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1978-04-20 第84回国会 衆議院 農林水産委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月二十日(木曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 中尾 栄一君    理事 片岡 清一君 理事 羽田  孜君    理事 林  義郎君 理事 山崎平八郎君    理事 竹内  猛君 理事 馬場  昇君    理事 瀬野栄次郎君 理事 稲富 稜人君       加藤 紘一君    金子 岩三君       熊谷 義雄君    倉成  正君       國場 幸昌君    佐藤  隆君       玉沢徳一郎君    羽田野忠文君       福島 譲二君    堀之内久男君       森   清君    小川 国彦君       角屋堅次郎君    柴田 健治君       島田 琢郎君    新盛 辰雄君       野坂 浩賢君    芳賀  貢君       松沢 俊昭君    武田 一夫君       吉浦 忠治君    津川 武一君       菊池福治郎君  出席政府委員         農林政務次官  今井  勇君         農林省農林経済         局長      今村 宣夫君         農林省構造改善         局長      大場 敏夫君         農林省農蚕園芸         局長      野崎 博之君         農林省畜産局長 杉山 克己君         農林省食品流通         局長      犬伏 孝治君  委員外出席者         大蔵大臣官房企         画官      野田  実君         厚生省環境衛生         局食品化学課長 宮沢  香君         厚生省薬務局監         視指導課長   伊藤 卓雄君         厚生省児童家庭         局母子衛生課長 佐々木輝幸君         農林大臣官房審         議官      佐々木富二君         農林省農蚕園芸         局植物防疫課長 本宮 義一君         通商産業省貿易         局農水課長  篠浦  光君         資源エネルギー         庁石油部流通課         長       廣重 博一君         労働省労働基準         局賃金福祉部企         画課長     宮川 知雄君         労働省職業安定         局雇用政策課長 白井晋太郎君         建設省住宅局建         築指導課長   大田 敏彦君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 四月二十日  理事野坂浩賢君同日理事辞任につき、その補欠  として馬場昇君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  参考人出頭要求に関する件  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 中尾栄一

    中尾委員長 これより会議を開きます。  この際、理事辞任の件についてお諮りいたしたいと思います。  理事野坂浩賢君より、理事辞任いたしたいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中尾栄一

    中尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  ただいまの野坂浩賢君の理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中尾栄一

    中尾委員長 御異議なしと認めます。よって、馬場昇君を指名いたします。      ————◇—————
  5. 中尾栄一

    中尾委員長 農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島田琢郎君。
  6. 島田琢郎

    島田委員 きょう私は、大きく分けて二つの点で農林省のお考えを聞きたい、こう思っています。一つ畑作問題でありますし、もう一つ砂糖にかかわります問題でございます。  最初に、畑作問題から入ってまいりたい、こう思います。  私は、先般の畜産物価格決定に当たっても、あるいは米の減反政策の問題についてもしばしば強調してまいりましたのが、昨今の農業生産の異常なまでの落ち込み、このいわゆる落ち込み部分をどう政策的に補完をし、そして農業生産を拡大していくのか、こういうことを言ってまいったわけであります。しかし、この大事な基本にかかわる議論も、意識してかあるいは意識しないのか、政府はこの大変大事な問題について同じ土俵に乗ることをあえてしようとしません。私は、ここはきわめて遺憾なことでありまして、どうしてもここがはっきりしてきませんと、減反政策そのもの日本農政を確立するという立場に立って前進する、そういう対策にはならない、あくまでも後ろ向き、後退の政策ということに決めつけざるを得ない。ところが、減反政策日本農政全体、農業を前進させていくための前向きの施策であるというふうに強弁をなされているのでありますけれども、私は、そのしっかりした基本のところが明確にならないでいてどうして前向きだと言えるのか。いまさらまたここで繰り返して申し上げるまでもないのでありますけれども農業生産落ち込みというのをもう回私は復習してみたいと思うのです。しばしば今井政務次官と私はこの議論をいままでしてまいりましたから、いまさら言うこともないと思うのでありますが、どうしても同じ土俵で物を考えることができないということが私は残念で仕方がないからであります。  一九七〇年以前におきます日本農業生産というのは、欧米諸国に比べてもそんなに見劣りするものではありませんでした。むしろ日本はかなり高い水準で農業生産は維持されていたと見るべきでしょう。資源ナショナリズムという国際的な状況の中から言えば、これは確かなものであったというふうに私は思うのです。ところが、七〇年代に入りましてからぐんぐんこれが落ち込んできました。これは前にも指摘をしたとおりでありますし、私の指摘政府みずから農業白書で明らかにしていることでございますから、何も私の詭弁や作り事ではないのであります。そして、これも繰り返しでありますけれども農業生産確保するというのは、私どもが生きていく一つ手段として、ここで私たちが仕事をし、経営をし、そして農民が生きていくという一つの生活の手段にもなるわけです。つまり、労働者で言えば働く場所であります。それが狭められ、どんどん合理化をされていくということは、逆に言えば、総生産が落ち込むというのは、合理化ではなくて、これは非合理化であります。総生産を上げていく手段合理化されていくというなら話はわかるのであります。ところが、片方ではその手段をどんどん合理化していきながら、片方では農業生産の枠というものを狭めていったら、農民は死ぬ以外に方法はないのであります。そこのところ、どういう認識農政担当皆さん考えていらっしゃるのか。この議論を私はずいぶん意識していままで提起をしてまいりました。同じ土俵に上がってこの議論をやってください、それでなければ、日本農政を云々すると言ったって、考え方が根本からこんなに違う中では、できないのです。米で落ち込んだものを、米で百七十万トンの生産の場が失われる、四十万ヘクタールも働く場所が失われたら、その部分をどうやって埋めるのですか、畜産でやるのですか、畑作振興でやるのですか、蔬菜やらあるいは果樹園芸でやっていくのですか、こうやって聞いても的確な答えは返ってきません。やや理解できるのは、麦と大豆を大幅にふやしたい、こう言います。それじゃ、ふやす手だてはあるんですかと聞いたら、手だてとしてはどうも明確に御答弁がなされない。これで安心して農業生産に携わることができるでしょうかと私は聞きたい。  今度は畑作の問題で私は同じような心配をいま持っているのです。私は、北海道に限定したお話を申し上げるのではなくて、全国的なお話をしなくてはならぬと思うのでありますが、きょうはその大事な畑作の一部門であります甘味資源ビートといもに限定をしてまいりたい、こう思うのです。  このビートは、価格決定の時期はいまの政令に基づいてまだ秋に延ばされておりますから、いまこの問題を出しても、恐らく私の質問に対して正確にお答えをするということはおやりにならぬと思うのであります。しかし、現に何よりも早く、水稲よりも、あるいはそのほか野菜で雪を掘り割って作付される作目一つとしては最近タマネギがありますけれども、それよりももっと早く、ビートは現に作付が済んでおります。その大半は。御存じのとおり、ポット栽培であります。ポット栽培ですでにハウスの中ではビートが青々と育っています。畑の条件が整えば直ちに本圃に移植されて、栽培が始まるのであります。御承知のとおり、これはもう三月の十日から早い人たちは雪を掘り割って種まきが行われました。いまかいまかと圃場に移されるのを待っているのが今日のビートの実態であります。  しかし、ことしの畜産物価格決定の経過で見られるように、きわめて厳しいこれからの状態であるということが伝えられて、ビート耕作農民の間にも非常に大きな不安と動揺を隠すことができません。私も今般ついおとといまで、そうした農家ハウスで、一生懸命ビートを育てていらっしゃる人たちいろいろ話をしてきましたが、やはり皆さんの口の端々から飛び出してくるのは、ことしのビート価格というのは大丈夫でしょうか、せっかくこうやって育てても、秋になったらこてんぱんにたたかれてしまうんじゃないでしょうか、こういう不安をこもごもおっしゃっていられるわけです。そこで、私は、作付はもう始まりましたが、ことしのビート見通し等を正確に耕作者に伝える責任が、農林省も含めて私どもにあると思うのです。  そこで、若干の質問をしてまいりたいと思っていますが、まず前段に、政務次官農業生産の異常な落ち込み、こうした事態認識は正確にお持ちでしょうね。もう一度お尋ねをします。
  7. 今井勇

    今井政府委員 この問題については、先生からしばしば御指摘をいただいております。  わが国の総生産とおっしゃいましたが、多分、農業の総体の生産の額であろうと思いますが、これは確かにわが国農業を取り巻く環境、なかんずくわが国では生産のできないものがありまして、そういったものを外国から仰ぐというふうなこともこれあり、また主食の一半を担います小麦等の大量の輸入もありまして、お説のとおり、総生産が落ち込んでおりますことは事実でございます。
  8. 島田琢郎

    島田委員 それで、それに対する具体的な対策、たとえば農業生産、それは比例して農業所得落ち込みにもつながっています。ただ、連年、価格が少しずつでも上がってまいりますとその分は補完されてまいりますが、全体的に言えば、この落ち込みは避けられない、こういう状況の中にあるわけですが、それを補完する具体的な対策ということになりますと、どうも明確でないのですが、農林省としては、米の減反政策埋め合わせ等も含めて、どういう畑作に対する考えで今後進めようとされているのか。この辺のところをひとつ明確にしていただきたい、こう思うのです。
  9. 今井勇

    今井政府委員 これは畑作のみならず、農業全般に対しましては、私どもは、六十年の目標というのが内閣の意思として決まっておるわけでございます。したがって、この六十年目標に向かって条件整備をし、かつ総生産を上げていこうというのが基本的態度であるわけです。  そこで、いま畑作の問題が出ましたが、これはやはり水田の対策とうらはらになりますが、主食におきましては、先生御存じのような麦、それからまた飼料作物大豆等輸入を大量にせざるを得ないものについて、極力これを転換して国内生産をしていこうじゃないかということでありまして、これは六十年目標を達成すると同時に、わが国の総生産を上げていこう、しかも輸入を減らしていこうという大きな目標一つであるわけであります。さらにまた、その他のたとえば果樹であるとか野菜等につきましては、それぞれ地域の実情に応じて、農民諸君努力ということと、また価格支持等政府施策と相まって振興を図っていこう、こういうふうに考えております。
  10. 島田琢郎

    島田委員 六十年見通しということをいまおっしゃいましたが、ビートの六十年見通しについては、どういう目標をお立てになっているのですか。
  11. 野崎博之

    野崎政府委員 砂糖類としましての自給率でございますが、六十年度に二八%まで持っていく、それから国内生産量を百六万四千トンにする、これは四十七年度対比の六十年度の目標でございます。
  12. 島田琢郎

    島田委員 その六十年見通し確保できる、そういう自信がおありですか。
  13. 野崎博之

    野崎政府委員 最近の情勢を見ますと、てん菜面積も非常にふえてまいりました。われわれが予想しておった以上にふえてまいっておるわけでございます。今後もてん菜等につきましては、先ほど出ました転作奨励金特定作物として認めておりますし、その他いろいろな生産奨励対策も講じておりますので、その目標を達成するように極力努力をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  14. 島田琢郎

    島田委員 極力ではなくて、これは守る責任があるのではないでしょうか。少なくとも閣議で決定をしてこの方針を天下に公表されたのでありますから、ビートをつくっている農家も、あるいは消費をする立場にいる国民の皆さんも、政府のこの見通し、この方針に対してやはり協力しなければいけないという考えを強く持つはずであります。ところが、肝心かなめの示し方に確たる信念がなくて、何とかそうしたい程度の考え方なら、信頼して耕作もできないし、消費者皆さん方も信頼して日本食糧政策に依存することもできないということになります。いまの野崎さんの答弁は、私はどうも弱いような感じがしてならぬのですが、これを確実に確保していくという信念自信をお持ちですか、再度伺いたいと思う。
  15. 野崎博之

    野崎政府委員 私どもといたしましては、六十年度目標を達成いたしたいと考えておりますし、それに向かっていま極力いろいろな施策をやっておりますので、六十年目標を達成する見込みは当然あると思いますし、そういうふうに努力をしたいと考えております。
  16. 島田琢郎

    島田委員 大変失礼ですけれども野崎局長はどうも余り歯切れよくおっしゃらぬですね。生産を担当するのはあなたの局である、できた砂糖を処理するのは犬伏さんのところなんですけれども生産目標がきちっとしてこなければ農民は安心してビートづくりができないということになります。そこのところを、ひとつ自信を持ったお答えをぜひ私は得たいのです。
  17. 今井勇

    今井政府委員 私から御答弁を申し上げたいと思います。  六十年目標内閣責任におきまして決めたものでございまして、この問題につきましては、各省ともこの実現に一致協力しなければならぬことば当然でございます。ただ、日本の場合には、他の諸国と違いまして、計画生産ということではございません。計画経済ではございませんが、しかしながら、政府が決めました目標でございますから、この達成に向かって全力を傾注し、その施策を練ってまいりますことは当然のことでございます。
  18. 島田琢郎

    島田委員 その自信がありますかという点をお答えになっていないのでありますが、政務次官気構えのほどは私はよく理解しました。実現できない場合だってあるということについても、それは私は理解はします。しかし、実現をするという気構えはきちっとしてもらわぬといかぬのでありまして、いまの見通しからいってそれは大丈夫ですか、こういうふうにもう一度お尋ねをしたいのです。  ついでですから申し上げますが、私がなぜこんなに強く申し上げるかというと、さっきも言ったように、米の減反政策が片っ方では強行されようとしている、また現に強行されつつある。それにかわるべき作物は一体何に主力を置いて、今後それを具体的にどういうふうに進めていくのかという点になりますと、どうもそこがはっきりしないまま、見切り発車みたいに米の減反政策が強行されていくというふうに、これは米づくり農民だけではなくて、それによってもろに畑作あるいは畜産果樹園芸蔬菜も含めて、そういう面でリスクをこうむるのではないだろうかという心配というものはあるのであります。それは単なる被害妄想ではないと思うのです。そういう点が米の減反政策の中でも繰り返し繰り返しわが党の委員からも指摘されたのに、今日まで明らかにされてきませんでした。  私は、先ほども申し上げましたように、いよいよことしはビート作付も始まった、タマネギも、そして米はもう間もなくもみおろしが行われようという段階であります。どんどんどんどん毎日ものは進んでいくのでありますし、農業は一年の勝負でありますから、ことしまいてことしの秋にいかによい収穫を得るかという、毎年毎年の性根を据えた闘いであり、それに似たようなものなのであります。農業経営というものは。ですから、将来に対して一つ自信を与えてくれるというそういうファクターがないと、これはやがて自信喪失になり、農業放棄という線につながっていってしまう。  私はビートのことだけを申し上げておりますけれども、本当はビートのことだけではないのです。全体的に申し上げなくてはいけないことなのですが、きょうは時間の関係ビートに限定して言っているのであります。そのビート一つ見たって、六十年目標、それは立てたのだからこれはぜひ実現したい、その気構えはよくわかりました。しかし、現在、面積確保されていると思いますが、この面積確保と六十年まであと七、八年あるわけでありますが、着実に目標どおりに進んでいけるかどうか、その点についての見通しは、原局としてどうお持ちですか。
  19. 野崎博之

    野崎政府委員 五十三年度のてん菜振興計画作付面積を見ますと、四万八千ヘクタールないし五万二千七百ヘクタールということになっておるわけでございまして、これは昨年から見ますと非常にふえておるわけでございます。それで、いまの見込みでいきますと、五万二千七百ヘクタールという上限も超えそうな勢いで伸びておる、そういう見通しも持っておりますので、いまの施策を取り続けていけば、先ほど申し上げました六十年度の目標も達成可能であろうというふうに私どもは見ておるわけでございます。
  20. 島田琢郎

    島田委員 確かにいま増反計画というのが立てられて、その二年目を迎えたわけであります。二年目の当初計画から言いますと、実績はいま発表のありましたように、かなりいい線でいっているわけですね。それはそれなりに、私どももここで大いに議論をし、政府も受けて立って増反奨励金等の措置を講じた、こういうことによって目標が達成できる状態になった。つまり、私の言いたいのは、そのように積極的な誘導策といいますか、制度的にもあるいは価格の面でも真剣に取り組むという姿勢が政府当局に出てきますと、農民自信を持って耕作をするということになるのであります。その歴然たる証拠なのであります。ビートはどうでもいい、外国から入ってくる砂糖は安いのだからどんどんそれでやってしまえと言ったら、これはたちどころにまた四万二千、四万を切るような状態に落ち込んでいきます。それぐらい政策は大事なんですね。そこに一つ目標をかちっとひとつ示してもらいたいという農民の希望があるということは、これは当然のことなのです。  そこで、ことしのこういう状態を後退させないで、五十四年度の目標をさらに大きく上回るようなビート面積確保できる、これは農業経営のローテーション上、ビート面積は六十年見通しにおける七万ヘクタール確保というのは、いま経営の上から見ても至上命令なんです。そこに向かって当然の努力を重ねていかなければならないのは、北海道農業のいわゆる基礎をいかにつくり上げていくかの大事な一つの要素であります。ですから、これ以上後退させるようなことがあってはならないのであります。それを前にして近く甘味資源審議会が開かれるということが伝えられています。これはいつ開かれるのですか。
  21. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 甘味資源審議会につきましては、今月二十七日に開くべく、ただいま準備を取り進めておるところでございます。
  22. 島田琢郎

    島田委員 犬伏さん、野崎さんと並んでそこへちょっと——しばらくあなたにお聞きします。  今度、甘味資源審議会へ諮問をする事項というのは、何をお考えになっているのですか。
  23. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 今回の甘味資源審議会におきましては、最近の甘味資源作物についての生産動向、さらに砂糖製造関係糖業事情等につきまして、われわれ当局の方から御説明を申し上げ、これに基づきまして、当面の甘味資源問題について委員各位の御意見を賜り、御審議を煩わしたいというふうに考えております。
  24. 島田琢郎

    島田委員 私は従来も提起をしてきたのでありますけれども、いま砂糖の問題全体をというニュアンスでありましたが、そういうふうに受け取ってよろしいか。国内産糖だけではなくて、日本の全体の砂糖の問題をここで論議するというふうに承知してよろしいのかどうか。
  25. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 中心国内産糖の問題でございますが、やはり全体の需給の動向との関係がございますので、先ほど答弁申し上げたとおりでございます。しかし、中心は、ただいま申し上げましたように、国内産糖、特に甘味資源物生産に関する基本的な方向、その基本的な方向に即した政策、そういう問題についての御審議を煩わすということでございます。
  26. 島田琢郎

    島田委員 性格的には、甘味資源審議会でありますから、甘味資源審議会のつくられております経緯からすれば、国内産てん菜サトウキビ等国内産にかかわります部分審議中心になっていくというのがあたりまえでありましょうけれども、しかし、国内で一〇〇%自給されている状態にはございませんし、むしろ逆に外国から八割あるいは八割以上もの輸入をしなければならないという状態にありますものに関して、全体の砂糖の問題を議論しないというのは、むしろこれは不自然でありまして、それはもう当然議論をするべきであります。また、委員からもそういう意見は出てくるでありましょう。しかし、私の言いたいのは、政府から積極的にそういう情勢を報告して、やはり議論素材にすべきだ。そうしないと、この整合性ある砂糖政策というようなことが進められないのではないか、かねてからそういう議論を持っているものであります。会議では出てくるというような消極的な受けとめ方ではなくて、むしろ政府原局立場で、砂糖にかかわる全部をやはり甘味資源審議会に出して、そうして、さすれば国内甘味資源をどういうふうにするのかという、こういうふうなやり方に変えていかなければいけないというふうに思うのです。たてまえはそうだとなっておりましても、私は、たてまえだけで今日の砂糖政策をみんなで考えるという素材には乏しい、こういうふうに思っているのであります。積極的にそういう審議をされんことを望みたいと思いますが、そういう形をまず整えていくということに甘味資源審議会機能強化を図るお考えがありますか。
  27. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 甘味資源審議会におきましては、甘味資源対策基本的な政策方向につきましてこれまで御審議をいただいておるところでございます。  これまでのところこの審議会におきまして御審議をいただいた事項といたしましては、たとえば甘味資源作物生産振興対策のあり方、それから国内産糖目標生産費の決め方、その他国内甘味資源に関する重要事項等がございます。これらの審議におきまして各委員から貴重な御意見をいただいて、それを各般の施策に反映してまいったところでございます。  今後とも審議会機能十分活用、強化いたしまして、適切に甘味資源対策の運営をこの審議会におきます御意見を反映させながらやっていくという、基本的な態度で臨んでまいりたいというふうに考えております。
  28. 島田琢郎

    島田委員 大体了解はできるのですけれども、私の言いたいのは、姿勢の問題なんです。  犬伏局長のところでは、外国から入ってくる砂糖も、国内砂糖も、でん粉からできる砂糖も、全部あなたの所管なんです。ところが、審議会は、砂糖審議会ではなくて甘味資源審議会とこうなっている。だから、それ以上のことは積極的にやるたてまえにはなっておりません、こうなってしまうのであります。しかし、それじゃだめだ。国内における外国産の——いま砂糖売戻し法を分離して、法律はこういう方途で機能する状態に入ってまいりましたが、形成糖価が国内の糖価に及ぼす影響というのもずいぶん大きい。輸入量のコックをあけるか閉めるか、こういう問題でもずいぶん大きな問題を持っている。これは後ほど具体的な問題でもう少しやりたいと私は思います。  そういうふうになってまいりますと、委員皆さん方に、日本砂糖という立場で、とにかく砂糖にでき上がったものに対して皆さんがどうするかという点まで含めて議論をしてもらう、意見を求める。たまたま問題が出たら、そういう問題だって意見とか質問の中で出てくるからいいではないかというのではなくて、むしろそういうものを積極的に会議にかけて意見を求めていく、そういう原局の姿勢が今日必要ではないだろうか、そのことを私は言っているのであります。つまり、積極的な姿勢に立つか、消極的な姿勢でやるか、この辺がしっかりしてまいりませんと、甘味資源審議会というものは、そんなものあったっておざなりで、開け開けとやかましいことを言うからたまに開くか、こんな程度になってしまうのでありまして、これでは日本砂糖政策全体を考える場合に、きわめてお粗末過ぎる、貧弱過ぎると思うのであります。そういう基本の姿勢をこの機会にしっかりと変えてはいかがですか。私のこの提案を受けて立つ構えがあるかどうか、もう一度局長に伺いたい。
  29. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 甘味資源審議会の運営に関しましては、先ほど来お答えを申し上げておるところでございますが、ただいまの島田先生の御意見も十分体して、今後の運営について配慮してまいりたいというふうに考えております。
  30. 島田琢郎

    島田委員 いま私が言いましたでん粉、これも当然砂糖の資源であります。こういう問題についても、積極的にいまの中に含めて考えていくということで理解してよろしいですな。
  31. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 先生御案内のとおり、甘味資源審議会におきましては、「甘味資源作物生産振興砂糖類の製造事業の合理化、でん粉の原料となる甘しよ及び馬鈴しよの需要の確保その他この法律の施行に関する重要事項調査審議する。」という規定になっております。先ほど来申し上げましたことは、この規定で法律上甘味資源審議会の権限とされております事項に即しまして具体的に運営を図ってまいる、このような考え方で申し上げておるところでございまして、ただいまの甘味資源の一環としてのカンショ、バレイショにつきましても、この審議会の規定の中にあります内容に即してやってまいりたいと考えておるところでございます。
  32. 島田琢郎

    島田委員 私は法の示すところは承知しておるのですよ。ただ、運用に当たっての問題を私は言っておるのであって、甘味資源審議会というのはほかのどの審議会よりも機能的に、権限的に非常に限定されておるのです。米価審議会畜産審議会と比べてみてください。価格審議しなければ、積極的に、外国から入ってくる砂糖の問題まで含めて審議するような機関になっていない。それを私は運用でできると思うのです。法律条項であるとかないとかいう問題とは別に。そこのところを私は言っておるのです。ですから、確かにでん粉もカンショ、バレイショみんな含めて審議事項でございますと言うけれども、従来の審議の姿勢、審議を求める側の姿勢として、きわめて消極的だ、この点を指摘しておきたい。もっと積極的に言えば、甘味資源審議会というものはもっと権限を強化すべきだ。価格問題も積極的に議論をする、こういうために諮問を積極的にすべきだということを私は言いたいのでございます。  しかし、それはいままで繰り返し言ってまいりましたが、それ以前の問題として、甘味資源審議会の存在に対しての意義を、原局自身が、農林省自身が自覚せぬことにはだめなんであります。おざなりに、ひどい話ですよ、去年ですか、おととしになりましょうか、委員がまだ決まっていません、それがいつの間にか任期が切れてしまって、補充する考えもないし、いつ開くのだと言っても、開く考えも積極的にない。国会でやかましく言い、農業団体、農民団体から、こんな大事な問題を甘味資源審議会を開かぬのはおかしいと言って総攻撃が来たら、やっと重い腰を上げて、それじゃ委員の構成から始めますかといったような調子であります。米価審議会畜産審議会でそんなことが許されますか。間髪を入れず委員を補充して、すでに体制は整えているという積極的な姿勢を原局は示すじゃありませんか。甘味資源審議会に対してはなぜそういう消極的姿勢になるのか、私は理解ができない。これが第一の冒頭で政務次官と私がやり合いましたが、畑作振興に対して積極的な姿勢があるかないかということの一つの証拠とも受け取れるのではありませんか。まずこんなところから積極的な姿勢をお示しになって、米で失うものは畑作で確実に確保するという、野崎さん、あなたのところも関係があるのですよ。こういう積極的な姿勢に立ってもらわなければ私は困る。     〔委員長退席、山崎一平一委員長代理着席〕 そういうことで、いまの甘味資源審議会をもっと強化すべきだ。こういう中での具体的な一、二の点を指摘したのであります。  私は、価格問題もここで積極的に真剣に議論すべきだ、こういう点に立つのでありますが、甘味資源審議会が従来の仕事の一つとしておりますのは、やはり国内甘味資源作物をどう確保するかという点であります。そのためには奨励金を含めた価格問題であるとか、あるいはそのほかの奨励施策であるとか、あるいは生産振興にかかわる制度的な問題であるとか、いろいろあると思うのであります。きょうは余り時間がないからそのことに深く立ち入ることはできませんが、いま生産者は、すでに青々と育ったビートを前にして具体的にいま心配を持っておられるのは、昨年、鈴木農林大臣のときに、積極的な発言の中で、基本価格に対しては、奨励金についてはでき得る限り基本価格に繰り入れるという方針で、米麦そのほか畑作との比較、こういう農産物価格の格差是正を図ってまいりたい、こういう発言をされました。一年でやるのかと思ったら、これを半分にして二年越しでやるという話でありまして、ありがた味が半減したのでありますが、しかし一年たったいま、これがほごにされることはないでしょうねと、私も念を押されています。どうですか、この点は。
  33. 今井勇

