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1978-05-11 第84回国会 衆議院 農林水産委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月十一日(木曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 中尾 栄一君    理事 片岡 清一君 理事 羽田  孜君    理事 林  義郎君 理事 山崎平八郎君    理事 竹内  猛君 理事 馬場  昇君    理事 瀬野栄次郎君 理事 稲富 稜人君       江藤 隆美君    越智 伊平君       加藤 紘一君    金子 岩三君       久野 忠治君    小島 静馬君       國場 幸昌君    佐藤  隆君       高鳥  修君    玉沢徳一郎君       葉梨 信行君    福島 譲二君       堀之内久男君    松永  光君       森   清君    森田 欽二君       小川 国彦君    角屋堅次郎君       沢田  広君    島田 琢郎君       新盛 辰雄君    野坂 浩賢君       芳賀  貢君    日野 市朗君       松沢 俊昭君    武田 一夫君       野村 光雄君    神田  厚君       津川 武一君    菊池福治郎君  出席国務大臣         農 林 大 臣 中川 一郎君  出席政府委員         農林政務次官  今井  勇君         農林大臣官房長 松本 作衞君         農林省畜産局長 杉山 克己君         林野庁長官   藍原 義邦君         林野庁林政部長 石川  弘君  委員外出席者         議     員 芳賀  貢君         林野庁指導部長 須藤 徹男君         林野庁業務部長 秋山 智英君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 五月十一日  辞任         補欠選任   金子 岩三君     小島 静馬君   木村 武雄君     加藤 紘一君   熊谷 義雄君     越智 伊平君   倉成  正君     葉梨 信行君   平泉  渉君     高鳥  修君   前尾繁三郎君     松永  光君   柴田 健治君     沢田  広君 同日  辞任         補欠選任   越智 伊平君     熊谷 義雄君   加藤 紘一君     木村 武雄君   小島 静馬君     金子 岩三君   高鳥  修君     平泉  渉君   葉梨 信行君     倉成  正君   松永  光君     前尾繁三郎君   沢田  広君     柴田 健治君     ————————————— 五月十日  水産庁に釣り人課新設に関する請願工藤晃君  (共)紹介)(第四三二二号)  同(小林政子紹介)(第四三二三号)  同(柴田睦夫紹介)(第四三二四号)  同(瀬崎博義紹介)(第四三二五号)  同(田中美智子紹介)(第四三二六号)  同(津川武一紹介)(第四三二七号)  同(寺前巖紹介)(第四三二八号)  同(不破哲三紹介)(第四三二九号)  同(藤原ひろ子紹介)(第四三三〇号)  同(正森成二君紹介)(第四三三一号)  同(松本善明紹介)(第四三三二号)  同(三谷秀治紹介)(第四三三三号)  同(安田純治紹介)(第四三三四号)  同(中尾栄一紹介)(第四三七六号)  同(工藤晃君(共)紹介)(第四四二九号)  同(小林政子紹介)(第四四三〇号)  同(柴田睦夫紹介)(第四四三一号)  同(瀬崎博義紹介)(第四四三二号)  同(田中美智子紹介)(第四四三三号)  同(津川武一紹介)(第四四三四号)  同(寺前巖紹介)(第四四三五号)  同(東中光雄紹介)(第四四三六号)  同(不破哲三紹介)(第四四三七号)  同(藤原ひろ子紹介)(第四四三八号)  同(正森成二君紹介)(第四四三九号)  同(松本善明紹介)(第四四四〇号)  同(三谷秀治紹介)(第四四四一号)  同(安田純治紹介)(第四四四二号)  鶏卵の生産調整強化及び養鶏の経営安定に関す  る請願羽田孜紹介)(第四三五四号)  同(羽田孜紹介)(第四三七七号)  農畜産物輸入自由化等の問題に関する請願(稲  富稜人君紹介)(第四四二七号)  総合施設資金制度金利引き下げに関する請願  (稻村左近四郎君紹介)(第四四二八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国有林野事業改善特別措置法案内閣提出第一  九号)  国有林野事業再建整備特別措置法案芳賀貢君  外十二名提出衆法第二号)      ————◇—————
  2. 中尾栄一

    中尾委員長 これより会議を開きます。  内閣提出国有林野事業改善特別措置法案及び芳賀貢君外十二名提出国有林野事業再建整備特別措置法案の両案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀之内久男君。
  3. 堀之内久男

    堀之内委員 私は、昨日質問の予定時間をいただいておりましたが、社会党提案の案文につきましては、提案者がちょうど時間的余裕がないということで質問できませんでしたので、きょうの時間をかりて質問をさせていただく次第であります。  社会党提案に係ります国有林野事業再建整備特別措置法案についてでありますが、この法案政府案対案として提出されたものと聞いておりますが、その特色は、国有林野事業ないしは国有林野が分担する森林林業の公益的、公共的側面役割りに対しまして、その必要経費のすべてを一般会計負担で賄おうとしている点であると考えられます。  今日わが国森林林業をめぐる危機的状況は、国有林民有林を問わず、いわば危機の根源は一つであると見るべきであって、国有林のみに対する手厚い助成もさることながら、国土面積の半ばを占める民有林に対する援助も当然それに準じて措置しなければならないと考えられますが、この点、社会党提案では私は片手落ちであると考えております。社会党民有林再建対策について基本的な考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  4. 芳賀貢

    芳賀議員 お答えいたします。  ただいまの堀之内委員の御質問の点でございますが、今回の政府提案並び社会党提案の両案におきましては、一般会計から国有林野事業特別会計に対して、一定の事業に対しましてこれを繰り入れをして、それによって長期的に国有林野事業の健全な再建を期するということが共通した目的でございますが、社会党案におきましてもこの点については、提案いたしました社会党法案の第四条にこれは例示的に規定してあるわけでございます。政府案の第三条においてはまことに抽象的な規定にすぎないわけでございますが、この点についてまず申し上げますと、第一は、国有林治山事業に該当する費用。第二は、国有林野の所在する地域の産業の振興または住民の福祉の向上に寄与することを前提とした林道の開設及び改良に要する費用。第三点は、公益的機能発揮に属するわけでございますが、森林保全管理事業費用。第四点が、森林レクリエーション事業に要する費用。第五点が、林木育種事業に対する費用。この点は、五十二年度から政府においてはこれについての予算というものを削減しておるような内容でありますので、これはやはり法律明定をして、今後も国が費用負担するということにすべきだと思うわけであります。第六点は、国有林の高度の活用というものを期待いたしまして、混牧林の経営を行う場合に要する費用。第七点が、国有林野内における保安林に限定して、これが造林に要する費用。第八点が、国有林野における保安林以外の造林事業あるいは林道事業については、当然これは財政窮迫の場合には財投導入あるいは公債発行ができることになっておるわけでございますが、これらについての資金については金利相当部分というものを一般会計負担をさせる。この八項目に限定をいたしまして、これに対する支出については、それぞれ事業の範囲及び繰り入れに関する必要な単価の設定等についてはこれは当然でありますが、政令事項にこれはゆだねて行うということになっておるわけでございます。  したがって、今日の国有林野経営内容というものが、御承知のとおり、今年度の国有林野特別会計の中においては財投から九百七十億円の融資を得て、さらにまた、政府提案の関連において、一般会計から少額ではありますけれども四十億円の繰り入れを行うということになると、財投導入一般会計からの繰り入れ分を合算いたしますと、おおよそ一千億を超える特別会計に対する資金上の補強をしなければ、国有林野事業が今後運営が至難であるというような点から見ましても、一般会計で必要な経費負担する場合には、その反面において財投に対する依存度というものはその分だけ低減するということになるわけでございますので、社会党案におきましては、いたずらに財政投融資だけに長期的に依存をして国有林経営を維持するということは、非常に強度な再建を期することができませんので、このような方針を立てまして、まず法律実施に当たりましては、初年度はこれに要する経費といたしましておおよそ六百十六億円を一般会計から特別会計繰り入れをする、そういうような方針で臨んでおるわけでございまして、決してこれをもって民有林部面に対してこれを軽視するというような考えは毛頭ないわけでございます。  民有林に対する国の負担状況等については、昭和五十三年度の国の予算国会を通過いたしまして実施段階に入ったわけでございますが、この点については堀之内委員においても十分御承知でございますが、ことしの国の一般会計予算は三十四兆二千九百五十億円、覚えやすくするために、これはさようなら福田ころぶ予算と言っていつでも思い出せるような予算額でございますが、その中で農林省関係予算は、国の予算総額のわずか九%弱の三兆五百六十七億円、その中における林業関係予算というものは、農林省予算の中のまたおおよそ九%強の二千八百六十六億円ということになっておるわけでございまして、民有林を十分に配慮した国の施策予算的な裏づけをするかしないかという点については、一つの尺度として時の政府森林行政等についてどれだけ熱意を持った予算裏づけをしておるかどうかということ、これを判断基礎にする必要があると思うわけでございます。ただ、政府案を検討いたしましても、林業関係公共事業費は御承知のとおり総額で二千三百七十三億円と、それに非公共事業関係が四百九十三億円ということになっておるわけでありまして、これを合算いたしますと、一般会計における林業の総予算というものが二千八百六十六億円ということになっておるわけでございます。非公共関係予算は、これは挙げて民有林に投入されることに帰結するわけでございますが、いわゆる公共事業費の中における民有林関係国有林関係がどうなっておるかといいますと、これは政府が編成した予算内容でございますが、治山事業においては、民有林関係が九百八十億円と国有林関係が二百十五億、造林関係については民有林関係が三百十九億円と国有林関係が十九億、林道関係については、民有林関係が六百十一億円と国有林関係はことし新規につきましてこれが二十一億円と、それぞれ合計いたしますと、公共事業の中に占める民有林関係予算額が千九百十億円、これに対して国有林に回す分が二百五十五億円ということになっておりますので、政府が編成された予算内容を見ましても、これをもって決して民有林軽視ということには比較上ならぬと思うわけでございますが、問題は、国の総予算の中における大事な農林水産関係予算というものが年々総予算の中において低下するというような憂うべき現象、農林省予算の中においてまだまだ林業関係予算額というものが不十分であるというような実態を踏まえた場合において、今回の社会党提案政府提案においても、こういうような問題を十分に究明をして、今後国有林とあわせて民有林長期的な発展ができ得る基盤をつくるべきであるというふうに考えておるわけでございます。  以上をもって御答弁申し上げるわけでございます。
  5. 堀之内久男

    堀之内委員 民有林に対する社会党のお考えをお聞きしたわけですが、大分長い御答弁をいただきましたけれども、時間が余りありませんから、これを論議する時間もありませんので、次に移らしていただきます。  それでは次に、政府案は、一般会計からの援助と相まって、そして国有林野事業それ自体の自主的な改善合理化必要性をうたって、それに努力する、両方からやっていこうというのが政府案でありますが、大方の国民感情からいたしましても、国民税金をもって賄う部分が増加すれば、それだけ自分なりの企業努力というか、自主再建熱意が示されなければならない、それでなければ国民の合意というものは得られないと私は思うのですが、この点社会党案においてはどのような判断に立ってこのような案が提出されましたか。聞きますと、平常一千億という一般会計からの大きな繰り入れをしなければならない、ところが、いまの人員、機構をそのままにしてそれは何にもやらないんだ、そういうことで果たして国民理解をするものかどうか、この点についてお尋ねをいたします。
  6. 芳賀貢

    芳賀議員 ただいまの点についてお答え申し上げます。  まず基本的に、それでは国の国有林野事業というものがどういうような性格を持って、いかなる目的を持って事業運営されているかという点でございますが、これは堀之内委員も十分御承知のとおり、国の公共企業体として、企業特別会計として、国有林野事業特別会計法に基づいて一切の経理運営というものが独立形態で行われておるわけでございます。こういう形というものは、世界先進国にその例を求めますと、公共企業体事業として行っておる国がヨーロッパ等においても非常に多いわけでございます。ただ、問題は、それでは林業についての国有林公共企業としての事業というものは、単純にあくまでも独立採算制で各国において実施されておるかというと、なかなかそういうことにはなっていないわけでございます。国によっては相当多額な、社会党案以上な国の費用というものを企業会計に投入いたしまして、それをもって国有林というものは国民の山として、国土保全あるいは自然環境保全であるとか、国民に寄与する公益機能を十分に発揮させるためには、これは税金むだ遣いにならぬというそういう基本的な考えに立って実施されておるわけでございます。わが国においても最近ますます公益機能発揮というものが国民的な要請でございますし、現政府においても国会論議の中においても、この点については十分の施策を講ずべきである。しかし、これを実行する場合において、果たして独立採算制事業収益をもって一切の事業を賄う場合の偏った原則に立った場合に、こうした国民から期待され、その事業からは決して収益を期待することができないいわゆる公益機能発揮に要する費用というものを、国有林財政が悪化した場合においてもどうしても独立採算制の中から支弁しなければならぬかということになると、そこに破綻が生ずるわけでございます。現状においても、昨年は財投から八百三十億円、今年においても九百七十億円、この状態というものは、現行制度のもとにおいてはおおよそ毎年一千億円程度の、形式はどうでありましても、その程度特別会計に対する補強措置というものが行われなければ、国有林野特別会計としての事業実施することができないのです。方法論として、あくまでも一千億近い借金財政で今後十年間もそれ以上も続けていくか、あるいはまた、国有林野事業としての内容を区分して、特に公益機能発揮に関する事業等については当然のこととして国の一般会計から導入をして、そして健全な国有林事業運営をすべきである、こういう基本的な方針社会党は立っておるわけでございますので、要するに、政府案ごと借金財政でやるか、あるいは責任を分担して、当然の経費一般会計負担するか、ここに整然たる基礎があるわけでございまして、ぜひその点については論議の中で尽くしていただきたいと思うわけでございます。
  7. 堀之内久男

    堀之内委員 与えられた時間がただ十分しかありませんから、芳賀先生答弁が余り長いもので時間が割かれますが、私は一般会計援助することに異議を言っておるわけじゃないわけです。しかし、一千億という膨大な金を今後ずっと続けていくとするならば、もう特別会計で置く必要はないんじゃないでしょうか。一般会計の中で国有林野分離論というのが必ず出てくると私は思うのです。それなら一般会計で何もかもやってしまえばいいのです。だから、せっかく特別会計として独立採算企業性をある程度追求する会計として存在されておるとするならば、私はもう、一般会計からの援助もするが、さらに企業なりの努力というものもここに出てこなければおかしい。二十年間もそのままで置く。しかも公益性があることもわれわれ十分承知しております。したがって、その公益性は十分承知しながら、しかも国民的財産だと言われるならば、本当に国民的財産のようにこれを利用しなければいけない。いまの現実では、恐らく国民の大部分には、林野庁職員の山だ、営林局の職員の山だというような形で自分たちでそれを食っておるというようにしか理解はされていない、かように私ども考えております。したがって、こういうような国有林野分離論というのが、社会党案でいくとすれば将来必ず起こってくると想像されます。したがって、そういう面についての御配慮というか考え方をちょっと——そういうものがいつまでも出てこないと考えられるのか、私は必ず出てくる、こういうように考えますが、この点をもう一回お聞かせいただきまして、私の質問を終わらせていただきます。
  8. 芳賀貢

    芳賀議員 ただいまの堀之内委員の御発言は基本にかかわる非常に重要な点でございます。一つは、特別会計方式を放棄するということになれば、これは公共企業体として国有林野経営を放棄するということになるわけですね。じゃ放棄した場合、漠然と一般会計と言われてもどういうような形態——国民の大事な財産である八百万ヘクタールに及ぶ国有林面積、八億立方メートルをやや超える蓄積というものを、どのようにして国が責任を持って管理運営をして国民経済発展に寄与するかということは、これは根本に触れる問題でございます。国が責任を持って行うということになれば、国有林野経営にしても、あるいは郵政事業にいたしましても、形式としては特別会計方式をもって国の公共事業体としてこれを運営するということになっておるわけでありますからして、現状を厳しく批判するということになれば、戦後三十年を例にとりましても、三十年続いたいわゆる自民党政治のもとにおけるわが国林業全体の政策の実行、その中における国有林野事業運営経営というものに対して、これは単に政府とか国会という立場だけでなくて、国民的に厳しく反省し批判を要する点であるというふうに考えます。だからこそ、今度政府におかれましても、わが方の案と比較すればまことに不十分なものであると、率直に言うと比較にならぬじゃないかというような、こういう国民批判も実はあるわけでございます。この点については、この審議の中において十分、審議を尽くす必要がある。きょうは幸いにして与党を代表して堀之内委員から非常な有力な御質問をいただいたのでございますが、でき得れば他の党の皆さんからも、もし林業についての政策をお持ちになっておるとするならば、社会党案に対して忌憚のない御意見とか御批判とかあるいは質疑を展開してもらって、そうして両案を本委員会において上げる場合においては、悔いの残らないようなものに仕上げて、国会の責務を果たす必要があるというふうに考えておるわけでございます。
  9. 堀之内久男

    堀之内委員 もう御答弁は要りませんが、いま芳賀先生の御意見をお聞きいたしましたけれども、私ども一般会計から援助するのを悪いとか言っておるわけじゃないのです。援助と同時に、企業内の努力もしてほしいということを言っておるわけで、社会党案にはその辺が全然入っていないからお尋ねをしたわけであります。やはりいま独立会計特別会計でやっておるのですから、特別会計でやっておる以上、企業内の努力お互いにしていく。それによって、一般的な国民税金も投入してよりよい国有林野事業経営していこうというのが最もベターだ、私どもはかように考えております。いま芳賀先生の御意見、御高説をお聞かせいただきましたが、このままでいきますと大分平行でいきますけれども、この点、これからの論議で十分尽くされると思いますので、一応私の考えを述べまして、質問を終わります。
  10. 芳賀貢

    芳賀議員 大事な点ですから、進んでお答えします。  たとえば社会党案根本がないじゃないかということですが、社会党法案をよく見てもらいたいと思います。社会党案には、まず、基本計画を二十年にわたって設定しなければならぬという法律目的もございます。政府案の場合には、法案ではございますが、第一の欠点は、目的のない法律でございます。ただ、第一条に「趣旨」なる見出しが書いてありますが、この法律には目的がない。社会党案では、第二条で基本計画を必ず設定しなければならぬ、これに基づいて五カ年を一期とする再建整備計画というものを五年ごと五年ごとに設定して、これに基づいて必要なものについては一般会計から特別会計資金導入して、これによって法律目的が達成されるようにしなければならぬ。しかもその根本は、この際申しますと、御承知のとおり林業基本法の第十条では、森林資源に関する基本計画というものを政府が閣議決定してこれを公表しなければならぬ、あわせて林産物に関する長期需要供給の見通しというものを同時に設定して公表しなければならぬ。林業基本的な計画を立てるということになれば、五十年の長期に及ぶ森林資源基本計画というもの、これを全く度外視をして基本のない法律を実行するということになれば、何を求めて実施するか。暗夜にちょうちんを失って手探りで進む。前へ行っておるのか後ろへ行っておるのかわわらぬというような状態。仮に政府案がこのまま通るとすれば大変なことになると私はいまから危惧しておるわけでございます。  答弁は必要ないというお言葉でございますが、大事な点でございますからしてあえて御答弁を申し上げまして、御了解を願いたいと思います。
  11. 中尾栄一

  12. 角屋堅次郎

    角屋委員 私はこれから、政府から提出されております国有林野事業改善特別措置法について質問をいたしたいと思います。  いま芳賀委員答弁台に立ちましたように、わが党の関係からは対案として国有林野事業再建整備特別措置法案提案をされておるわけでありますが、私も提出者の一人でございますので、この点に対する質問はやめまして、主として政府案に対する御質問を申し上げたいというふうに思います。  ただいま与党堀之内委員からわが党案に対する質問をいただきましたが、これはお互い議会人として、議員立法というものを政党がそれぞれ準備する場合には、政府提案もちろんでありますけれども、やはり議員立法を大切にするという意味から審議が行われる、尽くされるということは大切なことだと思うのです。その点で、与党堀之内委員質問されたことは、質問のやりとりは別として敬意を表したいというふうに思います。各党ともにやはりそういう立場議員立法の問題についてはお互いに取り扱ってもらいたいというふうに思います。  前置きはさておきまして、きょうは農林省設置法の一部改正が内閣委員会で大詰めにきておるという事情もございます。が、残念ながら、この重要な法案について中川農林大臣も御出席願えない、さらに直接責任者である林野庁長官も一御出席願えない こういう形の中でこの重要な法案審議をやるということは、私も二十年国会をやっておりますけれども、いささか遺憾であります。したがって、これはさらに中川農林大臣が出てきて質疑が行われて法案の決着をつけるということでございますので、委員、長にお願いしたいのでありますが、大臣質問については、この際、時間は別として保留をさせていただきたいと思います。  おとといから同僚委員によって政府案に対する質疑が行われてまいりました。この質疑の経過を聞いておりますと、それぞれの党の立場というものはもちろんあろうとは思いますけれども、同時に中川農林大臣の御答弁を聞いておりますと、かねてそう思っておりましたが、中川農林大臣の持ち味というか、カラーということもございますけれども、一言ちょっと多い点がございまして、また、問題によっては考え方に問いたださなければならぬ問題も含まれております。そういう点では、私自身も質疑を聞いておりましてやはり問題意識を持っておりますし、また発言内容によっては非常な問題ではないかという節もございます。そういう点で、先ほど申しました点については御配慮いただきたいと思います。  おととい、きのうとやられてまいりました同僚委員質問と若干重なる点もありますけれども、やはりできるだけ幅を広げて、他の諸君が取り扱わなかった問題にも触れて、きょう御出席が今井政務次官とあとは林野庁の担当部長ということになって非常に残念でございますけれども質疑を展開をいたします。  申し上げるまでもなく、わが国国有林野は戦後昭和二十二年四月に、その当時農林省関係の所管のもの、内務省関係の所管のもの、宮内省関係の所管のもの、こういった三つの行政機関のもとにあった国有林を農林省所管に一元化をいたしまして、そして同時に国有林野事業特別会計制度が発足いたしまして、国の企業として今日まで運営されてきたことは御案内のとおりであります。去年、林政統一三十周年記念式典というのをやられるほど、三十年の年輪を数えておるわけであります。しかし、政府案であれ社会党案であれ、国有林野事業について改善といい再建整備といい、今日の国有林野事業の厳しい条件下においては、財政的なサポートあるいはこれからの再建ないし改善の工夫をしなければならぬ段階に来ておることは間違いがないわけであります。  私は、この際に、若干諸外国の国有林のあり方はどうなっているかという問題についてお尋ねをいたしていきたいと思います。  先ほど堀之内委員芳賀委員との応答の中でも、芳賀委員の方から、諸外国でも国有林については、国によっていろいろ制度その他は違うけれども、やはり相当思い切った財政的なサポートがなされておるというふうな御答弁がございましたが、これに関連する問題であります。  国際的な国有林のあり方という問題でも、時間上たくさんのものを取り上げるわけにはいかないと思いますけれども、ヨーロッパで言えばイギリスであるとかフランスであるとかあるいは西ドイツ、さらにはスウェーデン、アメリカの方に行ってアメリカ、カナダ、こういったところの国有林経営実態がどうなっておるかということを一わたり触れていきたいと思います。  イギリスの場合は、国有林としては森林面積の四一%、ただ面積としては八十万ヘクタールということで、日本から見れば面積としては少ないわけでありますけれども、これは王室から出発しておりますが、国有林森林面積の四一%という数字を占めておる。フランスの場合は国有林が百七十万ヘクタール、森林面積の大体一二%。西ドイツの場合は、連邦国家でありますから、国有林というのは連邦有林と州有林というふうに分かれるわけでありますが、連邦有林が十一万ヘクタールで州有林が二百一万ヘクタール、締めて二百十二万ヘクタール、この国有林森林面積全体から言うとわが国とほぼ同じでありますけれども、三〇%を占めておる。スウェーデンの場合は、国有林として四百七十万ヘクタール、森林面積としては全森林面積の二〇%を国有林が占めておる。アメリカの場合は、これは連邦国家の関係でございますから、連邦有林というのが四千三百万ヘクタールある。これは大体森林面積の一四%と見ることができると思います。カナダ等も含めてございますけれども、そういうふうに諸外国の場合も、森林は申し上げるまでもなく公益的機能さらには経済的機能という両面を持っておるわけでございますので、国としても国有林を持ち、この両面の機能が発揮できるように、比率は全体の森林面積の上で大小はございますけれども、そういう形で運営なされておるし、またわが国においても、国有林があり公有林があり私有林がありという形の中で今日運営をされておるわけであります。  この際、お伺いをしたいのは、いま取り上げましたイギリス、フランス、西ドイツ、スウェーデン、アメリカあるいはカナダといったところで、どういうふうな国有林野事業運営のシステム、あるいは最近の国有林野事業経営は黒字で運営されておるか赤字で運営されておるか。私どもの調べによりますれば、イギリスは約四割強の国庫交付金を国有林経営のために投入しておる。したがって、そういう意味から言えば赤字経営でやっておる。フランスの場合は黒字でございますけれども、西ドイツの場合も今日赤字経営の実態にある。スウェーデンの場合は黒字の状態でございますけれども、アメリカの場合も赤字経営の中で財政的なサポートをしながら国有林経営をしておる。こういった実態について、政府側から、いま挙げました国々の点について、時間の関係もございますから要約して御答弁を願いたい、こういうふうに思います。
  13. 秋山智英

    ○秋山説明員 それでは私から、ただいま御質問ございましたイギリス、フランス、西ドイツ、スウェーデン、アメリカ、カナダにつきまして御説明を申し上げます。  イギリスにつきましては、森林行政機構は御案内のとおり林業委員会が担当いたしまして、その経営目的といたしましては、森林の造成、木材の自給率の向上、それから自然環境保全並びに景観の維持、保健休養の場の提供というようなことを経営目的といたしまして実施しておるわけであります。経営形態といたしましては、したがいまして、林業委員会の管轄であるわけでありますが、予算会計方式といたしましては森林基金による運営実施しております。ただいま御指摘ございましたように、国からは国庫の交付金がございまして、一九七三年度の収支規模は三千万ポンドでございます。これを邦貨に換算いたしますと百二十五億円でございます。これは先ほど御指摘ございましたように、この四割強の国庫交付金が含まれておりますので、そういう意味におきましては赤字経営というふうに言えると存じます。  それから次に、フランスでございますが、フランスは一九六六年に森林公社が発足いたしまして、公社による独立採算制実施しております。したがいまして、目的といたしましては、木材の生産、森林資源の整備と保全保護、保健休養の場の提供ということでございまして、公社の収入といたしましては、国有林の木材販売収入、狩猟権の、これはこの国では貸し付けをいたしておりますが、それとか、土地の譲渡というふうな財産収入、それから国庫金勘定からの収入というものがございます。この森林は、御案内のとおり国で行いまして、そういう意味におきまして、公社自身はその設備投資につきましては国の負担でやるというようなかっこうになっております。それから公共団体有林の委託収入というものを持っております。さらに、国、公共団体有林と契約いたしまして、観光施設等の受託収入というのがございます。それで、一九七五年の経営状況を見ますと、収入が九億二千六百万フランでございまして、支出が八億四千万フランでございます。差し引き八千六百万フランの黒字でございますが、邦貨に換算いたしまして四十二億三千万円程度になっております。  次に、西ドイツでございますが、西ドイツにつきましては、ただいまお話しございましたとおり、連邦制度をとっておる関係もございまして、国有林は連邦有林と州有林から成っておるわけであります。この州有林の方につきましては、かつての旧領主の所有林を継承したものが中心となっておるわけでございますが、国有林経営目的といたしましては、森林の持っております各種の公益的機能の高度発揮の問題、それから木材の保続的な生産ということをねらいとしております。この予算会計方式でございますが、これは一般の州の行政の一部といたしまして、一般会計によりまして州有林の管理経営が行われております。したがいまして、独立採算のたてまえをとっておりません。しかしながら、やはり州有林といたしましての経営状況を明らかにするという必要性から、区分経理をいたしておるわけであります。そこでこの結果に基づきまして州有林全体の経営収益を見てまいりますと、一九七一年以降赤字経営となっております。総額につきましては現在つかみ得ませんので、ヘクタール当たりで換算いたしますと、邦貨にいたしましてヘクタール当たり四千七百円の赤字ということになっております。  次に、スウェーデンでございますが、スウェーデンにおきましては、わが国の農林省林野庁に相当する機構が行政を担当いたしまして、国有林野局が国有林の管理経営をいたしております。この経営目的といたしましては、木材の保続的な生産並びに保健休養の場の提供ということを目的として実施しておるわけであります。この経営形態でございますが、国有林野局は国有林を経済ベースで運営する公共企業体とされております。この国有林は、先ほどもちょっとお話にございましたが、やはり王室有林等を母体としてできたものでございます。この予算会計方式といたしましては、企業特別会計といたしまして運営をしているところであります。借入金、剰余金等につきましては、国の予算書に計上されまして、国会審議を経ることとなりますが、その他のものについては必要としておりません。なお、一九七三年におきます経営を見てまいりますと、収入が六億七千万クローネでございまして、支出が五億九百万クローネ、差し引き一億六千一百万クローネの黒字でございまして、邦貨に換算いたしまして七十八億六千万円の黒字となっておるわけであります。  次にアメリカでございますが、御案内のとおりアメリカにおきましては、森林林業行政は連邦有林の方は農務省、内務省、それから公、私有林は農務省ということで担当しておるわけであります。それで特に多いものが連邦有林でございますが、これにつきましては四千三百万ヘクタールでございますが、会計方式といたしましては一般会計方式をとっております。したがいまして、国有林の管理経営事業に限定しまして、その収支を対照するという仕組みには実はなっておりません。そこで木材販売収入等のいわゆる事業収入と総支出を対比するということになりますと、ここにおきましてはやはり赤字経営ということであります。収入が六億七千万ドル、それから支出が八億七百万ドル、差し引き一億三千七百万ドル、邦貨に換算いたしまして三百五十九億円の赤字ということになっております。  最後にカナダでございますが、カナダは連邦制でございますので、連邦政府と州政府の二本立てでこれを管理経営しております。連邦有林の方は、どちらかと申しますと、試験林とかあるいは準州有林に所属するものを持っておりまして、大半が州有林でございます。州有林は、これはもともとはやはりイギリスの王室有林から歴史的になったものでございます。それで、目的といたしましては、やはり木材生産、自然環境保全、それから保健休養というふうな、ほぼ各国同じような目的でございます。この会計方式はやはり一般会計方式をとっております。したがいまして、これもやはり国有林の管理経営に限定いたしまして、収支を対応させる仕組みにはなっておりません。州によりまして非常に収入と支出の差がございまして、一応ティピカルな例といたしましてブリティッシュコロンビア州とオンタリオ州について見てまいりますと、ブリティッシュコロンビア州の方は大きな黒字を出しておりまして、収入が一億三千四百万ドル、支出が四千万ドルで、差し引き九千四百万ドルの黒字でございます。わが国の金に直しまして百八十四億円強の黒字であります。それからオンタリオ州の方は非常に規模が少のうございまして、収入が一千五百万ドル、支出が三千二百万ドル、差し引き一千七百万ドルの赤字でございます。邦貨に換算いたしまして三十三億円の赤字ということになっております。  以上でございます。
  14. 角屋堅次郎

    角屋委員 いま担当部長から御答弁がございましたように、諸外国の国有林経営というのは、制度あるいは会計方式、これはそれぞれの国によってもちろん違いますけれども、今日日本の国有林財政的に赤字状態、これはやはり工夫をしながらサポートをして国有林野事業が健全に運営されるようにするということは当然のことでございますが、諸外国の例を見ましても、イギリスにおいては約四割の国庫交付金というものを投入して国有林経営をやるという実態にありますし、フランスは黒字でありますけれども、西ドイツの場合も赤字経営の中で国有林経営をやっていく、あるいはスウェーデンの場合は黒字でありますが、アメリカの場合も、いま御説明のように、全体からすれば赤字経営の中で財政投入をしながら国有林経営をやっておるというふうに、これは普通の事業と違いまして、国有林の山の場合は公益的機能を持つ、これをないがしろにすれば下流の流域の非常に密集した地域に大惨害をもたらすという意味では、単に木を切ればいいというんじゃなく、木を切る切り方、あるいは治山治水、こういうものも十分配慮しながら、最近は公益的機能に対する要請というのは非常に強く出てきておる、それにもやはり配慮しながら事業運営をやらなければならぬという制約条件が当然あるわけでございまして、またそのことを無視することはできないといったような関係で、赤が出たからどうするとか黒であればどうするというのではなしに、息の長い、国有林野経営する場合の公益的機能、経済的機能、これを調和させつつ健全な運営をやらなければならぬという立場にあるわけであります。  御承知のように、日本の場合も国有林野特別会計が黒字の場合には、民有林に対する協力、民生協力ということで、国有林の中からゆとりのあるものを一般の民有林のサポートに回すということもやられてきたわけであります。したがって、困難な事態になれば、一般会計から財政を投入して、国有林野事業経営が破綻なく、しかもその使命を果たしてやっていけるようにすることは当然だと思うわけであります。これはむしろ政務次官にも、せっかく御出席でございますから、ときどき御答弁をいただかなければならぬと思うわけでありますが、赤字が出てくるというと、大変だ、それがすぐ首切りか合理化に結びつくというのは偏見でありまして、国有林野事業の持つ二つの大きな目的をいかに調和しつつ達成をしていくか。そのために、特別会計の方で耐えられる点は自己努力として耐えなければならぬ、しかし、それを超える部分については国が財政的なサポートをやりながら運営をしていく、この基本的な考えでいくことは当然だと思うのですけれども、その辺のところについて今井政務次官からお答えをいただきたいと思います。
  15. 今井勇

    ○今井政府委員 お説のとおり、国有林野国民共通の財産であります。したがいまして、その管理、これは貴重な財産を守っていかなければなりません。一方、今回お願いしておりますように、一般会計をこれに投入しようということでありまして、国民の目から見れば、貴重な国民税金でございますから、効率的に運営されねばならない、これは当然のことであろうと思います。おっしゃいますとおり、国有林野には木材生産という面のほかに国土保全国民の休養林等々、公益的な面も多いわけでございます。そういうことも考えまして、今回一般財源をつぎ込もうとしておるわけでございまして、そこらあたりの調和をどう図るか、これが今後国有林野に課せられた大きな問題であろう、このよう応考えております。
  16. 角屋堅次郎

    角屋委員 日本の国有林の場合には、その立法的な根拠として、まずスタートに国有財産法があるわけであります。もちろんそれと関連をいたしまして、国有林の地元協力というところで適用条項が出てくるわけですけれども、国有財産特別措置法という立法的な根拠がスタートになるわけであります。そこで、国有財産法の国有林野にかかわる立法的根拠について説明を願いたい。
  17. 石川弘

    ○石川政府委員 国有林の国有財産法上の位置づけでございますが、国有財産法の中では国有財産を行政財産と普通財産に分けているわけでございますが、国有林が持っております財産のほとんど大部分はいわゆる行政財産の中の企業財産、条項で申しますと三条二項四号でございますが、「国において国の企業又はその企業に従事する職員の住居の用に供し、又は供するものと決定したもの」、これは大半が森林でございますから企業の方でございます。若干はそういう職員の住宅用地というものもございますけれども、いわゆる企業財産が大半でございます。一部のものにつきましては、その用途を廃止しました段階で行政財産以外のいわゆる普通財産に位置づけられているものが若干ございます。
  18. 角屋堅次郎

    角屋委員 いま担当部長から御説明がございましたように、国有林国民の共有の財産でございまして、国有財産法第三条第二項第四号「企業財産」というものに大半は入るわけであります。一部、普通財産に入るものもありますけれども、大半は行政財産のうちの企業財産、それが国有林野の国有財産法における法的な根拠になるわけでありまして、政令とのかかわり合いで見ますならば、この第三条第二項第四号の「企業財産」を受けて、国有財産法施行令第二条「国の企業」のところで「法第三条第二項第四号の国の企業は、左に掲げるものとする。」というところで、第一号に「造幣局の行う事業」、第二号に「印刷局の行う事業」、第三号にいま議論をすることになっております「国有林野事業」、第四号に「アルコール専売事業」、第五号に「郵政事業」とありますように、国有林野事業は、国有財産法において企業財産というものであり、国の企業と言う場合には、いま言った五つの国の企業のうちの重要な一つとして国有林野事業経営がなされていく、こういう法的な位置づけに基づきまして、しかも、国有財産法第八条の「政令で定める特別会計に属するもの」、これを受けて、国有財産法施行令では第四条で、「法第八条第一項但書の特別会計は、左に掲げるものとする。」という九番目のところに「国有林野事業特別会計」という条項があって、いま議論をする問題にかかわり合うことは、十分御承知のところであります。  そういうことを受けて、先ほど言いましたように、昭和二十二年四月の三省の統一によって、農林省が一括して、国有財産である国有林野国有林野事業特別会計法に基づいて国有林野事業として今日まで運営してきたということに相なるわけであります。  そこで、かつては民有林に対する財政的な支出もやってまいりましたが、諸般の情勢によって国有林野事業経営財政的に困難な条件にあるということから、今回、政府としては国有林野事業改善特別措置法案提案され、わが党からは別途国有林野事業再建整備特別措置法案を出して、いかにすれば国有林野事業の正しいこれからの運営発展が期せられるかということが議論をされることに相なるわけであります。  そこで、国有林野事業の場合は、申し上げるまでもなく、いま農林省設置法とのかかわり合いがありますけれども、従来は十四の営林局にそれぞれ担当を分けまして、そこで全体として国有林野事業経営がなされておるわけでありますが、国有林野の場合は、その所在する位置からいたしまして、公有林、私有林よりももっと奥地の、いわば公益的機能を果たさなければならぬ地域のウエートが非常に高いわけであります。林地で申し上げますれば、第一種林地、第二種林地、第三種林地に分かれるわけでありますが、第一種林地は平たく言えば公益林である、第二種林地は経済林である、第三種林地は地元住民の福祉のための特別の施業を要する林地、いわば地元協力との関係で、部分林であるとかあるいは共用林野であるとか、そういうものを含んだもの、この国有林野の第一種、第二種、第三種の分類を見てみますと、各営林局によってウエートは違いますが、全体としては第一種の公益林というのが五七%を占めておる、経済林というのは四一%を占めておる、残りの二%が第三種林地である。こういうふうな国有林の自然的、地理的なその所在する状態から見まして、公益的機能のきわめて高い面積を、全体として国の企業として運営をしていかなければならぬ。しかも、今井政務次官からも御答弁がございましたように、国土の保全の点では、国有林の場合には全体の四五%を占める三百六十二万ヘクタールというものが保安林として今日指定をされておりますし、さらに保安林整備としてこれを拡大をしていこうという形勢にあるわけでありますし、あるいは自然公園あるいは史跡、名勝、天然記念物、鳥獣保護区、レクリエーションの森といったような保健休養の場としての役割りもまた果たしていかなければならぬ。自然公園の場合で言えば、自然公園全体の約半分を占める二百四万ヘクタールというものが国有林として、今日自然公園法に基づいてこれが実施をされておる。史跡、名勝、天然記念物については、これは文化財保護法に基づいてのことであり、あるいは鳥獣保護区の問題については、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律に基づいてやっていかなければならぬ。レクリエーションの森については国有林経営規程に基づいてやられていく問題でありますけれども、そういった国有林野事業企業的に運営するということは、法のたてまえから言えばそういうことでございますけれども国有林野事業の今日持っておる所在地あるいは役割りといった面から見ますと、独立採算あるいは企業運営一点張りでいけない諸般の制約条件を持ち、しかもその制約条件というのは、国民全体から見ればこれをないがしろにできないという性格のものを含んで、全体として国有林運営をやらなければならぬ、こういう立場にあろうというふうに認識をしておるわけでありますが、その辺のところについて御答弁を願いたいというふうに思います。
  19. 今井勇

    ○今井政府委員 るる御意見がございましたが、先ほどの先生のお話にもありましたように、ともそれぞれ特殊な事情がこれあるわけでありまして、ある国によっては一般会計でやります。またある国では特別会計でやっておるところもあるわけであります。それぞれ国によって企業のあり方、会計のあり方が違うのは当然でございます。  わが国におきましては、その歴史的な経過から見ても、ひとつ特別会計でこれを運営しよう、しかもこれを国民財産としてお守りしようということでやってまいっておりますが、諸般の情勢からいろいろ経営に無理が出てきておりますので、この際、貴重な国民税金を一部いただかしていただいて企業の立て直しをやろうということでございます。  しかしながら、何と申しましても、自分たち努力で極力国民の皆様に迷惑をかけないようにやっていかなければならないというのがあくまで基本でなければなりません。しかし、国有林の持ちます公益的な機能もこれあるものでございますから、今回から一般会計からも導入をいたそうということで御審議を賜っております。したがいまして、くどく申しますが、国民的共有財産をりっぱに守り抜くということ、しかも国民の貴重な税金をいただく以上はそれを効率的に運営をしていくという、この二点を堅持してまいりたいと存じます。
  20. 角屋堅次郎

