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1978-05-09 第84回国会 衆議院 農林水産委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月九日(火曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 中尾 栄一君    理事 片岡 清一君 理事 羽田  孜君    理事 林  義郎君 理事 山崎平八郎君    理事 竹内  猛君 理事 馬場  昇君    理事 瀬野栄次郎君 理事 稲富 稜人君       江藤 隆美君    熊谷 義雄君       倉成  正君    國場 幸昌君       佐藤  隆君    玉沢徳一郎君       福島 譲二君    堀之内久男君       森   清君    森田 欽二君       小川 国彦君    角屋堅次郎君       柴田 健治君    島田 琢郎君       新盛 辰雄君    野坂 浩賢君       芳賀  貢君    日野 市朗君       武田 一夫君    野村 光雄君       吉浦 忠治君    神田  厚君       津川 武一君    菊池福治郎君  出席政府委員         農林政務次官  今井  勇君         農林大臣官房長 松本 作衞君         林野庁長官   藍原 義邦君         林野庁林政部長 石川  弘君  委員外出席者         林野庁指導部長 須藤 徹男君         林野庁業務部長 秋山 智英君         労働省職業安定         局特別雇用対策         課長      清水 傳雄君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十八日  辞任         補欠選任   加藤 紘一君     木村 武雄君   羽田野忠文君     前尾繁三郎君   小川 国彦君     田畑政一郎君 同日  辞任         補欠選任   田畑政一郎君     小川 国彦君     ――――――――――――― 五月二日  農畜産物輸入自由化等の問題に関する請願(稲  富稜人君紹介)(第三七六〇号)  同(西宮弘紹介)(第三七六一号)  水産庁釣り人課新設に関する請願稲富稜人  君紹介)(第三七六二号)  同(片岡清一紹介)(第三七六三号)  同(清水勇紹介)(第三七六四号)  同(竹内猛紹介)(第三七六五号)  同(野坂浩賢紹介)(第三七六六号)  同(羽田孜紹介)(第三七六七号)  同(林義郎紹介)(第三七六八号)  同(米沢隆紹介)(第三七六九号)  同(渡辺武三紹介)(第三七七〇号)  同(渡辺朗紹介)(第三七七一号)  木材需給及び価格安定に関する請願井出一  太郎君紹介)(第三八三七号)  同(小川平二紹介)(第三八三八号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第三八三九号)  同(倉石忠雄紹介)(第三八四〇号)  同(小坂善太郎紹介)(第三八四一号)  同(清水勇紹介)(第三八四二号)  同(下平正一紹介)(第三八四三号)  同(中島衛紹介)(第三八四四号)  同(中村茂紹介)(第三八四五号)  同(羽田孜紹介)(第三八四六号)  同(原茂紹介)(第三八四七号)  同(増田甲子七君紹介)(第三八四八号)  同(向山一人紹介)(第三八四九号)  林道舗装事業の促進に関する請願井出一太郎  君紹介)(第三八五〇号)  同(小川平二紹介)(第三八五一号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第三八五二号)  同(倉石忠雄紹介)(第三八五三号)  同(小坂善太郎紹介)(第三八五四号)  同(清水勇紹介)(第三八五五号)  同(下平正一紹介)(第三八五六号)  同(中島衛紹介)(第三八五七号)  同(中村茂紹介)(第三八五八号)  同(羽田孜紹介)(第三八五九号)  同(原茂紹介)(第三八六〇号)  同(増田甲子七君紹介)(第三八六一号)  同(向山一人紹介)(第三八六二号)  国有林野事業改善に関する請願井出一太郎  君紹介)(第三八六三号)  同(小川平二紹介)(第三八六四号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第三八六五号)  同(倉石忠雄紹介)(第三八六六号)  同(小坂善太郎紹介)(第三八六七号)  同(清水勇紹介)(第三八六八号)  同(下平正一紹介)(第三八六九号)  同(中島衛紹介)(第三八七〇号)  同(中村茂紹介)(第三八七一号)  同(羽田孜紹介)(第三八七二号)  同(原茂紹介)(第三八七三号)  同(増田甲子七君紹介)(第三八七四号)  同(向山一人紹介)(第三八七五号)  農業経営発展基本施策確立に関する請願(井  出一太郎紹介)(第三八七六号)  同(小川平二紹介)(第三八七七号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第三八七八号)  同(倉石忠雄紹介)(第三八七九号)  同(小坂善太郎紹介)(第三八八〇号)  同(清水勇紹介)(第三八八一号)  同(下平正一紹介)(第三八八二号)  同(中島衛紹介)(第三八八三号)  同(中村茂紹介)(第三八八四号)  同(羽田孜紹介)(第三八八五号)  同(原茂紹介)(第三八八六号)  同(増田甲子七君紹介)(第三八八七号)  同(向山一人紹介)(第三八八八号)  米の需給均衡化対策に関する請願井出一太郎  君紹介)(第三八八九号)  同(小川平二紹介)(第三八九〇号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第三八九一号)  同(倉石忠雄紹介)(第三八九二号)  同(小坂善太郎紹介)(第三八九三号)  同(清水勇紹介)(第三八九四号)  向(下平正一紹介)(第三八九五号)  同(中島衛紹介)(第三八九六号)  同(中村茂紹介)(第三八九七号)  同(羽田孜紹介)(第三八九八号)  同(原茂紹介)(第三八九九号)  同(増田甲子七君紹介)(第三九〇〇号)  同(向山一人紹介)(第三九〇一号)  養蚕の振興に関する請願井出一太郎紹介)  (第三九〇二号)  同(小川平二紹介)(第三九〇三号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第三九〇四号)  同(倉石忠雄紹介)(第三九〇五号)  同(小坂善太郎紹介)(第三九〇六号)  同(清水勇紹介)(第三九〇七号)  同(下平正一紹介)(第三九〇八号)  同(中島衛紹介)(第三九〇九号)  同(中村茂紹介)(第三九一〇号)  同(羽田孜紹介)(第三九一一号)  同(原茂紹介)(第三九一二号)  同(増田甲子七君紹介)(第三九一三号)  同(向山一人紹介)(第三九一四号)  畜産農家の経営安定に関する請願井出一太郎  君紹介)(第三九一五号)  同(小川平二紹介)(第三九一六号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第三九一七号)  同(倉石忠雄紹介)(第三九一八号)  同(小坂善太郎紹介)(第三九一九号)  同(清水勇紹介)(第三九二〇号)  同(下平正一紹介)(第三九二一号)  同(中島衛紹介)(第三九二二号)  同(中村茂紹介)(第三九二三号)  同(羽田孜紹介)(第三九二四号)  同(原茂紹介)(第三九二五号)  同(増田甲子七君紹介)(第三九二六号)  同(向山一人紹介)(第三九二七号)  水田利用再編対策に関する請願井出一太郎君  紹介)(第三九二八号)  同(小川平二紹介)(第三九二九号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第三九三〇号)  同(倉石忠雄紹介)(第三九三一号)  同(小坂善太郎紹介)(第三九三二号)  同(清水勇紹介)(第三九三三号)  同(下平正一紹介)(第三九三四号)  同(中島衛紹介)(第三九三五号)  同(中村茂紹介)(第三九三六号)  同(羽田孜紹介)(第三九三七号)  同(原茂紹介)(第三九三八号)  同(増田甲子七君紹介)(第三九三九号)  同(向山一人紹介)(第三九四〇号) 同月八日  水産庁釣り人課新設に関する請願菅波茂君  紹介)(第四〇〇七号)  同(中尾栄一紹介)(第四〇〇八号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第四〇二六号)  同(竹内猛紹介)(第四〇四四号)  米の生産調整反対及び地域農業振興等に関す  る請願瀬野栄次郎紹介)(第四〇二五号)  農畜産物輸入自由化等の問題に関する請願外一  件(日野市朗紹介)(第四〇四五号)  同外一件(稲富稜人君紹介)(第四一二一号)  中国産食肉の輸入禁止解除に関する請願(横山  利秋君紹介)(第四〇四六号)  鶏卵の生産調整強化及び養鶏の経営安定に関す  る請願稲富稜人君紹介)(第四一二二号)  同(倉石忠雄紹介)(第四一二三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月一日  米の生産調整等に関する陳情書外八件  (第三二九号)  水田利用再編対策に関する陳情書外十一件  (第三三〇  号)  畜産酪農経営安定施策確立に関する陳情書  外一件  (第三三一号)  遠洋漁場確保及び安全操業確立に関する陳情書  (第三三二号)  オホーツク海域等韓国漁船操業対策に関する  陳情書外一件  (第三三三号)  林政の転換に関する陳情書外十件  (第三三四  号)  国有林野事業特別整備計画実施反対等に関する  陳情書外十一件  (第三三五号)  木材需給計画及び価格安定に関する陳情書外  四件(第三  三六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国有林野事業改善特別措置法案内閣提出第一  九号)  国有林野事業再建整備特別措置法案芳賀貢君  外十二名提出衆法第二号)      ――――◇―――――
  2. 中尾栄一

    中尾委員長 これより会議を開きます。  内閣提出国有林野事業改善特別措置法案及び芳賀貢君外十二名提出国有林野事業再建整備特別措置法案の両案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野坂浩賢君。
  3. 野坂浩賢

    野坂委員 国有林野事業改善特別措置法案とわが党から提出をされております再建整備法案、この二つの問題をめぐって政府当局にお尋ねをいたしたいと思います。  まず最初に、昭和四十七年の十二月に、当時福田長官であったと思いますが、「みどり効用」と題して発表されました。当時総金額にして十二兆八千二百億、こういうふうに理解しておりますが、現在の時点で考えれば二十一兆円にも及ぶわけであります。これについてはどういう効果をねらったものか。国民向けと、あるいは私どもは、政府当局特に大蔵当局にねらいをつけてお話しになったものではないか、こういう政治的効果もねらわれたと考えておりますが、それに対する御見解をまず承りたいと思います。
  4. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま御指摘になりました「みどり効用」でございますが、これは、昭和四十年代に入りまして森林公益的機能に対する国民的要請も非常に高まってまいりました。そういう観点から、林野庁では昭和四十六年度から三カ年で森林公益的機能計量化調査というものを行ったわけでございます。そしてこの調査結果に基づきまして、一般的に森林公益的機能があるということが定性的に言われておりましたが、この機能を定量的に把握するようにしたらどうであろうかということでこれを試みたわけでございますが、この手法につきましては、こういう調査を行いまして今後森林施業あり方等々について十分いろいろ参考になるものが出るのではなかろうかという観点を含めましてこの調査をしたわけでございます。それを含めまして、冒頭申し上げましたように、森林が非常に公益的機能があるある、こう言われながら、きわめて定性的な見解が一般的に行われておりますし、それを定量的に把握したらどうなるであろうかということで、水源涵養だとか、土砂流出防止あるいは土砂崩壊防止、あるいは保健休養、それから野性の鳥獣保護、あるいは酸素供給または大気浄化というような問題に分けまして調査をした結果、昭和四十七年の価額で大体十二兆八千億に達するというふうなデータを出したわけでありまして、一番大きなねらいは、国民一般の方々に森林がこういう効果を持っているんだということを、定性的ではなくて定量的に御認識いただこうというのを一番大きなねらいにしたわけであります。
  5. 野坂浩賢

    野坂委員 一番初めですから確認をしておきますが、いまお話がありましたように、水資源涵養は一兆六千億、土砂流出防止に役立っておるのは二兆二千億、土砂崩壊防止が五百億、保健休養は二兆二千億、その他たくさんありますが、それほど山は効果を持っているということであります。  そこで、そういうことを踏まえて、保水力というのは林地の場合と裸地の場合は、たとえば貯留水の場合はどの程度あるのか、裸地の場合と林地の場合はどの程度なのか、そのことだけにしぼってで結構でありますからお答えをいただきたい、こう思います。
  6. 藍原義邦

    藍原政府委員 いまちょっと細かい資料を持っておりませんので、至急取り寄せましてすぐお答え申し上げます。
  7. 野坂浩賢

    野坂委員 このことはあなたの方にも言っていなかったと思いますが、私ども貯留水林地の場合は三五%、裸地の場合は五%、こういうふうに理解しておりますので、お調べをいただいて後で確認をしていただきたい。  これほど山というものは重要な意義を持っておるということでありますが、これほど重要であるにもかかわらず、災害関係では、治山事業五カ年計画というものの現在の状況というものは、こういうことを踏まえて、緑の効用論等を踏まえてどの程度計画をされ、どの程度実施をされておるのか、お伺いをしたいと思います。
  8. 藍原義邦

    藍原政府委員 治山事業につきましては、治山治水緊急措置法に基づきまして過去におきまして五カ年計画を順次やってまいったわけでございますが、ただいま第五次の治山五カ年計画という計画期間に入っております。昭和五十二年度が初年度でございまして、この五ヵ年計画におきましては大体第四次の五カ年計画の約一・八倍の規模で策定しております。その計画額は一兆三百億円ということになっておりまして、昭和五十二年度並びに五十三年度、これは見込みでございますけれども、こういうものでこの計画に対しまして実行見込みを含めまして三千三百九十五億円ということになっておりまして、この二カ年で進捗率は約三三%ということになっております。これは、この計画を立てましたときの平均年伸び率が大体二九%でございますので、この二九%という計画進捗率に対しましては三三ということで、第五次の二年目の見込みを含めましていまの段階では上回っておるというふうにわれわれ考えております。
  9. 野坂浩賢

    野坂委員 第二次の五カ年計画、四十年から四十四年まで、これは大体五七%程度、第三次が六九%、第四次が五六%程度、こういうふうに私どもは理解をしておりますが、この治山事業というものは、先ほど林野庁長官からお答えをいただきましたように、また確認をしていただきますが、いわゆる治山治水事業というものは、どれだけ石の堰堤をつくるよりも緑の堰堤をつくれ、こう言ってあなたの方は強調されていらっしゃるわけですから、そのことを一〇〇%実施することが、風水害の増大の防止とか、水資源の不足の充実の問題とか、そういうことに非常に効用を上げるわけですから、この第五次計画は完全一〇〇%実施単純平均年平均でまいりますと二年間で三三%というのは、大体見通しとしてはこの第五次五カ年計画は一〇〇%実施をされる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  10. 藍原義邦

    藍原政府委員 先生ただいまおっしゃいましたように、第四次の場合には総需要抑制というような問題がございまして、確かに一〇〇%の達成を見ておりませんでしたが、第五次につきましては、いま御説明申し上げましたように、二年次までで三三%といっておりまして、順調な進捗率ではなかろうかというふうに考えておりますし、今後いろいろ財政状況あるいは日本経済状況の問題もございますけれども、私ども一〇〇%達成できるように努力してまいりたいというように考えております。
  11. 野坂浩賢

    野坂委員 こういうものは途中でまた災害が起きるかもしれませんね。緊急災害ということがあります。それはその計画付加をされてやれると考えてもいいわけですか。その年度年度の予算の組み方と規模によって、これが非常に乱高下をするという過去の実績がありますが、山は、農業のように、たとえば野菜をつくるように単年度ですぐにどういう効果があるかということじゃなしに、国家百年の大計でやるわけでありますから、それについての見通しをきちんとしてもらわなければ、これからの山問題が、赤字問題等がいろいろありますが、非常に重要な要素を持つだろう、私はこういうふうに基本的に確認をしておきたいと思うわけであります。その点については、長期見通しの上に立って、この第五次五カ年計画に緊急に災害が起きた場合は付加をするというふうなことで、長官としては、一〇〇%実施は約束をいたします。こういう明言ができますか。
  12. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま申し上げました五カ年計画の一兆三百億円の中には、この計画年度内に発生するであろうと見込まれる災害等も含めた計画になっております。したがいまして、よほど大きな災害がない限り、この計画の中でそれぞれの年度災害にも対応していくという計画になっておりまして、できるだけ災害はない方がいいわけでございますけれども、私どもは、災害が出た場合にもこの計画の中で十分対応していく姿勢でおりますし、また、先ほど申し上げましたように、この五カ年の中でこの計画が達成できるように最善の努力はしてまいりたいと考えております。
  13. 野坂浩賢

    野坂委員 それでは、たとえば治山事業計画と同じように、その他の森林計画等もその計画どおりこれからは進められる、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  14. 藍原義邦

    藍原政府委員 治山事業につきましては、法律に基づきましたこの計画がございます。  それから、これからの日本林業のいろいろな計画推進でございますが、これについては、御存じのとおり基本計画なり長期見通しというものがございまして、現在ある意味でその検討というものを考えておりますけれども、これからの日本経済伸びあり方、あるいは木材需給あり方、そういうものをこれから検討し、どういう形になるか、その辺の見きわめが十分必要かと思います。従来におきましても、森林の場合には、全国の森林計画なりに基づきましてそれぞれの地域におきまして地域森林計画国有林の場合には施業計画というものを立てまして、それぞれ実行いたしておりますし、今後ともそういう計画を現実的な形で、その計画に合ったような形で、事業実行は推進していきたいと考えております。いま御指摘になりましたような森林全体の問題としては、いま申し上げました森林計画制度がございますし、そういうものが現実に即するような形で私ども事業実行を進めてまいりたいと考えております。
  15. 野坂浩賢

    野坂委員 林野庁長官にしてはちょっと自信のない御答弁ですね。これからの需給あり方なりそういう検討をされるわけですが、いままでの実績は、森林計画はどうだったのですか。たとえば四十一年、四十八年改定をされておりますが、実績というものは見るも無残ではないですか。どうですか。
  16. 藍原義邦

    藍原政府委員 御指摘になりましたように、四十一年なり四十八年に改定いたしました長期見通し等々につきましては、確かに現時点におきまして乖離が生じていることは事実でございます。これは四十八年度に立てましたときがちょうど日本経済成長期でございましたし、その後、高度成長から、いわゆる石油ショックを経まして安定成長という方向に向かってまいりましたために、木材需要という問題、これ自身が非常に変わってまいりました。そういう観点から、四十八年度に立てました見通しが、現時点におきましては、冒頭申し上げましたような開きが見られます。そういう意味からも、これからの日本経済全体がどういう方向で行くのか、それから林業というものは長期見通しを立てなければいけないという問題がございますから、短期的ないろいろな変動というものはあるにせよ、長期的にどういう方向に行くのかということを見通しまして、この改定を行うための所要検討はこれから進めなければいけないというふうに考えております。たまたま四十八年に立てました時期が、日本経済の一番大きな成長時期の最終点と申しますかそういう時期、それから石油ショックを経まして安定成長の時期に変わりましたために、いま申し上げましたような乖離が出ておりますけれども、そういうこれからの日本経済あり方並びにこれからの木材需要、こういうものを見きわめまして所要検討を進めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  17. 野坂浩賢

