運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1978-07-06 第84回国会 衆議院 農林水産委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年七月六日(木曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 中尾 栄一君    理事 片岡 清一君 理事 林  義郎君    理事 山崎平八郎君 理事 竹内  猛君    理事 馬場  昇君 理事 瀬野栄次郎君    理事 稲富 稜人君       江藤 隆美君    金子 岩三君       久野 忠治君    熊谷 義雄君       佐藤  隆君    羽田野忠文君       平泉  渉君    福島 譲二君       森田 欽二君    小川 国彦君       角屋堅次郎君    川俣健二郎君       柴田 健治君    島田 琢郎君       新盛 辰雄君    中西 積介君       野坂 浩賢君    芳賀  貢君       松沢 俊昭君    武田 一夫君       野村 光雄君    吉浦 忠治君       神田  厚君    津川 武一君       菊池福治郎君  出席国務大臣         農林水産大臣  中川 一郎君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      古橋源六郎君         農林水産政務次         官       今井  勇君         農林水産大臣官         房企画室長   佐竹 五六君         農林水産省経済         局統計情報部長 柳井 昭司君         農林水産省農蚕         園芸局農産課長 泉田  収君         食糧庁次長   戸塚 金郎君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ――――――――――――― 委員の異動 七月六日  辞任         補欠選任   日野 市朗君     川俣健二郎君   松沢 俊昭君     中西 積介君 同日  辞任         補欠選任   川俣健二郎君     日野 市朗君   中西 積介君     松沢 俊昭君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(昭和五十三年産  米穀政府買価格等)      ――――◇―――――
  2. 中尾栄一

    中尾委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、昭和五十三年産米穀政府買い入れ価格及び昭和五十二年産米生産費について政府から説明を聴取いたします。戸塚食糧庁次長
  3. 戸塚金郎

    戸塚説明員 五十三年産米政府買い入れ価格につきまして、本日十時から米審が開かれておりまして、諮問案を目下説明中でございますが、この諮問案につきまして御説明をさせていただきたいと思います。  お手元にお配りをいたしておると思いますが、「諮問」という紙がございまして、「農林水産大臣 中川一郎」ということで「昭和五十三年産米穀政府買価格について、米穀需給均衡を図るための対策が行われている需給事情に即応して生産費及び所得を考慮して決定することにつき、米価審議会の意見を求める。」ということで、諮問をいたしております。「生産費及び所得を考慮して決定する」という従来の基本的な考え方は、この際変わっていないということでございます。  「諮問についての説明」でございます。諮問についての説明は「米穀政府買価格は、食糧管理法第三条第二項の規定により、生産費及び物価その他の経済事情を参酌し、米穀の再生産の確保を図ることを旨として定めることになっており、その算定については、昭和三十五年以降生産費及び所得補償方式により行ってきたところであります。」その後、米の需給の基調の変化稲作志向が非常に強くなっておるということと、需要減退傾向が最近再び大きくなっているということを述べております。  「このよう需給事情にかんがみ、本年度から米需給均衡化対策を推進し、長期的視点に立って、国内資源に依存する食生活への積極的な誘導を図りつつ、水田利用の再編成を推進し、需要動向に安定的に対応しうる農業生産構造の確立を期することとしているところであります。」諮問主文と同じよう考え方でございまして、「政府買価格算定に当たっては、」「米の需給事情に即応し、生産費及び所得補償方式により算定することとしてはどうかということであります。」ということで諮問説明を結んでおります。  「政府買価格試算」でございます。「試算」について御説明申し上げたいと思います。  一ページでございますが、「算式」というのがございまして、Pは云々という算式が出ております。これは後に出てまいりますが、本年は四十六年から四十八年までに採用いたしました必要生産量に見合う米販売農家平均生産費あるいは平均反収という考え方を採用いたしておりますので、あれでございますが、それに見合う、上のΣCバーNバーというのは評価がえ生産費の三年分ということでございまして、五十年、五十一年、五十二年の三年分の足し算をしたもの、下の∑HバーNバーというのは五十年、五十一年、五十二年の、先ほど申し上げました必要生産量に見合う米販売農家平均反収ということでございます。掛ける六十というのは十アール当たり平均収量ベースにいたしておりますので、六十キログラム当たりに直すために六十を掛けておるわけでございます。「P」あるいは「Cバー」「Hバー」「N」というのは、いま申し上げましたようなことで、三年平均評価がえの生産費、それから平均反収ということでございます。  次ページに参ります。  そういたしますと、「求める価格」は、評価がえをいたしました三年平均生産費が十三万八千三百八十円、平均反収が五百十五キロということでございますので、割り算をいたしまして六十キロを掛けますと、六十キログラム当たり一万六千百二十二円という価格が出てまいるわけでございます。  一万六千百二十二円というのが求める価格でございますが、それに百八十六円、つまり生産者農家から政府買い入れ場所までの運搬費を加えました額、それに注に載せておりますが、基準価格昭和五十二年産米穀基準価格同額となるようにするために七百十一円という補整額を加えまして、昨年と同額の一万七千十九円というものを基準価格にいたしております。これは補整をいたしたということでございまして、この一万七千十九円というのは基準価格でございまして、従前でございますと一-五等の平均価格ということになるわけでございますが、今年から等級を整理をいたしまして一-三等というふうに集約をいたしましたので、一-三等平均の、従前の一-五等平均に相応する一万七千十九円ということでございます。  そういたしますと、その次にありますのは一-三等平均一等との等級間格差ということでございまして、百七十六円補整をする。ただ、ここで申し上げておきますが、別に一枚紙の「昭和五十三年産米穀政府買価格試算における等級間格差について」というのをお配りしていると思うのでございますが、これによりましてごらんいただきますように、五十二年産米につきましては一-二等が百六十円、二-三等が百六十円、三-四等が百六十円、四-五等が五百円という等級間格差でございましたが、今年は従前の一-二等を三等に集約いたしました経過もございまして、一-二等間は百六十円の倍の三百二十円、二-三等間は従前の倍の千円ということに等級間格差を是正をするという考え方でございまして、これを織り込みました場合の一-三等平均一等との等級間格差の差額でございます。流通実態によりまして加重平均をいたしましたものでございますが、百七十六円というものを加えまして、それから硬質軟質-硬質米には四十円の硬質加算をいたしておりますので、それのプール分の十九円を差し引きまして、一万七千百七十六円、これがウルチ軟質一等の裸の価格ということで一万七千百七十六円ということになるわけでございます。この価格は昨年の一-三等平均ということになるわけでございますが、この一-三等は昨年は一万七千九十八円ということでございましたので、それと対比をいたしますれば、昨年より七十八円アップで〇・四六%アップになるということでございます。去年は、三等と直接比較いたしますれば、一万七千八十六円でございまして、九十円アップということに相なります。  そこで昨年の、一-四等平均価格に直しているわけでございますが、ことしはこれを一-二等平均ということに変えているわけでございまして、一万七千百七十六円というウルチ軟質一等の裸の価格、それから一等と一-二等平均との等級間格差、先ほど申し上げました等級間格差ベースにしているわけでございますが、等級間格差をプールしたものを差し引きまして、歩どまり加算十九円を入れ、包装代百八十五円を入れますと、軟硬質平均、一-二等平均包装代込み価格一万七千二百五十一円ということに相なるわけでございます。これは昨年の一-四等平均価格の一万七千二百三十二円に対比いたしますれば一九円アップでございまして、〇・一一%のアップということに相なるわけでございます。  算定の要領でございますが、「十アール当たり平均生産費算定」ということでございまして、これは農林省統計情報部米生産費調査による昭和五十年、五十一年、五十二年の各年産米販売農家の十アール当たり平均生産費につきまして、次による評価がえを行い、これを平均して算定をする。これは従来の考え方でございますが、ただ、この場合、米販売農家は、米生産費調査の各年産米の米の販売農家を六十キログラム当たり生産費高低順に並べて、生産費の低いものからの累積販売量が、各年産米の総販売量の、五十年産にあっては九〇%、五十一年産にあっては一〇〇%、五十二年産にあっては九〇%になるところまでの米の販売農家生産費平均ということに考えているわけでございます。  ちなみに、五十年産米九〇%、五十一年一〇 〇%、五十二年九〇%という比率をとっているわけでございますが、この比率は、本年の需要上の必要量、ことしの予約限度数量でございます八百三十万トンを分子にいたしまして、五十年、五十一年、五十二年のそれぞれの年の出回り量実績分母にいたしまして割ったものでございまして、五十年について言いますれば、九百四十三万一千トン分の八百三十万、分子が八百三十万でございまして分母が九百四十三万一千トンということでございます。それから五十一年は分子が八百三十万トン、分母が八百五十七万七千トンということでございます。五十二年が八百三十万トンが分子でございまして分母が九百三十三万六千トンということでございまして、その答えが、五十年は八九、五十一年は九七、五十二年は八九ということでございますが、やや切り上げまして九〇、一〇〇、九〇というふうに指数としてはじいております。  家族労働費でございますが、これは都市均衡労賃によっております。五人以上千人未満ということで従前の例に従っております。都市均衡労賃男女込みで九百八十一円五十三銭、男子が千百八十八円三十六銭ということでございます。  アにいろいろ書いてございますのは、三十人以上の分につきましては五月までのデータが完全に得られるのでございますが、三十人以下の分については四月までのデータしかございませんので、その分は三十人以上のデータをもちまして補整をしているということをアに書いているわけでございまして、そういうデータ基礎にし、イの現物給与の〇・六四%というものをこれに加算をする。それからウの通勤手当相当額一・四二%、これを控除するということで、先ほど申し上げました九百八十一円五十三銭、千百八十八円三十六銭をはじいているわけでございます。  なお、この際、昨年は全産業の賃金製造業賃金調整をいたしておりましたが、今年の実態はそういう必要もございませんので、調整はいたしておりません。  それから物財雇用労働費につきましては、従前の例にならいまして十一月-五月、五月までのパリティを織り込んで前年に対します変化率ということではじいております。五十年産米生産費基準でございますと一一四・五四、五十一年産米でございますと一〇七・八八、五十二年産米で一 ○一・九五ということでございまして、この一〇一・九五という数字を見ますと、物価雇用労働費鎮静状況というものがある程度うかがえると考えるわけでございます。  副産物価額でございますが、これは主としてわらとくず米の価格変化率によって物価修正をいたしております。わら価格が最近比較的高くなっておりますので、五十年産基準で申し上げれば一九〇・七九、五十一年産基準で申し上げれば一三一・二八、五十二年産基準で申し上げれば一二一・〇四ということではじいております。  資本利子につきましては、最近の金利実勢勘案をいたしましてはじいておるわけでございますが、自己資金につきましては、最近の農協の一年定期の利率、年利四分六厘ということではじいておりますし、借入金につきましては金利実勢に合わせまして五分五厘ということではじいてございます。  それから物件税及び公租公課につきましては、費目につきましては昨年のとおりの考え方でございまして、数字はごらんいただいたとおりでございます。  地代につきましては、自作地については現行小作料最高統制額、五級地相当ということではじいております。小作地及び作付地以外の土地につきましては、昭和五十二年産米生産費調査によるそれぞれの地代を採用いたしております。それぞれ評価をいたしました地代合計額平均をして計上をしておるということでございます。  以上の経過によりまして、先ほど申し上げましたようなことで、五十年産米は十三万四千四百四十五円、五十一年産米は十四万六千二十四円、五十二年産米は十三万四千六百七十一円と評価がえをしたそれぞれの生産費でございまして、それを三年平均いたしたものが十三万八千三百八十円ということでございます。  八ページでございますが、先ほど申し上げました平均生産費必要量に見合う生産費農家平均収量というものをとっておりまして、昭和五十年産につきましては五百三十六キログラム、昭和五十一年産は四百八十六キロ、五十二年産が五百二十四キロで平均五百十五キロということでございます。五百十五キロで、先ほどの前ページの十三万八千三百八十円を割りましたものが基準価格ということになるわけでございます。  なお、運搬費につきましては百八十六円。労働費百十八円、以下二円、十七円、四十九円ということで、百八十六円ということではじいているわけでございます。  先ほど申し上げました生産費年産別は、「算出基礎」としてあらわしてございまして、原生産費価格決定年評価がえをした生産費ということで、それぞれはじいているということでございます。  一応の御説明を終わらせていただきます。
  4. 柳井昭司

    柳井説明員 それでは、お手元に配付してございますが、五十二年産の米の生産費について御説明申し上げます。  これは五十二年の一月から十二月の期間にわたりまして調査したものでございまして、十アール当たり平均生産費は十二万八千九百五十六円ということで、前年対比五・七%のアップになっております。六十キログラムの平均生産費にいたしますと、一万五千九十八円ということで、前年対比〇・一%というふうになっておりますが、これは六ページにもございますように十アール当たり収量が五百十二キログラムということで前年対比五・三%上がった。こういうことからいたしまして〇・一%の上昇にとどまっているということでございます。  それから十アール当たり所得でございますが、九万一千二百六十六円ということで、前年対比で一〇・五%上昇しております。  それから一日当たり家族労働報酬は七千八十九円、二一・七%のアップでございます。  二ページ、三ページに五十二年産米生産費の特色といいますか動向を書いてあるわけでございますが、(1)、(2)のところにございますように、水稲生産費費目別構成比でございますが、労働費が四五・五%というふうに最も高く、続きまして農具費が二三・六%、肥料費が八・七%、賃借料及び料金が五・五%と、この四費目で八三・三%に達しておるわけでございまして、最近農具費それから賃借料料金構成比が高まってきておるわけでございます。  それから次に、十アールの生産費主要費目動向でございますが、イの農具費でございますが、これが二万四千八百三十四円ということで前年を一四・五%上回っている。これは動力田植機とかあるいは自脱型コンバイン等高性能機械導入増に伴う償却費増加によるものと思われるわけでございます。  それから一つ飛びまして、エの賃借料及び料金、これが五千七百二十五円ということで九・一%上回っておるわけでございますが、これは作業委託増加とか各種料金の値上がりによるわけであります。  このよう高性能機械導入とかそれから賃借料、いわゆる作業委託増加、こういうことに伴いまして、労働費でございますけれども投下労働時間が五・九時間、前年に比較いたしまして減少いたしまして、労賃単価は九・一%上がったわけでございますが、労働費全体としましては〇・九%の上昇でございます。     〔委員長退席山崎(平)委員長代理着席〕  その他の費目といたしましては、ウの肥料費が四・六%の上昇、それから農薬費が四千八百五十七円ということで五・四%の上昇、それと土地改良及び水利費が三千七百四円ということで九・四%の上昇、それから地代が二万二千三百四十六円ということで三・七%の上昇を示しているわけでございます。  それから水稲収益性につきましては、一ページのところで申し上げましたので、省略させていただきたいと思います。  なお、四ページからそれ以降に、それぞれ生産費なりそれから経営概要収益性について項目別等説明しておるわけでございます。     ―――――――――――――
  5. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島田琢郎君。
  6. 島田琢郎

    島田委員 全農民注視の、いや全国民注視生産者米価諮問がいよいよきょうなされたわけでありますが、すでに予測されていたとは言え、据え置きという諮問がなされたことははなはだ遺憾でありまして、まず冒頭に、政府からこの諮問に対する感想を伺いたい、こう思うのであります。
  7. 今井勇

    今井説明員 一言で申し上げれば、苦難の策と申しましょうか、苦悩の策でございます。  収益性の相対的な有利性等がございまして、どうしても最近稲作志向というものがやはり強くございますし、一方需要面では、一時鈍化してまいりました一人当たり消費量というのがまた最近減少傾向が強くなってまいりました。そんなことで、どうしても過剰傾向というものが続いております。  そこで、かつて皆さんに大変な御苦労をかけました四十四年から四十六年の当時の減反のときに思いをはせまして、ひとつその当時の状況勘案をしながら米価算定をさせていただいたわけでございます。特に最近は、長期的な観点に立ちまして、稲作以外の作目、たとえば小麦、大豆、飼料作物等を積極的につくっていただこうというふうなことでございまして、われわれが考えておりますのは、どんなことがありましても食管制度というものを堅持する、この一語に尽きるものでございます。そういったことを考えながら、最近の需給事情に即応しながら、生産費及び所得補償方式算定をさせていただいたものでございまして、われわれとしては、精いっぱいの努力をしたものであろう、しかしながら、その間において大変迷い、悩み、かつ苦労をしたものであろう、このように考えております。
  8. 島田琢郎

    島田委員 まず政務次官は、大変苦悩の結果出た試算米価であるということを言われておるわけでありますが、この据え置きというのは、昨年の米価のとき以来、政府はこのことを頭に置きながら、今日まで諸般の据え置きにかかわる作業を進めてきた、つまり、据え置きをやるためにいかに上手に試算をやったか、そういう点の苦悩を承知をしているんだろう、私はこういうふうに思うのです。つまり、据え置きはもう早くから決めてあって、その据え置きをいかに正当化し、そして数字的にも合理化をしよう、こういう点で大変苦労をされた結果の数字であるというふうに私どもは受けとめるわけであります。  百七十万トンという非情なまでの減反を強いて、いままで米が余っているとかあるいは米つくりが有利な作目であるからそこに集中し過ぎるとかいろいろなことを言われてまいりましたけれども、しかし、つくり過ぎの責任が農民にあるなどということは、これはとんでもない話でありまして、その米が余るというふうな状態をつくってきたのは政府でありますから、そういう意味で、その上に減反政策を強行することには反対であるということを昨年以来私どもは強く主張してきたのであります。そういうリスクを農民に一方的にかげながら、今度また一生懸命つくろうとする米作農民据え置きという非常手段をもってやられるとするならば、それは日本における大事な農政をみずから否定するということになるわけですから、私は、今回諮問された諮問案は直ちに撤回すべきだと思うのですが、いかがです。
  9. 今井勇

    今井説明員 私どものつくりました諮問に対しての御批判、承りましたのでありますが、先ほども御答弁申し上げましたように、われわれとしては、どんなことがありましても、食管制度を堅持しながら日本国民のための食糧を確保していかなければならないという大使命がございます。したがいまして、そのよう需給事情等、あるいはまた最近の情勢を考えまして、かつての減反をいたしましたときに思いをいたして、精いっぱいの努力をいたしたものでございまして、このものについて直ちに再諮問をするという考え方は持ち合わせておりません。
  10. 島田琢郎

    島田委員 私は、諮問案撤回を拒否するという態度は、日本農政を否定するということにつながると思うのですが、春の畜産物のゼロ回答といい、麦類のほとんどゼロに近い価格決定といい、私は日本農政を否定なさる立場にあなた方は立っていらっしゃるとしか受け取りようがない。真剣に日本農業をどうするかというよう考え方がおありだとすれば、この際、そのプログラムなりあるいは展望を示すべきではないかと思うのですが、後ほど個々に触れてまいりますが、余った米の処理一つにしたって、具体的には何ら手が打たれていない。さらに、米価が据え置かれた後における日本米づくり農民に対する将来展望をどのように示そうと考えているのかさえも明らかでない。そういう中で、減反政策、重ねて据え置きをするというようなことは、農業をつぶすというそういうことをみずからおやりになっているとしか言いようがないのですが、それでも諮問案撤回はしないとおっしゃるのですか、いかがです。
  11. 今井勇

    今井説明員 日本農業を守ろうとする気持ちにつきましては、私どもだれにも負けないつもりでございます。それに至ります道程がいろいろあろうかと存じますが、私どもはその道程一つを歩んでいると思っております。長い目で見ていただきまして、必ず皆さんに御納得いただけるものと信じております。
  12. 島田琢郎

    島田委員 あなたは食管を守るためだとおっしゃるが、それでは、食管を守るための一つのプロセスというのがあるのですか。それをぜひ示してもらいたい。
  13. 今井勇

    今井説明員 最近の世論調査等を見ましても、国民の中で米の食管制度の存続というものを、卑近な言葉で言えばお荷物扱いをするような感じのものがだんだん出てきております。よく親方日の丸と言われます国鉄のようなものの二の舞にするなという声もありますことは、新聞論調でごらんのとおりであろうと思います。私は、そのようにして国民皆さん方から食管制度そのものを否定されるようなことにもし相なれば大変なことになろう、このよう思いまして、それだけは何としても食いとめたいと存じております。
  14. 島田琢郎

    島田委員 すでに食管法は政府みずから否定されていらっしゃるではありませんか。たとえば、法に定められた家計を守るという立場で一体消費者米価がいままで決められてきた、そういう経過にあるとお考えになっているのかどうか。消費の拡大に対してブレーキをかけるようなやり方しかしてこなかったではないですか。それでなお食管を守ると幾ら口でおっしゃったって、国民は納得いたしますまい、その点はいかがでしょう。
  15. 今井勇

    今井説明員 食管法に基づきまして、国民に安定的なしかも不安のない食糧を供給するというたてまえが、私、食管制度一つの面であろうと思います。だから、その線に沿ってやってまいったつもりであります。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
  16. 島田琢郎

    島田委員 私は、むしろ食管法を正しく守るという考えが政府にあるのなら、生産費を償い、所得を確実に補償して、安心して米作農民が米づくりができるような条件をまず第一にはつくることであり、同時に、つくられた米を全量責任を持って政府がこれを処理するという構えに立ち、その消費拡大策の一環として、国民皆さん方に喜んでそして安心して食べていただけるような消費者価格というものを設定するということがいままで過去において行われていたとすれば、私はこういうことは申し上げません。米が食べられないような仕組みにしてきたではありませんか。自主流通米、標準米あるいは自由米と、それぞれの米の用途においてその格差が歴然としているし、国民の各層が一番食べたがっている標準米についてだって思い切った値引きあるいは値下げを断行するぐらいのことが行われていれば、私は、食管法を守っていないではないかなどとあなた方を批判したりはいたしますまい。しかし、そうでないから、食管法を守るために米価据え置きましたなんて言われたって、私は絶対に納得はできないのです。いかがです。
  17. 今井勇

    今井説明員 食管法ができました当時は米が不足ぎみでございまして、どうしても国民に一定量のものを確保しなければならぬということで始まっております。その後、米の需給状況というのは時に応じて変わってきております。しかしながら、その基本は国民食糧を安定的に供給するということに尽きるわけでございますから、法の運用の仕方等について変遷がありますことは当然なことであろうと思いますが、その根幹だけはゆるがせにしないという気持ちでございます。
  18. 島田琢郎

    島田委員 それでは、先ほど次長から説明のありました諮問米価算定について若干考え方をただしてまいりたいと思うのです。  まず第一点は、家族労働の評価でありますが、農業団体が最低で要求をしておりますものと比較してみても今回の諮問価格の家族労働の評価は低いのだが、一体これはどういう試算の方法によって行われたのか。説明は聞いたのですが、この際もう一度明らかにしてもらいたい、こう思います。
  19. 戸塚金郎

    戸塚説明員 家族労働費でございますが、これは前年も五人以上千人未満ということで採用しております。農業団体が、五人以上千人未満ということじゃなくて、そこは無制限にせいという御要求をしていることは存じておるわけでございますが、ことしのよう需給状況で、先ほど申し上げました必要量生産費というよう考え方まで採用しなければならぬよう需給状況のときに、特にここをさらに改めることにつきましてはいかがかということで、従前の方式によったところでございます。
  20. 島田琢郎

    島田委員 それでは、据え置きをするために、それを頭に置きながら家族労働費試算にも当たったというふうに聞こえるのですが、間違いないですか。
  21. 戸塚金郎

    戸塚説明員 五十二年産米につきましても同様の方式によりまして四%の値上げということで、物価賃金動向ということも考えなければならぬ事柄でございますが、ことし特にその要素を改めることは、いま申し上げました需給状況の中で適当でないと判断をしたわけでございます。千人未満ということでございますと、これは事業所単位ということでございまして、特に事業所単位ということになりますれば相当の大企業のものを含んだ平均賃金でございますので、これは特にことし変更しなければならぬというふうには考えておりません。
  22. 島田琢郎

    島田委員 事業所ごとの差があってもそれは全部取り上げるというのが公平というものじゃないですか。高いところは切り捨てて、安いところで農民賃金をはじき出すというのは、そもそも差別じゃありませんか。そのことについても、需給事情勘案しながらというのは、つまり米価を据え置くということを頭に置きながらこれを逆算して決めるというふうにあなた方はお考えになっている。そのことを強調されているようですが、公平の原則に立って、農民もまた同等の賃金が与えられてしかるべきだという農民あるいは農業団体の要求は、私は正当だと考えている。そういう点ではじき出された男女込み賃金の差というのは、片や千六十四円四十三銭になっているのに対して、政府の今回はじき出された男女込み賃金というのは九百八十九円と、千円を割っている。こういう不公平な賃金の設定では、農民が公平感を持って経営に当たることができないということになるのではありませんか。そういう不公平を農林省みずから是認しているというのはおかしいじゃないですか。
  23. 戸塚金郎

    戸塚説明員 くどいようでございますが、五人以上九百九十九人までということで昨年もやっておりますし、本年もこれを特に変更しなければならぬという需給事情ではないという判断をいたしているわけでございます。需給状況によりまして、かつて千人以上ということでとったこともございますが、それは物の不足状況のときでございまして、今日かつてないような供給過剰になっておりますときに、昨年方式を特に変更しなければならぬというのは不適当であろうという判断で考えたわけでございます。
  24. 島田琢郎

    島田委員 あなたと私の考え方は根っこのところで違っているのですね。米が余っているというのはあたかもつくった農民の責任であるかのごとき考え方をあなたは基本にお持ちになっている。私は、つくる農民に米が余るというところまで責任を負わせるということは不当であるという考え方に立っているのです。自分の責任を農民に転嫁しておいて、米が余るからおまえらの賃金を抑える、こういう論法では私は納得ができないのです。その考え方をどうしても固執なさるのですか。
  25. 今井勇

    今井説明員 いま御答弁申し上げたようなことでありますが、先ほどから私が繰り返して四十六年のことを申し上げておりますが、決して抑えるというのじゃございません。四十六年当時減反をいたしましたときのやり方は、先生御案内のとおり、必要の生産量の方式と、もう一つは、当時の労賃は都市労賃ではなくて地方労賃を米の生産量で加重してございました。その後、米がやっと需給バランスがとれまして、少しずつ増産をしていこうというときに当たりまして、だんだん都市労賃等の考え方がとられてまいりました。御案内のとおり、初め五百人であったのが千人になりまして、だんだんとそういう要素をつけ加えてきたわけでございます。その結果米がだんだんふえてまいりました。  さて、そこで、需給が緩和してまいりますと、そのままでいいのかどうかということが出てまいります。これは卑近な例で申しわけございませんが、米が非常に不足のときには、考えられるありとあらゆる要素をとりまして、米価というものの積算をしてまいりました。その結果、米が余るようになってまいりますと、いままで考えた要素を少しずつはいでまいりまして、皆さんにお願いをするということを絶えず繰り返してやってまいった歴史がございます。したがって、今回は四十六年当時の物の考え方をとっておりますが、都市労賃については、せっかくいままでの積み上げで千人未満で確立されておりますので、それまで変更することはいかがかということで、これは据え置いた次第でございます。
  26. 島田琢郎

    島田委員 それでは、ことしの労賃、物価の値上がり分をここにどう加味したのですか。
  27. 戸塚金郎

    戸塚説明員 先ほども説明いたしましたように、労賃につきましては五月までの賃金変化状況を織り込んでやる、それから物価につきましても、十一月-五月という間の五月パリティまで織り込みまして変化率を求めて修正をいたしておるということでございます。
  28. 島田琢郎

    島田委員 私の言っているのは、これから上がらないという保証はない。いままでの数年の傾向を見ても、物価賃金も上がっている。これから一年間かかって稲作経営をやる農民に対して、その賃金物価上昇分は自賄いせよという考えですか、そのことを聞いている。
  29. 戸塚金郎

    戸塚説明員 生産費所得補償方式ということの基本でございまして、これは過去の三年平均生産費基礎にいたしております。それにごく最近までの物価賃金上昇傾向を織り込んで評価がえをしているということでございまして、これから先の変化状況ということにつきましては織り込んでおらないというのが従来からの例でございます。
  30. 島田琢郎

