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芳賀委員 私の質問と全然違うことを言ったのでは答弁にならないんですよ。いいですか。たとえば、近代化
計画の中の北海道について取り上げると、北海道の六十年度
目標は、生産数量が三百四万トン。そのうち飲用向けの需要量というのは十九万トンしかないわけです。十九万トンですよ。そうすると、
昭和六十年の時点において、北海道においては生産数量に対して飲用向けというのはわずかに六・二%しかない、そういうことになるでしょう。ところが、残りは若干の自家用と、あとは大体九二%程度はいずれにしても飲用以外の用途に向けなければならぬということになるわけです。どういうわけで北海道の最も良質な生乳というものを、北海道の
地域に限定して、あくまでも全部これは加工原料にするというような、こういうやり方というものは、水田の転作方針と全く同じじゃないですか。しかも、現時点はどうなっているかというと、これは統計情報部の
昭和五十二年一−十二月の年間集計によると、北海道は、百七十七万四千八百八十トンの総生産、このうち飲用牛乳については二十万七千三百七十八トンということになっておるわけだから、この飲用率は、
昭和五十二年においては一二%ないし一三%ということになっておるのですよ。いいですか。特に、いま
審議しておる、畜安法とか加工原料乳
不足払い法、特に
不足払い法というのは、
法律を制定したそもそもの
目的というのは、国内における生乳を、でき得る限り政策手段等も加えて、飲用化、市乳化を進めるというのが
法律の最も根本的な
目的ということになっておるわけです。だからことしは、
法律上、主要な加工原料乳の生産
地域は、去年は北海道、岩手県であったが、岩手も今度は飲用県というものになる。北海道一道だけが、いわゆる
法律の対象になって、北海道を対象にして保証乳価等の計算をやらなければならぬということになるわけでしょう。北海道は市乳化が
拡大されるということでなくて、むしろ市乳化が、
政府の行政によってどんどん縮小されて、
昭和六十年にはわずか六%程度しか飲用乳は用途が閉ざされるというようなことになるわけなんですよ。こういうことになった場合に、では、北海道で生産されたほとんどの加工原料乳とか飲用向け牛乳というものは、どういう手段で価格上の保証をやるかということになるわけでしょう。こういうでたらめなことをやっておって、いかにも生産者に恩に着せるような態度で、頼みもしないのにそんなに牛乳を生産されてもしようがない、そんな数量に対し限度数量を改定するなんというのはがしからぬという態度を、農林省の幹部の中にはしばしば露骨に示している者があるでしょう。例を示せと言えば、私は言いますよ。しかし、きょうは何も必要がないから言いませんが、いまだかつてないような農林省のこれに対する方針というのは、われわれとしても非常に警戒を要するわけです。この点は、問題を整理して、この次の機会までに農林省並びに
政府の統一見解として一近代化
計画の達成の過程における
わが国の生産された生乳とか畜肉等の農民に対する所得の保障あるいは価格保証等に対しては、
責任を持ってどうするというような点を明確にしておく必要があると思うわけです。
それから最後に、五十三年度の価格決定に当たって、これもいろいろ問題があるわけです。今度は北海道だけを対象にするということになれば、北海道だけが持っておる特徴というものがあるわけです。その特徴というものは、価格計算上から言うと、すべてプラス要因ではないわけです。むしろプラス・マイナスということになれば、マイナス要因というものは働きやすい、そういう懸念があるわけですよ。たとえば、飼料の問題にしても、北海道の場合には、購入飼料と自給飼料の割合というものは、全国的あるいは内地府県との対照では、これは全く異なっておるわけですからね。そうなると、飼料作物を中心とした自給飼料の率が多いということは、その生産された自給飼料作物というものを価格計算上どのように適正に評価するかということは非常に問題なわけですよ。これを、従来のように統計情報部が行っておる自給飼料作物についての評価方式をそのまま踏襲するということになれば、この分は購入飼料の実績主義ではなくて、いわゆる統計の費用化計算でやっておるわけだから、同じ北海道でも乾燥牧草を一キロ購入すれば、これは大体三十円ないし四十円で販売されておる。