    野坂委員 いまのことを突っ込んでおるとあれですから、それでは後でまたこの問題を提起しますが、一応お話は聞きました。  木材というのは、一年や二年では成長しないわけですね。四十年、五十年、そういう長期見通しを立てなければならぬ。日本経済がどういうふうに動くか、それに対応するということはなかなかむずかしい技術ですね。そういう計画ですが、私は基本的なことをやはり聞かなければならぬと思います。  いまお話があったように、わが国国土面積の三分の二はいわゆる森林が占めておるわけです。しかも狭い山岳地形わが国においては、国土の保全、水資源涵養酸素供給大気浄化作用国民保健休養の場など公益的機能の発揮及び資源の乏しいわが国においては再生産可能な木材供給源として、その重要な役割りは、貿易立国と言われる今日においてもいささかも変わりない、こういうふうに私は思っております。そういう経済的な一面と公益的機能の一面、この二面を森林は持っておりますので、公害等が盛んに広まっておるという現状でありますから、山というものは非常に大事だ。だから緑の効用論というものは当然国民にも十分理解してもらわなければならぬ。そういう状況の中で、いま国産材外材比率は大まかに言って三対七というかっこうでありますね。これについてはどのようにお考えになり、将来の長期的な見通し基本方針として、国産材外材比率はどのようにしまうとお考えでありましょうか。
  18. 今井勇

    今井政府委員 基本的な問題でございますから私がお答えをいたしたいと思います。  先生のおっしゃるとおり、森林資源に非常に恵まれたと言われておりましたわが国といたしましても、公益的な面、経済的な面を考えて、超長期的には国内自給力を相当高めようということは当然であろうと思います。したがいまして、いまのところ超長期計画では六二%、要するに半分以上を国内産で賄って、足らざるところを補おうという基本的な計画を持っております。ただいまの状況は、先生御案内のとおり戦中戦後の過伐等がたたりまして、それで人工造林いたしましたものが育成段階にあるということで、需要に追いつかざるところがある、それをやむを得ず外国材で補っておるという形でございまして、これが本来の姿ではないというふうに認識をいたしております。
  19. 野坂浩賢

    野坂委員 政務次官からお話しをいただきましたように、わが国木材については国産材が中心であって、外材というものはその補完的立場に立つ、要約をするとこういうふうに言えるわけでありましょうか。
  20. 今井勇

    今井政府委員 繰り返して申しますが、超長期的に、山というのは先生おっしゃられたとおり一日、二日でできないものでございますから、遠い将来農林省として持っております計画といたしましては、国内産材で六十数%を賄おう、しかしながらここ当分の間は、育成段階にあります山のことでございますから、やむを得ず外材に頼らざるを得ないというふうな認識でございます。
  21. 野坂浩賢

    野坂委員 わかりました。私どもは同じ見解でありますが、いまの状況からして、林業基本法がそういう意味昭和三十九年に制定をされてから十四年になりますが、木材生産量というものは非常に落ちた。そして人工造林面積も五六%程度まで落ちておる、こういうかっこうになっておるわけであります。そういう状態から見て、いま政務次官からいろいろとお答えをいただいたのですが、そういう現状は山の崩壊といいますか、極論を吐くとそういう方向に現状としては向かっておる、こういうふうに把握ができるのではないか、こういうふうに思いますが、その点についてはどう思っておられますか。
  22. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま政務次官から御答弁いただいたわけでございますが、政務次官から御答弁いただきましたように、ただいま日本森林は一応造成過程といいますか、国民需要にこたえるために将来超長期に自給率を高めようということで造林地の拡大を図っておるわけでございますが、造林地につきましては、全国で大体千三百万ヘクタール弱の造林地日本につくろうということにいたしております。ただいまのところその約七割近い目標まで達しておるわけでございまして、九百万ヘクタール強の造林地ができておるわけでございます。これはやはり森林をこれから活力のあるいい森林にするための造成過程における一つの段階として、どうしても通っていかなければならない過程かというふうに考えておりますし、こういう造林地が将来に向かって成長し、人工造林地として年々成長してまいりますれば、森林の持つ効用というものは年々強力に発揮できるという形になるわけでございます。天然林を一時伐倒いたしまして造林地をつくった時点においては、局部的に見ますと、一時的にそういう問題を発生するかもしれませんが、全般的に見ました場合には、年々森林の増強というものは行われておりまして、年々森林の持つ効用というものは十分発揮できる体制に徐々に高まっておるというふうに私ども理解いたしております。
  23. 野坂浩賢

    野坂委員 伐採量を決めるのはいろいろな決め方がありましょうが、標準伐採量というのは大体どういうことでありますか。どこを基本にして決めますか。
  24. 須藤徹男

    ○須藤説明員 お答えいたします。  現在の国有林の標準伐採量の決め方につきましては保続表方式という方式をとっておりまして、将来とも保続が保てるという計算をいたしまして、それを基準にいたしまして標準伐採量を決定いたしております。
  25. 野坂浩賢

    野坂委員 あなたは専門家で、私は素人でよくわかりませんが、私たちが単純に考えると、広い面積でありますから、いつでも適量に伐採ができるという長期見通しというものは、いわゆる成長量だけ伐採をして、そしてその成長によって安定的に回っていく、こういうものではないか、こういうふうに考えておりますが、間違いですか、そのとおりですか。
  26. 藍原義邦

    藍原政府委員 いま指導部長からお答え申しましたように、国有林の伐採量はそういう形で考えておりますが、いま先生が御指摘になりましたのは、森林が、われわれ俗に法正林と申しておりますけれども、若いのから年齢のたったのまでが大体ある一定の量で配分できたような場合、そういう場合にはその成長量に見合ったものを切っておりますといつも同じものが切れてくるという形になります。ただ国有林の場合、御存じのとおり、ただいま非常に年齢がたちました天然林、もう成長がとまったような天然林がたくさんございまして、おういうものを将来国民需要にこたえるために成長の旺盛な活力のある人工林にしていこうということを考えておりますので、そういう意味で、将来人工林ができ上がるような過程においての保続と申しますか、伐採量がそう大きな変動なしに切れていくような形を見きわめながらその伐採量を決めておるというのが実態でございます。
  27. 野坂浩賢

    野坂委員 私の意見については一応はわかるけれども、戦後の過伐、乱伐というものがあって、それが一挙に伸びてくれば、成長がとまれば経済効果という面もあるから、それは若干の増幅はあるだろう、お話しになっておるのはこういう意味ですね。違ったらまた後で議論してください。  そういうことで、いろいろ都合のいいようにあなた方が増伐をする、そういうことがありますから、いま政務次官お話しになったように、成長量の二・三倍くらい三十六年以降四十二、三年まで非常な激しい勢いで切った、今日そういうところに問題が出ておるのではないか、こういうふうに私ども認識をしておるわけです。それはいままでの森林林業行政というものは間違いであったということを認めることに結果的にはなりますが、そういうことでございましょうか。間違っていなかった、いいことなんだということですか。
  28. 藍原義邦

    藍原政府委員 先ほど私が申し上げましたのは、森林が、全部人工造林地ができ上がりまして年齢別の配分が大体均等のような配分になりました場合には、成長量に見合ったものを切ってまいりますと年々同じ量が切れるという形になることを申し上げたので、国有林の場合はまだ造林地をつくる過程にございますので、いま申し上げましたように、成長量が低いものを成長量の高い森林に切りかえるという過程がございますので、先ほど申し上げましたような伐採量の決め方をしておるわけでございますが、いま先生指摘になりました昭和三十年代に成長量の倍以上のものを切ったではないか、これは間違いであったかどうかということでございます。  先生も十分御存じかと思いますけれども昭和三十年代は、二十年代の復興を踏まえまして非常に木材需要が増大した時期でございます。そのために木材価格は非常に高騰し、それから外材もほとんどまだ入っておりませんので、供給面が需要に非常に追いつかなかったという大きな問題がございまして、木材の価格の高騰が国民経済に非常に大きな問題を与えたということがございます。そういう非常な木材不足という時期が三十年代の初めに起こりまして、そういう時点で国有林はどう対応すべきかという大きな問題が国会等でもいろいろ論議されたと思いますが、そういうことで、外材が余り入ってこれない、また入ってくるような港もなかったというような時代でございますし、やはり国民需要にこたえるために国有林から何とか材を出してほしいという国民の大きな要請もございました。そういうものにこたえるために、国有林としては、やはり奥地にございます天然林を成長量の旺盛な人工林に切りかえて、そして国民需要にこたえていこうという姿勢をとって、三十年代の前半から四十年代にかけまして伐採量を増加させ、これは増加させたということは、成長量の低い天然林を成長量の高い人工林に切りかえる、こういう形で将来の成長量を考えながらその伐採量を決めたわけでございまして、確かにそのときの伐採量が約二千万立方を超える伐採量を実行いたしておりますけれども、この時点で、昭和三十年を見ますと大体国産が中心でございますけれども国産材の中に占める国有林比率昭和三十年で約二一・九%でございました。それが昭和三十九年、四十年には三一%あるいは三一・九%と一〇%国有林材が国産材の中に占める比率を高めたということ、これが三十年代の木材価格の高騰時期に木材の安定に大きく寄与したであろうし、また国民需要にこたえたという気がいたします。そういう意味で、三十年代の伐採量というのは確かにふえましたけれども、逆に四十年代に入りまして、森林の持ちます公益的機能の発揮という問題、そういうものが非常に強く叫ばれまして、逆にまた一方、国民需要にこたえるための木材供給という面が。外材が入ってくることによって補われるという時代になってまいりまして、一応木材需給関係が外材によって大分緩和されたという問題がございます。そういうことと、いま申し上げました公益的機能を発揮せよという要請も非常にございました関係で、その後そういうものに対応する国有林の経営のあり方というふうに切りかえてまいったわけでございます。
  29. 野坂浩賢

    野坂委員 いろいろお話しをいただいたのですが、三十年代は、そういう森林林業基本方針とは違うが、国民の強い要請に基づいてやむを得なかったんだ、こういうお話ですね。しかし四十年代に入ってからは成長率に合わせて伐採というものは考えたのだということですけれども、四十年代に入っても成長量よりもいわゆる伐採量の方が多いですよね。これは多いのです。あなたの統計で物を言っているわけですから、多いわけです。しかし、森林行政そのものは、これは行政からしてはいいことではなかった、しかし、というところにあなたの正当化しようとする気持ちがあると思いますね、やむを得なかったという。そのことは政府もよく知っておるでしょうね。これからの林業予算に関係ありますから私は聞いておるわけです。そういう点については政府はどう対応するかという要求をして当然だということと、それから人工造林に天然林を切りかえてどんどんやるということですが、人工造林のパーセントというものは現状どの程度なんですか。
  30. 藍原義邦

    藍原政府委員 いま国有林の面積は約七百五十万ヘクタールでございますけれども、そのうち人工林に切りかえましたのが二百万ヘクタールでございます。(野坂委員「何%ですか」と呼ぶ)したがいまして、三分の一、約三三%ぐらいでございます。
  31. 野坂浩賢

    野坂委員 だから、あなたがおっしゃることとこの現実とはずいぶん違うじゃないですか。言葉としては非常に人工造林に切りかえていいということですけれども、三〇%にも満たないそういう姿ということでは非常に問題があろう、こういうふうに思うのです。  だから、いままでの森林行政と人工造林に対応するものと比較をすると、そのことは森林行政としては正常ではなかったということだけは認めざるを得ぬと思いますが、どうでしょうか。
  32. 藍原義邦

    藍原政府委員 国有林の面積は七百五十万ヘクタールございまして、現時点で私ども考えております計画では、そのうちの二百五十万ヘクタール程度を人工造林地にしようということにいたしておりまして、現在約二百万ヘクタールできておるわけでございますが、これが先ほど申し上げました昭和三十年代の初めごろは百万ヘクタール程度しかございませんでした。したがいまして、それを現時点まで、その後二十年余かかっておりますけれども、約二百万ヘクタールと倍増したわけでございまして、私どもも、伐採量を計算いたしますときには、そういう将来人工林地にするところの成長量の見込み方、あるいは切らないところについては全然計算に入れませんし、択伐でやるところは択伐でやる形の計算の仕方、そういうことを計算しながら伐採量を決めておりまして、いま先生が御指摘になりましたような形で、半分以下の造林地だからそんなに成長量はないだろうということではなくて、いま申し上げましたように、造林地にするものは造林地としての取り扱いの中でどういう成長をするか、その辺は十分計算して伐採量というものは決めておるわけでございます。
  33. 野坂浩賢

    野坂委員 じゃ伐採したところの跡地造林は全部終わっておるわけですか。これは何%ですか。
  34. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま国有林におきましては、全国平均いたしますと、伐採いたしましてから一年半程度後には造林地にいたしております。と申しますのは、伐採いたしましてやはりその後集材等々をやりますので、直ちにはできませんけれども、全国平均いたしますと大体一年半後には一応全部造林地になっておるという計画の仕方で事業を実行いたしております。
  35. 野坂浩賢

    野坂委員 今日この事業改善特別措置法ですか、改悪特別措置法かよくわかりませんが、この法案が出るに当たって、赤字が一つの原因になっておりますね。赤字の克服、健全経営問題が中心になっております。したがって、それは先ほど政務次官も何回となくお話しになったのですが、戦後の過伐、乱伐、そういうものによる。だから大水が出たり風水害があったりする。だから、林務砂防をしたりいろいろなことをやらなければならぬわけですから、それについてはやはりそういう山荒らしがあったんだ、しかし国民の要請でやむを得なかった。だから、森林行政から見れば、いままでのやり方というものは百点とは言えない、是とは言えない、やはり森林行政そのものから見れば問題点があったということは考えられるわけですね。
  36. 藍原義邦

    藍原政府委員 国有林の使命と申しますのは、やはり木材を安定的に供給する問題と、さらには公益的機能を発揮する問題、地元への寄与の問題等々いろいろございます。そういうことで、国有林をいろいろ経営する場合に、基本的に森林の今後の造成状況あるいは森林の活力、成長状況、こういうものを勘案して当然伐採量を決めてまいるわけでございますし、あわせまして、やはりそのときどきの日本全体の経済状況なり国民の要請ということは十分配慮しなければいけないというふうにわれわれ考えております。したがいまして、先ほど申し上げましたように、昭和三十年の初めから木材が非常に高騰して国民が困ったときに、国有林が対応する、その対応の仕方も、決して将来森林が荒廃するような形ではなくて、今後造林地にした場合にどれだけの成長量が出るか、また現在持っておる技術ではどういう形ができるか、その辺を十分勘案して当時の伐採量を決めております。しかしながら、四十年代に入りまして、国民の要望というものが、外材需要はある程度賄える、そして片や、やはり自然環境の保全なりその他公益的機能の発揮というものが非常に要請されてまいりましたので、国有林といたしましても、最初人工造林に切りかえようと思ったところを、皆伐をやめまして択伐にするなりあるいは択伐の個所を禁伐にするなり、そういう形で伐採する個所をずっと変更いたしております。  そういうことで、現在また伐採量を計画し、今後国有林がさらに国民の期待に沿える山になるような伐採の仕方、仕事のあり方をやっていこうというふうに考えておるわけでございまして、先生の御指摘になりましたように、その時点のいろいろな問題はあったかと思いますけれども、やはりその時点時点で、林業としての技術的に許せる範囲の計画の中でそのときどきの国民の要請にこたえてまいったというのが国有林の実態であろうというふうに考えております。
  37. 野坂浩賢

    野坂委員 伐採後の人工造林は一年半後にやっておる。しかしそれだけでは林力の増強にならない。したがって、木材増産計画を裏づける拡大造林ということもやっていかなければならないことは当然ですね。全国的に人工造林地の二〇%、約四十万ヘクタールは不良造林地がある、こういうふうに言われておりますね。それについてはいろいろと論文なり、あるいはあなたのところにお勤めになっておる全林野の皆さんがそれぞれ営林署ごとに積み上げて歩いて、そしてその面積を出されておる。私たちは、これは確かなものだ、こういうふうに考えておりますが、そういうところにもやっぱり人工造林をしていかなければ、伐採したところだけ一年半後にはやったとしても、それなりに林力なり木材増産の計画を引き上げるということにならぬではないか、こういうふうに思うのですが、どうですか。
  38. 藍原義邦

    藍原政府委員 いま先生指摘になりましたように、国有林に不良造林地が非常にあるではないかということでございます。私ども、先ほど申し上げましたように、戦後国民需要にこたえ、なおかつこれから国民の将来の木材需要にこたえるために約二百五十万ヘクタールの造林地をつくっていこうという計画をいたしておりますが、いままでその間二百万ヘクタールの造林地ができ上がっておりまして、その中で必ずしも成績が十分でないものが全然ないということはわれわれも考えておりません。いま私どもが概算つかんでおりますのは、生育が非常に悪いと思われるところは約一万五千ヘクタール程度ではなかろうかと考えております。それから俗に保育と申しますが、植えた後、下刈りをしたり除伐をする、そういうことを早期にやらなければいけないところが約三万ヘクタール程度ではなかろうかと考えております。そういう意味で全国を見ますと、確かに個所別にはいま申し上げましたように必ずしも十分な生育をしていないという造林地もあると私どもは思っております。したがいまして、これから伐採された後の伐採地を造林地にすると同時に、いま申し上げましたような生育の不十分なところにつきましては早急に手入れをいたしまして、将来に向かっていい造林地になるような計画を今後樹立し対応していくつもりでございます。
  39. 野坂浩賢

    野坂委員 これからやっていくということですが、あなたの方は三万ヘクタールぐらいしか把握されておらぬのですね。それは皆さんのところの現場の人といろいろ話し合われる機会もあろうと思うのですが、そういうときにもそういう意見をいろいろ聞いてみられて集約されたらどうですかね。私は非常に懸隔があると思うのです。その具体的なことは後で同僚議員が個所別には詰めていきますが、そういうことは話し合ってどんどん林力増強をやるということが林野庁の主目的じゃないですか。首を切ることばかりに元気を出してもらったって、山を切るために、生やしてもらう方に元気を出してもらわぬと、やはりこの林政部長のように太ったような木にならぬと意味がないじゃないかと思うのですが、どうですか。
  40. 藍原義邦

    藍原政府委員 先生指摘のように、山をよくし強い造林地をつくり上げることは私どももまさにそのとおりだと思います。したがいまして、いま申し上げましたような私どもとしてつかんでおる数字の中でも、着々と毎年毎年やれる範囲で手入れをいたしまして、いい造林地にするようなことを考えておりますし、今後もその姿勢で続けるつもりでございますし、こういう点につきましては、国有林の職員全員挙げてそういう姿勢で今後は取り組んでいきたいというふうに考えております。
  41. 野坂浩賢

