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1978-04-06 第84回国会 衆議院 農林水産委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月六日(木曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 中尾 栄一君    理事 片岡 清一君 理事 羽田  孜君    理事 林  義郎君 理事 山崎平八郎君    理事 竹内  猛君 理事 馬場  昇君    理事 瀬野栄次郎君 理事 稲富 稜人君       江藤 隆美君    加藤 紘一君       久野 忠治君    熊谷 義雄君       國場 幸昌君    佐藤  隆君       玉沢徳一郎君    羽田野忠文君       平泉  渉君    福島 譲二君       堀之内久男君    森   清君       森田 欽二君    角屋堅次郎君       柴田 健治君    島田 琢郎君       新盛 辰雄君    野坂 浩賢君       芳賀  貢君    日野 市朗君       武田 一夫君    吉浦 忠治君       神田  厚君    津川 武一君       菊池福治郎君  出席国務大臣         農 林 大 臣 中川 一郎君  出席政府委員         環境庁自然保護         局長      出原 孝夫君         農林政務次官  今井  勇君         農林大臣官房長 松本 作衞君         農林省農蚕園芸         局長      野崎 博之君         林野庁長官   藍原 義邦君         林野庁林政部長 石川  弘君  委員外出席者         環境庁自然保護         局企画調整課長 新津 博典君         環境庁自然保護         局鳥獣保護課長 野辺 忠光君         国土庁計画・調         整局計画課長  星野 進保君         文部省大学局技         術教育課長   福田 昭昌君         文化庁文化財保         護部記念物課長 横瀬 庄次君         林野庁指導部長 須藤 徹男君         建設省住宅局住         宅生産課長   松谷蒼一郎君         参  考  人         (森林開発公団         理事長)    福田 省一君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 四月六日  辞任         補欠選任   野坂 浩賢君     渋沢 利久君 同日  辞任         補欠選任   渋沢 利久君     野坂 浩賢君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  森林組合法案内閣提出第四八号)  国が行う民有林野の分収造林に関する特別措置  法案芳賀貢君外十三名提出衆法第三号)  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 中尾栄一

    中尾委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  内閣提出森林組合法案及び芳賀貢君外十三名提出、国が行う民有林野の分収造林に関する特別措置法案の両案につきまして、本日、森林開発公団理事長福田省一君を参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中尾栄一

    中尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 中尾栄一

    中尾委員長 内閣提出森林組合法案及び芳賀貢君外十三名提出、国が行う民有林野の分収造林に関する特別措置法案の両案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹内猛君。
  5. 竹内猛

    竹内(猛)委員 森林組合法関連をして幾つかの質問をしていきたいと思います。  まず、森林組合法の制定は、系統機関の長い間の要求であり、またわが党もこれに対して長い間要求をしてまいりました。そういう中から、農林省内部にも検討委員会ができて検討されて、今回提案の運びになった、こういうことに対しては同感であります。  そこで、森林組合森林法から分離させ、森林組合法をその根拠法として新たな出発をするようになったことは大変な前進だと思いますが、しかし、これを手放しで喜んでいるわけにはいかない。やはり幾つかたださなければならない問題があります。そういう点についてこれから質問をしていきたいわけです。  まず、森林が持つ機能というか、そういうものについて、組合を離れてどのように考えられているのかという、そのことから質問をしていきます。
  6. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま先生から御指摘ございましたように、森林につきましては、単に木材生産機能だけではなくて、国土保全なり水資源涵養なり、あるいは環境保全なり等々の公益的な機能森林は持っております。したがいまして、私どもといたしましても、森林維持管理につきましては、これら森林の持ちます公益的機能を十分発揮し得るような体制の中で森林維持管理を現在進めておるわけでございますが、やはりいま申し上げましたような公益的機能を発揮するためには、適正な森林維持管理をやることによりましてこれらの機能があわせて発揮されるという考え方に立っておりまして、今後ともこれらの問題につきましては十分配意をしながら森林管理経営をしてまいりたいというふうに考えております。
  7. 竹内猛

    竹内(猛)委員 いま言われたように、森林所有者から見た場合には経済的な側面が強調されるであろうし、それから今度は、一般のその他の関係者から見た場合には、水源林であり、保安林であり、あるいは観光的な要素としても山林というものが見られているという、こういう形で、その点は意見が一致をしますが、きのうも同僚並びに他党の質問を聞いておりますと、その中で森林政策一体性総合性というものが強調されていた。だから、政策にそういった三つ要素を兼ね合わせたような政策がとられなければならないと思いますが、その点はどうですか。
  8. 藍原義邦

    藍原政府委員 昨日も諸先生から森林総合性についてのいろいろの御質問がございましたし、私どももそういう観点から森林法なり基本法なりを通じましてそれぞれの施策をやっておるわけでございますが、具体的な事例とすれば、全国一本の森林計画を立て、それに基づきましてそれぞれの地域によって計画を立てていくという形、また保安林等につきましても全国一本で保安林配備計画をつくりまして、その中でそれぞれの地域についての保安林配備計画を進めていくというような考え方、こういうことに基づきまして対応しておりますし、今後とも基本的な考え方はいま申し上げましたような考え方で対応してまいりたいというふうに考えております。
  9. 竹内猛

    竹内(猛)委員 きのうわが党の角屋委員から、森林組合法が上程されるまでの間の歴史的ないきさつや、あるいは信用事業共済事業その他の諸問題についての質疑がありました。また、島田委員からも、農業協同組合との関係等についていろいろと質疑があったわけでありますが、私は、それと重複をしないような形でこれから質問をしていきます。  国土の三分の二を占めるところの森林の持つ経済的側面、あるいは社会的側面公益的側面というものについては、すでにいろいろと質疑があったところでありますが、問題は、森林の存在が、これは活用者とは関係なしに、国有林が、あるいは公有林が、民有林が入り会いができている。そこで、そういうところを流れている川にしても、あるいはそれを開発をする者にしても、開発の場合には今度は所有が問題になるだろうし、川の場合には国有林から民有林までこれは一貫をしてくるというような形であって、生活森林というものはいろいろな角度から非常にむずかしいものになっているように思う。そういう中で、いま問題になっている経済的な側面からひとつ問題を取り上げていきたいと思います。  これはきのうも質疑がありましたが、何といっても現在わが国木材需要というものは、大変外国から輸入をしなければならない。昭和四十年の初めのころには二八・六%の輸入が現在では六五・六%、さらにそれがふえるというような状態である。そして、これは国有林においてもそういう問題があり、民有林においてもそういうことがあって、大変林業経営というものは赤字である。そういう赤字のこれを克服するということは一体どうしたらできるのかという問題。これにはやはり長期需給計画と、それから単年度の生産計画なりそれに見合った計画がなければならない。そういうものが一体確実にできているのかいないのか。この点についてはどうですか。
  10. 藍原義邦

    藍原政府委員 いま先生指摘になりましたように、林業振興させ、林業家が意欲を持ちまして森林経営をするためには、やはり何といいましても木材が利用されるその利用のあり方についての見通しというものを林業家が認識していただくことが必要であろうというふうにわれわれも考えております。したがいまして、長期見通しなりあるいは毎年毎年の需給計画というものを立てまして、これを公表しておるわけでございます。先生指摘のように、こういう長期見通しなり需給計画をしっかり立てるということが、これからの林業振興の大きな基本になるというふうに理解いたしております。
  11. 竹内猛

    竹内(猛)委員 ところが、実際、立木の価格が、外材との関係から言った場合に、昭和四十二年から五十年にかけての育成の値段というものが四倍にも上がっているのに対して、実際の価格というものは一・七倍ぐらいしか上がっていない。そこに山林所有者大変不満を持っている面があるわけであって、要するに、育成する価格現実価格との間にこんな開きがあれば、当然造林熱意を欠くということは明らかなんだ。その問題をどのようにして調整をするかということが今後の森林経営を発展させる上の大きなポイントになるだろうと思うけれども、これはどういうふうにしたら一体調整ができるのか、これはどうですか。
  12. 藍原義邦

    藍原政府委員 木材価格につきましては、先生指摘のように、最近数年間は確かに伸び悩んでおります。ただ、過去昭和四十七、八年だと思いますが、木材価格が非常に高騰した時期がございます。そういう時期からその後木材需要関係がある意味緩和基調に移りまして、木材価格低迷状況であるという現実でございます。こういう意味から、木材需給関係が安定的な形になるような努力というものをまずする必要があると思います。そのためにも需給計画というものをはっきり見通しまして、特に木材価格につきましては、短期的なきわめて大きな変動がいろいろございます。そういう問題を含めて短期的な変動を十分見通せるような需給計画、こういうものを立てる必要があろうと思いますし、さらには、木材需給に大きく影響いたしております木造住宅の建築、こういうものがやはり安定的に伸びていくということも必要かと思います。そのほかさらには、やはりこれからの国際競争力なりその他に対応するためにも林道その他生産基盤の拡充、これもゆるがせにできない一つの大きな問題点だろうと思います。こういう生産コストを下げるという方向とあわせまして、需給を安定させながら価格を安定させていく、この両面を今後とも検討しながら対応していく必要があろうというふうに考えておる次第でございます。
  13. 竹内猛

    竹内(猛)委員 同じ四十二年から五十年の間というものに四倍の値上がりをする、一方は一・七倍だというところに実は問題があるのだから、ひとつそれを調整するために、木材価格の決め方に対する努力というか工夫というか、こういうことは考えたことがあるのか。たとえば外材備蓄をするとかなんとか、そういうような形で価格調整ができないものかどうか。これをしなければいけない。  それからもう一つは、木材自給率というものは一体どの程度の自給率を確保するのか。この自給ということと、それから国内生産調整価格というものは無関係ではないわけなんです。この点についてのことがしっかりしなければ造林熱意を持てないことになるだろう。この点はどうですか。
  14. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま需給価格の問題の両方を検討すべきであろうという御指摘でございます。先ほど申し上げましたように、木材が非常に暴騰をした時期に、これは供給が少なくて需要が非常に伸びたという結果こういうことになったわけでございますが、そのために短期的な木材需給変動に対応するために備蓄機構というものを設けまして、木材備蓄というものを現在行っておるわけでございますけれども、そういう問題とあわせまして、先ほども申し上げましたように、やはりこういう短期的な変動に対応するための需給計画というものを今後きめ細かく対応を考えていく必要があろうということで、私どももその検討を進めておるわけでございますし、価格の問題も、木材価格というものがやはり需給バランスから形成されておりますので、この辺を十分詰めることによりまして対応してまいりたいというふうに思っております。
  15. 竹内猛

    竹内(猛)委員 自給率というものを一体どれくらいに考えられているか、その点はどうです。
  16. 藍原義邦

    藍原政府委員 先生案内のように、日本森林は現在二十年生以下の森林が七〇%以上あるというような状況でございます。したがいまして、ここまだ当分の間は日本木材需要というものは外材に相当な部分を頼らざるを得ないというようにわれわれ考えております。現時点におきましても六五%の外材輸入が行われておるわけでございまして、今後も当分の間はこれに近い輸入が行われませんと、国内需要を満たすだけの供給がなされないというように理解いたしております。しかしながら、現在約九百万ヘクタール強の造林地もでき上がっておりますし、こういう造林が今後成長するに従いまして、国内供給力もだんだん増してくるわけでございまして、そういう点を検討し、私どもとしても将来どういう自給率であればいいのか、これにつきましては十分慎重な検討を進めてまいりたいというふうに思っております。
  17. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これは委員長の方にお願いをしたいのですが、やがて国有林審議もしなければならない。そういうときに林野庁政府木材需給計画なりそういう長期計画、こういうものをひとつ整理して出してもらいたいと思うのですね。それから価格決定方法等についても、あるいは備蓄方法等についても、これは民有林だけじゃありませんから、国有林も含めて材木の問題について。  それからもう一つは、これは前に中川農林大臣質問したわけですが、外材で税金がかからぬで入ってくるものがある。一体そういうことを黙って見ていていいのかどうか。やはり外国から入ってくるものに対しては、国内ででき得るものについては国内で賄って、課税をするなり何なりして防衛しなくちゃならない。それがどうして防衛できないか。このことについてはいま答弁していただきたい。前のことは、ひとつ内部で整理して資料をつくってほしい。
  18. 藍原義邦

    藍原政府委員 外材に対する関税の問題でございますけれども先生案内のように、戦後日本が復興いたしまして、昭和三十年代非常な木材需要があったわけでございます。それに対しまして供給がどうしても賄えないということで、木材につきましては年々外国からの輸入量がふえまして、現在六五%の輸入量になっているわけでございますけれども、そういう関連で、木材につきましては、丸太については関税が省かれ、製材についても特殊な樹種以外は関税がないという形になっておるわけでございます。現在六五%前後の外材依存という形、これが将来当分の問ある意味では続かざるを得ないという状況、こういう中で、いま先生指摘のような関税について、さらにこれに関税を適用させるということは非常に困難なことではなかろうかという気がいたします。さらに一方、現在の国際的ないろいろな状況を判断いたしましても、一方では日本にさらに木材を買えという圧力もございます。そういう観点と、世界全体が開放経済に向かいつつあるという事態の中で、木材につきましてこれにまた関税をかけるというような考え方については、一つ考え方としてはあるのかもしれませんけれども現実を考えましたときには非常に困難な問題ではなかろうかというように考えております。
  19. 竹内猛

    竹内(猛)委員 むずかしいことはそれは承知をしているけれども、だから長期需給計画とそれに対する生産計画と、それからどうしても足りない分についての輸入の問題、この調整というものはきちんとしておかなければ、これは組合をつくってもやりようがない、こういうように思うから、この点についての資料をぜひつくって、次の機会までには欲しい。  次いで、きょうは環境庁国土庁が来ていると思いますが、三全総ですね、三全総が発表されて、これといわゆる水資源あるいは保安、いろいろな機能を持つ山との関係でどういうふうにこの調和をとろうとしているのか。まず総括としてこれは国土庁から伺いたい。
  20. 星野進保

    星野説明員 御説明申し上げます。  ただいまの御質問でございますが、私ども国土保全それから開発という観点から、一応森林保全培養等につきまして位置づけておるわけでございますが、それの背景でございますが、これもすでに先生案内のように、わが国国土開発につきまして一番大きい問題と申しますのは、従来から過密過疎の問題であったわけでございます。それを受けとめるのに一体どうするべきであるかというのが基本的な発想でございますが、そこで、私ども三全総におきましては、非常に比喩的に申しますと、ある一定の広がりのある自然環境がありまして、その自然環境一つ人間活動を受けとめてくれる容量と申しますか、そういうものになるのではないだろうか。そうしますと、そのある広がり自然環境とその中で活動いたします人間活動というのがうまくバランスするように誘導していきますと、国土過密過疎の問題を非常にうまく解消していく方向に行くのではないだろうかということで、実は言葉の上では定住圏というようなものを考えてみたわけでございます。  それで、定住圏の中で一番問題でございますのは、先生先ほどから御指摘のように、いかに自然を保全するか、それと同時に、その中で人間活動するわけでございますから、当然水資源が要りますとか、それからその中で、特にこれも先生の御指摘がありましたように、当然それを維持管理するための人間活動の場がなければならないというような観点がございます。  そこで、計画の本文では、一つは、国土保全観点から森林資源というものを位置づけまして、それは御指摘のように、水資源保全であるとか、それから当然自然環境の最も基本的な緑というものを維持するのは森林でございますから、そういうものであるとか、あるいは保健、休養という人間活動にかかわる機能を持たせるという点が一つ指摘されております。それからもう一つは、今度はそこで実は人手がなければそういう条件が管理できないわけでございますから、農山漁村の整備という章節がございまして、そこで、山村地域におきまして実は非常に生活条件としては厳しいわけでございますが、各種の生活関連施設を整備することに努めたり、それから、そこの中に観光も含めたような形でひとつ就業の場というものをこしらえてみたらどうだろうか。実は私ども、こういう構想計画でございますので、非常に抽象的でございますが、物の考え方としてそんなことを三全総の中では指摘しておるのが内情でございます。
  21. 竹内猛

    竹内(猛)委員 構想は理解ができるのですが、問題はもうすでに総合開発計画が進められたところで幾つかの志と違った結果が出ている。たとえば私のところには茨城県に鹿島開発というのがある。あそこは確かに砂と松林の砂浜が長く続いていたところです。そこに鹿島工業開発地帯をつくって、今日では煙突が幾つか並んで、鹿島ぜんそくというように、土地が荒らされただけじゃなくて人間まですでに体が傷んでいる。同時に、そこに住んでいる学校に通っている子供は、地価が高くなったために金に対する感覚が全くない。小学生が千円札でタクシーでおつりをもらう、こういう状態で、人間の心もだめになってしまった。自然環境が壊されただけじゃなくて工業開発のために体も心も、精神も壊れてしまったという現実が、これは茨城大学の調査でも明らかであります。  やがて志布志湾なんかを開発しようという計画があるけれども、それは現在の資本主義のもとにおいては、利益のないところ、もうからないところには開発はしない。それは法則でしょう。これは体制がかわれば別ですけれども、損をしてまで開発をするというのは恐らくないだろう。そうすると、三全総がねらっているところの、自然のいいところを保ちながら、あるいは山林公益的機能というものを残しながら、なおその目的を達するということは大変私は矛盾をすると思う。これはどうですか、矛盾しないようにできますか。
  22. 星野進保

    星野説明員 先生指摘のように、多々困難な点あるかと思いますが、やはり私ども開発政策を進めるに当たりまして、自然環境それから生活環境生産環境という人間を取り巻く三つの主要な環境がございますが、それをいかにうまくバランスをとっていくのかというのはあくまで目標に置いておくべき性格のものだと思うのであります。したがいまして、それに従いまして十分の努力をしていくということではないかと思います。
  23. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これ以上国土庁を追及しても、これは非常にむずかしいから今度は環境庁の方に尋ねますが、環境庁はどちらかというと、国土庁開発をしていくあるいは定住圏構想を進める、こういうことに対して、今度は環境保全という立場からした場合には、これは防衛的立場に恐らくなるだろう。  先般も私は、あるところの開発を通じて、これは建設省の仕事だったけれども質問をしたわけだけれども、そのことをやることによって昆虫がいなくなる、あるいは野鳥も来なくなってしまう。人間というものは確かに居住も大事だし生活するためには金も必要だ。ところが、やはり心、歴史それから風土あるいは伝統、こういうようなものがもっと大事にされなければならない。そういうものが一つ一つ壊されてしまうようなことは困る。だから、日本のように、風光明媚の日本ということは世界でも有名だ。そういう日本自然環境というものを守るために環境庁はどういう努力をされているのか、まずそのことからお聞きしたい。
  24. 新津博典

    新津説明員 先生のおっしゃいますとおり、私ども環境庁自然保護局では、いかにして美しい風景、後世に残すべき自然を守っていくかというのが基本立場でございまして、たとえて申し上げますと、非常に風景のすぐれた自然公園公立公園とか国定公園とか、そういうところにおきましては、たとえば森林の伐採とかあるいは土石の採取というようなものも許可制にして、極力自然を守るという立場努力をしているところでございますが、同時に、やはりその中には民有地もあり国有林もあるということで、それによって生計を維持している人たち生計の面という点からの調和ということも同時に配慮をしなければいかぬ。しかし、基本のスタンスは、いかにして自然を守り育て後世に受け継ぐかということで精いっぱいの努力をしているところでございます。
  25. 竹内猛

    竹内(猛)委員 石油のあのころ、四十七、八年ころは、非常に各県でゴルフ場をつくることに熱狂と言われるくらいにそれに狂奔した時期がある。あのときには、物すごい乱開発があった。その後、いまそれはやんでいるようでありますが、このためにもあちらこちらの山が非常に荒らされて、自然環境が壊された。そういう中で大変醜い地区がたくさんできております。これから森林組合をつくって、その森林組合がこれから造林をする、造林をするという森林組合と、それから自然を守っていくという調和をどういうところで調和さしていくのか、何かそういう審議会でもつくってやるのかどうなのか、そこら辺の取り扱いはどういうふうにされますか。これは組合林野庁がやるのか、どこでやるのか。
  26. 石川弘

    ○石川政府委員 御承知のとおり、四十九年の森林法改正におきまして、林地開発規制制度を設けておりますが、これは御承知のように一ヘクタール以上の森林開発いたしますときに、都道府県知事の許可制にかけているわけでございます。この場合、やはり森林所有者がその森林を大事にしていく、その意見を十分反映させた上で、この開発許可制度を運用する必要があると考えておりまして、都道府県に設けております都道府県森林審議会におきまして、森林組合系統が十分にその意見を述べることができますように、都道府県の森林審議会委員森林組合の代表者を入れるということを通達をもって指導をいたしております。  それから、同年の法改正の中でも、森林組合が従来の森林経営に関します指導とかあるいは受託施業ということのほかに、林地の供給事業というような形を通じまして、そういう乱開発という形ではない、組合がある程度関与した形でのそういう林地の処分というようなこと、したがいまして、その地区の森林組合と無関係に動かされるというのじゃなくて、組合がそのことをある程度関与できるという道を開いたわけでございます。これは大変むずかしい事業でございますので、そう多く事例があるわけではございませんけれども、いま申し上げました二つの点等を通じまして、森林組合が林地の乱開発を防止するという面にも寄与をさしていきたいと考えております。
  27. 竹内猛

    竹内(猛)委員 国土庁環境庁は、これで私質問を終わりますからどうぞ。  今度は、森林開発公団の方にお尋ねをしますが、森林開発をしていく、そしてこれを発展させるためには、やはり一つは道路、林道というものが非常に大事です。開発公団は、大規模林道とそれから造林、これを任務として出発をしたわけでありますが、今日の段階でこの目的は予定どおりに進んでいるのかいないのか、まずそこから。
  28. 福田昭昌

    福田参考人 お答えいたしますが、当初計画いたしました全体計画に比べますというと、現段階では若干おくれておる状態でございます。
  29. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そのおくれておる主たる原因は何か、どういうことがおくらせている原因であるか。
  30. 福田昭昌

    福田参考人 主たる原因はおよそ二つございまして、御承知のように、昭和四十八年のオイルショックの際に、労賃あるいは資材が相当値上がりいたしましたこと、それから一つには、四十九年から五十一年ごろにかけて財政関係でいろいろ公共事業の圧縮がございましたということが大きな原因だと考えております。
  31. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それで、森林開発公団は、そういう当初の任務からいまおくれているものについて、それを改めて考え直す考え方はないか、これが一つですね。  それから、林道も、町村がやるものがある、都道府県が関係する、それから国、なお開発公団のように県をまたがった場合にはやる、非常にややこしい形になっている。これを末端で利用する者は、どこがやろうとそれは通るのは自由だから、そういう問題に対しての調整というものはうまくできているのかどうなのか、これはどうなんですか。やるのはそれぞれがやるけれども、通る者はこれは一つだ。
  32. 福田昭昌

    福田参考人 第一の点からお答えいたしますけれども、事業の実施を担当いたしております森林開発公団といたしましては、林道にいたしましてもあるいは造林にいたしましても、それぞれの地域から非常な熱意を持って早期完成を要望されておるところでございます。この点につきましても監督官庁でございます林野庁と十分連絡をとりまして、予算の拡充に努めて当初予定どおりに実施するようにいたしたいと考えておるところでございます。  それから第二の点でございますが、御指摘のとおりいろいろの機関でこれを実施しているわけでございまして、それらとの点の調整につきましては、実行機関でございます森林開発公団も地元の意向等を十分しんしゃくいたしました上で、林野庁の方に御指導をお願いしておることでございます。
  33. 竹内猛

    竹内(猛)委員 この際、理事長にお尋ねしますが、理事長は以前林野庁の長官をされていた経験がありますね。あのころに社会党からも、今度の国会にも提案をしておりますが、国営分収造林法を提案をしています。そのときもかなり審議をしたけれども、現に公団は事実上、社会党が提案をした趣旨と必ずしも一致ではないけれども収造林を行っておりますね、やっているでしょう。その実態についてちょっと報告してくれませんか。それと同時に、社会党がいま提案をしている分収造林法についての御意見をできれば出していただきたい。  私が知る範囲では、公団が事業をやった場合に、公団が十分の五、それから土地所有者が十分の四、それから造林者が十分の一、こういう一つの形、これは土地所有者の場合。あるいは市町村の場合には、市町村が十分の五、それから公団が十分の四、造林者が十分の一、こういうふうになっている。社会党のこの法案でも十分の五というものを基準にして考えよう、こういうふうになっているわけでありますから、やややっていることは同じなんだ。それについての、かつて林野庁長官であり現に今度は理事長としてやっておられる公団の理事長に感想と御意見を承りたい。
  34. 福田昭昌

    福田参考人 私どもの実施いたしております分収造林は、先生案内のように、森林の中で保安林でございますところの第一には水源涵養保安林、一部には土砂崩壊防止保安林、もう一つは土砂流出防止保安林、この三種類の中で、農林大臣が指定した地域でございます。この点についての事業実施につきましては、先ほどお答えいたしましたように、地域からの要望も非常に強いところでございまして、現在約四十一万ヘクタールの計画ではございますが、そのうち、現在の段階では、実施完了いたしましたのは約二十六万ヘクタールで、半ば以上達成しておる段階でございます。これにつきましては、早急に予算を拡充いたしまして、地域需要にこたえて木材需給の緩和に役立てたいと考えておるところでございます。  次に、いまなかなかむずかしい御質問でございまして、私の意見をお尋ねあったのでございますが、分収造林特別措置法に基づく民有林の分収造林は、現在は御案内のように、各府県の造林公社でも実施いたしておりますし、私ども森林開発公団による事業もございまして、この両方によりまして、最近では相当促進されてきております。と申しますのは、補助造林等につきましても、なかなか困難な問題がございまして推進が鈍っておるという段階の中で、こういう二つの造林はきわめて進捗度合いがいいのでございます。今回御提出法案につきましては、法律に基づきまして民有林造林の推進という類似の事業を森林開発公団で実施しておる私は責任者でございまして、したがいまして、特に意見を申し述べるということについては差し控えたいと存ずるのでございますが、今後公団等を有効に活用することによりまして、日本の健全な森林資源の維持、造成は可能ではないかというふうに私、考えておるところでございます。
  35. 竹内猛

    竹内(猛)委員 いま理事長から、当事者としてなかなか感想が述べにくいというお話がありましたが、では今井政務次官、これは社会党としては二回目の提案なんですね。現に森林開発公団では分収造林をやっている。国営ではないけれどもやっているわけです。そのやっている趣旨はほぼ類似の形になっている。主体はもちろん国ではないです。公団がやっているわけですから。社会党が提案をしている分収造林法についての所見をひとつ政務次官として承りたい。
  36. 今井勇

    ○今井政府委員 ただいまの御質問にお答えをいたしますが、かつて私が当農林委員会の委員でありましたときに、芳賀委員に対しまして自民党の立場から若干の質疑を申し上げました。いろいろの御意見をやりとりしたことを覚えております。ただ、この問題は、政府提案の法案と同時に今度当委員会に御提案になっているわけでございまして、この委員会で十分な御審議を賜るもの、私どもはかように考えておりますので、政府立場でいまの御質問に的確にお答えすることはいかがか、こう思いますので、差し控えさせていただきたいと存じます。
  37. 竹内猛

    竹内(猛)委員 どうもみんな御意見が出ないようで、これははなはだ審議がしにくい状態になっちゃったのですが、またいずれ他の委員からも質問があると思いますから……。  だけれども、実際、分収造林というものを現にやっている事実はあるのですよ。それを公団がやるか国がやるかという問題で、しかも、地元はかなり共鳴をし、喜んでおるわけだから、そういう喜んでおることについてこれを軽視するということは私はないと思う。何とかひとつ社会党のいい提案を実現をされるように委員会で努力をするようにお願いをしたいと私は思います。  そこで今度は理事長にお尋ねしますが、労務班の問題について、森林組合開発公団との関係はどうなっていますか。
  38. 福田昭昌

    福田参考人 私どもで実施いたしております造林事業におきましては、森林組合の労務班を直接雇用いたしてはおりません。一括して造林を実施します場合の契約の相手方、二者造林の場合におきましてはその造林者、三者造林の場合におきましてはその土地所有者造林者、これに対しまして労賃を含めて必要経費を出しておるわけでございます。しかし、その中におきまして、事業を実施する場合には現実の問題といたしまして森林組合の労務班がその大部分を占めておるのでございます。御参考までにその数字を申し上げますと、昭和五十一年度の三者契約面積の中に占める森林組合の割合は全体で五三・九%、約五四%でございます。また二者契約におきましては、全体の中で割合は三一・二%というふうに森林組合の労務班の持つ役割りというのは非常に重大な数字になっておるのでございます。
  39. 竹内猛

    竹内(猛)委員 この労務班の問題についてはいずれ後でなお詳しい質問をしますが、お忙しいところをおいでいただいておりますから、なお一問お答えをしていただいて私の質問は終わりたいと思います。  問題は、公団を経営をされる、人を使ってやる場合に、現時点で一番困難なことはどういうことかということについて、理事長から、困難な問題、それをお聞きしたい。
  40. 福田昭昌

    福田参考人 お答えいたします。  現地におきまして事業を実施いたします場合に非常に困難な問題ということは幾つかございますけれども、私が直接現地を見ながら感じますことは、仕事を実施します場合の管理をいたします職員がきわめて数が少ないのでございます。したがいまして、現地の造林事業を実施いたしました場合の指導なり監督なりそういった問題に大変職員が苦労しておるので、何とかその面につきまして人員の増加とかあるいは待遇の改善とかいうことを図ってやりたいということを念願しておることは、いま突然のお答えでございますので全般的に考えての問題ではございませんけれども、さしあたり気のついたことでございます。
  41. 竹内猛

    竹内(猛)委員 もう一つ答えが出ると思ったけれども、出ないからこちらから逆にお尋ねいたしますが、工事単価というもの、事業単価については従来のままでいいのか。それともこの事業単価というものに対してもう一遍再検討する必要があるかないかということについて答えがなかったですね。それはどういうことですか。従来のとおりでいいですか。事業がおくれているというのは事業の単価に変化があるんじゃないですか。
  42. 福田昭昌

    福田参考人 先ほどお答えいたしましたように、林道事業にいたしましても、造林事業にいたしましても、当初計画に対して仕事がおくれている傾向にございますということをお答え申し上げたのでございますが、したがいまして、その結果予算の面で相当苦しい立場にございますので、当然単価の面でもいろいろと工夫をこらさなければならぬという困難な問題がございます。五十二年度の事業等を例にとってみましても、成立予算と実績との間ではきわめて予算の面で苦しい面が出ておるのでありまして、成立予算では、水源林造林事業はヘクタール当たりの単価にいたしますと約八十六万円くらいでございます。しかし、実績をとりますと、いろいろとやりくりいたしましても約百万円はかかるのでございます。これはもちろん新植から保育を含めて全般の経費でございますけれども、ヘクタール当たりはそういうふうに苦しいという実態はございます。したがいまして、先ほど申し上げました点以外にも、御指摘のように予算の単価の面ではもっと配慮していかなければならぬ、そういう点も林野庁にお願いしてまいりたいと考えておるところでございます。
  43. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これはちょっと先の方に質問を考えておりましたが、ついでですから理事長のいるうちに伺っておきます。  労務班の働いている人々の問題について、これは大変重要なことだと思うのです。林野庁が出した資料の中にもありますが、四十六年から五十年までの中に、年齢を見ると、四十歳以上が四十六年が六六%、四十七年が七〇%、四十八年が七五%、四十九年が七八%、そして五十年で七九%、五十二年には恐らく八〇%以上に四十歳以上がふえていて、逆に四十歳以下が減っているということについて、そこに働いている人々の賃金が問題になるのではないかということなんです。それは雇用の場をつくるということも大事だが、賃金も問題になってきて、だんだん労務者が年をとってくる、この傾向について林野庁はどう考えられているのか、また公団の方もこれについて何か考えているのか、この点をぜひ聞かせてもらいたいと思う。
  44. 福田昭昌

