○金子(み)
委員 私は最後でございまして、
参考人の皆様方も大変お疲れになっていらっしゃるだろうと思います。
けさほど来、大ぜいの
委員たちの
質問についていろいろと御
答弁をいただいております。私もずっと初めから聞かせていただいておりましたが、わかったことはいままでわかっていたことであって、知りたいと思っていたわからなかったことはやはりまだ本当によくわからない、これが率直に申し上げる私の気持ちです。それほどさようにこの
円高差益問題というのは大変に複雑で、怪奇と言うわけにはいかないかもしれませんが、大変むずかしくて、そしてややこしくて、
考え方、認識の仕方の違い、あるいはその違いが基本になって
計算をすればその
計算がすっかり違ってくる。ですから、
けさほどからの
お話し合いの中でも
数字については
一つも一致してこないということがあったわけでございます。それはやはり、いま申し上げましたように
考え方とか認識の違いというものがその
数字の上にあらわれてくるのだろうというふうに思うわけでございますし、そのほかに、
業界あるいは
政府の側の物の
考え方とわれわれ国民の側の物の
考え方との違い、そういうようなものがやはり根底にございまして違った形としてあらわれるのじゃないかというふうに
考えていたわけでございます。これがぴたっと一致することがあるのかどうかということにつきましては非常に疑問だと思うわけなのでして、ここで一〇〇%ぴたっと一致することを期待したりあるいはそれを希望したりということではございませんけれども、しかし、非常に釈然としないものがあったり、くつの外からかいているような感じがあったりということがございますので、これを少しでも近づけていって、そして国民が納得できるような、少なくとも一般の国民がああそうなのかということがわかるような形のものに仕上げていただかないと、私は――この問題はいま始まったわけじゃございません、もう昨年あたりから起こっている問題ですけれども、いまここで急に爆発したみたいに取り上げられたかっこうになっておりますが、これは最後まで
解決しないで、納得できないままで終わるということがあっては大変な行政上の問題でもあるだろう、また政治上の問題でもあるというふうに私は
考えますから、その点はお互いに強く認識しながら、努力し合わなければいけないのじゃないだろうかというふうに
考えるわけでございます。
そこで、いままでの動きを拝見いたしておりますと、大体
業界の方々、
電力会社の方々が中心でございますが、それらのお
考えが中心になって、
政府側、
通産省との話し合い、そして
通産省の方針になって出てくるというふうに読めるわけでございます。そういうようなことがございますので、いまここで私がひとつ新聞記事を読みますが、これをぜひ聞いていただきたいのです。これが何を
意味しているかということをわかっていただきたいと思うわけなんです。
これは七月の末のことです。「先月末、ある大手
電力会社の情報課長は新聞を開いてギョッとなったそうだ。
社会党独自試算に基づく
電気、
ガス料金引き下げが各紙に派手に載っていたからだ。」そういう時期がございました。その課長は休暇中だったそうですが、「休暇中にもかかわらず出社し、記者に言ったものである。「いやいや、まいりましたよ」 何が彼をまいらせたか?」ということなんですが、これはせっかくの休暇がふいになったせいではありません。「このキャンペーンで
電力会社の
円高差益の実態があばかれる不安を本能的に察知したからである。」ここら辺、ちょっとよくしつかり聞いていただきたいのです。「
電力会社の
円高差益の実態があばかれる不安を本能的に察知したからである。その直後、
石油業界の某幹部は」「フトこんなことを言い出した。「NHKで
円高差益の番組をやるらしいんだが、ここでもし
電力の
燃料費に関するタネ明かしをしたらおおごとだよ。うち」、うちというのは
石油業界のことです。「うちの方から番組に出る人間にはあまり詳しい
数字は暴露しないようにクギを刺したんだが……。それにしても
電力さん、大変だよ」」こういう記事がございました。お読みになったでしょうか。これは新聞記者の人たちの話し合いなんです。マスコミというのはいろいろと評価がありますので何とも言えませんが、しかし、大変鋭いものを持っております。行き過ぎの面もないこともないわけですけれども、しかし、情報をしっかり握っておりますし、鋭い面も持っていると私は思うわけですが、その人たちが話し合いの中でこういうことをちゃっとキャッチしてきているということなんですね。
そこで、これは記者の語った言葉ですし、記者が語っております裏にはそれぞれの
業界の方の発言があるわけです。これを読みまして一般の国民は、ああ、やっぱりそういうことがあるのかなとまず
