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1978-04-13 第84回国会 衆議院 農林水産委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月十三日(木曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 中尾 栄一君    理事 片岡 清一君 理事 羽田  孜君    理事 林  義郎君 理事 山崎平八郎君    理事 竹内  猛君 理事 馬場  昇君    理事 瀬野栄次郎君       加藤 紘一君    熊谷 義雄君       倉成  正君    佐藤  隆君       玉沢徳一郎君    羽田野忠文君       森   清君    森田 欽二君       小川 国彦君    角屋堅次郎君       柴田 健治君    島田 琢郎君       新盛 辰雄君    野坂 浩賢君       芳賀  貢君    日野 市朗君       松沢 俊昭君    武田 一夫君       野村 光雄君    吉浦 忠治君       神田  厚君    津川 武一君  出席政府委員         農林政務次官  今井  勇君         農林大臣官房技         術審議官    川田 則雄君         農林省構造改善         局長      大場 敏彦君         農林省農蚕園芸         局長      野崎 博之君         農林省畜産局長 杉山 克己君         林野庁長官   藍原 義邦君         建設大臣官房会         計課長     加瀬 正蔵君  委員外出席者         林野庁職員部長 相賀 幸雄君         労働省労働基準         局監督課長   小粥 義朗君         労働省労働基準         局補償課長   原  敏治君         労働省労働基準         局安全衛生部労         働衛生課長   林部  弘君         参  考  人         (日本中央競馬         会副理事長)  増田  久君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 四月十二日  国民のための国有林経営に関する請願(栗林三  郎君紹介)(第三〇六四号)  同(八百板正紹介)(第三一六八号)  米の生産調整反対及び地域農業振興等に関す  る請願武田一夫紹介)(第三〇六五号)  農畜産物輸入自由化等の問題に関する請願(登  坂重次郎紹介)(第三〇六六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 中尾栄一

    中尾委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産業振興に関する件につきまして、本日、日本中央競馬会副理事長増田久君を参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中尾栄一

    中尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 中尾栄一

    中尾委員長 農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬場昇君。
  5. 馬場昇

    馬場(昇)委員 私は、振動病について、農林省林野庁並び労働省に対して質問を申し上げたいと思います。  まず、具体的な質問に入ります前に、振動病現状についてお尋ねをしておきたいと思います。  振動病発生状況及び現況について、国有林並びに民有林別に、国有林については林野庁から、民有林については労働省から、その現状についてお知らせいただきたいと思います。
  6. 相賀幸雄

    相賀説明員 ただいまの御質問についてお答え申し上げます。  国有林野事業におきます振動障害認定者は、昭和五十二年の十二月末現在で三千三百十名でございます。
  7. 林部弘

    林部説明員 民有林における振動障害発生状況でございますが、労災保険における業務上の認定者数として把握をしております数字でございますが、これまでの各年度別における労災保険受給者の数というような形で把握をしてきているわけでございまして、直近の時点で申し上げますと、五十一年度末の累積が千四百四十八名、また当該年度中の新規認定数は八百九十九名、こういうふうになっております。
  8. 馬場昇

    馬場(昇)委員 国家公務員災害補償法認定数をいま三千三百十名と報告がございましたけれども、五十一年から五十二年にかけてどのくらいふえたのかというところをもう一つ知らせていただきたいと思うのです。労働省につきましては、これも五十一年から五十二年とどう変化したかということをお知らせいただきたいと思うのです。いま労働省の方から、ちょっとあなたはっきり言わないと、聞き取りにくかったのですけれども、聞いてみますと千四百幾らというような数字報告がございましたけれども国有林に比べて民有林が非常に少ない。そういう点、私はおかしいというぐあいに思うのです。  そこで、あなたのお話では、労災保険の受給請求されて認定された者の数、こういうぐあいにおっしゃっておられるわけですけれども、個人が請求してきたもの、そういうものを認定した者の数ということですけれども行政が、あなた方の方で手を伸ばして掘り起こした、こういうことは実際ないのですかどうですかということも、この数にかかわって聞いておきたいと思うのです。
  9. 相賀幸雄

    相賀説明員 国有林野事業におきます年度別認定者数でございますが、四十九年度は七百八十七名でございます。それから五十年度は四百八名でございまして、五十一年度は二百一名でございます。なお、五十二年度につきましては十二月末までの集計しかできておりませんが、十二月末までで百五十六名でございます。
  10. 林部弘

    林部説明員 先ほどの私の申し上げました数字について若干説明を補足いたしますと、私が初めに累積で千四百四十八名というふうに申し上げましたのは、四十六年から数字把握してきているわけでございまして、それの累積が五十一年度末で、つまり五十二年三月現在で千四百四十八名に達した。その後で年度別新規認定数について申し上げました数字が八百九十九名でございますから、これは四十九年度以降把握をしているわけでございまして、その推移について申し上げますと、五十一年度中、つまり五十一年四月から五十二年三月までの間に新たに認定されて追加された数が八百九十九名でございます。ちなみに前年度について申し上げますと、五十年度中につきまして五百五十六名、それから四十九年度中につきましては二百四十一名という形になっております。  先ほど先生指摘の、数が少ないんではないかという御指摘がございましたが、年々健診等によって発掘に努めているという結果が、ここにありますように新規認定者の数として非常に大幅に伸びてきているという結果を生じているというふうに私ども考えておるわけでございます。
  11. 馬場昇

    馬場(昇)委員 あわせて質問しておきたいのですけれどもチェーンソーの現在使用しております使用台数、これを国有林はどう把握しておるのか、あるいは民有林ではチェーンソーをどれだけの台数使用しているのか、労働省はこれをどう把握しているのか、教えていただきたいと思うのです。  そこで、労働省の方にもお聞きしますが、この台数をお聞かせ願えればわかるのですけれども国有林に比べて認定者数が非常に少ない。これはおかしいと私は思うのですけれども、これに対する御見解をお聞きしておきたいと思うのです。  それから、あわせて両方に聞きますけれども振動病発生というのは今後どういうぐあいに推移していくと考えておられるのかということを国有林民有林の当局から御説明いただきたいと思います。
  12. 相賀幸雄

    相賀説明員 チェーンソー使用台数でございますが、約六千三百台程度と理解しております。  それから今後の推移の問題でございますが、振動障害につきましては、林野庁といたしましてもきわめて重要な問題と認識しておるわけでございまして、振動の小さいロータリーチェーンソー、それから振動が直接人体に伝わらない玉切り装置導入をいたすとか、あるいは振動機械使用時間の規制の徹底を図る等、各種の予防対策を講じてきているところでございますが、近年におきます振動障害認定者数につきましては、先ほどお答え申したとおりでございますが、繰り返して申し上げますと、四十九年度におきましては七百八十七名、五十年度におきましては四百八名、五十一年度においては二百一名と漸次減少傾向を示しておりまして、その効果は上がっているものと私ども考えておるわけでございます。それで、今後とも関係各省十分意思疎通を図りまして、振動障害発生を未然に防止するようチェーンソー遠隔操作して伐倒するいわゆるリモコンチェーンソー実用化導入を図るなどいたしまして、さらに積極的に諸対策を推進するよう努めてまいる考えでございます。
  13. 林部弘

    林部説明員 民有林関係におけるチェーンソー使用台数でございますが、私ども正確な数字としてはちょっと把握していないのでございますが、チェーンソーを常用いたしております、常時使っているというふうに考えられます従事者が約二万人程度ではないかというふうに考えております。  それから先ほど先生お尋ねの、白ろう病発生が今後どのようなふうに推移していくというふうに私ども考えているかということなんでございますけれども、これはなかなかむずかしい問題でございまして、現在の時点推移という問題についてなかなか的確にお答えをすることはむずかしい問題でございますけれども、いままでの経緯を踏まえまして私どもが現在考えておりますことは、率直に申し上げまして、いわゆる白ろう病というものの予防対策というものには、これをやれば確実だという決め手がなかなかないという問題もございまして、結局は非常に多角的に総合的な対策を進めていくということで振動障害の防止を図る、さらには振動障害発生そのもの減少に導いていくということが一番現実的な対策ではないかというようなことで、幾つかの施策を取り上げてきているわけでございますが、その例を申し上げますと、一つは、チェーンソー自体についての……(馬場(昇)委員傾向だけでいいです。傾向をどう考えているかということです」と呼ぶ)その点につきましては、先ほど申し上げましたように、どうなるかということにつきましては、健康診断受診状況というものが少しずつ改善されてきてはいるけれどもまだ十分ではないということで、今後健診というものの受診率を高めるように施策を進めるということによって、実際の障害者発掘ということにかなり重点がかかっていくというような形で健診が進められていくというようなことになって推移していくんではないかと思っております。
  14. 馬場昇

    馬場(昇)委員 これは林野庁長官でも政務次官でもいいのですけれども、ちょっとおかしいとお思いにならないかということを聞きたいのです。たとえば国有林は六千三百台だ、こういうぐあいにチェーンソーを使っている。ところが民有林で常用しているものが大体二万台ぐらいじゃないか。ものすごく民有林は多いわけです。それで労働条件は皆さん御承知のとおりです。国有林民有林ではやはり民有林が悪い。それに振動病発生者の数というのは、国有林が多くて民有林が少ない。これは現実おかしいです。その辺についてどう把握しておられるのかということをひとつお尋ねしておきたいし、さらに、いま傾向を聞いたのですけれども国有林は漸次減少傾向を示しておる。これは数字を言われたからそうかもしれませんが、民有林の場合、これはふえるのかふえないのかわからないようなむずかしい問題だと言われましたけれども、私はものすごくやはりふえていくという状況にあると思うのです、後でそういう質問をいたしますけれども。  そういうことで、振動病というのは、山づくり林政行政をやっているという面から見まして、今後もうこれは減っていくから大したことはないのだとお考えなのか、民有林を含めてどういう気持ちを長官は持っておられるかということが第二点です。  第三点は、私は労働省にも言っておきたいのですが、あなたこういう悲惨な状況に対しましていとも淡々とした返事をされますけれども、私は労働省はわざと実態がわからないようにしているんじゃないかとさえ実は思うのですよ。この実態がわかったら大変だ、責任を問われる、そういうようなことで、むずかしいむずかしいと言ってわざとこれはわからないような行政をしているんじゃないかとさえ実は疑わざるを得ないという心配を持っておるのです。  そのことについて申し上げますが、たとえばいま何かの対策を立てようとするときに、実態がわからないものだから本当の対策が立てられないわけです。たとえば責任問題にしましても、これは本当に障害だといって労働者の人が告発をいたしました。ところが、民有林実態なんかわからないものだから、検察庁だってどう判断していいかわからないという態度を示しておるのです。そういうことも一例ですけれども、この問題に正しく対処するという方向がやはりわからない、そういう気がするのです。  そういう点について、あなたの方から意図的にわからないようにしているとは言えないでしょうけれども、そういうことを感ずることを労働省に警告をしておきたいと思うのです。  そこで、長官の方から先に質問お答えいただきたい。
  15. 藍原義邦

    藍原政府委員 まず初めに、国有林民有林で非常に差があるではないかということに対してどう考えておるかということでございますが、先生御存じのように、国有林の場合ですと、大体、こういう伐採事業をやります場合には団地がまとまっておりまして、一年間通算してほとんど伐倒をやる方は伐倒、玉切り等々おやりになるということで、その作業のあり方がほとんどそれに集中しておるという実態一つございます。民有林の場合ですと、そういう事例もあるのかもしれませんが、一般的にはいろいろな作業を組み合わせながらやられるということで、通年チェーンソーを使っておられるでしょうけれども、その操作する時間が国有林に比べて割合としては非常に少ないのではなかろうかという気がいたします。  それからもう一点は、伐採地点国有林ほどまとまっておりませんであちらこちらに分散しておるということで、その辺の間断の差が出てくるのではなかろうかという気がいたします。  そういう観点もありまして少ないという問題があるのじゃないかということと、もう一点は、いま労働省からもお答えになりましたけれども、やはり国有林は全員を調査し検査をし対応いたしております。民有林の場合にはその辺が、民有林の労働しておる方々実態からなかなか全体の方々を健診し切らないあるいは把握しにくいという問題がありまして、少ないという点もあろうかというふうに考えております。  それから林政上どう考えるかということでございますが、私どもも、チェーンソーを使うことによって生じたこういう振動病という方が出ておられることは非常に残念でございますし、また、今後こういうことがないようにしなければいけないということで、ただいま徹底して林野庁持ち分でございます予防問題については鋭意やっておりますし、国有林につきましては事業主という立場から鋭意その対策を講じ、できるだけ少なくなるように、そしてなくなるようにということで、先ほど職員部長からお話しいたしましたように、ただいまリモコン、いわゆる遠隔操作チェーンソーというものを開発いたしましてすでに実用化できましたので、労使間でいま協議をし、大体大詰めに来ておるというのが実態でございます。したがって、民有林等におきましてもできるだけ早くこういうものを取り入れていただいて、もうこういう病気が発生しないような方途をできるだけ早期に講じて対応してまいりたいというふうに考えております。
  16. 馬場昇

    馬場(昇)委員 同じ官庁同士ですから労働省の悪口を言うわけにはいかぬでしょうけれども、いろいろ理由は言われましたけれども、やはり本当に実態調査というものが明らかになっていないわけですし、しにくいという点もいま言われましたけれども、やはり実際、普通労働者の方は国有林の十倍くらいは民有林振動病関係の人がおるんじゃないか、これが常識として言われておるのですよ。ところがそういうものが発掘できない行政というのは非常におかしいと思いますし、先ほど言うのを忘れましたけれども、私が持っています資料では、国有林でもふえておる。北海道の資料ですけれども、四十八年が二十九名、四十九年が百二十名、五十年が八十五名、五十一年が九十二名、五十二年が百六名、こういう資料も聞いておるのです。だから、これで、国有林だってこれが少なくなっていく、大したことはないのだという観点ではいけない、こういうぐあいに思うのです。  そこで、政務次官に聞きたいのですけれども御存じないと思いますから、長官でもいいですが、実は私は、この問題について昭和五十一年十月の第七十八国会質問をいたしました。当時は農林大臣大石さんであったわけでございます。そこで私は、こういう問題、たとえば国有林はよく調べておるけれども民有林は調べてない。同じ日本人あるし、同じ林業労働者ですから、こういう差別があってはいけない。さらに、このときには、私は、何も林業労働者だけでなしに、振動機械を使うすべての労働者がたくさんおるじゃないか、そこにも症状があらわれておるじゃないか、こういうことを踏まえながら、やはり振動病実態というものを正確に把握する必要があろう、そういうために総合調査をやりなさいというような質問をいたしたのです。このときに当時の大石農林大臣は、「振動病に対するいまの一斉検診の問題は」、私が指摘しました「一斉検診の問題は結構な御趣旨だと思います。ただ、われわれの林野庁関係だけでやれませんから、労働省厚生省その他と連携をとりまして、その中でできるだけ早く一斉検診をぜひやらなければならない。」やります、こういう答弁農林大臣がやっておるのです。国会に対して国民に対してこういう約束昭和五十一年度にしておられるわけですけれども農林省は、これは農林大臣ですから、林野庁中心にやるという話ですから、あなたの方で労働省なり厚生省に働きかけて、この総合調査といいますか、こういうのをやられたのかどうかということについて質問しておきます。答えてください。
  17. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま先生から御指摘ございましたような農林大臣の御答弁があったことはわれわれも承知いたしております。そういうことも関連いたしまして、私どもとすれば、この問題は、林野庁だけではなくて厚生省なり労働省なり御協力をいただかなければできない問題であるということで、三省庁連絡協議会を設けまして、その場で鋭意いろいろ御検討いただいたわけでございます。そういうことで、ただいまどういう方法で健診をし、どういう方法治療をし予防していくかということをそれぞれの持ち分でやっていただこうということで、一つ方法論を決めまして、そのやり方について都道府県の方に三省庁連絡通達を出し、その対応をしておりますけれども、現時点でわれわれが考えておりますのは、労働省中心になってやっていただいております巡回健診、これをさらに拡充していくこと、これが一番いいんではなかろうかということで、今後とも労働省関係方面と十分打ち合わせをしながら対応していきたいというふうに考えております。
  18. 馬場昇

    馬場(昇)委員 質問に対してそらしてもらっては困るのです。私は、振動病実態を知るために労働省厚生省と話し合って実態把握のために総合調査をやりなさい。いま三省庁連絡会議があるのは知っていますし、それがいろいろ通達を出していますけれども、そういう総合調査のためのあれをやってないじゃないですか。だから、これは少なくとも、実態把握のための総合調査をやっていない、これは事実でしょう。そしていま言われましたのは、いまやっておるのはほんのわずかな——三省庁連絡会議が何をやっておるかということは私は知っていますよ。総合調査実態把握などはやっていないじゃないですか。これはどうですか。そして、私が質問しましたのは五十一年ですよ。いまはもう五十三年ですよ。その間やったのですか、やらなかったのですか。はっきり言ってください。
  19. 藍原義邦

    藍原政府委員 先生がおっしゃいましたような全体の実態把握というのはやっておりません。ただ、私どもとすれば、先ほど申し上げましたような巡回の問題、それからただいまチェーンソーを扱う方々については手帳をちゃんと配付いたしましてそれに基づいて雇用していただくというような形をとっておりますので、そういう面からそういうものの実態把握していきたいというふうに考えております。
  20. 馬場昇

    馬場(昇)委員 怠慢じゃないですか。そうしたら、総合調査をやるという約束をしておるのですが、これはやりますか、やりませんか。約束を破りますか。このことについてはっきり言っておいてください。
  21. 今井勇

    今井政府委員 国会の場で、しかも大臣がお約束したことでございますから、国民に対して、また質問をされました趣旨、これは当然しなければなりません。いま私もはたで聞いておりまして、まことに残念なことであると思います。これはどのような方法でさせるか、また長官から答弁させますが、先生の御趣旨を十分体しましていたしたいと思います。
  22. 馬場昇

    馬場(昇)委員 大臣にかわりまして政務次官から、三省連絡でもとってきちっと実態把握のための総合調査をやるという約束大石さんしていましたから、これを守ってやるという話ですから、ぜひ早急にやっていただきたいということを申し上げておきたいと思うのです。  私がしつこく言いますのも、振動病発生させたということ、これをどんどん増加させたということ、これに対して行政責任がある、いまのような対策なんかがおくれているというところも責任があるわけですけれども、こういうことを感ずるから言うのです。その責任を感じなければ、こういうことが再び起こるあるいは絶滅をする施策が出てこないと考えるからでございます。  振動機械使用し始めてからすでに二十年ぐらいになるわけでございますが、私は、これは政務次官もよく聞いておいていただきたいのですが、私の地元の熊本営林局管内林業労働者の、言うならば振動病に対する一つの生きた証言といいますか、そういう発言をしておりますのをいまから紹介いたしますから、これについてどういう責任を感じておられるのかということを答弁していただきたいと思うのです。  これは営林署職員A氏の証言ですけれども昭和三十八年からチェーンソーを握った。昭和四十四年ごろは一日四時間以上のチェーンソー使用となった。雨がっぱを着て作業することが昭和四十七年まで続いた。昭和四十六年には肩、腕のしびれ、痛みが出現した。昭和四十九年には昼食時冷え込むとはしがうまく使えないように悪化した。昭和五十年労災認定を受けた。生活は妻の内職で補っている。こういう証言がございます。  次は、これは民間林業労働者の人ですけれども昭和三十五年林業労働者となり、昭和三十七年からチェーンソーを握った。一日当たり七時間以上のチェーンソー使用は確実に身体をむしばんだ。昭和四十四年には白指発作があらわれるようになったが、昭和四十八年までは白ろう病であることは知らなかった。こういうことを言っておりまして、B氏がチェーンソー作業をやめたのは、昭和四十八年山でチェーンソーを保持できず危険であるという理由によってやめたのです。労災認定の問題で監督署を訪れたときに、三年前から労災適用が受けられるようになっているということを聞いて、監督署の無策に抗議した。仕事を中止した後約一年半で労災認定された。妻は日雇いに出ている。認定治療等仕事を休む日が多く、健康時の約四割の作業量しかこなせなかった。この当時の収入を基礎にして平均賃金が計算されているので、休業補償額はきわめて少なくなっている。こういう生きた証言があるわけです。  次に、もう一人の人は、チェーンソー導入時から昭和四十八年仕事をやめるまで、チェーンソーや集材機の技術講習や宣伝はあったけれども、衛生教育はかつて一度もなかった、こういう発言もあります。  もう一人の人は、寒さや雪の中での作業が最もつらかった。こういう体になって残念だが、もっと充実した現場治療施設で早く体を治して一人前の仕事をしたい。  もう一人の人は、これは営林署の職員の人ですけれども、ほかの組と競争で仕事をしたが、出来高払いの制度がこの病気に一番悪いと思う、こういうことをおっしゃっておられます。  私の熊本県でも、ある営林署では業務命令を出してチェーンソー使用させたという例も私は知っております。その営林署で、昨年の五月十二日に、椎葉さんという人が作業中に倒れて、病院に運び込まれてお亡くなりになりました。この人は、十年間チェーンソー使用しまして、四十九年に認定された人でございます。  このような悲惨な声を聞いて、林野庁とか労働省というのは本当にどういう責任を感じておられるのか。私はここで、時間がございませんので、どういう反省をしておられ、責任を感じておられるのかということを、本当に心からの声を聞いておきたいと思うのです。いかがですか。
  23. 藍原義邦

    藍原政府委員 チェーンソー導入につきましては、先生十分御存じだと思いますけれども、戦前から戦争直後にかけまして手のこでいろいろ伐採をいたしておりました。ところが、木材の需要等々が非常に大きくなりましたし、また一方、北海道等では大きな台風によります風倒木が発生した等々のことがございまして、やはり何とかして能率を上げる問題、あるいは手のこによります労働負荷というものを非常に軽減するというような問題、そういう問題の中で、世界的にチェーンソーが使われておるということがありまして、日本におきましてもこのチェーンソー導入というものがきわめて急激な普及を見たわけでございますが、導入いたしました当時におきましては、世界的な例を見ましてもこういう振動症が出るということは全然予測もできませんでしたし、私たちもそういうことは知らなかったわけでございますけれども、その結果として現在振動病方々が多く出ておられるということにつきましては、私どもとしてもきわめて遺憾であるというふうに考えております。林野庁といたしましても、こういうことを踏まえまして各種の予防対策を講じてきておるわけでございますけれども、今後は主として、もう振動を手に伝えないいわゆる遠隔操作によりますリモコンチェーンソー、こういうものを中心にして、これを普及することによりましてこの定着化ができれば、こういう問題もなくなるというふうに考えております。
  24. 馬場昇

    馬場(昇)委員 私はそういう答弁を求めてはいないのですよ。あなたのいまの答弁の中には、林野行政のこういうようなことを引き起こした責任というのは一言も言葉として出てこなかったわけです。責任はないのですね。そのことを聞きたいのです。これは労働省もそのことだけ、責任問題だけを答えていただきたいと思うのです。
  25. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいまも申し上げましたように、これを導入する時点におきましては、私どももこういうことは全然予知できませんでしたし、またそういう事例もなかったということで、その後、こういう振動症によります方々が多数発生されたことにつきましては、われわれとしてもきわめて遺憾だという気持ちでございます。
  26. 林部弘