    今井政府委員 先生御案内のとおり、昨年、価格につきましては、いままでの奨励金を半分組み入れたことは御存じのとおりでございます。そこで、あと残っている半分でございますが、私ども基本的には、糖価安定制度運営上支障のない限り、これを最低生産価格に組み入れていきたいという気持ちはございます。  そこで問題は、先生御存じのように、糖価安定制度の仕組みでございますが、例の価格支持の仕組み、それから合理化目標価格を超えるか超えないかによって負担が違ってまいります。そういったものをひとつよく検討しませんと、最終的な結論は出ません。しかし、そういったものを十分含んだ上で、支障のない限りひとつ前向きで検討をしてみたい、こう考えております。
  34. 島田琢郎

    島田委員 きょうはその程度のことでおきたいと思います。ちょっと不安が残っていますけれども、前向きに一生懸命やろうというお考えだというふうに私は受けとめておきます。  そこで、そういうものを含めて六十年目標を目指して生産振興を図っていくということは、これはきわめて大事なことであります。そのために、大事な甘味資源の一翼を担っておりますビートに対しては、来年三カ年だけではなくて、やはりこれから先も生産振興が図られるような、が着実に達成できるような生産計画というのをお立てになる必要があると私は思うのです。単に六十年になったら目標に到達すればいいだけでは、私は経営安定せぬ、こういうお考えはどうですか、原局としてお持ちですか。そうしてこの公表はなるべく早い時期にすべきだと思いますが、いかがですか。
  35. 野崎博之

    野崎政府委員 ただいまのところは、いま持っておりますのは三年間の計画でございますが、いずれまた、その後につきましては当然その時点で考慮をする、そういうことになりますと思いますし、先ほど申し上げました六十年度の目標は、これは全作物に共通する点でございますが、一つの指標でございまして、ほかの作物等につきましても、毎年度の年次計画というものは別につくっておるわけではございませんが、特にてん菜の重要性にかんがみまして五十二年から三年間のそういう目標面積をつくっておるわけでございまして、三年間たった段階でまた当然そういうことを考えていく必要があろうというふうに考えております。
  36. 島田琢郎

    島田委員 そこで、もう一つの大事な甘味資源作物でありますバレイショについて、最近非常に心配事が出てまいりました。生産もかなり順調に進み、これは六十年目標に対して早くも達成する構えであります。年次ごとに申し上げますと、若干生産が高まったという年もございます。これは非常に技術的な進歩と、それから農民自身の経営に対する積極的な取り組み、こういうものが功を奏して、今日相当の生産を上げるところになりました。全国平均ではまだ低いですけれども、主産地の一つであります私のところなんかは、非常に高い生産を上げるという技術を身につけて、それも他から見てかなり高い水準であります。しかし、もちろんそれにはそれなりの努力と多くの金がかかっているのでありますが、こういう状態の中で、青天のへきれきというような言い方ではないのでありますけれども、やはり病虫害というのは常にわれわれの手で守っていかなければならないのが経営一つの悩みでありますけれども、われわれの手で防ぎ切れないような大敵がたまたま襲ってまいります。  二、三年前には油虫の大襲来で、これはいもに対する大へんな脅威が発生いたしました。昨年の夏からいもにとっては大変な、いわゆる大敵と言われておりますシスト線虫が大発生の兆しを見せてまいりました。これは何も突然私どもの斜網両郡に起こっている特異な問題ではないのでありまして、諸外国にもすでにこういう問題の悩みを克服してきた貴重な経験があります。北海道でも、後志地域では過般大発生を見まして、この対策のために大変頭を痛めまして、現在もまだその対策が進められているところであります。  こうした一連の対策を見ておりまして、確かに植物防疫法という法律などはありますけれども、なかなかここでもってやり切ることのできない経営的な一つの悩みというものがこれはついて回っておりまして、それは春に種をまいて秋収穫をしていくという短期決戦の持っている一つの悩みでもありますけれども農業はすべてそうでありまして、そういう中でこういう大敵があらわれてまいりますと、手の施しようがないということになってしまいます。この状態について、原局でつかまえております概要をこの際明らかにしていただきまして、それから対策に入ってまいりたい。  主として私がこれからお尋ねをしてまいりますものは、一つは恒久的な対策をどうするのか、それから対症療法的に緊急対策をどうやっていくのか、この五つに限られているのでありますが、まずシスト線虫が今日どういう状態北海道内において発生し、そして対策はどのように進められているのか、その概要をひとつ御発表いただきたい、こう思います。
  37. 野崎博之

    野崎政府委員 いま先生おっしゃいましたように、昭和四十七年に後志支庁管内で発生をいたしておりますが、昨年の七月に網走支庁の管内の清里町でこの線虫の発見がされたわけでございますが、同年九月、北海道それから試験研究機関とその対策を協議いたしました結果、D−D剤による土壌消毒、それから清里町及び隣接の小清水、斜里両町約七千ヘクタールございますが、それにつきましては土壌検診を行う。それにつきまして北海道庁に助成をいたしたところでございます。  網走支庁管内におきます土壌検診の結果、新たに二十五・三ヘクタールの発生が確認されまして、現在合計で三十・二ヘクタールの発生が確認をされております。  対策といたしましては、本線虫に対します防除対策につきまして、ことしの三月、関係者集まりまして対策会議をやったわけでございますが、この害の蔓延を防止することを目的といたしまして引き続き土壌検診を行う。それで新たに発生が確認をされました圃場につきましては、当然に土壌消毒をやる、そういうようなことにつきまして検討をいたしておるわけでございます。  それから、抵抗性の強い品種を入れたらどうかというようなことがございまして、ツニカというバレイショの品種でございますが、先生御承知のとおりだろうと思いますけれども、ツニカという品種がこの虫に対しまして非常に効果的である、したがいましてこの地域に対して早急にこの品種を普及させたい。ただし、これもいま非常に少のうございますので、バレイショの原原種農場でこれから大いに増殖をいたしまして、その種子を配付いたしたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、先ほど申し上げましたように、四十七年に後志支庁で発生を見ておるわけでございますが、網走支庁管内へこれが潜入をした経過につきましては、いま植物防疫所で調査中でございます。  それから、四十七年の後志支庁で六カ町村三百八十三・二ヘクタールに発生が見られたわけでございまして、この際は発生圃場のD−D剤による土壌消毒、あるいはバレイショ以外の作物に転換をする、あるいは輪作の指導、そういうようなことを積極的にいたしまして、現在は三百十六・八ヘクタールというふうに約七十ヘクタール程度減っております。  概要を申し上げますと、大体以上のとおりでございます。
  38. 島田琢郎

    島田委員 概要はわかりました。それは今後検診が進められていく過程でさらにふえていくでしょう。まだ三分の一の検診しか終わっていないわけでありますから、あと残り三分の二をやっていくうちに当然発生をしている個所が発見されていくでありましょう。それに伴って面積もふえていくと思うのであります。  そこで、この検診能力とか検診体制という問題になりますと、これは恒常的に起こっていたというようなことではございませんから、その体制をつくるのに非常に御苦労されているようであります。その御苦労に対して私は敬意を表しているのでありますけれども、しかし、こういう病気が発生してまいりますと、コレラでもそうでありますけれども、どこか一カ所に出てまいりますと、それは戦々恐々なんというものじゃなくて、大騒ぎになっていきますね。ですから、一刻も早く私のところは大丈夫だという保証が欲しいわけであります。三年後にならないと検診の実態が明らかにならないというのは、いかにももどかし過ぎるのであります。毎年毎年生活をし、経営を続けていかなければならない農家にとっては、ことしまでにわかった人たちはそれなりに安心しておる人もおり、対策に取り組んでいる人もおるわけでありますけれども、まだ三分の二の人たちは、ことしの秋か、三分の一は来年の秋あるいは再来年の春までかかるか、こういう状態でしかおまえの畑は大丈夫だという保証が出てこないのであります。これはどうも、これほどの大敵を前にして検診の体制というのは少しばかり弱過ぎる。一大発生なんということになりましたら、これは全滅であります。  このシスト線虫というものの発生の状態というのは、ほかの病害虫とは非常に違った形をとっておりまして、いまおっしゃったように、新しい品種を導入するなどというのは恒久策でありまして、いま直ちに間に合うということになりません。これは後ほどちょっと触れます。そうすると、やはり一番大事なのは、発生の個所を明らかにするという作業を急ぐことだと思うのです。三年間ではちょっと長いのですが、何とか二年、ことしじゅうに全部終わるような対策というのはできないのでしょうか。
  39. 野崎博之

    野崎政府委員 いま先生おっしゃいましたように、現在は五十二年から五十四年の三ヵ年計画で、約七千ヘクタールですか、検診をするということになっておるわけでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、本年三月に対策協議会が開かれまして、そこで北海道庁は、地元からも強い要望がございまして、これを一年繰り上げまして何とか実施できないか、そういう要望がわれわれのところへも来ているわけでございまして、それに従いまして当初実施計画を見直すことといたしておるわけでございますが、先ほど先生もおっしゃいましたような土壌検診に従事する技術者といいますか、この人の確保というものはなかなかむずかしい点があるわけでございます。そういう点を克服しながら、何とかそういう技術者を確保しながら、一年繰り上げて二年間で仕上げてしまいたいということを北海道でも検討中でございますし、われわれも、北海道庁の地元の意向もくみ上げてのそういう意向が出てくれば、その線に沿ってひとつ対処をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  40. 島田琢郎

    島田委員 短期に検診が進められないという当面の問題は何ですか。人的な問題ですか、それとも機械力の問題ですか。
  41. 野崎博之

    野崎政府委員 やはり専門的な技術を要しますので、専門技術者の確保が一番問題であろうというふうに考えておるわけでございます。
  42. 島田琢郎

    島田委員 しかし、町によっては、顕微鏡をみずから購入して、そして発見に努力をしているというような町村もございますよ。技術的に、確かに顕微鏡でのぞいてシストの生態を見る場合に、よほど目のしっかりした人でないと、色がちょっと黒くなったり赤くなったりしますと、これは見誤ってしまうというものがあると思うのです。しかし、見逃すというのなら大変でありますけれども、怪しいと思ったらこれはもうシスト線虫だと思えば間違いないんで、そういうふうに見ていくんだったら、技術が多少あれでも、見る技術を持っていれば私は発見できると思うんだけれども、私が言っているのは素人考えですか。そういう教育というのは早急にできないですか。町村にも農協にも技術職員がたくさんおりますよ。それらを総動員してやる、あるいはよその町村からも総動員してひとつ手伝ってもらう、こういう体制づくりは、私は人的な問題だというなら、できるように思うのですが、いかがですか。
  43. 本宮義一

    ○本宮説明員 お答え申し上げます。  ただいまの検診の能力の問題でございますが、毎年七千ヘクタールの土壌検診をいたしますには、これを検診する相当の技術者を確保しなければならないということで、当初三カ年に分けてこれを検診するという計画北海道がお立てになった。地元からの強い要望でこれを二カ年に縮めたいということをいま検討しておられるわけですが、先生もいまお述べになりましたように、せっかく検診しても、それが十分検診ができないというようなことでは検診の実は上がりませんので、私どもとしましては、十分そういう関係の農協、町村の方々、またそれに普及所の方々等も入っていただいて、そういうようなことが計画的にできるということを北海道の方で固めていただくならば、私どもとしては、それに対応した体制で考えてみたいというように思っておるのでございます。
  44. 島田琢郎

    島田委員 本宮さん、余り道の責任だみたいなことばかり言わないで、やはりこれは積極的に防疫対策に乗り出すという構えで出先も督励する、やり得ることがあったらおれの方も一生懸命やるからひとつ出先がんばれ、こういうのでないと、道から上がってきたら考えますなんて、そんな消極的な話では私はいただけないと思うのです。しかし、時間がなくなりましたから先に進みますが、いまの話はぜひひとつ真剣に検討してください。  それから、検診が終わるに従って発生の状態というものが次第に明らかになってまいります。現段階でも、先ほど局長から発表になりましたように、後志管内においてもまだ三百十六ヘクタールほど対策しなければならぬ畑が残っている。斜里郡三町につきましては三十町歩を超す発生の状態にある。これは直ちに対策をしなければいかぬわけであります。対症療法をやっていかなくてはならない。なかなかこれがいい方法がないという悩みを、私は原局で取り組んでおられる長谷川さんに聞いたのでありますけれども、しかし、どうもこれも少し手ぬる過ぎるような感じがしてならないのであります。一つは薫蒸駆除方式というのがあるそうでありますが、これも三年ぐらい続けてやらないと絶滅ということにはならない。それとあわせて、先ほど新品種のバレイショを導入するなど、あるいは連作から輪作に切りかえていく等の、こういう恒久策が必要であります。  そこで、ただいまのこの対策は、法律的にはどういう考え方に立って進めておられるのですか。
  45. 野崎博之

    野崎政府委員 法律的には例の緊急防除、あるいはそれによります指定病害虫の指定だとか、そういう規定があるわけでございますが、現在は指定病害虫をひっくるめまして、予算補助で農薬に対する補助を行っておるわけでございます。
  46. 島田琢郎

    島田委員 植物防疫法を準用する、こういう考え方だというふうに受けとめていいわけですね。  そこで、法律によりますと、植物防疫法を発動してまいりますれば、薬は全額国と道で半分ずつ負担をする、それから必要な機械についても半分は補助である、こういうふうになっているわけでありますが、この機械の問題だって、いままでのようなちゃちな灌注機でこんなことをやっていたって一日に幾らもできません。トラクターがありますし、しかも北海道のいもづくりの圃場というのは非常に大きいのですから、手でこんなことをやっているような状態ではとても追いつきません。機械力を駆使して駆除をやらなければいけません。そのためにいろいろ考案されております。大した金額ではありませんが、農家にとっては大変な負担であります。なくてあたりまえなのであって、駆除に要する経費は新たにかかる費用であります。ですから、この法律を準用してもう少しその範囲の拡大を図るというようなことはできるのではないですか。そうやって機械についてもめんどうを見てやるという親切な姿勢がほしい、私はこう思うのですが、いかがですか。
  47. 野崎博之

    野崎政府委員 病害虫防除につきましては従来とも予算補助でやっておりまして、機械類等の助成については従来からも対象になった例はないわけでございます。したがいまして、先生のおっしゃいます機械類についての補助というのは、現在のところなかなか困難な問題であろうと考えておるわけでございます。
  48. 島田琢郎

    島田委員 困難だと言っていたら、害虫駆除ができません。松くい虫にあれだけの金をかけて、われわれの反対にもかかわらず、何億もかけて空からばらまいて駆除をするということを平気でおやりじゃないですか。こんなことに半分ぐらいの金を出せないと言ったら、言っていることとやっていることとおかしいじゃありませんか。農林省、所管が違うといえば違うのかもしれません。政務次官、いかがです。それぐらいの前向きの姿勢で駆除をやるという構えに立ってくださいよ。
  49. 今井勇

    今井政府委員 おっしゃるように、確かに大変な事態であることはよくわかりました。ただ問題は、私もよくこの問題についての研究をいたしておりませんので、おまえ、どうだと言われましても、直ちに、はい、さようでございますかとはちょっと答えかねるわけでございまして、先生のおっしゃいますことはよくわかりますので、しばらく時間をおかし賜りまして、研究をさせていただきたいと存じます。
  50. 島田琢郎

    島田委員 政務次官に何もかも承知しろと言うのは無理でありますが、ただ、法の準用でございますから、これは局長に幾ら権限があっても、なかなか判断がつきません。大臣なり政務次官なり、政治的な立場での判断がないといけないのでありまして、その点についての判断を私は求めているのであります。どうか前向きに検討願いたい。  確かに即効薬はあるのですね。しかし、これはなかなか問題がありまして、厚生省もうんと言わない。こういうものを強行して私どもが使用するなんということは、国民感情から言ってもいけないことでありますから、用心しなくてはいけませんが、効果のある薬が現にあるということを考えますならば、人畜に無害である、そして線虫にはたちどころに絶滅の効能を発揮するという新薬が発明されたっていいじゃないか、こう思うのです。きのうきょうここに発生したのじゃありません。後志では、さっきお話しのように、四十七年に発生して大騒ぎになっている。いかにも対策が手ぬるいのじゃありませんか。新薬開発に全力を挙げるということがあってよかったのじゃないか。そういう考え方は全くなくて、現在は一切手をつけていないということでしょうか。
  51. 本宮義一

    ○本宮説明員 具体的な御質問でございますので、私からお答え申し上げます。  このシスト線虫の防除薬剤につきましては、非常に効果のある薬剤があるということで、その性能試験なども行われておるわけでございますが、いずれにいたしましても非常に毒性が高いということで、現在の毒性の程度であれば農薬取締法によります農薬の登録は非常に困難である。ですから、そこに現在の農薬取締法の限界があるということになるかもしれませんけれども、現在の制度の中では非常に毒性の強いものはもちろん注意して使用していただくわけでございますけれども、使用する農家の方々の被害の発生という点等もございますので、厚生省の方のこういう問題についての了解を取りつけない限り、これを直ちに使用するということは非常に困難であると考えております。
  52. 島田琢郎

    島田委員 本宮さん、ぼくの質問に答えてくれればいいのですよ。それはぼくも承知なんだ。だから、前提で言ったんだ。それにかわる新薬の開発について積極的な姿勢がありますかと聞いたのであります。それが出てこないところを見ると、どうやらないようですね。開発に真剣に手をつけてほしいですね。これから先もこういう問題が非常に出てまいります。  そこで、恒久策が必要になってまいりますが、連作の結果であるという説もございます。土地が有機質不十分なためにやや疲れている状態があるという説もございます。まだ原因のはっきりしたものが出ていないのは残念なことでありますが、どうやら畑作経営は、われわれが長い間言ってまいりましたように、輪作、つまり経営のローテーションが大事だということを、いみじくも教訓として今回のこの事件によって知らされたと思うのです。いまさらのごとき感はあります。そのために私どもは、畑作価格にしても、あるいはそのほかの行政上の指導にしても、制度的な問題にしても、輪作経営ができるような手だてが必要であるという主張を繰り返ししてきたのであります。いまD−D薫蒸駆除をやるにしても、たとえば地温が十度以上でなければいけないという制約があります。こうなってくると、冬やるわけにいかないし、春、雪が解けたからといって三度や五度の土壌にやってもだめであります。十度ということになれば、六月に入らなければだめであります。秋も九月か十月以前でありましょう。そうすると、その時期にやらなければいけないし、薫蒸処置をした後でも、最低十日間はそこに物をまいてもだめだということになります。そうすると、期間的に非常に限定されてまいります。そうすると、輪作経営にいま切りかえようと思っても、作物もまた限定されるということになりますね。  そこで、どんな作物で組み合わせていけばいいのかという点についても考えてみました。また、輪作体系をこれからつくっていくための一つの指標を示しているようであります。しかし、いろいろ難点があって大変です。麦に切りかえろと言われても、九月、いもの掘り取りの終わった後、麦をまく、冬まきの麦をやるとすれば、北海道の斜里三町においては、九月の半ばを過ぎてからまいたのでは収穫が非常に大きく落ち込んできまして、結局リスクを免れることはできません。後志地域にしても、九月の二十日以降になったらだめであります。そうすると、ほかの作物をねらわなくてはいけない。当面考えられる作物は、春にまき得るもの、そうすると春まき麦ということになります。ところが、小麦は非常に反収が低い。品種の改良が最近は非常におくれておりまして、秋まき麦に比べますと半分以下の状態でございます。ですから、いいと言ったって損を見越してなかなかまけないということになります。  やや収穫的にも安定しているのが飼料用の大麦、ビール用の大麦なんですが、これは契約栽培で一定の枠がはめられていて、たくさんつくれないという話です。飼料用大麦の輸入の実態で調べてみますと、大体十対一ですね。そうなりますと、外国から大量に入れておいて国内でつくる麦をセーブする、限定するというやり方に、麦の生産振興を片一方で言いながらこういう状態に置いていること自体不思議な話で、シスト線虫対策を進めながら、私は大変ふんまんやる方ない思いがするのであります。それは価格の問題ですと言ってしまえば身もふたもない話であります。国内産麦を大いに振興すると言いながら、片一方では外国から入れてくる飼料用大麦に対して、国内ではこれ以上つくってはいけませんという制約を加えているというのはおかしな話じゃありませんか。輪作経営促進の立場から言ったっておかしい。これは改めるべきだと思うのですが、いかがですか。
  53. 野崎博之

    野崎政府委員 飼料用大麦は畜産局の関係にもなるわけでございますが、面積を制限するとかいうことは、私はやっていないと思っておるわけでございます。
  54. 島田琢郎

    島田委員 野崎さんのところは、生産振興で麦作振興の窓口でしょう。それはこれしかつくってはいけないとは言っていませんよ。しかし、つくったって、これしか買わないと言ったら同じことですよ。そうなっているのですよ、調べてください。それは枠を外すべきですよ。そして、輪作経営で最も有利な、いまシスト線虫対策の最も有利な作物一つとしてこれがあるということの御認識を持ってこの対策に取り組んでほしいと思うのです。これなら春先、これからでもまけるのですよ。  さて、時間がなくなりましたので、畑作問題あるいはシスト線虫問題につきましてはここで打ち切りにいたしたいと思います。  以上、私は幾つか問題の提起をいたしました。前向きにお答えをいただいた部分もございます。きょうの論議は、いままでにない大変前向きの姿勢で取り組んでいこうとされる役所の姿勢を明らかにしたものと私は受けとめているのでございます。どうかひとつ失望させないような対策を早急に組んでいただくよう、心からお願いをしたいと思います。  そこで、砂糖の問題でありますが、砂糖の問題も多くを語るのには余りにも時間がなくなってまいりましたので、限定した話にさせていただきます。  東海精糖の問題、これはきのうかおととい、社労委員会で恐らく犬伏局長も呼ばれていろいろ説明をさせられたと思うのでありますが、前後のいろいろな事情をいまここで長々語る時間がなくなりましたから申し上げることは省略をいたしますし、また申し上げる必要はないと思うのであります。  いま問題になっておりますのは、工場閉鎖をし、一年余にわたって今日まで、工場の再開のためにそこで長い間働いてきた労働者皆さん方が血みどろになって孤塁を守ろうとしているのであります。残念ながら、これを取り巻く環境はきわめて冷たくて厳しい。一番頼りにして何とか理解を示してくれるだろうと思った農林省当局が、またこれに輪をかけるような冷たさであります。浮かぶ瀬がない、立つ瀬がない。しかし、労働者はがんばっています。ここの従業員の人たちは、われわれが手づくりでつくり上げてきたこの工場をなくしてなるものかとして一生懸命これを守っています。毎日出勤して、工場の点検をし、機械を動かして、いつでも再開に備えられる体制でいま臨んでいます。残念ながら経営者は無能力で、労働者に支えられて今日までよく砂糖生産されてきたものだというくらい経営能力において大いに問題があると思っています。しかし、ここで働く人たちは、私は冗談みたいに言うのでありますが、あなた方が経営者になって砂糖をつくった方がよほどいいぞというくらい真剣であります。それには生活もかかっていますし、家族もまた一生懸命であります。砂糖売戻し法という法律を私たちがつくった段階でこの東海精糖を大いに私どもの頭の中に描いて、これを引き倒して息の根をとめてしまうようなことがあってはならないという配慮を十分加えながらこの法律に取り組んできたのであります。そういう点を議論の中ににじませながら農林省当局からも私ども考えているような方向で協力してくれるような発言がなされたと今日まで理解してきましたのに、最近どうも困った問題が発生いたしました。  確かに状況が変わって会社更生法の申請に踏み切りました。その時点から雲行きが怪しくなってまいりました。提訴を受けました裁判所は、これに対して一定の調査を進めるのは当然でありましょう。そしてまた、関係する債権者あるいは行政指導に当たっております農林省意見を求めてくる、こういうことになりました。それもまたあたりまえのことでありましょう。しかし、裁判所から求められている行政サイドにおける農林省意見は、私も内容を精細に見せてもらいました。いろいろニュアンスについて説明がなされなければ理解できない部分もありますけれども、総体的にはどうも私ども考えているような温かいものではないという感じがしてなりません。  一体、行政庁である農林省は東海精糖の生産再開に対してどういう考えを持っているのでしょうか。まず、そこから聞きたいと思います。
  55. 今井勇