    島田委員 あなた方は、都合が悪くなると基本を踏まえると言う。低米価に抑えたいと思うと、試算内容をいじくり回す。基本的には、米をつくる農民が一時間働いたら、極端に言えば、日本全国どこで働いて、どんな職種で働いていようと、どんな場所で仕事をしていようと、平均してしかも公平な賃金が与えられるということが基本にないとだめだということを踏まえて、私は賃金の問題を言っているのだ。米が余るから賃金を抑える、あるいは物価上昇についても農民ががまんをせよ、こういうことで一体説得できるというふうにお考えなのか。だから、日本農政に対して農民は深い不信の念を抱いているということに結果的にはなっているのです。その基本のところを、あなた方は筋を通して、基本とおっしゃるならどの部分でも基本をしっかりと踏まえたものでなかったら納得できないじゃないか。据え置き米価をはじき出すためにいろいろな小手先を弄するというのはいかぬ。こういう立場に立っていままでも言ってまいりましたし、この賃金の問題についても、公平の原則を貫くという立場で  これは何も米に限ったことではありません。ほかの農畜産物価格の場合でも同じことが言えるわけでございますけれども、そういう面で私は納得ができない。しかも、先ほど次長の説明によりますと、五十二年までは全賃金によって調整をしたが、ことしはそれをやらなかった、これも需給問題が頭にあったからだという前提があるようでありますけれども、私は納得ができないのであります。  そこで、次に、しばしば農民団体、農業団体から企画管理労働に対する評価をぜひやってもらいたい。これは昨日も議論がありましたし、いままでの米をめぐります集中審議の中でも、あるいは畜産物価格の問題のときにも、農業を単なる実働だけではじき出すというのはおかしい、準備のためのいろいろな付帯する労働というものがあるのだという主張があった。こういう主張というのは基本的には認められてしかるべきだと思うのです。政府もそのことについては否定はなさっておられないようでありますけれども、なかなか企画管理労働というものの実態をつかまえにくいという言葉で言い逃れをしているのですが、企画管理労働というのは、言葉の使い方によっていろいろな意味合いを含むわけです。少なくとも、農民団体が要求しておりますような最低の企画管理にかかわる労働費を正当に評価するというのは、当然検討し、それが実現されてしかるべきだと思っていましたが、今回もこれが見送られている。これはどうしたわけですか。
  31. 戸塚金郎

    戸塚説明員 先ほど先生は、全産業賃金製造業賃金との間で賃率調整をことしはやめたということについてお話しになりましたが、これは全産業賃金上昇傾向が本年は低下傾向でございますので、この係数を入れますとむしろマイナスになりますので、あえてマイナスになるということで調整をしなかったという意味のことでございます。  それからいまの企画管理労働のお話でございますが、企画管理労働につきましては、お話しのように四十二年から四十四年に織り込んだこともございます。このときも非常に問題になったのでございますが、企画管理労働の原価性というものに非常に問題があるということが当時から指摘をされておりまして、この辺については、その時代の需給状況が米の非常に不足をするムードでございましたので、あえて織り込んだわけでございますが、その後、需給事情の好転とともに、あるいは逆に過剰になってまいりますとともに、このような原価性の非常に把握しにくいものにつきましては算入をしないということでずっとやってきておりますので、これもことしのよう需給状況下に訂正をすることはできないという考え方でおるわけでございます。
  32. 島田琢郎

    島田委員 あなたは変化性に富んでいると言うが、企画あるいは管理にかかわる労働、仕事なんというのは、そんなに変化があるはずがないじゃないですか。実態的に見ても、ときに十時間を要し、ときにゼロだなんということはあり得ないことなんだ。それは実態把握が甘いし、実態把握ができていないということでしょう。やる気がないということではありませんか。  そこで統計情報部にお尋ねをしますが、あなたの所管でも企画管理労働の把握はむずかしいという認識ですか。
  33. 柳井昭司

    柳井説明員 企画管理労働を生産費の中に入れるかどうかということにつきましては、いろいろ御議論のあるところでございますけれども、企画管理労働が経営活動として必要あるいは有用だということでございましても、農林省の農畜産物生産費はいわゆる圃場原価ということで、米を産出するための直接の生産活動をとらえるということで、いままでその企画管理労働についてはとらえておらないわけです。  それとともに、企画管理労働、これは四種類ぐらいがあろうかと思うわけでありますが、これを実際に把握すること自身もなかなかむずかしいわけでございます。作物にどう振り分けるか、あるいはたとえやりましても、どういうふうな年次でもってこれを振り分けていくかというような非常にむずかしいことがございますので、そういう面等からいたしまして、いま申し上げましたようにとらえていないわけでございます。
  34. 島田琢郎

    島田委員 やる意思がないというふうに結論づけざるを得ない答弁であるというふうに私は思います。少なくとも、現地において統計情報部が調査をなさるときには、机の上で調査をするのじゃなくて、それぞれの個々の農家に当たって実態調査するというのがいままでの調査のやり方でしょう。そうすれば実態把握がむずかしいなんということはあり得ない。私のところの農場へ来て調べてくだされば、私は正確にこれをはじき出しますよ。教えてあげますよ。やる気がないのじゃないですか。統計情報部も同じよう考え方に立っているというのは私はきわめて遺憾だと思うのです。  生産の直接的な労働だとおっしゃるけれども、直接的な労働でないというふうに否定なさる根拠は何ですか。
  35. 柳井昭司

    柳井説明員 お答え申し上げます。  いわゆる企画管理労働、これは研修等に出ますところの時間とか、あるいはいろいろな打合会とか、あるいは資金調達の時間とか、その他帳簿をつけるときの時間というようなものが一般的に企画管理労働といわれておるようでございますけれども、私どもといたしましては、一般の企業会計等におきましても、大体経営的なそういう種類のものにつきましては一般管理費というような形で処理されておるというようなこともございますし、ことに農業の場合におきましては、その企業と家計とが一体となっておる、あるいは本社と工場といいますか、そういうふうな機能が一体となっておるという特殊な経営をなしておるわけでございまして、この種のものはむしろいわゆる一般管理経営的なものではないかというふうに観念しておるわけでございます。
  36. 島田琢郎

    島田委員 この議論を続けておりますと時間かなくなってしまいますが、私はやる気がないという政府の姿勢であるというふうに受けとめざるを得ません。     〔委員長退席山崎(平)委員長代理着席〕 きょうあすに決まる米価に向かって企画管理労働の実態調査を云々しても始まらぬ話でございますけれども、いままでも幾度もこの点については、実態把握について全力を挙げるという国会の意思が政府においてそのまま受け取られていないというのは、きわめて遺憾なことであると私は思うのです。やれるかやれないかじゃなくて、やってみた上で問題があれば再度国会に問題を提起すべきじゃないですか。その上でわれわれは議論をする、こういうふうにしていかなければならないと思うのですが、一般的に否定するという態度に終始しているというのはきわめて遺憾だと思います。  さて次に、資本利子の問題であります。資本利子についても先ほど試算の中で説明がなされていましたが、流動資本、固定資本の割合あるいは自己、借り入れの割合というものをそれぞれ設定なさっていますが、これは実態的にきちっとそうなっているという自信がおありの上ですか。
  37. 戸塚金郎

    戸塚説明員 資本利子の問題でございますが、流動資本、固定資本ということにつきましては、特段区分をして考えておりません。借入金と自己資金の割合は三〇対七〇ということで考えておりまして、これは従来からもこういうことでやっておるわけでございます。利率は、先ほど申し上げましたように昨年来の金利の低下傾向ということを見込みまして、年利五分五厘、これは昨年は六・七二ということではじいておりますし、自己資金については、最近の農協の一年定期の預金金利四・六〇、これは昨年は六・三五ということではじいております。
  38. 島田琢郎

    島田委員 昨年の六・七二に対してことしは五・五、そんなに下がっていますか。
  39. 戸塚金郎

    戸塚説明員 先ほど申し上げましたように農協一年定期六・三五が四・六〇というようなことでございまして、その辺等も勘案し、かつ制度金融その他の運用状況も判断いたしまして、こういうことにいたしたわけでございます。
  40. 島田琢郎

    島田委員 私は、どうもその実態といいますか、実感、私も細かに調査をしたということでないですから実感という表現で申し上げておきますが、借入金と自己資金が借入金三割、自己資金七割だ、こういう見方というのはむしろ逆だというふうな実感を持っているのです。そうでなければ、農家が負債が累増するなんということがあり得ない。ところが、実態は負債がふえて困るという、そういう状態にある。しかも、借入金については五分五厘、自己資金については四分六厘。自己資金だって借入金だって、金利の見方というのは同じようにするというのがこれはあたりまえのことじゃないですか、なぜそういう差がつくのですか。
  41. 戸塚金郎

    戸塚説明員 自己資金につきましては、利子の支払いという実態の行為が伴いませんので、これは評価ということでございますので、最近の農協の一年定期預金の金利を採用させていただいたということでございます。
  42. 島田琢郎

    島田委員 プロパー資金も含めて五分五厘なんというよう金利になっているのですか、実態的に。
  43. 戸塚金郎

    戸塚説明員 五十年産米の統計情報部の米生産費の補完調査の結果によりますると、借入金と自己資金比率は三〇対七〇ということでございまして、これを採用させていただいているということでございます。
  44. 島田琢郎

    島田委員 統計情報部長、あなたの方の報告に基づいてそれを採用したと言っているのですが、これは実態ですか。
  45. 柳井昭司

    柳井説明員 生産費につきましては、これは御議論のあるところでございますけれども、戦前から一応利子につきましては四%という形で固定しておるわけでございまして、これはまあその金利の変動につきましては、非常に激しくて年内におきましても変わるというようなこともございますし、統計上の連続性というようなこともございますので、その四%というふうに固定しているわけでございますが、ただ実際にいろんな資料等お使いになる場合のために、補完調査ということで三年置きにやっているわけでございますが、五十一年に補完調査を実施しておりまして、それにつきましては借入金と自己資金の割合等につきまして現実に調査したものを食糧庁の方にお渡ししているわけでございます。
  46. 島田琢郎

    島田委員 金利は四%で固定するというそういう前提が一つあって、それに実態を加味した、こういうお話だから、これは完全実態ではない、約束事に基づいて四%で固定したものである、それに何年かごとに調査をしたもので実態を加味したものだというふうにいま説明されたと思うのですが、そうですか。
  47. 柳井昭司

    柳井説明員 お答え申し上げますが、先ほどお手元に配付しております私の方の五十二年産米生産費の中におきましては、これは四%ということで算出しております。これは何も米ばかりでなくて、畜産物あるいは麦等においても同じような形でやっているわけでございますが、その米なら米ということでございますと、それぞれその使用目的といいますか、いろんな形で御利用なさるわけでございますけれども、その利便に供するというような意味におきまして、五十一年に補完調査をやって実態をそれぞれ関係部局の方に提出しておるということでございまして、何も四%を固定してそれに上乗せしたということではないということでございます。
  48. 島田琢郎

    島田委員 どうも食糧庁の次長が言っているのとあなたの言っているのとでは違うような気がしてならぬのですが、言い直して実態だ、こうおっしゃっているのですが、これはどうですか。
  49. 戸塚金郎

    戸塚説明員 統計情報部長のおっしゃいましたように、統計に織り込まれております。統計表の上で処理されておりますものは四%ということでございまして、利率そのものにつきましては、食糧庁が最近の金利実態によって算定をしておるものでございます。ただ、三〇対七〇というこの比率につきましては、その五十年産米について五十一年に御調査いただいた結果を採用させていただいているというふうに申し上げたわけでございます。
  50. 島田琢郎

    島田委員 次に地代でありますが、地代もまた繰り返し国会でも、地代は実納小作料をもって算定基礎とせよ、昨日の参考人の意見も、まさにこの点については明快に四参考人とも実納とすべきだ、こういう意見が述べられています。しかるに、今回試算に用いられましたものはこれを否定された。私は、実態を正確に把握したものでなければ正確な生産費にはならない、こういうふうな考え方に立って、農民農業団体の主張についてそれを支持してきた立場にいますが、この地代のとり方についても、私は非常に実態を無視しているというふうに思うのですが、これはいかがです。しかも、農協の調査によりますれば、政府の今回出されました地代とはずいぶん大きな開きがある、おおよそ八万ないし九万近い開きがあるのですが、こういう地代もまた実態だというふうに、こういう地代のとり方についてもまた正当だというふうにあなた方はお考えになっているのですか。
  51. 戸塚金郎

    戸塚説明員 ただいま先生のおっしゃいました八万あるいは九万とおっしゃいますのは、ちょっと私ども数字を持ち合わせておりませんので、後ほどまた突き合わさせていただきたいと思うのでございますが、先生いま地代実態によるべきであるという御意見でございましたが、私ども小作地の方につきましては実納小作料を、生産費調査の結果に従って実態に沿って実納小作料ということで採用しているわけでございます。自作地につきましては、地代の収受ということの実態がございませんので、これは自作地地代をどのよう評価をするかという問題でございますので、評価のところにつきましては統制小作料ということによらさせていただいているわけでございます。そもそも地代というのは、先生方にあれでございますが、いずれにいたしましても、米作収入から生産に要した諸費用、家族労働費資本利子などを控除した残渣という性格を持つものでございまして、統制小作料もこのよう考え方に立って決められておりますし、その場合の家族労働費につきましては都市均衡労賃をとっております。したがって、農村で現実に成立している地代水準というものが統制小作料より相当高いというのが実態でございますが、これは農村では実際に家族労働を都市均衡労賃より低く評価していることによるものと考えられます。これまでの米価算定で家族労働を都市均衡労賃評価し直しておるわけでございますので、これよりも低い家族労働評価ということを前提にして成り立っております高い実納小作料を自作地地代評価のところに取り込むということは必ずしも適当でない、したがって、統制小作料でいいのではないかというふうに考えるわけでございます。
  52. 島田琢郎

    島田委員 そういう実態的な問題は出てまいります。しかし、全体的にもう少し実態を正確に把握する、そういう点で、基本になるべき姿勢として整理をするものは整理をする、私はこういう考え方に立つべきだという主張を繰り返しているわけであります。  さて、収量という問題でありますが、収量も実に高い収量が使われているわけであります。これも限られた生産費調査農家戸数等による、あるいはそれが適正に採用されるということでなければいけないわけであります。しかし、示された今回の反収というのは、実態として果たしてこんなに高い収量なのかどうかという点について私は一面の疑義を持っているのでありますが、この点については、統計情報部としては正確な実態把握によるものであるというふうな自信をお持ちですか。
  53. 柳井昭司

    柳井説明員 お答え申し上げます。  生産費調査につきましては、先生御案内のように約三千戸ということで、米生産販売農家約三百万戸の千分の一の抽出というふうな形で、サンプル理論に基づいて配付して調査しておるわけでございますが、本年が前年に対しまして五・三%というふうな形で高く出てきている理由の一つといたしましては、昨年は冷害等によりまして収量が低かった、そういうこともございまして本年は高く出てきておるのではないかということでございまして、私たちとしては、この生産費調査における収量を適正なものというふうに考えておる次第でございます。
  54. 島田琢郎

    島田委員 あなた方の調査の結果出てまいりました平均反収は幾らになっているのですか。
  55. 柳井昭司

    柳井説明員 五十二年は五百十二キログラムでございまして、五十一年が四百八十六ということで、前年対比で五・三%アップというふうに思っております。
  56. 島田琢郎

    島田委員 この千分の一の調査農家の、階層別といいますか、経営別といいますか、そういう実態はどういうことになっているのですか。
  57. 柳井昭司

    柳井説明員 階層別の、作付規模別の反収でございますが、全国がいま申し上げましたように五十二年は五百十二キログラムでございます。これが階層といたしましては、三反未満が四百九十二、それから三反から五反が四百八十一、五反から一ヘクタールのところが四百九十三、一ヘクタールから一・五ヘクタールのところが五百十キログラム、一・五ヘクタールから二ヘクタールのところが五百三十八、二ヘクタールから三ヘクタールのところが五百四十六、三ヘクタール以上が五百三十八というふうな数字になっております。  なお、いま三反と言いましたけれども、これは三十アールでございます。失礼いたしました。
  58. 島田琢郎

    島田委員 大まかで結構ですが、米づくり農家の階層別といいますか、規模別の全体的なものはどういう比率になりますか。
  59. 柳井昭司

    柳井説明員 規模別の作付農家比率でございますけれども、これは食糧庁からお答え願った方がいいかと思いますが、米の政府売り渡し農家につきまして階層規模別になっておるわけでございます。三十アール未満が一五%、それから三十から五十アール未満が二五・三%、五十から百アール三四・八%、それから百から百五十が一二・九%、それから百五十から二百が五・六%、それから二百から三百が四・一%、三百以上が二・三、こういう構成比率になっておるわけでございます。
  60. 島田琢郎

    島田委員 収量につきましては、統計情報部も食糧庁も戸数の抽出の仕方、調査農家の抽出の仕方、あるいは出てまいりました数字の取り方、それによっていろいろ違いが出てくるということになるわけでありますが、出てまいりました反収というのは、実際に米をつくっておる農家から言わせれば、実感として非常に納得できない。たとえば、これが売り渡した数量だということになりますれば、なお実感として、そんなに収量があるのか、自分で米をつくっていても納得ができないという声をしばしば耳にするわけであります。これもまた、間違っても作為的な数字が使われるなんということがあってはいかぬわけであります。  かつて、ビートの問題で、ビートの価格決定のときに私はこの問題を取り上げたことがあります。ビートの価格決定はビートの収穫がおおよそ八割済んだところで決められる、こういうことでありましたが、当時私が問題にしましたのは、それよりかなりおくれて価格決定がされたときですが、そのときには、実態的にはこれだけしかとれていないというのに、それよりも六十数トン多い数字が使われたというところで問題にしたことがあります。推定の段階ではやむを得ないとしても、実態が明らかになったのならその実態数字を正確に使うということでないと、出てくる数字が正確でないのではないかということを言ったことがあります。  また、米の問題は三年間の加重平均でとらえるというような約束になっておりますから、そういう点ではビートのときの問題とは基本的に違うかもしれませんけれども、収量が十キロ多いか十キロ少ないかで、価格算定していく上でずいぶん大きく違ってくるわけであります。ですから、収量の正確な把握というのは、生産費調査をおやりになる統計情報部としては最大限実態把握に努力してもらわないと困るわけなんです。  さて次に、いまの作柄から予想されますものは、ことしも百七十万トンの減反、そういう状態の中でも、なお米は買い入れ数量をオーバーする、そういう点が当然予測されます。百七十万トンの減反、こういう事態を踏まえて、ことしは初年度でありますから明らかにしておいてもらわなければいけませんが、つくった米は全量買い入れるという基本線に立ってもらわないと困ると私は思うのです。困るばかりではありません。農民の協力とか、あるいは皆さん方が、政府がペナルティーを科して強行したこのいわゆる仕打ちとしては、生産された米を全量買い入れるということが前提にない限り、これは農政の不公平ということになりかねません。この余剰米あるいは生産全量に対しては、買い入れるという気構えをいまからしっかりと持ってもらいたいと思うのですが、それはいかがでしょうか。
  61. 今井勇

    今井説明員 この問題は、前国会からしばしば御質問がございまして、政府としても統一した見解を申し上げております。すなわち、予約限度数量を超えたものの取り扱いでございますが、従来からこれについては政府が直接買い入れるということは行っておりません。ただ、ほっておきますと流通ルートを乱しますので、自主流通ルートを通じて集荷、販売させることとしてきておりまして、本年以降もこの方式によって処理してまいりたいと考えます。  そのときに、やはり公平確保の見地から、協力してくだすった農家とそうでないものとの間に一定の格差を設けることは必要でありますので、目標を達成した場合の超過米につきましては、転作目標の達成を奨励する見地に立って、特に円滑な流通を図るための適切な措置を講ずる考えでございまして、転作目標未達成の場合に発生した超過米とはおのずからその取り扱いが異なるものでございます。
  62. 島田琢郎

    島田委員 私はそんなことは聞いていない。つくった米を全量買うか買わないかということを言っている。  そもそも、あなた方はペナルティーを科して減反政策を強行されたんでしょう。それはどんどん詰めていったら、強制する考えはないと言っている。それをいまあなたは否定されるのですか。
  63. 今井勇

    今井説明員 百七十万トンの生産調整をお願いいたしておりまして、これはとれるであろうお米から消費するであろうお米を引きました数字でございます。したがいまして、計画どおりにいきますればプラス・マイナス・ゼロに相なるわけでございまして、私どもはそのとおりにいたしたいと存じます。  しかしながら、天候等の状況もございますので、いわゆる余り米といいましょうか、豊作米というのが出てくることも考えられます。そのときは、私が答弁申し上げたようなことで処理いたしたいと言っているわけでございます。
  64. 島田琢郎

    島田委員 それは問題です。われわれはこの春、予算委員会でもあるいは農林水産委員会でも、制裁ではありません、あくまで強制するものではありません、自由に農家は選択をしてもらって、減反に協力する、しないも、農民皆さん方の自由にお任せをします。こう言い直したのですよ。通達もし直したのですよ。いま、協力した者と協力しない者と区別して米の買い入れをやるなんというのはおかしいじゃないですか。それはあなた方が国会で正確に否定されたことを、いままた否定することになるのですよ。これは重大発言です。そういう考え方であるならば、あなた方は基本的に国会を何と心得ておるのか、国会で議論されたことをどういうふうに理解しておるのか、政府側の考え方農民皆さん方との考え方の間において大きなずれがいままた生ずるということになるのです。政務次官の発言は重大発言でありますから、もう一度お答え願いたい。
  65. 今井勇

    今井説明員 これは間違ってないと存じます。すなわち、食糧管理の適正な運営を行うためには、国民食糧確保の観点から必要のあるものを買い入れるということでございます。したがって、ことしも予約限度数量というものを定めております。その買い入れをやっておるわけであります。このような予約限度の性格から、転作に対する協力農家であると非協力農家であるとにかかわらず、発生した予約限度超過米については、従来から政府買い入れは行わず、その流通秩序を維持する観点から自主流通ルートを通じて集荷、販売させることとしてきておるものでございます。本年以降につきましてもこの方式によって処理する考えでございます。しかし、公平確保の見地から、協力農家と非協力農家との間に一定の差を設けることは必要でありますので、目標を達成した場合の超過米については、転作目標の達成を奨励する見地に立って、特に円滑な流通を図るための適切な措置を講ずる考えでございまして、転作目標未達成の場合に発生した超過米とはおのずからその取り扱いが異なるものであります。このように申し上げてあります。
  66. 島田琢郎

    島田委員 それは制裁の範囲に入るじゃないですか。ペナルティーは科さないと言ったのですよ。それをあなたは否定されるのですか。それも含めて制裁じゃありませんか、それは。これは重大な発言です。基本的に考え方がそこにあるのだとすれば、われわれはこの点についてももう一度徹底的な論議をし直さなければならなくなる。おかしいじゃないですか。後段の説明は私は納得できない。
  67. 今井勇

    今井説明員 私はそのように考えております。
  68. 島田琢郎

    島田委員 政務次官が考えているのか、それとも政府はそういう考え方に統一されているのか、その点はいかがです。
  69. 今井勇

    今井説明員 私は従来からそう申し上げていると存じております。
  70. 島田琢郎

    島田委員 それじゃあなたは制裁、ペナルティーというものではないと国会で答弁されたいわゆる政府考え方を否定されたということになりますね。制裁はやらないのだ。ペナルティーは科さないのだ。ところが、明らかにいまのは制裁じゃありませんか。来年以降に対する一つの制裁措置じゃありませんか。ことしやったものに対する、ことしの減反政策に対するペナルティーじゃないですか。
  71. 今井勇

    今井説明員 そのペナルティーがわかりませんが、国会で議論になりましたのは、本年度達成をしなかった方の数量は次年度に持ち越しますということは申し上げたことはございます。確かにそのとおりでございまして、このいまの余り米についての取り扱いは私は従前からこのような御答弁を申し上げておったと存じます。
  72. 島田琢郎

    島田委員 これは明らかにペナルティーであるということを肯定した、こういう政府の姿勢だというふうにわれわれは考えます。したがって、もう時間がなくなりましたから、また次に同僚議員によってこの点については詰めてもらうわけでありますが、私の方から最後に残された問題について申し述べて、私の質問を終わりたいと思うのです。  冒頭から、過剰である、大臣のきょうの米審に対する諮問の中でも過剰であるという言葉が幾つか使われている。過剰基調であり、過剰だというそういうものをつくり上げてきた責任を、あたかも生産農民に課するような発言がしばしば国会でなされている、あるいは国会外でもなされているというのはきわめて遺憾だ。つくった米を完全に政府が処理をするという責任を放棄するのは許されないことである。したがって、社会党としても具体的に消費拡大対策に対して提言を幾度かやってまいりました。やれ困難だ、やれむずかしい、つまりはやる気がないということを表明されている。そういう対策を手抜きにしておいて、諮問米価据え置きをやるなんということは、私はこれは絶対に許すことができない。そういう米に関する将来のプロセスなり展望というものを一つも示さないというところに、私は今日の米問題に対する政府側の姿勢の疑問が幾つも幾つも出てくるわけなんです。ここのところを明確に早急に具体的に、しかもこれを天下に示すという姿勢の中から国民の協力を求めていくということがなければいけないのに、さっぱりその点が出されてこない。議論としては幾つもあるけれども、それが政府側としてはいろいろへ理屈を述べてやろうとしない。結果は来年以降にもさらに減反を強行しようなんということになってあらわれてくる。迷惑をこうむるのは生産農民国民なんであります。もっと毅然たる姿勢をもってこの米の問題に対処するということがなければいけないと思うのですが、五十三年米価決定を前にしてもまだこの考え方が明確に示されないというのは、きわめて遺憾なことであります。  私は重ねて最後に申し上げますが、ただいま米審に諮問されております据え置き米価は直ちに撤回すべきだということを強調して、私の質問を終わりたいと思うのです。
  73. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 野坂浩賢君。
  74. 野坂浩賢

    ○野坂委員 政務次官にまずお尋ねいたします。  きのうから農林省が農林水産省ということになりました。農林水産省は生産農家皆さんの立場に立って従来から政策を進める、こういうお話を耳にたこができるほど聞いてまいりましたが、農家の立場に立って、生産農民の側に立ってこれからも行政を進められるのか、その点についてはどのようにお考えですか。
  75. 今井勇

    今井説明員 申し上げるまでもなく、日本農業を守るのは農林水産省以外ないと存じております。
  76. 野坂浩賢

    ○野坂委員 米審に諮問をされましたこの米価について、農民の側に立った農林省は、ここにたくさんの農家皆さんがおいででありますが、農家皆さんはこの米審についてどのようにお感じになっておるか、政府の出した諮問案についてどのように受けとめておるか、その点についてはどのようにお考えですか。
  77. 今井勇

    今井説明員 残念ながら、私ども努力にもかかわらず大変御不満なものが多いのではなかろうかと存じております。
  78. 野坂浩賢

    ○野坂委員 そうすると、そのことがよくわかっておるのに、農林水産省が農民の側に立って、農民の生活を守っていくのには農林水産省しかない、そういう御答弁があったわけですが、いまは農民皆さんは全部不満である。そういうことであれば、農民と血の通った、米価審議会に対する政府の、農林省としての諮問案ということにならぬじゃないですか、どうですか。
  79. 今井勇

    今井説明員 そこで、私どもが先ほどの御質問にも御答弁申し上げたとおり、長い将来で日本国民食糧を安定的に供給し、かつ食管会計というものを堅持していくための方策をわれわれはいま同時に考えなければならないと思うものでございます。そこで、昭和四十五、六年の減反をお願いしたときに思いをはせて、そのときの状況を踏まえながら今度の米価算定させていただいたということをるる申し上げたわけでございます。  そこで、御不満はありましょうが、今後、きょう、あす米審の議論を踏まえまして、最終的には政府の責任で決めさせていただきたい、このように考えております。
  80. 野坂浩賢

