運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1978-04-07 第84回国会 衆議院 農林水産委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月七日(金曜日)     午後一時五十一分開議  出席委員    委員長 中尾 栄一君    理事 片岡 清一君 理事 羽田  孜君    理事 林  義郎君 理事 山崎平八郎君    理事 竹内  猛君 理事 瀬野栄次郎君    理事 稲富 稜人君       加藤 紘一君    熊谷 義雄君       佐藤  隆君    玉沢徳一郎君       羽田野忠文君    平泉  渉君       森   清君    森田 欽二君       角屋堅次郎君    柴田 健治君       新盛 辰雄君    野坂 浩賢君       芳賀  貢君    武田 一夫君       津川 武一君  出席国務大臣         農 林 大 臣 中川 一郎君  出席政府委員         農林大臣官房長 松本 作衞君         水産庁長官   森  整治君  委員外出席者         外務省欧亜局外         務参事官    加藤 吉弥君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(日ソ漁業問題)      ————◇—————
  2. 中尾栄一

    中尾委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。芳賀貢君。
  3. 芳賀貢

    芳賀委員 農林大臣におかれては、来週十一日、政府を代表して訪ソをいたしまして、懸案の一九七八年における日ソ間の漁業交渉に出向かれるわけでございますが、この際、出発に先立って、今日までの両国間における交渉経過あるいはその内容、さらに、大臣政府を代表して出発するわけでありますからして、その確固たる方針等について、委員会に明らかにしてもらいたいと思います。
  4. 中川一郎

    中川国務大臣 御承知のように、日ソ間のサケマス問題は、長い間いろいろと経緯があったわけでございます。  そこで、昨年は特に二百海里の問題等々がありまして、二百海里ではとれないけれども、公海において一定の条件で六万二千トンということで何とかしのいだわけでございますが、今年につきましては、昨年来お話があり、二月十五日から両国代表話し合いをいたしましたが、冒頭ソビエトから、沖取りは差し控えたい、こういう厳しいお話が出まして、非常にわが国としては当惑いたしたのでございますが、その後、代表団話し合いにより、沖取りは明年は認めるというところまで来まして、さらにその後、内村前次官が私の代理ということで訪ソいたしまして交渉いたしました結果、先般、漁獲量については、昨年の六万二千トンに見合うものとして三万五千五百トン、その上に、操業区域、いわゆる三角水域という一番大事な地域での操業はこれを差し控える、さらに漁期につきましても、最後が八月十日までとなっておりますものを、七月一日までということでございますので、四十日間漁期が後半において短縮をしなければならぬ、こういう条件が出たわけでございます。  この背景はソビエト考え方によるものでありますが、そのまた根底をなすものは、二百海里時代を迎えて、二百海里の魚は自分のものである、沿岸国のものであるということ、加えまして、遡河性サケマスのようなものは母川国帰属をするんだ、こういう考え方が強くなり、そういう考え方のもとに、厳しい姿勢で出てきておるというのが現状でございます。  しかし、わが国といたしましては、特にあの水域におけるサケマスは長年伝統を持ったわが国開発をしてまいりました漁場であり、しかも公海であり、わが国にとっては欠かすことのできない基本的に大事な資源でございますので、どうかしてこれは昨年の実績だけは確保したい、そして漁民にこたえ、またサケマス資源を維持したい、こういう基本的考え方に立って今日まで交渉してまいりましたが、この上とも、特に十一日から、皆さんの激励を受けながら、また政府ともよく相談をいたしまして出発をいたし、できるならば数日間のうちに決着を得たい、そして漁民に安心をしていただくと同時に、わが国の基本的な、いま言った昨年程度実績を確保するように最善を尽くしたい、こう思っておるところでございます。
  5. 芳賀貢

    芳賀委員 まず第一にお尋ねする点は、今回の交渉は、一九五六年に締結された日ソ漁業条約、これが昨年の四月に、ソ連側条約に基づいて廃棄通告日本にいたしておるわけです。これに基づきますと、今月四月二十九日をもって日ソ漁業条約効力を失う、つまり失効するということになるわけです。したがって、四月二十九日までは現行条約効力期間内にあるわけでして、政府としては、恐らく今回の交渉なるものが、二十二年続きました日ソ漁業条約の最終的な交渉ということにもなるとわれわれは考えるわけです。したがって、政府としても相当確固たる方針と決断をもって臨むということが必要だと思うわけです。  それからまた、不幸にして交渉が順調に進まないと、四月二十九日をさらに経過するということになれば、今度は無条約時代に入るわけでありますからして、そうなれば、日ソ漁業交渉というのは北西太平洋水域における公海サケマス漁業についての協定ということになるわけで、万一、四月二十九日までに新しい協定等が締結されないという場合には、当然、無条約時代において公海における漁業操業の自由の原則というものを踏まえ、日本としてもその方針というものを国益に沿って明らかにする、そういう場合もあり得るとこれは考えなければならぬと思うわけです。その点については政府としてはどういう基本的な方針をもって対処するか、その点をお尋ねいたします。
  6. 中川一郎

    中川国務大臣 御指摘のとおり、いまの条約は今年四月二十九日をもってこれが失効する、こういう向こうからの申し出もありますので、そういうことになるわけでございます。したがいまして、それまでの間に新しい日ソ間のサケマスに関する公海上の条約、すなわち日ソ漁業協力協定と申しておりますが、これができないことになれば無条約状態ということになり、理論上は、公海でございますから、話し合いがないわけですから、出漁しても、ということにはなりますが、実体上そういうことになり得るかどうか、これはまた非常にむずかしいところでございますので、そういったことを避けるために、どうしても二十九日までに、すなわちいまの条約失効しますまでの間に話し合いをつけたい。そのためには四月の中旬までに話し合いをつけ、その後国会の御承認もいただいて、実体失効時期がないようにしたいものだな、こういうことに考えて、十一日訪ソするのも、まさに失効状態がないということを念願して日にちを決めたわけでございます。もしできない場合は、理論上はそういうことになりますが、実体上はいかがなるかということでございますので、そういうことのないようにいたしたいものだ、こう思っておるわけでございます。
  7. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで、一番大事なことは、今後いろいろな場合にこれはあり得ることですが、日本として公海における漁業操業自由、これは原則的に公海における操業は自由であるという原則規定を置くか置かぬかということが問題なんです。  ソ連の場合は、昨年最高幹部会令の中にも、サケマス魚類は遡河性魚類であって、その帰属は、たとえば経過的には公海を回遊する時期もあるが、当然、母なる川の母川に帰るという習性を持っておるのであって、ソ連河川から大洋に出てまた河川に帰るこのサケマスについては、あくまでも母川国主義母川国帰属する、こういう権利を明確に主張しておるわけです。  日本の場合には、これに対応する原則というものをまだ示していないのですから、ソ連側が言うとおり、そのとおりでございますということになれば、今後の交渉というものは非常に軟弱姿勢で、向こう側言い分どおりに何とかお願いしますということに終わると思うのですよ。だから、公海における操業漁業権限というものは日本においてどうであるか、これはやはり明確にして出発する必要があると思うのです。その点はどうですか。
  8. 中川一郎

