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1978-05-30 第84回国会 衆議院 農林水産委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月三十日(火曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長代理 理事 山崎平八郎君    理事 片岡 清一君 理事 羽田  孜君    理事 林  義郎君 理事 竹内  猛君    理事 馬場  昇君 理事 瀬野栄次郎君    理事 稲富 稜人君       江藤 隆美君    久野 忠治君       熊谷 義雄君    倉成  正君       佐藤  隆君    玉沢徳一郎君       森   清君    森田 欽二君       小川 国彦君    角屋堅次郎君       新盛 辰雄君    野坂 浩賢君       松沢 俊昭君    武田 一夫君       吉浦 忠治君    神田  厚君  出席政府委員         農林政務次官  今井  勇君         農林省農蚕園芸         局長      野崎 博之君         農林水産技術会         議事務局長   堀川 春彦君         特許庁総務部長 勝谷  保君  委員外出席者         農林大臣官房審         議官      小島 和義君         農林大臣官房参         事官      赤保谷明正君         水産庁研究開発         部長      山内 静夫君         特許庁総務部総         務課長     新井 市彦君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農産種苗法の一部を改正する法律案内閣提出  第七四号)      ————◇—————
  2. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 これより会議を開きます。  委員長が所用のため、その指名により私が委員長の職務を行います。  農産種苗法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹内猛君。
  3. 竹内猛

    竹内(猛)委員 農産種苗法の一部を改正する法律案に対して質疑をいたしますが、質疑の前に、昨日中川農林大臣の父上がお亡くなりになったことに対して謹んで弔意を表したいと思います。  まず、この法案の前提であるところの農産種苗法改正をせねばならなくなった経過について御説明をいただきたいと思います。
  4. 野崎博之

    野崎政府委員 現行農産種苗法は、保証種苗の表示の制度、それから優秀な品種種苗名称登録ということで登録者保護を行ってきたわけでございますが、一九六一年、昭和三十六年に植物の新品種保護に関する国際条約というものが制定されまして、これを契機にいたしまして、各国で次々に育成者保護制度が確立をされてきたわけでございます。わが国といたしましても、この制度の加入により海外の優秀な種苗が入ってくるあるいはこちらの新品種海外で同じように保護される、そういう体制が望ましい、そういうようなことで、今回農産種苗法改正する予定にいたしたわけでございます。  なおまた、国内的にも、農業事情の変化に伴いまして、多収品種あるいは早生品種あるいは耐病性の強い品種、そういうものの必要性が出てまいりましたので、それにも対応いたしますために、育種者保護を通じて新品種育成、普及を図る、そういう背景のもとに今回の改正提案いたした次第でございます。
  5. 竹内猛

    竹内(猛)委員 その経過の中で問題になったのは、特許庁との関係が問題になったということを聞いております。五十一年に一応の経過が整理されて、そうしてその中で法案として提出するに至るまでの間にいろいろ問題があった。その問題になった点は、どういう点がどのように問題になったのか、これを説明してもらいたい。
  6. 野崎博之

    野崎政府委員 外国でも特許法の特例によっている国が若干ございます。それから品種保護法によっている国が十六カ国、相当多いわけでございますが、われわれといたしましては、従来農産種苗法として、品種登録といいますか許諾制度で運営いたしてきたわけでございまして、今回もその流れの一環といたしまして登録それから許諾制度ということで提案をいたした次第でございます。  まず問題になりました点は、特許制度の特色といいますか、特許制度における保護対象といいますのは、自然法則利用した技術的思想の創作、すなわち発明ということでございますし、品種登録対象植物品種それ自体である。したがって、保護対象内容も違う。そういうようなことで、われわれといたしましては、従来許諾方式によって保護してきたわけでございますし、これが現行特許権制度によりますと、農家自家採種あるいは生産販売、それまでに効果が及んで、農家にとっては非常に不便を生ずる、そういうようなこともございますし、また、品種登録になる農林水産植物につきましては、工業製品と違いまして特許対象となる新規性とか進歩性要件、こういうものがなかなか満たしにくい。現実には、従来も植物品種それ自体については特許された例はございませんし、また出願された例も非常に少ない。そういうことから考えましても、植物品種自体特許上出願されることは事実上まれにしかない。そういうようなことで、従来の許諾方式による法改正の形で提出をする方がよかろう、そういう考えで特許庁とも話し合いをいたしまして提案をいたしたわけでございます。
  7. 竹内猛

    竹内(猛)委員 特許庁との間で発明、発見、こういう特許に関する問題に関しての話し合いがされてきた、そのことはいろいろ聞いておりますし、事前にもそれぞれの立場からの主張もあった。それが整理をされてくる過程の中で、将来同じような問題が繰り返して起こらないようにするために、特許庁農林省との間に、何がしかの覚書なり文書のような念書とかあるいは取り扱いに関する書類なり申し合わせがあるかどうか、この点については政務次官の方から答えてもらいたいのだが、ないはずはないと思うのですね。そういうことが必ず行われているはずだ。これを明らかにできるものは明らかにしてもらいたい。
  8. 野崎博之

    野崎政府委員 今回の改正につきまして、農林省特許庁の間でいろいろ話し合いが行われて、一応役所間の文書ということで残っているものはございます。その主要な内容は、植物品種それ自体内容とする特許は、これまでもなかったし、今後も事実上ほとんどまずあり得ないと考えられる。かと言って、植物品種自体について特許があることは理論的には否定はいたさない。種苗法品種登録により与えられる利益は、農業政策的見地からのものであって、工業所有権ではないと理解している。今回の改正案が成立した場合は、両省庁はお互い特許制度及び品種登録制度を運営していく上で情報の交換をする。それから国際条約加盟については双方協力をする。そういう趣旨文書でございます。
  9. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私が聞いているのは、特許庁農林省との間に何らかの話し合いなり書類が交わされているかいないかという話を聞いている。
  10. 今井勇

    今井政府委員 局長が答弁しましたように、この問題を両省で詰めますときに、細部にわたって話し合いが行われましたこと、並びにそれに基づきまして先生のおっしゃる覚書といいましょうか、お互いに確認的なものを交わしたことは事実でございます。ただ、この問題は、言ってみれば、役所同士役人ベースで話し合われたことでありますから、これはひとつ役人話し合いだというふうに御理解を賜りたいと思います。
  11. 竹内猛

    竹内(猛)委員 将来この法案を処理するためには、どういう話し合いがあったかということについては、やはり差し支えのない範囲内において示して明らかにしてもらわないと、私たちはなかなか審議がしにくい面があるから、これについてはあとの委員の方からも恐らくその話は出ると思うけれども、この法案の中に、これから指摘をしますが、いろいろ問題があります。そういう点と関連をしながら、やはりあるべきものは出していきませんといけないと思いますから、これは私は要請したいと思います。  次いで、問題なのは、この農産種苗法改正は、確かに昭和二十二年にこの法案ができて以来長い間余り手のつけられなかった法案であり、本委員会にしてもこの種の法案はきわめて扱いがたいむずかしい内容を持った法案であると思いますが、その目的の中で、一つは、従来は「優秀な新品種」という言葉が使われておったが、今度は「優良な」という形で、法案の中では品種の中に「優秀」と「優良」というような使い分けがされております。「優秀」と「優良」の区別、なぜそういうように言葉を変えてきたかという理由、これが第一点。  第二点は、この法案をつくることによって国際条約加盟をする、そして国際的ないい品種国内に入れる、それを活用する、こういう二つの目標があると思います。そこで、国際条約加盟をするということについて、この法案が成立したときには分担金なども問題になると思うけれども、どういう手続によって、どれくらい支払って国際条約加盟をするのか、そのときにはどのような利益が農民に与えられるのか、こういう点について明らかにしてもらいたい。
  12. 小島和義

    小島説明員 前段の問題について私からお答えいたします。  お話がございました「優秀な」という従来の名称登録に当たりましての要件は、品種自体が優秀なものであるかどうかという意味一つ登録要件になっておったものでございます。いま御指摘がございました「優良品質」というのは、新しい規定の第五条に入りました字句でございまして、これは品種自体がいいか悪いかということではございませんで、いい品種のものにつきましても、種自体としては粗悪品であるというふうなことがあり得るわけでございます。第五条規定は、種自体のいいものを流通させるという意味におきまして、種苗業者が遵守することが望ましい基準を定める、こういうふうな条文になっておるわけでございまして、品種自体よしあしとは直接関係ない条文でございます。
  13. 野崎博之

    野崎政府委員 国際条約に加入する問題につきましては、われわれといたしましては、今回の改正案で大体各国水準並みになっていると思いますので、できるだけ早い機会加盟をいたしたいと思いますが、いずれにしろ、これはまた条約そのもの改正するという機運もございますので、そういう動向に十分注意をしながら、関係各省とも協議をしながら、できるだけ早い機会国際条約加盟いたしたいと思っているわけでございます。  国際条約加盟したことによりますメリットといたしましては、海外からも優秀な種苗が入ってくる、わが国育成者海外で諸外国と同様な保護制度が与えられる。いま御質問農家に対する問題でございますが、そういうようなことで優秀な海外種苗が入ってくれば、その優秀な種苗利用していろいろ作物をつくることもできるし、あるいは優秀な素材を利用して国内優良品種をつくる、そういうようなことで農家にもメリットがあると考えておるわけでございます。
  14. 竹内猛

    竹内(猛)委員 いま小島審議官からの説明がありましたが、「優秀」ということと「優良」ということの使い分け、基準がわからない。悪いものを売るはずがないでしょう。「優秀」ということと「優良」という基準がいまの説明ではどうもよくわからないけれども、何か前に基準があって、その基準に照らして第三者がそれを点検して、これは優秀である、これは優秀でない、あるいはこれは優良であるということになって、それが変わったのかどうなのかということが知りたいわけであります。種というものが農業においてきわめて重要な位置を持っているという関係からして、この見分けはゆるがせにしてはならない、これが第一の再質問。  それから、局長に対しても、国際条約加盟をする場合に、アメリカ日本が入っていない。アメリカ日本が入ることによって国際条約の財政上の埋め合わせがつく、こういう説明をする人もおります。そこでアメリカ日本が入ることが必要なんだ、いい品種のことも大事だけれども、そっちの方も大事だ、こう言われているのだけれども、この辺はどういうぐあいに農林省の方はとらえられているか。この二点についてもう一度答えてもらいたい。
  15. 小島和義

    小島説明員 ただいまの「優秀」と「優良」とどう違うのかということでございますが、言葉自体意味といたしましては、「優秀」も「優良」も非常に近い概念であるということは私どもも否定するものではございません。ただ、この使い道でございますが、御指摘のございました「優秀な」というのは、改正になります前の第七条に「優秀な新品種」、いわゆる品種自体優秀性というものを形容する言葉として使っておりますのに対しまして、「優良な」という言葉の方は、改正後の第五条、これは品種育成者保護にかかわる部分ではございませんで、流通する種苗品質の保全を図るという意味から新しく設けた規定でございます。その中におきまして「優良品質指定種苗流通を確保するため」、こういった言い方で使っておりますので、これは先ほどお答え申し上げましたように、品種自体よしあしというのではなくて、もちろんいいものも当然含まれるわけでございますが、その中におきます種自体としての品質よしあし、たとえば発芽率がある程度のものは確保されておりますとか、そういうふうな意味の種のよしあしということをあらわす言葉に使っておる、こういうふうに御理解いただきたいと存じます。
  16. 野崎博之

    野崎政府委員 第二点目でございますが、確かに先生おっしゃいましたように、アメリカなり日本が入れば分担金等の問題で事務局も潤うというような話も聞いていないわけではございません。ただ、われわれといたしましては、そういうために入るわけではございませんので、先ほども申し上げましたように、そういう条約に入ることによっていろいろなメリットがある、そういうようなことで従来からも進めてまいったわけでございます。
  17. 竹内猛

    竹内(猛)委員 もう一度小島審議官に聞かなくてはならないが、私が聞いているのは、「優秀」とか「優良」をだれが決めるかということなんです。だれが決めるかということのその決め方が問題でしょう。農林省のAという技術官がこれは優良と言っても、農家から見た場合にはそれは優良じゃなかったということになれば、それは水かけ論で責任がない。だから、第三者がなるほどこれは優良なんだという保証というものは一体どこで決めるのか、こういうことを聞いているわけです。基準とそれに対する責任です。それが第一。  それから、局長の方には、国際条約に入る場合に日本はどれくらいの負担をするのかという問題があるわけです。そういう点を聞いている。これは再々質問になるが……。
  18. 小島和義

    小島説明員 従来の「優秀な新品種」という概念につきましては、何が優秀であるかというその判断基準というのは大変むずかしい問題でございまして、品種自体栽培方法利用方法によりまして、その品種が非常にいいものとして市場でもてはやされたりあるいはそうでなかったりということになるわけでございますので、優秀な新品種であるかどうかの判断は、挙げて農業資材審議会審査をお願いしておったという経緯がございます。その点が一つ問題事項でございますので、今回の改正案では優秀性ということは登録要件からは落としておる、こういう経過でございます。  新しい五条優良品質種苗流通を確保する、これは一般的な言葉として使っておるわけでございますので、発芽率何%のものが優良品質というふうなはっきりした物差しがあるわけではもちろんございませんが、あの五条趣旨といたしましては、農家がその種子を利用いたしまして通常農業生産を適正に実施し得る、そういうふうな種を出回らせるという意味で用いております。したがって、数字的に計数を申し上げて優良品質とはどういうものかということはあの条文からは出てこないわけでございまして、むしろ、その基準種苗業者が守らなければならない基準を決めますに当たりまして、どの程度のものを出回らせるようにするかという役所側判断によりまして、通常農家農業生産上困らない、こういう種を出回らせる、こういう意味から基準は決めてまいりたいと考えておるわけです。
  19. 野崎博之

    野崎政府委員 わが国が入る場合には具体的に幾らになるかということはまだはっきりわかりませんが、現在、英、独、フランス等が入る場合に大体一千万から二千万の間ということでございます。
  20. 竹内猛

    竹内(猛)委員 次いで、この第一条に関連をする問題でありますけれども、ある人からは、今回の法案品種登録公的性格が非常に不明確である、こういうふうに言われております。特に第十二条の五第三項には差しとめ請求権損害賠償請求権が明示されているのに、品種登録には権利という言葉がこの法案には一つもうたおれておらない。権利主体は一体どこにあるのかという点についてこれは説明をしてもらわないと、主体がぼけてしまう。何が主体なのか、この点について……。
  21. 野崎博之

    野崎政府委員 今回改正されます種苗法権利法の形態をとっていないということはおっしゃるとおりでございますが、従来から農家自家採種をするあるいはその種苗を使って生産販売をするという形で農業生産がスムーズに行われてきた。そういうことからいたしましても、現在の特許法のような権利になりますと、その農家自家採種やそれから農家生産販売、それまでに権利が及んで、農家側としては非常に困るという事態も生じてくるわけでございますし、そういう意味で効力の及ぶ範囲種苗法の方では限定をいたしておるわけでございます。それから諸外国の例を見ましても、先ほど申し上げましたように十六カ国で定められております品種保護法もそういうような形になっているわけでございます。  それから、従来の名称登録による保護制度、それにおきましてもそれなりに支障なく運営をされてきた、そういうことがまた片やあるわけでございますし、いま出ました損害賠償請求権あるいは差しとめ請求権、これらにつきましては品種登録者に対します保護一環といたしまして単に取り締まるというだけでなしに、そういう差しとめ請求権なり損害賠償請求権を付与した方がいいんではないかというようなことでございますし、また、現在の改正前の農産種苗法でも差しとめ請求権損害賠償請求権規定があるわけでございます。その点は従来とは変わってないわけでございまして、そういう意味でも、われわれといたしましては品種登録制度とこれとは別に矛盾をするものではないというふうに考えておるわけでございます。
  22. 竹内猛

    竹内(猛)委員 この点についてはまだ同僚の委員からも突っ込んだ質問が恐らくあると思いますから、私はこの程度にして次に進みますが、先ほどの小島審議官のお答えの中に、品種を定める場合に資材審議会に諮るという言葉がありました。  そこで、これは政務次官にお尋ねですが、今日まで資材審議会があったわけですが、これがどこが悪くて、それじゃどう審議会を直そうとするのか、その構想について、悪いところがどこにあってどこを改正をするのかということについての方向について明らかにしてもらいたい。
  23. 小島和義

    小島説明員 政務次官からお答え申し上げる前に、現在の資材審議会役割りとその構成についてちょっと申し上げますが、現在の資材審議会は主な役割りと申しますのは、品種登録に当たりましてこれを登録に値する優秀な新品種のものと認めるかどうかということの判断が主でございます。したがいまして、その構成というものも学者、研究者等を中心にいたしまして、その種苗よしあし判断できる人というふうな構成になっておるわけでございます。  申し落としましたが、農業資材審議会と申しますのは四つの部会から成っておりまして、その中の種苗部会というのが実際は担当をいたしておるわけでございます。  今回の法律改正におきまして、優秀性要件を落としまして、新しい品種であるかどうかという客観的な事実の判断だけをもって品種登録をいたすことにいたしておりますので、その意味におきましては資材審議会の従来の役割りというのはなくなるわけでございますが、今回の法律におきましても資材審議会にお諮りする事項といたしまして、品種自体新しい品種であるかどうかを見分ける際の作物種類別の重要な形質というものを定めるに当たりまして、その何が重要な形質かということをお決めいただくのは資材審議会意見を聞いてやるということにいたしておるわけでございますし、また、後の方に出てまいります条文で、農林大臣裁定によってその新品種第三者に使わせるという規定がございます。そういう裁定をいたします場合に資材審議会意見を聞く、こういうふうなことになっております。したがいまして、従来の資材審議会役割りとはかなり役割りが変わってまいりますものですから、その意味で新しい法律上の役割りにふさわしい委員構成に改めてまいりたい、こういうふうに一応考えておるわけでございます。
  24. 今井勇

    今井政府委員 いまお答えしたとおりですが、この審議会がいま二十人ありますし、その二十人の人たちが、優良である、優秀であるということで、その決め方について先生お説のとおりなかなかむずかしい問題があります。そこで、今度はそういう要件を外しまして、その品種が新しいもの、要するに在来あったものかなかったものかということを基準にして大臣が指定するわけですが、後、それがいいか悪いかというのは使った人たちに決めてもらおうということでございまして、その点ば非常に割り切った考え方をいたしております。
  25. 竹内猛

    竹内(猛)委員 資材審議会等については農林水産省令によってこれを定めるということになっているが、本法律省令とか政令とかというものが各所に出てくるわけで、本来ならばそういうものがどういうものであるかということをあらかじめ出してもらって一緒に議論するのが適当かと思うのですが、そういうことによってなおこの意味内容が明らかになるから、これはできるだけ出してもらいたいということを要望をしたい。  次いで、今回の法案の第四条には検査規定というものがない。現行法には検査規定がありました。それをどうして削除したのか。法案というものは専門家が見るものではないので、これを見るのは、読むのは、余り法律に練れていない一般の農家の人々が見る。そのときに、検査が削られたということはおかしいではないか、やはり一定の検査をしてその品質保証があって、安心をしてこれを買って種をまくことができる、あるいは苗を植えるということができる、これが農家の安心するものでありますが、第四条を削った理由はどういうことなのか。
  26. 野崎博之

    野崎政府委員 第一点の政省令の問題につきましては、できるだけ早い機会に御提出をいたしたいというふうに考えております。  それから第二点の、第四条を削った理由でございますが、御指摘のとおり、今回第四条の規定を削除をいたしておるわけでございますが、その理由といたしましては、現行法の制定当時、三十年前でございますけれども、その当時から見ますと事情が著しく異なってきておりまして、粗悪な種苗の出回りがほとんどなくなっている。それから、従来も対価を支払って、これを強制的に集めているわけではございません。したがいまして、特に無償でその種苗を集取することができるという規定を置く場合はともかくとして、こういう規定は削ってもいいのではないかというふうに考えてこういうふうにしたわけでございますが、法律改正後においても当然こういう検査を行うことにいたしておりますので、おっしゃられるようにこの規定があっても別に困ることはないというふうに考えておるわけでございます。
  27. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これは政務次官に尋ねますが、やはり第四条は従来のように復活をする、それで品種検査を行って、そして農家に、利用者にその品質に対する責任を明らかにしていくということは必要だと思う。そういう意味でこの第四条に対する修正というか、そういうことについて政務次官はどう考えられるか。
  28. 今井勇

    今井政府委員 この条文を削除しました理由につきましては局長の答弁どおりでございますが、先生のお説のとおり、この問題についてはいろいろな考え方があろうと思います。そこで、当委員会として十分御審議を賜りました中で出てまいります御結論に対しましては、政府といたしましても十分前向きで検討させていただきたい、このように考えます。
  29. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私は、この第四条は、従来どおり復活をしていく必要があるということを主張しておきます。  それから続いて、第五条関連をいたしますが、種苗農業経営にとっては大変大事なものであります。特に、農業災害補償法の対象になっていない施設園芸、トマト、キュウリ等々の反収の高いものの場合に、その種が誤ったものであるならば、それはその期間の収入がない、またそれを補償するすべがない。こういう場合に、第五条に関しては「遵守することが望ましい」というような形になっているけれども、これは公示を明確にして、その品質に対する責任の所在を明らかにしていくということが絶対必要だと思うのですね。この種のものとしては、たとえば飼料についても飼料安全法の八条、九条あるいは農薬取締法においても、三条だと思いましたが、そういう重要な部門においてやはり品質を明らかにしながら公示をしていく、こういうことができているのに、「望ましい」ということでは、これは「望ましい」ということはやらなくてもいいという形にもとれるわけだから、やはり第五条をもっと強化をして、責任の所在を、「遵守すべきである」ということでその内容を明らかにし、それを公示する、こういうことにしなければならないと思うけれども、その点についてはどういうふうにお考えか。
  30. 野崎博之

    野崎政府委員 従来の種苗法では、販売する場合に発芽率の一定の基準を表示させて、その検査、取り締まりによってこの要請にこたえてきたところでございますが、先ほど申し上げましたように、最近は制定当時と違いまして、粗悪な種苗の出回りが非常に少なくなってまいっておるわけでございまして、これから先、いかに品質を一層向上させるかということに重点があるわけでございまして、そういう観点から、従来どおりの表示の制度というものはもちろん残しておきますが、種苗業者がいかに自分みずからがその気になって品質管理を進めるか、そういう意味で、業者の自主的な品質管理を進めるというような趣旨で、「業者が遵守することが望ましい基準」というふうに規定をいたしておるわけでございまして、われわれといたしましても、これらを業者に対する行政指導の一つの指針としても活用をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。まあ先生のおっしゃったことも、確かに一つの立法論としてはあろうかと思います。
  31. 今井勇

    今井政府委員 第五条に関します法解釈は、いま申し上げたとおりでありますが、これは実は第四条と同じような考え方をとっておりまして、当委員会でひとつ十分御議論を賜りまして、一定の方向がお示し願えるならば、政府といたしましても前向きで検討をさせていただきたい、このように考えております。
  32. 竹内猛