    今井政府委員 この問題は、先生すでに御存じでございますから長く申しませんが、農林省基本的な考え方は、まず東海精糖が再建されまして円滑に操業を継続していくためには、どうしてもこれから申し上げる諸条件が満たされなければいけないと考えております。  それは、まず一般の債権者、それから関係金融機関などの協力でございます。次は、豪州糖の引き取り問題がございます。これはいままで実は引き取っていないわけですから、それをどうするのか、これも業界全体の問題として大きな問題でございます。それから、原糖の手当て、さらには最も大事なものの一つといたしまして販売ルートの確保でありましょう。こういった問題が満たされることが必要であると考えております。  したがいまして、農林省といたしましては、当面、裁判所によります会社更生法の手続の進捗状況関係者の意向等を十分見守ってまいりたいと存じます。  先生のお言葉を返すようでありますが、冷酷無残であるとは考えておりません。何とかしてこれに御協力を申し上げたいと思いますが、私がるる申し上げましたようなことに対する条件がはっきり示されることが必須であろうと考えております。
  56. 島田琢郎

    島田委員 裁判所からは一と二と大きく分けて意見開陳が求められています。その一番目は四つに分かれていて、未引き取り分の引き取り義務をたな上げした場合、豪州糖の取引協定に基づく支払い義務をたな上げした場合、両方ともたな上げした場合、それから両者を完全履行した場合について質問がなされています。  この点についての農林省の回答は、前段の文章については一般論としては、概念としてはあたりまえのことだと思っています。別に問題があるとは思っていません。しかし、後段の部分については何としてもこれは私は不必要な司法に対する介入だというふうな感じがしてならぬのであります。  ここに農林省の回答がございます。「東海製糖株式会社については、現在、操業が行われておらず、また、その見通しもたてっていないことから、当該「売戻数量等」」つまりシェア「の通知は、なされていない。」これも現実でありましょう。その前段においては「特例法第二条の規定に基づく精製糖業者への「売戻数量等」」つまりシェア「の通知は、現実に操業を行っているか又は操業を行うことが確実であると認められる精製糖業者に限られる」となっていますが、これも法の示すところでありますから当然でしょう。つまり、私どもは東海精糖の事実も、いま置かれている立場認識としては、行政庁の立場で言えば、シェアを与えれば東海精糖は工場も動くし、また何とか将来への操業は明るい展望が求められるという認識に立っているのです。だから、ここで首根っこを押さえてしまったらこれはだめになっちゃうんですよ、はっきり言えば。ですから、それを押さえないで生かしてやるという前向きの姿勢、そこを私が温かい、冷たいという言葉によって表現をしたのであります。ところが、農林省はその一歩手前のところでかぶりを振っているのであります。それには条件があります。かくかくしかじかの条件、いま政務次官が述べられたとおりでございます。こういう条件がそろわなければシェアは与えられませんと。法律的には確かにそういうことになっています。しかし、法の志向するとおりに行政がやっていかなければならぬというそのまじめさは私は買いますけれども、現実の問題として、いま東海精糖にシェアを与えて動き出すことができれば将来何とかなるということがわかっているのに、何でそれを首根っこ締めなければならぬような発言になってくるのか。私は法律どおりの説明を求めているのではなくて、もう一つの、法の運用に当たって温かい気持ちで、この精糖を何とか蘇生させるという気持ちになることができないだろうかという点について回答を求めているのであります。  裁判所の回答はもっと冷たくてしかるべきだとおっしゃるかもしれないが、私は裁判所はかなり好意的だと思って見ております。むしろ行政庁がそういう姿勢を示してくれればおれの方は工場再開指示を出す、会社更生法を決定して出す、ぼくはそうなると思うのです。そこの手前のところで行政庁が反対をするんならこれはいきませんよ、何といったって。そういう気持ちに転換をしてください。もし言葉が必要なら、大転換をしてこれを必ず蘇生させるように努力してください。きょうは時間がないから中身のごちゃごちゃした問題は言う時間がありません。行政庁にそういう温かい気持ちが生まれてくれば、必ず東海精糖は更生できるというふうに私は考えています。いかがですか、私の考え方とかなり違いますか。
  57. 今井勇

    今井政府委員 先生のお気持ちとわれわれの気持ちが天と地ほど違っているとは思わないのです。ただ問題は、卵と鶏みたいな問題であろうと思うのです。農林省としては、シェアを与える限りには、将来の展望がなければこれはならないと思います。将来の展望があやふやなままにシェアを与えることは行政庁として慎むべきであろうと思います。  そこで、いま先生は、シェアさえ与えれば裁判所はかくかくしかじかであろうとおっしゃいました。これも、であろうであります。したがって、そこらあたりは、もうちょっとよく関係者とも御相談をしてみなければ軽々に判断すべきものではないと私は思います。  しかしながら、繰り返し申しますが、決して血も涙もないということを率先してやろうとするつもりはさらさらありません。事態がさらに解明をされ、そこらあたりの話し合いが十分信頼と相互理解のもとで行われるような努力を今後とも続けさせたいと思います。
  58. 島田琢郎

    島田委員 政府次官は断定してものを申し上げるということは、これは私の立場でもできないのでありますけれども、しかし私は、少なくともいまの東海精糖、操業が行われていないという状態の中でもいつでも再開できるように、従業員の皆さんは、給料はもちろん与えられておりません、仲間がみんなカンパをして生活を支えているのであります。こういう涙ぐましい努力の中でこの工場を守る、会社を守るという気持ちに行政がこたえてやるというのが、これが温かい行政というものではないでしょうか。それは理屈を言えばいろいろありましょう。裁判所から求められれば、こういう返事の仕方しかないということもありましょう。しかし、会社が更生できるかどうかという点については、私はかなり断定してできるというふうに思っています。私も事実、何回も調査に入っております。要は、会社の経営者のそれは経営能力もありましょうけれども、そこで働く人たちが真剣になって、わが会社をどうしても守っていかなければならない、更生させなければならないというこの気構えがあるかないかであります。その点については、私は太鼓判を押してこの人たち経営を任せてもいいぐらいに考えているのであります。  あとの問題は、砂糖が供給されるかどうかではありませんか。砂糖が供給されてくれば、豪州糖のペナルティー部分だって計画的に払っていくという知恵だってあるいは努力の中から生まれてくるのであります。何といったって砂糖の供給のコックを締めちゃっているのですから、物がなければ何ぼがんばったって、会社の更生も何もできぬじゃありませんか、そこを私は言いたいのです。ところが、条件が整わないとコックひねってやらぬと言う。確かに卵と鶏みたいな話で、行政と私ども政治を預かる者の立場の中で鶏と卵みたいな話で堂々めぐりなんということは許されるでしょうか。現実にあすの米どうしようかという状態にいま追い込まれているのです。全国の砂糖をつくっている仲間の皆さんが、それは自分たちのことだとしていまカンパをしているんですよ。東海精糖の従業員の皆さん方にお金をみんなで集めて、そして生活を支えているんです。社会問題じゃないでしょうか。これを放置しておいて、なお条件が整えばだとかなんとかと言うのは、そんな言い方というのは、これまた言葉を返すようですけれども、私は冷たいという感じがしてならぬのです。どうですか。
  59. 今井勇

    今井政府委員 従業員の立場からすれば、先生の御所論のとおりでございましょう。しかし、農林省として砂糖全般の問題を見ております行政庁の立場もつあるということをこれまたお認め願わなければなりません。  そこで、私はいまの先生の御所論、十分よくわかります。そこで、関係者ともなお一層緊密な連絡をとらせまして、先生のいまの御議論に対しましてこたえられるようにひとつ十分な検討をさせます。こういうことを私の口から申し上げておきたいと存じます。
  60. 島田琢郎

    島田委員 それから、この債権者だけではなくて、いろいろ日豪砂糖協定にかかわります各社の組合の皆さんもおります。そういう環境に対して、やはり行政の介入するところでないというその姿勢について、私はそれは時と場合によると、こう思うのです。積極的にやはり行政指導に乗り出すときはありますよ。やらなければだめなんです。それも、これは自由の原則でございますなんと言ったって、片一方じゃ死ぬか生きるかという状態になっているときなんでありますから、それに対してみんながやはり長い間——業界というのはもっと厳しく冷たいということは私もわかります。それはわれわれ農村の世界とは違うでしょう。それはそうかもしれぬし、一社でも減っていく方がいいんだという考えを持っている人もいないとは言えないと思います。しかし、せっかく売り戻し法という法律をつくって、そこで一つの業界の節度あるこれからのやり方を求めている行政庁としては、節度ある一つの一環として行政指導に乗り出すということも大事ではないでしょうか。その時はまさに熟していると思うのです。いまをおいてないと思うのです。四月から六月までのシェアはもう決まったからだめだと言えばだめかもしれません。いまからそういう行政庁の温かい指導が行われれば、七月から会社動き出します。工場動き出します。そういう一つの担保を行政庁が握っているのだということを私はこの際やはり強調しておきたいのです。そのために必要なら、どろをかぶってでも行政指導に乗り出す。それがなかったら砂糖の特例法だって生きないんじゃないでしょうか。  きょうは法律論議なんというようなむずかしいことは私は言いません。情に訴えたような話が主流になりましたけれども、私はこの時期になったら、まさにそこだと思うのです。生活かかっている人たちをどうするのかというその判断が一つ出てくる。これは工場が動きながら整理しなければならぬ悪い面、切り捨てていかなければならぬ面だって内部にいろいろあるでしょう。そのことはともかく、工場が動いて砂糖ができて、販売のルートもその中から新たにまたつくり直していかなければならぬという大変な努力と作業がこれから要りますよ。そういう面も行政が積極的に指導してやるという構えにならなかったら、東海精糖に限らず、あすはわが身に降りかかるかもしれぬという状態にいま置かれている人たちだって安心できないんじゃないでしょうか。やはりこれからの日本砂糖をどうするかということを考えますならば、東海精糖をどうするかはまさに日本砂糖政策確立の上において大事な試金石になりますよ。それでもなお行政指導に積極的に乗り出すという構えばないのですか。
  61. 今井勇

    今井政府委員 先生の情に訴えてもというお話でありますが、やはり行政庁としての行政指導の限度があることもまた事実であります。さりながら、先生のるるおっしゃいますことはよくわかります。そこで、先ほども申し上げましたが、なお一層格段の努力をさせまして、何らかの方途が見出せるような対処をいたしたいと存じます。
  62. 島田琢郎

    島田委員 この後また参議院でも同じような問題を提起するということでありますが、こういう不況の時期でありますし、失業者を出してはいけない、こういう非常事態を迎えているさなかに起こっている問題として、私はいままでと違った特異なケースとしてとらえるべきだという主張を繰り返ししてまいりましたし、これからもしてまいります。これは行政当局をいじめるのではありません。あくまでも温かい気持ちに立って、農林省よよくやってくれた、そういう状態に何とかさせたいという親切な一つの激励なんであります。この後商工委員会におきましても同じような質問が展開されていくことと思います。私は重複しない範囲で私の主張したい点だけをきょうは申し上げたのであります。  これは人情論だと言うだけでは済まされない問題でありまして、私たちは現実に東海精糖の現場を訪れて、あの人たちの家族のみんなから、私たちは一生懸命砂糖をつくりたいし、つくる。この世界で生きてきたんだし、これから先も生きていくんだ、だからこの際どこか職場をかえるような、そんな血も涙もないようなことをさせないようにしてくれという訴えを聞きまして、私はこの点は一〇〇%そのとおりだと受けとめて帰りました。あの人たちの輝くような目は、会社がこんなになりかかっていても死んでいる目はしておりません、将来に希望を見出してがんばると言っております。これをひとつめんどう見てやるのが農林省の最も親切なやり方だ、このことを、くどいようですけれども、だめ押しのように申し上げて、ぜひこの対策に真剣に取り組んでくださるように心から要請して、私の質問を終わりたいと思います。
  63. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 野坂浩賢君。
  64. 野坂浩賢

    野坂委員 私は二点にわたって質疑をしたいと思います。  その一点は、いまも深刻な話がございましたが、労働者の労働時間の短縮、とりわけ週休二日制の問題と畜産にかかわる問題について関係皆さんお尋ねをしたい、こういうように思うのであります。  いまも同僚委員から精糖会社の深刻な状況について強く政府に要求がございましたけれども、今日の経済の実態というのは非常に不況でございまして、その不況の中で一番しわ寄せを受けるのは労働者であることは、まず間違いのないところであります。最近も、商工委員会等で特定産業の不況に対する安定臨時措置法でありますか、そういうものがかかって審議をされたわけでありますが、それらの法案が具体的に動き出しますと労働者がほうり出されていく、こういうのが今日の状況であろうと思うのであります。  そういう意味で、労働省からおいでをいただいておると思いますが、一番近い現在の失業者数、私どもは二月末現在で百三十六万人というふうに承知をしておりますが、現在の状況というのはどの程度なのか、求人倍率はどの程度なのかということをお伺いしておきたいと思います。
  65. 白井晋太郎

    ○白井説明員 お答えいたします。  いま先生がおっしゃいましたように、五十三年二月で完全失業者数百三十六万、それから有効求人倍率は〇・五四倍ということになっております。
  66. 野坂浩賢

    野坂委員 完全失業者百三十六万といわれる今日の状況、しかも求人倍率は〇・五四であるということになれば、この失業者の皆さんを吸収する方向、職につけていく方向、こういう点については具体的にどのように進められておるのか、お尋ねをいたします。その見通しもお願いします。
  67. 白井晋太郎

    ○白井説明員 お答えいたします。  先生おっしゃいますように、現下非常に厳しい雇用情勢にあるのでございますが、雇用対策としましては、まず失業者を労働市場に出さないという失業予防対策としまして、雇用安定資金制度を昨年十月から実施いたしておりますが、これらの制度を弾力的に運用いたしまして失業の予防と円滑な職業の転換に努めております。  なお、失業を余儀なくされた方々に対しましては、雇用保険制度の積極的活用と、それから昨年暮れにできました特定不況業種離職者臨時措置法の適用、職業紹介の充実等を図りまして、離職者の再就職を図っていく。それから、関係省庁と緊密な連携をとりながら、今後成長産業や不足職種に対しまして的確な情報を把握しながら、これに即応した職業訓練体制の整備を図っていくということで、現在職業訓練法の改正等もお願いしておるわけでございます。さらに、五十三年四月からは中高年齢者を雇い入れる事業主に対しましては助成措置を設けまして、民間の活力を生かした雇用機会の拡大を積極的に図っていく。それからさらに、今後実施されます公共事業につきましては、地域の雇用情勢を十分配慮した公共事業の地域配分と相まちまして、失業者吸収率制度の適用地域を拡大する等によりまして、雇用の拡大に努めるというような諸施策を講じているわけでございます。  なお、本年度の雇用失業情勢見通しにつきましては、いま申し上げましたような対策を講じながら、さらに政府全体としましては、五十三年度におきまして公共投資を主軸とした思い切った財政運営を行うことにより雇用の維持及び拡大に努めているところでございますが、これによりまして政府の五十三年度経済見通しでは、雇用者数は五十二年度に比べまして五十五万人増の三千八百三十五万人、また完全失業者は同じく五万人減の月平均百十万人程度というふうに踏んでいるわけでございます。
  68. 野坂浩賢

    野坂委員 予防措置なり離職者対策なり公共事業なりで失業者は吸収するということでありますけれども、今日の見通しでは、政府の思うとおりのベースで進むかどうか、非常に疑問があるところであります。  そこで、昨年十一月に中央労働基準審議会の建議がございますね。これについては労働省はどのように進めようとしていらっしゃいますか。
  69. 宮川知雄

    ○宮川説明員 労働時間の短縮、週休二日制の推進は、いろいろ理由もございますが、労働者、国民一般に生活七のゆとりを与える、いわゆる余暇の増大と申しましょうか、福祉の向上と申しましょうか、そういう点、それから、わが国が将来とも貿易立国という形で生きていかなければならないということを考えますと、必ずしもわが国の労働時間が外国に比べて長いとは言えないと思いますが、そうした批判もあることでもありますし、国際協調を図らなければならないという点、それから、長い目で見て、みんなで仕事を分け合う、そういうような観点からも労働時間の短縮、週休二日制の推進は必要なことであると思います。  いまお話がございました昨年秋の中央労働基準審議会の建議も、そうした点で労働時間の短縮は進める必要がある、ただし労働時間、週休二日制の現状についてよく考えてみますと、産業、企業に応じてかなりの格差がございます。それから、現実には平均的な所定内労働時間が四十一時間を切るというような状況にはなっておりますが、一方で労働基準法の定めております四十八時間、これにいわばへばりついている企業もたくさんある、そういう状況では一律にこれを強制することは無理であろう、これが建議の御趣旨でございます。そういうことを踏まえまして、産業、企業の実態に応じて労使の自主的な努力を助長する方向で時間短縮を進めるように——まことにごもっともな御趣旨だと思います。  そういうことで、私どもといたしましては、新年度に入りまして産業別の労使会議あるいは地場産業につきましては業種別の会議等を開催することによりまして、まず労使の自主的な雰囲気の醸成を図ることから話を進めてまいりたい、かように考えております。
  70. 野坂浩賢

    野坂委員 最近企業に、一〇%生産性が伸びるとどのような措置をとるかというアンケートに対して、時間外労働とかあるいは採用はしないで、それでできなければアルバイトとか、そういうもので処理したいというかっこうで人員増が考えられていない、こういう実態でありますが、労働時間の短縮なり週休二日制というのは、国際協調また労働者に対するそういう生きがいのある生活をさせるということもありますが、いまの失業者を抱え込むという点についても、いまあなたがお話しになったように、長い目で見て仕事を分け合っていく、こういう意味でも必要だと思うのですが、その実態を見て労働省はどういうふうに具体的に御指導になっていますか。
  71. 宮川知雄

    ○宮川説明員 いま御指摘ございましたように、労働時間の短縮をやればどれだけ雇用に結びつくか、あるいは雇用を拡大するか、あるいは減るであろう雇用を減らさないで済むかというのは、いま大変むずかしい問題でございます。ごく短期間で、あるいはミクロと申しましょうか、個別企業的にこれを観察いたしますと、御指摘のような形での対応ということもございましょうし、場合によってはコストアップを価格に転嫁できないで、限界的な企業はいわば淘汰されるというような事態もきざいましょう。そうなりますと、むしろ総体として労働者のポストは減るということもございます。一方で、いや、そうではない、非常にふえるのだという御意見もございまして、それにつきましては必ずしも定説というものがございません。いま申し上げました中央労働基準審議会の建議も、雇用にすぐ結びつくかどうかについては各様の意見があるという御指摘でございます。ただ、これをマクロに展開いたしまして長期間で観察するということになりますと、その中には一次産業から三次産業、それから余暇の増大に伴っての新しいポストの発展というようなこともございましょう。それやこれや考えますと、長い目で見て、しかも全産業、全企業、全国家的に見まして、これは大変好ましい方向である、そういう判断をしております。したがいまして、お話しのようなことにつきましても、産業、企業の実情に応じて、できるところから時間短縮を進め、将来の効果を期待したい、かように考えておるところでございます。
  72. 野坂浩賢

    野坂委員 これからの指導方針としては、労働時間の短縮、また具体的に週休二日制というものは国際協調その他から日本でも取り入れて強力に進めていく、こういうことでありますか。
  73. 宮川知雄

    ○宮川説明員 お話しのとおりでございます。
  74. 野坂浩賢

    野坂委員 一九七五年四月の国会で、いま自由民主党の幹事長であります大平正芳氏が大蔵大臣の際に、金融機関の週休二日制問題については一両年中に結論を出す、こういうふうな御答弁になっております。それに基づいて大蔵省銀行局としてはどのように進められてまいりましたか。
  75. 野田実

    ○野田説明員 お答え申し上げます。  当時の大平大蔵大臣が金融機関の週休二日制につきまして結論を出したいとお答え申し上げまして、その後、関係省庁連絡会議あるいは金融制度調査会におきまして、審議を続けてまいっております。  先般大蔵委員会の小委員会におきまして、金融機関の週休二日制を促進するために決議がございました。そのとき稲村政務次官が、委員会の決議を尊重して政府は取り組んでまいりたいというお答えを申し上げまして、いまその具体的な内容につきまして検討中でございます。
  76. 野坂浩賢

    野坂委員 お話がありましたように、三月二十八日に三項目にわたって決議がされております。一番問題になりますのは、銀行法の第十八条、営業日の指定でありますね。これについては大蔵省としては弾力的に運用する、言うなれば改正をする必要があるというふうに明記してありますが、それを受けてやるというふうにお考えでありますか。  その辺が第一点と、三項について、「金融制度調査会の銀行法改正についての審議に関して、公務員等他の分野における週休二日制の進展に応じ必要と認められる場合には、同調査会に対し他の審議事項と切り離し、本問題について中間的に報告を求める。」こういうふうに書いてありますが、総合的にはなかなか報告をしにくい。したがって、この十八条問題だけを切り離して進める、このように大蔵省はお考えであろうと思うのでありますが、労働省もこれを進めるという前提でお話しになっておるわけですから、一番問題の金融機関はそのような方途をこれからとられるであろうと私は推測をしておりますが、いかがでしょうか。
  77. 野田実

    ○野田説明員 お答え申し上げます。  先般の決議をしていただいております内容を拝見いたしますと、金融機関の週休二日制を早期に実施するためには銀行法の改正が必要であるということが明記されているわけでございます。十八条の改正なくして金融機関の週休二日制を実施することはできないということでございまして、現在のところ金融制度調査会におきまして銀行法全体の改正の問題につきまして審議をお願いしてございまして、もうしばらく審議がかかるのではないかと考えております。したがいまして、週休二日制の十八条関係だけを取り出してということになりますと、なかなか総合的に検討しないといけない問題もございまして、いまのところもう一度金融制度調査会の各論が終わりました後で総合的に検討したいという考え方を持っておりますけれども、御決議の第三項にございます「他の分野における週休二日制の進展」がございました場合には、直ちにその問題だけを切り離して御答申をいただくというつもりでございます。  いずれにしましても、この決議のところにございます金融機関の週休二日制を実施するためには、中小企業とか消費者の理解を得ることが必要でございますし、あるいは郵便局とか農協等関係します機関もあわせて実現されることが必要であると書かれてございまして、私たちも全く同感でございます。
  78. 野坂浩賢

    野坂委員 お話がありましたように、これを実施するためには「中小企業、消費者等金融機関利用者の理解を得ること、」と書いてあります。なかなかむずかしい状況だろうと思うのですけれども、やはり理解を得るために努力をされなければならぬ。しかも、金融機関は、特に「郵便局、農協等関連する諸機関」というふうに指摘がしてありますが、これは郵便局も金融を取り扱っていますし、農協もまたそうであります。したがって、この、ほかの金融機関がやらなければ銀行はやらないということでありますか。また、郵便局なり農協の方に大蔵省としてはこういう決議を受けて、また七五年四月には、そういう金融機関独自で結論を出すといまの自民党の実力者でもある大平さんが言ったことでありますから、三年前からそういうような動きは労働者皆さん方の強い要望によって、また要求によって大蔵省は対応したはずでありますから、それらについてどのような働きかけをされてまいりましたか。
  79. 野田実

    ○野田説明員 お答え申し上げます。  金融機関の週休二日制の実現につきましては、御決議の内容のとおりでございまして、「郵便局、農協等関連する諸機関の週休三日制もあわせて実現されること等が必要である。」このとおり考えております。したがいまして、できましたら一緒が望ましいのではないかと考えております。そういう観点から、政府部内に設けております週休二日制に関します各省庁連絡会議というのがございまして、この御決議をいただきましたその日に各省庁にお集まりいただきまして、こういう決議がございました、皆さんよく検討してそういう方に対処してまいりましょうということをお話し申し上げまして、各省庁の御協力をお願いしたところでございます。したがいまして、今後、各省庁の連絡会議などを頻繁に開きまして、実現に向かっていろいろなPRとかあるいは全銀協を通じまして問題点の詰めとか、いろいろこれからしていきたいと思っております。
  80. 野坂浩賢

    野坂委員 それでは、農林省側にお尋ねをいたしますが、農協は総合農協でありますから、信用事業だけではないというところの問題点もたくさん含んでおると私も思っております。しかし、農協の信用事業は金融の業務面で銀行とはどのように関連があるか、お尋ねをします。
  81. 佐々木富二