    中川国務大臣 わが国立場としては、御指摘のとおり、公海における操業は自由であるという立場をとりますけれども御承知のように、ソビエト最高幹部会令によって、公海上のものは自分のものである、母川国帰属する、これはソビエトだけじゃなくて、アメリカにおいてもそういうことになっておりますし、それから海洋法においても、これはまだもちろん決まっておりませんが、そういう傾向になっておりますから、仮にわが方が公海は自由であると言いましても、向こう公海におけるサケマス母川国主義であるから、おまえの言い分はだめだということになって退けられる、こういうことになり、そこに、理論上は先ほど言ったように公海は自由でありますから出漁はできますけれども、相手国の側が、アメリカソビエトもそうでございますが、母川国主義である、よって自由な操業は認めないという食い違いができますので、そこで実体上どうなるのかなということで、厳しく受けとめておるわけでございます。わが国主張はもとよりそうでございますし、公海は自由であるから、そういうことを言うのは当を得ていない、こういう前提でスタートすることは間違いありませんけれども、それが受け入れられないところにこの交渉のむずかしさがあるというわけでございます。
  9. 芳賀貢

    芳賀委員 大臣、この点は重大ですよ。単に中川一郎個人の資格で行くわけではないのです。日本国政府を代表して、特に外交にわたる権限というのは政府間にあるわけです。その場合、ソ連やあるいはアメリカにおいては、サケマスについては母川主義だということを主張しておる、これを前段では認めておるというような発言があったが、後段においては、日本としては自由の原則の上に立って出かけるというような趣旨の発言もしたわけですが、こういう点は何もあいまいにする必要はないじゃないですか。わが国においてはこういう原則の上に立って交渉に臨むとかいうことはこれは明確にして、向こうへ行ってから、相手があることですからして、対等の立場あるいは善隣友好立場に立って十分な話し合いをするというのが至当じゃないですか。福田内閣としては、ソ連アメリカ主張を認めるという立場に立っているのですか。
  10. 中川一郎

    中川国務大臣 わが国が認める、認めないと言っても、向こうの一方的宣言でございますから、それはいかぬと言ってみても、向こうがのんでくれて初めて成立することであって、交渉に臨む姿勢としては、公海であるから操業は自由であるはずだ、こういう前提のもとに話し合いをする。最初から弱かったと言いますから、最初も、理論上は公海であるから出漁できるが、実体上が伴うかどうかという問題がありますのでと、こういうふうに申し上げたつもりで、わが国としては、公海操業自由である、こういう原則交渉に臨む、こういうことであります。
  11. 芳賀貢

    芳賀委員 これは一国務大臣に聞くのは無理かもしれませんが、政府を代表して行くわけでしょう。政府として、公海における漁業の自由の原則、これは国家として主張すべき権限として明確にできるかどうかということなんですよ。それは相手が、ソ連アメリカがこれは母川国主義だということを明確に一方的に主張しておるわけでしょう。日本側においては、そのとおりでありますということになれば、同様の解釈の上に立って、日本においても母川国主義でありますということで臨むことができるが、異なった立場ということになれば、これは出発前であっても明確にしなければならぬじゃないですか。その点が明確にできないということになると、政府としての責任はどこにあるかということになるんですよ。
  12. 森整治

    ○森(整)政府委員 先生指摘の、要するに遡河性魚種については多少事情が異なっておりまして、いわゆる母川国主義というのが一般論として言われておるわけでございます。そのニュアンスの違いというのは各国によって違うと思います。たとえば日本でも漁業水域法で、「我が国は、漁業水域外側海域(外国の内水、領海及び漁業水域に相当する海域を除く。)においても我が国の内水面において産卵する溯(さく河性魚種については管轄権を有するとの見地から、国際的協調の下に、当該海域における溯(さく河性魚種の適切な保存及び管理に努めるものとする。」ということで、一応わが国もそういう主張なりというものを持っておるわけでございます。  したがいまして、今回の交渉に当たりましては、いろいろ公海上におきますソ連幹部会令主張があるわけでございますが、にもかかわらず、わが国の伝統的な漁業というものは尊重すべきであるということを終始主張をし続けてきておるわけでございまして、今回もその立場から、一応母川国主義というものはあるであろう、わが国もそれを考えておる、しかしやはり伝統的な漁法でずっといままでとってきた実績というものは認めるべきではないか、またそれは母川国主義をとりながら資源の保護を今後お互いにやっていけば両立し得るのだということを何回も強調しているわけでございます。そういう主張をしておるというふうに御理解いただきたいと思います。
  13. 芳賀貢

    芳賀委員 この点は非常に重要ですから、あくまでも日本国としての、政府方針を貫いた上に立って十分な交渉を進めてもらいたいと思います。  それから今度の交渉に先立って、日米加漁業条約に基づく交渉が本年は二月九日に合意に達しておるわけです。これも北西太平洋水域と接続しているわけですね、北太平洋区域ですから。この日米加交渉の結果を見ても、昨年に比べると非常に後退しておるわけです。漁業水域にしても、必然的に漁獲量の問題にしても、あるいはいつからいつまでという大事な操業期間ですね、こういう点について大臣としても頭に入れて行かないと、日ソ間の交渉だけというものじゃないですから。恐らく相手方は、日米加交渉あるいは合意の結果がこうなったじゃないか——これに関連する水域、あるいは先方の二百海里水域内とか公海におけるとか、そういう点は当然、いままでも農林省から松浦部長とかあるいは現在は農林省顧問として内村君が農林大臣代理で行っていますけれども、この際、日米加交渉合意内容を、操業水域操業期間漁獲量について明快にしておいてもらいたいと思います。
  14. 中川一郎

    中川国務大臣 日米加についても、御指摘のように、二月に基本的に話し合いがついて、先般来最終の詰めを行っておったわけでございますが、事務的にいろいろと話し合いをしなければならない点もありました。幸いにいたしましてその点も合意に達し、調印の運びになるところでございましたが、イルカの問題があって若干おくれており、今朝四時だと聞いておりますが、調印はカナダの関係で若干おくれますけれども、すべて合意に達したということで内外に宣明することになっているわけでございます。いずれ機会をとらえて正式調印ということになります。  いずれにしましても、このようなことで日米加については話し合いがついた。そしてまた内容は、若干というか、かなり漁区あるいは漁期において制限はございましたが、従来の漁船による操業、そして実績とそう変わらない見通しがほぼついたわけでございます。日ソ間におきましても、もちろん日米加交渉を踏まえて、このようなことで話し合いがついておるのであるからということで折衝することは当然でございます。日米加の場合は、漁獲量については決めておりませんので、時期と漁区についての話し合いでございます。日ソにおいては、時期、漁区のみならず漁獲量規制問題等もございますが、日米加よりは非常に厳しい内容になっており、しかも、先般提案のありました案は、現在の操業がとてもできないという内容の非常に厳しいものでございますので、アドバイスがありましたように、日米加交渉経緯ももちろん説明を申し上げてソビエト側の理解を得たい、こう思っております。
  15. 芳賀貢

    芳賀委員 農林大臣日米加合意内容をまだ具体的に認識されておらないようです。これは出発までにはしっかり頭に入れて行ってもらわなければならぬですけれども、この際は担当の水産庁長官から内容について明確にしてもらいたいと思います。
  16. 森整治