    林部説明員 私どもといたしましては、過去の反省に立った上で総合的な施策の推進に努めなければいけないというふうに考えております。
  27. 馬場昇

    馬場(昇)委員 政務次官、いまの林野庁長官のような氷のような心の持ち主では、これはよくなりませんよ、こんな振動病なんかは。あなたは本当に遺憾だと思うと、何か他人事みたいにして——あなた方の行政労働者は働いておるのでしょう。そんな気持ちでやったらこんな病気はよくなりませんよ。あなたはいま本当に反省のかけらもない。これは重大問題ですよ。林野庁長官として資格がないですよ。そんな長官のもとでは労働をしたくないですよ。山を守りたくないですよ。  そこで聞きますけれども、たとえば、あなたはそう言いますけれども発生した後、予防してくれとか治療体制はこうしてくれとか要員の確保はこうしてくれとか、途中あなた方に対するたくさんの要求が出ているのです。それに応じてないじゃないですか。だからあの病気を重くし、またたくさんの病人をつくったという事実もたくさんあるじゃないですか。私はそのときにこう言いましたよ。私は水俣病を盛んに一生懸命やっておりますけれども、あそこは有機水銀中毒症ですよ。あなた方は、振動病の原因はわかったのですから、わかった上でも労働者や現場の病人の発言を取り入れなかったということは、水俣病を引き起こしたあの水俣湾に再び有機水銀を投げ込んで水俣病を引き起こすようなものだ、これとあなた方の行政姿勢は同じだということを私は言ったことがございます。こういう点について、これはもうあなたに言ったって、血も涙もないから答えは出ないと思うのだけれども政務次官、そういう、たとえば途中で何回でも予防だとか治療体制とか要員要求があったのですよ。それに応じなかったということも含めまして、こういう悲惨なことを引き起こした、これに対して行政責任はなかったのかどうか。これは政務次官から答弁願いたい。
  28. 今井勇

    今井政府委員 実態についていまの御要求に対してどのようなことをしたかについてはまた答弁いたさせますが、私、率直な気持ちを申し上げれば、こういう事態になりましたことについてまことに本当にお気の毒であり、遺憾であると思います。したがいまして、こういうものをどうしても今後は未然に防ぐことと、御不幸にしてなられた方についての治療の万全を期するということが基本でなければならぬ、このように思っております。
  29. 馬場昇

    馬場(昇)委員 こういう病気を引き起こしたことはわかるような気がするのですよ。というのは、そのような行政をされておっては、たとえばあの水俣病を例にとりますけれども、あれには各大臣も、こういうのを引き起こしたのはそのときそのときの行政の対応が不十分であった、そういうことの責任があるということを認めた上で対策を立てているのですよ。あなた方もたくさんの行政をやった、そのときそのときの対応が十分であればここまで来なかったということはわかり切っていることでしょう。だから、そのときそのとき十分でなかったということを反省して、それで責任を感じないのか。これは政務次官どうですか。
  30. 今井勇

    今井政府委員 先ほどから申し上げるように、初めからこの機械を使えば必ず起こるのだということを十分知っておれば、こういうものを積極的に使うことは考えられないと私は思うわけであります。そういったものがわからなかったからこそ、しかもまた、当時の情勢として、作業能率を上げようということから始まったものであろうと思うわけであります。したがって、そういったものがだんだんと明白になるに従って、それに対する対応策を講じていこうじゃないか、私はこういうふうに考えることが素直であろうと思うわけであります。その対応の仕方が、先生のお説によれば、必ずしも十分でないのだ、こういうお説でございます。したがいまして、そのことについて対応の仕方が不十分であるとするならば、まことに残念であるというふうに申し上げる以外はないと思います。しかしながら、基本的にはやはりそれに対して積極的に対応していこう、そういう気持ちであったことだけは私は信じたいと思いますし、そうであったと思います。
  31. 馬場昇

    馬場(昇)委員 これは押し問答したってしようがないのですけれども、やはりもう少し、これは政務次官行政をする者とかあるいは政治家というのはやはり謙虚であらなければならないし、常に自分を反省しなければならないと思うのですよ。そういう姿勢でなければいい政治もできないし、行政もできないと思うのですよ。  そこで、私はこれは一言だけは言わざるを得ないのです。私ははっきり申し上げておきますけれども林業労働者の労働、それから林業労働者の生活の厳しさ、それに行政の怠慢、そういうものがこういうものを引き起こした原因であろうと思いますし、さらに政府とか使用者とか機械メーカーとか輸入業者、これにも大いに責任がある、こういうぐあいに思うのです。こういうことはちゃんと五十二年七月の国の安全義務違反を問う高知地裁の判決、裁判所でも認めておる。そういう事実がございます。そしてまた、行政をするときに、あなた方は現場の労働者から告訴、告発されておるでしょう。現場の労働者が、お互いに山をつくろうという目標は一致しておる。この労働者から告発されなければならないというような行政をしたところに問題があると私は思うのです。  たとえば、いまの山の現状を見てみますと、三十六年をピークにしました林業生産だとか人工造林が現在ずっと後退してきておる、半分近くになっておる。こういう原因の一つに、振動病などで労働者の健康とか命とか生活とかを破壊したということがあると私は把握しておるのです。さらに言うならば、恒常面用事業の縮小あるいは請負事業及び立木販売がずっと拡大してきた。これによって振動病国有林労働者から民間労働者に肩がわりさせた、こういうことも言えるのじゃないかと私は思うのです。また、民有林では、林業構造改善事業等によって資金援助などを図りながら、チェーンソーに対する安全性の確認、こういうものが十分なされないで振動機械を大々的に導入させた、そういうところについても林野庁責任があると私は思うのです。  そこで、こういうことを言って議論しますと時間がなくなりますから、そういうことを強く指摘して反省を求めながら、次に振動病撲滅の原則を確認しておきたいと思うのです。政務次官長官、どちらでもよろしいのです。  今後の林野行政の基本として、これ以上患者を出さないように完全な予防措置を講ずる、このことを振動病撲滅の原則にしていただきたい。これは当然人為的原因によって引き起こされた病気ですから、予防する気にさえなれば完全に予防できる、こういうことだろうと思うのです。そこで、振動病撲滅の原則として、これ以上絶対林野行政として患者を出さないような完全な予防措置を講じていく、この原則をやっていただけるかどうかということを確認しておきたいと思うのです。
  32. 藍原義邦

    藍原政府委員 先ほど来私申し上げましたように、本当にこういう病気の方が出られたということは私どもとしてもきわめて遺憾であると考えております。したがいまして、林野庁といたしましても、国有林についてはわれわれ経営者という立場から、四十四年から労使の間でいろいろな話し合いをいたしまして、鋭意その予防対策なり治療対策を進めておるわけでございまして、ただいまも組合との間でいろいろな話し合いをし、最終的な詰めにそろそろ来ているという段階でございます。  それから民有林につきましても、四十五年以来労働省等々がいろいろ基準を出されましたので、それに従って四十五年には二時間以内にすることというような通達を出しておりますし、それ以来毎年いろいろな対応をいたしております。今後も私どもは、いま先生がおっしゃったように、これからはそういう病気を出さないということがまず第一だろうと考えておりまして、この問題につきましてはわれわれも真剣に取り組んでまいる覚悟でございます。
  33. 馬場昇

    馬場(昇)委員 これは大臣代理からも聞いておきたいのですが、本当に大切な問題ですから、振動病撲滅の原則として、行政の基本姿勢として、これ以上患者を出さないように完全な予防策を講ずるということについて、政務次官からも一言お答えいただきたいと思います。
  34. 今井勇

    今井政府委員 ただいま長官答弁をいたしたとおりでございまして、病気のもとがはっきりしているわけでありますから、それを断ち切ることは当然なことでございます。
  35. 馬場昇

    馬場(昇)委員 次に、少し具体的な問題について質問をいたしたいのです。振動機械について、先ほどから議論も出ておるのですけれどもお尋ねしたいのです。これまた、振動機械使用の原則というものを私は尋ねておきたいと思うのです。  これは安全性の確認されないものは製造とか輸入とか販売を禁止して労働者に絶対に使用させない、こういう原則でこの振動機械には対処していただきたい、そうすべきだと私は思うのですが、いかがですか。
  36. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま林野庁におきましては、チェーンソー振動数がどのくらいあるかということを四十九年十月からそれぞれの機械について公表することにいたしております。その中で、ただいまでは一般的に言われております三G以下、こういうものを使うようにということで、三G以上の振動の機械については、測定した結果そういうものがありました場合には、これは改良するようないわゆる自主的な、行政指導でございますが、そういうことで販売をしないように指導いたしておりまして、現在市販されておりますものは、一般的には三G以下になるような指導をわれわれも徹底いたしております。
  37. 馬場昇

    馬場(昇)委員 長官は私の質問に直ちに答えなくて、ちょっとすりかえた答え方ばかりするから話がかみ合わないのですけれども、三Gの話なんか後で質問するのです。私が言っていますのは、あなた方の行政の姿勢というか、原則というのをどこに持っておられるのですかと質問しているのですよ。  政務次官振動機械について私が言うのはいとも当然じゃないですか。安全性の確認されないものはつくらない、輸入しない、販売させない、労働者には絶対に使わせない、こういう原則でこの振動機械について対処していただきたい、断然なことですが、そのことに答えずにすぐ三Gをやっちゃうんだ。どうですか、政務次官
  38. 今井勇

    今井政府委員 安全性の確認されないものを使わせないことについては全く同感でございます。ただ、つくらせないとか輸入させないとかいうことになりますと、これはやはり商売の自由もございましょうから、そこまでできるかどうかについてはちょっと私も疑問がございます。
  39. 馬場昇

    馬場(昇)委員 あなたに質問するのでは、安全性の確認されないものは使わせないということでそれは結構でございます。あと輸入だとか製造とかというのはほかの省庁にもかかわることだろうと思いますから、これ以上はおきたいと思います。  そこで、チェーンソーの規格について、先ほども出ましたように、ちゃんと私も現在三G以下ということになっているということは知っておるのですけれども、これは長官、三G以下を使用しておれば病気は出ないのですか、どうですか。
  40. 藍原義邦

    藍原政府委員 三Gの問題につきましては、これは先生も十分御存じだと思いますけれども昭和四十八年度に通産省の機械安全無公害化委員会の中に設けられました林業用手持機器分科会というのがございます。そこで安全無公害化目標として三Gというものが一つ定められておりますし、それから労働省におきましても、昭和五十年三月に、機械の改良目標として三Gということを指導しておられます。私どももそれを受けましていまそういう考え方で進んでおるわけでございますが、ただ振動機械の使い方、ことにチェーンソーの使い方につきましては、まず使用の仕方にもいろいろ問題があろうと思います。それからまた、一番問題になりますのはチェーンソーの生命でございますソーのチェーンでございますが、この目立ての仕方、こういうものを十分徹底しませんと、幾ら振動が少なくても目立てが悪ければ逆に非常に切れ味が悪いということによりますいろいろな問題も出てまいります。それから使用時間の規制の問題等、あるいは一般的な日常生活の問題で保温の問題等々ございます。そういうもろもろのものをやはり十分留意していただいて使用していただくということが何よりも必要ではなかろうかということを考えておりまして、そういう方面についてはわれわれも十分指導いたしましたし、今後も指導はしてまいりたいというふうに考えております。
  41. 馬場昇

    馬場(昇)委員 三G以下でもいま言ったようないろいろな条件があれば病気は起こる、そういう答弁をされればいいのです。そのような答えになっておるわけですね。  そこで労働省に聞きたいのですけれども、現在民有林で使われておりますチェーンソーは皆三G以下ですか、どうですか。このことをどう把握しておられるか、労働省に聞きたいと思うのです。
  42. 林部弘

    林部説明員 いま先生お尋ねの点につきましては、確かな形のものとしては把握いたしておりません。ただ、われわれとしては規格についての規制を徹底するように指導いたしておるという状況でございます。
  43. 馬場昇

    馬場(昇)委員 それではさらに聞きますが、三G以下ということは決めておるわけですから、これはちゃんとあなた方の労働省告示第四十五号で出ている。それを出しておきながら、三G以上が使われているかどうかは把握しておりません。じゃ、これはどこが把握するのですか。把握する官庁はどこですか。それをまず聞いておきたいと思いますし、私ども調査では、全国調査したわけではございませんけれども、ある県の一つの郡だけを調べましたところが、三G以下を使っていたところはまだ三二%しかない。今日においても約七〇%は三G以上を使っておる。そしてまた、国有林労働者チェーンソーを大体三年で買いかえるというような方向でいっておりますけれども、特に民間の林業労働者はこれを五年も六年も使っているという事実もたくさんあるのです。こういう事実について、それはどこが調べなければならないのか、把握しておらなければならないのか、私がいま言ったような事実は知らないのか、労働省に聞いておきたいと思います。
  44. 林部弘

    林部説明員 初めに三Gというものを定めた問題についてお答えをいたしますと、この問題につきましては、率直に申し上げまして、医学的、工学的な研究の成果によってこのもので絶対に安全であるということで定めたものではないわけでございますが、四十八年以来専門家の検討を経まして……
  45. 馬場昇

    馬場(昇)委員 経過は要らない。質問そのものにずばり答えてください。
  46. 林部弘

    林部説明員 ですから、私ども考え方としては、機械の改善という面では三Gということで従前よりも振動の影響というものが非常に大幅に改善される。それから私ども考え方は、三Gだけということで考えているわけではございませんで、それにあわせまして暴露時間の短縮を図るとか、それからチェーンソー自体についても十分整備をする。先ほど長官が御答弁申し上げましたように……
  47. 馬場昇

    馬場(昇)委員 そんなことは質問していないですよ。三Gをだれが調べるのかということを聞いているのですよ。以上を使っているでしょう。そんなのをだれが調べるのか。官庁はどこだと聞いているのです。
  48. 林部弘

    林部説明員 御質問が三点あったかというふうに思ったものですから……。  その三Gの問題につきましては、時間の問題とかチェーンソーを整備するということも含めて総合的に機械というものについて考える、その中の一つの要素が三Gであるということで定めたものでございます。  それからこの規格を定めましたのは、法規制の施行というのは昨年の十月からということになりますので、一般的には法規制のあり方としてはそれ以前に購入されたものにまでは法規制は直ちに及ばないわけでございますので、それ以後のチェーンソーにつきましては、新しい規格に合格したものが必要である。それ以前のものの買いかえ、改善等につきましては、ただいま申し上げましたようなチェーンソーの規格あるいは総合的な振動対策というものを踏まえて、林業関係者によく趣旨の周知を図るということで対応してまいるという考え方でございまして、現在の時点では、この趣旨の徹底を図るために、昨年の十二月に都道府県労働基準局あるいは林業労働災害防止協会、その他関係団体にも通知を送付いたしまして周知徹底を図っている段階でございまして、今後ともチェーンソー規格に合格しているものを使うように、また規格に合格しないものを購入したり使用しないようにしていただくという指導を強化してまいりたい、現在はこう考えておるということでございます。
  49. 馬場昇

    馬場(昇)委員 全く時間のむだな答弁ばかりしてもらっちゃ困る。三G以上を使っている実態はどうだ。私どもがある県のある郡で調べたところが、三G以下は三〇%ぐらいだった、あと七〇%ぐらいはそれ以上のものを現在使っている。われわれの調査でも一つの郡を調べればすぐわかる。それをあなた方は知らぬと言う。だから、そういうのをどこで調べるのか、だれが実態把握するのかという質問をしているのですよ。それに対して答えていないじゃないですか。後で答えてもらいたいと思うのです。  もう一つ、いまの答弁の中で、これは実態はわかるけれども、五十二年十月一日以前に買われたものはそのまま残っておるということは、国有林はどうですかという質問と、では残っておればそれは危ないから、それを使っている者は現在振動病の発症の可能性があるということになるわけですよね。発生があるから三G以下にしたわけですから、そういう危険性を現在見捨てておる行政をやっているということになりますが、これはどうですか。  もう一つ聞きますが、よく聞いておかぬと、またピントを外れた答えをしてもらっては困るのですよ。これは長官でも政務次官でもいいのですが、言うならば、チェーンソーは有害機械と認定されたわけですから、農薬なんかでも危険性があるということになった場合にはみんな回収しますね。なぜこれに回収措置をとらないのかという点を聞いておきたいと思うのです。  それから、私が聞くところによりますと、五十二年十月一日以降は使われなくなったから、それ以前に製造されたものを安売りしたという事実がある。こういうことについて御調査になって知っておられるかどうか、こういう点についてお答えいただきたいと思います。
  50. 藍原義邦

    藍原政府委員 国有林につきましては、前々から労使間でこの問題については十分お互いに協議いたしておりまして、いまほとんどのものは取りかえております。  それから民有林につきましては、林野庁としては、民間の方々ができるだけ早く買いかえなりができますように改善資金等の中で買いかえの無利子の融資をするというようなことで対応してまいっております。
  51. 林部弘

    林部説明員 先ほどの、実態をどこで把握するのかということでございますが、私ども調査のやり方ということになりますと、当然事業主を通じて状況把握しなければいけないということになるわけでございますから、その意味では、そこら辺の実態は私どもとしては十分把握できてないというお答えを一番最初に申し上げましたが、そこら辺のところが、実態を調べる段階で非常にむずかしい問題があって調べることがなかなかはかばかしくいかないという隘路が一つございます。  それからもう一つ、回収しないのか、それでは見捨てておくのかという問題でございますが、その点に関しましては、回収するとか直ちに禁止するということには法的にもいろいろむずかしい問題があるということで、できるだけ趣旨を徹底させるということで、現在通達等を通じまして関係者への周知徹底に努めている段階でございます。
  52. 馬場昇

    馬場(昇)委員 だから、私はきのうあなたの方が来たときに、局長来いと言ったら、きょうはほかに用事があるからと言う。だからあなた、答え切るような人でなければだめなんです。あなたはいま、たとえばどこがそれを調べるのか、政府の官庁はどこだと聞くと、使用者を通じて調べなければなりませんから実態がなかなかですと言う。労働省ですか農林省ですかどこですかと私は聞いているのです。そういう問題があるし、いままた、私はダンピングをやったというようなことを聞いたが知らないかと言っても、それに対して何も答えないじゃないですか。答え切るような人でなければだめじゃないか、あなたをしかったってしようがないけれども。  そういうことで、それに対して詳しく答えていただきたいと思うのですが、時間が余りございませんので、これは長官にお聞きしておきたいのですけれども、いまお聞きになって、三G以上の古い機械を使っている民間の労働者がたくさんおるのは事実なんです。そういうところは、労働者負担でそういうのを買うというのではなしに、使用者が自分で新しい規格に合うものを買うというようなことで、そういう方策を指導しなければいけないのじゃないかというぐあいに、まず一つは思います。もう一つは、林業改善資金助成法でチェーンソー安全機械の買いかえの助成、これが予算的にはことしで終わるというぐあいに聞いているのですけれども、いまの実態ではまだまだこれは必要だと私は思うのですよ。これはぜひ安全機械の買いかえ資金の助成というのを、ことしで終わるのではなしに来年からもずっとまた続けて、こういうものをきちんと新しい安全なものにするということで、この買いかえ資金の利子補給の助成を延長していただきたいという希望が非常に強いのです。これに対していかがでございますか。
  53. 藍原義邦

    藍原政府委員 チェーンソーのどういう機械を使っているかという実態については、いま労働省からもお話がございましたが、確かに先生指摘のように、まだ全部が切りかわっていないだろうとわれわれも考えております。したがいまして、私どもとしては先ほど御説明申し上げましたように、林業改善資金の中で買いかえていただこうということで努力しておるわけでございますが、一応この計画も三カ年計画ということで、大体チェーンソーの耐用年数が二年ないし三年ぐらいであろうという想定からそういう計画を立てたわけでございますけれども、現在の実態がなかなかそういう買いかえが進まないという実態も確かにございますので、その進捗状況をわれわれも十分把握いたしまして、今後十分な対応をしていきたいというふうに考えております。
  54. 馬場昇

    馬場(昇)委員 労働省質問したって答え切れないからもう腰を上げないのですけれども、あなたがだめならば局長なり大臣に、農林水産委員会でこう言われたと言っておいてくださいよ。少なくとも現在三G以上を使っている実態把握ぐらいは労働省できちっとやりなさい。それからもう一つは、さらに進んで言えば、やはり出回っているのは回収する、それで振動病発生する条件になっているわけですから、それは回収するというぐらいな措置をきちっと行政指導しなさい、こういうことを言われたということでぜひ伝えてもらって、後で見解をお聞かせいただきたい、こういうぐあいにお願いしておきたいと思うのです。  そこで長官、いま安全機械の買いかえの助成、まだ延ばすべきだ、延長すべきだ、十分な対応をしたいとおっしゃいましたけれども、ちょっと私はまだ満足しないのです。これはまあ大蔵省から金をもらわなければいかぬのでしょうけれども、ぜひ延長しなければならないという情勢ですから、延長するという方向で最善の努力をする——するとおっしゃってもらえば一番いいのですけれども、大蔵省がありますから、最大限そういう方向でやられるというように受け取ったのですから、もう少しはっきり言っていただきたい。  それから、特に民間労働者の場合、機械は使用者が持つ、労働者持ちでなくて使用者持ちというような方向の行政指導というものが必要じゃないかと思うのですが、これをあわせて御答弁瀬いたい。
  55. 藍原義邦

    藍原政府委員 先ほど政務次官からもお答えいただきましたように、われわれとしてはこれからもう絶対に出さないという姿勢を持たなければいけないというふうに考えております。そういう意味からも、現在進めております改善資金によります買いかえについては、その進捗状況を私たち十分見きわめまして、もしそれがおくれておるような事態であれば、それに対応する処置は十分考えてまいりたいというふうに考えております。  それから、いま先生がおっしゃいました使用者が一応そういうものを与えるべきではなかろうかという御意見でございますが、御存じのように林業労働の実態というのはいろいろございます。したがいまして一概にそうはなかなかいかないかというふうにわれわれ考えますけれども、いま先生がおっしゃいましたようなことにつきましても、十分検討はしてみたいというふうに考えております。
  56. 馬場昇

    馬場(昇)委員 次に、チェーンソーの特別教育の問題についてお尋ねしておきたいと思うんです。大分苦言を呈したわけでございますが、この特別教育を補助金の対象になさったわけですが、これは私はやはり前進だと思っているんです。これはやはり前進した面は評価をしておきたいと思うんです。  そこで、特別教育をやられることになってやられたわけですけれども、教育の過程でいろいろ問題点を感じました。ここはきちんとして、趣旨ははっきりしておるわけですから、使用者や事業主責任と義務でこれを行うということが徹底しておるんですけれども使用者が本気で熱心にこれに取り組んだというぐあいには考えられない点がございます。ぜひこれは使用者の責任事業主責任と義務で十分行うことだ。勤務時間中の教育だとか賃金その他のいろいろな問題、講習料の問題、そういうものがあるわけでございますので、そういう点が徹底してない面があったから、これは十分徹底していただきたい、これが第一点です。  それから第二点は、現在雇用関係にない人、たまたま失業と言えば何ですけれども、雇用関係にない人もやはり特別教育を受けておいて手帳をもらっておれば、その次に雇用されたってもう雇用主はこの人に特別教育を施す義務もないわけですから、たまたまいま雇用されていないという人ですから、この人たちに対しても、やはり地域の使用者なんかが費用を負担してプールでもして、この人たちの費用も、使用者といいますか、そちらがやはり負担するという方向でぜひ指導していただきたいという点がございます。これは個人で払ったという者がたくさん事実あるわけですから、そういうことをしていただきたいと思う。  それから、この教育について一人親方の問題をどうお考えになっておるのかということについて。三点お聞きしておきたいと思う。
  57. 藍原義邦

