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1978-03-29 第84回国会 衆議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月二十九日(水曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 中尾 栄一君    理事 片岡 清一君 理事 羽田  孜君    理事 林  義郎君 理事 山崎平八郎君    理事 竹内  猛君 理事 馬場  昇君    理事 瀬野栄次郎君 理事 稲富 稜人君       池田 行彦君    江藤 隆美君       小沢 一郎君    小渕 恵三君       加藤 紘一君    金子 岩三君       久野 忠治君    倉成  正君       國場 幸昌君    佐藤  隆君       玉沢徳一郎君    野田  毅君       羽田野忠文君    葉梨 信行君       平泉  渉君    福島 譲二君       堀之内久男君    森   清君       森田 欽二君    小川 仁一君       角屋堅次郎君    柴田 健治君       島田 琢郎君    新盛 辰雄君       野坂 浩賢君    芳賀  貢君       馬場猪太郎君    日野 市朗君       松沢 俊昭君    権藤 恒夫君       野村 光雄君    吉浦 忠治君       神田  厚君    津川 武一君       菊池福治郎君  出席国務大臣         農 林 大 臣 中川 一郎君  出席政府委員         農林政務次官  今井  勇君         農林大臣官房長 松本 作衞君         農林省構造改善         局長      大場 敏彦君         食糧庁次長   戸塚 金郎君         林野庁長官   藍原 義邦君  委員外出席者         農林大臣官房審         議官      佐々木富二君         農林大臣官房審         議官      佐野 宏哉君         農林省農林経済         局統計情報部長 柳井 昭司君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 三月二十九日  辞任         補欠選任   金子 岩三君     野田  毅君   久野 忠治君     葉梨 信行君   熊谷 義雄君     池田 行彦君   倉成  正君     小沢 一郎君   羽田野忠文君     小渕 恵三君   小川 国彦君     小川 仁一君   新盛 辰雄君     馬場猪太郎君   武田 一夫君     権藤 恒夫君 同日  辞任         補欠選任   池田 行彦君     熊谷 義雄君   小沢 一郎君     倉成  正君   小渕 恵三君     羽田野忠文君   野田  毅君     金子 岩三君   葉梨 信行君     久野 忠治君   小川 仁一君     小川 国彦君   馬場猪太郎君     新盛 辰雄君   権藤 恒夫君     武田 一夫君 同日  理事島田琢郎君同日理事辞任につき、その補欠  として馬場昇君が理事に当選した。     ————————————— 三月二十四日  北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法  及び南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法の  一部を改正する法律案内閣提出第三三号)(  参議院送付) 同月二十七日  米の生産調整反対及び地域農業振興等に関す  る請願津川武一紹介)(第二五一〇号)  同(馬場昇紹介)(第二五二五号)  中国産食肉輸入禁止解除に関する請願(有島  重武君紹介)(第二五五九号)  長野県に対する米の生産調整等に関する請願外  一件(下平正一紹介)(第二六二九号)  国民のための国有林経営に関する請願小川国  彦君紹介)(第二六三〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  農林水産業振興に関する件(畜産問題)      ————◇—————
  2. 中尾栄一

    中尾委員長 これより会議を開きます。  この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事島田琢郎君より、理事辞任したいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中尾栄一

    中尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  ただいまの島田琢郎君の理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中尾栄一

    中尾委員長 御異議なしと認めます。馬場昇君を指名いたします。よって、      ————◇—————
  5. 中尾栄一

    中尾委員長 農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。角屋堅次郎君。
  6. 角屋堅次郎

    角屋委員 連日、新年度の加工原料乳保証価格あるいは豚肉牛肉安定価格等中心にして、畜産政策全般にわたる質疑が熱心に展開されておるわけですが、すでに畜産振興審議会においてえさの関係については答申がなされる、さらに牛肉豚肉についてもきのう夜答申がなされるということで、きょうは加工原料乳保証価格中心にした畜産振興審議会酪農部会が展開をされておるという時期に来ておるわけでございます。きょうは政務次官出席をしておられますので、若干私の考えも含めて、基本的な問題で一、二お尋ねをいたしたいと思うのであります。  かつて私自身、米価審議会委員に籍を置いたことがございますし、また、芳賀委員畜産振興審議会に籍を置いたことがあるわけでございますが、国会議員シャットアウトと言っては言葉が悪いけれども国会議員がこういった重要な審議会から除外をされて、そして国会国会でやってもらうということになったわけです。そうだとすれば、大体いままで議論はしてまいりましても、肝心かなめのところは諮問案が出てこないと大詰め議論ができない。大詰め議論をやろうというときは、大臣はおおむね審議会の方にとられて、そしてこちらは、国会という舞台では、おとといはいわば説明員的な者との議論をやらなければならぬという形になるわけですね。これは理事会御相談の問題ではあるけれども、そうだとすれば、審議会審議会として一定役割りを持っておるから、それはやってもらわなければならぬ。同時に国会も、大臣の時間はやりくりしながら双方で並行審議ということをやらないといけないんじゃないか、基本的にはそういうことを思うわけです。これは理事会で相談してこういう形でやるわけですから、きょうの問題について私は言いませんけれども、今後の問題としては、そういうことはやはり配慮すべきことであるというふうに思います。  それから、畜産振興審議会飼料部会あるいは食肉部会、これは非公開でありますから会議がどういう議論をされたかは直接にはわかりませんけれども畜産振興審議会全体の委員メンバー構成、あるいはすでに答申をしております飼料部会あるいは食肉部会委員メンバー構成、こういうものを見て、前からも議論のあることですけれども、感ずることは、これはたまたま郵政省の方では、郵政大臣郵政省所属審議会について、直接その省で次官をやったとかあるいは他省次官をやったとか、いろんなメンバーをある程度置いておかなければならぬということは別にして、そういう者を大量に入れるというのは改めようという考え方を出したりしておるわけですね。これは、農林省の場合も幾つかの重要な審議会を持っておるわけですけれども、私は、基本的には生産者代表とか消費者代表とかあるいは学識経験中立代表とか、厳密に三者構成とは申しませんけれども、いわば三者構成的なことを念頭に置いたそういう審議会、あるいは畜産で言えば、飼料にしてもあるいは食肉にしても、そういう委員構成ということを基本的には考えるべきだ。これを見てくると、実際に豚を飼い牛を飼い、苦労しながらわが国畜産業を支えておる、そういう生の声というのが畜産振興審議会やそれぞれのセクションの部会の中でそのまま反映しないという形というのはいかがであろうかと思うのですね。  かつて私は予算委員会で、西村さんが農林大臣当時に、米価審議会の問題に関連をして延々六時間ばかり、中断中断の中で議論を展開したことがございます。そのときに私は強く申したのは、やはり第一線で苦悩して現実にやっておる、米で言えば米作農家畜産で言えば畜産農家、こういう代表審議会の中に加えて、そういう現地の実情を踏まえてどうするかという、そういうことがなければ、審議会はお仕着せにすぎない。農林省なら農林省の場合で言えば隠れみのにすぎない。審議会諮問に対して、やむを得ないあるいは適当であるとかいうふうな答申が来れば、それを受けて、審議会の御答申があったのでということでやる。果たしてそれは民主主義的なルールを経て決定をしたことになるのかどうかということがやはり問題になるわけであって、ことしのいま直ちにの問題にはなりがたいことであるけれどもわが国農業の柱である米価問題とかあるいは畜産の問題とかいう点については、生産者代表あるいは消費者学識経験中立というふうな三者構成というものを念頭に置きながら、審議会委員構成については再検討をやるべきではないか。  現実に、この食肉部会を見ましても、生産者側として考えられる委員農協中央会常務理事の山口さんというふうなところがそれに該当してくるであろう。あと見てくると、いろいろなものが入っておりますけれども、さてどうかということになると、まあこれは農業協同組合連合会会長の太田さんも含めてになりますけれども、いずれにしても生産者側委員というものはごく少数である。それから、これはえさの場合についても同様のことが感ぜられる。こういう点については、ことしの問題には直ちになりませんけれども米価審議会畜産振興審議会委員構成をどうするかという問題については、基本的に再検討してもらいたいと思うのです。そうでないと、こういう土壇場のところで諮問が出され、大臣審議会の方にとられ、そしてわれわれはそういう不十分な形の中で議論するという形になり、審議会そのものは、生産者の生の声というのが必ずしも直接に十分反映しない形の中で議論がなされるというのはいかがであろうかと思うのでありまして、そういう点について政務次官の見解を承っておきたいと思うのです。
  7. 今井勇

    今井政府委員 審議会のあり方についてお尋ねでございます。  この問題についてはしばしば当委員会でも議論されましたのを私は拝聴いたしております。お言葉を返すようでありますが、その構成につきましては、生産者の声が十分反映できるように、また消費者の声も反映できるようにということで、私ども十分配慮をいたしておるつもりでございますし、特にまた専門的なものにわたります場合には特別委員というのを委嘱してございます。しかし、いまの先生の御議論は、この運営あるいは人選等についての貴重な御意見でございますので、ひとつそれを踏まえまして私どもも十分また検討をさしていただきたいと存じます。  それから大臣出席問題でございますが、委員会の御要請を受けまして理事会で御決定を賜りますれば、極力都合をつけまして当委員会にも出席することについては決してやぶさかではございませんので、さように御承知おきを賜りたいと存じます。
  8. 角屋堅次郎

    角屋委員 きょう加工原料乳保証価格限度数量、そういったものについてあらかじめわれわれの方には前日にも資料が来ておるわけでもありませんし、与党にけさ恐らく説明をなされたかと思うのでありますけれども、われわれの方にはおっつけ来るという段階でありますので、すでに諮問が出され、参考資料も出ております牛肉豚肉安定価格問題を基本にしながら若干議論をしてみたいと思います。  そこで、食肉安定価格の場合に、申し上げるまでもなく農林省の場合は需給実勢という方式価格を決めよう、われわれはこういった重要な農畜産物については生産費及び所得補償方式でとにかく決定するのが基本である、またそうすべきだということで、従来から論戦を展開してきておるわけでありますけれども、私はこの機会に統計情報部長に若干お伺いをしておきたいのでありますが、何といっても、生所方式というようなことを考える場合も、また現実にいまとられておる需給実勢方式というものを考える場合においても、いわゆる牛肉豚肉現実の毎年の生産費の動向がどうなるかということが当然基本にならなければならない。そこで、統計情報部の方で従来から生産費調査をやっておられるわけでありますが、簡単にお答え願えば結構だと思うのでありますけれども、いわゆる肥育豚あるいは去勢齢肥育牛、それから乳雄肥育牛、それぞれについていつから調査を開始したか。乳雄の場合は五十一年から。指定肉指定がなされた以降の問題でありますからそうなりますが、その場合に豚、牛について、これは統計の場合は統計理論に基づいて標本抽出をするわけでありますから、したがって、それぞれについて全体の母集団がどうであるのか、あるいはその中から標本をどれだけ取り出して調査をするのか、また母集団から標本を抽出する場合には当然階層分けをして、階層分けをした中から理論的に標本抽出をしなければならぬということになるわけですけれども、そういった問題について若干御説明を願っておきたいと思います。     〔委員長退席山崎(平)委員長代理着席
  9. 柳井昭司

    柳井説明員 お答え申し上げます。  肥育豚につきましては、調査開始年次が三十六年でございまして、母集団は八万八千四百八十四戸、集計戸数が五百八十三戸ということになっておりまして、その経営規模別階層分けにつきましては、一−四頭が一つグループ、それから五頭から十九頭まで、二十頭から四十九頭まで、五十頭から九十九頭、百頭から二百九十九頭、それから三百頭以上という六グループに分けて集計してございます。  それから肥育牛去勢和牛の若齢肥育につきましては、調査開始はやはり三十六年からでございまして、母集団が五万四千三百十戸、そのうち集計戸数が三百四十二戸、それから階層分けにつきましては、一−二頭が一つグループ、それから三−四頭、五頭から九頭、十頭から十九頭、それから二十頭以上という五階層に分かれてございます。  それから乳雄につきましては、母集団が四万九千四百七十戸、集計戸数が三百三十八戸で、調査開始年次は、先ほど先生もおっしゃられたように五十一年からでございまして、この階層分けにつきましては、去勢和牛の若齢肥育と同じように五グループでやっておるわけでございます。
  10. 角屋堅次郎

    角屋委員 安定価格を決めるにいたしましてもあるいは乳価の場合の保証価格を決めるにいたしましても、基本はやはり生産費調査、これは農業団体の場合も調査農家をとり、そして生産費調査をやる。農林省においては当然、こういう重要な畜産物についての価格決定する場合には、母集団があり、標本があり、その標本をとる場合の階層分けが行われて、一定標本理論に基づいて結果の推定をする、こういうことに相なるわけでございますけれども、数日来の議論の中でも、こういった統計情報部のとるそれぞれの要素とり方について、いろいろな意見の出ている点は十分検討して、とるべきものはやはり積極的にとるという姿勢が私は必要だと思うし、また同時に、これはこの間私が議論をしたときに、団体側農林省の方で、こういう時期になりますと、政府の方はこういう考え方である、団体側はこういう考え方である、算定方式はかくかくしかじか、項目別にはこうであるというのが絶えず提示されてくるわけですけれども、これはやはり違っておってもいいわけだけれども、できるだけそういう点については、こういう時期が来てからぶつかり合うのじゃなしに、なるべく、重要なこの価格問題については前々から、私は恒常的にということを言うのだけれども、恒常的であれあるいは必要の都度であれ、もっと十分議論を闘わして、そして一致すべき点については一致をするという形をやはり配慮するということが必要だと思う。  大体、こういう価格決定方式については、国会で決めるのか、あるいはいまのような審議会答申を得て政府が決めるのか、あるいは政府団体との団体交渉方式、外国でもとっておるような方式にするのか、この三つの方式のいずれを日本の場合にとるかということになるのだけれども生産者団体というものはいずれの場合もやはり重要な要素になるわけだから、農林省としては、生産者があっての農林省なんだから、そういう点では、これからも違いは平行線であるという認識ではなしに、価格算定方式についても、十分、お互い相違点がなぜ起こっておるか、詰められる点はないのか——私は問題によっては平行線ということもあると思うのであります。どうしても完全に一致をしなければならぬというふうには思わぬのだけれども、できるだけそういう点についての討議を闘わす、一致点については一致点を詰めるという努力基本的にはすべきものだと私は思う。政務次官、その点どうです。
  11. 今井勇

    今井政府委員 確かに、物を決めます場合に、その決め方に、生産者と決める側とで決定的な対立点あるいは決定的な方式相違というのは好ましくはございません。先生御存じのように、米価審議会においてすらもその決め方について御議論がございまして、米審の中でその米価決定に当たっての方式そのものについての御議論が現在あります。これもそのあらわれであろうと思います。  そこで、私どもとしましても、生産者と事前に何遍か意思の疎通を図ろうじゃないかということで話し合いをしてまいりますが、なかなか両者が一致点を見出せないというのが現実でございます。しかしながら、基本的には、やはり生産者の声をしかと受けとめるという意味からも、また、私ども考え方をよく御理解願うためにも、今後とも話し合いを続けまして、算定方式について極力一致点を見出すような努力を続けてまいる、それが本筋であろうと思います。
  12. 角屋堅次郎

    角屋委員 政府側のとっておる算定方式を前提にして若干算定方式議論をしたいと思うのですけれども豚肉の場合、牛肉の場合いずれも需給実勢方式をとっておるわけですが、豚肉の場合、牛肉の場合を通じていわゆるvというものが出てくるわけですね。まずこの問題から入りたいと思うのです。  これは豚肉で言えば豚枝肉卸売価格変動係数牛肉で言えば去勢和牛枝肉卸売価格変動係数、こういうことになるわけですけれども、これは豚で言えばことしの場合も〇・一〇がとられる、それから牛肉で言えば〇・一四一がとられる、こういうことになるわけです。これは理論的に言えば、毎年変動係数のvについて試算をしてみれば、毎年違った振れが若干ずつ出てくる。ところが、豚肉についても牛肉についてもコンスタントな数字をとっておるわけですけれども、本来理論的に言えば、毎年バックデータとして変動係数については数字上の若干の振れが出てきて当然である。しかし、政策的に豚肉の場合の変動係数を従来どおりの〇・一〇にするとか、あるいは牛肉の場合の変動数を〇・一四一とるということはあり得ることです。その振れが、毎年のバックデータとして計算をしていった場合に変動がある程度出てくるとすれば、一定の時期においてそういうものを直すかどうかという検討がやはり理論的にはあってしかるべきであるというふうに私は思うのであります。豚肉の場合も牛肉の場合も、P0あるいはI、mプラスk、vが共通項目で、アルファについては豚肉で採用され、牛肉では直接とられておらぬわけです。いずれにしてもそういう方程式の中でもvだけは豚肉についても牛肉についても一定の数で固定しておる、これはそれなりの政策的意図があることは私は理解できるのです。しかし、バックデータとしては毎年の計算をきちっとやったらどうか、そしてどういう推移になっておるかということを見きわめる必要があるというふうに思うのだが、その点はどういうふうに考えておられるか。
  13. 佐野宏哉

    佐野説明員 お答えいたします。  豚肉のvは、通常起こり得る範囲の価格変動幅として設定をするということで考えておるわけでございますが、実際には変動係数は一〇%をかなり超えているにもかかわらず、価格の安定を図るという政策的意図をも加味して一〇%という幅を採用してきたという経緯がございますので、五十三年度も従来どおり一〇%ということで試算をいたしたわけでございます。  そして、これをさらに変えるかということでございますが、実際問題として拡大をするということもいかがなものかと思っておりますし、政策魚に縮小させるということにつきましては、最近におきましても季節変動だけでも一〇%程度の変動がございますので、これ以上狭めるということは需給操作上から見て適当ではないのではないかというふうに考えております。  それから牛肉につきましては、肉専用種としての肉用牛の飼養の歴史が浅いものでございますから、価格変動の周期も必ずしも明確でございません。したがいまして、変動係数についてはできるだけ長期間の変動状況に基づいて算定することが適当である、こういうふうに考えておりまして、五十年度のスタートの時点で変動係数をとりまして一四・一としたわけでございますが、その後これを踏襲してきておるという事情でございます。しかしながら、現実価格変動状況が、現在定めております価格帯上下限の幅と著しく乖離するというような事態が生じ、かつそれが基調として定着するということが明らかになれば、当然数値のとり方についても検討しなければならない事態になるというふうに考えております。
  14. 角屋堅次郎

    角屋委員 なぜそれを言うかというと、一つは、豚についての変動係数〇・一〇というのは、これは農林省団体側で別に相違なくそれでよろしいということになっておる。ところが牛肉の場合は、農林省は〇・一四一をとる、団体側は〇・一三が適当ではないか、こういうふうに言っておるわけです。私は余り細かいところに入ろうとは思いませんけれども、本来変動係数というのは、やはり毎年バックデータがあり、それを調べて計算をすれば豚についても牛肉についても変動係数が出てくる。その歴年の推移がどうなるか、そこで政策的に変更する必要があるかどうか、これは変更する必要はないという場合は、変更する必要はないということでいいのだけれども変動係数一つをとってみても、牛肉の場合においてはやはり農林省団体側相違がある。こういう点はやはりお互い議論をして詰める。先ほどの私が前段に言った議論ではありませんけれども、これが依然平行線というのは、そういうところでもやはり相違点として、変動係数政府側はどれ、われわれの方はこれ、こういう点はもう少し詰めることの可能な問題だというふうに思うのでありまして、そういう点で私は、変動係数の問題については、簡単に例年どおりというのではなしに、バックデータそのものについてはやはり試算をしておく必要があるというふうに注文をしておきたいと思います。  それから牛肉の場合、これは法律改正をするときに、私が理事担当当時でありましたが、牛肉指定食肉に加える、そのときに和牛の問題、特に乳雄の問題というのを法律上どうするかというようなことでいろいろ議論をやったことがございます。結局今度の場合も、試算の場合に、いわゆる牛肉については試算の一として去勢和牛肉について算式があって、それで計算したもので数字を出す。それからその他の去勢牛肉、これは乳雄も当然含まれてくるわけですけれども、そこでは〇・八一四という去勢和牛肉の「中」の枝肉卸売価格に対する乳用肥育雄牛肉の「中」の枝肉卸売価格比と、価格比でもってその他の去勢牛肉価格算定をする、その価格比は〇・八一四である、こういう形をとっておるわけです。  畜産局からいただいております資料によりますると「去勢和牛乳雄牛「中」の規格の価格差の推移」というのが四十五年以来月別にずっと出ております。それによりますると、四十五年の場合平均をして八五・九、四十六年の場合八五・〇、四十七年の場合八三・七ということでずっとありまして、四十八年、四十九年の場合は八〇%を少し割るという数字がありまして、五十年にまいりますると八六・七という数字が出ております。五十一年にくると八〇%を割るというふうな変動が、乳雄の「中」と去勢和牛の関係において価格差の推移として統計数字が出ておるわけでありますが、今度の算定の場合に、昨年同様に〇・八一四というふうにした理論的な根拠は何かということについて説明を伺っておきたいと思うのです。
  15. 佐野宏哉

    佐野説明員 お答えいたします。  乳雄去勢和牛の相対価格は、年ごとに時期ごとに見ますと、確かに先生御指摘のとおりある程度変動いたすものでございますが、長期的に見ますと、ほぼ一定をいたしておりまして、係数のdの算定に当たりましても、短期的な変動をそのまま毎年毎年の価格算定に当てはめるということはいかがなものであろうかと考えまして、むしろ牛のように再生産期間の長いものについては、相当の期間をとって、その間の価格比を採用することを相当とするのではないかというふうに考えて、そういう考え方から八一・四という数字を踏襲をいたしたわけでございます。  しかしながら、そういう理屈だけでというわけでは必ずしもございませんので、実は五十年にスタートするときには、四十三年の四月から五十年の一月までの期間について価格比をとって八一・四としたわけでございますが、これをそれぞれ三年ずつずらしてみまして、四十六年から五十三年までという期間をとってみましても、くしくも八一・四という数字に相なります。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 たまたま八一・四になったからどうこうというわけではございませんが、私どもとしては、いまの例でも申し上げましたように、ある期間をとってながめますと、乳雄去勢和牛との間の相対価格関係というのは相当安定をしたものであるというふうに考えておりますので、特に年ごとの変動を反映させるには及ばないものだというふうに考えておる次第でございます。
  16. 角屋堅次郎

    角屋委員 私は、牛肉の場合にいまの枝肉の卸売価格比というのを今後ともに継続したらどうだという意味で言っているんじゃない。本来、先ほど統計情報部長の方に聞いたけれども乳雄の関係の生産費調査というのは五十一年以来なんです。まだデータが不十分なんです。われわれが法改正をするときにもやはりそういう点を踏まえなければならぬ。したがって、一定の期間は趨勢値でいかざるを得ないだろう、私自身もそういうふうに言ってきた。しかし、行く行く将来の問題としては、生産費調査が整備してくれば、これは当然、前段の去勢和牛肉についての算式で決定をすればこうなる、それからその他の去勢牛肉についても算式で決定すればこうなる、こういうふうにやるべきことなんです。やるべきことなんだが、さしあたっての問題として、〇・八一四の価格比でもってやっておる。毎年の統計で見るというと、若干の変動はある。これでとっちゃいかぬというのじゃないのだけれども、これでとるというのを行く行く将来ともに続けろというのじゃなしに、やはり本来は生産費及び所得補償方式に基づいて、その他の去勢牛肉についても、乳雄についてもやるべきだという視点からお尋ねをしておるということを誤解のないようにしておいてもらいたいのです。  そこで両方の、牛肉の場合も、豚肉の場合も、何といっても算式で一番問題になっておる一つは、いわゆる恥のとり方の問題です。これは牛肉の場合でもあるいは豚肉の場合でもP0のとり方について安定上位価格をオーバーする分、これはカットしてしまう。したがって、そういう点で牛肉豚肉も実勢を少し抑制をした形でP0を出してくるというところに一つの論争点がある。私は、もうあと十分な時間がありませんので、そういう点を論争するいとまはありませんけれども、これはやはり団体との話し合いの中で実勢に近いように今後農林省としても検討し、ことしの価格決定に当たっても、そういう点をやはり配慮して最終的な価格決定をすべきだというふうに注文をつけておきたいと思います。  例の枝肉換算係数の問題について、mプラスkの問題ですけれども、これは豚肉の場合は団体側計算、それから農林省計算には、結果として数字相違はそうないようでありますけれども牛肉の場合に、農林省と全中の間に枝肉換算係数、mとkの問題については相違が相当出ておる。これはやはり最終的な価格決定の場合には、団体側から出ておる数字というものも十分しさいに検討して、そういう数字を織り込んだ最終決定をしてもらうように、議論ではなしに、私から要請をしておきたいと思います。  そこで、食糧庁長官を呼んでありましたのは、実はえさ問題について若干議論をしようと思っておりまして、私の時間は二十分までであと五分ばかりしかないので、非常に残念でありまするけれども、きのう予算委員会で、ことしの米の十月の在庫が非常にふえてくる、その在庫を少しでも軽くするために、さしあたって菓子屋さんだとかだんご屋さんだとか、いろいろなところに値引きで売却をする。これは大体三十万トンぐらい見込めるんじゃないか。今後の問題については、これは農林省全体として議論しなければならぬ問題だけれども、とにかくかつて議員立法に基づいて米をえさに回した。議員立法で回す当時われわれが相談をしてやったことですけれども、そういうことに基づいて、前のときには総量の中でどれだけえさに振り向け、財政の負担としてどれだけのものがあったのか。ことしの場合も、結局在庫量の増加というものを解消する、来年度以降の問題については、えさに相当振り向けなければならぬという考え方検討を開始しようとしておるのか、その点について御説明を願っておきたい。
  17. 戸塚金郎

    ○戸塚(金)政府委員 ただいま先生御質問ございましたえさの特別立法でございますが、四十八年の四月に議員立法でえさの売り渡し価格等に関します臨時特例の法案が出たわけでございます。これはむしろ、その当時のえさ価格の急激な暴騰に対処して、米を特別に安く払い下げるという趣旨のことでございまして、そのときは限度がございまして、四十万トンということで一万八百円の価格で売ったという経過でございます。過剰米処理の全体の中では、約七百三十九万トンの中で、えさ用に三百四十六万トン過剰処理で売っておりまして、これが約十五万円程度のトン当たりの欠損でございますので、五千三百億程度の欠損になったというふうに考えております。  なお、いま先生おっしゃいましたように、現在米菓、穀粉等に破砕精米という形で売っておるのでございますが、この価格が十四万三千六百円ということでございまして、昨年の十一月に当時十八万三百円で売っておりましたものを、諸条件を判断いたしまして十四万三千六百円にした。このことによって原材料の需要を三十万トン程度には拡大をしていきたいというふうに考えているわけでございます。当面、このことによりまして、いま先生おっしゃいました四百六十万トンの中で、二百万トンは毎年ころがしで食用等に計画的に処分していく計画でございますので、二百六十万トンにつきましては、この三十万トンで年次的に処分をしていきたいというのがいまの考え方でございまして、さらに、いまの水田利用の再編対策等の経過等々を十分見きわめまして、今後改めて検討する場面もあろうかと考えております。
  18. 角屋堅次郎

    角屋委員 えさの問題について十分議論をする時間がなくなりましたが、三月二十二日に畜産振興審議会の片柳会長から農林大臣の中川さんに対して、「昭和五十三年度飼料需給計画について(答申)」というのが出ておるわけですが、この答申の中で、「畜産経営の安定的発展を図るため、国公有、民有林野の畜産的利用をより積極的に推進するとともに、飼料作物の国内生産のより一層の増大を図ることにより飼料自給率の向上に努めること。」これは当然、外国依存の形を脱却して、飼料作物の国内生産の一層の増大を図ることは真剣に考えていかなければならぬ問題でありますが、ここで、時間の関係もありますので、日本の場合、畜産的な利用に可能の面積がまだどれだけあると農林省として考えておるのか、あるいは、国公有、民有林野の畜産的利用という面で、この答申に基づいて、従来やってきたペースからさらに前進体制をとるために、どういう段取りでそういう対策を講じようとするのか、こういった点についてお答えを願っておきたいと思います。
  19. 佐野宏哉

    佐野説明員 お答えいたします。  畜産的な利用への活用可能面積はどの程度あるかという前段の御質問についてでございますが、実は、五十一年度に農林省が農地開発可能地分級調査というのを実施いたしました。これによりますと、これは国有、公有のほか私有林野等も含められておりますが、そのうち農地への開発可能な土地の面積というのは、資源的には約二百八十二万ヘクタールぐらい存在をしておりまして、そのうち、飼料作物、牧草が導入適性作物とされておる面積は約百四十一万ヘクタールということでございます。  しかしながら、従来、こういう御議論が出ました場合に私どもがよく使っておりました、四十四年度の土地改良総合計画補足調査というのがございましたが、それと比べますと、今度五十一年度にやりました調査は、むしろ資源調査的な色彩の非常に強いものでございまして、この百四十一万ヘクタールのうち今後どの程度が具体的に開発を進め得るかという問題につきましては、開発費用であるとか林業生産との関連、あるいは土地の権利関係の調整とか、畜産経営がいかなる形で成立をするかということについての見通しというような問題につきまして、現地に即した精査をしてみなければならないという事情がございます。このうちどの程度が現実的な活用適地として浮かび上がってくるかということにつきましては、具体的な事業に即した計画を通じて特定されていくというものでございまして、資源の賦存量からすぐには結びつかないという点は御理解をいただいておきたいと思います。  それで、私どもといたしましては、従来から公共事業で草地の造成についていろいろ努力をしてまいったわけでございますが、やはり用地の取得難ということがいろいろな意味でボトルネックになっておりまして、そういう点を打開しながら自給飼料基盤を拡充していくという見地から見ますと、やはり林業生産との間の調和のとれた畜産的利用ということを新しい方向として追求をしていかなければならないというふうに考えておりまして、林間放牧といった形態を、さらに今後追求をしていくべき分野であるというふうに考えておる次第でございます。
  20. 角屋堅次郎

