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1978-06-07 第84回国会 衆議院 内閣委員会同和対策に関する小委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年六月七日(水曜日)     午前十時十三分開議  出席小委員    小委員長 小宮山重四郎君       逢沢 英雄君    宇野  亨君       小島 静馬君    玉生 孝久君       村田敬次郎君    上田 卓三君       上原 康助君   平石磨作太郎君       受田 新吉君    中井  洽君       柴田 睦夫君    中川 秀直君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)     稻村左近四郎君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房同和対策室長 黒川  弘君         内閣総理大臣官         房総務審議官  大濱 忠志君  小委員外出席者         厚生省社会局生         活課長     鈴木 昭雄君         農林省構造改善         局農政部構造改         善事業課長   阪田 彰夫君         建設省住宅局住         環境整備室長  片山 正夫君         自治大臣官房参         事官      千葉  武君         自治省行政局振         興課長     矢野  始君         参  考  人         (同和対策協議         会前会長)   磯村 英一君         参  考  人         (全日本同和対         策協議会会長) 夏秋  幹君         内閣委員会調査         室長      長倉 司郎君     ――――――――――――― 六月七日  小委員小島静馬君五月三十日委員辞任につき、  その補欠として小島静馬君が委員長指名で小  委員に選任された。 同日  小委員中川秀直君同月二日委員辞任につき、そ  の補欠として中川秀直君が委員長指名小委  員に選任された。 同日  小委員新井彬之君同日委員辞任につき、その補  欠として平石磨作太郎君が委員長指名小委  員に選任された。 同日  小委員宇野亨君及び受田新吉君同日小委員辞任  につき、その補欠として玉生孝久君及び中井洽  君が委員長指名で小委員に選任された。 同日  小委員平石磨作太郎君及び中井洽君同日委員辞  任につき、その補欠として新井彬之君及び受田  新吉君が委員長指名で小委員に選任された。 同日  小委員玉生孝久君同日小委員辞任につき、その  補欠として宇野亨君が委員長指名で小委員に  選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  同和対策に関する件      ――――◇―――――
  2. 小宮山重四郎

    小宮山委員長 これより会議を開きます。  同和対策に関する件について調査を進めます。  昭和四十四年七月、十年間の時限立法として同和対策事業特別措置法が制定されて以来今日まで、国及び地方公共団体努力により相当成果をおさめてまいりましたが、なお解決すべき問題が残っていることも事実であり、同和対策現状にかんがみまして、同法の延長を図らねばなりません。  そのためには、残事業がどれだけあるか等について、この際、政府地方自治体ともに明確に確認する必要があると存じます。  このため、本日は、関係省庁並びに全日本同和対策協議会会長夏秋幹君に参考人として出席を願っておりますので、順次説明をお聞きすることといたします。  なお、参考人として出席を予定されております同和対策協議会会長磯村英一君は所用のためおくれますので、御出席になり次第説明していただきます。  それでは、総理府黒川同和対策室長
  3. 黒川弘

    黒川政府委員 まず最初に、昭和五十年に実施いたしました調査について御説明申し上げます。  昭和五十年の調査は、全国同和地区実態及び同和地区が所在する地方公共団体昭和五十年度以降に実施を見込んでいるいわゆる物的施設に係る同和対策事業に関する計画につきましてその概要を把握したものでございます。これにより把握いたしました事業費につきましては、これに対応する国庫補助額が幾らかという国庫補助方式によって算出しております。  その概要でございますが、昭和五十年度以降におきまして実施が見込まれている同和対策事業は、事業費として約一兆二千八十二億円でございます。それに対応いたします国費でございますが、これは約七千六百四十四億円でございます。  次に、この同和対策事業費に見合うところの昭和五十年度以降の予算措置状況でございますが、昭和五十年度から昭和五十三年度までの予算額について見ますと、国費で約四千三百八十億円、事業費といたしましては七千四百十三億円でございます。御参考までに、この昭和五十年度から昭和五十三年度までの予算のうち、昭和五十三年度年度の分について申し上げますと、国費で約一千五百四十八億円、事業費で約二千六百三十七億円でございます。いま申し上げました金額でございますが、国費、すなわち予算額につきましては、当初予算額で申し上げました。  次に、先ほど申し上げました昭和五十年調査によって把握いたしました事業費あるいは国費、この金額から昭和五十年度から昭和五十三年度までの予算額を単純に差し引きますと、国費といたしまして約三千二百六十四億円、事業費といたしまして約四千六百六十九億円という状況でございます。  以上が昭和五十年に実施いたしました調査によりまして把握いたしました同和対策事業事業量とその後の予算措置状況概要でございます。
  4. 小宮山重四郎

  5. 鈴木昭雄

    鈴木説明員 厚生省関係について説明させていただきます。  厚生省におきます物的施設に係る同和対策事業は、隣保館共同浴場共同作業場大型共同作業場地区道路、橋梁、下水排水路、街灯、上水道――飲料水配管施設でございます。簡易水道共同井戸ごみ焼却炉屎尿処理施設、屠畜場解体汚水処理施設火葬場墓地移転納骨堂、そのほか保育所及び児童館整備の十九事業実施してきております。  五十年調査による昭和五十年度以降における厚生省関係同和対策事業費は、総事業費で約二千五百二十二億円、国費にいたしまして千六百七十五億円が見込まれております。  この同和対策事業費に対応する昭和五十年度から昭和五十三年度までの予算額について見ますと、事業費で約千八百七十三億円、国費にいたしまして約千二百四十九億円となっております。このうち、昭和五十三年度分は、事業費で約六百五十八億円、国費にいたしまして約四百三十九億円となっております。  仮に、五十年調査によって把握いたしました金額から昭和五十年度から昭和五十三年度までの予算額を単純に差し引きますと、事業費で約六百四十九億円、国費にいたしまして約四百二十六億円となります。  以上でございます。
  6. 小宮山重四郎

  7. 阪田彰夫

    阪田説明員 農林省でございます。御説明させていただきます。  農林省といたしましては、同和関係地区におきまする農林漁業あるいは農林漁家生産性向上といいますか経営安定のために、農業基盤整備その他各般事業を行っておるわけでございます。  事業量について御説明申し上げますと、先ほどお話がありました五十年調査によります事業量は、事業費ベースで申し上げまして千九百九十九億円、国費で申し上げますと千三百十九億円ということになっております。  五十年度から五十三年度まで、現在まで予算措置をいたしまして事業実施いたしました額は、事業費ベースで九百四十八億円、国費で六百三十二億円となっております。このうち、五十三年度、当年度で現在実行中でございますが、五十三年度予算で措置いたしておりますのは事業費ベースで三百七十億円、国費で二百四十七億円ということになっております。  先ほど厚生省の方が御説明申し上げましたように、五十年調査から仮に五十三年度まで予算措置をいたしました金額を差し引きますと、事業費ベースで申し上げますと一千五十一億円、国費で六百八十七億円という額になります。
  8. 小宮山重四郎

  9. 片山正夫

    片山説明員 五十年調査によります建設省所管住宅都市施設関係分事業量といたしましては、事業費で約七千四百六十二億円、国費にいたしまして約四千五百八十七億円と見込まれております。  一方、昭和五十年度から五十三年度までの同和対策関係予算額は、当初予算事業費約四千五百二十一億円、国費にいたしまして約二千四百五十三億円。そのうち五十三年度分は事業費で約千五百八十三億円、国費にいたしまして約八百四十六億円となっております。  したがいまして、昭和五十年調査によって把握いたしました金額から、昭和五十年度から五十三年度までの予算額を単純に差し引きますと、事業費で約二千九百四十一億円、国費にいたしまして約二千百三十四億円となっております。
  10. 小宮山重四郎

  11. 矢野始

    矢野説明員 自治省で所管しております同和関係事業は、消防施設等整備事業でございまして、これは主として消防ポンプ自動車あるいは防火水槽整備に関するものでございます。  五十年度以降の要整備事業調査数字では、事業費で五十億五千七百万でございます。国費ベースにいたしまして三十三億七千百万。五十年度から五十三年度までにこれらに関する予算措置をいたしました額としては、この四年間で事業費ベースで十七億五千三百万、国費にいたしまして十一億六千八百万。これを単純に差し引きますと、三十三億四百万が事業費でございまして、国費ベースといたしましては二十二億三百万、こういう数字に相なるわけでございます。
  12. 小宮山重四郎

  13. 磯村英一

    夏秋参考人 私は、全日本同和対策協議会会長夏秋幹であります。  まず、全日本同和対策協議会と申しますのは、同和対策事業に携わっております三十六都府県と十市で組織をいたしておりまして、第一線にあります地方公共団体立場から共通の課題につきまして調査研究あるいは関係機関への要請、世論啓発等事業実施いたしておりまして、同和問題の早期解決を図りますため適正かつ効果的な事業促進を図ろうとする任意団体でございます。なお、会長につきましては、全国を六ブロックに分けておりまして、その輪番制ということで一年任期となっておるわけでございます。よろしくお願いを申し上げたいと思います。  まず、委員長初め委員の諸先生方には同和対策事業の推進、わけても地方公共団体に対します財政措置適用事業採択等につきまして日ごろ格別の御尽力と御援助を賜っておりますことに対しまして、ここに心から厚く御礼を申し上げる次第でございます。  また本日は、同和対策事業特別措置法が明年三月末日をもって効力を失うことに関しまして、私ども地方公共団体立場から意見を申し述べさせていただく機会を与えられましたことに対しましても、これまた御礼を申し上げる次第でございます。  それではただいまから私の意見を申し上げたいと存じます。  同和問題の解決に関しましては、御高承のとおり、昭和四十年八月同和対策審議会答申がなされ、昭和四十四年には同和対策事業特別措置法が制定せられたわけでございます。以来、国並びに地方公共団体において答申趣旨並びに法律の定めに従いまして施策を進めてきたところでございます。そこで、まず、私たちの立場で特に感じておりますことを数点申し上げ、続いて同和対策事業特別措置法期限延長について意見を申し上げたいと存じます。  なお、これらのことは、私ども過去九年間にわたり事業実施してきた上で深く反省し、また強く感じておりますことは、それぞれの地方公共団体が各分野におきまして精いっぱいの努力を続け、一定の成果を上げてきておりますものの、各地方実情によってその実施水準と申しますか程度と申し上げましょうか、事業内容到達度が必ずしも同じ状態に達しているとは言いがたい実態を認めざるを得ないのでございます。これはその地方の諸種の事情による結果ではございますが、基本的人権に係る最も重要にして崇高な同和対策事業実施に当たり内容程度に差があってよいはずはございません。  つきましては、まず第一番に、行政の責任と主体性を持って施策の適正な運営と執行を正しく位置づける必要があろうと存じます。このため、国に基本対策を審議する機関を設置していただきたいこと、さらに地方公共団体財政運営健全化を保ちつつ、地域実情に見合った総合的かつ計画的事業を推進するため、国に総合的調整機能を持った組織を設置していただければ大変ありがたいと考えておるわけでございます。  第二点といたしまして、教育啓蒙啓発に関してでございますが、この事業こそ同和問題解決原点とも言うべきものでございまして、私どもも常にその充実に努めているところでありますが、教育問題について特に感じますことは、施策対象地域については定められておりますが、国民すべてが心理的差別解消の姿勢を確立することが非常に重要でございまして、そこで全国民対象といたしました学校教育及び社会教育実施が必要であると痛感をいたしておるわけでございます。  第三点といたしまして、また人権擁護問題に関しましては、対象地域の住民に対します啓蒙啓発にとどまりませず、さらに進んで差別から保護される施策が必要であろうかと考えているところでございます。  続きまして第四点といたしまして、これらにあわせまして産業職業対策についてでございますが、単に産業振興あるいは雇用の促進を図るということにとどまらず、対象地域におきます人的能力の開発と所得向上を図る施策がきわめて不可欠な要件であると考えております。  最後に、第五点といたしまして、地方公共団体にとりまして最も切実な問題であります国庫補助基準、起債及び地方交付税等地方公共団体に対します国の財政援助措置の諸要件についてでありますが、法施行以来今日までの経済事情の激しい変動のもとでは補助単価条件等が実勢に追いつかない点が多く、その結果といたしまして地方財政が非常に苦しい状況に立ち至っておることは御承知のとおりであります。  これら地方財政問題につきましては、格別の御配慮を賜りますよう、特にお願いを申し上げる次第でございます。  以上、大変厚かましいこと、あるいは率直にいろいろなことを申し上げましたが、関係都府県市が直面をいたしております主要な課題を取りまとめ、お願いを申し上げた次第でございます。  次に、明年三月末日をもちまして効力を失います同和対策事業特別措置法に関してでありますが、まず、昭和五十年に実施をされました全国地区調査の結果による、先ほど御説明がございましたが、物的施設事業量現状を勘案いたしますと、とうてい法律有効期間、つまり本年度中に事業を完了することは不可能と言わざるを得ません。加えて、この調査に基づきます物的施設についての残事業量には、先ほど申し上げました教育啓蒙啓発等精神的な面及び産業職業対策等経済向上の面といったような、形や数字であらわすことが困難なものは含まれておりません。しかし、これらの事業は、今後とも相当量継続実施していかなければならない重要な事業でございます。  仮に、物的施設整備だけについて考えてみましても、昭和五十年調査事業以外に、その後、なお相当量事業実施を必要とするものが生じておるわけでございます。  これにつきましては、本日数字をもちまして御説明申し上げるのが本来であろうかと存じておりますが、私ども全日本同和対策協議会といたしましては、ただいまのところこれらのまとめを行っておりませんので、大変失礼ではございますが、新たに事業の生じた主な理由について御説明申し上げたいと存じます。  まずその第一点は、調査時には事業計画が未確定のものがあったこと。第二番目といたしまして、調査後において新たに法の対象地域として事業計画が立てられたものがあること。第三点といたしまして、地方公共団体財政事情あるいは地域実情等により、調査時には計画調整がついていなかったもので、その後事業計画がまとまったものがありますこと。最後に第四点といたしまして、事業採択基準の変更及び新事業制度化に伴いまして、調査時以降に対象事業となったものがありますこと。以上はいずれも法の趣旨に沿った事業でありまして、これらはすべて実施の必要があるものばかりでございます。  このほか、国の制度を補完いたします意味におきまして、地方公共団体が単独で実施している事業も多くあります。さらに、明年は従来の調査年次から推しまして全国調査が行われる年ではないかと思われます。したがいまして、この調査が行われたとしてその結果を推測すれば、先ほど申し上げましたもろもろの理由から、前回の調査に比べまして新たな事業計画と、それから単価引き上げ等の要因が加わりまして、残事業は、現在の金額よりなお増大することは明らかであろうかと存じます。  以上のことを総合的に勘案いたしまして、この際、地方公共団体立場からお願い申し上げたいことは、同和対策事業特別措置法は今後なお相当年限の期間延長を図っていただきますとともに、前段に申し上げました諸点についても十分御配意を賜りますようお願いを申し上げまして、私の意見といたします。  なお、これらのことにつきましては、別途、全国知事会、同市長会、同町村会等からかねがね要望なされているところでありますので、十分御承知を賜っておることと存じますが、何とぞよろしくお願い申し上げます。
  14. 小宮山重四郎