    藍原政府委員 チェーンソーの特別教育でございますけれども、これにつきましては、林野庁といたしまして、その経費の大体二分の一を国で補助するという形で現在進めておるわけでございまして、講習会をやります場合にはどうしてもそれ以上金がかかる場合もございます。そういう場合には、受講者等々からそういうものに対しまして最小限度の受講料を徴収することは差し支えないということでいま指導しておるわけでございますが、先生おっしゃいましたように、これはやはり事業主責任で特別教育はしなければいけないということになっておりますし、そういう意味から、事業主がきちんとそういうものに対応して受講料を払うという方向については、われわれも十分指導してまいりたいというふうに考えております。  それから個人で、まだ雇用されていない以前の方、それから最後におっしゃいました一人親方、これもある意味では同じ面もあろうかと私は思いますけれども、こういう方々につきましては受講料の軽減措置を講じますように、雇用されてから雇用主が何か対応するような指導を——皆さん方雇用される前に受講されますので、どうしてもその場合には雇用主がおりませんから、その場合は個人で払っていただくということは仕方がないのかというふうに思いますけれども、雇用された時点におきまして、事業主がその軽減をするような指導を今後徹底してまいりたいというふうに考えております。また、こういうものにつきましては、県及びいわゆる林災協、林業労働災害防止協会、この方面にも十分私ども指導してまいりたいというふうに考えております。
  58. 馬場昇

    馬場(昇)委員 いまの点で少し理解をはっきりさせておきたいと思うのですが、現在雇用されていない人がこの講習会を受講するときに、この負担、費用というものをその地域の使用者がたとえば出し合って、そういう個人で来た人たちの分も皆みてやろう、そういうようなかっこうで個人で来る人を助けてやる、救ってやるということを尋ねたんですが、いま長官は、一応講習会を受けておいて自分で払っておいて、その人が雇用されたときに事業主から何かそれを払い戻して支払うという方向で指導するとか言われた。その辺がはっきりわからないものですから、その関係をもう少しはっきりしていただきたいと思うし、労働省にお聞きしておきたいのです。これはあなた専門かもしれませんが、その受講する日の賃金は、さっき言いましたように、講習会を引き受けている林災防止協会、ここでかってに全部同じように一日何千円だというように決めておる例が多いようですけれども、賃金というのは、これは何も林災防が使用者じゃないわけですから、使用者がおるわけですから、労働者使用者が話し合って決めるのが賃金ですから、その講習会の一日の賃金を林災防が決めるというのはおかしいんじゃないかと私は思うんですけれども、それについてはいかが考えておられるのか、お尋ねしておきたいと思うのです。
  59. 藍原義邦

    藍原政府委員 いま先生一つの例をおっしゃいましたけれども、私も一つの例として申し上げたのですが、やはりそれぞれの地域の実態によりましていろいろあろうと思いますけれども考え方とすれば、雇用する方が負担していただくというのが一番筋じゃなかろうかということでその例を申し上げたわけでございまして、われわれとすれば、やはり一般的な形としてはいま私が申し上げましたような形になるのではなかろうかというふうに考えております。
  60. 林部弘

    林部説明員 林業労働災害防止協会等の団体が行っている教育も、実は林業労働災害防止協会そのものがまさに事業主の集合体のようなものでございますから、この協会が事業主を代行するような形で行っているというふうに理解をいたしております。
  61. 馬場昇

    馬場(昇)委員 事業主の代行で講習会をしている、この特別教育をしているのは知っているのですよ。だから、その実態の中で、たとえばある事業主に雇われておる人と、この事業主に雇われておる私がその講習会に行く。私の一日の賃金を林災防が決めて幾らとやっておるわけですよ。みんなを一律にやっている。私は別の人の雇用者ですから、労働者ですから、この人と賃金を話して決めるべきなのに、何で林災防が賃金を決めるのか、これは間違いじゃないかということを言っているんです。どうですか。
  62. 林部弘

    林部説明員 先生のいまのお尋ねですと、賃金というふうに言っておられたのですが、この出しているお金というのはいわゆる受講手当的なものという観念でとらえておりまして、それにつきましては、補助金のような考え方でその枠の中で決めている額、こういうふうに理解をいたしております。
  63. 馬場昇

    馬場(昇)委員 たとえばこの特別教育が勤務時間外にあったとすると、それは割り増し賃金を払う、そういうことなんかあなた方指導しているじゃないですか。それを含めてその日の賃金をどうするのかということは、使用者と話すべきであって、事業主、雇用主と話すべきであって、林災防と話すべき筋合いのものじゃないでしょう、その日の賃金をどうするかということは。あなたに聞いたってもうしようがないから……。ちょっと労働省に言っておくけれども、あなた方三つの課くらいが関係あると言って、局長が来ればいいので、局長が来ないから、三つくらいの課に関係ある者はみんな出てこいと言ってあるのに、全然わからぬじゃないか。  次に、これは長官にもお願いしておきたいのですが、林災防の組織、機構——本部があって支部、分会とあるのですが、これが十分でないことは長官も知っておられるわけですし、それからこれに対してたとえば素材生産業者の半分ぐらいしか加入していない、こういう事実もありますけれども、時間がありませんので、林災防というものの組織、機構、運営について、十分改善を含めながら指導すべき問題があろうということを指摘しておきたいと思います。  次に、最後の質問になりますけれども振動病治療体制についてお伺いしておきたいと思うのです。  最初に治療体制についてその基本的考え方を聞いておきたいのですが、だれが考えても早期に発見をして完全に治療すれば治ると思うのです。この治療体制の基本は、早期発見であり完全な治療だと思うのです。そして、そのことで完全に治る。こういう原則を確認してこれに対応していくべきだと思うのですが、どうですか。
  64. 藍原義邦

    藍原政府委員 治療の問題は、主として労働省あるいは厚生省中心にやっていただくわけでございます。私どもといたしましても、予防対策を進めると同時に、こういう問題について関係省庁連絡協議会の中でいろいろとお力添えをいただくことをお願いいたしておるわけでございます。  いま先生がおっしゃいましたように、治療についてはできるだけ早期にやることがわれわれとしても望ましいと考えておりますし、そういう意味からも、労働省の方で巡回健診などをやっていただいておりますが、さらにこういうものを今後積極的に拡充していただくようにわれわれとしても要請してまいりたいと考えております。
  65. 馬場昇

    馬場(昇)委員 五十一年の十一月に振動障害対策推進関係省庁連絡協議会林野庁長官労働省の労働基準局長厚生省の医務局長で結成されておるわけでございますが、この三省連絡会議は、労働者の強い要求もあったし、できて一生懸命がんばってくれるだろうという強い期待を持っておったわけでございますが、私の知る限りにおきましては、これは年に一、二回ぐらい話し合いをしているだけで余り活動していないじゃないか、こういうぐあいに思います。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 これはもう少し活発に活動すべきだと思います。  時間がありませんから、まとめて質問をいたしたいと思います。  都道府県段階に推進会議をつくれと三省庁連絡会議で指導しておられるわけです。問題は、都道府県段階に林業振動障害健診治療推進会議をつくれとなっておるのですけれども、私はこれでは不十分だと思うのです。健康診断をするし治療をするのはもちろんですけれども、ここでは予防という面を大いに取り入れなければならないし、本当に振動障害に対するあらゆる総合的な、省庁連絡会議をつくってあるのですから、労働省なんかもおるわけですから、生活保障というような面を含めた、言うならば総合的な対策を確立する推進会議にしなければいけないのじゃないかと思うのです。  そこで、健診、治療だけでなしに、いま言いました予防とか患者の生活保障とかいうものを含めた総合的な対策会議としてこれはやってよろしいというぐあいに指導なさるかどうか。その場合に、この対策会議、そうなってきますと、患者、当事者が入らなければいけませんし、労働組合の代表も含めて構成してもよろしい、何もモデルどおりにやらなくてもその地域の実情に合わせてやってもよろしいのですか。私がいま言ったようにやっている県もあるのですよ。こういう県は、過去の歴史を尊重しながらそれを進めていって、いま言った健診、治療だけの推進会議に改組しなくてもよろしいのだ、こういうことをはっきり指導していただきませんと、実情に沿わないし混乱を起こすことがございますので、この点について質問をしておきたいと思います。  もう一つは、さっき私は、特別教育で補助金を出していただきまして非常に前進した施策だと言いましたが、この推進会議をつくるのにも補助金などをやってこれを活発化させてもらった方がいいのじゃないか、この辺についても今後努力していただけるかどうかを御質問申し上げておきたいのです。
  66. 藍原義邦

    藍原政府委員 いま先生が御指摘になりました三省の連絡協議会でございますが、これは、まず第一段階の一つ考え方をまとめて、都道府県に通知を出しましたのが昨年の十一月でございまして、実際にこれを設けましたのはその前の年の五十一年の十一月でございます。確かに局長レベルで開きましたのは三回程度かと思いますけれども、その間課長レベルで鋭意検討いたしまして、最終的に詰まりましたのを局長レベルでまとめまして通達を出したのが十一月でございます。  それから、その会議をつくりますときに決めました要綱の中でも、予防、診断、治療、こういう各種対策を今後この三省庁の中でやろうといたしております。したがいまして、健診、診断、治療というものがある意味では非常にまとまりにくいということで、さしずめこの問題をまとめたわけでございますけれども、この連絡協議会もこれで決して終わったわけではございませんし、今後十分関係方面連絡をとりながら、私どもの対応の中心でございます予防の問題も検討を進めていただきます。なおかつ、いま先生がおっしゃいましたようないろいろな問題もあろうかと思いますが、この連絡協議会の中で十分研究を進めていくことを各省庁とその辺はよく話し合ってまいりたいと考えております。
  67. 馬場昇

    馬場(昇)委員 御答弁がなかったのでまず補助金の問題から申し上げますけれども、私の聞いているところによりますと、三省庁連絡会議で、そういうことは必要だからひとつやろうじゃないかという話が出て、大方の合意ができて、あとは大蔵省かもしれませんが、非常に前向きにやっておられるというのでこの辺は感心だなと思っておったのですが、御答弁がないものですから、これもお願いしたいと思います。  さらに聞きたいのは、いま私が言いましたように、各県があなた方の指導されましたいわゆる健診治療推進会議をつくっているわけです。これをさっき私が言いましたように予防とか生活保障を含めて総合的な機関にして、労働組合の代表もそれに入れて、各県の実情に即したようにやっていいのか、そういうことも大いに結構だ、大いに進めていいのだ、そういう態度で御指導なさるかどうかあわせて質問しておきたい。
  68. 藍原義邦

    藍原政府委員 御質問に対しまして一つ落としましてどうも失礼いたしました。  補助金の問題でございますが、われわれとすればこういう形で進められるなら進めていきたいと思っておりますけれども、今後この連絡協議会のあり方なり進め方がさらに発展するようなことが将来ございますれば、補助金の問題も出るのかもしれませんが、いまの段階では何とかこれでやっていけるのではないかと考えております。さしずめこの三省庁の中でその辺はまた十分検討は進めていきたいと思っております。  それから、いま先生のおっしゃいましたような形で今後いろいろな問題をさらに発展、検討していくべきであろうという問題につきましても、この協議会の中でそれぞれの関係省庁の御意見を十分承りながら検討してまいりたいと考えております。
  69. 馬場昇

    馬場(昇)委員 ちょっとまだはっきりしないのですけれども、次の予算で、一番早い機会に補助金は当然やるべきじゃないか。だからきょうは長官はそれはやりたいのだ、そういう方向で三省庁連絡してやるということを、大体三省庁で意思統一もしておられるのじゃないかというぐあいに私は聞いているのですけれども、前向きにそれはやってもらわなければいかぬですが、その辺についてと、次の二番目の問題は、いま三省庁の国のやつで答弁があったけれども、県でいまつくっているでしょう。それを総合的に拡充して、地域の実情によってさらに進めたことをやりなさい、これでもういいのだ、そういう考え方をとっていいのか、指導をされますかということを聞いているのですから、はっきりその辺答えていただきたいのです。
  70. 藍原義邦

    藍原政府委員 先ほど申し上げましたように、いまわれわれがまず第一段階として健診、治療の問題について方向をまとめ、ただいまこれを県の方に通達を流し、県が鋭意その対応をしておるわけでございまして、その辺につきましては、県の対応の仕方を見詰めながらわれわれとしても考えていきたいし、この協議会がなくなったわけではございませんから、これから十分その辺については検討を進めてまいりたいというふうに思っております。  それから、前段の補助金の問題、私の答えが不十分だというお話でございましたが、これもいま申し上げましたように、健診、治療の問題についてはこういう形で一応進めたわけでございますが、今後の問題、いまやはり三庁の中の課長レベルその他でいろいろ検討も進めております。そういう中で、これからの会議の進め方によりましては、物によりましては、いま先生がおっしゃいましたような補助金という問題も出てくるかもしれませんが、その辺をもろもろ含めて検討し、この会議が十分実りあるような会議になるようにわれわれとしてもしてまいりたいというふうに考えております。
  71. 馬場昇

    馬場(昇)委員 労働省から局長が来ておられますと、やはり推進会議に対する労働組合の代表の参加等については、ある一定のあなた方見解を出しておられるわけですから、そういう点について詳しく聞きたいのですけれども、ちょっとあなたではお答えができないのじゃないかと思いますので、それを十分労働省の方でも局長なり大臣に伝えていただきたいということを申し上げておきたいと思うのです。  そこで、次に、やはり健診とか治療体制というもので、これは労働者が希望する医師とかあるいは希望するときに健診、治療が受けられることが望ましいということはこれはもう当然のことでございます。余り時間もありませんけれども、そういうことで、労働者が生活しております地域に健診とか治療体制の充実が必要であると私は思います。こういうことは、いま、たとえば景気対策で公共事業の予算がたくさん組んであるわけですけれども、こういう地域に公共投資をするということこそ非常に大切なことではなかろうかと思うので、ここで長官に聞いておきたいのは、やはり労働者が生活している地域に健診、治療体制の充実が必要だ、そういう方向でやっていただきたいということに対する御見解をまず聞いておきたいと思うのです。  それから、私の九州の熊本営林局の関係で、たとえば最寄りの病院からちょっと離れたところの専門病院に治療に行く、そういうときに旅費を支払わない、こういうようなことを何かやっておるということを聞いたわけですけれども、これはやはり患者が希望する医師ということ等からいきますと、おかしいのじゃないかと思う。患者は、この人にかかってみたけれどもいかぬから次はこの人とか、あるいは少し遠いけれども専門の病院、それは当然やるべきことであるが、そういうときに旅費を払わないというような指導をしたということを聞いておりますので、こういうことのないようにお願いしたいと思うのですが、いかがですか。
  72. 藍原義邦

    藍原政府委員 健診等につきましては、できるだけその労働している方がおられる地域でやれるような方途がいいと思いますし、そういう点では、現在巡回の健診をやっておりますから、その辺を十分拡充していくように労働省等にもお願いしていきたいと思っておりますし、さらにこれからこの協議会等を通じまして、その辺についても十分検討は進めていきたいというふうに思っております。  それから、通院等のためのいろいろな旅費なりその他の問題でございますが、国有林につきましては、それに必要なものについては、それなりの一般社会常識で決められる大体の範囲内におきまして、その対応は国有林についてはやっております。
  73. 原敏治

    ○原説明員 御指摘治療体制につきましては、振動病が特に困難な治療を要する問題がございますし、専門的な知識が必要でございますし、設備が必要でございます。こういうようなところから、山村の地帯にはなかなかそれに適した医療機関がない場合がございますので、私どもは、適切な場所まで行って完全な治療が受けられるような、そういう体制をとるように努力をしておるところでございます。  具体的な御指摘のございました通院のための費用の負担に関してでございますが、この点につきましても、主治医あるいは労働基準監督署長が認めた場合には転医を認めること、あるいはその場合の転医のための費用、それから通院する場合でございましても、通院の場所を変更することについて適切であるという場合には、その通院の費用を負担するようにいたしておるところでございます。ただ、どこへ行ってもよろしいということには保険経済の面から見ましてもなかなかむずかしいところがございますので、最寄りの医療機関で専門的な機関がございますときには、なるべくそこで治療をしていただきたい、こういうことでお願いをしておりますが、具体的な事情に応じまして相談に乗るよう監督署の方でもやっておるところでございます。
  74. 馬場昇

    馬場(昇)委員 私は、何も外国に行くまで旅費を出せとか、あるいは熊本の人が東京に来るまで旅費をしょっちゅう出せとか、そういうことを言っておるのじゃないけれども、あなた方は最寄りと言って、本当にその一カ所固定したそこでないと、ほかのところへ行ったら出さないとかということをやっていると聞いたものだから、そういうことのないように、いまの話を聞くと、医者が転医を認めなければ何とか、あるいは労働基準監督署が認めなければ何とかと言いますけれども、大体常識的にわかるわけですから、そういうのを一々許可をとらなければできないということではいけないと思いますので、十分実情を把握して指導していただきたい、こういうぐあいに思います。  ちょうど時間が来てしまったわけでございますけれども、最後に私は希望を申し上げておきたいと思うのです。  やはり当初申し上げましたけれども、私、この振動病を見てみまして、行政が本当にそのときどきにおいて適切な対応をしておれば、このように人命が奪われ、自殺者まで出ているわけですから、そうしていま不治の病になってしまった人もおるわけですから、こんなに苦しみの多い悲惨な状態にならなかったのじゃないか。このことは本当に反省していただきたいと思うのです。  それからまた、こういう問題は、行政が案外知らないというときに、本当に当事者が、労働者が一番よく知っているのですよ。だから、こういう問題につきましては、労働者の声というのを謙虚に聞くような行政というものをやっていただきたい。やらなかったからこそこういう悲惨な状態になったのじゃないか、私はこういうぐあいに思うのです。基本的には、この間からも山国会と言われるように指摘されておるのですけれども、やはりいまの林野行政というものがまだ不十分だ。私どもから言いますと、山荒らし人減らし、こういう行政をやっているのじゃないか、こういうぐあいに思うのです。そこで、本当の山行政というものを真剣に考えて、いままでの人減らしとか山荒らしとか言われないように、本当の山行政というのをやっていただきたい。それがやはり基本にはあらなければならぬ、こういうぐあいに思うわけでございます。振動病質問ですから、絶対に振動病を起こさせない、また起こって不幸にして振動病になった人を完全に治療してやる、全治するようにがんばる、そういう方向でぜひ全力を挙げていただきたいということを最後に申し上げて、時間が参りましたので質問を終わりたいと思います。
  75. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 この際、午後三時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時九分休憩      ————◇—————     午後三時三十分開議
  76. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。島田琢郎君。
  77. 島田琢郎

    ○島田委員 午前中の馬場委員質問に続いて、私も同様趣旨質問を続けてまいりたい。できるだけ重複を避けたいと思っておりますが、若干午前中の質問ではっきりしない点がございますから、その点についてひとつ正確を期す意味で確かめてまいりたい、こう思うのです。  まず第一に、振動障害、つまり白ろう病対策に対しまして、幾つか考え方が述べられているのでありますが、どうも民有林の関係につきましては、この振動障害対策というのは、私は午前中の質問を通じてだけではなくて、日ごろの対策を見ておりまして、国有林に比べて非常におくれている。そのおくれている姿勢というのは、いみじくも午前中の労働省関係課の課長方々答弁の中でもそれがあらわれている、こんな感じがいたします。しかし、長官、おれの方はそれじゃ指摘がないのかというふうに考えるとこれは誤りでありまして、きょうは国有林の問題をちょっと置いておきまして、限られた時間でございますから、民有林の問題に主としてしぼっていきたいと思うのです。  しかし、重ねてもう一回聞きますけれども振動障害実態というのは、国有林も含めてどうなっているのか、まず国有林からひとつ聞きたいと思います。
  78. 相賀幸雄

    相賀説明員 お答えいたします。  振動障害につきましては、林野庁といたしましても、きわめて重要な問題と認識いたしておりまして、振動の小さいロータリーチェーンソー振動が直接人体に伝わらない玉切り装置導入振動機械使用時間の規制の徹底強化等各種の予防対策を講じているところでございまして、国有林野事業における振動障害認定者数は、五十二年の十二月末現在で約三千三百名でございますが、近年におきます振動障害認定者数を見ますと、四十九年度で七百八十七名、五十年度で四百八名、五十一年度で二百一名、五十二年度につきましては、十二月末の集計でございますけれども百五十六名と減少傾向を示しておりまして、振動障害を予防するために講じてきたいろいろな施策の効果が上がっているものと考えております。  それで、今後のことでございますが、今後とも関係省庁十分意思疎通を図りまして、振動障害発生を未然に防止するようチェーンソー遠隔操作して伐倒するリモコンチェーンソー実用化導入を図るなどして、さらに積極的に諸対策を推進するよう努めてまいりたいと考えております。
  79. 林部弘

    林部説明員 民有林におきます振動障害発生状況でございますが、きょう午前中にも申し上げましたように、五十一年度末、つまり五十二年三月末現在の数字でございますが、労災保険におきます業務上の認定者数としてつかまえております数字で申し上げますと、昨年の三月末現在で療養を継続している方の数が千四百四十八名でございます。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕  また、これはその時点での継続療養の方の数でございますので、年度ごとにどういうような形で認定者の数が推移してきているかということについて、四十九年度以降の推移を申し上げますと、四十九年度が二百四十一名、五十年度が五百五十六名、五十一年度が八百九十九名ということでございまして、各年度の推移につれまして認定対象者の数がふえてきている、こういうような状況を示しております。  こういうような実態は、端的に申しますと、現実に存在している患者さんが発掘されてきているという状況を示しているものというふうに考えられるわけでございますので、今後の推移としては、このような傾向が続く可能性というものがある程度予想されるわけでございますが、そのことの裏には、四十八年以来、林業労働災害防止協会に委託をいたしております巡回健康診断方式によりまして健康診断を行っておるわけでございますが、この巡回委託方式の健康診断の実施数が、四十八年から始まっておりますが、四十八年から五十年までは大体五千四、五百人ベースであったものが、五十一年度には一万人台に乗りましたし、五十二年度の集計はまだ最終的には出ておりませんけれども、最終的には恐らく一万二、三千には達するのではないか。つまり、いわゆる委託の巡回方式によります健診の実施というものが少しずつ伸びてきている、こういうようなこともございますので、先ほど林野庁の方からもお答えがございましたように、総合的な施策の推進につれて全体的に実態としては少しずつ改善の方向に向かうのではないかというふうに考えております。
  80. 島田琢郎

    ○島田委員 民有林国有林とを比較いたしますと、いまの前段の説明で見る限りにおいては、四十九年度から三カ年間比較してみても、片方は認定患者が減っていっている、片方は逆に倍増する状態にある。これはいま課長が、それはいままで健診する人たちが少なかったのが巡回方式で健診者がふえてきた結果、認定患者がそれにつれてふえたのだ、こういう説明でありますけれども、そうだとすると、国有林について聞くのですけれども国有林は健診の頭数を削っているのですか。この健診の状態はどうなっていますか。これは後ほど聞きたいと思っていたのですけれども、いま労働省側からそういう見解が示されましたから、両者比較してみたいと思うので、国有林実態をちょっと教えてほしい。
  81. 相賀幸雄

