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1978-05-10 第84回国会 衆議院 農林水産委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月十日(水曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 中尾 栄一君    理事 片岡 清一君 理事 羽田  孜君    理事 林  義郎君 理事 山崎平八郎君    理事 竹内  猛君 理事 馬場  昇君    理事 瀬野栄次郎君 理事 稲富 稜人君       江藤 隆美君    金子 岩三君       久野 忠治君    倉成  正君       國場 幸昌君    佐藤  隆君       玉沢徳一郎君    福島 譲二君       堀之内久男君    森   清君       森田 欽二君    小川 国彦君       角屋堅次郎君    柴田 健治君       島田 琢郎君    新盛 辰雄君       野坂 浩賢君    芳賀  貢君       松沢 俊昭君    武田 一夫君       吉浦 忠治君    神田  厚君       津川 武一君    菊池福治郎君  出席国務大臣         農 林 大 臣 中川 一郎君  出席政府委員         農林政務次官  今井  勇君         農林大臣官房長 松本 作衞君         林野庁長官   藍原 義邦君         林野庁林政部長 石川  弘君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      宍倉 宗夫君         林野庁指導部長 須藤 徹男君         林野庁業務部長 秋山 智英君         労働省職業安定         局失業対策部企         画課長     小野 進一君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 五月九日  水産庁に釣り人課新設に関する請願(稻葉修君  紹介)(第四二九八号)  商社養鶏インテグレーション進出阻止に関する  請願山口敏夫紹介)(第四二九九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国有林野事業改善特別措置法案内閣提出第一  九号)  国有林野事業再建整備特別措置法案芳賀貢君  外十二名提出衆法第二号)      ————◇—————
  2. 中尾栄一

    中尾委員長 これより会議を開きます。  内閣提出国有林野事業改善特別措置法案及び芳賀貢君外十二名提出国有林野事業再建整備特別措置法案の両案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。瀬野栄次郎君。
  3. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 国有林野事業改善特別措置法案について、農林大臣林野庁長官並びに大蔵省当局質問いたします。  本法第二条には、「農林水産大臣は、昭和七十二年度までに国有林野事業収支均衡を回復する等その経営健全性を確立するために必要な基本的条件整備昭和六十二年度までに完了することを旨として、昭和五十三年度以降十年間(以下「改善期間」という。)における国有林野事業改善に関する計画(以下「改善計画」という。)を定め、これに従って国有林野事業運営するものとする。」と規定し、二項に「改善計画は、次の事項について定めるものとする。」として五つの事項が定めてありますが、この改善計画内容についてまず冒頭明らかにしていただきたい。    〔委員長退席山崎(平)委員長代理着席
  4. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま御指摘になりました特別措置法案の二条に基づきます改善計画内容につきましては、これは関係行政機関の長と協議をすることになっておりますし、また林政審議会の意見も徴することに定めておりますので、いまのところ確定したものではございませんけれども、農林省といたしましては、大体いまの事務的な詰めの段階で、申し上げるようなことを考えております。  第一の、事業運営基本方針でございますが、これにつきましては、国有林野事業使命と今日の国有林野事業運営状況、こういうものに対処いたしました自主的な改善努力財政措置必要性というもの、それから国有林野事業使命の根幹と考えられます森林資源整備目標、こういうものを第一の事業運営基本方針に挙げてみたらどうであろうかというふうに考えております。  それから二番目の、事業運営能率化に関する事項でございますが、これにつきましては、立木販売素材販売選択あり方、この問題、それから企業的能率性に即しました現場作業の遂行、こういう問題、それから新技術開発導入によります生産性向上及び労働安全性確保、さらには職務意欲向上優秀労務確保、それから全体といたしまして、関連事業についての見通し、こういうものを二項に挙げていく。  それから三番目の、経営管理適正化に関する事項につきましては、事務処理改善合理化事業規模対応いたします要員規模適正化、それから組織機構整備改善、こういうものを挙げていってはどうかというふうに考えております。  それから収入確保に関する事項でございますが、これにつきましては、立木販売素材販売がございますが、この販売形態選択あり方及び関連産業近代化施策推進、そしてこれに応じました販売改善、こういうものと、それから不用資産公共用あるいは農用地等への有効活用、こういう問題を収入確保に関する事項で検討していったらどうだろうというふうに考えております。  最後の、その他国有林野事業改善に関し必要な事項につきましては、国民の理解と協力の確保に努めるような問題、その他につきまして、ここで整理していったらどうかというふうに考えておる次第でございます。
  5. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 林野庁長官から、改善計画についていろいろ御答弁いただきましたが、第二条では、昭和五十三年度以降十年間を改善期間としておるわけでございまして、昭和六十二年から七十二年までの十年間というものは、大きな意味で言えば改善期間ということになりますけれども、厳密には昭和五十三年度から十年間が改善期間ということでございます。  そこで私は、法には規定してはございませんけれども昭和六十二年から七十二年に至る後半のいわゆる十年間というものを改善目標達成期間、こういうようなことにすると、いろいろ法案質問に当たっても、説明を聞くについても便宜である、こういうふうに実は思っておるわけですけれども、これらについてはどこを見ても触れてはございませんが、仮に、質問する立場から、後半のこの十年間を改善目標達成期間というふうにしたらば質問説明もしやすいのではないか、こう思っておるのですが、この点について、後々関連してきますので、冒頭提案申し上げたいが、林野庁長官はこれについてはどういうふうに見解をお持ちであるか、お答えをいただきたい。
  6. 藍原義邦

    藍原政府委員 先生が非常に前向きの御提案でございますが、私どもも、二十年間のうちに国有林が健全なものになるように、十年間を改善期間といたしまして、その間に鋭意その基盤を築くということにいたしておりますので、考え方としては全く先生のお考え方と同じでございます。
  7. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 国有林野事業赤字の問題でございますけれども本法審議当たりまして、まず政府当局原因についてはどういうふうに把握しておられるか、詳細御説明をいただきたいと思う。
  8. 藍原義邦

    藍原政府委員 赤字の問題につきましてはいろいろあろうかと思いますけれども、これを、損益計算上の損失発生とそれから現金収支上の資金不足という二つの側面からとらえてみますと、損益計算上の損失発生の理由といたしましては、まず収入面でございますけれども、これは森林の持っております公益的機能維持やあるいは資源賦存状況から、伐採量限界があるという問題が一つございますが、これに加えまして、一般的な問題ではございますけれども木材需給構造変化によりまして材価がきわめて低迷しておるというものがございます。それから費用の面では、管理部門の相対的な肥大化を含めまして、人件費が非常に増大、固定化しておるという大きな問題が一つございます。それから、あわせまして森林公益的機能維持向上のための諸経費増高という問題もあるというふうに私ども判断いたしております。  それから現金収支上の資金不足の問題でございますけれども、これは国有林資源状況等によります。伐採量関係いたしました収入の制約のもとで、森林資源の再生産確保するために必要な造林あるいは林道といったようなこういう投資活動維持していくために生じているというふうにわれわれは考えております。  こういう二つの、現金収支の問題とそれから損益計算上の問題から、国有林の現在の財政状況というものが現状のような形になっておるわけでございますので、私どもは、五十一年度以降長期の借入金の導入を図っておりますし、また、五十三年度におきましてはその一層の拡充を図るということを考えまして、ただいま御審議いただいております法案が成立いたしますれば、それに基づきまして一般会計からの繰り入れということを予定しておる次第でございます。
  9. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 林野庁長官からいま答弁がございました中で、政府から提出されました参考資料の中にもいろいろ赤字の試算が出されておりますが、国民にわかりやすく説明するためにも、現在国有林赤字は幾らになっているか、どういう現況であるかということをさらにひとつ追加して御説明をいただきたいと思います。
  10. 藍原義邦

    藍原政府委員 まず五十二年度でございますけれども、これも最終的な見込みでございますが、現金収支におきまして八百十六億、それから損益におきまして八百六十七億の損になっております。  それから五十三年、これは予算上でございますが、現金収支で千十億の支出超過でございますし、それから損益におきましては七百五十九億の損失でございます。
  11. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 さらに、先ほど赤字原因説明いただきました一番の二項目で、費用面では、人件費増大が固定化し、労働生産性の低下のほか、森林公益的機能維持向上のための諸経費増高があること等によるものと考えるというような御答弁がございましたが、今後、治山事業にしてもますますこれは増大していくことは言うまでもありませんし、伐採経費についても、当然これは人件費が高くなる関係から、上がることも否めない事実であります。なお林野庁としても、皆伐面積は小さくなってまいりますし、コストは上がってくる。また、伐採についても、従来よりもさらに作業を丁寧にしていかなければならぬというようなことも起きてくるわけでございます。そういったことになってくると思っておりますけれども、こういう点については今後どういうふうにお考えであるか。ますます赤字が出るというような厳しい面が考えられるわけですけれども、まずこの点もお答えをいただきたいと思います。
  12. 藍原義邦

    藍原政府委員 先ほど申し上げましたように、管理部門が非常に肥大化しておるというような問題がございます。これにつきましては、私どもといたしましても、高齢者の退職の促進あるいは新規採用の抑制という形で人員の削減を考え、人件費の減を図っていきたいというふうに考えておりますし、また、伐採面積等の御指摘もございましたが、これはやはり公益的な機能の発揮という面から、森林の持ちますいろいろな機能を発揮するためにも、ただいまやっております新しい制度という形の中で伐採面積は縮小の方向をとっておりますし、その決められた考え方のもとに従って伐採面積を厳しくしながら、そのかわり生産性向上という問題につきましては、新技術開発あるいは作業仕組みのいろいろな改善等々を図ってまいりたいというふうに考えております。あわせまして収入の面におきましても、販売改善合理化ということを図って、一方収入の面の増加ということに努力してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  13. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 国有林野事業赤字原因についてはいろいろ指摘する点が多いわけですけれども政府提出した資料等を見ましても、今後のためにもこれは十分反省が必要だという意味から、私はあえて申し上げるわけですが、伐採量状況を見ましても、昭和四十五年度を一〇〇としまして昭和五十一年度においては七六という指数になっておりまして、二四%の減ということになっております。販売価格面を見ましても、国有林丸太の実績でございますが、これも低迷をしておる関係もございますが、四十五年度を一〇〇としましても五十一年度が二二〇という指数になっておるし、賃金の単価の上昇等を見ましても、昭和四十五年度定員内のいわゆるネクタイ組と言われておりますものの指数は五十一年度が二四三%、定員外のA、すなわち常用作業員プラス定期作業員でございますが、これは五十一年度が三四三%、さらに定員外B、これは常用作業員プラス定期作業員それに臨時作業員ということになりますが、五十一年度では三五四%、かなり上がっておる。また間接部門を見ましても、定員内職員の人数は相対的に肥大化をしておりまして、昭和四十五年を一〇〇としましても五十一年が九二、これはマイナス八%。また一人一日当たり作業量、すなわち丸太生産ですけれども昭和四十五年度を一〇〇としましても五十一年は八五、こういうように一人当たり作業量が減っております。  ほかにもいろいろデータはありますが、こういったことを見ましてもかなり財政事情が悪化した原因が数字的にもはっきりしてきている、こういうふうに私は本法審議に当たって指摘せざるを得ません。  こういったことを踏まえまして、政府としてはまた林野庁長官としては、この国有林野事業赤字というものが、先ほどからるる申し上げましたが、根本的には経営基本方針が誤りだった、私は一言にしてこう指摘せざるを得ないのですけれども、これに対する反省はどういうふうにしておられるか。いわゆる反省がなかったならば今後の経営改善も成り立たない、こういう意味であえて私は聞くわけでございます。
  14. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま先生から国有林のいろいろな事業につきましてのここ数年の移り変わりと申しますか、推移についてるる御指摘があったわけでございます。私どもも、こういう伐採量の減、逆に人件費の増等々、いろいろな問題について十分その辺の分析をし、これからの対応をしていかなければいけないというようには考えております。  そこで、こういうような事態を生じたことにつきましては、反面、いま申し上げましたような構造的な問題と同時に、経済変動の問題あるいは木材需給構造変化、こういう他動的な要因による面もあるのではなかろうかというふうにわれわれは考えておりますけれども、やはり国有林野事業運営管理当たります主体的な条件としての適切な対応、こういうものが不足する面があったということは私どもも否めないところではなかろうかというふうに考えております。  このような反省に立ちまして、国有林野事業を国の経営企業として、自主的な改善努力基本といたしました国有林野事業改善計画にこれから取り組もうということで、この法案提案している次第でございまして、私どもも、重々過去のいろいろな問題、経緯等を分析いたしまして、今後国有林改善を目指して鋭意邁進していこうという決意でございます。
  15. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 ぜひひとつただいまの決意で今後の改善計画を進めるということにしていただきたいと思うのです。  そこで、ただいまもいろいろ反省の上に立った答弁がございましたが、昭和四十八年以降採用されておりますところの、従来の大皆伐面積から小面積分散皆伐ということになってきたわけです。この辺は林野庁姿勢を転換されたということは十分承知いたしております。さらに保護樹帯の設置をしたり、既皆伐跡地のいわゆる隣接地を連続して皆伐する場合の間断期間の設定など、きめの細かい施業を定めた新たな森林施業法の実施によりまして、従来よりは自然環境保全等要請に配慮されるようになったことも十分承知してはおりますが、こういったことについては、いわゆる自然保護団体初め国民からの批判もまだまだ強いところでございまして、不十分なことは言うまでもございません。  そこで、国有林を立て直すには、これまでの政策に対するただいま申し上げた反省の上に立って、今後二十年間に国有林野事業経営健全性を確立するということでございますから、それでは一体二十年後の国有林の姿というものはどういうことになるのかということも本法審議に当たっては冒頭明らかにすべき問題である、かように思うわけでございます。  すなわち、冒頭申し上げましたように、本法において昭和五十三年から十年間を改善期間昭和六十二年から七十二年に至る十年間を私が提案しましたごとく改善目標達成期間、こういうようにした場合に、果たして二十年後に改善目標が達成できるのか、かように私は申し上げたい。そういった意味で二十年後はどういうことになるのか。現在若齢林が七〇%ばかりあるわけですが、二十年後にはそれがいわゆる適正伐期齢級に達するということもあって、かなり黒字に転換するというようなことも考えられるわけですから、その辺も含めてどういうように見ておられるのか、このことを林野庁としては冒頭明らかにしておいていただきたいと思います。
  16. 今井勇

    今井政府委員 先生お説のとおり、この十年間改善計画をつくりましてそれを実行するということで、まず収支均衡を図る、また事業規模に合いました体制で生産性の高い事業運営を行うということなどを通じまして、独立採算国営企業にふさわしい経営を実現したいと考えております。そして適正な事業運営が確立されますれば、伐採量昭和六十年代の終わりから七十年代にかけまして回復増加することとあわせまして、二十年後には、人工造林化の着実な進展に伴いまして旺盛な成長量を持つ新生人工林が加わり、森林蓄積がさらに充実されること、また、昭和五十年代後半には、昭和三十年代後半以降に植栽されました人工林が旺盛な成長を行う時期となりますので、成長量伐採量を大きく上回るということなどによりまして、活力のある健全な森林となるように私どもは考えておるものでございます。
  17. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 ただいま答弁がございましたが、二十年後は、端的に言いまして成長量伐採量を上回るということのようですが、ぜひそうなってもらいたいわけです。またそうならなければ改善する意味がないわけですけれども、言うはやすくなかなか実際は伴わないというのが事実であります。また、将来のことでありますので将来を見通してだれもそれを予測することはできませんけれども、ぜひともそういうふうに成長量伐採量を上回るような状態に持っていくということで努力していただきたいと思うのです。これにはいろいろ大変困難が伴うことも私たち承知しておりますけれども、ここで二十年後のことをいろいろ論議してみたときにまたどうかと思いますので、それはさておくとして、最大努力をすべきである、かように思うわけです。  そこで、さらに私は、この機会国有林経営反省として申し上げておきたいわけですけれども、一時的に伐採量をふやすためにどうしても人員をふやさねばならぬということは過去にあったわけでございます。現在は、先ほどから答弁がございましたように、小皆伐面積伐採というようなことを取り入れまして伐採量が少なくなってきたので、人がだんだん要らなくなってきたという現状もうなずけるところでございます。過去の大東亜戦争の戦中、戦後のような過伐、乱伐というようなことはもう今後はあり得ないことでございますけれども、実際にこういった問題は異例のことではございますが、こういったことは別として、今後林野庁あり方としては、経済社会情勢の変わるときに、すなわち短期的な情勢変化事業量をふやしたり人をふやすというようなことは、これは十分注意していかなければならぬ問題である、かように指摘するわけでございます。国有林情勢が変わっても一定の変わらぬ方針でいくべきである、世の中が変わっても簡単に経営方針を変えぬという不抜の経営姿勢があるべきではないか、かように思うわけでございます。いままでの経営は余りにも経済社会情勢に即応し過ぎたと私は言えるのではないかと思うのです。これは特別な場合は異例のこととして私もわかるわけでございますけれども、実際にそういったこと以外は国有林経営というものは一貫性を持ってやるべきである、かようにかねがねから考えております。この機会にあえて申し上げるわけですけれども、国が持っている森林である国有林は、多少世の中が変わっても千古不易の経営姿勢を堅持すべきである、こういったことを言いたいわけです。  今後二十年間の改善期間が設けられていくわけですが、そうしなければまた過去の例を繰り返し、そしていわゆる国有林野経営の総予算の中の七〇%を人件費で占めるというようなことになったのでは、残り三〇%で国民の期待にこたえる事業運営をするということでは今後に大変問題を残す。莫大な赤字を抱えている代表として、国鉄、健保、米の三K、並びに国債、国有林を加えて五Kということが言われますが、まさにそのそしりを国民から受けるのも当然であると思います。そういったことについて、国有林として今後どういうふうに反省し対処していくか、そうした一貫したところの政策を堅持すべきだということについてどういう決意で今回の法案提案に及んだのか、これも冒頭明らかにしていただきたい、かように思うわけです。
  18. 今井勇

    今井政府委員 運営基本はまさに先生のお説のとおりでございます。申すまでもなく、国有林野事業といいますのは、国民共同の財産であります国有林経営管理を通じまして、木材資源の供給というような国民要請、あるいはまた国土保全といった公益的な機能というものに可能な限り対応していく責務があろうと思います。  しかしながら、国有林野事業というのは、先生御案内のとおり、生産期間の非常に長い林業を営んでおりますから、経営弾力性にはおのずから限界があるわけでございます。したがいまして、非常に短期的な経済変動というのにはこれは非常に対応しがたい面がございます。したがいまして、国民的の合意を得ながら、しかも森林資源維持培養長期展望に立ちまして慎重な運営を行っていく必要があろう、このように考えておりまして、先生のお説のとおり慎重なしかも大胆な運営をやってまいりたいと考えております。
  19. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 過日審議しました森林組合法法案の際も申し上げましたし、過去に何回も申し上げてまいりましたが、たとえば昨年のように、九州、四国においてはいわゆるヒノキの増伐のために民間材が大変低落して困りました。また秋田杉国有林伐採によって民間の材が相当影響を受けたことは指摘してまいったとおりでございますが、そういった点についても、国有林経営が苦しい関係からいわゆるバランスを崩すような伐採が行われますと、どうしても民間材に対して圧迫を与えるということが起きるわけです。まあ部分的にはやむを得ない場合もあろうかと思いますけれども、結果的には国有林もいわゆる木材低迷によってかなり厳しい材価に苦しめられたという結果が起きました。こういうことも今後十分注意して伐採を考えていただかねばならぬ、かように思うわけでございまして、そういった点については、国有林赤字というのが念頭にあればどうしてもそういった伐採量にすぐ影響してくるということになるわけです。国有林は、御存じのように最大収入源というのは立木の処分にあるわけでございますから、その点を十分配慮に入れていかなければ、今後二十年間の改善期間を設けても無意味なことである、こういうふうにも私は思うわけでございまして、そういった点についても慎重な今後の施業計画によって推進を図ってもらいたい、かように思うわけであります。去年のヒノキ、杉の伐採についてのいわゆる反省の上に立って、改めて私は国有林に警告を発しておくわけですが、林野庁長官、その点も十分踏まえて対処してもらいたいと思うが、あなたの決意をひとつこの機会に改めて伺っておきたい、かように思います。
  20. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま先生から九州のヒノキあるいは秋田の杉につきましての御指摘がありましたが、総体的に国有林の現在の販売量は国の需要量の一割程度でございますから、全体を左右する力は持っていないというふうに考えておりますけれども、御指摘になりましたような一部の地域におきましては、やはり国有林材が相当シェアを占めておるという観点から、そういう問題も昨年発生したことは私ども十分承知いたしております。したがいまして、今後は全体的な把握の上に立ちまして国有林販売等々を実行してまいりますが、あわせまして、そういうミクロな地域的な問題につきましても十分配慮をしながら対応してまいりたいというふうに考えております。
  21. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 大蔵省にお伺いいたします。  国有林野事業改善特別措置法の提案当たりまして、本法第一条において趣旨を規定し、第二条においては改善計画を定めているが、いかなる認識のもとに検討をされて本法提案に及ばれたか、その点大蔵省から一言見解を承っておきたいというように思います。
  22. 宍倉宗夫

    ○宍倉説明員 お答えいたします。  国有林野事業は、御承知のとおり、独立採算を原則としてやってまいる事業でございます。しかるに、先ほどから御議論ございましたように、最近におきましては毎年赤字が続きまして、五十三年度には累積欠損が初めて生ずるような事態になるだろうというようなことになっております。したがいまして、私どもといたしましては、一日も早く国有林野事業が、本来の姿でございます独立採算という形で、企業的かつ能率的な事業運営ができますことを確保する必要があろうかと考えております。  先ほど来御議論ございましたように、その赤字原因はいろいろございますけれども、構造的な問題がかなりのウエートを占めております。したがいまして、なるべく早く構造的な赤字原因を除去いたしまして、健全な経営ができますように体質改善をする必要がある。それにつきましては、一般会計といたしましては、本来のたてまえでございます独立採算は守りながら、しかし補完的な立場から国有林野事業に対しまして、基幹的な施設整備につきまして援助をしていこう、こういうことを考えまして、この法案を農林省とよく御相談申し上げた次第でございます。
  23. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 大蔵省の宍倉主計官からの答弁をいただきましたが、一応大蔵省の見解を公式に承っておくことといたしまして、次に、林野庁長官に引き続き質問をしてまいります。  当面する林政の問題で、これまた本法審議に当たってお伺いしておかねばならぬ問題でございますが、まず最初に、今後における木材の需要の見通しというものはどういうふうに考えておられるか、どういう木材の需要の見通しの上に立って本法提案し、今後の改善計画を立てていかれるのか、その点お答えをいただきたいと思う。
  24. 藍原義邦

    藍原政府委員 今後の木材の需要の見通しでございますけれども、さしずめ五十三年度の問題でございますが、まず五十三年度の問題につきましては、三月の末に木材需給対策中央協議会というのがございますが、そこにおきまして、関係者が寄りまして五十三年度の木材の見通しを策定いたしました。この五十三年度の見通しにつきましては、まず、木材需要は住宅投資が中心になりますけれども、その中でも民間住宅投資に非常に規定されるところが大きいわけでございますが、公共事業増大あるいは住宅対策の充実、こういう問題等を考慮いたしまして、前年度実績を見込みまして、その見込みに対しまして大体一・三%上回る一億三百九十万立方メートルを現段階におきます五十三年度の木材の総需要量として見通しております。  それから、長期の見通しにつきましては、四十八年の二月に閣議決定されました「重要な林産物の需要及び供給に関する長期の見通し」というものがございます。これによりますと、一応は昭和五十六年度の総需要量は一億三千四百八十万立方メートルというふうになっておりまして、六十六年度には一億四千七百三十万立方メートルというふうに見通されております。  しかし、これはたまたま四十八年というわが国の経済成長がピークになりました時期に策定をいたしました関係で、その後経済が非常に停滞いたしておりますし、安定成長への移行というようなこともあって、大きな経済変動がございます。そういうことで、五十一年におきます用材の総需要量というものは、その実績がこの時点に対応いたします見通しの推計値に比較いたしまして約一三%落ち込んでおります。この長期の見通しと現実の需要との乖離が生じておりますことにつきまして、こういう現状でございますので、単に短期的な実績と比較するということではなくて、これからのわが国の経済の推移の方向というものを十分見きわめまして、ただいま申し上げました、四十八年に策定いたしました長期の見通しにつきまして、関係方面の各界の意見を聞きながら、ただいま所要の検討を進めていくつもりでおります。
  25. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 次いで、国産材供給体制の整備というものはどういうふうにお考えですか。
  26. 藍原義邦

    藍原政府委員 御存じのとおり、木材というものは国民生活に不可欠な資材でございますし、そのために木材の安定的な供給というものを図っていかなければいけないというふうに考えております。  ただいま日本全体を見ますと、かつては木材が非常に不足物資であるという時代が長く続いたわけでございますけれども、現時点では非常に緩和基調になっておるという、その原因を見ますと、国産材がなかなか現時点、森林の賦存状況から生産できないというのに引きかえまして、外材がある意味で入ってくるということからこういう状況になっている面もございます。しかしながら、当分の間、日本の木材需要を賄うためにはやはり外材に依存せざるを得ないという事態がまだ当分続くわけでございますし、そういう意味からも、外材の適正な輸入というものをまず確保していくことが、国産材の供給体制の整備に対しましてもまず何よりも必要ではなかろうかというふうに考えておりますし、こういう長期的な視点に立ちまして、国産材の供給体制というものを着実につくり上げていく必要があろうというふうにわれわれ考えております。  そういう観点から、私どもといたしましては、基本的には、まず生産力の高い、活力のある森林資源を着実に整備していくことが必要ではなかろうかというふうに考えておりますし、また、安定成長経済に即しました木材需給の安定を図ること、これは先ほど申し上げましたものを含めましてこういう方途を考えていかなければいけませんし、また一方、地域の特徴を生かしました林業経営と申しますか、そういうものを地域地域に育成してその近代化を図っていかなければいけないというふうにも考えております。それから、やはり国産材の特性を生かしました需要部門の開発、これは一口に木材といいましても、やはり外材なり国産材なり、国産材の中でも杉だとかヒノキだとか、その他いろいろな樹種がございますけれども、それぞれの特性がございますので、そういう特性を生かしました需要部門の開発増進というものを図りながら、流通面では、需要動向に即しました品ぞろえと申しますか、ある意味でロットを整えた商品としての流通ができるような安定的な供給を図っていく体制を確立、整備していかなければならないと考えております。  こういうような基本的な考え方に立ちまして、まず、その基盤となります計画的な造林推進だとかあるいは林道の整備、こういう林業生産の基盤を、まだ十分でない面が多々ございますので、まず整備していく必要がございますし、さらに、林業構造の改善と担い手対策の強化、こういうものを含めまして、担い手の確保を図っていく。同時に、いま申し上げましたような木材需給あるいは価格安定対策の強化、そうして木材に関連いたします産業の育成と流通消費改善対策の強化、こういうもろもろの政策を強力に推進していくことがこれから必要なのではなかろうかというふうに考えております。
  27. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 農林大臣、あなたも参議院の審議のために若干おくれてこられましたが、実はいままで、冒頭いろいろ政府の見解をただしたことをあなたに伺いたかったわけでございますが、やむを得ない事情でございましたので、以下肝心な点については大臣にもお答えをいただくことにいたしたいと思います。と同時に、また後半大臣がよんどころない用事で退席するということでございますけれども質問というのは最初と最後のところが大事なところでございまして、一番大事なところをあなたがいなくなるから、あした以降さらに改めてあなたには問い直さなければならないということになるので、冒頭御了解をいただきたいと思うのです。  そこで、現在のような外材の大量流入という問題は、もう大変問題でございますが、こういったことを改めて、どうしても安定的な輸入を図るというための措置をしなければならぬと思うのですが、農林大臣も北海道出身で林業には造詣が深い方でありますから、私はあえて本法審議に当たってお伺いしておくのですけれども、現在のような外材主導の材価形成のあり方というものについては、今後どういうふうになさるのか、こういったことを十分検討せずして、本法提案に当たっても、いわゆる机上の改善計画になってはならぬという意味で、わかり切ったことでありますけれども、私はあえてこれを聞くわけです。すなわち外材主導の材価形成のあり方というものについてどういうふうにお考えであるか、御答弁をいただきたいと思う。
  28. 中川一郎

    ○中川国務大臣 御承知のように、木材関係は貿易については自由化されておるわけでございます。したがいまして、現在のところはむしろもっと輸入をしろというぐらい厳しい世界情勢であることは御承知のとおりでございます。これは、アメリカのみならず、多くの国々がわが国に迫っておるところでございます。ところが、一方、国内木材は、消費の動向、特にここ数年住宅資材等が非常に需要が少なかったというようなことで、国内の木材森林が非常に厳しい情勢にある。そこで、いかにこれに対処するかということでございますが、輸入についても、各国とも無理のないような話し合いを進めていかなければなりませんし、同時に輸入については、自由化でございますから、やはり年間の輸入量というようなものを話し合って、一つの目標を立てて、そして乱輸入をして国内産に圧力を加える、こういうことのないように業界を指導してまいる、そして厳しい今日の林業に対処してまいりたい。同時に、そういう空気でもありますから、国内の林業の振興については、生産対策から、あるいは構造対策等々、できる限りのことをやっていきたい、こういうことでございます。  今回、国有林についてお願いしておりますのも、あるいは組合合併助成法の延長をお願いしましたのも、今国会が森林国会だ、林業国会だと言われるのも、まさにそのためでございまして、でき得る限りの努力をしてまいりたい、こう思う次第でございます。
  29. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 私が林業国会と名づけたのだけれども、前回からあなたはすぐ森林国会、森林国会と言う。似たようなことであるけれども、一応林業国会と定義づけてあるから、林業国会というふうに言っていただきたいと思う。  そこで農林大臣、さらにお伺いしますけれども先ほど林野庁長官農林大臣にかわっていろいろ御答弁いただきましたけれども国有林赤字の問題をいろいろ指摘したわけです。ところが、本法によっては、今回一般会計から特別会計の赤字を補てんするために、初年度四十億の補てんをするということでございますけれども民間においても、森林組合を初め、民有林は赤字の補てんがないわけです。いわば民有林はひがんでおるわけです。少なくとも国有林が四十億の補てんをするならば、今後十年間これと並行して同程度の補助または融資等の財政援助をすべきではないか、こう言っております。これはまた、国有林以上に民有林は多いわけですから、その数倍やってもいいわけです。そういう意味で、私はあえて申し上げるわけですが、国有林、民有林ともに肩を並べて財政援助をすべきである。従来から林野庁国有林に大傾斜をしているということがよく言われておりますけれども、私はもっともっと民有林に対して温かい配慮をすべきである、こういうように言っております。これは当然のことだと思うのです。民有林に対しては、国有林以上にあらゆる面で十分配慮をする、こういうふうに私は考えていただきたいと思う。  たとえば、民有林の皆さんに一人一人これを援助するというわけにもまいりませんが、今回成立しました森林組合のいわゆる合併促進のためにも、森林組合の単独化法による今後の育成強化のためにも、いわゆる山村の過疎対策、そうして今後の山村の林業振興のためにも、森林組合のいわゆる事務所に対して何らかの補助をして今後やっていく。第二林構の中のいわゆる林構センターに併設する事務所の経費を二分の一見てやるとか、あるいは木材集配センターに森林組合の事務所を併設して補助するとか、さらには森林組合の事務所がそういったことでできなければ、私はいわゆる林業センターというものを別につくって、それに森林組合の事務所を併設して、今後農村の過疎対策にも大いに役立たせる、こういったことにも大いにひとつ配慮してもらいたいし、さらには農林漁業金融公庫の造林資金なんかを見ましても、小造林に対しては三分五厘の利子であるけれども、小面積以外は、小造林資金以外は六分以上で、政府融資としてはまさに金利が高いわけです。私はもっと金利を安くすべきである、現在のように低金利時代に入っておるわけですから、公庫資金の金利引き下げ、こういったことを十分考えてもらう。ところが公庫もなかなか下げない。しからば、公庫資金の金利引き下げは無理であるならば、別な制度を考えるべきではないか。すなわち、公庫とは別の金利の安い長期の制度を考えるべきでないか。さらには、森林組合等の融資についても、長期低利の金と同時に、いわゆる運転資金を含めた経営資金というものを考えて、こういったものも十分配慮してやる。そうして国有林に大傾斜していると言われる現在の林政について、今回このように今後十年間にわたって一般会計からの援助をする、こういった改善をするということであるならば、民有林に対してももっと温かい施策があるべきである、こういったことでなかったら片手落ちじゃないか。これは民有林の切なる血の叫びでありますけれども、これは当然のことだと思う。こういったこともあわせて、十分本法審議に当たっては政府の見解を明らかにしておかなければ、私は片手落ちであると思うのです。  これに対して大臣どういうようにお考えであるか、民有林のためにも明確にお答えいただきたい。
  30. 中川一郎

