運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1978-04-18 第84回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月十八日(火曜日)     午前十時七分開議  出席委員    委員長 美濃 政市君    理事 加藤 紘一君 理事 堀内 光雄君    理事 金子 みつ君 理事 武部  文君    理事 中川 嘉美君       愛知 和男君    中西 啓介君       中村  靖君    鈴木  強君       野口 幸一君    宮地 正介君       依田  実君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      宮澤 喜一君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局取引部長 長谷川 古君         経済企画庁調整         局審議官    澤野  潤君         経済企画庁物価         局長      藤井 直樹君         経済企画庁調査         局長      岩田 幸基君  委員外出席者         経済企画庁物価         局審議官    下山 修二君         国土庁土地局土         地政策課長   佐藤 和男君         国土庁土地局地         価調査課長   久保木哲彦君         農林省農蚕園芸         局植物防疫課長 本宮 義一君         農林水産技術会         議事務局連絡調         整課長     加藤 泰丸君         資源エネルギー         庁石油部計画課         長       箕輪  哲君         建設省計画局宅         地開発課長   渡辺  尚君         建設省計画局宅         地開発課宅地企         画室長     木内 啓介君         建設省住宅局住         宅計画課長   鴨沢 康夫君         建設省住宅局住         宅生産課長   松谷蒼一郎君         参  考  人         (日本銀行理         事)      中川 幸次君         物価問題等に関         する特別委員会         調査室長    曽根原幸雄君     ————————————— 四月十二日  ネズミ講禁止法立法化に関する請願新井彬  之君紹介)(第三〇七五号)  同(岡本富夫紹介)(第三〇七六号)  同(鍛冶清紹介)(第三〇七七号)  同(田中美智子紹介)(第三〇七八号)  同(中川嘉美紹介)(第三〇七九号)  同(平石磨作太郎紹介)(第三〇八〇号)  同(広沢直樹紹介)(第三〇八一号)  同(伏屋修治紹介)(第三〇八二号)  同(堀内光雄紹介)(第三〇八三号)  同(宮井泰良紹介)(第三〇八四号)  同(宮地正介紹介)(第三〇八五号)  同(安田純治紹介)(第三〇八六号)  同(吉原米治紹介)(第三〇八七号)  同(武部文紹介)(第三一六九号)  同(栂野泰二紹介)(第三一七〇号) 同月十七日  ネズミ講禁止法立法化に関する請願井上一  成君紹介)(第三二三二号)  同(池端清一紹介)(第三二三三号)  同(清水勇紹介)(第三二三四号)  同(西宮弘紹介)(第三二三五号)  同(美濃政市紹介)(第三二三六号)  同外一件(西宮弘紹介)(第三二七七号)  同(野口幸一紹介)(第三二七八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  小委員会における参考人出頭要求に関する件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 美濃政市

    美濃委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本日、日本銀行理事中川幸次君、明十九日、連鎖販売ネズミ講等調査小委員会東京大学教授竹内昭夫君、明後二十日、当委員会石油連盟会長石田正實君、電気事業連合会会長平岩外四君、日本瓦斯協会会長安西浩君に、それぞれ参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 美濃政市

    美濃委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————
  4. 美濃政市

    美濃委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。愛知和男君。
  5. 愛知和男

    愛知委員 私はきょうは、去る四月一日に昭和五十三年一月一日現在の土地公示価格というのが発表になっておりますので、これを中心にしまして、土地の問題について若干の質疑をさしていただきたいと思います。  まず本題に入ります前に、日本は、申し上げるまでもございませんが、狭い国土であり、しかもその大半が山岳地帯ということもあり、そこに一億数千万の人間が住んでいるわけでありますから、まことに宿命を幾つも背負ったわが国でありますが、そういうことから、わが国土地価格というのは諸外国に比べてきわめて高いと言われております。アメリカ等に比べると五倍から十倍だというような話もあったり、あるいは、たとえば日本国土全体の値段を全部合わせるとちょうどあのアメリカ国土と同じぐらいの値段だというような言い方をする方もあったり、大変高い高いという話でございますが、ここでひとつわが国土地価格を再認識するような意味で、外国とちょっと比べていただきたいと思います。  そこで、外国の主な典型的な都市を選んでいただいて結構ですが、それとわが国の代表的なところとの土地価格比較していただいて、できましたら国民所得など、そういったようなものとの比較、どの程度日本土地が高いかということを少し具体的に、一度認識を新たにする意味で、御説明をいただきたいと存じます。
  6. 久保木哲彦

    久保木説明員 お答えをいたします。  諸外国におきます土地価格ということでございますけれども、諸外国におきましては更地売買ということが余り慣行がございませんで、土地建物一体としての取引というのが通常のようでございます。そういう点でありますとか、あるいはその土地をめぐります諸条件とか国情の違い等もございまして、一概にこの比較を国際的にするというのは非常に困難な点がございます。そういうことではございますけれども西ドイツにおきましては更地取引ども調査をいたしまして、統計もわりと整備がされておるというようなことでございますので、まず西ドイツ地価について申し上げますと、一九七六年ごろの時点で、住宅地価格平均で平方メートル当たり約四十九ドイツマルクでございます。ベルリン、ミュンヘン、フランクフルトなどの大都市では、これは少し高くなっておりまして、二百ドイツマルク前後というようなことになっておりまして、これを当時のレートで換算いたしますと、平均の方で申し上げますと平方メートル当たり五千八百円、それから大都市におきましては同じく二万三千六百円といったような水準地価になっておるというようなことでございます。これをまたアメリカなどではどうかということで見てまいりますと、アメリカは膨大なあのような土地を持っている国でございますが、一九七五年におきます新規住宅敷地平均価格は平方メートル当たり四千円といったような調査結果もあるようでございます。こういうようなことでございまして、これらをわが国地価と比べてみますと、先日発表されました昭和五十三年の地価公示で見ましても、住宅地価格の総平均ということになりますと四万四千三百円ということになっておりますし、東京圏住宅地で見ますと七万三千四百円、三大圏の住宅地で見てみますと六万五千八百円といったようなことになっておりますので、先生のおっしゃいますとおり、確かにわが国地価というものは諸外国に比べて高いということは言えるかと思います。
  7. 愛知和男

    愛知委員 改めてわが国土地価格というのがいかに高いかということを再認識するわけでありますが、今日は円高ということで、一ドル二百二十円とか言っておりますけれども事土地に関する限りは、一ドル二百二十円どころか、一ドル二千円とか二千五百円とかいうことになるわけで、わが国経済の特殊な姿というのがここにはっきりと出ているような気がいたします。  そこで本題に入らせていただきますが、わが国のこれからの土地政策というのは、外国に比べてかくも高い土地値段を、今後それこそ長い期間をかけて、少しでも安くしていく、どうやって安くしていくか、どうやって庶民の手に入りやすいものにしていくかというのが中心になるべきであろうと思います。  そこで、四月一日に公示価格が発表されたわけでありますけれども昭和五十三年には前年に比較して二・五%の上昇率であった、こういうことでございます。その数字そのものはある程度低いという感じがいたしますが、前年あるいはその前と比べますと、昨年は一・五%の上昇、その前は〇・五%の上昇ということでございますから、少しずつ上昇率が上がっているということも同時に言えるわけでありますけれども、今回のこの土地公示価格について、全体的に国土庁はどのようにこれを評価しておられるか。ひとつその評価といいますか、判断といいますか、お示しをいただきたいと存じます。
  8. 久保木哲彦

    久保木説明員 昭和五十三年地価公示は、先生のおっしゃいますとおり、対前年変動率につきましては全体平均で二・五%ということでございました。内訳について申し上げますと、住宅地につきましては三・三%ということでございますし、商業地につきましては、一・三%、工業地につきましては一・〇%というようなことで、住宅地がやや高目になっておりますけれども商業地工業地につきましてはそれほどの値上がり率は示していないわけでございます。  このような結果でございましたけれども地域別に見ますと、名古屋圏でありますとか、これは地下鉄等中心といたしまして交通体系整備が進んだためというふうに考えておりますし、また北海道、東北等についても比較変動幅が高かったわけでございますけれども、これらにつきましては地価水準もともと低いというような条件がございまして、そういうようなことでございますが、全体平均二・五%といったような数値につきましては、国土庁といたしましてはおおむね安定的に推移しているというふうに考えておるわけでございます。
  9. 愛知和男

    愛知委員 同じ質問を経済企画庁の方にしたいと思いますが、経済企画庁としては今度のこの公示価格をどのように評価をしておられますか。
  10. 下山修二

    下山説明員 経済企画庁といたしましては、消費者物価その他につきましていろいろの点について配慮しているわけでございますが、いま先生が御指摘地価、これは御案内のとおり消費者物価には入っておりません。しかし暦年で、昨年の一年間でございますね、これの上昇率が八・一%というのが消費者物価水準でございます。これももちろんより低くなるように努めなければならぬわけでございますが、いまの地価との関係でいけば、まだそこには地価の方が相当低いということが言われていると思います。したがいまして、先ほど国土庁の方から御答弁ありましたように、経済企画庁としても安定的に推移しているというふうに考えている次第でございます。
  11. 愛知和男

    愛知委員 おおむね安定的に推移しているという評価のようでございまして、そのとおりかと存じますけれども、なお先ほど申し上げましたとおり、その上昇率だけを取り上げてみますと、毎年毎年少しずつ、じりじりと上がっているような感じもないわけではないわけでありまして、この問題につきましては後ほどまた別な角度から指摘をさせていただきたいと思います。  先ほど国土庁の御答弁の中にございましたけれども全国平均では二・五%、住宅地域は三・三%、こういうことでありますが、地方中核都市については、いわゆる都市圏と比べてみると、多少上がり幅が大きいような傾向があると指摘をされております。たとえば地方の五十万都市ですと、宅地上がり幅が三・五%というような結果のようでございまして、多少上がりぎみのような感じがいたします。実は、私も出身仙台でございまして、その五十万都市の中にあるわけでございますけれども、この都市政策あるいは土地政策というのは、土地と申しますとすぐ頭に浮かぶのは、首都圏が対象になりまして、首都圏における土地政策をどうしたらいいかということになりがちでございますが、非常にざっくばらんに申し上げますと、たとえば東京とか大阪とか、いわゆる首都圏ですと、これから土地の問題に手をつけるといっても相当限界があるわけでございますけれども、五十万都市あるいは三十万都市という地方中核都市でございますと、まだまだこれからという面がいっぱいございます。したがいまして、こういう地方都市における土地政策、これがこれからの土地政策中心にならなければならないんじゃないかと私は思うのであります。やり方によっては、再び東京とか大阪とかというようなことにならずに、もっともっと適正な正しい住宅政策がまだこれからでも地方中核都市についてはとり得るんじゃないか、こんなふうに思うわけであります。そういう中で、地方中核都市土地価格騰勢が目立っているということは大変大問題ではなかろうかと実は思うわけであります。この点につきまして、どうして地方都市騰勢が目立っているのか。先ほどは、従来からの価格がそれほどでもなかったからというような理由の一つが示されたわけではございますけれども、なお、どうしてこのようなことになっているのか、あるいはこのことについて特別これから施策を打っていく、特別なことを考えていくというようなことがいまお考えにあるかどうか、地方中核都市土地価格について、ひとつ国土庁のお考え方をお示しいただきたいと思います。
  12. 久保木哲彦

    久保木説明員 五十万都市土地価格は、住宅地で見てみますと三・五%ということでございまして、全国平均三・三%から見れば確かに上昇率としては若干高いという点があるわけでございますけれども、ことしの地価公示の結果を見てまいりますと、他の地域、三大都市圏あるいは三十万都市等を見ましても三・四%というような数字になっておりまして、必ずしも五十万都市だけが騰勢を速めているというような結果にはなっておらないわけでございます。しかし、確かに昨年までの状況につきましては、先生おっしゃいますように、他の地域に比べて五十万都市が若干高目に推移したという点もあるわけでございます。こういう点につきましては、先ほど地価水準もともと安いというようなことも申し上げたわけではございますけれども、こういう地方におきましてはやはり公共投資等が活発に行われている地域が非常に多うございまして、そういう公共投資の、あるいは交通体系の是正といったようなこと、そういうものを通じまして土地利便性が高まる、土地の効用が高まる、こういうことの結果として土地値上がりをするというような点は見られるわけでございます。これは単なる値上がり、虚像的な値上がりというものではございませんで、利便性が向上するという実質を伴った面でございますのでいたし方がないというふうに感ずるわけではございますけれども、そのほかといたしましては、やはり人口都市集中あるいは世帯分離がわり地方においても進行しているというような点があろうか、こういうように考えております。
  13. 愛知和男

    愛知委員 確かに日本の国全体として、人口のUターンとかJターンとかよく申しますけれども、そんなようなこともあり、またいまお話しのとおり、開発もこれから進んでいくということで利用価値が高まるということもあり、したがいまして、先ほど指摘を申し上げましたとおり、地方中核都市のあり方というのがこれから大きく変わっていく、また重要性が増していくわけでありますから、そういう中においてこの土地政策、私は、率直に申し上げますと、今日までのわが国都市政策、これは必ずしも適切なものではなかったということがあると思います。それが主として都市圏の今日のこの土地の姿になってあらわれているわけでありますが、こういうことが二度と再び地方中核都市に起きることのないように、これからの都市政策というものは、特に地方中核都市を頭に置いて、きめの細かい、またその土地土地に応じた政策を講じていく必要があるんではなかろうかと考えます。特に私の出身仙台のことも頭にあり、なおこれからいろいろな機会にひとつ皆様方と議論をさせていただきたいと考えておりますが、きょうはこの程度にいたしまして、先に進めさしていただきます。  先ほど公示価格として一月一日現在の土地価格公示されたことについて、前年同期の比較で二・五%の上昇、こう言われております。そしてそれぞれの住宅地価格が公表になっているわけでありますが、一部には、これはあくまでも公示価格で、実際の取引はこれとは違うんじゃないか、実際の取引はこれより二、三割高いのじゃないか、つまり実勢価格公示価格との間に乖離ができているんではないかというようなことが言われております。  そこでこの問題について、公示価格実勢価格の間の関係、実際どのような姿になっているか、国土庁としてこれをどういうふうに把握しておられるか、そのことにつきましてお伺いをしてみたいと思います。
  14. 久保木哲彦

