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1978-06-08 第84回国会 衆議院 農林水産委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年六月八日(木曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 中尾 栄一君    理事 片岡 清一君 理事 羽田  孜君    理事 林  義郎君 理事 竹内  猛君    理事 馬場  昇君 理事 瀬野栄次郎君       江藤 隆美君    金子 岩三君       熊谷 義雄君    佐藤  隆君       平泉  渉君    堀之内久男君       森   清君    森田 欽二君       角屋堅次郎君    柴田 健治君       島田 琢郎君    新盛 辰雄君       野坂 浩賢君    芳賀  貢君       武田 一夫君    吉浦 忠治君       神田  厚君    山原健二郎君  出席政府委員         農林大臣官房審         議官      渡邉 文雄君         農林省農林経済         局長      今村 宣夫君         農林省構造改善         局長      大場 敏彦君         農林省農蚕園芸         局長      野崎 博之君         農林省畜産局長 杉山 克己君         農林省食品流通         局長      犬伏 孝治君         食糧庁長官   澤邊  守君  委員外出席者         国税庁直税部所         得税課長    小野 博義君         農林大臣官房審         議官      佐々木富二君         農林省農蚕園芸         局植物防疫課長 本宮 義一君         建設省河川局治         水課長     川本 正知君         日本国有鉄道施         設局土木課長  野沢 太三君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 六月八日  辞任         補欠選任   堀之内久男君     根本龍太郎君   森田 欽二君     白浜 仁吉君   津川 武一君     山原健二郎君 同日  辞任         補欠選任   山原健二郎君     津川 武一君     ————————————— 六月七日  農畜産物輸入自由化等の問題に関する請願(稻  富稜人君紹介)(第五六四三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 中尾栄一

    中尾委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬場昇君。
  3. 馬場昇

    馬場(昇)委員 私は、農畜産物輸入問題を中心に二、三の点についてお尋ねしたいと思います。  去る一月の日米通商交渉共同声明で、オレンジ内地枠が五十二年度一万八千トン、これは途中追加でそうなったわけですが、五十三年度の年内枠が二万二千五百トン、それから季節枠が六月から八月までで二万二千五百トン、合わせまして五十三年度は四万五千トンになっているわけでございますけれども、この季節枠が六月一日から解禁になったわけでございます。  まずお尋ねしたいのは、六月から八月までの季節枠二万二千五百トンの輸入計画はどういうぐあいになっておるのかということでございます。
  4. 野崎博之

    野崎政府委員 いまおっしゃいましたように六月から八月までに二万二千五百トンの季節枠輸入でございますが、輸入業者から輸入計画書販売計画書をとることになっております。その業者に対しまして、六月から八月までの間に適切に輸入してかつ適切に国内販売をされるようにというふうな指示をいたしておりますし、そういうことで計画書も出させてございます。  なお、数字的に申し上げますと、輸入計画としては六月が九千七百四十一トン、七月が七千七百五十二トン、八月が五千八トン、合計二万二千五百トンということになっております。
  5. 馬場昇

    馬場(昇)委員 この前、二月に農林大臣にこの質問をしたわけでございますが、農林大臣は、二万二千五百トンを三で割ると七千トンぐらいの月平均になるのだというようなことで、国内にそう余り影響はないというぐあいに答弁なさったわけでございますけれども、いま聞きますと、六月に一万トン近くなっており、七月、そして八月が非常に少ない。こういう三カ月の中のアンバランスというのは国内影響を与えないのか、このアンバラをどう指導したのかということについてお尋ねしておきたいと思うのです。
  6. 野崎博之

    野崎政府委員 いまおっしゃいましたように六月に一番多くなっているわけでございますが、八月になりますと、ハウスミカン等もまた出回る時期でもありますし、晩相等につきましては五月までにほとんど出回ってしまう、六月から八月には全体の約二%くらいしか出回っていないというような状況で、そういうことを考えまして、六月、七月に重点を置いて配分をいたした次第でございます。
  7. 馬場昇

    馬場(昇)委員 議論は後にいたしまして、もう一つお尋ねしておきたいのですが、果汁の場合はどうなっているのか。御承知のとおり五十一年度一千トンだったのですけれども、五十二年度は二倍の二千トン、五十三年度は何と四千トンになっているわけでございますが、果汁輸入計画月別にどういうぐあいになっているのか、お聞かせいただきたいと思うのです。
  8. 野崎博之

    野崎政府委員 果汁はいつもそうでございますが、下期の割り当てになるわけでございまして、本年の十二月ごろに割り当てるつもりでございまして、月別にどういうふうにするかということはまだ具体的に決めておりません。
  9. 馬場昇

    馬場(昇)委員 先ほど局長は、オレンジ季節枠輸入日本余り影響はないというようなことをおっしゃったのですが、局長も御存じと思いますけれども、最近はミカン貯蔵技術が進んできているわけで、晩柑は五月ごろで終わってしまうというようなことをあなたはおっしゃいましたけれども、そうなっていないです。私のところのアマナツミカンなんかもそうなっていない。それからハウスミカンも何も八月に出回るということではないですね。こういうことで、この季節枠オレンジ輸入が晩柑にも影響がある。ハウスミカンにも影響がある。また桃、ブドウ、スイカ、メロン、こういう夏果実に対してもいろいろ影響が出ておるのではないかと思うのですけれども影響は全然ないと考えておられるのか、あるいは影響が出るとすればどういう対策をとられるのか、この二点についてお尋ねします。
  10. 野崎博之

    野崎政府委員 晩柑等はほとんどが五月で大体終わるわけでございますし、確かにおっしゃいましたようにハウスミカンも八月だけに出回るというものではございませんが、六月に三%、七月に一七%、八月が約七〇%ということで、八月に一番出回りが多いという実態でございますので、そういうことも考えまして六、七月に重点を置いたわけでございます。  それからブドウ桃等夏果実は、これも非常に種類が多く嗜好の選択の幅が広い一ということで、この時期にオレンジが入ってもそれほど大きな影響はないと考えておりますし、現実に価格等を見ましても、六月上旬はブドウとか桃等については昨年より上がっております。中にビワとか桜桃のようなものは若干値下がりをいたしておりますが、ビワ桜桃は昨年非常に不作で異常な高値を呼んだわけでございますので、それと比べますと若干値下がりはいたしておりますが、おととしの値段に比べてはさほど影響はない。そういうようなことで、少なくとも六月上旬に関する限りは順調な値段の推移を示していると考えておるわけでございます。
  11. 馬場昇

    馬場(昇)委員 一万トンのオレンジは六月の上旬には入ってきてないでしょう。いま局長答弁を聞いていますと、オレンジ季節枠輸入日本夏果実全体に対してほとんど影響はないというようなことを言っておられますけれどもハウスミカンだってもう値下がりしておるのは御承知のとおりです。これについてはっきりしたデータは、六月から入ってくるわけですからまだないと思うのです。しかし、いまのような基本姿勢影響はないというような考え方では、調査も十分なさらないだろうし、対策も立てられないのではないかと思うのです。これについてはやはり果実農家は物すごく心配しておるわけですから、そういう点については慎重な準備をしながら、調査もしながら、やはり影響のないような対策というのを立てていかなければならないと思うのです。そういう点についての、そういう楽観的な見方じゃいかぬ、十分慎重に対策をしながら、影響があるとすればそれに対する対策も立てる、こういう基本姿勢であらねばならぬと思うのですが、その姿勢はどうなんですか。
  12. 野崎博之

    野崎政府委員 姿勢につきましては、まさに先生おっしゃられるとおりだと思いますが、われわれといたしましても、そういう価格がどういう変動を示すか、そういうようなことについてはひとつ十分調査をいたしたいと思っておりますし、先ほど申し上げました輸入計画書あるいは販売計画書業者から出さすわけですが、事例的にそういうものを追跡調査をいたしまして、悪質なものについては来年度以降いろいろな措置をとりたいというふうに考えておりますし、国内価格変動についても十分調査把握をしてまいりたいというふうに考えております。
  13. 馬場昇

    馬場(昇)委員 これについては、この季節枠オレンジ輸入を決めるときに、農林大臣も、これは国内果実農家影響を与えないように、影響があるとすれば十分対策を立てるという約束をなさっているわけですから、その辺については十分慎重に対策を考えていただきたいということをお願いしておきたいと思うのです。  もう一つ、この共同声明の中で、柑橘業界研究グループで十一月一日までに柑橘事情調査報告書両国政府に出す、こういうことになっておるわけでございますけれども、この作業というのは現在どうなっておりますか。
  14. 野崎博之

    野崎政府委員 先生おっしゃいましたように、共同声明の中で、そういうグループが設置されまして両国柑橘事情調査を行うということになっているわけでございます。この前の四月三日から五日まで東京へ第一回の向こう側調査団が参りまして、そこでいろいろ意見交換をいたしたわけでございますが、今回、六月三日から十六日の予定日本側柑橘調査団向こうへ参って、そこでいろいろまた相互に情報を交換する、その中で、わが方としましては、米側日本側国内事情、柑橘類の非常に困難な諸事情につきまして十分説明をするようにということで、ただいま向こうへ参っております。
  15. 馬場昇

    馬場(昇)委員 牛肉のことでちょっとまた一つ聞いておきたいのですけれども共同声明の中で、ホテル枠が千トンから五十二年二千トン、五十三年三千トン、こういうぐあいになっておるわけでございますが、この輸入計画とか、ことしの三千トンはどういうかっこうになっていますか。
  16. 杉山克己

    杉山政府委員 ことしの特別枠はまだ割り当てを行っておりません。年間の総体の見込み予定としては三千トンということで、これからその割り当てを行うところでございます。これがどのように輸入されるかということについては、これは輸入する側の実情も聞いて、上、下適当に数量を配分して輸入をさせるというようなことで計画的に行いたいと考えております。
  17. 馬場昇

    馬場(昇)委員 現状の質問は以上で終わります。  次に、いよいよ問題の東京ラウンドに向けての多くの動きが現在あるわけです。特に日米関係では動きがあるやに伝えられております。この日米関係中心質問をしたいわけでございますけれども、まず質問の第一は、去る五月に福田総理訪米されました際に、新聞報道等によりますと、アメリカ議会筋政府筋から、日本輸入枠拡大自由化要請があった、こういうぐあいに伝えられておるわけでございますけれども福田総理訪米のときに、オレンジとか牛肉とかの枠の拡大とか自由化要請というのがあったのかなかったのか、そのときの状況をお知らせいただきたいと思うのです。
  18. 杉山克己

    杉山政府委員 アメリカからのMTNに関連しての要請、これはいろいろな段階で承っておるわけでございますが、福田総理訪米された際に、私どもが所管する牛肉について、総理レベルで特段の話し合いがあったとは私ども聞いておりません。
  19. 野崎博之

    野崎政府委員 オレンジにつきましても同じ状況でございまして、福田総理訪米の際に、特にそういう自由化要請というものはあったというふうにわれわれは聞いておりません。
  20. 馬場昇

    馬場(昇)委員 私が聞いたところによりますと、アメリカ上下両院議員との懇談会の席上で、アメリカ国会議員の中から、特に下院議員人たち中心に言ったそうですけれどもオレンジ牛肉の枠を拡大してくれ、もう少し買ってくれ、こういう要請福田総理にあったということを聞いておるわけでございますし、さらに牛場ストラウス会談で、これまた、牛肉オレンジ日本でよけい買ってくれ、こういうような話が出た。これに対してどう答えられたかは——当然困難であると言われたと思うのですけれども、そういうことがやはりこの福田訪米の際にも、議会筋なり政府筋から日本政府に対して要請があった、こういうぐあいに私は聞いているのですけれども、あなた方局長は、全然なかったというぐあいに考えておられるわけですか。
  21. 杉山克己

    杉山政府委員 私ども政府立場でございますので、先ほど答弁の際に、総理レベルではその話は出なかったということを申し上げたのでございます。政府間の話し合いでは出ておらないわけでございます。ただ、各方面の方々懇談をされた際、いま先生御指摘のように、下院議員方々との話し合いの際に、そういう要請といいますか、むしろ私ども、正式な国と国との間の要請というよりは、いわば一種の陳情といったような形での日本輸入拡大について注文が出た、その話のあったことは承知いたしております。
  22. 馬場昇

    馬場(昇)委員 次に五月二十四日でしたか、牛場さんがアメリカに行きましたね。そのとき、牛場ストラウス会談が行われておるわけでございますが、何かクレプス米商務長官ともお会いになっておるそうでございますけれども、そのとき、アメリカの方から、東京ラウンドの七月合意に向けた牛肉オレンジ日本譲歩交渉妥結条件だ、そういうような厳しい態度アメリカから出た、こういうぐあいに伝えられておるわけでございまして、さらに、六月二十日ぐらいまでに譲歩を求めてきた、こういうぐあいにも伝えられておるわけですけれども、この真相はどうなっておりますか。
  23. 杉山克己

    杉山政府委員 日米交渉の全体の問題については経済局長が所管でございますが、私ども牛肉を所管している立場畜産局長として承っているところを申し上げますと、牛肉につきましては、ずっと以前から、同じようなアメリカ側の主張、要請があるということは承知いたしております。牛場大臣が先方の商務長官そのほかと話し合われた際にその種の話が出たということも十分承知いたしておるわけでございますが、ただ、日本側事情としてそれが困難な状況にあること、それから日程につきましても、農産物についてはそういう日程ではなかなかむずかしいということについては、日本側立場を説明されたものというふうに承知いたしております。
  24. 馬場昇

    馬場(昇)委員 経済局長来られたようですから、あなたの管轄だそうですから、いま私が質問しておりますのは、五月二十四日でしたか、牛場さんがアメリカに行きまして、ストラウスさんと会ったとか商務長官と会ったとか、そのときに、東京ラウンドの七月合意に向けて牛肉オレンジ日本譲歩交渉妥結条件、こう向こうが強く言った、六月二十日ぐらいまでに結論を出してくれとか、譲歩を求めてきた、こういうぐあいに伝えられておるわけです。これは事実かどうか、その真相をいまお尋ねしておるわけですけれども、あなたの担当ですが、どうですか。
  25. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 日米首脳会議のときには私も総理のお供をして参りまして、牛場ストラウス会談のときにも立ち会いましたけれども、そのときに、牛肉オレンジ等につきましてどうこうという具体的な要請はございませんでした。ストラウスにすればそういうことをうんと議論したかったらしいのですけれども、こちらは、首脳会議でございますからそういう個別の農産物の品目について議論をすることは適当でないという態度でございましたから、具体的にそこでいろいろ煮詰めて話をしたということはございませんが、その後、牛場さんとストラウスがまた会いまして、そのときに、東京ラウンドが非常におくれておるということをストラウスが強く言いまして、首脳会議のときにもストラウスは、一般論として、もう野球の九回裏で時間がないんだ、だから早く物を詰めなければいかぬということを言っておりましたけれども、同様の趣旨牛場さんとの話し合いがあったようでございます。  そこで、一般的な方針としては、七月の十五、六日に今度はボンで六カ国の首脳会議がございますので、そこまでには、東京ラウンドの基本的な事項について、日本アメリカとECと少なくとも三国については合意を見ようということになっておるわけです。その基本的事項というのはどこまでであるかという範囲は必ずしも明確ではございませんが、三国は少なくとも合意をして、その後オーストラリアとかニュージーランドを組み込んで、その後にASEAN諸国を組み込んで、できる限り早く世界全体としての東京ラウンドを成功させたいというのが一応のスケジュールでございます。  したがいまして、今月の二十日とかなんとかということはございませんけれども、少なくともボン・サミットを目指して、基本的な大枠について東京ラウンド合意をする必要がある、またそのスケジュールで物事を進めていかなければいかぬということは、そういう状況に相なっておるわけでございます。
  26. 馬場昇

