからガス会社さんの方でも還元されるというような御方針のようでございますので、灯油の方もそういうことを考えて私の方で昨日千五百円を値引きしようということでしたわけです。結局キロ当たりにしますと、大体二万七千六百円という数字になるわけです。昨年暮れから見ると、約五千二百円値引きした、こういうような勘定になるわけでございます。  ただ、実はこの灯油の問題は非常にむずかしい問題がございまして、これはここに安西さんもいらっしゃいますけれども、カロリー当たりで計算しますと、都市ガスから見ると大体半分の値段のようなことですね。それからLPGから見ると三分の一、電力のカロリーから見ると大体四分の一ぐらいに灯油が非常に安いわけですね。これは石油ショック以後政府の方でいろいろ指導されたといいますか、行政介入というのからこういう価格体系になってきているわけなんです。この石油価格体系というのは石油ショック後非常に大きく変えられまして、標準価格のときに多少は訂正しましたけれども、やはりまだガソリン高、重油安というような、そのほかの石油価格価格体系がゆがんでいることは事実でございます。これはいま通産省の方にも話しまして、できるだけ石油ショック後の価格体系というものを世界的な水準といいますか、そういうふうなひずみをできるだけ是正してもらいたい、こういうことを要望しているわけです。ことに灯油なんというのは、御承知でしょうけれども、今度日本でIEAの世界エネルギー閣僚会議というのがございまして、それでも勧告しているのですけれども、非常に灯油が値下がりして、これは石油の消費節約というのに逆行するじゃないかというような強い勧告も受けているわけです。  そういう点を考えまして、それから同時に、この灯油もいませっせと、この九月末に大体六百二十万キロを備蓄しようということ、そして冬の間に千五、六百万輸入して二千何百万というものを供給しようということで計画をやっているのですけれども、ところが原油の中からとれる灯油の率というものは大体一〇%前後なんですね。しかも重油がだんだん重質化してくるというような問題も抱えておりまして、灯油をこういうふうな値にすると、今後消費が非常にふえてくるというようなことになりはしないか。そうすると、これをどういうふうに解消するかというのは、われわれ業界としてはこの点が非常に頭を痛めているところなんです。ですから価格の方はこういうふうに為替にスライドするような形をとりましたけれども、ここら辺でやはりたとえば灯油の規格を――非常にいいものと悪いものがある。御承知のとおり日本の灯油というのは世界一いい油なんですね。だから部屋の中でたかれてもちっともにおいもしないし、硫黄分も全然ないというようなものなんですけれども、ところが北海道あたり、大きいものは、最近のセントラルヒーティングなんというのは家の外でたいて煙突でやるわけですから、こういうものはできればもう少し質を落としてもいいと思うのです。そういうようなことを考えて、たとえば軽油を使うとかA重油を使うとか、そういう方法考えて、規格をやはり考えるということで、増産体制を考えておかないと、今後の灯油の供給をどういうふうにしていくかというのは、非常に問題があろうと思います。  えらい蛇足になりましたけれども、こういう経過と同時に、今後の消費節約をどういうふうにやっていくかという国民の皆さんの御協力をひとつお願いしたいと思います。
  122. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 まことに恐縮ですが、一つだけ最後に……。  出光の社長さんであり、石油連盟会長さんである石田さんが先鞭を切っておやりになったことは非常に結構だと思うのです。ですから、そういうことが各社に波及することを私たちも願っておるし、また当然すべきだと思うのです。  そこで、通産省は、小売価格を六月段階から全国平均十八リットル一かん六百九十円、店頭渡し、これは単純計算ですが、そうすると大体二十七円ぐらいの値下げになるということですが、流通コストを差し引くと二十円程度になるということですが、確かに自由主義経済の中ですから非常にむずかしいと思いますが、行政指導の面で、やはりこういうときですから、なおさら円高差益というものがいろいろな面においてまだまだほかにもありますけれども、きょうは油に限定しているのですが、ひとつぜひこの点も長官、行政指導を強めて、各石油会社もできるだけ安い供給ができるように御指導願いたいと思いますが、それだけ伺って終わります。
  123. 天谷直弘

    天谷説明員 先生御承知のとおり、灯油の小売段階は非常に雑多な販売店がございます。生協であるとか、スーパーであるとか、ガソリンスタンド、農協、米穀、薪炭販売店等々ございまして、大部分が中小企業、零細企業でございますし、その中には経営が苦しいところも少なくございません。したがいまして、私どもはこういう多数の企業に対しまして、一々幾ら値下げしろというようなことをする気持ちはございませんし、またそういうことをするのは妥当ではないというふうに考えております。ただし全般的に、たとえば卸段階で値下げがあった場合に小売段階である程度下がるということにどれくらい反映できるか、これは理論値としては言うことは可能でございますから、そういうことで消費者等の参考にも供しまして、全般的に価格差益等が生じないように妥当な方向に動いていくということはウォッチはしたいと思いますが、そうかといいまして一一幾ら下げろというようなことまでは干渉できないという立場でございます。
  124. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 あなた、私の質問を何を聞いているのです。一々幾ら下げろというようなことを私は言っていないのです。あなたは監督官庁として、差益があるのですから、そういう面からできるだけ下げるように指導しなさいと言っているのだ。何をあなたはそこに座って質問者の意見もろくに聞かないで一そんな答弁がありますか。そんなことじゃだめですよ。行政指導するのはあたりまえじゃないですか。行政指導は妥当じゃないけれども何かかんかやるというのは――官僚というのはそういうところがある。いいことはやったらいいじゃないですか。幾らにしろなんてことをあなたに言えと私は言っていないのです。大きい意味において、できるだけ下げて国民の人たちに安い灯油が配給できるようにやりなさいということを言っているのですよ。昔はこれは配給制度をとったことがあるのです。毎年そういう指導をしているじゃないですか。それを私は言っているのです。これは、宮澤長官という練達の士がいますからね。私もきのうきょう来たわけじゃないのだ、二十年近く国会におるのだから。そんないいかげんな官僚的な答弁は納得できない。それはお返しする。
  125. 安西浩

    安西参考人 先ほど、鈴木先生のお尋ねの際に、五十三年度における東京、大阪、名古屋の直接差益が三百八十億円で、原油重油は使っておりませんけれどもナフサ等で約四十億円と私は申し上げたはずですが、後ろの私のスタッフが六十と聞こえたと言うものですから、私は六十と言った覚えはなくて四十と言ったのですが、もし六十と聞こえたとすれば、御了解を得て速記録を御修正願いたいと思います。
  126. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 では終わります。
  127. 美濃政市

    美濃委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時二分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十四分開議
  128. 美濃政市

    美濃委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。宮地正介君。
  129. 宮地正介

    ○宮地委員 このたびの電力並びにガス為替差益をいかに消費者に還元するか、この問題につきましては、当委員会におきましても今年四月二十日に再三にわたって質疑をしたわけでございます。私も本日お見えの参考人の方々に対しましても質疑をさせていただきまして、当初は据え置きということで、できるだけ設備投資あるいは内部留保として残したい、こういう意向でございました。  そこで、私は、最初に通産省電力及びガス為替差益、収支見通しなどにつきまして試算値の確認をさせていただきたいと思うわけでございますが、最初に電力関係で、為替差益がなかったときの収支見通しとして、五十三年度、五十四年度の総費用並びに料金収入、そして料金収入から総費用を引いた差額、これがどのくらいになるか、まず御説明いただきたい。
  130. 天谷直弘

    天谷説明員 お尋ねの数字は、電気が約四千四百億円、ガスで六百十億円くらいと考えております。
  131. 宮地正介

    ○宮地委員 長官は、本日私に通産省から資料としていただいておる資料、大変失礼ですけれども目を通されておりますか。
  132. 天谷直弘

    天谷説明員 目を通しておりません。
  133. 宮地正介

    ○宮地委員 ではもう一度言い直してください。数字の額が全然違う。
  134. 天谷直弘

    天谷説明員 失礼いたしました。  お答え申し上げます。  電力でございますが、五十三年度の総費用が六兆四百億円、料金収入が五兆九千五百億円で、収支差はマイナスの九百億円、五十四年度につきましては、総費用が六兆六千四百億円で、料金収入が六兆二千九百億円、収支差がマイナスの三千五百億円と見ております。
  135. 宮地正介

    ○宮地委員 同じように為替差益を五十三年度、五十四年度、特に五十三年度は、四-六月を二百二十二円のドルレート、七月以降二百円、五十四年度は年間二百円とした場合、OPEC値上げ差し引き前の額とOPEC値上げ差し引き後の額を御報告いただきたい。
  136. 天谷直弘

    天谷説明員 五十二年度でございますが、OPEC値上げ差し引き前が三千百五十億円で、OPEC値上げ差し引き後二千六百五十億円、五十四年度につきましては、おのおの、三千五百五十億円、それから三千億円、こういうふうに見ております。
  137. 宮地正介

    ○宮地委員 そこで、五十四年度末までのもしも電力料金を据え置きにした場合に必要な金額、それを言ってください。
  138. 天谷直弘

    天谷説明員 先ほど申し上げました五十三年度の収支差額九百億と五十四年度の収支差額三千五百億円の合計の四千四百億円と見ております。
  139. 宮地正介

    ○宮地委員 そうなりますと、先ほど午前中から論議を呼んでおりましたいわゆる為替差益OPEC値上げ差し引き後の額が、五十三年度で約二千六百五十億円、そして五十四年度が三千億円、これにはいわゆる重油の値下がり分が入っていないわけですね。先ほどの午前中の御答弁ですと、大体一千億円ずつ、こういうふうにありました。これを含めますと、いわゆる為替差益は、五十三年度と五十四年度で約七千六百五十億円、こうなるわけです。さらに五十二年度においては、電力では約四百八十八億円の積立金がいまあるわけです。でありますから、それを合わせまして、いま報告のありました据え置きに必要な四千四百億円、これを差し引いてもなお三千七百三十八億円といういわゆる為替差益現実に出る、こういうことがあなたの方からの資料ではっきりしたわけです。ですから、この問題がいままで国民としてなかなか明らかになってこない。今回、わが党も試算を出しました。たとえば、電力九社の五十三年度の試算を見ましても、通産省だけが重油の値下げが入っておりませんから非常に低い。まああとは、石油業界にいたしましても、わが党、社会党さん、あるいは本日発表になりました日経さんの四千三百四十億円を入れましても、国民の大方の皆さんの重油値下げ分というものはやはり為替差益間接差益として見るべきである、こういうのが常識であろうと思う。  そういう点から見て、いま申し上げたこの数字でいきますと、やはり五十四年度まで据え置いてもなお約三千七百三十八億円という為替差益が出る、こういう計算になるわけでありますが、これについて間違いありませんか。
  140. 天谷直弘

    天谷説明員 直接差益間接差益を合計いたしますと、おおむねその程度差益が出るというふうに考えております。
  141. 宮地正介

    ○宮地委員 そこで、きょうは石油業界石田さんも見えておりますから、この電力業界に対する重油の値下げに対しては、石油業界としてはいわゆる円相場にスライドして重油を値下げしている、こういうふうな見解と承っておりますが、この点についてはどういう御見解を持っていらっしゃいますか。
  142. 石田正實

    石田参考人 連盟の方では直接価格は扱っておりませんので、ちょっとそこら辺がはっきり申し上げかねますけれども、原則として、大体業界全体としては為替差益還元しておる、こういうふうに考えております。今後とも還元していきたい、そういうふうに考えております。
  143. 宮地正介

    ○宮地委員 いま石油業界の代表の方は、為替差益として還元しておるという大体の御答弁です。これは常識であろうと思うのです。  そこで、同じようにガスについてエネルギー庁長官にお伺いしたい。為替差益がない場合の収支見通し、先ほどと同じように五十三年度、五十四年度について御報告いただきたい。
  144. 天谷直弘

    天谷説明員 五十三年度の総費用が六千六百十億円で料金収入が六千四百六十億円で、したがいまして収支バランスはマイナス百五十億円。五十四年度につきましては、総費用が七千二百八十億円で料金収入が六千八百二十億円で、その差額はマイナス四百六十億円と見ております。
  145. 宮地正介

    ○宮地委員 同じように為替差益五十三年度、五十四年度、レート先ほどと同じレートで御説明いただきたいと思います。
  146. 天谷直弘

    天谷説明員 五十三年度は四-六月が二百二十二円、七月以降二百円としまして四百億円、五十四年度につきましては年間二百円で推移すると仮定いたしますれば四百六十億円という計算になります。
  147. 宮地正介

    ○宮地委員 そうしますと、五十四年度末までの据え置きに必要な金額は、先ほどの百五十億円、四百六十億円を合わして六百十億円、間違いありませんか。
  148. 天谷直弘

    天谷説明員 そのとおりでございます。
  149. 宮地正介

    ○宮地委員 そうなりますと、いわゆるガスの関係について申しますと、五十四年度末まで据え置いてなお八百六十億円に、現在積立金が八十六億円あります。でありますから、差し引きいたしましても三百三十六億円、こういうふうに為替差益が出る、こういうふうになりますが、間違いございませんか、長官。
  150. 天谷直弘

    天谷説明員 八百六十億マイナス六百十億の二百五十億円が為替差益というふうに見ております。(宮地委員「積み立ての八十六億は」と呼ぶ)積み立ての分につきましては八十六億ございますけれども、これにつきましては五十二年度の分でございまして、一応将来の不確定な事態やあるいはコストアップに対処するため凍結してある分でございますので、これは計算に入れない方がしかるべきかと考えます。
  151. 宮地正介

    ○宮地委員 凍結しようがしまいが関係ない。要するに、為替差益としての理論値は三百三十六億でいいんでしょう。
  152. 天谷直弘

    天谷説明員 おっしゃるとおりでございます。
  153. 宮地正介

    ○宮地委員 そうしますと、先ほど石油業界からの御発言もあり、いま通産省が試算しました純然たる為替差益の額というものが、去る四月二十日に論議のときには二年間、五十四年度まで据え置きをする。その据え置きをしても、ガスについても電気についても据え置きをしても、なお電力においては、先ほど申し上げましたように、三千七百三十八億円、ガスにおいては三百三十六億円の為替差益が生じておる。通産省の試算でもそうなるわけであります。  さて、これを今後どういう時期にどういう方法で国民の皆さんにお返しするか、これは現在政府としても業界と折衝中である、こういうことであります。しかし、私は、これは可及的速やかに解決をすべきであるし、当面、秋の臨時国会ではこの点も焦点になろうと思う。  私は、この点について宮澤長官にお伺いしたいのでございますが、九月の二日に経済対策閣僚会議が行われる、このときに補正予算並びに今後の日本の景気の問題、またこの為替差益の問題などについていろいろ重要事項の決定をされると思いますが、この九月の二日ごろに大枠、このお返しをする方法、時期、こういうものについてそれまでに業界と折衝をして政府として決定をする、そういうお考えがあると、こう解してよろしいでしょうか。
  154. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 そのような目途のもとに準備を進めております。
  155. 宮地正介

    ○宮地委員 ぜひこの点については、一括方式あるいは分割方式、いろいろあるようでございますが、やはり国民に最も喜ばれ、なお公平になるように十分論議を尽くしてお願いをしたい、こういうふうに思うわけでございます。  そこで私は、次に石油業界、この問題について、石油業界というのは一体全体どの程度為替差益があるのだろう、これはなかなかむずかしい問題でありますが、まず業界として現在明らかにできる状況、試算値などがあれば御発表いただきたい。
  156. 石田正實

    石田参考人 ちょっと連盟の方は余りそういうデータを持っていないのですけれども、まず第一に、この三月に五十二年度の決算をやりまして、その資料はあるわけでございますので、五十二年度の状況は報告できるわけでございます。それで見ますと、これは政府の発表の数字でございますけれども、五十二年度中に大体八千三百億ぐらいの為替差益があるのじゃないかということでございます。ところが実際に、その後OPECの値上がりが二回ございまして、これが大体五千百億ぐらいになっておるわけでございます。あと関税の値上がり、これは四月から百十円上がったわけです。それからまたガソリン税が、これは年間通じて行われるというようなこと、これまた増額になっているわけでございます。そういうのが大体三百億くらい。そのほか備蓄、防災費用、そういうものが大体九百億ぐらい。合わせて大体千二百億くらいじゃないか。そういうものがコスト増になりまして、あと、業界で値下がりしている数字というのが大体二千三百億くらいじゃないかと見ておる。これは大ざっぱな数字ですけれども、十-十二月でキロ当たり大体千円それから一-三で二千円ないし三千円、こういうような数字で二千三百億。トータルで大体八千六百億くらいになりまして、八千三百億からしますと赤字が三百億くらい出ておるわけでございます。これは、決算書にユーザンス差益というのが大体三千億くらいあるわけです。それは金融上の一時的な差益なんですが、その中を三百四、五十億食いまして、そして二千七百億というような経常利益が出ているわけけです。これが大体五十二年度の実況でございます。  これから以降、四月以降われわれは大体二百二十円ぐらいの見当で推移するのじゃないかというようなことで一応予想しておったのですが、御承知のとおり六月の末以降急に円高になってきておりまして、これが今後どういうふうになっていきますか。大体われわれの方では鉄鋼重油というのはスライド制というのを去年からとっているわけです。それが決まりますと、紙パ、セメントなどが大体それに右へならえというような形でいきますので、大体重油はそういうふうな形になりますし、それからナフサは、最近決まりましたけれども、これは為替差益以上のものを今度値引きするというような形に四-六まで決めたわけです。灯油は先ほど申しましたような金額でございまして、ガソリンは御承知のとおり、これは相当の値下がりになりまして、これは価格体系そのものが非常に問題であるし、また業界の体質が非常に競争が激しいというようなことで、実際にこれはリッター十円以上じゃないかと思うのですが、リッター十円というと、キロ当たりにすると一万円以上の値下がりになっているというような実情でございます。そういうような推移を見せておりまして、今後どういうふうになっていきますか。これは為替レートがどういうふうに動いていくかと同時に、年末に予想されるOPECの値上がりが今度あるのじゃないかというような可能性が相当強くなってまいりました。そういうことを考えますと、五十三年度がどういうふうに推移していくかということはちょっと予測を許さぬわけでございます。  以上でございます。
  157. 宮地正介

    ○宮地委員 通産省の方で昭和五十二年度の石油企業の円高メリットの試算をこの八月にしておりますが、長官、概況プラス、マイナスを報告していただきたいと思います。
  158. 天谷直弘