    野坂委員 これから積極的に従業員の全林野の皆さんとも話し合って進めていただくわけでありますが、いままでの乱伐から過伐、そして一気に人工造林等をやりながら進めていかなければならぬ。それならば、造林なり林道の整備拡充、そういうものはこれからどんどん進めていかれるわけですね。
  42. 藍原義邦

    藍原政府委員 当然伐採した後には造林が必要でございますし、いい造林地をつくっていくことが将来の国有林なり日本全体の森林業に必要なことでございますので、これは当然のことでございますし、あわせまして、伐採するためにもそれから造林するためにも基盤整備として林道をつけなければできない地域がまだ多々ございます。そういう意味からも、林道事業につきましても積極的な投資をしてまいりたいというふうに考えております。
  43. 野坂浩賢

    野坂委員 積極的にやっていただくということになったわけですが、先ほども一番初めに長官お話をしたのですが、「森林資源に関する基本計画」あるいは「重要な林産物の需要及び供給に関する長期見通し」、こういうものが四十一年、四十八年に立てられましたね。その辺の計画実績は大体どういうことでありますか。
  44. 藍原義邦

    藍原政府委員 昭和四十八年に立てました全国の森林計画の前期の五カ年でございますけれども、これが昭和四十八年度から五十二年度でございますが、この間の計画と実行の関係を見ますと、伐採量では五カ年間で五千八百四十四万立方の伐採計画に対しまして四千七百一万立方ということで八〇%になっております。それから造林量でございますが、造林量は四十七万ヘクタールに対しまして三十八万ヘクタールということで約八一%。それから林道の開設でございますが、これが約三千八百キロに対しまして約三千百キロの延長でございまして、約八二%という形になっております。
  45. 野坂浩賢

    野坂委員 林野庁長官としては民有林の方も御指導にならなければなりませんね。国有林だけではなしに民有林はどういう状況ですか。
  46. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま申し上げましたのは全国森林計画との対比でございまして、国有林、民有林を合わせたものでございます。
  47. 野坂浩賢

    野坂委員 五十年の実績、単純年平均でいくと、民有林というのは人工造林面積等は六五%程度じゃないですか。あるいは林道の場合は二四%程度じゃないかというふうに私は把握しておるのですがどうですか。
  48. 藍原義邦

    藍原政府委員 いま申し上げました年度での比較でございますけれども、民有林につきましては、造林については計画が三十五万ヘクタールに対しまして二十四・八万ということになっておりまして、約七一%。それから林道でございますけれども、これは約二千四百キロということに対しまして約二千キロ延長が完成いたしておりまして、実行率が約八三%というふうになっております。
  49. 野坂浩賢

    野坂委員 私も資料は持っておりますが、若干の相違があるようですけれども、後でそれは精査をしていきたい、こういうふうに思っております。  これからの内容でありますが、今度の内容でありますが、本年四月に立てておりますね、全国森林計画というのを。まず、これはどういう計画ですか。そして、その実績というものが考えられれば示していただきたい、こう思います。
  50. 藍原義邦

    藍原政府委員 五十三年度からの全国森林計画計画でございますけれども、伐採につきましては九億八千二百万立方メートル。それから人工造林面積につきましては四百十二万七千ヘクタール。それから林道の開設につきましては十三万七千五百キロメートルというふうになっております。
  51. 野坂浩賢

    野坂委員 それは過去、森林計画なりあるいは森林資源に関する基本計画、四十一年、四十八年に策定されたものとそういうことの反省がなければならぬし、単純年平均でいきますと、いままで、一応国有林はいけるだろうというふうに見ますが、民有林等は非常に問題が多い、こういうふうに思うわけです。この策定は、いままでの実績を踏まえてずいぶん計画をやるとすぐ実績はだめになっておるというのが四十一年からの実績でありますから、今度はこのとおりやるんですか、間違いなく。また国民的な要望があったとかなんとかいろいろなことを言って、また中身にしわ寄せだけを追い込むというようなことはないでしょうね。どうですか。
  52. 藍原義邦

    藍原政府委員 全国森林計画につきましては、御存じのとおり、時期の見通しなり長期基本計画に即しまして全国の森林計画は五年置きにこれを立てることになっております。したがいまして五十三年からちょうどその改定期に当たりますので、一応四十八年に立てられておりました基本計画なり長期見通しというものに即しまして全国森林計画現時点では作成いたしております。この内容は、量の問題とあわせまして、そのほか伐採の方法だとか、その地域地域、全国におきます林業の持っていき方についてのいろいろなものも入っておりますが、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、基本計画なり長期見通しというものが、確かに現時点では四十八年に立てましたものが乖離いたしておりますので、これについての検討を進めようということを現在考えておりますが、この検討結果によりまして、ただいま御説明申し上げました全国森林計画もこれに即して計画を立てることになっておりますので、こういうものが改定された場合には、私どもとしては、この全国森林計画につきましてもやはり改定しなければいけないというふうには考えておりますが、いまの時点では、四十八年に立てましたこの見通しがございますので、それに即して一応計画を立てたということでございます。
  53. 野坂浩賢

    野坂委員 いまお話しになった林力の増強計画木材の増産計画、そして拡大造林というようなものの政策が十分でなかったということは、お話の中で明らかになったわけです。そして、保続生産といいますか、成長量よりも伐採量が非常に多かった、そういうことで、いまごろは収入の大幅な減少、こういうことになっておるわけですね。それがやはり国有林の財政悪化の一番大きな原因ではないか、こういうふうに私どもは思うわけですが、どうでしょうね。
  54. 藍原義邦

    藍原政府委員 国有林が戦後約三十年余やってまいりましたいろいろなやり方については、先ほども御説明いたしましたように、昭和三十年代は確かに伐採量が現時点に比べますと大きな伐採をいたしておりますが、先ほど申し上げましたように、昭和四十年代に入りまして、国民のいろいろな要請なりこれからの国有林の進める方向というようなものを見きわめまして新しい森林計画というものを立てまして、禁伐地域の拡大、あるいは択伐地域の拡大、そして皆伐地域の減少というような形でこれからの計画をつくったわけでございまして、私ども、現在国有林が財政的に非常に苦しくなっておる一つの原因として、伐採量が落ちたというところに原因があることも事実だというふうに思っております。ただ、その原因が、過去によけい伐採したから伐採量が落ちたんだということだけではなくて、いま申し上げましたように、禁伐地域をふやすなり択伐地域をふやすなりあるいは皆伐の地域を減らし、造林地も当初予定しておりました三百万ヘクタールから約二百五十万ヘクタールの造林地という形で切りかえておりますし、そういうことによります伐採量の減がやはり一つの原因になりまして、これだけじゃないと思いますが、赤字になったということで、過去におきます伐採量そのものが直接の原因であるというふうには考えておりません。
  55. 野坂浩賢

    野坂委員 いろいろ赤字の原因はありますが、それは伐採量が少なくなったということもありますし、需要の減少ということもあるし、材価の低迷ということもあるでしょう。そういうこともいろいろございますが、それらを受けて赤字であるから今度の特別措置法が出た、こういうふうに考えるわけです。  この特別措置法の提案理由の説明を読んでみますと、理由は、「国有林野事業の現状並びに国民経済及び国民生活におけるその使命の重要性にかんがみ、」云々、これだけですね。いわゆる林野事業の改善に関する計画の作成、それから金を一般会計から入れる。「国有林野事業の現状並びに国民経済及び国民生活におけるその使命の重要性」――「現状」というのは、いまあなたと議論をしたとおりが現状であるという認識でよろしゅうございますか。
  56. 藍原義邦

    藍原政府委員 いままで先生の御質問に答えてまいったわけでございますが、国有林の現状と申しますのは、国有林が現在置かれております財政的な問題、あるいは日本森林林業の立場から見た国有林のこれからの事業計画の問題、いろいろあろうかと思いますが、端的に申し上げまして、国有林の財政が非常に逼迫しておるというのが国有林のただいまの大きな一つの現状という認識かと思いますが、ただ、国有林の財政というものが、材価の問題なり伐採量の問題、そういう短期的な問題だけではなくて、ある意味で財政的な問題が相当長期にわたるという認識、これが現状の認識として大きなものであると私は考えております。
  57. 野坂浩賢

    野坂委員 おっしゃったように、農産物体系と林野の体系とは違う、言うなれば成長量なり、すぐ効果があらわれない、だから日本経済の動向を見て長期見通しが要るのだといろいろお話がありましたけれども、何としてもそういう健全経営になるためには長期見通しが必要だということになりますね。経済の問題がいろいろあっても、伐採量その他から考え長期見通しが要る。だから、需給動向のあり方なり経済長期見通しということよりも、林野行政の長期見通しが基本ではないですか。その基本方針は二十年後にはどういうふうにお立てになっておるわけですか、
  58. 藍原義邦

    藍原政府委員 林野庁といたしましては、森林の基本的な計画ということになりますと、森林基本計画に即して全国森林計画なり、それに基づきまして林野庁はそれなりの計画を立てるわけでございますから、そういう国全体の基本計画に即して林野庁計画を立てるという形になろうかと思います。
  59. 野坂浩賢

    野坂委員 その計画林野庁がお立てになるわけでしょう。
  60. 藍原義邦

    藍原政府委員 当然それは林野庁が立てることになるわけでございます。
  61. 野坂浩賢

    野坂委員 だから、二十年後の姿は文章にするとどういうことになりますか。――それでは、後でその数字は示していただきたいと思います。後で同僚議員がその問題については詳しくお話をいたしますから、その際でも結構です。いずれにしてもその数字、あるべき姿を出していただきたい、こう思います。  それから、あなたがよく知っておられますように、国有林野の事業には国有林野の取得とか維持とか運用とか処分とか、いわゆる国有林野法というのがありますね。それから国有林野事業の特別会計法というのがありますね。たとえば国鉄とか郵政にはそれぞれ鉄道法とか事業法とかがありますね。国土の総面積の二〇%を占める国有林の経営に当たって、使命とか経営目的とか事業範囲とか事業実行方式というものは従来は政令とか省令とか訓令とかいうものでやっておったのですが、やはりきちんとしていかなければ、あなたのお話を聞いておっても、風に揺られるように、経済見通しがどうだとか言って、長期の展望が立たないで、途中でいろいろな条件で変わってくるような感じがするわけですが、国有林野事業法というようなものが、他の公共企業体といいますか、そういうものと同じようなきちんとしたものがむしろ必要ではないかということが考えられるわけですが、その点はどういうお考えでしょうか。
  62. 今井勇

    今井政府委員 その前に、林野庁の立てます森林計画等につきましても、需要の動向等につきましては国の経済計画と密接な関係がありますことは御了解を賜りたいわけでございまして、それと離れて需給の調整を図ることはできません。したがいまして、単独で行くわけにはまいらないことだけ、一つ私から申し上げておきたいと思います。  それから、ただいまの事業法の問題でございます。  国有林野の事業の運営に関しまして特定の事業法をつくれというお話でございますが、私どもは、ただいまのところは、これから申し上げるような幾つかの理由で特段の支障はないものだと考えております。  その一つは、まず国有林野の事業運営の基本原則につきましては、御案内のとおり林業基本法第四条において明らかにされております。それから、国有林野事業の対象となります国有林野は、国有財産でございまして、その管理のあり方につきましては、国有財産法を基本とし、国有林野法等の特例が定められておるものでございます。さらにまた、国有林野事業の運営管理のあり方につきましては、国有林野事業特別会計法によりまして、特別会計方式による国営企業とされております。このことによって労働関係を規制する公共企業体等労働関係法も適用されておるわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げたように、このような既存の法制度によりまして特段の支障はないものと考えております。  今回の特別措置法案は、当面いたします国有林野事業の困難な状況に対処して、既存の法制度の特例措置として講ずるものであることを御理解いただきたいと存じます。
  63. 野坂浩賢

    野坂委員 今井政務次官から御懇篤なお話をいただきました。ただ、私が申し上げておりますのは、確かに林業基本法の四条に基づいてそれぞれあるわけですけれども国有林野法というのは、御承知のように取得とか維持、運用、処分に関しますし、運営管理は会計だとおっしゃいましたけれども、これはいわゆる会計処理方法のための特別会計でありまして、言うなれば事業の実行方式とか形態とか販売方針というものはないわけですよ。だから、そういう意味で、これから健全経営を進めていくのだということになれば、郵政事業法等に見られるように、経営目的なり事業範囲も含めた、そういうことをやるような段階で、その都度その都度変わっていくようなことではぐあいが悪いのじゃないか。というのは、農産物とは違って、林産物は一年ですぐ効果があらわれないという意味でさらにその必要性が増しておるのが今日的な現況であるし、また、林業が国の要請に基づいて過伐や乱伐をどんどんやってパアになっていくということであってはならぬという意味で、私は御提言を申し上げておるわけですので、その点についてさらに御検討をいただくべき事態ではなかろうかと考えておりますので、今井さんにもう一度御答弁をいただければと思うのです。
  64. 今井勇

    今井政府委員 農林省の考え方はただいま私が御答弁申し上げたとおりでございますが、ただいまの御提言につきましては、ひとつ真剣に検討させていただきたいと存じます。
  65. 野坂浩賢

    野坂委員 この法案でいろいろ考えられることは、いままで議論の中では、長官お話しになったように、拡大造林もやるんだ、もちろん人工造林もどんどんやっていく、跡地造林もやっていく、さらにいままでのようないいかげんな作業道というかそういうものでなしに、しっかりとした林道をこれから拡大してやっていく、こういうまことにありがたいお話をいただいたわけでありますが、今度の分では非常に、こういうことを言ってはなんですが、そういうことは安上がりでやっていこうというふうに見られるのです。たとえば請負、そういうかっこうでどんどん立木販売、こういうかっこうなんですけれども、縮小されるというような傾向が見られますが、そうではないんですか。縮小なんかは考えていない、拡大をする、こういうふうに考えてもらえば結構ですか。
  66. 藍原義邦

    藍原政府委員 国有林のこれからのまず基本になります伐採量でございますけれども、伐採量につきましては、ただいま約千五百万立方程度切っておりますけれども、ここ当分の間漸減していかざるを得ないという状況でございます。したがいまして、これに見合った造林事業なり、そしてまたそれに見合った林道なりがつけられるわけでございまして、したがいまして伐採量、造林等につきましては、今後減少していくというものもございます。また逆に林道等につきましては、基盤がおくれている面につきましてはこれを伸ばさなければいけないという問題もございますけれども、要は、これからこの法案に基づきます計画を立てます中で、十分これからの、いま基本的な方向としては伐採量が落ちますけれども、そういうものをどう今度把握していくかということによりまして、その中でそれぞれの事業については把握し、これからの計画を立案してまいりたいというふうに考えております。
  67. 野坂浩賢

    野坂委員 縮小はしないでそれだけのことはやっていく。それでは、健全経営でこれから十年間でやるということですけれども国有林野における収入の確保の方法は一体何ですか、収入と支出の関係がありますが。
  68. 藍原義邦

    藍原政府委員 国有林の収入につきましては、従前からその主体をなしますものは木材の販売でございます。今後ともやはりこの販売が主体になるわけでございますが、量的には減少いたしますけれども、いろいろ販売改善の努力をいたしまして収入増を図るということ、それからもう一つは、従来も必要なものにつきましては不要存置等を一部売り払いいたしておりますけれども、今後もこういう不要の存置が出ました場合には、そういうものを売り払うことによりまして、これが一部収入のあれにもなりますけれども、大宗をなしますものはやはり木材の販売収入でございます。
  69. 野坂浩賢

    野坂委員 収入というのは、これからしばらくは千五百万、その程度の立米しか切れぬわけですから、しばらく成長量と合わせて、それで販売方法の改善をされるわけですね。それだけで収入するんだ、それはばかでもわかりますよ、あるものを売って収入を得るというのは。どういうふうに健全経営のための工夫を考えているのかということなんです。そして支出もいろいろあるでしょう。こういうことですよ、私が聞いておるのは。その中身を聞くわけです。これは売るからそれで何ぼとか、時価相場で売ってもうけるんだ、それで養っていくんだ。そのほかに国有林の中では、いわゆる経済面でない国土保全なりあるいは水資源涵養なり、森林レクリエーションなり国民的な保健体育、そういうものを含めた機能もあるわけですが、それはあたりまえで、国からやはり補助金を出してもらうというのは当然でしょうが。いままでは売った分を、一般会計の方に出したりあるいは森林開発公団の方に出したり、そういうことをやっておったわけですから、いまの金で換算すれば一兆円以上になるわけですから、いまの一・六八倍でやってみてもですね。それぐらいは、そんなぺこぺこせぬで、返してもらうということは当然の権利じゃないですか。どうですか。
  70. 藍原義邦

    藍原政府委員 国有林の経営の中で、一番いままでも公益的機能の発揮としての中心になります治山事業等につきましては、一般会計から繰り入れて治山勘定等々で実行いたしておるわけでございますが、国有林のこれからの改善ということを図りますために、ただいま御審議を願っておりますこの法案の中で、私どもも、これからの改善を進めるに当たりまして、一部一般会計からの導入も図るということ、それからいわゆる施設的なものにつきましては、財投からの投入も図っていただくというような形で、国有林の財政というものを健全なものにしながら、その間、収入につきましては、先ほど申し上げましたような販売のいろいろな意味でのこれからの合理化ということを考えて収入増を図ると同時に、また支出の面での節減も図って、今後の改善を図りたいということで、この法案の御審議を願っておるわけでございまして、この法案の御審議をいただいたその結果、私どもは、この法案がもし成立さしていただきますれば、その時点でこの計画というものを立てまして、いま申し上げましたようなものを中心にいたしました計画をつくり、対応してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  71. 野坂浩賢

    野坂委員 この法案が通ってから計画は立てられるわけですね。それの計画が完成をするのは大体いつごろですか。もし通ったとして、何カ月ぐらいかかるわけですか。
  72. 藍原義邦

    藍原政府委員 当然これは五十三年度から実行しなきゃいけない問題でございますから、できるだけ私どもは早期につくってまいりたいというふうに考えております。
  73. 野坂浩賢

    野坂委員 予算の四十億なり長期借り入れは一応あるとして、そういうことは、早急にということは、できておるということですか。まだ何にもできてないということですか。
  74. 藍原義邦