    ○中川国務大臣 このたび国有林に対しても、林道、造林一般会計から資金を導入する、こういう発想は、今日の国有林経営が非常に厳しい。厳しい原因が木材価格の問題であったり、あるいはかつて大変伐採ができた当時に比べて、現在は伐採ができなくなってきておる。あるいは林野庁そのものの行政、労務管理を含めた管理運営がまずいということもあります。いろいろ重なってございますが、そういったことの改善を図る中で、民有林にやっておりますように、林道、造林に対しても、国が、国有林という国の会計ではあるけれども一般会計から入れるべきだということで、むしろ民有林に右へならえをせよということから一般会計から入れることになったのであって、私ども民有林より特によくなったというふうには思っておりませんが、今日民有林が非常に厳しい情勢でございますので、森林組合等に対しましては、林業構造改善事業といったものを通じて、ただ単に森林組合に金を出すというのではなくて、やはり事業を通じて積極的に強化を図っていく。さらにまた、金融についても御指摘がございましたが、今度公定歩合の引き下げに伴い農林漁業一切の金利も引き下げを行うことといたしておりますし、林業に対する金融措置も別途強化をいたすことといたしております。それらの内容については長官から答弁させますが、御指摘のとおり、今日の一般民有林の実態も非常に厳しいものがありますので、国有林とのバランスをということもありますが、それ以上に実態そのものを把握して、できるだけのことをやっていきたい、こう思う次第でございます。
  31. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 ただいまの件について林野庁長官から補足説明を求めます。
  32. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま大臣から御説明いただいたわけでございますけれども、一般の補助体系を見ますと、今回私どもとしてお願いいたしましたのは、国有林の場合、赤字補てんという考え方よりも、これから自主的努力を助長するための特例措置としてお願いしておるわけでございまして、林野庁といたしましても、基本的には今後民有林林業を振興しなければいけない、これからの日本の林業を振興するためには単に国有林がよくなるだけではなくて、やはり民有林が中心になって振興していただき、国有林国有林なりにその中での持ち分を十分尽くすということが何よりも必要ではなかろうかというふうに考えておりますし、そういう考え方でこれらの施策を進めてみたい、かようにも思っております。  ちなみに申し上げますと、造林事業だけにつきましても、民有林につきましては一応三百三十七億の予算が五十三年度計上されておりますし、林道については六百三十二億という予算、さらに構造改善につきましても三百億余の予算が計上されておりますし、また、公庫からは公庫融資としても六百三十億余の融資が考えられております。  そういうことで、私ども民有林の林業につきまして決して軽視しておるわけではございませんで、これは日本の林業の全般の推進という意味で、今後とも民有林林業につきましては積極的な対応をしてまいりたいというように考えております。
  33. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 先ほど申し上げたように金利が高いわけです。御存じのように現在は低金利時代に入ってきております。全部三分五厘にする、もし公庫資金が不足でできなければ別な制度をつくるということで検討すべきではないかと思う。公庫は高い金を預っているから安くは貸せない、こう言う。しからば何か別な制度によって考えるということをしなければ、民有林は救われない、かように思うわけです。これについてひとつ真剣に検討してもらいたいと思うが、農林大臣どうですか。
  34. 中川一郎

    ○中川国務大臣 長期低利の融資につきましては、他の農業あるいは水産業との関連もございます。それらと横並びの問題もございますから、農業には農業の厳しさ、水産業には水産業の厳しさ、それぞれありますので、やはり全体としてバランスのとれたものでなければなりませんので、それらを含めまして検討してみたいと存じます。
  35. 藍原義邦

    藍原政府委員 基本的な考え方は大臣からただいま御答弁いただきましたけれども林野庁といたしましても、先生御存じの無利子で貸し付けます改善資金がございます。こういうものが五十三年度貸付枠は四十二億五千万になっておりますけれども、今後さらに検討して積極的拡充に努めてまいりたいと考えております。
  36. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 ただいま農林大臣から答弁がございましたが、あなたが答弁をするときに息の長い答弁をなさいましたね。まさにそのとおり林業というのは息の長い事業なんです。だから、ほかの漁業、農業とは考えを根本から変えなければとても太刀打ちできないのです。しかも、国土の六八%がいわゆる林野ですから、そういった意味で何かの手を打っていただかなければならぬ。林野庁は余りにも国有林に大傾斜している。しかも今回またさらに一般会計の金をつぎ込む。これもよくわかるのですが、私は民有林に対してもっと力を入れてもらわなければ困るということを言うわけです。そういう意味で私はあえて言うのですが、どうですか、大臣、もっとそういったことで検討できませんか。
  37. 中川一郎

    ○中川国務大臣 いま長官からも答弁申し上げたように、無利子資金もあるくらいでございますし、既設にもかなりいいものがありますので、これらを強化する等、金融につきましては大いに検討して、今日の厳しい林業に対処してまいりたい。確かに林業というのは何十年先のことですから、特に最近、わが国は高度経済成長で目先の利回りのものに走りがちな傾向がありまして、息の長い林業についてはややもすればおくれがちであるということが林業が伸び悩んだ大きな原因にもなっておりますことも十分承知しておりますので、十分検討してみたいと存じます。
  38. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 本法の審議に当たって、いまから具体的な問題等を限られた時間の中ではしょって質問してまいりますから、ひとつ明快に端的にお答えをいただきたいと思っております。  膨大な量の質問の中から重要な点をはしょってやるわけですから、答弁いかんによって、いま審議が内閣委員会で始まっておりますところの農林省設置法、すなわち農林省を農林水産省にするという問題、これも各団体からいろいろと意見が出ております。と同時に、北海道の五つの営林局のうち四営林局を支局にして、一つの営林局すなわち札幌営林局を北海道営林局にするという提案がされております。こういった農林省設置法の一部改正法案と車の両輪のごとき審議をすべき本法でございますが、数日来精力的な詰めをいまいたしておりますけれども、以下質問する点等を十分配慮して今、明日審議の見通しを立てたい、また各党ともいろいろ折衝したい、かように実は思っておりますので、いろいろ忌憚のない意見を吐いていただきたい。また、私も率直に意見を申し上げて、本法の審議に当たり、農林省設置法とともにどう取り扱うかということの最終結論を出していきたいと思いますので、よろしくお願いしたい。以上お断り申し上げておいて、端的に質問してまいりますのでお答えをいただきたい。  先ほど来申し上げておりますように、昭和五十三年から二十年間、前半の十年間をいわゆる改善期間、残り十年間を大きな意味では改善期間でありますけれども、冒頭私提案しましたように改善目標達成期間、こういうようにしたわけです。こういった期間を通じて赤字解消のために最大努力をしなければならぬ、こういうように私は思うわけです。そうしなければ改善期間意味がないし、先ほど大蔵省の主計官からも御答弁いただきましたように、大蔵省としてもかなり難渋した結果、本法に対しては協力をし、今後いろいろと検討していただくことになっておりますので、その点はありがたく私も拝聴したわけですが、そういった意味からも、十分それにこたえて結果を出してもらいたいと思うからお伺いをするわけでございます。  そこで、まず一点は、現行の国有林販売方法に問題がある、こういうふうに指摘せざるを得ません。この販売方法について改善策をどう考えておられるか、ひとつ端的にお答えをいただきたい。
  39. 藍原義邦

    藍原政府委員 国有林収入の大宗をなしますものが木材販売でございます。したがいまして、私どもといたしましては、支出を削減する努力をすると同時に、収入の増加というものも図っていかなければいけない。しかしながら、収入の増加を図るための伐採量の増ということは今後当分考えられませんし、また、伐採量はここ当分の間は縮減、削減の方向に向かうわけでございますから、そういう中で収入確保するということはきわめて厳しい問題であろうというふうに受けとめております。したがいまして、そういう面から、販売方法につきましての今後の改善合理化というものは積極的に進めていかなければいけないというふうに考えておる次第でございますが、国有林販売につきましては、御存じのように、丸太販売するものと立木販売するものとがございます。原則といたしましてはそれぞれの法規に基づいてやるわけでございますが、銘木だとか高品質材あるいはパルプ用材のような原材料、こういうものは公売で現在もやっておりますし、一般競争入札でやっておりますが、工場の原材料になりますような一般材につきましては、それぞれの地域の依存度によりまして、その特性を考慮しながら一般競争契約による販売を逐次ふやしてまいりたい。そういうことによりまして工場の近代化というものの足しにもなるわけでございますし、そういう意味からも、そういう方向で今後努力をしてまいりたいというふうに考えております。  ただそこで、間伐材等々これから需要を開発しなければいけない樹種、材種がございます。こういうものにつきましては、開発ができるまでの過程におきましては随意契約といたしまして、今後の利用開発を図っていく、市場を確保する、市場を発展させるという必要性があるのではなかろうかというふうに考えております。  また、立木販売についてでございますけれども、一般の立木につきましては、一般競争によります契約が昭和四十七年度におきましては一九%でございましたが、五十一年度は二九%と増加さしております。こういうことで、立木販売につきましては基本的には地元の素材生産業等々、業界への急激な影響を与えますと、人の問題、労務の問題、非常にございます。やはり民間の企業の方々も通年して安定的に仕事があるということを望んでおられますので、公売、一般競争入札オンリーでいきますと、その辺に非常に乱れも出ますが、ある意味で競争原理を導入する必要もあろうというふうに考えておりますので、その辺を見きわめながら、これらについても検討してまいりたいというふうに考えております。  それから、丸太につきましては、先ほど申し上げましたけれども、素材につきましては五十一年度では六二%というふうになっておりまして、これは四十七年の三七%に比べますと大幅な増加で、一般競争入札の割合がふえておるわけでございます。今後こういう形で、先ほど申し上げましたような国有林材の売り払いについてのいろいろな検討をしてまいりますけれども、最近非常に木材の価格が低迷しておりまして、需給関係がある意味でだぶついているという面から、五十一、二年度の実態を見ますと、一般競争入札に付しましたものが結構不落になってしまうという問題が出ております。そしてそのために、逆に国産材の市場の確保といいますか、そういうところでも問題が出てくる。だんだん離れていって外材になってしまう。そういうことで、国産材の市場を確保するということも非常に必要なことでございますし、片や木材の需給から外材もある程度入ってまいりますけれども、その辺と国有林のこれからの改善合理化というものの調和をとりながら、収入確保とあわせて、国産材の市場確保、そして国産材の発展、これがひいては民有林業にも影響するわけでございますから、その辺を十分配慮しながら販売改善合理化等々を図ってまいりたいというふうに考えております。
  40. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 本法提案によって不要資産の売り払いの問題が述べられておりますけれども、この不要資産の売り払い等は具体的にどういうことを考えておられますか。
  41. 藍原義邦

    藍原政府委員 先ほど申し上げましたように、国有林収入の大宗をなしますものは木材販売でございますけれども、それに加えまして国有林が相当な土地を持っておりまして、国有林の土地につきまして公共的なもので売ってほしいという問題が前々からございます。そういうことで、従前から国有林の資産の中で不要資産につきましては、中心は公共的なものでございますけれども、そういうものに使っていただくためには、国土の有効利用という面から積極的な対応をしておるわけでございます。たまたま国有林がこれから改善合理化をやりますと、たとえば苗畑、貯木場等が要らなくなったような場合、あるいは建物を立体化いたしましたことによりまして余剰になりました敷地が出るといったような場合、こういうことが考えられます。そういう、これから国有林改善合理化を進めるに当たりまして国有林経営に支障のない土地であって、なおかつこれが公共的な用に供される要望の強いところにつきましては、私どもといたしましても積極的にその活用を図っていただく、そういうことによりまして、副次的に国有林収入にも寄与することになるという考え方で、これからも、こういう問題につきましては、国土の有効利用という面から取り組んでまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  42. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 組織機構の再編整備、こういったことについてはどういうふうに検討されますか。
  43. 藍原義邦

    藍原政府委員 組織機構の再編整備でありますが、これはただいま先生も御指摘になりましたように、まず五十三年度につきましては、農林省設置法の改正という形で、営林局につきましては、北海道に五つございますものを札幌一つ、北海道営林局という形に改めまして、他を支局にするという考え方、こういうものを考えております。  それから営林署につきましては、さきに閣議決定がございまして、一割を目途にしてその整理統合を行うという形になっておりますが、五十三年度につきましては、北海道以外の内地にございます九営林局管轄の営林署から一署ずつ、合計九署でございますけれども、この統廃合をすることを予定いたしております。  また、林野庁の内部、林野庁本庁でございますけれども先ほど来御論議ございましたように、これからの民有林業の振興、あわせて国有林改善合理化、こういうものと並行してこれから林野行政をさらに推進するためにも、林野庁に次長を新設いたしまして、国有林野事業改善と民有林事業推進、これらを十分調整できるような形で強化をしてまいりたいというふうに考えております。  それから林野庁の業務部業務課に改善対策室を設けまして、この改善には強力な推進をしていきたいというふうに考えております。  さらに、五十四年度以降の問題でございますけれども、これはただいま御審議いただいております法案との関連におきまして、この法案が成立をいたしますれば、その過程の中で改善合理化の措置をこれから考えていかなければいけませんので、それを審議してまいります過程の中でこれから十分検討してまいりたいというふうに考えております。
  44. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 国有林事業実行方式、実行形態の改善というものが今後問題になると思うのですけれども、これについての方策はどういうふうに考えておられますか。これも明快にお答えいただきたい。
  45. 藍原義邦

    藍原政府委員 国有林におきます事業の形態でございますが、これは大きく分けますと販売形態とそれから事業の実行形態と二つあると思います。  販売形態と申しますのは、立木で売るか丸太にして売るかという二つの問題でございますが、私どもといたしましては、先生御存じの昭和四十七年十二月に林政審議会から答申をいただいております。その答申を踏まえて適切に対応していきたいというふうに考えておりますが、その考え方といたしましては、まず販売形態の問題でございますが、これは、先ほど申し上げましたように、それぞれの地域の林業の発展状況、こういうものを十分勘案して私どもこれからの販売をやらなければいけませんが、あわせまして、その場合に弾力的な選択というものに十分今後とも努めていく必要があろうというふうに考えております。  事業の実行形態の方でございますが、これは、それぞれの地域の事情なりそれから事業運営の効率性の問題、こういうものをわれわれとしましては十分把握しながら、それらを勘案していかなければいけない、そういう意味からも、直接の雇用と請負の事業二つございます。こういう意味で、より適切な選択十分配慮いたしまして、それぞれの事業運営が能率的な方向に改善できるような形で積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  46. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 本法提案の中に国有林野事業における各種事業の改廃をなすことが言われておりますけれども、これは具体的にはどういうことをお考えですか。これも明らかにしてください。
  47. 藍原義邦

    藍原政府委員 国有林野事業は、その主体をなします事業として販売あるいは製品生産事業、それから林道、造林、こういう仕事をしておりますけれども、そのほかに付帯的な事業として従来ある意味では多種多様と言われるような事業もやってきております。この付帯的な事業の具体的な内容なり規模につきましては、林業経営として行われる事業分野の財政的余力を背景として、従来林政協力あるいは地元対策等の観点からこれを弾力的に運営してまいったわけでございますけれども国有林野事業として行われます林業経営現状、あるいは国有林野事業を取り巻く諸条件変化、こういうものを十分検討いたしまして、これからの事業内容につきましては、新しい観点から、国有林野事業の業務としての必要性、妥当性、こういうものを十分見通しまして、その整備を図っていきたいというふうに考えております。  さらに、それには能率的な展開も必要なことは当然でございますけれども、具体的に申し上げますと林木育種事業でございますが、これはその事業がこれから非常に多角化してまいりますけれども、そういう多角的な展開が要請されている中で、国有林野事業としてその必要妥当性を超える部分も現在では出てきております。そういう面につきましては、一般会計によります事業実施というふうな形で拡充してまいりたいというふうに考えております。  それから、すでに十年ばかり肉用牛の生産育成実験事業というものをやってまいりました。これにつきましても、林業面での実験の目的はおおむね達成されておるというふうにわれわれ考えておりますので、できるだけ速やかに農業者等の民間事業体にこれをゆだねてまいっていきたいというふうにも考えております。  それから、そのほかレクリエーション事業がございますけれども、これらにつきましても、その実施方法については、国有林野改善合理化を進める中で、国有林野の主体事業としてやれることを検討しながら、これらにつきましても今後十分検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  48. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 赤字解消のためには、国民の率直な意見として、最大の要因は何としても人件費である、こういうようなことがかねがね言われているわけですが、要員管理の適正化、いわゆる企業体としての減量経営を志向せざるを得ないということが国民指摘として言われているわけですけれども、こういったことについて、政府はこの改善計画を出すに当たってどういうふうに対処する考えであるか、この点もさらにひとつ明らかにしていただきたい。
  49. 藍原義邦

    藍原政府委員 管理部門の一番大きな要因をなします人員でございますけれども、これは先生も御指摘になりましたように、伐採量が今後十年程度にわたりまして非常に縮減いたしてまいります。そして、非常に縮減した後、二十年くらいの後に増加してくるという傾向になるわけでございまして、伐採量が最小限度のレベルに推移する時期に対応できるような形で、事業運営能率化なりあるいは経営管理適正化というような自主的な経営改善を図っていかなければいけないと考えております。そういう意味からも、要員規模につきましてはいろいろな面から私どもも検討を進めておるわけでございます。  まず、定員内の職員でございますけれども、これはやはり事業規模の縮減に見合った調整が現在適正に進んでいない。特に管理部門におきましてもその点が指摘されるわけでございますし、そういう肥大化されたものにつきましては高齢者の退職を促進するということと、新規採用の抑制、こういうことによりまして要員規模適正化を逐次図ってまいりたいというふうに考えております。  それから、定員外の職員の規模でございますけれども、これは直接雇用によります事業規模の動向、それからこれらの事業改善合理化の進展の度合い、こういうものを勘案いたしまして、基幹作業職員制度の適正な運営を通じまして、通年雇用の可能な範囲で要員管理を図ることといたしたいというふうに考えております。したがいまして、事業規模の縮減あるいは労働生産性向上目標に見合った規模、こういう規模になるように、高齢者の退職の促進並びに新規採用の抑制ということで、これもその規模に見合った要員が確保できるような努力をしてまいりたいと考えておりますし、こういうものの実行に当たりましては、雇用事情だとかあるいは年齢等の実情を踏まえて、できる限り関係者の理解と納得を得ながら進めてまいりたいというふうに考えております。
  50. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 要員管理とまたどうしても関連して検討をすべき問題で、国有林野事業使命を達成する上に必要となるところの今後の事業または事業規模というもの、これらの効率性ということなどが大変問題になってくるわけでありますけれども、こういったことについても、この機会に、どういうふうにお考えであるか、これもひとつ明らかにしていただきたい。
  51. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま御説明申し上げましたように、伐採量を中心にいたしまして事業規模が縮減の傾向にございます。そういう意味から、われわれといたしましても、その傾向に見合った、その縮減に見合った事業、そしてその事業が効率的に運営できるような確保を図っていく必要があろうというふうに考えておりますが、このような状況に対処いたしまして、私どもといたしましては、まず新しい機械を開発導入いたしまして作業の能率を図るというようなこと、それから作業方法を改善いたしまして生産性を上げるというようなこと、さらには現場作業管理を充実し、効率的な要員配置をいたしまして、職員の服務規律その他の厳正な対応の中で生産性を上げていこうというふうにも考えております。  それから要員規模適正化、これも全国にいろいろな事業所等がございますけれども、それぞれの規模に見合った要員を配置していこうということ。それから、先ほども申しましたけれども組織機構改善合理化、これも当然効率性の確保のための問題としてわれわれとらえております。  それから、先ほど申し上げました販売の問題でございますが、これも需要動向に即応いたしました販売方法の改善ということをいたしまして、その効率化を図り、そして、これらを含めました自主的な経営改善ということを図ることによりまして、造林、林道というような基盤整備につきましては、それぞれ所要の財政措置を講じていくことによりまして、これからの国有林改善合理化のさらに一歩積極的な効率性の向上ということに努力してまいりたいというふうに考えております。
  52. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 農林大臣が他の委員会に出席のためにどうしても時間がとれないということですけれども先ほども申しましたように、冒頭と最後の方があなたに対する質問の重要な点があるわけです。途中も聞いておってもらわないと、なかなか最後にも答弁ができないわけですが、国会も会期末を控えて重要なときでございますので、やむを得ませんので、大臣に対する質問は留保して後日に譲ることにしまして、大臣の退席を認めますから、どうぞ退席してください。  引き続き質問してまいります。  林野庁長官にお伺いします。すでに政府においては、行政機構改革プランを発表し、いろいろ検討しておられることも国民周知のところでございますが、国有林野が所在するところの地元の関係市町村等においては、とりあえず昭和五十三年度各営林局、すなわち北海道を除いて九つの営林局で一つの営林署を統合するということで計画を進めておられますけれども、実際には、出先機関の統廃合について関係市町村では大変関心が強いところでございます。事実上、従来から事業量も減って、合併すべきところのあることも十分われわれも承知しておりますけれども、場所によっては統合はぜひ避けてほしいというところもありますし、今後はどうなるのかということで不安を感じておるのも事実でございますが、今後の統廃合についてはどういうふうに考えておられるのか、五十三年度は一応の計画が発表されておりますけれども、五十四年度以降どういうように考えておられるのか、これもこの機会にその対処方針を明らかにしておいていただきたいと思います。
  53. 今井勇

    今井政府委員 私どものところにも統廃合についてのいろいろ御要請がございます。そのとき私どもが申し上げていますことは、長い期間地域住民の方々となれ親しんだ事業所あるいは営林署ではございますが、この際やはり合理化ということで御協力賜りたいということが一つ。それから、山を守り山を育てるということについては何ら変化はございません。どちらかと申しますと、事務的と申しましょうか、管理のような面でひとつ合理化できるものはしたいというふうな気持ちでございますということと、やはり地域住民の方と十分お話し合いをいたしましょう、そして皆さん方の御要望の中でわれわれが吸収できるものは極力これを吸収いたしましょうということでしばしば話し合いをいたしているわけでございまして、今後とも地域の皆さん方とは密接な話し合いの機会を持ちまして、こちらの真意をよくわかっていただくという努力をいたしたいと考えております。
  54. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 農林大臣にこの点も伺いたかったのですが、まあ時代も変わってくるわけでございますので、将来こういった組織の面、統廃合、いろいろ検討せなければならぬことは十分わかりますけれども、五十三年度においては北海道の四つの営林局を札幌営林局に統合して北海道営林局にする。それとつり合いをとるためというわけでもありませんでしょうが、残りの九つの営林局に対しては一つずつ営林署を統合する。こういうふうにしゃくし定規的に一つずっとなっておりますけれども、将来において局においては統合できないところもあるだろうし、場合によってはかなり統合してもいい営林署も出てくるのじゃないか。計数的に右へならえで各局とも一つずつだとか二つずつだとか、こういうようなことにはならぬのじゃないか、こう思うのです。その辺が何となく機械的みたいな感じがするのですけれども、将来のことでもあるし、きょうはたくさん傍聴にも見えておるようですが、いろいろ皆さん方も横を見い見い、何か歯切れの悪い答弁をしておられるようだけれども、やはり国会議員としては、本法審議に当たって正論を吐いて、将来のために明らかにしておかねばならぬ点は明らかにして、今後の研究、また法案取り扱いの課題に供さねばならぬというところから、私たちも率直な意見を聞いておるわけでございますので、その辺の見通しについても、国民の前に明らかにしながら、これほど大きな赤字を抱えて、今日五K、五つのKと言われておるこの国有林に対して何とか、国民のためにも重要な酸素補給源でもあるし、しかも全国土の六八%も占めておる林野でございますから、ひとつ真剣に考えてもらいたいという意味から御答弁をいただくわけでございますので、その辺についてももう少し見通し等を明らかにしていただければ、こう思いますが、私の意見に対してどういうふうな見解をお持ちであるか、再度お答えをいただきたい。
  55. 今井勇

    今井政府委員 先生おっしゃいますように、営林署の問題につきましては、一割の線というのは閣議決定をいたしましたので、これは政府としては守っていかねばなりません。  そこでこのやり方でございますが、これこそ先生がおっしゃいます前半の十年の改善計画の中で十分練るべき問題でございまして、したがって、先生が御指摘されましたような画一的な運営というものは、必ずしも私どもは考えているものではございません。その点を申し上げておきたいと思います。
  56. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 次に、国有林野事業特別会計法が現在あって、大蔵省もこれに対して、法律にかかわりなく現在予算措置で一般会計から金が入っていることも現実としてあるわけでございます。  そこで、本法を出さなくても特別会計法の改正でできる、こういうことを、私たちの友人からも電話、手紙をいただき、あえて今回本法を出すということについては、どういう意味で出すのかという素朴な問いかけもあることも事実でございます。何も私は本法を撤回せよというわけではございませんけれども、いわゆる国有林野事業特別会計法の改正を図って、一般会計からの繰り入れの規定を追加して必要な財政援助の措置を講ずる、べきではないか、いわゆる現在の国有林野事業特別会計法の改正で事足りるのではないか、こういう意見があるわけです。これに対しては、本法提案に当たってどういう意味でこういうふうに提案をするのだ、従来からの経緯等を踏まえて、国民の前にこれもひとつ本法審議に当たって明らかにしておいてもらわねばならぬ点であると思います。政府の見解を求めます。
  57. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま国有林野の特別会計の経理につきましては、特別会計法でそれぞれ運営しておるわけでございますけれども、これは収支を経理するための一つの法律規定でございまして、そういう意味から見ますと、今回私どもが考えておりますのは、国有林野事業経営を健全化するために、改善計画というものを策定いたしまして、それに基づいて着実に改善をするために、法律上の計画としてその実効を確保していきたいというのが一番大きな主眼としてございます。そういう観点から見ますと、これは特別会計法というものの性格からも逸脱するのではないかというふうに考えております。  それからもう一点は、今回の一般会計資金の繰り入れ並びに利益処分の特例という問題は、改善計画の達成のための手段として、一定の期間の特別措置としてわれわれ考えております。そういう意味から、改善計画と一体的に特別措置法案においてこれを規定することが妥当であろうという判断から、ただいま御審議を願っておる法案に基づまして一般会計の繰り入れ等々を考えておるわけでございまして、これがやはり国有林としてのこれからの改善計画を進めるに当たりましての法律上の一つの基準になりまして、この法律に基づいて的確な改善を今後十年間にやってまいろうという姿勢でございます。
  58. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 大蔵省宍倉主計官にお尋ねしますけれども、主計官は先ほど本法提案に当たって、本来独算制を守りながら、本法は補完的なものであり期間的に運用するものである、こういうような意味の御答弁がございました。御答弁、おっしゃったことをすぐ速記で書く余裕はなかったわけですけれども、大要そういったことの御答弁でございました。この点は私十分わかるわけですけれども、あえて本法審議に当たって大蔵省にお伺いしておきますけれども本法の最も特色とするところは、国有林野事業特別会計の事業勘定に対して造林、林道等の事業施設費の一部について一般会計からの繰り入れの措置を五十二年度以降十年間の改善期間に限り講ずるという点でございます。  しかしながら、国有林野事業収支均衡の回復と、その経営健全性を確立するという究極の目標は、先ほど私が申し上げましたように、残りの十年、すなわち改善目標達成期間で達成するということになるわけでございますが、改善期間においては、そのために必要な基本的条件整備を完了するということになっておりますが、事業施設費の一部、すなわち造林、林道についてのみ一般会計からの繰り入れをするということにした、こういったことについてはどういう理由でしたのか、もっと幅広くできなかったか、こういう素朴な意見もあるわけですけれども、その辺について大蔵省の本法提案に当たっての見解をここで承っておきたいと思います。
  59. 宍倉宗夫

    ○宍倉説明員 お答えいたします。  先生おっしゃるとおりでございまして、十年間で国有林野事業特別会計の体質を改善いたしまして、その後の十年間は収支採算がとれるような、均衡するような形に運営を徐々にしていけるようにする、十年間でもう体質が改善されておりますから、その後の十年間におきましては財政上の特別措置は要らないのではなかろうか、こういうふうに考えておるわけであります。  そうして、なぜいまお尋ねの林道及び造林につきましてのみ限定したのかということでございますが、これは先ほど来繰り返し申し上げておりますように、本特別会計は独立採算目標といたします企業会計方式によっておるわけでございますからして、本来、国の一般会計からの何らかの援助というものはきわめて限定的に考えられるべき性質のものであるということが一点でございます。  それから、林道と造林につきましては、国有林野事業事業運営に際しまして基幹的な施設整備でございます。しかも、本件につきましては、先ほど農林大臣から御答弁がございましたように、民有林につきまして補助制度がございます。したがいまして、民有林に準じた形の援助措置を国有林にいたしましても、それは補完的かつ期間限定的である限りにおきまして、国有林野事業特別会計本来の趣旨を妨げるものではない、このように考えた次第でございます。したがいまして、その他いろいろな問題につきまして一般会計から援助をしたらどうかというようなお話もあるかと思いますけれども、そういったことは適当でないのではなかろうか、このように考えております。
  60. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 さらに大蔵省にお伺いしますけれども一般会計から治山勘定として、これまでも国有林野内に治山事業の一部について実施しておることは御承知のとおりでございますが、この問題も、将来いわゆる一般会計と特別会計の負担区分ということもどうなのか、本法施行に当たって、これは従来のとおり踏襲していくことになるわけですけれども、そういったことについてはどういうふうに大蔵省はお考えであるか、これもひとつ明らかにしていただきたいと思う。
  61. 宍倉宗夫

    ○宍倉説明員 お答えいたします。  治山勘定につきまして、先生おっしゃるとおりの措置を続けてきておる、たしか四十一年からやってきております。これも事業考え方といたしましては、民有林における治山と同じような頭でいるわけでございます。ただ、事業の経理上の仕方といたしまして、国有林治山につきましては、治山勘定でやる部分と事業勘定でやる部分と分かれてございますけれども考え方といたしましては、民有林治山と同じような考え方ということで、五十三年度の予算につきましても、その措置を若干改善をしているというふうに考えております。この治山事業に対する国の措置につきましては、本特別措置法の外の話というふうに考えております。
  62. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 その点は一応了解いたしました。  さらに、林野庁長官にお伺いしますが、繰入額の根拠についても明らかにしてもらいたいと思いますけれども、五十三年度予算によると、この法律に基づく措置として四十億二千一百万円を一般会計から事業勘定に繰り入れることにしておりますが、その内容として、造林については保安林内の新植経費の一部として十八億八千九百万円、林道については民有林を含む重要幹線林道開設経費の一部として二十一億三千二百万円となっております。この繰入額の根拠について、どういうふうにしてこれを出されたのか、明らかにしてください。
  63. 秋山智英