    小宮山委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十時三十八分休憩      ――――◇―――――     午前十一時八分開議
  15. 小宮山重四郎

    小宮山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  同和対策に関する件について調査を進めます。  ただいま磯村参考人が御出席になりましたので、説明をお聞きすることといたします。磯村参考人
  16. 磯村英一

    磯村参考人 御紹介いただきました磯村でございますが、国民の一人といたしまして、このような機会を与えていただきましたことに敬意を表したいと思うわけでございます。  私へのお問い合わせば、現在通称同特法と言われておりまする法律を中心にしました課題についての私の考えということと思うわけでございますが、私は、五月末日まで政府総理府にございまする同和対策協議会会長という立場がございますわけでございます。したがいまして、ここで御意見を申し上げるに当たりましても、おのずとそこに基盤がございますということも御了承をいただきたいと思います。と同時に、若干、私のこの問題に関しまして多年考えてまいりましたことについて、触れさせていただきますることもお許しをいただきたいと思うわけでございます。  先般同和対策協議会任期が終わりまするに当たりまして、総理府長官意見書をまとめましてお出しをしたわけでございますが、意見書内容につきましては、すでに御案内と思いますので触れませんが、その意見書の性格について、ひとつ申し上げておきたいと思うのでございます。  この同和対策協議会は、いわゆる審議会あるいは調査会ではございませんで、政府の最も重要な行政の一つでございます同和行政連絡調整を図るということが趣旨でございます。したがって、委員の大半は各省の次官が委員の席を占めておられるわけでございまして、お出しした意見書には各省意見も踏まえてということで、最終的には総会全員の御同意を得たものであるということをひとつ御銘記を願いたいと思うわけでございます。  その趣旨は、一口で申し上げますれば、同和問題が現在日本社会体制の中において占めておる、これから申し上げる重要な役割りを果たしているという面からいたしますと、当面同特法延長はその線に沿っているのが当然であるという全員の御同意を得て、長官意見書をお出ししたわけでございます。この点が、単なる御諮問を受けてそこの特別委員会だけで意見をまとめたわけではございませんで、最終的には総会全員の御同意を得た上でお出しをしたということでございます。  それで、国会法律の御制定以来九年を経過して、その間同和問題の解決にこの法律が非常に大きな役割りを果したということは、協議会としても、委員でおられる民間の方も学識経験者の方も行政の方も十分認めておられるわけでございます。したがって、そういうことも踏まえまして、先般、昨年の十二月、長官から改めてこの法律の今後のあり方について協議会としての意見をというお話がございまして、早急にいろいろな調査をいたしました。  従来、協議会としては総理府同和対策室と協力をして、いろいろな調査もしてまいりましたが、その調査の実績も踏まえまして一番焦点になりましたことは、十二月に御諮問がありましてから二ヵ月の間に、従来この法律適用いたしていない地方自治体について、一体この法律がなくてもいいのか、あった方がいいのか、あるいはどういうのかということを、直接この特別委員会が出向いてその意見を聞いたわけでございます。  御案内のごとく、東京都は同和対策特別措置法適用いたしておりません。おりませんけれども現実東京都はもちろんのこと、各区はこの対策相当の財政的な配慮をして実施しているわけでございます。したがいまして、東京都についても現地の三つの区を訪ねてそこの区長、もちろん東京都の知事――副知事か代理でこざいましたけれども、二日、三日にわたって調査をし懇談をいたしまして、最終的に意見を集約いたしましたのは、ぜひこの法律は存続をしてほしい、適用を受けないような状態の中でも同和対策実施しなければならないのだから、むしろそれが広い意味実施できるように強化をしてほしい、こういう意見がございました。  同じように名古屋市におきましても、やはり同和対策特別措置法適用いたしておりませんが、今度は適用したいから、速やかにこの延長努力をしてほしいということでございました。長崎県の佐世保市もやはり法の適用をしておりませんが、全く名古屋市と同じ回答を得ております。  こういったことを踏まえまして、先ほど申し上げました長官に対する意見書といたしまして、各般事情を考えてまいりますれば、同和対策特別措置法延長につきましては、これはその路線で御配慮をいただきたいという結論になったのでございます。  実はこの問題は、冒頭に申し上げましたように、いわゆる同和問題という日本封建体制の何か残りといったようなふうに考える向きもございますけれども現実においてはそうではございませんで、あるいは行政あるいはマスコミの動き等によりましては、さらに差別を再生産するというむずかしい状況の中にあると判断をしているわけでございます。今回、国会におかれましては、国連がすでに十一年前に条約として御決定になりました国際人権規約の批准に御配慮があるそうでございますけれども、実は同和問題はその原点につながる問題でございまして、したがって、この問題は単なる地域改善ということだけで処理することではない。  しかし、佐藤内閣のときに同和対策審議会を設けられまして、そしてその結果として生まれました同和対策特別措置法が、この十年近くにわたりまして、日本社会のいわゆる人権啓発に当たってかなり大きな支えになりましたことは、これはかなりの国民の方に認識をしていただいているわけでございまして、そういう面の役割りも果たしていただいたのがこの同特法であると私どもは考えているわけでございます。  そういったような同和問題を背景にいたしました国民のこの問題に対する理解人権問題として進んでまいりますればまいりますほど、そこに若干まだこの問題の理解が不足しているという結果があらわれましたことは、まことに遺憾なことでございまして、皆様も御案内のごとくこの二、三年、二、三回にわたりまして明らかに差別を再生いたしますような地名総鑑といったものが売られ、これが大変申しわけないのでございますけれどもどものような大学までもこの名鑑を買うなんというような状態におきましては、この問題が同和対策審議会がお決めになりました国民課題になるにはまだまだほど遠いものがあるのではないかということを痛感しているわけでございます。  現在、文部省におかれましては、小学校あるいは中学校におきましてこの問題をはっきり教えていただいております。これは当然であると同時に、この問題が国民理解に非常に多く役立っていると思うのでございまするが、遺憾ながら私どものような世代になりますと、まだこの問題に対する理解が非常に不足をいたしております。したがいまして、その結果が地名総鑑なりあるいはその他の不祥事をしばしば起こしております。したがいまして、この面におきましてもこの法律の精神をできれば拡大していただきまして、基本的人権という面からこの同和対策というものが必要であるということで、さらにひとつ国民の支えになるような方向が出るようになりましたならばまことに幸いだと思うわけでございます。  最後に、実はこの法律を実際に分担しておりまするのは地方自治体でございます。したがいまして、地方自治体意見を聞きますると、法律のあるないにかかわらず、地方自治体はここ九年間かなりの努力をしてまいられたのでございます。その法律が現在国民の広い理解を受けて、ようやくこの同和行政も軌道に乗るようなところになってきたというのが地方自治体の御認識でございます。この点は私どもも、その御苦心に対しては心から敬意を表し、この法律実施に当たりまして非常な苦心をされていると思うわけでございます。したがいまして、以上のような立場を考えまして、私は総理府総務長官に、意見を全体としてまとめまして、できますれば当面延長の方向で御配慮をいただきたいという意見を申し上げたわけでございます。  私、ここに一言も積み残しという言葉を申し上げておりません。現在、同和問題というものは、いままでの行政のレベルでこれこれの仕事が残っておりますという段階の問題ではないと私は思っているわけでございます。もっと高い次元でひとつ御配慮をいただき、もちろんいままで継続してまいりました仕事に対しての完遂ということは当然のことでございますが、もし法律に対して何らかの御配慮がいただけるようでございましたならば、せっかく人権擁護についての国際的な御決意をなさるこの国会におきまして、日本的なその課題の中において中心になりまするこの問題につきまして格段の御配慮をいただければまことに幸いだと思います。  長く失礼をいたしましたが、この辺で終わらせていただきたいと思います。
  17. 小宮山重四郎

    小宮山委員長 これにて説明は終わりました。     ―――――――――――――
  18. 小宮山重四郎

    小宮山委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。  なお、磯村参考人、稻村総務長官は正午までしか御出席できませんので、委員各位には御了承いただきたいと思います。  上原康助君。
  19. 上原康助