    藍原政府委員 これは当然私どもいまの時点でも検討は進めておるわけでございますけれども、この御審議をいただいた結果、法案が成立ということでしていただきますれば、その時点でやはりそれぞれの審議会にかける問題もございますし、関係方面の意見を聞くこともございますから、そういう意味で、私どもはできるだけ早くこの計画を立てまして実行に移ってまいりたいというふうに考えております。
  75. 野坂浩賢

    野坂委員 私が聞いておるのは、できるだけ早くというのは大体何日間くらいかかるものですか、一年ですか、二年ですか、半年ですか、こう言って聞いておるわけです。具体的に話をしてください。
  76. 藍原義邦

    藍原政府委員 これは先ほど申し上げましたように、当然五十三年度から実行しなきゃいけない問題でございますから、五十三年度の実行に支障がないように対応してまいりたいというふうに考えております。
  77. 野坂浩賢

    野坂委員 そうすると、そのたとえば四十億というのは、人工造林と林道ですね、大体大まかに言って。その程度計画はもちろん私たちわかっておりますが、そのほかのことの計画はありますか。いまありますか、中身で。何にもないですね。済んでから考えるということですね。
  78. 藍原義邦

    藍原政府委員 先ほども申し上げましたように、当然私どもとしては、検討を進めておりますので、素案としてはいろいろなものをやっておりますけれども、いままだそれを最終的に詰める段階まで至っておりませんけれども検討は十分に進めて、それぞれのものの対応はできるだけ早くできるような準備を現在進めておる次第でございます。
  79. 野坂浩賢

    野坂委員 私どもにその中間報告でも聞かせていただけますか。この委員会に流していただく~いうことはできますか。
  80. 藍原義邦

    藍原政府委員 先ほども申し上げましたように、これは内部のいろいろな検討として進めておるわけでございまして、法案を成立させていただきますれば、その時点で、法案に従いました手続によって私どもは対応してまいりたいというふうに考えております。
  81. 野坂浩賢

    野坂委員 国有林の販売方法の改善というのは具体的に何ですか。たとえば合理的な地元の要望等があって、これは随契でやらなければならぬ、その他は大体一般入札方式ということの方が、販売改善としては過去の実績から見ていいではないか、そう思いますが、その点はどうですか。あるいはそれと支出面についていろいろ考えておられることがあれば、健全経営の中でお話をいただきたいと思います。
  82. 藍原義邦

    藍原政府委員 国有林材の販売の問題でございますけれども、御存じのように、国有林はそれぞれの地方に点在いたしておりまして、それぞれの地域におきます国産材の市場の維持と申しますか、市場の確保というものが一つの大きな、これは国有林を含めまして民有林との問題もございますけれども、そういうものを確保していく必要がございます。そしてまた、そのためには、その地域にございます関連企業が今後やはり近代的な形で合理化されていくというものに国有林としても寄与していかなければいけないというふうにも考えております。そういうことを通じまして、国有林の安定的な基盤というものが築き上げられてくるのではなかろうかというふうにわれわれ考えておりますけれども、いま国有林が現在までやっております考え方といたしまして、たとえば銘木等高品質な材質を持った材がございますけれども、そういうもの、あるいはパルプ用の原材料になりますもの、こういうものは原則として一般競争契約で対応していっておりますし、それから製材工場原料になります一般材につきましては、国有林材への依存度等それぞれの地域の特性というものを十分考慮しながら、一般競争契約による販売割合というものを漸次拡大してきております。それから、間伐材等のようなこれから需要を開発しなければいけないもの、こういう材につきましては、主として随意契約で契約をいたしております。  従来からそういう形で販売につきましての改善をやってきたわけでございますが、その結果、立木販売におきましては、一般競争契約によります販売量が、昭和四十七年度では大体一九%でございましたけれども、五十一年度には二九%という形で、四年間ぐらいで約一〇%増加いたしておりますし、それから素材におきます一般競争契約によります販売量は、いま申し上げました四年間で三七%から六二%へと増加をさせておる次第でございます。  こういうことによりまして販売の改善を図っておりますけれども、しかしながら、最近の木材市場におきます国産材需要の減退状況、それから関連産業の業界の不振、こういう中で、一律に一般競争原理による販売方法が拡大することが、国産材の市場を確保することあるいはその関連の企業を安定的にさせるということで適切かどうかということ、これはある意味考えなければいけない面があろうかと思います。  たとえば、五十二年あたり公売に出しましても不落が非常に多いというような問題等々もございまして、この辺はやはり販売方法の選択実施にはいろいろな問題がございますので、いま申し上げましたような形でその改善は進めてまいりますけれども、それぞれの地域の実情というものも十分配慮し、それから国産材の市場の確保なり企業のこれからの健全な発展というものに寄与するあり方というような問題、そういうもの等十分加味しながら、今後の販売の問題については考えてまいりたいというふうに思っております。
  83. 野坂浩賢

    野坂委員 いま林野庁にお勤めになっておる常用なり、職員なり、あるいは定期とか、いろいろありますね。その中で人員を――いままでは収入をふやしてそういう山荒らしに対応して、そうして拡大造林をやって、そして積極的にそういうことを進めるということでありますから、私は人員整理というものは今日ないだろうというふうに考えておりますが、そのとおり考えてよろしゅうございますか。もしやるとすればどの程度考えておるのか。
  84. 藍原義邦

    藍原政府委員 先ほども申し上げましたように、国有林経営の基本になります伐採量については、ここ当分の間、伐採量が年々縮減の方向をとらざるを得ないという事態になっております。これに従いまして、それぞれに関連いたします事業量というものが減少することになるわけでございますけれども国有林に現在働いておられる定員内の方々あるいは基幹作業職員の方々、こういう方々について、私どもといたしましては、やはりこれからの事業量に見合った規模を将来に向かって施行しなければいけないというふうには考えておりますけれども、そういう意味からも、先般労働組合との間で高齢者の退職の問題につきまして話し合いがつきまして、そういう形で高齢者の方方に御勇退を願うということを考えておるわけでございまして、今後、私ども、やはり事業量に見合った規模ということを考えます場合には、退職の促進、新規採用の抑制というような形で、事業量の規模に見合ったこれからの人員構成に向かって将来進めていかなければいけないというふうに考えております。
  85. 野坂浩賢

    野坂委員 ことしはどの程度考えておるわけですか。
  86. 藍原義邦

    藍原政府委員 定員内の問題につきましては、いまも申し上げましたように、事業規模の縮減に見合った調整がなかなかいままでも進んでおりませんので、今後、先ほど申し上げましたような高齢者の方々の御退職を願うというような形で対応していこうというふうに考えておりますが、五十三年度におきます削減は、いま申し上げましたような趣旨にのっとりまして、当面の欠員発生状況を十分勘案しながら決定しております。
  87. 野坂浩賢

    野坂委員 何人なんですか。
  88. 藍原義邦

    藍原政府委員 五十三年度の人員は五百二十五名、そのほかに一般会計への移替が二十五名ございまして五百五十名になろうと思います。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
  89. 野坂浩賢

    野坂委員 これから長期展望に立って、来年すぐ生み出されないけれども、不良造林等は全林野の仲間の皆さんからもいろいろ意見を聞いて、そういうときに一斉にやらなければならぬ。そして、その五百五十人の中で二百八十九人というものは一般省庁のにらみだ、しかしそのあとの二百三十六名というものは赤字要員として首を切っていく、こういうことについては私は納得できませんね。  それから、労働省おいでになっておると思いますが、おいでになっておりますか。  いまの失業者というのは、三月三十一日現在で百四十一万人と言われておりますね。労働省というのは、職業安定というものを基礎にして考えていかなければならぬ、こういうふうに思っておるわけです。これから積極的にやるのに、林野庁等と、こういうことは十分把握して、どのような示唆をしておるのか。職業不安定というようなかっこうになってくれば、これから失業者はますます増大の一途をたどってくるというかっこうになりますよ、これでは。そして、山荒らし、人減らし、そしてこれからの民有林の指導育成なんということはできませんし、この保安林でも、国民の公益的な機能のためにも相当の人数が要るということは厳然とした事実なんですから、そういう点を踏まえて、労働省のいわゆる労働者対策というものはどういうふうに各省庁に行われておるのか、首切り促進なのか、そういう点については失業者をできるだけ減らして、できるだけ職につける、こういう方向なのか、その点を明らかにしてこの林野庁に対する問題についても付言していただきたい、こう思います。
  90. 清水傳雄

    清水説明員 御指摘のように相当厳しい雇用情勢のもとにあるわけでございまして、そうした中におきまして、労働者の雇用の安定を図るというような基本的な考え方から私ども行政を進めてまいっておるわけでございます。  いま御審議になっておりますこの法案に関係いたしましての改善計画の関係につきまして、将来の要員規模につきまして、今後の事業規模の動向等を勘案しながら進められていくというふうに私ども承っておるわけでございますが、その具体的な推進に当たっては、農林省とされましても、できる限り関係者の理解と納得を得ながら進められることを基本的な方針とされているというふうに聞いておるところでございまして、労働省といたしましても、こうした基本的な方針に沿った運用が図られることが必要ではなかろうかというふうにも思っておるわけでございまして、今後ともこうした観点から十分に連絡をし合いながら対応していきたい、このように思っておるところでございます。
  91. 野坂浩賢

    野坂委員 人減らしは理解と協力を得ればやってもよろしい、こういう指導方針ですか、労働省は。
  92. 清水傳雄

    清水説明員 国有林野の具体的な事情ということにつきましては、私どもそう詳しく存じ上げておるわけではございませんけれども、いずれにいたしましても、その改善を図っていかれるということも一つの大きな課題であろうというふうに考えるわけでございますし、また他面、これは一般的に労働者の雇用の安定を図るということも、現在の状況からまいりまして非常に大きな政策課題であるというふうに考えておりまして、その辺が先ほど申しましたような形でできる限りの調和を図られながら進められていくことが必要であろうというふうに思うわけでございます。
  93. 野坂浩賢

    野坂委員 議論も聞いておっていただいたと思うのですが、国有林野は、皆さんが、林野庁が即経営するものですから、これから販売方式なり、そして切っていくところはできるだけ民有の方にかえていくという動きもありますね。たとえば請負というような形で、立木を売らないで素材にして売っていく、そういうことになれば、こういう首切りが、できるだけ手抜きで、健全経営だけで、労働者のことなんかは考えないというかっこうで進められるとどんどんやってくる。だから、林野庁というものは、将来林野庁の存立さえ危うくなってくるのではないかと私自身が心配しているのです。内局の方に、言われていわゆる林業局にでもなったらこれは大変じゃないかということすら思っておるわけです。その方向が出てくるではないかということを考えられる面もあります。  あなたの方は現在ざっと六万七千人いらっしゃいますね。これは、いまの段階で六万七千人という者の人員縮小は考えていかない、こういうふうに考えていいですか。できるだけそれを残すために、直営方式というようなものが、やはり一番その人たちを大事にしてやらなければならぬ。せっかくこの間もいわゆる常用化というものがある程度できたわけですから、それに対応してやっていく。また、臨時というものが一万一千ぐらいありますけれども、定期作業員といいますか、そういう人たちも、身分安定はみんな労働者の願いですから、できるだけその方向を私は追っていかれるだろう、こう思っておりますが、うわさに聞くと、六万七千人を四万人にするのだというようなまことに無謀なお話もあるやに承っておるわけですが、そういうことは現在の法案審議の中では考えていない、こういうふうに考えてもよろしいわけですか。
  94. 藍原義邦

    藍原政府委員 先ほど来御説明申し上げておりますように、国有林のこれからの事業の主体をなします伐採量がここ当分の間減少傾向をたどらざるを得ないという大きな実態がございます。さらに、国有林現時点におきます伐採量を見ましても、過去の伐採量に比べまして三分の一程度伐採量が落ちております。そういう関係で、ある意味で管理部門が肥大化しておるということも私ども感じておりますし、そういうことを考えながら、これからの国有林改善、合理化を進めるに当たりましては、いま申し上げましたようなこれからの事業量に見合った要員規模で仕事をしていく必要があろうというふうに考えております。しかしながら、私どもこの要員規模を今後どういう形で縮減するかにつきましては、先ほども申し上げましたが、高齢者の退職の促進、新規採用の抑制という形でこの対応をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございまして、国有林改善、合理化を進めるに当たりましては、やはり事業規模に見合った職員なり作業員を抱えながら、今後の国有林改善、合理化の改善方向に導く必要があろうというふうに考えておる次第でございます。
  95. 野坂浩賢

    野坂委員 具体的に申し上げて恐縮ですが、事業量に見合ったとおっしゃいますね。それからもう一面は、伐採をしたその収入ということが頭の中にありますね。そのほかに、保安林とか公益的な機能というものがたくさんあるわけですから、それをどう――やはり人も要るわけですから、それについては当然一般会計から出るのはあたりまえだ、こう思っておるわけです。伐採量に合わせて、事業量に合わせてと言いますから、そういうところの措置もしなければなりませんし、あるいは民間の皆さんは、保安林を抱えていて、みなあなたほどいわゆる国土保全というものやあるいは水資源とかあるいは空気の問題とかそういうところまでは考えていないわけですから、経済問題が一本ですから、保安林はできるだけ買ってくれ、こういうことはたくさんありますね、歩いてみて。そういうものを買ってやはり整備をしていかなければならない。それをあなたは国民の要望と国民の意向ということを何回も言われたのですから、そういうこともやはり日本の政府としてはやらなければならないのじゃないか、こういうふうに思うのですね。ことしは言うなればゼロ回答ですね、金がないから買わない。これだけではやはり国全体の立場から問題があるのではないか。だから、そういうところにある人たちはそれを吸収してやっていく、あるいは立木ではなしに素材で売る、しかも一般公開入札だ、こういうかっこうで、順次その人たちを集約できる、いわゆる首切りをやらない、そういうことが親心じゃないですか。伐採が千五百万立米になったからこれは当然なんだ、こういうかっこうでほかのところにどうそれを波及させていくかということをまず考えなければならないのじゃないかと思うのです。  森林レクリエーションとかあるいは肉用牛生産の育成実験牧場等をやっておられましたね。これらはこれからどうなるわけですか。前のことといまのことと、両方答えてください。
  96. 藍原義邦

    藍原政府委員 いま先生おっしゃいました森林のレクリエーションの問題でございますが、これについては、やはり国有林としても国有林なりに対応するものがあろうと考えておりますが、肉用牛の問題につきましては、これについては林業的な実験も一応終わりましたので、これは国有林事業としてではなくて、それぞれの立場の方でこれを一部引き継いでいただくなり、その方の別な形でこれを実行していただくということ、あるいは一部につきましてはこれを廃止するということもあるのかもしれませんが、今後そういう形で国有林の特別会計の中ではない形でこれを運営していただく方向というものを現在考えております。
  97. 野坂浩賢

    野坂委員 この森林レクリエーション事業等そういうものは、これからも林野庁がやっていくわけですか。牛の話はわかりましたが、どうですか。
  98. 藍原義邦

    藍原政府委員 レクリエーションの問題については、もう先生御存じかと思いますが、自然休養林というものを中心に現在まで進めておりますので、こういうものを中心にして今後も考えていきたいと思っております。
  99. 野坂浩賢

    野坂委員 ずっとあなたの方の直営ですね。
  100. 藍原義邦

    藍原政府委員 自然休養林と申しますのは、やはり森林をそういう形で仕立てて一般の方々に憩いの場として利用していただくということでございますので、これは森林管理的な性格が非常に強いところでございます。そういう形でございますので、直営とか請負とかいうような形のものではないというように考えておりますが……。
  101. 野坂浩賢

    野坂委員 ではどういうものですか。
  102. 藍原義邦

    藍原政府委員 これは、いま申し上げましたように森林経営そのものという形になるわけでございます。
  103. 野坂浩賢

    野坂委員 いろいろレクリエーション事業がございますね。それは土地は貸せるが経営は地方自治体にやらせろ、こういうことが皆さんの中で考えられておるのじゃないですか。そういうことはないというふうに考えていいわけですね。これらの森林に関係する、休養林だけではなしにいろいろありますね。それを、いまあけてみると、ここの方に書いてありますけれども、そういうことは全部地方自治体に任せるということはありませんね。
  104. 藍原義邦

    藍原政府委員 国有林を利用いたしましての森林レクリエーションというのは、いま申し上げましたように、国有林がいま考えておりますのは自然休養林を中心にしてでございますが、そのほか、国有林はやはり国土の相当の面積を占めておりますので、いろいろな形で地方公共団体等の御要望もございます。そういうものにつきましては、これはとても国有林だけではなかなかできない問題もございます。一例を申しますと、第三セクターというような形で実行計画を立てているところもございますし、そういうそれぞれの実態に合った形で今後必要なものについては対応していく必要があろうというふうに考えております。
  105. 野坂浩賢

    野坂委員 必要であれば対応するということですけれども、その基本方針を聞かせてください、基本方針をどうするのだと。あなたの場合は非常に弾力的で、人間を減らすところだけは硬直状態ですけれども、非常に国民経済の要望とか、あの事業があればそっちに行く、この事業があればこっちに行くということですが、基本方針を聞かせておいてください。そうしないと、後でそのときどきにおいて一番迷惑をするのは従業員なんですから、職員なんですから。そういう点の基本方針だけはきちんとして、そのときには山は貸せるが後は地方自治体と、こういうことのないようにしておいてもらわぬと、全部手抜きをやるという姿勢じゃないですか、いまの状況からすると。そうではないということを言ってもらえれば、それで私は満足して、後は何も言いません。
  106. 藍原義邦

    藍原政府委員 先ほど申し上げましたけれども国有林としては、やはり自然休養林を中心にした国民の御利用の仕方を願うという形で自然休養林については対応いたしますけれども、その他の問題につきましては、先ほども申し上げましたけれども、やはりそれぞれのあり方と申しますか利用の度合いと申しますか、さっき申し上げましたような、ものによりましては第三セクターのような形のものもございますし、やはり利用の度合いに応じましてそれぞれ考えなければいけない問題ではなかろうかというふうに考えております。
  107. 野坂浩賢

    野坂委員 あと、そういう点については同僚議員に詰めていただきますが、どっちにしても非常に材価は低迷しておりますね。需要も減少しておる。いろいろある。いま一番初めにお話があったように、政務次官は、この国産材を中心にして、いまは足らないから外材を補完措置としてやるけれども、あくまでも国産材が中心である、こういうことなんですね。いまは外材というのは、日本国内における経済情勢なり需要なりがどうあろうとどんどん無制限に入れているという傾向もなきにしもあらずですね。そういう点については、ある程度安定的に供給するというか、ある程度規制をする、こういう方向をとるとか、あるいは課徴金の問題等ももう検討する必要があるではないか、こういうふうに思うのですけれども、その点についてはどうお考えでしょう。
  108. 藍原義邦

