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1978-06-08 第84回国会 衆議院 内閣委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年六月八日(木曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 始関 伊平君   理事 小宮山重四郎君 理事 高鳥  修君    理事 村田敬次郎君 理事 岩垂寿喜男君    理事 上原 康助君 理事 鈴切 康雄君    理事 受田 新吉君       逢沢 英雄君    小島 静馬君       関谷 勝嗣君    玉生 孝久君       上田 卓三君    木原  実君       安井 吉典君    新井 彬之君       柴田 睦夫君    中川 秀直君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 金丸  信君  出席政府委員         国防会議事務局         長       久保 卓也君         防衛政務次官  竹中 修一君         防衛庁参事官  夏目 晴雄君         防衛庁参事官  古賀 速雄君         防衛庁参事官  番匠 敦彦君         防衛庁長官官房         長       竹岡 勝美君         防衛庁長官官房         防衛審議官   上野 隆史君         防衛庁防衛局長 伊藤 圭一君         防衛庁人事教育         局長      渡邊 伊助君         防衛庁衛生局長 野津  聖君         防衛庁経理局長 原   徹君         防衛庁装備局長 間淵 直三君         防衛施設庁長官 亘理  彰君         防衛施設庁総務         部長      奥山 正也君         防衛施設庁施設         部長      高島 正一君         防衛施設庁労務         部長      菊池  久君         国土庁長官官房         審議官     四柳  修君         外務省欧亜局長 宮澤  泰君         外務省国際連合         局長      大川 美雄君  委員外出席者         科学技術庁原子         力安全局放射能         監理室長    米本 弘司君         外務省アメリカ         局安全保障課長 丹波  実君         大蔵省主計局主         計官      志賀 正典君         海上保安庁水路         部水路通報課長 大山 雅清君         内閣委員会調査         室長      長倉 司郎君     ————————————— 委員の異動 六月七日  辞任         補欠選任   新井 彬之君    平石磨作太郎君   春日 一幸君     中井  洽君   田川 誠一君     中川 秀直君 同日  辞任         補欠選任  平石磨作太郎君     新井 彬之君   中井  洽君     春日 一幸君     ————————————— 六月七日  旧満州航空株式会社職員期間恩給等通算に関  する請願武藤嘉文紹介)(第五五九八号)  旧国際電気通信株式会社社員期間恩給等通算  に関する請願伊藤宗一郎紹介)(第五五九  九号)  同(櫻内義雄紹介)(第五六〇〇号)  同(始関伊平紹介)(第五六〇一号)  同(中野四郎紹介)(第五六〇二号)  同(西村英一紹介)(第五六〇三号)  同(武藤嘉文紹介)(第五六〇四号)  靖国神社公式参拝反対に関する請願岩垂寿喜  男君紹介)(第五六〇五号)  同(山本政弘紹介)(第五六〇六号)  同外九件(横路孝弘紹介)(第五六〇七号)  同外一件(井上一成紹介)(第五六六六号)  同外二件(岩垂寿喜男紹介)(第五六六七  号)  同(加藤清二紹介)(第五六六八号)  同(田畑政一郎紹介)(第五六六九号)  同(高沢寅男紹介)(第五六七〇号)  同(楯兼次郎君紹介)(第五六七一号)  同(成田知巳紹介)(第五六七二号)  同(西宮弘紹介)(第五六七三号)  同(日野市朗紹介)(第五六七四号)  同外一件(平林剛紹介)(第五六七五号)  同(森井忠良紹介)(第五六七六号)  同(山本政弘紹介)(第五六七七号)  同外十四件(横路孝弘紹介)(第五六七八  号)  同(横山利秋紹介)(第五六七九号)  旧海軍特務士官准士官恩給格付是正に関す  る請願小宮山重四郎紹介)(第五六二四  号)  同(山田久就君紹介)(第五六二五号)  同(竹中修一紹介)(第五六五〇号)  傷病恩給等改善に関する請願石川要三君紹  介)(第五六四九号)  同(金子一平紹介)(第五六五三号)  同(砂田重民紹介)(第五七二八号)  同(武藤嘉文紹介)(第五七二九号)  台湾関係財産清冊調査に関する法律制定に関す  る請願萩原幸雄紹介)(第五六六五号)  日赤救護看護婦に対する恩給法適用に関する請  願(安藤巖紹介)(第五七一一号)  同(荒木宏紹介)(第五七一二号)  同(浦井洋紹介)(第五七一三号)  同(小林政子紹介)(第五七一四号)  同(柴田睦夫紹介)(第五七一五号)  同(瀬崎博義紹介)(第五七一六号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第五七一七号)  同(田中美智子紹介)(第五七一八号)  同(津川武一紹介)(第五七一九号)  同(寺前巖紹介)(第五七二〇号)  同(不破哲三紹介)(第五七二一号)  同(藤原ひろ子紹介)(第五七二二号)  同(正森成二君紹介)(第五七二三号)  同(松本善明紹介)(第五七二四号)  同(三谷秀治紹介)(第五七二五号)  同(安田純治紹介)(第五七二六号)  同(山原健二郎紹介)(第五七二七号)  救護看護婦に対する恩給法適用に関する請願(  工藤晃君(共)紹介)(第五七三〇号)  同(東中光雄紹介)(第五七三一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国の防衛に関する件      ————◇—————
  2. 始関伊平

    始関委員長 これより会議を開きます。  国の防衛に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中川秀直君。
  3. 中川秀直

    中川(秀)委員 きょうはわれわれが考えておりますところの相互安全保障の当面の具体策についてお伺いをするつもりでございますが、それに先立ちまして一つだけちょっとお伺いしておきたいことがあるのです。  極東駐留ソ連陸海空軍部隊が五月下旬から択捉島中心上陸作戦と見られる演習を行っている、こう確認をしたという政府発表がありますね。このことについての政府見解というものを、まずお伺いしておきたいと思います。
  4. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 昨日来新聞に出ております択捉島周辺におけるソ連演習の件でございますが、実は私どもは御承知のようにいろいろな手段情報を得ております。たとえば海峡を通過する艦艇監視所から視認している、あるいはレーダー等によりまして航空機行動、あるいは通信情報によりましていろいろな軍事的な動きというものを把握いたしておりますが、実は昨日の新聞報道された内容というのは、一昨日統幕議長がNTVのテレビ番組に出演いたしまして、その際に触れている内容についての詳細なことが載っているわけでございます。私もそのテレビ世相講談番組を見ましたところが、統幕議長も多少上がっていたところもあったと思いますけれども、いろいろな事象というものがごっちゃまぜになって語られているようでございます。  たとえば駆逐艦、巡洋艦による演習の問題でございますが、これは明らかに択捉島演習とは関係ございませんけれども、この発言の中に津軽海峡を通って太平洋に出たというようなことを言っております。これは実際は対馬海峡を通って出ておりまして、現在もやっているわけでございます。それから五月の終わりごろから北の方の海峡あるいはレーダーによりまして航空機動きあるいは艦艇動きというものを把握いたしておりますが、その中に揚陸艦が宗谷海峡を通って東の方に向かい、西の方に帰っていったという事象もございます。それからレーダーによりますと、航空機行動しているのがつかめるわけでございますが、その中に通常の戦闘機などと違って速力の遅い、しかも一定の方向に飛んだ、まあ輸送機ではないかと思われる行動をとった航空機というのも把握されております。しかし、これがアントノフ12であったかどうかということは、はっきりいたしておりません。  しかし輸送機アントノフは沿海州にたくさん配備されておりますので、そういう飛行機によって移動するとするならば、議長が申しておりますように一千名程度は運んだかもしれない。しかし運んだという事実はつかんでおりません。そういった艦艇航空機動きはございました。と同時に、また択捉島周辺危険水域の告示がソ連からなされております。そういったことから演習があったのではないかという統幕議長の判断をテレビの場面で言っているわけでございますが、これはいろいろな情報を総合いたしまして、演習をやったということは確認されていないわけでございまして、防衛庁発表ということになっておりますけれども防衛庁としては現時点におきまして、あそこの周辺演習が行われているというふうには把握していないわけでございます。
  5. 中川秀直

    中川(秀)委員 若干防衛庁正式見解を伺ったわけですが、一部報道によりますと、わが国からする北方四島地域における防衛庁情報活動といいますか、特にソ連軍事動向についての分析あるいはその分析をするためのデータ収集について努力が足らないあるいは努力をする体制にないという指摘も行われているわけです。今回のことはいまの御見解で、政府の御見解は御見解でお伺いをしたわけですから、私が何もそれに対して申し上げることはありませんが、いかなる場合でも、特にたとえばヘリボーンというようなアントノフヘリコプターを使った、本当にわずか一時間足らずで一個師団くらいは上陸できるという地理的条件だけに、わが国防衛の中に、特に北方四島あるいは北海道地区においてはあるわけですから、そういう動向あるいは分析をするための体制というものはきちんとしておかなければいけない、これは確かだろうと思うのであります。そのことについて御見解、御決意をお伺いをして本題に入らせていただこうと思います。
  6. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これは大臣からもたびたび申し上げておりますように、日本周辺諸国軍事力動き、それからその意図、こういったものは日本のように専守防衛をやる立場からいたしますと、最も重要な問題でございます。私どもといたしましても、機材あるいは手段等できるだけ近代化をしてその動きをつかまえる努力をいたしております。先生も御承知のように、この情報というのは、ある一つ事象というものが直ちにわかるというものではございません。日ごろのいろいろな情報資料の積み重ねによってその動きというものが判断できるということになっておりますので、その努力は続けておりますし、今後も続けてまいらなければならないということは長官の強い指示を受けているところでもございます。
  7. 中川秀直

    中川(秀)委員 あえて付言をいたしますが、先ほどくどくどとは申し上げないつもりでこういう報道指摘もあるのだということを申し上げました。恐らく防衛局長もその報道指摘というものは目にしておられると思う。そういうことも踏まえて今後努力を続ける、こういうことと理解して、受け取ってよろしゅうございますか。たとえばトラブルを恐れて、そちら側の地域にはなるべく行かないようにしているというような報道もなされている、これは事実かどうかは確認をしなければいけないことでありますけれども、そういう指摘が行われているということを踏まえて、今後努力をするのだ、こう受け取ってよろしゅうございますか。
  8. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 御承知のように、海上自衛隊艦艇航空機あるいはレーダーあるいは監視所監視等によりまして、あらゆる情報をとる努力はいたしております。しかし、何といいましても、周辺諸国との間にトラブルが起きないというような方法が最も好ましいわけでございますから、余り近接することによって向こうとの軍事的なトラブルというものが起きないように配慮しながら、できる限りの努力を続けたいというふうに考えているわけでございます。
  9. 中川秀直

    中川(秀)委員 本題に入ります。  私どもは、もう大臣とも予算委員会で議論させていただいたこともございますが、防衛というもの、安全保障というものは、単に軍事的な要因だけでなくて、資源、食糧あるいはその他の国民生活の適正な水準を確保するための施策あるいは外交努力並びにそれと同時に、過不足のない防衛力整備というものが必要である、こういう三本柱で常に議論をさせていただいておるわけですが、きょうはその当面の具体策についてお伺いをしたいと思うのです。  時間が余りありませんので、御答弁は、私も多少は勉強させていただいておりますから、経過説明は省略をしていただいて、イエス、ノー並びに政府の御見解の骨子だけをきょうはお尋ねをさせていただきたい、こう思っているのであります。ひとつ御協力のほど、御留意のほどお願い申し上げたいと存じます。  まず防衛費の問題、特に今後の防衛費の問題について幾つかの観点から議論させていただきたいと思うのです。  大臣、五十三年度予算わが国防衛関係費GNPの〇・九%ということになりました。これは今年度守る一つのラインになっているわけですね。それと同時に、今後はこの〇・九をどうなさるおつもりなのか。場合によっては下がることもある、あるいは維持をする、あるいは〇・九を一%未満という閣議決定範囲内で少しでも上げていかれようとなさるのか、その御方針をひとつお伺いしたいと思います。
  10. 原徹

    原政府委員 GNPとの比率がことし〇・九になりましたことはそのとおりでございます。今後のGNP見通しというものを私どもは一応六%の成長というようなことを前提にいたしておるわけでございますが、それは実は毎年毎年必ずしも予測がつくものではございません。まあ政府方針として一%以内で当面はやるという方針があるわけですから、あとは毎年のGNPが決まる段階で一%以内というところでやっていく、これがただいまのわれわれの方針でございます。
  11. 中川秀直

    中川(秀)委員 私がお尋ねしているのは、一%未満範囲内で五十三年度は〇・九ということになった、これをここ当分お続けになるのか、あるいは多少上下するのかということについてお尋ねをしたのですが、それについてお答えがないということはどういうことでございますか。
  12. 原徹

    原政府委員 その点は、予算中身積み上げでございます。GNPの的確な見通しというのは、予算の最後にならないとなかなか決まらない。その積み上げGNP比率との絡みがございます。したがいまして、私どもといたしましては、一%以内でそれに近づけるような努力をするつもりでございますけれども、その中身との絡みでなかなか的確に申し上げられない、こういうことでございます。
  13. 中川秀直

    中川(秀)委員 一%未満範囲内でそれに近づける努力をする、こういうことでございますね。  では、まず今年度のことからお尋ねをいたしますが、五十三年度予算国家公務員ベースアップですね、予算計上額は五%ということで計上されています。ところが、今年度勧告の基準となる民間のベースアップ水準というものは大変低迷をしている。御案内のとおりです。とても五%の人事院勧告というのはないのではないかという観測がもっぱらであります。特に、公共企業体ベアでも二・二%プラス千五百円、定昇込み賃上げ率で五・四%です。そういうふうにとどまったことから、人事院勧告、これは定昇とは別ですから三%台ということもあり得るのではないかという話もある。そうしますと、防衛関係費に含まれる人件費の面で相当の不用額が出るのじゃないか、こういう感じがするのです。  私の計算では、五十三年度の予算計上額による防衛関係費のうちの人件費糧食費ですか、一兆三百四十五億円です。これは五%ベア計算している。これを仮に三%ないし三・五と計算しても四百億から四百五十億ぐらいのギャップが出るのじゃないかという感じがします。これは、GNP比〇・九という防衛費をさらに一%未満に近づけていくという努力をする、そういう方針は私は当然だろうと思いますが、その考え方からすると、その不用額は、たとえば補正予算でも組んで何かに転用なさるおつもりなのか、あるいはどのくらいの経費がその不用額として出るという計算になってくるか、その辺どうですか。
  14. 原徹

    原政府委員 本年の春闘のベア率が大変低い水準にあったということはそのとおりだと思います。それから予算に毎年ベアの財源として五%が計上されているということもそのとおりでございます。しかし、実際に人事院勧告でどういうふうに扱うかという点につきましては、まだ人事院勧告が出るまでは私どもの方からどうだと申し上げる段階にはございません。しかし、人件費人件費の問題でございますから、これを予算上他に流用する、あるいは補正で他に振り向けるということは、私は非常に困難なことではないかというふうに考えております。
  15. 中川秀直

    中川(秀)委員 まだ計算もしていないということでありますが、これは五十三年度のみならず来年度以降も、仮に六%成長計算をし、また〇・九というGNP対比防衛関係費、それも少しずつ上がっていくかもしれないという中で、人件費の方は、もしことしのような水準が続くとすると、いままでのような人件糧食費、いま大体五四%、昨年が五五ぐらいですかね。防衛関係費は〇・九で計算するならば五十四年度は二兆三百六十九億ということになるわけですが、その五四、五%というものは、必ずしもそれだけ要らないということになるかもしれない。そうすると、やはり人件費圧力というもの、いままでずっと続いてきた圧迫要因というものが従来よりも多少薄らぐわけです。これは、私は防衛費を考える上でいろいろなことが考えられていいのではないかという気がする。  特にこれから具体的にお尋ねをするたとえば資本的支出の問題、研究開発費の問題、後ほど大臣にもお尋ねをしたいと思いますが対米関係調整費というような問題等々、まあそういうものに人件費の分を全部というわけにはいきませんけれども、いろいろなことが考えられ得る、そういう状況になってきたのじゃないか。私どもは当然そういうものはそういうふうに振り向けて、後ほど詳しく申し上げますけれども、いまの資本支出、あるいは実質装備率研究開発費が世界で最低の水準にある、対米関係費、これはもう経済的な面でもわが国が負担すべきは負担すべきであるというようなところで、当然やるべきことをやっていくべきだ、こう考えているのであります。  以下、二、三具体的にお伺いをしたいと思いますけれども、今後の費用対効果も考えながら、良質で高効率防衛力整備していくという考え方に立ちますと、私は、現在の防衛費における実質装備費あるいは研究開発費、こういうものを中心にその中身というものをもう一回洗い直していくべきではないかという気がいたしてなりません。  防衛費には、大きく分けて、人件費食糧費維持補給費に要する経常支出と、装備施設整備——この施設整備というのは、防衛施設庁所管米駐留軍維持、補修、更新、あるいはもちろん自衛隊の隊舎、基地、こういうものの整備も含まれているわけですが、そういう装備施設整備費研究開発費、こういう資本支出というものと二つに大きく分ければ分けられると思います。  そういう意味で分けた資本支出、これは御確認だけで結構ですが、三次防のときは平均が二六・三%、四次防が二四・六%、五十二年度二〇・七%、五十三年度二〇・五%、三次防、四次防から比べてもはるかに落ちていますね。さらに資本的支出のうちの装備品購入費、三次防では防衛関係費全体の二一・九%、四次防で二〇・九%、ところが今年度予算の五十三年度は一七・一%に低下していますね。それに対して人件糧食費は、経常経費の中ですが、三次防では平均四七・三%、四次防では五〇・九%、現在は五四・四%、このように最近の防衛費というものは装備的支出ないし資本的支出比率が年々非常に低下しているということですね。  ここに一つデータがあるのですが、資本的支出額卸売物価のデフレーターで四十七年を一〇〇として計算をして、その後年次別逓減状況をずっとあらわしていくと、これは防衛庁内部の御資料ですが、実質装備率、四十七年を一〇〇として五十一年には陸上自衛隊で七一%、海上自衛隊で六八%、これはちょっと古い資料ですが、これは防衛庁内部で御計算になった資料のはずですよ。つまり、実質装備率というものは四十七年を一〇〇としても陸上自衛隊で三割低下海上自衛隊では三割強低下と、こういう実態になっている。もちろん、いま大臣いらっしゃらないけれども大臣は、平和憲法前提に脅威となる精強な自衛隊をつくらなければいけない、こうおっしゃっている。しかし実際は、この数字中身を見ると大分違う。このままでは竹やり部隊になってしまうのじゃないですか、いかがですか、数字に間違いありませんか。
  16. 原徹

    原政府委員 ただいまの実質装備率の点は、ちょっと私数字確認いたしておりませんが、その他の資本的支出等数字は大体そのとおりだと思って聞いておりました。  これは確かに、いわゆる石油ショック日本大変ショックであったと同じように、防衛庁にも非常にショックでございまして、四次防の達成割合と申しますものは、実質で八割とか七割五分とか言われておりますが、そのことのはね返りがいま来ているということでございます。四次防でやりますものがもしできますといたしますと、あれは国庫債務負担行為とか継続費でやるものが多うございますから、それのツケと申しますか、そういうものが現在に至るわけでございますが、そのときに艦船をつくるのをやめたりなんかいたしました関係で、いまそういうふうになっている。  そのときに石油ショックで非常に人件費の増額がございましたがために、その人件費率が、三次防のときは四七%ぐらいのものが五十一年度でピークになりまして五六%まで行ったわけでございます。自来若干ずつこの点は改善になっているわけでございまして、人件費は五六%が五十二年度で五五%、それから五十三年度で五四・四%と、若干ずつ下がっておる。  私先ほど先生のお話を伺っておりまして、今後の人件費見通しということになりますれば、おっしゃいますように人件費ウエートはだんだん減っていく、そういうふうに考えております。国会で、例のP3CやF15を買うといまの一%を超えるんじゃないかというときの御説明に、私も人件費はいまのレベルで若干おつりが来ると申しますか、そういうことで装備の方に回っていくんだということでございまして、F15、P3Cを買っても大体いまの水準でいけるんじゃないかということを申し上げたのでございます。と申しますことは、結局人件費の方がウエートが減って、これからは装備の方にだんだん重点が移っていく、そういうことになると考えております。
  17. 中川秀直

    中川(秀)委員 防衛というものは、私はもちろん人というものが重要な中心部分をなすと思う。しかし、そうであっても、現代のいろいろな戦略思想からするならば、たとえばPGMとか全く高効率精密誘導兵器とか、そういういろいろな戦略思想発達をして、技術も発達をしてきている。そういう装備なしには戦にならないことははっきりしていますね。そういうたとえばオイルショックが起きたからこうなったのだとか、後の説明はいかようにもつくわけですけれども防衛庁あるいは政府に、人件費資本的支出、先ほどお話ししたような、防衛庁の場合は研究開発費を含んだ装備費あるいは施設整備費を含んだそういう資本的支出人件費との関係、基本方針としてこれは全防衛費の何%なんだ、これでいくのだというローアーリミットというか、下限線はこうだという御方針はなかったのだろうかという気がするわけです。  たとえばフランスあたりでは、防衛費に占める資本的支出の割合は四〇%台に維持するという基本方針がある。西ドイツでは、国防組織委員会が最小限三〇%を確保すべきだという提言をしている。日本の場合は、すでに五十年度、三年前ですけれども陸上自衛隊におけるさらに小分けをした資本的支出の割合というのは一五%を割っているのですね。わが国における防衛費中身の議論として、この資本的支出の全防衛費に占めるローアーリミットはどういう方針でいかれようとなさっているのか、私はその基本的見解を問いたい。いかがですか。
  18. 原徹

    原政府委員 おっしゃいますように、資本的支出の割合が大変低くなってきた。過去を見ても、三次防、四次防の初めぐらいには二五から三〇ぐらいの間にあったわけでございます。人件費の増高ということが今後予想されないならば、しかもいまのGNPの伸びよりも防衛費を若干でも高くしておくということであれば、私は三次防当時の二五ないし三〇の線、そういうふうに徐々になっていくだろうと考えております。
  19. 中川秀直

    中川(秀)委員 三次防当時と申しますと、ちょっと確認さしていただきますが、一番低いのが四十三年の二三・五%ですね、高いのが四十六年の二九・一%、三次防平均が二六・三%ということになっていますね。この程度までいくであろう、そういう方針で当面やる、こう理解してよろしゅうございますか。
  20. 原徹

    原政府委員 防衛費の伸びがGNPの伸びよりも若干でも高くなるということで考えますと、人件費の割合がだんだん減っていくということもございまして、二五、六%のところにはなっていくであろう、そういうふうに考えております。
  21. 中川秀直

    中川(秀)委員 私は大変いい御答弁だと思います。それでやっていただきたいと思う。三次防の全防衛費に占める資本的支出が二六・三%、四次防が二四・六%、現在二〇・五%、昨年よりさらに〇・二%下がっている。これは年次計画で当分ここ五年ぐらいは、いろいろな要因を考えても三次防当時の水準にいくであろう、こういう方針でいくのだ、これは大変結構だと思います。  現実問題として、これは装備局長の御範疇だと思いますが、海上自衛隊、自衛艦の耐用年数はどうなっていますか。これは定めてありますね。
  22. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 いまの御答弁を申し上げます前に、ちょっと先ほどの御答弁で補足させていただきたいと思います。  先ほど私が申し上げましたのは、統幕議長テレビの放送だけのお話をいたしましたが、実は、昨日統幕議長の記者会見がございまして、統幕議長の判断としてあの報道に出たような内容のことをお話ししているようでございます。ただ、私どもといたしましては、その可能性としては否定いたしませんけれども、現在演習が行われたという確認はないわけでございまして、その点統幕議長の判断として申し上げたわけでございますが、その際、防衛庁の判断であるということを統幕議長申したようでございますが、実は総合的に検討して下された判断ではないということを申し上げたいと思います。
  23. 中川秀直

    中川(秀)委員 防衛庁の判断ではないのですか。
  24. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 はい。判断と考えてもらってよろしいということでございますけれども防衛庁として全体の情報を総合して判断したというわけではございませんということを申し上げているわけでございます。  さて、いま御質問の護衛艦の耐用年数でございますが、一般の護衛艦は耐用年数が二十年と定められております。それから潜水艦が十四年でございまして、掃海艇が十五年でございます。  ただ、護衛艦につきましては、二十年を経過する直前に老朽度を調査いたしまして多少延長するというような措置をとっているわけでございます。といいますのは、計画どおり建艦計画が進まない場合に、老朽度を調査した結果多少延ばすというような措置をとることがあるということでございます。
  25. 中川秀直

