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1978-05-25 第84回国会 衆議院 農林水産委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月二十五日(木曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 中尾 栄一君    理事 片岡 清一君 理事 羽田  孜君    理事 林  義郎君 理事 山崎平八郎君    理事 竹内  猛君 理事 馬場  昇君    理事 瀬野栄次郎君 理事 稲富 稜人君       國場 幸昌君    玉沢徳一郎君       堀之内久男君    森   清君       森田 欽二君    小川 国彦君       角屋堅次郎君    島田 琢郎君       新盛 辰雄君    野坂 浩賢君       芳賀  貢君    松沢 俊昭君       武田 一夫君    吉浦 忠治君       菊池福治郎君  出席政府委員         外務省アジア局         次長      三宅 和助君         農林政務次官  今井  勇君         農林大臣官房長 松本 作衞君         農林省農蚕園芸         局長      野崎 博之君         農林省畜産局長 杉山 克己君         農林省食品流通         局長      犬伏 孝治君         食糧庁長官   澤邊  守君         水産庁次長   恩田 幸雄君         海上保安庁次長 向井  清君  委員外出席者         国税庁間税部酒         税課長     大橋  實君         文部省体育局学         校給食課長   坂元 弘直君         水産庁海洋漁業         部沖合漁業課長 橋本  隆君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 中尾栄一

    中尾委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松沢俊昭君。
  3. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 私は、まず最初に、百七十万トンの米の新生産調整の問題につきまして質問してみたいと思います。  去年の後半から水田利用再編対策事業につきましていろいろと議論がございまして、三月時点におきましては転作目標面積の仮配分が行われてまいっておりまして、いよいよ四月六日農林省の方では「水田利用再編対策実施要綱」なるものを依命通達によって出されているわけなんであります。その「趣旨」によりますと、長期的視点に立って、「需要動向に安定的に対応し得る農業生産構造確立を期する」、これが目的になっておるわけであります。  しかし、全国的な状態を見ますと、たとえば五月二日農林中金で出しておりますところの「第七回農村経済シグナル」、それを見ますと、転作を行う上での問題のうち、全国的に共通しているものとして、一つは、転作できるところの土地条件が整っていない。二つ目には、奨励金を加えても米並み所得を確保することができる作物が見当たらない。三といたしましては、転作作物価格、特に野菜、それから流通体制、特に飼料作物などに不安がある。四番目といたしましては、転作作物栽培技術機械体系が未確立である。五番目といたしましては、労働力配分に難があり、生産性が低下する、こういうぐあいに中金の方でも全国の支所を通じましていろいろと全体の状態を見ているわけなんであります。  そこで、まず政務次官にお伺いしたいわけなんでありまするが、いま農林中金の方で五つ問題点を取り上げておりまするが、要するに、この五つ問題点というのが全国的にどのようにして消化されているか、こういう問題についてお伺いをいたしたいと思うわけなんであります。
  4. 今井勇

    今井政府委員 寡聞にして、大変申しわけございませんが、いまの、中金調査をいたしましたことは知っておりますが、その内容等について熟知いたしておりませんので、事務局の方から御答弁さしたいと思います。
  5. 野崎博之

    野崎政府委員 私ども中金調査内容については別に報告を受けておりませんので、直接中金からは聞いておりませんが、われわれいろいろなブロック会議等を開催いたしまして、現在の状況がどうなっているかといういろいろな会議等におきましては、やはりいま先生のおっしゃったような条件整備とかあるいは野菜等価格問題とか、そういうような問題について聞いてはおりますが、直接中金からの報告等は現在聞いていない状況でございます。
  6. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 聞いているとか聞いていないとかは別といたしまして、こういうような五つ問題点というのが共通の農民の悩みであるということは理解されることができるのじゃないか、こう思うわけなんです。その点はどうでしょうか。
  7. 野崎博之

    野崎政府委員 その地域地域によりまして土地条件が非常に悪い、そういうような地域については、やはり湿田地帯で非常にむずかしい問題がある、あるいは、われわれといたしましては特定作物等につきましては特別の奨励補助金を出しておりますので、米並み所得は得られる、そういうふうに考えておるわけでございますが、飯米農家等の多い地帯でなかなかその割り当てがしにくいとか、それから転作作物、特に大豆等々だと思いますが、それらの栽培体系をどうするか、それは非常に技術的に困難な問題もあるわけでございまして、そういう点についてはわれわれも理解できるというふうに考えております。
  8. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 要綱目的というのが、さっき私申し上げましたように、長期にわたって需要動向に安定的に対応のできるところの生産構造確立を期するものとする、こうなっているわけでありますが、しかし、いま申し上げましたような状態であるとするならば、その生産調整の本来の趣旨を十分に達成することができないということになるんじゃないか、こういうふうに私は考えるわけなんであります。その点どうお考えになっているかが一つ。  それからもう一つは、この「趣旨」の中にはこういう文言があるわけなんですね。「生産振興の必要な農産物につき水田の高い生産力を活用した生産拡大を実現する」、こうなっているわけなんであります。水田の高い生産力、それを活用してやっていくんだということを言っておりますけれども、たとえば転作対象には、この要綱からいたしますと林地、こういうものが含まれているわけなんであります。そうすると、この「趣旨」の文言というのはもっともなことがずっと書かれておりまするけれども、やっていることはむしろ、日本農業というものの生産拡大、それから需要動向に対応できるような農業にするというものとは大分違ったところの水田再編対策ということになるのじゃないか。だから、その林地というものと水田の高い生産力の活用というもの、これは一体どういう結びつきがあるのか、その点お伺いをいたしたいわけなんであります。
  9. 野崎博之

    野崎政府委員 第一の点でございますが、われわれいろいろ最近の県の状況等を聞きましても、やはり麦、大豆、それから飼料作物、まあ確たる数字はわかりませんが、そういうものへの転作が相当大幅にふえるであろうというふうに考えられますので、長期的視点に立ったそういう不足する農産物生産には寄与するであろうというふうに考えておるわけでございます。  それから第二番目の林地の件でございますが、確かにおっしゃいましたように、農産物自給力向上ということの観点から見れば、一般的にこれを認めることはちょっとおかしいというような感じもいたしますけれども、一部には新しく国土利用という見地もあるわけでございますので、そういう見地から林地対象にいたしたものでございます。したがいまして、この林地につきましては、農用地区域外水田であって、市町村長が特に非常に転作がむずかしいとか、あるいはその近辺の林地一体になって経営されることが望ましい、そういうところに限定をして認めているわけでございまして、補助対象期間も三年、それから補助金の単価も四万円ということで、比較的低い水準ということでございますが、そういう林地対象とすることによって、林地立地条件に応じた転作もあるいは可能であろうというふうに考え対象といたしたわけでございます。
  10. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 いや、私の聞いているのは、いろいろな方法があると思いますけれども趣旨から考えると、林地対象にするなんというのは趣旨に反しているのじゃないか。林地に近いところのたんぼなんというものは幾らでもあるんですよ。林地に近いからそれを林地にしてしまうなんということになれば、それじゃ農林省の方では、もっと農地面積拡大をやっていかなければ、実際上日本農業近代化、それから自給力向上ということにはならぬわけなんです。せっかくできているところのその水田を、米が余るからといって、あなた方は緊急退避的なことはやらないのだということを言いますけれども、もうどろなわ方式で何でもつぶしてしまえばいいのじゃないか、こういうやり方がとられているのじゃないか、このことを指摘しているわけなんであります。その点もう一回答えていただきたいと思います。  それからもう一つは、稲転のとき奨励補助金対象になっておって、再編対策除外されたものは一体何と何なんだか、それを明らかにしていただきたいと思います。
  11. 野崎博之

    野崎政府委員 第一点でございますが、先ほど申し上げましたように、自給力の面から見ますと、一般的に広く認めるということは確かに問題がございますので、先ほど申し上げましたような地域、それから条件に限って林地対象にする。これは国土利用の一環としての見地からも妥当であろうということで認めたわけでございます。林地につきましては例の生産調整のときに対象にいたしておったわけでございまして、水田総合利用対策にかわりましたときに一応対象除外になったわけでございますが、今回ただいま申し上げましたような見地から、一応また対象にするということにいたしたわけでございます。
  12. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 もう一つの……。
  13. 野崎博之

    野崎政府委員 一般的な植林と、それから温州ミカンとかブドウだとか桜桃だとか、そういう需要上問題のある作物除外をいたしております。
  14. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 たとえば温州ミカンなどというのは、これは昭和四十六年から稲作転換対策事業というものが行われておりましたですね。そのときにおいては転作対象作目として奨励金が出ておったわけですね。それが今度の再編対策事業の場合においては除外されている。それから桜桃なんかにいたしましても同じことが言える。こういうことでございますが、私は、そこに一つの新生産調整に対するところの不安を感じるわけなんであります。それは、いろいろ農林省の説明を聞きますと、定着したものは切っていくんだ、こういうことをおっしゃっておるわけであります。でありまするけれども、定着をしたということと安定をしたということは私は違うと思うわけなんであります。現在、温州ミカンなんかの場合におきましては、水田生産調整の結果温州ミカンに切りかえる、あるいはまた桜桃に切りかえる。しかし、今度五年たってみたところがもう相手にされない。しかもまたミカンそのものは大変な外圧があったりなどして、いままたミカンそのもの転作をやらなければならないという状態に入っていると思うわけなんであります。そうすると、これをやりなさい、あれをやりなさいということをやっていっても、とにかく政府の言うことを聞いて三年なり五年なりやっていった後は、政府の方で野放しにしてしまう、責任をとらない、そういうことで、なお一層の苦しみを農民が受けなければならない、これがいままでの転作実態であったんじゃないか、こういうぐあいに私は考えるわけなんであります。     〔委員長退席山崎(平)委員長代理着席〕 要するに、そういう観点に立って見ました場合、いまの転作等におきましても、三年間は何とかして補助金奨励金をつける、こういうようなことを言っておられますけれども一体三年後どうなるんだという不安というものもあると思うわけなんであります。それがやはり中金あたり調査実態になってあらわれてきていると私は思いますが、この点、政務次官はどのようにお考えになりますか。
  15. 今井勇

    今井政府委員 ただいまミカンの問題を例におとりになりましたが、前のときの水田転作の問題の場合には確かにミカン一つ作目にして取り上げられております。しかも時を同じゅうするようにして、果樹振興法を国会で御制定を賜りまして、将来の見通しを立てて、果樹振興を図ろうじゃないかということでありました。そういうこともありまして、実は政府補助もいたしましたが、そのほかにも農民自身の御努力大変果樹振興されました。それが結実をされ、しかも生産を始め、ちょうど最盛期になってまいりました。しかも、その後の経済状況等もありまして、生産がややだぶつきぎみだということになってまいったわけでございます。したがって、これは、すべてのものが政府補助ということであるならば、これは先生の御指摘もそうであろうかと思いますが、必ずしもそういうものだけではないように私は思います。皆さんが先を見通しておつくりになったものもあろうということでございまして、一概にそういうふうに言えないのじゃなかろうかと思います。しかしながら、政府といたしましては、やはり将来の十分な見通しをして転作作物奨励をするということは当然考えなければならないことでございまして、今後とも誤りのないような形で指導してまいりたいと考えております。
  16. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 だから、転作が定着したといって、すぐ奨励金を切ってしまうなんというようなことをやらぬで、政務次官の方は、それは政府補助奨励金、そういうものだけでなしに、農民が先の見通しを立てながらやったものである、こう言われますけれども、とにかく米が余るから何とか協力をしてもらいたいということで、仕方なしに、それならばということで選択をやっていったものが大部分だと思うわけなんです。その大部分のものがいま、温州ミカンにいたしましても、たとえば山形のサクランボなんかにいたしましてもそのとおりでありますけれども、皆やはり悩んでいるわけなんです。悩んでいるものを、政府責任転作奨励したわけだから、だから転作の制度がある限りにおきましてはそれはやはり救ってやるんだという考え方というものがなかったら、どうして農民政府の言うことを聞いてついていくかということなんですね。その点をはっきりしていただきたいということなんです。どうでしょうか。
  17. 今井勇

    今井政府委員 そのお気持ちはよくわかります。でありますからこそ今回の温州ミカンの問題につきましても、ただいま政府部内で、温州ミカン生産調整をどうするかということで関係団体とも協議をし、必要ならば国の力において生産調整を助成することも考えざるを得ないだろうということでいろいろ検討をいたしておりますことでございまして、その気持ちといたしましては、先生のおっしゃいますことと、私ども考えておりますこととがそう違っているものではないと思います。
  18. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 それからもう一つの問題でありますが、これも大体五月末に生産調整の申告をやってもらって、それから六月の末に実施見込み把握する、そして全国的には、新潟県なんかは七月一日と言っておりますけれども、七月の一日に、全国的に八月一日になりますか、町村段階において鞍作が行われているかどうかというところの確認をやる、こういう事務の進みぐあいになるということを聞いているわけなんです。  そこで、どの程度どうなっているかということはまだ把握していないという答えになると思いますけれども、これも中金なんかが調べたのによりますと、転作作目別作付割合全国平均で、えさが二四%、野菜が一九%、麦は一七%、大豆が一五%、その他特定のものが六%ということになっておるようでありまするが、野菜は去年、ことしも一そうでありますけれども、種別にもよりますけれども大変な暴落をやっております。特にキャベツなんかは、私たち野菜地帯なんかになりますと、畑に置きっ放し、こういう状態が続いているわけなんであります。そこで、こういうものはまだはっきりと把握はされておらぬと思いますけれども、しかし、大体農政局単位あたりにはいろいろと情報が上がっていると思うわけなんであります。中金の調べというものと、皆さん把握しておられるその割合というものは一体どうなっているか、それをお伺いいたしたいと思います。
  19. 野崎博之

    野崎政府委員 われわれいろいろブロック会議等でも聞きますが、末端農家までの配分が終わっているのは九五%、それから集落段階までを入れますと一〇〇%末端までおりておるという状況は聞いているわけでございますが、作物別の細かい数字は、これから農家転作作物の選定なりあるいは条件整備等に取り組むわけでございますので、はっきりした数字は、県も、感じとしてどれくらいになろうかというような感じはございますが、はっきりした数字としてはつかんでおるわけではございません。したがいまして、われわれといたしましても、確たる数字をいまここで申し上げるわけにはまいりませんが、感じといたしましては、先ほど申し上げましたように、総じて麦とか大豆とか飼料作物、そういう特定作物への転作が相当ふえるのではなかろうかという感じを持っているわけでございます。
  20. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 野菜農民から話を聞きますと、これはまた市場関係人たちからも話を聞いたわけでありまするが、大体野菜というのは出回りが一割伸びると価格は三割落ちるということを言われるわけなんですね。これが定説になっているようであります。そうすると、いまのような状態野菜が一九%も転作作物として選択をされたという場合、ことしの野菜価格というのは大変暴落するということが考えられるのじゃないか。その場合、安定基金なんかを使うと言われると思いまするけれども安定基金を使うときにおいては、もう農家キャベツをそのまま畑に投げっ放しというところの状態が続くわけなんであります。ですから、それじゃこういう場合の対策というのは特別に——新生産調整をおやりになったわけでありまするから、その価格というものに対して大変不安を持っておりますし、暴落可能性というものもあるわけであります。そういう特別の対策というのがやはり私は必要であろうと思いますけれども政府の方としてはどうお考えになるのか。これは政務次官の方からお聞きした方がいいと思います。
  21. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 野菜転作でどの程度つくられるかということにつきましては、他の転作作物と同様、また農家段階までおりて、作物別に正確に数字を申し上げる段階になっていないのでございますけれども野菜は特に需給問題で、過剰になれば価格は非常に低落するおそれのある作物でございますので、私ども作付動向について特に注目をいたして、各種の情報を集めておるところでございます。  現在私どもが掌握をいたしておるところでは、おおむね転作面積といたしましては、対前年で二十数%の増というふうな情報を持っております。ただ、野菜全体の作付面積の中で、転作野菜面積というのは一割程度でございますので、仮に二十数%伸びるといたしましても、野菜の全体面積で見た場合には二%程度の増ではないか。ただ現段階での数字でございますので、あるいはそれ以上になる場合も可能性としてはあるわけでございます。ただ、そういう全体として見た場合に二%程度といたしましても、品目別に見た場合には、特定品目にそれが偏るということで、その野菜については供給過剰が起きるという心配がございます。  そこで、農林省といたしましては、食品流通局農蚕園芸局連名局長通達を出しまして、地域別、時期別の需給というものをよく考えて、野菜の種類の選択、また作型の選択をするようにということを指導いたしておりますし、また、それぞれの時期に応じまして、需給協議会あるいは生産出荷協議会を適時開きまして、情報の交換をしながら、特定野菜に集中して価格が下がるということのないように、都道府県及び農業団体指導をいたしておるところでございます。しかしながら、そういうことをいたしましても、野菜出荷量について大きく影響いたしますのは、天候によります豊凶の変動でございまして、かなり作柄が良好であるということになりますれば価格低落をするという心配がございます。  そこで、本年度の野菜価格安定対策におきましては、先ほどお話のございましたように、価格補てん事業を中心といたしまして対策の拡充をいたしておりまして、政府予算額におきましても対前年比四割程度の増加をいたしておるところでございます。各都道府県からは、この夏作の野菜につきまして価格低落があった場合の対策といたしまして、この価格補てんについての要望が強く出ておりますが、私どもとしては、その要望には原則として全面的に応ずるということで、ただいま対処をいたしておるところでございます。
  22. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 私は、野菜作付面積はもう大体いまで十分なんじゃないか、その十分なところに転作対象作物として野菜を認めていく、それがやはり暴落の主要な原因になるのじゃないか。     〔山崎(平)委員長代理退席委員長着席〕 だから、米が余る、余るといっても、何でもいいからといって転作をさせるということになりまするならば、それは転作してなお一層農民が苦しむということになるのじゃないか。だから、野菜作付面積、これはいろいろむずかしいと思いますけれども、しかし野菜は、日本の一億一千万の国民に供給するには大体いまの面積でたくさんなんじゃないかという判断に私は立っているわけなんであります。  したがって、転作をやるにしても、暴落が予想されるような転作というのはやはりやめるべきであるというぐあいに考えておりますが、極端に申し上げますならば、転作物対象から野菜というものは取り除いたらどうかという考え方があるわけなんであります。そういう点、政務次官はどうお考えになりますか。
  23. 今井勇

    今井政府委員 先生が極端な話と前置きをされたので、私もそう理解をいたしますが、先ほど局長が答弁いたしましたように、やはりバラエティーを富まし時期をずらしていろいろなものをつくっていくという皆さんの御努力というものを、私どもは支えていく、これを助成していく方向でなければならないと思います。確かに先生おっしゃいますように、一つの物に偏りますと暴落をいたします。これはもうお説のとおりでございますが、やはり国民需要というのは非常にバラエティーに富んでおりますし、また、最近は時ならずの物を皆さんがよく召し上がるようでありますから、そういう意味の努力も必要だろうと思いますので、作目、時期、その総量などをしかと把握して、強力な指導をしていくことの方がやはり好ましいのではなかろうかと思います。
  24. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 次官が申されましたように、生産調整をやる前に、大体面積把握需要把握というものをきちっと確認をした上に立って、どうするこうするということを決めるのが私も筋だと思うのですけれども、今回の新生産調整の場合においては、やるのであればやるところのそういう準備というものがない上にすぐ出発をしたというところにいろいろな矛盾点が出てくるのじゃないか、こういうぐあいに私は実は考えるわけなんであります。だから、野菜暴落ということが必ずあるのじゃないかと思われますので、そういう事態が起きた場合はどうするかという対策も立てなければなりませんし、それから、そういう状態が起きないような予防措置は、いま局長の方からお話があったようなことでやっていかなければならぬと思います。三年ということを言っておられますけれども、これはやはりことしの状況を見て、来年対象作物として一体これでいいのかどうかということを再検討する必要が野菜の場合にあると思いますが、この点はどうでしょうか。
  25. 野崎博之

    野崎政府委員 今度の水田再編対策、十年を目標にいたしておるわけでございますし、三年間、当面の第一期として三年たった段階でいろいろ諸情勢を勘案してまた検討するというようなことにいたしておるわけでございますが、ことし初年度でもございますし、いろいろな問題点末端からは提起されるであろうと思っておるわけでございます。われわれといたしましても、その仕組みなり運用の仕方、そういう問題については、やはり今回のいろいろな実績等も検討しながらひとつ検討をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
  26. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 三年間というのは法律で決まっているわけじゃないのだから、一年間見れば大体わかるわけですね、昨年も暴落しているのですから。そこへまた、局長の答弁からいたしますと、野菜面積というものは二〇数%伸びるという見通しさえついている、こういう現状の中でことしは出発したのですからやむを得ないとしても、ことしの実績を見て来年変更するということの柔軟性というのは、次官、どうですか、これはあってしかるべきなんじゃないですか。
  27. 今井勇

    今井政府委員 先ほど局長がちょっと答弁いたしましたが、野菜にも時期的なものがあるわけで、夏野菜、冬野菜それぞれあるわけであります。基本的に申せば先生のおっしゃることはそのとおりでございまして、やはり事農民の生活がかかっているわけでございますから、暴落するものを承知でやれというわけにもまいりません。したがいまして、万が一そういう事態がございますれば、それを非常に大事な教訓として次年度における転作というものを指導してまいりますことは当然のことであろうと思います。
  28. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 そうすると、次官の御答弁、私の趣旨を体しての御答弁だと思いますので、もしそういう事態があったとするならば三年というこだわりはしない、こういうふうに確認して差し支えございませんね。
  29. 今井勇