    ○上原小委員 総務長官の御日程が、午後は参議院との関係でお時間がとりにくいということですので、長官が御出席できる時間に若干お尋ねをさせていただきたいと思います。  まずお尋ねを申し上げる前に、本日は大変貴重なお時間を割いていただきまして、本委員会の同和問題の審議に当たって、同和対策協議会の前会長磯村英一先生、全日本同和対策協議会会長夏秋幹先生御両名においでいただきまして、大変貴重な御意見とわれわれの審議を促進するに当たって参考になる御意見を承りましたことを心から厚く感謝を申し上げます。本当に御苦労さまです。  時間の都合もありますし、またこれまで、この同和対策事業特別措置法延長問題あるいは同和対策事業そのものの改善措置等については、本委員会はもとより、予算委員会その他社会労働委員会等でもしばしば議論をされてきたことでありますので、きょうは多くは申し上げません。  先ほど夏秋参考人の御意見の中で、この同特法延長がぜひ必要であるというお立場でいろいろと御意見がございました。全部に触れるわけにはいきませんが、今後事業を進めていくに当たって、おおよそ四点くらいお挙げになっておったわけであります。中でも、九年前に同特法が制定をされて、その後今日まで、鋭意各地方自治体あるいは関係者が御努力をなさってきているわけですが、調査時点で事業計画が未確定であったもの、あるいはまた法実施後新たな地域の指定とかいう自治体が出てきたということ、また各地方自治体においても新しく事業計画が出てきておる、その後も、恐らく物価の変動とかいろいろな社会状況の変化ということだと思いますが、事業採択基準の変更及び調査計画後に新しい事業計画等がなされている、こういう事業を今後も推進していく上においては、相当年限の期間延長を図っていただくことそ強く御要望を申し上げたい、表現においてお述べになったことそのものずばりではないかもしれませんが、いま私が申し上げたようなことを参考意見としてお述べになったと思います。  そこで改めて、これらの事業を推進していく上で相当年限の期間延長が必要であるということにつきましていま少し、先ほど磯村先生の御発言にもございましたが、実際にこの事業を推進しているのは地方自治団体で、御苦労もいろいろあろうと思います。そういうお立場から、できましたら相当年限という期間についてもう少し詳しい参考になる御意見をいただければありがたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
  20. 磯村英一

    夏秋参考人 ただいま上原先生の方からあと何年延長すればいいのかというようなことについて具体的にという御質問があったわけでございますが、先ほども申し上げましたように、五十年調査によります五十四年以降の残事業と申しまするか、先ほど政府関係の方から御説明のあったいわゆる残事業というものと、これまた私が申し上げましたその後計画されました事業というような二つが、われわれ地方公共団体の職員として直接この行政に携わっておる者といたしましてはございますということを申し上げたわけでございますけれども、これらが十分実施でき得る期間、さらにはこういった物的、いわゆるハード的なもののほかに、ソフトな面におきます教育啓発啓蒙の問題、あるいは産業職業といったような施策もあるわけでございまして、これらをどのように把握するかという点が非常に大事な点であろうかと存じます。  ただ、その点につきましては、先ほども申し上げましたように、全日本同和対策協議会といたしましては、はなはだ申しわけないことではございますが、ただいまのところそれらを取りまとめておりませんと申し上げたようなことでございますので、期間的にこれを何年というふうにここで申し上げることについては、それほどの確信を持ち合わせておりませんので、いろいろと申し上げました点につきまして十分御配意、おくみ取りを賜りたい、かように存ずる次第でございます。
  21. 上原康助

    ○上原小委員 私もそのあたりは心得ておるつもりでございますが、いずれにしましても、相当期間の延長が必要であるということは、常識的に考えて、まだまだこの事業なり同対問題を解決していくには、予算措置においても、あるいは行政措置においても、社会的な啓蒙啓発面から考えても、かなりの時間を要するということだと思います。そういうことは常識的に私たちも判断をしたいと思います。  そこで、磯村先生にもお尋ねをさしていただきたいと思います。  長いこと同和対策協議会会長をしてこられて、この問題につきましては権威者であられますので、私のような素人がお尋ねするのは大変御無礼かと思うのですが、強調なさったことで私たちが注目をしたいことは、御発言にもありましたように、同和対策協議会の総務長官にお出しになった意見書というのは、単なる協議会意見ではなくして、各省同意を得て満場一致で決定をしたのだ、しかも、積み残しとかそういうことではなくして、今日の同和問題の持つ重要性からして当面この延長は当然であるという立場各省庁の同意を得てそういう答申をして、ぜひこの法律は存続をしていただきたい、また、存続すべきであるということを強調なさったわけですが、私たちも全く同感でありますし、また、そういう方向でいま鋭意努力をしているところであります。  したがって、冒頭の御発言にもありましたように、またいま夏秋さんの方からも御発言がありましたように、期間についてずばりおっしゃるということは、こういう場でございますから、なかなかむずかしい面もあると思うのですが、先ほどの御意見に補足をしていただいて、ぜひこの法律の存続が必要であるということと、さらに基本的人権擁護という立場でもまだまだいろいろの問題を解決していかなければいかない、そういう意味延長すべきであるということについて、いま少し補足をしていただければ幸いだと存じます。
  22. 磯村英一

    磯村参考人 重ねての御質問でございまするが、同和問題は、御案内のごとく、この法律ができまする前後から考えてみますると、今日におきましては、国民の受けとめ方が、この法律適用によりまして、受け身ではなくて積極的に問題を理解するということに役立つ傾向に変わってきていると私は確信いたします。確かに、その間におきましてはいろいろな行き違いもあることも十分心得ているわけでございます。しかし、その行き違いを踏み越えていきましたときに、初めて同和問題というものは解決ができるものでございまして、したがいまして、そういう面からこの支えになりまする法律の御配慮をいただきたい、こういうふうに申し上げましたわけでございます。  この点では、こういう席で私自身みずからが反省するのでございますけれども、正直に申しまして、国民全体、特にこの問題を日常単なる行政の仕事だけという認識で解決しようと思ったら無理でございます。その意味で、何か次元の違ったことを申し入れるようでございますけれども、そういう気持ちを持って行政が窓口で主体性を持ち、そして住民の方と接触してまいりますれば、私は異なった成果を上げられると思います。したがいまして、いままでの行政上のいろいろなトラブルがございます。しかし、その点につきましては、今回の意見書最後には、行政というものが、と申しますのは大変なにでございまするが、特に接しまする地方自治体の方々がもうちょっと問題の本質というものを高い次元で認識していただいたならば、私はいままでのようなトラブルをなくしていくということはできると信じておりますし、また、やっていただけると思いますので、主体性を持ってひとつこの運営に当たっていただきたいということを第六番目に実は加えているわけでございます。  それから期間の問題でございまするが、これは行政当局がお決めになるのでございますが、私どもといたしましても一言だけ申し上げます。  やはり実施しているのは地方自治体でございます。御案内のとおり、最近地方自治体は、自治省の御指示によりまして基本構想、長期計画というのをほとんどお持ちでございます。そこの中にようやく同和対策が入ってきております。それになりますと、それじゃ、法律がなくなったからといって議会の御承認を得、市民の同意を得たものを、それではもうなくなりましたというようなことはできないことと思うわけでございます。したがいまして、それに伴いまする期間等もそういう長期構想あるいは長期計画等の中で御配慮をいただければまことに幸いだ、地方自治体もその面で沿っていけることと思うわけでございます。
  23. 上原康助

    ○上原小委員 大体おっしゃりたい御心境についてはお二人の御発言で理解できる感がいたします。  そこで、総務長官にお尋ねをしたいわけですが、実はこの問題、改めて申し上げるまでもなく、またいま磯村先生、夏秋先生の御所見もありましたように、きわめて重要な問題であるということは指摘をするまでもありませんし、当初私たちは率直に申し上げて、いま御指摘がありましたような諸問題を十分解決をしていくには、特別措置法のおよそ十年程度延長は必要だということを強く主張してきたわけであります。  しかしその間、各党との意見調整なりいろいろ諸般の事情等も考慮に入れて、また福田総理を初め稻村総務長官のたびたびの国会における御答弁等もあって、今国会中にこの措置法の延長問題について結論を出そう、また出すべきであるという御要望が各関係団体から強く出されまして、そのことを円滑にまとめていくという意味で本小委員会も設置されたわけであります。改めて、担当大臣である総務長官として、今国会中といいますと、もうあと幾ばくも時間のゆとりはございません。どのようにこの問題を処理されようとしておられるのか、決意のほどを伺っておきたいと思うのです。
  24. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 御指摘の点については、しばしば国会で御答弁を申し上げたとおりであります。今国会でできるだけ各党間の意見を尊重しながらまとめていきたい、こういうふうに申し上げておったわけであります。  そこで、先ほど来から磯村会長の御意見等々もあったわけでありますが、私も会長を初め各関係者等々からの意見の開陳を受けてまいりました。昭和四十四年にいろいろな議論の中で内閣提出としてこの特別措置法がつくられてきまして、いろいろな問題がありましょうが、それなりの効果を上げてまいったのではないか。こういう意味から五十年には今後の同和対策、こういったこともかみ合わせながら調査をいたしたわけであります。その中で、御承知のように三千二百六十四億という、過去の国費が四千数百億ということでございますから、当然自治体の予算と申しましょうか、自治体等々を考えた場合には、やはりこの延長は当然必要である、こういう認識に立っておることは、当時とはいささかも後退をしておるものではありません。  しかしながら、この法案のむずかしさというのは、総理府を含めて、十省庁にまたがる各省庁との総合調整をしていく大変むずかしい法案であります。と同時に、いま国会の関係でいろいろ議論になっておることも、上原さんよく御承知のとおりであります。できるならば一日も早く各党間の合意に達していただきまして、私の方でも一日も早くこれにこたえて提出をする準備おさおさ怠ってはおりませんので、できるだけ各党の合意に達するように私の方からむしろ上原先生にお願いをしておきたい、こういうように思っておるわけであります。
  25. 上原康助

    ○上原小委員 私たちも鋭意努力を進めているということは先ほども申し上げたことでありますし、また国対筋でも各党のお話し合いも持たれておることも申し上げるまでもございません。ただ、こういう席ですからあれこれずばずば言うわけにはいきませんが、延長幅につきましてはいろいろな憶測などもありまして、私は改めて長官に御要望申し上げておきたいわけですが、この問題を当初稻村長官なり総理府がいろいろお考えになっておられたと承れる方向でまとめていただかないと、事はきわめて重大な面に発展する問題であるということもこの際御認識をいただきたいと思うのです。  社会党初め、ほかの公明党、民社党、共産党、新自由クラブ各党のそれぞれの御協力も得ながら、延長幅については野党の方はほぼ一致を見ているわけであります。しかし、残念ながら法案を本来提出をしてまとめるべきはずの与党の方がまだ決断をし切れない。これはきわめて残念なことなんです。こういうことではいけないと思いますので、私たちももちろん努力はいたしますが、一にかかって担当大臣である総理府総務長官の決断と与党の決断にかかっているということを申し上げておきたいと思うのです。  そこで、先ほどお二人の御発言にもありましたように、相当期間の延長ということになりますと、大体常識で最低五、六年ないしそれ以上ということになると思うのです。それを言うわけにはいかないということであるならば、これだけの事業というものをいろいろ推進をしていく、あるいは本当にこの問題を根本的に解決していく、人権尊重という面、社会的平等という面から考えてもやっていくということであるならば、それ相当の期間がまだ必要であるということはどなたも認識できると思うのです。そういう面で期間ということを、何年ということをずばり言うわけにいかなければもう少し文学的表現ででも大体の長官の心境というのはないのですか。
  26. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 私もよく勉強もさせていただきました。先ほど申し上げたとおりです。いろいろの意見も承ってまいりました。そういう意味から、これはやはり太く短くという性格のものではない、大変きめ細かく幅広く、すそ野も広くきめ細かく実行していかなければ効果の上がらないものだ、こういう認識に立っておることは、はっきりと申し上げておかなければならぬと思います。  しかしながら、ひとつそう意地の悪い質問をされないように。あくまでも私は、各政党間の意見を尊重するということはしばしば国会でも申し上げておりまするし、また、私の決断ということは、これはやはり無理というふうに御判断を願って、どの党ということになりますると私もわかりませんが、できるだけ各党が合意に達する努力をしていただいて、それを私が尊重する、こういうことでお答えをしておきたい、こういうふうに思っております。
  27. 上原康助