    中川(秀)委員 その耐用年数を超えている艦艇の数とそれから全体に占める比率、あるいは耐用年数に近づいている艦艇、ごく近づいているという、あと二、三年でなるというような状況ですね、その数と比率はどのくらいになっていますか。
  26. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 現在、耐用年数に達したということでございますが、二十年に達しておりますのが「はるかぜ」「ゆきかぜ」以下六隻ございます。しかし、いずれも二十年と数ヵ月あるいは二十一年程度のものでございまして、これは昭和三十三年三月三十一日以前に竣工した艦艇でございます。(中川(秀)委員「二十二年になる」と呼ぶ)一番早い「はるかぜ」「ゆきかぜ」が二十一年十一ヵ月になりますが……。
  27. 中川秀直

    中川(秀)委員 三月から計算すると二十二年になったんじゃないですか。
  28. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 竣工したのが三十一年四月二十六日ということでございますので、十一ヵ月、現在では二十二年になっておると思います。
  29. 中川秀直

    中川(秀)委員 全体の数。
  30. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 五十三年度末で五十九隻でございますから、そのうちの六隻、それからその後は、護衛艦は大体二隻ないし三隻つくっておりますから、後を追っかけまして毎年こういう数字がふえてくるということになっております。
  31. 中川秀直

    中川(秀)委員 ということは、自衛艦一つとりましても、かなり無理して計算をしても、防衛庁がお決めになった耐用年数を超えた船が一五%くらいになっているわけでしょう。それから毎年二、三隻ずつ来るわけでしょう。潜水艦もありますね。そういうことになりますと、これは資本支出というものにかなり力を入れていかなければいけないという状況がはっきりしていると思いますね。あえてそういうことを申し上げて、先ほどの経理局長の御答弁で、三次防程度に戻していくんだ、こういうことですから、それは了解をして、次のお尋ねに移らしていただきます。  次は研究開発費です。これも三次防で全防衛関係費の一・五%。それが毎年少しずつ減って、五十二年度は防衛関係費のわずか〇・九%。最近はずっと一%を割っていますね。各国のこの防衛関係費との比較を見ると、たとえばわが国研究開発費を、技術本部の人件費を入れても五十三年度の研究開発費防衛関係費の一・二%。各国の一九七八会計年度の研究開発費、全防衛費に占める比率を調べてみますと、アメリカが一〇・三%、英国一二・七%、西独五・〇%、フランス一〇・九%。日本は一・二%ですから、最低、というよりも十分の一ですね。私はこれは大変な将来の問題だと考えているのであります。  というのは、もう御案内のように、わが国のこの装備の問題を考えてみましても、ライセンス生産をいろいろやっておるわけですね。しかし、そのいわゆるライセンス・リリーサビリティーというものは最近もうきわめて低下しているでしょう。たとえばアメリカから入れるP3CにしてもあるいはF15にしても、非常にシビアになっていますね。アメリカ側の言い分からすれば、それは当然、日本に技術輸出をしてそれが回り回って日本の工業技術力を向上させて米国内に失業者をつくるというのは何事か、こういうことだろうと思います。先ほどお話ししたように、F15やP3Cのライセンス生産にしても、いわゆるブラックボックスという部分を除いても、日本にやらせる国産化率、リリーサビリティーというものはきわめて低下している。いままでのとは大分違うでしょう。そうすると、こうした傾向を考えると、従来のようにライセンスを導入しながらその上に巧みに国産化を図ってきたというやり方は、いままでよりはかなりむずかしくなるはずです。そうすると、いままでのようなわが国研究開発費に対する考え方ではやっていけないということになりはしないですか。ひとつ政府の御見解を問いたいと思います。
  32. 番匠敦彦

    ○番匠政府委員 お答え申し上げます。  先生ただいま各国との研究開発費の比較をおっしゃいましたけれども、そういう数字を見てみますと、確かにわが国防衛費に占める研究開発費比率というのは低うございます。しかし、これにはいろいろ各国の研究開発費の定義の問題、その細かい問題はいろいろあろうかと思いますが、わが国で現在まで低い一つの原因といたしましては、わが国はMAP供与の兵器から出発いたしまして、それの国産化ということで研究開発の力を養ってまいりました。現状におきましても主力の正面兵器というのは外国からの導入が主体でございます。したがいまして、こういうような数字になっていたと考えるわけでございますが、先生おっしゃいますように将来のことを考えますと、これで満足できることではないと考えております。われわれといたしましても、防衛力の質的水準、将来に対する能力を保つために幅広く基礎研究をいたしまして、将来の事態に備えるような努力を今後も進めたいと思っているところでございます。
  33. 中川秀直

    中川(秀)委員 私は大変重要な御答弁だと思いますよ。いま防衛関係費における研究開発費の位置づけが、従来のような正面装備の充実、調達のための研究開発、どちらかというとそっちに重点が置かれていたでしょう。それがそうじゃない。いまの参事官の御答弁では、将来、十年先、二十年先を踏まえて一つの最先端技術というものの火種というかそういうものを確保していくんだ、そういうことにも幅広く努力をしていくんだ、そういうふうに研究開発費の重点を置いていくということになれば、これはかなり御方針の基本的な転換ということになる。私はそういう意味で受け取らせていただきますよ。またそうあるべきだと私も思うのであります。  かつて坂田長官時代に、数カ年で研究開発費を二%程度に持っていくことを考えたと言われますが、これは防衛庁として、政府としてどうなんですか。
  34. 番匠敦彦

    ○番匠政府委員 われわれといたしましては、坂田長官の御指導によりまして、研究開発費をふやすということには十分努力をしてきたつもりでございますけれども研究開発費というのは、予算一般もでございますが、積み上げでございます。それから、あるいは防衛庁の仕事全体としてその年度にしなければならないほかのプロジェクトというものもあるわけでございまして、その時点におきますプラィオリティー、そういうことによって防衛費の資源配分がなされてきたと思うわけでございます。しかし、現状で少しでも上向きをさせていきたいということはわれわれも考えておるわけでございまして、五十四年度におきましても、長官の指示を出していただきまして、着実に研究開発の努力を重ねていくという方針で進んでおるわけでございます。
  35. 中川秀直

    中川(秀)委員 いまの防衛庁内でやっている研究開発は、各幕と技本がそれぞればらばらにやっている。各幕の方は正面装備の充実に最大の関心を寄せている、これは当然ではありますが、余ったところでその装備導入のための研究開発というような傾向になっていますね。だから、そのためのプロジェクトを見ても、何かそう大きなものはないですね。小さなものがわんさとある。一方技術本部は技術本部で独自の開発をやっておるわけですが、そういう意味で防衛庁の研究開発というのは一本化されていませんね。  これは私の意見ですが、そういうものをトータルしてとらえ直して、どうすれば一%を二%に持っていけるのか、もう一度洗い直して積み上げてやっていくべきだと思うのですよ。いま仮に防衛関係費の二兆円のうちの一%を二%にすると、五年間に実質五百億ぐらいの金が出るはずです。そうすると、一つの新規の開発ぐらいはできますね。いまほとんど大型プロジェクトはなくなったと言われていますけれども、そういう大型プロジェクトだって組むことができるはずですね。私は、それをポイントをしぼって研究するということが必要だと思う。何を研究するかというのは、私はいつも申し上げているのですが、PGM、精密誘導兵器だと思うのです。高効率で、いわゆる費用対効果が高くて、しかもサンショウは小粒でもぴりりと辛いという、わが国の専守防衛にぴったりの装備体系ですよ。  よく防衛局長は、予算委員会で聞いても、わが国の地形にそぐわないなどという答弁で逃げる。何か新聞でも、そんなことで国民の理解が得られるかと言って、ある解説記事が載ったことがありますよ。あえて答弁を求めませんが、そのPGMというものにポイントをしぼって、たとえば一%から二%へ上げて、五年間でできる研究開発費五百億なら五百億、これをしぼって研究なさったらどうか。そういうわが国らしい防衛努力、先ほどお話ししたように、今後の装備を考えても、ライセンス・リリーサビリティーというのは極端に低下していかざるを得ないのですから、そういう意味でも、そういうことをやっていくのだという姿勢はどうしても必要だと思う。ひとつ御決意を伺いたいのです。
  36. 番匠敦彦

    ○番匠政府委員 先生はただいま、現在の防衛庁の研究開発はばらばらである、重点がないというようなことをおっしゃいましたけれども防衛庁は陸海空の自衛隊がございます。それぞれ各種各様の装備を持っているわけでございます。したがいまして、各三自衛隊で、現在持っている装備が非常に古くなってきた、それを更新したいという要望もあるわけでございます。そういう要望にこたえて新しい装備品を開発するというのも、研究開発の、経費的に言えばむしろそちらの方が大きい部分を占めておるわけでございます。  それから、その余りで、こうおっしゃいましたけれども、研究の方はその次の世代を考えて研究を進めているわけでございます。それで、先生はPGMということをおっしゃいましたけれども、PGMという分野につきましても、現在各種の誘導武器の研究または開発をやっておりまして、たとえば対戦車、対舟艇の長距離誘導弾、あるいは対艦船の誘導弾、あるいは師団の防空用の短距離ミサイル、あるいは将来のその次の物というようなことについても相当努力を注いでおります。  それで、現在物別に分けますと、三次防時点では航空機の開発が非常に大きなウエートを占めておりましたけれども、現在はそれにかわりまして誘導武器、広い意味ではPGMと言ってよろしいと思いますが、そういうものにむしろウエートをだんだん変えてきているというのが現状でございます。  先生おっしゃいましたように、今後は、現在の長官指示にも申しておるわけでございますが、各幕の要求を受けて研究開発をするという部門だけではなくて、防衛庁の技術研究本部も非常に育ってきておりますので、むしろ技術サイドが積極的に、こういうような兵器ができるではないか、こういうような兵器を研究開発したらどうかという提案を運用者側にするように努力をしよう、そういうようなムードで現在やっているところでございます。
  37. 中川秀直

    中川(秀)委員 大臣、お帰り早々恐縮ですが、いまちょっと議論をさせていただいたのは、防衛庁における研究開発が諸外国の水準の十分の一だ、しかも防衛装備にかかわる技術というものは、その国の工業技術の最先端を行くものであるから、アメリカなどでもなかなか譲ってくれなくなってきた、今後ますますそうなるであろう、そういう状況の中で、この研究開発費が、かつて坂田長官のときには二%にするというお話もあったが、いまそれが一応生きているのか生きていないのか、どうも御答弁でははっきりしないのだけれども、いずれにしてもそういう方向でわが国独自の技術を育てていかなければいけない、こういう議論をさせていただいたのです。  大臣、これと同じような議論で、これは政府の、防衛関係のみならず、いわゆる研究開発というものの位置づけについて、ひとつ大臣の御見解伺いたいのです。  たとえば、この不況の中で企業が大変意気消沈している現在ほど、逆に国が研究開発に相当力を入れるということでなければいけないと思う。宇宙開発もあれば、海洋開発もあれば、原子力や防衛技術もある。ところが、昨年の暮れ福田総理が、今後予算を経常的支出、投資的支出、資本的支出に分けて、このうち経常的支出はできるだけセーブをして資本的支出をふやしたい、こうおっしゃった。ところが、わが国政府予算における研究開発費は、このうち何の項目に入っているのか、資本支出なのか経常支出なのかと調べてみると、何と驚くなかれ経常支出なんですよ。経常支出の方は今後できるだけセーブするというこんな姿勢で、果たしてわが国の将来はどうなるのかという、ある意味では大変な驚きを私は持っておるわけであります。  もちろん公共事業も資本支出に入っている。しかし、経常支出は単年度であるけれども資本支出は多年度です。研究開発費は、性格的に言って単年度のものではなくて多年度のものですね。ある意味ではわが国の発展のフロンティアパワーですよ。そういうものが経常支出でセーブの対象になるなどという内閣、政府方針というのは、私は本当におかしいと思うのです。これはもう総理あたりにお伺いをしなければいけないことなんですが、大臣、先ほどの防衛関係における研究開発の問題と絡めて、内閣の御一人としてこの問題をどんなふうに考えているか、ひとつ基本見解をお伺いしたいと思うのです。
  38. 金丸信

    ○金丸国務大臣 防衛という問題はすべて国民の英知によってやるべきであって、それが基本だと私は考えております。  そういう中で、不景気だから、この際、防衛産業というものに思いをいたして、できるだけ手を打ったらどうだということじゃなくて、常日ごろからこの防衛という問題に対して、技術面、そういうような面につきましては格段の配慮を払わなければならない。しかし、仰せのとおり、この研究開発費というようなものはまことにスズメの涙ほどのものでしかない。しかし、防衛の基本はここにあると私は思うのですよ。これをおろそかにしておったら、いわゆる防衛のすべてが成り立たない。  そういう意味で、私は、この問題については防衛庁長官になって以来事ごとに言っておるわけでありますが、いろいろのいきさつもこれありまして、防衛白書の中へ技術開発の問題について付録にしかつけられぬという状況が今日の防衛庁の姿なんです。それは防衛庁の姿ばかりじゃない。他省との関係もありまして、そうせざるを得ないというような関係もあるわけでありますが、来年度は、この問題については目玉商品としてひとつ予算の問題も検討して、そうして常時開発によって、防衛という問題ばかりでなくて、それが国民に裨益するというようなものも出てくるだろう、私は、そこに金を使わなければ防衛の基盤の確立というものはない、こう考えておるわけであります。
  39. 中川秀直

    中川(秀)委員 大変力強い御発言で、私もそうあるべきだと思いますが、いま大臣に私ちょっとお尋ねをした後段の部分ですけれども、総理の言われる経常的支出、これはセーブする、今度は資本的支出をふやす、そのセーブする方に、科学技術庁も含めて一般の国の研究開発が入っている、こんなことでどうするのかということなんです。     〔委員長退席、村田委員長代理着席〕 防衛関係のみならず、これはもう政府の姿勢として、いま大臣防衛関係についておっしゃったようなことは、一般の研究開発もそうあるべきだ。ひとつ声を大にして閣議の席でおっしゃっていただきたい。それでなければ、わが国のフロンティアパワーが何にあるかというと、秩序のフロンティアと技術のフロンティアしかないのです。空間や領土を求めようと言ったって、そんなものはないんです。また、すべきじゃないんです。  研究開発などというものは、当然資本支出もしくは投資支出に入れて、これはどんどんふやすんだという方向に入れなければうそである。その意味では、予算編成の大綱に関して疑点がある。ひとつ声を大にしてそれをおっしゃっていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  40. 金丸信

    ○金丸国務大臣 私もいたしますが、ぜひ応援団長をやっていただきたい。
  41. 中川秀直

    中川(秀)委員 私どももいたしますが、それはやはり閣僚の御一人である大臣、しかも、防衛技術と工業技術というものは、最近はそうかきねがなくなってきたわけですから、ひとつ先頭を切って御尽力を願いたいと思うのであります。  次の問題に移らしていただきます。  大臣、この二十日ごろにアメリカのブラウン国防長官と御会談の予定と伺っておりますが、その会談のテーマに恐らくなるであろうと私どもが推察をしていることに、おとといの委員会でも質疑がありました在日米駐留軍経費の問題、この問題が出てくるだろうと思うのです。私どもは、日本防衛を確保するためには、日米安全保障条約によるアメリカとの集団的防衛体制というものはどうしても不可欠なものである、こう考えています。  しかし、国際環境の変化とともにその防衛の能力と責任における日米間の非対称性といいますか、ある意味では片務性というもの、これはアメリカにとってもかなり耐えがたいものになってきているんじゃないかという気が強くいたします。したがって、日本は必要かつ可能な範囲においてアメリカと責任、負担を分かち合わなければならない、こう思う。そういう方向でやはり在日米駐留軍経費の問題は考えなければいけない。単に円高でこうなっちゃったから、相当損したからというだけではない、もっと幅の広い発想が必要なんじゃないかという気がするのです。大臣、ブラウン長官との会談に臨まれる基本方針、この問題についての御方針、いかがでございますか。
  42. 金丸信

    ○金丸国務大臣 ブラウン長官と六月二十日の日にお会いすることになっておるわけでありますが、その目的は、日米安保条約は不可欠であるということ。ややもすれば、アメリカ訪問もあるいはアメリカから日本を訪問する関係の政治家あるいは軍人、こういう人たちも儀礼的な面もないばかりじゃない。しかし、日米安全保障条約が不可欠である以上、この問題が儀礼的であったんでは、それは信頼性を高めるわけにはいかない。そういう意味で、アジア離れやその他諸問題があるわけでありますが、ひとつそういう問題にはだで触れながら十分な話し合いをして、日米関係の信頼性を高めるというようなことに重点を置いて、私はブラウン長官ばかりでなくて、私は素人ですから、技術屋でないから、あるいは制服でないから、そういう面を視察してみても、いわゆるそういう技量を持った人たちが会えば、見れば、その効果はあると思うのですが、そういう意味で、私は政治家ですから、ブラウン長官とかあるいは上院、下院の委員長とか、あるいは国務長官とか、あるいはカーターの補佐官とかそういうような人たちと十二分に話し合いをしてみたいということです。  いま分担金の問題も出たわけでありますが、分担金の問題につきましては、先生のおっしゃられることも私にはわかります。わかるけれども、地位協定というものもあるわけでありますから、その地位協定を逸脱していくことはいかがかと思う。ことに大平発言等もありますから、それも踏まえながら、ただこの私の考え方は、きょうこの時点における分担金の問題についてはアメリカが日本に要求するということでなくて、日本がそういう問題について、円高ドル安という問題もこれあることだから、ひとつ思いやりある配慮をするということが日米関係を高からしめるという考え方を私は持っておるわけであります。  ですから、この分担金の問題について私はあれこれ向こうさんと話し合うという考え方は持っております。あるいは向こうが持ち出すかもしらぬ。だけれども、それはアメリカが考えることでなくて、日本がいわゆる思いやりということで考えるべきじゃないかというような話をしようと私は思っておりますが、日本の今日の安全が、あるいは独立が保てるような日米安全保障条約、これは不可欠だ、私は信念的にそう思っています。ですから、それには深い思いやりというものが必要だという、こういう考え方の中で分担金の問題については対処していかなければならぬじゃないか。それにはいわゆる与野党、先生方にも十分な御理解を得なくちゃならぬ、私はこう考えておるわけであります。
  43. 中川秀直

    中川(秀)委員 当面の問題については、私はこの分担金の問題、大臣のおっしゃること、よくわかります。私は、それでひとつ大いにがんばって、いろいろな、はだで感じ合える隔意ない対話をしてきていただきたいと思うのですが、しかし将来の問題を少しさらに考えてみますと、その思いやりというものが、先ほどお話ししたように、日本も必要かつ可能な範囲において責任と負担を分かち合う、こういう、より本質的な問題をいずれ絶対に考えるべきときが来るだろうと思う。  きょうは外務省もお越しでしょうが、時間がありませんので、あえてお尋ねをしないで、私の方から少しおしゃべりをさせていただきます。  いわゆる日米安保条約における五条、六条ですね。日本の安全について米軍が動くという五条、極東の安全について米軍が動く場合に日本の基地は使えるという六条、国際情勢の変化でベトナム戦争後六条の価値が非常に低下をしましたね。その中でニューヨーク・タイムズの社説なんかを見ても、日米安全保障条約はきわめて片務的になった、アメリカのためと言うよりも日本のためだけのものになってしまっているじゃないか、社説が堂々と載り、あるいは投書等でも、破棄すべきだという投書がニューヨーク・タイムズに載ったりしている。  そんな国民感情、全部ではありませんでしょうが、出ている。あるいはアメリカの国防総省、外交政策にかなり影響を与えているブルッキングスのレポートでもお話を聞きましたが、もう国家目標のプライオリティー、優先順位をつける場合に、沖繩、岩国の海兵隊、これは引いたらどうだ、あるいはミッドウェーのみならず第七艦隊の空母の母港化、これは二隻目もやれとか、NATOで手いっぱいで、足らない分はその分日本が金を出せ、こういうようなレポートも出ている。あるいは米議会の決議にジャクソン・ナン修正条項というのがあるそうですか、これはヨーロッパの米軍のことだそうですけれども、そこで生じている赤字が相殺されるまでは米軍を引けという議会決議が一九七四年に米議会で通っています。日本についていまこんな決議案が上程をされたら、まず一発で通るかもしれない。そんなものが通ってから、その圧力のもとで、日本がそれじゃ国会に地位協定を変えますなんて政府が出してきたら、日米関係なんというのはちっともいいものにならないですよ。むしろ悪いものになるでしょうね。  私は、今度議論されている思いやり、あるいは駐留経費の負担の問題、かなりやはり政治的な問題になると思いますね。地位協定や大平答弁の枠内で何かしようと思えば、当然そうなる。住宅を民間から借りている分を何とかしてやろうとか、その程度ぐらいじゃないかという気がします。いろいろな枠を考えてみると。しかし米側が、あるいは米議会がと言うべきかもしれませんが、期待をしているのは、そんなものじゃない。まさに労務費その他の本質的な経費について日本は負担をすべきだ、こういう議論ですね。  それがもし、在欧米軍について出たジャクソン・ナン修正条項のような米議会決議案が日本について出て、駐留経費によって生じている赤字が相殺されるまで米軍を引けなんという決議が通って、それを受けて日本にいろいろな圧力があって、それで地位協定を改定するんだなんだという議論が出てきたときは、私ははなはだ確かによろしくない事態だと思う。この際、もっと前向きに将来の問題として、私は、堂々と日米安全保障条約の地位協定は、もうそういった本質的な経費まで日本が負担できるんだという方向で改定をすべきだと思います。  一千億駐留経費がかかるなら、わが党の主張としては、一千億出しなさい。だって、二兆からの防衛関係費を使ったって、日米安全保障条約という前提がなければ何にもならない。そのために一千億出すの、だったら安いものだと私は思います。そういう政府の基本的な方針、それは政治的にもいろいろな意見はあるでしょう。しかし、それをあえて日本安全保障のために、日米関係の将来のためにやるというぐらいの御決断が、将来の問題としてでありますけれども政府は絶対必要だ、私はこう思っているのであります。おしゃべりが過ぎましたかもしれませんが、大臣、いかがでございますか。
  44. 金丸信

    ○金丸国務大臣 ただいまの御質問、おっしゃられることは私にも十分わかりますが、こういう問題についてはえらくピッチを上げながらやるというようなことにつきましてはいかがかと私は思うわけでありまして、まあ先ほど来申し上げておりますように、いまの状況の中では、思いやりというような気持ちの中でいろいろな問題が解決できるものはすることが日米関係を不可欠にする。いま先生のおっしゃられるようなことは、将来そういうことになるかもしらぬ。なるかもしらぬけれども、それには国民のコンセンサスを得ながらやっていかなくちゃならぬというところをこれはおろそかにしてはならぬと私は思うのです。国民は全くそれは必要だということも理解もしていただかなくちゃならぬ。  ですから、急激にそういうことをやるということについて、それをやれればあるいはいいかもしらぬ。しかし、そればかりではない。防衛という問題は、いわゆる自衛隊二十七万の隊員だけでやれるものじゃないし、あるいは福田政権を担当している自民党だけでやれるものじゃない。全国民の支持を得ながら、コンセンサスを得ながらやらなくちゃならぬという問題点はある、私はこう考えておるわけであります。
  45. 中川秀直