    角屋委員 相当質問を残しましたけれども、時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。
  21. 中尾栄一

    中尾委員長 柴田健治君。
  22. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 政務次官、今年度の畜産物価格全般にわたって、われわれの予想より大きく食い違った点は、価格据え置きという諮問であります。まことにあいた口がふさがらない気持ちで質問申し上げるのですが、今度の価格据え置きは即生産調整として受けとめざるを得ないのですが、その点の見解をまず聞いておきたい。
  23. 今井勇

    今井政府委員 いまの御質問で、今回の諮問価格が据え置かざるを得なかったというのは、一つには生産費調査の結果が、引き下げ要因等々もこれありまして、結果的には現状よりも若干低目に出ておりますことが一つの大きな原因でございます。しかしながら、われわれとしましては、畜産振興という六十年目標というのをしっかり持っておるわけでございまして、これに向かって進めたいというのは、これはいまも変わりません。したがって、その点も考え、さらにまた、現在の経済情勢等も勘案して、下げ要因はあったけれども、この際は据え置いて、ひとつ皆さんの御了解を得たいということでありまして、決して後ろ向きに考えているものではないというふうに申し上げておきたいと存じます。
  24. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 どんな御答弁をされようとも、われわれの受けとめ方は、明らかに生産調整だ、こう思っておる。農業基本法で米と果樹と畜産、三本の柱、選択的拡大方式で、そういう鳴り物入りでつくった基本方針が大きく崩れておる。それは要するに、生産調整をやるからこういう農業基本法の精神も崩れてくるわけです。米の生産調整をやる、果樹の生産調整もやる、今度は畜産だと、順次生産調整。もう農林省という名前を変えて——われわれ農民の中ではこういう声が出ておる。農林省はもう要らぬ、農林生産調整省にしたらどうだ、こういう意見がある。もう抑制省か農民いじめの機関だと、こう痛烈な批判が出ておるのです。そういう点は農林省も素直に、農民があってこそ農林省なんですから、その農民いじめをするような発想では、それはもう農林省は要らぬという声が出てくるのは当然だと私は思う。そういうことを生産農民は言うておるということをひとつ肝に銘じてもらいたい、こう思います。  私は、据え置きをしなければならぬ、そういう生産費の面においてコストが下がる要因が何と何ということをもっと具体的にひとつ説明願いたい。
  25. 佐野宏哉

    佐野説明員 お答えいたします。  実は、肉用牛経営におきまして、近年多頭化の進展に伴いまして、一方で土地条件の制約等もございまして、肉用牛経営、特に肥育経営において濃厚飼料への依存度が高まってきているという傾向がございます。  その生産費調査の結果で見ますと、去勢和牛の若齢肥育の場合でございますが、四十年当時ではTDNベースで五三%程度でございました濃厚飼料依存度が、五十一年には八一%に高まっているというような、こういうことが一つはコストアップの大きな要因になっているというふうに考えられますので、今後は、肥育前期ないしは育成段階において極力良質粗飼料の多給をすることによって、飼料自給度を引き上げていくということが合理化の方向ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  26. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 どうもそういう根拠が薄弱な、いかにももっともらしいような数字を出して、生産コストが非常に下がるというような数字を出し、据え置きにせざるを得ないような高度な数字を使っておるわけですが、われわれの立場から申し上げると、そういうことは一つのごまかしであって、実際は輸入飼料が下がっただけ、ほかのものは皆上がっておるのです。だから、輸入飼料がこれから何%下がっていく、たとえば五十三年度の貿易収支の見通しというのは、一ドル二百四十五円で、今年度は六十億ドルの黒字になるだろうという見通しで、それによって経済の成長率を見ておる、われわれはこう判断しておるのですが、いまや二百二十五円を割る、いずれ二百十円台になるだろう、二百円台になるだろう、そういう予想の中で、いま日本ではドルが三百億ドル超した。このドル減らしのために一番犠牲に遭うのはまた農民ではないか。国際通貨政策の誤まりを日本の生産農民に全部ぶっかける、われわれはいわばそういう大きな不安と危惧の念を持って、いま政府のとっている貿易政策、通貨政策という点を考えたならば、まだまだ日本の農民にしわ寄せが出てくるのではなかろうか、そういう気がいたしますが、その論議は別として、これから輸入飼料がどの程度下がって、いまの畜産農家がキロ当たりどの程度の額で購入できるのか、その点の見通しをまず聞かしていただきたいと思う。
  27. 佐野宏哉

    佐野説明員 今回私ども食肉部会に提出いたしました試算値は、あらゆる物価について原則として昨年の十一月から一月までの農村物価賃金調査にあらわれた水準で計算をしておるわけでございますが、配合飼料につきましては、実はこの一月に行われました配合飼料の値下げを織り込んで計算をしてございます。その数字でございますが、肉牛の場合には、商系、全農平均して、工場建て値が四万五千九百八十六円というところに引き下げられたわけでございまして、その水準に見合う価格生産費指数に織り込んであるということでございます。  それから、大麦、ふすまにつきましてもそれぞれ値下げが行われておりまして、その値下げが行われた段階の水準の価格生産費指数に織り込んであるということでございます。
  28. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 時間がありませんから、その数字についての論争はまたいずれ時期を改めてしたいと思いますが、次官、こういう価格を据え置きして、農民に与える精神的な影響はどう理解されておるのか。ますます生産意欲が出ると思われておるのか、生産意欲が減退すると思われるのか。意欲が減退するということは恐らく答弁しないだろうと思いますが、われわれのとらえ方は、夢も希望もない、展望のない日本の畜産政策に対して、生産意欲は減退されていくだろう。いま政府が避けて通ることのできないのは雇用問題だと思うのですが、ますます農業を破壊していく、農村の雇用問題というのは深刻になってくる。雇用安定政策を第一にとるというのが政府・自民党の方針ではないかと思うのですが、農林省みずからその雇用安定政策を破壊するようなやり方をする。だから私は、農林省はこの雇用問題から見た畜産政策をどうとらえておるのか、どう理解しておるのか、まずその点をお答え願いたい。
  29. 今井勇

    今井政府委員 その前に、畜審で御建議を賜りました四項目がございます。これは先生御存じであろうと思いますが、今回の食肉については据え置くこともやむを得なかろう、しかしながら生産意欲を阻害しないように気をつけなさいという四項目でございました。  その中の一つは、流通改善の問題がございます。二番目は、繁殖農家及び肥育農家の経営の安定を図る意味で技術指導あるいは金融対策をやれ。それから三番目は、豚及び肉用牛の改良増殖体制の整備をやれということ。もう一つは、畜産振興事業団の輸入牛肉の放出について慎重にやれという御建議を賜っておりまして、この御建議を踏まえまして、政府も皆様方の生産意欲が落ちないように努力をいたしたいというのが基本的な考え方でございます。  それから、二番目のお尋ねの雇用の問題についてでございますが、私どもは、基本的には、全力を挙げまして御建議の趣旨に沿いまして、畜産農家の方々に御協力を賜ろうという前提で努力をいたそうと思いますので、そのように御承知を賜りたいと思います。
  30. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 どうも審議会答申の決議がいろいろな——本委員会でも決議をたびたびつける。いろいろやって、答弁技術の中では決議をよく利用されますけれども、実行されたのは少ない。去年もついておる。その前もついておる。それで、局長が審議会でいろいろうまいことを説明しておるのですね。  食肉部会説明しておる部分を読んでみると、生産が非常に順調に伸びた、伸びたから価格を据え置かなければならぬという、結果的にはそういうことになっておる。農林省が本気になって生産を伸ばしたのじゃなくて、農民がみずから英知を出して、いろいろな経営改善をしながら生産単位を拡大していくような、農民みずから努力をした。それで生産が伸びたら、農林省がみずから生産を伸ばしたような錯覚を起こして、それで価格の据え置きをするのだ、こういう文章になっている。  もう一方では、流通の問題ではこういう方法でいたします。畜産局長がこの問題点だけはちゃんと出して、それに審議会が審議——委員の皆さんは相当権威者であろうと思うけれども、それに形式的に附帯決議をつけただけじゃないか。たとえば第二の食肉流通改善についての項目にはこういう説明をしているのですね。この小売価格、卸売価格の連動性の確保について、食肉流通の改善についてはやりますと書いてある。要するに、食肉流通体系の整備事業、産地食肉センターの整備、卸売市場の整備、標準食肉販売店の制度による小売段階の表示等を適正にしたい、これが流通改善です。これを具体的にもっと説明してください。
  31. 佐野宏哉

    佐野説明員 お答えいたします。  いまお話のございました産地における食肉流通体系の整備でございますが、従来以上に一層その整備のテンポを早めたいということで、五十三年度におきましては三十七億六千八百万ということで、対前年度比十六億強の予算を増額をいたしましてこれに充てることにいたしております。  それから、卸売価格と小売価格との連動性の問題でございますが、私どもとしては、この連動性を確保するためのかぎになるものは部分肉の流通を合理化して、大量に公開的な取引が行われて、部分肉について客観的な価格形成が行われるように仕組んでいくということが、枝肉の卸売価格と精肉の小売価格の連動性を高めるゆえんであるというふうに考えまして、五十三年度におきましては部分肉の流通適正化施設、俗称部分肉センターと言っておるものでございますが、それを設けることにいたしたいというふうに考えておりまして、そのために十四億三千六百万程度の予算を計上いたしております。  それから、卸売価格と小売価格との連動性云々という問題でもう一つの問題は、卸売価格と申しますか、小売店から見ての仕入れ価格変動が、小売価格が卸売価格に連動をして値下がりをするということを妨げておるという事情がございますので、流通段階を短絡化するとともに一定価格で小売ができるようにということで、牛肉の値下げルート新設事業というのをこれも新しく始めております。これは新聞紙上俗称朝市と言われておるものでございますが、これには畜産振興事業団から十一億ほどの助成をいたすことにしております。  そのほか、食肉の共同処理の合理化あるいは産直食肉販売店の設置実験事業等についても助成をすることにいたしております。
  32. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 食肉の、たとえば輸入肉が安い、しかし、今度は消費者のためには余り安くなっていないじゃないか、こういう声がある。年間を通じて消費者価格というものは余り変動がない。上がっても下がるようなことはめったにない。ところが生産農民の方は、枝肉になるまでは農民の責任になる。だから、庭先から枝肉になるまでのこの価格変動というのは年に三回ぐらい起きている。これは歴史的にそういう変動が起きている。消費者価格一つ変動を起こさない。生産者価格の方の段階で年に二、三回か波が起きる。こういうコントロールをするところがどこかある。そういう価格調整をやるような道が残されておる。それをまず改善しなければどうにもならぬではないかという気がするわけですね。その点の調整をどう改善するのかというのが流通の一番の大きなポイントである、そうしないと生産農民の手取りはふえない。だから、所得の安定というものは、これはもうしないということになる。それから、所得安定を図ろうとするならば、生産者価格がもう決めたらずっとそのとおりでいかなければならぬと思うのです。それが、三回ぐらい波が起きるのはどういう根拠か、農林省はその点はどう把握しておるのか、それをどう改善しようとするのか。それが流通機構の中における生産者の立場から見る大きな改善してくれという項目になるわけです。要求になっておるわけです。それをどうするのか。
  33. 佐野宏哉

    佐野説明員 お答えいたします。  先ほどお答え申し上げたことと重複をすることになるのかもしれませんが、私どもとしては、改善の速度は決して満足すべきものでないことは、先生の御叱正によってよくわかっておりますが、やはり産地食肉センターを中心とする総合食肉流通体系整備、これの仕事によってその産地側からこっちへの流通の合理化を進める。それから、もう少し川下の方の話につきましては、いま申し上げました部分肉の流通を適正化するということを通じて、それぞれの段階別の価格の連動性を高めていく、そういう方向で努力をする以外にあるまいというふうに考えておる次第でございます。  それで、そうは申しましても、現実牛肉の小売価格にはやはり卸売価格の安定の効果が、微弱ではございますが反映をしておるわけでありまして、昨年後半来、ずっと小売価格が対前年同月比で九八とか九七とかという水準で推移をしてきておるわけでありまして、卸売価格の安定に比べましてその程度が微弱であることは、先生の御叱正をまつまでもなくはなはだ遺憾に存じておるところでございますが、全く小売価格に影響を及ぼしておらないということでもございませんので、一言つけ加えさせていただきます。
  34. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 農産物の流通については、悩みの種であるということはよくわかる。けれども、思い切って取り組んでいかないと、これはもう言葉だけになって本当に実現しない、こう思うのですね。  たとえば唐揚の改善、もう何年かかっている。これは管轄が厚生省だからどうもうまくいかぬのでしょう、こう言われておる。唐揚の改善でももうとうの昔にこれは完了しなければならぬ。計画から言うともうとうに済んでおらなければならぬ。いまだにもたもたしておる。本気でする気はない。だから、完全に公営の唐揚に全国全部切りかえていくのだ、どんな困難があろうともやってしまう、そのくらいな根性がなければいかぬと思うのだが、それは厚生省の管轄だから知らぬ存ぜぬで逃げる、こういうことで何でこの流通が思い切って改善できるのか。いまの食肉販売業者、卸売業者を含めて、いま業者の実態がどうなっておるのか、われわれは非常に疑問を持っておる点が多いのですが、それはきょう論争する気はございませんけれども、とにかく流通をどう思い切って改善するか。  たとえば、産地直販方式をとる、こう言われた。田中角榮さんの土地政策の誤りが後遺症として残っている。いま、たとえば東京で生鮮食料品なり食肉を売っておるところですね。販売者もそれは余り手数料がない、こう言われる。だれがもうけておるのかというと、みんな日本の金融独占が収奪するようになっておる。日本は、自己資本をふやそうと思って利益を出せば、税金をたくさんがさっとかけるから、どうしても借入金をふやすようにする。借入金をふやしていけば税金が安くなる。だから、部外資本を当てにすればするだけ権力介入や金融独占の介入が強くなってくるのはあたりまえなんです。寡占体制になっていくのはもう間違いない。そういう経済政策や企業育成政策をとっているから、日本は外圧にいかれると一遍に吹き飛んでしまうという、そういう弱さが資本の面から出てくる。これは農業ばかりじゃございませんが。とにかく、部外資本から見れば、土地一坪百万も二百万円もするところへ建物を建てて近代設備をして、食品衛生法でやかましく言うて、それだけ投資した中で、肉でも何でも生鮮食料品を安く売れるはずがない。それは五段階、四段階、三段階、段階をどんなに解消したって。だから、私は本当に産地直販方式をとるのなら、公共用地として国なり地方公共団体が持っておる土地を無償で提供して、そこで売らせる。思い切っていまの流通にメスを入れると大変なことになる。たとえば、百戸なら百戸二百戸なら二百戸の住宅団地を建てる場合には、そういう生鮮食料品を売る場所は何坪とりなさい、保育所も子供の遊園地も同じような公共用地として、開発する許可の中にちゃんと面積を確保させていく。それは住宅公団がやろうと、公営住宅であろうと何であろうと、民営住宅であろうと、開発の許可の中でぴしゃっとやってしまう。それから、土地代にはそういうものは要らない。そうしないと行政指導ができやしないじゃないか。坪百万も二百万もするところで、もっと安く売りなさい、何とかしなさいと言うたって、人の土地を買って資本をかけているのに、講釈を言うものだ。そうでしょう。産地直販方式をとるなら、いまの流通はそのままにしておいて、思い切って改革をやる。公共用地で売らしていく。私は岡山ですが、新幹線の下がたくさんあいている。あそこをただで県なら県、経済連なら経済連へ無償で貸与して、そこで安く売りなさい、生産者、農民の手取りをふやしなさい、消費者への価格を下げなさいという行政指導もできる。それもしない限りは、いまのような土地政策の誤りを消費者がかぶり、生産者がかぶる。田中内閣の土地政策の後遺症がいまだに続いておる。産地直販方式をとるのなら、用地問題とかそういう面からもう少し考えたらどうかと思うのだが、政務次官、どうです。
  35. 今井勇

    今井政府委員 先生の貴重な御意見でございます。私の口からもう一度繰り返して申し上げたいと思いますが、現在の食肉の流通が複雑だとおっしゃいます一つの原因は、何といっても生産者が生体のまま屠場へ持ってきてそこで解体をする、二十五市場でやる、そういうこと。それからまた、それが枝肉になりまして仲卸、卸、小売店に行くという形。あるいはまた、事業団が輸入牛肉を放出する仕方がまた別にある。さらに、農民が自分たちの力で食肉センターをつくりまして、そこで解体をして産地直結でやっていこう、そういったいろいろなものがまじっているということであろうと思います。  そこで、先生御所論のように、私どもも、産地直結の一つのルートとして浮かび上がっております。地方生産地において食肉を自分の手で解体をし、枝肉にしあるいは部分肉にしてそれを消費地に結ぼうというのをいま奨励をいたしております。現に私の選挙区でも一つつくろうとしております。そんなことで、すっきりした形にすると同時に、部分肉の形で消費者の方にわかりやすく卸から小売に行く、そういうふうにいたそうとする大きなねらいもございますので、したがって、消費地に部分肉センターをつくろうということはただいま審議官が御答弁申し上げたとおりでございます。  その実現の方途として、先生いま土地の問題を提起されました。先生の御所論を踏まえましてひとつ検討させていただきたいと思いますが、私どものこの流通の改善に対する熱意のあらわれをぜひ先生も御理解を賜りたい、かように存ずるものでございます。
  36. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 これから自給飼料の率を高めていくという構想がある、それから今度は粗飼料を六七%以上にしたいということですが、いままで、たとえば乳牛でも、乳質だとか脂肪だとかいう点を考えて、量も大事だが脂肪の率も大事だということで、できるだけ濃厚飼料を基軸にして飼育管理をさせて育成を考えてきた。肉牛でもそうですよ。和牛の、繁殖牛は別としても、短期肥育の面については肉質に重点を置いて、外国と勝負をするにはもう質しかないのだ、肉質だ。それから霜降り肉をつくらなければだめだ、霜降り肉をつくるということは飼料関係が重要な影響がある、だから濃厚飼料というものを七〇%以上食わしてきた。そういう飼育管理の指導をしてきて、今度は粗飼料に大きくかえていくんだと言う。それならもう肉質は考えぬでもいいのか。いままでの指導方針を変えていくのか。価格の据え置きをするために、思い切って肉質も、乳牛の乳質、乳量も考えないんだ、粗飼料一本でいくんだ、こういう方針にこの際変えるのかどうか、はっきりしておきたい。
  37. 佐野宏哉

    佐野説明員 お答えいたします。  実は私どもとしては、従来から大家畜の飼養について過度に濃厚飼料に依存するような経営の方向を指導してきたわけではないのでございますが、確かに肥育農家の現実の対応として、脂肪交雑の追求が先生御指摘のような方向を持っておったことは事実であろうと思っております。したがいまして、私が先ほどお答えいたしましたのは、そういう肉質にさしたる影響を及ぼさない初期の段階において、できるだけ粗飼料の給与率を高めるような肥育の方向を追求していくべきものではないかというふうに考えておるということを申し上げたわけでございまして、肉質の問題をどうこうということを今後言わないことにしよう、そういうことを申し上げたつもりではないわけでございます。
  38. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 答弁を聞いておると、まああなたらの答弁技術というものはどこで研究されるのか知らぬけれども、もっと素直に、生産農民が聞いてもわかるように答弁してくれないと、何が何やらわからぬ。シャクトリムシのようにどっちが頭かしっぽかわからぬような答弁をしておる。どうも日本の農民をばかにしたような答弁になっておる。もう少し誠意をもって答弁をしてもらわないと、本当にわからぬですよ。簡明でいいですから、日本語を上手に使わなくていいんだから、簡単にすっと答弁してもらえばいいのです。  私は、政務次官にお聞きしたいのですが、われわれ常に価格問題で思うのですけれども価格政策——政策価格という政策が上につく場合と、価格が上につく場合ですね。われわれは価格政策というものは生産農民の立場に立って決めてくれるんだ、こう判断するわけです。ところが、いまの農林省のとっておる態度というものは、どうも政策が上につくような気がする。農林省の御都合の政策において価格を決めていく政策価格だ。価格問題は統計数字その他を基本に置いてやられるのですから、数字だけでやっていけばそれこそ論争が尽きないということになる。問題は、なぜこういう矛盾がいま起きておるかというたら、日本には畜産基本政策というものがない。ただ需給の展望があって、六十年まではどうするということを書いてあるけれども、こんなもので順調に伸びていくとは言えない。だから、問い詰めていくと、あれは一つの計画、目標でございましてと、こう逃げられる。いやしくも国として計画を立てたら、それに向かって実現をするように努力するのが本当だ。それが一つの計画として終わってしまう。だから、本当の基本政策というものがないんじゃないかという気がする。先ほど言ったように、農民から言わせると、たとえば和牛の肉牛だけをとらえて言うても、素牛をどういう形で安く供給していくかという体制が全然ない。それから飼料問題でも、安定して一年なら一年、二年なら二年、たとえばキロ三十五円なら三十五円で供給していくというような体制がない。それから家畜共済はあるけれども、農家の本当の共済制度というものがないじゃないか。畜産農家の共済制度をつくる方法を考える、これも基本政策の中にあってしかるべきだ。ただ基準価格だけでごまかしていこうというのではなしに、波が起きることは予想されるのですから、家畜共済の制度は十分とは言えないけれどもあるが、農家共済というものがないではないか、こういう点をもう少し制度化していくように取り組んでいくという基本政策、そしてまた資金の問題でも自己資本をふやすようなことを基本に置いて金融政策をとる。自己資本の方は何にも考えずに、ただ短期融資、一時逃れの五年以内の融資制度が多い。それを十年なりと十五年なりと、ふやしていくという金融政策は、自己資本というものを拡大する前提に立って金融政策をとるのだという基本政策もない。そういう基本政策のないところに、論議がかえって複雑になってすっきりしないのじゃないでしょうか。どうですか、政務次官
  39. 今井勇

    今井政府委員 ことしの生産者価格を据え置かざるを得ないということについての政府の苦衷は、先ほど申し上げたとおりでございます。そこで、何とかして皆さんに御協力を賜りたいということで、建議の趣もこれあり、われわれとしては、たとえば経営改善資金の問題等あるいは子牛に対する助成の問題等含めて、できるだけの努力をいたそう、こう考えておるわけでございまして、少なくも先生の生産農民を守ろうとするお気持ちと私どもの考えております気持ちとが天と地ほど変わろうとは、私はそんなふうには信じておりません。私どもはやはり生産農民の味方であるということについては、私はそのとおり考えておるつもりでございます。ひとつ御了解を賜りたいと思います。
  40. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 時間が余りないから、いろいろお尋ねしたいことがたくさんありますけれども、また日を改めて申し上げるにしても、この際一言だけお尋ねしておきたいのですが、養鶏の関係では、ブロイラーと採卵鶏と二つに分けるわけですが、特にいま問題になっておるのは採卵鶏の、卵価の問題からくる面と、それから経営の面からくる問題が、養鶏農家にとっては重要な、経営全般にわたって一つの危機状態だ、こう言われておるのです。  卵価の問題は時間がございませんけれども、大企業的養鶏家というのですか、農家という位置づけでなしに、大規模の、いままで農家ではない、ただ資本力に物を言わせて、たとえば宮城県でタケクマというもの、石川県でも方々に大きな企業が養鶏を始めておる。至るところこれがふえてくるだろう。彼らは養鶏部門では損をしてもほかでもうけるという道がある。農家の方は養鶏だけが頼りだ。そういう弱い面を持っている農家いじめのような大企業経営を、手放しで置いておったのでは大変なことになるのではないか。ところが、飼料部会の方へ出した畜産局長の説明を見ると、「大家畜経営」、大家畜とこう言うておる。それから小規模経営の農家というものは切り捨て御免だ、こういうこともわれわれは受けとめざるを得ない文章になっておると思うのですよ。  それから、いま当面養鶏家で困っておるのは、大規模なものをどう生産調整するのかという問題、どう規制してくれるのか。これをしない限り、三千羽や五千羽や一万羽の小規模経営の農家はみずから自主的に生産調整に協力して、日本全体の養鶏家を守ろうという人間味のある人間性のある行為をとっておる。だが大企業がやる経営は人間味もなければ日本の養鶏をどうするとかいう考えはない、もうますます資本の力で寡占体制にしてしまおうというねらいがある。これらを農林省はどう理解してどう規制をしようとするのか、規制をせずにほっておこうとするのか、その点をお答え願いたい。
  41. 今井勇

    今井政府委員 この問題はしばしば当委員会でも御議論になりまして、私も明快に御答弁をしたのでありますが、みんなが生産調整をやって生き抜いていこうというその御時世に、一人だけ生産調整をやらずにぬくぬくとしようというそういった社会正義に反するものについては許すことができないということで、農林省で早速調査をいたしますということで調査をさせております。したがって、そういうものに対する措置については、調査をしっかりしまして、ただ、この問題は先生御案内のとおり、自主調整をやっております。したがいまして、そういうものを明らかに把握いたしまして、そういうふうなことの不正義が通らないような強力な指導をしてまいりたいと私ども考えております。
  42. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 時間が参りましたけれども、答弁側から見るとそれが一つの逃れの答弁になると思うのです。われわれは歴代の局長、大臣次官にいろいろお尋ねするのですけれども調査いたします。善処します。検討します。考慮します。この言葉でみんな逃げてしまうのです。そういう言葉で、今度質問しようと思うと局長がかわっておる、次官がかわっておる、大臣がかわっておるというように、一年以内にくるくる人がかわるものだから、調査を本当にやるのかやらないのかそれもわからない、やりますと言うだけで。やってみて、また考慮します。検討しますという言葉で逃げてしまう。何十年かかっても堂々めぐりなんです。これじゃ農家は困るのです。だから、調査をするのなら、期限を切ってもらいたいのです。いつまで調査をして、そして本委員会調査結果を報告して、そして皆さんと一緒になってこういう規制措置をしますよ、こういう、もうこれからの時代は、昔の十年がいま一年で変わる世の中ですから。それから調査、研究、検討、考慮という言葉はもう要らぬです。そのものずばりで答弁してもらいたい、どうですか。
  43. 今井勇

    今井政府委員 事の重要性にかんがみまして、今国会中には御報告いたすようにいたします。
  44. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  45. 中尾栄一

    中尾委員長 この際、午後一時再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時七分休憩      ————◇—————     午後一時四分開議
  46. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。島田琢郎君。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
  47. 島田琢郎

    島田委員 予想していたとはいえ、きわめて遺憾な諮問が引き続きけさも加工原料乳についてなされたわけでありますが、私は、いままできわめてシビアに問題をとらえて、しかも、農林省が農政の転換を図っていく、こういうことをしばしば口にされておりますし、最もわれわれが警戒している米の生産調整に対しても、そういう角度から反対をしてまいりました。その埋め合わせの乳価とか畜産価格食肉価格等に的確に農政の転換の痕跡があらわれてくると私は期待した。まことに遺憾であります。  そのことを長々やっている時間が実はないのでありまして、第一の点は、試算内容が私の手元にも届いてまいりました。  まず第一に指摘をしたい点は、これはことしも恐らく物価とか労賃とかそういうものは、それは幅は幾らにせよ上っていくということはこれは見込んでおかなければならぬと思うのですが、一体試算の中でこれをどの程度見積もったのか、第一にそれをお聞きしたいと思います。
  48. 佐野宏哉

    佐野説明員 お答えいたします。  保証価格算定に当たりましては、価格決定時にやられる最新のデータを基礎とするという従来どおり考え方で、一月までの労賃なり物価水準なりを織り込んで試算値を計算をいたしました。したがいまして、御指摘のございましたそれ以降の物価上昇という問題につきましては、特段の織り込みはいたしておりません。
  49. 島田琢郎

    島田委員 全く見込んでいないということですか。しかし、私どもは、これから一年間経営を続けていかなければならないわけで、その間における物価や労賃の変動に対して、価格面で的確に対応するという手段はわれわれ生産農民にはないわけであります。すなわちその分だけコストが上がっていくという結果になるわけで、そのコストを自賄いせんければならぬということに結果的になる。この点については直していくべきだという点についても、われわれは建設的に意見を出してきた。せめて政府が見通している経済のいわゆる上昇率くらいはここに的確に盛り込むということ、これが正当ないわゆるはじき出しではないか、このように思うのですが、これからでもこの点について修正する考えはないのですか。
  50. 佐野宏哉

    佐野説明員 お答えいたします。  確かに五十三年度につきましても、経済見通しというようなお話といたしましては、卸売物価指数なり消費者物価指数なりについてそれぞれある推定がなされているわけでございますけれども保証価格算定に用いるような個別物資なり賃金なりの価格動向について的確な見通しを持ち得るという段階ではございませんので、遺憾ながら先生御指摘のような処理をすることはできないのではないかというふうに考えております。
  51. 島田琢郎

