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1978-04-25 第84回国会 衆議院 内閣委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月二十五日(火曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 始関 伊平君   理事 小宮山重四郎君 理事 高鳥  修君    理事 藤尾 正行君 理事 村田敬次郎君    理事 岩垂寿喜男君 理事 上原 康助君    理事 鈴切 康雄君 理事 受田 新吉君       逢沢 英雄君    宇野  亨君       小島 静馬君    関谷 勝嗣君       竹下  登君    玉生 孝久君       塚原 俊平君    萩原 幸雄君       福田  一君    増田甲子七君       上田 卓三君    栂野 泰二君       福岡 義登君    安井 吉典君       山花 貞夫君    新井 彬之君       市川 雄一君    柴田 睦夫君       中川 秀直君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      荒舩清十郎君  出席政府委員         人事院事務総局         任用局長    今村 久明君         人事院事務総局         給与局長    角野幸三郎君         総理府人事局長 菅野 弘夫君         総理府人事局次         長       篠田 信義君         行政管理庁長官         官房審議官   加地 夏雄君         行政管理庁行政         管理局長    辻  敬一君         行政管理庁行政         監察局長    佐倉  尚君         国土庁計画・調         整局長     福島 量一君         国土庁大都市圏         整備局長    国塚 武平君  委員外出席者         内閣官房内閣参         事官      角田 達郎君         警察庁刑事局保         安部保安課長  柳館  栄君         国土庁長官官房         総務課長    古谷  裕君         大蔵省主計局主         計企画官    公文  宏君         大蔵省理財局地         方資金課長   鈴木 達郎君         大蔵省銀行局特         別金融課長   藤田 恒郎君         大蔵省銀行局中         小金融課長   吉居 時哉君         国税庁間税部酒         税課長     大橋  實君         厚生省公衆衛生         局企画課長   舘山不二夫君         厚生省医務局国         立療養所課長  北川 定謙君         厚生省薬務局生         物製剤課長   古市 圭治君         厚生省児童家庭         局障害福祉課長 佐藤 良正君         食糧庁総務部企         画課長     野明 宏至君         労働大臣官房審         議官      松井 達郎君         労働大臣官房参         事官      鹿野  茂君         自治省財政局地         方債課長    津田  正君         内閣委員会調査         室長      長倉 司郎君     ————————————— 委員の異動 四月二十一日  辞任         補欠選任   柴田 睦夫君     松本 善明君 同日  辞任         補欠選任   松本 善明君     柴田 睦夫君 同月二十五日  辞任         補欠選任   木原  実君     福岡 義登君   田川 誠一君     中川 秀直君 同日  辞任         補欠選任   福岡 義登君     木原  実君   中川 秀直君     田川 誠一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  審議会等整理等に関する法律案内閣提出第  二五号)  許可認可等整理に関する法律案内閣提出  第五一号)      ————◇—————
  2. 始関伊平

    始関委員長 これより会議を開きます。  審議会等整理等に関する法律案及び許可認可等整理に関する法律案の両案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中川秀直君。
  3. 中川秀直

    中川(秀)委員 きょうはいささかぶっつけの質問で恐縮でございますが、両案について幾つかの問題点を指摘して、お尋ねをしたいと思います。しかし、それに先立ちまして、本日から始まりました交通ゼネスト人事院勧告関係等について若干のお尋ねをしたいと思います。  人事院お越しだと思いますが、国家公務員法二十八条によりますと、民間公務員給与水準の開きが五%以上になれば人事院勧告を出さなければならない。しかし、五%未満のときは規定がない。昭和二十九年には勧告を出さなかったこともあるわけですが、この勧告を出すかどうかは、五%未満のときは人事院裁量に任されているわけですけれども、ことしの場合、大変不況長期化、深刻化いたしている中で、民間のいろいろな相場も、たとえばいわゆる鉄冷え春闘などと言われるように、官民較差が五%未満にとどまる公算も全くないではない、この辺の可能性は非常に微妙なものがあるわけですけれども、もし五%未満にとどまった場合に人事院勧告を出されるのかどうか、お尋ねをしておきたいと思います。     〔委員長退席高鳥委員長代理着席
  4. 角野幸三郎

    角野政府委員 お答え申し上げます。  人事院給与勧告法律上の規定では、「俸給表に定める給与を百分の五以上増減する必要が生じたと認められるときは、」という関係になってございます。五%という数字人事院勧告義務の発生する限度という形の規定でございまして、それ以下の場合については明定はしておらないというような関係にはございます。  ところで、お尋ねの、本年、調査の結果五%に達しない場合はどうかという仮定の問題でございますが、私ども勧告の基礎にいたしておりますのは、官民給与比較いたしまして、その較差を埋めるという較差方式でございます。伸び方式較差方式と両方あると思いますが、伸び方式でございますと、水準ということではなくて伸びということでありますので、いわば厳密な意味の累積はしないという関係になりますが、較差方式でやっております私ども勧告方式の場合には、本年たとえば勧告を見送るというようなことになりますと、次の年にその分がいわば精算した形で出てくるという較差方式、いわば精算方式という形をとっております。そういうことで、較差程度の問題もあろうかと思いますが、来年その分が出てくるということでどうなのかという問題はあろうかと存じます。  たとえば特別給のような場合には、現に一年おくれのかっこう実績調査して、一年おくれでついていくという形のパターンでいま実際にやっておりますが、たとえば二、三年前のように景気が急に下降状態になった場合に、ずれ込んで、一年おくれたとはいいながらちょっとおかしいではないかということが次の年になって一応問題になったこともございます。そういうことをあわせ考えまして、いろいろ苦心しておる、考えておる、そういう現状でございます。  とにかくいまこれから調査を始めますという段階でございまして、ちょっと数字の問題については、それ以上お答え申し上げられないという状態でございます。
  5. 中川秀直

    中川(秀)委員 非常に微妙な問題であることは、私もそう思うわけですが、いわゆる春闘相場というものですね。昨年が八・八%に対して人事院勧告が八・七四%、もちろん定昇込みでありますが、その差わずか〇・〇六%です。その前年の同じような差は〇・〇三%と、こういうことになっておりまして、大体春闘相場とかそういうようなものは、鉄鋼、繊維、電機などの主要産業の中どころか、大企業というような水準であるわけです。しかし、現実にはこの不況化、倒産や合理化賃金カット民間企業では非常に厳しい実態があるわけで、先般の給与法の改正案のときにもお尋ねをいたしましたが、人事院民間給与実態調査というものも、調査対象が中規模以上あるいは小規模でも比較的しっかりした企業に限られているような感じがするわけであります。できるならばもっと正確な、本当の実態把握というものあるいは比較というものが行われるようにしなきゃいけない、こう思うわけであります。  何か伺うところによると、ことしの五月からの民間給与実態調査の中で、人事院は三年ぶりに雇用調整状況調査を実施する方針と、こう言われているようですが、この調査結果次第では、たとえば五十年度行われたような管理職手当カットというような、そういった何らかの措置をとるおつもりがあるのかどうか。民間では一時帰休とかあるいは解雇とか、非常に厳しい雇用情勢にあるわけで、国家財政状況も大変な問題を抱えているわけですから、そういうものをしっかりと把握して反映をさせて、むしろ官民較差が官の方に厚くならないような工夫をなさるおつもりかどうか、ひとつお尋ねをしておきます。
  6. 角野幸三郎

    角野政府委員 お答え申し上げます。  まず、官民比較規模の話でございます。規模の話につきましては、もっと大きな規模にしろという引き上げみたいな要望とそれから引き下げと、好況不況それぞれに応じて両方からいろんな要求なり御意見をいただいておりますことは事実でございます。現在の状況は、これは昭和三十九年以来でございますが、企業規模、会社の全体の規模として百人、それから事業所単位では五十人ということでやっておりますが、これは当時の仲裁裁定民間準拠という方針、それを基準に打ち出されまして以来、私どもも大体そういう百人、五十人ということで確定して、それを動かさないでずっと来ておるという実情にございます。大体これで民間のどのぐらいをカバーしておるかといいますと、全体の、全従業員ウエートにいたしまして六割の線をカバーいたしておるという状況でございます。  それで、好況のときにはそれでも十分人がとれないということで、千人以上にしろということもございまして、あるいはこの際のような場合ですと十分人がとれるというようなことで、小さくてもいいのじゃないかという、いずれにしましても、私どもは公務に優秀な人材を一貫して確保するということが大目的でございまして、ではありますものの、しかしながら公務員給与決定する大きな柱の一つでございますという面からいたしますと、そういう基本原理については好、不況によって軽々にこれを変更するということもなかなかむずかしいという実情にはございます。しかし先生のお話も、十分現在の客観情勢を踏まえて、私どもこれから調査にかかるという段階でございます。  ところで、第二番目の問題といたしまして、雇用調整等のいまの民間不況状況について調査をするのか、それからそれによっては措置いかんというお尋ねでございます。これは現在ちょうどことしの民間給与調査連休明け早々から調査を開始する予定でございますが、何をどういうふうに調べるかという事務的な作業は非常に進んでおりますが、雇用調整の問題につきましては、現在いろいろ検討いたしております点について申し上げますと、この点については、昭和五十年でございますが、調査した経緯がございます。  それで、不況影響等、本年の状況が当時のそれに比べましてどの程度同じであり、あるいはどういうところが違っておるかというようなことについて非常に関心を持っておりまして、いろんなほかのデータ等を見ながらその辺は慎重に検討しておるということが事実でございます。しかしながら、調査全体の骨組みから申しまして、現在のように低成長時代に入っております関係上、配分問題というのに非常に重点がかかっておりまして、したがってそのための別の面の調査が、いろいろ欲を言えば必要とする事項が多く出てきておりますので、限られた能力と時間の中でどれだけの調査をどういう絡みで盛り込めばいいかといういま最終段階の思案中でございます。
  7. 中川秀直

    中川(秀)委員 わかりました。  もう一点さっきの点に返ってこの問題について最後のお尋ねをいたしますが、今度の交通ゼネストストライキあるいはこの山場を迎えたこの春闘の中でのゼネストの位置づけが、先ほどお話ししたように人事院勧告五%で出すか出さないかという問題も絡んで、官公労からも大変熱いまなざしで見られているというような感じもあるやに聞くわけであります。これはひとつ私のお願いでありますけれども、そういうことで意地を張られて、国民だけが迷惑するということでは大変困ると私は思う。いずれにしても国家公務員法二十八条によって、五%未満春闘相場がなった場合でも、正確に民間実態を把握して、勧告勧告として仮に五%未満数字でもきちっと出す。むしろこの段階ではっきりさせておいた方が、そういうことだけでのストライキの継続とかあるいは突っ張り合いというものもなくて済むのではないかという気も非常に強くするわけで、その意味で第一点お伺いしたわけですけれども、それに対するお答えは、二十九年に人事院勧告を出さなかった経過もあるけれども、その後の埋め合わせに時間がかかったり、翌年その分上乗せになったり混乱を生じることもあったので、その辺も考え合わせて慎重に審議しているところだという御答弁だったわけですが、その御答弁を先ほど私が申し上げたような点から踏まえても、ともかく法律では一応五%未満の場合は裁量に任されている、しかし翌年回しでなんということになると大変なことになるから勧告は出します。こういう方向でお考えである、こう理解をしてよろしいかどうか。いま一度、そういったいま現在の客観情勢を踏まえて、周囲の環境を踏まえて御答弁をいただきたいと思います。
  8. 角野幸三郎

    角野政府委員 お答え申し上げます。  大変微妙な問題でございますので、同じようなことを繰り返すことに相なるかと思いますが、私どもといたしましては、いま先生お話しのとおり、官民給与較差を厳重に調査いたします。それで、これは単なる伸びではございませんで水準比較でございますので、絶対額の比較ということでございます。そういう点では一般の相場感覚以上に正確なものを把握したいと思っております。  それから勧告するのかどうかということは、先ほど申しましたように、過去のいまお話しのような場合も踏まえて、それから現在の状況を踏まえて、それで較差が出るということを踏まえて、その段階でよく考えたいと思っております。
  9. 中川秀直