    中川(秀)委員 方向としてはぜひ御理解を得たいと思うのです。大臣の御答弁、お話の趣旨を私もよく理解をします。国民の合意ということを大臣はおっしゃいましたが、最近の新聞調査によりますと、日本が攻撃をされた場合、米国が日本を守ると信ずるか。十年前には国民の三七%が、おれは信じると答えた。いま二一%。守らないだろうというのが、十年前二九%であったのが、現在三八%。日本国民の中にも、日米安保に対する信頼感というものは非常に低下してきているのですね。こういうことを考えてみても——大臣、あえて御答弁を求めません。私どもは、先ほど話したような方向で、本質的な問題に進むべきだ、そういう方向で一つ一つ合意を得ていく、こういう政府方針が必要だろう、こう思うのです。これはわが党の主張としてひとつお聞きおきを願いたいと思います。  さらにお尋ねを進めさせていただきますが、私は安全保障の問題を考える場合に、国民生活の確保ということは重要な問題だと思います。その国民生活の確保のうちでも一番基本になるのは、国民の生命、財産の防護ということだと思う。いま大臣おっしゃった、国の防衛というのは自衛隊二十七、八万の者でできるものじゃない、国民全体で考えていく問題だとおっしゃった。全くそうだと思う。  では、そういう国民の生命、財産の防護ということについてのわが国の施策がどうなっているかということになると、参議院の委員会で与党の委員がこの点についても質問していたようでありますけれども、全くおっしゃるとおり、お寒い限りであります。法制上も実際上も。私は、そういった不測の事態に備えて被害を最小限にとどめるようないろいろな施策、入れ物というもの、あるいはこのボタンを押せばすぐそういう入れ物ができるんだよというようなものを当然準備していくべきだと思うのです。  まず第一点でありますけれども、たとえばこの概念はシビルディフェンスといって、諸外国でもかなり力を入れてやり始めているところでありますが、このシビルディフェンス、特に核に対するシビルディフェンスというものは、日本のかつての広島、長崎の原爆の経験を参考にしてつくられている。発想が出てきている。ところが、その日本自身はない。ソ連でも、広島での原爆による市民の損害は、もし市民防衛手段があったならば明らかに減少させることができた、もし人々が自己防衛の方法を知っていたならばいまなお数万人の市民は生き延びたであろう、これはソ連の国防省の責任者が言っているわけですね。そういう発想から市民防衛、シビルディフェンスという発想が出てきている。ところが、日本自身は何もやっていない。     〔村田委員長代理退席、岩垂委員長代理着席〕  かつてアメリカの国防長官をやったマクナマラ氏も、米ソ核戦争の事態でも、シビルディフェンスが確立をされていれば恐らく一割前後の人的損害で済む、こういうことを言って、以来米ソ両国ともこの市民防衛システムのことはかなり一生懸命やっているわけです。また、いま大臣がおっしゃった、防衛というものは国民全体の合意のもとでやっていくんだというそのことにもシビルディフェンスというのは基本的につながっていくのです。要するに、自分と家庭と市町村と国家全体、そういう相互交流の中で防衛を考えて、やっていこうということなんです。ところがいまの日本防衛というのは、その辺はぱちっと切られている部分がある。またそっちから先はやらない、シビルディフェンスの部分はやらない、こういうことになってしまっている。私はこういう状況ではいけないと思うのであります。  日本人の特性として、これは総合研究開発機構がまとめた「二十一世紀の日本の課題」という論文でありますが、そのうち「国民性と危機管理の相克」という「危機管理との関係」という中でおもしろいことがある。日本人は「外国の侵略にほとんど経験なし、したがって外国に対する甘えがある。性善説、日本のみの現象だ、友好国と思っている国が突然いじめる、パニックに陥りやすい、世界観なし、そういった危機に対する関係、危機管理との関係、事前対策、そして予知回避、これは全く弱い、」こういうふうに「二十一世紀の日本の課題」の中にある。これは、政治というものは社会学、心理学でも考えなければいけないわけですから、そういう論文も出ている。そして日本人のそういう特性として事前対策が一番苦手なんですが、さらにそれをしさいに検討すると、耐乏生活や再建をするなどというレベルのことについては、個人のエネルギーというものに非常にまとまりゃすいのですね、日本人は。ところが事前対策、予知回避、被害を局限にするなどという対策は、日本人は、政府、お上のレベルの仕事だ、こう考えているのですね。全くそう考えている。何となく思い当たるのです。  そんないろいろなことを考えてみましても、たとえば、これはもう大臣もよくお目にとまっているものですが、スイスの連邦法務警察省で市民全部に配っている。国として配っているわけですね。当然わが国もそういうことを研究し、このボタンを押せばそういう器ができるんだよという、そのぐらいの措置はおとりになるべきだと思うのです。大臣、基本的にいかがでございますか。
  46. 金丸信

    ○金丸国務大臣 ただいまの御質問、全くそのとおりだと私も思います。非常に重要なことだ。十分われわれもこの問題について検討もいたしておりますが、今後もそういうものを、本当にボタンを押せばすぐそこにメニューが出てくるようなことをやっておかなければ、それはいざというときには間に合わない。それをやることが専守防衛一つだ、こうも考えております。
  47. 中川秀直

    中川(秀)委員 法制度の問題で事務当局とちょっと御議論させていただきたい。  たとえば核爆発災害などというものは、わが国の立場と関係なく発生するおそれは十分にありますね。たとえば中ソ戦争が発生したときに核爆発が起こった。その死の灰、偏西風に乗った死の灰、大規模な死の灰、フォールアウト、これは恐らく一千キロどころか二千キロぐらいまで来る可能性は十分にありますね。日本に十分届いてしまう。あるいは対馬海峡日本海等で核使用の危険性が生じて、もし本当に使われたら、もろにその灰が来るわけです。これを日本の法制上で一体どこがどういうふうに措置するのでしょうか。  たとえば私はこの前災害対策基本法を見た。災害対策基本法第二条第一号というところに「暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波その他の異常な自然現象」、ここまでは自然現象ですね、「又は大規模な火事若しくは爆発」、これは自然現象ではなくて人為的な現象、「その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する政令で定める原因により生ずる被害」を災害といって、この災害対策基本法でやるんだ、こう言っている。ではその政令では何と書いてあるか。災害対策基本法施行令第一章第一条で「災害対策基本法第二条第一号の政令で定める原因は、放射性物質の大量の放出、多数の者の遭難を伴う船舶の沈没その他の大規模な事故とする。」こういうふうに書いてある。いま申し上げたフォールアウト、戦争の際の死の灰、そういうものは災害対策基本法で言う「放射性物質の大量の放出」に含まれているのですか、いないのですか。何を想定しておられるのですか、ひとつ政府の御見解をお伺いしたいと思います。
  48. 四柳修

    ○四柳政府委員 御指摘のように、現在の災対法では、異常な自然現象のほかに人為的な大規模な事故を想定しております。特に御指摘の「放射性物質の大量の放出」という場合は、事故または災害によって被災した場合の原子力施設等からの放射性物質の大量放出を想定しておりまして、他国のそういった例というものは想定しておりません。
  49. 中川秀直

    中川(秀)委員 たしか原子力発電所等の安全に関する法規では、原子力発電所の原子炉等は安全である、また安全にしなければいけない、こういうことを前提にいろいろな法規制を加えているわけでしょう。法整備をしているわけでしょう。それが、この災害対策基本法施行令の中で言う「放射性物質の大量の放出」、これによる災害は、全くそういうフォールアウトやそういうようなものは想定していないんだ。どうも何か釈然としませんね。そんなことは仮におくとして、では、もしそういうことがあったときにどの法律で対策を立てるのですか。何かほかにありますか。私は調べてみたのですが、ないのです。見当たらない。いかがですか。
  50. 四柳修

    ○四柳政府委員 ただいまの御指摘の点は、実は災害対策基本法に基づきまして科学技術庁がつくっております防災業務計画というのがございますが、そこの中で、万一原子力施設に事故が発生した場合云々という書き方で、一応科学技術庁の方で受けとめ方をしておるのが一つでございます。  二番目に、科学技術庁の設置法の中で、放射性降下物等による障害の防止の総合調整という規定がございまして、その点が一応受けざらとしては、そういった問題が出てきた場合に各省の総合調整に当たるという形になろうかと思います。
  51. 中川秀直

    中川(秀)委員 もう一度確認をさせていただきますが、ではそういう損害、単なる調査じゃありませんよ、災害ですよ。いわゆる大規模な死の灰、フォールアウト、中ソ戦争でももし起こって、そこで核爆発がした、そのときの死の灰による大量な災害は科学技術庁がやるということでいいですね。
  52. 四柳修

    ○四柳政府委員 受けざらとしてどういう法律があるかというお尋ねでございましたからそう申し上げたわけでございますけれども、現実の問題としましては、いま御指摘のような大量の死の灰云々という問題につきましては、放射能を持っております降灰が直ちに多数の者の生命または身体に危険を及ぼすかどうか、そういう意味での災対法の「放射性物質の大量の放出」イコールとは考えられません。したがいまして、そういう意味では、一般的には災対法の政令で規定しております「放射性物質の大量の放出」という受けとめ方はしておりませんで、先ほど申し上げましたのは、中川委員の御指摘のように、どこに受けざらがあるかという問題になりますと、各省庁それぞれ受けざらがございますけれども、それらの問題の総合調整を考える場合には科学技術庁設置法で一つの受けざらがあるということを御答弁申し上げたわけでございます。
  53. 中川秀直

    中川(秀)委員 要するに、そういう災害が起きた場合の対策の、しっかりした法的なものはないと言った方がむしろ素直な受け取り方ですね。無理に詭弁を弄するからそういう変な議論になってしまう。そうですね。
  54. 米本弘司

    ○米本説明員 先ほど国土庁の方から御答弁なされましたことにつきまして、少し私どもの方から補足させていただきたいと思います。  先ほど申し上げました二つの、後の方の件でございますけれども、確かに科学技術庁設置法の第四条第二十一号で「放射性降下物による障害の防止に関し関係行政機関が講ずる対策の総合調整を行なうこと。」ということが定められておりますが、これは科学技術庁が発足したのは三十年年でございますが、三十七年にソ連が核実験を再開して、非常に日本への放射性降下物が多く降るようになってきたということで、それらの対策を各省庁がそれぞれ行うのではあるけれども、この際、それを調整する機関が必要であるということで、設置法の改正が行われて科学技術庁の所掌事項の中に入ったわけでございますが、この経緯から申しましても、現在の規定の「放射性降下物による障害の防止に関し関係行政機関が講ずる対策」というのは、あくまでも核実験を想定した対策ということで各省庁が受けとめておられると解釈しておりますので、核戦争というような問題については、またこれとは違った観点で議論されるべきではないかと考えております。
  55. 中川秀直

    中川(秀)委員 結局、違った観点だ、こう言っているわけですよ。そうですね。時間を大分とってしまいましたが、一事が万事で、結局核戦争のような事態における死の灰災害、フォールアウト災害についても法制度、あるいはどこがやるかというものも不確定。では、シビルディフェンス全体はどこがやるかという、つまり行政機構の受けざら——防衛庁は、防衛庁設置法で要するに「陸上自衛隊海上自衛隊及び航空自衛隊を管理し、及び運営し、並びにこれに関する事務を行うことを任務とする。」「主たる」とも、「等」とも、何にも入ってない、これに限定されておりますね。  国土庁はどうですか。そういうシビルディフェンスをいまの設置法でやる余地があるのですかな。この設置法の第三条を読むと、「豊かで住みよい地域社会の形成に寄与するため、国土に関する行政を総合的に推進することをその主たる任務とする。」これに入るのかな。「災害に関する施策を企画し、立案し、及び推進し、並びに関係行政機関の災害に関する事務について必要な調整を行なうこと。」この中に入りますかな。科学技術庁はいまおっしゃったとおりですね。核実験、その調整だけだ、こう言うのですね。シビルディフェンスは一体どこでやるのですか。  大臣は、研究しなければいけないとおっしゃった。政府は一体どこでやる、どこを中心におやりになるのですか。どの省庁でも結構です。御答弁があれば、お伺いをしたい。御答弁がなければ、本気で考えていただきたい。国防会議事務局長にでもお伺いしましょうか。
  56. 久保卓也

    ○久保政府委員 縦割り行政の中で各省のいずれにも入っておらないと思います。したがいまして、いずれにも入っておらなければ総理府の審議室が扱うことになるはずであります。しかし、審議室が勉強しているとは思いません。したがって、この問題をどういうふうに扱うか、これは国民のある種の安全と同時に危機感とか国民の恐怖にもつながってまいるわけでありますから、むしろ政治の大きな問題であり、政治が発想されて、具体的にどこに担当を命ずべきかというあり方がしかるべきかと思います。  国防会議事務局は縦割りの行政ではありませんが、勉強の一つとして一応担当者をことし命じたわけでありますが、適当な時期に国防会議で御審議、つまり民間防衛というものを取り上げるべきなのかどうか、取り上げるとすればどこの省庁がやるべきであるのかを国防会議で御議論いただくのも適当かなと、これは私個人でありますけれども、考えております。
  57. 中川秀直

    中川(秀)委員 大いに研究をされて、先ほどの大臣の御答弁にもありましたように、どこでやるかという受けざらぐらいははっきりしておいてください。でないといけないと思うのです。  最後のお尋ねをさせていただきますが、私は、わが国安全保障の問題を考えるときに、自衛力の限界とか核兵器、憲法との関係とか、法理論上の応酬も大切かもしれない。しかし、それもさることながら、本質的、具体的な論議をもっと掘り下げなければいけないと思います。そういう意味から言うと、いざというときのための備えというものが防衛なんですから、いざというときに速やかに対処することを可能とする、担保存する防衛関係の法体系の整備をきちんとしておかなければいけないと思います。いわゆる有事立法の問題は本当に急務だと思います。  明治憲法の問題までさかのぼることは必要としないかもしれませんが、いずれにしても、明治憲法下ではそういう法令上のものが一応備わっていましたね。また、法令が存在しない場合でも、緊急事態に対する応急措置について憲法上の根拠がありましたね。これに対して、現行憲法では、衆議院の解放中の参議院の緊急集会のほかは緊急事態に備える規定は何もないのです。自衛隊法に、防衛出動時などにおける若干の特別規定は設けられていますけれども、本当の緊急事態を想定した場合に、では、出動待機事態といいますか命令の段階、その法制度等になるとほとんどない。立法当時からその不備は指摘されていたところですね。  また、警察法でも若干の緊急事態に関する規定はありますけれども、その内容は主として内閣総理大臣が全警察を統括するということで、実体的な権限規定は含まれていませんね。あるいはこの緊急事態に対処して、いわゆる生活必需物質の配給や価格の統制、債務の支払い停止などについて若干の政令制定権限を行政府に与えているもので、何かあるとすれば災害対策基本法だけですね。  以上、いざというときにもしそんなふうになったとしたならば、またしても超実定法的措置かあるいは超法規的措置に、同じことですが、要するに頼らざるを得ないということになるわけです。私は、これはやはり大切な問題としていまから検討を十分にしなければいけないし、議論しなければいけない問題だと思う。  大臣、お聞き取りいただいたと思いますが、このことについてもひとつ先ほどと同様の御見解でお受けとめいただけるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  58. 金丸信

    ○金丸国務大臣 おっしゃられるとおり、私も有事の場合のことも考え、十二分に検討してまいりたいと思っております。
  59. 中川秀直

    中川(秀)委員 時間も参りましたから、ちょっと細かく最後に羅列だけさせていただいて、官房長にお伺いしたいと思います。  たとえば、いざというときに、臨時の部隊編成をしようというときには長官に権限があるわけですけれども、臨時にするというと一々長官の許可を求めていたら間に合わない場合があるでしょう、その場合は何でやるのか。  あるいは任務達成の場合に航空保安官制や気象業務、それを恐らく自衛隊がやらなければならない部分もあるでしょう、その根拠規定があるか。  あるいは指揮官の責任、今度の雫石裁判なんかを見ても端的にあらわれているわけだけれども、要するにやった人間が裁かれて、命令者の方は何でもない、いまそういう感じもあるわけですね、刑法上で言うならば。しかし、指揮官の責任ということになったら、当然そういうものに対する、刑法の場合だってこういうふうに考えるのだよというものがなければ、命令というものに対する尊厳性なんというものはない、こういう問題。  あるいはミグ25事件のときに、北海道へひょっと飛んできましたね。絶対落とされないと確信を持って来た、日本の取り調べに対してベレンコ中尉はこう言っているわけです。なぜ落とされないか。発砲せざる限りあるいは爆弾を投下せざる限り、日本自衛隊は発砲しない。危害を加えられて初めてそれに対処する。いまの装備体系からいったら、そんなことで間に合わないということはもちろんであります。それに対する判断というものも非常にあいまいもことしている。  あるいは領空侵犯に対して、いまたとえばミグ25事件なんかの場合で、あれはどういうふうにやるかというと、出入国管理令しかない、現実にこういう議論はありましたね。そういうようなこと。  あるいはいざ有事の場合になって、航空法の範囲内で実際に自衛隊機の行動ができるのか、当然適用除外を設けなきゃいけないということもあるでしょう。  あるいは電波法の適用除外も設けないと、一々郵政大臣の許可を得て電波を割り当ててもらっていたらとても間に合わないということもあるでしょう。  あるいはその他もう挙げればたくさんあるわけですけれども、航空保安管制や気象情報の管制も、ないとできない、有事の場合は恐らく自衛隊はそれだけでも大変不利な状況になるでしょうね。  いろいろなことがある。日米相互防衛援助協定で一部武器については秘密保護に関する法律があるけれども、その武器を使用するための、たとえばP3Cに入れるいろいろな情報あるいは電子戦等におけるエリント情報、こういうものに対する秘密保護規定がなければ、それはアメリカだってリリースしてくれないのはあたりまえだということもある。  その他もう挙げればたくさんあるから、あえて申し上げませんが、きちんと私は防衛庁の中で研究をすべきだと思うのです。情勢緊迫時以降のいろいろな適用除外、防衛出動命令の段階ではいろいろな適用除外が若干はありますけれども、待機命令の段階でいろいろな適用除外を現行法制度の中で設けないと戦にならないというのはあたりまえの理屈ですね。こういうものは全面的に検討して、私は一つ一つ国民の合意を得ていく努力を早急にお始めにならなければいけないと思う。これは何も私だけが考えていることではなくて、心ある人はみんなお考えになっていることだと思う。ひとつその研究を事務的にきちんと項目を挙げて早急にお進めいただきたい。官房長、いかがですか。
  60. 竹岡勝美

    ○竹岡政府委員 先生先ほどからいろいろ御質問ございました。確かに自衛隊法あるいは防衛庁設置法、いわゆる防衛二法を除いて各省関連の法律で、たとえば警察法でも災害救助法でも災害対策基本法でも、その他航空法でも、戦争というものを前提にした法律は一つもないと思うのです。考えていないと思います。ただ自衛隊法では、御承知のとおり有事のときを考えてやっておりますし、その中には百三条あるいは百四条のように、現在の災害救助法の中から引っ張ってきまして、有事のときの物資の収用とか施設の管理あるいは公衆電気通信施設の優先利用とか、こういうのは自衛隊法に入っております。  確かに各省庁の法律にはそういう戦争を前提にした法律はございませんので、それは別個にいたしまして、いま御指摘のように、私の方で、有事の場合におきますそういった各省関連の法律まで含めまして、一たん有事のとき、これは国土が戦乱のちまたになるわけでございますから、国民の命を守り、かつ自衛隊の戦いを容易にさせるための、あるいは国民からの協力があった場合の受けざらとかそういった関連から、いまの法令で有事において果たして十分であるかどうかを、前にもお答えしたと思いますけれども、昨年の七月に防衛庁長官からの御指示がございまして、とりあえずいま防衛庁内部で勉強を進めておるところでございます。  現在の自衛隊法でも各省庁関連の法律で防衛活動に関します除外例が約十二項目ほどございます。そのうち有事のときの除外例は航空法の一部、消防法の一部等が若干あるわけでございますけれども、そういうものも含めまして、まだこれだけでは十分じゃないのじゃなかろうか。あるいは自衛隊内部の指揮、命令あるいは先ほどの領空侵犯等がまだまだございますので、いまじみちに勉強を進めておるところでございます。今後もこの勉強は進めていきたい、このように考えております。
  61. 中川秀直

    中川(秀)委員 最後に一言だけつけ加えさせていただきますが、要するにいざというときがあっては困るのです。しかしあっては困ると言って、ないということではない。そういうことになれば、きちっとそういうものは用意をしておく、そういうことは絶対に必要だと思います。かっていろいろな経過があったことも承知しています。しかしただそれだけで、じゃもうやらなくていいんだということではない。あの指摘はあの指摘で、かつての国会で行われた指摘指摘で重要なポイントもあります。そういうものをして、またそれがあるからといって、自由勝手な行動をとるあるいはそういう方向へ走る、これはいけないというチェック、指摘は当然のことだ。  しかしそれとまた別の議論として、なくては困るものについてはきちっとやはり国民の理解を求める努力をしなければいけない。それだけでもう全部やめたということにはならない。これは国防会議事務局長、当然国防会議あたりでも、議員懇談会あたりでもいろいろ議論を詰めていくべきだと思います。また議論をしていくべきだと思います。ひとつ議題としていろいろな方向で政府全体が議論していくようにお願いをいたしまして、時間も参りましたから、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  62. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員長代理 午後一時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩をいたします。     午後零時二十分休憩      ————◇—————     午後一時五分開議
  63. 始関伊平

    始関委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  国の防衛に関する件について質疑を続行いたします。岩垂寿喜男君。
  64. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 最初に、きのう、きょう新聞をにぎわしておりますソ連の大演習、なかんずく択捉島とその周辺海域での大規模な上陸演習を繰り広げたという新聞報道に関連をいたしまして、午前中、伊藤防衛局長の御答弁もありましたけれども、この記事が報道された背景、とりわけけさの各紙に出ている報道は、栗栖統幕議長の御発言というふうに承っておりますが、その辺の関係防衛庁としての見解なのか、栗栖統幕議長としての見解なのか、そして事実関係は一体どうなっているのか、この辺について、事柄は国際関係を含む非常に重大な配慮を必要とする問題でございますので、正確にお答えを願いたいと思います。
  65. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 まず、事実関係から申し上げたいと思います。  五月の二十日ごろから、ソ連艦艇航空機といったものが宗谷海峡を通過したり、あるいはレーダー等によりまして択捉島付近で行動しているということはつかんでおったわけでございます。ただ、先ほども説明申し上げましたように、これが航空機行動等によりまして輸送機であろうということは想像されました。そしてまた、輸送機であるとするならばアントノフという輸送機であろうということが推定されたわけでございますが、その飛行機によってあるいは艦艇によって、何人の人を択捉島周辺に送り、そこで演習を行ったという事実については確認していないわけでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、先ほど来申し上げておりますように、監視所における視認あるいはレーダーにおきます航跡の分析あるいは通信情報等を総合いたしまして、部隊があの周辺で移動しているというところまではわかっておりますけれども、その目的として、単にあそこに移動していったのか、あるいはまた演習をあそこで行ったのか、そういった点については確認できない状況でございます。しかし、一つの可能性としてそういうこともあるということを統幕議長は御判断になったのではないかというふうに考えております。  昨日、統幕議長が記者会見におきまして、いわゆる軍事的な専門家としての判断から、可能性の問題として御説明申し上げたのは事実でございます。しかしながら、いま申し上げましたようにいろいろな場合が想定されるわけでありまして、実際に演習確認できるという状況ではございませんので、防衛庁の正式の見解として発表することになりますならば、当然大臣のもとで、それぞれの情報担当者がいろいろな分析の結果を持ち寄って判断した結果によって発表されるわけでございまして、そういう手続は経ていないわけでございます。したがいまして、統幕議長の軍事的知識に基づいていろいろな事象から判断した説明であったというふうに理解しておるわけでございます。
  66. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 新聞を見ればどうしても防衛庁筋とこうなります。防衛庁筋であるならば、大臣を先頭にして防衛庁内部で意思統一、分析を行って対外的に明らかにすべきだという手続が必要だと思います。今回それがとられていないということをお認めになりますか。
  67. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 そのような手続、あるいは大臣のもとにおきましてそれぞれの立場におきます専門家の分析の結果等を総合して判断したというものではございません。
  68. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そうしますと、上陸演習だとかあるいは兵員の空輸とか、そういう事実については、防衛庁としては正確には掌握していない、こういうふうに承ってようございますか。
  69. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 上陸演習をしたという事実は確認いたしておりません。それから兵員が何人ぐらい移動していったかということについても確認いたしておりません。しかし、揚陸艦が動いたということ、それから航跡等から判断して輸送機が移動していっているということはつかんでいるわけでございます。その揚陸艦の性能あるいは輸送機の性能、そういうものから判断して、あそこに出ているような数字というものが推定できないことはないわけでございますが、確認をしたというものではございません。
  70. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 御理解のとおりに、かなりショッキングな形で報道が行われている。私は火のないところに煙は出ないと思うのであります。そして、立ち会った記者の諸君の話を聞いても、統幕議長は確信を持って述べておられる。こういう経過を承るならば、一体防衛庁のシビリアンコントロールはどうなっているのだということを問わざるを得ない。とりわけ、日中条約を牽制するというふうな政治的な意味が、それぞれの記者の判断を含めてあるわけでございますけれども、政治的には非常に重要な意味と影響を持たざるを得ない。防衛庁は、これが報道され、起こしている波紋、こういう事実についてどんな責任をお感じになっているか、この機会に防衛庁としての正式な見解を承りたいと思います。
  71. 金丸信