    角屋委員 今日、国有林野事業財政が悪化した理由については、同僚議員によって一昨日来議論もされてきておるわけでありますが、国有林野事業の収支という点からいけば、伐採をしてそれから収入を得るというのが中心になる。その伐採をして収入を得る大もとになる伐採量が、先ほど来議論をしてまいっておりますように、公益的機能その他の関係もございまして、御案内のとおり、昭和四十五年を一〇〇といたしますると、四十八年以降これが減って、四十八年に七九、四十九年に七一、五十年七四、五十一年七六というふうに、いずれにしても四十五年の一〇〇に対比いたしまして、四十八年、四十九年、五十年、五十一年と、七割台というふうな伐採量の状態でございます。しかも第二項目として、国有林の丸太等の販売単価というものを見てまいりますと、今日これが低迷をしておる。これは単に国有林ばかりでなしに、民有林も含めて林業経営が非常に厳しい条件下に置かれておる。それに無秩序な外材輸入によるところの民有林国有林へのいわゆる経営の圧迫という問題もあるわけでありまして、また給与等については、これは生活の基本から見て、物価その他の情勢から上昇すべきものについては当然上げていかなくてはならぬということになりますれば、この面における財政支出もふえていくことは当然であります。  いずれにしても、伐採量そのものがかなりの期間横ばいあるいは下降傾向を続けざるを得ないという実態があるわけでありますから、したがって、今後二十年と言い、あるいは政府案で十年間で二十年を展望しながらと言うにいたしましても、わが党の場合は、この二十年の中で再建整備を真に図ろうという基本的な考え方でありますが、伐採量の見通し一つを見ましても、昭和五十三年のことしを起点にいたしますれば千五百三十五万立米、これが大体六十年代まではずっと下降傾向をたどりまして、そして六十二年ごろから六十七年にかけて横ばい状態、そして、見通しから言えば大体六十七年度以降伐採量が上昇傾向ということで、二十年後の七十二年のときにどれぐらいの伐採量を想定しておるかというかかわり合いになると思うのですけれども、これから二十年間の伐採量の見通しについて、専門的立場にございます政府側から御答弁を願いたい。
  21. 秋山智英

    ○秋山説明員 伐採量の見通しにつきまして申し上げます。  昭和五十三年度におきましては、ただいまお話のございましたように、一千五百三十五万立方メートルを予定しておりますが、自後漸減いたしてまいりまして、昭和六十年に最低の一千三百五十万立方メートルでございます。それから六十七年度ぐらいまで横ばいでまいりまして、それから後は、戦後に植えられました人工林がようやく伐期に到達いたしますので漸増してまいりまして、七十七年度には一千四百八万立方メートルぐらいに達するというふうな見通しを立てております。
  22. 角屋堅次郎

    角屋委員 木は伐期に来なければ切れないわけでありますから、赤字だからといって伐期に到達しないものを切るというわけにいかない。したがって、伐採量は成長量の状態を見ながら見通しを立てるとすれば、いまお話がございましたように、ここ当分伐採量は下降傾向になっていく、そして六十年代から横ばい状態が続いて、六十七年から伐採量がだんだんとふえていく、この形勢というものは、これを大きく変えることはできないという否定できない厳しい現実があるわけであります。  したがって、国有林の今日の財政的な条件、困難な条件というのは、これは何も人為的に出たものでなしに、一つは木の持つ伐採の適期という問題から出ておりますし、こういう事態になったのは、さかのぼれば戦前、戦時中の、いわゆる山を大切にする、木を切れば植林をする、あるいは施業方法についても適正なやり方をやる、手入れも十分やるというふうな点、これがやはり軽視されてきたところに、今日に来てこういう厳しい条件に置かれる遠因があったということは否定できないと思うのであります。林政統一三十年の林野庁の印刷物を見ますと、その印刷の中に、戦時中、戦時体制の段階では、とにかく北海道の場合は通常の伐採の四倍、他の国有林の場合でも通常の二倍、まだ戦前は三つに分かれておりましたから、御料林においても増伐が行われるというふうなことで、通常の状態から二倍、四倍というふうないわば乱伐が行われる。しかも当時は動員が行われて戦地にも行かなければならぬ状態で、労働力も不足する。あとは十分なことがなされないということで、いわゆる戦後の山の荒廃ということがスタートとして始まっておるわけであります。したがって、そういうことも過去にさかのぼって判断をしながら、これからやはりそういう過ちを再び起こさないように、木を切れば必ず植林をする。間伐問題等が今日大きな問題になっておりますけれども、そういった面についても十分なやはり施策を講じていくというふうな全体的な関係の中で、これから十年、二十年を展望して、国有林国民財産として、また民有林に対する国有林が模範的な林業経営として、これに見習って皆さんもやりなさいということに持っていくためには、かすに時日をもってしなければならぬ今日の時点にあるというふうに私は認識すべきだと思うのであります。  そこで、そういった事態にございまするからして、当然五十一年度からは、いわゆる資金運用部資金というふうな国の資金の中から五十一年度に四百億の金を借りる、あるいは五十二年度には八百三十億の金を借りる、五十三年度には九百七十億の金を借りるということで、すでに二千二百億の金を借りるという借金が出てまいっておるわけでありますし、これは一千億台でこれから十年間借りていくとしますと、借金だけで政府案のような形でやる場合には一兆円からの借金をしなければならぬ。恐らくこれは一兆円ではなくてもう少し、十年間に政府のようなやり方でやるとすれば一兆円以上の借金をやるということに相なるのではないかというふうに思うわけであります。しかも、借りた金の条件を見ますと、五十一年には七分五厘で借りておる、五十二年には六分七厘五毛から六分五厘の範囲内でそれぞれ借りておる、五十三年度には予算上は六分五厘と言っておりますけれども、これは六分台になるようでありますけれども、そういったやはり相当な金利負担の形で借りて、すでにこれは二千二百億円借りておる、これから一兆円を超す借金をやろうという考え方である、困難な条件の中で、やはり返しながらしかも国有林の健全な経営の目標に到達しようということは、政府ベースの考え方で行く場合には非常に至難のわざではないか、率直に私はそういうふうに思うのであります。仮に一兆円の借金をいたしますれば、利子だけで、年間六分五厘でやれば六百五十億円の利子を返さなければならぬ。この六百五十億円の利子に、さらに元木も返していかなければならぬというふうなことになるわけでありまして、林道の場合、造林の場合、政府法案によりますと、政令指定ということになっておりますけれども、これは林道であり造林である。わが方の場合は、芳賀さんの提案にもありますように、いわゆる公益的機能にかかわるようなものについては一般会計から投入をするという考え方でございますけれども政府の方では林道造林というふうなところに今日力点を置いてやろうということでありますけれども、この林道の場合は四年目から返済をするということであろうと思いますし、造林の場合は六年目から返済をするということであろうと思うわけでありますけれども、そういった借金財政の、これからの十年なら十年の間にどれくらいの金を借りるという、政府ベースでは、考え方に立っておるのか。また金利の条件はどうなのか。あるいは林道造林等にそれを投入する場合は、返済の条件はどういう形でやろうとしていくのか。これらについても御説明を願っておきたいと思います。
  23. 秋山智英

    ○秋山説明員 まず昭和五十三年でございますが、ただいまお話もございましたとおり、一般会計からの繰り入れにつきましては、造林事業に約十九億円、林道事業に二十一億円、合わせまして四十億円を予定しているわけであります。また、財投からの借り入れでございますが、これは造林事業に七百二十億円、林道事業に約二百五十億円、合わせまして九百七十億円を予定しているわけであります。  そこで、五十四年度以降の一般会計からの繰り入れあるいは財投からの借り入れでございますが、これは毎年度の予算編成におきまして、この国有林野事業の今後の改善の進展状況あるいは収支の状況、また一般会計並びに資金運用部の財政事情というふうなものを勘案いたしまして定めていくということになると考えますので、現段階におきまして十年間の繰入額あるいは借入額を見通すことは困難でございます。  なお、ことし借りております造林の七百二十億円につきましての条件でありますが、これは償還期限が二十五年でございまして、据え置き期間は、ただいま話がございましたように五年でございまして、金利六・〇五%でございます。それから林道の方は、二百五十億円でございまして、償還期限が十年でございます。据え置き期間は三年でございまして、金利は同じでございます。
  24. 角屋堅次郎

    角屋委員 金利水準を引き下げるということは全体的にも政府が今日やっておる段階の中で、国の資金の方から借りる長期借り入れについて金利そのものがやはり問題だ。これは大蔵省の資金運用審議会というふうなところをスルーしなければならぬ問題もあるわけでありますけれども、しかし、無利子と言いたいけれども、とにかく相当な金利を取って、そしてそれを貸すからやれというところにも、やはり今後検討すべき重要な問題があるし、年間これから一千億円ペースで借りていく。それを、いま言われたように、林道についての貸し付け条件、造林についての貸し付け条件の中で、返済を、据え置き期間を置いた以降やっていかなければならぬ。大変なことだというふうに思うのです。  何か先ほどの質問やあるいは他の同僚議員の質問を聞いておりますと、今日国有林野事業の置かれておる実態を十分承知の上で議論されておるのかあるいはそうでないのかという点に、いささか、率直に言って疑問を持つ点が多い。多いが、要するに今日置かれておる歴史的な経過の中で、国有林野事業の置かれておる現状、こういったものを国民財産として将来どう二つの大きな目的を達成するためにやっていくかということは、やはり政党の立場、次元を離れてまじめに考えていかなければならぬ問題である。  そういうことから考えますと、政府案提案をされ、提案の中で政府自身が考えておる中身というものを見てまいりますと、これはもっと改善をしていかなければ、わが党提案ずばり一〇〇%と言いませんけれども、わが党提案考え方も取り入れて考えていかねばやはり大変なことになる。金を少し惜しむために、かえって禍根を将来に残すということになりかねない。最初のスタートの時期に、できる限りそういう点については十分配慮しながら、みずからの自主的努力と全体的な経営長期展望に立って進める、こういうことで、やはり情熱を持って林野庁自身も、第一線の職員、労働者の諸君も取り組めるような体制で国有林再建考えるべきだ。その辺のところを、必ずしも十分に実態をわきまえずに、偏見のある議論をするというのは、私は議論の的が外れているというふうに率直に思うのでありますけれども、その辺のところについてどう考えられるか。
  25. 今井勇

    ○今井政府委員 お言葉を返すようでありますが、造林事業あるいは林道事業等について、民有林には補助の道が開かれておりましたが、国有林には、これは自前で実はいままでしておったわけであります。それではなかなか国有林財政状況も大変だということで、今回お願いしておりますように、五十三年度は、国民税金であります一般会計から四十億円に及ぶ金をひとつ投入しようということであります。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 したがいまして、これはまことに、考え方から言いますれば、思い切ってひとつこの際、大事なお金ではあるけれども国有林野の今後の姿、今後の状況を考えたときには、ぜひお願いをしなければならぬというせっぱ詰まった気持ちで実は考えておるものでございまして、私どもは、国を愛する気持ち、国有林を何とかしてやっていきたいという気持ちにつきましては、先生といささかも変わりのないということを御理解賜りたいと存じます。
  26. 角屋堅次郎

    角屋委員 私は、いま今井政務次官の言われたように、今日国有林の置かれている条件から見て、政府自身も農林省もこれを何とかしなければならぬということで前向きに取り組もうとする姿勢そのものを否定する気持ちはない。しかし、これで十分であろうか、あるいはもっと内容的にさらに充実をしなければならぬじゃないかという立場から申し上げておるわけであります。  そこで、林野庁の担当の方からさらに敷衍をしてお伺いをしたいのは、従来、治山については、歴史的な経過の中で一般会計からのサポートもあるわけですけれども、ことしの場合はさらにその条件をプラスするというふうなことをやられようということになっておるわけでありますが、その辺のところについても、財政的にそのことによってどの程度の軽減になるかという点を御答弁願いたいと思います。
  27. 秋山智英

    ○秋山説明員 治山につきましては、昨年までは一般会計から治山勘定への繰り入ればおおむね三分の二でございましたが、五十三年度からは民有林におきますところの後進地域差額方式を導入いたしまして約六%アップいたしまして、総額で二百十五億円でございます。
  28. 角屋堅次郎

    角屋委員 だから、いまの治山の関係は従来私の手元の資料によれば六三・三%というのを今後は六八・六%ということで五十三年度以降上げる、そのことによって従来のペースよりは新しく充実することによって、二十億にはならぬけれども、大体十数億の財政軽減になるということであろうと思うのですが、財政軽減とすれば大体どのくらいになるんですか。
  29. 秋山智英

    ○秋山説明員 約十九億円でございます。
  30. 角屋堅次郎

    角屋委員 そういうことで小刻みな点については、やはり政府政府なりの努力をしているという点について私はこれを否定しようとは思わない。しかし、先ほど来言っておるように、これから十年あるいは将来を展望して、政府ベースで言えば一千億あるいはそれを少し上回るような長期借り入れをやりながら、しかも一定の据え置き期間を置いた以降はそれを、元本も含め利子も含めて返済をしながら、なおかつ国有林の、政府側から言えば改善、われわれから言えば再建整備をやろうとするのには、非常にむずかしい条件である。政府考え方でいくとすれば大変むずかしい条件であるということは、私はやはりこの際指摘をしておかなければならぬし、それゆえに、やはり本法を最終的に取りまとめるに当たっては、その辺のところを、国会の権威において、国会審議を通じてさらに可能なものについてはそれを取り入れて法案として整備充実をするということを、私として強く要望しておきたいというふうに思うわけであります。  この際やはり過去にさかのぼって若干官行造林の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  御承知のとおり、公有林野等官行造林事業というのは、林政統一前これは大正十一年以降取り入れられて戦前もやられてまいり、それから林政統一に昭和二十二年四月以降なったわけでありますが、それ以降もやられてまいりまして、私が国会に出て間もない昭和三十年の時点で、いわゆる従来の官行造林政府側としては廃止をする、これを森林開発公団に切りかえる。この切りかえの内容も問題があるわけですけれども、われわれは当時これに強く反対をしたわけでございましたが、いずれにしても、林政統一前から官行造林実施をされ、林政統一後においても実施されて、事実上は、昭和三十六年の時点でこの法律を廃止するということで森林開発公団に切りかえるということがなされて今日に至っておるわけでありますが、当然植林はしてありますからして、この財政収入、これは入ってきておるわけでありまして、この収支の決算は今日時点でどうなっておるか、数字的にお示し願いたい。
  31. 秋山智英

    ○秋山説明員 官行造林の収支の計算でございますが、先生いま御指摘のとおり、公有林野等官行造林法は大正九年十月に施行されまして昭和三十六年五月をもちましてこれは廃止されたわけでございます。廃止前に締結されました契約につきましては同法はなおその効力を有しておるわけでございます。したがいまして、現在この関係につきましては、つる切り、除伐などの保育並びに保護作業等を中心といたしまして、さらに一部改植並びに補植、下刈りというようなことを実施しておる次第でございます。  大正十一年植栽を開始いたしまして昭和五十一年度末までの間に、単純にこれを集計いたしますと、これは事務経費は含めておりません、支出額が二百二十二億円でございます。それから収入額が六百九十億円であります。御案内のとおり官行造林は、国が五割それから民間が五割でございますので、一応この官収部分が六百九十億円であります。収入超過がしたがいまして四百六十八億円になっておるわけであります。  官行造林は、ただいま先生のお話ございましたとおり、戦前に約三分の二が造林されまして、二十万二千ヘクタール、林政統一後におきましては十二万ヘクタール、合わせまして現在三十二万二千ヘクタールあるわけであります。戦後にこの収入が始まりました関係もございまして、この収支を比較する場合にはやはりこれを現在価格に換算する必要があろうかと思います。一つの参考ということで試算をしてみたのは、支出につきまして、一応現在一ヘクタールの造林地をつくるためにどのくらい金がかかるかということと、それから収入につきましては、造林地一ヘクタール販売した額はどうかというようなことで見てまいりますと、収入につきまして、一ヘクタール当たりの主伐収入の官収分を見てまいりますと約百三十万円、したがいまして全体では二百六十万ということでありますが、官収分で見てまいりますと約百三十万。それから支出でございますが、五十一年度の植えつけから保育完了までに一ヘクタール当たりにどのぐらいかかったかと申しますと約百三十万というふうなことでございまして、ヘクタール当たりで見てまいりますとほぼ均衡しているのではなかろうかという計算をしております。
  32. 角屋堅次郎

    角屋委員 いま担当部長から御説明ありましたように、公有林野等官行造林事業の今日までの経過の中で、林政統一前、それから林政統一後というふうに区分すれば大きく分かれるわけでありますけれども、いま数字上お示しになりましたように、支出額とすれば単純集計で二百二十二億五百万、官収分の収入として六百九十億、民有の分が分収歩合でいくわけですからフィフティ・フィフティということになりまして、民収分として六百八十九億三千百万円。おおむねフィフティ・フィフティでありますが、そういうことで収支差を見ますと、四百六十七億九千五百万円という収支プラスの点が出ておるわけであります。これは歴史的に見ても、戦前戦後を通じて大きな役割りを果たしてきた。これを昭和三十六年の時点で一方的にこの法律をやめて、森林開発公団に切りかえるという功罪については別途議論をされなければならぬと思うし、われわれはこれからの国有林民有林を通じてのわが国林業の将来というものを考えました場合に、わが党で提案をしておりますように、そのものずばりでなくて新しい情勢に即して国営分収造林法というふうに一般的には言っておりますけれども、数年来提案をしておるわけであります。これは何も社会党独自の提案というよりも、この国有林の活用法が大詰めに来た段階の中でしばしば他党の委員も引用されますように、いわゆる林業振興に関する決議、具体的にいえば、当時私は責任理事でございましたから、いま官房長官をやっております安倍理事等ともしばしば協議を持ちながら成案を得て、本委員会の満場一致で通った林業振興に関する決議の第一項の中でうたっておる、与党の賛成したことに基づいて、われわれがそれを具体的に法案にすればこうなるということに基づいて提示をしておる。ところが、政府自身はこれに対して積極的な姿勢を示さずに今日に来ておるという実態でございまして、単に国有林野事業の今後をどうするかということ以外に、先ほど堀之内さんからも言われましたように、民有林も含めて今日林業の置かれておる条件は厳しい、しかもこれは相当の期間続くだろうという中で、長期展望に立って、木を切った後の造林ということも含めていく場合には、わが党提案の数年来出しておる問題についても、政府自身前向きに検討する必要があるのじゃないか、また、それに対応していく必要があるのじゃないかというふうに私は真剣に思っておるわけであります。これらの点についてもお伺いをしておきたいと思います。
  33. 石川弘

    ○石川政府委員 造林、特に民有林造林につきましては、よく御承知のとおり各種の助成制度を使ってやってまいったわけでありますけれども民有林造林基本は、御承知のとおり林業基本法にございます林業従事者とかその組織します団体の自主的努力を助長するというたてまえで私ども取り組んでまいっておりまして、そういう面からは、御承知の各種の補助制度とかあるいは融資制度がこれを推進したわけでございます。たまたま、いわゆる自主努力だけでは困難だという地域につきまして、御承知の公団造林なりあるいは各都道府県が持っております公社造林、この種のものの、団体的なといいますか共同で行いますような造林が、困難な地域をカバーしてきたというのが現状でございます。  先生御指摘のようなお考えでの提案が再度国会提案されておるわけでございますけれども、いままで行っておりました自主的な造林を推進するとか、あるいは公社造林なりあるいは公団造林、その種のものでカバーし切れないかどうかというあたりが検討の課題でございまして、今回の御提案も含めまして、さらに検討を続けていきたいと考えております。
  34. 角屋堅次郎

    角屋委員 国有林野を将来ともに事業運営していくためには、何といっても、山はそれぞれの地域に厳然として所在をするわけでございますから、当然、地域の自治体あるいは経済活動、あるいは地域住民との関係、あるいは木材伐採の場合の地域住民との関係における協力問題、あるいは地元からの労働者を雇用して地域経済の振興に資する問題、こういう問題はやはり考えていかなければならぬ。やはり山は厳然として全国、北海道から沖縄に至るまで移動しないわけでございますので、地域と深いかかわり合いを持っておるわけであります。  そこで、まずそういうかかわり合いの中で、第一点としてお伺いしたいのは、昭和四十六年の時点まで戦後大問題になりましたいわゆる国有林活用をめぐる問題、最終的には、われわれも当時の情勢の中で高次の政治判断をしながら、国有林野の活用に関する法律を裁いたわけでありますけれども、この国有林野の活用に関する法律ができた以降、活用の推移あるいは活用の現況、それからこれからの活用の方針というふうなものについて御答弁を願っておきたいと思います。
  35. 石川弘

    ○石川政府委員 活用法ができましてから、御承知のように、農業構造改善なりあるいは林業構造改善のためにいろいろの活用をやってまいっておるわけでございます。これを事業で申しますと、四十六年度以後、農業の構造改善といたしましては約一万一千ヘクタール、林業の構造改善につきましては約千四百ヘクタール、合わせまして一万二千五百ヘクタール程度のものが農林業の構造改善のために活用されておるわけでございます。私ども、こういう国有林の所在します市町村で他に適地がない場合には、現在あります国有林の持っております機能、特に公益的機能との調整が問題でございますが、これとの調整を十分図りながら、所要の地域につきまして、畜産振興のための農用地の造成とかあるいは最近は林間放牧等にも活用いたしておりますが、こういうものを使うことは当然でございますし、あるいは林業的利用という面でも今後ともこれを活用させていきたいと考えております。
  36. 角屋堅次郎

    角屋委員 国有林の活用の問題は、今後、草地の造成とのかかわり合い、特にこういう意味では、畜産振興政策の推進とのかかわり合いというものが地域によっては非常に重要な点があろうと思います。これは利権とかそういった形ではなしに、正常状態の中で、やはり地域の産業振興上あるいは地域の住民とのかかわり合いにおいて考えていくべきものについては、十分これからも考えていくという配慮が私は必要であろうと思っております。そういうことで今後とも法の運営を適正にやってもらいたいということを希望しておきたいと思います。  それから地域との関係においては、国有林野の地元利用という問題で、御案内のとおり、部分林があり、共用林野があり、国有林野の貸付使用の問題があるわけでございます。これらについての現況についてお答えを願いたいというふうに思います。
  37. 石川弘

    ○石川政府委員 御指摘の部分林あるいは共用林野でございますが、部分林につきましては、五十年度の数字でございますが、件数で申し上げますと約一万五千件の件数がございます。面積で言いますと、約十二万ヘクタール程度のものが部分林の契約を結びまして地元利用を行っておるという状況にございます。  それから共用林野でございますが、これにつきましても、五十年度の数字で申し上げますと、件数で約二千三百件前後のものがございます。面積で申しますと百八十五万ヘクタールということでございます。  それから、そのほかに国有林野の貸付使用の形をとっておるものといたしまして、件数で申しますと全体で約五万件ございます。面積にいたしまして六万四千ヘクタール程度のものが国有林野の貸付という形で地元に利用をさせておるわけでございます。
  38. 角屋堅次郎

    角屋委員 いま、部分林、共用林野、国有林野の貸付使用という点について御説明がございましたが、これは営林局といいますか地帯別に見ますと、部分林、共用林野の地元利用というのはどういうところが一番多いのか、その辺のところについても簡単にお答えを願っておきたいと思います。
  39. 石川弘

    ○石川政府委員 やはり国有林が所在しております地域が偏在をいたしております。それから歴史的利用の関係もございますので、共用林野につきましても、非常に多くの部分は東北、営林局で申し上げますと青森、秋田あるいは前橋といったあたりの営林局管内が非常に多うございます。それに次ぎますものが九州、熊本営林局の管内でございます。
  40. 角屋堅次郎

    角屋委員 国有林野の無償、減額貸付使用の現状について資料でもいただいておるわけですが、これは立法的に言えば国有財産特別措置法とのかかわり合いにおいて無償であったり減額であったりする貸し付けが行われる。無償の場合は農道であるとか林道であるとか用排水路であるとかあるいは道路等、減額の場合は採草放牧地、貯木場、学校、漁具干し場、いろいろあると思いますけれども、そういった形の中で、本来、時価貸付使用料をとるとすればこれだけ取れるのだけれども、実際は、そういう無償、減額によって現行料金というのを非常に下げて、当然のことでありますけれども、そういうことで無償にしたり減額で貸し付けをやる、こういった形をとっておるわけでありまして、独立採算といっても、やはり地域住民あるいは自治体の関係でそういうことが国有財産特別措置法の立法的根拠に基づいて行われておることは御案内のとおりであります。  この際、市町村交付金の問題についても簡単にお尋ねをしておきたいと思うわけでありますが、これは年によって違っておりますけれども、金額としてはだんだんふえてきておるわけであります。昭和五十年度で言えば約三十三億という市町村交付金を出しておるわけでありますが、これは立法的に言えば国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律というものに基づいてこういう財政支出をやっているわけでありますけれども、これら市町村交付金についての従来の経緯、これからの考え方ということについても御答弁を願っておきたいと思います。
  41. 石川弘

    ○石川政府委員 ただいま御指摘の最初の点でございますが、先生御指摘のいわゆる法的な根拠に基づきまして国有財産を無償あるいは減額をいたしまして使用させているものがあるわけでございます。用途につきましては、ただいま御指摘がございましたようないわゆる公共道路敷といったようなものは無償でございますし、採草放牧地等、若干の企業的と申しますか経営的には使われますけれども生産性が大変上げにくいといったようなものについては減額をいたしております。無償につきましては件数で申しますと約一万六千件程度ございます。減額につきましては千件を若干超える程度でございます。面積で申しまして、無償が約一万五千ヘクタール程度、それから減額が、一万一千ヘクタール程度のものが減額対象の面積でございます。  御質問の、時価で貸し付けるならば相当の収益が上がるわけでございますが、それとの無償あるいは減額による差額でございますが、粗っぽく申しまして、無償につきましては約十億程度の収入が入らない。減額につきましては、約一億四千万程度のものがいわゆる減額差額に該当するかと思います。合わせまして約十一億数千万というものがいわゆる正当な収入よりの減額額でございます。  それから、第二点の市町村交付金でございますが、これは先生ただいま御指摘がありました法的根拠に基づきまして、国有林が市町村に交付をいたしておるものでございますが、これも、四十年度で申しますと約千七百程度の市町村に対しまして六億八千万程度のものが交付金でございましたが、四十五年度にはこれが十五億八千万程度、五十年度におきましては三十三億というものが交付をされておりまして、国有林からの支出としましても相当な金額を占める段階になっております。
  42. 角屋堅次郎

    角屋委員 国有林野の地元利用という問題、あるいは先ほどの国有林野の活用に関する法律に基づく国有林野の活用、あるいは市町村交付金、あるいは国有林野の無償、減額の貸し付け、これはそれぞれの立法に基づいて現実に実施をされておるわけでありまして、本委員会における議論の中でも、国有林というのは国有林で働いておる人の山のような錯覚の質問をしておる諸君がありまするけれども、これはやはり国有林国民財産として広範な役割りを具体的にどう果たしておるのかということの実態を十分わきまえて議論をしようとしておるのか、あるいはそういうことを知らずしてどこかから言っておるのを引いて議論しておるのか、いささか疑問の論戦を私は一昨日来聞くのでありますけれども、これで十分であるかどうかということについての議論は別途やられることは当然でありまするけれども、そういう意味で、昔から調査なくして発言なしと言いますが、国有林野の貸し付け問題等とも絡んで、こういった問題についても問題はないのか、あるいは部分林、共用林野等についても、これは実態を見ていく場合に問題はないのか、あるいは今後どうすべきであるかという点については私自身十分な問題認識を持っておりませんのでそれは触れませんけれども、ただ林野庁としては、こういった問題についても、やはりこれからの情勢に即応し、国有林が動かない、それぞれの地方自治体の地域において存在をし、林業経営をりっぱにやっていく、そのためには、地域とのかかわり合いが当然であるし、また、そういうかかわり合いというものを大切にしていくという姿勢のもとでこの種問題についても対応していってもらいたいということを希望しておきたいと思います。  現実に国有林野で働いておられる定員内職員あるいは定員外職員、こういう職員、労働者の問題についても若干お伺いしたいわけでありますが、これはこれで、議論するとすれば、このことだけで相当なボリュームの時間をとらなければなりませんけれども、スタート以来わが党の同僚議員からもそれぞれ議論がなされておりまするので、私は、この点で、定員内外の職員の変遷と現状、それから定員外職員の身分安定のために今日まで取り来った林野庁としての対応策、こういったものについてひとつ簡潔にお答えを願っておきたいと思います。
  43. 石川弘

    ○石川政府委員 国有林に所属をいたしております定員内外の職員の変遷でございますが、戦後わが国国有林事業規模を相当大幅に増大をしてきておりまして、御承知のように、木材の需給問題が大変逼迫しました段階で伐採量をどんどん上げてまいりました。御承知のように三十九年には最大の二千三百万立方という伐採をやっておるわけでございますが、その伐採の背後にあります造林その他各種の事業を営みますために、その時代に約四万人の定員内職員を擁しているという非常に大きな時代があったわけでございます。  その後定員内につきましては、増の要因といたしまして、御承知の機械要員の定員内繰り入れというようなことがございましたけれども、一方におきましていろいろと事業が縮小するというようなこともございます。あるいは事務の能率化というようなこともございます。あるいは単に減の要因だけでございませんで、事務の問題でも、たとえば労働安全衛生というような新しい任務もあるというようなことがございまして、やはりその都度の時代時代の要請に応じました定員規模を考えてきたわけでございます。現在結果としてながめてまいりますと、伐採量が御承知のように千五百万立方台に落ち込んできておりますし、将来の姿としましては千三百五十万立方というようなことになるわけでございますが、五十一年度におきますたとえば定員内の職員数約三万六千というものを見ますと、この伐採量の姿とかあるいはその後における各種の事務内容等を見ました場合に、必ずしも適切な要員規模になっているかということにつきましては問題があろうかと思っております。  それから定員外の職員でございますが、これは比較的雇用の安定をしておりました常用あるいは定期というもの、その他かつて古い時期におきましてはその都度その都度雇用いたします臨時の雇用の比重が高かったわけでございます。たとえば、先ほど伐採量がピークになりました三十九年でながめてまいりますと、常用で一万一千八百、それから定期で三万六千百人の方々がその間雇用されたわけでございますが、これにつきましては、事業量が縮減してまいりますあるいは機械化その他の事業の能率性の向上という中で、五十一年を見ますと、常用で一万八千九百人の方、定期で申しますと一万二千九百人ということで、雇用規模は三十九年に比較しまして、全体の常用、定期の数では相当の削減になっているわけでございます。  こういうような形で雇用規模が下がってまいりまして、たとえば総体で申しますと、特に臨時の雇用が減っておりますので、延べ雇用量で見ました場合には、三十九年の千五百八十万人目から五十一年には七百七十万人目という姿でかなりの縮減が図られているかと考えます。  その間、御指摘のように特に定員外職員につきまして雇用の安定のための施策をやってきたわけでございますが、過去におきます各種の雇用安定、たとえば常用化の問題、定期でも雇用期間を長くするといういろいろな姿があったわけでございます。これは特に昨年十二月に、今後の国有林野事業経営を安定的に行いますためには、基幹的な要員につきまして常勤職員扱いをするといういわゆる常勤作業員制度を発足させたわけでございます。この制度におきましては、素材の生産とか造林といったような主要な職務に弾力的に従事していただく。それから、そのためにはそれだけの素質が要るわけでございますし、さらに地域的にもある程度流動的に動いていただく。それから国有林が行います基幹的な事業量の規模に適合するという形でこのような要員管理をするという形で、いわゆる身分の安定を行ったわけでございますし、そういう路線に沿いまして今後とも進んでいきたいと考えております。
  44. 角屋堅次郎

    角屋委員 私も国会に出て二十年でございますから、国有林野事業に従事する職員、労働者の雇用問題、特に定員外職員の定員化等を含む問題については深いかかわり合いを持って今日まで来ておりますから、従来の経緯については十分承知しておるつもりでございます。特にいま御説明のあった中で、昨年の十二月二十三日に林野庁代表として職員部長、それから全林野労働組合の伊藤委員長との間で、「常用作業員及び定期作業員から基幹作業職員へ任用する場合の年齢等の基準に関する覚書」という覚書を交換をいたしまして、いわゆる基幹作業職員が正規にスタートする。これは関係労働組合の努力ももちろんでありますけれども、これを受け入れて国有林野事業長期安定的経営のための基幹労働力をきちっと確保しようという政府側の受けとめ方、農林省側の受けとめ方というものについては、私どももこれを高く評価しておるわけであります。  問題は、これから改善計画を立てていく場合のかかわり合いにおいて、政府側としては、事業規模に対応する要員規模の適正化あるいは事業規模の——私が聞いておるところでは、前はもっと厳しい表現でありまして、後ほどの説明では、「事業規模に対応する要員規模の適正化」という言葉を使っていますけれども、聞いております。前の考え方からいけば、「事業規模の縮減に見合った要員規模の適正化」、こういった考え方を出しておると思うのでありまして、今後の問題として基幹作業員の人員についてもさらにプラスしていく方向で考えるのか、あるいはこれからの改善計画の中でこういった国有林に働く労働者の問題についてはどういうプログラムで考えていこうとするのか、少しくその辺についても御説明を願っておきたいと思います。
  45. 石川弘

    ○石川政府委員 国有林事業規模につきましては、伐採量につきましておおむね千三百五十万立方程度にまで縮減を余儀なくされる、したがいまして、その後における造林その他の事業量につきましてもそれに見合ったものになるということでございます。  それがどのような事業実行形態で行われるかということにつきましては、立木によってやるかあるいは素材で行うか、あるいはその場合、素材生産も直用で行うかあるいは請負という形態で行うかということにつきましては、かつて林政審答申において述べられておりますように、企業的能率性を尺度にいたしましてこれを選択をしていくという考え方基礎にとっておるわけでございます。  そういう形で事業を実行いたしてまいります場合に、どの程度の要員規模、特にその要員規模の中でいわゆる基幹的作業員、これは身分も安定をいたさせますかわりに、地域だけに固定をいたしまして、たとえばそれに対応する山がなくなってそこから出られないということでは、恒常的な雇用ができないわけでございますので、そういう基幹的要員の規模としましてできるだけのものを確保しようということで、いま先生が御指摘のように、昨年十二月にそういう制度を発足させ、事業量等見合いながら要員の任用をいたしたわけでございます。これにつきましては、改善計画の中でどのような事業計画が立てられ、どのような事業実行形態がとられるかということを判断いたしまして、要員規模を決定していきたいと考えております。  ただ申し上げられますことは、決してこれを、いわゆる強制的な解雇というような手法をとりまして要員規模を合わせるというようなことは一切考えておりませんので、すでに労働組合との間でも高齢者の退職ということについての合意を取りつけておりますので、この高齢者の退職によって要員規模をある程度縮減するということの可能性も実はあるわけでございます。これを円滑に活用することによりまして、適正な規模にまでいきたいと考えておりますし、特に基幹要員問題につきましては、現在の雇用規模というものがあるわけでございますので、これを一つのよりどころとして考えていきたいと考えております。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
  46. 中尾栄一

    中尾委員長 この際、午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時三十九分休憩      ————◇—————     午後二時七分開議
  47. 中尾栄一

    中尾委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。角屋堅次郎君。
  48. 角屋堅次郎

    角屋委員 本会議前の午前中、私は、政府提案社会党対案が本委員会に出されておるわけでありますが、その問題に関連いたしまして、林野事業の諸外国における制度、あるいは会計のあり方、運営のあり方等について、イギリス、フランス、西ドイツ、スウェーデン、アメリカ、カナダ等そういう先進諸国の国有林野事業運営の実態についてお伺いをしながら、わが国国有林の歴史的な経過の上に立っての今日の現状、将来に向けての、わが党から言えば再建整備、政府提案からいけば改善、こういった問題に触れて、政府考え方ではなかなかむずかしいのではないか、もっと真剣にその辺のところを考えれば、わが党提案考え方も受け入れて、そしてよりよき結論を得べきじゃないかというふうなことについて質疑を続けてまいったわけでございます。同時に、従来やってまいりました官行造林の実績あるいは国有林の地元協力問題、さらには国有林に働く労働者の雇用安定、そういった問題に触れたわけであります。そこで、引き続き午後、自余の点について問いただしていきたいと思います。  林野庁の国家行政組織上あるいは農林省設置法上のたてまえからいきますれば、当然第一線の営林局あるいは第一線の営林署、これは単に国有林野事業の仕事ばかりでなしに、設置法上民有林野の造林及び営林の指導といったような民有林に対する仕事もやらなければならぬことになっておるわけでありますけれども、率直に言って、十四の営林局、さらに三百を超える営林署、これが民有林関係の仕事についてどれだけ熱を入れてきたかということになりますと、この点については、設置法上の規定はあるけれども国有林野事業の仕事一本やりではないか、こういう批判は免れがたいところだというふうに思います。何といっても国有林わが国森林面積の三割、蓄積の四割ということになっておりますけれども、あとは民有林全体でありまして、これを含めた林野行政というものが中央、地方を通じて的確にやられることが当然であります。諸外国の場合にも、民有林の中央における局、国有林の中央における局というふうなシステムをとっている国もありますけれども、日本の場合は林野庁国有林民有林も含めた総合的な統轄指導をやるというたてまえでありますから、そういった今日までのやり方について反省をしつつ、今後どうするかというふうなことについてお答えを願いたいと思います。
  49. 石川弘

    ○石川政府委員 御指摘のように、農林省設置法上営林局あるいは営林署につきましても、民有林に関する造林あるいは営林の指導をするという権能があるわけでございます。これは昭和七年の営林局署の官制の改正をやりました時代から、こういう規定を持っているわけでございますが、御承知のように、国有林に関する管理経営を主要な業務といたしますので、その所在が、どうしても国有林所在の地域にこの種の官署は設置されているわけでございまして、その点、民有林全般の行政といたしましては、御承知のように、林野庁におきます民有林行政を、さらに都道府県あるいは市町村を通じまして、特に戦後におきましては、都道府県段階におきましては、国が林業改良普及員制度を設けまして費用の二分の一を負担するという形で指導いたしてきたわけでございますので、その間、どちらかと申しますと、民有林に関する行政は、林野庁、県、市町村というルートに主要なものを持ってくるという形になったわけでございます。ただ、営林局あるいは営林署につきましても、そういう法的な根拠も持っておりますし、特に最近におきましては、緑に対する国民のいろいろな要請もございますので、たとえば植樹祭といった催し物を通ずるとか、あるいは営林署段階で林業教室といったものを開催するとかいたしまして、一般の方々に対して緑の理解を求めるというふうなこともやってきたわけでございます。  そういう大きな道筋といたしましては都道府県、市町村を通ずる行政ではございますが、やはり現在もそういう権能を持っておりますし、必ずしも全体の地域に及ばないことにはなりますけれども国有林につきましても、そのような技術あるいは能力というものを内部に備えているわけでございますから、これを今後も極力活用するというような形で、営林局署の民有林に対する関与の仕方と申しますか行政的なかかわり合いというものを強めてまいりたいと考えております。
  50. 角屋堅次郎

    角屋委員 率直に言って、これは全林野の労働組合自身が出しているようなパンフレットの中でも、そういうみずからの仕事を通じてそういう指摘をしておるわけでありまして、もし仮りに第一線の営林局、営林署が、民有林関係関係団体あるいは民有林関係林業者等々と結びつきが薄いとするならば、これは営林局、営林署のあり方としては問題点でありまして、国有林野事業にウエートを置いた事業運営をやることは当然のことでございますけれども、同時に、やはり林野庁のみならず第一線の営林局、営林署、先ほど来国有林の地元の活用、諸般の問題、また地域における協力といったような点からも、そういう点にもっとやはり指導として目を向けてやっていかなければならないのじゃないかというふうに私は率直に思うのです。これから厳しい情勢の中で、国有林野事業の、政府側から言えば改善、われわれからいけば再建整備ということで、相当長期に苦労していく場合に、地域住民はもちろん、広く国民理解と協力を得るというためには、行政組織として第一線にある営林局、営林署がそういう姿勢を持つことがまず必要である、またそういう構えで今後対応していく必要がある。長い将来展望から言えば、今日内閣委員会へかかっております農林省設置法の一部改正の中では、たとえば食管特別会計の食糧庁の場合に、第一線の食糧事務所が流通機構の面に振り分けをするというふうなこと等も新しい問題として出てきておるわけであります。私は、そういう点では今日の林野庁の第一線の職員がこれで十分であるかということになれば、これはこれとして議論がありまするけれども、そういった面ではそういうもののプロパーの指導等に当たる要員というふうなものも、今後の検討課題としてやはり考えていく必要があるのじゃないかといったようなことも思うわけでありまして、そういう問題に対する考え方を承っておきたいと思います。
  51. 石川弘

    ○石川政府委員 国有林に携わる職員が一般行政ともかかわり合いもあるということもございまして、過去におきまして四十八年から四十九年にかけましても、これは実は林野本庁の職員でございますが、現実に行っております業務の非常に主要な部分が一般行政にかかわっていたということもございまして、一般会計に移替をしたというような事実がございました。さらに五十三年度でございますけれども、これは国有林野事業特別会計の中で行われております林木育種事業につきまして、非常に企画的なあるいは研究的な分野につきまして、これは当然一般会計的な業務と申しますか、民有林業務も含む業務でございますので、これを実は一般会計に移替をしたというようなこともございまして、国有林で行っております仕事の中で仕事の内容が特に一般行政に近いと思われますものにつきまして、いま申し上げました過去のような事例があるわけでございます。また、これは必ずしも一般会計で措置するか、特別会計でやるかという費用負担の配分の問題以外の問題でございますが、たとえば林業機械の技術指導というようなことを、国有林が持っております機械化センター等を通じてやるとか、あるいは研修等につきまして、これは国有林民有林という形じゃなくて、林業全体という形でそういう問題を取り上げるというような手法もとっておりますので、いま御指摘がありましたように、現段階でどうするということではございませんが、国有林の組織なり人員の有効活用という面から、いま御指摘のありましたようなことも含めまして検討をしていきたいと考えております。
  52. 角屋堅次郎