    福田参考人 それでは私の方から先にお答え申し上げます。  確かに、森林地帯で働きます作業員の年齢は老齢化しあるいは女性化していくということは御指摘のとおりであると存じます。先ほど申し上げましたように、森林開発公団としては直接雇用をいたしておるわけではございませんけれども森林組合の労務班その他を通じまして聞いたところにおきましても、やはりそういう傾向はあるのでございますが、しかし、最近の情勢といたしまして、森林地帯の中で、一例を申し上げますと、私先般宮崎県の諸塚村というところを見たのでございますが、ここでは村の大部分は林業でございます。しかも間伐を対象とした作業をやっておるのでございますが、村の青年たちは後継者として残っておる人が非常に多くて、その後継者対策には苦労していない、そういう事例も出始めておるのでございます。もちろんこれは全国的な傾向ではございませんけれども。したがいまして、御指摘のように賃金の面における処遇改善も必要でございますけれども、なお大事なのは、その地帯で働く作業員の人たち生活環境、そういったものを改善してやることが非常に大事だと思うのでございます。その村におきましては、行きましたら、役場はぼろ役場で倒れかけたような役場でございましたけれども、青年の集まる公民館であるとか体育館というのはりっぱな建築を山中にいたしております。そういう施策も今後非常に大事ではなかろうかというふうに私は考えておるところでございます。
  45. 藍原義邦

    藍原政府委員 森林組合の作業班だけの賃金については、申しわけございませんけれどもデータがございませんが、民間賃金全般につきましては、それぞれ労働省なり農林省なり林野庁調査いたしました結果によりますと、木材伐出業につきましては、昭和五十一年で五千八百三十九円、造林手につきましては四千九百七十八円ということになっておりまして、建設の屋外作業の賃金が五千五百九十四円ということになっております。したがいまして、私どもといたしましては、林業関係に従事されます作業員の方々の賃金については、現在建設関係の屋外作業員と比較しまして遜色のない賃金になってきたというふうに理解しております。
  46. 竹内猛

    竹内(猛)委員 この問題はまた後で質問しますが、公団の方々に対してはどうもありがとうございました。  私は先ほど委員長に、農林省の方から長期計画とそれから諸般の資料要求しましたが、引き続いてその問題と関連をして、林業振興ということについて幾つかの質問をしたいと思うのですが、計画を立てる場合に木の種類、そういうものについてどのような計画と方針を持れているのか、造林計画に対して。これはここで答弁しなくても次に出てくるそれでいいと思いますが、それを含めてぜひつくってもらいたい。そうでないと需給計画がなかなかむずかしくなるだろうと思う。  そこで、林業と農業との関係について、かつてわれわれが郷里にいたころには、農業の中に木の菜っぱというものを取り込んで、そしてそれを肥料に使って、土地の有機質を高めたことがある。最近は労働力の関係からそういうことを余りやらない。だから、農業と林業の結合という問題についてどのような指導をされているのかということをまずお尋ねします。
  47. 藍原義邦

    藍原政府委員 御指摘がありましたように、林業と農業との関連につきましては、これを林家の戸数といいますかそういうもので見てまいりますと、いまの日本の林家戸数は約二百五十七万戸あるというデータが出ております。このうちの約九割は農業と林業を兼ねるいわゆる農家林家ということになっておりまして、農業と林業というのは非常に密接な関連があるということはこの辺からもわかるのではなかろうかと思います。そういうことで、複合的な経営を山村の実情としてやっておられまして、今後こういう農業と林業との関連というのはますます重要になってくるであろうとわれわれも考えております。  また一方、いま先生もおっしゃいましたけれども、昔は農業は森林から家畜のえさだとかあるいは緑肥だとか薪炭等の供給を受けておりまして、林業はまた農閑期に森林の手当てをするというような形で、その辺労働の提供の場あるいは所得の機会の場として林業というものが非常に重要な役割りをしてきたわけでございますけれども、今後とも、農業、林業につきましては、先ほど申し上げましたような薪炭その他の問題は最近では少しなくなりましたが、それぞれの地域におきましては、農業なり林業というものが一体になりまして開発の促進を図り、そして農山村の振興を図っていくことが必要であろうというふうに考えております。このため、入会林野の促進というようなことを現在林野でも考えておりますし、権利関係の近代化ということとあわせまして、入会林野に農林業経営の総合的な振興を図るための施策を現在考えておる次第でございますし、さらには農林地一体開発という施策を考えまして、これらの調査を並行して現在やっておる次第でございます。
  48. 竹内猛

    竹内(猛)委員 いま御答弁があったように、日本における民有林所有形態が非常に零細である。だから、農業と林業という、林業というほどではないけれども、山が結合していることはそのとおりだと思うのです。だから、それは林業と言えるかどうかわからないくらいに零細な形である。入り会いの問題については後でまた質問をしますが、それならば、林業を業として成立させるための面積というものは、これはその木の種類にもよりますが、何年ぐらいの樹木で、樹種で、そしてどのくらいの経営面積があったならば現在の経済のもとで林業として専業化できるかどうか、そういう目標を立てておるかどうか。これはどうですか。
  49. 藍原義邦

    藍原政府委員 林業が成り立ちます一つの規模と申しますか、そういうものは、その森林が所在する地域の自然的な環境なり、あるいはそこに生えております木の樹種あるいは林齢の、資源の構成状況なり、また林道等の生産基盤がどの程度整備されているかというような問題、そういうふうなものをもろもろ総合いたしましたその地域林業の成熟度合いと申しますか、そういうものにいろいろ関連してまいりますので、一概にどの程度がいいのかということは、なかなかむずかしかろうと思います。  またもう一つ、いまも御説明申し上げましたように、林家というものがほとんど農家と兼業で複合的な経営を営んでおられるということから見ましても、どの程度が適当であるかということは、非常にむずかしい問題ではなかろうかと思います。また一方、御存じのように、日本は林家の所有森林面積というものが非常に零細でございまして、その約九割が五ヘクタール以下という実態になっております。また、その上に、持っております森林が非常に若齢級のものが多いということ、こういうもろもろのことを考えますと、どの程度がいいのかという先生の御指摘でございましたけれども、非常にむずかしい気がいたします。ただ、ちなみに、非常に粗雑な計算でございますけれども、やってみますと、たとえば、前提といたしまして、杉を植えまして、これを植えてから伐採するまでに金が幾らかかるか、そしてそれが幾らで売れるかというような計算を単純にしてみますと、杉の人工林の場合ですと大体四十ヘクタールくらい必要ではなかろうかという、非常に雑な大まかな計算でございますけれども、そういう計算も私どもはしておる次第でございますが、実態として、どの程度がいいのかということではなくて、やはりそれぞれ持っておられます森林が非常に零細が多うございますので、今後の森林の経営のあり方としては、共同施業計画を組むなりして、共同していろいろ仕事をやっていただいて、森林をそれなりによく管理していただくということが適当ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
  50. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私も大体四十町歩から五十町歩だと思っておるのですが、そういうことになると、日本においては林業としての業が成立する分野というのは、専業としては非常に困難である。したがって、零細な山村の開発なり発展のためには、九〇%の零細な所有者がどのように林業と結びついた農業をやるか、それをどう指導、育成するかということが非常に大事になってくる。その主体が森林組合になってくるだろうと思うのです。そこで森林組合の任務というものが重要になってくるわけですが、これは私は、先ほど政務次官に意見を求めたけれども答えがなかったのですが、その場合に、国と所有者地域が一緒になって造林をして分収するというこの社会党の考え方は非常に妥当だし、前進的だと思うのだけれども、これはどうですか。それに対する考え方について、くどいようだけれどももう一度お尋ねをしたいのです。
  51. 今井勇

    ○今井政府委員 先ほど私が申し上げましたのは、政府案と社会党の案とが当委員会に出ておりますので、この委員会で十分御審議を賜りたいという趣旨のことを申し上げたわけでございます。  さて、いまのお話でございますが、先生が御指摘なさいますように、林家が非常に分散をし、かつその経営面積が小さいということで、生産性の向上がなかなかそれぞれではできないじゃないか、だからこそ今度森林組合が協同体として出てまいりまして、森林経営をひとつやっていこうじゃないか、しかもまた、林業経営の一環として生産から流通までやろう、しかもその中で、林業のみならず特産物の育成等も心がけていこうじゃないかという趣旨のものでやっておるわけでございまして、そういう仕組みというのはやはり今後も育てていくべきだ、それが一つ大きな林家の所得の向上にもなるというふうに私どもは考えておるものでございます。
  52. 竹内猛

    竹内(猛)委員 両案が出ているから、その取り扱いについてはそのとおりだと思いますが、ひとつ十分意のあるところをくみ取ってもらいたいということを、重ねて私は要求をしたいと思うのです。  きのう角屋委員から、金融問題なりそういう問題についてはかなり詳しく触れておりますが、やはり林業のように、長期でなければ生産が上がらない、まして四十年、五十年という年を経なければ伐採ができないというようなものに対する金融のあり方というものは、これはやはり非常に大きな問題ではないか。そこで、もう一度改めて林業金融というものに対する再検討の要があるかないかということについてお尋ねをします。
  53. 石川弘

    ○石川政府委員 御承知のように、林業の場合、特に造林を中心といたします資金につきましては、林業経営の非常な長期の性格がございますので、農林漁業金融公庫の造林資金等、あるいは林業経営改善資金等につきましては、公庫が現在持っております長期のもののうち最長期の金融をやっておるわけでございます。その公庫の金融だけではございませんで、御承知のように五十一年度に改善資金制度という無利息資金の制度をつくったわけでございますが、伐期がさらに長期化の様相を示しているとか、いろいろそういう問題がございます。かつてかなりの収入を挙げておりました間伐収入というものに対する収入依存度もなかなか容易ではないという事態がございますので、現在われわれとしましても、そういう金融のあり方につきまして検討を進めなければいけない時期に立ち至っていると思っております。ただ、この問題は御承知のように農林漁業金融全体の問題でもございますので、そういう検討の中の一環として考えていきたいと考えております。
  54. 竹内猛

    竹内(猛)委員 森林組合の現状とその強化問題について質問をします。  以上のような零細な山林所有者と、それからもう一つは、一方に、部分的ではあるが巨大な民有林所有者があります。そこでこの森林組合はそういう零細な所有者組合にならざるを得ない状態にある。なぜ巨大な山を持っている者は森林組合員にならないのか。たとえば島根県に田辺という人がいます。これは何千町歩という山を持っている。あるいは鳥取県にも大きな山林地主がいますね。
  55. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま森林組合に加入しております森林所有者森林規模別の調査を見ますと、〇・一ヘクタールから一ヘクタール未満の森林所有者の方で森林組合に加入しておられる方が四六%、それから五十ヘクタールから五百ヘクタール未満の方が八五%、五百ヘクタール以上の方が七三%となっておりまして、いま先生がご指摘のような大きな森林を持っておられる方で、あるいは一部入っておられない方があるのかもしれませんけれども、相対的に見ますと、大きな山を持っている方の方が森林組合にはよけい加入しておられるというふうにわれわれは理解いたしております。
  56. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そういう面もありますが、なお入らない巨大山林地主もあるということも事実だから、そういうものも加えなければ山の経営というものは非常にやりにくいではないか、こういうふうに思います。  そこで森林組合員の、今度新たにできるわけですが、森林法から森林組合を取ると森林法そのものの持つ内容というものが、森林計画を制度化していくあるいは保安機能を担当するとか、こういった形になってきて、実際の仕事は組合がやるようになるが、この森林法森林組合との今後の関係はどういうふうになっていくのか。機能関係ですね。
  57. 石川弘

    ○石川政府委員 御承知のように森林法は、従来、森林計画制度と林地開発規制と、その保安林を持ちます森林保全と申しますか、そういう制度と、もう一つ森林の施業の担い手でございます組合という、三つを柱としたわけでございますが、森林組合につきましては、今回の改正で、林業基本法森林法という二つの上にと申しますか、その二つの法体系にまたがる制度として位置づけたわけでございます。森林組合の目的の中にも、森林所有者の社会的地位の向上と一緒に、林業生産あるいは森林の保続培養とか生産力の維持増進といった目的を持っているわけでございまして、その部分につきましては、森林法の精神といいますか、森林法が持っております森林の生産力の維持増強とか、あるいは公益的機能というようなものを森林組合活動を通じてやっていただくという関係でございますので、不即不離の関係と申しますか、やはり片足は森林法の上に乗って森林組合の諸活動をしていただく、そういう方向、法体系になろうかと考えます。
  58. 竹内猛

    竹内(猛)委員 もう一遍確認しますが、実際の活動面は森林組合がやる、そして精神的な部分、たとえば指導であるとか計画であるとか、そういうものは林業基本法森林法が持つ、こういうような理解ですか。
  59. 石川弘

    ○石川政府委員 法律の体系といたしましては、どちらかと申しますと林業経営とかあるいは林業に従事なさる方の社会的地位の向上という側面林業基本法の体系上にあろうかと思います。  それからもう一つ森林の生産活動を適確に行いまして、森林の持つ木材の生産機能とかあるいは公益機能を維持増進をするという面では森林法がその基本となるわけでございまして、森林組合法はその二つの上に立って、組合の諸活動を行うための基本的な法制になるということでございます。
  60. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そのときに森林組合のあり方、これを市町村の行政区単位にした方が好ましいのか、それともそうじゃなくて、林業の存在形態に即してそれを組織した方がいいのか、こういう点について、これは将来の問題も含めてお伺いしたいのです。  私の茨城県の場合には、九十二の市町村があって、その中に四十五ないし四十七の森林組合がある。その中で機能をしている組合が十一、二、なおもっと活動的なものは八つぐらいしかないと言われているぐらいに、組合があっても組合らしからざるもの、もっとも茨城県というものは全国でも三十七、八番の位置にありますから、それを例にとって長野県や岩手県の例と比べるとはなはだぐあいが悪いかもしれない。しかし、そういうところもあるということを頭に置いて考えた場合に、この森林組合の組織の対象となるものは、市町村なのか、それともやはりそれの形態、存在の形態別にやるのか、そしてそれはどれくらいの面積が経営上好ましいのか、こういうことについては考えたことがあるかどうか。
  61. 石川弘

    ○石川政府委員 合併助成法の際にも御審議いただいたことでございますが、私ども今後の組合の大体の大きさというものあるいは将来の数というものを一応想定をいたしておりますが、千五百程度の組合というものを想定いたしますと、現在の三千三百市町村から言いまして、すでに二、三市町村に一つぐらいの大きさになろうかと思います。ただ、私どもは別に大きいほどいいということを言っているわけではございませんで、やはり組合員の方々の利便ということも考えなければいけませんし、その山の事情によりまして、市町村の大きさぐらいでも十分に生産活動ができるものもございますけれども、物によりましては数市町村集まっていただかなければなかなか仕事がない、あるいは恒常的な活動ができないということもあろうかと思います。市町村界というのは一つの行政単位でございますから、従来往々にしてそこに境を求めるということはあったわけでありますけれども、私ども考え方といたしましては、森林組合組合員のための十分なお世話をしながら経済活動を永続的に行えるような単位ということで考えておりますので、一般的には、広域合併ということを進めております立場から言いましても、市町村界を越えるような組合が十分今後もそういうものに向かって育っていかなければならないと思っております。
  62. 竹内猛

    竹内(猛)委員 ちょっとはっきりしないですね。つまり市町村単位につくるのか、それともそうでない形でいくのか。面積は、もっとも樹種にもよると思うけれども、どのくらいの規模がいいのか。あるいはさらに進んで言えば、そこにおる職員がどれくらいいなければ実際この任務が果たせないかどうかという問題、そういうことだから、形をつくってもその中に実体が入ってこなければこれは意味がないでしょう。そういうことを聞いているわけですよ。
  63. 石川弘

    ○石川政府委員 広域合併の場合の一つの推進の考え方で申し上げますと、森林の面積で約一万ヘクタールぐらいは必要ではなかろうか。それから払い込み済みの出資金でいいますと、一千万円程度の払い込み済みの出資金を持つべきではなかろうか。それから常勤いたします役職員につきましては七名程度以上といいますか、それくらいは最低限度必要ではないかということを目標にする考えにいたしておりまして、そういうものが組み込るめような大きさということを一つの指導目標にしたいと思っております。
  64. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それでやや明らかになったけれども、そうなると、これは行政単位じゃないわけですね。行政単位じゃなくて、やがては山の存在の形の中で地域的に組合をつくっていって、そういう機能ができるようにする。いろいろ森林組合を歩いてみると、役場の片すみに森林組合がちょこんとあったり、電話を受け取るような者が兼務をしていたりして、これは形だけの組合で、これでは本当の森林組合意味をなさない。  そこで、そういう七名規模の組合が理想的だと言われるとするならば、これは先ほど森林開発公団理事長から話もあったように、またわれわれにも要請があるように、技術の指導員あるいは管理をする人々等も足りないと言っている。これをどういう形で補充するのか、確立するのか。文字どおり組合組合として一人前に仕事ができるような体制をつくるためには、相当財政的な努力が必要だと思う。今度の森林組合法提出するに当たって、これは森林法のときとどれくらい予算上に変化があるのか。予算上の変化を明らかにしてもらわないと、せっかく森林組合法を出したけれども、予算は前の森林法のときと同じであったのでは意味がない、形が変わっただけの話だ。その点を明らかにしてもらいたい。
  65. 石川弘

    ○石川政府委員 先生指摘森林経営組合員の行いますいろいろの森林経営に対します指導、助成のための技術的職員でございますが、四十六年当時ほぼ三千七百人程度の専従的な技術職員が森林組合に配置されておったわけでございますが、五十年の数字で見ますと、それが四千五十人程度にふえております。このような技術職員が活動しますことによって組合の行動も活発化するわけでございます。私どももそのような森林組合の諸活動を援助するための予算措置をいたしておるわけでございますが、一番金額的に大きいのは、御承知のように林業構造改善事業でございまして、これは五十三年度の予算におきましても二百億を超えるような予算を配賦しておるわけでございますが、そういう施設に対する援助ということではございませんで、森林組合の諸活動を直接助成しますものといたしましては、御承知のように検査指導の業務、このうちに今度新しく監査士というものを置くことにつきまして制度的にお願いをいたしておりますが、この新規の予算といたしまして千三百六十万円程度のものを新規に起こしております。そのほか受託経営の促進対策、これも四千七百万程度の予算をつけております。これは前年度も二千万程度の経費があるわけでございます。そのほかのものとしまして経営改善の特別対策事業費というのがございまして、これにつきましても五千二百万前後のものをやっておりまして、その経営改善特別対策事業という中の作業班の強化対策というのが新規のものとして八百七十万程度ございます。あれこれこの種の森林組合の指導関係の事務的予算を総合いたしまして一億三千六百万程度のものがございます。  それからこういう森林組合の方にストレートに、森林組合の予算という形ではございませんが、たとえば団地共同施業をやりますような場合、これは森林組合が中核となってやる場合が多うございますが、そういうものの関係経費といったふうに、事業に着目しました諸経費等もございまして、御指摘のように森林組合が新たな活動をします場合の財政的援助に極力国としても努める覚悟でございます。
  66. 竹内猛

    竹内(猛)委員 森林法から森林組合法に移る場合に予算的にも若干変化があるということだけはわかった。それで十分だとは言えない面があるが、ともかく努力をした形だけは見れるわけですね。それはそれでよろしいと思います。が、それで十分だとは言えない。  そこで、いままでどちらかというと森林組合の仕事の中に、金融ですね、金貸しをして、それだけで経営をしているようなところが目立つというようなことを言われたことがあります。それは森林組合基本的な仕事ではない。確かに金の取り次ぎあるいは回収、返済ということをやることも仕事の一つですが、基本的には、造林をして山を緑にし、それを成長させて伐採をして供給をする、こういう仕事が基本的な仕事になると思います。そこで、そのためにぜひ山づくりの問題に対してなお努力をしてほしい、こう思うのです。先ほども公団からも来てもらっていろいろ意見を聞きましたが、特に林道の開発の問題、そしてその林道の開発単価が、補助単価も変わっているわけだから、そういうものも再検討して、そしてこの森林組合法が成立したならば、なるほどあっちもこっちもかなり変わった、こういう方向に行かなければならないと思うのです。これは今井政務次官、これから努力をしてほしいのですが、お答えいただきたい。
  67. 今井勇

    ○今井政府委員 ただいまの先生の御意見は、私も全くそのとおりだと思います。  ただ、私、ちょっと気になりますのは、手数料のお話がございましたが、私の認識ではそのような多額なものではないように実は理解をいたしております。しかしながら、先生のおっしゃいます後段の組合の任務というものはまさに先生のお説のとおりだ、かように思います。
  68. 竹内猛

    竹内(猛)委員 先ほど私は国土庁環境庁を呼んでいろいろな質問をしましたが、この森林組合が、乱開発あるいは住民の意に即しないような計画を立てた場合に、これを抑える、調整をする、そういう機能を持ち得るかどうか。これはどうですか、そういうことができますか。
  69. 石川弘

    ○石川政府委員 地域に林地の開発が入ってまいります場合に、第一義的に規制をいたしますのは森林法の中に盛っております林地の開発規制制度でございます。これは一定の要件が整わなければ林地の開発をしてはならないという形の制限規定でございまして、現実の運用は、一ヘクタール以上の広がりを持ちます森林に対しまして開発行為が入ってまいります場合には、これを都道府県知事が許可制にかけているわけでございます。その場合に森林組合がどのように対応するかと申しますと、その周辺の森林組合がその開発に対していろいろ意見があります場合に、そういう意見は都道府県知事の開発許可制の中に反映させなければならないと考えておりまして、四十九年の法改正の際に都道府県の森林審議会の中に森林組合の代表者を必ず加えるようにということを通達いたしております。そこで、地域森林組合意見がその都道府県の森林審議会における意見聴取の際にはっきり出されるという姿を想定しておるわけでございます。  それからもう一つは、これは実行上の問題としてはまだまだ進んでおりませんけれども、たとえば、森林組合組合員の方が開発業者のような方に林地を売り渡しまして、そういうことから乱開発が行われるというようなおそれがある場合も考えられましたので、やはり四十九年の改正の中で、森林組合みずからがそういう林地の処分をする事業もできるようにしたわけでございます。これは森林組合組合員の林地を取得いたしまして、みずからがそういう乱開発という姿じゃない形で処分ができるようにということを想定いたしまして制度化をいたしましたけれども、この点につきましてはなかなかむずかしい問題もございまして、現在その形で、実は開発がある程度コントロールされるというまでには実効は至っておりませんけれども、これも制度としてはそういうことを想定をいたしております制度でございますので、このような二つの方途を通じまして、森林組合の意向がその土地におきます開発行為に対しまして反映されますように、今後も十分の指導をしていきたいと思っております。
  70. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これはこの機会に、やはり乱開発を防止をして、計画的に植林をし、伐採をし、そして基本的な経済的任務、それから保安的な任務、それに観光、こういう三者が成立するような方向林野庁としては努力をしてもらいたいと私は思います。  それから次に、先ほど巨大山林地主の話をしましたが、なるほど森林組合にかなりの所有者が入っているということも承知をしておりますが、大山林地主がやはり日本には存在している。こういう者が依然として入らないところがある。そして、そこでは樹齢が来ても、伐期が来ても木を切らない。そうすれば腐って枯れてしまう。こういうようなことはやはり資源の損失だと思うのですね。そういうものを何とか木を切らせるようにするために、たとえば税金をかけるとか、あるいは何らかの方針でこれを指導する、組合に加盟させるとか、そういうことはできないかどうか、それはどうですか。
  71. 藍原義邦

    藍原政府委員 先ほど大きな森林所有者も大分入っておるということを御説明申し上げましたが、先生指摘のように確かに一部には入っていない方もあろうかと思います。私どもも、やはりそういう方々が森林組合に入りまして、日本全体の森林をよくしていくような協同的な組織の中に入って一体となってやっていただくことを望んでいるわけでございます。  いま、そういう大きな山を持っておる方々がなかなか木を切らないというお話でございますが、一般的には、全般を見ますと、大きな森林を持っておられる方の方が計画的な施業を行っておられるというような傾向があるように見受けておりますけれども、最近、先ほども御質問ございましたように、非常に木材価格が低迷しておりまして、そのために、規模の大小を問わず、なかなか山の木を切らないという、伐採が停滞しておるという状況が出ておりまして、これは私どもとしても重大な問題であろうというふうに認識しております。いま先生がおっしゃいましたように、木を切らない、あるいは大きな山主について、伐採のための税金、切らないための税金その他というお話がございましたが、御存じのように、森林を経営する場合には、森林計画制度に乗りまして施業計画を立てた場合には、それに対しまして山林の所得税あるいは相続税、こういうものが優遇されるという措置がございます。そういう税制面の優遇措置の面から、適正な施業を行い適正な伐採をするということ、こういう方面に誘導していくことは一応的確な方法ではないかというふうに考えておりますし、私どもも、最近だんだん計画制度に乗って森林計画をつくって森林を経営される方も年々ふえておりますので、今後そういう方面からこの問題には解決を図っていきたいというふうに考えております。
  72. 竹内猛

    竹内(猛)委員 この機会になるべく組合に加入されるように、そして指導が行き届くように、これはぜひやってほしいと思うのですね。  次いで、先ほど質問をしましたが、森林組合の中におけるところの作業班の位置づけというものを明らかにしてほしい。働く労働者、勤労者、こういう者をどういう位置づけにしてあるのか、これはどうですか。
  73. 石川弘

    ○石川政府委員 森林組合は、組合員の委託を受けて行う森林の施業を必須事業の中に入れております。したがいまして、作業班は、この事業を効率的に実施するための森林組合の中に設けられました内部組織でございます。法律的な規定の上から申しますと、四十九年の森林組合制度の改正の中で「林業労働の効率の増進に関する施設」というものを法定しておりますけれども、これがその法律的な裏づけでございます。今回の森林組合法の中でも、これと同じ考え方に基づきまして根拠規定を入れておるわけでございます。  さらに、作業班員と森林組合との関係でございますけれども、これは明らかに雇用の関係で結ばれているわけでございまして、労災保険とかあるいは雇用保険とかいうような形の上では、森林組合が事業主という形で作業班員を労働者といたしまして保険関係が成立するという形になっているわけでございます。組合につきましては、労働者を雇用する事業主といたしまして当然責任を有しておりますし、雇用の安定なり労働条件を改善するとか、あるいは安全衛生に努めるといったような形で、みずから雇用いたしております雇用者のためのことをやっておるわけでございます。これは先生もよく御承知のことでございますが、この場合、雇用されております作業班の中の非常に多くの部分が組合員そのものでございましたり、あるいは組合員の家族というところで構成されているところが、若干、他のいわゆる雇用関係と異なるということかと思いますが、基本的には、いま申し上げたようなたてまえでございます。
  74. 竹内猛

    竹内(猛)委員 この際、労働対策の一つとして、林業従事者の中小企業退職金共済制度への加入促進ということについて、助成なり援助なりそういうことを進めていくという考え方があるかどうか。ないとしたら、それに対してどのようなお考えを持っておるか。
  75. 石川弘

    ○石川政府委員 林業労働者の各種の社会保険の適用問題につきましては、御承知のようにいろいろと前進をしてまいったわけでございますが、林業労働の実態と申しますか、これは農業との裏表というような関係もございまして、なかなか通年雇用という形にしにくい。したがいまして、林業そのものへの雇用の期間が年間を通じましてどうしても短期にならざるを得ないというような実態もございまして、いわゆる通年雇用的なものを前提といたしております退職金制度につきまして、その適用を見ることがなかなかむずかしいという実情にあったわけでございます。しかしながら、先生も御指摘のように、今後の林業労働者を安定的に確保いたしますためには、他の業種において認められておりますような各種の社会保険制度を早急に適用していくということが必要と考えております。林野庁といたしましても、この退職金制度というものを何とかしてつくり上げていきたいということを考えておったわけでございますけれども、中小企業退職金共済法に基づきまして、特定業種の退職金共済制度、これは断続雇用しております者に対する制度でございますが、これに全面的に適用させていきたい。  ただ、御承知のように、林業の場合それを一挙にしますことにつきましては、雇用主を含めましてなかなか問題があろうかと考えておりまして、五十三年度の予算措置におきまして、五十五年度まで三カ年かかりますけれども、これに全面的に移行していく。その間、国は日額百五十円につきまして四分の一でございますが、直接の援助をするということが予算措置の上で認められているわけでございます。当初は二万五千人程度から出発しますけれども、目標年次におきましては約四万五千人程度がこれに加入できるようにという趣旨で、この制度の全面的な適用を受けるように努力をしていきたいと考えておりますので、これによりまして社会保険制度として残されておりました退職金につきましても相当の前進が図られるんではないかと期待をいたしております。
  76. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これはぜひ前向きに進めてもらいたいと思います。  それから同時に、もう一つ、今度の森林組合の中で特に注目されるものとして、森林組合監査士制度というものが取り入れられた。これは前からもあったと思うけれども、それをさらに強化をしていくということだ。今日までの間にこの段階で、それに対する助成の度合い、しかしこれはさらに助成をしてもっとしっかりしたものにする、確固たるものにする、そのためにはなお助成が必要だと思うけれども、この辺についてはどういうお考えか。
  77. 石川弘

    ○石川政府委員 森林組合につきましては、従来、行政庁によりますいわゆる常例検査というような形での業務内容の検査が行われたわけでございますが、森林組合もいろいろと事業の内容を拡充なさってきておりますし、今後予定をいたしております合併等が進みました場合の大型の組合につきましては、それぞれある程度の経済活動が活発化することが想定されております。これにつきまして、従来のような都道府県という行政庁側からの検査だけでは実は不十分でございまして、他の協同組合にも認められておりますようにみずからがみずからの組織を監査をしていくということが必要かと考えておりまして、全国森林組合連合会と都道府県の森林組合連合会の段階に監査士を設けることをこの法案の中でお願いをしているわけでございます。監査士はそれなりの資格要件を備えまして適切な監査をしていただく必要がございますので、この監査士を養成いたしますための経費約千四百万円を五十三年度予算に組んでおります。こういうものを活用いたしまして、監査士を養成し、その監査士による自己監査、さらにそれにつけ加えまして常例検査等も行いますが、そういうことによって組合の運営の適正化を図っていきたいと考えております。
  78. 竹内猛

    竹内(猛)委員 次に、民有林に関する白ろう病の問題についてどの程度とらえているか。国有林については相当白ろう病の問題は政治問題にもなっているくらい、あるところでは訴訟などが行われているくらいに取り上げられているが、民間は、その面積の割りに比較的白ろう病の声が小さい。私は、民間であっても白ろう病がないということはあり得ないだろうと思う。  まず最初に、国有林にあれほど騒がれているものが、民有林の中では余り取り上げられていないというその理由はどういうところにあるのか、そして白ろう病について現在どれくらい判明をしているところがあるのか、こういう二点についてお伺いします。
  79. 藍原義邦

    藍原政府委員 私どもも、林業労働をやっていただく方の中に振動病の方が出ておられるということは、非常に残念に思っております。そのためにいろいろな手当てをしておるわけでございますが、国有林につきましては積極的にその対応を進め、最近では振動病の認定をされる方も減少傾向にあり、さらには予防のために無振動のチェーンソーを開発いたしまして、先般も労使の間でその取り扱いの協定を結びまして、これからは振動のない機械を使って木材の伐採を図ろうという努力を現在しております。  民間の方の労働者の方々に認定の患者が少ない理由でございますけれども、これにはいろいろな理由があろうかと思います。一番大きな理由としては、チェーンソーを入れましたのが国有林が一番早かったということ。非常に昔から入れましたので、そういう意味では歴史が長いという事実がございます。さらには、国有林の場合には、チェーンソーを使う方はほとんど一年間を通じて、もっぱらチェーンソーを使ってこられたという事実、こういうことのためにチェーンソーを持って稼働される時間が非常に長かった、そういう累積もございまして、国有林に働く方々の方によけい出たのではなかろうかというふうにわれわれは考えております。民間の方々は、チェーンソーもお使いになりますけれども、それが非常に間断的であったり、あるいは他の作業と組み合わせていろいろおやりになるということで、チェーンソーで稼動される時間が国有林の労働者の方に比べて比較的少ないということが言えるのではなかろうかと思います。  現在でどの程度出ておられるかということでございますが、ただいま私たちが調べた結果では、五十二年三月末現在で千四百四十八名の方が療養中であると聞いております。  これに対しまして、林野庁としてはそれなりの対応をいたしておりまして、民有林の振動障害に対する対策、林野庁は主としてその予防対策を受け持っております。  治療につきましては労働省なり厚生省等にお願いしておるわけでございまして、予防面から、まずこのチェーンソーの操作時間を一日二時間以内にする、このための合理的な作業仕組みをそれぞれの作業現場の実態に即しましてつくり、これを普及するための作業仕組み改善促進事業というのをやっております。  それから、労働安全衛生規則の改正に対応いたしまして、チェーンソーの従事者に対しまして特別な教育を行う、チェーンソー作業従事者特別教育促進事業というものもやっております。  それから、林業機械整備指導員を養成いたしまして、チェーンソー作業従事者にチェーンソーの目立て等の濃密指導をいたします林業機械整備巡回指導事業というものも行っておりますし、振動障害の防止に必要な林業機械の開発改良を促進するための林業機械改良事業というものも進めております。  また、林業改善資金の中で、振動数の少ないリモコンチェーンソー等への買いかえの促進も図っておるところでございます。  さらに五十三年度からは、先ほども申し上げましたけれども、リモコンチェーンソーの普及定着化、こういうものを促進するために説明会等を積極的に開きまして、作業仕組み改善促進の一環としてまいりたいと考えておる次第でございます。  そのほか、労働省の基準局あるいは厚生省の医務局、こういう関係省庁と連絡をとりまして、ただいま関係省庁の連絡協議会を設けております。こういう協議会の場で民有林国有林を通じまして、振動障害に対する医療対策、予防対策あるいは健康診断というものの一体化を図りまして、ただいまその方針を決め、都道府県の方にそれの指示をいたしまして、都道府県におきまして目下鋭意その体制づくりを行っておるところでございまして、今後ともこの面につきましては私たちも十分対処をしてまいりたいと考えております。
  80. 竹内猛