    ○佐々木(富)説明員 金融の業務面につきまして農協と銀行との関連でございますけれども、現在、主として為替業務面で関連がございます。現在、系統機関相互間における為替業務は、単協それから信連、中金各段階それぞれ行っておるわけでございますけれども、地区内の一般金融機関との間においては信連が為替業務を扱う、それから地区外の金融機関との間におきましては、これは農林中金の業務代理として各県信連が行う、こういうことでやっておるわけでございます。ただ、来年の二月に全銀協のデータバンク・システムに系統が参加する、こういうこともございまして、資金決済の効率化というような観点から、信連につきまして今回地区外の一般金融機関との間における為替業務も取り扱うことができるように、ごく最近でございますけれども、措置したところでございます。
  82. 野坂浩賢

    野坂委員 いまお話がありましたように、為替業務がやられておるということであります。特に五十四年の二月から全銀のデータバンクといいますか、通信システムに入っていくということになりますと、現在の為替業務の処理と変わってきますね。どういうぐあいに変わってまいりますか。
  83. 佐々木富二

    ○佐々木(富)説明員 信連が直接オンラインを通じまして全銀センターと結びつきまして、地区外の一般金融機関とも決済を行う、こういうことになるわけでございます。
  84. 野坂浩賢

    野坂委員 そういうぐあいになりますと、銀行がたとえば週休二日に踏み切ると、信連、農林中金というのは、大体その方向に沿っていくということになりますか。
  85. 佐々木富二

    ○佐々木(富)説明員 農協等の農林省所管の金融事業を営む団体の週休二日制の問題でございますけれども、金融以外に、先ほど御指摘がございましたような販売事業その他各般の事業を営んでおるわけでございます。そういう他事業部門との関連といったような問題から困難な点も多いと思いますけれども、一般金融機関についての検討と相まちまして、系統団体とも連絡をとりながら検討を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  86. 野坂浩賢

    野坂委員 銀行は、御承知のように、日曜日とか祝祭日とか、それから、その土地で特定の祝い事等のときには休んでおったのですが、いまはそういうシステム化をされて、土地のねぶた祭りとかあるいは阿波踊りとか、ああいうときに休んでおったのを、全部やめなければ企業が回らないというかっこうで、いまはやめたのですね、全国的なもの以外は。そういう意味で、いまお話があったように、農協では総合事業でコープ、その他販売、購買もやっておりますからなかなかむずかしい点がありますが、銀行が歩調を合わせて郵便局なり農協とやりたい、こういうふうに働きかけがあるし、労働省の方針、大蔵省の方針、総理府の方向、こういうものが出てまいりますと、農林省の指導方針としてはどのような方向でその他の系統の皆さんを御指導になるのか、農協のためにというようなことがあれば、その点についてはどういうふうにお考えだろうか、こう思うのです。
  87. 今井勇

    今井政府委員 先生御案内のとおり、農協は信用事業のみならず、もろもろのことをやっております。ところが、一つ問題になりますのは、この利用者でございます。利用者というのは農民であり、その近所の中小企業の方々である。決議にもありますとおり、やはり利用者の十分な御理解、納得がなければこれはできない問題でございまして、したがって、そこあたりをよく踏まえませんと、私はなかなかむずかしい問題であろうと思います。したがって、端的に申し上げるならば、これらの団体の意見を十分聞かなければなりませんが、他の金融機関等に先立ってやろうとすることについては非常に無理があるであろう、このように考えております。
  88. 野坂浩賢

    野坂委員 一応その実情は私なりにはわかるのです。大蔵省の言い分は、土曜日に銀行だけが休めば全部預金は郵便局や農協に行ってしまう、だから一緒でなければならぬ、農協はほかがやっても一番後だ、こういうふうにお話しになっている。一緒にやらなければならぬというふうな状況下にあるわけですが、大蔵側は国会答弁等を受けて、各関係省庁にやるんだというようなお話があるだろうと思うのですけれども、どのように進めようとしていらっしゃるのかということを大蔵側から聞きたい。  それから、農林省側は、大蔵省側からそれをお受けになって、お話があったということでありますからあったと思うのですが、それについてどのように会議を開き、どのように対応をしようとしておるのか、方針を聞きたいと思います。
  89. 野田実

    ○野田説明員 お答え申し上げます。  先般、各省庁連絡会議でこの御決議の内容を御説明申し上げまして、御検討をお願いしたことは事実でございます。同時に、私たちは、この御決議にもございますように、金融機関を利用します国民なりあるいは中小企業、消費者がどういう考え方を持つか、あるいはそういう中小企業の週休二日制の実施状況がどうかということが、金融機関が店を閉めることを判断いたします重要な資料であろうかと思っております。したがいまして、この御決議にもございますように、国民の理解が得られるような努力をこれから積極的にしなければいけないのではないか、かように考えております。
  90. 佐々木富二

    ○佐々木(富)説明員 農林省といたしましては、大蔵委員会において決議がありましたその日に、全中その他系統団体に決議の内容を伝達いたしまして、系統側も早急に検討をするようにということを連絡してございます。  今後の進め方につきましては、関係省庁連絡会議等の場で関係各省庁とも十分連絡をとりながら進めてまいりたいというふうに思っております。
  91. 野坂浩賢

    野坂委員 いまの前提でありました労働省の意向、あるいは総理府もその方針ですね。世界の趨勢もまたそうだ。ただ、いまは不況であるからなかなかやりにくいということがありますが、外国の場合は不況であるときにこういうものが大胆に実施をされ、日本の場合はまた逆である、こういう情勢です。しかし、天下の情勢というのはそういうふうに流れておるわけでありますから、信用事業だけをどうとめるかということもいろいろ問題もございましょうが、いまの時代の流れからしてその方向をこれからとるように、中金なり農協にこの決議に沿って進めるように今後農林省側としては御指導をされると思うのですが、そうでしょうか。
  92. 今井勇

    今井政府委員 全般的なことから申せば、先生のお説のとおりであろうと思います。ただ、私が先ほど答弁申し上げたように、これを利用する方方が農民であり、その日その日を非常に忙しく、苦しき生活をやっておられる中小企業であるということでございます。したがって、団体等の意見を十分聴取いたしますが、決議にありますあの文言どおり、これらの人たち、利用者のコンセンサスを得ることがまず第一であろう、このようなことでございまして、これを踏まえて対処いたしたいと思います。
  93. 野坂浩賢

    野坂委員 終わりたいと思っておったのですが、お話があったように、消費者なり利用者についてはPRをしなければならぬという決議もあります。だから、PRをやると同時に、中小企業等は銀行が主でしょうが、農協は農家皆さん方が集中的にお使いになっておる、その辺のにらみ合わせが非常にむずかしいところなんです。しかし、政務次官お話しになったように、天下の趨勢、国際協調あるいは失業者の吸収等をも含めてやっていかなければならない、そういう先進国としての今日の状況にあるということを御認識いただいて、まず聞いて——聞くことも必要でありますが、そうなんだという説得も、減反の問題のときだけに説得するのではなしに、こういう点、理解のむずかしい点もあろうと思いますけれども、やはり積極的に取り組んでいく必要があるだろうと私は考えておりますが、そういうふうに取り組んでいただけるものでしょうか。
  94. 今井勇

    今井政府委員 お説のとおりでございまして、PRをし、それらの方々の御理解を得る努力は当然必要でございます。
  95. 野坂浩賢

    野坂委員 それでは、わずか十分程度しかございませんが、次に畜産問題について若干お尋ねをしていきたい、こういうふうに考えております。  去る三月二十八日に審議会の答申がございまして、三月三十一日に政府は正式に牛肉なり豚肉の価格というものを据え置くと御決定になりました。農家皆さんはこの決定について異常なほどの御不満を持っていらっしゃるということは皆さんがよく御了承のとおりであります。その中で、子牛生産の奨励事業費を百十七億円とか、あるいは事業総額は合わせて約三百二十四億円、昨年よりも九十三億円程度ふくらんだ、そういう事業の問題はございますが、何よりも期待をしておりました価格が据え置かれたということは、これからの生産意欲にも大きく影響するのではなかろうか、こういうふうに思うのであります。  まず、局長お尋ねをいたしますのは、畜産振興農業基本法の中にも明確にされております。そして、自給率の増大ということも特に強調されております。その証拠に、農業白書にも、いろいろな施策を講じて畜産対策をやっております。こういうふうに明記されておりますがまずお聞きをしたいのは、輸出攻勢というものが非常に激しく外国からかかっておるというのが、現況であります。私ども国内産というものを強く進めて、自給率というものを高めていかなければならぬのですが、輸出の諸外国からの攻勢については、国内生産で不足する量というものに限定をすべきだ、こういうふうに考えておりますが、その点についてはいかがでしょうか。
  96. 杉山克己

    ○杉山政府委員 先ごろの畜産物の価格決定の際、牛肉、豚肉の安定価格帯について据え置きということで価格決定をいたしたわけでございます。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 これは畜産生産費で一番大きなウエートを占める労働費について労働時間が短縮しているとか、その次に大きな飼料、えさ代につきまして最近の国際飼料価格が低下しておるといったような、全体の環境が好転しておるということを反映いたしまして、価格としては据え置きを実施いたしたわけでございます。ただ、全体的に見ましてもっと生産振興するための強力な対策が必要であるという観点から、価格以外の生産振興対策として、いま先生御自身が触れられましたような子牛の生産奨励対策あるいは経営改善の融資事業というようなことをあわせ行うことといたしたわけでございます。当初予算とは別に、これは事業団の助成事業として追加的に行うこととしたところでございます。  そういうことで生産振興を図っておるわけでございますが、全体の今後の需給の動向を見ますと、生産振興を図りましても、牛の生産というのはその回転期間が長い、それからわが国生産条件はやはり土地でありますとか、えさでありますとか、労働条件そのほか全体の制約の要素も強くて、なかなか思うようには伸びない、需要の伸びを全部賄うというわけにはなかなかまいらないわけでございます。  しかし、考え方としては、先生御自身が指摘されましたように、六十年見通しにおきましても、自給率を高める、現在より生産水準を引き上げる、同時にそういったものを賄うところの農家経営自身も規模拡大を図っていくということで、一つ目標を描いているわけでございます。そして、賄い切れない需要、不足する分についてはこれを外国からの輸入に仰ぐ。その基本的な考え方は現在も変わっておらないところで、やはり国内生産振興、できるだけ自給で賄うという基本に立って今後とも政策を進めてまいるという考えでございます。
  97. 野坂浩賢

    野坂委員 いま触れられましたように、現在の状況から、国内産をふやして、そして不足するものに限ってやるというお話をいただいたというふうに確認します。  牛肉の生産の場合は、昭和六十年には自給率が八一%というふうに私は記憶をしておるのですが、間違ったら訂正をしていただきたいと思いますし、その生産頭数はどの程度にお考えになっておるのかというのと、現状はどれほどかということと、さらに、これから六十年まではあと七年ありますけれども、いまのベースで、たしか三百三十万頭というふうに承知をしておりますが、その動向を歩いていくペースになっておるかということであります。
  98. 杉山克己

    ○杉山政府委員 六十年までのいわゆる長期見通しにおきますところの牛肉の生産目標自給率で申しますと、六十年に八一%と先生が言われましたような自給率を達成することを目標に描いているわけでございます。  それから、その場合の需要量六十二万五千トン、生産量五十万八千トン、飼養頭数は三百三十万五千頭ということで見ておるわけでございますが、こういった目標に対して現在までの実績はどうかということを見てまいりますと、実は四十八年から四十九年にかけまして御存じのとおり異常な国際的な石油パニック、あるいはそれに続く食糧についての供給不安といったような問題があったわけでございます。それらの関係から、きわめて日本畜産は危機とも言えるほどに落ち込んだ時期を経験したわけでございます。その後五十年、五十一年と逐次回復をしてまいったわけで、ようやく五十二年、昨年において平常のぺースといいますか、落ち込みを脱し得たというような状況になっておるわけでございます。したがいまして、六十年見通しの基点であります四十七年と比較いたしまして、ようやく四十七年水準に生産は回復し得たというところでございますので、先ほどの私が申し上げました六十年見通しは、四十七年をベースに年率平均四・四で伸びていかなければその目標は達成されないということでございますのに、今日これは五十一年時点でようやく四十七年度水準に回復し、五十二年はそれより若干増勢を見たという状況でございますので、今後はなお生産対策にも力を入れ、さらにこれを大きく伸ばしていくという考え方ではございますが、六十年見通しを真実達成しますには、これはなかなか容易ならないところがあろうというふうに考えるわけでございます。  一方、需要の方は、六十年見通しに対しまして、これは六十年見通しは年率四・二%程度でふえると想定いたしているわけでございますが、四十七年から五十一年までの需要の伸びというのは年率三・八%、六十年見通しの想定を若干は下回っておりますが、ほぼ見通しにそれほど遠くない、隔たりのない数字でもって実績は推移している、こういう状況にあるわけでございます。
  99. 野坂浩賢

    野坂委員 私はあと五分しかありませんで、この次に機会を得てまたお尋ねをさせていただきたいと思うのですが、外国から入っておる肉ですね、フローズンとチルド、冷凍肉と冷蔵肉というのがありますが、この冷蔵肉、チルドというのは、随意契約で買ってもらってそれを流すということですけれども消費者、また皆さん調査、われわれの調査によっても、値段が下がっていないという批判は非常に強いのですね。テレビのドキュメンタリー等で神戸における動きが出て、調整金等をつけても全部それは消費者に回しますと、買っておる人、責任者がはっきり言っておるというのが今日の現況ですね。それらの対策、なぜそうなのか、その点についてはどうかということと、きょうの新聞に、あなたの見解も出ておりますが、政策構想フォーラムというのが提言をされて、消費者の声、そして具体的にこの輸入関税の問題なり、それを不足払い制度で還元をするという問題が出ておりますが、一つ意見ですね。たくさんあなたが指摘されておるように、一定の会社が買うということではないということもありますが、工夫すればいろいろな方法があろうかと思います。消費者にも十分理解ができ、生産者の生産性も高めて、この目標どおり進めていかなければならぬだろう、こういうふうに思いますが、それについての畜産当局の御見解、これからの展望、生産者と消費者の納得のできるような姿というものをどのようにして打ち出し、これについてはどのような御見解か、あわせて承って、私の質問を終わりたいと思います。
  100. 杉山克己

    ○杉山政府委員 たくさんの質問でございますので、十分にお答えできかねるかと思いますが、できるだけかいつまんで申し上げたいと思います。  まず、事業団の取り扱う牛肉にフローズンとチルドがあるではないか、チルドの取り扱いが不明朗で必ずしも十分にその価格のメリットが末端の消費者にまで及んでいないのではないかという御指摘でございますが、御承知のように、畜産振興事業団は国内価格に合わせて輸入牛肉の価格調整を行う、具体的にはチルドの場合は調整金を徴収するわけでございます。このチルドの牛肉は、国産肉等に比べて割り安であるというようなことから人気が出て、これを希望する向きが多いわけでございます。私ども、この売り方をできるだけ公正にするということで対象団体も選び、それから特に末端でもってチルドのコストが途中で不当にマージンが乗せられ心というようなことのないよう、指定店というものでは目安価格をつくってきちんとその価格で売るように指導するというようなことを行っているところでございます。  そういうこともございますし、国産肉、輸入肉合わせまして全体として価格引き下げの対策を種種とっているところでございます。たとえば、東京都におきましては、小売業者の共同仕入れによる、朝市と俗称されるところの安値でもって提供する事業、あるいは産直の仕組み、あるいは指定店を含む全体としてのチルドの販売量の増加といったようなことで価格水準の引き下げに努力しているところでございます。  最近の価格動向を見ますと、確かにそれほど目立って大きく下がったというわけではございませんが、三月の物価指数で見ますと、対前年同月比でございますが、牛肉の価格は小売価格で四・一%下がっております。その時点におきます一般物価は四・八%上がっております。三月単月だけでは確かに比較できない、この後四月、五月どうなるかということもございますが、一般的に言って、一般の物価が上がる中で、ともあれ牛肉の価格はかなり下がってきているということもあるわけでございます。このことはひとつ御理解いただきたいと思います。  それから、政策構想フォーラムが発表した牛肉輸入自由化案、これは私も内容は実は詳細に存じていないわけでございます。新聞から概略説明を受けて意見を求められたので、その場で、私は現実の行政を担当している立場からなかなか実現がむずかしいなという感じを持ちまして、現実的でないというコメントをいたしました。これについてはもう少し詳細検討して私なりの意見を整理したいと思っておりますが、ただ全般的に理解できますところは——これはもちろん一つのまじめに研究された御提案かとは思いますが、輸入を自由化する、それから、ある時期に不足払いに踏み切るということで、消費者にはいまの半値くらいの牛肉を提供する、そして一方、生産者には現在の価格を保証する、これを可能にする方式がこの提案なんだということを言っておられるようでございますが、従来から牛肉の自由化問題あるいは不足払い制度といったものについては一般的にも論議されておりますので、それ自体の妥当性とか現実性については一々詳しく申し上げておられないのでございますが、ただ制度論としまして、少なくともまず第一に、所要経費等財源の面についての可能性についてはもう少し慎重に検討する必要があろうと思っております。多額の経費を要する、しかも、それについては政策構想フォーラムの提案のように課徴金というもので賄い得るかどうかということになりますと、前提として提示されている数字等についてはなお十分吟味を要する点が見受けられるわけでございます。  それからもう一つ、新しい仕組みを考えるという場合、現在のような安定価格制度との比較ということにどうしてもなると私ども思います。その場合、現在の価格安定制度は代表的な一部の品質、規格の牛肉を対象として直接とらえて作業をすることができるわけでございますが、不足払い制度ということになりますと、およそすべての牛肉を確実に把握、確認するということが実務の前提となります。日本のように、多種多様の牛を個別経営が小さい規模で扱っており、流通経路も単一でない、それを組織的に扱う機関もないというような場合に、そういう技術的な点をどう克服して不足払いというような仕組みが確立し得るのかという問題もあるわけでございます。  それからいま一つ、牛肉の問題は単に牛肉の問題だけでは議論できない。ほかの食肉、現在、日本では牛肉の二倍の量の鳥肉が、また牛肉の三倍の量の豚肉が消費されております。それらに及ぼす牛肉価格の著しい低落の場合の影響といったものについても慎重な検討が必要ではないかと思います。  そういう意味で、それは御提言で、検討する必要はあろうかとは思いますが、私どもこういう問題を直ちに採用するとか結構であると言うには若干現実的でないというような感じを持っているわけでございます。  そういうことはそういうこととして、では全体的に肉用牛の生産振興について、特に見通し等を設定している立場からどういうふうに考えていくかということでございますが、やはり基本的には日本の肉牛生産生産性を上げてコストダウンを図るということが第一であろうと考えます。その意味で、飼料対策として自給飼料の自給力を高める、それから流通飼料については安定供給を図る、同時にその価格の安定化を図る、それから肉用牛団地の育成であるとか、生産される肉用子牛の需給と価格についての安定対策をとる、さらには、これは先ほど事業団の助成事業ということで御説明申し上げましたが、子牛生産奨励を行う、あるいは肉用牛生産資金について特別な融通を行う、これは肥育牛の農家を対象としての事業でございますが、こういった各般の飼料対策なり、団地育成なり、肉用子牛の価格安定事業なり、あるいは肉用牛の生産についての融資といったようなこと全体を通じまして生産性を上げていくということを基本考えていくべきだと思います。そのほか、優良な品種の牛を導入して、品種の改良増殖を図るというような技術面での助成も大変必要だというふうに考えます。  そういうようなことで、たくさんお答えすべきことはございますが、足りないところがあるかと思いますが、いずれまた別途お尋ねいただけるということでございますので、一応以上のとおり御答弁申し上げます。
  101. 野坂浩賢

    野坂委員 時間も来ておりますし、本会議が始まりますから、これで私は打ち切って、次の機会に特に発言をさせていただくようにお願いをして、終わります。
  102. 中尾栄一

    中尾委員長 この際、午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時五十七分休憩      ————◇—————     午後二時十六分開議
  103. 中尾栄一

    中尾委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。竹内猛君。
  104. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は、円高とドル安が農業にどう関係をするかという問題についての質問をするわけですが、農林省としては円高が農業のどの部面に主として影響をしているのかということについて、これは政務次官ひとつ概略答えてもらえませんか。
  105. 今井勇

    今井政府委員 わが国が大量に輸入をいたしておりますものが実はその対象になろうと思います。たとえば飼料用の穀物、麦等であろうと思いますが、またそのほか個々の品目でもしありますれば、これは事務局の方から補足の答弁をさせたいと思います。
  106. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 大体そういうことだろうと思います。きょうは時間が余りないから質問が総論的なものにわたるかもしれません。  そこで、農林省はえさを中心として農機具、これは鉄の問題もありますが、それから農機具に使う重油、それから施設園芸に使う油あるいは農薬、肥料、こういうものが今度の円・ドル問題では農村では影響してくる、こういうぐあいに考えますから、この問題についてはぜひ資料を整備しておいてほしい、こういうことを要望しながら質問をしたいと思います。  そこで、最初に農村における飼料関係の問題について質問をいたしますが、一九七七年にアメリカから大豆が三百四十二万トン、トウモロコシが七百四十六万トン、小麦三百三十五万トン、グレーンソルガムが二百四十四万トン、これを加えると千七百万トンぐらいのものです。それからカナダからの輸入として小麦が百六万トン、大麦が七十七万トン、それからグレーンソルガムが五十二万トン、これがやはり二百二十万トンぐらいになる。この両方を加えると千九百二十万トン近いものが輸入をされることになります。その中で食糧に回すものがありますから、これは飼料として使われる部分がどれくらいあるのか。その他の国からも入るけれども、多くはこの二国から入っているわけですから、この辺の仕分けはどうなっているのかということをまずお尋ねします。
  107. 杉山克己

    ○杉山政府委員 入れている主なものは、トウモロコシ、コウリャン、大麦、小麦、ライ麦、燕麦、ふすま、穀物かす、こういったものでございますが、圧倒的に数量として大きいのはトウモロコシとコウリャンでございます。  トウモロコシが五十二年の合計で配合飼料用といたしまして五百十八万三千トン、主たる輸入先はアメリカ、アルゼンチン、中国、タイ、こういったところでございます。いま申し上げましたのは、トウモロコシのうちの配合飼料用でございます。その他用が百六十八万八千トン、主たる輸入先は大体配合飼料用と同じようなところでございます。  それから、コウリャンにつきましては、配合飼料用が総量で三百六十一万五千トン、主たる輸入先は、一々数量は申し上げませんが、同じくアメリカ、アルゼンチン、オーストラリア、一部南アといったようなところでございます。それから、コウリャンのその他用が総量で二十九万四千トン、同じようにアメリカ、オーストラリアといったようなところが中心となって輸入されております。  大麦は全体として百三万三千トン、これはカナダとオーストラリア。小麦は九十七万二千トン、アメリカとオーストラリアというような数量になっております。  いま申し上げましたのは五十二年中の数量でございますが、きわめて大量のものが入っているという実績になっております。
  108. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これは先ほど私が読み上げたものとかなり数字が違うのだけれども、その違いはどういうことになりますか。
  109. 杉山克己

    ○杉山政府委員 ただいま申し上げましたのは、最近の実績をということで五十二年の四月から、実は年度計ではなくて、十二月までの確認されている実績数量について申し上げたわけでございます。
  110. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで、この価格、つまり原料価格動向というものはどのような状況になっているのか、この状況についてお尋ねします。
  111. 杉山克己

    ○杉山政府委員 価格の推移だけ数字で申し上げますと、いろいろな相場のとり方がございますが、シカゴ相場で見ますと、トウモロコシが五十二年の当初はブッシェル当たり二百五十九セント程度でございました。これがその後ぐんぐん下がりまして、五十二年の夏、昨年の八月に底になったわけでございますが、百八十九セント。この底からその後若干また上がってまいっておりますが、十一月に二百二十一セント、それから最近では三月で二百六十二セントということで、五十二年の当初の水準にほぼ戻っている状況にあるわけでございます。ただ、この間、どういうレートでいつの期間を採用するかという問題がございますが、円高のメリットもあわせて発生いたしておるわけでございます。  それから、大豆は、五十二年の初めは二百ドル程度であったわけでございますが、それがその後は三月ごろには二百五十ドル、それからやはり九月のころが底になったわけでございますが、さらにその後上昇を続けまして、現在では百八十三ドルというような水準にあるわけでございます。     〔委員長退席、羽田委員長代理着席〕 いまのは大豆かすの方で申し上げたわけでございます。えさに使いますのは大豆そのものではなくて、直接的には大豆油かすでございますので、大豆油かすの価格動向を申し上げました。  それから、小麦でございますが、これは食糧用と似た水準で推移しております。五十二年の一月ごろは二ドル七十七、五十二年の八、九月のころは、これが底で二ドル二十一、それから五十三年に入りまして、二月は二ドル六十四、最近は三ドルを超えてなお上昇を続けているというようなことで、小麦はほかのものと違って最近価格上昇の著しい状況が見られておるところでございます。
  112. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 その時期のとり方とその数量によっていろいろな変化はあると思います。あると思いますが、ことしの畜産物の価格決定のときにゼロ回答、値上げをしないという一番大きな理由としてえさの値下げがあったということが言われた。あとは規模拡大というものもありますが、そこで農林省として、農林省関係をしている飼料と商社が取り扱っている飼料と二種類あるけれども、それに対してどのような円・ドル関係についての操作をしてこられたか、この操作の状況について回答してほしいと思います。
  113. 杉山克己