    角屋委員 農林省の機構の問題については、ちょうど相並行して内閣委員会農林省設置法の一部改正というのが大詰めの議論が行われておるわけであります。したがって、私は、林野にかかわる内閣委員会に付託されておる問題について深く触れるつもりはございません。ただ、北海道の五局の営林局について、これを四局を支局にして、いわゆる営林局としては札幌営林局を北海道営林局ということで統合するという考え方を打ち出してきておるわけであります。私どもはこれに基本的には厳しい意見を持っておりますけれども、これは双方の話し合いによって折り合いをつけるというふうなことでございますから、それはそれとして受けとめたいと思うわけでありますけれども、ただ新しく支局が、修正を通じて法制上明確にするという形で恐らく決着がつくと思いますけれども、今後他の営林局についてさらに支局の方向をとるということは、これは絶対ないと思うのでありますけれども、その辺の考え方についてもこの機会に明らかにしてもらいたいと思いますし、また、営林署の整理統合の問題につきましては、政府としては五十三年度において内地の九営林署を統廃合しようというプログラムを持っておるわけでありますが、これは関係市町村あるいは労働組合側でも強い反対の意見を持っておるわけでありまして、これらの実施の問題については、当然、地域の実情あるいは住民の意向というものを跡まえて対応しなければならぬと思いますし、今後の営林署の統廃合ということを検討する場合には、経営の改善計画とのかかわり合いは基本的にはなくて、これはやはり機構上の問題として別途考えるべきだと思います。  いずれにしても、経営改善計画の進展状況と見合って、林野庁政府側としては検討しようという姿勢であろうと思いますけれども、その辺のところについても、やはり地域住民の意向であるとかあるいは地域の実態であるとか、そういうものを踏まえた考え方でやるべきものである、こういうふうに思うわけでありますが、これらの問題についての考え方について明らかにしてもらいたいと思います。
  53. 今井勇

    ○今井政府委員 基本的な問題でございますから、私から御答弁申し上げたいと思いますが、その前に、先ほどの営林署の活用の問題、私もかねがね営林署というものがもうちょっと民有林に対する行政に対して積極的な関与ができないかということを考えている者の一人でございます。やはり国有林を通じて彼らが修得しました営林、造林の技術、これは大変な蓄積だと思うわけであります。こういうものを積極的に民有林の諸君に与えていくといいましょうか、それを付与していくといいましょうか、そういうことは積極的に今後考えるべき大きな問題であろうと思いまして、先生の御指摘、私も同感でございまして、この問題につきましては、都道府県あるいは市町村、公共団体といったものとの連携ももちろんございますが、十分考慮して検討させてまいりたいと存じます。  それから北海道の営林局の問題でございますが、これは北海道の特殊性というものがございまして、自然的あるいは経済的条件の類似性、あるいは道庁等の行政機関との円滑な連絡というようなことから、いま五つありますものを一つにいたしまして、経営管理体制の整備をやっていこうということでございまして、これを直ちに内地のすべてのものに当てはめていこうという考え方を必ずしもとるものではございません。したがいまして、今後の趨勢にもよりますが、これは北海道の特殊性によるものだというふうに御理解を賜りたいと思います。  それから営林署の統廃合につきましては、閣議でも一割減ということを決めておりますので、私どもといたしましては、この閣議決定の線に沿って進めてまいりたい、こう思いますが、これは今後の林野行政の改善ということと密接な関係がございます。十年で立てます改善計画の一環として考えてまいるべきものでございます。しかしながら、その場合であっても、一律に各営林局で一つとか二つとかいうふうな画一的な考え方は私どもはとっておりません。あくまで実情に応じた物の考え方をとりたいと思いますし、その場合におきましても、関係市町村の十分な御理解、御納得というものをいただいて、円滑に統合を進めてまいりたいということが基本的姿勢でございます。
  54. 角屋堅次郎

    角屋委員 営林局あるいは営林署、こういったものを今後どういうふうにしていくかという問題について、私自身が期待をするような形で明確に答弁をいただいたとは必ずしも思わないわけでございますけれども、やはりいまも答弁にありましたように、単に機械的にそれぞれの局に割り振るとか、いろいろなことでなしに、先ほど来申しておりますように、地域の実態、それから住民の意向、そこで働く労働者側の意向、こういうものも十分判断をして必要最小限のところでどうするかという構えで対応していただきたい、こういうふうに強く希望をしておきます。  それから、こういった問題と関連をして、私自身地元でちょっと経験をしたのでありますけれども、実は地元の三重で、尾鷲の営林署の関係で、尾鷲それから海山の船津の苗畑の廃止問題を経験をいたしました。これは私、長い間国会に出ておりますけれども、こちらにはまあ林野庁から連絡しなくていいと言えばそれまででありますが、私が全然知らざる間にこの廃止が計画をされ、それが実施されるというふうな動きがございまして、私自身もこれにタッチしたものでございますけれども、全国的に、こういう苗畑一つの問題をとらえても、そろばん勘定とかあるいは合理化の名において北海道とか大阪営林局であるとかいろいろなところで今日までも廃止をされてきておる。本来やはり苗畑一つの問題を考えても、その地域の自然的条件、土壌というものに合った、いい苗をみずからの手でつくって、それを営林署の仕事の中に苗として活用するというのが基本であろうと思うのでありまして、こういう苗畑の問題について、従来のことは記録として私も承知しておりますから、今後どういうふうに考えていくかという点について御答弁をいただいておきたいと思います。
  55. 秋山智英

    ○秋山説明員 苗畑につきましては、先ほど来いろいろと御審議いただいている中で御説明申し上げましたとおり、収穫量が今後減少してまいります。それから昭和四十八年から新しい施業方法を導入いたしまして、択伐林へ移行するものが相当多くなってまいっております。そこで、これらのことに伴いまして新植面積というのが減少いたしまして、結果的に苗木の使用量が減少してまいっております。また、一方におきましては、戦後民有林の苗木生産が非常に活発化いたしまして、非常に優良なしかも安い健全な苗木が安定的に確保できる見通しが現在ついております。  このようなことを踏まえまして、まず第一に私ども考えておりますのは、苗木の需給圏というのが御案内のとおりございますが、その中におきまして、品種系統がはっきりしておりまして、かつ非常に優良で健全な民苗生産の動向というものを踏まえながら、この民苗の購入価格と、直営でつくっております苗の生産原価につきまして、いろいろ経済性の比較をいたしまして、直営の苗木が有利に生産される場合には所要の範囲で生産を継続してまいる、かように考えておるところでございます。  なお、具体的にこの苗畑を存置するかあるいは廃止するかというふうな問題を検討するに当たりましては、経済性という問題はもちろん検討するわけでありますが、そのほかに育苗の成績とか苗畑の規模とか、先生いま御指摘の土地条件、土壌とか地形とか水の便利の問題とか、あるいは地域の労務事情というものを総合的に判断いたしまして 作業仕組みの改善を図るなど、今後積極的に改善合理化すべきところは合理化してまいりまして、なおかつ改善の見込みが立たないような苗畑につきましては逐次廃止したいということで目下検討しておるところであります。なお、この場合には、当然でございますが地元関係につきましても適切に配慮してまいりたい、かように考えております。
  56. 角屋堅次郎

    角屋委員 いずれにしても、企業合理化の名において、従来、国有林野事業みずからの手でやってきた仕事というものを、非常に機械的にしかも安易に、そういうものを廃止したりあるいは他のものに切りかえるというようなことをやらないようにしてもらいたい。  苗木の問題については、大体いまのところ自給率九〇%台、一割近くのものを民苗を入れる。私は民苗を絶対入れたらいかぬというふうには必ずしも考えておりません。しかし、これを八割にし七割にし六割にし、みずからの手でできる、ちゃんと従来からやってきたそういうものを廃止していくというのを方向として出さない形で、やはりその地域の土壌、立地条件、気象その他に対して見合ったものをみずからの手でつくるということを基本にして、今後とも運営してもらいたいというふうに思うのです。  私は、この機会に、国立の林業試験場あるいは材木育種場の従来からの研究課題にも触れたいというふうに思ったわけでありますけれども、時間がだんだん残り少なくなっておりますのでこれらについて深く触れる時間的ゆとりがございませんけれども、農林省全体としてもあるいは林野庁の場合でも、国際的にもやはり進んだ形の農林漁業の発展考えるという立場から言えば、試験研究機関の重要性というものはおろそかにしてはならない基本問題であります。そういう点では、やはり国立の林業試験場がこれからの日本林業発展のためにふさわしいような、しかも先進的な研究というものを計画的に必要な資金を投入してやっていく、必要な人員についても配置する。林野庁には三つの試験研究を含む付属機関があるわけですけれども、そういった問題の中で、この間林業試験場に行った同僚議員が、最近は外材の輸入というようなことで、林業試験場も外材の輸入の試験研究に相当ウエートがあるのじゃないかというふうな意見を言っておりました。現実に試験研究のプログラムを見ますと、それだけをやっておるわけじゃございませんけれども、やはり国内の林業の進展のために必要な試験研究、国際的にも自慢のできるような技術水準というものを整備するという立場から、試験研究機関についても重要視して進んでいくということは必要であろう、こう思うわけですが、それらの点についてもお答えを願っておきたいと思います。
  57. 今井勇

    ○今井政府委員 これはまことにそのとおりでございます。ややともしますと、試験研究というのはじみなものですから、いずれの省におきましても必ずし最重点に置いていないうらみがございますが、それでは今後の長い将来を考えますと、私は大変憂うべきものであろうと思います。幸い林業関係につきましては、先生御存じのとおり、今回例の筑波に国立林業試験場の移転を終わりまして、そうして新たに木材利用部の新設を行うというふうなことで、だんだんと研究の体制を整えてきております。さらにまた、ことしの三月「林業に関する技術開発目標」というものを策定いたしまして、こういったものを基本にいたしましてひとつしっかりした試験研究をいたさせたい、このように考えております。
  58. 角屋堅次郎

    角屋委員 時間が参りましたので、最後の一点で質問を結びにいたしたいというふうに思います。  一つは、この法律に基づきまして改善計画というのを政府の場合には立てて、二十年を展望しながら十年のプログラムをつくる。このプログラムをつくるに当たりましては、当然、そこで働いておる労働組合側の意見というものも十分聞きながら、やはりそれを十分受けとめて、特に労働条件等の問題については事前にやはり労使の間で協議をしながらこれらの問題を進めていくということ、これはもう基本でありまして、近代国家として当然のことでありますけれども、やはりそういった改善計画のプログラムの策定、その過程においてのそこで働いておるたくさんの労働者とのかかわり合い、したがって、それは労働組合の代表ということで話し合う機会が多いと思いますけれども、そういうことでの労働条件の問題の事前の話し合いとかいったようなことについては、民主的にやはりそういう労働者側の意見を十分聞くという対応の仕方をすべきものだと思うわけでありますが、それが一つと、本委員会において一昨日来議論をされておる中で、やはり国有林野事業の実行形態というものについては、従来から本委員会で、坂田農林大臣当時からの歴史的経過もあるわけでありまして、それらも十分踏まえた上で今後の具体的な運営をどうしていくかということでやられることだというふうに私は信じておるわけでありますけれども、そういった問題に対する考え方について、ひとつ明確に御答弁を願っておきたいと思います。
  59. 今井勇

    ○今井政府委員 いずれにしても、国有林野の大変革でございますし、今後国民財産を活用し、これを通じて国民のニーズにこたえていこうということでございますから、当然省を挙げこれに取り組まねばならぬことは先生のおっしゃったとおりでございます。したがいまして、その運用等につきまして、ひとつ従前にも増して労使提携いたしまして進めてまいりたいと存じます。  直用直営の問題につきましては、これは昨日からも何遍となく御答弁を申し上げましたとおり、これは作業形態の問題でございますし、林政審の答申もございますし、したがいまして、その現地の事情に応じまして請負、それから直用直営とを適当に組み合わせてやってまいりたいと思います。私は思いますが、要はその仕事に従事する方が本当に山を愛してやっていただくという気持ちに尽きるのであろうと思います。現にきのうも申し上げましたが、同じ国土保全という仕事をやっております建設関係でありましても、かつては直用直営を万能といたしましたが、最近はそれを切りかえまして請負に切りかえておりますが、そのために工事が粗漏になったということも必ずしも聞いておりません。そういう意味から、この問題につきましては、先ほど申し上げたとおり、直用直営それから請負とを実情に応じて適当に組み合わせながら、この森林国民のためにしかも皆さんの御満足のいくような形で運営をしてまいりたいと考えております。
  60. 角屋堅次郎

    角屋委員 約二時間にわたって質疑を展開してまいりましたが、私は、政府から出されておるこの法案で今後国有林の改善をやろうということでは不十分である、したがって、わが党から提案しておる内容も含めて、真に国有林再建整備ができるように、しかもまた、事業の実行形態については、本委員会で従来からやってまいりました直用直営というのを基本にしながらということも踏まえて対応していただく、改善計画についても、労働組合との関係においては十分協議をしながら運営の円滑化を期するということを強く要求いたしておきまして、私の質問を終わります。
  61. 中尾栄一

    中尾委員長 島田琢郎君。
  62. 島田琢郎

    ○島田委員 まず私は、一昨日から継続して、当面政府側から提案を受けております国有林野事業改善法と、わが党が対案として出しました法案等の論議を通じて、かなりの部分明らかになってはいますが、まだ部分的には非常に鮮明でない部分が残されていますし、その点について、できるだけ前者の質問に重複しないように努めながら若干の質問を進めてまいりたい、こう思います。  農林省、林野庁考え方の中でやはり一番大事なのは、国有林民有林を含めて林野行政に対する基本的な姿勢というものが明確でないと、幾ら法律をつくってもあるいは制度をつくっても、それが機動的に機能を発揮するということに相ならない。少なくとも、政治でありますから、立法府のわれわれがつくった法案が正しく行政で運用されていくということがありませんと、法案をつくった意味もございません。その点では、法律は余りあいまいで透かして見なければわからぬような内容にするべきではない。これは立法上いろいろなテクニックが必要でありますから、ときには幅広く理解し認識をしていく上で、あるいはそれを行政で運用していく場合にそういう必要な部分もあるでありましょうけれども、しかし私は、今日の国有林の実態を考えてみますと、もはやそういうふうなあいまいな部分を残したままに運用に入るということは許されない。そのことが今日また国有林危機を招いた、あるいは日本の山の危機的な状態が生まれ出たということも一面言えなくもないのではないか、こんなふうに思います。  したがって、きょうは最高責任者である農林大臣に出席をしてもらって、この点のところをしっかりとしたお考えを聞きたい、こう思っていましたが、残念ながら出席をしていただくことができませんでしたが、幸い政務次官がおいででありますし、政務次官から林野行政に取り組む基本的な姿勢を、国民の皆さんがなるほどと納得できるような、わかりやすい説明を冒頭いただきたい、こう思います。
  63. 今井勇

    ○今井政府委員 先生御案内のとおり、森林林業といいますものは、国民生活に不可欠な資材であります木材を供給するというだけではありませんで、国土保全あるいは水資源の涵養、自然環境保全といった面におきましてもきわめて大きな役割りを果たしております。したがいまして、その振興は政府といたしましても特に重要な課題であるわけであります。このため、この林業森林の問題につきましては、非常に長い目で見ましてこれを育成し、しかもまた育てていくということを基本にいたしております。  特に先生御案内のように、昨今の国内産材の自給率というものはきわめて低下しておりますが、これではならないわけでございまして、国有林民有林合わせまして国内産材が少なくも半分以上は占めていかなければならぬということで、超長期の目標といたしましては、私どもは六〇%を超える国内産材の自給を確保しようじゃないかということを考えておるわけであります。その間、国内産材を安定的にふやしていこうということと同時に、それまでの間は外材を秩序ある輸入を行いまして、木材の需給及び価格の安定をまず図りたいと考えております。  さらに、そのために林業振興策といたしましては、造林林道などのいわゆる生産基盤の整備、それから林業構造改善事業の推進など林業構造の改善と担い手の対策を行う、さらに流通、消費の対策を強化するというふうなことを考えまして、今後とも一層努力をしてまいりたい、かように考えておるものでございます。
  64. 島田琢郎

    ○島田委員 いま政務次官がおっしゃいました点は非常に重要な問題を幾つも含んでいるわけでありまして、そういう基本的な姿勢がきちっとしないと、法をつくった趣旨が生かされてこない、こういうことになると思うのです。  今度の林野改善法を見てまいりますと、従来は単独法として法律ができ上がりますと、その目的というものが明らかにされていく、それが大体常識であります。まれには例外がありますけれども。今度の改善法を見ますと、「目的」というのではなくて「趣旨」ということになっている。私は言葉の点をとやかく言うのではありませんが、そしてまた少しく見方が意地悪に過ぎるかもしれませんが、いま政務次官がおっしゃったようなことを補完する一つ法案としては、「趣旨」という言葉で推察する限りにおいては、再建をしていく上で財政的に大変困窮の状態にあるので、それをどこかに仰いでいかなければならない、そういう及び腰な姿勢、もう少しきつく言えば、卑屈さのあらわれではないか、こんなふうに思えてならぬのであります。つまり、赤字解消の策に走り過ぎて、なりふり構わないような状態で今日走り続けていくとしたら、これはえらいことになってしまうと思う。また、お金を突っ込む財政当局のねらいもそんなところにはないと思います。基本的に、国有林が今日の危機を脱して、そしていま政務次官がおっしゃったような、経営が確立されるところに目標を置いて財政投入を図ろうとしているのだ、こういうふうに思うときに、細かな話のようでありますけれども、この法の目的を明らかにしながら、毅然として要求するものは要求する、こういう姿勢でなければいけなかったのではないか。そういう点で、「目的」を「趣旨」として置きかえたという点について、お答えは通り一遍では私は納得ができないのですが、この辺のところ、法律的には問題はないから法律になったのでありましょうけれども、どうも林野当局の及び腰姿勢というふうな誤解が生まれはせぬか。これはひとり私の曲解であるとすればそれでいいのでありますけれども、その出発のところからこの改善法、どうも私は気に入らない、こう思うのですが、いかがです。
  65. 石川弘

    ○石川政府委員 いまの御指摘の「目的」という条項を一条に書くかどうかということでございますが、これは先生御承知のように、この法律形式が、いわゆる特別措置法という、一定の期間を限りまして従来の通常の制度に加えまして特別の措置をやるということを決めた法律でございまして、そのようなことをすることになりましたいきさつなりあるいはそういう状態から「この法律で申しますと「国有林野事業現状」という言葉にあらわしてございますが、そういう現状から、国有林が持っております国民経済的なあるいは国民生活におけるその使命達成に必要な措置として、特別にこのような措置をしなければならないという法律を制定いたします趣旨を書きますために、一条に「趣旨」という条文を書いたわけでございます。通常、法の目的という書き方をいたします場合に、恒常的な制度を想定をいたしまして、そういう制度をつくり出します事柄の目的と申しますか、かなり恒常的な制度を前提といたしまして大きな制度をつくり上げます場合にこういう法の「目的」という書き方をするのが通常でございますので、いま卑屈ではないかという御指摘ではございましたけれども、われわれとすれば、そういうような気持ちではございませんで、法を制定いたします趣旨を明確にいたしまして、それに基づいて必要な措置をやっていくという面では、立法の手法としまして特段異常なことではないのではないかと考えておるわけでございます。
  66. 島田琢郎

    ○島田委員 さて、国有林危機ということについては大方の認識の一致するところでありますから、この法案が出され、またわれわれもこの危機打開のための対案を示した、こういう経過でございますが、まず、やはり同僚議員からこの点もかなり質問がなされて明らかにされている点がございますけれども、重複する部面については答弁の中では省いて結構でありますが、私はもう一度、やはり幾つかの根本原因がある、たくさんあるけれども、その最も大きな原因というものをこの際明らかにしておかなければいけないと思うので、重ねてその点をお聞きするのであります。  わが党が提案をいたしております法律案の中では、条文の中で、その根本原因を取り除くためにかくあるべしという提案をしておりますが これと対比して、政府はこの危機状態に陥った根本の原因をどのように理解をしているのか、そこのところを二点目に明らかにしていただきたい、こう思います。
  67. 秋山智英

    ○秋山説明員 国有林野事業につきましては、御案内のとおり昭和二十二年に特別会計制度によりますところの国営の企業体といたしまして発足して以来、それぞれの時代におきますところの社会的あるいは経済的な要請にこたえまして、林産物の計画的あるいは持続的な供給、あるいは国土保全、その他水資源の涵養等の公益的な機能の発揮、さらにはもう一点、重要な地域の経済振興への寄与というふうな使命をこれまで果たしてまいっておりますのは御案内のとおりでございます。  そこで、振り返してみますと、昭和三十年代でございますが、これは御案内のとおり、産業の発展を背景といたしまして非常に高度成長を遂げるに至ったわけでありますが、その当時、木材の需要がごらんのとおり非常に急増いたしまして、木材価格が高騰を見たわけであります。当時まだ外貨も少のうございましたし、外材を入れる受け入れ体制というものがきわめて不備でございまして、国有林といたしましては、緊急対策をとりまして、国民生活あるいは国民経済上の要請におこたえすると同時に、将来増大するであろうところの木材需要に対応しまして、老齢天然林を伐採しまして跡地に成長力の旺盛な人工林を造成するということに特に留意をいたしまして、積極的に施業をしてまいったわけであります。ところが、御案内のとおり、四十年の後半以降、特に森林の持っております公益的機能に対するところの要請というのは非常に高まってまいりまして、昭和四十八年に、御案内の新しい施業方法というものを導入いたしまして、従来皆伐施業をやっておりましたところに対しましても見直しを行いまして、亜高山地帯、北海道で申しますと海抜高六百メートル以上、内地におきましては千メートル以上になりましょうが、そういう地域につきましてはこれを択伐に切りかえるとか、あるいは伐採するに当たりましては、その伐区を分散するとかあるいは小面積にするとか、そういうような方法をとりながら、さらには保護樹帯を残すというようなことも取り入れまして、また禁伐林も従来の倍ぐらいにふやす、こういうふうなことで公益的機能の整備充実という面に相当重点を置いた施業方法に変えて今日に至っておるわけであります。  そこで今日におきまして、ただいままでとりましたような施業方法の改善と、さらには資源的な制約と申しますか、戦後造林しました造林地がまだ木材供給戦線に参画できないというふうな実態がございまして、事業規模も縮減傾向にならざるを得ないというふうな実態に立ち至っておるわけでございます。  こういうふうな、国有林野事業の一番収入の大宗を占めます木材供給面におきましてそういう制約が生じたわけでありますが、一方、景気が低迷いたしまして木材価格が低迷しておる。これは外材との関連性があることはもちろんでございますが、そういう影響、さらには管理部門につきましては、国有林野事業が拡大する時期の体制がまだ十分に整備されないままで今日に至っておる関係もございまして、この管理部門が相対的に肥大化しているというふうなことから、人件費が増大いたしまして固定化してきておるというふうな問題がございます。また一方におきましては、今後ますます造林あるいは林道というふうな基盤整備の充実につきまして投資をしていかなければならぬということから、御案内のような財政上の危機が到来したというふうに理解をしておるところであります。
  68. 島田琢郎

    ○島田委員 いま秋山さんから幾つかの問題点が述べられたのでありますけれども、何よりもいま大事なのは、林野行政の今日までの過程における、確かにいまお話の中には、見通しの甘さであるとかあるいは現実の問題で対応し切れなかった面などもあるという反省の言葉はありましたけれども、しかし、第一日目の野坂委員質問に答えて、政務次官が、国民的な経済的要請、こういうことを盛んにおっしゃった、私はこの言葉に非常に抵抗と疑問を持っているのであります。というのは、山というのは、われわれが畑で物をつくるのと違って、一度切って切り過ぎちゃったら、来年取り返すために植えてすぐ回収できるという性質のものではない。こんなことはいまさら言うまでもないことなんであります。ですから、見通しを誤った、ごめんなさい、済みませんでしたと済まされないところに、この山の持っている非常に大事な一面があるわけですね。確かに国民的な要請の中で、もっと木が欲しい、もっと山を切れ、こういう声もこの過程の中にはあったことも事実であります。だからといって、山の大事な将来目標を失ってまでも、時代的な国民の要請だとしてばんばん切ってしまったらどんなことになるかは、これは素人でもわかっている話ではなかったでしょうか。そのために森林計画も立てられる、伐採計画だってきちっとやはり将来を見通して立てられているはずであります。その式の論法で言うならば、極論でありますけれども国民的要請があれば山を裸にしてもいいということになってしまいかねない。後は、済みませんでした、こんな状態になったのはまことに悪うございましたで一体済むのだろうか。こういうところの反省が一つきちっとないと、これから先の日本の山づくりにも大いに危険があると私は思うのです。  なお重ねて、政務次官は質問の中でこう答えています。私は言葉じりをとらえて言うのではありません。この辺の認識が大事なことですから、冒頭で基本的な山づくりのお考え、姿勢というのはどこにありますかと聞いたのであります。経済の動向、これを見ながら、山の木はときにたくさん切る場合もあるし手控える場合もある。しかし、それの許される範囲はきわめて狭いものでなければいけないのであって、そら住宅政策が出てきた、木材が足りないぞ、日本の山を裸にしてもどんどん切ってしまえというわけにはいかないのであります。ですから、そこのところを基本的にきちっと踏まえて、だれからどんな厳しい注文やいちゃもんがつけられても、山はおれたちに任せておけ、こういう毅然たる姿勢がなかったら、私は山を守れないと思うのであります。そこのところはいかがですか。私の言っていることは無理なんでしょうか。
  69. 今井勇

    ○今井政府委員 基本的な認識でいまの御質問の趣旨と私の考え方と変わっているとは思わないのです。私が繰り返し申し上げているのは、高度成長時代、しかも外材が自由に入る条件がまだ整っていなかったとき、しかもまたこれを受け入れるべきわが国の港湾整備も十分でない、にもかかわらず、大変な需要があってどうするかというときに、われわれの祖先以来受け継いだ天然林を成長度合いを超えて切ってきたということにいま考えて見れば問題があるという御指摘は、そのとおりであります。しかし、これが一般論であるとは私は一言も申し上げていないのです。これはあくまでも時代の要請に応じて万やむを得ず国の施策として取り上げざるを得なかったということであろうと思いまして、これに右へならえをするというつもりで私は申し上げていることではございません。したがって、経済が安定し成長が鈍化してまいります今後の世界情勢、国内の情勢から考えれば、非常に弾力性の弱い森林資源の問題でございますから、今後再び以前のような繰り返しはすまいというのが私ども基本的な考え方でありまして、この点は昨日もそのように申し上げたつもりでございますし、万が一私の申し上げたことについて誤解がございますならば、この際訂正をいたしておきたいと存じます。
  70. 島田琢郎

    ○島田委員 わかりました。そういう姿勢でぜひお願いしたい。  そこで、そういう反省を踏まえながら、以前切り過ぎた山の跡地を一刻も早く緑に戻していかなければならない、こういう次の仕事が必要になってまいります。しかしながら、これらを進めていく上ではどうしても基本的なものをきちっとしておかなくてはいけませんし、それを補完する法律がそれぞれ用意されています。たとえば林業基本法第十条には、「森林資源に関する基本計画並びに重要な林産物の需要及び供給に関する長期の見通し」を立てなければならないとあります。しかし、これは山に限ったことではありませんけれども、われわれは、全体として高度経済成長時代の夢が完全に払拭されているとは言えない部分がたくさんあって、ややもすると、昔の夢よもう一度という気分になりがちであります。そこのところは、森林行政の中で毅然たる姿勢で進んでいかなければいけませんが、そのためには、ややもすれば高成長時代の夢を追うような計画になっているとしたら、これは大変であります。低成長時代に対応した長期見通しを立ててそれを確実に守っていく、あらゆる障害を排除して毅然として計画を守っていく、こういう態度が堅持されなければいけないと思うのですが、この森林資源の見通しの基本にかかわる問題について、私の言うような低成長時代に即応した見通しとして改定し、それを基盤にして進めていくという考えはいかがですか。
  71. 須藤徹男

    ○須藤説明員 ただいま先生御指摘のとおりでございまして、四十八年に策定を見ております「森林資源に関する基本計画」並びに「重要な林産物の需要及び供給に関する長期の見通し」につきましては、ちょうど経済社会基本計画に基づきまして当時策定したものでございまして、その後、わが国の経済が高度成長からいわゆるオイルショックを境にいたしました安定成長への転換期に当たっていたわけでございまして、わが国森林林業をめぐります内外の諸情勢が大きく変化してきておるというふうに認識いたしております。したがいまして、今後につきましては、わが国の経済の推移を十分見きわめつつ、かつ広く各界の意向を聞きながら、現行の長期見通しに所要の検討を加えるという所存でございます。なお、先ほど来お話しございますように、検討に当たりましては、森林の持つ公益的機能を確保しながら森林の保続培養が十分図られるように一層の配慮をしていきたいと考えております。
  72. 島田琢郎

    ○島田委員 つまり、荒らされた地域を一刻も早く緑に直していく、これが一つの作業として急がれるわけです。そのために、まず見通しをしっかりとしたものにしていく、そして森林の一番大事な点は保続培養、いま須藤さんがその点に触れましたが、保続培養のローテーションが崩れるなんということではいかぬわけであります。そこを私は先ほど政務次官にも、時代の要請に応じて、国民的なあるいは経済的な要請に応じてといったようなふらついた腰ではいけないわけでありますから、きちっとしたしかも毅然たる姿勢でわが山を守る、こういうことが必要だと思います。保続培養というのは大原則でありまして、われわれ農民が農地を基礎にしてそこから生産のローテーションを組んでいくのと同じように、山には山の一つのローテーション、崩してはならない基本の原則というものがあるわけであります。その点についてはいま須藤部長が触れましたから御答弁は要りませんが、ここの点は基本の問題としてぜひしっかりと腹に据えておいてもらいたい。これが崩れてさましたら、何もかもだめになってしまいます。  さて、そうした長期見通しを受けて森林計画というのが立てられているわけでありまして、これもことしの四月から新たな五年ごとの見直しによります計画が発表になりまして、私もその内容をよく承知いたしました。確かに今度出されました森林計画を見ますと、先ほど来政府側がお答えになっているような考え方というものが若干この中に含まれているという点について、私はその点の評価はするわけであります。しかしながら、残念ながら、計画はりっぱなんですけれども、いままでの経過を見ていると、一度も計画どおりにいかないというところがこれからの心配の種であります。頭脳明晰な官僚の皆さんでございますから、計画を立てると言えばそれは水も漏らさぬりっぱな計画をお立てになるでしょうけれども計画計画どおりに実行されていくかどうかというのは、大変重大なもう一つの問題であります。それが過去の資料を検討してみますと計画どおりにいっていない。繰り返してしつこいようでありますけれども、それが時代の要請だとこう逃げられると、これから先も、時代の要請だ、だから計画が狂ったのはいたし方ないという、つまり、自説我田引水方式で言い逃れてしまうということは、私は許せないと思うのです。また許してならぬと思うのです。そういう点についてはしっかりとした腹構えをお持ちなんだろうと思いますけれども、私はこの点は厳しくお聞きをしておきたい。無定見な、国家百年の大計などというようなことをおっしゃらぬでほしい。計画が立てられたら、それが名実ともに的確に実行に移されていく。まあ、そうは言ったって、一%も狂わぬようにやれなどというむちゃくちゃなことを私は申し上げているのではありませんが、計画と実績が余りにも違い過ぎている。こんな例はほかの統計のどれを見たって余りありません。まあ農業の場合ですと、牛乳をしぼり過ぎた、生産し過ぎたというようなことで、計画と実績がそぐわないなんというようなうれしい話はよく聞くのでありますけれども、山の場合ではそういうことは許されないのです。ことしからまた五年後を見通した森林計画が単年度ごと実施に移されてまいりますが、森林計画をお立てになるに当たって、その気構えはしっかりとお持ちでしょうね。
  73. 今井勇

    ○今井政府委員 大変大事な問題でございますからお答えいたしたいと思いますが、先生御案内のとおり森林資源というのは、需要に対します弾性値はきわめて小さいわけでございます。そこで、いま需給が狂ったではないかと言われましたのは、一つは経済成長、例の高度成長で、本当に予想もしなかったような大変な成長率による需要の急増、もう一つはオイルショックによる急減でございます。経済が非常に上がったり下がったりいたします。片や森林資源は、非常に低成長といいましょうか、これは決まったものしか伸びないのですから弾性値が低い。したがって、その間にギャップが出たということであろうと思いまして、私どもはその見通しの甘さについては反省いたしますが、これはそういう宿命を負ったものだと私は考えます。  幸いなことと言っては語弊がありますが、今後は低成長ということで、従前のような高度成長、あるいはまた急激なダウンというものがだんだんなくなるだろうという時代を迎えておりますので、この際、ひとつしっかりした経済計画を立てまして、それに見合って今度は需給計画の間違いないものを立てていこうじゃないかということでございまして、そのように措置をいたしたいと存じております。
  74. 島田琢郎

    ○島田委員 せっかく前段でいいお答えをいただいたと思ったら、また言いわけが出てきたので私はがっかりしているのでありますが、弾性値の問題については、おっしゃる点は理解はいたします。しかし、私は、その姿勢において毅然さを持ってもらいたい。これは部長がおっしゃるならあれですけれども、政治を預かる政務次官としては、わかりました、そういう毅然たる姿勢を貫きますという言葉が私は欲しかったと思うのであります。  さて、それでは、人工造林の実態というのは一体どうなっているのか。私どもも調査をした資料をいろいろ手にいたしております。また、私は、おおよそ全国の主要な個所には足を運び、山奥深くまで入って、長ぐつ履きで現地を踏査してまいりました。残念ながら、今日までの実態の中では、非常に問題になる個所が幾つか見られます。どうも政府がおっしゃっている実態と現地の実態には大きな差がある、こう思えてなりません。人工造林という問題に限って議論をしたいと思うのですが、そもそもこの基本になる不良造林地という限られた範囲における実態把握一つとってみても、大変大きな差があるのですが、ひとつ正確に、不良造林地は一体どれだけだと判断をし、把握をしているのですか。
  75. 秋山智英

    ○秋山説明員 森林の実態につきましては、その施業の基本となります森林施業計画と申しますのを五年に一回ずつ編成しておりますが、その施業計画の編成の都度実態を把握すると同時に、経営上の管理経営の一環といたしまして把握をいたしているところでありまして、現地の実情に沿いまして効率的な取り扱いをしておるところであります。  そこで、五十二年の四月一日現在、各営林局からの報告によりまして私どもが把握をいたしております生育の不十分な造林面積は、一万五千百ヘクタールでございます。現在、全人工林面積が二百三万ヘクタールでございますので、約〇・七%でございます。大部分の人工造林地は良好に生育しておるわけでありますが、厳しい自然環境、特に北海道の厳しい自然環境下におきましては、一部におきまして生育の悪いものがございます。それで、ただいま申しました一万五千百ヘクタールの不生育、生育がよくない中で、これから改植をしたいと考えております面積が七千六百ヘクタールございます。この改植をするに当たりましての私ども基本考え方と申しましては、植栽本数の半数以上が気象条件あるいはその他の理由で枯れておりまして、その跡を更新することによりまして的確に森林になるというふうなところにつきましては、改植をしてまいりたいと考えておるわけであります。  それから、早期に保育を要する面積でございますが、これは約三万ヘクタールと把握しております。全造林面積の一・五%でございまして、五十一年度に保育を行いました面積が約六十万ヘクタールございますが、その五%程度に相当すると見ております。  以上でございます。
  76. 島田琢郎

    ○島田委員 不良造林地の定義が問題になるのでありますけれども、一万五千ヘクタール、しかも一%に満たない、こういう実態把握というのは私は正確でないと思うのです。伐採をした跡地で造林しない状態に置かれている面積というのを把握していますか。
  77. 秋山智英

    ○秋山説明員 私どもといたしましては、造林地の中で、その後優良な広葉樹林等が入ってまいりまして、これが人工で植栽した木と競合をさせながら成林が期待できるものは、これはそれなりに将来、針葉樹と広葉樹の混交林をつくるという考え方でしておりますので、こういうものにつきましては改植の対象には考えておりません。
  78. 島田琢郎

    ○島田委員 そればかりじゃない。つまり、切ってしまった後、そのままに放置されている面積はどれだけありますか。
  79. 秋山智英

    ○秋山説明員 切った後は必ず造林をしております。
  80. 島田琢郎

    ○島田委員 そうすると、この不良造林地というのはどういうふうに理解すればいいのですか。
  81. 秋山智英

    ○秋山説明員 ただいま御説明申し上げました一万五千百ヘクタールの不良造林地でございますが、気象害によりまして不良になりました面積が七千四百、それから病虫害によりまして不良となりましたのが五百ヘクタール、それから野ネズミ、野ウサギ等の獣害によりまして不良造林地となりましたものが三千二戸、さらに立地条件が適さなかったものが千七百、それから侵入してきた植物に被圧されまして不良になりましたものが千五百ヘクタール、その他が八百ヘクタールというふうに、中身を分析いたしまして御説明いたしました。
  82. 島田琢郎

    ○島田委員 不良造林地の成林化、造林考えた場合には、非常に、可能地、不可能地というよりは、容易な地形のところとまことに容易ならざる地形のところと、いろいろな要素を持っているでしょう。不良造林地一万五千百ヘクタールについては、先ほど半分くらいを今後鋭意造林をしていきたいというような意向が示されましたけれども、残りの部分については、未立木地処分、何といいますか、未立木地帯というそういう格づけで、将来とも造林は不可能と見て放置するという考え方ですか。
  83. 秋山智英

    ○秋山説明員 一万五千百ヘクタールのうちで今後改値するのは、ただいま御説明申し上げましたように、七千六百でございますが、現在優良な広葉樹林等がそこに入ってまいりまして、将来それらと人工林を混交させまして天然成林に誘導した方がよい森林になるというふうに技術的に考えられますものが四千五百ヘクタールございます。それから人工補正林と申しまして、その一部に植え込み等を実施いたしまして森林にもっていこうと考えておりますのが六百ヘクタール、それから現在この造林地と、一部広葉樹林が入ってきておりますのでしばらく成育状況を観察して今後の方針をとってまいろうというふうに考えておりますのが二千四百ヘクタールあります。以上、総計いたしますと、一万五千百ヘクタールということになります。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
  84. 島田琢郎

    ○島田委員 私は、この不良造林地の把握の仕方については、もっと正確に把握してほしいと思うのですよ。たとえば、いまおっしゃったような状態というのは、それは団地的な形成で残されているもの、あるいは散発的な、つまり団地形成というのはなかなかむずかしいけれども、そういうところはどうも採算が合わないから、あんなところへ持っていって造林するのはといったようなことで放置されているものなどは、この面積の中に果たして含まれているかどうかについて、私は疑問を持っているのです。しかも、成林率というのは非常に最近落ちている、こういうふうに思うのですが、林野庁としてはこの成林率をどれくらいに把握していますか。
  85. 秋山智英

    ○秋山説明員 成林率という言葉が非常に、何といいますか、人によって理解の度合いがむずかしい面がございまして、正確に把握するというのは非常に困難でございますが、一応私ども昭和三十年より五十一年まで二十二年間に植えました総面積、これが百四十六万八千ヘクタールございます。その中で、その後成績が悪くて、先ほどちょっと私御説明申し上げましたような考え方から改植をいたしました面積を申し上げますと、九万二千ヘクタールでございます。これは成林率という言葉に当てはまるかどうかは若干むずかしい面がございますが、そのほかに、林地が林業以外に転用されるとか、そういうふうなものもございますので、全体的に過去を追跡して調べませんと正確なものは申し上げられません。
  86. 島田琢郎