ところが、統計の費用化計算で言えば、同質の乾燥牧草がわずか十五円程度ということにしかならぬわけです。そうすると、値段が半分にしかならぬでしょう。そういうものをもろに、従来こうだからあたりまえだということになった場合は、ことしの飼料費用というものは非常に激減するというようなことにもなるわけですね。あるいは運搬経費等も、これは対象になっておるのは、北海道だけで言うと、北海道の冬半年における生乳の運搬状態が一体どうなっておるか。専業酪農家は、ほとんど設備はバルククーラーですから、そうすると、今度は牛乳の運搬搬出についても、馬そりとか自家用車というわけにはいかぬわけですね。タンクローリーで運ぶということになれば、その酪農家の軒先まで大型の車を入れるということになれば、当然、完全な道路
整備とか除雪をしなければ、毎日毎日の搬出ができない。これらの労働時間とか経費というものは、運搬費等の費目の中において計上されるのが当然でしょう。そういうものを一体どうするかという問題ですね。
それからもう一つ、これは北海道だけの特徴で、今村経済
局長も昔から事情を知っていますけれども、その北海道の農家の固定負債の中で一番固定化率が高いのは、専業酪農家ということになっておる。この専業酪農家だけ、一戸当たりの平均固定負債、これは焦げつきの負債ですよ、これは昨年度においては、大体一戸平均で約千五百万平均ということになっておるわけです。これも焦げつきの負債ですからね、この負債から生産性というものは抽出できないわけだから、じゃ、専業酪農家の場合にはこの固定負債というものは、当然元金も利子も酪農や畜産の販売収益の中から償還する以外に道がないということになるでしょう。そうなれば、こうした別途の、この固定負債に対する価格計算上の負担というものは、当然考慮して実現しなければならぬということにもなるわけです。
それからまた、いまの機械化とか、あるいは畜舎の設備等も完備しておるから、昨年一年間で、北海道は年間、搾乳牛は平均して実数量で四千九百キロ、相当これは生産が躍進しておるわけです。しかし、これについても、この一頭当たりの生産乳量というものは、これは統計情報部の調査農家によるわけだから、米にしても他の
農産物にしても、実収平均高から見ると、大体一〇%ないし二〇%上位農家の生産性というものを反映しておるわけですからね。それでは、ことしの計算に使う三・二%換算の主要な生産
地域における一頭当たりの生産乳量をどうするか。つまり価格の計算というのは、分母が大きくなればなるほど答えである価格というものは小さくなるわけだから、これを最初から逆算方式で、ことしは据え置きということになれば、どういう計算でもこれはできるわけなんですよ。だから、据え置きとかマイナスのようなことになるとすれば、いままでと違った角度から、あるいはまた北海道だけが対象ということになるのであれば、従来の算定方式というものをもう少し緻密に、科学的に、合理的に計算をし直して、そうして適正な、生産者から見ても
国民から見ても、この程度の算定方式で出た答えというものは至当であるというようなことになるように努める必要があると思うわけです。
きょうはこの大まかな問題だけに限定されたようなことになりますけれども、
審議会の予定から言うと、今月の二十九日が酪農部会ということになっておるようですが、今井政務次官、当
委員会においては、昨年に続いてこの
農産物価格に対する小
委員会というものが今回も設置されて、いま
委員長代理の
山崎平八郎委員が小
委員長ということに一方的に決まっておるわけです。しかし、これについても本
委員会が開けない場合においては、
委員長も率先して鋭意小
委員会等を開いて、この畜産全体の問題とかあるいは畜肉とか加工原料乳等の価格決定に対しても十分詰めた議論を
政府側としなければ、なかなかこういう困難な時期には十分な答えは出ないと思うのですよ。
そういうことですから、これに対して、今井さんは相当権威者に近づいてきているわけですからね。それで人間がとにかくまじめだ。そういうことで、あくまでも
政府官僚のペースにはまらぬようにして、国
会議員であり、
農林政務次官ですからね、議員としてのウエートを堅持して、どの程度やるか、事務当局を鞭撻して——
中川農林大臣というのは余り頼りにならぬですよ、実際問題から言うと。本人がいればなおはっきり言いたいわけですけれども、せめて補佐役の今井政務次官として十分に努力してもらいたい。
以上申し上げたような点について、答弁があれば簡明に答えてもらいたいと思います。