    ○杉山政府委員 飼料は、民間で扱われるところの配合飼料と、政府が操作いたしますところの、これは食管特別会計において売買をしているわけでございますが、大麦、それから専管の小麦というようなものがあるわけでございます。これらの価格につきましては、量的に圧倒的に大きい配合飼料の方から申し上げますが、価格が先ほど申し上げましたように五十二年中特に夏ごろまで低下の一途をたどったということ、それから円高メリットが発生したということ、そういうことで、トウモロコシ、あるいはマイロ、あるいは大豆油かす、こういったものの入手価格が大幅に下がったものでございますので、それらの傾向を反映させまして、九月に九%、それから本年の一月に入りましてさらに七%、後の七%は下がった価格をベースにしての話でございますので、通算いたしまして約一五%の値下げを行ったところでございます。  それから、政府操作飼料につきましては、これはほかの飼料価格が下がったものでございますので、直接原価が下がったから値下げするというのではなくて、ほかの飼料価格とのバランス上その価格を定めておるということで売り渡し価格の引き下げを行ったわけでございます。これは昨年の十月に大麦で六%、それから本年の一月に大麦で一三%、ふすまで一〇%、大麦につきましては先ほどの六%と合わせますと通算一九%の値下げとなったわけでございます。  このように畜産農家にとってコストの大きな部分を占めますところの飼料価格を、配合飼料につきましては、通算一五%、それから政府操作の大麦につきましては一九%、ふすまにつきましては一〇%ということで、昨年当初のころの価格に比べて引き下げを行ったわけでございます。これがことしの畜産経営の上に非常に好結果をもたらしている。そのことが、それだけではございませんけれども、ほかの労働時間が短縮したとか、生産性が上がっているという面もございますので、それらと合わせて本年の畜産物価格決定の際に価格水準を引き上げないで済んだという結果をもたらしたということになっているわけでございます。  そこで、今後の問題があるわけでございますが、いまのところ若干の最近の価格の上昇はありますものの、円高のメリットも若干残っておるというような関係もありまして、直ちに現在の価格の上昇が飼料価格にそのままこの先はね返るというようなことでなくて、当分現在の安定した、従来から見れば低位のこの水準でずっと保ってまいりたい、またそのように業界関係も指導してまいりたい、そうして、もって畜産農家経営の安定の上に資したいかように考えておるところでございます。
  114. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 通産省見えておりますか。——政府の指導する政府管掌の飼料については、これは取り扱いがかなり明らかになっていますが、商社がこういう場合に取り扱っている買い付けのやり方、それから契約の仕方、それから最終消費者に渡るまでの間のルート、こういうものについてきわめて不明確ですね。農林省に聞いてみてもさっぱり答えが出ないし、全農に聞いてみてもどうもわからない。通産省は、このえさの現地購入から消費者に渡るまでの間の経過についてどのようにこれをとらえているのか、これは通産省の方からちょっと……。
  115. 篠浦光

    篠浦説明員 わが国の配合飼料の原料の大宗といいますと、トウモロコシとコウリャンでございますので、これについて申し上げたいと思いますけれども、若干技術的になりますが、商社ごとに若干の違いはございますが、一般的なケースとして申し上げますと、まず商社は、シカゴ相場その他穀物相場につきまして、一つは商社の海外支店からいろいろ情報を集める。それからまた、アメリカの穀物輸出商社、これの出先も日本にございまして、そのあたりからも情報を集めるということで、情報を集める。それに基づきまして、配合飼料メーカー、飼料会社でございますが、飼料会社といろいろ価格なり数量なりにつきまして協議をする。それで合意をしますと、これをその商社の海外にあります支店でございますが、そこに発注をするということになるわけです。その輸入商社とそれから飼料メーカーの契約というのは、ドル建てでC&F価格で行われるということでございます。  そういうことで、商社の海外店は本社から指示を受けるわけでございますが、そうしますと、アメリカにあります輸出商社と即日あるいは翌日に契約をする。それで穀物の輸出商社は、その契約に従いまして決められた日にちに船積みをする。船積み後三十日あるいは三十五日で日本に着く。日本に着きますと、輸入商社は、オンボードと言いまして船に積んだままの状態でその荷物を飼料会社に引き渡すということでございます。飼料会社に行きますと配合飼料になるということでございますので、それから先は国内流通の問題ということでございます。したがいまして、要するに、輸入商社が配合飼料メーカーといろいろ協議をして契約をして、それを海外の支店につないで、支店が買い付けをして日本に持ってくる、こういうことでございます。
  116. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 その過程で通産省として何か指導を加えることができるかどうかという問題ですね。というのは、通常の場合であればこれは余り問題はないと思うのですけれども、最近のようにドルが三百八円から二百二十円に変わる。それで数量というものは余り変化がないでしょう。そうすると、大量に入ってくるわけだから、当然、これはわが国消費者立場からすれば、安いものがたくさん入ってくるという形になる。農林省が管理をする場合には、これは明確に何%ずつ下げたということはわかるけれども、一般消費者の場合においてはそれに準じてやっているのか、どうしているのか、値下げの問題についての変化の問題は、これは業者の企業努力ではないのだから、当然、これは監督の機関がこれに対して、値段についても二定の方針を指示して下げろとかどうとかいうことに対することはやらなくちゃいけないと思う。商社に対してそういうことをやったことがあるのかどうか、それを……。
  117. 篠浦光

    篠浦説明員 先ほどもちょっと申し上げたのですが、輸入商社とそれから配合飼料メーカー、この間の契約といいますのはドル建てで契約をするということでございます。要するにドルで飼料会社は買うというかっこうになりまして、為替リスクの関係、あるいは差益の関係といいますと、すべて飼料会社の方に帰属するということになるわけでございます。したがいまして、最近の円高で為替差益が発生したということでございますが、農林省の方で、先ほど局長からお答えがありましたように、配合飼料の販売価格の引き下げという指導をしていただきまして、そういった差益が農家に還元されたということでございます。
  118. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いまの話だとすれば、農林省は、全輸入の飼料の総体を握っていて、それで政府の管掌するものと商社の動かすものとの間のことについて、やはり一定の方針なり指導するというようなことで、円・ドルの関係のその差益を農家に戻したということがはっきり言えますか。
  119. 篠浦光

    篠浦説明員 申し上げましたように、差益は飼料メーカーに帰属した、入ったということでございまして、その差益が農林省の御指導で価格の引き下げという形で農家の方に還元されたというふうに承知しております。
  120. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 商社が取り扱っているし、自由経済だから、その契約の根源である原価というものをがっちりつかむことは大変困難であろうと思うけれども農家に対して、消費者に対して、畜産物の価格審議をする場合には一定の値下げの問題が明らかにされたわけだけれども、やはりまだまだ値下げをする余地というものが、十分に吟味すればあるのではないか。そういう点について、これは農林省、通産省ともにこれからの展望を、先ほどちょっと話があったけれども、これからの展望は、より値を下げるのか、それとも将来が少し怪しくなってきたから、これは将来のために若干金を管理をしておくというのか、この辺の値下げか、あるいはまた金の管理かというような問題については、その点をどういうふうに見通しをされておるのか。
  121. 杉山克己

    ○杉山政府委員 先ほど通産省の方にお尋ねになりました問題で私ども関係のある点について、ちょっと補足して説明させていただきます。  先ほど私が申し上げました配合飼料価格の値下げ、昨年来二度にわたって、通算一五%引き下げを行ったということでございますが、これは配合飼料メーカーの建て値でございます。これは商社段階それから飼料メーカーの段階で出た差益、これは為替だけでなくて価格下落に伴う差益、これをそういう形で還元させるように建て値を下げたわけでございますが、実際に農家が購入する価格の低下に直ちにつながるかというと、実はその間の流通の問題もあるものですから、私どもそこを厳重に指導もしているわけでございますが、一カ月ぐらいのおくれをもって農家価格にどうやら実現を見ておるというような状況になっております。今後ともそういった建て値の引き下げが実効価格の引き下げにつながるように、厳重に指導もし監視も行っていく必要があろうかと考えております。  それから、そういうふうに下げたことでいまの価格はでき上がっているわけでございますが、今後どうかということでございます。実は輸入した飼料の価格は、契約締結のときから入ってくるまで、そして配合飼料として加工されて売られるまで、相当のタイムラグがあります。現在売っておりますものは、価格もそれほど高くなかった、そして円高メリットもかなり出ておったむしろ昨年の暮れからことしの初めのころのものが市場に出回っているわけでございます。ところが、その後の価格の推移を見ますと、特に三月以降顕著な値上がりを示しております。したがいまして、現在売っておりますものはその後の為替のメリットもございますし、正直申し上げまして若干飼料メーカーに余裕があるというふうに見受けられます。ただこれを、引き続いて三度目の値下げを行わせるかどうかということになりますと、いま申し上げましたように、現時点で三月以降入手しているものの価格が上がっている。その原料をベースにいたしますと、七月以降の配合飼料価格をまた上げなければいけないということになってまいるわけでございます。私、飼料価格はコストをある程度  ある程度というより反映しなくちゃいけないと思いますが、同時に、余り上げたり下げたりというような変動は農家経営にとってもよろしくないと考えますので、むしろいま直ちにその分を引き下げるというのでなくて、飼料価格の安定基金がございますので、そこへこれを積み立てておいて、そして七月以降の価格の引き上げを必要としないようにその調整のために使うようにということで指導を行っているところでございます。
  122. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 時間の余裕がありませんから、えさの問題はこういう形にしておきますが、これを足場にしてさらに今度はまた別のときに、もう少しこのえさの問題について、たとえばこのような状態の中で、価格に関する法的な面からもいろいろ研究をしていかなくちゃならないから、いまは総論としてえさの問題はこの程度にします。  続いて、もう一つの値下がり要素であるべき石油類の問題ですね。原油から灯油、重油、いろいろありますが、これは先に通産省にお伺いした方がいいと思いますが、最近の日本におけるところの石油の全消費量、これはほとんど、九九・何%が外国から輸入なわけです。その量の中で、農業用に使っているところの石油はどれくらいなものであるか、この点からまずお尋ねします。
  123. 廣重博一

    廣重説明員 御説明申し上げます。  農業用に使われております石油製品と申しますと、主として、一つは施設園芸用の暖房、いわゆるビニールハウスの暖房に使われているもの、それからトラクター等の農業機械用のもの、それからさらにトラック等が挙げられると思いますが、これらにつきましての消費量、これは五十一年度の実績で私把握してまいりましたが、それを見てまいりますと、灯油が約百三十八万キロリットルそれから軽油が約五十五万キロリットル、A重油が約百十二万キロリットルでございまして、このほかにB重油、C重油も若干ございますので、合計しますと農業関係として約三百四、五十万キロリットルと言えると思います。全石油製品五十一年度実績で約二億二千八百万キロリットルでございますので、これは比率としましては約一・五%程度になろうかと思います。  なお、五十二年度におきましても、全石油製品の伸びとしましては一〇〇・一%、〇・一%の増でございますので、ただいま申し上げました数字は、ほぼ五十二年度実績においても同様程度ではなかろうかと存じております。
  124. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これは農林省の方にお尋ねしますが、国内の石油の総消費量からしてみると、農業関係は一・〇%あるいは一・五%ときわめて少数でも、農家から見た場合にはこれに対する負担というものはそう小さくはない。たとえば施設園芸あるいは農機具その他、車の運搬等々については、これははっきりしませんから出てこないと思いますが、そういうものがあるわけですが、農林省の方として、値下げの問題、これが農業生産にどう影響するかということについて検討されたことがあるかどうか。
  125. 野崎博之

    野崎政府委員 農村物価賃金統計によりますと、昨年十月ごろを大体ピークといたしまして、いま出ました重油とか灯油とかそういうものは一ないし五%ほど値下がりをいたしておるわけでございます。農業資材全般につきまして、特に農家の負担が重くならないように、そういうことは当然農林省でも考えるべきことでございますが、肥料等につきましても、肥料のもとになる原鉱石、こういうものも円高メリットである程度値下がりをしている、そういう点、あるいは農機具につきましては、これはほとんどポンド地域からの輸入でございますので、直接円高メリットというものが余りあらわれないわけでございます。そういうことで、引き続き農村のそういう農業資材が引き下がるような努力はいたしたいというふうに考えております。
  126. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これは通産省の方にお伺いするわけですが、一般に石油の差益というものは大体七千億と言われていると思いますが、そういう中でそのうちの一・五%というとかなりの額にはなるわけだ、そういうようなものがいまの農業関係の諸資材に反映するような指導ということについて、どういう指導をされたか、それについてちょっとお尋ねします。
  127. 廣重博一

    廣重説明員 御説明申し上げます。  まず、石油におきます為替差益の計算でございますが、私でも最近の原油価格をもとに計算してみますと、現在原油代がキロリットル当たり約八十六ドルでございますので、一円高になりますと、八十六円キロリットル当たりメリットが出る、こういうことになります。これを前提といたしまして、五十二年度の輸入量二億七千六百万キロリットル、五十二年度の平均為替レート二百五十八円に対しまして五十一年度二百九十二円でございますので、この差三十四円でございますが、こういう前提で計算いたしますと、トータルで八千七十億円というのが為替メリットとして計算できると思います。  他方、これから控除すべき要素としまして、一つは原油代の価格アップがございます。これは五十二年の一月と七月にOPECで引き上げを行っておりまして、これが、先ほどの輸入量で計算いたしますと年度間約五千三百億円ということに相なります。それから第二に、備蓄、防災費等その他のコストアップ要因が約千九百億円計上されます。  したがいまして、先ほど申し上げましたメリットと、いわばデメリットと申すべきこの二つの差が為替メリットとして消費者に還元されるべき原資かと思うわけでございますが、他方、こういった為替レート等の実勢を反映いたしまして、石油製品全体といたしましては、五十二年度下期から相当大幅値下がりを示しております。具体的には、全油種平均で見ますと、五十二年の十月から十二月にかけましてキロリットル大体千円、それから五十三年一−三月平均しましてキロリットル二千円程度の値下がりを示しておりますので、そういった意味では、総体的に見まして為替メリットは十分需要家に還元されているのではないかと思っております。  なお、この為替メリットの還元につきましては、特に国民生活に密着しております家庭用灯油価格につきまして、昨年暮れにOPECが原油価格を当初引き上げるのではないかと想定されておりましたが、原油価格の引き上げが当分見送りになりました時点で、私どもその価格を引き下げて消費者にも還元するようにという指導を行ったわけでございますが、その後さらに、今年の一月になりまして一部有力元売り会社等で全油種平均二千円程度の値下げの意向も発表しておりまして、それらを受けまして、十分元売り仕切り価格が下がり、最近では末端消費者価格までその趨勢は浸透しつつある、かように考えております。
  128. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 もう時間がありませんから、最後に今井政務次官を初め若干要請とお願いをします。  えさでもそうですか、国内の多くの大家畜がどうしても濃厚飼料を必要とする。そういうものがアメリカなりカナダなりアルゼンチンなり、そういったきわめて特定の国からの輸入がなければやっていけないということは明らかであるし、それからいまの石油にしてもほとんど九九%までが輸入である。こういう段階になってきて、商社が仲へ介入してくると、どうしてもその間の買い付けの原価と、それから輸送、貯蔵、加工というところの段階のことはよくわからないから、その間にいろいろな思惑が働くことになるだろう。だから、本来であるならば石油などは国営国管という形をとるべきではないか、それが理想の形ではないか、こう思うのです。しかし、これはいますぐそういうわけにはいかない。石油業法によっていろいろな形で指導されていると思いますが、将来はそういう方向が一番国民にわかりやすいし、安心ではないか、こう思うのです。これについては、今井政務次官、役所が違うけれども政務次官としての感想はどうだろう。  えさについても、大変努力していることはよくわかりますが、やはり建て値を決める、その建て値を決める基礎というものは商社関係あるいは全農というところでやると思いますが、これについても行政の介入する余地、あるいはまた、全農が消費者だと言えばそうかもしれませんが、いわゆる消費者の意思というものがどういう形で反映するか。いや、それは審議会の中で飼料部会があって、そこで発言しているからそれでいいではないかということになるかもしれませんが、それだけでは個々の消費者から見れば何としても心もとない。これも現地の原価というものを把握をして、そしてそれを輸送、貯蔵、加工、それから販売、こういうルートでつかんでいって、こういうことになるのかな、こういう理解をしないと理解がしにくいわけだから、この辺についての複雑な形のものをもう少し単純化はできないかどうか、この点については取り扱う関係者の方にもう一遍お尋ねをします。
  129. 今井勇

    今井政府委員 石油の問題についてのお尋ねが私にございましたが、私は先生とやや考え方を異にいたしております。確かに、石油というのはエネルギーのもとでもありますし、日本にとっては大変大事なものでありますが、それを国家管理するということについてはいささか抵抗を覚えます。やはり自由な貿易を行い、また自由な取引を行い、需給関係価格が決まってくるということが正しい行き方だと私は思いますし、そして消費者には税の面で御負担を願うというふうなたてまえでいくべきであろうと思います。したがって、ただいまのお話につきましては若干見解を異にするというふうに申し上げざるを得ないわけでございます。
  130. 杉山克己

    ○杉山政府委員 飼料の輸入につきましては、直接は商社がこれを外地から買い付けることになるわけでございます。しかし、買い付けについてのオーダーを出しておるのは国内の飼料メーカーでございまして、先ほど通産省の方からお答えがありましたように、むしろ商社は一定のマージンのもとに委託された形でその輸入を行っておるという状況にあって、商社の採算というよりは、飼料メーカーの経理、収支といった観点から飼料のコスト、価格はきちんと把握できるし、またすべきものと考えております。その点、飼料メーカーは農林省の所管業種でもございますし、畜産経営にきわめて重要な意味を持つ飼料の価格という問題でございますので、私ども常時必要な資料を徴収いたしまして、必要な説明を受けているわけでございます。もちろん、畜産振興審議会の飼料部会等におきまして、基本的な問題につきましては種種御意見も賜っておるところでございますが、日常の行政といたしましては、直接役所がいま申し上げましたような業界の実情に常時タッチしておく必要があろうと考えておるわけでございます。先ごろの価格の引き下げというような問題についても、その点相談にもあずかり、指導もして、実現の運びに至っているわけでございます。今後ともそういった実態の把握、それから必要な指導ということについては十分配慮してまいりたいと考えております。
  131. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 時間がありませんからこれで終わりますが、今井政務次官と見解を異にするのはやむを得ないことだと思いますから、私の考え方を言っただけの話ですから、ここで議論をすることはちょっとできません。  それで、次にはこれを深めていって、具体的な問題に即して質問をさせていただきますが、きょうは総論として私は質問しましたので、その点を申し上げて、これで私のきょうの質問は終わりたいと思います。
  132. 羽田孜

    ○羽田委員長代理 瀬野栄次郎君。
  133. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農薬行政の基本問題等について政府質問いたします。  私は、昭和五十年十二月十七日、第七十六国会の農林水産委員会において農薬行政、なかんずく農薬禍について、農林大臣を初め法務省、内閣法制局並びに厚生省に対して質問をし、見解を求め、その後機会あるごとに関連して政府考えをただしてきたところでございますが、この農薬問題は、昨年の松くい虫の空中散布による特別防除でも、国会における白熱の論戦に見られるように、国民の健康と人命尊重の立場から、ますます重大な、しかも深刻なものとなってきていることは御承知のとおりであります。  そこで、本日はさらにその後の経過を踏まえて順次質問をいたしたい。  まず厚生省当局に数点お伺いいたします。  最近奇形児が激増傾向にあると言われているが、その現状をお伺いしたいのであります。すなわち、最近子供が生まれると十人中平均して六人ないし七人は虚弱体質など何らかの異常があると言われており、社会問題になっております。また、国立がんセンターの統計によりますと、最近の傾向として小児がんの発生率が異常に多くなりつつある、これに加えて奇形児、一つ目、手足の指の曲がった者、肛門のない子、心臓奇形など、さまざまな異常な後期死産がふえ続け、この二十数年間に十二倍以上というまことに戦慄するような奇怪な現象が発生しております。過去に比べてこのような悪質疾患が激増していることについて、厚生省当局はどのように数字的に把握しておられるか、その点をまず最初に明らかにしてください。
  134. 佐々木輝幸

    ○佐々木(輝)説明員 まず先天異常の問題についてお答え申し上げます。  先天異常には身体の奇形など外見でわかるもののほか、後年になって発病または発見されるような先天性の各種の疾患もございまして、全体の正確な把握は困難な状況でございます。  人口動態統計によりますと、まず死産について見ますと、先天異常が原因となっているものは、昭和二十五年に八百八例の報告がございます。三十五年には千百八十一例、四十年には千七百二十三例、四十八年には二千五百五十四例、五十年には二千三百九十六例となっております。また、乳児死亡のうち先天異常が原因となっているものを見ますと、三十五年は百十例、四十年は九十六例、五十年は百五例でございます。  なお、身体障害を持っている児童のうちどのくらいの児童が先天異常を持っているかというふうな点につきましては、最近の調査がございませんが、四十五年に行われた身体障害者実態調査によりますと、身体障害児九万三千八百人のうち先天異常によるものは三万七千二百人というふうな状況になっております。  次に、小児の悪性新生物についてお答え申し上げます。  十九歳以下の死亡数で見ますと、昭和三十五年は千九百九十四例、四十年には二千百二十九例、五十年には千九百十五例というふうになっております。  まず、先天異常の原因関係について考えますと、遺伝によるもののほか各種の環境因子の影響等が考えられるわけでございますが、その発生機序等についてはまだ全般的には明らかになっていないわけでございます。また、悪性新生物の原因につきましても、放射線の発がん性あるいは発がん性のある化学物質の問題のほか多くの因子との関係が研究されておりますが、全体としてはまだ明らかになっていない状況で、小児の悪性新生物につきましても同様でございます。
  135. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 これは五十一年、五十二年の大体の推定はわかりませんか。
  136. 佐々木輝幸

    ○佐々木(輝)説明員 先ほど五十年の数字を申し上げましたが、五十一年についてはまだわかっておりません。
  137. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 掌握の仕方が遅い。  そこで、厚生省としては各種の研究班を組織してこういう問題について対処しておると前回答弁をいただいたわけですが、その後の実態をさらに説明を願いたい。
  138. 佐々木輝幸

    ○佐々木(輝)説明員 先天異常の関係については心身障害研究費というのがございまして、五十二年度の予算で六億八千万ございますが、この中で先天異常関係についても研究を進めております。  また、がんの関係については、がん研究助成金がございます。これによって総合的な研究が国立がんセンターを中心に進められております。
  139. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 まことに不十分で木で鼻をくくったような答弁だけれども、まあ課長だからやむを得ないが、先日から通告してあるのだからしっかり勉強して答えないとそういう歯切れの悪いことでは困る。  そこで、いわゆる奇形児の激増が社会問題になっているけれども、この理由は先ほどもちょっとは触れられたようだが、何が理由であると思っておられるか、具体的に詳細に報告願いたい。
  140. 佐々木輝幸

    ○佐々木(輝)説明員 先天異常の原因として挙げられておるものはまず遺伝がございます。そのほか各種の環境因子、たとえば風疹のような感染性の原因、そのほかいろいろな化学物質の影響等が考えられております。しかし、全体として詳細にはわかっていないのが現状だというふうに考えております。  悪性新生物につきましても、放射線の発がん性とかいろいろな発がん性のある化学物質、そういう原因について現在研究がるる進められているわけでございますが、これも全体としては明らかになっていないというのが現状でございます。
  141. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 局長や大臣とも相談して答弁しているのだろうと思うけれども、そういう答弁では納得いかない。  この理由には遺伝、各種環境因子、さらにはいろいろな化学物質の影響が考えられるということでありますが、このいろいろな化学物質の影響——まあ研究中だと言う。研究は一生やっていかなければいかぬけれども、こういったことでいつまでも研究では国民が安心しておれない。だんだん奇形児がふえてくる、どこに問題があるのか、中間報告をするなり、また国民に対してこういうところを十分注意せねばならぬということを警告を発するなり、また関係省庁とも連絡をとることも必要であるがゆえにあえて私は聞くわけだけれども、いろいろな化学物質の影響とは何を指すのか、さらに具体的にお答えいただきたい。
  142. 佐々木輝幸

    ○佐々木(輝)説明員 具体的なその化学物質と先天異常あるいはがんとの関係等につきましては、私は詳しく承知していないわけでございます。
  143. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 詳しく承知してないと言うけれども、農薬等による被害、影響、こういったことも含めて化学物質の影響、こういうふうにあなたはおっしゃるのか、そういうふうに理解していいか、どうだ。それ以上のことがわからなければ、また改めて厚生大臣なり局長、さらには場所をかえて私は政府見解をただすけれども課長ではその程度しか答弁できない、無理であるならば——そのくらいの答弁はできると思うがどうですか。
  144. 宮沢香