    ○野坂委員 農林水産省としては――めんどうくさいから農林省でいきますが、農林省としては、長期の展望に立って農民皆さんの生活を引き上げていく、こういうお話でありますが、いままで農業の就業人口というのはずっと減ってきております。昨日も農家皆さんの代表が、私の息子がということを前提にしていろいろお話がありました。いまの中学校や高等学校の就職者の総数は六十七万三千人ですね。このうちに農業に就業した人たちは一万二千人です。わずかに一・八%に減った。ふえておることはないのですね。ずっと毎年後継者は減っておる。そして農業就業人口は一年もふえていくというところはないですね。これは、農家皆さん農業の長期展望に立って希望のある農業をやっておるという実態を示しておるでしょうか。その点については、この実態を踏まえて政務次官はどうお考えでございますか。
  81. 今井勇

    今井説明員 農業もまた業の中の一つでございます。各国とも一次産業の人口比率というのは、年々減少することはあるにせよ、ふえることはなかなかむずかしいものでございまして、日本もまたその一つでございます。特に農業土地が限られております。特に日本の場合には土地が限られておりますので、そこで生産性を幾ら上げましても限度というものがございます。したがって、農業からだんだんと二次産業、三次産業に御転換になっていくということはやはりやむを得ざることであろうと思います。しかしながら、最終的に日本農業で生きようという日本農民日本食糧を確保しようという意欲のあるりっぱな青年諸君もまたたくさんおることを私は身近に知っております。そこで、われわれとしては、何とかして規模の拡大等を、農地の移動を伴わずに行うことにより、また、政府の、農産物価格が総体的にバランスのとれたものにするようにする等々の施策を講じて、希望を持って農業に従事していただくよう努力をさらに続けてまいりたいと思います。
  82. 野坂浩賢

    ○野坂委員 いまのあなたの発言は非常に重要な意味を持った御発言でありました。それは、外国と日本との農業、狭隘な日本の農地、そういうものを踏まえて第二次産業に流れていく青年もおるけれども、踏みとどまっておるというその点はいいのですが、農業と他の産業との格差はあるんだ、流れていくんだ、こういう意味にとれる発言をされた。非常に重大ですね。農業と他の産業との格差の解消がいまわれわれの命題なんですから、その命題がよけいはさみ状に拡大をされるということになれば、これはきわめて重大であるというふうに思いますね。  そこで、もしあなた、私が質疑をしておる、誤解があったということで答弁されると思うのですが、それなれば、農業と他の産業との格差を解消する具体的な方途をここに示してもらわなければ納得ができませんね。その点についてはどうですか。
  83. 今井勇

    今井説明員 私の申しましたのは、農業の中の作物間のことを言ったつもりでございますが、それが農業と他の産業というふうになれば、これは私の言葉足らずでございます。  そこで、農業基本法にも明確にうたわれていますように、これからの日本農業というのは、生産性の向上をしていって他の産業に負けないようにするんだということで、基本法では作目というものを限定して――限定するといいましょうか、特に重要な作目に着目をして、それに適地適産、生産性を上げていこうじゃないかという等々の施策を掲げております。私、その考え方はいまでも変わらないと思います。そうして、わが国の狭小な土地柄でありますが、優秀な頭脳と勤労の皆さん努力と、またさらに農産物価格の相対価格差を減ずることによって、そして他の産業に負けないものにしていこうということは、いまでも変わらざる私どもの基本的な考え方でございます。
  84. 野坂浩賢

    ○野坂委員 理屈はいろいろ言えますけれども、聞いていらっしゃる農家皆さんは、あなたの言葉を実感として受けとめておるだろうかということを私は疑問を持ちますね。きわめてそらぞらしく聞こえる、こういうのが実態だと思いますね。  いま問題は、他の産業と農業との所得の格差は解消する、その方向で進める、こうおっしゃっておるわけです。その進める方向としては何が一番問題なんですか、いま。どうしなければならぬのですか。たとえば、農家が一番たくさんつくっておるというものは米なんですね。その米は労働者の賃金に匹敵する。その米価について据え置きというのは問題じゃないか。所得の格差の解消というのはできるのか。できるという自信がありますか。何年の間に格差解消ができますか。後継者がうんとできて、一・八%でなくて一〇〇%もできる、何としてもおれは農業をやるというような意欲を後継者は持たないというのが今日の現状じゃないですか。これは所得の格差があるということを端的に示していることなんです。当面はそれについてはどうされますか。
  85. 今井勇

    今井説明員 私は、今後の農業を考えていく場合に、価格の面だけに特に焦点を当てて考えていくのではなくて、むしろ、農地所有の流動ではなくて耕作の流動等を通じて規模の拡大をしていくこと、それから土地利用率をさらに向上していくこと、また、皆さんが自衛のためにやっておられる複合経営をさらに進めていくこと、そういうことをやってまいりまして、全体として農家所得が向上するという方法をとることが最善の道だと思っております。
  86. 野坂浩賢

    ○野坂委員 農地の拡大というのはなかなかむずかしいし、農地の利用率を高めて一番効果度の高い米をつくろうと思っても、あなた方はぶった切る、おまけにペナルティーまでつける、こういうかっこうでありますから、どうしていいかわからぬ。一口で表現すると、いまの農家皆さんは、原野に立って茫然自失をしておる、これが農村の実態なんですよ。そういう点について、複合経営をやれとか、いろいろ言われますけれども、本当にそういう点について所得の格差がこれで解消できますか、あなたの言ったとおり。たとえば二町の規模、一町歩でもいい、何と何をやったらどのように他の産業との格差というものが完全に解消ができますか。どれが適正規模なんですか。そして、どのような牛を飼えばいいか、豚を飼えばいいか、何をつくったらいいかということを明確にしてください。
  87. 今井勇

    今井説明員 私は、農村の諸君に聞かれるときに、よくこういうたとえ話をするのであります。あなた方が一年ほど前に要求米価二万円ということで見えたときに――私どもは四国でございますから、耕地の少ないところでございます。それで、あなた方が二万円米価とおっしゃったときに、そのとおりもしやったといたしましても、年間三百万の粗収益を上げるとしたら、反当たり十俵を出ましても一町五反のたんぼがみんなに要るわけでございます。ところが、それはなかなか言うべくしてできないことじゃなかろうか。だから、われわれのようなところでは、やはり複合経営等をやり、なおまた、田を有効にさらに使っていって、所得を上げることをやろうじゃないかというふうに私は申し上げているわけでございます。特に日本の場合は、計画経済ではございません。したがいまして、これこれのものをやれというわけにもまいりません。それぞれの皆さん方が自分の創意と工夫とでやっておられるわけでありまして、われわれはそれを助成していこうというふうに考えておるものでございます。(発言する者あり)
  88. 野坂浩賢

    ○野坂委員 全く無方針ですね、ここでやじがあるように。そのとおりですね。おまけに、これをつくれ、あれをつくれということは言わぬけれども、米をつくってはならぬということだけは言う。ここに集中しようとしても、そこに持っていかせない、こういうことなんですよ。  私は、農林省にちょっとお尋ねをしますが、これから米に入っていきますけれども、五十三年六月に大蔵省からこういうパンフレットが出てきたことは御存じですね。これは逆ざやの問題あるいは財政負担の問題、言うなれば、生産者米価は据え置け、そして農林予算に食い込んでおるから、何としても逆ざやの解消をしなければならぬ、消費者米価はだから上げなければならぬ、こういうパンフレットですよ。御承知でしょう。お読みになったと思います。これについてどういう御感想ですか。
  89. 戸塚金郎

    戸塚説明員 そういうようなパンフレットが大蔵省から出ていることは存じておりますし、内容は先生がおっしゃったような主たる内容であるというふうに考えておりますが、詳細は十分検討いたしておりませんので、意見は差し控えさしていただきたいと思います。大蔵省の考え方でございますので、私どもとしては意見は差し控えさしていただきたい。  ただ、米の需給が非常に逼迫をしておるという問題、それから、いまおっしゃいましたように、逆ざやもある、米の流通その他についても非常に問題があるということについては、私どもも、考え方としては基本的に一致しているものだと考えております。(「大蔵省農林部じゃないか」と呼ぶ者あり)
  90. 野坂浩賢

    ○野坂委員 そうなんだ。私どもは、それじゃ農林省は要らぬですね。私は、前広米審のときに村山大蔵大臣とお会いしました。そうしたら、米価問題については農林省の所管なので、私は何も言を差しはさまない、農林省が決めたら財政的な協力その他は惜しむものではない、こういうお話だったのです。時たまたま大蔵省から米審の前に、米価決定の前にこういうものが出されておる。これについて農林省は、全くそのとおりでございます。農民皆さんとの血の通った農政というものは、今後、大蔵省のとおりでございます。こういう考え方ですか、食糧庁の次長は。
  91. 戸塚金郎

    戸塚説明員 大蔵省のパンフレットが、米をめぐる最近の実情について、これは記者クラブにレクをするために調製をしたものだというふうに聞いているわけでございまして、これは大蔵省の考え方で、私どもは、今日生産者米価につきまして米審に諮問しておるわけでございますが、私どもは私どもなりに、農政の立場からあらゆる意味で検討いたしまして、適正な米価を現在諮問しておるということでございます。
  92. 野坂浩賢

    ○野坂委員 だから、これについてはどう考えておるかということですよ。農林省としては意見があるのでしょう。あなた、これを読みましたか。それではどうなんですか、農林省としては。政務次官でも結構ですよ。
  93. 今井勇

    今井説明員 私は、そういうパンフレットまでは読んでおりませんけれども、それは財政的な意味の一面を強調していると思います。しかしながら、農林省は農林省の立場がございますから、財政の面ももちろん考えなければいけませんけれども、われわれはきょうの先生のお話のとおり、やはり農民の生活を守り、また一方、国民に貴重な食糧を供給するという大責任がありますから、そういう責任のもとにおいて米価を決めさせていただきたい、こう思います。
  94. 野坂浩賢

    ○野坂委員 大蔵省、おりますか。いま私が申し上げたように、農林省は農林省独自でありますが、特に大蔵省がこういうパンフレットを出された意味はどこにあるわけですか。
  95. 古橋源六郎

    ○古橋説明員 お答え申し上げます。  米価につきまして、大蔵省といたしまして、これの逆ざやが非常に大きい、そのために食糧管理費が農林関係予算の中で非常に大きなウエートを占めておる。いろいろなところで私どもは納税者からもいろいろなことを聞かれます。そして、記者クラブの方からも毎年その前にいろいろな資料要求がございます。そこで、それを例年、米価をめぐります事情等につきまして、まとめて記者の方々にお知らせをするということの方が、一々記者の方から、こういうふうなのはどうなっているかと言われては困りますので、それをまとめて、私の責任において六月二十七日に記者クラブの方に公表をしたということでございます。  なお、その中におきましては、米価をめぐります事実関係を御説明申し上げたということでございまして、あくまでも、米価というものは食糧管理法の規定に従いまして、米審にかけて適正に決定をするということでございまして、その事実関係を述べたものでございます。
  96. 野坂浩賢

    ○野坂委員 大蔵省は、あなたの上司である大臣は、こういう件については私は言を差しはさむものではないということをわれわれに明言しておりますよ。六月十九日です。その後、六月二十七日に出されたということは非常に問題があると思うのです。しかもこういうことが書いてありますね。「末端逆ざやの存在するよう価格体系は、消費地等のやみブローカーが政府売却米を卸業者等から買い入れて産地に逆送し、農協等を通じて再度政府に売り渡して」いわゆる不正逆ざやをやるのだ、こういうことが現実にあるのですか。農家皆さんは本当は全部売ってそれを買えばいい。しかし、高い米であっても自分のつくった米は自分で食って処理しておるわけです。これは「ブローカー」と書いてありますから、そういう事例があったら明らかにしてもらいたい。
  97. 戸塚金郎

    戸塚説明員 こういう席で個別の名前を申し上げるのは問題があるかもしれませんが、あえて申し上げますれば、四十八年でございますが、秋田県平鹿郡の農協におきまして、政府が買い入れた米の中に約四千俵の還流米が含まれておりまして、埼玉あるいは東京、山梨というところからもう一遍秋田に戻って、秋田の農協を通じて政府に売り込まれた。これが警察の問題になりまして、食管法違反事件になったというケースがございます。
  98. 野坂浩賢

    ○野坂委員 それはやみブローカーでありまして、生産農民ではない。そういうものは食管法でびしびし縛り上げたらいいじゃないですか。だから、現状はどうなのかということですね。これは六月ですから。
  99. 戸塚金郎

    戸塚説明員 東京方面で集荷をいたしましたものは、いま先生御指摘のようにブローカーでございますが、秋田で現実に食糧事務所に売り込んでまいりましたものは農協でございます。農協がこれを受けて食糧事務所に売り込んできたという事例でございます。
  100. 野坂浩賢

    ○野坂委員 四十八年のことで私が申し上げておるのは、農協にやみブローカーが持っていったということで、それは生産農民ではないというふうに私どもは判断しておりますが、そのとおりでしょう。  そこで、そのものについての調査をし、事後措置はどうしたのか、ことし、去年は一体どういう状況なのか、こういう事例があるのか、お話しをいただきたい。
  101. 戸塚金郎

    戸塚説明員 先生御承知のように、農協は食糧事務所に対して指定集荷業者という立場にあるわけでございまして、そのような不正事件がございますれば、農協の指定集荷業者の資格を取り消すというようなことも出てくるわけでございますが、その際には、初めてのことでもございますので、責任者の更迭ということで、農協体制の刷新ということでそれはそれなりに処理をしたということでございます。その後特に刑事事件になったという大きな事例はございません。
  102. 野坂浩賢

    ○野坂委員 最近ではないということですね。  それから、新生産調整は一〇六・八%やったというふうに新聞は報じておりますね。当初予定をしたのは千百七十万トンということでありまして、六・八%上乗せになっておるわけですから、先ほど島田君が質問をした全量買い上げても政府の予定したものより足らなくなるのじゃないですか。そうすれば、全量買い上げをするということを大みえ切った方がいいじゃないですか。血の通った農政ということが、一つでも理解を求めたことになるのじゃないですか。千百七十万トンよりも少なくなるのじゃないですか、あなた方の言ったとおりになったのですから。それはどうなんですか。
  103. 戸塚金郎

    戸塚説明員 千百七十万トンという生産計画に相応いたしまして、八百三十万トンという限度数量を現在定めているわけでございます。百七十万トンの転作実績がさらに上回りまして八百三十万トンを下回るということになりますれば、下回る分については状況によりまして県間調整その他で対処することはできると考えますが、先ほど政務次官もおっしゃいましたように八百三十万トンを上回っては買い入れはしないというのが従来からの方針でございます。
  104. 野坂浩賢

    ○野坂委員 需要と供給の関係でちょうど、需給のバランスをとるために百七十万トン減産をし、三十九万一千ヘクタールの減反を行ったのでしょう。すると、ちょうど需給のバランスがとれるでしょう。それに協力し過ぎて一〇六・八%ということになれば、計算すると生産量は千百七十万トンよりも減ることになりますね。その減らしてちょうどバランスをとるために、農家皆さんはそれだけ減反をしてそれに協力をしてしまった。もちろんペナルティーをつけて、徳川幕府時代の五人組制度みたいに相互監視主義をとりながらやった結果ではありますけれども。それだけみんな協力をしたものだから、そういう協力したとかしないとかいう問題は、この前も今井政務次官とやって、全部協力したのだから差別はつけませんと言ったのですよ。だから、それは全部買い上げるのが当然じゃないですかということになりませんか、理屈は。あなた方は理屈が好きですから。そのとおりでしょう。
  105. 戸塚金郎

    戸塚説明員 五十三年につきましては昨年の倍になります百七十万トンという転作をやっていただき、限度数量も八百七十万トンから八百三十万トンに減らして割り当てをしているわけでございまして、そういうことをせざるを得ない諸状況の中でございますので、八百三十万トンに全国ベースで見たときに余裕が出ますれば県間調整ということもあり得る場合もあろうと思いますけれども、全体として八百三十万トンを上回ったものについては、残念ながら買い入れはできないということでございます。
  106. 野坂浩賢

    ○野坂委員 協力はせよ、米は買わぬ、こういうことですか。それでは、トラクターとかコンバイン、田植え機、そういうものをみんな使っておりますね。四十万ヘクタール減反をしたわけですから、それだけの操業率というのは何としても落ちる。これは常識でしょう。その落ちる分はこの米の値段にどういうふうに反映しておるのですか。
  107. 戸塚金郎

    戸塚説明員 生産費所得補償方式米価をはじいておりますので、五十二年産米までの実態ではじいておりますので、五十三年、先生のおっしゃいますよう減反が大幅に上回ってそのために機械その他の問題が出てまいりますれば、それは来年以降、五十三年の生産費に反映をされるべきものであるというふうに考えるわけでございまして、いままでの米価生産費所得補償方式というのは、過去三年の平均生産費基礎にするということでございますので、ことしどうなるかということは、直ちに米価への算入の要素にはなり得ないというふうに考えるわけでございます。また、私どもも素人でございますけれども、仮にトラクターその他が転作作物その他に有用に利用される場合もございますので、そういう実態も踏まえて来年以降ということになるわけでございます。
  108. 野坂浩賢

    ○野坂委員 都合のいいものはとり、都合の悪いものは捨てる、こういうかっこうが政府実態であるということであります。  そこで、きょう示されました物件税、公課負担の問題でありますが、この中で農業共済の賦課金というものは、これは掛金ですかどうなんですか、簡単に答えてください。
  109. 戸塚金郎

    戸塚説明員 事務的な賦課金は米価の中に算入しておりますが、本来の掛金は算入いたしておりません。
  110. 野坂浩賢

    ○野坂委員 そうでしょう。これは掛け捨てなんですよね。全体の農業共済の掛金の二〇%というものは、災害があって大体受け入れられるところがありますけれども、掛金は千二百九十四円ぐらいですよ。それも算入すべきじゃないか、こういうふうに私たちは考えております。その点については、都合のいいものはみんなとるけれども、悪いものは捨てて、なるべく米価を抑えよう、低米価でいこう、据え置きでいこう、あなたの考え方はこういう計算方式ですよ。あなたは顔に似合わぬ悪いことをする。  そこで、この負担を見ると、農業協同組合費とか農事実行組合費とか部落協議費とか、そういうものが全部あるんですよ。あるんでしょう、いまあなたが説明されたのですから。これは何をやるかというと、中身としては企画労働をやるということなんです。銭で片っ方では認めておいて、そのとった労働時間、企画管理労働費というものについては、協同組合で勉強したり、あるいは実行組合で今後の防除の方針とかトラクターの関係とか、あるいは運転とか、そういうことをみんなで勉強するところなんです。こういう賦課金として銭を出したところは認めて、中身でそういう勉強をする労働時間は削除するというのは矛盾もはなはだしいじゃないですか。これは入れるべきです。入れなさい。どうです。
  111. 戸塚金郎

    戸塚説明員 現実に農家が拠出されておりますそういう賦課金のようなものは、生産費調査によりまして実態に沿うように配慮して入れているわけでございますが、先ほどから何遍も申し上げるようでございますが、企画管理労働というようなものは原価性に非常に問題があるという点と、実態が把握できないということで、(「できると言ったじゃないか」と呼ぶ者あり)いや、時間数その他については正確に把握ができないということでございますので、今日算定をいたしておりません。
  112. 野坂浩賢

    ○野坂委員 私は、実態に即してやってもらいたいと言っておるのですよ。実態に即していないということです。それでは、協同組合費や実行組合費や部落協議費といういろいろな協議をする費用を取って、そこで何をするのですか。費用を取って、その部落の区長さんや実行組合長が一人で飲んでおるのですか。みんなが集まって勉強したりいろいろするのでしょう。そのための費用じゃないですか。それではこれは何のための費用なんですか。勉強したり、打ち合わせをしたり、会議をしたりする費用じゃないのですか。
  113. 戸塚金郎

    戸塚説明員 企画管理労働は非常に問題でございますが、何遍も申し上げるようでございますけれども、たとえば集会あるいは研修、その他これが米に本当に特定をされて、費用として特定のできる時間把握ということは、いまの段階で非常に困難であるというふうに考えておるわけでございます。
  114. 野坂浩賢

    ○野坂委員 あなたはおかしいことを言う。日本農家皆さんは、米価の問題についてこれほど関心があるんですよ。     〔山崎(平)委員長代理退席、林(義)委員長代理着席〕 三番町へ行ってごらんなさい、どういう状態なのか。そのことをよく御存じでしょう。その大宗をなすものは米だ。だから、米のウエートというものは、協同組合費や実行組合費の中には非常に占められておるということは常識じゃないですか。私たちの調査が行き届かぬために、それは要素として取り上げることはできません、実態は認めておりますけれども取り上げることはできません。これはあなた方の怠慢です。農家皆さんからの要求もちゃんと出ておるじゃないですか。それなればちゃんと入れるべきですよ。実態と合わない、こういうことになるんじゃないですか。私の不勉強でまことに申しわけありませんが、これを取り上げることはできませんでした、これでは済みませんよ。米価に関係するわけですから、米価に。そうでしょう。それなれば、これはその実態に即して当然取り上げるべきだ。片っ方で取り上げて片っ方で取り上げぬというようなばかなことがありますか。取り上げなさい。取り上げますか。
  115. 今井勇

    今井説明員 企画管理労働の問題については、この場で何遍も議論をされまして、確かに過去、米の足りない時代にとったこともございます。しかしながら、その当時は企画管理労働のみならず、考え得るものはずいぶん細かいものまで取り上げまして、そして要素として加えてまいったのでございます。その後米がだんだんと落ちついてまいるに従って、そういった要素はだんだんともとに戻すといいましょうか、削減をしてまいっておるわけでございます。  さて、本年の米価につきましては、ちょうど四十四、五年の状況に酷似いたしておりますので、そのときの米価算定方式に戻ったわけでございます。したがいまして、そのときにはそういうものはもうございませんでしたし、今年それを特に新たに追加するという事情でもなかろうということで取りやめたわけでございます。
  116. 野坂浩賢

    ○野坂委員 私は、米価算定の要素というものは一貫してやるべきだということを常に主張してきました。前の農林大臣の鈴木善幸さんも、そのとおりだと思うと言っておられる。いままで、中野食糧庁長官あるいは三善食糧庁長官の時代もそういうふうに述べておられますね。要素というものは、いまお話があったように都合の悪いときにはやめ、都合のいいときには取り上げる、こういうようなかっこうになるものなんですか、その算定というものは、方式というものは。取ったり捨てたり適当にやる、こういうことなんですか。
  117. 今井勇

    今井説明員 法に基づきまして、米価所得補償方式によりますが、その前に、そのときの経済の事情あるいは需給の事情を勘案すと書いてございます。そのとおり忠実に守ろうとしているわけでございまして、その需給の事情、経済事情勘案するということは、すなわち、積算をするときにいろいろ配慮をするということであろうと思います。
  118. 野坂浩賢

    ○野坂委員 それでは、いままでの大臣なりの考え方というものをあなたは否定されるわけですね。一貫した方式ではない、需給事情勘案して、その年その年で取ったり捨てたり適当にやる、こういうことですか。
  119. 今井勇

    今井説明員 適当にではございません。現実にそのような歴史をたどっておることを申し上げております。
  120. 野坂浩賢

    ○野坂委員 私は、米というものは一貫して考えてもらいたいということを申し上げると同時に、そうすると、食糧管理法の三条に、「生産費物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」と書いてありますが、こういうかっこうでは、現実の問題として再生産を期し得ないじゃないかというふうに私は思います。  時間がありませんから簡単に申し上げますが、四十二年の際の政府算定方式どおりでやると、現在は六十キロ当たり幾らになりますかということが一点。そして、この米価のカバー率は裸で何%になりますか。その点を明確にしていただきたい。
  121. 戸塚金郎

    戸塚説明員 四十二年産米のときの同じ方式で今日はじきますと、基準価格でございますが、二万四千三円ということに相なります。それからカバー率ということでございますが、これは五十三年産米のことでございますので、五十三年産米生産費はまだ出ておりませんので、カバー率というのは算定ができないということでございます。
  122. 野坂浩賢

    ○野坂委員 五十二年は。
  123. 戸塚金郎

    戸塚説明員 五十二年は二万四千三円ではございませんので、カバー率はまた変わってくるということでございます。
  124. 野坂浩賢

    ○野坂委員 いまの米価での生産費のカバー率は裸でどの程度になるのですか。――わからぬのですか、四〇%以下でしょうが。
  125. 戸塚金郎

    戸塚説明員 五十二年産米生産費が先般発表になっておるわけでございますが、これによって計算いたしますと、戸数のカバー率が五七・五五、それから販売数量でカバーするものが七六・七六ということでございます。
  126. 野坂浩賢

    ○野坂委員 私は、時間がありませんから最後に申し上げますが、いいですか、昭和四十二年の政府算式要領で米価を決めると二万四千三円になる、これが実情ですね。そして政府の思惑どおりに農家皆さんの期待を裏切って低米価で押しつけておる。しかも算式要領は、全くその要素のとり方についてはきわめてずさんであるということが指摘されるわけです。しかるに、この米価でカバー率というのは、全農家で考えると五七・五%、五七%しかこの恩恵を受けない。あとは切り捨てだ。これが血の通った農政ですか。労働者の月給のようなものを、四三%の諸君たちは物のみごとに無残に切り捨てられる、少しも恩恵を受けない。これで全体の農家経営が上昇し、そして農家の生活が安定をし、将来に希望の持てる米価というような大平幹事長の話は全くうそ、こういうことになりますよ。これが政府の姿だということになれば、生産費所得補償方式、いわゆる再生産の確保は四五%の皆さんがだめなんですよ、こういうことをはっきり言っておるということじゃないですか。できると言ったけれども、できないということじゃないですか、四五%の皆さんは。それなれば、労働賃金のとり方でも、千人以下というようなことはどこに根拠があるかということです。みんなあなた方が頭の中で考えたことだ。当然、役所の仕事をするあるいは役場の皆さん方賃金、そういうことが一番明確になる。あるいはそれ以上、いままでやってきた五人以上青天井、そういうような意見もありますね。そういうことを踏まえて、農民団体なり農業団体の意向というものをその辺に置かなければ、できるだけ据え置こう、こういうことを言って、農家皆さんに対しては、農家皆さんの立場に立って農林省はやっておりますと言うことは、みんなこれはうそだということを私たちは明確にしなければならぬ。そういう意味で、この労働者賃金のとり方、労働のとり方、あるいは企画労働の問題、あるいは公租公課の中で共済掛金までも切ってしまう、入れない、こういうことでは農家皆さんは納得できないと私は思いますね。  そういう意味からして、たくさんの矛盾点があるわけですから、もう一遍頭を冷やして考えて、中川農林大臣やあるいは今井政務次官を中心に食糧庁も考えて、この据え置き米価というものは一時引っ込めて、新しく諮問をされるということの方が、農家皆さんに血の通ったいわゆる生産者米価諮問ということになるであろうと私は思いますが、その点についてお考えされるかどうか、どうですか。
  127. 今井勇

    今井説明員 先ほども答弁申し上げましたが、この諮問につきまして再諮問をいたす所存ではございません。  それから、お言葉ではありますが、四十二年のときに、一、二年は米が足りませんので百万トンの外米を輸入しなければならなかったという米穀事情も十分御勘案を賜りたいと存じます。
  128. 野坂浩賢

    ○野坂委員 委員長から早くやめろという手紙が回ってきましたが、最後にこれだけ申し上げておきます。  いいですか、五十二年は米の生産は上がった、分母はたくさん上がりました。機械その他によって労働時間は減りました。分子は減りました。だから値段は下げます。こういうかっこうで、みんな据え置き米価のところに焦点を合わせて、このような姿。そしてまた、農業共済掛金にしても、企画労働の問題にしても、労賃のとり方にしても、そしてわれわれがかつて四十二年からやってまいりました、そういうバルクラインの問題等にしても、すべて切り去って、これから明るい農村の展望が築かれる、こう言うことは、農家皆さんにとっては全くでたらめで、そらぞらしい、こういうふうにお感じになることは、私一人ではないと考えております。  それらの点については十分に配慮されて、島田君と同様、私も今度の米審諮問については非常に大きな問題と矛盾が山積をしておるという理由から、撤回をされることを希望して、私の質問を一たん終わります。ありがとうございました。
  129. 林義郎