    島田委員 つまり一年間、物価が上がっても労賃が上がってもそれは自賄いせよということですね。
  52. 佐野宏哉

    佐野説明員 お話でございますが、たとえば昨年の保証価格決定以降、二度にわたる配合飼料の引き下げというふうなこともございましたので、将来に向かっての不確定要因がどちらへ働くかということは、必ずしも一概に申せない事情がございますし、それから、その間にいろんな情勢の変化があり得るわけでありますから、そういう意味では、どちらがどうというふうには申し上げられないわけでありますけれども、不確定要因によって生ずるいろいろな誤差はのみ込んで保証価格を決めているということについては、御指摘のとおりかと思っております。
  53. 島田琢郎

    島田委員 いまの物価あるいは労賃という限定された部分で言えば、そういう問題があるということを私は指摘しておきたい。  いま、それじゃマイナス要因といいますか、生産資材等が値下がりしたときは値下がりしたように修正するのかというふうに、審議官は開き直ったようなお話をされているわけですけれども、そうではなくて、少なくとも一応常識的には、いままで数年を見てみても、物価や労賃というのはわれわれの期待とはうらはらに上がっていっているわけです。ですから、かなり恒常的にそういう傾向になっている部分については、ほかの農産物、たとえば米なんかではこういう点についてはかなりの部分を考えていくという方向で試算がなされている経過もあるのですから、牛乳の場合もそういう考え方を盛り込んでもいいのではなかったのか。全く見てないというのは、私はきわめて冷たいやり方ではないか、こういうふうに考えるのです。  それから二番目の点ですが、これもずいぶん長い論議が続いてまいりました。そこで私は、しばしば政府側の答弁を聞いておりますと、二本立て労賃になっている、この部分の飼育管理労働費というのは、あなた方がおっしゃるように——あなた方というのはわれわれ生産者を指してですが、かなり技術的な水準の高い技能的な職場にあるというふうに理解をするので、そういう要素を含めて農業日雇い労賃とは違った高い賃金をここに使っているという説明がなされています。  この種の飼育管理労働費は単価は幾らですか。
  54. 佐野宏哉

    佐野説明員 本日の酪農部会に提出いたしました試算値における飼育管理家族労働の単価は八百四十六円四十九銭でございます。それから自給飼料の方は七百六円二十四銭になっております。
  55. 島田琢郎

    島田委員 指定乳製品の製造コストに含まれる労賃は幾らですか。
  56. 佐野宏哉

    佐野説明員 千五百十円でございます。
  57. 島田琢郎

    島田委員 技能的だという立場で比較して、どういう感想をお持ちですか。単純に比較すればこれはもう半分ですね。半分にした理由は何なのですか。
  58. 佐野宏哉

    佐野説明員 私どもといたしましては、指定乳製品の乳業者に雇用されておる労働者の賃金を基準にとって、それの半分にするとか、そういう尺度で保証価格計算をしているわけではございませんので、従来からのやり方に従って製造業労賃で飼育管理労働を評価がえをする、飼料作物については農村雇用労賃、それでやればそうなったということでございます。
  59. 島田琢郎

    島田委員 私はそんなことを聞いているんじゃない。いままでしばしば、牛舎で働いて牛を飼う技術は、農村日雇いと違ってかなり技能的であり、高い技術を必要とするので、それらを構えて特別な単価を払ってまいりましたと言ってきました。その特別な単価が八百四十六円四十九銭、そしてそれは同じ牛乳という仕事に携わっている指定乳製品の製造コストの中に含まれる労賃と比較してみて、そんなに技術的に差があっていいのでしょうか。乳業労働者の賃金が私は高いと言っているのではございませんよ。比較するということそのものが妥当かどうかという議論はあると思いますが、片や牛乳を加工するという段階における技術は、高い水準のものが要求されるでしょうから、千五百円というのはあたりまえだと思います。しかし、あなた方がいままで口を酸っぱくして恩着せがましく言ってきたのは、牛舎で働くのは技術水準が高いというならば、その分だけ特別に見てあげましょうと言ってきました。特別に見ようという価格が半分の八百四十六円というのでは、私はあなた方の言っていることは理解できないと思うのだが、そういう考え方に立って比較してみるならば、これで正当だと言えるのでしょうか。政務次官どうですか。政治的な立場でのお答えを願いたい。
  60. 今井勇

    今井政府委員 単に比較いたしますと、先生おっしゃるように半分じゃないかということになろうかと思いますが、いま審議官が答弁したように、それぞれの基準で出しておりますので、直ちにそれが不当である、あるいは当であるということにはなるまいと思います。
  61. 島田琢郎

    島田委員 残念ながら時間が参りましたので、一応ここで私の持ち時間の範囲での話にして、この続きは後ほどまた三時からやらしてもらいたいと思います。
  62. 中尾栄一

    中尾委員長 芳賀貢君。
  63. 芳賀貢

    芳賀委員 最初に事務当局に三十分質問して、三時半から大臣出席を待って残り時間を質問いたします。  まず第一点は、本日の畜産振興審議会加工原料乳価格政府試算が提出され、特に畜産局長が発言して説明する、これは慣例ですね。そこで、この説明書の中に、限度数量の関係について、八ページに別な紙が張ってあるでしょう。これは、昭和五十二年度の百五十八万トンを超える二十万トンの認定数量についていまだに政府の処理方針が固まっていないわけですが、特に局長報告の中に「この限度数量を超えた数量についてどのような措置をとるかにつきましては、現在、財政当局を含め、鋭意検討を重ねているところでありますが、この問題につきましては、酪農経営の実情のほか、今後の需給関係に及ぼす影響、不足払法における限度数量設定の意義等各種の検討を要すべき問題が関連しておりますので、委員各位の」、これは審議会委員を指すわけでしょう。「委員各位の御意見も賜わり、関係各方面とも相談しつつ、早急に結論を得たいと考えている次第であります。」これはまことに異例な局長演説ですが、この意図するものは、「委員各位の御意見も賜わり」云々となっておりますね。これは、畜産振興審議会意見を求めて、その意見のいかんによっては、それを尊重して速やかに決定したいという意味であるかどうか。あと、「関係各方面」という点は、これは国会意見ももちろんですが、一体どの辺まで意見を得たいのか。これは大臣出席してから聞きます。まずその局長説明のねらいですね。
  64. 佐野宏哉

    佐野説明員 お答えいたします。  先生がいまお読みになりました文章、まさにそのとおりでございまして、私どもとしては、畜産振興審議会酪農部会先生方にこの問題について御意見を聞かせていただきたいというふうに考えております。私どもとしては、形式上不足払い法に基づく諮問を差し上げておるわけではございませんが、限度数量を超過するという事態に当たりまして、五十二年度の限度数量を定めるに当たりまして御答申をいただいた酪農部会委員の皆さん方がどういう御見解をお持ちになっておるかということを聞かせていただきたいということでございます。  それで、私どもとしては、できるだけ早い機会にこの問題の決着をつけたいと思っておりますが、その決心をするに当たりまして開陳されました委員の御意見を参考にさしていただければと思っておる次第でございます。
  65. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、いわゆる規定に基づいて委員会に対して意見を求めた、そういう諮問の形式ではないわけですね。諮問の形式でないが、意見を求めるということにはこれは変わりがないでしょう。しかし、諮問をしたんではないということになれば、その答申に付随して五十三年度の限度数量についての答申というのは出てくるわけだから、それとあわして、五十二年度に発生したこの二十万トンについてはどうせいという答申が五十三年度と関連して出てくるわけだね。出てくれば、当然これはわざわざ意見を聞きたいといって別な紙まで張って言っているわけだから、それを尊重する意思がある。特に、先日二十七日の当委員会の農産物価格に関する小委員会において六名の参考人を招致いたしまして、その中には現役の畜産振興審議会の片柳会長も出席されて、まことに明快な意見を述べておられるわけです。そういう関係もあるので、この点についてはいまだにどうしていいかわからぬということは、これはだらしない話だけれども政府の無能というか不決断の実態がここでわかっておるわけだから、これは後で農林大臣が来てから質問いたします。  それから、前もって質疑の通告をしてありますけれども、第一の点は、不足払い法に基づく用途別乳価をプール計算して、都道府県単位の指定生産者団体は、受託した生産者に乳価のプール計算による乳代を支払わなければならぬということになっているわけですね。もうすでに不足払い法が四十一年から実施されておるわけですから、おおよそ十二年を経過しておるわけです。これが都道府県ごとに指定生産者団体があるわけですから、このプール計算による乳代の支払いというものは実態的に、まじめにやっているかあるいはそのとおり実施している道や県もあるが、まだそこまで完全に実施されていないところもあるというような内容等について、これは実態を説明してもらいたいのです。
  66. 佐野宏哉

    佐野説明員 お答えいたします。  指定生乳生産者団体は、生産者から生乳の販売の委託を受けまして、それを各乳業会社に売っておるわけでございますが、その乳代につきましては、乳業会社から、売り渡した生乳のうち加工原料乳として認定した数量につきまして基準取引価格、それからそれ以外の乳量につきましては、飲用の場合には飲用乳価、その他乳製品向けの場合にはそれぞれの取引価格に従って指定生産者団体に乳代が支払われておる。  そこで今度は、指定生産者団体から生産者への乳代の支払いは、加工原料乳とそれ以外の生乳について、乳業者から受け取った乳代と不足払いとの総額を一括して、これを指定団体が受託した全生乳量で加重平均をいたしまして、その価格生産者に対して受託乳量に応じて支払っておる、そういうやり方をしておるというふうに承知をいたしております。
  67. 芳賀貢

    芳賀委員 それは審議官が承知したとおりなんですよ。それが実際に運営されて実行されておるかどうかという、実態いかんということを聞いておるわけです。
  68. 佐野宏哉

    佐野説明員 私どもとしては、いま御説明いたしましたルールに反した乳代の処理をしておる指定生産者団体があるという話は、少なくともいまのところ聞いておりません。
  69. 芳賀貢

    芳賀委員 これは昭和四十年に政府が提案した法案と社会党提出の牛乳法案を約二カ月間にわたって審議した際に、用途別に販売するわけだから価格が違う——現在であれば飲用原料乳はキロ当たり百十四円四十銭でしょう、それから加工原料乳保証価格は八十八円八十七銭、ですから、等量の乳量を同一のあるいは複数の乳業会社に販売した場合、それぞれ五十万トンずつということになれば、足して二で割ればプール計算価格が出るわけでしょう。それは足して二で割るとおよそ百円平均ということになるでしょう。これはもう法律を審議するときからこうやるということが明快になって、その後、農林省の通達等によってもこの指標を絶対間違わないようにしろということになっているので、実施されているのは当然と思いますが、それが本当に各都道府県ごとに着実に実行されておるかどうか。この結果は農林省は都道府県別の報告を徴しておるわけですから、都道府県別の指定生産者団体が集乳した数量、用途別の数量と、プール計算によってどうなったか、支払いの実態、これは後で資料としてもらいたいと思うのです。  この際は、実行しているのであれば、実行されておると思うということでいいですけれども、もう一度明快にしてもらいたいと思う。
  70. 佐野宏哉

    佐野説明員 先生の御要望に沿うように資料を調製いたします。
  71. 芳賀貢

    芳賀委員 次に限度数量の問題については、五十二年度の二十万トンについては、先ほど佐野議官からも答弁がありましたし、後で農林大臣出席の際に尋ねるとして、五十三年度の新たな限度数量の関係について内容を説明してもらいたいと思うわけです。その限度数量算出の内容ですね。
  72. 佐野宏哉

    佐野説明員 お答えいたします。  五十三年度の加工原料乳の不足払いの限度数量は、まず生乳の推定生産量を六百十二万二千トンというふうに推定をいたし、それから不足払いの対象とならない乳量をこれから控除するわけでございますが、飲用向けの生乳の乳量を三百八十三万六千トン、それから乳製品であるが不足払いの対象とならないいわゆるその他乳製品でございますが、これに向けられる乳量が三十三万一千トン、それから自家消費が十二万五千トン、この三つを差し引きました残りが限度数量ということで百八十三万トン、そういう試算を本日の部会に提出しております。
  73. 芳賀貢

    芳賀委員 そうすると、五十二年より幾らもふえないということになるんじゃないですか。なるほど当初告示の昨年の限度数量は百五十八万トンだが、認定数量を加えるとこれは百七十八万トンということになっておるわけでしょう。これはもう実績乳量ということになるわけですね。そうすると、去年の百七十八万トンと、四月から一年間が百八十三万トンということになると、五万トンしか差がないじゃないですか。そういう窮屈な数字をつくると、また来年の年度末になって十五万トン超過をしたとか二十万トン超過したということになるでしょう。だから、これは毎年毎年の国の当初予算の前年度対比というようなことではなくて、五十二年年度末にもう実態的にこれだけの指定乳製品の加工原料乳がすでに集乳されて、そうして乳業会社にもう取引済みになっているわけだから、その実績というものは百七十八万トンということがわかるわけですから、それを踏まえて新年度の生乳の用途別の総体の需給計画というものを立てて、最後に残った数量が指定乳製品の原料乳ということになるわけだから、それにただ限度数量という名前をかぶせただけですから、中身は最後に残った原料乳ということになるわけだから、いずれにしても、去年、それ以前と算定方法が変わっていないわけですから——相当自信を持って、来年は生乳の生産が伸びないとか、あるいは飲用向けの消費が相当飛躍的に拡大されるという自信があれば、これは限度数量を何も無理にふやす必要はないですよ。有利性のある飲用向けをふやしてもらった方が生産者は喜ぶわけですから。最初から問題が起きるような算式というのはおかしいと思うのですよ。そう思うか思わぬか言ってもらえばいいですよ。
  74. 佐野宏哉

    佐野説明員 お答えいたします。  私どもは決して五十二年度の限度数量百五十八万トンを出発点として計算をしているわけではございませんので、五十二年度に起こった事態をあるがままに前提をして計算したわけでございます。  それで、先ほど申し上げました六百十二万二千トンという生乳生産の推定量でございますが、これは五十二年度に対比いたしまして生乳生産の伸び率としては四・七%の伸びを見込んでおります。先生御高承のとおり、第三次酪農近代化基本方針におきまして想定されております生乳生産の年の伸び率は四・二%でございますから、六百十二万二千トン、四・七%増というのは、第三次酪農近代化基本方針との対比におきましても相当高い生乳生産の伸びを見込んでおるということを御理解いただきたいと存ずるわけでございます。  一方、先ほど申し上げました飲用向けの…−
  75. 芳賀貢

    芳賀委員 簡単でいいのです。  私は、来年のいまごろまたそうなるよということを言っているわけですからね。あなたの弁明みたいなことになればいいですよ、恐らく私の言うとおりになるわけだから、そのときにまた泣き顔しないようにしろということをいまから予言しておるわけですから。いいですか。  次は、五十三年度の保証乳価等はすべて据え置きの原案をつくって諮問をしておるわけですが、これも以前から問題にした点ですが、一頭当たりの第二次生産費から、百キロ当たりあるいは一キロ当たりの生産乳価を算定する場合に、毎回三・二%で擬制計算によって実乳量よりも七%あるいは八%乳量をふやして、それによって計算をしておるわけですね。そういうことになると、これは統計情報部長にも前もって言ってあるわけですが、こういう擬制計算で乳量をふやして、それを分母にして第二次生産費を分子にして計算をすると、答えは当然小さくなるわけですね。その小さくなった生産価格というものはこれが保証価格ということになるわけでしょう。そういう計算をした場合、実際の取引は搾乳された実乳量ですからね。三・二に生産者が水増しをして工場に搬入して保証価格で取引をしているわけじゃないのだから。あくまでもこれはしぼったままの実乳量でしょう。そういうことになると、統計情報部が一年かかって調査あるいは計算をして公表したその価格で、一頭当たりの生産費全体を回収することができるかどうかという問題になるのですよ。これは大事な点だというのであらかじめ言ってありますから、佐野議官畜産局として、それから柳井部長は統計情報部として比較して答えてもらいたい。この水増しのやつは出ていますよ。実乳量で第二次生産費を割った場合には幾らになると。それから実乳量で取引をした場合はどれだけ未回収の赤字が一頭当たり残るかという点ですね。
  76. 柳井昭司

    柳井説明員 五十二年の牛乳生産費で全国について申し上げますと、第二次生産費は三・二%換算で一頭当たりで四十六万三千七百円ということになるわけでございまして、乳脂率の差は〇・二七%ということになるわけでございます。それで百キログラムにいたしますと、実乳量をベースにいたしますと九千三百十三円。それからこれを三二%換算いたしますと八千五百八十円ということで、その差額は百キログラムについて七百三十三円出る、こういうことでございます。
  77. 芳賀貢

    芳賀委員 それはわかっているのですよ。だから、擬制計算をした場合、キロ当たりにすれば三・二%換算で八十五円八十銭でしょう。だから、これが保証乳価ということになればこれで取引されるわけですね。そして、取引乳量というのは三・二%で換算した乳量じゃないでしょう。五千四百三キロになっておるわけだ、薄めてあるわけだから。ところが実際生産者が工場に搬入する乳量というのは搾乳した実乳量の四千九百七十九キロしか——水増しすることができないわけですからね。そうなると、取引の乳量は実乳量でやる、それから価格算定は三・二%で薄めた八十五円八十銭で取引するということになるでしょう。そうなると、実乳量に八十五円八十銭掛けると、一頭当たりでは四十二万七千二百円しか回収できないのですよ。ところが統計情報部の一頭当たりの生産費というのは、公表された額は四十六万三千七百円でしょう。そうなると、差し引き一頭当たり三万六千五百円という金額が回収できない、つまり未回収の赤字ということになるわけですね。これじゃ正確な生産費調査ということにならぬじゃないですか。百キロ当たりとか一キロ当たりの生乳価格というものをもって生産された一頭当たりの乳量にそれを乗じた場合に初めて、全部の一頭当たりの第二次生産費であれば生産費というものにならなければ、回収したということにならぬわけですから。こういうことを、専門家のあなた方は年がら年じゅう、部長初め熱心にこればかりやっておるのでしょう。われわれ国会議員は、統計のことばかり三百六十五日やっているんじゃないですよ。乳価や畜産価格ばかり一年間やっているんじゃないのです。われわれは国政全般を扱っておるわけですからね。その国会議員でさえも、これはおかしいじゃないかと毎回指摘しているのを、三百六十五日やっておる統計の皆さんとか畜産局の皆さんが、わからぬということはないと思うのです。恐らくわかっておりながら、こういう算出をすればキロ当たり七円ないし八円乳価は安くなる、そういうことだけでこり固まっているわけだから、問題が出てくるのですよ。  いままでは毎年幾らかずつでも上がっているから、それに隠れて、生産者も、自民党の天下だからしようがないわということでがまんしたかもしれぬけれども、ことしは豚肉もゼロ回答、牛肉もゼロ回答、それから生乳の価格もゼロ回答。もうゼロばかりじゃないですか。これでいけば、今度は麦の値段、米の値段、秋の農産物の値段も全部ゼロでやるつもりでおるでしょう。これが、先ほど同僚の柴田健治委員が言った、政府のやっておるのは価格がけつの方にくっつくから政策価格である、本当に農民のためにやるのであれば価格を上にして価格政策でなければならぬという、まことに妙を得たことを同僚が言っていましたけれども、これは、統計情報部も責任があるのですよ。こういう回収できがたいキロ当たり、百キロ当たりの価格というものを出して、これが正確でございますなんと言うことは、これは責任がありますよ。それとまた、農林省としては、ことしは乳量もふやしてあるし、さらにまた脂肪率もふやしてあるわけでしょう。そういう点も含めて、畜産局としては、実乳量で第二次生産費計算した場合には幾らになるかというような点について、はっきり数字を挙げてもらいたいのです。
  78. 佐野宏哉

    佐野説明員 私どもが使いました北海道の生乳生産費の対象になっております平均の脂肪率は三・五八でございます。でございますから、先生いま御示唆のございましたようなやり方で三五八基準の保証価格ということを仮に計算をいたしますと、十円ぐらい値上がりになります。
  79. 芳賀貢

    芳賀委員 正確に答えなければだめだ。
  80. 佐野宏哉

    佐野説明員 十円八銭でございます。
  81. 芳賀貢

    芳賀委員 全部で幾らになるのですか。
  82. 佐野宏哉

    佐野説明員 九十八円四十六銭になります。  それで、いま先生が御指摘の問題は、実は私どもも問題の所在はよく承知しておるつもりでございますが、これは、実は乳価の脂肪率格差の問題と、それから逆に、その保証価格、基準取引価格を何%の乳脂率のものについて定めるかという問題との、そこのところの問題ではないかというふうに私どもは認識をしておるわけであります。  それで、脂肪率の格差の問題につきましては、畜産局といたしましては、そこは乳業者と生産者団体との間の協議を通じて適切な脂肪格差を決めていただけばいいのであって、その脂肪格差の決め方のいかんにかかわらず、いまの保証価格算定方式ではおかしい問題が生ずるのだ、そういうことではないだろうというふうに思っておるのでございます。
  83. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで、いま審議官の明快な答弁によって、これは実乳量で割ればキロ当たり九十八円四十六銭ですか、いや、百円八十銭だね。だから、キロ当たりにすれば十円八銭上がるというわけか。ちょっと、もう一回言ってください。十円八銭上がれば全部で……。
  84. 佐野宏哉

    佐野説明員 十円八銭でございます。
  85. 芳賀貢

    芳賀委員 それで保証乳価は……。
  86. 佐野宏哉

    佐野説明員 九十八円四十六銭でございます。
  87. 芳賀貢

    芳賀委員 これは、まじめな計算をやれば、ことしは九十八円四十六銭になるのでしょう。いろいろな経費要素を全部据え置きにしてもですね。水増しでなくて実乳量で計算をすれば、九十八円四十六銭。すると、十円八銭去年よりは上がるということになる。同じゼロだって、真ん中にゼロが二つはさまっているけれども、前と後ろに一と八があるから十円八銭になるでしょう。だから、まじめにやれば十円八銭去年より上がるわけでしょう。それを、計算すると去年よりは肉は〇四ないし〇・一下がります。牛乳も今度は北海道対象だから〇・五下がりますと、据え置きするのは、いかにも恩に着せて、恩恵をもって据え置きにしてやるからありがたく思えというようなことになる。これはもう十年も毎年毎年私が指摘している点なんですよ。  もう一つは、いま審議官の言われた、乳脂肪率による取引というものがある、これはそのとおりですよ。それは、何も三・二%に薄めて持っていかなければ、三・二を超過した分の乳脂肪の加算ができないというわけじゃないでしょう。これは、三・五%そのままの実乳量で持っていっても、工場で検定するわけだから、だから、三・五%となれば〇・三基準より多いわけでしょう。最近の保証乳価からいえば、〇・一%の脂肪価格というものは、おおよそ三円になるんですよ。それを、五年も十年も、もう何年たっても、保証乳価が上がっても、脂肪格差というものは〇・一%で一円だからね。こういう点は農林省が指導しろということを何回言っても、いや、これは当事者間で相談していろいろな慣行もあるんだから任しておいた方がいいと。任しておけば、いつまでたったって〇・一が一円じゃないですか。その利益というものは一体だれが受け取っておるかという問題もあるんですよ。だからこれは、脂肪計算というのは実乳量で持っていかなければはっきりわからぬわけだから、それから、脂肪格差の問題についても、毎年の加工原料乳等に関する告示を出すでしょう、その保証価格幾ら、基準取引価格幾らとか、補給金が幾らとか、限度数量幾らと。その後に今度は指定乳製品の値段を並べて、その末尾に、ただしこれらの原料の生乳は三・二%の乳脂肪率をもって基準とすると、わざわざ親切に三・二%と書いてあるでしょう。だから、これを基準にして、脂肪が多い場合には適正な価格というものを加算しなさい、万一それより足らぬ場合においてはこれも適正な格差を設けなさいと。農安法による芋でん粉の基準価格の場合にはこれがついておるんですよ。バレイショの場合には一六・五%のでん粉歩どまりの原料芋についての基準価格なんですね。これも変なんだけれども、上回ったものはそのとおり、下回ったものについては〇・五%単位で幾ら値引きしろという、これも全く変なことを農林省が毎年毎年やっているんですけれども、こういう事務的な点は改善する必要があるですよ。三・二%が基準であれば、それを超えた脂肪率の取引というものは、一体どれだけの価値があって、どうせよ、このくらいのことは通達一本でできるわけだから、それをやるようにするとかしないとか……。
  88. 佐野宏哉

    佐野説明員 お言葉を返すようでございますが、私どもが三・二%で保証価格計算しておりますのは、決してふまじめでも何でもないわけでございまして、三・二%の保証価格と三・五%の保証価格とを比べて、上がるではないかというおしかりをいただいても、それはどうもそういうことではないというふうに、はなはだ申しわけないですが、その点は私どもとしては見解を異にいたしますので、一言申し上げておきたいと思います。  それからもう一つは、脂肪格差の問題につきまして、農林省が脂肪格差は幾らであるべきかということを指導せよというお話がございましたが、実はこれは不足払い制度以来いろいろな経緯がございまして、基準取引価格を決めるのはいいけれども、それ以上、実際に幾らの価格水準で生産者団体と乳業者との間で取引をすることを相当とすると考えるかということについて、役所がどの程度物を言うべきであるかということについては、ずいぶんいろいろございました。率直に申し上げさせていただきますと、むしろ役所はつまらぬことは言うな、われわれでうまくやるからというおしかりをいただいたこともずいぶんございます。
  89. 芳賀貢

    芳賀委員 いま三・二%の問題で何かわからないようなことを言ったのじゃないですか。この点は統計情報部柳井部長の説明で尽きているわけだから、わからぬ点は自信のない答弁をしないようにして、政府部内だから、統計情報部の方へ、ああなるほどこれは水増しをして計算をした場合には、その値段では生産費が回収できないということを、これは勉強してもらいたいのですよ。佐野議官、前は牛乳乳製品課長もやって優秀だ、佐野課長なかなかよくやるじゃないかということで評判よかったのじゃないですか。それが一段上がって審議官になった途端に、何かわけのわからぬことを言っているのはおかしいじゃないか。杉山君もみんなそうだよ。中堅でがんばっておるときには、なかなか歯切れもいいし明快だけれども、上へ上がるに従ってどういうわけだか、これは逆じゃないですか。ぼくらでも年をとるに従ってだんだん明快になる。逆じゃないかと思うのだ。  もう時間が来ましたから終わります。
  90. 佐野宏哉

    佐野説明員 いま申し上げたのは、わからないと申し上げたのではなくて、先生の先ほどの三・二%がふまじめであるという話については、お言葉を返すようで恐縮ですが、承服いたしかねるということを申し上げたのでございます。
  91. 中尾栄一

    中尾委員長 吉浦忠治君。     〔委員長退席山崎(平)委員長代理着席
  92. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 最初に私は、大臣いらっしゃれば大臣お尋ねしたいのですが、いらっしゃらないようでございますので、次官お尋ねします。  二十八日に、政府畜産振興審議会食肉部会の方に諮問をなさったわけでありますが、五十三年度の豚、牛肉価格を今年度と同等の額で据え置きたいというふうな正式な諮問をされたことは、まことに適当と認めがたい内容であります。これは畜産農民の生産意欲を大きく阻害するばかりじゃなくて、海外からの畜産物輸出圧力に迎合するものではないかというふうに考えますが、最初に次官、この点をお尋ねいたします。
  93. 今井勇

    今井政府委員 私ども審議会に御諮問を申し上げましたのは、それなりの理由があるわけでございまして、生産者のことも考え、なおかつ消費者の方の配慮もしなければなりませんし、また、今後の見通し等も十分考えた上でのことでございます。  それに対しまして、審議会では昨夜、据え置くことはやむを得ないという旨の御答申をいただいたこともあわせて御報告を申し上げたいと存じます。
  94. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 次官の答弁は答弁になっておりませんけれども、私はきょうは、鶏の生産調整にしぼりまして、時間の許す限り質問をさせていただきたいと思います。  政府は、昭和四十九年五月から農林省の三局長通達によりまして、鶏卵の生産調整の行政指導を実施しているわけであります。それにもかかわらず、一部の巨大商社養鶏が大規模なやみ増羽を行っているというのが現状でございます。これが市場を寡占化しておりますし、また、まじめな生産調整を守っている零細養鶏農民は、その生活権すら脅かされているのが現状でございます。容易ならざる状態が発生しておりますのに、農林省当局はどのような手を打たれておりますか。  また、大規模な企業養鶏を展開して、養鶏農民をその養鶏部門から急速に排除して、そして自分たちの系列下に入れるというふうなことまで起こりつつあるのが現状であります。このようなわが国の養鶏の体質を改善しなければなりませんし、また真の発展を図るために、一部商社の手から養鶏を守って、養鶏は農業として農民の手に取り戻すべきだというふうに私は考えております。  したがいまして、お尋ねをいたしますが、養鶏を農業の一部門として位置づけ、その担い手は農民とするという基本的な養鶏政策を確立しなければならないと思います。養鶏が商社やあるいは工業部門に編入されるようないまの勢いであります。養鶏農家の実態は、農業の基盤の上に発展をしたものでありまして、明確な農業基本的位置づけが大切ではないか、こういうように思いますが、この点についてまずお答えを願いたい。
  95. 佐野宏哉