    ○秋山説明員 お答えいたします。  まず、造林でございますが、造林につきましては、先生からただいまお話しがございましたように、保安林内の新植経費の一部でございまして、現在これにつきまして民有林でも十分の三の補助率でございますので、それに準じて十分の三の補助率で、しております。  それから、林道でございますが、林道につきましては、特に重要な幹線道路でございますが、幹線林道のうち、その利用区域内に民有林の面積が二百ヘクタール以上ありますものの新設経費につきまして十分の四・五、四五%の補助率で計算をしております。
  64. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 時間が迫ってきますのではしょらざるを得ませんが、大蔵省にもう一点お伺いしますけれども、これは本法とは関係なく、この機会にお伺いしておきたい問題でございます。林道についてですけれども国有林の幹線林道は、御承知のように、林道についても造林についても同じですが、一〇〇%国費でやっております。これまた、民有林のひがみというわけじゃございませんけれども、民有林の重要な林道も、裏負担を取ることなく一〇〇%国庫でやってほしい、こういうふうにこの機会に民有林からの要請が出ているわけであります。先ほどから申し上げておりますように、どうしても国有林に大傾斜しているということで国民からいろいろ批判が出ておるわけですが、もちろん国有林が行う林道、造林については国庫でやることは当然ですが、民有林は、造林については国庫でやっているじゃないかとおっしゃるけれども造林と林道とはまた意味が違うわけです。そういった意味で、私もいろいろ調査をしてみましたが、熊本県の場合等は、広域基幹林道等を見ましても、受益者負担はほとんどゼロで、やっておりません。しかし、全国的に見ますと、民有林一般補助林道等の補助率、これは全部申し上げる時間がございませんが、中でも一般林道の負担額及び負担割合等を見ましても、広域幹線林道において国の負担額が百四十億一千六百万、負担割合が六三・三%、普通林道で負担額が二百六億九千四百万、負担割合が五〇・七%、都道府県の場合、広域基幹林道は六十六億三千五百万、負担割合が三〇%、普通林道が百十一億四千三百万、二七・三%、市町村の場合の広域基幹林道が十一億六千九百万、負担割合が五・三%、普通林道で七十八億九千六百万、負担割合が一九・三%、その他、これは地元負担、いわゆる裏負担でありますが、ここが大事なところですけれども、広域基幹林道で負担額が三億二千一百万、負担割合が一・四%、普通林道で十一億二千万、負担割合が二・七%、こういうふうになっております。  これは五十三年度の実施計画内容でございますが、いずれにしても、県によっては裏負担のないところもありますけれども、こういった広域基幹林道または普通林道の中でも、最近の林道は経済道として、いわゆる峰越し林道にしても、また奥地林道にしても、一般の方たちも利用するという経済的な道路に準ずるものが多くなってまいりました。そういったことで、こういう本法によって一般会計から十年間、当初四十億の財源を特別会計に埋める、こういうことになりますので、民有林においても、全部が全部とは申しませんけれども、こういった広域基幹林道あるいは普通林道の中でも重要なものについては、地元の裏負担は取らずに、何とかひとつ国庫で見ていただきたい。これはもう造林と林道とはまた意味が違うのですから、そういったことをしていただかなければ、やはり国民の批判は相当強くなる、かように思うのです。こういった意味で、大蔵省も、今後林野庁から、いよいよ五月から来年の予算の検討が始まっていくわけでありますから、強い要請を出すことにお願いをしておりますので、ぜひともこういったことを踏まえて十分意見を聞いて対処していただきたい。そして日本林業の発展のために十分ひとつ投資していただくようにお願いしたい、かように思うわけです。これに対して大蔵省の見解を承っておきたい。
  65. 宍倉宗夫

    ○宍倉説明員 お答えいたします。  一般の民間の方から見ますと、国の一般会計と特別会計の区別をしなくて、一般会計であろうと特別会計であろうと国がみんなやっているではないか、こういうお考えから、ただいまのようなお話になるのではなかろうかとも思います。しかし、実際には、私どもそういうふうに考えておりませんで、国の一般会計は国庫、まさに税金の国庫のお金でございますが、特別会計と申しますのは、民有林で申しますと民間の林業者と同じ立場にあるということになるわけでございます。したがいまして、たとえば普通林道で、内地でございますと先ほども話に出ましたように四五%の一般会計からの補助率でございますが、これは民有林もそれから今度やろうとしております国有林につきましても同じでございます。それで、民有林の場合におきましては、その裏負担となります五五%につきまして、あるいは地方公共団体相当部分持つとかいうこともございまして、実際の林業経営者の負担が五%になるのか一〇%になるのかいろいろあろうかと思いますけれども、その程度になっておろうかと思います。国有林の場合には、林業経営者としての特別会計は五五%全部持つわけでございますから、これはいま御質問のようなことにはならないのではなかろうか、このように考える次第であります。
  66. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 若干不明確の点がありますけれども、後日またさらにお伺いすることにしまして、次の問題に入ります。  林野庁長官にお尋ねしますけれども、それでは改善期間の各年度において一般会計から繰り入れられる金額の規模というものは、五十三年度は四十億でございますけれども、五十三年度並みの繰り入れ基準を将来行うということにはならぬと思うのです。いわゆる物価等も上がってまいりますし、今後の状況等いろいろ勘案して、来年度、再来年度とだんだんこの金額もふえてくると思うのですけれども、来年度以降は、改善期間の十年間の金額、一般財源からの繰り入れはどういうふうに考えておられるのか、またそういったことを大蔵省に要求していかれるのか、その辺の考えもこの際明らかにしていただきたい。また、当然これは弾力的に決めていくべき問題であると思いますが、その辺の見通し等も、公開の席で発表できる範囲はお答えいただきたいと思っております。  また、十年間の大体の額の目標というものはどういうふうに設定をしておられるのか。なかなか想定のむずかしい点であろうかと思うけれども、その辺も答弁を求めるわけでございます。  さらに、この借入金についても、五十一年度は四百億円、五十二年度は八百三十億円、五十三年度が九百七十億円を予定しておられますけれども、これも改善期間の最終年度末には残高がどのくらいになるのか。また、将来にわたってどういうふうにお考えであるか。もちろん、こういった本法提案によって十年間の改善期間を設けて改善するがゆえに、すきっとした立場で銀行等から借り入れもしていこうということであろうと思うのですが、その辺の見通し等はどのように想定されて本法提案に及んだのか、この点、かいつまんでお答えをいただきたい。
  67. 藍原義邦

    藍原政府委員 これから国有林が十年間、改善計画を立てまして改善に進むためには、やはりどうしてもその間一般会計からの繰り入れとそれから財投資金からの借り入れというものをいただかなければやれないことは事実でございます。したがいまして、さしずめ昭和五十三年度につきましては、先ほどお話ございましたように、林道、造林等につきましては四十億円を予定いたしておりますけれども、五十四年度以降の問題につきましては、法三条の規定あるいは法四条の規定、こういうものに基づきまして、毎年度の予算編成において改善の進捗状況あるいは収支状況一般会計財政事情、こういうものを勘案して決めていくということになろうかと思います。私どもといたしましては、これから改善計画を立てるわけでございますが、十年間の繰入額をいまの段階で見通すということは非常にむずかしい問題ではございますが、この辺を十分頭に置きながらの改善計画を今後つくってまいりたいというふうに考えております。
  68. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 林野庁としては、この改善期間十カ年で必ずこの改善計画どおりに実行し、残りの改善目標達成期間、すなわち昭和七十二年において必ず目標は達成できる、こういう自信はおありでございますか。
  69. 藍原義邦

    藍原政府委員 私どももこの法案を国会で御審議いただく前には十分検討を進めまして、林業は超長期でございますから、できるだけ早い期間にこの改善をしていきたいというふうには考えておりましたけれども、どうしても十年はかかるということで十年計画という形にしたわけでございまして、この間に、先生のおっしゃいましたような残りの十年という達成期間には、必ず所期の目的が達成できるような改善に積極的な努力を注いでまいりたいというふうに考えております。
  70. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 林野庁長官、さらにお伺いしますけれども、大蔵省も十分お聞き取りいただきたいと思いますが、本法によりまして、十年間という間、この改善期間については、国民のいわゆる負担に肩がわりをするということになるわけですね。一部の資金でありますけれども国民の負担に肩がわりするということになるわけでございます。  そこで、反面このことが民有林関係予算を圧迫するということになったのでは困るわけですね。先ほどからるる申し上げてまいりましたように、民有林にしわ寄せしてくるということには絶対なってはいけない。むしろ国有林と肩を並べ、それ以上に造林、林道、あらゆる面において、また先ほど申しました公庫資金の利子の引き下げからいわゆる森林組合等の事務所の補助に至るまで、いろんな角度から民有林に対して温かい配慮をしてもらわなければならぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。  そういった意味で、今後、林業関係者及びその団体のこういった不安を除くためにも、そういうことにはならぬように——国有林に十年間資金を投入するために民有林にそれが何らかの形でしわ寄せが来るということになったのでは大変である。この点については十分検討してもらいたいと思う。その点について林野庁長官及び大蔵省からひとつ決意をお聞きしておきたいと思います。
  71. 藍原義邦

    藍原政府委員 いまの先生の御指摘は当然なことでございまして、私どもも、国有林一般会計から負担をいただくという形で民有林業を圧迫するようなことは毛頭考えることはできませんし、また、今後民有林業が振興することが日本林業全体の進展にもつながるわけでございまして、今後ともそういう配慮は十分しながら、国有林の健全な発展と民有林業の振興に努めてまいりたいと考えております。  ちなみに、五十三年度の予算だけを見ましても、林野の一般公共予算の伸び率は対前年度比が三九・九%でございます。国有林野事業特別会計に繰り入れたものを除きましても三七・五%ということになりまして、国の一般公共の伸び率三四・五%を上回っております。また非公共につきましても、対前年度比が農林省で一五・一%でございますけれども林野庁の場合には二五・八%というふうに大幅に上回っております。こういう意味からも、私どもは、そういう点に十分配慮しながら、国有林経営改善努力と民有林の振興に努めておる次第でございます。
  72. 宍倉宗夫

    ○宍倉説明員 お答えいたします。  お説の点は十分留意してまいりたいと存じます。
  73. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 この機会に大蔵省にさらに一、二点お伺いしておきます。  時間が詰まってまいりましたのではしょった質問になりますけれども、以上いろいろ質問してまいりまして、大蔵省も十分私の質問に対する趣旨等はあらあらおわかりだと思います。  先ほどからお話がありましたように、この独算制についてはいわゆる補完的なものであり、また期間的なものであるということでいろいろおっしゃいましたが、十年間の改善期間に対して今後弾力的に、いわゆる初年度四十億として今後一般会計から特別会計に補てんをしていくことになりますが、十年期間で仮にこれが目標達成できない場合は、またその時点でどうするかということはそのときのことでございましょうけれども、いずれにしても、その後も借入金については林野庁は借り入れをしていくということで、現在林野庁が人工造林として持っております二百二十万ヘクタール、この中の七〇%というものがいわゆる若齢林でございまして、あと二十年間の改善目標達成期間を経て初めて適正伐期齢級に達し、伐採が可能だ、ここで黒字に転換するというような机上プランになっておりますが、そういったことから、借入金については今後十年後も続いていくというふうに私は見通しております。そういった将来を言うことはどうかと思いますけれども、やはり本法審議に当たってはその辺も十分やっておかなければ、私たち本法取り扱いの問題をいろいろ協議していくわけでございますので、あえてお伺いしておきますが、独算制の限界というとなかなかむずかしいことになりますけれども、十年間で終わらぬ場合、また将来いろいろとさらに積み重ねていくということもあり得ると思いますが、大蔵省としては、国有林野の特別会計の独算制について限界といえばなかなかむずかしい質問かと思いますけれども、どういうふうに見ておられるのか。一般の国民から言いますと、国有林野事業特別会計は発足当初から、対象とする事業に必要な支出を木材販売収入を主体とする事業収入で賄ってきたことは先ほども申し上げました、独立採算会計として構成されてきたわけですから。ところが、本法提案によってこういうふうになってまいりますと、今日まで維持されてきましたこの独立採算制というものが、一般会計からの事業勘定への繰り入れによって特別会計の基本的性格が変更されるのじゃないかというような不安もあります。せっかくこうして御援助いただくので、われわれまことに結構であるからぜひこのようなことで大蔵省も理解してやっていただきたいと思っておるのですが、この点についても、大蔵省の見解をあわせてこの機会にお伺いして、将来不安なく、そして息の長い林業に対する援助をしていただくと同時に、国有林の再建整備を図っていただく、かようにも思っておるわけです。時間が詰まってきたものですからはしょった質問になりましたけれども、その二点についてお伺いをしたいと思います。
  74. 宍倉宗夫

    ○宍倉説明員 お答えいたします。  独立採算制の限界はどこにあるのかというお尋ねでございますが、これはなかなかむずかしい問題かと思います。ただ、国有林野事業というのが、事業の性格上かなり長期的な観点から収支採算を見ていかなければならないというものでございますからして、今回本法提案しておりますのは、十年間を改善期間とし、二十年先にはもう必ず均衡しているようにという目標になっておりますが、そういったことで、とにかく、ぜひとも、実際にこの国有林野事業特別会計の再建を図るということがまず必要なのではなかろうかというふうに考えております。
  75. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 時間が参りましたので最後に一つだけお伺いして、残余の問題は明日以降に譲ることにしまして、この機会に、本日この後いろいろ協議をする関係から私もあえて一問だけ質問をしておきます。  国有林と民有林の労働条件の問題についてお伺いしておきたいと思うのです。  冒頭いろいろ指摘しましたように、国有林の場合は民有林に比して賃金が高いということで、民有林からもいろいろ批判も出ております。俗に言われております言葉に、一に苗畑、二に国有林、三、四がなくて五がキャバレーという話があるのですけれども、露骨な言い方で恐縮ですが、民有林からはかなり厳しい批判があるわけです。国有林の労働条件がよいというからには、経営においても生産性向上においてもまさっているか、こういうように言えば、国民はそうじゃない、こういうふうに答えるわけです。また、そういった点がかねがねから問題になっています。これは国有林において大いに反省をしてもらわなければならぬ問題でございまして、国有林はいわば国家公務員制度によって身分の安定が図られている、定員外の方もおられますけれども。そういったことで、どちらかといえば親方日の丸ではないか、こういう指摘でございます。  私は、この機会に率直に申し上げますけれども、民有林の方はなかなか国有林と同じような扱いにはなっておりません。すなわち木材が高いから給料を上げる、安いから給料を下げるということにはなっていないのです。木材の暴騰、暴落にかかわらず、国有林の職員については給料が与えられております。そういったことで、詳しく申す時間もございませんけれども、民有林の方は労働条件が悪いわけです。だから民有林の方も、これまた、民有林のひがみとは申しませんが、国家公務員並みに匹敵するような制度をつくってくれということも否み得ない真実の声であることも当局は知っていただきたいのです。生産性の低い林業では容易でないこともよくわかっておりますけれども、私は、少なくとも民有林に対する社会制度の充実ということでこたえねばならぬ。そうして今回こういうような二十年間という息の長いこういった改善期間を設けて改善政策が行われるわけですから、この機会に民有林についてももう一回問い直して、そうしてこの労働条件についても、先ほど言いましたように一に苗畑、二に国有林、三、四がなくて五がキャバレーなんて言われないように、ひとつ民有林に対する温かい手を、そして国有林の方も大いに反省をして十分生産性の上がる体制をとってもらう、かように思うわけでございます。  私は、こういったことは農林大臣にるる申し上げようと思いましたけれども、時間が参りましたので、最後にはしょった質問になりましたけれども、そういった意味から国有林、民有林野の間におけるところのこれら労働条件の処遇に対する格差是正というような問題についても十分対処をされ、あらゆる面から検討されて、本法提案に当たって新たな認識のもとに、今後民有林の育成を図り、ただでさえも林野庁国有林に大傾斜しているというようなことを言われないように、また五つのKと言われないように、黒字転換へのための最大努力と今後の改善計画推進に当たってもらいたい、私はかように思うわけでございます。  以上、政務次官なり林野庁長官から、これに対する決意を述べていただきたい。このことはさらに農林大臣にも明日質問をして見解を求めるわけですけれども本法審議の本日の質問の最後に当たって、このことの見解を求めて私の質問を一応終わりたい、かように思います。
  76. 今井勇

    今井政府委員 先生の御卓見、まことにそのとおりでございます。  林野庁は、国民の共有財産であります国有林野をお預かりしてこれを管理し、その素材を国民の需要に応じて売っていくという大変大事なことをやっているわけでございます。しかしながら、国民の財産をお守りし、これを管理するわけでありますから、その中にも国民の皆さん方の負託にこたえて最小の費用最大限の経営効率を上げていくことは、これは国民の負託にこたえる意味からも当然のことでございまして、なお一層このような厳しい気持ちで対処をいたさせたいと思います。  また同時に、民有林の問題につきましても、国の助成あるいはその他もろもろの施策を通じまして、ひとつ先生の御趣旨を体してまいりたいと存じます。
  77. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 時間が参りましたので以上で質問を終わりますが、きわめて重要な国有林野事業改善特別措置法の法案でございます。きょう一応いろいろ政府の見解を承りました。冒頭並びに最後の方では農林大臣が退席いたしましたので、重要な問題の質問ができませんでしたけれども、私はあえて明日以降大臣に対する質問を重ねて行うことを留保し、本法の十分な検討をいたしまして、いかなる扱いをするか、きょう明日検討してまいりたい、かように申し添える次第でございます。  いずれにしても、大蔵省の見解も承りましたし、林野庁長官また農林大臣からの見解も承りまして、大体の方向が明確になってまいりましたので、これらを踏まえて、いま内閣委員会で審議されております農林省設置法とともに、また営林局を支局にするという国会承認案件とともに考えてまいりたい。  なお、今回は四月一日施行ですけれども、これらについては当然公布の日からということに修正をせねばなりませんし、本法においては、短い条文でありますが、農林水産大臣という個所が三カ所ございます。これらについても修正をするということにせねばならぬと思っておりますし、なお、いまの審議を通じて若干の修正等もいま検討いたしておりますので、それを含めて今後の審議の糧にしたいと思っております。  時間が参りましたので、以上で私の質問を終わります。各委員の御協力ありがとうございました。
  78. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 この際、午後一時二十分より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時四十二分休憩      ————◇—————     午後一時二十七分開議
  79. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。堀之内久男君。
  80. 堀之内久男

    ○堀之内委員 今回、政府提案であります国有林野事業改善特別措置法案内容等について、一部御質問を申し上げたいと思いますが、時間がわずか一時間と限られておりますので、深くお尋ねすることはできませんが、なお本日は、社会党から対案が提出されておりましたところ、提案者の方の御都合があるようでございますので、その部分は後日時間をいただきまして質問をさせていただくことにいたしまして、本日は、政府当局の方だけに御質問を申し上げたいと思います。  まず第一点は、昭和四十六年四月ですか、国有林活用法というのが国会で可決されまして、これが公布されたところでありますが、この国有林活用法につきましては、長年の地方団体の要望でございまして、これが政府の方で取り上げられ、さらに国会で十分審議されて、この法律が公布されましたけれども、実際、この法律が公布されてみますと、末端ではこの活用法という法律と、それ以前に末端の地方団体が利用されておった状況とは大分趣が異なってまいりまして、末端では、この法律ができてかえって困ったというのが実態であると私は考えております。  そこで、長官にお尋ねしますが、この国有林活用法の趣旨と申しますか、目的というのはどういうものであったのか、もう一回長官の方から、簡単でよろしいですから、御説明を願いたいと思います。
  81. 藍原義邦

    藍原政府委員 国有林の活用法につきましては、四十六年に制定されたわけでございますけれども、これは当然国有林が地元と十分調整をとりながら、国有林を林業並びに農業等々に活用していただこうというねらいでこの法案ができております。しかしながら、やはりそこには国有林の適正な管理運営という問題がございまして、その運営との調整をやはり十分図ってまいらなければいけませんし、いま先生が御指摘のように、法案ができてからよけいむずかしくなったというお話でございますけれども、私どもといたしましては、ただいま冒頭申し上げましたような精神で、地元のいろいろな意味での国有林の活用につきましては、積極的な対応姿勢をとっておるつもりでございます。
  82. 堀之内久男

    ○堀之内委員 ただいま長官がはっきり言われましたとおり、国有林の存在する地元市町村と十分調和をとりながら、この点の活用を図っていくという趣旨のもとにこの法律が制定された、こういうことで、本文をずっと見てまいりますと、全くそのとおりにわれわれも理解をするわけです。ところが、これは後で「国有林野の活用に関する基本事項の公表について」というような、省令ではないようでありますが、細則と申しますか、そういうものが公表をされておるようであります。したがって、この法案の審議の過程においても、芳賀委員あるいは工藤委員あるいは湊委員あたりからも、今後の国有林の活用については相当細部にわたっていろいろ質問がなされておりまして、そのときに当時の片山長官からいろいろな答弁もなされておるようでありますが、その中で保安林を除くという形に出ておるわけであります。この保安林を除く、国有林の公益的な立場から、使命からしていろいろな制約があることは十分承知をいたしますが、保安林を全部除くというような形で長官も答弁されております。さらにまた、この「活用に関する基本事項」の公表という細則みたいなものにも一応そういう面が明示されておるようですが、この点について、どういう考え方から保安林が対象外とされたのか、その理由をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  83. 藍原義邦

    藍原政府委員 まず「活用に関する基本事項」の根拠でございますが、これは法の第四条に規定されておりまして、「適地の選定方法その他当該活用の実施に関する基本事項を定め、これを公表しなければならない。」ということになっております。これに基づきまして基本事項というものを決めておるわけでございまして、その基本事項の中に「対象地として選定しないものとする。」という形で、いま先生が御指摘になりましたような、保安林あるいは自然公園というものが挙がっておるわけでございますが、ただその条文の中にただし書きがございまして、「国有林野の所在する地域の経済的または社会的実情等を考慮して、営林局長が活用の対象地として選定することをやむをえないものと認める場合には、この限りでないものとする。」と出ております。したがいまして、国有林を活用をしていただく場合に、基本的には保安林を除外いたしておりますけれども、いろいろな状況を判断いたしまして、やむを得ないと認めた場合にはこの限りでないという形になっておりますが、保安林を外したという理由でございますけれども、これはもう先生十分御存じのとおり、国有林の中に保安林がございまして、それには水源涵養保安林とか土砂流出防備保安林がございます。そうしてそれは、それぞれの目的のために設定されたものでございまして、そういう森林機能を発揮しなければいけないという問題がございましてそういう設定がされておりますが、あわせまして、この法案が成立いたします時点の国会におきましても、衆議院、参議院、それぞれ附帯決議をいただいておりまして、その辺の調和を十分図ってやれという決議もいただいておるわけでございまして、そういう精神を体しまして、そういう取り扱いにしておるわけでございます。
  84. 堀之内久男

    ○堀之内委員 私も保安林の活用については、きわめて慎重にいかなければならないと思います。恐らくその当時の国会審議では、その当時の保安林の実態においていろいろ御質問がなされたものだ、私はかように考えております。ところが昭和四十六年、この法律が公布されてから、急激に保安林がふえておるわけです。したがって、これを裏を返しますと、故意に保安林をつくった、こういうふうにしか理解がされない。したがって、昭和四十五年四月一日現在のいろいろな保安林の面積と、昭和四十六年の面積とを一応比較していただきたいと思うのですが、この面積がどのような面積になっておるか、お尋ねいたします。特にその保安林の種類、水源涵養保安林、土砂流出防備保安林、いろいろありますが、ほかの保安林は私は非常に少ないと思うのですが、その水源涵養保安林というのが、べらぼうにと言うとおかしいのですが、相当数の量をふやしておられます。したがって、その面積等についてまずお答えいただきたいと思います。
  85. 藍原義邦

    藍原政府委員 保安林につきましては、先生十分御存じかと思いますけれども、戦後日本の国土が非常に荒れ、山が非常に荒れておりましたので、非常に災害が多かったという経緯から、保安林整備臨時措置法というものができまして、まず第一期として昭和二十九年から昭和三十八年までやっております。その間に保安林は、当初二十八年末に二百五十一万八千ヘクタールございましたものが、その期間中に百五十五万九千ヘクタールふえまして四百七万七千ヘクタールになっております。第一期の保安林整備計画は、主として国土保全という意味から、そういう災害防止の意味での保安林の設定をいたしております。  それから第二期の保安林整備計画でございますが、これは御存じのとおり国の復興も順調に進んでまいりまして、水資源の涵養ということが非常に叫ばれて、主として水資源涵養のための水源涵養林設定というものが中心に行われた保安林の整備でございますが、先ほど申しましたように、三十八年の末には四百七万七千ヘクタールでございましたものを、その期間中に二百八十八万九千ヘクタール設定いたしまして、六百九十六万六千ヘクタールというふうになっております。これはそれぞれその計画期間中の目標を定めて、その目標に向かって設定したわけでございまして、決していま先生がおっしゃいましたように、国有林の活用その他、他利用を防ぐために設けたものではございません。  それから、ただいま第三期に入っておりまして、第三期におきましては、現在、一応その計画でございますけれども、第三期中には百二十三万ヘクタールの設定をしようということで現在進行中でございます。
  86. 堀之内久男

    ○堀之内委員 いまの長官の答弁は、活用を妨げるために指定したのではない、こうおっしゃいますが、昭和四十五年四月一日までと比べて、四十六年になってから実際に急激にふやしておるのですよ。しかもそれが全部水源涵養保安林であります。砂防とか、そういうような防災上に必要な、国土保全に必要なものを保安林に指定したのじゃなくて——私は山の木は全部水源涵養だと思うのですよ。それをわざわざ里山までばりっとやった。一番大きくやっておるのが三カ所ぐらい。このデータから見ましても、一番ふやしておるのが旭川、それから九州の熊本、それから青森ですね。大体三カ所ぐらい。畜産業でもあるいは構造改善事業でも、一番どんどん拡大していこうというところに、しもうたと思ってばたばたとこの保安林をかぶせてしまった。これは私どもそういうように理解せざるを得ぬわけです。私も末端の市長をしておりまして、四十七年、四十八年、いや全部保安林です。いままで保安林でなかったのがいつの間に保安林になったのかいということで、せっかく活用の法律ができたのに、結局ほとんど保安林にしてしまったから、時と場合によっては解除するとおっしゃいますが、現実にいまのところ末端では活用されておりません。したがって、昭和四十五年度までに農業構造改善事業あるいは林業構造改善事業で活用された面積と、四十六年、まあ七年からでもいいです。それから五十二年度まで活用した面積が大体どれくらいできておるか、その面積を出していただければ大体これが理解できるのじゃないか。ちょうど構造改善事業が始まってから四十五年まで約八年かかっておりますから、四十六年から五十二年まで八年、大体半分ぐらいですから、同じような面積でこういう国有地が活用されたというならば私は理解ができますが、実際私どもが末端で見た場合において、これはない。こうした保安林の網が急激にかぶせてありますが、この点が一つ。  もう一つは、保安林というのはどのような形でばかばかかぶせていくのか、末端の市町村はほとんど知らないのですね。国有林の存在している市町村長は知らないわけです。知らないうちに国有林が全部保安林ということになってしまった。こういうことではおかしいと思うのですが、その手続あるいは保安林指定の方法ですか、この二つについてちょっとお尋ねいたします。
  87. 藍原義邦

    藍原政府委員 国有林の活用の面積でございますが、先生がただいま御指摘になりましたような分類で分けますと、法施行前の九年間におきまして約五万三百ヘクタールでございます。施行後の六年間では約一万二千六百ヘクタール、合計で六万二千九百ヘクタールということになっております。    〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕  それから保安林の指定の方法でございますが、これは先ほども申し上げましたように、法律に基づきまして一応計画を立て、それを中央におきまして審議会で御審議いただきまして、中央森林審議会におきまして御決定いただいたものにつきまして十年間に指定をしていくということでございます。したがいまして、民有林と国有林等についても、保安林を指定する場合には当然森林所有者なり地元の都道府県と十分調整をとりながらその辺は施行しておるつもりでございます。
  88. 堀之内久男

    ○堀之内委員 ただいまの保安林指定の方はちょっといまわかりませんでしたが、民有林の場合は所有者とよく相談してやらないとできないだろうと思いますが、民有林の場合は今回は余り指定されてないですね。数がほとんどふえてない。やったのは国有林だけが保安林指定を受けておるわけであります。  そこで、いま利用度におきましても、前の方は五万ヘクタールであって、後はわずか一万ヘクタールも利用していない、利用できない。ということは、この活用法という期待した法律がせっかく通りながら、実際は不活用法である、こういうようにわれわれは言わざるを得ないのであります。実際に、この法律がないときは五万ヘクタールも畜産の草地造成や土地改良、いろいろな農地等に活用させていただきましたが、この法律が通って逆に一万に減ったということは、これはもう明らかに先ほど私が指摘申し上げましたとおり、実際は、故意にというか、大幅に保安林をかぶせてしまった。したがって、利用できそうな山林というのはほとんど保安林であるということであります。私どもも何回か営林局あたりにも相談申し上げましたけれども、盾にとられるのは、保安林でございますということで、いわゆる玄関払いであります。したがって、私は、せっかくこの活用法という法律が国会の中でも承認され、また林野庁もみずから利用してもらおうと思って出した法律ならば、やはり国有林の存在する市町村の住民の利益向上のためにも、もう少し利用させる方向でこれは検討すべきじゃないか、かように思いますが、長官、もう一回お考えをお聞きいたします。
  89. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま先生がおっしゃいました指定の状況でございますけれども、四十六年から五十一年までの指定状況を見ますと、国有林で三万五千ヘクタール、民有林で十一万七千ヘクタールという形になりまして、先生指摘になりましたように国有林ばかりということではないというふうにわれわれは考えておりますが、地域によりましてはあるいはそういう分布で国有林が多いためにそういう形になったところもあろうかと思いますが、総体で見ますとこういう形になっております。  それから保安林の今後の考え方の問題でございますが、私どもも、保安林は保安林として、やはり国民の期待にこたえてそれぞれの使命森林は水資源の涵養といいながらそればかりではなくて、同時に土砂扞止なり土砂流出防止の使命、保安林はそういう機能も持っておりますので、そういう意味から、やはり保安林を解除して他に転用利用していただく場合には相当慎重に考えなければいけない。過去におきまして、保安林を解除してそのために災害が出たという事例も決してないわけではございませんし、その辺は十分慎重に対応していきたいというふうに考えておりますし、また一面、先生がおっしゃいましたようなそれぞれの地域で農業あるいは畜産等々に利用したいという御要望がある場合には、十分その辺の御要望も踏まえながら、国土の保全あるいは水資源涵養との調整をどうやってとれるか、十分慎重に検討して対応してまいりたいというふうに考えております。
  90. 堀之内久男

    ○堀之内委員 私は国土保全、防災という立場から保安林を否定するものじゃないわけなんです。昭和四十五年四月一日現在では全国で二百十五万九千ヘクタールぐらいの水源涵養保安林であったのが、昭和五十年、これは五十年でも四十六年でも一緒なんですが、それからがふえてないのですよ。それから五カ年間に五万ヘクタールぐらいしか水源涵養保安林はふえておりません。それが約七十万というものを一年間でばさっとかぶせたというところに問題があるのですよ。これが年々少しずつやったというならまだ話はわかるのです。一年間で全部やってしまった、ばっとやった、そういうデータなんですよ。だから、私は、せっかく活用法案が出たのだから、保安林は除くとなっておるからこの際保安林に全部してしまえ、あるいは林野庁がそういう指令は出してなくても、熊本の営林局長が忠実であったのか、あるいは青森の営林局長が忠実であったのか、あるいは旭川の営林局長が忠実であったのか、大体この三つでほとんど占めてしまっておる。それを全部一年間でやってしまっておる。あとはもうちびちびなんです。五カ年間でちびちびしか水源涵養保安林にはしてないわけです。だから、私は、先ほどこの農地利用の度合いから見ましても、法律の施行前は五万ヘクタールも利用ができ、法律が施行になったらたった一万ヘクタールも利用ができない、これが保安林であるからということで常に利用というものが壁にぶち当たっておるわけでありまして、これを申し上げたのであります。  それならば、いま長官のお話では、せっかく地元と調和をとりながら利用はしてもらうのだということであれば、こういう保安林があっても、水源涵養保安林については、今後地元と、あるいはそうした市町村が営林局あたりとよく相談いただいてやるならば十分活用はさせるということなのか、その辺をはっきりしていただきたいと思います。
  91. 藍原義邦