    馬場(昇)委員 ちょっと大切なことで、果樹農家あるいは畜産農家にとっては生死にかかわるような心配をしておる問題ですけれども、五月二十四日の牛場ストラウス会談で、念を押して聞いておきたいのですけれども牛肉とかオレンジ日本譲歩交渉妥結条件だとストラウスが言った、六月二十日ごろまでに何とか譲歩を示してくれと言った、そういうことが五月二十四日の牛場ストラウス会談で公式にあっておるのですかないのですか、その辺を聞いておきたいと思う。
  27. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 私、直接聞いたわけではございませんで、牛場さんからお聞きをしたわけでございますが、そのような趣旨の発言をストラウスがしたということは聞いております。
  28. 馬場昇

    馬場(昇)委員 そこで、日本政府態度について聞きたいのですけれども、一月の共同声明が発表された直後、私はこの委員会中川大臣にこのことを質問いたしました。そのときに中川大臣はこういう答弁をしておるのです。これは速記録にもはっきり残っておるのです。  アメリカはこれ以上農産品について、十年先のことはわからぬけれども、まず二、三年、四、五年はもうこのことについては言わないだろう、中川大臣はこう断言をされたのです。それは、ストラウスさんが共同声明の後で、今度の交渉はA、B、Cで言ったらAだった。一月声明の内容というのはアメリカにとっては余りよくないんじゃないか、それをAクラスの非常にいい会談だったと言っておるのは、やはり東京ラウンドに向けての足場をつくったからこれはいいと評価をしているんじゃないかというように私が質問した、必ず出てくるんじゃないかと。そのとき中川大臣は、いま言ったように、いや二、三年、少なくとも四、五年は、十年先のことはわからぬけれども、そういう農産品についてはアメリカは言いませんよ、こういう答弁をされたのですけれども、何と五月二十四日にはもう向こう側は持ち出してきている。この辺について日本政府は、この農畜産物アメリカとの関係において非常に甘いんじゃないか、こういうぐあいに私は思うし、大臣断言をされたのがもうすぐ変わっておるわけですから、こういう問題について、大臣がおれば大臣に聞くのですけれども、おりませんものですから、担当経済局長はどうお考えですか。
  29. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 先般の日米交渉につきましては、大臣就任早々にあれだけの大問題がございまして、大臣も非常に御苦労をされまして、私たちとしては、いろいろ御批判はあろうかと思いますが、被害を最小限度に食いとめるべく努力をいたしたと思うわけでございます。  そこで、大臣のそのときのお気持ちとしましては、日米交渉について、ここまでやったのだからそう急にまたどうこうということはあるまいというふうに御判断になったのではないかと推測をいたします。ただ問題は、日米交渉東京ラウンドという二重写しに実はなっておるわけでございまして、要するに黒字問題それから日米貿易不均衡問題と同時に、東京ラウンドは、今後十年なら十年間の世界貿易関係をどうするかという息の長い話として課題があるわけです。それがたまたま二重写しになっておるものですから話がこんがらがるのでございますけれども東京ラウンドとしては、今後十年間なら十年間の世界貿易をどうするかということでありますから、息の長い話としての問題の提起というのは別途あり得ることであろうというふうに思っておるわけでございます。
  30. 馬場昇

    馬場(昇)委員 大臣がいないものだから、えらいわけのわからぬような逃げ方をなさるわけですけれども、あの一月の共同声明のときも、やはり果樹農家とか畜産農家も大変心配したわけですね。だから私は、果樹農家畜産農家の声を代表して質問したら、いや、これだけやったのだから四、五年はアメリカはこういうことを言ってきませんよと言われた。畜産農家果樹農家はそれを聞いて、苦しい中でも安心をしたわけです。一国の農林大臣が、責任者がそう言うわけですから。ところが、その舌の根も乾かないうちに、もう五月にまたやられた。いま私は日米オレンジとか牛肉に限って牛場ストラウス会談のことを言っているわけですが、こんなに変わってくる。じゃ、畜産農家果樹農家はだれを信用して一生懸命働けばいいのか。まさに私は、裏切られた、農林省農林大臣は信用できない、こう言われても仕方がないんじゃないかと思うのです。しかし、これは農林大臣がおりませんから局長に言ったってしょうがありませんけれども、それが畜産果樹農家実情です。  そこで、大臣がおらないから、なんですけれども、そのときに大臣は私にこういう答弁をしておるのです。たとえば、ミカン問題について、断固として、私は職を賭してもこれ以上季節自由化なんということには応じない、こういうことを言われております。職を賭しても今後、たとえばオレンジの枠をふやしたり牛肉の枠をふやしたりとか、こういうことは応じないんだということを、職を賭してもということをそのときに私に答弁なさっております。これは議事録に残っているのです。そういうことですが、大臣がきょうはいませんけれども、六月二十日ぐらいまでに譲歩せいというふうなことを向こうが言っておるという事実もあるわけですが、それに対して農林省態度ですね、職を賭しても絶対応じないと大臣が言っておるのですが、経済局長、あなた方のこの問題に対する姿勢はどうですか。
  31. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 オレンジ自由化でございますとかオレンジ季節自由化を行うつもりは全くございません。その点は大臣もそういう御覚悟で処理をされておりまするし、補佐すべき事務当局としてもそういう方針処理をいたしておるわけでございます。しかし、ただ、全く——オレンジを例に挙げるということはいけませんけれども、全くきずがつかないで処理ができるかどうかということについては、これまた十分腹の中では考えておかなければいけないことでございますけれども、少なくとも季節自由化とかオレンジ自由化ということは全く考えておりません。
  32. 馬場昇

    馬場(昇)委員 きずがつくとかというのはどういうことか知りませんけれども、やはり少しは枠がふえるでしょう、こういうぐあいに私には聞こえるのですけれども、そういうことは絶対しないという話でございますので、これは大臣がいなければわかりませんけれども、その点について、きずの問題というのは何ですか。
  33. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 ちょっと表現が適当でなかった点は訂正をいたしますけれども、やはり東京ラウンド交渉でございますから、全体的にどういうふうにおさめるかという問題はあると思うのです。したがって、オレンジの数量をふやさないということは、それはそれとして処理をしたとしましても、しからばほかの方のところに同意するかとか、そういう全体のおさめの問題はあると思うのです。したがって、何と申しますか、基幹的なオレンジだとか牛肉だとかなんとかということは基本方針として貫くにしても、仮に、それならばほかのこういう物資で同意するかという、これは交渉でございますから、そういう意味合いにおきまして、全部の物資についてノーということで処理ができることではない、そういう意味でございます。
  34. 馬場昇

    馬場(昇)委員 意味は、交渉事ですからよくわかりましたが、少なくとも大臣が、職を賭してでもオレンジとかこういう輸入枠の拡大とか自由化ということには応じない、そのことについては局長答弁されたわけでございますが、他の部分について、やはり交渉事ですからと、そういうことを言われるということもわからぬじゃないですけれども、少なくとも日本の農家というのを守るという立場をぜひ貫いていただきたいということを申し上げておきたいと思うのです。  そこで、今度は、ミカンの問題についてもう少し具体的に国内の問題について御質問を申し上げたいのです。  この委員会でも米の生産調整で物すごい議論が行われたわけでございますけれども、ずっと、米の生産調整が始まりまして以来、果樹をやれ、畜産をやれ、こういうぐあいに農林省も指導なさってきたわけでございますけれども、果樹をやってみると、グレープフルーツの自由化とかオレンジ輸入枠の拡大だとか季節の自由化だとか、こういう問題で価格が暴落をして農民が泣いていることはもう御承知のとおりでございます。まさに、米の生産調整、そうして今日、果樹についても生産調整が行われておるわけでございます。農民にとっては踏んだりけったり、ある品目についてはもう踏みつぶされて全滅、こういうような状態で、何でこんなに日本の農民はいじめられなければならないのか、本当に農民は泣いておられるわけです。  そこで、ミカンの生産調整についてお尋ねしたいわけでございますが、先般、日園連が三万ヘクタール、約二〇%の生産調整を決めたというぐあいに聞いておるわけでございますけれども、この問題については、全中とか全農はまだ生産調整というものを決めていないようでございますけれども、このミカンの生産調整に対する農林省態度というものをまずお聞かせいただきたいと思う。
  35. 野崎博之

    野崎政府委員 いま先生おっしゃいましたように、日園連からそういうような要望書が出ているわけでございます。われわれといたしましても、過去数年、改植促進事業というようなことで積極的にミカンの過剰を防ぐためにいろいろ改植等の予算も組んでおるわけでございます。今後もやはり相当需要に対して生産が伸びるという予測でございますので、とにかく生産調整といいますか、そういう改植なりそういうものは当然必要だろうとは思っておりますが、日園連の言われたとおりのそういう方策でいいかどうかについては、まだわれわれとしては結論を得ておりませんし、なお今後具体的にいろいろ詰めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  36. 馬場昇

    馬場(昇)委員 じゃ、ミカン価格暴落対策とか、あるいは供給過剰対策、日園連は日園連なりに、結局三万ヘクタール、約二〇%、これに全果樹農家がもろ手を挙げて賛成しているかどうかは、私はまだ末端のことはよく知らないのです。これに対してはやはり問題があると言われますけれども、じゃ農林省はどのような対策をとって、ミカン価格の安定とか、ミカン農家の経営安定とか、こうして必ず経営を安定させるし価格を安定させるのだと、農林省の具体的方針というのはどういうことですか。
  37. 野崎博之

    野崎政府委員 先ほど申し上げましたように、一つは改植の促進ということをやっていきたいと思いますし、従来もそういうことでやっておりましたし、そういう改植農家の資金に対しての利子補給もやっておったわけでございます。それから五十三年度は柑橘園地の整備事業という新規予算も組んでおりますし、あるいは需給調整対策といたしまして、果実の加工品の調整保管ということで、ことしすでに一万五千トンそういう調整保管をやっておるわけでございます。その他また、果汁工場、これは数年前からいろいろ新設されたところもございますが、そういう果汁工場の整備拡充、いろいろな貯蔵庫等そういう施設を入れて整備拡充する、あるいは加工用の原料の価格の安定対策、保証基準価格を決めまして、それより下がった場合には補てんする、あるいは需要拡大のためには消費宣伝ということも非常に重大でございますので、そういう消費宣伝事業に力を入れる、そういうようなことで、ミカンの需要拡大、生産の抑制ということに力を注いでいくつもりでございます。
  38. 馬場昇

    馬場(昇)委員 お話にならないと私は思うのですよ。たとえば、いま局長が言われたようなことは、今年度予算でも対処してあることは私も知っております。改植事業補助として反当たり四、五万平均、これでは大体七千五百ヘクタールぐらいの改植で、総計九億円ぐらいの予算だろうと思うのですけれども、日園連の計算によりますと、三万ヘクタールぐらいやらなければだめだ、こういうことを言っておるのです。そして、大体六百億ぐらいそういう生産調整に必要だ、こういうぐあいに日園連は試算をしているわけでございます。これがいい、悪いは別といたしましても、改植に九億円、日園連は六百億と、こういうような数字の違いというのは、日園連の六百億円がいい、悪いは別にしましても、農林省対策というものがこの問題については全然おざなりだということが逆から言うと言えると思うのですよ。  さらに、利子補給のことも言われましたけれども、系統資金の利子補給というのは六億円ぐらいですか、そのぐらいになっておると思うのです。基盤整備に六億円。それから、さっき言いましたようなジュース工場に六億円、加工製品の調整保管事業に三億円とか、価格対策に十一億円とか、いずれにしましても、ことしの農林省の果樹対策というのは総額四十五億円ぐらいじゃないかと私は思うのです。日園連は生産調整をするのに六百億ぐらいの補助金が要る、こういうようなぐあいに言っておるのですけれども、ことしは四十五億円。野崎さん、あなたはこのことしの四十五億円で価格が安定してミカン農家の経営が安定すると思われているのですか、思われていないのですか。そのことを聞いておきたいと思うのです。
  39. 野崎博之

    野崎政府委員 それで十分かと言われますと、全く十分でございますとはなかなか言い切れない点があるわけでございますが、そういう意味でまたわれわれとしても五十四年度予算案の策定に当たりましていろいろな点でひとつ検討をいたしてまいりたいというふうに考えております。
  40. 馬場昇

    馬場(昇)委員 これは今日の日本ミカン事情ミカン農家の経営事情、借金なんかも物すごくあるわけでございますから、もう本当にこの経営の安定の問題、価格の安定の問題、もう少し一もう少しどころじゃなしに、物すごく力を入れてやはりぜひ対処していただきたい。そして日本ミカン農家を守るしミカンを守っていただきたい。この面を、輸入枠の拡大の問題、自由化の問題、これはもう絶対に、職を賭してでも阻止するという大臣の気持ちですが、国内のこういう諸施策につきましても、物すごく力を入れてやっていただきたいということをお願いしておきたいと思うのです。  次に、少し違いますけれども、これはミカンじゃありませんけれども、イグサの問題について質問をいたしたいと思うのです。  いま私の地元は日本で一番のイグサ生産地でございますけれども、イグサ農家がいま一番心配いたしておりますのは、韓国や台湾、そこからどんどんイグサが生産されて輸入されてきたら、これはもう繊維の例でも御承知のとおりですし、そのほか、いま私の地元でも月星ゴムなんかがそういうところの輸入攻勢に遭って大変な状態になっているのですが、このイグサも韓国、台湾等からどんどん輸入されてくるとなりますと、極端な言い方をしますと、日本のイグサ農家は全滅するんじゃなかろうか、私はこう思うのです。  そこで、台湾や韓国からのイグサの輸入状況がどうなっておるのか、台湾や韓国等のイグサ生産状況がどうなっているのか、こういう点の実情をお知らせいただきたい。
  41. 野崎博之

    野崎政府委員 輸入実績を見ますと、五十二年の実績でございますが、韓国から四百十七トン、それから中国から三百十三トン、台湾から千百七十六トンということになっておりまして、総体で見ますと、輸入数量は国内の需要量の約五%程度の輸入しかないわけでございまして、最近の実績を見ましても大体その五%程度のところを上下をいたしておるということで、急激にふえるというような傾向があるというふうにはわれわれはまだ聞いておらないわけでございます。
  42. 馬場昇