    中川(秀)委員 微妙な問題なので、押し問答になると思いますから、この程度でやめます。  大臣お越しですから、早速行政改革の本論、法案審議に絡んで質問させていただきたいと思います。  ここでちょっと福田内閣の昨年来の行政改革かけ声とその実績ということを簡単に整理してみたいと思うのですが、これは私が整理したのではなくて毎日新聞の社説です。これがきちんと整理しているから、そのままポイントだけ申し上げます。  最初に、行政改革福田内閣目玉政策であるというようなかけ声、それと比べて昨年の十二月二十三日の閣議決定というものはかなり竜頭蛇尾というか、しっぽもなくなっちゃったような感じの受け取られ方を国民からされている、これは事実であります。それから、この十二月二十三日の閣議決定事項進捗状況というのをまたチェックをしてみますと、たとえば今国会に提出された行政改革関係法案はわずか四件、一つ農林省設置法ですね。二つ目は、いま審議をされておりますところの審議会整理法案、それから許認可整理法案、それから今度審議がされますところの行管庁設置法改正案、こういう四本であるわけです。事務レベルの話し合いの比較的ついたもの、抵抗比較的少ないもの、それは大変な問題もあったとは思いますけれども、当初のかけ声やあるいは閣議決定の多くの事項の中に比べたら比較抵抗の少ないものというような感じであります。  もちろん中央省庁統廃合とかあるいは国家公務員定年制導入というのも、たしか前国会で私がお尋ねしたときは五十三年度実施、五十四年度法制化と時期まで挙げておられたのに、検討という表現に後退されている。あるいは定員削減計画にいたしましても、大臣、これは実は定員削減計画ではないのですよね。もちろん実際はそういう新しい行政ニーズもふえているからしようがない点もございますが、二千数百人ふえているのでございまして、定員抑制計画と名前を変えた方がむしろいい。削減は大してしていない。むしろ新規増というものがあるわけですから、部分的に削減されていても、片や行政機構としてはふえているわけですから、国民からするならば削減とはちっとも言えないというような状況であります。  そういうようなことで、昨年来のかけ声並びに十二月二十三日の閣議決定進捗状況、いろいろなものを見ましても、進捗状況はかなり悪いという感じを否めないのであります。こういった状態について、御担当の大臣としてどのような御見解を持ち、またこれからどのようになさろうとしているのか、ひとつ勇気のある大胆な御見解を承りたいと思います。
  10. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 御質問の点、あるいはそういうふうにお考えかもしれません。しかし昨年十二月二十三日に決定した行政改革案は、新自由クラブ提案の要旨も全部読ましていただきまして、取り入れらるべきものはかなり取り入れたつもりでございます。しかし、きわめて大胆であって規模が大きいのでございます。  いま一番大切なことは、不況をどうして乗り切れるか、雇用をどうしたら増大できるか、また失業対策問題はどうしたらやれるかというような大きな課題がございます。加えて円高問題、ひいては円高問題から関連いたしまして貿易の問題、いろいろ大変な問題がありまして、なるべくそういうことに支障のないようなことも一面考えていかなくちゃならない、こういうような問題に迫られていると思うのでございます。  しかし、行政改革をして税金のむだ遣いをしないようにする、これは当然国民に奉仕すべき大問題でもございます。したがいまして、その御趣旨の中には各省庁統廃合というようなことが中川さんの頭にあるのじゃないかと思うのです。しかし機構において、農林省を二百海里の問題等ありまして農林水産省に改組する。それから、中央省庁の課を二年間に五十一整理をする。地方出先、支所、出張所等約千カ所の整理を断行する。それから国家公務員、これも今後三年間に二万八千人を削減するというような問題から、定年制導入も行う。これは人事院といろいろいま研究中でございますが、これは断じてやることに決定をしたわけでございます。それからいろいろ非難のあります特殊法人整理統合、こういうものも二十一やるということで、いま十四を対象整理をしております。この特殊法人の問題については大変いろいろな問題がありまして、役員の退職金等が多過ぎるのじゃないかというので二割削減するというようなことも決定するし、それから横滑りだ、やれ何だというような問題もありまして、これも規制をする。それから審議会等についても四十八を整理統合するということ。それから補助金等につきましても、千四百二十二億という大幅な整理をすることを決めまして実行しております。それから許可認可等事務整理合理化、千二百四十事項について廃止をしたり規制の緩和をする。それから手続、これはいろいろ地方からの意見もありまして、徹底的に簡素にする、こんなことを実行していくつもりでございます。  しかし、これで十分とは思っておりませんが、新自由クラブの御提案、まことに熱意のあることは私も心から敬意を表しますが、総論ではこれを切れあるいはあれを切れと言うが、各論になりますと、これはなかなか、関係のところからそれはもうとても熱意のある陳情がありまして、口では言えますが、なかなかこれは大変なことだと思うのです。いろいろ考え合わせて、御不満な点もあるかもしれませんし、またもっともっと改革しなければならない点もございますが、鋭意努力いたしまして、御期待に沿うようにしたいと思っておりますと同時に、法案も出しておりますから、どうぞ御審議をいただいて、ぜひ御賛成をいただきますことをいまから陳情しておきます。  以上であります。
  11. 中川秀直

    中川(秀)委員 私はかつて政治記者をやっておりましたが、大臣のお人柄は本当に年々ますます円熟味を増されたという感じがいたしますね。大臣は、私の記憶ではたしか実業界の御経験もおありになるだろうと思うのですが、民間経営の場合に、危機に瀕しているときはそんな関係各方面の熱意もこれありというようなことで商売をしていたら、みんな倒産してしまうわけです。いまわが国の財政危機というものは、私は一時的なものではなくて、はっきり言って構造的なものだと思います。その構造的な財政危機の中でいまの膨張した行政需要仕事ですね、それと同時に行政機構を支えることもなかなかむずかしくなってくる、年々むずかしくなってくると思います。  そういう見地に立ちますと、むしろ行政がどこまで仕事をしていくかという行政総量も見直して、はっきり言って市場経済でこれが支給できるものとか、あるいは家族のケアで十分やっていけるものとかいうものまで国が手を出すことはない、行政が手を出すことはない、そういう公私の分担というものも本当に突っ込んで検討して、行政総量も私は見直して、その上で陳腐化した行政機構の大改革に着手をするという発想を持ってやっていかないと、根が構造的なんだから、小さなものだけいじってみても本質的な解決にはなかなかならないのではないかという気が非常に強くするわけです。  そういう考え方からすると、私どもはもう国会議員の数も減らせ、その上で政治のリーダーシップでやりなさい、こう言っているわけです。大臣もお読みいただいたと言うからあえてくどくは申し上げませんけれども、私もいま大臣お話しになったようなことはよく読んでおるのですから、繰り返して言っていただかなくても結構なんでございますが、行政改革のあり方として、たとえばイギリスあたりは、マネジメントレビューという方法一つの物差しをつくって、五年に一巡式で各省庁全部の行政についてチェックをしているのですよ。それで五年で一サイクル全部チェックをし終わって、要するに十年に一遍などという行政改革ではなくて、継続的にどんどんやっているわけですよ。  ところが日本の場合は、大きな部分については、何か十年に一遍思い出したようにやるというような改革のような気がしてならない。これを継続的にやるためには、私は、やや昔の発想になるかもしれませんが、かつて法制局というのがあって、大蔵省主計局と同じぐらいの力を持っていた時代がありました。行政改革も、そういう中で法制局的な仕事と絡み合わせて行われていたわけですが、そういった考え方をもう一回取り出して、行政管理庁の力も相当引き上げていかなければいけないと思うのです。たとえば定員管理等の問題で言うならば、人事院中立官庁中立機関ですから、これまでというわけにはいかないけれども総理府人事局行政管理庁法制局あたりが何らかの統合という方向へ向かっていってもいいと私は思う。そういう形でイギリス式マネジメントレビューをやっていく、こういう方法はとれないものかどうか。  ある新聞報道によると、これは大臣の写真が出ている新聞ですね。ことしの三月七日「行政管理庁は、今後の行政改革検討課題をまとめた。」「総理府人事局行管庁に吸収する」、その他いろいろありますけれども、見出しはそういうようなかっこうになっているわけですね。この新聞記事が事実とするならば、やや私どもの主張を取り入れていただいているという感じがするのでありますが、大臣、こういう報道も踏まえて、どうなんですか、そういう思い切った体制整備の行政改革を継続的な発展のためにする必要があるんじゃないですか。御見解いかが、お伺いをいたします。
  12. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 確かにお話また御意見はそのとおりでございまして、決して私は否定するものじゃございません  それからそこに人事局、これは私はまだ何ともしゃべっていないのに新聞が出たので、それは私は発言はしてございません。しかし御趣旨の点よくわかります。明治以来、日本の行政は大体においてふやす一方で来たわけです。国の経済、いろいろな面もブレーキのかからない、前進だけだった、こう申し上げてもいいと思うのです。しかしこういう内外の非常にむずかしいときでございまして、おっしゃるとおり、思い切った行政改革をすることが必要であることは申し上げるまでもございません。  いま英国のお話もありましたが、英国でもずいぶん研究しているようだがなかなかうまくいってないと私は思うのです。よその国の批判をしては悪いのですが、決して満点とは思いません。  それじゃ日本はどうするかと言うと、おっしゃるとおりで、改革の速度がなかなか速まっていないのはまことに遺憾だと思います。これはおたくの新自由クラブ発想で、なかなか思い切ったことをお書きになっているようですが、あなたの方が内閣をとったって、そう簡単にはこの整理はできないと思うのですよ。これは読んでみると、肥大した行政の総点検をして国民生活省を新設しろ、これは賛成です。中小企業省の設置を行え、なおエネルギー特別補佐官制度の設置、国土庁と環境庁のあり方を再点検して両方を統合する、それから中央省庁の局、部、課を一律に一割削減をしろ。どれもこれも私は決して反対じゃないのです。賛成をし、やらなくちゃならないようなことを——これはあなたが案をつくられたと聞いておりますが、敬意を表しますが、さっきいろいろ申し上げるように、景気の回復、そういうような問題に余り邪魔にならないように、それから各省庁統廃合というのは、やはり政治の基礎をごじゃごじゃにすることは大変だと思っておりまして、そういうことにも邪魔にならないようなことを考えつつ、ひとつなるべく速度を速めて行政改革の実行をしたい、こういう考えでおります。どうぞ御理解をお願いいたします。
  13. 中川秀直

    中川(秀)委員 大臣、賛成したら、大臣らしく大いに思い切ってやっていただかなければいかぬ、こういうことになる。国民生活省、おやりになりますか。労働省、厚生省を統合して生活行政、福祉行政の一元化を図る。おやりになりますか、いかがですか。
  14. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 趣旨には賛成でございますが、ひとつ鋭意努力をいたすことをお約束はいたしますが、すぐにこれをやれと言ってもなかなかそうもできないだろうと思う。しかし速度を速めつつ改革に向かって前進をいたします。
  15. 中川秀直

    中川(秀)委員 先ほどの問題、ちょっと事務当局にもお伺いをしますが、大臣は御発言になってない、しかし新聞報道が全くでたらめということはないわけですから、何らかの動きがあると思うのです。     〔高鳥委員長代理退席、委員長着席〕 定員管理その他重要事項について機動的に対処するために、行政管理庁総理府人事局と何らかの統合をお考えになっているのか、事務当局、いかがですか。
  16. 辻敬一