    今井政府委員 野菜というのは年々のものでございますから、暴落をしたものを承知で三年続けろというわけにもまいりますまい、そういう意味で申し上げたわけでございます。
  30. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 それから、水田地帯では本当に土地の基盤整備というものが行われておらない。だから転作をやろうと思ってもやれない。これは三月にも私は大臣にも意見を申し上げましたけれども、私がでっち上げたところの数字ではないわけなんでありまして、農林省の方で田畑輪換可能な水田面積というのが発表されまして、要するにその水田面積は百七十万町歩以上ということになっておりましたのですが、その条件というのはどういうことかというのを、これも農林省の方にお聞きをいたしましたところが、冬季間において地下水位が深さ七十センチ、これが限界だ、こういうお話であったわけであります。ところが、新潟県なんかの場合におきましては、百十一町村ですかのうち十七カ町村というのは、農林省の言っておりますところのいわゆる田畑輪換可能水田面積がないわけなんであります。これは単に新潟県だけではないと思います。全国的にそういう水田転作ができないというところの条件の部落や町村というのがたくさんあると思うわけなんであります。そういうところに転作面積の割り当てが行っているわけなんであります。だから、やろうにもやりようがないわけなんであります。  ところが、この四月六日の要綱それからし実施要領、それからさらにはそれに伴うところの対象作物等取扱要領、こういうものが出されております。そこで、その場合においては稲の青刈りによってそれをえさにしてやってもいい、こういうことになっているわけなんであります。だから市町村の方でも、そういう場合においてはどうしようもないから、稲の作付をやってそうしてそれを青刈りした方がいいじゃないか、こういう指導が行われておるわけなんであります。ところが、そのときの条件といたしましては、青刈りは糊熟期以前ということになっているわけなんですね。そうすると、糊熟期というのは一体どういう時期なのであるか。農林省の見解もいろいろ聞きましたけれども、出穂期後二週間、そこから糊熟期に入るのだ、こういうお話であるわけなんであります。  そうすると、いまは平野部におきましては空中散布あるいはまた共同防除、こういうぐあいにして農薬散布が行われております。これを動物のえさにするに大丈夫なのかどうかということを、これまた農林省の方に聞きましたところが、やはり毒性がなくならなければ大丈夫でございません、こういう話なんであります。そうすると、毒性がなくなるというのはいつごろなんだ。消毒してから、その時期にもよるかもしれぬけれども、一週間か十日くらいかかるのじゃないかというようなお話であるわけなんですね。  それからもう一つは、そういうところですから、水田ですから、それ以前に刈り取れなんて言っても、コンバインが入らぬということになるわけなんであります。そうすると、コンバインも入らぬところを刈り取りをやるということになれば、手刈りをやる以外にない、こういうことになるわけなんです。実際上これは不可能だと思います。  しかも、これが青刈りが行われたか行われないかというところを、その確認は国、県、市町村の職員が立ち会いをやるということになっているわけなんです。一反歩刈り取りをやるに一日はかかると思います。そのところを弁当持ちで役場の職員が刈り取るまで待っていなければならぬ、こういう状態になるわけなんでありまして、実際上これは不可能に近いのじゃないか、こう思われるわけなんです。その点どういうふうにして確認をおやりになるのか。  そうして、そういう農薬散布によって毒性のあるものをえさにしろと言っても、これは無理な話なんであります。ということになると、えさにはしなくてもいいけれども、とにかく米をとらなければそれでいいのだ、こういう考え方でおやりになっているということになれば、これはやはり日本農業経済という面からいたしましても大変不合理な話だということになるわけなんであります。また一面、私は言うのでありますけれども、それほどどうにもならぬということになれば、それはやはりちゃんと米にして、濃厚飼料としてそれを使った方がいいじゃないか。ところが農林省の方では、横に流れるところのおそれがある、それほど厳密に立ち会いのもとにこの調査をやって確認をされるということであるとするならば、横に流れるところの心配なんというものはこれはないじゃないか。どっちの方が経済的に利益のあるところのやり方なのか。私はやはりそういうのであるなら、米にしてえさにした方がよっほどやりがいのあるところの、効果のあるところのやり方なんじゃないか、こんなぐあいに実は考えるわけなんであります。その点一体どういうふうにされるのか、具体的に私は説明を求めたいと思います。  それからもう一つは、これは大臣もいろいろ県とも相談してというようなお話であったわけなんでありますが、とにかく湿田地帯転作ができない、そこへ転作面積の割り当てをやる、これだけは私はやめてもらいたい、こう思うわけなんでありますが、この点は次官はどのようにお考えになっているか、はっきりしてもらいたいと思います。
  31. 野崎博之

    野崎政府委員 湿田地帯の問題につきましては、かつてもお話がございましたが、三十センチ程度でも大豆がつくれるというようなそういうことも技術的にはございますし、あるいはレンコン等その他転作作物考えれば考えられる、そういうようなこともございます。  また、割り当ての方法でございますが、これは市町村長にお任せをいたしてあるわけでございますので、市町村長が市町村内の地域条件、そういう点も勘案をして割り当てをいたしておると思うわけでございます。  それから、青刈り稲の問題でございますが、刈り取り期には確かにコンバインはなかなか入らないと思いますけれども、実際にはバインダーを入れて刈り取るというような例もございますし、先ほど申し上げましたように、確かに青刈り稲につきましては、いろいろな条件をつけてわれわれは認めるということにいたしておるわけでございます。といいますのは、やはり一般的な飼料作物として認めるわけでございますので、奨励金特定作物並みの五万五千円という非常に高い金額でもございますし、何もしないでほかに使われてしまう、何も使用しないで休耕みたいなかっこうでほかへ使われてしまうというようなことがあっては、非常にほかのいろいろな飼料作物その他の作物との均衡を欠く、そういう見地から、やはり畜産農家との契約、それから自分でみずから畜産を営む場合に行う、それから糊熟期以前に刈り取りをやる、その場合には市町村の職員、これは農協の職員の方でも結構でございますけれども、そういう方にひとつ確認者として立ち会っていただく、そういうふうに考えておるわけでございますし、先ほどちょっとお話の出ました農薬等につきましては、これは一般の飼料作物、それから米にだって当然農薬散布というのはあるわけでございますので、やはりわれわれの食べる米についてもそういう農薬散布というのはあるわけでございますから、やはり農薬をまいて毒性が消えてから、あるいは毒性の少ない農薬も使う、そういうようなことで、ひとつ今後とも指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  32. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 湿田地帯にはそういう点を配慮して配分したというけれども、できないところはできないのじゃないですか。転作可能性が全然ないところに面積を二百町歩も割り当てするなんというのは一体何だというのだ。できないです。それは。パーセントが不足だとかよけいだとかいう問題じゃないのだ。できないものはできない。それを配慮してパーセントを少なくしてやったなんということで、それであなた方が済まされると思うておるところに私は問題があると思うのですよ。できないところはやめた方がいいのじゃないですか。転作のできないところは、百十一の市町村の中で十七カ町村もあるのですよ。あるいは町村の部落別からいたしますと、相当の部落があるわけです。これは絶対できないのですよ。できないところに二百町歩も割り当てするということは、これは一体どういうことだというのだ。そんな理屈の通らぬことを配慮したで済まされる問題ではないじゃないかということですよ。これははっきりしてもらいたいと思うのです。  それから、人間も農薬を散布したところの米を食べているのだからというお話でありますけれども、これは毒性が消えてからということを農林省も言っているのですよ。ところが、毒性のあるまま刈り取って、それを酪農家やあるいは畜産農家に契約をやってくれと言ったって、そんなものは要りませんと言うに決まっていますよ。できないのじゃないかと思うのです。それは。  それから、農協の職員でも町村の職員と同じに立ち会いするのだと言うけれども、そんなこと、二百町歩も仮にあったとするならば、どういうふうにして手分けしてやるのかということですよ。できないじゃないかというのです。そんなことば。あなた方は霞が関で鉛筆をなめながらいろいろなことをやっているのだけれども、現地はそんなわけにいかぬじゃないかというのです。できないやつはできないというふうに答えた方がいいじゃないですか。どうですか。
  33. 野崎博之

    野崎政府委員 湿田の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、そういう割り当てにつきましては、これは市町村長にお任せしておりますし、また土地改良面でも通年施行等のそういう方法もあるわけでございますし、そういう点もひとつ御利用をしていただきたいと思うわけでございます。  それからまた、町村の職員が確認をするという点は、これは従来の対策でもそういう町村の職員で確認をしてもらっているという経緯もございますので、そういうことで確認をしていただけるものというふうに考えておるわけでございます。
  34. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 そうすると、できないところに配分したというのは、地方農政局の責任なんですか。本省の責任じゃないということですね。  それからもう一つ、いままで青刈りというものを認めてこられたのですか。新たに青刈りというやつをこの中に入れたのじゃないですか。青刈りの確認というものをいままでに経験しておられるのですか。それから、面積の面からいって、青刈りというのはふえているのか減っているのか、どっちなんですか。
  35. 野崎博之

    野崎政府委員 青刈り稲は、従来も同じような形で認めてきたわけでございます。やはり同じような形で確認をいたしておるわけでございまして、従来の傾向から見ますと青刈り稲はだんだん減ってきておるような傾向であったわけでございますが、ことしの見込みは、まだはっきりとっておりませんので、どういう状態であるかということはまだいまちょっとわからないような状態でございます。(松沢(俊)委員「地方農政局の責任ですか」と呼ぶ)割り当ては、われわれといたしましては県別に割り当てておりますので、都道府県がまた市町村に割り当てる。都道府県はいろいろな条件等を勘案しましてその都道府県なりに適正な配分をいたしておるというふうにわれわれは考えておるわけでございます。
  36. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 それでは、農林大臣は県知事にだけ責任があって、後は要するに県知事の責任なんですね。できないところに割り当てをしたというのは県知事の責任なんですか。できないことをやれというのはだれの責任ですか。
  37. 野崎博之

    野崎政府委員 われわれとしましては、県に対していろいろな七つの条件をもとにして配分いたしたわけでございますし、県が県内の市町村に配分する場合には、それを参考にしながら、それにこだわらないで県の独自の立場でまた配分をいたしていると思っております。(松沢(俊)委員「だれの責任なんだ」と呼ぶ)どこの責任と申しますか、こういう水田利用再編対策全体につきましては、国も県もいろいろな観点からやるわけでございまして、それは最終的な責任はどこだと言われれば、水田利用再編対策全体の問題については当然国でございますけれども、やはり県も県内のいろいろな地域的な農業生産の発展ということについては、県の独自の仕事もあるわけですから、県もそういう意味では責任があろうというふうに思っております。
  38. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 私が聞いているのはそういうことではないのであって、不可能なところに割り当てをしたのはだれの責任なんだ、できっこないじゃないか、できっこないところに割り当てしたのは一体だれなんだ、そういうむちゃな押しつけというのは、要するにだれが責任をとるのだということなんです。
  39. 野崎博之

    野崎政府委員 責任というよりも、そういう湿田地帯土地改良をやったり、それからいろいろな今度の特別転換対策事業というものを使っていただければやれないということはないというふうに考えておるわけです。また、管理転作等の方法もございますし、絶対不可能だというふうにもわれわれは考えておりませんので、いろいろな手だてを使えばそういういろいろな道があるというふうに考えておるわけでございます。
  40. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 これは政務次官に聞きたいと思いますけれども、不可能なところに割り当てするということは無理だと思うのですよ。転作の必要というのを政府の方でお考えになるのはお考えになっていいですよ。しかし、条件が全くないところに割り当てをする、これはどうしてもやはりできっこないわけなんです。それで、いまの御答弁を聞いておられてもおわかりのとおり、のらりくらりとして、じゃどうするのかというところの対策も何もないわけでしょう。こういう問題はやはり、ことしは出発したのですからどうしようもないけれども、さっきの野菜と同じようにもう一度再検討の必要があるのじゃないか。三年なんということじゃなくて、再検討の必要があるのじゃないか、こう思うのですが、この点はどうでしょうか。
  41. 今井勇

    今井政府委員 これは制度の基本にかかわることですから私が御答弁をいたしますが、転作をいたさねばならない理由は、先生御存じのとおり、皆さんも食管会計を堅持しようということで御協力を賜る、しかもこれをすることが法律事項ではなくて皆さんの御協力を賜っていこうじゃないかということでいくわけです。したがって、あくまでこれは生産者の方々とわれわれとの話し合いでいかざるを得ないわけであります。したがって、やってくださる方もその意義を十分理解をしてやっていただくわけであります。  そこで、いま可能か不可能かの話が出ますが、そこが知恵の出しようだと私は思います。たとえば、私ども地域にもありますが、湿田の場合に、面積はそう大した面積ではなかったのですがハス畑にしたところもあります。したがって、ここは一概に不可能か、できるできないということももちろんそうでありますが、問題は、どうしてこの苦難な乗り越えなければならない道を越えていくかということで、ひとつわれわれも生産者の方も一緒になって汗を流していこうじゃないかというふうなお気持ちでまず対処していただきたいのが一つでございます。  それからもう一つは、先ほど申し上げたように強権を発動してするのではありません。したがいまして、十分話し合いをしていかなければなりませんし、その過程においていろいろ農林省としても反省をしなければならぬ問題も多々あろうかと思います。そういう教訓は十分踏まえてまいりたいと思います。したがって、三年だから三年の間はどうなんだ、来年からすぐ変えるのかという御質問に対しましては、やはり三年を一期としてやります以上は、直ちに来年から大変換をいたしますということを答弁申し上げることは、これはひとつ御勘弁を願いたいと思います。
  42. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 軌道修正を次官にやれと言ってもそれは無理だと私は思っております。だけれども、そういう特殊な場所というのは全国どこにもあるわけです。しかも、この再編対策趣旨に合うようにしてやるとするならば、そういうめちゃくちゃなところは一部修正を三年間にこだわらずにやる必要があるのじゃないか、こういうことを言っておるわけなんであって、軌道修正を全面的にやりなさいということを言っているわけじゃないのです。そういう一部修正というのは、ことしの実績、経験を踏まえて来年検討するというくらいのことはやはりあってしかるべきじゃないか。要するに、みんなそれなりに日本農業のことを考えながら言っているわけなんですから、一方通行で聞く耳を持たないというようなことでは困るじゃないか、こういうことを私は申し上げているわけです。その点はどうなんでしょうか。
  43. 今井勇

    今井政府委員 そのために、われわれとしては、県に配分をいたしましたときには、先ほど局長が答弁いたしましたように、いろいろの条件考えて県に配分をして、それを下に流しているわけであります。知恵がどうしても出しようがないという場合には考えざるを得ないと思いますが、まずひとつ生産者の方々もわれわれも知恵を出し合って第一段階を乗り越えよう、こう考えております。万難を排して、やる手がなければ先生のおっしゃるようにわれわれとしても考えることは不可能ではないと思いますが、それはあくまでも最後の手段であろうと思います。
  44. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 ペナルティー問題が予第委員会で問題になりまして、三月、次官通達の出し直しをやったわけであります。しかし、その文章を見ますと、依然として、ことし未達成の場合においては来年面積の上乗せをする、こういうことになると思いますし、実際今度の実施要綱を見ましても、上乗せをやるということになっておりますから、面積の上においては依然としてペナルティーはなくなっていない、こういうぐあいに見るわけなんです。それだけでなしに、今度は四月六日の事務次官通達、五三企第一三〇号「水田利用再編の促進のための各種事業等の積極的活用について」というので、「次に掲げる事業については、転作を実施する農業者等の要請に応えて転作作物農業経営における定着化に資するよう、新規地区の採択及び継続地区等への予算配分に際しては、原則として、水田利用再編対策による鞍作の目標が達成されている市町村又は転作の目標の達成がその事業の実施により確実と認められる市町村の要請に優先的に配慮するものとする。」こういう通達が出ているわけなんであります。  つまり、こうなりますと、農林省の方といたしましては、いま私が申し上げましたように、湿田地帯転作条件が全然ないといって大変困っているところの市町村がたくさんあるわけです。そういう市町村は、政府の目標を達成しなかったために国の予算の配分を受けることができない。これは転作面積の倍以上のペナルティーだと私は思います。しかもこの中にあるのは、(1)から(9)まではどこの市町村でも、水田地帯であろうと畑作地帯であろうと、どこの地帯であっても必要な事業であるわけであります。(1)といたしましては「ほ場整備事業及びこれに準ずる事業」、二番目としては「補助かんがい排水事業」、三番目としては「農道整備事業」、こういうぐあいにずっとなっておりまして、七番目あたりになりますと、「農村総合整備モデル事業」「地域農政特別対策事業」「山村地域農林漁業特別対策緊急補足整備事業」なんという、こういう事業というのは、これは別に水田地帯であろうと畑作地帯であろうと、関係なしにやってもらわなければならぬところの事業であるわけなんであります。そういう事業というものを予算の上で区別をつけるというのは、その転作面積のペナルティー以上のペナルティーであろうと私は思いますし、行政公平の原則からして、やはりこれは大きな間違いなんじゃないか、こういうぐあいに思うわけなんでありますが、この点はどうお考えになりますか。
  45. 松本作衞

    ○松本(作)政府委員 ただいま御指摘ございましたように、農林省といたしましては、四月六日の次官通達をもちまして、水田利用再編対策を促進するために必要な行政上の措置について通達を発したところでございますが、従来何遍か御議論されておりますように、この水田利用再編対策は、わが国の農業の新しい方向を打ち出すということでございまして、非常に重要な仕事でございますし、農林行政総力を挙げてこの事業の目的達成のために努力をしていかなければならない性質のものであるというふうに考えておるわけでございます。  水田利用再編対策につきましては、ただいま先生からもいろいろ御指摘ございましたように、非常に困難な事情がございます。私どもといたしましては、ぜひその困難な事情を一日も早く乗り切っていかなければならないと考えておるわけでございまして、そのために必要な水田利用画編のための奨励金でございますとか、水田利用特別対策事業でございますとかいうような形で直接的な事業もいたしておりますが、さらに農林予算全般にわたりまして、この目標達成のために効果的な運用というものを考えていく必要があるのではないかと思っておるわけでございます。  そういうふうな趣旨からいたしまして、先ほど御質問がございましたような内容の通達を出したわけでございまして、決してこれによってペナルティーとかいうようなことではなく、むしろ水田利用再編対策の事業を促進するために、優先的にその事業と関連のある性格の予算を重点的に使っていくという、農林省の予算運用全体の問題ということで取り上げた次第でございます。
  46. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 十番から十一、ずっとこういきますが、これは、たとえば十番は、果樹生産振興対策事業あるいはまた十一番が花卉生産、十二番が特産畑作振興、それから十三がてん菜、十四がサトウキビ、十五が養蚕、十六が大豆、十七も大豆、十八がなたね、十九が麦、それから二十一が畜産、二十二が養鶏、二十三がえさ、二十四が野菜、こういうぐあいになっておりますから、こういう問題は、確かに転作をやったところ、市町村に優先的にやった方がいいじゃないかというところの理屈は私ば成り立つと思うのです。だけれども、農道整備がなんで水田に必要でないのですか。農道整備というものは、畑であろうとたんぼであろうと必要なんじゃないですか。だから、私はこの委員会だけではないと思いますよ。これは大きな問題にしなければならぬと思います。とにかく転作面積の問題ですら国会の予算委員会であれだけ大きな問題になったのですよ。それが今度予算執行に当たって、転作を達成したところの町村と達成しないところの町村にこういう不公平な差別をつけるということは、私はやはり農林行政を進める上において非常に問題があると思います。こういう点、政務次官はどうお考えになりますか。
  47. 今井勇

    今井政府委員 これは官房長がお答えしたとおりで、われわれとしては今回の転作事業、これを強力に推進をしていこう、それはあくまでも先ほど申し上げたように生産者の方々との話し合いでいこうじゃないか、それを助成をしていこうというのですから、当然のことだと思います。
  48. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 助成をするのは一向差し支えないですよ。差し支えないけれども、差をつけるのは一体どういうことだというのですよ。しかも、どこの農村地帯でも当然必要なそういう予算に差をつけるという必要はないじゃないか。それはやはりペナルティーではないですか。
  49. 今井勇

    今井政府委員 これは、転作全国にやっていただくのでありまして、しかもそれを話し合いでやっていこうというのですから、私どもはこの転作というものが全国浦々浦々できるものという前提で考えておりますから、そのようなことになるわけであります。
  50. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 だから、先ほどから私は強調しておりますように、不可能な場所もあるんだというのです。だから、要するに目標達成できないところがあるじゃないか。では、できないところは予算をもらうわけにいかないのか、こういうことになるじゃないかというのです。それはそれなりのやはり条件条件であるから転作はできないところなんですよ。それをどうして差別をつけなければならぬか、こういうことなんで、次官の言うように全国全部できるものと考えておられても、要するにそういう状態が出てきているわけですから、だから優先的にどうするなんというところの通達を出すということ自体、問題があるのじゃないか。もちろん、畑作とか果樹だとか養鶏だとかえさだとかそういうものを優先的にやるということであれば、これは話はわからぬわけではありません。だけれども、(1)から(9)までのものはどこの農村地帯においても必要なものを、そのような差をつけるということは不公平なのではないか。やはり行政というものは公平にやっていかなければならぬじゃないか、こういうぐあいに指摘申し上げておるわけなんです。どうでしょうか。
  51. 今井勇