    馬場(昇)委員 非常に急激にふえるとは思っていないという見通しは非常に甘いようでございますけれども、この見通しについてさらに聞いておきたいと思うのです。  今日、品質の問題等いろいろあるわけでございますけれども、韓国や台湾や中国の生産状況あるいは品質の改善状況、こういうのを含めてこの後輸入量がふえないと思っておられるのか、また、ふえてきた場合に、日本のイグサ農家を守るためにどういう対策を立てようとしておられるのか。ちょっと、質問を聞いておってもらわぬと、そこで二人で私語しておられると、全然わからないんじゃないですか。いま私が質問した内容わかっていますか。もう繰り返しませんけれども答弁が悪ければまたやりますが、いま言ったことに対して答弁してください。
  43. 野崎博之

    野崎政府委員 私も詳しいことはいますぐは具体的にはわかりませんが、傾向といたしましては、台湾、中国等ではやはり国内生産はふえそうな傾向にあるというふうに聞いております。ただ、輸入につきましてはやはりそう急激にふえないのではないかというような予想をいたしておるところでございます。
  44. 馬場昇

    馬場(昇)委員 全然納得するような答弁じゃないのです。だから、ここで資料を整えてお答えいただきたいと思うのです。  韓国、中国、台湾、そのイグサの生産状況の今後の推移だとか品質の改良状態だとか、そのことが日本輸入量にどうはね返ってくるのか、あるいはその輸入量がふえると日本のイグサ農家にどういう影響があるのか、その影響があった場合に日本のイグサ農家をどう守ろうとしておるのか、いま言いましたような点につきましてぜひきちっと調べられて資料を提出していただきたいということを申し上げておきたいと思うのですが、いかがですか。
  45. 野崎博之

    野崎政府委員 資料として提出いたしますが、聞くところによりますと、国内産に比べまして台湾産とか中国産というのはやはり質が余りよくないというふうに聞いておるわけでございますが、いま先生がおっしゃいましたように、台湾、中国等の生産状況をもう一遍聞き合わせまして、資料として提出をいたしたいと思います。
  46. 馬場昇

    馬場(昇)委員 私がいま質問の中で、やはり質の問題があるから輸入量が余りふえていない、だから向こうの質がどう改良されつつあるのか、長期的なそういうことも調べて資料を出してくれと言っているわけでございますので、そういう点で、あくまでも、私の見解では品種が改良されますと、質が日本と同等ぐらいになりますと、当然安い値段で入ってくるわけですから、これはすべての農畜産物なんかでも経験しておるところでございますので、そのことで日本のイグサ農家がまた果樹農家みたいに泣かないように対策をいまから立てていただきたい。その前提として資料を明らかにしていただきたいということを申し上げておきたいと思うのです。  次にもう一つ、これは農家の税金の問題ですけれども、これは農林省と大蔵省にお尋ねしたいと思うのですけれども、私の地元の八代市というところの郡築という地域で、ある農家の人が税金の計算を詳しく出してくれました。これによりますと、この農家は水稲、イグサ、トマト、スイカその他の畑作蔬菜をつくりまして、大体あの辺は二町ぐらいつくっている農家でございますが、収入は大分上がっているわけでございます。青色で計算いたしましたら所得税が三十三万七千円です。白色で計算いたしましたら所得税が七十九万二千九百円になっているのです。規模で同じ農家が、青色と白色で所得税が倍以上違うのです。これについて、まず、農家でいま青色と白色の比率はどうなっているのか。そういうことと、こんなに違うというのはやはり不公平ということになりはしないだろうか、こういう点について、税金の問題は大蔵省ですけれども、農家の実態という面から農林省もどう考えるか、両方からこの青色、白色の問題について御説明をいただきたいと思うのです。
  47. 佐々木富二

    ○佐々木説明員 第一点の青色申告者と白色申告者との比率の問題でございますけれども、私ども農林省としましてはこの数字を把握しておりません。あるいは国税庁の方に調査したものがあるかどうか、私よく存じません。  それから第二点でございますが、青色申告は、御承知のように納税義務者が一定の帳簿に正確に記帳をする、これに基づいて正確な申告と完全な納税をする、こういうことを目的に設けられておる制度でございます。こういった制度でございますから、事業と家計が明確に区分される、給与の支払い事実が明白に確認できる、こういう点がございまして、こういう点に着目をいたしまして、税務計算上、種々の特典があるわけでございます。一番大きいのは、専従者控除が白色申告の場合でございますと、現在は四十万円でございますけれども、これが青色申告になりますと、具体的な給与の支払い額が給与所得として控除できるということになるわけでございまして、いま御指摘の具体的な事例について具体的にどういう税額の計算になるか、そこのところは私、詳しく存じませんけれども、こういった点が両者の間の非常に大きい違いでございまして、その結果税額に相当額の開きが出てくる、こういうことでございます。  農林省といたしましては、農家が青色申告をすることは農業経営の改善、合理化を図るという見地から見て望ましいというふうに考えておりまして、従来から都道府県農業会議それから農業改良普及所、こういうものを主体としまして、農家に対する記帳指導等を行っているわけでございます。
  48. 小野博義

    ○小野説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生が御指摘になりました件につきましては、私ども詳細を承知していないのでにわかにお答えできない点がございますけれども、農業標準そのものについてちょっと御説明させていただきますと、御案内のように、申告所得税につきましては、納税者の記帳に基づいて実際の収入から必要経費を差し引いて計算した所得金額を基礎として課税するということをたてまえとしているわけでございます。このため農家の方々にも常々から私どもは青色申告をお勧めしているところではございます。現在、先ほどお尋ねのございました農家の青色普及割合というものは全国で一五%程度、若干ずつはふえておりますが、その程度でございます。ちなみに、先生の地元の八代署管内で申しますと、全体で二九%ということでございますので、特殊系作物などを扱っておられる農家の方が多いせいかと思いますが、全国平均の約二倍近い数字になっているわけでございます。  ところで、そういうふうに青色申告の勧めをしているわけでございますが、現在一般農家の実情から見ますと、このような記帳に基づいた収支計算というものをすべての農家の方々に期待するというのはなかなか無理であるという現状にあるわけでございます。  そういうこともございまして、申告をされる際の目安といたしまして、農業所得標準率というものをつくっているわけでございますが、この農業所得標準と申しますのは、御案内のように、サンプリングで抽出いたしました青色申告農家とかそういった農家の調査実績のいわば平均値なわけでございます。そういうことではございますけれども、可能な限りそれぞれの農家の経営実態に即したものとするために、調査に当たりましては収入支出の状況を的確に把握するように努めておるとともに、一方、雇い人費であるとか、大農具費であるとか、あるいは借入金の金利であるとか、そういう個々の農家によって相当差の大きなものにつきましては、標準外経費として標準の外へ出しまして扱うことにしておるわけでございます。さらに、その標準の作成に当たりましては、各種の統計資料によって物価変動等の状況を把握するとか、あるいは農協等の農業団体の意見をよく承るとか、あるいは隣接地域のバランス等、そういったようなものにも十分留意して、その経営実態を反映しているというふうに私ども理解しておるわけでございます。  御指摘のような青色申告と白色申告との間の格差につきましては、農業所得標準の性格から起きる問題、つまり平均値でございますから、どうしてもそれよりもある程度実際の所得が上回るとかあるいはそれの所得を下回るとかいう多少の格差があることはやむを得ないと思っております。ただ、それが標準偏差と申しますか、一定の範囲内にとどまる限りはやむを得ないものではないか。ただ、そういうことをなくするために、先ほど申し上げたような標準外経費をふやすとかいろいろな手だては講じているところでございます。  それとまた、ただいま農林省の方から御答弁がございましたように、青色申告に認められました特典的な控除、先ほどのお話に出ましたような青色専従者給与でございますとか、あるいは青色申告控除、こういったようなものについては、制度上の問題でございますので、農家の方の御努力によりまして青色申告を進めていただきたい、かように思っておるわけでございます。  青色申告の普及につきましては、私どもかねてから普及指導に努めておるところでございますけれども、一昨年から特に熊本地区等におきましては日本税務協会というものがございまして、こちらのルートを使いましていろいろと青色申告の普及等あるいは記帳指導等をやっているところでございます。  大体以上でございます。
  49. 馬場昇

    馬場(昇)委員 時間が来たわけでございますけれども、いまお話のとおりに、やはり青色というのは私の地元でもいま言われましたように二九%、全国では一五%ということでございますが、そのほかの人は白色ということになっておるわけでございますけれども、いまの状況ではやはり青色を全部やれというのは農家の実態ではなかなか無理なわけです。そうしますと、白色ということになりますと倍ばかりの所得税を払わなければならぬ。こういうことになりますと、やはりそこに不公平だという感じがするわけですが、どうも指導が青色、青色ということで、青色には青色控除の十万円、そういう特典もあるわけでございますけれども、なかなかそういう実態になっていない。白色は余り高過ぎるというので不公平だという問題があると思うのです。そういう意味において、白色問題に対しても適切な指導というものをやって、白色と青色が倍も違う、倍以上も違うということはやはり不公平だと思うものですから、そういう点について、青色、白色という問題両方あるわけでしょうけれども、農家の所得税というものに不公平が起こらないような対策というものを、大蔵省の方もそうでしょうが、農林省の方も特に指導していただきたいということを要望いたしまして、時間が来ましたので私の質問を終わります。     〔委員長退席、片岡委員長代理着席〕
  50. 片岡清一

    ○片岡委員長代理 島田琢郎君。
  51. 島田琢郎

    ○島田委員 麦について若干の論議をいたしたい、こう思います。麦はいつ決めますか。
  52. 渡邉文雄

    ○澤邊政府委員 麦価の決定時期についての御質問でございますが、政令で六月中に決めることになっておりますので、二十二日に生産者麦価に関する米価審議会を開いて諮問をし、答申を得た上、できますれば翌日中くらいまでには決めたいというように考えております。
  53. 島田琢郎

    ○島田委員 そういう日程を前にして、すでに一部マスコミではその上げ率について報道がなされているのでありますが、昨日の米の論議を聞いておりましても、たてまえ論を繰り返すだけでありますが、たてまえとすれば、審議会にかけてその答申を得て、いま澤邊長官が言われたように決定の日程をあらかじめ想定しながらそこで決めていく、こういう作業に入るのだろうと思うのです。しかし、昨年の米麦価の決定のときもそうでありましたが、非常に早い時期から、米価はゼロ回答であるとかあるいは麦価は三%であるとかいうようなことが流れてくるということは、私はおかしな話だと思う。私どものあずかり知らぬことです。こう言うかもしらぬけれども、火のないところに煙は立たぬというたとえもありまして、こういう事前のキャンペーンとも思われるようなやり方を昨年からあえて意識的にやっているような感じがしてならぬのですけれども、これは一体どうなんですか。
  54. 渡邉文雄

    ○澤邊政府委員 麦価につきまして、確かに一部の報道におきまして三%前後というような報道が最近ございました。これは私どもが積極的にそういう話をしておるわけではございませんが、御承知のように、麦の生産者価格はパリティ方式によって決めております。しかも、パリティ指数は、決定直近の月といいますと、具体的には五月のパリティ指数を基礎にして算定するというやり方をこれまでしております。現段階では三月までのパリティ指数が出ておるわけでございます。もちろん、それ以前のもの、全部毎月ごとに出ておりますので、それらから見て、たとえて申し上げますれば三月は二・九〇だとか、二月が三・〇八だ、そういうことをいろいろ聞きに来ます。これはもうすでに公表しておることでございます。五月のことはまだわからないけれども、二月はこれであった、三月はこうであったということは公表しておる数字でもございますのでお話をしておるわけでございます。毎年そう大きく、二、三月と五月と変化がないというようなところから、三%前後というような観測記事を書いておるわけでございまして、私どもとしましては、五月の指数が発表されなければ正確には算定できない問題であるというような説明をしておるところでございます。
  55. 島田琢郎

    ○島田委員 推測記事という当然のお答えが返ってきたわけであります。しかし意外なことに、大体はそういう推測記事が当たるというのがいままでの通例であります。私どもは、国会において十分の論議を踏まえた上で、国会の意思も正確に把握して価格決定に当たれということはいままでも言ってまいりましたし、昨日の米価審議の中でもこの点は厳しく指摘がされている点であります。  そこで、二十二日の諮問、二十三日の決定の方針に向けて、麦価決定に当たっての基本的な点についてはどうしても整理しておかなければならない、私はこういうふうに思って、きょうわずか三十分でありますから、余り具体的な中身にも入る余裕がございませんので、三点ほど基本的な問題について政府の見解をただしながら、ことしの麦価決定に当たってそれらがぜひ適正に正確に反映するように努力をしてもらいたいと思うので、そういう論議をしてみたい、こう思います。  近年、麦の生産振興に関しましては、政府はそれなりに、われわれあるいは農業団体、農民団体が要求をしておりますような点について若干の盛り込みがなされてきたという点については、一定の評価をするにやぶさかではありません。しかしながら、総体的にはまだ麦の生産振興が完全に軌道に乗ったということにはなりません。しかも、新たに第二ラウンドの米減反政策が強行されるというようなことに伴いまして、当然のことながら畑作農民にも不安と大きな動揺を与えておるというのが今日的な状況であるというふうに思います。  したがって、麦の異常なまでの自給率の落ち込み等、これを早急に回復させていくためには、具体的な生産振興策が必要だと私は思っていますが、どうも、食糧庁は食糧庁、あるいは農蚕園芸局は農蚕園芸局、また飼料に関しましては畜産局の所管であるというふうに、省内における統一的な行動という面についてはやや欠けるうらみもあるというふうに指摘をしておかなければならぬと思うのです。したがって、麦の生産振興に当たりましては、少なくとも責任省庁である農林省がしっかりした考え方に立って、統一して物を進めていくのでなければいかぬと思うのです。特に麦は外国に大きく依存しておるという実態から考えますと、関係する通産省とか大蔵省とか、そういう面におきます農林省に対する意見もずいぶんいろいろな形で出ておるわけでありますから、この点を整理がされないままに進んでまいりますと、せっかく一生懸命所管の窓口である農林省ががんばっても、目標達成が困難だということさえも言えるわけであります。したがって、農林省は毅然たる姿勢で、麦の生産振興、異常なまでに落ち込みました国内自給率を早急に引き上げていくという努力が望まれるわけであります。たまたま六十年目標が示されているのでありますが、六十年目標は、改めて聞きますけれども、麦についてはどういう目標をお立てになっていて、そしてそれに対して達成できるという自信がおありかどうか、その点を所管の局長から聞きたいと思います。
  56. 野崎博之