    久保木説明員 公示価格といわゆる実勢価格とが乖離しているというようなお話でございますけれども先生案内のとおりこの公示価格は、土地鑑定委員会全国不動産鑑定士または不動産鑑定士補に依頼をいたしまして、鑑定評価を求めた結果を審査し、調整した結果を公表しておるわけでございます。今回の地価公示に参画されました不動産鑑定士等の数は千七百人程度に達しますし、これまた全国的に百八十二の分科会を設けまして、ここで不動産鑑定士皆さん方がいろいろ地価情勢あるいはその資料につきまして検討をいたしまして、七、八月時点から活動を開始して、一月一日現在の地価把握をする、こういうことでございます。こういうことで、非常に長い間の討論の結果を経て、最終的には土地鑑定委員会の決定という形で公示がなされるわけでございまして、この点から言いまして、地価公示価格は厳正に調査が行われておるというふうに私どもは思っておるわけでございます。  いわゆる実勢価格との乖離の問題でございますけれども、ここで言う実勢というのはどういうものかというのが問題点ではないかと思うわけでございます。適正な地価に対しまして、時として実際の取引というものがそれを超えて行われるということがあるわけでございまして、特に最近東京大阪等で言われておりますいわゆるミニ開発の問題がございますけれども、こういったような取引におきましては、確かに私ども考えておる地価水準よりは高目に行われておるものが多分にあるというふうに考えております。そういうような水準土地取引を頭に描いて、それを実勢価格だということで比較をいたしますと、確かに公示価格は低いというような御判断が出るかと思いますけれども、正常な取引不動産鑑定士調査をいたしまして、そういったものを中心にして評価活動が行われておりますので、私どもとしては、公示価格というものが適正な実勢をあらわしている、しかしながらミニ開発等取引におきましては適正でない実勢——実勢を超えたような意味での実勢、そういうようなものではないかというふうに考えるわけでございまして、そういうような意味での実勢であるとすれば、確かに公示価格とは乖離しておるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  15. 愛知和男

    愛知委員 ただいま適正な実勢価格と適正でない実勢価格というお話がございましたが、公示価格性格についてでございますけれども公示価格というのはそもそも実際の姿をありのままに示すのか、あるいはここにあるべき姿というか、こうあるべきだというような多少政策的な意味合いが込められたものか。ただいまのお話から推測をいたしますと、国土庁が発表される公示価格というのには、国土庁というか、政府がこうあるべきだというような性格をこの公示価格に持たせておって、必ずしも実勢そのものを追うものでなくてもいいんだというようなお考えがあるように受けとれたのでありますけれども、その辺はちょっともとへ戻るような話でありますけれども公示価格性格についてもう一度国土庁の見解をお示しいただきたいと思います。
  16. 久保木哲彦

    久保木説明員 公示価格は、経済社会に即応した実勢価格公示するというのが基本の考え方でございます。  その評価方法といたしましては、近傍類地におきます数多くの取引事例というものを収集いたしまして、その中から特殊な事情補正した取引価格、そういうものを考えていくという取引事例比較法と言われる方式、あるいは地代等土地収益から価格というものを算定していく収益還元法という法式、あるいは造成費用を基礎にして価格を算定していきます原価法という方式、この三つの方式が現在確立されておる方式でございまして、こういった不動産鑑定基準というものにのっとりまして不動産鑑定士評価をいたすわけでございます。  ただ、ただいま申し上げましたように、実際の取引価格調査をいたしますけれども、その中で事情補正というものをいたします。実際の取引価格というのはそのまま適正な地価水準を示すものではございませんで、その中にはいろいろな動機を含んで取引が行われる。転勤をするので早く売りたい、あるいはこの土地をどうしても買いたいから私は買うんだといったようないろいろな動機があって実際の取引は行われておりますが、そういった動機含み取引価格につきまして、そういった事情を勘案して補正をいたすというような作業はこの方式の中に入ってくるわけでございます。そういう意味での方式上、技術上の補正というものはいたしますけれども政策的な配慮を加えて補正をするというようなことは私どもとしては考えておらない、こういうことでございます。
  17. 愛知和男

    愛知委員 まあ、公示価格といって正式に発表される価格は非常にむずかしいと思うのでありまして、これが世の中の土地価格一つ基準になるわけでありますから、なるべく価格を上がらないようにさせていくためには、やはり低目低目に公示をしていかなければいけないというようなこともあるのではなかろうかという気がいたします。そうなりますと今度は、公示価格もとにして土地価格は前の年に比べてどうだったかというようなことになりますと、どうしてもその伸び率といったようなものが低目に出ざるを得ない、こういうことでありますから、実際の姿を必ずしも——今度は二・五%の上昇率と、実際はもう少し上がっているということになりかねないことでございまして、大変むずかしい問題で、なおこの点につきましては私自身もこれからちょっと勉強してみたいと思っておりますけれども、話を先に進めさせていただきます。  先ほどお話が、実勢価格公示価格との乖離の問題でミニ開発という問題が出たのですが、確かにこのミニ開発というのが、今日の宅地開発造成のためのいろいろな法制の影響もあり、非常に盛んに行われているというふうに言われておりますけれども、この辺の実情について、建設省でございますか、どういうふうに把握をしておられるか、ひとつお願いをいたします。
  18. 渡辺尚

    渡辺説明員 ミニ開発実態についてのお尋ねでございますが、その実態を見る一つ方法といたしまして、私どものやっております都市計画法による開発許可、この実施状況の中で見てまいりますと、逐年宅地開発規模が小さくなっているということがうかがわれるわけでございます。たとえば三大都市圏について見ますと、一ヘクタール未満の規模開発面積が全体に占める割合というものを見てみますと、四十六年度では二四・三%であった。これが四十九年度になりますと三六・〇%というふうにふえ、さらに五十一年度では五〇・五%というふうな状況になっておるわけでございます。また、五十二年の四月に「東京土地——一九七六」というのか発表されておりますけれども、これは世田谷の事例ではありますが、これを見ましても逐年宅地の区画面積が減少しているということがうかがわれるかと思います。
  19. 愛知和男

    愛知委員 一区画当たりの面積が年々非常に減っているというのは、まさにいろいろな土地の、国土利用計画法その他の法制の問題もあるでしょうけれども、実際は、庶民から言いますと、手に届く、買える土地というとどうしてもやはり小さなものになってしまうというようなことの一つの典型的なこれはあらわれではなかろうかと思うのであります。最近の事例で申されたとおり、いま東京ですと平均が六十八・七平方メートルというような大変狭い宅地ということになっているわけであります。しかし、これをこのまま放置をいたしますと、将来いわゆるスラム化をしていくような原因にもなるわけですし、そのほか防災の面でも大問題でもございましょうし、数々の問題点を抱えているような気がいたします。しかし同時に、それじゃミニ開発はいかぬのだ、こういうことにいたしますと、今度は庶民の手が届かないような高いものになってしまって、庶民はどうしたらいいかわからなくなってしまう、こういうようなことで大変大きな問題を含んだものだと思うのでありますけれども、今後このミニ開発を、いま実情は御説明いただきましたけれども建設省としてどういうような方向でこの問題を処理していくおつもりか、ひとつお示しをいただきたいと思います。
  20. 渡辺尚

    渡辺説明員 ミニ開発の対策についてのお尋ねかと思いますが、御指摘のようにこういった小規模ミニ開発、これはいろいろな背景があるわけでございますけれども、確かに都市の防災上あるいは居住環境上、いろいろな問題があることは事実でございます。そこで、基本的には、この対策といたしまして居住環境の整ったいわゆる計画的な宅地開発というもの、あるいは都市防災といったような観点から再開発といったものを進めていく、そしてそういうものに誘導していくというのが基本的な方向になると思いますが、当面の問題といたしましては、開発許可規模を引き下げてなるべく良好な町づくりというものを指導していく、あるいは建築協定の活用、こういったことによって対処してまいりたいというふうに考えております。
  21. 愛知和男

    愛知委員 このミニ開発の問題には数々の問題が含まれておりまして、これからいろいろな角度から検討を加える必要があろうかと思うのでありますが、結局その解決の一番底にある基本的な解決といったら、何といってもやはり宅地の供給、優良な宅地をどしどし供給していくにはどうしたらいいか、こういうことに尽きるのではなかろうか、こんなような気がいたします。  そこで、話を少々先に進めることにいたします。  今日、宅地の供給という問題が果たしてこれでいいんだろうかと再認識をされつつあるような気がいたします。この公示価格がじりじりと上がっている。特に住宅地域価格がじりじりと上がっているという背景には、宅地の供給が不足をしているんじゃないか、こういうようなことも指摘をされるんじゃなかろうかと思います。そこで、昭和五十一年から第三期の住宅建設五カ年計画というのが目下進行中でございますけれども、この計画ですと、全部で五年間で八百六十万戸の住宅を建てる、そのためには宅地として六万六千ヘクタール必要だ、こういうことになっているようでありますが、まだ始まったばかりとはいえ、今日までの宅地の供給という面で計画どおりに進んでいるのかどうか、状況をお示しいただきたいと思います。
  22. 木内啓介

    ○木内説明員 ただいま先生指摘のとおり、第三期の住宅五カ年計画に対応しまして、これは八百六十万戸でございますけれども、必要な新規の宅地開発面積と申しますのは六万六千ヘクタールでございます。八百六十万戸に対しまして、新規の宅地の必要な住宅というのは三百五十万戸でございます。それに対応して六万六千ヘクタールの土地が必要だということになっておるわけでございます。これに対応しまして、宅地の供給の実情でございますけれども、平たく申しましてこの六万六千ヘクタールというのは、単純に平均しますと、年一万三千二百ヘクタールほどになります。  ところで、最近の宅地の供給でございますけれども、四十七年当時には一万四千五百ヘクタールぐらいでピークが出ております。その後ずっと減少をたどりまして、ただいままでわかっているところでは、五十一年度におきましては一万二百ヘクタール程度に落ちております。と申しますのは、ピーク時の約七割程度に落ちているということでございます。先生指摘の五十一年から五十五年までの間の実績と申しますのは、ただいまは五十一年の実績しか出ておりませんので一万二百ヘクタール程度でございますから、このままもしこういう傾向が続きますと、一万前後という形になりまして、先ほどの年平均一万三千より若干弱い、低目の、足りない数字という形になるわけでございます。  それで、その傾向としましては、地方都市は若干の減少でございまして弱含みの横ばい程度大都市がかなり落ちているということと、それから民間がピーク時の六割くらいに落ちておりまして、区画整理、公共の宅造に比べまして民間の落ち込みが大きいというのが現況でございます。
  23. 愛知和男

    愛知委員 いまのような状況で推移をすると、結局六万六千ヘクタール必要なところが、大体四万八千ヘクタールくらいで終わってしまうんではなかろうか、こういうことになりますと大問題ではなかろうかと思います。特にまた、いま御指摘がございました大都市あるいは民間の供給というのは非常に少なくなっているという御指摘でございますが、何かその原因として指摘ができるようなことがございましょうか。
  24. 木内啓介

    ○木内説明員 先ほど説明、ちょっと言葉足らずでございましたけれども宅地の供給には、やはり供給ベースと国民の皆さんが家をお建てにたるベースとの間に、若干の手持ちの期間とかラグがございますので、過去に宅地供給がかなり多かったということと、現在すでにたとえば区画整理の施行済み地でまだ宅地化されてない土地等のストックが三万ぐらいございますので、そういうことで、このまま推移しますとすぐに大変な宅地の供給不足が実現するということではないのですけれども先生指摘のように長い間こういう傾向が続きますと問題が生ずると私たち認識しておるわけでございます。  それと、宅地供給が減っている理由でございますけれども、第一に挙げられますのは、デベロッパー、これは公的、民間、同じでございますけれども、事業採算が非常に悪化しているということで、事業が盛んでないということでございます。事業採算の悪化している理由と申しますのは、一つは、いわゆる完成品価格宅地と、それから素地、材料でございます。田畑等の原材料でございますけれども、素地との開きが余り見られなくなってきた。これは完成品の宅地価格が余り上昇しなくなったということが原因と、もう一つは、素地が、いいところが高くなってしまった。したがって、その間に差額が非常に少なくなってきている、こういうことで採算が非常に悪くなっているというのが一つ。それから関連公共公益施設等の負担が最近重くなってまいっております。これは先ほどの素地と宅地開発との差がないということに加えまして、そういう現状の上に関連公共負担と、あるいは設備の整備水準等が重くなっている、これが事業採算を悪化させている。それからもう一つ事業採算を悪化している要因としましては、最近、特に大規模開発事業というのはいろいろの地元の問題がございまして、事業が非常に長期化している。そこで、金利の利率そのものは下がってまいっておりますけれども、事業が長期化しますと、当然金利負担が多くなっていく。そういうことがございまして、事業採算が非常に悪化しているというのが一つだと思います。  もう一つは、土地の流通が非常に停滞しているということが言えるんじゃないかと思います。これはいい悪いの問題ではございませんで、現実の問題としまして土地税制その他各種の規制が四十八年、四十九年以降かなり厳しくなっております。したがいまして、かつてのような土地の流動化というものが最近下火になってきている。なかなか流通しなくなってきている。これも事実だと思います。  それから三つ目としまして、地元の地方公共団体が、これは先ほどの関連公共施設整備の費用負担の問題とも絡みますけれども開発の抑制姿勢をとっているというふうなことがかなり厳しく効いております。  最後に、ちょっとダブルかもしれませんけれども、農地の宅地化、特に市街化区域内の農地の宅地化が余り進んでいない、停滞している、そのほか幾つも挙げられると思いますけれども、こういったような問題が宅地供給減少の理由と申しますか、原因だと思うわけです。
  25. 愛知和男