    今井政府委員 先ほどから何遍も御答弁申し上げますが、不可能なことを強制するというわけには当然まいりませんし、私は不可能というのを皆さんが知恵を出し合って可能にする、しかも県の枠というのはその県の中で達成できればいいというふうに考えているわけで、どこの町村のどこで皆同じように分けなければならぬというふうに必ずしも言ってないわけでありますから、そこが私はよくわからないのでございまして、そのできないところをできないようなりに考えて県の中の配分をしていただくというのが当然だと思いますし、それがまた食管会計を堅持していくための皆さん方の努力であり知恵だ、私はそのように理解しておりますから、先ほどから同様な答弁を繰り返すわけでございます。
  52. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 時間がありませんので、またの機会にこの問題は質問していきたいと思います。  時間がもう大分過ぎておりますので、次官にちょっとお聞きいたしたいわけでありますけれども、実はいま米の価格決定の時期に来ているわけであります。それで御答弁の中に、生産調整というのは食管制度を守るためにどうしてもやっていかなければならないのだ、こういう御答弁があったわけでありますけれども、次官の考えておられるところの食管制度というのはどういう仕組みが食管制度なのか、それをまずお伺いしたいと思うわけであります。
  53. 今井勇

    今井政府委員 国民の食糧を安定的に、しかも皆さんに御心配なく供給しよう、そういうために生産者と消費者とそれぞれ保護しようということであります。
  54. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 食管法は昭和十七年に制定されているわけですね。そのときにおきましては、たしか当時の湯河長官ですか、答弁に立ちましていろいろな質問に答えまして、つまり、米を専売品的な立場で政府が直接管理していくんだ、こう答弁でしたか提案理由の説明でしたか、あるわけであります。それは次官おわかりだと思います。いままで食管制度というのは、一つ政府以外の者に生産者は米穀の売り渡しをやってはならない、それから二番目といたしましては、生産者の価格というのは第三条に決められておりまして、再生産確保を前提にしてやれ、それから消費者の場合におきましては家計安定というものを旨として考えていこう、そういうことでありますから、生産者の米価というものと消費者の米価は、発想の次元が違っておりますので、おのずとそこに開きが出てくるのは当然であります。その場合においては一般会計から補てんをして国民の経済の安定に資する、そして米というのは直接的な政府の管理で運営をやっていく、こういうことだと思いますが、違いがあるでしょうか、どうでしょうか。次官に聞きたいわけなんです。長官、私は次官に聞いているのですから……。
  55. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 法律の解釈のような問題でありますので、私から答弁させていただきたいと思います。  ただいまお述べいただきました食管制度の基本といいますか、根幹とは何だということにかかわる御質問でございますけれども、確かに昭和十七年に食管法ができました際には、当時の戦時中の食糧不足時代において、一般消費君、国民にいかに公平に主食食糧である米麦を配給するかということが重点で制度ができておるわけであります。その後需給事情の変化に伴いまして運用も弾力化され、一部もちろん法律の改正も行われておりますが、御承知のような需給事情になっておるわけでございます。  したがいまして、食管制度の成立当時の考え方と現在の考え方といいますのは、先ほど政務次官からお答えいたしましたような、国民食糧を安定的に確保して国民経済の安定を図るという基本的な目標、それにのっとりまして価格なり需給の調整をし、適正な配給統制をしていくという基本、根幹は変わっておりませんけれども、具体的な運用につきましてはかなり弾力的な運用になってきておることは御承知のとおりかと存じます。  そこで、先生いまおっしゃいました、生産されました米の、特に流通するものにつきましては全量政府が買い入れるということにつきましては、発足当時は不足時代でございましたからそのような運用がなされておることは御指摘のとおりでございますけれども、現段階におきましては需給が緩和いたしまして、消費者も品質に対します選好が量よりもはるかに強くなってきているという中で、御承知のような自主流通米というような政府を通さない流通もいたしておるわけでございますので、運用の実態につきましては根幹の範囲内において弾力化されてきておるというふうに御理解をいただきたいと思うわけでございます。  なお、価格の決定につきまして御指摘いただきましたけれども生産価格は、法律にありますように、生産費、物価その他の経済事情を参酌して再生産確保を旨として、売り渡し価格につきましては、家計費、物価その他の経済事情を参酌して家計を安定せしむることを旨としてというような規定になっておりますので、今後もそのような基本的な考えに基づきまして決定をしてまいりたいというふうに考えております。
  56. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 食管の根幹というのは、何だかさっぱり私はわかりませんけれども国民生活の安定という、それが食管の根幹だなんというのは私は初めて聞くわけでありまして、食管の根幹というのは、私たちは私たちなりに、さっき申し上げましたものが食管の根幹だと思っているわけです。大分解釈の方法も変わってきたようでありますけれども……。  そこで聞きますけれども、たとえばいま日本経済新聞なんか見ますと、ときどき自由米の相場欄に相場が載っております。それから主婦連の方で調査をいたしました、消費者はどんな米を食べているかという結果が出ております。これは七百六十一人から回答をもらったわけですが、それによりますと、標準米を食べているのが二一・七%だというのですね。それから銘柄米が三百六十二・軒、四五・九%。価格は十キロ最低千八百円、最高四千九百円、そして最もよく食べているところの価格が四千三百円、こうなっておるわけであります。それから食糧庁の方でもモニターを使って調査をやっておられるわけでありますが、標準米が三二・七%となっております。いずれにいたしましても、政府が標準米というふうに決めている価格指導価格ですか、十キロ三千円ですか、その三千円からはるかに上回ったところの米を食べているというのが消費者の実態であります。  それから生産者の場合においては、これはあなたの方ではっきりした数字を持っておられると思いますけれども、銘柄米、自主流通米、これは全体の販売高の三割程度ではないかと私は思うのです。大体六割くらいのものが政府米になっているのではないか、こういうふうに考えられるわけでありますが、そうすると政府の米、六〇%、それが標準米になるはずであります。ところが、今度消費者の立場からいきますと、いわゆる自主流通米ですか、その量が逆によけいになってくる。これは買うときにおいては自主流通米の方が二分の一の量で買われていっているわけであります。消費者が買う場合においては、逆に政府米よりも自主流通米の量というものがよけいになっていくということになると、一体これはどうなっているのか、これでも食管制度の根幹というのがちゃんと守られているのかどうかという疑問に実はぶつかるわけなんです。こういう点はどうお考えになっているかという問題をはっきりしてもらいたいと思います。  それからもう一つの問題は、長官も申されましたように、生産価格というのと消費者価格というのは決める発想の次元が違っている、これは私と同じ考え方なんです。そこで、それを無理して売買逆ざやの解消ということで、五十一年から五カ年間で逆ざや解消をやろう、こういう計画が進められてまいりました。きのうの日本経済新聞を見ますと、ことしの米価を決めるに当たりまして大蔵省と農林省いろいろ協議をしておられるようでありますが、逆ざやの解消をやろうということではほぼ一致しました。それで問題は、方法としては生産者米価を抑えて消費者米価いわゆる売り渡し米価を引き上げる方法というものと、生産者米価も上げ消費者米価も上げて、そして上げ幅をうんと消費者の方はよけいにして縮小していくという方法、これはまだ詰まっていないというような記事も載っているわけであります。でありますから、発想というか、決めるところの考え方そのものが次元が違っているわけですから、いまのこの食管制度ということでありますならば、二重価格というものがこれは当然あってしかるべきなんでありまして、ない方がむしろ不自然だ、こう私は思うわけでありますが、それを、逆ざや解消五カ年計画ということで人為的に行われることになりますと、農民の側から見ますならば、これはどうも米価を抑えるのではないか、政治的に抑えるのではないかという考え方を持つのは当然だと思うわけであります。そういうものと食管というのはどうなのか、その辺もあわせて御答弁を願いたいと思います。
  57. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 二点のお尋ねでございますが、まず最初の自主流通米の政府の売却、これは実は政府は通らないわけですが、政府の計画に基づいて供給をさしておるわけでございます。これと現実の上米との関係が整合しないのではないかという趣旨の御質問だったと思いますが、五十三米穀年度、これは五十二年の十一月から一カ年間でございますが、これは計画でございますので、今後実行上ある程度の異同があることは当然予想しなければいけませんけれども、一応現段階で私ども考えておりますのは、自主流通米は百七十万トン、流通量の中で約二四%のウエートを占めるということで計画をしておるわけでございます。なお、政府米はその場合は四百八十万トン余り、さらに超過米がことしは六十六万トンくらいというのが別途流通を正規の形でするわけでございます。  そこで、それに対応します配給面の精米につきましては、上米、中米、並米——並米は標準価格米という言葉も使っております。それから特用上米、特用米、大体特用上米以下は非常に比率が少ないものですから、これを除きますと大きく言えば三つ、県によりましては四つになっておるところもございますが、上米は自主流通米をもって構成するというようなことを原則として指導をしておるわけでございますが、五十二年度の数字で申しますと二八%という数字全国的な私ども調査で出ておるわけでございます。先ほど五十三米穀年度で申しましたのでこれを五十三米穀年度で見ますと、二七%の自主流通米の流通を計画的にさせたわけでございます。二七%と二八%ということでございますので、一%差はございますけれども、これは抽出調査でございますので、おおむね、私ども指導し期待しておる線で自主流通米が流れ、小売段階でもそれが上米という形で流通をしておるのではないかというふうに考えております。  御承知のように、小売価格につきましては現在統制も外しております。標準価格米、先ほど並米とも申しましたけれども、これにつきましては、御指摘のように東京のような場合には三千円という指導価格を行政指導によって設けまして指導しておるわけでございますが、上米、中米につきましても、完全に野放し——法律的には野放しになっておりますけれども、行政指導といたしましては標準価格米のような指導価格は設けておりませんが、原料の構成あるいは需給等を見ながら、極端に上がるようなことのないように監視を続け、必要な指導をし、場合によっては勧告をするというようなことを現にやって、価格の面と品質の面で適正に流通するように努力をいたしておるところでございます。  それから次に、価格問題につきましてのお尋ねでございますが、生産価格と消費者価格は、私、先ほど法律の文言を用いて御説明したような規定になっておるわけでございますが、これは完全に切り離して決めるということでは必ずしもない、物価その他経済事情を参酌してというような面では両者関連する面もございます。私どもはそういうような理解をいたしておるわけでございます。  そこで、逆ざや解消問題に関連をいたしまして、昨日、日本経済新聞ですか御指摘のような記事がございましたが、先生御案内のように、米価といいますのは昨年の生産調査に最近の物価、例年だと五月までの物価を用いて物価修正をしながら算定をしていくものでございますので、それらのデータが現在全く出ておりません。そういう段階で、具体的な財政当局との折衝もしておりません。その意味で、あの記事ははなはだ遺憾な記事だと私どもは思っております。したがいまして、大蔵省と折衝が進んで、あのような議論を始めておるというようなことは全くございません。はっきり申し上げておきます。  そこで、しからば逆ざや是正をどう考えていくのか。本来逆ざや是正を人為的、機械的にやるべきものではない、あれはあっていいのだというような御趣旨の御質問だったと思いますけれども、私どもは逆ざや是正をおおむね五カ年間を目途に解消するということを五十一年産米から政府といたしまして決めて進めてまいりました。あと三年残っておるわけでございます。しかし、これはおおむね五年間ということで、必ずしも五年だということも言っておりませんし、あと三年残っているから、機械的に三分の一ずつやるということまで決めておるわけではございませんので、今後米価を検討する際に、これから種々検討をしなければいけないと思っておりますが、基本的にはやはり現在なお売買逆ざや一ちょっと申し落としましたが、逆ざや是正という場合に、いろいろ、コスト逆ざやとか売買逆ざや、末端逆ざやとございますが、私ども申し上げているのは、政府としては売買逆ざやを是正するということでございますが、売買逆ざやが二千四百六十一円ございます。     〔委員長退席山崎(平)委員長代理着席〕 これは価格の姿といたしまして、やはり買売逆ざやがあるということは、健全な運営という面その他流通の秩序を守るという面その他考えまして適当ではないという考え方に立って、解消を段階的に図っていくということにしておるわけでございますが、基本的にはそのようなことが必要であるという考えに立ちながら、また物価だとか消費だとかそういうものを総合的に勘案をして今後詰めていかなければならないというふうに考えております。
  58. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 売買逆ざやの問題を私も言っておりますので、二千四百六十一円出ていることは御説のとおりなんでありますけれども、これを解消するという話し合いは大蔵省と農林省ではやっておらぬ。そうすると、新聞の記事というのはでたらめですな。
  59. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、五十一年産の米価を決めます際に、政府といたしましておおむね五年間を目途に売買逆ざやを解消するという方針は決めております。ただ、ことしの問題といたしまして、幾らどうするかということは、まだ議論の段階に入っておらないし、大蔵省と私ども——私どもの腹固めももちろんまだデータのないときにできませんし、大蔵省との折衝はいわんや始まっておらないということを申し上げているわけです。
  60. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 それじゃ、話し合いはおやりになったわけでしょう。話し合いはやったけれども、具体的な数字はまだ詰めておらぬ、こういうお話ですね。
  61. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 少なくとも私の段階で話し合いはしておりません。
  62. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 いやいや、農林省と大蔵省の……。
  63. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 そのような具体的な話はしておらないはずでございます。私どもの下で具体的な話を始めろと私は言っておりませんので、そのような話し合いはしておらないと思います。
  64. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 いま消費者の価格の問題を出しましたけれども、これも農林省から聞いたわけなんでありますが、いま長官の方から御答弁がございました。  そこで、四千円以上のものが大部分であるということになりますと、四千六百円ですか、これが大方を占めている、そういう調査になっておりますと、三千円というところの指導価格というものは指導価格の役割りを果たしておらぬ。だから、直接関与ということが食管の根幹だと私言いましたけれども、その根幹がすでに崩れているじゃないか。  それから、これも聞きましたのですけれども、米の種類は表示の届け出をやることになっているそうでありますけれども、受理をされているところの表示が四万五千三百、こういういろいろな種類の米がはんらんしているということになりますと、食管の根幹というのは、生産者の米、消費者の米というものをいずれも直接的に政府が関与していく、だから、法律的に物統令なんか除外しましたからなくなったり何かしておりますので、今度は行政指導でやっていくということになると思うのですけれども、その行政指導さえ行き届いていない、こういう状態じゃないですか。  そうだとしますと、さっきから生産調整と食管ということを盛んに言われますけれども、何のために食管を政府は守れと言っているんだという疑問が出てくるのは当然なんじゃないですか。この点はっきりしてもらいたいと思います。  それからことしの米価の問題につきまして大蔵省と農林省はまだ具体的な話し合いはやっておらない、こう言っておられるわけなんでありますが、それじゃ農林省考え方を聞きたいと思います。  生産調整、これは需給の調整ですね。要するに、余るんだから減らしてちょうどいいあんばいにしていこうというのが生産調整だと思うのですね。そうすると、ことしの生産者米価を決めるに当たりましては、需給事情というものは全然考えないで米価を考えていこう、こういうお考えなのであるかどうか、その点はっきりしてもらいたいと思います。
  65. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 二点のお尋ねでございますが、まず最初の消費者価格が確かに、主婦連の調査、御指摘のように非常にばらばらであって統一がないということはそのとおりでございます。したがって、先生はそれを、価格をもっと統制をしてきちっと決めるべきではないか、こういう御趣旨かと思いますが、最近の食糧の需給の事情が非常に緩和してまいりまして、消費者の選好も量よりは品質に向かい、品質に応じた価格形成を行っていくことが望ましいというような考え方で、四十七年以来物統令の対象からも外しまして、現在は法律上は自由な小売価格を決めていいということになっておるわけでございます。私どもといたしましては、ただ、主要食糧のことでございますので、コストから見て著しく上がるということは、家計を圧迫することになりますし、また、中身と価格がバランスがとれないということでは、米に対する消費者の迷惑はもちろんのことですが、信用もなくなるということもございますので、適正な販売が行われますためには、中身と表示が合っておるというようなことの指導をいたしておるわけでございます。  そこで、先ほど四万五千三百受理しておるとおっしゃいました数字は、私の方で、小袋のデザイン等の表示は、穀類を入れて売る場合には届け出をすることにしておりますが、これは私どもたしか約三万と記憶いたしております。そういう小袋詰めの場合には表示をいたしまして販売をするようにいたしておりまして、その場合も表示につきまして、義務的な必要表示事項といいますか、必ず書きなさいというのと、書いてはいけないこと、それから書く場合にはこういう書き方をしなさいというような、大きく言えば三つの部分に分けまして表示をさせるようにいたしておるわけでございます。     〔山崎(平)委員長代理退席委員長着席〕 したがいまして、品質に応じまして、ということはやはり産地、銘柄、等級等々違うわけでございますので、それらをまぜ合わせて米屋さんは販売をするわけでございます。それが米屋さんの購入量に応じ、時期により、場所によって若干の差はもちろんあるわけでございますので、それらに応じて、また、その卸売業者から小売業者が買った米のまぜ方についてもそれぞれ違うわけでございます。それに応じて価格を決めていくということは、物統令を廃止しました現段階においては、そのような品質に応じた価格が適正に形成されるならば結構なことであるということで進めておるわけでございますので、そのような需給実態、消費者の選好というものを考えますと、この段階で再び小売価格について直接的な法律に基づく統制によって画一的に決めるということは好ましくないのではないかという考えに立っておるわけでございます。  それから第二点の、生産調整需給調整の一つではないか、おっしゃるとおりで、私どもといたしましては、生産供給面から生産を減らしていくことによりまして、他方、需要拡大を図りながらバランスをさせていくという意味で需給調整をやっておるわけでございますが、それならば、ことしの転作の進捗状況、達成見込み等からすれば、需給は均衡に近いところまでいくのではないか、したがって、そういう、需給は均衡しているのだから需給事情というものを余り反映させる必要がないのではないかという御趣旨と理解したわけですが、その点につきましては、私どもは、やはり潜在生産力からすれば基本的には過剰基調である。仮に、ことし単年度、農家の非常な御努力によって生産調整が目標を達成し、バランスがとれたといたしましても、これはいろいろな政策手段をしてようやくそこまでいっておるということでございまして、基本的には過剰基調であるということは否定できないと思います。したがいまして、今後十カ年を目途にいたしまして、ことしだけではなしに、厳しい生産調整農家にもお願いをしていかざるを得ないという中で、価格をどうするかということは、やはりそういう潜在的といいますか、実質的な需給の過剰基調というものも念頭に置いて決めていくべきではないかという考えを持っておるわけでございます。
  66. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 食糧庁長官、あなたの方では、そうすると生産調整をやってパンチを加えて、それからまた米の値段を決める場合において需給事情というやつを反映させるということですか。要するに、また一はだきはたきつける、つまり往復びんたをくれるということですか。そういうことになりますね。こっちの方では米を抑えて、そして需給の均衡を図るんだと言って、そして、やや一〇〇%近いところの生産調整の達成の見込みだ、そういうときにおいて米価の決定をやるわけでしょう。その米価の決定をやるときに、今度、依然として過剰ぎみなんだということで、需給事情というやつをそこに加味することになれば、ダブルパンチとこうなるんじゃないですか。これはやはり非常に問題があるところだと私は思っております。  それから、恐らく七月に米価審議会を開かれまして、そこでお決めになるということになるわけでありますから、いまここで具体的な数字を出せと言っても、なかなか出せないというふうなお答えになると思います。でありますけれども、算定方式というものをどのようにするかという、それぐらいの考え方はもう固めておかなければ作業に入れないと思うのですが、算定方式は去年と同じような方式でおやりになるのかどうか。それが一つ。  それから、そうだといたしまするならば、これは家族労働費の場合におきましては、これはすでに五人以上千人未満賃金というものをとることになっておりますので、その基本になるのは五十二年の六月から五十三年の五月平均、こういうことになるわけでありますから、そのまた基礎になる五十一年の二月から五十三年の四月までの期間における製造工場の常用労働者の、規模五人以上三十人未満、こうずっと書かれておりまして、その加重平均、これがその前の基礎になるわけです。ですから、要するにこの基礎になる数字ぐらいはもうすでに出ているはずなんです。これは一体どの程度に出ているか。それと十アール当たりの平均収量、これも、五十年、五十一年、五十二年のそういう農家の平均収量、こうなるわけですから、これももうすでに出ているわけなんですね。それから資本利子なんというものも、ことしは利子は下がっているわけですから、しかし、それにしても自己資金と借入資金の割合、これは去年並みとこうなれば、七、三ということで出るわけですから、そういうものはどの程度になっているのかお聞かせを願いたいと思います。  それから、これは毎年言っておりますので、たしか四十二年ですかに企画管理費という、労働時間の問題でありますけれども、これを入れられたことがあるわけです。その後これは外されたわけです。統計情報部の方でこの調査がなされていない、こういうことで、去年もいろいろと各委員の方から指摘があったわけですね、当然入れるべきであると。ことしは、統計情報部の方の調査があるなしにかかわらず、これは去年注文がついているわけなんだから、それは入れるつもりであるのかどうか、この点も明らかにしてもらいたいと思います。
  67. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 種々御質問になりましたのでお答えをしたいと思いますが、まず、算定方式は去年の算定方式でやるのかという御質問が最初にあったかと思います。私どもは、これまで続けておりました生産所得補償方式というものを基本に算定をしていきたいというふうな考えは変わっておりません。これは、昨年の秋以後四月までの間、米審の懇談会におきまして算定方式について種々、要素のとり方まで含めまして御議論をお願いをいたしまして、なるべくならば共通の土俵ができるようにというようなことで御議論をいただきましたけれども、その際、生産所得補償方式で算定をするということは大方の賛意を得ましたので、その方式に従ってやっていきたいと思います。ただ、具体的な要素のとり方につきましては懇談会におきまして種々議論がございまして、何とか安定的なルールができないであろうかというような御意見、これについて全面的に反対をなさる方はないわけですが、とはいいながら、半面、物の価格でございますから、需給事情というものを反映させなければいけない。そういう意味では、安定ばかりでもだめだ。そこで、安定的な固定する部分と、それから可変部分と両方あっていいのじゃないか、その辺をどう組み合わせたらいいか、どういう要素、どういう費目を固定化させ、どういう費目は需給を反映させるために可変させるかということにつきましては、なかなか議論が一致しなくて、抽象的なところまでは大体意見が一致するように私どもは見受けましたけれども、具体的なところになりますとなかなか容易な話ではありませんので、今後引き続き検討を深める必要があるということで一応締めくくって報告をいただいた経緯がございます。そういうことを、ついででございますがつけ加えさせていただきたいと思います。  それから、算定方式の具体的なことにつきまして、五人から九百九十九人までの製造業の平均賃金に評価がえをしておるわけでございますが、これの数字がどうなっておるかという点につきましては、私どもは、米価を算定いたします場合には五月分までとることにしておりますが、五月はもちろんわかりません。現在わかっておりますのは三月ごろまででございますが、いま手元にございませんのでちょっと正確ではございませんが、たしか八%前後ではなかったか。もし誤りでしたら訂正させていただきますが、三月ごろのことでございます。その後のことはまだ出ておりません。  それから、反収についてお尋ねがございました。反収は五十二年産米の生産調査がまだ出ておりません。これは三カ年の生産調査の平均をとるということを原則としてこれまでやっておりますので、その意味で過去三カ年の平均した反収はどうであるかということは、残念ながら申し上げるだけのデータを現段階では持っておりません。  それから、資本利子につきましては、最近金利が下がっております。農協の一年定期で申し上げれば、最近は四分六厘になっておるというふうに理解をいたしております。  それから、企画管理労働の労働時間の問題、これはこれまでも種々論議の存するところでございます点は先生も御承知のとおりでございますが、企画管理労働という、たとえば資金を調達したり簿記を記帳したり、共同作業の打ち合わせをするというようなことの費用が生産費に含まれるか否か、原価性があるかどうかということは、実は学者の間でも種々論議のあるところでございます。まあ経営活動の一環であるということはもちろんだれでも認めるわけでございますけれども生産物である米を産出するための直接的な生産活動とは必ずしも言いがたいという意味で、原価性の有無につきましては議論の存するところでございまして、従来から統計情報部の生産調査におきましても原価に入れておらないということは御案内のとおりでございます。  また、企画管理労働といいますのは、その内容や態様が非常に違いますので、正確に把握するのにはなかなかむずかしい面があるということもございます。ただ、御指摘ございましたように、かって四十二年の産米決定の際でございますか、当時の逼迫した需給事情のもとにおきまして、当時統計調査部が補完調査をやりまして、政策的な配慮をした上で算入をしたという事実はもちろん御指摘のとおりあるわけでございますが、その後、需給事情は全くさま変わりをいたしておるわけでございますので、四十五年以降過剰になってからはそのような扱いをやめておるわけでございます。そういうような経緯から見まして、今日のような過剰下におきましてこれを復活するといいますか、いま言われましたようなことをやるということにつきましては、私どもは適当ではないという感じを持っております。  いずれにいたしましても具体的な検討にまだ入っておりませんので、現在の私どものこれまでの感じの見解を申し述べた次第でございます。
  68. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 これはなかなかはっきり答えるというわけにもいかぬような立場に立っておられると思いますけれども、しかし、大体賃金の面等におきましても五月分までということになっております。しかし、それはそれといたしましても、大体の趨勢というものが出ておるわけなんです。  それから、反収の面にしましても、五十二年の反収というものは大体把握ができるということになっておるわけですから三カ年の平均ということになります。それから物材費等におきましても、やはり大方の趨勢というものは出ているわけなんです。  そういうような立場に立って私聞くわけなんでありますけれども、新聞なんかでは据え置きどころの話か、引き下げというものもあるんじゃないかという話も出ております。農民の場合においては、新生産調整を強要されてその上米価も上がらぬということになっては大変なことじゃないかという、そういう一つの不安というものを持っているわけなんであります。  そういう点からいって、どんずばり概括的にあれすると、ことしは米価は上がるのですか、上がらぬのですか、去年の計算方式からいって。賃金は八%上がっているでしょう。割り算なんですから、問題は。要するに反収の面というのが、分母の方がどうなるかという問題だと思います。そういう点からして一体どうなるのか。それは米価審議会を経なければ決まらないなんというものではないのであって、大体こんなものになるんじゃないかぐらいのことはここではっきりしても差し支えないのじゃないかと思うのですよ。しかしそれは、その後修正が加えられたりあるいはいろいろな意見を聞いて正式な決定ということが行われるわけでありますから、正式な決定の話をあなたにせいということを言っているわけじゃない。ただ資料はもう大体出ている。五月分まででこうなる、しかしそれはまだ出てない。しかし、いままで出そろったところの資料からいくとどういう変化が出てくるのか、この点ひとつ明らかにしてもらいたいと思うのです。
  69. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 先ほどもお答えしましたように、昨年の生産調査というのはやはり重要なデータの一つでございます。それが出ておりませんし、御承知のように、過去三年をとります場合の五十一年というのは不作の年でございます。昨年は非常な豊作の年であるというようなことでございますので、そのほかのデータもございますけれども、それらのデータが出なければ、数字的に何とも申し上げるような段階ではないわけでございます。大事な関心の非常に強い問題であるだけに、軽々な憶測は私どもとしてもやるべきではないと思いますし、私どもといたしましては、現段階では、先ほど来申し上げておりますような需給事情というものを十分念頭に置いた価格決定をしていかなければならないのではないかというような感じを持っておりますけれども、具体的な取り扱いにつきましてまだ何ら決めてはおりません。
  70. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 大蔵省あるいは文部省、いろいろな方から来てもらっておりますので、時間があればもっと質問する予定でありましたけれども、きょうは二時間というふうに決まっておりますので、これで終わります。私、新生産調整の問題についてはいろいろと注文をつけておりますので、政務次官の方から、そういう点はひとつ三年と言わずに、いろいろと問題点があるならば、その矛盾点を解決つけるという努力をしていただきたいということと、これから米価の時期に入りますので、きょうはこの程度で終わりますけれども、また六月からこの委員会におきまして米価問題に対する質疑をやりたいと思いますので、長官、なるべく資料を、現段階であるならば現段階なりの資料を提出してもらって、そしてこの国会の場におきましても全体の議論ができるような配慮をしてもらいたい、これを注文としてつけておきます。  そういうことで、きょうの質問はこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。
  71. 中尾栄一