    ○上原小委員 かなりいい線まで行きそうなんだが、なかなか全貌を御披瀝なさるわけにはいかないという、それもわからぬわけではありません。しかし、これまでの国会における御答弁の経緯がありますから、先ほど申し上げましたように、決して意地悪を言っているわけでもないし、私たちはやはりこの国会の場でやりとりされる質疑応答の中で御回答があったことには、それぞれ責任を持つことでなければいけないと思うのですね。そういう意味で、改めて御要望を申し上げておきたいのです。  それと、国会が終盤になりますと、いろいろな問題と関係をしてくることもあろうかと思うのですが、事この特別措置法の延長問題については、決して他の問題と絡ませたり、あるいは国会運営上の問題として取り扱わない。もしそういうことがあるとするとこれは問題ですので、ますます同和対策事業なり同和対策問題の本旨にもとると私は思うのですね。そういう面については、担当大臣としても、与党筋にも強くその旨を御理解させるように御努力をいただきたい。その点についてもお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  28. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 御指摘の点は、全くそのとおりだと思っております。小委員長がわが党の方のまとめ役、窓口ということになっておりますので、できるならば、この場をかりて、委員長にも、ぜひひとつまとめていただくようにと、私の方からもお願いを申し上げておきたいと思います。
  29. 上原康助

    ○上原小委員 そうは言っても総務長官、これは逃げられるものではないですよ。最終は、責任はそこに行くということは十分お考えになっていただきたいと思います。  そこで、時間でありますので、重ねて、お二人の参考人には、おいでいただきまして、いろいろ貴重な御意見をお述べくださいましたことを厚く感謝申し上げます。ありがとうございました。  そこで、小委員長の方に、いま総務長官をある意味では援護射撃をし、協力しながら、私も要望したいわけですが、冒頭申し上げましたように、この小委員会が設置をされたいきさつということと目的を十分、賢明な小委員長ですから、御理解いただいているわけですが、できるだけきょうじゅうに小委員会のまとめ、意思統一というものを努力をしてやっていただきまして、いつまでも延長幅をどうするかというようなことでもたもたするのではなくして、さらに内容をどうするかという問題も含めて議論を継続していかなければいけない重要な点もあるわけですから、そのことをぜひ努力をしていただきたい。特に、もう村田先生なり与党の委員さえサインを出していただけば、これはどこかの言い分じゃありませんが、二、三秒でまとまることなんですね。そういうことをようやらぬと、これは国民に対して、同和対策事業を一生懸命やっておられる地方自治体やあるいは関係団体に対してやはり責任を果たしたと言えませんので、その点、委員長の見解も伺っておきたいと思います。
  30. 小宮山重四郎

    小宮山委員長 お答え申し上げます。  内容が一番重要でございますので、きょう皆様方から、委員各位から十分な御意見を聞いて、速急にまとめたいと考えております。私自身、総務長官と同じように、国会対策委員長クラスで決めることについては反対でございますので、御了承いただきたいと思います。
  31. 上原康助

    ○上原小委員 終わります。
  32. 小宮山重四郎

    小宮山委員長 磯村参考人には、御多用のところ本小委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。  午後一時から小委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十六分休憩      ――――◇―――――     午後一時十分開議
  33. 小宮山重四郎

    小宮山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  同和対策に関する件について質疑を続行いたします。上田卓三君。
  34. 上田卓三

    ○上田小委員 小委員会の任務は、同和対策事業特別措置法延長について、どれだけの期間の延長が必要であるかという延長幅の問題と、それと特別措置法の改正といいますか、内容改善と、この二つに分けられるだろうと思います。とりわけ今国会において、総理並びに担当大臣である総理府長官は、今国会延長を図りたい、こういうことでございますから、当委員会の任務というものは、延長幅をどれだけにするかということが直接的な議題であろう、そういう意味で、きょうは各省の主なるところ、それから自治体で構成しております全同対、それから総理府機関でございました同対協、この三者が出ていただいたということであろう、こういうふうに思うわけであります。  そこで、その部分に限って御質問をさせていただきたいわけでございますが、特に午前中も黒川同対室長の方からも、また各省の方からも御報告がありましたように、昭和五十年の春に行われましたところの実態調査で、五十四年度以降の残事業というものが一兆二千八十二億円という額が示され、特にそのうち国費関係が七千六百四十四億円ということで、その後五十年、五十一年、五十二年、五十三年の予算が計上されておるわけでありまして、そういう意味で五十四年度以降の国の持ち出し分だけの残というものは三千二百六十四億円と、こういう数字であるというように御報告されたわけでございます。  そこで、全同対の方も若干お触れになったというように思うわけでございますが、五十年が調査の時点でありますから、それから三年近く経過いたしておるわけでありますから、その後のいわゆる物価高というものがどのように見込まれておるのか、お聞かせいただきたい、こういう点が一つ。  それから、地区指定というものがその後において幾つかの府県から報告されているということを聞いておるわけでございますが、少なくとも私たちの理解でいきますと、たとえば昭和五十年の調査では、同和地区数が四千三百七十四、このように発表されておるわけでございますが、大体われわれは、千地区ほどが調査漏れになっておるのではないか、こういうように思うわけであります。特に昭和十年でございますけれども、古い話でございますけれども、そういう意味では、政府調査の中で一番大がかりな本格的な調査であったというようにわれわれも理解しておるのですけれども、そのときでさえも五千三百六十五の被差別部落、同和地区数がある、このように報告されておるわけでございます。そういうことを考えますと、少なくとも九百九十一というような数字が一体その後どうなっておるのかということにならざるを得ないのではないか、このように思っております。そういう点で、それらの把握というものが完全になされないと、政府調査した以外の地区は完全に同和問題が解決している、特別措置法の対象外だと断定するならする根拠というものがやはりなければならないだろう。そういう点で、この調査というものは非常に不十分ではないか、こういうように思うわけでございます。  三点目は、この一兆二千億の残という形で五十年調査があったわけでございますが、これはあくまでも現行法に基づいて、また予算の範囲内というようなこともあったりして、全国の自治体が行っている同和対策事業のすべてじゃなしに、規模とか単価というものが政府の決められた範囲内での予算になっておるのではないか。そういう意味では、残事業というならば、もっともっと多くの数字が出てくるのじゃないか。そういう点は一体どのように考えておられるのか。あとまだ時間がありますから御質問させてもらいますが、とりあえずそういう点について、黒川室長の方からお答えいただきたいと思います。
  35. 黒川弘

    黒川政府委員 先ほど昭和五十年の調査と、それからその後における予算措置状況との関連におきまして、事業費あるいはそれに対応する国費について御説明申し上げたわけでございますが、五十年調査からその後の予算の額を差し引きまして、国費として三千二百六十四億、事業費として四千六百六十九億というふうに御説明申し上げておりますが、この中には物価上昇等の要素はもちろん入れてございません。  それから第二点でございますが、昭和五十年調査同和地区の数は四千三百七十四地区ということで報告されておりますが、その後現在までの間に、追加報告といいますか、その調査の手法に準じましてその後の追加報告が出ておりますが、その地区数は、現在まで百十三地区でございます。上田議員からそれよりさらにさかのぼる調査との比較におきまして御意見の御陳述がございましたけれども、この五十年の調査は、この時点における同和地区実態、それから同和対策事業特別措置法をもとにいたしまして、この法律に基づく事業実施が予定されている地区ということで説明を尽くしまして調査をいたしたわけでございまして、私どもといたしましては、委託を受けて調査実施に当たっていただきました地方自治体におかれましては、この調査趣旨をよくのみ込んで調査に当たっていただいたというふうに考えておりますけれども、その結果得られた数字がただいま申し上げたとおり五十年時点で四千三百七十四地区、その後現在までの追加報告の形で寄せられております地区が百十三地区という状況でございます。  それから、同じく五十年調査事業費のとらえ方でございますが、これも、御指摘のとおり国庫補助方式を頭に置きまして、規模、単価その他につきましては、その当時の国庫補助の方式によりまして算定いたしたものでございまして、これはその当時におきまして、その後における国としての施策参考資料にいたしたいという観点で調査をいたしましたので、申し上げましたように当時の国庫補助方式によるという手法をとりまして、このことには私は問題ないと思っております。
  36. 上田卓三

    ○上田小委員 問題は、五十年調査はいま申し上げたような形で非常に不十分であるということが明らかになっておるわけでありますから、やはり残事業がいまの時点でどれだけ見積もられるかということを考える場合、当然物価上昇分というものを――物価上昇があったということはお認めになると思うのですけれども、それを何ぼに計算するとかいうことは同対室の仕事ではないかと私は思うのです。だから、やはりその点について、その後どの程度この物価高を見積もられるかということが一点。  それから、追加の報告が百十三地区あったということば、さらに時間をかければもっとふえるということにもなりかねないわけであります。それと同時に、この百十三があったというだけでなしに、これらの事業がそういう意味では全然一つもやられていないわけでありますから、これをどういうふうに見積もるのかということが二点目にあると思います。  それから三点目は、この国庫補助の規模、単価という一つの基準に基づいて調査した、私はそれをしたことを問題にしているわけではないのですけれども、やはり同和対策事業特別措置法の精神ということを考えた場合に、実質三分の二あるいは裏起債、十条適用というものがあるわけでありますから、そういう点で特に市町村の単独事業というのは許されない、私はこういうふうに思うわけであります。そういう点で三点目についての不十分さについてとのように――不十分さを認めるだけではいかぬわけですので、額をせっかくあらわしておるわけですから、私は数字でやはりこの点について補強していただきたい、このように思うのですけれども、どうでしょうか。
  37. 黒川弘

    黒川政府委員 五十年調査の時点から現在の時点に至りますまでの間の物価上昇等の要素をどういうふうに見込むかという問題でございますが、確かに御指摘のとおり、現在までの間に物価変動等もいろいろございますけれども、申し上げるまでもなく、同和対策事業は非常に広範囲にわたっておりますので、果たしてこれを見直すという意味での一律の指標というものはなかなか得がたいのではないかというふうに考えておりまして、現在のところ、こういう指標でもって見直すべきではないかという検討の詰めは行っておりません。  それから、四千三百七十四地区、追加いたしまして百十三地区という説明をいま申し上げたわけでございますが、百十三地区についての事業事業として把握しております。これは事業担当所管省におきまして、これも追加の資料として現在まだ検討中である状況でございます。  それから五十年調査は、先ほどお答えいたしましたように、その当時の国庫補助の方式を基礎にいたしまして事業費国費等の算定をいたしたわけでございますが、そのほかに単独事業地方において行われているという実態はもちろんよく承知しているわけでございますけれども、国として財政的に対応するのは、やはり基本的には国庫補助という方式をもって対応しているわけでございますので、調査はこの観点で行ってまいったわけでございますし、単独事業について別な観点から取り上げるといいますか、単独事業対象残事業を国の立場で考えるということは現在まだ考えていないわけでございます。
  38. 上田卓三

    ○上田小委員 非常に不満です。いま延長の幅が問題になっているときに、最終的な残事業というものをある程度数字であっても答えるべきであって、五十年の調査しかないというのは、やはり政府の怠慢、とりわけ窓口の怠慢ということを指摘せざるを得ない、このように思います。  それから、私も去年の通常国会でも質問させていただいたわけでございますが、いわゆる五十年調査というものが数字説明があって、実際具体的なところまではわれわれ自身聞き及んでない。たとえば私大阪から出ておるわけですけれども、それでは大阪は一兆二千億のうち何ぼの数字となってあらわれているのか、あるいは奈良は幾らであるか、福岡が幾らであるか、高知が幾らであるか、この数字を発表していただいておらないわけです。一兆二千億の各省別のはわかるのですけれども、各府県別あるいはさらに市町村別――これは恐らく市町村末端から上がってきた数字が一兆二千億だと思うわけです。そうするとこの府県別の数字があってしかるべきだと思うのですが、その点発表がないのですけれども、この時点では発表していただけましょうか。
  39. 黒川弘