    ○林(義)委員長代理 芳賀貢君。
  130. 芳賀貢

    ○芳賀委員 先ほど農林省当局から、まず五十三年度生産者米価に対する試算米価の内容並びに農林省が行った昭和五十二年産米生産費についての、それぞれ内容の説明を徴したわけでございますが、     〔林(義)委員長代理退席、山崎(平)委員長代理着席〕 その中で、政府試算米価については、これは本日から開催される米価審議会に対して農林大臣が諮問をする内容になっておるわけでありますから、この点については、われわれ社会党として検討をした結果、後刻農林大臣が出席した際に、私から、日本社会党として、速やかに米審に対する諮問撤回してこれは再提出をすべきであるということを強く申し入れることになっております。  ただいまの場合は、いかに今回の試算米価の内容というものが、まず、食糧管理法の第三条第二項の規定に照らして違法と言える算定であるという問題、それからまた、米価あるいは他の農畜産物価格決定に当たっても、農林省が毎年行っておる農畜産物生産費基礎にして価格算定を行うということになっておるにもかかわらず、これもせっかく一昨日五十二年産米生産費が公表をされたにもかかわらず、今朝統計情報部長から説明があったにもかかわらず、これを正確に利用しておらないというところにこれは大きな違法性があるわけですから、この点について、まず事務当局にその内容というものをただしたいと思います。  ことしの試算米価は、これは計算の結果、結果論として据え置きになったわけじゃないでしょう。最初に、ことしは昨年同様の据え置きにするという、政府と自民党が相談をして先に据え置きの方針を決めて、後からそれに合致する算定をしたというのが、ことしの試算米価の内容であります。これは全くいままで例がありません。先ほどの戸塚食糧庁次長の答弁によっても、据え置きになるようにするために用いた異なった算定の要素というものは、一つは、生産費による収量というものを度外視して、その収量にさらに水増しをした収量というものを設定して、十アール当たり生産費に対して六十キロ当たり生産費を出す場合には、安くする場合には、分母である収量が多ければ多いほど答えが小さくなる、これは私が言うまでもないでしょう。これを一つやっておる。もう一つは、十アール当たり生産費、それに投下された自家労働時間が短縮されればされるほど六十キロ当たり生産費というものは低減するということになるわけですね。これを行うために農林省の生産費と全く違う自家労働時間の短縮を行っておる。まずこの二点の、据え置きのために、値下げのために使った数字に対して、正当にやればこうなります。今度の手法によってこれだけ下がりましたということを、これは米価算定でありますからして、金額を挙げてまずこの二点について農林省当局から説明をしてもらいたいと思います。
  131. 戸塚金郎

    戸塚説明員 米価算定生産費所得補償方式基礎にしておるということを冒頭から申し上げたわけでございますが、生産費所得補償方式は……(芳賀委員「そうじゃないよ、どこでどうやったかということを言えばいい」と呼ぶ)所得補償方式によりまして、五十年、五十一年、五十二年の生産費の構成要素というものを基礎にしておるわけでございまして、その中で反当に投下されております労働時間が逐次減少しておるということをそのまま基礎にしておるわけでございまして、別表の、一番後ろの九ページでございますが、五十年で直接が七十一・九時間、間接が三・三時間、五十一年で七十六・三、三・四、それから五十二年で六十五・六、二・九……(芳賀委員説明をゆっくりやってもらわぬと困る、大事なところだから、まず五十年がどうなっておるのですか」と呼ぶ)五十年が直接が七十一・九、間接が三…三、五十一年が直接が七十六・三、間接が三・四、五十二年が直接が六十五・六、間接が二・九ということでございます。  それから、先生前段におっしゃいました反収のとり方でございます……(芳賀委員「反収じゃないよ、これはごまかし時間だろう、正確な生産費の時間がどうだということを聞いておる、それは統計情報部長からでいいですよ」と呼ぶ一統計情報部長が生産費基礎に御発表になりました生産費と、さっきも申し上げたのでございますが、必要量生産費ということで……(芳賀委員「時間がどうなっておると言うのだよ」と呼ぶ)いや、必要量生産費ということで……(芳賀委員「そんなことは聞いてないよ」と呼ぶ)先生、ちょっとそこは、必要量生産費ということで農家を……
  132. 芳賀貢

    ○芳賀委員 二十分しかないのだろう、事務当局の説明時間も入れて。その中でごたごた二十分もやられたら、質問も何もできないじゃないか。どの点がどういうふうに短縮されたかということを聞いておるのだよ。
  133. 戸塚金郎

    戸塚説明員 三千の調査戸数の中で、先ほど申し上げましたように、九〇、一〇〇、九〇という政府販売量必要量ということ……(芳賀委員「自家労働時間をどういうふうにごまかしたかということを聞いておるのだよ」と呼ぶ)いや、そういう……(芳賀委員「そうじゃないか」と呼ぶ)そうじゃないのです。(芳賀委員「それは統計情報部長から説明してくれよ」と呼ぶ)いや、統計情報部長は三千農家平均生産費からいかれるわけでございます。
  134. 芳賀貢

    ○芳賀委員 できないならこっちで教えてやるよ。いいかい、近い年次から言えば、ことしの農林省の五十二年の生産費の自家労働時間は七十一時間になっているじゃないか。それが二・五時間短縮したのは一体どういうわけだ。五十一年度は冷害年であるから反収も時間も余りごまかしてないでしょう。それじゃ五十年度は一体どうやっている。これは簡単じゃないか。いや、統計情報部長から本物を言ってもらえばわかるのですよ、あなたの方はごまかし時間を書いてあるわけだから。委員長、統計情報部長から、この過去三年間の正確な自家労働時間の説明を要求します。まじめにやってくれよ。
  135. 柳井昭司

    柳井説明員 私たちのいわゆる生産費調査におきましては、一俵以上販売農家でかつ災害率二〇%以上のそういう農家を除きました……(芳賀委員「それはわかっておる、これに書いてある」と呼ぶ)そういう農家をあれしてやっておりまして、五十二年につきましては、その調査におきましては家族労働時間は七十一時間、それから五十一年につきましては七十六・三時間、五十年はちょっとお待ちいただきたいと思います。――五十年は七十七・一時間でございます。
  136. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうすると、この五十年と五十二年で時間の短縮をやっておるわけですね。これだけ正確の時間より短縮した結果によって六十キロ当たり幾ら安くなるのですか。いや、頭ひねらぬで、これは自分で計算したんじゃないか。
  137. 戸塚金郎

    戸塚説明員 先ほど先生に申し上げましたように、実は先ほど申し上げましたのは、必要量生産費ということで、五十年は九〇、五十一年は一〇〇、五十二年は九〇ということで、ごたごた朝来申し上げたわけでございますが、その数字に見合う販売農家の低位のものから積算しましたものが七十一・九、六十五・六ということになるわけでございまして、それで計算をいたしておりますので、もとの時間そのままでははじいておりませんので、直ちにお答えできないのでございますが……。
  138. 芳賀貢

    ○芳賀委員 できないというのはおかしいじゃないか。それは政府委員でなくてもいいですよ。後ろにおる人でもいいですよ。時間を圧縮したことによって幾ら米価が安くなったか。安くするために時間をわざわざ短縮したのでしょう。だから、ごまかした分だけで幾ら安くなったか、これは後ろにおる担当者でいいですよ。あなたはわからぬだろう。
  139. 今井勇

    今井説明員 計算をいたしますればできるそうでございますから、時間を与えていただきたいと思います。
  140. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ごまかした本人がわからぬというのはないじゃないですか。ごまかしたのはそっちじゃないか。据え置きにするために時間をわざわざ短縮したのだろう。農林省の生産費を使っていないじゃないか、この時間というものは。だから、その短縮したことによって、その分だけで一体金額にすれば一俵当たり幾ら安くなっているかということを聞いているわけですよ。目的があってこれはやっているのだろう。だから後ろの担当者でいいですよ。説明員でいいですよ。あなたはわからぬじゃないか。
  141. 今井勇

    今井説明員 先生がごまかしているとおっしゃるから、ちょっと弁明いたします。(芳賀委員「弁明の必要はない」と呼ぶ)あります。あります。(芳賀委員「冗談じゃない」と呼ぶ)ごまかしているのじゃありませんから、弁明があります。先生ちょっとお待ちください、役人がかわいそうですから。ごまかしているのじゃありません。  生産費調査をやりましたときのとり方と今回の積算の仕方の平均農家のとり方が違うわけでございますから、そこで先生のおっしゃるよう数字の狂いがあるわけでございますから、初めにやっておいて引き算をしたのじゃございませんから、その意味ではごまかしたものではございません。しかし、先生がおっしゃいますように、時間が減っていることによって幾ら違うかとおっしゃれば、計算はできると申しますから、計算をさせます。こう申し上げているわけでございます。(芳賀委員「それを聞いている」と呼ぶ)したがいまして、ちょっとお待ちを願います。(芳賀委員「待たないでも、そんな、簡単なものじゃないか、うちの孫なんかならすぐやる、何だ一体、けしからぬよ、こんなごまかし米価なんて」と呼ぶ)
  142. 戸塚金郎

    戸塚説明員 直ちに先生のおっしゃいました数字に見合うというのではないのでございますが、直ちにいま御議論をいただきます前提といたしまして、昨年と同様な方式で算定をいたしますれば、基準価格で一万七千百二十二円になるということでございます。
  143. 芳賀貢

    ○芳賀委員 だから、時間短縮の分だけで幾ら違うんですか。
  144. 戸塚金郎

    戸塚説明員 先ほど申し上げましたように、九〇、一〇〇、九〇という指数で、それに達するまでの生産費農家に編成がえを三千の農家をいたしておりますので、直ちに労働時間の分あるいは肥料の分、何々の分どいうふうに分けられないのでございます。昨年と同じようなやり方でやりますれば一万七千百二十二円ということでございまして、先生のおっしゃられたよう作業をするためには相当な時間が要るということでございます。三千の農家を個票に戻って編成がえをしなければならぬということでございますので。
  145. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そんなばかなことはないですよ。いいですか、五十二年の場合は生産費の時間と今度のごまかして圧縮した時間で二・五時間違うわけでしょう。二・五時間は自家労賃にしたら幾らになるかということは、これはちゃんと原生産費によって他産業の労働時間出ているでしょう、男女込みで九百何十円というのが。それに二・五時間を掛けて十アール収量で割ればできるじゃないか。そんなものができないというのはおかしいのじゃないか。できなければこういう答えができるはずないでしょう。どこへ行っているんだ、一体、総務部長なり企画課長なんというのは。来ていないじゃないか。  いま聞いているのは、労働時間を短縮した分だけで一俵当たりどれだけの金額になるか、まずこれを先に言ってもらったらいい。大臣のいる前ではっきり言ってくださいよ。
  146. 戸塚金郎

    戸塚説明員 まことにあれでございますが、そういう積算ができませんので、時間をかけてはじきますればはじくわけでございますが、直ちにお答えができないのでございます。
  147. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、政府が本年度米価決定した最終的な要素にも用いた自家労働時間というのはあるでしょう、はっきり。ごまかしたのがなんなら、過去三年間の平均というのは何時間になっているのですか。三年間を勝手に修正したその平均の自家労働時間は幾らになっているのですか。
  148. 戸塚金郎

    戸塚説明員 九ページにあります数字でございます。七十一・九時間、三・三時間、これが基礎でございまして……(芳賀委員「それ平均したら幾らになるのですか」と呼ぶ)三年間でございますか。
  149. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうやって計算しているのでしょう。
  150. 戸塚金郎

    戸塚説明員 いえ、これをそれぞれ評価がえをいたしまして、そして生産費をはじきまして、七ページにございますように、五十年産では十三万四千円と金額に直しまして……
  151. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうじゃないよ、あなた。じゃあ何のために五人以上千人未満規模の男女込みあるいは男子の労働賃金というものを出しておられるのですか。これが一時間の労賃になるじゃないですか。これとの見合いで、それでは米価決定の際の投下労働時間が七十時間になるのか、七十三時間になるのか、それ、何時間になっているんだ、一体。原生産費をそれぞれ一定の時点で修正をして、その三年を平均したものが価格決定年の自家労働時間ということになるでしょう。ちゃんとあなた教科書を持っておるじゃないか、そういうふうにやらなきゃならぬということを。
  152. 戸塚金郎

    戸塚説明員 労働時間を平均いたしますれば、直接が七十一・三時間、間接が三・二時間ということでございます。
  153. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それじゃ、この時間に対して一労働時間当たり幾らに評価したのですか。これは前の表にあるじゃないですか。
  154. 戸塚金郎

    戸塚説明員 直接につきましては男女込み賃金で、それから間接につきましては男子の賃金評価がえをいたしておりまして、男女込みが九百八十九円三十四銭、男子が千百九十七円八十一銭ということでございます。
  155. 芳賀貢

    ○芳賀委員 だから、直接の七十一・三時間、間接の三・二時間。三・二時間はこれは男子労働賃金を掛けるわけだから、直接の方は九百八十九円三十四銭を掛けるわけでしょう。そうすると、短縮して浮かした時間にこの九百八十九円三十四銭を掛ければ、それを今度六十キロに直せば一俵当たり何百円安くしたということがわかるじゃないですか。それを聞いているのですよ。答えなさいよ。
  156. 戸塚金郎

    戸塚説明員 まことに申しわけありません。ただいま申し上げました数字、三ページ数字と読み違えておりまして、男女込みが九百八十一円五十三銭、男子が千百八十八円三十六銭ということでございます。これはちょっと訂正させていただきます。  それから、いま仰せられましたような感じで、概数で一遍それでは大急ぎではじかせておりますので、暫時時間をいただきたいと思います。
  157. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、私が農林大臣に対する質問の終わるまでに――終わって、またあしたまでなんというんじゃだめだから、質問中に答えができたら手を挙げてくれればわかるから、そうしてください。  その次は、収量が増加しているわけですね。昨年だけでもこれは、五十二年度については生産費政府が設定した分でちょうど十アール十二キロふやしたわけでしょう。生産費の方は五百十二キロ、今度は食糧庁の方はそれにまた十二キロふやしているでしょう。それから五十一年は冷害の年だから、四百八十六キロはそのままにしたのです。しかし、五十年にさかのぼって、五十年もまたふやしているでしょう。だから、ふやした分を、これをまた三年平均するわけだから、ふやした分だけの三年平均で、それが分母になるわけだから、分母をそれだけ大きくしたわけだから、それによって六十キロ当たりの米の値段が何百円安くなったか、その点を今度ははっきりしてください。
  158. 戸塚金郎

    戸塚説明員 同様、概数でございますが、大急ぎで計算させますので、暫時時間をいただきたいと思います。
  159. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それはおかしいじゃないですか。十二キロとか十五キロわざわざ足したのはあなたの方でしょう。――いや、首を曲げたってしようがないじゃないか。農林省の生産費というのはおととい出て、これが五十二年は五百十二キロになっているじゃないですか。いままでは各年の生産費の収量というものを三年平均して分母に使っておるでしょう。ことしはこの点が違っているわけだ、労働時間ともう一つは。五十二年は、けさ資料を出して統計情報部長が説明したわけだから、われわれ同僚委員諸公、全部これを知っているのです。政府案と、十二キロ何でふやしたのだろう。それからもう一つは、五十一年はそのままになっている。どうしてふやさぬかと追及するわけじゃない、これはあたりまえのことなんだから。そうして今度は、その前の年の五十年でふやしているでしょう。どういうわけでそういうことをやるわけですか。五十年は生産費は、五百二十五キロじゃないですか。それを何のために、ことしになって五百三十六キロ、つまり十一キロわざわざふやしているわけですね。だから、結果的に五十年産で十一キロふやしておる、五十二年産で十二キロふやしておる、こういうことになっておるわけでしょう。これは分母をことさら大きくして据え置き米価をつくるためにやったわけでしょう、数量もそれははっきりしているのだから。だから、これによって幾ら下げたわけですか。わかるじゃないですか。
  160. 中川一郎

    中川国務大臣 御指摘のとおり数字が変わっておるわけなんです。なぜ変わりましたかというと、これは根本的な問題でございますから御説明申し上げなければなりません。  従来どおりの計算ですれば従来どおりの値段があるわけでございますが、今日の生産事情あるいは経済状況、米の消費の実態等から見て、こういう需給事情から見たときの米価はいかにあるべきかというところから、いわゆるバルクラインをとりました――一部団体からは八〇%、政府は五 〇%でやっておるわけなんです。  そこで、ことしは必要量の米についての生産費はいかにあるか、これは昭和四十六年、七年、八年にやった方式なんです。必要な米について――必要な米というのは、ことしで言えば八百三十万トン必要だ。ところが五十二年と五十年は必要量を上回って生産されているわけです。ですから、その上回っているところを取り除く。五十一年は冷害の年でございましたから大体必要量が出たというので、五十一年の数字は変わりませんが、五十年と五十二年は大体九〇%あればいいところへそれ以上上回った生産があった。そこで、九〇%が必要な米であるので、その九〇%の米についての必要な労働時間は何ぼであった、そしてまた必要な経費は何ぼであった、必要な反収はどうであった、こういう計算を補整したわけです。そこで、御指摘のような違いが出てきた。この違いが出てくることについてはいろいろ議論がありますが、私としては、今日の事情から言えば、昭和四十六年、七年、八年やった方式、これにはまだまだたくさんの事項が少なく削られておりまして、いまのよう調整を行っておったのですが、言ってみれば着物を三、四枚、当時脱いでおったわけなんです。そのうちの一枚を脱いだ。その結果どれぐらい下がったかというと、数字で言えば四・八%ぐらい下がったわけなんです。しかし、四・八%は余りにも激変であるというので、四・二%を戻して、そして前年と変わらないベースにした。これははっきり申し上げておきませんと、議論の出てくる根源はそこにある。その必要量生産費をとることがいいかどうかという根っこの問題を議論していただいて、その上に、数字がどう間違っておるか、こう御議論をいただければ審議はうまくいくと、こう思います。
  161. 芳賀貢

    ○芳賀委員 わかりました。わかったというのは、農林大臣が直接指示して、ことしは据え置き米価にするために、方法としては簡単にやれるじゃないかと、一つは自家労働時間を生産費よりも縮めろ、もう一つは十アール当たりの収量を生産費の収量よりもふやせ、これはあなたが指示してやらしたということがよくわかりました。  そこで、私がいままで事務当局に聞いておるのは、労働時間を短縮したことによって一俵当たりどれだけ米価が下がるかということはいま計算中です。いま聞いておるのは、とにかく収量をふやしたわけですから、過去三年間のうちで五十一年は据え置きの四百八十六キロ、その前の五十年は五百二十五キロであるにもかかわらず、これを十一キロ水増しをして五百三十六キロにしておる。けさ説明されました五十二年の収量は、生産費は五百十二キロであるにもかかわらず、これを十二キロ水増しをして五百二十四キロにしてある。だから、これを三年間を平均いたしますと、この分母数字は五百十五キロとして農林省は一俵当たり計算をしておるわけです。ところが、昨年まで行っておった各年の生産費の収量の三年間の平均ということで計算をすると、これは五百四キロということになるわけですよ。そうすると、分母平均収量でちょうど十一キロ違うということになるわけですね。十一キロ分母をふやしたことによって、六十キロ一俵の米の価格というものがどれだけ違うかということを先ほどから条理を尽くして聞いておるんですよ。ところが、計算した本人がわからぬと言っているわけですから、次長、わかったら答弁してください。
  162. 戸塚金郎

    戸塚説明員 概数でございますが、まず時間の方でございまして、従前生産費の一俵以上販売農家の七十四・八時間という平均労働時間、それに対して私ども試算に用いております三年平均の労働時間は七一・三時間ということでございます。したがいまして、差は三・五時間、この三・五時間に男女込み賃金の九百八十一円五十三銭を掛けますと、十アール当たり三千四百三十五円ということに相なります。これを五百十五キロということで割りますれば、六十キロで四百円ということになろうと思います。  収量の方でございますが、収量は、試算では五百十五キロというのが三年平均でございます。一俵以上販売農家の場合には五百八キロということになりますので、この差は、先ほどの評価がえのところへ戻しまして計算をいたしますと約二百二十円程度になろうと思います。
  163. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうすると、昨年まで同様の収量と労働時間のとり方でやれば、まず自家労賃の方では一俵当たり四百円違う。それから収量をふやしたことによって二百二十円違う。この二つを足せば、一俵六十キロ当たりで六百二十円試算米価というものをふやさなければならぬということになるでしょう。このとおりやれば据え置きにならぬでしょう。だから、私は冒頭に、農林大臣が出席された場合には、ことしの試算というものが正確な計算の結果こうなって、期せずして去年と同様の価格になったというのでなくて、最初から去年と同様に据え置きにしろ、そのためには、方法として、まず分母の収量をふやせ、それから自家労働の時間を減らせ、単純に二つのことをやれば六百二十円下がる。ちょうど六百二十円縮めれば、昨年同様に基準米価というものは一万七千十九円。一-四等の去年の平均手取り価格は一万七千二百三十二円。ことしから一-五等を今度は一-三等に等級を改めるから、そうなると去年までの一-四等手取り価格というのはことしは一-二等平均ということになる。そうするとこれは一俵当たり一万七千二百五十円になる。こういう計算というものは、しばしば農林大臣が当委員会や予算委員会に出席されまして、生産者米価決定についてはあくまでも生産費所得補償方式でやります。また、その方法については昨年まで行ってきた平均生産費方式できちっとやります。これでやるのでありますから、いまから据え置きになるとか、上がるとか下がるということは言えませんということを農林大臣が正式に発言をしておるわけですからね。しかし、いまになってみれば、正式なそろばんではじけば去年よりも収量と労働時間だけの分で一俵当たり六百二十円上がる、これを据え置きにしろという方針を決めて、農林大臣が直接指示をして据え置きをさせた結果というものが全く昨年と同様になる、こういうやり方は、全く生産者を欺瞞するということだけでなくて、食糧管理法第三条第二項の規定で、ちゃんと計算をしなさい、それにも反すると私は思うわけでございます。この二つの点は判明いたしました。  そのほかに、去年の算定と異なって値下げ要素に使ったような点があれば、この際次長から率直に説明をしてもらいたいと思います。
  164. 中川一郎

    中川国務大臣 私から説明した方がわかりいいから……。  去年と同じ計算をいたしますと〇・六%上がるのです。すべてを計算いたしますと。そこで、去年と違えたのはただ一つなんです。いま御指摘のように、反収と、労働時間を減らしたという、結果にはそうなっておりますが、根っこはこういうことなんです。昭和四十六、七、八年に採用したいわゆる必要量生産費というもので取り組もう。そこからいけば、反収ももう少し多くていい農家で十分米ができます。あるいは労賃の少ないところで生産している米で十分間に合います。こういうことを、経済事情生産事情を勘案したらこういう仕組み――四十六年も生産費所得補償方式でやったわけですから、その方式を――それ以外にもずいぶんありました、そのころいろんなやり方がありましたが、それを全部ざっくばらんにとりますと一四%下がるという数字も出てくるのです。これも生産費所得補償方式なんです。過剰時代にやった。そのうちの四・八%の影響のあるいま言った必要量生産費というものを採用した。そうしたらかなり四・二%も下がる結果となったので、それは酷であろうというので、調整費として七百何ぼを戻して、そして据え置きに引き上げた、こういうことなんです。しかも、それは基準米価でございますが、基本米価に直すと〇・一ではありますけれども上がる、こういうことなんです。ですから、どこもいじっておりません。いじっておりますのは、四十六年にやった必要量生産費方式を採用した、これ以外は違っておらないわけでございます。
  165. 芳賀貢

    ○芳賀委員 いま大臣の言ったことはわかりました。余り下げ過ぎたので、また据え置きになるように少し上げて直した――委員長、お尋ねしますが、そこで先ほどからにやにや笑って首を縦に振っているのは農林省の役人ですか。だれですか、そこにいるのは。委員長、そこにおる人物は一体だれかはっきりしてくださいよ。何だ、さっきからにやにや笑って、われわれを侮べつしているのか。農林省の何をやっている男だ。はっきりしなさいよ。何だ一体。――委員長に発言の許可を得なければだめじゃないか。
  166. 佐竹五六

    ○佐竹説明員 企画室長でございます。(芳賀委員「けしからぬじゃないか」と呼ぶ)不届きな点があったら十分……(発言する者あり)
  167. 芳賀貢

    ○芳賀委員 顔のできがそうにやにやになっているのか、神聖な委員会の議場において、われわれ委員の質問をこばかにしたような面をして笑っているというのはどういうわけなんだ、一体。委員長、そういうのは退場させなさい。何だ一体。(「必要がなかったら出ていけよ」と呼ぶ者あり)退場しろ。委員長、指示しなさいよ。議場の神聖を乱すじゃないか。そんなのが企画室長をやっているのか。  これは時間の空費になるから進みますが、そこで、いままでの質問で判明した点は、時間の短縮と収量の増加によって、四百円、二百二十円、合わせて六百二十円、これは圧縮をして、昨年と同様の政府買い入れ価格を決めた。  そこで問題は、これらの操作はすべて農林省の生産費の内容の要素というものを適宜操作してやったということになるわけですね、食糧庁自身が調査機関を持っておるわけではないから。一体、農林省として、政府として、統計情報部が行った生産費調査の内容というものを、たとえば価格据え置きのためにその要素を変更し、取捨するということは絶対にできないはずですよ。一体そういう作業は、統計情報部自身が農林大臣の指示に従って行ったのか、食糧庁が恣意的に統計情報部から重要な資料を取り寄せて適当に取捨してこういうような要素というものをつくったのか、その点はどちらですか。
  168. 戸塚金郎

    戸塚説明員 統計情報部の生産費調査をいただきまして、評価がえをいたしておりますのは食糧庁でございます。また、生産費調査農家につきましても配列がえをいたしておりますのも食糧庁でございます。  それから、先ほど先生、六百二十円-四百円と二百二十円でございますが、先ほど私が申し上げましたのは、本日の「求める価格」として出ております一万六千百二十二円から六百二十円上がるということでございますので、昨年の価格から上がるということではございませんので、念のため申し上げさしていただきたいと思います。
  169. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私のただいまの指摘に対して、統計情報部長から責任のある答弁をしてください。
  170. 柳井昭司

    柳井説明員 私の方で調査いたしましたものにつきましては、平均生産費という形できょうお手元に配ったような形で配付しておるわけでございますが、これは価格算定基礎になるとともに、生産対策とかあるいは経営改善資料というような形をもちまして客観点なデータを得る、こういう形で作成しておるものでございますが、これにつきましては、もちろんこの表につきまして、その使用に当たりましては、これは公的機関等におきましてある程度一定の目的がある場合におきましては、これを行管の承認を得て使用する、こういう形をとっておるわけでございます。
  171. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは柳井君、ちょっとおかしいよ。いままでの統計情報部長はそういうことを言っていないですよ。農林省部内、政府部内の必要がある場合には、それがいかなる目的に使用されようとも、無条件でその資料を提供して一切やり方を任せるという方針を述べあるいは態度を委員会において述べた部長は一人もないですよ。これはあなたの時代から変わったのですか。われわれは常に統計情報部の正確な中立性のある資料というものを一番信頼する。そのためには、政府が他の目的に悪用するようなことについては厳に戒めなければならぬということを常に注意してきておるわけです。それをあなたは全くノーズロースで、ふんどしも何も外して、何でも値下げの足しになるなら持っていってやってくださいと、これはおかしいじゃないか。何を根拠にそういうことをやり出したのですか。いかなる法規典例によってそういうふうに資料の使い方が変わったか。これはあなた、責任があるですよ。同じ農林経済局の中におっても、あなたは局長の指示、命令に従って唯々諾々と動くということには、これは農林省設置法においても、内閣の諸規程にもそうなっていないじゃないか。どういうわけでそういうでたらめなことを協力してやっているのですか。
  172. 中川一郎