    ○金丸国務大臣 私は、この話は聞いておらないわけでありますから、ただいまの御、質問に対して答弁いたしました防衛局長の答弁のとおりだと思うわけでありますが、実はこの問題につきまして、私もけさその内容を知ったわけであります。ちょうど事務次官もけさの会合に来ておりまして、政府委員室でいろいろ話し合ったわけでありますが、十時半から内閣委員会があるということでございますから、私はこちらへ出てまいりましたが、事務次官には、とるべき手続をとらずして、防衛庁の合意の中で発表するというようなことでない姿というものに対しては承服できない、厳重に申し込んでおいてくれ、こういう話であったわけであります。  なお、本人から昼の休みにお目にかかりたいという話がありましたが、きょうは御案内のように、時間も午後の委員会が開かれるまで休憩になりましたが、短時間でありますし、私のところにも昼間面会人も大ぜいありましたから、それは委員会の済んだ後で会おう、こういうことで、本人とは会っておりません。十二分に本人の意見を聞きまして、私は私なりの考え方をいたしたい、こう考えておるわけであります。
  72. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 統幕議長が個人的な見解ということを含めて問題を起こしたのは、予算委員会における「ウイング」の論文、さらには本委員会でも問題になった、私も資料をいただいた「国防私見」、細かくは申し上げませんが、仏の顔も三度ということがあります。こういうことを繰り返し繰り返し、しかも防衛庁長官の厳重な注意、訓告にもかかわらず同じことをやっているということについて、私は非常に遺憾な事態だと言わざるを得ない。呼んで厳重に注意します。これだけでは、長官、これがもたらしている責任というものを国民の前に明らかにすることはできない。なかんずく国際的ないろいろな影響、波紋に対する日本政府の誠意ある態度ともとれない。その意味で、金丸防衛庁長官はけじめを大事にする人でございますから、このけじめの問題について、責任をどのように明らかにさせていくのかということについて御答弁を煩わしたいと思います。
  73. 金丸信

    ○金丸国務大臣 その問題につきましては、本人とも私は会っていませんし、いろいろ防衛庁の記者諸君に発表した自分の考え方、あるいはどのような形式で発表したのか、その内容も調べなければなりませんし、どういう考え方で、どういう理解の中でこの問題をテレビ等でも話し合ったか、十二分に私は相手の話を聞かなければならぬ。その時間はいただきたいと思います。先生がおっしゃるように、たびたびのこういう問題だ、それは私も十分胸にあります。どうぞひとつ、あとは私に任せてください。
  74. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 任せてくれと言われれば任せる以外にないのですけれども、私は、どういう心境でということもさることながら、それがもたらしている客観的な影響という問題、政治的にもあるいは国際関係という立場から見ても、この問題をないがしろにして、ちょっと注意しておきましたということでは済まない重大な責任問題である、このように感じます。その立場に立って防衛庁長官が善処されることを求めます。それについての御答弁をいただきたいと思います。
  75. 金丸信

    ○金丸国務大臣 先ほど来から申し上げましたように、統幕議長という重要な席におる人であります。一刀両断というわけにはいきません。十二分に本人の話も聞かなければならぬ。どういう状況の中でテレビで話をし、どういう考え方の中で防衛庁の記者諸君に話し、また防衛庁の合意というようなものがなかったことも、どういうような手続の手違いがあるのか、そういうことも十分に調べなければならないことは当然だと私は思うわけでありまして、その上で先ほど来から申し上げておりますが、私に任せていただきたい。
  76. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いま長官が、事実をお調べになる、そして問題を明らかにする、その上で責任をとらせる問題を含めて私に任せてくれということでございますが、その経過については後ほど私にお教えを願えますか。
  77. 金丸信

    ○金丸国務大臣 当然御報告をいたします。
  78. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 この問題は、まだいろいろ問題をはらんでおりますが、安井委員も質問を準備されておられるようですので、次に移ります。  いま国連の軍縮特別総会が開かれております。国連総会が軍縮のために開かれたことは初めてのことであって、まさに画期的なことだと言うことができると思うのであります。私がいまここで開かれるに至った経過について申し上げるまでもなく、国際的な世論の高まりがこの総会を開かせたのだろうと私は思うのですが、防衛庁長官は、この軍縮総会、そしてそれが持っている特別の意味についてどのような所見をお持ちか、最初に承っておきたいと思います。
  79. 金丸信

    ○金丸国務大臣 わが国は、「国防の基本方針」に明らかになっておりますように、「国際連合の活動を支持し、国際間の協調をはかり、世界平和の実現を期する。」ということが基本にあるわけでありまして、今回の国連総会の場というものは、世界の軍備というような問題が非常にエスカレートしておる時代にこのような会合が開かれたということは、まことに意義のあることでありますし、なかなか軍縮という問題はむずかしいけれども、各国も努力することでありますが、日本もこのためには最大の努力をすべきだ、私はこういうように考えておるわけであります。
  80. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 五月三十日の一般討論演説で園田外務大臣が、「わが国は人類の先覚者としての誇り高き憲法の精神、つまり戦争放棄に立脚し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならぬことをその基本政策の一つとし、」云々と、こう書いてあります。さらに、非核三原則を国是として絶対に軍事大国にはならないということを繰り返し強調されておられるわけでございますが、私は、この意味は非常に重要な意味を持っていると思いますが、この演説草稿について防衛庁に前もって相談がございましたかどうか、そしてもしあったとすれば、防衛庁がどんな意見を述べられたかという点についてお伺いをしておきたいと思います。
  81. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 外務大臣の演説につきましては、事前に、事務的に外務省の方からこの案について御提示がございました。防衛庁といたしましても、拝見をいたしまして今度の国連の軍縮特別総会が開かれる、その方向に沿って日本考え方というものをあらわしたものであるというふうに判断をいたしまして、外務大臣の国連の総会の演説についてはふさわしいものであるというふうに賛意を表したわけでございます。
  82. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 この総会を報道などで知り得る範囲では、ワルトハイム国連事務総長が、兵器の製造調達費の千分の一の援助費の義務づけを提案をしております。また、園田外務大臣の演説の中でも、通常兵器の国際移転の抑制、軍事費の発展途上国援助への振りかえを主張してまいりましたけれども防衛庁長官は、軍縮という問題、とりわけ自衛隊の軍縮という問題、こういう問題についてどんな所見をお持ちか、この点お尋ねをしておきたいと思います。
  83. 金丸信

    ○金丸国務大臣 各国が軍縮するときは、率先してわが国自衛隊も軍縮することは当然であろうと私は考えております。  また、国連事務総長の提案に対しましては、こういうことが一つ一つ、あるいは今回開かれたということがこれからの軍縮の一里塚になるだろうと私は思うのですが、その積み重ねの中でそういうような提案があるとするならば、それも一つの大きな意義ある提案だと私は考えております。
  84. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 外務省にお尋ねいたしますけれども、八月六日を広島デー、つまり軍縮の日と指定することを主張しておられますけれども、これが総会でどういう扱いになるかは私もわかりませんが、日本でこれを問題提起をした以上は、日本でどんなことをどういう形で、行動や行事を含めてお考えになっていらっしゃるか、この際明らかにしていただきたいと思います。
  85. 大川美雄

    ○大川政府委員 政府といたしましては、軍縮ということは、わが国だけではなくて、無論世界各国が一致して取り組むべき問題だということでございますから、こういった軍縮の日につきましても、各国が一致して支持できる日を策定することができることに意義があると考えております。そういう見地から、今度の軍縮特別総会における外務大臣演説の中で八月六日を軍縮の日とするように提唱したところでございまして、これについて今後各国の一致した支持が得られるよう鋭意努力中でございます。  実は、ほかの日もほかの国から提唱されておりまして、幾つかの案がございますから、それをまずどの日にするかということを各国で合意する必要があろうかと思います。具体的には、今度の軍縮総会の最終段階で採択される予定になっております軍縮に関する行動計画の中に、できればこれを盛り込みたいということで現地の代表団は努力いたしております。  そこで、そういう日が仮に国際的に決められた場合に、今度、どういうことを国内でやるかにつきましては、実はまだいまのところ私どもとしては具体案はございませんで、国連の場でそれが決まりました上で、その段階で検討するということでございます。
  86. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 日本が外務大臣の演説の中で述べている以上は、やはり日本で何をやるかということぐらいは用意し、準備し、そうして日本独自でもやるという気構えでなければ、発言をした意味もないと思いますので、その点は早急に検討をして、やはり国民の前に明らかにしていただきたいと思います。  また、前回の委員会で、私、NGOと言いましょうか、日本の民間代表団の行動について、外務省、とりわけ国連局の積極的な協力と言いましょうか、援助と言いましょうか、そのことを要請をいたしまして、今日までのところ、日本代表団も大変な人数でありますけれども、積極的な行動を繰り広げ、国際的にも意味のある活動をしているように思います。このことについて感謝をしておきたいと思いますが、やはりそういう国際的な環境、雰囲気、条件も出てきているわけですから、外務省軍縮課に格上げがあったわけですけれども、スタッフは、聞いてみると十人ぐらいなんですってね、女の方も含めて。やはり日本の取り組むべき姿勢というものはもっときちんとしなければいかぬ。それはいろいろむずかしい問題はあると思うけれども、軍縮局、局にしたらいいかどうかはよくわかりませんけれども、もうちょっときちんとスタッフをそろえて、国際的に軍縮問題についてきちんとアプローチができる、そういう窓口をやはりつくるべきだろうと私は思うのであります。この機会に、これはきのう通告をしておきましたけれども、外務大臣の意向などを含めて国連局長から御答弁を煩わしたいと思います。
  87. 大川美雄

    ○大川政府委員 言われましたとおり、実はことしの予算から軍縮課というものがようやく実現したわけでございます。これは実に十年越しの長い経過を経て実現したことでございまして、その人数も、定員が九名、それに対して実員が十一名、まことに不満足な状況ではございます。  そこで、ただいまの御意見はまことに貴重な御意見として承りました。新しい局をつくりますことは、御承知のとおりなかなか大変なことでございまして、一日にして簡単にできることではございませんけれども、御発言の御趣旨を踏まえまして、今後将来の問題として十分検討はさせていただきたいと思います。
  88. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 防衛庁長官がそういうことを言うことの中に政治的な重味を持つわけでございますので、閣議の中でやはり軍縮の日本政府の窓口というものを、軍縮局ということを含めてきちんとすべきだという御提案を申し上げたいと思うのですが、大臣の所見を述べていただきたいと思います。
  89. 金丸信

    ○金丸国務大臣 私は、無用な軍備というものはできるだけしないことが理想だという感じがいたしております。そういう意味で外務省に課が一つできたということは、非常に意義の深いことだと思いますし、なお、そういうものの輪を大きくしていくということについては、なお一段と努力しなくちゃならぬことでありますが、先生の御提案を、私の所管じゃないですから、外務大臣あるいは閣議等で提案をするということについてはいたしたい、こう思っております。
  90. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 報道によれば、外務大臣はさっき私が申し上げた演説の中で、非核武装地帯の設置は有益であるという発言を具体化するために、今月の十七日から開かれるASEANの拡大外相会議で各国に具体的な合意づくりに着手するよう呼びかける方針を固め、日本政府がその基本的な方針を早急に煮詰めるよう指示したというふうに報道されていますが、これは事実ですか。
  91. 大川美雄

    ○大川政府委員 軍縮総会におきます外務大臣の演説におきまして非核武装地帯のことに言及してございますが、政府といたしましては、非核地帯を設けるための適切な条件がそろっている地域につきましては、こういうものができることは核の拡散防止という見地から非常に有益であるというふうに従来から考えておりますし、今後とも一歩一歩そういう条件が醸成されていくように外交的な努力を重ねてまいりたいと思っております。  ASEANの地域につきましては、日本はASEANの加盟国ではございません。したがいまして、わが国が直接イニシアチブをとる立場にはございませんけれども、ASEAN地域の平和と安定の増進というASEAN諸国自体による主体的な環境づくりの努力日本といたしましても側面から積極的に協力していくべきだと考えております。したがいまして、そういう見地から、近く予定されておりますASEAN各国の外務大臣日本の外務大臣の会談にもそういう見地から臨む予定でございます。
  92. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 核拡散防止条約の批准に当たって、衆参両院の附帯決議が行われたことは御理解のとおりです。さらに、さきの軍縮についての特別決議、これも衆参両院本会議で採決をされたことでございます。政府は国会のこうした決議を生かしていくためにどのような措置、つまり具体的な措置をとろうとなさっていらっしゃるか、この機会に明らかにしていただきたいと思います。
  93. 大川美雄

    ○大川政府委員 国会両院の御決議に非核地帯の設置についての項目がございまして、私どもはそれに従いまして今度の国連特別総会でも環境づくりの醸成に努力いたしてまいる所存でございます。  なお、先ほどのASEAN地域につきまして補足的に申し上げたいのでございますけれども、核拡散防止条約にできるだけ多くの国が入ってくるということが拡散防止の見地から望ましいことは言うまでもございませんが、インドネシアが核拡散防止条約の批准の手続を始めるという情報が入っておりまして、もしインドネシアが核拡散防止条約に入りますと、ほかのタイ、マレーシア、シンガポール、フィリピンの四ヵ国ともすでに核拡散防止条約の加盟国になっておりますので、インドネシアの加盟でもって、少なくとも拡散防止条約加盟国という見地からすれば、ASEAN地域はいわば非核地帯設置に向かってのあるいは一歩前進ということになるのではないか、そういうふうに言えるのではないかと私どもは考えております。
  94. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 この非核地帯設置というものの中で日本を含む東アジア地域の可能性、そういう問題について日本は一体どのようにお考えになるのか。少なくとも国際的にその問題を呼びかけた以上、日本を含む東アジアにおける非核武装地帯の設定というような問題について政府が全く知らない、あるいは考えないで国連総会で御演説をなさることもないだろうし、その問題についての検討はどのようになっているか、承っておきたいと思います。
  95. 大川美雄

    ○大川政府委員 先ほど私は非核地帯設置のための適切な条件が整っている地域と申し上げましたけれども、それをもう少し具体的に申し上げますと、まず当該地域に属している国々がみずからの発意に基づいてそういう地帯の設置を希望しているということ、なかんずく関係の核兵器国がみんなそれに賛成であって、そういった地帯ができた場合に、それを尊重する意思があることがきわめて大きな条件であろうかと思います。  その次に、そういった地帯ができましたときに、当該地域における平和が維持される、あるいは平和と安全に悪い影響を及ぼすことにならないこと、のみならず、世界全体においても平和と安全がそれによって影響を受けないことが二番目に条件として考えられます。  さらに、こういった地帯を設けても、本当にそれが守れるかどうかということが何より大切でございますので、有効な憲章、ないし査察の機構ないし制度ができ上がっていることがきわめて重要かと思います。  さらに、公海における航行の自由といったような国際法上の諸原則が守られる、あるいはそれに合致するような形でこういった地帯が運営されるということも大切であろうかと思います。  そういった見地からいたしまして、私どもとしましては、北東アジア地域は、現在の時点では必ずしもまだ条件が十分に整っていないのではないかというふうに考えております。
  96. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 条件が整っているかいないかということを判断する前に、原水爆の悲劇をこうむった日本としては、そうあってほしいものだ、そういうことが国際平和に非常に大きな意味を持っている、このことははっきりしていると思うのです。だから、いま国連局長はいろいろな条件を挙げられました。しかし日本が一体どのように考えるかということが出発点であります。その意味で日本はどのように考えていらっしゃるか、私はこの点を明らかにしてほしいと思うのです。
  97. 大川美雄

    ○大川政府委員 日本政府といたしましては、もちろん一般論として、非核地帯というものが条件の整った地域から一つずつ設けられていくことは望ましいと考えておりますので、北東アジア地域におきましてもそういった条件が整っていくように徐々に外交的な努力は続けてまいる所存でございます。
  98. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 非常に大切なことだと私は思うのです。国連総会では、中南米とか南アジアとか中東とかアフリカとか、あるいは南太平洋の非核兵器地帯設置構想が承認をされています。この構想の骨子というのは、申し上げるまでもございませんけれども、非核地帯のそれぞれの領土で核兵器を生産し、受領しないことを約束すると同時に、核保有国はこれらの領土に対し核兵器の使用あるいは使用の威嚇をしないことを約束するものである、このようになっているわけでございます。そしてこの構想が条約として作成されてきたのが中南米非核地帯条約で、これは当該二十二ヵ国だけでなしに、イギリスもアメリカもフランスも中国も、そして最近ソ連もこれを署名、批准したという経過があるわけであります。日本自身のイニシアチブというものは、この場合、東アジアの場合には非常に重要だと私は思うのです。  これは承っておきたいのですけれども日本が非核武装地帯ということを決意することは、いま私が言った条件から言うならば、論理的には、距離がそう近いか遠いかは別として、日本自身がアメリカの核のかさからは抜けるということをも意味するというふうに理解してようございますか。
  99. 大川美雄

    ○大川政府委員 非核武装地帯というものはいろいろの形があり得るわけでございまして、それは一にその地域を構成する国々の交渉によってまとまった最後の条約の内容いかんによろうかと思います。中南米諸国を対象地域といたしておりますトラテロルコ条約では、いまおっしゃったようなことでございますけれども、たとえば核の通過という問題につきましては必ずしも禁止をしていない、さらに平和的核爆発についても抜け穴があるんだというふうな批判をされているくらいでございまして、いろいろ問題があるわけです。  でございますから、ただいまの御設問に対しまして、直ちにアメリカの核のかさから抜けないと非核地帯の加盟国になり得ないというものかどうか、それは東アジアにおける具体的な条件及びこの地域に加盟するであろう国々の交渉の結果いかんにかかっているんではないか。非常にあいまいな、持って回ったような答弁でございますけれども、私としてはそういうふうにお答えするのが一番正確かと思います。
  100. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 この非核武装地帯の性格というのは、言ってしまえば非核三原則というものをその地域に普遍化するものだ、そういうふうに私は理解するのです。ですから、論理的にはあるいは戦略としては、核のかさというものをも排除すべきものだ、こういうように私は思うのです。そうでないと、一体どういう意味を持ち得るのかという問題になります。ですから、それはケース・バイ・ケースで違うのだと言ってしまえばそれまでですけれども、東アジアでは日本が決意をしたときに、たとえば朝鮮半島とか日本とかそういうところでその地帯を設置するという条件はあるのかないのか、そのことだけ聞いておきたいと思います。
  101. 大川美雄

    ○大川政府委員 私どもは東アジアの現在の情勢におきましては、まだ遺憾ながら非核地帯を設置する条件が十分整っていないというふうに考えております。
  102. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 原水爆の非劇を三回もこうむって、文字どおり非核三原則を守っていくという立場を明らかにして、いわば被爆の原点に立って国連総会で外務大臣が訴えて、よその国でやってくれ、日本はやりたくない、その条件がない、それでは私は説得力はないと思うのです。  やはりアメリカの核のかさにあるいまの日本防衛体制というものが持っている弱点というものは、結局力による抑止の戦略、ここに依拠しているということは言うまでもございません。もうこれは率直なところ、時代おくれとは言わぬけれども、本当の意味の安全とか平和にはいろんな問題を持っていると私は思うのです。ですから、平和な環境をつくっていくその日本の責任というものを明らかにする意味で、日本自身がやはり非核武装地帯の東アジアにおける設置というものを積極的に明らかにすべきものだというふうに思います。それはやりとりしていてもし戦うがありませんから、次に進みます。  日本の非核三原則というものと同趣旨の、あるいはこれよりも強いということになるかもしれませんが、国際規約という形で実は国連軍縮総会に提案をされていますけれども、これは日本として支持する用意があるかどうか、これをお尋ねしておきたいと思います。
  103. 大川美雄

    ○大川政府委員 現在の国連総会に対しまして、パグウォッシュ会議の代表からそういった構想が提出されていると承知いたしておりますけれども、申しわけございませんが、私はまだ十分よく勉強いたしておりませんので、今後よく検討させていただきたいと思います。趣旨としては、内容を見た上でのことでございますけれども日本の非核三原則ということでございましたら、日本政府としては、もちろん問題はなかろうと思います。
  104. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いま非同盟諸国八十五ヵ国の外相あるいは首席代表で採択され、国連総会に正式なドキュメントとして六月の十日ですかに配付された軍縮に対する非同盟国の見解、これについて日本政府は賛成するのか反対するのか、その点をどのように考えておられるか。
  105. 大川美雄

    ○大川政府委員 これは現在軍縮特別総会に出ております非同盟諸国の外務大臣あるいは首席代表が五月の二十九日、先週の月曜日かと思いますけれども、ニューヨークで会合いたしまして、その前五月十五日から二十日までの期間にわたってキューバのハバナで開かれた非同盟諸国の調整ビューロー会議で採択されたコミュニケを改めて確認したというものでございまして、いろいろの事項を取り扱っておりますけれども、軍縮関係につきましては従来の非同盟諸国の軍縮に対する姿勢を是認いたしまして、今回の軍縮特別総会の重要性を強調し、その上で核兵器の開発、実験、生産の禁止とそれから核の不使用ということをうたっております。このほかに、軍備に消費されている資源を開発途上国の開発に振り向けるべきであるということを述べております。それから軍縮交渉の機構改革を呼びかけ、すべての国々、特に核兵器国及び軍事大国がそういった機構に参加するようにすべきである。それから、非同盟諸国が軍縮関係の討議に積極的に参加すべきである。さらに、これはスリランカの提案でございますけれども、世界軍縮機構と申しますかあるいは軍縮機関を設置すべきであるという提案を一応テークノートしたということになっております。  このように非常に多岐にわたっておりますので、これに対して日本政府が賛成であるとか反対であるとかということはなかなか申し上げにくいのですけれども、具体的な点を幾つか申し上げますと、たとえば核兵器実験の停止ということは、申し上げるまでもなくわが国としては賛成でございます。核兵器の段階的削減につきましても、基本的にわが国としては賛成であります。実行可能な具体的な措置を一歩一歩積み重ねることによって、漸次そういった事態を達成すべきであると私どもは考えております。核兵器の使用禁止条約の問題でございますけれども、これは現在の国際環境では必ずしも現実的ではないではないか、果たしてつくりましても実効性があるかどうか、守られるかどうかという保証がございません。核不使用条約につきましてはそういうふうに考えます。  それから軍縮と開発を結びつける問題につきましては、わが国としても賛成であります。それからいま御紹介しました軍縮の討議あるいは交渉のための機構の問題につきましては、国連の役割りの強化あるいはあらゆる核兵器国が軍縮交渉に参加できる方向に機構改革をすべきであるという点については日本政府としては賛成でございます。
  106. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 時間がとられてしまいますので移りますが、その前に、核不使用協定というのは日本政府は反対ですか。
  107. 大川美雄

    ○大川政府委員 反対と申し上げますと語弊があろうかと思います。こういうものができますればもちろん大変結構であろうと思いますけれども、それが直ちになかなか実現しない状況である、仮にできましたとしても果たしてそれが有効に機能するかどうか、そういったものができれば本当にわけはないのでございますけれども、その前にまず兵器の生産の停止あるいは核兵器製造用の核分裂性物質の生産の停止あるいは実験の禁止等々、いろいろ先にやるべき問題があるのではないか、かように考えております。
  108. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 次に移らしていただきますが、日韓大陸棚協定に関連をいたしまして、日韓大陸棚共同開発区域は紛争地域であるという認定を通産大臣がしておられます。これは御存じのとおりですが、防衛庁長官も紛争地域であると思っておられるかどうか。紛争地域ということを通産大臣が言っていらっしゃるのです。
  109. 金丸信