    竹内(猛)委員 大変親切なお答えがあって結構なことだと思うのですが、やはり山を大事にする、それから経営を安定をすることと同時に、そこに働く人が大事に大切にされなければならない、これは政治の基本だと思うのですね。だから、これは国有林のときにも大変問題になると思いますが、白ろう病というような非常に悲しい病気にならないようにできるだけ手厚い保護をしていって、本当に喜んで山で働けるようにしてほしい。  これは今井政務次官、このことについては政務次官からもぜひ一言お答えをいただきたい。
  81. 今井勇

    ○今井政府委員 先生お説のとおりでございまして、これから非常に大事な人的資源であります山林労務者が、そういった病気になりまして長いこと苦しまれるということは、人道上からも大変な問題でございます。先生の御意見を十分体して処置をいたしたいと存じます。
  82. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そこで、入会権の問題について私はお尋ねをします。  入会権というものは、長い間問題になってきたし争いもありました。それが、四十一年の入会権近代化法によって、入会権がかなり近代化されたけれども、依然としてそれは零細な所有者の分割であって、なかなかこれが大きく拡大をするということはない。そこで、この入会権が今日まで果たしてきた役割り、それから、なお入会権が残っているわけですね、そして生産森林組合の中の多くのパーセントを占めているのは旧入会権だと思いますが、そういう中で、これはこのままでいいのか、もっと入会権というものに対する何らかの考え方をお持ちなのか、この辺をまずお伺いします。
  83. 石川弘

    ○石川政府委員 入会林野は、先生指摘のとおり、かつては薪炭林という姿あるいは採草放牧というようなことで、地域の農家の生産とか生活に大変密接に結びついていたわけでございます。その後、農業生産なりあるいは林業生産といったものの変化の中で、入会林の利用の形態というものがどんどん変わってまいっておりまして、かつてのいわゆる慣習的な権利利用のままにおきますと、かえってその利用が放置されまして非常に荒廃するというような事態が恐れられたわけでございます。  御指摘のような事情がございまして、四十一年に入会林野等近代化法が制定されまして、この法律に基づきました権利関係の近代化をやってきたわけでございますが、すでに五十万ヘクタール以上のものがこれによって近代化をされてきたということでございます。現在なお百万ヘクタールを超えます入会林野につきまして、従来のような入会権の状態のままに放置されているというようなこともございまして、毎年林野庁といたしまして、この近代化のための諸手続を進めるということを考えておりまして、そのために、御承知のように各種の税制上の優遇措置だとかいろいろなことをやってまいったわけでございます。  先生もいま御指摘のように、生産森林組合の非常に多くの部分は、実はこの入会山の近代化のために組織化されたものでございます。ただ、いまも先生が御指摘になりましたように、従来の慣行的な、総有的なと申しますか、そういう所有を形式的に近代化いたしまして、あるいは生産組合化をいたしましても、そこに何らかの生産対策的なものが伴いませんと、単に名義が変わったというような形の非常に消極的な利用関係になろうかと思います。農林省といたしまして、従来からも、たとえば人工林化という手法でその山の生産力を上げるという努力をしてきたわけでございますけれども、われわれといたしましては、やはりその土地土地に応じました山の利用ということを図りますためには、単に林業的利用だけにとどまることなく、その地域の実情に応じまして、土地の利用を高度化します。たとえば、端的に言いますと、畜産的利用にも供したらいいのではないか。ただ、先生もよく御承知のように、林業的利用でございますと、旧権利者のほとんどの人たちが、大変面積的には小そうございましても関与できますけれども、たとえば農業的利用に転換しようとしますと、関係権利者数を制限しないとできないというようなことがございまして、その間における各種の権利の調整等にいろいろ問題があるわけでございます。したがいまして、そういうものを調整いたしますための各種の権利調整のために、たとえばコンサルタントなんかを設けてやるようなことをやってきたわけでございますが、五十二年から五十三年度にかけまして、そういう権利を調整されましたものの上に、何らかの具体的事業を乗せることによって、単に権利調整なりあるいはコンサルティングということ以上の発展の可能性を持たせるということで、高度化事業というものを考えておりまして、これによりまして事業計画を立てまして、その事業計画に基づきまして、特別対策としまして、畜産的利用とか、もちろん林業的利用がございますが、林業的利用、それから農業的利用を含めました事業が地区にできるようにするという新しい道を開いております。この種のものを今後とも増強することを考えておりまして、それによりまして入会林野がより近代化された形で地域の農山村の方々に利用していただけるようになるのではないかと考えております。
  84. 竹内猛

    竹内(猛)委員 もう大体時間も来ましたが、入り会いの問題については、これはまた私たちも非常に関心の深いことでありますので、短い時間ではこれは議論ができないと思います。私の地域にも入り会いがあります。特に小さな部落にかなり広い入り会いの山があって、それが公民館を建てるときの金になったり、あるいはその公民館に部落の人たちが集まって、そこで話をし合って楽しみ合うという懇談と和を持つための一つの財源にもなったりしている意味において、入会権が持ついろいろな前進面もあります。経営的に言うとまた別な面も出ますから、入り会い問題というものについては、これは常に古くして新しい議論であるわけですから、ぜひこの問題はまた別なときに取り上げていきたいと思いますが、いずれにしても、生産森林組合が小規模のものであって、このままでいったらこれはどうもいかぬということで、これはやはり一考する必要があるであろうということで、問題点だけは指摘をしておきます。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕  最後に、これはお答えは要りませんが、問題を提起します。  これは国有林にも関連していることでありますが、私のところにも利権屋が地域に横行しておる。特に国有林の払い下げをめぐって材木屋と地方議員との癒着結合、こういうものがある。あるいは道路の工事についても入札をめぐって利権的なものがある、こういう具体的な話もあります。それから、これを取り上げれば汚職という形になるような問題も現にあるわけなんです。慣例としていろいろないきさつがあるかもしれませんが、ぜひそういうことのないようにしてもらわなくちゃならない。これは国有林の議論をするときには、具体的にこういう問題も幾つか例として出して戒めなければならぬと思っておりますが、きょうはそういう時間がありませんから、問題があるということだけはぜひ明らかにしておきます。  私はこれで森林組合法に対する質問を終わりたいと思いますが、当初申し上げたとおりに、森林というものが持つ経済的な機能、それから公益的な機能、その中には保安の問題もあるし、水源林としての問題もありますが、こういうものを非常に大事にするということが一つの問題。  それから、今度これが新しく森林組合に組織されて出発をする、そして中央から地方まで一貫した指導が行われるときに、そのできた組合がやはり従来と違った魅力と重みのあるものでなければいけないということですね。そのためには、そこに働く人々がやりがいがあるような、そういう処置がとられなければならないであろう。これは予算の問題が当然裏づけをされる。  それから森林開発し、造林をする場合には、当然のこととして道の問題が問題になるから、わざわざ森林開発公団理事長においでをいただいて現状を尋ねました。計画どおりに進んでおらないということでありますから、これについては、やはり単価などももう一遍再検討して、そして森林が、道路が促進されるように、そして新しい山が造成されるように、これは指導していかなくちゃならないことであろうと思う。  それから、そこで働く労務者、あるいはそれを指導する人々、そういう人間を大事にするということも申し上げましたが、これもやはり新しい段階から検討してもらいたい。  そのほか、病気のことやら何やら、いろいろお答えをいただきましたけれども、大体森林法から森林組合法に移っていって、そして森林法というものが持つ意味、それから森林組合活動する機能、運営、こういう問題まで質疑をしましたが、まだまだ問題がないことはありませんから、この点については、この法案自体の問題、それから附帯などいろんなことによってこれを補っていきたい、こういうふうに考えております。  最後に今井政務次官からひとつ回答をいただきたいわけですが、私、長い問質問をしましたが、その中で、山というのは、国有林にしても民有林にしても公有林にしても入り会いでも、これは住民の要求によってそういう所有区分ができたものじゃない。川なんかは国有林に出発をして民有林公有林を通って部落へ入ってくる、こういう形になるから、山の育成というものは、社会党が提案をしているような、国がそれを一括して造成をして、そしてそのあれによって分配をする、分収をする、こういう国営分収造林法の考え方というものは、非常に中身も機を得た当を得たものである、こういうふうに私は思うのです。それについて、先ほどからそれは大いに議論してくれ、こういうことですが、最後に、もう一つども熱意を込めて提案をしていることについてもなおその回答をいただいて、私は終わります。
  85. 今井勇

    ○今井政府委員 その前に、一次産業の中で独自の組合法を持たないのが森林組合でございまして、今回政府提案で森林組合法の御審議を賜っているわけでございますので、ひとつ法の速やかな成立をぜひお願いをいたしますとともに、その暁には、法の精神に基づきまして適正な運営をしてまいりたい、かように考えております。  それから、重ねてのお尋ねでございますが、先ほどから私がるる申し上げますとおり、この委員会で本当に十分に御審議を賜りまして、しかるべき御結論を出していただきますようにお願いいたすことにとどめておきたいと存じます。
  86. 竹内猛

    竹内(猛)委員 以上で終わります。
  87. 中尾栄一

    中尾委員長 武田一夫君。
  88. 武田一夫

    ○武田委員 森林組合法案について、この森林組合制度を分離した森林法の問題、この問題をまず最初に取り上げてお尋ねをいたします。  この森林法によりまして、森林組合を抜くとどうなるかという議論の中で、多くの方の中に、公益だけを重んずる法律になってしまうんじゃないか、すなわち森林計画制度とか保安林制度を中心とした国の森林資源政策の貫徹といいますか、そういうことを意図したいわゆる公的機能の維持や発揮という任務だけ強くなってしまう。ある人に言わせれば、これは公益の名のもとにおける国家統制法のようなものじゃないか、警察立法と言っても差し支えないというような議論さえ出ておるわけでありますが、そうした危惧に対して当局としてはどうお考えであるか、まずお尋ねをいたします。
  89. 石川弘

    ○石川政府委員 御指摘のように、林業の担い手としての森林組合の制度が独立いたしますと、残りますものは森林計画的施業という観点森林計画制度と、それからもう一つ保安林ないし林地開発許可制度といったような、どちらかと申しますと森林公益的機能の維持という二つが柱になるわけでございます。しかし、これは先生もよく御承知のように、森林の持っております木材生産機能公益的機能をいかに調和させるかということをこの二つの計画制度と保安林制度でやるわけでございまして、これはいわゆる公益機能の面だけではございませんで、いわゆる森林計画的に施業いたしますということには木材を安定的に生産をするという機能があるわけでございます。その両方の機能をいかに安定的に発揮させるかということが一般法としましての森林法の役目になろうかと思います。
  90. 武田一夫

    ○武田委員 林業にとって規制主義というのは非常に現場になじまないと言われております。山林というものの果たしている機能を考えますと、いま話がありました公益的機能とそれから経済的機能というのは必ず伴ってくるわけです。いままでずっとこれを分離してきたのではないか、それを明確にするのじゃないか、そういう思いがしてならないわけでございます。そういう二つのものがばらばらになって稼働いたしますと、健全なる林業の発展というのは期待できない。  これは御承知のことと思いますけれども、たとえば普通林と保安林とに分けて考えて、普通林というのが許可制から届け出制というようにどんどんなっておりまして、放任されているというか、その一つの形として乱伐という形で山を荒らしてきた。一方保安林というものを、種類をふやしたりあるいは面積を拡張することによって、そこに法的な規制というものを強くしていこうというような動きがずっとあったのではないか。そういうことは現実の山の状態を見てわかるわけでありまして、私は、そういうことを考えますと、こうした規制主義に陥るような弊害というのはどうしても阻止する当然の義務がありますし、そうしなければならない、こういうふうに思うわけでありますが、そうした問題について、今後間違いなくそうした弊害やら規制主義に陥るおそれはない、健全なる森林行政というものが、また林業というものが発展の方向に向くための法律と言えるかどうか、その点のお考えをひとつ聞かしていただきたいと思います。
  91. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま林政部長から御説明申し上げましたとおり、森林法から森林組合制度が抜けましても、森林に対します基本的な考え方は毛頭変わるものではございませんし、いま先生から普通林と保安林について非常に取り扱いが違うではないかという御指摘がございましたが、保安林と申しますのは、先生案内のとおり、森林が持っておりますいろいろな機能の中で特に高いものを保安林として指定しておるわけでございまして、当然普通林につきましても、森林の持ちます公益的な機能というものは森林そのものの機能として持っておるわけでございまして、普通林と保安林がその度合いによりまして一応分類されてはおりますけれども基本的には同じ考え方で取り扱われねばならないものだとわれわれ理解しております。  そういう観点から見まして、今後の森林林業を取り巻くいろいろな問題を踏まえ、これからの行政というものも、森林法なりあるいは林業基本法なり、この両方を踏まえました中で、それぞれの立場でそれぞれの使命に向かいまして健全な努力をしなければいけないというふうにわれわれ考えております。そういう意味から、いま先生がおっしゃいましたような危惧がないように、私どもも十分努力しながら対応してまいりたいというように考えております。
  92. 武田一夫

    ○武田委員 運営の面で、単独法化した森林組合法、これは森林法と不可分の関係にあるという明確なる位置づけ、認識というものはしなければいけませんし、また担い手としての森林組合の役割りというのは非常に大きいのだ、そういうことをやはりはっきりと認識をした上での法の運営でなければならないと私は思います。特に林業というのはあくまでも現場と密着した中で行われなければならない産業部門だと思いますので、ひとつその点の配慮を十分にした上での法の運用というものを私はお願いするわけでございます。  次に、森林組合法の第四十七条の役員の兼職禁止の条項、このところでお尋ねいたすものですが、「理事は、監事又は組合の使用人と、監事は、理事又は組合の使用人と、それぞれ兼ねてはならない。」こういうものが入ってくるわけであります。この「使用人」というのはどういう人々を指すのか、まずその解釈を明確に示していただきたいと思います。
  93. 石川弘

    ○石川政府委員 御指摘の条文を入れましたのは、組合の使用人が役員と兼ねてはならない、要するに、使用をいたします立場と使用されます立場が不明確になってはならないというための規定でございます。「使用人」と申しておりますのは、組合と雇用関係にあります者を言うわけでございまして、参事なりあるいは会計主任その他、いわゆる職員全般を意味しているわけでございます。
  94. 武田一夫

    ○武田委員 何か聞くところによりますと、現在、作業班員の中で理事をなさっている方があるというところもあるんだそうですか、そういうところにおいては、この法の適用によってどういうような動きといいますか、変化があるのか、その点どうでしょうか。
  95. 石川弘

    ○石川政府委員 御指摘のように、理事の方で、作業班員として第一線で活動していただいているという方が少数あるようでございます。私ども、この規定を設けます際に、その関係調整しなければならないと考えておりまして、結局、兼職禁止の規定がかかって作業班員として活動できなくなるということでは問題でございますので、その間を調整します方法といたしまして、その理事たる作業班員の方に対しまして給与を払います場合に、作業班員、使用人という形での報酬ではなくて、理事報酬として支払っていただくということ。それからもう一つ理事として作業班の業務に従事しているということになりますと理事権限を行使できるという形になるわけでございますが、作業班員としての業務に従事します場合には、理事としての権限を行使しない旨を規約等に定めるというような形にする。これをいたしませんと、労災その他のところに問題が出てまいるものでございますから、そういうことを行いますことによって、現状をある程度そのままの姿と申しますか、そういうような二つの手続をいたしますことによって、労務班員として御活躍いただけるということを確認をいたしまして、そのような指導をしたいと思っております。
  96. 武田一夫

    ○武田委員 たとえば非常勤の理事となるというようなケースも出てくるんじゃないか。それから山林を持っている、いわゆる所有者で使用人という場合と、それから持ってなくて使用人という場合で理事になるという可能性が出てきます。その場合に、前者のような場合は、これは考えてみれば、自分の利益のための一つの言動というものも考えられますけれども、後者のような場合は、同じように考えるとすればこれは不都合であるが、かえってこういうような方々が経理に参加して運営に当たるということは組合の運営上非常に好ましいことであると私は思うのですが、その点はどうでしょうか。
  97. 石川弘

    ○石川政府委員 この問題は、この規定をつくりますことの利害得失に当たるかと思います。各種の協同組合法規におきまして理事と使用人の兼職禁止の規定を持っておりますのは、やはり使う立場と使われる立場の混淆によりますいろいろな問題が起こることを防ぐという趣旨でつくっているわけでございますが、森林組合の場合は、いま御指摘のように、現にそういう現場で働くということをなさっている方がいらっしゃる。そのことは御指摘のように決して好ましくないというのじゃなくて、むしろそういう第一線で活躍なさる方が理事者として活躍なさるということは結構であるということを考えておりますので、規定を置くかどうかという問題よりも、むしろ置きました場合にそれによって現実的な活動ができなくなることがないように、要するに弊害をなくすという面で、先ほど申し上げましたような手法をとりますれば可能であるということを確認をいたしました上で、そういう方向をとろうと考えているわけでございます。
  98. 武田一夫

    ○武田委員 現場の人の話を聞きましたら、これは理論と現場の実態がかみ合わなくなる、だから非常に弾力的な解釈をしてもらわないことには、これは困る事態が必ず出てくるということですが、そういう事態においては、そうした弾力的な解釈の中で運用することも考え得るということでしょうか。
  99. 石川弘

    ○石川政府委員 いま申しました手法で指導いたしまして、末端で混乱が起きないようにしたいと考えております。
  100. 武田一夫

    ○武田委員 時間ももう余りないものですから、これはこの次にまた深く追及することにして、いろいろと林業問題で大事な問題がありますので、きょうは別の問題に移りたいと思います。  日本森林林業を取り巻く環境は非常に厳しい。こういうことで、働く人々の意欲も非常に低下している、施業、管理の粗放化等も非常に目立っているという。これは国土保全の上からゆゆしき問題で、林野庁は動かざること林のごとしという林野庁だったと私は思うわけであります。これは各地を歩いて、しみじみとそのことが実感として受け取れるわけでありますが、そういうようなときに一挙にこうしたうみが出てきて、外材の問題等を含めて日本林業が非常にピンチに立ち至ったというふうに私は思うわけであります。こうしたわが国林政の再建というものに現に取り組んでいるとは思うわけでありますが、これは今後大きな課題として真剣に取り組まなければならない。  そこで、国として当局として、どのように林業の再建、発展というものに取り組んでいるか、まずその点を簡潔にひとつお話ししていただきたいと思うのです。
  101. 藍原義邦

    藍原政府委員 私どもも、日本の林政なり林業なり森林が非常な事態に立ち至っておりますことは十分に認識いたしております。ただいま御審議願っております森林組合法森林法から取り出しまして森林組合根拠法規にするというようなことをいたしておりますのも、そのあらわれでございますし、さらには、ただいま国会に御提案しております国有林の改善のための法案をお願いしておりますのも、そのあらわれでございます。  先生案内のように、日本林業というものは、戦後、復興のために木材を中心に国民の経済に非常に寄与してきたと私は思いますし、また、その間に起こりましたいろいろな災害に対しましては、積極的な治山事業をし、あるいは保安林の制度なりを活用いたしまして、それぞれの対応をしてまいりましたけれども、ただいま経済事情のいろいろな変化等々の関係木材需給関係が非常に緩和基調になっておる、ここに一つの大きな問題もございます。そういう点、いろいろな問題がございますので、私どもといたしましても、これからの日本森林をどう持っていくか、あるいは日本の林政をどうするかということにつきましては、鋭意、真剣に検討を進めておる段階でございます。
  102. 武田一夫

    ○武田委員 そこで、いろいろと学識経験者などの意見をお聞きしているようでありますけれども、その人たちの中身を見てみると、余り好ましくないというか、これで大丈夫かなという気がするのであります。たとえば森林林業基本問題会議など、わが国の林政の再建策の何かいいアイデア、考えはないかという意見の聴取機関みたいなものをつくっているようでありますが、私は、こういうものだけでなくて、たとえば農林省を中心とした、経済企画庁も含め、さらにまた建設省等も含め、森林組合等の代表あるいは現地の現場に携わっている方々とか、あるいはまた消費者等も影響があるわけですから、そういう各界各部門の担当者が同じテーブルの中において、意見を交換しながら、情報を交換しつつ、わが日本のこの状態をどうするか、今後いかにすべきだというような、そうした真剣な討議の中で、やはり国というものがその中のリーダーシップを発揮していく、そういうようなものを私はぜひ設け、それを強化していくところで、こうした危機を回避し、また未来に対する明るい展望というものを打ち出す必要があるのではないかと思います。そういうような考えは林野庁としてお持ちでございましょうか。
  103. 藍原義邦

    藍原政府委員 先生十分御案内かと思いますけれども林野庁といたしましても、ただいまの林業基本法に基づきます林政審議会あるいは森林沖に基づきます中央森林審議会、これらの大きな専門家の方々を中心にいたしました審議会がございます。こういう場におきまして、いま先生がおっしゃいましたようないろいろな問題については十分御意見を承りながら、これからの施策の参考にしていこうということで、従前からやっておるわけでございまして、今後もそういう姿勢は崩さずに対応してまいりたいと考えております。
  104. 武田一夫

    ○武田委員 あちこちを歩きますと、林野庁の行政というものを見ていると、あくまでも国有林中心の行き方をとってきた、われわれ民有林人間にとっては非常に不満だという声が聞かれるわけですが、そうした民有林の発展、これは民有林の規模が大きいだけに大事な問題だと思うし、そうした不満や不平があるということは素直に受け取らなければならないと思うわけでありますが、こうした民有林の発展というものを中心とした指導育成機関というか、そういう部局というものは充実しているのか、現在の体制で果たしていいものかどうか、その点はいかがお考えでございましょうか、その点を聞きたいと思います。
  105. 藍原義邦

    藍原政府委員 日本森林国有林あるいは民有林、こう分かれておりまして、国有林が全体の三分の一程度を占めておるわけでございますが、林野庁といたしましても、決して国有林に偏重した行政をしておるわけでございませんで、それなりの対応をしておるわけでございます。  そういう意味からも、従前もそういう姿勢でやってまいりましたし、今後も私どものそういう姿勢は変わるものではございませんが、ちなみにこれを予算等で比較いたしましても、たとえば昭和四十年と現在の予算を比較いたしますと、民有林につきましては、現在民有林関係の予算が二千六百十一億という形で、四十年度の予算の約八倍に伸びております。それから国有林につきましては四倍程度の伸びであるということ。それから国有林につきましては、みずから経営するという形で自分で国有林の職員を使って経営しておりますけれども民有林行政につきましては、都道府県の職員の方々を入れますと、それ以上の大きな人間を抱えながら、林政をそれぞれの立場で分担しながら推進しておるわけでございまして、私ども国有林が大事だ、民有林が大事だということではなくて、日本の林政全体を考えながら、それぞれの立場でそれぞれのあり方に即して、今後とも日本の林政を進めてまいりたいと考えております。
  106. 武田一夫

    ○武田委員 そうあってほしいと思いますが、たとえば組合の方をちょっといろいろ回って聞いたところによりますと、行政官庁の組合に対する事務負担が非常に多過ぎるのだ、そういう不満があるわけであります。それが組合の経営を相当圧迫している。たとえばある単協の例ですが、国や県からの依頼によっていろいろ動いた。そのためにどのくらいの日数をとっているか、そして経費がどのくらいかかったかということをちょっと聞いたところが、ある組合におきましては、一年間で八十日間、それにかかった経費が約六十万円である。これはどこからも入ってこない、全部自前持ちである。厳しい経営の中で、こういう国や県からのいろいろな問題が組合の方に来るというようなことは、あたかもわれわれを出先機関のように考えているのじゃないかというような問題もあるわけでありますが、こうしたところからのわれわれに対する温かい思いやりがないぞという声が聞かれるわけですが、こういう点はどんなものですか。全国的にあるのじゃないか。私は自分の県を歩いたときに、たまたまこうした苦労の中で一生懸命組合の経営というものに努力している模範的な方にお会いしただけに、こういう問題はほっておけない、こう思ったわけですが、どうでしょうか。
  107. 藍原義邦

    藍原政府委員 いま、組合の方々が国なり県の行政に非常に使われて、八十日なり六十万の金をかけておるというお話でございましたが、森林行政をやります場合に、やはり国、県あるいは民間の方々が一体になってやっていただく問題もあろうかと思います。そうしてまた、国なり県は、それぞれ民間の方々のいろいろなあり方を見ながら必要な行政指導をやってまいるわけでございまして、今後ともその辺は協調して、お互いにこれからの日本森林をよくするために、そうしてまた、組合員の社会的地位の向上、発展のために努力しなければいけないと考えておりますが、いま先生が御指摘のような、必要以上に森林組合の職員を酷使しておるということはないと私は思いますけれども、万一そういうことがあるような場合があれば、これは県を通じまして十分その辺は対応してまいりたいと考えますが、基本的には、やはり国、県なりそれぞれの森林組合なりが、これから協力しながら日本森林をよくしていくというのが基本的な姿勢だろうというふうに考えております。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
  108. 武田一夫

    ○武田委員 次に、林業行政の進め方についてお尋ねしますが、林野庁は、林業行政の進め方の中で特に大事だと考えているものは何か。
  109. 今井勇

    ○今井政府委員 私どもは、三つあろうと思います。一つは、先ほどから議論があります。森林が持つ四つの大きな目的といいましょうか、すなわち木材生産、それから水資源の涵養、災害の防除あるいはまた国民の健康保全といった面を踏まえた、しかも、長期の視点に立った森林の経営。もう一つは、何といっても国民のデマンド、要求に的確に応じ、しかも、その要求に対して安定的な供給をすることであろうと思います。それから最後の三番目は、何といっても森林を盛り立てていくのは人であります。地域であります。したがって、林家の経済的な安定あるいはそういった林業に従事する方々が住む環境の整備、この三つが私は最も大事なものであろうと考えております。
  110. 武田一夫

    ○武田委員 私は、いま御意見を伺いましたが、林業行政の中でいろいろと大事な問題、なかんずく普及行政ですね。要するに林業普及行政、これが林業の中心であるべきではないか。個々の経営に立ち入る、あるいはまた、綿密なるあるいは濃密な技術経営指導、実物教育といいますか、そういったいわゆる技術指導主導型の林業行政というものをもっと認識しなければならないのじゃないか。諸外国におきましては、技術者というものの優位というものによって林業行政というものが行われている事実を考えたときに、私はこうした問題を重く見るわけであります。  そこで、この普及行政、県の普及課等に行っていろいろ様子を聞いたり見たりしておりますと、普及課の職員というのは、どうも現在遊軍扱いのようで、極端に言うと、何か案内するだけの、案内役の用だけで終わっているなんという、まことに悲しい現実もあるわけでございます。そこで、各都道府県における普及指導体制といいますか、そして、その活動状況というのは、私は、知っておかなければならないと思うわけでありますが、これはどのようにとらえておりますか。その点、まず簡単にお話し願いたいと思います。
  111. 須藤徹男

    ○須藤説明員 お答えいたします。  ただいま先生から御指摘ございましたように、林業行政の推進の中核となりまして普及職員が日夜活動しておるわけでございます。この活動状況でございますけれども、すでに御案内のとおり、この林業普及指導事業は、昭和二十四年に発足以来約三十年を経過しようとしておるのでございますが、この間森林林業を取り巻く情勢は、先ほど来お話がございましたように著しく変化をいたしておるわけでございまして、普及指導に対する要請もきわめて多様化かつ高度化してきておるのでございます。また、林家を初め普及対象の農山村からの流出あるいは兼業化等の現象は、普及指導職員による普及指導そのものを一層困難にいたしておりまして、これらを克服して普及指導活動の積極的な展開を図ることが緊要な課題となっておるのでございます。  このような情勢下で、現在都道府県本庁に林業専門技術員、通称SPと言っておりますが、これが四百九十六名おります。その出先機関に林業改良指導員、通称AGと言っておりますが、二千二百五十三名を配置いたしております。これらの活動の単位といたしまして、全国に三百八十の普及指導区というものを設定いたしまして、総合的かつ計画的な普及指導を実施いたしておるのでございます。  この効果的な推進を図るためには、何にも増して、ただいま先生お話ございましたように、普及指導職員の林家等に対する接触を量的あるいは質的に高めることが重要でございますし、このために普及指導職員の資質の向上を図るということが重要でございます。また、効率的な活動の実施のために機動力の整備でありますとか集会開催の促進等、所要の措置を講じておるところでございます。  また、この普及職員の業務の遂行に当たりましては、各種の林業施策との連携が必要でございますし、この林業施策との連携強化を配慮しながら巡回活動等の強化に努めておるのでございまして、各都道府県ごとにそれぞれ普及指導に対するニーズに適合した活動の充実が図られておるというふうに考えておるのでございます。
  112. 武田一夫

    ○武田委員 いろいろ話がありましたが、そこで簡単に聞きますけれども、私の県でいろいろ聞いたのです。これは農業改良普及員等と比較して——この農業改良普及員の場合も非常に大変です。山の場合は広域化がどんどん進んでいます。山ですから道路が幾らよくなっても平地みたいに思うようにいかない。そこで機動力というのはどうなんだということだったのですが、いま機動力の面で非常に力を入れているような話をしておりますが、宮城県の場合は県に七台しかないんだそうです。大体五、六人で一台、しかも車を更新するときは補助金は来ない、県の方は財政難だということで、がんばれと言ってポンコツ車で動いている。大体山で、しかも非常に大変なところを動くために、耐用年数はせいぜい四年考えればいいというのが、六、七年くらいのもざらにあるというような状況だそうでございます。これを考えましたら、技術指導員、普及員の方々は本当に御苦労なさっているのではないか。  この間、林野庁の方に聞きましたら、AGですか、その方々は月、十五日間以上は巡回指導等に歩くのだとか、SPの人でも一週間は歩くのだとか言っていますが、とてもとてもそんなことできない。大体普通の普及員でさえも、せいぜい十日行けばあとはもう家の中に引っ込んでいるというような現実をよく認識をしまして、ひとつこの点に一層の充実した施策を考えていただきたいと私は思うのです。これをがっちりやらないことには本当の林業というものは育たない、こう思うわけです。ですから、ひとつその点をよく踏まえて、全国的な実態をよく把握した上での現実との兼ね合いの中で果たして大丈夫かという、そういう問題をやはり真剣に検討していただきたいと思うのです。その点ひとつ、答弁は要りませんが要望しておきます。  それから次に移りますが、外材の問題です。これは非常に各般にわたる問題として、政府としても悩んでいるのではなかろうかと思います。いま、木材輸入が非常に多くなってきている。そのために値段の点とかその他いろいろな条件で国産材というものが思うように活用されない。住宅建設においても、外材の利用とか新建材等々の利用によって思うようにいかないということで、非常に苦労しているわけであります。こうした苦境を打開するために、やはり政府としてもいろいろと努力をしているのではないかと思います。  そこで、私は、建設省に伺うわけでありますけれども、国産材の活用ということを真剣に考えてほしいと思うわけであります。やはり木材の多くは建築材料、住宅に使うことによって消化されるわけでありますから、日本林業の活路を見出すのはどこかといったら、私は、この住宅問題に大きなウエートがあるのではないか、こう思います。その点について、建設省としましては国産材の活用という面についてどのような配慮をなされて実行に移されているのか、この点をまずお伺いして、それと関連して、林野庁としてもいま、そのためのどのような努力をなさりつつ活動の展開をされているか、これは時間もございませんからひとつ簡潔に答弁をいただきたいと思います。
  113. 松谷蒼一郎