    藍原政府委員 冒頭ちょっとお話ししておきたいことは、保安林の指定、先生いま一年間で七十万ヘクタールというお話がございましたが、私どもも的確な数字はいま持っておりませんけれども、保安林の指定の仕方として、先ほど申し上げましたような、いままでに、いま三期に入っておりますが、たとえば三十九年から四十八年までの二期の場合、冒頭三年ないし四年の間に全部整備計画を立てていたします。したがいまして、その整備計画のときにどこをどう指定するかということをはっきり確定するわけです。そしてその確定したものをいつ今度指定するかということは、いろいろな都合がございますので、年々ふらつきやばらつきがございますけれども、指定を決めてしまうのは最初の年、四年ぐらいの間に一応決めてしまいますので、それから後で実際の事業として指定の業務をするわけでございます。ですから、たまたま一つの年度にあるいは量がふえた事態があるのかもしれませんけれども基本的にはその計画を立てますときにすでに確定しておるというのが実態でございます。  それから保安林、水源涵養林の今後の利用の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、日本は三千五百万ヘクタールしか国土がございません。したがいまして、これからの国土を有効的に利用すること、あるいは場合によれば立体的に利用することが非常に必要ではないかということを私も考えております。そういう意味からも、先ほど申し上げましたような、森林の持ちますいろいろな機能がその地域の経済なりあるいは生活の安定に寄与する範囲内で、それが他に転用その他をしてその地域の振興を図り得るということであるならば、十分その辺は調和を図りながら対応していく姿勢でございます。
  92. 堀之内久男

    ○堀之内委員 いまの長官の答弁は、最後だけがちょこっと、十分調和を図りながらということですが、私はよその方はちょっとわかりませんけれども、たとえば、九州でいま国有林を利用しようと思ったらできないわけですよ、保安林ということで。畜産を幾ら拡大しろ何をしろとおっしゃっても、全部保安林ですよ。だから、これは、大臣もちょうどおいでいただいておりますから、先ほども申し上げましたとおり一年間で七十万ヘクタールも指定して、この法律が通ったからどうだとおっしゃっても、これは何ぼいろいろな計画があったと言われても、現実にわれわれが利用できなかったということを踏まえますときに、林野庁が保安林というものを早くかぶせろ、そして末端の地方公共団体が利用できないように網をかぶせろと指示しなかったとしても、そういうようにわれわれは理解せざるを得ないわけなんです。活用法自体がこういうことになっておりますが、現実にそうした末端では非常に困っている。末端ではこれを不活用法だ、何のためにあれだけ運動して、旅費を使って一生懸命したことが、結果的にはくだらない法律をつくってしまったなということが実感なんです。  山は水源涵養であることはもう決まっておるのですよ。何もわざわざ水源涵養保安林と指定しなくても、これは国有林ですから計画的に伐採していけばいいわけであります。民有林なら一遍にばさっと切るという心配もあるけれども国有林のの場合は施業計画に従って少しずつ切っていけば水源涵養は十分できるわけです。私は、砂防保安林とかそういうのは別だと思うのですね。だから、この際、せっかくこういう法律がある以上、あるいはまた、先ほど長官から御説明があったのですが、いま日本の食糧自給率を上げようということで、中川農林大臣を中心にいろいろと国も一生懸命努力されている今日です。草地造成事業、土地改良事業とか、日本の国土を利用するのにはもう国有地しかないのです。実際私どもの地方では、国有林がたくさんあった市町村ほどいまはいいのです。私どもは民有地でなくてよかったと思っておるのです。昔、薩摩は賊軍になってよかったなと言うのです。あれが民有であれば、実際問題としてもうほとんど活用はできません。幸い私どもの方は先祖が賊軍になったからこそ、おかげで全部官に巻き上げられたから、現在われわれはそれを十分利用さしていただいておる。ところが、利用さしていただこうと思ったときにこういう法律ができて、喜んだのは、本当に喜んだだけであって、実際問題これは利用できなくなった。  そこで大臣、どうでしょうか。四十六年に一遍に七十万ヘクタールも指定したその水源涵養保安林です。これは砂防保安林とかそんなのはわずかしかなっていない。これが大事だということはよく知っています。長官も前向きにいろいろそのときにするとおっしゃいますが、末端で営林局とか農政局がいろいろ協議しても、これは実際問題できません。これは実際いまもできていないのですから。調査を三年間やって、国費を三億ばかり使って、あれは調査だけを認めたけれども活用させるまでいっていないというので、これはパアですよ。いま畜産局も、国費を使っただけで大蔵省からも手を上げられておる。そういう問題も実際ありますが、こういう措置について大臣の御所見を承りたいと思います。
  93. 藍原義邦

    藍原政府委員 たびたび恐縮でございますけれども、私どもも、先ほど申し上げましたように地元のいろいろな産業振興のために役に立つものであれば御協力する姿勢は本当にやぶさかでないわけでございます。  ただ、一点申し上げておきたいのは、過去にそういうことでやはり利用していただいて災害が出た事例もございます。それから、非常に面積が大きくなりますとやはり問題がある。よく何百ヘクタールという大きなものが出てまいりますので、その辺を十分調整しながら対応したい。ところが、地元の御要望は三百、四百、こういう大きな面積が出てまいります。そこで、その辺を十分調整しながら何とかうまく利用していただけないかということで、時間がかかっている点については非常に恐縮と思いますけれども、私ども姿勢も、そういう意味で積極的な対応をする。やはりそういう国費のためということではなくて、災害その他をおもんぱかって心配しておることを十分御理解をいただきたいと思います。
  94. 堀之内久男

    ○堀之内委員 理解してくれとおっしゃいますが、私はこれはどうも理解できぬわけなんですよ。いままでが実際にやられておらぬから。水源涵養林の指定を解除したからといって、これからどんどんやって、九州でそんな大災害が起こったという例はいままで過去十五、六年の間にないわけですよ。  だから、私は、ここでこればっかりで時間をとられたらかないませんから、四十六年、七年にかけて一気にこの水源涵養保安林というものを指定されております。これをもう一回見直しをしていただくということ、これはお考えいただけませんか。でないと、一回一回営林局と農政局が話し合いしても、なかなか末端の交渉事には、われわれが末端の交渉を営林局に行って課長さんと相談してみたって、本人でなければわからぬわけです。長官がここで言うのとは末端の実際は違うのです。これは営林署長といえども、一職員といえども、自分の山だと思っているのだ。これは保安林だから絶対手放さないのだという考え方でおるわけです。そういう意味で、私は、確かに利用できるようなところは保安林を解除していくということが今後の活用という意味で大変重要だ、かように思うわけであります。だから、その点について、もう一回保安林の状態というものを点検もさせながら、あるいは今後この法律にのっとった形で利用させる方向で御検討をいただけないかどうか、改めてもう一回御見解をお聞きします。
  95. 藍原義邦

    藍原政府委員 先ほど説明申し上げましたように、活用に当たりましての基本的な考え方については、保安林は原則として除くということにはなっておりますけれども、ただし書きも十分つけてあるわけでございます。そこで、先生いま御指摘になりましたように、営林局なり営林署の態度が非常に頑迷固陋であるというお話でございますが、私どもは、その辺につきましては今後十分指導をいたしまして、活用法の精神が十分くみ取られた形で国有林が活用できるような指導をしてまいりたいと思います。
  96. 堀之内久男

    ○堀之内委員 それではこれだけで時間をつぶしますので、一応最後に大変前向きな御答弁をいただきましたから、それを了として理解いたしまして、次に移りたいと思います。  今日、国有林野事業が相当な赤字を出すようになったということは私どもも承知いたしておりますが、このような状態になった背景と申しますか、原因と申しますか、これは長官はどのように理解をされておりますか。長いこと国有林野事業に携わられた大先輩であられますから、十分その点は御承知だと思いますので、その辺の原因をお聞かせいただきたいと思います。
  97. 藍原義邦

    藍原政府委員 国有林が財政的に赤字になった原因につきましては、いろいろな問題があろうと思いますけれども、これを財政的に見ますと、損益計算上の損失発生現金収支上の資金不足という二つの面があるのではなかろうかと思います。  そこで、損益計算上の損失発生の理由でございますけれども、これを収入費用の面で分けてみますと、収入の面では、いまも論議になりました森林公益的機能維持あるいは資源賦存状況から、伐採最にどうしても限界があるということ、そのために伐採量を縮減せざるを得ないという現状であること、それから木材の需要構造の変化によりまして材価がきわめて低迷しておるというような問題。それから一方費用の面では、かつて伐採量が非常に大きかったときに抱えておりました管理部門がございますけれども、そういう管理部門の相対的な肥大化といったような大きな事情がございまして、人件費が固定化してしまっているというようなこと、あるいは森林公益的機能維持向上のために諸経費増高がある、こういう問題が費用面ではあるのではなかろうかと思います。  また、現金収支の面でございますけれども、これにつきましては、国有林の資源状況から、先ほど申し上げましたように伐採量をふやすというわけにまいりませんので、収入の制限がございます。そういう中で、森林資源の再生産を図ろうということで、ただいま造林とか林道というものに積極的に投資をやっておりますけれども、こういう投資活動維持していくために生じているという面がございます。  こういうようなことが財政的に見た大きな赤字原因ではなかろうかというふうに考えておりますが、要は、こういう問題と同時に、こういう状況になるために、やはりある意味で、私ども国有林の管理経営につきまして、いろいろな状況判断なりその他について必ずしも十分でなかった点があろうかということも私ども十分考えておるわけでございます。
  98. 堀之内久男

    ○堀之内委員 赤字が大幅に出てくる、今後も増大視されるような状況になった原因については、いま長官からも詳しくお話がありましたが、私はいろいろ見方があると思います。いままでの林野行政というのが、自分たちがつくった山ではないんです。林野庁というのは、昭和二十二年国のいろいろな山を一括あなた方の方で管理をすることになったわけです。この当時の山というのは、これはみなわれわれの祖先、先輩が残した財産だったんです。それを戦後のいろいろな需要に応じて、めちゃくちゃというか、ただどんどん切って売るわけですから、ただでもらったやつをただ切って売るんだから、これはもうかるのは、黒字が出るのはあたりまえなんですよ。それで、企業特別会計を持っておってこれは黒字経営だといって安閑としておったところに今日があると私は思うのです。その中で典型的なのが、木材伐採をいたされるときの原価方式ですか、いわゆる丸太を切って売る場合の原価の出し方というもの、あるいは職員のいろいろな能率のぐあいとか、あるいはまた機構の問題、こういう三つがほかの部門から見て非常に立ちおくれをした、こういうふうに私は理解をいたしております。大体三つぐらいだ、こういうふうに私は思うのですが、この点、長官はどのように理解されておりますか。
  99. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいまおっしゃいましたように、国有林の現在の状況を見ますと、確かに、ただいま切っております木、戦後切りました木は、戦前の大先輩が植えていただいた木でございますし、それから天然林等につきましては従前から日本に生えておりました木でございますから、その伐採しております材を植えつけるあるいは育てるために最近金をかけたものではない、そういうものを出したということは事実でございます。ただ、私どもいま考えてみますと、昭和二十年代というのは、比較的国有林伐採量もそう多くなく、安定的にやっておったわけでございますが、戦後の復興なりあるいは経済の発展に対応するために、外材が入ってこないという事態に非常に国有林に期待が大きくかかった。そのときにやはり国有林としては、国の経済の発展なり国民生活のためにどうしても材を少し出していかなければいけないという事態もございました。そこで、やはり奥地の森林開発して国有林材を出して国民経済を担おうということから、伐採量が一時増大いたしましたけれども、その後やはり経済も安定し、国民生活も安定してまいりまして、森林に対します公益的機能の発揮というものの要請が四十年代非常に高まってまいりまして、そういう意味から伐採面積の縮減あるいは禁伐地域の拡大等々をやりまして、現在のような形でこれから当分の間伐採量を下げるということがございます。したがいまして、一番伐採しておりました時点といまとを比較いたしますと、大体三分の二ぐらいの伐採量になっております。こういう面から収入面が非常に伸び悩んでおるということは大きく言えるんではなかろうかと思いますが、あわせまして、先生が御指摘になりましたように、伐採が大きかった時代の管理部門なり組織機構と現在の機構はほとんど同じような形であるというところ、ここにやはり大きな問題点があると私ども認識いたしておりますし、また、現在やっております職員全体の職務規律なりあるいは意識の問題等についても必ずしも十分でない点もあろうというふうにわれわれも考えておりますが、この辺については今後十分指導して改善を図ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  100. 堀之内久男

    ○堀之内委員 ただいま私が御指摘申し上げた件で十分長官の方もそのように理解をされておるようでありまして、お互いこのことについて今後努力しなければなりませんが、今回の整備事業法案につきましても、そういうことを踏まえて、遅きに失したとわれわれは考えておりますが、しかしそれでも、前向きにこうした計画を出されたというところについては大変高く評価するわけであります。  したがって、この機構全体を見ましても、昭和二十二年あるいは二十三年、あの交通の不便な、あの道路網の悪い、通信網のない時代の営林署なりあるいは営林局なりいろいろな機構というものが、旧態依然として今日までそのまま残っておるというのは恐らく林野庁だけじゃないでしょうか。ほかはもう全部変わっておりますよ。法務省の登記所あたりもずっとたくさんありましたけれども、もうほとんど集中管理で統合が済んだのです。あるいは仕事自体でも、直用というか直営林というんですか、育苗でも直営、あるいは植えつけも直営などというこんな存在がどうしていままで残っておったかということを考えますときに、私は、先ほどから言うように、やはり祖先が残した財産を売り食いしておったというだけのことで、その上にあぐらをかいてまだ黒字だ、まだ黒字だということで安閑としておって、ここで大きな赤字が出、将来ともこれはどうにもならぬということであわてたとしか理解できませんが、それでも、遅きには失しましたが、いまからでもやろう、こういう意欲については私ども高く評価するわけです。したがって、今回この法案が成立した場合におきましては、国有林というのは国民の財産であって、一営林局あるいは林野庁の職員とかそこに働く者だけの財産ではないわけですから、その辺のところを十分理解されながら今後取り組んでいただきたいと私は思うわけであります。  今日、立木等を払い下げされる場合にも、立木を立ったままでの払い下げ方式、あるいは直用で素材の生産を直接やられる方法、あるいはそれを一部請負の方法でやっておられるようでありますが、この辺の原価というものを本当に計算をされたものかどうか。われわれ第三者から見ますと、林野庁というところは非能率なことをやっておるところだなと思って、これは本当に国の財産のむだ食いだなということを、私だけじゃない、国民みんなが、国有林のあるところの住民はだれだって見ておると思うのです。だれが計算してみても、これは請負でやられた方が、はるかに立木も高くあるいは素材も高く売れると私どもは理解しておるのですが、このような検討もなされたことがあるのかどうか、ちょっとお尋ねしてみます。
  101. 藍原義邦

    藍原政府委員 まず初めに、先生指摘になりました、木を売る場合の立木で売るか丸太で売るかの販売方法の問題かと思います。国有林はただいま大体六割が立ち木で売る立木販売、四割が丸太で売る製品販売という形になっておりますが、これにつきましては、丸太で売る場合と立木で売る場合は、それぞれ利用される方々のある意味での利用面での有利性、地元に対するいろいろな有利性というものを考え、と申しますのは、零細工業の方々はやはり立木ではなかなか買えない場合もございます。したがいまして、必要なものを丸太で、素材で購入されるということもあり得ます。それから今度逆に、自分の好きなような採材をするためには立ち木で買って自分の好きなように採材した方がいいという方もおられます。その辺の調和を図りながら、ある意味では歴史的経過でこの六割、四割という比率はずっと続いてまいっておりまして、ほとんど変わっておりません。そういう半面と、しかしながら半面、私どもといたしましては、国有林の管理経営にとってどちらがベターであるということも十分考えながら対応しなければいけないと思っておりますし、そういう問題については、今度の改善計画を立てる場合でも、十分いま申し上げました両面を考えながらその辺は検討してまいりたいというふうに思っております。  それから直営でやるべきか請負でやるべきかという問題、直営が非常に非能率だという御批判をいただきましたが、私どもも必ずしも直営が能率的にやっているとは考えておりませんし、昨年会計検査でも御指摘もいただきました。そういう意味で、私どもといたしましては、現在やっております直営事業につきましては、これが民間事業との競争に耐え得るような生産性の高い直営事業にするように積極的に努力をしてまいりまして、今後ともその能率を高めるような方途を見出し、その直営生産事業の効率化を図っていきたいというふうに考えておりますが、あわせまして、請負事業の場合には、それなりに社会保障制度のおくれというようないろいろな面もございます。そういう問題を十分踏まえながら、請負事業が近代化されるような形で指導もしていかなければいけない。そういうことを両々相まちまして、国有林事業が効率的になるような基本的な考え方で対処してまいりたいというふうに考えております。
  102. 堀之内久男

    ○堀之内委員 今後の木材販売方式についてはいろいろ言われましたが、私どもが考えるときに、立木方式がまずベターだと思う。それ以外ならばやはり請負方式なんだ。これは素材の払い下げを受ける人はどんなのでも切れるわけですから、それで計算して本人たちが出すわけですから、能率からいけば一番これがいいのです。立った木でちゃんと容積を計算されてやった方が一番無難なんです。その方が一番収益性が間違いなくある。だから、その点一番効果的だと思いますが、しかし、いままでこれに従事する業者の方もいらっしゃるだろうし、それならば請負方式と両方併用して将来やることが素材の収益性を上げていくという大きな原因になる、かように考えます。以前は、御存じのとおり、あの建設省というのは皆直営だったのですよ。昭和三十四、五年ごろはみんな直営です。河川、道路は皆直轄だったのです。ところが、働かないことおびただしかった。われわれが建設省あたりに陳情に来ると、全建と言っておりますが、廊下に座り込んで、ほとんど働かなかった。したがって、建設省も思い切ってあれを十カ年の中で全部請負方式に変えられたという経過があるわけです。同じ役所の中でもそういう前例があって、苦労されて実際やってこられて、今日では請負方式できわめて大きな能率を上げておられるわけです。私も前に執行部をやっておりましたから、自分で執行をやってみましても、直営と請負方式は二倍や三倍じゃききません。能率からいったらとても違う。私も私有林というのが一千町歩からあったわけですが、全部請負です。直営でやっておる間はとても山というものは採算に合いません。今後これだけの職員を抱えてこのままいくならば、どんな計画を立てられても、直営を残すのであれば国有林経営は一向に軌道に乗らない、かように考えておりますが、将来そうしたことを参考にしながら一応計画を立てていただきたいということを御要望申し上げておきます。  次に、職員の雇用状況をちょっとお聞きいたしますが、勤務形態について定員外職員、いわゆる作業現場の職員ですが、こうした者の実態をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  103. 藍原義邦

    藍原政府委員 林野庁には、先生御存じのとおり、定員内職員定員外職員がおります。  定員内職員につきまして少し時系列的に申し上げますと、昭和三十年が二万百人程度でございまして、昭和四十年になりますとそれが三万九千八百人余、それから昭和五十二年では三万五千七百七十一人という形になっております。  それから、定員外でございますけれども定員外につきましては、これには常勤作業員と常用作業員と定期作業員との三種類がございます。これは雇用区分別に変動が非常にございますが、これをトータルいたしますと、昭和三十年には三万一千二百人程度でございますが、四十年には四万五千三百八十一人になっております。そして、これが五十二年には三万一千百四十九人と減になっておる、こういう状況で、昭和三十年から四十年にかけまして、一番この辺で定員内、定員外とも人員が多いわけでございますが、その後林野庁におきましても鋭意定員外作業員の縮減を図りまして、現在はいま申し上げましたような数字に減ってきておるわけでございます。
  104. 堀之内久男

    ○堀之内委員 職員の現状というのはそうなっているでしょうが、最近になって林野基幹作業職員という制度を発足させて、そして新たにいままでの常用ですか、そういう者を約二万人ぐらい任用されておるようであります。したがって、実際のあれを見ますと、常用以上を見ますと、三十九年、一番林野庁の職員がおった八万五千という時代のいわゆる定期を除く常用以上は約五万人だったのです。ところが、五十二年になるとこれが逆に五万五千人にふえておるわけですよ。結局、最後までめんどうを見なければならないいろいろな職員というのが常用化されて、いわゆる定員内職員というべき職員が逆にふえてきておるわけです。経営の最もよかった時代より経営の悪い今日の方がかえってふえておるのです。これはどういうことなんでしょうか。せっかく合理化もしていこう、あるいは今後の経費の支出も減らしていこうというこの時期に、逆に五千人もふやしていった、この点についてどのように考えておられますか。
  105. 藍原義邦

    藍原政府委員 数字につきましてはちょっと私あれでございますけれども、いま先生が御指摘になりましたような考え方で私ども対応しておるのではございませんで、先ほど申し上げましたように、定員内職員につきましても年々縮減の方向を図っておりますし、それから定員外職員につきましても、いま先生が御指摘になりました基幹作業職員というものは——これらの国有林で働いておられる方はいままで常用とか定期とかいろいろございました。しかしながら、ある意味では身分が必ずしも安定しておらないという問題もございます。そういう意味で、できるだけ身分を安定してほしいという要望が前々からございまして、これに対してどう対応していくかということでここ十年近くいろいろやってまいったわけでございます。  そこで、私どもとしては、これからやはり国有林改善合理化を進めるに当たりまして、基幹的な仕事をやっていただく方についてはある意味での身分を安定して、そのかわりしっかり仕事をしていただこうということで、そういう方々につきましては、先ほど申し上げましたような作業職員という形の制度をつくりまして、一万九千三百人の方に現在基幹作業職員になっていただいておりますけれども、私ども考え方としては、この作業員の方々を中心にして対応していこうということでございますので、現在まだそのほかにも常用、定期の方がおられますけれども、行く行くは高齢者の退職というような形でこの削減の促進を図りまして、通年して仕事ができる範囲内での基幹的な作業員を把握しながら対応してまいりたいという考え方でございます。
  106. 堀之内久男

    ○堀之内委員 いまおっしゃる基幹作業職員というのに本当に現場の作業で基幹的に努力してもらおう、こういうことだということで、その言葉は非常にいいのですよ。ところが、実際末端で働いておる職員というのはどのような状況になっておりますか。実際は林野の営林局の現場の職員ほど働かない人間はいないということになっておりますよ。これがいま民有林の皆さん方に非常に大きな影響を与えておる。勤務の実態というのはどのようなものになっておりますか、ちょっとお尋ねいたします。
  107. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま先生が御指摘になりましたように、国有林の職員、作業員が働かないという声は私どももときどき耳にいたしております。私どもといたしましては、私どもの指導が足りないことは十分反省いたしておりますが、全国七百五十万ヘクタール、三百五十一営林署ございますと、どうしてもそういう場が出てくるのかというふうに非常に心配しておりますけれども、今後そういう御批判を受けないような指導を徹底してまいりたいというふうに考えております。
  108. 堀之内久男

    ○堀之内委員 長官も大体その点は理解をされておるようですから、もうこれ以上は申しませんが、やはりこの職員にはある程度ノルマというものをやらないと、八時間働いても五時間で済んでもいいじゃないか、一人の作業量というのは、下払いは幾ら、大体何平米だ、あるいは植栽は幾らだという大体の本数はあるのですよ。それならば、五時間で済んでも四時間で済んでもいい。一日のノルマというのを与えるような方向の方が効率的である。公務員の服務規定からいってちょっと問題があるような気もしますが、その辺もやはり効率を上げるという立場から、でないと、国有林だけが日本の山ならいいのですけれども、大部分は民有林なんですから、その民有林のいろんな作業に、民有林経営に非常に悪影響を与えておるわけです。国有林だけで済む問題ではないわけです。これは私どもが末端でどこからも聞く言葉なんですから、だから、そういう国民から国有林を非難されないような形にするためには、何といってもやはり第一線のそういう作業員の方々に模範を示してもらわないと、賃金でも、あれらはたった三時間しか一日働かずに五千円もらうじゃないかとか、それが一番批判になっておる。だから、国有林が黒字になるはずはないというのが国民の偽らない声であるわけであります。だから、そういうことを今後の施業計画では十分お考えいただきたいと思います。  最後に、もう一つだけお願いしておきます。  今日、これは国有林だけじゃありませんが、日本の森林業、木材業というものを発展させるために、これも前からいろいろな場所でお話が出ておる。日本の木材だけに木引税をかけておる。これは賛否両論いろいろありますが、私は、この際、この木引税はおくことにいたしまして、今後いろいろな森林事業を進める一つの財源を確保するというものがなければ、ただいろいろ言っているだけでは、これは財源なくしてできない。幸い、現在外材というものが約一兆一千億円前後ですか、金額にして相当量の外材が輸入されておる。これは、関税はゼロで、そのままフリーだから、内地材が太刀打ちできるはずがないわけだ。だから、これに対して、私は、やはり国内法という立場から、これは大臣のお考えをお聞きした方がいいんじゃなかろうかと思うのですが、仮に日本の木引税と同じような形で、制限いっぱい三%をかけるならば、三百三十億という財源ができるわけです。この財源で、今後の林道事業なり、あるいは国有林整備事業なり、治山事業なり、あるいはまた育苗なり、そういうものに活用するという方向に考えるならば、非常に前向きだと思う。これならば、幾ら外国のものといえども、日本の木には税金をかけておるのだから、やはり外材もかけるんだということになれば、外国もそんなにこれに対して非難することはなかろう。関税というと語弊がありますが、木引税だ。外材に対する木引税だということで課せるということならば、財源もでき、さらにまた今後の製材、木材業に対する助成方法もいろいろ配慮ができると思いますが、大臣、これについてはどのようにお考えですか、お尋ねします。
  109. 中川一郎

    ○中川国務大臣 木引税の問題に関連する外材に対する課徴金というのですか、取引税というのですか、関税でないものをかけたらという議論は相当前からありまして、私どもも関心を持っておったのでございますが、最近ではちょっとこれはできない。というのは、非常に関税障壁に対して諸外国が厳しくなった。いま、ゼロ関税だけでも許さないので、将来ともずうっとゼロであることを約束しろ、これぐらい厳しい状況にありますので、研究はしてみますけれども、約束しても、外国の圧力をはねのけてやれるような情勢にはなかなかない。気持ちはよく理解できますけれども、現実問題としてはなかなか厳しいということを申し上げざるを得ないわけでございます。気持ちとしてはよく理解できるわけでございます。
  110. 堀之内久男

    ○堀之内委員 大臣がそんな弱気で言われたのではちょっと問題なんですが、それならば、内地材の木引税を廃止してもらわないと、わずか三十億前後ですから、どうということはないのですが、内地材にはかけておいて、外材には、これは国内法の問題ですから、いわゆる物品税というような形ででも外材にやってもらって、そして財源を三百億でも二百億でも確保すれば、今後の林野事業整備の上で大変前向きにできる、かように思うわけでございますので、大臣にお尋ねしましたが、きょうは、ここで再度答弁はいただきません。どうか、今後十分御研究をいただきまして、前向きに、ともに努力をさせていただきたいと思います。  あと、社会党の対案についての御質問は、後に時間を留保することにいたしまして、きょうの私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  111. 中尾栄一

    中尾委員長 津川武一君。
  112. 津川武一

    ○津川委員 私は、いま提案されておる内閣提出国有林野事業改善特別措置法案、もう一つは、芳賀貢君外十二名提出国有林野事業再建整備特別措置法案について質問したいと思います。  このうちで、きょうは、内閣提出法案、あしたは、芳賀貢君外十二名提出法案について質問しようと思いますが、両法案提案されておりますので、芳賀貢君外十二名提案法案について一言だけ触れてみたいと思います。  芳賀貢提出法案によりますと、住民福祉の向上に寄与することになるように国有林野を活用し、それに必要な経費一般会計から出すようにというふうにしてあります。ところが政府案は、いろいろ聞いてみますと、こういう国民福祉の、たとえばスキー場なんかにする仕事を今度何か削ったみたいに思われるのですが、社会党案のこの方が私はよろしいと思うし、支持したいと思うし、政府がそういうことを政府案からなぜ抜いたのかということを簡単に説明していただいて、次に政府提出のものに入っていきます。
  113. 石川弘

    ○石川政府委員 政府案について御説明いたしますと、一般会計から繰り入れることができますものは、国有林野経営改善に資するというものでございまして、事業施設費でございます。その事業施設費の具体的内容につきましては、法案で御承知のように、予算で定めるということと政令で定めるということを要件にいたしておりまして、五十三年度の予算で申し上げますと、重要な幹線林道に係るものと、保安林に係る造林の部分でございます。その他の事業施設費につきましては、法案自体で全く予定していないわけではございませんで、今後の課題として、さらに予算の面なり、あるいはそういうことが国有林経営改善に円滑に資するかどうかという判断で、政令で定めるという姿にしているわけでございます。
  114. 津川武一

    ○津川委員 ぜひ国民レクリエーションの場にも国有林野を活用するように要請して、次の質問に入っていきます。  たびたび議論にもなりましたが、国有林野使命についてでございます。  一つは、木材その他の林産物の計画的な持続的な供給。二つ目には、国土の保全、水資源の涵養、自然環境の保全などの森林公益的機能を果たさせる。三つ目には、国有林野の活用により、地域の産業活動、こういうものを興して地域振興に寄与する、こういうことをわれわれもしゃべってきたし、政府もこの立場から、この委員会の席でも何回か話してまいりました。  そこで、二つ目の、国土の保全、水資源の涵養、自然環境の保全などの公益的役割り、これについて若干聞いてみたいと思います。  昭和四十七年十二月の林野庁の中間報告によりますと、「みどりの効用調査による評価額」、緑が幾らの経済的な価値があるかという、お金の換算です。水源涵養として一兆六千百億円、土砂の流出防止として二兆二千七百億円、土砂の崩壊防止として五百億円、保健休養として二兆二千五百億円、野生の鳥獣保護として一兆七千七百億円、酸素供給、大気浄化、こういう作用として四兆八千七百億円、合わせて十二兆八千二百億円。この効用は、この委員会で私も前に問題にしたことがございます。この十二兆八千二百億円を、四十七年十二月でありますので、五十一年十一月の卸売物価指数に換算していきますと、二十一兆二千百四十三億円になります。これは全林野でございますが、これだけ大きな機能を果たしておるのが森林でございます。この中で国有林野が大きな役割りを果たしておる。その国有林野赤字でございます。なぜ赤字になったかということでいろいろ議論もございますが、戦後の国民の要求に基づいてたくさん切ったこと、高度経済成長期に紙パルプなどの大企業の要請のもとに成長量を二倍も上回るような伐採をしたこと、こういうことによって森林資源を食いつぶし国有林野を荒廃させ、国土に多くの水害を起こしてきた。この公益的機能を発揮させるとすれば、本来一般会計で行わなければならないのですが、林政協力という名のもとに国有林野の収益の相当部分を国有林野から持ち出し、国有林野生産基盤などに対する必要な投資をやらなかったりおくらせてきて、今日の状況をつくっております。こういう形で、緑の保全のために、水質源の涵養のために、国土の保全に、公益的機能が強く国民に求められております。ところが、これを国有林野のかせぎ高からやらせておりますので問題が出てまいります。  こういう立場からもう一つ国有林を見てみますと、国有林七百五十七万ヘクタールのうち保安林が三百六十二万ヘクタール、自然公園など国民の保健及び休養のための国有林野の利用が三百五十一万ヘクタール、史跡名勝、天然記念物、このために十一万ヘクタール、鳥獣保護区が七十七万ヘクタール、レクリエーションの森が五十八万ヘクタール、現にこのように使われておるのです。  こういう点で大事な国有林公益的機能を果たしている役割りを大蔵省は認めるつもりかどうか。認めなければならないと思います。これが大蔵省に対する一つの質問。  とすれば、国有林野事業から上がったものだけでこれをやらせるのは間違いなんで、国がこの経費を負担すべきだと思う。この二点を大蔵省に答えていただきます。
  115. 宍倉宗夫