    ○辻政府委員 先ほど御引用になりました新聞記事につきましては、大臣からもお答え申し上げましたように、私どもで発表したものでは全くないわけでございます。  先ほど来御指摘のように、行政管理自体の機構の問題については、いろいろ御意見のあるところでございます。確かに戦前は法制局がそういう官制でございますとか定員を取り扱っていたわけでございますし、また私どものやっております定員管理あるいは機構の管理の問題と、人事でございますとか給与でございますとかいう問題は密接な関係のあることは事実でございます。しかしそれをどのように考えていくかということになりますと、先ほど来大臣もお答え申し上げておりますような中央省庁全体の問題とも関連してまいります。現在の行政機構の骨格をなす問題でございますので、その点につきましてはなお慎重に検討すべき問題であろう、このように考えております。
  17. 中川秀直

    中川(秀)委員 慎重かつ前向きに、大いに検討していただきたいと思います。  次の問題で、行政組織法の現状並びに将来という問題について若干の御提案をして御見解を伺いたいと思います。  かつて行政組織法の改正、行政改革推進のために部局、出先機関、付属機関、こういうものの整理合理化を機動的ならしめるために、法律によらない、政令でできるようにすべきであるという発想はずいぶん昔からあって、同時にまた、われわれもある程度理解をしているわけであります。  ここで提案なんですけれども、局まではいろいろむずかしい点があるかもしれませんが、部や地方出先機関、しかもその削減の場合は国会の議決によらない、政令事項に任してもいいと私は思っているのです。しかし新設で増加をしていくという場合はもちろん国会の議決が要る、こういうふうに分けて考えられたらいかがか、こう思うわけですが、いかがでしょうか、見解を伺いたいと思います。
  18. 辻敬一

    ○辻政府委員 ただいま御指摘のございました行政組織法の問題につきましては、御承知のように、かつて四十六年から四十八年でございましたか、三回にわたりまして機動的に処理できるような改正案を御提案申し上げておったことがあったわけでございますが、廃案になって今日に至っておるわけでございます。私どももこの組織法制の問題をどういうふうに考えていくか、ただいま検討している段階でございまして、できるだけ弾力的な処理ができるような方向で勉強してみようと考えております。  ただ、ただいまおっしゃいましたように、新設のときは法律事項で、廃止のときは弾力的にやるという御見解でございますが、そういうふうに分けて処理をするのはなかなかむずかしいのではなかろうかと考えております。いずれにいたしましても、御趣旨を体しまして、なお勉強してまいりたいと思っております。
  19. 中川秀直

    中川(秀)委員 一つの思いつきの提案ですので、可能ならば、そういう方向考え検討していただきたいと思います。  では、審議会一括整理法案の中身に入らしていただきます。  この審議会整理法案、私はいろいろ細かく考えてみたのですけれども、今度の整理の物差しは、必要性の低下したものあるいは活動の不活発なものの廃止、それと、類似のものの統合、あるいは審議内容が地域的に限られているもの、これの移管、あるいは常設でなくてもいいものというような、そんな物差しで選ばれているようであります。これについては、そのようにも書いてありますから、御答弁は要りません。  ところが活動不活発なものという中に、これは全部が全部ということは確かに言えないと思いますけれども、いささか古い資料で恐縮ですが、五十年度、五十一年度、つまり昨年の春までですね、全く審議会が開かれていない、総会も部会も開かれていないという審議会が十三審議会あります。それから総会ないし部会が一回ないし二、三回五十年度に開かれて、五十一年度は全く開かれなかったという審議会が十審議会あります。いま一度申しますと、両年度にわたって全く開かれていないという審議会が十三、五十年度はちょっと開かれたけれども五十一年度は全然開かれていないという審議会が十審議会ある。これはいずれも整理対象になっていない審議会の中から選び出したものであります。  中には公務員制度審議会とか選挙制度審議会とか、確かに開かれていないが将来にわたって重要であるという審議会もあります。しかし考えようによっては、これはどこかに統合できるのではないかという審議会も、たとえば国民生活審議会が一方にあって、国民生活安定審議会というのがございますけれども、この国民生活安定審議会の方は五十一年度は全然開かれていません。あるいは臨時大学問題審議会、今度は整理対象になっていませんが、これも両年度にわたって全然開かれておりません。具体的に挙げるのがいいかどうかわかりませんけれども、いずれにしてもやはり検討対象にしたのかどうかもわかりませんし、中央生乳取引調停審議会などというものも両年度にわたって開かれておりません。石油需給調整審議会というのも開かれておりません。私は、内容、設置目的を全部当たって発言しているわけではないのですけれども、少なくともこういう開かれてない審議会がかなりあって、対象になったのかどうか。それではなぜ今度の整理法案には入らなかったのか。逐一の御説明をいただいたら時間がかかりますから、総論で結構ですから御答弁を願いたいと思うのです。
  20. 辻敬一

    ○辻政府委員 お話しのように、今回廃止あるいは統合対象にいたしております中に、開催実績不活発のものがあるわけでございます。  そこで、中川委員の御指摘のものと若干データが違うわけでございますが、私どもの資料でございますと、過去三カ年間、五十年度から五十二年度まで開催実績のない審議会が十五ございます。その中で、ただいまお話がございましたが、公務員制度審議会や選挙制度審議会につきましては、今後調査審議すべき基本問題が出てくることが予想されますので、整理対象にしなかったわけでございます。それから不服審査のための審査会、審議会がかなりあるわけでございますが、こういうものは、たまたま案件がございませんでも、そういう不服審査の仕組み自体は必要でございますので、存続をさせているわけでございます。関税不服審査会でございますとか自動車損害賠償責任再保険審査会は、この間審査案件がございませんけれども機構自体は存置しておく必要があると考えたわけでございます。それから臨時大学問題審議会につきましては、処理案件はなかったわけでございますけれども、御承知のように、大学紛争に関する制度と一体的に検討した方がいいのではないかということで今回は見送っております。  そこで、この十五審議会の中で、廃止をいたすことで御提案申し上げておりますのが三審議会ございます。それから三審議会につきましては、統合するわけでございます。その残りにつきましては、ただいま申し上げましたような理由によりまして今回の整理統合対象にしていない、かようなことでございます。
  21. 中川秀直

    中川(秀)委員 私も不服審査会は名前も挙げませんでした。それから基本問題をやる公務員制度審議会あるいは選挙制度審議会については理解をすると申し上げたのですが、それ以外のものについても、どうしてこれは対象にならなかったのかなという感じのものが若干ある。私は、三年間にわたって開催ゼロという資料は持っておりませんが、両年度にわたってゼロもしくは一、二回、そういうものだけ拾い出してみたわけですけれども、きょうは余り時間がありませんから、これについては、いま一度何らかの形で御説明を願いたい、こう思っております。それをお願いしておきます。  それから今度の審議整理法の中で幾つか問題点を指摘いたしますが、たとえば廃止に伴う問題点として、今度廃止が六審議会あるわけですけれども、労働基準監督官分限審議会、これは設置法上は廃止するけれども、なお政令でいつでもこの審議会設置ができるという措置をとることにしていますね。それから連合国財産補償審査会もなお政令で置くことができる、こうされていますね。それから電気主任技術者資格審査会の廃止に伴って、電気主任技術者資格審査委員を置くということになっている。完全な廃止というのには、うたい文句にしてはずいぶん尾っぽが残っておるなという感じが私はするわけです。連合国財産補償審査会あるいは労働基準監督官分限審議会の場合は、設置形式には若干問題があるのではないかという気が私はするのです。設置法上は廃止するけれども、政令でいつでも正規の審議会等になり得る、こういう感じがあるわけです。法制上こういうのはどうなんだろうかという気がするのです。  審議会の設置形式というのは、各省設置法に根拠を設けて、委員構成や定数等は政令で規定するというやり方と、実体法でその根拠を設けて、あわせて同時に各察庁設置法が改めて付属機関として規定する方法と二通りありますけれども、いずれにしても、その所掌事務と設置の根拠は法律規定されているわけですね。それが基本的な発想ですね。ところが、この廃止される審議会のうちの三つは完全な廃止でなくて、そのうちの連合国財産補償審査会、労働基準監督官分限審議会の設置形式はいつでも政令で審議会になる、こうしている。私は、随時政令だけで定めるというのは国民に対するカムフラージュではないかという気がしてならないのですけれども、御見解いかがでしょうか。
  22. 辻敬一

    ○辻政府委員 労働基準監督官分限審議会につきましては、御指摘のように常設の機関としては廃止をいたしまして、監督官を罷免するような事案が生じました場合には、その都度設置するということに改めるわけでございます。  それから国家行政組織法八条との関係につきましては、八条一項に法律の定めるところにより置くと書いてございますけれども、これは必ずしも何々審議会を設置するというような形の、いわば積極的規定に限定されるものではないのではないか、設置の根拠が法律規定されておれば足りる趣旨であると私ども考えておるわけでございます。  それから連合国財産補償審査会につきましては、この審議会が活動する事態はほとんどないと考えまして廃止するわけでございますけれども、将来政令によりまして設置できる可能性を残しましたのは、連合国財産補償の関係でボリビアとコロンビアとルクセンブルクの三国につきましては、審査請求を行います理論的な可能性と申しますか、余地がまだ残っておるわけでございますので、そういうことも考えまして、国際信義上の問題と申しましょうか、万一の場合には置けるような形で対処することにいたしたわけでございます。  それから電気主任技術者資格審査会につきましても、お話しのように試験委員を設けたわけでございますが、これは行政機構の簡素化というような趣旨からまいりまして、審査会形式を廃止して、簡素化して試験委員形式に移行する、こういうことにした次第でございます。
  23. 中川秀直

    中川(秀)委員 先ほどお話をしたように、審議会等委員構成、定数等は、その根拠とともに実体法で規定する場合と政令で規定する場合とありますが、そのいずれの方式をとろうとも、少なくとも各省設置法に審議会等の名称等が必ず規定されておるというのがあるべき姿ではないか。政令や何やらでいずれも息を吹き返すというようなやり方というのは、私は望ましい方法ではないと思う。こういうことがどんどんやられるようでは、私はやはり若干問題があるように感ずるのであります。なるべくそういうことがないように御注意を願いたい、こう思うわけであります。  それから統合等の問題も、御注意を願いたいという意味で若干の指摘をさせていただくわけですけれども、三十九審議会を統合して新たに十審議会を設置するということにしておるわけですが、各種開発審議会十四を統合して国土審議一つにまとめるというこの国土審議会にしましても、特別委員会を設けることができることになっておりますね。そして特別委員会の決議をもって国土審議会の決議ができることになっておるのですか、そういうことになると、実態は余り変わらないという感じも若干してきますね。形式的に十三審議会を廃止して、そして統合、私はこれが悪いと言っておるわけでは決してないんですが、特別委員会をどんどんつくって、特別委員がどんどんふえて、そしてその決議で審議会と同じ役割りを果たすということになると、結局いままでの審議会が特別委員会という名前になっただけで、同じになるではないかという感じもしないではない。これが第一点。  それから審議会等の設置形式ですけれども、中央精神衛生審議会、栄養審議会等が、現在はそれぞれ実体法で委員構成等が規定されておるわけですけれども、今度は公衆衛生審議会に統合される結果、同審議会の設置根拠のみが設置法で規定されて、委員構成は政令で規定されるということになるのですから、そういうことになると、できる限り法律委員構成等も、こういう公衆衛生あるいはいろいろな食品公害等の問題も絡んで、あるいは精神衛生審議会にも微妙な問題、審議事項がたくさんあるわけですから、こういう委員構成も政令だけで一方的にできるということになるのが果たしていいのかどうか、私は、これも若干問題があるのではないかという気がするのです。  その二点御見解を伺って、いずれにしても私は、やり方、方向が全部悪いと言っているわけじゃありませんけれども、そういう問題が若干ある、そういうことはやはり気をつけていくべきではないかと考えているということを申し添えまして、御見解を聞きたいと思います。
  24. 辻敬一