    中尾委員長 この際、午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時三十九分休憩      ————◇—————     午後二時七分開議
  72. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。野坂浩賢君。
  73. 野坂浩賢

    ○野坂委員 最初に外務省の方にお尋ねをしたいと思うのでありますが、わが国の島根県に所属をする隠岐島、御存じだと思いますが、隠岐島から約百五十七キロメートル前方の日本海の真ん中にありますが、竹島というのがあります。これは、いろいろと言われておりますが、わが日本国の固有の領土だ、こういうふうに私どもは判断をし確認をしておりますが、外務省は、そのとおりである、こういうふうに確認をしていただけますか。
  74. 三宅和助

    ○三宅政府委員 外務省といたしましても、同様な認識でございまして、これは歴史的にも国際法的にも、日本の固有の領土であると考えております。
  75. 野坂浩賢

    ○野坂委員 固有の領土であります竹島の現状は、今日どのようになっておるのか、お伺いをしたい。
  76. 三宅和助

    ○三宅政府委員 残念ながら韓国側が不法占拠をしておりまして、具体的に申しますと、昨年の八月、海上保安庁が実施した巡視船の結果によりますと、十三名ぐらいの韓国人が目撃されております。また、灯台とか宿舎、見張り所、無線アンテナ等が設置されております。そういう意味におきまして、不法に占拠されておるというのが実情でございます。
  77. 野坂浩賢

    ○野坂委員 不法に占拠をしておる韓国側に対して、外務省はどのように対応してまいりましたか。また、抗議をし、対応し、措置してきたか、何回ぐらいそういうことをやってきたのか。
  78. 三宅和助

    ○三宅政府委員 これは先生御承知のように、李承晩ラインが一九五二年引かれまして、それ以来向こうが不法占拠し始めたということでございまして、その都度すでに五十回に及ぶ抗議、これは口頭なり文書、場合によりましては、日本の領土であるということを明白にした文書を先方に渡しまして、厳重に抗議しております。
  79. 野坂浩賢

    ○野坂委員 厳重に抗議をして、どうような効果があったのでございますか。
  80. 三宅和助

    ○三宅政府委員 残念ながら、先方はまだ、特に日本側といたしましては、一九六五年の紛争の解決に関する交換公文というのがございまして、まず、紛争がある場合には外交交渉によって何とかして解決する、これができない場合には両国政府で合意する手続で調停に付するということで、日本がまず話し合いをしようじゃないかということを申し上げておりますし、現に一九五四年には国際司法裁判所にもかけようということを提案したわけでございますが、残念ながら先方はこれに応じてないということで、われわれの抗議その他のいろいろなことに対して先方は応じてこないということで、はなはだ遺憾でございますが、そういう実情にございます。
  81. 野坂浩賢

    ○野坂委員 今日までは何の効果もなかったということですか。  で、ついでに申し上げますと、五月の九日に、これから質問に入ります私どもの漁民からの電報によりますと、第三孝丸というのですが、「昨年と違って灯台もついており建物も大きいものが二つほど建っている」、こういうふうに電文で流しております。去年よりもまた——あそこには東島、西島というのがありますね。あそこには灯台、見張り所、宿舎、銃座がまた一基新設をされておる、東島には。そういう現状で、五十回も抗議をして一体何の反応もない。やるすべがないのか。どういう回答があったのか、そういう文書回答のときには。そのことを詳しく述べていただきたい、こう思うのです。
  82. 三宅和助

    ○三宅政府委員 韓国側は韓国側で自分たちの固有の領土であるということで、彼らなりの歴史的な証拠その他の理論的な紙を日本側に出したわけでございます。それに対しまして日本側は、一一、これはいかに当たらないかということで反駁しております。  先生御指摘のとおり実際問題として事実関係が積み上げられてきたということは、われわれとして非常に遺憾に思っております。何回も抗議もし、また紛争問題に対して平和的解決で努力しようということでいままでやってまいったわけですが、遺憾ながらまだ効果を出していない、これまた事実でございます。われわれといたしましては、何とかして今後とも閣僚会議の際に取り上げるなどいたしまして、まず先方を話し合いに出させたい、そうすることによって日本の主張を貫くべく努力してまいりたい、こう考えております。
  83. 野坂浩賢

    ○野坂委員 定期閣僚会議の議題として十分論議をしたいということですが、去年の春に鳥取、島根両県の漁業代表者あるいは議会の皆さんが福田総理にお会いしたときに、この竹島問題は非常に重要であるから九月に開かれる定期閣僚会議で取り上げる、こうおっしゃった。しかし、現実にやらなかった。鳩山外務大臣が何か後ろの方でこそこそ話をして、それで終わった。正式の議題になったことが何回ありますか。一回もないでしょう。だから、どういう対応をしているのか。何もやっていないということと同じで、しかも、韓国は施政権を及ばして、十三名も十五名も現実にあの島を占領しておる。これが不法占拠であれば、昭和四十年の十二月十八日ですか、その交換公文の中にも、紛争状態のある場合については外交を通じて十分話し合う、こういうことになっておるのじゃないですか。それをなぜ定期閣僚会議等で議題にしなかったか、その理由を聞きたい。
  84. 三宅和助

    ○三宅政府委員 実は昨年の九月の際にも、鳩山外務大臣の方から、本件は紛争解決に関する交換公文に従いましてこの問題を話し合いたいということを申し入れたわけでございますが、残念ながら、向こうはこの話し合いに応じないという態度であったわけでございます。  それから、正式議題にしなかったではないかという御質問でございますが、正式議題にするしないということは両国間のこれまた合意事項でございます。その当時非常にむずかしいということで、いずれにせよ、定期閣僚会議の際に相当強く鳩山外務大臣の方から本件を申し入れた。残念ながら、先方はこれに対して話し合いに応ずる機運になかった、これまた事実で、はなはだ遺憾ではございますが、そういう実情であったわけでございます。
  85. 野坂浩賢

    ○野坂委員 この間私どもは、十三日でありましたか、園田外務大臣とお会いしたときに、あなたも同席されておったと思うのですが、この間三月二日の内閣委員会でも同僚議員の質問に答えて園田外務大臣は、一度はぴちっと話をつけなければならぬ、腹を持ってやります。こういうお話をしておられましたね。あなたも聞いておられましたですね。これについて、九月の定期閣僚会議にはきちんとやはりのるというふうにわれわれは受け取ってもいいのか。相手がだめだ、こういうことであれば、いつまでたっても何も進展しないで、実績というものが積み重ねられる、それに日本政府は手をこまねいておる、結果はそういうことにしかなりません。そのときには、これは政治的な課題であなたから御答弁いただけるかどうかわかりませんが、たとえば韓国に対してわが国の経済援助というものは今日までおびただしいですね、こういうものも打ち切る、こういう決意で臨まない限り、定期閣僚会議の正式議題あるいは具体的な進展というものは図れないではないか。交換公文は死滅をし消滅をするというような実態ではないか。このことを生かしていくためには、そういう経済援助の問題までも取り上げて、一度はぴちっとやったらどうか。日本政府の弱腰に国民は悲憤慷慨をしておるというのが今日の実情である。そういう認識の上に立ってどのようにお考えでしょうか。
  86. 三宅和助

    ○三宅政府委員 この問題につきましては、先生すでに御指摘のとおりでございまして、園田外務大臣は、今回の閣僚会議の際には腹を決めてきちっとした態度で臨みたいということを、繰り返し国会答弁の場でもまたそれ以外の場でも強調をしておられます。では、いかなる方策でどうするかということは、今後慎重にわれわれとしましても検討してまいりたい、こう考えております。
  87. 野坂浩賢

    ○野坂委員 御本人に聞けばいいのですけれども、きょうは日韓大陸棚協定の問題等で参議院にいらっしゃっておりますから、お呼びすることができなくて非常に残念でありますが、腹を決めてぴちっとした決め事をやりたいという意味は、経済援助等を打ち切るという最悪の場合も考えておるというふうに考えてもよろしゅうございますか。
  88. 三宅和助

    ○三宅政府委員 きちっとした決意で臨みたい、実際にはどういう方法でどういうことでやるか今後検討してまいりたいと思いまして、この席で私から申し上げるわけにはまいらない。ただ、しっかり今度はやりたいということは、園田外務大臣が繰り返し申し上げているということでございます。
  89. 野坂浩賢

    ○野坂委員 日韓の定期閣僚会議の正式の議題になるというふうに私たち考えてよろしゅうございますか。
  90. 三宅和助

    ○三宅政府委員 すでに申し上げましたように、正式の議題にするかどうかは先方との合意事項でございますので、大臣といたしましてはそう努力していきたいということを答弁したことがございます。そう私たちは理解しております。
  91. 野坂浩賢

    ○野坂委員 まああなたから、さらに追及をして答弁を引き出すといっても、なかなかあなたも答えにくい面があろうと思うのです。その点はよく理解しておるのですが、たとえばいま参議院で問題になり、自由民主党の皆さんが会期延長してまでも通そうとしている日韓大陸棚協定の問題にしても、たとえば日本側が経済水域二百海里の線を引けばあの共同開発区域というものは日本にすっぽり入ってくる。いわゆる国益を守れる。しかも、あの共同開発区域というのは、御案内のように、大陸棚と中間線と話し合いをして共同開発区域というものが設定をされている、そういう事態ですね。それでも日本がいつでも譲歩している。これについても韓国には経済援助もする、竹島は占拠される、それも遠くの方で不法だ不法だと言っておって、日本国民にさえ聞こえない、こういうことでは政府の信頼が、われわれ地元漁民は特に非常にこの問題については不信感を持っているわけですから、早急に解決をされて紛争処理をしていただくようにお願いをしておきます。特にそこに座っている自民党の皆さんも、一番重要なことでありますから十分御配慮をいただくように申し上げておきます。  さらに、いま固有の領土であるということは確認をしていただいたわけでありますが、この周辺で私どもの県、私は鳥取県でありますが、隣の島根県あるいは遠く福岡県、北陸の方からもイカ釣り、カニかご漁業がやられておるというのは御案内のとおりであります。いまイカ釣りというのは五月一日から二月の二十八日、九日までであります。三月と四月は休むわけでありますけれども、最高の漁獲期というのは五月、六月、そして八月と九月ということになっておるわけであります。そこで、わが国の固有の領土であるということは日本国民知らざる者ありませんからここで魚をとっております。イカ釣りもやり、あるいはカニかごもやる。そして、カニかごは竹島から約六海里離れたところにかごを埋めております。下に沈めておるわけですから、そこは六海里の地点ですね。そういうところで島根県の漁民の皆さんはやっておる。この五月八日、九日に韓国の、漁民の皆さんは軍艦と呼んでおりますけれども、電報ではそう入っておりますが、あるいは警備艇に、ヘリコプターで日本漁船は十二海里の外に出るように警告をしております。銃座を向けられるわけでありますから漁民は出ざるを得なかった。  これについては外務省なり水産庁、あるいは農林省政務次官もおいででありますが、どのように対応されたのか、お伺いをしたいと思います。
  92. 三宅和助

    ○三宅政府委員 まず、七日の夜からそういう報道が入りまして、八日の日に在韓国の古川公使が先方の河外務部審議官と会ったわけでございます。先方は、当然ながら向こうの立場からいくと韓国の固有の領土である、領海侵犯であるということを言って抗議をしたわけでありますし、日本側から見れば、これは日本の固有の領土であって、そこに領海の中で操業するということには何ら不思議はない、むしろ抗議することを抗議したいということで厳重に抗議したというやりとりがあったわけでございます。  それから、その後いろいろと経過がございまして、そのたびに先方は先方、こちらはこちらの立場をいろいろなレベルで述べ合って抗議もしております。  現実問題といたしまして、いま先生御指摘のとおりの領有権問題は領有権、お互いの立場が違いますが、とりあえず魚の安全操業の問題というものは焦眉の急でございます。私たちといたしましても何とか安全操業を確保すべく先方といろいろと努力しているという最中でございまして、ある程度明るい好転の兆しも見えつつあるわけでございます。今後とも大いに努力してまいりたいということでございます。
  93. 野坂浩賢

    ○野坂委員 努力してもらうのはあたりまえのことでありますが、韓国側が四月三十日に領海法を決定をして、四月三十日以降そういうことになるであろうということは、外務省なり水産庁はよく知っておった、こういうふうに思うのでありますが、外務省なり水産庁はそういう韓国の動きを承知をしておったかどうか、聞きたいと思います。
  94. 三宅和助

    ○三宅政府委員 韓国の領海法はすでに昨年の十二月の十六日に国会を通っておりまして、ことしの四月の三十日までに大統領令の定める期日から発効するということになっております。その後の情報から見まして、四月三十日発効するということはわれわれとしては当然ながら承知していたわけでございます。
  95. 野坂浩賢

    ○野坂委員 こういう事態が起きるということは想定をしていなかったということでありますか。五月八日、九日のあのような事態が起きるということは夢想だにしていなかった、事前に話し合いを、どういうぐあいにして漁業をやるということは話し合いをしていなかったわけですか。
  96. 三宅和助

    ○三宅政府委員 日本側といたしましては、竹島は日本の固有の領土でございます。それで、当然ながら日本の領海法の十二海里というものが当てはまるというたてまえになっております。したがいまして、そこにおける漁業というものは本来先方からどうこうと言われる筋合いではないという立場もとっておりました関係もありまして、先方の十二海里法を前提とする話し合いというものはわれわれとしてできなかったということでございます。
  97. 野坂浩賢

    ○野坂委員 水産庁はどうですか。
  98. 橋本隆

    ○橋本説明員 水産庁といたしましても、竹島をめぐりますあの周辺の海域の状況等につきましては、かねてから関係省庁との連絡は十分密にとっておるわけでございますが、ただいま外務省の方からお答えのありましたように、これはわが国固有の水域だという考え方のもとに、韓国側の領海を前提とした話し合いは適切でない、かように考えておった次第でございます。
  99. 野坂浩賢