    ○宍倉説明員 お答えいたします。先生指摘の、前段の公益的機能の問題でございますが、国有林がその事業運営の過程において公益的機能を果たしているということは、先生おっしゃるように事実だと思います。国有林野がその公益的機能を果たしているということは一つの目的かもしれませんけれども、しかし、それはそれだけのためにやっているわけのものではないのではなかろうかと私どもは考えております。たとえば民有林にいたしましても、森林を育て林業をやっていくという過程におきまして、やはり緑があり、自然保護のためにみんな国民全体に益しているわけでございまして、国有林にその問題は限った話ではないのではなかろうかというふうに思います。  それから二段目に、これに対して国は一般会計からお金を出すべきではないかというお話でございますが、その問題となる公益的の機能の中でも、国土の保全、国民生活の安全に最も密接な関係がございます治山事業、これにつきましては、かねてから一般会計として国有林につきましても治山事業について金を出しているわけでございまして、これは御承知のとおりだと思います。四十一年度以降は民有林事業と同じようにお金を出してやってきているわけでございます。
  116. 津川武一

    ○津川委員 大蔵省、民有林でも公益的機能を果たしているという、だから国有林野はその点は余り考えなくてもいいような意見だけれども、国土の保全の上で国有林野の果たしている役割りは民有林とは段違いなんです。私、言ったでしょう、国有林野七百五十七万ヘクタールのうち、保安林が三百六十二万ヘクタールですよ。民有林にこんなのがありますか、幾らかあるけれども。そこのところで、この点は国土維持のためにどうしても政府が考え直さなければならない大事な大事なあれなんです。民間でも自分の裏のかきねに植えている防風林、これは当然その人たちが負担している。国も自分の国土を維持するとすればこの点はどうしても国の負担が当然なのを出し惜しんでくるところに、今度の法律を出さなければならぬ根拠があったわけであります。この点からまた言うと、いままでこういう正しい認識に立てば一般会計から投資してくるのが当然なのをやらないために、今度は国有林野長期借入金九百七十億円に対して、一般会計からわずか四十億円導入してくるという。この程度では、これまでの借入金の利息分にも及ばなくなるのじゃないか。この法案が通っても、依然として借入金依存の体制は変わらない。このままでは将来、元金利息償還のためにまた新たな借入金が必要となると思うのです。したがって、大蔵省も、国有林について赤字のレッテルを張るのではなく、公益的機能について国民的な合意が得られるように、国民的な要請にこたえるために十分お金を出していかなければならないと思います。大蔵省は国有林野財政をいつまでも借入金政策でやらせるつもりでありますか。金に対して経営に対しては一かども二かども見識を持っている大蔵省です。重ねて答えていただきます。
  117. 宍倉宗夫

    ○宍倉説明員 お答えいたします。  国有林野事業が特別会計になりましたときのいきさつから申しますれば、こんなことになっているようであります。従来のように一般会計のもとでは、林野経営の特異性は無視されて国土は荒廃するしかない、また、会計的見地からも、一般会計は国家企業の一種としての国有林経営の成果及び財政の状態を明確に分析、把握して、事業能率の増進、経営の合理化に対しその指針を与えるような会計制度にすべきだということで、特別会計になっているわけです。  その特別会計というのは独立採算を原則としてやるということでやってきているわけでございまして、制度のたてまえからいたしまして、その独立採算の中において、いま先生指摘公益的機能をもちろん果たしながら、それから林業資源の安定的な供給も果たしながら、また同時に、国民生活、国民福祉の向上にも役立つ、そういった運営をしていくというのが国有林野事業なわけでございます。したがいまして、いままでそういうふうにしてやってきた。  ところが、いま問題となっておりますように赤字が続きまして、五十三年度からは累積欠損が出てくるではないかという事態に立ち至っておるわけでございますからして、私どもといたしましては、そういった異常な状態というものをなるべく速やかに正常な特別会計本来のあり方に戻すべきであるということでこうした法案をお願いしているかと存じております。したがいまして、この法案を御承認いただきました後、十年間の改善期間におきまして、国有林野事業の現在悩んでおります弱い体質を改善して、それで二十年後には収支均衡に持っていこうということになっているわけでございます。  別途その借入金はどうなんだということでございますが、これは企業経営であります限りにおきまして、借入金が一切あってはならないということではないと思います。企業につきましては、企業と申しますものは、御承知のとおり、借入金というものがつきものでございますからして、その借入金の額、それから借入金の性質、そういったものが問題かと思います。現時点におきまして、借入金が正常な借入金であろうかということになりますと、やはりこれはちょっと問題が多いところであります。なるべく早い時期に国有林野事業の体質を改善して、借入金については適正規模なところに持っていくということにしなければならないかと思います。
  118. 津川武一

    ○津川委員 国有林野の財政を維持するために経営の合理化と言いましたね。まあいいでしょう。だけれども、半分も保安林ですよ。売って利益になってお金になるものが、必要なときに切れないのです。これが公益的な性格なんですよ。そんなことをお構いなしに、あなたたちはお金を出し惜しんで合理化やれという。借金も、借金の利息を返すために借金をしなければならないようなものは、やはりてこ入れしなければならない。こんなことを指摘して、大蔵省で国有林野の健全な発達のために必要なお金を出すことを検討していただくように要請して、大蔵省に対する質問は終わって次に移ります。言うことがなければ、お帰りになっても結構でございます。  そこで、この借金政策、利子のために借金をするということは、早く抜け出さなければならないと思いますが、林野庁方針を伺わせていただきます。
  119. 藍原義邦

    藍原政府委員 国有林の性格につきましてはいま大蔵省の方から御説明ございましたが、私どもも、国有林が、国有林の性格を確実に維持しながら健全な経営ができるように今後対応していかなければいけないというふうに考えております。そういう意味で、ただいま御審議を願っております法案提出いたしまして、この法案に基づきまして、私ども改善計画をきちんと立て、今後十年間のうちに、この後二十年先には健全な経営になるような基盤を十分整備しておこうというのがわれわれの考え方でございますし、その間に必要なものにつきましては法案に基づきましての一般会計の繰り入れあるいは財投の借り入れ、こういうものを行いまして、その間における基盤の整備を図り、そして改善を進めながら二十年先には所期の目的が達せられるような基盤をつくっていきたいというのがただいまわれわれが考えている考え方でございます。
  120. 津川武一

    ○津川委員 われわれも国有林野の財政の回復のために全力を挙げて応援するにやぶさかではありません。  次の質問を進めていきます。  国際的な木材の需給の見通しでございます。経済企画庁の調査によりますと、輸出余力のある国は限られております。現在でも森林は、世界的に過伐の状況にあるとも言われております。将来国民生活に必要な需要もふえると思いますが、これに追いつけないのが心配になっております。     〔委員長退席、片岡委員長代理着席〕  そこで、どうしても日本の林業の生産を充実、振興させることが必要となってまいりました。主要国の木材充足率を見ますと、丸太について言うならば、一九七〇年で一〇〇%以上の充足をしている国は、フィリピン、マレーシア、ニュージーランド、ソ連、アメリカ、チェコスロバキア、スウェーデン、カナダ、オーストリアになっております。このうちで、ソ連、アメリカ、チェコスロバキア、スウェーデン、カナダ、オーストリアが充足率一〇一%から一〇五%、余り余力はありません。余力を持っておるのはニュージーランドの一五八%、マレーシアの二七七%、フィリピンの三〇八%、こんなふうな状態であります。したがいまして、私たち、日本の木材充足率をどうしても高めていかなければならない、こんなふうに考えているわけであります。このために政府は、森林全体の振興、わけても国有林野改善に対して全力を注がなければならないと思っております。  国内の需要供給量はどのくらいになっているかというと、実績では四十六年の充足率は四六・三%、これを五十六年に四九・七%、六十六年に五八・七%、九十六年になってやっと九四・三%、こんな計画を立てておられる。これはぜひやってほしい。ところが、そのとおり進んでいない。四十六年の四六・三%、五十六年の四九・七%にするのに、五十二年度実績は三六%、まことにさびしい状態だ。こういう状態を国民にもよく教えて、国民にも訴えて、国民の協力を得て、大蔵省にも要求して、十分その充足率を満たして、将来国際的に不足した場合にも事欠かないようにしなければならぬ、かなり大きな計画も立てていなければならぬ、努力もしなければならぬと思います。  この点、政府政策を聞かしていただきます。
  121. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま先生指摘になりましたように、わが国の木材需給といいますか、そういうものを見ますと、戦後、昭和三十年ころまでは国産材の生産で大体内賄いしておりましたけれども、その後木材需要が増大いたしまして、どうしても国産材だけでは賄えないということで、昭和三十年代から外材の輸入が増大いたしまして、ただいまでは約六五%の外材の輸入になっております。これは国民木材需要に対しますこたえ方として、私どもとしては当然やはり外材を輸入しなければ需要にこたえ得ないという事態でございますので、外材の輸入というものはここ当分の間は引き続いて安定的に輸入しなければならないというふうに考えております。  しかしながら、御存じのように、日本は森林面積は多うございますけれども、一人当たり森林面積にすると非常に少ない。そういう意味から、できるだけ生産性の高い山をつくり上げていくことによりまして、国民の期待にこたえる木材生産の可能な森林をつくり上げなければいけない、こういうふうに考えております。  そのために、ただいま民有林関係におきましても、林道をつくり、あるいは造林推進を図るということをやっておりますし、当然国有林におきましても国有林としての使命を果たさなければいけないということで、造林あるいは林道といった基盤整備に重点を置くということを考え、そのために今回もそういう面につきましての一般会計の繰り入れということを一部図っておるわけでございまして、今後こういうことを推進することによりまして、ただいまの目標としては、約一千三百万ヘクタールに近い造林地をつくり上げようというのがただいまの計画になっております。したがいまして、こういう森林が堅実につくり上げられれば、日本の木材需要に対しましては相当な量が内賄いできるという計画になりますが、ただいま御指摘がございましたように、四十八年につくりました長期の見通しと現時点では、ある面の乖離がございます。これは私ども十分認識をいたしておりますが、この原因としては、日本の経済あり方が安定成長に変わったというような問題と、それとあわせまして、木材を中心といたします住宅建設、これがやはり伸び悩んできたということ、こういう面で需要が減退しておるという面もございます。こういうことから、これからの日本の経済の発展状況あるいはこれからの木材の需要状況というものを長期的に十分把握いたしまして、今後長期の見通しをどう立てるべきかということについては現在検討を進めておる次第でございますし、、そういうことをできるだけ慎重に検討いたしまして、これからの日本の林業なり、ひいてはそれに関連いたします国有林のこれからの森林資源の仕立て方というものについては、十分対応できるような検討を進めてまいりたいと思っております。
  122. 津川武一

    ○津川委員 結構ですが、昭和四十六年度の実績で四六・三%、これを昭和九十六年度に九四%に、それで、需要が減れば供給が減ってもいいのですよ。だけれども、その計画にもかかわらず、五十二年に三六%に落ちている。したがって、国民の求めている需要に対して国有林野を、あの日本の森林供給をそこまでやらせていくという計画があったのに下がっている。これをこうもっていけるという自信があるのか。この自信を国民に宣言して、それのために計画を立てていかなければならぬ、こう思うのです。もう一度答えていただきます。
  123. 藍原義邦

    藍原政府委員 国内の総需要の割合を見ますと、約一億立方の中で国有林の占める比率は大体一〇%強程度でございます。したがいまして、全体の需給に対しまして国有林材の占める位置といいますのは、昔に比べますと大分下がってきておるということは言えるのではなかろうか。逆に、ただいま木材が非常に緩和基調でございますし、国産材の民有林材と国有林材とのいろいろな調和、この辺を図りませんと、国産材価が非常に低迷しておるときに国有林材だけが出ていくのも非常に問題がある。そういうことも十分考え合わせまして、民有林材、国有林材合わせまして、やはり国産材が年々高い比率、あるいは着実な森林生産力増強というような意味での活力ある森林の仕立てというものができまして、そういう中で民有林も国有林も協調しながら、国産材が将来にわたりまして年々堅実な供給ができるような体制を今後ともつくってまいりたいというふうに考えております。
  124. 津川武一

    ○津川委員 国有林と民有林にもう一つ合わせなければならぬのは輸入材、やはりこれで当面国民の求めているものに対して対応していかなければならぬ。その輸入に対して、この間もこの委員会で、めちゃくちゃな外材の輸入はさせないで計画的な輸入をすると言っている。いまも長官も輸入について話されましたが、私たちの知っている事実を申しますと、五十一年度の木材自給率は前年より一%下がって三四・九%、外材輸入は前年比三一%増の一兆二千億円近くになっておる。この外材の輸入は、アメリカのウエアハウザーに代表される産地国の木材大資本と国内の大商社が直結して独占的な形で輸入を行っている。そして、国内の木材流通機構はこれらの商社によって支配されている。円高基調にもかかわらず、この面での木材の価格は下がることが少ない。このような商社中心の外材輸入に荒らされて、それと、いま言われたように、政府の施策の不十分、国の投資の不十分で、国内の林業生産の落ち込みはここ数年特に著しい。それで林業労働者が働き場所が奪われる、中小林家の経営意欲は減退する、中小木材業者の倒産、失職が続いている。秩序のある輸入、大商社のわがままを許さない輸入、こう言って政府は答えてくれますが、こういう現実はやはり規制しなければならぬと思いますが、この点でどうなっておりますか、ひとつ伺わしていただきます。  わからなかったら、商社のこういう形の、他国の木材資本と日本の輸入商社とのこういう組み合わせ、直結、多国籍企業的なものを調査してこの委員会に出していただく、きょう答弁できなければ、そういう調査を出していただきたい。  この二点、いかがでございますか。
  125. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま、私どもの調べによりますと、木材輸入を行っております商社は、米材、ソ連材、南洋材によってそれぞれ差異がございます。米材は約百十社、ソ連材は約九十社、南洋材は約百三十社程度のものがあるというようにわれわれは見ております。この中にはいわゆる総合商社と、それから木材輸入のみを行う専門商社というものがございますけれども、総合商社等の大手業者の輸入量が総輸入量に占める比率は約六割前後というふうにわれわれは踏んでおるわけでございます。
  126. 津川武一

    ○津川委員 ちょっと調べがめんどうかもわかりませんが、それじゃ一つだけ具体的に。  このアメリカのウエアハウザーと日本の木材輸入業者との関係を、後刻でいいから調べて私たちに報告していただきたいと思います。私たちはその結果を見て、また政府質問なり意見なり要請ができるかと思います。  その次は、保育でございますが、この間、私実は自分のふるさとの西海岸の深浦の長慶平というところに、久しぶりに緑を見るために行って一晩泊ってきたわけです。そうしたら、そこは開拓地で、かなり木を切るためにいい林道があった。このごろ林道が荒れて、村の人たちが歩くのにかなり困難を来している。いま、なぜ林野庁が、営林署がその林道を粗末にしておるかというと、木を切っちゃったから使わなくてもいいのです。植林して、あと少しやればいいから。こういう林道は、やはり地域の人たちとの併用として、関係市町村と協議して、市町村道や県道に移してあげるのが親切な行政かと思うわけであります。これが一つ。  第二番目には、その地域は非常なブナ材の美林であったのを切ってしまいました。そうして、その後に杉を植えております。杉はよく育っております。その点で、私もよかったと思います。ところが、その地域はほだ木原木ナメコの有名な産地なのです。ほだ木からつくるナメコの。このほだ木のブナ、ナラ、それからイタヤなどというのがなくなっちゃったわけです。以前は、そこでブナ材を製材しておったから、おがくずがたくさん出たけれども、今度は原木のナメコをやるのに事欠いて、おがくずでやるにしても、おがくずもなくなってきている。そういう点でかなり困難を来してきたわけであります。  そこで、ここのところの林道は調査して必要な措置をしてくれということを前もって話してありますが、こういう林道を、一般的に、林野庁はほっておかないで、直ちに関係市町村と話して、地域住民の利便になるように必要な措置をすべきだと思うのですが、これが一つ。  第二番目には、先ほどのブナ材です。皆さんの今度の五十二年度の林業白書にも出ておりますが、白書が重点を置いておる木材需要の安定にとって、木造住宅に重点を置いている。したがって、そこから、切った後に植えるのも、杉、ヒノキなどの針葉樹だけで、そうして国内の立木の蓄積の四割を占める広葉樹、これがまた大きな公益的な仕事も果たしているが、だんだん枯れてしまって、ブナ材にありつくとすればかなり行かなければだめになっちゃった。したがって、植林の計画、私は、杉だとかヒノキだとか、これも大事だが、ブナ材、これを残す。ナラ材をできるだけ温存する。イタヤもそうだ。そして、やはりそういう地域に広葉樹の植林もする必要があるかと思いますが、この二点を答えていただきます。
  127. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま御指摘の林道問題でございますけれども国有林といたしましては、林道は当然これは国有林の管理経営に使う面はございますが、あわせましてその地域の方々が地域のいろいろな経済生活等にも御利用していただいておるということは十分認識しております。そういう意味からも、必要なものにつきましては併用林道というような形で、共通でその修理、維持改善を図るということはやっておりますし、また現在でも併用林道は約一万キロばかりございます。いま先生が御指摘になりましたような林道等につきましても、その地元と十分話し合いをいたしまして、移管がいいのか、あるいは併用林道でいくのか、その辺は今後とも地元におきまして十分協議をしていきたいというふうに考えております。  それから、針葉樹ばかりでなくてやはり広葉樹、特に特産の生産に必要なほだ木あるいはのこくずが出るような広葉樹等、そういうものをこれからの造林等の対象にすべきであろうという御意見でございますが、私どももその辺は十分考えておりまして、今年度から林野庁に特産対策室をつくりましたのも、そういうことを勘案して、これからそういう面を発展させようという意味からもそういう組織をつくりました。     〔片岡委員長代理退席、委員長着席〕 また一方では、先ほど御議論ございました住宅の中心でございます建築材が非常に足りないという問題、これはどうしてもやはり杉、ヒノキになりますので、そういうものとうまく調和をとりながら、今後ともその面につきましては十分私ども対応してまいりたいというふうに考えております。
  128. 津川武一

    ○津川委員 時間が来ましたから、最後の質問にして、あと残ったものはあした社会党提案のものを質問しながら、もう一つ政府に残った分を質問したいと思います。  一昨年東北、北海道の冷害で、私たちは山形、岩手、宮城、青森、福島を調査に歩きました。福島県の山に入りました。そうしたら、国有林がつるが切られてない。間伐されてない。枝打ちがされてない。これで私びっくりしました。ここでも再三問題になっていますけれども、特に間伐は、林業白書によりますと、森林を育てる基本になると、皆さんがここまで書いているんです。試みに読んでみますと、「これら対象林分の間伐を的確に実施することによって林業経営の健全な発展に努め、活力ある健全な森林を育成し、林業生産力の増大を図るとともに、森林のもつ公益的機能を高度に発揮させていく」このためには間伐が非常に大事だと書いてある。この間伐が余り行われない。この白書にも、調査によりますとかなりおくれている。間伐、そしてつる切り、枝打ち、これは林野行政の基本的な仕事の一つだと思うのです。これがおくれている。このおくれている状態で、たくさん人が必要なのに対して、政府林野庁の職員の労働者の数を減らそうとしているんじゃないか、こんなふうにまで考えられるわけであります。この点のお答えをいただきます。
  129. 藍原義邦

    藍原政府委員 森林を育てます場合には、植えるだけではなくて、あと下刈りあるいはつる切り、除伐、間伐が必要なことは当然でございます。私どももそういうことで現在鋭意それを進めておるわけでございますが、民有林におきましても間伐等々が必ずしも進んでおらないということで、それに必要な国の助成策というものをいろいろ考えて対応いたしておりますが、国有林につきましてはおおむね八三%は間伐が進んでおりますけれども、まだ一部確かに御指摘のようなおくれている面もございます。これらにつきましては、できるだけ早く造林地が健全な造林地になるような計画を立てまして、鋭意年々その実行に当たっておりますので、今後こういう手入れのおくれておる林地がなくなるような努力を積極的に対応していくつもりでございます。
  130. 津川武一

    ○津川委員 時間が来ましたので、あとはあしたにさせていただきます。
  131. 中尾栄一

    中尾委員長 神田厚君。
  132. 神田厚

    ○神田委員 国有林野事業改善特別措置法案について御質問を申し上げます。  わが民社党は、わが国林業の健全な発展を図るために、全党を挙げて幾つかの林業施策を提案いたしまして、総合林政構想を取りまとめて、昭和四十六年春の国会両院において緊急に講ずべき林業施策について提唱し、林業振興に関する決議を行うこととなったわけであります。その後、政府当局に対して、国会決議の実施を機会あるごとに要求してまいったにもかかわらず、政府当局は高度成長政策を強行し、オイルショックなどによる経済動向の転換においても適正な林業に対する対処を怠ったために、今日のような社会経済の重大な難局を招来している事実はまことに遺憾であるわけであります。このわが国林業は、政府が外材輸入のコントロールを行わなかったことで、今日外材シェアは約七〇%に近い、そういう数字になっております。国内林業不振の最大の要因となっているのは周知の事実でありますけれども、特に大森林経営であります国有林野事業の衰退はまことに著しく、このたび、その再建のための国有林野事業改善特別措置法案等の立法を提案をするに至ったことはまことに寒心にたえない、大変心配なところであります。  私はまず、政府当局が林業振興に関する決議を実施するため林業全般においてとった基本的な方針、それから次いで国有林野事業改善のための措置、これらのことにつきましてこれから約一時間、政府当局考え方をただしたい、このように考えております。  そこで、まず最初に、国有林野事業改善特別措置法案が出されましていま審議をしているわけでありますけれども、まずお尋ねいたしたいことは、国有林野事業収支均衡を図ることが本法の趣旨とされているわけであります。林業に対して求められている公益的機能、しばしば言われておりますけれども、これらを本当に実現をして、この公益的機能というものに対応していくためには、現行の国有林野事業特別会計法そのものを見直していかなければならないのではないか、こういうふうな考え方を持っているわけでありますけれども、当局の御答弁をお願いいたします。
  133. 藍原義邦

    藍原政府委員 国有林野事業経営につきまして、先生がおっしゃいましたような公益的な機能対応していくことは、われわれとしても十分考えていかなければいけない問題だというふうに考えております。こういうような問題もございまして、特に公益性の強い治山事業等につきましては、昭和三十五年に治山勘定を設けまして、一般会計からの資金によります事業実施を図っておりまして、年々その拡充を図ってきたところでございます。このように、現行の特別会計制度におきましては、公益機能の発揮に対します配慮を私ども十分に払っておるというふうに考えております。そういう意味からも、いまの制度の基本を変更する必要はないのではなかろうかという気がいたします。  しかしながら、国有林野事業経営構造が非常に悪化の傾向を現在たどってきておるわけでございますが、こういう国有林の現在の状況にかんがみまして、これまでの施策に加えまして今回長期的観点に立ちまして事業運営及び財務の改善を図るということを考えておりますし、そのためには改善計画の樹立あるいは実行によりまして、自主的な経営改善努力基本としながら一般会計からの繰り入れ等の特別措置を講じて、独立採算制の国営企業としての経営健全性の確立を今後とも期してまいりたいというふうに考えております。
  134. 神田厚

    ○神田委員 したがいまして、私がいまお尋ねしましたのは、そういう状況を踏まえまして現行の国有林野事業特別会計法そのものを見直していく一必要がないかどうか、こういうことなんですが、その点はいかがですか。
  135. 藍原義邦

    藍原政府委員 現行の特別会計法は国有林の会計制度としての一つの指針でございますけれども、私どもが現在考えておりますこの改善計画と申しますのは、単なる会計制度の問題ではなくて、国有林全体のこれからのあり方をどう改善していくかという構造的な問題の改善のための一つの方向でございます。したがいまして、これはその改善期間中特に改善をするために法律的な根拠に基づいてきちんと対応してまいりたいという考え方から、ただいま御審議いただいております改善措置法案というものを検討いたしまして、これに基づいて国有林改善を進め、そして、その改善の過程において特別な措置として一般会計から導入あるいは財投の資金の借り入れというものを図りながら改善を図ろうということで、現在ございます特別会計法とは別にこの法律をお願いしておるというところは、そこら辺にわれわれの考え方があるわけでございます。
  136. 神田厚

    ○神田委員 ですから、この特別措置法全体が改善の方向でなされていく過程の中でやはり会計法そのものが非常に重要な役割りを果たしてくるわけでありますが、その点の会計法そのものについての見直しはやはり必要ではないかというふうな考え方を私は一つ持っているわけですが、これはこの質疑の過程で明らかにしていきたいというふうに考えております。  先ほど長官は、経営健全性を確立するために必要な基本整備、こういうふうなことをしていくんだというふうなことをおっしゃられました。  それでは、経営健全性を確立するために必要な基本整備というのは具体的に何をどのようにするのか、こういう問題があるわけですね。その点はいかがでございますか。
  137. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま御審議願っていただいております法案に、経営健全性を確立するために必要な事業運営に関する経営の基盤の整備というのがございますが、この基盤の整備につきましては、私どもといたしましては改善計画の遂行を通じてこういうものの整備を図りたいというふうに考えております。  その改善計画内容でございますが、これは当然関係の行政機関と協議することにいたしておりますし、また林政審議会の意見も徴しまして検討していくということになっておりますが、現在私どもが考えております内容といたしましては、事業運営についての基本方針としては、国有林野事業使命と今日の国有林野事業運営状況に対処いたしました自主的な改善努力財政措置必要性というもの、それから国有林野事業使命の根幹と考えられます森林資源整備目標、こういうものを考えております。  それから、事業運営能率化に関する事項につきましては、立木販売素材販売選択あり方企業的能率性に即した現場作業の遂行、新技術開発導入等によります生産性向上及び労働安全の確保、それから職務意欲向上優秀労務確保、それから関連事業の見直し、こういうものを事業運営能率化に関する事項として考えております。  それから、経営管理適正化に関する事項といたしましては、事務処理改善合理化事業規模対応いたしました要員規模適正化、さらには組織機構整備改善、こういうものを考えております。  それから、収入確保に関する事項につきましては、これは立木販売及び素材販売でございますが、この販売形態選択あり方及び関連産業近代化施策推進とこれに応じた販売改善、それから不要資産の公共用農用地等への有効活用、こういうものを考えておりますし、最後の、その他国有林野事業改善に関し必要な事項といたしましては、国民の理解と協力の確保というようなものを考えていったらどうかというように思っております。
  138. 神田厚

    ○神田委員 いま話を聞きますと、大変な事業を思い切ってなさるというようなことでありますね。どれ一つとりましても、やはりやられなければならない大変大事な問題であります。しかし、そのやり方については、これは注意を払って遂行していかなければならないという点が非常に大事であるというように思うわけです。  この改善計画森林整備目標にしろ、あるいは現場作業の問題にしろ、さらには関連事業、あるいはマル生運動、生産性向上運動、こういうものまで含めました問題というのは、それはそれなりの目標を持ってやられるわけでありますけれども、そのやり方を一つ間違いますと非常に大変なことになるというように私は考えておるわけであります。これらの運用といいますか、これらをやっていく基本的な姿勢というのは一体どこにあるのか、その辺をひとつ教えていただきたい。やり方であります。
  139. 藍原義邦

    藍原政府委員 林野庁といたしましては、ただいま申し上げましたようないろいろな基本的な問題につきましてこれからの改善計画を立てるわけでございますが、やはりこれからの国有林を管理経営するためには、これはひとり管理者だけがこの事業を遂行するわけではなくて、国有林に奉職しております職員全員がその気持ちになって対応をしなければ、この完全な遂行はし得ないというように考えております。  そういう意味から、職員を通じまして全員の国有林改善に対します意欲の向上を図ると同時に、やはり関係労働組合等々にその協力を要請し、十分理解を求めて、ともども国有林改善推進を図ってまいりたいというように考えております。
  140. 神田厚

    ○神田委員 いまの長官の説明で、やはりそこに働く現場の労働者等との話し合いをする中で進めていくということでありますけれども、この問題につきましては非常に大事な問題でありますから、さらにまた後ほどお尋ねをしたいと思います。  これはどんなにりっぱな目標を掲げても、やり方を間違えたのでは目的を達せられませんし、そういうことで中途半端なものに終わってしまってはかえって禍根を残すことになるわけであります。したがって、そういう点で、この運用の問題につきまして私はやはり当局がきちんとした態度で、もちろん労働者との話し合いも必要でありましょうし、あるいは職員のそれを見る管理の体制もきちんともう一回正さなければならない面もあるでしょうし、そういう意味におきましてはやはりこの運用面で相当勇気を持った対処をされなければならない、こういうふうに考えるわけであります。  措置法の内容の方に戻って質問を続けたいと思います。  国有林野事業使命というのは、国有林野経営規程の第二条「経営の目的」の中で「国有林野経営は、森林資源の培養及び森林生産力の向上に努めることにより、国土の保全その他森林のもつ公益的機能維持増進及び重要な林産物の持続的供給を図り、もって公共の福祉を増進することを目的とする。」こういうふうに書かれているわけであります。  この経営目的を達成するために、政府林野庁当局は、いかなる行政組織、国有林、民有林を含めてどういう行政組織がこれから必要で適正であると考えるか、この経営の目的でいろいろ言われておりますけれども、それを達成することが非常に困難な状況の中で、今日の国有林野の荒廃を招いてきたわけであります。したがいまして、そういう意味におきましてその行政組織というものが非常に大事でありますけれども、これの適正ないわゆる組織というのはどういうものであるというように考えているのか、これをひとつお答えいただきたいと思います。
  141. 藍原義邦

    藍原政府委員 事業運営し、行政をやるためには、まず組織が要ることは先生のおっしゃるとおりでございます。特に森林、林業につきましては、森林、林業が単に木材生産ということだけではなくて、公益的機能を十分持っておりますし、それをまた高度に発揮をさせなければいけないという使命がございます。そういうことから、やはり民有林、国有林を通じた一つの施策、こういう調和された施策というものが必要であろうというふうに考えております。こういう総合されました施策を強力に推進することによりまして、日本全体の森林なり林業というものが推進されるわけでございまして、その持ち分としてそれぞれ民有林があり国有林があるというふうにわれわれは考えております。  こういうふうな観点から考えますと、いま申し上げました民有林あるいは国有林というものの森林、林業施策を一元的にやはり統括してまいります組織というものが必要でございますし、それがただいまの林野庁でもございますから、私どもといたしましては、こういう基本的な考え方に基づきまして、林野庁というものが今後ともこういう両方を踏まえながら今後の対応に当たる必要があろうというふうに考えておりますが、その場合に、行政と国有林経営というものが渾然としてしまいましてその責任体制がはっきりしないということがあってはいけないというふうにも考えております。そういうことで、その辺の所要の改善は十分に図っていかなければいけないというふうに考えておる次第でございます。  こういうことから考えまして、ただいま国会で御審議願っております農林省の設置法の一部改正の中に、林野庁に次長を置くというような形をとりまして、民有林、国有林両方の行政と経営が通じて行われますような統括的な機能というものを強化してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  142. 神田厚

    ○神田委員 どうも何か抽象的でよく理解ができない御答弁でありますけれども、私はやはり国有林野経営というものをその経営規程の中で言っているような形で達成していくというには、それなりのいわゆる行政組織の改組を含めまして、林野庁当局がもっと積極的な姿勢をとっていかなければならない、こういうふうな考え方も一つ持っているわけでありますけれども、適正な組織というのはどういうのだという質問に対しましては的確な御答弁をいただけなかったのであります。  それで、政府林野庁当局は、従来木材の増産計画生産力の増強計画、これを実行してきたわけであります。計画をして実行してきたわけでありますけれども、所期の目的としたものが達成されているのかどうか、この点はいかがでありますか。
  143. 須藤徹男