    ○辻政府委員 国土開発の問題につきましては、申すまでもないことでございますけれども、一方におきまして全体の総合的な観点から見る必要があるわけでございます。それとともに、各種の、地域でございますとかそういう特殊性、個別性にも着目する必要があるわけでございます。  現在の体制でございますと、何と申しますか、相当縦割りの体制でございますので、今回これを一つ審議会にまとめることにしたわけでございますけれども、そのことによりまして、特殊性、個別性を無視されるようなことであってはならないわけでございますので、今回御提案申し上げておりますような特別委員会の形式が一番妥当ではなかろうかというふうに判断したわけでございます。それから全体としての委員の数などもこれによりまして減りまして、簡素合理化されるわけでございます。  公衆衛生関係審議会につきましてもおおむね同様でございまして、ただいま結核、伝染病、精神、栄養というふうに分かれてあるわけでありますが、これをもう少し広い見地と申しますか、高い立場と申しますか、公衆衛生全体の立場から総合的に検討する審議会の方がいいのではないか、そしてまた、必要に応じまして、結核、精神等につきましては、それぞれの部会において御審議をいただく、そういう体制の方がよろしいのではないかと考えたわけでございます。  なお、委員構成の細かい点を政令に譲っている例はほかにもございますので、そういうことも勘案いたしまして、今回の措置にいたしたわけでございます。
  25. 中川秀直

    中川(秀)委員 繰り返しになりますけれども、二つまたは三つの審議会を一つにして、委員定数や構成は政令にゆだねる。そうすると、たとえば三つの審議会を一つにして、三つの部会をその一つ審議会の下に置く、そして各部会が委員定数等従前と全く同様だということにしますと、何のための審議整理かということになってしまう、もしそうだとするならば。だから、この点についても、政令でゆだねられているところというのは若干問題があるといまでも私は思っているのですけれども、少なくとも今後、委員定数を政令でこういうふうにした心ということは逐一国会に報告していただきたい、こういうふうに私は思うのです。改めてその点だけお尋ねをしておきます。
  26. 辻敬一

    ○辻政府委員 委員の数が統合によりまして必ずしも減らない場合もあり得ると思うのでありますけれども、その点につきましては、審議会の整理統合委員の数の縮減あるいは経費の節減ばかりを目的としているわけではございませんで、行政の簡素化あるいは能率化ということが大きな目標であるわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、統合することによりまして、より高い立場から総合的に御検討いただけることになるというのは、それはそれとして一つのメリットであるというふうに思っておるわけでございます。  なお、御指摘の点につきましては、適宜の方法によりましてその結果を御報告させていただくことにいたします。
  27. 中川秀直

    中川(秀)委員 ついでと申し上げては大変申しわけありませんが、一度こういう資料もおまとめ願って、御説明を願いたいと思うのですが、この臨調答申の審議会改善方針、あるいは四十一年の政府の改善方針では、国会議員や政府職員を委員にしない、利害の対立する審議会では公益委員の数を過半数以上とする、一人で四つ以上の委員を兼務させない、任期十年を超えない、そういうようなことが柱になっていたと思うのです。この改善方針と現実の状態がどういうふうになっているのか、私は、一度管理庁において資料をおまとめ願って御説明をいただけないものかと、こう思っているのですが、これもひとつお願いをしておきたいと思います。  それとあわせて、行政監理委員会の委員長は、ちょっと確認をさせていただきますが、どなたなんですか。
  28. 加地夏雄

    ○加地政府委員 行政管理庁長官委員長でございます。
  29. 中川秀直

    中川(秀)委員 今度の審議整理法でも、大臣会長制の廃止あるいは次官等の会長制の廃止というのが、三つ審議会があります。かつて臨時行政調査会は、大臣会長制をとらずに、会長は当時三井銀行会長の佐藤喜一郎氏がおやりになりましたね。ところが、行政監理委員会になってからはずっと大臣会長制が続いているわけです。大臣会長制をとるべきでないという考え方は、先ほどの臨調答申やあるいは四十一年の政府の審議会改善方針の中にも、基本原則としては盛り込まれていたと私は記憶するのでありますが、そういう見地からいうと、むしろ行政監理委員会自身が大臣会長制を廃止するぐらいの意気込みでなければ、私は、各省庁に対してだってそういう廃止というものは力強く行われがたいと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  30. 加地夏雄

    ○加地政府委員 現在の行政監理委員会は御指摘のように、臨時行政調査会の答申に基づきまして設置されたわけでございます。  確かにその行政監理委員の性格をどうするかという点につきましては、臨調答申ではむしろ組織法の三条機関的な性格のものとして構成すべきである、こういう御答申でございました。現実にその臨調答申の趣旨に沿いましてでき上がった現在の監理委員会は、組織法上の性格から申しますと八条機関でございます。したがって普通の審議会でございますが、委員長をだれにするかという問題で、現在のような行政管理庁長官委員長を兼ねるというふうに行政監理委員会設置法で決まったわけでございます。  そのときの考え方を私ども伺っておりますのは、御承知のように、行政監理委員会が何をするかということでございますが、設置法の中に書いてございますように、行政制度あるいは行政運営の改善ということで、大きく行政改革を目標にした活動をなさるわけでございます。行政改革というのは、御承知のように、これは政府全体、各省を通じた問題でございまして、そういった改革の議論というのは常に閣議の場で議論されることが非常に多いのではないか。したがって、国務大臣行政管理庁長官が監理委員会の委員長を兼ねておりまして、その監理委員の御意向を十分踏まえながら閣議の場でそういった監理委員会の意向を反映させていく、逆にまた、閣議の席におけるいろいろな御意向も監理委員会の審議を通じて審議を進めていく、こういうことがベターではないかということで大臣委員長制が決まったというふうに私ども伺っております。
  31. 中川秀直

    中川(秀)委員 勧告の場合は質が違いますけれども、答申を出す側が現実には受け取る側の人と同じ委員長であるということ、私は、これはどう議論してもやっぱりおかしい点がどうしても残ると思います。確かに、お話しのとおり閣議の席や政党あるいは各省庁への事前根回しというようなことを考えてみますと、大臣会長制は便利かもしれません。しかし、基本的に国会議員と役人は、原則として審議会の委員にすべきでない、こういう原則でやるんだ、こういうことになって、この審議会というものが議論をされてから久しいわけですけれども、そういうことを推進すべき行政管理庁行政監理委員会が大臣会長制をおとりになっているというところは、私はこれからの行政改革考えた場合に、従前の程度のそれに対する認容度ではないという気がするのです。ひとつ大いに検討していただいて、前向きに大臣、勇断をふるっていただきたいと思うのですが、御見解いかがですか。御自身でこのことについて言えというのは無理かもしれませんが、大臣ひとつ教えていただきたいと思います。
  32. 加地夏雄

    ○加地政府委員 先生御承知のように、今回の審議整理の中にも、審議会の大臣委員長制を具体的に廃止をしている例があるわけでございます。今回の審議会の大臣委員長制の整理考え方は、その審議会なり委員会の答申なり勧告が、それを受けたその省なり庁だけで処理できるような場合には大臣会長制をやめる、こういう一つの基準があるわけでございます。それに対しまして、先ほど申し上げましたように、監理委員会の委員長は、業務の性格上これは全省庁に通ずる問題でございますので、今回のそういった整理考え方からいたしますと、そういう趣旨のあれには合わないということで実は見送ったようなわけでございます。
  33. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 ただいまの御質問で、いまお答えしたとおりでございます。ひとつよく研究してみましょう。
  34. 中川秀直

    中川(秀)委員 よろしく研究してみてください。  では、許認可整理法案についてお尋ねをいたします。今回の許認可整理法案は、五十三年度末に千二百四十項目、法律もございますし、それから政令、省令、通達での改正もございますが、千二百四十項目についてやる、こういうことでありますけれども、各省庁が所管をする許認可について、整理事項をまとめて行管庁が調整役となって成案化をしたというやり方だと思います。この方法による整理の進捗率というのは、確かにきわめて良好だと私は思う。しかし翻って、もっとさかのぼりまして昭和三十九年、臨時行政調査会の指摘した許認可整理事項、それから行政監理委員会が四十九年の十一月の六日に、「許認可等に関する改善方策についての答申」、これで指摘した事項、こういう事項の進捗率は、必ずしも私はよくないと思います。  たとえば具体的に申し上げますが、臨調答申は三百七十九事項措置をしなさいという答申を出したんですけれども、現在まで措置をしたのは二百五十三事項、残っているのが百二十六で、今回十一事項整理をいたしまして、残りは百十五事項、進捗率は七割であります。昭和三十九年から考えて七割、もう十四、五年たつわけですね。それから行監答申の指摘事項は二百十九事項で、措置したのが百九、残っていたのが百十で、今回二十九事項整理をいたしますので、残りは八十一、この進捗率は六三%です。四十九年で四年たって六三%の進捗率。さらにもう一つ言うならば、これは西村前長官も大変よく熟読玩味なさったというので、私も大変敬意を表していたのですけれども、昨年の七月に全国知事会がいろいろ地方分権の立場からも許認可事項について意見書をまとめているわけです。これでの指摘事項が四十九ございますけれども、内容を読んでみると、これは許認可事項でないとかあるいは意見がはっきりしないというのが十事項ぐらいありますから、事実上許認可事項と言えるのは、知事会指摘意見の中では三十九事項あるのです。今回措置するのが八事項です。そうすると、三十一残っているわけです。そのうちには行政監理委員会が指摘したものが十一ございますからダブっておりますけれども、臨調で昭和三十九年に答申をしたその中で、許認可事項はこれだけ整理統合しなさいという中で、残っているものが合計百十五、今回の整理法案にも入っていない、残りというものが百十五、行監答申が八十一、知事会が、ダブりを除いて二十あるわけです。合計二百十六意見が出されていて、なおまだ手がついていないというものが残っているわけです。しかも、行政監理委員会の許認可に関する検討作業の経過を読んでみますと、検討対象となったのが全部で千二百二十二事項あって、そのうちの九百八十一事項が、今後「意見要望等の方向で推進することにつき当面成案が得られない事項」なので、今後検討するのだということで、いまの数字から残された数字で、事項としては挙げられているわけです。それらを合わせますと、全部で千百九十七あるわけですね。意見が出たり検討されて、今後検討するのだとされていてなお整理がされていないというのがそれだけある。行政監理委員会が一応今後の検討対象として答申しなかったものを除いても、ちょっと一方的なおしゃべりになって恐縮ですが、行監答申で措置すべきだとされて手がつかない、あるいは知事会でやっていただきたいという意見が強く出されていて手がつかないというものを各省別に割ってみまして、そして今回措置したものを抜き出していろいろ行監答申プラス知事会でこれだけやってもらいたいという指摘事項、その改善率を今回の法案まで含めてパーセンテージでとってみますと、ワーストテンというのが出るのですよ。  これは私のつくったものなんですが、順番を申し上げますと、公正取引委員会は三事項指摘をされていまなお改善はゼロであります。だから〇%、自治省は改善事項が指摘されたのが五事項あって、今回なおやっていないというので〇%、これはワーストワンですね。同率首位です。それから農林省が二十三事項指摘をされて、改善は今回の一つ、したがって四%ですね。大蔵省は十三事項指摘をされて改善が今回の一つ、したがって七%、これは第四位、悪い方の四位ですよ。それから通産省は二十事項指摘をされて改善が今回の三、したがって一五%です。法務省は十二事項指摘をされて改善が二ですから一七%。運輸省、十一事項指摘をされて改善事項が二で一八%。環境庁、九事項を指摘されて改善が二ですから二二%。建設省、十五事項指摘をされて改善が五ですから三〇%。労働省は五つ指摘をされて、改善が二ですから四〇%、文部省、二つ指摘をされて、一つ改善をいたしますから五〇%、厚生省は大変成績優秀ですね。十九事項指摘をされて改善が十、したがって五〇%以上と、こうなっている。  いろんな役所でもこれだけ成績が違うんですよ。そして比較的現業事業官庁の許認可の数がまだ改善をされていないという傾向が見られる。これは行政管理庁がおつくりになったものじゃない、私がつくったものですよ。しかし、数字は絶対に間違いはない、全部拾い出してやったんですから。こういうことでまだ多くの点が残されているわけなんです。各省に、私のところの成績が悪いのはこうです。ああですという御答弁をもらったら、一時間あったって足りませんからいただきませんが、荒舩長官、こういうふうに各省でも成績率がいろいろ違うんですが、いかが思われますか。
  35. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 ただいま先生から非常に詳細な数字を挙げられまして御指摘がございました。許認可の整理につきましては、私ども大体二つの方法をとっているわけでございます。一つは、臨調あるいは行政監理委員会、そういった第三者機関が各省庁に対しまして、こういう許認可については整理したらどうかということを提案する方法と、もう一つは、各省庁自主的に総点検をいたしまして、それで整理をしていく。取りまとめは私どもがやっているわけでございますけれども、そういう方法を織りまぜてやっているわけでございます。  それで先生御指摘のように、臨調あるいは行政監理委員会の指摘事項あるいは知事会の指摘事項、これについてなかなか全部が入ってこない、進捗率が悪いんじゃないかという御指摘でございます。これにつきましては、いろいろな理由が考えられるわけでございますけれども、たとえば先ほど申しました第三者機関がそれをやっていくという場合に、各省庁がなかなかやりにくい許認可まで全部指摘をしていくというようなことがございます。それで進捗率がちょっと悪くなるというようなことがございます。それに対しまして、各省庁自主的に総点検してやってくるものにつきましては、進捗率はいいというような結果が出ておるわけでございます。  それで、ただいま先生が御指摘になりましたような残りのものをどうするのかという点でございますけれども、これは千二百四十事項につきましては、五十三年度末までにそれを措置していくというふうな態度でいるわけでございますが、残りのものにつきましても、機会をとらえましてそれを整理していく方向に持っていくというふうに考えておるわけでございます。
  36. 中川秀直