    愛知委員 いま御指摘の中で、たとえば公共負担をいかに軽くしていくかというようなことにつきましては、金額的にはまだまだ不十分かもしれませんけれども、今度の五十三年度の予算で予算措置がとられたということで、そういう点では少しずつ改良していく方向にあるように思います。やはりいま御指摘の中で一番問題だと思いますのは、土地の流通というものがいろいろな形で規制をされているというのがいまの問題ではなかろうか、そんなふうに思うわけでございます。  そこで、いまのお話と関連いたしまして、いわゆる首都圏の市街化区域と言われている、本来宅地になるべき土地で、まだ依然として農地あるいは山林という形で残っている土地が、たとえば農地ですと八万ヘクタール、あるいは山林ですと五万ヘクタールもあるというふうにも聞いておりますが、まだそんなにあるものなのでしょうか。
  26. 木内啓介

    ○木内説明員 首都圏におきます市街化区域内の農地は、五十年度の調査によりますと、約五万八千ヘクタール、約六万ヘクタールくらいございます。先生おっしゃいましたように、宅地となるべきとかいうふうなのはちょっと当てはまるかどうかわかりませんけれども、いわゆる宅地並み課税の対象になっているA、B農地というのがございますけれども、これで見ますと、首都圏においては九千ヘクタールほどございます。ちょっと山林のデータがございませんので……。
  27. 愛知和男

    愛知委員 いずれにしても、まだまだ本来宅地として開発されるべき土地が相当残っているということは事実のようであります。それを何とか宅地という形で開発をしていくために、いまちょっとございました宅地並み課税というような制度も設けられているわけでありますけれども、実際今日の様子を見ますと、いわば空洞化されてしまっている面もなくはないんじゃなかろうかと思うので、今後、本来宅地として使われるべき土地宅地として使われていないというのを何とか本来の姿にするために、いろいろな政策を実行していかなければならないときではなかろうかと思うのであります。  ちょうどけさ新聞を見ましたら、ある新聞に土地の個人の長期譲渡所得に対する課税というものを少し見直そうということを建設大臣が申されたというようなお話が出ておりましたけれども、やはり税制の面で、この問題については前向きの——前向きといいますか、そういうような形で取り組む姿勢をおとりになっていらっしゃいますでしょうか。
  28. 木内啓介

    ○木内説明員 これは、個人の長期譲渡所得税をどうするかという問題は大変大きな問題だと思いますので、私もちょっと答弁に窮するわけでございますけれども、四十四年以降、先生御承知のように非常に緩和されて、それが土地成金等を生んで、五十一年でございましたか、以降は、今度は逆に締める方向で運用されているということで、それが宅地の供給をかなり阻害しているのではないかという意見あるいは理論というふうなものはございます。そういったものはわれわれのこれからの検討課題だと考えておるわけでございます。
  29. 愛知和男

    愛知委員 これからの課題として、大変大問題だと思います。土地の税制を緩和するということによってまた再び土地の騰貴というようなことになってしまっては大変でございますし、かといって、そちらの方に重点を置き過ぎるために供給がとだえていってしまう、結局それが原因になってまた土地値上がりをするということになりますと、何のための規制かわからなくなってしまう、こういうことで、これからの大きな課題かと思います。  私どももいろいろな形で研究をしているつもりでございますが、その中の一つとして、御承知かもしれませんが、自民党の中に平河会というのがありまして、私もその一員でございますが、そのグループで、ことしの初めに、土地の問題について、思い切ってこれは公共財という認識のもとに、ある程度の私権を制限をしてもしようがないんじゃなかろうかというようなことから提案をしておりますけれども、この提案につきましてどのようにお受け取りになっておられるか、ちょっと御見解を承りたいと思います。
  30. 佐藤和男

    ○佐藤説明員 いまほど先生からお話がございました、いわゆる平河会の御提言というものでございますが、内容は、いわば土地の効果的な活用の促進、それの裏打ちとしての地価の凍結というものと拝見いたしております。  そのうち、地価の凍結に関しましては先生御存じのように、国土利用計画法におきましても、地価の高騰のおそれ等がある場合において、規制区域を引いて、土地取引についての許可制を導入する、その際、価格のチェックは規制区域を引きました時点価格に凍結するということになってございます。このような現行の国土利用計画法の運用の問題が一つあろうかと思います。もう一つは、今後の課題といたしまして、こういう規制区域制度について十分活用して、御指摘のような地価上昇が起こらないようにすること、これが私ども土地政策一つのかなめであろうかと思います。もう一つは、当然のことながら、いまほどお話がありましたように、宅地供給を促進するということが最大の眼目でございまして、この意味で、御提言の土地の効果的な活用、借地権制度の強化ということも十分検討に値することだと思いますが、何せ、土地制度の根幹に触れることでございますので、今後の勉強課題ということに考えてございます。
  31. 愛知和男

    愛知委員 土地の問題ということになりますと、これは日本経済の根幹の問題でもございますし、これからもいろいろな形で政府と議論を重ねていきたいと考えておりますけれども土地問題といいますと、大変不幸なことに、一時土地騰貴という問題が非常に問題になり、その規制という措置がとられたわけでございます。今日、土地の問題というのはただ規制をすればいいというようなことではなくて、正しい土地政策というものはどうあるべきかという冷静な判断もとに、あるいは長期的な観点に立った政策を打ち出していく必要があるのではなかろうかと思います。とかく土地問題ということになりますと、やれこれは企業救済ではなかろうかといったような短絡的な、あるいは紋切り型の議論が非常に多くありがちでございますけれども、本来の目的はどこにあるのか、これは国民に少しでも安く優良な宅地を供給していくということでありますから、その目的のために、多少企業救済というふうな結果になっても、これは本来の目的はどっちにあるかということを考えていきますと忘れてはいけないんじゃなかろうか、こんなふうに思います。ちょうど今日、土地価格が規制の効果もあり、非常に鎮静しておりますこういうときにこそ、土地政策というものをもう一度見直して、正しい政策を打ち出していく時期ではなかろうか、こんなふうに考えます。  きょうは、時間が大変限られておりましたので、その入り口程度の議論しかできなかったわけでありますが、なお今後ともいろいろな機会をとらえて議論をさせていただきたいと思いますけれども、ひとつそのような気持ちで政府の方におかれましても今後の土地政策を打ち出していっていただきたいことを要望させていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  32. 美濃政市