    相賀説明員 国有林におきましては、振動機械使用しておる全員についていたしております。
  82. 島田琢郎

    ○島田委員 民有林はどうですか。この対象者はチェーンソー使用者に限定しているのですか。
  83. 林部弘

    林部説明員 一応私どもが対象といたしております対象者でございますが、これは先ほど午前中の御質問お答えいたしましたように、大分前の時点でございますが、チェーンソーを常時使用しておられるのではないかという方をおおむね二万人程度というふうに推計しておったわけでございますが、年々の健康診断の対象になる人間がどのくらいかということについては必ずしも固定した数字ではございませんで、直近の年次での自主的な健康診断を行った者の事業主からの報告というベースで申しますと、五十一年度の健診対象労働者というのは三万六千九百人ぐらいの数字になっているわけでございまして、私は、先ほど申しました巡回健診の方の実績から申しますと、実質的な健康診断報告ベースでは対象者が大体三万七千人近い数字であって、それに対して巡回健康診断による結果では、実際に健診を実施した方は一万六百七十六名というような数字になっておりますので、この数字は必ずしも常時チェーンソーを使っている方だけに限定した健康診断数字ではないかもしれないと思います。
  84. 島田琢郎

    ○島田委員 どうもあいまいなんですね。労働省調査の仕方は必ずしも的確ではないんじゃないかという気が私はするのです。  その議論は少しおいておきまして、少なくとも国有林民有林を比較いたしますと、さっき指摘したとおり、国有林についてはわれわれも国会でずいぶんやかましく振動障害防止の対策を追ってまいりました。民有林についても追ってきたんですけれども、その対策にいわゆる手抜かりがあるとか依然怠慢の状態にあるのか、何かが原因で、片っ方はどんどんふえていくし片一方は減っていくという状態になって、このような数字の比較になってあらわれているのではないだろうか。こういう点について、私は労働省対策の面でやはり一つ指摘をしておかなければならぬと思うのです。  午前中の質問でも明らかになっておりますように、これは所管する省庁が違っても、白ろう病についてはもう国民的な職業病として根絶の構えでやる、そういうことを明らかにされた。しかし、きょうそういう決意を新たにされても、いままでのやり方を見ていますと、われわれが国会で口を酸っぱくしてこの対策を追ってきたにもかかわらず、どうもその効果があらわれていない。あらわれていないということは、私に言わせれば労働省の怠慢ではないかと思うのですが、この辺の反省はあるのでしょうか。言いわけならやらぬでいいですから。
  85. 林部弘

    林部説明員 午前中にも申し上げましたように、私どもといたしましては、過去の反省の上に立って総合的な施策の推進に努めなければいけないというふうに午前中申し上げたわけでございますが、いまも同じようにお答えをするということになろうかと思います。
  86. 島田琢郎

    ○島田委員 それぞれ民間においては振動障害に対して真剣に取り組んでいる企業もございます。そういう真剣な考え方を持っている職場では、それなりに効果を上げている。もちろんこういう国民的な職業病でありますから、大変重大な障害に対してその職場において真剣に取り組むということは、それは当然だと言えば当然ですけれども、しかし、そのためには、やはり行政上のしっかりした考え方を基礎にして指導に当たるということが、いつの場合でも効果を上げていく上では非常に大事な要件になっているわけです。きょう比較するから国有林の方は非常に対策が進んでいるというふうに言っているわけですけれども、しかし、それじゃ問題がすべて解決したのかと言えば、絶滅という方向に向かって努力をするという限りにおいてはまだまだ幾つもこれは問題を持っているわけであります。  そこで、先ほどリモコンチェーンソー導入、こういうようなことを言いましたけれども、現在このリモコンチェーンソーというのは国有林では何台使われているか、民有林では何台使われているか、この点いかがですか。
  87. 相賀幸雄

    相賀説明員 リモコンチェーンソー導入につきましては、早期導入を図るべく現在組合と協議中でございまして、協議が整えば早急に導入したいと考えております。
  88. 島田琢郎

    ○島田委員 民有林は。
  89. 藍原義邦

    藍原政府委員 いま国有林につきましては職員部長から御説明申し上げましたが、いま実用化は大体できたということで組合とその取り扱いについて折衝中でございますが、民有林につきましては、実用化できたということで、これをどう導入するか、いま県の方で鋭意検討中でございまして、近々こういうものも導入されると思いますけれども、いま民有林につきましても実際の使用のところにはまだ至っておりません。
  90. 島田琢郎

    ○島田委員 きょうは少し時間が足りなくて、リモコンチェーンソーに切りかえる場合の問題点を議論するということができません。まだ実験の域を出てないようでありまして、これが現場で活動し始めるのにはもう少し時間がかかるようであります。しかし、この点について努力をするということについて私は一定の評価をしたい。ただ、リモコンというのは、考えてもわかるように、これはなかなか操作が、直接やるのと違っていろいろなまた別な問題がここに出てきますので、この点については相当研究が必要だというふうに思っていますが、その点だけきょうは指摘して次に進んでいきたいと思うのです。  先ほど振動障害に対する両者の取り組みというのは対照的に出てまいりました。私は、一昨年の通常国会において林業改善資金法が国会に提案された機会に、白ろう病絶滅という立場から、つまり林業労働安全衛生という立場から主としてこの問題を取り上げて、国の考え方をただしながら対策を迫ってまいりました。幾つか考え方が示されたのでありますが、当時の議事録を私はいま振り返って見ているのでありますが、かなり重要な点が国会約束されています。これは当時の長官、松形さんの時代ですから、少し私の方から説明をしないとあるいはおわかりにならぬかもしれませんが、当時私は、国有林がやはり積極的に振動障害対策に取り組むという姿勢が出てこないといけない、それは自分たちの守備範囲だけでよしというわけにはいかない、やはり民有林に対しても一定の役割りを果たしていくべきだ、そのためには、国有林の立木処分に当たりあるいは請負の契約を結ぶに当たって、国有林側から白ろう病対策の問題提起をするという積極姿勢が必要ではないかということを指摘をいたしました。私からは、契約条項にこれを一項盛るべきだという提案もしたのであります。それに対しまして、契約条項にストレートに盛り込むのは、契約の性格からいってこれはなかなかなじみにくいが、しかし何らかの対策をしたい、こういう約束をいたしました。その後、おととしの八月の末に林野庁長官通達が出てまいりました。末端の徹底を期すということで、この通達は各所在の営林局長に対しまして、「国有林野事業の実行に係る民間事業における労働安全衛生確保対策の推進について」という表題で流されました。この中には一から五までの項目にわたって労働安全対策の具体的な指示が出されているのであります。これは単に林野庁だけの側からの指示ではなくて、十分労働省との間に協議がなされて、その決定に基づいて出先において確実に実行し得るという確認のもとにこれが流されているのであります。  その第一は、「関係行政機関との連絡等の緊密化について」という条項がございます。この中では「労働安全衛生の確保について監督指導を行う労働基準監督機関との緊密な連携を図るため、営林署と関係労働基準監督署との間において連絡協議の場を設ける」、こうなっております。これが第一の質問でありますが、連絡協議の場というのは具体的に設けられましたか。設けたとすれば、どういう名称で何カ所あるのか。  それから二番目、三番目につきましては飛ばしますが、四番目について、「契約事項に基づく労働安全衛生の確保について」、特に「諸法令及び諸通達に基づく監督指導は、基本的には労働基準監督機関が行うこととなっているが、営林署においても労働基準監督署連絡協調を緊密にし上記三の契約」——三の契約というのは、請負契約あるいは立木販売契約等の締結の措置をいうのでありますが、こうした相手方に対して必要な指導を行えとなっているのであります。おわかりですか。  しかも、これだけではだめなので、事後監督の措置として五番目に、契約の相手方の選定に当たっても、つまりこういう指導をしているにもかかわらず言うことを聞かない業者があるとしたら、ペナルティーではないのですけれども、この次の立木販売や請負契約に当たって考え直さなくてはならない。大変拘束力を持っているのがこの五番目の条項であります。  このように末端は徹底されているかどうか、事実関係についてお尋ねをしたい。
  91. 藍原義邦

    藍原政府委員 いま先生が御指摘になりました林野庁から出しました長官通達につきましては、私も十分認識いたしております。  そこで、先生指摘になりました、どのくらいつくられたかということでございますが、現在百四十七の営林署がそれぞれその関係の監督署連絡をとるような対応をとっております。特に名前はつけておりませんが、ことしの初めに、ことしはこういうところでこういう方が請負でやる、あるいは立木販売を買われたということの連絡は十分その場で説明をいたし、その後も電話その他の連絡によりまして関係監督官庁の御指導を仰ぎながら対応するという姿勢をとっております。  そういう観点から、第四番目の問題の、先生のおっしゃいました契約の問題でございますが、私どもも請負契約の契約事項の中に、「請負者は、事業の実行に当たっては、労働安全衛生に関する諸法令及び諸通達に示す指導事項を遵守しなければならない」という旨の条項を明記いたしました。それから、なお契約に当たりましては、そういう労働条件等々いろいろな関係の事項を印刷いたしました印刷物を手交いたすことによりまして、認識なり指導の徹底を図るようにいたしております。  それから五番目の問題でございますが、これはこの文書にも書いてございますが、「当該契約における選考の一般的考慮事項のほか、労働基準監督機関から、労働安全衛生の確保に関して勧告指導を行ったにもかかわらず改善されていないとの連絡があった者については、その連絡の内容をも勘案して契約の相手方としない等その選定を適切に行うものとする。」ということになっておりまして、いまの段階ではこういう問題は私の方には連絡は参っておりません。
  92. 林部弘

    林部説明員 いま林野庁の方からお答えのございました昭和五十一年八月三十一日の林野庁長官から営林局長あての通知を受けまして、私どもの方でも、労働省の労働基準局長から都道府県の労働基準局長あてに通知を出しているわけでございまして、「国有林野事業の実行に係る民間事業における労働安全衛生確保対策の推進について」ということで両省間が協議の上通達を流すことになったということで、私どもの方といたしましては、お互いに的確な情報を交換し合うとか、監督指導の重点事項についての協力要請を行うとか、お互いに十分連携を取り合ってやっていきたいと思うので通知をするという内容の通知と、それから先ほどの林野庁の方からお話がございました、林野庁長官から営林局長あての通牒の写しをつけまして、各都道府県の労働基準監督局の方に通知をし指導しているところでございます。そして連絡調整の結果具体的な指導を行うということで、情報の交換とか重点事項についての協力要請というようなことを行っておりますし、先ほど林野庁の方からお答えがございましたように、特に名前はないわけでございますが、監督署と営林署間で連絡のための協議会のようなものを設置いたしまして、その都度、協議結果に基づいて合同のパトロールであるとか集団指導といたったようなことを実施することによりまして、林業労働者の安全衛生の確保に努めているところでございます。
  93. 島田琢郎

    ○島田委員 その結果、指導は徹底して、効果を上げていますか。これは林野庁から先に答えてください。本来これは労働省が答えるべき筋ですけれども、まあ両方協議しているわけですから、両方から。
  94. 藍原義邦

    藍原政府委員 林野庁におきましては、いま申し上げましたような考え方に基づきまして営林局に通達をし、実行官庁でございます営林署はこれに基づいてそれぞれ実行しておるわけでございまして、いまの段階では一〇〇%これが完全に実効が上がっているということはなかなか申し上げにくい状況かと思いますけれども、各営林署におきましては、この考え方に基づいて鋭意請負業者あるいは立木販売の買い取りの業者に対しまして指導をし徹底を図っているところでございます。
  95. 林部弘

    林部説明員 具体的な効果についてという御質問でございますが、先ほど申しましたように、通知の趣旨を体して両省間で十分連絡をとりながら効果を上げてまいるように努力をしている現状であるということでございます。
  96. 島田琢郎

    ○島田委員 うそを言いなさい。あなた、現場を一つもやってないでしょう。本当にその自信がありますか。私は、さもありなんと思って現場を幾つか調査をいたしました。及び腰の答弁で明らかなごとく、現場の実態はまさにあなた方の指導も徹底していなければ、一つも効果を上げていないばかりか、旧態依然の状態に放置されている事実が明らかになりました。幾つか調べましたが、そのうち三つだけ公表しておきましょう。  事業所の名前は伏せますが、私の地元の北雄事業所の伐木つまり立木販売にかかわる事業所の実態であります。先ほどの通達の中で責任を果たさなければならない部分だけ言いますと、防振防寒手袋、耳栓は備えつけられているかという状態を調べましたら、一つもありません。防寒服はどうか、これもない。したがって、チェーンソー使用中、防振手套、耳栓がきちんと使用されているはずがありません。調べた結果もそのとおりないと出ております。  次に、同じ私の選挙区でありますが、清里町の緑町の国有林作業現場を調査しました。大事な条件の中に入っている休憩小屋の中の採暖装置がまるっきりない。さっき言った防振手套あるいは耳栓の状態はどうかといえば、備えつけられていない。防寒服も備えられておりません。したがって、チェーンソー使用中の防振手套、耳栓の使用も行われていない。  もう一つ、これは道有林でありますが、ここの現場も調べました。全く同じであります。この四項目にわたるチェーンソー使用にかかわる大事な条件が一つも具備されていないということが明らかになりました。  きょうは時間の関係で三事業所しか発表しませんけれども、こんなに調査したのですよ。全部ないのです。この通達を守っているんです、守っているはずであります、これで私が三年前に指摘をして、時の長官からこれは確実に実行いたしますとして八月三十一日付をもってなされた通達が、今日二年余を経過しながら実行に移されていないというこの実態を、長官、そして労働省、どうお考えでしょう。
  97. 藍原義邦

    藍原政府委員 先ほど私ちょっと申し上げましたように、その後営林署等で十分これを徹底して指導しておるというふうにわれわれ考えておりますが、全般的にまだ十分にはいっていないというふうに私も認識しております。特にいま先生指摘になりましたもの、われわれも今後十分調べてみますけれども、立木販売の場合にはどうしても、これは素材生産の請負とちょっと違いまして、所有権が移転してしまう売り払いの関係上、われわれもこの指導等においては徹底してやらなければいけませんけれども、どうしてもその辺の指導が十分にいかないという点もございます。したがいまして、今後ともこの点につきましては十分徹底できるような努力もしてみたいというふうに考えております。
  98. 林部弘

    林部説明員 御指摘の、不十分な面に関しましては、指導を強化する方向で努力をいたしたいと考えます。
  99. 島田琢郎

    ○島田委員 長官、まだ徹底していないのは仕方ないとは何たる言いぐさですか。契約のところにちゃんとこれを守れとあなたが、あなたというか林野庁長官が指導しているのですよ。通達を出している。一体何年待っていたらこのとおりになるというふうに考えて、そんなのんびりした考え方で指導しているのですか。長官通達なんというのはそんないいかげんなものなんですか。もう一度お答えください。私は勘弁できないです。チェーンソー使用者の実態白ろう病に直結しておるという事実だってあるのだ。そのために命を縮めておるのに、そんなのほほんとした態度で、ここで幾ら申しわけなかったと言って労働省が謝ったって、私は許せる気持ちじゃないですよ。民有林が、倍増する状態でチェーンソー振動障害による白ろう病認定患者がふえておるという事実はさっき明らかになったでしょう。こんな事実がありながら、通達も出しておきながら、私に指摘されたら済みませんで済みますか。そのために大事な命や、廃人同様の状態に置かれておる人たちをどうして救済しようというのですか。冗談じゃないですよ。それがあるから私は三年前にあれだけ厳しく言ったのです。それをやってもらわなければ白ろう病対等にならないと言ったのです。そうしたら、時の長官はあなたのおっしゃるとおりにやりますとしっかり答えておるのですよ。議事録に載っておるだけではなくて、その後何回も協議がなされています。ようやく三カ月、四カ月たって指導通達がなされる段階でも、私は、この徹底を期するということがまず出てこなかったら白ろう病根絶対策になりませんということを言った。その中でこれだけの通達がなされたのだ。長官がかわったからわしゃ知らぬとは言わせませんぞ、どうですか。
  100. 藍原義邦

    藍原政府委員 先ほど私の御説明が悪かったのかと思いますけれども、私も決してこの通達をないがしろにしておるわけじゃありません。この通達に基づきまして営林局なり営林署を十分指導してまいらなければいけないと考えておりますが、残念なことに必ずしも十分まだ徹底してない向きがあるというふうに私も認識しておりますので、今後これについては十分徹底をしてまいりたいということで、私も、今後そういう対応をしてまいりますし、そういうつもりで申し上げたわけでございまして、その辺私の説明が悪かった点につきましてはおわびを申し上げておきたいと思います。
  101. 島田琢郎

    ○島田委員 しかし、民間では、先ほどもちょっと言いましたが、一生懸命山で働いてもらって白ろう病で倒れるようなことがあってはならぬとして非常に努力をされている企業もあるのです。たまたま北海道地方労働基準審議会の労働災害防止部会にその問題が提起されています。官民挙げて何とか根絶対策に取り組みたいという真剣な陳述がここでなされています。これは名前を発表して差し支えないと思うが、帯広にあります恵盛木材株式会社社長の林政男さんがこの意見を述べています。長い文章でございますが、一区切りだけ申し上げますと、単木作業、ここのところが白ろう病の一番発生のもとにもなりかねないので非常に気を使った。二時間規制というようなことでやるにしても、全体の作業量考えて一年間にこなす丸太、木材の量などから逆算していきますと、なかなか神経質にこの問題に取り組まなければならぬということが披瀝されていますが、この中で二時間規制と言うけれども、実は二時間というのは丸太を切っておるときの時間ではなくて、当然のことですけれどもチェーンソーが回っておる、いわゆる始動を始めて停止するまでの時間。そこに人間の体を接触している時間が限度二時間であるというふうに考えないと、なかなか振動障害というのは、切るときだけで振動障害、あとは動いておるチェーンソーを持っていても振動障害にならぬというふうなことでは対策にならぬという点が指摘されています。これはわりあいに常識的でありながら手抜かりの多い部分であります。切っておるときの時間を中心にして作業全体が組み立てられておるということがあって、実際にはエンジンそのものが回っておるときの時間を全部入れて二時間規制という考え方に立たなければ根絶できないということを指摘しているのであります。そのためにずいぶん一生懸命この方法を工夫してそれを克服するという努力をしておるわけです。これはまさに、この努力に対して私は深い敬意を払いたい。労働省からはあるいは林野庁からは直接的な指導はないけれども、あるいは現場の監督はなくとも一生懸命やろうとする、こういう企業もある。これは私は一つのいい例として報告をしておきたいと思うのです。  ところで私は、この二時間以内の問題について、全部はとても調査し切れませんが、先ほどのこれに関連する範囲において重ねて調査をやりました。その結果、二時間以内に規制されているのは全体のわずか三・三%、二時間から三時間チェーンソーに携わっているのが二二%、三時間から六時間が四一%、六時間以上もチェーンソー、いわゆる振動を受けている作業の状態に置かれている人が全体の一七%もあるという事実がわかりました。これも議事録に載っているのでありますが、労働省はみずから三G・百デシベルで抑えるという指導通達を出しましたけれども、私の調査しました範囲内においては、もう数年を経過しているにもかかわらずこれが一向に守られていない、こういう実態にあるということをきょうはひとつ指摘をしておきたい。この点についての見解は後ほど求めたいと思います。ゆゆしき一大事であります。ちっとも守られていないということなのであります。  さてそこで、守られていないのは、せっかくの労働省の指導もなければ、具体的な現場の点検もなされていないということもさることながら、一つにはやはり別な問題点があることもこの調査結果からは明らかであります。そうだとすればそれを次に明らかにしていかなければなりません。  その前に、いま、済みませんでした、これからちゃんとやりますということは聞きましたけれども、一体全体チェーンソーの民間における買いかえの状態はどのように進んでいっているのか。三G・百デシベルという新しい機械に買いかえをしなさいということでもって林業改善資金の一部が融資される、こういう状態にございます。これを貸しているもとは林野庁でありますから、時間がなくなりましたからチェーンソーだけで結構ですが、チェーンソーの賢いかえの実態がどういうふうになっているのか、数字的に明らかにしてもらいたい。
  102. 相賀幸雄

    相賀説明員 お答え申し上げます。  林業改善資金のチェーンソーの買いかえは、林業労働安全衛生施設資金というものによっておるわけでございますが、買いかえの状況は、五十一年度の実績で申し上げますと貸し付け台数が約三千三百台、資金枠といたしまして約七億四千四百万円、五十二年度はまだ最終実績が出ておりませんが、貸し付け台数が約四千八百台、資金枠といたしまして九億二千万円、五十三年度の計画は貸し付け台数が約五千五百台で、資金枠が十一億三千万円、かように計画いたしております。
  103. 島田琢郎

    ○島田委員 これは全体の要取りかえの機械台数の何%に当たるんですか。
  104. 相賀幸雄

    相賀説明員 いまのはただいま手元にございませんので、後で調べて御連絡させていただきたいと思います。
  105. 島田琢郎

    ○島田委員 あるんですね。
  106. 相賀幸雄

    相賀説明員 調べまして後で御連絡させていただきたいと思います。
  107. 島田琢郎

    ○島田委員 あれば後ほど資料として出してください。もしないと言ったら怒りますよ。これは大事な問題ですから、ないなんということはないんでしょうね。念を押しておきます。ないということになると、根絶対策を幾ら口で言っても本物でないということを裏書きすることになるから、ちゃんとしたデータを出していただかないと、本当に白ろう病のもとのところを断ち切るための対策にならないという点を私はここで指摘をしておきます。  そこで、先ほどの恵盛木材ですが、いろいろ努力をしていますが、丸太切りをするというか実際に使っている実働の時間、振動の時間の区分をすれば、二時間十六分十三秒のほかに、チェーンソーが回っているという時間を入れると、五十二分七秒を加えて三時間八分二十秒、こういうふうに細かい振動時間をはじき出しているのです。こういうふうに努力をしておるところでもなかなか二時間規制はむずかしい。ですから、私は、三G・百デシベルの機械で果たして完全かという点についてもまだ大いに疑問がある。これも三年前のこのときに指摘をいたしました。議事録で確認いたしましたら、労働省からは、いや、それが絶対のものとは考えておりませんから、今後さらに低振動機械の開発と普及を図っていくために鋭意努力をいたします、こういう答弁が議事録に明確に載っています。その後どんな研究開発がなされていますか。——労働省はぴたりと答えないけれども、これは係じゃないのですか。労働衛生課長、補償課長、ともに来てもらっておるけれども、関係でないところから来ているのかね。何もぼくは突然質問しているのじゃないのですよ。——後ほど答えてもらいましょう。  そこで、大事な健康診断治療対策についてお尋ねをしてみたいと思うのです。いま私が指摘をいたしましたように、振動障害実態は必ずしも安心できる状態にはなっていないばかりか、民有林においてはこの対策のおくれの中でますます心配される状態にあることが明らかになりました。しかし、おくれているとはいえ、現に検査体制も徐々に進んできて振動障害実態が明らかになってまいりましたが、先ほど発表になりましたほかにまだまだこれから認定をしていかなければならない患者が潜在的にもあるということは予測にかたくないわけです。  そこでもう一度重ねて聞くわけですが、先ほど一万人あるいは一万二千人の健康診断の進みぐあいが労働省から発表になっていましたが、このほかにチェーンソー使用者は何人いて、そのうち何割が健診を終わったのか、これは年次ごとでなくて現在時点で結構であります。今後何人ぐらい健診をしなければならない人がいるのか、この点を数字だけ明らかにしてください。
  108. 林部弘