    ○野坂委員 三宅次長、内閣委員会であなたの上司の中江アジア局長は「今度の領海十二海里によって、先ほど来問題提起のございます日本のあの周辺での漁場について直接何らか大きな秩序変更があろうかという点については、韓国はそれは考えていないようだという程度の認識は持っている、」別段そういう動きはないだろう、こういう認識は甘いということになったわけでありますが、そういう認識だったんですか、外務省は。
  100. 三宅和助

    ○三宅政府委員 中江アジア局長の答弁、私いま初めてそういうコンテクストで聞いたわけでございますので正確に調べてまいりたいと思いますが、私がいまここで理解いたしますところは、実は領海法を執行するに当たりまして全般的なこの操業秩序について触れられた、特に竹島それ自体の問題でなしに、全般的な日韓間の操業秩序自体はそう変わらないであろうという認識を述べられたものかと思います。と申しますのは、それ以外の共同規制水域なりなんかは、専管水域のところまで領海がちょうど重なった関係でそこまで延びたということで、共同規制水域それ自体は全く影響を受けてないという全般的な説明ではなかろうかと推察いたします。
  101. 野坂浩賢

    ○野坂委員 私もそうだと思うのですが、それでずっと詰めていきますと、領海が十二海里になりますれば、その十二海里について相争うということになるでしょう、紛争になるでしょうという想定は初めからあったわけですね。だから、向こうが四月三十日から領海十二海里を引く、それはもう十二月の段階でわかっておるわけですから、何もうちの固有の領土であるからそういう交渉は必要はない、だから、われわれは行けということで行くわけですね。皆さんの期待どおりに、漁民としては、いわゆる五月一日からの最盛期に向けて漁獲を行う。このときに出ざるを得ないというかっこうになっておるわけですね。  水産庁の橋本課長は現地においでいただきました。大変御苦労だったと思いますが、五月十日に境港においでになったのはあなたですね。(橋本説明員「はい」と呼ぶ)そのときに漁民との話し合いで、トラブルを起こさないように、こういうふうにおっしゃったわけですが、トラブルを起こさないようにするにはどうすればいいのですか。魚はとらなければならぬし、わが国固有の領土でありますから、韓国側とのトラブルを起こさないようにせよということはどうすればいいということですか。
  102. 橋本隆

    ○橋本説明員 先生お話しのように、私現地に参りまして現地の漁業者の皆さんの御意見なり御要望なりを承ったわけでございますが、私現地で申し上げましたことは、事態が非常に拡大するということは大変望ましくない、なおかつ不測の事態が起きるということはこれは避けるべきであるということで、慎重な操業をしていただくように御要望は申し上げたわけでございます。  慎重な操業態度とは何かというお話でございましょうが、これは向こうの出方を見ながら適宜適切な対応をする、こういうことではなかろうかと思っております。
  103. 野坂浩賢

    ○野坂委員 私は、あなたの答弁をかみ砕いてみて、よくわからぬのですが、不測の事態を避けて適時適応にそれに対処せよ、言うなれば銃を向ければ出て、向こうが警備艇が外に出ていけば中に入ってやれと、こういうことですか。具体的に適時適応の策というのはどういうことをやればいいのですか。
  104. 橋本隆

    ○橋本説明員 お答えいたします。  銃を向けるというような事態があれば、先生のおっしゃるようなことが中心になろうかと思います。
  105. 野坂浩賢

    ○野坂委員 政府も私どもも、いわゆるその立場とかメンツとかいうことではなしに、どうすれば漁民を守れるか、どうすれば国益を損しないかという原則を踏まえてこれから議論をしなければ、お互いに追い詰めたり逃げたりするというようなことでは、これはもう全体的に前進がないわけでありますから、そういう立場で御議論をいただきたいと思うのですけれども、言うなれば、銃口を向けられるということになれば生命の危険を感じるから出る、政府はそれぞれに対応せよということであれば、明確に当面どうせよというのか。そうしなければ、日本固有の領土だから入ってやれ、しかし撃ち殺されたらおまえらの責任だぞ、これじゃやはり親切なことになりませんね。もし、そういう身の危険があれば、あなたの方からは、出なさいということを言わざるを得ぬじゃないですか、指導部門としては。適当に自主的な判断でやれというのが、親切な行政のあり方ですか。この辺はどういうふうに措置すればいいと考えていらっしゃいますか。  これは政治的な問題ですから、政務次官なりあるいはアジア局次長なり御相談の上で御答弁いただきたいと思います。
  106. 今井勇

    今井政府委員 これは私から御答弁申し上げた方がよろしいかと思います。  まず第一義的には、外交ルートを通じて先方と話し合いをしまして安全に操業ができるということがまず第一であろうと思います。そのために、農林省としては大臣がみずからその労をおとりになりつつ外務省にお願いをしていろいろ手を打っておるわけであります。  そこで、われわれとしては、いま先生お尋ねのとおり、身の危険を感じて万が一のことがありますと、これは大変困るわけでございます。しかしながら、考えてみますと、われわれの固有領土であり、かつ、そこはわれわれの十二海里の中でございますから、非常に微妙な言い回しをしなければならないわけでございまして、われわれが行政的な立場から言いましても、よその中に入ってとっているわけじゃございませんから、そこあたりはひとつ御賢察賜りたいと思いまして、課長のような答弁をしたのでございまして、私もまた同様な答弁を繰り返さざるを得ないと思います。
  107. 野坂浩賢

    ○野坂委員 私たち同士で議論をする場合はいいのですけれども、現実に現場で魚をとっておる漁民の皆さんはどうしたらいいのか。それでは、適時適応に措置をした場合、適応に措置して生命の危険を感じた、出なければならぬ。漁業組合は、生命の危険があるから出ろ、こう無線は言わざるを得ないわけですね。あなた方は中に入っておってもいいけれども死んだら責任は負わぬ、そんなことは現場では言えぬわけですから。その場合は、政府は何らかの補償なり対策なり、漁民に対するそういう補償政策というものは考えてやらなければならぬ、こう思うのですが、その点はどうですか。
  108. 今井勇

    今井政府委員 でありますから、繰り返すようでありますが、政府としてまずとるべきことは、先方と外交ルートを通じて、不測の事態が起こらないようにこの問題を解決する努力をあくまでも続けるということであります。そうして、漁民の諸君が不測の事態に陥らないように、これをすることであります。  さらに重ねてのお尋ねで、もし万が一起こったときどうするかということでありますが、これはそのときの対応を十分そのときにまた考えなければなりませんが、私どもは実はその前に、そういうことが起こってはいけないということでせっかくの努力をしているわけでございます。
  109. 野坂浩賢

    ○野坂委員 いや、政府努力をしておらぬのです。十二月十六日からこれはもうわかっておるのです。いままでどういう努力をされたのですか。努力をされていないから、こういう紛争が起きるわけです。紛争が起きるということは、三月二日の委員会で外務省はちゃんと言っておるわけです。だから、あなたは不測の事態が起こらないように事前にそういう措置をしたい、その努力をしておる、こうおっしゃっておりますが、現実に起きたのです。われわれは四カ月も前から警告しておるのです。  どのように、不測の事態が起こらないように、紛争がないように政府は韓国と外交ルートを通じて協議し、紛争除去のために努力をされましたか、どうです。
  110. 三宅和助

    ○三宅政府委員 政府といたしましては、全般的な漁業秩序というものが何とかして維持されなければならないという基本的な考えのもとでいままでいろいろな形で努力してまいったということでございます。また、基本的には、そこにはやはり先生御指摘のように、領有権の問題、これが解決しなければ解決できないということで、われわれはいろいろな形で抗議もしてまいりましたし、何とかしてと努力してまいったわけでございますが、残念ながらいままでのところ平和的解決のための努力というものが実を結んでいない、こういうことは事実でございます。  現在、すでに申しましたように、われわれとしては本当に、大臣のところにも非常に多くの陳情団の方も見えましたので、漁民の皆さんの実情を十分踏まえまして真剣に努力しているということで御理解いただきたいと思います。
  111. 野坂浩賢

    ○野坂委員 一般論としての漁業水域の問題についてはそういうことが言えましょう。しかし、韓国とわが国との漁業問題で必ず紛争の中心になり、問題になるというのは、この竹島であるということは一億国民がよく知っておるのです。だから、そのことを必ずそうなりますよと私は言っておったわけですし、現実に起きたということなんです。その場合は、漁民の漁獲が減少したというのは、政府責任です。皆さんがとらないからおまえらの責任だということは、私は余りにも身勝手な政府の言い分だと思うのですね。その場合については、政府は何らかの補償措置を講ずる、これが漁民政策、漁業政策の基本でなければならない。今井政務次官がおっしゃるように、そういう基本的な立場に立って、そのことについては何らかのめんどうを見てもらわなければ、漁民の生存権と生活権がかかっております。その点についてはどうでしょう。
  112. 今井勇

    今井政府委員 これは先生のおっしゃるとおりでございます。ただ、イカにつきましては、先生御案内のとおり、いまが漁期の始まりでありますし、日本海を回遊するものでありますから、今後の漁業の状況をよく見きわめまして私どもは対処をしたいと思っております。  決して漁民諸君に御心配をかけたり御迷惑をかけたりすることのないようにひとつやってまいりたいと思いますが、直ちにいま措置をするのかどうかというお尋ねに対しましては、私が答弁をいたしますようなことで御容赦を賜りたいと思います。
  113. 野坂浩賢

    ○野坂委員 概括的に、総括的には今井政務次官の言を了承いたします。  参考までに申し上げておきますが、九日の朝退去させられたわけですから、鳥取県では五月一日から五月八日までは正常にとっておりました。そのときにはスルメイカスルメの平均水揚げ量は一隻百二十箱です。私は二十日に現地に行きましたが、五月九日から五月十八日まで、この間平均六十箱です。五月から六月の二カ月間の操業日数は六十日ありますが、大体例年の実績からして四十日としまして、五月一日から五月八日までの操業日数は五日間でありますから、これを排水トン九十トンから百トンでありますから二十隻として、大体六月いっぱいということになれば、損害額は一億二千六百万円になります。一箱当たりの平均の水揚げは三千円でありますから。島根県側の船は大体二十五隻行っておりますから、その点を十分配慮していただいて、こういう現実の計算の基礎でそれの対応はしていただけるものだ、こういうふうに考えておりますが、そのように考えてよろしゅうございますね。
  114. 今井勇

    今井政府委員 先ほど申し上げましたように、イカにつきましてはいま始まったばかりでございまして、今後また長い漁期がございますし、日本海、あそこだけではございませんで、先生御存じのとおり、イカというのは歩いて回るわけですから、そういうようなことを考えまして十分皆さんの納得のいくような対応をいたしたいと思います。
  115. 野坂浩賢

    ○野坂委員 しつこいようでございますが、十分対応するということでありますから、私は原則論で結構であります。そういう漁民の皆さん方の収獲が大きく減少した場合、それは政府責任としてそれの補償対策としては十分考えていく、こういうふうに考えてよろしゅうございますね。
  116. 今井勇

    今井政府委員 いまの漁業全体を考えまして、政府の方で十分検討させていただきたいと思います。
  117. 野坂浩賢

    ○野坂委員 もちろん、スルメイカスルメだけではなしに、カニかごその他もございます。竹島周辺で当然とり得るもの、それについて、そのような措置として、減量の場合については十分対応するというふうに確認をしておきたい、こういうふうに思っております。
  118. 今井勇

    今井政府委員 いま先生は補償の問題だけを言われましたが、私どもは、実は漁業の全体を通じて融資問題もありましょうし、そういう問題を通じて全般的な検討をさせていただきたいと存じます。
  119. 野坂浩賢

    ○野坂委員 地方自治体のわが県は、鳥取県、島根県ともに緊急融資という資金をもはや出したのです。一隻三百五十万円です。緊急貸付期間は九カ月間、こういうことで措置をいち早くとっております。政府だけはのらりくらりとしたようなことではなしに、打てば響くような対応をしていただかなければならぬ。ずっと見て、それからいいか悪いか考えて、そういうことではなしに、漁民の皆さんに済まぬ、政府の外交ルートを通じてやっておるけれども、もし迷惑がかかるときには政府としては万全の補償対策確立をいたします。そのくらいなことを明確に言わなければ漁民は政府を信頼しません。そういうことでよろしゅうございますか。
  120. 今井勇

    今井政府委員 漁民に対して、御心配のないような措置を十分検討してまいりたいと思います。
  121. 野坂浩賢

    ○野坂委員 恩田さん、まだお見えになっておりませんね。——それではおいでになるまで、この間に海上保安庁は一体何をしておったかということであります。  五月九日に境港に参りました発信では、第三孝丸はこういう電報を打ってきております。「竹島付近で韓国軍艦が来て立ち退くよう言っている。昨日は飛行機が来ていたが、今日は軍艦一隻と思う。視界が悪くよくわからない。境船団四十隻くらい、日本海船団百隻くらい、ほかに韓国船十隻くらいいる。スピーカーで流している。」こういうことを言って「ここは大韓民国の領海だから直ちに領海外に出るよう言っている。軍艦につけられた船は写真をとられていた。」こういうように非常に厳しくやられておるという電報が来ておるわけです。これは軍艦か警備艇かわかりませんが、「このほかに警備艇一隻、軍艦一隻いる。」こういうふうに第三孝丸はまた午後に打電をしてきております。  そういう事態のときに、海上保安庁のたとえば「へくら」とか「おき」とか「くずりゆう」とかおりますね。これらはどうしておったのか。水産庁の取締船は、水産庁の答弁を求めれば、あれは取締船であって、いわゆる警備や巡視船ではない、こういう御答弁かもしれませんが、とにかく向こうは、韓国の軍艦なり警備艇なりヘリコプターがどんどん飛んできてやかましく言っておる。そして、日本の海上保安庁や水産庁の船は境港の海岸で昼寝をしておる、こういうことでは日本の漁民としては頼りにならぬ、こういうふうに思われます。なぜ十三海里のところまででも来て、日本漁民の皆さん方に激励なりされなかったのか、そういう点はどうですか。
  122. 向井清

    ○向井政府委員 お答え申し上げます。  漁民の安全操業につきましては、常日ごろからわが海上保安庁といたしましては意を用いているところでございます。  今回の事件に際しましての海上保安庁側のとった措置を概略御説明申し上げますと、当該海域は第八管区海上保安本部の所管海域になっておりますが、ここに属しておりますところの保安部署の巡視船五隻程度の総合的運用によりまして緊急配備態勢というものをとった次第でございまして、関係機関から入ってまいります情報等を分析し、連絡をとりつつ、巡視船常時二、三隻を隠岐島北方海域に進出させまして哨戒態勢の確立を図っておるということで、現在その態勢を堅持いたしておるところでございます。
  123. 野坂浩賢

    ○野坂委員 堅持をしておるということですが、その当時は船はどこにおったのですか。
  124. 向井清

    ○向井政府委員 当時の船艇の配置その他詳しい内容についてはいまここに資料を持ち合わせておりませんが、日本海におきますところの操業海域につきましては常時安全確保のための哨戒等を行っておりますし、また、当時は例の尖閣列島に事件が発生しておりました関係で若干の船は向こうに派遣されておったということもございますが、日本海沿岸の海域につきましてはやはり常日ごろからの警戒態勢は堅持しておったということでございます。
  125. 野坂浩賢

    ○野坂委員 そういう紛争といいますか、韓国側からの退去命令等による八日、九日、十日の実情というものは海上保安庁はよく承知しておりましたか。
  126. 向井清

    ○向井政府委員 お答え申し上げます。  多少情報入手のずれというものがあったようでございますが、九日現在におきまして、われわれとしてはそのような情報を水産庁から入手し、あるいは外務省にそれを確認したというようなことがございまして、われわれとしてはその時点で非常にはっきりとした内容把握いたしたということでございます。
  127. 野坂浩賢

    ○野坂委員 その状況把握して、どのように第八管区海上保安本部に指示しましたか。
  128. 向井清

    ○向井政府委員 先ほど申し上げましたように、巡視船艇と申しますものは通常の業務に従事しておりまして、必要なる海域を哨戒しておるというような業務を行っておるわけでございまして、これにどのように対応するかということにつきましては、主として第八管区海上保安本部等の現場機関が判断し、これに当たるわけでございますが、本件につきましては非常に背景の大きな事件でもございますので、第八管区海上保安本部の情報を本庁の方に入れまして、具体的にいろいろと情勢分析をいたし、綿密な打ち合わせをいたしまして、先ほど申し上げましたような哨戒態勢の確立を図ったわけでございます。
  129. 野坂浩賢

    ○野坂委員 哨戒態勢といって、どこにいたんですか。でこまで行けば哨戒態勢ということになるんですか。
  130. 向井清

    ○向井政府委員 哨戒監視の方法でございますが、当該海域は非常に広範にわたります海域でございまして、このような広い海域におきますところの哨戒監視方法としては、通常、レーダーによりますところの広域監視というものを行うわけでございます。  今回の哨戒におきましても、竹島周辺海域をレーダー監視の範囲内に入れ得るような地点まで進出いたしまして、それで万全の哨戒をいたしておるということでございます。
  131. 野坂浩賢

    ○野坂委員 あなた方から見れば万全かもしれませんが、もし竹島周辺の十二海里のあたりで拉致をされ、拿捕された、そうしたら、境の港から来たころにはとっくに韓国の本国に拉致されておる、こういうことですよ。それがおたくの場合で言えば万全の哨戒態勢ですかな。  それから、第八管区の海上保安本部は、この問題は外交ルートでの平和解決が政府の方針である、海上保安庁自体では動けない、本庁からは、韓国を刺激するようなことは一切するなと厳命されておる、こう言っておるのですよ。あなた方はこういうふうな指示を出した、だから行かなかったんじゃないですか。閣議で園田外務大臣が、せめて入らないところまでヘリコプターででも行って日本の漁民を激励した方がいいじゃないか、そう言っても一切動かなかったんじゃないですか。油がないわけですか。どういうことなんですか、全然動かないというのは。万全の態勢ではありません。
  132. 向井清

    ○向井政府委員 どのような事態に対処するかというのはいろいろな仮定の問題もございますので一概にはお答えできないわけでございますが、先ほど申しましたようなレーダーによりますところの広域監視を行っておりますれば、相手方の海上における対応状況というものは把握できるわけでございまして、これに対する監視としてはレーダー監視ということで、先ほど申しましたような五隻の配備態勢、二、三隻の巡視態勢ということで竹島周辺のかなり広い海域にわたって十分な監視が可能であるというふうに考えておる次第でございます。
  133. 野坂浩賢

    ○野坂委員 八日、九日、十日、十一日ごろは海上保安庁の巡視船というのはどこにいたのですか、場所は。どこに何隻おったのですか。船名も言ってください。
  134. 向井清

    ○向井政府委員 お答えいたします。  現場海域付近におきますところの保安部署、いろいろございますが、境に保安部がございます。ここには「おき」がおります。それから、隠岐島の西郷保安署がございますが、「へくら」がおります。それから、浜田の保安部には「いき」という船がおります。あと多少離れますが、八管本部の本部所在地でございます舞鶴には「かつら」という船がございます。それから、敦賀には「とかち」、境にはさらに「くずりゆう」という船が現在おるわけでございます。これが先ほど申しましたような総合的運用態勢のもとに警備についておる、こういうことでございます。
  135. 野坂浩賢

    ○野坂委員 私が聞いておりますのは、いわゆる事件が発生をし、軍艦、警備艇に退去命令を出され、漁民が非常に混乱をして、やむなく十二海里外に出ざるを得なかった、その時点で海上保安庁なりあるいは水産庁側にぜひ来てほしいという要請があった。それを受けてどのような措置をしたのか。境や隠岐や浜田におるということは百も承知です。その時点でどのように対応し、どのように船は動いたか、どのように漁民は力づけられたのか、こういうことです。そして今後、この十三海里といいますか、竹島周辺に、海上保安部の船は、「おき」でも「へくら」でも「くずりゆう」でも、出すかということを聞いておるわけです。出してほしいということを言っておるわけです。
  136. 向井清

    ○向井政府委員 先ほどお答え申し上げました保安部署並びに船艇の関係は、これは所属しておるという関係でございまして、その行動につきましては、先ほどお答え申し上げましたことと重複するわけでございますけれども、当初の情報を入手いたしましたときから直ちに態勢整備に入りまして、巡視船艇すべてを総合的に運用いたしまして五隻程度の陣容を敷き、常時二、三隻が沖合いに出ておるということでございます。その沖合いの程度と申しますのは、先ほど申し上げましたように、レーダーによりまして竹島周辺海域は十分監視できるという地点まで進出をいたしておるということでございまして、これからもそれを繰り返して堅持いたしていく。  それから、漁民との関係につきましては、そのような海域に進出いたしておりますから、当然漁船と避道するというようなことで漁船側にも海上保安庁のとっております態勢というものは十分わかってきておるというふうにわれわれは考えております。
  137. 野坂浩賢

    ○野坂委員 地元の境港市議会あるいは鳥取県議会、島根県議会等から、ぜひ警備態勢を強化して万全の態勢を整えてもらいたい、漁業の安全操業確保のため、巡視船及び水産庁取締船の派遣をされたい、こういう要望が現場にあるわけです。     〔山崎(平)委員長代理退席、林(義)委員長代理着席〕 その点については、期待に沿っていただけますかということだけを確認します。
  138. 向井清