    藍原政府委員 木材需給関係を見ますと、確かに過去におきましては木材が不足ぎみでございましたけれども現時点では全体的に緩和基調に変わっておるというのが実態でございます。そういう意味から、ただいま外材が約六五%入っておりますけれども、この外材をやはり安定的計画的に輸入することを考えなければいけないということは先生の御指摘のとおりでございますし、私どもも、やはり木材需要に対します国産材供給が当分追いつきませんので、当分の間外材の輸入に頼らざるを得ないというふうには考えておりますが、その場合でも、それが安定的に計画的に輸入されるような方途を考えなければいけないというふうに思っております。  前々から、そういう意味で、需給計画というのを立てて一応指導してまいったわけでございますが、ただいま国際的ないろいろな問題を見ますと、ガットの問題等々を中心にいたしましていろいろな問題が出ております。したがって、そういうことをいろいろ国際的な問題も考え合わせながら、これからの木材の輸入を安定的にするためには、私どもとしては、その需給計画というものをできるだけきめ細かくつくりまして、実態に合ったような需給計画にし、それに基づいて関係方面を指導していくということ、これがまず第一に必要ではなかろうか。あるいは需給計画の中で在庫量等々の把握につきましても、できるだけ適正な把握をしていくというふうな形で、今後の需要あり方なり供給あり方というものを見詰めていくということ、そういうことを通じまして適正な安定的輸入が図れるような努力をしたいということで、目下鋭意検討を進めておる次第でございます。
  109. 野坂浩賢

    野坂委員 機構改革問題で、農林省設置法の一部改正問題をめぐってきょうから内閣委員会でも論議があるわけですが、国有林面積の四一%、伐採量の三五%、新植面積の三八%を占める北海道の五営林局を一局に統合するというのは非常に問題だ、こういうふうに私たちも考えております。営林署も、内地の場合は九局をそれぞれ一営林署ずつ減らすというような話がありますが、また一割を将来減らすというふうに言われておるようでありますが、これの存廃は、やはり所在の関係市町村というものは非常に関心を持っております。あなたは、森林林業長期基本方針がこうあっても国民の要望なり国民の期待があれば考えなければならぬということをそこで何回となくおっしゃったわけですが、そういう意味で、その市町村住民の声というものは、いろいろなことがあってもそれは無視できぬ、私はそう思いますね。それは一方的じゃなしに、十分地方住民の、労働者の理解と納得――何でも、米の生産調整でも、福田総理でさえ理解と納得がなければできぬ、まさに農家の自主的判断だ、こういうふうにおっしゃったこともよく覚えておりますが、あなたも、一方的な硬直的な態度ではなしに、いわゆる健全経営のためには何でもやる、経済国民の意向も全部無視するというようなことではないと思いますね、いままでの質疑、討論の結果を踏まえれば。それについては、そういう地方住民なり市町村の意向というものは十分体して、一方的に独断専行はやらない、こういうふうにお考えであろうと、いままでの議論を総括するとなりますので、そのとおりですか、こう聞きます。どうですか。
  110. 今井勇

    今井政府委員 この機構改革につきましては、先生前段でおっしゃいますように、やはりいまの林野行政を基本的に立て直そうという意味から、一般会計からの繰り入れというものを講じながら、片や経営の自主的改善努力をやろうということでありまして、営林局の統廃合につきましては法案をいま御審議賜っておるわけでございまして、その意味におきまして、国民の皆様方の御意見を十分拝聴をすることになろうと思いますし、また、営林署の問題につきましては、閣議で一割削減ということが決まっております。しかしながら、これは関係市町村長の方が見えますときによく申し上げますが、私どもは、この営林署というものは地域の皆さん方と非常に密着したものでありますので、事前によく御説明し、御納得を得るような努力をいたします。ひとつ私どもの話をよく聞いてくださいということで、何遍となくそれを繰り返しておるわけでございまして、必ずや私どものそういった考え方が地域の皆様方に受け入れられるであろう、また、受け入れられるまでひとつ繰り返し説得をいたそうという気持ちでやっております。
  111. 野坂浩賢

    野坂委員 お話わかりましたが、受け入れるまで話は詰めていく、その今井政務次官の誠意はよくわかりました。だから、受け入れるまで話して話して話し込む、言うならば、住民に理解を得るまではやらない、裏返すとすればそういうことになります。そういうことですね。
  112. 今井勇

    今井政府委員 十分に話し合いをいたしたいと存じます。
  113. 野坂浩賢

    野坂委員 話し合いが成立するまでは一方的に独断専行はやらない、こういうことですか。
  114. 今井勇

    今井政府委員 必ずやこちらの誠意が通ずるであろうと存じます。
  115. 野坂浩賢

    野坂委員 それでは、私どもはその裏として、誠意が通ずるまでは話し合いが進められるだろう、打ち切るということはないということを確認をしておきたいと思うのであります。  最後に、時間が参りましたから、この法律を読んでみまして、政府案と社会党案が出ておりますね、だれが見ても社会党案の方が明確で話がよくわかると言いますね。あなたの方の文は何かぼけておりますね。  たとえば、わが方は、「国有林野事業の健全な経営を確立し、もって国民経済及び国民生活におけるその使命を将来にわたり円滑に遂行させることを目的とする。」この辺は、「国有林野事業の現状並びに国民経済及び国民生活におけるその使命の重要性にかんがみ、国有林野事業改善を図るためにとるべき特別措置を定めるものとする。」これは何かぴしゃっとしたものがないですね。あるいは「改善計画」その他を見ても、十分すり合わせる必要があるのではないかというふうに私どもは思うわけです。あなたも社会党案というものをよくお読みになったと思いますが、これの欠陥なりあなたの方と比べてどこが悪いということがあればお話しをいただきたい。私は、あなたの方の案よりも非常によくできておる、しかも改善というよりもいまは林野を再建をする時期だ、再建をしなければならぬ。しかも、十年間というよりも、あなたの方も十年間で完了してそれを黒字で一般会計に返す、こんなことをやっておられますけれども、またぞろいままでの実績からすると、民有林に対する道しるべなり指導体制というものが不信になってくるというふうに私は思いますね。だから、むしろ再建をするという立場に立つことこそがいまの与えられた現時点の大きな課題であろう、こういうように私ども認識をしておりますが、政府は、どなたでも結構ですから、それについて見解を述べていただきたい。けんかをするならこれから長きにわたって論争をするわけですが、私どもは、とるべきところはとっていく、こういうことが必要ではないか、むしろ、われわれはあなた方の意見も聞くけれども、いまは再建整備する時期だ。しかも基本方針をきわめて明確にしておくべきだ。だから、健全経営ということは第二条の計画の中ではなしに第一条に明記をすべきものであろう、こういうふうな点について言い得ることであろう、こういうふうに考えておりますが、政府の見解を一応承りたい。
  116. 今井勇

    今井政府委員 私どもは、国有林野の改善について、あれこれ考えました結果政府提案のものが最善と信じて御提案を申し上げ、ただいま御審議を願っているわけでございます。  一方、社会党は、それに対してかくあるべきだという意味で法案を御提出になりまして、両案が並行して審議の場で御審議を賜っておるものと思うわけでございまして、それは一にかかってこの委員会でどう結論をされるか、私はそれにかかるべきものであろうと思いまして、ここあたりで政府があれこれ申し上げるべきものではない、かように存じております。
  117. 野坂浩賢

    野坂委員 一応お話を承ったわけですが、たとえばこの「森林資源に関する基本計画」並びに「重要な林産物の需要及び供給に関する長期見通し」でも、森林計画でも、そういうことが計画を立てられて思うようになっていかない、思うようになっていない、これが現状です。そして今日の山荒らし、手抜き、そして大蔵省等の圧力によって具体的なこういう合理化問題が出ておるということも否定できません。しかし、何回も申し上げるようですけれども、農産物と違う、単年度効用はない、国家百年の大計を揺るがないものにするためには、いまこそ再建整備という名のもとに、住民の参加あるいは勤労者の参加、従業員の参加、そういう現場におる諸君たちの声をどう聞いて森林林野行政というものを粗漏なく万全の体制で進めるかということがいまこそ急務のときはありません。今日、健全経営というか、赤字財政のために合理化を余儀なくされ、大蔵省から圧力をかけられ、そしてちまたに労働者を出していく。そのような状況というものは、人間の体をすり減らし一人も治癒のない白ろう病患者等の姿を見ても、いますべてにわたって、いわゆる修繕的なそういう改善政策ではなしに、抜本的な対策が必要とされておるというのが林野行政の現時点であるということを政府の諸君たちに申し上げて、あと同僚議員がこれから具体的に細かく質問してまいりますから、ぜひ社会党案というものも十分御検討いただいて、最良であるというような硬直的な態度を捨てて、みんなで話し合ってみんなのいい日本の国をつくる、そういう意味で、ただ単なる議論ということよりも、建設的に進めることがいま与えられた私たちの大きな使命と任務である、こういうふうに考えております。  以上で私の質問を終わりますが、ぜひ御検討いただきますようにお願いしておきます。  終わります。
  118. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 この際、午後四時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時三十九分休憩      ――――◇―――――     午後五時十一分開議
  119. 中尾栄一

    中尾委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。日野市朗君。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
  120. 日野市朗

    日野委員 午前中に質問がありましたが、引き続いて私も質問いたしたいと思います。  政府から提案されております国有林野事業改善特別措置法案でありますが、これを読んでみますと、まず第一条なんですが、非常にブレーンなといいますか、非常に簡単明瞭なようでいて、その内容が実は非常に読み取りにくいというのが実情ではなかろうかと思います。つまり、なぜこういうふうに理解できにくいかといいますと、「この法律は、国有林野事業の現状並びに国民経済及び国民生活におけるその使命の重要性にかんがみ、」こういうふうになって、そして「特別措置を定める」んだ、こういうふうになっているわけですね。ところが、読んでみると、わかったような感じはするのですが、実はよくわからない。  なぜそういうふうによくわからないのかというと、この法律は現在の国有林野事業状況、これを何とかしなければならないということでこの特別措置を定めることにしているのだと思うのです。ただし、この特別措置を定めるについて、どのような方向でこれからの国有林野事業考えていくのかということについての内容は、実ははっきりしていないように私は思うのであります。そして、そのことは、第二条の第二項、ここに五つばかり改善計画に関する規定がありますが、これもこの条文だけを読んでみれば非常に当たりさわりのない条文だと思うのですが、この文言で表現されるものは一体何であるか、この具体性、これについては全く記載されていないわけであります。  それで、この特別措置をこれから定めるに当たって、一体どのような理念に基づいてその作業が行われていくのか。それから、第二条の改善計画、これもどのような理念に基づいて第二項の第一号から五号まで書いてある事項は定められていくのか、その理念についてお教えをいただきたいと思います。
  121. 石川弘

    ○石川政府委員 御指摘の点でございますが、この法律の趣旨に掲げましたように、国有林野の現状が大変困難な事情にございます。基本的に申しますと、御承知のように、資源が非常に未成熟と申しますか、さらに相当期間たちませんと伐期に達しません幼齢林分が非常に大きいわけでございます。そういう条件の中で公益的機能を発揮しますために、伐採量を逐次縮減をしながら将来における資源の充実をやらなければいかぬというのが国有林の現状でございます。これを収支の面で申しますと、収支均衡させるのがかなり困難な事情にある、このあたりまでが現状という言葉にあろうかと思います。しかしながら、国有林につきましては、御承知のように、よく申し上げております木材を継続的に供給しなければならないという機能とか、あるいは水資源涵養その他の公益的機能、さらには国有林に依存します地域の方々に就労の場を提供する、そういう使命の重要性につきましては、いささかも変わるわけはないわけでございます。  そこで、この一条の趣旨にございますのは、そういう困難な現状でございますけれども、やはり国有林としては今後ともそれなりの使命を果たしていかなければならない。そのためには国有林が現在置かれております現状を何らかの意味改善していかなければならない。そのためには通常国有林がとっておりました措置だけでは不十分でございますので、ここに掲げたような改善のための特別の措置をとるのだということが第一条の趣旨であろうかと思います。  そこで、御指摘改善計画をどういう理念で立てていくかという御指摘でございますが、ただいま申しましたように、国有林は大変困難な事情にはございますが、国有林が持っております三つの大きな使命を達成しなければならない。そのためには現在ございます国有林状況改善すべきものは改善する、これは直すという方向は必ずしも何か縮減という方向だけを意味しておるのではございませんで、たとえば財源的なものを付加するようなプラスのものも含めまして改善すべきものは改善するというのが基本的考え方でございますので、この第二条に掲げましたような改善計画につきましても、いま申し上げましたようなことを理念といたしまして計画を立てていくつもりでございます。
  122. 日野市朗

    日野委員 午前中の委員会でも指摘があったところでございますけれども国有林野については国有林野事業法という法律がありませんね。それで、基本的な理念、基本的な使命というものについても、これはかなり自由に考えられている側面があるのではないかと思いますし、野坂委員指摘した国有林野の事業法というような、基本的な考え方を示す法律の必要性というのは私も強く感ずるのですが、それがない現状で現在のっとるべき法律としては私は林業基本法であるというふうに思いますが、この点についてのお考えはどうでしょう。
  123. 石川弘

    ○石川政府委員 基本法四条に国有林野に関する規定がございまして、この規定がやはり国有林の運営に関する一つの基本的な考え方を示しておるものと考えております。
  124. 日野市朗

    日野委員 この林業基本法の四条ですね、ここに基本的な考え方が示されていて、それが国有林の運営管理についての基準を与えている、私も同様に理解するべきだというふうに思いますが、林業基本法は、第四条ばかりでなくて、第一条についても国有林野についても当然適用がある、こういうふうに思いますが、いかがでしょう。
  125. 石川弘

    ○石川政府委員 もちろん国有林、民有林を問わず、林業の政策を展開いたしますための基本的法律が林業基本法でございますので、そういう意味では御指摘のような考え方に当然立つべきだと思っております。  四条につきましては、具体的に国有林の経営に関する規定を表記してあるものと考えております。
  126. 日野市朗

    日野委員 林業基本法によりますと、幾つか大きな国有林の政策決定についての基準が示されていると思います。これはまず林業の発展ということ、林業従事者の地位の向上ということ、森林資源の確保ということ、国土の保全ということ、それから第四条にいきますと、林産物の継続的な供給源となるんだということですね。それから、需給、価格の安定、それから公益的な機能を十分に果たさせる、こういったような機能があると思うのですが、ちょっと乱暴な質問になるかもしれませんけれども、いままでの国有林の経営はこれにのっとってきた、そして、これに合ってきたとは考えられない。だから、ここで特別措置を講じていままでのやり方を修正していくんだ、こういうふうに伺ってよろしゅうございましょうか。これはかなり高度な政治的な評価、判断もありますので、これは次官にお答えいただきたいと思います。本当は大臣が欲しいのですが。
  127. 今井勇

    今井政府委員 林業の基本に関しますものは、先ほどから事務局が答弁いたしますとおりでございまして、その面については何ら大綱としては変わっておりません。  ただ、今回の措置を講ぜざるを得なかったゆえんのものは、戦中戦後のやはり乱伐、過伐等によりまして、造林事業をいたしましたが、それがまだ十分な材になっていない。また、その後の経済事情等々もありまして、材価の低迷等もある。それらが相重なりまして国有林野の経営にもろもろの支障が出てきた。この際これを抜本的にひとつ立て直そうじゃないかということが一つの大きな転機でございまして、基本法並びにそれらに基づきますものが間違っていたから直そうというものではないというふうに考えております。
  128. 日野市朗

    日野委員 もろもろの支障が出てきたというのが非常にこれは味のある表現だと思うのですが、もろもろの支障が出てきたというためにはいろいろ根本的な根源があると思うのですね。その支障の根源、これは決して一つだけにとどまることなく多くの支障があったと思うのです。  それで、その支障が出てきて現状がどうも好ましくない状況であるというところまでは、これはわかるのですよ。それをどのように特別措置を講じて直していこうとするのかという点について伺いたいわけなんです。問題は多岐にわたります。それで、これから若干具体的な問題について幾つかの問いを発してまいりたいというふうに思います。  まず、森林資源の確保ということは、これはもう林業基本法にもうたってありますし、それから森林資源を確保していくということは、これは国家的な見地から見てきわめて重大なことであろうかというふうに思うのであります。  それで、森林資源を確保するためには、これはもう伐採それから造林、こういった面でいろいろ神経を使っていかなければならない、いろいろ考慮していかなければならない点は、これは多々あろうかと思うのです。  まず、林業基本法ができたのは昭和三十九年でありますが、それからどのような基本的な考え方のもとに伐採の業務を国有林で行ってきたのか、その考え方の大綱、これを示していただきたいと思います。
  129. 須藤徹男

    ○須藤説明員 ただいま先生お話ございましたように、三十九年に林業基本法が制定されまして、森林計画制度といたしましてはその当時から全国森林計画というものができておるわけでございますが、この全国森林計画といいますのは、民有林、国有林を含めまして全国の森林につきまして、今後の伐採、造林その他の量的、資源的な側面から見ました量を決めていこうということでございますが、その前にまず基本法にございます森林資源に関する基本計画、それから林産物の需給に僕する長期見通し、これに則して全国計画を立てるということに相なっておるわけでございまして、国有林はこの全国計画を受けまして、いわゆる国有林森林計画部面を規定していこうということでございまして、いまお話ございましたように、国有林、民有林を通じました日本森林全体の資源に関する長期的な計画のもとに国有林もやっていこうという方針でございます。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
  130. 日野市朗

    日野委員 いま基本計画長期見通しの話が出ましたけれども基本計画長期見通しを立てるということでその基本計画も立てた、長期見通しも立てたということなんですが、その長期見通しを立てる際の基本的な姿勢、基本的な森林に対する物の考え方、これに間違いあったと思いませんか。これは言うまでもないことですけれども森林というのは五年、十年の単位では考えることのできない問題であって、やはり数十年という単位で物を考えなければならない。そうすると、大体国内の生産量がどのくらいで、どのくらいの輸入量があって、そして何年にはどのくらいになっていくということを相当長期見通して立てるわけですから、そうしますと、その間、いろいろな経済事情の変動はあっても確固不抜たる見通しを立てる、基本計画を立てる、これが必要だと思うのです。  ところが、林野庁が立てられたそういった長期見通し基本計画、こういったものがどうも経済情勢に余りにも振り回されたという点を考えますと、一番最初の考え方の根本がどうも少し甘かったような感じがしてならないのですが、どうでしょう。
  131. 須藤徹男