    林部説明員 健診の実績でございますが、自主的な健康診断報告によるベースで申しますと、これは昭和五十一年度の分でございまして、私どもの現在持っております直近の集計されたものとしてはこの年度のものしかございませんが、昭和五十一年度につきましては健診対象労働者数は三万六千九百六十六名でございます。そのうち健診の実施された者は、実施率約三九%でございまして、一万四千四百名、また、先ほどいわゆる委託巡回健康診断のベースのお話を申し上げましたが、その委託巡回健康診断方式の方の数字で申しますと、健診の実施者は一万六百七十六名という数字になっておりまして、実施率で申しますと、約三分の一程度ということでございます。
  109. 島田琢郎

    ○島田委員 この健康診断に当たってはどういう位置づけで健康診断を行ってますか。ちょっと抽象的な聞き方ですから、具体的に申し上げますと、業務としてやってますね。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
  110. 林部弘

    林部説明員 どうも遅くなって申しわけございません。  健康診断の問題でございますが、安衛法に定められております、つまり法的な健診というものについての解釈、法の裏づけのある健診に関してでございますが、そういう健診の場合には、特定の有害な業務に従事する労働者について行われる健康診断、俗にいわゆる特健と言っているものでございますが、これはその事業の遂行に絡んで当然実施されなければならない性格のものである。それは所定の労働時間内に行われるのを原則とするというようなことになっておりまして、特殊健康診断の実施に要する時間は労働時間と解されるので、当該健康診断が時間外に行われた場合には、それは当然その時間の延長ということで考える。これは法定健診の場合でございますが、法定健診ではそういうような解釈になっております。
  111. 島田琢郎

    ○島田委員 先ほど発表願った要診断者に対する三九%の一万四千四百人は、いま課長説明したことから言えばどういう立場の人ですか。それから巡回委託による三〇%の二万六百人というのは、いまの説明によるアウトサイダーか、インサイダー、対象者なのか。
  112. 林部弘

    林部説明員 私は先ほど前者については自主的な健康診断ベースの報告というふうに申し上げましたので、自主的ということでございますから、その意味では必ずしも法の裏づけという形のものとは言えないかと思います。それから後者の巡回方式の方につきましては、両方まじっている可能性があるのではないかと思います。
  113. 島田琢郎

    ○島田委員 じゃ逆に聞きますけれども、あなたが先ほど法的見解を明らかにされたそういう立場の健診者は何名と考えてますか。
  114. 林部弘

    林部説明員 失礼いたしました。私、先ほど法的のものがまじっているというようなことで申し上げましたが、いま担当者から確認をいたしましたところでは、これは法的なものではなくていわゆる自主的なものあるいは通知によって指導しているベースのものであるということで、先ほど私が申しましたいわゆる法的なものの解釈そのものがそのままずばり当てはまる対象にはなっていないということでございます。
  115. 島田琢郎

    ○島田委員 ちょっと課長、待ちなさい。だから、それならこの二万五千人に上る人たちのうち業務という位置づけで健診が行われた人は何人ですか、こう聞いているのです。
  116. 林部弘

    林部説明員 先ほどお答えいたしましたように、この健診は、いわゆる法に基づく業務としてということではございませんので、この中には、労使間の話し合いで業務に準じたものとして扱われている部分とそうでないものとがまじっている可能性がございますので、的確にどの部分が業務であり、どの部分が業務でないかということについての実態は定かではございません。
  117. 島田琢郎

    ○島田委員 そうすると、法的という見解は、これは労災法の法的という立場ですか。
  118. 林部弘

    林部説明員 これは安全衛生法の第六十六条の健診という意味で、労災法ではございませんで安全衛生法でございます。
  119. 島田琢郎

    ○島田委員 そうでしょう。そうしたら、これは本来法的云々なんというような性格のものでないのじゃないですか。つまり、全部業務的な立場での健診と位置づけできる性格のものでないですか。この点はいかがですか。
  120. 林部弘

    林部説明員 ただいまの御質問に御説明申し上げますと、この健診は、いわゆる安全衛生法六十六条に基づく健診ではございませんで、先ほど申しましたように振動障害に対する通牒ベースの健診でございますから、このものがずばり、先ほど私が申しました解釈そのものがずばり当てはまるものではないわけでございます。ただ、一般的な健康の確保を図ることを目的といたしまして一般に事業者に実施の義務を課しておりますいわゆる一般健診、これは六十六条の一般健診というのがございますが、私どもの期待をいたしております実態といたしましては、おおむねこの一般健診が業務の遂行との関連において行われるものでございますから、その受診のために要した時間につきましては、労使間で協議をして、できれば事業者が費用的な面ではめんどうを見るということが望ましいのではないかというような解釈を、一般健診について、法的な一般健診についてでございますが、しておるわけでございますが、この健診につきましても、それと同じような趣旨の期待をしておるということでございます。
  121. 島田琢郎

    ○島田委員 課長は変なことを言いますな。私がさっき聞いたのは、三万六千九百人というこの要健診者、これは一つの目的を持っているという前提に立って私は何人かと聞いたのですよ。一般健診者、白ろう病だかかぜを引いているのだか頭が痛いのかわからぬものをみんなひっくるめて何人いるかと聞いたのじゃないですよ。だとしたら、一定の目的を持っているのじゃありませんか、健診の目的を。それを、六十六条の一般的健診だなんという逃げ方になるのでしょうか。私は前段で細かく数字を聞いてきたのは、明らかに白ろう病の心配がないかということを前提において健診をしたその人たちは幾人ですかと聞いているのですよ。あなたの答えは、まるで一般的に全部受ける、そういうふうになっていますな。そういうやり方ですか。
  122. 林部弘

    林部説明員 私の説明が下手で先生にそういうふうに理解をされたのかもしれないのですが、私が申し上げたのはこういう意味でございます。いわゆる白ろう病の健診というのは、法律に基づくものではないわけでございまして、法律に基づく健診というのは、大きく分けますと、一般健診と特定な有害業務に従事する健診というものに健診の性格は分かれるわけでございます。  それで、法律の背景のある健診の場合には、そういう二つに分けられるうちの特定の業務、有害業務というものについてはいわゆる特殊健診ということで、それはまさに業務の範囲内のものというふうにはっきり位置づけている。しかしながら、一般健診の場合にはそういう位置づけがされていないけれども、先ほど申しましたように、法解釈の上ではやはり事業の円滑な運営の不可欠条件として、労働者の健康の確保ということを考えなければならないから、そこら辺の問題については、一般健診については特健並みの扱いはしていないけれども、それに要する費用の問題については事業者が負担することが望ましいという解釈をしている。  その解釈からいきますと、白ろう病の健診というのは、これが法的な健診であれば当然その特定な有害業務に該当するような内容のものになるのかと思うのでございますけれども、法的なベースでの健診でございませんので、その意味では私が先ほど法的な裏づけがないので、非常に特定有害な業務に対する健診的な、つまり特殊健診的な性格を持った健診ではあるけれども、法的でないがゆえに、レベルとしては、一般健診について私どもが期待をして、費用の面では事業者サイドが負担することが望ましいのではないかと考えているのと同レベルの期待を持っているという意味のことを申し上げたわけでございます。
  123. 島田琢郎

    ○島田委員 私は、その辺をのみ込んで話をしていたつもりなんですがね。だから、何回も、いずれも自主的だけれども二通りの健診をやりました、これは一体法的な立場で言えばどういう部門に該当するのですかと聞いたのは、白ろう病のいわゆる疑いがあるという前提に立って調査をしたものでないとあなたは今度おっしゃるから、それならこのうちにそういう疑いを持った人の検査というのは何人含まれていますかと聞いたんだけれども、それもわからぬと言う。  私は、労働安全衛生法という立場からいって、そういう区分けをするということ自体これからの政治課題ではあるんでしょうけれども、そんなことにちゅうちょするというのはおかしい、そうでなければ白ろう病根絶対策なんということを口にすべきでない、こう思っているのです。現にチェーンソーを持っているというのは、事実関係を調べれば明らかなんですから、そうすれば、それは特殊健診しなければならぬということはもう明らかでしょう。きのうきょうに始まった白ろう病じゃないんだもの。チェーンソーを持っている者は一応振動障害にかかっているかどうか疑って健診をするという態度でなかったら、根絶対策にならないでしょう。  そういう意味で、私は事前にきょう聞く質問の内容をあなたの方にやっておいて、その的確な答えをもらいたいと思ったから、その点はよく理解済みの上で私の質問に応じているんだと思ったら、全然中身が違っているわけですものね。むだな時間を費やしてしまったわけですけれども、私はしかし問題がこれで明らかになったと思うのです。そういう事実認識を、いわゆる事態の認識を正確に持った上で健康診断をやるという態度に欠けているという点は、これは明らかになりました。みんな網にひっかけて調査をしてみたら、そのうちから疑わしきものを抜き出していってやるという方式だ。これでは私は白ろう病根絶対策にはならないと思う。健康診断がまず何よりも大事なんです。  しかし、健康診断は大事だと言ってもなかなか、実はこの健康診断が先ほど数字が示されておりますように、全体の三〇%、三九%でしかない、進まないですね。この進まない原因はやはり明らかにしておかなくてはならない、こう思って、私はまたなぜこの健康診断が進まないのかをいろいろ調べてみました。事実は幾つか明らかになってまいりました。  たとえば、和歌山県の古座川町の実態を私は聞いてきました。そして、それは今日置かれている山の、いわゆる木材価格の低迷とかあるいは林業政策の貧困とか、いろいろそういうものが原因になって積み重なっているということの事実、これは言うまでもなく明らかなことでありますけれども、しかし林業労働者の皆さん方がきわめて低賃金で毎日毎日が生活に追われているという、こういう実態からこの健康診断、あるいは不幸にして認定を受けた患者そのものも完全な治療ができないという状態にあることがまずわかりました。  ついせんだってまでは、高度経済成長といったような中で、山で働く人たちの人数が足りないと、こう言われたのでありますが、最近は逆に山で働く場所がどんどん狭められているという状態にある。そのことが、いみじくもこの古座川町における雇用の実態調査の中で明らかになってまいりました。毎日毎日が追われるような状態の中で、山の男たちは仕事を続けている。だから、よっぽど健康に赤信号でも出るか、きょうは頭が痛くて頭も上らぬというような、そういう状態にならない限り、なかなか健康診断を受けるということは、生活に追われている状態の中ではこれはできないということです。そこのところを行政の立場で積極的に手を差し伸べないと、この健康診断というのは進んでいかない。  しかも、その手を差し伸べるやり方というのは、二つの手で払い落とし、選別をするという、こういうやり方でありますから、いま明らかになったごとくの健康診断の状態でありますから、これじゃまるでブレーキかけながら健康診断をやっているような結果になってしまうんです。受ける者だって、休業補償もないという状態の中で健康診断を受けなきゃならぬ。いま言ったように、法的な位置づけということになれば、そんなにも大きく法律的な問題が前に立ちはだかっているということが明らかになったら、健康診断に出かけるというようなことにこれはならぬのではないか、こういうふうに思うのです。  現に、それじゃ休業補償という名のもとに健康診断が行われているという実態は、どれくらいの数に上っているのですか、それもつかまえていないのですか。——きょうはのれんに腕押しといいますか、私の真剣な議論に対して受けて立つ労働省の大事な窓口が一つも反応を示さないというのは、これはいかなるものか。呼び方間違ったんでしょうか、担当でないんですか、改めて聞きましょう。
  124. 林部弘

    林部説明員 先生お尋ねの林業補償という形での把握は行っておりません。(島田委員「あなたの担当でないの」と呼ぶ)そういう形では——これは先ほど御答弁申しましたように、労使間の話し合いの中で行われているという実態があるというふうに私どもは理解をしているわけでございまして、その実態を全体としてどのくらいの割合でという形では把握していないという意味でございます。
  125. 島田琢郎

    ○島田委員 そこが問題だと私は言うんです。法律的にも根拠を与えないし、一般健診だから雇用者がめんどうを見ろ。そんなら、雇用者がめんどうを見ている実態はどういう数字になっていますかと聞いても、これも知らないと言う。あなた労働衛生課長でしょう、労働衛生課長というのはこういう仕事をするんじゃないんですか。白ろう病がこういう実態になっているということが明らかになりながら、それに対して所管の原局の責任者であるあなたは、末端の事情一つ把握してないばかりか、何も知らないと言うんですね。ぼくはあきれ返って、本当にこれ以上議論を進めるということにならぬのですけれども、これは驚き入りました。こういうずさんな状態に置いておいて、白ろう病を根絶しますと午前中言いましたね、私の質問に対しても、冒頭では白ろう病については真剣に対策をしてやらなければならない。  それじゃ、次の治療対策について聞きましょう。先ほど認定者実態が明らかになりました。そのうち仕事をしながら通院をしている認定者は幾人いますか。民有林関係だけで結構です。国有林はまた別な機会に聞きます。きょうはもう時間がなくなりました。それから、完全休業して通院しながら治療を受けている認定者は幾人いますか。それから、入院をしている人は幾人いるでしょうか。労災でかかっている人はそのうち何人ですか。国民健康保険で治療を受けている人は何人いますか。これもわからないですか。
  126. 原敏治

    ○原説明員 民有林関係白ろう病にかかった方々治療に関しましては、労災保険の方で費用一切を見ながらやっていただいておるわけでございますが、ただいま先生指摘白ろう病患者の中での通院がどのくらいか、入院がどのくらいかというような細部の点につきましては、実は監督署の段階でそれぞれ扱っておりまして、集計した形にはいままでしておらないわけでございます。今後の問題として検討させていただきたいと思います。
  127. 島田琢郎

    ○島田委員 私も、恐らく労働省ではしっかりした数字がつかまれていない、こう思って、先ほどの調査の範囲で白ろう病患者の実態調査してみました。全体的に推定できる範囲のもので、確実にこうであるということは言い切れませんが、実態はこうでありました。通院しながら治療しなければならない、こういう人たちは四二%であります。しかし、残念ながらこれは要治療者であって、現実に治療しているということではない。このうち半分の人が認定患者でありながら治療しておりません。しかも、労災適用という点ではいろいろな問題があって、国保で受けている人がなお治療者のうちに半分いるということもわかりました。  これはどういうことを意味するかというと、つまり先ほど言ったように、生活に追われて、治療しなければならぬことはわかっていても入院するというほどの重症でもない、こういうことでありますから、一家を支える身としてはできるだけ口をのりする、そういうことの方が自分の体を治すよりも先行してしまうという現実の問題がここにあるからであります。それは次の再雇用されるという状態のときに、白ろう病実態が親方の段階で、いわゆる雇用主の段階でふるいにかけられるということを恐れて、できるだけこの実態を表に出したくないという、これも生活の上からくる一つの悲しい抵抗なんであります。この数字はそういう実態を物語っているというふうに私は推測をしています。  このような調査というのは私個人でできるのですよ。いわんや、あなたの方の大きな機関を通してなら二日か三日あれば全部この実態が掌握できるのではないでしょうか。こういう実態さえも把握されていないというのは、これは問題であります。いま補償課長はこの点については検討してみたい、こう言いましたから、私はこれ以上追及しません。この点を明らかにして、ともかく洗いざらいすべてを明らかにした上でなければ対策は組めないでしょう。暗中模索みたいな、試行錯誤みたいなことではこの対策は進まないのです。繰り返して悪いけれども、だから倍増するような患者の発生状況になっている。厳に心してもらいたいと思うのです。私は声を大きくして言うばかりではありません。真剣にこの対策に取り組んでもらいたいと思うから、こんな場所であなた方に、これは叱咤をいたしますけれども、一面は激励でありますから、本当に真剣に取り組んでもらわなければいかぬという気持ちが私にあるから、事実を調査してみたらこんなことになっている。  そこで、私は一つの提言をしたいのです。  こういうふうに考えてまいりますと、具体的に何らかの手を打たないといかぬ。いま言ったような実態を明らかにする調査がまず要ります。それが明らかになってまいりましたら、職掌上から完全休業で徹底した治療をすることが必要ではないか。もちろんこの場合、休業だけさして給料を出さなかったら一家は食っていけません。一家の柱が倒れてしまったのではほかの残された家族は暮らしていくことはできません。完全休業は、もちろん休業補償がそれについていくのは当然であります。そうするか、もう一つは、これも調査実態の中で明らかにしていかなければならない面はありますけれども、または生活保障のために振動障害発生すると予測される職場ではないところで仕事を与えていくということに積極的な指導をしていかなければいけないのではないか、そういうやり方は幾らでもあるはずだ。現場ではそれも徹底していません。これが一つの提案であります。  もう一つは、何と言ったって、調査をしてみるまでもなく、治療施設はもう全国的にものすごく少ないです。北海道の白ろう病発生実態は、これも調査の結果明らかになっていますが、二千人を超えているのでありますが、治療できる病院の数はわずかに九つであります。しかも、それもベッドに限度があり、専門病院ということではございませんから、一般患者とまじって長い時間を待たされて十分な治療も受けられる状態ではない病院を含めてたった九つしかないのですよ、北海道だけ例にとってみても。これはもう決定的な欠陥であります。そのために幾つかの施設を増設すべしとの声もあります。現に私のところの地元では、国有林中心にして民間にも利用するということで、有名な温泉もありますので、そこのところに施設をつくってもらいたいという現地の期成会を組織して、中央への要請が果敢に行われているのですが、厚生省労働省林野庁もまだ真剣にこの問題に手をつけるという段階に至っておりません。これは私どもの運動が足りないということの一つの裏書きかもしれませんが、たとえばそういう声が地元にあって真剣に白ろう病根絶のための対策を進めているということで、私はその一つ方法として新しく振動障害対策病院を設置してもらいたいという意思があります。これを受けて立つくらいの構えになってもらいたいと思うのですが、これは後ほど長官答えてください。  それからもう一つ、患者によってははりとかマッサージで治療を受けることがいいという場合もお医者さんの判断によってはあります。しかし、はりやマッサージには労災が適用されません。これは主治医といいますか、そのかかっている専門医が、これははりがいい、これはマッサージがいいというふうな意見書がつけられたなら、それには労災を適用することができないものだろうか、私はできると思うのですけれども、これは労働省の見解を承りたいと思うのです。  以上、私は三つの提案をいたしました。国有林民有林、それぞれ関係する原局からのお答えをぜひいただきたいと思うのです。
  128. 藍原義邦

    藍原政府委員 チェーンソー治療の問題でございますけれども、この治療につきましては、確かに先生指摘になりましたように、患者の多くの方々が比較的医療施設に恵まれない山村におられるということから問題があるというふうにわれわれも判断いたしております。そういう点で、ただいま三省庁連絡協議会を設けまして、その場の中でいろいろ労働省なり厚生省にお願いをして、労災病院あるいは国立病院等々の健康医療の機器の充実、あるいは専門的な医師の配置についてお力添えを願っているわけでございまして、そういう意味から、私どもが行いました協議会の結果に基づきまして、ただいま各県でそれぞれの地域にネットワークの形成をいたしまして、その中で治療体制を確立していこうということで検討を進めていただいておるわけでございますけれども、今後ともこの問題につきましては、連絡協議会の場で関係方面の御協力で積極的に対処してまいりたいというように考えております。  なお、国有林でできます病棟の併設という問題につきましては、私どもも検討は進めてみたいというふうに考えております。
  129. 原敏治

    ○原説明員 専門的な病院施設の拡充整備の問題につきましては、いま林野庁長官からお話がございましたように、三省庁協議の上で強力な推進を図っているわけでございます。特に厚生省の関係での御協力もいただきながら進めていくということにしております。  それと同時に、労災保険の方におきましても、労災病院が全国三十四カ所ございますが、これの充実整備と、労災病院の関係とはちょっと離れますが、労災関係で委託病棟という形式のものを現在実施しておりまして、全国で十一カ所の病院に委託をしております。そういうものの充実強化をいたしますとともに、振動障害治療に有効だとされておりますところのパラフィン浴施設とか、あるいは交代浴施設、皮膚温度測定器等につきましても、これらの病院、委託病棟に整備拡充を図っているところでございます。  また、既存の施設の整備拡充とともに、新しい施設の拡充につきましても努力をいたしておるところでございまして、五十二年度には北海道の洞爺に洞爺病院の労災委託病棟の関係の整備をいたしておりますし、また、五十三年度予算では、奈良の町立大淀病院に委託病棟を設ける、こういうようなことを努めておるわけでございます。  それから、これらの施策とはまた別個に、振動障害の健診や治療のための医療機器につきましても、これを民間の医院等に貸与する制度を労災の施設の中で設けまして、民間の医療機関の一層の協力を得たい、こういうような形でやっておるところでございまして、今後ともこの面の努力を実施していきたい、こういうふうに考えておるところでございます。  それから、最後に御指摘のございましたはりやマッサージ関係の労災適用の問題でございますが、この点につきましては、労災保険の関係におきましても健康保険の場合と同じ扱いをいたしておるところでございまして、主治医の先生が療養上の必要性等からはり、マッサージが必要である、こういう意見をつけられた場合には、はり、マッサージ等についても労災保険給付をいたすことといたしております。  以上、お答え申し上げます。
  130. 島田琢郎

    ○島田委員 最後に、時間がなくなってしまいましたけれども政務次官に、白ろう病をめぐる幾つかの問題、これはこれで全部ではございません。まだまだ私は大分飛ばしております。たとえば、保護具の備えつけの実態、休憩舎の改善、低振動機械の開発についてももっと議論しなくてはならぬところがあることもそのまま残して、問題を指摘するにとどめた部分なども含めて、幾つかまだ残っているのであります。  しかし、いま国有林の問題もずいぶん話題になっているところでありますが、何といってもこうした山で働く人たちに、精神的な面も含めて不安と動揺を与えない、こういう基本的な施策が先行しなくてはいけないと思うのです。木材価格がよくないから林業振興はやめた、こんな式では、山に命をかけてきた人たちは一体どこで働けばいいということになるのでしょうか。高度経済成長と言われた時代には、山で働く人たちの人手が足りないとさえ言われました。いまは一転して雇用の場がどんどん狭められ、失われていく、こういう実態になりました。当然のことながら、ここで働く人たちの生活は脅かされ続けているのです。何といったって林業を振興するという構え、前向きにそういう姿勢に政府自身が立たないことにはいかぬということが問題として明らかだと思うのです。  そして、そのためには、私は先般森林組合法の審議に当たって、長官に、あなたのいまおっしゃったことは一つの言質となりますぞと指摘をいたしました保育施業の拡大をもっとやれ、それが手抜きされているという状態で放置しておくことは、山の雇用の場をみずから狭めていくということになるばかりではなくて、山の持つ公益的機能という立場から言ったって大きな損失ではないですか、そんなことはありません、この面に力を入れていきます、大丈夫ですねと言ったら大丈夫ですと言いました。いまもあなたがそれだけおっしゃったから大丈夫だと思っているのですが、しかし残念ながら、大丈夫、大丈夫と言っても、たとえば間伐の問題なんかでは、いまのままの発想ですと進みません。山では間伐を必要とする状態にいま置かれて、間伐を待っている山が全国の数限りない場所で散見されます。これはすべて経済原理に従った材価低迷によってここに手がつけられないということでいままで放置されてきた問題でありますが、私はこの際、そういう経済的な立場に立っての考え方を大きく変えていかなければだめだと思うのです。  そして、国家百年の大計、こういうことを言えば山だというくらい山の問題については長期的な対策が必要です。六十年、百年先を見越した対策が必要なのであります。一日放置すれば、六十年後、七十年後伐期に至ったときにそれだけ損失を見るという結果になるからです。そう考えますと、間伐の問題だってほうっておけません。しかし、だからといって経済的理論からだけこれを言えば、しばらくの間これを放置せざるを得ないということになりますから、この際公共事業という立場から、しかも林業の基盤整備という立場から手をつけるべきだ。そこで、いま雇用の場を狭められて不安におののいている人たちに雇用の場を拡大して担保していくことになれば、山がよくなって、そこで働く人たちの生活も保障されるということになるから一石二鳥ではないかと思うのです。  そのためには、一にも二にも発想の転換がなければだめです。きょうは時間がないから、これを具体的にそれではどうする、民有林に国が手をつけていく場合など一体分収方式をどういうふうにするのか、いろいろあると思う。今国会にわれわれ社会党は国営分収造林法というのを出しました。これは林業の振興をやらないと、雇用の確保もできなければ拡大もできない。山から、山だけの男を追い出すということに政治が手をかすなどということは許されぬという考え方のもとに、四十六年に林業振興決議を受けて、わが社会党はこれに真剣に手をつけてまいりました。この発想の中に私は間伐の問題も置くべきだという考え方を一つ持っています。今日はこういう発想の転換なくして、山の雇用の拡大、確保はできないという考え方に私は立っているのですが、政府当局、政務次官、ひとつ代表してお答えいただきたいのであります。この点は大臣とも大いに議論したいところでありますが、きょうは政務次官がおいででございますから、私の最後の締めくくりとして、これはまだ問題の決着をつけるという意味ではございません、一つの問題提起であります。時間が来ましたから、これで終わらざるを得ない。私は結びとしていまいろいろなことを言ってきたけれども、まずそこのところがしっかりしないとこの山の雇用問題は確立できない、それが不安であるならば白ろう病は根絶できない、こういうことになっていくでしょう。いままでの議論を逆にさかのぼっていけばそういうことになるのであります。いかがでしょうか。
  131. 今井勇