    ○向井政府委員 ただいまお答えいたしましたような態勢を今後も堅持する。さらに、実際の行動につきましては、密度濃く、漁民の皆様方が安心できるような位置というものを考えながら行動するということで、先生のいまおっしゃいましたような操業に対する安心感というような態勢は十分とれるように考えております。
  139. 野坂浩賢

    ○野坂委員 水産庁の恩田次長はまだおいでになっておりませんが、こういうことを言っておられますね。−来ておられますか。九日、十日の状況を見て、恩田さん、あなたは、現在の同水域の状況について日本漁船は自主的に移動を開始しており、差し迫った状況にない、こういう発言をしておられるようですね。漁民は出たくて出たわけじゃない、差し迫った状況だったのです。そういう悠長なことでは今後水産庁の行政が漁民の信頼を受けるには非常に問題があると思うのですが、これについてはどのように考えられてこういう発言をされたのか。ただいまは今井政務次官から、いわゆる漁獲が減少した場合には、将来、補償を含めて万全に、漁民の皆さんに迷惑をかけないようにすると——漁民はとりたいですからね、本来は補償なんかしてもらいたくないです。日本の領海で、ちゃんと十二海里の領海の線を引っ張っておるところでやっておるわけですが、それが脅かされておるわけです。ただ、銃座を向けられ、砲口を向けられておるから出ざるを得なかったということなんです。しかも、海上保安庁もあなた方の船も来てくれなかった。こんなに歯ぎしりしながら出ておるのに、移動しておるから差し迫った状況でないというようなことでは、これは最高責任者——あなたはナンバーツーですけれども、どういう意味でこういうことを言っておられたのか、理解に苦しむわけです。そういうことについてはどのように考えていらっしゃるわけですか。
  140. 恩田幸雄

    ○恩田政府委員 ただいま御指摘のように、当時自主的に出ましてトラブルが起きる模様が即座にはなかったというふうに考えたもので、私どもはその段階で取締船を沖に出すのをやめたわけでございます。  その後の状況は、境港で十分把握をいたしますように香住の所長を現地に置いてやってきておりますし、また十二日だと思いますが、沖合漁業課長を現地に派遣いたしまして、いろいろ皆様方のお話を伺ったり、現地で具体的な御指導も申し上げた次第でございます。
  141. 野坂浩賢

    ○野坂委員 あなた方は現地に来て指導されたということですけれども指導になっていないわけですね。言いわけで、何が何やらわからない。領海内であるけれどもトラブルが起きないようにせい、不測の事態が起きないようにせい、こういうことはいままで議論があったわけです。だから、指導でなくして、安心をしてわが領海内で安全操業ができるような措置を外務省と一体になって態勢を整備してもらいたいということが一点。そして、水産庁としては、今井政務次官がおっしゃったように、もし、そのような事態で漁民の責任でなく漁獲が大きく減少した場合は、政府としては責任を持ってその補償なり万全の態勢を整える、こういうお話があったわけですから、そのとおりを水産庁の次長確認をしておきたいと思うのです。そのとおりですね。
  142. 今井勇

    今井政府委員 これは次長に御確認賜るより私に御確認を賜る方がいいと思うのですが、いずれにいたしましてもこれは相手のあることでございますから、地元の方の御不満は私どももよくわかりますが、わが国としてはとり得る限度というものは残念ながらあるわけであり、それが現実でございますから、それを踏まえながら外交交渉を通じてひとつ何とかこの道の打開を図りたい、それまではひとつ身の危険を感ずるような場合には自主的に御退避を賜りたいというのは、これはとり得る最大限だと私は思います。  さらにまた、先ほど私が御答弁申し上げたとおり、ただいまはイカの漁期の始まりでございまして、いま直ちにこの時点におきまして云々ということはまだ時期尚早であろうと思いますが、気持ちといたしましては、十分漁民の砦さん方のお気持ちをそんたくいたしまして、しかるべき時期までには、大きな被害が見込まれる場合には当然それに対応する措置を検討してまいりたい、そういうふうにも思っております。
  143. 野坂浩賢

    ○野坂委員 もう時間が参りましたので、多くを申し上げることはできませんが、この紛争の中で、紛争の処理は、交換公文にもありますように、平和的にやるということになっております。それから、監視船の出漁状況情報についてはそれぞれ提供することになっておりますね、それも十分やられていない。     〔林(義)委員長代理退席委員長着席〕 日韓の漁業共同委員会というものは専従の事務局長もおるわけですから、早急にこの問題について対処して、すぐに安全に操業ができるようにしていただきたいと思います。  お願いしておきますが、外務省としては、この問題を受けて、韓国、現地へ派遣されておりますね、いまのその状況、あるいは日本における大使館と折衝されておると思いますが、早急に——すでに韓国の警備艇も退去しておるようでありますから、われわれはわが国の領土として竹島がある、その辺については当然漁業操業ができる、こういうふうに考えておるわけでありますから、それについて漁民は対応していけばよろしい、こういうふうに考えております。言うなれば今日の韓国との折衝の過程、課長が派遣されておるわけですから、それについての反応、あるいは大使館との折衝、そして現状としてわが国の漁民は竹島周辺でこれから操業に入りますということを私は申し上げるわけですが、それについて万全の態勢を整えていただくものだと考えておりますが、そういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  144. 三宅和助

    ○三宅政府委員 いま先生御指摘のとおり、先週末に佐藤北東アジア課長を現地に派遣いたしまして、大使館と十分事務打ち合わせをさせた上で、いろいろなレベルで現地で交渉しておりますし、また、東京でもいろいろな話し合いをしておるということでございまして、われわれとしては、いま御指摘のような点、また漁民の皆さんの御要望も十分考慮いたしまして全力を挙げて何とか安全操業できる方向でさらに一層の努力を重ねてまいりたいと思います。
  145. 野坂浩賢

    ○野坂委員 努力を重ねていただいておるわけでありますから、われわれとしては出漁する、わが領海内の海域について出漁する、こういうふうに考えてもいいわけですね。
  146. 三宅和助

    ○三宅政府委員 先方とまだいろいろと話し合いをやっておりますので、中身につきましてはこのあたりで御了承願いたいと思います。最大限の努力をしてまいりたいということで御理解願いたいと思います。
  147. 野坂浩賢

    ○野坂委員 それでは、時間が参りましたが、私が質問いたしましたのは、日本の固有の領土であります竹島問題は、この秋に第十回の定期閣僚会議が開催されれば、外務大臣は腹をくくって正式な議題としてこの紛争の当面の解決、領土問題等も議論されるでありましょうし、そして漁業問題については安全にこの竹島周辺で操業ができるような態様を必ずかち取っていただきますように要望して、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  148. 中尾栄一

  149. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農業基本法問題、米麦価、生産調整並びにミカン対策等について、政府当局に質問いたします。  中川農林大臣は、五月十五日、日本農業新聞主催の藤田全国農協中央会会長との対談で、農業基本法の改正問題に触れ「国民にも農業を理解してほしいし、農業の方も消費者のことを理解する。これがどうしても必要な時代ではないか。こうしたことから農業基本法を見直してみようということで、この中で農業の意義づけをきちっとし、その上で何をやるか考え直してみようということだ」と述べ、農基法を消費者対応の面からも見直しをする意向を明らかにされたようであります。これに対して藤田会長も「農業基本法については、まずたたき台として、農基法が農政の憲法として妥当かどうか研究することが必要だ」こういった趣旨のことをおっしゃったそうでございますが、このことについて政府当局は内容を承知しておられるか、その点をまずお答えいただきたいと思う。
  150. 松本作衞

    ○松本(作)政府委員 ただいまお話ございましたように、農林大臣と藤田全中会長との日本農業新聞の紙上での対談で、お話がございましたような対話がされたと聞いております。  それ以前に、農業協同組合の中央会の代表の方が米価の問題のはしりといたしまして、農林省幹部と話し合いを持つ機会がございましたが、その際にも農業協同組合の代表の方から農業基本法について見直す必要はないのかというような議論が出まして、農林大臣としては広い立場から農業の意義づけを考えるということで、米価問題という狭い範囲だけではなくて、農業全体についての基本的な考え直しをしたいという御発言をされた経過がございます。  ただいま御指摘がございましたように、農林大臣といたしましての考え方農業の意義づけをきちんと整理をしていきたい。そのために広い視野からの農業のあり方を見直していく。その場合に、基本法も含めて考えていってもいいのではないかというような御発言をされたわけでございますが、その趣旨はいま直ちに基本法の改定をするというようなことではなくて、むしろ農業の意義づけを広い視野から基本的に見直そうという趣旨であるというふうに理解をしておるわけでございます。
  151. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いま私が申し上げたことに対して、この中川農林大臣の発言の真意を農林省当局としてはどのように受けとめておられますか。いまの答えとダブるようなところもありますが、農林省自体としてはこの中川農相発言をどういうふうに受けとめられましたか、その点明らかにしてください。
  152. 松本作衞

    ○松本(作)政府委員 私ども事務当局といたしましても、大臣の御発言の趣旨に沿いまして、現在農業の置かれております環境の中で農業の意義づけをきちんと整理するということは非常に重要なことであろうと思いますし、その場合に関連する法規全体も含めて検討すべきであるというふうに思っておるわけでございます。  ただ、いま御指摘がございました農業基本法を直ちに直すかどうかということにつきましては、現時点での私ども考え方といたしましては、農業基本法の持っております意味というものは非常に広いものがございますので、これが直ちに現在の農政を推進するために必ずしも不適合であるというふうには判断しておらないわけでございますけれども、しかし、いま、大臣の御発言もございましたので、私どもとしては広い視野で現時点における農政のあり方を基本的に考え直してみたいというふうに思い、検討を始めておるところでございます。
  153. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 検討を始めておるということでお答えがありましたので一応わかりましたが、それでは農林大臣から自分はこういったことを対談で発言をしておいた——いま直ちに改正する云々ということは、過去の審議の過程を経ましても、このことについては私も当委員会、本会議等でももう何十回となく言及してきた過去がございますので、よく承知しておりますけれども、いま直ちに農基法を手がけるということではないにしても、農林大臣から、こういった発言をしたので、いわゆる事務レベルのいわば検討を折々やっていけ、こういうような指示があったのかなかったのか、その点はどうですか。
  154. 松本作衞

    ○松本(作)政府委員 私ども、農林大臣からは、当然のことでございますが、農政全般のあり方につきまして常々検討するようにということは命ぜられておりますので、その一環といたしまして、特にこのことに限ってということのみではなくて、広い立場からの検討をするようにというふうにも命ぜられておりますので、その中でそういうふうな御意向を受けておるものというふうに考えておるわけでございます。
  155. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣がいやしくもこういった場所で発言をしたわけですから、農林省もそういったことを知らないというわけはありませんし、かねがね広い意味でおっしゃっているから検討している、それは当然だと思いますが、こういう新生産調整が行われようとしているときでありますし、また大変な農業の厳しい情勢を迎えておるときでもございますから、すなわち外圧、内圧とも。そういったときにこういった発言をされるということは、いよいよ当局としても真剣にこれはますますピッチを上げて検討をせねばならぬ、かようにも私たち認識して、結構なことだ、こういうようにも思っておりますし、また農業団体もその方向でぜひと言っておりますし、また日本農業新聞もまことに時宜に適したときにこのような対談を行ってくれたと思って、私は高く評価をしておるわけでございますので、何もこれは悪いことではございませんし、当然なことでありますので、十分にひとつ時間をかけて結構ですから検討していただきたい、かように思うわけでございます。  そこで、農林省内部でも、この農業基本法の問題については次のようなことを言っております。「時代に応じて農業を位置づけ、見直すのは当然のことで、大臣は、農業全体の位置づけを率直にみんなと話しあっていきたいと述べた、というふうに理解しておるわけです。また「農基法のどの点がおかしいという指摘ではなく、いまの時代の中で農業の位置づけを話しあっていこうというものだ」こういうふうに、確かにそういった姿勢であったということを率直に認めておるようであります。  また、農業団体は、今回の中川農相の農基法に対する示唆に対して、「日本農業は有史以来の問題である米の百七十万トンの生産調整に当面している。また、一面では外圧は強まるばかりである。政府が先に決めた国土利用計画では、ブロック別に農業サイドの問題、課題を提起している。三十六年にできた農業基本法はもはや色があせてきた。」すなわち、農業基本法制定当時は、農業の憲法としてわれわれはこれを大いに歓迎をし、また、農協内部等でもずいぶん論議したところですけれども国民の中で、この農業基本法の制定というものは一つの宣言だということから、自主経営の育成、選択拡大などをうたいまして、農業構造改善事業がスタートしたわけで、現在の農政の基本的な方向になっていることも事実でありますが、確かに色あせてきたということは改めて言うまでもなく従来から指摘されてきたところでございます。そういったことで、さらに農業団体は「政府日本農業があるべき基本的な施策を確立すべきである。そうでなければ、農民が安心して生産に取り組み、自信を持って農業にいそしむことができない」このように言っておるわけでございます。国民の中で、農業の位置づけがあいまいのため、外圧がある、こういったことでは、農民もなかなか安定した農業を営めない、農家に不安を強めておるのであるから、何としても早急な検討をしていただきたい、確固たる基本方針を法律で定めなければ、要するに外国からも、何だかんだと日本農業に対して外圧がかかってくるということは当然である、こういったことがますます機運が高まりつつあるわけでございます。  そういったことで、この農業団体等の意向を踏まえて、私は、むしろ今回の農林大臣の発言は時宜に適した発言だったと受けとめておりますので、当局としてもむしろ従来の姿勢よりも一歩も二歩も前進した姿で、積極的に取り組んでいくべきではないか、かように思うのですけれども、この点については今井政務次官から農林大臣にかわってひとつ御見解を承っておきたい、かように思います。
  156. 今井勇

    今井政府委員 農業に関する考え方につきましては、お説のようなことであろうと思います。農業基本法制定当時考えましたことは、いまも脈々として生きていると私思いますし、農業生産性向上、それから農家所得の他産業との均衡というようなものも当然堅持さるべきものであろうと思いますが、なおそれに、最近の経済状況等から考えまして、総合農政の確立とでも言うべきものがもし必要であるならばつけ加えられるべきものであろうと思いますが、もろもろの農業の問題について、この際ひとつ改めて心を新たにして見直してみようという意味で農林大臣も御発言になったものと考えておりまして、私どももそのようなお気持ちのもとでしっかり取り組んでまいりたいと思います。
  157. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 今井政務次官がそこまでお答えになったならば、もう一言お答えいただきたいが、私は、ここまで来ますと、これは政府も積極的に農基法の問題については取り組まないと、後々にまた大変悔いを残すのではないか、時期も来ていると思うのですが、要は生産者と消費者の相互理解が農業基本法の改正とどうかかわってくるかということが一つの問題であろう、いわばタイミングといいますか、時期的な問題が一つの大きな問題点であろう、こういうふうに思うわけです。そういったことで、なかなか農林省も踏み切れないというか、のどまで来ているけれどもなかなか公式の場で発言できない点もあろうかと思うけれども、過去のいろいろな行きがかりを捨てて、三十六年当時、農業憲法といって制定した、ああいう規模拡大をする時期にできた農業基本法を、その精神は生きているから農業基本法に触れなくてもいいのだ、こういうことを歴代農林大臣は言っておりますけれども、私はここらで、本当に外圧、内圧かかるこのときに、農業基本法については何もことしやれと言いませんけれども、早い機会に検討をして、国民の前に、わが国の基本食糧の確保のためにも確立するということが大事じゃないか、かように思うわけですけれども、さらに今井政務次官からお答えをいただきたいと思います。
  158. 今井勇

    今井政府委員 国の農業を預かります農林省としては、絶えず時代の趨勢を先取りして、農業に対する姿勢を確立することは、これは当然なことであろうと思います。そういう意味で、いまの先生の御発言並びに大臣の発言を踏まえまして、さらに検討を加えてまいりたいと思います。
  159. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この機会に、私もかねがね申しております農業基本法の改正問題について、政府の姿勢もようやく動き出したような感触を受けてまいっておりますので、わが党がかねがね提案しておりますところの食糧基本法の問題について、いつもはその要点にのみ触れておりましたので、若干具体的な問題にも触れて、こういった問題もあわせ検討し、でき得れば食糧基本法を制定すべく、さらにこれも検討していただきたい、かように私、提案申し上げるわけです。  食糧基本法、仮称でございますが、この制定については、現在、わが国には、国民食糧を将来にわたってどう安定的に確保するかという確固たる計画がありませんし、法律もないということから、われわれはこの食糧基本法というものを提案をいたしておるわけでございます。  言うまでもなく、現在の農政の基本となっているのは、昭和三十六年に制定された農業基本法であります。この基本法は、本来宣言法的性格のものでありまして「農業生産の増大」とうたっているだけで、具体的にどう増産していくかという施策を示しておらず、食糧政策的視点は欠落していると言っても過言でございません。このことは、農業基本法の作成に当たった小倉武一氏も、当時農林省事務次官をしておりましたが、告白をしていることは御承知のとおりでございます。  したがって、公明党は、食糧基本法(仮称)を制定して、食糧自給率を高め、食糧、水産物も含めまして、国に責任を持って確保すべきことを義務づけるとともに、生産農家にとっても将来に希望を持てる一貫した農業政策が展開できるようにすべきだと申し上げているわけでございます。  具体的内容として、たとえば、一つ、現在政府が行っているいわば無責任な「農産物長期見通し」でなく、「見通し」を「需給計画」とし、この目標達成に必要な財源が優先的に確保できるようにする。また、単に「長期」——政府長期という場合は十年間と一応解せるわけでございますが、そのような長期でなく、それに至るまでの中期、短期の目標を設定することとし、二つには、農業団体とも十分話し合いながら、地域別品目別にその内容を策定すべきだと考えております。三つに、これを実現するために必要な農家所得保障、基盤整備、流通改革、生産技術の研究体制を確立する。四つに、さらに輸出入、備蓄、食生活のあり方など、全般にわたる基本的考え方をも盛り込んだものにすべきだと考えております。  こういった内容のことを含んだ食糧基本法を制定すべきである、こういうふうに提案しておるわけですけれども、いつもはなかなか時間がなくてはしょったことばかり申しておりましたので、きょうは多少時間をいただいて具体的なことを申し上げておきましたが、こういった食糧基本法についても、私は当然これは考えるべきだ、こう思います。もし、この制定をどうしても農業基本法があるからとおっしゃるならば、こういったことも含めて私はこの機会に農業基本法の根本的見直しを立てて積極的に検討していくということであってほしいし、どうしても農業基本法はいわば精神は生きているということであるならば、こういう生産調整の厳しい、しかも、かねがね申しておりますように、農林水産業冬景色という、春がなかなかやってこない、春がすみも来ないというようなこの厳しい中にあって、こういった食糧基本法というものを制定して、農民が安心して国民の食糧確保に努力できるように政府としては真剣に勉強してこたえるべきである、私はかように思うのです。  そういった意味で、私のいまのこの食糧基本法という、仮称ですけれども、制定についてどういうふうにお考えであるか、この機会に政務次官からまたお答えをいただきたいと思います。
  160. 松本作衞

    ○松本(作)政府委員 ただいま御説明いただきました食糧基本法の構想につきましては、趣旨といたしましては私ども考えておるような農政の方向と大きく違うところではないもの、非常に重要な御提言というふうに考えておるわけでございます。これを法制上どのような形で実施したらいいかということにつきましては、いろいろと検討すべき内容もあろうかと思うわけでございますし、さらに今後私どもも勉強させていただきたいというふうに考えておるわけでございますが、ただいま御指摘がありましたような農政のあり方というものにつきましては十分われわれもそのような方向で努力をしておるつもりでございます。
  161. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いまの問題について今井政務次官、どうかひとつ重要な問題ですから発言をお願いします。
  162. 今井勇