    天谷説明員 石油部長がお答えいたします。
  159. 神谷和男

    ○神谷説明員 五十二年度の円高によります為替メリットの精算した分を御説明いたしますが、お断りいたしておきますけれども、これもあくまで理論計算でございまして、実際にこのような数値が各石油会社の財務決算書類上明確になることはございませんが、われわれが別途決算を分析した結果、われわれの理論計算がほぼそれに大差ないものであるという一応の心証は得ております。  まず、五十二年度の円高によります仕入れ価格の低下によるメリットは八千七十億円と一応試算をいたしております。それから値崩れと申しますか、価格の引き下げがこの間行われておりますが、この製品値下げによります減収分が二千百億円程度というふうに考えております。それから備蓄、防災費、精製費等のコストアップが千九百億円、それから期中、原油値上げが行われておりますので、これによりますデメリットが五千三百億円、こういうことになっております。  しかし、これでございますと、先ほどの八千億をはるかにオーバーいたしますが、ユーザンス差益が別途、われわれの計算では二千百億出る、こういうことになりますので、理論値では五十一年度に比べまして若干、数百億円経常利益が上がってくる、こういう計算になると思います。現実に五十二年度の経常利益は全社で二千八百五十億円でございまして、五十一年度の経常利益の二千二百三十七億円より六百数十億円高くなっておる、こういう状況でございます。
  160. 宮地正介

    ○宮地委員 いま業界から出た数字と比較しましても、通産省、ちょっと控え目じゃないか、こういう感じがするのですが、その点、甘さがないですか。
  161. 神谷和男

    ○神谷説明員 この中で先ほど申し上げました仕入れ差益、この分につきましては、原油輸入量がわかっておりますし、期中の円の平均レートがわかっておりますので、理論計算は大きな食い違いはないというふうにわれわれ考えております。それから原油値上げ等につきましても同様でございます。製品の値下げの減収あるいは備蓄コストのアップ等につきましては、これは値下げが行われておることは事実でございますけれども、時々刻々動いておりますので、これを数学的に申し上げますと、どのように積分していくかという手法によって若干の差は出てくると思いますが、われわれが少なくも五十三年三月末において決算を了した石油企業の財務を分析したところでは、ほぼわれわれの数値に近い比率で値下がりが行われておる、こういうふうに考えております。
  162. 宮地正介

    ○宮地委員 先ほど電力ガス、また今回の石油の通産省試算値、大変国民から見まして、どうも業界よりも低い、あるいは業界寄りではないか、甘さがあるのではないか、こういう疑問があるわけでございます。そこで、この際、こういう円高という中の消費者還元、こういう問題を一つの契機にいたしまして、過日私たちも政府にも申し入れをしておりますが、やはりこの為替差益還元、こういう機会をとらえて、企業経理というものをガラス張りでわかりやすく国民に公開していく一つのチャンスにしていくべきではないか。たとえば公益企業あるいは石油会社あるいは総合商社など、こういう為替差益と最も関係の大きい企業経理をこの際公開をして、徹底してこの為替差益を国民の前に明らかにしていく、こういう姿勢が政府にあってもよろしいのではないか。また、特に電力ガスなどにつきましては、当然公益企業でございますから、電気事業法あるいはガス事業法に企業経理の公開というものを義務づけていく。そして国民の皆さんにわかりやすく、為替差益が出ているということが明確になるようにすべきではないか、私はこういうふうに考えるわけでございますが、この点について政府としてどういうお考えを持っているでありましょうか。先に長官に伺って、それから大臣にちょっと所見をお願いしたいと思います。
  163. 天谷直弘

    天谷説明員 企業の経理内容のディスクロージャーの問題につきましては、現在は商法とか証券取引法、それから公益事業の場合には電気事業法、ガス事業法等で、経理の公開をその法律に従って行っているわけでございますけれども、さらに進んで、もっと中身を公開していけという御主張と存じますけれども、これにつきましては、どの程度どういう方法でディスクロージャーを進めていくかということに関しましては、先ほども申し上げましたように、たとえば電気事業審議会等におきまして検討をしたいと考えます。それから石油会社、これは公益事業ではございませんので、通常の株式会社の経理公開の問題かと存じますけれども、これに関しましては、私がお答えする問題というよりも、むしろ企業の一般の経理公開の問題ではなかろうかというふうに考えます。
  164. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 私が本来考えておりますことで申しますと、いわゆる私企業につきましては、やはり市場原理に基づきまして十分競争が行われるということが、消費者の立場から言いましても、国民経済全体の立場から言いましても最も望ましいことであって、また、それによって初めて企業の効率的な運営というものが確保されるというふうに私は原則としては考えております。したがいまして、商法によるもの、あるいは有価証券報告書等々に定められております範囲での公開ということはもとより必要でございますけれども、それを超えて私企業について、本来であれば自由競争が行われることによって私企業の経営が効率的に行われることが望ましい姿ではないかと考えております。ただ、しかし私企業でない、あるいは純粋な意味で一〇〇%私企業と言えないようなもの、特別の法律等に基づいて政府の監督等々のもとにあるものにつきましては、これは完全な自由競争というものは本来起こらない、完全には起こらないというふうに考えるべきでございましょうから、それにはまたそれなりの国民的利益に基づく公開の度合いというものがあろうかと思います。これは一般論でございますが。それがどの範囲のものであるかということについては、やはり監督をする立場政府の側において、いろいろな機会にその公開の程度というものを検討いたすべきものではないかと思います。
  165. 宮地正介

    ○宮地委員 大臣も、公開の程度の検討、要するにこの際検討をしていく、またエネルギー庁といたしましても、電気事業審議会などに図って十分検討したい、こういうことでございますが、電気事業審議会の料金制度部会などにおいて、来春ごろには何とかこの結論を出そう、こういう動きもあるようでございますが、たとえば消費者団体などが今回の電気料金原価の算定について、やはり一年ごとに見直す方法をとれないだろうか、こういうことで、料金の算定期間の短縮の問題などがいろいろ要請されているようであります。また、為替変動準備金制度などはどうかとか、あるいは、これは決して好ましいとは思いませんが、原油価格のスライド制とか為替スライド制とか、いろいろ処法があるわけでございますが、そういう点について検討といっても、やはり中身の問題でありまして、ここで検討と言えばそれで済むかもしれませんが、具体的にどの程度イニシアチブをとって進めていくのか、その点のスケジュール、青図面ができているのかどうか、長官に伺いたいと思います。
  166. 天谷直弘

    天谷説明員 料金の基礎になるような種々の価格が著しく変動する事態、特に為替相場であるとか原油価格であるとかが現在のようにはなはだしく変動する事態というのは、これまで余り経験したことのない事態でございまして、それに伴いましていろいろの問題が起こり、あるいはまた、それに対する解決策がいろいろ言われているわけでございます。したがいまして、われわれとしましては、こういう新しい事態に対処するために各方面からの意見を聞いて、まあ非常にむずかしい問題とは思いますが、解決策を探っていきたい。できるだけ早く検討を開始いたしまして、一つのめどといたしましては、来年の春くらいに何らかの答えを得たいというふうに考えております。
  167. 宮地正介

    ○宮地委員 大臣にお伺いしたいのですが、いろいろと方法はあると思いますが、こういう円高という問題を契機にいたしまして、最近、為替差益の消費者還元、まあ、特に物価を預かる大臣でございますから、各党、われわれもいろいろ有価証券報告書を見たり、調べたり、なかなかむずかしい資料の中から手探りで何とか正確な数字を出そうということでいろいろと努力をして、公明党試案というものを発表したわけでありますが、やはり調査をするその資料それ自体がなかなかわかりにくい。そういうことであるために、国民から見てどうしても不可解な、不透明な数字があっちこっちにあるのではないか、こういう感じをするわけでありまして、私は、円高というこういう機会に、またこれだけの国民の世論が消費者還元ということに沸き出ているわけですから、やはり何らかの形の新ルールをつくって、国民にわかりやすい物価行政、消費者行政というものを示すべきではないか、こう思うのですが、大臣の御見解を伺いたいと思います。
  168. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 一般的に考えまして、先ほど申し上げましたように、私企業については、文字どおり自由競争が行われるということが円高差益といったようなものを消費者に還元するための一番いい方法であろうと私は考えておりますが、なお、私どもとしては、現実輸入価格が下がっているにもかかわらず、それが消費者に十分に還元されているかどうかというようなことは、従来何度か追跡調査をいたしまして公表もいたしました。これからは毎月やっていくつもりでございまして、これはある意味で消費者に対してもそういうことを知ってもらって賢い消費者になってもらいたいというような自由競争を支援する立場からいたそうとしているものであります。以上は私企業についてでございます。  次に、一番極端な場合には政府の直接にいたします経済行為でございますが、これは何かの理由がありまして私企業に任せていないということには違いございませんが、ともすればしかし全く競争がないということになりますと、あぐらをかくという心配がございます。これは政府自身が自分でそういうことのないように考えていなければならない種類の問題でありまして、政府の企業の特別会計には幾つかそういうものがございます。  それらの中間にございますものがたとえば今朝から御議論になっております公益事業であろうと思いますが、考えますのに公益事業自身においても内部では常に効率化の努力が行われているに違いないと私は思います。地域独占でございましても、しかし経営者は恐らく最も効率的に経営するのにはどうすればいいかということは常に考えておられるはずであって、そのためには物品の調達等についても相当、いわば経済行為の主体の立場からぎりぎりの努力を恐らくしておられるに違いない。それらのことを一つ一つ世の中にそのままあけっ広げに申しますことがこれからのそういう経営主体の立場を果たして弱くするものであろうか強くするものであろうかというようなことも考えなければなりません。したがいまして、何でもかんでも全部公開することがそれらの公益事業が今後とも効率的に行われるために最もいい方法であるかどうかということはお互いに考えてもらわなければならないことだろうと思います。国民の目からそれを覆い隠すという意味ではございませんでぎりぎりの、つまり商売を公益事業にもしていただかなければならないわけでございますから、そうだとすれば全部の公開をすることが果たしてその目的に沿うかどうかということは、一つ一つのケースについて考えていく必要があるであろうと私は思いますので、先ほどエネルギー庁長官が言われましたように、どの程度にすることが最も国民的な利益に合うものであるかという基準を決めていくことが望ましいのではないかと思っております。
  169. 宮地正介

    ○宮地委員 そこで、私はガス関係で少しお伺いしたいのです。  先ほど来、大都市ガスについては三社で大体一千万世帯ぐらい対象、中小の都市ガスはいま約五百万世帯ぐらい供給しているようでありますが、特に中小関係の都市ガスはまだまだ原価コスト円高の影響が少ないのではないか。私の住んでおります埼玉県などはほとんど中小のローカルのガス会社でありますが、いろいろ聞いてみますと、原価コストはナフサにしても一回二千円落ちたくらいでどうも横ばいである、経営的には非常に厳しいのだ、むしろ値上げをしてもらいたいぐらいだ、かえって大手三社の為替差益消費者還元ということであおりを受けていろいろ住民の皆さんから大変な苦情が来ておるというような状態で、実際いまローカルのガスと大都市ガスの間で非常に格差が出ておる。この点について、業界としてどういうふうに御指導されておるのか、また、実際いま中小のローカルのガス会社というのは一体全体どんな経営の内容なのか、この点ちょっと御説明いただきたい。それから、実際に石油業界からの円高のメリットを受けているのか受けていないのか、この点もあわせてお伺いしたいと思います。
  170. 安西浩

    安西参考人 ただいまの先生の御質問お答えいたしたいと存じます。  為替差益の問題でございますが、現在東京、大阪、名古屋の東邦の三社以外の地方かる事業者は、そのほとんどすべての原料を国産原料に依存しておりますので、直接の差益はほとんど発生していないと私は考えております。ただ、間接差益分につきましては、国産石油製品を原料とする事業者の場合はわずかながらも好影響を受けておりますが、先生も御承知のように地方ガス事業者の実態はきわめて多様でございますので、原料費の低減による正確な影響額が幾らあるか、まだ私は把握しておりません。  次は経営状態でございますが、三つの会社を除く地方ガス事業者は、現在御承知のように二百四十九事業者がございます。これらの事業者の経営状況を見ますると、昭和五十三年三月末におきまして全体の約三三%に当たる八十二事業者が赤字であること、多くの事業者が経営難に陥っております。加えて都市ガス事業におきましては経営規模が小さくて経営基盤もきわめて脆弱でございます。その上諸経費も増加する一方でございますので、昨今は不況の影響もございまして事業量が伸び悩みまして経営内容はきわめて厳しい状況にございます。  具体的な例を申し上げますと、五十一年度におきましては四十七社がガス料金の改定をいたしました。五十二年度におきましては八十二社が料金の改定を行いました。五十三年度におきましては、六月末でございますが、二十一社がガス料金値上げをいたしました。目下申請中のものが三社、こういう状況でございます。
  171. 宮地正介

    ○宮地委員 要するにいまの安西会長の話は、円高のメリットを受けていない、大変である。こうなりますと、消費者から見ますと、円高のメリットどころではなくて値上げがいつやられるかわからない、こういうことでむしろ逆の現象がローカルのガス会社の地域では起きているわけですね。  ところが最近、そういう中で経営が大変でありますが、たとえばブタンなどを使って切りかえをして何とか経営改善を図ろう――ブタンは精製所の近代化によって大量に捨てていたものが入ってくるようになって安くなったという状況であるらしい。しかし、実際このブタンに切りかえるためには設備投資が必要だ、三千万円くらい最低かかるそうであります。この設備投資に対してもっとこういうときは通産省としても何とか御援助していただいて、また業界としてもいろいろ指導いただいて何とか大都市――たとえば東京都民は為替差益でメリットを非帯に受ける、埼玉県民はローカルで逆に値上げの方になる、こういう逆現象を何とかもっと国民にわかりやすく、消費者行政という立場からある程度国が行政指導をしてバランスをとっていくことも非帯に大事だ。特に埼玉県は都市化現象の激しい地域でありまして、埼玉都民と言われる方がどんどん人口急増でふえているわけでありまして、この辺のバランスは非常に大事だと思うのですね。この点について、長官、どういうふうにお考えになっておるか。また業界としても、このバランス是正のために、消費者保護という立場に立っても、どういうふうに国民に理解していただこうとしているのか、その点御説明いただきたいと思います。
  172. 天谷直弘

    天谷説明員 地方のガス会社は主としてナフサとかLPGとかいうものを原料にいたしておるわけでございますが、ナフサにつきましても御承知のとおり相当の値下げが行われているわけでございますから、ナフサ等を原料にしております地方のガス会社はそれなりにメリットは受けておるはずでございます。しかしながら、コストが高いという面もございまして、経営内容はいろいろと格差があると思いますが、社外流出等しないように、できるだけ消費者に対するサービスが行われるように通産省としても監視を続けていきたいというふうに考えますし、それからいま御指摘がございましたような合理化問題等々につきましては、一律にどうというわけにはまいりませんけれども、ケース・バイ・ケースでそういう合理化計画等につきましては御相談にあずかりまして、それを促進するように御協力を申し上げたいと思います。
  173. 安西浩

    安西参考人 お答えいたします。  ナフサが、石油化学と違いまして、都市ガス事業の方は多少高うございますので、昨年春以来地方都市ガスに対しましては、先生の御指摘になりましたブタンエア、これはブタンが少しだぶついておりますので、努めてブタンエア方式をもって私指導いたしているつもりでございます。  なお、金融面につきましては、従来開銀の資金は余り出ませんでしたが、開銀融資、中小企業金融公庫、北海道東北開発公庫等の融資につきまして、私自身も極力骨を折ってまいるつもりでございます。
  174. 宮地正介

    ○宮地委員 石油業界の代表で石田さん見えていますから、先ほど円高のメリットが余りローカルには出てないということで、私もあるローカル会社のナフサの価格をいろいろ聞いてみました。やはり先ほどお話ししましたように、一度二千円がダウンして後は大体こう横ばいなんですね。どうしてもローカルですから今度は元売から買うなり代理店から買うという流通段階の問題もあるわけです。こういうやはり電気ガスという、料金値下げという問題がここまできたわけですから、やはりローカルの都市ガスに対しても、供給元であるあなたの方の原価コストですね、もうちょっと何か特別の待遇といいますか、措置ですね、できないものかどうか、その辺伺いたいのですが。
  175. 石田正實

    石田参考人 いま安西会長からも話がございましたが、大体ナフサといいましても大した数量じゃないのですね。ガスに使われるのは年間二百万キロリットルくらいのわずかの数量なんですが、これが化学業界のナフサ、これは非常に大きな数量使うのですが、これから見ると大体キロ当たり千円高くらい割り高になっているわけですね。それで地方の方も、これは流通経路はいろいろありますけれども、今度一-三、四-六の化学向けのナフサを大分、あわせて三千円くらい今度値下げするようにしましたから、恐らくその価格ガス用のナフサの方にも大体そういうようなことになっていくんじゃないか、こう思います。極力安いようにわれわれも努力したいと思っています。
  176. 宮地正介

    ○宮地委員 もう一つガスで大きいやはり世帯、約一千八百万世帯ですか、供給されているLPG、いわゆるプロパンガス、これが全国的に非常に多いわけですね。このプロパンガスの、これがやはりなかなか値段が、価格が、安定しておいて下がらない、これも余りどうも為替差益還元されない、むしろ盲点になっているのではないか、こういうふうに言われているわけですが、プロバンガスについて石油業界としては実際問題として安く提供しているのですか、どうですか。
  177. 石田正實

    石田参考人 LPGの方は、これは連盟の扱いになっていないのですけれども、これはしP協会というものが別にございまして、そちらの方でやっておるわけです。
  178. 宮地正介

    ○宮地委員 では、これは資源エネルギー庁長官に聞くわけでございますが、この辺の実態の把握ですね、実際元売から安く行っているのか、言われるように逆に小売段階でどうも値が動かないのか。聞くところによると、通産省は、小売になるとやる気十分で、何か国民生活安定措置法を発動するかどうかなんという、そういうお話も伺っているわけですが、この辺、実際今回の円高為替差益のメリットが、LPGについては、元売段階からプロパン業者の段階において、どの程度いわゆるメリットが出ているのかどうか。また、実際それが消費者の段階に行くときに、本当に小売段階でどうも値がとまっているのかどうか。その辺は、通産省として、どういうふうに把握され、また、どういうふうに業界に対して行政指導されているのか、伺いたいと思います。
  179. 天谷直弘

    天谷説明員 LPGにつきましては、輸入価格は五十三年六月で対前年同月比一八%ほど下落をいたしておりますし、それにまた元売仕切り価格でございますが、これも五十三年六月には対前年同月比で一三・八%の値下げが行われております。元売につきましては、ほぼ差益の吐き出しが行われているというふうに見ておりますけれども、それ以下の流通段階、すなわち卸売と小売の段階がございまして、卸売段階は二千五百、それから小売になりますと四万強の数がございまして、この段階での、元売価格が下落したにもかかわらず、卸の段階それから小売の段階におきましては、必ずしも値下げが行われていないというような状況でございます。しかしながら、小売価格におきましては、人件費その他のコストが非常に大きゅうございまして、このLPGの仕入れ値というのは必ずしも大きなファクターではございませんけれども、しかし余り卸及び小売の段階で必ずしも値が下がっていないというのが実情でございます。
  180. 宮地正介