    佐野説明員 お答えいたします。  先生の御指摘のとおり、養鶏が農業の一部門として位置づけられるべきことは疑いのないところでありまして、私どももさように考えております。  問題は、たとえば商社系のインテグレーションに対する評価、そういうことをどう考えるかというのが一つのポイントであろうかと思いますが、これは農家との間で契約生産を行うという形のものについて見ますと、生産物の販売とか価格の面で比較的安定しているというふうな事情がございまして、契約生産を希望する農家も現実にいるということは、どうもこれまた否定しがたい事実でございますので、こういう場合につきましては、企業と農家との間において対等かつ公正な契約関係が維持されていく、そういうことが肝要であるというふうに考えております。  それから、大企業が直営農場を経営するというふうな場合につきましては、既存の農家のやっている養鶏との競合によって、既存の経営に悪影響を及ぼさないようにということをやる必要があるわけでありまして、特に需給調整の行われておる現状のもとにおきましては、生産調整の趣旨に沿って指導をしていくということが肝要であると考えております。
  96. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 去年の十二月八日に私は当委員会で質問をいたしました。いわゆるやみ増羽の点で質問をいたしたときに、局長の答弁を私いただいて、どのようになさったのか、約三カ月を経過しておりますが、その点についてお尋ねをいたしたいと思います。  その当時は大場局長でありました。いま局長は杉山さんにかわられておりますけれども、答弁をいただいた趣旨においては局長がかわっても何ら変わってはいないと私は思うわけでありまして、そのときの点を三点ほどお尋ねをいたしたいと思います。  まず第一点は、やみ増羽の「比較的規模の大きい不心得者がいて、」という答弁がございます。「せっかく一般の零細な農家が協力しているにもかかわらず、そういった非協力的な者も出てくるということがございます。」という答弁がございまして、「不心得者」という表現で、いわゆる商社のインテグレーションのことだろうと私は思いますが、どのような不心得者がいるのか、何という不心得者がいらっしゃるかを答弁願いたいと思うのです。
  97. 佐野宏哉

    佐野説明員 お答えいたします。  先ほども政務次官からお答えいたしましたように、もっとアップ・ツー・デートな状況につきましてはさらに後ほど報告をさせていただきますが、昨年の十一月時点におきます私どものところへの報告によりますと、いわゆる無断増羽と見られる生産者が全国で三百四十九経営体、三百八十四万羽に達しておる、そのうち十万羽以上飼養している分が十九経営体で百七万羽というふうに報告を受けております。  それで、具体的に固有名詞を挙げるようにというお話でございますが、実はこういう調査は必ずしも強権をもって調査をするということができにくいような事情もございますので、具体的な名前を挙げることが、生産調整の推進上その得失いかがなものであるかということを慎重に考えてみる必要があると思いますので、この席ではちょっと御容赦いただきたいと思っております。
  98. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 そういうあいまいな答弁というものに対して私は不信を抱いて、再度質問をしているわけでありまして、局長は何できょうはお出になれないのですか。
  99. 佐野宏哉

    佐野説明員 畜産振興審議会酪農部会出席をいたしております。
  100. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 それでは、農林省で「不心得な業者を招致して、それの是正を求めているというような処置をとっております。」という答弁がございましたよ。いつ招いて、どういう処置をおとりになったかをお答え願いたい。
  101. 佐野宏哉

    佐野説明員 農林省が呼びつけて指導するということを行うのは、四十九年以降現在まで数回ございまして、関係する養鶏場を呼びつけたのは、東北農政局、関東農政局、北陸農政局、九州農政局、それから本省で直接呼びつけた例もございます。
  102. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 審議官、ここのところで公に発表できなければ、資料で提出できますか。
  103. 佐野宏哉

    佐野説明員 これは、私ども先ほど申し上げましたような事情がございますので、できるだけ御趣旨に沿いたいと思いますが、ちょっと考えさせていただきたいと思います。
  104. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 どうしてここでお答えできないものが後で考えることができますか。
  105. 佐野宏哉

    佐野説明員 これは先ほど申し上げましたように、必ずしも警察のような調べ方をしておるわけではございません。ですから、そういう意味で、情報を提供していただいた方に迷惑がかかるおそれとかそういうことがございますので、少し考えさせていただきたいということでございます。
  106. 今井勇

    今井政府委員 私から御答弁を申し上げたいと思います。  先生の御心配になりますことはもっともでございますし、私が再三ここで社会正義に反する者は許せないというふうに申し上げておりますので、先生のところに資料としてお出しするようにいたします。
  107. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 具体的な事業者の名前がわかるというふうなことで、いま今井次官の方から資料で提出をなさるということでありますので、委員長、ぜひひとつ守っていただきたいと思うのです。  私がお尋ねしたい次の点は、「私ども積極的にその業者について協力方を要請し、一部に正直者がばかをみるということのないような措置はいたしたいと思います。」そういう答弁がございましたが、正直者がばかをみているのが現状でありまして、ばかをみないような措置というものが、名前も発表できないような状態で、農林省のやり方に対して大変な不満を全鶏会議の方等は持っていらっしゃるわけです。一生懸命生産調整を守っている者を農林省は守るべきであって、守らない人の名前すら言えない状態、臭い物にふたをするような、ロッキードの二の舞のような、力の強い者にはどこまでもやさしくしていくような、弱い者を強く取り締まるような、いまの政治のあり方というものに、国民のこの委員会に対する注目というものが、いまの政治に対する不信につながっているわけです。一生懸命朝から晩まで、まじめな経営者の方々が将来の不安を感じながらやらなければならないようないまの養鶏の状態等から見まして、正直者がばかをみないような措置というものを具体的にどのようにおとりになるのか、お尋ねをいたしたい。
  108. 佐野宏哉

    佐野説明員 お答えをいたします。  現在私どもが、そういう生産調整に御協力をいただいておるかどうかによって区別をして取り扱っておりますのは、たとえば鶏卵の価格補てん事業、これは鶏卵の生産調整に御協力をいただいておる方だけを対象にして補てん事業を行っております。それから、鶏卵の生産に係る国や都道府県の補助事業とか融資事業につきましても、生産調整に協力をしていただいておる生産者に限って助成事業を行うということにいたしております。
  109. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 話をしていると腹が立ってまいりましてどうにもならない状態ですので、私も細かく調べてまいりました。次官もお聞きでありますので、具体的な事例等を出しながらお話を伺いたいと思うわけでございます。  国民の注目というのは、国会というその場所でもってどういう審議がなされているかということが最も大事でありまして、それに対する農林省の答弁があやふやであるとなりますと、これは米の生産調整に始まり、いわゆる畜産農家の打撃等が、飼料作物等の転換を強いていく中で、真にそのとおりにやる人たちが喜びを持って転作できるのかどうかという、農林省からしてそういう危惧の念を持たせるようなことであってはならないと思うわけです。  そこで、私の調べました調査によりますと、名前をなかなかどの時点でもお挙げになるのがいやのようでございます。これはうがった見方をいたしますと、農林省が結びついていらっしゃるのか、あるいは県の段階でそういう方々との関係があるのか、警察じゃありませんので、私は推量の域しか申し上げられませんけれども、どうも質問をしていながらいやになってしまうわけです。どうか誠意のある答弁を審議官、やっていただきたいと思うのです。  グループがございまして、イセグループとかタケクマグループということ、お答えにならなくても結構でございますけれども、そういうグループはお知りだと思いますが、いかがでございますか。中身はお尋ねいたしませんから、そういうグループがあることをお知りでございますか。
  110. 佐野宏哉

    佐野説明員 承知しております。
  111. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 お知りでおっしゃらないということは大変つらいだろうと思う。なぜそういう中身を先におっしゃらないのか、ますます私は不審を抱くわけでございますが、イセグループに採卵会社としてTESという、ツリーエッグシステムというのをお持ちでございます。FEG、NEP、SER、これはフラワーエッググループ、ノースエッグプロダクション、スノーエッグレジョンというふうな呼び名になっております。このイセグループ直営のところで、委託も含めますと三百三十六万羽、協力農場が百五十から百六十万羽、イセグループ全体で違反増羽は約百九十万羽に達するというふうに言われております。また、タケクマグループにおきましては、直営で二十六場、二百万羽、このほか協力農場がありまして、違反増羽は明確には言えませんが、三十三万羽から三十五万羽になるというふうに言われているのが現状でございます。審議官どうですか。
  112. 佐野宏哉

    佐野説明員 いまお話しのような数字についての情報の提供を受けておることは事実でございます。
  113. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 この増羽の状態が大体四十九年十一月の時点で、総数でございますが一億一千九百六十七万羽、ちょうど日本の人口にほとんど匹敵する数でございまして、不思議なものだなというふうに思いますが、それが一年にどのくらい私どもに供するかというと、大体平均三百個食べていることになるわけでございます。戦後私どもが体を支える中で、お米と鶏卵というのが大変大きな役割りを果たしてきたことは事実でありますが、このような鶏卵の暴落というものを防ぐために、生産調整というものに一生懸命精を出したわけです。それが五十二年十一月には一億一千百七十八万羽へと約六%減少になったわけであります。  ところが、この違反増羽がその後百四万羽も増羽されておりますし、その増羽の数が膨大になったのは、イセ、タケクマグループによる違反増羽が典型的であると、このようになっている現状であります。  先ほど申しましたように一生懸命守った生産農家の方々は、夜も眠れないようにくやしがって、その実態を探して歩きました。だれに頼んでもやってくれませんから、自分たちで山の中まで行き、見せてくれないところは航空写真を撮ってまで、こういう増羽をしているということで、自分たちが自分たちの生活を守るために闘ってまいりました。全鶏会議の大会に出さしてもらいましたらば、農林省の役人は悪代官である、このように叫んでおられました。いまの審議官の答弁のようだと、あなたも悪代官の一人に数えられるぐらいそういうようなことに決めつけられてしまうおそれがあると私は思う。もう少し誠意のある答弁をいただきたいのです。  この生産調整が続く中で零細養鶏農家が倒れておりますし、全体としてその裏にある商社インテグレーションによる大規模な民間養鶏業者の違反増羽ということが農家の犠牲の上に立って営まれているという現状を、心の底から私は調べて憤りを感じているわけです。  そこで、いろいろな行政指導はなさったでありましょうが、何といっても、農林省のそれに対する取り組みが甘いがゆえに、こういうことは今後も続くであろうというふうに私は思っております。したがいまして、一生懸命その模範的な事例というものが、調べた中で長野県などはその最たる模範的な行動をとっていらっしゃるようでございますが、農林省でどのようにつかんでいらっしゃるか。全国的なその指導的立場にある農林省は、やはりいい面はいい面、悪い面は悪い面として、はっきり私はこういう委員会で明確にすることがその責任であるというふうに思いますが、つかんでいらっしゃる内容についてお尋ねをいたしたい。
  114. 佐野宏哉

    佐野説明員 私どもとしては、各県とも県自体の指導体制としては、生産調整に十分前向きに取り組んでいただいておると思っておりますが、残念ながらある程度の違反が——違反と申しますか、やみ増羽が行われておることは事実でございまして、先ほど申し上げましたように、私どもが昨年十一月の時点で承知しておりますのは、三百四十九経営体、三百八十四万羽ということで、それ以外の大多数の生産者は皆さんまじめにやっていただいているというふうに考えております。
  115. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 それでは申し上げましょう。模範的な事例だと私は思いますけれども、これは長野県の県の農政部長の通達で出ている、県養鶏協会長に出された通達でございますが、「昭和五十二年度鶏卵生産調整復元に係る県協議会の開催について」という通達がございます。この中を見てまいりますと、その「復元方針の徹底」「本県の復元枠」それから「復元対象者の限定」「復元羽数と復元の優先」「復元期限」ということの項目がございまして、この中身を見まして、まじめに取り組まれたところは、たとえば百九十五羽の違反があったとしてもそれは認めないとして、その中で厳しくお互いの行動を戒め合うようなそういう模範的なところがあるわけです。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 こういう県においてはいわゆる商社系の進出は、厳しく守っている県には商社系の進出はなっていないようです。農林省の指導が徹底をしないというと——やはり模範的なところには進出はしないで、そうでないようなところというと大変失礼でございますが、それに反するようなところに商社系の進出が多いように私は見受けました。どういうところに違反的なところが多いのか、お尋ねをしたいと思うのです。
  116. 佐野宏哉

    佐野説明員 都道府県別に見まして、生産調整に反します違反の増羽のあった県というのを申し上げますと、北海道、岩手……
  117. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 そんなことを聞いておるわけではない。最も顕著な面だけを取り上げてもらえば結構です。
  118. 佐野宏哉

    佐野説明員 違反の羽数からいきますと、一番多いのは茨城県でございます。それからその次に多いのが宮城県、その次が岩手県でございます。
  119. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 その取り上げられました「宮城県に於ける鶏卵の生産調整に関する違反事例の有無について」という全鶏会議の方から宮城県の畜産課長に出された書類がございます。これはくどいようですけれども、私はこのことをぜひ聞いていただきたいと思うのです。  「現在養鶏界におきましては、鶏卵の生産調整を実施しておりますが、宮城県における下記の事例につきましてはまず第一に事実関係はどうか、第二にその事実は生産調整に違反しているか否かをお教えいただきたく、」云々という文書がございます。その事例は、「伊具郡丸森町鈴木養鶏場の事例について」というのが一つでございまして、この中に「(株)タケクマのダミーであるとの噂があるが、筆南養鶏組合と(株)タケクマとの関係はどうか。」また、「筆南養鶏組合の成鶏保有羽数は鈴木養鶏場より譲渡後、五万羽より十万羽にまで増羽をしているというが、このような事実はあるのか。あるとした場合、生産調整違反にならないのか。なるとした場合、どのような規制措置を講じているのか。」というふうな、これは畜産課長に対する書類でございます。もう一つは、同じく「宮城県加美郡色麻村のノースエッグ色麻農場について」、その二点が質問書として出ているわけであります。  それに対する宮城県畜産課長の回答が出ております。これはれっきとした公文書であります。宮城県の県庁としてこれを出している公文書でありまして、その内容を認めた公文書が出ておるわけです。これについてお知りですか。     〔委員長退席山崎(平)委員長代理着席
  120. 佐野宏哉

    佐野説明員 先生御指摘の文書は、私どもの手元にもございます。
  121. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 そうなりますと、いま審議官も知っていらっしゃるように、その違反事実なり、その内容がどういうひどいことをやっているのかということを現に農林省はつかんでいながら、さっきからそういう名前も挙げられないということで、どの方にお尋ねしても名前も最初から絶対お挙げにならない。そうして、中身はつかんでいらっしゃる。どうも私はその付近が不思議でならない。  ですから、こういう宮城県の畜産課長の方から出した書類等について、私は、一つ一つ述べている時間がございませんけれども、責任ある指導というものはどういうふうになさっているのか。私も前々から何回もくどいようにお願いをしておりますが、指導というのは、わかるまで続けることが指導だと思うのです。私も、たくさんの方々にそういう教育の現場で努めさしてもらいましたけれども、わかるまで教え込むことを教育と言うし、指導と言うわけです。一回の通達、一回の文書を出せばそれが徹底しているなんと思ってたら大間違いです。こういう違反的な事例についてどのように御指導なさってきたか。文書も知っていらっしゃるようでございますので、その指導、行政指導というものについてお尋ねをいたしたい。
  122. 佐野宏哉

    佐野説明員 先ほども申し上げましたように、私どもの方なり地方農政局なりで、生産調整に従うようにという指導というか、要するに言って聞かせるということをやっているわけでございます。
  123. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 だから、何回も言っておるように、何にもやっていないということになる。ただ、文書だけ出して、数回おやりになったというその回数も答えられないのであって、招いて指導なさったら、何月何日にどういう指導をした、何月何日にどのような状態の処置をとったということが言えることが答弁じゃございませんか。ただ、通り一遍の指導をいたしましたでは、これは私は答弁にはならないと思う。いかがですか。
  124. 今井勇

    今井政府委員 先生の御疑問、まことにそのとおりでございます。事務当局が一生懸命やったものであろうと思いますが、先ほどからのやりとりを聞いておりまして、私も必ずしも十全であるとは思いません。そこで、事務当局を督励いたしまして、先生の御趣旨に沿うような指導をしてまいりたいと思います。
  125. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 申し上げたいのは、名前が異なって、中身を全くオブラートに包むような形で、資本も出ている、経営にも参加している、また、県庁の役人もそのままそこに居座っているというような現状は、調べれば調べるほど、言うなれば憤激をするような状態になるわけです。  一つの例を私申し上げたい。これは茨城県の調査をした例でございますが、茨城県の中で県北といういわゆる協議会の名前がございます。その中にフラワー食品株式会社という商名がございますけれども、これは洞沼農場という農場の中でのフラワー食品の実態を調べてみますと、その経営者は、取締役代表にはっきりと伊勢というイセ養鶏の代表者が入っていらっしゃる。そして、その工場の責任者を見てまいりますと、この名前は申し上げませんけれども、この方は昭和十七年に茨城県の県庁に入られまして、三十二年三月にそこを退職なさって、そして洞沼農場の責任者になっていらっしゃるのであります。このように、県庁の職員は私は全部やめてここに入っちゃならぬということではございませんけれども、いろいろ答弁もできない、問題もあるというときに、県の方とのつながりも持っていらっしゃる、また、商社の方の経営者がはっきりと名前を連ねているという点で、名前は異なっていても中身は全く商社系と同じ、しかも、県の方に関係がある役人もいらっしゃる。このようになってまいりますと、これは幾ら零細農民の方々が力を合わせてその商社系の進出を阻もうとしても、これはできない状態です。だから、先ほどから私は申し上げておりますように、指導というものは、教育というものは、できるまでそれを繰り返していくということがなくちゃならないということを申し上げているわけです。ですから、一つの事例をとってまいりましても、このような状態ということをよくきょうは審議官は腹の底までひとつ知っていただきたい。  続いてお尋ねをいたしますが、このイセ、タケクマの農外資本は、いわゆる日配やノウサン等の保税工場の認可というものが与えられているわけですけれども、イセ、タケクマの裏にあるところの農外資本、こういうものについては保税工場の認可を取り消すぐらいのことを考えてもいいのではないか。これは農林省がかねがね経営者に約束してきたことでもありますが、この点についてお尋ねをいたしたい。
  126. 佐野宏哉

    佐野説明員 税関長によりますと配合飼料工場の承認は、関税定率法の十三条第一項の規定に基づいて、一定の規格に適合する配合飼料を製造する工場に対して減免税の飼料原料を使用させるという観点から行われているものでございまして、承認工場の承認の取り消し事由としては、関税定率法及び関税法の実施を確保する上で支障がある場合に限られておりますので、いま先生から御示唆のございましたようなことで承認取り消しというのは、これは関税局の問題でございますけれども、ちょっとできないのではないかと思っております。
  127. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 農林省がかねがね経営者に約束をしていることでありますから、そういう違反がはっきりしているところに明確に指導を加えていかなければいけないと思います。  続きまして、四月から新規の契約となる卵価・飼料安定基金から、大規模なやみ増羽を行っているものは除外して、しかもいままでの分は返却するぐらいの指導をしていただきたいと思うのですが、この点についてどのようにお考えか。
  128. 佐野宏哉

    佐野説明員 いまのお話の件でございますが、今日のような状況のもとで、鶏卵の生産調整に対しては、配合飼料価格安定基金制度の側でも、基金制度の実効が損なわれない範囲においてできる限りの協力調整を行うことは必要であると考えておりますので、配合飼料価格安定基金におきましてこれに協力する方向で具体的方策を目下検討中でございます。
  129. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 答弁を伺っておりましてもちっとも前進的な回答は得られないわけでございますけれども、普通の人が違反をする場合には卵価安定基金等から即座に、協議会等で厳しく指導されたりあるいは除外されたりするような現状なのに、大きなやみ増羽を行っているところにはそれが甘いという点で、矛盾を感じて質問しているわけですよ。まじめな方々は除外される。ですから、飼料の場合はもう最初から入っていらっしゃるかもしれませんが、やみのやられるようないわゆる商社の系統のインテグレーションの場合は入らなくてもやっていける、卵価安定基金の方に入らなくても構わないのだというような風潮があると、これまた困ると思うのです。こういう点についてどうお考えになっていらっしゃるか。
  130. 佐野宏哉

    佐野説明員 私ども先生お話のとおりと思っております。
  131. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 きょうは農林中金の方がお見えになっておりませんけれども、現在イセに出している農林中金の割り当て資金、系統資金というものは直ちに引き揚げなければならぬと思っている。一生懸命私どもが汗水たらしてためたものを農林中金に貯金をして、その貯金はどこへ行っているかというと、そういうふうな商社系のところへ行ってやみ増羽をしておいて、一生懸命ためたものを吸い上げてそういうものをふやしていって自分の首が締められるということに、悪く考えればそういう循環になっているわけです。ですから、そういう関係のことがわかれば厳しく資金を引き揚げるぐらい、またそれに対する指導は農林中金が今日まで何回も約束してきたにもかかわらず、その点は実行していないわけです。どういうふうに考えていらっしゃるか、また農林省は農林中金に対してどのような指導をなさってきたか、お答え願いたい。
  132. 佐々木富二

    ○佐々木説明員 農林中金に対しましても、生産調整の趣旨に協力するように指導はしてまいっておるわけでございます。ただいまお話のございましたイセ及びその系列会社に対しましては、生産調整が始まる以前から融資を行っていたということもございます。しかしながら、いままでにもお話のような鶏卵の生産調整に違反しているという批判があったことにもかんがみまして、農林中金もこういうことのないようにということで再々警告はしてまいったと聞いておるわけでございます。  それから、これに対する融資残を直ちに引き揚げるべきではないかというお話でございますけれども、この点につきましては、これらの会社と受委託関係にある農家に対する影響等も十分考慮する必要があろうかと思いますので、この点もあわせて検討の上で、生産調整の趣旨に沿った措置をとるように強く指導してまいりたいと考えております。
  133. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 農林中金の場合にお願いをしたいのですが、きょうは農林中金がお見えになっておりませんが、生産調整を実施してまいりました昭和四十九年から現在まで、中金の方で貸し出しをなさった、いわゆる融資をなさっていらっしゃる金額が、やみ増羽につながるような融資と言うと大変失礼ですけれども、増羽につながるような融資をなさっている、その融資額を見る以外に手はないと思うのです。各県における融資の中で、それがやみ増羽につながっているかどうかということは非常にむずかしいかもしれませんが、四十九年から現在まで、生産調整を行っている期間における融資額を資料として御提出なさるようにお願いしたいのですが、この点についていかがですか。
  134. 佐々木富二

    ○佐々木説明員 金融機関には御承知のように守秘義務というものがございます。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 一般に、どういう取引をしておるか、その取引の内容を明らかにいたしますと、そのことが非常に信用上の不安を招くという点もございまして、守秘義務によってそうした内容は公表をしないことになっておるわけでございます。そういうことの関係もございまして、いまお話がございましたけれども、この点はちょっと差し控えさせていただきたいと思います。
  135. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 それでは、違反者の取り締まりという点で、養鶏農家の真の安定を期すために、養鶏農家の生活を守るために、私は養鶏安定法を制定してはどうかと考えております。     〔委員長退席山崎(平)委員長代理着席〕 そういう声もあるわけでございます。去年の十二月十二日に日本養鶏協会の役員会において、養鶏安定法を制定する緊急性あるいは客観性がないということで行政指導だけで十分だというお話がございましたが、この点について可能かどうか。拒否回答をなさっていらっしゃるようですけれども、どのようにお考えかをお尋ねをいたしたい。
  136. 佐野宏哉

    佐野説明員 現在のところ、鶏卵の生産調整は、行政指導に従いまして卵価安定基金等の制度に裏打ちをされながら、生産者の皆さん方の自発的な協力をいただいて進めてきておるところであります。もちろん、先ほど来御指摘のございますように、なかなか実効が上っておらぬではないかという御批判がございますので、従来からの市町村協議会の開催回数を四回にふやすとかで強化を図っておるところでございますが、私どもとしては、現在の時点では少なくとも立法措置というところへまではいかないで、何とか行政上の措置で対処してまいりたいというふうに考えておるのが現在の心境でございます。
  137. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 先ほどから申し上げておりますように、行政指導という面における領域に非常にあいまいな点があるわけでありますので、やはり養鶏農家を守るという点ではそういう必要性があるのではないかということをくどいようですけれども申し上げているわけです。商社養鶏のインテグレーションの進出ということについて全鶏会議の方々が、けさも私ども理事のところにお見えになって、副会長の関口保太郎さん以下十五名の方々が陳情書を出されまして、理事会にかけ、農水の委員先生方にも全部お配りをして認識を深めていただくし、また要望を聞いていただくためにお願いをしたわけでございます。この全鶏会議の方々はそういう点で非常に進んだ考え方で、あらゆる面の合理化を図ってコストも下げ、しかも、まあ今井次官も私たちと同じくらいかもわかりませんが、戦後卵一個が十円か二十円という時代から今日まで同じような値段がどこにございますか。そばを食べたにしても、恐らくそばは卵一個ぐらいの値段ではなかったかと思うのですよ。それがいま二百円、三百円というふうになっている。卵の値段はちっとも戦後変わっていない。これはどれほど養鶏農家の方々が苦労なさって合理化を進め、あらゆる手を打たれたかということがわかるわけです。こういう面を考えますというと、最も苦労をなさり、進められたその労力というものに対して、そういういまの答弁のような行き方では、私は納得できないわけです。やはりまじめな人を守っていくということがあってこそ、農林省は真の農民の味方であるということが言えるわけです。そういう点から、これから養鶏の方々をどのように守っていくかという点を次官からお願いしたい。
  138. 今井勇

    今井政府委員 生産調整の問題につきましては、各委員からの熱心な御討議がございまして、私もその都度御答弁を申し上げておりますが、いま本当にみんなが経営が苦しくて生産調整をやり、そして生き延びていこうという矢先にこれに反するようなことをするのは、しばしば申し上げますが、私は社会正義に反するものだと思います。その規模が大であれ小であれ、そういうものをやはり許すわけにはまいらない、それを貫くことがやはり国民の信頼を得ることだと私は存じます。農林省もその趣旨に沿って努力をしておるものと私は信じますが、先生の御趣旨に沿いまして、なお強力な指導をひとつするように、私の責任におきましてやらしたいと存じます。また、その具体的な措置等につきましては、いろいろまた事務当局等にもひとつ検討をさせまして、有効な方法を考えるような指導をいたしたいと存じます。
  139. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 次官から前向きの答弁をいただきましたので終わりたいと思うのですけれども一つだけ。  農林省食肉鶏卵課から出されたこういう書類がございます。この中の二十一ページ、一番左の方にはいわゆる「復元増羽の手続きを了したもの」といって、凍結時の数が出ておりまして、戸数、羽数が書いてございますが、ゼロのところから、真ん中あたりにまいりますと無断増羽をした数が出ております。北海道ゼロのところから四十六万六千羽、岩手県三十五万六千羽、宮城県三十九万八千羽、茨城県九十七万九千羽、群馬県二十六万羽、それから石川県十二万羽、次のページに飛びまして、主なものだけ申し上げておりますが、岡山県三十三万三千羽、こういうふうな数を農林省はきちっとつかんでいらっしゃるわけです。こういう数を出される以上は、資料があってお出しになったわけです。無断増羽、やみ増羽を行ったところとしてお出しになったわけでありますから、十万以上のやみ増羽を行ったところを食肉鶏卵課でつかんでいらっしゃると思うのです。ですから、十万以上のやみ増羽を行った団体、それを資料として私の方へ出していただきたい。その点についていかがでございますか。
  140. 佐野宏哉

    佐野説明員 さよういたします。
  141. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 それでは次の質問に入らせていただきたいと思いますが、畜産価格問題がこれから最終的な段階を迎えるわけでございまして、農林大臣がこれに対する御見解をお述べになっていらっしゃるわけです。お米の生産過剰、食糧消費の停滞、アメリカあるいはEC等からの農産物の輸入圧力など、経済社会の基調の変化に伴う新たな問題への対応に迫られている、こう述べられておりまして、そのためには体質の強化が大事だ。そこで、特に最近関心を集めている問題は牛肉の問題であるし、また生産、流通対策の問題等であります。これについて、各般にわたっていろいろな手を打ってこられたでしょうが、特に最初にお尋ねをいたしたいのは、牛乳生産の伸びが順調でありますが、限度数量オーバー問題等どういうふうに扱われるのか。また、長期の確固たる方針をつくって処理されなければ、毎年毎年需給関係を見ながら決めるというのは非常な不安がつきまとうわけです。農民のこういう声を農林省はどのように受けとめていらっしゃるかを明確にお答え願いたい。
  142. 佐野宏哉

    佐野説明員 お答えいたします。  昭和五十二年度の加工原料乳限度数量超過の問題につきましては、私どもといたしましては、酪農経営の実情なりあるいは今後の乳製品の需給に及ぼす影響、その他諸般の事情を考慮して、現在苦吟をしておるところでありまして、先ほどもお答えいたしましたように、畜産振興審議会酪農部会におきましても御意見をちょうだいして、早急に結論を出したいというふうに思っております。
  143. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 畜産物の輸入というものについて、国内生産で不足する量に限定することは原則となっていると思うのです。いわゆる自給度向上を旨とするために国内生産目標の設定をされ、また需給計画の作成に当たってはどこまでも生産者団体と十分な協議をされるべきが当然ではないかと思います。それは、輸入量とその時期の決定に当たっては特に事前に生産者団体と十分な相談をしてお決めになることが大事ではないか、こういうふうに思います。  また、国内需給の実態を無視した貿易収支の是正には、牛肉等の輸入枠の拡大、指定乳製品の輸入は絶対行わない、こういう点を農林省はどのように御指導なさるか、お尋ねをいたしたい。
  144. 佐野宏哉