    ○金丸国務大臣 通産大臣はそう言ったというお話でございますが、私はそうじゃないのじゃないかという感じがいたしておるのですが、しかと確かめて御報告をいたします。
  110. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それはいまお答えをいただけないようですけれども、もし共同開発区域に対して第三国からの不法な侵略があった場合に、それにどう対処なさるのか、防衛庁見解を承っておきたいと思います。
  111. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 共同開発区域は公海上でございます。共同開発区域におきまする施設ができた場合に、その施設がいわゆる継続的な攻撃を受けるというようなこと、すなわちわが国がとっております自衛権発動のいわゆる三要件というのがございまして、攻撃的な継続的な武力が繰り返し行われる場合、いわゆる急迫不正の侵害が行われる場合、そしてまたほかに全く方法がないような場合、必要最小限度の自衛権を行使するというその要件にかなう場合には、自衛権を発動するということはあり得ると考えております。
  112. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それは施設ではなくて区域でございますね。
  113. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 区域というのが私もちょっと具体的に頭に浮かんでこないわけでございますが、区域の中にいわゆる急迫不正の侵害というのがどういう形であるのか、ちょっと私想像できないのでございます。たとえばそこで石油を掘るための施設なんかができている、その施設が急迫不正の侵害を受けるというようなことになりますと、公海上におきますわが国艦艇が攻撃を受けたというような形になりますので、いま申し上げましたいわゆる三要件に合致するならば自衛権を行使することがあり得ると思います。しかしその前にやはり警備行動というような形で行動するということも、当然場合によってはあり得るのではないかというふうに考えているわけでございます。
  114. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 施設と言いますけれども、やはり区域として指定をするわけでしょう。これにはわが国の主権が及ぶわけでしょう。
  115. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 公海上でございますから、たとえば日本の船舶というような形あるいは施設というような形、何か財産が侵害を受けるというような形でないと、その指定された海域が侵害されるというのはちょっと想像しにくい状態でございますので、私どもは具体的に申し上げますと、施設、財産、そういったものが侵害を受ける場合というふうに考えているわけでございます。
  116. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 区域を設定して、その中に施設をつくっていくわけでしょう。だから地域はやはり主権が及ぶもの、だというふうに考えていいのじゃないでしょうか。
  117. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 公海上でございますから、地域を指定したからそこに直ちに主権が及ぶというものではないのではないかというふうに考えております。
  118. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 この地域は安保条約第五条が及ぶ地域と解してよろしゅうございますか。
  119. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 それはそう考えておりません。安保条約の第五条によって直ちに日米が共同で行動するような地域というふうには考えておりません。
  120. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 政府の作成した日韓大陸棚協定のPRパンフレットを見ますと、石油埋蔵量は七億キロリットルを超えると書かれています。誇大広告でないとすれば、このような場所が攻撃されることは、日本の平和と安全を危なくするというのは自民党政府なら言うはずだと私は思うのですけれども、日米共同では対処しないのですか。
  121. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 公海上でございますから、日米安保条約に基づきます第五条の発動はございません。
  122. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 しかし、アメリカ系のメジャーも共同で探査及び採掘をしていますね。米国民の財産を守る義務というものがアメリカにあることは事実ですね。この点ははっきりしていますね。  この区域というのは韓国の自衛権は及びますか。
  123. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これはやはり日本の場合と同じだろうと思います。韓国が施設を持っておって、それが侵害を受けるというようなときには韓国は自衛権を行使すると想像されるわけでございますが、その点はどういうふうに考えているのか、私ははっきり存じておりません。
  124. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 米韓の相互防衛条約第三条に「各締約国は、現在それぞれの行政的管理の下にある領域又はいずれか一方の締約国が他方の締約国の行政的管理の下に適法に置かれることになったものと今後認める領域における、いずれかの締約国に対する太平洋地域における武力攻撃が自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の手続に従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する。」ということがございます。在韓米軍がこの地域行動することは、先ほど私が米系のメジャーということに関連をして申し上げましたが、あり得ることですね。
  125. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 米韓条約によって具体的にどういう行動をするかということは、私どもは存じておりません。しかしながら、米韓条約と日米安保条約との違いというものは存じているわけでございます。したがいまして、その米韓条約によって米韓両国の軍隊が共同で行動するということはあり得るかと思いますが、私は確信を持ってするというふうに申し上げられる立場ではございません。
  126. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 率直に言って、あなたの判断で共同で行動をするということがあり得るというふうにお考えになっていらっしゃると私は思うのです。すると理論上は、この地域というのは在日米軍は第五条で発動をしないけれども、米韓条約でアメリカ軍、韓国軍共同で対処するということはあり得ますね。そうすると、一つの施設に対して、私はあえて地域と言いたいが、そこはあなたがおっしゃるように施設でもいいのですけれども、そこでは日米韓共同防衛地域になるというふうにこれは考えられる。そういうふうに理解してようございますか。
  127. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 その共同開発区域でどういう形で作業が行われるかということは私どもも十分承知しておりませんけれどもわが国の自衛権が及び、しかもその行使する範囲というのは、先ほど来申し上げておりますように、わが国の財産があり、それに対して急迫不正の侵害等があった場合に限るということでございます。
  128. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 実際問題として、同じ施設が、共同の施設が、先ほど防衛局長がおっしゃったような不法な侵略といいましょうか、そういうものが起こったときに、米韓条約で米韓はそこを防衛するために、あるいはもう一つつけ加えて米国系のメジャーがやっているその場所に対してアメリカ軍が出動するということはあり得る。日本自衛隊がそこに出動をするということもあり得る。一つのプラットホームで、それを中心にして日米韓の共同行動というものが行われるというのは客観的に事実でしょう。これはどうなんですか。
  129. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 私もその作業の形態というものを詳しく存じておりませんけれども、私が知っております範囲では、共同開発区域でも、それぞれの海域によっていわゆる共同の施設を共同で管理しながらやるというふうには伺っていないわけでございます。したがいまして、わが方が管理しているわが方の財産というものが当然あるというふうに考えているわけでございまして、それには自衛権を行使する場合があるというふうに申し上げているわけでございます。
  130. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そこが区別してやれるような仕組みになってないのですよ。たとえばプラットホームにしても、あるいはパイプラインにしても、共同のものなんです。これは。一緒にやるのです。だから、それを故意に何かあっちとこっちというふうに相当距離があるような認識で、あっちはあっち、こっちはこっち、個別的なものだというふうには私は理解できない。結果的に、あるいは理論上と言ってもいいかもしれないが、日米韓の共同防衛地域ということにならざるを得ないと私は思うのですよ。その点もう一遍御答弁を煩わしたいと思うのです。
  131. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 私、先ほど申し上げましたが、詳しくこの米韓条約というのを知らなかったのでございますが、米韓条約にはやはり「領域」と書いてあるようでございます。したがいまして、やはり自衛隊がいわゆるわが国の財産に対する自衛権を行使するという形で、韓国も米国も出てくるのだろうと思いますが、私どもはあくまでわが国の財産、わが国民の生命を守るという立場から自衛権を行使するというふうに考えております。
  132. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そこがどうもごまかしなんですよ。一つの施設、共通の施設に対して両方で防衛するという形で出てきたもの、出てくるのは別々かもしれないが、結果的にやはり共同防衛地域ということになっているのですよ、結果的に、理論的に。こういう問題というのは、この条約を作成する過程の中で想定したことございますか、外務省。
  133. 丹波実

    ○丹波説明員 申しわけございません、私は条約交渉にタッチしたこともございませんので、直接お答え申し上げることはできませんけれども、そのようなことが具体的に想定されて条約がつくられたということは恐らくないのだろうと考えます。
  134. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 恐らくないとしますと、共同開発に対する協定の二十五条、(a)(b)(c)(d)(e)とあるのですが、「この協定の効力発生の時に予想されなかった問題について研究し及び、必要と認めるときは、それらの問題を解決するための適当な措置について締約国に勧告すること。」と書いてあるのです。審議したことないのでしょう。そして現実にこういう問題点があるわけでしょう。防衛ということを議論しないで来たというわけにはいかぬのだけれども、現実にはないのです。とすると、この二十五条の(e)項に関連をして、検討する考え方というのはあるのかどうか、この辺を明らかにしてほしいと思います。
  135. 丹波実

    ○丹波説明員 申しわけございません、私は実は安保課長でございまして、条約を直接は担当しておりませんので、お答え申し上げる立場にないのでございますけれども、先ほど来防衛局長がお答え申し上げたように、日本の施設が公海上で攻撃された場合の考え方につきましては、観念的には非常にはっきりした考え方でございまして、その点は疑いのないところだと思っております。
  136. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 結果的に、米軍というのは、韓国におるのは在韓米軍、日本におるのは在日米軍、行ったり来たりしているわけですよ。そして結果的には三国の共同防衛地域になって、あるいは施設になって、そしてそれに対する防衛というものが対処されるわけでしょう。それは安保との関係とか自衛隊法との関係とか憲法との関係というような問題を議論しないでこの条約の審議を続けていくということ自身がおかしな話じゃないかと私は思うのですけれども、この辺は防衛局長、どのように考えていますか。
  137. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 この条約上議論されてないというお話でございますが、私も何回かこの大陸棚条約の御審議の際に自衛権行使の考え方については御説明申し上げまして、いま御説明しましたような内容のことを何度か御説明申し上げているところでございます。
  138. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 どうもその辺が私はすっきりしないのです。言葉のあやでごまかしてはいけないと思うのですけれども、共同開発をする共通の施設、早い話がパイプラインから出てきた油を韓国側と日本の側とで分けるという形にだってなり得る。その施設がやられたときに、米韓で出てくる、日本も出ていく。結果的に同じじゃないですか。それを別々な対処だなどということを言ったって、ごまかしだと思うのです。こういう点はやっぱり議論しておかないと、私は問題が起こると思う。そういう点で、これからの検討をぜひ求めたい、このように私は思います。それについて御答弁がございますか。
  139. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 以前もいろいろそういった御議論がございました。ただ私どもは、いま申し上げましたように、自衛権の行使の対象になるのは日本の財産であり、それに対して急迫不正の侵害があったときには自衛権を行使してこれを守るという立場を御説明申し上げている次第でございます。
  140. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 どうもそのことばかりやっていると時間がとられちゃってしようがないので、次に移りますけれども、日中の平和友好条約をめぐってのアジア情勢について、私はこの前、委員会防衛局長にもお尋ねをしてございますが、最近、そういう問題について分析をなさったことがあるかどうか、そしてそれはどのような結果であるか、お尋ねをしておきたいと思います。
  141. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 御承知のように、極東の軍事情勢というものは、米中ソの考え方というものがこの地域で大きな紛争を発生させるということに対しては、きわめて抑制的な態度をとっているわけでございます。  それからまた同時に、アジア離れというようなことがいろいろ言われておりますけれども、米軍の存在というものがやはり大きな抑止力として西太平洋にあるわけでございます。そういった軍事力動き、軍事情勢の大きな変化というのはないわけでございまして、日中友好条約という問題が議論され、この締結に向かって外交努力が続けられております過程におきまして、大きな軍事的な動きというものはございません。したがって、私どもは、これによってアジアの軍事情勢が非常に急激に変わるというふうには考えておりませんので、その考え方というものは以前と変わっていないわけでございます。
  142. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 アメリカのブレジンスキー特別補佐官が訪中をされました。そして日本にも立ち寄って、そのやりとりの経過を日本政府にも明らかにしたそうでありますが、この経過というのは防衛庁長官聞いていますか。
  143. 金丸信

    ○金丸国務大臣 ブレジンスキーが中国から帰りに日本によりまして、外務大臣とお話しになったという話は聞いております。直接御本人と私は話をいたしたわけではありませんが、米中正常化という問題について非常に向こうで熱心に中国と話し合ったというような話は聞いておりますが、具体的にどのようなことであったかということにつきましては、私は定かではありません。
  144. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ブレジンスキー補佐官自身がさまざまな機会に、米中の不一致よりも一致点がずっと多いことを強調しながら、米中が多様な側面で戦略的な利害関係を共有していること、米中正常化は世界平和と安全保障に努める米国の利益に一致するというふうに述べているわけでございます。これらは対ソ戦略という立場で米中の共通点が確認をされてきたものだというふうに理解してよろしゅうございますか。
  145. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 先生も御承知のように、アメリカにとって最大の敵性国家といいますか、軍事的に見て脅威がある国というのはソ連でございます。したがいまして、アメリカの軍事体制の中で究極の目標というものは、ソ連軍事力にいかに対していくかという問題でございます。そしてまた現時点におきましては、中ソはあの国境をはさみまして、非常な対立状態にあるというのも事実でございます。アメリカにとりましては、世界戦略から見ますと、ヨーロッパにおきましてワルシャワ条約、すなわちソ連中心とした強力な軍隊とNATO諸国が対峙しているわけでございます。世界戦略から見ますると、極東におきましてソ連に対峙する際の中ソの対立というものは、当然アメリカの世界戦略の中では十分考慮されているというふうに考えております。
  146. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 米中関係のいわゆる新たな展開というふうに言っていいかどうかわかりませんけれども、こういう情勢を防衛庁はどのように受けとめておられるか、見解を承っておきたいと思います。
  147. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 ことしの国防報告を見ますと、アメリカは中国の軍事力の脅威というものをアメリカ直接の脅威としては考えていないようでございます。そしてヨーロッパにおきますワルシャワ軍の軍事力の急速な増強に対しまして、NATO軍も急速に増強しなければならないということを特に強調しているようでございます。同時にまた、極東におきますソ連軍の増強の様子というものに対しても、特に海軍力を中心としたものに対しましては、その増強ぶりというものに注目している状況でございます。したがいまして、極東におきますソ連とアメリカと中国、この三極構造というものを維持するということがアメリカの世界戦略上は有利だと判断しているというふうに考えているわけでございます。
  148. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いま防衛局長がおっしゃったように、二月に発表されたアメリカの国防白書によると、アメリカはもはや米中紛争を想定した戦力を計画しないというふうに言い切っております。防衛白書を拝見しても、ソ連のことはたくさん書いであるけれども、中国のことはほとんど書いてございませんね。端的に伺いますが、中国は日本防衛対象国に入るのですか、入らないのですか。
  149. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 御承知のように、わが国防衛構想の中に仮想敵国というものはございません。しかしながら、当然のことながら、防衛力整備するに当たっては、周辺諸国軍事力というものがその基礎になって必要な防衛力というものを整備しているわけでございます。そういう中で、現時点におきましてわが国に直接侵略の脅威のある国というものが当然あるわけでございますが、現在中ソ対立の状況の中にあって、中国の防衛力といいますか、軍備の整備状況を見ますと、やはりソ連を対象としたような兵力整備というものが中心になっているわけでございます。したがいまして、日本に対する直接侵略の脅威という点ではそれほど大きな脅威というふうには考えていないわけでございます。
  150. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そうすると、仮想敵国と言っては悪いけれども防衛対象国ということになれば、ウエートとしてソ連一国である、そのように理解してようございますか。
  151. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 それは、仮想敵国ということは申し上げるつもりはないわけでございますけれども、やはり世界の軍事力というものを見た場合に、アメリカに匹敵し得る強大な軍事力というものはソ連でございます。そうしてまた、いわゆる攻守両面にわたってあらゆる戦闘が可能であるという、近代戦遂行能力というものを持っている点では、アメリカとソ連というものが際立って大きいわけでございます。そしてそのソ連というのが日本の隣国にあるというのも事実でございます。したがって、強力な軍事力というものがソ連にあるという事実は十分考えているわけでございます。
  152. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 チームスピリット78のいわばアメリカの総括といいましょうか、演習をやったときには恐らく講評みたいなことが行われるわけですが、防衛庁がこの演習の結果について、何かアメリカからその総括などについて聞いているかどうかお尋ねをしておきます。
  153. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 この詳しい内容というものについては、私どもは聞いておりません。しかしこのチームスピリットの演習というものは、アメリカが同盟国に対するコミットメントを守るという意思を表明するために、アメリカとしてもいろんな面で勉強するところが多かった、そうしてまたあの演習をやったということは成功であったというような所見というものは聞いておるわけでございます。
  154. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 防衛庁はチームスピリット78について分析をなさったことがあるかどうか。
  155. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 米韓の合同演習あるいはアメリカとフィリピンの演習、その詳細な計画並びに詳細な結果というものは、私どもは具体的な通報というものは受けていないわけでございます。しかしながら、在日米軍司令部とあるいは自衛隊の統合幕僚会議の事務局、そういったものがいろいろな場合に話し合ったりする中では、いろいろな話が出ているかと思いますけれども、具体的にその成果、どういう面でどういうことがあったというような通報は受けておりません。
  156. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 防衛庁としても、分析したことはないということですね。
  157. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 私ども実際に陸海空の演習をやりますけれども演習分析というものは、計画から実施の状況、そしてそれが終わった後の研究会等におきまして詳しく分析するわけでございまして、自衛隊等がやっております演習ほどのデータというものは、実はよその国同士の演習については得られません。したがいまして、先生がおっしゃいます分析というのは、程度についてはよく私も理解できませんけれども、通常自衛隊等がやっておる演習のような分析というものはできないというふうに申し上げられると思います。
  158. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 この演習が有事であったときにというふうなことも含めて、たとえばランスミサイルが日本を経由してという議論になりますと、どういうケースについて事前協議が必要になっているのだろうかというようなことを、細かく詰めなくたっていいと思うけれどもある程度予想しておかないと、同時に、私どもは日米韓の共同作戦は断固けしからぬと言うわけですから、なかなか言いにくいことかもしれませんけれども、事前協議のケースというものをあらかじめこういう場合に判断をして歯どめをかけていく、こういう立場が必要ではないか。このことについて防衛庁としてまとまった形でなくても議論をしたことがあるかどうか。
  159. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 実はこの事前協議の問題は、外務省で研究しておられるかもしれませんけれども、私どもといたしましては、いわゆるアメリカの軍事力の展開、非賞に短い期間に大量のものを投入できるというようなことを実証したということ、それからアメリカが紛争を抑止するための方法といたしましては前方展開、常時必要な部隊を展開しておくと同時に、大量に必要な軍事力を投入できるというようなことが非常に重視されておりまして、そういった点では、いまお話がございましたが、ランスミサイルを初め航空機、兵員等を急速に展開したという意味におきましては、きわめて紛争を小さいうちにもみ消す、そういった機能というものは高く評価されるのではないかというふうに考えております。  その際の事前協議の問題につきましては、外務省の方で御研究になっておられるのではないかというふうに考えております。
  160. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 外務省から伺いたいと思います。
  161. 丹波実

    ○丹波説明員 お答えいたします。  事前協議の対象事項の問題につきましては、先生承知のとおり、条約第六条の実施に関する交換公文で明文の規定がございまして、かつその交換公文が作成される経過で日米間でいわゆる藤山・マッカーサー口頭了解と言われる了解もございますので、われわれはこれで十分明確であろうと考えております。このような事前協議の三項目につきまして一般的、抽象的なケースを仮定しまして、こういう場合はこうと言うことがなかなか困難なことは御理解いただけると思います。そういうことでございますので、一般的、抽象的なことを前提としての研究ということはやっておりません。
  162. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 きのうの新聞で、ブラウン国防長官が、「有事に日本海出撃」という見出しになっておりますけれども、発言をしております。これについて防衛庁は細かくは説明をいたしませんけれども、あらかじめアメリカ軍からあるいはアメリカの国防当局から連絡があったのか、そういう議論というものをいままでなさった上でブラウン発言があったのか、あるいはその事態というものをどのような形を予想して受けとめておられるか、その点について伺っておきたいと思います。
  163. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 そのブラウン発言の中にありますような内容について事前に向こうから話があったということはございません。日本海で行動するというような場合がどういう場合かというのはなかなか具体的に申し上げにくいわけでございますが、いままでの私どもの経験からいたしますと、たとえばプエブロの問題があったようなときに航空母艦が行動をしたというようなことがございます。具体的にどういう場合を想定して発言されたのかは、私どもは存じていないわけでございます。
  164. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 今度防衛庁の中央機構の再編成の問題を防衛庁で議論なさっていらっしゃるのですけれども、統幕機能の強化とか情報の一元化というようなことが焦点になっているというふうに承っておりますが、防衛庁設置法の改正などとの関連を含めてどんな構想が議論されているか、この点について明らかに願いたいと思います。
  165. 竹岡勝美

    ○竹岡政府委員 自衛隊法あるいは防衛庁設置法というのが昭和二十九年にできまして以来、防衛庁あるいは自衛隊というのは一次防、二次防、三次防、四次防ということでいわゆる第一線部隊の整備というものに力を入れてきたと思うわけでございます。大体現時点では、御承知のとおりポスト四次防、防衛計画の大綱ということで、一応基盤的防衛力、量的には平時におきます現在の国際情勢のもとにおいてはある程度概成され、これから質的な強化に移ろうという段階でございます。  そういう二十三年の歴史を経てきまして、従来防衛二法の改正も大体新しい部隊の編成なりそれに伴います人員増といったような改正が行われてきたわけでございますけれども、ようやく落ちついた段階におきまして、この二十三年の間の歴史を振り返ってみまして、防衛庁あるいは自衛隊の基本的な構造なりそういった点で従来からとかく内部的にいろいろ問題視してきた点も相当積み重なってきておりますので、そういうものをもう一度見直してみようということで、去年の夏に、防衛庁内部に課長以下をグループにいたしました四つの作業部会をつくりまして、中央機構の見直しをいま勉強してもらっておるところです。  たとえて申しますと、その四つの部会の第一の部会は、いわゆる内局の各局がございますけれども、これと各幕僚監部それから統幕、この三つの機関の関係、これもいろいろ問題がございまして、たとえば統幕機構を非常に強化すると内局の問題がどうなるのだろうかとか、あるいは内局と各幕あるいは統幕との間の権限で重複しておるものがあるのじゃなかろうか、あるいはもう少し内局の機構の権限のうち各幕に移してもいいものがあるのじゃなかろうかというような問題点、こういう三つの機関の関係をもう少し明確化し、もう少し効率的な点で研究してみたらどうだろう。特に各幕、たとえば陸上幕僚長が航空自衛隊で最近どんな大きなことをやっておるか全然知らない、これはもう少し連携が要るのじゃなかろうかということが第一です。  それから第二は、有事におきます統合幕僚会議、有事におきましては日本のこの狭い国土で戦うわけですから、三つの自衛隊に対しますいわゆる作戦部門におきまして、統合幕僚会議というものの機構あるいは指揮、運用能力、こういった点をもう少し強化する段階で考えてみる必要があるのじゃなかろうか。いわゆる統幕機構の検討です。     〔委員長退席、村田委員長代理着席〕  それから第三の関係はいわゆる軍事情報関係ですけれども、いま内局と各幕とそれから統幕が大体それぞれ並列的にとっておる。もう少し防衛庁全般に一つの中央的なそういう情報機関というものが要るのじゃなかろうか。この情報関係の調整を考えてみよう。  それから第四は、内局の各局のあり方でございます。いま防衛局に非常に負担が大きくかかっております。こういった点から見て、内局の組織をもう少し考えてみる必要があるのじゃなかろうか。  こういう四つの問題でそれぞれの作業グループにいま勉強さしてきております。まだ成案を得るところまで至っておりませんけれども、またそれが直ちに法律改正まで要るかどうか、内部のわれわれの運用の改善で相当部分はできるのではないかという気もいたしますが、そういった点もあわせてこの四つの課題に取り組んでおるわけでございます。
  166. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ちょっと突拍子もないことを伺うのですが、万が一の事態のときに内閣総理大臣あるいは防衛庁長官はどこで指揮をなさるつもりなんですか。
  167. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 いま官房長から御説明申し上げましたように、いま私どもは中央指揮所の整備というものの作業をしているわけでございます。これをなるべく早く設置したいと思っておりますが、その中央指揮所ができますと、当然防衛庁長官はその指揮所におきまして指示なさると思います。その際総理がどういうところにおられるかということでございますが、これはその中央指揮所あるいは官邸、あるいは状況によりましては中央指揮所そのもので指揮をとっていただくということになるかもわかりませんが、そこら辺のところは今後の研究の問題だと思っております。アメリカにおきましては、御承知のように中央指揮組織がペンタゴンの中にございます。そしてまた、ホワイトハウスの中にもそういった指揮機能を持っているのでございますが、そういったものを勉強しながら今後研究してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  168. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 現在は防衛庁長官、内閣総理大臣が指揮をするという特定の位置というものはない、こういうふうに考えていいのですか。どうやってそれでは指揮するつもりですか。
  169. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 現在は、総理大臣の通常お仕事をやっておられます官邸、それとの間の通信機能というものを直ちに設置して指揮をいただくということになろうかと思いますが、その状況によりましては、現在各自衛隊の通信というものは檜町に集まっておりますから、その場でまた指揮をいただくというようなことにもなろうかと思います。
  170. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 あの檜町に集まっているのですけれども、それは電電公社の回線ですか。
  171. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 ただいま自営回線ということで五年計画で整備を始めております。そして五十三年度までにおおむね北の方が整備されるわけでございますが、その自営回線の整備されていないところは電電公社の回線を使いましての連絡ということになるわけでございます。
  172. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 線を切られちゃったらどうにもならぬですな、これは。それは余分なことですからもうこれ以上は申しませんけれども……。  自衛隊のアメリカにおける海外訓練の実情というものをこの機会に明らかにしていただきたいと思うのです。
  173. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 自衛隊の訓練の大部分につきましては、日本の本土及びその周辺海域において行われるのが通常でございますけれどもわが国にないいわゆる訓練施設あるいは設備といったものを使用して訓練せざるを得ないような種類のものにつきましては、一部アメリカに行って訓練をしております。  具体的な例を申し上げますと、陸上自衛隊のホークの年次射撃、航空自衛隊のナイキの年次射撃、海上自衛隊におきましては艦船、潜水艦、対潜哨戒機等がハワイ、パールハーバーにおきまして対潜訓練といったものを実施しているのが現状でございます。
  174. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 今度航空自衛隊F15が採用になりますね。このF15などを中心とした戦闘機などの海外訓練について明らかにしてほしいと思います。
  175. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 御承知のように、現在の航空自衛隊の飛行訓練につきましては、運輸省と協議の上設定された訓練空域で実施しているのが実情でございますが、この訓練空域につきましては非常に狭い訓練空域が多いということ、それから洋上に設定されている関係から基地から非常に遠いというようなことから、訓練効率の面から見て必ずしも十分な状態ではないということで、われわれとしては、この訓練環境の整備改善ということで訓練空域を新しく設置するとか、あるいは各種のシミュレーターを多用するとか、いろいろなことを事務的に検討しているわけでございますが、アメリカにパイロットを派遣して訓練をするというようなことも、その一環として事務的に研究していることは事実でございます。ただし、いままでは実績としてはまだそういうものはございません。
  176. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 その訓練の問題については、アメリカに対して照会といいましょうか問い合わせを、こういう形で考えたいと思うけれどもどうかというふうなことを行っておりますか。
  177. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 いま申し上げたようにいろいろなことを研究しておりますが、たとえば西ドイツにおきましては、新人教育といいますか課程教育、学生のパイロットの養成といったもの全体をアメリカで実施しておるわけでございますが、そういった実例を勉強するとか、また、われわれがいかにこういう訓練をアメリカでやるということを考えましても、アメリカが実際にそれを引き受けてくれるかどうかという可能性についても判断しなければならないわけでありまして、それらについて事務的に、アメリカの意向というかわが方の要望に沿い得るのかどうかということを打診しておるということは事実でございます。
  178. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 その打診しておる内容について明らかにしてほしいと思うのです。たとえばF15の慣熟飛行訓練は、日本の場合どこでやるのか。そうでないとすればアメリカでどういうふうにやっていくのか、そういうふうなこともこの際明らかにしてほしいと思います。
  179. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 アメリカでどういうことができるかというのは、実際われわれにも全くわからないわけでございますので、いまわれわれが考えておる、アメリカで訓練を行うということを受け付けてくれる可能性があるのかないのか、もしあるとすれば、どこでどういう訓練を引き受けてくれるのか、それから経費はどうするのか、航空機の手当てをどうするのかということがかいもくわからない状態でございますので、そういったことについてアメリカの考え方を事務的にいろいろ打診しておるということでございます。
  180. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 西ドイツの場合には、飛行場やあるいは戦闘機をアメリカに置いてやっておるというケースがございますね。日本はこういう可能性は考えられますか。
  181. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 具体的に、飛行機を持っていく、持っていかないということを考えておるわけではございません。アメリカから借りることができるのかどうか、どうしても持っていくことが条件になるのかどうか、われわれとしてまだ方針を決めておるわけではございませんが、その辺のアメリカの意向というものを聞いておるわけでございます。  ただ、一言私の考え方を申し上げれば、西ドイツのような学生教育というものは必要ないのじゃなかろうか、いわゆるでき上がったパイロットの戦技訓練を主体としてアメリカへ行く方が意味のあることではないかというふうに漠然とは考えております。
  182. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 F15の場合、日本ではどこで訓練をやろうと考えていらっしゃいますか。
  183. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 先ほど申し上げたように、現在訓練空域が高々度空域として十二ヵ所ばかりございます。このうちの日本海の佐渡が島周辺にあるG空域であるとか、あるいは九州の西方の空域であるとかいうふうなものが数ヵ所、比較的広い空域がございます。そこで訓練をすることになるというふうに思っております。
  184. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ことしの秋に海幕長が統裁官になって海上自衛隊の大規模な演習が予定されているようですけれども、その場所、規模、内容などについて明らかにしていただきたいと思います。
  185. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 海上自衛隊演習につきましては、従来とも毎年一回いわゆる海上自衛隊演習というものを実施しておりますが、本年も大体十月中旬ごろ実施したい。これは、いまもお話がありましたように、海上幕僚長が統裁官になりまして、海上自衛隊のほとんど全部隊、機関が参加して行う。それから訓練の場所でございますが、日本の全土及びその周辺海域ということに相なろうかと思います。
  186. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 これは単独の演習ですか、日米の合同というケースも考えられますか。
  187. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 現在のところ日米合同訓練の中には入らない、単独の演習をやるというふうに考えております。
  188. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 自衛隊にはECM、電波妨害を目的としたYS11型の改造機があるわけですね。これはレーダーサイトの目つぶしのためにあるわけですね。これと専守防衛という立場と一体どんな関連が出てくるのか。この辺はどんなふうにお考えになっていらっしゃるか、この際明らかにしてほしいと思うのです。
  189. 間淵直三