    ○宮地委員 どうかガス事業については、大手の都市ガス、中小都市ガス、LPG、大体どれかを日本国民は使っているわけですから、この辺の消費者保護という立場から立って、やはりセクション、セクションの担当あるいは業界の方々が、国民から見て本当に円高為替差益が何らかの形で還元され、政府業界も非常に誠実に努力しておる、こういう姿勢だけは示していただきたいと思うのです。それがやはり弱肉強食的に経済が動いてはならないと思いますので、その点については、私は、十分に強く業界並びに政府にその点の消費者保護に徹した中の円高為替メリットというものをいかに公平にまたガラス張りにお返しするか、また間接的な形でもよい影響が出るように、最大の努力をしていただきたい、このことを御要望したいと思います。  そこで、時間もありませんので、大臣に伺いたいのでありますが、今回のこのいわゆる電気ガス料金の値下げということが、私は、ある意味で、わが国の中にもう昨年来再三物価対策特別委員会でも論議を呼びました円高為替差益、なかなか消費者に還元がされない。政府は何をやっているのだろう、われわれの製品になかなか返ってこない。これはやはり率直な国民の、消費者の気持ちであり、そういう中で政府としても追跡調査をされたりいろいろ御苦労していることは私も十分承知しておりますが、やはり一般国民から見ましてなかなか為替差益が消費者に還元されない、遅々として進まない、これがいままで国民の抱いてきた率直な感情であろうと私は思います。  そういう中で、この十月からまず電気ガス料金が値下げになる。分割方式であれ一括方式であれ、ともかく値下げになる。額はともあれなる。これに対しては大変国民は好感を持っているとともに、私はこれは決して政府だけの努力ではない、むしろ日本国民の良識と賢明なる世論の喚起であろう、これがここまで動かしたのではないか、こういうふうに私は感じている次第でございます。  さて、その後第二段として、それではこの後続くのだろうか。これは率直な国民のやはり気持ちだと思うのです。いま残念ながら、政府主導の小麦にいたしましてもあるいは牛肉にいたしましても、あるいは国際電話、国際航空、こういうもろもろの、あるいは魚にしても、関係の第二段のいわゆる消費者還元いかになるか、これが国民の最大の次の注目であろうと思うのです。しかし、それに対しては大変冷たい反応がいま返ってきております。きょう残念ながら時間がございませんで、各セクションの方々に状況説明をこの場でしていただけないのですが、大体私がレクチュアで伺ったところによりますと、どうもむずかしいというのがほとんどの御意見でございました。しかし、国民は、第二段、引き続く第二段の、電気ガス料金値下げに続く消費者還元、ここに大きな期待を持っていると思うのです。これに対して担当大臣としてどういう決断とまた勇気を持って当たられようとされておるのか、決意を伺って私の質問を終わりたいと思います。
  181. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 宮地委員もよく御承知のように、わが国の場合には総輸入の八割程度が原材料、燃料でございますので、したがいまして、いわゆる完成品あるいは農産物そのものを輸入しているというような国と違いまして、円高差益還元というものがかなり迂回した時間とルートを通って国民生活にあらわれざるを得ないということは以前にも申し上げました。ただいま消費者物価が四%台程度であるということ、あるいは卸売物価がマイナス二%余りであるというようなこと自身に、私は円高差益の国民経済への還元ということが、基本的にはあらわれているというふうに見ております。それがやはり一番大きな差益の国民経済への帰属ということではないかと思っております。しかし、さらに具体的な問題になりますと、先ほども申し上げましたが、競争経済が行われておりますところでは、もともと経営者としては利益を消費者に放出するということは決して進んでできるものではございません。競争に強いられた形でそれが行われるということ、したがって競争が確保されるということが大事なことである。その手助けとして政府としてもいろいろな追跡調査を毎月発表しようということでございます。  次に、一番極端な例といたしまして政府でございますが、先ほど御指摘になりました麦あるいは牛肉等々がその例になります。これにつきましても、あるいは専売公社の輸入しておりますたばこ等々でございますが、いままで努力いたしまして、できるものはできる範囲でやってまいったつもりであります。しかし、麦につきましては、御承知のようないろいろな事情がございまして、米との関連等々がございますので、ただいまのところ麦の価格の引き下げをすることがよろしいかどうか、私どもとしてはっきりそれがよろしいという結論を持つには至っておりません。  牛肉については、恐らくそれを、畜産事業団がございますけれども、やはり指定販売店に対する少しでも安い肉の供給でありますとか、あるいは朝市の奨励でありますとか、畜産事業団の課徴金を国民経済の利益になるような間接の形で使っていくことによって幾らかでも消費者の利益に役立たせることが可能であろうかと思います。この点は農林水産大臣においても努力をしていただいております。  そうしますと、あと残りました問題は、たとえば航空運賃でございますとか国際電電の電話料金でございます。この二つにつきましては、いろいろ検討いたしてみますと、厳格な意味での円高差益というものは、ほぼ生じていないというふうに私は見ております。問題がないわけではございません。実は問題はあるのでありますけれども、それは後に申し上げますが、たとえば日本航空につて見ますと、収入及び支出の恐らくほぼ三割程度ドル建てになっております。したがいまして、それが同じである限りは差益と差損が相殺をする関係でございますので、それが多少違ったところで多少の差損がある、あるいは差益があるということになろうと思いますが、現実には多少ドル収入の方が多いというようでございますから、その限りではむしろ多少の差損があるかもしれないと見ておりますが……。もっとも日本航空が従来ドル建てで買っておりました航空機の債務の返済、これについては、これは円高差益というものが計算をいたしますと出てまいろうかと思います。大きなものではないと思いますが。しかし、問題は、それよりも日本で運賃を払った場合と、仮にアメリカといたしますれば、向こう側で払った場合と相当大きな格差があるということが、国民感情からしてどうも納得できない。これは日本航空に差益が生じている、いないとは別の問題としてそういう問題がございます。すでにわが国では昨年から一遍サーチャージを下げまして、ヨーロッパ等々についてはことし向こう側も少し上げたというような問題もございますが、主たる問題は対アメリカでありまして、この秋にはIATAに対してわが国としてある程度の引き下げを行うという提案を運輸当局としてしようといたしております。本来ならば、アメリカが引き上げ、わが国が引き下げるということが両方から差を縮めるゆえんでございますけれども、米国側がいまの政府の方針として、なるべく料金そのものを国際的に引き下げたいと考えておるようでございますから、そうなれば、わが国として一方的にある部分だけを引き下げるということをIATAに提案をいたすつもりで運輸当局は努力をいたしております。  残りました問題は今度は国際電電でございますが、これもわが国から発信いたします通話とわが国が受信いたします通話との差額だけが日米間のやりとりになるわけでございますから、両方が同じである限りは差益も差損も生じない。実際には、わが国から出ます発信の方が少し多いということでございますから、その支払い分については理論上は何がしかの差益が出るはずでございます。これはしかし十億円内外のものでございます。この場合も、したがいまして問題は国際電電が大きな円高差益を得ておるという問題ではなくて、日本からかける通話料とアメリカからかける通話料がはなはだしく差があるということ、このことがいかにも利用者としては納得ができない、こういうことでございます。そういたしますと、この問題は国際電電の差益の問題ではなくて、国際電電自身が現在アメリカとの通話は昔からの協定に従って九ドルで協定をしておりますから、アメリカから日本にかけますと、九ドル掛ける仮に百九十円でございます。日本からアメリカにかけますときは九ドル掛ける三百六十円でございます。このこと自身はどうもしょうがありませんで、むしろわが国自身、国際電電自身が各国に対してかけます通話料金の建て方に問題があるかどうかということになるのではないかと思いますが、こうなりますと、国際電電の経理あるいは国際電電の内部留保、それが今後国際電電がしなければなりません衛星通信でございますとか海底ケーブルでございますとか、そういうものへの投資とどういう関係に立つかということになってくるのではないかと思います。したがいまして、この航空運賃の問題と国際電信電話の問題とは、円高差益の問題としてでなく、そういう別の問題として検討されなければならないことではないか。私どもとしては、主務大臣におのおのそういう立場から御検討をお願いいたしたいと考えております。
  182. 宮地正介

    ○宮地委員 では以上で終わります。どうもありがとうございました。
  183. 美濃政市

    美濃委員長 米沢隆君。
  184. 米沢隆

    ○米沢委員 一ドル二百二十円のあの四月の時点で政府の方針は、電力ガス等については料金を据え置くという方針をとられておられます。その見解も、物価に影響の大きい公共料金である電力ガス料金はできるだけ長期に安定させることが望ましい。今後コストが上がる要因はあるが差益を使って五十四年度まで現行料金を据え置く。同時に国内景気の回復、黒字減らしという課題に率先して取り組むため、差益で余裕のある両業界に設備投資の促進やウラン、液化天然ガスなどの緊急輸入をさせる。差益をこうした形で使う方が有効だし、間接的に国民経済に還元することになるという御見解でございまして、業界もこれを是としておられました。その後急激な円高に見舞われまして、この差益を結局国民に返すという大きな方向転換をなされたわけでありますが、それはいいにいたしましても、その当時、将来の安定供給については大変心配だ、したがってこういう円高差益も将来にわたってそういう方向に使いたいとおっしゃっておった議論がどこか宙に浮いておるような感じがするのでありますが、この大方向転換に当たり、特に将来の安定供給との関連で方向転換された理由と背景を説明していただきたいと思います。
  185. 天谷直弘

    天谷説明員 いま先生が御指摘になりました従来の方針、すなわちできる限り料金を据え置いて安定させておく、それから、設備投資をやる、緊急輸入等をやるという方針には変わりがないわけでございます。ただ最近の急激な円高の結果、従来の方針を堅持いたしましてもなおかつ直接還元する余裕が出てまいりましたので、従来の方針に加えて、国民に、消費者に直接還元するという対策を一つつけ加えたということでございます。
  186. 米沢隆

    ○米沢委員 設備投資の促進やあるいはウランとか液化ガスの緊急輸入などは従来どおりさせるわけですね。そして据え置きをやらせるわけですね。そしてそれでもなお余りが出たのでその分をお返しするという議論ですね。ということは、将来の安定供給との関連においては、たとえば当面五十二年度の差益特別勘定が電力で四百四十八億、ガスで八十六億ありますが、それぐらいの金で結構安定供給は確保できるという認識なんですね。
  187. 天谷直弘

    天谷説明員 五十三年度の差益還元の仕方につきましてはいま検討中でございまして、ここで具体的にどうするということを申し上げられませんけれども、五十三年度の差益を全額還元してしまいますと、先ほど申し上げましたような目的を達成するための原資が不足いたしてしまいますので、そこである程度のバッファーを見る、それから五十二年度のいま積み立ててある分もバッファーとして考えたいと思っております。
  188. 米沢隆

    ○米沢委員 結局、現在の円高差益については将来の安定供給のために確保しておかなければならぬ金以上のものであるという認識と思っていいわけですね。
  189. 天谷直弘

    天谷説明員 そのとおりでございます。
  190. 米沢隆

    ○米沢委員 ということは、いまのような感じの円高差益が続いたならば、安定供給を確保しながら将来的にもお返しできる金がずっとあるということですな。
  191. 天谷直弘

    天谷説明員 御承知のとおり現在の料金制度は五十一年及び五十二年度に関して定められた体系でございます。ところが、五十三年以降は原価計算期間を過ぎているわけでございまして、ここで五十一年、二年の原価とはかなり乖離した――一方では為替レートが乖離をしておりますし、他方では資本費その他のコストかなり大幅に乖離をいたしております。したがいまして、できるだけ五十四年度に関しましては料金据え置きが望ましいと考えておりますけれども、しかしながら、他方、原価と実情との間に大きな乖離が生じておるということは好ましいことではございませんので、先ほども申し上げておりますように、電気事業審議会等におきまして新しい料金制度のあり方の御検討をいただいた上、今後の安定供給を含め、一体いかなる料金体系にすべきであるかということにつきましては十分検討をし、しかるべき機会に供給規程の改定も行うということが必要ではないかと思っております。
  192. 米沢隆

    ○米沢委員 それならば、現在の料金のもとになった原価現実との乖離がある、したがって五十四年までは据え置くけれども、その後において料金の改定をした後また円高差益というものがずっとあるならば、その分は常にお返しできる原資だと思っていいわけですね。
  193. 天谷直弘

    天谷説明員 新しい料金制度を考えます場合には、余り巨額の円高差益が発生することがないような仕組みということをできるだけ考えなければいけないのではないかと思っております。
  194. 米沢隆

    ○米沢委員 業界の方がやはり安定供給をうるさく言われておりましたが、ここで円高差益かなり出て、政府に説得されてオーケーをされたのですが、その方向転換の理由は何ですか。
  195. 平岩外四

    平岩参考人 この前の四月のこの席で方針を申し上げて、その後、きょうこの場へ出ているわけでございますが、方向転換というよりも従来の基本方針は堅持しているというつもりでおります。ただ、当時二百二十円でありました円が急激に、しかも異常だと思いますけれども、急速に円高の現象が起きまして、この分についてはわれわれは正常な円でないという一つの認識に立っているわけでございます。したがいまして、その分につきましては皆さんに緊急に一時的にお返しすべきものと、こういう認識でわれわれ業界、積極的に国民の皆様にお返しするという決意をしたわけでございます。したがって基本的に従来の基本方針とは変わっていないつもりでおります。
  196. 米沢隆

    ○米沢委員 ガスもひとつやってください。
  197. 安西浩

    安西参考人 お答えいたします。  この問題につきましては、武部先生から午前中に同じ御質問がございましたので繰り返して恐縮でございますが、確かに去る四月二十日の当委員会が開催されました際、私は、先生がいま御指摘いたしましたように、長期安定説を唱えておったわけでございますが、七月、ことに八月におきましては百八十円台に為替レートが変わりましたので、このままでは何らかの措置をしなければならないと日夜苦悩しておったところへ通産大臣からあのような御指示がありましたので、方向転換もいい方へ変われば結構なことでございますので、方向転換したわけでございます。  以上です。
  198. 米沢隆

    ○米沢委員 そこで、企画庁長官にお尋ねしたいのでありますが、結局円高差益を国民に還元をする。しかし午前中等の議論によってもおわかりのように、一人頭百円とか二百円とかいう単位なんですね。確かに一人当たり百円、二百円も大した金だと言うて怒られるかもしれませんけれども、しかし、世帯当たり百円、二百円払って一体どれだけの、何かの効果があるのだろうか。それはもらった方がいいのは決まっておりますけれども、しかし、一体こんなことを物すごく集中審議までしていろいろみんなが頭を寄せてがあがあ言いながら返ってきたのはたった百円。これでは何のためにこんなことをしておるのだろうかという、ぼくは常に疑問を持つわけですね。だからこういう政府決定あたりは一体何をねらっていらっしゃるのかぼくにはわかりません。たとえばこういう差益が出たとするならば、先ほども議論がありましたように、住む地域によっては全然違うわけです。北海道の方はゼロです。九州電力なんか二十円か三十円だとか、こういう話ですから、そんなのを返してもらってもどうしようもないわけです。それならば、ばらまいたら小さな金だけれども、集めたら何千億という金ですから、こういうのは臨時的に税金でも取ってもうちょっと国民が喜ぶような感じで何か使い道はないだろうかという、こんな議論は一体されなかったのだろうか。世論に押されてきげんも取らなければいけませんので、百円とか二百円でも返しましょうということになったかもしれませんが、そのやった後の効果なんかを考えますと政治のやることじゃないと私は感ずるのですが、どうなんでしょうか。怒られるかもしれませんがね。
  199. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 この点は国会でも御議論があり、政府部内でもいろいろ議論をいたしたところでございますけれども、結局私ども思いましたことは、仮に、電力に例をとらしていただきますけれども、電力には安定供給ということをしてもらわなければならない。ことに今後発電コストはどうしても上がるわけでございますから、それを考えますとこの際できるだけの工事でありますとか、あるいは原子力等々に関する手当てはできるだけ電力会社にしておいてもらいたいということが一つでございます。それからもう一つは、少なくとも少数の例外を除きましては五十四年度いっぱいぐらいは料金の引き上げがないように、これも確保してほしい。その二つの条件が満たされました後、なお何がしかの差益があるということであれば、これはやはり国民の側から言えば、公益事業でございますから、円高差益というものはいま申し上げました分を超える部分は利用者に還元されていいのではないかという議論。前に申し上げました二つのことを犠牲にしてまでとにかくこの際幾らかでも入った金はお返しすればいいという安易な立場を私どもはとったわけではございませんで、現在し得ることはやはりしてもらった上で、その上で一時的な、少なくともこれを何と呼びますか、仮に差益が出ておるのであればこれはお返しするということによって利用者としても公益事業に対する信頼を再確認してもらえるであろう。これは場合によりまして、どうしても発電コストが将来とも上がっていくということであれば現在の料金体系というものを永久に維持できるとはなかなか考えにくいわけでございますけれども、しかし、そういう場合にもやはり余裕のあるときにはとにかく返すものは返したということが公益事業に対する国民利用者の信頼をつなぐゆえんではないか、そういったようなことをいろいろ考えましてこのたびの決断に至ったわけでございます。
  200. 米沢隆

    ○米沢委員 誤解があると困りますけれども、円高差益というものがある、それは国民に百円ぐらいにしてお返しするか、それともまとまった金で税金的に取り上げてその分を集中的に何かに使うかという、これは使い方の選択の問題でありますけれども、百円、二百円をお渡しするために何でここまでわんわん言わないとそんなものが出てこないのかというのが残念だということを言うておるわけでございます。同時にまた、確かにもらった方がいいかもしれませんが、百円、二百円電気代とかガス代をまけてもらったところで一体国民の皆さんが、それは何しろそういうことにさしたということで気持ちはいいかもしれませんけれども、一体どれほどの効果があるのだろうかなと常に私は頭の中にあるわけでございます。そういう意味では政府あたりがもう少し、百円、二百円返すために閣僚会議まで開いてがんばらなくても、そんなのはあたりまえのことですっと出てくるような政治体制みたいなものができてこないと本当じゃないという気がするのです。同時にまた、お金というのは有効に使わなければいけませんから、何かやった、何かしていく、そういうばらばらではどうしても政策的な効果が上げられない。円高差益というものは国民の経済力がここまで大きくなって出てきたものですから、そういう意味では全国民の財産みたいなものですから、その財産みたいなものはもう少し財産らしく有効に使う方策もぜひぼくは検討していただきたいということをお願いしておきたいと思います。  それから、結局そういうことで円高差益が出たのでお返しをする。ということは、逆に今度は円が安くなったり、あるいはOPEC等の石油の値上がりがかなり大きくなったときには、そのときには勘弁してくださいよという含みがありありとあるのですが、そういうふうに見ていいですか。
  201. 天谷直弘