    美濃委員長 鈴木強君。
  33. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 私は、前回の委員会で、最初に当面の経済の見通し等を含めまして長官に御意見を承りましたが、最初にごく最近の経済情勢等から見まして、若干見通しについて御意見を承りたいと思います。  長い不況でございましたが、五十二年度の第二次補正予算における公共投資の面、引き続いての五十三年度の予算、公共投資の効果等が、まだこの面は多少おくれていると思います。いま計画段階にあると思いますし、上半期七二、三%ですか、繰り上げ発注等もやるというような計画がございまして、私ども選挙区などを見ましても、土木建設の面ではかなり動きが出てきているように思います。したがって、いろいろこれは見通しというのはむずかしいわけでございますけれども、一部では底入れの状態に来たのではないだろうかというような見方もございます。しかし、また一面円高の問題等もありまして、きのうのレートがどのくらいだったか後で教えていただきたいのですが、これらの関係で、なかなか七%経済成長というのはむずかしいだろう、こういう見通しもあるわけですね。  最近、アメリカ、西独それぞれ大統領なり委員長さんがお見えになっておりまして、わが国の昨年度の経常収支等の百四十一億に及ぶ黒字ということと絡みまして、いろいろ経済成長が、果たして政府の見通しどおりいくのかどうなのか、そういう点も含めて、恐らく国際的な経済問題としてとらえられて話が進んでいると思いますけれども、総理も五月早々には日米首脳会談の方にお出かけになるというような中で、わが国が、いま政府が決められました経済見通しについて、自信を持って、責任を持ってこれを果たさなければならない重大な立場に立たされていると思うのでございます。そういう面から、前回のお尋ねしました情勢からさらに一歩いい方向に向かっているのか、あるいはまだまだ危険な状態にあるのか、この辺のお考え方を宮澤長官から伺いたい。
  34. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 鈴木委員がよく御承知のとおり、いずれにしてもなかなか経済運営のむずかしい年でございますけれども、概してただいままでのところ私ども考えている方向に少しずつ経済は向かっておるのではないか、総合的にはそのような判断でございます。  財政主導型で不況克服を図るという五十三年度予算案につきましては、すでに御審議もいただき、可決成立をいたしました。それに備えまして、公共投資ができるだけ遅滞なく行われますように、その間準備をいたしてまいりましたので、中央、地方を通じまして予算の執行がかなり迅速に円滑に行われるものと期待をいたしております。  御指摘のように、上半期において七三%程度の契約を終了いたしたい。四月−六月期に、その中でできるだけ多くというようなことで、すでにこのたびはかなり早くから準備を進めておりましたので、この点は順調に行われると考えております。  他方で、もう一つ問題でありましたところのいわゆる国内経済の在庫調整の問題でございますが、非鉄金属でありますとか紙パルプでありますとか、一部に事情があるものもございます。構造不況業種もございますが、しかし概して、財庫調整が春ごろには一巡をするであろうと考えておりましたことは、ほぼそのとおりになりつつあるという判断でございます。したがいまして、政府公共投資が相当の波及効果を国内経済に与えるということは、かねて申し上げておりましたとおり期待ができるのではないかと考えておるわけでございます。  消費の方は、ようやく一月ごろから少しずつ本来の姿に戻るような傾向が見えておりますが、これはしかし、経済回復が十分に国民の心理の中に、もう最悪の事態は過ぎたのだというふうに映ってまいりませんと本格的な消費の回復ということはむずかしいわけでございますから、多少これがやはり一番後になると申しますか、本来そういうものであろうと思っておりますが、物価も安定しておりますから、私ども考え程度の消費の回復というものは可能ではないだろうかと考えておりますので、総じて七%程度の成長というのは、いろいろ御議論がございますけれども、私は予算御審議以来四カ月の経緯の中で、事態はかなりいい方に向かっているというふうに判断をしておりまして、先般日米協議がございました際も、私としては七%程度の成長は十分可能であると考えているということを説明をしたような次第でございます。  他方で、御指摘円高が二月中旬から起こっております。ちなみに、昨日の中心レートは二百十九円三十五銭でございますが、それが昨日の中心レートでございます。本日の寄りつきは二百二十二円の由でございます。この二月中旬からの第二回目の円高ということもございまして、輸出入には、いわゆる輸出を急ぐ、輸入を差し控えるという、長期にわたる傾向とはむしろ逆のJカーブがはっきりあらわれておりまして、したがいまして、ただいまのところ国際収支、貿易収支は、むしろ三月あたりですと黒字幅が広がるというような傾向になっております。これはしかし、いわゆるJカーブの典型的な形でございますので、私自身はいずれにしても今年度後半のことと考えておりましたから、今年度後半には経常収支の黒字幅が縮まっていく傾向に入るものという判断は間違っていないのではないかと思っておりますが、当面は逆の短期的な傾向が出ておりますので、六十億ドルの経常収支の黒字幅というものを達成いたしますのにやはりこの際必要な、あるいはこの際の緊急輸入等々をできるものはいたしたいと考えておりまして、すでに過去において対策も決定いたしましたが、なお最近また追加の対策を決定いたしたいと考えておるわけでございます。総じて申しまして、したがいまして予算御審議に際して申し上げました政府経済見通し、ただいまのところまだ本当の短時間ではございますけれども、方向としては順調な方向に向かっておるのではないかと判断をいたしております。
  35. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それで、設備投資の面あるいは個人消費の面で長官は若干前進しているようにおっしゃるわけですが、本当にそうなんでしょうか。設備投資もかなりまだ冷え込みが続いておりますし、個人消費の方も大体足踏みをしているのじゃないだろうか、私はこう思うのでございまして、ですからその面に対するてこ入れをどうするか、これが非常に問題だと思います。確かに在庫はかなり動いておるようでございますから、その辺は長官おっしゃるとおりだと私思いますけれども、たとえば操業率なんかを見ましても、まだまだ在庫の方がいっぱいであって、短操は依然として続いておるというような状況にあると思います。ですから、個人消費をふやすためには一体どうするのか。五十数%に及ぶGNPの中で非常に大きなウエートを持っているわけですから、そういう面に対してもう一歩思い切った施策をやらなければ、公共投資だけで、だけと言うと語弊がありますけれども政府の方針は公共投資最重点で景気浮揚、こういう考え方を持っておられるし、もちろんその中には個人消費の増大ということを常に考えておられると思います。需要の拡大、そういう面でいまたまたま春闘で各労働組合の賃上げ要求もありますけれども、かなりこれは厳しい回答が出ております。それぞれの業界の経営状態を見ますと、確かにその点、うなずける点もございます。しかしこういうときですから、ただ通常における経済的な考え方でなしに、ある程度そこに全体を押し上げるようなそういう考え方に立って、たとえば賃上げ一つとりましても労使が考えてほしいとぼくらは思うわけでございますね。ですから、六・八%の昨年の物価上昇実績に満たないような賃上げでありますと、個人の所得というのは実際に減るわけでございますね。昨年の実績に追いつかないような賃上げであっては、これは一つ問題であるような気もするわけです。ですから、いまの与党の中にも恐らく若干のそういう議論はあると思いますけれども、もう少し思い切った減税をもう一度考えてみたらどうなんだろうか。そのための財源その他についても、これは当然みんなで考えなければならないことでございますが、そういう点も含めまして、ひとつ個人消費を少しふやすために個人所得の増大ということを考えたらどうかというようなことも言われておるわけでございますね。そうなりますと、当然また補正予算、臨時国会の召集ということも考えられるのでございましょうけれども、長期展望に立てば、いずれにしても消費拡大、これを積極的に一面ではやっていただきたいと私は思うのでございますけれども、そういう点に対していまにわかに長官としてそうだとこれはおっしゃれないと思います。もう少し様子を見なければとおっしゃるのでしょうけれども、私どもはなかなか冷え込みがこの面については特にひどいように思いますから、その点の考慮の余地が全然ないのかどうなのか、その点どうでしょうか。
  36. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 設備投資につきましては、もともと大きな設備投資の伸びがあるとは考えておりませんでしたので、以前にも申し上げましたが、主として非製造、それも電力の設備投資には期待をかけてまいりまして、五十三年度の概算を三兆一千億円ぐらい、それにいろいろな繰り上げ発注の準備等々、プラスアルファというふうに考えておるわけでございますが、最近になりまして、ほぼこの三兆一千億というのが九電力並びに電発の設備投資として間違いのない数字であるというふうに確認をいたしておりますので、その点につきましての見通しはまず誤っていないというふうに思っておるわけでございます。  その次の消費でございますけれども、私ども消費の伸びがどうもなかなか思うようでないと懸念をいたしておりましたのは、全国全世帯で昨年の十月、十一月と続けて前年同期対比でマイナスが出ておったわけでございます。それでこれは統計が実は二カ月ぐらいおくれるものでございますので、その段階でどうかなと思っておりました。十二月に、ややわずかですがプラスになりまして、一月にはかなりのプラスになったというところまでが、ただいま統計的にわかっておるところでございます。したがって、このあたりで多少消費が持ち直したということであろうかと思っておりますけれども先ほども申し上げましたように、やはり経済が最悪の事態を過ぎた、したがって消費者自身なりあるいは家庭の御主人なりの雇用、ざっくばらんに言って、もう首になるというような心配はなさそうであるとか、あるいは残業手当も多少ふえるかもしれないといったような見通しになりませんと、なかなか消費というものは急には動かないというふうに考えておるわけでございます。  それで、春闘の問題もお触れになりまして、これにつきましては政府は完全に中立的な立場をとる、労使の話によってということが伝統的な立場でございますし、それはまた正しい立場であると存じますので、これについては申し上げることを差し控えさしていただきます。  いずれにいたしましても、春闘の問題もさることながら、経済全体が雇用の面で、あるいは残業手当等々の面で最悪の事態が過ぎたということと、それから物価が安定しているということ、この二つが条件としてそろいましたら、ぽつぽつ消費が起こってくるのではないだろうか。したがって、時期的にはやはり生産関連よりは消費関連の方が少しおくれると考えておりまして、生産関連のことは先ほど申し上げたような動きになっておりますから、消費の方にもいい影響があるのではないだろうかというふうに思っておるわけでございます。  なお、政府としましては、御審議願いました形での予算が最善と考えて御審議を願ったわけでございますけれども、その後国会におきまして減税等々をめぐっていろいろ御議論がございました。最終的に国会の御意思であればこれは従うことが適当であると思っておりますけれども、ただいまのところ、与えられました予算を執行する体制で進んでおるわけでございます。
  37. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 その次、物価が安定した、こうおっしゃるわけですね。この点はこの委員会でも、委員会の使命がそこにあるわけですから、いろいろな角度から質疑が行われると思うのでございますけれども、この物価が安定したと長官のおっしゃる言葉が、もちろん統計局あたりの指数等も根拠にされていると思うのですが、実際に消費者の実感からすると、そうは思わない。これはいま始まったことではございません、長い間、その資料のとり方、いろいろな角度から実感としてどうもぴんとこないという意見もこれは現実にあるわけでございます。  それで、発表になっております点を見ますと、確かに卸売物価等もかなり下がっておる。しかし、その卸売物価の下がっている割りには消費者物価というものがこれまた下がっておらない、こういう疑問も持っておるわけでございますね。特に円高の状態の中で、もう少し差益が還元できないんだろうか、特に輸入物資等につきましては。そういう不満の声もあるわけでございます。それで、四月以降公共料金等もかなり値上がりをしてまいると思います。国鉄運賃、私鉄運賃これがいずれ——長官の頭の中にも描かれておることだと思いますが、そう簡単ではないように思うのでございます。  特に、二百海里問題に端を発して魚の値段、野菜等は天候次第でございまして、もう少し計画的な生産と出荷をしなければいけないし、中間の流通機構をもっと各部門にわたって簡素化して、そういう面の価格の引き下げを考えなければならぬし、かなり実際に工夫すればできる点がありますけれども、なかなか何十年同じことを聞きましても同じような答えしか返っておらない、若干の前進があったとしても、消費者の納得できるような流通機構の簡素化というものは行われておらない、まことにこれは残念に思うわけです。ですから、本年度の消費者物価指数が本当にそのとおりいくのかどうなのかということは、まだ現段階においてはにわかに判断はできないと私は思うのでございます。  特に、けさちょっと新聞を拝見しましたら、消費者物価の中で地域格差が大分出ておるのですね。たとえば十七日に総理府統計局が発表されました五十二年度の全国物価統計調査というものによりますと、大都市と町村間の消費者物価地域差というものが九・一もあると書いてあるわけですね。これは大都市における住居費の値上げとか、さっき愛知委員も御質疑になっておりましたが、そういった問題もあるでしょう。いずれにしても日本国民としてそれぞれの地域に生存しておる限りにおいては、そう格差があっては困る、これは当然のことでございますね。そういう格差をどういうふうに是正していくかということもいまの段階で工夫されなければならないことだと私は思います。  それからもう一つは、日銀が四月十四日に発表しました三月の卸売物価指数というのを見ますと、五十年度を一〇〇として最近のを見ましても一〇五・六%、前月に比べて〇・一%下落し、前年同月比で一・八%下落、年度間比較で見ても三十二年度に六・五%下落をした以来二十年ぶりの大幅値下げになっている、こういうふうに数字が示しているわけです。ところが、この面は確かに物価安定の一つの方向をたどっておるのでございますが、残念ながらいまさっき申し上げましたような円高の差益というものが卸売段階で詰まってしまって、そこからどこへ行ってしまったのかさっぱりわからない、これは不思議なことだ、こういうふうに消費者は思っていると思うんですね。  ですから、円高差益等の問題についてはいずれ集中審議があるそうでございますから次回の委員会に譲るといたしましても、最近になりまして日銀総裁が円高差益を還元すべきだという御発言があり、それから経団連の土光会長もそういうふうな御発言がございまして、どうもそれまでわれわれが円高のメリットを消費者にという長い間の要求がちっとも進まなかったのですが、最近になってこういう方々が物を言い出した。そうしますと、ちょっと最近の動きを見ましても、たとえば私ども道路を通っていますと、ガソリンスタンドでいままで無鉛で大体百十円くらいしておったものが九十円とか九十五円というのが出ていますね。それから有鉛でもいままで百二十円くらいしておったものが百十円というような値段で現金で買えますし、最近何かぐっとリッター当たりのガソリンの値段が下がっているように思うのですね。それから東京電力の方でも二年間は料金を上げない、東京瓦斯の方も、もし通産省が、政府のそういう経済閣僚会議で方針を決められれば、東京電力と同じように二年間据え置いても結構です。受け身ではありますが、そういうことを言い出しましたね。それから森永乳業が十七日から出荷分のインスタントコーヒーについて、「カフェイグアス」というのですかね、これが一二%ぐらい値下げになっておる。こういうふうにかなりメリットが消費者の方に還元されつつある、これは私は非常にいいことだと思うのですね。ですから、本当は経済企画庁あたりが音頭を取って早目にそういう警鐘というか方針を国民にわかるようにどんどん打ち出して、もっと強くやってほしいと私は思うのです。なおやっておられるのでしょうけれども、そういう外部からの動きが大きく出てくると、それに従って動いていくというような、そういうふうに受けとれているのですよ。ですから長官は、経済企画庁というのが発足された由来というものをよく御存じでございますから、とにかく各省がばらばらになっておるものをどこかで調整しなければならぬというのが経済企画庁の生まれたゆえんだと私は思うのですよ。ですから、そういう官庁との十分な連携の上でもう少し円高のメリットというものをぐっと出していくようなことができなかったのでしょうかというように思うわけでございますが、長官として円高の差益を消費者に還元するという思い切った政策を一層やっていただきたいと私は思うのでございますけれども、いままでどんなふうなことを考えておったのか、その辺も含めてお答えをいただきたい。
  38. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ただいまの御指摘はまことにごもっともなことでありますし、また、当面重要な問題だと考えております。  経済企画庁といたしまして、円高が起こりまして以来輸入価格が下がったか、下がった場合、それが消費者価格にどの程度反映されたか、されなかったかということにつきまして幾つかの物資を抜き出しまして追跡調査をいたしまして、過去において二度にわたりましてそれを消費者にも公表をいたしました。その結果、先ほど二百海里のお話がございましたけれども、特定の水産物などは輸入価格が下がっておるにもかかわらず消費者価格が上がっているというようなものがございまして、この点は一つには消費者自身が二百海里ということで何となく実態はわからないままに許容したということがあったのではないかと感ぜられますが、事実は輸入価格が下がっておるということを消費者に知ってもらうという効果は私は確かにあったであろうと存じております。  また、もう一つ調査の結果わかりましたことは、自由化ができておる、あるいは自由競争が十分であるというものにつきましては比較円高の還元が消費者価格にあらわれ始めている。それは、先ほどガソリンスタンドのお話がございまして、レギュラーガソリンが百円を割っておるというふうなことも、一部で石油業法はございますけれども、スタンドは相当な過当競争、相当な激しい競争であるということの結果ではないかと思われますし、森永の御指摘のことも、確かにコーヒー豆の原価は相当下がった上に円高があるわけでございますから、これも競争の中でメーカーがそういう態度に出たのではないかと思っております。こういうような追跡調査はしたがって非常に円高差益還元に有用であると考えられますので、第三回目を行いたいと思いまして準備をすでにいたしております。  それからもう一つの問題は、自由化され、自由競争が行われておるというところほど円高の還元がよく行われておるということは、それ以外の分野では非常に行われにくいということを意味するわけでございますから、行政が介入しておるという分野、これはそれなりの理由があって介入をしておるわけでございます。しかし、物価面から見る限り円高の還元が行われにくい分野ということになりやすうございますので、先般来関係各省庁にお話をしまして、所管の直接間接に関係のある物資について円高差益の還元が可能であるかどうかということをただいま話し合いをいたしておりまして、近く結論が出ますれば関係閣僚会議でそれを披露をし、発表いたしたいと考えておるわけでございますが、行政の介入ということになりますと、それ自身の目的がございますだけに、その副次的な結果として完全な自由競争が行われている社会ほどは十分に還元がされにくいということかどうもあるようでございまして、関係各省にいろいろ努力をしてもらいたいとただいま要望をし、話し合いをいたしておるところでございます。この問題は大切な問題でございますので、十分集中して努力をいたしてみたいと考えております。
  39. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それで長官、ここで二つだけはっきりさせていただきたいのです。いままでやってこられました御苦労はわかります。第三次追跡等もやっていただいて、これはまず実態把握することだと思いますから、ぜひそういう面で一層の御奮闘をひとつお願いしたいのですが、いま述べました中で、東京電力が二年間据え置くというふうな方針を決めました。あそこの社長がはっきり、これは新聞の記事でございますが、そういうふうにおっしゃっているのです。ですから、通産省が、とこう書いてありましたけれども、これは恐らく経済閣僚会議ですか、関係閣僚会議ですか、そういうふうなところで、と二つ書いてありました。関係閣僚会議の場合は長官が座長でございましょう。ですから、そういう面では、せっかく向こうがおっしゃっているのですから、東京瓦斯の方も一、二年間据え置きをするかあるいは直接メリットを毎月毎月で還元するかは別としましても、そういう方針をしていただくように、これはひとつ要請してくださいませんか。  それからもう一つ。インスタントコーヒーの場合ですが、インスタントコーヒー業界の中で、ネッスル日本というのとそれから味の素ゼネラルフーヅというのが両大手であるのですが、これが業界の九〇%のシェアを握っておるわけです。これがまだ森永と違いまして物を言っていないわけです。ですから、これはなかなかむずかしいとは思いますが、現実に森永もやっておられることですし、二〇%ぐらいの値下げは十分できるというので、森永の方では新しい標準小売価格というのを決められたようですね。たとえば五十グラムびん入りで現行六百十円が五百四十円、七十円値下げをしたのです。こういうようにいま非常に物が値上がりないし横ばいのときに少なくとも下がってくるということは、国民にとって非常にうれしいことです。何とか物価を下げてほしい、給料も上げてもらいたいけれども、物価が安定すれば、極端に言えばその分だけ相殺されてもいいと思うのです。ですから、物価が高いということに対する国民の不安が一番大きいですし、政治に求めているのは物価の安定だと思います。そういう意味では勇気を持ってこういうことはやってほしい。ですから、政治的な行政介入になるかならぬかということもいろいろあるでしょうけれども、大体見ておって、輸入に頼っておるわけですし、現実に価格が下がっておるわけですから、そういうものを一部の商社や卸が独占するのはけしからぬですよ。いままで相当もうけてきていると私は思っているのです。約二兆円と言われております円高のメリットというものは一体いままでどこへ行ってしまったのだという不満が国民の中にうんとあるわけですから、そういう意味からもこれくらいのことは私はぜひやってほしいし、それから、後から薬の話も伺いますけれども、たとえばたばことか、政府の手の届くところは思い切っておやりになっていただいているようですけれども、さらにひとつその点は前進させていただくというようなことにしていただいて、この二つの点だけはきょう約束をしてくれませんか。