    中川国務大臣 統計情報部は、純粋に統計を記録するだけのことなんです。そのうちのどの部分を採用するかは、これは政策判断で決定したことであって、その政策判断からいったら、ことしは必要量生産費ではじくのが需給上、経済上いいということであって、その資料の中からその方針に基づいて数字をピックアップしただけであって、統計情報部長が何かうその資料とかなんとか作為的にやったものでは全くないのです。統計情報部が純粋にとっておった統計の中から、どの部分を採用するかということを判断したのは私でございまして、その数字をつくった責任者には全く責任のないことでございます。そういう政策判断をした私が悪いとすれば、どうぞひとつ御議論を賜りたいと存じます。
  173. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういう指示をした大臣もおかしいが、間違った指示でも何でも、はい、わかりました、御無理ごもっともというような、そういう統計情報部長も、どっちもおかしいのですよ。片方がちゃんとしておれば、そういうことには物の道理はならぬでしょう。  こういう前例があるのですよ。いいですか。安倍晋太郎農林大臣の時代に、あのときは食糧庁の米価算定の担当官は総務部長の杉山君、杉山君はいま畜産局長ですよ。このときも米価を下げるために、従来から一貫して統計情報部のやっている生産費調査の取りまとめは、二千七百戸委託農家があっても、取りまとめの際、個々の農家の中でその年度で二〇%以上の災害をこうむった農家はまず除外するということをやっておられます。だから、五十一年の生産費の場合は、北海道だけを例に挙げますと、これは全国的な大冷害の年だったが、北海道については五十一年の生産費農家は六十一戸あったわけです。六十一戸のうち二割以上で除外された農家は幾らあったかということを先日聞きますと、ちょうど半分の三十戸の農家を除外したのですよ。だから、五十一年の場合においては、実収高と生産費収量が実に十アール当たり五十九キロも違っておるわけです。それで、安倍農林大臣の際に、この収量をふやして米価を下げるという目的で、それまでの二割以上の被害農家を除外するというのを改めて、一割以上の被害農家を除外するということをまずやったわけです。その結果は、ほとんど上位農家だけということになっていくわけですからね。そういうことで結局一俵当たり百三十何円米価が下がるということになったわけです。  そこで、われわれは当委員会において、これはおかしいじゃないか、そういうことをやるのであれば、農業災害補償法ともこれは関連のあることであるので、補償法の方でも災害が出た場合にはもう全額補償する、経費だけでなくて、農民所得に対しても補償するということをやるかということを追及しまして、ついにこの間違った、目的のために手段を選ばぬというような統計情報部の資料の使い方については、これは間違っていますと率直に安倍農林大臣が当委員会で認めて、そうして作業をやり直して、従来どおり二割以上の被害農家を除く、こういうことをやった前例があるわけです。  そういうことは、農林大臣はまだなって日が浅いからよくわからぬと思いますが、それほどに生産費調査というものは慎重に扱わなければならぬわけですから、何でも農林大臣の命令でやらせることができる、政策に何を使ってもいいものだということにはならぬわけです。これは内容が判明しました。しかし、柳井部長、あなたの先ほどの発言は重大ですよ。きょうは時間がないから、今後農林省の統計情報事務というものが廃止されれば、これは別だ。存続するということになれば、その調査の必要性いかんということにまで及ぶ問題ですから、これは後日機会を改めて十分に誤りと責任を追及するということを申し上げておきます。  それから次に、農林大臣にお尋ねしますが、今回の米価決定に当たっては、先般の委員会において私からも、農協あるいは農業会議所がことしから生産者米価の設定については農林省と同じいわゆる平均生産費方式で算定をして、同じ土俵に上がって、そうして農林省と十分に協議をして、できるだけ生産者の正当な要求というものを反映するということをやり出したわけですから、せっかく生産者団体の方で同じ土俵へ上がるというのであるからして、米審に諮問をしてからではもう論議の時期がないから、事前に事務当局同士の協議、あるいは農林大臣と農業団体首脳部との事前協議というものを十分にやるべきではないかということを率直に農林大臣にただしたことがあるわけですが、今回の場合には全く予想に反して、去年同様にすれば上がるのが六百二十円も下がるというような結果になったとすれば、一体事務当局の間における生産費の要素の違いですね、労働賃金の違いとか地代の違いとか企画管理労働を入れぬかという問題、こういうような相違点に対する事前協議というものは、事務当局の間において、農林大臣と農業団体の首脳部との間においてどの程度行われたかという経過について、それぞれ説明をしてもらいたいと思います。
  174. 中川一郎

    中川国務大臣 確かに今度は農業団体が八〇%バルクラインを、農林省と同じ土俵におりた。これはいままでにないことであって、その姿勢は高く評価されるところでございます。ただ、まだ土俵の違うのが三つ四つあるわけなんです。それじゃ、その土俵というものが過去においてどうなっておったかというと、昭和四十三年ごろまで――四十二年まででございましたか、米が足りない時代には実納小作料を採用したこともあります。企画管理労働を見たこともあります。青天井でやったこともあるのです。ただし、八〇%バルクラインというものは、四十三年、二年ごろの生産を刺激しなければならないときでも採用したことのない、いままで全くないものだったのです。これが今回おりていただいた。それでは、企画管理労働やあるいは地代やあるいは青天井の問題等はどうであったかというと、昭和四十六、七、八年ごろの生産調整をやりました際には、これは全部外れておったものでございます。それから、先ほど議論のありました必要量生産費というものもその当時採用しておったものなんです。  そこで、今回はまた五百万トンから余る、一兆円の処理費がかかるという段階で、どの時代の米価がいいかということを判断した結果、農協が言っております企画管理労働ほか三条件を足す状況ではない。いま余る時代に、むしろまだ着ておる温かい着物を二、三枚ぬぎたいところではあるが、一枚ぐらいはぬいでいただこうというのが必要生産費の問題であり、しかも、それは全部ぬいだのではというので、そで一枚をはがしたという程度の調整を行ったのが今回の米価であり、農協等の方々におきましても、一回、二回、三回とわれわれも代表の皆さんとも話し合って、そういった点は政治的にもずいぶんと議論をしてまいっております。その辺が米価審議会等でも議論のあるところであり、今後いかにするか、審議会の意見やまた先生方の御意見を踏まえながらやっていきたいと存じます。  事務当局の打ち合わせについては事務当局から答弁させます。
  175. 戸塚金郎

    戸塚説明員 全中その他と大臣との御折衝は四回にわたって行われたと私どもは考えておるわけでございまして、その前後に数回にわたり事務当局同士で折衝いたしておりますし、非公式の議論はずっと連続してやっておるという感じでございます。
  176. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういたしますと、事務当局の間におけるしばしばの協議については、相違点はもう最初からはっきりしているわけですね、要素の主なる違いというのは。その点については全然合意も歩み寄りもできなかったということですか。どうですか。
  177. 中川一郎

    中川国務大臣 残念ながら、農協団体の皆さんは去年よりいろいろと要素を足して十何%上げるべきであるという考え方でありますし、われわれは四十六年ごろの厳しい事態に対応する米価であるべきだということで意見の一致を見なくて今日に至っておるわけでございます。
  178. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで、農林大臣に私から申しておきますが、先ほど来の大臣の答弁を聞きますと、その時期その時期における米の需給情勢というものを踏まえて、それを基礎にしたいわゆる需給均衡方式で米価を決めるのが至当であるというような論拠のように聞こえるわけですね。それはわかりやすく言えば、全く御都合主義ということになるわけですね。  そこで、事例を申しますと、私は、昭和四十二年の米価決定以降、毎年毎年政府に対して資料を要求して、政府決定する米価であっても、算定方式あるいは要素のとり方によって米価決定上非常に大きな差異があるということをただしてきておるわけです。今回も、昨日、本日の質問に先立って資料を要求いたしまして、まず一つは、昭和四十二年方式によって五十三年産米試算をした場合にはどうなるか、その他三点ほど米価計算上の資料を要求して、今朝取り寄せてありますが、時間がないので代表的なものだけを申しますと、現在は農林省は平均生産費方式でやっておるわけですね。四十二年当時は、これは限界地生産費方式でやっておるわけです。これを農林省は強弁して、限界地生産費方式であっても、あるいは平均生産費方式であっても、同様に食管法の規定に基づいた生産費所得補償方式に変わりはないということをあえて強弁しておるわけですね。しかし、強弁はされても、非常に大きな算定方式上の懸隔が出ておるわけです。けさ取り寄せた資料によりますと、四十二年方式によると、五十三年度の基準米価政府試算は一万七千十九円ということになっていますが、これによりますと、基準米価が二万四千三円ということになっておるわけです。今井さんは勉強家だからこれを控えておいてください、二万四千三円ですよ。きょう政府が発表した試算米価は一万七千十九円ですね。そうすると、時代が違ったといっても、同じ農林省が試算した米価というものが、六十キロ一俵でちょうど七千円違っているのですよ。七千円です。七百円じゃないですよ。これが現在の時点に当てはめて最も妥当な価格かどうかということはしばらくおくとして、結局、根本は限界地生産費方式ですね。全国の米販売農家の場合においても、立地条件とか気象条件とかに制約をされて、いかに生産努力をしても、どれだけ肥料をたくさんやっても、技術改善をしても、そういう限定された、生産が拘束された地域というものはそれ以上の収穫を望むことができないのですよ。大幅な転作をやったとしても、現在、やはり日本全国にはそういう限界地と称せられる非常に不利な生産地帯というものが現存していることは事実です。だから、問題は、農業政策上、国内の食糧の自給率を高めて確保するということになれば、やはり全国の生産農家の一定の限界地までの生産された米や農産物に対しては、その生産費をカバーできる価格を決めるということは、これは農林省としても、農林大臣としても、まず率先して行うべき責任であるとわれわれは考えておるわけです。だから、これは反収を調整するわけですね。農林省のやったのはいわゆる標準偏差ですね、ワンシグマ、これは生産費収量に対して八四%を乗じていた収量ということになるわけですから、毎年若干の相違はありますけれども、収量の面で、生産費収量から見ると、おおよそ八十キロ収量が下がるわけですよ。つまり、八十キロ低い分母を使って六十キロ当たりの米の価格というものを算定する。最近はこれはもうやってない。もう生のままにこの生産費調査の収量、これは実収量から見ると、毎年四十キロ程度ふえておるわけです。  それから、毎年、年当初に農林省が設定する平年収量、平年反収、これはその年度の米の需給計画その他に使う重要な数量ですが、これよりも生産費収量の方がはるかに高い。これはもう全然無調整なままにやっておるわけですからして、どうしても低米価、極度にこれを使うと結局据え置き米価ということになるわけです。  あるいはまた、労働時間が、農林省の調査によっても、五十二年と五十一年の場合においては、ちょうど五・九時間自家労働というものは短縮をしておる。しかし、どうして毎年毎年五時間とか六時間労働時間が縮まるかというと、一番大きな理由は、やはり農業の機械化、近代化というものが相当進行しておるわけですね。つまり、そういう資本投下を通じて、直接労働時間は短縮されておるが、多額な資本装備を行って、高度の機械技術で農業の経営に貴重な労働を投下しておるというような結果が、いまのような農林省の計算でやると、どのよう農家努力をして労働の生産性を高めて労働時間を短縮し、あるいは収量を上げても、その結果は、すべて米価決定の場合には値下げの材料に使われておるわけでしょう。そういうばかなことはないじゃないですか。だから、われわれとしては、同じ平均生産費方式であっても、いまのようにその価格というものが全国の米販売農家の四〇%程度の生産費しかカバーできないというよう価格の設定というのは不当であるというふうに考えておるわけです。  まだいろいろ指摘したい問題もありますが、きょうはこの据え置き米価の中身というものはもう一切わかったわけですから、これで質問は終わります。  最後に、農林大臣が出席されましたので、これは冒頭に言うべきですが、あなたが遅く来たものだからこれは最後になりましたが、きょうの当委員会においてこの試算米価説明も徴したわけでございますが、さらにまた五十二年産米生産費の内容の説明を徴したわけです。それらを総合して、今回の――先に据え置きを決めた。計算の結果、期せずして据え置き米価になったというんじゃないのですよ。先に、ことしは据え置きをする、そのためにはこれこれの要素を使ってきちっと据え置きになるようにしろというような、そういう試算で行われた米価というものは、食糧管理法第三条第二項の規定に照らしても、全国の生産農家の一年間の努力と、これによって再生産を確保し、農家所得を維持するという立場から見ても、全くこの試算――試算だけじゃありません。これをもって政府試算米価として米価審議会に対して諮問を行ったというそのことに対して、われわれは絶対にこれは妥当と認めることはできません。したがって、この際、当委員会を通じて、農林大臣としては、この試算をまず改める必要がある。もう一つは、試算を改めてから、もう一度米価審議会に対して新たなる諮問を行うべきではないか。そういう場合にはけさ出したのはおのずから撤回ということになるわけですが、そのようなことを潔くやられることが一番適当ではないかというふうに考えますので、この点は、社会党として、私から党を代表して農林大臣に対して見解を明らかにしてもらいたいと思います。
  179. 中川一郎

    中川国務大臣 まず、昭和四十二年ベースで現在の米価をはじけば二万何千円になり、四十数%上がるではないか、これは正しいことなんです。また逆に、昭和四十六年ごろの七百万トン処理をしておる、あの当時の算式でやればこれまた一四%引き下げなければならない、こういう数字もあるわけです。したがいまして、経済事情を参酌するという事項がかなり参酌されておるものだ。過剰傾向にあるときは厳しく、生産を刺激しなければならないときには大変に厚く、こういう幅広いものであることに問題がありますので、米価審議会でも固定部門と可変部門を分けて、もっと、余り議論しなくても自然にできるものはないかという議論はありましたが、それじゃ、どれをどう固定し、どれを可変部門にするかということになってくるとなかなか決まりにくいというところで、議論のあるところではありますけれども、現在は四十六年当時よりはもっと悪質な過剰傾向にある。消費は減退をしていく、生産意欲は多くて、自力開田が一万五千町歩もふえる、こういう非常な事態で、このままでいくならば食管が守り切れるであろうかというぐらい厳しい状態にある。こういうところの米価は、まさか一四%下げるということにはまいりませんでも、ある程度の経済事情勘案した米価というものが必要である。しかし、引き下げたということでは、これはということで調整をいたしまして、引き上げて据え置きまで持っていったといういきさつでございます。  次に、限界生産地についての御指摘がございましたが、なるほど一番生産費の悪い農家生産が償う米価であれば一番理想でございますが、そうなりますと、一番いい農家は大変に収入があって、もっともっと生産をふやしてやろうということになったならば、一体これはどういうことになるのかということで、残念ではございますが、まあまあ半分以上の農家は最低生産費が償う、半分の方々はなかなか、ぎりぎりの苦労をする。これは北海道におけるビート工場でも、いい工場と悪い工場がある。下の工場に合わせれば上がもうかってしまう、上に合わせれば下がまいるというので、やはり平均のところで、悪い企業は御努力願う、こういう仕組みでありまして、気持ちはわかりますけれども、なかなかとり得ないところである。  それから、機械化が農村にとって酷ではないかと言いますけれども、これもいつも議論のあるところでございます。結局は生産量がふえるというメリット、このメリットであって、合理化のメリットは全部とっておるんだという趣旨ではなくして、議論のあるところでありますから配慮はしてまいりますが、問題のあるところでございます。  次に、据え置き諮問撤回してもう一回やらないかという温かいお尋ねであり、また提言でもございますが、これも米価審議会でも先刻来そういう議論がございました。私どもも、私どもの案が一番いい案だとは思っておりません。今日の米を取り巻く情勢等からして、いかにしたらいい米価であるかについては審議会の皆さんの意見も聞いた上で最終判断をしたいということで御議論を続けていただいておるところであり、皆様方からも御意見を聞いて、食管制度を守りつつ、しかも生産が確保される。もう一つ、先ほど申し忘れましたが、再生産が確保されるというのは、一農家農家全部が再生産が確保されるのではなくして、国民に必要な食糧が再生産される価格ということであって、個々の農家を対象としておるものでは残念ながらございません。そういう意味で米価を計算しており、数字を取り扱っておる、こういうわけでございます。
  180. 芳賀貢

    ○芳賀委員 最後に委員長に申し上げますが、この際、日本社会党といたしましては、政府米価審議会諮問をされたいわゆる政府試算米価なるものは速やかに撤回をして、正しい米価の再計算を行って再提出をすべきである、この点を明確にいたしまして、以上で私の発言を終わります。
  181. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 野坂浩賢君。
  182. 野坂浩賢

    ○野坂委員 私に与えられた農林大臣に対する質問は非常に短い時間でありますので、簡単明瞭にお願いをしたいと思います。  中川農林水産大臣は、六月の十九日、二十日に前広米審が行われました、事前米審とも言われておりますが、その際に、多くの農家皆さんを前にして、生産者米価は据え置く方針はない、また私はそういうことは一度も言っていない、こういうお話をされました。私も聞いておりましたし、農林大臣もそのように言われたというふうに考えております。これは受け取り方としては、生産者米価はある程度のアップがある、こういうふうに一般の諸君たちは受け取った。あなたは、いや、言ってはおらぬけれども、計算をしてみたらこうなったのだ、こういうふうに逃げる御答弁ではなしに、農家皆さんが正直に真っすぐに受けとめて、そのような方針を考え、あるいは大平自民党幹事長は三日の大会で、希望のある米価、こういうふうにもお話しになりました。しかし、現実には米価は据え置く、こういう方針が出ましたことはきわめて遺憾であるし、いま芳賀委員が求めたのに、これが一番いい試算米価だとは考えていない、こういうふうにお答えになりましたが、どれが一番いい、こういうふうにお考えでありましょうか。このことが一点と、先ほどあなたがおいでになる前に今井政務次官にお尋ねをしたら、農林水産省としては、農家皆さんの生活を守っていくために農林省がやらなければだれがやるか、こういう大みえを切ったごあいさつをいただいて非常に喜んだ次第ですけれども、中身がないのでまことに遺憾であるわけです。  それで、そういう意味で農家の側に立った農林省の方針、そういうものからして、あなたが事前米審で述べられたあのときの心境と、そして今日据え置く方針を出した現在の感想、そういうものを、間違いがあったのかどうか、開きがあったのかどうか、そういう点についてはどのようにお考えか、まず冒頭に伺っておきたい、こう思います。
  183. 中川一郎

    中川国務大臣 たしか麦価審議会のときに、農家の方々との話し合いで、米価は据え置くと決めたそうだがいかがか、こういうことでありましたから、私は米価を据え置くと決めたことはありません、いまそういう気持ちは持っておりませんと言ったことははっきりいたしております。受け取り方としては、上げてくれるのかなと受け取った方もあろうと思いますが、私としては、据え置きを固定したのではなくて、今日の過剰傾向等からいって、いかに米価はあるべきか、まだおかゆのように固まっておらないときの発言でございます。  それから、今度出しますに当たりましては、先ほども申し上げましたように、この過剰傾向のときはむしろ限界必要生産費等によって、引き下げるというとあれですが、四十六年程度の努力をして、そしてこの事態を乗り切らなければいかぬ、こういう気持ちでやったところ、相当引き下がりますので、これは大変だ、そんなことを酷にやったのでは、いかに四十六年に採用した方式ではあってもということで、むしろ据え置きに引き上げる苦労をして私は提出したつもりでございます。  御不満はあろうとは思いますけれども過剰傾向というものは非常に厳しいものであって、御承知のように、繊維業界にしろ合板業界にしろ、倒産、失業という血のにじむ努力をいたしております。ミカン農家においてもどのように過剰生産が大変なものであるか。私ども食管であるがゆえにこそ、何とか生産が確保できるだけの米価は決めたいと思いまして出したのがこの案でございます。  ただ、私としては一番いいと思っておりましても、また議論の上にさらによりよいものがあるならば改善することはやぶさかではありませんが、いまの気持ちとしては、農業の将来を考え、農村の実態を考えるときに、いま出しておる案が一番いいと思っておることは事実でございますが、これ以外に何物もないというかたくなな気持ちは持っておらない、こういうことでございます。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
  184. 野坂浩賢

    ○野坂委員 現在の過剰基調、そういう意味で四十六年の試算米価というものを非常に強調されますが、先ほどもお話がありましたように、四十二年の計算方式でやれば二万四千三円だ、こういう結果にもなるわけであります。だから、農林省としては生産農民の立場に立ってやるのだ、こういう試算米価の方向というものを考えてもらわなければならぬ。だから、再生産の確保という意味で、いまあなたがお話しになったように、裸であれば、全農家ということになれば、必要生産量基礎にしてということをあなたは何回もおっしゃったのですが、全部の農家を考えればいまの生産者の米価というものは五七%しかその恩恵を受けることができない、四三%の皆さんは切り捨てなんだ、こういう結果になるわけですから、愛情ある米価とは、農家の立場に立って考えれば言えないのじゃなかろうか、こういうふうに思うのです。その点についてはどうお考えですか。
  185. 中川一郎

    中川国務大臣 米価を一農家農家ごとに計算をして、あなたのところは生産性が悪いから高く買いましょう、あなたのところは生産性がいいから安く買いましょうという仕組みでもできればまことに結構なことでございますが、平均的なことで決めなければならないとするならば、半分以上の農家は満足し、半分の農家は汗を流す、こういう決め方以外にないのでありまして、一番悪い方に合わせますならば、大変な生産になって、自力開田から何からどんどんできて、米が余って余ってどうしようもなくなってくる。食管制度でもなくなればそういう仕組みはありましょうが、必要な米を生産する仕組み、国民に安定的に食糧を配給するという法律の仕組みから言って、御指摘ではありますが、その限界農家まで生産費を見ていくというわけにはまいらないわけでございます。
  186. 野坂浩賢

    ○野坂委員 そうすると、たとえば、いまお話があったように、全農家一人一人ということになればそういうことになる。そういうことはやりにくい。だから、平均生産費方式をとったのだ。それなれば救えるかということになると、お話がありましたように、二四%というものはそれでも切り捨てられるわけですから、影響を受けないわけですから、いわゆる平均生産費方式をとってもそうなる。これについてはカバーをしてもらわなければならぬじゃないか、こういうふうに思うのですが、それがカバーできる方法が一番いい試算米価ということになるのではありませんか。
  187. 中川一郎

    中川国務大臣 そうすれば一番いいことでございますが、大変な過剰生産になるということで、切り捨てるわけではありませんで、そういった方には金融対策なりあるいは基盤整備なり、構造改善なり、平均的な農家になれるようにいろいろな政策を講じて、やがて希望の持てるよう農家へと努力していく。農政はそうあるべきであって、一番生産性の悪いところに合わせて米価を決めるわけにもいかぬし、二重米価、いろいろ農家に対応する差別米価というものもできかねるということでございますので、御理解いただきたいと存じます。
  188. 野坂浩賢

    ○野坂委員 過剰傾向過剰傾向ということですけれども、米の消費拡大をこれからやらなければならぬ。午前中文部省を呼んでおったのですが、おいでになりますでしょうか。――いない。とうとう質問時間が過ぎて割愛をしたのです。あなた方が出していらっしゃる米の消費拡大に関するパンフレットがありますね。七二%はパンを食うようになった、こういうことが書いてあります。だから、減ったのだ。それについては、消費拡大のために学校の給食等については五十六年まで週二回、こういうことになっております。閣議でも三回とか四回とか議論がありますが、農林大臣としては、学校給食をもっと引き上げて、そういう慣行をつけながら将来の展望をすべきではないか、そういう提言をして、そのことで確実に文部省と話し合いをつけてもらう。そういうことをやっていく必要があるじゃないか。  それから、いままで、一九七三年には日本は五十四万トン精米を外国に輸出していますね。あるいは一九七一年には九十一万二千トン、これだけ出しておる。現実にインドネシア等は百九十六万四千トン去年は米は足らなかったわけですから、輸入しておるわけですから、あるいはスリランカ等も五十三万一千トンと輸入しておるわけですから、外国が高いとか安いとかいろいろありますが、日本農業の政策として少なくとも一九七一年なり七三年にやったような措置をやっぱりとる、そういうことで過剰傾向というものを消していくという方向をとったらどうかということが一つと、あるいは麦は八百億円も円高の差益なり麦の価格によって出ておるわけですから、そういうことをかみ合わせれば、一定の程度そういう方式というものは、過剰傾向過剰傾向、こういうことで農家皆さんだけにしわ寄せをするようなことではなくて、そういう世界的な状況も判断をされて対処されたらどうですか。
  189. 中川一郎

    中川国務大臣 米の消費拡大は現下農政上きわめて重要なことでありますので、私は就任以来、本会議でもしかられるぐらい、酒、アルコールを飲むときは日本酒をというくらいのことを言う気持ちで私自身も行動いたしております。ただ、学校給食も文部省と私が話しただけでできるものじゃないのです。学校給食会とか父兄とか学校の先生方が、よしよし、それじゃやってやろうということになっていただかなければできないことなので、週五日のうち二日、五十六年ということではなくして、もう少し前向きにやると同時に、文部大臣とも相談をして受け入れ側の納得が得られるように最善の努力をしたい。そのためには、農協あたりでもラーメンやパンを売っておるような姿勢で学校の生徒にだけは全部米を食いなさいということではいけません。まず、みずからの姿勢を正す。その辺のところからスタートいたさなければならない。閣議でも、まあ少なくとも二日ではなくて半分以上は主食だぐらいのことでひとつやろう、こういうことでございますので、その点については最善を尽くしたいと思います。  なお、輸出問題のお話がありましたが、今日も五百数十万トンありますから、外国からぜひということであればこれは輸出をいたしたいと存じます。ただ、値段の問題が、六万円の値段のものを差し上げて一万円とか一万二千円しか御評価いただけない、したがって五万円とか四万八千円は国の損失になって輸出されるものの性格である、だから過剰が出てもどんどん輸出すればいいではないかというような単純なものではない。農政費で見るにしても国民の税金で見るにいたしましても、五倍、六倍からする米を安売りするということは国民経済上からも考えなければならぬ。確かに麦の金も余っております。余っておりましても、食管では全体で約一兆円でございますが、麦では七百億から八百億であって、これだけでそういった問題に対処するわけにはいかない、こういう事情になってございます。
  190. 野坂浩賢

    ○野坂委員 私の持ち時間がありませんから最後に申し上げておきますが、地代の問題、これは統制小作料ということに算定はされております。これは五十五年には姿を消すわけですね、法律がなくなるわけですから。したがって、これはもう死に体、安楽死みたいなものですからね。これは実納小作料でやった方がいいのじゃないですか。どうです。その辺は。
  191. 中川一郎

    中川国務大臣 私どもも長い間米価を議論いたしておりますが、実際小作料を払ったものは経費として見るのは当然であるけれども、自分の土地で、小作料を払わないのに、実際は人から借りて小作をしたと同じようなことで経費を見ることには非常に疑問のあるところでございます。すなわち、工場で言うならば、家賃を払っている会社の経理と、払っておらない会社が家賃を払ったことにして会計を締めくくるといっても納得しないのと同じように、統制小作料ぐらいのところで見るところがまあまあいいのであって、実際納めておらないのに納めたと同じことをやれというところに問題があるのではないか、小作料にいたしましても地代にいたしましても同じ性格ではないかと存じます。
  192. 野坂浩賢

    ○野坂委員 時間がありませんが、いまの地代でも統計情報部としては二万二千三百四十六円とちゃんと出ておるじゃないですか、全体の統計として。だから、これはこれ、あれはあれで、農家皆さんに、先ほども話があったように、米価は据え置くんだ、そのためにはどういうふうな算式要領でやるかということだけに拘泥しておるわけじゃないですか。  じゃ、五十五年はどういう方法でやるのですか。
  193. 中川一郎