    野崎政府委員 麦につきましては、六十年の長期見通しでは、自給率一七%、作付面積では四十三万四千ヘクタールというのが目標になっておるわけでございます。われわれといたしましては、その目標を達成すべくいろいろ施策を講じてまいったわけでございますが、先生も御承知のように、四十九年度から本格的に麦作振興ということでいろいろ施策をとってまいったわけでございますが、特に五十二年度におきまして、御承知のように奨励金を麦価に繰り込む、あるいは水田裏の作付奨励金を五千円から六千円に上げる、そういう農家の手取り額を改善するという施策も講じてきたわけでございます。それから五十三年度につきましては、水田利用再編対策の一環として、これを特定作物として五万五千円口の高い奨励金を出す、あるいは裏作麦の転作も対象として認める、そういうようなことをやると同時に、高度麦作集団事業といいますか、これは五十二年からも続いているわけでございますが、期間借地あるいは中核的な担い手を育成する。同時に、そういう経費のほかに、営農排水あるいは機械を入れる、そういう仕事が対象になっておるわけでございます。  それからまた、五十三年度は、特に畑作麦が都府県で減ってまいりますので、それに対しまして、同じような、輪作体系の確立といいますか、それと中核的な担い手の養成、そういうことを主眼といたしました畑麦作育成事業、そういうような畑麦作集団育成事業というようなことで、新規予算としても計上いたしたわけでございます。その結果、五十二年産の麦につきましては、面積十六万四千ヘクタールということで、四十九年まで著しい減退傾向を示しておったのに一応歯どめがかかったということで、五十二年産は十六万四千ヘクタールということで、四十八年産、麦生産奨励対策の始まる前の年に比べて約六%増大をいたしたわけでございます。  五十三年度の作付面積でございますが、この前統計情報部で公表されたわけでございますが、都府県だけで十六万三千ヘクタールということで、昨年の二二%増ということになっております。北海道はまだ統計情報部の公表がございませんので、正式な数字ではございませんけれども、約四万ヘクタールふえるという道庁の報告がございますので、それらを合わせますと、約二十万ヘクタールを超すのではないかというふうに考えられるわけでございます。  そういう傾向でございますので、現在の増加状況から見ていきますと、いまの、五十三年度の面積を基礎にいたしますれば、今後毎年一一%伸びれば六十年度の目標は達成できるわけでございますので、われわれといたしましては、まずまずは達成可能ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  57. 島田琢郎

    ○島田委員 ただいまも触れておりましたが、四十九年度の異常な落ち込み、それにようやく歯どめがかかった、こういう報告でありますが、収量においてはどうですか。面積の確保も大事ですけれども、全体の収量がどの程度確保されるという見通しですか。
  58. 野崎博之

    野崎政府委員 五十二年の収穫量を見ますと四十四万二千トンということでございまして、これも四十八年に比べますと、四十八年が四十一万九千トンでございますから、約三万トンばかりふえておるわけでございますが、五十三年度の収量はまだはっきりいたしておりませんので正確なところは申し上げかねますが、ことしは天候等もよかったせいもございましょうが、比較的よかったということで、収量も、五十三年産は相当ふえるのではなかろうかというふうに考えております。
  59. 島田琢郎

    ○島田委員 ちなみにちょっと振り返ってみますと、二十九年には四百九万八千トン、その傾向が三十六年まで続きましたが、三十八年には百四十七万トンと大幅に落ち込む。四十五年百四万六千トン。ところが四十八年に至っては四十二万トン、こういうふうに異常に落ち込んできたわけですから、これは相当な気構えがないと、歯どめがかかったところでとまってしまって、とてもじゃないが過去の実績を取り戻すなんということは不可能に近い、こういうことになります。したがって、私は、六十年目標は一七・六%だそうでありますが、これでは国内の自給率が確保されるといったような、そういう足がかりにもならぬのではないか。すなわち、六十年目標についてすでに問題があるわけですが、その目標に対して当面努力をしなければならぬということはいまおっしゃったとおりなんで、それを否定するのではありませんが、しかしこれは、畑作経営の指導に当たる農蚕園芸局だけの責任ではとても達成できない。食糧庁としては、大事な米と双壁をなすといわれる麦に対して、こうした目標あるいは実績に対してどういう反省を持っているのでしょうか。
  60. 渡邉文雄

    ○澤邊政府委員 食糧庁は麦の価格政策の面からも麦作振興に寄与しなければいけないというような考え方で臨んでおるわけでございますが、そういう考え方に立ちまして、御承知のように昨年から生産者麦価の算定方式に一部手直しをしたわけでございます。米価審議会の小委員会におきまして約半年間研究をしていただきまして、その報告を踏まえまして、昨年からこれまでのパリティ方式に若干手直しをいたしまして、御案内のとおりだと思いますけれども、これまでの昭和二十五、六年基準のパリティ指数をもってはじきますパリティ価格をもとにいたしまして、生産奨励金を価格の中に織り込むということによりまして、昨年決定いたしました生産者麦価は、小麦につきましては四四%の引き上げというようなことまでやったわけでございます。これの方式によりまして、これまで生産奨励金が年により不安定であり、いつ廃止されるかわからぬというような御不満が生産農家にあったわけでございますけれども、一応価格に織り込むということでルール化をいたしましたので、それなりの効果が出てくるというふうに思っております。そういうこともございまして、また転作奨励措置で重点的な作物に取り上げているということもございまして、先ほど農蚕園芸局長から報告しましたような見込みになっておるわけでございますが、私どもといたしましては、今後当分、昨年から改善いたしましたこの算定方式によって価格政策を運用していっていいのではないかというふうに考えております。
  61. 島田琢郎

    ○島田委員 長官、あなたは麦の自給率をどこまで引き上げるということをお考えですか。六十年目標というもの、一応十六万四千ヘクタールという目標がありますけれども、しかしながら、先ほど私が言ったように、まあ二十年代における四百万トンベースの麦の確保というのは、これはなかなか言うべくしてむずかしいという点は私も認識をしていますけれども、少なくとも、米の生産に比較して麦が一七%程度の六十年目標で大丈夫なのかという点については非常に多くの方面から異論がありますし、さらにまた、米価審議会等においても、その目標は低過ぎるのではないか、もっと国内の自給率を高めるという努力を麦においてはやらなければいけないんじゃないかという出席委員からの厳しい意見も相次いでいるのは御承知のとおりなんですが、私は、いまのような六十年目標でいったのでは、麦のいわゆる国内における確保というのは非常に低過ぎるだけではなくて、その目標達成さえもむずかしいというふうな気がいたします。  いま価格の問題に触れましたが、価格の問題は次の項で質問をしたいと思っていたのですが、私は平面的な面積確保という問題もさることながら、反収を上げるという努力については、先進諸外国に比べると麦に対しては非常に劣っている。たとえば米と比較をしてみますと、米は、先ほど申し上げました昭和二十九年では反収三百八キロであったのが、いまや五百キロ近い収量を上げるまでの技術の革新と生産の向上が図られてきました。比較して麦はどうかというと、ほとんど当時の反収と比較して変わっていない。つまり具体的な生産手段におきます指導というものがそれだけ手抜かりになっているという点をいみじくもここに示しているんだと思うのです。少なくとも米においておおよそ二百キロもの増産がなされながら、麦においてはむしろ反収が減っているというのは、麦にいかに力を入れてこなかったかという点の指摘がここに出てくると思うのです。そういう点は今後一体どういうふうに考えていこうとしているのですか。これは技術指導に当たるということになれば農蚕園芸局でしょうが、農蚕園芸局長の考え方をまず聞きたい。
  62. 野崎博之

    野崎政府委員 いま先生がおっしゃいましたように、確かにわが国の反収は外国に比べて低いという点があるわけでございます。その原因といたしましては、一つには収穫期が梅雨期にかかりますので気象災害にかかる率が多いという点、あるいは排水対策が不十分なために全面、全層といいますか全面にまくことがなかなかむずかしいという点、それから麦作が粗放化して、新品種に対します農家の取り組み意欲といいますか、そういうものがおくれている、あるいは作期競合を回避するために早生の品種、それから多収の品種、早生多収といいますと、これはどうも二律背反といいますか、早生だと反収が低いというようなことになりますし、そういうような早生多収両方兼ね備えたような品種というものはなかなかつくりにくい。そういうような点が一応わが国の反収が低い原因ではないかと思っておるわけでございます。  したがいまして、われわれといたしましては、いま申し上げましたように、そういう早生でありながらかつ多収になる、そういう品種の開発、そういうものに非常に試験研究的にも取り組まなければいかぬと思いますし、あるいは先ほど申し上げましたように、雨害を回避するために浅層排水、そういうようなこともやらなければいかぬ、これについては、先ほどからいろいろ出てきました高度麦作集団だとか、そういう事業の中にも一応繰り入れて組み込んであるわけでございますが、そういう浅層排水、そういうことに重点を置く。あるいは先ほど申し上げましたように、やはり粗放化をいたしまして、兼業に出る農家が多いというようなことも考えまして、いろんな意味での展示圃等を設置いたしまして、積極的に都道府県なり農業団体がそういう展示圃を通じましていろいろ農家を指導する、そういうような指導体制を拡充していく、そういうことが必要ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  63. 島田琢郎

    ○島田委員 そこで、畑作農家の立場から言えば、米麦一貫政策だなんということを政府は言ってくれるけれども、実態的には決してそうなっておらない。つまり、この際必要なのは、標準的な畑作農家、しかも優良な農家を育成確保するという、そういう努力が今日非常に必要だと思うのです。ただし、そのためには幾つかの条件が要ります。たとえば政府も最近は言い始めておるのですけれども、合理的な輪作経営の指導といったようなことを言っています。私は、麦を入れた畑作経営の正常なあり方から言えば、この輪作体系の確立というものを抜きにして経営を続けるということは、これはきわめて危険だということは農家自身もよくわかっているのですが、しかし、自民党政府のいままでのやり方は主産地形成、こういうふうな文句一つをとってみても、麦は麦の主産地でもって大々的に麦だけを生産するのが好ましいというような指導をやった時期がございます。したがって、その弊害がいまあらわれていて、なかなか大事な輪作経営へのいわゆる復帰というようなことに困難が生じている。このためには思い切って輪作奨励金というふうなものをお考えになる必要があるのではないか、こう思って問題提起をするのですが、この点はいかがです。
  64. 野崎博之

    野崎政府委員 先生おっしゃいましたように、麦は畑作地帯においては地力維持の面から見ても非常に重要な作物でございまして、そういう意味で、麦を取り入れました輪作体系の確立ということは非常に重要なことであることは先生のおっしゃるとおりであると思います。  そういうことも考えまして、五十三年度から、先ほど申し上げましたように、特に畑麦作集団の育成事業というようなことで、合理的な輪作体系と担い手の育成ということで約十億の金を組んでおるわけでございます。今後とも他の作物との相対的な収益の改善ということを図りながらやっていきたいと考えますが、輪作奨励金ということになりますと、これはいろいろ問題がございまして、一つは、やはり輪作をする農家、規模の大きい農家もございますし、小さい農家もございます。そういうことを見ますと、小規模農家については非常に不利になる。あるいは地域問でも格差がございまして、輪作が非常にむずかしい地域もある。あるいは経営規模、耕地条件等それぞれ違いますので、一体どの程度の輪作をやればその奨励金の対象にしたらいいのか、そういう判断基準もなかなかむずかしいわけでございますし、これは輪作でございますので、特に北海道においては、ここ四年ぐらいの周期になると思いますが、一体麦が植わっているのかいないのか、ほかの作物全体もこれを十分把握してみませんと、奨励金として出すためにはやはり、米の転作奨励金でもそうでございますが、実態を把握して、確認をして、奨励金を出すわけでございますので、そういう意味で非常に事務量等も莫大なものになり、市町村にも非常に負担をかける、そういうような点で、輪作奨励金というのは、従来も検討したところでございますが、なかなかむずかしい問題があるという現状になっているわけでございます。
  65. 島田琢郎

    ○島田委員 こういう議論をしているうちに私の持ち時間が来てしまったわけであります。     〔片岡委員長代理退席、委員長着席〕 約束ですから、私は時間内におさめて、しり切れトンボですけれどもここでやめます。この論議はまた引き続き別な機会にやりたい。通告をしておりますものの三分の一しかいま話をしておりません。  そこで最後に、私は、委員長お見えだからひとつ苦情を申し上げておきたい。実は、本日の委員会は開かない、こういうことを委員長が固執をされたそうでありますが、法案がないから農水を開かない、これは私は納得、ができないのであります。何のために委員長をしたのかという点も私どもは大きな疑義がありますし、法案がないときにこそ、こういう余裕のある審議のできる時間というのは通年なかなか持てないのでありますから、私どもは、こんな時期にこそ大いに農政論議をしたい、大臣にも来てもらって日本の農政を徹底的にあらゆる角度から議論を展開すべきだ、こういう気持ちを持っています。たまたまきょうの委員会は懸案がないから開かないというようなことを、方針として自民党の側ではお決めになっているようでありますが、私はそれはおかしいというので、きのうは理事会にも出させてもらって意見を申し述べたのであります。農水の大事な運営は委員長の一つの権限に任されていることは十分承知でありますが、いまのような米価決定あるいは麦価決定、または先ほど議論のありました貿易問題等も、農水にかかわる重要な問題は山積をしているのであります。ですから、あとう限り時間を割いて委員会を開催し——何も私は金曜や土曜や日曜にやれと言っているのではありません。定例日だけは大いに委員会でお互いの考えていることを出し合って議論をしよう、それが日本の農政を確立していく上に非常に大事な要件ではないかというふうに持論として持っておるのであります。きょうも一時間ほどの時間をいただきたい、こういう願いをしたのでありますが、三十分でやめてくれということでありますから、私は約束ですからここでやめますけれども、農水の運営に当たっては、委員長、そういうお考えで、今後もぜひひとつ積極的に日本の農政を確立するという立場委員長の職責を果たしてくださるようお願いをしたい。多少苦情を言いましたけれども、そういう要請を一委員として申し上げておきたい、こう私は思います。
  66. 中尾栄一

    中尾委員長 委員長としてお答えさせていただきます。  農林水産委員会といいますのは、これは農林水産委員会所属の各委員の総意によってこそなされるべきものだと思います。そういう観点の中で考えますると、各党の中に、各党の意見として委員長のもとに提出されております。それもことごとくが、多くは苦情であります。その多くのものは、ある政党においては、できる限り与えられた時間帯の中で効果的に、なおかつそれを有意義なものとして自分たちにもそれぞれ質問立場を与えてもらいたい、これは結構なことだと思います。しかし、その割り振りをいたしますると、ほとんど与えられている期間内にとうていでき得るものではないという、時間帯の配分の苦慮もなされなければなりません。そういう中にあって、私は、与党の立場委員の各位には、きわめて丁重な形において遠慮願って今日まで来ておりました。そういう中にあって、野党の各位の御質問を受けて、それを討論に付するということをもって前提としながら今日まで運営に終始してきたつもりであります。  いまお言葉にございましたように、非積極的であるとか、今日かかっている農政の問題にまことに消極的であるとかという態度は、委員長以下私どもは全く持っておらないつもりであります。そういう点におきましては、時間帯の中で、自分がこれだけのものを質問したいんだからこれだけの時間帯だけはくれなければ困るという点につきましては、私は疑義があります。しかし、それに対して私は云々言うわけではございません。各政党の中において、特に自由民主党の中においても、与党という立場で御質問をする場合においても、これは各自遠慮を願ってきたことも幾つかございます点を十分御考慮いただいておきまして、どうかその点はよろしく御判断のほどをお願い申し上げたいと思います。
  67. 島田琢郎