    ○須藤説明員 ただいま基本計画ということと見通しという二通りの言葉をお使いになっておるわけでございますが、実は森林に関しましてはお話ございましたような経済的な要件というのはなかなかむずかしいわけでございますから、やはり資源的な側面の基本計画というものをまず立てるわけでございます。  それから見通しといいますのは、林産物の需給に関する長期見通しでございまして、これもわが国経済の今後の見通しを立てた上で、つまり需給がどうなるか、需要がどうなるかということをまず推定をいたしまして、基本になりますのはいま申し上げました森林資源に関する基本計画によって、供給量がどの程度国産として確保できるか、つまり、需要国産材供給の差額を外材で補っていこうということでございますから、どこまでも基本はわが国森林資源計画的に充実していこうということにあるわけでございまして、そういうものに立っていま申し上げました林産物の需給に関する長期見通しを立てるということに相なっておるわけでございます。
  132. 日野市朗

    日野委員 ちょっと私も一年生議員なものでして、農林水産委員でことしから来たばかりで、用語の使い方や何かちょっとまずいところがあるかもしれませんが、あなたはぼくが聞いたことに答えたのではなくて、いま森林資源に関する基本計画並びに重要な林産物の需要及び供給に関する長期見通しというものがどういうものであるかを御説明ください、どうもありがとうございました、それはそれで結構なんです。それを立てるについての根本的な物の考え方を私は聞いたのであって、あなたがいま答えられたことを私聞いたんじゃないんですが、もう一度答え直してください。
  133. 今井勇

    今井政府委員 私なりに理解をいたしてお答えをいたしたいと思いますが、山というのは非常に命の長いものでありますから、目まぐるしく変わります経済状況需給状況等だけを考えてやるわけにはいかないわけであります。したがって、超長期の目標を決めて、そして大体山がどのくらいな森林材を生産することができるかというふうなものをまず決めておいて、さらに片方で五年ないし十年、あるいは十五年のインターバルで需給状況考え、そして過不足を補っていこうという形であろうと思います。したがって、先生おっしゃいますように、いままでの森林計画等需給の差があったということは、すなわち需給見通しについて経済状況が非常に激しく揺れ動いたために需給のアンバランスができた、それが一つの原因であります。しかしながら、超長期森林長期見通しというものについても、これはしからば見直す必要がないのかといいますと、わが国の山の状況等を見ましても、やはりこの際若干見直すものもあるだろうというふうなことを言っておる次第でございまして、両々相まって今後の日本森林需給バランスをとっていこう、こういうふうに理解をしていただければよろしいかと存じます。
  134. 日野市朗

    日野委員 基本計画長期見通し、これは大体林業基本法ができてから本当はすぐに立てられなければならなかったものでありますね。ところが、これは四十一年になって公表された。そして、四十八年三月七日に改定されて公表されているわけですが、これは大体五十年を見通したものというふうに一応なっているわけでありますけれども、これは国民が今後森林を経営したり林業を経営するについての指標といいますか、そういうものになるきわめて重要なものだというふうに私は理解をするのですが、いかがでしょうか。
  135. 須藤徹男

    ○須藤説明員 先ほど申し上げましたように、資源に関する基本計画といまの長期需給見通しに即して全国森林計画を立てる。全国森林計画に従いまして、民有林につきましては地域森林計画、これがいま先生がおっしゃいました民有林のいわゆる施業計画の指標になるものでございます。したがって、これは相当重要性を持っておるわけでございますが、反面、国有林につきましては、全国計画から、現行の制度では経営基本計画、つまり国有林の全体の経営基本計画、それに従いまして地域施業計画というものを立てておるわけでございます。したがいまして、国有林の場合はみずからが計画を立て、みずからが実施するわけでございますから、民有林の場合とはずいぶん違うわけでございまして、民有林の場合には施業計画は個々が立てることになっておりまして、現在ではこれが全部カバーできていないという状況下でございます。したがって、森林計画段階でとどまっておるということでございます。
  136. 日野市朗

    日野委員 国有林国有林でやるんだ、それは結構なんですけれども、やはりかなり長期にわたってのきちんとした計画を立てて、そして長期にわたって山を維持し、生産を上げていく、こういう観点というものはあくまでも必要だったと思うのですが、どうもこの長期見通し国内生産量なんかの数字を見てみますと、たとえば最初は、昭和五十年の輸入量の見通しが二千九百四十万立米という一応の見通しを立てている。ところが、昭和四十二年に、すでにもうこれを大幅に上回って三千万立米を超えるような輸入量が出ているんじゃないでしょうか、どうでしょう。
  137. 須藤徹男

    ○須藤説明員 大変恐縮でございますが、ただいま私どもが準拠をいたしておりますのは四十八年に立てました基本計画であり、長期需給見通しでございまして、いま先生の御指摘になりましたのはその前の旧計画だと思いますが、いまここに数字を持ってきておりませんので、後ほどチェックいたします。
  138. 日野市朗

    日野委員 どちらにしても輸入量は非常に見通しを上回った、それも非常に大幅に上回ってしまったというようなことは言えるようですね。いかがですか。
  139. 須藤徹男

    ○須藤説明員 確かに需要量が非常に見通しよりもふえたということがございますし、それから国内生産が計画どおりいってないという両方の側面から、外材の輸入量がふえておるということは言えると思います。
  140. 日野市朗

    日野委員 国内生産量もなかなかふえなかったということなんですが、これは戦前戦後を通じての乱伐ということなんかもかなり大きく影響をしていると思うのですが、国内生産量を高めるという努力、これは造林をやっていくということと同時に、やはり森林資源を枯渇させないような方向で政策が進められなければならないというふうに私は思うわけなんです。どうでしょう、造林について、全国森林計画の中で昭和四十八年から六十二年までの人工造林の面積、これがどのような計画が立てられて、そして、どのような実施率であったか、これについてお答えをいただきたいと思います。
  141. 須藤徹男

    ○須藤説明員 ただいま御質問ございました四十八年以降の造林量でございますが、これは国有林、民有林を合わせた数字でございますけれども計画量といたしましては年平均四十七万一千ヘクタールでございます。そのうち、実行いたしましたのは、実は四十八年から五十年までのものしかここにございません。と申しますのは、五十一年にまた変更をやっておりますので、この三カ年間の実行の実績でございますが、四十八年度は四十万八千ヘクタール、つまり計画量に対して八七%、四十九年度は三十八万ヘクタール、計画量に対しまして八一%、それから五十年度が三十五万七千ヘクタール、計画量に対しまして七六%、三カ年間の平均が三十八万二千ヘクタールでございまして、計画量に対しまして八一%という数字でございます。
  142. 日野市朗

    日野委員 計画の達成率をいまずっと伺ったわけですが、これは達成率が少し低過ぎるのじゃないかというような感じがするんですが、いかがでしょう。
  143. 須藤徹男

    ○須藤説明員 ただいま造林のお尋ねでございましたので、伐採の方に触れなかったわけでございますが、伐採が行われて初めて造林が行われるわけでございますから、伐採の方のいまと同じようなことを申し上げますと、計画量に対しまして四十八年度が八五%、四十九年度が八一%、それから五十年度が七五%でございまして、伐採量のいまの達成率は八〇%でございます。したがいまして、この数字を見る限り、伐採がおくれたために造林も進まなかったということに相なるわけでございます。
  144. 日野市朗

    日野委員 その伐採がおくれたというのはどういう理由でしょう。
  145. 須藤徹男

    ○須藤説明員 いま申し上げましたのは、民有林、国有林含めての数字でございます。したがって、いわゆる石油ショック以来の林業をめぐりますいろいろな悪条件、木材価格もございますし、外材の問題もございますし、いろいろな林業をめぐります条件の悪化に伴いまして伐採性向が鈍ってきておるということが言えると思うのでございます。
  146. 日野市朗

    日野委員 造林は一応伐採をした跡に造林をする、こういう考え方である、そういうふうにやるのはよくわかるんですが、ただ、伐採をした跡地に造林をしていくということなんですけれども、果たしてその伐採をした跡にきちんと造林がなされているのかどうかということになると、私非常に疑問がないわけではないんです。たとえば、伐採をするにしても、伐採をし、そして集材をする、かなり大規模に機械化されて集材なんかもやられているようですね。そうすると、かなり跡地が荒廃をしてなかなか造林になじまないといいますか、造林しにくいというような現状があるのじゃありませんか。
  147. 須藤徹男

    ○須藤説明員 ただいま先生の御指摘の点は、恐らく国有林におきます大型機械を使った跡地のお話だと思いますが、私どもの現地の経験では、大型機械を使ったために跡地が荒れて造林ができないというような状況は出ていないというふうに私どもは理解をいたしております。
  148. 日野市朗

    日野委員 たとえば、トラクター集材なんかをやる、または全幹集材なんかをやる。そうしますと、もうこれで地ごしらえが十分にできるのだろうかという感じを抱くところがかなりあるわけなんですが、たとえばトラクター集材をやる。そうしますと、そこから地ごしらえをやって、そうして、きちんと植林をしていくということにかなりの支障があるというような実感を実は私持つのですが、いかがなものでしょう。
  149. 秋山智英

    ○秋山説明員 国有林につきまして御説明申し上げますと、国有林事業実行につきましては、ただいま指導部長から御説明申し上げましたとおり、森林計画に基づきまして国有林部分につきまして経営基本計画、さらには地区ごとに施業計画をつくっております。これをつくるに当たりましては、昭和四十八年以降でございますが、新しい施業方法というのを取り入れまして、たとえば亜高山地帯、北海道ですと六百メートル以上、内地ですと千メートル以上というようなところにつきましては、皆伐いたしますと更新が非常にむずかしい面がございますので、そういうところにつきましては択伐作業をやりまして天然下種更新をする。それから、それよりも海抜が低くて将来人工林にして生産力を上げるところにつきましては、小面積の区画皆伐というようなことをいたしまして跡地を造林するということでございます。その場合にも岩石地のようなところは除地として外しまして、普通の林地につきましては計画どおりに造林をしているというのが実態でございます。
  150. 日野市朗

    日野委員 どっちにしても森林計画に対する実績といいますと、必ずしも実績計画どおりにはいっていない。この森林計画というのは五年ごとにつくり変えていくということで、ことしの四月にもまた新たなものを作成しているようでありますが、この新たな計画の策定に当たって、十分に森林計画が達成されなかった、これのどういう点に問題点があったかという点をどのように考えておられますか。
  151. 須藤徹男

    ○須藤説明員 先ほど来から私申し上げておりましたのは、民有林、国有林を含めての数字を申し上げておったわけでございまして、特に民有林、国有林を分けますと、民有林の達成率が非常に低いというところに非常に問題がございます。  そこで、今回もいろいろ御議論いただいておりますが、四十八年に立てました資源に関する基本計画並びに林産物の長期需給見通しと、それからつくります全国計画と実行との間に相当乖離が出ているじゃないかというお話がございます。そこで、私どもといたしましても、現在の持っております基本計画並びに見通しは、昭和四十八年でございますから、ちょうどまだわが国としては高度成長時代の経済環境下でつくった基本計画であり、見通しでございますので、それに発します全国計画でございますので、その辺はどうも矛盾があるわけでございますけれども、制度上即するということに相なっておりますので、今回立てました全国計画は、一応現在の基本計画並びに長期需給見通しに即して立てるということで立てておるわけでございます。したがって、そこにはなかなか実効の確保が困難であるという問題が伏在いたしております。しかしながら、これも早急に、いま申し上げました基本となる計画並びに需給長期見通しを見直すことによって全国計画もまた変更せざるを得ないというような段階が来るかと考えておるわけでございます。
  152. 日野市朗

    日野委員 造林についてはちゃんとやっているというようなお話のように伺ったわけなんですが、よく不良造林地があって、かなりの面積に及ぶのだと私も聞いているわけですが、不良造林地と言われるのは国有林で大体どの程度あると理解しておられましょう。
  153. 秋山智英

    ○秋山説明員 昭和五十二年の四月一日現在で私ども調査した結果によりますと、生育が不十分な造林地は一万五千百ヘクタールございます。これは全造林地二百三万ヘクタ-ルに対しまして約〇・七%でございます。大部分の造林地は生育が非常によくあるわけでありますが、厳しい自然環境のもとに置かれて造林地が生育する関係がございまして、この程度の不成績造林地はやむを得ないものと考えております。なおまた、いま申しました一万五千百ヘクタールにつきましては、その生育状況を見ながら今後七千六百ヘクタールぐらいは改植してまいろうと考えております。また、下刈りとかあるいは除伐と申しますか、早期保育をしていかなければならない造林地は約三万ヘクタールぐらいあると見ております。  私ども、今後の森林資源を造成するに当たりましては造林というのが一番重要な事業でございますので、これについては積極的に取り組んでまいりたい、かように考えておるところでございます。
  154. 日野市朗

    日野委員 私たちの方の調査といいますか、私たちが伺ったところではどうも〇・七%なんというものじゃないように思うのですが、どうでしょう。いま私が持っているのは、前に北海道の林務部長をやっていた方が森林計画研究会発行の「会報」という雑誌に書かれた論文なんですが、こんなふうに書いてあるのです。概略申し上げますと、消息通の推定するところでは実際は大体五〇%ぐらいしか成林にはならないのではないかと書いているのです。これは北海道について書いているのですが、北海道というのは何か特殊な事情なんですか。
  155. 秋山智英

    ○秋山説明員 北海道におきましては、昭和二十九年に御案内の台風がございまして、相当大面積の被害地が出たわけでございます。その跡地に造林をいたしましたこともございまして、自然環境が非常に厳しいという面がございます。したがいまして、内地に比べますと成績は悪い側面があるわけでございます。しかしながら、造林地の中で優良な広葉樹等が出てまいります場合には、造林地と、中にある優良広葉樹を育てまして混交林をつくるというような方法で今後育てていった方がいい林分もございますが、そういう面につきましてはそういう方法をとっているわけでございます。
  156. 日野市朗

    日野委員 それにしても全国で〇・七%というのと、北海道だけで五割ぐらいは出ていそうだよということになると、感覚的に、お答えと実際とが余りにも違い過ぎやしないかというような感じがいたします。私たちも幾つかの国有林のこれが不良な部分ですよと言われるのを見ますと、国有林とそれに隣接する民有林との間に余りにも差があるような例をよく見るのです。  私、この間妻篭営林署の管内を見てきたのです。そうしたら、妻篭営林署管内の国有林の不良林は、全くこれが植林をしたところかなという感じがするぐらいクマザサに覆われて、その中にところどころヒノキらしい幼樹のこずえがちょこっとのぞいているというような状態で、その隣に明治神宮の山があるのですが、こっちは本当にみごとに整理されたところでして、同じような地域で何でこんな差が出てくるのかということを私非常に疑問に思ったのです。私、ずっと妻篭の管内も見てきたのですが、ずいぶん不良造林地が多いように思います。これはとうてい〇・七%なんという数では済まないと思うわけです。  こんなことも言う人がいるのですが、どうですか。国有林で造林をする。そうすると、余り手入れをしないわけですな。手入れをしないと、だんだん広葉樹や何かが茂ってきて、それまでに植えたものがすっかり見えなくなってしまう。そうすると、それを不良造林地としては扱わずに広葉樹林として、自然林として扱ってしまう、そういう取り扱いをしているかに聞くのですが、どうでしょう、そのようなことはありませんか。
  157. 秋山智英

    ○秋山説明員 妻篭の管内の件につきまして申し上げますと、昭和三十六年から五十一年までに皆伐した面積が千六十ヘクタールございます。その中で九百五十ヘクタールは造林をしているわけでございます。造林地の保育につきましても、過去十カ年におきまして、施業計画に基づきまして下刈りにつきましても計画どおり実施しておりますし、除伐につきましても九〇%の実施となっておりまして、私ども、現地の林況に応じまして適切にしておると考えておるわけでございます。  ただ、妻篭の管内におきましては、御案内の伊勢湾台風とか第二室戸台風というような台風がございまして一斉に風倒木が出た関係もございまして、風衝地その他の林分がその当時倒れまして、その跡に植えた部分に一部不良なものがございます。それで、過去におきまして、先ほど申しました九百五十ヘクタールの造林地の中で約百ヘクタール、一割に相当するものは、その後さらにまた改植という方法によりまして跡地更新をしておる実態でございます。
  158. 日野市朗

    日野委員 私の方で現実に妻篭に行ったときも調べてもらったのですが、大体二五%は不良造林地だ、こう言うんですね。それで、確かにカモシカの害もあるということを署長さんなんかも言っておりました。カモシカに食われてしまうのだということもありました。それはカモシカの害もありましょうけれども、まさか明治神宮の木の方はカモシカが食わないで、国有林の方にばかりカモシカが来て食っているわけでもないと思うのですがね。やはり不良造林地がもっとあるのだということをもう少ししっかりと見据えないといかぬのではないでしょうか。これは妻篭の管内ばかりでなくて、私もいろいろ造林地を見るのですけれども国有林の造林地というのは手入れがきわめて悪い、このことは私、指摘しなくちゃいけないと思いますよ。枝打ちもしていない、下刈りも除間伐も余り行き届いていない。そして、一面ツタに覆われ、広葉樹に覆われ、ササに覆われという、こういう事態がかなりあるんだということを率直に認識した上で将来の造林計画を立てないと、当面を糊塗して、〇・七%でございますというような当面の説明をするだけでは、これは将来の日本国有林にとってはゆゆしい問題になると思うのですが、いかがでしょう。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕  国有林の手入れが行き届かないという現状をあなたもごらんになったことがありましょう。そこで、枝打ちをすること、下刈りをすること、そういった除間伐の手入れにいまどのくらいの人手をかけているのでしょう。
  159. 秋山智英

    ○秋山説明員 植えつけにつきましては、地域によって違いますが、大体三十人ないし三十三人、そのくらいを投入しております。それから、下刈りにつきましては大体四人ないし五人、それから、除伐につきましては約八人程度を投入しております。これはいずれもヘクタール当たりの労働投下量でございます。
  160. 日野市朗

    日野委員 ヘクタール当たりそれくらいの人員では足りないというのが私の率直な感想です。現在、妻篭のヘクタール当たりの保育にかけている人員を見ますと、年度によって違いはありますが、大体二人から多くて三人というのが実情ではありませんか。
  161. 秋山智英

    ○秋山説明員 いま妻篭の例が出ましたので申し上げますが、平均いたしまして、下刈りにつきましては四・二人、それから除伐につきましては八・二人でございます。したがいまして、これは地域の民有林等とほぼ同じ程度の投入量だと思っております。  なお、下刈りでございますが、これは植えつけた後何回かするわけでございますけれども、杉につきましては、下刈りの回数は、大体七回ぐらいはいたします。それから、除伐につきましては、下刈りが大体七年ごろで終わりますので、九年ないし十五年の間に三回ほど実施するということでいたしております。
  162. 日野市朗