    間淵政府委員 いま先生お話しのように、ECMはレーダーの目つぶしあるいは電波の目つぶしといったものでございまして、バッジなどのレーダーが有事の際にこういう電波妨害を受けるといった場合にどういうふうに対処すべきかという訓練は必要と考えて行っておる次第でございます。
  190. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 関連をして、防衛研究所がジェット機に装着をするECMの開発をやっているというのですけれども、これはやはり相手国のレーダーサイトを攻撃するという役割りを当然担うだろう、そんなことを予想してやっているのじゃないだろうかと思いますが、その辺どうですか。
  191. 間淵直三

    間淵政府委員 ECMと申しますのは、レーダーサイトには限らないわけでございまして、相手の飛行機のレーダーあるいはミサイルについているレーダーといったものに妨害を与えるというものでございまして、必ずしもレーダーサイトを目的としてというような性格のものではございません。
  192. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 現実にはそういう機能も持ち得るわけでしょう。
  193. 間淵直三

    間淵政府委員 そういう機能も持ち得るわけでございますが、先生承知のようにECM、ECCMといったものはどこの国でも最高の機密に属するものでございまして、その詳細についてはお答えを控えさせていただきたいと思います。
  194. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 最高の機密に属するから答えられないと言うけれども、専守防衛という枠から見て、相手のレーダーサイトを攻撃する機能も持ち得るということになれば、その問題点を明らかにしておかないといろいろ問題が出てくる。その点についてはどうなんですか。
  195. 間淵直三

    間淵政府委員 ただいま御説明申し上げましたように、そういう機能も持ち得るわけでございますが、もっぱら相手国の飛行機あるいはミサイルといったものを対象として訓練を行っている次第でございます。
  196. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 どうもそういう点がちっとも明らかにならぬものだから、アメリカの技術だから明らかにすることができないというようなことになっていると、私どもも問題視せざるを得ないと思うのです。F15、P3Cの問題なども含めて足の長い短いという議論もございました。その認定はどこでするのかということも含めて議論があるところなんです。こういう点は、やはり国民の前にある程度明らかにしておかないとまずいだろうと思うのです。こういう点でもう一遍御答弁をいただきたいと思います。
  197. 間淵直三

    間淵政府委員 先ほど申し上げましたように、その詳細と申しますか、ECMなどは一度使えばもう二度と同じものが使えなくなるというほど機密性の高いものでございまして、私どもがそういう機材を所有して訓練しておるということは確かでございますが、これ以上のことは控えさせていただきたいと思います。
  198. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いろいろ言っても答えてくれなければしようがありません。  防衛庁長官、今度訪米なさるスケジュールと目的を明らかにしていただきたいと思います。
  199. 金丸信

    ○金丸国務大臣 私は、六月二十日にブラウン長官とお目にかかることに日時が決定をいたしておるわけでありますが、日米関係日本の独立と安全にとっては不可欠であるという考え方、そういう中で、いままでの日米関係というものはややもすれば儀礼的な状況にある、いま少し突っ込んだ話し合いをし、日米関係の信頼性というものもお互いに高める必要がある、そういう意味で、これこれという目的でなくて、ひとつ向こうへ行ってはだで、そして心と心の触れ合いの中で日米関係というものをしっかりきずなをつないでまいりたいというような考え方で参るわけでございます。
  200. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 時間が迫ってきましたから、防衛施設庁に伺いますが、米軍機の事故に対して日米合同委員会のもとに事故分科委員会というのが設けられます。これは人的、物的な被害のない場合は設置されない。神奈川で言いますと、ファントムのときには設けられたけれども、P3Cの翼が落ちたときには設けられないという不合理があるわけですが、これは改めるお気持ちがあるのかどうか、また、改める形についてこの際はっきり御答弁をいただきたいと思います。
  201. 亘理彰

    ○亘理政府委員 事故分科委員会は合同委員会の下部機構として三十八年に設けられたわけでございますが、現在のたてまえは、日本側に被害のあった場合に個別に合同委員会の付託を受けて活動するという仕組みになっているわけでございます。  そこで、幸いにして実際に被害は起こらなかったけれども、一歩間違えば大きな被害につながるおそれがあったというふうな事故もあるわけでございまして、この場合を扱うべきではないかというただいまの先生の御意見でございますが、この点については去る四月の参議院の内閣委員会において片岡先生からも御質問がございまして、大臣からもこの点は前向きに関係省庁と協議し、検討するというお答えをいたしておるところでございます。私どもこの大臣の御答弁の趣旨に従いまして、事故分科委員会の仕事の範囲についての合同委員会の合意事項の見直しについて、関係省庁と前向きに検討をしておるところでございます。
  202. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 防衛分担のことを聞こうと思ったのですが、安井先生御専門でございますから、大変失礼ですけれどもそちらにお願いをして、十二月十二日の日米合同委員会で相模原、横浜、逗子などの基地の問題、とりわけ横須賀市内の稲岡エリア、長井ハイツ、EMクラブの返還について合意を見たようなわけでございますが、返還の条件についてこの際明らかにしてほしいと思います。
  203. 亘理彰

    ○亘理政府委員 長井住宅地区、海軍兵員クラブ及び横須賀の海軍施設の稲岡地区でございますが、これはそれぞれ、長井は住宅が百戸ばかりございます。それから兵員クラブはそういうクラブでございますが、稲岡地区には下士官の宿舎とプール等の付帯施設がございます。  そこで、この点につきましては、ただいまお話しの昨年十二月の合同委員会において、代替施設を建設することを条件として米側が返還するということについて基本的了解に達しておるわけでございます。したがいまして、この三施設の返還の実現についてはこの移設工事の進捗が必要でございまして、移設工事が完了次第逐次返還されるということでありますので、私どももこの移設の促進について努力いたしたいと思っております。  五十三年度の予算におきましては、稲岡地区の下士官宿舎等の調査設計費及び一部の工事費で約三億六千万くらい計上いたしたわけでございますが、五十四年度以降、稲岡地区だけでも七億八千万くらいの予算が必要でございます。さらに、長井及び兵員クラブにつきましては、現在日米間で代替施設の建設の詳細につきまして協議しておるところでございまして、今後この予算計上並びにその増額について努力いたしまして、代替施設の建設を促進しまして、できるだけ早くこの返還が実現するように考えてまいりたいと思っております。
  204. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 どのくらいの計画でやっていかれるおつもりなのかということを明らかにしてほしいし、市議会が、施設が完成するまで待つのじゃなしに逐次返還してほしいということを決議をして要請をしていますけれども、それにこたえることがどの程度までできるのか、お答えをいただきたいと思います。
  205. 亘理彰

    ○亘理政府委員 相当の予算も要することでありますので、確定的にいつまでとなかなか申し上げかねるわけでございますが、稲岡の方は、ただいま申し上げたような予算状況でございますので、そう長くはかからないと思います。兵員クラブと長井の地区につきましては、まことに恐縮でございますが、まだ具体的に何年までという見通しを公式に申し上げられるような段階にないわけでございますが、先ほど申し上げましたように、現在長井にしても稲岡にしても兵員クラブにしても、それぞれ施設がございまして、米軍が使用しておるわけでございますので、この代替施設ができる前に返還しろということはなかなかむずかしいわけでございますが、代替施設の建設が逐次進むに従って、部分的に返還の可能性があるかどうか、その辺については今後よく検討をいたしたいと思います。
  206. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 長官、横須賀の市民にしてみれば、基地の中に新しい住宅ができるわけですから、つまり基地の恒久化につながる負担を押しつけられたという考え方に立つのは、当然だと思うのです。だとすれば、いつになるかわからないということではなしに、確かに予算が伴うわけですから、長期にわたるかもしれませんけれども、一定のめどを示すことと、それからそれまでの間にできるだけ早く返してほしい、そして市民の利用に供してほしい、こういう立場をとるべきではないかと私は思いますが、この点大臣の答弁を煩わしたいと思うのです。
  207. 金丸信

    ○金丸国務大臣 日米安全保障条約という条約があることですから、アメリカ軍の駐留という問題について、基地というものの必要性ということは否定するわけにいかないことは当然であります。そういうことから考えてみまして、なおかつ事故、騒音、そういうような問題等も、地域住民の声も聞かなければならない、こういうことであろうと私は思うわけでありまして、駐留するにつきまして、最大の努力をして住民の期待にこたえるようなことをしなければならないというある程度の枠があることだけは御理解をしていただいておかないと、全然駐留軍の基地は要らないというわけにはいかない、ひとつそういう中でわれわれの最大の努力をすることをお約束いたします。
  208. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 どうも時間がないのですけれども、逗子の全面積の一五%を占める池子弾薬庫の問題について承りたいと思うのです。  昭和二十九年から逗子市議会が政府に対して一部返還の要請決議を行い、さらには四十九年から全面返還の要請決議を行ってきたことは御承知のとおりでございますが、最近ではほとんど遊休化しているというふうに考えられる。実は私はきのうも見てきたのですが、日本政府としては、この池子弾薬庫についてどのような対応を、地元の要求を含めてなさろうとしておられるか、承っておきたいと思います。
  209. 亘理彰

    ○亘理政府委員 池子の弾薬庫の問題につきましては、かねて地元から御要望のあることは十分承知しておる次第でございます。かねて御要望のありました地区のうち、久木中学校の運動場用地として御要望がありました久木地区につきましては、これは二万五千平米ほどの土地でございますが、米側に提案いたしまして、昨年の八月末をもって返還されたわけでございます。  それから、正面のゲートから左側にあります池子地区の返還につきましても、米側と地元の御要望を踏まえて折衝をいたしたわけでございますが、現在のところ、この池子地区は保安区域として確保する必要があるということで、返還を見るに至らなかったわけでございますが、さらに地元の御要望もよく踏まえまして、十分に今後とも検討し、米側との必要な折衝もやってまいりたいというふうに考えております。
  210. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 この池子弾薬庫の地域を、建設省が公益の利用に供する国立の公園の候補として調査費を組んで調査しているというようなことは御存じですか。     〔村田委員長代理退席、委員長着席〕
  211. 亘理彰

    ○亘理政府委員 伺っておりません。
  212. 金丸信

    ○金丸国務大臣 実は私は防衛庁長官という立場で頼まれたのか、市長から私に、ぜひ建設省に話をしてくれという話があったことは理解いたしております。
  213. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 去年とことしにわたって調査費が組まれているのです。これを御存じないというのは、大変どうも怠慢じゃないかと私は思うのですね。金丸防衛庁長官が建設大臣のころか、そうではなくてその後の建設大臣だと思うのですが、調査費がついて調査をするということになっているのです。こんなことを知らぬというのは困りますよ。本当に知らないのですか。
  214. 亘理彰

    ○亘理政府委員 はなはだ申しわけございませんが、私承知しておらなかったわけでございますが、早速確かめまして、それがどういう内容調査費であるのか確かめてみたいと思います。
  215. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ちょっと伺っておきますが、これはいつのことになるかわかりませんけれども、アメリカから返還された場合に、自衛隊が弾薬庫を引き継ぐなどという計画は、いまはございませんね。
  216. 古賀速雄

    ○古賀政府委員 現在までのところ、そのような計画はございません。
  217. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 実はこれは昭和の初めから軍の弾薬庫で、戦後もずっと引き継がれてきているわけです。本当は全面返還ということを私ども要求しておりますし、これからもしていきたいと思いますが、地図がないとちょっと困るのですけれども、都市計画街路以南十四・五ヘクタールの遊休地を返してほしいということを要求しているのです。特に私の言いたいのは、人口五万六千人の逗子市に四百メートルのトラックがない、つまり競技場がないのであります。こういう実態を踏まえて、やはり池子地区のゲート正面左側平たん地、これは実はアメリカの現地の司令官と市長とのやりとりの中で非常に好意的な返事をいただいている経過もあります。したがって、あれだけ市民に迷惑をかけているのですから、久木で一定の御努力を願ったことは認めますけれども、そういう要求をしている問題について、せめて日米合同委員会日本の側からきちんと要求をする、地元の要求を踏まえてというふうに御答弁いただけますか。
  218. 亘理彰

    ○亘理政府委員 合同委員会並びにその下部機構である施設特別委員会における昨年までの交渉経過は先ほど申し上げたとおりでございますが、ただいまのお話を踏まえまして努力いたします。
  219. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 努力したけれどもだめだったというのじゃなしに、市民に対して迷惑を及ぼしているということを含めて、市域の一五%ですから、そのほんの一部分なんです。せめてそのくらいのことは日本政府としてなすべきだろうと私は思いますが、これは長官ぜひ実現をしてほしいと思います。
  220. 金丸信

    ○金丸国務大臣 私は、たまたま防衛庁長官になったから、防衛庁には防衛庁考え方もあり、これは聞かなければならぬけれども、私がこの話を逗子の市長から承ったときは、これは何とかしてやるべきだということで建設省にも話し、調査費もつけたといういきさつもあります。亘理長官も最善の努力をするという答弁がいまありましたが、私も、そういういきさつはあるわけでありますから、最大の努力をして、御期待に沿うようにいたしたいと考えております。
  221. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 以上で終わります。
  222. 始関伊平

    始関委員長 安井吉典君。
  223. 安井吉典

    ○安井委員 防衛局長が帰るまでまだ大分かかりますか。(「あと二十分ぐらい」と呼ぶ者あり)それでは、防衛局長がまだ帰ってきませんので、それまで金丸防衛庁長官との政治問答の方を初めにしたいと思います。  金丸信君は私も個人的には親しいが、金丸防衛庁長官ということになりますと、率直に言って、もっと意見の違いを明確にしながら注文をつけたい、こういう気持ちです。  最近の防衛に対する政府の態度についてであります。この国会における防衛論争を初め、最近の福田内閣の安保や防衛に対する発言というのは、経済不況の解決というのが優先順位であるというような風潮の陰で、いささか調子に乗り過ぎているという感じをぬぐうわけにはいきません。たとえば、F15あるいはP3Cを持つことについて統一見解を求めれば、自衛力の限度を外部の諸条件により変わり得る相対的なものに変えてしまい、歯どめを取っ払ってしまうという統一見解を出してくる。また、憲法上核兵器は持つことはできるが、政策上持たないだけだというような統一見解が飛び出してくる。  それはそういうことを聞くから出てくるんだ、聞く方が悪いんだという言い方も、あるいはあるのかもしれませんけれども、私は、そういうふうに国会の場をかりて政府見解がエスカレートするばかりであるという点について大変疑問を持ちます。これまで政府は、平和憲法のもとの防衛論議としては言葉を一つ一つ選びながら慎重に配慮してくるという態度で来たように思うのですが、ことしになってから、そういうような慎重な態度は一挙にかなぐり捨ててタブーを踏みにじり、軍備拡張への道を切り開こうとしているのではないかという国民の、不安を増大しているように思うわけです。このことは政府が、日本を北のいかりと位置づけて防衛の機能とお金の分担を求めてくるアメリカの戦略と呼応し、一方では武器の生産と輸出でもう一度もうけようということでばたばたしている財界、そういうのとどうもタッグマッチを組みながら発言をしているような感じがしてならないわけであります。  特に防衛のトップにいる金丸防衛庁長官、それから栗栖統幕議長、外国に恐れられる軍隊をというようなお話をされたと思えば、一方は専守防衛はこんなものではしょうがないというような批判をする論文が発表されるなど、何か二人でかけ合い漫才が行われながら自衛力増強のキャンペーンが続けられてきているというような気がしてならないわけです。防衛庁長官は、単なる軍事問題専門の担当大臣だというだけではないと私は思います。シビリアンであり、国務大臣であり、総体的に国防の問題を議論する国防会議の重要なメンバーであるわけですから、広く国民的な視野に立って防衛問題に対応すべきだ、こう思うのですが、率直に言わせてもらえば、もう少し表現を考えていただかなければならぬのではないか、慎んでいただかなければならぬのだ、こう思うのですが、まず御所見を伺います。
  224. 金丸信

    ○金丸国務大臣 ただいま御質問をいただいたわけでありますが、私は防衛の問題については全くの素人であります。ただ、日本民族永遠の存続ということは政治家として考えなくちゃならぬというのが私の基本にあります。またシビリアンコントロールという立場で——ちょうど私は大正の生まれでありますから、五・一五事件から二・二六事件、順次エスカレートして第二次世界大戦で日本が負けた。私も一兵卒として軍隊に召集され、その状況の中に、こんなことで日本が将来続くということならばどうなるんだろう、こんな日本にしてはいけない、軍人であればこれは最高で、ほかの者は日本人ではないような扱いをされたのは御案内のとおりであります。自由もない、言論統制をされ、赤紙一本で死の道を選ばなくちゃならない、これが本当の国の姿だろうかということを私は骨の髄までしみ込んでおります。  さきにやめました石橋前書記長と私は、防衛問題でさしでお話を申し上げましたところが、この国会で、人は防衛問題が非常に論議されてまことによきことだと言うけれども、私は、それは全く不毛の質疑が繰り返されておると思うが、金丸さん、どう思うか、私は不毛とは思わぬけれども、いつも腹の中にあるのは、戦前の日本にしてはいかない、これがまさにシビリアンコントロールだ、こう心得ています。そこが歯どめだ、こういう話をいたしましたところが、まさに金丸君、それはそのとおりだ、そこを間違ったらとんだことになるぞ、政治家は勇気を持たにゃだめだ、こういう激励も受けたわけであります。  そういう中で私の発言がいろいろ言われております。あるいはまた国会答弁も、いろいろいままでとは違ったというお話もあります。しかし、私は防衛庁長官になりまして、わが防衛庁政府委員に、いままで私が議運の委員長をやったり国対委員長をやって、四次防の問題も国対委員長のときから凍結の問題で苦労したが、防衛庁の国会答弁というものは小心翼々、その場を通ればいいというような答弁をしてきておるところに疑心暗鬼が起きる。間違っておったことは間違ったで謝って、やり直しでよろしいじゃないか。それを間違ったことも間違わなかったようにやっているから、なお疑心暗鬼を呼ぶ。そういう意味で、金丸信は、自分で申し上げるとまことにおこがましいと思うのですが、私はうそは言わない。あくまでも正直だ。真実を申し上げて国民の共感を得る、こういう姿でなければ防衛というものはできないという考え方を私は持っておるわけであります。  たとえて言えば、戦闘機から爆撃装置を外した、給油装置を外した。あとに残るのは何だ。野党の先生方も、あれを外すとは思わなかった、あんなものなぜ外した、そういうようなことを言われる先生もおるわけであります。私もそうであります。そんな間違ったことは間違ったで謝る。戦闘機に爆撃装置があったっていいじゃないか。問題は戦前の日本にしてはいかないという考え方で、しかしまた自衛隊の支持率が八三%、そんなことにおごってはいかぬ。いわゆる日本防衛というものは、国民経済と調和の合う防衛というものがなければならぬ。何でもかんでもエスカレートしろ、いわゆる防衛費は一割を突破してもよろしい、二割になってもよろしい、そういうようなことを考えるということは、まさに戦前の日本になるゆえんだという考え方から、そういう問題については本当に慎重に対処していかなくちゃならぬ。  しかし、どうしても必要なものは国会の先生方に十分な理解を得るように、その場逃れでなくて、話を十二分に理解していただくような答弁もすべきだというようなことできようまで来ておるわけであります。しかし、私は人間がまことに単細胞であります。答弁にいわゆる美辞麗句が使えない。そういう点は今後十二分に戒心いたしまして、安井先生のおっしゃるように慎重にやってまいりたい、こう考えております。
  225. 安井吉典