    ○島田委員 時間が来ましたからこれ以上議論しませんけれども、私はそのことを言っているのではありません。(「そんなこと言ったら速記に残っている」と呼ぶ者あり)きょうはこの委員会を開くという基本線に立って、その中で時間をセットするということについて御配慮願いたい……
  68. 中尾栄一

    中尾委員長 速記に残っているというならば、委員長としても速記の中にとどめていただきたいと思います。  瀬野栄次郎
  69. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 東京ラウンドミカン対策輸入オレンジ問題等について政府当局に質問いたします。  東京ラウンド、すなわち多角的貿易交渉でございますが、この交渉は七月合意に向け大詰めの段階に来ていることは御承知のとおりでございます。米国は、先月二十四日の牛場対外経済担当相とストラウス米大統領通商交渉特別代表との会談を行い、さらに二十五日のクレプス米商務長官の発言などから農産物をめぐる攻防が最大の焦点となってきているのであります。特に牛肉のほかオレンジ輸入拡大に固執し、農産物での日本譲歩交渉妥結条件との厳しい姿勢を示しておるようであります。これまで牛肉がやり玉に挙げられてきたわけでありますが、今後オレンジなど柑橘類に重大な関心を示し、来る六月二十日までに譲歩を求めてきたことについて、果樹農家は米国の強硬な姿勢に改めて衝撃を受けておることは言うまでもございません。  御承知のごとく、昨年末の日米貿易戦争が残した傷は、その打撃が大きいところへ、さらに今回のような米国の姿勢でございます。休戦したのもつかの問と私は言いたいわけでありますが、再び米国は日米共同声明をてこに黒字国日本の開放市場体制を迫り、牛肉オレンジもと激しく揺さぶりをかけてきているわけであります。農産物攻略を展開してきている今日、一方、国内でも、さきの経団連によるところの国際分業論主張など財界、政府内から農業攻略の動きが続いておりまして、いまやまさにこの貿易戦争は土俵際に追い詰められたという感がするわけでございます。  政府はこのような状況を踏まえて、この執拗な米国の姿勢に対し、どのように分析しておられるか、まず政府の考えを求めるものでございます。
  70. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 先般日米交渉を行ったところでございますが、御存じのように、東京ラウンドをできる限り速やかに終結せしめる、こういうことが先進国の基本的な方針になっておるところでございます。そういう関係で、今後の世界各国の貿易関係をどのように調整していくかということが問題になるわけでございますが、それには、御存じのように、工業製品と農産物と両方がございます。工業製品は、御存じのように、一定のフォーミュラで四〇%なら四〇%の関税カットをする、農産物はリクエストオファー方式で、向こうから要請し、こちらからそれに対して回答する、あるいはこちらから要請し、向こうから回答する、そういう形に相なっておるわけでございます。  したがいまして、アメリカからもいろいろな要求が出てくることは、これは当然のことでございまして、要求が出てきたからすべてこれを聞かなければいけないということではございません。したがいまして、日本としても東京ラウンドを成功せしめるためにできる限りの協力はいたさなければなりませんけれども、できないことはできないということで、はっきりこれを説明して理解を求めるという姿勢で事に臨んでおるところでございます。
  71. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政府姿勢は過去にも何回かお尋ねしてまいりましたので、ただいまの答弁にあるようなことは私も承知しておりますけれども、具体的に申しまして、牛肉関係では、わが国が漸増方式などある程度歩み寄りの姿勢を示しているように私は受けとめておりますが、オレンジでは強く反発している、かように思います。しかし、自由化は絶対しない、これはもう当然でありますが、枠の拡大をやれば、これはもう自由化と同じことになります。そういった意味で、私は大変疑問を感ずるわけでございます。  今回のこのアメリカの最近における攻勢というものは、政府側としてはいろいろ言いにくい点もあろうかと思いますけれども、カーター政権の議会対策は言うまでもありませんが、十一月のアメリカの中間選挙を控えまして、フロリダ、カリフォルニアなどの議員の突き上げがかなりあるということも事実であります。また、そのようなことがいろいろ言われておりますが、そういった意味で、これ以上日本農産物輸入したならば大変であるし、また、これは黒字解消にはほとんどならないということは、すでに関係閣僚がアメリカへ出向き、または日本から議員もアメリカへ行っていろいろと説得してきた経緯もあるわけですから、十分承知していると思うのですけれども、そういったことを踏まえて、当局は、今回のアメリカのこの突き上げというものは、もちろん七月の東京ラウンドを控えてのことであるけれども、そういった要素等がかなりあって、一時的なものである、こういうふうに思っておられるのか。その辺の見通しといいますか、感触といいますか、きょうは大臣がおいででございませんので、局長からひとつ農林省の分析、お考えというものをお聞きしたいわけであります。
  72. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 御指摘のとおり、この問題は、経済問題であると同時に、非常に政治問題の側面を持っておると思います。したがいまして、経済問題として考えれば、高級牛肉の一万トンの問題でありますとか、あるいはオレンジの四万五千トンの問題でありますとかいうことは、アメリカにとって、経済問題なり日本貿易均衡問題として考えれば、まさにそれほど大した問題ではないはずであります。はずでございますが、それが今後の自由貿易を推進するということからいくと、そういうふうなものに対して日本はどういう姿勢を示すかということは、日本が自由貿易主義を標榜しておる、そういう態度を具体的に示すということに相なるわけで、そういう意味で、これは非常にシンボリックなものである、こういうふうに言われておるわけでございます。片や政治的側面におきましては、御指摘のように、現在のカーター政権のもとにおいて議会対策その他、パナマ法でございますとかあるいはエネルギー法案等を通すためのいろいろ政治的な配慮という側面が十分ある。むしろそちらの方の要素が強いというふうに見た方が正しいかと思います。  アメリカはそういう事情があれば、日本にもまた政治的な問題がございまするし、同時に、日本農業の基幹でありますミカン農家に与える影響ということも十分考えなければいけない問題でございますから、私たちとしましては、ミカンについての季節自由化をしないと大臣が前から申し上げているように、そういうことは考えない。同時にまた、数量につきましても、この前、一月の交渉で相当ふやしたわけでございますし、また、国内ミカンは生産過剰で、その生産調整をやらなければいけないという状況でございますから、そういう状況アメリカにいろいろと説明をいたしまして、数量増加というふうなことをやらないで処置をしたいという方針処理をいたしておるところでございます。
  73. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、改めて確認をしておきますけれども東京ラウンド農産物の扱いについては、さきに中川農林大臣は、農政がおかしくなるようなことはできない、また、一月の日米交渉で大幅な譲歩をしているのでこれ以上困難であるとの立場を明らかにしておりますが、農林省はいまも、今後もこの姿勢には変わりはないと思うが、その点、改めて、確認の意味でお伺いしておきます。
  74. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 大臣が前々から申しておりますように、今後の東京ラウンドに対処をいたしますにおきましては、総合農政に支障のあるようなことにはいたさないということは何回も申し上げておるとおりでございまして、大臣のそういう基本的な方針に従って事務当局としても処理をしていくというのが方針でございます。  第二点の、アメリカからの輸入をこれ以上ふやさないということは、オレンジにつきましては、先ほど申し上げましたように、私たちといたしましてもそういう方針で対処いたしておるところでございます。問題は、そういうオレンジあるいは牛肉等につきまして、私たち大臣が御答弁申し上げたような線で処理をいたしておるわけでございますが、農産物全体としてとらえてみますれば、これは東京ラウンドを成功させるという意味合いにおきまして、総合農政に支障のない範囲内において協力をすべきものは協力をしていく必要があるというふうに考えておる次第でございます。
  75. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 牛肉については、私は、基本姿勢を示したということであって、輸入枠漸増方式は避けられないのではないか、こういうふうな見方をいたしております。いま局長からも御答弁がございましたが、総合農政に支障のない範囲で協力をする、こういう言葉の感触から見ても十分うかがい知るわけであります。安易な輸入をしないという範囲で、必要最小限の不足分について輸入することについては、当然これはやるべきであり、私もこれに反対するものではございません。しかし、私が申し上げたいのは、いま日本の置かれている牛肉国内供給の状況を見ますと、三分の一を占める和牛はこれ以上生産増は望めないというような見方を農林省はしているんではないか、こういうように私は思うわけでございます。それと、もう一点は、供給の三分の二を占める乳用雄牛または乳廃牛については酪農の副産物として出てくるわけでございますが、牛乳が供給過剰になっている今日の現状からいたしまして、増加が見込めないという見方が一部にあるわけでございます。こういったことから、長期的に見て国内生産の伸びというものは需要の伸びを下回る可能性が強いため、この結果、需給ギャップが拡大する可能性が強くなる。そこで、農林省内も経済企画庁、外務省の主張する漸増方式に踏み切らざるを得ないという状況になっておる。そういった弱みといいますか、そういったことから経済企画庁、外務省の意見等が強く反映し、農林省もかなり追い込まれてきている、かように私は今日見ております。  こういうことになりますと、これはほかの農業もさることながら、畜産農家においてもいよいよこれでは農業からの撤退ということになってまいります。それにますます拍車がかかってくる。将来、憂慮すべきことが考えられる。そのためにも、私は先日も農林大臣に、または政府当局にも再三申してまいりましたが、農業基本法の抜本改正を初め、総合農政の発想の大転換をしなければ将来に大変な禍根を残すということになりかねない、かように思うわけです。そういった意味で、畜産農家を守るためにも本気になって取り組まないと、ますます国際分業論のあおりを受けて、日本農業は、果樹農家にしても、畜産農家にしても、またすべての問題について、ことごとく撤退をしていく、こういう懸念をいたしております。この点について当局の見解をまとめて承っておきたい、かように思います。
  76. 杉山克己

    杉山政府委員 牛肉の問題でございますが、輸入数量について今後どういうふうに取り扱っていくかということについては、確かに国内の各方面でいろいろな議論が交わされております。その一つとして漸増方式を考えるべきではないかという意見が出ていることは十分承知いたしておりますが、農林省としてこれをどう取り扱い、どう対応していくかということはまだ最終的な態度を決めているわけではございません。やはり国際的な交渉事でございますので、こういう問題の取り扱いについては慎重の上にも慎重を期していく必要があろうかと考えております。  それから、需給見通しの問題でございますが、和牛については生産の増加が困難でないかということでございますが、これは確かに和牛は肥育、その前の繁殖の段階からでございますが、繁殖にしましても、肥育にしましても手間暇がかかる、生産条件がきわめて厳しいというようなこと、さらには牛の回転期間が長いというようなことでもって、その生産増を図ることがなかなかむずかしい事情にあることは事実でございます。ただ、私ども長期的に見て、牛肉の国際需給はいまでこそ日本に買ってほしいという意味で強い圧力がかかってまいっておりますが、将来はかなり需給が逼迫するのではないかというふうに考えております。そのことと、現実、日本の四十二万戸もの農家が肉牛を生産しているわけでございます。それらのことを考えますと、しかも肉牛生産農家だけでなく、関連して豚、鶏、あるいは酪農農家への影響というようなことも考えますと、私どもは需給の面、農家への影響の面、それらからして、やはり国内生産の育成を図っていくということが大事であると考えております。あらゆる手だてを尽くして、その点困難な事情の中で今後の生産増を図ってまいりたいと考えております。  それから、乳牛につきましては、日本の場合は確かに牛肉の大きな供給源として乳牛が、雄あるいは乳をしぼり終わった雌のいわゆる廃牛というものがあるわけでございますが、これは酪農生産の動向と関連づけて見通しを立てなければならないわけでございます。六十年見通しというものもございますが、最近の動向等から、この点について慎重にいま検討を行っているところでございます。  以上でございますが、いずれにいたしましても、私どもとしては日本の生産農家が打撃を受けることのないよう慎重に配慮してこの問題の取り扱いを決めてまいりたいと考えております。
  77. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この機会にさらにお伺いしておきますけれども牛肉輸入拡大攻勢が高まっておるときでありますだけに、首相の諮問機関でありますところの物価安定政策会議の食肉分科会を舞台に、今後の牛肉対策のあり方をめぐって、これまた各委員間、さらには経済企画庁と農林省が激しく対立をいたして、この牛肉問題をめぐって論争を続けておるというふうに私たちは伺っておるわけでございます。経済企画庁と輸入拡大派と言われる学者が、一つには国際的に異常に高い牛肉を今後五年ないし十年間で豚価に近い水準までコストを引き下げることを目標に生産を合理化するというのが一つでありまして、二つには、合理化が進む間さらに輸入をふやすとともに、現在の価格安定帯より低い水準で最低保証価格帯を設け、現実の市場価格との差を不足払いとする、このような点について種々の主張を盛り込もうとしておるというふうにわれわれは仄聞いたしておりますが、東京ラウンドに向けての貿易問題についてさまざまな外圧がある中での牛肉の攻略論だけに、私はこの問題に重大関心を持つ一人でございますが、この問題をどういうふうに農林省は受けとめておられるか、また、これに対する対処方針はどういうふうに考えておるのか、これらについての見解を承っておきたい。
  78. 杉山克己

    杉山政府委員 首相の諮問機関でありますところの物価安定政策会議、そこの第一調査部会の中に食肉分科会というのが設けられております。この分科会におきましては五十一年の暮れ以降、もうかなりの期間になるわけでございますが、食肉の価格安定対策について検討が行われております。現在、この分科会は一通りの議論を重ねてまいったわけでございますが、報告書の取りまとめを進めている段階になっております。ただ、むずかしい議論が残っておりまして、最終的に確たる方向が示されているわけではございません。したがいまして、ここでその内容について一つ一つ申し上げることはできないわけでございますが、いずれにいたしましても、その議論の過程におきまして、農林省としては事務的にも農林省としての考え方を随時明らかにして、必要な主張をその中に盛り込ませるようにしているところでございます。  一般的な、先生がいま御指摘になりましたような問題についての考え方は、先ほども御答弁申し上げましたように、日本牛肉の将来の需給を今後どう見込んでいくか、六十年見通し等との関連もありますが、それら全体のことについてどのように見込んでいくかということ、生産に努力いたしましても、全体としては不足するという事実はあるわけでございますから、その不足分については輸入を図っていくということは当然あるわけでございます。そういう中でコストダウンを図るということになりますと、段階的にどんなことが考えられるか。農林省といたしましては、現在の制度、仕組みを前提にいたしまして、ある程度の輸入は図っていく、その中で生産の合理化を図って国産牛肉についてのコストダウンを図っていく、これが第一に必要なことであろうと考えております。それから、流通の改善、たとえば部分肉市場について将来増設を考えていくとか、そのほか各流通段階の合理化を図るというようなことによって流通経費の節減を図るということを実現していくべきではないかと考えております。  そのような考え方で基本的には対応する、そして先ほども申し上げましたように、不足分を輸入する場合、そのことが過大になって日本の生産農家に重大な影響を与えるということのないように配慮してまいりたいと考えております。
  79. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 局長からいま御答弁ありましたが、物価安定政策会議の食肉分科会の報告書の取りまとめですが、これは大体いつごろになる見込みでございますか。
  80. 杉山克己