    ○森(整)政府委員 従来ありました西経百七十五度の線を東経百七十五度に引く、その以西ということが一つでございます。それから、従来A区域と称せられておりましたところのうちの、これはなかなか言葉ではあれでございますが、アリューシャン列島の二百海里の外側、それからソ連の二百海里の外側、それから、何というんですか、アラスカの二百海里の外側ということで三角区域になりますが、そういうところで大体六月のたとえば一日とか二十六日とか、この区域マスノスケがとれるところでありますが、そういうようなことで、それをなるたけ避けるということで、いろいろ操業的な期日の制約が設けられる。それから、操業回数。いま母船が六隻ございますが、その母船操業回数がいろいろな規制を受けるというようなことがございます。それから、東経百七十五度以西区域につきましても若干の出漁規制がある。そういうような形での実質合意を見ておる。  だから、先ほど大臣から申されましたように、数量的なクォータの規制というのはございません。区域操業の、何というのですか、回数みたいな制限が設けられたということで、その限りにおきましては、昨年四船団減船を行いまして現在六船団ございますが、それと例の太平洋中型流し網漁業基地独航船、これも二割程度削減を受けましたけれども、現在残った船の操業につきましては、まあこれで一応いけるのじゃないだろうかという見通しを持っておったわけでございます。  今後は、したがいまして、あと日ソ間の交渉によりまして、過去の操業を確保していくという交渉をなお続けたいと考えておるのが現状でございます。
  17. 芳賀貢

    芳賀委員 いまの説明は、まことに具体的な説明とはほど遠いわけです。いいですか、昨年までは自発的な抑止ラインというのが西経百七十五度の線だったわけでしょう。それが今度は百八十度線を越えてさらに西へ後退をして東経百七十五度まで、つまり地図の上で十度日本側後退しておるわけでしょう。これは大きな後退じゃないですか。それからまた、ベーリング海の五十六度以北の公海においても、これを百八十度線で二分して、そうしてこれについて操業期間というものが示されておる。それから、東経百七十五度から西に張り出した公海の部分からソ連の二百海里水域ラインまでの間の区域ですね、それから東経百七十五度以西の、これはアメリカの二百海里水域内の区域においての操業期間の指定、こういう内容というものは、昨年の協定内容から見ると全く大幅な後退ということになるわけですね。しかも、現在ソ連側提示しておる新たな禁止区域というものは、これと全く接続をして禁止ラインを示してきておるわけでありますからして、これは日米加日ソサケマス漁業についての問題を切り離して考えることはできないと思うのですよ。しかも、日米加における操業期間期日提示というものは、ソ連側が今回示した操業期間とこれを比較してみると、非常に漁期というものが短くなっておるでしょう。二十日間ないし四日間ということに限定されるわけですね。だから、これをもってしても、日米加交渉において明確な漁獲量というものは限定されていないと言っても、大幅に漁区後退をして、操業期限が短縮されたということになれば、問題はどれだけ魚をとるかということにあるわけですから、漁獲量関係ないなどというものではないでしょう。だから、これによって昨年と比較して、水産庁において推定してどのくらい数量の減少になるか、これはわかると思うのです。こういうことを言うのは、日米加ですから、当然日本もこれに参加しておるわけですが、大臣ソ連に行けば、恐らく日米加交渉内容あるいは締結の内容についても日本政府よりもソ連政府の方が内容を熟知している。これはわれわれの経験からもってして、そう言えると思うのです。何も委員会においてあいまいにしておく必要はないではないですか。求められなくても進んで資料を提出して、こういうふうになりましたとか、努力の結果数量においてはこうなると思いますぐらいのことははっきり説明できるようにしてもらわなければ、大変ですよ、これからの日ソ交渉というものは。  時間の関係があるから、後で詳しい資料委員会に提出するようにすべきだと思うのです。いいですか、長官資料の提出。
  18. 中川一郎

    中川国務大臣 先ほど日米加においてはそう支障がないと申し上げたのは、あくまでも日ソ関係が、従来どおり水域で従来どおり漁期でとれれば漁獲量にはまあまあ支障はない、そう大きな減船をしなければならぬことはない。ところが、今度はソビエトから水域漁期が圧縮されましたから、これが二つ重なりますれば、日米加にも影響するし、日ソにも影響して、実質大打撃になるということは隠しているところでも何でもありません。  そこで、日米加に引き続いて決定される日ソ間については、従来どおり漁区、従来どおり期間というものを何とか確保して、日米加で確保し得た今度の規制実質マイナスにならないようにしなければならぬということで、日米加で何ぼ、日ソで何ぼというものでなくて、重なり合って一体となっているものだということは間違いないことでございます。したがいまして、その間の資料はどういうことになっているかということは秘密でも何でもございませんので、委員会へでも、先生のところへでもお届けを申し上げます。
  19. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで、今回のソ連側提示内容は、最初沖取りは全面的に取りやめようということでありましたが、その後になって、沖取りについては両国間でよく協議をして妥当な線で決める。それを前提にして三万五千五百トンというものが提示されたわけですからね。     〔委員長退席山崎(平)委員長代理着席〕 しかし、新しい禁止区域地図で見ると、ちょうど先ほど大臣が言われました母川国主義、つまりこの水域サケマスが回遊してやがては母川に帰るわけですが、本州、北海道、南樺太群にしても、カムチャツカ群にしても、ベニザケにしても、ほとんどのサケマスが今度の禁止区域を通過するのです。全く回遊の動脈というような区域になるわけでしょう。ここを禁止区域にするということになった場合、A区域にしてもB区域にしても、これで押し切られたような場合においては、三万五千五百トンどころじゃないと思うのですよ。一説には、その半分の数量も確保することができないのじゃないか。こういう点については一体どういうように対応するつもりですか。何とかお願いしますということで努力するのか。やはり日ソ漁業条約にしても、二十二年間の歴史的な経過日本資源開発努力、あるいは北洋漁業を通じての日ソ間の善隣友好の進展というような大事な経過があるわけですからね。日本側においては、これを維持するための日ソ漁業協力費というものを一応案として策定して、これを日本側の案として提示していることもわれわれ承知していますが、数量も大事だが、私は漁場というものを最後まで努力して確保するということでなければならぬと思うのです。そういうような点についても、これはモスクワに行ってから交渉するわけですが、日本国政府として明確な態度でもって出かける必要があると思うのです。その辺について方針がかたまっておれば、この際、大臣から明快にしてもらいたいと思うのです。
  20. 中川一郎

    中川国務大臣 御指摘のとおり、日米加での区域漁期が圧縮された上に、一昨日ソ連から提案のあった水域漁期ということになりますれば、三万五千五百トンも漁獲は不可能である、まあ一万トンぐらい実質とれるかなという計算になるわけでございます。これは三万五千五百トンのその数字そのものもまだ不満でありますが、もし漁期なり漁区なりが向こう提案どおりということになれば、これは大変なことになりますので、まさに一番大事な動脈がふさがれてしまうという漁区の問題それから漁期の問題は、何としてもソビエト側に理解をいただいて改めていただきたい、こう思って交渉するわけでございます。  もとより、今度の交渉が従来と若干違いますのは、資源を大事にしようということはソビエトも言っております。わが国にとってもこれは理解しなければならないというので、わが国サケマス資源の増殖も図っておりますが、ソビエトの行います資源確保の技術的な問題、操業の問題、あるいは河川の改良だとか増殖事業だとか、こういうものにはお互いに協力して資源の確保に努めよう、こういうことを訴えながらといいますか、こちらの考え方も示しながら、総量、そして漁区漁期をぜひとも従来どおりに改めてもらいたい。これがまさに折衝のポイントで、頭を痛めておるところでございます。もう御指摘のとおり大変なことになりますので、かたい姿勢でこの点は交渉に当たりたいというわけでございます。
  21. 芳賀貢