    ○松谷説明員 お答え申し上げます。  住宅の問題につきましては、いま先生から御指摘のありましたようにいろいろな問題がございます。通常は、木造住宅に対する志向は大変高いわけでございます。ただ、木造住宅についてはやはりいろいろな問題がございます。たとえば耐火性の点において劣るとか、あるいは通常、戸建ての住宅になりますが、その場合に在来工法で工事を施行するわけでございます。その場合に、熟練した技能者が現在非常に不足をしておるとか、そのために住宅の価格がなかなか安くならないというようないろいろな問題点があります。しかし、一般的にユーザーの志向は木造住宅にございます。そのために、そういったいろいろな欠点をできるだけ解決をしていく、克服をしていくために、建設省といたしましても、林野庁といろいろ御協力をしながら、昨年度からでございますが、四千万円の技術開発の予算をとりまして、また、昨年の十一月でございますか、財団法人として日本住宅・木材技術センターを設立、発足いたしまして、そのセンターにおきましていろいろな研究開発をやっております。今年度は七千百万円の予算を計上いたしまして、さらにこれからのいろいろな問題点につきまして研究開発を進めていきたいと思っております。  それからまた、公共住宅につきましては、住宅金融公庫の資金によります公社住宅の戸建ての住宅、分譲住宅でございますが、これにつきましてはできるだけ国産材を使いました在来工法の木造住宅をつくっていくように指導をしておりますし、また、公営住宅につきましても一部の地域、たとえば林業構造改善地域でございますとか、あるいは山村振興地域でありますとか、そういうところでは、できるだけ地域の実情に合った木造住宅をつくるように指導をしているところでございます。
  114. 藍原義邦

    藍原政府委員 いま建設省からお話しございましたけれども林野庁も、住宅そのものの行政官庁は建設省でございますので、今後とも建設省とは十分連絡をとりながら対応してまいりたいというふうに考えております。  いまお話しございました在来工法の問題でございますが、これについては、五十年から在来工法の、部材が多いということで部材の単純化、こういうものの研究開発を進めまして、五十二年度からこの改良型をつくりまして、全国で三カ所でございますが、このモデルを建てて、現在見本展をやっておる最中でございますし、五十三年度もまたこれを引き続きやってまいろうというように考えております。こういうことで、在来住宅のよさというものを国民の方々に認識していただくPR、これを積極的に今後とも進めてまいりたいと考えておりますし、さらには、いまお話しございました日本住宅・木材技術センターで、建設省とともども、このセンターにおきまして、これからの住宅その他に関連しますいろいろな利用開発については積極的に対応してまいりたいというように考えております。  また一方、間伐材の問題もございます。この間伐材の利用につきましても、ただいまいろいろなアイデアの募集もやってみたり、あるいはまた、これも住宅でございますけれども、間伐材をうまく使いまして新校倉式住宅というものを開発いたしまして、これを展示し、この利用開発を今後とも進めてまいりたいというふうに考えておりますし、そういう意味からも、今後とも積極的にこの対応を図ってまいりたいと思っております。
  115. 武田一夫

    ○武田委員 林野庁で改良在来工法住宅というのを進めてきた、これは結構なことです。それで非常に効果があって、努力をすれば国産材を使っても建てられるというような感触を得たところもおるんだそうです。聞きましたら。それなのに、なぜこういういいものが、努力次第では国産材の活路が見出せるというようなことがわかってきているのに、五十二年がわずか三カ所でしょう。ことしはわずか六カ所ですよ。どうして思い切って全国的に一斉にやってみようと大胆にやれないのか。いまはテレビの時代ですし、宣伝もいろいろあります。出てくるのは、大体きれいな外材を使った、あるいはそういう建材を使ったものばかりです。ところが、実際やってみたら、茨城だかどこだか知りませんけれども、地元の業者との協力がうまくいきまして、非常にいい、これならつくれるという感触を持っている方々が出てきたということですから、こんなみみっちく六カ所、まあ聞いたら、それは倍増しているからいいんではないか、こんな考えではいけないし、そういう姿勢だから、建設省も積極的に国産材の活用というものには踏み切れないと思う。いいことだったらどんどん言って、国内のそうした業者の救済のために力を入れるのが大事な観点だと思うのです。その点、少し積極的に進めてほしい、こう思います。どうでしょうか。
  116. 藍原義邦

    藍原政府委員 住宅建設の進展が林業にも非常に大きく影響いたしますし、また、木材需給関係には一番大きく影響いたすものでございます。そういう意味から、私ども先ほど申し上げましたように、今後木造住宅、在来工法の住宅が国民の間に普及するような努力を積極的にしてまいりたいというように考えておりますし、そういう意味から、五十二年、それから五十三年と、いま申し上げました対応をしておるわけでございまして、先生の御指摘のように、今後ともこういうものについては鋭意努力してまいりたいというふうに考えております。
  117. 武田一夫

    ○武田委員 時間がなくなりましたから次に移ります。  災害の問題。山が火事あるいは雪などで木が傷めつけられておる。そのことにおいてはある程度の災害補償というのはあるわけでありますが、獣害補償というのはないそうです。ところが、最近は、各地へ行きますと、いろいろな獣害というものによる被害というのがばかにならない。ところが、どういうわけか、国有林の場合余り騒がないんだそうです。そのために国有林を食い荒らした、たとえばあの岐阜県の益田郡の小坂町のような国有林のヒノキを食っているときはよかったんだけれども、なくなったら民有林に出てきて、わさわさと食って大変な被害を及ぼしているという、そういうようなケースが出てきたわけです。そこで、私は、聞きますと林野庁も被害者ではないかと思うのです。そうすると、そのとおりだと言うのです。被害者が余り騒がないわけですね、林野庁としては。それは国から金が出ているからおれに関係ないと言うんでしょうか、それはわかりませんが、こういう問題が出てくれば、必ず民有林の被害によってそれで騒がれて、国有林も相当傷めつけられているんだなどというようなことでは、これは大変な国費のむだです。それだけでなく、そのために民有林を抱えている、生活をそれによって支えられている人たちはどれほど苦労し心配しているかわからないわけです。そのために私は二度ばかり岐阜県の現地にも赴きました。  それで、そのところに的をしぼって質問いたしますけれども、この問題はいまどうなっているのですか。岐阜県の小坂町を中心としたあのカモシカ災害に対する問題について、各庁の方に来ていただきましたけれども、ひとつ簡単に現況と、結論はいつ出すのか、お答え願いたいと思うのです。
  118. 須藤徹男

    ○須藤説明員 カモシカ被害の問題につきましては、ただいま先生から御指摘ございましたように、各地で増大しておるわけでございまして、これに対します根本的な対策といたしましては、林野庁環境庁、文化庁、三庁が相集まりまして、今後の基本的な対策について進めておるわけでございますが、とりあえず、ただいま御質問ございました小坂町の問題につきましては、民有林につきましては、いまお話ございましたように、カモシカの捕獲ということで文化庁の許可を得て進めておったわけでございますが、この区域につきましては、御承知のとおり国有林も含めた区域を対象にいたしまして捕獲を実施したのでございます。その後、民有林におきます捕獲の実績がはかばかしくない。はかばかしくないというよりも、一頭もとれてないという実態もございまして、国有林としてもこれはほうっておくわけにいかないということで、あそこの関係営林署、二営林署ございますが、捕獲の申請をいたしまして、実は捕獲を実施しておるわけでございますが、残念ながら現在これは捕獲できてないというような状況下にあるわけでございます。  そこで、今後の対策といたしまして、早急に環境庁、文化庁と協議をいたしまして、緊急対策をどうするかということを、いま事務段階で詰めておるわけでございまして、近日中に何らかの結論を得たいというふうに考えておるのでございます。
  119. 武田一夫

    ○武田委員 文化庁、環境庁はどうなんですか。
  120. 横瀬庄次

    ○横瀬説明員 お答えいたします。  文化庁といたしましても、いま林野庁の方からお答えがありましたように、林野庁と、それから環境庁関係の三庁の問で協議をいたしまして、特にこの岐阜県の裏木曾地域、小坂町を含む四町村でございますが、この地域につきまして対策を急いでいるわけでございます。現在、関係省庁の間で話し合いをしているわけでございますが、関係町村からは保護地域の設定とその捕獲方法について特に要望が出ておりますので、この点に特に留意をいたしまして早急に詰めたいというふうに考えております。
  121. 武田一夫

    ○武田委員 それで、その保護地域の設定というものをまず早く決めてほしいというわけです。決めないために、ますます下まで来ているわけですからね。私も見てきましたよ。もううちがたくさんあるところまで来て、若芽を食べているわけです。皆さん方も現地に行って御承知だと思いますが、保護地域を早く決めてそこに追い出したい、いろいろな知恵をしぼって。中には鉄砲で撃ち殺すぞなんという過激派も出ておりますから、余り長引かせると、何度も何度も各省庁に陳情に行っては、だめなんだ、こんななまぬるいものではもうどうしようもないんだということを、本当に体験的な貴重な話の中で何度も何度も繰り返しながら——理論的な問題ばかり取り上げて頭で考えた行動をやるから、わなには一匹もかからない。大体クマのようなのろまがかからないのにカモシカがかかるかと言われたらしいのですが、それでもかかると言うのですから、よっぽど林野庁とか環境庁とかいうところはかなり雲の上にいる人だなというような悪口をわれわれが行くとさんざん聞かされるほどですから、これでは、国の経営としても問題これ以上のものはないわけです。ですから、一日も早く保護地域の設定と、そこにカモシカを誘導する方法の真剣なる取り組みをして、そして被害をこれ以上ふやさない、こうした決意を持ってひとつ取り組んでほしいと思うのです。  それから、もうすでに七億か八億の被害になっているわけです。これはどうするんだと言ったら、どうしようもないと言うんです。こんなばかなことはないのです。本当を言うと。ですから、その被害の補償の問題も第二の段階として必ず出さなくてはならないと思いますが、地元の方々はそこまではまだ思い切りは言えない、こういうような心情的には非常につらい立場で国の施策を見ているわけですから、どうかひとつ、近日あるいは近いうちという、それは本当に近いうちのここ一カ月とかその辺で答えを出してもらわなければならない、こう思います。政務次官として、この問題は各省庁にしっかりと最終的な結論を出すように働きかけをして、そして三庁合同の中の責任のなすり合いをやめて、しっかりと抜本的な対策を立ててほしいと思うのですが、その点お答え願いたいと思います。
  122. 今井勇

    ○今井政府委員 先生の切々たる御所論、まことにそのとおりでございます。関係省庁が多いこと等がございまして、何か大変手ぬるいというおしかりを受けてまことに申しわけないことでございます。どちらかというと農林省は被害者の立場ではございますが、ただいまの先生の御質疑に対しましては、誠心誠意早期の解決を目指すように努力をいたすことを御答弁申し上げたいと存じます。
  123. 武田一夫

    ○武田委員 最後に、経営維持資金の問題について質問したいと思います。  やはり林業というものは長い期間の作業でございますから、かなりの投資も必要である。しかしながら、そのために現在のような状況のもとでは非常に苦労も多いわけです。国の大事な資源を保持し、そして林業の発展ということを考え、経営者のそうした苦境を救うために、やはり制度的には経営維持資金というものを円滑に活用できるような体制というものは当然考えられていると思うわけでありますが、聞くところによりますと、現在ある林業経営維持資金制度では融資が受けられる最高限度額が六十万円である。しかも、これは公庫資金を利用しているとその分は減額してしか貸されない。こういうような中で高度経済成長の中での林業というものを考えたときに、まことに少ない上に何とさびしい資金制度であろうか。また据え置き期間の問題にしましても、間伐収入のある前に償還を始めなければならないというので、その間別な資金の調達に走らなければならない等々、こうした資金の問題については相当苦労しています。そうした姿を見ているために、大きな山を持っている、たくさんの山を持っている家の子供さん方は、そんな苦労をしてまで山なんかしたくないと言って、現実にはおやじから受け継ぐべきものを受け継がないで、おやじが亡くなってもそのままにして自分の名義にはしないなどというような者も出ているというのがあるわけでございます。後継者が出てこないという深刻な悩みは、これは林業は特に多いわけであります。そうした制度的な面でこうした問題が一つ一つ解決する方向に、国が真剣に取り組むべきではなかろうか。大胆に言えば、三十五年、四十年とかかるわけですから、その間は無利子で金を貸すぐらいのおおらかな政治をやってほしい。われわれは一生懸命大事に山を守り、治山治水の問題でも一生懸命努力をする、そうして成長したときにはそれに見合ったものは国に返すとまで言っている方が多いわけでございます。その点に対して、当局の考えとこれからの指針というものをお聞かせ願いたいと思うわけでございます。
  124. 石川弘

    ○石川政府委員 維持資金につきましては、四十九年度に三十万円でございましたのを六十万円まで一律引き上げましたほか、五十一年度でございますが、樹病とかそれから特殊林産物に係る災害資金を貸付対象に加えました。その後、その年でございますけれども、貸付限度額を災害以外の資金と通算しまして百万までは貸せるということにいたしたわけでございます。さらに五十三年度におきましては、災害資金の場合の貸付限度額につきましては百万から百五十万ということで、十分ではございませんでしょうが、制度の改善をやってきたわけでございます。  この資金は、先生御承知のように、林業だけではございませんで、農業とか漁業、農業で申しますと自作農維持資金でございます。漁業の場合は沿岸漁業の経営安定資金というものがございまして、これとの均衡ということが常に制度的に論ぜられるものでございますので、たまたまいま先生おっしゃいました災害の百五十万とか一般の六十万というのは、この二つの資金の上限と一致しているわけでございます。  林業の場合に、この維持資金の性格でございますけれども、災害以外の場合でございますと、一種の経営困難な場合に、それを自分の経営の中だけで改善できないとその部分を外部から入れまして、その返済財源も、前向き資金のように生産活動から返すという形ではございませんで、どちらかというと生計的なものを若干抑えてでも返していくという論理の構成になっておるものでございますから、巨額のものをこれに充てるというのが大変むずかしい性質になっております。御承知のように、前向きの資金でございますと、前向き資金需要というものから算定をいたしまして所要の資金を算定するという手法で、経営維持費の増高分をどんどん金額を上げてきておりますけれども、この維持資金につきましては、使途が全く自由であるというようなことから、必要最小限度ということで、いま申し上げました六十万とか百五十万が設けられておりますけれども、やはり時代に即応していかなければいかぬということもございますので、他の二つの資金との均衡も見ながら今後十分検討をさせていただきたいと思っております。
  125. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 この際、午後三時再開することとし、暫時休憩いたします。     午後一時二十九分休憩      ————◇—————     午後三時五分開議
  126. 中尾栄一

    中尾委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、それを許します。馬場昇君。
  127. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 松くい虫防除特別措置法にかかわります御質問を申し上げたいと思います。  松くい虫防除特別措置法は昨年の第八十国会で成立をいたしまして、五十二年度はこの法律に基づいて約二十八億の予算で九万ヘクタールの特別防除が行われたわけでございます。そしてこの法律で、今後五カ年間で約二百三十二億の費用を使って空中散布、すなわち特別防除を計画しておるわけでございまして、これは大臣御承知のとおりでございます。  昨年の第八十国会のこの法律の審議の過程で、多くの疑問や問題点指摘されたわけでございますが、それが十分解明されず、納得のいかないままに、社会党、公明党、共産党の三党が修正案を出したわけでございますが、これが否決されました。一部修正は行われましたけれども、自民党、民社党、新自由クラブの多数によってこの法律は可決、成立したわけでございます。  この法律の審議の過程で私ども多くの問題を指摘したわけでございますけれども、その主な重点として指摘しましたのは松枯れの原因でございます。政府は、松枯れというのはマツノマダラカミキリが運ぶマツノザイセンチュウに原因がある、こう主張したわけでございます。私どもも全面的にそれを否定まではしなかったのですけれども、松枯れの原因というのは大気の汚染、皆伐等による自然環境の破壊など総合的である、こういうぐあいに主張したのでございます。第二の問題としましては、農薬の空中散布の効果についてもたくさんの疑問があるということで、その疑問も指摘したわけでございますし、さらに、空散するところのスミチオン等の有機燐剤の人体に与える影響というのも非常にある、またこれは自然環境を破壊する、こういうことも主張いたしました。この法律は強制的であり過ぎる、そして地域住民の意見の反映が十分でない、こういうことも指摘したわけでございます。私は、松枯れが重大な問題であるということはわかるのですけれども、この法律を提出する前、そして提出した後の林野庁の執念というのは異常だというふうにも主張いたしました。その内容については前の国会で申し上げたので言いませんけれども、この五年間に二百数十億円使うわけですから、そういうことも背景にあって、松枯れ対策に藉口した農薬会社と林野庁の癒着というものさえ疑わざるを得ない。そこから追い立てられてやっているのじゃなかろうかという感じさえもしたわけでございます。  松枯れというのは、高度経済成長の経済性一切倒の山荒らし、人減らし林政に対する天の警告だ。ここで松くい虫の対策をするだけでなしに、松枯れの総合的な対策をして、山づくりを含めた強力な法律にすべきだ、こういうことを主張したのですけれども、これは残念ながら入れられなかったわけでございます。  そこで、きょう大臣に質問いたします重要なポイントにかかわる問題でございますけれども、大臣、この法律の成立後に、この法律に基づいて昨年第一回の空中散布が行われております過程で、あるいは行われた後で、私どもは重大な事実を実は発見したのです。それは、第八十国会でこの法律を審議するために、政府、農林省が国会法の第百四条により国会の審査及び調査のために提出された資料がございます。すなわち「松くい虫防除特別措置法案参考資料」、これです。大臣も持っておいていただきたいと思うのですが、これがその資料でございます。松くい虫防除特別措置法を審議する資料としてこれが一つ政府から提出されたわけでございます。そしてこの資料の中で、この法律を制定するための唯一の基礎資料となっておりますのが——この資料の中には、たとえば「森林資源状況」だとか、「松林の現況」だとか、「松の枯死の原因」だとか、いろいろありますが、空中散布をするとこんなに効果があるのですよというような資料というのは、この資料の中で「特別防除(航空防除)の効果及び実施状況」というのがあるのです。その内容は、いろいろ数字を挙げまして、農薬を空散したならばこのように効果があります。被害が減少してこのように数字的に減少しております。だから効果があるのですからこの法律をつくってください、こういうような資料でございまして、二十一ページから二十五ページまでにわたりまして実は九事例がここに出ているわけでございます。残念ながら、法律を審議する過程におきまして、この九つの事例を一々私たちは質問もいたしませんでしたし、これが誤っておったということに実は気づかなかったわけでございまして、法律の成立後にこれに気づいた次第でございます。  大臣、この九つ資料がある中で、ほとんどが、正確に言いますと七つが全部作為であり、私に言わせますと改ざんであり、捏造でございます。うその資料です。四十八年度に空散したら四十九年はこう減った、そして空散したら五十年はこうなった、あるいは被害がゼロになったという資料もあるわけですけれども、これが全部捏造、改ざん、うそ資料です。こういう問題で、政府がこの国会と国民をだましたのだ、私はそういう事実を実は発見いたしまして、だまして法律をつくらせた、こういうことに実は気づいたわけでございます。  そこで、私は、昨年の九月十二日に第八十一国会で鈴木農林大臣にこの事実をただしました。ここに私は議事録も持ってきておるわけでございます。この議事録をお読みになったかどうか知りませんけれども、議事録をお読みになるとわかりますが、鈴木農林大臣は次のような答弁をなさいましたし、約束をなさいました。御指摘のような間違いがございました、非常に遺憾に思い、深くおわびをいたします。こう鈴木農林大臣は陳謝をなさいました。そしてまた、私が多くの資料要求いたしましたが、私の要求した資料、そして指摘した問題点について、その弁明を国会に出します。そうしてその真偽につきまして委員会で御議論を願います。こういうことも約束されまして、事実要求した多くの資料について理事会に提出していただきました。その中で、政府が出した資料、私が指摘します点、こういうことを議論をして、それが作為であり、捏造であり、改ざんであれば、突き合わせた上で、調査の上で厳正な措置をとるという約束をなさいました。そこで、私は、間違った資料、うその資料で、その上に乗った法律でございますので、この成立した法律というのは問題があるので執行停止にすべきだ、こういうような主張をいたしましたら、鈴木農林大臣から、国会で成立した法律でございますし、当委員会を通過した法律でございますので、この委員会で、国会で意思の決定を願わなければならない問題でございます。こういう答弁がございまして、私は委員長に対しまして、では執行停止するかしないかという議論をする委員会を開いていただきたいというお願いをいたしまして、理事会でそれが取り運ぶように決定していただいたところでございます。  大臣が新しくかわられましたものですから、少しくどくどしくなりましたけれども、いままでの経過、事情について御説明申し上げたわけでございますが、いまから議論をするに当たりまして、中川農林大臣もこの前大臣の確約を再確認していただきたい、そしてこの委員会で決まっております取り扱いについて御協力をいただきたい、このことについてまず大臣に御質問を申し上げたいと思います。
  128. 中川一郎

    中川国務大臣 昨年法律を通すに当たりまして、その基礎ともなるべき参考資料の数字が間違っておったということは、権威ある当委員会に提出いたします資料として、まことに申しわけないことであり、遺憾であったと存じます。かかることは今後ないように十分戒めていかなければならないと存じます。  ただ、この法案を通すに当たりまして林野庁が農薬会社等と癒着を持った何か他意のあることであったかどうか、そのために捏造したと言われますと、これは私としては、そういうことではない、単純なミスではありますけれども、あってはならないミスであることは間違いございません。そして、松枯れという問題は日本じゅう大変なことでございますので、何とかこれを防除したいという一念であったことも御理解をいただきたいと存じます。  御指摘のように資料が間違っておったのだからこの法律を執行停止にしては、こういうことではございますが、これも鈴木前農林大臣が御答弁申し上げましたように、立法府において御審議をいただいて通過成立をいたしました法律でございまして、行政当局がこの法律を執行しないという権限もありませんし、そういうことはでき得ないわけでございます。また、この法律の内容は、今日の林野行政にとってきわめて重要な内容を持つものであるばかりじゃなくて、立法の趣旨からいっても執行はしてまいらなければならない。残念ながら貴意に沿いかねるわけではございますが、ただ、こういった間違いがないように、ついては十分気をつけていきたい、そしてまた、間違いを起こした責任者である林野庁長官には、しかと、こういうことのないようにということで厳重注意をいたし、長官もまた、それぞれの担当官、実際間違いを犯しました担当官にはこれまた十分注意をして、二度とないようにという措置をとったところでございます。どうかひとつ、今後とも改めるは改めてまいりますので、法の執行だけは御理解をいただきたいとお願いを申し上げる次第でございます。
  129. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 農薬会社との癒着ということは、私は、そういうことも想像されると言って、事実そうだったということは言っていないわけです。これは私も資料を持たないわけですから。  それですけれども、問題は、いま大臣が答えられましたのは、ちょっと私さっき項目を分けて質問したのですけれども、もう一遍念を押して言います。遺憾であるということは鈴木さんも言われ、いまも言われたわけで、謝りになったわけですけれども、とにかく、この資料が作為であり捏造であり、改ざんであるかということを議論して、そういうことであれば非常に厳正な措置をとるということも約束なさっておりますし、さらに、資料はすべてこの委員会に出すということも言っておられるわけでございます。それから執行停止につきましては、いま大臣言われましたように、鈴木さんも、行政府でこれは執行停止はできないんだ、だから国会でやってくれとおっしゃったから、いまやろうという段階だ。国会でやることについて、鈴木さんもそう言われたし、あなたもそういう気持ちで国会で議論することには協力を願いたい、こういうことをいま言っているわけでございますので、結論から言うと、鈴木さんが言われたことをそのままあなたもお守りいただけますかということになるのですけれども、いかがですか。
  130. 中川一郎

    中川国務大臣 鈴木農林大臣と私は全く考えは変わっておらないと思います。作為、捏造であったならば、これは厳重に処分しなければいかぬと思いますが、私も見ましたところ、そういう作為、捏造のために、法案を通したいためにつくったものではなくして、単純な間違いである。間違いではあっても許されることではありませんから、厳重注意をし、二度と再びないように、そういうことは当然のことでございます。  なお、もし執行しないということになれば、当委員会、立法府において措置していただかなければなりませんし、措置をいたしまして、これは執行すべきでないという立法府の御判断がありましたならば、それに従うこともこれまた当然のことと存じます。
  131. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 大臣も、単純ミスであったと言って、いま非常に元気よく答弁なさっておるわけでございますが、だんだん中身を言っていきますと、これはと思われるのじゃないかと思いますが、まだ十分御存じでないからそうおっしゃるのじゃないかと思うのです。しかし、私は、ここで各委員に、なるほどこういうことだったらこの法律はやはり執行停止しなければならないだろう、こういうことを判断していただくという意味においていまから質問もするわけです。だから、大臣が単純であったと言われるけれども、単純ではなかったという点についてまた質問するわけです。  質問をする前に、これははなはだ失礼ですけれども、大臣と私の議論が水かけ論にならぬように土俵をつくっておきたいと思うのですよ。そういう意味におきまして、たとえば、私はいまから、作為とか捏造とか改ざんという言葉をしょっちゅう使います。だから、その言葉の認識といいますか、そういう点についてだんだん言っていっても、いや、おれはそれは作為と思わぬ、捏造と思わぬ、改ざんと思わぬ、こう言われれば水かけ論になるわけですから、そういう意味で、作為とか捏造とか改ざんとざっと言って、私はこう思っているんだということをまず私は聞いておきたいと思うのですがね。
  132. 中川一郎

    中川国務大臣 馬場委員がまじめに、これは作為、捏造である、こう思われることを否定する何物も私は持っておりません。ただ、私も、私なりに見たところ、そういう作為、捏造しなければならない背景もないし、出ておる間違いも、統一性がなくて単純な間違いではあるというふうには思っておりますけれども、この議論を通じて、どちらが本物であるか、これはもう十分議論していただいて、もし私の判断に誤りがあればこれは当然また判断を変えなければなりませんが、現在としてはそんな気持ちでおりますし、また、これを御指摘なさる馬場委員の気持ちもわかりますので、尽くすべきは議論を尽くしていただきたい、こう思う次第でございます。
  133. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 私はいまから、「不当」とか「作為」とか「欺瞞」だとか「改ざん」だとか「捏造」とかいう言葉を使いますけれども、私は素直に、たとえば広辞苑を引いてみて、書いてある、そういうところでやりたいと思うのです。  たとえば念のため、もう「不当」なんか言わずもがなですが、私が「改ざん」と使いますのは、字句などを、多く不当に改める場合をいう、こういうぐあいに広辞苑なんかはなっているのです。字句などを、多く不当に改める場合を改ざんという。「捏造」というのは、事実でないことを本当のようにこしらえることを捏造という。こういうことになっているのですから、私はそういう意味でいまからそういう言葉を使っていきます。  そこで、実は経過を申し上げながら御質問をするわけですけれども、薬剤空中散布の調査事例について、この事例九つございますけれども、この九つの例は、先ほど言いましたように、昭和四十七年あるいは昭和四十八年から空中散布を始めた、五十年までの三、四年の間で松枯れが著しく減ってきた、こういう資料でございます。これについて私がただしましたところ、いろいろな資料を見まして、ここに九つ事例が出ておるけれども、実はそれは六百事例あるんだ、こういうことです。だから、この九つの事例が正しいか正しくないかということを調べるために、その九事例のバックになっている六百事例、裏づけになるような原資料を出しなさい、こういう資料要求をして、出すということになったのです。そうして、実は私のところに担当の人が来られまして、五十二年の十月に、実は六百事例と先生がおっしゃいますけれども、正確に言いますと五百三十八事例でございました。この内訳は、空散が二百五十、地上散布が二百八十八。五百三十八事例でございました。その資料を出します。こういうようなお話でございまして、持ってこられた資料というのが「薬剤散布効果調査」五十二年十月、林野庁といって、ここに五百三十八事例持ってこられたわけでございます。ところが、よく調べてみましたところ、これは五十一年度の調査に実はなっているのです。この資料は四十七年から五十年までの事例になっているのですが、その裏づけを持ってこいと言ったら五十一年度の資料を持ってこられている。そして、この資料を見てみますと、この地域に空散した、ここに空散しなかった、それを比べてみたら空散したところの松枯れが少なくなったんだ、こういうような散布地と無散布地の標準地を比べた資料がここに出てきておるのです。これじゃわからぬじゃないかということで、自分で見て勉強するから、こういう資料を五十年度分、四十九年度分、四十八年度分、四十七年度分、これと同じようなものでもいいから出してもらいたい、こういうような要求をいたしましたところが、それはまだ各県に問い合わせ中でございますから、まだ十分資料ができませんから、できたらお届けします。こういうような経過が実はあるわけでございます。  そこで考えてみますと、この資料は私の裏づけということには関係がないのです。実はこういう資料になっておるわけでございます。国会で決まった資料提出ということについて、大臣、いま私が説明したことが正しいと思われますか。資料要求に応じた姿勢と考えられますか。どうですか。
  134. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま馬場先生がおっしゃいました六百事例の問題について御指摘があったわけでございますが、この五百三十八の事例につきましては昨年も御説明したと思いますけれども、その年におきます薬剤散布の地域と無散布の地域において被害率を比較対照することによりまして薬剤の防除効果といいますか、そういうものを調査することを目的にして調査したものでございます。したがいまして、先生がおっしゃいましたように、国会に提出いたしました九事例と直接つながるものではございませんし、また、これは都道府県がそれぞれ調査をした結果を林野庁で取りまとめたものでございます。したがいまして、経年的な推移を把握することを目的として実施されたものでございませんので、九事例とは直接には関係がないということになるわけでございますが、国会に提出いたしました資料の九事例につきまして、これとこの五百三十八事例が直接関係があるという御説明はしていなかったというふうに私も思います。  そういうことで、先生の方からこれを提出しろというお話がございましたので、そういう経過のものでございますという御説明をして提出した次第でございます。
  135. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 時間の関係もありますから、あなたも私の言うことをよく聞いておいてもらわないと困りますよ。この前国会で私が質問したときあなたもおられたわけですから。  この九事例が怪しい、捏造、改ざんだ。だから、この裏づけ資料を、六百あると言われるのですから出しなさいよ、この裏づけ資料を出しなさいというところでしか私は資料要求はしていないのですよ。五十一年度にまいたところ、まかないところ、効果があったかなかったか、その比較資料を出せなんか一つも言っていない。この九事例が捏造、改ざんであるかを調査するためにその裏づけ資料を出せと言っている。ところが、そのときにあなた方の役人が来られて、先生、六百ではありません、五百三十八でした、できましたから持ってきました、そう言っているわけでしょう。あなたがいま言われたのとは全然違うのですよ。そういうごまかしです。  まだ言いましょうか。これは違うじゃないかと私が指摘したところが、いまあなたが言ったような答弁があったのです。そうしてあわ食って、今度は実はこの九事例のバックは、原資料というのは六百なんかあるのじゃない、こういう資料というのは全国で調べて十二しかなかったのです。その中の九つです。裏づけのあるような資料はそんなにたくさんはない、全国で十二しか例はないのです。その九つがここに出ておるのです。こういうような言い方で、今度は私に追及された後で理事会にそういう資料を文書として出しておられるわけです。いいですか、大臣、たとえばミスでも指摘しなければ黙って通ってしまっている。指摘すれば言うが、それがまた間違いと指摘すれば、また間違い、後で言いますが、すべてがそんなようなかっこうになっているんですよ。そのことをまず知っておいていただきたいと思うのです。  そこで、時間の関係で私は言いますけれども、十二例あるということをちゃんと理事会に出されたものの第一ページに書いてございます。だから、今度はっきり申し上げておきますけれども、それが出ていないのですから、この九事例は四十八、四十九、五十、あるいは四十七、四十八、四十九、五十、ずっとこの地域はこう減ったというぐあいに書いてあるわけですから、その九つの事例の裏づけ資料を出してください。今度は間違わぬようにしてくださいよ。そして、あと三つはこれに出ていないのですけれども、あと三つの裏づけ資料も出していただきたい、そういうことを要求しておきます。もう議論は、先に進みますからやりませんけれども、九つ、正確に言えば十二のここに出されましたような資料、この資料ができた裏づけの原票というものを出していただきたい。いかがですか。
  136. 藍原義邦