    ○島田委員 私は、この成林率というのは、これはなかなか、いま部長おっしゃるように、植えれば、ほっておいても成林になるというもの、それぐらい立地条件のいいところと、相当手を入れて保育に力を入れなければ成林化しないところと、いろいろあると思うのです。そこでこの成林率というのは、そういうものも含めて全体でやはり成林率というものをつかまえるということでないと正確でない。  そこで、保育という問題に入らなければいけないわけですけれども、最近の国有林を見ていますと、植えたら植えっ放し。植えっ放しと言うのはちょっと極論でありますけれども、従来私どもが山つくりをしますときには、地ごしらえをし、そして植えてまいります。植える場合でも、その条件によっては、ヘクタール当たり三千本でいい場合もあるだろうし、五千本植えなければならぬときもあるでしょう、また二千五百本でいいところもあるでしょう。しかしこれは、どんな樹種であっても、植えっ放しでは死んでしまいますから、それなりに保育をやっていかなくてはいけません。つまり下刈りを春と秋にやる。二年目もまた同じようなやり方をする。樹種によっては六回、七回の下刈りが必要だ。また、用心しませんと、すぐツタが巻きついていく。つる切りもしてやらなければいけない。また、皆伐地に植えるのでありませんから、皆伐地の造林でない場合には、大きな木による側圧によってその樹種の成育が妨げられるなど、人間が手をかけてやらないとなかなかいい山にならないというような地形だって、この日本国じゅうにはいっばいあるのであります。ですから私は、そういう点をこの成林率と見る場合の大事な要件として考えないと、これは正しい成林率という把握にならぬと思うのです。そういう点、どうも私はちょっと意地悪いかもしれぬけれども林野庁は、木を植えれば黙っていても成木になってきた、成林化した、それをとらえて成林率というふうに認識をされている節がある。技術的には、山つくりというのは造林から始まるわけでありますけれども、保育が手抜きされるようだったら、とてもこれはだめなんです。やがて一定の大きさに達すれば、力枝以下を落としてやらなければならぬ場合だってある、あるいは除伐、間伐に手を入れていかなければいけません。  私は、学生時代は本多静六林学博士によって教えられた一人でありまして、あの木多さんが、江戸時代の造林よりも近ごろの造林というのはなっておらぬ、こう言っているのです。これはいわゆる貴重な教訓ではないでしょうか。  私は、札幌営林局管内あるいは秋田営林局、また長野あるいは高知、全国、山の中へ入ってみまして、一様にその点についてどうも納得がいかなかったのであります。これだけに育っているのに、なぜここらで手を抜いてしまうのだろうな、つる切りをもっとやってやらなければいかぬのにな、こんなに枝が伸びちゃって力枝どころじゃない、冗漫の枝がこんなに張りめぐらされている、それも落としてやればいかさまいい材ができ上がっていくのにな、こう思って、現地の営林署長に聞きますと、そんなことはむだなんです。それはあなたの時代はそれでよかったかもしれぬけれども、いまの近代的な成林の保育の実態というのは、そんなむだなことしなくたって、ちゃんといい木ができるのです。こう言わんばかりの説明で、私のような三十年前に習った山つくりの基本なんというものはいまの山には一つも存在せぬと言えるような実態にある。これは、前に秋山さんと、私、帰ってきまして、秋山さん、ひどいよ、あの山の実態というのはぼくはびっくりしましたよと、その都度報告をして、何とか現地へあなたもわらじ履きで入って、わらじ履きというか地下たびを履いて入って、山の状態を一回見てくださいよ、私の言っていることが本当かうそか、こういうことを言ったことがあります。やはり目的どおり一〇〇%成林をしていく、そこにお金をかけていくわけでありますから、せっかく山にお金をかげながら成林しない状態にあるということになってくれば、これはどぶに金捨てるのと同じ結果にしかならぬのですね。肝心なところを手抜きするようなことであってはいけない。ですから、一つは成林化という問題についての努力でこの際大いに反省が要るのではないだろうか。それから成林不能地と言われているところについても、やはりでき得る限り、困難ではありましょうしお金もかかるけれども、山を愛するという気持ちがあるならばここにも一生懸命手を入れていく、こういうことがないといけないのではないか。成林化あるいはそれらに対する処機という問題に触れて私の若干の意見を申し上げたのでありますが、いかがですか。
  87. 秋山智英

    ○秋山説明員 森林を造成するに当たりましては、先生お話しのとおり植えるだけではございませんで、やはり保育といたしまして、下刈り、つる切り、除伐というふうな保育作業を実施して初めて山になるわけでございます。  それで、国有林におきまして最近におきまして保育作業をどのくらいしているかということをここでちょっと御説明申し上げますと、最近七年間の平均で見てまいりますと、下刈りが年平均四十二万六千ヘクタール。それからつる切りにおきましては五万ヘクタール、除伐については八万四千ヘクタールを実施しております。  なお、先ほど私、三万ヘクタール強につきまして早急に保育をしなければならないというふうに申し上げておりますが、これにつきましては計画的にすでに一部実施しておりますし、今後二、三年間には全部完了する計画をとっております。
  88. 島田琢郎

    ○島田委員 ここに私は札幌営林局の定山渓営林署とそれから苫小牧営林署に現地調査に入りましたときの調査の実態の資料を持っているのであります。ある個所に参りましたらほとんど成林の状態にないのです。そういうところに案内いただきました。激しく雨の降る中でありましたが、私はこの山の中でかさを差しながら林を見上げてみたのであります。私の訪れた時期はもう秋が深まっていたときでありまして、ほとんど広葉樹は葉を落としていた時期であります。空をこうやって仰いで見ましたけれども、向こうが見えないのです。それは木がりっぱに育っていて見えないならいいのですよ。そうではなくて、目の前からつるががっちりと、ブドウづる、コクワづるが絡まっていて前が見えないというような状態でありました。私は一緒に立ち会っておられました営林局の幹部の方や営林署の署長なんかに、こういうコクワやブドウづるなんていうのがこんな目の前でこんなになっているのに気になりませんか——しかもわずか百メートルと隔たないところに民家がずっと、つまり町があるのであります。この山を見せたら恥ずかしいじゃないですか、これが国有林かと害われますぞ、こう言ったら、その答えが実はふるっていました。先生、最近は公益的機能ということがございまして、やたらにブドウづるやコクワづるを切ってしまいますと、山にコクワやブドウの山菜を求めて山の果物を取りにくる市民の皆さん方に対しても大変これは不親切だ。あたかも市民のレクリエーションのためにつたはそのまま残しておくと言わんばかりの説明でありました。私は唖然とした。  しかも、論理が一貫せず矛盾しているというのは、その後私がおりながら、こんな林道じゃ、山の保育もできないな。雨でササがこうなっておりますから、よけい道がふさがっているように見えたことも事実ですが、雨が降ってもここのところは山に保育に入れるような、山を見回ることのできるような人間の歩くぐらいの範囲のササ刈りぐらいはしておくのがいいんじゃないですか、こう言ったら、今度はこう言うんです。山に余り入りやすくしておきますと、山火事などの危険がございまして、なかなか監視が行き届かないので、一般の方が勝手にお入りになってもしも火事が起こるようなことがあったら大変ですからと、こう言うのであります。私は二度びっくり、二度唖然としたのであります。  私も山の学校を出て今日まで山づくりのことについては自信を持ってきたわけでありますけれども、どうもこういう意見を現地で聞かされるということについて、私は残念で仕方がない。これがすぐ国有林労働者は働かないからそうなるんだということで片づけられる問題でしょうか。  ここにも写真があります。先が見えないありさまです。この写真、遠くからだから見てもわからぬかもしれませんが、つたががっちりと絡まっている。このつたを切れと言ったら、皆さんがブドウやコクワを欲しがるから残しておくのだと言う。それじゃ、もうちょっと入りやすくしておけと言えば、やたら入りやすくしておきますと山火事などの危険がございましてと逃げる。私はこういう矛盾した考え方や行動によって日本の山が守られるはずがない、こんなふうに思いましたが、政務次官、私のお話を聞いていて、それは言う側の私には多少のオーバーの面があるというふうに受け取られるところもあるかもしれませんが、どんな感想をお持ちでしょうか、ひとつ聞かしてもらいたい。
  89. 今井勇

    ○今井政府委員 私も大変いまのお話を興味深く聞いておりましたが、その前に本多静六さんのお話が私にとっては大変ショッキングでございまして、江戸時代の植林の方がいまよりもよかったと言われるようじゃ、まことに残念なことであります。  それで、私は部下を信じたいと思いますが、そんなことよもやあるまいと思いますが、もしそういうことがありますれば、これは本当に心して正すところは正さなければならないと思います。そういう感想でございます。
  90. 島田琢郎

    ○島田委員 名だたる林学博士の本多静六さんがおっしゃったこと、これは私が作り話をしたのではありませんよ。りっぱな文献に載っているのであります。必要とあらば後ほどお見せいたします。  ところで、定山渓の現地調査を終えまして、支笏湖畔を通りながら私どもは次の山に向かいました。海面静かな日でありましたけれども、片側は国有林でありました。その国有林を通りながら、ずいぶん私はつるのことが気になるものですから、よけい目に映ったのでしょうけれども、みごとなつる原でありました。名にし負う観光地帯でありまして、海の方を見るとまことにきれい、しかし一たん振り返って山の方を見たら、つるばかりの山、だれか個人の民有林かと思って聞いたら、いや、わが国有林でございますという答えでありました。これも一度あそこをお通りかかりになって、ぜひひとつ現地をつぶさに調査を願いたいし、見てもらいたい。ああ、もうとてもとてもあんな状態に置いておくなんということは、景観上からも許されないばかりか、国有林を守る立場からいっても私は大いに非難されてしかるべきだと思うので、同行願った署長にも、こんなのはすぐ切れるじゃないですか、その下はりっぱな舗装の道路が走っているのでありますから、車をとめてあそこでみんなが見た場合にどんな思いをするか、そんなことは私がここへきて指摘するまでもないではないかと、思わず厳しい口調で指摘をしてまいりました。  それはそこだけにとどまりません。その後苫小牧の営林署に入ってまいりましたが、途中一カ所か模範となるべきところも見せてもらいました。たとえば、天皇陛下お手植えの松というところに伺いました。これはまた実にみごとというかりっぱというか、あっと驚くほどのりっぱな成林、山の状態でありました。これは一般に見せるわけでありますから、天皇陛下が植えたところだぞというのでありますから、まさかさっき言ったようにごちゃごちゃとスズメの巣みたいな林にしておくなんということは許されないということはわかりますけれども、片一方あれだけのことができるのですよ。それはそれなりに力を入れて、お金も入れているのでしょう。それと同じようにやれとは言いませんけれども、せめてあれの十分の一くらい一般国有林の保育、撫育に力を入れるべきではないかというふうにつくづく感じました。りっぱなものであります。  しかし、それだけではありません。途中苫小牧に向かう山でも、もう五十年、六十年たったりっぱな林が、これもまた一般の皆さん方にごらんをいただくというたてまえがあるのでしょうけれども、枝も落とされ除間伐もなされ、絵に描いたような実にりっぱな木がうっそうと生い茂って、これまたみごと国有林でありました。やればできるのですね。つまり、手抜きをしているということになっちゃうのです。あれだけのことをやるといったら並み大抵の財政投入ではないということも理解はできますから、それだけやれとは私は言いません。でも、あまりにも格差があり過ぎて、はなはだそぐわない感じがしてならなかったのです。しかし、それは全国に占める割合から言えばごくわずかなものではないでしょうか。あとはほとんど私が前段で指摘をしたような山の状態である、こういうふうに思えます。日本国じゅう全部の地域をつぶさに調査したというわけではございませんから、私の足で見てまいりました範囲というのはごく限られているにせよ、その限られた範囲の中でそういう状態が現実に存在しているということは、いままでの山づくりに大いに反省があってしかるべきではないでしょうか。先ほど本多静六さんの話を聞いてショッキングですとおっしゃった政務次官、あなたの御感想はいかがですかと聞いたら、あとのところはまことにそっけない御感想でありましたが、これ以上お聞きはいたしますまいが、そういう現地の実態であるということを私はこの際指摘をしておきたいと思うし、それは単に国会で聞き流すというだけではなくて、あらゆる機能を駆使してそういう実態を明らかにするような調査が必要だと私は思いますが、その調査をおやりになる考えがありますか。
  91. 秋山智英

    ○秋山説明員 先ほど申し上げましたとおり、各営林局に調査をさせた結果先ほどのような報告でございますので、現実、実態に即しまして、効率的に造林の各種事業実施してまいりたいと考えております。
  92. 島田琢郎

    ○島田委員 私は秋田営林局管内の山形の山も見てまいりました。私のところにあるトドマツやカラマツとはまた樹種も違いますから興味もありましたし、ぜひ杉の実態なども見せてほしい、こういうことで要請をいたしまして、山に入ってまいりました。大変いい山もありましたし、また極端にこれは悪いなという山も国有林の中にはありました。  ここで、山で一生懸命働いている人たちと直接会っていろいろな話を聞かしてもらいました。私が聞いた人たちは、いずれも三十年選手と言われる山づくりのベテランばかりであります。山に命をかけ、山を愛し続け、山で死んでいこうという文字どおり山の男たちでありました。この人たちが口をそろえて言うのは、私どもはここはこういうふうにしたいと思うのだけれどもな、しみじみそう思うのだけれども、林野行政の方針としてそんな必要はないと言われてしまう。もっともっといい山づくりができる自信を持っているのだが、どうも残念で仕方がない、こういう話でありました。私は身につまされる思いでありました。私もかつては、いまはもうこんな立場にいますからできませんが、毎年のように山に入って造材もしたり、春になれば造林にも出かけました。私のように出かせぎするものとはわけが違う。そこで命をかけておる人たち桁ありますから、この人たちの言葉というのは千釣の重みを持つわけです。そんな、人をごまかすような目の色なんかしていません。真剣そのものであります。この人たちから大事なそういう仕事を奪うということは、まさに命を縮めることになってしまうという感じさえ私自身はしたのです。この貴重な意見がなぜ現場から秋山さんなら秋山さんのところに通じてこないかと私はもどかしく思った。現地の山の責任を持っている営林署長にも、いろいろとこんな現場の声があるのに、何とか署長責任を持って、つる切りならつる切りあるいは枝切りなら枝切り、間伐が必要なら必要だということを、机の上だけで計算してプランを立てるのではなくて、現場の意見をもっと率直に吸い上げるというやり方はできないのだろうか、こう言いましたが、あとはへ理屈が並べられただけで、本人は大まじめでありますが、私にとってはへ理屈だと思う。いろいろな理屈を並べて、科学的根拠だの何だのといろいろなことを言いましたけれども、私には納得できませんでした。そんなものではない。科学的に割り切ってしまって山を愛せよと言ったって愛せるものではないじゃないか。山に命をかけろと言ってもかけられようはずがないと思った。私の見た地域は、通常言うところのヘクタール三千木よりはもっと密植をするということの方がいいと聞きました。私は話を聞いただけでありますから、そのことがいいとか悪いとかをここで断定することはいたしますまい。しかし、一つの貴重な意見ではないでしょうか。現場からの大変大事な考え方がそこに示されているのではないでしょうか。そうだとしたら、私は、その是非の判断は部長なら部長、署長なら署長がおやりになるということについてまでさしがねをするつもりはありませんか、聞く耳持たぬではなくて、聞いて一緒に山づくりをするという姿勢に帰ってもらいたい。つまり山づくりの原点に立ってもらいたい、こんな気持ちを強く現場で持ちました。  こういう現場の意見というのはなぜ無視されていくのでしょうか。部長いかがです。
  93. 秋山智英

    ○秋山説明員 森林をつくるに当たりましての技術的な問題につきましては、現場で事業実施する皆さん方がいろいろと討議をして進めてまいることが重要だと存じますが、やはり技術的に、ただいまの密植問題につきましては、植栽本数を密にした方がよいか、少し粗にすべきかというような議論が研究者の仲間でもいろいろされておりますが、現段階におきましては、密にすると雪害を受けるということから、現在秋田県、山形県等におきましても、三千本植栽というのが国有林民有林を通じてほぼ同じ本数になっております。私ども、多雪地方におきましては雪害に遭わないような強い森林をつくるという面から、ただいま三千本植栽の方法をとっております。もう一つ、これは多雪地方ということでなくて全国に共通する問題でありますが、密植が一時小径木の需要の高い時期になされたことは事実でございます。しかしながら、最近の木材需要構造との絡みから小径木が非常に売れないという面が出てまいりまして、そういう面からも、その本数についての見直しというのがここ五年ほど前からなされているのも事実でございます。
  94. 島田琢郎

    ○島田委員 そういう説明は現地でも聞きました。いろいろなこともあるでしょうから、私はそのことも正しくないと否定するつもりはないのです。そうではなくて、いまおっしゃったように、大事な点は経済的なということだけを言うのではなく、山の持つ公益性という問題を考えれば、やはり成林化を図っていくという点を考えれば、三千本でだめなところもあるのだから、ひとつそういうところについても、もっと具体的に適切に現地と合うような指導方針が示されるべきだ、私はこのことを言いたかったのであります。  もう一つ、通告もしてございますし、この間うち日野委員からもお話があったと思いますが、私からも重ねてひとつ要請をしておきたい、こう思います。  つい先ごろ、私は長野営林局の妻篭営林署に行ってまいりました。これは治山の問題を主としてお聞きいたしますが、この奥へ入ってまいりました。私、北海道で生まれ育ちながら、こんな寒いところがこちらにもあるのかとびっくりいたしましたくらい大変厳しい気象条件の日でありました。総体的にはそういう大変厳しい気象条件の中で山づくりが進められているというふうな地帯でございますが、ただそれだけではなくて、地形的にも非常に苦労の多い営林署だ。署長さん以下職員の御苦労のほどがしのばれました。さいの河原みたいに、植えても植えても雨が降れば落ちてくるという花崗岩の火山礫という特異な土壌条件を持っておりまして、部長はよく御存じですから説明する必要はないと思いますが、平地だけではなくて山の上までそうなのですね、さくっとやるとざあと落ちてくるようなところに山づくりをするその難儀はとても想像を絶する状態だろうと思います。また、大雨が降りますと、七百メートルも上からそれこそ丈余の岩石がなだれ落ちてくるという、こういう山岳地帯であります。私は、現地における御苦労のほどに対して心から敬意と努力に対する尊敬の念を禁じ得なかったのであります。これは大変なことであります。  ここは、言わずもがな、いわゆる治水工事が基礎になるわけでありますが、いろいろと工夫をされて、土どめといいますか、花山岡岩を材料にして、そこでもって一定の土どめ板というようなものをつくりまして、それを山の上まで積み上げながらがけ崩れを防ぎ、そこに木を植えるという苦労を重ねているのであります。この地域の人たちは、一たん大雨が降りますと、洪水だけではなく、山の上から大きな岩石が降ってくるというような状態が経験としていままでもあって、雨の降るたびにおちおち生きた空もないというのが地域住民の気持ちでありました。頼るのは治水に力を入れてくれる妻篭営林署だ。ところが、最近どういう風の吹き回しか、この妻篭営林署を廃止するなどといううわさが飛んできているというので、この地域の人たちは町を挙げて大騒ぎだ。いまここから営林署が撤退してしまって山が裸になったまま放置されたら、敵前逃亡だ。大事な守るべき人がすたこらさっさといなくなって、あと弱いみんなが谷間にひしめいているということになってしまったら、この町、この村は一体どうなるのかという不安におびえていました。私は山を見せてもらって、なるほど御心配はごもっともだな、この営林署がこういう地域住民とともに何十年山を守ってきたことを考えれば、御苦労ではあるけれどもここでがんばってもらわなければいかぬな、そんな気持ちを持ちました。  私はいま妻篭営林署を廃止するのかしないのかという話をするつもりはないのです。今度の法案を出されただけで、はやうちの営林署はなくなるのではないかという心配がされている。これほど法律や行政が地域に及ぼす影響が大きいということを私はいま言いたいのです。これは安心させてあげなくてはならぬと思う。残念ながら、私どもは野党の立場で、法案を阻止して営林署の廃止なんかさせぬようにすると言ったって、それは絶対という言葉を使うわけにいかない。今日皆さん方がこの国会論議を見守りながら大きな不安におののいていることまでも完全に払拭してあげることはできないというふうに思ってきたのです。  私は、あの山の実態を見ていまして、確かに山づくりにはお金がかかるし、簡単にいくところといかないところの差が余りに大き過ぎるということについても、あるいは地域によって大変苦労しないでも山ができるところと、あんなに苦労をしながらもなかなか国民の皆さん方から見て満足のできる山づくりのできないという悩みを持っている地域があるということも知りました。こういう地域に対しては、治山特別事業で、ほかのところと違ってお金も大変たくさん特別な計らいがなされているというふうにも聞いてはいますけれども、より一層こういう点については心がけてあげなければいけないのではないだろうか。そんな危険なところに住んでいるやつが悪いと言ってしまえるような状態ではございません。それは政治というもの、行政というものではないと思う。  この現地は秋山部長御存じですか。
  95. 秋山智英

    ○秋山説明員 現地につきましては私、五年ほど前に一度参ったことがございますが、最近は残念ながら行っておりません。  しかし、私も長野県の出身でございますので、土地勘もございます。ただいまお話しの南木曽地域は、先生御指摘のとおり花崗岩の深層風化の土壌地帯でございまして、しかも土壌がきわめて少なく、すぐ露岩という状態のところでございますし、雨が多うございますので、急傾斜ということで災害の出やすい地域でございます。これは御案内のとおり、過去におきましても昭和三十四年に伊勢湾台風によりまして風倒木がたくさん出ましたし、その後も引き続いて災害等が出ておりまして、私どもも、ここの治山工事につきましては、従来から積極的にやって、三十五年以来五十二年度までに約十四億六千三百万円の事業実施してまいったわけでありますが、さらに五十二年度からは、御案内の第五次の治山事業五カ年計画の中におきましても十一億六百万円の計画をいたしまして、五十二年度に二億円、五十三年度にも二億円ぐらいの事業実施したいと思っていますが、民生安定上緊急を要する個所からやってまいりたいということで、これは重点の地域として現在長野営林局で、実行をいたしております。
  96. 島田琢郎

    ○島田委員 私は、場所柄もわきまえずこの営林署の廃止はよもややるまいと思っておるのでありますけれども、ああいう大事な状態にあります営林署なんというのは、私は南木曽町に二カ所あるから不必要だというような議論はここには成り立たないと思っています。ぜひひとつ現地の人たちに、いま秋山さんが言われたように、これからも治山に大いに力を入れていく、そうしてそのためには、国有林が撤退するようなことのないように現場でがっちりとがんばる、こういう安心感を与えてやってほしい、ぜひここは要請をしておきたいと思います。  さて、だんだん時間が詰まってまいりました。私はいままでいろいろな事例も挙げ、現地調査の実態なども披露しながら政府考え方を聞いてまいりましたが、このように見てまいりますと、いかにも山づくりというのは厳しく、そしてなかなかにして道遠く息の長い仕事だ、だから、単年度であるいは近視眼的に物を見たり足元を見るだけで割り切ってしまうことのできない、まさに宿命的な一つの産業体質を持っている、こういうことが言えると思うのです。私がいままで言ってまいりましたことについては恐らく否定し得ないものだと思います。それを否定するのだとしたら、私は山づくりをおやめくださいと言います。  そういう中にあって、農林省設置法とセットになって、いま国会が最大の山場を迎えておりますのがこの林野改善措置法でありまして、私がこうした前段で議論をいたしました点を踏まえて、心配の余り、対置してわが党からも再建整備措置法を出したのであります。  比較いたしますと、中身において大変大事な点で大きな相違点があります。これはとうてい歩み寄ることのできないものだとして拒否し続けるのか。私ども提案をしているのは、本当の山づくりを山を愛する人たちみんなが集まってやろうじゃないか、それは、やがて国民の合意を得ながら、国民財産をつくっていくのだという立場で、国有林が先導的役割りを果たしていかなければならない、こういうふうに考えるからであります。  そういたしますと、私は、先ほど冒頭に石川部長から目的と趣旨の違いということについて説明を受けたから、その点は不承不承ではあるけれども納得はしますが、どうも気構えにおいて、この法案をおつくりになったその過程が気になってならぬ。それはまさに、財政当局からかなり厳しい注文がつけられたというのは想像にかたくありませんし、また、財政上相当のお金をつぎ込むということであれば、担保なし、手形なしにお金を出すばかはいないということになりますから、厳しさを要求されることは当然でしょうけれども、しかし、私は、日本の政治の中で、目先で処理しなければならぬことと国家百年の大計という立場に立って物を考えなければならぬものとはおのずから違うと思うのです。ですから、そういう点で、何といったって山づくりの基本は、山を愛する人たちががっちりとそこに腰を落ちつけていくということでなければいい山はできないと私は思う。ところが、いろいろな審議会の答申といったようなことを言いながら、大事な国有林を守る人たちの生活にまで不安を与えるような状況が今日生まれているというのは、はなはだ遺憾なことであります。そう考えてまいりますと、私はこの法律の中でも幾つかの問題点のあることを指摘しなければなりません。  その第一の点は、先ほども角屋委員が最後に政務次官のお考えをただしておりますが、国有林経営というのを人手に渡すようなそういうことであってはいけない。現在七万人の国有林労働者、職員がいらっしゃるわけでありますけれども、この人たちに、活力ある山づくり、そして山を愛する人たちの気持ちが生きていくような行政、こういうものが生まれ出てくるようなことでなければいけない。おまえら横に寝ておるからもう直営やめた、めんどうくさいから請負に回してしまう、こう簡単なことで済まされる問題ではないと思うのです。  昨日も農林大臣の意見を聞いておりますと、言葉の端々にそういうにおいのする答弁が返ってきておりますし、また、ある委員質問に対して、直営直用論反対の立場からの意見も述べられていたようでありますが、私はじっと聞いていて、そういう安易な道をたどるということで果たして今日の山づくりができるだろうか。専門以外の素人が山にやってきて山なんかできるものではありません。私も頭でっかちで、現場では七、八年山に通っただけの経験しかない私でありますから、おまえ山に行ってやれと言われたってできないです。山の学校出ておるからできるじゃないかと言われても、それは、現場における毎日毎日の貴重な体験の中からベテランとしての実力を備えていくのであります。  国有林に、特に現場で働いておる皆さん方は、最近ようやく常勤化が一定規模なったとはいいながら、その多くの人たちは非常勤の立場で何十年と、三年や五年じゃありません、長い人は二十五年も三十年も国有林で働き続けてきたという人たちがいます。まさに押しも押されもしない山づくりのベテランであります。こういう人たちをいま大きな不安に陥れるような請負の話なんというのがちらちら出てくるというのは、私はいただけない。特に与党筋はそういう点についてかなり厳しい意見を持っておるようであります。きのう私は堀之内委員の議論を聞いておりまして、その感を深くいたしました。あえてやじは飛ばしませんでしたけれども、そういう考え方では今日の山づくりはできない、私はこう思うのです。  先ほど角屋委員からだめ押しのようにお話がございまして、政務次官からも丁寧にこの点についてはお答えになっていたから、私は政務次官にだめ押しをするつもりはありませんが、請負制にしたからといってそれほど不都合な実態が生まれていないということも事実でしょう、先ほど政務次官お答えになっておるように。しかし、それは表面上の話であって、雇用の不安を抱え、職業病である振動障害にかかっておることがわかっていても、それをひた隠しに隠して仕事をしなければならないほど生活の不安にさらされている一般山林労働者を考えますときに、安易に請負よしとする考え方に私はくみするわけにはまいらぬのです。確かに、それは厳しい監査もありますし指導もありますから、請負者は今日でたらめな工事ができるなどというような筋合いのものではありますまい。もしもでたらめなことが行われているとしたら、これはやっている本人より監督指導に当たる林野庁責任だということになってしまうのであります。そういう点で、働きのぐあいというようなことを考えますれば、いまは労働の問題に対して非常に神経を細かく使っていかなければならない時代ではないでしょうか。山に命をかげながら、そのために振動障害にかかって自分の命を落としてしまうなんというような事実が野放しにされておるようなことがあったら大変なんですが、現実には民有林のサイドにまでなかなかそれが及んでいかない。私どもは、国会で繰り返し繰り返しそういう点について行政の温かい手が今後伸びていく、そういう姿勢に返るべきだということを言ってきました。幸い国有林におきましては、そういう点については若干の前進を見ておりますから、相当程度解決できる道も開けたと思います。しかし、単に振動障害によるそういう問題ばかりではなくして、そのほかにもまだまだ幾つかの問題を持っているわけでありますから、お互いに協力し合ってやらなければならないという点を私は否定するのではないのです。  しかし、今日、大事な法案審議をしておる過程で直営直用否定論が出てくるというのは、私は危険だと思うのであります。そんな安易にできるような仕掛けでないとは思いますけれども、私は、この点は国有林でお働きの皆さん方に、安心して職場が守れますよ、こういう点が担保されないと、なかなかこの法案を納得して理解するというわけにはまいらぬと思うのです。どうも話を聞いておりますと、働かなくなった、こう言います。しかし、考えてみれば、いまの時代はまさに週休二日制が実施に移されようとし、日本人の働き過ぎが世界各国から寄ってたかっていま指摘を受けているときじゃないでしょうか。働かなさ過ぎというのには問題はあるけれども、長い人生、六十年、七十年、八十年と生きていくためには、人間の生命のローテーションというのは崩してならないことでありますから、その点に対していま労使間において若干の問題点が俎上に上っているのは、一つの歴史の過程では避けることのできない問題ではないでしょうか。そこまでまだ到達し得ない民有林状態、一般民間山林労働者の実態というものを考えますときに、むしろそういう人たちを引き上げていって、体をだめにし、命まですり減らして働かなければならないような状態から救済していくという道こそ、私は今日最も必要なことではないかと思うのです。私のこの考え方は誤りでしょうか。
  97. 今井勇

    ○今井政府委員 先ほどから先生の御所論の底に非常に流れております気持ちというのは、山を愛することから物事を出発しなければ解決しない、そういうお気持ちであろうと思います。  さらに、そこでまたもう一度申し上げますと、本多静六先生の言葉が私は本当に頭にこびりついて離れないのですが、技術進歩の非常に進んだわが国現状で、なぜ一体江戸時代より造林、植林などの実績が落ちているのかということは、われわれとして沈思黙考しなければいかぬと思うのですね。何によってそういうことになるのか。たとえば人間の信頼関係が薄れているのかどうか、あるいはまた山を愛する気持ちにおいて過去といまとで大差があるのかどうか、そこらあたり、やはりわれわれとしても十分反省をし、考えてみなければならぬと思います。そういうことから出発しませんと、この問題は解決しないだろうと思います。  そこで、先ほどのお話でありますが、慣用直営の問題につきまして私は画一的に論ずることは誤りであると思います。出発点は、先生の言葉をかりれば、いかにすれば山が育つか、いかにすればわが守っている山が国民の期待にこたえるようなものになるか、そういった山が好きでしようがないという人間をその地域地域によってどうすればたくさん集めることができるかということであろうかと思うのです。したがって、直用直営であっても、山を愛しない人ばかりいたのでは問題になりますまいし、また幾ら請負でありましても、本当に山を愛する人たちがそろっておれば、りっぱな仕事をやっていくだろうと思うので、そういう一つ基本的な考え方に立って、林政審の答申も踏まえ、また、地域地域の実情に応じて、特に山村では非常に労働の機会が乏しいのでありますから、そういう人たちのことも考えながら運営していくというのが基本的な考え方でなければならぬというふうに私はそう信じております。
  98. 島田琢郎

    ○島田委員 いま一ころと違いまして、非常に民間における林業労働力の不足というのが深刻であります。しかも、年齢的にも相当高齢化が進んでいて、若い者は山から去っているのが今日的な傾向であるのは、ひとり山だけではありませんが、われわれ農村部を中心にしてそういう実態にあることも否定できない事実であります。そのためには、積極的に山で働く人たち、特に後継者を育てていくということが非常に大事なんです。国有林状態というものを考えてみますと、いま申し上げたような傾向がさらに強く進んでいて、高齢化が、他の部門で働く人たちに比較してみるとずいぶん高い。つまり高齢化が進んでいる。現場にはいわゆる経験豊富な職員が要求されるのは、特にほかの現場よりも強いということは言えるのでしょうが、それにしても、ここに資料として私いただいた中で、三公社の比較をしてみますと、一番若いのが電々公社にお働きの人たちで、平均年齢でありますけれども、これは三十四・三歳ということで、非常に理想的な形になっています。ところが、林野の職員は実際高い。四十三・九歳、非常に高いのですね。ですから、こういう意味では、やがて一定の年齢に達すると国有林を去っていくということにならざるを得ません。しかし、今日その補充を見ていますと、それが適正に補充されている状態ではない。若い人を採用していくという道はだんだん狭くなっている。  私も、山の学校を出たのでありますが、私どもが卒業したときには、競って営林署から求人がありまして、よき時代ではありました。不幸にして私は営林署には入りませんで、自治体の方に入って営林関係を担当して、道がちょっと変わりましたけれども、いまわれわれの仲間で、私ぐらいの年齢になりますと、相当大事なところにおりまして、何人かが署長にもなる、こういうことで、現場の一線で活躍しているのでありますが、そういう人たちの話を聞いても、やはり補充ということについてもっと力を入れてもらわないと、どんどんやめていってしまっては大変なことになってしまう。そうでなくたって、採用しないものだから年齢が高くなっていく、こういう点についてはやはり一つの悩みです。ベテランといいましても、やはり体の動きになりますと、二十代のような敏捷さはとても比較になりませんから、そういう点では、次に備える人たち、後継者を育てていくという考え方国有林みずから立てていかなければならない。そうして、山で働くということがばかばかしいことなどというふうな状態にあっては、これは民間における山の労働者たちはどんどん山をおりてしまうということになります。環境的にそういうものをまずつくっていく、土壌の条件からつくっていくという、そういう前向きの雇用の状態というものを生み出していく、そこに模範を示すべきではないかと私は思うのですが、この点についてはずいぶん厳しい考え方を持っているようで、一昨日でしたが、藍原長官は、私のこれに似たような質問に対して答えているのを聞いていますと、できるだけ高齢になった人たちには、肩をたたいて早うやめるように促進をします。えらい促進のところに力を入れられる。適正にあとは採用してまいります。適正になるとずっと小さな声で言うものですから、これはだんだん人員が減っていくということを示唆しているようなものであります。ベテランを大事にしながら、次の時代を担っていく人たちを積極的に採用してまいりますというお話が出てこないと、国有林、山づくりに対して、言っていることとやろうとすることが全く逆ではないか、あべこべではないかという感じが私はするのです。  これは国民的要請だとか、審議会からの意見でございますとか、いろんな圧力が林野当局にもかかってまいりますから、こたえ切れないというふうなことでこぼされる向きもあるようでありますけれども、そういうものではなくて、そこはやはりもう一つ基本に立って山づくりが進められていかなければいけないのじゃないか。機械を幾ら入れたって、動かすのは人であります。機械化されたって、それが動き得るような人、人的資源というものが枯渇してしまったらとてもだめなんです。これは所管は秋山部長のところですか、林政部長ですか。——じゃ石川さんの意見を聞きましょう。
  99. 石川弘

    ○石川政府委員 要員の管理の問題になるわけでございますが、現場の作業をします場合にも、あるいは定員内におきまして管理部門を預かる方々につきましても、いわゆる年齢層その他が非常に均衡しまして、長い将来にわたりましてもそういう年齢の各層が均衡されるような要員構成ができることが、企業が継続的に生きていきます場合に必要であるわけでございます。ただ大変残念ではございますが、毎度申し上げておりますように、実は事業の規模が三十九年ごろをピークにいたしましてかなり大きなテンポで下がってきたわけでございますが、その要員管理の面で見ますと、必ずしもそういう事業量に適合した形にはなっていないわけでございます。比較的高年齢層に対する管理と申しますか、そういう方々に対する扱いにつきまして、他の三公五現に比べましても、林野の場合は比較的緩やかな形でいままでやってきたわけでございますので、高齢者層、これは先生がおっしゃいました平均年齢が高いか低いかということ以上に、特に公務員等といたしましても、比較的高齢の層が多かったという事実がございまして、このことが実は職員の新陳代謝ということに非常に障害になっていたわけでございます。私どもやはり経営を今後安定的に改善いたしますためには、そういう職員の方々に若い血を入れていくということがぜひ必要でございますけれども、総体の規模が、事業量自身が下がってきている過程でございますので、総体の規模をそのままにしておきまして新陳代謝をするわけにいかない。したがいまして、高齢者の方々、これも世の中の常識から見まして決して厳しいということではない形での勇退を願って、そういう要員が高齢者層の方方で占めましたところを埋める形で若年層が入ってくる、しかもそれを全部埋めてしまいますと、また要員管理規模自身がなかなか事業量に合わぬということがございますので、極力それを円満にやっていきたい。  結局私どもができますことは、強制の退職手法というようなことをとらないということはかねがね明言いたしておりますので、馬齢者の方々の退職を願って、規模自身が大きくならないようにしながら新陳代謝をしていこうということをかなり時間をかけてやったわけでございますが、御承知のように、昨年末幸いにそういう高齢者の退職につきまして労使間で話し合いがついておりますので、一応そういう比較的高い層の方々の勇退されます形につきましては、労使の間で合意ができ、今後のある種の見通しがついたわけでございます。  それでは若い方々をどの程度採用していけるかという問題でございますが、私ども考えておりますのは、やはり事業規模というものがある程度縮減をする中で、特に間接的な管理部門につきましてある種の肥大化という現象があったわけでございますので、これを正常化いたしますような形が見通せるまでは、いわゆる要員管理の形の中では、退職数を即補充していくという手法をとりましてはこれができないわけでございますので、先ほどの長官の申され方からしますと、適正に管理をするということをおっしゃったわけでございますが、これは一定の水準に到達いたしまして、いわゆる要員管理が円滑にできる時期までのことを申し上げているわけでございまして、一定の規模に達すればかなり安定的な要員管理ができるのではないか、それを目指して今後とも努力をしなければならないという考え方でございます。
  100. 島田琢郎

    ○島田委員 私は、退職促進、首切り促進を言っているのでなくて中国にも有名な言葉があります。老、中、青という言葉がありますが、若い者、そしてベテランの人たち、こういうみごとな配合によって社会が構成され、そこに初めて発展が約束される。これは有名な毛沢東の言葉でありますけれども、私は山づくりも、さっき私が言ったように、私どもは山に対する若干の経験を持っているなどといったってこれはもうとてもお話になりません、やはり深い経験と山に対する愛情というものは、年をとればとるほど深くなってくる、ものであります。そして、そこに若い元気のいい人たちと一緒になって、組になってやっていくということが、気象条件もときには非常に厳しい状況の中でも、山づくりを進めていかなければならないというようなときには、そういう配置というものは大変大事なことだ、こう私は思いますので、石川部長は一定規模にと言ったが、それはちょっと気になる話でありますけれども、一定規模というのは一体何をいうのかという点についても聞きたいところであります。しかし、それがとてもとても国有林全体を守り切ることのできないような規模をもって一定規模だなんというふうに構想しているとすれば問題であります。私が言わんとしているのは、そこを聞くのではなくて、そういうみごとな労働の結合というか配合、配置によって、より一層の効果を上げ得る手段というのは、これから一層要求されるのではないか。こう考えますと、首切り促進で採用手控えというようなことになってくれば、ますます林野で働く人たちの年齢は高齢化の一途をたどるであろう。そうなりますと、これは大変なことになってしまう。この点について明快に考え方を聞きたかったのでありますが、若干余分なお話も出たようでございます。  さて、通告をいたしました点については、おおよそ私からはお話を申し上げて、政府考え方も聞かせてもらいました。その中には納得できるものもあり、納得できないものもあります。  最後に、私はもう終わりに近くなりましたから、この際資料として要求をしたい、こう思うものが一つございます。国有財産というのは一体どういう評価で見られているのか。たとえば取得時の価格で評価されているとすれば、これは時価評価で評価し直しますと相当な金額になります。国有林は地上の上物と土地を入れますと相当なものになると思いますが、どれくらいの評価額になるのか、きょうお答えいただかなくて結構でありますが、資料としてぜひひとつ提出願いたいと思うのですが、委員長、お諮りいただけましょうか。それが一つであります。  それからいま申し上げましたように、果たして時価評価でされているのかどうか私はわかりませんが、その評価に当たってはどのような方式でこれが評価されているのか。赤字赤字と言っているわけでありますから、これは大変大事な問題であるので、国民の皆さんの前に——国有林というのはいま時価に評価すれば一体どれくらいになるのかというような点でいろいろ御質問もございます。私見としては言っておるのでありますけれども、この際、国会論議を通して、国有林財産というのは、いわゆる国有林の土地や上物の評価というのは、現時点で一体どれぐらいになるのか、こういう点も理解してもらう必要があると思うのです。何といったってこれは国民の共有財産でございまして、秋山さんや石川さんや島田や個人的なものではないのでありますから、こういう点ではどれくらい育っているのだろう、時価にしてどれくらいの価値があるのだろう、これがよく理解できれば、また国有林に対する一つ考え方というものも変わってくるのではないか。公表されている部分もありますが、私は公表されている部分の中で評価がどういうふうになされているかという点について一回聞きたい、こう思っておりました。これはひとつ資料で出していただきたいと思います。きょうは質問で通告をしておるわけではございませんから、手元にその資料はないと思いますので、ぜひ委員長の手元で、私だけではなくて恐らくこの委員会で聞きたい方が多いのではないかと思いますから、ひとつ公表願いたい、こう思います。
  101. 石川弘

    ○石川政府委員 国有財産特別会計に属します資産額の評価の方法でございますが、これは国有林野事業特別会計法施行令九条という規定がございまして、取得原価によるという形になっております。ただし、これは物価変動等によりまして改定を要します場合には、一定の基準によりまして評価替えをするという手法をとっております。この評価替えは国有財産の状況をできるだけ正確に常に把握をする、そうしてこれを表示するということでございますので、こういう観点から行われておるわけでございますけれども、民間の場合は、普通は取得価格をそのままで表示をするという形をとっております。  現在の資産評価額でございますが、これは四十八年度に新しい経理方式が発足をいたしまして、この時点におきまして評価額を一応つけたわけでございますが、それを基礎といたしまして五十一年四月一日現在でさらに評価替えをいたしましてこれを計上しているわけでございます。このように資産額の改定につきましては、大体五年ごとに評価替えをいたしましてこれを行っておりますので、ほぼ現在ありますのは、五十一年四月一日でございますから、その後において若干の変動はしているわけでございますが、現在私どもが手元に持っております資料によりますと、企業財産につきまして四兆七千九百十九億、普通財産につきまして五百十六億の評価をいたしております。
  102. 島田琢郎