    黒川政府委員 昭和五十年の調査の集計につきましては、この調査の目的が全国的な視野から同和対策事業の今後のあり方についての検討の資料を得ようということで行ったわけでございまして、事業費につきましての都道府県別の集計は行っていないわけでございます。したがいまして、集計を行っていないことでございますので、発表というわけにはまいらないということを御了承いただきたいわけでございます。
  40. 上田卓三

    ○上田小委員 この問題はやはり各地域、一つの具体的な同和地区なら同和地区の物的な施設、それを予算の額にしてどれだけという形であらわして、大体国の補助、起債等もつけて、市町村が財政事情をにらみ合わせて、それでは五年なら五年、十年なら十年という形で事業をやっていくものだと思うのです。  そういう意味で、恐らく調査に協力された市町村なり府県は、それなりの数字は持っておられるのだろうと思うのですが、われわれ国会議員としては、果たしてその数字が正しいのかどうか、全国的に調査をされた一兆二千億の数字が果たして正しいのかどうか、それが全然点検の余地がないわけです。あなたの方では、各省別が出ているということでそれを信頼している、集約したら一兆二千億あったと言ったって、われわれはただ単にあなた方が調査した結果をまるのみ信用するしかないというようなことになっておるわけでありまして、われわれとしては五十年調査相当問題があったのではないか、問題があったがゆえに、これをわれわれに発表しないで、各府県別、市町村別か集約できてないのだという形で――あるいはその資料自身も、聞くところによれば、幾つかの省ではまだ資料は残っておるが、幾つかのところではもう紛失したのかどうかわからないようなことも聞いておる。そういうことがああいう悪質な地名総鑑にも発展しかねないわけでありまして、そういう点で非常に残念だ、私はこう思っておるわけです。  そういう点で五十年調査というものをもう一度この時点で抜本的に調査する、物的なものを一つ見るだけでもそういうことが必要ではないか、私はこう思うのですが、その必要性についてはどのようにお考えでしょうか。
  41. 黒川弘

    黒川政府委員 昭和五十年に実施いたしました全国同和地区調査でございますが、申し上げましたように、あるいは御理解いただいておりますように、これは全国同和地区実態のほか、当該地区の所在する地方公共団体昭和五十年度以降に実施を見込んでいる同和対策事業について調査したものでございまして、これによりまして各地方公共団体の必要な事業量はおおむね把握されているものと考えております。したがいまして、これについて再調査を行うという必要はないというふうに考えております。
  42. 上田卓三

    ○上田小委員 次に、全同対の夏秋幹さんにお尋ねいたします。  ここに、私の手元に一つの資料があるわけでございますが、全国市長会昭和五十二年の十月に調査発表した数字があるわけでございますが、この数字によりますと、一兆二千八十一億という数字が五十二年の十月時点で出ているということですね。未解放部落を含む市町村というのは、全国で千四十一の自治体があるわけでございまして、そのうち市関係で言いますと、二百五十六の市があるわけでございます。その二百五十六の市の中で、さらに二百四十一だけの五十二年の時点での残事業というものを集約したのが一兆二千八十一億ということでありますから、いわゆる全国市長会が発表しているものよりも五十年調査の方がはるかに小さな数字となってあらわれておるということでございますが、そういう点についておわかりならもう少し詳しくお聞かせいただきたいし、また、さらに町村ということになりますと、七百  八十五の町村があと残っておるということになるわけでございますので、その点わかればお聞かせ  いただきたいと思います。
  43. 磯村英一

    夏秋参考人 ただいまの上田先生のお尋ねでございます。最初、私の方の全日本同和対策協議会の性格について御説明を申し上げたわけでございますが、ただいまは全国市長会の方で二百五十六の市のうちで二百四十一市についてのおまとめになった残事業費という点について一兆二千八十一億円というのが出されておるが、その点について関知をしておるかどうかというお話でございます。  冒頭申し上げましたような私の方の性格でございまして、私の方の組織、これは省略いたしまして全同対と申し上げます。全同対には三十六都府県と十市が入っておるわけでございますが、さらに三十六都府県は、それぞれまたその中における市を当然いろいろこの行政に関して指導してしかるべきではないかというふうにお考えであろうかと思いますが、簡単に申し上げまして、さような数字につきましては仄聞をいたしておりますけれども、私の方の全同対といたしましては、詳しく連絡を受けておりませんし、またさらに積極的に私の方が調査に関与したということはございません。  なお、さらに今後におきましても、そういう点について、積極的に任意団体であります私の方でそういう点が確かめられるかどうかということについては無理じゃなかろうかというふうに考えております。したがいまして、これらのことに関しましては、市長会の方で詳しく御存じであるということでございます。
  44. 上田卓三

    ○上田小委員 黒川室長、その点についてお聞かせいただきたいと思います。
  45. 黒川弘

    黒川政府委員 全国市長会が昨年の十月に発表いたしました数字でございますが、いま御指摘がありましたように一兆二千八十一億円、これはたまたま昭和五十年の政府調査と奇妙に一致しておりますけれども、全く別な数字であるということで認識しております。内容といたしましては、これも御指摘の対象市二百四十一市の事業枠であるということでございますが、政府の把握いたしております五十年の調査による数字と大きく違います点は、一つは、政府の方は国庫補助事業対象にいたしておりますのに対しまして、市長会数字の方には市の単独事業も含んでいるというふうに理解をいたします。  それから政府調査によります数字は、いわゆる物的事業に係るものでございますが、全国市長会数字の方には必ずしも物的事業に係るものだけではなくて、その他の事業も含んでいるのではないかというふうに考えます。この辺にその両者の相違点があるのではないかというふうに理解しております。
  46. 上田卓三

    ○上田小委員 確かに市長会の発表されておる中には物的施設以外のものも含んでおるようでございますし、また単独事業というものが多くあるということも事実だと思うのですけれども、そういう意味から見ても、やはり、ややもすればこの延長問題で、聞きますれば一年とか二年とかいうようなことを言うておる先生方もおられるようでございますが、政府が発表した五十年調査の一兆二千億という残事業は、要するに国庫関係だけで三千二百億云々、それでは二年でいけるじゃないかというような非常に単純な形で理解されがちでありますので、私は、やはり同和対策室総理府は、全体に客観的に残事業がわかって、そして自動的に延長幅が理解いただけるようなそういう資料というものを積極的に提示をなさらなければならないだろう、こういうように考えておるわけであります。  そういう点で特に考えますのには、全国市長会だけでも、この五十二年の末の調査で一兆二千億という数字が出ておるわけでありますから、さらに市関係で漏れておる部分も入れますと約一兆五千九百億ぐらいになるのではないかというように推計いたしておるわけであります。また、町村は先ほど申し上げましたように、七百八十五関係町村があるわけでありますから、これらは五十二年度以降、この同和事業の残高というものは、われわれの調査によりますと、大体一町村当たり二十六億二千万ぐらいあるのではないか、そういうものを単純に掛け算をするだけで二兆七千億近くの数字がはじき出される。これは町村でありますが、それと全市的なもの、この二つを加えただけでも優に四兆二千億から三千億という数字が出てくるわけであります。  当然この中には、いま同対室長もお認めになりましたように、物的以外のものも含む、あるいは単独事業もあるということも事実でありますが、大体単独事業があるということ自身が法律違反である。本当に全国の市町村が、末端の自治体が同和対策として予算を組んでいる以上、事業をしている以上、それに対して同和対策事業特別措置法適用をする、それに対して国が助成するということは当然のことではないか、私はこういうように思っておるわけであります。  そういう意味残事業ともし考えるならば、残事業の中には単独事業も含めて、国は今後どうするのかということが大きな問題じゃないか。そういう意味で、今回は最低五年延長し、そして来年三月までにはこの法律の抜本的な改正が必要ではないか、とりわけこの地名総鑑などが各家庭までも販売されるというような、こういう世論の厳しい状況の中でもそれを逆なでするような状況があるわけでありますから、やはりこの際同対法というものを、ただ単に何年という形で解決するものもあるが、やはり問題の解決まで、基本的な法律として設置しなければならない問題も出てくるのではないか、私はこういうように思います。残事業の問題だけがいま問題になっておりますが、さらに言うならば、冒頭申し上げましたように千カ所余りの未指定地というものがあるわけでありますから、そういうものもある程度数字ではじくということになりますと、さらに残事業というものが重なってくるわけでございます。  私の手元に新聞の切り抜きを持っておるわけでございますけれども、五月の十日に総理府が五年延長案を決めた、そして十二日には自民党の政調会にそれを提示したということまで言われておるわけでありまして、これについて長官なり同対室長は否定されておるようでございますが、これはもう火のないところに煙は立たぬということわざもありますように、恐らくNHKなどもテレビで放送するというようなことでありますから、野党の議員が五年は間違いないと言ったから新聞とかテレビにのるものじゃなしに、私はやはり政府筋、とりわけ総理府関係からある程度の案が出されたものだ、こういうふうに推定するわけでございます。  先ほど長官も太く短くはいけないということでありますから、これは長くせねばいかぬということを文学的表現をされたのじゃないか、こういうふうに思うわけでありまして、そういう点で少なくとも二年や三年ということでは、自治体が抱えている残事業――実際残事業として同和事業実施するのは末端自治体でありますから、末端自治体のそういう具体的な数字というものを政府が尊重されるということが一番正しいし、われわれ国会においてもそのことを尊重しなければならないだろう。ただ単に不十分な政府の五十年調査だけを根拠にしてこの残事業を決め、延長幅を決めるべきではない、このように考えるわけでありますが、その点について同対室長から最後にひとつ詳しく御説明いただいて、私の質問を終わりたい、このように思います。
  47. 黒川弘

    黒川政府委員 同和対策事業特別措置法延長の問題につきましては、政府部門、関係各省におきまして検討、究明を続けている段階でございます。現在までの段階でまだこれを何年とすることが適当かという合意には達していないわけでございますが、諸方面から寄せられております要請を十分に踏まえまして検討すべき事柄であるという認識に立っております。  それから、先ほど総務長官も申し上げましたが、本問題につきましては、この小委員会におきましても御協議いただいておるわけでございまして、その辺の御意向も十分にそんたくして判断してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  48. 上田卓三