    竹内(猛)委員 この改正法案はだれのためになるのかというようなことに関していろいろな意見があります。ある人は、これは利権法ではないか、種苗業者利益を得るために必要な法案になっているのではないかという意見もあるし、いや、そうではない、これはやはり農民のために必要なんだ、こういう解釈もあります。いずれにいたしましても、いろいろな意見があるのは自由でありますが、実際これが種苗業者だけのものでないということについての説明をいただきたいと思うのです。  先般、本委員会は、参考人に来てもらって意見を述べていただきました。種苗業者の代表も来たし、それから民間育苗者の意見も聞きました。あるいは農業団体の意見も聞いたし、検討会の経過も承りましたが、それらを聞いて総合したところ、まだ明確になっておらないようですから、世間で言われる利権法だ、あるいはそうでない、こういうことについて、法案提出した者として、どういう点がどうだというようなことについて明らかにしてもらいたい。
  33. 野崎博之

    野崎政府委員 先ほどちょっと触れましたが、まずは育種者保護、それから一般農家保護ということも当然考えておるわけでございまして、育種者保護につきましては、品種登録にする、あるいは登録名義の変更ということで財産的価値を一時的に取得するようにもできる、あるいは新規な品種であればいいというように優秀性を削除いたしておる。あるいは差しとめ請求権とか損害賠償請求権、これは従来の農産種苗法にもあるわけでございますが、そういうような制度育成者保護いたしておる。  それから一般農家につきましては、先ほど申し上げましたように、現在の特許法でいきますと、その生産販売農家自家採種にまで及ぶ、そういうことのないように一般農家保護する。同時に、新しい品種農家が使えるようになって農家側にもメリットがあるというふうに考えておりまして、われわれとしては別に利権法だとは考えておらないわけでございます。
  34. 今井勇

    今井政府委員 局長が御答弁申し上げたとおり、これは明快にしておかなければいけませんが、今回の法律改正の眼目が、要するに新しい品種を育ててくださる方、そういった方を保護することによって育種の振興を図り、農家経営の安定化、ひいては農林水産業の発展に資しようということでございますから、それが個人であれ種苗業者であれ、その育種者保護しようという立場は全く同じでございまして、それが一部の者のためであるということでは決してございませんので、これは誤解のないように明快にしておきたいと思います。
  35. 竹内猛

    竹内(猛)委員 この点に関してもなおまた同僚からいろいろな質疑があると思いますし、先般種苗業界の代表の方からの説明では、種苗の、多く取り扱っている京都のタキイあるいは横浜の坂田、こういうところの取り扱いの年間の金額というものは百五十億あるいは百十億だと言われています。これが最高だと思うのですが、その中で、ある種苗業者は、種の育種から最終的には資材まで売っている、あるいは技術も提供する、こういう形になっておるから、一つの独占体ができるのではないか、こういう心配はいまでもぬぐえないものがあります。でありますから、こういう業界の不当な介入というものを抑えていく。そして農家に、「優良な」という言葉が適当だと思いますが、そういう品種を、種苗保証していくということが大事だ。そのときに、この品種登録は独占を認める制度であるけれども、これに関して裁定制というものがある。「二年以上適当にされていない」場合には裁定が行われるとされている。その場合の二年というのは、どういう理由で二年というものを決めたのか。それから「適当にされていない」というこの言葉、「適当にされていない」という言葉は非常に耳なれない言葉であって、こういう言葉はわかりにくい。それをもう少し普通の言葉に訳したならばどういうような意味なのか。この二点について説明をしてもらいたい。
  36. 野崎博之

    野崎政府委員 最初の、二年にした理由でございますが、従来、「三年以上当該登録に係る名称を使用して登録種苗販売しないとき。」は、農林大臣は「農業資材審議会審査を経て当該登録を取り消す」という規定現行農産種苗法にあるわけでございます。今回、裁定制度では二年ということになっておるわけでございますが、一年ということになりますと、作物は一年一作であるという観点から考えますと、やはり登録者にはちょっと酷ではないか。それから、この裁定の場合には裁定申請者が登録者に対して対価を支払うという旨の裁定をすることになっておりますので、そういう対価の支払いということもございますので、二年間ということが適当ではないかというふうに考えたわけでございます。  それから、「適当にされていない」ということでございますが、この裁定制度趣旨そのものが、育種者保護と同時にいろんな優良品種の普及を図る、そういう両者の調整といいますか、調和をとるというような趣旨でございまして、この場合、登録者農業資材審議会意見も聞いて決めることになっておるわけでございますが、たとえば、種苗について農家等の需要があるにもかかわらず非常に高い許諾料を要求してなかなか売らない、しかも、みずからも生産なり販売を二年間しない、そういう場合が適当でない、そういうふうにわれわれは考えておるわけでございます。
  37. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そうすると、「適当にされていない」ということは、、常識的に言って、通常販売なりそういうものに供していないというように理解をしていいかどうかということが第一点。  続いて、公共の利益のために必要があるときに行われる裁定、これは農林大臣が申請をしてみずから裁定をするということがあり得る、この法律ではそういうふうに読めるのですが、そのような例は他の省庁にもあるのかないのか。自分で申請をしてみずから裁定する、これはおかしいですね。申請者が裁定をするということは、これはおかしい話だ。こういうことが他にもあるかどうかということを第二点。  それから、公益上必要なときにということがあります。その公益上必要な場合に、育種者がそれを独占をする、そこで第三者がこれに対して申請をする、大臣もやるという形になってくるわけだが、そういう公益上必要なものを独占をしているようなときには、これはやはり国がその権利を買い上げる、買収して、そうして公益のために提供する。土地の収用じゃないけれども、そういう権利を収用していくということは考えられないかどうか。適当な金、賠償金を払っていくということは考えられないかどうか。  三点になると思いますが、それを答えてもらいたい。
  38. 野崎博之

    野崎政府委員 第一点は先生のおっしゃったとおりでございます。  第二点は、国がみずから農林水産大臣裁定の申請をすることがあるかという点でございますが、法律的に見ればそういう場合があり得る、制度的に見ればそういう場合があり得るわけでございますが、実際は、公共の利益のために非常に必要な場合には、当然農家の需要もあるわけでございますし、農協等がそういう裁定を申請することが普通であるというふうに考えておりまして、実際問題として国が農林大臣裁定を申請するということはほとんどあり得ないというふうに考えておりますが、国の機関として大臣裁定の申請をするという場合は特許法にもございます。特許法にもございますが、現実には国が裁定申請をしたことは一度もないそうでございます。  それから、公共の利益の場合でありましても、結局はやはり、農家がそういうものを欲しがっているということになれば、そういう農家の欲しがっているものを販売をしたい、そういう種苗生産販売をしたいという人が必ずおるわけでございますので、そういう人が裁定の申請をして、それに裁定をするというかっこうが適当だろうと思います。いろいろ国が収用してあれすればいいじゃないかというお話もございましたが、われわれといたしましては、そういうふうに種苗生産販売をしたい人が農家の需要があれば必ず出てくる、そういう人に裁定の申請をしてもらって国が裁定をする方が適当であろうというふうに考えておるわけでございます。
  39. 竹内猛

    竹内(猛)委員 時間が来たからこれで終わりますが、最後に、技術会議事務局長が見えているから、これは質問と要請をするわけですが、種苗育成なり発明というのは役所だけがやっているわけじゃない。これは民間の篤農家とかあるいは特殊にこういう種苗を研究する人がおります。先日も、自分の損得というものを度外視をして長い間種苗育成に努力をした方の意見を聞きました。大変感激をする面がありましたが、ともすると、役所の方は、自分たち育成したものが最高のものであって、民間は軽視をする傾向がどうもある。これを官尊民卑という言葉で私は常に言っているのだけれども、そういうことがないようにしてもらいたいということが一つですね。民間の育種育苗者というもの、発明者を大事にしてもらいたい、このことについて答えてもらいたいということが第一点。  第二は、筑波研究学園都市に、今度は農林省の技術関係の研究機関が集中的に集まってきました。ここでは非常に広い試験場とそれからゆったりとした研究の機関があるわけだから、農林省自体としても新たな決意で種苗育成に努力をしてもらいたい。この法律が成立をした場合において、農林省の技術陣とか予算とか、そういうものはどの程度変化があるのかどうなのか。この辺までひとつ答弁してもらいたいと思います。  なお、残った分は明日また続けます。
  40. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 まず第一点のお尋ねでございますが、育種につきましては、岡あるいは地方公共団体、都道府県でございますが、それから民間というようなことで行われておるわけでございます。それの実態を見てまいりますと、国、県等で行っておりますのは、主として民間で行い得ないようなもの、技術のレベルでございますとかあるいは採算性というような面で、民間で行い得ないようなものを主として分担をしておるという関係に相なっております。民間で行っておりますのは、個人の場合もございますし、法人形態、会社などでやっているものもございます。作目の種類によりまして、花でございますとか、一部の野菜でございますとか、あるいはまた果樹関係、こういったことにつきまして、民間育種がかなり盛んであるというふうに全体としては把握してございます。  そこで、農林省といたしましては、これら全体の関係をできるだけ整合性を保って進める必要があるという観点から、特に国、県の機能分担というものを明らかにすることが大切であるという考えのもとに、かなり時間をかけまして検討いたしまして、先生も御案内のように、五十年の六月に作物関係育種基本計画というものをつくりましてやっておるわけでございます。これは国、県の関係をカバーしておるということになっております。  そこで、お尋ねの民間との関係につきましては、私どもは主といたしまして、民間に対しましては、育種の基本になります材料、育種素材と申しておりますが、こういうものを外国から導入をしてきてこれの活用を図る。あるいはまた育種の方法、理論、やり方、こういったものについて民間に対しまして指導するし、あるいはまた研修等、役に立つような普及の面も担当をしておるというようなことが基本になっておるわけでございます。場合によりましたら、育種の母材を提供するというようなことがございまして、たとえば一例を挙げますと、白菜で「平塚一号」というのが有名な品種でございますが、こういったものは民間に提供いたしまして、これを親とするF1でございますね、これが二十八品種できておりますし、あるいはまた、それを育種の素材として使いまして新たな系統をつくる、こういったものが三品種できております。こういうような形で、民間にわれわれの研究蓄積なり材料の提供ということで御援助を申し上げておるというのが実情でございます。  それから第二の問題でございますが、筑波の施設整備等とも関連しまして、試験研究機関の体制整備を図りながら、その中で、この育種の問題は非常に重要な問題でございますから、私ども、ただいま申し上げました育種の基本計画に従いまして、それぞれの専門場所、地域農業試験場、農事試験場、農業技術研究所、こういうものの研究分担を明定をいたしまして、機能分担を図ってやってまいることにしております。育種につきましては非常に忌の長い話でございまして、年々の変動ということはそうございます話ではありません。したがいまして、予算規模等もかなり力を入れてやってまいっておるわけですが、そう年によって変動するという性格じゃないと思いまして、私どもが必要な予算は、国、県の関係でぜひとも確保いたしたいというふうに思って進めておるわけでございます。
  41. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それでは、時間が来たのできょうはこれで終わりますが、また後で詰めます。まかぬ種は生えぬという言葉があるわけですから、種もしっかりしたものをつくらないと将来にわたって禍根を残すから、しっかりした種をつくるために鋭意努力をしてもらいたいということをつけ加えておきます。  以上。
  42. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 野坂浩賢君
  43. 野坂浩賢

    ○野坂委員 本法案提出するに至った背景と経過というのは、いまお話がありました国際条約加入でそれぞれのメリットを上げたい、こういうことが一番大きな眼目でありますか。そのほかに理由がありましたらお話しをいただきたい、こう思います。
  44. 野崎博之

    野崎政府委員 先ほどちょっと申し上げたわけでございますが、やはり国内的な優良種苗育成というものが非常に最近国内でも望まれている。耐病性の強い品種とか早生品種あるいは多収品種、そういうものが望まれておるわけでございます。そのためには、やはり育種者保護しながら優秀な品種を供給をする。したがいまして、育種者保護ということに重点を置くということでございまして、そのために品種登録をするとか品種登録に変えるとか、登録名義の変更によって育種者が財産的な価値を一時的に取縛することができるというような育種者に対するメリットも与える、そういう趣旨で、いま先生がおっしゃいました国際条約に加入するメリットとあわせて本法を改正する理由といたしておる次第でございます。
  45. 野坂浩賢

    ○野坂委員 そういたしますと、いまも話は承ったんですが、この法律をまじめに真っすぐに読みますと、「種苗流通の適正化と品種育成の振興」ということが目的になるわけですね。あなたの場合、皆無と経過というのは国際条約の加入と育種者保護ということを明確に言われるわけですが、その場合ならば本条の目的第一条に、いわゆる育種者保護の点を明確にしておく必要があるじゃないか、目的の中に。そう思いますが、漸次読んでくれば、意図しておることはわからぬことはありません。ただ、保護方法は取り締まり方式というかっこうでありますから、権利の明確化という点では、目的の条項で、あなたの御答弁と直截に読んだ場合には非常に疑義の点が出てくるのではなかろうか。そういう点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  46. 野崎博之

    野崎政府委員 先生がおっしゃいましたように、育成者保護という言葉は直接今回の法律には出てまいりませんが、この目的といたしますところは、そういう育成者保護ということを通じまして品種育成の振興を図る。御指摘趣旨もわれわれとしてはわからないわけではございませんが、一応この第一条の「品種育成の振興を図り、」この文言の中に盛り込まれておるというふうにわれわれとしては解釈をいたしておるわけでございます。
  47. 今井勇

    今井政府委員 法律的な解釈については御答弁を申し上げましたが、第一条「目的」のところは大変大事なところでございます。したがいまして、いまの御議論を十分にひとつ当委員会でお詰めを賜りまして一定の方向をお示し賜るならば、私どもはひとつ前向きで検討させていただこう、こう考えております。
  48. 野坂浩賢

    ○野坂委員 と申しますのは、特に中心は国際条約に置かれておるわけですね。国際条約の一条、二条を見ても、「植物の新品種育成者又はその承継人の権利を承認し、及び保障することを目的とする。」ということが一条に書いてありますし、二条は「すべての同盟国は、この条約に定められた育成者権利を特別な保護権又は特許権によって承認することができる。」こういうふうに非常に明確にして、あなたがおっしゃっておるそういう点を強調しておるわけですから、第一条の点にはそういう点を明定する必要があるということを私は申し上げておきたいと思うのであります。政務次官の御答弁で了解をしております。  それから、この法律昭和二十二年に制定をされておりますが、第四次の改正の際に、二十七年の五月一日でありますが、本法の対象の農作物から稲、大麦、裸麦、小麦を除いております。第五次には、二十八年三月でありますが、大豆も除かれております。そういう経過をたどって、今度はその除いた部分を全部また除くといいますか、もとに返すというかっこうになっておるわけであります。いま技術会議事務局長も、民間ででき得ないもの、たとえば花、花卉でしたか、そういう御答弁があったと思いますが、この四次改正、五次改正の除いた趣旨というのはその経過から見て一体何でしょうか。
  49. 小島和義

    小島説明員 御案内のとおり、この改正は主要農作物種子法の制定に伴いまして、主要農作物種子法の世界におきまして主要農作物であります。当初米麦、その後におきまして大豆が入っておりますが、そういうもののいい種の生産、普及ということは別体系で扱える、こういう考え方から対象として除いたわけでございます。当時の農産種苗法現行法もそうでございますが、優秀な品種育成者に対しまして名称の登録を行うということでございまして、そのことが裏返しに見れば権利保護という性格もございますが、優秀な品種のものの普及奨励を図っていくという奨励的な性格も合わせ持った法律であったわけでございます。そこへもちまして別体系で主要農作物種子法といういうものができましたので、その体系の中で優秀なものの普及奨励を図っていく、こういう考え方から対象作物として除いたもの、こういうふうに理解をいたしております。
  50. 野坂浩賢

    ○野坂委員 農林省はこの法律提出するに当たって非常に努力をされたと思います。研究もされた。特に、一部改正とありますが、われわれから見れば全面改正だ、こういうふうに思うわけであります。これについては、一条や二条ではなしに十六条全面改正でありますから、この一カ月や二ヵ月でできない。どのころからそういう研究をされたのか、お伺いをします。
  51. 野崎博之

    野崎政府委員 今回の改正につきましては、いま先生おっしゃいましたように、いろいろな経緯があったわけでございますが、農林省では昭和四十七年から学識経験者をメンバーといたしまして新品種保護制度研究会を設けまして、そこでいろいろな御意見を承ったわけでございます。この研究会が約三年間続きまして、昭和五十年の四月に新品種保護制度の早期制度化を図るというような報告書を作成しておりまして、さらに五十一年度に植物品種保護制度検討会というのをまた設けまして、そこでもその保護のあり方について検討を重ねまして、その結果今回の改正案として御提案をいたした次第でございます。
  52. 野坂浩賢

    ○野坂委員 四十七年から今日までずいぶんと御苦労が多かっただろうと思うわけであります。そういう検討をし、相当全面改正を考えて三年間にわたって研究され、五十年の四月には早期制度化の答申が出された。そういう中で、昭和五十年十一月に特許庁植物の新品種に関する審査基準を作成をして植物特許を積極的に認めていく方針を打ち出しておられます。新聞等を通じて公表されたことは御案内のとおりであります。これについて農林省とその時点で話し合いがあっただろうと思います。そうしなければ、より混乱を生ずるのではなかろうか、何らそういうことについては支障がないものかどうか。私は素人目に見て、この法律とこういう審査基準の公表とでは非常に関連が深いというふうに判断をしておるわけですが、その点について、農林省側の見解と、特許庁の五十年十一月にこういう基準公表をしたその意図を明らかにしていただくと同時に、話し合いはどのように持たれてきたのかということをお尋ねしたい。
  53. 野崎博之

    野崎政府委員 農林省といたしましては、五十年の特許庁のその基準を打ち出した際に、公表はやめてくれないかという申し入れをした経緯がございます。
  54. 勝谷保

    ○勝谷政府委員 五十年の十一月に植物の新品種についての審査基準を公表いたしたわけでございますが、実はそれに先立ちまして植物品種の育種業者から保護を求める強い要請がございまして、国会の場でも、なるべく早くそういう体制をとれ、特許法でできる範囲でやれという御要請をいただきました。それで事業者サイドから見ましてもなかなか特許植物品種に対します要件等がはっきりいたしませんので、基準を公表してほしいという要望が出てまいりましたので、国会の要請並びに育種業者からの要請を受けまして十一月に公表いたした次第でございます。しかし、その後につきましては種々検討がございまして、この法律提案によりまして特許庁並びに農林省の間の意見は一致しているわけでございます。  以上でございます。
  55. 野坂浩賢

    ○野坂委員 その後は話し合いをしてトラブルがないようにしておる、そういうことでありますが、話し合われました、合意したような書類、メモ、そういうものがございますね。いっそういう合意メモは取り交わされておりますか。
  56. 野崎博之

    野崎政府委員 日にちははっきりちょっと私記憶ないのでございますが、今回の法案提出の際に特許庁とそういう役所間の文書として取り交わしをいたしております。
  57. 野坂浩賢

    ○野坂委員 それでは、そういう合意文書というものは、何ら秘密事項ではなく、農林省のいわゆる職員の皆さんあるいは特許庁の現場の職員の皆さん、そういう方たちにも十分理解をしてもらうためにも私は公表する必要があろうかと思うのです。陰でやるような秘密事項ではないように私は承知をしておりますが、そのメモをこの委員会に御配付をいただけますか。
  58. 今井勇

    今井政府委員 メモと申しますのは、両省が法案提出します際にいろいろ話し合ったものの確認事項的なものでございまして、まあ言って見れば役人同士の覚書みたいなものでございますから、秘密事項でも何でもございませんが、その内容については、どうしても出せとおっしゃるならいたしますが、あけてびっくりというものでございまして、何もないものでございますから、御了承賜ればと思っております。
  59. 野坂浩賢

    ○野坂委員 私が心配しますのは、農林省の下部機構といいますか職員の皆さんなり、特許庁の職員の皆さんなり、特にこの法案が流れたときに、この法案それ自体特許法に穴をあけるのではないか、そういう風評が乱れ飛んでおるわけです。そういうことになりますと、焦点を合わせてだんだんしぼってまいりますと、いま私は合意メモという言葉を使いましたけれども、農蚕園芸局長は話し合った文書の交換をしておるということでありますから、まさに正式になっておるわけです。そういう心配を除去するためにも、私は公表し御配付をいただきたい。政務次官は何ら秘密文書でないから特に要望があれば提出するにやぶさかでないということでございますから、委員長の方で、いまの了承しておられるわけですから御配付をいただきますように、要望していただきたいと思います。
  60. 今井勇

    今井政府委員 重ねての御要望でございますから、その要旨につきまして、それではこの委員会に御提出を申し上げます。
  61. 野坂浩賢

    ○野坂委員 ありがとうございます。  それでは条文に入ってまいりますが、この稲その他が復帰をして、第一条の二は、現行法は農作物のみであったわけですが、今度は林産物、水産物、全部になっておるわけです。これは政令で規定をされるわけでありますが、この法律が公布をされますと六カ月以内に政令なり省令をつけて出されるわけですから、その内容、水産物なり林産物の内容はどういうものでございますか。
  62. 野崎博之

    野崎政府委員 政令で定める植物といたしましては、現在生産のために栽培をされているものでございまして、山野に自生をしておるマツタケなんというものは入りませんが、穀類、野菜、果樹、工芸作物、飼料作物、花卉、林木、キノコ類、海草類、これらに属する種類を掲げて規定をする見込みにいたしておるわけでございます。
  63. 野坂浩賢

    ○野坂委員 わかりました。恐縮ですが、後でそれも紙に書いてお配りいただきたいと思うのです。よろしくお願いいたします。  先ほど優秀性優良性ということの物差し論がございましたが、これは一応話がありましたのでおいておきます。  第八条関係ですが、職務育成品種の項です。いままでは従業員が、私なら私のところに使われておるまあ松沢という者がおりまして、その松沢君が新品種を発見発明をすれば、その人が登録を受ける。今度の場合は使用者の方が従業員の許諾なしにその品種登録ができる、こういうことになるわけですね。その従業員に対して使用者はその対価を払わなければならぬということになっておりますね。そこに書いてありますように、「使用者等が受けるべき利益の額及びその職務育成品種育成がされるについて使用者等が貢献した程度を考慮して定められる対価の支払を請求することができる。」こういうことになっておりますが、この利益の見通しなりあるいは貢献度ですね。そういう点についてだれとだれが話し合ってだれがそれを決めるということになりますか。そして話し合いがつかなかった場合にはどういうことになるのですか、その点を……。
  64. 野崎博之

    野崎政府委員 いま御質問がありました点につきましては、その利益の点、それから使用者が貢献している点、使用者は農場奪いろいろ提供いたしておる場合もございますし、使用者が許諾料で収入が上がってくるという場合もございますので、現実にどういうような対価にするか、それは職務勤務規則等で定める場合もございますし、その従業者と使用者が相談をして決める場合もございます。
  65. 野坂浩賢