    ○須藤説明員 お答えいたします。  生産力増強計画並びに木材増産計画を策定いたしました昭和三十年代の中期におきましては、わが国の経済が戦後の復興を終わりまして高度成長の時代に入った時期でございまして、御案内のように、非常に旺盛な木材需要に対しまして供給が追いつかないというような状態でございました。また、外材輸入につきましては、港湾施設とかあるいは加工流通等の未整備というような問題がございまして、もっぱら供給を国有林に求めるというような状況下であったわけでございます。そこで、この木材の供給と価格の安定に国有林が寄与すべきであるという世論が非常に高まった時期でございます。  このような時期に、国有林といたしましては、主として奥地未開発林の開発によりまして木材の供給を増大させるとともに、この伐採跡地の人工林化によりまして森林生産力の増強を図るということを目的にいたしまして、ただいまお話しの生産力増強計画木材増産計画というものを策定し、実行したわけでございます。これらの実施によりまして、奥地未開発林の開発を進め、かつ供給量を増加いたしまして、その後逐次促進されてまいりました木材輸入の体制整備と相まって、木材需給の緩和に貢献することが大きかったのでございます。  また、伐採跡地の造林、いわゆる人工造林化を急速に進めたことによりまして、将来における木材生産基盤が整備され、一応のそういう意味での所期の目的は達成したものというふうに評価をいたしておるわけでございますが、その後、御案内のような社会情勢変化、つまり昭和四十年代に入りまして木材輸入の大幅な増加でありますとか、木材需要構造の変化でありますとか、あるいは社会の高密度化に伴います森林公益的機能の発揮に対する国民的な諸要請、そういうような国有林をめぐります情勢が大きく変貌してまいりました。その結果、残念ながら、木材増産計画で当時企図いたしましたような伐採量を今後維持するということができなくなってまいったわけでございます。  このような情勢変化対応いたしまして、森林施業におきましても、公益的機能をより重視いたします新しい森林施業施策というものを始めてまいったわけでございまして、これによります皆伐対象面積の縮小でありますとか、あるいは択伐、禁伐面積の拡大というようなことによりまして伐採量が減少することになったわけでございますけれども生産力増強計画等によりまして造成された膨大な人工林がまだ育成過程にあるということでございまして、当分の間伐採量が制約されておる面がございますけれども、しかしながら、この人工林を飛躍的に拡大したということによりまして、森林資源内容が充実整備されつつある。したがって、これらの人工林が伐期に到達いたします昭和七十年代に入りますと、国有林木材生産は量的にも質的にも向上するという見通しを立てておるわけでございます。
  144. 神田厚

    ○神田委員 現在の外材の輸入の状況を見ていますと、果たして七十年代に入っていわゆる増産計画あるいは生産力の増強、こういうものが所期の目的としたものが還元されるかどうかということは非常に微妙であるというふうに私どもは判断するわけでありますが、そういう意味ではやはりこの増産計画あるいは生産力増強計画、これを実行してきた過程の中に多少当局の方の問題点もあったのであろうというふうな指摘をせざるを得ないわけであります。  森林、林業というのは超長期的産業というふうにも言われているわけでありますが、この林業生産増大、それから林産物の需給の安定及び流通機構の合理化、さらに森林の持つ公益的機能維持増進等について、当局ではそれぞれの時期にそれぞれの方法でいろいろと施策を講じてきたわけでありますけれども、それらはどういうふうなものをやられたのか、そして、残念ながら、メリットもあるしデメリットもあるというのがいまの方策でありますが、この中で、そういう面も含めましてこれまで講じてきた問題についての御答弁をいただきたいと思います。
  145. 藍原義邦

    藍原政府委員 戦後の三十年を振り返ってみますと、これを大体十年刻みに見てみたらいいのではなかろうかというふうに考えております。  昭和二十年代、これは戦争が終わりまして、戦後の復興期といいますか、林業、森林につきましても非常に荒廃した森林が多かったということで、その復興、そして、その森林に源を発します災害の防止というような意味から、森林資源造成法あるいは治山事業五カ年計画、これは昭和二十三年、造林臨時措置法は二十五年、保安林整備臨時措置法等は二十九年に制定されておりますが、こういうことによりまして、まず森林資源の造成培養と治山事業の充実ということに努めたのが昭和二十年代かと思います。  それから、昭和三十年代以降でございますが、昭和三十年代に入りますと、経済の復興発展という問題から木材の需要が非常に増大してまいりました。こういう木材の需要の増大対応するために、林道の開設等を中心にいたしました森林開発公団法ができて森林開発公団ができましたし、また分収造林臨時措置法というものもできまして造林の積極的な推進が図られ、さらにはいま御説明申し上げましたように、それに対応するために国有林生産力増強計画等によりまして拡大造林の施策を積極的に推進してきたわけでございますし、一方、生産するための林道の開設等も促進いたしまして、国内林業生産増大を図ったのでございます。この結果、今日では約九百三十八万ヘクタールの人口造林地が造成されております。また、この年代には外材が入ってまいりまして、それによりまして国内の木材需給というものがある意味で調和してまいったという形でございますし、外材を入れることによりましてその時点での価格の安定ということにも寄与したというふうに考えております。  また、三十年代の後半からはわが国の高度成長の過程で農山村地域からの大幅な労働力流出が見られる中で、生産性の高い近代的な林業経営の育成を図っていかなければいけないということになりまして、林業基本法が三十九年に制定されておりますし、それに伴いまして林業構造改善事業というものが実施されております。こういうことによりまして、林業の技術向上というものを図ってきたわけでございます。こういう結果によりまして、徐々にではございますけれども、林業経営改善が行われてきておるというふうに考えております。  昭和四十年代に入りましてその後半になりますと、やはり日本全体の中で公害問題等を含めまして環境整備、自然保護というような問題が非常に国民の中で要請されてまいりまして、森林につきましても、国土の保全なり水資源の涵養、自然環境の保全形成、こういう公益的機能の高度発揮に対する要請が高まってまいったわけでございます。こういうことによりまして、森林資源に関します基本計画の改定あるいは林地開発規制の強化等々を行いまして、一方、新しい森林施業の導入というような形で対応してきたわけでございます。  それから、昭和四十七、八年、ちょうど経済の基調が変わる時点で、非常に石油危機に絡みまして木材の価格が暴騰いたしました。こういうことを契機にいたしまして木材需要が今度は逆に伸び悩むというような状況になりまして、木材価格等も低迷するということになったわけでございますが、木材の需給、価格の安定を図るために木材備蓄対策事業というものが四十九年に始められましたし、また一方、木材需給対策事業というものが五十年にも実施されるようになったわけでございます。  このように、非常に概略でございますけれども、それぞれの時代に即応した形、社会的な要請にこたえまして、適切な林政の展開に努めてきたわけでございますけれども、現在わが国の林業というものが、木材需要が伸び悩んでおる、価格が低迷しておるということのために、非常に林業活動が停滞しておる、そういうきわめて厳しい状況に立ち至っております。  こういうことで、これからの林業の発展を図るためには、木材需給の安定的な確保、外材の秩序ある輸入の指導、こういうことによりまして需給と価格を安定させ、それによりまして造林意欲を燃え立たせ、一方では造林、林道等の林業生産基盤の整備あるいは構造改善等を進めることによりまして担い手の確保、対策の強化、こういうことを今後とも進めていく必要があろうと思いますし、これら施策について強力に推進してまいりたいというふうに考えております。
  146. 神田厚

    ○神田委員 大変丁寧に答弁していただいたわけでありますけれども、要するに現在の林業の状況を見ますと、講じられてきた施策がすべて思いどおりにいったということではない。非常に厳しい状況に林業そのものが追い込まれてきておる時点で考えてみますと、やはりいままで講じてきたものについては多少というか、相当問題がある。今後それらに対しまして、たとえば林産物の需給の安定や、さらには外材の問題あるいは担い手の確保の問題について積極的な施策をとる、こういう答弁でありますけれども、これもやはりこの時点で本当に腰を据えた政策をとっていかなければ、同じような形でどんどんと林業そのものがしりすぽみになってしまう、こういうような状況を私どもは非常に心配するわけであります。もとより林業基本法の第一条から第二条、第三条それぞれにつきましては、その目的なり目標なり、さらには具体的に国としてしなければならない施策というものが書かれているわけであります。これがそのときどきの状況に応じてきちんとなされていれば、これから林業の問題についても非常に明るい展望を持てると私は思うのでありますけれども、この林業基本法の第一条から第三条にわたります問題につきまして、当局といたしましては具体的にどういう施策を講じ、これからどういうものを講じていこうとするのか、この基本的なところだけで結構でございますから、簡単に述べていただきたいと思います。
  147. 藍原義邦

    藍原政府委員 林業基本法の制定以来、私どもとしてはその第一条の目的に沿いまして日本全体の林業の推進を図り、その事業の施策の目標を踏まえまして、第三条に掲げます各事項について、それぞれ時代の社会的経済要請対応いたしまして施策を展開してきております。  細かい問題につきましてはただいまその一部を経年的にもお話ししたわけでございますけれども、やはりこれからの進むべき方向といたしましては、まず第一に、木材の需給の安定と申しますか、そういうものを私どもは考えていかなければいけないだろうというふうに考えております。  それから、二番目といたしましては、先ほども申し上げましたけれども、これからの国内の林業を推進するためには、やはり構造改善等を中心にいたします担い手の確保を図りまして林業労働従事者の社会的地位の向上ということを考えていかなければいけないであろうし、さらには、こういうものの基盤になります造林、林道の整備というものが非常に大事でございますから、あわせましてそういうものの推進を図るということが肝要かと思います。  一方、基本法にも規定されておりますけれども国有林野事業につきましても、やはりこれからの日本の林業を担う一つの大きな柱でもございますから、改善合理化を図りながら健全な経営を行いまして、民有林林業ともども日本の森林、林政の中で確固たる基盤を築き上げられるような努力を今後していく必要があるのではなかろうかというふうに考えております。
  148. 神田厚

    ○神田委員 続きまして、経営規程の第二条及び林業基本法の第四条に「国有林野を重要な林産物の持続的供給源としてその需給及び価格の安定に貢献させる」と書いてあります。このことからまず第一に、「森林資源に関する基本計画」並びに「重要な林産物の需要及び供給に関する長期の見通し」が四十八年につくられております。  そこで、現在の森林の現況から林産物の持続的供給というのは図られるのかどうか、きちんとなされるかどうか、また、経営基本計画計画どおり実行されているのかどうか、計画量と実行量、これをひとつ明らかにしてもらいたい。
  149. 須藤徹男

    ○須藤説明員 ただいまお話ございましたように、わが国の林業に対します資源に関する基本方針でございますが、森林資源に関する基本計画並びにこれに即しまして立てました全国森林計画において定められておるわけでございます。国有林におきます森林施業は、いわゆる民有林におきます地域森林計画とは異なっておりまして、経営基本計画及び地域施業計画ごとにそれぞれ自然的、社会的条件を勘案いたしまして樹立される地域施業計画に従って行われておるのでございます。  いまお話ございました計画と実績でございますが、昭和四十四年度の経営規程の改正によって樹立することといたしました経営基本計画伐採計画量と実績との対比につきましては、四十四年度から四十七年度までの四年間の合計の計画量八千四百万立方メートルに対しまして実績は七千九百十一万立方メートルでございまして、九五%の実行率と相なっております。また、新たな森林施業を取り入れました四十八年度以降につきましても、四十八年度から五十年度までの三カ年間の合計の計画量四千八百六十万立方メートルに対しまして、実績は計画量の九四%に当たる四千五百八十三万立法メートルとほぼ計画どおり実行しておる、国有林についてはそういうことが申し上げられるわけでございます。
  150. 神田厚

    ○神田委員 計画とその実行についてはわかりました。  次に、価格の安定を図ると言っておりますけれども、国産材の流通体系、これを確立しなければならないというように考えているのですが、現状はどういうようになっているのか、素材生産から最終消費者に至るまでの流通経路、ひとつこれを木材の用途別に明らかにされたいと思うのであります。価格の安定を図るということが非常に大事なことでありますけれども、その辺につきまして流通機構の問題と関連しましてそのポイントで結構でございますから、ひとつ簡単に御答弁いただきたいと思います。
  151. 藍原義邦

    藍原政府委員 国産材の流通経路でございますけれども、素材生産につきましては、最終消費者までの流通体系につきまして、昭和五十年に農林省が「木材流通構造報告書」というものを出しておりますけれども、それに従いまして主要な流通経路を見てみますと、素材については四三%が直接製材工場へ入っております。それから、三八%が素材生産業者へ販売されておりますけれども、さらにこの素材生産業者から製材工場へ流れるものと市売市場あるいは卸売業者、こういうものを経由して製材工場へ流れるものと二つに分かれているようでございます。  それから、製材品の流通につきましては、製材工場から四五%が直接需要者へ、その他は市売市場あるいは卸売業者、小売業者等を経由して需要者へ流れております。  合板用の国産材素材につきましては、森林所有者から直接合板工場へ流れているもののほかに、素材生産業者あるいは卸売業者を経由いたしまして合板工場へ流れているものもございます。  それから、パルプ用国産素材は、森林所有者から直接または素材生産業者を経由してチップ工場へ流れて、ここで生産されたチップは直接パルプ工場へ流れております。     〔委員長退席、片岡委員長代理着席〕  木材は、先生御存じのとおり、生産期間が非常に長くて、適正妥当な生産費を算定することは非常に困難でございますし、木材価格等々は需要供給の関係で市場価格が決まるものでございます。そういう関係で、木材価格につきましても、昭和四十八年のように高騰すれば需要者に対して混乱を招き、最近のように価格が低迷いたしますと生産意欲の減退を招く、こういうような形で非常に変動がございますけれども、安定した形で推移することが必要でございます。  そういうことで、いま申し上げましたようないろいろな流通で木材が流れておりますけれども、私どもといたしましても今後その辺につきましては十分勉強を進め、検討を進めてまいりたいと考えております。
  152. 神田厚

    ○神田委員 国有林野事業の最終的な使命というのは、公共性の発揮ということにある。これはいろいろな環境問題、国土保全、そういうものを含めましてあるわけでありますが、林産物収入だけでは収支均衡を図ることは非常にむずかしいという一面を持っているわけでありまして、一般会計の積極的な導入を図るべきだという意見もあるわけでありますが、この点につきましてはどういうふうにお考えでありますか。
  153. 藍原義邦

    藍原政府委員 国有林は、その使命として森林の持ちます公益的な機能を発揮させるような形でその経営を営まなければいけないことは当然でございますが、また現在の国有林は、独立採算制でその収入によりまして経営を営むということになり、国の企業といたしまして経営しておるわけでございます。そういう観点から、私どもといたしましては主として林産物収入でその経営を賄ってきたわけでございますが、公益的機能を発揮する最大のものでございます治山事業等につきましては、すでに数年前から一般会計導入を図りまして、国有林の公共的な使命を果たすべく対応しておるわけでございます。さらにはまた、造林、林道につきましても、借入金、長期の資金を入れまして基盤の整備を図るということをしておるわけでございます。しかしながら、いま申し上げましたように、国の企業としてこれを営むということをわれわれ考えておりますし、そういう意味から、ただいま財政が厳しいとはいいながらやはりこの改善をし、自主的な努力を図ることによりまして所期の目的が達せられるような国有林野事業でなければいけないというように考えております。  私どもといたしましては、今回御審議をいただいております法案の中でも、国有林が自主的な努力をしながら経営改善をする、そのための特例な措置として一般会計導入を図るという形にいたしておりまして、そういう意味からも一般会計導入を図ることは考えますけれども、むやみやたらに一般会計が負担すればいいのだという考え方では国有林改善は進まない、また国有林基本的な精神に反するというふうに考えております。
  154. 神田厚

    ○神田委員 いまずっと大体細かい問題について質問をしてまいりましたが、ここで大臣に御質問いたしたいと思っております。  この法案は、別に提案されております農林省設置法の一部改正法と関連を持つという形でも考えられるわけでありますが、国有林野事業として抜本改善をしなければならないことは非常に多いわけであります。問題は、林業に携わる労働者が意欲を持って職責を全うできる一つの体系なり処遇が必要だと考えているわけでありますが、たとえば職員の六〇%の人が生涯一係員の処遇で終わるというような状況国有林の中にはあるわけであります。こういう問題を考えまして、職員の意欲の問題も含めまして大臣はどういうふうにお考えになりますか、お答えいただきたいと思うのであります。
  155. 中川一郎

    ○中川国務大臣 すべて物事は人だと思うのでございます。機構や組織やあるいはいろいろなやり方を改善してみても、それを動かす人がまじめにといいますか、勤労意欲を持って、林野庁で言うならば山を愛して山をよくすることによって生きがいを感じ、また自分の暮らしをよくするということでなければならないと思いますが、ややもすれば林野庁では働く皆さんに不満があって、私どもも政治家として地方を回ってみると、ストライキの問題だとか、自分の大事な働く場所にペンキを持ってきて悪さをするとか、営林署長官舎に変なことをする、こういうようなことでは山はよくならない。そんなことをやっていると、先々自分たちが、炭鉱労働者が炭鉱をいたずらしておかしくしてしまったのと同じように、労働者のためにもああいう姿勢はよくないし、あれでは一般国民の皆さんが山に働く人を尊敬はいたしません。しっかりした希望を持つと同時に、しっかり働いて、山もよくなれば労働者もよくなる、一体のものである、こういう姿勢がどうしても必要であろう。  今回、一般会計等から入れて財政の健全化を図ると同時に、いろいろな仕組みの改善計画を行い、払い下げ方法とか販売方法とか、そういったことにもいろいろ工夫を加えると同時に、働く皆さんにも生きがいがあるようにということで、昨年基幹作業労働者の方々の定員化というようなことをもやりまして、労働条件もよくする、そのかわりしっかり働いてもらって、むだな闘争はもうさようなら、昔のもの、こういうようなことで、ともどもによくなるように最善の努力を払いたい、こう私は思っておるわけでございます。
  156. 神田厚

    ○神田委員 ただいまの御答弁に関連するかと思いますけれども、会計検査院が五十二年の十一月三十日に藍原林野庁長官に対しまして、「製品生産事業の実施について」という文書を出しました。この中で、非常に問題点の、現在の国有林野が直面している、荒廃していると言われている部分に対する指摘が明確にされております。この会計検査院の「製品生産事業の実施について」、これは林野庁長官が受け取ったわけでありますけれども、いろいろ言われておりますが、問題は、一つには適切な作業管理を行っていない、そして生産性が非常に落ちている、こういう問題の指摘がされているわけであります。たとえば、労使間交渉に時間がかかる、あるいは振動病障害認定者、私傷病者の休暇によって作業が円滑に進まない、こういうことは、やはり一つには管理者側の姿勢生産管理、労務管理、人事管理、こういうことの適正さに欠けている、そういうふうにわれわれは考えるのでありますけれども、大臣はこの会計検査院の指摘をいかがにお考えでありますか。
  157. 中川一郎

    ○中川国務大臣 会計検査院の指摘を受けるまでもなく、いままでのやり方は反省しなければならぬと私は思うのでございます。たとえば、労働組合運動というものはあってもいいと思いますけれども、末端では、営林署長になる人が、いやだ、もう組合交渉ばかりでまいってしまう。現場に対して、署長さんはそれほど労働条件について権限はないわけでございますので、そういう問題があるならば中央のわれわれと思い切り話し合ってみたらいいと思うのです。そういうところがなくて、ただ署長いじめばかりやっておる。さっき言ったむだな交渉というのはそういう意味でございまして、会計検査院から指摘されるまでもなく、われわれみずから改めていかなければならぬことだ、こう思っております。
  158. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと、大臣、この会計検査院の指摘に対しましてはどういうふうな対応をとろうとなさっているのか。
  159. 藍原義邦

    藍原政府委員 昨年、会計検査院から検査の結果の指摘がございまして、特に製品生産事業につきましてその改善を求める厳しい意見がございました。私どももこの意見に対しましては、これを厳しく受けとめております。したがいまして、今後製品生産事業運営当たりましては、現場の作業管理の改善作業仕組み改善あるいは職務意欲向上等、所要の改善措置を計画的に着実に推進していく考えでございますし、あわせまして、ただいま御指摘になりましたような現場の職務管理組織と申しますか、職場組織と申しますか、そういうものを確立いたしまして、現場におります職員が気持ちよく、そして国有林改善に向かって、民間から、一般の国民の方々から批判を受けないような業務遂行ができるような管理者の姿勢も当然でございますし、職員全体の気持ちというものを引き締めながら対応してまいりたいというふうに考えております。
  160. 神田厚

    ○神田委員 改善をしていくという答弁でありますけれども、具体的にどういう改善をしていくのか、どういう管理体制にしていくのか、これをひとつ御答弁いただきます。
  161. 藍原義邦

    藍原政府委員 製品生産事業につきましてはそれぞれの現場、現場によって形態が違うと思いますから、その現場、現場のあり方に即した改善をしなければいけないと考えておりますが、現場の主任は主任としての仕事を全うし、また現場で働いていただく方はそれぞれの持ち場を十分遂行していただくし、また現場におります営林署の係長、課長あるいは署長はそれぞれの職責を十分尽くしていただくことによりまして、私は改善を図り得るというふうに考えております。
  162. 神田厚

    ○神田委員 この問題は非常に大事な問題でありますね。このことが指摘をされて初めてそれに手をつけるというような姿勢そのものに問題があるのです。そういうことではなくて、指摘をされるまでもなく、状況というのを各営林署や方々からすでに情報として林野庁は受け取っているわけでありますから、そういう問題につきましては、もっと毅然とした形で管理体制を強化して、そして、少なくとも周りで多くの国民が見ておる中での仕事でありますから、そういうことに関しまして指摘をされてから改善をしますというような、改善もどういう改善をするのか、まだはなはだ心もとない答弁でありますが、そういうことのないように、しっかりと管理体制の強化もあわせてやっていただきたい、要望しておきます。  さらに、これとあわせまして、私はこの前も質問いたしましたけれども経営形態懇談会が林業に関しましては作業部門の分離を出してきております。このことは、くしくも会計検査院が直用方式というものに生産性の問題から目を向けてきたと同じような視点から、経営形態懇談会が造林伐採を請負にというような考え方を示してきている。このことは私は非常に重要だと思うのでありますけれども、これに対する対処の仕方を誤りますと、これまた非常に大変な問題になるわけであります。大臣はこのことに関しましてどういうふうにお考えでありますか、農林大臣からお答えをいただきたいのです。
  163. 中川一郎

    ○中川国務大臣 この点も国有林野を扱う上において大変大事でございます。ただ、山間地域における労働者というものも考えなければいかぬというので、直用というものもあながち改めるというわけにはまいりませんけれども、いままでの直用のあり方国民の皆さんの大きな批判の的となっておる、直用が国有林野経営を悪化させたそもそもの一番大きなガンである、こういう指摘もわれわれ多くの人から、しかも心ある人から受けております。したがいまして、今後ともよりよき直営あるいはよりよき直用ということで、直用のあり方について改善を加えて、国民の皆さんの批判にこたえて、しっかりなったなあというふうに改めていきたいと思います。それでもなおかつできないということであるならば、またそのときに思い切ったことも考えなければなりませんが、現在はそういう方向でしっかりやらしてみたい、こう思っております。
  164. 神田厚

    ○神田委員 効率のいい直用方式は維持していく、大変むずかしい話し方をされております。確かにそのとおりでありますけれども、効率のいい直用方式を維持していくという、その維持の仕方にいろいろこれから先の問題があろうかと思うわけであります。私どもは、こういう中で、これは労働者の絡んでおります問題でもありますから、ひとつ対処に誤りのないようにお願いをいたしますとともに、われわれは、国有林野事業だけでは日本の森林産業はだめである、民有林、国有林をあわせました総合林政を大きな視野に立った上で展開していかなければならない、そういうことを要望いたしまして、最後に大臣からお答えをいただきまして、質問を終わりたいと思います。
  165. 中川一郎

    ○中川国務大臣 神田委員の御指摘は、まさに国民の大方の声の御指摘であろうと存じますので、私といたしましても、国有林野に働く皆さん方が、生きがいと誇りを持って、地域住民や国民の皆さんの多くから尊敬をされるようにという方向で最善を尽くしてまいりたいと存じます。
  166. 神田厚

    ○神田委員 終わります。
  167. 片岡清一

    ○片岡委員長代理 次は、新盛辰雄君。
  168. 新盛辰雄

    ○新盛委員 森林、林業の現状がかつてない厳しい状況に直面をしていることは、いままで本会議なりあるいは委員会でも議論をされてきたわけでありますが、わが国の森林面積が二千五百三十万ヘクタールありますけれども、この国土の六八%を占めている森林、林業の位置づけはきわめて大事なものがあります。そうした中に立ちまして、いま御提起されております国有林野事業本法律案につきまして集中的にこれから二時間議論をしてまいりたいと思います。  それで、認識の面として私どもがとらえている角度を申し上げて、それに対する基本的な政府考え方をも徴して随時進めてまいりたいと思います。  最近出されまして、私も本会議で、五十三年度の講じようとされている林業施策諸問題について質問をしてきたのでありますが、国有林、民有林を問わず、現状として木材需給の動向については、年間一億立方メートルを超える国内需要に対して、国産材の供給率は三五%に低下して、不足が六五%、これ以上になりますが、約七割近くになる外材に依存をするという状況にいまなっています。世界の木材総輸出量の三〇%を輸入する日本は、世界第一の輸入国であると同時に資源不足の国であることは論を待ちません。さらに、具体的に見まして、国産材の生産は、四十二年の五千二百七十四万立方メートル以降、毎年減少して、五十年には三千四百十五万立方メートルと六五%までに落ち込んでおります。外材は三千三百二十万立方から四十八年には七千五百三十七万立方メートルと約二・五倍にふえている。五十年では六千百七十九万立方メートルと、国内需要に占めている割合がこれまた六五%以上になっているという現状であります。  そうした現状の中で、山づくりの基本であるのは、人工造林関係もそうでありますが、民有林が五十年度で十七万ヘクタール、国有林が五万八千ヘクタールの計二十二万八千ヘクタールと、三十六年のピーク時の五五%までに落ち込んでいる、こういう人工造林現状、そうしたことをどうしてもこれから振興させ、緑の山を、母なる大地を、わが国土保全、そして水資源の涵養なり自然環境の保全形成、国民の保健休養などの公益的な機能、こういうものを確保していかなければならない。その基本である林業労働者の状態は、四十八年の就業者が二十一万人、雇用労働者十六万人、五十年度で約二十二万人、雇用労働者十五万人、こういう数字が出ておりますが、これは横ばいというよりはむしろ年々減少しているという現状であります。しかも、高年齢化によって、中ぶぐれちょうちん型の要員構成が、年々逆ピラミッド型に変化していく、この面も後で触れますが、高齢化が確実に進んでいる。そういう中で新卒の状況というのは五百名前後にすぎないというのが現状であります。そして、出てくる答えは振動病、いわゆる白ろう病、あるいは腰痛症あるいは職業病、労働災害の激増という形になって出てきております。  こういうまさに危機に直面をしている状況は一日も早く打開をしたい、そういうことで民有林の関係については、森林組合の法律もこの間つくり上げましたが、大型合併の問題を論議しました。そして、そういうことの中で国有林の問題についても、これは非常に重要な要素を持っていることでもございますから、そうしたことに対して政府のこうした法律の提案がなされていると思うのであります。  造林、林道などの生産基盤を確立をしなければならないのに、後ほど触れます予算関係から見ましても、増額はしたといえ、現実的にそのことの手抜きなどが起こるのじゃないだろうか、あるいは直営直用事業の縮小が起こるのじゃないだろうか、請負が拡大をしていくのじゃないだろうか、あるいは営林局の四局が支局に格下げになるのじゃないか、七万人体制が四万人体制に変更されていく、そういう縮減の一途をたどりながら、十年計画で一応事業の見通しを立て、二十年にわたってこれの最終的な帳じりを合わそうとするこれからの改善事業計画、こうしたものが出てきていると思うのでありますけれども、私ども社会党の側から提案をしております農林省設置法の一部改正の問題や、あるいは政府提案されている国有林野事業改善特別措置法案にかわるものとして国有林野事業再建整備特別措置法案あるいは国が行う民有林野の分収造林に関する特別措置法案などを提出をしているわけであります。全くてんから、政府提案をしているからこれは反対だ、今後の森林、林業等にわたる事業計画等について展望なき論争をしているのじゃなくて、現実に立脚をした形で本問題の対案として提起をしているわけであります。  そういう状況を踏まえて、政府のこうしたことに対する真剣な前向きの姿勢もさることながら、わが党から提起している諸問題についても深い理解を示してもらわなければならないし、受け入れるべきは受け入れてもらって、議論の中で消化していくような形をとるべきだと思うのでありますが、そういう面における基本的な姿勢について、まず中川農林大臣にお聞きしておきたいと思います。
  169. 中川一郎

    ○中川国務大臣 今日の林業を取り巻く情勢は、国有林、民有林を含めまして、すべて厳しいことは御指摘のとおりでございます。  そこで、その中にありまして国有林をいかにすべきかということで、私ども今回改善のための法案あるいは農林省の設置法の改正という二つの柱で、国有林については御提案、御審議をいただいておるところでございます。もちろん社会党提案法案もりっぱなものではございますが、私どもといたしましては、私たちが提案をいたしております今回の改善計画、すなわちもろもろの改善策を講ずると同時に、一般会計からも林道、造林等について資金の導入を図る等会計の収支をよくする、同時に若干ではございましたが、自主努力としての機構の改革、こういうものをもってやっていくことで十分やり得るし、この案の方がいいものである、われわれとしてはこう確信をいたしましてお願いをしておるところでございます。  もちろん満点ではございませんから、皆さんの中においてこういう点は改めたらどうだと、本委員会における一致した御意見でもありますれば、また、これは私どもの案が一〇〇%いいのであって、これ以上のものはないという頑迷固陋な気持ちは持っておりません。要はよりよくするということにおいて考え方が一致いたしておりますから、よりよくするための御意見があれば率直に承って改善をしていきたい、こういうわけであります。
  170. 新盛辰雄

    ○新盛委員 大臣の方でそういうふうな頑迷固陋な気持ちではないというお答えもございますし、私どももやはり現状を認識した上で、これはもういままでもいろいろ提起しておるわけでありますが、すぐ事が、先ほどの話じゃありませんが、労使の問題とかとなりますと、変なことをしてくれるなとか、いろいろおっしゃるものですから、大臣、心してこれはおっしゃったのでしょうから、これから先の議論の中でぜひ消化していただきたいと思います。  そういう中で、五十三年度において講じようとする林業施策が白書の中に出ておりますが、確かにこれから先の国有林、民有林を含めまして、林業生産の増進で、森林計画、林道事業あるいは造林事業、間伐対策、森林の保護、そして林業生産の増進に必要な試験研究あるいは技術開発、そうしたものを含めて、また、これからの林産物需給の安定あるいは流通加工の合理化など、これは読ませていただきました。作文としては内容としても非常にいいのですけれども、どうもそらぞらしい気がしてならないのです。なぜならば、現実現場で働いている林業就業者、労働者に本当にこたえてくれていないじゃないか、もっときめ細かい、手をとり足をとりとまでは言いませんが、国そして県、森林組合、そういう中を通して、そういう培養機関を通していままで指導されていたわけですけれども、市町村が存在したのかどうかということになれば、これも非常に疑問であります。これから地域林業を振興させましょう、あるいはまたこの中に書いてあります林業集落基盤総合整備事業をモデル事業にするとか、間伐促進等特別対策事業とかいろいろございますが、こういう地域的にこれから山村社会の開発のために役立つそういうことにどういう措置をとられているだろうかと注目して中を読んでみますが、どうもその答えが出ていないわけです。  それで、これは質問ですが、これからの林業生産に関する施策をしていく中で、地域の森林計画はどういうふうにおやりになろうとされるのか、あるいは森林施業計画制度、これは大体二百五万一千ヘクタール、五十二年度に実行しようというのですから、それにはしかるべく財政的な措置も助成も必要になってくるわけですし、当面は五十三年度四十二万ヘクタール計画というふうになっています。こういうことに対しても、拡大造林などあるいは人工造林、造成、こうしたことに対して、国有林、民有林を含めてどのように具体的に施策を実行されていくのか、そうした面はまたこれからのこの計画推進されていく中で非常に大きなポイントでありますし、まず、そのことをお答えいただきたいと思います。  それと林道の整備拡充、これは林道の開設計画なるものが中に入ります。山村社会の建設あるいは優良林業地帯の林道整備あるいは林業集落基盤総合整備事業、こうして具体的にいまからお始めになるモデル事業というその内容は、一体どんなことをしてどんな効果を上げようとされているのか、こうした面についてもひとつお知らせをいただきたいと思います。  それから、間伐林道の計画、これも中にありますが、たとえば同和対策事業的なもの、あるいは林業投資、失業対策事業というのが公にありますけれども、そういうもので、山はそこにあるから緑はそこにある、間伐や下刈りやあるいは除伐や、いろいろとやらなければならない多くの仕事に人手が足らない。いま百四十一万人も人が失業している。労働力をどこか集中しなければならない。そういう面にわたる雇用の創出の一面も担うことになるのではないか。そういうこともまだこの内容には触れておりません。そして、林道の改良、幅員の拡大あるいは勾配及び曲線の修正など、こういうのでも局部改良という形でありますから金も要るわけでありますが、これはどんな個所でどれぐらいおやりになるのか、あるいは舗装事業等については三百三十八キロ程度おやりになるのですが、そういういわゆる地域的分散、これは具体的に数を示せと言ったって資料を示してもらわなければわかりませんが、およそどういうことをやるのだというような面を、この中に見る限りその答えはただ羅列にすぎないような気がいたしますので、その点をまずお知らせいただきたいと思います。
  171. 須藤徹男