    天谷説明員 そういう含みというわけではござ  いませんが、われわれの予想に反して急激に大幅に円安になるとかいうことで電力会社の経理が収支相償わなくなるとかOPECの大幅な値上げがあったという場合には、それはまた値上げの方を電力会社としては考えなければならなくなると存じます。
  202. 米沢隆

    ○米沢委員 それから、この差益還元をやる場合の原資をどう見るかという問題です。これも先ほどからるる意見が出されておりますが、料金の引き下げ幅あるいは還元する金額に関係しますので、ここではっきりした、差益還元の原資はどのようにして算定されるのか、わかりやすく説明してほしいと思います。
  203. 豊島格

    ○豊島説明員 午前中からお答え申し上げておりますことと重複するかもしれませんが、一応われわれが原資として考えておりますのは、外貨建てで直接はね返ります原油、LNG等につきましては、ことしの、五十三年度の需給計画でございます原油生だき用、LNGの量その他につきまして四-六は二百二十二円、それから七月以降は大体二百円ということで計算しました額、これが大体三千百五十億でございますか、それから五十二年一月、七月のOPEC値上げ、それから石油新税等のコストアップを引きました額二千六百億円を計算したわけでございます。  なお、間接差益と午前中議論になりました国内製品、主として重油でございますが、これにつきましてはいまだ価格が決定しておらないわけでございますが、プライスリーダーであります鉄鋼について一月-三月、さらに四月-六月と価格が決定しておりますので、これの前提となる為替レートが今後変わっていくわけでございまして、今後二百円で五十三年度中推移すると仮定して理論的計算をしますと長官が朝お答えしました千億前後になるんじゃないか、これが一応の為替差益の原資となるべきものでございます。ただ、これを全部返してしまいますと、五十三年度における電源開発の促進に伴うといいますか、新しい設備の稼働に伴う資本費等を中心とするコスト増が見込めないわけでございますし、会社によりましては来年度の為替差益が仮に出たとしてもコスト増で逆になる、赤字になるというところもございましょう。それから、さらにはいろいろな不確定要素もございますので、その辺を勘案して目下どの程度の額が返せるかということを計算しておるわけでございます。
  204. 米沢隆

    ○米沢委員 先ほどからも議論が出ておりますように、この差益還元の原資についてそれぞれの思惑が違うわけです。ですから、みんな出てくる数は違うわけです。また計算方法もいろいろ違っておりますから、答えが違うのはあたりまえです。そういう意味で、たとえば直接差益については大体合理的な判断をして、計算方式は合意ができますね。間接差益についても、まだ値が決まってないということでありますが、これもほぼ決まるような金額はわかるわけですから、そうさして相違点があって、対立するものでもありませんね。  あと問題は、直接、間接の差益から引く問題ですね、経費の問題。これについて、業界でも通産省の見解でも、また各党の計算されたやつでも相当違うわけですね。そういう意味で、経費とみなす、間接あるいは直接の差益マイナス経費というその経費の内容について個条書き的にちょっと言うてみてください。それをちょっと業界の方聞いていただいて、それでいいのか悪いのか、教えてほしいと思います。
  205. 豊島格

    ○豊島説明員 いままで各党から出ております数字につきましては、経費の問題は余り触れられてないというふうに感じます。すなわち差益の額、表面上出る額、これもいろいろ計算方法が違いますが、額が中心であるので経費についていままで議論は余りなかったと思います。ただ、私どもが計算いたします経費と申しますのは五十一年、五十二年に織り込んでないわけで、五十二年、四年の料金原価というのはどういうことかというと、それはないわけでございますが、一応コストの増となる要因としましては、いわゆる新しい設備の増加に伴いまして、これは大体石油ショック前につくりました発電所の三倍から四倍の価格の発電所ができてくるわけでございます。送電施設その他もでございますが。それの、いわゆる資本費といいます償却費、金利がございます。それから設備が増大しますに伴います修繕費。それから、これはキロワットアワー当たりは余りふえてはいないのですが、コストとしては人件費等もあると思います。それがふえるわけでございますが、収入ももちろん発電所ができますとふえるわけでございまして、私どもがコストアップと俗に言っておりますのは、そういうコストの増から収入の増を差っ引いた、収入の伸び率の方が低いわけでございますので、それを差っ引いた金額というのが一応コストアップの要因でございます。  ただ、それだけ見ておけばいいかどうかということにつきましては、やはり来年になりますと、こういった席で申し上げていかがかと思いますが、OPEC値上げということも場合によっては考えなければいかぬ。そうすると、大体それが五%上がれば七百億ぐらい上がる。あるいは為替レートも二百円ということで考えておいていいかどうかということになりますと、それは場合によっては上がるかもわからないということで、これは不確定要因ですから全部足すわけではないと思いますが、そういう要因も絡めて、いろいろ全部足してどうかという議論になろうかと思います。一々全部積み上げますと、想定によってはやや大きくなってしまって、差益還元ができないということになりますが、そこは一定の見込みを、蓋然性といいますか、そういうことも若干というか、主としてコスト増が中心だとお考えいただいたらいいと思います。
  206. 平岩外四

    平岩参考人 コストアップ要因につきましては、ただいま通産省の方から御説明があったとおりでございます。
  207. 安西浩

    安西参考人 お答えいたします。  ただいまの問題につきましては、ただいま公益部長からの御意見で私も結構だと思います。  ただ、この際一つ申し上げますが、私はきょう日本瓦斯協会会長の資格で出ておりますが、東京瓦斯の会長でありますので、東京瓦斯の例を一つ申し上げたいと思います。  東京瓦斯におきましては、従来とも地震対策はやっておりましたけれども、五十三年、本年から一千億の予算を計上いたしまして、年間二百億円の地震対策をやるようにいたしました。先般の宮城県沖地震におきまして、仙台も私参りましたけれども、見かけは大した被害はないようでございますが、地下の埋蔵物は全部破壊されておりますので、導管方面に対する地震対策を年間二百億円でやることを決めております。  なお、為替差益があって余裕があるからというわけじゃありませんけれども、どうも冬場になりますといろいろ中毒事故が発生いたしますので、予防保全巡回というのを行うことにいたしまして、不需要期でありますが、ストーブあるいは湯沸かし器等を全面的に点検いたしまして、器具の安全使用法についても御指導申し上げておるわけでございまして、これの対象になる需要が二百八十万件でございまして、来年三月までにこれを完了しようと思っております。大体二十三億円ぐらいの費用を投じて、電力と比べると数字が小さくて恐縮ですが、こういうこともいたしておるわけでございます。御参考のために申し上げます。
  208. 米沢隆

    ○米沢委員 いま、還元する原資については、メリットは大体計算できる、あとは経費についても個条書き的に御説明いただいて、業界の方も天体是だとおっしゃる。しかし、出てきた答えはえらい違うわけですね。エネルギー庁の試算によりますと、電力についてはこの経費増約四百億円ですか、あるいはガスについては百五十億円ぐらいの経費増として、電力は二千二百五十億、ガスは二百五十億が還元可能だとおっしゃる。それプラス、間接的な差益の分が、電力については約一千億、それぐらいが還元可能だとおっしゃる。ところが、たとえば電力業界については、円相場二百円分相当差益だけが七百億円、それから国内重油値下がりによる一部の還元が六百億で、トータル千三百億ぐらいしか還元可能ではない、こうおっしゃる。そういう意味では、計算としては、これも理論値ですからそれぞれの算定方式によっては違うかもしれませんが、大体統一した物差しで、差益金額だけは理論値が出てくる。しかし経費そのものについての試算の仕方がみんな違うものだから、還元可能値というものが全然違ってくるわけですね。そういう意味では、そのたびごとにみんなが新聞発表されますので、見た国民は、そのたびごとに、大体少ない方が悪いと思うのですね。高い方はよくまじめにやっておる、こういうふうに見る。しかし、数字はどっちが正しいかと言ったら、本当はわからぬというのが本当の姿ではないか、そう思うわけですね。したがって、今後、一世帯当たり何ぼ返すにしましても、それはやはり還元可能な原資を編み出す一つの数式というものがある程度国民の皆さんに合意を得られ、あるいは業界も納得し、通産省もなるほどそうだとおっしゃるようなものにならない限り、もし返したとしても、常に差益がどこかで眠っておるという議論がいつまでたっても出てくる問題ではないか、私はそう思うのでございます。  そういう意味で、先ほどからのいろいろな議論がありますし、それぞれ各党が早く発表する、あるいは業界が発表する、通産省が発表するというて国民はみんな混乱をしておるわけでありまして、そういう意味では、何よりも――たとえば九月二日にある程度のものが決定されるとするならば、その経費について少なくとも国民的な合意が得られるような項目と説明の仕方と、そしてでき得るならば業界通産省あたりはまじめにその合意を得るための努力をしていただかない限り、この問題はいつまでたっても心の中にもやもやを残して、結局、一生懸命政府は努力されたけれども何もしておらぬというぐらいのことしか言われないということになるのではないか、そう思うのでございます。  そういう意味で、こういうものを計算する場合には、くどくなりますけれども、やはり差益の実態について共通の物差しでまずはかってもらう、それから費用負担についてぜひ合意を見るような説明をしてもらう、そしてその差額の処理を議論をする。あとはもう、その方法論についてはいろいろな問題がある。それは技術的な問題もありましょうから、今後の問題としていいと思うのでありますが、まずその前段階の、国民が合意できるような算式、そういうものが一体可能なのかどうか、あるいは可能にしてもらわない限り、この問題は永遠に残ると思うのでありますが、そのあたりの見解をぜひ聞かしてほしいと思います。
  209. 天谷直弘

    天谷説明員 むずかしい問題でございますけれども、ぜひとも国民の皆様の御理解を得なければならないことでございますので、精いっぱい御理解を得られるように努力をいたしたいと存じます。
  210. 米沢隆

    ○米沢委員 最終的には還元しなければならぬという数が出てくるわけですから、それは努力してもらわぬとそんな数字は出てこないと思いますが、あとはその納得性の問題ですね。たとえば円高差益が出てきたといっても、それをほとんど将来の設備投資に使ったといったら何にも残らぬということになりますね。しかし使いたいのはやまやまだ、いまのうちに使った方がいいという議論もあるでしょうしね。ではそのうち設備投資に何ぼ回すかという議論は、合意を言いながらもそう簡単に合意を得られそうなものではないわけですね。そういう意味でぼくは、この方向転換に伴って業界自体はものすごい難題を抱えたのではないかと、そう思うのでございます。そういう意味では努力をしてある程度数字を出す。したがって、その数字の裏づけとしては経費増がどれだけだというふうにみんなが合意したというふうに見られるかもしれませんけれども、業界自体として一体経費増あたりは通産省と話し合って出てくるような問題ですか。国民に納得できるような説明ができますか。
  211. 平岩外四

    平岩参考人 経費増につきましては算定を一生懸命やっていますけれども、考え方としては、収入の伸びが大体六、七%というのが一つの傾向であるのに対して、経費増の方は大体一〇%程度、それがいまの趨勢でございますので、そういう形で今後収支の方向は向かっていく、こういうふうに考えております。
  212. 米沢隆

    ○米沢委員 将来の差益円高の傾向が一体どうなるかはわかりませんが、近い将来まで似たような感じで日本の経済、日本の円も推移するのではないかと思います。そうなりますと、国民的な感情からしたら常に差益がどこかにあるなという目でずっと見ていくでしょうし、そういう意味では差益を返せという議論はかなり長い間続くと思いますね。そうなった場合、たとえば先ほどから何回も申し上げておりますように、結局不明朗な原資の出し方というものは逆にいろいろな面で禍根を残す。そういう意味からぜひ今回、たとえば一世帯当たり何ぼ返すという議論をされる場合でも、やはり原資の計算の仕方ははっきりと詳しく説明をいただいて、ありとあらゆる場面でそれをPRしていただくということをぜひぼくは確約していただきたい、そう思うのでございます。あるいは、一世帯当たり返す金額でも、産業用には返さずに民生用だけに返せとか、そんな議論もあるわけですから、そのあたりはみんな国民の人たちは混同しているわけですね。ある党だったら何百円になる、政府が言ったら百円だ、そんなのは大体おかしい、こんな議論になるわけでありまして、その前提がみんなわからぬままに結果だけを見ておるから常にいろいろな議論が出てくるわけですから、そういう意味で今後差益還元の原資の計算の仕方あるいはその説明、そのあたりをぜひ九月二日ぐらいまでには煮詰めて御発表いただき、多くの皆さんに納得できるような説明の仕方をしてほしいと思うのでありますが、長官の御見解を聞かせていただきたいと思います。
  213. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 その点はきわめてごもっともなお話だと思います。国民にも疑問を残してはいけませんし、また政府がしっかりした資料を発表いたしませんと国会でもまた御議論を当然呼ぶことになろうと思いますので、先ほど資源エネルギー庁長官が言われましたようにむずかしいことではありますけれども、きちんとしたものを世の中に公表できるようにいたしたいと思います。そして、今回の還元によりまして一応五十三年度中に生ずるであろう差益還元というものが完了する。そしてその上に、先ほど申しましたように二つの条件、将来への投資あるいは資材、原料等の購入及び五十四年度をほとんどの電力会社において据え置く、この条件を満たす、こういうことにいたさなければならないと思います。私自身は、先々再び円が上昇をして、さらにその上に将来いつかの時点で差益が生まれるということをいまの円の実勢からいたしますと予測いたしたくないし、余りそういうことはあり得る公算は大きくはないと思いますけれども、しかし上下あり得ることでございますから、別途にいわゆる為替の変動がありましたときに、今後恒久的な措置としてどのように対処していいかということは、午前中にも政府から御説明いたしましたように、別途審議会で決定をしてもらいまして、一定の方式というものを決めておきますことが必要であろうと思います。
  214. 米沢隆

    ○米沢委員 次は、電力だとかガス料金がこういうかっこうで払い戻しによって還元をされる。だから民間の家庭については朗報かもしれません。同時にこのことは、産業用も民生用も公平に扱うというのが政府の方針でありますから、産業界にとってもこれは大きな朗報だと思います。それも電力の使用量が多いわけですから、家庭の百円とか二百円という単位ではなくてかなりのまとまった金でありますから、そういう意味では産業界もこの差益還元については大変喜んでおる報道がいろいろなところでなされておるわけであります。あとは、そこで産業界が喜ぶというだけで終わったのでは、どうも後始末が悪い。最終的にはやはり電力とかガス料金あるいは石油製品等が今後下がっていく。そういう差益還元がなされた場合には、それを還元された業界だけがひとり占めするのではなくて、でき得るならば第二次還元と申しましょうか、製品にまで還元を広げていく、そういう姿が本当ならば一番理想的な形ではないかと、そう思います。そういう意味では、しかし先ほども議論がありましたように、こういう自由主義社会の企業経営でありますから、政府が一々中に入っていってどうせい、こうせいという議論はできない、それはわかりますけれども、しかし一つの姿勢論として、電気もそうして差益還元する、ガス還元をする、石油も下げる、したがって、それを使う皆さんは特にある程度製品に還元できるようないろいろな努力をしろという、そういう強力な行政指導というものが望まれておるのではないかと、そう思います。特に不況業種等についてはまさに完全な赤字ですから、しゅんとも言わないかもしれませんが、現に公共事業等を一生懸命やっておられますので、景気の大変いい業種もあります。そのあたりについてはまるまる自分たちのプラスにするのではなくて、でき得るならば好況な業種ぐらいは製品に何らかの形で――製品に割り返したらそれは小さな金額かもしれませんけれども、何かそういう姿勢論でも業界が出してもらう、そのための政府の指導というものがぜひ必要だと思うのでありますが、長官の御見解を聞かせていただき、前向きな御答弁をいただきたいと思うのであります。
  215. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは米沢委員が大前提としてもうすでに御指摘になりましたように、市場経済でございますから、競争のもとにあって企業が受け取りましたこの差益還元をどうするかということは、自由競争を前提として企業の判断に任せて心配ないものと考えます。企業によりましては、あるいはこれを観念的にはでございますが、設備投資の方向に向けるものもあるかもしれません。あるいは在庫投資に向けるものがあるかもしれません。または製品の価格の低減ということに、それだけコストが下がるわけでございますから、観念的にはいろいろな方法があろうと思いますが、やはり政府として一番大事なことは、それらが市場経済の原則において行われるという状況を確保することではないかと思います。
  216. 米沢隆

    ○米沢委員 ぜひその点前向きに御検討いただき、実施をしてほしいと思います。  それから、話は別ですが、ある新聞によりますと、通産省は、「円高差益還元策として電力業界に対し電気料金の引き下げを指導するのと並行し、立地対策など将来の電源確保をめざす「電源確保税」(仮称)の創設に取り組む方針を明らかにした。」こうあるのでありますが、「電源確保税も検討」ということの報道に対して、実際そういう検討がなされ始めておるのかどうかというのが第一点。その概要は一体どういうものを目指しておるのかという問題。  それから、今後も円高差益の関係がずっと続いたとしまして、五十四年までは据え置きますが、五十五年の時点で、料金の設定の仕方でいろいろ違うと思いますが、そのままある程度円高メリットをここ四、五年は受けていくであろう。その分を今度は国民に返さないで、何とかかんとか言って電源確保税として召し取って立地対策なんかに使う、こういう腹なんでしょうかね。どうなんでしょうか、説明してほしいのです。
  217. 天谷直弘

    天谷説明員 いま、通産省はしかじかの方針を明らかにしたというふうに新聞に報道してあるというお話でございましたが、そういう方針を明らかにしたことはございません。  ただ、電源を多様化しなければいけない、いまの石油火力に大幅に依存しておる体制というのは、安全性、供給確保の上におきまして問題がございますので、電源の多様化を図らなければいけないということは常々考えておるところでございまして、そのための財源措置等も検討しなければいけないと思っておりますが、電源確保税というものを構想してそれを直ちに実施するというようなことは、明らかにしたことはないわけでございます。  それから、これから円高が数年間続くというようなことも、全く想定をしておりません。そういうことがあってはむしろ大変ではないだろうかというような感じがいたします。したがいまして、その数年間発生するであろう円高差益を財源として新しい税制を考えているというようなこともございません。
  218. 米沢隆

    ○米沢委員 石連の会長に最後にお尋ねしたいのであります。  常にナフサをめぐって石油化学業界石油業界とのホットな戦争がよく報道されるのでありますが、そういう観点から、今度はナフサもスライド制にするという大見出しで――これも新聞のニュースで大変恐縮でありますが、もしスライド制になった場合には、いままでのそういうネゴシエーションの関係からして、かなりスマートな値の決まり方になっていくのではないかという意味で前向きな議論だと思いますが、そのあたりのできる可能性みたいなものを検討されておると聞いておりますので、検討されておる経緯あるいはその可能性等について御説明をいただきたいと思うのであります。
  219. 石田正實