  40. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 電力料金、ガス料金等につきましては、ただいま鈴木委員の言われましたように業界にもいろいろな動きがあるわけでございますので、私どもとしましては、できますれば今週中に経済対策閣僚会議を開きまして、通産大臣から所管大臣としての御方針を御報告を願って、経済対策閣僚会議で議論をいたしたいと考えております。すでにエネルギー庁を中心に具体的に一つ一つの会社等についていろいろ検討しておられるようでございますので、どういうことになりますか、具体的に会議を通じまして世の中にも発表をできるようなことにいたしたいと思っておるわけでございます。  他方で、いわゆる自由競争の行われております物資につきましては、結局よそが下げれば自分も下げざるを得ないということが市場経済の原理でございますので、私どもとしてはできるだけ競争を阻害するような原因を排除をしていく。場合によりましては公正取引委員会にも関係がある問題でございます。そういう状況をつくりますことがやはり円高の還元を消費者にする一番有効な方向であろうというふうに考えております。もちろん物によりまして主管官庁が行政指導をするということも有用でございましょうけれども、競争条件が自由に十分実現しているということになりますと、一人が始めればもうよそも追随せざるを得ないというようなことになるわけでございますので、そういうことにやはり重点を置いていくべきではないかと思っております。
  41. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 わかりました。ただ、私はもう少しはっきりとしておいていただきたいのは、従来もいろんな省でおやりになっている公共料金等でも、経済企画庁は最後までいろんな意味から慎重な態度をとってくれているわけですね。そうだと思うのです。ですから、たとえば経済閣僚会議を開くにしても、長官自体が経済企画庁として少なくとも円高のメリットというものをもっと積極的に還元すべきだという考え方を持っておられると思うのです。ですから、そういうリーダーシップを発揮していただいて各省にも強く要請をする。報告を聞いて報告を聞きっ放しなんということはもちろんないと思いますよ、私は長官を信頼しておりますから。ですから、そういう毅然たる態度を持って、経済企画庁の存立というのはここにあり、そういう意義をこういうときにこそ発揮してもらいたいと私は思うのです。やはり消費者は経済企画庁に期待しているわけです。各省はそれぞれの都合がありますから、あれやりたい、これやりたいといろいろ言います。それを総合的にコントロールし、調整して、そして国民経済、国民生活をどう守っていくかということに立って最終的に長官の意見を出されてやっているわけでしょう。いままでの中で必ずしも長官の意見が入らないこともありました。歯を食いしばってくやしがられた長官もおられます。ですから、そういう点だけははっきり私は聞いておきたかったわけです。リーダーシップをとってくださいよ。
  42. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 経済企画庁には一つは調整官庁としての役割りがあるわけでございますけれども、ただいまのような政府管掌物資についての円高差益の問題になりますと、その場合の経済企画庁はどちらかといいますと消費者の利益保護という立場から機能をしておりまして、調整と申しますよりはむしろ消費者の立場からという立場で各省に対して円高の還元についてのわれわれの見方、われわれの主張をいたしておる、こういう立場でございまして、そういうところからできるだけのものを実現したいと考えておるわけでございます。
  43. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 わかりました。消費者の立場に立ってぜひひとつがんばっていただきたいと思います。  それから次は問題を変えまして、資源エネルギーの問題についてちょっとお伺いします。  時間が参りましたので中間的なところは飛ばしますが、五十三年度にわが国が輸入を予定しております石油原料ですね、原油ですけれども、何リッターになりますか。
  44. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 お答えいたします。  五十三年度に予定しております原油の輸入量は、二億七千八百十七万キロリットルでございます。
  45. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それで、このうち、精製をされて一般消費者に回っていく分はどのくらいございますか。それから、火力発電の分にどの程度回っていくものでございましょうか。
  46. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 精製用の原油は二億五千万キロリットルでございます。非精製用と申しますか、生だきとかあるいは潤滑油をとる油というようなものは大体二千七百八十万キロリットルでございます。
  47. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 一般の自動車とか消費者に対して……。
  48. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 消費者に回りますのは、精製用二億五千万キロリットルのものが各種製品になりまして消費者の方に回ってまいります。ただ、一般消費者ということになりますと、恐らく揮発油あるいは灯油ということになろうかと思いますが、揮発油につきましては、年度間を通じまして三千二百八十万キロリットルという計画にしてございます。それから、灯油につきましては、二千三百八十四万キロリットルということでございます。
  49. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それで、火力発電に回っていくのは重油でございましょうね、これはどのくらいございますか。
  50. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 電力用に回りますものは、御指摘のとおり主としてC重油でございますけれども、これは五十三年度におきましては三千九百四十七万キロリットルを計画の内容としております。
  51. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 重油が日本に売り渡される値段というのは、これはバレルでやっているかキロでやっているか知りませんが、幾らぐらいになっているのでしょうか。それで、実際に電力会社に売り渡される単価はどのぐらいになっているのですか。
  52. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 いまの先生の御質問は、原油の価格でございますれば、電力用に生だきとして売り渡される原油の価格というのも、実は、御存じのとおり、原油の価格というのはOPEC諸国によって決められておるものでございますから、一般精製用に回る場合とFOBベースでは同じであるというふうに考えております。
  53. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 だから、リッター当たり幾らで、それを教えてもらいたいのです。バレルでやっているの。
  54. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 これはリッター当たりということになりますと、電力用に回るのが幾らというのは、実は手元に資料がございませんが、これは、御存じのとおり、生だき用の原油と申しましても、各種多様な油があるものでございますから、一概には申せないのではないかと思います。
  55. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 ですから、いま資料がないならば、この生だき用の——これはほとんど重油ですか、電力に行っているのは。いろいろあったらその種類を、この種類は原価幾らで、輸入価格が幾らで、そして電力会社に幾らで売り渡しているかというその価格がわかるでしょう、それを後で出してくださいよ。
  56. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 私ども、販売先についての価格というのは、個々の企業ベースでその納入先についての価格というのは、実はとっておりませんので、御期待に沿えないかもしれませんが、資料を調べまして、提出できるものがございますれば提出させていただきます。
  57. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 輸入されている石油がどういうふうに市場に流れているのか、価格はどうなっているのか、そういう点、そうすると全然ノータッチというわけですか。どうなっているのですか、それは。
  58. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 一般的な傾向としての価格動向と申しますのは、輸入価格につきましても、これは通関統計でわかるわけでございますが、当然フォローしております。それから、市場へ流れております重油あるいはそれ以外の石油製品につきましても、一般的な傾向としては当然調べておるわけでございますけれども、個別企業向けの供給先の仕切り値段というのは幾らかということについては、必ずしも調べておるわけではございません。
  59. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 だから、まあ行政事務の関係もあるでしょうけれども、やっぱり私は、いま電力問題でも、輸入された原油は、もちろん原油価格は決まっておりますが、それから見て、精製されて、そして実際に——私はいま電力を言っているわけですから、電力に幾らの重油が流れているのか、そういうことを、ほかにありましたらそれも入れて、生だき用の油というのは一体幾つの種類を使って、その種類が、輸入単価が幾らで、そしてそれが幾らで電力会社に売られているかという、そういうことを調べてほしいと言っているのですよ。そういうことくらいはやはりちゃんと調べておかなければ、輸入された原油がどういうふうに売られているのか、これは自由主義経済の中で勝手だという、そういうこともどうかと思う。ですから、なかなか個々の企業で、あるいは輸入石油業界というものが、企業秘密でそれはどこへやったか教えぬということもあるかもしれません。そういう点ではわかりますよ。ですから、ひとつそういう実態調査というのをふだんにもやっていただくような方法をとっていただくと同時に、今回の場合、電力に限っておりますから、これは私は、電力に対する円高差益の問題とも関連があるから、ここに特に摘出して聞こうとしているわけですよ。ですから、そういう点はひとつ十分に調査をしてくださいよ。
  60. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 公益事業部と相談いたしまして、可能な限りの資料は提出させていただきます。
  61. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 約一千億の円高の差益があるということを私たちは聞いておりますよ。そういうものが一体どこから出ているのか、そういう資料が。いろいろ文字に出ますから、私はわからなかったから、きょう聞いたわけです。どこかでそれは、そういう調査をしているはずでしょう。担当があなたのところでなかったら、それはひとつ部内のことですから、きょうこういう質問が私からあったことを伝えていただいて——だれかきょうは責任者になっているの。あなたが結局きょうは責任者でしょう。だからひとつ連絡をとっていただいて、私が納得できるような資料を提出していただくようにお願いします。いいですね。
  62. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 私から、私のところでもって取りまとめて御提出いたします。
  63. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それからその次に、二億八千万キロ近い原油が入ってくるわけでございますが、備蓄についてちょっとお伺いさせていただきたいのです。いま九十日と聞いておりますが、これを政府の方では何日ぐらいに延ばそうといういま計画ですか。
  64. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 御存じのとおり、備蓄につきましては石油備蓄法という法律がございまして、これは民間の石油を輸入しておる業者に対しまして備蓄義務を課しているものでございますが、これは五十四年度末九十日という目標で現在進めております。これが民間備蓄、民間で行います備蓄の量でございましてそれ以外に、現在、政府といたしましては、当面一千万キロリットルの備蓄を国家備蓄と申しますか、具体的には、現在商工委員会でもって審議をお願いしております石油開発公団法の改正を待ちまして、公団備蓄という形でもって進めたい、このように考えております。
  65. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 これは、九十日というのは一体何を根拠にしているのですか。
  66. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 九十日備蓄というのは、実はIEAでの議論でもっていろいろな備蓄日数が必要であるという議論があった中で、たとえば百二十日必要である、あるいは百日必要であるというような議論がいろいろあった中で、結局九十日備蓄というのを当面の目標とするということで決められた経過がございます。その九十日というのを実は参考として決めているわけでございます。
  67. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それで、この一千万キロリッターの備蓄をさらにふやそうという計画で、いま法案も出ていますね。これについては、私はもう少し、この九十日というものが、わが国の全体の石油消費量からして、どういう場合が、どういう事態が起きてくるかもわかりませんし、そういう際に、少なくともこの程度の石油が備蓄されておれば、いかなる事態が来てもこの程度のものがあれば持ちこたえるのだというような一つ基準があって決められているものだと私は思うのですが、国際的な一つの慣例といいますか方式としてやられていると思いますが、その国々において、これは一つの目標でございましょうから、百日にしたって百二十日にしたっていいわけでしょう。ですから私たちは、石油がなかったら日本の重化学工業はとまってしまいますね。自動車もとまる、電灯もとまる、これはどうにもならぬじゃないですか。だから、多ければ多い方がいいように思うのですよ。とにかく資源がない国ですから、そのために、これは産油国ともいろいろ相談しなければならぬし、国家財政全体から見なければならぬでしょうが、そういう意味において、この九十日というのは、わが国の日常生活、国家経済、国家社会にとってはなくてはならないものだという確たる根拠に立って私はやっておられると思うし、今度の一千万キロリットルについても、たとえば百二十日やりたいのだが、なかなかそれができないので、とりあえず一千万キロリットルを——これだけ買えばどのくらいになるのか、これは日数を教えてもらいたいのだが、それを今度はタンカーがあいてるからというのが総理の本会議における答弁でございましたね。もう少し、われわれもなるほどと思うし、国民もなるほどと思うような九十日というような根拠、将来展望に立って物を考えてもらわけなけれ困ると思うのです。  だから、大体これから三十年後あるいは五十年後にはどうなるのですか。日本の総エネルギーというものは一体どれだけ必要になるのですか。それを外国に依存するものは幾らか。それは太陽熱とか地熱とかあるいは液化ガスとか原子力とか、いまいろいろやっているでしょう。電力に頼るといっても、これはもう水力はだんだんだめになる、火力に頼る、石油が必要だ、石炭が必要だ、そういう総合的な五十年先の、三十年先の計画を立てて、そしてその一環として石油はどうというような長期の展望を持たなければこれはだめですよ。行き当たりばったりのような、五年か六年の計画を立てて済ませているような、そんなことでは世の中についていけますか。私は、もっとそういう長期計画、長期展望に立って、エネルギー資源というものに対してどう対処するか、これは国家、民族の将来に向かっての大事なことですから、そういう方針をひとつ国民に示して、国民もひとつ一緒になってやってくれ、もしたくさん使い過ぎたならばある程度セーブしていただいて、アメリカの二の舞のようにならないようにしてもらわなければならぬでしょう。だから、そういう確信のある方針を聞きたかったわけです。それはあなたに聞いても無理かもしらぬ、また機会をとらえてやります。  そこで、仮にタンカーがいまのところ余っておる、造船が不況だ、造船というか船舶も不況だというのでそれを使おうとしておりますが、安全性について国民はやはり心配するわけです。洋上でタンカーに備蓄するということになりますと。この点は絶対大丈夫だ、こういう保証ができますか。
  68. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 御指摘のとおり、とりあえず国家備蓄の前倒しといたしまして、タンカーを活用いたしまして備蓄をするという方針で現在進めておりますけれども、御指摘のとおり、一番問題は、安全防災をどうするかということであるとわれわれも考えております。  一般的に申しますと、タンカーそれ自体につきましては、海上交通安全法ですとか、あるいは海洋汚染防止法あるいは港則法あるいは船舶安全法等々のいろいろな現行法規でもって安全が確保される仕組みになっておるわけでございますけれども、私どもは、このタンカー備蓄を各地で実行に移すためには、さらにこれらに上乗せしました安全防災体制を完備することが必要であるというふうに考えている次第でございます。したがいまして、現在日本海難防止協会に委託いたしまして、いま申し上げました法規的に確保されなければならない安全基準に上乗せしまして、さらにどういう点を注意をしたらいいかという技術調査をいまやってもらっておる最中でございます。これは四月中にその結論を出していただく予定でいまやっておるわけでございますが、それが済みましたら具体的な実行にかかりたい。ただし、先生言われるように、完全に安全であるか保証しろ、こう言われますと、これはちょっと申し上げにくい点でございまして、われわれは、当然のことながら一〇〇%安全であるということを目指して実施に移してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  69. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 そこのところが一番大事なところでございますからね。だから、いろいろな洋上にしなければならなかった理由はそれなりに私たちも理解できる点もございますが、陸上における備蓄が、こういうふうにやってみたけれども、なかなか無理であるから、したがって海上に係留するタンカーの上にしたいのだというような、順序を追って、そこへ行かざるを得なかったという理由と、それから、つくる以上は絶対安全の設備をして、いろいろ外国にもそういう事故が出ておりますから、そういう点については国民が心配しておりますから、その点は大丈夫だという確たる方針を持たれておやりになるということが大事じゃないでしょうか。  それから、こういう高い建物が建っておりますけれども建設省の方では絶対大丈夫だ、こうおっしゃるのだが、なかなかそうもいかぬのですよ。せんだってもあの地震で仙台でガラスが落っこちた、けが人は余りなかったのですけれども。だから、もっと大きな地震が来たら一体どうなるのだろうかというような心配を、ああいう高層建物ができるとすると同じように——やはり石油は必要なんですよ、これはモータリゼーション時代で、国民生活にとっても、日本の国民にとってもなくてはならぬものだということはわかっているのです。だからしてそれを輸入することについてはみんな認めている。だが、それをどうしたら安全に確保できるかという、そこにやはり問題がいくわけですから、さっき言ったような経緯を、できるだけ国民も理解しわれわれも理解できるような資料というものをどんどんと提供していただきたい。われわれが質問しなければよくわからぬというようなことでなくて、そういう資料が、どの程度のものがあるか、ひとつ私にも後で見せてくれませんか。そういうふうにしてみんなでこれは考えていかなければだめです。だから、私たちは何も皆さんを責めているわけではないのです。国民がそういう心配をしているし、われわれもそういうことは——備蓄ということは必要なんですよ。ですから何とかうまい方法はないか、こう思っている段階でございますから、そういう面では、一緒になってわれわれも考えているわけですから、その点をひとつ了とされて、ぜひ私にもまた、勉強足らずのところがありますので、いろいろな資料を見せていただきたい、こう思います。  非常に不十分ですが、時間がありませんから次に移ります。  建設省来ておりますね。——五十三年度の住宅建設の新規着工数というのはどの程度ございますか。その中で木造建築はどのくらい戸数としてはございますでしょうか。
  70. 鴨沢康夫