    中川国務大臣 統計情報部にあります実際支払われた小作料については米価に全部見ております。ただ、小作代を払っていないのに払ったことで経費として落とせと言われましても、ここには議論のあるところでございます。五十五年の段階になりましたら、その段階でひとつまた御相談してしかるべく措置をとりたいと存じます。
  194. 野坂浩賢

    ○野坂委員 三分しかないから統計情報部長から答弁してもらいたいのですが、これは全部平均したものじゃないですか。どうですか。
  195. 柳井昭司

    柳井説明員 農林省の生産費調査におきましては、自作地につきましては類地小作料、小作地につきましては実納小作料ということで、これらを平均しているわけでございますが、これにつきましてはいわゆる生産費論といたしましていろいろ議論のあるところでございますが、戦前からもそういう形でとっておるものを踏襲しておる、こういうことでございます。
  196. 野坂浩賢

    ○野坂委員 それじゃ、入っておるということを言っておるじゃないですか、平均して。
  197. 中川一郎

    中川国務大臣 私も入っておらないではなくて、入っておると言っておったのでございます。
  198. 野坂浩賢

    ○野坂委員 だから、二万二千円でつけたらいいじゃないですか。
  199. 中川一郎

    中川国務大臣 実納小作料を全部に払うわけにはいかない、統制小作料程度でまあいいところではないか、こう言っておるわけでございます。
  200. 野坂浩賢

    ○野坂委員 統計情報部としては、地代も含めて、こういうことになっておるじゃないですか。そういう方向で御答弁になったじゃないですか。
  201. 柳井昭司

    柳井説明員 統計の生産費調査におきましては、実際に支払われたものという観点からいたしまして調査をするわけでございますが、この自作地につきましては類地小作料ということで統計はとっておるわけでございます。ただ、これは食糧庁の方で自作地についてどういう小作料をとるかという場合に、先ほどもお話があったとも思いますが、要するに所得付与というような観点からいたしました場合に、いわゆる収益からいろいろな費用を引く。その費用の中におきまして、いわゆる家族労働費をどう評価するかということでございますが、私たちの統計の場合におきましては、これは類地小作料になるわけでございますけれども、家族労働単価が実際の労賃で支払われておるということをベースにしてあらわれておるわけでございます。食糧庁の場合におきましては、その場合に、製造業の五人以上千人未満というふうなことでそこのところが評価がえされておるという観点から、残滓として統制小作料の数字が低くなっているのじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
  202. 野坂浩賢

    ○野坂委員 私の持ち時間は終わりましたので多くを申し上げることはできません。午前中に、この公租公課を見ましても、その払ったものは認めてやるけれども会議の内容については全然認めない、企画労働費はシャットアウトだ、こういうことを政府側は平然と言っているわけですね。全く矛盾だらけです。いまお話があったように、米価据え置きをするんだ、そのためには、そういう上がるような要素はみんな抜いて、できるだけ据え置きにしたらいいじゃないか、いままでの経緯、変遷から見て、四十六年の過剰基調のときには、一番悪いことを一番前に出して、それよりも上がるための努力をわれわれはした、こういうことを言っておるだけなんです。  だから、あなた方から示されたこの書類でも、収量は五百十二キロしかないとちゃんと統計情報部の説明書に書いてあれば、食糧庁は五百二十四キロに水増しをしておる。五十一年はああいう災害があったからそういう水増しはしないけれども、五十年も五百二十五キロのものを五百三十六キロとれたんだ、こういう水増しをして分母を上げた。そして、労働時間も、ちゃんと七十三・八時間働きましたとこの情報部の報告書に書いてある。それを食糧庁では、直接労働費は六十五・六時間、間接労働費は二・九時間、六十八・五時間だということで五時間も引き下げる。だから、これはちゃんと据え置きになるようにきちんと答えが出るというかっこうになっておるのですよ。全くつくらないものをつくったようにし、働いてもそれは時間を切る、これで据え置きになって苦労したというようなことは、どうやって据え置きにするために苦労したかということだけですよ。血の通った農政とは言えません。  だから、いまも芳賀議員が言ったように、もう一遍考え直して、一番いい案とは考えておりません、こういうことですから、われわれの意見を入れて、一番いい試算米価というものを改めて諮問されることが一番望ましいではないかというふうに私どもは考えておりますので、じっくり考えて、今夜一晩考えて、あした米審にはそういう方向で打ち出されるように要望して、私の質問を終わります。
  203. 中尾栄一

    中尾委員長 野村光雄君。
  204. 野村光雄

    ○野村委員 昨日来、米価をめぐりますところの委員会が連続して開催されておりまして、すでに昨日はわが党の瀬野局長並びに武田委員の方から御質問がございましたが、私は限られた二十五分間でございますけれども、ひとつ率直に大臣にお尋ねをいたしたいのであります。  昨日来の委員会の質疑を通じて私が感を深くいたしておりますことは、中川大臣が本年度の米価決定当たりまして、すでに据え置きという形で米価審議会諮問をなさったかたくなな姿勢をいまますます強めていらっしゃるようでございます。  そこで、私は米価審議会への諮問のあり方につきまして最初にお尋ねしたいのでありますけれども、少なくとも十分とは言えないけれども、審議会には各界の代表が網羅されまして、全国注目の中での本年度の生産者米価決定をなさる審議をしょう、こういう審議会がきょうから発足いたしておるわけでございます。それに対して、政府が、審議以前から、本年度の米価はこの程度ですよ、こう審議会に対してすでに枠決めをして審議をしていただく、こういう諮問のあり方に対してはいささか――私は、審議会のあり方に対しての政府のとるべき態度としては、率直に、そういう枠決めをしないで、審議会としての本当の十分な審議をいただく、その中で何らかの、資料として必要なものだけは審議会の要請を受けて提出をする、こういうことが本来の審議会としてのあるべき姿じゃないか、こう思うのでありますが、審議の冒頭から、本年度の米価試算的にもう据え置きなんだ、こういう米価の枠決めをするよう諮問の仕方は反省する考えはないのか。
  205. 中川一郎

    中川国務大臣 昭和四十六、七年ごろ米が余りましたときも、やはり過剰米を処理するのには、政府努力しなければいけませんし、農家努力をしてやっていかなければいかぬと思うのです。過剰米のときも、いままで採用もしていなかった事項を採用して上乗せをする、こういうことは、絶対にこれは農家のためによくないと思っているのです。でありますから、やはり過剰米に対処するのにはいかにあるべきか、そして食管を守っていくのにはどうしたらいいか、あらゆることを判断してつくったのがこのたびの案であり、御指摘のように、何にも出さないでおいて、まず意向を聞いて、聞かれたら出したらという案もありますが、やはり審議のあり方としては、一つの案を出して、その案を中心にして右左の議論があって、落ちつくところに落ちつくというのが審議会の全体的な、一般的な、常識的なあり方であろう、こう思っており、過去もそういうやり方をしておりますので、過去を踏襲するという意味からいってもこの考え方がいいのではないか、こう思う次第でございます。
  206. 野村光雄

    ○野村委員 私は、そういう審議に入らない前から価格決定し、政府考え方を明示する、そういうところに来る年も来る年も無答申、結局は、仮に米価生産者の立場に立って上げたい、上げるべきだ、こう思っても、政府自身がもうすでに価格というものを決定に近い形で審議会に案を提出している以上、やはり政府の方針に審議会としても従わなければならないんではないか、どうしてもそれに逆らうことができなくて最終的に無答申、これが今日の審議会のあり方だ、こういうふうに私は考えるのであります。  そこで、これは論争しておりましても時間がございませんので、次にお尋ねをいたしたいことは、ただいま大臣のお話を聞いておりますと、過剰米、過剰米ということを盛んにおっしゃっておりますので、この点、確認をしたいわけでありますが、昨年、水田利用再編対策という案が出まして、本年度の作付に対しまして、全国の農民の方々が、わが愛するたんぼを水を入れないで畑にしたり、また出来秋を前にして稲を刈り取らなければならない、こういう中でも、あえて農林省の水田利用再編対策に対して涙ぐましい努力をいたしました結果、この目標にすでに一〇〇%以上農民が協力をいたしております。このまじめな再編対策生産調整に対する農民のこの姿勢、こういうものに対して担当大臣としてこの農家の純朴な姿勢をどのよう評価をし、認識していらっしゃるのか、この点が第一点。  あわせて、かつて四十六年以来毎年過大な生産調整目標というものを農民に押しつけ、しかも生産調整にまじめにこたえてきたこの実績にもかかわらず、本年末三百三十万トンからの余剰米が出る。農民の立場からしますと、協力しろ、たんぼを休ましてくれ、転作をしてくれという数字に一〇〇%こたえていながら、余剰米が出た。これは農家の責任ではない、断じてこの責任の所在は政府だ、私はこうはっきりこの際この責任の所在を明らかにしていただきたい。  この二点を、生産調整に協力した農民の姿勢をどう評価するかということと、にもかかわらずこの余剰米の責任の所在はだれなんだ、これをひとつ農民の前に明らかにしていただきたい。
  207. 中川一郎

    中川国務大臣 その前に、先ほどの答弁でちょっと誤解を与えてはいけませんので補足しておきますが、農林大臣として諮問をいたしておりますのは数字ではございませんで、「昭和五十三年産米穀政府買価格について、米穀需給均衡を図るための対策が行われている需給事情に即応して生産費及び所得を考慮して決定することにつき、米価審議会の意見を求める。」これだけでございます。数字の方は、試算をすればこういうものがございますということで、これで政府決定したんだからこれを議論してくれ、こういうことでないことを申し上げておきます。  それから、生産調整に御協力いただいたことの評価でございますが、これは非常にありがたいことだ。やはり現下の過剰状態について農家皆さん方が理解をしてくれたことを高く高く評価いたしております。ただ、政府といたしましても、世界の農政に比べ、あるいは国内の過剰な産業あるいは農業に比べて、反四万から七万の生産奨励金を差し上げる、あるいは関連する事業を進める政府努力も高く評価していただきたい。これは相当の国民の血税をもってやっておる、これも評価していただきたいことと私は思っております。ともどもに汗を流してやっていく、こういう姿勢でなければならないと存じます。  また、米が余った責任はだれか、これはやはり国民皆さんが食わないということだろうと思います。食わなくなった理由は政府にあるのかと言えば、ないとも言えませんが、いろいろな事情が重なって、米価が高いことも一つの理由でしょう。麦に比べて米が高いということも一つの理由でありましょうし、あるいはまた省力化ができないということも理由でありましょうし、いろいろ理由があって米が余ってきたことであり、また生産の方は自力開田、政府が開田をしない、補助金も出さない、融資もしない、もう非常に厳しくやっておりますが、どういうことか、自分で高い金を出して開田しても採算が合うということから、年間相当量の自力開田が行われておる。こういうようなことが重なりまして過剰米になったのであり、農家に責任ないこともありますけれども政府が全部責任あるというわけでもない。そこで、実態は過剰米でありますから、政府農家とが一緒になってこの過剰対策努力をする、どっちこっちということでなくて、ともどもに汗を流し、ともどもに解決していく努力が必要であろう、こう認識いたしておるわけであります。
  208. 野村光雄

    ○野村委員 お聞きいたしておりますと、米の余った責任は国民にあり、消費者が食わないからだ、だんだん考えもずいぶん変わるものだなと私は思っております。今度は食わない国民にしわ寄せがいっているようでございますけれども、私は、余剰米についていまここでああだこうだという論議をするまでもございませんけれども、大臣、よく考えていただきたい。先ほど言っているように、米が余り出した、生産調整だということは八年前からやり出した。きのうやきょう、何かの急変事件が起きて食わなくなったというのなら、これは消費者が悪い。しかし、八年もかかってこれだけの米の需給均衡というものが非常にアンバランスになってきたということがわかりながら、この需給均衡対策につきましては、農民に対する生産調整ということでは八年間やってまいりました。しかし、消費拡大施策というものに対しては、私は、何にもやってないと言うのではないけれども、非常にむずかしい課題ではあると思うけれども、まだまだ消費拡大の施策というものはやるべき対策はあったのじゃないかということと同時に、今後ますますこの課題は閣議の中で論議はされるけれども、具体的な方策がまだ何一つ明確に出されていない。こういうことでは、八年たっても、さらに今後十年たっても、いまのままの無策でいくならばこういうことは続いていくだろう、こう私は思うわけですけれども、その拡大施策というものをひとつ示していただきたい。(発言する者あり)委員長、制止しなさい。
  209. 中川一郎

    中川国務大臣 米を食べないことは政府が悪いと言われましても、統制で食わせるわけにはいかぬのです。正直言って。国民が気持ちよく食べることでなければ、政府が何ぼ決めましても食べない。学校給食だってそうなんです。いかに内閣で決めましても、学校給食会なり父兄会なりがよろしいと言わなければ、国家権力でできるものじゃないということははっきり申し上げておきますし、米が余って、責任はだれかと言えば、米を上げろ上げろということで生産意欲を高めてきたことも、大きな大きな理由があるのです。今後米が余らないためにはやはり値段は厳しくしなければならぬと言って、われわれも農家皆さんから怒られ、当委員会で皆さんから罵倒されて、政治の責任があるからこそ、余らないために、今後、ここでまた上昇していくならばさらに余るような責任で皆さんから怒られたら困ればこそ、農家にきらわれ、皆さんに怒られ、こうして価格についても農家皆さんに厳しくお願いしているのも、まさに政府が責任あればこそである。この点も理解いただきたいのです。米のときにはどんどん上げるべし、上げるべしと言っておいて、そうして生産意欲は強くなってきて、そして自力開田がどんどん起きて、そのしわ寄せも全部政府だ、政府だとここで怒られても困るということだけははっきり申し上げておきます。お互いに責任を持とうではありませんか。
  210. 野村光雄

    ○野村委員 大臣、申し上げますけれども、かつて私も、いつも言いますけれども、親の代から農家をやって、米づくりを専門にやってまいりました一人であります。かつて食糧難の時代、私も兵隊から帰りまして、三十六年まで米つくりをやりまして、一番、強権発動までかけられまして、わが家の飯米さえも残されないで強権発動されてまいりました一人でございます。米が余るから米価は上げられない。では、不足したときには、足りないんだから高く買ってもらう農政をやったのか。一定の低米価に抑えられて、農家みずからがおかゆをすすってでも、国民食糧安定のために、国家の安定のために、涙を流しながら尽くしてきたのが農家じゃないのか。その農家の涙ぐましい貢献なり努力があったからこそ、あの食糧難の時代というものを、急場をしのげたのはだれのためですか。農家のためじゃないですか。私は、そういう過去の実績をみずから体験してきた一人として、米が余るから上げられないんだ、そう言うのならば、足りないときは上げるのか、こう言いたくなる。これでは単なる水かけ論になるからこそ、私は、ここまでいま持ち出す必要はないと思って、現状の中でどう打開するかということを提言しながら、いま大臣に申し上げているのであります。  そこで、時間がございませんから、もう一つここで明確にしていただきたい。昨日以来も、三日の武道館におきます大会におきましても、あすの希望につなげる米価というものを必ず決定いたします。こういう大平さんのおっしゃったことを、中川大臣みずからも大臣の言葉として、きのうまで期待をおっしゃっておりました。あすの希望につなげる米価、こういうことでいま農民が盛んにおっしゃっていることは、基本米価を上げてくれ、その上げ幅に対しては、すでに農民団体から数字が出ているとおりでございます。しかし、据え置きという基本的な姿勢に対しても、新関紙上等からいきますと、政治加算というものによって生産調整の協力金の新設でありますとか良質米の奨励金、こういうことも何か農林省または大蔵省等とも考えを持っていらっしゃるようでありますけれども、この点についてはどういう考えを持っていらっしゃるのか、この点もひとつあわせてこの際示していただきたいのであります。
  211. 中川一郎

    中川国務大臣 戦争中のお話がございまして、まさに私も農家でございますから、経験いたしております。戦争中は、皆さん、戦場に命を捨てた人もいるのです。(野村委員「戦後のことを言っているんです」と呼ぶ)米を供出しただけじゃなくて、命を供出した人もいるんです。焼け出された人もいるんです。戦後、足りないからこそ、いまの値段で計算すれば一四〇%まで上がるぐらいのお願いもしたのです。その結果、いま国際価格では五倍だ、六倍だと言われておっても、なおかつ食管制度を守ってやっていこうとやっているのも、まさに戦前、そういう御協力をいただいたからであって、われわれのやっていることがそういった農家に対して愛情がないと言われると、いささか私どもも反発を感ずるのです。消費者の皆さんからは、中川農林大臣になったら肉はただで入れるだろう、安いものを食わしてくれるだろう、これほど、戦後三十三年間も食管制度、もうなくすのは中川一郎だと言われても、野村さん以上の気持ちがあればこそ、こうやって食管を守るためにいろいろ言われながらもやっておる、こういうことでございますので、ひとつこの点は御理解いただきたいと存じます。  なお、大平幹事長があすに希望のつなげる米価と言ったそうでございますが、私も全くそのつもりでおります。あすに希望がつなげるように、食管を守って、そして米をつくるのに、ああ、米はもういやになった、ほかのものの方がいいやというような希望のない米価ではなくて、やはり米がいいなというものでやっていきたいし、奨励金を出すとか出さないということについては私は聞いておりません。  いずれにいたしましても、当委員会の議論を通じ、また米審の皆さんの意見も聞きながら、最終判断をしてまいりたいと存じます。
  212. 野村光雄

    ○野村委員 すでに時間が参りまして、私は最後にどうしてもここでお尋ねをいたしたいことは、今回、等級格差が新たな買い入れ問題といたしまして二倍に拡大される。この等級格差の二倍の拡大の理由としては幾つか挙げていらっしゃいますけれども、その代表的な理由を聞きますと、品質の評価より銘柄に重きを置かれるようになったということが等級格差が拡大したまず第一の理由。第二番目は精米機、また精製技術等の向上、細分化された等級においては、これは必要なくなってきた。さらに、倉庫の収容力の増大、運送、売買の簡素化、その他ございますけれども、大まかに言って等級格差が拡大された理由がこういうふうに述べられております。  まず第一番の、この品質の評価より銘柄に重きを置かれるようになってきたのが等級格差を拡大した大きな理由に挙げられておりますけれども、そうなりますと、特に北海道あたりのように良質米なり銘柄米というものに非常に気候条件等恵まれない地域、こういうものに対しては非常に不利な条件になるのではないか、こういう懸念がされますけれども、これに対する、この等級拡大対策に対しての不公平が起きてこないか、こういう懸念をいたす次第であります。  もう一つは、この等級拡大において私が一番心配をいたしておりますのは、稲作農家の技術、努力、こういうものが評価されなくなるのじゃないか。大臣も御存じのとおり、農家というものは自然を相手にいたしまして、価格は当然のことながら、自分のとった、生産した、手塩にかけたお米が、たとえ数量は別としても、二等米か何ぼ出た、一等米が何ぼ出た、三等米が何ぼ出た、こういうところに単なる数量、金銭の問題だけでなくて、自分の一年間手塩にかけた品物の評価というものに対して言い知れない満足感と希望、こういうものを農家というものは見出しながらわが子を育てるように作物を育ててきている、こういう農家の考えがだんだんと打算的になっていくのじゃないか、私はこういう懸念をする次第でありますけれども、この二点に対して、この等級拡大に対しての問題点をどのように認識していらっしゃるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  213. 中川一郎

    中川国務大臣 現在の等級間格差は、昭和四十五年に決めたものでございます。当時の米価に比較すると約二%程度のものであった。今日、四十五年から八年たちまして、米価も大体倍近くなった、そういう段階で、いまのままの等級間格差でいいだろうか、もうそろそろ改定の時期ではないのかということで、大体米価が倍になったのと同じよう等級間格差も倍にした。これは無理のないところではないのかなということが一つございます。  もう一つは、やはり銘柄米とかあるいは優良米等に奨励金を出して消費拡大を図っているのと同じように、一、二等、三等といった米をつくってもらった方は、精神的につくっているのだとおっしゃいましたが、やはり実態もこれに報いるということがあってしかるべきではないかということでございます。北海道等についてもいろいろ、私どもお互い北海道でございますからあれでございますが、努力をすれば、今度は一、二等、三等と一本にしておりますし、新しい一、二等、これくらいのところは、まあ一等は無理にしても二等あたりは努力すればそう厳しいことにはならぬのではないか、こう思っておるわけでございます。  その他の事情もあろうと思いますが、根本的にはそういった考え方でございます。
  214. 中尾栄一

    中尾委員長 野村君、もう時間が過ぎておりますので。
  215. 野村光雄

    ○野村委員 この際、委員長に要請しておきますけれども、先ほど私の質問に対して中傷的な批判めいた発言が自民党席からございました。それだけの責任なり何かあるなら、きのうも問題になりましたが、これだけ重要な米価の問題を審議している委員会に、二十名の委員の中で何名出席しているのですか、ふまじめきわまりないじゃないですか。自分の姿勢を改めてから委員会に臨みなさい。以上。(発言する者あり)
  216. 中尾栄一

    中尾委員長 稲富君。
  217. 稲富稜人

    ○稲富委員 いささか委員会が興奮しておるようでございますが、私は、農林大臣が、現在の農業の実情に対して、将来を憂慮しながら非常に努力していらっしゃることに対しては大きくこれを評価して感謝いたしております。どうも先刻からいささか議場が興奮状態にありますが、これもまたやむを得ないかと思うのでございます。それほど現在の農政というものは真剣に検討しなければいけない時期が参っておる、かように考えます。私は、将来の日本農業をどうするか、こういうような意味から、かた苦しい気持ちではなくして、ひとつ話し合うようなつもりで、大臣に二、三お尋ねしたいと思うのであります。私の質問時間はわずか十五分でございますので、要点だけ簡略に質問いたしたいと思います。     〔委員長退席山崎(平)委員長代理着席〕  最初に、私がまずお尋ねいたしたいと思いますことは、本年度におきまして非常に過剰米が多いということを理由といたしまして、政府は米の需給均衡対策という名において米の生産調整をおやりになった、これが非常に農民の協力等によって大きな成果が上がっておる、こういうことを政府も御報告をなさっております。しかし、これは安易な考え方ではなくして、これが実績を上ぐるためには農民は相当に苦しみながら、あるいはこれに関係する市町村も非常に努力しながら、それだけの実績が上がったというこのことは、私は高く評価しなければいけない、かよう思います。特に私は、農民が希望しておる問題は、この生産調整に協力することによって日本農業の健全性を将来も保っていきたい、特に本年度の米価のごときは農民に希望を与えるような、そういう米価決定されるであろうという非常なる期待を持ちながらこれに協力したものであるということだけは私たちはこれは認めなくちゃいけない、かように考えておりますが、政府はこれに対してどういうような観察をしていらっしゃるか、大臣の率直なる気持ちを冒頭ひとつお伺い申し上げたいと思うのでございます。
  218. 中川一郎

    中川国務大臣 長年といいますか、まあ瑞穂の国から米をつくってきた日本が、四十万町歩からに及ぶ生産調整を、しかも前のときとは違いまして今度は十カ年かけて恒久的に転換しなければいかぬということですから、重大な問題だと思うので、大転換だと思うのです。農家の方々が御協力いただくのにも血のにじむ努力をしただろうし、また政府といたしましても最善を尽くしたつもりでございます。政府農家、あるいはまた町村長、県知事さん、農協の団体の皆さん、お互いに汗を流してこのむずかしい仕事をやり上げていかなければならぬ、こういうことで御協力を願い、まずまず現在のところこれができております。今後これが定着していくためには、まだより以上の努力をしなければならぬと思っております。  その場合、農家皆さんが、まあ米価はめんどう見てくれるだろうなという希望を持っておったことも事実でありましょうが、昭和四十六年、七年ごろもやはり過剰ぎみのときには消費拡大その他からいって、他の農作物の値段の相対関係等からいって、三年くらいはしんぼうしようということでやってきた過去の実績もございます。こういうことも勘案しながら、まあ米価については汗を流していただいて、またそれ以外に米価で見られない何物かがあるならば、私どもも血のにじむ努力でこの生産農民にこたえたい、こう思っております。農家にも理解していただいておりますし、何とか希望がつなげるように、こういう気持ちで取り組んでいることを申し上げる次第でございます。
  219. 稲富稜人

    ○稲富委員 ただいま大臣も御発言のありましたように、農民の諸君が生産調整に協力したということは、やはり将来の米価というものに対してわれわれの働きがいのあるよう生産者米価決定していただきたいという期待があったということもあるだろうということも大臣は認めていらっしゃるのでございます。  ところで、そういう点から申し上げまして、私が本年度の米価決定に当たって感じますことは、先刻もお話がありましたごとく、本日、米審に諮問された米価は、もちろんこの諮問を見ますると、食糧管理法第三条第二項の規定によって米価は決めてもらいたい、こういうようなことを述べられております。しかしながら、買い入れ価格試算を見ますると、やはり昨年度の据え置きだ、こういうような結果が出てまいる。ここにおいて農民の方々は非常に思いがけなかったという期待外れの点はそこにあったか、かように私は考えます。  先刻から大臣の御答弁を聞いておりますと、米価決定食糧管理法第三条第二項の規定によって決定するということは大臣も認められ、諮問に際してもそのことははっきり述べられております。ところが、第二項の規定でございまするが、先刻から承りますと、ただ本年度は米が過剰傾向をたどっている、この過剰傾向のときに米価を上げることはどうであろうか、これが据え置きをなされた原因である、こう言われております。もちろんこの第三条には「生産費物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ」ということははっきりしておりますが、この「経済事情ヲ参酌シ」というのをただ過剰米があるということが経済事情だ、これ一点にしぼられておるような感がいたすのでございます。経済事情を参酌するということは、生産費及び所得物価、そういうものを十分考えて米価決定すべきものであって、過剰米の問題は、今日、生産調整もやられておるのでございますが、別個の問題として考えるべき問題ではないか、経済事情を参酌するということを、過剰米ができたということだけにしぼって米価据え置きをするということは、第三条の第二項を偏狭に解釈して、据え置きにするために生産費その他はできるだけ安く見積もって、ただ過剰米に集中して据え置きにした、こういうようにやられたような感を私は非常に深くするので、もしもこういうことであるならば、日本農業の将来のためにも重大なる結果をもたらすものである、かように考えるわけでございます。  先刻から質問を聞いておりますと、どうもこの点に集中されておるのでございますが、大臣はどうお考えになっておるのか、経済事情を参酌するということが過剰米の一点であってはいけないという解釈を私はしておりますが、率直に承りたいと思うのでございます。
  220. 中川一郎

    中川国務大臣 食管法のねらっておりますそもそもの根本のものは、国民に必要な食糧を確保することにあるのです。ですから、本当から言えば政府としては必要な米だけ買えばいいのです。そして、その場合には生産費所得補償方式さえあればいい。現在五百三十万トンから余っておりますから、あと三百万トンも買えばいいのですから、それで済むならばそれなりのまた対応の仕方もあろうと思うのですが、来年また七、八百万トン買うわけでございますが、必要でない米の生産のめんどうまで見なければいかぬというところに悩みがあるのです。もう必要ないのだから、食管法から外れた米はおれは知らぬということを言えば言えないわけでもない、法律のたてまえからいいますと、国民に配給する、生産農家は全部めんどう見るという仕組みにはなっておらないわけです。しかし、生産農家を安定的に、将来またお世話になりますし、日本の経済を支える重要な方々でございますから、過剰生産にならないよう努力をしていく。そして、必要な米を支給していくということにならざるを得ない。  その場合、いま必要な米は何かということになってくると、八百三十万トン程度である。ところが、九百何十万トンできておるというものですから、八百何十万トン必要な米の生産費はどこかというところから計算いたしましたから引き下げになっていく、こういう妥協の産物として、需給事情というよりは必要な米について国が責任を持つ、こういう思想を入れて今度の計算をした。その結果四・二%下げなければならない値段になってまいりますけれども、それは大変だというので、激変緩和だというところから据え置きまで引き上げていった、こういうことでございまして、余っておるから据え置きに抑えるのだ、こういうことではない。法律の趣旨を生かして今日必要な米にどう対処するかという判断からこのような結果になったわけでございます。
  221. 稲富稜人