    ○須藤説明員 いま白書の内容につきましていろいろ御質問があったわけでございますが、まず基本となります森林計画制度について若干御説明を申し上げまして、いまの御質問内容についてそれぞれお答えしたいと思います。  国有林も、民有林も当然でございますが、今後の経営基本となりますのはどこまでも森林計画でございます。民有林につきましては地域森林計画、それから国有林につきましては地域施業計画というものがございます。民有林におきます地域森林計画は、御承知でございましょうが、森林法の第五条の定めるところによりまして、都道府県知事が、全国森林計画に即しまして森林計画区別に、その森林計画区に係る民有林につきまして、五年ごとに、十年間を一期といたします地域森林計画を立てることとされておるのでございます。これに基づきまして、現在全国の民有林につきまして二百五十六の森林計画区を設定いたしまして、五年ごとの編成サイクルによって、毎年約五十一の森林計画区について計画的に地域森林計画を樹立しておるのでございます。なお、国は都道府県に対しまして地域森林計画の樹立に要します経費について二分の一の助成を行っておるのでございます。  そこで、全国森林計画及び地域森林計画推進当たりましては、合理的かつ計画的な森林施業の実効を確保する方策が重要でございます。そのために昭和四十三年に森林所有者の自発的意思に基づいて作成いたします森林施業計画制度を設けたのでございまして、計画的に森林施業を行う者に対しましては税制、融資、補助金の優遇措置を講じておるのでございます。その後昭和四十九年には、わが国の森林所有者の相当部分を占める零細規模の所有者の森林施業の共同化を助長することの必要性から、森林施業計画制度の中に団地共同森林施業計画というものを設けまして、森林施業計画作成の促進を図ったのでございます。その結果、昭和五十一年度現在、森林施業計画の認定実績は、森林施業計画対象面積、これは民有林だけでございますが、約一千六百万ヘクターに対しまして、約三九%に当たります六百万ヘクタールについて森林施業計画の樹立が図られたのでございます。現在、森林計画推進いたします重要な柱といたしまして、いま申し上げました森林施業計画、特に団地共同森林施業計画を中心として樹立の促進に努めておるのでございます。その促進措置といたしまして、団地共同森林施業計画の作成に当たっては、森林組合等が森林所有者の意見調整等の中心的役割りを果たしておることから、森林組合等に対しまして所要の経費を国が助成をしておるのでございます。  今後は、森林所有者等に対しまして森林組合等を通じての普及活動を進めまして、団地共同森林施業計画を中心として森林施業計画樹立面積増大に努めるということを進めておるのでございます。先ほど申し上げましたように、残念ながらいまだにこれは三九%のカバー率でございますから、さらにこれに力を入れていく必要があるということでございまして、いろいろな林野庁が行います林業施策の中心は、この森林施業計画制度を中心に今後進めていこうということでございまして、それを根っこに置きましていろいろな助成を進めていこうということでございます。  それから、お話の中にございました林業集落基盤総合整備事業というのを五十二年度調査事業、五十三年度からモデル事業として行っておるわけでございます。それから、間伐林道とかあるいは林道の改良についてのお尋ねがあったわけでございますが、林業集落基盤総合整備事業と申しますのは、将来にわたりまして林業を振興することによりまして林業がその地域の社会発展の基盤となると見込まれる地域でございまして、林業等の生産活動及び地域社会活動が一体となって行われておるような区域を対象として実施するものでございまして、一地区当たりの標準事業費は約三億五千万ということを考えておるのでございます。  また、間伐林道は、間伐促進対策の一環といたしまして、中核林業振興地域ということをやっておるわけでございますが、中核林業振興地域等におきまして緊急に間伐を必要とする森林が集中している地域を対象といたしまして開設するものでございまして、延長が一、二キロメートル程度の小規模の自動車道を考えておるのでございます。  それから、林道改良事業につきましては、既設林道、これは自動車道でございますが、既設林道で林道としての機能が低下しているものにつきまして、自動車の走行を容易ならしめるために局部的な改良を行うものでございまして、一カ所の事業費が約十万円以上のものを対象として実施をするということでございます。  以上、林業集落基盤総合整備事業及び間伐林道、林道改良事業についての概要について御説明を申し上げました。
  172. 新盛辰雄

    ○新盛委員 続いて申し上げておきますが、この白書の内容はもう十分御承知のとおりでございまして、林業施策の基本的な方向について内容も明らかにされています。低迷している林業、林政の危機、これは何によって生まれたのか、これはいままで各委員の方からも質問がありましたし、木材需要の変動、これは住宅の問題あるいはパルプの問題などいろいろ関連があってこの中にも記載がされているようであります。  この動向については後ほど触れますが、林業従事者の福祉向上、新しく講じようとされることがこの中の三十ページ以降に書いてございます。この問題は、これからの森林、林業振興のために何よりも人であるという農林大臣のお話もございましたが、林業経営者及びこれらの後継者の養成確保、これは非常に重要な問題でありまして、いま学校教育の充実を図るとか、あるいは林業技術実習指導を実施をしているとか、あるいはこれから林業後継者育成事業もやらなければならぬとか、こういうことが示されておりますが、具体的にこれらの諸政策は実効が上がっているのかどうか。また、養成をされておられるそうでありますが、この要員というのは現実的にどういうふうに操作されているのか。また、いままで育成機関を通じて新規のいわゆる森林を守り林業を興していく人たちの就労の個所としていまどういうふうに格づけされているのか、そのことについてお伺いをしたいと思います。  それと、林業労働者の就業状況でありますが、これは国有林、民有林を含めて申し上げておりますので、国有林の方は後ほど触れてまいりたいと思いますが、都道府県の単位として、この林業従事者のこれからの勤労意欲、あるいはそれらに対する退職金制度、今度の予算の中でも明らかにされておりますが、そういう制度を新しくつくってこれらに希望を将来に持たせるとか、前向きの姿勢がうかがわれるわけでありますが、そうしたことについてどういうふうに具体的にされようとしているのか、また、林業労働者の災害防止等については、これもこの中に書いてございます。国有林の場合も含めてでございますが、労働省からも来ておられるわけですから、この振動障害あるいは騒音障害、腰痛、あるいはチェーンソー、機械等によるいまの職業病あるいは労働災害、機械集材装置等によって起こっている災害、こうしたことに対して、チェーンソーを林業改善資金制度の中で買いかえておられる、いま進められておられるわけでありますけれども、そういう状況はどうなっているのか。  さらに、これは労働省と農林省にお答えいただきたいわけですが、社会保険制度の加入状況、これは雇用保険制度そして労働者災害補償保険制度、こういうものがありますが、国有林の場合、定員外の方々には失業している部分、雇用保険が適用されるわけです。民有林の場合は、常時そうした保険制度があると思いますが、加入状況は、私ども聞いているところではきわめて悪い。そうしたことについてどういうふうな対策をお立てになっているのか、まずお答えをいただいて、随時内容について深めていきたいと思います。
  173. 藍原義邦

    藍原政府委員 たくさんの御質問で、順次お答えさしていただきたいと思います。  まず初めに、林業従事者の福祉の向上と養成確保がどういうふうになっておるかということでございますけれども、私どもといたしましても、これからこの厳しい林業を進めるに当たりまして林業労働を確保していくということが非常に必要であろうというふうに考えておりますし、そのためにも福祉の向上を図ることが肝要であろうというふうに思っております。五十一年度から林業従事者の社会保険制度への加入促進等につきまして、林業事業体に助言指導を行う林業労務改善推進員というものを配置いたしましてその推進に当たるという事業を実施しております。それから、五十三年度から新たに林業の就業実態に適合いたしました特例的な退職金共済制度の創設を早期に実現させるための事業を実施いたしております。これは三年でそれに乗り移ろうという考え方で五十三年度から進めることにいたしておるわけでございます。  それから、就労新規者の就業状況でございますけれども、文部省の学校基本調査というものによりまして新規学卒者の林業への参入状況を見ますと、五十一年度では中高卒合計で五百六十三名という形できわめて少ないというふうにわれわれも考えております。そこで、林野庁といたしましては五十二年度に県を通じまして若年林業労働定着化条件調査というものを実施いたしております。これは現在集計中でございますけれども、この調査結果等を踏まえまして若年労働力の確保のための施策につきましては今後充実に努める考えでございます。  それから、林業従事者の中小企業退職金共済制度適用の問題でございますけれども林野庁といたしましては、林業の作業が季節的に非常に制約されるということから、就業が季節的、間断的であるために林業従事者が社会福祉面でも非常に立ちおくれているということで、一番大きな問題になるのは退職金制度がいま問題になるであろうというふうに判断いたしております。こういうことで退職金制度というものを先ほど申し上げましたような形で考えたわけでございますが、これを今後実行するというかっこうにいたしております。そこで、この事業は三カ年計画で加入労働者数を初年度約二万五千人から四万五千人に増加させまして、林業を主業とする民間林業労働者の約半数をカバーできるものと考えております。これを促進するために一人当たりの積立金百五十円に対しまして国は四分の一を助成することにいたしております。  それから、雇用保険制度の加入なり労働災害補償制度の加入の状況でございますけれども、雇用保険への加入の状況につきましては、五十年四月から旧の失業保険制度が改正されまして林業も当然適用という形になったわけでございます。これに伴いまして増加しておりまして、五十二年の八月現在では六万一千八百七名という者が加入いたしております。これは四十九年八月現在の二万九千六百二十九名に比べますと二倍という数字になっておると思います。それから、労働者の災害補償保険につきましては、従前からほとんど事業体が加入しているものと判断いたしております。また、雇用されることなく林業に従事するいわゆる一人親方につきましても、五十一年十月から特別加入の道が開かれております。  以上、三点についてお答え申し上げました。
  174. 新盛辰雄

    ○新盛委員 状況はわかりましたが、要はこれからの国有林あるいは民有林の場合でも、国有林の場合は後ほど触れますから、民有林の場合でも画一的な行政のベースで進める場合の利点、あるいはまたそのことの方が、より雇用促進を図る場合でもあるいは加入促進をしていく場合でも有利な面があります。しかし、いまのような実態の面から見ましても、これは全くベターだということにはならないわけでして、これからの林業就業者が老後の安定した生活をしていくことができるという、先行きの不安のない形でやっていくならばもっと生産意欲もわきましょうし、将来に不安がないわけでありますから、そういう面の積極的な林野庁の取り組み姿勢というものを、いままでただ単純に机上プランで、あるいはみずから地域市町村を含めて出かけていって、一生懸命そういうことに対する奨励、経営者の中にまだそうした面の徒弟制度、世襲制度、そういうものを持っておられる方々が多いわけですから、非常に封建的なんですから、そういう方々を指導していく面で林野庁は取り組んでおられると思うのですけれども、そういう面はどうなっておるのですか。
  175. 藍原義邦

    藍原政府委員 先ほども御説明いたしましたけれども、労務改善推進員というものをそれぞれ設けまして、林業に従事する方の労働条件というものについて積極的にPRし、その推進、加入を図ろうということで、そういうものに対する助成を都道府県等に対してやっておりまして、私どもはそういうものを中心にいたしまして、いま先生が御指摘になりましたような林業労働者がこれから意欲を持って林業に従事していただけるような方途を今後とも重ねて進めてまいりたいというふうに思っております。
  176. 新盛辰雄

    ○新盛委員 労働省にお聞きしますが、失業者というのは数が非常に多くなって、いまのような円高不況の中に出てきた構造的な企業の結果からこういうふうになったので、これは国策という立場でとらえていくならば、この就労者、いわゆる山を守るという、これはある意味では不確定であり、季節的であり、そういう面になってくると思いますが、一時的にも失業対策的に雇用就労の形をつくることができないのかどうか。     〔片岡委員長代理退席、羽田委員長代理着席〕  そうした面のいわゆる雇用の創出という面でお考えがあるのかどうか、お聞かせをいただきたいと思うのです。
  177. 小野進一

    ○小野説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、大変厳しい雇用失業情勢が続いておりますので、労働省といたしましては、雇用安定資金制度の弾力的な運営による失業の予防あるいは円滑な職業転換に努めるほか、失業を余儀なくされた方々に対しましては失業保険制度あるいはその他の援護措置の活用によりまして離職者の再就職の促進に努めております。また、特に本年度から新たに中高年齢の労働者を雇い入れる事業主の方々に奨励金を給付するというような制度を設けまして、雇用機会の拡大に努めているわけでございますが、御指摘の林業の事業に失業者を吸収することにつきまして、私どもは雇用対策という面から考えました場合、先生からも御指摘がございましたが、一つは失業者の発生地域と林業の基盤その他の整備の対象となる適地としての山林との距離の隔たりの問題があろうかと存じますし、また、就労の時期が季節的に限られているというようなこともあろうかと思いますし、それから、最近安定所でとられております求職者の希望の動向が必ずしもこういう向きに向いていないというようなむずかしい問題がございますが、労働大臣が中高年齢失業者が多発している地域として指定しております地域につきましては、その地域で計画実施されます公共事業、山林もその場合指定されている事業になっているわけでございますが、それにつきましては、失業者の吸収率の制度、安定所の紹介によって失業者を雇い入れるという仕組みがございますので、当該地域の雇用失業情勢、地域の実情を十分勘案しながら、その的確な運用に努めてまいりたいと思っておりますので、御了承をいただきたいと思います。     〔羽田委員長代理退席、片岡委員長代理着席
  178. 新盛辰雄

    ○新盛委員 そういう安定したこれからの就労、地域社会というか、そういう面の雇用の促進という面でも、これはやはり前向きに取り組んでいただきたい。  たとえば、漁業の面だって、沿岸漁場整備計画を立てて、しかも林立する煙突から吐き出される、ヘドロその他等による近海が汚れているからそれを掃除しなさい、これも失業対策の一つなんですから、公共事業投資というよりも、林業投資、農業投資、漁業投資というのを思い切ってやらなければならない時期に来ていると思うのです。  だから、山荒らしがあった、もう下刈りもできないんだ、もうやぶのままになっているのでそのまま放置しているんだということでは、緑の山を守ることはできないわけですから、そういう面に就労を位置づけるという面の積極的な政策があっていいんじゃないかと思うのです。  大臣、これはどうですか。
  179. 藍原義邦

    藍原政府委員 林業の場合には、造林事業というものは、特に民間造林事業は、造林者が造林をした場合に補助をするという形に現在制度的になっておりまして、事業を実行した結果、それに対して補助をいたしますので、その辺が非常に、いま労働省からお話がございましたようないわゆる失業対策的な事業にはなかなかなじみにくい面と、それから、地域的な問題としてなじみにくい面と両方あろうかと思います。  しかしながら、林業の中に、治山事業、林道事業がございます。こういうものは当然公共事業としての性格は十分持っておりますから、そういう面におきましては、ただいま公共事業を積極的に推進するという形で私どもも五十三年度の事業推進を図っておりますから、その中で、それぞれ都道府県を中心にいたしましてそういう方面の対策は十分講じられているというふうに考えております。
  180. 新盛辰雄

    ○新盛委員 それと、先ほどお答えがあったのですけれども、この後継者づくりの問題について、これはいずれの場合でもそういつもおっしゃっていますし、白書の中にもあらわれているのですけれども、現実的にその後継者対策というのを真剣に考えて取り組んでおられるのかどうか、非常に疑問なんです。  そういう点についてもひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  181. 藍原義邦

    藍原政府委員 後継者の問題は、私どもとしても、やはりこれからの林業を引き継ぐ担い手として非常に重要な問題であるというふうに認識いたしております。これまでも、そういう意味から、山村青年教育指導事業というものを実施いたしてきておりますけれども、五十三年度におきましても、地域に密着いたしました対策を総合的に講ずるということをねらいといたしまして、それぞれの地域で推進会議の設置というものをいたしまして、都道府県を単位といたしましてこういう会議を設けまして、ここで後継者のいろいろな問題を推進させるための会議を開き、その積極的な対策を検討させるということを考えておりますし、それから、林業経営者の中にも非常にすぐれた方もおられます。こういう方々を指導林家という認定をいたしまして、その活動の助長をしていこうということを考えております。また、林業コンテストだとかあるいは林業青年交流活動、こういうもの等の市町村段階におきます各種行事の実施に対しましても国の方でいろいろ検討していこうというふうに思っておりますし、また、林業後継者のグループ活動を推進するための活動拠点施設の整備を図っていこうということも考えております。  さらには、後継者のもう一段下でございます山村の児童生徒を対象にいたします林業教室というようなパンフレットの配付、こういうものも新しく五十三年度から考えていきたいと思っておりますが、このほかにも林業教室だとか学習活動、技術課題実証事業というようなもの、グループリーダーの育成、こういう事業を従前からもやっておりますけれども、今後ともやはり林業後継者というものを十分私どもとしても育てていく必要があろうというふうに考えておりまして、いま申し上げたような施策を充実しておる次第でございます。
  182. 新盛辰雄

    ○新盛委員 ぜひひとつこれからも御努力をいただきたいと思います。  それで、大蔵省もお見えになっていると思いますが、五十三年度の林業予算の面からお尋ねをしたいと思うのです。  総理の施政方針演説でもあったのですが、社会開発の投資として林業投資を拡大する、こういうことで積極的に姿勢を示されました関係からというわけじゃありませんが、林業関係予算は前年対比三三・四%、大幅な伸び率を示しています。この国、民有林を含めた林業基盤整備という形の中で、先ほども少し触れましたが、新規事業が多く盛り込まれておりますし、その消化に向かって林野庁としても全努力を挙げられるわけでありますが、そうした景気浮揚のための大型予算を決めて、その中で持つ林業関係予算、この仕組み、その位置づけ、この基本となったものは何であるか。総額二千八百六十六億になるわけでありまして、公共事業部門、非公共事業部門、こういうふうになっているわけでありますが、この内容を見ましても、農林省全体の予算が三兆五百六十七億、その中のわずか九・四%のウエートにすぎない林野関係予算でありますけれども、農林省全体の面から見ましても、三三・四%という、こういう予算でありますが、まずこのつくられました、これからの施策とも、先ほど幾つか触れましたが、そういうものと関連させて形成されたと思いますが、その位置づけというのはどういうふうに考えておられるか、お聞かせをいただきたい。
  183. 宍倉宗夫

    ○宍倉説明員 お答えいたします。  林業の五十三年度予算を考えます場合に、現在林業の置かれている状況と申しますか、つまり木材価格は余り伸びず、また、需要が伸び悩んでおるというようなことから、林業家が、国有林事業のみならず、民有林を営んでおります林家もまた非常に困った事態に立ち至っているという現状認識から出発しているわけであります。  御質問にもございましたように、公共事業一般といたしましては、景気浮揚ということを主眼といたしまして、一般公共事業では三五・四%、災害を含めまして二七・三%の大幅な対前年度増加をしたわけでございますが、その際におきましても、造林、林道、治山といった林業に関係の深い事業につきましては、特に重点を置いたところでございます。したがいまして、この林業関係の公共事業では、先ほど申し上げました治山、造林、林道合わせまして、一般公共の合計で三九・九%、約四〇%弱でございます。全体が三五・四%でございますから、平均に比べてかなり高い率になっているわけであります。災害を含めましても三五・一%ということになっておりますので、伸び率の面ではかなり大きなウエートを占めているということが言えようかと思います。  また同時に、非公共事業につきましても、先ほど来御議論のございましたように、林業構造改善対策事業、それから森林病害虫等の防除事業、それから後継者としての林業の担い手の養成事業、そういったものに重点を置きまして予算を計上しているところでございます。
  184. 新盛辰雄

    ○新盛委員 いまのそういう構想の中で、景気浮揚を含めて一般公共事業費あるいはそれらを含む公共全体の事業治山事業造林事業、林道事業、一般公共事業、災害復旧事業、こうしたものを合計して二千三百七十二億七千八百万、非公共事業として林業構造改善対策事業あるいは保安林等の整備管理、林業生産流通振興対策、林業普及及び指導、森林病害虫等の防除、緑化推進木材備蓄対策、林業改善資金造成、こうしたものが四百九十二億八千八百万、こういうことで総計二千八百六十六億というように理解をするのですが、それは正しゅうございますか。
  185. 宍倉宗夫

    ○宍倉説明員 仰せのとおりであります。  なお、先ほど私言い間違えまして、一般公共事業の公共事業全体としての対前年の伸び率を三五・四と申し上げたようでございますが、三四・五でございます。
  186. 新盛辰雄

    ○新盛委員 それで、この予算は五十三年度の大型予算という形になりましょうが、いわゆる目玉になっている事業計画、いわゆる新規事業、こうしたものについて先ほども少し触れておきましたが、集落保全総合治山事業でおやりになっていく。いわゆる集落開発が進んでまいりますと、周辺地における激甚な災害が発生して、人命、財産を失うということなどがありまして、去年の竜ケ水災害もそうでありますが、そういうようなことに対してこれを未然に防止する、その被害を食いとめるために、約五十月以上の集落周辺の山地に谷どめ工や土どめ工や水路工や暗渠工あるいは緑化工など総合的な施設をつくるために、まず一地区あたり五千万円かけてこれのうち三分の二を補助するということの具体的な計画が示されています。その国費の総額は九億六千三百万円でありますが、この内容は、五十戸以上の集落で一地区五千万以上使っていくのですが、こういう個所はどういうところを指して、これは特殊土壌のところもありましょうし、あるいはシラス台地の個所もありましょうが、全国にまたがっているところでございますから、そういう関係についてひとつ具体的に示していただきたい。  さらに、これからの問題としては先ほどお答えいただきましたように、林業退職金共済組合の設立を図っていただきたいというので一億五千百万を一応計上されておられるようであります。その実行を三カ年計画でおやりになるわけでありますが、非常にこれは大事なことでもございますし、進め方については先ほどお話もございましたけれども予算の面からあらわれたこうした形は、やはり各市町村を含めて実行されていくこれからの姿勢いかんにかかわると思うのです。そのことに対する消化能力についてどう考えておられるのか。  それで、先ほど出ました林業集落基盤総合整備事業、五十三年度、五カ年計画で約百二十地区おやりになるわけでありますが、この事業内容は、林道、集落林道、あるいは用排水の施設、用地整備というような形で五五%の国庫補助という形になっております。一地区三億五千万円程度の投入を図るわけで、百二十地区もおやりになるのですから、これは相当な額になるわけです。この額の消化を図られるその地域は、もう一々細かいところまで聞きませんが、大体どういう関係個所を指しておられるのかお聞きします。  それから、特用林産物の振興というのは、当然これは収益性を上げていく面でも、民有の場合でも国有林の場合でもそうでありますが、キノコ類などの特用林産物の振興推進、あるいはシイタケ原木林の造成、生産品の加工管理、あるいは貯蔵施設など、こういうものでも約三億五千百万円お使いになるわけで、大変な規模のものであるわけです。  五十三年度でこれだけ積極的に政策をお進めになるわけですから、そういうような形の中で、冒頭に触れました五十二年度以降における林業施策の中ともかみ合っていくんじゃないかと思うのですが、そうした面のことについて私が申し上げた数字が正しいのかどうか。そしてまた、そういう地域、個所についてどういうふうにお考えになっているのか。これは大蔵省といったって、実行部門の林野庁が中心でしょうから、お答えをいただきたいと思います。
  187. 須藤徹男

    ○須藤説明員 いろいろな項目について御質問がございましたので、私からは集落保全総合治山事業、それから林業集落基盤総合整備事業、この二点についてお答えを申し上げます。  集落保全総合治山事業につきましては、先ほど先生指摘ございましたように、近年激甚な災害が集落の周辺山地に発生いたしまして、人命、財産等に甚大な被害が生ずる傾向が強くなってきておりますので、このような新たな災害の態様に対処いたしまして、直接被害のおそれが大きい集落周辺の山地及び渓流について山地災害を未然に防止するということで、治山施設を総合的にかつ緊急に面的な広がりをもって整備いたしまして、国土の保全並びに国民生活の安全確保に資するということを目的として本年度から実施をしようということでございます。先ほどもお話の中にございましたように、この事業は人家がおおむね五十戸以上の集落に近接しまして、山地の荒廃地あるいは荒廃移行地、清悪林地、無立木地等があって激甚な山地災害のおそれがあるため、いま申し上げました総合的な治山施設の整備を行う必要のある一定地区についてこの実施をするということでございまして、一地区の整備に要する費用が五千万以上で、おおむね三カ年で実施するということにいたしておるわけでございます。  実は四十七年度の山地災害危険地調査によりますと、災害危険個所が全国で十二万四千カ所あるわけでございます。が、この中から、いま言っております集落保全総合治山事業の採択に合う個所は約八百八十カ所というふうに見ておるのでございます。この八百八十カ所といいますのは各県からの積み上げの数字でございます。さらに、この中で緊急を要する個所、約二百二十カ所をパイロット的に約七年間でやっていこうというのがこの事業でございます。五十三年度から開始する地区数は二十五地区でございまして、一地区当たりの全体計画工事額は約一億八千万でございます。五十三年度の計画工事費は五千五百万ということに相なっております。  それから、林業集落基盤総合整備事業でございますが、これは先ほどもちょっと申し上げたのでございますが、将来にわたって林業を主体として振興するというような地域を目標にしておるわけでございますが、林業等の生産活動及び地域社会活動が一体として行われる区域を対象として実施するのでございまして、一地区当たりの標準事業費は三億五千万というふうに考えておるのでございます。今年度は地区数は十カ所でございまして、事業費は七億というふうに考えておるのでございます。  以上でございます。
  188. 新盛辰雄

    ○新盛委員 この予算の面から、本議案になっております国有林再建への諸問題に触れていきたいと思います。  林野庁が、巨額な赤字を抱えて行き詰まってしまっている国有林経営を立て直していくために、来年度から国有林再建二十カ年計画ということでスタートさせていきたい、また、国有林特別会計は人件費の高騰と木材価格の低迷で本年度以降も赤字は避けられないので、この際独立採算ではもうやっていけなくなったということで、この新しい法律、国有林野事業改善特別措置法案というのが出ているわけであります。国有林は、わが国の森林面積の二千五百三十万ヘクタールのうちの三二%に当たる八百万ヘクタール、国産材丸太需要量でほぼ三千五百万立方メートル、この三四%を占める千二百万立方メートルほど供給しているわけですが、この国有林経営事情が四十年代後半から年々次第に悪化している状況になっています。四十八、九年度は木材が大変景気がよかったので価格の値上がりというか、例のオイルショック以降、ある意味ではここだけは大変よかったわけでありますが、最近また逆に落ち込んで借金財政を余儀なくされている、こういう状況で、国有林野事業経営状況損益計算現金収支差の推移を見ますと、四十七年から四十九年は一応いいのですが、その前の四十六年はやはり損益の方で三百五十六億、現金収支の差で二百二十五億、全く赤字を出しているのですね。それにまさるとも劣らないような状況で五十年度以降、五十年の場合を見ますと損益百三十五億、現金収支差が三百億、そして五十一年度では損益は五百四億、現金収支でも四十八億、五十二年度はさらにこれが大きく差は出てくるわけでありますが、こういう状況で五十二年度でも損益が六百六十九億、現金収支差が八百十六億、こんなふうになってきますと、当然これは大蔵省もひとつお答えいただきたいのでありますが、この赤字による現金の不足額をどうすればいいのだ。貯金をしているわけじゃありませんから、また資金運用部の方から、財政投融資ですね、この面からも五十一年度は四百億、五十二年度は八百三十億借りておりますし、また特に五十三年度は前年度分を百四十億円上回る九百七十億円借りなければならないという状況で、林道、造林の面を一般会計から四十億二千幾らか、これは通常四十億と言われていますが、そういうふうに受け入れなければならないという状況になった。  この赤字原因というのは、結局人件費だとか物価の高騰だとか、あるいは外材が圧迫をしたのだとか、いろいろ理由はあると思うのですが、行政のベースでどうしても目標をつかみ得なかった。言ってみれば、展望が欠けていたのじゃないか。その収益を得るためには、山のことですから、それは国産材が売れなくなった、需給が大変だ、そしてまた供給の面では追いつかないから外材を入れた、しかも、その比率は七〇%に近いと言われている、そういう状況だからこんなになってしまったんだというだけで済まされる話じゃないと思うのです。  だから、皆さん方がいままで行政ベースの中でおやりになってきて、結局こうした赤字を出したということについてどういうふうに認識をしておられるのか、それをお聞かせいただきたいと思います。
  189. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま国有林現状についてのいろいろな御指摘があったわけでございますが、国有林が現在のような財政状況になりました原因につきましては、財政上の問題で損益上の問題あるいは現金収支の問題、いろいろの面から分析し、それぞれの原因をわれわれはそれなりに把握いたしておりますが、やはり国有林がこれだけ大きく財政的に問題になりました大きな原因とすれば、戦後、復興等のために伐採量をふやしたものが、その後の公益的機能の発揮という面から伐採量を縮減しなければいけないという方向に大きく転換してまいったこと、やはりこういう問題があろうと思いますし、逆に、伐採量が非常に大きくなっておったときと同じような組織なり管理体制なりを持ちながら縮減する、三分の一以上伐採量を落とすわけでございますから、そういうような形の中でどう管理体制その他を転換していくかという、その辺のあり方等につきまして私どもも必ずしも適切でなかったということは重々言えるであろう、私たちも考えなければいけないというふうには思っております。  そういう意味からも、これを早く健全な方向に持っていかなければいけないということで、これから二十年間に国有林が健全な方向になるようなために、十年の間にその基盤を整備しようというのがただいま御審議いただいております法案の趣旨でございますし、そのためにそれなりの自主的な努力はいたします。また、これが中心でございますが、その中心の自主的な努力に対しまして、特例措置として林道あるいは造林等に一般会計からの繰り入れをいただき、さらには財投を借り入れましてその立て直しを図っていこうというのがねらいでございますし、いま申し上げましたように、日本全体の経済変動なり、あるいは木材需給のあり方、こういうものの中で国有林の管理経営の体制の方向転換がある意味でおくれておったということは私たちも十分感じておりますから、そういうものを早くその体制に合うような形で立て直してまいりたいというのがこの法案の大きな趣旨でございます。
  190. 新盛辰雄