    中川(秀)委員 大臣にもぜひとも御答弁をいただきたいのですが、知事会の御意見一つのお立場もありますから省略をいたしますけれども、この行政監理委員会の答申というのは、大臣委員長をやっている委員会が大臣に対してやったんですよ、答申したんですよ。大臣は当然これに対して、推進する一つの義務また使命がある。それすらまだ六三%なんです。しかも各省庁によると、厚生省あたりはどんどんやっているのに、全くやってないというところもあるんですね。いろんな状況はあるでしょうけれども、各省によっても成績がばらばらなんです。先ほど大臣会長制についても大いに研究してみるというお話でしたけれども、もし大臣会長制のメリットが、大臣が会長であるがゆえに閣議でもあるいはそんないろんなところでも十分根回しも押しもきくんだというところにあるんだったら、大いにこれはやっていただかなければ、会長制自身のメリットも、そのことについては先ほど議論したから触れませんけれども、ないということになってしまう。いま事務当局の御答弁がありましたけれども、私は、これは大いに前向き検討して、機会をとらえてやっていただかなければならない問題だと思いますが、大臣の御決意を聞きたいと思うのです。
  37. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、鋭意努力いたしまして実行いたします。
  38. 中川秀直

    中川(秀)委員 あと十五分ぐらいありますから、時間の許す限り具体的な、残されている問題をやらせていただきますけれども、自治省と大蔵省お尋ねをいたします。  地方債の許可ということについて、地方自治法第二百五十条、地方自治法施行令百七十四条で、「一件五百万円以上は、自治大臣と大蔵大臣が協議して自治大臣許可する」ということになっているわけですね。この「運営の実態」というのが、知事会の意見ではこうなっているのです。「政府資金だけでなく縁故資金についても、また、一件五百万円未満のものについても、知事と財務部長が協議している。また、各市町村は県と財務部に重複申請し、財務部にも事業内容を詳細に説明している。また、年金積立金環元融資について都道府県を通じて厚生大臣にも写を提出することとなっている。このため、都道府県及び市町村とも起債申請に相当な事務手数と日数を要している。」したがって「知事と財務部長との協議制度は廃止」をして「資金面の調整協議は国段階で十分である。」こういう意見が出ているわけなんです。これについては、五十二年十一月一日の参議院の地方行政委員会で法制局長官真田さんが、市町村の起債は都道府県知事に許可権限があり、法的には大蔵省と協議する必要はないという見解を出されているわけです。  こういう問題が現在あって、このことについてはいろんな御検討をされているというのも漏れ聞くわけですけれども、これらの積み残しの問題です。大蔵省、自治省、知事会の御意見というものにどういう御見解を持っておって、そして同時にこれから具体的な方法としてどのような手をお打ちになろうとしているのか。私は、財政担当の大蔵省が率先してこういう行政改革、許認可整理というものに積極的に取り組むということが、大蔵省主計局がいつも言っておられる一つの財政需要を厳しくチェックするということの波及効果にもつながると思うのですが、両省の御見解をひとつお伺いをしたいと思うのです。
  39. 津田正

    ○津田説明員 自治省からお答えいたします。  いま先生のおっしゃいました点、多年の懸案でございますし、また現下の経済情勢におきまして、公共投資の円滑な推進をやらなければならない、こういうような状況でございますので、先般来大蔵省と話し合いをいたしまして、今後の地方許可手続につきまして次のように改善するというふうに合意を見て、具体的な細目を決めてきたわけでございます。  一つの点は、いわゆる一件審査というものをなるべくなくして、枠配分方式をとろう。そういうことによりまして地域の実態に即した事業がやりやすいようにしようということで、この枠配分の方式を拡大することでございます。  それから二番目は、先生御指摘の、特に問題となっておりました一般市町村分についての許可手続の簡素化でございます。内容といたしましては、補助裏債につきましては、補助金審査との重複審査を避けるために、これはもう思い切って簡素化する。それから全額民間資金につきましても、これは融資段階というものは直接民間金融機関との関係でございますので、これも思い切って簡素化するということでございます。従来、いま先生も御指摘ございましたが、市町村が計画をいたしますと、都道府県に申請書を上げるだけではなくて、財務部、財務局の方にも申請書の写しをやる、そしてヒヤリング審査を受ける。他方、県と財務局でいろいろ調整をするというようなことでございましたが、この補助裏債それから全額民間資金債につきましては、市町村からは起債申請書の写しも財務部、財務局にはやらない、また審査も受けない。そのかわり都道府県が市町村から受けたものの概要というものを財務部、財務局に移す、こういうようなことにしたわけでございます。従来行われておりました事前調整というものを廃止いたしましたし、具体的に今度は個々の市町村に地方債を許可する際におきましては、許可書の案を財務部、財務局に送付いたしまして、必要があれば財務部、財務局から意見を聞く、こういうようなことでございます。  こういうようなことによりまして、量的に申しますとなかなかむずかしいわけでございますが、五十一年度の実績から金額で推計いたしますと、一般市町村に対する地方債の半分程度がこの合理化対象になる、かように考えておるわけでございます。このことによりまして、事務処理の簡素化あるいは迅速化ということだけでなく、さらに先ほど申しましたように、地域の実態に即しました事業の円滑な遂行、計画的な遂行ということが可能になってくるかと存じます。  なお、自治省の問題と言うよりもむしろ大蔵省の問題でございますが、具体的に政府資金の融資を受ける際の事務処理につきましても、思い切った事務負担の軽減を図るよう大蔵省措置をしておるような状況でございます。  以上のようなかっこうにしまして、多年の懸案というものを解決した状況でございます。
  40. 鈴木達郎

    ○鈴木説明員 いま自治省から申し述べましたようなラインで大体の合意を見たわけでございます。大蔵省といたしましては、大蔵大臣が単に資金運用部の資金の管理者という立場だけではなくて、財政資金あるいは民間資金を含めた総合的な資金の調整者であるという立場もございますので、縁故債資金について全面的に関与しないというわけにはまいりませんが、いまのようなきわめて簡易な方法でもってできる限りの簡素化を図ったというのが現状でございます。  そのほかは、自治省から申し述べましたとおりでございます。
  41. 中川秀直

    中川(秀)委員 この問題だけでも本当に三十分ぐらいやりたいのでありますけれども、知事会の意見は、知事と財務部長との協議制度そのものを廃止してもらいたい、こういう意見なんですね。大蔵省、それは御存じですか。いまの改善のポイント、私は多年の懸案に対して大変前進であるとは思いますけれども、この知事会の意見はそういう意見で来ているわけで、また法制局長官も法的には大蔵省と協議する必要はない、こういう答弁をしているわけで、これでいいというふうに思わずに、より大胆に、先ほど指摘をしましたような運営実態にあるわけですから、知事会の意見に沿ってできる限り努力をしてもらいたい、こう思います。意見だけ申し述べておきますが、現状でいいというふうに考えないでいただきたいということであります。  それからもう一つ大蔵省に「貸金業の届出」というのがありますね。これはやはり知事会の意見でございますが、これについては臨時行政調査会でも答申で意見が出ているのです。「貸金業者に対する法規制は、反社会的行為の取締りとして行なわれるので、このような見地にたつとき、現在金融行政上有名無実となっている届出制は取締りの便宜上、国家公安委員会の所掌とすべきである。」こういうふうに臨調答申、意見書ではなっているわけです。私はこの点についても大蔵省、それから国家公安委員会の御意見も聞きたいと思うのです。  ちなみに、この貸金業の届け出についての実態を簡単に申しますと、「貸金業者が、その業を開始(変更、休止、廃止、再開等を含む)したときは、大蔵大臣に届出なければならないとされているが、業者からの届出の受理、報告の徴収、立入調査の権限は知事に委任されている。」「届出制につき、その運営の実態把握は、困難である。」これが「運営の実態」です。そこで、知事会の意見は、「現行の知事に対する委任の範囲では、実態的な指導監督は不可能なので、」「事前届出制」「届出時の不適格者の排除」「悪質者に対する営業停止の強化」等の「規制の強化」について法改正を行ってほしい。「金利の上限の引下げ 高利によるトラブルが多いので金利の上限に検討を加え」てほしい。「貸金業者の自主規制を助長するため、庶民金融業協会の法的助成と業者の加入促進措置を更に強化する。」この三点についてしてもらいたい、こういう意見が出ているわけです。  公安委員会の方はこの臨調答申の意見に対してどういう御見解を持っているのか。それから、大蔵省は知事会の意見についてどうお考えになっているのか、これからどうなさろうとしているのか。知事会の意見はもっともだという点が多いわけでありまして、私はぜひともやるべきだという見地でお尋ねをしているわけですが、御見解を賜りたいと思います。
  42. 柳館栄

    柳館説明員 ただいま御指摘の点につきましては、現在、関係省庁、六省庁でございますけれども、これが連絡協議会を設けまして検討をいたしておるところでございます。  昭和三十九年の臨時行政調査会の答申は私どもも承知いたしております。また、知事会の方からお申し越しの欠格事由を設けるあるいは行政処分を行う等々といったようなことは、私どもも必要な措置であると考えております。ただ、この貸金業に対する監督行政といいますのはいろいろ問題はあるだろうと思いますけれども、現在の世論その他を全般的に判断いたしますと、私ども見解としては、第一次的には金融行政の一環として検討していくのが適当なのではないだろうかと考えておる次第でございます。
  43. 吉居時哉

    吉居説明員 ただいま御指摘がありました貸金業者に対する規制の強化等についてでございますけれども、サラ金を含む貸金業者に関しますいわゆる社会問題と申しますのは、高金利の問題あるいは暴力的な取り立て問題といったような反社会的な行為が主たるものでございます。したがいまして、このような行為から消費者を保護するということのために、かつまた社会秩序を維持するということのためには、さらに取り締まりをもっと強化するという必要がありますことは言うまでもないことでございます。しかしながら、ただいまもお話がありましたように、サラリーマン金融を含む貸金業者の問題というのは、利用者の保護であるとか犯罪の防止、さらには庶民金融業のあり方といったいろんな多岐にわたる問題を実は秘めております。したがいまして、こういうふうな見地から高金利の処罰をどうするか、あるいは取り締まり上の問題をどうするか、さらには行政上の処理能力をどう考えるかといったいろんな問題を総合的に実は考えていかなければならないという複雑な問題がございます。  そこで、こういうふうな趣旨から、実は昨年九月にこの貸金業問題について関係省庁の間で協議、連絡の場が実は設けられまして、自後九回にわたっていま勉強中でございます。このような勉強の結果、法改正の問題も含めまして、いま御指摘にありましたようないろいろな問題について検討していきたい、こう思っているわけでございます。  さらにまた、この検討を進める上からも、実は貸金業の実態を把握するということが必要であるということで、近く貸金業の実態調査を行うということも実は考えております。
  44. 中川秀直