    芳賀委員 出発前でありますから、最後に一言申しますが、ちょうど昨年は二百海里時代に対応して大変な時期でありました。国会においても、昨年は衆参両院においてそれぞれ日ソ漁業交渉促進の決議をして、そしてちょうど昨年四月の十六日から二十二日までの一週間にわたりまして衆参両院を代表した国会代表団、衆議院九名、参議院六名の十五名の代表団が編成されて、櫻内義雄君が団長となり、私は副団長としてモスクワに出向いたわけでございますが、その際も、当時の国家元首と言われるポドゴルヌイ最高幹部会議長あるいは漁業担当のイシコフ漁業大臣など、ソ連側首脳部と数次にわたって会談をして、国会の立場に立って国民を代表して、日ソ間の漁業交渉の促進、あるいはまた幾多の問題を抱えておる日ソの問題についても、あくまでも善隣友好を踏まえて打開に努めてきたわけですが、国家体制の相違もありますが、よほど決意をもって臨まぬとこれは異常な事態だと思うわけです。国会としても、昨年来の経過もありまして、各党を問わずこれに重大な関心を持っておるわけですからして、あくまでも政府の代表として最後まで努力をしてやってもらいたい。国会のことについては、あなたが出発すればすぐだれか臨時代理が出るわけですから、法案の審議等は心配ないと思うのですよ。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 むしろあなたが不在中の方がやりやすいかもしれないから、その点はいささかも心配をしないで、責任を果たすために十分に努力してもらいたいということを申し上げまして、きょうの質問を終わります。
  22. 中川一郎

    中川国務大臣 どうも御指摘ありがとうございました。法案も心配しておりますが、心配ないという激励もいただきまして、本当にありがたいことだと思います。  今度の交渉は、いま言った魚の問題が大変だということだけではなくて、日ソ間長年にわたる友好のきずなでもあったわけでございますので、そういった観点からも、日ソの友好という立場からも、異常な事態にならないように最善を尽くしてまいりたいと存じます。どうもありがとうございました。
  23. 中尾栄一

  24. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 日ソ漁業協力協定交渉について、農林大臣の所信を求めるものであります。  農林大臣政府を代表して、四月十一日から十六日まで六日間、懸案の日ソ漁業協力協定交渉のため訪ソされるわけでございますが、出発に先立ち、緊急質問によって数点お伺いをいたしたい、かように思うわけでございます。  日本側ソ連漁業省次官による第二回会談でソ連側が行った三つの提案、すなわち、一つは、ソ連二百海里水域を除く北西太平洋水域公海における今年度の日本サケマス漁獲割り当て量を三万五千五百トン、すなわち昨年の六万二千トンに比べると四三%の大幅削減であることはもう御承知のとおりです。二つには、漁期も五月一日から七月一日までで、昨年の八月十日までに比して四十日短縮されている。すなわち、最大の漁獲量を占めている七月を除いておるというところに問題があり、最大の日本側の痛手でございます。三つには、いわゆる三角水域であるソ連の二百海里水域の境界線、北緯四十四度、東経百七十五度、アリューシャン列島周辺の米国二百海里水域境界線の四つの線で囲まれる海域を新たに禁漁区とするという提案であります。この禁漁区というところはいわゆるベニザケ、シロザケの豊庫でございまして、これまた日本漁業にとって最大の痛手を受けることは十分大臣承知をして臨まれる、かように思っております。  以上の漁獲量漁期操業区域ともに厳しい提案ソ連側はしてきたわけでありますが、この提案はきわめて不当であります。中川農林大臣訪ソの前に機先を制してこのように大幅削減の数字をソ連側が打ち出してきたことに対し、農林大臣はどのような決意で国民を代表して訪ソ、交渉されるつもりであるか、その点をまず私は承りたい。
  25. 中川一郎

    中川国務大臣 日ソ関係漁業問題、特にこのサケマス問題が非常に厳しいということは、昨年来からわれわれも承知しておったところでございます。特に二月十五日から始まりました交渉において沖取り全面禁止ということをうたってまいりましたので、非常なショックを漁民に与えるばかりか、われわれも重大なことだと対応してまいりました。幸いというか、沖取り禁止が外され、先ほど御発言になりました内容提示がありましたものの、先ほども芳賀委員に申し上げましたが、三万五千五百トンと言ってみたものの、実質一万トンもとれるかどうかということでございますから、これは非常に厳しい提案である、こう受けとめまして、そういったことではとてもわが国の長い伝統の操業は守り切れない、のみならず、日ソの友好関係にも非常によくないことである、こういう強い基本的な態度をもって何とか打開いたしたい、こう思って訪ソし、また代表団も鋭意いま交渉を重ねておるところでございます。
  26. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 水産庁ソ連提案によるところの新たな禁漁区操業期間をもとに一応の試算をした結果を伺ってみましたが、それによりますと、三万五千五百トンの枠さえも大幅に下回る二万トンの漁獲しか達成できないというようなことが明らかになったようであります。そうしますと、このソ連の三つの提案が行われたとするならば、母船式、基地式独航船を問わず、昨年以上の大幅減船が避けられない、これまた重大な問題になるわけですから、農林大臣は北海道出身で、また再び北海道の土地を踏まれないようなことになる、かように私は思うわけですが、そういった点は大臣もよく認識して交渉に臨まれると思うが、その点どうですか、考えを聞いておきます。
  27. 中川一郎

    中川国務大臣 今度提案がありました案を破ることができなければ、まさに相当の減船という事態であり、北海道の土を踏めるかどうかわかりませんとしても、重大なことであることにはもう問違いありませんので、重大さを認識しながら交渉に当たりたいと思っております。
  28. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 その決意で十分ひとつ臨んでいただきたいと思う。  内村農林省顧問は先日、ソ連がさきに提示しました七八年の北洋公海での日本漁船によるサケマス漁獲量三万五千五百トン、新たに設けた禁漁区、短縮された漁期についてはその撤回を強硬に申し入れておることは新聞報道でわれわれもよく知っておりますが、これに対しソ連は、漁期については再検討する余地のあることを示唆しながらも、漁獲量、禁漁区については提案を撤回する考えはない、日本側の要請を真っ向から否定しております。私は、弱腰でなく自信を持って交渉に当たってもらいたい、こう思うわけです。  ソ連提案の問題は、最終的には中川農林大臣とイシコフ漁業相との会談でしか決着を見ないと私は思いますが、どこまでソ連の譲歩をかち取れるか、また今後の交渉の最大の焦点と思われるいわゆる対ソ交渉の基本方針というものについても伺っておきたい。特に、私が先ほど申しました操業区域漁獲量、こういったものに対してはかなり強硬なことを言っているようですが、これはどうしても、冒頭決意があったように、強硬に私は日本の要求を通してもらわなければ困る、かように思うわけでございます。  いわゆる昨年の日ソ漁業交渉では、ソ連側の一次回答は五万七千トンでございましたが、これが交渉の結果五千トンふやして六万二千トンにした経緯等もございますが、今回はそんななまやさしいものではない。ひとつ悲壮な決意でこういう問題について当たってもらいたいと思うが、再度大臣のお考えを、また決意を伺っておきたいと思います。
  29. 中川一郎