    ○宮沢説明員 御説明申し上げます。  農薬につきましては、先生御存じと思いますが、昭和四十三年以来、その危険性が叫ばれてから、厚生省としては、食品に残留する農薬について、公衆衛生上の見地から、長期的な毒性試験であるとかあるいは奇形性に関する試験であるとか、さらには蓄積性、代謝、そういったあらゆるその時点における科学的な資料を十分に検討して、われわれ人体にとっての安全性の許容の基準を設定してきておるわけでございます。現在までに私ども、主要な農薬、繁用されている農薬につきまして、トマトとかリンゴ、そういった非常に身近な農作物五十二食品について二十四種類の農薬をきめ細かく基準を設定しておりまして、それによって安全性に対処しておるわけでございます。
  145. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、私はもう一点お伺いしておくけれども、こういったものの発生の防止については、どういうふうに厚生省は対処しておられるか、これまた具体的に答えてもらいたい。
  146. 宮沢香

    ○宮沢説明員 食品に残留する農薬についての奇形児の発生であるとか、発がんの防止であるとか、そういうことに限ってお答え申し上げます。これについては、先ほども申し上げましたが、特に生涯にわたって綿密な発がん作用の有無を検定する試験であるとか、あるいは奇形作用があるかどうか、胎児の状態で開腹して観察する方法、あるいはさらに、そのまま産ませて、受精体の繁殖試験と私ども呼んでおりますが、そこまでもきめ細かく見た上で、安全であるという確認をした上で、食品に残留する農薬の基準を設定しておるわけでございます。
  147. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 厚生省にさらにお伺いしておくけれども、農薬によって死亡事故を起こしたものが、年平均七百十一人、中毒事故が年平均六百二十一人、最近のデータが厚生省から正式発表がないので十分わからないけれども、恐らく五十年、五十一年、五十二年の最近のデータ等を入れますと、かなりの死亡ないし中毒事故が多くなっているということは想像にかたくないわけです。こういったことを前回の委員会でも指摘したわけですが、これについてはどういうふうに現状を把握しておられるか、厚生省からお答えいただきたい。
  148. 伊藤卓雄

    ○伊藤説明員 お答えいたします。  農薬の事故に関しましては、農薬の使用中に起きます事故と、それ以外のものによる事故もございますけれども、私どもはそれを取りまとめて都道府県の衛生部局の方から集計の届け出を受けているわけでございます。  ただいま先生の御指摘をいただきました数値につきましては、七百云々という数字につきましてはちょっと心当たりがございませんけれども、四十九年、五十年、五十一年におきましては、全体の事故数といたしまして、四十九年が六百四十一、そのうち農業用使用に係るものが百三十七、五十年におきましては総数が六百六十三、農業用使用に係るものにつきましては百二十七、五十一年におきましては六百十一、うち、農業用使用に係るものが九十八ということになっております。  以上でございます。
  149. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いまのは農薬による死亡事故の方ですか。中毒事故と二つ言ったんだが、二つに分けて明確に答えていただきたい。
  150. 伊藤卓雄

    ○伊藤説明員 お答え申し上げます。  農薬による事故と申しましてもいろいろございますけれども農業用使用に係るもの、これが先ほど総数とともた申し上げました数字でございます。ただし、この農業用使用に係る事故と申します四十九年百三十七、五十年百三十七、五十一年九十八というものの中には、さらに分けますと、死亡と中毒というふうに分かれまして、死亡について申し上げますと、四十九年が十一、五十年が十九、五十一年が十六となっております。中毒の方はその残りでございまして、四十九年は百二十六、五十年が百十八、五十一年が八十二となっております。
  151. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 私たちがいろいろ調べておるのより大分数字が少ないけれども、この調査がどういうふうな調査になっているのか、これはここでにわかに究明することは困難かと思いますけれども、前回私が追及した際は、昭和二十八年から四十八年までの二十一年間だけでも死亡事故が一万四千九百四十六人、一年平均七百十一人、中毒事故が一万三千五十人で一年平均六百二十一人という数字を、厚生省のデータ等で私たちは承知したわけでございます。当時でさえこうでございますから、最近は相当農薬を使っておりますので、事故も想像以上に多い、われわれはこういうように思っているわけです。また、われわれの身辺にもそういった事故に遭っている人たちも数多く見受けるわけでございますが、厚生省のこのデータ、調査というものが、前回私が追及したにもかかわらず、組織を挙げて調査をする、こう言いながら徹底してない、かように思うわけです。前回は、「厚生省といたしましても、各種の研究班を組織いたしまして、こういう問題について対処をしているわけでございます。」こういうように言っている。各種の研究班を組織している、こういうふうになっているが、それでは、私はこういうふうに数字がかなりあるというように指摘しておるのだけれども、各種の研究班というのはどういう研究班があるのですか、明らかにしてください。
  152. 伊藤卓雄

    ○伊藤説明員 お答え申し上げます。  各種の研究班云々につきましては、私ども、ただいまのところつまびらかにしておりませんし、農薬全体の問題につきましては農林省の方で御検討をいただいておるところでございますが、私が先ほど御答弁申し上げた中で、先生が五十年の数字をお取り上げいただきましたので、それとの比較でちょっと補足させていただきたいと思います。  先生の御質問によりますと、五十年の死亡事故が七百十一、中毒事故六百二十一というふうに、およそ二十年ぐらいの数字を平均してお出しいただいております。その点からいきますと、私どもの手元にあります数字で言いますと、先ほど申し上げましたように、総数につきましては四十八年ぐらいからの数字がかなり少なくなってきておりまして、四十九年以降は先ほど申し上げたような数字になっておるというところでございます。
  153. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この問題についてはまた厚生大臣並びに局長等を招致して徹底的に次回に追及することにいたしますが、これ以上は課長では答弁がちょっと無理のようでありますし、歯切れも悪いので、改めて数字は明確にしたいと思います。  また、いま私が質問した内容については、委員長の方から取り計らっていただいて、具体的に過去のデータ等含め、数字をもってひとつ報告いただきたい、こういうように思います。委員長からお取り計らいください。
  154. 羽田孜

    ○羽田委員長代理 ただいま瀬野君から御提案のございました件につきましては、理事会において諮りたいと思います。
  155. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 厚生省関係に冒頭以上の点をお伺いして、ただいまから、農薬問題の中でもなかんずく農薬禍について、基本問題等踏まえて政府当局質問してまいります。     〔羽田委員長代理退席、委員長着席〕  歴代の農林大臣は、農薬問題が国会で論議されると、必ず、農薬禍の対応策としては低毒性農薬の開発と適正な使用方法の徹底指導を図ると繰り返し答弁されておられるのであります。いまもこの方針に変わりないか、お答えをいただきたい。
  156. 野崎博之

    野崎政府委員 考え方にはもちろん変わりはございません。  具体的にどういうふうにやっているかということにつきましてちょっと触れさせていただきますが、まず低毒性農薬の開発に関しまして、これを強力に開発を進める一つの方法といたしまして、残留農薬研究所に対しまして、農薬の安全性の評価をする技術、これは毒性試験の技術でございまして、どういう動物を使ってどういう投与方法をやるとか、あるいは飼育条件はどうだとか、そういう安全性の評価をする技術を確立するために必要な経費を助成しているわけでございますが、五十三年度におきましてもさらに試験研究を整備拡充することにいたしておるわけでございます。  それから農薬の登録に当たりましては、厳重な検査を行いまして、毒物相当以上の毒性の強い新農薬につきましては、なるべく登録しないように製造業者を指導しているところでございます。  さらに低毒性の農薬の普及につきましては、農薬危害防止運動、これは前からやっていたわけでございますが、特に五十三年度からはポスターとかテレビとかラジオを通じましてこの運動を強力に推し進めているわけでございます。その結果、毒物及び劇物取締法に規定する毒物あるいは劇物に指定されている農薬の比率は年々低下をいたしておるわけでございます。  それからさらに野菜等につきまして、昭和五十一年度から指定産地を中心にいたしまして、農家の農薬の適正使用ということを濃密に指導する、また、生産されるその野菜等につきまして、農薬の残留調査農家を対象として行っておるということでございます。  それからまた、さらに、都道府県に助成をいたしまして、農薬の販売業者、防除業者あるいは農薬の使用者につきまして、農薬の安全使用のための研修あるいは指導、そういうことを行わせることにいたしておりまして、これらの予算措置を講じておるところでございます。
  157. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農薬禍の対策としては、低毒性農薬の開発と適正な使用方法の徹底指導を図るということについては、この方針には変わりはないという御答弁でございました。  そこで、昭和五十年十二月十七日、当委員会における農林省農蚕園芸局植物防疫課長本宮義説明員の答弁で、ディプテレックスとマラソンを混合してデプソンという水和剤が登録されておることがはっきりと答弁されました。また私もそのように指摘をしたわけです。このような事例はほかにも多々あると当時説明をなさったわけでございますが、ディプテレックスもマラソンも同じ有機燐系の殺虫剤であります。この種の混合農薬が多多あるという御答弁でございますので、何件ぐらい登録販売されているか、明確にお答えをいただきたいと思います。
  158. 野崎博之

    野崎政府委員 先生いまおっしゃいましたデプソン水和剤のような混合農薬でございますが、昭和五十二年の十二月末、昨年末における総登録件数が四千百八十五件でございまして、このうち混合剤が千三百七十八件、三三%でございます。それで、その中でまた主なものは、殺虫剤と殺虫剤の混合、この合わせたものが五百九十四件、それから続きまして殺虫剤とそれから殺菌剤の混合したもの、これが五百二十五件となっておる次第でございます。
  159. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 昭和五十年の十二月十七日の当委員会で追及した際に、農林省の農蚕園芸局長でありました澤邊政府委員答弁で、二種類以上の混合農薬の場合、安全性の検査は混合した農薬の毒性の強い方を評価の基準にするという答弁でございました。この検査基準に変更はないと私は思うのですが、その点、現在も変わりないか、お答えをいただきたい。
  160. 野崎博之

    野崎政府委員 いま先生おっしゃいましたように、二種類以上の農薬が混合されている混合農薬につきましては、安全性の評価につきましては、混合農薬の中のいずれか毒性の高い、強い毒性を有する農薬の毒性によって評価をいたしておりまして、毒物及び劇物取締法あるいは農薬取締法に基づいて所要の表示指導に当たっているわけでございます。  そこで、環境庁が昭和四十八年以降、先ほど申し上げました残留農薬研究所に委託をいたしまして農薬の相乗毒性検定方法確立調査ということを実施したわけでございますが、その結果では、混合農薬のうちには急性毒性に相乗作用を有するものも出てきているわけでございます。したがいまして、農林省におきましては「農薬の毒性および残留性に関する登録上の取扱いについて」という通達を出しているわけでございます。これは、法律で登録の際に毒性試験の試験結果をつけることになっておるわけでございますが、従来は混合農薬の場合は、Aという薬とBという薬があった場合、それを混合した場合には、Aの毒性、Bの毒性、それぞれを毒性試験を出しておったわけでございますが、この通達を改正いたしまして、昭和五十二年、昨年の十一月以降におきます新規の混合農薬の登録の申請の際、それから昭和五十三年、本年の一月一日以降に登録の有効期間が満了して再登録をする場合、そういう場合には従来のAとBそれぞれの毒性試験に加えまして、AプラスB、すなわち混合農薬自体の毒性試験も提出をすることに義務づけたわけでございまして、この成績に基づいて毒性を評価することといたした次第でございます。
  161. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 局長からの答弁を聞いておりますと、私全部をチェックする余裕はなかったですけれども、五十年の私が質問した時期と今回の答弁では多少ニュアンスが変わっている印象を受けたわけです。もっとも、前回の質問の際には、澤邊政府委員は、「二種以上の農薬が混合して使用される場合のいわゆる相乗作用の検定法が確立されておらないという現状にかんがみまして、現在環境庁においては、昭和四十八年度から当該評価技術の検索が実施をされているという現状になっております。」こういうふうに答えております。それで、恐らくこのことを指しておっしゃっているのだろうと私は思うのですが、このことについてももっと明確に、どういうふうにその結果が出ている、いままでにこういう結果を得ているということをこの際御報告いただくと同時に、ただいま御答弁いただきました、混合した場合のAとBの例をとらえて、五十二年十一月以降と、それから五十三年一月以降の登録有効期間満了の場合の再登録の場合に、特に混合農薬について十分な注意をする、こういうような意味の答弁であったわけですが、私思うのに、五十年のときから現在に至る間、環境庁のこのようないわゆる評価技術の検索によって、かなり毒性の強いもの、またAとBを混合した場合に混合農薬にかなり問題があるということが相当結果的に認識されてきた、こういうふうに私はいま答弁を聞いて理解したわけですが、その点もう少し明確にお答えをいただきたいと思うのです。
  162. 野崎博之

    野崎政府委員 先ほど申し上げましたように、環境庁におきまして混合農薬の使用される場合の評価技術の検索が行われたわけでございますが、まず、いままで急性毒性試験について環境庁でいろいろ試験をやったわけでございまして、ごく一部の組み合わせにつきまして相乗作用を示すものが認められるというような結果になっているわけでございます。  たとえて申し上げますと、四十八年には、MEP、それからBPMC、これの相乗の結果が出ております。これは一つの例でございますけれども、千五十ミリ・パー・キロと三百三十六ミリ・パー・キロ、これの相乗したものが二百七十五ミリグラム・パー・キロ、そういう一つの結果が出ております。それから、五十年には、ネオアソジンとミルネブという薬、これの相乗作用がやはり同様な結果で出ております。  五十一年度には、CAT、プロメトリンの相乗作用、それからCNP、ペンチオカーブ、これらの相乗作用というものが出ておるわけでございますが、いま申し上げましたように、たとえば五十年のネオアソジン、ミルネブ、これをとってみますと、五千六百五十ミリ・パー・キロと一万三百ミリ・パー・キロ、これが相乗効果になりますと二千四百三十ミリ・パー・キロ。これはある意味で毒性が強くなっているということを示すものでございまして、したがいまして、そういう毒性が強くなるものはあるわけでございますが、総体的に、この数の中で見ますとそう多くはない数でございますし、それから、先ほど申し上げました二百七十五ミリ・パー・キロあるいは二千四百三十ミリ・パー・キロというのは、二千四百三十ミリというのは、これは当然普通物でございますし、二百七十五ミリ・パー・キロといいますと、これは劇物といいますか、毒物よりははるかに弱い、そういうような結果になっておりまして、相乗作用によって非常に極端に毒性が強くなるという例は余り見られない、環境庁の結果ではそういうことになっているわけでございます。
  163. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ただいま野崎局長から答弁がありました相乗作用の検定の結果については、いま答弁があったことについては会議録に載りますけれども、手元にいろいろ資料もあるようでございますので、ここで短時間の中に全部を承知し追求し、または検討する余裕はございませんので、別途資料として提出をいただきたいと思いますので、委員長よろしくお願いします。
  164. 野崎博之

    野崎政府委員 資料として提出いたします。
  165. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 論点をもとへ戻しますが、先ほどの続きでございますけれども、そうしますと、ディプテレックスの二五%致死量は体重一キログラム当たり三百五十ミリグラム、マラソンの二五%致死量は体重一キログラム当たり三百七十ミリグラムとなっておりますから、ハツカネズミの経口致死量等を考え合わせてみますと、このいわゆるディプテレックスとマラソンの混合をした場合には、毒性の強い、すなわち二十ミリグラム、ディプテレックスが強いわけですから、当然、安全評価の基準にはディプテレックスをする、こういうことになる、こういうふうに私は理解しておるのです。前回の答弁から察して、当然そういうことになるのですが、この点も確認の意味で当局お答えを承っておきたい。時間がないから、急いで答えてください。
  166. 本宮義一

    ○本宮説明員 お答えいたします。  デプソン水和剤は、DEPとマラソンの混合農薬でございますが、このディプテレックスの濃度の低い場合については、これは普通物  マラソンは普通物でございますので、これが水和剤の場合については、これは濃度が高いので劇物ということの取り扱いになります。
  167. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 答弁になっておらぬが、要するに、先ほど私が質問しましたように、ディプテレックスとマラソンを混合してデプソンという水和剤が登録されておるわけですね。そうすると、先ほど局長からも答弁がございましたように、いわゆる混合農薬の場合は、安全性の検査は混合した農薬の毒性の強い方を評価の基準にする、こういうことなんですから、そうすれば当然ディプテレックスがマラソンよりも強いわけですから、この場合は——これは一つの例として申し上げたわけです。この場合はディプテレックスの方を安全評価の基準にする、こういうことに当然なるわけですね。わかり切ったことを、当然のこととして、後々の質問のために聞くわけですから、そのとおりですと言えばもうおしまいなんです。再答弁
  168. 野崎博之

    野崎政府委員 そのとおりでございます。
  169. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 もしそうであれば、単剤で毒性の強い方を使用すれば目的を果たすことになるはずで、何の理由で同じ殺虫剤を混合剤として登録する必要があるかという疑問が起きてくるわけです。わからなかったらもう一回言いますけれども、ひとつ十分考えて、後々のことにも影響するわけですから、明快にお答えいただきたい。
  170. 本宮義一

    ○本宮説明員 農薬を混合いたしますのは、最近の農業労働の非常な減少からできるだけ省力化したいということで、一遍の防除で多種の害虫を防除するというようなことを農家側としても非常に望むわけでございます。そういうことで、私どもの植物防疫の立場からいたしますと、病害虫にはそれぞれ防除の適期がございますので、まぜて使うということは必ずしも好ましいことではございませんが、そういうような労働力の逼迫、防除作業がきついといったようなことから、できるだけ防除回数を下げたいということでこういうような混合農薬の登場ということに相なっているわけでございます。ですから、二種の混合、あるいは物によっては三種というのがごくまれにございますけれども、あるいは殺虫と殺菌を組み合わせるといったようなことは、毒性の強化というよりも、むしろ一回の防除でもって多目的の防除効果を上げるという必要からこういったような混合農薬を使っての防除が行われるというような状態だというふうに考えます。
  171. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 本宮課長はこの仕事は今日まで何年くらい担当しておられましたですかね。ちょっと参考までにお聞かせください。
  172. 本宮義一

    ○本宮説明員 五十年七月から現職におります。
  173. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 あなたも公開の席で責任ある答弁をなされたと思うのだが、混合剤は強化するという意味でなく、要するに省力的な点もあるので、そういった面からこれを指導しておるし、さらに一回の防除で多目的の効果を上げ得る、こういう趣旨のことをおっしゃいました。あなたがおっしゃったとおりのことをすぐこう繰り返し言うことはちょっと無理ですけれども、そういう趣旨のことだというふうに私は承りましたが、それが後々問題になってくるわけですけれども、そのことは局長もひとつしかと心にとどめておいていただきたい。  さらに以下質問をしてまいります。  殺虫剤は虫を殺す、これは言うまでもありません。殺菌剤は菌を殺すためのものである、これも読んで字のごとく素人でもわかることであります。この殺虫剤と殺菌剤、異質のものを混合した場合、毒性の評価は何を基準とするか。本宮課長も五十年七月からこの仕事をやっているのですから、もう十分理解があると思うが、局長からでも本宮課長からでも結構ですから、その点も明確にしていただきたい。
  174. 本宮義一

    ○本宮説明員 お答えいたします。  いまの御質問は、局長が御答弁申し上げたとおり、環境庁で四十八年から四カ年にわたって、殺虫剤と殺虫剤を組み合わせたもの四農薬、四十九年については殺虫剤と殺菌剤、五十年には殺菌剤と殺菌剤、五十一年には除草剤と除草剤、こういう組み合わせの農薬、全部の数十七の混合農薬についての毒性を調べた。その結果、先ほど御答弁申し上げましたように、相乗作用が出たというのは十七中四でございました。ですが、ほとんど加えて二で割ったような形の毒性になったものが九、逆にむしろ毒性が下がったというものが、拮抗作用と申しますが、それが四ということで、必ずしも二種の農薬をまぜるということが毒性を強くするということには  少なくともこの環境庁て行われた試験ではそういう結果になっているわけでございますが、少なくともそういうものの中に相乗作用が出ているということも事実でございますので、先ほど御答弁申し上げましたように、新しい混合農薬の毒性の基準というものは、それの急性毒性試験データを添付させるというところで調べてまいりたい。いままではそれを試験機関の能力等の問題もございまして、単体の強い方をもって評価いたしておりましたけれども、これからは混合農薬の登録に当たっては、混合農薬の毒性試験を行って、その毒性試験のデータをもって毒性の評価をいたしたいというように改めたのでございます。
  175. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 その点は、改めたというか明快にお答えがありましたが、局長も、いま課長が言ったことはそのように理解しておられますね、どうですか。
  176. 野崎博之

    野崎政府委員 先ほども申し上げましたように、五十二年十月に通達を改正しましてそういうことにいたしたわけでございます。
  177. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この点はいずれまた資料でお出しいただくわけですが、私の当委員会で限られた時間で論点を申し上げるのは、いまからやることでございますので、こういった問題については、会議録を見てさらにまた政府考え方をただすことにいたしまして、続いて質問をしてまいります。  私がこのように質問してまいりましたのは、農薬が劇毒物である以上、人体に対して有害であるため、その安全性について政府はどの程度の注意を払い、安全性と危険性をチェックしているかを明らかにしたいためであったわけであります。  前回の質問で、私は、農薬を混合すると毒性が相乗作用によって強まる場合が生ずるのではないかと質問したのに対し、澤邊政府委員答弁は、これはもう会議録を全部読むわけにいきませんので略して申し上げますが、「農薬を混合して用いると毒性が強まるという意見もあるわけでございますが、毒物学的に未解明と私どもは聞いております。」さらに「二種以上の農薬が混合した場合の相乗毒性の検定方法も確立しておりませんので」云々、または、「今後研究成果等が明らかになりまして、そういう危険があるということでございますれば、われわれとしても適切な措置をとらざるを得ない、」というような全く驚くべき答弁内容であったわけでございます。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 毒物の人体に及ぼす危険の度合いもわからないままに、先ほど答弁ございました四千百八十五件、混合によって千三百七十八件、三三%、そして五百九十四件と五百二十五件の例を御説明いただいたわけでございますが、混合農薬をこのように登録させて、さらに現場では盛んに混合使用を奨励しておられます。いまも本宮課長から発言ございましたように、いわゆる省力的に、しかも一度で多目的な効果を上げるためにこういったことをやっているということでございましたが、私はこういったことについて大変憂慮いたしておるわけでございます。すなわち、現場では盛んに混合使用を奨励していながら、今後研究成果が明らかになって、危険ならば適切な措置をとらざるを得ないという前回の澤邊政府委員の発言に至っては、まさに国民をモルモット扱いにするといいますか、愚弄する、こう言って私は指摘せざるを得ないのであります。人命軽視の暴言であるとも言えるわけであります。  先ほどディプテレックスとマラソンを混合した場合、その相乗毒性は約十二倍の猛毒を発揮することが、十数年前、東京歯科医大の上田喜一教授の動物実験で公表されていることも当局御存じだろうと思います。  民間ではすでに一昔前にこの程度のことが究明されているというのに、毒物使用許可の権限を持ち、指導行政の責任ある政府が、いやしくも人命と健康にきわめて危険な毒物の取り扱いに対し、わからないでやっているということでは余りにも無責任である、かように私は指摘せざるを得ません。  こう言えば、必ず政府は、環境庁に対して、先ほど申しましたように、昭和四十八年度からいわゆる評価技術の検索を行っている、相乗作用の検定法について環境庁にいろいろと検討を願っているということですぐに逃げられるような印象を受けるわけですけれども、こういったことについて政府はどう反省しておられるか。私が指摘したことについて真剣に検討しておられるか、さらに答弁を求めるものであります。
  178. 野崎博之

    野崎政府委員 ただいま先生もおっしゃいましたように、われわれといたしましても環境庁からそういう試験結果を得ましたので、通達も改正しまして今後そういう混合剤についての毒性試験を出して厳重に検査をいたす、そういうようなことでございますし、農薬取締法にもございますように、その安全基準を設けましてそれの徹底方あるいは先ほど申し上げました危害防止運動、そういうものをこれからなおさらより一層徹底させてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  179. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 現実に全国の農地現場では、農薬の効力を増すために農薬の混合使用が盛んに行われておるわけでございます。当局も十分承知しておられると思う。農林大臣から表彰を受けたことのある蔬菜団地の防除暦の注意事項に、殺虫剤と殺菌剤とは混用して使用すること、または併用して散布するのが最も効果が高い。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 ここに私は防除暦を持っておりますが、このように書いてあります。また、二つには、単独防除は効果が落ちる。三つには、併用防除が効果的であるので、殺菌剤とまぜて使用すること。四つに、対象農薬と散布時期内の農薬はまぜ合わせて使用することというぐあいに徹底した混合使用を奨励指導しております。併用防除が効果が高いと末端では繰り返し強調しているが、まさか指導する側の政府が、毒物学的に未解決と私どもは聞いておりますというようなことでこういった指導をするということは、農民に対してまた国民に対してまことに済まないと思うのですが、皆さん方も当該担当局でありますから、こういった害虫防除暦等は十分承知しておられると思う。もし、これが間違いであればこういったことは指導してやめさせる、防除暦を変えるということにしなければいかぬと思うのですが、この点に対しては政府はどう答弁なさいますか、お答えいただきたい。
  180. 本宮義一