    中川(秀)委員 知事会の意見は、要するに機関委任事務として知事にやらせる以上はちゃんと法改正をして、そして委譲すべきだ、こういう意見なわけですね。こういう意見があるということは、もう読んでおられると思いますけれども、いまの御答弁では何かポイントがずれたような御答弁ですが、ひとつ大事な問題ですから、関係省庁よく検討して改善を図ってもらいたい。現状では非常に問題を含んでいるということは、いまの御答弁のとおりです。ひとつぜひとも検討していただきたいと思います。  もう時間がありませんので、最後の一つだけにいたしますけれども農林省、この行政監理委員会の答申の中で、米飯提供業者の登録、これはもう要らないのではないか、廃止しなさいという意見が出ているのです。理由は、「米飯提供業者の登録は励行されていないため、その実態ははあくされておらず、業者に対する指導、監督も特に行われていないこと、業務用米の割当ては業者の実際の取扱数量と全くかけ離れていること、外食券制度は既に廃止されており登録の意義は失なわれていると思われること、更に、業者が購入する米穀の数量は、販売業者の段階において、はあく可能と考えられること等から、今後における食糧自給の動向を勘案しつつ、米穀管理上必要が生じた場合は」発効させることがあるとしても、この制度の効力は停止すべきである、こういうふうに答申は出ている。最後のお尋ねですから簡潔に御答弁願いますが、米飯提供業者は全国で幾つあるのですか。また登録業者は幾つあるのですか。実態をつかんでいらっしゃるのですか。もし実態をつかんでいないのだったらこの食糧管理法施行令第五条の四第一項、米飯提供業者の登録という意義は全くない、こういうふうに思われる。私は行政監理委員会の答申は全くもっともだと思う。この点についてお尋ねをして、あとは詳しいお尋ねはやめます。
  45. 野明宏至

    ○野明説明員 お答え申し上げます。  御承知のように、米の問題に関しましては、ただいま食管法のもとにおきまして配給制度をとっておるわけでございます。そのもとにおきまして、一般家庭に対します米の配給と並びまして、業務用として米飯が提供される場合に、そういった問題についても適正にかつ安定的に供給されるようにするという趣旨で登録制度をとっており、かつそれに対する業務用の購入通帳の交付というふうなものを通じて米の供給を行っておるわけでございます。  先生質問の、数が幾つあるかという点でございますが、現在登録を受けておりますのは約十五万件でございます。登録を受けておる率というのは、米飯を提供しておる店の数というのはもっと多うございますので、必ずしも全体をカバーしておるというわけではございませんが、やはり現在の配給制度のもとにおいて、かような登録並びに業務用の購入通帳を交付して米の供給を行っていくというふうなシステムというのは、やはり存置していくことが必要ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  46. 中川秀直

    中川(秀)委員 業者に対する指導監督も特に行われていない、あるいは登録業者が全体の提供業者の何%かも不明である。不明であるというのはいまの御答弁に出ましたね。それから、もう細かいお尋ねはしませんが、業務用米の割り当てと業者の実際の取り扱い数量、これがどのような実態になっているのかということも恐らくおわかりになってはいないのではないかと思う。私は確かに登録というものは余り意味がない、こう思うのです。ひとつ大いに研究をしてもらいたいと思う。これは答申に出ておるのですから、検討してもらいたいと思う。答申が出てずいぶんになるのですよ。ただ、いままでのお役所の許認可権限だけは絶対に譲らないというだけの発想では、これからの時代には合わない。ひとつお願いを申し上げておきます。  お願いすることはまだほかにもずいぶんある。厚生省、大分元気でがんばっていただいているのですけれども事項名だけ申し上げますが、食品衛生法の十一条の製造所固有の記号の届け出、こんなもの一般消費者はわからぬですわ。ちっともわからない。こういう表示は廃止してほしいというのが知事会の意見で出ている。届け出を廃止してほしいというのが知事会の意見で出ている。  乳等の容器包装の例外承認の進達、これも廃止してほしいという意見が出ている。  監理委員会からは社会福祉法人の定款の認可、保険医療機関または保険薬局の指定、保険医または保険薬剤師の登録、それから健康保険法に基づいて指定のあったときは自動的に原爆被爆者医療等に関する指定、結核予防法の指定、生活保護法の指定、この三法による医療は担当できるようにすべきであるという意見も出ている。こういうことも大いに研究してもらいたいと思います。  それから、行監のだけ言いましょうか。通産省では電気工事士試験、行政監理委員会からはこの改善についての意見が出ています。あるいは高圧ガス製造許可の点について、監理委員会からも知事会からも出ている。  建設省関係では、貸家組合法が今回の法律で廃止されているわけですけれども、地代家賃統制令も法律として効力は有していますけれども昭和二十四、五年以前に建てた借地借家だけを対象にしているにすぎないので、一定の猶予期間を置いて同令の効力を失わせることにすべきではないかという改善意見が四項目にわたって出ていますね。これを廃止するとどういう弊害があるのかということが私はよくわからない。今後の問題としてこれも大いに前向きに取り組んでいくべきだと思います。  それから建築基準法の関係でも、建築確認等で「人口十万未満の市でも確認業務を行っているところがある反面、人口十五万以上二十五万未満の市で任意特定行政庁となっていないところが約半数近くみられる。」こういうことも大いに改善をして、特定行政庁の一層の拡大を図るように措置しなさいという意見が出ていますね。こういうことも大いに検討していくべきだと思うのであります。  時間が来ましたからやめますが、あえて細かい御答弁は求めませんけれども大臣、許認可千二百四十項目だったと思いますが、大変な御努力はいただいたけれども、監理委員会や知事会やあるいは臨調答申でもかなりの数が残されていますし、改善対象として最初行政監理委員会が検討したものを入れれば、ほぼ同数の意見があってまだ措置せざるものがある。これもひとつ大いに本格的に取り組んでいただかなければならない、こう思うのであります。いろいろな事情はあるでしょう。しかし、それを一つ一つ補えるところは補いながらでも、統合をしたり廃止をしたり緩和をしたりしないといけない。意見が出てから十五年たっているものもかなりたくさんあるわけでございまして、ひとつ最後まで御努力を願うことを特にお願いをしたいと思うのです。御決意をお伺いして、私のお尋ねを終わります。
  47. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 大変多くの御指摘をいただきましたが、鋭意努力いたしまして、改善すべきものは速やかに改善するよう努力いたします。ありがとうございました。
  48. 中川秀直

    中川(秀)委員 終わります。
  49. 始関伊平

    始関委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十分休憩      ————◇—————     午後一時五十四分開議
  50. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。上原康助君。
  51. 上原康助

    ○上原委員 午前中にも、あるいはせんだっての委員会でも、いま提案をされております審議会等整理等に関する法律案と、許可認可等整理に関する法律案について、いろいろお尋ねがあったと思うのですが、若干重複をする面もあるいはあろうかと思うのですが、私は私の立場でお尋ねをさせていただきたいと思います。  最初に長官の方にお尋ねをいたしますが、午前中、行政改革に対しての長官のある程度の所信といいますか、御見解といいますか、承ったのですが、大物大臣という立場で、相当行政改革に筋を通した意欲的な姿勢をお示しになるかと私は期待をしておったのですが、十分は聞けませんでしたが、相当慎重な態度をおとりになることはわからぬわけでもありませんし、いろいろ理解のできない点もないわけではありませんが、行政改革に対する行政管理庁の姿勢というものが余りにも周囲の動きだけをうかがっているような感じを率直に受けているわけです。もちろんこの行政改革については、いろいろな関係者からの反対意見、あるいはまた国民的立場で要求というものもあって、容易でないということも私は理解している者の一人と思うのですが、今後行政改革について、どのような基本的姿勢で進めていかれようとしているのか、すでにいろいろと答申案なども出ておるものを含めて、今後の所信というものを、まず承っておきたいと思います。
  52. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 お答えをいたします。  上原さんの御質問、大変広範でありまして、お答えするにもなかなかむずかしいと思っているのですが、ただ、いま御発言中にもありましたとおり、行政改革は、何としても国民のために行政のコストダウンをしなければならない、税金のむだ遣いをなくさなければならない、これが根本方針でございます。しかし、よく申し上げますが、総論では賛成で、各論になりますと反対になる。ややもすると、各方面で、おれの方のこの役所は切っちゃ困る、おれの方は減らしちゃ困るというような意見も大変多いのでございます。しかし、そういうことはありましても、やらなければならないことは断固として行う、こういう方針で一生懸命やっております。  そうしたたてまえから、今度も何本かの法律提案しておりますが、どうぞよろしく御審議を願いたいと思う次第でございます。
  53. 上原康助

    ○上原委員 いまちょっと抽象的な御答弁でしたが、確かにそういう向きはありますね。私たちも提案されている法律案に必ずしも全面的に賛成しかねる面も抱えておりますので、おっしゃることはわかります。しかし、後日、行政改革の基本問題その他については安井先生なりほかの方々からもいろいろ御質問もあると思うので、きょうはその点はできるだけ省きたいわけですが、ただ政府として十分御認識をいただいておかなければいかぬことは、行政改革に対しては、福田内閣の重点政策として国民に公約をしてきた経緯があるということです。言葉は悪いかもしれませんが、本当に竜頭蛇尾に終わってしまっている。たとえば省庁を含めての統廃合の問題とか、新しくエネルギー省や住宅省を設置するんだとか、昨年の夏は何かいまにも行政改革ができるかのような印象を国民に与えたことは間違いないわけですね。したがって、むずかしいということを重々わかっておる方々が安易といいますか、あるいは人気取り、何か政治的な面に利用するための行政改革案を次から次と打ち出して、それが全く音さたなしに消えていく。私はこういうことではいけないと思うのです。そういう繰り返しが今日までの政府の行政改革に対するあり方じゃなかったのか。これを所管大臣としてどのように改めていかれようとするのか、その点を私はお尋ねをしているわけなんです。
  54. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 お答えします。  昨年の九月に、エネルギー省とか住宅省とかいうようなアドバルーンが上がったようでございます。私は、昨年の暮れに行政管理庁長官に指名を受けたわけでございますが、余り研究しないうちにアドバルーンの方が先に上がっちゃったと少し思っております。もちろん上原さんのおっしゃるように省庁統廃合ということも、その時代時代によって行わなくちゃならないと思っております。しかし、いま一番必要な問題、景気浮揚の問題、円高の問題、また雇用をどうしたら増大できるか、あるいはまたいまストの問題がございますが、これらいろいろなことを含めて、まあ各省庁統廃合ということになりますと、行政の根本の問題になりますので、これら景気浮揚や円対策あるいは雇用問題、失業対策、そういう問題等に余り邪魔にならないような行政も行っていかなくちゃならない。去年のエネルギー省だの住宅省だのというのは、研究の足らないうちにアドバルーンが上がってしまった、私はいまの立場でそういうような感じを少し受けているわけでございます。  いずれにいたしましても、決意を持ってやらなければならない問題は、断固として改革していくつもりでございます。
  55. 上原康助