    佐野説明員 指定乳製品なり牛肉なりの輸入につきましては、いま先生のお話のございましたように、国内の需給ギャップに対応して輸入量を調整するという考え方で対処をいたしておりまして、その取りさばき方につきましては、生産者団体の皆さんとは日ごろから隔意のない意見の交換をしながら処理をしておるつもりでございます。
  145. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 時間が参りましたので、最後に一言だけ。  赤字を抱えておるところの国有林の開放、これは今度の林野特会でいろいろ問題になろうかと思いますが、この国有林を開放して牧草地として農林省は進めるべきではないか。特にわが党でこれを進めて強調してまいりました山地酪農の振興について、食糧政策の上からこれは大きな意味を持つものであると思いますが、これをどのように考えていらっしゃるか、お尋ねをいたしたい。
  146. 佐野宏哉

    佐野説明員 お答えいたします。  山地酪農につきましては、通常の耕地農業では利用になじまないような山地について、放牧を中心として畜産的に活用して、省力化された酪農を経営なさる、それで、それに伴って牧草等を導入するほか自然野草も活用する、そういう非常にユニークな経営方式として承知をしております。  その実態につきましては、統計的に把握し得るという状況ではございませんが、私どもとしては、わが国のような自給飼料基盤の狭隘な国土において非常に望ましい酪農の経営の方式であるというふうに考えております。  それで、山地酪農に限りませず、一般に畜産飼料基盤の問題を考えます場合に、当然国有林の活用ということは出てまいるわけでございまして、従来から引き続き国有林の適切な活用には努めてまいったところでございますが、先ほどもお答えいたしましたように、特に今後におきましては林間放牧等、森林と畜産とが両立し得るような利用形態を開発していく必要があるというふうに考えております。そういう意味でも、私どもとしても山地酪農というのは非常に望ましい方向ではないかと考えております。
  147. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 最後に私の考えを述べて終わりにさしてもらいます。  この山地酪農を食糧政策の観点から四つばかり分類して述べてみたいと思うのです。  一つは、耕地として活用できない山地を、傾斜四十度ぐらいまでを草地として活用できやしないか。第二点は、わが国の夏は高温多雨で草の生産力は欧州諸国に比べても三倍から五倍あるわけでありまして、山地酪農の場合は、このわが国在来の雑草の中でも牧草として適したものを選択していくならば、舶来の牧草と異なって夏でも休眠することなく、牧草の更新は必要ないほど豊富ではないかというふうに思います。第三番目に、濃厚飼料への依存度が低くて、しかも自然放牧のため、草の刈り取り、詰め込み、あるいは運搬、牛の管理等に要する人力を省けることなどから低コストで生産できること。第四番目に、自然の牧草と健康な乳牛からとれる乳と肉は、安全性の高い健康食品である。  こういう指摘から、これは山地酪農をすでに行っていらっしゃる東北、関東、四国、九州などの一部で、その優越性を実証していらっしゃるわけです。その点から参りますと、わが国で三百五十万ヘクタールの山地酪農を創造するならば、成牛が三百から四百万頭、育成牛が三百から四百万頭、計六百から八百万頭の乳牛が新たに飼育できることになるわけであります。ちなみに、これによって一年間に生産される牛乳あるいは牛肉を栄養的に見ますと、米の全国年間総生産量に含まれるカロリーの約四分の一に相当するほどであります。  こういうような安定した酪農経営というものを考えてまいりますと、地域振興にも大きな役割りを果たすわけでありますので、ぜひ農林省にもその積極策をお願いいたしまして、終わりにさしていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  148. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 津川武一君。
  149. 津川武一

    津川委員 畜産物価格については後刻大臣出席したとき大臣に質問するとして、いまは畜産振興について今井政務次官に若干の質問をしてみたいと思います。  肉牛でございますが、産地としては九州、東北、北海道が期待されており、畜産農民はそのためにがんばっております。その肉牛の産地東北では、岩手県も青森県も大体同じですが、青森県で言えば、短角とヘレフォードが中心です。ヘレフォードも導入当時の千二百十五頭から二千三百頭へ伸びて、短角もいま一万四千台に頭を伸ばしてきましたが、なかなか伸び悩みがございます。  これは私が直接見たのではないのですが、私に肉牛のことを教えてくれたある専門家の話ですと、おととしか去年か、平泉で子牛を十四万から十五万円で市場で競りに落ちないかと思って行ったら八万円、八万円ではどうしてもやっていけないので主取りして持ち帰ったわけですが、それが関西の博労に買い取られております。東北でせっかく子牛を生産したのになぜ肥育牛肉として出荷しないのかというのがその専門家の話です。なぜ一貫経営をしないのか、東北で一貫経営できたならばすばらしくなるだろう、こういうわけです。青森県でも、畜産農家が生産した子牛のうち七割が市場の競りに売り出され、一貫経営はなかなか実現しておりません。そして、やはり競りにかけられて関西に持ち込まれておるのがかなりあります。一貫経営が貫かれれば青森、岩手の肉牛畜産がかなり伸びる。ここにも農政のかなめがあるのです。子牛農家がせっかく産まれた子牛をなぜ市場に出さなければならぬかというと、やはり現金が欲しいから、資金が苦しいから、こういうことです。  そこで質問ですが、草地の造成、畜舎の施設、子牛の生産保育、肥育、これら全般にわたって系統的な援助が、補助で、融資において欲しい、これが東北の何よりの声です。東北の肉牛畜産を育てるかなめだと言ってもいいわけであります。  そこで、繰り返しますが、子牛の生産奨励に施策の拡大が必要だ、子牛の保育育成施設への援助措置が求められておりますが、政府の方針を聞かせていただきます。
  150. 佐野宏哉

    佐野説明員 お答えいたします。  いま先生お話しの子牛の保育育成段階あるいはさらに進んで一貫経営の助成という点につきましては、団地育成事業を初めとする生産の組織化による肉用牛振興に対する助成をいたしておりますし、さらに先ほどお話のございました出荷時点での問題を解決していく方法としては、産地の食肉処理体制を整備する、それから価格政策の面におきましては、肉用牛の子牛価格の安定基金の制度がございますが、これにつきまして、五十三年度から補てん基準価格の引き上げと補てん率の引き上げを実施する、あるいは昨年保留奨励金で一頭一万円を出す、そういう各般の措置を講じているつもりでございます。
  151. 津川武一

    津川委員 市場の整備も必要ですが、やはり東北の求めているのは肉子牛の生産奨励、そして肉子牛を確保していく、一貫経営していく、保育する、育成する、そして育成したものを売り渡す、こういう流通機構、この一貫した体系の補助、融資、育成方針、助成方針がほしいというわけなんです。ばらばらだから途中で競りしなければならぬ。この点で今井さん、所信を明らかにしていただきます。
  152. 今井勇

    今井政府委員 今度の畜産物の問題につきまして、昨日畜審でも御建議を賜りましたのもそこあたりを考えてのことだというふうに理解をいたしておりまして、金融措置についてはいろいろなメニューをひとつ早急に考えまして決定をいたしたいと思います。
  153. 津川武一

    津川委員 岩手、青森、東北の肉牛の発展のためにもう一つ基礎になるかなめとしては、草地です。草地の中できょうは国有林野の活用について所信を聞かせていただきたいと思います。  この間、この委員会で参考人に来ていただきましたが、全国農協畜産団地連絡協議会会長の大山久エ門さん、全中の桜井誠農政第二部長、片柳真吉畜産審議会会長、口をきわめて肉牛の生産のために国有林野の活用を求めております。  そこで、一つの問題は、林野庁と農林省は、いま終わるばかりの、この五十三年度で終わる混牧林の実験農場を全国に十カ所つくって、肉牛の発展に寄与しようとしたのであります。私もその実験はよかったと思います。実験の結果、林業サイドでどうだったか、畜産サイドでどうだったか、ちょっと知らせていただきます。
  154. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 いま先生御指摘になりましたように、実験牧場を全国で十カ所ただいまやっております。四十二年度から始めたわけでございまして、林野庁といたしましては主として林地に及ぼす影響を中心にいろいろと調べてまいりました。  その結果、一応一年間で林間放牧可能な日数は大体二百日ぐらいであろうというふうに想定しております。そして、林地の草量等の条件から、一頭を一年間飼育いたしますにはおおむね三ないし四ヘクタールの林地が必要であろうというふうにわれわれ考えております。それから、今度は林業的な立場でございますけれども、植えました木の植生状況等々、あるいはその立地条件、これは主として傾斜でございますけれども、そういうもの、あるいは植栽本数の状況などによりましていろいろ差はございますけれども、一般的に地ごしらえとか下刈りの省力化にある程度の効果がある、大体七〇%ぐらいの効果があるというふうにわれわれは見ております。それから、林間放牧によります造林木の被害でございますけれども、これはやはり木の高さが高くなりますほど被害は減っております。特に一・五メートル以上になりますと被害も非常に軽微で一〇%以下になるということで、私ども、こういうことから、林業の方に、林間放牧をいたしましてもいまのような条件さえ満たされればさほど問題はなかろうというふうな結論を出しております。そのほか、林地のいわゆる公益的機能の問題として上がっておりますのは、森林土壌に及ぼす影響といたしまして、地被物が非常に減少するという問題が一点ございますし、それから雨水の浸透能力の低下がございます。こういうものは特に牛道あるいは休息地で著しく見えておりますけれども、林業的にはこういうふうな実験結果を得ております。
  155. 津川武一

    津川委員 畜産サイドではどうです。
  156. 佐野宏哉

    佐野説明員 お答えいたします。  畜産側から見ましても、林野庁の御尽力によりまして、森林における肉用牛の多頭飼養を行う場合の技術的、経済的な問題を解明するために大変大きな役割りを果たしていただいたということで、評価をしておるわけであります。  それで、その経験を踏まえまして、私どもといたしましては、五十三年度から混牧林の経営、肉用牛の生産促進事業というのを、現在国有林の方でやっていらっしゃいます地域の中の六カ所において、地元の肉用牛生産組合等を事業主体として、現在までにやられたいろいろなデータを踏まえて、経営的に安定した混牧林方式による肉用牛生産を促進する事業を手がけていきたいというふうに考えておる段階でございます。
  157. 津川武一

    津川委員 聞かれたとおり、森林の事業としても余り影響がない、畜産の側からは大いに好ましい、こういうことになりましたので、今井政務次官政府としてこういう点で草地造成に国有林野を活用するという積極的な姿勢が望ましいので、政府の方針も聞かせていただきたいと思います。
  158. 今井勇

    今井政府委員 いま林野庁長官等が申し上げたとおり、この林間放牧の問題、先生御存じのとおり、昨年十二月から例の国有林野の活用に関する法律第四条に基づきますいわゆる活用の基本事項を決めまして、これを公表いたして、大々的にやろうじゃないかということでいっておるわけでございまして、そのように御承知を賜りたいと存じます。
  159. 津川武一

    津川委員 そこで、こういうことも踏まえまして、私たちの青森県でもかなり積極的になりまして、実験事業でやりましたあの青森営林局の大畑、あれをまたさらに続けていくほかに、三戸郡の東部畜産基地、五所川原の中須山周辺の基地、北郡の市浦村で県営で計画を繰り込んでおります。かなり大きな要求が出てくると思います。こういう点で政務次官の方針を聞いたので、いいと思うのです。  そこで、適地があれば、要望があれば、民間でやる場合もこれを活用させますか。させる必要があると思いますが、いかがでございます。
  160. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 ただいま政務次官がお答えになりましたように、林野庁といたしましてもこれからの畜産振興のために、さらには狭い日本の国土を高度に利用するという面から、林間放牧につきましても積極的に御協力申し上げようというふうに考えております。そういう意味から、いま先生がおっしゃいましたような民間団体がやる場合でも、国有林の経営と十分調和を保ちながらやれるという範囲内でわれわれとしては十分対応してまいりたいと思っております。
  161. 津川武一

    津川委員 そういう方針で非常によかったと思います。  そこで、これまで活用しているところもありますし、活用を求めているところもございますが、活用で問題になることの第二は、使用料なんです。高くて使えないと言うんです。一ヘクタール一万円を超えているところもあります。その一ヘクタール一万円の使用料を出してその上草地造成費を加えると、お願いしたくても二の足を踏むということになります。二十ヘクタールやって使用料二十万円に造成費ということでは、この間の参考人の全国農協畜産団地連絡協議会会長の茨城の大山久工門さんはやっていけないと言う、そこで政府に格段の配慮が欲しいと言っているのです。使用料をもう少し安くして使わしてくれませんか。いかがでございます。
  162. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 私どももよく国有林の使用料が高いというお話は十分承っております。いま国有林が土地の貸付等の算定をしておりますやり方でございますけれども、一般的には時価の百分の四というものを貸付料にいたしております。しかしながら、いま問題になっておりますこういう草地等につきましては一応時価の百分の三というものを基準にいたしておりますし、さらに共同でおやりになる場合にはこの半分、百分の一・五というのを貸付料の算定基準にいたしております。したがいまして、そういう意味で百分の一・五ということであればさほど高いのではないのではなかろうかというふうにわれわれ考えておりますが、とにもかくにも国の土地でございますから、私どもとしては決して高いとか安いとかではなくて、適正な価格算定いたしまして、その算定しました価格によりまして御使用いただくということを、いままでもそういうつもりでやりましたし、今後ともそう心がけてまいりたいと思っております。
  163. 津川武一

    津川委員 林野庁は高くないと言う、借りる方は高いと言う。そこで、これ、使用料払って借りて、最後はやっぱり払い下げてもらいたい、所属がえしてもらいたい、そこがねらいなんです。林野庁にわれわれも注文したんだけれども、払い下げてすぐほかへ転売するといかぬので、林野庁では七、八年よくこれを管理するか見ているわけ、それから払い下げるわけ、所属がえやるわけね。その七、八年の使用料が負担にたえない、最後の目標にゴールイン、到達するまで。そこで、使用料に対する要求がかなり出てきます。  私も自分の県のものを調べてみましたら、青森県の実態ですが、青森市の八甲田山ろく一ヘクタール一万七百九十円、北郡の金木町八千七百五十六円、同じく中里町で七千七百九十四円、北郡の小泊村五千三百五十八円、そうして上北郡の東北町になると三千八百九十円、七戸町になってくると三千二百五十円。この東北町の三千八百九十円、七戸町の三千二百五十円、ここいらあたりにならないかというのです。ほかのところは一万から八千円、高い、不公平だ。そこで、東北町と七戸町の状況を聞いてみたら、いま林野庁長官が言った一般使用料の百分の四、百分の三、百分の一・五でなく、参考小作料というのがあるんですね。公定のものに対する参考。それで、この七戸町と東北町がやってもらったら三千円台になるという。いま長官の言ったような形でやると一万円から八千円。そこで、何とか参考小作料でいきませんかというわけです。  そうすると、林野庁はどうなるかというと、林野庁はやっぱり自分の財産をふやさなければならぬ、所得を上げなければならぬ、営林もやらなければならぬ。本当に林野庁の皆さんのその点の御苦労はわかる。私も何回かこの国有林野の活用で林野庁にお願いに行きました。それから、秋田営林局に行きました。青森営林局に行きました。そうすると、しゃべらないでくださいと言う。われわれも少し高いと思っているが、政府畜産サイドからこれに援助してくれないか。われわれもやりたいんだ、しかし私たちの財産も大事なんだ。問題は畜産サイドから国がこの国有林野の活用にもう少し何か援助してくれると、いまの長官の言った答弁で、そして三千円ぐらいになるのです。これはなかなか農林省の中で林野庁が畜産局に言えないというのは、そういうものかもわからぬ。中のことはわからぬけれども、それがどこへ行っても出てくる声なんです。こういうことなんです。  したがって、この答弁は長官に求めるのもちょっと酷なので政府に求めた方がいいと思う。繰り返しますが、やっぱり不公平なんです。それで、参考小作料でやると喜んで使える状況にある。やがては、これはやっていくと所属がえして払い下げてもらえる道が開かれてくる。このときに、いま乳牛の畜産振興のために畜産サイドからこの問題に対する手を打ってくれないかということなんです。いかがでございます。
  164. 今井勇

    今井政府委員 趣旨としてはよく理解できますので、ひとつ検討をさせていただきたいと存じます。
  165. 津川武一

    津川委員 終わります。
  166. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 島田琢郎君。
  167. 島田琢郎

    島田委員 大臣お尋ねをいたします。が、冒頭、私は予想はしていたとはいうものの、据え置き諮問、昨日の食肉価格に次いできょうも加工原料乳価格で同じような諮問がなされた。  私はいままで当委員会を通じ、あるいはまた大臣にも直接お会いをして、この日本の農業政策が大変なやはり大きな局面を迎えているときでもあるので、前向きに取り組んでほしいということを再三要請もしてまいりました。また、本委員会においては議論をしてまいりました。その最も大きな基本にかかわるものは、農業白書でも明らかでありますが、一九七〇年以前においては先進諸外国と比べてもそんなに見劣りしなかった農業総生産、つまり農業総生産は私ども農家で言えば所得を得る大事な一つの手段であり、そこから私どもの経営と生活を守っていくという原点でもありまして、これが落ち込んでいくということは働く場所が狭まっていく、そこからはじき出されていってしまうという性格のものでありますから、農業総生産の推移というのはきわめて重視をしておかなければならない点でありますのに、昨年の農業白書で明らかなごとく、一九七〇年に入りましてから先進諸外国と比較しても大変見劣りのする急激な落ち込みになっています。そして、そういう心配のさなかにあって第二次の米の生産調整を強行するというのですから、私どもはそういう点で反対をしてまいったのであります。そしてまた、米で失うんだ、仮にどうしてもそれが避けられないという事態に追い込まれるとすれば、何かでこれを埋め合わせ、失ったものを取り戻していくということでないと、さらに一層農業の総生産が落ち込んでいってわれわれのいわゆる所得を得る場が狭められていくということになるのですから、最も選択的に今後とも需給のバランスの上から見ても伸びを見せつつある畜産と酪農という面でこの面をカバーする必要があるということを私は繰り返し実は力説をしてまいったのです。  そういう基本的な問題を踏まえて食肉価格や牛乳の価格を決めていくのでなければ、これは大臣が約束をしている農政の転換、米偏重農政から総合農政への転換だということをしばしばおっしゃっているが、結果的にはおっしゃっているだけであって、現実にはそれをおやりにならぬということと同じことになるのではないか、それを裏書きするような据え置き諮問ではないかという点で、私は遺憾の意をここに表明しておきたいと思うのです。  それで、そういう据え置き乳価なり据え置き価格なりを考えてまいりますときに、この試算に当たっても、幾つかの問題点をそのまま踏襲して解決しないまま試算に当たったということについてもあわせてきわめて遺憾であるというふうに私は思うのですが、まず冒頭に大臣が今回お決めになった——お決めといいますか、諮問価格決定して審議会に原案を提出されるに至ったいわゆる大臣なりのお考えをこの際ひとつ明確にしてもらいたい、このように思うのです。
  168. 中川一郎

    ○中川国務大臣 不足払いの保証価格法律の定めるところによって決定するわけでございます。法律の定めるところは、再生産を確保することを中心として決めることになっております。  そこで、昨年の生産事情をよく調べてみますと、生産は非常に伸びておる、そういった要素をそのまま計算をいたしますと、若干引き下がるわけでございます。昨年並みの生産の意欲が持てるかどうかという判断からいきますと、若干なりとも下がってもいいのではないかということに計算上なるわけでございますが、これは生産事情が非常によくなって、えさの値段が非常に下がっておる、生産性向上が非常にあった、幾つかの要素はございますけれども限度数量オーバーに見られるように、生産が非常に意欲的である。こういった意欲的な生産事情を反映しても若干下げてもということではありましたが、下げることはいかがかということで、微調整を行いまして据え置きということでありますけれども、据え置きに引き下げたのではなくして据え置きに引き上げて対処した。この値段で御不満でもありましょうけれども、これからの安定的な長期的な生産を確保していく上には十分御納得のいただける値段であろう、こう判断して御諮問いたした次第でございます。
  169. 島田琢郎

    島田委員 大臣は、生産性が上がった、こうおっしゃっていますが、それは生産者努力が生産性の向上に大きく寄与したというふうに考えていますか。
  170. 中川一郎

    ○中川国務大臣 まさにそのとおりでございます。意欲も努力も、それからまた政府の助成、そういったもので総合的に生産性が上がったもの、こう判断いたしております。
  171. 島田琢郎

    島田委員 それなら、大臣の温かい気持ちのあらわれとして、生産性向上メリットを全部生産者に還元せよとは私は申し上げませんが、折半して半分くらいこの際生産性向上メリットを還元するという気持ちに立たれてはいかがでしょうか。
  172. 中川一郎

    ○中川国務大臣 この議論米価等でも常にあるところでございますが、生産性向上を生産者に還元申し上げるということをやったことも米価等でございますが、大方はそういう仕組みになっておりません。  それでは農家がかわいそうではないかということでございますが、実は農家の労賃というものを、他の労賃その他と比較をして遜色のないように労賃の引き上げによってメリットは還元申し上げる、こういう仕組みでございます。したがいまして、今回政策的にこれをさらに差し上げて生産意欲を持ってもらわなければならないような生産事情にはないというところから、今回もメリットは差し上げることができないという結果になったわけであります。
  173. 島田琢郎

    島田委員 本日提出されました、審議会で審議をするに当たっての参考資料の中を見ますと、算定の基礎になる五十三年度の推定生乳生産量というのがありますけれども、この表で見ますと、経産牛一頭当たりの乳量というのは四千八百五十四・八キロというふうに基礎づけているようであります。こういう見込みでいって来年度の生産乳量の見通しを立てているようでありますが、しかしながら、この試算の中で用いられている搾乳量というのは五千六百五十七キロと、これは三・二%換算でも考えられないような数字になっているわけであります。これは全国平均で見た場合と北海道一地域で見た場合との差だと言ってしまえばそれまででありますが、これはわれわれ酪農家の実際にやっている立場から言いますと、この数字についてはどうも納得ができないという気がしてならぬのであります。これは事務当局から答えてもらって結構ですけれども、このように数字というのはそれなりに、鉛筆をなめるときにかなり操作のきく部分もこの試算の中には残されているということの指摘をしたいのであります。  そういう点を考えますと、これはかなり、この生産性向上メリット還元一つにしても、将来の酪農というものをどう持っていくのか、こういう考え方基本にしっかりとあるかないかによって、私はこういう試算内容の操作にも非常に大きく影響をもたらしてくるものだと思う。そういう意味で言えば、いま大臣は、生産性向上メリットは今回生産者に還元するという理由はない、こういうふうに言い切っておられるのは私は納得ができないと思うのです。いかがですか。
  174. 中川一郎

    ○中川国務大臣 もう一つ補足いたしておきますと、昨年乳価を決定いたしました際、すなわち五十二年度のときにはもっと少ない数字でもってはじいて出たのが今年度の乳価であったわけです。したがいまして、五十二年度の生産性がふえたメリットは農家の皆さんのふところに入っているということであり、五十二年度をベースにして計算をいたしますが、五十三年度また生産性が向上した部分は、むしり取るのではなくして農家の皆さんの収入となっていくということではメリットも見ておるということでございます。  それから、余りにも一頭当たりの搾乳量がふえておる、鉛筆をなめたのではないか、そういうことは一切いたしておりません。この辺は公平に多くの農林省の職員が裸の中でやっていることでございまして、鉛筆なめてプラスしたりマイナスしたりするような意図的なことはいたしておらないことを申し上げておきます。
  175. 島田琢郎

    島田委員 昨年は五千百六十キロでありました。これは一道一県、岩手県が入っていたわけであります。ことしは北海道だけ。北海道だけで見ると五千六百五十七キロになった。しかし、そんなにことし生産がふえたというふうな、全体的な統計でもこれだけ大きな差になっているという数字は私はいままで見ていないのであります。ですから、私はそう言いたくなる。そしていま大臣は、ふえた分だけそれは収入になっていったんだから、こう言いますが、全体的に本当にこれだけ伸びたのであればそれは言えるかもしれませんが、生産費調査農家なんというのはある一定の戸数で限定されているのでありますから、そういう意味で言えば、そういう限られた農家の収入になっているという現象はあっても、全体的にこれが伸びた分だけふところに入ってきたという勘定にはならぬのです。  それから限度数量ですが、そうすると生産性向上メリットの還元もしない、こう言いますが、それじゃ昨年の限度数量オーバー分については、きょうの畜産局長の説明によりますとまだ決まっていないのでというようなことをおっしゃっているわけでありますが、大臣の腹は、もうあと二日少々しかないのでありますから、それをまずどう処理するかという考え方はしっかりお持ちになった上で諸般の価格算定に当たったのだというふうに私は理解しているのですが、これもまだ決まっておらぬのですか。
  176. 中川一郎

    ○中川国務大臣 限度数量というのは非常に重い意味を持っております。御承知のように、お米の場合でも限度数量をオーバーした分は政府が買い入れをしない、特に生産調整をやってもなおかつ余った限度数量オーバー分は買えないという仕組みであると同じように、加工原料乳についても限度数量はそう安易に変えられるものではない。しかし、供給不足の時代でございますと、これはまた若干昨年のような方法も考えられるのでありますけれども、ことしのように現に脱脂粉乳を一万四千トン、生乳換算九万トンも買い上げなければならない異常なときに、全部加工原料乳と同じように処理をするのが当然のことのように言われましてもなかなか議論のあるところで、気持ちとしては何とかしたいなとは思っておりますが、まだはっきりこういたすという段階には至っておりません。今後財政当局なり、各方面の御意見を承りまして最終判断をしたい、こう思っておるわけでございます。
  177. 島田琢郎

    島田委員 大体全体の意見としては、昨年並みの支払いをすべきだという考え方はもう大方の意見として固まっているわけですから、あとは農林大臣が腹をお決めになる、つまり政治的な立場でこれを判断するというのが残された最後のいわゆる決断ではないでしょうか。いかがですか、それでもまだおやりになる考えはないのですか。
  178. 中川一郎

    ○中川国務大臣 これは非常にむずかしいのです。来年の限度数量決定等との関係もありますし、できるだけはしたいなと思っておりますけれども、まだ関係方面との連絡調整といいますか、そういうものも残っておりますし、まだここでやると言うまでに立ち至っておりません。今後また十分御意見を承りながら最終決定をいたしたい、こう思うわけでございます。
  179. 島田琢郎

    島田委員 諸般の情勢が煮詰まれば私の言ったとおりにやりますね。
  180. 中川一郎

    ○中川国務大臣 とおりになるかどうかはわかりませんが、結論を得たい、こう思っております。
  181. 島田琢郎

    島田委員 私は、よい方に受けとめて結論を出すというふうに大臣は決意をされたというふうに受けとめておきます。  ところで大臣、いろいろ生産者の側に心配がありますのは、乳質改善奨励金一円七十五銭、これも政治的な判断というものが一つ要るのでありますが、これは昨年並みにお考えになっているのですね。
  182. 中川一郎

    ○中川国務大臣 これも昨年度の政策判断として一円七十五銭と五十二年度についてしたわけでございますが、五十三年度についていかにするかは、これからまた各方面の御意見を聞いた上で判断をいたしたい、こう思っております。
  183. 島田琢郎

    島田委員 これは昨年の経過から言って、少なくとも乳価という受けとめ方にみんななっているのです。ですから、改めて私はここで聞くまでもないのですけれども、しかし、どうも間々政府部内においてはこの点について異論を唱える向きもありますから、ですから政治判断で出したものであると言ってもこれは乳価であるのだ、そしていま一円七十五銭、昨年並みですねと言いましたが、私は大臣のお考えの中には、あるいはこれを増額するというお考えも含めて今後腹を固めていくんだというふうに考えておられるのかもしれませんが、いかがですか、これは私の判断が間違っているのでしょうか。
  184. 中川一郎

    ○中川国務大臣 私も農林省に来る前は乳価ということを農家の皆さんにも申し上げてまいりました。その内容とするところは、一つは乳質改良奨励金ということになっておりますけれども、改良された方もされない方も、すべて乳量に対して上乗せをするという意味では乳価である。もう一つは、限度数量が余った場合、これが外されるようなことのないような意味で、いついかなるときでも乳価と同列に扱いたいなという願望を込めて乳価として申し上げたわけでございますが、まさか今日のようにこのように余るとは私ども思っておりません時代のことでございまして、乳価という気持では扱いたいとは思いますけれども、今年もこれにストレートに出さなければいけないとか、あるいは二十万トンの分についても一円七十五銭は当然のこととしてというまでに踏み切れないところに悩みを持っておるわけでございますが、今後慎重に検討したい、こう思う次第であります。
  185. 島田琢郎