    ○野坂委員 よく聞こえなかったのですが、話し合って決めるということが一つ。それから話し合いができなかった場合は使用者が一方的に決めるのですか、その辺はどうでしょう。
  66. 野崎博之

    野崎政府委員 対価の支払いにつきましては特許の職務発明というものがございまして、それぞれの職場で一定のルールに従って対価が請求されて、それによって支払われておるわけでございますが、今回の改正法も特許法発明の場合に準じてそういう対価の支払いがなされる、まあわれわれとしましてもそういう一定のルールに従ってスムーズにいくように願っておるわけでございます。
  67. 野坂浩賢

    ○野坂委員 従業員は、君は月給もらっておるんだから、うちの範疇だ、だから君がつくったものは私が毎日給料を払っておるのだから私のものだ、こういう認識がありますね、この法律は。だからそのために、従業員と使用者というものの力関係は非常に違うわけですから、話し合いといっても、これだけだ。しかし私はもっと貢献度が高い、もっと利益があるということは従業員だからわかる、それならばもっと対価をもらいたいという要望はたくさんありますから、話し合いができたときはまた別として、その話し合いができなかったときは一体だれが決めるんだろう。職場を追われるのかどうかというところまでくると私は思うのです。あなたがおっしゃる一定のルールというのがよくわからぬのですが、農林省が示しておる一定のルール、考え方というものは、たとえば具体的に、モデル的にはどういうルールなんでしょうか。種苗業者のところに労働組合があるということも余り聞いたことがないし、そういう点についての力関係が格段の差があるということでありますから一民間の育種の場合非常に問題が出るのではなかろうか。一定のルールというものは簡単に言えますけれども、現実にぶつかったときにはどうするんだということを明確にしておいてもらう必要がある。いままでは従業員の権利だったのですから、従業員の権利が使用者の権利に変わる、百八十度の転換をこの法律は言っておるわけですから、その辺の一定のルールとは何なのか。
  68. 野崎博之

    野崎政府委員 先ほど申し上げましたように、特許の職務発明の場合には一定のルールがございまして、それらを参考にしていろいろ考えたいと思いますが、そういうトラブルがないように、使用者、従業者、関係者に十分職務育成についての意義を周知徹底させ、契約あるいは勤務規則等でいま申し上げましたようなルールを定めておいて、それを関係者に周知徹底を図るということが一番望ましいと思いまして、そういう方向でいまは指導をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  69. 野坂浩賢

    ○野坂委員 行政指導として、トラブルを避けて、そういうことは契約なりそういうものをつくっておくように、こういう指導はありますが、一つ基準農林省、特に野崎局長基準という言葉がお好きのようでありますから、その基準、ルールというものを、ひな形をつくって、一応標準規定とでもいいますか、標準契約要綱とでもいいますか、変わり目でありますから、そういうことをお示しをいただく、こういうふうに考えてもよろしゅうございましょうか。
  70. 野崎博之

    野崎政府委員 国の場合を例にとりまして、そういう契約なり勤務規則等をつくるのが望ましいと考えておりますので、そういう方向で検討いたしてまいりたいと思っております。
  71. 野坂浩賢

    ○野坂委員 それから十二条の関係ですね。品種登録の効力、取り消しの問題ですね。行ったり来たりして恐縮でございますが、これは差しとめ請求権というものがありますね。損害賠償請求権というものがありますね。これは七条によって登録の申請をしますね、そして十二条の四によって登録ができますね。そのときに、他に販売しておる人があるということがあった場合は差しとめをすることができる。ところが、この登録をして販売しておるときに、すでにそれが売られておった、結局それは過って登録をしたということになるわけですね。その人が農林大臣に物を言って、農林大臣はそれをやめるわけでありますから、その場合に損害賠償請求というのはだれにしたらいいのか。それから被害者である農家の皆さんというものも含めてどのようにしたらいいのか。その点をお伺いしたいと思うのです。
  72. 野崎博之

    野崎政府委員 登録を受けたときにそれが売られていたということになりますと、それは登録の取り消しに該当いたしますので、そういう登録を取り消しされた人に対して損害賠償の請求をするということになるわけでございます。
  73. 野坂浩賢

    ○野坂委員 それは単純明快でそのとおりだと思うのです。しかし、登録を申請した人はそういうことを知らなかったわけです。政府は登録を受け付けたのですから。いわゆる農林省は受け付けるわけですから。そうすると、それは間違っておった者が損害を賠償するのだということですけれども、政府は何らの責任がないですか。無責任政府時代ですか。政府は何にも責任がないのですか、受けたその間の。政府は過って登録をした、受け付けた、審査もした、こういう経緯のある政府は全く無責任で通す、こういう姿勢でありますか。
  74. 赤保谷明正

    ○赤保谷説明員 ただいまの御質問で、登録を受けたときに、売られていたことを登録を受けた人が知らなかった、そういうような場合には、法律上は、申請者の意に反して売られていたということでございますから、登録を取り消すということにはなりませんで、そのまま有効だ。ほかの要件を満たしておれば登録は有効ということになるわけでございます。
  75. 野坂浩賢

    ○野坂委員 七条、十二条、そういうかっこうのときに政府は受け付けるのです。たとえば特許庁は九カ月間にわたって公示をするのでしょう。それをあなた方は、現地調査をしていわゆる栽培試験をしていろいろなことをやるけれども、それを受け付けたということになって、それはすでに売られておった。北海道であったけれども、九州と中国ではすでにあった。大半それでずっと進めておいて、調査が不十分であった、だから異議の申し立てがあって取り消しになった、こういうことですよ。そうすれば、その人は損害を受けるわけですから、その人に請求をするということではなしに、受け付けて承認をした政府に責任があるのじゃないか。政府が全然責任をとらぬというのはおかしいではないか、こういう議論が生まれてくるのは当然じゃないですか。その場合の政府の責任はどうなるのか。農林大臣はほおかぶりをして後ろを向いておれば終わりなのか、こういうことですよ。
  76. 赤保谷明正

    ○赤保谷説明員 現行農産種苗法名称登録審査に当たりましても、審議会登録すべきものと決定をいたしましたときには直ちにその登録をするわけではございませんで、関係業界誌その他に、これは登録に値するものであるという品種の特性その他を書きまして、世の中に周知させまして、それで、いやそれは登録に値しないものである、新品種であると言っておるけれども、既存の品種がここにあるという御意見がありますれば、それは調査をいたしまして登録をしないという運用をしております。今度の品種登録制度におきましても、一応、事前に売られていないかどうか、新品種要件を備えておるかどうか、もちろん調査をいたしまして、これは登録に値するものだと判断をいたしましたときには、運用の問題としまして、関係業界誌その他に内定公表という形で公表しまして、事前に売られていたかどうか、あるいは同じような品種があるかどうか、そういうことを十分確認をいたしまして登録をいたすことにいたしておりますので、万々そういうことはなかろうかと思っております。現行法の三十年間の運用もそういうようなことでやっておりまして、特段トラブルがあったということも聞いておりませんので、その辺は十分注意をしてまいりたいと思っております。
  77. 野坂浩賢

    ○野坂委員 本に載せるとかなんとかは、どこで決めて、何カ月ぐらいそれをやるんですか。たとえば特許法の五十二条を見ると、公告制度が明確にされております。そして仮保護権利というものを与えるということになっております。非常に明確になって段々がついておる。これは漠としておるわけです。本に載せるんだから。いつからいつまで載せるんだ、それまではどうなんだ、そういうことをきちんとやるというのは省令かなんかで書きますか。
  78. 赤保谷明正

    ○赤保谷説明員 特許制度にはそういう事前にチェックをするという制度もございますけれども、私どもの方の現行農産種苗法にはそういう制度はございませんで、三十年間の運用を通じて、その実績から見ましても、そういうようなことで特段トラブルがあったということもございませんので、省令に書くということはいまのところ考えておりません。運用の問題として、事前に十分な期間を置いて内定公表というような形で関係者にお知らせをする、そしてそういう方々の御意見も伺って適正な判断をしてまいりたい。そういう運用を通じまして、登録すべきでないものが万が一登録をされるというようなことがないようにいたしてまいりたいと思っておるわけでございます。
  79. 野坂浩賢

    ○野坂委員 時間がありませんのでこれに時間をとれませんが、運用でやる、規定にも規則にも省令にも載せぬ。それで、もし登録取り消しをやる場合には政府は責任をとらぬということでは筋が通りませんから、その場合の損害は、知らなかったということで、政府も一部責任はあるということは認めますか、認めませんか。
  80. 野崎博之

    野崎政府委員 司法上の責任はございませんが、行政上の責任はわれわれとしても十分考えなければいけないので、そういうことのないように十分指導をしていきたいと思っております。
  81. 野坂浩賢

    ○野坂委員 行政上の責任がある。それならば、その点については明確にしていただくことをお願いしておきます。  時間がないので後質問をずっと省いてまいります。  農業資材審議会ですが、この性格が今度は非常に変わってくるわけですね。いままでは優秀な新品種であるかどうかということを果樹小委員会なりそ菜小委員会なり花き小委員会、それぞれで十分検討されておったわけです。ところが今度はいわゆる基準を決めるんですね。野崎局長の好きな基準という言葉がまた出るわけですが、基準が決められる。形質の問題が出る。私はわかりませんが、形質というのは、たとえばミカンは黄色だ、今度は白ができた、形というのは楕円形や四角なものができたとか、あるいは質というのは色でやるとか、こういうものですかということが一つと、なぜそのように変わってきたのか。基準だけで、あとはだれが決めるんですか。現地調査なり栽培実験をやるということになっておりますが、それをやらなくてもいいということも書いてありますね。それはだれが判断するのか。法律では農林大臣と言われておりますけれども、こういう専門家でない人たちが仕分けをする場合はだれがやるのかということは私たちにはよく理解できません。その点はどうでしょう。
  82. 野崎博之

    野崎政府委員 最初の形質の点でございますが、先生おっしゃいましたように形質といいますと、花の色、特性とは何かということになりますと、それが赤いとか白いとか黒いとかいうようなことでございます。  それから今回、優秀性判断を除去して、客観的に既存品種と異なるかどうか、そういう審査だけでございますので、合議体である審議会から農林省でやるということにしたわけでございますが、現地調査は原則としては全部行う予定にいたしておりますし、現地調査で品種の特性がはっきりわからない、そういう場合に栽培試験を行う、その点では効率化を図っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  83. 野坂浩賢

    ○野坂委員 よくわからぬのですがね。農林省の農蚕園芸局でやられると思いますが、その専門官というのはいまよりも多くしなければならぬ。今度は優秀な新品種でなくてもいいわけですから、たとえば耐病性の問題とか特徴の問題が非常に重要になってくるわけですから、それに対応するための専門官は大体どの程度増員をされて、どういうかっこうで審議会との連携はとられるのでありますか。審議会というのは余り必要がなくなってくるというような感じですね。私は、前よりも十分議論ができないままに主観で左右に選別をするということになるんじゃないかという気がしてならぬわけでありますが、それについてはどういう基準でやりますか。現地調査なり栽培実験をやるかやらないかという、その基準ですね。
  84. 野崎博之

    野崎政府委員 優秀性ということになりますと、いろいろ学識経験者の意見を聞かないと、それが優秀であるかどうかについてはいろいろ意見の分かれるところだろうと思います。したがいまして、従来も優秀性という観点から資材審議会意見を聞いておったわけですが、今回それを外したために、要するに新規性、既存の品種ではない、そういうことだけでいいわけですから、既存品種にどういうものがあるというデータはいろいろの調査でそろっておりますので、それに照らし合わせて新しいものであるかどうかということは客観的に見ればわかるという話になりますから、逆に、そういう先生方の御意見を聞かなくても、過去に集めたそういうデータ等で過去にあったかなかったかということはむしろ客観的にわかりやすくなる、そういうようなことで、農林省でやっても別に差し支えることはないというふうに考えておるわけでございます。  現地調査は、先ほど申し上げましたように原則としては全部やるつもりでございますが、栽培試験につきましては、その現地調査で品性の区別が十分わからなかった場合にやるということにいたしておるわけでございます。
  85. 野坂浩賢

    ○野坂委員 政務次官にお尋ねしますが、そういうことでありますから、先ほども話があったように第五条関係の「優良な」という基準ですね、「優良な」というのは発芽率その他の関係で出しておるんだ。そのずっと後に「種苗業者が遵守することが望ましい基準を定め、」ということがありますね。「望ましい」ということは、参考意見にもありましたように非常に高いところということになりますから、遵守しなければならぬというところはちょっと下がるとしても、下限というか、守らなければならぬことはきちんとやらなければ、先ほどもいろいろあったように問題が非常に多いわけですね。その点については明確にしておいた方がいいと私どもは考えるわけです。守るべき基準はやはりきちんと表示させなければならぬ。そういう点については、政府としても業者を信頼して最高限な望ましい基準をやった方がむしろプラスだとお考えになったと思いますが、法律の性格上遵守すべき事項は明確にすべきだ、こういう点について私たちは主張しておるわけですが、その点はどうでしょう。
  86. 今井勇

    今井政府委員 先ほども明確に御答弁を申し上げましたが、第五条に関しましては、当委員会で御議論を賜りまして一定の方向をお示し賜るならば、政府は前向きに検討いたしてまいりたいと思います。
  87. 野坂浩賢

    ○野坂委員 ありがとうございました。  これでは三十二ページですか、十二条の五の二項八号の増殖、転売の関係ですが、育種者から種苗業者が一本買えばそれをどんどんふやすことができる、こういうことになると思うのですね。だから、そういう点については、そういう業者のいわゆる増殖権というものを新たに認めるということでなしに、再増殖というものについては規制しなければならぬのじゃないか。そうしなければ、育種者保護ということを強調しておられましたが、その点については非常に問題があるのではないか、私はこういうふうに思うわけであります。その点についてはどういう御見解でしょうか。
  88. 野崎博之

    野崎政府委員 先生おっしゃいました八号の規定は、適法に譲り受けた種苗をそのまま転売をするという場合には品種登録者の承諾が要らないという規定でございます。いまおっしゃいましたように、それを増殖して種苗を増加させ販売するという場合は、われわれとしてもこの規定では認めていないという観点でおるわけでございますが、いま先生がおっしゃいましたように、そういう点を明らかにするという点については、ひとつ検討をいたしてみたいというふうに考えます。
  89. 野坂浩賢

    ○野坂委員 十分御検討いただきますようにお願いをしておきたいと思います。  またあす二十分間いただいておりますので、それぞれの詰めはするといたしまして、きょうの質問は一応これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  90. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 この際、午後一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時二十三分休憩      ————◇—————     午後一時三十二分開議
  91. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。松沢俊昭君。
  92. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 午前中のわが党の竹内、野坂両君によりまして、今回の法改正の背景等につきまして御質問がございまして、それなりにお答えがあったわけでございます。  それによりますと、一つはやはり優良品種というものを国際的な分野で求めていこうという国際条約加盟する、それが改正理由一つであります。それからもう一つは、やはり育成者保護していく、そして日本種苗品質の向上を通じまして農業の振興、発展を考えていく、こういうお話であったと思いますが、国際協定ですか、これに加盟することによって当面どんなメリットがあるのか、その点をお伺いしたいと思うわけなんであります。
  93. 野崎博之

    野崎政府委員 国際条約加盟することによりまして、海外から優良種苗が入ってきやすくなるということ、わが国の新品種も諸外国で従来よりも保護をされる、それからそういう審査等に関します情報その他いろいろ品種全体に関します情報が手に入りやすくなる、そういうメリットがあると思っておるわけでございます。
  94. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 それはそう言ってみればそれまでと、こうなるわけなんでありまするけれども、当面、たとえば草花であるならばどんなものがこれを改正することによって入ってくるのか、あるいはまた穀類だとかそういうものの品種というのはどうなって変わってくるのか、あるいはまた海草類、こうなればどう変化が起きてくるのか、こういうものを見通しておやりになっていると思いますので、当面、具体的にどういうような変化というのが出るのか、それを聞かせていただきたいということです。国際協定に加盟する、こうなれば、いま局長が答弁したぐらいのことは当然の話なんであります。
  95. 小島和義

    小島説明員 具体的な作物の種類でどういうものが入ってくることになるのかということは、なかなか予測がむずかしいのでございますが、これまでの間におきまして海外におい七新しい品種がありながらわが国が導入することができなかったという事例といたしましては、野菜の一部それから花の一部についてわが国の業界が導入を断られた、ないしはわが国において保護されることがないために導入を見合わした、こういう事例は耳にいたしております。
  96. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 野菜の一部、こうなると具体的にはどういうものなんですか。花の一部というのは具体的にはどういうことになるんですか。
  97. 小島和義

    小島説明員 野菜の中では、レタスの種というのはわが国においてはなかなか採種がむずかしいということで海外に依存いたしておりますが、その中でも、海外に非常に新しい優秀なものがある、しかしそれについては日本に出しますとどんどん盗まれてしまうというふうな心配から導入されなかった、こういうふうなことがあると聞いております。花につきましては種類が多うございますので、具体的にその種類はちょっと私ただいま記憶いたしておりません。
  98. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 私はこの法律そのものは全く素人でわからぬわけなんだから、もっと具体的に説明してもらいたいと思うのですよ。  それで、たとえば花の種類ですね。求めようとしても求めることができなかった、だから改正をして輸入ができるような、日本で栽培ができるようなそういうことをやりたいという、そういう件数というのはどのぐらいあったのですか。
  99. 小島和義

    小島説明員 外国から導入しようと思って断られたというのは、数としてはかなり耳にいたしておるわけですが、具体的に何件あったというところまでは調査をいたしておりません。事例的に承知しておるだけでございます。恐らく私どもの承知しておりますもの以外にも導入が見合わせになったというものが幾つかはあるだろうと思いますが、はっきりその件数までは承知いたしておりません。
  100. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 この法律、先ほど、午前中も野坂君の方でも言っておりますけれども、改正という言葉を使っておられますが、私たち見ますと、もう全部、要するに改正じゃなしに新しい法律の制定というふうに理解した方がいいように考えられるわけなんです。これはどうして一部改正というふうな提案をしておられるのか、私理解に苦しむのですが、この点、どういう経過でこうなったんでしょうか。
  101. 野崎博之

    野崎政府委員 今回、おっしゃるように相当大幅な改正になっておりまして、法律の題名を改正することから始まっておるわけでございます。ただ、改正の形式として一部改正をしたと申しますのは、いままでの名称登録制度、その登録制度品種登録にはなっておりますが、登録制度によって、あるいは許諾方式によって品種保護をする、そういう方法には変わりがございませんので、その延長として考えておるわけでございます。  一つは、登録制度について申し上げますと、現行の農作物から対象農林水産植物に拡大する。その保護内容も、先ほど申し上げましたように、名称登録から品種そのものについての登録に変える。それから種苗流通の適正化に関する事項、これにつきましても、種苗業者の届け出、それから種苗販売する場合の表示の義務づけ、これは現行法にもあるわけでございますが、それらに加えまして種苗の自主的な品質管理を一層業者にやってもらうという意味で、指定種苗生産、調整、保管、包装等に関します業者が遵守することが望ましい基準というものを制定、公表する。いずれも現行法内容を量的に拡大をした。また外国等の問題もありまして、外国人の特例等も入れたというようなことで、質的にはともかく、量的に拡大したというような改正点である、これが一つでございまして、もう一つは、これはかたかな法ではありませんので、条文、見出し等とそれから定義のかぎ括孤をつければ、それほど改正後の法律が読みにくいものになるものではない。そういうような理由で、相当大幅な改正ということはもちろん先生のおっしゃるとおりでございますが、一部改正という形式をとったわけでございます。
  102. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 それで、これは午前中にもまた質問があったのですけれども、二十七年五月一日の第四次の改正のときにおきましては、この中から稲、大麦、裸麦及び小麦を除いた、こうなっておりまして、それから第五次には大豆が除かれておるわけなんであります。それが今回、法律改正によりまして、これをも含めて適用していく、こういうことになるわけでありますが、稲だとか大麦、裸麦、小麦、大豆なんというものは、いままでどういうふうにして種の育成をやってきているのか、その経過をお伺いしたいと思うわけなんです。
  103. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 水稲、麦、大豆というような主要農作物につきましては、これは民間でなかなか技術レベルもそろっておりませんし、育種はもともと長期間を要し、かつ多額の経費を要するものでございますから、この新品種育成についてはもっぱら国が責任を持ってこれに当たるという体制できたわけであります。そこで私どもは、この育種を計画的に進めるために、先ほども申し上げましたとおり、五十年六月に、相当長期間の検討を経た上で作物関係育種基本計画というものを定めて、計画的に進めることにいたしております。  そこで、たとえば麦に例をとって申し上げますと、育種につきましては、中心になりますのは育種試験ということで、優良品種を得るために交配をし選抜をするというようなことが中心になりますが、こういったことを効率的にやるために基礎になる研究というものがやはり必要になってまいります。これを育種研究と呼んでおります。それからなお、外国からの新しい育種素材を入れてまいりまして、それを材料に使って、先ほど申したような育種試験をやるというようなことも必要でございます。こういったようなことを育種支持と申しておるわけですが、この三要素を組み合わせた形で、しかも国の機関としてはできるだけ効率的に育種目標を達成できるようにやりたい、こういうことから、いわゆる五段階と申しますか、作物共通の問題としての研究は農業技術研究所がこれを行う、部門共通、この場合、麦ですと普通作物部門というものに入るわけでございますが、麦に即して申し上げますと、これは農事試験場の作物関係がこれに当たるということになっておりまして、この場合具体的な例を申し上げますと、たとえば育種材料の問題とかあるいは遺伝的組み替え育種の育種法の開発の問題でございますとか、これは農事試験場がやる。こういったことは今度は各地の具体的な育種に影響してまいるわけでございます。  それからさらに育種試験地というものを設けておるわけでございまして、これは麦の場合には十一研究室がこれに当たっておることになっておるわけでございます。各地の地域試験場がこれに当たっておったりするわけでございます。さらにまたこの十一のうち五つが、指定試験と申しまして、県に委託をいたしまして育種試験をやるということになっております。さらにそのうちの取りまとめに当たる育種試験地を育種中心地ということで呼んでおりまして、たとえば小麦につきましては東北、大麦につきましては九州の地域試験場がこれに当たるというような体制をとっておるわけでございます。さらにまたこれは県に委託をいたしまして、麦のできてまいりました新品種について特性の検定あるいは系統適応性の検定というようなことをやっておりまして、それぞれ合わせまして二十六カ所でこれを行っておるというようなことでございまして、麦に例をたとえて言えば、そういうどこの試験場で何を担当するかということで分担関係を決めて育種を進めておる。  なお、育種目標につきましては、ここの試験場であるいはここの試験地で開発するものはわせ化を図るとか、あるいは赤カビ病に強い品種育成するとか、そういった育種の目標を与えて、その目標に沿った育種研究を進める、こういうことにしておるわけでございます。
  104. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 そこでお伺いしたいわけなんでありますけれども、いままで除外されてまいりましたところの主要農産物の種子、これは今度登録をやるということになるのですか、どうでしょうか。
  105. 野崎博之