    石田参考人 ナフサの問題は大分新聞で石油業界と化学業界との間で――新聞に載っておりますけれども、これは、化学業界が石油ショック後非常に苦境に立ってきたものですから、その原料をできるだけ安くしたいというのが発端でございます。  そのナフサの価格をどうするかというので、化学業界考えといいますか立論のあれは、いわゆるヨーロッパのロッテルダム――オランダですね、ロッテルダムの価格が国際価格なんだからそれに近づけてもらいたいというのが化学業界意見なんですね。  ところが、ロッテルダムの価格というのは、われわれから見ますというと、これはもうあのヨーロッパのECですか、あそこの取引量の三%ぐらいの数量でございまして、しかもここは、御承知のとおり、ソ連圏それから東欧諸国、それからあとスペイン、ポルトガルというようなもの、それからイタリアあたりからも入ってぐるのですが、そういう投げ売りといいますか、ひどいときにはキューバからも入ってくるというのですね。そういうようなところで、あれは国際的に価格が非常に一つ変わった動きをするところでございまして、これはまあ、われわれから見ると本当の国際価格じゃない、こういうふうに見ております。  また、ヨーロッパの石油価格なども、そういうものを基準じゃなくして、これは別にちゃんと石油会社との一定の期間の取引といいますか、そういう契約取引というものを基準にして決めているわけでございまして、そこら辺にかなり見解の相違があったのが、いろいろマスコミあたりで化学業界石油業界の争点になっているように報じられているわけでございます。  それからもう一つ、ロッテルダムの価格で忘れましたけれども、ヨーロッパの石油業界というのは非常に赤字続きでございまして、これはECの中の関税がないとかそういうような問題があるし、それから設備投資が非常に大きくて稼働率が悪いというようなのも原因でございますけれども、これは相当、石油会社価格が赤字になっているというようなことも関連しているわけです。  それで、私ども、できるだけ、これは石油業界立場もわかるし、ぜひひとつ向こうの意見も聞きながらやっていきたいということで考えております。ところが、両方ともいろいろ立場がございまして、なかなかいかなかったのですが、去年の十-十二月で大体二千円引き、そして輸入ナフサを含めまして大体三千円引きということが一応決定しまして、それであと一-三、四-六というのをずっと協議しておりましたけれども、これは大体最近、一-三で千五百円、また四-六で千五百円、都合二千円国産ナフサを引くというようなことになりまして、最終的には、輸入分と合わせて大体四-六で見ますと二万三千円というような値段になっております。   一方また、ロッテルダムですか、ヨーロッパの取引価格なんというのは、これはトン当たりで、メトリックトンですけれども、大体百六十ドルぐらいに上がってきているのですね。二百円当たりで換算すると二万一千五百円ぐらいになっておりますし、また、シンガポールあたりからもナフサがいままで入ってきたのですが、バレル当たり十七ドルというような値段で、これもやはりCIF日本円にしますと大体二万一千五百円ぐらいになるわけですから、そこら辺で大分国際価格と接近してきたということが言えると思うのです。しかもなお、世界的にナフサというのは非常に少なくなっておりまして、供給も非常に逼迫している。最近ではスポット的には手当てができないというような情勢でもございますし、価格もまたそれだけに上がってくるのじゃないかというのが現状でございます。  それで、実は私ども、しょっちゅうこういうふうに石油業界と化学業界との間にああいうトラブルがあるというのは、これは決してわれわれの望むところじゃございませんし、われわれ石油業界の方と化学業界、エチレンセンターを持っているという状態でもございますから、これは何とか協調的にやっていきたいというようなことで前から向こうの方と話をしているのですけれども、何分、石油業界はいま、まあこの前の石油ショック後ですけれども、価格の問題と生産調整の問題でいま裁判を受けているので、公取の問題にひっかかっているという状態がございまして、特にこういう価格の問題を団体的に協議するということは非常にむずかしいわけでございます。いままで結局個々の業界会社同士にするというようなことをやっておるわけなんです。  それで、私どもが考えているのは、こういう公取の問題もあるので、この辺で役所あたりに中へ入ってもらって、前から石油部長の下に石油問題懇談会というのがございまして、今度また制度的に石油部会の中に小委員会を設けるというような制度をつくられるようになりましたので、そういうところでそういう一つのルールをつくって為替が変動すればそういうふうにスライドしていくというようなことを、これは鉄鋼業界との間にはそういうふうにやってきておるものですから、そういうふうなことにしてやったらどうかとわれわれは考えて、そういうふうに向こうにも申し込んでおるわけでございます。いずれ、これは政府が中に入ってもらわないと業界同士で規制するというわけにいきませんので、政府の方の御指導を請いたい、こういうふうに考えております。
  220. 米沢隆

    ○米沢委員 どうもありがとうございました。終わります。
  221. 美濃政市

  222. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 参考人の皆さんにはお暑い中を御苦労さんでございます。  まず最初に、私は、日本瓦斯協会安西会長さんにお尋ねをしたいと思います。  五十二年度と五十三年度分の為替差益は、政府の公表数字では五百六十億円となっております。私たちは、これに国内買い付け分の間接差益をつけ加えなければならない、こういうふうに理解をしているわけでございますが、これらの差益はすべて還元されるものと考えますけれども、すべて還元をするというおつもりはあるのでしょうか、ないのでしょうか、お尋ねをしたいと思います。
  223. 安西浩

    安西参考人 お答えいたします。  五十二年度分につきましては、還元する考えはございません。  五十三年度分につきましては、先ほど申し上げましたように、大手三社では大体三百八十億ぐらいをいま出しておるわけでございますが、これは直接でございまして、それに間接差益約四十億円と申し上げたとおりでございまして、これを全部返す考えはございません。そのうちのどのくらいを返すかということにつきまして、ただいま通産御当局と折衝中でございます。
  224. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 お許しをいただいて、資料を渡したいと思います。  いまお渡しいたしました資料を見ていただきたいと思うわけでございます。これは、私ども、東京瓦斯の料金改定時におきます五十二年度の費用の見積もりと、有価証券報告書によりますその実績とを比較してみたものでございます。これによりますと、東京瓦斯の場合に燃料費の差額といいますのは二百八十一億円となっております。これを為替差益、そしてプラス国内買い付け分の燃料費の値下がり益というふうに見ていいと思いますけれども、いかがでしょうか。それでよいでしょうか。――私の持ち時間は四十分ですので、急いでお願いいたします。
  225. 豊島格

    ○豊島説明員 ただいま見せていただきましたけれども、資料の性質、ちょっとわからないのですが、実は前回の値上げはたしか一年半の期間の原価をとっていたしましたので、原価自身の構成で五十二年度だけというのは私の記憶ではなかったんではないかという感じがいたします。その点、この資料の出所についてむしろ御説明いただけばチェックできるんじゃないかと思います。
  226. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 どこに質問するのか、続きだったので申し上げなかったのですが、安西会長にお尋ねをしているわけです。値上げ申請のときに出されました東京瓦斯の資料、それと有価証券報告書ですから、実績を両方突き合わせたものでございまして、これは私どもが創作した数ではございません。あなた方の報告ですから、それは会長さんからお答えをいただけるものというふうに思うわけです。よろしくお願いいたします。
  227. 安西浩

    安西参考人 お答えいたします。  いま突然資料をいただきまして、私自身、この内容を検討してみませんと正確なお答えはできません。
  228. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私の方がこの間突然見たのでございまして、おたくの方は長い間検討をされてこれを申請して出されたもので、いま突然見るということは、簡単にわかりやすくしてありますので、これは突然かもわかりませんが、もとにつきましてはおたくの方の資料であるということです。  それでは説明をしていきたいと思いますが、この実績と見込みを全体として比較をしてみますと、燃料費の減ですけれども、二百八十一億円を含みまして四百一億円も費用が軽減していることがおわかりになるだろうと思います。出ております合計でございます。  その次の資料の2の方を見ていただきたいわけですけれども、これを一層簡単明瞭にわかりやすくしたグラフでございますが、それを見ていただきますと、燃料費の分を除きました費用の軽減分が費用増加よりも百二十億円もあるわけです。つまりそのグラフの「その他費用」というところですが、二百三十五億円から百十五億円を引きますと百二十億円ということになるわけです。つまり、燃料費分を除いた費用の軽減分、それが費用増加分よりも百二十億円もあるということです。これは、当初の費用上昇見込みよりも実際は小さいものであったということがはっきりと示されているという数字だと思うわけです。費用上昇分を確保するということであれば、これこそ使うべきではないかというふうに思うわけです。私は、そういうやり方をとれば全額国民へ為替差益は返還できるというふうに思うわけです。あなた方はこの分をふところにした上で、なお為替差益分まで取ろうというふうな計算でもって先ほどから御答弁をいただいているし、国民もこれにごまかされているというふうに思うわけですが、いかがでしょうか。
  229. 安西浩

    安西参考人 ただいまの先生の御意見ですが、ごまかしておりません。実際に為替差益が出たものをストリップして通産省へ出しまして、その上で御検討願うことにいたしております。
  230. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、最初の答弁の中で、五十二年度分については返さないと明言をされたわけですけれども、それがストリップでしょうか。
  231. 安西浩

    安西参考人 先生と見解は違うようですが、五十二年度分につきましては、東京瓦斯を例にとってお話しした方がいいと思いますが、九十億の差益がございまして、これは四十五億、特別積立金に計上いたしております。これは、五十四年以降の値上がりを抑制し、安定供給するための原資と考えております。
  232. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 これは東京瓦斯の資料で、日本瓦斯協会会長さんであるのと同時に東京瓦斯の社長さんであるためにこの資料を出しているわけですが、これにもはっきり出ておりますように、費用が下がっているだけではなくて、収入見込みに対しまして約二百億円ふえているという様子ではないでしょうか。これは東京瓦斯の、あなた方の資料に基づいて出しているわけですから。差益全額返す原資はここに明瞭にあるということを示している表でございます。いかがでしょうか。
  233. 安西浩

    安西参考人 先生からいろいろな御意見が出ますが、五十二年度の決算は去る三月に終了いたしました。四十五億円の特別積立金をしておることには間違いございません。
  234. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私は、いろいろな意見は言っておりません。一貫して、五十二年度分と五十三年度分の為替差益は国民に返すべきだ、そして返せるというのをあなた方の資料に基づいて出しているということなんですが、いかがでしょうか。
  235. 安西浩

    安西参考人 繰り返して申しますが、五十二年度分についでは差益還元する意思はございません。
  236. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは国民は納得できないし、私自身も納得できる説明ではございません。五十二年度は返しませんと言ったら返さないのだということで、会長の権威でもっておっしゃっている。科学的な、おたくらが出された資料を示して言っているにもかかわらず、そういう態度はおかしいではないか。あなたの説明では国民はだれも納得ができないということがここではっきりしたというふうに私は思うわけです。
  237. 安西浩

    安西参考人 この数字を私突然拝見いたしましたので答弁がちょっとしどろもどろしておりましたけれども、この申請時の見込みという、当社の申請の数字通産省で査定をされておるわけです。このとおり決まったものじゃない、その点を申し上げておきます。
  238. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 見込み、査定の違いは二・七%ではなかったでしょうか。それを金額計算したら幾らになるでしょうか。二百二十七億円にしかならないわけです。いかがですか。
  239. 安西浩

    安西参考人 この表で、ちょっと二行目を申し上げますが、この表で言いますと、販売量は減っているにもかかわらず収入がふえているというのは、この数字はちょっとおかしいと思っております。
  240. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 おかしいと思っていることを聞いているのはこっちでありまして、この表はおかしいですなんて言われたって、全くこれは主客転倒していると思うわけですが、とにかく時間がございませんので、それにおつき合いしているわけにはまいりませんので、私は電力の問題に入りたいというふうに思うわけです。  それでは、電気事業連合会平岩会長さんにお尋ねをしたいと思います。  東京電力で、為替差益国内買い付け分の間接差益は五十二年度で幾ら出ているのでしょうか。また、中部電力それから関西電力につきましても、もし御存じでしたらお答えをいただきたいと思います。
  241. 平岩外四

    平岩参考人 中部電力、関西電力についてはちょっと存じませんので失礼いたします。藤原先生の御質問は、五十二年度の為替差益の間接の分とおっしゃいましたですね。(藤原委員「はい、そうですね」と呼ぶ)これは、間接差益は五十二年度については間接差益分として計上いたしておりません。
  242. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 わからないわけですか。
  243. 平岩外四

    平岩参考人 はい。これは、間接差益幾らという計上の仕方をいたしておりません。
  244. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、概略でよろしいですから、計上いたさなくても、国内買い付け分の間接差益が大体幾らかくらいのことはあるだろうと思いますが、いかがでしょうか。
  245. 平岩外四

    平岩参考人 五十二年度の間接差益のことをおっしゃっておられるのでございますね。(藤原委員国内買い付け分ですね」と呼ぶ)国内買い付け分ですから間接差益でございますね。(藤原委員「そうですね」と呼ぶ)これは、その分として特に取り出して計上いたしておりません。
  246. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 資料を渡したいと思います。  それでは、いま渡しましたその資料の3の方を見ていただきたいわけですが、これは北海道電力を除きまして、八電力会社についての試算でございます。東京、中部、関西の大手三電力を見ますと、燃料費の見込みとの差が五十二年度だけでも実に二千五百八十六億円にも上るわけです。これは、いわゆる直接輸入によります為替差益国内買い付け燃料の値下がりによる間接差益をプラスしたものというふうに見てよいのでしょうか。いかがでしょうか。東京電力にお願いいたします。
  247. 平岩外四

    平岩参考人 この数字、正確には私いま申し上げられないのかもわかりませんけれども、この中には一つは直接差益の分、これは九百十七億業界としてございます。そしてそのほかはLNGとかあるいは油種の変更による分、それから買い付けの合理化による分、それからあるいは使用燃料の節約による分、そういうようなものあるいは需要の変動による分、そういうものが入っているんじゃないかと考えております。
  248. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、三千九百五十一億円というこの出ております数字がまるまる差益と言うには不正確というふうに思いますけれども、大体これだということでしょうか。
  249. 平岩外四

    平岩参考人 これは五十二年度燃料費と発電実績、申請時の見込みとの対比でございまして、料金の認可は二年分を算定してそれに基づく理論値で決まりまして、それの実績につきましては、いま申し上げましたそれぞれのいろいろな理由とか、あるいは実際の運用上における合理化とかいろいろな経営努力によっていろいろ変動し、あるいはまた先ほど申し上げましたように需要の変化、そういうものによっても変わってくるものでございますので、理論値と実際の数字というのは違ってくるものだと思います。
  250. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それは少々は違うでしょうが、とにかくこれは直接輸入による為替差益国内買い付け燃料の値下がりによる間接差益をプラスしたものと見てよいかどうかということをお尋ねをしているわけです。若干言い分もあろうかと思いますが、そういうものですかということを聞いているわけです。
  251. 平岩外四

    平岩参考人 間接差益分が入ってないとは言い切れないと思います。ただ、いままで五十二年度分につきましては間接差益という考え方を私どもとってまいっておりませんで、国内重油は大体市況によるネゴシエーションによるものだという考え方をずっととってきております。
  252. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いずれにしましても燃料費につきまして、東京瓦斯で二百三十三億円、三電力を合計いたしますと、これを計算していただきましたらわかると思いますが二千五百八十六億円もの差額が出ているわけです。政府の試算でも電力で九百二十五億円の差益があると言いながらたな上げにされているわけです。これは全く問題でありまして、私は後で議論をしたいと思いますが、まずここでは五十二年度に多額の差益が出ていることを確認をしておきたいというふうに思います。  そこで、最初に還元についてお聞きをしたいと思いますけれども、五十二年度、五十三年度両年度分につきましてそれぞれ幾ら還元するつもりなのか、東京電力にお聞きをしたいと思います。
  253. 平岩外四

    平岩参考人 ただいまの御質問の前に、五十二年度分の差益お話がございましたけれども、一つ御了解を得たいと思いますのは、燃料の消費が低減したあるいは差益がその中にも入っている、そういうことのほかに公租公課その他資本費、そういうものの増加が非常にございまして、結局二年平均で約七百億円という差、要するに収入が約五兆三千億円に対してこの分わずか一・四%程度の収支の誤差しか出てないということをちょっと申し上げておきます。  それから、五十二年度の為替差益につきましては先ほど申し上げましたように九電力で九百十七億円、それから五十三年度の見込みにつきましては現在作業を一生懸命詰めている段階でございます。
  254. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 これにつきまして弁解がありましたけれども、とにかくこの資料にいたしましてもおたくの方の見込みと有価証券報告書による実績という、全くあなた方の資料に基づいてつくっているというものでございますから、きっちりこれだけ全部差益なんだとは申しませんけれども、相応の大きな差益が出ているということだというふうに思うわけです。  いまのは五十三年度について還元するということですが、幾らかという額についてもおっしゃらないし、五十二年度についてはどういうふうにされるおつもりなのか、いかがでしょうか。
  255. 平岩外四

    平岩参考人 五十二年度につきましては、先ほど申しましたように為替の差益は九百十七億出ておりまして、これはすでに決算を終わっております。そのうちの四百四十七億、これを別途積み立てて商法上の処理をいたしております。要するに九百十七億と四百四十七億の違いというのは、その分を税金によってもう還付をしたという、一つは法人税によって処理をして、残り四百四十七億を別途積み立てという形で明確に経理処理をいたしております。
  256. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 委員長のお許しを得まして、もう一度資料をお渡しいたします。  五十二年度分の差益のうちに別途積立金としまして将来のコスト増分を見ていますものが、たとえば東京電力の場合に百六十億円あるわけです。北海道電力を除きまして八社を合計いたしますと四百四十八億円ございます。私どもはこれは必要でないと考えるわけですけれども、百歩譲ってこれを認めたとしましても、まだこの政府試算――政府試算は九百二十五億円ですけれども、政府試算でも四百七十七億円。それから私たちの試算によりましても、燃料費の見込みとその差で見ますと三千九百四十七億二千三百万円、政府試算の九百二十五億円に国内買い付けC重油分を最も少なく見積りまして加えました分、つまり五百七十億円分を足しました千四百九十五億円分との差でも一千四十七億円になるわけです。それはいまお渡しいたしました六番目のこの三枚目の資料ですね、これで明らかになると思います。この差額につきましては一体どうしようとしておられるのか。国民に返すというふうに言われるのか、それとも電力会社の肺ふところに入れたままにしておくということなのかどうか、いかがでしょうか。
  257. 平岩外四