    ○上原委員 行政管理庁のお考えというのが少しわかったような感じがします。そこで、逐次具体的中身に入っていきたいのです。  そうしますと、中央の省庁統廃合問題は、なかなかいろいろな面が関連してくるので容易でない、現段階では長官としてそこまではお考えになっておられないということなのか、その点改めて御回答いただきたい。  それと、一定の方針は出されておりますね、「行政改革の推進について」ということで、昨年十二月二十三日の閣議決定がございます。けさもそれについてのいろいろ御答弁、御説明があったようですから省きますが、十二月二十三日に行政改革方向が出され、さらに、ことしの四月十二日に行政監理委員会の委員の任期切れに伴って、「今後における行政改革の推進について」ということで出されている。この中身を一読して、先ほど申し上げましたように、必ずしも全面的に賛成しかねる面もあるわけですが、大筋においては理解できないことではないわけです。そこで、現在の行政管理庁あるいは内閣全体として行革問題については、この昨年十二月二十三日の閣議決定、あるいは今年四月十二日に出されました行政監理委員会の答申といいますか報告といいますか、この二つに基づいておおむね進めていく、こういうお立場にあると理解をしていいのか、先ほど申し上げた点を含めて御答弁を承っておきたいと思います。
  56. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 まず、四月七日に行政監理委員会から出された補助金の事務手続を簡素合理化するという答申でございます。これはかねて上原さん御承知のように、国、地方、特に市町村は補助金をもらうために非常な手数繁雑の書類をつくったり何かする問題等があります。これはもう極端だと私は考えて、一体どのくらい地方で書類をつくるのに人間がかかるか、ひとつ計算をしてみろということで役所でやってみました。まあ十万人以上、十二、三万人の人が補助金をもらうために事務にかかっておる。想像でございますが、そんなふうな数字が出ているわけでございます。そうすると、金にすると大変なむだがある。同じ出すなら、もっとそんなに繁雑な事務でなくても補助金が出せるようにしたらどうかというようなことで、これらは思い切った簡素化を図るべきだと思っております。  それからなお前段の省庁統廃合でございます。これは去年アドバルーンの上がったエネルギー省とか何かそういうような問題は、現段階ではまだ考えておりません。しかし、御承知のとおり、建設省と国土庁を一人の大臣が行っているというようなわけで、いま公共事業費のあの大きな数字がどうしたらこなし得るかということを考えますと、やはり土地問題ということが大変なことだと私は思っております。そういうような点からいたしまして、まだ総理とも相談をしておりませんけれども、建設省、国土庁というようなもの、またほかの省のこともありますが、これらは何とかしてひとつ簡素化していくような方法をしなければならないと思っております。  なお、エネルギーの問題については、これは日本だけじゃございません。世界を挙げての大変な問題でありまして、もっと深い研究を日本としてしなくちゃならない。また油の問題等については、恐らく世界の十分の一以上を日本で消費しているというような点で、これらがむだにならないような、またもっと合理的なやり方があるのじゃないかというような点からいろいろ考えてみますときに、まだ方針は決まっておりませんけれども、何かの方法で、省の統廃合というようなこととは多少違うかもしれませんが、何とかもう少し能率的な方法考え出さなくてはならないと鋭意研究をしております。  それからもう一つ、これは私が絶えず考えておりますが、日本の行政機構、これは明治始まって以来、ふやす一方でございます。これは大変なふやす一方でございます。ですから、たとえば特殊法人であるとか審議会であるとか、いろいろなそういうようなものにかなり思い切った簡素化、いわゆる要らないものを切っていくという点も必要ではないか。そういうことを特に考えております。  それからなお、役人が特別何かの委員やなんかになって、また横に飛んでいく、またその次に行く、そういうような問題、これは国民の感情の上からしても——必ず役人がそういうものの職を得てはならないということじゃありません。国からいたしましたら、やはり使える人間を起用することはいいのですが、しかし幾つかのところに渡り鳥のようなことは厳格に改正をしていかなくてはならない。同時に、何々総裁だとかなんとかの退職金の問題、こういうようなものを二割カットするということにいたしましたが、同時に八年間もそこの職に携わっていること、これも国民感情で許しませんから、とりあえず二年カットして六年にするということにしましたが、これらももう少し改正をしていかなくてはならない。それから定年制の問題も思い切った考え方をしていかなくてはならないということをいま考えておるわけでございます。  いささか答弁に当たらない点もあったかもしれませんが、御了承願いたいと思います。
  57. 上原康助

    ○上原委員 大体意欲の端々はだんだん出てきているような感じはしますが、私も基本的には行政改革というのは筋を通してやるべきことだと思うのです。しかし弱者切り捨てとか地域の意思を無視した形での行革というのはあってはいけないと思いますし、そのあたりをどう調整、整合するかというのがポイントだと思うのですが、いま大臣答弁いただいたのは、おおむねこの「補助金事務手続の簡素合理化方策についての答申」あるいは先ほど私が指摘をしましたこの閣議決定行政監理委員会が新しく出したものに盛られておるわけです。  そこで具体的な点について入ってまいりたいと思うのですが、今回なかなかこれは広範な面、各省庁にまたがることが網羅されておりますので、われわれも十分勉強した上のことでありませんし、今後いろいろ努力をしていかなければいかぬと思っているのですが、まず審議会等整理統合に関する法律案の内容を私の立場でいろいろ検討をしてみたところ、おおむね三点ほど問題点が指摘できるのじゃないかという感じがするわけです。  そこで、関連で福岡先生にもお尋ねをさしていただきたいのですが、まず第一点目には、従来総理府あるいは国土庁にありました各種審議会を今回は国土審議会に統合しようとしているわけですね。もちろんこれだけ多種多様の審議会が似通ったものがあるということは、能率面なりいろいろな点で支障もあろうかと思いますし、統合してより内容を充実させるとかいろいろな面も考慮を払わなければいけないと思うのですが、これだけ十四も統合された場合に、一体各ブロックとかあるいは地域の意見がどう反映されていくかということが問題になろうかと思うのです。しかも、その性格が全く違うような問題等もあるわけですね。国土総合開発審議会あるいは東北開発、九州地方、四国地方、中国地方云々、近畿、中部、いろいろあるわけですが、中でも豪雪地帯対策審議会あるいは特殊土じよう地帯対策審議会とか離島振興対策審議会、山村振興対策審議会、こういうものは国土開発、地域開発、総合開発とは本来性格の異なった、ある面では共通する面もありますが、審議会そのものの性格あるいはその委員としての専門でやる立場の方々の意見なり携わっている業務は、私は根本的に違っていると思うのですね。これを今回国土審議会ということに統一をした場合に、従来地域性を生かしていく、あるいは各ブロックなり特殊土壌地帯とか離島振興とかやっておったものは一体どのように吸収をしていかれようとするのか、この点についてお答えをいただきたいと思いますし、この点については、福岡先生から関連で質問をさしていただきたいと思います。御答弁をまずいただいてから……。
  58. 辻敬一

    ○辻政府委員 今回の審議会の整理統合に当たりましては、統合の問題といたしまして、行政対象を分化して設けられております審議会で、設置の目的、審議事項が類似しているものにつきまして統合を図るということを一つの基準にいたしたわけでございます。  そこで、ただいま御指摘のございました国土庁関係の十四審議会を統合することといたしているわけでございます。この国土開発というような問題は、御承知のとおり、一方において総合的な観点に立って広い視野から考えることが必要でございますし、もう一方の点から申しますと、ただいまいろいろ御指摘をいただきましたように、地域ごと、その他の特殊性なり個別性なりに十分配慮する必要があるわけでございます。そのための仕組みといたしましては、現在のような独立の審議会がたくさんございますより、今回御提案申し上げておりますように全体として一つ審議会にする、そこで各特殊な問題につきましては、その特別委員会として御審議をいただく、そういうような仕組みが適当ではないかと考えたわけでございます。いろいろな地域開発、それから豪雪、離島等の特殊地域の振興対策、こういうような問題は確かに違う面があるわけでございますけれども、国土の開発、整備、保全を目的といたします全国的な計画と表裏一体の関係にございますので、今回の措置によりまして、かえって全体としての総合的な推進が図られるのではないか、このように考えておるわけでございます。
  59. 上原康助

    ○上原委員 そういう御説明はこれまでもいろいろあったわけですが、そこで先ほど大臣からも御答弁があったように、行政の簡素化というのは必要であるし、また人的にも財政的にもより適正といいますか節減をしていく、そういう大所高所からのことで出しておられるということなんですが、では一体これだけの十四の審議会を国土審議会に統合することによって、どれだけの行政効果が出るとお考えになっているのかということと、また、確かに委員の数が大体四百十四名くらい減少するということですから、頭数から言うと相当の合理化ですね。しかし、それをやったからといってどれだけの予算上のメリットがあるのかということになると、必ずしもそう大きな節約といいますか、節減にはなっていないと思うのですね。その面の関連性はどうなのかということ。  さらに、特にこの中で問題にしなければいけないと思うことは、離島振興対策審議会なり特定の地域の開発審議会というもの、そういうものはやはり存置さしておいて、それぞれのカラーを出すというところ、特殊性を出すというところに今日までの意義があったと思うのですね。これを国土審議会に統合した暁には、それだけその面の特殊性というものは明らかに薄れていくと私は思うのです。こういう懸念に対しては、いま特別委員会などを存置さしてやっていくということですが、なかなかそれだけでは対応できないのじゃないかという感じがするわけですね。豪雪地帯の問題にしたってそう、あるいは特殊土じよう地帯対策というもの、これも性格の異なる審議会でありますので、少なくともこういう特殊性のあるものについてはもう少し御配慮もいただいてよかったと思うのですが、この点について改めて御見解なり、今後のこの特別委員会を存置をしてやっていくという場合の委員の構成なり運用の仕方、そういうものはどうなっているのか御答弁をいただいておきたいと思います。
  60. 古谷裕

    ○古谷説明員 お答え申し上げます。  十四審議会の統合の趣旨等につきましては、ただいま行政管理局長から御答弁申し上げたとおりでございますが、今後の運営につきましては、私ども、従来の各種審議会が果たしてまいりました機能、またその役割りというものが損なわれないように、委員の任命その他につきまして配慮する所存でございます。  なお、現在設置されております審議会は、各実体法に基づきまして、権限なり所掌事務が規定されておるわけでございますが、今回の法律改正は、これにつきましては何ら変更を加えるものではございません。したがいまして、これらの各種法律においてこれまで審議会に期待されている機能が十分に果たされるように、国土審議会の運営の上で配慮するというのが基本方針でございます。
  61. 上原康助

    ○上原委員 そうすると、何も統合する必要もないのじゃないですか。そこいらに余りにも形式的な面にこだわっている節があるわけですよ。従来の審議会というものを何ら変更するものでない、特別委員会として設けていく。そうすると、十分いままでの私が申し上げた離島振興とか、そういった特殊土じようというような面はカバーできるというお考えですか。もしそういった特殊性というものが反映できない面、また委員構成も明らかに少なくなるわけでしょう。
  62. 辻敬一

    ○辻政府委員 先ほどお尋ねございました前段の問題でございますけれども委員の数につきましては、国土審議会の委員の数はただいま四百五十人以内でございますが、これが四十五人以内になるわけでございます。しかし、一方特別委員は、これはふえるわけでございます。この数は、施行後政令で決めることになっておりますので、ただいまのところ的確な見通しを立てるわけにいかないのでございますけれども、恐らく二百数十人程度ではなかろうかと考えます。したがいまして、委員の数も、統合の前と後と比べますと百数十人くらいの減少になるわけでございます。もっとも国土審議会の統合の施行が本年度後半にずれますので、直ちに予算面の経費の節約にはなってまいらないわけでございますけれども、少なくともコストの減にはなるわけでございます。  もっとも、先ほど御指摘のございましたように、これによって浮きます経費は比較的少額な経費でございますが、審議会の統合の目的は、先ほど申し上げましたように、コストの節減もございますけれども、それよりは、今回御提案申し上げております全体の審議会、そしてその一部としての特別委員会という組み合わせの方が総合性、個別性あるいは特殊性をあわせて御審議をいただいて、国土開発を総合的に、しかも個別の事情に配慮して進めるのに適当ではないかと考えたからでございまして、先ほど国土庁からも御答弁申し上げましたように、それぞれの地方あるいは地帯の特殊性につきましては、今後の調査審議段階におきまして十分反映するように配慮してまいるつもりでございます。
  63. 上原康助