    杉山政府委員 やはり議論がまだ最終的に整理されておりませんので、いつごろということははっきり申し上げられませんが、関係省庁の間でできるだけ早くということで取り急ぎ進めることにいたしておるところでございます。
  81. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 局長先ほど牛肉は長期的に見て将来の需給は逼迫すると見ている、こういうふうにおっしゃっておりますけれども、それは六十年目標の中で大体いつごろというふうに想定しておられますか。
  82. 杉山克己

    杉山政府委員 牛肉の需給について逼迫すると申し上げましたのは、国際需給の点でございます。現在のところは、生産国は日本牛肉を買え買えというようなことで、いわば供給過剰の状態にあるわけでございますが、この状況につきましても、最近はアメリカあたりはやや需給が逼迫をしてきたような現象が出てまいっております。しかし、いずれにしても、世界全体から見ればいまのところは供給がむしろ需要を上回っておるという状況でございます。しかし、将来長期的にこれを考えますと、国際的な権威のある各機関でも見通しを立てているわけでございますが、FAOにいたしましても、それからOECDにいたしましても、一九八〇年あるいは一九八五年見通しの数字では、FAOの場合は八〇年で百万トン、 OECDの場合は八五年段階で約二百万トンそれぞれ不足するというような見通しを立てているわけでございます。そういう意味で、これから先の需給事情牛肉については国際的に逼迫する状況が出てくるのではないかと申し上げたわけでございます。  国内状況は、国内全体としては、やはり従来からそうでございますが、国産牛肉では国民の必要量全部は賄えない、不足分は輸入するということで考えておるところでございます。
  83. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 局長、いずれにしても、いまいろいろ議論してまいりましたが、国内畜産農家を守るためにも国内の自給率を上げるということに重点をしぼって、不足分については、これはやはり安易な輸入はいけませんけれども、必要最小限の輸入をするということについては当然のことでございますから、かといって自給率の向上がますます撤退するようなことではこれはどうにもなりません。  そういったことで、私が指摘したようなことは畜産関係の団体を初め畜産農家も大変心配している、また将来の日本を思うときに憂慮すべき点でございますので、十分こういったことには配慮して、いずれ物価安定政策会議の食肉分科会の報告書の取りまとめも行われると思いますけれども先ほど指摘したような問題がいろいろ論議されている。そして、将来豚価と同じような価格にする、それまでは不足払いにして云々というようなことでいろいろ重大な内容が論議されているとわれわれは聞いておりますので、その点十分国内の生産を上げ、自給率をふやすためにも最大努力をするように来年度予算に向けてでもしっかりひとつ腰を据えて対処してもらいたいと思うのです。その点さらにひとつ局長の決意をお伺いして次の問題に入りたいと思いますから、お答えいただきたいと思う。
  84. 杉山克己

    杉山政府委員 私ども国内の需給を調整する上で現在の制度、つまり畜産振興事業団による一元輸入、それから価格安定帯制度によって安定帯の中に国産牛肉価格を維持するということを基本と考えているわけでございます。  それから、国内の自給を向上させるということでございますが、全体の需要の動向それから供給の動向からして、自給率一〇〇%というわけにはまいりませんが、自給をこれ以上、現在以上にさらに向上させていくことのために、畜産局としてあらゆる政策手段を今後とも努力してその実現を図っていくように努めたいと考えております。
  85. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、ミカン対策についてお伺いいたします。  ここ数年、生産者団体は、横ばいを続けるミカン市況浮上対策といたしまして摘果運動を初めさまざまな手段を講じてきておることは御承知のとおりでございます。さらに、抜本的な対策として、生産各団体の中で論議を呼んできました二割減反、すなわち三万ヘクタールの伐採についていよいよ日園連は踏み切るということですでに発表されたわけでございます。日園連が五月十六日に温州ミカン園地利用再編事業を決定して、いわゆるミカンの二割減反でミカン農業の生産基盤を強め、需給を均衡させ、ミカン産業の危機を打開する、こういうふうに言っておるわけでございます。  もう御承知のように、その内容を日園連に伺いましたところ、五十四年度から三年間、毎年一万ヘクタールを伐採し、更新、転換する。二つには、伐採を実施した生産者には需給調整奨励金を交付する。三つには、その資金造成として国、県、市町村、生産者が当たるなどで、生産者一丸となってミカン産業の危機打開のために悲壮な決意で実施するということで、今後期待がかけられているということになっておりますけれども、まず私は、こういった日園連の対策について農林省として今回の温州ミカン園地利用再編事業をどういうふうに認識し、受けとめておられるか、その辺からお答えをいただきたいと思う。
  86. 野崎博之

    野崎政府委員 いま先生おっしゃいましたように、日園連からそういうお話は聞いておるわけでございますが、民間でも自主的にそういう需給調整を図りながら将来の消費拡大を図っていく、そういう点を真剣に考えておられるということで、われわれもこれを真剣に受けとめてひとつ検討をいたしたいと考えておるわけでございます。
  87. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この事業推進に当たっては、農林省も十分受けとめていきたいということでありますが、行政と一体で着手することが肝要であると私は思うわけです。特に需給調整奨励金については半分の百億円を国庫補助から充てていただきたいという強い要請でございますので、国の強力なてこ入れが望まれるわけでございます。そういった国の協力なしには実現はもちろんできぬわけでございますけれども、この点についても十分検討の用意がある、こういうふうに理解していいか、その点局長からお答えをいただきたいと思う。
  88. 野崎博之

    野崎政府委員 日園連の方のお考え方は奨励金というお考え方でございますが、われわれといたしまして、従来も改植の補助金等を出しておるわけでございますし、改植等の必要性はわれわれも当然認めておるわけでございますので、どういう形でどういうふうにしていくかというようなことについては、まだわれわれの方も検討を具体化いたしてはおりませんので、今後日園連の方々やその他の方々とも十分相談をしながらひとつ検討をさしていただきたいというふうに考えております。
  89. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ミカンの生産過剰ということで、摘果運動並びにただいま申し上げたような温州ミカン園地利用再編事業等が進められつつありますが、御承知のように、ミカン農家は大変な借入金を抱えて安い価格に耐え忍んで今日経営をいたしていることは御承知のとおりでございます。  そこで、私は、こういったいわゆる生産調整を進める上から、ミカン農家の借入金について、低金利時代を迎えまして、従来の借入金の償還延期あるいは金利対策等いろいろ考えてやらなかったならば重大なことになる、かように思っております。  御承知のように、熊本県も後発地域でございますけれども、いま樹園地も成木化してまいりまして、ますます生産量が年々増加しておるやさきでございます。そのやさきに、片や生産調整によってミカン対策をやってきたいきさつもございまして、希望に燃えてやってきた果樹農家が、いまからというときに、このような生産調整または園地利用再編事業等をみずからの手で進めていかねばならないということは、これはもう大変厳しい状況下に置かれるわけでございますので、そういった償還期限の延期あるいは金利対策等どのように考えておられるのか。少なくともこういったことについては、政府としては、過去に米の生産調整をした経緯もございますから、早速取り組んで果樹農家の救済に当たってもらわねばならぬ、かように思いますけれども、それについてはどうお考えであるか、具体的にひとつ果樹農家のためにお示しいただきたい、かように思います。
  90. 野崎博之

    野崎政府委員 既貸付金の償還の条件の緩和につきましては、制度的には一般的にどうという制度はございませんが、個々の農家とそれから個々の金融機関がそれぞれ協議をいたしまして、そういう償還条件の緩和ということをやっていく道が開かれておるわけでございます。過去四十七年から、四十七年にもございましたし、その後もあったと思いますが、本年も先生御承知のようにやはり過剰ぎみでございますし、ミカン価格が低迷をいたしておりますので、本年の二月二十二日付で各金融機関の団体あるいは公庫、中金等に対しまして、そういう場合にはよく個々のミカン農家の実情に応じて協議をして、そういう道を図るようにというような指導、依頼をいたしておるところでございます。
  91. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 なお、改植等促進緊急対策事業があるわけですけれども、この事業は昭和五十三年度で終わることになっておりますが、農家経営の安定のために今後も打ち切らずにぜひ継続して事業をやっていただきたい、かように果樹農家は希望しておるわけです。私もまた、ぜひこれは継続すべきである、かように思うわけですけれども、これについてはどういうふうに当局は検討しておられますか、お答えをいただきたい。
  92. 野崎博之

    野崎政府委員 先生おっしゃいますように、これは五十三年度で終わる予算になっておりますが、改植の必要性につきましては、先ほど申し上げましたように、当然今後とも必要だろうと思いますので、そういう事業は続けていきたいと思いますが、このままの予算のかっこうでいいのか、あるいはもっと改善を加えた形のものにしていった方がいいのか、これは五十四年度予算のことでございますので、いま細目についていろいろ検討をしているところでございます。
  93. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 改植等促進緊急対策事業については、ぜひともひとつ、検討しているということですが、その方向で前向きの検討をぜひお願いしたいということをさらに要求しておきます。  さらに、現在のミカン農家にとって一番深刻な問題は、総じて申しますと需給バランスの問題であります。農業については六十年見通しがありますが、中間年における需給の見直しがどうしても私はミカンの場合も必要である、かように思うわけでございます。六十年見通しそのものの改定が仮に困難であるならば、ミカンについて安定した需給はどのような数量であるのか、また何年ごろまでにその見通しを立てた需給バランスが達成できるのか、その計画を作成すべきじゃないか、こういうふうに思うわけですけれども、この点については当局ではどういうふうに検討しておられるのか。こういう時代を迎えて大変農家は安いミカン価格に苦しみながら、一方では生産調整をみずからの手でやる、そして将来の問題についてもなかなか見通しが立たない、果たして需給バランスがどういうふうになっていくのかということがなかなかつかめない、こういう状況下にあるわけですので、こういった問題について政府としてもきちっとした目標、また見通しというものを立ててやらなければ、私は不安はますますつのっていく、かように思うわけでございます。先ほど東京ラウンドで申しましたように、片やオレンジ輸入というものがますます攻勢化してきております。こういった中でございますので、その点についてどういうふうに検討を進めておられるか、明らかにしていただきたい。
  94. 野崎博之

    野崎政府委員 温州ミカンの消費の実態、最近の動向を見ますと、消費の停滞あるいは生産の過剰ということがあるわけでございますので、そういう状況を常に把握しながら、実際の政策の手段としていろいろ今後考えていきたいと思っているわけでございます。  最近における需給状態から見ますと、おおむね三百三十万トン程度で大体需給がバランスするような状況になっているわけでございます。先生おっしゃいます。いつごろまでにはっきりそれの需給が均衡するのかとおっしゃられたわけでございますが、われわれ改植等いろいろ政策面等でそういう点を進めておりますし、生産調整の面ではそういう点を進めていきたいと思いますし、また、消費の面ではいろいろな消費宣伝あるいはその他の事業を通じまして消費拡大を図りながら、できるだけ早急に需給の均衡が回復するように今後ともひとつ努力を続けてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  95. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 早急に解決するようにということでございますが、なかなか早急という言葉が幅が広くて、見当がつかないわけですけれども、こういった需給バランスの問題等については当局も深刻に受けとめて、十分検討している、こういうふうに理解していいのですか。
  96. 野崎博之

    野崎政府委員 先生のおっしゃるとおりでございまして、果汁中心としました消費拡大というものに重点を置きまして取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  97. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 輸入オレンジ問題についてお伺いいたします。  今年一月の日米貿易交渉で決められた輸入オレンジ季節枠がいよいよ六月から解禁になり、昨年の年間輸入数量より多いオレンジが六月から三カ月の間にやってくるということになっておるわけであります。すなわち、六ないし八月の輸入オレンジ季節枠は二万二千五百トン、このほか四月ないし九月の一般枠上期分一万二千トンがあるわけでございますので、上期だけで合計三万四千五百トンの輸入枠となるわけでございます。当然季節関税、すなわち六ないし十一月で五月までの四〇%が半分の二〇%になる。六月以降に集中輸入をされる仕組みになっておりますが、これに対しては大体私はいま言ったようなことで認識しておりますけれども、こういった認識でいいかどうか、その点政府の見解を伺っておきます。
  98. 野崎博之

    野崎政府委員 先生がおっしゃいますように、数字的にはそういうことになるわけでございます。
  99. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、私はお伺いしますけれども、現在九十一社の輸入業者が商権としての枠消化だけをねらって品質の悪いものを輸入してきて、安売り、乱売をすることが懸念されております。こういったことについて心配はないか、その影響性はどういうふうに見ておられるか、お答えをいただきたい。
  100. 野崎博之

    野崎政府委員 オレンジ輸入につきましては、特に季節枠でございますが、輸入計画書、それから販売計画書をとりまして、その輸入業者に対して確実に六月から八月までに売るようにということで、月別、旬別の輸入計画、それから月別、旬別、地域別の販売計画というものを出させて指導をしているところでございます。通産省とも相談をいたしまして、事例的にこういう業者がそのとおり行っているかどうかということを調査いたしまして、もし悪質な場合があれば来年等にまた手段を講ずる、そういうふうなことにいたしておりますので、現在のところ、われわれのそういう指導方針が守られているというふうに考えております。
  101. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林省は、国内産温州ミカンへの影響を少なくするために六、七月に集中輸入販売するよう、いま局長から答弁がございましたように輸入業者輸入計画書を出させ、また販売計画書を出させて確実に実行させ、調査をして、悪質なものがあれば処置をする、こういうことのようでありますが、実際に輸入業者に対する輸入計画書販売計画書というものが確実に実行されるという自信がございますか。
  102. 野崎博之

    野崎政府委員 先ほど申し上げましたように、六月−八月の販売計画書をぴしっととるということで各業者にも全部指導し、説明をいたしておりますので、われわれとしてはそれが遵守されるというふうに考えておるわけでございます。
  103. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 私は、日本果樹農家を守るためにも、あえて次のことを指摘しておくわけです。一応、輸入業者に対して輸入計画書及び販売計画書を出させるということは当然の処置でありますが、次のようなことが大変心配されてくるわけでございます。大量入荷になるため国内価格は急降下する、また逆に、米国での現地価格日本業者が買い付けに殺到しますから急上昇していくのであります。各輸入業者は口をそろえて、損をするようなへまはしたくない、かように言っているようであります。農林省に提出した輸入計画書また販売計画書等は大幅に変更し、六、七月に集中させるはずの農林省の指導をよそに、日本の盆の需要をねらって七、八月に集中する可能性を見せておりまして、場合によっては、オレンジが一カ月以上も長期に保存できるために、小売店での販売が九月ないし十一月にずれ込むおそれが十分あるわけでございます。国内ミカンへの影響が大変心配されてまいります。わせ温州にしても九月、十月になりますとだんだん出荷の時期になってまいります。必ず競合するということは私は火を見るよりも明らかであると思うわけです。十分取り締まりをするし、悪質なものについては手厳しく処置をするとおっしゃっておるが、当然のことである。と同時に、こういうふうにずれ込んでくる可能性があるわけで、そういった声もわれわれの耳に伝わってまいりますし、当局も十分頭の中に入れて検討し、対策を講じておられると思いますが、この点についてどういうふうに見ておられるか、私の指摘したことについてどういうふうにお考えになるか、お答えをいただきたい。
  104. 野崎博之