    日野委員 それだけ人数をかけてあなたが十分だと言うわりには非常に不良である。私は現実にこの目で見て不良であると思ってまいりました。まあ明治神宮は金があるのかどうか私は知りませんが、隣の明治神宮の山なんというのは、これは非常に美林になるなあと思います。片っ方はクマザサに覆われた、何とも言いようのない、本当に粗雑な不良な山だと思います。そういう現状をもっとシビアにごらんになることが必要だと私は思います。  それから、今度は治山の面についても若干伺っておきたいと思うのですが、現在、大規模皆伐なんかをやりますと山が非常に荒れますし、治山上もかなりの問題点が出ているように私思うのです。結局、国土の保全ということから言いますと、これは大変な問題だというふうに私は思います。もちろん、国土というのは国の存立の基礎でありますから、国土を守るということは、これは何といっても森林の大きな機能の一つとされていますが、治山については治山事業五カ年計画を立てておられるようです。第一次五カ年計画から、現在は第五次五カ年計画まで進んできているわけですが、国有林におけるこの五カ年計画の進捗状況は何%ぐらいになっているものでしょうか。
  163. 秋山智英

    ○秋山説明員 第四次の治山五カ年計画は、これは四十七年から五十一年度までの五カ年につきまして作成したものでありますが、その中におきまして、国有林の部分について申し上げますと、五カ年間で一千二百億円でございます。これに対しまして実績は八百六十七億円でございまして、七二%の進捗状況になっております。
  164. 日野市朗

    日野委員 この治山事業の五カ年計画ですが、昭和三十五年から三十九年までの第一次五カ年計画は一二五%、それから第二次は五六%、第三次は六七%というふうにずうっとおくれてきているように数字の上からは見えますが、いかがでしょうか。この数字は間違っておりませんか。それから、このようにおくれている原因はどういうところにありますか。
  165. 秋山智英

    ○秋山説明員 四十八年度までは計画どおり実施されたわけでありますが、その後、御案内の石油危機の突発に備えまして総需要の抑制等を受けまして、後半におきまして計画よりも落ちておる実態でございます。
  166. 日野市朗

    日野委員 第五次五カ年計画が現在進行中ですが、これのことしまでの進捗の状況ですね。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 予算がどのくらいついて、どの程度の率になっておりますか。
  167. 須藤徹男

    ○須藤説明員 第五次治山五カ年計画の総額につきましては一兆三百億円でございまして、五十二年度実施が千五百九十五億、それから五十三年度の現在の予算でございますが、千七百六十四億、合計で三千三百五十九億でございまして、五十三年度進捗率は二八・七%でございます。
  168. 日野市朗

    日野委員 この治山事業ではダムをつくるというのと、それから、いろいろ木を植えるというような事業と二通りあるわけですが、どうも砂防ダムをつくるということに事業の主力が置かれ過ぎているように思いますが、堰堤づくりというのは、その堰堤が満杯になってしまえばそれでもう役に立たなくなってしまうということなんで、堰堤はかなり満杯になっていて、むしろこれはきちんと木を植えていくんだ、山をきちんと緑にしていってそこで緑のダムづくりをするんだ、こういうふうにむしろ主眼を置かなければイタチごっこを繰り返すような感じになるんじゃないかと思いますが、どのようにお考えになっておられますか。
  169. 須藤徹男

    ○須藤説明員 治山事業はダムをつくるということが目的ではございませんで、おっしゃるとおり、ダムというのはやはり山脚を固定する、安定させるための一つの手段でございまして、あくまでも山腹の復旧、植林をし、山腹を復旧していくということが治山事業の本旨でございますので、そういう方向で実行しておるわけでございます。  それから、大変恐縮でございますが、先ほど先生の御質問の中で、業務部長から答弁をしておりませんので、私から御答弁申し上げますが、第一次治山五カ年計画の達成率が一一八%、第二次治山五カ年計画の達成率が五七%、第三次が六九%、第四次が八七%でございます。ただし、この第二次治山五カ年計画につきましては、四十年から四十二年の三カ年間の進捗率でございます。第三次につきましては、四十三年から四十六年の四カ年間の進捗率でございます。
  170. 日野市朗

    日野委員 この治山などというのは非常にじみな仕事ではありますけれども、これをきちんとやっていかないと、山が荒れることによってダイレクトにその山の周辺に住んでいる国民に迷惑がかかるというような事態が起きると思いますので、この点については決してゆるがせにはできないことではなかろうかというふうに思っているのであります。  ここで、妻篭営林署管内の話が出ましたので、私ちょっとこの妻篭の問題についていろいろ伺っておきたいと思うのですが、昭和三十六年に南木曽町が誕生しているわけなんですが、その後十五年間に十二回に及ぶ大災害が発生しているわけですね。そして、四十年以降十一年間では七回という非常に多くの災害が発生しているわけなんであります。そして、それと呼応するかのように木曽谷における伐採がどんどん進行して、木曽谷の山が非常に荒れているという現状が指摘できるのではないかと思いますが、この南木曽川を襲った水害、これと山が荒れたということとの関連、これは林野庁としてもお認めになっておられますね。
  171. 秋山智英

    ○秋山説明員 御案内の妻篭営林署管内の山地崩壊でございますが、先ほどもちょっと触れましたが、昭和三十四年に伊勢湾台風をまともに受けまして、著しい風倒木が生じたわけであります。それから、その後相次ぎまして台風あるいは梅雨前線によりまして集中豪雨など、非常に異常な降雨に見舞われまして、風倒木の根倒れと申しますか、根元から倒れるような状況でございますが、それが起きまして、跡地がやはり崩壊の根源になるような、そういう崩壊地が御案内のとおり発生したわけでございます。林野庁といたしましては、それ以来、三十五年から五十二年度まででございますが、約十四億六千万円の治山事業をいたしまして、その積極的な復旧に努めてきたところであります。  それに関連します今度伐採量の関係でございますが、ただいま申し上げました台風等によりまして、風倒木が異常に発生しまして、三十四年から四十一年にわたる間に、被害木が約二十三万立方メートル出ております。それからさらに、昭和三十年代におきまして、国民経済の発展に伴いまして、木材需要の増大に即応するために、天然林におきましてそれを供給、さらに跡地を生産力の高い人工林に振り向けるということで、伐採をしてまいりまして、その分を合わせますと四十四万立方メートルをその間に伐採をしております。
  172. 日野市朗

    日野委員 大災害の原因は、天災的な要因も確かにあったでありましょうが、やはり切り過ぎであったということもこれは認めざるを得ないのじゃなかろうかというふうに思うのですね。私の方で調べた資料によりますと、昭和三十五年から四十年までの間では、成長量に対して六二九%から九四五%という、本当に成長量を大幅というよりは超大幅に上回る伐倒をやっているようであります。これは長野営林局の平均である二七九%から四一七%という過伐、これもかなりの過伐でありますけれども、それを上回る伐採をやっている。これは間違いありませんね。
  173. 秋山智英

    ○秋山説明員 ただいま申し上げましたとおり、その間に四十四万立方メートルの総収穫量がございますが、先ほど触れましたように、風倒木が相当あるわけでありまして、経常の収穫量は二十五万立方メートルでございまして、これは成長量の約二倍弱でございます。御案内のとおり、この地域は、樹齢が三百年近い天然林でございますので、成長量は低いわけでございます。私どもといたしましては、将来の森林資源をより増大するために、人工林に切りかえるというふうなことで対処してまいったわけであります。  なお、四十八年以降は、先ほどちょっと触れましたとおり、新しい施業方法、特に森林の持っております公益的な機能に特に重点を置きました森林の取り扱いに変えておりますので、現在におきましては、その後の人工林の成長量の増加も寄与いたしまして、大体南木曽地区におきましては収穫量と成長量は均衡しておる実態にございます。
  174. 日野市朗

    日野委員 私、三十五年から四十年までの間、これは非常にえらい乱伐だなというふうに思う期間、それについて伺ったわけなんですが、それでは、人工造林、これは伐採面積に対する割合、これは何%を人工造林しておりますか。
  175. 秋山智英

    ○秋山説明員 昭和三十六年度以降五十一年度までに伐採した面積は、皆伐が、先ほど申し上げましたとおり一千六十ヘクタール、それから択伐、これは抜き切りでございますが、択伐をいたしました面積が二百四十ヘクタール、それから間伐と申しまして、被害木が発生いたしましてそれを抜き切りにいたしました面積が千四百ヘクタールございます。したがいまして、私どもの人工造林は皆伐個所を対象としていたしております。その面積が九百五十ヘクタールでございまして、残りの部分は、これは林道敷その他新植の必要のない個所でございますので、私どもとしては伐採した跡地は現地の立地条件に合わせまして更新をしているというふうに理解をしております。
  176. 日野市朗

    日野委員 いまのお答えを伺いますと、成長量に対しては二倍程度しか切ってていないんだというお話でありますし、それから造林も一千六十ヘクタールに対して九百五十やっておるというようなお話なんですが、これは大分私の手元にある資料とは違うんですが、いまあなたがお答えになった資料は何に基づきましたか。
  177. 秋山智英

    ○秋山説明員 長野営林局で計画策定いたしております地域施業計画書に基づいております。
  178. 日野市朗

    日野委員 施業計画書の中の、これは一応表になっておると思うのですが、何という表題がついておりますか。
  179. 秋山智英

    ○秋山説明員 木曽谷地域施業計画区に対しましてつくっております施業計画でございます。
  180. 日野市朗

    日野委員 それは後で資料としてお出しいただけるでしょうか。資料の提出をお願いしたいと思いますが、私の方の手元にある資料によりますと、これは「特別会計に占める木曽谷の収支差益」と題する一覧表でありますが、それによりますと、木曽谷では成長量に対する伐採超過率が昭和三十六年六七%、昭和三十七年七六九%、昭和三十八年九〇〇%、三十九年九四五%、四十年七二四%、四十一年六五四%となっているわけです。以下漸減を示すわけでありますが、どうもこれは私の方で持っている資料と林野庁がお持ちの資料とでは数字のとり方が大分違う。ここからかなりの現状認識の差異が出てくるし、当然将来の展望の差異が出てくるであろうと思うのです。私は、特別措置法をつくるについても、現状を甘い認識で特別措置をやったのではこれは何にもならぬと思うのです。現状を厳しく見詰めた上での将来を展望しての特別措置でなければ何にもならないと思いますので、資料を提出していただきましたならば、それも十分検討させていただきたいと思います。  それから妻篭営林署に参りますと、先ほど造林の話が出ましたけれども、造林のみならず、治山の全体計画、これが私非常に遺憾に思ったんですが、妻篭営林署に行って、全体計画あるのか、どの程度規模でやっているのだというふうに聞きましたら、いや、そんなものはありませんよと、ぶっきらぼうにお答えになる方がおられた。後で聞いてみましたら、長野営林局の総務部長さんですか、何かその方だったようでありますが、私もずっと妻篭をながめてみまして、これは大変なものだというふうに思いました。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 やはり大変な山の荒れぐあいであります。  私、いまここに「木曽谷地域施業計画区妻篭事業区事業図」というのを持っているのです。これは林野庁にもありますでしょうから、よくごらんをいただきたいと思うのでありますが、山崩れが起きているところ、それが赤く塗ってあるのですが、まさに全図真っ赤である。全山真っ赤であると言っても過言でないくらい真っ赤になっている地域がいっぱいございます。非常に山が荒れているということはお認めになりますか。そして、こういう状況は妻篭に特殊なものなのであるか、それとも全国にこういう地域はかなりあるのか、そこをひとつ認識を伺っておきたいのですが。
  181. 秋山智英

    ○秋山説明員 御案内の南木曽町一帯は花崗岩の深層風化の地帯でございまして、地質的には非常に脆弱でございます。しかも、雨が非常に多うございまして、傾斜も急であるというようなことで、過去におきまして、先生からお話ございましたように、災害が何回か出ておることは、私どもも実態として認めております。
  182. 日野市朗

    日野委員 いまおっしゃった意味、よくわかります。これは結局花崗岩が非常に風化していて、走りやすい地盤だということもよくわかるんです。しかし、それではいま行っている施策の説明にはならぬということですね。それが非常に崩れやすい山だというのならば、それはわかるんです。崩れやすい山だ、だから仕方がないというのか。その崩れやすさに果敢にいどんで山をとめていく、治山をやっていく、そういう覚悟があるのかどうか、その気魄が現在の林野庁にあるのかどうか、それを伺いましょう。
  183. 秋山智英

    ○秋山説明員 私どもは、御案内のとおり、三十六年から鋭意治山事業をこの地域実施してきておるわけであります。今般作成いたしました第五次治山事業五カ年計画におきましても、この妻篭署管内におきまして崩壊地が出ております中から特に民生安定上緊急を要するものを優先いたしまして約十一億六百万円程度の事業を計画をしておるところであります。
  184. 日野市朗

    日野委員 それは十一億五千四百万何がしという額になりますね。十一億六百万程度のものというお話だったんですが、それになるんだろうと思うのですが、実はこれ、私はいまでも非常に不可解なんですが、私たちがこの調査に行ったときに営林署にも立ち寄らせていただきまして、そこで妻篭の管内の治山全体計画というものがありますかということを聞いてみたら、そんなものはありません、こういう答えだったんですが、これは答えられた方がこっちの質問を誤解されたのか、それとも何か隠されたのか、それはわかりませんが、そうすると、治山全体計画として十一億五千四百万ほどの額を計上した全体計画ができておる、これは確認してよろしゅうございますね。
  185. 秋山智英

    ○秋山説明員 ただいま申し上げましたのは、第五次の治山事業五カ年計画におきまして計画を予定している金額でございます。
  186. 日野市朗

    日野委員 四十七年から五十一年の実績は、年平均どれくらいになっていますか。
  187. 秋山智英

    ○秋山説明員 四十七年におきましては、一億二千三百万円、それから四十八年一億三千九百万円、四十九年一億九百万円、五十年一億六千五百万円、五十一年一億五千百万円、五十二年二億五百万円でございます。
  188. 日野市朗

    日野委員 これを年平均に直してみますと、大体一億四千万程度になるわけですね。そうすると、これはこの五カ年計画のさっきお示しをいただいた十一億五千四百万ほどの予算をとって五カ年計画を進めるわけなんですが、これは毎年毎年かかる費用が増大していく。つまり、物価の値上がりやら人件費の値上がりやら、それから崩落地がふえていくというような現状からしますと、いまお示しをいただいた四十七年から五十一年までの金の使いぐあいですと、現状を直していくだけでもかなりの年数がかかるのではないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  189. 秋山智英

    ○秋山説明員 今度の五カ年計画におきましては、ただいま申し上げましたとおり、年間二億円を超える事業量で実施してまいりたい、かように考えておるところでございます。したがいまして、今後さらにそれ以外の部分につきましては優先度、緊急性を考えながら実施してまいることにしております。
  190. 日野市朗

    日野委員 私も山に入ってそっちこっち見せていただきたいと思ったのですが、そこは危ないから行かないでくれというようなことで営林署の方方にとめられたりもしたのでありますが、非常に崩落地が多い。しかも、現状は、空から石が降ってくる、そういう危険があるという状況が見受けられまして、治山のためにはかなり緊急性があるというふうに私、実感をしてきたのです。特に砂防堰堤なんかは、どの堰堤もどの堰堤もみなすっかり土砂で埋まっておるという現状ですね。こういう現状については、これは林野庁認識しておられますか。
  191. 秋山智英

    ○秋山説明員 私ども、先ほど触れましたように、この木曽谷の南部は地質的にもそれから気象的にもいろいろと災害の出やすい実態になっておることは十分認識しております。  そこで、この地域に合った最適工法はどういう方法がいいかというようなことで、実は五十一年、五十二年、二カ年かけまして工法の技術的な改善プラン、御案内の俗称南木曽プランというふうに呼んでおりますが、これはこの地域に最も適当した工法の技術的な改善プランを立てようということで、調査機関に研究を依頼いたしまして、これは大学、試験所関係の先生方が中心でございますが、その結果に基づきまして今後南木曽地域に最も適した工法の確立をしてまいりたい。低いダムを幾つかつくる低ダム群のシステムがこの地域に合った工法ではないかというふうな先生方の回答もいただいておりますので、これまでの工事成果、あるいは治山施行上の問題点を十分踏まえまして今後実施してまいりたい、かように考えておるところであります。
  192. 日野市朗

    日野委員 私は、こういう現状を認識していますかというのは、ダムがかなりいっぱいになっておる。この次にもし水害が来て大量の土砂が来たら、とても支え切れるものでも何でもない。ダムなんというのは役に立たぬ現状だと思うのですが、そういう現状の認識はありますか。  南木曽プランのことはまた後で伺います。
  193. 秋山智英

    ○秋山説明員 あの地域は、先ほど申し上げましたとおり、花崗岩の深層風化の地域でございますので、それにやはり見合った形の工法をとるということが最も重要と思っておりますし、過去におきましてもそういう考え方で実施してまいったわけでありますが、さらに工夫を加えてやってまいりたいと考えておるところでございます。
  194. 日野市朗

    日野委員 私が見た範囲では、もし水害でも起きて、せっかく中山道の復旧ということで妻篭あたりは観光地としても非常に努力をしておるのですが、ひょっとしてあそこいらにどっと土砂が押し寄せるというようなことにでもなれば、場合によってはこれは国の工作物の設置保存に対する瑕疵などということでその不法行為責任を追及されるような事態すら避けられないのではないかというふうに実は私は思ってまいりましたので、そういう意味では、国のためにも、それから住民のためにもあそこの治山事業というものは最優先で手間暇を惜しまずに、金も惜しまずにやらなければならないだろうというふうに私実感をしておりますので、ここでそのことは申し上げておきたいと思います。  さっきせっかく南木曽プランの話が出ました。南木曽プランについてもうかなり作業も進捗しているでありましょうから、それが公表できる段階にあるのかどうか、公表できないとすればなぜ公表できないのか、もし公表できるとすれば、骨格、この場で少しお示しいただけませんか。
  195. 秋山智英

    ○秋山説明員 現在その調査結果を踏まえまして検討中でございますので、まだ公表できる段階まで至っておりません。
  196. 日野市朗

    日野委員 特に南木曽町の住民は、この南木曽プランなるものはどのように進められるのかということについて非常に心配をしている。町長さん、それから町議会、これらも思いは南木曽プランの内容、これをできるだけ提示してもらいたいということは非常に強い願望であるようであります。特に、私いま申し上げましたように、住民の不安も非常によくわかるのですね。国がどういう施策を講じようとしているのかということは、単に結果だけを示すのではなくて、そのプロセスをも示していくことが、住民の納得という点から言えば非常に重要なことだと思いますので、いまだ公表の段階ではないというふうにお答えいただいたわけですが、公表できないとすればどういうところに問題点があるのかということだけでも結構ですからお示しいただけませんか。
  197. 秋山智英