    中川国務大臣 私の代理として行っております内村顧問の折衝過程で、三つの条件のうち漁期については若干話し合いが前進するかなという感じがありますが、漁区漁獲量については、御指摘のとおり、まだ非常に厳しい状況にあります。これは向こう側も厳しいならばわが方にとっても大変なことでございますから、何とかひとつ撤回してもらうように交渉いたしたい。  もう一つは、来年の問題のみならず、こういった漁獲についてはかなり長期的に一つの方向というものがなければ、北海道を初めとする漁民の方々は不安でございますので、そういった点についても見通しを得られるような道を求めて、強い折衝をしてまいりたい、こう思っております。
  30. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この問題もまた今回の交渉の最大の焦点と言えるような大きな問題でございますが、ソ連側は、日ソ両国の二百海里漁業水域外の公海でのサケマス漁業をめぐる裁判管轄権ソ連に渡せという要求をしていることがいろいろ取りざたされております。このことは事実であるかどうか、これについて大臣はどういう認識に立っておるか、確認すると同時に、もし日本側がこれをのめば、公海自由の原則が根本的に崩れるばかりでなく、国際法上の先例ともなるわけでございます。日本ソ連の問題から米国、カナダなどを含む国際的な問題に発展する可能性が強いことは言うまでもございません。すなわち、二百海里水域外の公海も完全にソ連の海となってしまう。こんなことはけしからぬことであります。そういった意味から、絶対に認めてはならぬと私は思うわけでありますし、また大臣も十分頭に入れて、この問題については日本国を代表して強い決意で対ソ交渉に当たってもらいたい。  この公開の席で発表できる範囲で結構でありますから、これに対するあなたの決意を、国民のために、国民の前に明らかにしていただきたいと思います。
  31. 中川一郎

    中川国務大臣 規制問題も大変重要な課題でございますが、幸いにして日米加においても旗国主義を貫きましたので、ソビエト側に対してもその点は強く主張してまいりたいと思いますが、その点についてはまだ詰めた話はいたしておりません。今後そういう考え方交渉に当たりたいと思う次第であります。
  32. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 出発まで若干時間がありますから、この点については十分詰めて、あなたのかばんの中に重大な決意を入れて、日本国の声を十分詰めて臨んでいただきたい、かように思うわけです。  次に、第二回の日ソ会談の折に出ました問題で、日本ソ連に対して行う漁業協力についての日本提案でございますが、すなわち、一つにはサケマス人工ふ化場を五年間に十二カ所つくる。二つにはサケマス再生産事業のための総合研究センターを五年間に四カ所つくる。この二つの問題については二者択一で日本提案しておるわけです。聞くところによると、一つは百億円くらいかかって日ソ折半を考えておられるやにも聞いておりますが、さらにサケマスの自然再生産のために毎年一定額を提供する考えもあるやに聞いております。  この点も交渉の過程でいろいろお考えもあろうと思うので、発表できる範囲で結構であるけれども、ソ連側が一方的にこういった公海サケマスまで禁漁にするという態度に出てくることについて、やはりわれわれとしてもこういったいわゆる漁業協力ということについては前向きに考えることは当然であると思いますので、こういった問題についても十分決着をつけて話をしてきていただきたいと思うが、これらに要する予算見積もり等はどういうふうに考えて臨まれるのか。出発に当たってここで国民の前に発表できるなら発表して、そしてそのことをかばんに詰めていって向こう交渉に当たってもらいたいと思うのですが、大臣の所信を承っておきたい。
  33. 森整治

    ○森(整)政府委員 いま先生が御指摘になりました線で提案をしたわけでございますが、これはあくまでもサケマス漁業が従来並みの漁獲量が維持できるという前提提案をいたしたということでございます。  そこで、負担関係につきましては、一応民間の負担もある程度期待をする、民間の負担がそれ以上なかなか無理であるというような場合には、われわれも財政当局と話をいたしまして、政府で何らかの援助ができればしたいということで、交渉の成り行きを見守っておるというのが現状でございます。  いずれにいたしましても、相手のあることでございますから、相手がどういうものを希望し、また折衝との兼ね合いでどういうふうな額に固まってくるか、これは今後成り行きを見ませんと何とも言えないわけでございますが、ただいま申し上げましたように、基本的には民間の負担、なお足りなければ財政負担も辞さないということで臨みたいというのが基本的な考え方でございます。
  34. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 今回の中川農林大臣の訪ソに当たっては亀長大日本水産会会長が同行するということが言われておりますけれども、この亀長大日本水産会会長の同行ということは、われわれが常識的に考えても、いわゆるソ連日本サケマスの海上漁獲を認めた代償として資源保護に対する日本の負担を求めておるわけでございますので、この一部をサケマス業界が負担するためのいろいろ検討のために、また交渉のために行くというようにも報道され、われわれも伺っております。  そこで、この負担金については、一部にはソ連が自由に使える性格のもので、入漁料というような色彩も強いと言われておりますが、この辺はどういうふうに考えておられるのか。大日本水産会会長も同行するわけですけれども、そういった意味で同行されるのか。発表してよければ、その点も明らかにしておいてもらいたいと思います。
  35. 中川一郎

    中川国務大臣 亀長大日本水産会会長に御同行いただくのは、負担の問題で行っていただくわけではございませんで、やはり民間と政府が一体となって交渉をする、現在行っております代表団も民間、政府ともどもに相協力してやっておりますので、この際亀長会長のお力もおかりしたいということで、同行していただくことになったわけでございます。  もちろん、今後漁業協力費について民間との話し合いもいたさなければなりませんが、現段階として、私はその点は余り力点を置かず、要は先ほど言った漁期漁区、そして最終的には漁獲量というものを確保することに最善を尽くしてみたい、あとの話は政府なり民間で、内輪のことでございますからその点は余り意を用いずに、まず所期の目的を達成するということに最大の力を入れて交渉いたしたいと思う次第でございます。
  36. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 その点は一応額面どおり受け取っておきますが、いまのに関連して入漁料の問題です。御存じのように、日本は、米国二百海里の入漁料は魚価三・五%に見合うものを最高限度としておるわけでございますけれども、いまの問題に関連していろいろこういった問題が交渉の過程で出てくると思います。これも他国に影響のあることでございますので、三・五%を上回るようなことのないように、中川農林大臣としてはこういった点も十分考えて、いわゆる入漁料といった問題についてもこれからいろいろ話が出てくると思いますから、ひとつ譲歩せずに十分がんばってもらいたい、こう思いますが、その点も大臣の決意を承っておきたい。
  37. 中川一郎