    ○上田小委員 ありがとうございました。
  49. 小宮山重四郎

  50. 平石磨作太郎

    ○平石小委員 本日の小委員会において、全同対の夏秋先生、さらに磯村先生も参考人として午前中非常に貴重な御意見を拝聴させていただいて、本審議に大変効果があった、このように理解をするわけでございます。改めて御礼を申し上げたいと思います。  そこで、延長についてだんだんと質疑がございました。私もやはりこの法律延長をして、先ほど磯村先生がおっしゃったように、少なくともこの事業についてはやはり前進をしていかねばならぬ、このように理解をするわけです。ところで、この法律ができ上がった昭和四十四年当時を振り返ってみますと、私はこの長期計画の作成に当たっても非常な困難があったと理解をしておるわけです。  そこで、先ほどの総理府の方の報告にもありましたように、残の数字が出ております。なぜこういった残が出てきたか、このことを振り返って考えてみますと、先ほどの磯村先生のお話にもありましたが、この法律ができてから非常に理解が高まった。国民的な理解が高まって、まさにこれから前進せなければならないというような御意見がございましたが、私は当時、長期計画を作成し、団体におっていろいろとこの仕事に携わってまいりましたが、その当時は、役所の中ですら理解が得られなかった。地方団体は、一人の首長のもとでそれぞれの部局において各般行政が行われておりますけれども、この事業については各般に分かれた事業があるわけでございまして、その場合に、長期計画を作成するという段階においてすら、役所の中での理解度が非常に薄かった。だから、結局担当部局が長計をつくり、そして協力のないままに長期計画が作成せられていったというようなことの経験もあります。  そういうことを考えてみますと、私は政府の内部においても、やはりそういった面があったのではないか。これは過去の話ですよ。そしてこの長期計画を作成をし、上部団体に上げてきたわけですけれども、その作成に当たっての、法律はできましたものの、これに対応すべき行政の態度、態勢というものが整ってなかった。だからこれに対して対応するためには、少なくとも四年ないし五年はかかったのではないか。総理府に同対室ができたのが昭和四十九年、私はこれは端的にそのことをあらわしておると思うのです。  私は政府にそれがあったとは言いませんけれども、みずからの経験から考えたときに、そういった行政の立ち上がり、対応、団体の方、住民の方からは各種の要求が出てくる。そうすると、行政はどれを選択し、どうするか、どのような計画をつくって対応していくかということについて非常な苦労があったわけです。そのような経過をたどっておりますので、私は少なくとも当初の長期計画それから昭和五十年における長期計画、ここには非常な質的な差もあったと思うのです。このようなことが政府の中で四十九年にしか同対室が生まれなかったということを踏まえて、どのように対応したのか、室長からひとつお答えをいただきたい。
  51. 黒川弘

    黒川政府委員 同和対策事業特別措置法昭和四十四年に実施されたわけでございますが、いま平石委員御指摘のように、地区によってはこの問題に対する取り組みのおくれが非常にあったのではないかということでございますが、よく実地を御存じの先生の御発言でございますので、私はそういう事実は先生の御出身地に限らずあったのではないかというふうに認識いたします。  政府の対応状況でございますが、昭和四十四年度、これは同和対策事業特別措置法ができましてからの最初の年度でございますが、予算額は六十二億一千七百万でございます。それから翌年昭和四十五年度、この年に百十八億九千三百万というふうに相当程度増額されましたが、順を追って申し上げますとちょっと煩瑣にわたりますので、途中を省略いたしまして、本年度予算額は一千八百四十三億、この間物価等の変動情勢等もございましたが、予算措置状況にも見られますとおり、政府のこの問題に対する取り組み方につきましては、予算額の増額の面でその姿勢をおくみ取りいただけるのではないかと思います。  五十三年度、この段階におきましても、先ほどから申し上げておりますように、五十四年度以降に見込まれる同和対策事業もございますので、なお積極的に今後の問題としても取り組んでまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  52. 平石磨作太郎

    ○平石小委員 この予算の経過を見ましても、やはり前期五ヵ年、少なくとも二、三年、五ヵ年の間は、これはももろん伸びは非常な伸びを示しております。一般会計から見ましても、同和予算の伸び方というのは著しい伸び方をしておるわけですけれども、過去九年間の経過の中から判断してみますと、やはり対応に立ちおくれがあったということが予算数字の上からもうかがえるのではないかというように私は理解するわけでございます。したがって、十ヵ年という時限立法ではありますけれども、実質的には、いよいよという段階になって、効果を発揮し始めたのは少なくとも五年間しかなかったんじゃないかというような気がしてならないわけなんです。  したがって、この延長については、先ほどから幅の問題等いろいろありましたけれども、この幅については、いま申し上げたようなことから考えても、少なくとも五年は必要だというように私は理解をしておるわけでございまして、その点、ここでお答えはしにくいかもわかりませんけれども相当それに見合うような延長を必要とするというように室長はお考えかどうか、ひとつお答えをいただきたい。これは先ほど長官がおられる際にお聞きしょう、こう思っておりましたけれども、時間の都合でお伺いができなかったので、室長、ちょっと無理かもわからぬけれども、ひとつお答えをいただきたい。
  53. 黒川弘

    黒川政府委員 各省が所管しております同和対策事業のいわゆる残事業につきましては、先ほどお聞き及びのとおりでございますが、これを実施するのに何年かかるかということにつきましては、はなはだ申し上げかねる段階でございますけれども、この残事業を無理なく実施するに必要な年数の法律延長が必要であろうというふうに判断しております。
  54. 平石磨作太郎

    ○平石小委員 いま申し上げたことをひとつ十分判断の資料にしていただきたい、このように思うわけです。  ところで、次は内容についてちょっとお伺いをしてみたいのですが、この同和予算は、先ほど上田議員からもおっしゃいましたが、全国の市町村がほとんど実施体として仕事をしておるわけなんです。したがって、全国的な同和の予算、いわゆる地方団体の予算、これは一体どのくらいの予算があるのか。自治省の方か、総理府室長さんか、おわかりいただければお示しをいただきたい。
  55. 黒川弘

    黒川政府委員 少し古い資料で恐縮でございますが、四十九年度分につきましては、同和対策事業の各自治体の歳出決算の状況についてまとめたものがございます。  まず府県分につきましては、合計が九百六億円ということになっております。それから同じくその年度で、市町村の合計は二千六百五十五億円ということになっております。
  56. 平石磨作太郎

    ○平石小委員 大体三千億余り、三千五百億ぐらいが四十九年度全国地方団体の同和予算ということになるわけです。  そこで、私はこのことをなぜ聞くかと申しますと、この法律内容においては、御案内のとおり、国庫補助が三分の二、そして残り三分の一が起債を持つ、そしてその起債の中で八割は基準財政需要額に算入していく、こういう仕組みになっておるわけです。先ほどの総理府の報告の中にありました残事業の一兆二千億、そして、国庫負担とすべき金額、これがざっと三分の二ということに相なっておるわけです。室長の報告のときにありましたように、方式によれば国庫負担は云々ということで、三分の二になっております。  ところで、五十一年度の同和事業についての全国の統計を見てみますと、現在の国庫補助というのは三分の二行われていない。わずか三三%しか国庫補助が行われていないということです。このような状況の中で残事業が生まれたということは、やはり国が、法律に示されたとおりの財政方式をもって国庫補助がなされていない。そのことが地方団体にしわ寄せとなって起債という形で出てきておる。そしてその起債の中でも、十分の八のいわゆる交付税としての算入というものの率も非常に低い。ここらあたりに財政的な安定がないから、少なくとも受けざらを受けざらとして行っていかねばならない地方団体の財政の貧困、その貧困の中でこういうしわ寄せが出てきておるということが、これまた残の出てきた大きな原因になっておる、このように私は理解をするから、このことをお伺いをしておるわけです。  したがって私は、総理府室長は――先ほども夏秋先生のお話にありましたように、調整ということを意見の中で言われました。私は先ほどの長計をつくったときの経験からしましても、また、今後のある姿からいって、夏秋参考人のおっしゃったことは、まさにこの行財政の調整をしていく、そのことが行われていないから、今後は政府組織の中にそのような組織をつくってほしい、このように御意見があったのだと理解をするわけですが、そこで室長にお伺いをしたい。  このような予算のあり方、これをそのまま総理府室長さんはただ見過ごして、自治省を指導するなりあるいは農林省その他事業省を指導するなりというような調整的な働きというものが全くない。ただ予算ができ上がったものを集計して、集めて、これでございます。こういったような形の総理府室長であってはならぬ、こう私は思うのです。だから、この面については、予算の方式に従った三分の二になっていないでないか、三分の二に引き上げなさい、そうしないと一方の十条適用についての起債の面でも非常な無理がかかってそれができないというようなこと、予算の執行全体、それから事業の進め方、こういった面にまで室長は目を光らせて、総理府という中で各省を指導していくということが私は必要だと思うのですが、その点についてお答えをいただきたい。
  57. 黒川弘

    黒川政府委員 総理府連絡調整の機能に触れるお話でございますが、総理府といたしましては、この同和対策事業につきまして、多くの省にわたっている事業でございますが、常時その連絡調整の役目を果たしてまいっているわけでございます。  具体的に申しますと、たとえば予算の話でございますが、予算編成に当たりましては各省が次年度どういう予算を要求するか、その当初の段階から頻繁に連絡の機会を設けまして、お互いの意見の交換を図っているわけでございまして、総理府が指導ということではございませんけれども、ある省は、他の省のこの事業に対する取り組み方から、自分の省の予算の要求の仕方に何か考えるべき新たな要素を見つけ出すということもあると思いますし、全体の同和対策から判断いたしまして自分の省の来年度予算要求がどうあるべきかということで意見を出す場合もありましょうし、そういう形を通じまして総理府連絡調整の機能を果たしているわけでございます。今後におきましても、さらに力を尽くしまして同和対策が前進いたしますように努めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  58. 平石磨作太郎

    ○平石小委員 自治省にお伺いいたします。  私のこの資料によりますと、十条適用についてはわずかに二一・八%しかないわけです。だから、起債の七八・二%というものはこれはもう全部地方団体の負担に帰してしまっておるという数字なんです。それから、国庫補助につきましても、ここでこの資料によりますと、昭和五十年ですかのこれを見てみましても三三%、いわば三分の二が三分の一になっておるという数字があるわけですが、これは間違いないですか、ひとつお答えをいただきたい。
  59. 千葉武

    ○千葉説明員 お答え申し上げます。  御指摘ございました特別措置法十条適用地方債の二一・八%という率でございますが、これは五十年度地方財政統計年報による数字で、そのとおりになっております。それから、国庫補助金が三分の一程度というお話について御確認がございましたが、先生御指摘の数字は、私ども予算編成時期におきまして各省庁に国庫補助の充実、予算の拡大というお願いをしているわけでございますが、これに添付いたします資料の中の数字では、住宅関係を除く同和対策事業につきましては地方債の充当結果報告によった資料でございますが、御指摘のように約三三%、国費がそのようになっております。
  60. 平石磨作太郎

    ○平石小委員 いま御確認をいただきましたが、まさに実態はこういうことです。こういうふうに地方団体にこれだけ無理がかかって、しかも今日まで九年間やってきたわけですが、これを総理府室長さんは御存じでしたか、どうですか。
  61. 黒川弘

    黒川政府委員 いま先生御指摘がありまして自治省がお答えいたしましたこの数字につきましては、承知しております。
  62. 平石磨作太郎

    ○平石小委員 そうすると、これはなぜこんなになったのか、その理由をひとつお示しいただきたい。
  63. 黒川弘

    黒川政府委員 さらに内訳について見ますと、先ほどの資料によりますと、昭和五十一年度同和対策事業は総事業費で一千三百一億九千万円ということでございます。そのうち国庫補助負担事業地方単独事業に分かれまして、国庫補助事業事業費といたしまして六百五十億、それから地方単独事業はほぼ同額の六百五十二億ということでございまして、そのうち国庫補助事業の六百五十億のうちに充てられるべき国費は四百二十九億ということになっております。したがいまして、この分につきましては、ほぼ三分の二ということになっているわけでございますが、地方単独事業の六百五十億は、これは単独事業でございますから、もちろん国庫補助の対象にはなっておりませんで、これを合しまして全体の事業費に対します国費の割合を算定いたしますと、三三%程度になるというふうに理解しております。
  64. 平石磨作太郎