    ○鴨沢説明員 ただいまお尋ねの五十三年度の着工数の見通しにつきましては、特にお断り申し上げておきますが、住宅着工統計のベースでお答え申し上げますが、一応現在のところ、国民経済見通し等から考えまして、また最近の趨勢等から考えまして、余り正確な推計とは申せませんが、百六十万戸程度に上るのではあるまいかというふうに考えております。  それから、その中で木造のものがどのぐらい占めておるかというお尋ねでございます。これにつきましては、国民経済見通し等のベースでは木造、非木造の別で実は積算をいたしておりませんので、従来の傾向を申し上げまして、ほぼそれで御推察願えるかと思いますので、従来の傾向値を申し上げたいと思います。四十九年以来の数字を大体申し上げますと、木造、非木造の別で、四十九年度は木造の比率が六六・五%でございます。それから五十年が六六・六、五十一年が六四・五、それから五十二年が、現在一月まで実績がわかっておりますが、それが六二・八というふうな数字になっております。
  71. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それで、現在国産の木材、それから外国から依存している木材、それはどんなふうになっていますか。あれは立米で表示していますか。
  72. 松谷蒼一郎

    ○松谷説明員 概算で申しますと、これは林野庁の調べでございますが、この三年間のほどは、外材が全体の六五%程度を占めております。
  73. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 この外材の値動きはおたくではわかりませんか。ちょっとわかったら参考に。
  74. 松谷蒼一郎

    ○松谷説明員 外材だけの値動きは、ちょっと私どもつかんでおりませんが、木材の値動きを見ますと、昭和四十五年を一〇〇といたしまして、昭和五十二年の九月以降の数字を参考までに申し上げますと、角材が五十二年の九月が一六四・六、それから十月が一六三・八、十一月が一六一・二、十二月が一五一・一、ことしに入りまして、五十三年の一月が一五一・四、二月が一五四・二でございます。それから製材が同じく五十二年の九月で一七三・八、十月が一七三・三、十一月が一七一・六、十二月が一六四・八、ことしの一月が一六四・八、二月が一六六・二となっております。
  75. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 そこで大体百六十万戸の住宅建設、新規着工予定をしておりますが、そのうち六二、三%が木造である、こういうふうに理解をいたしました。そこで、この木造住宅を建設するために使われております木材は、外材、国内材を含めまして、どのぐらいの数量になっておりますでしょうか。
  76. 松谷蒼一郎

    ○松谷説明員 木材の需要量のうち、住宅用の木材でございますが、五十一年度の実績で申しまして、全住宅で二千九百二十万七千立米でございます。これは会計年度で申しております。それから五十二年度が実績の見込みといたしまして、三千四十八万一千立米でございます。五十三年度の見通しは、先ほど計画課長から答えがございましたように住宅着工戸数を百六十万戸程度と見た場合に、大体三千三百万立米程度ではなかろうかというように見通しております。
  77. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それで、これはちょっと検討していただきたいと思うのですが、住宅建設にはいまカラマツ材というのがほとんど使われてないようですけれども、このことについて山梨県の林業試験場が昨年七月、いままでいろいろな研究をしておりましたけれども、この開発に成功しまして、現在集成材を使った試作品の完成をしておるわけです。これはお調べになっていると思いますが、カラマツ材というのはいままでブドウとかの果樹支柱とかあるいは建築用としては土台、たるき、こういうところにしか使えなかったわけですね。今度はいろいろ研究しまして、敷居とかかもいとか柱、なげし、かまち、階段、こういうところにもこのカラマツが使えるだろうという確信を持っておるわけですね。ですから木材が非常に少ない、外材にかなり依存しているときですから、この際できればこういうカラマツを、日本にはかなりあるわけですから、活用されたらと私は思うのですけれども、ひとつ山梨県の方とも十分連絡をとっていただいて、国内からとれておりますこのカラマツを有効に使うような方法をぜひ考えていただきたいと思いますが、その点について建設省の方ではどうでございましょう。
  78. 松谷蒼一郎

    ○松谷説明員 いま先生から御指摘のように、カラマツにつきましてはこれまで建築工事の場合でも、土どめ用の矢板でありますとか、足場の踏み板などの仮設材を中心として使われておりまして、住宅用の材料には余り使われてなかったわけでございます。これは、カラマツ材にはいろいろ長所はございますが、短所といたしまして、ねじれがあるとか、あるいは樹脂が非常に多いとか、そのためやにがしみ出すとかいうようないろいろな欠点がございましたために使われてなかったわけでございますが、いまのお話のように、山梨県の林業試験場で集成材加工でいろいろ住宅用木材に使おうではないかという実験が現在進行中であると伺っております。したがいまして、農林省とも連絡をとりました上で、できるだけ住宅用の木材にも利用されるよう協力をしていきたいと思います。
  79. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 よくわかりました。ぜひひとつそうして、できるだけ国産の安い物で庶民が木造住宅に入れるように御配慮いただきたいと思います。ありがとうございました。  それから次に、せん孔性細菌病の農薬の問題に関連してお尋ねしたいのですが、実は全体的に農薬がどの程度ございますか、メーカー別、種類別、それから生産高、そしてそれぞれの農薬の値動きがどういうふうになっておりますか、そういうのは時間がありませんから、ひとつ資料でお願いすることにしまして、私が昨年の予算委員会で問題にしまして当時農林省からお答えをいただいている問題の中で、せん孔性細菌病の防除薬の問題が一つはございます。これについては当時鈴木農林大臣、また堀川農蚕園芸局長からお答えをいただきました。このせん孔性細菌病というのはなかなかしぶといバクテリアでありまして、なかなか防除がうまくいかない。したがってこれが発生しますと一夜にしてほとんどの桃が壊滅してしまうというような恐ろしいものなんです。ところが、この完全防除の農薬がない、防除薬がないということで、その研究を積極的にやってほしいというふうに私はお願いをしておきました。そのときに鈴木農林大臣も、それはもう大事なことですから、ぜひひとつ前向きで検討しますというお話がございました。同時に、堀川農蚕園芸局長からも、非常に大事な問題であるから関係県の試験研究機関とも十分連絡をとって、一層その面の検討を進めていきたい、現地にも実情を見せていただくということも言っておられたのですが、その後、この問題についてどういうふうな研究をせられて、どこまで進んでおられますか。現地の方も見ていただかなければ実態がわからないのでございまして、四年に一遍くらい来る病気でございますから、防除対策もそういう面では若干おくれておる。土づくりと同時に、土づくりをやりましてもなおかつ発生するせん孔性細菌病については徹底的な撲滅策が必要でございます。聞くところによりますと、岡山県では桃を大分あきらめてしまっておるのですけれども、その原因がこのせん孔性細菌病にあったというふうにも聞いておるのです。私の県などは桃とブドウ、スモモとか、こういったもので成り立っている県ですから、この点についての対策を農林省に強力にお願いしてきたのですけれども、その経過はどのようなものでございましたでしょうか、教えてください。
  80. 本宮義一

    ○本宮説明員 ただいま先生の御指摘のございました桃のせん孔性細菌病でございますが、御指摘のとおり桃の重要病害でございまして、五十一年は山梨県で大発生を見たのでございます。その後、五十二年の経過につきましては、山梨県と十分連絡をとりまして、桃のせん孔性細菌病の発生予察及び防除対策につきまして毎月県から御報告いただくということで、これの発生を見守ってまいりました。幸い五十二年度は、現地で非常な防除に努められたこと並びに天候に恵まれまして、非常に発生が少なかったという経過でございました。そこで、五十二年中には現地に私どもが出向いて発生の状況調査するということもございませんでしたが、ことしの三月に気象庁が向こう三カ月の長期予報を発表されておりますが、それには、六月には梅雨前線が活発化して大雨が降りやすいという気象情報でございまして、この桃のせん孔性細菌病の発生しやすい条件であろうと思います。そこで、これは最近の話でございますけれども、私どもの方から担当官が山梨県下に赴きまして、桃の産地の方々と十分に協議をして防除対策についての実情を調査してまいったという次第でございます。  また、農薬の開発につきましては、この細菌病については従来から抗生物質のストレプトマイシン剤を使っておるわけでございますが、防除効果は余り高くないと申しますか、発生してから薬をまくということになりますので、なかなか防除の効果も上がらないというふうなきらいがございまして、たしか昨年の十一月でございますが、新たに抗生物質にトップジンM等を加えた混合剤でございますが、アタッキン水和剤というような農薬の新規登録を見ました。この農薬を用いますと、ほかの病害の防除も兼ねまして桃の細菌病には相当の効果が上がるであろうというようにわれわれも考えております。  先ほどお話がございました農薬の価格につきましては、調べまして御報告をいたしたいと思います。
  81. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 山梨県にいつ行ってこられましたか。
  82. 本宮義一

    ○本宮説明員 先週でございます。
  83. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 おいでになるときに連絡をとっていただければ、私の方でも十分に先方の受け入れ体制等もつくって、せっかくいらっしゃるわけですから、調査の効果が十分に上がりますように私も考えておったのです。きょう私が質問するということであわてて行かれたかと思いますけれども、そういうことでなくて、いままで何ぼ薬を使ってみてもその効果がないから、完全にやっつけられるような薬をとにかく早くつくってほしい、そういう意味実態調査をお願いしたわけですから、連絡をしてほしかったと思います。しかし、行っていただいたことはありがたいことですから、どういうふうな結果でありましたか、また機会を見て私にも知らせてくださいませんか。そして十一月に新しい抗生物質、アタッキン水和剤というのですか、これはどういう成分ですか。
  84. 本宮義一

    ○本宮説明員 これは従来から使っておりますストレプトマイシン剤にプラスいたしましてチナファネートメチル剤、これを混合した農薬でございます。
  85. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それは効きますね。
  86. 本宮義一

    ○本宮説明員 先ほど申し上げましたように、抗生物質の使用については農薬の安全性の問題から非常に厳しい制限もございますので、なかなか使いがたい面もございまして、ストレプトマイシンだけではなかなか細菌病がとまらないという傾向がございましたが、トップジンM、チオファネートメチル剤でございますが、これはたとえばリンゴの腐乱病等にも相当効果を上げておりますが、この農薬を加えた新しい農薬が相当に効果があるというように見ております。
  87. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それは御苦労さんでした。一遍使ってみないとわかりませんから、農民の方ともよく連絡をとってその薬を使わせていただくようにしたいと思いますが、さらに研究を続けてください。  それから、時間が来ましたからもう一つ簡単にお許しをいただきたいと思いますが、これもいま山梨県に大量に発生している桑の害虫でキボシカミキリというのがありまして、これもせん孔性細菌病と同じようにねちっこい害虫でございまして、防除になかなか骨が折れておるわけです。一昨年山梨県に非常に大量に発生しておりますが、もともとは関西の方から東へやってきまして、山梨県あたりですと、昨年の例を見ると桑の栽培面積の三〇%に当たる約三千三百ヘクタールがこの害虫の発生によって被害を受け、そのうち百九十五ヘクタールというのは全くその虫に葉を食われてしまいましてどうにもならなかった、収穫が皆無というような経過をたどってきておりますが、これもなかなか防除の方法がむずかしくて、幼虫の時代にこれを退治していくというようなことでないとうまくいかないようでございますよ。ですから、昨年なんかは小学校の子供を雇いまして、一つとったら幾らだちんをやるというので子供たちが一生懸命とった経過があるのです。県の方も協力してくれておるし、それから市の方も協力はしてくれておるようですが、いずれにしても、こういう問題について、いま養蚕が非常にピンチになっておる時期だけに、国の温かい手の差し伸べをしていただくことを待っておるわけです。ですから、これは県段階とか地方自治体関係に任せないで、農林省の方としてももう少し積極的にこの防除に対する対策を立てていただきたい。それにはまず農薬の開発ですね。それから起きた場合に一体どういうふうに援助してやるか。こういうような点も含めましてぜひひとつ御検討をいただきたい、こう思うのでございます。特に五月下旬から第二期の防除月間に入りまして成虫の捕殺、薬剤散布それから枯れた部分を切ってそこを焼却したりする、大変な骨を折っているわけですから、県の方でもそういう総合対策を立てているようですけれども、農林省としても積極的にひとつタイアップしてやっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょう。
  88. 本宮義一