    今井政府委員 間伐材の利用の問題等貴重な御意見を賜りました。その実行方法等につきましては、これはまた専門家の十分なる研究討議が必要であろうと思いますが、いまの先生のお考えにつきましては共感するものがございます。私ども素人考えいたしましても、せっかくの貴重な資源でございますからこれをむだにしないように生かしながら、しかもまた先生のおっしゃるような趣旨が生かせる方法を専門家の中で討議をさせまして、できるだけ速やかにそのような方途が見出せるような努力を真剣にいたさせたいと存じます。
  132. 島田琢郎

    ○島田委員 終わります。
  133. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 野村光雄君。
  134. 野村光雄

    ○野村委員 私はただいまから軽種馬生産問題に関連いたしまして順次質問をいたしますが、質問に先立ちまして、本日私の質問に当たりまして中央競馬会より御出席を依頼いたしましたところ、このような時間にもかかわりませず、増田理事長が御答弁のためにおいでいただきまして、最初に心から厚くお礼を申し上げます。  私はただいまから、わが国の農政の中で、ともいたしますと忘れ去られよう、こういう立場に置かれております全国わずか三千世帯の軽種馬生産農家の真実の実態と声を、この生産者にかわりまして順次質問をいたしたいと思っております。  まず最初に、農林省並びに中央競馬会のお二方に基本的なことをお尋ねをいたしたいのでありますけれども、軽種馬生産農家の今日置かれております実態の認識というものはどのように把握なさっていらっしゃるかということでございます。御存じのとおり、昭和四十八年以降競馬ブームというものに乗りまして競馬というものが年々大衆レジャー化いたしてまいりました。しかも、その中で競馬も健全娯楽といたしましてだんだん広く国民の中に愛好され、定着の様相を示してまいってきております。昭和五十二年の競馬人口というものを見てみますと、地方競馬人口が、入場者が二千二百五十万、中央競馬の入場者が一千三百十一万、合わせますと三千五百六十一万の入場者でございまして、場外馬券等の参画者を入れますと相当の数に上ってきておることが予想されるわけでございます。若干最近になりまして下降線をたどっておりますけれども、競馬人口はややこのようにして定着傾向にございます。  ちなみに五十二年度の売上高を見てみますと、中央地方合わせまして実に一兆七千億からの売り上げをいたしております。払い戻しでございますとか諸経費を引きまして、国並びに地方財政に対して競馬の益金といたしまして、このような財政困難の中で貢献しております金額が実に一千七百億円を突破いたしております。このような競馬の収益がわが国の財政に対する貢献を見ましたときに非常に大きいと私は思っております。  しかしながら、この三千五百万の大衆レジャー、一兆七千億円余の売り上げをいたしておりますその競馬の陰の力として、先ほど申しましたように、全国三千世帯のささやかな軽種馬生産農家がいま政治の谷間に忘れられようといたしております。私は競馬界と生産者とは運命共同体である、このような認識をいたしておりますけれども、ただいま申しましたような華やかな競馬界の実態とはうらはらに、最近の経済の不況、さらに過剰生産、しかも先ほど申しましたように、かつての競馬ブームに乗りました時代の過剰投資によるところの大幅な借財、こういうものを抱えましてこの生産農家というものは著しい財政の緊迫に苦しんでいる実態でございますが、農林省並びに競馬会としてはこの生産農家の実態に対してどのように認識し、どのように把握をなさっていらっしゃるのか、まずその点からお尋ねをいたしたいのであります。
  135. 杉山克己

    ○杉山政府委員 ただいま先生が仰せられましたように、日本の競馬に対する国民の愛好というのが定着を見てまいりまして、今日では延べ入場者数で三千五百万人以上、また売上金額で一兆七千億以上というような非常な規模、水準に到達しているところでございます。これにつきましてはもちろん関係者各位の御努力があるわけでございますが、軽種馬の生産者も非常に大きな貢献をしているということは事実であると思っております。  そこで、現状をどのように把握し、認識しているかという御質問でございますが、軽種馬の生産につきましては昭和四十五年以降増加の傾向にあるわけでございまして、五十一年には頭数にして約一万二千頭に達しております。これらの生産は地域的に見ますと、北海道の特に日高地域が中心になりまして、この地域だけで全生産頭数の約七〇%が賄われております。ほかの三〇%は北海道の胆振そのほかの地域、それから青森県、千葉県、鹿児島県、こういった地域でもって出産されているわけでございます。  これらの生産を担当しておりますところの軽種馬生産農家は約三千戸でございます。年によって若干の増減がございますが、おおむね三千戸で推移しております。一戸当たりの飼養規模は年々増加してきているわけでございますが、そのテンポはきわめて緩慢でございますし、平均は五、六頭程度と、一部の大規模のものを除いた大部分が零細な経営で行われているというのが現状でございます。最近は、ただいま先生も言われましたように、生産頭数が増加して供給過剰の状態にある、そのため生産された軽種馬の価格は下がってきている、そして軽種馬生産農家の経営は一時に比べて非常に苦しい状況になってきているということは私どももよく承知いたしております。借入金がきわめて多い、そのため、なかなか経営も家計も苦しんでいる生産農家があるということについては承知しているわけでございますが、ただ借入金の実態につきましては、銀行借り入れ、農協借り入れ、個人借り入れ、いろいろな形があるわけでございまして、細かく実態調査まではしておりませんが、概括的には承知いたしているところでございます。一般的に借入金の額も大きく、経営はかなり苦しいのじゃないかというふうに理解いたしております。  こういう状況というものは、軽種馬の生産が、競馬の施行上から見た需要、これは一定の限度があるわけでございますが、それを大幅に超えている、端的に申し上げて供給過剰であるということのために価格が下落していることによるところが大きいと判断されるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、軽種馬の安定的な生産を図るという点から、昭和五十二年度に必要を超えるものについて生産調整を図る、そのために雌馬を約千頭削減するということを実施したところでございます。そういうことによって供給の適正規模を維持し、生産される軽種馬の価格維持を図るということに努めているところでございます。  また、負債の状況につきましては、いま申し上げましたような生産調整と関連させまして、実施する生産農家に対して特別な融資措置を講ずるというようなことを実施してまいったところでございます。
  136. 増田久

    増田参考人 増田でございます。  先生御存じのとおり、競馬というものは俗に血統のスポーツと言われているわけでございます。単にある馬が速いということじゃなしに、競馬を通じて馬を淘汰し、より強き、より速い馬をつくるために競馬があるのだ。こういうことで馬は生産から始まるというふうに言われているところでございまして、そこがほかの公営競技と非常に違っている点であると私は確信をいたしております。そういう意味で、私は、植民地競馬と言っては恐縮なんでございますけれども、たとえば香港だとかマラヤだというところは馬の生産がございません。競馬馬は全部輸入して競馬をやっているというのが実態でございます。しかし、これは競馬というものの本質から見て、そういう競馬は競馬とは呼び得ない。やはりわが国で馬をつくって、その馬を競馬場で走らせ、それをよりよく改良していく、それがわが国において競馬をやる基本的な意味合いであるというふうに私は理解をしておりますので、私どもは従来から競走馬は全部国内馬を原則として充てる、レースにおいても、輸入馬も若干ございますけれども、できるだけレース数を制限して国内馬を中心としてやるという体制等はとっておりましたし、今後もとってまいるつもりでおります。そういう生産があってこそわが国の競馬は栄えるのだ。したがって、現在のような苦況をできるだけ調整して差し上げる必要があろうかと思いますけれども、競馬会の法律上の性格から、賞金を通じてたとえば馬の価格維持を図るとか、あるいは生産者に生産費を差し上げるとか、そういうやり方しかやりようがないわけでございますので、そういう点を通じましてできるだけの御援助を申し上げる、それから先ほどありました必要な生産調整のために、国がお許しになるならばそういう助成の金も差し上げるということについては何らやぶさかではないものでございます。
  137. 野村光雄

    ○野村委員 それぞれ御両人から御答弁をいただきまして、増田理事長からは走ることによって馬の血統の淘汰が行われている、こういう意味の御答弁、確かにそういうことでございますけれども、生産者の中に入りますと、走る方の血統が取引価格につながる、こういうことで非常に深刻の度を加えてきておりますが、この問題はまた後で触れます。  次に、畜産局長お尋ねいたしますけれども、子分け制度についてまず伺いたいのであります。  御存じのとおり、生産者の立場、実態について一つの実例を申しますと、北海道日高方面を中心といたしまして、生産世帯が一千九百六十一世帯ございます。そのうち十頭未満の零細な生産農家が実に一千八百十二世帯を占めておりまして、九〇%以上を占めている、こういう実態でございます。しかし、その中で子分け制度、馬小作が六〇%以上を占めておりまして、自営はわずか六%しかございません。このように、一部でございますけれども、軽種馬生産がだんだんと企業化してまいっておる、こういう実態でございます。そういう企業化の中にありまして、生産農家の方々は、いずれも独立して自分の馬を持ちたいのだ、こう願っておりますけれども、独立をするということになりますと先立つものは何といっても経営面積、資金、それから独立をいたしましても販売ルートを持たない限り適正価格で売れない、こういうような種々の悩みがあって、いまだに馬小作というものが農家の六〇%を占めております。  次官、これは初めてでございましょうから聞いていただきたい。  御存じのとおり、わが国の農業の一般的な情勢を見ますと、戦後目ざましい発展を遂げてまいりまして、農畜産業のすべてが経営を拡大して近代的な経営に変わってきております。そういう経営拡大の中で各種農畜産事業に携わる生産者は伸展を遂げているわけでありますけれども、ひとり軽種馬生産だけはいまだに、ただいま申しましたように、せっかく養っている自分自身の馬も、結局は馬主の馬を料金をいただいて預からなければいけない、こういう実態に置かれているわけですけれども、畜産局といたしましては、この点に対してどういう認識と対応策をお持ちになっているのか、示していただきたい。
  138. 杉山克己

    ○杉山政府委員 ほかの農産物の場合と異なり、軽種馬の生産また流通というものは特殊な状況にあると存じます。先生が御指摘になられたように、馬小作が六〇%、きわめて高い率であるということは私どもも承知しておるわけでございますけれども、これも個々の生産農家にしてみれば、資金が足りない、あるいは販売力がないというようなことから、一種の分業的な形での生産あるいは流通が行われるというようなことであろうかと思うわけでございます。  それについてどう思うかということになりますと、農家というものは個別独立して十分自営が行われることが望ましい。そういう観点からいたしますと、馬小作をなるべく少なくしていく方向で指導すべきだというふうには考えておるわけでございます。ただ、現在の状況は、独立するにしては資金の状態なり販売能力の問題なり、なかなか解決困難な点も多いのではないかと考えるわけでございます。  私どもとしては、もう一つは、そういう馬小作の契約が行われていますならば、その契約の中におきます分収関係、要するにかさにかかって弱い立場から搾取するといいますか、適正な労働に対する報酬が得られないというようなことがあれば、これはぐあいが悪いというふうに考えるわけでございます。  そこで、こういったものに対して農林省としてどういう対策考えを持っていくのかということでございますが、やはり一つは関係者の自覚、あるいは今日の時代におきますところの新しい認識といったものを喚起する必要がある。その意味で、関係団体等を通じて、新しい生産、流通のあり方というものについての啓蒙、指導を十分行うということが大切なことではなかろうかというふうに考えております。もちろん、経営自体が強化されるよう全般的な生産に対する支持というようなことが基本に必要でございますが、やはり関係者の意識の改善ということも両々相まって効果を上げるものというふうに考えておるわけでございます。
  139. 野村光雄

    ○野村委員 私の質問並びにいまの局長答弁を通しまして、いかに軽種馬生産農家というものが悲哀の中で努力をしていらっしゃるかということは明らかになったわけでございます。しかし、それに対する対応策と言えば、ただいまの局長答弁を聞きますと、生産者みずからの自覚ということを促す程度で、全くもって具体的な対応策が、いまだに、樹立されて明確に示されない。こういう実態にあればこそ、今日、いまなお馬小作というような生産農家が六〇%を占めている最大のゆえんである、こう私は思うわけであります。  そこで、私はこの際、生産者にかわりましてぜひはっきりしていただきたい。御存じのとおり、全国わずか三千世帯の生産者が努力をして、生産育成に力を注いでいるわけでありますけれども、先ほど来申し上げておりますように、このわずか三千世帯の農家の努力が一兆七千億円からの売り上げの基礎をなしているわけです。しかも、売上純利益というものが一千七百億円から国に還元されているわけでございますから、私はそういう意味から言いますと、これほどわずかな生産者の努力が、最近の財政苦境の折から国並びに地方財政に大きな貢献をしているわけでありますから、農林省なり中央競馬会が、この大きな売り上げと国に大きな貢献をしているその陰には、わずかな世帯ではあるけれども、生産者の並みならない努力があったればこそ今日の競馬会が成り立っているのだ、こういう本質的な考えのもとに、思い切った——私が先ほど申しましたように、これらの生産者は馬小作から一日も早く逃れて独立をしたい、こう念願をしているけれども局長みずから、そうするのにはやはり財政が必要だ、こう言っているのです。ところが、現在、非常に零細なこれらの馬小作の方々は、数千万からの借財をしょいながら苦境にあえいでいる実態なんです。  そこで、このように大きな売り上げと、国家に貢献している生産者の育成のために、長期の低利資金を貸し与えるなり、または中央競馬会と生産者と運命共同体なわけでありますから、中央競馬会として、国庫に納付する前にこの諸経費の一環として、必要経費として、売り上げの何%かをきちっと義務的に義務づけて生産者に還元する、こういう対応策をこの際明確に講ずるべきだ、こういうふうに私は考えるのでありますが、この点に対してはぜひひとつ両者のお考えを示していただきたい。
  140. 杉山克己

    ○杉山政府委員 生産農家に対するてこ入れ策といいますか、これを支持する政策としては、生産された生産物がそれにふさわしい、農家の再生産意欲を損なわないような価格で取引されるという事態を維持させる、あるいはそれが損なわれていれば回復させるということが必要であろうと考えるわけでございます。  そこで、そういったまともな生産費が償えるような価格で軽種馬が取引されるということのためには、それを購入するところの馬主の方々に、賞金等によるそれなりの収入があるということが一つ前提になるのかもしれません。そういう意味では、競馬会あたりにおいても、今日まで種々賞金等についての配慮もなされているというふうに私どもは承知いたしております。  それからいま一つは、買い主の方の経済条件も一つでございますが、市場の需給関係ということが大きく影響してまいると思います。そこで、先ほど申し上げましたように、過剰供給を断つ適正な供給規模にして価格が低落することを防ぐということが必要だろうと私は考えるわけでございます。その意味で、五十二年度に融資措置等をあわせ行いましたところの生産調整対策は、まだその実施途中ではございますが、それなりの効果を上げ得るものというふうに考えております。  融資制度一般につきましては、率直に申し上げまして、制度的に道が全くないわけではございませんが、軽種馬の生産農家に対しては、なかなかその実績が上がらない、制度についてもよく知られてないという面もございますし、そういった制度の存在を周知徹底させるということとあわせて、もう少し活用できるような道も指導をしてまいる必要があるというふうに私ども考えております。
  141. 増田久

    増田参考人 先生御承知のとおり、現在の競馬法のたてまえにおきましては、競馬の一定の売り上げは国に納めて、競馬の施行だけをわれわれがやるという形でございまして、先生のおっしゃいますようなことを直接競馬会がやるというわけにはなかなかまいらない制度になっているわけでございます。  ただし、いま畜産局長からお答え申し上げましたとおり、基本は、賞金等を通じて馬の価格ができるだけ向く維持されるというふうなことがやはり政策の一つのポイントになろうかと思うわけでございます。そういう意味で、現在われわれが支払っております賞金水準というものは、私はそれなりに評価されてしかるべきものではないかというふうに理解をいたしております。
  142. 野村光雄

    ○野村委員 ただいまそれぞれ御答弁ございましたけれども、私は、中央競馬会に再度考え方をお聞きしたいのであります。  御存じのとおり、中央競馬会法第一条に、馬産振興に対する問題に対しましてこのように書かれております。「この法律は、競馬の健全な発展を図って馬の改良増殖その他畜産の振興に寄与するため、」こういうふうになっておるのでありますが、それでは、この生産農家に対する対応策というものは具体的にどこで対応するのか。結局は、私が先ほどから申し上げましたとおり、これだけのレースを計画的に行い、売り上げを上げていかれるということは、これは生産者あったればこそという考えは中央競馬会としてはないのか。ここに大きな欠落があるのではないかと私は思う。そうするならば、やはり需要供給のバランスというものがない限り、競馬会として所期の目的を達成するというか、円滑な所定の競馬の運営というものはできないわけであります。そういう中から、当然、馬産振興というものに対しては予算を、先ほど来申し上げましたとおり、いまだ戦後三十年たっても馬小作が六〇%を占めている、こういう苦境の実態、こういう実態に合わせた予算というものを、中央競馬会で法律的に組むことができないのならば、農林省に対して、この表裏一体の関係にある馬産振興のために、ひとつ別途の大幅な資金の援助なり予算を組んでほしいということを申し入れしたことがあるのですか、そういう考えはないのですか。
  143. 増田久

    増田参考人 中央競馬会法第二十条に私の方の業務の範囲というものが書いてございます。そういうことで、私の方の目的の中で決められておりますけれども、現実に行う業務の範囲というものは二十条で限られているわけでございまして、そういう意味で、馬産に直接かかわるような経費につきましては、競馬会がではなしに、むしろ国庫の一般予算にお願いいたすというのが従来からの考え方になっておったわけでございます。  そういうことでございますので、こういう一つの新しい需給の実態に対応してどう対処すべきかというのは、今後の農政のあり方とも関連する問題でございますので、その点は、先生のおっしゃることもよくわかりますので、これは農林省とよく相談いたしたいと思っております。
  144. 野村光雄

    ○野村委員 前向きに相談するということですか、確認いたしますけれども
  145. 増田久

    増田参考人 前向きで検討いたしたいと思います。
  146. 野村光雄

    ○野村委員 畜産局長、畜産振興という立場で、いろんな面はございますけれども、私はいろいろこの法律を調べておりますけれども、軽種馬生産農家という明確な言葉を使っての生産指導なり、生産計画なり、経営計画なりというものが一向に見られないのであります。私は、一番心配するのは、農林省というのは常日ごろ、米作農家を初めといたしまして、日本最大と言われるような巨大な組織の圧力によって、やれ米価運動でありますとか乳価運動でありますとか、価格、生産、こういうつど、大きな圧力団体によってわっさわっさとそういう陳情、請願を受けております。そのつど、満足とは言わないけれども、それによって農林省というのはどうしても圧力を受けている。ところが、先ほど言いましたように、ひ弱なこの軽種馬生産農家は、全国でわずか三千世帯しかない。巨大な農業各種団体から比較するならば、そういう圧力もよう加えられない。そういうささやかな、小さな生産団体であるがために、むしろ見捨てられてきているのではないか。ひがむわけではないのだけれども、私はそうさえ思われてならないのであります。  ちなみに、この実態に対して、本年度この軽種馬生産農家のためにどのような事業でどのような予算をどれだけ組んでいるのですか。もう一つは、中央競馬会から前向きな援助に対する相談をしたい、こういう御答弁がございましたけれども、それに対してはどういう姿勢で相談をしようと思っているのですか。この二つをお聞きしたい。
  147. 杉山克己

    ○杉山政府委員 農林省行政、別段圧力によって何か物事を決めるというようなことでなく、それ自身背景になる生産者なり関係者の意見をよく聞くということはございましょう。そして、そういったものの実態を反映するように行政の面にも移していくということはあるかと思います。ただ、軽種馬の生産者につきまして、これは数が少ないから、声が小さいからということで怠っているというような話ではなく、私ども、やはり軽種馬の生産は、ほかの農産物の生産の場合と異なりまして、競走馬そのものを生産するという、まあ競走馬も一部に含むもっと広い意味の軽種馬と言うべきが正しいのでございましょうが、それを生産する、供給するという立場でございまして、一般的に国民に必要な食糧を直接供給するというような、そういう関係の農業生産あるいは水産、そのほかの一般の農業とは、やや違った前提にあるものかというふうにも考えるわけでございます。  また、そういう実態を反映いたしまして、従来は、軽種馬は軽種馬なりで、かつてブームのような時期もあったりして、独自の経営が営まれてきたというふうに考えているわけでございます。そういう中で、特に最近におきまして、供給過剰の関係から、生産農家がお困りになるような事情が出てきた。そこで、やはりその生産物の価格維持を図るために生産調整を行うということを行ったわけでございますが、これにつきましては、もちろん中央競馬会なりあるいは地方競馬についての全国協議会がございますが、これらが行い得る事業というのは限界があるわけでございます。しかし、その限界の中でも、たとえばその生産調整をやる農家に対して、融資についての利子補給を行うというようなことは、それなりに助成を行ってもらっているところでございます。  国が直接に何かやっているかということでございますが、特別に軽種馬と銘打って柱を立てた予算というものはございませんが、一般的な品種改良の問題なりあるいは試験場等におきます便宜供与の問題なりあるいは草地造成、特に軽種馬のためということではなくて、牛との関連においてというようなことになるわけでございますが、そういった草地造成に対して、一般的な国費が、金額的に特に明示はしにくい形ではございますが、それなりに負担されているということはあるわけでございます。  それから、何といいましても、生産調整のようなことは、これは初めて行った事業でございます。この推移が今後どのように移っていくか、その効果あるいは影響といったようなことも見定める必要があろうかと考えておりますが、そのような中で、また新しく生産増強対策、生産支持対策というものが何らか必要であるというようなことになるならば、それは競馬会の方の御意見も十分承って、私の方でもっても検討をしてまいりたいというふうに考えるところでございます。
  148. 野村光雄