    藍原政府委員 先生いまおっしゃいました十二事例につきましての資料提出いたしますが、もう一言ちょっと申し上げさせていただきたいのは、先生の方から六百事例というお話がございましたものですから、私どもこの六百事例に対応いたします五百三十八事例を先生の方に御提出申し上げたわけでございまして、ここに提出いたしました九事例がこの六百事例と関連があるというお話は私もしたつもりはございません。
  137. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 あなたはそう言うけれども、私は九事例の裏づけ資料を出せと長く質問をして、資料要求をしているわけですよ。五十一年度を出せなんと言ったことは一遍もないですよ。何でそんなにごまかすわけですか。私が要求したのは議事録に載っているはず。それはここで議論してもなんですから、この十二事例の裏づけを出すと言われたからそれでいいのですが。  しかし、そこで大臣、ついでということではございませんが、出された資料を私は見たわけでございます。これは要求していなかったけれども、五十一年度にまいたところとまかなかったところの比較が出ておるから見たのですが、これにも捏造、改ざんがあるのです。捏造、改ざんとまで言うかどうか知らぬけれども、あります。それを私はいまから指摘しますけれども、時間がありませんから、その前にちょっと聞いておいて質問したいのは、同一市町村内で散布地と類似した条件を持つ無散布地にそれぞれ標準地を設定して比較したのがこの五十一年度の資料、こういうぐあいに書いてありますが、類似した条件とはどんな条件を言うのですか、簡単に説明していただきたいのです。
  138. 藍原義邦

    藍原政府委員 山でございますから、類似といいましても必ずしも一〇〇%同じというわけにはまいらないと思います。したがいまして、そこの山の被害状況等が大体似ているような近郷のものをとらえて類似というふうに考えて調査しております。
  139. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 そうしたならば、たとえば海岸寄りの山と奥山、こういうところは類似していない、あるいは道路の周辺の山とそうではないところは類似していない、こういうようなことはもう当然だと思うのですが、それはそうですね。
  140. 藍原義邦

    藍原政府委員 私も個々に細かく現地を見たわけでございませんから、先生がおっしゃるようにどういう状況になっているかはっきりわかりませんけれども考え方とすれば、いま私が申し上げましたように、また先生がおっしゃったように、いろいろな条件が似たようなところを類似という形でとらえておるものでございます。
  141. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 これは事前に通告をしておきましたので調べていただいておると思うのですけれども、この資料の三十五ページにたまたま熊本県の私の出身の町がございます。熊本県の芦北町、そこに五つある例の中でたまたま三つあります。この芦北町の三つの事例で、散布地は三つともどこだ、芦北町大字どこどこ何番地と、山のあれがございますね、それと比較しました無散布地はどこだ、これを調べておいてくれということを通告しておきましたので、発表してください。
  142. 須藤徹男

    ○須藤説明員 ただいまお話しの芦北町で五十一年に散布した三カ所について、散布した個所は芦北町湯浦の大川内というところです。これに対します無散布地域が、同じく大川内でございます。それから、もう一カ所は、芦北町大野地区の大野でございます。無散布地区が大野地区の市野瀬でございます。それから、もう一カ所の散布地区が芦北町松生地区の白木というところでございます。無散布地区が松生地区の松生というところでございます。
  143. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 これは全部よく知っています。だから、きょうはもうこれを議論する時間は余りございませんので、これは私が調べてきて、また後で質問を申し上げたいと思うのです。  これは長官、それから大臣も聞いておいていただきたいのですが、この資料を見ましたら、やはり「薬剤散布効果調査」というような資料であれば、少なくとも○○県○○郡○○町○○番地の○○ヘクタールを何月何日にどういう方法で調べた、そこの樹種はどういうものであったのだ、こういうことを明記すべきだと思うのですよ。そうしなければだれにもわからない、いま聞いてみなければわからないという状況ですからね。こんなのがたとえば調査報告書として持ってこられたって全然わからない。これは調査報告書になっていないのですね。私が見たってわからない。調べようもないわけです。だから、こういう調査報告を出すという場合は、いま言ったように、地名とか調査月日とか樹種だとか、そういうことを明記してやるのが親切なやり方じゃございませんか。これは今後のこともありますから聞いておきたいのですが、どうですか。
  144. 藍原義邦

    藍原政府委員 先生指摘のように、これを一般の方々に全部認識していただくためにやります調査であれば、先生のおっしゃるとおりだと思います。私どもは、基本的にこれは傾向を把握するということでとらえたものですから、そういう意味から、その辺の町名だとか個所だとか樹種だとか、こういうものはこれには載っておりませんけれども、県ではその辺は十分とらえ、私どもの方としてはその傾向を調べたいということで、そのトータルをこちらの方に報告していただきましてまとめたものでございますので、こういう状況になっております。
  145. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 それでは、これは県が報告したそのままの数字ですね。
  146. 藍原義邦

    藍原政府委員 そのとおりでございます。
  147. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 県が報告した数字を書き直してあるところがございます。違うところがあるのです。この十三ページの大阪府の太子町、ここの県の数字を見ましたところが、散布地の総数の材積のところがこれには八十六・九〇立米と書いてありますけれども、大阪府の資料を見ますと四十三・四五になっています。本数はこれでは千九百六本になっていますけれども、大阪府のでは九百五十三本になっている。あと全部違っております。県が報告したそのままの数字といま長官言われましたけれども、県の報告したそのままの数字になっていないじゃないですか。これはどうですか。
  148. 須藤徹男

    ○須藤説明員 ただいまの大阪の事例は、実はいま先生おっしゃいましたのはちょうど半分でございます。〇・五でございまして、それを一ヘクタールに換算、つまり二倍をしておるわけでございます。全部がそういう数字になっております。小数以下二位につきましては四捨五入いたしまして一位にとどめるということはやっております。そういう意味では、県から出た数字全くそのままということではないことになりますけれども、これはやはり表の統一性を保つために二倍をして記入をしておるということでございます。
  149. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 いま長官は県が出したそのままの数字、ところがいま部長は倍をした数字です。
  150. 須藤徹男

    ○須藤説明員 ただいまの答弁は不十分でございますので、追加いたします。  これは昭和五十一年十一月二十六日付森第六百五十九号をもって大阪府から報告されたものでございます。したがって、大阪府が一ヘクタールに換算して報告しておるということでございます。
  151. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 大阪府を調べたところが、原票はそうなっていないのです。ところが、これはいま部長に聞きますけれども、これは倍にした、すべて倍にした、さっき聞こえませんでしたけれども、倍にしたといまおっしゃいました。ほかも倍にしたということがちょっと聞こえたような気がするのですが、ここだけ倍にしたのですか。大阪でなしにほかのところも倍にしてあるのですか、全部倍にしてあるのですか。
  152. 須藤徹男

    ○須藤説明員 たまたま大阪の例が〇・五が一・〇になっておりますので倍と申し上げましたが、林野庁からは一ヘクタール換算の数字を出すように各県にお願いしておったわけでございます。
  153. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 そうしたら、一ヘクタールでも、たとえばちょっと調べて十倍して一ヘクタールと言ってもいいんですね。そういうことでもしていいんですか。資料として価値があると思いますか。
  154. 須藤徹男

    ○須藤説明員 調査の要領といたしましては〇・一ヘクタール以上ということにいたしておりますので、最低の場合〇・一ヘクタールというのもあるかもしれません。
  155. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 長官、山ですよね、起伏もあればなにもある。それをたとえば〇・一ヘクタール調べて、そこに木が幾ら植わっておった、それを十倍して、そこに木が必ず十倍あったんだ、こういう資料になっていますね。そんなことをして資料になると思われますか。ここに木を植えて、あとは何かの都合で植えていないということがある。必ず、面積が十倍になるのだったら、木の本数も十倍になるのですか。これによると被害の数も十倍になっているのです。あなたの言ったように〇・一ならば最高十倍になるでしょう。そうしたら、被害木がここにあって、十アール調べたところがある、それを一ヘクタールにして被害が十倍、必ず被害の木が十倍あります。成立本数も必ず十倍あります。そんなものが資料として価値があると思われますか、長官。
  156. 須藤徹男

    ○須藤説明員 森林調査の段階では、一般的に標準地調査をやります場合には〇・一ヘクタールというのはよく使うわけでございます。〇・一ヘクタールといいますと百メートルの十メートルというような帯状もございますし、そういう標準地調査というのはわれわれの調査手法の中で十分いままでやっておることでございます。
  157. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 〇・一がいい悪いを言っているんじゃないのですよ。だから、それをたとえば十倍したものが正しいか、そういうことを聞いておるのですよ。たとえば、五十年度分は高槻市なんかは八倍くらいにしてある、あるいは四倍にしてあるところもある。倍にすればいい、あるいは倍にすれば成立本数も倍になる、被害も倍になる、率もそれに従って数字が出る、そんなのが正確な資料と言えるかどうか。資料のおかしさというのはまだほかにもあるのですけれども、余りここだけ時間をとるといけませんので……。  そういうぐあいに、これをちょっと調べただけでもそういうことです。だから、そういうのは、たとえばこれに、一ヘクタールにみんな換算したものですと書いておけばわかるかもしれないが、しかし書いておけばまたそんなおかしな換算なんかしておかしいと言われるかもしれませんから、そういうことがあるでしょうから書いてないのかもしれませんけれども、こんなのは信用ならないというぐあいに私は思います。  そこで、本論に入るわけで、九事例のに入るわけでございますけれども、実はこれは国会に正式に、私がここは間違っておるじゃないかと指摘したところが正誤対照表というものをつくって事例として出されました。これについていまから申し上げるわけでございますが、この効果の事例というのを見てまず一番最初私が感じましたことは、指摘したら誤ったと言って資料を出されたわけですけれども、それでもまだごまかしがあると思うのは、この資料を空中散布の効果事例、それで航空散布をする法律をつくる基礎という形で出しておられるわけでございますが、私が調べたところによりますと、この事例の中ではほとんどが枯損木を伐倒処理してあります。実は空中散布と伐倒処理を並行して施されておるわけでございます。私ども法案審議のときに、予算さえ、補助金さえよけい出せば、労働力さえよけい確保すれば、空散しなくても伐倒処理でいけるじゃないか、こういうことも主張したところでございます。また、事実終戦直後に松くい虫が蔓延して松枯れが起こったことがあるのです。そういうときには空散はしなかったのです。そして、伐倒処理でその松くい虫による松枯れの蔓延を防止したという経験を私たちは持っておるわけであります。だから、この資料というのは、あなた方は空中散布の効果事例としてここに出しておられますけれども、これは空散だけだという資料で出ていますから、伐倒処理をしたのだとつけ加えてないというところからいいますと、正確な資料として、資料の価値として見た場合にはこれはゼロと言ってもいいのですよ、そういうぐあいに私は感ずるわけです。  そういう意味において、このことについてさらに私が追及しようと思いますのは、正確に言えばいま言ったように、空中散布をしました、枯損木の伐倒処理をいたしました、そして効果があった事例です。こう書かなきゃならぬでしょう。そう書いてないわけです。そのことは、基本的にあなた方の底を流れておる、空中散布するとこんなに効果があったのです。効果があったのですと誇大宣伝をしようという意図がずっとあるのですよ。それを宣伝せんがためにこういう間違いを犯しているわけでございます。たとえば、この地域で空中散布が全然効果がなかったとしても、枯損木を全部切って伐倒処理をして、焼いたり農薬でこれをやったりしますとゼロになる可能性はあるわけですから、ひょっとしたらこの資料は、空中散布の効果は全然なかった、伐倒処理の効果がこういう形だったのだ、こう考えてもいい資料なんです。そういうことから考えますと、これは資料の価値としては、極端に言うとゼロと言っていいようなもので、伐倒処理を施したといまもって書いてないというところがおかしい。これはどうですか。
  158. 須藤徹男

    ○須藤説明員 この資料は前回の国会に提出するために調査をした資料ではございませんので、確かに先生がおっしゃるとおり、空散をし、かつその後に枯損木の出たものを伐倒処理した標準地もあろうかと思います。ところが、私どもいままでやっておりますのは、空散の効果をさらに高めるために、空散をしまして、後にどうしても枯損が出ますから、伐倒処理もやはりやっておるわけでございます。そういう意味で、厳密に言えば空散だけの効果じゃないという御発言のとおりだと思いますけれども、決してそういう意味で空散の効果を多く見せるために資料をつくったわけではございません。現実の姿をそのまま出しておるわけでございます。
  159. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 現実の姿をそのまま出したというのはうそじゃないですか、あなた。伐倒処理をしているでしょう。伐倒処理をしたと書くのが現実のままの姿でしょう。何という変な答弁をするのですか、あなた。  そしてまた、最初のあなたの発言じりをとらえるわけではないけれども、国会に出すためにつくった資料じゃないって、何ごとですか。そういう資料を国会に出す必要はないじゃないですか。この資料というのは国会に出している資料でしょう。その点、どうですか。
  160. 須藤徹男

    ○須藤説明員 ただいまの発言、確かに不穏当な面がございますけれども、真意は、統一的に調査したものではない、むしろ統一的に調査をしておればこういう間違いはなかったわけでございますが、四十七年以降各県が独自にやっておったもののうちからこういう事例を抜き出してきた、こういう意味でございます。  それから、現実のありのままと申しましたのは、記載上は確かに伐倒処理をしたと書いてございませんから、そういう面では先生がおっしゃるとおりでございますが、県がそういう従来調査をしておったものそのままを使った、こういう意味でございます。
  161. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 国会というところをあなた方何と思っているのですか。それは後で大臣にも聞きますけれども、長官、あなたは林野庁の長官だし、専門家でしょうけれども、たとえば松枯れなんかは、ちゃんと空散もあろう、伐倒処理もあろう、いろいろな処理方法があるわけですからね。そして、空散が効果があるからといって特別な法律をつくろうといって、空散効果があったということを出しているわけです。そこに私たちは、それじゃなしに伐倒処理しなさいと片一方で主張しておるわけですよ。最初の資料には書いてないというのは誤りで、誤りを指摘した後現在もまだ書いてないということ、これは厳密に学問的に言いますと資料の価値がありますかどうか。
  162. 藍原義邦

    藍原政府委員 この資料の経緯につきましてはいま指導部長が御説明申し上げたとおりでございますし、私どもも県が行いましたこういう経過を踏まえて、さらには国会の中で御説明申し上げましたように、松くい虫のマダラカミキリによりますマツノザイセンチュウの移動というような形で松枯れが生じるという試験結果等々を勘案し、そして、それに基づきまして数年やってまいりましたこの実験経過を見、判断をし、新しい法案として国会で御審議願ったわけでございまして、先生がおっしゃいましたように……
  163. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 あなた専門家だから、資料の価値がどうだということを聞いているのですよ。
  164. 藍原義邦

    藍原政府委員 先生がおっしゃいましたように、この資料にはそれなりの、いまおっしゃいましたような問題、抜けておるかもしれませんが、一つの前提として、物のとらえ方とすれば、いろいろな前提を置きまして、こういう前提のもとに考えていけばこうなるというもの、そういうとらえ方もあろうと思います。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 そういう意味で、ここでは松枯れが生じました林分について空中散布をやった結果こういう形になったということでこの表ができ上がっておるわけでございまして、それはそれなりの見方とすれば価値はあるというふうに私は思います。
  165. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 まさにでたらめですよ。二足す三は十と書いてあるわけですよ。十じゃないじゃないか。十というのはまたほかの要素があってできているのじゃないか。ふえるということは先生わかったでしょう、そういう価値はありましたよという答弁じゃないですか、いまあなたの言うのは。そんなでたらめで国会の審議をさせるのはおかしいですよ。  これは指導部長に聞いておきたいのですが、この九事例には全部伐倒処理を施しましたか。そしてまた、伐倒処理については農林大臣かあるいは県知事が命令を出して伐倒駆除をさせる、そうすると補助金もあるかもしれませんね。そういう意味で、この九事例のところには伐倒駆除を命令したかどうか、それが一つ。あとは、今度は命令した、せぬは別にして、この九地点では全部伐倒駆除が行われておるのかどうか、これはどうですか。
  166. 須藤徹男

    ○須藤説明員 全部の地点が伐倒駆除処理をされたかどうかというのは確認いたしておりませんが、先ほど私が申し上げましたのは事例の中には伐倒駆除を行っておるものもある。空散をやりましても空散のみということはございませんので、伐倒駆除をやるのが通例でございますから、そういうことを申し上げたわけでございます。
  167. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 では、伐倒駆除が行われたところがどこどこ、行われなかったところがどこどこ、一つ一つこれは行われたかどうかと私は聞きますけれども、一から九事例、行われたか行われないかということを御存じないのですか、部長。
  168. 須藤徹男

    ○須藤説明員 県から報告をとっておりません。
  169. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 伐倒駆除が行われたか行われないか県から報告をとっていない、あなた方は知らない。では、私が伐倒駆除が行われたということを言わなければ、あなた方は空散だけで押し通す予定だったのですね、知らないのだから。では、私がいま、伐倒駆除が行われておりませんよと言えば、そうでしょうと言うのですか。とにかくこれは伐倒駆除が行われたか行われないか林野庁は知らないというのは事実ですね。はっきり言ってください。
  170. 須藤徹男

    ○須藤説明員 事実でございます。
  171. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 これは九つのうち八つは伐倒駆除が行われているのですよ。一カ所は行われていないのです。そんなのも知らずに空中散布の効果と言って、伐倒駆除が行われたか行われないか知らない、そんなのは正しい資料とは言えない。  大臣、いまのやりとりを聞いておって、やはり林野庁のやったことはおかしいとか、あるいは本当にまずいとかお思いになりませんか、どうですか。
  172. 中川一郎

    中川国務大臣 こういう資料でございますから、改善をすれば幾らでもありましょうし、改善した方がよかったかなということではございますが、全体として判断をするのにそう大きく支障があるものではないのではないか。専門家から言えばこういうこと、ああいうこと、まあこちらも専門家ではございますけれども資料は確かに国会提出のために作成したものではありますけれども、国会に出すためにこういった調査をしておったものではない。出た結果、それから類推をして国会に提出したものでございますから、なおのことそこには十分でなかった点もあったかと思います。国会から、こういうことを目的として調査をしてみろ、そういう目的意識を持って三年間なり四年間なり二年間やったとするならば、御指摘のように、こういうふうに、ああいうふうにということで念には念を入れて専門家としてやったでありましょうけれども、国会にあらかじめ出すという目的ではなくして調査をしたことでもありますから、先ほどの十倍、〇・一を一に直すというような直し方等々、御指摘があればそうでございますが、全体を判断するに当たりまして被害がどういうことになるか、やった場合にどれくらいよくなるかという傾向をあらわすのにはそう大きくおしかりを受けるようなものでもないのではないか、これからは大いに気をつけようという判断の材料には十分価値あるものと思いますので、御意見でもございますから、これから資料を作成するに当たってはそういった点を配慮しながらやっていって全きを期したい、こう思う次第でございます。
  173. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 まことにけしからぬ。あなた、そんなことを言って速記録を見たら恥をかきますよ。とにかく空中散布という法律、そして伐倒駆除でいいじゃないかという反対意見なんかもあるわけです。そういうときに空中散布はこんなに効果がありますという資料を出しているわけです。それには伐倒駆除も入っている。それから、いま言ったように、調査をそのためにやったんじゃないと言うが、航空防除の効果事例という調査をしておりませんと言うのが本当の姿でしょう。そうじゃなかったのを寄せ集めて効果があったように見せかける、こういうのを捏造したと言うのですよ。こういうのをつくって出した資料ですよ。そして、傾向はわかったでしょう、これは何たることですか。これは具体的に言わぬとあなた気づかれないから、もう少し今度中身について言います。  次は、この事例の中の(1)、二十一ページの「(1)特別防除(航空防除)の効果」「散布前年の被害本数率区分」「散布前年の平均被害本数率」「散布当年の平均被害本数率」「被害減少率」と書いてありますね。これについては正誤訂正表にも何ら触れてないのです。これは間違っていないのですか、正しいのですか。
  174. 須藤徹男

    ○須藤説明員 「特別防除(航空防除)の効果及び実施状況」の「(1)特別防除(航空防除)の効果」、五五%となっておればミスプリントでございまして、五%でございますが、あとは間違っておりません。
  175. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 この資料のこの数字が出た裏づけ資料はございますか。
  176. 須藤徹男

    ○須藤説明員 ございます。
  177. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 これはこの九事例を含んでこういう計算が出ているわけですか。
  178. 須藤徹男

    ○須藤説明員 含んでおりません。
  179. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 普通、資料と言いますと、ここはトータルですよね。九つのこういう事例があった、そういうものを総合しますと結果的にはこうなりますという九つの事例のトータルとしてこの資料は出ているのですよ。ところが、いまこれは間違いがないと答弁をしてしまったものだから、これを含んでおるとこの資料が間違っているから間違いと言わざるを得ない、だから含んでいないという答弁になったんですけれども、では、この裏づけの資料というのはどういうのを使ったんですか。あると言われましたが、どういうのを使いましたか、これをはじき出す裏づけの資料は、原資料は。
  180. 須藤徹男

    ○須藤説明員 農林水産航空協会の調査によるものでございます。
  181. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 何事例調査しましたか。
  182. 須藤徹男

    ○須藤説明員 いまここに資料を持ってきておりませんので、後ほど御報告申し上げます。
  183. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 資料を持ってきていないと言うが、あなた、ちゃんとここに四十六事例と書いてあるじゃないですか、ここには書いてありませんけれども……。問題は、これはトータルみたいにして、あと(2)以下に九つ例がありますよ、合計しますとこうなりますよと資料に出ておりますけれども、全然それと違う航空防除協会のを持ってきてここに書いたということですね。じゃ、私が調べた四十六事例、これの出た計算というのをぴしゃっとやってきてください。この資料に基づいて計算したらこうなったという資料を出してください。  それで、いま間違っていないと言われましたけれども、ずっと前の前からほかの資料は間違っていないと言われていますけれども指摘されるとみんな間違っているとなっているのですから、責任を持って、極端に言うと首をかけて間違っていないと言えますね。
  184. 須藤徹男

    ○須藤説明員 これは林野庁で計算しておりませんので、向こうから提出してもらった数字そのままでございます。
  185. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 そうしたら、国会が国権の最高機関として審議するのに、政府が責任を持ち切れぬ資料を出すのですか。責任を持ち切れぬ資料で国会に審議させるのですか。大臣、これはどうですか。
  186. 中川一郎

    中川国務大臣 政府が持っておりますものがありますれば政府のものも出しますし、政府が持ち合わせない場合、判断するに必要があれば、民間その他でやったものも出して、これは民間の調べでございますということで出して、傾向が判断できるものがあれば出した方が国会審議の上に便宜であろう、こう思います。
  187. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 大臣、これは民間とも何とも書いてない、書いてあるのは「農林省」と書いてある。ちゃんと民間調査どこどこ調べによるということでなしに、ちゃんと「林野庁調べ」となっている。なぜ航空防除協会、民間と書かぬのですか、農林省林野庁調べとなっているじゃないですか。
  188. 中川一郎

    中川国務大臣 それが書いてないとすれば、不親切の限りでございます。
  189. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 書いてないとすればなんて、あなた、資料を見てくださいよ。書いてないじゃないですか。書いてないとすればなんて、何でそんな前提をつけるのですか。「林野庁調べ」となっているじゃないですか。
  190. 中川一郎

    中川国務大臣 林野庁が調べたことには間違いがありませんが、林野庁が民間の調査を調べたところによれば、こう書けばよかったものを書かなかったことはまことに申しわけないことだと存じます。
  191. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 じゃ、いまから林野庁が調べてきたのは、民間から持ってきたのでもそれは林野庁調べと、すべて国会へ出す資料はそうなっているのですね。すべてではないけれども林野庁が調べるということもある、民間から持ってきたのも林野庁調べと資料には書くのですね。
  192. 藍原義邦

    藍原政府委員 いま大臣から御答弁いただきましたけれども、注の表示の仕方として「林野庁調べ」と書きましたことは確かに書き方として十分でなかったということは私どもも反省いたしますし、今後こういう資料等々で必要なものにつきましては、資料の出典等については十分明らかになるような出し方をいたします。
  193. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 大臣、九つ、正しいとして出したわけですよ。後でまた例を挙げますけれども、  一つ追及したらそこはこうだったと出るのですよ。間違いじゃないかと追及したらまた間違いと出るのですよ。追及したらそうやってきますけれども、この第一のトータルについて、私、追及しなかったのです。これで間違いありませんと言って出したのに、追及しなかったものだからまたこんな過ちを犯しているのです。これは後で申し上げますけれども、きょうはとにかくおかしいということを、大臣、あなたは素直な頭で考えればわかると思うのですけれども、えらくきょうは素直じゃないですからね、また次に素直になるように教えますけれども……。  これはまた首かけて正しいと言えるか——正しいとさっきおっしゃったのですよね。だから、首かけてなんて、そんな質問しませんけれども、これは間違っていますよ。中に入っているデータが間違っているんだから、トータルは間違うはずです。だから、裏づけ資料を出していただきたい。  そこで、事例一からちょっと御質問していきたいと思うのです。  この事例一は兵庫県の御崎の民有林の問題ですけれども、これは同一地点を調べたようになっているのですが、質問していきますと、同一個所とみなして換算をした、四十八年、四十九年、五十年、別々のところを調べたのだけれども、同じところを調べたようにして換算をしたんだ、こういうことを言っている。換算という言葉を使ってこの資料は捏造してあるのです。  ちょっと御説明申し上げますと、大臣はこの資料を持っているのですか、見ていますか。たとえば、昭和四十八年は県の原票では数字はどうなっていますか。たとえば、成立本数、被害本数、県の原票ではこの四十八年はどうなっているのか教えてください。
  194. 須藤徹男

    ○須藤説明員 四十八年、七百七十本でございます。
  195. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 ずっと次の方まで言ってください。
  196. 須藤徹男

    ○須藤説明員 それから、被害本数百五本、被害本数率一三・六でございます。四十九年度は七百五十本でございます。被害本数が四十本。五十年度が八百八十五本、被害本数二十五本でございます。
  197. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 そこで、この四十八年の県のは七百七十本になっています。四十九年は七百五十というのが県の原票にあるのですよ。ところが、ここには六百六十五と書いてあるでしょう。これは七百七十本から被害本数百五本を引いた数です。だから、七百七十本あって百五本被害があった。明くる年はそれを差し引いて六百六十五本。台風でも松は枯れないし倒れない、ただ松枯れだけで松はなくなるのです。百五本松枯れで枯れましたら、それを差し引いたのが明くる年の成立本数ですというような説明の仕方です。七百五十と県から報告が来ているのですよ。ところが、七百七十から百五を引いて六百六十五、それは七百五十と違っているのです。これは同一地点と換算したということで説明をしているのです。県の報告によりますと七百五十、被害本数率が五・三と報告してきているというから、被害本数は四十とあったと言われますけれども、これは七百五十本と被害本数率五・三を掛けますと四十は出てくるのですよ。こういうぐあいにして被害本数を四十にして、それから六百六十五と四十で被害本数率六・〇というのが出てきている。五十年度もそこに六百二十五と書いてありますけれども、県の数字は八百八十五という数字です。それで被害率が四・〇となっているところは二・八です。だから、四十九年の六百六十五から被害本数の四十を引いて六百二十五という数字が出たものだから、八百八十五と二・八で二十五本というのを計算して、そして被害率を四・〇にしている。これは完全につくった数字です。これをあなた方は換算と言われるのですけれども、私から言えば、これは捏造です。  そこで、もう時間がありませんので、とにかく条件の違うところを、一ヘクタール、一ヘクタールという話ですけれども、海岸ばたの一ヘクタール、それが七百七十本あった、少し違うところは七百五十本あった、次の違うところは八百八十五本あった、この三つ調べておるのに、みんなこっちに引きかえて、足し算引き算でやって、これが松食いが減った資料としてここに出してある。実におかしい。条件の違うところを、資料をただ操作し、捏造したということにしかすぎないのです。  そして、ここで調べたときの一つの事実がございます。どこどこと言いますとあなた方がまた圧力を加えるから言いませんけれども、兵庫県で調べましたら、私ども調査にこういう報告をしているのです。林野庁からの指示で五十年に調査をしました、そのときに四十九年、四十八年は机の上で作成をしました、資料もなかったのです。五十年のがありました、四十九年、四十八年は机上で作成をいたしまして報告しました、こうなっているのです。こういう証言をしているのです。何課のだれと言いますと、あなた方はなんでしょうから言いませんけれども、この事実が捏造、でたらめだということを証明しておると私は思うのです。そこで、条件の違うところをこんなに数字を入れかえて、前の年から枯れたのを引いたら次の年、それから枯れたのを引いたら次の年、そしてこんなに減りました、常識的に考えてこんなのが資料になると思われますか、長官どうです。
  198. 須藤徹男

    ○須藤説明員 もう少し説明をさせていただきます。  おっしゃるとおり、毎年の標準地が動いておることは事実でございます。しかし、四十九、五十を全く机上で作成したということではなくて、先ほど申し上げましたように、四十九、五十も調査をしておるわけでございます。たまたまそれは標準地が違うということでございますが、対象林分は同じ林分でございまして、その年々の標準的なところを〇・一ヘクタールずつ調査をしておる、それを表の整合性を保つためにこういう作成をしておるということでございまして、調査を全くしてないということではございません。
  199. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 そういう議論をしますと、私はまだたくさんの資料を持っているのです。時間が余りないものですから言いませんけれども、あなたはいままたうそを言っているのですよ。私は五十年はあると言っている。四十九年、四十八年が机上作成、そういう証言を得ているということを言うと、あなたは私が言ったことと違ったことを言っているのですけれども、こういうぐあいに、ここは一つ資料がありさえすればあなた方はどんな資料でもできるわけでございます。  次に、事例二にいきます。  これは同一地点ですか、それとも標準地を換算したのですか。四十七、四十八、四十九、五十、これはどうですか。
  200. 須藤徹男

    ○須藤説明員 これは標準地といいますよりも全林でございます。対象地は同じでございます。
  201. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 そうしたら、四十七年の成立本数は、私どもの調べでは十四万三千六百五十六、四十八年は十三万三百四十三、四十八年の被害本数が二千七百七十三、それから被害本数率が四十七年は七・一、四十八年が二・一、被害減少率が四十八年が七七・一、こういう資料を得ておるのですけれども、ここに書いてあるのは間違っているのじゃありませんか。
  202. 須藤徹男