    ○本宮説明員 桑のキボシカミキリの防除対策につきましては、ただいま先生のおっしゃったとおりの重要な桑の害虫でございまして、特に近年山梨県、長野県等に発生が多うございまして、実はこの害虫の異常発生を蔓延させておきますとその地域の養蚕に非常に大きな影響を与えるおそれがございますので、ことしの二月末でございますが、緊急防除費を支出いたしまして三月中の防除を励行させるということで、その密度を低下させるという対策をとりあえずとりました。金額は両県を合わせまして一千五百八十五万一千円、山梨県にも五百七十万六千円を支出してこの防除の奨励に当たったのでございます。これの試験研究等につきましては技術会議の方でお答えいたします。
  89. 加藤泰丸

    加藤説明員 ただいま植防の方でもって防除費を組んで実際の防除をしているという説明がございましたが、試験研究の方といたしましても、先ほど先生が御指摘のように、われわれはこのカミキリムシの非常に厄介な問題を国といたしましても積極的に取り組むということが試験研究面からも非常に重要だということを考えまして、県の連絡試験のほか、農林省におきましては蚕糸試験場が中心となりまして、この虫の防除法、特に薬の散布の仕方、それからつかまえ方あるいは被害時の取り扱い方あるいは桑そのものの仕立てあるいは収穫の方法、そういった面につきましての成果を一日も早く出すために、試験研究に取り組むという姿勢でもってやってまいりたいと思います。
  90. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 大変親切に手際よくやっていただいて心から感謝します。  あと薬の関係——時間かなくなりまして、厚生省せっかくおいでいただきましたが、きょうはやめなければなりませんので、ひとつお許しいただきたいと思います。  それでは、どうもありがとうございました。
  91. 美濃政市

  92. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 私は、まず円高差益の還元の問題で伺いたいと思いますが、この問題は次回の定例日に集中的に各党が審議する予定になっておりますので、ここではごく基本的な御質問にとどめておきたいと思います。本会議もございますので、時間に限りがございますので、ひとつ簡潔、明瞭かつ正確にお答えをいただきたいと思います。  経企庁が昨年二回にわたって輸入物資数十品目について調査をした結果によりますと、円高のメリットというものが消費者物価に十分には反映されていない、こういうことが判明をしたわけでございまして、むしろ輸入価格、卸売価格とも下がっているにもかかわらず小売価格というものが逆に上がったというケースがあったりして、必ずしもこの円高メリットが生かされていない、こういうふうなことが実は判明したわけでございまして、ほんの一例ですけれども、輸入マグロの価格動向、これを見てみますと、円建てのCIF価格が五十一年十二月が六百八十五円、五十二年六月が六百二十八円、五十二年十二月が五百六十九円と下がってきている。輸入コストもこれに応じて下がっております。五十一年十二月が七百八十八円、五十二年六月が七百二十二円、五十二年十二月が六百五十四円、これに対して小売価格の方が五十一年十二月が三千三百三十円、五十二年六月は上がってまいりまして三千四百四十円、五十二年十二月は三千四百九十円、こう上がってきているわけであります。こういった円高メリットが生かされていないという点について政府がどういうふうに考えておられるか、まずお答えをいただきたいと思います。
  93. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 第二次の調査全般で見ますと、三十三品目調査いたしまして、そのうち輸入価格が下がったものが二十一品目ございまして、そのうち小売価格が下がったものが十五品目でございます。第一次の調査のときには全体として六品目下がっていたわけでございますが、第二次調査におきましてはその後十五品目までふえてきたということで、品目の数自身は第一回よりも第二回の方が増加をしてきているという状況でございます。  それから、ただいま輸入マグロのお話がございましたが、その輸入価格が下がっていっておりまして小売価格が上がったもの六品目の中に水産物が三品目ございます。マグロがその第一でございまして、あとエビ、タコがあるわけでございますが、これにつきましてはいろいろ調査をしてみた結果では、どうも輸入コストが下がった場合に、国内の方で、国内マグロの生産といいますか、国内マグロの方についての値段がやや上昇ぎみであった、これは二百海里問題等も影響したわけでございますが、そういうことで多少魚の価格が上がっていた、そういうものにやや引きずられて輸入マグロの方も値段が上がったのではないかと思うわけでございますけれども、この辺はいま水産業といいますか、漁業についての流通問題にきわめて深くかかわっている問題でございますので、さらにその検討を深めたいと思っておりますけれども、当時調査した時点での判断は以上のとおりでございます。
  94. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 第一回目の調査あるいは第二回目の調査ということでいろいろと御答弁をいただいているわけですが、肉とか小麦などのように国内生産者保護のために輸入が制限された、そして政府が一手にこれらを管理しているために、幾ら円高になって、あるいは外国産地の輸出価格というものが下がったとしても国内小売価格が一向に下がらない、そのメリットというものは全部政府が吸い上げてしまっていると言っても過言ではない、こういう実態であるわけですけれども経済企画庁長官はこういった点に関してどのように考えておられるか、こういったシステムについてどういうふうに考えておられるかお答えをいただきたいと思います。
  95. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 先ほども申し上げておったことでございますが、自由化が進み、自由競争が行われているというところでは比較的そういう市場原理で価格が、円高が消費者に還元されやすい、しかし、何かの理由で行政介入が行われている場合には自由競争が妨げられるわけでございますから、ただいま中川委員の御指摘のようなことが起こりやすい。行政介入には行政介入の理由が別途ございますでしょうから、だからといってそれをすぐやめるということには必ずしもなりにくいわけですが、介入は介入でその目的を達しながら還元させる方法はないかというのが問題であろうと思うのであります。麦につきましても牛肉につきましてもおのおの還元が十分でない理由が従来あるというふうに説明されておりますしいたしますが、麦につきましてはすでに今年の麦価を決定しておりますから、これを変えるということはむずかしいかと存じますが、牛肉につきましては農林大臣もいろいろ行政のあり方を御検討のようでございます。そういう形で少しでも還元を図っていくべきではないかと思っております。
  96. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 いま御答弁をいただいたように、輸入小麦の場合の五十二年度の差益といいますか、これが九百億円、それから輸入肉の場合には、五十二年度の事業団の益金が三百六十億円の黒字、そのほかに三百億円の助成金を使っているわけでありますから、合計で六百六十億円の黒字ということが言えるのではないか。しかも、五十二年度の輸入食糧管理勘定というものは当初の赤字見込みから一転しているわけで、約八百九十六億円の大幅黒字になるということは確実というふうに言われているわけですけれども、私は、このような輸入食糧の黒字分を、消費者麦価の引き下げということで当然これは消費者に還元すべきではないだろうか、こういうふうに思っていたわけなんですけれども、この点は、先ほど価格はもう決定したというお話もございますが、この点についてどういうふうに思われるか、いまのこういった数字に基づいてお答えをいただきたいと思います。
  97. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 小麦につきまして、食管の輸入勘定の黒字は全体として八百四十億見込まれたわけでございます。このうち円高によりますものが百七十億円でございまして、あとは輸入価格が下がったということが影響いたしまして差益が出ております。一方、国産麦についての赤字があるということでございまして、それは相殺されたところで見まして、約五百八十億ほどの麦関係の黒字が五十二年度に出ております。この際、五十二年度の麦価につきましては年末に決定したわけでございますが、どういうふうに差益の問題等を関連させるかということでいろいろ議論をしたわけでございますが、何と申しましても、同じ主要食糧の中で非常に大きなウエートを占めます米につきまして、生産過剰の状態にあって何とかして消費拡大を図らなければならない。そのために、いろいろな農政上の生産調整といいますか、そういう問題もあったわけでございますので、そちらの方の配慮もなしに価格を決めることは非常に困難であろうということがございましたのと、それから輸入小麦の価格につきましては、昨年は前半非常に低かったわけですけれども、後半になってやや上昇しております。現在さらに上がっておりますけれども、そういう将来の輸入麦の価格の動向も見なければならないだろう、そういうことがございました。さらにはもう一つ、食管会計の非常な赤字ということで、財政負担が多いという問題もあったわけでございますけれども、その辺いろいろ総合的に勘案いたしまして、ともかく五十二年度につきましてはそういう状況でございますけれども、麦の価格は据え置くということで米価審議会に諮問いたしまして、その答申をいただいて政府として決定をしたということでございます。
  98. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 輸入食糧管理勘定は黒字であっても、食管会計全体でもって七千億円の赤字ということを理由にするとか、あるいは麦を下げれば米が割り高になると思うのですね。そういった考え方に若干問題があるんじゃないかと私は思うわけで、円高差益が出た以上は、消費者にそれはそれなりに還元をするという方向性が正しいんじゃなかろうかと、私の考えとしていまここで申し述べておきたいと思うわけです。  時間的な問題もありますので次に移りますが、石油業界にしても、電力、ガス等にしても莫大な円高差益があるというのに一向に値下げをしようとしない。これはたびたび論議がなされているわけですけれども、これでは、総理あるいは経済企画庁長官が幾ら口を酸っぱくして円高メリットの還元を唱えてもむだではなかろうかというふうに私は思うわけです。この点はいかがでしょうか、先ほど論議が出ていたかと思いますが……。
  99. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 石油業界が値下げをしなかったわけではございませんし、また、競争の結果としてレギュラーガソリンでありますとかあるいは灯油でありますとかというものが価格が下がりつつあるということも事実でございますが、御指摘のように、たとえばナフサの問題であるとかC重油の問題であるとか、いろいろ問題がやはりございますので、これは通産大臣にいま、主管大臣としてどういうふうにお考えになりますかを御検討願っておるところでございます。ここにはやはりまだいろいろ考えてみなければならない問題があるのではないかというふうに私も考えております。
  100. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 去る四月の七日ですけれども、総理の私的諮問機関である物価安定政策会議政策部会、これが開かれて、その中での論議は円高問題とかあるいは産業構造、その転換問題、さらには過剰流動性の問題等、要するに当面するところの物価問題であったというような報道がなされておりましたけれども、そのほか国民生活審議会、これも同様であったようですが、これらの意見の中で、公共料金を引き下げるべきではないか、そういう意見が出たそうですが、これは具体的にどういう内容のものであったのか、お答えをいただきたいと思います。
  101. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 物価安定政策会議政策部会におきましては、円高問題を従来もたびたび議論されてきておられますが、いま御指摘の問題につきましては、円高の発生の状況等につきまして、民間部門と公共部門とあるだろう。公共部門についての差益というものがあるならば、それはできるだけ消費者に還元するという方向をとるべきではないかという御意見があったわけでございまして、その中の公共料金としては電気、ガスのようなものがその内容であったと思っております。
  102. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 経企庁としては、公共料金を引き下げるべきだというその意見に対してどういうふうに言われたのか、言いかえれば、こういったことに対して近日中に何らかの結論をお出しになるのか、この点はいかがでしょうか、具体的なその結論として。
  103. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 その会議におきましては、私どもとしては、従来電力、ガスにつきましては五十三年度いっぱいは据え置く、あと、もうできるだけ長くこれを据え置くように指導するということでやってきてまいっておりますので、その点について御説明を申し上げた次第でございます。  それからさらに、最近の円高の進展に対応しまして、これから政府物資ないしは民間物資についてどういうような円高還元についての対策をとるかということにつきましては、現在政府部内で検討中でございます。
  104. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 きょう日銀から中川理事がお見えいただいておりますので、伺いたいと思うのですが、日銀総裁も、円高メリットを生かして公共料金を引き下げると言われたそうですけれども、総裁としては、大幅な円の上昇に伴ってそのメリットを本格的に活用することが大切だ、円高によって為替差益を得る企業が、自社の収益の好転材料とするだけではなく、他の産業にもメリットを還元することが望ましい、これを強調されたと報道されておるわけでありますが、このように総裁が言われた真意、これはどういうところにあるのか伺いたいと思います。
  105. 中川幸次