    ○平石小委員 いまの数字の話はもう済んでおります。なぜこんなになったかということです。これは私は補助単価と実行単価の差だと思うのですね。それと、十条適用にならないいわゆる対象外の起債、もとをただせば補助が少ないからそうなっている。その補助の少ないのはやはり単価差あるいは規模の差にある、ここに私は原因があると思います。こういうことで予算執行が今日までなされてきて、残事業が残りました。先ほど言った長計、行政の対応の立ちおくれと、そしていま申し上げた予算の方式に決められたとおりの予算が行われていないというところに、私は残事業が出てきた大きな原因があろうと思うのです。  これから将来これを延長して執行していく場合に、やはりこういう形の執行の仕方ではどうにもならないし効果が上がらない。ますます地方財政は危機に陥っておるのですから、そういう中でこの時限立法としてやっていこうとするのなら、少なくともいま御指摘申し上げた二点については、今後十分反省をしてやっていただきたいということを私は要請したいと思うのです。そうしないと、この事業の完成はとてもむずかしい、こういう気がしてなりません。これは先ほどのお話にもありましたように、特にその後理解が高まって、私が担当した当時から言いますと、まことに隔世の感があります。  昨年の十一月に私の地元の方でも、各地方団体が集まって三千人で強化延長についての大会が持たれた。これは、知事さん初め市長さんあるいは町村長さん、議会の方々、全部集まって三千人で高知市内をデモをやるというくらいの協力の仕方、理解の仕方です。私が当初これに携わった当時から言いますと、この理解度というものはまことに隔世の感があります。まさにこれからいよいよやろう、そして住民の方との話もつき、さらに地区改良その他につきましても、当初はどこをどうしてどのようにするかというようなことは、行政はただうろうろして対応ができなかったのですが、いま住民の協力もいただいてこれからやろうというようなところがどんどん出てきております。  だから、五十年調査以降においてこことも話がついた、こことも話がついた、だから地区改良も取り上げよう、大規模事業も取り上げよう、こういう矢先に、これがもう満期でございますという形になったのでは、これはできない。だから全国地方自治体の方々も国会に昨年陳情に見えられまして、私はその陳情を受けながら考えたことは、これだけ盛り上がってこれだけ理解度が示されてきたいま、これを打ち切るということはできない。少なくとも私が対応が五年おくれた、こう申し上げることは、少なくとも五年は延ばしていただいてひとつ努力をしていただきたい、これは要望でございます。  以上で、時間が参りましたので、終わらしていただきます。
  65. 小宮山重四郎

  66. 中井洽

    中井委員 きょうは参考人夏秋さん、本当に御苦労さまでございます。また、平素地方自治体の皆さんが同和事業促進のために苦しい財政の中で御努力をいただいていることに、心から敬意を表します。  お話しをいただいた中で、時間もございませんので、数点一度にお尋ねをしたいと思います。簡単にお答えをいただければありがたいと思います。  いま平石先生の御質疑の中にもあったわけでありますが、残事業が、地方自治体あるいは国、省庁、違いはあるようでありますが、これだけ残った大きな原因について夏秋さんはどのようにお考えになっておられるか、これが一点であります。  それから二点目は、先ほどお話の中に五十年の調査以降に各自治体で新しい事業というものが決まってきたのもある、こういうことがございましたが、それのトータル等についてはお調べになっていないようでございます。トータルがわからなかったら、夏秋さん自体は三重県で現実におやりになっているわけであります。三重県なりどこかの府県でこういった例がある、こういったことについて教えていただきたいと思います。  それから第三点目は、各市町村のいわゆる超過負担について、どのくらいいままで超過負担をしてきたか、こういったことについて数字をお持ちかどうか。もちろん超過負担につきましては、私ども地方行政委員会でも自治省と各自治体とで超過負担の考えは違うわけであります。しかし皆さん方の三十六都府県、十市のお集まりの中での超過負担の額というものをおつかみになっておられるのかどうか、こういったことをお尋ねしたいと思います。  以上三つ、簡単にお答えいただきます。
  67. 磯村英一

    夏秋参考人 中井先生のお尋ねに簡単にお答えを申し上げます。  残った原因は何かという第一点の問題でございますが、これにつきましては、先ほど申し上げておりますように、調査時点以降、四つの要因でもって事業費がふえてきたといった点が第一番に挙げられようかと思います。なお、さらに第二点といたしましては、地方財政実態からいきまして十分な対応がいたしかねた面もあったというようなところが主な点でございます。  それからその次に事業費の点でございますが、しからば第一点に関連をいたしまして、三重県ないしはどこかでどのような実態になっておるか、例を挙げろというふうなお話でございますが、これは当初にも申し上げましたように、全同対といたしまして統一的に調査実施いたしにくいという点もありまして、まとまっておりませんので、この際はA県という表現でもって、伺っております実態の一端を申し上げたいと思います。ただ、これらの点につきましては、各地域によりまして地方公共団体ごとに財政力の差、あるいは対象地域におきます住民の方々のニーズの差、あるいは各自治体の取り組みます場合の計画の取り上げ方というようなものについての考え方の差といったいろいろな問題がございまして、地方ごとに必ずしも画一的な考え方で対処をいたしておりませんので、これから申し上げます例がすべてである、あるいはこれが標準的なものであるというふうにはお受け取りいただけないと思いますが、あらかじめ御了承を賜りたいと思います。  先ほど御質問の中でありましたように、要しますにどれを選択し、どう対処するかといったような点については非常に苦慮をいたしているというようなことでございますが、前置きはその程度にいたしまして、A県の例でございますけれども昭和五十年調査時点におきまして三百五十億円という五十年以降の事業費があります。ただし、それを五十二年八月時点で見直しをいたしました結果単価増がございますので、五十年調査時点での五十年以降の事業費三百五十億円は、五十二年八月時点で単価増を加味いたしますと五百五十億円に相なります。それに対しまして私が先ほど申し上げました四つの要因等によります計画外の事業費が三百七十一億円、合計いたしまして九百二十一億円、これは五十二年八月時点での残事業費、A県における例でございます。  それから第三点の超過負担の件でございますが、これも第二点と同じように、まとまった調査をいたしておりませんので、B県の例ということでお聞き取りをいただきたいと思います。ただし、これは五十二年だけをとりまして、しかも国庫補助事業、それから府県費補助事業、こういうものの総事業費に対します負担割合ということで、正確な答えになるかどうかわかりませんけれども、負担割合ということで一応お察しをいただきたいと思います。この場合、国、県の補助事業のトータル事業費に対しましての負担割合でございますが、パーセンテージだけのラウンドで申し上げますと、国が三六%、府県が二七%、市町村が三七%というような例がございます。  以上、簡単ではございますが、一つの事例としてお答えにかえさせていただきます。
  68. 中井洽

    中井委員 自治省にお尋ねをいたしますが、各市町村における同和事業の超過負担というものをどのようにおつかみになっておられますか、金額的におわかりになりますか。いままでのトータルで結構です。
  69. 千葉武

    ○千葉説明員 お答え申し上げます。  お尋ねのいままでのというのはちょっとございませんが、五十一年度同和対策事業の物的事業に限りましたもので、しかも私ども地方債充当結果報告というものから推計いたしました事業費につきまして御説明申し上げます。  住宅関係を除く同和対策事業事業費千三百一億、これのうち国庫補助事業費六百五十億、地方単独事業、これは超過負担を含めたものでございますが、これが六百五十一億ということでございまして、この六百五十一億がお尋ねがございました超過負担、継ぎ足し単独事業ということになりまして、事業費で見ますと、国庫補助事業とほぼ同額の超過負担を含む単独事業を五十一年度行ったということでございます。
  70. 中井洽

    中井委員 総理府にお尋ねをいたしますが、いわゆるこの特別措置法は本年度で終わる、こういうことでございます。先ほどからお話を承っておりますと、五十年調査しかない、こういうことであります。それからいろいろなデータ等も五十年のものであるとか四十九年のものしか出てないわけであります。そもそもこの十年間の特別立法を十年間で終わらすのだという決心で今日までがんばってこられたのか、これが一つ。  それからもう一つは、最終年度であります。したがいまして、私は来年の一月、二月、三月ごろに十年間を振り返ってのデータというもの、たとえばいま申し上げた超過負担の分あるいは残事業、こういったものについて当然総理府がつくるべきだというふうに考えるわけであります。そういった一つのデータをもとに本当に議論をしていかなければならない。私どもは、社会党さんや公明党さんと同じく、五年程度延長は妥当であろうというふうに主張をいたしております。しかし、それは一刻も早くこういった物的な事業というものを終えてしまう、そしてあと残る精神面あるいは教育面での差別ということに向かって大きく前進をしていく、こういうことを考えているわけであります。それがいつまでたってもこのような形でまた延長をするならば、何の基準もなしに、そうして歯どめもなしに延長をするならば、ずるずると物的面ばかりに引っ張られて肝心かなめのことがおくれていく、こういうことを心配するわけであります。  今年度中に総理府としてそういった統計、あるいはこの十年間同和対策特別事業をやったことによって同和地区の人たちの考えというものはどのように変わってきたのか、あるいはその周辺の人たちの理解度というものはどのように深まったのか、こういった調査等もすべておやりになるつもりかどうか、この点をお尋ねいたします。
  71. 黒川弘

    黒川政府委員 いま御指摘の、十年を振り返ってこれまで同和対策事業がどういう効果を上げてきたか、それから今後この問題を考えるに当たって必要なデータの整理、この問題につきましては、総理府として極力御検討に値するようなものを整理いたしたいというふうに思います。  国民理解度についての調査につきましても、すでに実施した調査がございますので、これも御検討の材料になるような形で整理いたしまして、ごらんに供したいというふうに考えております。
  72. 中井洽

    中井委員 私がお尋ねしたかったのはそういったことじゃなしに、たとえば私の地域なんかでも、計画を立てて、この事業をやり始めてもう二、三年、いわゆる真ん中ぐらいの年数でこれはとうてい五十三年度中にはできないぞという空気がありありとあったわけであります。去年あたりから延長をめぐって猛烈な運動が起こってきたわけでありますが、現実に各地方自治体の担当者あるいは地方の方々の率直な御意見を聞くと、もう初めから十年では終わらぬぞということを前提に、あるいは各省庁の予算のつけ方だってそういう形で来た。本来であったら十年で終わってなければいかぬわけであります。私はそのように考えるのです。  私どもがこういったことを言いますのは、次に五年なら五年延長したときに、またその五年後にこういうことでけんかをして延ばしていく、物的問題だけで引っ張られるというのを一刻も早く打ち破るべきだということを考えているわけであります。そういった意味で、総理府は、今度は延長したらその前に物的事業というものをとにかく終わらす、物的面に関してはもう同和地区とほかとの差別というものはないんだとはっきり胸を張って言えるような状態に持っていくつもりがあるのかどうか。  そういったことを言うていくためには、先ほど夏秋さんがおっしゃったように、各地方自治体地方自治体だけで、ぼくのところはこれだけでいいんだ、いやおれのところは同和対策特別措置法に載っている事業全部やらなければだめなんだ、こういうばらばらなことではなしに、やはり国として一つの明確な基準をつくっていく機関、そういったものをつくる必要があると私は思うのであります。  その二点について御意見を承ります。
  73. 黒川弘

    黒川政府委員 法律延長の年限につきましては、いま議論されているわけでございますが、延長になりました予ての段階におきまして、所定の延長の年限の中で各省挙げましてこの問題に取り組み、いま御指摘の、少なくとも物的施設の面では問題が残らないような形で措置するという態度で当然取り組んでまいる覚悟でございます。  それから対策を進めるに当たって調整を図る機関と申しますか組織と申しますか、これにつきましては、関係省の間で現在でも頻繁に会議をもちましてその機能を果たしているわけでございますので、この方法をさらに続けまして、お互いの連絡にそごがないように努めてまいりたいというふうに考えております。
  74. 中井洽

    中井委員 それじゃ最後に建設省にちょっと妙なお尋ねをいたしますが、先ほどの五十年調査の中で、事業費として建設省関係七千四百六十二億残っておる、国の方は四千五百八十七億である。五十三年度までの実施分を除いて事業費として二千九百四十一億、国の方に二千百三十四億、こうなっておるわけであります。あとの省庁に関しては事業費と国の予算残が大体五十年調査と現在と同じような比率で減ってきているわけでありますが、建設省だけ国の方がえらいお金の使い方が少なくて、事業費として使われた分が多い。これはどういうことが原因でございますか。
  75. 片山正夫