    野崎政府委員 登録対象になることになります。
  106. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 そうすると、いまの経過の御報告を承ったわけでありますけれども、大体この種の育種というものは、いままでは国、県、いわゆる公共団体がやはり育種をやってきているわけですね。それで、この新法になりますと、これはだれが登録をやるということになるのですか。場ですか。
  107. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 米麦、大豆というような主要農作物につきましては、農蚕園芸局長からもお話がございましたように、主要農作物種子法というようなものもあって、普及の体制と連結をして新品種の普及が行われるようにしていくということになっておりまして、その前段にあります新品種の開発は、国、県が分担関係を決めてやってまいるということにしております。  そこで、民間育種というものは全然ないかということになりますと、理屈の上ではあり得るかと思うのです。したがって、民間からも育種が行われて登録の申請ということはあり得るとは思うのですが、実際問題としては、相当、採算性の問題、それから技術レベルの問題等がございまして、恐らく今後も国、県に依存をするということになろうと思います。  そこで、たとえば国において優良な新品種育成をされましたときに扱いがどうなるかということでございますが、これにつきましては、もちろん育成者登録を申請して登録を取り得ることになっておることは御案内のとおりでございます。ただ、私どもとしてこういった主要食糧について登録にのせて、そうしていろいろ許諾関係とかそういうものが出てまいります。そういうことにするのがいいのかどうなのかということは、なかなかデリケートな問題もあるわけでございまして、私どもとしては、国の業務として行う育種でできたものについて登録を、従事をされた育種者がするということはあり得ると思っておりますが、私ども国の研究機関の方々の御意向を聞いてみますと、必ずしも登録を取るということが目的で育種をしておるわけではない、いいものをつくって広く一般の農家の方に使っていただきたい、こういう気持ちで育種をしておるのであるから、登録を取るとすれば国の登録を取り得る道がまた開かれておるわけでして、そういうものを活用して登録をする場合には登録をしてもらったらどうであろうかという気持ちが強いように私どもとしては理解をしておるわけでございます。  そこで、そういうことになってまいって、それじゃ国が登録を取るかどうかということになりますと、私どもは、登録を取ることが、たとえば対外関係といいますか、国際関係でそのものを登録を取ってきちっとしておいた方がよろしいというふうな場合であるとか、あるいはまた国が登録を取らないでそのままにしておくことによって育成者登録を取って、そのことがその新品種の普及上問題が起こるおそれがあるというような場合には、国が登録を取ってそこをきちっと管理をしていくことがよろしいのではなかろうかというふうに考えておるわけでして、まだ最終方針を決めておるわけじゃありませんが、そういう心組みで対処したらいかがであろうかというふうに考えております。
  108. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 そうすると、まだ方針は決まっておらないように理解するわけでありますけれども、主要農産物の場合、仮に登録をするということになりますと、今度はそれを使うところの農家というのは許諾を受けて使わなければならぬということになるわけでしょう。そうすると、それなりの金を払わなければならないということになるわけですが、その点どういうことになりますか。
  109. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 国が先ほど申しましたような必要を認めて主要農作物について登録をしたという場合に、私どもとしては、農家種苗の費用の負担がかかるというようなことになるのは必ずしも好ましいことと思っておりません。したがいまして、国が登録を取りました場合におきましても、その許諾をする際に取る許諾料が高くなるというようなことを全く想定をしておりません。できるだけ普及に資するようにそこは考えていったらどうか。もともと私どもとしては、国として何でもかんでも新品種と言われるものであったらば登録をして、すべてこの利用関係について許諾関係に置くということは必ずしも必要がない、場合によったらそうでない方が望ましいという場合もあると思っておりますので、何でもかんでも登録をするという考えではございません。
  110. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 国際協定に加わるということになりますと、大豆だとか麦類だとかそういうものというのは今度は外国から——いままでは政府機関だとかあるいはまた県の機関だとかいうものがこれらの開発に努めてこられたわけでありますが、今度は民間の業者が育種、育成をする、そういう傾向が出てくるということにはなりませんか。
  111. 野崎博之

    野崎政府委員 米麦、大豆のような公共育種もの、従来は米麦、大豆はほとんどが一〇〇%近く公共育種であったわけでございますが、いまおっしゃいましたように、民間での登録の可能性はないわけではございませんけれども、米麦等につきましては非常に高度な技術を要する、それから長い年月を要する、したがってそういう施設費なりまた組織的な実験も必要でございますし、そういう意味では人件費も相当かかる、そういうような現状から考えますと、民間で可能とは考えられますが、恐らくはもうほとんど公共育種が主体を占めるであろうというふうに思われる次第でございます。
  112. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 しかし、その可能性というのがこの法律によって出てくるのじゃないですか。たとえば、これは日本で育種しなくとも、外国人の登録というものも認めるということになるわけでしょう。そういうことであるとするならば、米なんかは日本日本なりに大変な開発をやってきているわけなんでありますけれども、しかし、大豆だとかあるいはまた麦だとかというのは、外国の方では日本よりもはるかにいい種子なんかも私はあるのじゃないかと思うわけであります。それを今度は国際条約に加わるということになりまするならば、それは日本でそういうことをやらなくとも、外国育成者育種者というのが日本へ来て登録をする、こういう場合はあり得ると思います。そしてまた、その権利を買って種苗業者がそれを広げていくということもあり得るのじゃないですか。その点はどうでしょうか。
  113. 野崎博之

    野崎政府委員 おっしゃいますように、民間で育種される場合、それから海外から持ってきた品種登録を受ける場合、それから外国人が日本登録を受けるような場合、そういう場合があり得るわけでございます。しかしながら、米麦等の主要農作物につきましてはやはり気候風土という問題が相当重要な要素を占めますので、その品種の適応性から見て今後ともやはり公共育種というものが重点になろうというふうに考えておるわけでございます。
  114. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 確かに気候風土の問題なんかも十分考えながらこれらの開発というものは行われていると思います。思いますけれども、その可能性というものが私はあるのじゃないか、これはないということは言えないのじゃないか、こういうだめ押しをやっているわけです。ということは、もう一つ私なりの物の考え方でありますけれども、こういう米麦だとか大豆だとかという主要な日本の農産物の種子というものをいままで除外をしておったわけでしょう。それをこの中に入れることによってそういう可能性が拡大されてくるという、そのことは私は余りいいものではないのじゃないかという感じを実は持っておるわけなんです。ですから、これはいままで除外しておったのでありますから、これは除外しておってもいいじゃないか。その方が、民間の方で開発したということになれば農林省の方でその権利を買い上げるとか、そういうような方法で持っていった方がいいじゃないか、こんなぐあいに実は考えますので、それでお伺いしているわけなんであります。  そこで、この経過の中では昭和二十七年の五月一日の改正におきましては、稲、麦等は除外されているわけなんですね。除外されたものが今度また入ってくる、これは私どうも納得がいかぬわけでありますが、出したり入れたりするということ、これはどういうことなんでしょうか。
  115. 野崎博之

    野崎政府委員 国が行う育種につきましては、本来その成果は公開されるべきたてまえであるというふうには考えております。先ほどお話もありましたが、今回も第一次的には育成者個人が出願することとされておりますけれども、現実にはほとんどそういうケースはない。そういうような意味で、国の育種の公開制についてはそういうふうにわれわれは考えておるわけでございます。  それから、先ほどちょっと御質問ありましたが、民間育種あるいは外国から作物が入ってきた場合、現在は各県でその地域地域に応じました米麦、大豆の普及につきまして、主要農作物種子法によりまして奨励品種決定調査というものを行っておるわけでございます。県内における地域適応性を把握するために、都道府県だとか農業団体だとかあるいは学識経験者等で構成する決定審査会というものを経まして、県の奨励品種としてその普及を図っておるわけでございまして、この場合には、現在でも国、県の育成品種に限らず、民間等で育成した品種対象にいたしておるわけでございます。したがいまして、いま申し上げましたような各都道府県で地域に応じた品種の普及等につきましては、今回、制度が変わりましても従来とそのルールは変わらないわけでございまして、外国から入ってきたものでも従来もこのようなルールで選ばれて普及されておるわけでございますし、今後も同じような取り扱いでまいりたいと考えておるわけでございます。
  116. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 御説明からしますとそれは心配ないというお話なんですが、別にいままでと変わりはないんだと。変わりがないのであるなら入れる必要はないじゃないですか。入れなければならぬところの理由は何ですか。
  117. 野崎博之

    野崎政府委員 今回入れましたのは、従来は名称登録で、国、県が育成をして名称使用という形でほとんど保護は必要なかったということでございますが、今回の法改正によりまして農林水産植物ということで横断的に範囲を非常に広げたということが一つございます。そういう意味でこれは入れたということと、また育成者保護という点から見ますと、米麦、大豆でも民間の育種者保護ということが従来の法律ではなかったわけでございまして、民間でも米麦、大豆を育成する方も保護対象にした方がいいではないか、そういう趣旨もあるわけでございます。
  118. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 時間がありませんからあれですけれども、ただ、拡大をされたことはわかります。農産種苗法種苗法にしたわけですから。それから海から山までということですからこれはわかるわけなんですよ。だけれども、育成者保護ということと米麦をこの中に入れるということはどういうつながりがあるのですか。ちっともわからないわけなんですよ。わからない方が素人だからわからないので、玄人はよくわかるのだということであるならば、玄人はよく説明をしてくれなければ素人はちっともわかりませんよ、どういうわけでこうなったんだということは。
  119. 小島和義

    小島説明員 午前中も申し上げたところでありますが、従来の農産種苗法は確かに育成者保護という二面も持っておりますが、登録いたしますものは優秀な新品種の名称ということでありまして、優良な種子を普及していくという面の非常に強い法律でございました。主要農作物種子法ができましたときに、この主要農作物種子法もまた米、麦、大豆につきましては優良な種子の生産、普及を図るという目的を持っている法律でございますから、そちらの法体系に移譲するということによりましてなわ張りを画したようなかっこうになっておるわけでございます。今回の法律は、農産種苗法改正という形ではございますが、従来の優秀なものだけを普及していく、登録をしていくということから、育成者が新しいものをつくればそれを登録いたしまして保護するという基本的な性格の法律になってきておるわけでございます。もちろん優秀なものの普及を図るという行政をなおざりにしていいということではございませんで、それはまた別な行政の領域でやっていくつもりでございます。そういう観点から見ますと、育成者育成いたしました新品種が野菜であるか米であるかということによって格段の差をつけるという積極的な意味がないということ、それからまた、育成主体が民間の会社の従業員である場合、それから国の研究機関の従業者である場合というものによって育成者の法的な地位に積極的に差をつけるという意味はないというふうな観点からいたしまして、作物の重要性あるいは育成を行います試験研究機関の性格を問わず均一的な取り扱いをする、こういう整理になっておるわけでございますが、育成をいたしました機関の地位と申しますか性格と申しますか、農林省関係の試験研究機関の場合でございますれば、先ほど技術会議事務局長がお答えいたしましたように、従来の試験研究機関の物の考え方からいたしまして、制度改正になったからと言って直ちに研究者個人がどんどん登録を取るとか、あるいは国が登録を取るというふうな形にどんどん変わっていくということを意味するものではございません。制度としての均一性を保持したというふうな意味に御理解くださればありがたいのでございます。
  120. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 皆さん説明されるのはわかりますのですよ。わかりますけれども、そういう方向で行くのだと言ったところで、法律ですからね。皆さんもう三十年も四十年もその場所におられるわけじゃないのですよ。そうすると、法律はやはり条文によって解釈していきますから、そうなりますと、いままでは公共機関がちゃんと握っていたものが民間のところに移ってしまう可能性というものはあるじゃないかということですよ、法律からするならば。だからそういうことは決して好ましい状態ではない。だから、好ましい状態でないのが出るようなすき間があるとするならば、最初からそれは除外しておった方がいいじゃないか、こういうのが私の質問趣旨なんです。おわかりでしょうか。素人が質問しているのですからね。だから、わからなかったらわかるように聞かせてもらえばいいのですよ。どうでしょうか。
  121. 小島和義

    小島説明員 これは制度の上から見ますと、米麦、大豆につきまして、公共育種以外のものがあり得ない、あるいはこれを禁止するというふうなことになっておるわけじゃございませんで、現に米麦、大豆につきましても、限られたものではありますが、民間でも育種をやっておるわけでございます。したがいまして、重要な農産物であるからと言ってこの法律の適用上除外する、重要でないものは登録を認める、こういう構成をとることはいかがかということで、制度の上では同じように扱うということにいたしておるわけでございます。ただ、実際にやっておりますものがほとんど公共機関でやっておりますので、おのずから登録を取るケースというものも限られてくるということは、先ほど事務局長からお答えいたしましたとおりだと私どもも考えております。  ちなみに現行法のことをちょっと申し上げますと、大変恐縮でございますが、現在の農産種苗法におきましては育成者個人が登録を取るというのがたてまえになっておりまして、これは雇い主が国でありましょうと都道府県でありましょうと民間の会社でありましょうと、何ら差はないわけでございまして、本人が同意した場合だけ雇い主の方が登録が取れる、大変強力な規定になっておりますが、実際の運用の姿等を見てまいりますと、公共機関の育種従事者の場合に、これは個人の権利だから絶対に同意しないというふうなことはやっておらぬわけでございます。大部分のものが雇い主の方に登録を取ってもらうか、ないしは登録を取らないというふうな運用が現にあるわけでございますので、今回の場合にも、このような仕組みができたことによって研究機関の方の行動態様が直ちに変わってくるというものではないと考えております。
  122. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 それからこの登録ですね、第七条の、品種育成をした者が登録するということになっておるわけなんでありますけれども、この「育成」という中には発明、それから発見というのもあると思いますね。たとえば、突然変異が起きたというものを発見するという場合があると思いますが、この「育成」というのはどういう意味なんでしょうか。
  123. 野崎博之

    野崎政府委員 ここに、第七条に書いてございますように、いま先生おっしゃいましたような、そういう「人為的変異又は自然的変異に係る特性を固定し又は検定する」、こういうようなことでございまして、先生おっしゃいましたように、自然的変異に係るそういう発見、そういう発見をしたものを試作して、これを確認する、そういう人も育成者の中へ入るわけであります。
  124. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 そうすると、ここは非常にはっきりしているわけですね。発見と発明というのは、二つ含まれているんだというふうにして解釈して差し支えございませんですね。
  125. 野崎博之

    野崎政府委員 そういうことでございます。
  126. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 それから、これも素人ですから聞きますけれども、日本ではこういう法律をいまつくろうとしているわけでありますけれども、諸外国の場合におきましては、これは取り締まり的な方法によって制度を運用していこうということだという御説明もございましたが、したがって、特許法の体系ではやっていかないんだ、こういうお話であります。  そこで、世界的に見ますと、諸外国の場合におきましては、どっちの方をとりながら運営をやってきておるのか、その点おわかりでしたら、お聞かせを願いたいと思います。
  127. 野崎博之

    野崎政府委員 特許法によっている国、しかも、これは特許法の中で特別の規定を設けている国が四カ国ございます。それから品種保護法によっている国が十六カ国ございます。なお、国際条約加盟している国が、特許法によっている特別規定を設けている国の四カ国の中の一カ国、それから品種保護法によっている国の十六カ国のうち九カ国が条約加盟をいたしております。
  128. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 この経過をお聞きしますと、大分長い間かかって提案の運びになったというお話も聞いております。その間におきまして、特許庁との関係の調整もおやりになってきた、こういうことでございますが、特許庁おいでになっていると思いますが、特許庁の方では、午前中の質問におきましてもいろいろ御答弁も聞いておりますけれども、その基準というものは、この法律とどういう点が違っているのですか、その点お聞かせを願いたいと思うわけなんです。
  129. 新井市彦

    ○新井説明員 これまでに御説明がありましたように、今回の登録制度、これは品種育成した者に認めるわけでございまして、これは種苗法という行政取り締まり的な法規によって認められるということでございますし、その対象となるものは現実に存在する植物品種対象とするということでございます。新品種育成をした者に対しまして、登録をする、その登録の反射的な利益といたしまして、一定の特権的な利益を与えるということでございます。  他方、特許権につきましては、これは特許法にも書いてございますように、自然法則利用した技術的思想の創作に対して与えられる、いわば人間の頭の中で考えた物に対して与えられるというふうなことでございまして、工業所有権の一種ということでございます。
  130. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 いまお話でもありましたように、この法律にも出ておりますけれども、特許権を持っているところの方法ですか、つくる方法、そういうものが特許権となっているようでありますけれども、要するに、特許権を持っているところの種苗というのはどのくらいあるのですか。
  131. 新井市彦

    ○新井説明員 特許には、方法特許と物の特許とございますけれども、現在までのところ、植物育成保護に関する特許につきましては数件ございます。植物それ自体対象とした特許権はございません。
  132. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 植物そのものでなしに、つくり方の問題で特許権を取っているところの種類のものはないのですか。
  133. 新井市彦

    ○新井説明員 方法についての特許は数件ございます。
  134. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 幾つぐらいありますか。
  135. 新井市彦

    ○新井説明員 方法につきましては、現在までのところ八件ございます。
  136. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 どんなものですか。
  137. 新井市彦

    ○新井説明員 一、二例示を挙げますと、たとえば雑種の綿の実の製造方法、それから五倍性ヨモギ種子の着粒率増進方法というふうなものが例として挙がっております。
  138. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 それは後からわかりやすく資料をつくって提出を願いたいと思うのです。  それから、法律条文の第十二条の十に、「農林水産大臣は、次に掲げる場合には、品種登録を取り消さなければならない。」ということでいろいろなことを挙げられておるのでありますけれども、これは大臣だけが取り消し等の権限を持っておるようでありまして、農民の方で申し立てによって取り消しをさせるという、そういう農民の権限というのはここには決まっていないようでありますけれども、これはどういうことなんでしょうか。
  139. 野崎博之

    野崎政府委員 おっしゃるとおり、ただいまの条文では、農林水産大臣がそういうことを取り消すことができるということでございます。
  140. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 そうなっているから、だからそれじゃ困るじゃないか。ここにもありますように、「登録品種植物体の特性が品種登録をした時における植物体の特性と異なることとなったことが判明したとき。」だとか、そういうことが出ているわけでしょう。そうすると、もうけじめがないわけなんですね。にもかかわらず、登録されているから、これは要するにやめてもらいたいというふうにして農民の方で申し立てをやった場合、農林大臣がそれを認めるとか、何かそういう方法はあっていいんじゃないかというような気がするわけなんであります。これでは農林大臣以外にはそれは文句をつけるわけにもいかぬということの状態になっているようでありますが、この点、どういうものでしょうかということです。
  141. 野崎博之

    野崎政府委員 現在、登録要件を満たしてないものに品種登録がされた場合は、本法案で取り消し得るということになっておるわけでありますが、こういう違法なものにつきましては、行政不服審査法に基づく異議の申し立てまたは行政事件訴訟法に基づく抗告訴訟を提起することができる石ということでございます。また、登録品種の特性が登録当時と異なった場合には品種登録を取り消すことになっておるわけでございますが、この取り消しの運用を行うために登録品種について所要の調査を行うという規定がございます。そういう登録品種の特性の保持に関する第三者からの情報の提供というものはこの適正な運用のために役立つものと考えられるわけでございますので、第三者からのそういう登録品種の特性保持に関する情報提供、そういう点に関しましては、今後制度上開けるような方向でひとつ検討いたしてみたいというふうに考えております。
  142. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 これはむしろ次官の方に御要望申し上げた方がいいと思いますけれども、行政不服審査法に基づいて不服審査の申し立てまでやっていくというような繁雑な面というのは避けて、やはり農林大臣がやるということになるが、しかしその場合、第三者、農民ですかが申し立てをやった場合においては、それはそれなりに受けて立つというところの内容に変えても差し支えないんじゃないかと思いますが、どうでございましょうか。
  143. 今井勇

    今井政府委員 ただいまの御提案はまことにもっともなことでございまして、もっと簡便な方法で、たとえば省令等に譲りまして何かこれができないだろうかということを検討をいたしております。当委員会でも十分御論議を賜りまして、政府の方もそういった面の検討を前向きに進めてまいりたい、かように思います。
  144. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 わかりました。  それではその次、これで終わりますけれども、農業資材審議会です。これは今度、いままでの保証品種といいますかそれを指定品種ということにする。そうしていきますと、種類というものが大変たくさんできてくると思いますし、この審議会というものの大変大きな仕事になると思います。午前中もいろいろ質問ございましたが、いまこの審議会の事務を担当しておられるところの特別の課というのはあるわけなんですか、どうですか。
  145. 赤保谷明正

    ○赤保谷説明員 現行法農産種苗法の中に規定をされております農業資材審議会の事務は、審議会の中に四つ部会がございますけれども、この種苗に関しては種苗部会というのがございます。その種苗部会の事務は農蚕園芸局の果樹花き課で所管をしております。現実に名称登録をするかどうかというようなことは審議会が全部決めておりますが、そういう意味では全くの事務的な庶務でございまして、それは果樹花き課でやっております。
  146. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 いままでいろいろ質問してまいりましたし、午前中にも同僚議員の方から質問があったわけなんでありますが、いずれにしても、やはり私たちもいろいろいままでの経過というのもよく存じ上げておりませんし、これからこの先この法律ができてどうなるかということにつきましてもいろいろな疑問はまだ残っているわけなんであります。次官の方も、十分審議をしてもらってそして最終的な結論を出していきたい、こういう御意見も出しておられますので、またあす質問がございますので、きょうはこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。
  147. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 武田一夫君。
  148. 武田一夫

    ○武田委員 私は、農産種苗法の一部を改正する法律案につきまして、関係当局に二、三の質問をいたします。  まず、政務次官にお尋ねします。  この法律現行農産種苗法というのは昭和二十二年に制定された。その間今日まで多少の改正がありましたけれども、本格的な改正は今回が初めてでございますから三十年ぶりといいますか、これは農業の基本法とも言うべき大切な法ではないかと私自身は思うわけです。というのは、御承知のとおり、よき種がよき苗となり、そして花を咲かせ、実をならす、これはもう自然の道理です。そういうことを考えますと、いままでどういうわけでこうした改正というものが行われずに三十年も来たのか。作物よしあしというものはやはり種のよしあし、これは土壌も大いに関係してまいりますが、種と畑という関係の中で種の重要性というのは非常に大事だと思います。そういう意味で、今日まで三十年間放置されてきたというその理由、そして今回こうした改正に踏み切らざるを得なかったというそのいきさつ、背景はどこにあるのか、この点について簡潔にまずお答え願いたいと思います。
  149. 今井勇

    今井政府委員 詳細は関係当局から答弁させますが、いままで手をこまねいて何も検討しなかったわけでは決してございません。お説のとおり、二十二年に制定されまして以来三十年たっております。当初の考え方ではなかなか対応できなくなりつつありますので、ここのところ鋭意検討をさせておったわけでございまして、その検討に若干手間暇がかかったということが、この提出まで時間的なインターバルのあった大きな理由一つでございます。  もう一つは、先ほどいろいろ御答弁申し上げているように、いままでは名称登録ということで進んでおりましたが、これではいけない、やはり新しい品種というものをつかまえて登録をしなければ育成者保護は徹底しないということがだんだんと世界の通説になってまいりました。かてて加えて、一九六一年の植物の新品種保護に関する国際条約というものがだんだんと批准をされてまいりまして、わが国はまだこれに加入いたしておりませんために、いろいろわが国の人が外国から種を買う場合、また、わが国の種を持っておる方が外国にそれを提供する場合にも不都合があるというようなことから、今回やっと検討が終わりましてただいま御審議を賜っておるというのが実情でございます。
  150. 武田一夫