    平岩参考人 先ほども申し上げましたように、五十二年度につきましてはすでに商法上の経理措置を済ましておりまして、私ども九百十七億が為替差益である、こう考えております。したがいまして、この五百七十億という数字、この間接差益によるものは、先ほど申しましたように、これは間接差益であるかもわかりませんけれども、私どもは、五十二年度につきましては、これは市場におけるネゴシエーションの対象によるものだ、こう考えておりまして、間接差益だけを取り出して経理措置をいたしておりません。
  258. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは端的に伺いますけれども、五十二年度分の為替差益については、平岩会長、あなたは全額還元する気があるのかないのか、いかがでしょうか。
  259. 平岩外四

    平岩参考人 要するに、五十二年度の経理措置をいたしたと申しますことは、一部について後繰りを行ってすでに経理処分を行ったということでございます。
  260. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、ふところにためてあるということなんですね。
  261. 平岩外四

    平岩参考人 五十二年度については別途積み立て処理をいたし、これを今後の設備投資、そういうものに充当していく考えでおります。
  262. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、いまお渡しいたしました資料に、五十一年、五十二年度の費用の見込みと実績を対比した表がございます。これによりますと、東京電力では燃料費以外の費用の軽減額は五百十三億八千九百万円、ちょっと計算してございませんが、そこにあります四百三十七から二百二十二を引きましたら二百十五億円ですね、それから五十二年度のその他の費用ですが、八百二十七億円から五百二十九億円を引きますと二百九十八億円になるわけですね、これを合計いたしまして五百十三億ということをいま申し上げているわけです。これが五百十三億八千九百万円に上っているわけです。八電力を合計いたしますと千五百六十四億二千八百万円ということになるわけです。この実績によりますと、わざわざ為替差益から別途積み立てなどする必要はさらさらないということがはっきりいたします。この分を振り向けるならば、あなた方の言う将来のコスト増に見合う分以上のものがすでにあるではありませんか。この分は一体どこに行ったのでしょうか。結局あなた方は為替差益を何とかして隠そう、いろいろしながら隠そうということに一生懸命になっておられるという姿ではないでしょうか。
  263. 平岩外四

    平岩参考人 藤原先生おっしゃるようなそういう気持ちはさらさらありません。われわれが九百十七億の為替差益を特に区分経理いたしまして別途積立金として明確に処理をいたしたのは、隠すつもりじゃなくて、差益を明確にしようという意思のもとに、特に営業報告書その他にもはっきりとうたいまして処理したものでございます。
  264. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 さらさらないのであれば、それではこの表の五百十三億円について明快に御説明ができるはずだというふうに思うわけです。この説明が明快に東京電力の方からなされたならば、私は五十二年度、五十三年度分のこの為替差益を何とか隠そうなどというふうな無礼なことは申さないと思うわけですけれども、将来の分を見る必要はない、さらさらないという事実をおたくたちが出された資料でもって出しているわけですから、これを説明いただければそういうことは言わないというふうに思うわけです。  それで、時間がありませんので次のお答えの中でおっしゃっていただきたいわけですが、五十二年度、五十三年度分の為替差益から将来の分を見る必要はさらさらないということを繰り返して申し上げているわけです。これはこの表のとおりです。ですから、この分については全額返すべきだ、そうでない限りだれも納得できない。やはり何とかかんとかして差益をふところにため込もうとしているのじゃないかということを言われて当然だというふうに思います。私が示しました資料からもそれは当然ではないかということなんです。五十二年度分の差益分、国内買い付け分の間接差益、これも含めまして国民に還元するということを検討すべきではないでしょうか、いかがでしょうか。
  265. 平岩外四

    平岩参考人 先ほどお話料金改定申請時の数字が出ておるわけですが、これを実際の経理収支と比較することはいかがなものかと思います。先ほど申しましたように、五十二年の間接分は据え置きに使って、五十二年度分は返すつもりはありません。これはもう今後の、将来の安定に使いたいと考えております。  私ども、収支をこれから見る場合に、差益がどう出るかということも一つの要因であろうかと存じますが、収入の伸びとコストの増との比較がどういうふうになっていくかということが一つの大きな問題であろうと考えます。そうした場合に、現在、収入の伸びが大体六%程度というのが通常の姿であるのに対して、コストアップが大体一〇%程度になる、そうすると収支というものは逐次破綻していく、こういう姿になっているわけでございます。
  266. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 五十二年度分は据え置きに使わなくても、おたくの出された見込みと有価証券報告書による実績、それを比較すればこういうことになっているという計算が出てくるわけですから、これを五十四年度 ――五十四年度とは申しません、今後の据え置き分に使えるではないかということを言っているわけです。この論旨は、先ほど申しました東京ガスも東京電力も全く同じだということを繰り返し申しているわけです。  さてそこで、還元方法についてどう考えるかということをお尋ねしたいというふうに思いますが、どういう人たちを対象に考えていらっしゃるのでしょうか。
  267. 平岩外四

    平岩参考人 還元の対象といたしましては、私どもは、これを燃料費を中心とした為替差益考え料金の値下げというかっこうで処理いたしたいと考えております。これは当然料金の値下げでありますので、いまの法律に従って公平に返していかなければならないと考えております。したがいまして、使用量に応じて公平に返還をしていく、これが法の趣旨であろうと考えております。
  268. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは通産省にお尋ねをしたいと思います。  先ほどの論議にもありましたけれども、あなた方は、法の二十三条によらないで、二十一条によって料金の割引をするということでございますが、それはなぜでしょうか。
  269. 天谷直弘

    天谷説明員 料金は返し方に、二十三条による方法と二十一条による方法二つあろうかと存じます。  それで、二十三条には「著しく不適当」というふうに書いてあるわけでございますが、果たしてこの「著しく不適当」な場合に該当するかどうかという問題点が一つございます。それから、その次に、二十三条で還元をするといたしますと、これは供給規程の改定手続を経なければいけないということになりますが、供給規程の改定手続をする場合には、改めて原価の査定をしなければならないということになります。ところが、現在われわれが直面している問題は、為替レートあるいは原油OPEC価格、こういうものが非常に変動をいたしておりますので、査定をすることがきわめてむずかしいという問題でございます。したがいまして、この問題につきましては、電気事業審議会におきまして、こういう原価変動する時期におきまして一体どういうふうに料金体系を立てたらいいか、供給規程をつくり上げたらいいかというようなことにつきまして、よく審議をしていただきたいというように考えております。  ただし、その審議には相当な時間を要するはずでございますから、さしあたって消費者に還元をするという場合には、むしろ二十一条ただし書きの臨時、緊急の措置によって行うという方が妥当ではないかというふうに考えて、二十一条によったわけであります。
  270. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私どもは、この円高、不況、物価高のもとで苦しんでいる国民や中小企業などに優先的に還元すべきだということを一貫して主張してきたわけでございます。この際、還元の対象につきましても、国民本位の立場から真剣に検討すべきではないかというふうに思いますが、これはどうなんでしょうか、いまの通産省お答えの中には、不公平になるということなんでしょうか。
  271. 天谷直弘

    天谷説明員 電気事業法のたてまえによりますと、原価主義という原則になっておりますので、したがいまして、公平に返すということが現在の電気事業法に従うゆえんであると思います。
  272. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 公平の言い方ですけれども、これはいかがでしょうか、私は、一つだけ例を挙げてみたいというふうに思います。それは、経常利益が日本で最高で、しかも円高原因一つともなりましたあのどしゃ降り輸出の代表的企業と言われている――こう言いましたら、どなたも頭にぴんとくると思うのですが、トヨタ自工ですね、ここが政府のやり方でもしも差益還元をしてもらうということになりますと、受け取る電力料金が幾らになるのかという計算をされたことがあるのでしょうか。電力料金還元分は実に十一億円にも上るというふうに試算されるわけです。こうしたことが本当に公平だとは国民はだれも思わないというふうに思います。しかし、二十一条です。公平の立場ですということだけ言っておられたら、言葉の面ではきれいかもわかりませんが、事実はこういうことになるということなんです。  本来この円高差益は、円高で苦しんでいる人たちに集中的になされるべき性格のものだというふうに思います。そのことから考えますと、いま申し上げましたトヨタのような例は、とうてい納得し得るようなやり方ではないというふうに思うわけです。この際、せっかく二十一条のただし書きの条項を使うのですから、政策的な配慮も含めまして、本当に公正な措置をとるということを私は強く要求をいたすわけですけれども、いかがでしょうか。
  273. 天谷直弘

    天谷説明員 いまの電気事業法のたてまえは原価主義ということになっておりますから、したがいまして、トヨタであろうと、佐世保重工であろうと、これを差別するということはできないのではないかというふうに考えております。
  274. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 時間がございませんので、水かけ論議になりそうですから、最後に、経企庁長官にお尋ねをし、御要望したいというふうに思います。  いままでの論議で、とにかく五十二年度、五十三年度の差益は非常に大きいということが明らかになったというふうに思います。同時に、還元方法につきましても、原価主義とこう言っているのが本当に公平なのかどうかということについて検討すべきだというふうにも思うわけです。幸い九月二日には経済閣僚会議が行われるわけですから、大臣はその場で差益を全額国民に返すという立場で主張をしていただきたいというふうに私は強く要望するわけですが、消費者の立場に立って会議に臨まれるのかどうかという所見をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  275. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 先ほどから資源エネルギー庁長官が述べられましたことが所管大臣としての立場であろうと思います。私自身もほぼその御意見が妥当なのではないかと思いつつ承っておりましたが、なお、経済対策閣僚会議におきまして十分検討いたしました上、決定をいたしたいと思います。
  276. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 終わります。
  277. 美濃政市

    美濃委員長 依田実君。
  278. 依田実

    ○依田委員 先般もこの物価問題等特別委員会でこの差益還元の問題をいろいろ議論をいたしました。また、その間国民の皆さんからのいろいろな御要望が強い、こういうことで、いずれにしても、曲がりなりにも政府がこれを還元しようじゃないかということにお決めいただきましたのは、われわれとしても非常にうれしいわけであります。しかしあとは、この還元したそれが将来にわたりましてもいろいろな面で有益な方向に行く、これが大事じゃないか、こう思うのであります。普通の企業ですと、利益が出た場合は大体三つにお返しする。一つは、消費者へお返しする、一つは、企業の中へ蓄積して将来へお返しする、三つ目は、株主へお返しする、これが普通の企業の利益が出た場合の処理の仕方だろう、こう思うのであります。電気ガスという公共事業でございますから、そのお返しの仕方について多少案分に差があるのは当然だろう、やはり消費者に重点的にお返ししていくのが当然だろう、こう思うのであります。しかし、企業の将来にまた禍根が残るのでは困りますし、あるいはまた株主にいろいろ御損害を与える、こういうことも私は長い目で困るんじゃないか、資本主義である限りやはりその原則というものは踏み外さない、これが鉄則じゃないか、こういうふうに思うわけであります。  そこで、きょうは電気ガス、石油といらしていますけれども、電気の方へお聞きをすることによって、ガスの方は大体同じだろうと思うわけであります。このエネ庁の出しておる資料を見ましても、電気で書いてあることを大体数字だけ違えてガスの方にも書いておるということですから、電気のことをお聞きすることによってガスの方は想定さしていただく、こういうことでやらせていただきたい、こういうふうに思うのであります。  その前に、ちょっと一つ疑問がございますのでお聞きいたしますけれども、電力の五十三年度の為替差益、通産の御試算では二千六百五十億、こう出ておるわけであります。その根拠は、前期一ドルに対して二百二十円、後半が二百円で計算をされておる、こういうことでありますけれども、ちょっとひっかかりますのは政府なり公共事業をおやりになっていらっしゃる方が為替の、まあ前期の方はいいのでありますけれども、後期の方を二百円ということで御想定になる、これはちょっと私ひっかかるのでありまして、多少の幅を持って利益の計算をなされた方がよかったのじゃないか、こう思いますけれども、その辺のところは天谷さんいかがでしょう。
  279. 天谷直弘

    天谷説明員 確かに先生の御指摘のとおりでございまして、われわれもひっかかるものがあるのでございますけれども、しかし、何らかの数字想定いたしませんと何と申しますか差益の原資の算出が不可能になってしまいますので、やむを得ずそういう数字を一応想定したわけでございますが、政府といたしましてそういう数字が、そういう為替レートが望ましいとか、そういうことを意味しておるものでは全くございません。
  280. 依田実

    ○依田委員 それじゃ先ほどの話に戻りまして、この差益も三者三分、うまく三方おさまるように返すというのが理想じゃないか、こう思うのであります。  そこで、消費者の方から伺ってまいりますけれども、この二十四日平岩会長が記者会見でお話しになりました中で、この文章がございますけれども、「公平な臨時的料金割り引き」こういうことをおっしゃっているわけであります。ここでおっしゃっております公平とはどういうことをおっしゃっておるのか、お聞きしたいと思います。
  281. 平岩外四

    平岩参考人 私が公平だと申しますのは、燃料を主体とした為替差益によって発生したもので、電気料金の割引という形で処理すべきものだと考えておりますので、その割引の方法を使用量に比例して返すというのが公平だ、こういうふうに考えているわけでございます。     〔委員長退席、武部委員長代理着席〕
  282. 依田実

    ○依田委員 そこで、いまおっしゃったことをもう少し具体的にお聞きをしたいわけであります。  還元方法でありますけれども、これから政府あるいは業界、いろいろ御相談で決めるわけでありますけれども、世上二つのやり方がありまして、一括方式と毎月返す、こういうことだろう、こう思うのであります。一括方式ですと、やはりその間に転居なさった方、極端なことを言えば東電管内から北海道電力の管内へ越されたような方、こういう場合にどうするのか。あるいはまた御承知のように電気税が二千四百円でかかっておるわけでありまして、この割引をしたために今度は電気税がかからない料金に下がってしまうようなときに前の税金をどうするのか、いろいろこういうことも公平の中に技術論的で入ってくるのじゃないか、こういうふうに思うのであります。そこで、業界としてこの還元方式について、御希望といいますか、どういう方向が一番公平なのか、その点をひとつお聞きいたします。
  283. 平岩外四

    平岩参考人 先ほどお話をもう少し詳しく申し上げますと、電気料金の割引という形で還元をしていきますには、毎月の使用量に応じて計算して毎月支払っていただく、こういうのが原則であろうと考えます。そして、この計算に使用する料率とか算式というものは、通産大臣の認可で決まりました施行日以降将来に向かって適用される、そういう形が一番混乱がなくて、それから移動なんかにも対応できる一番いいやり方ではないか、こう考えております。
  284. 依田実

    ○依田委員 大体おっしゃらんとしているところは一括方式でなくて毎月割り戻していく、こういうふうにやりたいというふうにお聞き取りをしたわけであります。  また、もう一つは、九電力間にいろいろ料金の格差があるわけでございますけれども、今度の問題、この還元を機に、その料金格差が広がるという心配はあるのかどうか、この辺をちょっと伺わしていただきたいと思います。
  285. 平岩外四

    平岩参考人 九電力燃料構成は現在各社によってまちまちでございまして、為替差益の大小というものが各社の収支に影響を与える、こういうのは否定できないところであろうと思います。しかし、料金水準という点からいたしますと、いずれにしても現在九電力の格差というものは非常に縮小している状態でございますので、今回の臨時割引なり臨時措置というものによって格差に大きな影響を及ぼすほどのものでない、こう考えております。
  286. 依田実

    ○依田委員 天谷長官にちょっとここで伺いたいのであります。  二つございまして、一つは北海道電力、これは石炭を国策上使っておる、こういうことで、ほかの八電力に対して非常に不利な条件に置かれておるわけでありますけれども、料金の公平、こういうような観点から、その石炭に対しての補給金を考えたらどうだ、こういう議論が一部にありますので、その点についてひとつお答えをいただきたい、こういうことと、もう一つ先ほど藤原委員から少しお話がございましたけれども、まあ業界にもお返しをする、こういうことになりますと非常に利益のある業界にまたそこで利益を差し上げる、こういうことであります。そこで、よく言われておる二次還元をしたらどうか、こういう意見があるわけでありますけれども、この二つの点についてお答えいただきたい。
  287. 天谷直弘

    天谷説明員 北海道電力の経営内容の悪化につきましては非常に頭を痛めておるところでございまして、特にこの経営悪化の大きな原因が石炭の使用にあるということでございますので、来年度の予算におきましては、いま先生御指摘になりました石炭の増加引き取り交付金というような制度を復活してみるということを目下検討をいたしております。この制度は従前あったのでございますけれども、石油危機のころから一時中絶になっておったわけでありますが、この制度を復活するということによりまして北海道電力の窮境を一部助けるということになれば幸いであるというふうに考えております。  それから第二番目の二次還元とおっしゃいましたのはちょっと意味が取りかねたのでございますが……。
  288. 依田実

    ○依田委員 たとえば、トヨタの場合なら電力料金を割り戻しされる、そこで利益がまた出るわけでありますから、たとえば製品をつくっておる自動車の価格について多少それを値下げさせる、いろいろなほかの業界も同じであります。
  289. 天谷直弘

    天谷説明員 そういうことですか、わかりました。  その問題は、先ほど経済企画庁長官がおっしゃいましたように、やはり市場機構に任せて、市場機構によって還元を行わせていくということが至当ではなかろうかと思います。われわれといたしましても、一般的に二次還元、三次還元をやるべきであるということは、もちろんそういう態度でございます。ただ、今度はいろいろな製品につきまして、二次還元、三次還元をどの程度やれということまで細かくやるということは非常にむずかしゅうございますので、一般的に二次還元はされなければならぬと思いますし、そういう一般的な態度で行政指導はしたいと思いますけれども、基本はやはり市場機構がこれを解決していくということが望ましいのではないかというふうに思っております。
  290. 依田実

    ○依田委員 二番目は将来の電力事情、つまり企業にある程度の蓄積をする必要があるんじゃないか、こういうことで平岩さんにいろいろお尋ねをするわけであります。  御承知のように電力会社の償却というものは、四十八年のオイルショック前までは定率法になっておったわけでありますけれども、いまは、オイルショック後は定額法になっておる。ほかの企業などは大体定率で償却をしておるわけであります。  そこで、電力会社としてはこういうような絶好の機会にもとの定率、そこまではいかないかもしれませんけれども、そういう要望があるのかどうか。  それと、また少し細かい数字でありますけれども、定率と定額の差がどのくらい償却不足で出てきておるのか、その辺をちょっとお伺いしておきたいと思います。
  291. 平岩外四