    中川国務大臣 アメリカにおける三・五%は二百海里の中の入漁料でございますので、ソビエトとの関係においては、入漁料ということではなくして、やはり資源を確保するということを基本に置いて、入漁料等からの金の算出について若干横にらみのことはありましても、基本的考え方資源確保のための費用をお互いにどう持つか、こういう観点から協力費を考えるものであって、三・五%に余りこだわることは、今回の交渉を成立させるために、また基本的な考え方からいってもとるべきではないのではないか、こう思っておるわけでございます。
  38. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 最後に一点だけ承っておきますが、四月五日の外務委員会で園田外務大臣は、日中条約日ソ漁業との問題が互いに関連し合っているということを認めた発言をいたしております。中川農林大臣も、訪ソ前にあらかじめ園田外務大臣と意見交換をするということを明らかにしておられるわけですが、出発前にこの点は十分意見交換をして出発してもらいたい。  そこで、最後にお伺いしたいことは、ソ連の厳しい態度、こういったものは日中条約との絡みからいろいろと国民の中にも懸念されております。いわゆる日中の推移を見て漁獲量決定を延ばしている、こういったことがいわゆる関係者の間で言われているのも事実でありまして、私はまことに残念であります。で、そういったことを大臣も十分踏まえた上で、外相との会談はいつごろやっていろいろ決意を固めていかれるのか。また、現行の日ソ漁業条約が四月二十九日に失効するわけでございますけれども、将来無条約状態ということも交渉いかんによってはあり得るわけです。そういったことについてはどういうふうに検討して臨む決意であるのか。日中との絡み等でかなり向こう漁獲量等を延ばす、こういう態度で出てきておりますから、百も承知の上で行かれると思いますけれども、国民注視の中で交渉に当たられるわけでございますので、いわゆる国民の、政府代表としてひとつ重大な決意で臨んでもらいたいと思うが、その点について最後農林大臣の決意を伺っておきたいと思います。
  39. 中川一郎

    中川国務大臣 交渉に臨むに当たりまして園田大臣と打ち合わせをしたい、大体十日の月曜日の午前中くらいになるのだろうと思いますが、これは日中との話し合いということよりも、むしろ外交交渉権は外務省でございますから、現在の交渉団にも外務省から行っていただいておりますし、今度参りますにも外務省からも責任者が御同行願うわけでございますので、今度の交渉に臨む基本的な考え方等々について外務大臣と意思の疎通を図りたい、こういうことでございます。  その中において日中との話がどうなりますか、私どもとしましては日中は日中、日ソ日ソ、こういう基本的な考え方に立って交渉をいたしたい、こういう考え方で外務大臣とも話し合ってみたい、こう思っておるわけでございます。
  40. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 以上、重要な点の若干に触れて大臣の見解を求めましたが、重要な段階に来ておりますので、ひとつ国民の代表として、多年懸案であったこの問題については多大の成果をおさめて、国民の前にその結果を持って帰ってもらいたい、強い姿勢交渉に当たっていただきたい、このことを申し上げて、私の質問を終わります。
  41. 中尾栄一

  42. 稲富稜人

    ○稲富委員 まず私は、与えられた時間がわずか十五分でございますので、要点を主体にいたしまして、二、三希望を述べながら、大臣にお尋ねしたいと思うのであります。  まず、今回の日ソ交渉に行かれる大臣に対しては、本当に御苦労さまでございますということをしみじみ感ずるわけでございます。私はこの際、大臣ソビエトに行かれるに当たりましてひとつ胸の中に入れておいていただきたいと思いますことは、私たちは日ごろよりソ連、本当の名はいわゆるソビエト社会主義共和国連邦でございますか、このソ連とは隣国でもあるということで、善隣友好関係を保持するということに長く努力をしてきたつもりでございます。国会におきましても、われわれは日ソ議員連盟等をつくりまして、ソ連との友好関係をいかに保持していくか、またどう推進していくか、非常に努力をしてきたつもりでございますが、果たしてわれわれのこの真意というものをソ連がどれほど理解していらっしゃるか、この点を私は非常に疑うと同時に、残念に思われるのでございます。  私はなぜそういうことを申し上げるかと言いますと、実は御承知のとおり、昭和四十八年以来、ソ連の漁船団がしばしば日本近海において無謀な操業をやり、日本漁民に対して多大の被害を与え、あるいはまたその日本近海の漁場を非常に汚染せしめた、こういう事実があったものでございますから、これに対しましては、しばしば外務省を通じて抗議というものが申し込まれたはずなんです。ところが、これに対しても、われわれが聞くところによりますと、その漁民の被害に対しましても何らの補償すらも行われていないということでございます。  私たちは、そういうようなことに対しては、日ごろより、外交交渉の弱さという外務省に対する不満を持ちながら、またこういう無謀な操業ソビエトのやり方に対しても、実は非常に不満を持っておりました。しかしながら、その不満を持ちながらも、われわれはソビエトとの友好関係は崩していかないということから、本当に忍びがたきを忍びながら、昨年の漁業交渉に対しましても、われわれの意に沿わないような結果になったけれども、これをわれわれは耐え忍んできたのでございます。  しかるに、先般来、農相の特使として内村さんがソビエトに渡ってこの予備交渉をなされているその結果を見ますると、私たちが考えますと、全くこれは余りにもひど過ぎるのじゃないか、こういう感じがしてならないのであります。  もとより、御承知のとおり、北洋の漁場というものは、古来より日本人が開拓した漁場であり、別な言葉で言うならば、この漁場は全く日本人の持っている既得権であると言っても差し支えないと思うのであります。しかしながら、ソビエトが二百海里を制定したことによって、われわれが既得権と思っておったところもこの二百海里の中に入ってしまった。これをわれわれは実に耐え忍んだ。ところが、今回のこの内村農相特使との交渉の報道を聞きますると、従来の二百海里あるいはアメリカの二百海里外の水域に対する禁漁区が設けられている、こういうことで、全く日本の国民の死活に関する問題であり、日本漁民の死活の問題だと私は思う。  そもそも、ソビエトに限らず社会主義国家というものは、全世界のあらゆる人民に対して幸福を与え、全世界の人類を救うというのが共産主義の基本的な考え方でなくてはいけない、かように私は解釈する。しかるにもかかわらず、何がために日本に対してこういうひどい仕打ちをされるのであるか、私はこの真相さえわからない。  それで、外務省もおいでになっておるはずでございますから、今日まで外務省が外交交渉を通じて、なぜソビエト日本に対してのみこういうひどい態度をとられるのであるか、こういう真相がわかるならば、われわれもまた反省すべきものは反省をしなければいけないので、そういうことを知らしていただきたいということ。  さらにまた、今回の漁業交渉に当たって農林大臣は、われわれ日本国民というものはソビエト敵対なんか考えていないんだ、本当にソビエトとは友好関係を保っていきたい、かような考え方、希望をわれわれは持っているにもかかわらず、こういうようなひどい仕打ちをされるということは、将来の日本ソビエトとの外交関係においても、国民感情の上においても非常に阻害する結果になりはしないか、こういうことをわれわれは憂うるんだ、この点を十分わきまえながら、忍ぶべきことは忍ばなければいけないけれども、主張すべきものは堂々と主張して、そして日本国民の意のあるところを率直にソビエトに伝えていただきたい、私はこういうような考えを持っておるのでございます。  まず、私がいま申しました外交交渉あるいは外交の立場において、そういうようなことをなされるような状態がもしもあるとするならば、外務省関係として御説明を願いたい。さらに、これに対して臨むに当たりましての大臣の決意のほどを承りたい、かように考える次第でございます。
  43. 加藤吉弥