    ○安井委員 戦前の日本に返したくないというそのお気持ちだけは、これは大事だと思います。私も同感です。ただ、そのお気持ちに反して大臣の方は専守防衛と言われるが、近ごろはどうも野党の私たちの方がどんどん攻められてしまって、専守防衛になっているような感じです。おとといですか、おれはハト派だ、雌バトだと、こう言われたが、あれはハトを平和の使いというふうにしたのは、人間がそうしてしまったわけで、動物学的にはハトというのはきわめて残忍な動物で、特に雌バトがそうだそうです。  それは余分な話でありますけれども、私はいま申し上げたことを具体的に一つだけ大臣に御理解を願いたいと思うのは、軍事大国にならないというそういう願いは結構なんですけれども、敵に脅威を与えないような自衛隊は、というあのくだりです。あれが私は大臣がお考えになっておられるとおりとられておるかどうかということになると、疑問があるように思うわけです。自衛隊員の士気を鼓舞するという意味で、君はしっかり訓練をしなさいという、それはわからないわけではありませんが、しかしその同じ言葉を武装集団である自衛隊全体におっしゃる場合は、これは脅威となれということは、相当な軍備拡張が必要だということと同義語になるわけであり、まして防衛産業に携わる財界の人の前で同じ発言をされるというときには、これは全く別な言葉にとられるおそれがある、そういうことではないかと私は思います。  ですから、外国に脅威を与える自衛隊であるというそのことは、相撲の番付にたとえれば、日本自衛隊は、あるいはまだ幕内に入れないところかもしれません。しかし、両横綱が超大国として控えている、それに対して脅威ある自衛隊というふうに防衛庁長官が言われても、ICBMとそれから小さなミサイルを持っている、それとの比較の上において、脅威ある自衛隊という言葉は、そう有効に働いているのではないようにも思う。もっと重大な問題は、その横綱は日本へ侵略する能力を持っているわけなんですが、その侵略する能力を持っている方に余り脅威になりそうもないわけであって、一方日本に対して侵略をする力などのない第三世界の国々がある。この国々にしてみれば、日本はなるほど帯下かもしれないけれども、どうしてどうしてこれはかなりのものに映るわけであります。しかもGNPが一%で、〇・何%などと言うけれども、第三世界の国々のGNPの一〇%とこちらの一%でもこれは問題にならないわけですから、そういう潜在的な、相撲のランクが上に位置する能力を持っている日本の場合、つまり第三世界の場合には、脅威ある自衛隊になれということは、これはかって侵略をしてきた日本軍とオーバーラップして、これはまさに大臣のおっしゃるとおり脅威ある自衛隊に映るわけだと思います。  もっとも、そういう中で自衛隊員の暴走などというのが起きたら、これは私はまた大変な問題だと思うのですが、いずれにしても何か国際的にも、いま大臣がいつもおっしゃっているその言葉が一人よがりに見えるような感じが、私これで自衛隊が暴走でもするようなことになったら大変だと思うし、しかもその背景に、さっきもちょっと話題に出ました有事立法だとかあるいはまた日米の合同作戦だとか、そういうようなのが着々と進んでいるというその背景があって、その前でいまのそういうような言葉が述べられているということになれば、これはまさに今日の平和憲法体制そのものへの挑戦だとさえ言っていいのではないか、こう思うわけです。  ですから、私はさっきも申し上げたことを重ねて言うようなことになるかもしれませんけれども、非常に御熱心に活動されていることは結構だと思います。しかし、その行動だとか発言の中では、それが国益にどのようにして合致するのかということ、自分ではもう絶対自信を持っておられるでしょうけれども、私がいま申し上げましたようなそういう観点もやはり加えた上でなさっていただきたい。余り率直な言い方でおしかりを受けるかもしれませんがね。そう思うのですが、どうでしょう。
  226. 金丸信

    ○金丸国務大臣 私の発言も、誤解を招くような発言もあると思います。そういう点につきましては、十二分に注意をしてまいりたいと思いますが、私の考え方は、安井先生と同じ考え方でおることだけは間違いない。  また、将来の自衛隊が暴走するようなことがあっては絶対ならぬ、これは全く同感であります。私の方の真意というものは、平和憲法を踏まえ、侵さず、侵されずというのが自衛隊の精神だ、こういつも前置きをして私は言葉が出ておるわけでありますが、今後とも十分、ただいまのお言葉に従いまして慎重に対処してまいりたい。
  227. 安井吉典

    ○安井委員 もう一つ進んで、大臣がいまおっしゃった平和憲法下の国を守るという方向でありますが、私は、平和憲法を繰り返して読めば読むほど、国の自衛を否定するというわけではないけれども、なるほどこの精神というのは非武装中立だな、こう読まざるを得ないわけであります。  しかし現実には、自衛隊というものがこういうような状況に来ている以上、よかれあしかれ現実の存在をどうするかということになれば、どんどんどんどんこの自衛力をふやしていけばそれでいい、それが平和憲法の精神だというようなものではさらさらなくて、自衛力の限界というのを、これはもう国会でもしばしば論議をされた問題でありますけれども、やはり厳密に追求をしていくということ。経済大国から軍事大国への転身をいかにして拒否するか、この観点だけは絶対に失なってはならないということが一つです。  それからもう一つは、国際的な緊張緩和に努めるということが一番大事なんで、幾ら脅威ある自衛隊にしようたってそれには限界があるわけですから、結局、最大の安全保障の道は、アジアにおける善隣外交だとか平和的な相互依存の関係を築き上げて、戦争の起きない状態をつくっていくということですね、もうこれよりないわけですから。だから私は、防衛庁長官も、なるほど自衛隊の担当かもしれないけれども、やはりもっと日本政府外交努力に力を入れなきゃいかぬじゃないか、こういうことをおっしゃるべき立場だ、そのこともひとつ注文として申し上げたいと思います。
  228. 金丸信

    ○金丸国務大臣 私は、防衛費を無謀にふやすというようなことについては、これは十二分に注意していかなくてはならぬ、むしろそういうものがあるならば、少なくともアジアにおける諸国家、ことに発展途上国というような国、こういう国々と共存共栄のできるような平和外交のために、いわゆる経済援助等も十二分にする、その経済援助が日本の平和につながる防衛費だという考え方を徹底的に持つべきじゃないかという考え方で、ときに現在の外務大臣にも、そういう金はできるだけ使うべきじゃないですかという話は提案いたしておるわけでありますが、今後とも私は、ただいま安井先生のお話しのように、国民から、こんなに防衛費がふえた、そして不安を——また戦前の日本になるようなことになったのでは困る。  いま一つ。この機会に私は、こういう言葉を何とかうまく改めて、防衛の限界というものをどこに置くべきか、ここは私も、頭のない私ですから、何ぼひねってもなかなか名答案が出てこないのだけれども、いわゆる相対的だという言葉がエスカレートするもとになるという感じが私はしているのですよ。この相対的という言葉にどこかブレーキをかげながら、日本防衛という問題が、自衛という問題ができぬものかなという——できるものかできないものか、ひとつ頭をしぼって私もやっているし、防衛庁の幹部にもそんな話もいたしておるわけですが、何しろ国民にわかりやすく納得のいく言葉遣いをしないと、相対的なんて言えば、向こうがエスカレートすればこっちもエスカレートする、いつまでもエスカレートして、どこに置くべきだという問題が起きておるというのは、私はいわゆる誤解を招くもとだ、何とかその辺も知恵をしぼってみたい、こんなふうにも考えておるわけであります。
  229. 安井吉典

    ○安井委員 いま最後に大臣のおっしゃったのは大事な問題ですね。それはぜひ、私たちも考えますけれども、もっと検討していただきたい。  いずれにしても、平和憲法下の安全保障の道をいかにして探るかという、そこに真剣に取り組む姿勢がなければ、単に景気が悪いからどんどん兵器をつくって外国にも輸出するような緩和をしてほしいというような発想に結びついてしまう、私はその辺を特に最初に申し上げたわけです。  あれは、防衛局長はさっき御答弁になったのですが、択捉島の問題、かわって御答弁いただける人がいるわけですね。——それじゃ、それはもう少し後にして、次に、米軍の施設等についての負担の問題につきまして若干のお尋ねをしてまいりたいと思います。  どうも防衛分担金などというような言葉が安易に出されるような状況になっていることを私は非常に心配するわけなんですが、まあ、先ほどの御答弁をお聞きしても、そういう言葉を速記録に載せる方はいないようでありますけれども、旧安保時代はなるほど防衛分担金であったわけですね。つまり日本からアメリカに駐留軍の費用としてまとめた金を支払っていたわけで、昭和二十九年ごろでも五百億円もの金が払われてきた。いまの五百億円ではないわけですからね、これは大変なものであったと思います。それが昭和三十五年の安保改定でいまの条約になって初めて、いわゆる分担金というものがなくなってしまって、アメリカの方は、日本で米軍を維持するに伴う経費はすべてアメリカが負担をする、日本の方は施設、区域をアメリカの負担をかけずに提供をする、いわゆる地位協定第二十四条の規定が生まれたわけです。ですから、その区分を明確にしておかないと、何か話をしているうちに、いつの間にやら昔の古い安保条約、行政協定の世界に引き込まれるような気がする。そのことを私はまずはっきりさせておかなければならぬと思います。  そこで、この防衛分担金という括弧づきのその論争の中で、いままで、地位協定二十四条というものが解釈によって緩められてきたというケースが二つあると思います。  その第一は、昭和四十八年の例の岩国、三沢の米軍の古い兵舎の建てかえの問題について起きた国会論争であります。  あのときの論争に私も加わって、楢崎君と私とが、当時彼も社会党にいましたので分担をして、沖繩協定における愛知・ロジャース会談の秘密協定で、六千五百万ドルが渡されるかわりに今後の話し合いを緩めるということでこの住宅提供の拡大解釈が生まれたんじゃないかというのを私が担当して、それから楢崎君が再び行政協定に戻るなという議論をした。そして二人で手分けをして、楢崎君が岩国へ調査に行くし、私は三沢に行くし、防衛施設庁の方にもずいぶんお世話をいただいて現地を全部見せてもらった。そして、最終的にいわゆる大平答弁というのが出て、維持費はアメリカで負担をするが、日本は最初の提供だけというふうに私どもは当時理解をしていたわけであります。これに満足したわけではないが、そこで国会の方は軌道に乗ったという経過があります。代替の範囲を超える新築を含むことのないよう措置するというのが、たしかあのときの見解だったと思います。  ところがその後において、昨年の暮れに例のアメリカが当然負担すべきだというふうに言われていた在日米軍の労務費の肩がわりの問題が起きてきて、これは駐留軍で働く労働者の賃金の問題にも絡むわけですから、労働の対価としての賃金以外は地位協定で米側負担が義務づけられている経費ではないという解釈で納得されたわけであります。ですから、地位協定の二十四条というのは、昭和四十八年まではずっとそのままの姿で来て、四十八年に住宅の問題が出てきて昨年労務費の問題、解釈が拡大されたのはその二回なんですよ。それが今度の段階で、どうやらまた拡大解釈のまた拡大解釈への道をたどろうとしているのではないかということを、おとといのあの論議の中で感ずるわけであります。  そこで本論に入る前に、この間も繰り返し繰り返し言われたのは、アメリカから米駐留軍に関する費用を日本に持っていただきたいという公式の要請は一度もないんだということの繰り返しが行われているわけですが、これはそのとおりですか。
  230. 亘理彰

    ○亘理政府委員 たびたびお答えしているわけでございますが、公式にも非公式にも米側からの日本側に対する、要求あるいは要請という形のものは受けておらないわけでございます。これは申し上げておりますとおり、雑談の間で円高等に伴って在日米軍のやりくりが大変むずかしくなっておる、あるいは住宅が足りないというふうな話は聞くことがありますが、米側からの日本側に対する要求ないし要請として受けておることはございません。
  231. 安井吉典

    ○安井委員 聞くところによれば、五月初めの日米会談においても、総理大臣あるいは外務大臣の話では要求らしきものはなかったということであり、間違いないのだと思います。しかし、アメリカの分担要求というのは、日本政府に直接ないのかもしれないけれども、今日まで幾度も明確に表明されているんですよ。  たとえば昨年の六月のアメリカの会計検査院の勧告の公表の中にも、在日米軍基地労務費の分担やら自衛隊との米軍基地の共同使用やら、これはもうはっきり書かれているわけです。あるいはブラウン国防長官の国防報告の中にも、集団安全保障の負担を公平に分かち合うための再調整、これは在日米軍基地経費の分担の要求であるという意味を明確にしつつ出されているし、それからアメリカの議員の中には例の安保ただ乗り論——ただ乗りでいいと言うのじゃなしに、裏返しをすれば負担をしなさいということなんですから、こういうような形で責められ、責められているということは間違いないわけですよ。正式に要求が住宅についてあったとかないとかという前に、そういう基本的な問題があると思います。  金丸防衛庁長官は、アメリカから要請はないが、思いやりとしてこちらの方で提案してやるのだ、円高ドル安で困っているだろうから思いやりの提案だという言葉を繰り返しお使いになっておられるわけです。そのことを私はどうも疑問に思うのですけれども、地位協定のたてまえとしてはアメリカが新しく要求できるような筋のものではない、だから、日本が自発的に申し出たというような形をとってくださいというふうにアメリカ側が裏で言ってきているのではないか。あるいはもしそうでなければ、一般的なアメリカの要求というのがきちっとあるわけですから、それに屈して日本が金を出したというようなことではかっこうが悪いから、思いやりで自発的にこちらが出すのですという形をとろうとしているのではないか。その思いやりという言葉に私はどうしてもひっかかるのですがね。何かの粉飾が行われているように私は思うのですが、どうですか。
  232. 金丸信

    ○金丸国務大臣 私は思いやりという問題につきましてたびたび申し上げておるのですが、この問題についてただいま亘理長官からもお話がありましたように、向こうからのお話は、私は一切聞いておりません。また外務省の方からも聞いてはおりません。  そういうような状況の中で、この円高ドル安というときに日米関係の信頼性というものを高めるという必要があるのじゃないか。     〔委員長退席、村田委員長代理着席〕 しかし、地位協定あるいは大平発言等の問題もある。何とかうまい知恵をしぼってみる方法はないか考えてみろ、こういう指示はいたしておるわけでありまして、全然からくりも種も何もないということだけは御理解いただきたいと思います。
  233. 安井吉典

    ○安井委員 要求も何もないのに、向こうが欲しくもない金をこちらからなぜ出してやるのかという、そういう反論が出てくるわけですよ、いまのようなおっしゃり方になると。向こうから要求もないのにこちらが勝手にかわいそうだから出してやる、そういうことで国民の税金を使うことに国民は納得しないのではないかと思います。開発途上国に対する援助金というのなら話はまだわかりますけれども、アメリカに対してですからね。  ですから、思いやりという言葉で何とかこの場をすり抜けようというふうに長官はお考えのようでありますが、そういう言葉をどうしても使わなければならないということは、両国間の地位協定を厳格に解釈すればこれはとても支出できるようなものではないのだ、そういうふうに考えているものだから、思いやりということで表現をしようとしているのではないか。大体法的な根拠が薄弱なときにそういう形容詞で問題をごまかそうとする、そういうような言葉ではないかと思うのですが、重ねて伺います。
  234. 金丸信

    ○金丸国務大臣 そういう思いやりという気持ちが出ておるその一つ要因の中には、アメリカの会計検査院の報告書とかあるいはブラウン長官の報告の中に、私も読ませていただいて、なるほどな、アメリカはえらいんだな、日本ばかりじゃない、安全保障という問題で、いろいろNATOとの関係もあるというようなことを思いながら、いかに金のある大国にいたしましても、ドル安円高という状況を考えてみれば、この関係を本当に堅持していくためには思いやりというものがあってもいいじゃないかという、全く金丸信ひとりの発想の中から出ておるということだけは御理解いただきたいと思います。
  235. 安井吉典

    ○安井委員 粉飾決算ということがありますけれども、粉飾要求のような——粉飾決算じゃなくて、粉飾予算ですよ。これはどうもそんな気がするわけです。  そこで、協定の解釈に入る前に、いま考えられている中身の問題をちょっと伺いますが、関東計画のような米軍の基地集約計画があって、それに絡んで住宅の建設を要求してきている。特に、円高ドル安で生活が大変だから、貸し家じゃどうにもならぬから日本に新しい家を建ててください、そういう形での話だというふうに伝えられているわけですが、住宅の建設については五百戸だとか数千戸ではないかとか、いろいろな説が乱れ飛んでいるようでありますが、住宅の改築の計画を明年度の予算の中でお出しになるつもりなのか。つまり、どういう要求があったかということを聞いてもお答えがない、だろうと思いますから、私は、予算の中でどんな考え方を起こそうというお考えを持っているのかというお尋ねにしたいと思います。  それから、労務費の負担についても、去年の結末では、アメリカ側はまだ不満のようでした。ですから、それについてもさらに要求が再燃していくようなことがあるのかどうか、あわせてこれは施設庁長官伺います。
  236. 亘理彰

    ○亘理政府委員 一昨日もお答えしたわけでございますが、現在の段階で米側から何らかの具体的な要求というものは受けていないわけでございます。  ただ、たとえば円高は、昨年の初めには三百円、昨年の春には二百七、八十円、これが現在二百二十円。ということでありますと、二割あるいは三割近く円が上がっておるという状況のもとで、米軍の駐留費負担は窮屈になってきておる状況は、私どもは容易に推察できるわけでございます。私どもは、安保体制日本の国防上不可欠であるという考え方を持っておるわけでございますが、その安保体制の核心をなす、実体をなすものは在日米軍の駐留である、これが円滑に行われるようにできるだけのことを考えるべきであると思うわけでございます。この点については大臣からも御指示を受けて検討を始めておるところでございます。  しかし、現在の段階では、まだ具体的な何らかの成案は持ち合わせておりません。これは外務省とか大蔵省とか関係省庁もございますので、十分相談いたしまして、そして成案を得ましたならば来年度予算に計上し、御審議をいただく、あるいはその以前であっても、政府内部考え方が固まりましたならば先生方にも御説明して御理解をいただくという努力をいたしたいと思うわけでございますが、現在の段階では具体的な案は持ち合わせてないわけでございます。いずれにしましても、何らかのことを考えた場合には、来年度予算の問題でございますので、まだかなり時間のあることでございますので、じっくり慎重に検討を進めたいと思っております。いずれにしましても、私どもは安保条約に基づく米軍の駐留が円滑に行われるようにということが一つであります。  それからもう一つ私の念頭に常にありますことは、在日米軍に働く日本人従業員の問題でございます。現在、大分数は減ってまいりましたが、二万二千人の方々が特異な外国軍隊の施設という環境の中で苦労をしておられる。家族を含めれば十万人の方になるわけでございます。使用主は米軍でありますが、雇用主という立場に私がおりますので、この駐留軍従業員の雇用及び生活の安定を図らなければならないということが常に念頭にあるわけでございます。  いずれにしましても、何をなすにしましても、現在の地位協定を変える考えを政府としては現在持っておらないことは申し上げているとおりでございまして、地位協定の枠内において何をなし得るか、この点はこれからじっくりと検討してまいりたい。成案を得ましたならば、予算とともに地位協定との関連においても十分御説明できるだけの準備をして、御納得をいただきたいと思っておるわけでございますが、現在はまだそういうお話し申し上げる具体的な準備は進んでいない次第でございます。
  237. 安井吉典

    ○安井委員 いまの御答弁の中でちょっと気になるのは、駐留軍の労働者や家族を人質にして地位協定の問題を解決しようというようなことじゃ困りますよ。これは明確にしておきたいと思います。  いまの御答弁のように、まだ何も決まっていない、こう言われるのですが、しかしそういう中で、一昨日地位協定二十四条の解釈について、私から言わせればまさに拡大解釈としか言えないような解釈をお示しになっているわけであります。おとといおっしゃったのは四十八年の大平見解を修正したものなんですか。
  238. 亘理彰

    ○亘理政府委員 私どもがおととい御質問に関連してお答えいたしましたのは、大平答弁——従来から政府が申し上げておりますのは、地位協定に基づき大平答弁の趣旨を踏まえて、いずれにしましても対処いたしますということを申し上げておるわけでございますが、その大平答弁の意味合いはこういうふうに理解しておりますということを申し上げたわけでございます。  これは別に大平答弁を修正したということではなくて、四十八年の予算委員会の論議の経緯にかんがみて、政府としては、大平答弁はこういう意味合いのものであるという解釈を申し上げたにすぎないわけでございます。決して修正いたしたというものではございません。
  239. 安井吉典

    ○安井委員 しかし、実質的には変わってくるわけなんで、これは修正じゃない、新しい解釈というのですか、新規適用なんですかね。どうもそんな感じであります。ですから、四十八年のときに私たちは、既存の施設やリロケーションの場合の改修については代替の場合だけ新築を認めますということで歯どめをかけたわけです。ところが、どうもこちらのドアの方はきちっと歯どめをかけたつもりでいたら、今度は向こうのドアの方から入ってくる、そういう感じを受けるわけですね、きのうのお話からすれば。こちらのドアの方は前と同じですよ、しかしドアは向こうにもあいているのですよ、これはそういうごまかしですよ。  これは防衛施設庁からの御答弁だけなんですけれども、大平答弁は外務省が主体であったわけです。みんなで相談したことには間違いないでしょうけれども。それから、負担の財政の問題は大蔵省ということになるわけですが、それらの各省庁の統一解釈になっているのですか。各省庁からもおいでだと思いますから、ちょっとお答えください。
  240. 丹波実

    ○丹波説明員 お答え申し上げます。  施設庁長官が申し上げたところでございますけれども、当時、先生も御承知のとおり、四十八年の春の予算委員会で問題になりましたのは、岩国、三沢の兵舎の改築という絡みで問題になったわけですが、私たちとしては、当時の大平答弁といいますのは、そういう論議が行われた当時の経緯からして、日本側が既存の施設、区域内におきまして代替を理由とする建設、これには当時リロケーションによる建設、それから旧隊舎などの改築に伴う建設、二つがあったわけでございますけれども、そういう代替を理由とする建設が既存の施設、区域内で行われる場合には、そういう建設の性格からして、代替の範囲を超えるような新築を原則として含むようなことはいたさない、こういう趣旨の答弁が大平大臣から行われた、こう理解しております。
  241. 志賀正典

    ○志賀説明員 お答え申し上げます。  ただいまの大平答弁の考え方、解釈あるいは意味合いという点につきましては、先生からもお話しございましたように、外務省の所管する事項でございまして、ただいま外務省の丹波安保課長からの御答弁が当時のいきさつを十分説明しているというふうに私どもは聞いております。
  242. 安井吉典

    ○安井委員 そうすると、おとといの防衛施設庁の答弁で問題なし、そういうふうに外務も大蔵もお考えになっているということですか。
  243. 丹波実

    ○丹波説明員 おとといの施設庁長官の答弁の考え方については、私たちも同様に考えております。
  244. 志賀正典

    ○志賀説明員 おとといの委員会には出席をしておりませんので、詳細に防衛施設庁長官の御答弁がどういうことであったかは正確に承知をしておりませんが、十分拝見をいたしまして、私どもも所管省庁のお考えを聞きながら検討してまいりたいと思っております。
  245. 安井吉典

    ○安井委員 それでは、大蔵省はまだきちっとした見解をまとめる段階に至っていないというふうに理解していいわけですね。
  246. 志賀正典

    ○志賀説明員 詳細に議事録等も拝見をいたしまして、私どもも勉強させていただきたいというふうに考えております。
  247. 安井吉典

    ○安井委員 まだだということはわかりました。  ただ私は、米軍がどんどん人がふえてきている、新しく人員が来ているからそれに新しい住宅の提供が必要であるというようなことならこれはまだ理解ができるのですけれども、増加どころかどんどん減少しているわけです。減っているのに新規提供というその考え方自体に非常に疑問を感ずる、こういうことを申し上げておきたいと思います。  拡大解釈と私は受けとめるのですけれども、そうしていけば、もう歯どめなしにどんどん拡大してしまう、それが問題なわけです。そしてあげくの果ては安保条約や地位協定そのものの改定まで行き着かなければしようがないような状況に行くのではないかということの心配であります。  そのことの心配について、いま大臣がちょっと席を外しておられましたから後でもう一度聞きたいと思いますが、つかみ金でも、とにかく思いやりということで何とか渡したいというような考え方がどうやらその分担金という構想に結びついてしまって、何とかしてアメリカに金をやりたくてやりたくてしようがないのだということのようにいまとれるわけですよ。向こうは欲しいとは言わぬが、何とかして向こうにやりたいのだ、いまの法律あるいは条約をどんなに解釈してもやりたいのだというような気持ちが、おとといからきょうにかけての思いやり答弁の中に出てきているようなんですが、私はそのような考え方が、現在の地位協定そのものを変質させ、本当に変えてしまうのじゃないかという心配を持たざるを得ないのですが、長官、どうですか、まさかそうはされないと思うのですが。
  248. 金丸信

    ○金丸国務大臣 ただいまの思いやりのお話でございますが、全く純粋に思いやりということでありまして、地位協定、大平答弁を踏まえて何とか知恵をしぼってみろ、こういうことであります。  私は、ただそれだけだということになると、先ほど申し上げましたようないろいろなアメリカの状況が目に入り耳に入るという——耳よりも目に入るということでしょうな、そういうものを見ながら、なるほどアメリカもえらい、だから安井さんは金がえらくあって困っているという解釈、私は、大国といえども、金、ことに円高ドル安という、こちらも予算でやっているという状況の中で、えらいのだろうなという、私は全く思いやりという気持ちで、ただやりたいという気持ちということではなくて、何とか解釈が出るであろうかという指示をして、どうたたいても張っても出ないということであればこれはどうもつかぬと、こうは思うのですが、その思いやりの気持ちだけは御理解をいただきたい。
  249. 安井吉典

    ○安井委員 いま私が最後に申し上げたのは、まさかそれを安保の改定やいまの地位協定の改定にまで持っていくつもりはないのだろうな、こういうことです。
  250. 金丸信

    ○金丸国務大臣 さらさらそんな考え方は持っておりません。
  251. 安井吉典

    ○安井委員 金丸長官が西独のオフセット協定のようなものを参考に検討しているという記者会見でのお話が出ていました。ただ、NATOの場合とはこれはまるっきり違うわけですからね、日本の安保条約とは性格がまるっきり違うし、向こうの方は一番最初、もう米軍が帰るのを帰らないでくれと頼んで置いたという、それと日本の安保条約とはまるっきり違うわけです。そのことを明確にしておきたいわけであります。  そこへ例の弾薬貯蔵庫の大きな記事が出て、防衛施設庁の方も、西独がアメリカに何らかのかっこうで金を残す、そのやり方としてああいう知恵があったんだとすればということでの考え方のようだったわけですが、おとといの質問に対して大臣は、私は関知しませんと明確にお答えになったのですが、事務当局も考えてないのですか。
  252. 亘理彰