    ○須藤説明員 この資料は、広島県立林業試験場報告第十号、これは昭和四十九年度でございますが、第十一号、昭和五十年度の数字と合致しておりまして、間違っておりません。
  203. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 同報告書の、広島県立林業試験場研究報告のナンバー九には私がいま言ったような数字が書いてあるのです。このナンバー九というのは多分四十八年に出たのじゃないかと思うのです。そして、それが書いてあるのです。そこで、これはもう時間がありませんから、ナンバー九とナンバー十、ナンバー十一、これを取り寄せて出していただきたいと思います。  次に事例三、これは私が指摘いたしました。何とも書いてない。だから、これは、四十七年と四十八年は〇・三一ヘクタール、四十九年と五十年は一ヘクタールじゃないか。〇・三一ヘクタールと三倍、二つ違った資料を並べて、これは改ざんしてあるわけです。こういう追及をいたしましたところが、これは単位が違うのを単純に差し引き計算してあるのですよ。そして、どうしてあるかといいますと、四十九、五十年度はそれを三分の一に計算してあるのです。  まあこれはまだ一つ一つ質問したいのですけれども、なんですから……。たとえて申し上げますと、とにかく〇・三一というのは一ヘクタールの中に入っているのだと言う、そして、だから三分の一だという計算の仕方をしてあるのです。私は九州ですけれども、たとえば九州の面積は三万七千四十六平方キロメートルです。九州全体の人口は八百四十万六千人です。これは一九六五年です。その九州の中に長崎が含まっております。長崎の面積は四千八十六平方キロメートルです。そうしますと、長崎の面積は九州の面積の大体一一%なんですよ。そうしますと、あなた方のこの計算方式でいきますと、長崎は九州に含まれておる。そうして、九州全体の人口が八百四十万六千人ですが、長崎の面積は九州全体の一一%だから、長崎の人口は九十二万七千人である、こういう計算になる。ところが、実際の長崎の人口は何と百六十四万千人です。そうしますと、条件が全然違うわけです。ところが、あなた方のこの資料というのは、まさにそのとおりです。九州全体に長崎が含まれておるから、面積が二%だから人口も一一%だ。事実は、何と九十二万人と百六十四万人の差がある。こういう差があるのを、あたかもこれで正しく、松枯れが減った、こういうような資料になっているわけです。  それから次に、散布地はアカマツ三十五年生を散布しておる。ところが、ここに説明で、標準地はクロマツ二十年生、アカマツ三十五年生が散布地、そこに計算を合わせる。ところが、比べる標準地はクロマツ二十年生、こんなのは向こうずねと義経ぐらい違う、発音は似ておるけれども。こんなのは比べられますか、大体。本当にこんな計算の仕方なんか、いいのだろうか。たとえば、九州の面積と人口で言いました私の計算の仕方、あなたはこれにどう感想を持たれますか。——あなたに質問していない。まず大臣から、あなたはその次だ。
  204. 中川一郎

    中川国務大臣 ちょっと説明だけ……。
  205. 須藤徹男

    ○須藤説明員 確かに先生指摘のとおりのことでございますが、これは四十七年、八年は〇・三一ヘクタールの調査をいたしまして、四十九、五十年は〇・三一を含めて一ヘクタールに拡張して調査をしておる、こういうことでございます。  それから、いまお話ございましたように、確かに標準値はクロマツ二十年生でございます。確かにアカマツ三十五年生とクロマツ二十年生というのは全く違うわけでございますけれども、普通、森林といいますのはいろいろまざっておりますから、恐らくこの場合にたまたま標準値がクロマツ二十年生に合致したということと、もう一つはザイセンチュウに対する抵抗性はアカマツもクロマツもそれほど差がないという結果が出ておりますので、余りそういう点は神経を使わずにやったのではないかというふうに考えております。
  206. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 答弁を聞いたって全然納得できないんですよ。
  207. 中川一郎

    中川国務大臣 調査というのは、全般的な調査をして結果を出す場合とサンプル調査というのがあるわけです。大豆でもほんのごく一部の資料で全体を類推するわけです。米の検査でも物差し一丁でもって全体を判断する。ところが、いま言う長崎でもって九州を類推する、あるいは九州でもって長崎を類推するというようなことは、そういう場合にはなじまないと思いますが、木であるとか雑穀であるとか米というようなものは、一林分でそんなに差はない。人口の動態というのは、東京と三多摩と比べたら、ちょっと離れた瞬間に大変に違うわけですから、そういう場合の調査手法とはおのずから違いがあるものであって、〇・三一ヘクタールでやったよりは一ヘクタールの方が確実であるという差はありましても、そういうやり方が、長崎と九州全体との差でこれはいかぬと判断できるものであるかどうか。林分の差に、三反歩とった場合と一町歩とった場合で、まあ違う場合もあります。極端に焼けちゃってなくなったような場合もありますが、われわれの経験では、山を歩いた場合、一町の中の全体と三反とはそれほど大きな違いがない。しかも、同じ林分で、四十八、四十九年ですか、〇・三一だったが、正確を期すために一ヘクタールに伸ばしたということであれば、この点については傾向としてそう大きな差のないものではないかな、私も正確ではありませんが、感じを聞かれればそんな感じがいたすわけでございます。
  208. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 本当に大臣は御存じないから質問したくないのですけれども、後また大切な問題がありますからしますけれども、たとえばサンプル調査というのは私知っています。私も数学を教えていましたから、そういう統計やなんかは知っていますよ。あなたが言った、たとえば米を一町つくっておいてそこでサンプリングして類推する、そんなのは知っていますよ。それからまた、あなたは最初、鈴木さんと同じように、間違いを犯すと国民に謝る、国会に謝る、陳謝する、責任を感じているとおっしゃるけれども、いまの答弁を聞いていますと、あなた責任なんか全然感じておらぬ答弁じゃないですか。  事例五に移ります。  これは防府市の桑山の民有林ですが、これは四十八年、四十九年、五十年、こんなに被害が減りました、四十八年は五十七本あったのが四十九年には五本、五十年にはゼロになって、完全に松枯れがなくなったという資料でございます。ところが、私がここには空中散布していないじゃないかという指摘をいたしました。そうしたら今度、この国会には削除という、ただそれだけの訂正が出てまいりました。ここはもう全部、空中散布はしていない。この山腹に上水道の配水池があるものだから、空散はできない地域ですから当然してない。ところが、やりましたところがついに三年目にゼロになりましたという資料がここに出ておるのです。そうして、私が追及しまして初めて削除。どろぼうしておって、ばれたから返せばいいんでしょう、はい返しましたといって開き直っている態度です。  大臣、これにはあなたも弁解ないでしょうね、やってないのをやったと書いてあるんだから。そうして、削除と書いてある。これはどろぼうが返せばいいようなものだということと同じですが、どうです。
  209. 中川一郎

    中川国務大臣 地上散布と空中散布と間違えたそうでございまして、これは重大な誤りで、こういうことがあってはけしからぬ、こう思います。
  210. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 空散効果を各県に報告しろといってこの資料はでき上がったと言っているんですよ。じゃ、間違うたのは県ですか、それとも林野庁ですか。
  211. 須藤徹男

    ○須藤説明員 実は当初薬剤防除効果ということにしておりまして、途中で空散ということに変更いたしましたので、実はこれは林野庁の錯誤でございます。
  212. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 後でもこれについてはちょっと言いますけれども、追及しなければそのまま通しただろうし、国会でこの法律が通るときには、ゼロになったところがあるといってあなた方は宣伝したところです。いかにその責任が重大かということを考えていただきたいと思うのです。  次に、事例六ですけれども、実は大臣、ここも空散していないのです。これは福岡県の早良の国有林のアカマツ六十−七十年生のところで、四十八年から航空防除したところがこんなに効果があったという資料です。ところが、ここを調べましたら空散をしていないのです。ここに空散をしていないじゃないかと指摘いたしましたところが、ああ間違いました、これは早良の国有林ではなくて早良の九大の演習林の間違いでございました、こういう訂正がございました。早良の国有林というところは山の奥にあるのです。九大の演習林というのは海岸にあるのです。まず第一にそこを間違うておるのです。じゃ、九大の演習林を間違うたか、九大の演習林はクロマツだぞ、あなた方の言う早良の国有林というのはアカマツだ、これはどうしてだと言ったら、ああ、これはまたアカマツとクロマツと間違えました、こういうのが第二回目の返事です。第三回目は、早良の国有林には、ここにあるように十九万幾らというくらいもあるのです。二十万近く成立本数はあるのです。ところが、九大の演習林には二万本くらいしかないです。ここはどうしてもいまからすぐ十八万本植えるわけにいかぬから、これはもうごまかして言えない、そういうようなかっこうにこの資料はなっているのです。  そこで、まず文部省に聞きますけれども、あなた方はこれについてどういう原票を農林省、林野庁にお出しになりましたか。その原票にクロマツと書かれたのですか、アカマツと書かれたのですか。そして、九大の早良の演習林には、そこに書いてありますような六十年−七十年生は成立本数何本あるのですか。面積は幾らですか。これをまず文部省に聞きます。
  213. 福田省一

    福田説明員 最初の御質問資料の件でございますが、これは文部省の方から直接に何か表をつくって農林省の方へお渡しするということはいたしておりません。  それから、本数の問題でございますが、四十八年度末と申しますか、四十九年初めとどちらでも同じでございますが、九大の方で調査をいたしましたときの資料で胸高直径六センチメートル以上で二万二千四百七ということで、これはもちろん推計でございますから前後がありますが、そういう数字になっております。全体の本数ということでございませんで、胸高直径六センチメートル以上の本数ということでございます。  それから、九大の早良の演習林の面積でございますが、五一・二二ヘクタール、松林の面積が五〇・九九ヘクタールということで、これは台帳上のものでございます。
  214. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 アカマツ、クロマツはどっちを報告した、報告をしてないの。
  215. 福田省一

    福田説明員 失礼しました。  文部省を通じての御報告はしてないと思いますが、クロマツでございます。
  216. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 いま文部省に聞きましたら、文部省は林野庁には報告をしてないと言っておられますが、この資料はどうやっておつくりになったのですか、林野庁
  217. 須藤徹男

    ○須藤説明員 これは県が九大の演習林に照会存しまして、県からの報告でございます。
  218. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 じゃ、九大が県に報告したということは、文部省、聞いてないですか。
  219. 福田省一

    福田説明員 その事実につきましては、私、確認をいたしておりません。
  220. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 そこで、私どもが調べたところによりますと、九大の担当事務所並びに九大の農学部の演習林係は報告をしてないと言っているのです。それが一つです。  それから、誤っておりましたと言って、申しわけないと言って皆さんが訂正されましたこの成立本数ですね。九大の演習林にはいま言われましたように二万二千四百七本、プラス・マイナス三千六百二十八本が九大が発表しておる数字なんですよ。この九大の早良の演習林には二万二千四百七本しかないのに、プラス・マイナス少しありますけれども、皆さん方が国会で間違ったと指摘されて、正しい姿で出したのが、何で十九万九千何本、二十万近くになって、しかもはしたがついている。十九万九千七本、十九万六千八百二十三本、こういうようになっているのですが、この数字はどこから出たのですか。
  221. 須藤徹男

    ○須藤説明員 先ほども申し上げましたとおり、県からの報告でございます。  おっしゃるとおり「九大演習林集報」によります報告は、胸高直径六センチ以上の成立本数は二万二千四百七本、プラス・マイナス二千六百二十八本ということになっておりますが、県からの報告は、ここに記載してありますように、十九万九千という数字でございまして、ちなみにこれは非常に大きなミスでございますので、林野庁から現地に参りましてプロット調査をいたした結果、十九万本あるということが確認されております。
  222. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 林野庁はどうやって調査したのですか、十九万本。
  223. 須藤徹男

    ○須藤説明員 こちらから調査員が赴きまして、プロット調査をした結果でございます。
  224. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 大臣、いまのやりとりをお聞きになったと思いますが、この早良の演習林は文部省所管ですよ。文部省がきちんとクロマツの六十−七十年生と書いているのだから、クロマツの六十−七十年生、胸高直径六センチ、これは二万本しかないんですと、担当している、管理している文部省、九州大学が言っている、そこのところに他人の林野庁が調べたところが二十万本ありました、これはどういうことですか。忍術ではあるまいし、そんなことが考えられますか、大臣。
  225. 中川一郎

    中川国務大臣 私も九大でございますから非常に興味を持つのでございますけれども、いま文部省から御報告がありましたように、胸の高さ、直径六センチと言いましたかね、そうではなくて、全体生えておる六センチ以下のものも合わせると十九万ということで、出し方の内容において違いますから、十九万本が正しいかどうか知りませんが、大きな違いはそこにあるようでございます。
  226. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 あなた方が、間違っておりました、すいませんと言って出した資料に、クロマツ六十−七十年生である、こういうことを言っておられるわけですよ。いいですか、六十−七十年生が二十万本生えておるかどうか。私が聞いたところでは、あなた方がごまかそうと悪知恵を出したところによると、もうどんな小さい、こんなに大きい松のあるところに、行ったらそこに小さいのがあった、これも一本、これも一本、どうしたら二十万になるかと数えて二十万にしたというぐあいに聞いている。どんなに小さいのも含めてそうしたんだ。とにかく松の木が生えていれば、それをみんな入れて、六十−七十年生ということじゃなしに、松の木のある数だけ、大体これはだれも行って数えぬだろうと思ってやったことと思うのですけれども、そんなでたらめをして、間違ったら、間違っておったとなぜ言わない。九大の言うとおりここは二万本ですとなぜ言わない。しかも、よその管理の山ですよ。それを勝手にあなた方が行って、それを国会に出して、こんなに松枯れはよくなりましたよ、こんなことはあり得べき筋合いのものじゃない。もう弁解は聞かない。  それから、次の事例七、これがまた大臣、おかしいのですよ。普通のところは、前の方は、四十七年、四十八年は一年分の松枯れを調べているのですが、四十九年と五十年は半年分しか書いてないのです。それで、四十七年、四十八年、四十九年、五十年、全部算術で差し引いてあるのですよ。これだけあったのがこれだけ枯れたから次の年はこれだけ、それからこれだけ枯れたからこれだけと、四年間連続に差し引いてありながら、原本を見ますと、四十七年、四十八年は一年分です。四十九年、五十年は半年分です。こういうようなでたらめを、一年分と半年分を並べて足したり引いたりしている。  そこで、これは皆さん方が宣伝する佐賀の虹の松原の国有林の話ですけれども、ここでも何と、あなた方が最初国会に出しましたのはアカマツで出したのです。ところが実際は、ここはクロマツなんですよ。虹の松原、虹の松原といって、空中散布で効果があったとあなた方宣伝しておるわけですけれども、そんなごまかしをまたやってぬかしておるわけですよ。  これについて、こういうことをした根拠を言いなさい、今度は根拠を。なぜこうしたのか、一年分と半年分。
  227. 須藤徹男

    ○須藤説明員 これは全くの誤りでございまして、実はこれは佐賀の営林署、熊本営林局を通じての報告でございますが、おっしゃるとおり、四十九年、五十年は十月までの被害本数でございます。  これはなぜこういうことになったかといいますと、佐賀営林署では、従来十月ごろと三月末の二回にわたってそれぞれの調査時点における被害本数を調査しておるのでございますが、この両年度は十月時点の被害本数で林野庁に報告があったものでございまして、本来ならば参考資料作成時点に再度報告をとり直して修正すべきであったというふうに考えておりまして、これは全くの誤りでございます。  それから、アカマツ、クロマツについては、これも転記上の誤りでございます。
  228. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 林野庁の、しかも山の専門家が、色盲でもあるまいし、アカマツ、クロマツを何カ所間違えていますか。  そしてまた、これについては議論もしたいのですけれども、時間が来ますが、事例八と事例九には間違いなしと書いてあるのです。ここのこの二つについてだけ私は追及しなかったのです。というのは、役場に行っても原票を出さない。県の事務所に行っても原票を出さない。だから、原票がなかったものだから、追及しなかったのですが、いままでの例からいいますと、これもどうかわからない、こういうぐあいに思うのですが、そこで長官、われわれが行って、あるいは研究者とか報道機関の人が行って、松枯れ調査資料を見せてくれと言ったときは、これは秘密ですか、見せられないのですか。どう指導しているんですか、長官。
  229. 藍原義邦

    藍原政府委員 先生がいまおっしゃいました経緯は私もよくわかりませんが、こういう調査については、私どもとしては秘密にしておりません。
  230. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 それでは、これは指導として、そういうものを見せないとか秘密にしておるところがあったら、それはやはり秘密にすべきでない、国民あるいは特に研究者とか何かが見せてくれという場合には、あるいは報道機関なんかも必要とするでしょうし、そういうときにはやはり見せるべきだという指導をすべきだと思うのですが、どうですか。
  231. 藍原義邦

    藍原政府委員 私どもは、そういう指導を従来もしたつもりでございますし、今後ともそういうつもりでございます。
  232. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 そこで長官、十二例といったって、九例で終わっている。鹿児島県のあと三例はここに出してない。これをなぜ出していないかといいますと、あなた方の説明によりますと、独自の散布方法をしたのだから三事例を除外した、こういうことになっていますけれども、独自の散布方法というのはどういうことですか。
  233. 須藤徹男

    ○須藤説明員 薬の量が多かったり、散布回数が多かったりということでございます。
  234. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 そこで、この問題について一つ……。  松くい虫防除緊急対策推進協議会というものが、四十四、五県の知事が入っていますが、つくられて、そして松くい虫防除特別措置法の早期制定を訴える、それで空中散布の必要性及び安全性、こういうのを出して、そうして各方面に陳情しているのです。ところが、その人たち資料は、全部林野庁資料と同じですけれども、あなた方が載せていない、あと三つの例までここに載っています。鹿児島県喜入の前之浜というところ、それから指宿、それから山川という三例が載って、四十六年から五十年まで、空中散布をし直したほかの九例と同じように、こんなに効果がありましたということを載せて、そして県民等に宣伝をしております。  そういうことでございますが、大臣、国会に出した資料が間違っておった、だから誤りを認めて正しいのを出しなさいと言ったら、国会には出しました。出しましたのも、いま言ったように問題がありますけれども、出したんですね。ところが、同じ資料を、この資料は多分林野庁から知事協議会、この協議会は知事で構成しているのですが、取ったと思うんですよ。だから、この知事令に対して、あなた方が県民に宣伝したのは実は林野庁間違っておった、だからあなたたち、これ身訂正して、県民にしかるべく周知徹底させて謝りなさい、こういう指導をすべきじゃないかと思うのですけれども、その中にこの三例が入っているが、これはいよいよ間違っているんだぞ、だから、われわれは国会にも出さなかったんだぞ、こういうことをしなければならぬと思うのですが、この協議会ですが、メンバーは知事ですが、これに対して誤った資料を提供したということをあなた方が謝るし、それで知事は県民に対して、間違っておりましたということを謝らなければならぬ、こういう対策はどうなさるおつもりですか。
  235. 藍原義邦

    藍原政府委員 協議会の方には、林野庁の方から、この資料についてはこういう誤りがあったということは連絡いたしてありますが、その後、これをどうされるかは協議会の方の御判断だと思います。
  236. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 誤った資料を知事に出し、まず国会をごまかしましたね。国会をごまかすことは国民をごまかすことになるわけですけれども、直接的に知事会を通じて、結局知事が県民その他国民をごまかした、こういう誤りがありましたと言っただけで、何も反省とか陳謝とかしなかったのですか、あなた。  それともう一つ、予算を獲得するために、大蔵省にもちゃんとこれを出して説明しておる。それで、この間違った資料でやっている。この三例を、大蔵省に行ったとき説明しましたか。削除してありましたか。大蔵省にも、この誤った資料で予算を獲得をしておる。大蔵省に、この誤りについてどういう措置をとりましたか。
  237. 須藤徹男

    ○須藤説明員 予算要求の段階では入っておったと思います。  なお、誤りにつきましても大蔵省に説明をいたしております。
  238. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 ちょっとくどいようですけれども、この協議会にはいつ誤りを訂正されたのか、大蔵省にはいつ説明されたのか、期日を言ってください。
  239. 須藤徹男

    ○須藤説明員 日にちにつきましては、後ほど正確な日にちをお知らせいたします。
  240. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 それで、私は、この資料の誤り、捏造、改ざん、作為についていま質問をしたわけですが、こういう資料で法律をつくらされた、あるいは国民をだました、国会をだました、このことだけでもこの法律の執行停止というものをやはり真剣に考えなければならぬと私は思うのですけれども、私はここにもう一つ、空中散布をして全然効果がなかったという資料を持っております。  これは姫路の営林署管内で全部調べてみました。これは姫路の営林署に勤めておる職員の人たち、姫路の労働組合人たちがみな調べました。ここにもきちんと調査結果がございますけれども、姫路営林署管内の各担当区ごとの各山ごとに五十年九月、五十一年十月、五十三年一月時点で、松くい虫被害区域の面積、被害本数、被害材積を調査し、その合計をとったのがございます。これは担当区は姫路第一の城山、中山、浦山と、全部についていま言ったことを丹念に集計をした表でございます。この表を見てみますと、結果として、五十年九月の被害の区域面積は千七百ヘクタール、被害本数は六万九千九百五十五本、その材積は四千二百七十四立方。五十一年十月は、被害区域が千九百二十ヘクタール、被害本数が八万三千八百二十本、材積が五千六十二立方。五十三年一月は、二千四百三十六ヘクタール、被害本数は十三万九千六百五十五本、材積が五千九百七十九立方。これは全山やっておるわけじゃございませんけれども、この管内において空散した個所が、十五カ所空散をしておるのです。この営林署管内で。そして、ずっと続けて空散したにもかかわらず、その被害区域の面積とか本数もふえております。材積もふえております。姫路営林署管内の国有林というのは瀬戸内海に面して点在しておるわけでございまして、あの地域全体のサンプルになると私は思うのです。こういうことで、全然空中散布の効果がなかったというような資料を丹念に歩いて調査をしておるわけですけれども、これに対して、林野庁では姫路営林署管内についてどういう考え方を持っておられるのか、あるいはどういう資料があるのか、ちょっと聞いておきたい。
  241. 須藤徹男

    ○須藤説明員 ただいま先生のお示しになりました数字と若干違っておりますが、傾向としてはほぼ同じような数字でございます。ただ問題は、四十八年が八百八十三ヘクタールの被害面積に対しまして空散が三百四十二、四十九年が千七百十二ヘクタールに対しまして空散が三百九十七、五十年が千七百八十六ヘクタールに対しまして三百三、五十一年が千九百四十四ヘクタールに対しまして二百二十三、五十二年が二千四百三十六ヘクタールに対しまして二百十四ヘクタール。いま申し上げました数字のとおり、残念なことに空散がむしろ減っておるわけでございます。被害面積がどんどんふえておるにもかかわらず空散面積が減っておるという事実がございまして、これだけで空散の効果がなかったというふうには私ども断定しておりません。ただ、先ほど先生も御指摘ございましたように、非常に飛び地でございます。したがいまして、大きな団地と違いまして、回りが同じように空散をしなければそこだけをやりましてもそれほど効果が出ないという大きな事例であろうというふうに考えております。
  242. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 姫路営林署管内を見て、いま部長も言いましたように、同じ傾向だということをおっしゃったので、やはり効果が出ていないのです。これは、そこで働いている労働者が自主的に調べてそうだったのです。それが一つ。  もう一つ、今度は別な角度から空散の効果がないという資料がございます。これはよく聞いておいてください。これは昨日の話です。昨日、東北大学で開かれました日本応用動物昆虫学会で宇都宮大学農学部の田中正教授が発表いたしました。これはどういうことかといいますと、栃木県の益子町で五十二年、去年の六月から七月にかけて松林四十ヘクタールで空散が行われたわけです。その空散が行われたところを宇都宮大学農学部の田中正教授を中心にして影響調査をしているのです。それはどういうぐあいにやったかといいますと、空散直後から十日間、毎日、幅三メートル、長さ一・五キロの林道沿いの付近に落ちた昆虫や動物をすべて拾い集めて、種類別に個体数を調べたのが田中正教授の調査でございます。その結果をきのう発表しておられますけれども、チョウやセミなど二百十種類、千四百十五匹の昆虫が死んでいたのが見つかっております。しかし、その中で、このマツノザイセンチュウを運びますところの運び屋のマツノマダラカミキリはわずかに二匹しかいなかった。また、昆虫などを食べるクモとかカエルとかヘビなどの死んだものが多数見られた、こういうことで田中教授は、研究結果から空散は松枯れ防止には余り効果がない、昆虫や小動物に影響があり、自然体系が大きく崩れる、ひいては人体に影響も与えかねない、こういうことをきのう指摘され、発表されておるわけでございます。そうしてやはり田中教授は、松枯れ防止は危険な空散ではなくて、地上散布や伐倒駆除、焼却がよい、こう結論づけて発表しておられるようでございますけれども、この研究結果をどう思われるか。  きのうのことですからなんですが、わからなければ、田中教授の研究結果を十分取り寄せられて、そして田中教授と話し合われて、こういうものに対する林野庁の見解とかあるいは対応策とかというものを立てるべきじゃないかと思うのですが、まさに学会できのう発表されたこういう事例が出ている。さっき言った労働者が調べたのも、姫路もこうだった、学会でもきのうこう発表された、こういうことで、この田中教授のこれについて、きのうの論評はできないかもしれませんが、ぜひ取り寄せて研究しながら、田中教授と意見交換をしながら対応策を考えていただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
  243. 藍原義邦

    藍原政府委員 田中先生には前に私もお会いいたしたことがございます。いま先生おっしゃいましたような学会での御発表、私もまだ十分お話を伺っておりませんので、今後先生がおやりになりましたものにつきましては、私も十分先生の御意見を承ってみたいというふうに考えております。  ただ、ここで私どもが一言申し上げておきたいことは、いままで空中散布によりますマツノマダラカミキリの防除に対しまして、防除の方法の中で言われておりますことは、ヘクタール当たりに大体百頭から四百頭ほどの分布状況でございまして、空中散布をした後にマツノマダラカミキリの死体を拾うことは非常に困難であるという専門家の意見が出ておることをつけ加えさせていただきたいと思います。
  244. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 きょうはこのことでもう議論はしませんけれども、ぜひ田中教授と会われて、こういう研究結果を真剣に林野庁検討していただきたいということを要望しておきたいと思うのです。  そこで、大臣、資料がさっき言ったような状況である。そうすると、結果としても、たとえば姫路と栃木県の益子の例をいま二つ挙げただけですけれども、そういう実情もあるというところで、当面の対策についてこれは大臣の考え方を聞いておきたいと思うのですが、いままでの質疑の中で、やはりそれでも作為も全然なかった、改ざんも全然ない、捏造も全然ない、こういうぐあいに思っておられるのかどうかということもあります。私は、さっきもちょっと言ったんですけれども、この資料を見ても、そして、いまの答弁を聞いても、どろぼうがばれたって、金をどろぼうしておって、金を返せばいいんだ、返したじゃないかという開き直っているような態度に聞こえてならないわけでございます。少なくともこの資料というものは、先ほどもちょっと言ったんですけれども、二足す三は五だというのを十と書いてあるわけですから、しかし、これは五じゃないかと指摘しても、いや、ふえることはわかったでしょう、こういうぐらいの感覚の資料なんですね。そういうことをしたら大学入試なんかペケです。零点です。通らないのです。そういうようなことでは高校にも通らない、そういうことを林野庁がやっている。これじゃもう国民も、国会もたまったものではない、そういうぐあいに私は思うわけでございます。  そこで、私はもう大臣には、最初答弁されましたから言いませんが、ここで委員長にお話をしておきたいと思うのですけれども、きょうはこういう状態でございますし、先ほど大臣も言ったし、前の鈴木さんも言ったのですけれども、もう五十三年度の散布が目の前に来ておりますが、この法律を執行を停止するかしないかということは委員会で論議して、委員会で決定してくれということで、この前の国会の委員会でそれを論議する場をつくろうということが委員長の裁断で決定しておるわけでありますが、きょうはこういう状態ですから、いずれ委員長、これを停止するかしないかは議論したって水かけ論になりますから、これは私たちの問題だろうと思うので、そういう意味委員長、ぜひここで議論するという場を前の国会の約束どおりにつくっていただきたいということをお願いしておきたいと思うのです。
  245. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 御質問は運営に関しますので、理事会に諮ってから決めたいと思います。
  246. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 それから、これは大臣にお願いしておきたいのですけれども、いま言われましたように、この委員会で執行停止をするかしないかという議論をするということですが、今後の委員会で結論が出るまでは執行を停止しろということです。それは委員会で決めることだとさっきおっしゃったし、先ほどいろいろなことを言ったのでそこは言いませんが、少なくともいままでのこういう事態を起こした反省の上に立って慎重にこの問題に対して対処してもらうとともに、もう一つは、やはり去年も約束されているのですが、天敵を利用して何とか松くい虫退治ができないものだろうかというような問題、あるいは松くい虫に強い品種の育種ができないだろうか。これは去年予算をとってやっているのですから、そういうものがどうなっているかということも聞きたいのです。時間がありませんけれども、そういう問題がある。  それからさらに、ここに県独自の幾つかの例があるのです。神戸市では、ことし根元に殺虫剤を注入して退治をやろうということで、相当な予算を組んで実施しようとしておるし、たとえば福山は、ことしは三千三、百五十平方メートル、そこの二市三町にわたって予算をたくさん組んで伐倒駆除だけでいこうという試みもやっているわけです。そういうように伐倒駆除の試みが各地域で起きておるし、根元に薬を注入するという方法も行われようとしております。さっき言ったように、天敵の利用の問題とか、強い育種の問題とか、こういうところにこそ、空中散布を慎重に考えながら全力を挙げてやっていただきたい。そうしたら問題は何も起こらないし、松枯れもなくなるわけですから、そういうことについて大臣のお考えを聞いておきたいと思うのです。
  247. 中川一郎

    中川国務大臣 先ほど来、資料のミスについて御指摘がありましたが、これはミスじゃなくて改悪、悪意を持ったものであるという観点からの御指摘でございますが、全体の流れを通じてミスが多過ぎるなという感じがいたします。アカとクロを間違うということが二カ所もあるわけですから。しかし、専門家の意見を聞いてみますと、クロとアカを間違っても被害の状態においてはそう大きな変化がない、類似性があるということであるならば、間違いは間違いでありますが、この問題を判断する上において大きな間違いはないのではないかと思います。そのほか、資料を積み立てるに当たりまして、林野庁が調べたには違いないけれども、民間のものをあたかも自分が調べたような間違いを与えたり、とってはならない資料をとっておったりというようなこともありますが、全体としてそう悪意に満ちたものではなかった、こう判断いたします。  したがいまして、林野庁としてもまた国会の議決としても、このように松くい虫が非常な被害を起こしておりますので、いろいろな非難はありましても、国会に法案をお願いして五カ年間でやってしまおうということでやっておるわけでございます。これに御疑問の議論もありますけれども、私どもとしては計画に従ってやっていきたい。ただ、私どもが国会でこれを実行しないようにということをお願いするつもりはありませんが、国会において別途御審議があって、国会の意思としてそれはやってはならぬ、執行停止という御判断が出れば、もちろん行政府は立法府に従うところでございます。  それから、それ以外の天敵の問題とか伐倒の問題とか、いろいろいい方法もあるやに伝わっておりますが、まだ人を説得するだけの確たるものにはなっておりませんので、研究あるいは調査を進めまして、松くい虫の問題はこの五カ年間だけの問題ではありませんで、長期にわたって重要な課題でございますから、並行いたしましてその辺のところも、効果についてあるいは新しい駆除の方法等も含めて検討いたし、当面する、あるいは将来に向かっての松くい虫の対策について、林野行政を預かるものとして責任を持ってやっていきたいと存ずる次第でございます。
  248. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 大臣、私はいま、どちらかというと驚いているのです。こういうたとえば悪いですけれども、本当に盗人たけだけしいということを純粋に考えてみてくださいよ。これは国会と政府の問題だ。政府が国会をだましたのだ。そういうかっこうならば、これは議院運営委員会で取り上げてもらおうと思います。本当にまだ反省がないというか、そういう感じがしてしょうがないということを私は大臣の態度に対して申し上げておきたいと思うのです。  そこで、次は委員会で議論をするということですが、念を押しておきますけれども、こういう問題になるものではなしに、それ以上の効果的なものを早くつくり出して、そして全国民が喜びながら山をつくりたい、松枯れを防ぎたいというのがみんなの願いですから、そちらの方向林野庁が物すごく力を入れてがんばっていただく、そういう反省の上に立った決意をぜひお願いしておきたいと思うのです。  もう時間が余りありませんが、今度は五十二年度の防除状態について申し上げますけれども、完全な間違い散布がございます。それはどこかといいますと、兵庫県揖保郡の御津町です。これはいろいろなことを聞いてから質問したかったのですけれども、松くい虫の防除は、国営の直接事業と県営の直接執行、それぞれあるわけですが、結局、国有林は国がするわけでございまして、あと民有林その他を県がするわけでございます。兵庫県揖保郡御津町の実施計画というのは、民有林二百五十ヘクタール、松林群の番号が八十三、ここに散布するということになっておるのです。そして、薬の量は一ヘクタール当たり六十リットルが正しいということでそういうことが準備されておるわけでございますが、そういう計画でありながら、そこの地域国有林の寺山、内山、北山の四十一ヘクタールにも散布してあるのです。民有林二百五十ヘクタールに散布するという実施計画を持っておりながら、国有林四十一ヘクタールもあわせて散布してあります。これは御津町の実施計画にはないのです。それなのに散布してあります。こういうのを住民にはどう説明されたのだろうか。民有林だけやっているのですと言って、国有林にもやったわけでございます。また、薬の効果を言いますと、二百五十ヘクタール掛ける六十リットルで薬を用意しておりながら、四十一ヘクタールが追加されておるわけでございますから、一ヘクタール当たり五十一リットルぐらいしかまかれていないということになるのです。もう一つは、一ヘクタールの費用というのは大体三万七千五百円ぐらいですから、民有林へまく予算を百五十四万八千円ぐらい国有林に使ったようなかっこうになっているのです。  この兵庫県揖保郡御津町の間違い散布の状況というのは御存じですか。それについてどういうぐあいにお考えですか、どう指導されましたか。
  249. 須藤徹男