    ○秋山説明員 問題点というものを、報告に基づきまして今後の進め方の検討をしている段階でございますので、しばらく時間がかかると思いますが、ただいま先生指摘のとおり、地域の皆さん方もこれには関心を持っておられますので、その南木曽プランができましたならば十分説明をしたいと考えております。
  198. 日野市朗

    日野委員 南木曽プランについて伺ったのですが、その結果によっていろいろ左右される点があるのかもしれませんけれども、妻篭管内の治山に要する、全面復旧にかかる予算、これはどの程度というふうに試算しておられますか。
  199. 秋山智英

    ○秋山説明員 これは正式に決めたものではございませんが、内部資料といたしまして長野営林局で治山計画を立てるために調査したものによりますと、百億円を超える計画になっておるようであります。
  200. 日野市朗

    日野委員 先ほど治山の五カ年計画に基づく支出を伺いましたけれども、それによりますと、これから妻篭管内の荒れた山を直していくには百年からかかるということになりますね。私は余り古いことはわかりませんけれども、あの辺はいわゆるうっそうたる木曽の美林であったはずですね。しかし、もういまやかつての木曽の美林をもって覆われた木曽谷の面影もないというのが現状であって、それを復旧していくためにはかれこれ百年近くかかっていくというようなことでは、これはもう各観点からながめて、多方面からいろいろながめてみてゆゆしい問題であるというふうに思いますので、この点についてはこれからも林野庁としても積極的に取り組んでいく、農林省としても積極的に取り組んでいくということがないと、これは大変なことだろうというふうに私思うのですが、どうですか、次官。
  201. 今井勇

    今井政府委員 いままでの質疑応答を拝聴いたしておりましたが、妻篭のお話がたまたま出ましたが、同様なことは多分、地形の急峻なところで日本全国至るところにあろうかと思います。そういう意味からも、この治山事業というものの予算を飛躍的に伸ばすような、そういう施策を政府としてもぜひ講じなければならないと思います。どちらかといいますと、治山、砂防というものは最近でこそ非常にやかましく言われ始めましたが、これはごく最近のことでございまして、今後も私どももしっかり腹を据えてがんばりたいと思いますので、ひとつ先生方のなお一層の大いなる御支援を賜りたいと思います。
  202. 日野市朗

    日野委員 私は妻篭の山を歩いてみて、その治山、特に山を富ませる植生を植えつけていくという過程でこれは問題ではなかろうかなというふうに思ったことがございます。あそこではどうもPNC板工法というのを使っているようですね。PNC板といいますと、従来の丸太積みというような方法とはまるっきり違った、原理的にもかなり違った方法を採用しているようなんでありますが、このPNC板の工法について林野庁としてどのように考えているのか、また、長野営林局でこのようなものを使うことについての林野庁としての考え方、これを教えてください。
  203. 秋山智英

    ○秋山説明員 PNC板工法の利点でございますが、これは組み立ての施工が容易でございまして、緊急対応ができる特徴がございます。それから、排水が非常に容易でございまして、かつまた耐久性、強度もすぐれておると考えております。それから、ソリッドコンクリートの併用等で階段施工をしてまいりますと、高さが調整できますので土どめの効果が大きいというふうに考えております。  そういうふうな考え方に基づきましてここでは実施しているわけでありますが、このPNC板の工法につきましては、御案内のとおり、昭和三十年代の前半から国有林、民有林に導入されておりまして、現在では一般に普及定着しておる工法というふうに考えております。
  204. 日野市朗

    日野委員 実績は大分上がっているということでしょうか。
  205. 秋山智英

    ○秋山説明員 上がっておると考えております。  なお、枠組み工法等との関係でございますが、あそこは御案内のとおり、ほとんど深層風化のさらさらした土壌でございまして、それがなくなりますと岩盤になりますから、下から土壌を運んでその間に土壌をとめるというふうな工法を使っておるという実態から見ますと、適しているというふうに考えております。
  206. 日野市朗

    日野委員 私が行って現地で調査してみますと、どうも現場の人たちは、これがそんなに効果があるとは思えないということを率直に言っておりますね。むしろ、従来の丸太積みのような工法をとった方が失敗はない、こう言っておるのですよ。これはどうも私、治山事業にしても造林事業にしてもずっと言えることですが、できるだけ金をかけない、人をかけない、採算性ということにだけ目が行って、そのことが従来の人手をかけたやり方というものを一概に退けているような感じがしてならないのですが、そういうことはございませんか。
  207. 秋山智英

    ○秋山説明員 現地の実態に即して私どもも対応しておる考えでございますし、単価につきましてもこの工法の方が高い実情にございます。
  208. 日野市朗

    日野委員 今度の特別掛冠法案の第二条の二項の改善計画に関連するのだと思うのですが、どうもこれだけ問題点が多いと思われる妻篭営林署、これが廃止されそうだということなんですが、この点はいかがでしょう。
  209. 石川弘

    ○石川政府委員 営林署の統廃合問題につきましては、内地の九営林局につきまして各一署ずつを統廃合するということを予定をいたしております。この点につきましては、現在部内で、どのような営林署についてそういうことをすることが最も適切かどうか、それから、地元にもいろいろ関連があるわけでございますし、それから、その後におけるその地域における国有林野事業のみならず他の林業等に与える影響等もございますので、鋭意検討いたしておりますが、現段階では決定をいたしておりません。
  210. 日野市朗

    日野委員 妻篭営林署に治山事業所がございますね。この治山事業所というのは、妻篭営林署の管内の山に関する限り、治山に関する業務が非常に重要である。であるから、治山事業所はもう絶対に廃止してはならないものであるし、妻篭営林署の管内の治山事業に非常に強い関心を注ぐという観点からも、やはり妻篭営林署というものは廃止すべきではないし、むしろこれから治山事業を一層進めていくためには署の内容を強化するというようなことこそ必要ではないかというふうに考えているのですが、いかがでしょう。
  211. 石川弘

    ○石川政府委員 私ども、この種の営林署あるいはこういう事業所の統廃合問題あるいは新設というようなことも含めまして組織のあり方考えます場合に、仕事を適切にやり、かつ管理部門が合理的に運営できるようにということを考えてやるわけでございます。  いま先生、妻篭という地区での御指摘でございますが、そういう重要な事業をやります場合に、その拠点となりますような事業所を廃止するということでございますれば、事業の円滑な遂行が不可能でございます。したがいまして、あくまで事業ということを頭に置きまして、また間接管理部門等につきましてはそれが合理的に管理できるようにという趣旨で事を考えておりますので、そういう点で御理解をいただきたいと思います。
  212. 日野市朗

    日野委員 私はいま妻篭の例をたまたまとったわけなんですが、どうなんでしょうか、林野庁の基本的な考え方を伺いたいのでありますが、いわゆる林業というもの、これは森林を保持していく、そして、さらに再生産していくということは、本来はこれは人手がかかるのじゃありませんか。そして、熟練度もかなり必要なんじゃないでしょうか。どういうふうにお考えになっておりますか。
  213. 秋山智英

    ○秋山説明員 林業技術につきましては、特に戦後大分普及してまいりまして、国有林、民有林ともども林業技術は進歩しておりますが、私ども森林をつくるに当たりましてはそういう林業技術を踏まえて実施してまいりたいと考えております。
  214. 日野市朗

    日野委員 やはりこれは何の仕事でも同じですが、長い間一つの仕事に携わってきた人の知恵とか技術というもの、これはやはり軽々に考えるべきものではない、やはり重視すべき、尊重すべきものであるというふうに私思うのですが、どうも午前中の野坂議員の質問の中で、どなたがお答えになったのでしょうか、積極的に高年齢者の方には退職を勧奨していくのだ、新しい人はできるだけ採用はしないのだというような方針を述べられたようですが、いま私いろいろ挙げた治山にしても造林にしても、そういったむしろ古い人たちの技術というものを高く評価していくという方向とは逆なような感じを強く受けてならないのですが、いかがでしょう。
  215. 石川弘

    ○石川政府委員 要員管理の問題でございますが、二つございまして、一つは、現場において作業していただいている方々の問題でございます。こういう方々につきましても、一つは、御承知のように、大変肉体的かつ特殊な条件でやる労働でございますので、ある程度以上の高齢者につきましてはやはり作業の安全その他の問題がございます。私ども決してそういう具体的な熟練労働というものを軽視するわけでございませんで、むしろそういう方々の熟練労働を必要とするわけでございますが、ある程度以上の高齢になりますと作業の安全性その他作業の効率という問題もございますので、高齢者につきまして退職を促進いたしまして新しい労働力と転換していくということは必要かと思います。  それからもう一点は、定員内のいわゆる管理部門の要員でございますが、これにつきましては、業務量が拡大しました段階でかなりの間接管理部門を持っております。前もって御説明いたしておりますようなかなり国有林の伐採、造林その他の事業規模が縮減をしてきます過程におきまして、いわゆる間接管理部門が比較的縮減をするスピードが伴っておりませんで、相対的な肥大化というような事情がございます。そうかと申しましても、これを強制的な退職手法というようなものをとるわけにはまいりませんので、いわゆる高齢者、公務員といたしましても比較的高い年齢の方方も現在おられましたものですから、御承知のように、昨年暮れに労働組合の理解も得まして高齢者の退職制度をつくったわけでございます。  そういう意味で、高齢者の退職をお願いいたしますとともに、管理部門の相対的肥大化が軽減されます間は新規採用につきまして若干の制限をせざるを得ないのではないか。そういう意味で、適正な管理規模になりまして国有林野事業が円滑にできるような体制づくりをしていきたいという意味で申し上げたわけでございまして、決してそういう熟練した方々の能力とか、そういうものを軽視するのではなくて、むしろそういう方々の御努力というものも十分国有林野経営に組み込んでいきたいと考えておるわけでございます。
  216. 日野市朗

    日野委員 ちょっと質問を変えます。  私、先ほどから治山と造林の問題をいろいろ取り上げてきたのですが、いわゆる直営直用というのは森林を育てる、再生産していく関係では非常に重要なことではないだろうかと思うのであります。請負と直営直用でやっているところとのいろいろな利害得失、これはもう理屈の上からいろいろ言えるであろうと私は思います。しかし、請負でやったところというのはどうしても無責任になるといいますか、しかも、一貫してずっと請負でやっているということであればまた別ですけれども、特に森林の作業なんというのは植林を請負でやる、また保育を請負でやる、伐採を請負でやるということになりますと、最終的な効果というもの、どこの段階で手抜きがあったとか、どこの仕事が無責任であったとかいうことがはっきりと認識できない、こういう問題点があると思うのですが、いかがでしょう。
  217. 今井勇

    今井政府委員 この問題については、やはり山を守る、山を育てるという基本的な考え方がまずしっかりいたすことが大事でございまして、それをどう具現するかということであろうと思います。ただ、治山事業あるいは植林事業等をいたします個所というのは一般に農山村でございますし、やはり国の事業というようなものは大事な就労の場でございますから、そういった地域的なことも考えて、ただいま直用もやり、あるいは請負もやるというふうなことでやっておるわけでございます。  ただ、おっしゃいますように、直用だから万全で請負だからいけないということであってはいけないわけでありまして、先生御案内のように、治山と並んで重要な治水事業というのもかつて二十年ほど前には直営直用をやっておりました。しかしながら、もろもろの事情からほとんど請負に切りかえておりますことは御存じのとおりでありますが、だからといって粗漏な工事が非常に行われているということでもございませんので、要はそれに従事される方々の心構え、基本的な問題もこれあろうと思います。特にまた、その問題につきましては審議会でも十分御論議を賜りまして、やはり現在やっておるような直用の方式と請負の方式とをその場所その場所でコンバインしてやることがよかろうじゃないかというような御答申を賜っておりますので、そのような方針を踏襲してまいりたい、このように考えております。
  218. 日野市朗

    日野委員 やはり山を育てていく、森林を育てていくということには、森林に対する愛情といいますか、愛情がなければこれはとてもやっていけるものではない。そろばん勘定だけでやっていくというところに、造林をやって保育の手を抜いたり、成長率を大幅に上回るような伐採をやったりということが出てくるのではなかろうかというふうに私は思うのですね。山に対する愛情ということになると、一貫してやっていくのだという、一貫して植林からずっと責任を持って、愛情を持ってやっていくのだという体制の方が私はベターだと思うのですが、どんなものでしょうか。  たとえば、立木なんかを山で処分しますね。そうすると、業者にそこで売ってしまえば、業者がそれを運び出すために、これからの植林をどうするかなんということを考えずに、地ごしらえをどうしていくかというようなことを考えずに、できるだけ安く上がるような方法でどんどん木を引っ張り出すというようなことが現実に起きているのではないでしょうか。そういうふうに山というのは非常に複雑な、何といいますか、サイクルで作業が行われ、その一つ一つについて非常に愛情を持ってやらなければいけないというふうに思いますが、いかがなものでしょう。
  219. 今井勇

    今井政府委員 お言葉でございますが、直営でありましても請負でありましても、作業をいたします方々の山を愛する気持ちというものは同じであろうと思うのです。したがって、先生おっしゃいますように、粗雑な工事をやる云々というのは、やはりそれを管理監督する立場の人たちがきちっとその職分をわきまえてする、そのことを厳格にしてもらうというような作業の規律というのが私は大変大事なことであろうと思います。現実に働いてくださる方が直用でなければならないとか請負でなければならないというふうに、私どもはそうかたくなに考えておりません。やはり非常に少ない就労の機会は皆さんに与えなければなりませんし、そういうことで進んでまいりたいと考えております。
  220. 日野市朗

    日野委員 この特別措置法案を読んでみて非常に率直な印象は、現在の山の状況、これをきちんと踏まえて、山は荒れているという状況ですよ、そして公益的な見地からこの山を保持していとう、そしてきちんと再生産をしていこうというような観点よりも、むしろこれは銭金の問題だ、この大幅な赤字、これの問題なんだというふうに実は私には読めてならないのであります。第二条にも「国有林野事業の収支の均衡を回復する等」と、いみじくもここにそういうふうに書いてあるのですが、この改善計画を定めるに当たって、私は何よりも留意しなければならないことは、金がかかるということばかり念頭にあって、国民の非常に重要な財産であり、国土保全のための非常に貴重な自然である山を荒らさない、山をきちんと守り育てていくという、そういう観点が抜けていたら、これは大変なことだというふうに思うのですが、どうも銭金のことに思えて何ともやり切れない思いでこの法案をながめているのですが、これについて政務次官、どのように考えておられますか。
  221. 今井勇

    今井政府委員 これは基本的な物の考え方でございまして、私どもは、国有林というのは国民の貴重な財産でございますから、これを管理すること、それからまた生産をすること、また、それに公益的な機能を持たせること、これは国民のためにしなければならぬと思います。したがって、それに対して十全な計画をつくり、これを遂行することは当然でございますが、一方、考えてみますと、国民に最も小さな御負担で最大の効果を上げることは、これは公務員としてやはり当然考えなければならぬことでございます。したがいまして、そういった経済的な面、それから公益的な面、それを両方勘案しながらその計画をつくっていくというのが基本でなければならないと思います。
  222. 日野市朗

    日野委員 昭和五十二年の十一月二十五日に出された五二林野職第一九二号という林野庁長官から全林野労働組合中央執行委員長伊藤嘉太郎あての「国有林野事業特別整備計画長期合理化計画)に対する総合要求書(回答)」というものがございますね。そこの一の(3)に「直よう、請負等の事業実行形態の選択の問題については、今後の経営改善の進展に照らし、現実実態に即し対処していく考えであるが、厳しい財政事情の下で、国の財政的援助を仰ぐ必要がある今日において、各種事業の合理的運営を真剣に追求する必要があり、」と、こう書いてあるわけですね。そして「非能率な直よう事業をそのまま維持していくことについては、国民的合意を得ることは困難であると考える。」こう書いてあるのですが、一体この非能率的な直よう事業というのはどういうことですか。
  223. 秋山智英

    ○秋山説明員 企業的な能率性の尺度と申しまして、私ども事業を実行する場合には、たとえば収支係数とか費用係数とかいろいろな尺度を持っておるわけでありますが、製品生産事業におきまして生産する材価に対しましてコストがどのくらいかかっておるかとか、それから一応標準的な費用に対してどのくらいかかっておるかというふうな、そういう係数を企業的な能率性の尺度としていろいろ当てはめまして、できるだけ効率的な作業をさせるようにしているわけでありますが、この能率性の尺度におきまして、この直用事業が請負事業等に比しまして相当程度低い実態に着目しましてこれを述べだわけでありまして、このことは昨年会計検査院からもその御指摘をいただいておるところであります。
  224. 日野市朗

    日野委員 それは金がかかるより金がかからないにこしたことはないわけでありますけれども、たとえば、金がかかっても、採算がとれなくてもやらなければならない業務というのがあるわけですね。ところが、できるだけ安く上げようという努力をすることは結構なんですが、安く上げようとするために、山という生き物を殺してしまったらこれは何にもならぬ、こういうふうに思います。こういう問題を考えるときに企業採算ベースで考えることには問題があるというふうに私は思うのですが、そうはお考えになりませんか。
  225. 秋山智英

    ○秋山説明員 国有林野事業も企業でございますので、事業を実施するに当たりましては、やはり企業的に能率的な事業を進めるということを基本の一つにしなければならないと考えております。
  226. 日野市朗

    日野委員 今度の特別措置法案の中でも一般会計からの繰り入れというようなことも考えておられるようなんですが、これは国の財産である、国民的な財産である。そして、特に工業国日本にとっては、いろいろ環境上の問題、また水を供給する問題、食糧を供給する問題、こういった問題から、国有林というのは非常に重大な使命を帯びていると思いますので、この点についてはむしろ積極的に一般会計からもどんどん繰り入れる。どんどんと言っても、それはそう思うようにいかないことは私も十分わかっておりますけれども、かなり大胆に一般財源を導入していくというような方向で、山を愛しながら山を育てていくということを考えないと、この特別措置法は立脚する理念を明確に書いていないだけに、どの方向に向けて走り出すのか、非常に私はその点について危惧があると思うのであります。  そういった危惧を私は表明いたしまして、どうも時間が過ぎたようでありますから、これで私の質問を終わりたいと思います。
  227. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 次回は、明十日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時十二分散会