    島田委員 私は何も悩むことはないと思うのですよ。まさにこれは大臣の判断なんでありまして、あなたも私と同じように乳価だと考えていたのですから、政府部内を統一させていただきたい。あなたの御意思とはうらはらに、政府部内ではあれは乳価だとか乳価でないとかいう議論が改めて再燃してくるというのはおかしな話でありまして、私は、いまのお話も限度数量の問題と含めて、大臣の非常に前向きな考え方をきょうは表明されたというふうに受けとめておきたいので、私のこの発言を裏切らないようにしていただきたいと思います。  さて、次に進みますが、私は負債の問題についても大臣に直接お会いをして要請を申し上げました。昨年四百億、総体で畜産に対して一千億近い経営改善資金というものが出されているわけでありますけれども、どうも私は当時、この条件で返せというのなら、これはなかなかすんなりと返すということができないのではないか、せっかくのありがたい金だけれども、それがどうも支払いになってくるとなかなか苦しいという状況を持っている農家が多いだけに心配であるということを言ったのでありますが、負債整理の問題について乳価と絡めてお話をするということは避けていくべきだという点で、これは大臣もおおよそ私の考え方に対しては、その基本にかかわる部分では一致するものがあったわけであります。これらについても今後十分考えの中に入れたそういう方向で検討願わなければならぬと思います。それが一つです。  それからもう一つは、畜審の論議は単に加工原料乳の限定された審議だけで、全体的にはなかなか問題を持っている、たとえば不足払い法という法律の精神から言いましても、できるだけ飲用化を図っていくという方向でこの不足払い法というものが発足しているわけでありますが、なかなかその飲用化が進んでいかぬという問題などもあります。ですから、飲用乳の消費拡大という分野だけではなくて、そのネックになると考えられるもろもろのファクターを審議していくためには、飲用乳化という問題についても審議会において十分検討しながら、全体的な日本の酪農をどうするかというふうに大きく見直していかなければならない分野が多いと思うのです。こういう方向てひとつ検討すべきではないかという意見を前にも申し述べましたが、私はそういう点を、つくづくこの審議会のあり方について考えているわけでありますが、こういう点が第二の点です。  それから第三の点は、先ほども大臣が来られる前に、実は飼育管理労働費の一本化ということについて言ったのでありますが、特にその中で、ことしも二本立て価格になっておりまして、百四十円ほど差があります。飼育管理労働費は、北海道の五人以上規模の製造業労賃ではじき出した八百四十六円四十九銭、こういうふうに説明されているわけでありますが、同じ牛乳に携わっている立場で公平なとり方をするとすれば、指定乳製品の製造コストに含まれる労賃との比較においてこんなに差があるなんというのは、たとえば先ほどお聞きすると千五百円、こういうことでありますが、そうすると、まさに半分ということになるのです。これでも大臣がしばしばおっしゃっているように、飼育管理労働費というのは特別な労賃として見たのだ、本来であれば日雇い労賃、今度改めまして農村雇用労賃ということになっておりますが、雇用労賃一本で計算をすべきものを特別な計らいによって引き上げたんだ、こういうふうに言っていますけれども、特別な計らいによる価格が八百四十六円、その根拠と、その単価そのものが果たして特別な技術を持った労賃単価と言えるのかどうか、この点について、今回もこういうとり方については全国を平均したとり方でやるべきだという主張が取り入れられなかったのはきわめて遺憾なことでありますが、そういう点なんかを改善いたしますと、少なくとも五円ないし六円の乳価というものは当然上げていかなければならないはずでありますが、それも据え置いた。先ほどから聞いておりますと、何もかもどうも冷たいやり方で、どれ一つとってみても、前向きに農政の転換を図りますと言った大臣言葉とはうらはらの結果に終わっているのではないでしょうか。  以上の三点について、御感想を伺いたいと思います。
  186. 中川一郎

    ○中川国務大臣 農家の皆さんの間にも、同じ農家の労賃が、牧草をつくる労賃と牛を飼育管理する労賃との間に差があるのはおかしいではないか、まさにそのとおりだろうと思うのでございます。私どももずっとやってまいりましたが、御承知のように、食管は国が管理をして、委託栽培のようなものでございます。そのかわりどこへ売ってもならない、売った場合には法の裁きを受けなければならぬというようないわゆる国家管理になっておりますので、所得を補償する、その場合、都市労賃の所得を補償するという仕組みになってございます。  米麦以外の農産物は、御承知のように、再生産が確保されるという旨になっておりますので、従来は農村の日雇い労賃が最小限度確保されるということであったのでありますけれども、これは余りに実態と合わないというので、最近、農村雇用賃金に引き上げることにいたしたわけでございます。その中でも、飼育管理だけは特に技術が必要である、普通の農村で働く皆さんとは違って、特殊な技能がなければ生産ができないということに着目をし、特に酪農が厳しい情勢にあって生産が落ち込む、乳価が安い、異常なときに何とか乳価を上げるためには、やはりその辺の部分だけは見なければ生産意欲が起きないだろう、こういう判断のもとに飼育管理についてだけ見ることにいたしました。それでも乳価がなかなか上がらないために生産意欲がないというので、牧草の生産労賃のうちの半分だけは見るというふうに、たしか数年前にしたのだと思いますが、もし、これを同じものにしなさいということであれば、むしろ今日の段階から言うならば、ほかの農作物と同じように農村雇用賃金に合わせるのが筋であって、全部これを食管並みのいわゆる所得補償方式の方に合わせるというのは、他の農産物価格とのバランスの上からいってもこれはとれることではないということで、差をつけてやるのは、生産農家の酪農家を特に伸ばさなければならないという配慮からやってまいりました措置でございますので、これは差があることがおかしいということではなくして、差があることによって農家がよくなっておる、こういうふうに御理解を賜りたいと存ずるわけでございます。
  187. 島田琢郎

    島田委員 これは大臣としておっしゃることではないですね。ありがたく思え、だから、そんなに文句を言うなら下げるぞと言わんばかりでありますが、それは大臣としておっしゃることじゃない、特に北海道から出ている大臣としては、これは私はいただけない。むしろ前向きに、私が申し上げるように、本当に畜舎、牛舎で働く、乳をしぼるという技術を名実ともにいままで認めてきたのでありますが、それが、こういう価格で果たして技能者としての正当な労賃単価と言えるかどうかという点にもう少し前向きにこたえてほしかったと私は思う。  そこで、時間が参りましたから、最後になりましたが、事務当局に聞きます。算定に使った原生産費は何にウエートをかけたものですか。
  188. 佐野宏哉

    佐野説明員 お答えいたします。  これは従来からやっておりますとおり、頭数規模別の生乳量のウエートでございます。
  189. 島田琢郎

    島田委員 それを頭数規模別戸数ウエート加重平均としたら、どれぐらい差が出ますか。
  190. 佐野宏哉

    佐野説明員 ちょっとその計算はいたしておりませんので……。
  191. 島田琢郎

    島田委員 従来は、計算して、ここへ出したことがございますよ。比較検討する必要があるのではないでしょうか。これだけで、あなたのおっしゃるような頭数規模別生産で何もかも押し切ってしまうのじゃなくて、いろいろ比較をしてみるというのは、鉛筆をなめる段階で大事な一つの作業じゃないでしょうか。それをやっていないというのはどういうわけですか。
  192. 佐野宏哉

    佐野説明員 従来から生乳量ウエートというのがずっと一貫した算定方式でございまして、私どもとしては、生乳の加工原料乳の再生産を確保するためにはこの算定方式が適切であると考えておったからでございます。
  193. 島田琢郎

    島田委員 私は変えるべきだと思うのです。そうでなければ、これでやればコストが低く出るのはあたりまえなのです。ですから、私は、原生産費を正しくとるという意味では、両者を比較した上で判断すべきである、それをぜひひとつ作業としてやるべきだ。これはいま言ってもしようがないですけれども、そういうふうに、算定に当たって幾つかの問題点を残したまま据え置き乳価を出したというのは私はきわめて遺憾である。  この点、大臣初め政府当局の猛省を促して、私の質問を終わりにいたします。
  194. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 芳賀貢君。
  195. 芳賀貢

    芳賀委員 先ほどは統計情報部長柳井部長並びに畜産局佐野議官に対して事務的な問題についての質疑を行いまして、この点についてはおおよそ解明されたわけです。あと残った問題は、農林大臣に対して、重要な、政治性も含めたそういう問題についての明快な方針を述べてもらいたいと思います。  第一点は、先日来取り上げておる問題でございますが、昭和五十二年度に告示された限度数量は百五十八万トン、これが年度末になりまして、指定乳製品の原料である生乳の認定数量がおおよそ百七十八万トンということが推定されましたので、認定数量と限度数量の差がちょうど二十万トン、これは農林省においても認められておる点であります。そこで、この限度数量の超過分というのは、昭和五十三年度保証乳価等の中には限度数量も含まれておるわけでございますからして、これはきょう政府が出されました政府試算によると、五十三年度の認定限度数量は百八十三万トンというように示されておるわけです。ですから、五十三年度の認定数量に対しての実施の前に、五十二年度の二十万トンをどうするかという問題がまだ未処理になっておるわけですね。  これに対しては、きょう農林大臣として畜産振興審議会加工原料乳等の諮問をされたわけですが、その中で畜産局説明というのがあるんですよ。これは昔からあるんですよ。この説明の中に、特に五十二年の限度数量超過分の二十万トンに触れ、この点は政府としても非常に苦慮している点であるが、期日も切迫しておるので、この審議会で言っているのですが、審議会各位の意見を承り、なお関係方面と相談をして早急にこれを決定したい、それが大臣の偽らない心情だと思いますが、きょう二十九日と、あす、あさっての間に政府としては一連の価格問題を決定して告示をするということになるわけです。審議会においても、恐らく全体の声としては、やはり少なくとも昨年に準じたような扱いをすべきであるというような意見が出ると思うわけです。それから、当委員会の審議あるいはまた小委員会の審議の中においても、委員各位におかれては、この点については異なった意見はないわけです。  だから、国会意見あるいは審議会意見というものが、もうおおよそ判明しておるわけでありますからして、それを受け、農林大臣としては決断すべきときじゃないかというふうに考えるわけですが、まずこの点について明快にしてもらいたいのです。
  196. 中川一郎

    ○中川国務大臣 御指摘のとおりでございまして、審議会のきょうの意見は夜遅くなるだろうと思いますが、今後、審議会意見、また当委員会における意見、あるいは政府与党、また農家の皆さんの意見等も聞いた上で最終判断をいたしたい。しかし、その場合、どういう判断になるかについていま申し上げる段階には残念ながらないということでございます。
  197. 芳賀貢

    芳賀委員 まあ農林大臣も一かどの政治家として自認されておると思うので、わざわざここではっきりしろなんというやぼなことは言わないが、これも逃げるわけにはいかない問題です。二十万トンが別に保管をしてあって、農林大臣の方針を待ってそれを処分するというのであれば別ですが、毎日毎日集乳したものが工場へ搬入されて、指定乳製品として製造されておるわけですからね。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 だから、この会社が支払うところの加工原料乳の基準取引価格の六十四円二十九銭というのは、この二十万トンに対しても支払われておるわけです。あと残りは、政府畜産振興事業団を通じて支出すべき補給金の二十四円五十八銭ですね。これと昨年決定の際に、これは実質的には乳価と同じですよと言って一円七十五銭をキロ当たり出しておるわけだから、これと合わして二十万トンについては支出しなければならぬということになるわけです。もう会社は二十万トンの乳代を払っちゃっているんですよ。生産者としてはちゃんと指定乳製品向けの原料として出してしまったんだから、あとは政府を信用して補給金と一円七十五銭をなるたけ早くもらえばいいということになっておるわけですから、その点は大臣として十分頭に入れて、余りだらだら延ばさぬようにして、一番タイミングのいいときに、いや、わしはこう決めたいぞと言えば、これは宣伝にもなるわけですから、これははっきりやってもらいたいと思います。  その次は、五十三年度の国内において生産された生乳に対して用途別で計画を立てたわけですね。まず、推定飲用向けの生乳の数量と、その次は指定乳製品向けを除いた乳製品向けの生乳量と、それから自家用の生乳量ですね、こういう順序で生産量から逐次引いた残りが結局百八十三万トン。まあ表現を変えれば、これは残乳ということになるんですよ。全部引いた残りが百八十三万トンしかない。これがつまり用途は指定乳製品の原料乳、それに限度数量という名前をつけて、政府が責任を持ってこれに対しては補給金を払うということになっておるのですが、ことしの、五十三年度の限度数量そのものに問題があると思うんですよ。  これは先ほど佐野議官にも指摘したのですが、昨年の告示数量は百五十八万トンですが、実績としてはこれに二十万トン加算されんければならぬわけですね。そうすると、昨年の、五十二年の実績は百七十八万トン、五十三年度の告示数量が百八十三万トンということになれば、実績と計画ではわずか五万トンしか差がないわけですね。そういう窮屈な計画であれば、恐らく来年のいまごろになってこの問題でお互いに苦労しなければならぬということにもなると思うのです。  だから、これは飲用乳の消費が伸びるか伸びぬかにもかかわってくる問題ですが、前提としては極力飲用向けの生乳の消費が拡大するような諸般の対策を進めて、そうして最後には加工原料乳、それが限度数量内でおさまったというような努力をしないと、なかなか順調にいかぬのじゃないかと思うので、その点についてお考えがあれば述べてもらいたいと思います。
  198. 中川一郎

    ○中川国務大臣 御承知のように、この不足払い制度というのは、市乳化ができない地帯、北海道、東北のような地帯の生乳を加工原料乳として吸収して、当座の間生産性を確保していく。将来に向かってはこれが合理化をされていって、そして市乳に行けるようにしていきたいというのが法律のたてまえでございます。したがいまして、加工原料乳数字はだんだん少なくなっていき、しかも不足払いの額もだんだん少なくなっていって、全体としては生乳の方に十分あけていける、こういうのが法律ができたゆえんであり、暫定法となっているのもまさにこのためでございます。  御指摘のように、実績が百七十八万トンでございますところを来年は百八十三万トンにしてございますので、伸びは五万トンしか見ておりませんが、政策としても、何としても飲用乳向けを大幅に伸ばしていく、こういうことを政策的にやっていかなきゃならぬ。こういう実態とはあるいは若干かけ離れておるかもしれませんけれども、政策誘導としてそうやっていかなければ、たくさん来そうだからたくさん政府は見るんだ、こういう仕組みでは法の精神から言ってもおかしいのではないか。やはりこの程度に行くように努力をする。そのために乳価もどうあるべきか、市乳の価格もどうあるべきか、こういったことを総合判断をして、法の精神に従ってやっていく。しかし、また実態として、来年末実態に合わないときには、そのときにまた対処しなければならないことになるのだろうとは思いますが、そういうことのないように政策努力をしていく、こういう考え方でございます。
  199. 芳賀貢

    芳賀委員 その点は大臣と同じ意見なんです。だから、限度数量が超過するという事態にならぬようにお互い努力をする。  そこで市乳化が進んだといっても、なるほど全国的には六三%もう市乳化されておるのです。青森県も含めて。ところが、あなたの出身の北海道だけについてはこれは逆でしょう。ことしの実績生産量がおおよそ百七十七万トン、そのうち飲用向けが大体二十万トンですから、指数にすると市乳化が一二%程度ということになるんです。これは近代化計画を見ても、不足払い法ができてからも市乳化が進んでないのが北海道だけ。むしろ北海道が加工乳地帯に封鎖されるんじゃないかというような、そういう危険があるわけでしょう。米の転作と同じように、まさか大臣として扱う考えはないと私は信用しておるが……。このまま行くと、近代化計画の到達年の六十年には北海道に対して三百四十万トンの生産を期待しておるわけです。じゃ、その中で飲用がどれだけかというと、ことしよりも一万トン少ない十九万トンということになる。そうなると、三百四十万トンに対してわずか六%しか飲用向けにならぬというようなことになるわけです。だから、全国的に北海道も含めて市乳化が順調に拡大されるような方法というものを、政府の施策の中においても積極的に進める必要があるというふうに考えるわけですが、それが全然やられていないんです。これは大臣として何らかの新しい方策があると思うのです。あればこの際に聞かしてもらいたいのです。
  200. 中川一郎

    ○中川国務大臣 当初は東北四県か五県も含めて加工原料乳地帯であったわけでございますが、だんだん法律の政策効果があらわれてと見るべきでありましょうが、東北方面が市乳化になっていって、北海道がひとり、加工原料乳の五〇%以上の道になってしまったわけでございます。将来ともできれば私も市乳化地帯になるように政策誘導したい。たとえば北海道がそういうことになりますのは、運賃でございます。大消費地へ運びます場合、非常に運賃が高い。これは宮崎、鹿児島等もそうでございます。そこで、運賃助成をして市乳化に持っていったらどうかという意見もあるのでございますが、そういたしますと、今度は関東方面の酪農家の市場を荒らすということで、東西戦争ということになってしまうわけでございまして、そこで濃縮乳というような市乳化の工場も二つつくったりしてやっておるわけでございますが、いまのところ運賃その他からいってなかなか北海道が市乳化されないというのが現実ではございます。しかし、全体としてはやはり市乳化がふえるということの中にあって今後北海道がどう対応するか、この辺のところ非常にむずかしくありますので、議論をして前向きのことがあるものならばと思っておるところでございます。
  201. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、政府試算された保証乳価についてでありますが、昨日は豚肉あるいは国産の牛肉に対していずれも前年同様の据え置き、ゼロ回答を出しているのです。きょうもそうなるのじゃないかなと思って朝六時のテレビを見たら、やはり据え置き、大臣はその前にきのう参議院で、諮問する前に、これは質問者が上げろという質問と、消費者の立場で下げろという両方の質問が出たものだから、中間をとって、価格については据え置きのつもりでございますと中川大臣が言ったということがテレビに大きく出ているのです。だから、やはりきのう思ったとおりゼロが三つ続いちゃったわけです。  そこで、特にことしの据え置きの一番原因は、法律にある主要な加工原料乳の生産地域ということになると、ことしはもう北海道だけになっちゃったのですよ。その地域の生産費あるいは他産業労賃等を勘案するということになっておるわけですから、どうしても北海道の生産事情とか労賃事情等にウエートがかかのは制度上やむを得ないのですけれども、この点が非常に問題なわけなんです。北海道だけの一頭当たりの平均実乳量は五千五十三キロです。しかも、乳脂率が三・五八%、これを三・二%で擬制計算いたしますと五千六百五十七キロということになるわけです。実際の搾乳量とこの三・二%換算乳量を比較すると、一頭について六百四キロという差が出るのです。六百四キロですよ。これは実乳量に対して一二%の水増しということになるのですね。いままでないのですよ。大体いままでは六%ないし七%ぐらいの換算による水増しが出たが、北海道が急に乳脂率が高くなった関係もあって、一二%、擬制計算によると量が水ぶくれするわけでしょう。これを分母にして百キロ当たりの乳価というものを算出するわけですから、非常に低い答えというものが出るのですよ。  これを二様に分けてどうなっているかということを先ほどの質疑で明らかにしたのですが、一つは今月二十五日に農林省が公表された生乳の生産費によると、これは実乳量が四千九百七十九キロ、三・二%換算の擬制乳量が五千四百三キロ、それで搾乳牛一頭当たりの生産費が四十六万三千七百円ですね。これを三・二%の数量をふやした方の計算をすると、一キロ当たりの生産費が八十五円八十銭というものになるのです。ところが、実際のしぼった乳量で計算いたしますと、これは九十三円十三銭ということになるわけなんですよ。そうなると、一キロ当たりにして実際の乳量と水増し乳量による乳価の答えの差というものは七円三十三銭違うわけですね。これは大きいですよね。これは統計の長年の約束によってやったと言えばそれまで、実害がないと言えばそこでとどめておけばいいのですけれども、この方法を畜産物価格等に採用するわけですから、そこで問題が出るわけです。  二番目には、これは佐野議官に実乳量と三・二%乳量の場合にはどうなるかということをただしたわけでございますが、答えだけ申しますと、三・二%換算によって計算された保証乳価というものは、これがきょう審議会にも出ておりますが、キロ当たり八十八円三十八銭になっているんですよ。これは据え置きだからいずれ八十八円八十七銭に直す考えと思いますが、しかし、これを実乳量で計算いたしますと、その場合には一キロ当たりが九十八円四十六銭ということになるわけです。そうなると、実乳量計算と三・二%の擬制計算による差額というものがキロ当たりにして十円八銭違う。計算のやり方によってキロ当たり十円も違うわけです。  こう考えてきますと、いままでのやり方が絶対に正しい、それ以外の方法はないんだということを断定するわけにはいかないと思うんですよ。しかも、最初から政治的というか、意図的にことしはもう畜産物関係は全部据え置き、これがうまくいけば次の麦価にしても米価にしても、秋の畑作農産物も全部ゼロ回答で据え置きという、そういう特定の意図があってやるんであればこれは別ですが、何も大臣としても好んで据え置きにしたいとは思っていないと思うんですよね。だから、この計算も、いままでそうやってきたんだから変えるわけにはいかぬということではなくて、これは幾多の矛盾があるわけですから、こういう点についても、決定までわずかの余裕しかありませんが、十分この点を詰めて、そうして国会のわれわれから見ても、それから特に現地の生産者から見ても、これだけ改善された、なかなか中川農林大臣は顔に似合わずうまくやったわいというようなことになるようにしたらいいんじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
  202. 中川一郎

    ○中川国務大臣 確かに脂肪率によって計算をしますと、御指摘のようなことになるだろうと思います。しかし、三・二%というのは、農家が実際取引するときに使っている実態があるわけでございますから、農家手取りがどうなるかということを生産費をはじく場合には、やはり実態に合わせたのが適当なのであって、三・五八とか三・五幾らとかというのは、これがまさに擬制なのであって、ふところに入ることを計算する場合には実際ふところに入るであろう三・二%に直すのはやむを得ないことではないか。これは理解いただきたいと思うのです。  ただ、これを何か政策的に判断したらどうかということになりますと、まさに価格というものは何も一定のルールがあるものではなくて、やればできないことはないと思いますが、現段階においていま計算をいたしますと前年より若干下がる。下がるのはおかしいので、並べるという程度が現在の生産事情、先ほど御議論のあった市乳との関係で、こちらを上げますと今度市乳がさらにスライドして上がる。市乳が上がれば消費が減退をする。市乳がまた加工原料乳に回ってくる、こういう洪水といいますか、逆流といいますか、現象が起きてまいりますので、それらも配慮するならば、決して私どもは当初からこれを据え置いて、麦価も米価もあるいは秋に決まる農産物も据え置くために持ってきたのではなくして、たまたま計算をいたしますと下がらなければならなかった。下がっては気の毒なので政策的に昨年に据え置き、引き上げをやった、こういうことでございます。  政策的にこれを据え置かなければならないということで、無理していまの脂肪率を従来どおりやったとかいうことではなくして、むしろ今日酪農家のこういう生産費がよくなってきたということは数年来ないいいことであって、これを契機にしてさらに足腰の強い酪農にしていく絶好の機会にしていったらいかがかな、こう思っておるわけでございまするので、どうかひとつ据え置きを最初から決めてスライドの問題その他を処理した、こういうことではないということだけは御理解をいただきたいと存じます。
  203. 芳賀貢

    芳賀委員 これは最初に据え置きのつもりでやったところが、少し下がり過ぎたんでしょう。それであわてて据え置きに直したというのが実態だろうと思うのです。  それからもう一つは、いまの大臣の答弁の中に大きな間違いがありますから、この点だけは大臣の立場もあるので訂正しておいた方がいいと思いますけれども、あなたは三・二%換算があたりまえであって、実乳量のたとえば三・五八%で取引をするのは擬制だということを言ったが、これは間違いなんですよ。三・二%換算が擬制計算で換算して出すわけだから、しぼったままの乳が実乳量なんですよね。佐野君、間違えないように大臣に教えておけよ。日本の農林大臣があべこべのことを言ったなんといったら笑い物になりますからね。  そこで、取引状態というものはあなたの方が私より詳しいでしょう、十勝の日本の畜産基地で生まれているんだから。これは工場へ運ぶときは水増ししてないでしょう。しぼったままの乳で工場に搬入しておる。そこで脂肪検定をして、いや中川さんのはなかなかえさがいいから三・五八%ある。ところが、取引基準は乳脂率三・二%だから、そうすると基準よりも〇・三八%脂肪が多い。この分については工場と生産者の合意と言われておりますけれども、〇・一%を超えるごとに一円脂肪加算をするということになっておるんですよ。これは双方で相談して決めたというのだから、われわれが見ると〇・一で三円ぐらいは当然だと思うのですが、そういう取引をしているわけです。だから、この取引については、何も三・二%の擬制計算をした乳量で取引するわけじゃないんです。だから、三・二%換算と実体取引は全然関係がないんですよ。ただ、価格算定する場合に、以前から統計の方では三・二%に換算をして、そして一頭当たりの第二次生産費を分子にして割っておるから、そういうことをやっておる。たまたま畜産局としてみて、これはいい方法だ、こうやればキロ七円とか十円安くなるからこれを使え。中川大臣が指示したのじゃなくて、これは十年も前からやっているわけだから、そういう間違いは何もあなた踏襲する必要はないんじゃないですか。  だから、こういう点がありますからね。大臣、こっちを向いてなきゃだめよ。役人なんかとは晩に相談すればいいのです。どこに問題があるか、これは国会のわれわれ委員だけが気がついたのではないのですよ。北海道と言わず、全国の酪農民、畜産農民の皆さん方がこういう矛盾にだんだん気がついておるわけですから、それをばかにして、なにいままでどおりやれば何もわかるものではないというようなことではだめですよ。あなたは大臣ですけれども、三年も五年もやるわけではないが、政府の官僚機構の中にそういう弊害というか、弊風というものがだんだん充満しておるのですよ。そういう点はやはり国務大臣として、官僚の誤りを正すぐらいの度胸がなければだめでしょう。中尾委員長は青嵐会の座長、中川農林大臣代表だ。そういうそうそうたる実力者がいるわけだから。  これは余談になりましたけれども農林大臣がすべて決定して告示をするわけでありますから、ぜひいまの日本の畜産関係の実情、とにかく生産が上がって、にもかかわらず、外国からの乳製品の輸入というのは減らないでしょう。これを生乳に換算すると年間二百二十四万トン。先般畜産局長は、いやそれほどはない、二百四万トンはありますということを言っておりましたね。だから、近代化計画に農民が協力してどんどん国内の生産が伸びるということになれば、消費がそれに伴わない場合には、どうしても国産優先ということになれば、過剰傾向になった場合には外国から入る乳製品をまずそれだけ削減するということをやらなければ、これはまた黒字減らしでECとか豪州、ニュージーランドもやかましいわけだから、大臣が抵抗しているということはわかるよ。しかしまた、しようがないから乳製品もふやせということになると、やはりこれが外圧になって、日本の米作農民にしても、畜産農民にしても、結局は全部農業の部面にしわ寄せを受けるということになるわけですから、この際、国内の食糧の自給度を上げて、安定的な確保を図る、その路線というものを、農林大臣として先頭に立って、その馬力でやってもらいたいということです。あとはどういう答えをあなたが出すかは、これはあしたかあさってですから、十分にがんばってもらいたい。
  204. 中川一郎

    ○中川国務大臣 先ほどどっちが擬制かということで、誤解があったら訂正いたしておきますが、生産費調査するときは実際の脂肪率で計算するわけでございます。そして三・二%に換算をするというから、こちらが擬制であるかもしれません。そして、実際取引するときには三・二をベースにして、三・五七なら三・五七に見合ったようにまたそこで戻すわけでございますから、一時擬制であってもお支払いするときにはまたもとの姿に返る、こういうことになっておりますので、どっちが擬制であるかは言い方は間違いにしても、間違った計算の仕方を、しかも故意にはやっていない。  特に、外国からの輸入のことでございますが、この際申し上げておきますけれども、ニュージーランドでははっきり言っているわけなんです。わが国よりも四倍、三倍、二倍高いものを食べなくても、わが国のものを買ってくれれば国益に合うじゃないですか。そうしてくれれば、わが国は魚をとらしてあげましょう。畜産物を買わないならば魚はとらせない。その判断に立って、私も、非常に厳しかったのでございますが、いかに外圧といえども、輸入のもので国内の生産をおかしくしてはならぬということで、残念ながら魚をとることを一時中断をして、漁船がきのうから日本へ向け帰国をしている。  こういう実態を見ていただいても、私も酪農家の出身でもございますし、長い目で見て、価格政策、金融政策、草地改良の政策、負債整理その他あらゆることを講じて、酪農家が将来にわたっていい方向に断固としてやっていきたいということでございますので、価格で不十分のところは、まああいつが悪いやつだということで結構でございますけれども、長期的には農村が外圧にやられないように、そして、しっかりしたものになるように最善を尽くしてまいりたい。御指摘もございましたので、十分検討させていただきたいと存じます。
  205. 中尾栄一