    ○野村委員 いまの局長の御答弁を聞いておりますと、特段に軽種馬と銘打って予算計上というものはやっていない、ただ具体的な状態でこういうことをやっている、ああいうことをやっている、こんな話でございます。  軽種馬としてなぜ当初から事業なり計画なりをして予算をお組みにならないのですか。できないのですか。  もう一つは、草地の改良、こういう問題もいま触れておりました。いま局長おっしゃっていました。牛や何かをまぜながらというような話でございます。あなたのおっしゃったとおり、草地改良したくても、軽種馬生産農家だけでは資金が借りられない。仕方がないから、飼う必要もないような牛を飼って、酪農の形態を整えながら、いろんな資金を借り入れる、こういう苦慮をいましているのですよ。あなたの、いみじくも本音がいま出ておりましたけれども。  そういう、堂々と国にこれだけの財政上の貢献をしているんじゃないですか。あなたが、数が少ないから無視しているわけじゃない、小さいから無視しているんじゃない、こうは言っているけれども、たとえ小さくても、むしろ私から言うならば小さい数で、国に大きな貢献をしているのです。多くの人数で、たくさんの国の援助をして、わずかしか生産ができない、これはむしろマイナスでしょう。そういう点からいくならば、むしろ軽種馬生産農家として銘打って何の事業も予算も当初から組まないにもかかわらず、先ほど来言っておるように、これだけの大きな売り上げで国と地方財政に貢献しているじゃないですか。もうそろそろ当初から軽種馬生産農家のためということで計画的な事業なり予算を組むべきだと思いますけれども、どうなんですか。
  149. 杉山克己

    ○杉山政府委員 先ほど来申し上げておりますように、供給過剰という事態に直面してその対策をとったというのが最近の話であるわけでございます。そういう状況で、いままで推移してきた前提のもとでは、特別に行政上の措置として軽種馬のためのということで銘打った事業はとられていなかったところでございますし、今後それをどのように考えていくかということについては、確かに一般農業政策とのバランスという問題もいろいろあるわけでございますが、私ども実際にどのような要請が出てくるか、また中央競馬会あるいは関係する方面でどのような御意見をお持ちか、そういうことを十分見定めた上で今後検討していくべき課題だというふうに考えるところでございます。
  150. 野村光雄

    ○野村委員 やはりいまの御答弁を聞いていますと——中央競馬会の増田理事長さん、よく聞いておいていただきたい。中央競馬会なり生産者からいろいろな要請が出たらその上で検討し、計画をする、こういうことでございまして、みずからこの実態の中へ飛び込んで、農林省として軽種馬生産のために予算計上する考えはないんだ、どこまでも生産者団体なり中央競馬会からの要請を待って、こういうことでございますから、この問題は、さらに軽種馬生産団体なり、または中央競馬会なりが一体となって、運命共同体でございますところの生産者擁護のために立ち上がっていただきたい、こう私は副理事長にまずここで強くひとつ要望いたしておきます。  そこで、私は畜産局長にさらにお尋ねをいたしたいのでありますけれども農林省、畜産局も同じでございますが、すべての農畜産物というものは需要と供給のバランスというものを基本として生産計画というものを立てていくわけでございます。過剰生産ということで非常に切実な訴えを、一昨年来、日高におきましては危機突破大会までやって、ようやく生産調整費というものを獲得して、支出をしていただきました。これはこれなりに私は生産者にかわって厚くお礼を申し上げておきます。しかし、それで確かに一千頭からの生産調整というものは実現したわけでございますが、いま実際の生産者の置かれている立場は、局長、生産過剰だからお互いに自粛したい、しかし生産農家というものはほかの酪農地帯と違いまして経営面積は非常に少ないのであります。小さいのであります。狭いのであります。その狭い中で結局は、先ほど来申しましたように、馬小作というような立場の中で、しかも借金は数千万からの借金をしてしまった。しかし、いまさらこの軽種馬生産から酪農なり畑作なりに切りかえてみたところでこの借金は返せない。やはり軽種馬生産でしょった借金は軽種馬で返す以外にないんだ、結局は、縮小したくても、または畑作なり酪農に転換したくてもできないというのが偽らない実態、心情なのであります。  そこで私は、一番ここでやらなければならないことは、何といっても、先ほど来局長みずからが言っております過剰生産の実態をいかにして調整をとるか、これがこの苦境にあえぐ軽種馬生産の救済のまず第一、それから、せめて大幅な借金をしている利子の補給のためのお金を低利長期で貸してやることだ、この二つしかないと私は思っているのです、当面ですよ。  そこで、一体畜産局長としては、需要供給という立場から考えて、最も理想的な生産頭数というものは何頭ぐらいと考えていらっしゃるのか、この計画を示していただきたい。そしてその生産調整に対して、昨年と同様趣旨の生産調整費のための資金の援助をあわせてする考えはないのか、もう一つ、借金の利子補給のための長期、低利の融資をする考えはないのか、この点を救済対策として明確にひとつ示していただきたい。
  151. 杉山克己

    ○杉山政府委員 五十二年におきまして初めて競走馬の安定的供給体制を図るということでもってサラ系の繁殖雌馬について、この淘汰削減を行ったわけでございます。この削減頭数は一千頭でございます。この場合、じゃ繁殖雌馬の頭数はどの程度が妥当かということになりますと、一千頭のこの淘汰を行うときは、昭和五十二年末の全国サラ系繁殖雌馬の頭数は一万二千五百頭というふうに予定したわけでございます。私どもこれはもう少し長期的にその内容を洗っていく必要があるかと存じますが、現在のところこの一万二千五百頭水準で産まれるものを供給していくということでもってほぼ需給がつり合うのではないかというふうに考えております。  それから、これに対する対策でございますが、もちろん関係者が意思を一つにして強力な淘汰抑制を今後とも継続していくということが必要であると考えております。なかなかこの種の問題というのは油断をしておりますと抜け駆けをする、あるいは人に先んじて特別な措置を図るというようなものも出てこないではない。自分だけよければというようなことではなかなかこの生産調整というのはうまくいかないわけでございます。そういう意味で、組織を強固にして関係者の意欲を高める、自覚を高めるということを今後とも維持していかなければいけないと思っております。そのために、また具体的な助成する手段、これも講じていくことが必要でございます。  先般の生産調整に対しましては特別な融資を措置することにいたしまして、末端金利は年五%以内、償還期間は七年以内ということにいたしたわけでございます。これは据え置きの二年を含んでの七年以内でございます。償還の方法は元金均等償還、それから貸し付ける基準額は、廃用馬一頭当たり基準額二百万円ということで措置をいたしたところでございます。現在この措置を行っているところでございまして、これから先この維持あるいはさらに拡張というようなことが必要になってくるかもしれませんが、どのような形で推移していくかということについては現在の行っておりますところの成果を見守って、それに応じて対策を本格的に検討していく必要があろうかと考えております。  それから、そういうさしあたってのといいますか、同時にこれは基本的な私は対策であるというふうに考えておりますが、そういう需給調整の対策と並んで、現在までしょっているいわば焦げつきの負債みたいなものに対して何か救済策はないか、長期の融資は考えられないかというお話でございますが、私ども借金をしょっているという事実はわかっておりましても、それがどの程度か、また、いかなる性格のものであるか、その内容等については必ずしもつまびらかにしているわけではございません。それから、いま申し上げました生産体制を整えていくということによって、それをどのようにまたこなしていけるかということの見通しも立てる必要があろうかと思っております。したがいまして、先ほど申し上げましたような生産調整と関連するこれに対する特別融通制度についての今後の取り扱いについては、さらに検討を進め、場合によっては継続あるいは拡充ということも考えられるところでございますが、一般的な融資制度についてはこの場でまだお答えをする段階にはなっていないわけでございます。
  152. 野村光雄

    ○野村委員 生産者農家の経済状態がつまびらかでない、確かにいろいろな実態を、人の経済を調査するのは限度があると私は思います。しかし、全くもって漠然として、つまびらかでない、ただ、たくさんはありそうだ、私聞いておりますと人ごとみたいで、もう少し親身になって、関係団体なりそういう立場を通しながら可能な限り具体的な実態を速やかに把握をして、その上で私は対応できるものが出てくるのじゃないかと思いますけれども、もう一遍人ごとでなくて、実態というものを可能な限り調査をした上で、可能なものによっては対応するというような前向きな考えはないのですか、全然ないのですか。
  153. 杉山克己

    ○杉山政府委員 長期の融資制度というのは、きわめていろいろ前提といいますか、むずかしい条件のある話でございます。私、そういう意味で無責任にここでかっこうのいい、何かお約束しますというようなことはなかなか申し上げがたいという意味で答弁したわけでございますが、実態について確かに必ずしも細かいところまで十分掌握しているわけではございません。ですから、そのことをもっときちんと把握をする必要があるのではないか、それを調査せよという御意見、これはごもっともでございますし、私ども、きょうここでこういう問題も提起されていることでありますから、関係団体等を通じて実態についてはさらによく把握してまいりたいと考えます。
  154. 野村光雄

    ○野村委員 政務次官、よく聞いておいてください。先ほどから言っているように、いかに小さい団体であっても無視してないんだとは言っておりますけれども、結局とどのつまり、こうなっていきますと、私から言われて、これから改めて調査をしなければ対応策もできない、こういうことでございますので、政務次官、この実態調査というものはひとつこの場で責任を持っていただきたい、よろしゅうございますか。
  155. 今井勇

    今井政府委員 私も競馬馬のことについて熟知しているわけでもございませんが、いままでの応答を聞いておりましてややおぼろげながらにその実態がわかるような気がいたします。  私なりに考えますと、この競馬馬というのは大変玉のような、何と言うのでしょうか、どこにもある、ここにもあるというものではないように思います。それを生産される方々というのは、何と言いましょうか、その道の玄人であろうと思いますし、また、その道のベテランであろうと思うわけです。それだけに特殊性があって、かつては、局長の言葉をかりればブームがあったというわけで、それだけにそういうときには国の力など要らないんだというお気持ちもあったんじゃないかと思いますが、この機会に、この期に及びまして生産調整ということになりまして、やはり国の力をかりようじゃないかというふうになってまいったのではないかと私なりに理解しておるわけでございます。  しかし、その負債等の問題につきましては、おっしゃるとおり、これは確かめまして、その実態状況に応じてどうするかということは考えなければならぬだろうと思います。
  156. 野村光雄

    ○野村委員 政務次官から前向きな御答弁をいただきました。私の申し上げているのは、過去は確かにいろいろブームがあった、これは過去の問題であります。しかし、現実は現実でございまして、結局は、今後円滑な中央競馬というものを運営していくためには、生産者があって初めての中央競馬会なんです。先ほどから私がくどいように言っておりますが、そのわずかな競馬生産者がこれだけの貢献をしているのだから、過去はこうだったからもう知らないんだということではなくて、現実をもう一回確認した上で温かい手を差し伸べていただきたいということを言っているのでありまして、ぜひこれはひとつお願いをいたしたいのです。  次に、市場の利用対策についてお尋ねをしておきたい。これも政務次官、ちょっと聞いておいてください。わが国に、この軽種馬生産等の家畜取引市場というものが十三カ所ございます。そのうち北海道が六カ所あるわけでございます。そこで、この市場に出すのは前年度に生産されたものが出るわけでございますから、昭和五十二年に市場に出さなければならない馬が一万一千九百四十一頭いたわけでございます。ところが、この市場に正式に出て売買に出された馬が二万一千九百四十一頭の中でわずか二千二百九十一頭でございます。しかも、そのうち市場で正式に売買されましたのがわずか九百九十頭、結局は生産の一割にも満たない数字が公式な市場で取引されただけでございます。あとは全部庭先取引になっております。  生産者は、いまこの問題に対しまして、手塩にかけて育て上げたところの馬を何とか適正価格で売るためにはどうしても市場で取引をしたいんだ、これを望んでおります。しかし、この市場で取引することが、それ以前に庭先取引がされまして、結局は庭先取引によりましては非常に多額の費用がかかっている、ここを私は費用といたしておきます。こういうところに、馬小作である資本のない者ほど、過剰生産ですから、結局は市場で正規の適正価格で取引されるまで持てない、また、いろいろな事情がございまして、庭先で九〇%以上が取引され、そして売買に多額な費用がかかってしまって、皆さん方が考えるように生産者のふところには入っていない、概略つまんで言うと、こういう実情なんです。  そういうことで、ぜひひとつこの市場取引を、一遍に全部とは言わないから、この庭先販売が横行されてきたのは、これは買う方だけでなくて生産者にも責任があったんだ、こう言って生産者も反省しています。われわれも反省することは反省して改めるから、やはりこの際お互いのそういう過去のことはできるだけ反省しながら、ひとつできる限りの努力をするから、公式な市場で売買されるような対応策を政府もとってほしい、こう生産者から訴えられているわけでございますが、これに対する対応策を示していただきたいと思います。
  157. 杉山克己

    ○杉山政府委員 せっかく家畜取引所、市場が設けられておりますが、そこに上がってくる、取引される馬の数は少ない、これは先生が先ほどおっしゃられたような数字になっておって、全体の出るべき数の一割程度しか取引が成立していないという状況にあるわけでございます。私どもも、もう少しこういう多数の需要と供給がかち合って、そこで公正な価格形成が行われる市場というものがもっと活用されてほしいと望んでいるわけでございますが、それが十分に活用されないで、今日まだ利用率が全体としては一割くらいしか最終取引が実現していないということでございますが、これはいろいろな事情があると思います。いま先生御自身も指摘されたわけでございますが、買い手側の事情もありましょうし、生産者側の事情もあったと思います。生産者自身がなかなか市場に出すのを好まない。特に今日のように供給過剰というような事態になってまいりますと、自分だけ早く処分したい、それから早くという時期の問題だけでなしに、市場に出した場合に自分のようなところでつくっている特別にいい馬は、必ずしもそれにふさわしい高い額、望むような額がつけられない、それは一種の懸念かと思いますが、そういうような懸念もあったりして、市場に出すのを好まないというようなところもあるわけでございます。特定の売却ルートを持っていて、そこでは比較的よく引き取ってもらえるというような過去の実績もあるいはあったのかもしれません。そういうような従来の取引慣行、あるいは最近の供給過剰というものを反映して、なかなか生産者自身が市場に出したがらないという事情も一つあったわけでございます。  それからさらに、これも先ほど先生が仰せられましたが、競走馬の相当部分がいわゆる子分けという形で取引されておるわけでございます。雌馬を預って、それから生まれた子をもとの持ち主に戻す、あるいはほかへの売るにしてもその場合は売り上げを分収するというような形で、子分けという形で引き取り手が確定しているというような状況が多いということもあるわけでございます。  それからもう一つは、公開の市場に出しますと、取引の細部が衆目にさらされる、幾らでどのくらい売ったかというようなことがすべてわかってしまうということで、そういうふうに外に自分の手の内を知られることを好まないというようなこともいろいろあるわけでございます。  私どもとしては、やはり市場が公正に機能するんだということをきちんと生産者の皆さんにももう一遍認識していただく、そのわかっていただくための指導を行うということ、それから物的な施設としての市場整備を十分心がけるということ、これは国としても助成事業として行っているわけでございます。全体の市場を、弱小なものを整理して統合するということとあわせて、施設そのものを、物理的な施設を整備するということをやっているわけでございます。そういう施設を整備することによって、馬のように高価なものが粗末に扱われ、けがをするなどという事故の起こらないように十分これの手当てをしていくというような関係者の意識を高める指導、それから取り扱う市場の物的整備を図るということ、それと、何度も申し上げるようでございますが、先ほど来申し上げておりますように、基本的には供給過剰の事態を改善する、そういうことをかみ合わせて今後とも市場取引に上場される馬の頭数の拡大、上昇を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  158. 野村光雄

    ○野村委員 いま農林省関係局長答弁を聞いていますと、市場に出ない最大の理由は生産者が市場に出したがらない、こういうことを盛んに強調いたしておりますけれども、実は売り手と買い手ですから、政務次官、片っぽだけじゃないのですよ。私は、はっきり言っておきますけれども、それじゃ買い手はどうなっているのですか。こうなっているのですよ、私ははっきり言いますけれども。先ほど言いましたように、生産者とはいえども人の馬を預かっているから売買の権限はないのです。これがまず第一点。いい馬は買い手の方で、はなはだしいのは、はらみのうちから手がつけられている。これは売る意思なくたってこういうふうになってきている。売り手と買い手が必ずあるのですから。  もう一つは、一番の問題は、馬主といえども——御存じのとおり、調教師が中央競馬会に現在二百名おります。この調教師に対しては、馬房が約四千預けられておるわけです。馬というのは、御存じのとおり、一回馬房に入らないものは競馬に出場する資格はないのです。どんなすばらしい馬だと言ってもまず出場する資格をとるのには馬房に入れなければだめだ。その馬房へどの馬を入れるか、この権限はだれが持っておるのですか、調教師でしょう。いいですか。しかも、幅は四千頭しかない中央競馬、この狭き門の中にどう入るか、これが最大の根源なんです。私が言いたいことはいっぱいあるけれども、きょうは私は遠慮して言いませんけれども、非常に醜い取引が横行してきておる。ここから、市場に出る前に売買され、しかも適正な価格で取引がなかなかできないで、予想以上の売買に対する苦労と法外な費用がかかっておる。これが馬小作に全部しわ寄せとなってきておる、こういう実態なんです。  この実態に対して局長それから競馬会、反論するものがあったら言ってごらんなさい。答弁いただきたい。
  159. 杉山克己

    ○杉山政府委員 中央競馬について、調教師が馬の管理に強い発言権を持っておるということは、中央競馬に限らず、競馬そのものを公正に運営するということはきわめて大事なことでございまして、その立場からそういう調教師がきちんと管理する厩舎に一定期間入れた馬でなければ出走できないということになっておりますし、それは公正を保つという上で必要な措置であろうかというふうに考えておるわけでございます。ただ、今日のように供給過剰という事態が出てまいりまして、しかも全体としての馬房が少ないということになりますと、どの馬も入れられるという状況ではございませんので、どの馬を入れるかということについてそこに調教師に大きな責任、同時に権限が持たれるような状態になってまいったわけでございます。したがいまして、基本的には需給の調整を図るということが必要だということは何度も繰り返して申し上げるところでございますが、それと同時に、現在の厩舎につきましてもできるだけ供給を弾力的に運用するということは、公正を害しない限度において必要ではないかということで、中央競馬会に対してもいろいろ御相談申し上げて、たとえば正規の馬暦数のほかに一定の頭数についての預託を認めるというようなことにしてその不足を補うというような措置もとっているところであります。  調教師の行為について厳正公平を期するように指導監督するということについては、中央競馬会ともどもどもも十分努力していきたいと思います。
  160. 増田久

    増田参考人 先生御存じのとおり、中央競馬は法律で二百八十八日のレース日と決まっております。それはレース数にいたしますと、約三千得レースということに相なります。それで、大体一レース十頭平均出るのが実績でございまして、一頭が年十回走る、こういうことでございますから、中央競馬だけのレースをこなすためには約三千頭さえあれば十分需給上は間に合う、こういう実態があるわけでございます。その意味で、病気する馬、それから二歳馬、三歳馬という問題もございますから、そういうことを含めて中央競馬会は四千二百馬房ばかり現在用意しているわけでございます。  ですから、需給の上から申しますと、私の方は四千頭で間に合うということになると思うのです。しかし、レース数をいじらない限り需給の絶対数というものはいかんともなしがたい、需給の基本的な問題の一つがそこにある。しかも、馬主になりたい人が非常に多いとなりますと、どうしても調教師の優先的な地位がそこに出てくる。しかも、日本の馬主さんで現実に馬に詳しい方は必ずしも多いわけではない。したがって、馬の購入の際にはどうしても技術者としての調教師の助力をかりないわけにいかない。そういうことで、現実の取引の中にどうしても調教師が入ってくる、これは従来の線もあったと思いますけれども。そういうことがありまして、その間に調教師のとかくのうわさが流れてくるのは事実でございます。私の方でもそういううわさを聞きまして、四十九年からそういうことは絶対まかりならぬということで通達を出しまして、取引をした場合には必ず売買契約書を出させる、そういう博労行為があるならば免許の更新にも響かせるぞという措置を実はとっておりますけれども、率直に申し上げて、そのうわさを聞きつけて行って調べてみましても、現実になりますとなかなか真実はつかめないというのが実態でございます。
  161. 野村光雄

    ○野村委員 商売でやっておる調教師が、調べてすぐわかるようなへまをやるわけがないんじゃないですか、政務次官。私はこれ以上は触れませんけれども、私がなぜこの問題を取り上げるかというと、数少ない軽種馬生産農家が正規のせっかくの市場がありながらそこで売買できない。これは先ほど言いましたように、両方に責任がある。盛んに生産者、生産者と言っているけれども、両方なんだ。これを正規のやり方に戻すことが何といっても運営改善の最大の根本だ。そして、生産者が成り立つためにはやはり適正価格、計画的な生産調整だ。そのためには先ほど言ったように、過去は過去として現実に苦境にあえいでいる生産者にいま手を差し伸べなければならない。だから、私は言っているのであります。  もう時間がございませんから、最後に御質問をいたしたいことは、外国産馬の輸入問題でございます。先ほど中央競馬会増田理事長も触れておりましたけれども、私は外国産馬がレースに参加するということに対してはおのずから限度を加えなければならないと思っております。中央競馬会の趣旨からいきましても、競馬の開催の主たる目的は畜産振興ということがうたわれているわけでございます。競馬だけならば外国産馬を三千頭全部輸入してきて走らせても競馬はできる。こうなりますと、ギャンブルになります。それでなくても過剰生産で限られた馬房しかない。そこへもってきて、わざわざ外国から輸入してきてまでレースに参加させる。これでは生産者は何のための生産者かわからなくなる。  こういうことで、この外国産馬の輸入に対しましても厳しい限度というものを踏まえて、一頭もというわけにはいかないかもしれませんけれども、どこまでも生産者の立場に立った運営を図られたい、これに対するお考えをお聞きいたしたい。
  162. 杉山克己

    ○杉山政府委員 日本の競馬は日本で生産された馬をもって行うというのが基本的な立場であると存じます。ただ、日本の競馬を刺激するため、また優秀な種を入れるため外国産馬の導入も一部必要であろうというふうには考えますが、かつてブームのときは繁殖用の雌、それから直接競走用の雄、合わせまして四百頭以上の外国馬が四十七、八年のころ入れられたという実績がございます。今日は国内で供給が十分賄い得るというような状況、それから、そういう状況のもとにおいて外国馬を入れることは好ましくないということで中央競馬会におきましても指導をしておるということもございまして、五十二年は繁殖馬、競走馬合わせまして四十六頭と、かつてよりは大幅に減ってまいっておるわけでございます。まあ一頭も入れないということはなかなかむずかしゅうございますが、私どもも、今後これを大幅にふやすとか、こんな状況のもとにおいてさらに入ってくるということについては抑制する方向で指導を続けてまいりたいと考えております。
  163. 野村光雄