    ○稲富委員 時間がありませんで、非常に残念でございますが、そうしますと、いまの解釈の基本の問題だけやります。  食管法の第三条によりますと、「米穀生産者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ生産シタル米穀ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノヲ政府ニ売渡スベシ」ということを書いてあります。「政府ニ売渡スベシ」ということは、政府は買わなければいけないということなんだ。昭和十七年に食糧管理法が国会へ提出されたときに、そのときの井野農林大臣は本会議において食管法提案の理由をこう説明いたしております。この食管法を制定する理由は三つある。その一つの理由の中には、農民生産したる米麦をことごとく政府は買い上げることでございますということを井野農林大臣は提案理由の中に説明しておる。  こういう点から申し上げますと、本来から言うならば、農民生産したる米というものは全量政府が買い上げるということが食管法に定められておる。売らなければいけないということは買わなければいけないということでしょう。それがためには、売らなかったからといって、横流ししたからといって、御承知のとおり、二十三年から五十数万人の多くの生産者が食管法違反として処分を受けておるのです。それをただ買うときだけ必要なだけは政府は買うのだ、こういうよう食糧管理法の解釈をやられておるということは余りにも一方的な解釈である、こう言わなければならないと思うのであります。  時間があるならこの問題はもっと論議しなければいけませんが、きょうは時間もありませんからかいつまんで申し上げますが、必要なときは買うのだ、余っておるから下げるのだ、これは食糧管理法の趣旨には沿わない解釈の仕方であるということをひとつ確認をしていただきたい、こう思うわけでございますが、いかがでございますか。
  222. 中川一郎

    中川国務大臣 せっかくの御指摘ではございますけれども、第三条で、政令をもって定むるものを政府に売り渡すべきであって、政令に定めないものは政府に買い上げの義務も何もない。麦は逆にはっきり政府は「委託ヲ受ケタル者ノ売渡ノ申込ニ応ジテ無制限ニ買入ルルコトヲ要ス」こう書いてございます。したがいまして、残念ながら、正直言って麦はできたものは全部買うことを要する。しかし、米は政令の定むるところによって予約限度数量、決めたものは持ってこなければいけない、それに違反した場合には云々ということになりますので、政令の定むる以外は食管法に言う米とはならない。ただ、井野農林大臣の時代に全部買いますと言ったのは非常に足りない時代だったからです。足りない時代には全部買うことになります。法のたてまえからいくと、麦は申し出があったものは買い入れをすることを要するとはっきりなっておりますし、米の場合は政令でもって必要な米を定めてそれを買うということを決めておるわけでございます。  それから、余ったから下げるということはけしからぬということでございますけれども、そのとおりではございますが、長期的に米の需給というものを安定したものにしていくためには、昭和四十六年度も生産費所得補償方式によっていまよりもっともっと厳しい中で農家生産をしていただいたのです。そのうちの一部分の、そのまた一部分を御協力いただいただけで、極端な価格引き下げをしたわけではないのでございます。去年並みの計算をいたしましても〇・六%しか上がらない今日の状況でございまして、来年の生産がこれによって意欲がなくなる、こういうものではないだろう。理屈を言うわけではありませんが、血のにじむ努力をして、われわれも本当にいやではございますけれども食管を守り、国民皆さんの御期待にこたえて、農民の方々も苦労しているな、われわれも食ってやらなければいかぬなという姿勢から言っても、ことしはこういう程度で御協力いただくことが長期的に見て農家皆さんのためにもなるであろう、こう配慮したわけであります。
  223. 稲富稜人

    ○稲富委員 時間が来ましたので済みませんけれども、大臣がそれほど農民のことを考えてくださるならば、私はここに申し上げたいと思いますことは、「政令ノ定ムル所ニ依リ」ということですが、政令は後でおつくりになるのですよ。御承知のとおり、食糧管理法ができましてから、法務省が出しておる「司法統計年報」によりますと、食糧管理法違反によって有罪決定をされた人が昭和二十三年から昭和二十八年までに五十六万八千百六十一人おるのですよ。これは米を横流しをしたというものなんです。この時分には政府に全部売らなかったらこのよう決定をされておる。ところが、今度は政令をつくって、そうして政令の定むるところによってこれを制限するというような、こういう官尊民卑というのか、余りにも一方的な行為であると言わなくちゃいけない。本当に農民のことを考える政治家のやるべきことではない、かよう思います。農林大臣が非常に農民のことを考え、農民が成り立つようなことを考えるとするならば、こういうような政令の扱い方に対しましても、農民の不利益になるような政令を廃止して、農民の助かるような政令を大いに施行してもらいたい。私が最も憂慮することは、こういう農政をやっておったならば、たとえば今回の生産調整に対しましても農民は不満を持っておったのです。それにもかかわらず、今回の米価決定に対して農民の期待に反してまた据え置きにするようなことになりますと、本当に農民農業に対する希望を喪失することになりはしないか。農民農業に希望を喪失するということは日本としての重大なる問題なんです。それがためにこれは真剣に考えなくちゃいけない問題である。そういう意味から申し上げましても、本年度の米価のごときは、生産調整にも協力しておる農民に報いる意味から言っても据え置きにするというようなことはやるべきではない。何とか政治の上において生産農民に希望を与えるような、潤いのある政治をやることが私は今日の時局に対しては最も必要ではないか、農民を思う中川農林大臣はその点に思いをいたしていただきたい。そして、何とか農民に報いる道を考えていただきたい。それが日本農業を守るゆえんのものである、かように私は考えるがゆえにこのことを特に申し上げておるわけであります。  そういう点から申し上げまして、今回の据え置きということは、農民から言うならば非常に期待外れであったと思いますがゆえに、本来から言うならばこういう問題はもう一つ再検討して農民に希望を与えるようなことをやっていただきたいということを特に私はあなたに申し述べておきたい。そして、日本農業というものを高所からひとつ再検討していただきたいということが私のあなたに対する希望なんです。  さらに申し上げることがたくさんありますけれども、時間がないという通知が何回も来ておりますので、いずれ機会を見ましてまたこの問題は大いにひとつ論じてみたいと思いますけれども、本年度の米価に対しては、少なくとも据え置き米価農民が希望を失墜しないような措置をとって、どうか今年度米価決定していただきたいということ、あなたが農民を思われるならばその措置に出られることを重ねて強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  224. 中川一郎

    中川国務大臣 これは大事な点ですから申し上げておきますけれども、過剰生産というものがどのように厳しいものであるか。私も今度ニュージーランドへ行きましたが、世界が過剰生産で買ってもらえないという苦しみ、あるいはまたわが国でも過剰生産で合板界とかあるいは繊維業界等が機械を畳んで、そして倒産失業、血のにじむ苦労をしているのです。ミカンの生産農家も過剰生産のために消費が伸びないというところから、収入が四割になった、三割になったという血の叫びをしているミカン農家もあるわけなんです。米が二回にわたるこのような過剰生産でありましても、過剰分については、畑作農家から言えばなぜ米農家にだけそんないい政策をやるのだという生産調整対策もやっておるわけなんです。価格についても、再生産の意欲を失わぬような値段で確保するというのはまさに農民を愛すればこそであり、先ほど言った食管で長い間国に御協力をいただいた報いであると思ってやっておりますので、農家の方々がどうでもいいなんという気持ちじゃない。過剰生産の異常な事態については、政府としても農林大臣としても愛情を持った措置である、これもひとつ受けとめていただきたいと存じます。
  225. 稲富稜人

    ○稲富委員 あなたがそうおっしゃるなら、もう一つ申し上げたい。  過剰生産なるがゆえに、あなた、この前生産調整をやったじゃないですか。過剰生産なるがゆえに生産調整をやられたのです。これに対して血のにじむよう思いをして農民は協力をしたのです。ところが、今度はまた米が過剰になったからといって米価を上げないということ、据え置きにするということ、これはそれほど協力した農民を逆なでするようなことになるのじゃないですか。過剰生産したとするならば、この過剰生産に対する問題は別個の問題として解決すべき問題であって、米価食糧管理法の命ずるところによって正当なる価格決定する、こういうような立場をとることが私は農政の基本でなければいけないと思う。過剰生産の問題は別個の問題として考える、米価米価として食糧管理法決定するところに従ってこれは決定するのだ、こういうことをとることが農政の正しい姿である、かように私は考える。過剰生産が苦しいことは知っております。知っておるがゆえに、この前の過剰生産に対しても農民も協力しておるのだから、その協力した農民をまた逆なでするようなことをやって、それがために生産者米価据え置きにするということは政治家としてのやるべき行為ではない、かように私は考えますがゆえに、もう質問せぬつもりでございましたけれども、大臣がそういうことをおっしゃるならばまだ一言言わなければ引っ込むわけに私はいかないから、はなはだ時間が過ぎましたが、その点に対する大臣の考え方を承りたい。
  226. 中川一郎

    中川国務大臣 これだけで過剰生産が生まれないという保証があれば私もこんなことはしないのです。その証拠には昭和四十六年のときも農家の協力を得て、あの当時は二百三十万トンの生産調整をしたのです。あわせて米価も約三年間据え置いて過剰米処理をやったのです。過去に経験のあることをお願いしておるので、過酷なことをやっているわけではないのです。長期的に見るならば、この際それだけの生産調整についても努力をするし、値段についても努力をして、そしてこの過剰傾向がさらにふえないという努力をやらなければ、ぼくは全きを期せない、こう考えるがゆえに、お気の毒ではあるけれども生産調整への努力と値段でひとつ汗を流してもらえまいか、血のにじむお願いなんです。これは値段も上げていって、自力開田がどんどんできる、さあ値段を上げたから消費者米価が上がる、消費者米価が上がったから消費者の反発を食うということで、これ以上の過剰生産が出たならば大変なことになるなと思うので、法律、理屈を超えて両手を合わせてひとつ御協力を願いたい、こういう気持ちでございます。これは四十六年もやったことであり、御協力をいただいたことをお願いしているだけです。
  227. 稲富稜人

    ○稲富委員 もうやめますけれども、米の値段を上げるとまた米が多くなるだろう、それでなるたけ米をつくらせぬようにしよう、こういうような手は政治家のやるべき手じゃないのですよ。米はつくらせて、調整するものは調整するのだ、できたものは当然生産費を補償する価格で買い上げる、こういう立場をとることが正当なる政治のとるべき態度である。からめ手でこれをいじめて米をつくらせぬようにしよう、こういう考え方農民に愛情を持った農林大臣の打つ手ではないということだけはひとつ肝に銘じてお考えいただきたいと思う。私はこの点だけはあなたにはっきり申し上げて、私の質問を終わります。
  228. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 津川武一君。
  229. 津川武一

    ○津川委員 前の委員たちが激しく質問し、諮問米価撤回して再諮問するよう求めてきましたが、私もそう思います。これから私がお尋ねすることを含めて、諮問撤回して再諮問していただくよう最後にお尋ねします。  一つは、生産調整。血の出る思いをして生産調整に協力している、これに報いるのが米価でなければならないと思うのです。今度の米価であの生産調整にがんばった農民にどんな形で報いたのか、これが一つ。  二つ目には、生産調整をあれだけやられたらもう農業はやめた、こういう形で農民の意欲が減退しております。これは日本農業の危機につながるものだ。この意欲を生産者米価でどのように考えたか。  まず、この二点を簡単に答えていただきます。
  230. 中川一郎

    中川国務大臣 生産調整に御協力いただきましたことは高く評価いたしております。政府といたしましても世界じゅうの農業に比べて、あるいは国内の他の産業に比べてできるだけのことはやったつもりでございますので、もし生産調整でまだ苦しいところがあるならば、米価で見るよりはむしろそちらの本当に苦労した部分についてめんどうを見るのが愛情のある農政であると思っております。
  231. 津川武一

    ○津川委員 そこで、政府は米が余る、食管が大変になる、この二つを金科玉条のように話をして生産者米価に襲いかかっております。  ところで、お米は一体何で余るのか。中川さんが大臣になってから米の消費をふやすためにあらゆる機会をとらえてきた。だが、現実にいまなお消費は減っております。どうしてこうなるかの一番重要な問題は、消費者の立場からする米と麦の価格です。戦争が終わったとき、麦の一の価格に対してお米が一・七、いま麦製品一に対して消費者米価が四・五、これでは米の消費が減るばかりです。消費者米価を上げるたびに米の消費が減っております。したがって、米の消費をふやすとすればそこいらが根本的な問題、消費者米価を上げないだけでなく下げていく、このことは後で大臣がいなくなってから次官に質問します。  第二の問題、農民がつくり過ぎる問題は、お米以外に何をつくれるか。米並みの所得農民に保障して米をつくると同じよう生産条件を整備して、いろいろな営農や共済をそこにやらないでおいて、お米をつくったからつくり過ぎると言う。これも根本的な間違いで、この対策もまだ立っておりません。これも後で質問します。  きょうの本来の質問は、そこで私たちは生産農民にどう報いるかということは、都市勤労者並みの所得をここで報いていく以外に道はありません。自動車をつくる労働とお米や麦をつくる農民の労働とは社会的労働としては同じであります。これに同じように報いていくことが国政の根本問題だ。あなたは食管がどうだとか、いろいろな点で米が余るとか言っているが、一番大きな国政の問題はここに存する。  そして、いま農民がどうなっているかというと、一九五五年に農民の数は千四百七十八万、そのとき労働者が千七百七十八万。六五年に農民が千四十六万と減った。労働者は二千八百七十六万とふえた。七五年には農民が六百十八万、労働者が三千六百四十七万。七六年には農民か六百一万。いまは六百万を切っちゃった。それに対して都市労働者は三千七百十二万。こういう形で都市の労働者がだんだん多くなっていっているのです。農民が少なくなっていっているのです。  この農民が生きる道は何か。労働者は労賃、米づくり農民が生きる道は、命の糧は米の価格、こういうことなんです。こういうふうな考え方で言うならば、減少していく農民を支えるために、都市勤労者並みの労働報酬で米価算定すべきでありませんか、いかがでございます。
  232. 中川一郎

    中川国務大臣 比較の問題で、麦を上げろ、そうすればいいのだ、こういう……(津川委員「それは後で聞きます」と呼ぶ)いや、後で聞くというけれども、そういう無責任なことも言われると困るので、円高メリットを返せ、消費者のためにやれというのが共産党の考え方じゃないのですか。共産党が本当に、円高メリットは要らないから麦を上げろ、そういうことを消費者の前でも堂々と言えるならば真剣に耳を傾けますが、消費者のいるときにはそっちは上げちゃならない、農家の前に来たときにはうまいことを言い、消費者の前に来たときにまたうまいことを言うような一貫しない質問は困るということをはっきり申し上げておきます。  それから、他の農作物に転換するものかないじゃないか。ないのは事実でございますけれども、他の作物だって大変に努力しているのです。これはもう農業が大事であればこそ、たとえば麦も国際価格の三倍、四倍という、国民から言うなら安い外国の麦を食いたいと言いながらも、大変な財政負担と国民皆さんの協力を得ながらやっているのです。それでもなおかつ国際価格の三倍、四倍高いものすらつくれない、やっぱり米がいいということなんです。これ以上ほかのものをやれと言ったって国民が承知するかということです。麦一俵外国から買えば三千五百円で入ってくるものを、向こうでは生産費千五百円です。こっちのものをいま一万円で買っておりますけれども、米をやめて麦を米並みにするといったら、麦を恐らく一俵二万円か三万円ぐらいにしなければならぬでしょう。そういうことが一体そう一遍にできるかということもひとつ真剣に考えていただきたいし、もう一つ、工業の関係で農業者が減る、まことにわれわれも残念でございますから、本来ならば、アメリカ等から輸入してもらって、農家の数が減って、そして工業に向けばいいのですが、現在は工業だってそう吸収力はないし、一割程度の農民というものは日本の社会構成からいってどうしても必要だというので、私は、対外折衝で非常に厳しくとも、安い肉はそう買えませんということで、いまもストラウスその他と一生懸命やっておるのも、日本農民が大事であればこそ、農村人口を減らしてはならないからこそ、国際価格に比べて三倍、四倍、五倍、六倍――との農作物をとっても五倍、六倍でしょう。消費者からしかられながらも農家の立場を守っていることも御理解いただきたいと存ずるわけでございます。  われわれも一生懸命やりますから、ただ悪いことだけ言わないで、ひとつ論旨は一貫して御質問いただきたいと存じます。共産党はぜひとも、円高メリットはもうとらなくてもよろしい、消費者はそれくらいがまんして米に向かうべきだと御決定をお願い申し上げておく次第でございます。
  233. 津川武一

    ○津川委員 中川農林大臣が共産党に鋭く対決してくれてありがとうございます。私たちの言うのを、大臣どこかで見違えているのじゃないの。生産者には再生産費が確保されるように、消費者には家計が苦しくならないように国が決めてあげる。特にこの際、小麦は差益金利がたくさんあるから小麦の値段を上げないだけでなく、消費者米価にもそれを同じ会計の中で回していいのじゃないか、こうまで言っているわけです。間違えないように、共産党の文献、政策を正しく見てからお答え願うようにこれまた要請しておきます。  そこで、都市勤労者並み、四十五年度まで皆さんが五人以上青空、四十六年になってからは都道府県の労働者の賃金並み、四十六年からは五人以上五百人、その次は五人以上千人以内という、これを比較している。都市の労働者の数は、先ほど申し上げましたように、ずっとふえている。このふえている都市の労働者に――しかも規模が大きくなっている。国鉄だとか学校の先生方というのは、何十万という労働者がいる。これにこたえることこそが、いま日本農業を守る基本的な問題なんです。日本農業を解決する一つの道は、都市勤労者並みの所得農民に保障するということ。労働者の方は数がふえていっている、規模が大きくなっている。それに対してあなたたちのとっているのは、五人から青空、その次は都道府県の平均賃金、今度は五人ないし五百人以内、五人ないし千人以内とつづまってきている。だから、国政上大問題なんです。どうしてもあなたに考えてもらわなきゃならないのはここのところなんです。  これに対して、一生懸命生産調整をやったのに対して、伝えられるところによると、生産調整に対する補償として一・三%出すと言っている。もし、出すとすれば米価で出すべきなんです。これを政治加算で出すべきでないのです。そこにこそ問題があるのです。あなたは一生懸命生産調整をやった人に何らか考えてあれをするというが、上げるとすれば米価なんです。  国政の基本として、いまの日本農民の置かれている状態と日本の動いている状態を見たときに、あなたたちの言う五人ないし一千人未満というのは恐ろしく国情に反している。私が言葉を言うとあなたが怒るかもわからぬ。反農民的なんです。常識からも反している、世の中の動きからも反しているのです。農林大臣にがんばってもらわなければならぬというのはここのところなんです。もう一度方針を聞かせていただきます。
  234. 中川一郎

    中川国務大臣 共産党の話を聞いていると神様みたいな話になってしまって、消費者米価は安く、生産者米価は高く、そんなことを言ったら国家がもちません、やはりきちっとしていかなければ。財政は幾らでもあるのじゃないのです。国民の税金をもって、責任を持っていけば、福祉はやりなさい、税金はまけなさい、国鉄の合理化は反対です。運賃は上げませんなんということはできないのです。責任政党としては。でありますから、消費者米価との関連において生産者米価も考えていかなければならぬ。法律のたてまえはもちろんそうでありますが、財政を預かる者はそう無責任なことはできないということです。  それから、労賃の問題の話がありましたが、労賃も一時期は単なる千人以下じゃなくて、五百人以下じゃなかったかと思います。そこまで行ったこともあるし、あるいはまた、場合によっては、米の多い地帯にウエートを置いて、たとえば神奈川県は余り米がないから神奈川県の工場は使わぬようにというような厳しい時代もあったのです。要は、農家皆さん方が、農家の近くで働く工場の労賃部門がとれる。町へ行っての特別な企業、大変に経費のかかり、物価の高い町での大企業の大工場、そういったものでは、これはということで、農村が勤労者とよく似ている地帯の労賃を計算したまでであって、むごいことをやっているとは断じて思いません。  それから、あなたが、生産調整苦労しているから米価を上げなさいと言うから、もし生産調整苦労しているならば、国家財政あるいは国民からの協力を得てやる場合には、苦しんでいるところにやるのが一番妥当である、こう申し上げておるのであって、苦しいところに手当てをして、それはだめだと言われる理論が私にはわかりません。
  235. 津川武一

    ○津川委員 消費者米価は上げないで、生産者米価農民の再生産費が保障されるように上げろと、われわれはそれを要求してきました。世の中が不景気になれば不景気になるほど福祉が必要です。このこともわれわれは要求しております。その財源として、日本経済への提言として、私たちは、大企業にまけてやる税金を国民並みに取りなさい、大企業にまけてやる内部保留の問題を国民並みにしなさいという、財源まできちんと書いて提言してあります。各大臣は読んでくださっていると思いますが、中川農林大臣もそれを読んでくださって、いまみたいなことを言われないで、本気に日本の将来を考えていただくようお願いして、私は質問を終わります。
  236. 中川一郎

    中川国務大臣 税制で一番不公平なのは医師優遇税制と言われる、国民が怒っている、これに対しても共産党は取るべきでないと言っておきながら、余り抽象的な……(津川委員「おかしいな」と呼ぶ)医師優遇税制については、あなた方はやるべきだという結論を出したことがありますか、ないでしょう。(「津川病院があるから」と呼ぶ者あり)津川病院があるから、そうでしょう。そして、大企業、大企業と言って抽象的なことでごまかさないようにお願い申し上げておきます。
  237. 津川武一

    ○津川委員 これで終わりますが、医師の優遇税に対しては、私たちはこれを認めてはいけないと思っております。(中川国務大臣「思うでなく、決定しなさい」と呼ぶ)決定しております。ただし、個人の重い病気を治療するためにはかなり高価の医療器具が必要であります。これには国が補償して出してやって、医師がそれぞれの所得として残ったものに対しては普通の所得税をかけなさい、こう言っております。大臣がそれをねじ曲げて言うから……(「米価と医療問題は別だよ」と呼ぶ者あり)医療問題じゃありません、大臣の姿勢であります。そういうふうに政党の言うことをねじ曲げて言うから、こう言わざるを得ないのであります。その点をよく勉強してください。  これで終わります。
  238. 中川一郎

    中川国務大臣 政府をねじ曲げて言うから、私もあなたの方をねじ曲げて言うのでございます。
  239. 山崎平八郎

  240. 菊池福治郎

    ○菊池委員 時間がきわめて限られておりますので、質問の要旨、あるいは農政米価に対する考え方を先に申し上げますので、後で大臣の御答弁をお願い申し上げます。  今回の米価据え置き諮問というものは、農民に対して大変大きなショックを今日与えております。大きなショックを与えておるだけではなくて、日本農業のこれからの政策を推進していく上において大きな支障を来すのではないか、大きな悪影響を与えるよう米価諮問ではないかというふうなことを非常に心配をするわけでございます。  いままでのいろいろな議論を通じて出ておりまする一番の問題は、米価据え置きの原因というものは、大臣の発言でも、その他の発言もありますが、過剰生産である、非常に米が余っておるということが最大の一つの問題点のようでございますが、確かに米は五百万トン前後秋になれば余るというふうなことが言われております。ただ、米が余っておるということは、それではそれに対しては政府は責任がないのか。米が余っておるというこの現状は、いままでの農政を展開してきた推移の結果そうなったのではないかというふうな認識もあるわけでございます。  たとえば、いまいろいろ質問のやりとりを聞いておりますと、大臣は四十五、六年にも大変な過剰があったのだ、それを消化するために莫大な金を使ったのだというようなことを言っております。そうであるとするならば、たとえば学校給食というようなことをいま言っておりますが、もちろんこれは半分も完全にやっておりませんが、二年も三年も、四年も五年も六年も前から米が余っておるということがわかっておるのですから、わかっておるのであれば、その消費の拡大にも本格的に取り組むべきではなかったか。学校給食にしても最近、ことしあたりやや騒いでおりまするけれども、まだ来年になるのか再来年になるのか、完全なことは見通しがない。こういう、はっきりわかっておって、そこでたとえ何十万トンでも消費できる可能性があるとするならば、そういう問題に全力を挙げて取り組むべきものでなかったか。  その他、消費の拡大というものはいろいろ挙げられております。そういうことについて、本年度の米の消費の拡大についての予算は、文部省、農林省合わせて七十億前後、七、八十億だろうと思いますけれども、たとえば減反政策等に二千百億円かけるのでありますから、それをそのままというわけにもいきませんでしょうけれども、一千億ずつ五年も六年も消費の拡大に金をかけてやってみた、毎年毎年二千億円も金をかけたんだけれども消費の拡大はできなかった、こういうのであれば別ですけれども、そういうふうな取り組み方はいままでなかったのではないか。こういう点が今日米の過剰にあらわれてきたんだということになると、政府が余っておる、余っておると言うことだけではなくて、余っておるのは政府がやるべきことをやらなかったからであるというふうな認識もやはり必要なんではないかというふうに思います。  また、他の作物のことにつきましても、いま大臣のお話もありましたが、何で皆米へ米へといくかというと、これは明らかに米以外の作物をつくっておったのではいろいろな条件、価格の点において十分でない。まことに不十分である。好むと好まざるとにかかわらず、米へ米へと傾斜していったというふうなことがあるわけですから、六年も七年も八年も前に米が余っておるという現状を厳粛に直視するならば、そういう問題についても、他作物に対する政策のとり方はもう少しましなとり方があったのではないかというふうにも考えるわけであります。そうすると、これもやはり政府のやり方が万全であったということにはならないのではないかと思う。  また、農作物の輸入の問題につきましても、これは一度に外麦を何割減らすというようなことはできないにしても、政策的なさまざまな誘導をして、たとえば何カ年で二割か三割減らす、そういうふうな方向は、いろいろな形において政策を総合的に進めて、あるいはそういうことができるのではないか。そういったようなことも何もしないで、その結果米が余ったというふうになっておるわけであります。  さらに、米が余ったといっても、四百万トン、五百万トンというのは、本当に余っておるという数字になるのかどうか。備蓄というふうなものも、いま異常天候だとか、地球上にはいろいろ栄養失調の民族があるとか言われております。餓死者も何十万人と世界的にあるわけですから、輸出をするというのであれば、これは価格が、単価がどうだとかという問題がありますけれども、輸出ではなくて、人道的に援助というふうな方法もあるのではないか。エコノミックアニマルといって、盛んに黒字減らしというようなことも言われておる、こういう世界経済の貿易環境でありますから、それを積極的に援助というふうなものにも向けたって、これは決して悪い方法ではないのじゃないか。備蓄の方法にしても、さまざま言われておるように、金さえかければいろいろ方法はあるのではないか。あるいは家庭の備蓄とか――私は宮城県でありますが、この間大変な地震が起こりました。地震に対して個々の家庭、市町村等に何らかの形で備蓄をさせるというふうなことを政策的に誘導していくというようなこと等々を総合的にやった場合には、四百万トン、五百万トンというものを余った、余ったというようなことでなくても方法はあるのではないかというふうに思うわけでありまして、少なくとも来年度からこういうふうにして具体的に学校給食では何十万トンふやすとか、あるいは酒米についてはこうだとか、あるいはさまざまな方法があるわけですから、そういうものを計画的に数字を詰めて、それに対して何百億円でも予算をつけるといったような本格的な消費の拡大に取り組むということが――やたらに、余ったからすぐ短絡的に減反をして、それで農家所得を減らす、場合によっては農政を転換する場合もありますけれども農政の転換を、農民所得が減るということによって転換するということは余り賢明な方法ではないのではないか。もっと別な、農民も喜ぶ、また問題も解決するというふうな方法において農政を転換するというやり方もあるのではないかと思うわけで、その点、備蓄の問題、援助の問題、消費拡大の問題を大々的に国政上の大問題として本格的に内閣が取り組むならば、そして国民的な合意、コンセンサスを得るならば、これは私は二百万トン、三百万トンというものを消化する方法はあり得るんではないかというふうに思うわけで、その辺のことを御要望かたがた御質問申し上げます。  さらに、その減反政策でありますが、百七十万、トンを三年間というと五百十万トンです。さらに推移を見て十年間やるというのですから、大体七百万トン減らそうとするのか、八百万トン減らそうとするのか、それははっきりしておらないわけでございます。こういうふうにしたならば日本の米と米作というものは一体どうなっていくのであるかという展望というものはないのじゃないか。しかも、米以外の作物が何と何がどのように定着していくのであるかという計画、展望というものもない。とするならば、これは五年後、七、八年後には米もだめ、米以外のものもだめだというふうになりかねないわけです。そういうことになった場合には、人間は、御承知のように、だれでもわかるとおり、どんどんふえていくわけですから、ふえ方の多寡はあっても地球上の人口はふえていくわけですから、穀物はそれに比例してふえないということは小学生でもわかるわけです。そういうことになった場合、日本食糧問題というものは一体どうなっていくのだろう。  さらに、減反政策というふうなことが、ことしこういうふうな大問題を抱えておりながらも、市町村とかあるいは皆耐えがたきを耐えて、食管制度を守るとかというふうなことのためにこれは協力しているわけでありますから、この際、将来の農業政策、食糧政策は別にいたしましても、減反政策というものはそういうわけで五百十万トンも減らすとか七百万トンも減らすというようなことは実際上できるのかどうかという不安をわれわれは持ちますけれども、そういうものには余り賛成はできないと思いますが、仮に百歩譲って、農林省の方針のとおり水田を再編成していくのであるとするならば、これはことしの米価を据え置くというようなことは、これはその方法についてもまことに……(発言する者あり)三年間で五百十万トンでしょう。それは違うのですか。そういうふうなことを来年も再来年もするのであれば、今日ここで米価を上げておいて農民の信頼感を得れば、農政の推進ということはスムーズにいくわけだけれども、今度はそういう農政の転換の協力者である優等生ですから、優等生に対してごほうびをやるというのであればわかりますけれども、ごほうびをやらないで罰として米価を据え置くというふうなことをやったならば、来年からそういう困難なむずかしい問題にだれが一体協力すると思いますか。  これは農林省の政策の推進のために、今回の米価据え置き諮問撤回して、大幅に引き上げて、そして信頼感を得て、その信頼感の上に新しい困難な農政を展開していくということが正しいのではないかと思いますので、数字のことはこちらで言うのとそちらで言うのとさまざまな問題の組み合わせ方もあるようでありますが、ぜひ大臣には政治的な大英断をもって米価を大幅に引き上げる、そうして農民との信頼関係をつくり上げて、しかる後にむずかしい農政の転換を図っていく、日本農業の将来の発展を目指していくというふうに持っていくべきじゃないかと思います。  時間がありませんので、その点の御答弁をお願いしたいと思います。
  241. 中川一郎