    片山説明員 ただいま御説明申し上げました建設省分、確かに事業費ベースで七千四百六十二億円、国費で四千五百八十七億円が当初にございました。やった分を差し引きますと、事業費で二千九百四十一億円、国費で二千百三十四億円に確かになってございます。  ただいまの国費の使い方と申しますか率が悪いというような意味の御指摘は、ちょっと私ども理解できないのでございますが、もし何か御説明があれば、またお答えいたします。
  76. 中井洽

    中井委員 ぼくもわからないんだ。これは何か補助率の問題ですか。
  77. 片山正夫

    片山説明員 建設省関係の事業と申しますと、住宅と都市関係施設がございます。  住宅につきましては当然補助率は三分の二でございまして、都市施設関係につきましても公共団体施行でございますから、全部三分の二でございます。ただ、住宅の一部に、新築資金の融資を市町村が各個人に行うものがございまして、利子補給相当分の補助金を地方公共団体に差し上げるという点で補助率が四分の一になっておりますので、その分につきましては、国費の使われ方は若干ほかの事業に比べれば少ないというわけでございますので、その点が若干きいているということはあるかもしれません。
  78. 中井洽

    中井委員 建設、農林両省にお尋ねをいたしますが、そうしますと各省庁は大体何年ぐらい延長したら自分のところのお出しになった事業が完了するとお考えになっているのか、これが一つであります。いまの予算ベースで結構でございます。  それから先ほど総理府にお尋ねしたと同じく、もし国会延長が決まれば、その延長内で今度は残事業を残さずにきちっとやっていただく、こういうおつもりがあるのかどうか。  この二点をそれぞれ建設、農林にお尋ねをいたします。
  79. 片山正夫

    片山説明員 残分として残っておりますのが、ただいま御説明いたしましたとおり二千百三十四億円でございます。当然、この分につきましては、物価上昇等いろいろの要因を考えて考慮する必要があるわけでございますので、その点五十三年度予算が、先ほど御説明いたしましたとおり八百四十六億円でございますので、その辺からひとつ御判断をいただきたいと思っております。  それから、もし延長が決まりまして期限がはっきりわかりますれば、その期間内で精いっぱいの努力をいたすつもりでございます。
  80. 阪田彰夫

    阪田説明員 御説明申し上げます。  午前中に申し上げましたように、農林省所管事業で差し引き計算いたしました金額は、事業費ベースで一千五十一億円でございます。これを一体何年でという御質問でございますが、先ほど建設省からも申し上げましたように、単価増その他もございますし、あるいは今後の事業執行がどのような状況で行われるかということがございますので、一概に何年で終わるということは申し上げにくいということでございます。  それから、国会延長が決まりました節は、私どもとしては毎年度予算につきましては最大限の努力を払い、事業を執行したいと思っております。
  81. 中井洽

    中井委員 時間ですので、終わります。
  82. 小宮山重四郎

    小宮山委員長 柴田睦夫君。
  83. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)小委員 同特法が施行されまして九年間を経たわけですが、今日この同特法延長問題を検討するに当たりましては、特にこの九年間の同和対策事業の到達点と問題点を明らかにして、その上に立って法の延長を含む法のあり方の問題を検討すべきだというように私たちは考えて、この法律の民主的改正を行い、五年間延長するということを提案してまいったわけでございます。  きょうは、政府の皆さんからこの到達点の問題、そしてまた参考人の方から貴重な御意見をお伺いすることができたわけでありますけれども、この現状につきましてはなおちょっとお尋ねしたいことは、一つはまず同和対策事業を行った自治体は幾つあるか、このことをちょっと教えてください。
  84. 黒川弘

    黒川政府委員 同和対策事業を行った自治体というお尋ねでございますが、最近の昭和五十年におきます調査におきまして把握いたしました同和地区は、四千三百七十四地区、それからこの調査同和地区が存在するという報告がございました市町村数が一千四十一でございますが、具体的にいまの先生のお尋ねに結びつくこの町村が、どういう同和対策事業を行ってきたかどうかという観点からの確認はしてございませんので、可能性といたしましては一千四十一の市町村が同和対策事業を行っているであろうということは、お答えできますが、その詰めについては必ずしも十分でございませんので、御了承いただきたいと思います。
  85. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)小委員 それでは、自治省の方にお伺いしますけれども地方債の問題ですけれども同和対策事業債の認可総額及び事業内容及び発行地方自治体数、これはおわかりですか。
  86. 千葉武

    ○千葉説明員 お答え申し上げます。  同和対策関係の地方債の四十四年から五十一年までは実績でございます。それから、五十二年それから五十三年一応計画がございますので、それまで入れて申し上げますと、いわゆる同和対策事業本債と言われるものが五千二十八億、それから公営住宅建設関係が三千五百四十八億、それから簡易水道など公営企業債が百四十七億、総トータルで八千七百二十三億という数字でございます。
  87. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)小委員 発行地方自治体数はわかりますか。
  88. 千葉武

    ○千葉説明員 これは先生御承知のように、いわゆる起債の配分方式といたしまして、都道府県知事に枠で配分をいたしまして、それから知事が具体的に地方団体ごとに割り振る仕組みをとっております関係上、団体数については数をつかんでおりません。
  89. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)小委員 同特法法律の問題ですけれども、一つは国の責任の問題として、たとえば第六条で、国は「その政策全般にわたり、必要な施策を総合的に講じなければならない。」こういうことを初め、国の責任を書いた法律があるわけですけれども総理府にお伺いしますけれども、この同和対策事業行政の公平性、そういうものを確保して、行政の主体性を持って実施されているかどうか、その実態についてどう把握しておられるか、お伺いします。
  90. 黒川弘

    黒川政府委員 同和対策事業は、それぞれ地方自治体実情に即応して実施されるべきことはもとよりでございますが、同時に対象地区の住民にひとしく均てんするように公正な行政が確保されなければならないということも、言うまでもないところでございます。  この趣旨に立ちまして、政府といたしましては関係省の事務次官名をもちまして、昭和四十八年に各地方公共団体あてに通達を出しているわけでございますが、その通達が出されました以降におきましても、なお公平性に欠ける事例が見受けられるという御指摘がございますのは遺憾なところでございます。政府といたしましては、さらに機会をとらえましてこの通達の趣旨の徹底を図ってまいり、公正な行政の確保に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  91. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)小委員 その点ですが、この同和対策事業が所属団体の違いによってアンバランスが生じている、そういうことは把握しておられますか。
  92. 黒川弘

    黒川政府委員 同和対策を進めるに当たりまして、これを担当されます各自治体におかれましては、この進め方にいろいろ工夫をこらされているところであるというふうに承知しております。しかしながら、その結果が不公正な行政同和地区の住民にひとしく対策が及ばないというふうな事例が生ずるといたしますれば、それも看過できない問題でございます。こういう事例があるというふうな御指摘は、国会のほかの委員会の場におきましても承っているわけでございますが、そういう事態が生じないように、先ほど申し上げましたような通達その他の手法を講じまして趣旨の徹底を図っているわけでございますが、これも先ほど申し上げましたとおり、さらにその徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。
  93. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)小委員 それから自治体の財政事情の問題ですけれども同和対策事業の執行にその財政上からばらつきが生じるという実態がないかという問題ですが、これは先ほど夏秋参考人からお話もありましたけれども、その実態についてもう少し詳しく聞かしていただければ聞かしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  94. 磯村英一

    夏秋参考人 財政事情に基づきますばらつきの問題でございますけれども、繰り返し申し上げますように、全同対等の組織といたしまして、これを全体像を把握しておるということをいたしておりませんので、何ともお答えをいたしかねますけれども、一般論といたしまして、それぞれ各地方の、ことに市町村なんかの自治体につきまして、同和人口の占めます比率によりましていろいろ差異があろうかと思います。そういった意味合いでは、いろいろと自治体の窮状をおくみ取りをいただきまして、よろしくお願いを申し上げたいということでございます。
  95. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)小委員 それから残事業問題ですけれども、いろいろ御質問がありましたけれども政府が考えていらっしゃる残事業、それから全同対の夏秋参考人などからおっしゃられた残事業量、要するに地方自治体側から見た残事業量とこの総理府の考えている残事業量、これは一兆二千億という数字は合っているようですけれども、それを出してくる根拠といいますか、そういうものについてはこれは一致があるのでしょうか。
  96. 黒川弘

    黒川政府委員 政府昭和五十年に調査いたしましてつかんでおります五十年度以降の同和対策事業は一兆二千八十二億ということで御説明申し上げたわけでございます。それから全国市長会が昨年十月に発表されました昭和五十二年度以降の残事業額、これが一兆二千八十一億、金額はたまたま一致しておりますけれども内容は違うというふうに先ほど申し上げたわけでございます。  政府は、国庫補助事業を土台に置きまして、市のみならず町村を含めまして各自治体が予定いたしております事業調査いたしました。それをもとにいたしまして、国庫補助方式で算定いたしまして先ほど御説明数字を把握しているわけでございます。これに対しまして、全国市長会は二百四十一の市について事業額を調査されたというふうに聞いております。この中には国庫補助事業だけではなくて、いわゆる市の単独事業も含んでおるということでございますし、それからいわゆる物的事業だけではなくて、物的事業以外の事業も含まれているのではないかというふうに考えております。したがいまして、数字はたまたま一致しておりますけれども内容につきましては大きな相違のある数字であるというふうに理解しております。
  97. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)小委員 その点は、やはり一緒に仕事をするということになるわけですから、調整すべきであるというように考えます。  それから一九七六年に九府県を対象実施されました調査によりますと、この事業の費用負担区分の問題で国庫補助事業が百九十六事業、府県単独事業は四百二十三事業であって、この六九%が単独事業となっているという結果が出ているわけです。そこで、この同和対策事業特別措置法に定める三分の二の補助規定が、そういう実態から見ますと事実上空文化されているのではないかというふうに考えられるわけですけれども、こういう問題の解消についての政府の見解をお伺いしたいと思います。
  98. 黒川弘

    黒川政府委員 国庫補助内容の拡大につきましては、たとえば国庫補助単価の増額あるいは対象事業の拡大ということで、従来もその実現に努めてまいったわけでございますが、今後も同和対策事業は続けられるわけでございますので、この点につきましても、さらに極力努力してまいりたいというふうに考えております。
  99. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)小委員 いまの点について、夏秋参考人、自治体の単独事業の方が非常に多いという実態を踏まえての御意見がございましたら、お聞かせ願いたいと思います。
  100. 磯村英一

    夏秋参考人 前段私が陳述を申し上げました内容ですべて統一的に各地方自治体実情について申し上げましたので、特につけ加えて申し上げることはございません。ひとつよろしくお願いを申し上げたいということ、一言でございます。
  101. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)小委員 最後に、同対審答申の第三部に、「社会的、経済的、文化的に同和地区の生活水準の向上をはかり、一般地区との格差をなくすことが必要である。このためには、生活環境の改善社会福祉の充実、産業職業の安定、教育文化の向上等の諸施策を積極的かつ強力に実施しなければならない。なおこの場合、地区住民の自覚をうながし、自立意識を高めることが強く要請される。」こういうことが述べてあるわけです。  これは差別をなくするという観点であるわけですけれども政府の方はこの差別の解消、撤廃というような概念について、この指摘で十分であると考えられるかどうか、お伺いしたいと思います。
  102. 黒川弘

    黒川政府委員 いま同対審答申の中から先生御指摘がございましたが、一般地区との格差をなくすために生活環境の改善社会福祉の充実、産業職業の安定、教育文化の向上、これらの諸施策を積極的、かつ強力に実施する必要があるということでございますが、これらは同和対策事業の根幹をなす事業であるというふうに考えますし、これらの事業の推進によりまして、一般地区との差の解消にさらに努めてまいりたいというふうに考えております。
  103. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)小委員 終わります。
  104. 小宮山重四郎

    小宮山委員長 これにて質疑は終わりました。  夏秋参考人には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後二時四十九分散会