    ○島田委員 わかりました。  若干の時間があるようでありますが、おおよそ私の聞きたいことにつきまして通告を申し上げました範囲のお話はこれで終わりたいと思うのでありますが、最後に政務次官、私はきょう現地の実情などもたくさんの発表をしたわけではございませんけれども、一、二の例を挙げて国有林の置かれている実態についても申し上げました。私どもは、今国会で林野改善法が政府側から出されるに及んで、政府側の考え方をいろいろと事前に聞いてまいりました中で、補完し強化をしなければならない点を幾つか読み取って、対案としていわゆる社会党としての案を提示したのであります。  私は、国有林再建はなかなか口で言うべくして簡単にまいらない、そういうむずかしい側面を持っておるということも十分承知でありますが、しかし、この難問題から背を向けて逃げるわけにはまいらぬのであります。前向きにこれらを解決していくために努力を重ねていかなければならない、こう思ってわれわれは国会に、単独ではありますけれども対案を提示したのでありますが、きょう大きな山場を迎えて、われわれの意向というものがどの程度自民党を初めとする各党の皆さんに御理解ができているかどうかは、私はまだよくわかりませんけれども、相当の自信を持ってこの法案提案した、こういう立場から、ぜひひとつ政府当局においても十分大きな理解を示されて、ともに国民の共有財産であります国有林が、これから一層公益的な機能を初めとする国有林としての効果が上がっていきますようなそういう施策に、私どもは全力を挙げてまいりたい、この考え方はどの党よりも強く私どもは持っているつもりであります。どうかこういう私ども考え方は、きょうの議論や今回の法案提出の機会だけをとらえてではなくて、年間を通して大いに国有林のあり方を議論し、そしてそこが模範になって、国有林に学ぶものなしなどと言われるような現実の状態から一日も早く脱皮をして、真に日本の山をつくっていくというために、われわれは政治的な立場で力を尽くしてまいりたい、私自身もそのような決意を持っていますから、どうか政府当局においても、ときによって財政当局からいやみなども言われるでありましょうけれども、自信とそして毅然たる姿勢で、山はわれわれに任せよ、これぐらいの気構えでひとつ山を守る先頭に立ってもらいたい。心から期待をしながら私の質問を終わるものでございます。
  103. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 野村光雄君。
  104. 野村光雄

    ○野村委員 終盤国会を迎えてまいりまして、先般来農林大臣から提案になりました、今回の国有林野事業改善特別措置法案のこの課題に対しましては、一昨日来すでに各党の質疑が長時間にわたってなされてまいりました。しかも、今回のこの法案とあわせまして農林省設置法の改正案、こういうことで、全国的に多くの関係者の注目を集めた法案でございまして、順次私の立場でただいまから質問をいたしたいと思います。  最初にお尋ねをいたしたいことは、今回の国有林野事業改善特別措置法案と、こういう大幅な改善措置法案というものが提案されまして、その提案の主たる内容を拝見いたしますと、最近の国有林野事業の伐採量が年々非常に減少せざるを得なくなってきた、こういう中で、国有林野事業会計が非常に緊迫の度を加えてきた。第二点の大きな改善の理由といたしまして、木材の需給構造の大幅な変化をもたらしてきた。第三点目には、木材価格の低迷、こういう傾向の中で、最近の長期不況化の中でこの林野事業会計の中にも大きな不安の要素が横たわってきた。さらに加えて、第四点目には、人件費を初めとして諸経費の増高によっての経営の悪化。幾つかの主体的な改善をしなければならない要件というものは、私なりに提案の趣旨、条項を拝見させていただきまして、その趣旨に対しては、むしろ遅きに失した、こういうような感を受けておるわけでございますけれども、この際、基本的なことでまず最初にお尋ねいたしたいことは、国有林野事業目的、こういうものが確かに林業基本法第一条等に盛られておりますけれども、健全な森林経営、こういう面から目的がやや不明確になされてきているのじゃないか、こういう感を深くしているのでございます。まず、このような国有林野事業目的というものに対し、特に健全な森林経営という面に対する目的をこの際明確にする必要があるのじゃないか、こういう感じをいたしておる次第でございますけれども、この基本的な問題でまず最初に御答弁をいただきたいと思います。
  105. 今井勇

    ○今井政府委員 森林林業の持つ意味と基本的なものについては、私どもは、国民生活に不可欠な資材であります木材を供給するということが第一の基本的な目標ではございますが、それに加えて、国土保全あるいは水資源の涵養、自然環境保全形成といった面におきましてもきわめて大き、な役割りを果たしておりますので、その振興は政府といたしましてもきわめて重要な課題と考えておりまして、この基本的な考え方に基づきまして鋭意施策を行っていくということが基本でございます。
  106. 野村光雄

    ○野村委員 そこで、先ほど来申しました最近の国有林野事業経営悪化というものに対しまして、先ほど私が冒頭に触れましたように、むしろこの改善策は若干遅きに失したのじゃないかという感を深くしているわけでございますけれども、この点に対しましては政府は反省なさっていらっしゃるのかどうか、この点ちょっと確認をいたしたいわけでございます。
  107. 今井勇

    ○今井政府委員 先ほどから先生おっしゃいますように、今回のような状況を招きました遠因は、戦後間もなくの時代、高度成長時代に非常に急激な経済成長をいたしました。その際、まだ外国との貿易もままならない、あるいはまたそれを受け入れる日本の港湾事情等も十分でないという時代に、どうしても木材需要があるのだという国民的要請にこたえるために、どちらかと申しますと、成長率を上回る伐採をせざるを得なかったということが遠因でありますことは御指摘のとおりであろうと思います。したがいまして、これを一日も早くもとに戻して安定した経営をするということが急がれるわけでありますが、ちょうど経済も非常に安定した低成長をたどることがおおむね見通せられる時代になりました。したがいまして、この際お願いをいたしまして、経営を立て直そうじゃないかということで、ただいま法案の御審議をお願いしているわけでございまして、ここに至りますまでの時期的な問題についてはあるいは見方によりましては遅過ぎたという見方もあろうかと思いますが、私どもは適切なものであったろう、かように考えております。
  108. 野村光雄

    ○野村委員 次に、今回の提案の中で、基本的な問題をもう一点お尋ねをいたしたいのでございます。  先ほど来の、林野事業の赤字の財政というものを何とかして改定していかなければならない、こういうような趣旨の中で、今回の提案の趣旨の中では、一般会計の中から国有林野事業特別会計への繰り入れ、こういう考え方が明示されてきているようでございます。私どもといたしましてももちろんこの趣旨に反対する立場ではございませんけれども、ただ、今日までの独立採算制特別会計、こういうものに対してこの際大幅に変更していく、こういうふうに受けとめてよろしいのか、この点を確認いたしたいのであります。
  109. 石川弘

    ○石川政府委員 国有林につきましては企業特別会計制度をとっておりまして、そのほか、たとえば治山勘定のようないわゆる木材代金だけではとても事業ができませんものにつきましては一般会計から入れるという制度をすでに持っているわけでございますが、今回は、このお願いしております特別措置法によりまして、期間を限りまして、国有林経営の改善に必要な事業施設資金につきまして一般会計からの繰り入れが可能なような形をとっていただくわけでございます。基本といたしましてはやはり企業特別会計でございますので、この企業特別会計の本質を変えることではございませんが、先ほど申し上げましたように、たとえば従来から治山勘定に繰り入れましたように、特に今回の場合は時間を限っておりますけれども、その必要とする部分一般会計から繰り入れることができるという制度をつくるわけでございまして、原則はあくまで企業特別会計でございます。
  110. 野村光雄

    ○野村委員 もう一つは、この国有林野事業会計というのは、私が申し上げるまでもなく、農畜産物の他産業とは違いまして、特に林業というものは少なくとも三十年ないし五十年、または百年という長い年月を通しながら育成をし、初めてこれが効果として売買され、収入となっていく、こういう農畜産物の他産業とは比較にならない長期視野に立った中で会計というものを見ていく必要があるんじゃないか、こういう視点に対しての基本的な考え方をこの際もう一回明らかにしていただきたいのです。
  111. 秋山智英

    ○秋山説明員 国有林野事業の財務会計につきましては企業会計方式がとられておりまして、また単年度の予算主義による予算統制が行われておりますのは御案内のとおりでございます。  しかしながら、先生ただいま御指摘のとおり、林業生産というのはきわめて超長期にわたるものでございますので、長期的な観点に立ちまして造林あるいは林道の投資をしなければならない、また伐採量につきましてもそういう長期の保続性ということを前提にいたしまして事業が進められなければならないというふうに考えておるところでございます。
  112. 野村光雄

    ○野村委員 次に、若干論点が変わってまいりますけれども、先ほど来の伐採量の減少傾向、こういう課題に対しましてお尋ねをいたしたいのでございます。  まず、伐採と造林というこの関係は相対的なかけ離すことのできない課題である、こういうふうに認識をいたしておりますし、また木材の品質並びに気候、土地条件、こういうことによって木材の成長年数というものはそれぞれ大きく左右されていることは私が申し上げるまでもないわけでございますけれども、こういう中で国有林野経営の粗雑さ、未熟さ、こういうことが伐採量の減少、木材の育成の阻害、こういうことに大きく影響しているんじゃないか。こういう点に対して林野庁としては反省しているものはないのか、どうなのか、この辺を最初にちょっとお伺いいたしたいわけです。
  113. 秋山智英

    ○秋山説明員 国有林経営目的につきましては先ほど政務次官が御説明申し上げましたが、それの具体的な手段といたしましては、森林の持っております公益的な機能並びに木材生産機能というふうないろいろの機能を総合的にかつ高度に発揮し得るような森林造成をするということがその基本になっておるわけであります。そこで、この目的を達成するためには、全国の国有林につきましてそれぞれの地区を区分いたしまして森林施業計画というのをつくりまして、ただいま先生御指摘のとおり、森林を伐採し、跡地を造林し、そのために林道をつけるというふうないろいろの事業実施しておるわけであります。  しかしながら、最近の情勢を見てまいりますと、先ほど先生が御指摘ございましたように、収入面における問題並びに支出面における問題がございまして、これらを早期に改善してまいりませんと国有林野事業自身が危殆に瀕するという問題を踏まえ、このたびそれを改善合理化するための法案を出した次第でございます。
  114. 野村光雄

    ○野村委員 実は私も幼少時代から、幸い田舎に生まれまして、いつも申し上げておりますとおり、木材業界に対して約二十年近く、冬季間でございますけれども実質的に携わってまいりました人間でございます。しかも、私自身が私有林をわずかでございますけれども持ちまして、計画的に造林をしたり間伐をしたり、またはあるときは皆伐をいたしまして造林をし直しをする、こういうことを繰り返しながら、かつて親の代から六十数年来の農業経営の中で、私有林を持ちまして自分自身も木材の育成というものに対して携わってきた人間でございます。そういう中から、私自身、長い間、特に北海道の林野におきまして営林局関係の方々の日常生活、考え方、こういう問題に対しまして実質的な生活の中でいろいろな関係を結んでまいった一人でございますが、今日置かれております国有林の実態というものは、先ほど来質問の中でも社会党さんの方が言っておりましたけれども、他産業の農畜産物は、もう農家の一人一人が本当に田畑に親しみながら作物をわが子のように育成し、育てていく、この愛着心の中で生産というものを上げてきているわけでございます。  ところが、わが国の領土の六〇%以上を占める広大な国有林野、これが約七万からの関係職員の皆さん方の手によりましていろいろな仕事がなされているわけでございますけれども、ともいたしますとどうしても機械的になりまして、自分の手によって木材を育成し、育てていくという基本的な愛着心、使命感、こういうものが欠如してきた。だんだんと打算的になりまして、今日の機構改革なり提案されておりますところの事業の改善等の表面的な問題より以前の根本的な、林野業に携わる皆様方一人一人の本当の基本的な体質改善をしていくこともあわせて必要でないか。単なる機構改革、構造改革、こういうものだけでは、現在置かれておりますところの国有林野事業の本質的な改善にはならない、こういうような感を深くしているわけでございますけれども、この本質的な改善に対してはどのような基本的な姿勢をお持ちになっていらっしゃるのか、また体質改善に対する具体策等について考えがあるならば、この際承りたいと思います。
  115. 秋山智英

    ○秋山説明員 国有林野事業目的につきましては先ほど申し上げたとおりでありまして、この重要性につきましては、常日ごろ管理者はもちろん従事職員に指導徹底を図っているところでございます。必ずしもまだ十分でない面がございますが、今後この改善合理化を進めるに当たりまして、先生御指摘の点がきわめて重要でございますので、さらに一瞬指導してまいりたい、かように考えております。
  116. 野村光雄

    ○野村委員 いまの御答弁を聞いていますと、まことに機械的な御答弁のようでございまして、私は非常に満足できないのであります。私がなぜこういうことを言うかと申しますと、ぜひ聞いていただきたい。  私がかつて、先ほど申しましたように、わずかな私有林を育ててまいりました時代に、いまでも忘れられない教訓でございますけれども、私のもう亡くなりました父親でございますが、年に何回か山に入るときには必ず腰ノコとナタを持って入るのだ、そしてブドウづるとかコクワづるとか、育成真っ盛りの木に絡まっているのをたとえ一本、二本でも入ったら切ってやれ、木がすくすくと成長するためにはそういう心がけが必要なんだぞ、こういうことを私はよく聞かされました。やはり他作物の育成と同じように、年月はかかりますけれども、日ごろのそういう愛着心というものがあって初めて林野業というものは改善されていくんだろう、このように私は認識をいたしておる。  しかし、私が先ほど来申し上げておりますとおり、そう言ったら失礼かもしれませんけれども、現在の林野行政の中に本当に山を愛し、木を愛するという基本的な姿勢というものが非常に欠けてきた、むしろ大きく後退してきた。そして、大型機械に頼ってすべての作業が進められていく。そして、私の見ている限りでは、作業員そのものも、まあ地理的ないろいろな悪条件もあるんでしょう、ともいたしますと現場の山に着くのがもう昼近く、十一時ごろ、午前中一時間ぐらい仕事をして、昼休みを一時間やって、昼から一時間ないし二時間働いたらもう帰る準備、これは全般的にやっているわけじゃないでしょうけれども、ともいたしますと、こういう作業のあり方が、山間地域にいるまじめな農業経営者なり他産業の労働者に余りいい影響を及ぼしていない。私は何もこういう作業員、労働者を批判するために申し上げているのではなくて、やはりこういうところにもっと改善を必要とするものもあるんじゃないか。  こういう実態を見聞きしている立場の中から、本当に改警する方法は、機構とか机上のプランだけでなくて、体質そのものに、運営そのものに改善する必要がもっともっとあるんじゃないかということを、この行き詰まった今日の国有林野事業の改善を提案されましたこの趣旨に別に私は反対するわけじゃないけれども、ここに盛られていない隠れた体質的な、本質的なものに本当に目覚めない限り、本質的な国有林野の改善はできないだろうということを率直に私は申し上げているのでありまして、そんな機械的な考えの御答弁では、結局はあなた自身が、大もとのあなた自身が本当の実態を知っているのか知らないのかわかりませんけれども、単なる機構改革とかそういうことさえやれば、赤字になれば一般会計から金さえ入れれば改善できるんだという、そういう安易な体質を私は国民にかわって指摘を申し上げているわけでございます。反省ございませんか。
  117. 今井勇

    ○今井政府委員 これは私からお答えした方がよろしいと思います。  先生は、今回の問題に関する哲学をお求めであろうと思うのです。確かに、今回の国有林野経営の赤字等々に関する問題について、国民の血税たる一般財源を四十億もつぎ込んでいただこうということは、これは並み並みならぬことであります。したがって、それを受ける立場林野庁並びにそれを取り巻きます環境といたしましては厳しくこれを受けとめねばならないと私も思います。先ほどの御質疑にもありましたとおり、非常に機械化が進み、技術が進んだ現在であっても、江戸時代の植林あるいは江戸時代の造林に劣るようなことが現在行われているというふうなお話がございまして、私もびっくりしたと、こう申し上げました。やはりそこあたりの奥にひそむもの、すなわち私はよくまだこれを分析したわけでもございませんが、直感いたしますのは、山を愛する気持ちに昔といまと変わりがないのか、また山を守る人たちの間に人間関係で信頼関係が失われているんじゃないだろうか、そういったことなど、いろいろまた深く反省をしなければならないと思います。そういう深い反省のもとに立って、今回のこの事態を受けとめ、ひとつ勇気を持って改善をいたそう、このように考えております。
  118. 野村光雄

    ○野村委員 次にもう一点、ここで、くどいかもしれませんけれども、林野行政に実質的に携わっている人々の声としてぜひ受けとめていただきたい。  御存じのとおり、林野事業には私有林と、市町村なりまた都道府県が管理いたしておりますところの公有林と国有林、大きく分けて三つございます。先ほど申しましたように、私自身は何十年来自分で私有林を育成してきた一人でございます。本来ですと、国有林というのは、地域の私有林、公有林の林業経営に対する模範とならなければならない立場ではないか、こういうふうに私は思っております。しかしながら、先ほど来言っておりますとおり、その国有林の今日の管理運営、こういう面、並びに国有林から伐採されておりますところの、年々払い下げておりますところの多くの伐採のあり方、これが五十年、七十年、百年と、とうとい年月を経て育ってまいりましたこの木材が機械的に切り倒されていっている。私は自分で手がけて長い間やってきた人間でございますけれども、せっかく育った木を最高度に活用するためには、ある程度土を掘っても、なるべく下の方から切り倒していく、その木材の利用価値のためには、どういうところで、どういう長さで切断していくことが最も木材の価値が高いのか、こういう観点を細かく観察しながら、その木材の持っている特質と価値を最高にあらしめるために私たちは自分の育てた木は伐採し、販売のためには価値あらしめるために細かい点に力点を置きながらやって嘗ております。国有林になりますと、機械的に一番切りやすいところから切っていく。どこで切断したのが一番木材価値が商いのか、そんなことも考えない、とは言えませんけれども自分で経験してきたわれわれの立場から見れば、わざわざ価値をなくしていくような切断の方法、こういうところに、模範とならなければならない国有林野管理運営、こういうものに対して、私は国民に対して反省する必要があると思う、改善する必要があると思うのですよ。私はいたずらにあなた方を批判するために言っているのじゃないのです。重大な問題なんです。国有林は、御存じのとおり、日本全国津々浦々にあるのです。全国民がこの、実態を見ているのですよ。どのように認識して、改善しようとするのか、この点はっきりと示していただきたい。
  119. 秋山智英

    ○秋山説明員 林業経営に当たりまして最も重要なものは、先生御指摘の、山を愛し、育てるという精神が基本になければならないという点につきましては、私は先生のおっしゃられるとおりだと思っております。私ども、先生の御指摘のとおり、国有林野事業というものが、本来的に、地域の林業の模範となるような経営をしなければならないということで、いろいろと指導し、研修し、努力しているわけでございますが、なかなか指導が徹底せず、ただいま先生の御指摘のような点がございますとすれば、これはきわめて重大問題でございますので、今回の改善計画を進めるに当たりましても一番重要なものは、やはり職場の意欲と申しますか、心の中に山を愛するという気持ちで、かつまた伐採するに当たりましても、いま先生がおっしゃいましたように、五十年、百年たった木でございますので、やはり有効に使うという面にもっと配慮しなければならぬという点もございますので、そこはさらに重ねて足らないところは指導してまいりたいと思っております。
  120. 野村光雄

    ○野村委員 非常に機械的な御答弁でございまして、本当に心の底から改善しなければならないなと反省は反省でしていらっしゃるのか、こういうことに対して、私は国民立場に立って率直に申しまして本当に残念です。これ以上言いませんけれども。本当の私の言わんとする真意がどこまでくめているのか。この長い伝統と歴史を持ってまいりました国有林野事業というものは、私が一番心配なのは、先ほど言いましたように、他産業みたいに春植えつけて秋実ってこない、自分努力がすぐ秋に実らない。確かに自分努力が効果として率直にすぐ認められない仕事だけに、より以上ともすると打算的になるのじゃないか。そういう知らず知らずの打算的な傾向が、歴史が長いだけにしみついているのですよ。いいですか。ですから、いままで各委員の方々がいろいろな面から質問をしたと思いますけれども、私は別個の本質的な立場で、体験者として一番改善してほしいことを言っているわけですから、ぜひこれはまじめにひとつ受けとめていただきたい。よろしゅうございますか。
  121. 秋山智英

    ○秋山説明員 誤っておりますところは率直に反省いたしまして、本来的な国有林野事業運営ができるように最善の努力を払ってまいりたいと思っております。
  122. 野村光雄

    ○野村委員 次に、営林署の統廃合問題で、特に私は北海道選出でございまして、このたびの法案によりますと北海道の四営林局を支局とする、こういう御提案でございます。すでに論議が集中されました課題でございますから詳しいことは申し上げません。ただ、このような営林局を支局というように統廃合することによって、この機構の整備が国有林野事業の果たしてどれだけの根本的な改善につながるのか、こういう点がどうも私は腑に落ちない。そういう点で、この営林署統廃合に対して具体的にどのような改善がされるということを考えていらっしゃるのか、具体的にひとつ示していただきたい。
  123. 石川弘

    ○石川政府委員 林野庁が持っております組織機構につきましては非常に長い歴史がございまして、それぞれの時代に適合いたしまして各種の事業を営んできたわけでございます。その間、営林局、営林署それぞれの任務を果たしてきたわけでございますが、実は先ほどから申し上げておりますように、事業の実行の仕方なりあるいは林地を管理いたしますための管理の態様、これは端的に申しますと、たとえば道路網の整備とかいろいろな形で事情が変更してまいりましたけれども、実は営林署以上の組織につきましてはかなり長い間現状のままできたわけでございます。事業所等につきましては、御承知のように、事業の盛衰というようなこともございまして、それに基づきましてかなりの統合とかあるいは新設ということも含めて動いたわけでございますが、管理機構といたしましての営林局及び営林署につきましては、非常に長い間従前どおりの姿で動いてきたわけでございます。  そこで、四十七年に国有林野事業の改善を図りますために、林政審議会におきまして御承知の林政審の答申というものが出ておりますが、その答申の中におきましても、林野庁が持っております組織機構につきましては、現状事業の実行の仕方とか、あるいはその後に起こりました各種の社会的条件の変化というものに対応いたしましてこれを改善合理化すべきであるという御答申をいただいたわけでございます。  私ども基本的に考えておりますのは、林野庁はやはり現場の国有林を管理いたしております官庁でございますから、現場からの単なる撤退というような形での統廃合ということはあり得べきものではございません。したがいまして、まず第一線の担当区につきましては、原則的には、その担当区の数は相当多うございますが、これを置いていくということを一つ基本にいたしております。  その次の上部組織でございます営林書につきましては、やはり時代の流れといいますか、その管理機構というものに相当大幅な変化というものができてきております。これは一つは山の状態あるいは管理いたします面積、それから営林署が持っておりますその管理区域における交通の利便とかいろんなことがございますので、その辺を十分勘案しながら一つの統廃合というものを考えていくべきではないか。それが御承知の昨年末の行政改革の中で示されました営林署の統廃合の案でございます。これはあくまで案でございますから、これをいかに実行するかということにつきましては、今度の法案で御審議をいただいております改善計画の中で、国有林の持っております管理組織というものをどの程度、またどのように改善するかということにかかるわけでございますが、この実施につきましては、再三申し上げておりますように、地元の方々の御理解も得ながら、それから国有林の管理がこれから最もしやすいように、しかも、その中身におきまして合理的な管理ができますように考えまして対処をしていきたいと思っております。  それから、この種の合理化と申しますか、の管理部門を軽くといいますか、管理部門の中で持っております一つの肥大的な要素を縮減しますのは、決して営林署の統廃合というような形だけを望んでいるわけではございませんで、たとえば事務の改善合理化、これは一つの事務を非常にばらばらにやっていますのを集中的にやりますことによって非常に事務が簡素化されるという面もございます。そういうような管理部門につきましては事務改善みたいなことが非常に大きな要素がございまして、これは林野庁の内部の問題として措置できることでございますので逐次実行いたしておりますけれども、そういうことと、この種の組織の改善合理化をあわせて行いまして、比較的過大あるいは肥大化していると考えられております間接管理部門につきまして所要の改善をしたいと考えております。
  124. 野村光雄

    ○野村委員 いまの御答弁を聞いていますと、機構改革のあり方が、たとえて言えばそれぞれ下部組織まで縮小、廃止する、こういうようなお話でございますけれども、私はむしろそれを一番おそれておる一人でございまして、たとえて言いますと、北海道の実例を申しますと、現在の四営林局を支局にする。これと相まって、恐らく次に来るのは、具体的に申しますと、北海道に営林署が八十九カ所あると聞いておりますが、これを第一線部隊といたしまして、事実的に作業員がここを中心といたしまして地域住民と密接なつながりを持ちながら管理運営というものに携わっているわけでございまして、支局に縮小されるのと相呼応して営林署の統廃合も行われる、こういういまの御説明でございますけれども、一体どういう具体的な計画のもとに、また、どういう展望に立って、いつごろまでにどういう規模の縮小をしていこうとするのか、この点をもう少し具体的に示していただきたいと思います。
  125. 石川弘

    ○石川政府委員 営林署の統廃合問題につきましては、五十三年度の措置といたしまして、内地の九営林局につきましておのおの一署を廃止するということは決定いたしております。決定しておりますことを申し上げますと、そのほか、御承知のように、行革の中で、将来にわたりましておおむね一割程度のものを目途に統廃合を行っていくことは決まっておりますが、この九署という問題は五十三年度の問題としてすでに決まっているわけでございます。  今後の問題につきましては、先ほどお答えをいたしましたように、経営改善計画の中で、国有林経営改善とあわせてどのように措置をしようかということを検討いたしておりますけれども、現在私どもがはっきりいたしておりますのは、この改善計画というのは、御承知のように、十カ年の期間でございますので、そういう十カ年の間にはこのおおむね一割程度のものの統廃合は考えていかなければならないのではないかと考えておりますが、具体的にどのようなテンポで、また、どのような地域に行うということは現在決定もいたしておりません。これはまさしくこの経営改善計画の中で、どのような取り扱いをするかということを決めていかなければならないと考えております。その場合におきましても、決してただ数を減らせばいいというような手法ではございませんで、再度申し上げておりますように、経営改善の実が上がるように、しかも、そのことが地域の皆さん方から御理解が得られるような形で進めていきたいと考えております。
  126. 野村光雄

    ○野村委員 特に地域に密着いたしますこういう出先機関の縮小または統廃合という問題は、こういう僻地の農山漁村に対しますところの最近の過疎化にさらに拍車をかけるような結果を招来するということで、関係市町村並びに住民が今回の合理化に対しましては非常に機敏に注目をいたしている次第でございますので、ぜひひとつ一方的でなくて、関係市町村なり団体なり住民と十分なるコンセンサスを持ちながら進めていただきたい、こういうことを強く要望しておきます。  次に、別な問題といたしまして、ぜひこの機会にお尋ねもいたしたいし、また実施していただきたい点につきまして、最後の残りました時間でお尋ねいたしたいわけでございます。  健全な林野事業経営につきましては、特に山村地域の農畜産業と一体化した産業の振興対策というものがなくてはならないと私は思っております。そういう中で国有林の活用、地域の産業活動の助長を通じた地域振興という立場の中から、特に北海道あたりでは酪農経営者でありますとか、肉牛等の畜産業者、これは北海道のみならず全国的な問題だと思いますけれども、これらの経営者の方々が、ともいたしますと国有林が雑木林や荒廃地に等しい、こういう国有林等の活用をぜひさせていただきたい、願わくは酪農経営者でありますとか肉牛の畜産業者に対しましてぜひこの国有林野を払い下げをしていただきたい、こういう希望が各地から出ておりますけれども、こういう畜産業者に対するところの国有林野の活用、払い下げ等について基本的にどういう考えを持っていらっしゃるのか、この際お尋ねをいたしたいと思います。
  127. 石川弘

    ○石川政府委員 国有林の農業的あるいは林業的活用につきましては、御承知の活用法によりまして、現在それぞれの地域地域におきまして、その国有林が持っております公益的機能との調整を図りながら進めてまいったわけでございます。  ただいま先生御指摘の酪農関係が実は活用の中で一番多くございまして、農業的活用の中の非常に大きな部分は畜産的利用でございます。そういうものにつきまして、従来いわゆる草地を造成するというような形での活用が多かったわけでございますが、最近の事例といたしましては、必ずしも完全にこれを草地化するというのではなくて、いわゆる林間放牧といったような手法をとりまして、ある意味では森林の持ちます機能をある程度果たしながら畜産的に利用するということもこの活用の方途に加えているわけでございます。  私どもといたしましては、そういう御要請があります場合に、先ほど申しましたように、活用法にも示されましたように、国有林の持ちます機能との調整はある程度図らなければならぬわけでございますが、具体的な事例に応じまして内容を十分審査をいたしまして、そういう農業的面、特に畜産的な面におきましてこれに御協力ができるような体制づくりをいたしておりますし、そういうことで現実の運用をいたしておるわけでございます。
  128. 野村光雄

    ○野村委員 国有林野の農用地利用についての基本的な考え、姿勢をいま伺ったわけでございますが、そこで、もう時間がございませんので、この際最後に、具体的な問題としてぜひお尋ねをいたしたいわけでございます。  北海道胆振支庁管内白老町に、国の方におきましても先般来畜産センターの設置等によりまして、すでに十九億の計画をもっていま進められております。しかし、せっかくこれだけの国のてこ入れによりこういう畜産センターの設置までされるわけでございますけれども、現況としては、ここの農用地の状況からいきまして五千頭飼育が精いっぱいというような状況下にございまして、早くから樽前山山ろく等におきますところの約三千ヘクタールをこの放牧地として、国有林野の払い下げもしくは林間放牧等何とかして活用させてほしい、こういう請願があるわけでございますけれども、これに対してはどういうような構想、考えを持っていらっしゃるのか。願わくは現地の実態を一日も早く掌握して、活用の方向に進めていく考えはないのか、この点につきまして御答弁をいただきたいと思います。
  129. 石川弘

    ○石川政府委員 御指摘の地域でございますが、いまお話がありましたように、農用地開発公団の事業をやっておりまして、これは民有地でございますが、そこで相当の畜産農家がある程度の規模拡大をしていきたいという御要請があることは伺っております。  現在、お話しになりました地域につきましては、一応水源涵養保安林の見込み地であるというようなこととか、そこが粗粒火山灰地で土砂の崩壊、流出のおそれが多いというようなことで、いまおっしゃったように、前からお話がありますけれども、いろいろと調整を要するということになっているのではなかろうかと思っています。  これは完全に草地化をするかどうかというところに一つ問題があろうかと思いまして、先ほどもちょっとお話をいたしましたように、そういう活用の仕方を二通り考えますと、一つは草地化の手法、一つは林間放牧の手法ということが二つあるわけでございます。その辺のことを少し今後詰めてまいりまして、現地の実態をさらに深く詰めさせるようにしたいと思います。  私ども考えまするに、国有林の持ちます公的機能と、それから活用しまして畜産的に利用したいということが、双方ある程度、何と申しますか、その両方の要請にこたえられるような手法が見つかることが一番いいのではなかろうかというのが基本的な考えでございます。
  130. 野村光雄

    ○野村委員 そういたしますと、確認いたしておきますけれども、いずれにいたしましても現地の要難に基づいて、現地の畜産振興の一助として、国有林の活用に対しましては現地の実情によって林間放牧でありますとか場所によっては牧草地とか、こういうことはいろいろ具体的にはまた一律にはいかないと思いますけれども、ひとつ前向きに取り組んでこれに対応したい、こういう考えでいる、こういうことで了解してよろしいですか。
  131. 石川弘

    ○石川政府委員 私、実は現地の実態を詳しく知っておるわけではございませんので、基本的な考え方としますれば先ほど申し上げたとおりでございます。したがいまして、国有林の持っております機能とそういう畜産利用したいという御要望とを調整できればこれが最もいい処置の仕方ではないかと考えております。
  132. 野村光雄

    ○野村委員 それでは、時間が参りましたので、最後に政務次官に一言お尋ねをいたしまして私の質問を終わりますけれども、先ほど来今回の改善特別措置法につきまして、本質的な改善というものをいろいろな面で強く御要望申し上げたところでございまして、どうかひとつ今後の国有林が、大きく国家の経済の繁栄とさらに国民の福祉向上と、しかもまた治山治水という森林の持つ特性を生かすためにも、十分なる今日の機能を発揮せしめるためには、心から農畜産物の農家が田畑を耕し、作物を育成すると同じような愛着心と希望を持てるような体質改善を、ぜひ次官の方からも特段の配慮をこの際思い切ってしていただきたい。このことが今回の改善の大きな将来の発展に寄与する最大の課題である、そのように私は認識をいたしておりますけれども、この点に対する次官の決意と対応策につきまして最後に御答弁をいただきたいと思います。
  133. 今井勇

    ○今井政府委員 まさにおっしゃるとおりでございまして、ただいまの野村委員の御発言をそのままいただきまして、なお一層努力をいたしたいと存じます。
  134. 野村光雄

    ○野村委員 以上で私の質問を終わります。
  135. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 瀬野栄次郎君。
  136. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 国有林野事業改善特別措置法案について政府当局に質問をいたします。  本法については、昨五月十日午前、当委員会で二時間余にわたって農林大臣並びに大蔵省等関係当局に本法全般にわたって私は政府の所信をただしてきたのでありますが、昨日時間の関係で留保した問題について、昨日に引き続き政府の見解を求めるものであります。  本法の第四条によりますと、「政府は、改善期間における国有林野事業特別会計法第五条第一項の規定による借入金に係る資金の貸付けについて、資金事情の許す限り、特別の配慮をするものとする。」と規定されておりますが、昨日もこの問題について若干触れておきましたけれども、御承知のように、昭和五十一年は四百億円の借り入れ、五十二年は八百三十億円の借り入れ、五十三年は九百七十億円の借り入れを予定しております。しかも、五十一年度の例を見ますと、造林は五年据え置き二十年で均等償還、林道については三年据え置きで七年の均等償還ということになっております。造林が五十一年借り入れということになっておりますので、五年据え置きでございますから、当然五十六年から元金を返すということになってまいります。林道については五十二年から借り入れでございますから、三年据え置きでございますので、当然五十五年から元金の償還に入ってくるということで、五十五年ないし五十六年から造林林道ともそれぞれ元利金の償還が重なってくるし、そして今後毎年十年間の改善期間のみならず、私が昨日提案し、林野庁長官もその提案を認めていただきました、いわゆる昭和六十二年から七十二年に至る改善目標達成期間、この間も借り入れていくことは当然考えられることでございます。そうしてまいりますと、膨大な借り入れということになってまいりますが、昨日からるる審議してまいりました過程において、木材の低迷、また林野庁内部のいろいろな組織、雇用の問題等絡んで、果たしてこれが二十年後に黒字に転換するかということは今後問題を抱えているわけでございますので、私はここ数年は何とかいけるにしても、年がだんだん重なっていくにつれて、将来利息と元金でどうにもならぬ、果たしてうまく返還ができるか、こういうように思うわけでございます。いまの国鉄のように、まさに国有林野も大変な借金を抱えていくことになりはせぬか、この点をどう考えておられるかということをお尋ねしたいわけでございます。  昨日も三K、五Kと言いましたが、いわゆる国鉄、健保、米、これは赤字の三つの大きないわば親玉とも害うべき三Kでございます。それにプラス国債、国有林とすべてKがつきますが、この五つを合わせて五K、こういうふうにも言われておりまして、いわば赤字のベストファイブとも言うべき問題を抱えている分野でございます。  そういった意味から大変将来をおもんばかるわけでございますが、この再建整備計画については当然こういったことで進めるということについてはわれわれも十分認識はしておりますが、その点を含めて政府当局はどういうふうに見通しておられるか、本法審議に当たってこの点についてもしかと政府の検討した結果をお答えいただきたい、かように思います。
  137. 石川弘

    ○石川政府委員 御指摘のように、造林林道につきまして財投資金を借り入れておりまして、その額が非常に大きくなってまいりました。このままこのような形のみに依存いたしまして財源を求めてまいりますと、御指摘のように、相当な元利償還を余儀なくされるわけでございます。そこで、今回の改善特別措置法におきまして、改善計画に基づきまして自主的な経営努力をいたしますけれども、それに加えるものとしまして造林林道、これは五十三年度の予算におきましては造林林道でございますが、このような事業施設費につきましても一般会計から繰り入れをいたすことができる道を開いていただくわけでございます。したがいまして、従来借入金のみを財源にしまして外部資金を入れておりましたのを、一般会計からの繰入金と財投資金の併用という形にいたしまして、借入金の負担を軽減させるということを考えておるわけでございまして、この法律に基づきます繰り入れの措置を適切に運用しながら、将来において償還原資に事欠くような事態がないようにやっていきたいと考えております。
  138. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 石川林政部長も十年後まで現在の職におるとは思われませんけれども、十年一昔という話もございますが、ずいぶん先のことでありますし、忌の長い林業でございますので将来のことも十分考え——きのうも農林大臣に質問したところが「えー」と言って長い息をつきながら答弁をしておりました。林業というのはまさに息の長い事業でございますので、その点は十分に検討して、後々のためにもしっかり計画を立てて推進を図ってもらわなければなりません。  第五条、「利益処分の特例」についてお尋ねしておきますが、第五条には「事業勘定において改善期間中の毎会計年度の損益計算上利益を生じた場合における国有林野事業特別会計法第十二条第一項の規定の適用については、同項中「政令で定めるところにより、これを利益積立金及び特別積立金」とあるのは、「これを利益積立金一とする。」とあります。この利益積立金というのは、従来、利益の八割を内部留保として損失のときの穴埋め、すなわち損失補てん金として積み立ててある金だとわれわれは認識しております。さらに、特別積立金、これは利益の二割を、旧心材が森林開発公団に出資をしたり林業振興のための一般会計繰り入れるというようなことで設けられておる、こういうふうに従来から理解しておりますが、今回のこの提案によりますと、こういったものもすべて十年間は外部処分を休止させる、こういう趣旨になるのではないかと思っております。その点と、過去において利益の外部処分の実績はどういうふうになっておったか、あわせて政府の検討事項を御説明いただきたい、かように思います。
  139. 石川弘

    ○石川政府委員 最初に、過去におきます利益処分でございますが、一般会計繰り入れましたものの総計は、昭和二十八年から五十二年まででございますが、四百六十九億三千万円でございます。それから、森林公団へ出資をいたしておりますのは昭和四十三年からでございますが、合わせまして四百五十四億円でございます。計で九百二十三億三千万円が利益処分の額でございます。  それから、今回の法案におきまして利益の外部処分を停止いたしておりますのは、一般会計から原資を受け入れまして国有林事業施設費に入れますことによって再建するわけでございますから、御承知のように、国有林経営が大変悪化をいたしました四十六年から七年にかけましても、四十八年の材価暴騰の際に思わぬ利益が出まして、その金がまた外部へ出ていくというようなことがございまして大変異常な形、国有林財政が非常に苦しいにもかかわらず短期的には外部に資金を出したということがございますので、今回この法案におきましては、再建が成り立ちますまでの間、いわゆる改善期間、外部から資金導入します十年の期間におきましてはこういう利益の外部処分を休止することにいたしたわけでございます。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
  140. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そうしますと、十年間の改善期間において黒字が出ることはまず考えられませんけれども、二十年後——現在人工植林いたしました国有林が約二百二十万ヘクタール、この中の約七〇%が若齢林でございますから、これが適正伐期齢級に達して伐採が始まるとなると、どうしてもあと二十年ぐらいかかるわけですね。そして、ようやく黒字に転換ということで、これも疑問があるわけですけれども、一応そういうような計画を立てて今回の改善期間を設けておられますが、二十年間保留するというふうに理解していいですか、それとも十年ぐらいで休止をやめる、こういうふうにおっしゃるのか、その点明確でなかったので、再度明快にお答えをいただきたいと思う。
  141. 石川弘

    ○石川政府委員 目標を二十年に置きまして経営改善をいたすわけでございますけれども、当面、外部資金と申しますか、一般会計から繰り入れをいたしますのは改善期間の十年間を予定いたしておりますので、いわゆる外部に対する利益処分を休止いたしますのもこの十年間を予定しておるわけでございます。
  142. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 十年一昔と言いますから、十年先のことでございますので一応聞きおくことにいたしまして、次の第六条でございますが、「特別積立金引当資金の使用の特例」です。第六条によると、「昭和五十二年度末における事業勘定の特別積立金引当資金の使用残額は、国有林野事業特別会計法第十三条第二項及び附則第五条の三第一項の規定にかかわらず、改善期間において、国有林野事業に要する経費の財源に充てるものとして、予算の定めるところにより、使用することができる。」こうありますね。  これについても本法審議に当たってあえてお聞きしておくわけでございますが、この使用残額は、われわれの聞き及んでいる範囲では五千七百万円ぐらいあるやに聞いておりますが、これも森林開発公団とか林業振興のための一般会計繰り入れることなく内部的に、国有林野事業の中で使っていく、いわゆる内部処分したいということの規定である、かように思うのですけれども、その点について確認の意味でも政府の見解をただしておきたいと思う。
  143. 石川弘