    ○亘理政府委員 オフセット協定のお話がございましたが、西独のオフセット協定というのは、一九六一年から一九七五年にわたりまして八回にわたって米独間で締結された協定でございますが、これは大体内容は御承知のとおり米国から軍需品を購入する、あるいは公債を購入する、それから八回にわたる協定の後の方になりますと、米軍施設の改修等の項目が入ってきておりますが、まあそういう内容のものでございます。私どもはこういう西独式のオフセット協定がいまから検討しようというものの参考になるというふうには考えておりません。  それから、弾薬庫云々の話は事務的にも全く関知しておりません。
  253. 安井吉典

    ○安井委員 防衛庁というところは、全く知らないことが新聞に大きく出るんですね。これはどういうのですかね。毎日のようにいろいろな防衛庁の記事が出ているが、余り知らないことがたくさん出ているのか、どうもいろいろな書類の扱いがまずいのか、防衛庁詰めの記者の諸君が敏腕なのか、どっちかだと思うのですがね。それじゃ、全くオフセット協定というものは別として、何らかアメリカに金を置く方法ということでの具体的な検討というのはないのだ、だからもう来年度の予算の上にもそんなものは出てこないのだ、こう理解していいのですか。
  254. 亘理彰

    ○亘理政府委員 先ほど先生からお話がございましたように、旧行政協定時代に防衛支出金というものがあったわけでございますが、現在の地位協定においては、そのような規定は欠いておるわけでございます。したがいまして、ああいう形で、あるまとまった金を米側に渡すというふうなことは、現行の地位協定上許されることではございませんし、私どももそういうことは考えておりません。
  255. 安井吉典

    ○安井委員 それでは、択捉周辺の問題にお答えする方がいられるんだとすれば、そのこともこの際、伺っておきたいと思いますが、外務省とそれから海上保安庁からそれぞれ把握されている状況をきょうお話を願うようにおいでいただいているはずですが、お願いします。
  256. 宮澤泰

    ○宮澤政府委員 外務省は、海上保安庁が六月一日未明に受けましたソ連の水路通報によりまして、ソ連側が択捉島周辺の領海十二海里の一部を含む水域に射撃訓練を行う水域を設定する、こういう通報を受けましたので、この点につきまして六月二日、在ソ日本大使館を通じまして、ソ連側に抗議をいたし、その中止を求めた次第でございます。
  257. 安井吉典

    ○安井委員 海上保安庁は……。
  258. 大山雅清

    ○大山説明員 ただいま外務省の方から説明のありましたとおり、六月一日、ただいまの内容ソ連の無線航行警報により、当庁の通信所が受信いたしました。それを入手いたしました。  以上でございます。
  259. 安井吉典

    ○安井委員 現状は、外務省なり海上保安庁はどんなふうになっているのか。ソ連艦艇があそこに来ているという現状は、どういうふうに把握しているのか。
  260. 宮澤泰

    ○宮澤政府委員 外務省といたしましては、正確な事態を把握しておりません。
  261. 大山雅清

    ○大山説明員 私ども現在承知いたしております内容は、先ほどお話し申し上げましたソ連の航行警報により、択捉島の北西海域、一部の領海を含む海域に区域を設定して訓練をやる、こういうことの通報のみでございます。
  262. 安井吉典

    ○安井委員 そういうことによって、漁船その他への影響はありませんか、安全性の確保は。
  263. 大山雅清

    ○大山説明員 私どもは、そこに船がいるという仮定のもとに、こういう航海の安全に影響を及ぼす情報につきましては、海上保安庁の航行警報として周知を図ります。したがいまして、六月二日及び五日に当庁の無線航行警報で一般船舶に周知を図りました。  漁船等の現状につきましては、詳しくは承知いたしておりません。
  264. 安井吉典

    ○安井委員 しかし、海上保安庁の方も、すぐに現状はどうなのかというのを刻々把握をする、そういう努力が必要だと思うんですがね。それはされているのでしょう。
  265. 大山雅清

    ○大山説明員 私ども取り扱っておりますのは、先ほど申し上げました航行警報、つまり沈船あるいは航行規制あるいはその他の危険物、演習訓練、そういうものにつきまして、これが船舶の航海の安全に影響を及ぼすというものについてのみやってございまして、この件につきましてのことについては、私どもの所掌外としておりますので、これが解除になれば、解除になったということについてのみフォローする、こういうことでございます。
  266. 安井吉典

    ○安井委員 いや、私が聞いているのは、事故はないのですかと聞いているんですよ。やはり心配ですよ。漁船が何隻いて、どんなような状況だったということは、海上保安庁で把握しないで、どこで把握するのですか。
  267. 大山雅清

    ○大山説明員 私の所掌しております水路通報業務の中ではただいま申し上げたとおりでございまして、漁船の保護、警備ということに関しましては、また別に所掌しているところがございます。ただいまここでは承知いたしません。
  268. 安井吉典

    ○安井委員 なるほど、課長さんの所管が違うということなんですね。しかし、私がきょうお願いしたのは、いま現に問題が起きているわけですからね。その生々しい状態をやはりここで、国会は心配しているのです。国民の大事な問題ですから、明確にしてくれということの要求だったのですが、残念ですが、しようがありません。  しかし、いずれにしても、後で書面でもいいですから、状況を内閣委員会の方に出してください。委員長、そういうふうにお取り計らいください。
  269. 村田敬次郎

    ○村田委員長代理 大山課長、いいですね。
  270. 大山雅清

    ○大山説明員 よろしゅうございます。
  271. 安井吉典

    ○安井委員 そこで、どうも問題が何か人ごとみたいな印象を受けるお答えをいただいていて、こんなのでいいのかなあと思わざるを得ないのですが、それより前に、けさ方は、防衛庁の中における問題把握のあり方について若干問題になったわけです。きのうからけさにかけて、新聞テレビ等で報道されていたのが、いいかげんな情報であったということをここで暴露され、しかもその情報を出した人は栗栖統幕議長で、情報を正確に把握したのではなしに、それに自分で勝手にいろいろな尾ひれをつけて出したんだというようなことも、そしてそれがまた防衛庁の統一見解ではなかったんだというようなことも、大臣が知らなかったのだということも明らかにされたわけで、私は、実はびっくりしているわけです。  北海道の新聞などは、きょうは一面全部割いて、北方領土と言うけれども、これは日本の領土なのです。北海道の一部なのですから、大きな関心が注がれているわけだし、それから新聞テレビによれば、安倍官房長官は、ソ連に対してかなり手厳しいコメントをしています。ですから、安倍官房長官は、金丸防衛庁長官も知らないのですから、どこでどのような情報を入手して、政府を代表してお出しになったのか。そのコメントの中身がどうのこうのということよりも、つながりが私は問題だと思いますので、その点を伺います。
  272. 竹岡勝美

    ○竹岡政府委員 防衛庁の方からは安倍官房長官の方にそういう情報は流しておりません。
  273. 安井吉典

    ○安井委員 外務省は……。
  274. 宮澤泰

    ○宮澤政府委員 先ほど申し上げましたように、外務省といたしましては、水路通報によりましてソ連側の射撃訓練の報告を海上保安庁から入手いたしました後に、対ソ抗議、中止申し入れをいたしましたので、その件につきまして当然官房長官のお耳には入れております。  その点について官房長官がその事実を多少お述べになったように承知しておりますが、それ以上のことにつきましては、私どもまだ承知いたしておりません。
  275. 安井吉典

    ○安井委員 とにかく支離滅裂ですね。今度のこの事件は突発事件であるには間違いないけれども、何がどこでどうなって、何が本当で何がうそなのやらさっぱりわからぬ。現状は一体どうなんですか。防衛庁でももう少し明確な把握ができていないのですか。  つまり私が伺いたいのは、上陸演習であり、空挺隊もおりたかもしらぬし、艦艇の数がこれだけで、人がこんなにいるんだということが見出しででかでかと書かれているわけであります。しかしけさになって、あれは演習ではありません、こう言われたのでは、つまりあれは何なんですか。部隊の移動なんですか。部隊があっちからこっちへ移ったということなんですかね。輸送をどうかしたということなんですか。まるでキツネにつままれたような感じなんですね。これはだれが政府を代表して明確に国民に情報を与えるんですか。その責任はだれにあるのです。そのことを伺います。
  276. 竹岡勝美

    ○竹岡政府委員 お答えします。  これは、防衛に関します防衛庁の方でとれる情報につきましては、防衛庁発表し、防衛庁が答えるべきものだと思います。この主管がいま防衛局になっておりますので、最高責任者である防衛局長からお答えさせた方がよろしいと思いますので、しばらくお待ち願いたいと思います。
  277. 安井吉典

    ○安井委員 局長が来たらもう少し伺いますが、その前に、外務省として抗議をソ連における日本大使館がしたということは先ほどのお話のとおりであります。それは抗議のしっ放しであって、それに対する応答その他は何もないのか。  それからまた、外務省の抗議の内容というのは、択捉島は本来の日本の領土で、その領海十二海里の一部に入ってきているから、そこに射撃の危険水域の設定があったからけしからぬということの抗議だと思うのです。しかし現実には、固有の領土そのものの中に何か大部隊が上陸をしている、うそか本当か知らないけれども、そういう現状になっているわけです。ですから、抗議の内容というのも変わってこなければいかぬような気もするし、そしてまた抗議に対して向こうはどういうような返答をしてくるのか、してこない場合には今後どうなさるのか、そのことを伺います。
  278. 宮澤泰

    ○宮澤政府委員 外務省が申し入れました内容の概要を申し上げます。  わが国領海の一部にソ連側が射撃訓練のための危険水域を設定したことは不法であるので、これについて抗議をする、ソ連政府が直ちにその設定を解除するよう要求する。これは、択捉島周辺わが国領海にソ連側が危険水域を設定いたしましたことに対する抗議であり、解除要求でございます。  同じ抗議の中で第二点といたしまして、右危険水域は現在日ソ漁業協定に基づいて十九隻のわが国のはえなわ漁船が操業中である。したがいまして、この漁船及び乗組員がこうむるべき危険及び損害が大であるということにソ連政府の注意を喚起し、この見地からも射撃訓練の中止方を申し入れる。これが第二点でございます。  続いて第三点といたしまして、ソ連側がこのような日本政府の申し入れにもかかわらず射撃訓練を実施する場合には、日本国及び国民がこうむることあるべき一切の損害または損失について、国際法上要求し得べき補償請求の権利を留保することを明らかにする。  このように申し入れた次第でございます。  これに対しましてソ連側は、領土問題に対するソ連側の立場はかねて述べているとおりであると述べつつ、日本側の申し入れの内容は上司に伝える、こう述べた次第でございます。その後今日に至りますまで、このソ連側の外交経路または水路通報等によりまして、今回の射撃訓練を中止した旨ないし危険水域の設定を解除した旨の通報は受けておりません。したがいまして、ソ連側がここで果たしてすでに訓練を行いましたものか、まだやっておりませんものか、私どもといたしましては、正確に把握しておらない次第でございます。
  279. 安井吉典

    ○安井委員 射撃訓練の危険水域の設定をしたことがいけないことだし、それから、射撃訓練をしては困りますと言っているわけですね。設定したことは間違いないのですが、射撃訓練はやったのですかやらないのですか、それは確認していますか。
  280. 宮澤泰

    ○宮澤政府委員 外務省といたしましては、まだ確認いたしておりません。
  281. 安井吉典

    ○安井委員 それは抗議をしたって、やっちゃ困りますと言っても向こうが何をするのかわからないということじゃ、それこそ脅威なき抗議ですよ。そういうふうなことで一体どうなんですか、これは。いつもそんなことでごまかされているのかね、国民は。もし演習をした場合はどうするかとか、それには再抗議はするとかしないとか、そういう態度も全くいまのところ決めてないのですか。決めるおつもりですか。
  282. 宮澤泰

    ○宮澤政府委員 先ほど申し上げましたように、対ソ申し入れの中に、もしこのようなことで何らかの損害をこうむった場合にはその賠償を請求する権利を留保する、このように申し入れてございます。
  283. 安井吉典

    ○安井委員 とにかく日本の固有の領土であると言われているところで何か大事な出来事が起きているということを国民はいまのところわかっただけです。これは大事なことでないのかもしれないし、あるのかもしれない。  防衛庁としては、新しい情報の把握等についてどのような努力をされているのか、これをお答え願えませんか。
  284. 上野隆史

    ○上野政府委員 お答え申し上げます。  防衛庁におきましては、先生承知のように各種の情報収集のための活動を行っているわけでございまして、今回の事象もその一環としてとらえられたものであるわけでございますが、今後ともそういう各部隊等に与えられました警戒、監視の任務、情報収集の任務、それを遺漏なく実行していくということによって情報の収集に努めてまいりたいと存じます。
  285. 安井吉典

    ○安井委員 それで、そういうふうな努力をされた結果、いつごろ正確な内容はわかりますか。私たちのところまでそれが届けられるのはいつでしょう。
  286. 上野隆史

    ○上野政府委員 これはこういう情報の性質からいっていつまでにということはお約束できないわけでございますが、必要なる、また事柄の性質上重要なる情報が得られますれば、その都度御要求に応じてこういう国会等の場で明らかにしてまいりたい、御報告申し上げてまいりたいと存じております。
  287. 安井吉典

    ○安井委員 大臣、どうなんですか。先ほど来の論議をお聞きになっていて、防衛局長もお帰りですが、あそこの領土はこちら側の領土だと言いながらも、施政権はこっちにないのだし、何をされてもしようがないのだ、こういうことで日本政府は済まされているのか。もう少し真剣に、少なくも問題の内容だけでも国民に正確に伝えるという努力をなさらないのか。政府の一員としてもやはりこの際明確にしていただきたいと思います。
  288. 金丸信

    ○金丸国務大臣 私もきょうは国会におるものですから、栗栖統幕議長に会う機会がないわけであります。たまたまいま許可を得まして外へ出まして、事務次官がいろいろ話をしてその結果を聞かせていただいておるわけでありますが、その栗栖記者会児の中に——これは私も本人とよく会ってみなければ、まだ先生方にこの国会で答弁にならないという感じがいたしておるわけでありまして、本人も先ほどの伊藤防衛局長が答弁をしたということについてそのとおりだと言っておるということでありますが、そのとおりがどのとおりであるか私にもよくわかりませんから、帰りましてよく聞かないと、こういう問題は、防衛庁がこのようなことで国民に迷惑をかけるようなことがあってはとんだ問題だと私は考えております。十二分にこれを調査いたしまして、いずれ御報告はいたします。
  289. 安井吉典

    ○安井委員 もう防衛計画もへったくれもないのですね、こうなったら。何がどうなっているのか。とにかくここでお集まりの、これだけおられるけれども、ここではこれ以上どこをつついても新しい情報が出てきそうもないから、私はとにかく一日も早く、いや一刻も早く正確な情報を、あそこで何がなされてきてどんなような状況になっているのか、そのことについて明確に国民にも、心配していますから知らせていただきたいし、国会にもお知らせをいただきたいと思います。     〔村田委員長代理退席、上原委員長代理着席〕  それからもう一つは、このような事態がいつ何どきまた起きるかもしれないし、そういうような場合に、統幕議長が、あいつが悪いんだというようなことで長官は物をお済ましにするわけにいかぬでしょう。防衛関係情報防衛庁長官が責任を負うのだとさっき御答弁があったが、そうだとすれば、今後の問題としても、そういうようなものがいかに正確に伝えられるかということ、そして政府見解も、外務省は外務省で、官房長官は官房長官で、何かみんな勝手に、ばらばらに動いているような印象なんですが、やはり臨時閣議をすぐ開けとは言いませんけれども、事の成り行きによっては政府全体の統一した見解なり体制づくりをするということが必要だということもひとつ申し上げておきたいと思いますが、どうですか。
  290. 金丸信

    ○金丸国務大臣 この問題は相当重大な問題だと私は受けとめております。また防衛庁関係のこういう問題は、責任は防衛庁長官にあることは当然であります。国民のためにも、将来のためにも十分に究明して、はっきりした結果を御報告をいたしたいと思っております。
  291. 安井吉典

    ○安井委員 それじゃここではもうこれ以上どうも話が進まないようでありますから、もう一つ最後に、まだたくさんありますけれども、時計を見ながらもう一つだけ伺っておきたいと思うのです。  栗栖統幕議長のきのうの記者会見やテレビ等でお話しになったというのは、実は統幕資料というような中に書かれていることと余りにもよく似ているわけですよ。だから、あそこで何が起きたということも御本人はそれをきちっと状況を把握もしないで、大体こうだろうというふうな認識で、私は、彼の頭の中にあったのは、陸幕や海幕の戦略資料ではなかったかと思います。ソ連の中にこういうような問題がこういうふうに起こるのだという一つの想定みたいなものが彼の頭にあるものですから、事態の端緒だけがつかまれたら、それとごちゃごちゃにしてさもあることのように発表したのではないかと、私は、御本人に会ったわけじゃありませんけれども、そんな気がするわけですよ。  そこで伺いたいのは、陸上幕僚監部の作成されたと言われる防衛戦略資料、これは新聞にもちょっと出ました。ですから、私はきのうもこの資料をぜひ国会の方に御提示願いたいということでお願いしたのですけれども、そういうようなものは存在しませんというのがきのうのお答えであったわけです。この中身をごくかいつまんで言いましても、大変なことが書いてあるわけです。ソ連の海上侵攻で上陸の予想される地点は稚内周辺の道北、それからもう一つは石狩湾付近の道央、この二地点で三個師団程度の奇襲上陸を想定している。  いずれにしても、こういうふうな中身がずっと書かれていて、そのことを想定しながら、ソ連は上陸前に制空権を全部確保しているし、日本ソ連軍が海岸に到着する前に防御する必要があるというようなことが書かれているわけであります。私どもも重大な関心を持たざるを得ません。恐らくこれは海幕も空幕もこういうようなものをおつくりになっているに違いないと思います。こういうふうなことが、これは、こんなものありませんというのが、いまお答えを願えば出てくるような気がするのですけれども、そういうようなものがないなんて言ったって、そういうようなものがあるから、もうきのうの栗栖議長の発言になっていくのじゃないか、私はそう思うのですが、これはどうですか。
  292. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 ただいま先生がおっしゃいました防衛戦略資料というものそのものは、私どもにはないわけでございます。しかしながら、先生も御承知のように防衛力整備するに当たって、それから毎年度の防衛力でもって有事の際にはどう対処するかということは、当然のことながら統幕を中心に勉強しているわけでございます。  防衛力整備に当たりましては、わが国防衛力というものがどの程度のものであればいわゆる日米安保体制のもとに安全であるかというような観点からしますときには、当然のことながら日本周辺諸国の現在の軍事力、それから将来の軍事力というものがどのように変わっていくかということを勉強するわけでございます。  それから、毎年度の運用計画に当たりましては、現在それぞれの国が持っている軍事力というものを運用する場合には、いわゆる軍事的な観点からするならばこういう可能行動というものがあるであろう、それに対してはどう対処しなければならないかというようなことでそれぞれの計画というものを毎年立て、勉強しているわけでございますから、したがいまして、いま申されました防衛戦略資料という名の資料そのものはございませんけれども、いろいろな計画の段階の情勢判断等におきましては、いろいろな形で勉強しているというのが事実でございます。
  293. 安井吉典

    ○安井委員 そうすると、私がいま申し上げた資料というのは不存在、こういうことですか。
  294. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 防衛戦略資料という名前の資料はございません。
  295. 安井吉典

    ○安井委員 しかし、これと同じようなことをずっと検討している、とりわけソ連の兵力見積もり等をやっている、そういうことですね。
  296. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これはひとりソ連だけではございませんで、日本周辺諸国の戦力見積もりといいますか、現在の軍事力状況、こういうものはいわゆる情勢判断として考えておりますし、また日本列島の中で、隣接しております国々との間で直接侵略があるような場合の可能行動としていろいろな場合を想定して勉強しているということでございます。
  297. 安井吉典

    ○安井委員 防衛対象国というのは、防衛庁としてはどこどこですか。
  298. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 仮想敵といいますか、対象国というのは、特に想定しているわけではございません。日本周辺諸国それぞれについての軍事力等を情勢判断として見積もっているということでございます。
  299. 安井吉典

    ○安井委員 防衛対象国というのは、日本周辺の国全部ですか。
  300. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 私どもは対象国という言葉を使っておりませんので、日本防衛に必要なことでございますから、周辺諸国軍事力というものについてはできるだけの情報を集め、判断をしているわけでございます。
  301. 安井吉典

    ○安井委員 仮想敵国という言葉を使っていないということはさっき話がありましたよ。しかし、防衛対象国という概念で対応しているという答弁もあったのじゃないですか。
  302. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 防衛対象国ではございませんで、近隣諸国の軍事力というふうに申し上げたわけでございます。日本周辺諸国軍事力というふうに申し上げたつもりでございます。
  303. 安井吉典

    ○安井委員 そうすると、そういう言葉は新しい防衛白書の中にも出てこないし、今後ずっと使わないですね。
  304. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 特定の言葉で対象国あるいは仮想敵国というような言葉は使ってはいないと思います。
  305. 安井吉典

    ○安井委員 それでは、この防衛資料の方は不存在だと言うが、私は、陸幕も海幕も必ずこういうようなものをつくってやっていると思いますよ。そういう想定なしにいろいろな計画をつくるなんということにならぬじゃないですか。必ずあると思いますよ。  ですから、これは全体会議に出せなくても、秘密会議で提示をしていただくとか、何らかの措置をしていただきたいと思います。これは委員長、少し理事会の方でも御相談ください。
  306. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これは先ほども申し上げておりますように、こういった名前の資料はございませんが、それぞれの計画をする場合の状況判断というのはいたしておるわけでございます。しかし、そういった情勢見積もり、情勢判断の内容のすべて、それに対処するやり方、そういったものはまさに作戦計画とも言うべきものでございますから、そういうもののすべてを出すことは不可能であると私どもは考えております。
  307. 安井吉典

    ○安井委員 それはさらに御検討をいただきたいと思います。  もう一つ自衛隊の配備の変更の問題をちょっとだけ取り上げておきたいと思いますが、業務計画作成に対する防衛庁長官の指示というのが出ていますね。その中でAEWの問題だとか、その他大分お聞きをしておきたい問題もあるのですけれども、それはいずれ別な機会にいたします。一つだけ、機甲師団の編成を第七師団と第一戦車団を合併して編成をする。そしてそこで二千人の人を浮かして四国や九州に向けるということのように聞いているわけです。これは北の脅威というような言い方がなされているのに対して、状況が変わって、たとえば在韓米軍の撤退というふうな状況が出てきたものだから西の方へ兵力を割こうとするのか。全体で六千人ぐらい北から西へ移そうという計画のように聞いているわけでありますが、その辺、戦略の一つの変更がこういう形であらわれているのかどうか、これをひとつ伺います。
  308. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これは在韓米軍の撤退とは関係ございません。実は防衛計画の大綱を検討いたし、また国防会議で御審議いただきました際に、陸上自衛隊というものは全体の国土を分けましてそれぞれ必要な配備をした方が適当であろう、すなわちいわゆる戦闘単位というものを幾つにするかという議論がございました。そのときに、十二個師団と、一個師団は機甲師団ということで二個旅団を編成するということ、これを全国に、いわゆる必要なところに配備するということが防衛計画の大綱、すなわち平時における陸上自衛隊の配備としては好ましいのではないかというような点からも検討されたわけでございます。  さらにまた、九州出身の自衛隊員というものがきわめて多いわけでございます。現実の充足状況を見ましても、九州の方が充足率は高くなっておりまして、北海道の方が低くなっているわけでございます。そこで陸上自衛隊では特に郷土配置というようなことを重視いたしておりまして、それぞれの郷土に結びつく防衛意識といいますか、そういうものを養っていきたいという観点もございまして、この機甲師団の編成に当たりまして第一戦車団と第七師団を合体いたしまして——現在の第七師団というのは、戦車はなるほど持っておりますけれども、これがいわゆる機動する場合には、やはり普通科、昔で言います歩兵が中心になっておりますが、これを移動する場合も人員輸送車等を用いまして、戦車を主体とした機動力をもちまして北海道におきます必要な場面へ急速に展開できるという見通しのもとに、定員的にはその二千人出てまいりますものを九州におきます第八師団の部隊をふやすという形で検討してまいっているわけでございます。
  309. 安井吉典

    ○安井委員 大臣の御都合があるそうですから、これで一応打ち切ります。
  310. 上原康助

    ○上原委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十分散会