    今井政府委員 ただいま事務局で御答弁申し上げたことに尽きておると思います。われわれの食糧に関する基本的な考え方につきましては、先生の御提言とわれわれの考え方とはそんなに違っておりません。そこで、いまの御提言をひとつ十分そしゃくをいたしまして、私ども考えの上にまた取り入れさせていただきたいと存じます。  そこで、逆にひとつお願いをしておきたいと思いますのは、せっかく当委員会にも食糧に関する問題の小委員会がございます。そういうところで、ひとつ議員諸公の中でも十分御討議を賜りまして、われわれにその成果を御教示を賜れば大変ありがたいと思いますので、お願いをいたしておきたいと存じます。
  163. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農産物価格の小委員会があることはもうおっしゃるとおりで、おっしゃったように、われわれも鋭意検討してその結果をまた政府の方にも提示したいと思いますから、ひとつよろしくお取り計らい、検討していただきたいと思います。  次に、農産物価格政策の見直し、検討という問題で若干お伺いしておきます。  このことについてもいまも政務次官からお話がありましたように、小委員会でも検討しておるところでございます。この家族労働報酬のいろいろな関係を見まして、米価シーズンにもなってまいりましたし、また、こういった厳しい生産調整を目前に控えたときでもございますし、今後米価決定まで何回となく論戦を戦わすことになると思いますので、それに先立って私も米価のみならず他の農作物に対する価格等の問題でいろいろ指摘をして、当局も十分わかっていると思いますけれども、公開の席で改めて申し上げ、そして、ことしの米価その他に対しても諮問案の作成等にも十分検討をお願いしたいという意味から、きょうは米価シーズンの第一回目としてこの価格政策問題を申し上げるわけでございます。  農林省の資料とそれから労働省の資料によって私、小冊子をつくったのですが、その中の表をもって説明を求めるのですけれども、製造業一日当たり賃金に対する各作物の一日当たりの家族労働報酬の割合という表をつくってみました。これは全部言うと時間がかかりますので、主なものを数点申し上げます。  製造業常用労働賃金の五人以上平均の昭和五十年度の一日当たりの賃金を見ますと七千二百五十五円で、これを一〇〇%としました場合に、米の場合でも、米は高いとかいろいろ言っていますが、六千九百五十三円で九六%になります。また、小麦の場合は千四百六十八円で二〇%、生産奨励金を入れても四千六百九十円で六五%ということになります。大豆の場合は三千五百八十九円で四九%、奨励金を入れても六千百十二円で八四%。ハウス促成のキュウリを見ましても三千三百四十七円で四六%。後で質問しますが、ミカンの場合でも千言二十一円で一五%、ミカンなんかはお話にならないくらい低い。  農林省、労働省の資料によっても製造業常用労働賃金の五人以上平均に比べてこのようなパーセンテージになっています。政府もこれは十分認識しておられると思いますけれども、こういったことから見ましてもまさに不安定であり、作目相互間において均衡を欠いております。まさに不均衡であります。このように私は指摘せざるを得ません。とりわけ農業基本法農政のもとで価格が低水準となって、麦や大豆、なたねなどが安楽死をしてきた、こういったことは皆さん百も承知でございます。  こういったことを考えましたときに、農業基本法の検討もさることながら、米以外のこういった作物価格については、先ほどのお話のように、われわれも小委員会で鋭意検討してまいりますが、今後農産物価格をどうするか、こういったことについて本気で考えないと、今回の生産調整の問題についても果たして成功するかどうか、私は大変疑問であります。余り具体的なことを言いますと国民がショックを受けますから私は言葉を避けますけれども、そういったことを踏まえた場合に大変憂慮すべき問題が将来想定されますので、こういった米以外の農作物についての価格をどう検討しておられるか、本気でやっておられるのか、米価シーズンに先立って本日は改めてお答えをお聞きしておきたい、かように思うわけでございます。
  164. 松本作衞

    ○松本(作)政府委員 ただいま御指摘がございました農産物価格の検討につきましては、五十年に省内に農産物価格検討の委員会を設置いたしまして、その中におきまして種々農産物価格のあり方について検討をしてまいっておるところでございます。  具体的な内容といたしましては、ただいま御指摘のございましたような農産物間の相対価格の問題もございます。それからまた、農産物需給価格のあり方との問題もございます。さらにはまた、こういうふうな農産物生産いたします担い手の所得確保、ただいま他部門との所得の均衡の問題の御指摘がございましたが、そのような担い手の所得確保の問題もございまして、これらを含めまして検討を続けておるところでございます。  その間におきまして、できるだけ相対価格の是正を図るという趣旨で、従来価格以外の奨励金という形で支出されておりました麦、大豆等につきましての奨励金価格の中に織り込みまして米との相対価格の是正を図っていく、さらにはまた、水田利用転換というようなこととの関連で価格以外で実質上価格に相当するような奨励金を出して相対価格の是正の一助とするというようなこともやっておるわけでございますが、価格につきましては、御承知のように、農産物ごとのそれぞれの事情、経過等がございまして、一律に全面的に改善をするということがむずかしい点もございます。漸次、ただいま御指摘がありましたような問題点の改善を図っていきたいと思っておるわけでございますが、特に農家所得というふうな立場からいたしますと、御指摘がありましたように、他部門との間でなおアンバランスがあるということは否定できません。しかし、このような所得確保という観点に立ちますと、農家の形態によりましていろいろとありまして、必ずしも全農家が同じように農産物所得考えた方がいいのか、それとも農業の経営を改善することによって、いわゆる構造政策というふうな立場から、農家生産性を上げまして、いわゆる収益性を高め、農家所得を上げていくということを価格政策と関連させて考えていく方がいいのかというような問題もございますので、価格政策と関連いたします生産対策、構造政策というようなものも含めまして、その改善方につきまして種々検討をし、できるだけのことは施策に織り込む努力をしておるところでございます。
  165. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 松本官房長から答弁がございましたが、今井政務次官、いまの件について、さらに政務次官からお答えをいただきますが、農業基本法の中でも十一条に農産物価格の安定のことが規定されており、まして、定期的な見直し、検討及びその結果の公表をするようになっております。ところが、いま官房長はいろいろるる打ってきた対策内容を申されましたけれども昭和四十年に検討して公表して以来、事実上その後何も発表してないように私は思っているのですけれども、その後、それだけ積極的にやっているならば明らかに発表してやっているのかどうか。また、米をめぐるこういった厳しい農業情勢の中で大きくいま農政は変化しつつあるわけでございますから、いま官房長が言ったようなことであるならば、最近こういったことについての何か農林省としての考えをまとめたものを発表しておるのか、その点ひとつ政務次官からお答えをいただきたいと思います。
  166. 松本作衞

    ○松本(作)政府委員 事情だけ御説明をいたしたいと思いますが、まとめた形で農産物価格の見直しというのを発表いたしましたのは、たしか五年ほど前だったと思いますが、それ以降はやっておらないということも事実でございます。ただ、具体的にはそれぞれの農産物価格決定等は、国会を初め関係のところにその内容については十分御議論を願い、また趣旨の御説明をいたしながら進めておるわけでございますので、全体としての価格政策については発表はまとめてしておりませんけれども、具体的な農産物価格を実施する過程で、いま申し上げましたようなことにつきましては具体的に説明をし、いわゆる発表という形ではございませんけれども、一般にわかっていただくようにしておる次第でございます。
  167. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政務次官、いま官房長が助け舟で説明したので一応おわかりだと思いますが、あなたも去年まではわれわれと一緒に農林水産委員会理事として、仲間としてやってきた立場で論議はよく御存じのとおりでありまして、価格問題は小委員会でもやるし、また大変な問題だから政府としても十分検討していただきたいということできたわけです。なかなか時間もとれずに、政府との詰めもできぬまま今日に至っておるわけでございますけれども、新生産調整による厳しい段階を迎えておりまして、いま指摘したようなことで、本日農林大臣が出席しておれば農林大臣に対してこういった基本的な問題をお伺いしたいのですが、これは改めて六月一日の一般質問でいろいろ伺うということになろうかと思いますけれども、いまお聞きになったように、五年前に価格問題の公表をしたけれども、その後やっていないということは事実でございます。  そういったことから、この価格問題については、政府も取り組んでおることは事実だけれども、五年ということは本当に十年一昔の半分ですから、どうかあなたも政務次官に就任しておられる間に、われわれが理事会で検討したこともよく承知なんだから、一日も早くこの問題については徹底的に検討して、政府としても国民が安心して農業にいそしめるようにお願いしたい。こういう外圧、内圧の厳しいときでございますので、ぜひあなたの就任の間に何か一つ一つと言っては失礼になるかもしれませんが、こういったことをやっていただきたい、かように思うわけでございますが、政務次官、どうでございましょうか。
  168. 今井勇

    今井政府委員 全く同感でございます。私も議員として当委員会で小委員会に参画をいたしましたし、大変大事な問題であることをよく認識いたしております。むずかしいからといってこれを避けて通るわけにもまいりませんので、いまの御提案のとおり、最大限の努力をいたしてまいりたいと存じます。
  169. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 最大の努力をよろしくお願いいたします。  次に、時間がだんだん迫ってきましたのでまたはしょらなければならなくなりましたが、生産調整問題でも一、二点触れていきたいと思うのですが、転作等の目標のうち、市町村に対する配分状況というのはどういうふうになっているか、簡潔に一応お答えをいただきたいと思います。
  170. 野崎博之

    野崎政府委員 五月十五日現在で、農家末端まで仮配分を終わったのが九五%、それから集落段階まで含めますと大体一〇〇%いっておる状況でございます。
  171. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 聞くところによると、関東、近畿がなかなか目標達成に至らないやに聞いておりますが、その点原因はどういうところにありますか。
  172. 野崎博之

    野崎政府委員 都市近郊ということが一つございますし、それから飯米農家が非常に多い地域が多い、そういう二点で、いま先生おっしゃいましたように、なかなか関東、近畿はほかの地域に比べて進み方が遅いというふうに考えております。
  173. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 まだその数字といいますか、減反の面積等、そういったものは当局はつかんでおりませんか。
  174. 野崎博之

    野崎政府委員 作物の種類別には、感じといたしましては、特定作物については相当ふえるのではなかろうかという感じでございまして、実ば現在各農家では転作作物を選定している段階でございますし、われわれもブロック会議等で聞きますと、県の感じといたしまして、はっきりとした数字としての話ではございませんが、感じといたしまして、麦、大豆飼料作物といった特定作物が相当ふえるのではなかろうかというふうな感じでございます。
  175. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 数字がまとまる段階で相当いろいろ変動があり、流動的じゃないかと私は見ているわけですけれども、おおむねその数字把握できるのはいつごろと見通しておられますか。
  176. 野崎博之

    野崎政府委員 六月三十日現在で一応市町村別のそういう数字をとりますので、その段階ではある程度はっきりしてくるだろうというふうに考えております。
  177. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間がございませんので一つの例を申し上げますけれども、御承知のように、宮城県の仙北地方の古川市を中心として大崎地方という地方がございます。大崎平野とも言います。ここは米の主産地で、御存じのようにササニシキの本場になっておりますが、この大崎地方の中に古川市もございます。  御存じのように、宮城県は今回の生産調整に対しては自主協力という線で特異な生産調整をやったわけです。当初われわれも、全国的に生産調整を云々しているときに、ひとり宮城県のみが自主協力ということでどうなることかというふうにいろいろ見ておりましたが、最近の情報によると、農家の協力によって生産調整は一〇〇%達成して、話によれば、古川市の大衡市長が農家のいわゆる座談会といいますか、話し合い、懇談の席にずっと足を運んで熱心に話をした結果、一〇〇%をオーバーするような生廃調整で、いま逆に生産調整の目標をオーバーした分についてUターンして減らす方向に努力しているやにも聞いておりますが、宮城県のこういった自主協力の問題については当局はどういうふうに認識しておられるか、また、ぼくが言ったようなことであると確認しておられるか、お答えをいただきたい。
  178. 野崎博之

    野崎政府委員 宮城県の方式につきましては、先生ただいまおっしゃったような方式でやっておるということを聞いておりますし、結果を見ましても相当順調に進んでおりまして、目標を若干上回りそうだというような話も聞いておるわけでございます。  私どもといたしましては、各県それぞれ事情もございますし、市町村でもそれぞれいろいろな事情があるわけでございますので、それぞれの県の方式あるいは市町村の方式、そういうものを尊重をいたしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  179. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 きょうは問題の指摘しかできませんが、六月三十日にまとまった時点で私に資料をぜひ提出してもらいたいと思うけれども、私は連休のときに各県を、各県といっても数県ですけれども回って、いろいろ検討もしてきましたが、実は日本農業研究所の調査報告等を見ましても心配なことが述べられております。同じようなことを私も各地で聞いてきました。表面的には一応生産調整に対する配分は消化したかのように見え、また宮城県のごときは自主協力によって調整を進めたということで、いわば変わった生産調整をやったわけでございますが、日本農業研究所の調査報告によりますと、生産調整の目標はほぼ達成されるようである、しかし、その背景には食管崩壊の不安とペナルティーが農民に強い心理的圧力となっており、中央で水田利用再編といった意欲的目標を掲げても、現実には緊急避難的色調が支配的で、日本農業発展の契機たり得るのかは別問題だと指摘しております。また同時に、この調査では全国の中核的農家に減反政策のアンケートをやったわけですけれども、減反政策反対が五一%、やむなしが四四%であったということも歴然と発表されております。  そこで、こういったことしの達成状況を見ても、食管崩壊の不安とペナルティーが農民に強い心理的圧力となっているためであって、目標の達成が将来の日本農業発展の積極的契機になり得るかは別問題だ、深い傷跡を残すかもしれないと指摘しております。すなわち、三年過ぎたあと減反政策はまた方針が変わるのではないかという農家の疑問と不安が各地にございまして、ことしは緊急避難的というような考えであるために、当局はどういうふうに認識しておられるか知らぬけれども、ことしの減反の割り当てが一応一〇〇%近い市町村の配分進捗状況であるということで惰眠をむさぼっているととんでもないことになる。三年もしないうちにこの新生産調整は大失敗するのではないか。そうした場合に、食管崩壊、さらには今後の減反政策にどのような影響を及ぼすかということで、まさにこれは日本農業冬景色どころか酷寒景色に逆戻りするという重要なときになる、かように思えてなりません。  そういったことで、ここで私はあえて指摘をしておきますが、これに対して政務次官、あなたはどういうふうにお考えになるか、必ず成功する、将来にわたって絶対に自信を持って答弁できる、こういうふうにおっしゃるのか、その点の見通しを改めてお伺いしておきたい。
  180. 今井勇

    今井政府委員 今回やっております米の減反の問題につきましては、決して緊急避難的なものではございません。これはもうしばしば当委員会でも申し上げたとおり、十年という期間を設けて、その中でひとつやり抜こうということでございます。ただ、時代が変遷いたしますので、一期三年ということで区切ってやりますが、そういった忌の、長い、しかも、どうしてもくぐらなければならない一つの関門だと考えておりまして、この機会に足腰の強い農業日本農業の構造を改善していこうという大目的がございます。言うなれば、戦後行いました農地解放が第一次のわが国農政の大変革であるならば、今回のこの生産調整が第二次の農業に対します変革であるというふうにかたい決意で臨んでおりまして、これを必ず成功させたい、また成功させなければならぬという決意でございます。
  181. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、米の需給関係のことで若干政府の見解をお聞きしておきますが、現在、米の需給関係はどういうことになっておるか、いわゆる消費状況はどういうふうになっておるか、ひとつ簡潔にお答えください。
  182. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 米の需給事情の最近の動向でございますが、昨年の十一月から新五十三米穀年度に入っておるわけでございます。四月までで年度の半ばに達したわけでございます。  政府の売却量につきましては、昨年の実績に比べて二十数万トン下回っておるのが現状でございます。これは昨年非常に豊作でございまして一〇五%という作柄であったわけでございます。かなり集荷団体の努力も、指導いたしまして、いわゆる自主流通ルートを通じて正規のルートで流す、流通をさせるという努力をして集荷をやっていただいたわけですが、生産がふえた分、予定を上回った約百万トンのすべてを集荷するというところに至っておらなくて、いわゆる不正規米が流通しているというようなこと、あるいはまた、そういうことによりまして政府の売却量が予定よりも、あるいはまた昨年度の水準より減っておるという点がございます。これは年度後半になりますれば、だんだん正常な姿に返ってくるのではないかというように思っております。  それからもう一つ、いろいろな資料で判断をいたしますと、断定的に申し上げるのはなお時期尚早かと思いますけれども、一人当たりの消費量は五十一年が八十六・二キログラムでございますが、最近やや減り方がもとに返る、ややふえるという傾向があるのではないかというふうに判断される面がございます。これはまだ断定を申し上げるのは差し控えたいと思いますが、四十五、六年から五十年ごろにかけまして、一人当たりの消費量の減少が、もちろんそれ以前から一貫して続いておるわけでございますけれども、減り方が鈍化したというように見られておりましたけれども、最近のいろいろな資料から判断いたしますと、また減り方がもとに返ってきたのではないか。その中で特色のある傾向といたしましては、減り方が大都市よりは中都市、中都市よりは小都市、小都市よりは農村、また都市消費者よりは農家の方が減り方の率、量ではございません、率が大きくなってきておるのではないかというふうに見られる点がございます。  そのような点からいたしまして、現在汁七十万トンという生産調整の目標で伝作を進めておるわけでございますが、このままでいきますとなかなか容易ならぬ事態にもなりかねないという心配もございますので、需給均衡化を図りますためのもう一つの重点事項でございます消費の拡大という問題につきまして、これまでも努力はしてきておるつもりでございますけれども、さらに一層、行政はもちろん、生産者、流通業界あるいはその他関係者の方々の協力を得ながら一致して消費の拡大努力をする必要があるというように考えております。
  183. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 五十一米穀年度当時は消費は横ばいであったというふうに認識しておりますが、五十二年度、五十三年度はかなり消費量が落ち込んできておるということで、食糧庁長官も何となく歯切れの悪い答弁をしておりますが、人口がふえる割りにはどうしても消費は減ってきている。すなわち、政府の売却数量に対して売却割り当てが減ってきているというようなことで、私ども憂慮しておりますが、深邊食糧庁長官は先日来全国九ブロックにわたって食糧庁の職員等を動員し、あなたが先頭に立って全国を回り、米の消費拡大にいろいろと力を尽くして来られたやに聞いておりますが、どういうことをやられたのか、また、どんな成果が上がったのか。今回の全国九ブロックの消費拡大運動に対して少し明るい見通しでも、自信を持ったのか。時間も迫ってまいりましたので、ひとつ簡潔に要点をお答えいただきたい。
  184. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 二週間ほど前でございますが、各農政局単位で全国の部長会議をそれぞれ開催をしたわけでございまして、私も東京と九州には出席をしたわけでございます。  趣旨は、私どもといたしましては、先ほど申し上げました米の需給均衡化を図りますためには、最近の需給動向から見て消費拡大ということにいま一段と本格的に取り組んで実効を上げなければならない、そのためには、行政のタッチする面が比較的多い学校給食の米飯への切りかえ計画を持っておりますけれども、これをぜひ達成をし、今後できれば繰り上げてでもやりたいというためにその努力を促す、その他新製品の開発とかあるいは一般的な消費拡大についての啓蒙普及というための態勢づくり、これはおおむね県段階ではできておりますけれども、その下の市町村段階はこれからつくるという段階でございますので、それを早急につくっていただくというようなことの指導等を中心にいたしまして会議をしたわけでございます。  私どもの受けた印象といたしましては、予想されたことでございますけれども生産調整に県以下行政が取り組んでいるほど、消費拡大についてはなかなかとらえどころのない面もございますために、まだ若干片手落ちになっている面もありますが、生産調整についても一応のめどがつく段階でございます。これから本格的に各県、行政が先頭に立って、また、これは行政だけでやるべき問題ではございませんので、流通、生産者団体等も挙げてこの点に取り組んでいただきたいということでやったわけでございまして、これは私どもといたしましては腰を据えて、即効性をすぐにねらうというのはなかなか無理でございますので、時間をかげながら着実にまず減らないようにしていく、横ばいにしていく、でき得れば上向きにしていく、こういうような努力を時間をかげながら漸進的にやってまいりたい、かように思っております。
  185. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この米の需給関係を見たときに、将来需要がふえるということがにわかには考えられない、そうすれば米の消費拡大ということに力を入れなければならぬ、かように思います。このことば再三当委員会でも指摘してきたところでございますが、何と言っても一番大きな消費拡大国民の一人一人が御飯を食べていただくということです。いつかも申しましたように、一日二食のうちに朝か昼か晩でもいいから普通のお茶わんで一ぱい食べると六十グラム、そうすると年間三百六十五日で一億一千万掛けますと、要するに二百四十万九千トンという米が消費できる。これは百七十万トン調整どころか、逆に米が足らなくなるという状態になってくるわけです。そういうように消費拡大が一番大事である。乳児、老人を除いても百七十万トン達成は十分できるわけです。  そういったことで、九ブロックでいろいろやられたというが、ちょっとは実のあることをやってもらわないとなかなか消費拡大にならぬ。そういったことで十分ひとつ今後力を入れてもらいたい。もちろん、学校給食の米飯導入、米の新規用途開発、または、みそあるいは酢にも米を使っていく、いわゆる米酢をつくる、あるいはライスワイン、ライスジュース、いわゆる税金を安くして酒にもうんと米を使う。  そこで、私は一つ農林省にもこの間からちょっと個人的に言っておきましたが、熊本なんかでもしょうちゅうが盛んに生産されておりますけれども、ビールに使うホップをしょうちゅうにまぜておいしそうな名前のビールをつくってやる。東京農大あたりに研究させてやるというふうに、何とかこういった新しいことをやらなければいかぬ。政策というのはひらめきですから、私もこれはといういいことはやったらどうかなと思うのです。米の消費拡大を図るということでそういったことも検討してやってもらいたいと思うが、九ブロック回ってずっといろいろやってきたけれども、大した成果も上がらないようなことでは困るのです。どうですか、しょうちゅうにホップを入れてビールをつくるというのを研究するために、ひとつ農林省もがんばって東京農大あたりに委嘱して研究させればどうですか。簡単にお答えください。決意だけで結構です。
  186. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 国税庁の直接の所管の問題でございますが、その問題を先生から御指摘を受けまして私ども内部で聞いてみたのですが、だれも知らなかったということでございます。率直に申し上げて。したがって、国税庁に聞きましたら、ビールに玄米の発芽を麦芽のかわりに使うということも考えられなくはないけれども、これは酵素力が弱くて十分糖化ができないので他の酵素剤の補てんを必要とするとか、やはり味がどうしても違うというような点でまだいろいろなじみにくい点もあって問題があるということでございます。  しかし、私どもこういう問題についても一つ考え方だと思いますし、また聞くところによりますと、タイなどではどうもそういうのをやっているという話も聞かないではない面もございますので、よく研究をさしていただきまして、国税庁ともよく御相談を申し上げていきたいと思っております。
  187. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いまの件は新しい提案としてぜひひとつ御検討をいただきたい、こう思います。  いろいろ通告しておきましたけれども、私は最後にどうしても聞いておかなければならぬ問題が残りましたのでお聞きしておきますが、いわゆる米価シーズンを迎えました。今度、来月六月一日には農林大臣を迎えていわゆる米価に対する本格論戦を始めるということになりますが、ことしの麦価米審、それからまた米価審議会、米麦価の決定の時期はいつごろにするのか、また、それに対する検討はどういうふうに進めておられるかということを最後にひとつお答えをいただきたい。
  188. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 米麦価を審議する米審の時期と決定の時期についての御質問でございますが、生産者麦価については法律上六月中に決定することになっております。したがいまして、私どもといたしましては、六月の二十六、七日ごろに日米の閣僚の定期協議がキャンベラで行われることになっておりまして、それに農林大臣が御出席になりますので、その細部の前後の日程が決まっておりませんけれども、その前にやらなければいけないのではないかという程度の見当をつけております。それから、生産者米価につきましては例年七月の上旬から中旬にかけて行われますが、これも御承知のように、総理が十六、七日ですか、例のボンでの首脳会議に御出席になられます。その前後の御日程がまだ確定をいたしておりませんが、それらをにらんで、上、中旬に決めたいというふうに考えております。  なお、御参考に申し上げますけれども、昨年の米価審議の経過にかんがみまして、米審の懇談会におきまして、昨年の秋、今後の運営の仕方について御協議が行われまして、七月上、中旬に例年行います生産者米価の審議に先立って、米価以外の生産なり需給なり流通なり消費といった価格をめぐります背景なり周辺の問題につきましては別途前広に論議すべきである、七月の生産者米価審議の際には価格になるべく限定して円滑に運営したい、こういうような一致した御意見で申し入れも受けておりますので、六月の中旬、麦価の米審を行います前に、中旬から下旬にかけていわゆる前広論議を、価格を除いた米について審議をお願いするという予定にいたしております。     〔委員長退席、片岡委員長代理着席〕  なお、審議会にかけますれば、通例に従いましてその直後に政府として決定をしたいと考えております。
  189. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 米価シーズンを迎えてきょうは最初の質問になりましたが、時間も限られておりますので、六月に入りまして改めて本格論戦をすることにいたしまして、以上、政府の見解をお伺いしまして質問を終わります。  御協力ありがとうございました。
  190. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 ただいまお答えしました中に、六月末の日米と申し上げたかと思いますが、日豪の定期閣僚委員会でございますので、訂正をさせていただきたいと思います。
  191. 片岡清一