    平岩参考人 償却の問題は、電力の長期の安定供給をするために非常に重要な問題でございまして、企業基盤が非常に脆弱であるという場合には非常に不安定な状態になってしまう、その一つにやはり償却の問題があると存じます。電気事業の場合には、特にエネルギー問題が当面将来に向かって非常に重要なときにあるだけに、安定供給、それから望ましいのは料金の安定、そういう安定性を持った一つの運営を行うということが国民経済にとって非常に重要なことだと思っております。  そういう中で電力の償却状態を見ますと、一般の企業は大部分が定率償却という形で行われておる中で、設備産業の中でも一番大きな設備産業である電力が、定額でしか償却されていないために非常に借金の経営を強いられていくということは、企業基盤を非常に損なっていくものと考えまして、この点は将来の供給安定という観点からもぜひ考えていただきたいと御当局にお願い申し上げたいと考えているわけです。  たとえば、私ども五十三年度に三兆円程度の設備投資を行うわけでございますが、その場合に、定額償却であるために非常に多くの借金をしていかなければならない、設備投資額が大きいだけによけい大きな負担がかかってくるものでございまして、苦慮しているわけです。そして、現実に定率と定額との差が五十二年度、五十三年度の実績によりますと、各年度大体全国で二千五百億、それから二千七百億程度の差になるということでございます。
  292. 依田実

    ○依田委員 将来の電力事情を考えますと非常に不安があるわけであります。たとえば水道など、最近東京で渇水になってまいりました。これは美濃部さんのやり方が間違っておったのではないかと、ここでかみつくわけじゃありませんけれども、やはり適正な料金をとって企業の蓄積を図って、そして長い目でわれわれに水なら水を供給してくれる、これが大事なことでありまして、目先の利益、目先の世論に押されまして、先行き停電だ、こういうことになっては困るのであります。電力は、御承知のように研究開発の額が非常に大きいわけでありまして、電気業界でも将来五十兆くらいの分担をしなければならぬわけでありますから、そういう面でも、政府の方でいろいろ還元問題についてお考えをいただきたい、こういうことであります。  そのまた一つに、電気事業審議会の料金制度部会で、料金制度の再考ということで原価算定期間を一年に短縮しろという意見を出しておるわけであります。われわれ簡単にそれにはどうかなという気がするのでありますけれども、この点は天谷さん、この答申案についていかがお考えでしょうか。
  293. 天谷直弘

    天谷説明員 現在のように為替レートあるいは原油価格が大幅に変動する時期におきましては、料金制度のあり方につきましてよく考えなければならないということは明白であろうかと思います。現在の制度でございますと、今日のように大幅に差益がたまったり、あるいは逆の場合大幅に差損がたまるということも考えられると思うのでございますが、そのたびに還元問題であるとかあるいは値上げ問題であるとかいうことで大騒ぎになるということは好ましいことではないと思いますので、こういう時代においてどういう料金制度がいいのか、国民の納得を得られるのか、あるいはまた企業経営を適正化できるのか等々の見地からよく検討していただかなければいけないと思っております。その一環といたしまして、たとえば料金制度を一年にするのがいいのかどうかということも御検討いただくべきことであるかと思いますが、いまここで一年がいいとか悪いとかいうことはちょっと申し上げるのはどうかと存じます。
  294. 依田実

    ○依田委員 時間がないので飛ばしまして、次へ参ります。  三番目、先ほど一番最初に申し上げましたように、利益をお戻しする三番目の相手であります株主でございます。きょうの日本経済でしたか、全額還元すれば期間利益で現行配当は困難だ、こういう記事が出ておるわけでございます。御承知のように電力株というのは定年退職後のお金でお買いになっておるとか、そういうような比較的安定長期にお持ちになる方が多いわけでございまして、いわゆる株の上下でもって利益を得よう、こういう方よりもその配当でもって生活をしていこう、こういう方が多いんじゃないか、こう思うわけであります。しからば、もし全額還元をすることによって配当困難、こういうことになると、これはまた違った意味で問題があると思うのでありますけれども、この記事のようにもし全額還元をすれば配当困難、こういうことになるのでしょうか。
  295. 平岩外四

    平岩参考人 ただいまのお答えをする前に、先ほどのあれをちょっと訂正させていただきたいと思います。  定額と定率との差でございますが、五十二年度二千百億円、それから五十三年度が二千五百億円の推定でございます。  ただいまの配当の問題でございますけれども、先ほども申しましたけれども、現在当社の株主は約三十五万人おります。そしてその九九・九%が個人株主でございまして、個人株主のうちの約八〇%と申しますか、それが大体千株、二千株以下の少額の株主でございまして、こういう方は非常に零細な株式投資によって安定した配当を受けながら、それを期待して安定配当株主としてずっと長く継続をしておるわけです。当社の株主の特徴は一度持ったら安定して、売り買いをしない、そのかわり非常に株の上下がない、こういうのが当社の株の一つの特徴でございまして、それは景気がいいからといって配当をふやすこともないし、悪いからといって配当を落とすことがないという株主保護の立場一つありますし、もう一つは企業として資金を集める上に一割配当ということが非常に必要であるわけでございます。御承知のように、いま社債を借入金の主たる原資として充てているわけでございますが、これは資本金の四倍という一つの制約がありますので、資本金を一定にふやすということがどうしても必要でございます。それには安定した株主によって構成されないと資金がふえない、こういう状態でございますので、資金獲得の面からも安定した株主を確保するということが絶対必要だ、こういうことでございます。     〔武部委員長代理退席、委員長着席〕
  296. 依田実

    ○依田委員 最初のお話のように、利益というものは消費者、企業の内部、そしてまた株主、この三つへ戻すのが資本主義の中の鉄則でございまして、公共事業であり、あるいはノーマルでないときの利益でありますから、その還元については多少ウェートのかけ方は違うかと思いますけれども、やはりその原則というものは守っていかなければならぬだろう、こういうふうに思うわけであります。  そこで、もう余り時間がございませんので、最後の還元額に一ついてここでひとつ私たちの政党の議論をさしていただきたい、こう思うわけであります。  還元の原資につきましてはいろいろ差がございますけれども、通産のお話を聞いて、二千六百五十億プラス重油の分が約千億、こういうことでいきますと三千六百五十億円になるわけであります。その中からコストあるいは将来の不安要因であります為替の変動であるとかOPEC値上げであるとかそういう不確定要素を引かなくちゃならぬ。これは不確定要素でありますから額が決まらないわけであります。そこで大岡裁判じゃございませんけれども、私たち政党が前から言っておりますように半分だけお返ししていただくのがいいんじゃないか、こういうわけであります。つまり三千六百五十億としますと約千八百億でございます。これだけを還元の原資にしていただく、これが一番いいんじゃないか、こういうふうに思うのであります。  その前に、例の別途積立金の問題が先ほどから出ておりましたので、ちょっとこれについてお尋ねいたします。これは電力で言うと、五十二年度九電で四百四十七億と先ほどたしか伺ったと思うわけでありますけれども、これはすでに決算が終わった、物価問題等特別委員会で別途会計にしろ、こういうことで、皆さん方の言い分によると、ガラス張りにして決算もし、株主総会の承認も得た、そこで還元できない、こういうことでありますけれども、それはそういう技術論的なことなんでしょうか、すでに株主総会を開いて決めたからという。
  297. 平岩外四

    平岩参考人 技術的なもの、ある面ではそうとも言えると思います。  商法で、株主総会で決定をし承認を得るということは、その処分を覆す場合には株主総会を開いてまたそれを決めなければならない、こういうあれが一つございます。それが一つということでございます。
  298. 依田実

    ○依田委員 その問題はその商法の問題プラスアルファ、つまり主義としてがきっとあると思うのです。商法ならこれは臨時株主総会を開けばいいわけでありますから、そうじやない、将来のためということで五十四年度以降値上げをしないように、こういうことだろう、こう思うのであります。  それは抜かしていただきまして、先ほどの額に戻りますけれども、三千六百五十億の半分、ひとつこの半分を返す、わが党はそういうことで主張しておるのでありますけれども、先ほども申しましたようにOPECの値上がり分だとか為替の変動とかそういう不安要素があるとするならば、正確な計算は出ないわけでありますからそこはきっと目の子算になると思う。そういう意味先ほど申した消費者、企業、そしてまた株主、この三者が円満にいくようにやるのには半額還元、これが一番いいのじゃないかと思うのでありますけれども、政府、いかがでしょうか。
  299. 天谷直弘

    天谷説明員 幾ら返すかということ、原資の何割返すかということにつきましてはいま部内で検討中でございまして、本日ちょっと数字は申し上げかねるのでございますけれども、いま先生のサゼストされました額につきましては有力なる御意見として参考にさせていただきたいと思います。
  300. 依田実

    ○依田委員 最後に、長官に一言だけ伺います。  伝えられているところによりますと、この差益還元することによって所得減税は帳消しにしてしまう、こういう意見があるというふうにもお聞きしておりますけれども、そういうことの万々ないようにひとつお願いをしたい。  先般ある評論家のテレビの座談会を聞いておりまして、百円、百五十円をめぐって国会でつまらぬ議論をしておるけれども、そういうものよりも流通機構の抜本的改革が主じゃないか、こういうことを言っておりました。われわれはここで一生懸命議論しておるわけでありますから、百円、二百円の還元がむだだとは言っておりません。あくまでもこの電気ガス料金の割り戻しということはそのほかの差益を出していただくためのきっかけにしたい、こういうことであります。ですからこれをもって終わりということではなくてこれが始めでありまして、これからほかの業界、いろいろ流通機構などで問題のあるものにどんどん手をつけていただきたい、こう思います。ひとつこの二つの点についてお答えをいただきたい。
  301. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 けさほどからいろいろ御議論がございましたけれども、この差益還元というのは法律の言葉でなくごく平たい言葉で考えますと、このぐらい原価がかかると思ったけれども、実はかくかくの事情でそれほど原価がかからなかった、したがってこれはいわば取り過ぎになりましたからお返しをしますということ、平たい言葉で言うとそういうことに尽きるのではないかと私は思います。ですから先ほどほかの方から御質問がありましたが、その返す先を別々に分けるとかいうようなことにはどうもならないので、やはり取り過ぎたものは取ったところへお返しするということに、ごく簡単に考えると私はなるように思いますので、したがってそれが減税のかわりになるとかいうような話には筋道から言って別段なりそうもないように私は思います。ごくごく簡明なこととして考えてよろしいのではないかと思います。  それから後段の問題は、国の法律によります特別の監督を受けております公益事業がそういう態度に出たということは、その他の分野にもいい影響を及ぼすことを期待いたしておりますが、基本的にはやはり自由競争が行われる中でそういうことの誘い水になるということ、これは大事なことではないかと思います。
  302. 依田実

    ○依田委員 終わります。
  303. 美濃政市

    美濃委員長 金子みつ君。
  304. 金子みつ

    ○金子(み)委員 私は最後でございまして、参考人の皆様方も大変お疲れになっていらっしゃるだろうと思います。  けさほど来、大ぜいの委員たちの質問についていろいろと御答弁をいただいております。私もずっと初めから聞かせていただいておりましたが、わかったことはいままでわかっていたことであって、知りたいと思っていたわからなかったことはやはりまだ本当によくわからない、これが率直に申し上げる私の気持ちです。それほどさようにこの円高差益問題というのは大変に複雑で、怪奇と言うわけにはいかないかもしれませんが、大変むずかしくて、そしてややこしくて、考え方、認識の仕方の違い、あるいはその違いが基本になって計算をすればその計算がすっかり違ってくる。ですから、けさほどからのお話し合いの中でも数字については一つも一致してこないということがあったわけでございます。それはやはり、いま申し上げましたように考え方とか認識の違いというものがその数字の上にあらわれてくるのだろうというふうに思うわけでございますし、そのほかに、業界あるいは政府の側の物の考え方とわれわれ国民の側の物の考え方との違い、そういうようなものがやはり根底にございまして違った形としてあらわれるのじゃないかというふうに考えていたわけでございます。これがぴたっと一致することがあるのかどうかということにつきましては非常に疑問だと思うわけなのでして、ここで一〇〇%ぴたっと一致することを期待したりあるいはそれを希望したりということではございませんけれども、しかし、非常に釈然としないものがあったり、くつの外からかいているような感じがあったりということがございますので、これを少しでも近づけていって、そして国民が納得できるような、少なくとも一般の国民がああそうなのかということがわかるような形のものに仕上げていただかないと、私は――この問題はいま始まったわけじゃございません、もう昨年あたりから起こっている問題ですけれども、いまここで急に爆発したみたいに取り上げられたかっこうになっておりますが、これは最後まで解決しないで、納得できないままで終わるということがあっては大変な行政上の問題でもあるだろう、また政治上の問題でもあるというふうに私は考えますから、その点はお互いに強く認識しながら、努力し合わなければいけないのじゃないだろうかというふうに考えるわけでございます。  そこで、いままでの動きを拝見いたしておりますと、大体業界の方々、電力会社の方々が中心でございますが、それらのお考えが中心になって、政府側、通産省との話し合い、そして通産省の方針になって出てくるというふうに読めるわけでございます。そういうようなことがございますので、いまここで私がひとつ新聞記事を読みますが、これをぜひ聞いていただきたいのです。これが何を意味しているかということをわかっていただきたいと思うわけなんです。  これは七月の末のことです。「先月末、ある大手電力会社の情報課長は新聞を開いてギョッとなったそうだ。社会党独自試算に基づく電気ガス料金引き下げが各紙に派手に載っていたからだ。」そういう時期がございました。その課長は休暇中だったそうですが、「休暇中にもかかわらず出社し、記者に言ったものである。「いやいや、まいりましたよ」 何が彼をまいらせたか?」ということなんですが、これはせっかくの休暇がふいになったせいではありません。「このキャンペーンで電力会社円高差益の実態があばかれる不安を本能的に察知したからである。」ここら辺、ちょっとよくしつかり聞いていただきたいのです。「電力会社円高差益の実態があばかれる不安を本能的に察知したからである。その直後、石油業界の某幹部は」「フトこんなことを言い出した。「NHKで円高差益の番組をやるらしいんだが、ここでもし電力燃料費に関するタネ明かしをしたらおおごとだよ。うち」、うちというのは石油業界のことです。「うちの方から番組に出る人間にはあまり詳しい数字は暴露しないようにクギを刺したんだが……。それにしても電力さん、大変だよ」」こういう記事がございました。お読みになったでしょうか。これは新聞記者の人たちの話し合いなんです。マスコミというのはいろいろと評価がありますので何とも言えませんが、しかし、大変鋭いものを持っております。行き過ぎの面もないこともないわけですけれども、しかし、情報をしっかり握っておりますし、鋭い面も持っていると私は思うわけですが、その人たちが話し合いの中でこういうことをちゃっとキャッチしてきているということなんですね。  そこで、これは記者の語った言葉ですし、記者が語っております裏にはそれぞれの業界の方の発言があるわけです。これを読みまして一般の国民は、ああ、やっぱりそういうことがあるのかなとまず考えてしまうわけですね。そこで、それはとんでもない誤解であるというふうにお思いになるだろうと思いますけれども、そういうことが誤解であるかないかということは、やはり具体的に明確にお示しいただかないと、単純なと一口に言っては悪いでしょうけれども、こういう詳しい事情を知らない一般の国民はそう思い込んでしまうおそれがあります。ですから、いまからでも遅くはないわけでございますから、こういうふうな記事が国民の頭の中にしみ込んでしまわないように、しみ込んでしまったことを払拭するためにも、ぜひこれから取り扱いを正確に明確に、そして率直にお示しをいただかなければいけないのじゃないだろうかというふうに考えるわけでございます。  そこで、平岩会長さんが記者会見でおっしゃっていた言葉の中に、今度の問題について、経済的な立場から基本的な考え方としては一ドル百八十円とか百九十円とかというのはまことに異常だ、だから、これは適正な水準に戻す政策が先にあるべきであって、行き過ぎの現行レートを基礎にして直ちに差益分配を論ずるのは妥当かどうか、経済的には疑問がある、こういうふうにおっしゃっていらっしゃいます。そういうお考え方は私もわからないわけではございませんけれども、しかし、事実は事実でございまして、異常かどうかは別としても、確かにそういうことがあったことはあったわけですね。そういう実態があるわけなんですから、その実態に対して最も的確に対処しなければいけないのではないだろうかというふうに考えるわけです。もともと一ドル二百九十九円のときに決まった現行料金でございますから、それがいま百八十円になったということだけでも率直に、大変に素朴な疑問ですが、それだけの差は確かに差益なんだというふうに考えるわけですね。それが純粋に差益だけじゃないというお考えもあるかもしれませんが、まあ、そういうふうに一般素人は考えますから、そのことを考えても、これはどうしてもその差益分は還元するべきだというふうに思います。というのは、一ドル二百九十九円の時代に高く買った石油で決めた料金、それを今日同じ料金を国民は払っているわけですからね。ですから、ちょっと払い過ぎになっているのじゃないかというふうにどうしても思うわけでございますし、電力会社の方としては空前の利益になった、こういうふうに考えていいと思うわけです。それは不労所得でないとかあるとかという議論があったことを覚えておりますが、いずれにいたしましても、差益があるということは確かなんですから、引き下げるのは当然であるというふうに結論はなると思いまして、今日の話し合いの中でも、先般来、差益還元するという方針が出たということは事実なんで、そのことは当然であるというふうに考えるわけですが、今度は、問題はその差益還元の仕方ということになってくるというふうに思うわけです。  その還元の仕方について、けさほど来いろいろお話し合いが出ておりました。しかし、数字が大変にいろいろ出てまいりますので、数字をここで取り上げてというふうに私は思っておりませんけれども、私が最後の質問者でございますので、まとめる意味じゃございませんけれども、整理する意味におきましても、いま一度はっきりとお答え、お考えを聞かせていただきたい、数字を入れていただかなくても結構でございますから、考え方としてはっきり聞かせていただきたいと思いますのは、いま問題になっております差益の対象は五十二年、五十三年、五十四年度の問題でございます。そこで五十二年度の取り扱い、五十三年度の取り扱い、五十四年度の取り扱いということになるわけですが、先ほど来のお話では、どうして五十三年度分だけについてつまみ食いのように取り上げて割り引きをすることにお決めになったのか、そして、五十二年度は別途会計として積み立てておいて将来のために残しておくのだというふうなお考えがありますが、将来というのはいつのことなのかということがはっきりいたしません。それから五十四年度につきましては、もうすぐ次の年のことでございますけれども、このままでいけば為替レートはそんなに違わないのじゃないだろうかというふうにだれもが考えるわけでございますし、経済学の専門家に言わせますとこのまま数年続くというふうに見込んでいらっしゃいますし、さらにそれは百五十円台くらいまで上がっていくであろうというふうにも言われているわけでございますから、政府もまたそのことをこの間の新聞発表で言っておられますね、重油はさらに値下がり傾向があるのであるからといういうふうな言い方もしていらっしゃるところを見ますと、やはりこのままでは落ちついていないでさらに円は高くなるというふうなことが考えられます。そういうふうなことを考え合わせながら五十二年、五十三年、五十四年の取り扱いについて、恐縮ですが、電力を中心にガス、石油、聞かせていただきまして、そしてその後通産省のお考えをもう一度はっきりさせていただきたいというふうに思うわけでございます。よろしくお願いいたします。
  305. 平岩外四