    野崎政府委員 今度の割り当てにつきましても、先生のおっしゃったようなことも考えまして六月、七月に数量をよけい割り当てるようになっておりまして、八月は比較的少なくなっておるわけでございます。いま先生おっしゃいましたように、八月の数量も少なくしてございますし、九月にずれ込むことがないように、われわれとしても今後十分ひとつ指導監督をいたしていきたいというふうに考えております。
  105. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 局長そうおっしゃるけれどもオレンジは一カ月以上も保存がきくわけですから、結局私が指摘したようなことになりかねないわけです。そういったことを十分検討の中に入れて対策を講じてもらわなかったならば大変な問題が起きてくる、こういうふうに心配をいたしておるわけであります。  そこで、輸入業者に言わせますと、計画変更について、その変更の理由は何とでもなる、こういうように平然と受けとめているというようにわれわれは聞いておりますけれども農林省はこの計画変更についてはどういうふうに指導し、どういうふうに考えておられるか、その辺もこの機会にあわせてお答えをいただきたい。
  106. 野崎博之

    野崎政府委員 計画の変更ということは、向こうの船積みの関係、そういう点で計画の変更ということも場合によってはあり得るわけでございますが、そういう場合には事前に業者がこちらへ報告するようにというようなことで指導をいたしておりますし、その他の理由でいろいろ変更が勝手にされるということのないように、われわれとしては十分注意をいたしたいというふうに考えております。
  107. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 計画変更についても十分ひとつチェックしてもらいたい。  同時に、先ほど申し上げましたように、違反した業者に対する措置でございます。悪質なものについては厳しく処置をとるとおっしゃっておりますけれども、どこまで本気でチェックできるのか、また、どのような処置をされるのか、それも具体的にお答えをいただきたい。  同時に、チェックするのも、第一次段階ではチェックは可能であろうと思いますけれども、仲卸、小売店、スーパーまではなかなか大変だろうと思うのです。その点はどういうふうになさるのか、その点もこの機会に明らかにしていただきたい。
  108. 野崎博之

    野崎政府委員 先ほども申し上げましたように、事例的に通産とも相談しながら調査いたしまして、悪質なそういう業者に対しましては、来年の輸入割り当てのときに措置をするというふうにもう申してございます。ただ、先生のおっしゃいましたように、末端へ行きますと、仲卸、小売、スーパー、そこまでの調査というのはなかなか実際問題としてはできがたいというふうに思っておるわけでございます。
  109. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間の関係で以上で終わりますけれども、このミカンの問題については、農林省当局も十分御承知のとおり、先ほどから申し上げるように、東京ラウンドのいわゆる貿易攻勢の問題もあるし、またオレンジの季節輸入の問題、一方、わが国の果樹農家ミカンの生産調整を行っているときでもございます。片や米の生産調整で今後十年間厳しい調整に甘んじねばならぬときでもある。牛肉においても厳しい状況が考えられるといったことで、御存じのように、農業の三本柱である米、畜産、果樹、この三つが農業の三本柱でありますが、その柱がことごとくいま厳しい姿勢に立たされておるところでございます。  そういった意味で、ことし結果を見なければわかりませんけれども、いま申し上げたようなことが十分考えられますし、恐らくは九月、十月にかけてオレンジ日本のわせ温州または温州ミカンとの競合が必ず起きてくる、私はかように思うわけでございますので、業者の自粛はもちろんのこと、農林省の指導を徹底してやると同時に、いま私が数点指摘したようなことを踏まえて、十分ひとつ今後日本果樹農家を守るためにも対処していただきたいと思いますので、その点について最後に局長の決意を伺っておきたいと思います。
  110. 野崎博之

    野崎政府委員 先生のおっしゃるとおり、ごもっともでございますので、われわれも十分念頭に置きましてそういう指導をいたしてまいりたいというふうに考えております。
  111. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 京都市北区小野中ノ町九十一番地、小野郷農業協同組合に係る不正事件について、農林省当局にお伺いいたします。  本件については、京都市北区大森東町百六十八番地、沢田巖氏から昭和五十三年一月十八日付中川農林大臣あて直訴状が提出されているが、事件の概要は、昭和五年九月三十日、京都市北区小野郷大森東町所在の山林二筆、鉄工設備等時価七千万円相当の物件被害を小野郷農業協同組合が沢田巌氏に与えていると言われるものであります。  本人の訴えによると、同組合は、不正経理による債務消滅を二重帳簿によって操作し、金を浮かし、残高記載の上で穴埋めを図り、借用証書を偽造し、かつ、すりかえを行い、振りかえた金を加えて総会議決を利用して悪用し、不当にも十六筆の財産を抵当権担保に盗用し、財産を組合役員の圧力によって強奪しているというものであります。  なお、本件についての証拠は本人が一切所持しており、明白である。  事件発生以来、京都府庁農政部並びに近畿農政局経済課長及び検査員等に対し、過去二十年間に九百回以上の監査等の申し入れ請願をしているが、いまだに解決に至らず、本人及び家族は経済的打撃は言うに及ばず、逆に村八分の仕打ちを受け、家族に与えた精神的打撃は大きく、かつ名誉と信用を傷つけられ、苦渋の生活を送っている毎日であります。かつまた、本人は七十四歳の高齢であり、本件の一日も早い解決を望んでいるものでありますが、本件につき、私は農山村民を守るべき立場にある農協が、かかる不正を長年月放置し、圧力をもって押し通そうとする姿勢は猛省すべきであり、当然速やかに解決すべきであると考えるものであります。  聞くところによると、裁判和解があったやにも聞いておりますが、本人の申し立てによりますと、すべてつくられたものであって、自分は証拠書類を持っておるし、納得がいかない、ひとつ監査指導の立場にある当局において監査をして、徹底的に調べていただきたい、こういったことを言っておるわけでございます。  以上、本件について概要を申し述べたわけでありますが、農林省として本件についてどのように承知しておられるか、まず冒頭伺いたいのであります。
  112. 佐々木富二

    ○佐々木説明員 御指摘の事案でございますけれども、その点につきまして農林大臣あて直訴状の提出があったという点については私ども承知しておりません。ただ、本件につきましては、昭和四十四年ごろから近畿農政局には再々御指摘のような申し入れがあったというふうに聞いております。  事件の経過でございますけれども、昭和三十二年に京都地方裁判所へ提訴がございまして、四十一年の十一月二十二日、京都地裁で請求棄却、原告敗訴の判決がございます。それから、昭和四十二年に大阪高裁に控訴されまして、昭和四十四年三月二十五日に大阪高裁で同じく控訴棄却、原告敗訴ということで判決が確定しておるというふうに聞いておるわけでございます。  なお、この判決が確定しました後、四十八年の三月六日でございますが、原告の沢田巖氏と小野郷農協との間で覚書がつくられまして、小野郷農業協同組合に係る積年の不祥の懸案を一掃するということで両当事者間に和解が成立しておるというふうにも聞いておるわけでございます。  四十四年ごろから近畿農政局には再々御本人からこの件について申し入れがあったようでございますけれども、近畿農政局としましては先ほどの大阪高裁の確定判決の内容等も検討いたしまして、行政当局としてこれに対応することは困難である、こういう立場で臨んできたというふうに承知しております。
  113. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 一応の経過についてはお伺いいたしましたが、本人の申し立てによると、事実とまさに相違するのであって、本人は納得しておりませんし、いま申されたいろいろな経過については一々反論を持っているのであります。  いずれにしてもここでこれを徹底的に詰めるというわけにもまいりませんが、一志政府の見解は見解として伺いまして、それについてのいろいろな検討はまた次に留保することにいたしますが、いずれにしてもこういった問題を起こした小野郷農業協同組合に対して監査はどういうふうになっているのか。私は当局から農協を指導する意味でも、監査ということについて一度ぜひやっていただきたい、かように思っておるわけですけれども、その後の経緯等も踏まえてぜひひとつ調査を願いたいと思うのですが、その点についてはどうですか。
  114. 佐々木富二

    ○佐々木説明員 御承知のように、農業協同組合に対する検査は、単協につきましては都道府県が行うことになっておるわけでございます。恐らく本件農協につきましても京都府におきまして二年に一度ぐらいの割合では検査をしておるというふうに思います。  なお、昨日先生から御質問の通告がありました後、私ども近畿農政局に問い合わせまして事件の経過概要を知ったわけでございます。なお、この点につきましてさらに検討はしてみたいというふうに思います。
  115. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 昨日近畿農政局にお聞きしてさらに検討していくというようなことでございますが、いずれにしても本人も七十四歳の高齢で、この問題が解決しなければ死に切れないということも言っておりますし、まじめな方であるし、かなりの圧迫、圧力がかかっていることも事実であります。  私がなぜこういった問題を取り上げたかと言いますと、あらゆる先生にもたくさんお願いして今日来ておるけれども、公開の席で明らかにしないためになかなかはっきりしないということもあって、私もあえて人間性を守るために、一人の農山村民であっても権力には断じて屈してはならない、正しい者は、必ず正しい者が通るということにせねばならぬということから、私は正義の立場に立ってあえて当局の見解を求めたわけでございますが、御答弁の内容等会議録を検討した上でまたいろいろと私もさらに調査をしてみたいと思っております。  そこで、この監査については都道府県がやる、また中央会がやる、十分承知しておりますが、どうかひとつこういった問題が国会で指摘をされたわけでございますので、農政局を通じ、また京都府を通じ、従来行われた監査の結果でもよいし、今後行うとすればその行った結果をいずれまたお知らせ願いたい、かように思います。農協監査というのが二年に一回ということになっておりますけれども、どうかするとなかなか実行されていない。また、なれ合い検査みたいになっている可能性もかなりありますので、そういう点も十分踏まえた上でぜひそういった監査に対する指示をしていただいて、監査の結果があればよし、なければ今後監査をしていずれその結果を御報告願いたい、最後にかようにお願いするわけですが、その点について御答弁をいただきたいと思うのです。
  116. 佐々木富二

    ○佐々木説明員 先ほどお答えしましたように、本件についてはすでに確定判決があるということは事実のようでございますので、行政的にどうするということは非常にむずかしい問題であろうというふうに思います。  ただしかし、監査につきまして京都府の方がどういう検査計画を持っておりますか十分承知しておりませんけれども、御要望の事実は京都府の方にも伝えまして、検査を行いました場合には結果を御報告するようにいたしたいというふうに思います。
  117. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 以上で質問を終わります。
  118. 中尾栄一

  119. 山原健二郎

    ○山原委員 ただいまの質問とも関連しますが、オレンジ輸入の枠の拡大の問題について輸入販売計画がまとめられておりますが、これが確実に実施されるかどうかという問題です。  この点について、いまも御答弁がありましたが、通産等とも話し合いをするということでございますけれども、これは西日本ミカン農民にとってはまさに死活問題である。農林大臣は騒げば騒ぐほど宣伝になるからだめだ、こう言うのですが、騒ぐといったって火の粉が降りかかってきているのですから騒ぐのは当然であります。今回の輸入販売計画が本当に行われるかどうかということが一つの焦点になっているという意味で、農林省の方でこれに対する何らかの新たな対策をもって、この計画を予定どおり実施されるという体制をつくっておられるかどうか、最初に伺います。
  120. 野崎博之

    野崎政府委員 輸入業者に対しまして輸入計画書それから販売計画書、六月−八月にわたっての計画書でございますが、そういうものを提出させまして、これを十分遵守するようにということは輸入に際しましても言っておりますし、その後も会合を開きまして、そこで、そういう話をいたしておるわけでございます。  先ほどもちょっと申し上げたわけでございますが、農林、通産両省相談をしながら事例的に追跡調査をいたしまして、悪質な業者のある場合には来年度の輸入割り当てについて措置をする、そういうような指導ということで、現在のところ、われわれはひとつそういう成果を上げるようにいたしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  121. 山原健二郎

    ○山原委員 その意味で、先ほどもお話がありましたように、こんな計画はいいかげんなものだとか、こういうようなことはできないのだとかいうようなことがもうすでに言われておる状態の中で、これは非常に重要な問題ですから、新たな体制といいますか、機構をつくってやる必要までは感じていない、ともかくそういうものが出てくればわかるであろうから、それに対しては来年度の対策の中で考えるという程度のことですか。少なくとも輸入販売計画についてはかなり重点を置いてこれをやらすというふうな決意を持っておられるかどうか。いままでどおりで漠然と見ておるという形ですか。
  122. 野崎博之

    野崎政府委員 新しい機構をつくったりあるいは人員をふやしたりということはなかなかむずかしい問題でございまして、そういうことではなかなかできがたいと思いますが、先ほど申し上げました販売計画書の中で、これは旬別にもとっておりますし、販売の地域別にもそういう計画をとっておりますので、従来の体制の中でまた業者を集めてそういう注意をしたり、従来よりも一層指導体制を強化する、そういう意味で申し上げたわけでございます。
  123. 山原健二郎

    ○山原委員 かつて東北の農民がリンゴの木を切ったのですが、グレープフルーツが入ってから私は愛媛へ行きましたら、愛媛では、影響がそんなにないと言っておったのに、二十年の最盛期のナツカンの木を切っている姿を見たのです。今度のオレンジの問題は、そういう意味で影響はないと言っておりますけれども、昨日も指摘しましたように、すでに値下がりをしておる、五分の一、四分の一になっておるという状態の中で影響が出ないなどということは断定できない状態にあります。そういう意味で、輸入販売計画が確実に実行されるという点では農林省としては相当厳重な警戒をする必要があるということを指摘しておきたいと思います。  次に、植物防疫法の関係から申し上げますが、防疫法の法律第七条、施行規則九条でチチュウカイミバエ、ミカンコミバエ、ウリミバエの発生地域は輸入禁止地域になっておることは御承知のとおりであります。  そこで、アメリカはこの三つのミバエとは関係のない地域と判断をされておるかどうか、伺いたいのであります。
  124. 野崎博之

    野崎政府委員 先生おっしゃいましたように、チチュウカイミバエ、ミカンコミバエ、ウリミバエが寄生するところからは禁止しておるわけでございますが、アメリカではこれらのミバエは発生していないというふうに見ておりますので、これらミバエ類の侵入の心配はないというふうに考えております。
  125. 山原健二郎