    加藤説明員 わが国漁民を初めいろいろソ連側からいやがらせをされて迷惑をこうむっておる、これに対して外務省としてしかるべき措置をとっておるのかという御質問かと思います。  まず、漁業の問題につきましては、昭和五十年に日ソ間で操業協定というものができまして、お互いに操業の安全を確保するという取り決めができております。銚子沖その他でわが方の沿岸漁民ソ連船によって被害をこうむる際には、その都度外交チャンネルを通じまして先方に厳重抗議を申し入れ、損害の賠償その他についても所要の手続をとっている次第でございます。  日ソ関係全般について、日本の真意がまだソ連側によく伝わっていないのではないかという第二の御質問につきましては、日ソ間には一九五六年の共同宣言以来、外相定期協議というものが設けられておりまして、頻繁に彼我の外相が相互に会って、世界情勢初め相互間の話し合いを進めることになっております。その一環といたしまして、今年の一月には園田大臣が訪ソされ、先方のグロムイコそれからコスイギン首相その他要人と忌憚ない、フランクな意見の交換をして、わが方の真意のあるところをできる限りソ連に伝えるべく最善の努力を尽くしているつもりでございます。  なお、日ソ間につきましては、いまの外相定期協議のほかに、経済閣僚会議を設けようという話も進められておりますし、そのほか今回の漁業交渉もしかりでございますが、貿易交渉その他年々頻繁に協議の機会がございます。そういう機会をとらえてわが方の考え方の真意を先方に伝えるべく最善の努力を尽くしている所存でございます。  いずれにいたしましても、日ソ間にはまだ領土問題が残っておりまして平和条約が結べない、こういう現状でございますが、それにもかかわらず日ソ間の実務関係はできるだけ緊密に進め、お互いに支障なく取引あるいは交渉ができるようにしたい、お互いの相互理解を進めたいというのが外務省の基本方針でございます。
  44. 中川一郎

    中川国務大臣 日ソ関係につきましては、私も北海道であり、しかも北方四島というものが私の選挙区でもございます関係上、過去の漁業関係についていろいろ御納得のいただけない関係にあったことは私も承知いたしております。こういったことは両国にとってよくないことでございますので、外交チャンネルを通じて改善するように最善の努力をしていかなければなりません。  ただ、今回の交渉に当たりまして、日ソ関係が友好関係にないから厳しいのかということでございますが、それよりは、むしろソビエトの最近言っておりますのは資源問題でございます。沖取りをいたしますと、将来にわたってお互い資源がなくなることは両国国民にとってよくないということに力点が置かれておりますように感ぜられますので、このことはソビエトに言われるまでもなく、わが国としても考えなければならないということから、先刻来お話し申し上げておりますように、資源を確保するための協力、この点を十分話し合えば必ず向こうもこたえてくれるものであろう、こういう観点で力強くといいますか、わが国の過去の実績なり、あるいは資源に対する考えなり、日本人の感情なりというものを率直に申し上げて理解を得たいと思っております。  いずれにしても厳しい交渉でございまして、責任の重大性というか、厳しく受けとめておりますが、激励もいただきましたので、過去を振り返り、あすへ向かって明るくなるように、しっかりがんばっていきたいと思っております。
  45. 稲富稜人

    ○稲富委員 外務省にお尋ねしたいのでございますが、ただいまも御答弁のありましたように、今日までソビエトとの間に操業協定を結び、日ソ間の融和を図るために外務省としていろいろな努力をされているという御報告を承ったのでございます。それにもかかわらず今度のような、われわれから言うならば、日本国民に対して全く理解のできないようなこういう要求をされるということは、その協定、そういうことに対する日本の外交のやり方がまずかったのか、努力が足らないのであるかどうか、この点も一応疑わざるを得ない。  さらに、私、先刻申し上げましたように、日本近海を非常に荒らしました四十八年以来、日本の漁船その他に対して非常な損害を与えたこの交渉に対しましても、いま報告はなかったのでございますけれども、八回くらい交渉なさっていると思うのでございますが、まだ一つも漁民に対する損害の補償も行われていないのじゃないかと私は思うのでございます。  こういう点を見る場合に、本当に腹を割って外交交渉を進められておるのであるかどうか、こういう点がわかったら、いかにソビエトといえどももっと理解してもらえるんじゃないか、われわれはこういう不満を言わざるを得ない。この不満を言うとするならばどこに言うかというと、やはり外務省に当たらざるを得ない。その点、努力が足らないのであるか、努力はしておるけれども、何がゆえに日本にこういう過酷な態度に出られるのであるか、その原因等があるならば、ひとつその点を承りたい、これを私はお尋ねしておるわけでございます。
  46. 加藤吉弥

    加藤説明員 損害補償の件につきましては、詳細な資料を私ただいま手元に持っておりませんので、調べた上で先生に御報告させていただきたいと思います。  所要の手続は日本サイドにおいては進められておる、ただし最終的な結論がモスクワにおいて出されていない、かように承知しております。  ただいま先生の御質問で、外務当局の折衝努力の不足という点を御指摘されました。御批判としては謹んで承ります。私どもは全力を尽くして相互理解の増進、日ソ関係の改善に努めている所存ではございますが、御指摘のとおり、それが目に見える結果としてあらわれていない点、これはあるいは私どもの努力不足かもしれませず、その点は深く反省いたしますと同時に、今後さらに努力を続けていきたいと存じております。  ただ、問題を漁業に限って申しますれば、ソ連側が非常にきつい態度に出ておるという点は、ただいま中川大臣が御指摘になりましたとおり、やはり資源問題というのは先方にもあるのではないか、かように考える次第でございます。二百海里時代というものを迎えまして、かつ国連の海洋法の審議が進められておる、こういう状況で、ソ連としても所要の漁業資源というものを確保しなければならない、そういう基本方針がいろいろな面であらわれており、それが特にソ連の主要な漁場の一つであります北太平洋の面においてもあらわれている。これは必ずしもソ連日本に対して敵対的行為をとっている、あるいは敵対的な態度をとっているということからだけ来るものではなくて、もっと本質はソ連漁業資源確保の要求から来ているものではないか、かように考えるわけでございます。  以上でございます。
  47. 稲富稜人

    ○稲富委員 もう最後になりましたが、日本近海における漁民に対する損害補償の問題、これは私、前に聞いたことがあります。前後八回にわたって交渉したけれども、日本の要求は一つも入れられていない、漁民に対する補償等は一つもない、こういうことを承っておりますが、まだそのままであろうと、かように私は推察する。あなたは資料を持ってないとおっしゃるけれども、前に外務省からそういう報告を受けたことがありますので、それは重ねて承る必要はございませんが、この資源保護の問題につきましては、いま農林大臣からもおっしゃったように、これは話し合いの上において、あるいはふ化場を設置するとか、これを放流するとか、こういう問題で解決するものであるとするならば、やはりそういうことをきっかけにして日ソ間の理解をなし得るような、こういう親善の拠点をここから見出す、こういう方向で進んでいってもらいたいということを私は強く要望いたします。  最後に申し上げたいのは、やはり何と申し上げましても、一番残る問題は領土の問題であると思うのでございます。私たちは、この領土の問題があるいはこういう漁業交渉の一つの大きなネックになっているんじゃないかということも想像されます。しかしながら、交渉に当たられまして、いかなることがありましても、北方四島というものは日本固有の領土である、これに対しては一歩でも漁業問題と取引にするようなことはないだろうけれども、日本固有のこの四島というものは当然日本が取得すべきものである。これは国際法上から申し上げましても当然日本に返還をしてもらうべきものであるというこの基本線は、これは日本国民全体の意向であると私は思います。この点だけはいかなることがありましても、交渉に当たっては何物よりも優先して保持してもらいたい、こういう決意をもって当たっていただきたいということを私は強く農林大臣に希望すると同時に、最後に、これに対するあなたの考え方を承りたいと思うのであります。
  48. 中川一郎