    ○石川政府委員 五十一年度末でございますが、特別積立金の引当資金の残額が四十七億五千七百万ございました。そのうち五十二年の予算におきまして森林開発公団に四十七億円を出資をいたしましたので、差額五千七百万、御指摘のとおりの金額が現在残高として残っております。外部から資金導入しまして再建をするわけでございますので、金額は比較的小額の五千七百万ではございますが、予算の定めるところにおきまして国有林内の資金として使いたいというのがこの条文の趣旨でございます。
  144. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 法律の条文については以上三点、昨日留保した分をお尋ねしましたわけですが、時間の制約もございますので、次に、若干本法に関連してお尋ねしておきます。  国有林野事業が、先日からいろいろ政府に見解を求めてきましたように、資源構成、公益的機能確保の面からの要請等によりまして、当面事業規模が漸減する中にあって支出は増大傾向で推移するという状況は否めない事実でございます。概して硬直的な支出構造となっておりまして、支出の費目構成から見ると、人件費が大きな比率を占めていることも私が昨日から指摘したとおりでありまして、私は企業的観点から見るならば、今後長期的に財政収支の健全化を図るためには要員の規模の調整、省力的な林業技術の開発等を通じて生産性の向上に努めることが重要であることは言うまでもありません。素材生産及び育林の直用事業における労働生産性のこれまでのいろいろな状況を見たり、また昨日からの審議の過程で政府答弁を聞いておりましても、いろいろ将来に問題を投げかけております。  そこで、素材生産事業については、四十年代中ごろまでの国有林材の生産の拡大過程において、たびたび問題になりましたけれども、チェーンソーの導入普及とその小型軽量化、大型集材機の普及等の機械化の進展、集材架線方式の改良、トラクター集材方式の道守入等の新しい作業方式の開発等に支えられ、労働生産性は逐年上昇してきたことも事実でございました。四十七年度には定員外職員及び定員内技能系の職員の一人一日当たりの素材生産量というものが一・五六立方メートルと過去最高の数字に達したのでありますが、四十八年度以降は新たな森林施業の導入、素材生産事業規模の縮小、チェーンソー使用に伴う振動障害問題の深刻化による機械使用の制限等の作業上の各種の制約条件の増大等によりまして、労働生産性は低下する動きを示したことは偽らざる実態でございます。  そこで、私は当局にお尋ねしたいのは、民有林における現状国有林との比較についてまずどういうふうに認識しておるか明らかにしていただきたいと思う。
  145. 秋山智英

    ○秋山説明員 お答えいたします。  民有林におきます素材生産業の能率性でございますが、御案内のとおり、民有林におきましては作業形態が千差万別でございまして、さらにこれに加えまして事業体の数が非常に多うございます。そこで、この実態把握が困難な実情にあるとは事実でございます。  そこで、国有林におきますところの直用によります生産事業につきましては、ただいま先生が御指摘のとおりでございまして、雇用の安定並びに労働条件の向上というふうな本来的な長所につきましては相当改善されてまいったわけでありますが、反面に、雇用の硬直化あるいは事業運営の非弾力性というふうな現実的な欠点が出てまいりまして、さらには、手工具による作業の導入というような問題もございまして作業仕組みを変えてきております。そんなことがございまして、四十七年をピークといたしまして生産性が逐年低下してきておるわけであります。  そこで、民有林比較ということでございますが、この比較に当たりましては、林分の状況とかあるいは立地条件、作業仕組みというふうなものでいろいろと変わってまいりますので、一概には言えないわけでございます。たとえばでありますが、私どもの方の請負生産によって一日当たりの生産量と直用の生産量との比較ということで見てまいりますと、請負につきましては一日一・九二立方メートルでありますが、直用は一・一四立方メートルというふうになっております。
  146. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、素材生産事業については、今後における作業体系の改善合理化等に努力することは言うまでもございませんが、生産性の向上の具体策とか目標、見通し、こういったものについても、本法審議に当たって政府考えをひとつ明らかにしておいてもらいたい、かように思うわけです。
  147. 秋山智英

    ○秋山説明員 生産事業運営に当たって私ども特に考えておりますことは、御案内のとおり、この事業国有林野事業経営収支に非常に大きなウエートがございます。また、素材の生産供給という側面から、いわゆる国産材市場に対しましてやはり重要な位置を占めておるわけでございますので、これまで申し上げてまいりましたとおり、適正な森林施業の実施ということもありますし、労働安全衛生の確保という問題に十分留意しながら素材の計画的な生産、それから収益性の確保ということに特に重点的にポイントを置きまして事業の実行を進めてまいる考え方でございますが、具体的に改善措置として私ども現在考えておりますことは、第一に、現場の作業管理でございますが、これを改善してまいる。それから第二点は、作業の仕組みでございますが、これを改善してまいる。第三点におきましては、職場意欲の向上という問題がやはり重要でございますので、これに意を注ぐ。第四点は、間接要員の節減というようなことを積極的に進めまして生産性の向上に努めてまいりたい、かように考えておるところであります。  なお、こういうふうないろいろの改善措置を一定期間講じましてもなお能率性が確保できないというふうな場合においては、実行形態の変更その他やはり適切な対策を考えていかなければならぬ、かように考えておるところでございます。
  148. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 それともう一点は、造林事業においても、刈り払い機の導入普及、林地除草剤の導入等によって素材生産とおおむね同様の生産性向上の動きを示してきたところでございますが、四十八年度以降、振動障害問題の深刻化に伴う刈り払い機使用の制限、林業用薬剤の使用規模の減少等により停滞ないしは低下の傾向を示してきておることも御承知のとおりです。これは林業そのものが労働多投型の作業を必要とし、急峻な国土のもとで、これら作業の機械化に困難を伴うといった基本的な要因に加えて、国有林野事業経営をめぐる各種の制約要因が大きく働いていることも十分われわれも承知いたしております。  そこで、素材生産と同じように、民林有における現状国有林との比較について、これもひとつこの機会に、どういうふうに認識しておられるか、公開の席で明らかに説明をしておいていただきたい、かように思います。
  149. 秋山智英

    ○秋山説明員 この造林事業につきましては立地条件とか、それから労働事情、作業形態の違いとかいうようなことで、直に比較することは非常に困難であるわけであります。それで、私どもは、ただいま国有林におきまして各営林局が保育基準というのをつくっておりまして、それに基づきましていろいろの造林事業実施しておるわけでありますが、新植について見てまいりますと、五十一年度の実行結果では三十二万四千円でございます。それから、民有林につきましては、これは事業が全国に非常に複雑に多く分散いたしておりまして、実績というのはなかなか把握しがたい実態にございますが、民有林造林の補助事業では、ヘクタール当たりの積算の単価は二十三万五千円となっております。
  150. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、この造林事業において、これまた今後における作業体系の改善合理化努力せねばならぬことも当然でございますが、素材生産と同じように、生産性向上の具体策、目標、見通しについてどういうふうに考えておられるか、これも本法審議に当たってひとつ明確に御答弁をいただきたいと思う。
  151. 秋山智英

    ○秋山説明員 御案内のとおり、造林事業と申しますのは、急傾斜地におきまして苗木を植えつけるとか、あるいは保育をするという作業でございますので、大幅な改善ということは非常に困難な面がございます。そこで、現在におきます造林事業におきましての作業仕組みは、最近、振動障害の発生等もございまして、主体は人力作業によって実施しておりまして、刈り払い機の導入は、五十一年度におきまして地ごしらえは二六%、下刈りは三〇%となっております。  そこで、今後具体的に生産性を向上するにはどうしたらよいかということでございますが、もちろん安全性の問題、それから自然環境保全ということに十分留意しながら、平らなところあるいは緩傾斜というところにおきましては、トラクター作業の拡大だとか、あるいは作業道を有効に配置いたしまして生産性の向上を図っていくというようなことやら、先ほど製品生産でも申し上げましたが、やはり職務意欲の向上という問題がきわめて重要でございますので、これにも努めまして生産性の向上に努めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  152. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 素材生産の場合、請負に比較して効率の悪い画用事業所が多く、これらの事業所についてはよりよい直用、よりよい請負の選択的実施を図る観点に立って、事業規模に適合した雇用規模への調整等に努めるとともに、管理部門の簡素化、事業運営の弾力化等の改善合理化に努める必要がある、こういうふうに考えるわけです。  率直に申し上げますけれども造林事業についても、いま部長から答弁ございましたが、わが国の地形が急峻であるということはわれわれも十分承知しておりますが、機械化が十分行われないと言われる問題もございますし、直接費に占める労働割合が高い事業でございまして、近年、直用における賃金水準と地域の民間造林労賃水準との間に大きな格差が生じております。きのうもこの辺のところはいろいろ指摘したところでございますが、すなわち、コストにおいて、請負より直用の方が相当高くなっている実情にございます。このために、造林事業においてもその改善合理化に努める必要がある、こういうことはかねがね指摘され、言われているところでございますが、直用、請負のいずれの事業実行形態を採用するかの問題は、これまでも国有林野事業における労使間の最大の案件とされて、労使関係の緊張を高めてきた問題であることも皆さん御高承のとおりです。両者それぞれ特質のあることでもあり、林政審の答申によれば、企業的能率性を尺度とする見解が示されておりますが、合理的、客観的な選択基準を設けることが困難な問題であるだけに、今後の事業運営に当たり、政府はこういった問題についてはどういうふうに対処するか。きのうはこういった問題について質問する時間がございませんでしたので、本法審議に当たって、この点についても将来のために明確な政府の見解を改めて示していただきたい、かように思います。
  153. 今井勇

    ○今井政府委員 この問題は私の口から明確にお答えをしておきたいと思いますが、昨日からしばしば議論をされた問題でございまして、基本は山を愛し、山を育てる本当に熱意のある人をどうすれば集められるか、この一語に尽きると私思います。したがいまして、地域の事情あるいはまた事業運営の効率性などもよく考えまして、直接雇用と請負等の適切な組み合わせによって行うことが適当だと考えております。このことは、先生御案内のとおり、林政審議会でも御答申をいただいておりますので、このような方針でひとつ対処してまいりたいと存じます。そのときに、請負等に付する場合の民間林業事業体の諸条件の整備でありますが、これについては必要な施策を十分講じてまいりたい、このように考えております。
  154. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 これも過般、森林組合法の審議の際、私は政府の見解を承りましたのですけれども政府答弁が若干不十分でございましたので、政府の検討を要求する意味で、提案を兼ねてさらにお伺いをしておきたいのであります。  時間がございませんものですから、はしょって質問して恐縮ですが、すなわち、森林組合に対する国有林経営委託についての問題でございます。  現在、森林組合は、造林、立木処分の一部を請け負っておりますけれども、今後はこのような部分的な作業の請負でなく、造林は言うまでもなく、素材生産もやるなど、一貫した経営委託ができるような方式を開発することが大事じゃないか、このことを私は提案したいわけです。  それで、いわゆる国有林の飛び地とか、または里山に近いところ、こういった、なかなか手間がかかって費用を多く要するようなところは森林組合に大いに委託をする、こういった方針で進んでもらいたいということをせんだっても申し上げておりますが、本法審議に当たって、今回、森林組合も、今世紀最後の団体法として誕生したわけでございますので、民有林の先端にある、しかも過疎対策としても、第一線で国土の緑化に力を尽くしているこの森林組合育成のためにも、このような赤字を抱えて大変な苦境に立っている国有林野事業の一部を、大英断をもって今後委託の制度をつくるなりということでぜひとも真剣な検討をしていただきたい、かように私は思うわけでございます。  これについて政務次官等からお答えをいただきたいと思います。
  155. 石川弘

    ○石川政府委員 御指摘のように、いわゆる造林あるいは伐採といった作業部分につきまして、現在、森林組合等も国有林事業を一部行っておるわけでございますが、そのような作業の部分だけではございませんで、御承知部分林制度等がございます。これにつきましては、一つ森林部分的な経営と申しますか、そういうことをやっているわけでございますが、いまおっしゃいましたような飛び地その他のものにつきまして、これを全面的に委託をして行ったらどうかというような御指摘もございます。内容等につきまして今後さらに検討を進めなければならぬと思っておりますが、いま行っておりますような部分林制度も相当拡大をしていく必要があると思っておりますので、そのようなことと関連させまして検討させていただきたいと思っております。
  156. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間が詰まってきましたので、以下ははしょりまして、本法審議に当たって、開かれた国有林として、国民に愛される、親しまれる国有林となるべく、二つの熊本県の事件を紹介し、そして、今後の国有林の境界線問題等に対する総点検をしていただくためにも、あえてこの時間を割き、貴重な時間をいただいて私は二つの問題を提起し、当局の対処を求めたいと思います。熊本営林局管内八代営林署に係る民有林誤伐事件についてでございます。  所有者は、熊本県上益城郡矢部町浜町二番地、橋内林業、橋内豊。事件の山林所在地は、熊本県八代郡泉村大字下岳夏切六千三百七十八の一外四十五筆。事件の発生は昭和四十九年。本人の発見は、病気等のために昭和五十年十月に発見をしております。もとの山林所有者は、熊本県八代郡龍北町大字野津四千二百四、坂田等、おじの坂田清、いずれも証人になっております。  物件は、面積約五十ヘクタール、公簿面積四・三ヘクタールになっておりますが、当時の玉川八代営林署長が、公簿の十倍から十三倍になると証言しておりますので、その点もあわせ承知していただきたいと思います。材積は、昔の石数で三万石以上でございまして、樹種については、杉、ヒノキ、他に雑木があります。右物件は、一千五百万円で競売になった。その後、四千五百石ほど、いろいろ問題が起きたために、現場に、はい積みしたまま腐らせております。  事件の経過については、全部申し上げることは時間がかかりますが、当局は十分承知のことだと思いますので、その点ははしょりますが、この熊本県八代郡泉村大、字下岳夏切六千三百七十八番の一外四十五筆は、もともと部落有林で、この夏切部落の中には十三軒があって、この十三軒の共有でございました。これを坂田等、沢村という二人の方が買って、この山を四十三年に、冒頭申し上げた橋内豊氏が買い付けたものでございます。  これは後ほどまたいろいろ申し上げますけれども、いろいろ明らかな証拠がございまして、このうち四十ヘクタールの二万一千七百石に対し二億円、さらに当時、百五十年生の純銘本と言われました二百三十八本について二億三千八百万円、計四億三千八百万円の補償を要求しております。万一この補償ができなかったときには、これにかわる立木をぜひともいただきたい、こういうふうに本人は申し立てておるわけでございます。また、この問題が発見された後、伐採が保留されておる水源保安林の九十年生の四千本の杉については、保安林を解除して本人に返還していただきたい、こういうことを申し立てておるわけですけれども林野庁当局として、この問題についてはどういうふうに承知しておられるか、経過と、その内容について認識しておられることについて見解を求めるものでございます。
  157. 石川弘

    ○石川政府委員 ただいま御指摘の案件は、大変古くから問題のある案件でございますが、先生、先ほどからおっしゃいましたようないろいろな経過がございまして、私どもの方の調査によりますると、明治三十六年でございますけれども、隣接地の所有者の立会を求めて境界査定が行われまして、境界が確定されたということになっておりまして、境界査定簿等証拠書類によってもそのことが一応明らかになっておるわけでございます。  ただ、いま先生御指摘のように、そういう私どもの方の調査あるいはその資料ということと、申し立てをなさっている方々との御主張には差がございまして、経過といたしましては、五十年の七月に御本人から八代営林署の担当区に異議の申し立てが出ております。その後、現在まで十数回にわたりまして、本人と営林局署との間で応接がございますけれども、経過につきましては、双方の主張、私どもが申し上げておりますのは、営林署の持っております書類等でございますが、それと御本人との間では話が食い違っているということでございます。また、そういうことを確認されました上で、現地の確認調査も営林局、営林署も行っているわけでございます。  私どもとしましては、現在手持ちの材料といたしましては、いま申し上げましたように、国有林であるというような証拠があるわけでございますけれども、さらに御当人の方からのお申し出もあろうかと思いますので、よく現場でお話し合いをして、御納得をいただくというようなことを進めていきたいと考えております。
  158. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 林野庁長官が、ちょうどきょうは農林省設置法の方にも審議に行っているものですから、いま部長から答弁をいただいたわけですけれども、この件は、林野庁長官も十分承知の事件であるはずです。  そこで、この件については、当人の申し入れによって、現場で納得いくような話し合いをする、こういうようなことであるようでございますが、若干申し上げておきますが、昭和五十二年の三月、熊本営林局計画課で、査定図と野帳をもらっているわけです。その後、こういった査定図は出してはいかぬというので、秘密にせよということで、ずいぶん厳しいおふれが出ているようですけれども、私も専門的立場でこんなことはよく知っているわけですが、たまたまこのことが問題になったものですから、当局も窮地に追い込められて、こういった査定図、野帳等をコピーにして渡したということになっております。これを私がここで指摘したからといって、林政部長や林野庁長官から当人を、あえて名前は言いませんけれども、強く責めたり何かしますと、これはまた大変いろいろ反発が出てきますので、そういったことで職員を責めないようにしていただきたいことを特に私はここでつけ加えて言っておきます。私も、あえて名前も申し上げません。  そこで、査定図は、明治三十六年にできているといま部長からもお話がございましたが、確かにそうであります。ところが、昭和四十六年に測量した野帳で偽造をしているということが明らかでございます。私は、それは手元に持っている。よかったら、またお見せして結構です。そこで、野帳というものは、これはもう絶対改ざんをしてはいかぬですね。ところが、その野帳が改ざんされておるわけです。昔のことですから、間、尺、寸で出ているのを、最近換算して、その野帳の原簿に対して百分率で出しております。御承知のように、昔はこういった尺貫法できたのですから、メートルに直しておるということは、これはまた別な図に直せば別だけれども、原簿を直して、これが野帳の原簿です。こう言うに至っては、まさにナンセンスだと私は思うわけです。これは熊本営林局の人が、これまた私、特に名前を申し上げませんけれども昭和四十九年ごろ、上司から命ぜられて自分が書かせられた、確かに自分が書きました、こういうふうに当人が言っているわけです。そういったこともまた事件関係者は、みんな立会人のもとで知っているわけです。こういったことについては、当局は耳に入っていますか。まだありますよ。二、三例を挙げますけれども、どうですか、余り長くやると、だんだん頭が混乱するといけませんので、いまの件については承知しておられますか。反論があればおっしゃってください。
  159. 石川弘

    ○石川政府委員 いま御指摘の点は、私はまだ聞いておりません。そういういろいろな事情もあるようでございますので、さらに内容を精査したいと思っております。
  160. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 さらに、現地は、昭和五十年三月、境界石という石がありますね、この石がなかったのに、おかしなことに、百二十六号というその境界石を掘って捨てた、捨ててあったから本人たちはそれを拾ってきたと言って、持っているわけです。これもまたどうもおかしなことでございますけれども、そして、百二十七という境界石を、百二十六という掘って捨てた石の番号に彫り直しておるわけです。しかも、昔の石は古い石でコケが生えているのに、最近のはコンクリートの標柱に書いているから、これはもう新しいということははっきりしておるわけです。百二十七の境界石が五十メートルぐらいの間に、一本捨てて一本彫ったために結局二本できている、こういったことが起きてしまったわけです。境界石というのは移動してはいけないことは当然もうおわかりのとおりです。このことは当時の営林署も現場で認めております。きのう写真も少し上げてきましたが、認めております。また、百八という境界番号があるわけですけれども、自然石にペンキで書かれておる。現地の人は明治三十八年ごろにペンキがあったろうかと言うけれども、どこかにあったのかもしれません。石はのみで彫って新しいペンキで百八という境界番号を打っております。自然石は人間では動かせないものです。こういったことも私はちょっと解釈に苦しむわけでございますけれども、これは林野庁でも十分調査をして私は対策を講じてもらいたいと思うわけですが、この点についてはどうですか。林野庁としては報告を受けていませんか。詳細、当時の営林局または営林署から長官あてに報告書が行っているはずなんです。部長も交代されてまだ目を通しておらぬといって逃げられるかもしらぬけれども、その点どうですか。御承知でございますか。
  161. 石川弘

    ○石川政府委員 この事件は大変長い間かかっていることでございますので、これを担当いたしております訟務官は十分承知をしているようでございます。私、まだ訟務官から詳しく聞いておりませんので、先ほども申し上げましたように、内容につきまして十分精査をしたいと思っております。
  162. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 十分調査をするということでございますが、もう一点申し上げます。  熊本県菊池市大字隈府百二十六番地の六、河崎清度氏に係る境界線問題です。  本件は現在訴訟中でございますが、現場は熊本県菊池市大字班蛇口宇焼塚二千八百五十番地、公簿面積七反五畝歩、実際には七千四百三十八平米あると言われております。もう一つの物件は、熊本県菊池市大字班蛇口字津江道二千九百八十一番地、公簿面積二反五畝歩、二千四百七十九平米、こう書いておりますが、これについてもずいぶん長い間の論争でございますが、愛される国有林ということから私はあえて指摘するわけです。  これについての経過はもう時間がございませんので全部は申し上げませんが、昭和二十四、五年ごろに龍門担当の森林主事岡田氏が迫間担当区におりましたが、転任してきて部落集会で初対面の折、河崎さん所有の山林と国有林との境界が間違っているので営林署と折衝するようにという忠告を受けた。さらに、昭和二十六年ごろ、菊池営林署職員の方が来られて、所有の本件山林と国有林との交換交渉に二回も来られたという経緯があり、これもきのう写真をお見せしましたように、現場へ行ってみるとこれは間違いであるということは明瞭なんです。本人もずいぶん年をとっております。訴訟を起こしておりますが、この問題についても、何とか生きているうちに決着をつけないと、民有林に対して国有林からこういうふうに圧力をもって一方的に押し込まれるということは、法治国家で残念である、死ぬに死に切れない、こう言っておるわけです。  たくさんありますけれども、時間の関係で二つにしぼって申し上げました。これについてもよく事件の経過を知っておられると思うが、どういうふうに承知しておられるか、当局の承知している範囲で経過をお答えいただきたい。
  163. 石川弘

    ○石川政府委員 御指摘の点につきましては、昭和四十三年に土地所有権の確認請求事件といたしまして国を相手取りました訴訟が熊本地方裁判所に提起されております。内容につきましては、わが方で十分熟知をいたしております。  本件につきましては、国の主張は裁判所でいたしておりますけれども、現在係争中の案件でございますので、その判断につきましては裁判所の御判断にゆだねたいと思っております。
  164. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政務次官にお伺いします。  時間の関係であとわずかでございますので、詳しくはもう申しません。本法審議に当たって関係のあるただいま提起しましたところの熊本県における境界線問題の二件については、十分調査の上対処する、また検討するということでございましたので、その調査に基づいて報告をいただきたい、かように思うわけですけれども政府の見解を改めてお伺いする次第でございます。私はその調査結果いかんによってはさらに当委員会政府の姿勢をただすことを留保する次第でございますが、政務次官からひとつ大臣にかわってお答えをいただきたいと思います。
  165. 今井勇

    ○今井政府委員 いま二件あったようでありますが、裁判で係争中のものにつきましては、これはひとつ御容赦を賜りたいと存じます。係争中でないものにつきましては、これは御要望に沿いたいと存じます。
  166. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 本日、本法審議に当たりまして熊本県における二例についてとりあえず指摘したわけでございますけれども、この種国有林民有林との境界線問題の案件は数多くあるわけです。私のところにもいろいろなものがたくさん書類として来ておりますけれども、時間の関係でとりあえず二件についてきょうは指摘しました。  今後国有林の赤字経営を黒字に転換するために、いわゆる改善期間を設けて大きく転換しようというときに、私は国民のためにも愛される国有林としてこういった問題があってはならないと思う。ところが、こういった問題が全国では数多くあると聞いておりますけれども、全国でこの極林野の境界線問題が問題になっている事件が何件くらいあって、面積がどのくらい、そして国有林野面積の何%くらいにそれが当たるのか、その実態についてひとつ簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  167. 石川弘

    ○石川政府委員 現在訴訟となっておりまして係争中のものが全体で二十七件ございます。そのほか、いろいろな訴えが営林署とか局に個別にあるわけでございますが、そういう局段階等で話し合いをしているものということではなかなかつかみにくいわけでございますが、林野庁段階まで上がって、先ほどもお話がありましたような形でわれわれが取り扱っております案件が八件ばかりございます。件数はそういうことでございます。面積といたしまして私どもつまびらかにいたしておりませんが、全体で三十五件がこういうような状態にあるものと考えております。
  168. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 実際にはかなりあるわけです。ちょっと歯切れの悪い答弁でございましたが、時間も参りましたので、これで一応質問を終わります。  冒頭から申し上げましたように、本法の審議に当たって、こういった民間に対して国有林が圧力をかけるような、力のない民間の者に対して一方的に押し切るようなことがないように、誠意を持って十分対処してもらいたい。こういった問題はとかくややこしい問題であり、日数と根気と努力が要るわけでございますので、当局の人も大変だと思いますけれども、ただ裁判にゆだねるというだけでなく、地元にはいろいろな生き証人もおるわけですから、従来からの地形図、野帳等をすべて照合して速やかな解決をして、今後愛される国有林になるようにお願いをしたいと思う。  いよいよ本法審議も本日大詰めを迎えまして、本日の夕方には修正並びに附帯条件をつけて何とか本法を通過させて国民の期待にこたえたいということで、いま鋭意努力をいたしておるところでございますが、ひとつ愛される国有林に今後ますますなるように、従来から指摘しました事項を十分踏まえて、腰のふんどしを締め直して赤字解消のために努力していただきたいということを最後に申し上げ、ただいまの二件についての今後の調査結果に基づく報告を得て再度質問したいことを留保して、私の質問を終わりたいと思います。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
  169. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 神田厚君。
  170. 神田厚

    ○神田委員 私は、昨日に引き続きまして、国有林野事業改善特別措置法案につきまして当局に御質問を申し上げたいと思うのであります。  すでに相当時間数にわたりまして質疑が交わされておりますけれども、なお細かい問題等につきまして質問を残しておりました、このことにつきまして御質問を申し上げたいと思っております。  最初に、林野行政で最も立ちおくれておりますのが木材の需給流通対策、こういうことであると存じますが、外材輸入が国内需要の約七〇%を占めている今日、国内木材関係業界の救済を含めまして、いわゆる林業業界の問題も含めて具体的な施策が必要であろうというように考えるわけでありますが、その点につきましてはどういうようなお考えをお持ちでありますか、お答えいただきたいのであります。
  171. 石川弘

    ○石川政府委員 木材の需給問題、御承知のように、経済の停滞の中で、どちらかと申しますと大変停滞的に推移をしたわけでございます。そこへ外材の輸入が、若干時期的にも需要の縮小に直ちに対応できなかったというようなこともございまして、ここ数年来材価低迷というような形で林業あるいは林産業界に大変な大きな打撃を与えているわけでございます。私どもといたしましては、まず需要の安定ということが必要でございますので、御承知のような公共事業を大変伸ばしておりまして、その中でも住宅が一つ政策的な目玉でございますので、木材の需要の中心でございます住宅建設が安定的に行われるようにという形での需要を喚起いたしますとともに、その需要に即応しました供給ができますように、国産材につきましては現在資源的な制約もございまして急速に伸びないわけでございますので、これを補います外材につきまして極力安定的な輸入ができますように、従来年間一回の需給見通しをやっておりましたけれども、五十三年度からはこれをローリングさせるといいますか、四半期ごとに需要あるいは供給予測をしまして、そのギャップがなるべく出ないように、そういう計画を立てました場合に、外材輸入が無秩序になりました場合にはかなり思い切った行政指導もしまして外材輸入量を調整するというようなことを考えまして、まず需給安定をすることが第一かと思います。  次に、御指摘の林産業の関係でございますが、これも御承知のように、かつて木材需要が非常に伸びました際に、林産業界自身もその規模を相当拡大をいたしておりまして、たとえば典型的には合板工業に見られますように、いわゆる最も経済が伸びましたときの大きさに業界の規模がなっている。その後需要が縮減いたしましても、中小企業でございまして、非常に過当競争等をやりまして業界の体質を弱めているということもございますので、そういう需要の安定化に即しました生産体制にできますように、いわゆる構造施策と申しますか、規模をある程度縮減はしますけれども強力なものにするというようなことを中小企業関係の各種の施策を使いまして誘導いたしているわけでございます。  このような施策を根気よくやってまいりまして、需給安定あるいは木材生産業界の安定を図りたいと思っております。
  172. 神田厚

    ○神田委員 非常に環境が悪い中での問題でありますから、ひとつ強力な行政の力を発揮していただかなければならない、こういう状況にあるというように考えているわけであります。  次に、林野庁は、収入確保という立場で買い受け業者に現金納入を強いている。このことは業界の経営能力を極度に抑制するという結果を招いているわけであります。わが国の経済情勢から見て、こういうふうな形はむしろこういう経済情勢に逆行しているというようなことも考えられますし、これにつきまして、延納などの措置なりあるいは国産材の有効活用の面から金融面での特別融資というか、そういうものが必要であろうかと思うのですが、その点につきましてはどういうふうなお考えをお持ちになっておりますか、お聞かせいただきたいと思います。
  173. 秋山智英

    ○秋山説明員 先生ただいま御指摘ございましたが、国有林野事業財政が非常に厳しいために、現在国有林材の買い受けの代金につきましては、木材業界の御理解と御協力を賜りながら、個別の企業の方々の経営状況とかあるいは金融事情というものを十分配慮しながら、一部の物件でございますが、延納期間を短縮するとか現金納入の促進などをお願いはしておるわけであります。  また、買い受け代金の支払いのための金融の件でございますが、これは御案内の林業信用基金というのがございますが、こういう林業信用基金などの債務保証の問題とも関連づけまして、銀行等の一般の金融機関に対しまして協力を要請いたしまして、資金調達が円滑にできるように鋭意努力をしておるところでございます。  なお、ただいま先生御提案になりました件でございますが、これにつきましては、一般的な木材の取引の金融の円滑化という面から今後研究してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  174. 神田厚

    ○神田委員 次は、国有林野事業の伐採量などの問題から、昭和三十九年度の伐採量は二千三百万立方メートル、これがピークだったわけです。昭和五十三年度は千五百万立方メートルと減少しているわけでありますが、今後の伐採量、それから人員、これはどういうふうに推移するであろうか、この見通しをお聞かせいただきたいと思います。
  175. 秋山智英

    ○秋山説明員 今後におきますところの国有林野事業の伐採量につきましては、先般先生に御説明申し上げましたが、近年におきますところの森林の公益的な機能の発揮という面に相当強い要請が出てまいっております関係上、新たな森林施業というのを昭和四十八年以来採用いたしまして、いろいろと伐採制限を加えておる点がございますし、また資源的にいろいろと制約もございまして、今後十年間くらいにわたりまして漸減してまいります。その後大体千三百五十万立方メートルくらいの水準で推移いたしまして、おおむね二十年後にまた増加するというような見通しを立てておるわけでございます。  それから、要員規模でございますが、これにつきましては現在いろいろの角度から検討を進めておるところでありますが、定員内の職員につきましては、具体的な検討に当たりましては、この国有林野事業事業規模の基本になります。ただいま御説明申し上げました伐採量の動向等を勘案することが不可欠の要件でございます。これに対応した要員規模の調整とかあるいは事務の能率化の問題とか、社会情勢に即応した事務量の変化というものを総合的に勘案して慎重に進めてまいりたいと考えております。  それから、定員外の職員につきましては、雇用による事業規模の動向を十分踏まえまして、これらの事業改善合理化というのを、進展状況を十分勘案いたしまして、基幹作業職員制度の適切な運用を通じまして、通年雇用の可能な範囲で要員化を図ってまいる所存でございます。
  176. 神田厚

    ○神田委員 ちっとも具体的じゃないですね。もう少し具体的な見通しというものをお持ちになっているだろうと思うのでありますが、その辺はどうなんですか。
  177. 秋山智英

    ○秋山説明員 具体的に三点申し上げますと、まず第一には、先ほど御説明申し上げました事業規模の基本となります伐採量が、先ほど申し上げましたとおり減少してまいります。それから、労働生産性、あるいは要員の流動化、高齢者の退職の促進というふうな経営改善の進展の問題がございます。それから第三点には、いま申し上げましたような事業規模の見通し、それから経営改善の進展という状況を勘案した基幹作業職員を中心とする事業実行への切りかえの進展というふうなものを勘案いたしまして検討してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  178. 神田厚

    ○神田委員 幾らか具体的になったけれども、まだまだ具体的じゃない。この問題だけに時間をとれませんので、ひとつもう少しきちんとした見通しを持ったものをお示しをいただかないと、われわれ論議していけないわけでありますから、その辺のところは十分心得て出していただきたい、こういうふうに考えております。  続きまして、国有林労働者の平均年齢が現在四十五歳前後、こういうふうに推定されています。労職別にはそれはどういうふうになっておるのか。森林の造成というのはともかく人づくりが基本だ、こういうふうに言われておりますけれども、現在国有林に働く労働者のうち、十代、二十代の労働者はわずかに五%しかいない、こういうような現状であるというように聞いております。これから先の十年後、二十年後、一体林業の担い手はどうなるんだろうか、何度もこの委員会でも論議が交わされました。そういうことも含めまして、民間に働く民有林労働者を含めた担い手の育成計画、あわせて特別措置法の十年間に基盤整備をするとすれば、どういうふうに担い手の確保というものをやっていくのか、その点をお聞かせいただきたい。
  179. 石川弘

    ○石川政府委員 いま申されました国有林労働者の平均年齢でございますが、定員内職員で平均をいたしますと四十三・九、四十四歳程度でございます。定員外職員でこれをやりますと、四十六・六、四十七歳に近づくわけでございます。さらに、定員外職員につきまして、現在の基幹作業職員に任用されております。かつての常用でございますが、常用作業員でございますと四十五・五歳、定期作業員でございますと四十八・六歳ということでございまして、御指摘のように三公五現のいろいろな職員の中でも比較的平均年齢が高いという姿になっております。  それから次に御指摘の、要するに十代、二十代といった若い職員がどれくらいかというお話、五%という御指摘でございますが、定員外、内でこれを比べてみますと、定員内で五・一%、定員外では四・九%でございます。  私どもといたしますれば、企業体というものを永続的に発展させていきますためには適正な年齢構成の企業体になることが大変望ましいわけでございますが、残念なことに、比較的高齢の職員についての要員管理につきまして、実は国有林は他の三公五現に比較しましても従来比較的緩やかな管理方式をとっておりまして、高齢者職員の数が多い。そのことが若齢職員の採用を非常に困難にしていたという事情がございました。幸い昨年末に労使の間で高齢者職員に対する退職の扱いにつきまして合意がついておりますので、これは他の三公五現と比較して決して特別に厳しいというほどではございませんですが、そういう高齢者職員の退職を促進しながら逐次国有林の年齢構成というものを安定させていきたいと思っております。ただ、大変むずかしいことでございまして、現段階では要員規模自身がかつて事業量を非常に拡大しましたときの大きさというものからそう大きくは減ってまいっておりません。それがいわゆる間接管理部門の相対的な肥大化というふうな形で言われているわけでございますので、これを改善期間の中で極力是正をしていきたいと考えておりますので、高齢者職員の退職の数をそのまま若齢職員の採用という形で補えないという苦境にございます。これは逐次改善をいたしまして、将来の姿としますれば安定的な年齢構成、各年齢階層別に安定的に要員が配付されたような形に極力持っていきたいと考えております。  それから、こういうようなことをやっていたんでは国有林といわず、あるいは国有林に労働力を提供していただいております民業の中でも、あるいは民有林の中でも林業に従事する方々がだんだんいなくなるんではないかという御指摘でございます。林業に就業されます要員につきましては、かつての高度成長期に非常に急激に減少はいたしましたけれども、御承知のように、ここ数年ようやく横ばいと申しますか、減りどまりと申しますか、そういうような大勢で推移をいたしておりますが、これは農山村における就業人口のすべてそうでございますように、減りどまりはしておりますが、老齢化ということは毎年進んでいるわけでございます。林業の場合にも新規学卒者の就業というような形でとらえました場合には、大変数字の面でも小さな数字でございまして、数百人というような段階でございます。  こういう方々が安心して林業に携われますためにはやはりそれなりの収入が確保できる、あるいは職業として将来見込みがあるということが必要でございますので、よく言われますように、資金水準では屋外の類似作業の賃金水準に比較的均衡してきているとは言いますけれども、まだ社会保障の制度だとか、そういう面でおくれをとっているという御批判もございますので、再度御説明をいたしておりますようなかつての雇用保険の強制適用に加えまして、五十三年度から退職金につきましても、中小企業退職金共済制度の特例に林業者も適用していくというようなことも考えておりますし、そういう社会保障面以外にも後継者の養成のために各種の後継者対策、これは林野庁あるいは都道府県、市町村を通じて行っておりますような各種の研修が中心でございますが、こういうものとか、あるいは山で働きます方が林業の収入以外にたとえば特用林産、シイタケ生産とかそういうようなもので収入を確保できるようにというような面で林業構造改善事業あるいは特用林産振興というようなことをやっておりますが、このような施策を逐次拡大をしまして、そういう担い手が山村に定着できるような環境づくりをしてまいりたいと考えております。
  180. 神田厚

    ○神田委員 担い手の確保はするというかけ声は非常にあるんですけれども、具体性がない答弁ですね。私は、国有林につきましても人づくりが基本だという、こういう基本的な考え方をもう少し頭の中に入れておいていただいて、そして運営をしていただかなければいけない、こういうふうに考えるわけです。そういう中では、たとえば昨日も指摘をしましたけれども、大部分の人が一係員の待遇のままでやめていく、こういう状況もやはり少し考え直していかなければならない、そういうことも含めまして国有林に働く人の人づくり、担い手の確保、さらには民有林の担い手の確保もあわせましてもう少し具体性のある施策というものを前向きに推進をしていただかなければならない、こういうふうに考えるわけでありますが、時間の関係で、次に進ませてもらいます。  次に、一般会計からの財源繰り入れの問題についてであります。  この一般会計からの財源の繰り入れは、治山関係を除いて昭和五十三年度は四十億円となっておりますけれども、今後十年間の長期見通しはどういうふうになっているのか、また職員についても、一般会計に振りかえるという考え方は持っているのかどうか、この二点についてお聞きいたします。
  181. 石川弘

    ○石川政府委員 御指摘のように、五十三年度におきましては林道造林につきまして四十億の繰り入れをするわけでございますが、これを将来十カ年にわたってどのように行っていくかにつきましては、全体の事業の問題、それから改善をどのようにやっていくか、あるいは材価がどのように変動するか、人件費がどのように変動するかというようなことを勘案いたしまして毎年度の予算措置で決定をすることになっておりますので、現段階で十年間の見通しを申し上げることは控えさせていただきたいと思います。これはあくまで法律にもございますように、予算の定めるところによまして、政令でどのような事業施設を指定するかという形にいたしておりますので、材価その他の変動等を見ながら、あるいは国有林経営改善の内容を見ながら、内容的にもある程度の変動があるものと御理解をいただきたいと思います。  それから、要員の問題でございます。国有林に働いていらっしゃる職員、いわゆる特別会計にあります職員の方で一般行政的な仕事をなさっておられました方々につきまして四十七年、四十八年におきまして、実はこれは本庁職員でございますが、一般会計に振りかえをしたことがございます。  その後、そういう国有林に所属する職員一般会計に非常になじむような仕事をなさっていらっしゃる方をどうするかという問題があるわけでございますが、こういう職員の身分をどうこうするという問題よりも、林木育種事業国有林の中で民有林協力ということで始まった経緯がございまして、御承知のように、他の育種事業一般会計で行っておりますが、林木育種についてはすべて国有林特別会計で行っていたわけでございますが、五十三年度の予算におきまして、林木育種の中の特に研究企画的な分野の方々二十五名につきましては一般会計に振りかえるという措置をいたしております。  将来の問題としては、現在具体的にどういう方方をどうするということはございませんが、職種の内容等がまことに一般会計的な業務をやるというようなことでございますとこういう問題が起こるわけでございますが、現段階では育種場の職員の振りかえをもって一応国有林の中の方々についての一般会計への振りかえは当面考えられない事情でございます。
  182. 神田厚

    ○神田委員 林木育種に携わっている方で一般会計に振りかえる人数は何名ですか。
  183. 石川弘

    ○石川政府委員 二十五名でございます。
  184. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと、当面この二十五名以外については考えないといういまの御答弁でありますけれども、当面というのはどの程度のことを言っているのですか。これから先ずっとそういうことでやっていくのですか。
  185. 石川弘

    ○石川政府委員 失礼いたしました。二十五名というのは五十三年度の措置でございまして、三カ年で八十名を一般会計に振りかえる予定でございます。  私が申し上げましたのは、林木育種事業以外の事業につきまして一般会計振りかえを当面想定しているものはないというつもりでございます。
  186. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと、このほかについては当面ないということですね。それはどうなんですか。当面というのはどの程度のことを言うのですか。はっきり具体的なことをなかなか言えないだろうと思うのですけれども、方向性として、一般会計職員を振りかえるという考え方を今後持つのか持たないかという点はどうなんですか。
  187. 石川弘