    ○須藤説明員 ただいまの御指摘でございますが、兵庫県に照会いたしました結果、そのような事実はないという回答を得ておるわけでございます。  なぜこれが間違いであるというふうに言われておるのかといいますと、いま言われました国有林は、御津町の新舞子の民有林の松林に隣接した内山及び寺山国有林ということでございますが、姫路営林署長と分会の三役の交渉の際に、これは五十二年十二月十四日でございますが、誤りの散布が指摘されておりますが、その根拠は散布状況を撮影した写真でございます。  兵庫県は、当日散布に従事しましたパイロットに確認したところ、境界は確認飛行で確認しておりまして、誤散布の事実はないと言っておりますし、また散布現地で風船を飛ばして同じような角度から撮影しますと、あたかも国有林に散布しているかのように見えるということから、この指摘者が誤認をしておるのじゃないかということでございます。写真もここにございます。
  250. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 これは余り議論をしようと思いませんけれども、私も写真を持っておるのです。これは大臣、そこから見えぬでしょうけれども、この山がありますけれども国有林をちゃんとここに印をつけておるのです。そこの上をヘリコプターがまいておる写真があるのです。だから、これはいずれにしてもいま現地で間違いであるか間違いでないかということをやっておる。現地当局は間違っていないという報告を得ておるということでございますが、これは時間がございませんから現地で議論していただきます。これは私も調査に行ってさらに明らかにしたいと思うのですが、きちんと写真がありますよ。そうして、この地域を見てみますと、ここにきちんと地図がございますが、これをのけて散布するということは実際地形から見まして不可能です。こんなに国有林が入り込んできて、その周囲の民有林にまくのに国有林にまかないというはずはないのです。これは明らかに間違い散布と思うのですけれども、それは間違いでないと言われるなら、これはまた次の機会に明らかにしていきたいと思います。  それから、急いで質問申し上げますけれども、たとえば農林省ですけれども、この法律は四月十八日に施行されましたですね。ところが、国は四月二十日にもう基本方針を発表しておりますね。基本方針をつくるときには、関係行政機関の長と協議し、中央森林審議会及び都道府県知事の意見を聞かなければならない、こういうことですが、この法律の施行は十八日、基本方針を二日後の二十日にはもう発表しておる。じゃ、関係行政機関の長といつ協議したのか、中央森林審議会とはいつ協議したのか、都道府県知事の意見はいつ聞いたのか、いつ聞いたかということだけ言ってください。そして、その発表した日が間違いないかどうかを答えてください。
  251. 須藤徹男

    ○須藤説明員 基本方針の策定につきましては、四月十八日、松くい虫防除特別措置法が公布、施行されたことによりまして、関係行政機関の長への協議は四月十八日でございます。関係行政機関の長からの回答が四月十九日でございます。関係行政機関の長への通知が四月二十日でございます。  それから、中央森林審議会松くい虫対策部会への諮問が四月十八日でございます。同じく中央森林審議会松くい虫対策部会の答申が四月十九日でございます。  それから、関係都道府県知事への意見聴取が四月十八日でございます。関係都道府県知事からの回答が四月十八日から二十日までの間でございます。関係都道府県知事への通知が四月二十日でございます。  そして、基本方針の公表が四月二十日でございます。
  252. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 国会であれだけ物すごい議論をし、物すごい問題になっている関係機関の長との協議が、十八、十九日の中に全部入っているのですね。中央森林審議会だって十八日、十九日、どれだけ審議をしたのですか。都道府県の知事に意見を聞いたのに、十八日から二十日までにほとんど全部都道府県知事が意見を言ってくる。知事はだれと相談して意見を出したのでしょうか。  こういうぐあいに非常にずさんですよね。十八日に施行していろいろな手続を踏まなければならぬのに、二日後にはもう基本方針を発表した。だから、これはこの法律を空洞化し、無視しているのですよ。たとえば、兵庫県知事は実施計画の策定の前にもう森林審議会の答申を得ておるのですよ。これはやはり法律の第四条によれば——国の基本方針をつくる前にもう兵庫県知事は森林審議会から実施計画をつくるための答申を得ておるのですよ。しかし、少なくとも都道府県知事なんかというのは、基本方針に基づいていろいろな作業をし、森林審議会意見を聞いて実施計画をつくらなければならぬのですが、国の基本方針の前にもう実施計画をつくるための答申を得ておるのですが、こういう点はおかしいと思われませんか。
  253. 須藤徹男

    ○須藤説明員 確かにこの日にちの問題だけを見ますと、非常におかしいという印象をお受けになると思いますが、実は先生御承知のとおり、薬剤散布につきましては適期がございまして、適期を外すということになりますと全く効果がないということでございますので、散布を非常に急いだという事実がございますが、その前にこの基本方針とか、あるいはそれは案によりまして事前に各県とも協議を進めておったのでございます。  兵庫県の問題につきましても、四月十八日に実施計画の案につきまして、関係市町村の意見聴取をいたしておりますし、また十九日に実施計画案について審議会に諮問をいたしておるのでございます。それで、最終的には四月二十六日に実施計画の公表及び関係市町村長への通知をいたしておるのでございます。
  254. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 これは本当にこういう人に行政をやらせたら、法律をつくろうが、法律だって行政で殺されてしまう。こういうことは慎重にやりなさいと修正案まで出して議論して、本当に慎重審議をやるという約束ですよ、あなた方、この法律ができるときには。でき上がったところが、もう二日ばかりで何もかも法を無視してやってしまう。あなた方はどういう行政をするのですか。長官、少なくともこういう点についてはいままではまずかったとか何か、反省も一つもないのですね。二日ぐらいでこんな手続、しかも法律をつくるときにはいろいろな約束をあなた方からとっているのですよ、今度のは慎重にやりなさいという約束を。こんなずさんなやり方で、こういうのはまずかったと思われませんか、どうですか。
  255. 藍原義邦

    藍原政府委員 本来一年間の中でいつでもそれが施行できる問題であれば、いま先生がおっしゃいましたように、その日にちをとりまして十分対応すべき問題かと思います。ただ、松くい虫の防除につきましては、先生案内のとおり、適期がございます。したがいまして、国会でいろいろ御審議をいただき、私どももその問いろいろ御意見をいただき、それなりにわれわれも対応したつもりでございますし、また、その間、もし国会を通りました時点で適期を外してしまいまして、これができないということになれば、また非常に問題もございます。したがいまして、その間、国会で御審議いただいて法案が通れば、すぐにでも施行できるように、その辺はいろいろ十分検討しながら、そして承った御意見について、その御意見に従っての対応ができるような方途を考えながら、できるだけ早急にやろうということで私ども対応をしたわけでございまして、こういう問題につきましては、この松くい虫の特殊な事例ということで私ども対応したわけでございまして、その辺御理解いただきたいと思います。
  256. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 冗談言っちゃ困るのです。あなた方は私たちに何と言いましたか。こういう手続があってやらなければならぬものだから、だから早く成立させてくださいとあなた方は言ったじゃないですか。できたからすぐというわけにはいかない。たとえば、森林審議会、都道府県の長に意見を聞かなければならないとか、基本方針を出したのに基づいて都道府県は実施計画をつくらなければいかぬ、こういう手続がいろいろあるものだから、だから早く上げてください、この辺が限界ですよということをあなた方は言ったでしょう。そういうことを配慮して、また賛成の方も早く上げてくれということでこれは上がったのですよ。それについて何ですか、いまの言い方なんか。あなた方はわれわれに言って、それを配慮して国会は審議をしたのでしょう。そういうことを慎重にやらなければならぬというのを見越してある程度やったのです。そうして、これは二十日となっていますけれども、最初九州の方からまき始めますけれども、これはあなた、そんなに早くなっていないじゃないですか。ちょっときょうは記録を失礼しますが、まいていますのが五月の幾日ですよ。そういうことでございますと、本当に全然あなた方に反省がないということはまたこわいような気がするのです。  それからもう一つは、トラブルがあったらやらないという約束が国会でできておりましたね。ところが、岡山大学の演習林なんかでは抗議団が入っているところに空散をしたという事実がございます。それから、広島県では、福山のことですけれども、林務部長が双方の合意がつくまでは空散は実施しないということをわが党の社会党の総支部なんかも含めた者に約束しているのですよ。ところが、そういう約束を破って、警官隊を導入してまいている、こういう事実があるわけでございます。兵庫県なんかはこれまた公園付近でまいておって、実際は、姫路ですけれども、区域の表示なんかもしていない、こんなことがたくさんあるわけでございますが、こういうことについては長官いかがですか。
  257. 藍原義邦

    藍原政府委員 いま先生が二、三事例を指摘されましたけれども、私どもの調べによりますと、詳しいことは指導部長から御説明申し上げますけれども、岡山の事例につきましても、確かにそういう方がおられたということは確認いたしまして、そういう方々に危害が及ばないということを判断して実行したというふうに聞いております。それから、福山におきましても一応話し合いがありまして、その後さらに話を詰めようということで段取りいたしましたけれども、なかなか話し合いに乗っていただけないということで、危険のない面についての散布をしたというふうに報告を受けております。  なお、細かいことは指導部長から御説明申し上げます。
  258. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 時間がございませんので、そのことについてはまた詳しく別の機会にやります。  次に、健康被害、農林漁業への影響、自然環境等への影響調査について、これは全国に十県の定点を設定してやった。これについてどこどこかということと、それからこの健康被害、農林漁業への影響、自然環境等への影響調査、これは環境庁に報告なさいましたかどうかということ、これについていつ報告なさったかということ、これを林野庁に聞きます。  この報告に対してどのような御見解をお持ちかということを環境庁に聞きます。
  259. 須藤徹男

    ○須藤説明員 安全確認調査をやりました十定点は、千葉県の佐倉市岩富町、静岡県の湖西市大字入会地、兵庫県の加西市豊倉町、和歌山県の橋本市隅田町垂井、広島県広島市高陽町大字小田、山口県防府市台道、福岡県遠賀郡岡垣町黒山及び糠塚、大分県豊後高田市大字森、ただし水生動物、河川水の残留調査地は大分市河原内、宮崎県東臼杵郡北川町大宇長井、鹿児島県薩摩郡薩摩町大字永野の十カ所でございます。  それから、この報告につきましては、環境庁に中央森林審議会のありました日に手渡しをいたしております。(馬場(昇)委員「日と言ってもぼくは何月何日か知らぬ」と呼ぶ)三月二十二日でございます。
  260. 出原孝夫

    ○出原政府委員 環境庁といたしましては、いまお話の出ました三月二十二日に林野庁から資料をいただいております。
  261. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 あなた、質問聞いておかなければ困るよ。それに対してどういう見解を持っているのかということを言いなさいと言ったでしょう。
  262. 出原孝夫

    ○出原政府委員 この内容につきましては、一年だけの調査でございますので、なお調査を繰り返していただいて、長期的に検討する必要があると考えております。
  263. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 環境庁、その健康被害、農林漁業等への影響、自然環境等への影響、全然問題はなかったのですか、感じなかったのですか。
  264. 出原孝夫

    ○出原政府委員 全般的に見ますと、資料としてまだ非常に個別のケースの、しかも短期間の集積でございますので、個々に見ますと若干の問題の点もございますが、大づかみに見て、まだいまの段階で大きな悪影響があるということを言えるような段階ではなかろうというように考えます。ただ、これは慎重に検討する必要がございます。
  265. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 これは国会で私が資料請求をしておるところです。なぜ国会には出さなかったのですか。
  266. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま御説明申し上げましたように、三月二十二日でございまして、いま出すべく準備は整えております。
  267. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 私が資料請求して、私にも出せと言っているのですよ。二十二日出しておいて、なぜ二十二日こっちへ持ってこないのですか。これはぜひ急いでいただきたいと思うのです。これについては、それを見なければはっきり言えませんから。  しかし問題は、いま環境庁の話を聞いておっても、あなた方が国会に対してもまだ資料も出さない。もう次の第二年目がそこに来ている、散布時期が来ている。いまから慎重に研究して、やはりこれだけ健康被害があるとか環境に対する被害があるとか、そういうのも、あなた方の出した資料がいいか悪いかも、またごまかしているかもしれませんから、いろいろ調べて、そして次年度の散布の参考にしなければならぬわけですよ。いままでこんなに遅く資料を出すというのは、次年度さらに問題がないようにしようということに対して、資料の出し方遅いですよ。だから、本当にこの問題を、国民を納得させてやるという姿勢がそこにも出ていないということを指摘しておきたいと思うのです。  次に、まだ幾つかありますけれども、スミチオンの安全性に関する主要試験データについてここでちょっと聞いておきたいと思うのです。  このスミチオンの慢性毒性について、私がこの安全性に関する試験データを出せと言ったら、あなた方は私にこれを持ってこられた。それを見たら、慢性毒性について三つぐらいの試験結果を持ってこられました。  まず第一は、皆さん方と仲のよろしい住友化学の試験データです。そして、これは「ラットに対する二年間の経口投与試験における最大無作用量は〇・二五ミリグラム・パー・キログラム・パー・デー」となっている。こういうことで、問題がないというぐあいに書いておられます。  次に、第二の試験データとして東京歯科大学の上田先生の、これもラットに対する無作用量——これは住友化学は二年間ですけれども、上田先生は九十二週、これも約二年間です。この資料も「〇・二五ミリグラム・パー・キログラム・パー・デー」これは住友と同じになっております。  ところが、上田先生の報告原文を私は見たのですけれども、上田先生のは〇・三になっておるのですね。だから、上田先住の原文が〇・三になっておるのに、私に出した資料になんで住友化学と同じ〇・二五になっているのか、ここをまず聞いておきたいと思うのです。  そして、今度はウサギに対するテスト実施機関に「米国の毒性研究機関」と書いてある。こんなのが資料になりますか。「米国の毒性研究機関」私に持ってきた資料にそう書いてあるのですね。こんな表現というのがありますか。しかし、無理していろいろ聞いたりなんかして調べましたところが、これはインダストリアル・バイオ・テスト・ラボラトリーズ、いわゆるIBT、このことだろうと私は想像するわけです。この研究機関を調べてみたところが、アメリカの環境保護庁、EPAからここの検査は全面的に疑いをかけられて、七〇年から七二年の間に実施したところが信用できないと環境保護庁が言っているという毒性研究機関のようでございまして、そういうことです。  だから、いま私が申し上げたいのは、いま皆さん方が自信を持って、適当な散布方法をやれば問題ないと言ってまいている、そして国民にそれを浴びせているわけですけれども林野庁、いわゆる国の検査したのは一つも出ていないわけです。みんな住友化学の資料で間違いありません、東京歯科大学の上田先生資料で間違いがありません、アメリカのテスト実施機関、毒性研究機関で問題はありませんでした、だから問題はないんですという資料を持ってきておるのです。そして、この資料を見ましたところが、いずれも、たとえば住友化学だって上田先生のものだって学会に発表してないですね。未発表分ですね。だから、学会から評価をされていないものですね。こういうもので、他人がやったもの、しかも問題があるもの、学会でもまだ定評にならないもの、こういうもので安全でございますという、資料結果は国はこれだけです。問題があるのです。  これについて、長官答えてください。
  268. 野崎博之

    ○野崎政府委員 確かに、住友化学の資料等もこれは参考にいたしているわけでございますが、これは厚生省からわれわれ聞いておるわけでございまして、企業のデータだけじゃなしに、東京歯科大あるいは外国の中立的な試験研究機関のデータを基礎にしている、そういうふうに厚生省から聞いているわけでございます。  いま御指摘のとおり、昭和四十四年から四十六年にかけまして、東京歯科大学の上田先生がスミチオンの慢性毒性に関する研究について、最大無作用量は〇・三ミリグラム・パー・キログラム・アー・デーというふうに報告されているわけでございますが、これは四十七年の十一月にスミチオンの残留基準を検討いたしました厚生省の食品衛生調査会、ここでは上田先生の行った試験成績からさらに厳しい判断をいたしまして、〇・二五ミリグラム・パー・キログラムというふうにみなしたというふうにわれわれは厚生省から聞いているわけでございます。  それから、例の外国の機関でございますが、いま先生おっしゃいましたように、インダストリアル・バイオ・テスト・ラボラトリー、IBTLというこれは中立的な機関でございますが、これもいま先生おっしゃいましたように、EPAから毒性試験に欠陥があるのじゃないか、委託した農薬メーカーあるいは政府機関に対して見直すように要求をしているという話もわれわれも聞いているわけでございますが、在米大使館を通じましてその中身を聞きましたところ、欠陥の発見されたIBTLの毒性試験というのは、恐らく一九七〇年代の初めごろの古い農薬ではなかろうか。ただし、EPAが見直しを命じているのはIBTLの試験成績のすべてについてそういうことを言っているわけでございますが、試験の成績の見直しについては現在進められているそうでございますけれども、その結果はまだほとんど出ていない、そういうことで個々の農薬についてはまだ具体的な措置はとる段階ではない、そういうふうに大使館を通じて聞いているわけでございます。
  269. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 大臣、スミチオン、たとえばこういう農薬は千葉県で農薬中毒死事件もありましたし、加古川でも事件があったし、私はまた時間があればそういうことも質問したいと予定しておるわけですが、余り時間がございませんけれども、農薬は人体にも物すごい影響があるし、事故も起こしているわけですよね。そして、これに対して危ないという疑いをたくさん持っている国民も多いわけですよね。ところが、これは危ないですか危なくないですか、試験結果を教えてくださいと言いますと、ああ住友はこうやっています。上田先生はこうやっています。私の質問は、上田先生の〇・三と、多いのがいいと言っているのではないですよ。ただ、〇・三とあの人の結果が出ているのを資料で〇・二五と改ざんしていいのかということを言っているのであって、〇・三がいいと言っているのじゃないのです。  そういうことを含めまして、本当に国が責任を持ってやはりそういうものを試験をする。そして、どこかきちんとしたところに、納得するようなところに委託をしてやるとか、そうして国の機関が責任を持って毒性研究はこうですよということを言わなければ信用はできないのじゃないかと思うのです。他人任せでそういうことをやったらだめじゃないか、私はこう思うのですが、大臣、どうですか。
  270. 野崎博之

    ○野崎政府委員 説明だけさせていただきます。  いま、残留農薬研究所というのがございまして、厚生省等から委託を受けまして、そういうところでもやるような体制を進めておるわけでございます。
  271. 中川一郎

    中川国務大臣 残留農薬その他、こういうものの被害が国民の皆さんにあってはいけませんから、最善を尽くして真相を究明し、被害を与えない対策を講じなければなりません。その場合、国が直接やったがいいのじゃないかということでございますが、国がやった場合がいいときと、あるいはその筋の専門家に意見を聞いたりあるいは研究をしてもらう、こういうことがいい場合もありますので、どちらを使うかは別としても、国民の皆さんに被害を与えないということについて最善を尽くしてまいりたいと存じます。
  272. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 私は、国がやった方がいいと言っているのじゃないのです。国がやると、さっきの資料みたいに国はごまかしますからね。だから私は、国が責任を持って、国民に責任を持つような対策をとりなさいと。だから、さっき言った住友とか上田先生のものとか米国のものとか、私が見ては信用できません。国民が見て信用できる、そういうようなところに責任を持つようなという意味も含めて言ったのですから、そう考えていただきたいと思うのです。  次は、農薬ホスベルについてちょっとお尋ねしておきたいと思います。  これは私が説明するまでもなく、昭和四十年ごろ米国のベルシコール社が開発した有機燐剤の殺虫剤でございまして、これはアメリカではついに許可されなかったのですね。ところが、日本では四十三年に許可になっているわけでございます。そして日本では、ベルシコール・パシフィックという六本木にあるところの会社の委託で、日本化学、これはクロム鉱滓事件を起こしたところですね、東京の江東区にあります。そこの福島県の三春工場で原体生産を始めて、最盛期、四十六年、四十七年には年間四百トンぐらいに上っておって、これは一部を韓国、台湾に輸出しておるわけでございます。そうして国内では、三共とか日本農薬とか日本曹達など国内メーカーで粉剤、乳剤として、このホスベルは大体六割か七割が北海道で使われておるわけです。聞くところによりますと、二番目に使われているのは私の県の熊本だという話も聞いているのですけれども、そういうことですが、これはアメリカは外国に輸出しておりまして、外国でいろいろ問題が、たとえばエジプトとかで水牛の中毒事件があったとか、これをつくっておりますアメリカの工場の労働者が神経障害にかかったとか、こういうことで、五十二年にはアメリカは中止しておるわけでございます。  わが国でも、福島医大の木根渕先生や長野県の佐久病院の堀口お医者さんなんかで、これは遅発性神経症状がある、こういうようなことになりまして、厚生省も問題があろうということで、登録の更新をしなかったということで、日本化学も五十二年までに製造を中止しておるわけでございます。  ここでお尋ねしておきたいのは、これはアメリカで開発して、使用許可しなかったのをなぜ日本で使用許可したかということと、日本はアメリカからどれだけ輸入したか。聞くところによると、日本は最大の輸入国だったと私は聞いておるのです。それから、日本国内でどれだけ生産したかということ。それから、日本外国にどれだけ輸出したかということ。それから、国内では製造禁止措置はとっておるのかどうかということ。国内で、外国に輸出する規制をとっておるかどうかということ。それから現在、使用をやめてから、このホスベルがたくさんまだ農家とかそういうところに積まれておったのですが、この回収をなぜしなかったか。回収したかしないか。こういう点について、時間がございませんので、端的に御答弁いただきたいと思うのです。
  273. 野崎博之

    ○野崎政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、四十三年に初めて登録をされまして、これは水稲の病害虫それからてん菜、したがいまして北海道が相当多いわけでございますが、生産量を申し上げますと、昭和五十年を見ますと約二千二百九十四トン、輸出量が十一トンということになっております。それから、五十年に輸入が約五十トンということでございます。  それから、さっき先生おっしゃいましたように、厚生省の残留農薬評価委員会で昭和五十二年二月に、遅発性の神経毒性の疑いがある、そういうことで最大無作用量というものが得られない、したがいまして製造販売を行わないというような指導を農林省といたしても製造業者に対してやっているわけでございます。その結果、製造業者は昨年の八月一日付で登録票を農林省に返納いたしまして、農林省は農薬取締法によって失効させたわけでございます。  それから、回収につきましては、農林省は、直ちに全農と製造業者に対しまして流通在庫の返品整理を行うように指導いたしました。それからまた、都道府県あるいは関係の製造業者あるいは関係の団体等に対しまして、返品処理について協力するように指導を依頼したわけでございまして、この結果全農の調査によれば、もうほとんど回収されている。数字的に申し上げますと、全農の調査でございますが、約百八十七トン、これはもうほとんど回収されて、国内ではほとんど出回っていない、そういう状況でございます。
  274. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 アメリカからこのホスベルを輸入した商社名がわかっておれば教えていただきたいと思う。わかっていなければ後で文書ででもいただきたいと思うのです。  それから問題は、回収措置は終わったということですけれども、これはぜひ完全に回収してもらわなければならぬと思うわけです。  それから、外国に対する輸出規制はしてないのじゃないかと思うのですが、外国に対する輸出規制はすべきだと思うのですが、どうですか。
  275. 野崎博之

    ○野崎政府委員 アメリカから輸入をした会社は、ベルシコール社という会社でございます。  それから、輸出規制措置、これは通産の問題にもなりますが、現在製造を中止いたしておりますので、もう生産もございませんので、輸出ということもないであろうというふうに考えておるわけでございます。
  276. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 アメリカからの輸入量をさっきちょっと聞き漏らしたのですけれども、これをもう一遍お知らせいただきたいと思うのです。  問題は、生産を中止しておるから輸出はないだろうということですが、やはり問題がありますよ。たとえば、アメリカは、これを自分の国では許可せぬでおいて外国に輸出して、そして、たとえばエジプト等で水牛の中毒事件なんか起こしているわけですね。他の国に迷惑をかけているわけですよ。日本も、韓国とかその他に輸出したと言われておるわけでございますから、やはり外国に迷惑をかけるわけですね。こういう問題で、危ないとかそういう疑いの持たれる農薬を、公害を外国に輸出するというようなことはもってのほかだと思うのですが、この輸出規制に対してどう考えているかということを再度念を押して聞いておきたいと思うのです。  それからもう一つは、EPN農薬についてお聞きしたいのです。  これもやはり神経毒性があると言われておりますし、四、五年前までは稲に非常にたくさん使われておったわけでございます。これの生産量も非常に多くて、輸出も非常に多いわけです。このEPNの問題について、国内で使用禁止措置をとるかどうか、それから、これについても輸出規制をどうするか、あわせてお答えいただきたい。
  277. 野崎博之

    ○野崎政府委員 先ほどのホスベルの輸入は、四十七年以降を見ましても、五十年の五十トンだけでございます。  それから、輸出規制措置につきまして、輸出は四十七年から五十一年まで、三百四トン、六十六トン、七トン、十トン、三十トン、そういうような輸出があったわけでございますが、五十二年はもちろんゼロでございますし、五十二年からそういうようなことで製造禁止いたしておりますので、五十二年からの輸出はございません。  それから、EPNにつきましては、これは二十八年に登録されて以来、いま先生おっしゃいましたように、水稲とか果樹の殺虫剤として使用されておるわけでございますが、これは厚生省の食品衛生調査会の農薬残留基準でいまはっきりいたしておりまして、現在のところ安全だ、そういうふうに言われておりますので、われわれとしては問題ないと思いますが、もしホスベルのように厚生省の調査会でやはり問題があるというような見直しをすれば、農林省としても当然それに従うということになろうかと思います。
  278. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 ちょっとホスベルに戻りますけれども、アメリカからの輸入が五十年五十トンだけだ、こういうぐあいにいま報告があったのですけれども日本が一番最大の輸入国だ、こういうぐあいに私は聞いておりますし、五十トンで最大かということも疑いを持つのです。アメリカの上院の何かのレポートに、日本への輸出量が書いてあるというぐあいに私は聞いておるのです。これはぜひ資料を調べていただいて、これにどう出ているかということをお知らせいただきたいと思うのです。  EPN、これはいま広く神経毒性があると言われているわけですが、いまのところまだ問題はないというような把握のようでございますけれども、これについても、これは日産化学の例をとりますと、生産が千四百八十九トンでありますが、そのうちの千四百トンを輸出しておりますね。がから、日本では最近余り使っていない。これは五十一年の生産量のことです。だからいまは、危ないから使わない、しかし外国にどんどん輸出している、こういうような状況になっておりますね。たとえば日産化学、五十一年千四百八十九トン生産して、千四百トンが輸出です。こういうことは、やはり疑いが持たれて、日本では余り使わない、外国に輸出する、外国の者の被害はどうでもよろしい、こういうような感じに私は受け取るわけでございます。  そういうことでございますので、その点についてはさらに厚生省の管轄もあるわけでございますので、十分厚生省と一緒に御検討をお願いしたいということを申し上げておきたいと思うのです。  もう時間も来たようでございますが、これは参議院で質問も行われておるのですが、滋賀県の近江八幡市の西上田地区で一九七七年八月十六日に水田に対して農薬が散布されておるのです。そこについて落下量調査を一研究者が行っております。これを見てみますと、とにかくヘリコプターで水稲病害虫防除農薬散布によって、水田には〇・一五ないし一・八九キログラム・パー・十アール農薬を散布したが、その近所の住宅地には〇・六二ないし〇・八七キログラム・パー・十アール、こういうカスラブスミバッサ粉剤が落ちているという調査があるのです。そして、そのときのいろいろなデータがあります。これについてここで一つ一つ質問はいたしませんので、この研究者を私が知っておりますから、ぜひこの人と連絡をとって、その調査資料に基づいて説明も受けて、これはいいとか悪いとか慎重に検討していただきたいということをお願いを申し上げておきたいと思うのです。それが一つです。  次は、千葉県の農薬散布における死亡事故について、農林省並びに環境庁は法に基づいてこれの立入検査をしなければならない、こういうことになっております。だから、千葉県の農薬中毒死事件について農林省、環境庁調査をされて、現在どういうぐあいに把握しておられるのか、どういう措置をとったのか、こういうことについて、これはまた時間がございませんので、資料提出していただきたい。  この二つについて、時間がほとんどないわけでございますので、資料提出に応ずるかどうかに御答弁いただきたいと思います。
  279. 野崎博之

    ○野崎政府委員 資料提出いたします。
  280. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 それから、さっき言った近江八幡の一研究者の調査、これを皆さん取り寄せられて、本人からもお聞きになっていろいろ研究してくださいということについてはどうですか。
  281. 野崎博之

    ○野崎政府委員 阪大の先生資料も市から報告を受け取っておりますので、また先生とも連絡をとってひとつ検討をいたしたいというふうに考えております。
  282. 馬場昇

    ○馬場(昇)委員 大体時間が来ましたので、あと当委員会でこの松くい虫防除特別措置法の執行停止をどうするかどうしないかということについて議論をしていただくことになりましたので、そこでいろいろ議論をいたしますが、私がきょうずっと質問を申し上げましたのに対する政府の態度は、やはり反省をしておられないように見えます。  たとえば、農薬をまくわけですから、その効果の問題、その前に松枯れの原因の問題もあるわけですけれども、効果の問題、そして、その被害がどうなるのかという問題、そして、さっき言った資料の問題もたくさんあるわけでございますけれども、大臣に対してきょう指摘した中で、謙虚に考えて、決まったから行うのだ、やったから過ちを認めないというのじゃなしに、こういう農薬なんかやはり人の命、環境を破壊するのですから、それを取り扱うには慎重過ぎて、謙虚過ぎてそれに過ぎることはないと私は思うのですよ。こういうことを行政がおごり高ぶって、あるいはメンツでやるということは、これこそ大変な間違いを起こすのではないかというように思います。  そしてまた、ほかのいろいろな農薬問題につきましても、正しいのだ正しいのだと言っておいて、そうして数年たった後に物すごい毒性がある、それで禁止になった例も幾つもあるわけです。たとえば、水俣、私はあっちの出身ですが、もうそういうことは大したことないのだ、有機水銀じゃなしにあれは爆弾だったのだなんて言いながらああいう状況にもあるわけでございますし、こういう農薬とか毒性のあるものの取り扱いは、人の命にかかわる問題ですから、慎重にも慎重、謙虚にも謙虚でやらなければならぬと思うのですよ。  そういう意味で、大臣は農林大臣に初めてなられたわけですから、大臣も初めてでしょうけれども、元気のいいのはわかりますけれども、こういうときには謙虚に素直に行政をしていただきたいということを最後にお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。      ————◇—————
  283. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 内閣提出森林組合法案及び芳賀貢君外十三名提出、国が行う民有林野の分収造林に関する特別措置法案の両案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。神田厚君。
  284. 神田厚