    ○山原委員 アメリカでは発生をしていないということはいかなる資料に基づいてそのように判定をされておるのか、伺います。
  126. 野崎博之

    野崎政府委員 われわれの聞いております範囲では、アメリカでそういうミバエが発生をした例がないというふうに聞いているわけでございます。そういうアメリカからの聞き込みによって判断をいたしておるわけでございます。
  127. 山原健二郎

    ○山原委員 今回大量に入ってくるわけでございますから、この点は日本の農業を守るという意味からも、また国の検疫の問題からもかなり精密な態度をとらなければならぬと私は思うのです。ところが、いまのお話によりますと、そういうふうには聞いていない。アメリカオレンジにはどういう害虫がついておるのか御承知でしょうか。
  128. 野崎博之

    野崎政府委員 かつて昭和四十九年にカリブミバエというのがフロリダ産のグレープフルーツに発見をされた例はございます。その際、カリブミバエの発生しました同州産の柑橘は輸出前に適確な消毒を行うということがアメリカ側と約束をされまして、そういうものが証明されたものに限って日本への輸入を認めているというような実態になっているわけでございます。
  129. 山原健二郎

    ○山原委員 サクランボの問題について、アメリカはコドリンガという害虫がいるために禁止地域となっており、この輸入に当たってはずいぶん論議をなされて、また調査もされ、検疫官まで立ち会うというような態度をとって、特例措置としてサクランボの輸入を認める、こういうようにずいぶん手間をかけているわけですね。今度オレンジが大量に入ってくるということになりますと、これは相当の警戒体制をしき、あるいはまた調査をしなければならぬわけですが、いまのお話でございますと、農林省としては、アメリカにはミカンコミバエあるいはチチュウカイミバエは発生をしていないというわけですが、私の聞いたところによりますと、これはかなり信憑性を持った調査でありますが、昭和五十一年から五十二年、昨年度にかけまして、カリフォルニアにチチュウカイミバエが発生をして、ハワイから去勢した雄のミバエを大量に投入して駆除しています。この事実は御存じありませんか。
  130. 本宮義一

    ○本宮説明員 具体的な問題でございますので、私からお答え申し上げます。  アメリカにチチュウカイミバエが発生したことは過去に数次ございますが、その都度アメリカは、これの撲滅に努力いたしまして、これを撲滅をしております。  それで、いま先生のおっしゃられました、カリフォルニアのロサンゼルスの郊外にチチュウカイミバエが発生いたしまして、これを撲滅するために、ハワイからこれの不妊虫を空輸いたしまして、この発生地域に放飼した、この事業が一昨年の秋から昨年の夏ごろにかけて行われた、その結果、その発生地域においてはチチュウカイミバエの発生を認めなかったということで撲滅を宣言したということの経過もございます。
  131. 山原健二郎

    ○山原委員 そこで、植物防疫法の趣旨から申しますと、発生地域というものについての輸入禁止地域となっておるわけでございまして、私はいまここで駆除したとかあるいは撲滅したとかいうようなことを問題にしているわけじゃありません。たとえば、伝え聞くところによりますと、去年の秋、ミカンコミバエが発生をしておるわけです。これは私が先ほど申しましたし、また、あなたがいまお答えになりました。ハワイからいわゆる雄の去勢したミバエを入れて駆除したときは、連邦あるいは州あるいはカウンティーから四十人ほどの係官が発生地域へ派遣されまして、大駆除作戦をやっているわけですね。こういうことになってまいりますと、これはいわゆるミカンコミバエあるいはチチュウカイミバエ等の害虫の発生地域として、普通の検疫ではなくて、これに対する特別な措置が、特に今回の大量輸入枠の拡大ということになりますと必要ではないのか。いまおっしゃったように、もうすでに発生したことを知っておられるわけですから、そうすると、農林省としてはこれに対する特別な対策が必要じゃないのですか。
  132. 本宮義一

    ○本宮説明員 先ほど申しました期日の点は、失礼いたしました。一昨昨年にロサンゼルスの郊外に発生して、それから直ちにアメリカがハワイから不妊虫を空輸いたしまして、それを発生地域に放飼して、絶滅を期したということでございます。先生がいまお述べになられましたようなことで、国、州、それからカウンティーと申しますか、郡を挙げてこの対策に取りかかった。  実は発生したということを聞きまして、私どもはこの国から大量の柑橘を輸入しておりますから、そういう心配もございましたので、私、命を受けまして、その実地を調査してまいりました。そして、発生地域をつまびらかに回りまして、また、その撲滅対策等につきましても、現地での実態も調査をさしていただきました。その結果、私が参ったときにはもうすでに発生の記録はなくなっておりましたけれども、それから半年の間かけて、その後撲滅をしたということを向こうははっきり確認をしております。  たまたまこういう病害虫が新たな国に入った、その入った地域が非常に広範にわたるということになりますれば、当然その地域を発生地域として指定しているわけでありますが、国がそれについて撲滅作業をしておって、その撲滅作業が実効のあるものであり、かつまたその効果が上がったということが確認され、それから数世代にわたって新しい虫の発生がないということであれば、これは発生地域として指定することなく、発生が確認されないという事実をもってこの地域は輸入の禁止地域とはしない。しかし、そういうことでございますので、当然私どもアメリカから入ります柑橘については十分注意をして検疫してまいりたい。また、アメリカも、ミバエの発生は非常に警戒しておりまして、アメリカの検疫当局が、日本で言えば植物防疫所というようなものでございますが、それをメキシコに置きまして、南アメリカに発生しておりますこういったミバエ類をメキシコでもって押さえるため、メキシコと一緒になって防遏手段を講じておるということで、私どもが現地を調査いたしました結果では、その撲滅をしたという報告はわれわれとしては是認できるというように判断をいたしたのでございます。
  133. 山原健二郎

    ○山原委員 そのメキシコは禁止区域に入っていないのですが、いまおっしゃったことだけ聞きましても、年次は別にしまして、すでにアメリカでは五、六回にわたって大駆除作戦をやっているのです。  それから、あなたのおっしゃったことを聞きましても、十年もさきの古いことではなくて、一昨昨年の問題でしょう。だから、そこで発生している、駆除をしたと言いましても、発生区域には違いないのです。しかも、あなたが調査に行かれて、局長がそのことについて先ほどは発生してない、こういう御答弁でしょう。これは私は答弁を聞きながら大変おかしく思うのですけれども局長はお知りにならない。あなたは駆除をした後に調査に行ったんだけれども、それは発生した事実があるために調査に行かれたわけですね。そういう発生地域に対して何ら無防備で日本へ大量にオレンジ輸入するなどということが、農林省として許せる問題なのかということなんですよ。その点はどうなんですか。しかも、あなたが帰られて報告をされて、局長が知っておられるかと思うと、局長はそういう発生の事実はないとおっしゃるのでしょう、その辺はどうなっておるのですか。
  134. 本宮義一

    ○本宮説明員 局長先ほど答弁されましたのは、現在発生してないということを申し上げたので、言葉が不十分の点がございますれば、私どもの説明が十分でなかったということでおわび申し上げたいと思います。  ですが、確かに危険地域からそういった虫が侵入してくるということについては植物検疫上重大な問題でございますので、検疫的措置は完全を期さなければなりませんが、しかし、現実問題として、その地域で過去に発生をした記録がない、発生してもその都度撲滅ができたということが世界各国で認められておる。そういう虫が発生をしますと、これは世界的な文献として扱われておりますイギリスにあります王室昆虫研究所の病菌害虫のディストリビューションマップという世界の病菌害虫の分布地図というものがございますが、そこに記載されるということになるわけでございますが、現実問題としてアメリカはそのチチュウカイミバエの発生がなくて、時たまそういうような発生が過去にあった、それでごく近くは一昨昨年そういう発生があった、しかし、これについてアメリカ検疫当局が撲滅の新しい技術的な対策を講じて精力的にこれに取り組んでおる。そして、それが発生を確認しなくなってからもうすでに半年以上もその事業を続けておって、その間ずっと発生を認めてないというような事実がございますれば、この地域を発生地域として指定して、その地域からの輸入を禁止するということはむしろ至当ではない、これはもう発生地域としてみなせないというふうに私どもは解釈いたします。
  135. 山原健二郎

    ○山原委員 そういう解釈の問題になってくると、これはこれ以上私も進まないわけですけれども、しかし、サクランボのときにつきましてはずいぶん年数をかけて調査をされた。もっともコドリンガの場合は、アメリカは禁止地域となっておったからそういう手段も講じられたと思うのですけれども、今度の場合、本当に、いま駆除とおっしゃいましても、それはもうアメリカの場合は全力を挙げて駆除をやるわけですね。ですから、確かに駆除はできるわけです。駆除はできるわけですけれども、しかし発生した事実があるということ。それから、駆除をする場合に、もし日本にこれが入ってきた場合に、アメリカの駆除方法で日本の場合駆除ができるかということになってくると、これは生物学的にいってもできない場合が多いわけですね。そういう点から考えまして、私はこの点ではもっと慎重な態度をとるべきであるということを指摘しておるわけです。  なお、私はいまかなり信憑性のある問題として出しています。昆虫学者の中にもしばしば、しょっちゅう発生を確認をしておる昆虫学者もおるわけです。だから、それをいま実証的にここで述べるという時間的余裕もありませんから、農林省の方で、これだけ大量のものを今回輸入する、しかも日本ミカン農民にとっては相当重大な問題として出てきておるこの問題について、なお防疫上の見地から調査もしていただきたいと思いますが、この点局長、いかがでございましょうか。アメリカは比較的隠さないのです。だから、資料もあるはずです。米側からも資料も取り寄せるし、それからまた場合によっては調査官を派遣する等の手だてを講じて、これに対する万全の措置をとっていただきたいと思いますが、この点についてのお答えをいただきます。
  136. 野崎博之

    野崎政府委員 現在も大体柑橘類は神戸、大阪、横浜に入るわけですが、そこで十分検査をいたしておるわけでございますが、今後とも輸入増に伴いまして検査をますます確実化する、そういう意味で周辺の検疫官も立ち会わせたり、そういうことで検疫体制を整備をしていきたいと考えておるわけでございます。
  137. 山原健二郎

    ○山原委員 これはウリミバエの場合ですけれども、沖繩でウリミバエが台湾から入ってまいりまして、キュウリ、ニガウリ、スイカ、トウガ、カボチャ等、きょう沖繩へ電話して調べてみたのですけれども、ずいぶん被害が出ていますね。カボチャとかあるいはスイカなど廃棄処分にしたのが五十年度に約八億円、五十一年度に八億六千万円、五十二年度に八億九千万円、大体九億円程度の被害がずっと出ておるというような状態ですから、沖繩に旅行して帰ってくる場合には物すごくチェックを受けるわけですね。それだけ厳しいことをやっているわけですね。  だから、このオレンジの問題についても、いま初めて私がこの害虫の問題を取り上げましたので、そちらも十分お答えする用意もなかったかもしれませんが、なおこれについてはアメリカ側に対しても問い合わせもするし、万全の措置をとっていただくようにこの際強く要請をいたしたいと思います。  もう時間がありませんが、最後に、建設省と国鉄の方にお見えいただいておりますので、これはローカルの問題ですが、五月十七日に高知県幡多郡地方を襲った集中豪雨の問題でございます。  この中で、特に同郡の大方町におきまして蛎瀬川がはんらんをいたしました。そのために、当時すでに水田は七〇%以上田植えをしておりましたが、これが表土も流れますし、ひどいところでは三メートルも土が流れるという被害が起こりました。また、他の地域では、ハウス地帯で出荷中のキュウリが全滅をする。あるいは大方町の入野地区ではスッポンの養殖を組合がやっておりますが、この組合員の話によりますと、二万匹全部流失をいたしまして、組合の再建もできないというような状態に置かれました。このとき降りました雨は二百五十ミリです。これは高知県におきましては決して大量の雨とは言えません。しばしば襲ってくる程度の雨でございますけれども、これだけの被害を受けまして、この小地域に九億円の被害が生じたのであります。  そこで、その原因について、地元の方たちあるいは当局にも私は聞きましたが、一つは、この蛎瀬川の改修をもう数十年来要請をしてきましたけれども、この改修ができていない。ほとんど堤防もなかったということが一つの原因になっておるのではないか、こう言われております。これはどのように改修をされる御予定であるか、建設省の方に伺いたいと思います。  それからもう一つは、ここに鉄道が敷設をされまして数年になっておりますが、この鉄道がほとんど盛り土でやられておりますために、これが堰堤の役割りを果たしておりまして、そのために冠水地帯が非常にふえたということと、同時に、盛り土のこの線路の中に三カ所ばかり水はけのトンネルのようなものがあるわけですが、これが少ないために水が急流となってこの下流に流れる、そういう被害が起こったことが指摘をされております。  もちろん住民の考えですから、これは科学的に正確であるかどうか私もよくわかりませんが、この二つの問題についてぜひ調査もしていただき、また改修、あるいは鉄道につきましては技術的な検討をしていただいて、何らかの水はけをよくする対策を立ててほしい、こういう要求でございますが、この二つについて御答弁をお願いします。
  138. 川本正知

    ○川本説明員 まず、建設省の方から御答弁いたします。  先生おっしゃいました蛎瀬川につきましては、あそこに国鉄の中村線の鉄橋がございますが、そこから下流六百五十メートルの区間につきまして、昭和五十一年度から補助河川改修の中の局部改良事業に採択をいたしまして、用地買収をずっと進めてきておったところでございます。また、鉄橋から上流の七百五十メートルの区間につきましては、五十三年度、今年度から同じく局部改良事業に採択いたしまして事業を進めようとしておったところでございます。そういったやさきに、先生おっしゃいましたことしの五月に出水がございました。  そういった事実にかんがみまして、私どもといたしましても、地元の御協力をさらに得ながら、今後さらにその事業の促進に努めてまいりたい、そう思っております。
  139. 野沢太三

    ○野沢説明員 お答えいたします。  中村線のこの付近は昭和四十五年十月に開業した線区でございまして、ここにございます蛎瀬川の橋梁は、当時の鉄道公団の手によって建設されたものでございますが、河川管理者の方と協議をいたしまして、スパン九十七メートルで渡っているものでございます。橋梁としては新しいものでございますので、河川の流量に対しては十分耐え得るものと考えておりますが、御指摘のような浸水がございまして、私どもの線路も被害を受けておりますので、今後河川改修計画が明確になりました時点でその計画に合わせて改修を進めてまいりたいと考えております。
  140. 山原健二郎

    ○山原委員 最後に国鉄の方に。  国鉄側も被害者なんでございますから一緒にお考えいただきたいと思いますが、この排水の問題等について技術的に御検討いただきたいと思いますが、その点はよろしいでしょうか。
  141. 野沢太三

    ○野沢説明員 河川改修ができますれば恐らく排水問題は同時に解決できると思いますが、なお局部的な排水処理につきまして御指摘のような問題点がありましたならば、これは改良いたしていきたいと考えております。
  142. 山原健二郎

    ○山原委員 終わります。
  143. 中尾栄一

    中尾委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時十一分散会