    ○新盛委員 破産状態になっているという面から、国有林経営に当たって財政の立て直しあるいは機構の簡略化、そういうふうに結びつくことは、それは行政ベースとすれば当然かもしれませんね。  それで、大蔵省にもお聞きしますが、独算制というのは二十二年以降林野が持つ特徴的な事業会計、特会ということになるわけですが、赤字になった、それを一般会計から受け入れるという、これはきわめて前進的なことでありまして、これは後でまたいろいろ議論しますが、その前にいわゆる財投資金のあり方ですね、先ほど紹介いたしました数字が正しいかどうかわかりませんけれども、きわめて多額に上がってきているわけです。累積が出ています。これは必ず返さなければならない。返す見通しを持たなければ、大蔵省だってただ財布を出しっ放しというわけにはいかないでしょう。そういう面の将来の展望があるのかないのか、あるとすれば何なのか、その辺をひとつ大蔵省のサイドでお聞かせをいただきたいと思うのです。
  191. 宍倉宗夫

    ○宍倉説明員 お答え申し上げます。  財政投融資のお金を国有林特会に貸すということは、先生指摘のとおり、返す当てのないお金は貸さないというのが金融の原則でございます。したがいまして、貸すというからには返してもらう担保といいますか、保証がなくては困るわけであります。今回この特別措置法案を御審議いただいておりますのも、その保証が必要だからであります。この法案を御承認いただきますれば、改善計画をつくりまして国有林野事業特別会計が二十年たちますと収支均衡するという改善の基礎ができるはずでございます。その担保がないと大蔵省として、また資金運用部のお金を貸す立場として、非常に困惑をするという事態になろうかというふうに考えております。
  192. 新盛辰雄

    ○新盛委員 結局、国有林野事業改善特別措置法というのは、大蔵省から見れば一種の担保だ。これが確実に十年、そして二十年後の完全なるいわゆる収支のバランスがとれるということを前提に置いて一応こうして財投を行ってきている。これも年々累増をしている。それが五年たって、国鉄のように、もうどうにもにっちもさっちもならなくなったという段階で考えればいいという仕組みのものであれば、いまのうちに始末をした方がいいのではないか。というのは、たなに上げるとか、現に国鉄などはたなに上げるのだから、そういうふうなことを思い切って抜本的におやりになるというような、それぐらいのことも農林大臣考えていいのじゃないですか、あなたの力ならば。財投の赤字が累増することは間違いないのです。そして、これが担保である。しかも、一般会計から国有林野事業の特別会計に毎年四十億程度——四十億というのは後で聞きますけれども、将来どの程度になるのかわかりませんが、どんどん繰り入れていくという形だから、結局少し卵をふやすために、こちらの方でそちらの事業の方は見守ってやりましょうというふうな仕組みになっているわけですね。これは必ず累増してくるのじゃないか。またにっちもさっちもならなくなるのじゃないか。もうすでに退職金ですら払えないという状況が生まれつつあって、この補給、補助、助成をというような話もあるわけでありまして、これは予算を見ますとそういうのもちらちら出ています。人件費のが。だから、こういうものを返してもらわなければならぬ、返してもらうすべとしては、これが担保だとばかりは言っておれないのじゃないですか。だから、そういうことに対して林野庁としても、返済計画を含めて、きめ細かくお考えにならなければいけないのじゃないでしょうか。利子の補給をということにはならぬでしょう。利子を払うのですらいっぱいでしょう。だから、このことについてどういうふうにお考えになっているのですか。  大臣、どうですか、これは相談されたことがありますか。
  193. 中川一郎

    ○中川国務大臣 私は、国鉄でも負債はたな上げしたとは承知しておりません。(新盛委員「実質たな上げだよ」と呼ぶ)実質たな上げといっても、やはりこれは利子の利子、孫利子のめんどうを見ながらというようなことで、国鉄が負債をしたものをだれの名においてどうやってたな上げするのかわかりませんが、国民に対してそう簡単なものじゃない。国鉄でも私はそういうことはできないと思いますし、ましてや国有林の負債の分をいまの段階でたな上げして一般会計からこれを入れてというようなことで国民が承知するものじゃない。やはり企業努力、独算制でやっておりますこの事業を、最善の努力をしていって負債を返していく、こういうことをやらなければならないと私は思いますし、そのために一般会計から、負債についてはできないけれども、こういった社会情勢でもあります。すなわち国有林が持つ公益的機能あるいはまた最近の木材価格の低迷、あるいは従来たくさん切っておったものが切れなくなった等々の観点から、事業に対して一般会計から入れるということはできましても、もうすでに恐らく二千億ぐらい借りたのじゃないかと思いますが、その金をいまたな上げしてなんということで国民の皆さんが納得するわけがない。  でありますから、これをたな上げなんということは検討したこともありません。要は返す努力と、この法案を一日も早く通していただいて、これと並びます機構の設置法、これは自助努力、自主努力といいますか、そのこともともどもにやりまして、そして返せる、そしてまた希望の持てる林野行政というものを考える以外、負債をたな上げするということは、ゆめゆめ考えたこともございません。
  194. 新盛辰雄

    ○新盛委員 大臣、それじゃあなたは自信ありますか、将来。これは改善事業を一生懸命やりましょう、そして内容の簡素化を図るとか、あるいは一般会計からもこうして受け入れているのだから、これでやっていけばやっていけないことはない、この確信をお持ちなんですか。
  195. 中川一郎

    ○中川国務大臣 私としては確信を持ってやっておるわけでございます。もちろん、今後林野庁当局も、またわれわれも、林野に働きます皆さん一人一人がそういう気持ちにならなければ、従来のような甘えた気持ちであるならば、みずから崩壊をしていって、たな上げをするなんというときには、もっともっと抜本的な、たとえば民営にしてしまうというようなことでもやらなければ、たな上げなんということは国民は承知しない、こういうことだろうと思います。やはり努力をして返せるようにしなければならぬ。怠けて、そしてまた借金をまけてもらおうなんという根性を持っておったら、そう甘いものではない。われわれを含めまして全体が厳しく受けとめなければならぬ、こう思います。
  196. 新盛辰雄

    ○新盛委員 働く内閣ですから、これから一生懸命そうした面で経営の健全化を図るという面では、やはりここで働く労働者を含めまして、それは真剣に考えていることなんですから、これからもそうした面の、究極の目的は結局健全財政、借りたものは返す、そして、これによって出てくる将来計画、展望、そういうものがみんなにぴったり胸に落ちるようなものでなければいけないわけですから、そういうふうにひとつ、まあ私ども関係の向きというよりは、そういう面ではみんな意欲を持っているのじゃないかと思っているわけです。  そこで、一般会計からの繰り入れの関係で、いままで少し議論も出ましたが、一般会計からの受け入れが本年度は四十億二千百万ですか、それで、向こう十カ年間です。だから、毎年ある程度、大蔵省としてもお約束ですから、これは法律で決めるのですから、来年は額はどれぐらいになるのかわかりませんけれども、これは大体額として四十億前後に固定されるものですか。それともそのときどきの趨勢によって、外材の部門だとか、あるいは風水害によって、災害によって大変なことになったというようなこと、いわゆる予期せざる状況も生まれることもあります。そのときはそのときで考えればいいという仕掛けのものなんですか。やはりこれは十カ年計画をお立てになるわけですから、十カ年計画の中で、変動が起こることも加味されるわけでして、この際、その辺の額について確認をしておきたいと思うのです。
  197. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま御指摘になりました一般会計からの繰り入れの経費の問題でございますけれども昭和五十三年におきましては、保安林内の新植経費と重要幹線の開設経費の一部とすることと予定しております。  それで、この法律が成立いたしますれば、私どもといたしましてはそれに基づきまして改善計画をつくるわけでございますけれども、その改善計画に基づきます経営改善の進展の状況、あるいは収支状況、この情勢のいかんによりましては、この経費等につきましてもいろいろ検討の課題であるというふうには考えております。しかしながら、国の予算でもございますから、いま申し上げましたようなこの法律の第三条の規定に基づきまして、毎年度の予算編成において、国有林野事業改善の進展状況あるいは収支状況、あるいは一般会計財政状況、こういうものを勘案して定めていくことになろうというふうに考えております。
  198. 新盛辰雄

    ○新盛委員 造林については保安林内の新植経費の一部として十八億八千九百万円、林道については民有林を含めて重要幹線林道開設経費の一部として二十一億三千二百万円、こういうことで、五十三年度のこの法律に基づいて一般会計からの繰り入れという形になっているわけです。おっしゃるように、増幅はそのときの状況の中で判断されるものでありますけれども、この受け入れ基準を、実は物価も上がりますから、そういう市場との絡みでスライドさせなければならぬ面も出てくると思うのです。そしてまた、あなた方は、これはもうお立てになる先のことは長期展望に立ってこうだという確信を持っておられるのですから、十年ぐらいのおよその方向づけというのは出てくるのじゃないかと思うのです。そういう不安なものに大蔵省がお出しになるということ、それはやはり展望があって、確認をして、そして確実に、石橋をたたいて渡るような皆さん方ですから、そういう面でどういうふうに理解されているのか、大蔵省にお答えいただきたいと思うのです。
  199. 宍倉宗夫

    ○宍倉説明員 本年度から一般会計から特別会計に繰り入れることにしておりますのは、林道と造林にかかる国有林事業勘定の経費の一部につきまして繰り入れるということにしているわけであります。  その場合に、一部というのは何かと申しますと、民有林でやっております林道及び造林の補助率に準じたものを計算いたしまして、そして繰り入れるということにしております。したがいまして、この方式でございますと、今後どういうふうになるのかと言えば、国有林でやりますその対象となります林道の延長キロをどのくらいつくっていくのだという点、それから造林をどのくらいやっていくのだという点、この事業量に比例した形で金額が変わってくるということになろうかと思います。  それではその場合、この後十年間どのくらいになるかということにつきましては、本法律案を御承認いただいてから改善計画の中で十年間の事業量を決めていこうということになっておりますので、十年間の金額としてはただいまのところ幾ら幾らということを申し上げかねますが、考え方といたしまして、私どもは、民有林に準じた形でやっていこうというふうに考えているところでございます。
  200. 新盛辰雄

    ○新盛委員 予算から見ました国有林再建への諸問題について、まだ不十分でございますけれども、私どもの同僚の方からまたあしたでも質問があるかと思いますので、一応先にまいりたいと思います。  それで、国有林野事業で行われる事業分野、いわゆる管理経営事業は、特会法制定によって、国有林野事業特別会計法によるわけでありますが、最近、切るばかりが能じゃない、言うならば保護林、いわゆる水資源滋養あるいは国土保全あるいは緑を守ろうというので、伐採とかいうことに対して、能力の問題もありましょうが、特にこの際、地元のことですからお聞きしておきますが、例の銘木と言われる屋久杉、屋久島には営林署が上、下ございます。これは御承知のように、特殊な材でありますし、まさに天然記念物に指定を受けているわけなんでしょうが、この保護策について、従来非常に乱伐、あるいはこの価値がいいものですから、そういう面で趣味者というか、あるいは時代物をつくるための加工用として非常に活用度が広くなって、しかも、このコストが非常に高い、売れるのはごくわずか、こういうようなことになっているのですけれども現状としてこの屋久杉は保護の形で置くのか、営林署もあることで非常に気になることですが、これは下刈りとか、あるいは林道、あるいは造林計画、切ったら植えるということは原則なんですから、そういうふうなことに対して、いわゆる管理経営指導はどのようにやっておられるかをお聞きしておきたいと思います。
  201. 須藤徹男

    ○須藤説明員 屋久島の国有林森林施業につきましては、従来から屋久島の国有林の沿革あるいは自然的、社会的もろもろの特性を踏まえまして、地元住民及び地元林業、林産業界の要請等を十分配慮しながら、この屋久島の国有林の自然環境の保全を図る中で、屋久杉の保護について特に留意をして樹立している地域施業計画に基づきまして実施してきておるのでございます。  この自然環境保全の問題でございますが、これまで各時代の変遷、要請の中で、大正十年、学術参考保護林約四千三百ヘクタールを設定して以来、特別天然記念物、国立公園特別保護地区、自然休養林、原生自然環境保全地域等の保護区域を漸次拡大いたしまして、その保護に努めてきたところでございます。特に昭和四十三年から四十四年にかけまして、屋久島の自然保護をめぐって各層から陳情等が提出されたことから、昭和四十五年に屋久島国有林の自然保護に関する調査を行いまして、その結果に基づきまして、学術参考林、屋久杉展示林等の設置を行うとともに、伐採面積の縮小、保護樹帯の積極的設置を行うことといたしたのでございます。さらに、昭和五十一年度には、屋久島国有林における屋久杉を含みます自然環境の保全と森林あり方について、学識経験者によります特定地域森林施業基本調査なるものを実施いたしまして、その提言に従いまして、同年度樹立いたしました第三次地域施業計画におきまして既設の保護区域の見直しを行った結果、現在では屋久杉を中心とする自然環境の保全対象区域は当国有林面積の約二五%に当たる九千六百ヘクタールとなっておるのでございます。また、このほか、保護樹帯及び険阻地等に分布いたします屋久杉についても伐採しない考えでございますので、その結果、屋久杉の生育分布する区域面積約二万六百ヘクタールのうち、約八割に相当いたします約一万六千六百ヘクタールについては、将来にわたって保護することとして、伐採はしない考えでございます。  いかにも屋久杉を乱伐しておるような印象を与えるわけでございますが、いま申し上げましたように、わずかの屋久杉を現在伐採しておるという状況でございまして、しかも八〇%の面積は残すという方針で進めておるわけでございます。
  202. 新盛辰雄

    ○新盛委員 時間がもう三十分しかありませんので、もう少しお聞きしたいのですが、先を急ぎたいと思います。  現在の森林資源に関する基本計画並びにこうした重要な林産物の需給に関して展望を立てるとかあるいは長期の見通しを見出すとかというのは大変なことでもありますし、現在の経済状況から見てもなかなか見出すことができない。予測というのははずれるものだ、天気予報じゃありませんが。最近の天気予報はよく当たりますが……。雲をつかむような話かもしれませんが、現実問題として、基本計画長期見通しということについて、いろいろと従来もお出しになっているわけで、先ほど財政措置の問題でもそのことが言えるわけですが、私が持っている資料の中で、長期見通しとして、国内生産量が昭和五十年、七千六十万立方メートル、それから輸入量が二千九百四十万立方メートルだったのが、実績は国内生産量が三千五百三十一万立方メートル、輸入量が六千百七十九万立方メートル、こういうことで、結局外材がぐうっとふえて、国内産がぐうっと落ちる、半分下がり、半分上がり、こういう状況になっているわけです。半分に下がり、倍に上がるというやつですね。こういう狂いを見過ごすわけにはいかないわけです。これはどういうことでこうなったのかわかりませんが、木材需要の伸びが非常に鈍化の傾向にある、そういうことを前提に置かれた最近の資料がありますが、総需要量、昭和四十四年度から四十六年度三カ年平均で九千九百九十万立方メートルあった。これを五十六年度、一億三千四百八十万立方メートル、六十六年度、一億四千七百三十万立方メートル、六十六年度までの展望を総需要量として見通しをお立てになる。それに対して国内の供給量、これは昭和四十四年度から四十六年度三年の平均でありますが、四千六百三十万立方メートル、五十六年度は四千九百七十万立方メートル、六十六年度は五千八百七十万立方メートル、こういうふうになって需要量と国内供給量の間差は増大をしております。輸入によりこれらの不足分を図るわけでありまして、その輸入量はおおよそ昭和四十四年度から四十六年度は三年平均五千三百六十万立方メートル、このとおりはいかなかったわけですけれども、そういうふうな策定で五十六年度は八千五百十万立方メートル、六十六年度は八千八百六十万立方メートル、これで昭和九十六年度の需要量、一億五千二百九十万立方メートルで、国内供給量は恐らく九千四百三十万立方メートル、六〇%の需要量ということになるであろうという見通しのあれが出ましたね。  もはやこの新しいこういう国有林関係だけを見ましてもそうでありますけれども国有林事業改善のこの長期見通し、それから民有林、総需要の関係ですから民有林を含めてですけれども、こうしたものをもう一回見直さなければならない状況が来ているんじゃないんですか。そしてまた、どういうふうにその見直しとして策定を立てられるんでしょうか。いまのこの緑の効用率の問題が出ましたが、四十七年十二月の中間報告で出されました水資源涵養、土砂流出防止、土砂崩壊防止、保健休養、野生鳥獣保護、酸素供給、大気浄化等十二兆八千二百億、先ほど質問が出ていました。これなども、四十七年の十二月の中間報告だということでありますが、これに五十一年十月の卸売物価指数一六五・四を掛けて二十一兆二千百四十三億、こういうふうに出しておられる、この現実は、緑の効用でもこの内容がもうすでに変わっているじゃないかと思うのです。数値は、これが平均だから、それにいまの物価指数をどんどん掛けていってしまえば、大体およその見当はつくということになるんでしょうが、改めて再計算をされた方がいいのじゃないですか。そういうことの基礎の上に立ってこういう需要供給の状況ということについて把握を図らなければ、これも非常に万里の長城みたいに——あれはできているんでしょうが、とてもできっこないです。現代では。  そういうふうなことについてどういうふうにお考えになっているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  203. 藍原義邦

    藍原政府委員 初めに林産物に関します需給の見通しでございますけれども、これは四十八年につくったわけでございますが、御存じのとおり、四十八年というのは日本の経済のある意味でのピークでございまして、それ以後いわゆる安定成長ということで移行したわけでございます。したがいまして、その当時はその時点におきますそれなりの経済成長なりその他を見越しまして長期計画をつくったわけでございまして、現時点になりますと、日本全体の経済あり方が変わってまいりましたし、また木材需要というものも変化してまいりまして、確かにいま先生が御指摘になりましたように、現時点で見ますと、この長期の見通しと現在の需給関係が乖離をしておるということは私たちも認識いたしております。しかしながら、木材長期計画というものにつきましては、木材そのものの生産期が非常に長いというような問題もございます。そういう点で、いろいろな意味から超長期な視点に立ちましてこれを策定しなければいけないというふうに考えております。したがって、短期的なずれというものは当然その間で起こるであろうというふうには考えております。しかしながら、全体の基調というものは変わってまいりましたし、そういう意味から、これからのわが国の経済の推移といいますか、そういう方向を十分見きわめながら、関係方面、各界の方々の御意見を聞いて所要の検討を進めていきたいというふうに思っておる次第でございます。  それから、緑の効用の問題でございますが、ただいま先生指摘になりましたように、四十七年当時にこれを行ったわけでございますが、その目的と申しますのは、いままでも森林につきましては公益的な機能があるというきわめて定性的な御意見が多かったわけでございますが、これを定量的に一つの条件をはめまして計算してみたらどうなるであろうかというようなことで計算したのがこれでございます。したがいまして、私どもといたしましては、その時点の森林と現在の森林とがそう大きくは変わっていないという認識を持っておりますので、いまの時点でこれを再計算するということは考えてはおりません。
  204. 新盛辰雄

    ○新盛委員 ついでに保水力はどうなっていますか。これはきのう野坂委員の方からも質問があったのですが、具体的な数字が出てませんでしたから、この際、明確にしておいていただきたい。
  205. 須藤徹男

    ○須藤説明員 森林の保水力につきましては、その土壌でございますとか、あるいは地形でございますとか、生えておる樹種でありますとか、そういういろいろの環境条件によって相当差異があるわけでございますが、特に森林と裸地とを単純に比較いたしました調査結果がないわけでございますけれども昭和四十八年に林野庁が水利科学研究所に委嘱いたしまして調査をした一つの例がございますので御報告いたしますと、那須山ろくで、原野——裸地ではございませんが、それと森林の土壌の貯水量を比較した場合、この調査の例では、アカマツの壮齢林が原野の二ないし四倍、つまり原野が七ないし一〇%に対しましてアカマツ林が二三ないし三〇%というような数字となっております。また、阿武隈高地の例でございますが、杉の壮齢林が原野の二倍強、つまり、ここでは原野が一二%に対しまして杉の壮齢林が二二ないし二八%というような調査の数字が出ておるのでございます。  いずれにいたしましても、冒頭に申し上げましたように、いろいろな条件によって変わってまいりますので単純な比較はできないわけでございますが、樹林地が確かに原野、裸地等に比較して貯水能力が非常に高いということは言えると思います。
  206. 新盛辰雄

    ○新盛委員 時間がだんだん参りまして、まだ相当あったのですが、二つにしぼって次に進みたいと思います。  昨日からも出ています外材輸入の規制というのは、林業白書の中でも出されているのですけれども、国内林業振興のためにも早く対策を立ててほしい。そして、木材需給対策協議会とか全国森林組合とか、いろいろな団体からの申し入れも来ていますね。大臣も御存じだと思います。どういう手を打ったらいいのだろうか、関係行政機関及び団体で構成する木材需給調整委員会をつくれとか木材需給安定対策協議会を設置せよとか、いずれにいたしましても国内の木材需給計画の円滑な遂行を図っていくためには、外材輸入について一元化輸入機関を設置せよとか、こういう多くの申し入れがあるわけですね。そう言っては見ても、相も変わらず外材は入ってくる。国内の供給源としての日本の森林、林業という面はまことに危機に瀕しているという状況ですから、当然そういうようになるんだろうと思いますが、自民党の議員からも質問があったようでありますが、この外材が入り込むのはどういう仕掛けだろう。商社というのが相当たくさん動いている、介在している、そういうことによって相当もうけているんではないか。これはハードなことで、すぐ、つくり上げろと言ったってなかなかでしょうが、牛肉の場合は畜産振興事業団というのがありまして、これでもっていろいろ調整をやります。値段も明確というほど十分じゃありませんが。木材の場合は自由化ですから、手放しというか、無秩序に入れているわけですね。だから、国内産が低落、低迷する、生産意欲が減退する、こういう仕掛けになっているのです。大体一兆何千億にわたるなにがあると言われているのですが、この収益の面で、課徴金という表現を使った方がいいのか、これは大蔵のあたりではどういうふうにお考えになっているのかわかりませんが、まあ二%か三%かけましても二、三百億ぐらいになるわけですよ。そんな金はそれこそ林野事業の振興計画の中に入れてひとつどんどん推進するようにされたらどうだろうか。輸入公団、公社あるいは事業団体、そういうものが適切かどうかわかりませんが、調整する機関をつくらなければならぬのじゃないかと思うのです。  だから、この課徴金という制度について前向きに検討しようというのは両議院の農林水産委員会でも決議がされているやに私は聞いているのですが、その後御検討になっておられるのか、そのことについてぜひお聞かせをいただきたいと思うのです。
  207. 藍原義邦

    藍原政府委員 外材の輸入につきましては、ただいま需給関係を見ますと木材全体が緩和基調になっておるということで、そのために林産業もある意味で非常にむずかしい局面になっておりますし、また林業そのものも非常に厳しい状況になっておるわけでございまして、そういう意味から、外材に対しましては安定的、計画的な輸入が図られなければならないということは私どもも考えております。そういう秩序ある外材輸入が行われる必要があるわけでございますけれども、わが国の木材需給を見ますと、現在の日本の森林の賦存状況から、ここ当分の間外材に相当量依存しなければ国民の需要にこたえられないという面もございます。そういう面と、それから木材そのものは、いまも御指摘になりましたように、前々から自由化になっておりまして、現在国際的な場、いわゆるガット等におきましても、貿易の拡大だとかあるいは関税の引き下げ、こういう要請も非常に強く出ておるわけでございまして、こういう面からも私どもとしては、一元輸入ということについては、そういう強権的な方法でやるということは適当でないんではなかろうかというふうに考えております。  そういう面を考えまして、しかしながら、これを安定的に、計画的に秩序立って輸入させるためにも、いままで林野庁木材の需給計画というものはつくっておりましたけれども、これは大体一年間をつくりまして、それを一年に一遍見直すという程度でございましたが、これからは木材の需給計画というものは需要動向を十分把握しながら短期的な需給計画をつくり、それをもとにいたしまして関係方面を指導していくということを適切にやっていくことによりまして外材の計画的な輸入を図っていこうというふうに考えておる次第でございまして、こういう意味から関係方面の指導を積極的にやってまいりたいというふうに考えております。  それから、先生が最後におっしゃいました課徴金というような問題でございますけれども、これは確かに国産材に木引税というものがかかっておりまして外材に何もかかっていないじゃないかという批判があることは私どもも十分認識いたしておりますが、御存じのように、木材貿易というものは、先ほど申し上げましたように、すでに完全な自由化をされておりまして、国際的な問題や価格というような問題から考えましても、木材に課徴金というものをかけるということはなかなか困難な問題であろうというふうに考えておりますが、引き続き検討はしていきたいというふうに考えております。
  208. 新盛辰雄

    ○新盛委員 まだその議論は追って同僚議員の方からもありますので、次に進みたいと思います。  国有林野事業の基礎になる職員の構成、そして、これからのこうした職員の労働条件にわたる問題でぜひひとつ理解を深めていきたいと思うのです。  先ほども議論がありましたが、国有林経営は直営直用を原則とするというたてまえで、これは国有林であるわけですから、そういう面でも特別に事業会計を持っておりますし、その上で責任ある体制をつくり上げるというのが原則になるわけです。五十二年七月現在で一般会計に所属する職員が、これは林野庁にいるわけでありますが、一千百六名、森林保険特別会計職員が二十二人、国有林野事業特別会計職員、これは臨時作業員を除くわけですが、六万六千九百二十人、これは公共企業体等労働関係法の適用を受けている職員ですが、このうち定員内と言われております職員と、定員外、常用あるいは定期作業、臨時作業、常勤、こういうような形の中で昨年十一月から基幹作業職員というのが生まれてまいりました。これは一歩前進だ。十カ年の長い間のそれぞれの関係者の御努力に私ども敬意を表するわけでありますが、この要員構成を見てまいりますと、非常にはだ寒い思いがするわけであります。  なぜかと言えば、現在の要員構成の中で平均年齢が非常に高くなってきているという事情が明らかであります。ちなみに申し上げますと、職員の年齢階層別構成は四十年代に入ってから逐次高齢化している、こういう資料が出ています。定員内職員の平均年齢は、三十六年七月一日現在三十四・三歳でありましたけれども、五十二年七月には四十三・九歳になっている。若年層が少なくて中高年齢層が多いという構成、すなわち中ぶくれちょうちん型の現状である。ところが、これが十年たちますと、五十二年七月現在で四十六・六歳という状況ですから五十六・六歳。労使の間でお決めになっていると言われている五十九歳まで、それ以上になったら退職勧奨を行って、それに応じた者は五割増し云々というようなのがあります。これは労使の問題ですから触れませんが、このペースでいきますと、必ず逆ピラミッド型の、底辺が上になってしまって、後の後継者採用、こうしたものについて、年齢構成の埋め合わせのために退職をしたら欠員を補充する、そういうふうなことに対する展望が要員需給対策という面で出てくるわけであります。  ところが、提案されておりますように、国有林関係においては、局の廃止とか合理化というのがいろいろ進められて、支局に統合する、あるいはそういうものを設置して随時合理化によって削減をしていく。将来規模として、さっきも需要と供給の面で数字を申し上げましたが、確かに機械力を使ってやっていく、そういう新しい対応にはなっておりますが、要員というのは国有林野行政として幾らなければならないか、定員はどうなければならないか、予算定員はこれだけ、予算外の定員、これも通常人件費を持つわけでありますから、そういう面の将来の展望というのはどういうふうに置いておられるのか。欠員が出てももう埋めないのか。七万人体制を四万人体制とおっしゃるのですから、これは首を切るわけにはいかないのでしょうから、そのところをどういうふうに整理をしていかれるのか。合理化というふうにおっしゃいますけれども、年々それだけ人が減れば、じゃもう請負化して、あるいは枠外から人を頼んでどんどん山に入れた方がいい、一時的には、失業対策の事業として、私が主張しておるように雇用の創出を図るということは、いまの景気浮揚政策の一つとして考えられることではありますけれども、永続的な雇用の安定という面ではどういうふうにお考えになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  209. 藍原義邦

    藍原政府委員 いま御指摘になりましたように、ただいま林野庁におります職員の年齢構成というのが、他の三公五現等に比較いたしましてもきわめて高いということは私どもも十分認識しております。これから私ども改善合理化を進めてまいります上で、ある意味で肥大いたしました管理部門というものを縮減する必要があろうというふうにわれわれは考えております。  そこで、いまも一部御指摘になりましたけれども、先般労働組合との間で五十九歳で退職勧奨をするという取り決めをしたわけでございまして、そういうことによりまして、高齢の方々は積極的に後輩に道を譲っていただこうという道を開いたわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては定員内、定員外につきましてこの制度を活用いたしまして、高齢者の退職促進を図ると同時に、一方新規採用ゼロというわけにはなかなかまいりません。そういう意味からも、新規採用の抑制ということを考えながら、それぞれ事業規模あるいは組織に見合った定員内なり定員外の職員を考えて、これからの改善合理化を進めてまいりたいということを考えておりますが、これもこの法案に基づきます改善計画を立てまして、それに基づいて長期の見通しを立てながら対応してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  210. 新盛辰雄

    ○新盛委員 基幹作業要員、いわゆる職員ですが、今度五十三年二月一日までに任用されたのが一万八千八百名ですね。そういうふうに数字に出ておるわけですが、行政機関職員定員法という定員令、あるいは国有林野事業経営上の将来にわたって確保していかなければならぬ基幹的な要員について、一応常勤扱い者をこういうふうに格上げされたのですが、これから先漸減の方式をおとりになるといまおっしゃっておるのか。全く採用しないわけじゃない、そのときどきに応じて、要員断層が生まれないように、年齢構成の断層が生まれたのじゃ後継者養成もへったくれもないので、そこに十年のつなぎがあったにしましても、確実に幾らかずつ入れていかなければ、十年先に三十代が全国にわずか四、五百名しかいない、こういうような状況が生まれる。これは行政にとっては大変な要員需給構成になってくるわけです。逐次採用するのだ、その逐次とおっしゃるのが四百名から五百名なのかよくわかりませんが、そういう面、毎年逐年的に中ぶくれちょうちん型から逆ピラミッド型に変化し、過大な退職金を払わなければならない、年金もやらなければならない。共済ですから積み立てなければならないという面では若い人たちが相当な被害者になるわけです。だから、要員構成の切りならしというか、持続的にどの程度採用していけばいいのだろうか、そういう試算があってしかるべきだと思うのです。一応適当に四、五百名だというふうにおっしゃっているのかどうかわかりませんけれども、そこのところを明確にしていただかなければならない。やはり将来展望に立つ職員構成、そしてまた、この山をつくっていくための大事な人的要素としてそのことが明確でなければならないと思うので、大臣、その辺のところをどうお考えか、最後にお聞かせいただきたいと思うのです。余り合理化合理化とか労働組合がどうこうとおっしゃらないで、まじめにお答えいただきたいと思います。
  211. 藍原義邦

    藍原政府委員 私の方から先にお答えしておきますけれども先ほど申し上げましたように、現在の国有林全体の財政の危機を乗り越えるためには、いろいろな面で改善を図らなければいけないと思っております。特に現在、国有林の支出の約七〇%が人件費でございます。したがいまして、一つの経営ということであれば、林業経営でございますから、他の二次産業に比べれば当然人件費の比率は高くなると思いますけれども、それにふさわしいあり方にしなければいけないと私どもとしては考えております。  そういう意味から高齢者の退職を促進すると同時に、いま先生もおっしゃいましたが、新規採用を全然しないということではなくて、新規採用はやりますけれども、その辺はこれからの改善計画に見合った形での新規採用ということを考えながら対応していきたい。そのために、これからつくります改善計画の中でもその辺は十分検討しながら、今後の改善計画が進められるような考え方に立ちまして、新規採用という問題についても十分検討してまいりたいと考えておる次第でございます。     〔片岡委員長代理退席、委員長着席〕
  212. 中川一郎

    ○中川国務大臣 この問題については御指摘のとおりでございまして、中高年齢層が大変多い。しかも、その傾向がだんだん強くなる。そこで、新規採用を抑制すればなお底辺が先細りになっていくということになりますので、そういう点については、当面合理化が必要だからということだけではなくて、やはり長期的なことも考えておかないといけませんから、その辺のところは十分配慮しながら、どう対処していくか、よく考えていきたいと存じます。
  213. 新盛辰雄

    ○新盛委員 では、終わります。
  214. 中尾栄一

    中尾委員長 次回は、明十一日木曜日午前十時理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三分散会