    ○石川政府委員 当時考えておりましたのは、人をどうするというよりも、その仕事がおよそ一般会計の性格の仕事かどうかということで判断したわけでございまして、先ほど申し上げました四十七、八年につきましては、本庁に所属します職員の中で明らかにいわゆる一般民有林行政を行っております職員の一部に国有林野支弁職員がおりましたので、これを一般会計に振りかえたわけでございます。  その当時も実は林木育種場のあり方についていろいろ検討を行っていたわけでございますが、林木育種事業事業の性格から申しまして、また、その歴史から申しましても、実は林木育種場は一部は一般会計で、一部は特別会計で発足いたしましたものをその後の林政協力ということですべて特別会計に吸収したという経緯もございましたので、林木育種事業の中で国有林の種苗供給任務以外のものについて一般会計に振りかえをするという考え方をしたわけでございます。  そういう趣旨で、いま国有林のやっておりますいろいろな仕事の中で、国有林特別会計と申しますか、企業経営の仕事以外の仕事を明確にする分野が現段階では明確でございませんので、それが具体化する段階に至る間は、先ほど申しましたように、仕事がそういうことだから一般会計へという考え方は現段階で持っていないわけでございます。
  188. 神田厚

    ○神田委員 この問題もまた後で機会がありましたらお聞きをしたいと思うのであります。  次に、最後になりますが、国有林野事業特別会計の収支バランスを図るため、林野庁では林野の売り払いをしているわけでありますが、五十年度以降これはどのように推移をしているのか、それから、今後の林野の売り払いの計画はどのようになっているのか、さらに民有林野の買い入れ計画はいまどういうふうになっているか、この三点を御答弁いただきたいと思います。
  189. 石川弘

    ○石川政府委員 国有林の売り払いの問題でございますが、五十年度以降の実績を申し上げますと、これは所管がえ、所属がえというものを含んでの数字でございますが、金額で申し上げますと、五十年度が八十六億円、五十一年度が九十二億円、五十二年度が百五十四億円となっております。  今後これをどうするかということでございますが、国有林の処分につきましては、従来からたとえば都市公園とか緑地、あるいは学校の施設用地とか公営住宅、あるいはダム、道路敷といった公共的な施設用地を主体に行ってきたわけでございます。今後におきましても国土の有効利用という観点から考えまして必要な——国有林の持っております機能との調整を図りながらでございますけれども、都市近郊につきましては都市公園とか学校、住宅、そういうこととして利用することが望ましいような土地につきましてはある種のこういう処分があろうかと思います。  もう一つは、国有林事業の中で特に苗畑等につきましては、事業量の変遷等に伴いまして不用となりますものがある、あるいは貯木場等につきましてもそういうものがございます。これは主として、駅の前にあるものもあるわけでございますが、こういうような事業との関連で不用となります用地がございます。それから、たとえば住宅など、従来は平家でやっておりましたのを立体化いたしますことによって余ってまいりますような土地がございます。それからもう一つは、すでに貸付をいたしておりますけれども、その貸付地に永久構造物等を建てておりまして、将来とも国有林として利用することがないというものがございます。  こういうものを中心にしまして処分を考えていきたいと思います。  これをどのように行っていくかということは、一つには経営改善計画の中で収入の確保に関する事項を書くことになっておりますので、この処分問題は単に収入問題だけではございませんで、国土の有効利用という観点から接近はいたしますけれども計画といたしましては、このような改善計画との調和を考えながらやっていきたいと思います。  それから、もう一点でございますが、民有林の買い入れでございますが、これは御承知保安林買い入れと保安林以外のものとがございます。保安林につきましては、保安林整備臨時措置法の規定に基づきまして、保安林整備計画実施期間の最終年度でございます昭和五十八年度までに、予算で制限はございますけれども国土保全とかあるいは水資源涵養といった上で重要な流域の奥地林につきまして水涵保安林等を購入いたしております。  これは将来の問題としましては五十八年度の期限後法律上どのようなことになるかということがあるわけでございますけれども、その趣旨に従いまして必要なものはある程度買い入れをやっていくわけでございますが、この場合は保安林とするか、あるいは保安林以外の民有林の買い入れ措置で行うかにつきましてはさらに検討を要するものと思っておりますが、そういう保安林以外のものにつきましては、御承知のように、国有林に接するなどいたしまして、国有林の管理経営上それを一体として管理をすることが必要なもの等について今後行ってまいりたいと考えております。
  190. 神田厚

    ○神田委員 いろいろ計画やその他のことにつきまして御答弁をいただいたわけでありますけれども、まだ計画そのものが非常に煮詰まっていないというか、具体性に欠けている面が非常に残念であります。この改善特別法の中で、これができました中におきまして、さらに積極的なひとつ施策を打ち出していただきたい、こういうように考えるのでありますが、最後に政務次官に、私は昨日も指摘をしましたけれども会計検査院が国有林の生産性の問題を取り上げまして、非常に問題がある、こういうことを言っているわけであります。これは詳しく本当はこの委員会の席でも論議をされなければならぬ大事な問題でありますが、経営の面、経営管理、管理者の側面、管理者の姿勢、そういうことも含めまして、この会計検査院の指摘に対しまして今後林野庁はどういう態度でこれに臨むのか、ひとつ具体的に決意を述べていただきたい、こういうふうに思うのであります。
  191. 今井勇

    ○今井政府委員 個々の問題につきましては補足をいたさせますが、基本的な考えといたしましては、やはり国民の貴重な財産を預かり、それを管理運営をしておるわけでありますから、その管理運営にいささかも粗漏があってはいけないこと、特に今回からは貴重な国民税金一般会計から導入をしていただくわけでありますから、なおのことその効率的な運営というのは、これは国民に対する義務であろうと思います。  御指摘のように、国有林野は非常に長い歴史を持っておるからこそ非常な蓄積もありますと同時に、それに伴うもろもろの体質の脆弱さというものもまた出てきているものと思いまして、心いたしまして国民のためにりっぱな健全な運営をいたすように今後とも気をつけてまいりたいと存じます。
  192. 神田厚

    ○神田委員 終わります。
  193. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 津川武一君。
  194. 津川武一

    津川委員 きのうに引き続いて、政府提出法案並びに芳賀貢君外十二名提出法案の二つについて質問をいたします。  まず第一に、政府提出法案についてであります。  林野庁と農林省は、この五十三年度で終わった牧野、林野の混牧林の実験農場、これをやってみました。そこで、国有林野を、それが存在する地域の産業振興に利用することが非常に必要であります。それで、政府がやった混牧林の実験農場、林野経営上でも、畜産上でも、非常にぐあいがよかった、成功したと聞いております。私もそれはよかったと思います。  ところで、この国有林野活用、こういうふうに混牧林に使うことは、計画改善の事業内容として当然含まれると思いますが、その点はいかがでございます。
  195. 石川弘

    ○石川政府委員 ちょっと御質問の御趣旨がわかりにくかったのでございますが、経営改善計画の中で混牧林をどのように取り扱うかという趣旨でございますか。——経営改善計画の中では、いわゆる地元にどのように密着して国有林経営していくかというような問題といたしまして、たとえば共用林野とか部分林とか、土地の利用というようなことも、国有林の活用として当然あるわけでございますので、そういう姿では十分予想はいたしておりますが、現在やっております実験牧場の継続という意味でございますれば、これは五十二年度限りで民間にこれを行わせることにいたしておりますので、そういう意味では入ってないわけでございます。
  196. 津川武一

    津川委員 現在、五十三年度で終わった十カ所、これを今度は民間が畜産のために使う、混牧林として利用する計画はございましょうかしら。
  197. 杉山克己

    ○杉山政府委員 いままで国有林野特別会計昭和四十二年度から十年間にわたって肉用牛生産育成実験事業、これを実施していただいておったわけでございます。場所として十カ所、国有林野事業としては五十二年度をもって終わるということになったわけでございますが、この事業によりまして、先生先ほど御指摘のように、混牧林の中におきますその林業経営という点についての幾多参考になる貴重なデータも得られたわけでございます。  林野にはいろいろ御苦労いただいたわけでございますが、そこで私どもといたしましては、その実験を五十二年までで終えて一切打ち切ってしまうというのではいかにも残念でございますので、これを引き継ぎまして、名前を改めて、混牧林経営肉用牛生産促進事業ということで、畜産局におきまして一般会計事業としてこれを引き続き実施することにいたしております。ただ、地元の受け入れ体制あるいはその混牧林の林の状況等によりまして、十カ所全部でその事業を引き継ぐというわけにはまいりませんで、六カ所においてこれを行うということにいたしております。対象の利用する面積もふえる。それから、実験の内容も、従来の子牛を育てるというだけの段階からさらに肥育の段階までこれを対象にするというような、拡大するような内容を持っておりますので、畜産局といたしましては、これを一つの混牧林経営の指針とすべく重点として続けてやっていくということを考えております。場所としては、北海道、青森、岩手、長野、岡山、鹿児島、こういったところが予定されておるわけでございます。この事業実施主体としては、市町村あるいは農協、それらの団体を予定いたしているところでございます。
  198. 津川武一

    津川委員 この十カ所のうち、その一つの青森営林局の中での大畑、いま局長が言われましたが、これは非常に地元が喜んで、県も肩入れしてやるということでございます。このほかに、新たにやはり混牧林として国有林野を活用したいというところが幾つか出ております。たとえば、三戸郡の東部畜産基地、五所川原の中須山周辺の基地、北郡の市浦村での県営の計画などが組まれております。これが計画にかなって見込みがあるものであるならば、これからもどしどしこういう形での国有林野の活用をやるべきだと思うのですが、これは林野庁いかがでございます。
  199. 石川弘

    ○石川政府委員 活用の場合に必要なことは、国有林が持っております機能というものと、地元のいわゆる構造改善のための利用という形が調整されることでございます。したがいまして、従来の草地化一本やりということに比べますれば、この混牧林の手法は、それなりに木の持っております公的機能と畜産の生産を調和させるという手法であり得るわけでございますけれども、たとえ混牧方式をとりました場合でも、放牧の密度が高過ぎるとか、あるいはいろいろと森林状態が、たとえば非常に急傾斜であるとか、いろいろな形で問題がありますときには、この両方の機能はなかなか調和をしにくいわけでございます。したがいまして、そういう地元の要請と国有林が持っております機能との調和を極力図るようにしながらこの問題を進展させていきたいと考えております。
  200. 津川武一

    津川委員 何か林野庁の答えは、必ずしも積極的でない、消極的みたいなニュアンスの返事でございますが、そうではなく、畜産局長も言われたように、子牛から成牛までの間をやるとすれば、これは国有林野の活用が非常に大事なのです。この間も上北地方で子牛の競りをやりましたら、岩手県の人や関西の人が競り落としている。これは地元に子牛から成牛までの体制がないからなのです。こういう点で、これはかなり必要な事業なのです。現にこういう形で前から青森市の八甲田山ろく、北郡の金木町、中里町、小泊村、上北郡の東北町、七戸町、ここいらではこういう点で活用しております。  この中で問題なのは、青森市の八甲田山ろく、林野庁から借りる使用料一ヘクタール一万七百九十円、上北郡の東北町は三千八戸九十円、七戸町では三千二百五十円。問題は、活用したいがこの使用料の高いことが皆さんの使用を非常に阻止しているわけなのです。この使用料を安くすることが何よりも必要になっておりますが、この七戸町でこんなに安いのは、公定のものに対する参考、一般使用料の点でなく参考小作料という立場でやっているためにこれだけ安く使えるわけなのです。そこで、八甲田山ろくと七戸では、一万何ぼと三千何ぼと違いが出て、林野庁の行政が不公平だ、こういう不信が出ているわけです。  そこで問題は、やはり農民が地域で活用できるような使用料にしなければいけないと思うのです。ところが、そうすると林野庁がどうなるかという問題なんです。林野庁は、自分財産もふやさなければならぬ、所得も上げなければならぬ、営林もやらなければならぬ、この点で林野庁の皆さんは本当に苦労されております。秋田の営林局のところに行って私聞いてみましたら、秋田の営林局の人たちは、それは大いにやろう、しかし、これを全部林野庁に、営林局に負担させるのではかなわない、この点できのう私は大蔵省に、国はお金を一般会計から出すべきだと言ったんだが、秋田の営林局の人たちの言うのには、これはここでみんな育ってしまっていいんだが、本省にしゃべらないでくださいという。そこで問題は、のサイドからここをもう少し出せ、林野庁にばかりこれをさせるから国有林野の活用ができないのだ、この点をひとつ国会の、審議で明らかにしてくださいというわけなんです。  そこで、子牛から成牛まで育てるために混牧林に国有林野を活用するとすれば、畜産サイドから何らかの形の補助なり援助なり施策がなければならないと思いますが、畜産局長いかがでございます。
  201. 杉山克己

    ○杉山政府委員 先ほど申し上げましたのは、これは実験事業として続けておったものをさらに一般会計でこれを継承する、そして実験をさらに充実させるということでございましたが、一般的な林間放牧の推進についてどう考えるかということであろうかと思います。  土地に恵まれないわが国の状況のもとにおきましては、畜産経営国有林の活用ということはきわめて期待されるところ大きいものがあるわけでございます。ただ、国有林野事業には国有林野事業立場もあり、おっしゃられるように、林業経営との十分な調和を図らなければいけないということがあろうかと思います。経営上なかなかむずかしい、経費的にも困難な事情があるということはうなずけるわけでございますが、その経費全般を助成するということはなかなかむずかしい問題でございますが、私どもといたしましては、五十二度から新しく林間放牧につきまして助成事業実施いたしておるところでございます。現在までのところ、対象地域としては、五十二年度に三地域、五十三年度にその五十二年度の三地域の継続をも含めまして五地域ということで実施をいたしているわけでございます。ここにおきましては、給餌のための施設でありますとか、牧さくでありますとか、若干の飼料畑の造成というような、これらの基礎的基盤づくり的な事業についての助成を行っているところでございます。直接国有林の借料に対する助成というようなことではなく、そういうような基盤的な面で助成を五十二年度から新しい事業として実施いたしているところでございます。
  202. 津川武一

    津川委員 問題は、きわめて明確になっているのは、使用料、借地料を慣行小作料によってやると八甲田山ろくみたいに一万七百円、参考小作料という形でやると七月町みたいに三千二百円。問題は、これを三千二百円にすると、使用料を安くすると活用ができる、そうすると林野庁が困る。したがって、畜産サイドでこれに何らかの形で援助をせいというのが私のいまの質問なんです。これにきわめて端的に答えていただきたい。実は、二カ月ほど前にこの話を今井政務次官に質問しましたら、趣旨としてはよく理解できますので、検討さしていただきたいということになったわけです。御検討してくださったと思うのですが、これは次官からでも局長からでもどちらでもよろしいです。お願いします。
  203. 杉山克己

    ○杉山政府委員 肉牛の生産に対する奨励というのは、いろいろな全般的な対策の中で講じられているわけでございます。国有林野の借料に対してこれを直接助成するというのは、いかにも補助事業としてはなじみがたいというようなことで、私ども、先ほど申し上げましたように、一般的にもそうでございますが、林間放牧につきましても、施設でありますとかあるいは草地基盤でありますとか、そういった体制づくりに助成するということを行っているところでございます。  そのほか、さらに、先ごろ安定帯価格の決定に際しまして、畜産振興事業団からの助成事業として、子牛の生産に対する一頭当たり二万円ないし三万円の助成事業というものも行うことにいたしております。こういったことも、やはり畜産経営上諸般の経費がかかってくる、なかなか経営上もむずかしい事情があるということを配慮しての措置でございまして、そういう全般的な観点から対策を講じているところでございます。
  204. 津川武一

    津川委員 そうすると、いまの局長の答弁は、使用料としての面接の援助は事がなじまない、しかし、活用ができるように何らかの形で考えてみましょう、こういうふうに受け取っていいですか。
  205. 杉山克己

    ○杉山政府委員 民有林にせよ公有林にせよ、それから、なかんずく国有林にせよ、林地の活用ということは、一般的に畜産局としてはこれはぜひお願いしてまいりたい、今後とも推進を図ってまいりたいと考えております。そういうことが容易に行われ得るためにも、経営の基盤をよくするための先ほど申し上げましたような全般的な助成事業の充実ということはさらに心がけてまいりたいと考えております。
  206. 津川武一

    津川委員 畜産局の方は御苦労さんです。もうこれで皆さんに対するのは終わります。  そこで、次の質問政府は今度提案された法案で、国有林野事業現状並びに国民経済及び国民生活におけるその使命の重要性にかんがみ、国有林野事業の改善を図るためにこの法案提出する、こういうふうにしてわれわれに説明しております。  ところで、この国有林野は木材供給だけでなく水源涵養、国土保全などに重要な役割りを果たしており、その事業の縮小、機構の縮小などはあってはいけないし、国民の期待や要求にも反するものと言わざるを得ないのであります。ところが、実際に進めようとしていることは、たとえば、ことしの予算案に端的に示されておるように大幅な縮小になっております。国有林野事業の整備改善の第一年である昭和五十三年度予算、ことしの予算を見ますと、主要事業はいずれも昨年よりも下回っております。たとえば伐採量、五十三年度は千五百三十五万立米、前年度は千五百六十万立米、二十五万立米減少しております。林道の新設量、五十三年度の予算では千二百七十三キロ、前年度は千四百六十キロ、ここでも減少しております。これは整備法、改善法という名のもとで事業の縮小、事業の切り捨てになろうとしておるのではないか、こういう点が非常に心配されているわけであります。どうしても事業は拡大していくことがいま国民が求めていることでございます。  また、これだけでなく、五十三年度に見られただけでなく、四月一日からスタートした全国の森林計画にもこの傾向は出ております。その計画によりますと、五十三年度策定新計画では伐採材積が二億二千二百万立米、四十八年度にはこれは二億二千五百万立米、三百万立米の減少になっております。造林面積も五十三年度策定の新計画では七十万一千ヘクタール、四十八年三月策定では七十五万九千ヘクタール、こんなふうに減少が見られていることが非常に心配なんです。長期の見通しに対しても、昭和九十六年度には自給の度合いが九四・三%。四十六年現在で四六・三%、これを九十六年に九四・三%まで上げていく過程の中において、昭和五十二年度は三六%に落ちているのです。したがって、九十六年度に九四%、五%までいけるかというと、いま進んでいるのはこういう後退傾向なんです。  したがって、二つ質問一つにはこういう目標を達成できるのか、達成するとすれば、年次計画、二カ年とか三カ年とか区切ってもいい、一つ計画を持って長期的な立場でこれに向かっていかなければならぬ。今度の事業、十カ年でしょう。九十六年度までというと相当まだ時間がある、こういう点で長期的な計画でこの事業を達成する計画、決意があるのかどうかという、こういう面から改善事業計画を企てて計画したのかどうか。心配なのは、縮小の過程をたどっている、こういうことなんでございます。基本的な問題なんで、一応先に答えていただきます。
  207. 石川弘

    ○石川政府委員 私ども経営改善計画を立てます場合には、当然これは二十年先の目標を目がけまして達成する覚悟でございます。
  208. 津川武一

    津川委員 この指摘した減少傾向がいつごろとまる、いつごろから増加傾向にいきますか。御計画を立てなければならないと思いますが、御計画のほどを明らかにしていただきます。
  209. 須藤徹男

    ○須藤説明員 長期的な伐採量の計画でまいりますと、大体昭和六十九年ごろから逐次上がってまいります。さらに、六十九年ごろからはわずかずつふえてまいりますが、七十五年ごろから大分ふえてまいります。七十二年度には千四百四十五万立方、七十七年度には千四百八十万立方、自後ずっとふえていく計画でございます。
  210. 津川武一

    津川委員 いまそれを議論しても仕方がありませんが、速やかに減少傾向をとめて増加傾向にやれるように格段のやはり年次計画を立てていく必要があります。そこで、この年次計画に対しては、後刻また委員会が終わっても林野庁に資料なんか出す相談いたしますので、それに乗っていただきたいと思います。  その次は、今度の特別措置法で事業の改善計画を定める、その内容として、事業運営の能率化、経営管理の適正化などをうたっております。これは労働強化になりませんか、人員整理になりませんか、営林署の合併などを意味しておりませんか、この点は端的に答えていただきます。
  211. 石川弘

    ○石川政府委員 国有林がいろいろな仕事をしていきます場合に、それなりの能率を上げなければいけませんことは、これは事業面あるいは管理面におきましても当然のことかと思います。実は国有林はこの長い歴史の中で、先ほども申し上げましたように、伐採量を相当ふやしてきました時代がございます。こういう時代におきましては、たとえば事務をとりますこと一つとりましても、人の手を使ってやっておったわけでございますから、そこでつくられましたたとえば間接管理部門の大きさといいますのは、現段階で見ますればやはり事業量の縮減の度合いに見合っていないということが外部からもしょっちゅう批判をされているわけでございます。私どもいわゆる強制退職手法を使ってこの規模を一挙に減らそうということを申し上げているのではございませんで、国有林で働く職員の方々等の中でも高齢者の退職といったような手法で要員管理を適正にしていくということを申し上げているわけでございます。  それから、組織につきましても、再度申し上げますように、いわゆるかつての管理のための組織というものをほとんど温存をいたしてきております。事業所等につきましては比較事業の進展に応じて動かしておりますけれども、いわゆる管理部門に属します組織といいますのは非常に固定的に推移をしてまいりました。その間におけるたとえば道路交通網の変革とか、あるいは市町村自身等がかなりいろいろな組織を変えまして合併その他のことをやってきているわけでございます。私ども、組織をただ統合すればいいということを申し上げているのではございませんで、その事業の仕組みに合ったような組織に変革をしていくことがやはり必要ではなかろうかと考えておりまして、そのような考え方に立ちまして組織の改善合理化もやっていきたいと思っております。
  212. 津川武一

    津川委員 きのうも私問題を指摘したし、五十二年度の林業白書にも出ているが、保育は十分されていない、もっと間伐はしなければならない、つる切りにも手を加えなければならない、枝打ちももっとしなければならないとすれば、事業を本当に改善しようとすれば、先ほどの話とこの保育等も合わせるときに、何としても人員の整理があってはいけないと思います。定年退職なりして、また功成り名を遂げてやめられる人があればそれをまた埋めなければならぬ、こういう点で人員整理、縮小はあってはならない、こう思うのでございます。具体的に人員整理になるのかならないのか。私はあってはいけないと思う。この点を明確に答えていただきたい。  後でまた合併のことがもう一つ出てまいりますが、その次は、営林署の廃止統合、こういうことは保育を具体的にやるとすればむしろそういう点でふえていってしかるべき、こう思っているわけです。したがって、今度の皆さんの法案内容として営林署の廃止統合、これが具体的に考えられているのかどうか、人員の整理があるのかどうか。いまの部長の答弁よくわかりましたが、念のためにどうしても明らかにしておかなければならぬのはこういう具体的なことなんでございます。答弁をいただきます。
  213. 石川弘

    ○石川政府委員 先ほども申し上げましたように、いわゆる強制退職の手法を使いました人員整理というようなことはいたしませんということを再度申し上げております。しかしながら、それではいまの規模、たとえば一人退職なさったら一人入れたらいいということには私はなかなかならないのではないか。これはやはり先ほどから申し上げておりますように、特に間接管理部門につきましては過去の非常に大きな事業をいたしておりましたときの規模から相対的にそう大きく縮減をいたしておりません。したがいまして、私どもとすれば決してそれが労働強化に当たるとか、そういうことではございませんで、要員管理の問題として、たとえば世の中でいろいろ管理をする仕方につきましても集中管理という手法もございます。道路交通の便も非常に発達しております。あるいは事務につきましても各種の事務の合理化ということはあるわけでございます。そういうことと見合いながら、適正な規模にまでこれを是正をしていく必要があるんではないかと思っております。  営林署につきましては、再度申し上げましたように、営林署の行います事業のあり方といたしまして、たとえば事業から手を抜くというような手法で事業管理部門を縮減するということは一切考えておりませんけれども、営林署が持っておりますいろいろな管理機能の中にやはり組織としましての間接管理と申しますか、そういう組織を管理していくという面がございます。たとえば、現場を幾つか持っておりますものを統括します営林署というものが一つの場合、あるいはそれが現場の姿は変えませんでもその統括機能は一つにし得るというような場合もあるわけでございますので、私どもが昨年末の行政改革の中で営林署につきまして一割程度を目途にした統合ということを考えておりますのは、そういう趣旨での営林署の統廃合は、かなり時間がかかることではございますが、やっていかなければならないと考えております。
  214. 津川武一

    津川委員 そこで、いまの石川部長の答弁からだと人員の縮小、減少があり得る、こんなふうに私は受け取ったわけですが、これはあってはいけないので、労働者の組織である労働組合がいろいろ皆さんと折衝される場面もあり得ると思いますし、私たちもまたその都度必要な人員の整理がないように皆さんと交渉もしなければならないのじゃないかという腹を決めなければならなくなったということが正直なところで、そのときにはまたそのときなりにやりますが、営林署の統廃合の問題です。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕  ここに長野県南木曽町長早川慶明さんからの「国有林野事業特別整備計画に関する陳情書」が私のところに届きました。それによりますと、「この度、八十四通常国会国有林野事業特別整備計画提出され実施に移そうとしておりますことについて、当町住民四千二百八十名連署をもって、国土保全、生活防衛並びに過疎対策が崩壊してしまうなどの理由により、反対の請願がなされました。」ついては「営林局署の統廃合は行わないこと。また現場の担当区事業所などについては、森林保全、小面積伐採、森林パトロールなどきめ細かい山づくりのために、地域の特性を十分配慮し、一層充実すること。」と言っているのです。こういうことがいま非常に具体的な問題になっているわけです。  幾つか来た中で、もう一つ陳情書を読んでみますと、青森県の碇ケ関村。「村の財政も小規模であり、昭和五十三年度予算による税収は僅かに一億円程度であるが、そのなかには営林署があることによって占める度合が高く、よって営林署廃止の場合は税収も低下し、村財政に大きく影響するので、自治体としての存立上にも問題が発展する可能性も生じてくること。とくに碇ケ関村の場合、人口僅か四千七百人の山村であり、他町村に比較して産業の基盤もなく、また農地も少なく村の経済が国有林野依存する度合が極めて高いことから、他産業への切り替えが容易でなく、村全体の経済が衰微し大きな社会問題化することが必至であること。」ところが、営林署が廃止されるといううわさ、心配がここに飛んできているわけです。  そこで、どうしても戦後乱伐した後荒廃した山を育てるためにも、美林に仕上げるためにも、その保育に年々現在の投資の何倍もの投資が必要であり、このためにも営林署は存潰して事業を拡大してほしい、こういう陳情なんです。  この南木曽、碇ヶ関に営林署の廃止はないでしょうね。  次の質問は、これを統廃合する場合は、自治体、関係者などと十分相談し、それらの反対があっても営林署を廃止する、こういう事態はないでしょうね。念を押して質問しますから答えていただきます。
  215. 石川弘

    ○石川政府委員 五十三年度におきまして、内地九営林局におきまして各一署の統廃合を行うということを予定いたしておりまして、これにつきましてはすでに予算等で御説明したわけでございますが、具体的にどの地域のどの署につきましてそのようなことをやるかということにつきましては内部で検討中でございますので、現段階でどの署がどうなるということを申し上げる段階に至っておりません。  それから、その次の営林署の統廃合問題について、地域にも大変密接に関連する機関でございますから、地域の方々の御意見というものは十分伺っていきたいと思っておりますし、現にこのような事柄につきまして私どもの方にもいろいろとお話があるわけでございますが、私どもとしましては、国有林野現状等につきましてもよく御説明をいたしまして、御納得いただくように努力をしている段階でございます。
  216. 津川武一

    津川委員 いまの南木曽と碇ケ関村はこれから検討しなければならぬから、いまは何とも言えない、こんなことだろうと思います。  そこで、この碇ケ関村なんというのは、きょうは皆さんのところへ説明にも陳情にも行っておりますし、十分その事情を聞いて廃止しないようにしてほしいと思うのです。ところが、石川部長の答弁、統合するときには意見を聞いて納得してもらう、そうではなく、逆に、その地域の人たちの反対を押し切ってやらない、こんな答弁でなければ私も承知できないのです。統合するときには納得させる、そのために全力を挙げる、これじゃだめなんです。もう一つ答弁していただきます。
  217. 今井勇

    ○今井政府委員 基本的な問題ですから、私がお答えいたしますが、私のところへもずいぶんいろいろな方がお見えになります。そのときに申し上げるのですが、この営林署の統廃合というの屡何も建物から下の現業の者から全部ある日忽然と消えるのじゃありませんよと申し上げているわけです。あなた方もいろいろな役所へ行ってお気づきだと思いますが、そろばんをはじいたり帳簿をつけたりする人もある、そういうのはなるべく一緒になって、簡素になればその方がいいじゃないかというふうにあなた方も思われるでしょう、そういうことを実はわれわれやろうとしているのでありまして、山を育てる、山を守る、そういう大事な現業の部門まで一律に減らそうということを私ども考えているのじゃありませんよとよく申し上げると、ああそうですかと言ってよくおわかりになる方もあるわけです。  ただ問題は、数十年来そこにあったものがなくなるのはやはり何となくさびしいのだというお気持ちは私はよくわかるわけでありますから、したがって、これからいよいよ具体的な問題になってまいりますれば、地元の方々とよくお話をして、われわれの真意をよく納得していただいてひとつやろうじゃないかというふうなことを基本的な考え方といたしております。そういうことで、ひとつぜひ御協力を賜りたいと存じます。
  218. 津川武一

    津川委員 質問は、その次には、だんだん仕事を請負に出している、この点はやはり直用を減らしてはいけないということを状況を挙げてただそうと思っているわけです。その次には、治山治水事業計画も予定どおり進んでいないので、どうすれば治山治水計画を予定どおり進めて国土を守るかという質問をしようと思っていたのですが、皆さんの答弁が御親切なので、私、そこまで時間がいけなくなって、芳賀貢君外十二名提案のものを質問しようと思っていたら、答弁者が参りましたので、政府提案法案に対する私たちの態度だけ申し上げてみたいと思います。  私は、こういう点で質問をまだこれからも続けていかなければなりませんが、政府提出法案に対しては反対なんです。  第一の反対の理由は、改善計画の問題です。本案が、森林保全管理、森林レクリエーションなど国民の要請の強い公益的事業の切り捨てを図ろうとしていること、営林署や担当区事務所などのいま話した統廃合を推し進め、大がかりな機構縮小、人減らしなどの事業合理化を図ろうとしているものであり、国有林野事業の使命である木材その他林産物の計画的、持続的供給、国土の保全、水資源涵養、自然環境保全など森林公益的機能発揮国有林野の活用、地域産業活動の助長など地域振興への寄与を放棄し、国有林野を荒廃に導く心配があるのです。これが第一。  第二に、本案は、国有林野事業経営の健全化を図ることを目的とされておりますが、国有林野事業経営を今日のような状況に追い込んだ原因は、大企業奉仕の高度経済成長によって、成長量の二倍にも達するような乱伐と乱開発によって国有林野を荒廃させるとともに、当然一般会計負担すべき国土の保全自然環境保全、水資源涵養など公共的支出まで国有林野特別会計の中で支出させた結果であることは明らかでございます。この法案によって一般会計から繰り入れが行われますが、合理化を条件として投資経費に限り、それも改善期間の十カ年だけに限られており、依然として借入金依存体制が続けられ、一層国有林経営を悪化させることはあっても経営の改善には役立たないことは明らかであります。  私たちは、国有林野事業をもうけ本位、大企業優先で進めることを改めて、国民生活に役立つ国有林野にするため、人員の確保を図り、公益的事業も含めて一般会計から必要な資金導入するよう強く主張するものでございます。  なお、改善計画の中に、国有林野事業における造林及び林道の開設その他林業生産基盤の整備に関する事項を加えるなどの修正を行うことも予定されております。これによって本法案の重大な問題点が除かれるものではない、修正案としては最低限度のものでありますが、国有林野で働く労働者を初め国民とともに国有林野事業発展を図る上である役割りを果たし得るものであるので、修正案が出されるときにはこれに賛成して、その修正案の部分を除いた原案には反対せざるを得ないのであります。  その点、お含みおき願いたいと思います。  続いて、芳賀貢君外十二名提案法案に対して質問さしていただきます。  提案者芳賀さんから、要綱や趣旨説明を伺いました。私たちもこの点で非常に心配しております今日の日本の国有林野の、それから全国の森林全体の余り進んでいない、荒廃の現状、これを提案者はどのように見ているのか、これが一つ。この原因はどこにあるのか、どうすれば問題が解決するのか、この基本問題をまずお聞かせ願いたいと思います。
  219. 芳賀貢

    芳賀議員 ただいまの津川委員の御質問でございますが、その点については、仮に時間があれば、私からも、津川委員がこの点をどう考えておるかということも実はお伺いしたい気持ちがするわけでございますが、まず経過を申しますと、戦時中におけるわが国国有林民有林の荒廃というものは、これは戦時中であるというような特殊の事情下においてはやむを得ぬものがあったと思うわけでございます。  戦争が終わって戦後の復興という時期は、やはり家屋の建築にしても、いろいろな施設の回復にしても、やはり国内における森林資源、木材を高度に活用して、速やかな国民経済の復興、国民生活の安定を期するためにこれを活用するということは当然のことであったと思うわけです。  これらの特殊の時代は別にいたしまして、その後日本における林政統一が行われて、そして現在におけるがごとく、国の財産である国有林野については、これは公共企業体として特別会計方式をもって国が責任を持って管理経営するということで今日に至っておるわけです。  それにもかかわらず、このように林業資源がだんだん枯渇の方向に向かっておる、また、林分を見てもこれは非常に欠陥だらけであるということはもう明らかな事実であります。一番大事な森林資源国有林の八百万ヘクタールにおける蓄積の状態を見ても、たとえば昭和四十一年の農林省が調査した国有林における立木の蓄積はおおよそ八億八千万立方メートルに及んでおったわけです。それが十年後の昭和五十一年にはちょうど一億立方メートル減退しておるわけですね。これは国の財産としても国家の資源としても大変なことだと思うのです。何によってそういう状態になったかというと、森林に対して、造林にしても保育作業にしても十分に行うべきことが行われておらなかったのではないかという欠点があるわけです。それからまた、森林の成長量を度外視して伐採、生産が行われた。経済の高度成長時代を通じ、あるいは田中内閣における列島改造等を通じて全く無計画に、たとえば全国の森林計画とか、あるいはまた林業基本法第十条に基づく森林資源基本計画とか、そういう長期的な計画を無視して乱伐、過伐が行われ、伐採跡地に対して十分な植林も行われておらぬというような欠点が年々重なって、一億立方メートルの資源の減退という大変な事態になっておるわけであります。  これを正常に回復させなければならぬ、そして国民の期待にこたえなければならぬということで、実は社会党といたしましては、国有林野事業再建整備特別措置法を提案いたしまして、各党の皆さんの十分な御理解をいただいて、できるだけこれの実現に当たりたいと念願しておるわけでございますが、たまたま内閣からも、同種の内容ではございませんが、国有林野事業改善特別措置法案提出されまして、一括して現在審議がされておるわけでございます。  まだいろいろ申し上げたい点もありますが、共産党議員である津川さんも森林の荒廃の状態等について認識された上に立っての質問だと思うし、認識はほとんど共通しておるというふうに考えておるわけであります。
  220. 津川武一

    津川委員 芳賀議員外十二名提出国有林野事業再建整備特別措置法案、私たちよく検討させていただきました。内容は非常に賛成できるものがある。その点は私たちも感銘しております。  そこで、法案内容に入っていく前に、いま話された保育の余りやられていないことについてでありますが、一昨年のあの東北、北海道の冷害のときに、私、秋田、山形、宮城、青森等を歩いてみて、その中で福島の阿武隈山系に入ってみたのです。営林署の人たちも非常に心配して、何か済まないような顔をして、一生懸命やっているのだけれども、どうしてもやはりつる切りがされていない、間伐もされていない、枝打ちもされていない、保育が余り十分でない。  いま提案者が言われた林野庁で働く労働者の努力にもかかわらず、この保育が行われていない原因についてはどう考えておられますか。
  221. 芳賀貢

    芳賀議員 ただいまの人工造林地における大切な保育が十分に行われておらないという原因については、一つは、これは予算的な財政措置を通じて毎年度の計画に沿って実施しなければならぬわけでございますが、そういう面から見ると、やはり予算上、財政上の制約というものが計画を達成することを妨げておるというような要因もあるわけです。  それから、事業実施形態も、特に造林事業は地ごしらえにしても、植林にしても、保育等にしても、これは公共企業体でありながら国有林事業の直営直用方式で行う事業の割合と、現実に事業を行う場合に請負に付する割合——直営であっても他の公共事業ごときは、道路整備にしても、大きな公共事業はどれほど予算をつけてもほとんど、大きな事業ほど大手の企業に請負をさせて、それを下請に付する、その下請がまた孫の下請にやらせる、そういう請負方式の割合というものを比較しますと、造林事業全体においては直営直用方式がおよそ三〇%程度、残り七〇%はほとんどが請負方式によってやっておる。そういう比率というものは年々の農林省の統計あるいは年次報告に出ておるわけでありますが、請負方式というのは、事業を請け負ったものが本当に国家国民のために犠牲になってもこの仕事をやるというような事例はまことに珍しいわけです。やはりほとんど前提として利潤追求というものが企業の前面に出てくるわけでございますから、どうしても植林にしても規定の本数をごまかすとか、手入れにしても見やすいところだけ丁寧にやったようにして相当の手抜きがあるとか、こういう点が随所に見受けられるわけでございます。  社会党としては、この十年間、国有林とか民有林等に対する実態調査という点については、自慢をするわけではございませんが、各党に比較して一番徹底した実態調査、あるいは職業病である白ろう病とか腰痛症の多発現象等についても詳細な調査をして、これが抜本的な根絶に努めておることは御承知のとおりであります。  そういう点も今度の法案の成立を機会に根本から見直しをして、公共企業体である国有林野経営のあり方は一体どのようにすることが最も望ましいかというような点についても十分な検討の上に立った方針を確立して、お互いに協力して進んでいく必要があると思うわけでございます。  津川委員の言われたつる切りの問題にしても、私も一昨年九州の国有林状態を見に参りましたが、造林地が全くつるで覆われているのですね。ですから、それ以上生育ができない。これをさらに森林として経営することになれば改植しなければならぬというような状態も見受けられるわけです。こういうことを絶対にないようにするためには、やはり公益機能発揮等の事業については、両法案にありますとおり、進んで一般会計がその費用を分担して、そして実際に事業特別会計として行うべき事業では、各方面から、高度に林業の生産性が高まるようにして、そして、とにかく毎年毎年の成長量にしても総体的の蓄積量にしてもこれを早期に回復するということに努力を集中する必要があるのではないかというふうに考えております。
  222. 津川武一

    津川委員 今度は政府提出法案芳賀委員たちの提出法案の具体的な内容にも少し入ってみたいと思います。  政府提出法案では第二条の「改善計画」、それから芳賀委員たちの提出では第三条の「再建整備計画」、政府案では改善計画芳賀委員たちの案では再建整備計画になっておりますが、政府案によると、「改善計画は、次の事項について定めるものとする。一 国有林野事業運営についての基本方針 二 国有林野事業運営の能率化に関する事項 三 国有林野事業経営管理の適正化に関する事項 四 国有林野事業に係る収入の確保に関する事項 五 その他国有林野事業の改善に関し必要な事項」これが政府案の改善計画です。  芳賀さんたちのは、「再建整備計画は、次の事項について定めるものとする。」となっております。「一 国有林野事業運営基本に関する事二項」これは大体同じです。「二 国有林野事業における造林及び林道の開設その他林業生産基盤の整備の促進に関する事項」ここではかなり具体的な内容に、芳賀委員たちのものはなっております。「三 国有林野事業における事業の実行方式及び実行形態に関する事項 四 国有林野事業における労働力の確保及び労働安全に関する事項五 国有林野事業に係る収入の確保に関する事項」この五番目は政府案とも同じ内容かと思います。「六 その他国有林野事業再建整備に関し必要な事項」ここも「再建整備」と「改善」ということは違いますけれども。  そこで、私たちは、政府案の二項で「国有林野事業運営の能率化」「国有林野事業経営管理の適正化」、読んで字のようなものだけれども、ここから何か非常に心配なものを感じているわけであります。芳賀委員たちのところにこれが欠けておる。そして逆に、「国有林野事業における事業の実行方式及び実行形態に関する事項」「国有林野事業における労働力の確保及び労働安全に関する事項」が入っております。  そこで、政府案をどのように考えておられるのか。特に、この芳賀委員たちの二項、三項、四項、このことをもう少し具体的に説明していただきたいと思っているわけであります。
  223. 芳賀貢