    ○本宮説明員 先ほども申し上げましたように、病害虫には防除の適期がございますので、防除の適期を把握してその時期に適切な農薬をまくということが農薬の量も少なくて一番効果の上がる防除方法でございます。ということで、私どもの指導といたしましては、それぞれの病害虫の発生予察情報に即して防除を行うことを強く指導しているわけでございます。ですが、現実の問題として個々の農薬を農家の側において混用して用いるという場合は、先ほど申しましたような理由等で多多あるわけでございますが、これについて絶対やめろということは防除労働の問題等から言って非常にむずかしい問題である。  ただ、先生が先ほど触れられました問題の中で、私一言申し上げさせていただきたいと思いますのは、あくまでも混合農薬の登録に当たって、従来は強い側の農薬をもって評価の基準にしておったのでございますけれども、今後は急性毒性データをきちんと出させて、それによって評価をするということにいたした、これは先生の一昨年のいろいろの御議論をわれわれも十分検討させていただいたことで、また環境庁からもそういうような結果が出たので、行政の当局としてそういう措置をとるのが当然のことと考えたので局長に通達を出していただいたという経過であることを申し上げさせていただきたいと思います。
  181. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 お聞きのとおり昭和五十年の当時から、私の追及により、また環境庁の検定の結果により、かなり農林省の姿勢を方向転換しているということがいま明らかになったわけですが、当然のことであります。そのくらいの転換では困るわけで、いまからこれを追及してまいりますが、百八十度変えてもらわなければならぬということで、私はいろいろ問題点を指摘しながら追及をしているところです。  そこで、約五十日間で育つ蔬菜に対して単剤で計算すると三十二回も農薬をかけていることになるわけです。これは何も熊本の小国町の例だけではございません。全国的にあちこちの防除暦をとっても大同小異であります。三十二回も農薬をかけるということになりますと、こんなやり方が適正な使用法と言えるかどうか、また、こういったことが徹底指導ということになるのか、おかしなことでございます。  参考までに、熊本県阿蘇郡小国町の小国大根防除暦を例にとりますと、字が小さくて見えないかもしれませんが、ここにございます。一、ダイジストン、これは殺虫剤ですが、一回、二番目にはオルトラン、殺虫剤、五回、ダイセン、殺虫剤、五回、ダイアジノン、殺虫剤、五回、エストックス、三回、これもやはり殺虫剤です。六番目にネキリトン、これも殺虫剤ですが三回、七番目にヒトマイシン、殺菌、六回、八番目にキノコン、これは殺菌で六回、合計三十二回かけるようになっております。これをいまにわかに見ているわけではないのですけれども、大同小異ですが、その程度のことは皆さん指導しておられるわけですからよく御存じだと思うのですが、どうですか。確認の意味でお聞きしておきますが、お答えください。
  182. 本宮義一

    ○本宮説明員 ただいま例に挙げられました防除暦で非常な回数の防除をそこにうたっておられるので、お聞きして非常に驚きます。もともと病害虫の発生というものは好ましいことでないので病害虫を出さないことが前提でございますが、出たならば病害虫を適期に防除して、できるだけ防除経費を少なくしていい農作物をつくるというのが防除技術でございまして、ただいま先生が述べられたような防除暦というのはまさに農薬づけにしたような防除暦でございまして、現地でそういうような防除をしなければ農作物がとれないというところに基本的に問題があろうと思いますけれども、そういったような薬を十数回にもわたってまくような防除のやり方というものは十分戒めてまいりたいと思います。  ただ、私現地を見ておりませんので何とも言えないのですが、たまたま防除暦の中にはそういうような農薬を使えるよ、それでこの農薬についてはこの作物に対して五回まではかけていいよといったような記載がございます。ちょっと手元に例がございませんけれども、各農薬ごとに、この農薬はこの作物に、キュウリならキュウリ、トマトならトマトに対して何回までまいていい。五回なら五回、三回なら三回、それも収穫前に幾日間はあけなければいけないよ、収穫前の幾日間前にまくんだというようなことを農薬安全使用基準の中にうたってございますので、これは私の想像でございますけれども先生のお持ちの防除暦はあるいはそういうことを書いてあるのではなかろうかというように、これは想像でございますけれども、いたすのでございます。
  183. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 限られた時間の中でやっておりますが、そんな想像で書いてあるんじゃない。これは全国どこでもこういった暦は出ておる。幾つもあるけれども大同小異です。後ほどコピーにかけてあなたにあげるから、ようく見ていただきたい。かといって小国町だけを責めてはいけませんぞ。よく指導して、全国的な問題ですから、まだまだこれは序の口で、いまから幾つか申し上げて安全基準の問題に入りますから、しかとひとつお聞き取りいただきたいと思う。  それでは、あえて一つの例をとって申し上げますが、日本人の食生活の習慣として毎日お茶を飲んでおります。皆さん方も朝、昼、晩お茶はたいてい飲むわけです。このお茶に農薬が使用されているなどとは恐らく消費者の大多数は知らない人が多いんじゃないかと思う。かまでまたは機械であのようにお茶を製造して小売店で売っている。みんな安心して買って飲んでいるわけです。しかし、現在全国のお茶の産地では、お茶に対して大量に農薬が使用されています。ここに私は、これは全国のお茶の産地に適用することでありますので、あえて静岡県とは書いてないけれども、これは静岡県で入手した「五十三年 茶病害虫防除のポイント」、ここに明確に書いてあります。上の字は大きいからよく見られると思う。これも当局知らないと言うなら、後でコピーにかけて差し上げて結構です。この表は、先ほども言いましたように、静岡県で入手した「五十三年茶病害虫防除のポイント」という表でございますが、驚くなかれ、殺虫剤、殺菌剤の使用が、農薬一つずつ数えると三十七回、これを二種混合、三種混合という混用で十四回ないし十五回散布されているわけです。私も現地へ行って見てきました。しかも、この農薬がお茶の葉にくっついて離れぬようにごていねいにも展着剤というのりを溶かし込んでかけるわけです。  こういった状態では、お茶をわれわれ飲んでおりますけれども、まさにお茶を飲むということは農薬の混合液をせんじ出して飲むというようなことになるわけです。とてもとてもこんな事実を知ったら産地のお茶なんか飲まれないということに国民はなるわけです。これは一応全国の主産地では言える、こういうふうに私は思うわけです。こういった国民の健康上、安全の上からも大変な問題だと思うが、お茶に対する「茶病害虫防除のポイント」、これは静岡県のみならず茶の主産地ではこういったことをやっているわけですが、しかも先ほど言いましたように、展着剤をつけて農薬をまいている、こういったことについては知らないと言えば政府は問題だし、知っていると言えばなぜこんなことを許しておるかということになるわけですが、どうですか。その点に対して明快にお答えください。
  184. 野崎博之

    野崎政府委員 先生いま御指摘のとおり、静岡県の防除暦ではそういう農薬の総数が三十七種類あるいはその散布回数十四、十五回となっているのは承知をいたしておるわけでございますが、実際の防除に当たりましては、この防除暦の中から、病害虫発生予察情報というものをやっておるわけでございますが、それに基づきまして使用農薬それから散布回数を選ぶことになっているわけでございます。  静岡県の報告によりますと、お茶の病害虫防除には二種類程度を混合使用する場合もあるが、その使用農薬数は約十二種類、それから散布回数は平均いたしますと六回ないし八回の農家が一番多い。特に非常に病害虫の発生が見られる場合には約十二回程度散布されておる、そういうような報告を受け取っておるわけでございます。  なお、病害虫の防除暦には当然農薬の安全使用基準、農産物の中に残留基準を超えて農薬が残留しないように安全使用基準を定めておるわけでございますが、お茶の病害虫防除につきましても各都道府県に対しましては、そういう適時適確な農薬散布で、なるべく少ない農薬でより効果を上げるように、そういうような指導はいたしておるところでございます。  これも県の報告でございますが、安全なお茶の供給のために静岡県では茶の生産地を中心に三十二地区でお茶の農薬残留調査を行ったわけでございますが、現在のところは、県の報告では出荷する茶の安全性は確認しておりますし、これまでの調査の結果、いずれも食品衛生法に定めた農薬の残留基準を下回っている、そういうふうな報告をわれわれは受け取っているわけでございます。
  185. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 局長は現地に行って見ておられるわけでなし、書いたものを読んでお答えするようなことなんですが、われわれはじかに接しております。現地の人は、こういったことで将来どうだろうか、本当に体がぞくぞくする、大変心配だ、こう言っているんです。何かここらで転換しなければ、何か新農法をやらなければならぬということを切に言っているわけですよ。こんなことを一々言ったって水かけ論ですが、よくまた現地を調査してもらいたいと思う。  しかも、この「茶病害虫防除のポイント」の中には「農薬稀釈及び散布時は、ゴム手袋・防除用マスク・メガネ・服など人体を農薬から守るため必ず使用して下さい。」ということが「散布における注意事項」の六番目として書いてある。七番目に「ENP乳剤(毒物)使用に当っては十分注意して下さい。」というようなことが書いてございまして、こんなものを飲んでいて大丈夫だろうか、こういうふうにわれわれは大変心配するわけです。殺虫剤にしても殺菌剤にしてもすべて致死量のある毒物です。農薬の相乗毒性は毒物学的に未解決とのことでありますが、わからないということは安全ということではないはずであります。このように劇物、毒物を乱用したものを絶対安全という保障ができるわけがないと思う。この点はどうですか。私の言うことは率直にそうなんでしょう、そのとおりですということになると思うが、どうですか、簡潔にお答えください。
  186. 野崎博之

    野崎政府委員 先ほど申し上げましたように、食品衛生法に定めた農薬の残留基準というものがございますので、その残留基準を下回っていれば人体には影響がないというふうにわれわれは聞いておるわけでございますし、現にいま申し上げました静岡県の場合は、そういうことで食品衛生法で定めた農薬の残留基準を下回っているというふうに考えておるわけでございます。  ただ、先生おっしゃいましたように、そういう農薬をなるべく使わないでよいお茶をつくるということは、確かに先生のおっしゃるとおりでございまして、われわれといたしましても、結局樹勢の衰弱したものからお茶の病気が蔓延するわけでございますので、農薬によらない、何といいますか、栽培状況をよくするとかあるいは健全な木をつくる、そういう耕種的な防除対策を講じたいということで、五十三年度から土づくりあるいは老齢樹の更新、そういうようなことで健全な茶園をつくり上げるということで、特産団地育成事業の中にそういう仕事を仕組んで、なるべく農薬によらない防除対策を今後とも進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  187. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 野崎局長答弁を聞いていると、静岡県の報告によると実際にはこの暦にあるようなことにはなっていないとか、実情は違う、こういうようなニュアンスの答弁もありましたし、先ほど本宮課長からは、安全基準についても十分指導してあるとおっしゃいましたが、この点についても私は指摘しておきますが、また次の機会にこれらについては徹底的に政府の姿勢をただすためにも、また考え方をただすためにも質問を続けていきたいと思う。  次の問題に移ります。  一年じゅう大量に消費されるトマト、キュウリ、ナス。イチゴなどは、最盛期ともなれば、毎日あるいは一日おきに収穫して出荷するわけであります。しかも、その収穫期間は何カ月も続くわけです。これらに対する農薬の安全使用基準は、確かに政府の方でいろいろ指導しておられますが、農薬の種類と収穫前の使用停止日数を次のように規制しておられます。  一、ハダ二ール、三日前、二、エルサン、三日前、三、キルパール、七日前、四、ダイアジノン、十日前、五、キノンドー、十日前、六、ダコニール、十四日前、七、ケルセン、十四日前、八、アカール、十四日前、九、ダイジストン、二十一日前、十、ミルカーブ、二十一日前、十一、キャブタン、三十日前、十二、ディプテレックス、三十日前と確かになっております。  これらの農薬を使用するトマト、キュウリ、ナス、イチゴ等の果菜類は収穫期間が六十日から百日以上も続き、ほとんど毎日あるいは一日おきに収穫しなければなりません。このことはよく御存じであると思います。しかも、病虫害の発生は収穫期に多いため、農薬の散布もその時期に集中的に行うわけであります。しかし、この安全使用の規則を守るならば、農薬を一回使用すると最低でも三日間、最高は三十日間、平均二週間は収穫できないはずであります。現実にこの安全使用基準は守りようがないので、全然守られていないのが実情であります。野菜にしても、先ほどのお茶にしてもそうです。そして、農薬は収穫日とは関係なく、一週間に一回、五日に一回、三日に一回、ひどいのになると毎日かけられております。そんな危険な農産物が全国各地から消費市場に大量に毎日出荷されているとなると、これは大変問題であります。こんなことでは悪性疾患が激増するのはあたりまえであります。こういったものが、冒頭私が厚生省をいろいろと追及いたしましたああいう小児患者等の激増となって、いわゆる化学物質による影響度があるという答弁でございましたが、そういうことになっていると私は指摘せざるを得ません。  この安全使用基準について農家に尋ねてみますと、農家の方が言うには、幾ら安全使用基準といっても収穫できない基準なんか守る人はないでしょう、この基準を守るならばなかなか収穫できません、やはり食っていくため収穫をして、いい商品を出すためには、こんな基準によらず薬をまかねばならぬ、こう言っております。危険防止のための安全基準なら、その規制が守られないならばどうなるかということを私たちは危惧するわけであります。問題は、人命と国民全体の保健上の重大なことであります。一刻も猶予できない性質のものである。私ば速やかに対策を講ずる必要があると思う。当局は具体的な対策について真剣に取り組まなければならぬ。現にもう味なしブドウとかいろいろなことが出ております。イグサにしても根腐れができてもうどうしようもないところに来ているといった問題も見られております。そういうことを考えたときに、こういう問題に対して一格段の対策を講じなければならぬと思うが、当局はどうですか、お答えいただきたい。
  188. 野崎博之

    野崎政府委員 いまおっしゃいましたキュウリ、トマトなど収穫期間の長い作物では、御指摘のように、確かに使用基準を守りにくいという点はあると思いますが、このような場合には収穫直前まで使用できる農薬を選定して使用するように農薬安全使用基準でも決めておりまして、たとえばキュウリで言えばスミチオン、ケルセンという薬、あるいはトマトで言えばキャプタン、マラソン、それからナスで言えばクロルベンジレート、マラソン、こういった収穫直前まで使用できる薬を安全使用基準の中に織り込んでおります。  また、いまおっしゃいましたように、特に生鮮農産物につきましては、農薬等の安全使用基準の遵守が必要になっておりますので、これらの安全使用推進対策事業を実施いたしておるわけでございます。キュウリ、トマト、ナス、レタス、キャベツ、白菜及びお茶の生産地を中心にしまして農薬安全指導員を置いて、これは農協の営農指導員に委嘱しているわけでございますが、そういう指導員が農家を巡回する。それから、農家生産された農薬残留調査を行う。これは、いつまいて、どういう効果があって、どういう結果であったか、そういうことを農家に記帳してもらって、それをまた調べて今後の指針にする、そういうようなことをやっておるわけでございまして、今後ともそういう安全を守るためのいろいろな指導を強力に推し進めていきたいと考えております。
  189. 宮沢香

    ○宮沢説明員 先ほどのお茶の安全性について、複合汚染的な問題でどうなのかということについて厚生省の立場から説明させていただきます。  先生指摘のように、確かにお茶には何種類かの農薬について使用の基準、残留基準が決められております。この値につきましては、動物実験に基づきまして、小動物に一生涯食べさせて全く害が出てこない量、私どもは最大の無作用量あるいは最大安全量と呼んでおりますが、動物にとって全く害のない量のさらに百分の一あるいは二百分の一という百倍以上の安全性を担保して、そして、こういったものについての残留値を出しておるわけでございます。したがいまして、何種類かそこに農薬が残っておりましても、これについては百分の一以上の安全率を見ておるので多少の相乗効果があるにしても問題がないであろうというのが厚生省の残留農薬部会の意見でございます。もちろん、先ほど先生の御指摘になった現在、昭和大学の教授をしております上田教授も委員として参加してもらっての結論でございます。  それから、それ以外の幾つかの野菜等について残留基準が決まっております。これは人間にとってこの程度残存しておっても全く問題はない、そういう安全性の観点からの残留基準値が設定されました後に、私どもはそれを農林省の方にお知らせしまして、それに基づいて農林省は安全性、つまり食品衛生法に合格するような散布の基準を指導しておるわけでございます。  そして、厚生省としましては、各都道府県に食品衛生監視員がおりまして、そういった市場に出回っておりますトマトとかナスといった食品について厚生省の定めた食品残留基準値を満足しているかどうか、常時監視をしております。一年に一千回以上の監視をして報告が私どものところにもたらされておりますが、その内容を見るとほとんど合格しておるという事実を得ております。  以上でございます。
  190. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 皆さん方答弁を聞いておりますと、毒物応用至上主義というか、あたかも農薬依存を現代農業の最後の切り札と考えているような感じがしてならないわけです。私一人の感じじゃないと思うのです。  いずれにしても、農薬事故、食品の毒物汚染、いまも厚生省の課長からも答弁がありましたが、こんなことに常に不安を抱かねばならないような行政が果たして真の行政と言えるだろうか。日本国民は、いまのようなありさまでは少なくとも決して健康で文化的な生活を営んでいるとは言えないわけです。  時間もございませんのではしょって申し上げますが、そこで、農薬問題は使用を開始した以前にさかのぼって、使用から今日までの状態をもう一遍謙虚に検討してみる必要があるのじゃないか。やはり根本的な問題は、慎重に、絶対に間違いないということを基本に認定する必要がありはしないか、毒物を認定する場合は、やはり疑わしきは認定せず、絶対に間違いないというものだけを認定するという方針に綿密に変えていく必要があるのじゃないか、私はこういうふうに考えておりますけれども基本的な考えとして政府はどう考えていますか。時間がございませんので、簡潔にお答えください。
  191. 野崎博之

    野崎政府委員 農薬は、農業生産資材としては欠くことのできない資材でございますが、国民の生活環境を悪化させる、当然そういうことがあってはならないというふうに考えておるわけでございます。そのために、農薬取締法に基づいていろいろ農薬の登録制を設けて、その際にいろいろの試験結果あるいは毒性、残留性に関する問題をいろいろ検討をいたしまして、検査をいたしまして、登録することにいたしておるわけでございます。今後もそういう登録に当たりまして厳重な検査を実施することにいたしまして、農薬の安全性を確保したいというふうに考えておるわけでございます。
  192. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 さてそこで、私は結論的なことを申し上げるわけですけれども、私の知る範囲においても、すでに民間では、農薬の多用が増産を支えていると考えておる時代はすでに去った、こういうふうに結論づけて、大変憂慮して対策が講じられていることを私は申し上げたいのであります。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 このことは、去る二月の末でございましたか、赤プリにおいて、中川農林大臣、ここに見えておる今井政務次官も緒においでいただき、参議院の鍋島議員を会長として愛農議員連盟同志会を発足させました。私もその一員としてそのときにも指摘をいたしました。これまでも個人的にはいろいろ農林委員会の間で、また理事会の時間外のときに申し上げたりしてまいりましたが、実は公害のない豊かな農業を目指す新農法研究会なるものが全国的にいまだんだんと盛り上がりつつあります。これも私七、八年前からこういったことに対して重大な関心を持ち、国民の健康を守るために、何とか農薬の行き詰まりを打開するためにこういった対策を講じなければならぬということで、陰ながら力を尽くしてきましたが、急激にこれをやりますと、農林省のいままでの指導が急カーブで転換することはなかなかむずかしいので、実績を踏まえながら今日までやってきております。あらゆる機会にこういった問題を私はお話をしてまいりました。すなわち、どうすれば病害虫に強い農作物を育てて農薬を減らせるか、いかにすれば危険な農薬乱用の現代農業から脱出して、真に国民が安心できる農作物が安定供給できるかという、政府の行政指導よりも次元の高い発想で着々として堅実な成果を上げておるのであります。  一例を挙げると、三十七種類も殺虫、殺菌剤をかけるような行政指導のお茶に対し、新農法研究会指導では、一回の農薬も使用せずに、一般のお茶の収量が二割減収に対し、逆に一割増収ですこぶる品質のいいお茶が収穫できるようになっております。これはお茶のみならず米についても、晩霜にも強い抵抗力を有するということがはっきりしております。米も一般には八回くらい農薬をかけるが、新農法では完全に無農薬でしかも三割増収、いずれも朝日新聞でニュースとして報道されていることは皆さん御存じだと思います。イチゴも一般では十四ないし十五回農薬をかけるのは少ない方であります。それでも岐阜の産地では今年は例年の半作以下、その中で新農法では農薬を使わずに例年よりも増収、しかも品質がすぐれてよいので市場価格も二割高というように、果樹類や一般蔬菜類、豆類、すべての農作物にすばらしい成果をおさめております。政府としては、それらの実態を速やかに調査して、こうした民間のすばらしい技術改革の芽を行政的に伸ばす、こういったことが必要ではないか、こういうように指摘したいわけですが、私は何もそういった民間の手先ではありませんが、いいことは大いに取り入れてやるべきである。日本農業の大転換のために私はこれをあえて指摘するわけですけれども、また農林省にこのことを提案するわけですけれども、このことについて調査、研究し、大いにこういったことについて関心を持っていただきたいと思うのだが、農林省の見解を求めたいと思うのです。
  193. 今井勇

    今井政府委員 いまの御所論は、多分愛農会の主張であろうと思います。私も愛農会には個人といたしまして大変共鳴するものがありまして、その一員になっておるものでございます。確かにいままでの農業のあり方、特に新農薬の発見あるいは新農薬の普及等に基づきまして、また経済性を追求するという面が強調をされまして、もろもろの問題を生じておることは否めない事実でございます。  そこで、農林省としましては、やはり人体に安全であるということ、これが何にもまして守らなければならない一線でございますから、その線に沿って種々行政指導をしておりましたが、ただいまの御提案はまさに傾聴するものが多々ございます。早速ひとつ十分調査をいたしまして、傾聴するものは傾聴する、ひとつ主張として取り入れるべきものは取り入れる、そういった姿勢で臨みたいと存じます。
  194. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 今井政務次官から総括して御答弁がございましたが、実は愛農会もそうですか、新農法研究会というのがありまして、愛農会もその一員となっていま研究に入っておりまして、愛農会の皆さん方もこれを実施をして、いずれまたわれわれのグループ、同志会で発表をしようということで、今年度から入ることになっています。愛農会とは別の、いわゆる新農法を発表しておりますところの新農法研究会というのが別途あるわけでございますので、その点、私の方から訂正して、改めてお話を申し上げておきます。たとえば、中川農林大臣の御出身地である帯広においても、今年度からこの新農法によって、農家人たちも実際にやってみなければと言っておりますので、五百戸の農家に一町歩ずつ、ことしは牧草あるいはまた水田にしても実際に実施をして、これの効果を確認してもらうということで、農林大臣の地元でも早速ことしから行われるようになりましたから、ぜひまたこれは農林省でも見てもらいたいと思う。  それで、最後に、あえて私は貴重な時間をもう二、三分いただいて申し上げておきますが、先ほどからいろいろ答弁いただきましたけれども、全国的に有名な静岡県の小林園、これは農林大臣賞、朝日農業賞など数多くの受賞に輝く小林園であります。百ヘクタールのお茶園を経営しておりますが、いま言う新農法研究会の新農法でやっておりまして、驚くべき結果が出ております。晩霜にも強い、収穫も多い、品物もいい。全国から見学も絶えません。これはほんの一例ですけれども、全国至るところでいまこういったことをやっております。いままでは農薬を使って、自分でも良心がとがめていたが、いまはいばって、びくびくしないで生産し、売ることができる。  また、お茶のことで申し上げますと幾つも例がございますが、株式会社静岡茶市場と言えば、年間百六十億円茶の取引をしております。これはもう静岡で一番ですから、皆さんよく知っておられるはずです。静岡市の北番町九十四番地にあります。本年度から積極的に、農薬を使用しないお茶でないと買いつけをしないということで方針を打ち出しました。これは全国的にそういったことを言って買い入れるということにしたのです。もちろん、静岡の自分の関係の茶園に対しては、全部そういった指令をしております。鹿児島、佐賀、福岡、特に八女、また熊本の一部からも入れておりますが、いわゆる農薬を使わないお茶でないと買わないと、静岡茶市場で今回このように言っております。  こういったことも十分ひとつ踏まえて、私が単にここで思いつきで言うのではなくて、私も長年かかって調査をし、研究し、そうして、きょうこの日を待って私は発表したわけです。実は中川大臣のおるところでやりたかったんですけれども、日ソ漁業交渉で大臣の帰りが延びたものですから、きょうは局長初め政務次官答弁を求めましたが、そのことをよく知っていただきたい。  また、今度の美浦のトレーニングセンター、茨城県の美浦トレーニングセンターですが、四月一日にオープンしましたけれども、馬の飼料としてニンジン、わら、飼料一切買い付けるのに農薬不使用のもの、農薬を使わないものを買う。これは馬は敏感ですから当然だと思うのです。本当にりっぱなものだと思って、実にさきの静岡といい、このトレーニングセンターといい、私は心から敬意を表しておりますが、わらにしてもニンジンにしてもすべて農薬不使用のものを使う、こういったことを言っておられます。そして、東北なんかに特別な契約をして今後やっていく、こういった契約栽培等も進めていくということを言っておられますが、当然のことである。馬でさえそうなのに、万物の霊長である人間に対して馬以下の農薬その他のかかった物を食べさせておくのは大変である、こういうふうに私は指摘せざるを得ません。  私は、新生産調整百七十万トン、四十万ヘクタールの向こう十カ年間、少なくとも第一期三カ年間の生産調整に当たりまして、いよいよ米価シーズンもやがてやってきますが、こういった米価についても、農民は何とか米価を上げてくれと言うけれども政府方針によると米価据え置きの傾向が強い、やっても微調整だ、こういうふうに言われております。こういったことを考えますと、私は新農法によって、また新農法研究会が推進している農薬を使わない、そして、それにかわる物ですばらしい収穫、公害のない農作物が育成できるという、また花卉園芸その他にしても植物すべてに影響を及ぼすこの新農法、こういったものを指導することによって、農薬会社は製造収入が減るために問題があるかもしれませんが、農薬を使わぬことによって実質生産調整に応ずる農家の収入が多くなれば農家も喜んでくれると思う。  と同時に、先般私が提案しましたいわゆる畦畔大豆転作、別名額縁転作と申しました畦畔に大豆を植える、これも虫が出てどうのこうのといういろいろな議論がありますけれども、こういった問題についても、この農法によれば何ら害虫の心配もない、そして生産調整もわずかで済む。畦畔に大豆を三列植えて額縁転作をすることによっていけば、日本農業に明るさが来る。いままさに冬景色、逆に酷寒景色に向かっている。春が来ない、かすみも来ない。いわゆる日本農業に春を呼ばねばならぬ。こういった意味で私はこういったことをぜひ提案したいので、いま申し上げた静岡のお茶にしても、また全国至るところに、今年は農林大臣の地元である帯広でもやりますから、そういったところを農林省調査をし、さらに、こういった問題について真剣に研究をして、そして今後、日本農業の大転換を、国民の安全と健康を守るために大勇断をもって私は対処してもらいたいと思う。  最後に、政務次官から答弁を求めて、私の質問を終わりたいと思います。
  195. 今井勇