    ○武田委員 この改正理由としまして国際条約との関係を強調しているようです。  そこで、今回の改正が行われた場合、日本として種苗海外交流によるメリットというものはどの程度のものが期待されるか、具体的な例を挙げて説明してもらえればありがたいと思うのです。これが種苗業者だけのメリットに限らず、日本農業の振興の上に大きなメリットがあるということを私は期待しているわけでありますが、差し迫っていま日本農業の振興の上においてこの法律改正が具体的にどういうふうにいい面が期待されるのかということを、まず、できれば具体的な例を通して説明をしてもらいたい、こういうふうに思います。
  151. 野崎博之

    野崎政府委員 いま先生おっしゃいましたように、国際交流を図ることによって外国から優良品種を導入できるということが大きなメリットであるわけでございますが、農家にとりましても、国内育成された品種だけでなく外国育成された品種を広く利用することができる、また、あるいは育種素材を外国から入れてその素材を利用しましてわが国の国土、気候などに見合った種苗を作成する、そういうメリットもあるわけでございまして、農家にとっても大いにメリットがあるわけでございます。  それから、外国販売されております販売種苗そのものを輸入する場合は、それほどいままでも摩擦はないわけでございますが、品種を導入して国内販売種苗をつくるということにつきましては、やはり双方にそれぞれの保護制度、わが方にもそれなりの外国と同じ保護制度がないとなかなか入りにくいということがございますので、そういう意味でも、今回の改正によってメリットが出てくるというふうに思っておる次第でございます。
  152. 武田一夫

    ○武田委員 いまいろいろ説明がありましたが、もう一つ国内的な理由を挙げていますね、改正の必要の中に。作物の収量の問題とか、熟期あるいは耐病性等々という問題を取り上げて、いわゆる育種の一層の振興を図るためだというわけです。私はこれは当然のことだと思うのです。特に現今の生産調整による転作といいうことは頭の痛いことです。特に麦や大豆等々の収量がなかなか上がらない、多収量のものが欲しい、病気に弱いものは強いものが欲しいというようなことを考えますと、こうした物が手に入ればこれにこしたことはないわけでありますけれども、国内的にこうした育種振興への体制というのは十分なものかどうか。いま申し上げました増収あるいはわせ品種あるいは耐病性というものの開発、こういうものに対する技術体制というようなものは十分なものかどうか、その点お答え願いたいと思います。
  153. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 先生の御指摘になりましたような問題意識に即しまして、私どもは五十年六月に作物関係育種基本計画というようなものを策定いたしまして、国の試験研究として、こういった先生指摘の問題に本格的に取り組んでおるわけでございます。体制といたしましては、非常に専門的な分野に属する問題でございますし、しかも、継続的に息長くやるという必要性もございます。そういうことも考慮しながら、それぞれの作目に即しまして、全体の作目としては六十三あるわけでございますが、六十三の作目のうち、稲、麦等の普通作物が十七でございます。牧草、飼料作物等が十五でございます。果樹につきましては十一、野菜、花につきましては十八、そのほかお茶、桑というような作目、全部で六十三を対象にいたしまして、それぞれ育種の目標というものを具体的に設定をし、これを育種試験を中心といたしまして、育種の研究、それから育種の支持体制、こういうものを三位一体の組み合わせた形で、農業技術研究所、農事試験場、各地域の農業試験場、専門試験場、それから県の関係になりますと、指定試験としての育種試験、それからまた系統適応性の試験、特性検定の試験、こういったことを分担関係をどこでどうやるということを決めて進めておるわけでございます。  この間、先生指摘のように、農業の動向に即しまして、開発のおくれております。新品種の求められておる部門ということに逐次重点を移しながらやってまいっておりまして、この基本計画策定以降、国の研究室といたしましては、現在の段階で九十六あるわけですが、このプロセスにおきまして、十の研究室がふえたわけでございます。あるいは新たにこういう育種の事業、研究を分担するということになったわけでございますが、そのうち七つは、いまおっしゃったような米以外のものに重点を置いてやってまいるということで、整備を図っているところでございます。  今後とも、先生指摘のようなお気持ちに即して、体制の強化を図ってまいりたいと思っております。
  154. 武田一夫

    ○武田委員 そこで、これはあちこち歩きまして、県の機関などへ行きますと、どうも技術屋さんというのは余り大事にされないというような話をちょこちょこ聞くわけです。そのために冷や飯を食っているということを東北を歩いた場合ちょこちょこ耳にするのですが、そういうようなことがあるとすれば、今後こうした問題を踏まえて農業の本当の振興を考えるときに問題だと思います。そういうことは今後注意してほしい。実態は皆さん方よく知っていると思いますが、どうも技術屋さんよりも、その中で書類なんか書いているような方が非常に出世が早いんだという、そんなようなことがちょこちょこ技術者の口からも出るということを聞いておりますので、あわせて私は、それに対する答えを求めませんが、一言御注意ながら申し上げて、考えの判断基準にしていただきたい。  ところで、この改正理由の中に、さらに、流通の現状に即して適正化を図る制度に改める必要性から云々というところがありますね。ということは、いままでどういうところに適正さを欠いていたのか、そして、今回の改正でその適正を欠いている部分が間違いなく改善されていくものかどうかということは聞いておかなければならないと思うのですが、その点いかがでしょうか。
  155. 野崎博之

    野崎政府委員 従来の農産種苗法におきましては、一定の種苗保証種苗といたしまして、これに発芽率等の事項を表示させて、これについて所要の検査、取り締まりを行ってきたわけでございます。最近は、農産種苗法発足以来三十年になるわけでございますが、その時代と相当違ってまいりまして、種苗品質も非常に向上をしてまいったわけでございます。したがいまして、粗悪な種苗も少なくなりましたので、このような状況を見ながら、指定種苗のいろいろな表示事項指定種苗に表示事項を記させる、それは変えませんが、そういうような制度とともに、業者に対しましてなお一層自主的に品質の管理を進めていってもらいたいというような意味で、業者側の方がやはりその気になって品質の管理を進める、そういう意味で、種苗生産、調整、保管等につきまして業者が遵守することが望ましい基準を公表して、われわれもそれの行政指導の指針にしたいというような制度を今回の改正で定めた次第でございます。
  156. 武田一夫

    ○武田委員 それじゃ、ちょっと聞きますけれども、いま日本国内種苗業者、会社あるいは個人等を含めまして大体どのくらいの数があるものか、それが一つ。  もう一つは、年間の売り上げは平均すると大体どれくらいあるものか。まあ会社だと思いますが、最高の売り上げを上げているところでは年間どのくらいの金額を扱っているか、その点ひとつわかれば教えてもらいたい。
  157. 野崎博之

    野崎政府委員 現在の種苗業者の届け出の件数の累計は約三万件になっております。これは花屋だとかスーパーだとか、いろいろなものが入っておりまして、一般に言われております種苗業者は、このうち種苗生産、卸を行う業者でございますが、この数は約二百社程度でございます。  種苗の売上高については、正確な数字はなかなかわかりにくいわけでございますが、種苗の全体の売上高を見ますと約一千億円、そのうち野菜の種子が大体三百億円ぐらいになっておるわけでございます。  先生のおっしゃった大きいところ、タキイ、坂田を見ますと、タキイ種苗につきましては約百五十八億円、坂田種苗が九十九億円、このうち種苗としての売上高を見ますと、タキイ種苗が百五十八億円中百三億円、それから坂田種苗が九十九億円中六十九億円という数字になっております。
  158. 武田一夫

    ○武田委員 こうした六十九億とかあるいは百三億という相当な売り上げをしているわけです。今後これはもっと伸びるのじゃないかと私は考えているわけですが、こうした種に目をつけた商社等が、食糧というものを考えたときに、手を出してこないかということをまず懸念しなくてはいけないのではないか。外国から権利を買ってそれを高く売りつけようなどというふらちな行為に走らないとは断言できないと私は思います。内外ともに商社という経済力あるいはまたすさまじい情報網によっていち早くいい種をキャッチして、それを売りつけようなどというものが出てこないとも限らないのではないかと私は懸念するわけでありますが、そうした懸念というものはないものかどうか。もし、あり得るとすれば、それに対して何らかの対策を講じなければならないと思うわけですが、政府としてはそうした懸念にどう対処しているか、お伺いしたい。
  159. 野崎博之

    野崎政府委員 いまおっしゃいましたように、外国からの品種の導入に当たって商社が外国育成人の承継人として登録をする、そういうことは法律上は可能でございます。しかしながら、わが国国内状況を見ますと、農家と種屋さんというものは従来からの長いおつき合いといいますか、そういう信頼関係によって成り立っておるわけでございます。この前も参考人からそういうようなお話があったわけでございますけれども、どこの何と言えばすぐ親子代々何代もそれを使う、そういうような信頼関係によったものが非常に多うございまして、急に外国から入ってきたから商社が出ていくという実態はまずはあり得ないと考えておりますし、また、そういうことによって種子が値上がりするというようなことも、種子の性格として品種それぞれ競合性がございますし、また経済効果によって決まるものでもございますので、商社等が介入してすぐ種苗代が値上がりするというような例も実態的にはまずはあり得ないと考えておるわけでございます。
  160. 武田一夫

    ○武田委員 万が一そういう事態が出てきた場合ということも想定して何らか考えておく必要はないですか。間違いなく絶対ないという確信があるわけですか、その点どうでしょう。
  161. 野崎博之

    野崎政府委員 一〇〇%ないということはないと思いますが、先生もおっしゃいましたように、そういう事態を頭に置いて今後どういう指導をするか、そういうことについては十分検討をいたしてまいりたいと考えております。
  162. 武田一夫

    ○武田委員 次の質問としまして種の値段ですが、適正な値段であるかどうかという判断、これはどこでどのようにして決めるものか、その点ちょっと伺います。
  163. 野崎博之

    野崎政府委員 先ほどもちょっと申し上げたのですけれども、植物の種の中にはいろいろの競合品種がございますし、それから品種相互間でも競合性のある、あるいは代替性のあるものがあるわけでございます。そういうようなことで種苗の価格というのは、基本的には経済効果といいますか、高ければ買わない、ほかのものを使うというようなことで自由競争で決まるというような、実態はそういうことでございますが、こういう品種登録制度を設けたことによって不当に種苗代が値上がりをするというようなことはないと考えております。
  164. 武田一夫

    ○武田委員 自由競争の中で決められるというわけですから、たとえばある大手の、あるいはまた力のある種屋さん同士がお互いに相談し合って、いわゆる寡占企業がやっているような、そういうような傾向にならないということも断言できないと私は思うのですが、そういうようなものを監視してきちっとした適正な値段をはっきりさせておかないところに、種を買う方あるいは農家の方々というのは不安を残していくのじゃないか、そういうふうに私は思うのですが、そういう点に対する配慮もこの際十分にしておくことが必要じゃないでしょうか。
  165. 今井勇

    今井政府委員 御心配ごもっともであります。局長が答弁しましたように、競合する幾つかの種類があることと、それを使っておられる農家の方方と種苗生産者との間には長い歴史があるということ等々から考えまして、にわかに先生御心配のようなことが起ころうとは思いません。しかしながら、皆無であるとは断言できないわけでございまして、御趣旨の点を十分踏まえまして、価格の動向等について目を光らせてまいりたい、かように思います。
  166. 武田一夫

    ○武田委員 三十年ぶりの大幅な改正ということですから、できるならばこの改正の際に完璧を期すような改正に持っていくべきじゃないかと思います。ずっと法案審議をやっていますと、毎年毎年同じようなことをこの場で繰り返しながらやってまた質問して云々ということをやっているのを見ますと、この際思い切って総力を結集して完璧を期すという方向の法案にしていきたいという思いからいまのような懸念も考えてほしい、こういうわけですので十分なる御検討をいただきたいと思います。  ところで、この法案内容についてお尋ねしますが、第四条に指定種苗についての命令事項があります。現行法では「農林大臣は、当該官吏に、種苗業者から検査のために必要な数量の保証種苗を集取させることができる。」という検査事項というのがある。この間参考人の方がおいでになったときも、これがなくなったというのは困るんだとおっしゃっておりました。私も、検査事項というのは内容をもっと厳しくするためにも必要だと考えている一人ですけれども、これを外した理由はどういうところにあるのか。こういうようなことがなくなったためにどうも内容が甘くなって、業者寄りの法案になっているのではないかなどという批判も受ける一つの材料になっているようですが、その点に対するお考えをお聞きしたいと思います。
  167. 野崎博之

    野崎政府委員 先生おっしゃいましたように、今度第四条を削ることにいたしておるわけでございますが、削りました改正後も従来どおり検査は行うこととしておりますし、現行法制定当時とは違いまして、先ほど申し上げましたように、粗悪な種苗の出回りがわりあいに少なくなってきているということもございますし、有料で対価を支払ってこれを集取している、無料で強制徴取するという場合はともかく、有料で買うわけでございますので、従来の実績からすればこの規定はなくてもいいのじゃないかと考えてこれを削除したようなわけでございます。  ただし、先ほどから先生おっしゃいましたような事情はわれわれもよくわかりますので、この条文そのものについてまた検討させていただきたいと考えております。
  168. 今井勇

    今井政府委員 ただいまの答弁を補足いたしますが、これは先ほどの御質問にも明快にお答えをいたしました。当委員会で十分御討論を賜りまして、しかるべき結論が出ますれば、政府といたしましては前向きで検討させていただきたい、かように思っております。
  169. 武田一夫

    ○武田委員 売る方と買う方の仲になりますと、売る方はどんな法律をつくってもうまく網をくぐろうというようなのが昨今の風潮だけに、こうしたものがなくなることを私は期待しているけれども、期待がまだできない限りにおいては、そうした厳しさというものは一層網の目のように細かい、漏れないような、そういうものをやはり私は考えてほしい、こういうことをまた重ねてお願い申し上げます。  ところで、第五条指定種苗生産等に関する基準」についての項目について、第五条は「農林水産大臣は、優良品質指定種苗流通を確保するため特に必要があると認められるときは、当該指定種苗生産、調整、保管又は包装について当該指定種苗生産を業とする者及び種苗業者が遵守することが望ましい基準を定め、これを公表するものとする。」こういうふうな一項があるわけでありますが、この「望ましい基準」というのは具体的にどういう内容を考えているのか、また、だれがそれを決めていくものか。  それからもう一つは、この「望ましい」というような表現というのを、受け取る方は、われわれの受け取り方は間違っているかどうかわかりませんが、あくまでも自主的な品質管理というふうに自主性というものを期待しているということでありまして、まあ良心的な業者がそのとおりやってもらえばこれは本当にありがたいわけでありますが、そうしたことも私は余り信用できないというように思うときに、こうした「望ましい」というような、「遵守することが望ましい基準」ですか、こういうようなところはやはり「遵守すべき」というような義務規定のような、そのくらいの内容のものに、条文にすべきじゃないかというふうに私は思うんですが、そういう点についてどのようにお考えであるか、お聞かせ願いたいと思うんです。
  170. 野崎博之

    野崎政府委員 いま先生の第五条基準でございますが、基準としてば作物の特性に応じまして大根とか白菜のような他家受精作物、これらについての交雑防止の措置、それから交配ミス防止のための措置、あるいは発芽率の維持向上のための包装、保管、そういう方法についての基準を定める予定にいたしておるわけでございます。  なお、この基準は農林水産大臣が定めるわけでございますが、この定めるに当たりましては学識経験者、そういう方の意見も十分聞いて定めることといたしたいと思っておるわけでございます。  それから、第五条も、先ほど申し上げましたが、最近は従来よりも粗悪な種苗の出回りが少なくなっておるという事情もございますので、やはり業者の自主的な品質管理を進めていただきたい。業者がその気になってひとつ品質管理を進めていただきたいという意味で「遵守することが望ましい」そういう表現を使ったわけでございます。
  171. 今井勇

    今井政府委員 御質問の後段の「遵守することが望ましい」というのを「遵守すべき」というふうなことにする御意見につきましては、繰り返して申しますが、当委員会の御議論を踏まえましてひとつ政府でも前向きで検討させていただきたい、かように考えております。
  172. 武田一夫

    ○武田委員 聞くところによりますと、外国ではすべて登録制度に対しては厳しいということが、一つの何といいますか、種苗というものを守る上からとられておるようでありまして、粗悪な種苗が万が一はんらんするというようなことがあればこれはゆゆしき一大事でございますから、そうした意味におきまして、こうした問題は、政務次官のお答えにありましたように、十分なる検討の中で安心して信頼関係が、本当に信頼関係の上にまた信頼がつながるような内容法律として出ていくことは私は十分検討する必要がある、こういうふうに思いますので、よろしくその点も御配慮いただきたいと思います。  次、職務育種の取り扱いについてでありますが、現行法では従業者が職務上育成した場合には、一つ、従業者が登録を受ける。二つ、使用者は、従業者の同意を得たときは、登録を受けられる、こうあるわけです。ところが、改正法によりますと、第八条を見ますと、どうも使用者の方にウエートを置いて、従業者の保護育種者保護ということがおろそかにされたとは言わないけれども、地位が低くなったんじゃないか、弱くなったんじゃないかという懸念のある様子がうかがわれるわけであります。  ということは、これを見てみますと、使用者は、従業者の許諾なしにその品種については、たとえば登録品種種苗の有償譲渡あるいは有償譲渡の目的での生産、輸入とか、二番目には、容易に無性繁殖する植物種苗以外のものとされているものの一部を繁殖させて有償譲渡する行為等々の三つの行為はできるというふうになっておるわけであります。私は、これは育成者保護強化ということを考えるとするならば、ここの点などは特に問題ではないか、こういうふうに思うのです。  それからまた、改正案では、従業者は、使用者に対して対価の支払いを請求することができる。すなわち、「使用者が受けるべき利益の額」あるいは「貢献した程度を考慮して定められる対価の支払を請求することができる。」というふうになっておりますが、現実にはこれはどうなのかという実態を、皆さん方も、あるいはこの法案を打ち出されるための審議をされた方々も実態をごらんになって、お聞きになって知っていると思いますが、聞いてみますと、現実にこういうことなどは不可能だ。使用者に対して従業者がそういう対価の請求をするなどというようなことは不可能であるし、また会社の方においては、会社の規定によってこうしたことは何らかの形で貢献度に応じてのそういう配慮はしているんだというようなことを言われますと、なぜこういうようなことがここに入らなければならなかったのか、使用者の方と従業者の関係というものがどうもすっきりしない感じがするのですが、その点についてこの問題、こうした変わり方をするわけをひとつ説明していただきたいと思うのです。
  173. 野崎博之

    野崎政府委員 先生いまおっしゃいましたように、従来は育成者たる従業者が第一次的に登録を受けて、その従業者の同意によって使用者が出願するということでございましたが、今回の改正では、育成看たる従業者が第一次的に登録を受けられるという原則は引き続きこれは続いておるわけでございます。七条でございますが、そういうことになっておるわけでございますけれども、特許法における発明の職務発明の取り扱いに準じてこういう規定を置いたわけでございまして、勤務規則を定めて使用者がみずから出願し、それから従業者が対価請求をできる。それから、勤務規則の定めがない場合にも育成者たる従業者が出願するか、あるいはまた使用者が協議によって承継をいたして出願をする、そういうことも認められておりますし、その場合にも従業者が対価の支払い請求をすることができるということになっておるわけでございます。  われわれの方といたしましても、実際にそういう会社でどういう運用になっておるかということも若干調べてはおるわけでございますが、一般的に言いまして、現在のような場合、一般の雇用関係におきまして使用者が出願をしたいというときに、従業者が、いや、あくまでおれはいやだ、そういうことで断り切れるかということは、一般的な従来の雇用関係を見ますと、なかなかそういうことはできにくいという意見を多分に聞くわけでございます。したがいまして、今回の改正は、そういう場合にはっきりと対価の支払い請求、金を要求できる権利法律的にも与えたわけでございますので、そういう実態を見ますれば、実質的には——形式的には先ほど先生おっしゃいましたように、一見従業者の地位が低くなったように見えないこともありませんけれども、いまの会社の雇用関係の実態を見ますと、こういうふうに対価請求権というものを法律的に与えたということは、実質的に従業者の地位の向上につながってくるのではないかというふうに考えております。  また、従業者が登録を受けた場合には、使用者が従業者の許諾なしに職務育成品種生産販売をすることができるということになっておりますが、これはまた実態といたしまして、会社が実際に土地だとか機械、施設というものをいろいろ提供をいたしまして職務上育成しているわけでございますので、人件費等も皆会社が負担をいたしておるわけでございますので、特にこういう仕組みにいたしたわけでございます。
  174. 武田一夫

    ○武田委員 私は、従業者、特に育種者と言われる方々というのは、研究熱心な人であればあるほど、日夜、仕事を離れても、寝ても覚めてもそのことだけを考えているような方が多いと聞いております。それだけに大事な存在だと思いますから、こんなけちなことをしないで、そういうような場合には「対価の支払いをすべきである。」くらいなものをちゃんと法律の中に入れてやれば安心なわけですよ。それを「請求することができる。」なんていったって、いま局長が言ったように、こんなものは常識的に考えたってできそうもない。社長が、おれはそんなものは払わない、おまえ、そんなことを請求するなら首だと言われたってやむを得ないということもあり得るのですからね。本当に育成者を守るというならそのくらいの力強い一項目を入れる。これはどうでしょうか。そうすれば安心して取り組めるし、使用者の方も、そういうものがあればそれだけの認識をまた改めてやるんじゃないですか。
  175. 野崎博之

    野崎政府委員 これはそれぞれの会社等によって事情もいろいろ違うでございましょうし、また国、県、そういうところの場合もいろいろあるわけでございますので、やはり民間、国それぞれのそういう機関の実情に合った勤務規則を定めていただいて、そこで従業員と使用者がお互いに相談しながらということもありましょうし、そういう勤務規則によって一定のルールに従ってやっていただく、そういう方が理想的であろうと思っておるわけでございます。
  176. 武田一夫

    ○武田委員 時間がないので、それはまたの機会質問します。  次に、この出願品種審査制、第十二条の三項目ですが、これは書類のほかに現地調査と栽培試験ということが入ってまいりますが、いまの体制の中で、果たして現地調査、栽培試験というのが十分に手落ちなくやれるものかどうか、その点どうですか。
  177. 野崎博之

    野崎政府委員 現地調査、栽培試験につきましては、果樹花き課の種苗対策室もいま十一名おりますが、果樹花き課分室の種苗検査室に検査官が大阪、久留米、筑波に配置をされておりまして、十四名おるわけでございます。現地調査は、原則として大体全部やる予定にいたしておるわけでございますが、栽培試験はそのうち必要なものについて行うというようにいたしておるわけでございまして、当初はいまの体制で間に合うと思っております。将来は、また関係当局といろいろ協議しながら、予算なり人員等についても今後整備をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  178. 武田一夫