    ○野村委員 時間が来ましたので、最後に、政務次官にこの際強く御要望いたし、大臣にかわっての御決意のほどを承りたい。  約一時間二十分にわたりましての軽種馬生産の実態、中央競馬会のあり方、こういうもののやりとりを通じまして、失礼ではございますけれども政務次官という立場でさえも軽種馬問題は恐らくきょう初めてお耳になさったと思うのです。それぐらい認識がなかったのだということを率直に反省をしていただきたい。まして担当の局長の御答弁を聞いておりましたら、実態というものは全く知らないで机上のことしかわからない。生産者の本当の声、実情というものは、恐らく現地に行ったりして聞いたことはないだろうと思う。そこで、わが党といたしましても、ここにおります瀬野局長を初めといたしまして調査団が一昨年来二回にわたりまして軽種馬生産の苦境の実態調査いたしまして、改善策についていろいろな点で御協力申し上げてまいりました。そこで、改めて局長なら局長中心として軽種馬生産の実態調査をするために何人かの係官を現地に派遣するなりして、ぜひ本当の声を聞いていただきたい。本当の実情を責任者にじかに目で確かめていただいて、経種馬生産農家が今後の経営に希望を持っていそしんでいくことのできる対応策を打っていただきたい。ただいま申しましたような現地の農民の声を現地に行くなり何かして聞いていただく機会、調査をしていただく機会、こういう機会を改めてぜひ設けるべきだ、こう私は思いますけれども、ひとつ次官の責任ある御答弁と所信を承りたいと思います。
  164. 今井勇

    今井政府委員 恥ずかしながら、私もこの問題について十分に存じておりません。しかしながら、いままでの熱心な御討議を聞いておりまして、問題のありかがだんだんとわかってまいりました。言ってみれば、先ほどもここでちょっと御答弁申し上げましたが、どこにもある、ここにもあるというものでなくて、大変すぐれた、しかも希少価値のものをお育てになる、それを使うということであったろうと思うわけです。したがって、そういう道のベテランが手塩にかけて育てるということで、売買等についても特殊なルール、あるいは特殊な仕方というものがあったんだろうと思うわけでありますが、先ほど聞いておりますと、どうももろもろの問題の根源が生産過剰ということにあるようであります。したがって、この解消を図ろうということで、先生初め皆さんの御努力が実りまして生産調整をやっているわけのようであります。  したがいまして、いま先生の御提言を踏まえまして、私は、生産者だけではいかぬと思います、それにまつわるいろいろの問題、たとえばいま調教師の話が出ておりましたが、そういう問題を含めて、農林省としましても、その方法はまたひとつ十分研究させますが、調査をし、検討をし、先生の御要望に沿うような努力をさせたい、こう思います。
  165. 野村光雄

    ○野村委員 以上をもって、私の質問を終わります。
  166. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 津川武一君。
  167. 津川武一

    ○津川委員 きょうは、出かせぎ対策、出かせぎ者対策で若干のお尋ねをしてみたいと思います。  私も国会に出てから九年目になりますが、沖繩に出ても、鹿児島などに行きましても、東北に行きましても、かなりの相談を受けるのが出かせぎ者の相談でございます。この点で、私は、ここ九年くらいで、出かせぎ者の賃金不払いの相談を受けたのが一億五千万から二億近くになっていると思います。これは労働省のいろいろな御援助をいただいて、三分の二ぐらい解決していると思います。本当に労働省、お世話になっておりますし、御苦労さんでございます。出かせぎの留守家族にもたくさんの問題がありまして、この点では農林省のお世話にもたくさんなっております。幾つかの問題も解決されておって、よかったと思います。  そこで、昭和五十二年六月、青森県民生労働部出稼対策室が出かせぎ労働者就労動向調査をやって、その調査結果を発表しております。それによりますと、五十一年度で七万六千七百十四人の出かせぎ者が出ておって、減っているかと思っていますと、減っていません。この七万六千七百十四人のうちで、六年以上出かせぎしておる者、この六年以上の中には、二十年以上も出かせぎしておる人が七・八%もおります。これを含めて、六年以上出かせぎしておる人は、七万六千人の中で六二・一%になっております。六年以上もやっているという、これは大変な問題です。また、この出かせぎしておる人たちの一年、一年について見ると、六カ月以上出かせぎして十二カ月未満の人が九〇・六%になっております。一年のうち半分以上出かせぎに出ております。この一年のうち半分出かせぎに出ておる、こういう人たちに、これから出かせぎするのか、しなければならないのかと聞いたら、八八%の人がするつもりだと答えております。これが出かせぎ者の置かれている実態でございます。  出かせぎ者にとってみると、一年の半分以上、しかも六年から二十年という長期間にわたって、八八%の人がこういう状況のもとに生活しております。ここには家はございません。ふるさとはございません。この人たちにとって、生活の、仕事の本場が出かせぎでございます。自分の家はあるが、子供と一緒に暮らしていません。結婚していますが、奥さんと一緒に暮らしておりません。これが一つ実態でございます。  第二の実態は、出かせぎ者が出かせぎ先でやっておる生活はどうであるかという問題です。出かせぎ者の七六%は建設業の仕事をしておる、土工でございます。そして、その宿舎、私も四十数カ所の宿舎を見ています。彼らは飯場と言っております。その飯場に行ってみたら、十二畳間に八人、半畳の入り口がございます、畳半分のところ、そこに泥んこのついたくつがいっぱい入っている、こういうところに寝起きしております。そうして、汗で湿ったものがいっぱいかかっておって、汗のにおいがしております。これで光がさえぎられております。洗たく物をかけているので、また光がさえぎられております。押し入れが狭いので、持ってきたこうりや飲んだお酒の空びんがそこに敷かれております。一人で一畳半、そこにいろいろなものを置くために、布団はたたまれない、上げるところがないから、そのまま半分まくり上げられております。これが出かせぎ者の生活の実態でございます。御飯を食べるところ、食堂に行ってみましたら、こういう木のもっこがあって、そこにベニヤ板を渡して御飯を食べておって、おつゆが水平にならないために、支えていなければならぬというところがございます。ふろはそれでもあります、どこへ行っても。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 テレビは食堂にあるところもないところもあります。寝起きしておる一畳半の部屋に行ってみると、テレビがないところとあるところとございます。私は四十数カ所を見てみて、娯楽室のある飯場、面会室のある飯場、こういうものを見たことがありません。この中で、たった二回だけ、ピンポン台のあるところがございました。これがあの人たちの生活でございます。政府はこれを建設業附層寄宿舎と呼んでおりますが、寄宿舎どころか、飯場そのものでございます。  そして、もう一つの問題は、娯楽がどうかというと、疲れて帰ってくるので晩酌です。半分以上は晩酌しております。飲む酒にもいろいろな問題があるでしょうけれども。そして、時によると深酒になって、火事を起こして焼けて死んでおります。こういう場面に、出かせぎ者が死んだために、その後片づけをするために、私自身が出向いていったことが五回ございます。そうした中で、家族の間に夫婦別離だとか蒸発という状態も出ております。  こういう生活をしておる人が政府の統計でも五十万、六十万、私たちはいまでも百万を超しておると思いますが、おるわけです。国民の中にこういう人がいる。憲法の第三十五条では、健康にして文化的な生活を営む権利が明記されております。親子ともどもに住む、夫婦が同居する、娯楽も文化もある生活、人間性がそこににじみ出るような生活脅しなければなりません。この状態に対して政府はどう考えておるのか。もう少し人間らしい生活、子供と一緒に暮らせる生活、夫婦同居できるような生活、生きがいのある、教養のある、休息のある生活ができなければならないと思いますが、政府の見解を伺わしていただきます。これが一点。  第二点。出かせぎ者のいろいろな要求を開くと、政府のどこに行けばいいかわからないんだ。この質問をするためにも、労働省農林省と総理府に来ていただいたんだ。この子供と一緒に生活する、夫婦同居する、そして娯楽もある、生きがいもある、教養もある人間らしい生活を営む、憲法二十五条にある生活を営むというのをどこに質問したらいいのかと言ったら、労働省はおれの方では困る、労働条件ならいいと言う。農林省は留守家族のことならいい、出かせぎ者の営農指導ならよろしい。総理府、だれも答える人がないと言う、それを扱っている場面がないと言う。だから、出かせぎ者の要求大会を開いて政府に行くと、労働省厚生省農林省や大蔵省やいろんなところにばらまかれていくが、根本問題の人間の生き方というところを持っていき場所がないわけです。この点でどこに持っていけばいいのか、こういう持っていき場所、この点、幸い今井政務次官がおいでになっておるから、政府のこういう対策、憲法二十五条のことを出かせぎ者に対してやるところを、次官会議でもいいからひとつ決めていただく。そうでないとどうにもならないという状況なんです。  こういう大きな二点について答えていただきます。
  168. 今井勇

    今井政府委員 御所論に対して御答弁を申し上げますが、その前に、私実は政府委員でございまして国務大臣でないものですから、政府の意見というのは申し上げる立場にございません。せいぜいいまの先住の御提案のように、政務次官会議等でひとつお諮りをしてみるということでございますので、あらかじめ私の答弁に限度がございますことをお含みおき賜りたいと存じます。  まず第一点の問題でございますが、出かせぎ、特にそれが長期にわたりまして家族を留守にするということが好ましいということは、これはだれしも考えないことでございます。そこで、農林省としては精いっぱいの努力ということで、農業所得をふやそうじゃないかということでいろいろ施策考えておりますことは先生御案内のとおりでございます。残念ながら、わが国の場合には耕地面積に限度がありますことなどで、やはり農業の所得につきましては年々増大はしておりますけれども、限度がございます。一方また、生活の様式なり生活に対する内容の向上というようなものは時とともに向上するわけでございますから、したがって、どうしてもそこにギャップが出てくることは、これは否めない事実でございます。そういうことからして、農民の諸君が出かせぎという形に行くわけでございます。  したがって、農林省等では、農外所得を得るにいたしますにしても、少なくも自分の家から通っていけるようなところという意味で、公共事業等をあれこれ考えるわけでありますが、それでも十分吸収されない部門が結局都会で出かせぎということになるわけでございます。したがって、その出かせぎの中の生活様式等についてはやはり各省にまたがるものでございますから、いろいろお願いをいたしまして、先生の御心配が少しでも軽減するような形の努力をいたしておるわけでございますが、十分でないという御指摘につきましては、これはやはり否定をするわけにはまいらない一面があろうかと存じます。  なお一層今後とも各省とも密接な連絡のもとに、出かせぎ者が安心して所得の向上を図れるような形の努力をいたしたいと思います。  それから、総合的な施策をするところがないとおっしゃることで、これはやはり縦割り行政のわが国の行政機関としてはいたし方のないところでございましょう。そういうふうなものにつきましては、総理府というようなものが中心となって各省の連絡をとるということが考えられるものであろうと思いますので、ひとつそのような方向で、現在もやっておるものだと私は存じておりますが、なお一層の努力をいたしてみたいと存じます。
  169. 津川武一

    ○津川委員 今井さん、子供さんの入学式のとき、卒業式のときぐらいは親子一緒にさせたいと思っているのです。三カ月に一遍ぐらい夫婦生活できるようなことにしたいと思っている。こういう子供と一緒になって話し合う時間とか、夫婦のそういうこと、これをどこへおねだりしに行ってもどこも答えてくれないのですよ。そこいらをやるところを、今井さんは各省みんなやってくれると言うが、それはいいのです。ところが、こういうことになってくるとどうにもしようがない、こういう点が問題なんです。もう一つは、しかも二十歳前後の青年が出かせぎして晩酌やってときにパチンコをやる。この人たちが青年の娯楽、青年の教養、人生の生きがい、こんなことを話し合う場合も何もないのです。これを持っていってもどこも受け付けてくれるところがない。  したがって、もう一度今井さんにお願いするのは、この三点あたりをどこで受け付けてくれるかということを決めて、私たちに教えていただければいいと思うのです。いますぐ返事できないと思うのですが、ここで一番えらい人が今井さんだものだから今井さんに聞くほかはないのですが、ひとつもう一回答えていただきます。
  170. 今井勇

    今井政府委員 先ほども答弁申し上げましたように、先生おっしゃるとおり、多方面にわたりますことはそのとおりでございますが、その主たるものはやはり労働条件であろうかと思います。したがって、そういうことから言えば労働省というお役所があるわけでございますから、ひとつそこあたりが中心になってなさることが最もよろしいのじゃないかというふうに私自身は思いますが、これは政務次官会議もございますので、ひとつまたその場でお諮りをしてみたいと思います。
  171. 津川武一

    ○津川委員 そこで、労働省ですが、建設業の附属寄宿舎規程、これだとどのくらいの空間が認められているか、規程があったら教えていただきたい。時間がないから、私からしゃべりましょうか。  二・五平米、これだと〇・八坪ですよ。骨の数にすると一・六号、最低がこれで、これ以上なければならぬ。ほかの事業所だとこれよりも広いところがあるし、押し入れもちゃんとある。出かせぎ者の飯場の押し入れというのは、さっき話したとおり、玄関の入り口のところの戸口、何もないから、十人いるところ、八人いるところが半畳なんです。そこで寝たときぶつかるからふとんをまくり上げて行かなければならぬ。これが出かせぎ者の生活の現状で、この改善を私は前に頼んだのだけれども、ナシのつぶてなんです。賃金不払いや労働災害のときはうんとお世話になっていますけれども、個々の生活の点になってくると労働省もなかなかみこし上げてくれない。せめてこの二・五平米というものだけでも解決していただいたならば、押し入れその他を除いてということで、その部屋の中に十分な物をしまっておくようなものがあったならば、靴などを置くところがあったならば、汗ばんだものを乾かすところ、かけておくところがあったならば、あの生活はもう少しよくなるのです。  この建設業附属寄宿舎の改善に対して、今度こそみこしを上げていただかなければならないと思いますが、労働省から答えていただきます。
  172. 小粥義朗

    ○小粥説明員 建設業の附属寄宿舎規程によりますと、いま先生おっしゃいましたように、寝室の面積としては一人当たり二・五平米を最低基準とするということに決めてございます。その場合、当然それ以外に押し入れというようなものを、物を入れられるようなものを設けることということは規定してございますけれども、じゃ具体的にそれらの押し入れ等がどの程度のものでなければならないかというところまでは規定いたしておりません。  それで、その二・五平米が適当かどうかという問題があるわけでございますが、実は建設業の附属寄宿舎は、事業が有期の事業でございますので、その工事が終わるまでの間の仮設建設物という前提に立って決められているわけでございます。それ以外の他の産業の附属寄宿舎の場合、これは別に事業附属寄宿舎規程が基準法に基づいてあるわけでございますが、そちらの場合も、寝室についての居住西積は一人当たり二・五平米ということになっておりますので、建設業についてのみこれを変えるということはなかなかむずかしい問題があるわけでございます。  といって、それが実際問題狭いじゃないか、あるいは居住条件としてそれで十分かどうかという問題もございますので、この基準法に基づきます規則そのものは、これは罰則つきの規則でございますから、他の一般の事業附属寄宿舎の問題とあわせて考えなければならない問題があるわけでございますが、建設業の附属寄宿舎に関しましては、別途、建設雇用改善法がおととし施行されておりまして、それに基づいて、建設業の使用者が寄宿舎をつくる場合に、それに対する助成金を支給して、できるだけ居住条件のいい寄宿舎をつくっていこうということにいたしております。その助成金の対象となる寄宿舎としては、少なくとも一人当たり三・三平米、つまり一坪以上の居住面積を持つようなものについて助成をしていこうというようなことで、一昨年来、建設の雇用改善法に基づきます助成業務というものもやっておりますので、そうしたものを通じてさらに居住環境をよくするようにしていきたいというように考えております。
  173. 津川武一

    ○津川委員 今井政務次官、いまの答弁聞いてくださいましたか。出かせぎ者のは仮設だ、臨時だと言っている。だから、労働省は問題解決できない。だから、私はこの話をしたのだ。六年から二十年、六カ月から十二カ月の間、八八%の人が、ふるさとが仮の宿でそこが生活の本場であるというこの認識が労働省にないのだ。一番悪かったのは三井建設の飯場、一番よかったのは日通。ここは四畳半に一人入れています。事業所によって非常に違ってくる。天下の三井建設の飯場が一番悪いのですよ。これを労働省が、いまみたいなかっこうで臨時だ、一時だと言う。そして、物置も倉庫もない、くつの入れ場もない。それで最低二・五平米のところに置くと言う。  労働省にもう一回再考を促さなければならぬ。このままでいいと言う。現場見たことがありますか。一緒に連れていってもいいですよ。このままで済まされないと思うが、いかがでございます。
  174. 小粥義朗

    ○小粥説明員 建設業の附属寄宿舎は仮設を前提にしているという点でのその考え方自体が実際に合っていないという御指摘がございましたが、事業附属寄宿舎規程も一種、二種と分けておりまして、二種の場合は、どちらかといえば期間が限られた者という居住者を対象としてつくるということにして、やはり同じような基準を決めている向きもあるものでございますから、建設業について従来そういう形で規則ができておるわけでございます。  それに対して、実際に現場を見なければその悲惨な状態がわからないというような御指摘もございましたが、私ども監督機関としても、建設業の附属寄宿舎にいろいろ問題があるということは問題意識を持っておりまして、したがって昨年九月から十月にかけても全国の監督機関を使って一斉に建設業の附属寄宿舎の監督をやったわけでございまして、その中で法違反、規則違反とはっきり言えるものと、そこに至らないまでもこういうところは直した方がいいというような点も含めて指導いたしているわけでございます。そうしたことを通じてさらに居住条件をよくしていくように努力をしたいと思っております。
  175. 津川武一

    ○津川委員 私は余り大きな声を出して、感情を表面に出して質問する人じゃないんだけれども労働省、私が言っているのは二・五平米がいけないと言っているのよ。あなたは、それは規則だからいいと言っているのよ。考え直せと言っているんだよ。わからないのかい。三井建設の手先になっているのかい、こういうことなんです。このことを指摘して、これではいけないので、今井政務次官に、これは労働省の次官なんかと話をしていただくように、いまの答弁、ひどい答弁ですよ。  もう一つ労働省に聞く。出かせぎ者は季節工。たとえば、トヨタ自動車のところへ行ってみました。本工には通勤手当がある。出かせぎ者にはない。本工には住宅手当がある。出かせぎ者は、住宅手当を飯場で払っている。本工にはボーナスがある。出かせぎ者にはボーナスがない。本工には退職手当がある。出かせぎ者には退職手当がない。本工では雇用保険、いままで失業保険といったものが三百日、出かせぎ者は五十日。これが実態なんです。しかし、企業によっては、多少の通勤手当や幾らかのボーナスや幾らかの退職手当を出しているところもあるけれども、全体としては出していない。ここに同じ労働に対して社会福祉的な面が全くない、労働福祉面が全くないというのが実態。  あなたの口からこの実態を聞こうと思ったんだけれども、時間がないので、したがって、出かせぎ労働者、季節労働者にこういう点で待遇改善しなければならぬと思います。個々の問題は要りません。こういう点で待遇改善が必要と思いますが、労働省が企業を指導してなりそういう考えがあるかどうか、お尋ねします。これが一つ。  今井さんに、日本のソニーでもそうです。トヨタ自動車、日産自動車、いま円高で集中豪雨的な輸出能力を持って問題を起こしているが、この臨時工、出かせぎ者にこのような形で労働福祉が、労働者に対する使用者側の投資がない、これが根本原因にあると思います。そこで、円高の問題を解決するために、季節工の出かせぎ者を含めてのこの点での対策論議が必要と思いますが、この点も政府機関で検討していただきたい。  時間があと五分ですという紙が来ましたので、もう一つの問題は農林省。青森県のこの調査で見ますと、なぜ出かせぎに行くかという点で、農業だけでは生活が苦しい、機械導入のために経費がかかる、田畑などをもっと多く使いたい、農業機械の導入によって時間の余裕があるから、何とかほかに仕事がないかという、かなり農業上の問題が出てまいります。したがって、私は、出かせぎ者を地元に置くためには、いま農林省が公共事業でやっているいろいろな事業、灌排だとかいろいろな土地構造改善事業がありますので、ここいらあたり出かせぎ者を中心にというとかなりめんどうがあるかもわからぬけれども、主に使っていただくような指導方針を出していただく、複合農業だとか機械化のためのいろいろな便宜を図ってやることが、やはり出かせぎを少なくする、地元で定着する道じゃないかと思うのですが、ここいらでひとつ農林省の指導方針を聞かせていただきたい。  三つの点を重ねてしまいましたが、まず労働省に、その次は今井政務次官に、それから農林省お答え願います。
  176. 小粥義朗

    ○小粥説明員 通勤手当、住宅手当につきましては、現場まで労働者をマイクロバスで運ぶとか、あるいは事業所での寄宿舎があるとかいうことで支給されている事例はないのでございますが、たとえば有給休暇は出かせぎ労働者の場合にはないというような実態もございますので、これは監督機関として事業所を指導する際に、少なくとも月一回の有給休暇は与えられるようにというようなことも、出かせぎ労働者の受け入れ地の監督機関では指導いたしているところでございます。  それから、退職金につきましては、これは先生御承知かと思いますが、建設業に働いている場合は建設業の退職金共済制度がございます。まだ、必ずしも全部が全部入っているというわけにもまいりませんけれども、できるだけ加入漏れがないように、これはもちろん任意加入でございますが、加入した人に対してもまた印紙が貼付されないというような問題もございますので、そうした点を含めて、できるだけその建設業の退職金共済制度の適用が受けられるように、私どもの方としても指導を進めてまいりたいと思っております。
  177. 今井勇

    今井政府委員 私に対する御質疑がございました。これはもうまさに労働条件の改善の問題でございまして、私ども農林省サイドからいえば、本当に農民の諸君がやむを得ず出かせぎをする場合の労働条件の改善については、ぜひひとつなお一層の改善をしてほしいということをお願いする以外はないだろうと思います。  それから、最後の第三点の問題はまさにそのとおりでございまして、私のところでもそうでありますが、基盤整備はまさに農民諸君そのものの、何といいましょうか、労働を多投するものでございまして、機械を余り使えませんし、労働力を使うわけでありますから、しかもまた建設業そのものにとりましてもそういった皆さんの協力といいましょうか、それがなければ実際仕事ができないわけでございまして、こういう仕事を多くやることによってはるばる出かせぎしなくても、その土地で仕事を、就労の機会を得るようにということで一層努めておるところでございまして、これはまさに先生のおっしゃるとおりであろうと思います。
  178. 津川武一

    ○津川委員 労働省、経営者は退職手当の資本は自分で出しますよ。出かせぎ者には自分たちに掛けさせて退職金制度なんて言う。そんなことをぼくは聞いているのじゃないの。資本を、労働条件を本工と同じようにするように指導せいと言っているの。それに現行法であるからいいなどと言ってぬけぬけと逃げている。したがって、これは答弁としてはどうしてもいただけません。  そこで、通勤手当、住宅手当、有給休暇、そういう点の問題、退職手当、ボーナス、そして雇用保険、いままでの失業保険、これは五十日を九十日にとりあえずするなどということは、いまのあなたでは、現行法規だけ説明してこれでいいと言っているのだから、答弁になりません。この次もう一回、社会労働委員会かこの委員会労働省にもう少しやることを通告しておいて、時間が来たので、私の質問は終わります。
  179. 中尾栄一

    中尾委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時五十四分散会