    ○片岡委員長代理 吉浦忠治君。
  192. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 私は、ただいまの瀬野委員の質問に引き続きまして、鶏の生産調整、前々から質問を申し上げていたわけでございますが、それに関連する二、三の項目についてお尋ねいたしたいと思います。なるべく端的にお答え願いたい。早く終わらしたいと思っておりますので、大変お疲れのようでございますから、明確にお答えをお願いしたいと思います。  鶏は昔から農家の生活に潤いを与え、生き物として飼われてまいりました。土に根差す食物もついばんできておりますし、いかに近代技術を駆使いたしましょうとも土に根差した食物、すなわち穀物なり青草なしには健康な生き物を産み出し得ないのであります。基本法農政下のわが国の養鶏は、鶏をたん白変換装置、すなわち卵を産む機械、産卵機械として考え、人間と共生する生き物として扱ってこなかった、この点が問題だと思います。いわゆる商社資本による百万羽増羽等のやみ増羽の出現がそれであります。こういう現状を踏まえまして次の点をお伺いいたしたいと思います。  まず最初に、養鶏団体等から要望が出ております。何か当て字のようなことで大変当を得ていないかもしれませんが、二十八日を鶏の日というふうに制定しようという動きがございます。それによると、最近における鶏卵、鶏肉消費の低迷から需給の失調を来しておりますし、生産物市場価格が予想外に低落しております。今後需給に見合った計画生産の推進をするとともに消費の促進を図り、適正価格、安定供給を目途に養鶏関連業界の組織的活動基盤を確立して消費者への鶏卵、鶏肉に対する知識、利用方法等の普及啓蒙を図ろうとするのにその目的があろうと思います。  こういう点で、農林省はこういう鶏の日を制定するというふうな動きがあるのに対してどのようなお考えをお持ちであるのか、まず最初にお尋ねをいたしたい。
  193. 杉山克己

    ○杉山政府委員 先生がいま仰せられましたように、最近鶏卵関係の需給はやや供給過剰ということで価格が著しく低迷いたしております。消費の方も減退ということでもございませんが、頭打ちというようなことで関係者は憂慮しているわけでございます。そこで、そういう空気を打開したい、そのためには関係者の足並みをそろえて消費促進を一番大きなねらいとする普及啓蒙活動を行いたいという動きが強く出てまいっております。     〔片岡委員長代理退席、羽田委員長代理着席〕 その具体的なあらわれとして日本養鶏協会、それから全国鶏卵消費促進協議会、全国ブロイラー消費促進協議会、これらの中央三団体が中心となりまして、二十八日を鶏の日ということに決めまして、この六月二十八日をスタートにして全国的にその事業を起こそうということを計画していると承知いたしております。  農林省といたしましても、従来から消費者に対する啓蒙活動、これは当然必要なことでございますので、さまざまな機会を利用して国自身も行っておりますし、それから畜産振興事業団においても全国鶏卵消費促進協議会あるいは全国ブロイラー消費促進協議会等に対する助成を行って、その事業を進めているところでございます。  こうしたことから、改めて鶏の日というような結束を固める時期を設けて、さらに一段と啓蒙活動をやっていこうということは私ども結構なことだと思っておりますし、今後とも積極的に一般的な啓蒙、消費促進といったような事業をさらに進めてまいり、指導してまいりたいというふうに考えております。
  194. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 そういう消費者団体等に対する指導というのが、いままでの農林省の行政が指導的な役割りを果たしていなかったのじゃないかというふうに私は前々から指摘をしていたわけでございますが、こういう問題等についても積極的に消費拡大を図るようにぜひお願いを申し上げたいと思います。  続きまして、農林省は、私、指摘をしてまいりましたやみ増羽に対しての五十三年度生産調整のための通達を近日中に出すというふうに新聞で見かけましたが、この点についてどんな方針をお持ちなのか。前と同じような形の通達なのか、新しい角度から検討なさった通達なのか、内容についてお尋ねいたしたいと思います。
  195. 杉山克己

    ○杉山政府委員 鶏卵の需給関係、これは依然として低迷した悪い状況が続いているわけでございます。五十三年度にも従来から引き続きまして同じように一定飼養規模以上の生産者を対象に原則として増羽を抑制する、そういう基本方針のもとに生産調整を実施することといたしております。そのために通達を局長名でもって出すことといたしておりまして、すでに起案は済んでいるわけでございます。  どこが変わったかということでございますが、特に五十三年度におきましては、今日までの諸情勢を考えれば生産調整を一層強化して進めることが必要であると考え、たとえば、まず第一に、市町村の需給調整協議会、これが飼養羽数等の調査をやっているわけでございますが、これを拡充強化する、そして現地調査の方法で現在二回程度調査を行っておりますが、これを四回きちんとやるというふうにいたすことにしております。  それから、いま申し上げましたそういう調査で、無断増羽、違反というようなものが明らかになったものにつきましては、市町村鶏卵需給調整協議会が中心になりまして、都道府県農林省の協力体制のもとで生産者団体等と連携をとりまして、是正指導を強化するということにいたしております。この辺は従来と考え方なり措置としては同じことでございますが、それを一段と強化するということで、特に極端な事例につきましては農林省、それから地方農政局、この段階も加わってみずから指導していくというふうに考えておるところでございます。  それから、配合飼料価格安定基金、えさについての価格変動について調整するためのこういう基金がございますが、この基金の運用につきましても鶏卵の生産調整に協力させるということにいたしております。ほかに補助金とかあるいは融資の面で生産調整の実が上がるように行政指導を加えていくということにつきましては、これは考え方あるいは文書の上では従来と同じでございますが、それを一層徹底させるという考え方のもとに運用することを期しているわけでございます。  それからなお、現行の凍結羽数の基準でございますが、これは三千羽ということになっております。四十九年以来そういうことでございますが、その後の養鶏経営の採算性そのほかの事情から見ましてこれを五千羽まで引き上げる、そして五千羽以上の生産者、これは約五千七百戸あるわけでございますが、これについて濃密な調査を実施するということを基本にいたしまして、生産調整指導の実効を上げるようにしてまいりたいと考えております。
  196. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 農林省に少し私は要望いたしたいのは、私が先般質問をいたしましたことについて、どのように一般の方々に対する指導をなさったのかわかりませんが、固有名詞をここの席上で使って、私の名前をお使いになってその行政指導をなさったやに私は伺っております。と申しますのは、私のところに、公明党の吉浦忠治が農林水産委員会で厳しく追及をしたので問題であるというふうなことで、私のところに参られました、名前は申し上げませんけれども。それについて農林省にどうだこうだと私は申し上げるわけじゃございませんけれども農林省指導が一貫したものでなければならないというふうに感ずるものであります。したがいまして、固有名詞等を使われて、どういう形で漏れたかは知りませんが、記録で残りますので、私はそういうことは気にはいたしませんけれども指導にお使いなさるということについてはこれは問題だろうというふうに思います。私それほど、それだけにとらわれているわけじゃございませんけれども……。  続きまして、大規模な商社養鶏から守ろうということで終始私は問題を提起してきたわけでございますが、無法な問題で県があっせんに乗り出すという、岩手県の大規模な商社養鶏から地元の養鶏農家を守るという協定の破棄問題をめぐって、生産者と商社の話し合いが県のあっせんで始まったというようなことが言われておりますが、農林省はこれをどのように承知なさり、御指導をなさろうとなさっているのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  197. 杉山克己

    ○杉山政府委員 前段の方でもって、固有名詞云云のお話がございましたが、国会で御議論がございますと、それなりに関係者が関心を持つということもありまして、先生のところへ関係者が伺ったというようなこともあるいはあったのかと思いますが、役所として別段特にどうこうというようなことをいたしたわけではございませんので、ひとつ御了解をいただきたいと存じます。  それから、岩手県で生じているところの商社系の大規模養鶏と地元の生産者との間のトラブル、この問題は実は若干以前からございまして、私どもも前から心配しておったところでございますが、最近その問題、ますます深刻化いたしまして、県庁もほうっておけないということでそのあっせんに乗り出したということ、私の方も連絡を受けて承知いたしております。  このケースは一般のやみ増羽とやや異なりますのは、その大手の養鶏業者がその地域に進出する際に、県内の生産者と相談をいたしまして、少なくともある程度の規模の生産を行うけれども、その生産されたものは県内には流通させない、県内の中小規模の養鶏業者の生活、経営は侵さないというような約束をしたわけでございます。そして、そのことを町長そのほかの関係者立ち合いのもとではっきり誓約書を交わしたわけでございますが、今日それが守られていないという実態が出てまいったわけでございます。  企業の側から言わせると、ほかの各県から、青森そのほかの県からも鶏卵は入ってくるではないかとか、消費者はむしろ大企業の養鶏から出た製品を規格がそろっていていいものだということで評価している、事情が変わってきているのだから、県内一切流通させないわけにはいかないというようなことも言っているやに聞いておりますが、やはり大ぜいの中小の養鶏農家の経営、生活がかかわっている問題でございます。それから、当初の契約——契約といいますのは、県内に流通させないという約束をした経緯もございます。一層私の方も注意して、県庁にもお願いして円満に調整がつくように指導させるようにいたしたいと考えております。
  198. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 それでは、鶏卵の価格問題について三点だけお尋ねをいたしたいと思います。  要望だけ先に申し上げますが、まず第一に、十七日現在のMサイズの鶏卵の値段がキロ二百十五円でございます。去年は二百六十八円でありましたが、この暴落をしている原因を先にお尋ねをいたします。  第二番目に、市況が暴落している上に、いわゆる前に問題になりました商社系養鶏と言われるところの、農林省もお認めになりましたイセ、タケクマの問題ですが、こういう乱売を始めて、それの動きに乗ったスーパーが、要するに養鶏問屋の買いたたきに入っておる現状です。特にスーパーでは特売協賛金を公然と要求してくるような状態になっております。こういう状態で、最近の生産者の手取り価格が急激に、しかも大幅に下がっておりまして、経営が一層苦しくなっております。いままでの取引相場よりもキロ三円から十五円安となっております。こういう現状に対して、この対策をどのようにお考えなのか。  第三番目、卵価安定基金の基準が現状に合っていないのではないかというふうに考えられます。すなわち、生産者の手取り価格は、卵価安定基金が基準としているMサイズ価格より平均十五円安くなっております。非規格相場を基準とし、今日では非規格よりも十六円から二十八円安となっておる現状です。したがいまして、卵価基金の基準をMサイズではなくて非規格またはそれに準ずるものに直すべきであるというふうに思いますが、この点、農林省はどういうふうにお考えか。  以上三点を明快にお答え願いたいと思うのです。
  199. 杉山克己

    ○杉山政府委員 価格動向でございますが、鶏卵の東京相場は連日下がってまいりまして、今月の十七日、この時点で底になって、キロ当たり二百十五円というような低位になったわけでございます。その後若干の調整保管等の措置をとったということもあって、わずかでございますが、二百十八円程度にいまは回復してきているわけでございます。これはもちろんまだ非常に低い水準でございますので、今後その回復に努力する必要がございますが、この低価格、どうしてそうなったかということでございますけれども、これはやはり産卵期を迎えて、ひなが順調に育ってきていること。     〔羽田委員長代理退席委員長着席〕 それから一方、昨年末から本年にかけまして廃鶏処理の方は遅延しておって、老廃鶏になるような鶏についても卵を産ましておったというようなこと、それらのことから、鶏卵生産量が増加しているというふうに見られるわけでございます。それから、特に四月以降、需要が一般的に言って季節的にも不需要期に入ったということで、相場が冷え込んだわけでございます。そこで、五月十二日に畜産物価格安定法に基づく調整保管の告示を行い、さらに全国液卵公社による買い入れを開始したところでございます。今後ともこれらの対策を通じて、規模を拡大していくということを徹底さして、価格の安定に努めてまいりたいと考えております。  それから、そういう需給状況のもとですと、どうしても買い手、この場合買い手というのはスーパー等の、生産者あるいは卸から買い入れる立場に立つ者でございますが、買い手が強くなる。そして、買いたたく。そして、安く仕入れた物を目玉的にまた店先で、安く売るということ、これが悪循環になっていつまでたっても生産者の手取りが上げられないという問題、これは一般的にもあるわけでございますが、特にこういうふうに価格が低迷している時期はその事態が激しくなるということは確かにあり得る話でございます。  私ども、卵価の低迷がそういうことを招いているんだということで、生産調整を一層徹底してやらせる、そして、いま申し上げましたような調整保管なり、あるいは液卵の買い入れということによって市場の回復を第一に考えたいと思っておるわけでございます。機会あるごとに、スーパー等の団体に対しましても私ども目玉売り的なことは慎まれるようにということは要請してまいっているわけでございますが、個別の企業の行う経済活動についてそこら辺はなかなかうまくいかないという点もございます。やはり需給調整を基本にして本格的な価格の回復を考えていくべきだというふうに考えておるところでございます。  それから、卵価安定基金の基準価格の決め方でございますが、卵は御存じのように、サイズ区分が、一番大きいものからLL、L、M、MS、S、SSというように各段階がございます。取引の規格はそういうサイズも用いられておりますが、安定基金におきますところの基準価格の場合は、それよりは鶏卵の等級区分、要するに、からがしっかりして傷がないかとか、卵黄が中心にちゃんと位置しているか、それから卵白がかたいかやわらかいか、あるいは気室の大きさがどのくらいで、形はどうか、そういう卵の規格、品質そのものを基準にしておるわけでございます。大きさ自身を直接基準にしているわけではないのでございます。ただ、いずれにいたしましてもそういう規格を基準にして平均的な支持価格、保証すべき水準を決めているわけでございます。物がその規格より落ちるものですと平均価格に達しないということもありますが、物がよければそれを超えるということもあって、平均としては私ども基準価格は貫かれていると考えますが、ただ先生が御指摘になったような事態、実質平均価格を下回って、本来あるべき水準より仮に低いような価格でその措置が行われているということがあるとすれば、これは適切ではございませんので、そういう事態があるかどうかは私どもも調べてみたいと思います。
  200. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 次は、廃鶏肉の価格問題についてお尋ねいたしたいと思うのですが、廃鶏肉は貴重なたん白資源であるとともに農家の大切な収入源であります。最近はブロイラー肉に押されっ放しでありまして、下落の一方であります。かっては一羽二百円、キロ当たり百円から百二十円あったものが、現在では一羽四十円から七十円、キロ当たり二十円から四十円というふうになっているわけです。この先どうなりますか、私、年別に申し上げたいと思いましたけれども、また、ブロイラーの肉それから豚肉等との比較等もしたいと思いましたが、その時間がございませんので、これらの消費拡大を図り、流通ルートの開発について対策を端的に伺いたいと思うのですが、いかがでございますか。
  201. 杉山克己

    ○杉山政府委員 鳥肉の供給は、以前は消費規模もそれほど大きくない時代は廃鶏によるものが五〇%以上を占めておったということでございますが、消費が拡大するに伴いまして若鳥、いわゆるブロイラーの供給、これが本道になってまいりまして、そのシェアが大きくなってまいっております。五十二年度は廃鶏による供給は一四%ということで、かつてよりいまかなり減ってまいったわけでございます。それらの需給関係、それからブロイラー自身が全体量として需要に対してややだぶつきぎみであるということから、鳥肉全般の価格も卵と似たようなことで低迷いたしているわけでございます。  この価格の維持回復をどう考えていくかということでございますが、先ほど一番初めの御質問にもお答えしましたように、消費の促進を考える、そのために鶏の日というようなものも設けて啓蒙活動を推進していく、国としてもこれを適切に指導してまいるというような消費面での対策、それから生産面では、やはり卵の場合と同様に、関係者の良識による生産調整をできるだけ進めていくということで指導してまいる必要があると考えております。  それから、流通、処理加工という面でも対策が必要でございます。その面の合理化を図るために、従来から食鶏処理加工施設の整備を国の予算で補助事業として行っておるわけでございますが、これを五十三年度においてもさらに引き続き充実させていくということにいたしておるわけでございます。  これら消費の面、それから生産の面、流通、加工の面、各段階を通じて対策を充実させてまいりたいと考えております。
  202. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 最後に、農林次官にお願いを申し上げながらお尋ねをしますが、このたびやみ増羽の問題が起こりましてから、宮城県の色麻農場の方でのいろいろな御要望等がございました。色麻農場においては、昭和三十九年九月に農業構造改善事業の一環として桃の栽培を始めた部落民の方が百三十四名ほどございました。この方々は四十五年まで続けられまして大失敗でありまして一億円の負債をしょって、そして、そのときに県なり国の方がいわゆる養鶏を勧めてまいりました。五十一年と五十二年の夏に重ねて東北農政局から呼び出しを受けまして、その養鶏の建設、鶏舎の建設等が計画どおりに進んでいるかどうかということを厳しく督促をされて、そして四十九年から生産調整に入っているものを、農政局はどんどんそれをやみ増羽を奨励するような形で進めてまいったという現状でございます。  ここで働いていらっしゃる方々は、私どもそういう方々の生活を云々することは、もちろんこれは守ってあげるべきでございまして、だからして農政の指導が、いわゆる農林省指導が最も大事であります。一貫性のないところに問題が起こっている、原因がこの点ではっきりするわけであります。問題が起こると、それを解決するためにあらゆる手を打たれるようでありますけれども、その反面、苦しければ要望を、どんどんとやみ増羽も許すような形の奨励をなさった事実がはっきりしているわけです。  時間の関係で私は細かくは述べませんけれども、こういう点について一貫した指導農林省がとらなければならないことは当然でございます。この点について、最後に政務次官にお答え願って終わりたいと思います。
  203. 今井勇

    今井政府委員 内容について熟知いたしておりませんので、的確なお答えができるかどうか、大変申しわけございませんが、少なくも農林省がやみ増羽を奨励したなんということは考えられないことでありまして、もしありましたら、これは厳しく糾弾しなければいけません。(吉浦委員「そういうことを言っているのじゃないのですよ」と呼ぶ)いやちょっと、事実関係でございますから。したがって、そういうことはあり得ないと私は思いますが、少なくも先生御指摘のように、養鶏を勧めてその後の状況において非常にお困りだということであるならば、これに対してやはり適切な指導をしていかなければなりませんし、せっかくの農林省指導皆さん方から恨まれるような事態になることだけはどうしても避けなければなりません。よく事態を聞きまして、適切な措置をいたしたいと存じます。
  204. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 どうもありがとうございました。
  205. 中尾栄一

    中尾委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十一分散会