    ○武田委員 時間の関係でこの問題はそのくらいにしまして、次にお尋ねしますが、野菜品種特性分類調査委員というのがありますね。この方が現在何人おりまして、どういう構成になっているのか、その点をまず聞きたいと思うのです。
  179. 赤保谷明正

    ○赤保谷説明員 先生いまおっしゃいました野菜品種特性分類調査は、委託調査を何カ所か出しておりまして、日本種苗協会にも出しておりますし、たしか県にも委託をしております。これは今度新しく品種登録制度を運用するに当たりまして、その審査基準の基礎になったりするようなものでございまして、全体で何人というわけではございませんで、それぞれ委託を受けたところで、その委託の内容に従って必要な人数を委員として任命をしておる、そういう次第でございます。
  180. 武田一夫

    ○武田委員 いま聞きましたところによると、農林省が日種協の人々の中から審査委員を委託しておるということですけれども、これについて、不公正な審査に対する懸念というのは考えなくていいものでしょうか。
  181. 赤保谷明正

    ○赤保谷説明員 先生おっしゃいましたのは恐らく、日本種苗協会にその調査の委託をしておるわけでございますが、その委員の中には種苗関係者がかなり大ぜい入っておりまして、また国の試験場の職員、専門家も入っております。それは非常に少ないわけでございますけれども、その下にたしかいろいろな部会がございまして、その部会の中にはいわゆる学識経験者、そういう方が大ぜい入っているかと記憶しております。
  182. 武田一夫

    ○武田委員 ということは大丈夫だということですね。そう受け取っていいですね。——そうですか。それじゃ、それは信じましょう。  次に、現行法農産種苗法では、国の種苗検査官が種苗業者の店頭において証票の添附の有無、記載の適否について検査、指導を行うとともに、稚苗を集取し、発芽率等について検査を行い、その結果、記載内容に違反する種苗業者に対しては表示の変更を命じ、あるいは違反行為に係る種苗販売停止等の措置を行っている、第四条、第六条だそうですか、現在この検査官は全国で何人いて、検査するその検査官がいる場所は全国に何ヵ所あるものか、その点ひとつお答え願いたいと思います。
  183. 野崎博之

    野崎政府委員 検査官は十四名でございますが、そのほかに七人の補助職員が大阪、久留米、筑波に配置されております。  それから、五十一年度における販売種苗検査件数は二万五百八十五点、また、種苗業者に対し表示の変更の注意を行った件数が七百二十九件でございます。
  184. 武田一夫

    ○武田委員 いま聞きますと、助手の人を入れても全国で二十一人だ、しかも場所が筑波、大阪、久留米というんですから、東北、北海道というのはどこでどうするのかわからないけれども、こんなもので果たしていいんでしょうかね。今後のことを考えますと不安でしょうがないと私は思うのです。いかがでしょう、これは。
  185. 野崎博之

    野崎政府委員 先ほど申し上げましたように、現在の状況から見ますと、恐らく当初はこういう程度で済むのではないか。といいますのは、今回の改正によりましても、一遍に急激に登録がふえてくるというようなことも考えられませんので、将来的にはそういう体制の強化ということを考えてまいりたいと思いますが、当初はいまの程度で間に合うのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  186. 武田一夫

    ○武田委員 間に合うならいいんです。検査ですから、間に合わなくなったとき、これは大変だと私は思います。上の面だけ検査されたのでは困るのです。検査ですから、もっと厳しく検査しなければならないと私は思います。  ところで、発芽検査結果を見てみますと、平均発芽率は種類によってばらばらです。私が見たところばらばらと見たのですけれども、農林省ではたとえば大根、キャベツ、ミツバ、ネギ、セロリ、ニンジン等について、昭和四十五年以降の五年間でもいいですし、あるいは何年間でもいいですが、平均発芽率はどのくらいだと掌握しておりますか。
  187. 野崎博之

    野崎政府委員 最近五カ年間の発芽率を見ますと、大根が八九%、キャベツが八八%、ミツバが七〇%、セロリが七八%、ネギが八四%、ニンジンが六七%となっております。
  188. 武田一夫

    ○武田委員 この場合、発芽率というのはどの程度であれば適正な品種として販売してもいいとかいうような基準はあるものなのですか。
  189. 野崎博之

    野崎政府委員 発芽率がよければよいにこしたことはないわけでございますが、われわれとしましては、特にその基準を定めているようなことはいまはしておりません。何年何月現在何%の率芽率で、その発芽率を記載して売るということにいたしておりまして、特に基準は定めておりません。
  190. 武田一夫

    ○武田委員 何か私が見たところによりますと、発芽率は証票を添附した年月の最低の発芽率をもって何年何月現在発芽率何%以上と表示する、第三条にこうあるそうですか、これはどうなんでしょうか。
  191. 野崎博之

    野崎政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  192. 武田一夫

    ○武田委員 そうですか。こうなりますと、私は悪い方にばかりとるので申しわけないのですが、発芽率というのは植えてみなければわからないわけです。ですから、たとえば五六%しか発芽率がなかったのに七〇%にされても一向わからないわけです。発芽率が七六%と表示してあったけれども、現実には五〇%台の発芽率しかなかった、植えてみたら五〇%あるいはそれ以下だったというときに、それはあなたの植え方が悪かったとか気候条件がどうだとかいってごまかされないとも限らない。こういうふうな心配すらまたしてしまうのですね。  ですから、先ほど申し上げましたように、こうしたものは本当に、地域差もあるでしょうし、またいろいろな条件もあるでしょうけれども、十分な監視監督の体制というものがないと、こうした種の発芽率に関する問題については不安が残ってくるのじゃないかと私は思うだけに、先ほど申し上げた検査官の配置と場所の問題については、もりと真剣に考えなくてはいけないと思うのですが、いかがでしょうか。
  193. 野崎博之

    野崎政府委員 先ほど申し上げましたように、最近は粗悪な種苗の出回りが減っておりますので、発足当時に比べますとずいぶん事情が違いますので、いまの体制でいけるのではないかと考えておるわけでございます。
  194. 武田一夫

    ○武田委員 いまはいいのですが、ただ、これからまた災害用の備蓄の問題で質問しますが、飢饉とか冷害とかいろいろあると大変なんです。  私の友達が大きな種屋さんなんです。聞きましたら、不作のときは不作で心配だ。というのは、種をつくる人たちをまず確保するために、農家人たちを仕事がなくてもいつでもあるような体制においておくように金をやっているわけです。それで農家の人がほかへ行って仕事をしないように確保しているわけです。それで種をまた備蓄しておきまして、種がとれれば今度は何かつぶすらしいですね。ときには一千万くらいから二千万もつぶすときもあった。こういうことで、これは全部自分たちのもうけの中から金を蓄えておいて、むだ金を捨てるような形でやってきているという。これは個人の種屋さんですが、東北では物すごく大きい、有名な種屋さんなんです。そういう話を聞きました。こういうことを考えますと、種屋さんも相当苦労しているのだなと私は思ってきました。  そこで、災害用の備蓄の問題ですが、国としてはこれからもあくまでも業者任せでいくわけですか。
  195. 野崎博之

    野崎政府委員 災害が発生した場合に、再生産に必要な代作用の優良種子が確保されていなければいかぬわけでございます。そのために、五十三年度から米麦等の優良種子につきましては、これを貯蔵する低温貯蔵庫を設置するための事業を実施しているところでございます。  それから、災害を受けた農業者が必要とする代作用種子について馬鈴薯原原種農場で雑穀、ソバ類、それから豆類の種子を予備貯蔵をいたしております。  野菜の種子につきましては、先生いまおっしゃいましたように、種子の供給の確保を図るため、園芸種子需給安定措置要綱というものができておるわけであります。この要綱に基づきまして種苗業者に自主的に低温貯蔵庫に備蓄をしてもらっておるわけでございますけれども、自主的に貯蔵を行ってもらっている分については種苗検査官で発芽率等についての検査は行っているわけでございます。
  196. 武田一夫

    ○武田委員 これから万が一災害があった場合に、備蓄は大事なことですから、これは真剣に考えなければいけない。最近冷凍庫に非常に優秀ないいものが出ていて助かっているが、それだけ金の高も相当なものですね。それも何年ももつわけでないから何年間かごとにまたかえなくてはいけないということになると、種を保存する金、そして、そういう設備を考えると、種屋さんも相当御苦労だ。しかも、極を持っていると財産として税金の対象になってがっぽり税金を取られるというのですな。これじゃかわいそうだと私は思ってきたのです。ここの点も考えたらどうでしょう。そうでないと、国の方でそういう備蓄、国民の食糧確保を考えたときに、これは本当に大事な問題だと思うのですが、いかがでしょうか。
  197. 野崎博之

    野崎政府委員 先生のお話もわからないことはないわけでございますが、われわれの方でも十分実情を調査してみたいと考えております。
  198. 武田一夫

    ○武田委員 時間が来ましたので、最後に一問、生産者が困っていることが一つあるのです。いっぱいあるけれども、その中で特に困っているのは、いい種をつくるためには採種する場所を選ばなければならないわけです。変な種がチョウチョウやハチなんかで運ばれてきまして、雑種ができて困るということが最近非常にあるのだそうです。外国では、そのために、この地域にはこれ以外のものを植えちゃいけないという厳しい規制があるやに聞いておりますが、日本の場合は、地域住民の理解を得なければ行えないようになってきている。しかも、山の中で安心してつくっていたところが開拓されまして、その辺に家ができる。できた家にはいろいろな草木が植えられる。チョウチョウやハチはそこから自由に飛び交って、そういうところに飛んでいってしまうことがあるやに聞いております。  こう考えますと、本当に純粋なる種を確保するためには、これからますますこういう問題が出てくると私は思うのです。こういうものに対する対策として何か考えておりますか。
  199. 野崎博之

    野崎政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、大根、白菜等、そういう他家受精をするものは、確かに他の品種と自然交雑する性質を有しておりますので、そういう相互に交雑するような圃場でつくるというのは好ましくないということは確かでございます。そういうこともございまして、先ほど来お話に出ました今回の種苗業者等が遵守することが望ましい基準、その中に種苗等の生産、調整ということも入っておりますので、そういうふうなことを通じまして、交雑防止のための措置もその基準の中で決めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  200. 武田一夫

    ○武田委員 まだ時間が二、三分あるもので、もう一問質問します。  これは水産物、特にノリの研究開発ということ、この現況はどうなんでしょうか。品種の改良、うまくいっているのかどうか、この点。
  201. 山内静夫

    ○山内説明員 現在、ノリの研究開発につきましては、主要生産県に係る国の水産研究所とそれから県の水試、それから基礎的研究につきましては大学の機関、こういうところが主として研究しているわけでございます。  研究のテーマとしてはいろいろございますが、現在、大ざっぱに申し上げますと、生産量の安定化、それから品質の向上、こういう点を中心にしてやっているわけでございます。このため病害に強い品種の問題であるとか、あるいは漁場管理の問題あるいは耐病性の強い品種育成、こういうことを中心に現在研究を進めているところでございます。
  202. 武田一夫

    ○武田委員 それはありがたいと思いますが、いいからといってどこでもそれが利用はできないのですね、ノリというのは。たとえば、東京湾でノリをやっているかどうかわからないですが、東京湾でいいからといって仙台湾でやっても合わないわけです。アサクサノリというのがいいというので仙台湾でやると、何かうまくないんだそうですね。ところが、どうしてそういううまくないということをわかっていながらやるかというと、たくさんとれていいからとか何かいろいろ地元の人が言われて買っているらしいのですが、指導がよくないと思うのですな。それは聞かないのだったらしょうがないですが、そのために、いいということだけで持ってきて栽培したらだめだというようなことがあると聞いているのですが、こういうような指導体制というものまであわせた上での種の開発というのが重要だと思うのですが、いかがでしょうか。
  203. 山内静夫

    ○山内説明員 ノリの品種、スピーシーズまでわたりますと非常に多種多様ございまして、非常にローカルの色彩が強うございまして、あるところで非常にいい品種が他のところで必ずしもよくない、これは事実だと思います。したがいまして、そういう方面につきまして、県の水試あるいは国のローカル的な水産研究所が地方の漁民に密着したような指導を今後も続けてまいりたい、こう思っております。
  204. 武田一夫

    ○武田委員 それは本当にしっかりお願いしたいと思うのです。そうしないと、いずれにしてもノリ業者の方々というのは、たくさんとれればたたかれて、とれなければまた大騒ぎするというふうで、米以上に苦労しているのは海の中で一番変動の荒波の中でもまれている人たちなんです。それだけにそうした指導、配慮をしてあげないと、つくってからあなた方悪かったのだというだけでは済まされないというところがありますので、どうかひとつ十分なる御配慮をいただきたい。  時間が来ましたので、以上で質問を終わります。
  205. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 吉浦忠治君。
  206. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 農産種苗法の一部を改正する法律案について、同僚の武田委員に引き続いて質問をいたしたいと思います。  最初に、政府は今回、育種の振興を図るために、植物品種育成者保護する制度を整備することを主たる内容とする農産種苗法の一部を改正する法律案提出しているわけでありますが、まず育種についての国の基本方針について、政府の考え方を明らかにしていただきたいと思います。  なお、今回のいわゆる植物品種保護制度農業政策上の位置づけについてどのように考えておられるか、明らかにしていただきたいと思います。
  207. 今井勇

    今井政府委員 基本的な問題でございますから、私からお答えを申し上げたいと思います。  育種についての基本的な考え方でございますが、育種というのは、品種の改良を通じまして、農業の基礎的な生産資材であるすぐれた種苗の開発を行うものでありまして、一部野菜、花卉等商業ベースに乗りやすい作物については民間でも行われておりますが、しかしながら、いずれにいたしましても、育種につきましては長い年月と高度の技術あるいは経験を必要とし、多額の経費を必要とするものでありますので、農業の振興と農業経営の安定を図る観点から、基本的には国、地方公共団体といった公共機関がこれに当たる必要があろうと考えております。  このため、農林省におきましては、五十年六月に主要な六十三の作物につきまして、組織的、計画的に育種を進めるための作物関係育種基本計画を策定し、これに即して育種の推進に努めておるところでございます。  この基本計画では、育種を進めるための国、県を通ずる分担関係を明らかにしておりまして、現在九十六の国の研究室において研究を推進するとともに、道府県の試験研究機関においては指定試験を実施することとなっておりまして、国はこれらの道府県の試験に対して委託費を支出して育種の推進を図っているところであります。これによりまして育成した品種のうち、すぐれたものにつきましては農林番号をつけましてこれを公表し、普及に移しております。  また、民間の育種につきましては、国は育種に関する基礎的技術の開発、育種の素材となる種苗の導入、それから育種母材の提供等といった面から、民間育種の振興に寄与しているところであります。  近年の農業を取り巻く諸情勢の変化にかんがみまして、単に収穫量のみならず、食味、加工適性、機械化適性等の面においてもすぐれた規格的な新品種育成が強く要請されております今日、国といたしましては、前に述べましたような基本計画に即しまして、育種の一層の振興を図ってまいりたいと考えております。  さらにまた、今回の品種登録制度の農政上の位置づけでございますが、育種は、農業の発展を支えます技術的な基礎の一つとして、わが国農業生産性向上の中心的な役割りを担うべき重要な部門でありまして、これまでも各地の気候、土壌等の条件に適した優秀な品種が次々に育成され、わが国農業の発展にはかり知れない貢献をしてきたところであります。  今回の法律改正による品種登録制度は、育種者保護の強化を通じまして、収量、品質、熟期、耐病性等に特性のある品種育成が一層促進されるよう制度の整備を図ろうとするものでありまして、育種のただいま申し上げましたような重要性にかんがみますと、この品種登録制度は今後のわが国農政においてきわめて重要な意味を持つものと考えております。  以上でございます。
  208. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 この法案提案理由説明において、諸外国においては植物品種保護制度が次々と整備されつつある、海外との種苗の交流に支障を来しているというふうにされていたのでありますが、諸外国における植物品種育成者保護の動向はどのようになっておりますか、お答えを願いたい。
  209. 野崎博之

    野崎政府委員 植物品種育成者保護するために、アメリカが最初でございますが、一九三〇年、昭和五年ですが、特許法改正されまして、新品種種苗を増殖販売する権利が与えられておるわけでございます。ただ、アメリカのこの場合はバラ、カーネーションのような苗あるいは苗木で繁殖するもの、いわゆる無性繁殖の植物に限られたわけでございますが、一九六一年、昭和三十六年でございますが、この年に植物の新品種保護に関する条約が結ばれまして、それから各国でそれぞれ品種保護の体制が整ってきたわけでございます。現在、特許法に特別な規定を設けている国がアメリカ等四カ国、それから品種保護法によっている国が十六カ国でございます。条約に入っているのはこの特許法の特例の四カ国のうち一カ国、それから特許法とは別の品種保護法によっている十六カ国のうちの九カ国が条約に入っておるわけでございます。また、アメリカは、その特許法とは別に、麦、大豆、トウモロコシ等の種子で繁殖する有性繁殖植物といいますか、それにつきましては品種保護法を定めて保護をいたしておるわけでございます。  その他カナダ、ポーランド等九カ国がやはり新品種保護法の制定を準備中という情報が入っておるわけでございます。
  210. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 いま局長の方から答弁がございましたが、アメリカにおいては一九三〇年、昭和五年に制定をされたということでありますが、わが国名称登録制度とは根本的に異なっていたのではないかと思うのです。この点はいかがでございますか。
  211. 野崎博之

    野崎政府委員 アメリカが一九三〇年に特許法中に特別な規定を定めて、無性繁殖植物対象として制定したものは、おっしゃるとおり、わが国の現在の名称登録によります法律とは体系が異なっておりまして、今回われわれの方で提案いたしますのは、日本制度もそういう外国並みの品種保護制度にいたしたいということで提案をいたしておるわけでございます。
  212. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 植物品種保護制度を整備することによりまして、海外との種苗の交流が盛んになるというふうに思われます。国内種苗生産販売業者が打撃を受けるのではないかというふうな心配があるわけでありますが、この点について政府はどのようにお考えでいらっしゃいますか。
  213. 野崎博之

    野崎政府委員 先生おっしゃいましたように、種苗の国際交流の円滑に資するということがこの法律の目的でもございますし、今後外国人が品種登録を受ける機会もあろうかとも考えますが、わが国の気候、風土というものは外国と非常に違っておりまして、その中で従来も育種は非常に盛んに行われておったわけでございますし、また外国に比べて非常に優秀な種苗生産も行われておったわけでございます。現に、野菜種子等については非常に輸出も行われておりますし、そういう意味では、業者も競争力を持っているというふうに考えられるわけでございます。また、新品種保護制度によりまして、育種素材が外国から入ってくるようになりますと、それをもとにしましてわが国の気候、風土に合ったような種苗生産するということができますので、種苗業界あるいは農業者等にもかえって好影響があるのではなかろうかというふうに考えております。
  214. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 法案が通らなければなりませんけれども、種苗法案が成立をいたしました後の過程におきまして新品種登録受け付けが開始されることになるだろうと思うのです。  さて、登録開始になりまして、審査期間がどのくらいかかるかというふうな点が種苗業者には大変問題になっているようでございまして、登録申請中というふうなことで発売してもよいかどうか、これが第一点です。  また、申請のあった品種全部を試作することになると、許可になるまでの期間がどのくらいかかるのか。申請をしてそれが宙ぶらりんのまま許可になるまで相当な期間がかかるとなりますと、いろいろな点で種苗業者等の費用も莫大になるでしょうし、また結局申請者のそれぞれの負担が増加してくるんじゃないかというふうに思います。欧州各国でもそれで困っているように聞いておりますけれども、この点についてどのようにお考えか、お尋ねをいたしたい。
  215. 野崎博之

    野崎政府委員 現行審査期間は通常二年程度でございまして、果樹とか接ぎ木になりますと四、五年かかっておるわけでございます。先ほど来申し上げましたが、現行法では優秀性要件といたしておりますので、それが優秀であるかどうかという判定に比較的時間がかかるわけでございますが、今回は、従来の既存のものと区別をされればいいということと、出願前にそのものが売られていなかった、業として譲渡されていなかったということが要件でございますので、非常に客観的に審査ができる条件であろうと思います。優秀性ということを削ったことで客観的な審査ができるわけで、その点で相当スピードアップができるのではないかというふうに考えております。現地調査は原則として行う予定でございますが、試験は現地調査でもなかなか品種の特性がはっきりしない場合に行うことといたしております。これもできるだけスピードアップをしてやっていきたいと思っておりますので、現行よりは審査期間が短くなるというふうに考えております。  また、改正案では、出願品種植物体の全部または一部を業として譲渡される場合には登録できないが、出願後は譲渡してもよいということになっておるわけでございます。したがって、出願後、登録出願中ということで発売されても差し支えはございませんけれども、品種登録後でないとその登録の効果というものは及ばない、これは当然のことでございますが、そういうことになっておるわけでございます。
  216. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 アメリカ等ではコンピューターによる書面審査だけでパスさせているようでございますが、わが国でもとりあえず国際条約の許容する範囲内でできるだけ手続を簡素化していただきたい、また、迅速な審査が行われるように考えてもらいたいという種苗業者等の声が強いわけであります。こういう点についてどういうふうにお考えか、お尋ねをしたい。
  217. 野崎博之

    野崎政府委員 アメリカでは、先生おっしゃいますように、コンピューターによる書類審査方式をとっておるわけでございますが、そのバックデータば栽培実験をやっておりまして、必要な場合にはその栽培試験結果を出願者が自分で経費を負担して出すというような仕組みになっておるわけでございます。条約改正案がいまいろいろ言われておるわけでございますが、条約改正案ではこのようなアメリカ方式でもよいということになっておるわけでございます。先生おっしゃいましたように、栽培試験等は必要な場合に限ることとして、できるだけひとつ審査の効率化を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  しかしながら、たとえば、ある病害虫に非常に強いという品種が出された場合には、やはりその病害虫が非常に蔓延しているような地域で一遍栽培試験をやってみないとその効果がなかなかつかみにくいというようなことは現実にはあるわけでございますので、やはりそういう場合にはその栽培試験をやってその結果が明らかになった段階でないとなかなか登録ができないということになりますので、そういう場合はひとつ御了承願いたいと思いますが、われわれといたしましてはできるだけそういう審査を早める、そういう方向で進みたいというふうに考えております。
  218. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 そのようにできますならば、国際条約アメリカとの調整の必要上最近改正の方針というふうに聞いておりますが、できるだけ早くアメリカ式に書面審査だけで済むようにしていただきたい、こういうふうに国際条約との関連から再度お尋ねをいたしたいと思います。
  219. 野崎博之