    ○神田委員 森林組合法案について御質問を申し上げます。  まず、昨日の私の同僚の稲富議員の質問に対する林野庁長官の答弁が非常に的確性を欠いていたと私は思うわけでありまして、そういうことのないように、よく質問に沿った形で御答弁をいただきたいというふうに先にお願いをしておきます。  きのうもいろいろと話が出ました。私たちは総合林政を進めるべきであるという話をしていたわけであります。この総合林政ということの定義がどうもはっきりしなかった、そのためにどうも答弁の方があいまいになった、こういうふうに感じるわけでありますが、今日の非常に低迷する日本林業を再建して、さらに林業従事者の社会的経済的な地位の向上を図るためには、国有林民有林木材関連産業、これらが一体となった総合林政を推進すべきだ、私どもはこういうような主張をしているわけであります。  そういうことで、まず政府に御質問を申し上げますが、民有林の生産の担い手として森林組合の育成強化が図られなければならないことは衆目の一致しているところでありまして、したがって、こういう形で森林組合法案が単独立法という形で出されてきたわけであります。そこで、今日までこの森林組合の育成強化を図るためにどういうような施策を講じてきたのか、この現況と、講じてきた施策について具体的に明らかにしていただきたいと思うのであります。
  285. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま先生の御指摘になりましたように、私ども日本林業なり森林というものを、今後さらに国民の期待にこたえるために行政をしていきます場合に、国有林あるいは民有林、さらには林産業界、こういうものを一体にした考え方で今後の行政を進めたいという気持ちは同じでございますので、この辺御了解いただきたいと思います。  いま御指摘になりました民有林についてのどんな指導をしておるかということでございますが、従来やっております仕事を一部御説明申し上げますと、森林組合を中心にしてただいまやっておりますもろもろのものをちょっと申し上げますと、たとえば森林組合の行います指導的な仕事につきましての各種の事業、たとえば森林組合の検査、指導事務だとか、あるいは受託経営促進対策だとか、さらには経営改善特別対策、こういうような作業班を強化する仕事、こういうものに対しまして助成をいたしておりますし、さらには間伐材の安定流通促進のためのパイロット事業、こういうものについても、その事業に対しまして国が助成を行い、間伐材が安定的に販売できるような方途を考えておりますし、さらにまた林業構造改善、これは御存じのとおり中心をなすものでございますが、こういうものにつきまして、主として森林組合が中心になってこの事業を行いますが、これにつきましても五十三年度二百六億という金を考えております。  さらに、林業労働力対策事業、こういうものにつきまして、林業労働者の安全あるいは確保、さらには衛生というふうな問題を含めましてそれぞれの対応をいたしておりますし、また森林施業の団地共同化事業というものもございます。こういう団地共同化することによりまして零細な森林所有者が共同して森林経営を行うというような形につきましても、施業計画樹立の共同化事業について助成をいたしております。また、入会林野等の高度利用促進対策事業、こういうものにつきましても、その事業につきまして助成をいたす等々、現在私どもといたしましては、民有林のいろいろな林業振興の中心を森林組合に置きまして、もろもろの助成をしておる次第でございます。
  286. 神田厚

    ○神田委員 私が御質問したのは、声が小さいのかもしれませんけれども、この森林組合の育成のためにどういうふうなことをしてきたのか、民有林ももちろんそうですけれども組合を育成するために今日までどういうふうな手を打ってきたのか、こういうことも含めて御質問をしたわけなんです。ですから、民有林としてやっている事業そのものもそうでありますけれども、やはり森林組合そのものを今日まで育成強化を図るためにどういう手を政府は打ってきたのか、そのことをひとつお聞きしたいというふうに思ったわけであります。
  287. 藍原義邦

    藍原政府委員 いま申し上げましたもろもろの事業あるいは助成でございますが、そういうものは、主として森林組合を中心にして流れていくものを申し上げたわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、国がいろいろ財政的に助成するものにつきましては、いま申し上げましたような形で森林組合の育成強化を図ってきたということでございますし、さらにそのほか広域合併等々も従来やってまいりました。そういう形で森林組合が強化されるような努力をしてまいった次第でございます。
  288. 神田厚

    ○神田委員 それでは次に、これは昨日も議論があったようでありますけれども森林組合の性格、それから役割り、こういうことから、制度的な対応としては、森林組合制度を森林法から分離しまして、林業協同組合、そういうような協同組合法という形で単独立法とすべきである、私どもはこういう主張をしてきたのでありますけれども、大臣はこれに対してどういうふうなお考えをお持ちですか。
  289. 中川一郎

    中川国務大臣 きのうも議論があったところでございますが、協同組合というのは単純な経済行為が中心になっておるわけでございます。森林組合は、単なる経済行為ではなくして、それと並行して公益機能を有しておる、こういう性格と、それから組合員が、協同組合の場合でありますと個人を対象といたしておりますが、森林組合は、個人のみならず団体等も入ってまいります。こういうような性格の違いから、協同組合というのではなくして、それよりもう一つ公益性を含めた、いわゆる協同組合と公益性の仕事とをあわせて行うという意味で、協同組合というような純化したものにしないで、もっと幅広い考え方でやった方が、今日林業行政を進める上においての対応策であろう、こう考えて、いろいろ議論はありましたが、そういうふうに落ちついた、こう承知いたしておるわけでございます。
  290. 神田厚

    ○神田委員 私どもは、森林組合の性格や、あるいはこれからより強力に持たれるその役割り等を考えると、協同組合の方が、いわゆる協同組合的な性格というものを付与した方が、より組合員に対しましてもいいのではないかというふうな考え方を持っているわけであります。  いま大臣からお話を聞きましたけれども、この問題はおいておきまして、これからずっと御質問をさせていただきますが、その前に、きょうの新聞で、政府の公共企業体等基本問題会議経営形態懇談会というものが、公共企業体における経営の問題につきまして、その答申をまとめようとしておる、その内容につきまして御質問をしたいのでありますけれども、その意図するところは、非常に民営化を意図しておるわけであります。特に、この委員会に関係があります国有林野事業の作業部門、このことが非常に重大な形で論議をされておりまして、作業部門は直属から請負制度にすべきであるというような考え方が大方であるようなことであります。  これにつきましては、私は大変大きな問題を含んでいるというふうに思っているわけでありますけれども、この点について政府のお考えをまずお聞かせいただきたいと思うのであります。
  291. 藍原義邦

    藍原政府委員 いま先生指摘になりまして、私も朝日新聞にけさ出たのを見ておりますけれども、これは基本問題会議内部提出されたにとどまるものでございまして、現在これに対しての意見を差し控えたいと思います。  いずれにいたしましても、基本問題会議としての意見が取りまとめられておりますので、正式に提出された段階におきまして、私どもとしてはそれなりの対応はしてまいりたいというふうに考えておりますが、いまの段階では意見を差し控えさせていただきたいと思います。
  292. 神田厚

    ○神田委員 これは五月の初めに正式な答申という形で出るということでありますけれども、言われておりますのは、三万二千人の現業従業員を下請にするというような形になってきますと、結局どういう形で提言がされるか定かでありませんけれども、ひとつこの問題につきましては、政府の方もより腰を据えた形で考えていただきたい、こういうふうに思うわけであります。これが民営移管という形になりますと、たとえば森林組合などがこれの下請の主要な対象になるのかどうかという問題も含めまして、相当深刻な問題になってくると思うし、現実に使われている人たちの首切り問題にも発展するわけであります。  したがいまして、そういう点につきまして、特にきょう目につきました問題でありますので、見解をお聞きしたがったのでありますが、そういうことでありますので、そういう点についてその心構えというものを、ひとつ大臣、御意見がありましたらお聞かせいただきたい。
  293. 中川一郎

    中川国務大臣 公営企業、なかんずく私の所掌いたしております林野事業、林野の中の国有林経営が、他の公営企業よりはむしろ悪化しているというぐらい経営が悪いわけでございます。したがいまして、一部に民営とか、あるいはまた直営、直用を廃止してというような厳しい批判のあることも事実でございます。したがいまして、私としては、そういった批判が起こらないように、正すべきは正し、改善すべきは改善をして、現行体制、現行仕組みにおいて、何としても山を守ってまいりたい、こういう気持ちで、今国会においても、改善のための、すなわち一般会計からも林道や造林にも導入をする、そして会計を正し、同時にまた機構それから仕事のやり方等にも工夫をこらしまして、そういった批判や、あるいはそういった協議会からの勧告などが厳しくならないようにと思ってやっておるところでございます。  現段階においては、今国会においても農林省設置法やあるいは改善のための特別法もお願いいたしております。これらの成立を図って、避けてはまいりたい気持ちでありますが、何分にも、その結論を得ました段階においては、またこれにどう対応するか判断はしたいと思っておりますが、現在はそういった気持ちで、そういった批判が出ないようにと思って、血のにじむ思いで国有林のあり方については林野庁、農林省は農林省として今日まで努力をいたし、今後も熱意を持ってやっていきたい、こう思っておる次第でございます。
  294. 神田厚

    ○神田委員 この問題はまた出た段階で御質問申し上げますが、ひとつそういうことで、大臣の方も、林業を守るという非常に厳しい状況の中で、特に国有林の問題が非常に大きく問題になってきておりますので、しっかりと取り組んでいただきたいというふうにお願い申し上げます。  さて、森林組合法の問題に戻りまして御質問を申し上げます。  森林組合森林林業の中核的担い手として期待している、こういうようなことでございますが、わが国森林林業の上で、一体どの程度の役割りを森林組合というのは演じてきたのか、この点を、先ほどは制度的なことについて概略お伺いをいたしましたけれども、実績的なものも含めまして、どういう形で役割りを演じてきたのか、お聞かせいただきたいと思うのであります。
  295. 石川弘

    ○石川政府委員 森林組合は、主としまして生産活動の中では森林造成、それからその場合でも新植とかあるいは保育とかいろいろあるわけでございますが、現在の活動の中では、森林の新植造成事業では、ほぼ四割強が森林組合が担っておるわけでございます。  それから、現在非常に大事なことになっております間伐でございますが、これは非常に森林組合の比重が高うございまして、大体半分以上が森林組合活動によっていると言えるのではなかろうかと思います。
  296. 神田厚

    ○神田委員 やっていることがそういう形でありますと、造成で四割、間伐で五割というようなことでありますと、実績といたしましてはそんなに高くないというふうに私は感じるわけでありますが、その辺の原因等、それから今後それらにどういうふうに対応していくのか、対策等あればお聞かせをいただきたいと思います。
  297. 石川弘

    ○石川政府委員 現在、森林組合がまだ十分じゃないという批判がございますのは、一部に作業班を持っておりません組合、五十年度で申し上げますと七百ばかりのものがまだ作業班を持っておりませんので、その地域では、いま申し上げましたような造林なり間伐の仕事がございません。それから、それ以外でも、合併助成法のときにも申し上げたと思いますけれども、資本装備が十分でないとか、あるいは常勤の役員がいないというような形で、組合はありますけれども、事業活動を活発にできるような条件が整っていないというのがございます。  したがいまして、われわれ、先ほどから申し上げておりますような各種の助成事業、これは組合そのものを強くする事業だとか、あるいは組合を構成いたします組合員を強化しますための林業構造改善事業とか、そういうようなものを組合に集中をいたしてまいりまして、組合が名実ともに活発な活動ができるような素地をつくっていきたいと考えております。
  298. 神田厚

    ○神田委員 この森林組合制度で不活発な面もたくさんあるのですが、特に必須事業制をとっておりますけれども、信託事業が一件も事例がない、こういうふうなことでありますね。ちょっと議論があったようでありましたけれども、その理由はどういうことなんでしょうか。そうして、このような一件も事例がないというようなものを必須事業という形で置いておくというのはどういうことなのか、この辺のところをひとつお聞かせいただきたいのであります。
  299. 石川弘

    ○石川政府委員 御指摘のように、信託事業を必須事業といたしておりますけれども、現在われわれが集計する限りでは、信託事業はまだ一件も行われておりません。これは、一つは、信託、御承知のように権利を相手方、委託者に移転をいたしました上で行うという制度でございますが、この種の権利移転を行ってまで信託をいたしまして経営をするということが、わが国において大変なじみの薄い制度であったということがあろうかと思います。  それからもう一点は、そのような権利移転までいたしませんでも、従来、森林組合の施業受託という形で、みずから所有権を持ちながら組合にそういう施業を委託することによって仕事をやっていただけたというような事態がございまして、そういう意味ではなかなか経営信託にまで事が運ぶだけの基盤が成就していなかったのではなかろうかと考えております。  ただ、今後の問題といたしましては、やはりいろいろと労働力の不足の問題とか、森林の管理自体をみずから目をかけにくいというような条件が出てまいりますと、考えようによっては、この種の信託ということが生まれてくる可能性があるわけでございますが、これは信託をするに足るりっぱな森林組合の経営がございますれば、そういうようなことは発展するということでございますので、こういう制度をよりPRをしていくとか、あるいはそういう信託を行うに足るような素地のあるような地域について、こういうものの導入について、さらに組合との関係においてもより緊密な説明をしていくとかいうようなことを考えながら、信託事業がやはり円滑に行われるような素地をつくっていきたいと考えております。
  300. 神田厚

    ○神田委員 次に、森林組合が不況やあるいはいろいろな木材価格の影響、そういうもので非常に赤字が増大している。それに従って組合員に対するサービスが非常に低下して問題になっているというようなことを一部聞くわけでありますけれども、その実態と、それに対する対策はどういうふうに考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  301. 石川弘

    ○石川政府委員 森林組合系統の経営状況を、ここ数年の間、数字で申しますと、四十六年から五十年まで五カ年間追ってみますと、赤字組合の比率で申しますと、四十六年が一八%ぐらいございました。その次の四十七年が一五%、四十八年が一二%、四十九年が一五%、五十年が一九%と、五十年になりまして若干赤字が上がっております。これは御承知のように、材価の問題があろうかと思いますが、赤字が即組合員に対するサービスの低下につながっているかどうかということについては、必ずしもそのようには考えておりません。  また、連合会について見ますと、先ほど四十六年から申し上げたわけでございますが、それと同じような数字で申しますと、四十六年が一〇でございますが、その後六、五、一五、一五というぐあいに赤字が出ているわけでございます。こういう赤字の原因を見ますと、どちらかというと大きな施設投資をなさっている。たとえば林業会館を新設したとか共販場を設けたとか、そういう固定資本の取得というようなところで赤字が出たということになっておるようでございまして、これまた赤字即サービス低下というように直接結びつくような要因はないように思っております。  ただ、私ども深刻に受けとめておりますのは、やはり四十九年以降の材価の低迷ということがそのまま組合員あるいは組合活動の停滞につながるおそれがございますので、基本的には、組合を構成しております林業者の方々あるいは組合自身の経済活動が活発になって、そういう力がつくことによりまして赤字を解消していかなければならないと思っておりますけれども、そのためには、先ほど長官から申し上げましたように、組合の経営指導の問題とかあるいは林構を入れるとか、間伐対策をやるとか、組合を通してやりますような事業を今後も十分拡充しますことによりまして、組合組合員との関係をより円滑にするというような考え方で努めていきたいと思っております。
  302. 神田厚

    ○神田委員 組合のそういう事情に応じまして、適切な指導あるいは助成を尽くしていただきたいというふうに思うわけであります。  次に、今回の改正で、第三章の第九十三条第三項で生産森林組合に食用キノコの生産の事業を新たに認めることになりました。この食用キノコの種類というのはどういうふうになっているのか、それから食用キノコの需給状況はどういうふうになっているのか、まずその種類を先にお聞かせをいただきたいと思うのであります。
  303. 石川弘

    ○石川政府委員 主力はシイタケでございますが、そのほかエノキダケとかシメジ等を考えております。
  304. 神田厚

    ○神田委員 シイタケにいたしましても非常に過剰傾向にあるというような感じがいたしますけれども、これらの需給状況、今後こういうような形でやっても過剰になることはないのかどうか、その辺が心配でありますが、その点はいかがですか。
  305. 石川弘

    ○石川政府委員 シイタケは、御承知のとおり、生食用と干しシイタケと両方ございますが、最近の需給状況を見ますと、干しシイタケでは、四十七年に生産量が九千七百トンございましたのが、五十一年には一万一千二百トンと一五%伸びております。これは御承知のように、生産量の約二割を東南アジア、これは主力は香港とかシンガポールでございますが、そういうところに輸出いたしておりまして、残りの八割を国内消費をしているわけでございます。これは価格その他を見ましてもある程度順調な推移を示しております。  また生食用は、非常に急速に生産が伸びておりまして、四十七年に四万八千八百トンございましたのが、五十一年には六万二千五百トンということで、この間約三〇%ぐらいの伸びをいたしているわけでございます。もちろん、こういう生食用等につきましては、おのずと幾ら伸ばしてもいいというものではございませんが、先生もよく御承知のように、たとえば従来比較的供給が少なかった夏場に供給を向けていくというような形で需要を開拓しながら、現在順調に伸びているところでございます。
  306. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと、シイタケの場合は林産物として扱うという形になるわけですね。そうしますと、この共済関係はどういうふうに考えますか。できたものそのもの、さらにはほだ木あるいはほかのエノキダケやシメジ、こういうようなキノコについてはどういうふうに考えるのか、その辺をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  307. 石川弘

    ○石川政府委員 私ども、キノコ類は特用林産物と考えておりますが、実は生産は御承知のように、山村地域におきまして森林組合系統で生産されますと同様に、平場におきましては農業協同組合の系統におきましても相当の生産をやっておるわけでございます。  先生のおっしゃいましたのが保険という性質の御質問でございますれば、実はまだこの種の生産につきましてそういう共済制度まで考えていろいろとプランニングをしているという段階ではございませんが、将来の問題としては検討さしていただきたいと思います。
  308. 神田厚

    ○神田委員 特にできたものについての共済というのは非常に大変だと思うのですが、いわゆるほだ木の共済というのはかなり前向きに考えていただかなければならない問題ではないかと思うのです。その辺のところはどういうふうなお考えを持っておりますか、お聞かせをいただきたいのであります。
  309. 石川弘

    ○石川政府委員 ほだ木につきましては、林木被害についての状況調査ということで本年度その調査を始めることにいたしております。ただし、これは直ちに共済に結びつくというところまでは参りませんが、被害の実態等を調査するということを考えております。
  310. 神田厚

    ○神田委員 ひとつこのほだ木共済につきましては共済制度に結びつけるような形でよろしくお願いをいたしたいと思っておるわけであります。  続きまして、林業労働者の労働条件の問題であります。  まず一つは、林業事業体が非常に零細であるということ、それから経営基盤が非常に弱いということ、それから労働力の多くがやはり農業労働と兼務している、あるいは自然条件やその他労働条件が非常に悪いという考え方を私どもは持っているわけです。この労働条件の改善についてはどういうような考え方をお持ちになっているのか、ひとつお聞かせをいただきたいのであります。  まず一つは、労働基準法との関係で、八時間労働ということでの指導がなされているわけでありますけれども、実態はなかなかそういうふうにいっていない。  それからもう一つは、社会保険の適用についても、任意適用とされている被用者保険等の適用状況がきわめてよくない。  それからもう一つは、退職金制度について、中小企業退職金共済制度、中退共に加入するようにという形で何度か林政審議会等の答申や勧告などもあったようでありますけれども、なかなか加入の促進がうまくいっていない。  この三点を重点的に私は労働条件の改善として考えていかなければならないのではないかと思うわけです。これにつきまして、まず御説明をいただきたい。
  311. 石川弘

    ○石川政府委員 林業労働者の労働時間の問題につきまして、労働基準法の法のたてまえからいたしますと、御承知のように、農林業等に従事する者につきましては一応適用除外という法制にはなっております。しかしながら、やはり一定の労働時間を守るということは、今後の労働者の確保の面とか労働者の労働の安全とかいろんな面にかかわってまいりますので、林野庁といたしましても労働環境の改善とかあるいは安全衛生施業を確立するという観点から、四十九年の十二月に林業労働環境安全施業基準というものを策定をいたしまして、一日八時間の労働で働くようにという行政指導をいたしているわけでございます。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕  次に、先生指摘の社会保険への加入状況でございますが、御承知のように、林業労働の中で雇用期間が非常に通年的に長い方々にとりましてはこの種の社会保険制度にはいずれも加入できる形になるわけでございますけれども先生指摘のいまの農業労働との兼業というような形の場合には通年的に長い雇用をするということがむずかしいという、いわゆる間断的な、季節的な雇用というものが、ある面で社会保険制度への加入を低くしているという側面がございます。しかしながら、たとえば五十年の四月に雇用保険が林業につきましても当然適用になりましたように、制度が前進しますたびに加入者の数は徐々にふえてまいったわけでございます。  御指摘の退職金の問題でございますが、いわゆる社会保障制度の面で、これも通年雇用をなさっている方は中小企業退職金共済に入れるわけでございまして、若干の方々が入っておられたわけでございますが、断続雇用の方につきましてこの中小企業退職金共済に入れないという問題がございましたので、私ども五十三年度の予算の際に、五十五年に全面的に林業従事者の中小企業退職金共済制度が適用できますように、この三年間に掛金の四分の一につきまして国庫助成をいたしまして、五十三年度は当面二万五千人程度の方、最終の五十五年には四万五千人程度の方々がこの制度に全面移行ができますように今後とも進めてまいりたいと考えております。
  312. 神田厚

    ○神田委員 林業労働者に対する労働条件の改善、これをもう少し真剣に進めていただかなければならないというように私は考えるのです。このことは、次に御質問を申し上げますけれども民有林における労働災害の問題とかなり関係があるんじゃないか、私はかように思うわけです。  民有林における労働災害というのは、調査してみましたら大変な数になっておりますね。これはやはり無理な環境の中で非常に重労働といいますか、労働条件の悪い形で労働がやられている、こういうことと無関係ではないというふうに考えているわけであります。したがいまして、この林業労働者の労働条件の改善につきましてはより積極的な施策を講じていただきたいということを要望しておきますと同時に、この民有林における労働災害の現状につきまして御説明をいただきたいと思うのであります。  この二点につきまして、長官、いかがですか。
  313. 藍原義邦

    藍原政府委員 林業労働の災害状況でございますけれども、いま先生指摘になりましたように、確かにいろいろの産業の中で林業についての災害が多いということは私たちも非常に残念に思っております。  現在の状況を見ますと、林業労働災害によります死傷者は、五十一年におきまして民有林で一万三千人弱と前年を若干上回った状況でございます。度数率につきましても二〇・〇三ということで前年より上回っております。  こういう林業労働の災害が多い原因といたしまして、先生もいま指摘されましたけれども、作業現場が非常に急峻で灌木等が密生しておりますために足場が非常に条件が悪いというような問題、あるいは気象条件によりまして、やはり雨の日、雪の日等がございます。そういう関係で非常に影響を受ける、あるいは重量物を取り扱うために労働強度の高い作業がある等々の理由であろうというふうに考えております。  そういう点で、林野庁といたしましても林業労働安全推進会議というものを設置いたしまして、安全の意識の向上というものを図るべく、そのためのポスターの配布だとか作業現場を対象にいたしました機械施設あるいは作業行動等をチェックする安全点検パトロールというようなことに対しまして助成をいたしまして、その減少に努めておるところでございます。
  314. 神田厚

    ○神田委員 昭和四十六年から五十一年までの統計が出ているところまで、死傷者というのは一万三千名を前後する大変膨大な数になっております。それから死亡者をとりましても、昭和四十六年の二百三十八人を上にしましてやはり百五十人以上の死亡者を出しているわけですね。これは考えようによりますと、毎年百五十人からの労働災害による死亡者を出しておるということは、私は非常に問題だと思うのです。やはりこの点につきまして、もう少し労働災害が減るような形で、いまパトロールの話がありましたけれども、作業仕組み改善促進事業等で労働災害防止をしているということでありますけれども、もっと積極的な指導をしなければならないのではないか、こういうふうに考えるわけであります。どうかひとつそういう意味で労働災害の実態をもう少し重視をしていただきたい、こういうふうにお願いをいたします。  さらに次には、林業後継者の実態及びその養成対策ですね、これがやはり非常に問題を含んでおります。林業労働力の担い手の確保という問題等を含めまして、林業後継者の実態とその養成対策につきまして御質問いたしたいと思います。
  315. 藍原義邦

    藍原政府委員 林業後継者、確かにいま先生指摘になりましたように、私どもも今後の林業を担う後継者として今後大いに育成をしていかなければいけないというふうに考えております。そのために、後継者を対象にいたしました林業技術あるいは林業知識の習得に関します研修の実施あるいは後継者グループ等の自主的な集団活動の促進、それに必要な施設の整備等を全国都道府県あるいは市町村の各活動段階で総合的に行います林業後継者育成事業を実施いたすことにいたしております。  林業後継者と申しますと、大体われわれつかんでおりますのは、全国約二百五十七万の林家がございますけれども、その所有規模、経営形態がさまざまでございまして、その把握方法というのは非常にむずかしいというふうに考えております。ただ、われわれが考えておりますのは、後継者を中心にいたしまして組織されております林業研究グループというのがございます。これが現在全国で約三千八百グループございまして、十三万四千人の会員をもって構成されておりますけれども林業後継者育成事業というのは、この林研グループで活発な活動を展開している林業後継者を主たる対象といたしまして、これを核として漸次他に波及させるというようなことをねらいにしで考えておるわけでございます。これらの林業後継者はただいま農山村に定着いたしまして林業の経営を引き継ごうとする者でございまして、その年齢階層は大体三十代が非常に多くなっております。  こういう林業後継者に対しまして、先ほども申し上げましたけれども、私どもといたしましても山村青年教育指導実施だとかあるいは林業コンテスト、林業青年交流会活動あるいは活動拠点施設の整備等を行いまして林業後継者グループの活動を促進することにいたしたい、また従来もいたしてまいりましたし、今後ともこの点につきましては積極的に対応していきたいと考えております。
  316. 神田厚

    ○神田委員 後継者の問題につきましては、そういう林青グループの育成ということで、それを主力にやっておられる、こういうことで話はわかります。どうかひとつそういうふうな形で——ただ問題は、そういう形でやっていただいて結構なんですけれども林業労働者の働く場所、これの労働条件、こういうものがやはり改善されなければ、後継者はもちろんですけれども、その担い手というものがなかなか確保されない、こういうことを思うわけであります。収入が一定でなかったりあるいは保険制度がおくれていたり、さらに労働災害の発生率が高いというようなこと、あるいは林業の事業体の経営基盤が非常に弱いというような全体的な問題が解決されない以上は担い手の確保というものは非常にむずかしいと思うのです。森林組合法もできることです。したがって、森林組合法なら森林組合法を中心といたしまして、その担い手の確保の問題につきまして、もっと積極的に助成なりあるいは指導なりしていただくというふうなことに前向きに取り組んでいただきたいというふうに思うわけであります。いかがですか。
  317. 藍原義邦

    藍原政府委員 いま主として林研グループの問題について御説明したわけでございますけれども先生指摘のとおり、林業労働の確保、あるいは担い手の確保、担い手の養成ということは、これからの林業、林政を進めるためにも非常に大事な問題でございますし、また、いま申し上げました林研グループの方々も、大半の方は森林組合に加入もしておられる森林組合員でもあろうと考えます。そういう意味から、森林組合等との連携も十分にしながら、今後後継者の育成なり後継者の確保ということにつきましては私たちとしても前向きに努力してまいりたいというふうに考えております。
  318. 神田厚

    ○神田委員 次に、第二次構造改善事業が実施されました。この第二次構造改善事業は四十七年から行われましたけれども、これが現在どういうような役割りをしているのか、さらに今後この第二次構造改善事業というのはいつまで続けられまして、どういうふうな形で林政の発展に寄与していくのか、この辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
  319. 藍原義邦

    藍原政府委員 林構事業につきましては、先生御存じのとおり三十九年に発足いたしまして一次林構が始まったわけでございますが、一次林構の成果の上に立ちまして、二次林構というものを四十七年度に発足させております。この特徴は、新たに集団協業の推進あるいは林産物の流通体制の整備、協業活動体制強化、さらには森林レクリエーション利用の促進、これらの事業を加えますとともに、一地域の事業規模を二億四千万に拡大したこと等でございます。  こういう特徴の中で、五十一年度までに協業生産基盤等につきまして、約一千キロメートルの林道を開設いたしました。また、協業活動拠点センター六十三棟を設置いたしておりまして、こういうような形で積極的に進めております。しかしながら、第二次林構事業といたしまして、昭和五十二年度までには七百十地域の指定を大体完了いたしまして、五十四年度までに全体計画の一千地域の指定を完了する予定になっております。  こういう観点から、五十五年度以降の林業構造改善対策のあり方を調査研究するために、五十三年、五十四年の二カ年にわたりまして、新林業構造改善促進対策調査研究を実施する予定にいたしております。
  320. 神田厚

    ○神田委員 第二次構造改善事業をするときには、四十七年からおおむね十カ年、こういうふうな形で始まったわけでありますけれども、途中で、大体目的を達成したという形でほかの計画を立てていくという形になるわけですか。
  321. 藍原義邦

    藍原政府委員 一応一億二千万の追加事業も考えておりますし、いま御説明申し上げましたように、第二次が一応一千地域の指定を完了する予定になっておりますので、引き続いて第三次に対しての考え方調査研究しようということでございます。
  322. 神田厚

    ○神田委員 次に、第三次全国総合開発計画、三全総との関係で若干の御質問をさせていただきます。  三全総の中では超長期的な視野に立って森林資源の整備を進めること、こういうふうなことが書かれておりまして、これらの中で具体的に、森林施業を計画的に進め、昭和六十年においては千六百万ヘクタール程度の森林を整備する、昭和六十五年には千七百四十万ヘクタールの森林を整備する。さらに、この森林施業を展開するための基幹的施設である林道十八万キロメートル程度、六十五年には二十四万キロ程度、これらについて整備を進める、こういうような計画が立てられておりますけれども、これとの関連は現在どういうように進んでおられますか。
  323. 須藤徹男

    ○須藤説明員 ただいまお話ございました三全総と林業に関する計画の内容並びに現状でございますが、いま先生から数字が言われましたので省略いたしますが、そういう計画に対しまして、現状は人工林面積は、昭和五十一年三月三十一日現在で九百三十八万ヘクタール、天然林整備済みの面積が三百三十二万ヘクタール、合計千二百七十万ヘクタールになっておるわけでございます。先ほどお話ございました昭和六十年に千六百万ヘクタール程度ということに対します現状がいま申し上げましたとおりの面積でございます。  次に、林道延長及び保安林の面積につきましては、林道延長は五十二年三月三十一日現在で九万キロメートル、それから保安林の整備につきましては七百十四万ヘクタールというふうに相なっております。
  324. 神田厚

    ○神田委員 おおむね順調に行っているというような判断でございますか。
  325. 須藤徹男

    ○須藤説明員 森林整備につきましては、保安林を含めましておおむね順調に行っていると考えておりますが、ただ林道の整備については若干おくれておるというふうに見ております。
  326. 神田厚

    ○神田委員 最後に、大臣に御質問申し上げます。  この林業を取り巻く情勢というのは非常に厳しいという中で、特に外材輸入の問題やらいろいろな問題を含めまして、そういう厳しさの中から、この森林組合法というのを単独立法させていくというふうな方向性をとったわけでございますが、これらの中で林政を取り巻く情勢をどういうふうに打開をされていこうとするのか、外材輸入など、あるいは消費の低迷、こういうものにつきまして、さらに、この森林組合法ができるということにおいて、森林組合に対してどういう機能をさらに付与して、どういうふうな形で日本の林政に対して仕事をさせていくのか、それらの位置づけ等も含めながら現在の林政の厳しい状況を打開していく所信をお伺いいたしまして、質問を終わりたいと思うわけであります。
  327. 中川一郎

    中川国務大臣 最近の林業を取り巻く情勢は、国有林民有林を問わず非常に厳しくなっております。  そこで、先ほど国有林についても抜本的な改革をいたしたい、こういうわけでございますが、国有林民有林を通じて需要の増大ということで、一つは、建設省とも相談をしまして、木材需要というものの増大について工夫をこらしてみたい。  もう一つ外材につきましては、輸入の圧力が非常に強いときではございますが、自由化をやめるというわけにはまいりませんけれども計画的な輸入ということでこの点も配慮していかなければならぬ大事なことであろう。  また、民有林にありましては森林組合の強化、中でも先ほどからお話がありました第二次、そして新しい構造改善というようなこと、特に間伐等がいま非常に大事なことでございますのでそういった事業、さらにはまた、きのうも御議論がありましたが、国有林などとの関連においても分収林というようなことで総合的に体質を強める、あるいは合併も促進をしていく、御指摘がありました労働対策等々のことを総合的に行って、何とかこの危機を乗り越えたいということで、今国会におきましても、林業国会と言われるように、合併助成法の問題なりあるいは森林組合法の問題なり、あるいはまた国有林関係等法案を出しておりますのもまさにこのためでございますが、これだけで事足れりではありませんで、さらに林業長期的な問題でございますからしっかり取り組んで危機を乗り切り、しっかりした林業、これは林業家のみならず、長期的に国土保全という非常に大きな意義を持っておりますので、国家的な大政策としてこれを大きくクローズアップさせて全きを期したい、このように考えておる次第でございます。
  328. 神田厚

    ○神田委員 終わります。
  329. 中尾栄一

    中尾委員長 次回は、明七日金曜日午後一時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時二分散会