    今井政府委員 熱のこもった御所論でございまして、私も先ほどから拝聴しておりまして首肯するものがございます。農林省といたしましても先生の御指摘のものにつきましては早速調査をいたします。そうして、行政の中に取り入れてしかるべきものがこれあれば、ひとつ十分に検討させていただきたい、このように存じます。
  196. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間延長して恐縮でした。御協力ありがとうございました。どうぞ農林省、ひとつせいぜい調査研究をして推進を図っていただきたいと心から要求しまして、私の質問を終わります。
  197. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 津川武一君。
  198. 津川武一

    ○津川委員 三月十七日と三月二十三日に、商社系によるやみ増羽の実態の一部を明らかにして、ヒヨコのイセとタケクマについて実態を調査するよう要求し、対策も要求したわけであります。ちょうどそのころは畜産物価格のことで皆さんが忙しいだろうから、その後どうなったかを聞いてなかったのですが、畜産物の価格も終わって大分、二十日もたっていますので、さぞかしりっぱなすばらしい調査報告があるかと思って期待しながら続けていきますが、その前に、養鶏を日本農業基本考えて育成していく、この点で私も主張した、農林省もそのとおり答えた、これは意見一致したのです。そうかと思って今度農業白書を見ました。第一部の「農業動向」に、卵の生産のことが一言も出てこない。第二部「農業に関して講じた施策」の中で卵のことが二行半、これしか出てこない。農業白書に書かないから軽視したとは言わないけれども、何としてもさびしい。  そこで、ひとつ資料の要求。これは農業白書で「鶏卵の流通の実態等につき調査を実施した。」とありますので、どんな調査を実施したのか、調査の結果どうであったのか、後刻、委員長を通じてでもいいですから資料を委員会に出していただきたいとお願いするわけであります。  質問に入ります。やったことの報告答弁は一番最後に聞くといたしまして、この間ここで航空写真をお目にかけてやったヒヨコのイセの宮城県色麻における状態でございます。これはフラワー食品という販売会社と、そしてノースエッグプロダクションという農業会社をもって経営しておりますが、この会社の鶏舎は三十五棟現在建っております。建築基準法の第六条第一項第二号によりますと、五百平米以上の建築物は建築確認書を提出して「建築主事の確認を受けなければならない。」といっております。そして、同条の第五項では、この先ほど挙げた「第一項の規定による確認を受けない同項の建築物の建築、大規模の修繕又は大規模の模様替の工事は、することができない。」大規模のものは建築はできない、修繕もできない、こうなっております。  そこで、この色麻農場の鶏舎の確認申請を調べてみました。申請者はさっき言ったノースエッグプロダクションの菅野光雄という人です。建築場所はこの間の写真に出た宮城県の加美郡色麻村大字黒沢、建築確認は四十七年十二月二十二日に二棟、五千百九十九平米受けております。その後四十八年七月三十一日に四棟、九千五百九十平米、五十年五月二十一日に六棟、八千五十一平米、五十一年一月二十日に十三棟、一万七千四百四十四平米、これだけ受けておりますが、この中で建築基準法に違反しているものが十棟もあるのでございます。  そこで、このことを確認していただくために建設省に来てもらっておりますが、建設省、この建築の違反状況がありましたら教えていただきたいと思います。
  199. 大田敏彦

    ○大田説明員 色麻農場の鶏舎の件でございますが、全体で三十五棟ございます。それらはいずれも確認申請を要する規模であることには間違いございません。そのうち二十五棟につきましては、ただいま先生指摘のように、それぞれ確認を受けておりますが、四十九年、五十年ごろ建築した十棟については確認を受けておりません。  以上でございます。
  200. 津川武一

    ○津川委員 建設省の方、ありがとうございました。よくわかりました。どうぞお引き取りになっていただいて結構でございます。  そこで農林省、このように法に違反して鶏舎をつくる、そうして、やみ増羽をしたのです。農林省はこれを黙って見ていていいのか。この法違反分だけはとりあえずまず急いで増羽をやめさせ、その分だけ減羽させるべきでないかと思うのです。この鶏舎でどのくらい増羽しているのか、これも後刻調べていただきたいと思いますが、まず、法に違反して鶏舎をつくって、生産調整に違反してやみ増羽をしておる、こういう商社のやり方をそのまま黙って見てきたのが農林省指摘されてみて黙っているのか。直ちにこれをやめさせなければならないと思います。いかがでございますか。
  201. 杉山克己

    ○杉山政府委員 後ほど御報告申し上げますが、先生指摘の事例についての実態調査もその後進めておるところでございます。  建築基準法違反の話は、直接所管しているところでもございませんので、詳細はむしろいま承知したところがあるわけでございますが、私ども基準法に対する違反云々もさることながら、せっかくの生産調整の全体的な計画あるいは地域の計画に違反してやみ増羽を行っているということ自体については是正を行うべきであるという原則的な考え方のもとに従来からも一般的にも指導を行ってまいりましたし、特に今回の個別事例につきましては調査の過程を通じましてもそのような考え方のもとで対応してまいったわけでございます。  ただ、率直に申し上げまして、法的に強制してどうしても命令に従わせるといったようなこともなかなかできないという実態もございまして、これに対する実効ある措置をどのように講じていくかということについては、調査の結果も踏まえながら、農林省全体で内部においてなお検討を進めているところでございます。
  202. 津川武一

    ○津川委員 是正すべきだというので、是正の内容は一番最後にまたまとめてお伺いいたします。私にも意見があります。  次に、フラワー食品、ノースエッグプロダクションですが、農地を取得しているのです。取得した人はさっきお話しした菅野光雄という人で、譲渡人が黒沢果樹生産組合生産人代表ほか十八名であります。農地を取得する「転用の目的」は「採卵、養鶏」となっております。「転用の時期および転用の目的に係る事業または施設の概要」では、「工事計画第一期、四十七年四月一日から四十八年三月三十一日、第二期、四十八年四月一日から四十九年三月三十一日、第三期、四十九年四月一日から五十年三月三十一日」と分かれておって、この間航空写真で出したあれですが、この三年間に所要面積五十九万五千四十平米の中にGPセンター一棟、鶏舎百三十二棟、それから沈でん槽六棟、こうなっているのです。これが法的手続上どうかという問題、農林省農業行政上どうかという問題が出てきたのです。  この農地転用許可申請は四十七年七月十二日に許可されております。この点問題ありません。ところが問題は、この許可された三日後の昭和四十七年七月十五日付で農林省から「鶏卵の生産調整について」という通達が出ているのです。これは偶然だと言えば偶然でしょうが、十二日にやみ増羽の土地の取得が認可され、十五日に生産調整通達が出ております。余りにもうま過ぎはしませんか。農林省と事前に連絡あったものでなければできない離れわざだと思われるのであります。しかも、農林省の通達には、すでに計画決定済みのものはこの生産調整の限りでない、こうなっている。七月十二日に認可して十五日に通達が出ている、ここが問題なんです。この点で私は、農林省は一体何なんだろうと考えざるを得なくなりました。しかも、農林省は何と言っているかというと、三千羽以上の増羽をするときは国と関係都道府県が十分指導しなければならないというふうに明記されている。繰り返します。国と都道府県は増羽に対して、生産調整に対して十分指導しなければならぬ。十分指導する国が十二日に農地取得を認可して、十五日に生産調整の通達を出しておる。知っていて黙って見ていたのではないか、農林省と業者との癒着があるのではないかと思うのですが、この辺の事情に対して、説明することがあったら、言いわけすることがあったら聞かせていただきます。
  203. 大場敏夫

    ○大場政府委員 農地の転用許可と鶏の生産調整の日付の関係お尋ねがございましたが、経緯を簡単に説明させていただきますと、実は四十七年七月十二日付で許可したわけでありますけれども御存じのとおり、農地転用につきましては事前審査制度がございまして、それより前、つまり一年前にさかのぼりまして昭和四十六年七月一日に農地転用の事前審査の申し出関係人から出てきております。私ども東北農政局を中心といたしましていろいろ審査した結果、農地転用はやむを得ない、こういう判断で、同じく四十六年九月十四日に結構であるという内示をした、そういった事実が先行しておりまして、それから正式の農地転用の許可申請、農地転用の許可という手続が後からフォローした、こういった関係になっておりますので七月十三日付で許可したということであります。七月十五日付で、三日違いで畜産局の方から「鶏卵の生産調整について」こういうことがありました。この表面だけを見ますと、いま先生が御指摘になりましたように、三日ということで、いかにも駆け込みという印象が強く感じられるのは当然でございますが、実はそういった経過がございまして、生産調整の指導をする一年前からこの問題は懸案となって処理をしてきていた、こういった経過が実はあるので御了解願いたいと思います。
  204. 津川武一

    ○津川委員 やみ建築をやる人が三日違いでこういう認可をもらっている。すばらしいんだ、この勘が。これに農林省が乗ぜられているんじゃないか。いま局長答弁で、そこの点はあるいは知らないであったのかな、農林省というのはそういうものなのかなというふうに思わないわけでもありませんが、七月十五日に出ている皆さんの「鶏卵の生産調整について」の通達は、農業構造改善事業、畜産団地造成事業、その他都道府県が実施している鶏卵の生産にかかわる事業、または農林金融公庫融資及び農業近代化資金の融資の実施に当たっては生産計画に即応するよう調整するようにと書いてある。  それでしからば、四十七年分、これは九千五百九十平米、この限りでは決定済みの計画だから、限りでない、これはいいとして、その次の指導が問題なんです。  四十八年に六棟、三十六万羽分の鶏舎、五十年に六棟、これも三十六万羽分の鶏舎、五十一年に十三棟七十八万羽分の鶏舎をこのエッグプロダクションが建てているんですね。四十七年分は三日違ったから仕方ないと思う。しかも、こういう生産調整に対しては、国が調整せいと言っている。自分で出した通達の中で、国がやれと言っている。この四十八年、五十年、五十一年の三カ年にわたって、百万羽を超して増羽できる鶏舎の建築を認めたんだ。一体何であるかですよ。四十八年に五十年に五十一年、これは農林省は通達出している。どう指導したのか。  だから、農林省は商社べったりだと言われる。もうこれは農民の場合は、三千羽から百八十羽増羽するだけでひどい目に遭ったというのはこの間話したでしょう。これが実態なんです。  この四十七年のはいまいいとして、四十八年、五十年、五十一年に、この状態をどう見ておったのか、知らなかったのか。知らなかったとは言われない。知っておったとすれば癒着だ、やみだ、国政を紊乱させた、こういうことになります。ここらはどうでございますか。
  205. 大場敏夫

    ○大場政府委員 四十八年以降の増羽の問題につきましては、畜産局の方から、畜産局だけではございません。ほかの関係局も連名で通知を出しておるというふうに記憶をしておりますけれども農林省対策方針でありますから、それは農地転用というもので、農地転用そのものは許可されておりましても、やはり農林省の指導方針に従っていただく、それが基本である。それに違反して、違反といいますか、従わないで増羽するということは、決して好ましいことだというふうには思っておりません。  私ども転用の立場から申し上げれば、転用というかっこうでその時点におきましてある程度の増羽ということは計画の中に入っておりますが、何も転用したからそのとおり増羽しろという強要はもちろんするつもりでございませんし、われわれの基本的な考え方といたしましては、転用は転用として許可いたしましたけれども、鶏卵の生産調整にはやはり服従してもらわなければならないということが基本だと思っております。
  206. 杉山克己

    ○杉山政府委員 いまの構造改善局長からの転用の問題は転用として、その後の実態的な指導なり生産調整の実行ということについては、これはむしろ私ども畜産局の行政上の問題として処理すべき問題であると思うわけでございます。  そこで、そういうことを知っておったのか知らなかったのかというような話でございますが、生産調整の実行そのものが、国が個別に一つ一つについて計画を決めてその監視、実行万について督励をするという形ではなくて、これはその通達にも明示されておりますように、生産者の相互理解のもとにということで、当事者間の合意を一つの前提としているわけでございます。それは法律でもって規制されているわけではないけれども、お互いに増羽をすることはお互いの首を絞めることになる。ですから、基本的には国の通達の指導のもとに、お互いこの時点での頭羽数に制限してあとはふやさないようにしようじゃないか、そういう合意を前提として成り立つものでございます。そして、やはり地域のお互いの相互監視、それから地域の農業団体、市町村の指導、さらにはそういう地域を越えるような問題が出ます場合には県段階で、県の力にも及ばないときは、物によって農政局にも上がるというようなことで、国が個別の一つ一つの事例について直接これを見るというのは、これはまさにそういうことをやつでいては行政の能率も上がらないということもありまして、一般的ではない話であろうかと思います。  その意味では、確かに最近までそういう具体的な詳細については存じませんでしたが、だからといって特になおざりにした、癒着したというような話では私はないと思うわけでございます。ただ、なかなかそういう地域の相互監視あるいは市町村、県段階を通じての指導でも実効が上がらないということで、今日これだけ中央でも取り上げられるような大きな問題になってまいったわけでございます。それらを受けて実態調査も進め、さらに所要の是正措置も講ずるということで、目下検討しているところであるわけでございます。
  207. 津川武一

    ○津川委員 局長、通達は何て書いているの、あなたたち書いたんだよ。国と都道府県が十分指導すること、どうしました、これ。指導しましたか。あなたたちが出した通達ですよ。今度は許しません。この間のとき、ぼくはこれを知らなかった。都道府県がやるものだと思ったからそのつもりでおったら、通達は国、都道府県、この責任は免れません。この四十八年、五十年、五十一年の実態に対して、どう指導しました。これを明らかにしなければ、これは承知できません。
  208. 杉山克己

    ○杉山政府委員 同じ答弁を繰り返すことになりますが、国と都道府県が一緒になって指導するということは、個別の企業体を一つ一つ指導するという意味ではございません。それはやはり全体の体系というものがございまして、地域の問題、都道府県、市町村の問題はそれなりに行政機関が、あるいはそれなりの共同体が責任を持って指導する、そういったものを通ずる全体的なことについて国が指導をするということでございます。個別、特別な事案について国が乗り出すということもありますけれども、およそ一般的にという話ではないわけでございます。その意味では、おまえの方はどれだけいままで十分に指導したかということでございますが、必要に応じ県の報告を受け、そして県に対して督励をするという形で間接的な指導をやってきているわけでございます。そういう意味では毎年のように通達も出し、それから県の報告も聞くというようなことで、全般的な指導を相努めてまいったということでございます。  もちろん、個別にこういう事態が出ました以上、それについて改めてどうするのかと聞かれれば、それは先ほど申し上げたように、現在調査の結果も前提にして検討を進めているというところでございます。
  209. 津川武一

    ○津川委員 この点では、もう問題は払う簡単でありません。四十七年七月十五日の通達、畜産局長農政局長、経済局長の二者の通達だ。「計画の作成ならびに補助事業および融資事業の実施に当たっては、地方農政局または都道府県におけるそれぞれの事業担当課と畜産担当課とが調整協議を行なう」どうします。これ。この点を明確にしてもらわなければなりません。これから局長、後でやると言うからまあいい。時間が来たので、もう少し進める。  第三の問題。石川県の鳳至郡穴水町にヒヨコのイセの穴水畜産企業組合がございます。昭和五十一年に収容能力十五万羽の育成施設を建てたとき、県の指導もあって、県はこれはやみ増羽をやるんではないかというので、穴水畜産企業組合との間で協議して確認書を交わした、これはすばらしい、よかったと思います。  この確認書には何と書いてあるかというと、「穴水畜産企業組合の現施設に採卵用成鶏メスの飼養をしない一ただし昭和四十九年五月凍結羽数の二万羽の飼養を穴水町地内で認める一 昭和五十一年六月九日 穴水町鶏卵需給調整協議会会長脇本京松 穴水畜産企業組合代表森田俊雄」こういう念書が交換されております。これは非常にいいことだ。これからこういうのをよくまねて、いい県庁もあるんだから、やるべきだと思う。これが一つ。  ところが、これがまたしたたか者なんだ。二年十一月時点で、二万羽が八万七千羽になっているのです。ことしの三月十五日は十二万羽にもなっている。これが企業のやることなんだな。やみ増羽をする人たちはこんなに強引なんだ。こんなにむちゃなんだ。人との契約なんて、へのかっぱなんだ。しかも、これがイセグループ、悪意ですよ。  これはほうっておけません。そこで、さっきのノースエッグプロダクション、この穴水畜産企業組合、これを是正すべきだと思う。これは局長が法的にできないと言った。それならばもとの状態に戻すように直ちに指導すべきだと思いますが、この点はいかがですか。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
  210. 杉山克己

    ○杉山政府委員 先生指摘のように、石川県の鳳至の穴水町でもって、穴水町鶏卵需給調整協議会会長と穴水畜産企業組合代表者との間で、「穴水畜産企業組合の現施設に採卵用成鶏メスの飼養をしない」という旨の確認書が、昭和五十一年六月九日付で締結されております。ところが、その後、穴水町鶏卵需給調整協議会が行いました五十三年十一月下旬の調査におきまして、採卵鶏の飼養が確認された。そこで、県と県の鶏卵需給調整協議会がこの問題を取り上げまして、本年三月十五日、一カ月ほど前に現地調査を実施いたしたわけでございます。この結果、採卵鶏十一万六千羽の飼養が行われていることが確認されました。このことにつきましては、農林省としても、県からの連絡を受けて承知いたしております。細部はともかく、大体先生指摘のとおりの実態が経過としてあったわけでございます。  これに対しまして、現在、石川県がこの代表者を呼びまして、具体的に調整を行うようにということで指導をしているというふうに聞いております。その指導に基づく調整の状況を見ながら、農林省としても今後の対策を検討してまいりたいと考えております。
  211. 津川武一

    ○津川委員 時間も来ましたので、そろそろ終わりに近づきました。  政務次官、この間非常にいいことを言ってくれた。直ちに調査する、何とか対策を講ずる。したがって、タケクマとイセについてどのような調査をされて、どのような指導をしたか、これが一つ。  第二番目に、いままでの論争を聞いて次官もよくわかったと思うのですが、やり方が、建築法違反をやったり、念書を交してペテンにかけたり、知らないふうなかっこうで農林省をだまして、四十八年、四十九年、五十年、五十一年と、ものすごい増羽をやっている。これに対する指導方針はたった一つです。その増羽する前の状態に戻す、法的根拠がなければ、政府責任を持って指導すること。この二点を答えていただきます。  つまり、タケクマとヒヨコのイセの調査がどうであったか、それをどう指導したか、これが一つ目の答弁。二つ目は、直ちに増羽をする前の状態に戻すように、政府は、農林省は全力を挙げて指導する、これがおれの責任だと言って皆さんの出している通達の趣旨でもありますが、答えていただきます。
  212. 杉山克己

    ○杉山政府委員 この前御指摘をいただきましたケースにつきましては、その後、県と、それから市町村の鶏卵需給調整協議会を通じて調査を行ったわけでございます。その結果につきまして概要申し上げます。  まず、イセグループ関係でございますが、第一に、宮城県色麻村の色麻農場についてでございます。  これは県と地区鶏卵需給調整協議会が三月二十二日に現地調査を実施した結果、鶏舎につきましては三十五棟建設されております。そして、全鶏舎の収容能力は百三十二万羽、これは六万羽用が九棟、三万羽用が二十六棟ということで、合計百三十二万羽の収容能力が認められました。  その中で現在飼養されておりますところの羽数は、成鶏が八十三万五千羽、これは若干推定が加わっております。個別に確認し得たものばかりではなく、全体としての推計で八十三万五千羽。  この農場につきましては四十七年から建設が開始されているわけでございます。この点につきましては、先ほど先生の御質問の中でも触れられたわけでございますが、四十九年度に「鶏卵の生産調整の強化について」という農林省からの通達が出され、その通達に基づきまして、地区鶏卵需給調整協議会は当該農場の凍結羽数を二十四万羽と定めております。それとの関係からいたしますと、今回の調査結果からすれば、五十九万五千羽の増羽があるというように判断されるわけでございます。  それから二番目に、茨城県小川町の増羽状況でございます。  これも県が市町村鶏卵需給調整協議会を指導して、無断増羽者の指導を兼ねてこの二月十日から二十五日までの間、現地調査を実施させたのであります。その結果、次のような状況が判明いたしました。  小川町で無断増羽を行っている者は十二人、この者についての凍結羽数の合計は一万七千羽、これに対して現在飼っている羽数は五十七万三千羽で、差し引き五十五万六千羽が無断増羽ということが認められたわけでございます。  この無断増羽のうち、二十四万三千羽につきましては、イセグループの関連会社と、飼料購入や鶏卵販売を通じてそれぞれ関係を持っていると見られるものがあったわけでございます。そのほか、与沢農場につきましては、イセグループの直営農場という関係にあることが判明いたしました。  それから第三に、宮城県の丸森町の筆甫養鶏組合等についてでございます。  以下はいわゆるタケクマグループ関係ということになるわけでございますが、この筆甫養鶏組合等につきまして、県と地区鶏卵需給調整協議会が四月七日に現地調査を実施いたしましたところ、まず鶏舎につきましては三十一棟建設されておりました。全鶏舎の収容能力は十四万八千羽であったわけでございます。  現在、飼養されております羽数は九万二千羽、凍結羽数はちょうど五万羽ということになっておりますので、差し引き四万二千羽の無断増羽ということが確認されました。  個別の事例につきまして調査した結果は、以上のとおりでございます。
  213. 津川武一

    ○津川委員 そこで、政務次官、わかったから、これに対して農林省としては、法的根拠はないというけれども、せっかくあれだけ国が十分指導すると言っているから、前の状態に返すように指導する、それから結果をまたわれわれが相談する、これが絶対必要だと思うのでございます。前の状態に返す、こういう方針を立てて指導すべきだと思うのですが……。
  214. 今井勇

    今井政府委員 しばしばここで御答弁申し上げたように、私どもも社会正義に反するものを見逃すわけにはまいりません。したがいまして、先生おっしゃいますように、四十九年の凍結羽数時点に戻すことについては、当然、当該事業体がその方向努力するように強力な指導をいたしたいと思いますが、問題は、先生十分御存じだと思いますけれども、善良な農民が実はそこで多数働いておられるわけですね。ものによっては土地を提供された方がそこに雇用契約を結んでおられる者も現実にあるわけでございます。したがって、そういうものについてわれわれも配慮をしなければ結局いかないということもあります。しかしながら、そういうようなものを踏まえまして個々のケースによりまして現実的な対処をしてまいりたい、このように思っております。
  215. 津川武一

    ○津川委員 そういう答弁が来るだろうと思ってもう一つ質問を用意しておいたのは、下請をやっている農民のやつはある程度まで仕方がないと思うんだ。しかし、直営のやつは企業が責任を持って縮小するように、法的根拠がないんだからそこいらの指導をすべきだということを提言申し上げて、もし答えるんだったら答えていただいて、質問を終わります。
  216. 今井勇

    今井政府委員 なかなか微妙なところでございますが、したがいまして、個々のケースに応じてと申し上げたつもりでございます。
  217. 津川武一

    ○津川委員 終わります。      ————◇—————
  218. 中尾栄一

    中尾委員長 この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産業振興に関する件について、参考人の出席を求め、その意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  219. 中尾栄一

    中尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選、出席日時及びその手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  220. 中尾栄一

    中尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十一分散会