    中川国務大臣 米が余ったからどうのこうのではないのです。これから余る傾向がいよいよ強くなるから困っておるのです。現在あります五百六十万トンを処理するのには一兆円程度かければあるいは処理できるかもしれないのです。今後いよいよ過剰傾向が強くなるので非常に困っておる。じゃ、学校給食をやったらいいだろうと簡単に皆さんおっしゃるのですが、余ったらみんな学校給食と言うのです。ミカンが余ったら学校給食、牛肉が余ったら学校給食、学校給食は残飯処理場ではないと私は言っているのです。学校給食の皆さん方が、よし食べてやろうという気持ちにならなければ、政府が押しつけてできるものじゃないのです。ですから、文部省とも連絡をとりながり、学校給食会その他皆さんに、どうかひとつ米が余っていることだからといって協力をお願いして、本当に一生懸命やっておるのです。しかし、遅々として進まないのは、農協その他でラーメンを食いながらおれらにばかり米を食えと言ったってそうはいかないよという気持ちもあって、なかなか政府だけの気持ちではいかない。だから、私は農林大臣になってから、酒の問題からも総合的にお願いしているのはそういうことなんです。ただ、国家権力でもって、さあ米を食え、米を食えと言ったってそう食うものではないのです。そういうことでございます。  米以外の作物、こういう話ですが、これも先ほど御答弁申し上げたように、国際価格で言えば五倍も六倍もするのです。大豆をつくってください、麦をつくってください、あるいは飼料作物をつくってください。一方では安い物を食いたいという国民の声、あるいは世界じゅうは、何でそんな高い物を自分の国でつくっているんだ、おれの方の安い物を使えという声、そういうことに対抗しつつ、そういったほかの作物についても魅力あるものにしたい、こう努力しているわけなんです。  今度は備蓄論があります。備蓄論についても、これは備蓄を言うときは備蓄論なんです。今度は消費拡大になると、新米を食わせろ、備蓄した悪い物を食わせるから消費拡大にならないんで、そんなことを言っていないでいい物を食わせれば米は余らないで済むのだ。これはもう両立しないわけなんです。備蓄をすればやはりぐるぐる回していって、古い物を食ってもらわなければいかぬ。こういうむずかしいものがあって、責任ある者としては一方だけではなかなかできないということでございます。  それから、長期的な展望等がないということでございますが、六十年の長期見通しにおきましても、米は一一三%からの生産能力があるので、一〇〇%に持っていくと同時に、特に自給率の悪い大豆とか麦、飼料作物、甘味資源作物、こういったものは多々ますます弁ずで、自給率が非常に低いのです。こういうものに生産奨励金もたくさん差し上げて、十年間のうちにそちらに定着するように、これはもう本当に長期的な展望でもってお願いを申し上げておるわけでございます。  そこで、生産調整に協力をしてくれたんだからごほうびで米価を上げたらどうだ、まことにいい御意見ではございますが、生産調整農家が全部責任持ちますから、どうか米価ではちゃんと見てくださいというならこれも理屈なんです。ところが、生産調整の方も政府がやりなさい、米価の方も両方やりなさいと言われると、米価を上げると理論的に生産調整がむずかしくなってくるのです。ですから、もし生産調整で苦しいというならば、生産調整の方に御協力代として政策的に手当てをするのが、むしろ長期的に米の余らない仕組みに対する取り組み方だと思うのです。今日こうして怒られますのも、将来にわたってまた年間百七十万トンが二百万トンになった、三百万トンになったといったときに怒られたら困るし、そのときにはまた農家皆さんも苦しまなければならないと見通されるからこそ、怒られながらも政府はそういった責任を果たすためにこのように汗を流して努力をしておるのだという点も御理解いただきたいと存じます。  しかし、いろいろと有意義な御指摘もございましたので、十分勉強させていただきたいと存じます。
  242. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 野村光雄君。
  243. 野村光雄

    ○野村委員 大臣がお立ちでございますから、政務次官に引き続いてお伺いします。私に与えられました時間は十五分でございます。  先ほど来、私の質疑を通し、また各委員の質疑を通して聞いておりまして、米価がどう決まるんだろうと今日はたくさんの全国からの生産者の方々が傍聴席にお見えになりまして、農林大臣を初め政府米価に対する非常に冷たい姿勢というものを目の当たりにいたしまして、大きな期待をかけて来られました生産者がどんな心境でいらっしゃるかということを私は拝察をいたしておる次第であります。  私は、論議を通して、もっと農林省、農林大臣は農民を信用すべきで、米価を上げれば生産調整に協力しなくなるだろう、だから上げられないのだ、結論から言うとこういうことをどこまでも根底に持っていらっしゃる。その点、繰り返すようでありますけれども、ペナルティーというような罰則をかけられない時代から、何回も言うようでありますけれども、過去八年間、農民生産調整にまじめにこたえてきた、この実績を本当に信頼してやるべきだ、そして生産費所得を償うよう米価として決定をしてやるべきだと思う。私は、農林省が不幸にして農民を信用していない、そういうところに大きな欠陥があるように思えてならないのであります。しかも、大臣は、いまいなくなりましたけれども、先ほど来の質疑のやりとりを通して聞いておりますと、責任ある政府農林水産大臣としての答弁でなくて、何か政党間の論争で、農林大臣がみずからそこで政党を名指ししたり個人攻撃をやったりして、反対に挑戦的な姿勢で答弁に立っていらっしゃる。私はそういうこうかつな姿勢を見て、農民のために非常に残念に思うのであります。  その点、政務次官としては、これらの中川大臣の質疑を通しての姿勢、そういうものに対してどういうような感想なりまた感慨を持ってお聞きになっていらっしゃるか、まず率直にお聞きをいたしたいのであります。
  244. 今井勇

    今井説明員 これは人それぞれの御性格がありますし、それぞれの答弁の仕方があるわけであります。したがいまして、私がここでとやかく申し上げることは差し控えますが、いずれにしても先ほどの答弁は、相当皆さんから御指摘を受けた点があろうかと思いますが、それはそれなりに一生懸命にやろうとするお気持ちのあらわれであるというように私どもは理解をいたしております。また、政治家である以上、自分としての御意見を持たれることは当然でありまして、それをお述べになったということであろうと理解をいたします。
  245. 野村光雄

    ○野村委員 私は率直に申し上げまして、先ほども触れましたけれども、三日の武道館の大会まで積み上げてまいります経緯の中で、下は市町村段階から米価大会というものが何回となく段階を経て盛り上がってきたのが今日の実態なんであります。その中で私も与えられた場所に、この各種米価大会に何回となくお邪魔させていただきましたが、これらに出ております自民党に所属する各議員の方々も、一貫して最初から米価に対しては、農民皆さん方がどんな希望を持って値段をはじき出してきても、ことしは据え置きなんですよ、あきらめなさいといった話を私はこんりんざい聞いていない。おたくの大平幹事長みずからでさえも、あすに希望をつなぐと非常に農民に期待感を持たせる発言をずっとしてきておる。いよいよ米価決定になるというと、これはことしだけじゃありませんけれども農民に各種大会で言っていることとは裏表に、手のひらを返すように変わってくる。こういう一貫性のない姿勢は改めるべきだ、こういうように私は思うのですけれども、政務次官はこの点に対してどのようなお考えを持っていますか。
  246. 今井勇

    今井説明員 米価決定は、先生御案内のとおり、政府がこう考えるという試算をお示しを申し上げて、その議論を踏まえて最終的に政府の責任におきまして決めておるわけであります。その間において、試算米価がそのまま通ったこともあろうと存じますが、大半はやはりそのときの米審委員あるいはまた世論、またこういった委員会における議論を踏まえて、そのときそのときでしかるべき妥結を見たものと考えております。したがって、今回も、先ほど大臣も申しましたように、これが一つであって、絶対のものであるというふうには必ずしも言っておりません。ただいまの厳しい条件を考えれば、政府試算をする態度としてはこれがベストのものだと思って出しますが、米審の会議なり、あるいは当委員会なりの御議論の中でひとつ最後の仕上げをしてまいりたいというふうなことをはっきりと申し上げておりまして、私どももそのつもりでおります。
  247. 野村光雄

    ○野村委員 ここでもう一つ、過剰米ということがいずれも大きなネックになっているわけでございますけれども、それでは過剰の実態というものを具体的にひとつ私はお聞きをしたいのであります。  一応本年十月末で総体的には三百三十万トン、こういうふうに言われております。しかし、その過剰の内訳は年度別にいたしましてどういう実態なのか。昭和何年度産米は何ぼ、昭和何年度産米は何ぼ、こういうのを具体的にひとつ示していただきたい。
  248. 戸塚金郎

    戸塚説明員 本年十月末の古米持ち越しは、昨年の約三百七十万トンから百六十万トンふえまして、大体五百三十万トン前後になるというふうに見通されます。  この五百三十万トンの内訳でございますが、五十年産米が大体四十万トン、それから五十一年産米が百五十万トン、五十二年産米が三百四十万トン、この程度になるのではないかと考えております。
  249. 野村光雄

    ○野村委員 それ以前の米はどうなっているのですか。
  250. 戸塚金郎

    戸塚説明員 それ以前の米は、ほとんど計数に乗るほどの量は現在ございません。
  251. 野村光雄

    ○野村委員 どれだけあるのかはっきりしてくださいよ。
  252. 戸塚金郎

    戸塚説明員 政府が持っておりますこの五百三十万トンの外にカドミその他で保留しているものがございますが、それは配給に向きませんので、一応配給に向くというたぐいの米はいま申し上げましたようなことで、この十月末にはそれ以前の米は一応配給に向くものはないということでございます。
  253. 野村光雄

    ○野村委員 配給に向くものではないけれども、私がかつて予算委員会で指摘したとおりに、依然として本年度予算で組んだ管理保管料を支払って政府の手によって保管している米に十年前からのものからあるじゃないですか。
  254. 戸塚金郎

    戸塚説明員 いま申し上げましたように、カドミその他で配給に向きませんものが五百三十万トンの外に若干ございますけれども、これもほとんど整理をいたしますので、十月末にはほとんど残らないと思います。
  255. 野村光雄

    ○野村委員 現在を聞いているのですよ。私の方で教えてあげましょう。この前も言いましたように、これは私が北海道の段階だけで調べたのです。四十二年度産米、まる十年前だ、これがまだ北海道だけで七百トンあるのですよ。四十三年度産米が三千五百トン、四十四年度産米が二千五百トン、四十五年度産米が二千二百トン、総計約九千トン。先ほどから言っているように、いいですか、生産調整をする前ですよ。米を増産せよ、増産せよと言ってとらせた時代だ。米が余るから生産調整してくれという以前のお米でさえ、もう鶏のえさにもならないで山積みされているじゃないですか。結局は食糧庁として農家がこれだけ汗水たらしてとったお米の管理がずさんで、十年間もいまだにこのまま保管料を支払って置いている。これは余剰米とか米が過剰生産とかという以前の問題ですよ。そうじゃないですか。あるじゃないですか。
  256. 戸塚金郎

    戸塚説明員 先ほど申し上げましたように、カドミあるいはカビ等によりまして配給に向かないものがこの五百三十万の外に在庫しておりますが、これも十月末までには極力整理をいたしまして、カビ米等は十月末には大体なくなるのではないかというふうに考えているわけでございます。
  257. 野村光雄

    ○野村委員 時間でございますので、私はただいま一つの、北海道だけの、私は北海道選出ですから、全国的に調べるだけのあれはございませんけれども昭和四十五年以前のお米だけでさえも、いま言いましたように九千トンからある。それに対して高い保管料を払っていまだに置いてある。これはあくまでも、いま言ったように、過剰米とは違うのです。政府みずからの管理が不行き届きのために食べる米を食べれなくしてしまったお米でございますよ。そういう点に対しては、過剰米とは別として、農民が汗水たらしてとったお米に対する管理というものに対しての姿勢、こういうものを基本的に農林省は改めなければならない、私はこう思うのですけれども、こういうお米の管理に対してどのように反省していらっしゃるのかどうなのか。
  258. 戸塚金郎

    戸塚説明員 このようなカビ米の発生は、先生御承知のように、四十二年、四十三年、四十四年の大豊作で政府が七百二十万トンの過剰米を持ったその時代に起きた問題でございまして、現在、その時期に近い五百三十万トンということでございますから、同じ過ちを犯さないように保管、管理には十分気をつけていかなければならぬというふうに考えております。したがいまして、そういう意味で低温食庫その他の充実というようなことには大いにいままで努力をしてきたつもりでございます。
  259. 野村光雄

    ○野村委員 努力をしたということでございますけれども、御存じのとおり、四十二年産米当時七千七百九十七円で政府が買い入れたのですね。十年間の保管料が六十キロ、一俵当たり三千八十八円かかっているのですよ。一万円以上になっているじゃないですか。その膨大な――口を開けばお金がない、財政が困難だと言いながら、十年も前の鶏のえさにもならないものをいまだに置いておいて、そういうことは農民がせっかく汗水たらしてとったお米の管理というものに対して血の通った行政というものをしていない証拠なんです。  いま反省がありましたから、これ以上は申し上げませんけれども、ひとつ今後のお米の管理、そして運営、こういうものに対しては真心ある農政としての管理をしていただきたい、こういうことを強く要請いたしまして、私の質問を終わります。
  260. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 吉浦忠治君。
  261. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 最初に、次官にお尋ねをいたしますが、このたびの米価決定について据え置きという諮問が行われたわけでございますけれども農民のふだんからのいわゆる心情というものをお察しになって、先ほど大臣もお答えになりましたけれども、十分な審議をされた上の御決定だというふうに私は受け取りましたが、こういう大事な審議をなさる場合に、長い間の慣例ではございましょうが、私ども農林水産委員というのは国民から選ばれた代表者であります。この最高権威を   国の機関としては最高の場所でありますのに、米価審議会で、私ども何かかゆいところに手が届かないようなところで審議をされて決まっていくという行き方、当然こういう重大な問題は国会の審議において決めなければ、朝から延々と審議をされたものが結果的には何かサル芝居みたいな形で、言葉が当てはまらないかもしれませんが、そういう結果になろうと思います。十分国民の意思が反映できるような審議を今後なさる予定はないものかどうか、次官からまず最初にお答え願いたいと思います。
  262. 今井勇

    今井説明員 法に基づきまして、米価米価審議会の議を経てと書いてございまして、極力生産者その他の意見も聞くようにという当委員会の強い御要請もございまして、米審の委員の構成につきまして、生産者並びに消費者の団体の方々をそれぞれ一名ずつ増加をいたしたことも先生御案内のとおりでございまして、そういった構成の中で、公正な十分な議論を尽くしていただくように考えております。
  263. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 次官、そういうことを聞いているのじゃなくて、これから重大な米価を決める場合に、今後生産調整等も踏まえて、十年間の米価が、本年決まれば恐らく右へならえというような形になろうかと思うのです。というのは、きのうの委員の質問の中に、大臣がそれに対して示唆されるような答弁をなさっていらっしゃるわけでありまして、そういう大事なときでありますので、根本的な審議の方法をお変えになる考えはないものかどうか、そういう点をお尋ねしているわけであります。  次官、もう一度お答え願いたい。
  264. 今井勇

    今井説明員 先ほどちょっと米価の決め方について言葉が足りませんでしたが、食管法の中で米審の意見を聞いて云々ではございません。法に基づきまして米価審議会がございまして、それに御諮問を申し上げることでございますので、訂正をいたします。  それから、続いてのお尋ねでございますが、本年の米価がどのように決まりますか、八日まで待たねばなりません。今回の米価が決まりましたら来年以降のものがそれに右へならえするというふうになるのではなかろうかという御指摘もございましたが、これまた、ここで軽々に御答弁をするわけにはまいらないと存じますが、少なくも今回の米価の基本的な考えといたしましては、すでにたまりましたものの処分につきましては、政府が責任を持っていたします。私どもが非常に気を用いましたのは、さなきだに米に対する傾斜の度合いというものが現在よりも強まることは大変憂うべき事態になろうということを念頭に置きまして、米価を決めさせていただきますための試算をいたしたわけでございまして、そのような事態が五十四年以降に続きますようなことのないように、極力、いまお尋ねがございました消費の拡大等に持ってまいりまして、一日も早く正常な形になりたいと存じますが、それはそのときのぐあいによるものであろうと思います。
  265. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 農林省は、先ほど提出されました五十三年産米政府買い入れ価格算定基礎資料となる五十二年産米生産費調査結果を発表されておりますが、それによると、十アール当たり生産費は、農機具費または賃借料及び料金などの上昇で、十二万八千九百五十六円と前年に比べて五・七%上昇したが、米価算定に直接影響する六十キロ当たりに換算した生産費は一万五千九十八円、〇・一%増の前年並みにとどまっております。これは十アール当たり収量が五百十二キロと、冷害で不作だった前年を五・三%上回ったことによるものでありますが、この結果、五十三年産生産者米価を押し上げる口実が乏しくなったことになっているわけであります。米の過剰基調のもとで、米価据え置きを図ろうとする政府の立場が、この点でも一段と明確になったのじゃないかというふうに思いますが、政府の明快な説明をしてほしいと思います。
  266. 柳井昭司

    柳井説明員 私たち農林水産省で農畜産物生産費調査をやっておるわけでございますが、これは先ほども申し上げたとおり、価格対策基礎資料とするほかに、生産対策、あるいは経営改善等の資料等、各種の農業施策を実施するための基礎資料として、客観的なデータを把握するということを目的といたしまして、サンプル理論等に基づきまして実施しておるわけでございます。特定の政策意図というようなものによって行っているわけではないわけでございまして、米生産費につきましてもその例外でないわけでございます。
  267. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 農林省の数字で明らかにされておりますが、農家が販売する農産物の価格というものは全体的に下がってきております。五十二年度の場合、全体を見ますと〇・八%、米麦を除きますと四・五%も下がっておりますし、反対に、購入品では五・五%上がっているわけです。農産物の値下がりの背景には、外国農産物等の輸入拡大などがあることは言うまでもございませんが、米価据え置きは、据え置きどころか、実質上切り下げであるということがはっきりしているわけであります。     〔山崎(平)委員長代理退席、林(義)委員長代理着席〕 販売する農産物の価格が下がる一方であるし、生産資材等を含めた農家購入品等は大幅に値上がりをしているわけでありまして、据え置きが事実上は切り下げ以外の何物でもないわけです。  先ほどからるる質問がございましたが、政府の明確な御答弁をお願いしたいと思います。
  268. 戸塚金郎

    戸塚説明員 午前来何遍もお答えしているわけでございますが、本年の米価生産費所得補償方式という従来の基本にのっとりましてやっておるわけでございますし、農家の購入いたされます物財あるいは労務費等につきましては、十一月-五月までのパリティを入れてはじいておるわけでございまして、そういう意味では、一応現状を適正に把握をしているものだと考えております。
  269. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 先ほどからの質問にもありましたけれども、米の過剰問題等が今度の値上げの据え置きという形にあらわれていることは、これは間違いないわけであります。この米過剰は見通しの誤算に基づいて生まれたものでありまして、これは明確に、農民の責任でなくて、政府が責任をとるべきであります。それをほおかむりして、農民の要求を感情論できめつけていらっしゃるような大臣の御答弁でありまして、農林水産大臣というのは農林水産業者を守る大臣でありますが、敵に回すことはないでしょうが、その発言をお聞きしておりますと、まるで総理かまたは大蔵大臣のような御答弁に相なっているように私は感じました。私が感じたわけでございまして、本当に農民を守るような発言は何一つないわけです。こういう点について、過剰問題等にいたしましても、開き直るべきは農民であります。痛めつけられ通しでありまして、痛めつけられているという言葉そのものがいまほど当てはまるときはないと思います。控え目な要求についてさえも評価ようとはなさらない。この先の生活についても見通しが立たない現状でありまして、こういう現状を踏まえて、希望が持てる農業とはどういう農業なのか、明確にお答えを願いたいと思います。
  270. 今井勇

    今井説明員 結果的に米が過剰基調を続けてまいりまして、そうして米がたまっておりますことは、これは幾つかの理由があろうと思いますが、決して私どもの責任が皆無であるとは申しておりません。その見通しの甘さということを先ほどからつつかれまして、私どもも反省をいたすべきところが大いにあろうかと存じます。  一方、実は米というものが、皆さんの御質疑を通じましても米作に偏ろうとする志向力というのは、これは何人も否定し得ないところでございまして、米をつくればよいというお気持ちは国民皆さんにおありであります。したがいまして、たとえば自力開田のようなことも、私どもずいぶんこれは行政的な指導をいたしますが、事自力でなさいますので、これに対する措置もなかなか有効にとり得ないということもあります。  また一方、食べていただく方につきましても、やはり強制力をもって食べていただくわけにはまいらないというようなことが重なり合いまして実はたまってまいったわけでございまして、したがって、このたまってまいりました米につきましては、政府がその責任におきましてこの処置を考えてまいりたいと、かように考えております。
  271. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 私は、米の需給事情が大変厳しいことはよく承知した上で質問申し上げているわけでありまして、これはその反面に麦の作付等が極度に下降線をたどっておる現状でありますが、こういう問題を踏まえながら、お米が余っているだけで、先ほど反対側の議席から対案を示せというふうな声がかかっておりました。私は、原因というものを追求した上で、それからこの対策を当然考えられて進められたのが農林水産省の行き方だと思います。     〔林(義)委員長代理退席、山崎(平)委員長代理着席〕  現在の麦の生産等におきましても、農林省は重点政策として取り上げられておりますが、遠からずこの効果はあらわれてくるとは私は思っておりますけれども、その麦がつくられない原因等について、多くの学者やその衝に携わるお役人さんから、あるいは麦づくりは零細で収益性が低いとか、あるいは冬の期間に他の産業に就業する機会がふえたからとか、麦作とあるいは稲作との作付が重複するというようないろいろなことが申されておるわけでありますが、私はそれよりも最も大きな原因というものは、麦を奨励されても日本の気候なり状況なりが適格なときではないのじゃないかというふうに考えているわけです。ちょうど梅雨の季節になりまして、その乾燥作業等にてんてこ舞いをしなければならない現状でもありますし、まごまごしていれば麦が発芽してしまう、あるいは腐ってしまう。急いで取り入れてもすぐ処置ができないというふうなことで、現在は農林水産省もお米のためにいわゆる耕地整理なり土地基盤事業というものは進められているわけでありまして、そういう進め方をなさっておりながら麦をつくれというふうな矛盾した、またその上にこのような気候条件なりいろいろな自然条件の中で農民は転換をしていかなければならないという問題があるわけでございますけれども、こういう状況をどのよう政府は踏まえていらっしゃるのか、明確な答弁をしていただきたいと思うわけでございます。
  272. 泉田収

    ○泉田説明員 お答えします。  先生御指摘のとおり、麦の減った原因につきましては全くお説のとおりだと存じます。しかしながら、麦につきましては、先生の御指摘にもありましたように、収穫、乾燥というようなところが一番大きな問題になっております。したがいまして、これは個別の小さい規模で農家がやるということはなかなか大変でございます。そこで、四十九年以来、特に収穫と乾燥調製、出荷というような問題を中心に、集団的に麦をつくっていただく場合に、そういう施設の補助金あるいは皆さん方が会合して相談していくというようなための補助金というものを用意しております。その結果、まだはっきりは申し上げられませんが、四十八年を底にいたしまして五十二年対比をしますと六%、かすかではございますが伸びる傾向にございます。  今後も、これは先生の御指摘のとおりの状態でございますので、基盤整備はもちろん、麦の品種改良というようなことを含めまして、総合的に麦作を集団として進めるように持っていきたいということで目下進めております。
  273. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 麦づくりの振興については、私どもも十分な心を配慮してこの問題を検討しているわけでございますが、農家がいまコンバインで刈り取って、ライスセンターでその処理をするというふうな能率的な処理方法、そういったシステムの確立を図ったならば、麦づくりは大いに振興するのではないかというふうに、これは一つの提案でございますが、また農協等とタイアップするなりあるいは組合の設立をさせるなりして、そういう実現の方法をぜひやっていただきたい。いまの行き方は米だけに比重が偏る行き方で、コンバインなりあるいはライスセンター等も、ほとんどその方には向けられていないのが現状でございまして、そういう点については政府はどのように御指導なさり、営農等についての御指導はどのようにお考えなさっているか、お尋ねをいたします。
  274. 泉田収

    ○泉田説明員 ただいま先生がおっしゃったとおりでございまして、特にコンバインだとかライスセンターだとかいうような形のものが麦用にも使えるようにということで種々開発をしてまいりまして、現在そのような形の収穫機械、乾燥機械というようなものを中心に集団をつくって、その集団の中ではいろいろと相談し合ってふやしていくということで進めてまいっております。そのための麦関係の、そういう麦作振興関係の予算もかなりのものを用意しておりますし、基盤整備につきましても特に麦づくりを、特に二毛作地帯でございますが、麦づくりをしやすいようにするための簡易土地改良と申しますか、水を抜きやすくするというようなことについても現在助成をしております。  今後この助成については、拡大するという方向でもっていくように考えております。     〔芳賀委員委員長」と呼ぶ〕
  275. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 ちょっと議事運営にわからない点がありますから、速記をとめてください。     〔速記中止〕
  276. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 速記を起こしてください。  ただいまの芳賀君の件は理事会で協議いたしますので、暫時休憩いたします。     午後四時十九分休憩      ――◇―――――     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