    平岩参考人 五十二年度につきましては、先ほども申し上げましたように九百十七億の為替差益が出ておりまして、これを法人税を払いまして別途積立金に留保しております。そしてこれは将来の安定供給のために使用さしていただくということでございます。そして五十三年につきましてはいま懸命に集計をしている最中でございますので、もう少し時間をいただきたいと思います。五十四年については為替レートOPEC値上げ、そういうようなものの変動要因、これが非常につかみ得ないので、これはいまの状態ではまだ何とも申し上げられないと思います。  そして為替レートにつきましては、先生のおっしゃいますように、百五十円という話もないわけでもございませんけれども、もしそういうような状態で今後続いたら、日本経済というものは非常に深刻な円高不況という状態に見舞われるのじゃないかという感じがいたしますし、そういうことがないようにいま政府が本質的、根本的な対策をとらなければいけないと対策をとられておるのもそのためだと思います。  以上であります。
  306. 安西浩

    安西参考人 お答えいたします。  先ほども申し上げましたが、五十二年度につきましては、ガス事業三社で特別積み立て八十六億円をいたしておりますが、これは決して為替差益を返さないということではないのでございまして、返す方法は、今回のように現金で返すのも一つ方法でございますが、五十四年度のガス料金を抑制する意味で、その方で還元したい、こう考えておるわけであります。五十三年度につきましては、先ほども申し上げましたが、直接差益三百八十億円、間接差益約四十億円、これにつきましては、五十四年度までガス料金を据え置く範囲内においてどのくらいお返しするかという問題につきまして目下検討中でございます。  なお、余分なことですが、先生は百五十円なんというお話もございましたが、本日のエクスチェンジレートは終わり値が百九十四円四十銭でございます。二百円に近づいております。
  307. 石田正實

    石田参考人 石油業界の五十二年度の為替差益のことでございますが、この結論は、この三月で決算が出ておりまして、これは三十六社、全部でございますけれども、それの経常利益が二千七百億円ということになっておりますが、実際は別に、御承知でしょうけれどもユーザンス差益というのが、これは帳簿で出てくる金融上の差益でございますが、これは一過性のものですが、それが約三千億ぐらいありまして、実際に経常利益が二千七百億というのは――結局仕入れ差益、これが私の方では大体八千三百億円と見ていますけれども、先ほど石油部長の方からは八千九十億というような数字で出ております。少し違うようですが、大体八千億ですね。八千億ぐらいのものが為替差益で出ておるけれども、これはOPECの値上がりだとか、それから税金の値上がりだとか、それから値引きだとかいうようなことで、実際は三百四、五十億の経常の段階で赤字になっておる、そしてユーザンス差益でやっと二千七百億利益を出しておるという、こういう決算の結果でございます。  以上でございます。
  308. 天谷直弘

    天谷説明員 電力ガスの五十二年度の差益に関しましては、株主総会も終了していることでございますし、あるいは所得税もすでに納付されておるわけでありますし、あるいは電気税もすでに計算され納入されているというふうに、すべて過去の秩序がこの九百二十五億という数字の上で成り立っているわけでもございますから、これにつきましては、これをまた改めて還元するということになりますといろいろむずかしい問題も起こってこようかと存じます。したがいまして、これにつきましては別途経理してあるわけでございますから、このむだ遣い等されないようによく注意をしておりまして、この金は五十四年度以降の料金の安定あるいは設備投資等有益な使途に充当されるということをウォッチしてまいりたいと存じます。  それから次に、五十三年度分の差益につきましては、直接差益間接差益合わせまして原資につきましてできるだけ正確な計算をいたし、それからこれの全額ということにはまいりませんが、相当部分を還元したい。それから還元方法につきましては、一括還元とか月払いの還元とかいろいろございますけれども、この点につきましては現在検討中でございますので、もうしばらくの猶予をいただきたいと存じます。  それから五十四年度につきましては、料金据え置きということがわれわれの基本的な考え方でございます。五十四年度につきましては、差益もございますけれども、他方コストアップも非常に多額に上ると思いますので、その辺見合って、とにかく据え置きで推移できればというふうに考えております。しかしながら、不確定の時代でございまして、為替レート原油価格もどういうふうに動きますか予想がつきませんので、据え置きということは一応のわれわれの期待でございます。  それからなお、こういう変動の時代におきまして、料金制度を安定せしめるのにはどうすればいいかという大きな問題に関しましては、先ほど来申し上げておりますように、電気事業審議会で御審議をいただきまして、できれば来年春くらいまでには何らかの案を得たい、もしそこでいい案が見つかりましたならば五十四年度の料金のあり方につきましてもその段階でもう一度よく考えてみたいというふうに思っております。
  309. 金子みつ

    ○金子(み)委員 ありがとうございました。  先ほど百五十円になるかもしれないと申しましたのは、私が言ったのではなくて経済学の専門家が申しましたことで、ですからそういうようなことにでもなったときにはどうするかということを考えていたわけでございますから、百九十九円になりそうだというお話を伺って、それは大変結構なことだと思ってむしろ喜んでいるくらいでございます。  それから、先ほど来のお話の中で、五十四年度を据え置きにして五十二年度の分はそちらのコストアップに備えるためだと皆さんはおっしゃるのですけれども、そうして今度は五十四年度の分はということになるとOPEC次第だということになるわけですね。そうすると、五十四年度以降の場合というようなことになっても、やはりOPEC次第というようなお返事が返ってくるのかと思いますけれども、平岩会長さんは昭和六十年ごろには需要に間に合わなくなるような危機が来るのじゃないかということを発言していらっしゃいますね。それはやはり何か根拠があったのでございましょうか。同時に、瓦斯協会の高木正さんとおっしゃるのでしょうか、業務部長さんですが、昨日の公聴会でやはり同じ時期をお当てになりました。このころになると石油が間に合わなくなるであろうから、その場合には液化ガスを準備するのだ、そのために設備投資が云々というお話があったわけなのですけれども、期せずして同じ時期を該当させていらっしゃるのですが、そのころには何か危機が起こりそうな予想がいまからでも立っていらっしゃるのでしょうか。ちょっと一言教えてください。
  310. 平岩外四

    平岩参考人 私が申しますその五十年代の末のころ需給の危機が来ると申しますのは、エネルギーが入らなくなる、そういうことじゃなくて、むしろ現在電調審と申しますか、発電所をつくってまいりますその計画をずっと――一つの発電所をつくるのには十年くらいかかります。その計画をずっと進めていく段階で、そのころになると発電所のできる予定と需要のふえる量とがちょうど逆の状態になってくる、こういうことを言っておるわけでございます。だからエネルギーがどうという、足りなくなるということでなくて、電気が足りなくなる心配がある、こういうことです。もう一つの問題は、いつごろ石油が入らなくなってくるかという問題は、エネルギーの問題として別途ひとつ現在言われているあれがあるのです。これは石田さんなりほかの方の方が専門家でいらっしゃいますけれども、一九九〇年ごろにはやはり石油がタイトになるだろう、こういうのが大体一致した世界的な見解としていま言われているところでございます。
  311. 安西浩

    安西参考人 お答えいたします。  昨日の社会党との懇談会におきまして高木部長、高木理事がどういう発言をしたか、私直接聞いておりませんが、ただ政府は、昭和六十年度におきまして石油の代替燃料といたしまして原子力、LNGの増強ということはかねてから決まっておる問題でございます。したがいまして、LNGに関する設備投資がふえるのだという説明をしたんじゃないかと思っております。
  312. 金子みつ

    ○金子(み)委員 将来の危機の問題は一応御説明いただきましたのでわかりました。  そういたしますと、五十四年度据え置きの予定が立っておりますけれども、五十四年度におきましてもやはり円高が今年等と同じように、あるいは先ほどよくなりそうだというお話もありますけれども、よくなれば結構ですが、それにいたしましても百九十九いっぱいいっぱいくらいのところでございますけれども、そうならなかった場合にはやはり同じように差益ができるはずだと思うわけですね。そういたしましたら、その差益分についてはどういう形をとるかは別といたしましても還元するという方針をお出しになるお考えでいらっしゃいましょうか、ございませんでしょうか、それをちょっとお聞かせください。
  313. 天谷直弘

    天谷説明員 五十四年度に予想外の円高、たとえば先ほどおっしゃいましたような百五十円とかいうような恐るべき円高になった場合には、差益還元という問題は再びそこで考える必要が出てくるかもしれません。しかしながら、むしろあえて可能性として申し上げれば、二百円よりももっと円安になるという可能性もあると考えられますし、いずれにしましてもその辺のところはいまのところ明確な予測はすることはむずかしいと思いますが、われわれとしてはできる限り料金を据え置く。特に二百円くらいで推移いたしますならば、料金を据え置くというのが常識的な行き方ではなかろうかと思っております。しかし先ほども申し上げましたように、電気事業審議会におきまして今後の料金のあり方につきまして非常にいい案が出てまいりましたならば、その案を見て五十四年度のあり方等につきましても考え直すということが必要ではないかと思います。
  314. 金子みつ

    ○金子(み)委員 据え置きの考え方は、そこら辺やはり私たちの考え方と食い違うのですけれども、わからないわけじゃありませんが、先ほど午前中からのお話にもありましたけれども、原価主義で行くという話ですね。それと据え置きとは大変に食い違ってきますね。そこら辺が大変に矛盾していると思うのですよ。据え置きをここで許可してしまうということになりますと、やはり言葉は悪いかもしれませんが、企業の方に別途積み立てであるとかあるいは内部保留であるとか、言葉はいろいろあるかと思いますけれども、企業側がそれをため込むという形になることを許可するというかっこうになるのだと思いますので、それは国民としては納得できないと思うのですね。ですから、そこらは据え置き据え置きという言葉は大変に、よくわからない国民が何となくだまされた感じがするのですけれども、据え置きというのは私は余り政府の政策として使っていただきたくない。それを五十四年度の場合でも据え置きしなければならない決定的な理由というのがまだ出ていないわけですね。ですから、その辺やはりきちっとしていただきたいと思うわけです。据え置き据え置きということは余りこれからはお使いにならないでいただきたいと思うのですけれども、どうしても何かというとすぐ据え置きと言いたくなっていらっしゃるように思いますけれども、その考えはやめていただきたいと思うのです。  さらに続けて通産省にお尋ねいたしますけれども、いまさら申し上げるまでもありませんが、消費者保護基本法というのがありますね。この法律で、消費者に与える影響を十分考慮するようにしなければならないという意味で消費者保護会議というものがつくられていますね。そうして消費者のために高い商品やあるいは価格などについて決定する場合にここで議論するようにということになっておりますが、これは総理府に置かれていて総理大臣が会長になっていらっしゃるそうですけれども、これが一つも動いていないんですね。この円高差益の問題はもういま始まったわけじゃなくて昨年来問題になっていたわけですね。ところが、一度もここにかけて議論をするとかあるいは問題にしてそして議論をして結論を出してもらって消費者の保護というものを措置してくださるということはなさらなかったですね。どうしてなさらなかったのですか。
  315. 天谷直弘

    天谷説明員 消費者保護に関しましてはそれぞれの担当部局がございまして、私どもの方は資源エネルギーの安定供給というような役割りを担っておるわけでございますが、消費者保護会議等につきましては特にそれを開催してそこに出席して説明してほしいというような御要望をいままでのところ承っておりませんので、そういうものを開いてはいないわけでございます。私の方から積極的に開催を提議しなかったのはおかしいではないかという御批判はあるかもしれませんけれども、通常はそういうものを消費者保護のため開きたいから出席して説明されたしというような御要望がありますれば、もちろんそれにおこたえしたいと存じております。
  316. 金子みつ

    ○金子(み)委員 わかりました。これはもっぱら受け身の会なんですね。政府が積極的に消費者のために考えるんじゃなくて、来て説明してもらいたいと言われたときに初めていらっしゃる、こういうことなんだそうでして、そうだとすれば何のためにおつくりになったのかなと思ったりします。きょうは時間がありませんからその議論はやめることにいたしますが、そういうような会議では、活用の仕方を考え直していただかないと、何のためにつくられたのか、こういうものがありますよということで、ああ、いい会があるな、これで考えてくれるんだなとみんな思うわけですけれども、実はそうじゃなかったということになるので、これまただまされたかっこうになりますので、そこら辺はこの会の運用方法について改めていただきたいというふうに考えます。  そこでいま一つ、これは通産省にお尋ねすることが妥当なのかどうかと思いますが、業界の方も考えていただけるかどうかと思いますけれども、先ほど来のお話で、差益還元するにいたしましてもそれぞれの電力会社別にということにお話が進んでいるようでございますが、そうすると九電力会社別ということになりますと大変にばらつきがあって格差がございますね。東京なんかは百五十円ぐらいだと言われていますし、四国は四十円だと言われるし、北海道はない、こんなことになりますね。そういたしますと、そこに住んでいて、そこの電力会社が供結する電力を使っているのだから、その電力会社から還元されることが公平なんだという考えがあるかもしれませんけれども、考えようによっては国民全体がやはり同じように還元されることが平等なんだというふうに考えるという考え方もあると思うのです。そうしますと、住まっている場所によって大変違う。それからさっきお話も出ましたが、引っ越してしまったらまた違ってくる。大変にそういう点が煩瑣でございますから、そうではなくて、これは産業用も民生用も全く平等にするという方針をお出しになっていらっしゃるのですから、まして民生用の国民には平等に差益還元されるべきだというふうに考えますし、そうあってほしいと思いますから、この際差益をプールして、そしてこれを平等に還元させるということはできないものなんでしょうか。これは事務的によっぽど不可能なんでしょうか。不可能でないとすれば努力していただいて、プールしてみんなに同じように、たとえ百円であろうとあるいは五十円であろうと金額に問題はないと思います。金額の問題じゃなくて姿勢の問題だし考え方の問題だと思いますので、その点はいかがでございましょうか、プール制、むずかしゅうございましょうか、お答えいただきたい。
  317. 天谷直弘

    天谷説明員 プール制ということになりますと、多分特別の立法をいたしまして、差益を吸収して、それを今度は政府が何らかの基準によってまた分配する、そういうシステムにすれば可能であろうかと存じます。ところで、そういうことになりますと、今度はその差益を国が全部吸い上げて分配するということになりますと、それは電気ガスだけの問題ではなくて、多分差益一般の問題にもだんだん広がっていくんじゃないかと思います。そうなりますと、私どもは、資源エネルギー庁としましては、それがいいか悪いか判断するわけにはまいらないかと存じます。私どもとしましては現在の電気事業法に基づいて考えますので、そういたしますと、料金を少しもらい過ぎたということでございますから、払った方にまたお返しするという考え方になろうかと存じます。
  318. 金子みつ

    ○金子(み)委員 それでは、その点、宮澤長官、いかがでございましょうか。経済総合対策などという考え方の上から考えて、いまのように差益分をプールして平等に還元するということが、法律をつくればできないことはないと思うわけですけれども、実際問題として全く不可能なものかどうか、長官、そのようなことを考えてみていただけませんか。
  319. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 先ほど依田委員に申し上げたのをお聞き取りいただいておったかもしれませんが、平ったい言葉で申しましたら、このぐらいの原価であると思ったが実はこのぐらい原価の節約ができました、したがってそれはお返ししますということが今回の問題の本資であろうと思いますので、各電力会社によりまして原価が少なくて済んだ部分というのはおのずから違うわけでございます。それはほとんどないところもございます。でありますから、いわば平ったい言葉で、よけいに取り過ぎましたからそれをお返ししますということが一番簡明な、だれにでもわかりやすい問題の処理の仕方ではないかと私は思っておりますけれども、なお御意見のようなこともございますので、経済対策閣僚会議でもこれはよく審議をいたしまして決定をしてもらいたいと思っています。私といたしましては、先ほど申し上げましたような考え方が一番だれにでもわかりやすい物の考え方じゃないかと思っております。
  320. 金子みつ

    ○金子(み)委員 実はいま私がプール制にしてみたらということを申し上げましたのは、思いつきで申し上げたのじゃなくて、そういうことを考えている団体もあるわけでございます。きのうの私どもの党で開催いたしました公聴会のときにもそういうことを質問した人たちもあったわけです。ですから、やはりそういうことを考えている人があるということをわかっていただきたいと思うのです。長官おっしゃった考え方もよく私どもわかります。ですけれども、こういう考えを持っておる人たちもあるのだということをわかっていただいて、そのことは頭から全くだめだという考えになさらないで、それはどのようにすればできるかできないか検討していただいて、そしてできない場合には、こういうわけでこういうことだから無理なんだというふうな御説明でもいただければみんなも納得できる。そういう点を私はお願いしたがったわけなんです。  そこで、経企庁では、やはり付属機関で国民生活審議会というのをお持ちになっていらっしゃいますね。この国民生活審議会というのは、やはり先ほどの消費者保護会議と同じように消極的な会なんでございましょうか。そうでないとすれば、これをお開きになって、いまのような問題その他を積極的にここで取り上げていただきたい。そしてその結果を、宮澤長官のお立場としては物価のお目付役でいらっしゃいますから、各省庁に進言をなさるなりあるいは要請をなさるなりして、国民の側に立ったいわゆる物価に関するお目付役としての役割りを十分発揮していただきたいと思うのですけれども、それはいかがでございましょう。
  321. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 私どもの役所で申しますと物価安定政策会議というのがございまして、物価についてほぼ一元的にここへお願いしておりますので、系列から言いますとそこの問題になるわけでございます。ただ今回のように事柄が、通産省、それも資源エネルギー庁の所管ということで非常にはっきりしておりますし、政府の一般的な物価安定の方針については通産大臣がもとよりよく御存じでございますから、このような問題は特にそのような会議にかけることもなかろう、私どもの考え方を経済対策閣僚会議等々、あるいはそれに至りますまでの過程で所管の大臣にお伝えしてあればそれで十分なのではないかと私としては考えております。
  322. 金子みつ

    ○金子(み)委員 もう質問ではございませんが、今回の場合は特に電力ガス、石油に限って資源エネルギーとしての問題だったからそういうことだったのかもしれませんけれども、これは突破口で、先ほど依田委員もおっしゃっていらっしゃいましたけれども、私どももそう思いますが、必ずしもこの問題だけでなくてそのほかの輸入の物資の問題あるいは流通機構の問題などまだまだやらなければならない問題がたくさんあると思います。ですから、これが突破口になるだろうと思うのですけれども、そのように幅が広がっていきました、対象が広がっていきました場合には、単に通産省だけの問題というふうにとどまらないだろうというふうに考えますので、その際にはぜひ宮澤経企庁長官のお立場をはっきりさせていただいて、その点を国民に納得のいくように進めていただきたいということを最後にお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  323. 美濃政市

    美濃委員長 これにて委員質疑は終わりました。  参考人各位には長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。   本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十分散会