考えてしまうわけですね。そこで、それはとんでもない誤解であるというふうにお思いになるだろうと思いますけれども、そういうことが誤解であるかないかということは、やはり具体的に明確にお示しいただかないと、単純なと一口に言っては悪いでしょうけれども、こういう詳しい事情を知らない一般の国民はそう思い込んでしまうおそれがあります。ですから、いまからでも遅くはないわけでございますから、こういうふうな記事が国民の頭の中にしみ込んでしまわないように、しみ込んでしまったことを払拭するためにも、ぜひこれから取り扱いを正確に明確に、そして率直にお示しをいただかなければいけないのじゃないだろうかというふうに
考えるわけでございます。
そこで、
平岩会長さんが記者会見でおっしゃっていた言葉の中に、今度の問題について、経済的な
立場から基本的な
考え方としては一
ドル百八十円とか百九十円とかというのはまことに異常だ、だから、これは適正な水準に戻す政策が先にあるべきであって、行き過ぎの現行
レートを基礎にして直ちに
差益分配を論ずるのは妥当かどうか、経済的には疑問がある、こういうふうにおっしゃっていらっしゃいます。そういうお
考え方は私もわからないわけではございませんけれども、しかし、事実は事実でございまして、異常かどうかは別としても、確かにそういうことがあったことはあったわけですね。そういう実態があるわけなんですから、その実態に対して最も的確に対処しなければいけないのではないだろうかというふうに
考えるわけです。もともと一
ドル二百九十九円のときに決まった現行
料金でございますから、それがいま百八十円になったということだけでも率直に、大変に素朴な疑問ですが、それだけの差は確かに
差益なんだというふうに
考えるわけですね。それが純粋に
差益だけじゃないというお
考えもあるかもしれませんが、まあ、そういうふうに一般素人は
考えますから、そのことを
考えても、これはどうしてもその
差益分は
還元するべきだというふうに思います。というのは、一
ドル二百九十九円の時代に高く買った石油で決めた
料金、それを今日同じ
料金を国民は払っているわけですからね。ですから、ちょっと払い過ぎになっているのじゃないかというふうにどうしても思うわけでございますし、
電力会社の方としては空前の利益になった、こういうふうに
考えていいと思うわけです。それは不労所得でないとかあるとかという議論があったことを覚えておりますが、い
ずれにいたしましても、
差益があるということは確かなんですから、引き下げるのは当然であるというふうに結論はなると思いまして、今日の話し合いの中でも、先般来、
差益を
還元するという方針が出たということは事実なんで、そのことは当然であるというふうに
考えるわけですが、今度は、問題はその
差益の
還元の仕方ということになってくるというふうに思うわけです。
その
還元の仕方について、
けさほど来いろいろ
お話し合いが出ておりました。しかし、
数字が大変にいろいろ出てまいりますので、
数字をここで取り上げてというふうに私は思っておりませんけれども、私が最後の
質問者でございますので、まとめる
意味じゃございませんけれども、整理する
意味におきましても、いま一度はっきりと
お答え、お
考えを聞かせていただきたい、
数字を入れていただかなくても結構でございますから、
考え方としてはっきり聞かせていただきたいと思いますのは、いま問題になっております
差益の対象は五十二年、五十三年、五十四年度の問題でございます。そこで五十二年度の取り扱い、五十三年度の取り扱い、五十四年度の取り扱いということになるわけですが、
先ほど来の
お話では、どうして五十三年度分だけについてつまみ食いのように取り上げて割り引きをすることにお決めになったのか、そして、五十二年度は別途会計として積み立てておいて将来のために残しておくのだというふうなお
考えがありますが、将来というのはいつのことなのかということがはっきりいたしません。それから五十四年度につきましては、もうすぐ次の年のことでございますけれども、このままでいけば
為替レートはそんなに違わないのじゃないだろうかというふうにだれもが
考えるわけでございますし、経済学の専門家に言わせますとこのまま数年続くというふうに見込んでいらっしゃいますし、さらにそれは百五十円台くらいまで上がっていくであろうというふうにも言われているわけでございますから、
政府もまたそのことをこの間の新聞発表で言っておられますね、
重油はさらに値下がり傾向があるのであるからといういうふうな言い方もしていらっしゃるところを見ますと、やはりこのままでは落ちついていないでさらに円は高くなるというふうなことが
考えられます。そういうふうなことを
考え合わせながら五十二年、五十三年、五十四年の取り扱いについて、恐縮ですが、
電力を中心に
ガス、石油、聞かせていただきまして、そしてその後
通産省のお
考えをもう一度はっきりさせていただきたいというふうに思うわけでございます。よろしくお願いいたします。