    芳賀議員 ただいまの社会党案政府案比較になると思いますが、これは事前に差し上げた対照表を見ていただけばおよそわかるわけですが、大きな相違点というのは、社会党案には法律の「目的」というのがちゃんと明定されておるが、政府案には目的のない「趣旨」なるものが前段で述べられておる。  その次は、社会党案は、この法律実施期間というものを基本計画で定めることにいたしまして、これは昭和七十二年度まで二十年間にわたる再建整備の基本計画をまず策定しなければならぬということになっておるわけです。それを基礎にいたしまして、今度はこれを実施するための再建整備計画、これは計画は十年計画とか二十年計画といっても、なかなかそのとおり参らない場合があるわけです。たとえば、社会主義的な、いまの場合、「的」ぐらいしか使えないわけですが、とにかく社会主義の計画経済の方向に、生産と経済運営というものが同じ軌道に乗るというような時代になれば、これは長期計画であってもややその路線を大きく修正することはありませんが、いまのような政治経済体制下において漠然と十年計画、二十年計画というようにしたのであっては、最近の政府の各長期計画は三年ぐらいで全部改正、改正ということになっていますから、そこに思いをいたしまして、社会党案は、この実施計画の面については五年を一期にして、五年ごとにそれを一期とする実施計画再建整備計画というものを立てて、五年間の実施の結果を見てまた次の第二次五カ年計画を進めるというような二段構えでこれを進めるということにしてあるわけです。この点は、政府は、漠然と昭和七十二年度を達成目標というふうにしておりまして、そのための基礎条件を整備するためには昭和六十二年度までの十カ年計画、これを改善期間と定めて、この期間内における改善十カ年計画を完了に向かって実施するということになっておるので、非常に内容に欠けた点がある急ないかというふうにわれわれは判断しておるわけです。  次は、計画の中身でございますが、津川さんが言われたとおり、社会党の場合には六項目で一から六号まで、自民党・政府案は一号から五号まで、社会党の二、三、四と政府案の二、三だけが、これがどういう中身かということになりますが、あとはそれぞれ前後大体これは共通性があるわけです。内容の強弱の差はあるとしても、大きな対立的な差はないと思うのです。  そこで、われわれとしては、計画策定をする場合は、幾ら一般会計から資金導入するとしても、どういう計画で何のために、どの行った事業に対して一般会計から繰り入れをするかということは法律の中で明確になっていなければなかなか実施ができないんじゃないかということで、いま御指摘のありました、政府案においては「国有林野事業運営の能率化」あるいは「国有林野事業経営管理の適正化」一体能率化あるいは適正化というものは中身は何であるか、これは後で私が大臣に質問する予定になっていますが、能率化を余り強調した場合には、これはいまの国有林の大事な基幹労働者の首切り、つまり人員整理とか機構縮小だけすれば能率が上がるというような計画になっては大変なわけですね。あるいはまた適正化といっても、どういう方向に適正にするか、収支のバランスだけを考えた場合においては、それじゃ公益機能発揮収益のない事業というものはできるだけ圧縮してやって均衡をとった方がいいのではないかということにもなりかねないわけでございます。  これに対して、社会党案は、どのような林業に関する計画を立てるとしても、その大きな柱はやはり造林林道であると思うのですね。そのほかいろいろあるとしても、これが柱だと思うのです。この柱だけはどうしても計画の中に中心的に打ち立てる必要がある。この点は皆さんの御協力によってどうやら政府案修正の方向へ向かっておるので、私も意を強くしておるわけです。  あと、一体これからの経営のあり方とか事業実施というものを政府案に当てはめた場合には、どこでどうやるかという問題ですね。それから、特にこれから膨大な国有林を適正に運営する場合に一番基礎になるのは、国有林事業の担い手である労働力です。その部面に対しては一体その貴重な労働力というものを事業面から確保するためには、どこで計画というものを設定するか。  もう一つは、人命尊重の見地からいって、これはどこの職場でもそうでございますが、国有林野事業に半生を費やすというような大事な人たちの健康とか生命というものを優先的に保護するということは必要なわけです。それが、現在においても白ろう病の認定者だけでも三千名を超えているわけですね。こういう状態が次々に持続的に発生した場合においては、これは大変なことになるわけでございますから、労働力の確保あるいは労働の安全性の保持というものについては、政府案でありましてもいずれかの計画の中にぴしっとはめ込んでおく必要があると思いますので、こういう点は皆さんとともに十分に詰めていかなければならぬ相違点であると思うわけであります。  その次は、一番大事な一般会計から特別会計繰り入れをする場合の、どの範囲の事業に対してどういう積算根拠によってどれだけの額を繰り入れするかという問題は、やはりこの法案法律になって歩き出す場合の一番の大きな中心課題になるわけです。ですから、社会党の場合には、主として水資源の涵養であるとか、あるいは国土保全のための治山事業であるとか、あるいはまた自然環境保全であるとか、自然休養林であるとか、そうした公益的な機能の発揮というものを重点にして一号から八号まで例示的に掲げて、これについてはこれに対する一般会計費用の範囲とか算定等については政令にゆだねることにいたしまして、貴重な一般会計からの繰り入れというものを適確に、効率的にやるために中身を明確にしておるわけです。  ところが、政府案については——津川さん、聞いているのですか、あなたが質問するから答えているのですよ。上のそらで、何もわざわざ私がここに立って説明する必要はないのですからね。聞くんなら真剣に聞いてもらいたいと思うのですよ。  ところが、政府案はどういうものを対象にするかわからぬですよ。あなたもわからぬから質問されておると思うのですが。ただ、この国有林野事業特別会計法の条項の中に、企業会計といたしまして公債の発行とか借入金ができるという規定が特別会計法の第五条にあるわけです。その五条の規定の中に、国有林野事業の施設費、こういう条文があるわけです。この施設費の中で一切の事業の支出関係の問題等を扱っておるわけでございますから、その点はわかるが、それでは事業施設費の中にどういうものを入れるか、政府法律ではこれは全部政令に任してしまっているわけだから、白紙委任状みたいなことになっているので、法律の体裁から言うとわれわれのは例示主義で、これ、これ、これとやっておるわけだし、政府の方は抽象的に丸めて、そして政令に任せるのは任せるというようなことにしておるので、法律上から見ても全部を入れるということはできないでも、大事なものを頭にかぶして後はその他の必要な施設費については政令において十分に範囲を拡大して決めなければならぬというふうに内容を強化してもらう必要がある。  後は審議会の問題等でございますが、これは後で私自身が詰めることにしておりますので、大体相違点は以上のとおりであります。
  224. 津川武一

    津川委員 最後の質問ですが、芳賀さんたちの提案された法案、私十分検討しました。賛否になってくると態度も明らかにしなければならないので、私の考えておることと提案者考えておることがどうかということを明らかにするために質問しておるわけですが、もう一つ、この法案に対して政府側の一部の人から、皆さんのこの法案には企業努力が欠けているんじゃないか、こういうことが出てくるわけなんです。私はそうは思わないのだけれども、ここの点、提案者は何と考えて何とお答えになりますか、これを答えていただいて質問を終わります。
  225. 芳賀貢

    芳賀議員 これは客観的な批判というものを一気にする必要はないと思うわけでございますが、そうした批判があるとすれば、これは当を得ないという以外はないのです。ただ、企業努力というものは一体だれに求めるかということになると、これは結局担い手である六万人なら六万人の、国有林のためにまじめに労働しておる皆さん方に過重な労働負担だけをしょわせることによって、それをもって企業努力というか、あるいはまた国の責任で、行政面から言うと政府の全責任でやるべきものでございますから、本当に企業努力をするということになれば、責任の所在を明らかにして、責任のある体制を確立して、上は長官から局長、署長に至るまで必要なときには進んで山に入って地ごしらえをする、植林もする、手入れもするということでなければ、本当の国民財産として国民経済のための国有林企業努力ということにはならぬですよ。場合によっては、局長になっても、任期が終わって転勤するまで、その管轄内の山に一回も入ったことがない、こういう者が果たして企業努力しておるかどうかということは、指摘するに枚挙にいとまがないですよ。  これ以上申し上げませんが、以上で答弁にします。
  226. 津川武一

    津川委員 終わります。
  227. 中尾栄一

    中尾委員長 御苦労様でした。  芳賀貢君。
  228. 芳賀貢

    芳賀委員 大臣が出席されましたので、政府提案法案と、社会党からも提案しておりますので、締めくくりの意味において、重要な点だけについて質問をいたしたいと思います。  第一点は、政府案によりますと、改善計画の点については、昭和七十二年度を目標にして林業生産基盤が確立されることを目標に、先の十年間はこのための基本的な条件整備のために、十カ年の改善期間を通じて計画が完了するようにすることになっておるわけでございます。  そこで、これは林野庁長官からでよろしいのですが、政府が目標とする昭和七十二年度の時点において、この計画が順調に達成された場合には、現在のわが国国有林野状態というものはどういう状態に変貌しておるか、二十年後に目標どおりいった場合には一体どうなっておるか。  それと、前段の十カ年の改善期間が完了したという場合には、基礎条件というものはどういうふうに改善されておるか、つまり十年後と二十年後にこうなりますというような点について、これを長官から、概要でいいですから説明してもらいたいと思うのです。
  229. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 改善計画の前半の十年でございますが、前半の十年は基本的な伐採量につきましては漸減の傾向になります。したがいまして、その間に基本的な点を十分整備いたしまして、将来の二十年光に向かいましての体制を整備していくということをねらいにいたします。十年たちまして、伐採量が下がりまして、当分の間その伐採量で、二十年弱の期間、大体縮減のまま横ばい程度の伐採量になりますが、それからはその以前に植えました造林地が成長いたしますので、漸次伐採量がふえてまいります。したがいまして、私どもといたしましては、二十年たった暁には国有林経営も健全な経営に立ち直れるというふうに考えております。
  230. 芳賀貢

    芳賀委員 まだ不十分ですが、それではこの改善期間の十年間は、特に伐採量の面から見ると漸減を続けるということですね。十年間の計画が完了した場合には、それから先の七十二年度までの十年間は、伐採量だけを取り上げると、これは横ばい状況で推移する、そうして昭和七十二年目標達成というふうにわれわれは理解するわけですが、その後は伐採量の面においては、いわゆる林業生産力が上昇方向に転ずる時期、昭和七十二年度以降はそうなるということですか。
  231. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 先生のおっしゃるとおりでございまして、漸減いたしまして一時横ばいになりますけれども、その後はまた増加いたしまして、先生のおっしゃるような形で二十年目ごろには十分国有林財政も立ち直り、健全な運営ができるというふうにわれわれは考えております。
  232. 芳賀貢

    芳賀委員 それは十年間は漸減を続ける、現在は年間伐採量が五十三年の計画によってもおおよそ一千五百万ヘクタールですね。それが十年間どれだけ減るということはまだ聞いておりませんが、漸減していく。それから後が横ばいということになると、漸減期間というのは国有林野事業の収支勘定から言うと、現在よりも赤字基調が増大するというふうに常識的に考えなければならぬですね。景気回復とか物価変動等が生じて、数年前のように一遍に材価が高騰するという場合は別ですが、いまのような経済状態が持続するという場合には、十年間はなかなか準備完了ということには、収支勘定面からはそういう答えができない。そこまで落ち込んでからあと十年間横ばいということになると、改善期間が終わった十年間というものを収支勘定面から見ると、赤字基調から脱却することにはならぬというふうに考えるわけですね。それがこの目標ないし計画内容であるというふうに判断していいですか。
  233. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 ただいま先生がおっしゃいましたように、おおむね十年ぐらい漸減いたしまして、その間伐採量が減りますと、その分の収入は減りますけれども、私どもはその間、やはり収入の面につきましても収入増加の方途を販売合理化等を含めましていろいろ検討して収入の増を図っていきたい。あわせまして、支出につきましても十分その辺は支出の合理化を図りまして節減を図るという形の中で、できるだけ国有林財政が厳しくならないような方途をしながら、基盤の整備を図り、そして横ばいになる期間にその間の体制が全部でき上がって、やがて二十年前後になりますと、伐採量がふえるという形で財政が収支も見合い、健全な国有林経理になるというふうに私ども考えております。
  234. 芳賀貢

    芳賀委員 ここが大事な点ですが、だから、その健全経営ができるという時期までは、この法案では十年間ということになっておっても、これで健全化できた、ひとり歩きできるというその時期までは、この制度というものは、政府案も私の方の法案も時限法でないですから、昭和七十二年でこの法律の期限が終わるという時限法ではないですからね、どこまでもこれは生きていくことになるわけです。そういう点がやはり政府案では将来に不安を残しておるのじゃないかというふうに考えるわけですが、この点については大臣としてどう考えていますか。
  235. 中川一郎

    中川国務大臣 芳賀委員御指摘のとおりでございまして、十年間はだんだん厳しくなっていく、しかし十年間たって大体横ばいにしていく、そして二十年たったら上向きにしていく、こういうことでこの再建案を組み立てておるわけでございまして、それだけになかなか厳しい内容ではございますが、こういった姿で何とかひとつ国有林を二十年後には希望の持てるものに、ひとり立ちができるという形にしていきたい、こういうわけでございます。
  236. 芳賀貢

    芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、政府案による改善計画を策定する場合、一番先に取り上げるのは、先ほど私が同僚津川委員にもお答えしたわけですが、現在までの国有林の行ってきた人工造林の実績というものは非常に劣悪なわけですね。たとえば、二百万ヘクタールの中の四十万ヘクタールが、林野庁も言っておるとおり、不良造林地であるという烙印が押されておるわけです。こういう劣悪な造林地の状態を速やかに回復するという事業というものは、今度の改善計画の中においても第一番に取り上げて、そのおくれを正常な状態に回復させるということは、当然第一着手として計画に取り上げて行うべき点だと思いますが、その点はどう考えていますか。そういうものをたとえばどこへ入れるかということもあわせて明確にしておいてもらいたい。
  237. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 御指摘のように、国有林といたしましては、やはり造林地をいい造林地にするというのが国有林の大きな目標でもございます。また、造林地と申しますのはいろいろな機能を有しておりますから、そういう木林生産ということだけではなくて、多角的な機能が総合的、そして高度に発揮できるように、健全な森林の造成というものは私どもこれから心がけなければいけないというふうにも考えておりますし、従前からもそういうことでやってまいったつもりでもございます。  確かにいま御指摘になりましたように、厳しい自然の影響等を受けまして、一部には生育のよくない造林地も見受けられることも事実でございます。これらにつきましてはその実態に即しまして、必要な個所について効率的に適切な手段を講ずることとしてまいりたいというふうに考えておりますし、今後ともそういう形で努力してまいりたいと思っております。
  238. 芳賀貢

    芳賀委員 私が長官に聞いておるのは、長官が山のことについては一番よく詳しい、実態に通じておるということで、専門的な分野を含めて聞いておるわけですから、この四十万ヘクタールというのは林野庁が言っておるので、私は全部調査したわけではないのですよ。それが林野庁の言うがごとく不良造林地であるとしても、一部はそうであっても、全部これは改植しなければならぬというものではないと思うのです。これを正常な状態に林分を回復させるということになれば、この実施期間とか、これに要する経費というものは相当多額なものに及ぶと思うのですよ。たとえば、五十三年度の国有林造林計画はおおよそ五万二千ヘクタールでしょう。この四十万ヘクタールは五万ヘクタールずつやり直すとなると八年間かかるのですから、それをやっているうちにもう十年計画は終わるということにもなるでしょう。そういう極端な状態ではないかもしれぬが、優先的にやるということになれば、それを行う経費とか労働力とか資材費とかいろいろなものが投下されなければならぬわけだから、そういうものは毎年のいわゆる国有林野事業勘定の中において当然行うべき仕事として企業の中から資金を出してこれを優先的にやるのか。それだけやった場合に、あとやるべき仕事ができないような場合も予測されるわけです。この点は大臣にお尋ねします。  それから、一般会計から特別会計への経費導入というのは関連があってやるつもりでおるのか、それは全く無関係でありますという判断でこれを処理するつもりか、その点はどうなんですか。
  239. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 先ほど申し上げましたように、国有林の中に確かにいろいろな面で、たとえば自然の条件その他から十分な生育をしていない造林地があるということは私どもも把握いたしております。したがいまして、こういうものにつきましては適確な改善計画をつくる段階におきましても、優良造林地に向かっての手入れその他については十分計画を立てまして、先生のおっしゃいましたような形で今後いい造林地になるような努力をしてまいりますし、また、これをできるだけ早期に、優先的に対応する姿勢でございます。
  240. 芳賀貢

    芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、これを行う体制、さらにまた、毎年毎年国有林事業として当然行う事業実施体制等についてもこれは計画の中で明らかにしておく必要があると思うのです。たとえば現在、国有林野事業のそれぞれの事業について重点的に取り上げますと、立木の売り払いは、これは立ち木のまま売り払うわけだから別にそのことには問題ないですね。立木売り払い方式の当否は別ですよ。売り払い事業というのは単純なことだからこれは別に問題はないのです。ただ、国有林野事業で行っている素材生産ですね。そういう生産活動の面においてはいわゆる純粋な直営方式ですね、国有林野自身が自己の保有する労働力をもって行う事業の方式と、請負事業に付して行うという分野があるわけです。これは直営、請負で大体七、三程度の割合にいまなっていると思うのですよ。それから今度、造林関係は、地ごしらえから植林等すべてを含めての比率は直営直用が大まかに言って約三〇%ですね。請負が七割。だから、立木の素材生産の方が直営七割、請負三割ですね。造林の方はちょうどここで逆になっているのです。三、七と七、三ということになっておるのです。  こういう状態ですから、総体的に見ると請負生産とか請負事業という請負の方にもう重点が移行しているのじゃないかというような判断ができるわけなんですよ。ですから、現状においても請負に傾斜しておるこういう事業形態というものは、今日の国有林野現状というものにどういう関係があるのか、これが一番能率的な仕事でこうなっていますということになると、しかし現状は逆じゃないかということになるわけです。この比率の実態から見て長官としてはどう考えていますか。
  241. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 事業の実行形態につきましては、いま先生がおっしゃいましたように、素材生産につきましては直営が大体七七%、請負が二三%でございます。それから、造林につきましては、地ごしらえに例をとりますと直営が四六、請負が五四という形になっております。  こういう形態になっておりますのは、先生も十分御存じだと思いますけれども、就労機会が非常に少ない農山村に国有林の仕事というものは非常に多いわけでございまして、こういう場合、林は地元におきますある意味での大切なる労働の場、就労の場でもございます。そういうことで私どもといたしましても、地域の実情あるいは事業の効率性を十分勘案しながら直接雇用と請負との適切な組み合わせによることが最も望ましいというふうに考えておりますし、林政審議会の答申におきましてもそういうことにつきまして答申をいただいておりますので、今後もこのような方針で対処してまいりたいと考えております。
  242. 芳賀貢

    芳賀委員 私が指摘したいのは、特に造林に問題があるわけです。それは、請負七割の実施方式のもとにおいて今日のような国有林の人工造林状態というものがあらわれておるわけですから、この点から見るとこれがよりよい請負方式でこうなりましたということは言えないと思うのです。こういう点は、やはり今後の改善計画の中において——これだけにすべて起因するわけではありませんが、やはり今後の事業実施形態にしても、単に安上がり方式だけを追求した場合においては、造林した後の成果というものは、一体所期の目的どおりに成長発展しておるかどうかという点に非常に問題が生ずるわけでありますから、この法律が通って、最初に改善計画なるものを策定する場合に、基本方針を初めとして十分な計画の策定が必要である。ただ単にかっこうだけつけば一般会計から金が入るというような安易な、一般会計から金を取るための擬装した改善計画ということであっては何らの意味もないわけですから、そういう点については責任ある農林大臣として、こうやれば実効が上がるというような大目標と基盤の上に立って慎重に進める必要があると思うのですが、その点はどう考えていますか。
  243. 中川一郎

    中川国務大臣 いずれにいたしましても、よりよい直営、よりよい請負ということで事業執行の能率化、合理化というものをやっていかなければならない。ただ、従来からの労務関係もございますので、やはりそういった点も配慮しながらしっかりした事業というものでこの厳しい林野の再建といいますか、改善に処してまいりたい、こう思うわけでございます。
  244. 芳賀貢

    芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、国有林野事業の担い手ということになれば、長官もその一人になるが、六万人に及ぶ国有林野職員の諸君が熱意を持って事業に取り組むということでなければいけないと思うのです。そうした優秀な必要労働力の確保、あるいは労働に携わっている人たちの労働の安全、職業病認定者が三千名を超えているとか、腰痛症がまただんだんふえておるというような状態長官が一番御承知でありますし、農林大臣もこれの根絶に向かって苦慮されていることはわれわれ知っていますけれども、今後の改善計画を進める場合においても、この担い手に対する、労働力の必要量の確保あるいはまた労働安全の確保というような点については、特にそういうものは計画関係ない、一般会計から金をもらう対象にならぬから必要ないというわけにはいかないでしょう。政府の改善計画の中にそうした必要な点を掲げるお考えを十分持っておるのかどうか、その点を明確にしてもらいたいと思うのです。
  245. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 先生おっしゃいますように、仕事をやる場合には、優秀な労務の確保、そして安全ということは、これは何よりも大事なことでございます。したがいまして、私どもも今回つくることに予定されております改善計画作成の際に、改善計画計画事項の中に「事業運営の能率化に関する事項」というのがございますが、その中に生産性の向上等とあわせまして、労働安全の確保及び優秀労務の確保に関する方向づけを明確にしていきたいと考えております。
  246. 芳賀貢

    芳賀委員 いまの長官の説明は、政府案の第二条第二項第二号の「国有林野事業運営の能率化に関する事項」の中に、労働力の確保及び労働安全に関する事項というのを計画として盛り込むという意味ですね。そうですか。——では、この能率化というのは、首切りとか人員整理という意味ではないのですね。
  247. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 私どもは、首切りとかいうことは毛頭考えておりませんし、先生がおっしゃるとおりのことでございます。
  248. 芳賀貢

    芳賀委員 次にお尋ねしたい点は、これは大事な点でございますが、一般会計から国有林野事業特別会計への繰り入れで、政府案社会党案における相違点は、社会党案の場合には一号から八号までそれぞれ例示いたしまして、これこれの事業を行うに要する費用については、これを対象にして、政令をもって一定の基準あるいは範囲というものを設定して、有効に一般会計から特別会計国有林野事業勘定に繰り入れができるようにすべきであるということを例示して、実際の運営は政令にゆだねるというふうな法体制にしてあるわけでございます。政府案の場合には、単純に「改善期間において、国有林野事業に係る事業施設費で改善計画の円滑な実施に必要なものとして政令で定めるものの一部に相当する金額を、予算の定めるところにより、一般会計から国有林野事業特別会計国有林野事業勘定に繰り入れることができる。」これは全部政令に任せる、そして特別会計法の第五条のいわゆる事業施設費の枠内で処理するということになっておるので、この点はわれわれとして、どこに根拠があり、どこに内容があるのかということが全く不明であります。  この点についても、各党の協力によりまして、現在の政府案よりもやや整備される状態になるわけでございますが、この際、これは事務当局からでよろしいわけでございますが、社会党は例示しておるわけでございますが、政府当局としておおよそ予定しておる繰り入れ対象になる事業等については、現在はどれとどれを考えておる、将来はここまで拡大しなければならぬと考えておる、そういう案があれば、この際できるだけ明快にしておいてもらいたいと思います。これは事務当局からでいいです。
  249. 石川弘

    ○石川政府委員 五十三年度予算政府が予定しておりますのは造林でございますが、その中の保安林における造林費用、それから国有林野の管理経営上必要な林道の中の主要幹線というものを予定をいたしておるわけでございます。  政府案のこの立て方でございますと、事業施設費でございますので、投資的経費一般につきましてかなり広範なカバーをいたしておるわけでございますが、ここにございますように「予算の定めるところによって」定めるということと、それからここにございますように「改善計画の円滑な実施に必要なものとして政令で定めるもの」という形で一種の枠をはめてございます。  ただいま申し上げました二つの費用以外のものにつきましては、経営改善計画実施の段階で、また国有林の収支の状況等を見ながら考えていくわけでございまして、具体的にいまどの範囲まで拡大するかということを予定しているわけではございません。
  250. 芳賀貢

    芳賀委員 現在のところは二つ、あとはだんだん頭を使って考えて拡大するということですね。そうなれば、ことしは四十億円ですが、初めてだからこれは問題にしないとしても、何年たっても七十億円とか百億円で十年終わるというようなことはないと思いますが、これはどうですか。もし大蔵当局から来ていればついでに答弁してもらってもいいが、そういうみみっちいことで改善計画はうまくいくというぐあいには思わぬが、どのくらいの意欲でこれはやるつもりですか。
  251. 石川弘

    ○石川政府委員 実は林道あるいは造林にいたしましても、相当膨大な経費を使っているわけでございますが、たまたま五十三年度に積算しました積算方法によりまして、五十三年度必要なものを四十億と想定したわけでございます。これは林道造林につきましても、さらにとり方と申しますか、どういう対象の林道あるいはどういう対象の造林ということを考えますと、経費は相当膨大になり得るわけでございますけれども、そのボリューム等につきましては、経営改善の進展の状況とかあるいは国有林の収支を見ながら、毎年度の予算で決定をしていきたいと思っております。
  252. 芳賀貢

    芳賀委員 農林大臣にしても石川部長にしても、肉体的ボリュームは相当なものですね。ただ、そのボリュームにふさわしいくらいのことはやる考えでしょうね。これは大臣から所見のほどを聞いておけばいいです。
  253. 中川一郎

    中川国務大臣 スタートは、御承知のように、林道造林の基幹的なもの、あるいは保安林というようなことでスタートいたします。いま石川部長が答弁申し上げましたように、今後の改善計画の進展に応じてどうこれを処理していくか、どこまでどうしていくかということについては、やはり計画の進みぐあいと関連を持って一番いい方法をとっていきたい、こう思っておるわけでございます。
  254. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、政府が改善計画を立案した場合には、これを審議会に諮問をして、審議会の答申、意見を徴して、しかる後に政府が閣議決定をするということになっておるわけで、社会党の場合には、これに付随する別途の審議会という構想でございますが、この点は、先般、国会においても各種審議会の整理法案が通った直後ですから、これに固執するわけではありませんが、たとえば政府案ごとく、現在の林業基本法に基づく林政審議会で改善計画内容であるとか、また、必要な場合には、審議会において審議あるいは調査し、建議もできるということになっておるので、この扱いは、漠然とした林政審議会においてその審議をするのか、あるいは方法としては、審議会の中に国有林野部会であるとすればそれを設置をして、その部会が、ちょうど畜産審議会と同じように、畜産審議会は大臣も御承知のとおり、飼料部会、食肉部会、酪農部会という部会の審議の決定というものは総会の決定にかわるというような内容になって運営されておるわけでありますからして、たとえば私が言うがごとく、国有林野部会等を設置して、ここで集中的にやるというような構想に立っておるかどうか。また、その場合の構成メンバー等についても、現在は林業基本法を上げるとき、審議会の構成の中に、国有林民有林を問わず、林業労働に従事しておるその階層から代表委員を加えるべきであるということで、今日もその代表は参加しておるわけですね。ですから、部会設置というような場合には、そうした生産者代表というか、労働に従事している人たちの代表という意味で現在の審議会メンバーの中にそういう人がいるわけですから、そういう角度からも、部会構成にそれを加えて、そうして適正な改善計画の策定について審議とか答申ができるようにするのか、この点はどうですか。
  255. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 先生のおっしゃるとおりな形で私たちも考えております。
  256. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、最後の七番目でございますが、この法案にはあらわれておりませんが、社会党といたしましては、今国会に、御承知の国営分収造林法案提出しておるわけです。これは審議に供されておったわけですが、遺憾ながら、皆さん方から全然関心を持った審議に対する御発言もないままに今日に至っておるわけでございますが、いよいよ会期も残りわずかという時期でありますし、これは今度の林業関係の二法案とも密接不可分の民有林造林事業との関係がありますので、しかも、この国営分収造林の制度化の問題については、昭和四十六年に、当時の当委員会林業振興に関する特別決議を行った場合も、その六項目の中に、政府は国営分収造林についても検討を加えてその方向に向かって努力するというようなことが、当時の倉石農林大臣からも鋭意検討、努力するということになっておるわけです。毎回法案を出しても、また適切な時期に委員会審議等を通じましてこの問題の論議をしても、そのたびごとに、時の農林大臣あるいは政府当局は、十分に検討をして、そうして速やかな機会にその方針を示すということを、全くひな形ができているような形で繰り返しているわけです。仏の顔も三度ということがありますからね、やはりこの機会に、国が責任を持って行う分収造林制度、現状においては国の代行機関のような形で森林公団が、対象は民有保安林でございますが、それに対する分収造林を行っておる。あるいは県や道の林業公社が、これは国の相当額の補助というものを基礎にして分収造林を行っておる、あるいは先般成立いたしました森林組合法の中における森林組合がこの分収造林事業に参加をして一定の役割りを果たしておるということになっておりますので、現在の民有林における造林制度ということになれば、この時期において造林の画期的な実施ということになれば、やはりこの分収造林制度の問題については、政府としても、この時期に何らかの方向というものを打ち出す機会であるというように私は考えておりますので、この点についてできれば農林大臣から率直な見解を示してもらいたいと思うわけです。また、事務当局の方がいいとすれば、それは別にだれでなければならぬというわけじゃありませんが、少なくとも政府を代表しての見解をこの際明らかにしておいてもらいたいと思います。
  257. 石川弘

    ○石川政府委員 国営分収造林につきましては、再度の御提案でございまして、今回の御提案の際にも、主として森林組合等の地元の労働力を活用してこれを進めたいというようなお話もございました。再々にわたりまして検討いたしておりましたけれども、今回、こういう国有林経営改善につきまして林政審議会等にも諮りまして経営改善のあり方を論議する場ができておりますので、その際、この問題につきましても、あわせて林政審議会の御意見を聞いて検討を深めたいと考えております。
  258. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは最後に、締めくくり質問の意味もありますので大臣に申しますが、今回、政府提案に係るものと社会党提出法案につきまして、各党の立場からも、できるだけりっぱな法案をこの際成立させるべきであるということで、それぞれ協力をされまして、後で修正案等が提出されるわけでございますが、政府案に対しては相当内容の充実改善を加える、そういう期待できる修正を行うということに各党の意見が一致したわけです。社会党としては、独自の法案提出して、それを実現したいという熱意に変わりはございませんが、大事な時期でありますからして、この法案についても各党の協力によって内容を大きく充実させるということが実現するに至ったことに対しては、社会党提案者の私の立場からも、一言その点について発言をいたしまして、これに対しても大臣として十分な配慮をしておいてもらいたいと思います。何か意見があれば……。
  259. 中川一郎

    中川国務大臣 今日の国有林野に対して何とかしたいという気持ちから政府提案と、また社会党芳賀先生外の御提案もございます。いずれもりっぱな案だとは思いますが、私どもとしては政府案をもってこのむずかしさを乗り切りたいということでございます。ただ、当委員会において、さらによりよくするためにいろいろ御提案がございますならば、社会党案の中にある一部でありましょうとも、よりよきものであるならば、私も、これを受け入れてよりよいものにすることについては、いささかも反対はしない、気持ちよく、よりよいものにして、しっかりした山づくり、しっかりした国有林野というものをやっていきたい、こう思っておる次第でございます。
  260. 芳賀貢

    芳賀委員 以上をもって私の質問を終わります。
  261. 中尾栄一

  262. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 国有林野事業改善特別措置法案について、農林大臣に質問いたします。  昨日、農林大臣並びに林野庁長官質問いたしたわけでございますが、質問の途中で農林大臣が所用のため退席されましたので、保留した十数点の中から四点にしぼって、最終的に所信を承りたいと思います。  まず第一点は、国有林野事業が赤字を生ずるに至った原因は、経営基本方針等が誤りであったという猛省の上に立って経営の改善が図られなければならないが、この反省に基づいて、開かれた国有林としての長期ビジョンの確立が必要であると私は考えるわけでございますが、二十年後の国有林の姿をどう考えているか、本法を提案した農林大臣としてまず明らかにしていただきたい。
  263. 中川一郎

    中川国務大臣 国有林の今日の事態は経営に問題があったということには反論はいたしません。経営にも確かに反省すべき点はありましたが、それ以外にも公的機能の強化あるいはまた最近の木材価格の低迷あるいは伐採量の縮小、こういう幾つかのことが重なって今日の事態となりました。  木材は息の長いものでございますので、二十年かかりますが、二十年後の昭和七十二年には健全なものになってひとり立ちできるというビジョンを打ち立ててやっていきたいというのが今回お願いしておる法案の趣旨でございますし、われわれもその趣旨に従って努力をいたしたいと思います。
  264. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣、この国有林野の赤字、これをあなたは、最大の原因は何であるか、どういうふうに認識されるか、その点をひとつ明確に、端的にお答えください。
  265. 中川一郎

    中川国務大臣 一つというわけじゃなくて多くのものの重なった総合的なあれであって、どれが悪かったからこうだと言い得るものではない、こう思います。
  266. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣はこっちを見て答えてください。傍聴席を見て答えずに、ひとつ勇気ある発言をしていただきたいと思うわけです。私も正論を吐いて、改善期間十年間、私が提案しましたように、昭和六十二年から七十二年までの間を改善目標達成期間と、こういうふうに名づけて、二十年間のいわゆる改善をするわけです。国有林野の中で人工林が二百二十万ヘクタールありますが、その中の七〇%が若齢林でございますから、二十年後には黒字に転換というようなことで計画を立てておられるわけですけれども、十分反省の上に立って計画を進めなければ、私はこの計画はまた机上の、いわゆる画餅になる、こういうふうに思っております。そういう点で猛省をしていただきたいということを最初に申し上げるわけでございます。  次に、国有林野事業の組織機構の再編整備に当っては、関係市町村並びに地域関係者の要望等を十分に考慮して国有林野事業が機能を低下しないよう配慮するとともに、地元関係者等に対するサービスの低下を招くようなことがないように十分対処していただきたいと思うが、この点については、農林大臣はどうお考えでございますか。
  267. 中川一郎

    中川国務大臣 これはまさに御指摘のとおり、十分対処してまいりたいと存じます。
  268. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、国有林野事業運営について農林大臣に伺いますが、国有林においては、先日来質問してまいりましたように、森林組合とか、また関係木材加工業者等の林業関係事業体の健全な育成発展に努めていただかなければなりません。地域における国有林野の活用に関する各種の需要の動向に応じて国有林野の適切な活用を図るべきであります。また、国有林野の活用については活用法もございますが、もっと国民に開かれた活用をするように最大努力をしていただきたいと思いますが、この点について大臣の所信を承っておきたい。
  269. 中川一郎

    中川国務大臣 これも全く御指摘のとおりでございまして、最大の努力を払っていきたいと存じます。
  270. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 最後に、本法提案に当たりまして、農山村においては国有林野は重要な就労の場となっております。そこで、直接間接に就労機会の計画的な提供を通じていわゆる雇用不安をなくするように、さらには優秀な労働力の確保と定着が図られるように努めていただかなければなりません。林業労働災害が最近は著しく問題にもなっておりますし、振動障害等の職業病が発生して、これまた大変社会問題になっておることも御承知のとおりであります。こういった問題についても積極的な対策を講じていただきたいと思うのですが、この点について大臣はどういうふうに対策を講じられるのか、明らかにしていただきたい。
  271. 中川一郎

    中川国務大臣 御指摘の問題については今日までも相当やってきたつもりでありますが、さらに一段と御指摘の点について改善を図って対処してまいりたい、こう思います。
  272. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 以上で大臣に対する質問は終わりますが、本法提案に当たりまして、国有林野の赤字解消のために二十年の期間をもっていよいよスタートするわけでございますけれども、くれぐれも開かれた国有林として、昨日来数回にわたって質問してまいりましたが、十分ひとつ国民の期待にこたえる国有林計画が進められるように、また今後の借入金にしても、来年度以降におけるいわゆる一般会計から特別会計に補てんする金額にしても、予算にしても、積極的に対処されて、ひとつ国民の期待にこたえられる国有林発展するように、最後に要求と願望を申し上げまして私の総括的な質問を終わりたいと思います。
  273. 中尾栄一

    中尾委員長 これにて内閣提出国有林野事業改善特別措置法案に対する質疑は終了いたしました。
  274. 中尾栄一

    中尾委員長 この際、本案に対し、馬場昇君外四名から、自由民主党、日本社会党、公明党国民会議、民社党及び新自由クラブの共同提案に係る修正案が提出されております。  修正案について、提出者から趣旨の説明を求めます。馬場昇君。     —————————————  国有林野事業改善特別措置法案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  275. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党及び新自由クラブを代表して、国有林野事業改善特別措置法案に対する修正案の趣旨を御説明申し上げます。  修正案はお手元に配付してありますが、その案文を朗読いたします。  以上が修正案であります。  以下、修正の趣旨を簡単に申し上げます。  修正の第一点は、改善計画の趣旨について、昭和七十二年度までに国有林野事業経営再建を図るためにその健全性を確立することを目標とし、これに必要な基本的条件の整備を図ることとしたものであります。それは広い視野と長期的展望に立った特別の措置を講ずることにより、国民経済及び国民生活における国有林の使命を達成する必要があります。そのため、原案における趣旨に対し、これを補強せんとするものであります。  第二点は、改善計画の事項について「国有林野事業における造林及び林道の開設その他林業生産基盤の整備に関する事項」を加え、林業生産基盤整備のおくれを回復することを目的として、改善の具体的な重要な点として明示したものであります。  第三点は、一般会計から国有林野事業特別会計への繰り入れについて、国有林経営の改善とともに、地域の産業の振興または住民の福祉の向上に寄与することとなる林道費等の繰り入れ対象を明らかにするため「国有林野の管理経営上重要な林道の開設に要する経費その他の国有林野事業に係る事業施設費」とすることであります。  第四点は、附則に、第二条一項の修正の趣旨を踏まえて、政府は、改善期間において、改善計画実施の状況及び国有林野事業の収支の状況について検討を加え、その結果に基づいて、目標達成のため、さらに国有林野事業の改善を図るために必要な措置を講ずるものとする旨の規定を追加することであります。  第五点は、施行期日を「公布の日」に改めることであります。  以上が修正の内容及び趣旨であります。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
  276. 中尾栄一

    中尾委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  277. 中尾栄一

    中尾委員長 修正案に対して別段御発言もないようでありますので、原案並びに修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、これより内閣提出国有林野事業改善特例措置法案について採決いたします。  まず、馬場昇君外四名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  278. 中尾栄一

    中尾委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  279. 中尾栄一

    中尾委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  280. 中尾栄一

    中尾委員長 この際、本案に対し、瀬野栄次郎君外五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブの共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。瀬野栄次郎君。
  281. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表して、国有林野事業改善特別措置法案に対する附帯決議案について、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     国有林野事業改善特別措置法案に対する附帯決議(案)   国有林野及び国有林野事業は、国民生活の向上及び国民経済発展を図る上で重要な役割を果たしてきているが、最近におけるその運営状況については幾多の困難な問題が生じている。   よつて政府は、本法の施行を契機として広い視野からの長期的展望に立つて、国有林野における森林資源の充実整備を図りつつ、昭和七十二年度までに国有林野事業経営の健全性を確立することを目標とし、当面はその目標達成のためさらに必要な措置及び適正な事業運営体制の整備に努め、もつて国有林野及び国有林野事業がその課せられた役割を十分に発揮できるようにすることを旨として、左記事項について適切な措置を講ずべきである。     記 一 国有林野事業に係る組織機構の再編整備に当たつては、地域関係者の要望等を踏まえつつ、国有林野事業の機能低下、地元関係者等に対するサービスの低下を招くような事態が生ずることのないよう十分配慮すること。 二 国有林野における公益的機能の一層の充実及び造林林道の開設等生産基盤の整備の促進を図るため、民有林に関する助成措置を勘案しつつ、一般会計からの繰入れ及び資金の借入れによる財政上の援助措置を積極的に講ずること。 三 国有林野事業運営に当たつては、地域の実情に即して、森林組合、関連木材加工業者等の林業関係事業体の健全な育成発展に資するよう努めるとともに、地域における国有林野の活用に関する各種の需要の動向に応じて国有林野の適切な活用が図られるよう十分配慮すること。 四 農山村においては、国有林野が重要な就労の場となつていることにかんがみ、直接的、間接的に就労機会の計画的な提供を通じて優秀な労働力の確保、定着が図られるよう努めるとともに、林業労働災害及び振動障害等の職業病の発生防止のための措置をさらに積極的に講ずること。 五 林政審議会に国有林野部会を設け、国有林野事業の改善に関する計画の作成等について所要の調査審議を行わせるよう措置すること。 六 政府は、国有林野事業の改善に関する計画を定めた場合には、これを公表するとともに、毎年度国会に対し提出される林業の動向に関する年次報告において、改善計画実施状況を明らかにするよう措置すること。   右決議する。  以上の附帯決議案の趣旨につきましては、すでに質疑の過程で十分論議されており、委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願いいたします。(拍手)
  282. 中尾栄一

    中尾委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議に対し、別に御発言もありませんので、直ちに採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  283. 中尾栄一

    中尾委員長 起立総員。よって、動議のごとく決しました。  この際、ただいまの附帯決議について政府より所信を求めます。中川農林大臣
  284. 中川一郎

    中川国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重し、善処してまいる所存であります。(拍手)     —————————————
  285. 中尾栄一

    中尾委員長 なお、本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  286. 中尾栄一

    中尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  287. 中尾栄一

    中尾委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後九時十八分散会      ————◇—————