    中川参考人 中川でございます。  総裁が申しておりますのは、私どもの立場といたしましては、どうしてもマクロの立場からの議論でございますが、先ほどから話が出ておりますように、このところ円高で、円建ての輸入価格というのはずいぶん下がっておるわけでございます。前年比で見まして、昨年の十二月からこの二月までの数字が出ておりますが、大体一三%円建て価格は下がっております。御承知のように、日本の輸入は四分の三は原燃料でございますから、その大部分はこういった原燃料をたくさん使います素材産業のコストが下がるあるいは収益が改善するということに第一次的には寄与していくことだと思います。最近、円高になりましても、産業界が昨秋とは違いまして大分冷静でございますが、その一つにはこうしたコストの低下要因があったように思います。  御指摘のうちの円高の差益還元は、それがさらに加工部門とか国民生活に値下げという形で還元されるということを意味するかと思いますが、これまで素材産業の多くは大変低収益に苦しんできておりましたということもございまして、値下げが次々に波及していくという形にはまだ余りなっていないように思います。ただ、そうは申しましても、卸売物価で見ますと、この三月現在で前年比一・八%の低下になっておりますし、消費者物価も、まだ全国の三月はわかりませんが、仮に東京並みの低下にいたしますと、前年比四・四ということにとどまるわけでございまして、かなり鎮静した、あるいは円高のメリットが、余りはっきりした形ではないけれども、徐々にあらわれているのではないかというふうに私どもは思っております。  総裁がしばしば国民に還元するような必要を強く言っておりますのは、円高のデメリットの方はこれはすぐ出てくるわけでございますが、メリットの波及というのはなかなか出にくいものでございますから、私どもが事あるごとに、円高でコストが下がった、その値下げは、国民が円高の利益をはっきりした形ではだに感ずるというふうにしてほしいということを抽象的に申しておるわけでございます。  先ほど来出ております個別産業の問題については、それぞれの御事情があると思いますので、私どもから特にこれをどうこう言うことではございませんが、一般論として、ぜひこの円高のメリットはできるだけ国民に還元するようにしてほしいというのが総裁の考え方でございます。
  106. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 きょうは理事においでをいただいているわけですので、この総裁の言われた円高のメリットを本格的に活用すべきであるという第一点と、日銀の市場介入は過剰流動性に結びつくとは思わないが、今後の動きには十分注意をする、こういった報道がなされているだけに国民は非常に注目していると思いますので、しかるべくひとつお伝えをいただきたい、こう思うわけです。  時間がございませんので次に参りますが、この残存輸入制限品目ですね、これは農産物がほとんどであるわけですが、農産物の輸入制限に対する外国からの非難というものは非常に強いものがある。現にこの間、五日の日ですか、マンスフィールド駐日大使が大阪で、農産物の輸入拡大を日本がやらなかったならばアメリカは保護立法をするだろう、こんなふうに言っておりますし、またニュージーランドでは二百海里から日本漁船が締め出されてしまった、こういういきさつもございます。日本のジュネーブ駐在の沢木大使でさえも、この農産物市場をもっと開放しなければならない、このように述べております。これらの傾向を見ても、この農産物輸入制限をめぐる国際摩擦、こういったものは今後とも非常に激しくなるんではないか、こう思われます。五月に予定されている日米首脳会談、ここでもこの問題が当然持ち出されるだろうと報道されておりますが、私は、物価という面からも日本の農業政策というものがもっと見直されてしかるべきではないか、こういうふうに思うわけです。肉にしても小麦にしても、あるいは魚にしても、砂糖、こういったものについてもすべて農政のツケが消費者に押しつけられている、このように言わざるを得ないわけですけれども、経企庁長官のお考えを伺いたい、このように思います。
  107. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ちょうど十五年余り前にケネディ・ラウンドがございましたときに、私は直接今回のような経験をいたしたわけでございますが、そこで百五十ぐらいございました残存輸入制限をほとんどクォーターリーに下げてまいりまして、いま二十七というところに参りました。この姿そのものは先進工業国としてそんなに恥ずかしい姿ではないと思っております。各国とも農業についてはやはりいろいろな悩みがございますので、ことに日本の場合、十五年間努力してきて残りましたものでありますから、それはそれでやはり事情があるということが基本的に事実であると私は考えておるわけでございます。ただ、その中で、外国との関係もございますが、国内の消費者との関係でいかにも問題が生じているというようなものがございますから、それらのものについて何とか少しずつでも行政なり仕組みなりを改善していけないかという問題として、主として私はそういう形でとらえておるわけでございます。  しかし、東京ラウンドでも恐らくまた十五年前と同じように問題になるのでございましょうから、その辺のところをどう対処していったらいいか。ちょうどただいま農林大臣が出張しておられるわけですが、帰られましたら御意見も伺い、また御相談をしてみたいというふうに実は考えております。基本的には、私は先ほど申し上げましたように日本の農産物についての自由化の姿は先進工業国に比べて決して劣っておるとは思っておりませんが、各国とも議会内にまたいろいろ議会としての問題を持っておることも事実でございますから、その辺、どの程度の対処をしたらいいかということを、少しこの際農林大臣の御意見も伺って意見交換をしてみようかと思っております。
  108. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 外国からの批判とかあるいは国際摩擦というものがだんだん激しくなるということも勘案して、いま御答弁ありましたように、農林大臣が帰国されて十分ひとつ御検討をいただきたい、このように思います。  次に、先ほど質問の中にも出てまいりましたけれども、過剰流動性の問題を若干伺ってみたいと思うのですが、最近デパートで金の地金とかあるいは絵画とかが非常によく売れる、円高不況だというのに株が史上最高の高値をつけている、あるいはまた報道によりますと、土地がじりじり上がってきている、こんなふうに言われております。そんなときに日銀の昨年来のドル買い支えによって流出した円が約三兆円以上、三月だけ見ましても一兆円以上だ、こんなふうに言われているわけですけれども、これはかつて四十六年のあのニクソン・ショック以後の過剰流動性と非常によく似ているように私は思うわけなんで、果たして現在これがどのようになっているのか。このような状態では当然インフレが心配される、こう考えるわけですが、これらの点もあわせて日銀理事の方からひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  109. 中川幸次

    中川参考人 ただいま先生指摘のように、最近、介入によりまして外為会計の払い超がふえているということは事実でございます。五十二年度中に外為会計の払い超は三兆三千億に達しました。そこで、最近、株高とかいろんなことから、再び四十六、七年のときのようなことが再現するんではないかというふうな心配も方々でするようになりました。私どもといたしましては、前回の苦い経験にもかんがみまして、流動性がふえ過ぎないように、過剰にならないようにということをよく注意いたしておるつもりでございます。万一流動性が過剰な状態になったと判断いたしましたときは、私どもとしてはいままでの金融政策を基本的に考え直さなければいかぬと思っておりますが、ただいまのところではまだそういう状態にはないように思います。  当時と非常に大きく違っている点は、現在では大変多額の国債が発行されております。したがって、四十六、七年のときには外為会計が払い超になりました金が銀行に入りまして、それが貸し出しのもとになってどんどん貸し出しがふえたということでございましたけれども、いまは国債が大量に発行され、それを市中の金融機関が大部分買っておりますので、市中の金融機関としてはそれほど貸し出しにたくさん回せる金がないという事情一つございます。  それから第二に、日本銀行といたしましては非常に積極的に緩和政策を進めてまいりました時期にも、依然として引き締めのときに実施しておりました窓口指導の枠組みを残しております。つまり、四半期ごとにある程度銀行が貸し出し得る額というのを大体決めております。そういうことでございますから、金もないし、また枠もございませんので、貸し出しがいまのところはそう急増し得ないような仕組みになっております。一方、企業の方でもやはり減量経営ということが徹底いたしておりまして、なるべく銀行から借りないような態度でございます。資金需要が非常に鎮静いたしております。そうした結果、私ども取引をしております金融機関全体の貸し出しは、前年比で大体九・五%前後の増加でございます。四十六、七年のときにはそれが二〇%を超えるような増加でございましたのが、いまのところはまだ一割弱のところでございます。その結果、流動性が過剰かどうかということの大きな判断の材料になりますマネーサプライは、いまのところ、非常に狭い意味のマネーサプライで前年比七%増、それから、それに定期性預金を入れました、私どもはM2と言っておりますが、それで大体一一%前後、それからさらに郵便貯金を加えましたものも含めてM3と言っておりますが、それで一三%前後といったところで推移しておりまして、いまのところではそういった流動性が過剰な状態になっているという心配はないかと思います。ただ、いま先生指摘のように、こういう気分的な変化ということが将来どういうふうなことになりますか、日本経済の変わり身はなかなか早うございますから、私どもとしてはそれを今後とも非常に注意してまいりたい、こういうふうに考えております。
  110. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 時間が来ておりますので、まとめてお聞きしてみたいと思います。  去る五日、日銀が五年ぶりに売り出し手形を発行して、市中の過剰流動性の吸収ということに乗り出したわけですけれども、こういったことも、ニクソン・ショック後と先ほど申し上げたように非常に形が似ている。これが当局としても過剰流動性について懸念を強めている証拠じゃないだろうかと私は思うわけですね。これが第一点。  もう一つは、いまお話があった国債の大量発行による公共投資で資金量というのは膨大なものになっているんだ。これらの点は、やはりニクソン・ショックに端を発して四十八年からのあの狂乱物価へ進んでいったという過程と非常によく似ている。ちょっとしたきっかけでもインフレが再燃しかねないということなんで、異常株高などはやはりこのあらわれではないかと思うわけです。いまM2の御説明があって、前年比が一一%という御説明なんですけれども、このM2には、外国の金融機関のいわゆる自由円の預金ですね、それから企業の有価証券買いとか、あるいは個人の郵便貯金、これは若干さっき触れておられたのですけれども、あと信託、有価証券、労金、信用組合、農協、漁協ですね、こういったものの預金などの隠れた流動性というものは当然入っていないのじゃないだろうか、こういうことを言いたいわけです。これらを含む金融資産の合計、すなわち先ほどおっしゃったM3ですけれども、こういういろいろなものが入っておるわけですね。隠れた流動性というもの、これに注目していかなければならない。五十二年味ではこれが二百三十九兆円に達している。M2が百五十八兆円であるのに対してこういうことなんですが、その差が八十一兆円も多いわけですね。資金量としては五〇%以上も多いことになる。現実が、ちょっとさっきの御答弁と違うんじゃないか、そういうふうに思うわけです。マネーサプライの現状というものをM2に主体を置いてというか、M2のみで見ているだけでは、この流動性の実態とかあるいはそれが潜在的に持っているインフレ圧力というものを正確につかめないのじゃないか、私はこんなふうに思うわけなんですが、この点どうなのか、先ほどの答弁とは実態が違うのじゃないかということ。  さらに申しますが、企業が余剰資金を株へ向けたところの金はどのぐらいになるのか、こういった点も当然関係してくると思うし、この点ひとつ、あわせてお答えをいただきたいと思います。
  111. 中川幸次

    中川参考人 前の御質問の続きでございますので、第二点から先に申し上げますが、私どもといたしましても、M2だけを見ておるわけではございません。確かに先生の御指摘のように、流動性というのはいろいろな形で保存され得るものでございますから、M1とかM2とか、そういうものだけで見ておるとあるいは失敗するかもしれないということは常々反省いたしております。  それで、たとえば有価証券の保有でございますが、私どもがとっております統計は、主要企業全国約五百社の、ウエートとしては大体過半を占めるものでございますが、そういう企業の現預金の持っておる高とかあるいは有価証券の保有額というのを調べております。ちょっと正確なところは記憶いたしておりませんが、いまのところ、有価証券を含めましたもので大体一・七カ月分ぐらいの非常に広い意味の流動性を持っておるのではないかと思います。これが四十六、七年の非常にピークのときには二・一カ月、そういった、もっとかなり高い数字であったと思います。そういうことからも一応見ておるわけでございます。  もう一つ、現預金だけでなくて、国民全体の金融資産というのは非常に多額に達しているじゃないかという御指摘はそのとおりだと思います。ただ、これを個人と企業とに分けて考えてみますと、石油ショック以降、ここへ来まして急速に金融資産の保有をふやしておるのは個人部門でございまして、いまのところはまだ、企業部門の方は減量経営ということが相当徹底いたしておりまして、そういうふうなことから、流動性をふやすという意欲はまだ余りございませんので、私どもとしては、何としても、流動性が過剰になって景気にむしろ悪い影響を及ぼす可能性があるのは第一次的には企業の持っているそういう金だと思いますので、その点を特に注意しておるわけでございますが、そういう点は、先ほど申し上げましたようにいまのところはまだ、当面それほど心配する状況ではないというふうに考えております。  それからもう一点、自由円のうち、たとえば金融機関の預金は入ってないじゃないかというふうな御指摘は、確かにそのとおりでございます。これはマネーサプライというのを統計的に示す約束事みたいなものでございまして、大体各国ともそういうのが入っていないようでございます。つまり、全体の統計をまとめてみますと、金融機関の預金は一方で出して一方で取っておる。それは結局相殺されるものですから、金融機関預金というのはマネーサプライ統計から外すというのが一応の国際慣行ではないかと思いますが、仮にそういうものを入れて考えますと、たとえば三月末でいけば、これがいま一一%前後でありましたものがたとえば〇・五とか、その程度の増加になると思います。そういう点、先生指摘のとおりであります。  第一点の、売り出し手形を始めたのではないか。確かに、御指摘のように、売り出し手形で金を吸収いたします。金額はちょっと正確に覚えておりません、二千億見当だったかと思います。私どもといたしましては、金融市場を調節する場合に、貸し出しを出したりあるいは金融機関が振り出しします手形を買ったりして資金を供給いたしますほか、あるいはそういうものを回収いたしまして資金を吸収するわけでございますが、いまのところはまだ売り出し手形の残がございますが、金融調節の多様性という意味から売り出し手形を売り出したわけでございます。
  112. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 もう時間が参りましたので、私最後に一つだけ長官にと思ったのですが、要望として、もう終えたいと思います。  いまの問題についていろいろお聞きしたいのですが、結論的に申し上げたいのは、自由円預金しいう形で銀行にとどまっているわけだけれども、輸出メーカーとか商社にも吸収されているということ、それがいまM2にはあらわれない有価証券の保有という形で株に走って、そして異常高値をつけているわけで、これはいつでも現金とか預金に姿を変えることは可能であって、隠れた流動性とも言えるのではないだろうか。こういったものが市況商品とか土地などに向かったときにはやはりインフレになるということ、それが四十八年から始まった狂乱物価であったということを言いたかったわけですね。株高によるインフレ心理の蔓延ということも非常にこわいと思うわけです。ここで長官にお伺いしたがったところですが、政府、日銀におかれては、過去の苦い経験を繰り返さないようにもマネーサプライの管理には細心の配慮を要望して、きょうのところは時間が参りましたので、質問を終えたいと思います。大変ありがとうございました。
  113. 美濃政市

    美濃委員長 次回は、明後二十日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時二分散会