    中川国務大臣 まさに御指摘のとおりでございまして、北方四島は固有の領土というより、むしろ古来固有の領土でございまして、これを後退するなんということは、過去の経緯から見ても、あるいは今日の国民感情から見ても、国会の決議から見ましても、一歩も譲れるものではない。何物を譲ってもこの問題は譲れない、これだけははっきり申し上げて、交渉に臨むことを申し上げておく次第でございます。
  49. 稲富稜人

    ○稲富委員 では、私の質問は終わりますが、どこまでも世界の全人類を愛するんだというのが共産主義国家の基本であらなければいけない。この点だけは十分ソビエトとしても反省してもらいたい、こういうことでひとつ大いに話を進めていただきたいということを最後に私、希望として申し上げまして、まだ申し上げたいことがたくさんありますけれども、時間がありませんから、私の質問は終わることにいたします。
  50. 中尾栄一

    中尾委員長 津川武一君。
  51. 津川武一

    ○津川委員 大臣、本当に御苦労さまです。元気を出して行ってきてください。私も先ほど芳賀さんが話したように、去年の二百海里のときソ連に行ってみまして、鈴木前大臣の苦労というものも身にしみて感じ取っておりましたので、大変でございます。  そこで、やはり日本の実情を向こうに正しく伝えていただく、日本漁民の利益は守っていただく、そして十分調査されて、理にかなった交渉をしていただく、交渉団全部率いてしていただきたいということを心からお願いして、成功を祈る次第でございます。  そこで、時間がないので、四つ、ばかりまとめてお伺いします。  一つは、漁獲量のことでございます。  きのう私はある会合でソ連大使のポリャンスキーさんと会食をいたしましたが、問題は漁獲量だと言っているのです。日本の要求している漁獲量ソ連が考えている漁獲量に余りにも大きな隔たりがあるからということで、彼もなかなか強硬な意見を吐いておりましたが、今度ソ連公海上で禁止してきた北緯四十三度から四十五度、ここが日本のあれにとって一番いい漁場なのです。もう一つ問題になっているのは、この漁場日本ソ連にとって公海であると同時に、アメリカ、カナダ、日本、この三つの関係にとっても公海なんです。アメリカ、カナダはこの公海の中でどういうふうになっているかというと、日米加交渉で、アメリカの二百海里水域の南部、北緯四十六度まではこれはソ連が禁止した領域の中で日本にとらせている、これがアメリカとカナダ。それから、四十八度以南では、共同調査水域として操業を認めているわけ。この四十八度以下はまた魚のよくとれるところなんです。この一番とれるところが今度禁止されているということ、アメリカとカナダはここの一部を認めているという点は十分よく説明していただいて、納得のいくまで突っ込んでいただきたいと思うわけです。これが漁場の問題の一つの問題です。  もう一つは、漁獲の時期でございます。  アメリカの二百海里水域の北部の公海、ここでは東経百七十五度以西は六月一日から七月一日、東経百七十五度以東では六月二十六日から七月一日となっている。これじゃ六月二十六、七、八、九、三十、七月一日と、六日しかとれない。魚の一番とれる七月いっぱいをとめてしまって、この漁期も非常に大きな問題になってくるので、ここいらも十分資料を整えていただいて、どちらかと言うと、皮肉で茶化すのじゃないのですが、ソ連にとって歴代の農林大臣のうちで一番好ましい人は中川さんなんです。したがって、この点は十分条理を尽くしてがんばっていただかなければならぬ。これは漁獲量の問題です。  第二の問題は、公海における裁判管轄権ですが、先ほど大臣も言っているとおり旗国主義。これを認めると、大変なことになってしまうわけです。海洋法会議でも、ちゃんとその草案の中身は旗国主義なんです。これをいま私たちが通すと、私たちの日本が大変になると同時に、国際的な大事件になりますので、ここいらあたり十分資料も持っていかれて、私、念を押すまでもない、十分あると思うのですが、ここいらあたりひとつ念を押していただきたいと思うのです。母川主義についても、遡河性資源に対してもまたかなり問題が出てくるわけです。海洋法とアナドロマス論においても、カナダ、米国、ソ連あたりはとっていますけれども、日本とデンマークはまだ反対しているし、アイスランド、豪州、ニュージーランド、アフリカ諸国は原則としては必ずしも遡河性の問題の態度をとっていないので、ここもいま認めてしまうと、そこでかなり大きな問題が決められてしまうという、こういう危険な問題が含まれてありますので、海洋法、国際的な全体のことも関連しながらひとつがんばっていただきたいと思うわけです。  その次は、労働者の問題です。  漁業労働者がやはりこれでかなりひどい目に遭いますので、先ほど稲富さんが国際共産主義の話をしていましたけれども、やはり労働者、そして流し網、はえなわ、小型の船というものに及ぼす影響というものを、十分資料を持っていただいて、向こうを説得していただければと思うわけです。  第四の問題は、大臣も繰り返し答弁したように、資源の問題ですが、ここでソビエト側のいろいろな情報を調べてみると、何か必ずしも向こうの言うばかりでないみたいなオーバーな表現もあるのではないかというふうに思われますが、向こうでは、日本が未成熟の魚をとっておるから、それでいまこういうふうに乱れてしまっている、全体として未成熟の魚が五〇%にも達しておる、その結果はソ連で魚をとっていない領域の川にサケが上がってこなくなったなどと言っておりますが、ここらあたりは日本で対抗する資料を持っておるのかどうかという資源論。これは、資源は十分守らなければならないが、その資源論に対しても、周到な調査と準備と資料を持っていかれて、がんばっていただきたいと思うのです。  この四点に対して、御所見があれば承ります。
  52. 中川一郎

    中川国務大臣 第一番目の漁獲量、関連して漁区漁期の問題、お話がありましたが、全くそのとおりでございまして、いま規制といいますか、禁漁区となりましたところは一番大事なところであり、もちろんアメリカもカナダも認めておるところでございますから、これは最善を尽くさなければなりません。  また漁期に触れられましたが、漁期も、確かに六月二十六日からということになれば、七月以降だめになれば、これはもう行って帰ってこなければいかぬというようなことになりますので、その点も十分踏まえまして折衝をいたしたいと存じます。  次は、旗国主義の問題を貫いてもらいたい、まさしくそのとおりでございまして、海洋法会議でも大きな課題であり、また先ほども御答弁申し上げましたが、アメリカとの間でも旗国主義は貫いておりますので、この点は最善を尽くしたいと思っております。  また、労働者のこと、確かにもういまのようなことでございますと大変な減船、そして働く皆さんが職を失うということになりますので、この点も十分配慮して、折衝に臨みたいと思うわけでございます。  また、資源問題でございますが、ソビエトにはソビエト言い分はありますけれども、また、わが国にはわが国言い分もありますので、専門家もしっかり行っておりますから、そういった方々の意見も十分向こうに伝えまして、資源が確保され、そして操業が維持できる、こういう基本線に立って交渉してまいりたいと存じます。
  53. 津川武一

    ○津川委員 終わります。
  54. 中尾栄一

    中尾委員長 この際、委員会を代表して申し上げます。  中川農林大臣の訪ソに対して、御健闘を心からお祈りいたします。(拍手)
  55. 中川一郎

    中川国務大臣 どうもありがとうございました。
  56. 中尾栄一

    中尾委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時二十四分散会