    野崎政府委員 これはいま私も申し上げましたように、アメリカでもコンピューターの書類審査と、それからバックデータ、これは個人が負担をして出す、そういうふうな方式があるわけでありまして、そのコンピューター方式によるアメリカの方式で条約加盟は可能であるわけでございますが、われわれといたしましてもできるだけ迅速化をしていきたいということはいま申し上げたとおりでございまして、栽培試験等も必要な場合には行う、そういうような方向でひとつ迅速化に努力をいたしてまいりたいというように考えておるわけでございます。
  220. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 国内で育種する場合の保護のみならず、この法律ができた上でさらに相手国と条約を結ぶことによって、互恵主義の観点から日本人が外国植物品種保護を受けられるようになることと、外国育成されたよい品種日本に導入することができることになるわけでありますが、これは日本育種者のみならず日本の消費者にとっても非常に利益になるというふうに思いますが、この法案の成立後、外国と互恵条約の締結の見通しについてどのようにお考えか、お伺いをいたしたいと思います。
  221. 今井勇

    今井政府委員 国際条約には、この法律を成立をさせていただきました後できるだけ早い機会加盟をする努力をいたしたいと存じますが、先ほども政府側で答弁いたしましたとおり、この国際条約そのもの内容を変更しようという動きがあるようでございまして、聞いておりますところによりますと、本年十月にそういう条約改正のための会合があるように聞いておりますから、そこらあたりもよくにらみましてひとつ決断をいたしたい、かように考えております。
  222. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 国内では非常に多くの品種をF1、すなわち一代雑種として売っておるわけです。この一代雑種の品種登録できるかどうかという点でお尋ねをしますが、この一代雑種の品種登録については、その親を登録するのではなくてその一代雑種の品種そのものを登録してもらいたいという育種者の声があるわけであります。ただし、欧米では親を登録する方法をとっているので、これでは新規性がないために親を登録できないような一代雑種の場合は困るわけでありますが、この点どのようにお考えなのか、お尋ねをいたしたい。
  223. 野崎博之

    野崎政府委員 おっしゃいますとおり、わが国ではF1品種利用が野菜には圧倒的に多いわけでございますが、F1品種の親品種が市場に出回るということはまず現在のところはないわけでございます。したがって固定品種であります親品種のほかにF1品種そのものも登録できることが実情から見れば現、実的である、そういうふうに考えまして、今回の改正におきましては、親品種と、同時に親品種利用して得られるF1、そういうもの自体についても登録を受けることにいたした次第でございます。
  224. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 また、この制度が実施されますと、育種研究部門が整備されておりますし、また大手種苗業者を中心とした育種流通の寡占体制の強化につながっていきはしないかという懸念がございますが、中小業者に悪影響を及ぼすようなことになりはしないかというふうに心配をいたしておりますが、こういう点についてはどのようにお考えでございますか。
  225. 今井勇

    今井政府委員 確かに品種育成というのは金がかかることが多くありますので、資金力豊富なところが一見有利なようにも思われます。しかしながら、これをつくりますのは人間でございまして、そのためにはその育成者の経験、能力、さらには勘といったようなものがやはり大事な要素であります。したがいまして、現実に中小の種苗業者でありましても、独自の育成部門を持って、その分野では大きな業者とも互角に争っておりますといいましょうか、互角に運営をしておりますものが現実にあります。そこで、今回の法律改正によりまして育種の制度、この保護制度がさらに徹底をいたしますれば、販売網を有するような他の大手業者によりまして寡占の状態に陥るということも防げるであろう、かように考えておりますので、先生御懸念のようなことも極力ないような形になるであろうと思いますし、また、そのような行政指導をいたしたいと、かように考えております。
  226. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 先ほども質問ございましたが、そうなりますと、国、都道府県の育種体制というものがどうなっておるか心配になってまいりますし、また民間育種との分担、協力関係というものがどのようになっておりますか、明快にお答え願いたいと思います。
  227. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 先ほど政務次官からお答え申し上げました育種の基本方針のもとに作物関係育種基本計画を策定し、これにより六十三種類の作目につきまして、国、県の育種研究の分担関係を明確化し、これに基づきまして研究体制の整備が行われておる。現在は作物関係の国の育種体制といたしましては、九十六研究室、研究員は、これに属する者として三百十二名の定数でございます。また、国が委託をいたします道県で実施します育種試験は、指定試験四十二単位、特性検定試験で八十カ所、系統適応性試験で百七十一カ所、こういうことになっております。  林木につきましては、育種の研究は林業試験場が行っております。本場で十三名、北海道の支場で五名、計十八名の研究員がこれに所属しております。それから、育種の事業、これは母樹から穂木をとって配布をするというような事業的なものでございますが、これにつきましては、林木育種場が五つの本場、三つの支場で二百十二名ということでやっておるわけでございます。  なお、キノコ類につきましては、これは林業試験場本場に三名の研究員、それから九州の支場に三名の研究員ということで、これらの人が育種の研究に従事をしております。  また、水産植物では、ノリを主体といたしまして、東北区水研、それから道県の試験場等で育種研究が行われておるわけでございます。  今回の法律改正によりまして民間育種の振興が期待をされるところでございますが、この民間育種との分担の基本的な考え方といたしましては、いわゆる国を中心といたします公共育種は、その公共性、その目的に即しまして、育種素材の導入、保存とかあるいは育種方法の開発、こういつた非常に基礎的な重要なことを受け持つと同時に、米麦等一般の民間ではなかなか手の出しにくい、採算に乗りにくいような、しかも農業生産の上で重要な作目、こういったものについて育種の振興を図るというのが基本的な考え方であり、民間育種に対しましては、育種素材を供給する、それから関連情報を提供する、あるいは育種研究者の研究指導あるいは研修をやるというようなことを通じて 民間育種の助長に努めるということで考えておるところでございます。
  228. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 今回の農産種苗法改正によるいわゆる植物品種保護制度の整備をすることにあわせまして、県や民間における育種に対する助成を強化すべきであるというふうに思いますが、この現状及び今後の方針についてお尋ねをいたしたいと思うのです。
  229. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 先ほどの基本的な考え方で、私どもといたしましては県単の育種なり民間の機関あるいは個人の育種に対しましては助長の方向で参りたいというふうに考えておるわけでございます。現在国の方では、この民間の関係での研究の助成といたしましては、国、県の行います研究に密接な関連を有します育種の研究を補完するために、基礎研究ではございますが、農林水産業特別試験研究費補助金というものの交付をしておるわけでございます。しかし、これは民間の研究機関としてかなり体制の整ったもの、それから大学等が五十二年度の場合にはこの研究費の助成を受けておる、こういうことになっておるわけでございまして、それ以外につきましては、民間に対して特別に助成金を交付するというようなことばやっておりません。基本的には、先ほども申しましたような民間育種の助長施薬ということでやってまいりたいと考えておるわけでございます。
  230. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 今回の改正によりますと、品種登録の出願件数が大幅に増加するのではないかというふうに考えられますが、業務量が増大するにつれて、この新品種保護制度の運用に当たって、審査体制は果たして大丈夫なのかどうか、十分な予算措置が講ぜられているかどうか、この点についてお尋ねをいたします。
  231. 野崎博之

    野崎政府委員 この制度の運用に当たりましては、まず品種判断をするために重要な形質植物の種類ごとに定める、それから審査基準を定める、それから品種登録の出願の受理に関すること、出願品種の特性の審査でございます審査には、先ほど申し上げましたように、書類審査、現地調査、栽培試験があるわけでございますが、そういうような仕事のうち、現地調査、栽培試験については、本省もやりますが、種苗検査室というのが大阪、久留米、筑波にございまして、そこらの職員も動員をしてやることにいたしておりますし、あるいは大学や県の試験場にも委託をするということにいたしておるわけでございます。そういうようなことで、制度発足当初の推進検討費ということで、約五千六百万円の予算がついておるわけでございますが、将来は、先ほど先生もちょっとおっしゃったわけですが、コンピューター方式、そういうものも採用するようにひとつ準備を進めてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。  なお、新制度につきまして、対象範囲も広げたわけでございますが、しかも、その優秀性を排除したということでございますが、従来よりは多少はふえる——優秀性を排除したと言っても、現実にはやはり優秀なもの、有用なものしか出てこないだろうと想像されますので、従来よりも多少ふえる程度と考えておりますので、当初の年に当たってはいまの予算で十分ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  232. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 私は少し違った考え方を持っておりますが、書類審査のほか原則として現地調査または栽培試験という三段階方式みたいに審査をなさるわけでありますが、そうなりますと、これに対応する人員というものは当然ふえてくるだろうと思うのです。そうしますと、人員なり施設等の確保が必要だというふうに考えますが、こういう点についてもう一度お答えを願いたい。
  233. 野崎博之

    野崎政府委員 ただいま申し上げましたように、当初は果樹花き課、本省ひっくるめましてそういう種苗対策に当たっている人間が十一名、それから種苗検査官が十四名、その補助職員が七名、そういう体制になっておるわけでございます。確かに先生のおっしゃいますように、現地調査、栽培試験が今後ふえていくということになりますれば当然そういう人員なり予算の増ということが必要であるわけでございますし、われわれも将来に備えてそういう事務体制の拡充強化ということを考えておるわけでございますが、まずまず発足当初はこの程度で賄えるんではないか、将来の問題としましては先生おっしゃいましたように、ひとつこれの拡充強化ということを考えてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  234. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 現地調査や栽培試験等について、法律上、関係行政機関や学校等に依頼することができるというふうになっておりますが、国とこれらの機関との、審査分担についてどのように行われようとなさっておられるかをお尋ねをいたしたいと思います。
  235. 野崎博之

    野崎政府委員 現地調査は、審査を担当する職員、先ほど申し上げました果樹花き課の種苗関係の職員、それから検査官等が当たるわけでございますが、現地調査あるいは栽培試験等については大学の研究者、県の試験場、それから民間の専門家等にも委託をしたいというふうに考えておるわけでございます。栽培試験は特に必要な場合行いますが、出願品種の特性についての確認が目的でありますので、やはり大学等に御委託をしてまいりますが、委託試験等の結果を参考にしながらこれは農林省としての責任で実行をいたしてまいりたいというふうに考えております。
  236. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 角度を変えまして、このたびの改正法案における品種登録対象植物としてのノリ等の栽培、先ほど武田委員の方から質問がございましたが、水産植物も含まれるということでありますが、ノリの品種改良あるいは育種の現状というものはどうなのか。特に私の地域の千葉県等におきましても、ノリが、海外産のノリにも十分競合できるような品種が果たしてできるのかどうか。聞きますというと、海外で商社等がノリを栽培をしてその製品を国内にアサクサノリ等の製品で送り込んでいる現状もあるやに聞いております。優秀な品種育成を促進して関係漁業者の生活の安定を図るべきであるというふうに考えますが、こういう点についてどのようにお考えか、お尋ねをいたします。
  237. 山内静夫

    ○山内説明員 現在、ノリの品種改良につきましては、アマノリについて突然変異株、こういうものについて東北水研で研究しているところでございます。このほか、ノリの主要生産県である各県の水産試験場におきましても、各品種の比較試験であるとかあるいは系統の保存試験、こういうものを行っているところでございます。  国としても、今後のわが国における水産動植物の増養殖、こういう必要性にかんがみまして、なお優良品種の保存あるいは確保という見地から、今年度新設されることになっております養殖研究所におきまして、遺伝、育種に関係する部門を設けまして重点的にこの研究をやりたい、こう思っているわけでございます。  第二番目の、海外のノリとの関係でございます。わが国のノリの品質につきましては、外国産、ことに韓国でございますが、十分対抗できる品種である、こう考えておるわけでございます。しかし、今後とも漁業経営安定のためには病害に強い品種であるとかあるいはその他収量の多い品種であるとか、こういうことを積極的に進めまして漁業者の経営の安定に資していきたい、こう思っているわけでございます。
  238. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 いまお答えをいただきましたが、続いて、現在のノリの栽培方法というのは、地域ではアサクサノリというふうな名称は残っておりますが、日本国じゅうアサクサノリがとれる時代になっているわけであります。要するに、種の栽培によって各特異性がなくなるほどいま技術が進んでいるわけでありますが、日本国じゅうアサクサノリがとれるというときに、海外ももちろんでありますので、最も優秀な品種を、この特産物が維持できるような形の品種改良というものはどのように農林省は取り組んでおられるのか、そういう点についてお尋ねをいたします。
  239. 山内静夫

    ○山内説明員 アサクサノリ、これはアマノリの一種でございまして、現在養殖されているノリとしてばナラワスサビノリあるいはオオバアサクサノリ、こういう種類があるわけでございます。  わが国のアサクサノリ系の品種につきましては、韓国産のものに比べまして非常に優秀である、こういうことから商品性の評価において非常にすぐれている、こういうことは一般の評価でございます。各地区におきまして、北は東北、南は有明の海まで、ノリの養殖地帯、こういうところに点存しているわけでございます。  政府といたしましても、わが国品種等をよりよくするために、主として東北水研におきまして品種の改良、こういう問題について取り組んでいるわけでございます。なお、これにつきまして各県の水産試験場、こういう関係と協力しながら本研究を行っている、こういうことでございます。
  240. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 改正法案では、品種登録対象植物を拡大して「農産物、林産物及び水産物の生産のために栽培される植物で政令で定めるもの」としておりますが、この改正法の施行当初においては何種類くらいの植物対象とするというふうにお考えなのか。いわゆる人間の食糧農産物ではない観賞用の植物のようなもの、たとえばイワヒバのようなものでありますが、そのような栽培に人生の楽しみを見出している人がいることも御承知だと思いますが、このようなものも品種登録対象とすべきであるというふうに思いますが、こういう点いかがお考えでございますか。
  241. 野崎博之

    野崎政府委員 植物の種類はきわめて多いわけでございますが、このうちマツタケのように単に自然に発生をしている、そういうものは除きまして、現に栽培が行われております穀類、野菜、牧草、花卉あるいは林業用の樹木、キノコ類、ノリ等の水産植物類、こういうものを対象にすることにいたしておるわけでございますが、この植物の指定に当たりましては、当初はおおよそ四百ないし五百種類の程度の指定を行いたいというふうに考えておるわけでございます。  品種保護制度は、農林水産植物の全体を対象とすることによって、全般にわたっての育成保護ということを考えておるわけでございますが、やはり発足当初は全部というわけにもまいりませんし、その農林水産業における重要性、あるいは審査に際しましていろいろ既存品種との違い、区別性、そういうものが今回要件になりますので、そういう基準品種についてのデータがそろっているもの等を頭に置いて考えたいというふうに考えておるわけでございます。  いま先生のおっしゃいましたイワヒバについては、現在は対象とはいたしておりませんが、人間の食糧農産物でない花卉についても登録対象にすることはできることにいたしておりますので、イワヒバにつきましても、そういう既存のデータがあるかどうか、それを確かめまして、その審査を円滑に行えるかどうか、そういう観点から、当初からあるいは対象にすることもあり得るというふうに考えておるわけでございます。
  242. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 イワヒバの業者の方々から農林省にお願いがあったかどうかわかりませんが、このイワヒバのむずかしい点は私もよくわかります。突然変異というようなものが出た場合に大変それが重宝がられるようなものでありますので、なかなか審査にむずかしいのではないかというふうに思いますが、こういうイワヒバの業者の方々からいたしますと、ぜひ、この種苗法が制定される場合には、その登録をしてほしいという強い要望もあるようでございますが、再度お答え願いたいと思うのです。
  243. 野崎博之

    野崎政府委員 そういうお話も伺っておりますし、既存品種の資料の有無等も調べますが、できるだけ当初からそういうものを対象にするようにいたしたいというふうに考えております。
  244. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 今回の改正案によれば、登録要件から優秀性要件を削っておられるわけであります。優秀性の評価は、植物利用技術、栽培技術の進歩など、時代の推移によって変わるものであります。また、個人個人の嗜好によっても異なるものでありますし、さらに種苗の国際交流のことも考えると、民族性によっても異なるのではないかというふうに考えます。その意味で、今回登録要件から優秀性要件を削っていることについては、それなりの理解はできるわけでありますが、優秀な品種でないものも登録することができるようにすることは、制度的に見れば後退ではないかというふうに思いますが、この点についてどのようにお考えかをお尋ねいたします。
  245. 野崎博之

    野崎政府委員 今回の改正は、名称登録から品種登録改正をいたしたいわけでございますが、その目的といたしておりますのは、やはりあくまで優秀な新品種保護ということでございますし、また現実にそう優秀でもないし、利用性もないようなものは、そう品種登録として出てくるはずがないというふうにわれわれは考えておるわけでございます。  ただ、制度的に優秀性を削ったということにつきましては、いま先生もおっしゃいましたように、やはり時代の推移とともに栽培技術や利用技術等が変遷をいたしますし、また個人の嗜好等も非常に関係をしてまいりますので、やはり従来のように資材審議会にかけてその優秀性判断するということになりますと、いろいろの意見が出まして、中には非常に後代になって、優秀であるというのがわかっていたものが、その段階で、はねられてしまうというようなお気の毒なケースもまた実際問題としてあり得るわけでございますので、優秀であるかどうかということは個人の判断に任せることとして、今回優秀性要件を削ったわけでございますし、外国品種保護制度もすべて優秀性という要件を除外していることともあわせてこういう制度にいたしたわけでございます。
  246. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 時間になりましたので、最後にお尋ねをいたします。  特許法との関係についてでありますが、この経緯はそれぞれ複雑な経緯があっただろうと思いますが、特許庁等との話し合いが行われ、結局特許法の体系をとらずに育成者保護するという、いわゆる取り締まり型の方式によることとして法案が作成されましたが、この間における経過等についてこの際お聞かせを願いたいと思います。
  247. 野崎博之

    野崎政府委員 植物品種保護制度につきまして、諸外国でもほとんど、品種保護法制度というものが、先ほど申し上げましたように十六カ国というふうに非常に多いわけでございます。法の特例規定を設けているのは四カ国ということで非常に少ないわけでございますし、われわれの方もそういうことで、特許法の特例ということでなくて、新品種保護法でいくというふうな解釈でやったわけでございますが、まず特許法対象になりますのは、例の「自然法則利用した技術的思想の創作」という非常にむずかしい言葉でございますが、発明の定義もそういうことになっておるわけでございまして、そういう頭の中のアイデアでつくられたものでございますし、種苗法による品種登録対象というのは植物品種それ自体品種そのものということでございますので、品種保護対象もそれから態様もおのずから異なってくるわけでございます。  さらに、品種登録対象となります農林水産植物について申し上げれば、やはり特許要件として掲げられております進歩性とか新規性、非常に端的に言えば普通の米じゃなくて、しぼればすぐ酒が出るような米だとか、あるいは形もボールぐらいの大きさの米というような、そういう新規性とか進歩性という要件を備えないと特許対象にはならぬわけでございますし、そういう意味からも特許とはなじみがたい。現在もう特許として出願される数も非常に少ないし、特許された例は皆無でございます。また、品種登録についての要件特許に比べまして緩やかな条件、既存のものと区別できればいい、そういうような緩やかな条件で登録がなされる。そういう意味では、恐らく品種登録もほとんどこちらの方へ出てきて、特許に出てくるというようなことは事実上ごくまれにしかない。  そういうようなことを考えまして、新品種保護制度といたしまして、特許法によらずに今回の品種保護法、そういうかっこうで提出をいたした次第でございます。
  248. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 時間になりましたので、終わります。  ありがとうございました。
  249. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 神田厚君。
  250. 神田厚

    ○神田委員 農産種苗法の一部を改正する法律案について御質問を申し上げます。  まず、この法案はかなり前から検討されていた、こういう経緯があるわけでありますけれども、提出の時期が現在になったわけであります。その間の経緯につきまして、いろいろと言われているわけでありますけれども、特許庁との関係や、あるいはいろいろ内容の問題等も含めましてあるようでありますが、四十七年から五十二年まで、四十七年に始まったこの検討の内容が現在に至ってようやく提案されてきた、その間何回か中断されているような事情もあるわけでありますけれども、その辺の法案提出されてきた経緯につきまして御質問を申し上げたいと思います。
  251. 野崎博之

    野崎政府委員 先生いまおっしゃいましたように、昭和四十七年度以来、学識経験者のメンバーによります新品種保護制度研究会、それから五十年に植物品種保護制度検討会というものを開催して、いろいろ御意見を承ってきたわけでございます。  この農産種苗法と申しますのは、農林省関係でも数少ない私人の権利関係に結びつく法律でございますので、そういうような関係でのむずかしさもそれなりにございますし、国際条約との整合性といいますか、国際条約加盟するメリットを受けるために国際条約に沿ったようなものにしなければいかぬ、そういうようなこともありまして非常に慎重な検討を重ねてきたわけでございますが、今回成案を得て出せることになったわけでございます。先生もおっしゃいましたように、特許庁との調整も経ながらここまでまいったわけでございまして、そういうようなわけで、おくれたと言えばおくれたというようなことも言えるわけでございますが、そういういろいろな事情がありまして今回提出をいたした次第でございます。
  252. 神田厚

    ○神田委員 一説では、行政のなわ張り争いでおくれてしまったというような言われ方もしておりますし、この植物特許の方向をとらなかった、そういう理由などにつきましても、やはりこれを明らかにしていかなければならないというふうに考えるわけでありますが、ます。現在の日本の育種の現況というようなものから御質問をさせていただきたい、こういうふうに考えているわけであります。  育種というのは非常に大事な仕事でありまして、こういう仕事の中で、さらに現在農政の中で米の生産調整、そういうものが行われているときに、特にこの育種の状況というのは非常に大事なわけであります。そういう意味から見まして、この農業政策との関連から見ましても、育種というものを今後非常に重要視をしていかなければならない、こういうふうに考えているわけでありますけれども、育種の現状と育種行政の現況といったものにつきまして、まずお伺いをしたいのであります。
  253. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 先般来政務次官のお答え申し上げておりますような育種の基本的考え方に沿いまして、先生指摘のように、米から他の作物に、水田を高度に利用をいたしまして、利用の再編成を行って転換していくというような現況、今後の動向、こういうことを踏まえまして、私どもも育種の基本計画に沿った着実な育種の推進を図るということにしておるわけでございます。  国といたしましては、育種の体制として九十六の研究室、研究員は三百十二名という定数をもってやっているわけでございます。また、道、県に対します関係では、国は必要なものにつきまして委託をいたしまして、道、県に指定試験地を設けてやっておるのが四十二単位、それから特性検定試験が八十カ所、系統適応性検定試験が百七十一カ所、こういうようなことでやっておるわけでございます。  主として農業のことについてのお尋ねであろうかと思いますが、そのようなことでございます。  こういった育種の基本計画に基づきます育種体制の整備につきましては、基本計画設定後十研究室を整備をしておるわけでございますが、そのうち七つまでは米以外の大豆でございますとか、果樹でございますとか、飼料の関係とか、そういうことをやっておるわけでございまして、研究の方向としていままで弱い部門に力を入れていくということは当然でございますが、それと並行いたしまして、米につきましても最近は食味の問題等も言われております。そういった品質の問題、その他耐冷性、耐病性の問題、そういうような幾つかの重要な形質についての特徴を持った新品種の創出ということについて従来とも引き続き精力的な努力を続けてきているところでございます。
  254. 神田厚