  206. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 昭和五十三年度加工原料乳保証価格及び豚肉牛肉の安定基準価格等について、農林大臣に見解を求めるものであります。  三月十七日、当委員会で、畜産価格問題で政府諮問を前に見解をただしたわけでございます。その後、三月二十三日には畜産酪農政策・価格要求全国農協代表者大会が行われ、さらに翌二十四日には全青協全農婦協の大会等も行われました。さらに三月二十七日には、大臣出席がございませんでしたけれども、午前中には六人の参考人を迎えて長時間にわたる質疑を行い、午後はさらに政府の見解をただしてまいりました。この間、私は四時間半にわたって質問してまいりましたが、重要な価格決定を前に、農林大臣に対して最終的に総括をして質問をいたすのであります。時間の制限もございまして、全部にわたることはできませんけれども、いままでたくさん論議をしてきたことについては農林大臣も十分問題を把握をしておられると思いますので、細かい説明は抜きにして、重要な問題をはしょって大臣の見解をただし、いよいよ三日後に決定をされる価格について、さらに農民が再生産に希望を持って営める農業にしていただくために、十分なる検討をして最終決定をしていただきたい、このことを冒頭申し上げるわけでございます。  さて、本年度の畜産物価格等の決定に当たりまして、御承知のように、米の転作、農畜産物輸入などによりましてわが国の食糧自給率は低下の一途をたどっております。とりわけ畜産、酪農は負債の累増と飼料の海外依存の高まりによりまして、その経営はきわめて不安定な中に置かれていることは御承知のとおりでございます。かかるときに当たりまして、今回政府畜産振興審議会に対し、いろいろ事前に伝えられておったとは言いながら、果たせるかな加工原料乳保証価格及び豚肉牛肉の安定基準価格等の据え置きを諮問したことは、まことに遺憾であり、適当でないとわれわれは思うのでございます。そこで、この畜産農民の生産意欲というものは、このことによって大変衰退をしておりますし、また農民の怒りというものは各地からの電話等によってわれわれもひしひしと感じておりますが、こういったことを思いますときに、さらに海外からの畜産物輸入圧力に農林省は迎合する、こういうふうに言われてもいたし方ないことでございます。  そういったことで、大臣も所管大臣として十分対策をとって対処していただくと思いますが、特に私は最初にお尋ねしたいのは、そうした背景のもとに、本年の畜産問題で最重要な課題は、何といっても、いままでたびたび論議してまいりましたが、五十二年度のいわゆる限度数量を超える二十万トンについて、補給金並びに乳質改善奨励金を交付対象としていただきたいということであります。大蔵省もいろいろ言っている、難渋を示しているとはいうものの、昨年やったから昨年とことしの二年続きの超過でありますが、ことしやれば来年もということになるかもしれませんけれども、そういったことではなくて、特にことしは昨年と状況が違うということを認識をされて、これに対する交付金の対象としての手厚い対策をひとつとっていただきたい。これを端的にひとつ大臣からお答えをいただきたい、かように思います。
  207. 中川一郎

    ○中川国務大臣 限度数量につきましては昨年見ましたことは事実でございますけれども、米におきましても制度、仕組みからいって限度数量は重きをなしておるわけでございます。生産のあるべき姿はこの程度であるというところの線をみだりに超えまして、生産されたものは皆買う、対象とするということになれば、これは制度、仕組みからいっておかしいのでありまして、去年見たからことし見るべきであるという議論もありますけれども、そうもいかないというところもあるのでございまして、財政当局や生産事情やあるいは審議会意見や来年からの需給関係や、いろいろと判断をして対処しなければならないとは思いますが、いままだここでこれは対象として措置をとると言う段階に至っておりません。しかし、今後十分検討してみたいとは思いますが、なかなか厳しい情勢にあるということも事実でございます。
  208. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣は北海道出身でもあり、北海道を特にというわけでもございませんけれども、北海道農民は大変この問題を重視しておるわけでございまして、十分承知しておられると思うが、十分対処をしていくという御答弁でございますが、このことについてはここでは答えは出ないかもしれませんが、本当に真剣に考えてひとつ対策を講じていただきたい、かように強く要求しておきます。  それに関連して、ことしの例から見ましても、五十三年度の限度数量については、これはまたこのようなことを繰り返してはなりません。ことしの例から見ましても十分に検討してもらいたい。私たちとしては、五十三年度については少なくとも二百万トンを目標として設定すべきではないか、かように思っております。もちろん、御存じのように、乳製品も入っているわけですから、まず自国の加工原料乳を守るということが大事である、そういう意味で五十三年度目標についての見解をお聞きしておきます。
  209. 中川一郎

    ○中川国務大臣 五十二年度が百五十八万トン、それに対しまして二十五万トン増の百八十三万トンに見ましたことは、限度数量としては相当思い切った伸ばし方でございます。したがいまして、今後の政策のあり方ではありますけれども、ぜひともこの程度に加工原料乳が来年度末には実績として一致したというふうにしたい。先ほども申し上げましたが、不足払いの制度は市乳化するための暫定措置であって、市乳化を減らして加工原料乳をふやすというのは政策、法律のねらいとは違っておるところでございまして、百八十三万トン見たのは相当見てあると思います。  ただ、外国から買っているからではないかと端的におっしゃいますけれども、実はその大部分は家畜のえさ生産者のために安い脱脂粉乳を買ったり、あるいはまた学校給食等の特殊な用途、あるいは日本では生産をされないチーズ、そういったものが中心であって、日本人が必要とする生乳やバターやそういったような脱脂粉乳等についてストレートに困るような輸入は差し控えておるところでございますので、生乳換算が二百万トンあるからこれは全部まだいいのだというように直結をされないで、その中身も十分御検討いただいて御判断をいただきたいと思う次第でございます。
  210. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、先日の委員会でも指摘してまいりましたが、食肉の問題で、牛肉の卸売価格中心価格を割り込んでいる実態でございますことは農林大臣もよく御承知だと思いますが、いわゆるこの中心価格と上位価格の間で維持するよう、事業団による輸入牛肉の売り渡し量の圧縮ないしは売り渡し停止措置をとるようにやっていただきたい、そして国内畜産農家をひとつ守っていただく、こういうことをお願いしておるわけですが、これについてどうであるか。また、豚肉の輸入抑制指導もぜひひとつ徹底してもらいたい、かように思うわけですけれども、これについてもひとつ総括的に大臣からお答えをいただきたいと思います。
  211. 中川一郎

    ○中川国務大臣 牛肉の値段はいわゆる支持価格中心線、へそ価格、ここにいくのを一番理想といたしております。そこで、現在は若干このへそ価格中心価格を下回っておりますけれども、一時期は相当上な時代もある。この中心に近づくような政策運営、むしろできれば若干これよりは上位価格の方に近い方にいくのがいいのではないかと思っておりますので、その点は今後の肉の推移を見ながら処置してまいりたい、こう思う次第でございます。  なお、豚肉につきましては二重関税によって、いまは高い税率によって輸入をいたしておりまして、これもまあまあいいところにいっておる、こういうわけでございます。今後値下がりがあるような場合には関税操作をいたしますが、いまのところはまあまあいいところではないか、こう思っておる次第でございます。
  212. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、子牛の出産奨励金の現行一頭一万円を三万円に引き上げていただきたいというのが各農業団体からの強い要請でございます。これもせんだって委員会でいろいろ論議したところでございますが、子牛価格支持制度を拡充していただく、そして素畜の確保、増強をしていただきたいというのが畜産農家の要請でございますが、これについては農林大臣はどういうふうな見解をお持ちですか。
  213. 中川一郎

    ○中川国務大臣 一万円の子牛対策費というのですか、しりに一万円張るというこの仕組みは非常に喜ばれておりますし、今日の畜産事情を考えるときに素牛というものは非常に大事であるということでございますので、これも何とかいたしたいと思っておりますが、三万円になるか二万円になるかまだ判断しかねておりますが、ひとつ財政当局その他とも相談をしてできるだけのことはしたい、検討はいたしたいと思っておりますが、まだここでいかほどにすると申し上げられる段階にはこれもないということでございます。
  214. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 さらに、これも先日の委員会でいろいろ政府の見解をただした問題でございますけれども、肉牛の価格低落の実情を踏まえまして、畜産経営改善資金は五十三年度もぜひとも実施していただきたいし、償還期限の延長などの貸付条件の改善並びに対象範囲の拡大をぜひしていただきたいという要請が各団体から出ております。また、農協・連合会の預託肉畜の事業資金について利子補給の措置を講じていただきたい。さらには、中小規模畜産農家の経営資金に対する利子補給も講じていただきたい。こういう強い要請が出ておりますが、今回のこの価格決定とともに重要な今後の問題でございますので、これもひとつ最終総括的に大臣の見解を伺っておきたい、かように思いますので、御答弁いただきます。
  215. 中川一郎

    ○中川国務大臣 こういった金融対策というものは足腰の強い畜産農家経営のために必要でございますので、答申を待ちまして、どこまでできるか、最善の努力をしてみたいと思っております。
  216. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 これも私、せんだって政府当局に質問しましたが、これは大臣にもぜひ見解を伺いたいということで残してあった問題ですけれども、先ほどもちょっと触れましたココア調製品等のいわゆる擬装乳製品輸入、これが大変国内酪農民を圧迫しております。その実態をぜひともひとつ農林省は追跡調査をしていただいて、指定乳製品の事業団一元輸入の法規定に反しない措置をとるようなことをしてもらいたいと思うのですが、これに対しては大臣はどういうお考えでございますか。
  217. 佐野宏哉

    佐野説明員 失礼ですが、いま御指摘のございましたココア調製品等の実態の調査の問題につきましては、ユーザーが非常に多岐にわたりますのでいろいろむずかしい問題があると思いますが、先生の御趣旨に従って関係方面の協力を得ながらできるだけ調査を進めたいと考えております。
  218. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 さらに、これもせんだって追及した問題でございますけれども飼料安全法施行に伴う事故畜の増加が最近は大変多いわけでございます。詳しいことを言う時間がございませんが、さらにはふん尿処理施設投資の増大にかんがみまして生産性向上並びに付帯経費への対策をぜひ講じてもらいたいと同時に、こういった要素が、豚肉等についても百キログラム当たり千五百円も経費がかかっている。それでまた、従来から見て二十日も一カ月も飼育期間が延びておるというようないろいろな問題が起きて、それらが農家の負担にかかっております。したがって、生産費はともかくとしても、こういった生活費は物価の指数によってずいぶん上がってきておるわけですから、そういったことを考慮すれば今回の諮問は何も据え置きにはならぬはずであるのですけれども、こういったことをたくさん指摘したわけでございますが、いま申し上げたこういった問題については大臣はどういうふうに考えておられるか、最終的にお答えをいただきたい。
  219. 佐野宏哉

    佐野説明員 お答えいたします。  飼料安全法の施行に伴いまして、従来の飼料添加物として認められておりました薬剤のうち一部が飼料添加物として継続使用ができなくなった、あるいは継続使用が許可されたものについてもその使用方法が制限されている、そういうことによりまして伝染性疾病の発生がふえる、そういう事態を防止するために、日常の衛生管理の適確な実施が一層肝要になってきておる実情にございます。それにつきましては、農林省といたしましては五十一年度から家畜飼養衛生環境改善緊急対策事業というような措置によりまして、あるいは家畜伝染病予防法に基づきます発生予防の措置を一層確実に行うことによりまして、この結果、特に豚の死亡事故が多発しているというふうな事態は回避し得ているというふうに考えております。  それから、肥育期間が延びるという事態になっておるはずではないかというお話でございますが、五十二年における去勢和牛の肥育期間は十七カ月でございまして、前年の十五・七カ月に比べますとかなり長くなっていることは事実でございます。これは肉牛肥育が飼養規模のメリットよりも一頭当たりでの所得増加を求める志向が強く、出荷時体重を大型化するという傾向があって、この期間の牛肉価格がそれまでの高値から安定してきた、あるいは鎮静してきた、そういう事態に対する反応として起こったというふうに私どもとしては考えておりまして、飼料安全法の施行に伴う、そういうことではあるまいと考えております。  それから、公害防止等の施設投資がふえておるという点につきましては、牛肉につきましても豚肉につきましても生産指数をつくる際、それぞれ当該費目の中で適切に見込んでおるつもりでございます。
  220. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林省は適当なことを言っているけれども、この間も参考人を呼んで全国代表者にいろいろわれわれが意見開陳に対する質疑をした際にも、私たちが言っているようなことをたくさん言っていたわけだ。当局も聞いていたと思うけれども、公開の席だからそういったことを言っているけれども、実情は十分把握してない。そういったことをもっと十分に勉強して対策を講じなければ、日本農業はまさに大変なことになると指摘しておきます。  時間もございませんので、あと若干はしょって質問しておきますが、けさも当委員会に対して、全国養鶏経営者会議の副会長関口保太郎氏以下十五名の方が陳情に見えましたが、養鶏問題について若干触れておきます。  商社養鶏のインテグレーション進出阻止についての陳情がなされたわけでございますが、この問題についても先日、三月十七日に一時間余にわたっていろいろ追及いたしましたので、その内容については政府も認めておることもよくわかったわけでありますけれども、重要な問題でありますので要点を二、三点にしぼって農林大臣に伺っておきます。  政府は昭和四十九年五月より、農林省三局長通達によるところの鶏卵の生産調整の行政指導を実施しておることは御承知のとおりです。にもかかわらず、一部巨大商社養鶏は大規模なやみ増羽を行い、市場の寡占化をねらっております。そのため、まじめに生産調整を守っている零細養鶏農民はその生存権を奪われてきておりまして、容易ならざる状態が発生しております。このようなわが国の養鶏の体質を改善してその真の発展を図るためには、何としてもこの養鶏というものを農業という位置づけをしなければならぬ、かように私は思うわけです。  そういった点で、まず一つには養鶏を農業の一部門として位置づけ、その認識の上に立ってその担い手を農民とする基本的養鶏政策を確立し、商社養鶏のインテグレーションの進出を阻止するということについて農林大臣はどういうように見解をお持ちであるか、お答えをいただきたい。
  221. 中川一郎

    ○中川国務大臣 確かに御指摘のような問題がございますので、無秩序な企業による生産、いま特に鶏卵は生産調整を行っておりますから、そのようなことのないように指導してまいりたい、こう思っておるわけであります。     〔委員長退席山崎(平)委員長代理着席
  222. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間が幾らないといったって、前もってちゃんとこういう問題を時間がないからはしょってばっぱっと質問するから総括的に大臣から答弁せよと言ってあるのだから、そうまごまごせぬでぱっぱっと答えてもらわぬと時間がなくなる。  去る三月十七日、イセ、タケクマ等巨大商社の養鶏の実態を明らかにして政府の見解をただしたわけでありますが、このイセ、タケクマに限らず、こういった巨大商社というのがいま全国各地にいろいろとふえつつありまして、当初計画よりも増羽が盛んに行われております。これらが、いわゆるまじめに生産調整をやっておる農民を物すごく圧迫してくることは言うまでもありません。そういったことで、やみ増羽分を昭和四十九年五月の凍結時点羽数に復元させる、こういうような強力な指導をしてもらいたいと思うが、これに対する農林大臣の見解はどうですか、明らかにしていただきたい。
  223. 中川一郎

    ○中川国務大臣 鶏卵、鶏肉は日本の中の農産物では優等生として今日までやってまいりまして、私どもも高く評価しておったところでございますが、最近そういった傾向が出ておりまして、まことに遺憾だと存じておりますから、もっと強い指導によって、従来の養鶏農家に支障を与えないように指導してまいりたいと存じます。
  224. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ちょっと声が弱くて力がないようですけれども、いわゆる従来の時点の羽数に復元するように、ひとつ強力に指導してもらいたい。そういうふうに理解していいですか、大臣
  225. 中川一郎

    ○中川国務大臣 これは強制力がありませんので、いつの時代の何ぼの羽数とは申せませんけれども農林省としてでき得る限りの指導によって混乱を起こさないように指導してまいりたいと存じます。
  226. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣は、そういうふうに生産調整をまじめにやっている養鶏業者がこういった企業によるインテグレーションによって相当圧迫を受けているということは十分承知でございますね。
  227. 中川一郎

    ○中川国務大臣 承知いたしております。
  228. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこでもう一点、膨大なやみ増羽を行って、鶏卵生産調整の行政指導に違反したイセ、タケクマ等巨大商社養鶏を卵価・飼料安定基金から除外し、制度資金及び系統資金の貸し付けについて即時返還させるなど処置をする、こういったことをすれば、相当抑制できるわけです。そういったことは当然指導の中に含めてやれることだと私は思うわけですが、そういうことをしなければ、いまおっしゃるように法的規制能力がないということで放任すれば、ますますこれはどんどんふえていく、あたかも畜産における肉牛の生体輸入と同じようなことになってきまして、とめどもないことになってくると私は思うわけです。  そういった意味で、こういったことを含めて、きちっとした処置をしてもらいたいと思うが、それに対して大臣の見解をお伺いしたいのであります。
  229. 佐野宏哉

    佐野説明員 実態を調べまして、先生の御趣旨に沿うように措置をいたすつもりでございます。
  230. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いまの件について大臣の見解を求めます。
  231. 中川一郎

    ○中川国務大臣 佐野議官の答弁したとおりでございます。
  232. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ぜひとも実態を調査して強力な対策をしていただきたい。そして、日本の農林省の指導によってまじめにやってきた養鶏農家、しかも生産調整を農林省の指導によってまじめにやってきた養鶏農家でございますので、そういった人を守るために十分な指導をしてもらいたい。そうしなければ養鶏農家は優等生どころか落第生になって、いよいよ行き詰まりがきます。そういったことで、一部の商社の暴利に任せることなく、日本の将来のため、食糧確保のためにぜひとも強力な指導をしていただきたいということを再度要求しておきます。  最後に、もう少し時間がございますから質問をしておきますが、十二年間にわたる新東京国際空港の空港反対運動の総決算ともいうべき三里塚・芝山連合空港反対同盟の開港実力阻止闘争は、二十六日の支援学生による同空港管制室の破壊によって、事実上の開港延期の事態となり、新たな局面を迎えたわけであります。すなわち、成田は開港延期となったわけであります。  基本的には、新空港決定のいきさつと政府の住民無視の態度に問題があったと指摘せざるを得ません。御承知のように、十二年前、政府が地元農民の声も聞かずに、パラシュートで降下するような垂直的、一方的なやり方で新空港の場所を決め、日本有数の穀倉地帯を十分な地域住民に対する説明も説得も行われないまま工事を強行し、開港を強行しようとしたところに、今回の事件の一つの原因があると思うのでございます。物事は出発点が大事でございまして、ボタンでも、下をつけ間違うと上までだんだんつけ間違うというようなことで、十二年間こういったことが大変問題になってきた、こう思うわけです。十二年前、政府が地元農民の声も聞かずに一方的なやり方で新空港の場所を決め、地域住民に十分な説明も説得も行わないまま工事をした、こういったことがいま問題になりつつありますが、当時農林大臣大臣じゃなかったにしても、私は現大臣にそのことについてあえて聞くわけですけれども、こういった問題について、今回の事件の原因がこういったところにあるとわれわれは指摘するのですが、農林大臣は、過去を振り返り、現農林大臣として今回の問題について農林大臣の立場からどういうふうにこれを理解しておられるか、その考えをお聞きしておきたい、かように思います。
  233. 中川一郎

    ○中川国務大臣 成田新空港に対する用地、中でも農地に対する対応の仕方でございますが、これは十分話し合いをして、大方の納得を得て飛行場建設に踏み切ったところであり、ごくほんの一部の方々がまだ納得いただかないところがありますけれども、今度の事件はそういった農家の方々に端を発したものではなくて、昨日の政府声明でも明らかなとおり、全く異質の、別の意図を持ったグループによる無法、法治国家にあるまじき行動であると判断をいたしておりますので、どうかこの問題が農家を中心にして立ち上がったものだという御判断はとらないように願いたい。まことに悪質、異質な過激派行動によるものだと判断をいたしておるわけでございます。
  234. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣、事の是非はともかくとして、私はやはり農業を担当する当委員会、また農林大臣としてどう考えているかということをお尋ねしたわけですが、いまの答弁を聞いていると、私の質問したことに触れずに、今回の問題は異質の問題であるということで、最近の事例をとらえておっしゃっているけれども、その真因、深い原因、その源はということで、十二年間にわたってこういった問題が重なって今日起こってきた、その原因、一番もとをなすところは、やはり農地を大事にしなかった、農地を本当に守らなかった、農地の問題を真剣に政府が考えて対処をしていなかったところにある、当時の大臣がそういったことについて十分配慮が足らなかったということをぼくは指摘せざるを得ない、こういう意味で言うわけでございまして、いまの原因はさかのぼれば過去にあるわけですから、その源を私は言うわけです。源清ければ流れ清しと言われますように、一番源が大事です。そこの精神をこの機会に、事の是非はともかく、大臣に聞くわけです。  そして、いまおっしゃっておりますけれども、何としても見落としてならないことは、今度の新空港建設に至る姿勢には、日本農業軽視につながる姿勢があった、こういうふうに言われても仕方ないと思うわけです。そんなことがあったがゆえに、今日ずっとやってきた。だから、今後の農地を守るためにも、農林大臣として日本農業を、この間も言ったように、いまのままでいけば農林水産業冬景色で春は来ない、春がすみも来ない、少し暖かくなるくらいだ、こう言っておりますけれども、むしろ冬景色から酷寒景色に逆戻りするのではないかとぼくは大臣に指摘したわけですが、そういった意味で、日本農業、また日本国民を守るためにも、大臣はこういったことを今後も十分注意してもらいたい。と同時に、今度の事件を通じ、その源を反省してのあなたの見解を求めておきたい。そしてまた、今後こういった問題についてはいろいろ他の委員会でも追及していくわけですけれども、あなたの考えをこの機会に聞いて、私もまた次の質問の参考としたいと思って尋ねておるわけでございますので、その点について再度御見解を承りたい。
  235. 中川一郎

    ○中川国務大臣 日本の農業は大事でございますし、農地はことさら大事にしなければならぬということで、世界に比較しても日本の農政は劣っていることをやっておらないし、できるだけのことはりっぱにやってきたと思っております。しかも、これだけ土地条件、気象条件の悪い日本において、一億一千万からの国民の食糧の七〇%近くを総合自給率において自給する、そしてまた世界から三倍、五倍高いと言われながらもやはり自給は必要であるということで、外国よりの圧力よりはむしろ消費者からもいろいろ非難のある中に、しっかり農村を守らなければならないということでやってきたつもりであり、今後もいろいろ御批判はありましても、農業は国の宝であるというところからがっちり農村を守っていきたい。  その中において、農地ももちろん大事にしなければなりませんけれども、やはり空の玄関も、国家として形成をする上になければならない問題でございますから、そういった観点から対応はいたしましたが、その間農家の皆さんには補償すべきは補償し、代替地を探すべきは代替地を探して、大方の御了解を得たところであって、ほんのごく一部の納得しない方々があったことは事実でございますが、その方々に便乗した全く異質の暴力行為であって、そういうことを利用した彼らこそ反省すべきであって、われわれとしては農地に対する対応は間違っておらなかった、こう思う次第でございます。
  236. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間が参りましたので、以上で質問を終わります。
  237. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 神田厚君。
  238. 神田厚

    ○神田委員 農林大臣に、豚、牛肉安定価格の問題、さらには加工原料乳保証価格の問題について御質問を申し上げます。  すでに何度かこの委員会におきまして、われわれは、価格の問題が非常に大事であるからひとつ十二分にそういう問題を消化して諮問を出すようにという論議をしたわけでありますけれども、残念ながら、諮問された内容を見ますと、実質的には据え置きというような状況であります。私どもはこれを非常に遺憾とするところでありますけれども農林大臣からこれらに対する御見解をお聞きしたいと思うのであります。
  239. 中川一郎

    ○中川国務大臣 乳価にいたしましても牛肉にいたしましても、趣旨は、再生産が確保されるということを基本として値段を決めることになっております。かなり生産意欲の強かった昨年度をベースに計算をいたしますと、えさが非常に、しかも長期的に下がった、あるいは牛乳においては生産性が非常に向上しておるというような面もありまして、生産費はむしろ五十二年度よりはややではありますけれども低く出るというような事態ではございましたが、引き下げるということはおかしいので、いかがかということで据え置きで諮問いたしました。据え置きではありましても、生産事情がよろしいわけでございますので再生産は確保される、こう判断をして諮問をいたした次第でございます。
  240. 神田厚

    ○神田委員 たびたび当委員会などにおきましても、再生産が確保されるような価格にする、と同時に畜産農民の生産意欲を阻害しない、こういうようなことをお述べになっておるわけです。しかし、実際に据え置きというような諮問は、さらにそれに見合った答申が出てくるようでありますけれども畜産農民の生産意欲を阻害しないかどうか。私は、やはりこういうふうな価格のあり方では生産農民の生産意欲というものを相当阻害するのではないか、そういうふうに感じているのですが、その点はどういうふうにお考えでありますか。
  241. 中川一郎

    ○中川国務大臣 牛乳にいたしましても牛肉にいたしましても、価格だけで政策は終わるわけではありませんので、価格は据え置きではありましても、その他の対策について、生産対策いろいろありますが、きめ細かくこれと並行して行うならば再生産は確保されますし、生産意欲は落ちないものと判断をいたしております。
  242. 神田厚

    ○神田委員 大臣が言われますのは、いわゆる生産条件を整備するということであろうかと思うのでありますけれども、そういう中で一番問題になりますのは、算定方式というものに非常に問題がありたわけです。この算定方式を変えなければやはり価格に適正に反映されるようなものにならない。それで、昨年の畜産審議会飼料部会におきましても、あるいは食肉部会におきましても、この算定一つの大きな問題は、算定の時期について十二分に検討した方がいい、ということは、その時期をどこにとるかによりまして生産費の問題あるいはその他の問題に非常に影響を持ってくる、こういうような附帯決議が出されているわけであります。  したがいまして、私はことしの畜産価格諮問を見まして、どうしてもこの時期に決定をしました場合には、大臣がおっしゃるように、ある程度現状でやむを得ないような試算が出てくるかもしれない、しかし、これはやはり算定の時期というものをもう少し考えていって、生産費やほかの労賃との関係を見ていけば必ずしもそういうふうな形にはならない、もっと適正な価格が形成されるのではないか、こういうふうに考えるのですが、いかがですか。
  243. 中川一郎

    ○中川国務大臣 いつの時期に算定するかによって農家に利益、不利益があるのではないか、こういうことでありますが、その時期時期によっていろいろありますので、会計年度の区切りでやるのがまあまあ常識的なところではないか、こう思うわけでございます。
  244. 神田厚

    ○神田委員 会計年度でやるのが常識だということでなくて、畜産局長の説明には慎重に審議をするということを明確に書いてあるわけです。ですから、それはただ単にどこをとっても同じだから会計年度でやるのが適当だということは、私は納得できないのであります。畜産局長は今度の説明の中でも、また食肉部会の中でもその十五ページに、やはり検討しなければならない事項だということを明確に言っているわけです。「決定時期変更に伴って生産費調査価格算定の基礎資料をどう整備するか等種々検討を要する問題がある」というふうに価格形成の根幹にわたって意見を述べているわけであります。したがいまして、大臣はそういうような前向きの形でひとつよくお考えになられまして今後とも対処していただきたい、このように思うのですが、いかがですか。
  245. 中川一郎

    ○中川国務大臣 会計年度がよかろうとは思いますが、畜産振興審議会においてもいろいろ御議論のあるところでございますから、十分検討して、いい時期があればいい時期に改めるように検討してまいりたいと存じます。
  246. 神田厚

    ○神田委員 これは価格決定の時期だけじゃなくて、附帯決議がいろいろ出されております。ひとつそれにつきましては十二分に御検討いただき、尊重していただきたい、こういうふうにお願いをしておきまして、次に移りたいと思います。  まず第一に、加工原料乳の問題でございます。これは先ほどもいろいろお話がありましたが、限度数量を超える二十万トンについては補給金並びに改善奨励金の交付の対象としていただきたい。この問題につきましては、畜産局長の説明の中でも八ページに「この限度数量を超えた数量についてどのような措置をとるかにつきましては、現在、財政当局を含め、鋭意検討を重ねているところでありますが、この問題につきましては、酪農経営の実情のほか、今後の需給関係に及ぼす影響、不足払法における限度数量設定の意義等各種の検討を要すべき問題が関連しておりますので、委員各位の御意見も賜わり、関係各方面とも相談しつつ、早急に結論を得たいと考えている次第であります。」非常に何か意味の含まれている報告がなされているようであります。  どうかひとつこの点につきまして大臣の方から、まだ決定は三十日ということでありますから、前向きな御答弁をお願いいたしたいと思うのであります。
  247. 中川一郎

    ○中川国務大臣 ただいま神田委員が御指摘になりましたように畜産局長が申しております。まさにこのとおりでございまして、十分各方面と協議を重ねて最終成案を得たい。ただ、いまここで御指摘のとおり処置をいたすことにいたしますと言い得ないことを残念といたしますが、非常に厳しい問題もありますので、どういう結果になりますか、最善を尽くしたいと存じます。
  248. 神田厚

    ○神田委員 次に、食肉関係でございますけれども、これも非常にやはりいろいろ諮問価格というものは問題を持っております。しかし、それを私どもはこれからさらにこの価格の変更等につきまして強く要求をしていくわけでありますけれども畜産全体の振興の立場から見まして、どうかひとつこの畜産の条件整備につきましてさらに一段と、先ほど大臣の方から答弁がありましたけれども、条件整備のための政府の御努力をお願いしたい、こういうふうに思っているわけであります。  先ほどほかの委員の方からも御質問が出ましたものですから簡単に申し上げますが、たとえばいろいろな問題の中で、輸入の問題が非常に大事になってきております。この豚肉の輸入の問題を中心に私はこれから大臣にいろいろと御意見をいただきたいのでありますが、豚肉だけでなくて相当食肉が日本に輸入をされております。この食肉の輸入の実態、どこの国からどの程度食肉が入っているのか、これをひとつ明らかにしていただきたい。そういう中で、これらの輸入の実態の中から、これから日本の畜産というものをどういうふうに育てていくのかという一つの大きな示唆があるというふうに私は感じております。と申しますのは、私も驚いたのですが、こんなに食肉が輸入されているとは思っていなかった。ところが、実際調べてみましたら、とんでもないほどいろいろな肉が輸入をされているわけであります。豚肉だけではありません。それらの全般的な食肉輸入の実態をひとつ明らかにしていただきたい、こういうように思うのであります。
  249. 佐野宏哉