    ○神田委員 ただいまの答弁によりますと、国及び都道府県のそういう育種関係につきましては今後どういう形でこれを拡充していくかということについては明確な御答弁がないようなんでありますが、私は、現状のままでは育種体制、特に国の機関における育種の体制というのはやはり非常に弱いと思うのです。これをもう少し拡充、あるいは研究の層を厚くしていかなければならないのではないか、こういうふうに考えるわけであります。その辺のところはどういうふうにお考えになられるのか。たとえば、指定試験などにつきましても、こういうものだけに指定試験がいま現在されておりますけれども、これで十分なのかどうか。さらには場所的な、いわゆるそういう研究所がこれで十分であるのかどうか。それから、試験場等もそうでありますけれども、これらにつきまして国の育種の姿勢というものをもう少し明確に出していかなければならない。これは先ほども言いましたように、米の生産調整という中でこれから畑作物あるいは花卉園芸、こういうものが非常に多くなってくるわけです。したがいまして、それに対応する国の機関の充実が必要ではないか、こういうふうに考えるのですが、いかがでございますか。
  255. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 六十三作目についての育種の分担関係というのは、相当慎重な検討をした結果、これが適地であるということで、国の試験研究機関も、それからいま御指摘の指定試験地の関係も設定をしておるわけでございますが、今後の状況変化によりまして、育種基本計画も、その設定後一応五年を目標として進めておるわけでございますから、必要に応じ私どもも見直しの努力はしていきたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、指定試験の関係では、都道府県の従事する職員は研究員、補助員も含めまして全体で百八十名ということで実施をしておるわけでございまして、国の三百十二名の育種関係に直接携わる者、こういった研究者と合わせましてかなりの体制がしかれておるというふうに思っておるわけでございますが、今後、先ほど申しましたように、所要の改善あるいは体制整備ということについては真剣に検討してまいりたいと思っております。
  256. 神田厚

    ○神田委員 私は、やはり育種の法律をいま少し変えようとしておるわけでありますけれども、育種に対する国の、行政の取り組む姿勢というものをもう少し変えていかなければだめなんじゃないか、こういうことを思うわけであります。三百十二名でやっておって、育種しているものも非常に厳選してあるからこれで十分だ、将来多少は変えていくけれどもというふうな話でありますけれども、やはり私はこの際こういう法律を出してくると同時に、国の研究機関の充実というものをさらに強力に進めていかなければならない、こういうふうに考えるわけでありまして、その点につきましてはひとつよろしくその体制をとれるようにお願いをしたいというふうに思っておるわけであります。
  257. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 国の育種に従事する職員の体制の問題でございますが、昨年が三百七名でございましたものを本年度は五名ふやしまして三百十二名ということで実施をしておるわけでございまして、これは研究室のただ人員の増ということでなしに、研究室をどうするか、連係プレーをどうするか、そういうようなことも考えながら着実に私どもは体制整備強化を図っていくということが妥当であろうと思っておるわけでございまして、御指摘趣旨は十分体しまして検討を続けるつもりでございます。
  258. 神田厚

    ○神田委員 育種の種類の問題、それからそれに携わる人間の問題、それからそれを収容する機関の問題、非常に大事でありますから、ひとつその拡充のためにさらによろしくお願いをしたい、こういうふうに思います。  同時に、民間育種の現状につきましても、ここに資料があるわけでありますけれども、民間企業の育種の問題につきましてはどういうふうな御指導をなさるつもりなのか、この辺のところも聞かしていただきたいと思うわけであります。
  259. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 民間で育種が主として担当されておられます部門は、花でございますとか、一部の野菜、果樹関係が多いわけでございます。やはり民間といたしましては、経済的な採算性というようなことも、あるいはまた実際に持っておる技術陣容なり能力、施設、そういった人的、物的なパワーの問題もあろうかと思うわけでございます。そこで、こういったところでかなりいい品種のものが次から次と出てきておるという状況でもございますが、しかし、私どもも、花でもたとえばチューリップでございますとか、ユリでございますとか、サツキでございますとか、国が取り上げて育種をやることにふさわしい重要なるものというものは、国も育種の対象として取り上げ、実施するということにしておりますが、そういった直接的に、たとえば民間の花をやっておられる方々にそういった育種の成果を公開するのはもちろんでございますけれども、育種に関します各種の基礎的な試験研究の結果等育種に関します情報をできるだけ速やかに提供をする。それからまた、民間におきますブリーダーというものもかなりの数おるわけでございまして、こういう方々を集めまして、たとえば昨年野菜試験場ではそういった方々と国公立の研究機関の方々集めまして、約五十名でございますが、研修をやる。これは二日程度の研修でございますけれども、非常にトピックになっている重要な病害に強い育種についての研修を行っておりますが、それ以外にも、これは人数は少数でございますが、一ヵ月ないし三ヵ月とか、場合によって長いものは六カ月以上十二カ月程度にわたる長期の研修というようなものも民間の方に来ていただいて研修を実施しておる。その他、数日から一週間程度の研修も随時開催をするというような形で、民間の方々、ブリーダーのレベルアップを図っておるというようなことをやっておるわけでございまして、そのほか、国が開発をしました育種母材の提供等は、先ほど白菜の「平塚一号」という品種についての例で申し上げましたが、それ以外にもキュウリでございますとか、トマトでございますとか、いっぱいそういう例はあるわけでございまして、この提供した素材を母親にしたF1をつくる、あるいは新系統をつくるということでいいものができておるというのが現実の姿でございます。  こういう形で、民間に対します私ども援助、助長というものは今後も真剣に、また強力に続けてまいりたいと思っております。
  260. 神田厚

    ○神田委員 農林省から出されました資料を見ますと、特に野菜品種の育種における民間の地位というものは非常に高いのですね。これは年々高くなってきていると言ってもいいわけで、昭和三十三年が六五%、それが、昭和四十九年までしかこれは出ておりませんけれども、九二%を民間が野菜の育種における、蔬菜の新品種品種数を登録しているわけであります。  こういう問題を見ていきますと、一つにはやはり国がもう少し、特に野菜類につきましては育種に力を入れるべきである。これは先ほども言いましたように、生産調整や何かに関連しまして野菜のこれからの農業における重要度というものが大変増してきている状況が一つあるわけです。それから、もう一つ考えてみますのは、それでは民間にそういうことをさせていくというのであるならば、民間に対しまして国の方としまして強力な何らかの援助なりあるいは指導なり便宜なり、そういうものを図っていかなければならないのではないか、私はどうも農業政策というものが非常にちぐはぐになってきているという感じがしてしょうがないのであります。  ですから、この野菜の育種における民間のパーセンテージを見まして、一体農林省ではこれをどういうふうに考えているのかという感じを持つのであります。国の機関では、一つには野菜の問題につきましてこれ以上国の方ではやるつもりはないのかどうか、その点ひとつお伺いすると同時に、いわゆる民間にこれから先もこういうふうな形で野菜の品種の開発はおぶさっていくのかどうか、この点はどういうふうに考えておりますか。
  261. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 野菜につきましても、私ども、国として育種に大いに力を入れてやっていかなければならぬというふうに思っておるわけでございまして、先ほど六十三作目というふうに申し上げましたが、野菜につきましては、具体的に申し上げますと、イチゴでございますとか、キュウリ、メロン、トマト、ナス、ピーマン、エンドウ、キャベツ、白菜、大根、ハナヤサイ、ニンジン、タマネギ、アスパラガス、こういったものにつきまして、国も育種の目標を立てて育種に取り組んでおるところでございますし、それから、先ほど申し上げましたように、この作物関係育種基本計画設定後、十研究室が整備されましたが、そのうち二つは野菜の関係でございます。野菜も民間育種にお任せしておいてもかなりいけるというものとそうでないもの、たとえば冒頭に申し上げましたイチゴなどは栄養繁殖性のものでございますから、やはり民間では大変困難な面があるわけでございまして、これは私どもの方の試験場で開発をした品種で非常に優良なものも、北九州地域等に向く品種も開発をされまして、本年その品種育成ということについて育成者である職員が優良職員としての功績表彰を受けておるというふうなこともございます。  私ども、決して野菜を局間育種だけに任せておけばいいという考えでやっておりませんで、重要なもの、民間ではなかなか困難であろうと思われるもの、こういったものについては積極的に取り上げて育種に取り組んでおるところでございます。
  262. 神田厚

    ○神田委員 大変しつこいようで申しわけないのですが、しかし現実には九二%、四十五年あたりでは九四%、いま何%になっておるかわかりませんけれども、恐らくこの数値に近い数値を民間の方でこれをやっている、こういう事実は曲げられないと思うのであります。ですから、民間でやりにくいものを国がやっているのだということは十分わかります。確かにそうでしょう。そういうことがあって当然でありまして、また、なければおかしいのであります。ですから、それはそれでいいのですけれども、やはり現在のそういう農政から考えますと、野菜に対しまして民間に任せるのではなくて、もう少し国も積極的に野菜の育種について取り組むべきである、こういうふうに考えるのですが、再度いかがでございますか。
  263. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 野菜につきましてもいろいろなものがございますので、軽重をおのずから判断をして進めることが適当ではないかと思っております。しかし、総体として野菜について力を入れて育種の研究なり試験に取り組むつもりでございますし、現にそういう努力をしておるというふうに私ども考えておるわけでございますが、今後ともいろいろの問題が野菜についても出てまいるでありましょうから、常にこれといって品種を、作目を固定するという考えでなしに、先ほど申しましたように、五年たったようなところで一応見直しをしてみて、今後野菜についてどういうものについて力を入れていったらいいかということを検討の上、取り組んでまいりたいと思っております。
  264. 今井勇

    今井政府委員 全般的な感じとして申し上げますと、特に水田の対策、米の減反に伴います転作作物等についての試験研究というのは、農林省として当然重点的に取り上げております。また、取り上げねばならない問題でありますが、私が個人的な感覚として見ておりましても、一般的にわが国の試験研究に対する取り組み方というのは、諸外国に比べて私は決して濃密であるとは思いません。これは日本人といいましょうか、日本の国といいましょうかのウイークポイントの一つであろうと思います。したがって、それぞれの担当部局の諸君はそれぞれ全力を尽くしておるのでありましょうが、しかしながら、先生の御指摘のようなことがあることはやはり否めない事実であろうと思います。  そこで、ただいまの質疑を聞いておりまして、特に今回の米作転換に伴いますもろもろの問題について重点的な研究の対象にし、かつ、これについての予算措置をなお一層講ずるように私の責任において御答弁を申し上げておきたいと存じます。
  265. 神田厚

    ○神田委員 政務次官に大変前向きな御答弁をいただきましてありがとうございます。  私は、やはりこの問題は、だんだん国際条約加盟をしていくというようなことから考えていきましても、いわゆる野菜の国際条約保護品目というものがありますけれども、そういうものから考えていきましても、現在の日本品種の輸出入の関係を見てみますと、どうも日本が輸入しているものだけが国際条約の中で保護されているような感覚も出てきている、これは後で御質問申し上げますけれども……。ですから、そういうことを考えますと、日本で優秀な野菜なら野菜の品種をつくって、それを外国にもだんだん出していき、そして国際条約の中の一つ保護品目になっていけるという、そういう面も考えていかなければならない、こういうふうに思っているわけでありままして、そういう意味で、ひとつこの野菜の問題につきまして十二分にお取り組みをいただきたい、こういうふうにお願いをしたいわけであります。  次に、法案に少し準拠しまして御質問を申し上げたいのでありますが、この農産種苗法改正の問題でまず問題になってまいりますのは、新品種保護要件という問題であります。これはいろいろと問題がありますけれども、関係者の中では、先ほど来から問題になっておりますが、新しい法律では育種者保護というものを拡充することができるけれども、これを使用する農民の立場に立って考えると、優秀種苗の普及を図るという、そういう点から少し配慮に欠けるのではないか、生産農民の保護というものにこの法律はどういうふうに対応していくのか、こういう問題が非常に大きな問題になってくるわけであります。  ひとつこの辺のところは、生産農民の立場から見てどういうふうにこの法律を対応させていくのか、考え方を聞きたいと思います。
  266. 今井勇

    今井政府委員 私は、こういうふうに考えるのです。今回の法律改正の中で、品種登録要件優秀性というものを除外しております。これは現行法一つの反省の材料であろうと思うのです。時代を先取りするというようなものが、たとえば二十人の審査員の中で審査をされまして、名称登録のときに、当時としては余りにもそのものが奇異なものと言っては語弊がありますが、時代を先取りしたために登録を受けなかったという事例もあったように聞いております。  そこで、技術は日進月歩でありましょうし、特に栽培技術や利用技術というものが進みます世の中でありますと、そのものが新しい品種であるかどうかということに特に注目をして、それが優秀であるということは利用者の方々がそれぞれお決めくださるという方がよりいいものができてくるだろう、こう考えるのであります。新品種をおつくりになる方はいいものをおつくりになるのは当然のことで、悪いものをつくろうなどということは考えていないわけですから、そういうふうにして、よりよいもの、だれも考えつかないようなものを奨励する意味からも、優秀というふうな意味判断を少人数でやるということを排除しよう、こう考えたわけであります。  したがって、今後優良種苗を普及奨励するということについては従前に増してやらねばならないことでありますから、先ほどから局長が答弁いたしますように、都道府県において、主要な作物においてそれぞれの土地条件に合った優秀な品種を奨励品種として選定してその普及を図っているというふうなこと等々、あるいはまた国が原原種農場を設置をしてみずから新しい品種等の生産をやる、それをまたさらに都道府県に配付する、また、都道府県の原原種は、原種圃における増殖配付に対して国が助成するというふうなことで、今後とも各作物種苗流通の実態、あるいは各作物必要性に応じまして優良種苗というものの普及奨励を図ってまいりたい、このように考えております。
  267. 神田厚

    ○神田委員 この種苗問題全般を通して考えなければならないのは、これを使う人の立場というものを考えなければならない、そして使う人の立場と同時に、それによって生産をされていく、いわゆるそれを消費する国民の立場ももちろん考えていかなければならない。そういうことから言えば、この法案を本当にこれから先消費者の期待といいますか、消費者に本当にだめになる法案にしていくためには、この法案の中身を十二分に検討していかなければならない。そういう意味では、この法案自体の修正の動きも一部にあるようでありますが、特に優秀種苗の普及等の問題につきましては十二分に配慮をしていかなければならないというふうに考えているわけであります。  時間の関係で次に移らしてもらいますが、次は特許法との関係であります。  これも前々からいろいろ言われているかと思うのでありますけれども、この法案が出されてきた経緯から見ましても、この法案ができ上がりまして、特許庁は五十年の十一月に植物品種に関する審査基準を公表しておりますけれども、これと今後のわれわれの法案の運用とをどういうふうに調整していくのか、これは非常に大事なことになるのだと思うのです。つまり、いろいろ出されてきた経緯があるからこそ、このような法案の運用についての調整というものをきちんとしていかなければいけないのではないか。この辺のところについてどういうふうなお考えを持っているか、ちょっとお聞かせいただきたい。
  268. 野崎博之

    野崎政府委員 特許法との調整につきましては、われわれもいろいろ経緯を踏まえながらやってきたわけでございますが、まず、諸外国においてもほとんど品種保護法によっておる国が多いわけでございます。先ほどもちょっと申し上げましたが十六カ国、それから特許法の中で特例規定を設けておる国が四カ国というような状況になっておりまして、特許法とは別体系の品種保護法によっておる国が圧倒的に多いというのが世界の現状でございます。  われわれといたしましても、特許庁といろいろ調整をしながらやってまいったわけでございますけれども、まず、特許制度における保護対象といいますのが「自然法則利用した技術的思想の創作」、非常にむずかしい言葉でございますが、発明規定にもこういう言葉があるわけでございます。そういう頭のひらめきといいますか、頭の中でつくったアイデアというものが主体になるわけでございまして、種苗法による品種登録対象というのは植物品種それ自体でございます。したがいまして、特許法対象品種登録対象とは、対象それ自体も異なりますとともに、保護の態様も異なってくるわけでございまして、品種登録農林水産植物については、特許法で要求される進歩性などというものはなかなか満たしにくい、あるいは新規性というものは満たしにくい。ごく通俗な例でいけば、しぼればすぐ酒が出るような米だとかボール大のような米、そういうふうなものが出てこないとなかなか特許対象にはならない。品種登録の場合は既存の品種と違ったものであれば品種登録対象になるというようなことで、特許法に比べて緩やかな条件で品種保護対象になるわけでございます。従来の例を見ましても、植物品種それ自体特許をされた例は一件もございませんし、また特許として出てきたものもごくわずかである、そういうようなことをいろいろ考えますと、特許対象として出る植物の新品種というものは事実上はごくまれである、そういうようなことから、特許法との調整規定を別に入れなくても、特許法と今回の品種登録を中心にしました種苗法との調整はそれで可能であるというふうに考えて、今回の提案をいたした次第でございます。
  269. 神田厚

    ○神田委員 非常にむずかしい問題だろうと思うのです。ただ、これは行政ですから、行政が始まった段階でいろいろな問題が出てくるわけでありますから、その時点におきましてひとつ十二分に、少なくとも二元行政が行われるような形がないようにやられなければいけないというふうに考えておるわけでありまして、その辺のところにつきましては今後の農林省の方の指導力を十分発揮していっていただきたい、こういうふうに考えているわけであります。  次に、国際条約との関係につきまして御質問を申し上げます。  この法案が出されてきた、あるいはこの法案が討議をされてきた背景には国際条約への加盟という問題が非常に大きな問題として一つある。それであるならば、一つには、政府としてはいつごろ加盟をするような態勢をとるのか、それから加盟をするということにどういうメリットがあるのか、それから加盟をするということについて運用上の問題はないのかどうか、この辺のところを聞かしていただきたいと思います。
  270. 野崎博之

    野崎政府委員 一九六一年にUPOV条約ができたわけでございまして、それに従いまして各国で次から次と新品種保護制度が誕生いたしておるわけでございます。われわれも、今回の法改正を通しましてこの条約に一日も早く加盟いたしたいと思っておるわけでございます。ただ、先ほど来もちょっとお話が出ましたが、この条約自体改正の動きもございますので、その改正の動向等十分にらみ合わせながら関係省庁と協議をしながら一日も早く加盟をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。  加盟した場合のメリットはどうかということでございますが、一つ外国からそういう優秀な品種が入りやすくなる、それから、わが方の新品種なり育成者外国保護を受けられる、そういうことがありますと同時に、いろいろな品種に関する情報だとかわが国における審査に必要な情報だとか、そういうものが同盟各国から受けられる、そういうふうなメリットがあると考えておるわけでございます。今回の法律もこういう条約に沿ったものとして立案をしたものでございまして、運用の面では別段問題はないというふうに考えております。条約においてもいろいろその国内の実情に応じた各国の弾力的な運用ということもそれぞれ認めておるわけでございますので、特に運用の面で特別問題があることはないのではないかというふうに考えております。
  271. 神田厚

    ○神田委員 ただいまの答弁でありますけれども、「種苗の輸出入の概況」、これも農林省で出してきている資料でありますが、これを見ますと、日本は輸出よりもむしろ輸入の方が非常に多いわけでありますね。種にしましてもあるいは球根類にしましても、大変輸入の方が多い。この輸入の方が多いというような状況の中で国際条約加盟をして、そして日本の立場を主張していくということはどういうメリットがあるのか、これはなかなかむずかしい問題だというように私は思うのです。なるほど野菜やその他では輸出もかなりしておりますから、それなりの国際条約に入っていく一つメリットというものはあるでしょう。けれども、輸入が多いというような状況の中では、やはり種苗業者を通して、国際条約に入って優秀品種保護や何かを一つの名目として、かえって高い種になってしまうようなことはないか。日本においてそれが普及されるに当たって非常に高い種になってしまうことはないだろうかという疑問が一つあるわけです。  それと同時に、この国際条約保護品目というものが後の方に出ておりますので、これを見ればわかるのですけれども、日本からたくさん出しているものについては、野菜でもそうです。野菜であるのはレタス、そんなものです。日本からのものについては余りないのです。日本から多少出している球根類などもない。あるいは野菜についても、日本でできるものについては保護対象になっていない。こういうことから考えますと、国際条約に本当に早く加盟してやることがいいのかどうかという問題も基本的な疑問としてあるだろうと私は思うのです。その辺のところはどういうふうにお考えになりますか。
  272. 小島和義

    小島説明員 ただいまの先生条約対象作物が、わが国の場合には余り適合性がないようなものが多いではないかという御指摘は、現行条約の中におきまして、「この条約は、すべての植物の種類に適用することができる。」と一方で規定しながら、一方で、加盟時において少なくとも付表に掲げておりますものの中の五種類は必須科目である、八年以内にそれをすべてやらなければいかぬ、こういうことで必須科目と選択科目と分けているというふうなことを指しておるものと思われます。  御指摘のように、現在、付表に掲げております植物の種類と申しますのは、わが国の実情に照らせば非常に偏ったような作物が付表に上がっておりまして、この点が現行条約一つの問題点ということになっておりまして、先ほど局長が申し上げましたように、条約自体にも改正の動きがあるということはこういう点を含めて申し上げておるわけでございます。したがって、私どもの方では、この法律施行後におきまして、できるだけ育種の対象になっておりますような作物は網羅的に政令で指定していくという考え方を持っておりますし、諸外国条約当初におきましては確かに作目の種類が非常に少なかったわけでありますが、おいおい拡大される傾向にございます。  そういうことを照らし合わせて考えますと、この付表に限定的に掲げられた作物だけではなくて、広くすべての農作物品種につきまして国際的に保護が行き渡る、こういう日も近いのではないか、こう考えておるわけでございます。
  273. 神田厚

    ○神田委員 私は、いま御答弁をいただきましたけれども、やはり非常に狭い範囲なんですよ。それで、日本の現在の種苗の状況から見ますと、現行のままでは国際条約加盟するメリットは非常に少ないというふうに判断しているわけです。この中で、加盟のためのオブザーバーを派遣するというようなこともうたってありますけれども、少なくともそういう改正の時期をにらんでいるということでありますならば、ひとつそういう点で、たとえば球根類などにつきましても、こういうものは一番わかりやすいのです。ですから、こういうものにつきましても日本の立場を明確に、日本の立場というか、そういうものについての主張をしていくべきである。何かできているものに入っていきますからいろいろ問題があるのでしょうけれども、それに入るに当たって少しずつ変えていくような努力をしないと、せっかく国際条約に入ったメリットがなくて、むしろ私は、相手から来るものが多いだけにマイナスの面があるのじゃないかという心配をしているわけであります。  これに関しましては、こういうふうな形でたくさんの種が入ってきたりあるいは球根が入ってきたりしますと、いまでもそうでありますけれども、植物の消毒防疫体制が非常に大きい問題になってくるだろうと思うのでありまして、植物防疫にも現在非常に問題があるのです。植物防疫の現状についてこれをきちんともう少し見直せというような行政監察ですか、動植物検疫業務の適正化についてというような問題も提起をされているようでありますし、行政監察の方から出されておりますので、こういう問題も含めまして、あすまた時間をいただいておりますので、この種苗法の問題につきまして御質問させていただきたい、こういうふうに考えております。  本日は、どうもありがとうございました。
  274. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 次回は、明三十一日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十九分散会