    佐野説明員 お答えいたします。  昭和五十二年の数字について見ますと、肉の種類別には一番多いのは羊肉でございます。これが十四万八千トンほど入っておりますが、これはオーストラリアから十万トン、ニュージーランドから四万七千トンということでございます。次に多いのは豚肉の十万八千トンでございますが、第一の輸出国はカナダ、ここから三万五千トン、アメリカから二万四千トン、台湾から一万七千九百トン、デンマークから一万五千六百トン。それから、その次が牛肉でございまして、五十二年の通関統計で八万四千五百トンでございます。オーストラリアから七万二千、ニュージーランドから四千、アメリカから七千三百というふうになっております。そのほか家禽肉、馬肉等も輸入をされておりますが、これはもう少し下の数字でございます。
  250. 神田厚

    ○神田委員 いま話を聞いただけでも、牛肉が八万四千トン、それから豚肉は十万八千トン、羊の肉が十四万八千トン、それから馬肉が、おっしゃいませんでしたけれども、私の調べでは約五万二千トン入っております。これらはいずれも精肉ベースです。精肉ベースというのは、いろいろ話を聞きましたら枝肉の七割だということでありますから、さらに枝肉に換算いたしますと、これの三割増の輸入がされておる、こういうふうに考えていいだろうと思うのであります。一方、そういうふうな状況の中でさらにブロイラーを初めとする家禽類が約四万八千トン入っております。全体を見ますと相当数の食肉を輸入しているわけですね。  こういうものを輸入をしているその実態ということについて大臣はどういうふうに考えておられるか、ひとつ御所見をお伺いしたいと思うのであります。
  251. 中川一郎

    ○中川国務大臣 基本的には国内で自給できるものは国内で賄う、足りないものは外国から仰ぐということを憲法としてやっているわけでございます。ただ、肉について言うならば、実は豚肉でもそうですか、ブロイラーでもそうですし、牛でもそういう傾向が強いのでございますが、えさは大体外国から入ってきておるわけでございます。でありますから、本当の意味で自給率が高いと肉で言えるのかどうか。えさを入れてきて肉にかえておるという不安定要素が実はあるわけでございまして、しかも、そのことが国民にとって高い肉になっておる、こういう批判もございますので、あながち国内生産だけをやって国内に全部仰ぐのだということが果たしていいことであろうかどうかと考えるわけでございます。  いずれにしても、国内でできるだけ自給率を高めていって、足りない分は外国から仰ぐ。外国から来ることによって国内生産農家に悪影響を与えるようなことはいたしたくない、こういう基本方針でございます。
  252. 神田厚

    ○神田委員 それでは重ねてお尋ねをいたしますが、農産物の需要と生産の長期見通し、これと、現在のこういうふうな形で食肉が輸入されていることとの関連というのはどういうふうにお考えでありますか。
  253. 中川一郎

    ○中川国務大臣 これもそう大きな差はなく、六十年度には大体見通しが達成できるようにやっていきたい、こう思っております。
  254. 神田厚

    ○神田委員 私はこの長期見通しとの関連でちょっと調べてみましたが、やはり長期見通しの関連から見ますと、相当その輸入の割合が多い、こういうふうに考えているわけですが、その辺はどうなんでございますか。
  255. 佐野宏哉

    佐野説明員 お答えいたします。  たとえば牛肉の場合について見ますと、昭和六十年の目標年次におきまして自給率が八一%ということで長期見通しは想定をされております。それでこれに対比いたしますと、五十二年の実績が七四%の自給率、これは大体の見込みでございましてファイナルではございませんが、ですから六十年の長期見通しのターゲットに比べますと若干自給率が下回っておりますが、今後鋭意努力することによりまして十分達成可能な目標であるというふうに考えております。
  256. 神田厚

    ○神田委員 私は、牛肉豚肉というようにはっきりしたもの、豚肉そのものはちょっと輸入のし過ぎだというふうに思っております。しかし、そういうはっきりしたものよりも、その他の食肉という形で、たとえばマトンとかこういうものを異常に少し輸入をし過ぎている。あるいは馬肉にしましても、それからマトンなんというものは一体どういう需要というか、どういうところにこれが向けられているのか、その辺のところもきちんとした調査をやはりしておられるのだろうと思うのですが、その他の食肉の問題とこの長期見通しの関係を推していきますと、こういうものについては一切もう日本ではつくらないようにするのか、どういうふうになっているのか、その辺のところの考えはどうなんですか。  つまり、私が言いたいのは、大体肉のたん白というのは、それは豚でとろうと牛でとろうとマトンでとろうと、総量から言えば大体決まってしまうのですね。つまり、豚でとろうとマトンでとろうと、マトンをたくさん食べれば豚の消費が伸びなくなってしまう、こういう考え方もあるわけです。その辺のところから見ますと、私はやはりこの食肉の輸入が非常に多過ぎる、こういうことを思うわけですが、その辺はどうでありますか。
  257. 佐野宏哉

    佐野説明員 お答えいたします。  馬肉につきましてもマトンにつきましても、まあ馬肉の場合は全量が加工用でございますが、マトンにつきましては、一部ラムが主として精肉とか業務用に使われておりますが、羊肉としては大宗が加工用ということになっております。  それで、こういう馬肉なり羊肉なりの輸入が国産の豚肉を圧迫しておるというような事態になっておるかどうかという問題でございますが、先ほど先生も言及なさいました六十年見通しにおきましては、豚肉の需要は年率三・二%で伸びるというふうな見通しになっておりますが、五十二年までの実績におきましては、豚肉の需要は年率五・九%で伸びてまいっております。したがいまして、少なくとも現状におきましては馬肉、羊肉等の輸入が豚肉の需要に悪影響を及ぼしておるというふうな事態であるというふうには見受けられないという実情であります。
  258. 神田厚

    ○神田委員 時間がありませんので、この問題はきょうはこれ以上しませんが、後でゆっくりもう一回きちんとした資料の中で論議をしたいというふうに考えております。  いずれにしろ、いわゆる日本の畜産というものをどういうふうにつくっていくかということ、これは六十年見通しそのものも含めまして非常に大事な問題として考えなければならない。つまり、でき過ぎた、生産し過ぎたということを何か悪いことをしたような感じで考えてはいけない、こういうふうにこの間も参考人の人たちが来られて話をしました。生産意欲に水を差さないという畜産の体系というのをつくっていかなければならない、水田再編利用対策というものをもし政府が進めていくならば、やはり畜産というものはこれにかわる一つの大事な出口である、こういうことから、畜産に対してもう少し積極的な長期見通しの変更も含めてやっていかなければならないのではないか、こういうふうに考えるわけであります。  そういう点から見まして、今年度の価格が据え置かれたというような状況につきましては、私どもは本当に残念であり、この決定におきまして、さらに農林大臣の英断を期待するものでありますけれども、最後に、日本における畜産農家をひとつ督励し、さらに日本の畜産振興する意味での大臣の御決意を伺って質問を終わりたいと思います。
  259. 中川一郎

    ○中川国務大臣 畜産物も自給率を高めるという品目として大事に取り扱っていきたい。ただ、その場合考えなければならないのは、やはり消費の動向、消費者に喜んでいただく畜産でなければならないということも一方に置かなければ、消費が減退をして生産があり得るわけはないのでございますので、価格についてもしかるべき値段を考えなければなりませんけれども、これを政策的に高くするよりはむしろ生産条件をよくする、こういうことに思い切った措置を講じて、消費者にも対応して、長期的に喜ばれる、しかも安心して生産ができる畜産というものを目指してまいりたい。これは牛肉につきましても酪農製品にしても、あるいは牛乳等についても基本的に大事なことであって、価格政策によって消費が減退をするという行き先不安こそ酪農家にとって結果としてこれは非常に不安なことになるものであろう、こう思うわけでございます。
  260. 神田厚

    ○神田委員 終わります。
  261. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 津川武一君。
  262. 津川武一

    津川委員 政府は、五十三年度豚肉牛肉安定価格について据え置きの諮問をしております。またきょうは、五十三年度加工原料乳保証価格についても据え置きの諮問をしております。政府のこのやり方では、外国の牛肉や乳製品などの輸入圧力増大とも絡み合って日本の畜産のあしたに非常な影響を与え、農民の生産意欲に水をかけることになりますので、私たちとしては非常に残念に思っております。  そこで、私たちですが、再生産費を保障する畜産物価格の要求をずっと続けてまいりました。  そして、全国農業協同組合中央会なども、この立場から、加工原料乳保証価格は「現行一キログラム当たり八十八円八十七銭、乳質改善奨励金一円七十五銭に対し、百四円五銭とすること。五十二年度に発生した加工原料乳の全量を、補給金乳質改善奨励金の交付対象とするとともに、五十三年度の限度数量を大幅に拡大すること。補給金は乳脂率三・二%基準の乳量に対し交付すること。」これは加工原料乳保証価格について。豚肉牛肉安定価格については、豚肉中心価格一キロ当たり七百四十七円、去勢和牛肉一キロ当たり中心価格千六百三十一円、その他去勢牛肉一キロ当たり中心価格千三百四十九円をそれぞれ要求しております。  これはこの間農協の方たちといろいろ話をしてみましたが、北海道の人はこれでは不足だと言っております。千葉県の人たちはこれを最低限度にしていただきたいということでございます。せめてこのくらいは決定に当たって考えていただかなければならないと思いますが、いかがでございますか。
  263. 中川一郎

    ○中川国務大臣 ことしの畜産物関係の諮問案を作成するに当たりましては、再生産が確保されるということを基本として定めたものでございます。そこで、昨年の生産事情を見ますと、非常に意欲的であって、生産状況も非常に伸びた。そういったことをベースに計算いたしますと、むしろ条件がいいわけです。えさ代が安くなった、生産性が伸びた、幾つかいい条件がありますので、昨年同様の計算をいたしますと、若干ではございますけれども、むしろ引き下げになる。しかし、それはいかがかということで、引き上げて据え置きにしたということでございまして、この価格は決して生産意欲を失ったり生産が伸びなくなったりするようなものではないということでございます。  もう一つは、だからといって畜産経営がこれでいいと私は思いませんので、畜産物価格決定するに当たりまして配慮しなければならないのは消費者の動向でございます。消費者が納得して消費をしてくれるということも長期的に考えなければなりません。そのためには、価格よりはむしろ生産対策についてさらにこの機会に一段と前向きというようなことを考えまして、長期的にも、あるいはまた消費者からも期待される畜産政策でなければならぬ、こういう判断のもとに先般諮問をいたした次第でございます。
  264. 津川武一

    津川委員 消費者の立場を考えることは私たちもそのとおりだし、流通機構を思い切って整理しなければならぬと思います。参議院で私たちの党の安武議員が農林大臣に話したとおり、あの機構の中に日畜株式会社と日本ハムが入っただけで輸入牛肉が一遍に千二百円も高くなっている。こういう点では徹底的にやらなければならないと思います。その点をやるように強く強く私たちは求めると同時に、再生産費を保障するような形でやらなければならない。  そこで、若干の質問をしてみますが、自給飼料生産の家族労働、これを飼育家族労働と同じに評価することが非常に大事になってきたというのは、婦人の労働が非常に大事にもなってきたし、そこいらが決定的に必要になってきているわけです。どうしてこれを差別されるのか、ひとつ答えていただきます。
  265. 中川一郎

    ○中川国務大臣 御承知のように、食管法におきます労賃の算定基本は、国が管理いたしております立場上から、いわゆる所得を補償する、こういう基本方針がございます。ところが、畜産物を初めとする多くの農産物は、再生産を確保するということになっております。したがいまして、所得を補償する米につきましては都市労賃を差し上げる。都市労賃を基礎として考える、工場労賃ですね、工場に働く人の労賃が確保されるように考える。ところが、再生産を確保されるという考え方は、いわゆる昔は農村における日雇い賃金ぐらいのものは再生産をするためには差し上げなければならない、こういうことでありましたが、その後、農村日雇い賃金というのはこれはおかしいということになりまして、現在では農村雇用労賃を確保する、こういうことになってございます。したがいまして、米を除くいま言った畜産その他の農産物につきましては、本来ならば農村における雇用労賃をとることになっておる、こういうわけでございます。  ところが、畜産危機といわれた数年前に、何とか乳価を上げて生産意欲を増さなきゃいかぬというところから、いろいろ工夫をして飼育管理はこれは特殊な技能を持つものである、一般の農村の雇用労賃とは違った高度の技術性を持っておるという判断のもとに、政策的にこれを二つに分けて高く評価をするようにして乳価を値上げすることにいたしたわけでございます。  そこで、牧草部分についてもという御意見でございますが、実は牧草をつくる労賃とほかの大豆やビートやジャガイモでん粉、価格保証いたしておりますこういったものとの間に差があるかというと差がない。その差がないものを、酪農で牧草をつくっているからといってこれも高い方に合わすのならば、そちらとのバランスは一体どういうことになるのか。さすれば農産物というのは全部所得補償方式ということになれば、これまた食管という非常にかたい縛りをしているものとの均衡がどうなるかという判断がありまして踏み切れないところでございます。もし、これを同じにしなければ理屈が合わない、同じ労賃が二つあるから一つにしろということになれば、むしろどちらかというと安い方の農村雇用労賃に合わせるのが筋であって、高い方に合わせる理屈はなかなか出てこない、こういうわけでございます。
  266. 津川武一

    津川委員 農林大臣、どこに基準を置くか、安いところに、高いところに、二つに分けた。農業基本法は何と言っているかというと、都市勤労者並みの所得を保障すると言っているんです。そうなってくると、農村の地域の日雇い賃金、そこの賃金というのは低過ぎる。都市の勤労者並みの賃金を与えることに問題がある。それを農林省は五人以上千人というのでそこに初めから低く線を引いておいて、それよりも低くしていいかなどということはおっしゃらないで、千人以上青天井のところへ持っていくべきだ、これが本当に農村に生産意欲をふやしていく非常に大事なことなんです。だから、農協中央会の要求も五人以上ということになっている。皆さんはそうではなく低く区切るところに問題があるわけね。ここいらが農政の基本問題なんだけれども、どうです。
  267. 中川一郎

    ○中川国務大臣 でありますから、重ねて申し上げますように、米は食管というものでもって他に売ってはならないという仕組みで縛ってあるわけでございます。そのほかの農産物は下支え価格でございまして、たとえば牛乳で言うならば、消費者の理解を得て幾ら高く売ってもこれは拒むものではないという仕組みになってございます。下支え価格価格そのものずばりとに差があることは当然であろうと存じます。  なお、それでは農業基本法の示すところに反するではないかということではございますが、この点につきましては、価格政策だけで農政をやっておるのではありませんで、価格政策以外のすべての政策を通じてそういう方向に持っていきたいとやっておるわけでございまして、価格政策がすべてであると御判断をいただかないようにお願いしたいわけでございます。
  268. 津川武一

    津川委員 そこで大事なことは、何としても農林省は、いままでずっと戦後の農業を見てきても、農産物の価格を果たして農民が満足するような価格にやろうという気持ちがあるのかという疑念が起きる。だから、いろんな世論の中でも、雑誌の中でも論文の中でも、日本の政府は低農産物価格をとっているという。その低農産物価格をとるためにいままでもいろいろな問題が出てまいりますが、加工原料乳保証価格算定のときの基礎資料としてやっぱり北海道、青森、岩手、ここいらが入って、もとは山形、福島、長野、鳥取、ここいらを入れるべきものをだんだんこの基礎資料のところを狭めてきているわけなんだけれども、この青森、岩手、山形、福島、長野、鳥取、こういったものをやっぱり基礎資料調査にすべきだと思うのですが、ここいらをだんだん狭めてきて低農産物価格というようにやっぱりやっているんじゃないか、こういう疑念が非常に強く持たれるわけです。いかがでございます。
  269. 中川一郎

    ○中川国務大臣 農産物価格について農家の皆さんには非常に御不満のあることは承知いたしておりますけれども、また一般大衆、特に勤労階層その他から、なぜ日本の高い農産物をわれわれは犠牲になって食べなければならないのか、こういう声もまじめな国民の中に非常に強い。そういう声も非常に強い。米について言えば国際価格の四倍、五倍、麦についても国際価格の七、八倍、ビート価格についても五倍、三倍。どの農産物を見ましても、政府価格介入しておりますものは国際価格にして数倍高いところまで持っていっておるところであって、そういった保護政策はけしからぬという声も大きな声としてあることを考えなければなりません。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 しかし、われわれは農家の皆さんの苦労も考え、さらにはまた国内の食糧自給率というのは国家安全保障である、こういう観点から、消費者の皆さんには安い肉も食べたいでしょう、安い砂糖もなめたいでしょうが、外国に依存しておった場合、もし外国が食糧を輸出しないと言ったときにあなた方は食べなくてがまんがいただけますか、やはり相当高くても安定的に供給できる日本の食糧というものを見直していただきたいと理解を得ながら、こういった支持政策を堅持いたしておるわけでございます。今後も堅持はしてまいりますけれども、そういった消費者の方のことも耳を十分に傾けていかなければ、いま言ったようなことで消費者の納得を得られない時代が来たならばむしろ農家にとって不幸なことである、こう思っておるわけでございます。  その中において、毎年計算する県の数が減っていって、安くなるように、安くなるようにとしたではないかと言いますが、それはそうではありませんで、加工原料乳地帯というのは、五〇%以上加工原料乳に仕向けている地域を対象として計算をする、これが法律の趣旨でございますので、法律の趣旨に従って加工原料乳地帯における再生産が確保されるということでやったのであって、かつて加工原料乳地帯であった県が、だんだん法律の趣旨に従って市乳地帯に変わってきた、この法案は暫定法案でありまして、市乳化を促進し、それまでの間市乳に向けられない地帯の再生産が確保できるようにということでこの仕組みができておるのでありますから、決して悪意にそういった県を減らすような措置をしておるものでないということを御理解いただきたいわけでございます。
  270. 津川武一

    津川委員 農林大臣、外国農産物と日本の農産物の価格を比較したりいろいろなこと出ているけれども、これは日本の経済全体として考えなければならぬ問題なんです。たとえば、トヨタ自動車、自動車を輸出することによって去年一年に挙げた純利益というのは千百億円を超しておる。そうすると、これは二町歩の畑をつくって百八十俵供出した農家が何年かかってこれだけかせぐかというと、三万五千年かかってもだめです。そういう形の外国との関係をそのままほったらかしておいて、ここに農民の農産物をやるのは非常に大きな問題があると思うのです。どうも中川さんが消費者消費者と言って、このごろ農産物の低価格、それを支えるための一つの宣伝に使っている気持ちが非常に多いのです。  そこで、北海道だけは五一%という、ほかのところはとらないという、これも限界生産費というのでなければならない。日本の主食を日本の農民の手でつくっていただくとすれば、善意をもってつくっていく農民の再生産費を賄うことをかなり考えなければならぬのに五〇%に線を置いている、こういうことなんです。  もう一つ、その点でお伺いしておきたい問題は堆厩肥の問題。副産物としてこれを収入から引いているでしょう。ところが、いま一番大事なのは土壌をよくすること、堆厩肥をつくって、堆厩肥を土壌に返すことです。ここのところに一番大事な問題がある。一生懸命やって堆厩肥をつくったものを所得の方から引かされるようなかっこうになってくる。しかし、堆厩肥の副収入ぐらいは、もっと進めていかなければならない問題だから、ここいらは農民に返してあげていいのじゃないでしょうか。堆厩肥についてひとつ伺います。
  271. 中川一郎

    ○中川国務大臣 堆厩肥の前に、御意見がありましたから申し上げますが、自動車でもってそれだけの利益があるからこそ多くの労働者が自動車産業界に働き得るのであって、そしてまたなおかつ多くの税金が入ってくるわけでございます。したがいまして、高い農産物を食べていただける多くの日本人がいらっしゃるし、また三兆円という漠大な農政費が投入できるのもそういった産業があるからであって、産業の犠牲になっておるなどという考え方を持たないようにお願いをしておきたいと存じます。  なお、堆厩肥につきましては、計算上利益として出るものは利益として見るのが当然であって、引いたらいいかなという議論もあります。いろいろありますが、政策的にいま価格を従来やってきたことと違った仕組みでこれを改める時期ではないということで御理解をいただきたいと存じます。
  272. 津川武一

    津川委員 これで最後の質問にしますが、せめて生産意欲に水をぶっかけないように、農協中央会が要求しているくらいのものはせめて実現してあげなければならぬと思いますので、そこの点を大臣に要求する、  それから、安い農産物をつくる点については、農機具だとかいまのえさにしてももっと下げ得る要素があるのに下げないのでこういうことになっているので、農業経費をも下げるようなことを農政の中に実現するよう要求して、私の質問を終わります。
  273. 中尾栄一

    中尾委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後五時四十四分休憩      ————◇—————     午後六時二十五分開議
  274. 中尾栄一

    中尾委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、芳賀貢君外六名から、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブの共同提案に係る畜産物価格等に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。  本動議を議題とし、提出者から趣旨の説明を求めます。芳賀貢君。
  275. 芳賀貢

    芳賀委員 私は、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表して、畜産物価格等に関する件について決議を行うべしとの動議を提出いたします。  まず、決議の案文を朗読いたします。     畜産物価格等に関する件(案)   米の転作、農畜産物輸入などにより、わが国の食料自給率は低下の一途をたどつている。とりわけ畜産、酪農は負債の累増と飼料の海外依存のたかまりによつて、その経営は極めて不安定ななかにおかれている。   かかる時にあたり、今回政府畜産振興審議会に対し、加工原料乳保証価格及び豚肉牛肉の安定基準価格等の据置きを諮問したことは、適当とは認めがたい。このことは畜産農民の生産意欲を大きく阻害するばかりか、海外からの畜産物輸出圧力に迎合するものにほかならない。   よつて政府は、左記事項に留意し、適正価格の実現等に万遺憾なきを期すべきである。      記  一、五十二年度の加工原料乳限度数量超過分については、限度数量の改定ないしは前年度に準じた措置を講ずること。   また、五十三年度の限度数量については、最近における生乳の生産事情等を的確に把握し、十分な量が確保されるよう措置すること。  二、加工原料乳保証価格算定にあたつては、   (1) 従来の乳脂率三・二パーセント換算による擬制計算を改め、実乳量で計算すること。   (2) 飼育管理労働及び自給飼料生産労働に要した家族労賃の評価については、五十三年度に予測される製造業労賃が的確に反映されるよう措置すること。   (3) 酪農家の抱えている固定化負債を解消するため、これを保証価格に反映させるよう措置すること。  三、飲用原料乳については、消費の積極的拡大を図る各種施策を一層充実するとともに、生乳の輸送の助成等、広域需給体制を整備促進すること。  四、豚肉及び牛肉の安定基準価格等については、労賃等の上昇を適正におりこむとともに、所得の補償にも十分配慮し、その再生産確保が図られる水準に引き上げること。   また、これとあわせ、素畜価格安定制度等を拡充強化し、その安定的確保を図ること。  五、牛肉食肉流通の合理化を図るため、産地食肉センターの拡充や産地・消費地を結ぶ直販流通体系の整備等を一層促進するほか、部分肉センターを早期に設置する等、小売価格の適正化に資するための施策を強化拡充すること。  六、近年、諸外国からの輸出攻勢が強まっている牛肉、乳製品及び液卵等の畜産物の輸入については、国内生産で不足する量に限定することを原則とし、輸入割当及び関税制度等の適切な運用を行うこと。   なお、牛肉の輸入については、畜産振興事業団の一元的な運営機能の発揮に努めるとともに、売渡し方法等の改善を図ること。  七、インテグレーション等による企業的養鶏も含め鶏卵の生産調整の徹底を図る行政指導を一層強化するとともに、卵価安定基金及び液卵公社等の価格安定機能を一層強化拡充すること。  八、飼料の国内自給度の向上を図るため、未利用地等の畜産的利用と草地造成の積極的促進を図るとともに、飼料作物の増産奨励に対する助成措置を強化すること。   また、飼料の安定的供給を確保するため、飼料穀物の備蓄対策を拡充するとともに、政府操作飼料の増枠等に努めること。   右決議する。  以上の決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じ、すでに各位の十分御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
  276. 中尾栄一

    中尾委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議に対し、討論の申し出がありますので、これを許します。林義郎君。
  277. 林義郎

    ○林(義)委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま提出されました決議案に対し、反対の討論を行おうとするものであります。  決議案の趣旨は、現在、審議会諮問されている事項につき、委員会の決議をもって適切でないということにあり、これがその論旨の骨格となっていると考えます。  そもそも畜産物価格については、立法府の意思により、すでに法律をもって、農林大臣審議会意見を聞いた上価格決定をすべきであるとしているにもかかわらず、本決議案によると、審議会意見を拘束することにもなりかねないのであります。これは立法府の意思が矛盾した二つの意思を表明することになり、このような不見識なことを当委員会として決定するわけにはいかないのであります。  そもそもわれわれとしては、畜産振興を積極的に図るべきことは当然のことであり、単に価格政策のみでなく、構造政策その他各般の施策を推進していくことが緊要であると考えます。  こうした見地から、畜産の問題についてはさらに深い検討が加えられるべきであり、いたずらに行政を混乱させるような決議をすることについては反対であります。(拍手)
  278. 中尾栄一

  279. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 私は、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表して、ただいま提出されました動議に対し、賛成の討論を行おうとするものであります。  すなわち、米の新生産調整や農産物への輸入圧力など、いまやわが国農業の存立基盤を揺るがす大問題の続出により、生産農家は激しい憤りと不安に駆られております。それだけに生産農家の価格政策に対する関心は強く、畜産物価格決定が昭和五十三年度の農産物全般の行政価格の動向を占う性格を有するだけに、畜産農家のみならず全生産農家がその成り行きを見守っておるのであります。また、わが国畜産は漁業と並んで動物たん白の供給源として貴重な役割りを果たしているが、国際的なたん白資源不足が懸念されていることからも、畜産政策の確立はきわめて重要と言わねばなりません。  また、国の食糧自給率は、ただいまも提案ございましたごとく、低下の一途をたどり、とりわけ畜産、酪農は負債の累増と飼料の海外依存の高まりによってその経営はきわめて不安定な中に置かれている実情でございます。  このときに当たり、今回、政府畜産振興審議会に対し加工原料乳保証価格及び豚肉牛肉の安定基準価格等の据え置きを諮問したことはまことに適当とは認めがたいものであります。このことは、畜産農民の生産意欲を大きく阻害するばかりか、海外からの畜産物輸出圧力に迎合するものにほかならないと言うも過言ではございません。  よってわれわれは、昭和五十二年度の加工原料乳限度数量超過分二十万トンについては、限度数量の改定ないしは前年度に準じた措置を講ずること、また五十三年度の限度数量については、最近における生乳の生産事情等を的確に把握し、十分な量が確保されるよう措置することは当然であると思います。  さらに、加工原料乳保証価格算定に当たっても、われわれがしばしば述べてきたように、従来の乳脂率三・二%換算による擬制計算を改め、実乳量で計算するとともに、飼育管理労働及び自給飼料生産労働に要した家族労賃評価については、五十三年度に予測される製造業労賃が的確に反映されるよう措置することをわれわれは政府に追及したわけでございます。また、酪農家の抱えている固定化負債を解消するため、これを保証価格に反映させるよう措置すべきであり、飲用原料乳については、消費の積極的拡大を図る各種施策を一層拡充するとともに、生乳の輸送の助成等、広域需給体制を整備促進すべきであります。  豚肉及び牛肉の安定基準価格等についても、労賃等の上昇を適切に織り込むとともに、所得の補償にも十分配慮し、その再生産確保が図られる水準に引き上げることは当然であると主張しておるわけでございます。また、これとあわせまして、素畜価格安定制度等を拡充強化し、その安定的確保を図り、牛肉食肉流通の合理化を図るため、産地食肉センターの拡充や、産地、消費地を結ぶ直販流通体系の整備等を一層促進するほか、部分肉センターを早期に設置する等、小売価格の適正化に資するための施策を強化拡充すべきであります。  近年、諸外国からの輸出攻勢が強まっている牛肉、乳製品及び液卵等の畜産物の輸入については、国内生産で不足する量に限定することを原則とし、輸入割り当て及び関税制度等の適切な運用を行うとともに、なお牛肉の輸入については、畜産振興事業団の一元的な運営機能の発揮に努めるとともに、売り渡し方法等の改善を図ること、さらにインテグレーション等による企業的養鶏も含め、鶏卵の生産調整の徹底を図る行政指導を一層強化するとともに、卵価安定基金及び液卵公社等の価格安定機能を一層強化拡充することを強くわれわれは政府に要求するものであります。  最後に、飼料の国内自給度の向上を図るため、未利用地等の畜産的利用と草地造成の積極的促進を図るとともに、飼料作物の増産奨励に対する助成措置を強化することなどをわれわれは本畜産物流通確保等に対する決議として述べてきたわけでございまして、飼料の安定的供給確保、さらには飼料穀物の備蓄対策拡充とともに、政府操作飼料の増枠等についても当然措置をすることを要望いたしたいのでございます。  以上のような観点から、私はただいまの動議に対して賛成の討論を終わるものでございます。(拍手)
  280. 中尾栄一

    中尾委員長 これにて討論は終わりました。  これより本動議について採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  281. 中尾栄一

    中尾委員長 起立者十九名。  念のため、本動議に反対の諸君の起立を求めます。     〔反対者起立〕
  282. 中尾栄一

    中尾委員長 起立者十九名。  可否同数であります。よって、委員長は否と決します。本動議は否決されました。(拍手)  次回は、明三十日木曜日午前九時五十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時四十一分散会