    ○上原委員 後ほどこの件についてはさらに深めていただくとして、どうもまだ納得しかねる面もありますが、指摘したことについては十分地域性なりその特殊な性質を持っておる現在ある審議会の目的、役割りというものが失われないように、特段の御配慮をいただきたいと思うのです。  そこで、さっき御答弁がありましたが、補助金問題で若干お尋ねをしておきたいと思うのです。  これはきょうはちょっと間に合いませんで、実例を挙げかねるのが残念なんですが、後ほどの審議で少し地方自治体における実態をつかんで議論した方がよりわかりよいと思うのですが、先ほど大臣答弁あったのですが、補助金事務手続の簡素化問題は、指摘をするまでもなく、もっと書類上の面、手続面ですね、あるいは期間をスピーディーにしていくということと、事務的書類様式等を簡素化してもらいたいというのは、これは関係者の強い要望だったと思うのですね。ようやく今回この点が指摘をされているわけですが、たとえば五十三年の四月の行政監理委員会が出している答申の八ページ、ここにも「事前協議のための提出書類の簡素化」ということでいろいろ述べておるわけですが、この後段の方に、「行政管理庁調査結果(以下「調査結果」という。)によると、一部省庁の補助金の中には、事前協議の際に提出する書類を十数部も要求し、その結果、ある県では二千五百枚近くにも達する膨大なものとなっているもの、あるいは予算概算要求時(前年度五月〜六月ごろ)と実行計画提出時(前年度一月〜二月ごろ)に同一内容の書類を提出させ、更に交付申請時にも同一書類を提出させている事例等もみられる。」以下、どういう種類の紙を使いなさいとか、あるいは図面を添付する場合はこうこういうものをという規格をはめてあるわけですね。これでは余りにも事務能率といいますか、補助金問題は私は功を奏しないと思うのですよ。したがって、もらう補助金よりも、それに要した人件費なり紙代が高くついたという笑えない話も実際問題として出ているわけですよ。これを本当に今後合理化していくにはどう考えておられるのか。ただ、答申をいただいてやるということでなく、これを実施しなければいかぬわけですね。  また、大蔵省も来ておられると思うのですが、確かに国民の税金を十分チェックして補助金を支出するというのはまたあたりまえの話です。しかし、お役人の中にはどうも国民の税金を自分のお金みたいにもったいをつけていろいろ、まあ悪い意味で言うと官僚カラーを出すというようなことでやっているのじゃないか、こういう残滓が私はいまの役所の中の仕事にあると思うのです。国は国でそれをやっている。地方へ行くと県庁なりで中間官僚、役人になってしまって補助金を出すのにもったいをつける。私はこれが今日、国民の側からすると一番改善すべき点だと思うのです。こういう面は具体的にどうなさっていかれようとするのか。この二千五百枚以上の紙を使った県もあったというのは一体どこの県だったのか、できればこの点も明らかにしていただいて、これに対して具体的にどういう措置をとろうとしているか、この際明確にしていただきたいと思います。
  64. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 ただいま先生から御指摘のありましたように、行政監理委員会の答申の中でかなり具体的な事柄を提示していただいているわけでございますが、これにつきましては、いまお話がありましたように、提出書類の簡素化あるいは交付決定等の各段階における迅速化、この辺が非常にポイントだろうと考えているわけでございます。  それで、いま先生御指摘の問題は、こういう措置をこの際若干とっても、またそれが後戻りしてしまうのではないかということじゃないかと思うのでございますけれども、私ども調査しましたのは、たくさんの補助金のうちのごくわずかでございますので、これをもとにしまして、各省庁において総点検をしていただくことにしたいと考えているわけでございます。それで総点検をお願いしまして、各補助金について補助金の事務手続、そういう予定表等を作成して進行管理をやっていくという仕組みを考えなくてはならないのではないだろうかということを考えて、これから各省にお願いしようとしているところでございます。
  65. 上原康助

    ○上原委員 お願いをしていろいろやるということですが、具体的に私がお尋ねしたのは、ここに述べられている、事前協議の際に提出書類を十数部も要求されている、あるいはその結果、ある県では二千五百枚近くにも達する膨大なものをつくっている、こういうのは具体的にはどういうことなのか、またどういう省がこういうことをさせておるのか、それを明らかにしていいのじゃないですか。
  66. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 ここに掲げました十数部というのは、労働省の補助金の一つでございます。
  67. 上原康助

    ○上原委員 補助金の一番多いところは厚生省、農林省、文部省、ワーストスリーかベストスリーかわかりませんが、大体こういうところですね。私は補助金をばっさり切れということを言っているわけじゃないのですよ。これは当然いまの行政の仕組みあるいは財政の仕組みで支出をしなければいけない面もありますが、こういったむだな事務手続をさせておってもったいをつけているとか、いろいろな長いしきたりが慣例化しているところに問題がある、そういう面をまず抜本的に手がけてやるべきだと思うのです。大臣、こういう面は積極的におやりになりますね。
  68. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、私も実は説明を聞いて、たとえば町村から出てくるのが県庁へ行って、それからまた各役所へ来て何百ページも使うようなむだなこと、そうしてそのむだなことをやっているために、補助金をもらうのにも時間が容易ではない。これはもう本当にとんでもないことだ、こう思っております。こういう何枚も何回も書類を書かなくては補助金がもらえないというようなことは、これはもう政治ではないと思っていますから、具体的には局長から説明をさせますが、思い切って簡素化する、簡単にできるようにする。いわばわれわれの言葉で言えば、角も生きのいいうちなら刺身で食える。それがぐずぐずしていれば焼いても臭くなる。今度はどこへも捨て場所がない。同じ魚でも早くできれば刺身で生きのいいところで食える、こういうことでございまして、これは本当に思い切った、いままでに考えないような思い切った簡素化をしなければならない、私はこういう決心でおります。紙ばかりじゃない、人間のむだです。これは私は、各町村から始めて県庁から役所など、一体どのくらいだと言ったら、十二、三万人もそういうものを年じゅう書いている人がいる。金額にしたら、百億や二百億じゃない、恐らく何千億になるのではないかと思っています。これは思い切った合理化をいたします。
  69. 上原康助

    ○上原委員 いいですよ、そのお考えは私も了とします。ただ、私がそう言うからといって、じゃそういう仕事をやっている人まで含めて切っていいと言うのじゃない。それは誤解していただいては困る。そういうことを簡素化することによって、週休二日制の問題も時間短縮もあるいは雇用の面のことも、もっとよくしていけるのではないか、それは前向きの立場でお考えになっていただきたい。  そこで大蔵省、金を出すのは大蔵なんで、大蔵が一番うるさいからどうしようもないという意見が強いわけです。この概算要求のころから、あるいはまた省庁交渉、大蔵交渉、そういう段階で二重三重にも同じものをつくっている。したがって、いま大臣から御答弁あったのですが、もちろん原則は守らねばいかぬし、筋は通さなければいけませんが、もう少しそういった面も、大蔵自体も各省庁お話し合いをする、予算の交渉をなさる場合に簡素化するように、むしろ大蔵あたりが督促をしたらどうかと思うが、この件についての大蔵の御見解をちょうだいしておきたいと思うのです。
  70. 公文宏

    ○公文説明員 先生御指摘の補助金の事務手続の簡素合理化の問題でございますが、私どもはやはり補助金そのものの整理合理化とあわせて、事務手続の簡素合理化についても積極的に推進すべきものであると考えておりますし、いままでも各省庁ともども努力をしてまいったつもりでございます。たまたま今度行政監理委員会の方で答申も出ましたし、それを踏まえまして、これは行政手続の簡素化の問題がございますので、行政管理庁が中心になろうかと思いますけれども行政管理庁の方で具体的な方策についてお進めになることを聞いております。それにつきましては私どもも協力をいたしまして、この問題は前向きに対処していきたいというふうに考えております。
  71. 上原康助

    ○上原委員 ひとつそういったすぐ着手できる面、あるいは地方自治体なり関係者が非常に期待をしている面の簡素化というものを早急に実行をしていただきたいと思います。  私もこういうことは余りわかりませんが、五十三年度の予算を見ましても、三十四兆二千九百五十億のうち、何と補助金等と名のつくのは十一兆三千二百十九億、三三%は補助金なんですよ。だから政府がこの権力を握ってぐいぐい言うのも無理ないとわれわれは思う。しかし、それをうまくコントロールする、今日の行政機構の中で、もっといい意味で民主化する、こうやっていかなければいかぬと思うのです。ですから、御答弁ありましたが、特に遠方の自治体なりは大変だと思うのです。この東京近隣の府県じゃない、たとえば沖繩とか北海道とか四国、九州あたりは、飛行機に乗ったり電車に乗ったりして補助金もらいに、予算どきのあの陳情合戦というものをまずできるだけなくしていく、このことはぜひやっていただきたいし、こういうことについては、私は筋が通れば与野党一致すると思うのです。これを要望しておきたい。中身をなくしてという主張ではありませんので……。  時間の関係もありますから次に進みますが、労働省関係も若干問題があるわけですね。これについては後ほど栂野先生の方からいろいろお尋ねをすると思いますので、私は問題点だけ指摘をしておきたいのです。  今度の整理統合法案の中に、いわゆる労働基準監督官分限審議会の廃止が出されているわけですが、御承知のようにこの労働基準監督官分限審議会の廃止については、昭和四十六年の十一月、第六十七国会にも労働省設置法の一部改正で提案をされた経緯があるわけですね、多くを指摘するまでもなく。そのときもいろいろ問題が指摘をされまして、結局修正可決になっているわけです。今回また同じくこれを提出しているということ、国会の意思として一遍修正されたもの、もちろんそれは一遍通ったから未来永劫に変えてはならぬということには私はならないとは思いますが、この基準監督官分限審議会は、今日まで開催された経緯がない、あるいは有名無実的な存在になっているということで今回もお出しになっているようですが、後ほどいろいろ議論があると思いますので、この点も問題があるということを指摘をしておきたいと思うのですね。われわれとしては納得しかねる。この審議会というのは、あくまで単独審議会として存置をさせるべきだと思う。これは後ほど栂野先生が担当してなさるということですから、私はその点を指摘をしておきたいと思うのですね。  もう一点は、駐留軍関係離職者対策審議会、これは私はせんだって社労の方でも臨措法の延長問題のときに労働大臣なりにもいろいろお尋ねをいたしましたが、関係者の方々の意向を聞いても駐留軍関係離職者対策審議会を中央職業安定審議会に統合することに反対ではないということですので、この問題については事後対策をぜひ十分やっていただきたいと改めて要望を申し上げておきたいわけです。  同時に、このことについてはせんだってもいろいろお尋ね申しましたが、五十三年三月十五日に駐留軍関係離職者対策審議会会長の今井先生から「駐留軍関係離職者対策の調査審議について」ということで、要望書が労働大臣に出されていると思うのですね。   今回の行政改革により当審議会が中央職業安定審議会に統合される予定となつているが、統合された後の中央職業安定審議会において、駐留軍関係離職者対策の円滑な調査審議が行われるよう下記事項について特段のご配慮を要望致します。  一 中央職業安定審議会に駐留軍離職者対策に 関し必要な調査研究を行う専門部会を新たに 設置すること。  二 一の専門部会の委員の選任に当つては、駐留軍関係離職者が沖繩県において多発している実情にかんがみ、沖繩の雇用失業問題に精通した者を含めるようにすること。 この二点が主に意見書として出されているわけですが、これに対してどのように取り扱うおつもりなのか。また今後、この中央職業安定審議会に統合されることによって基地労働者の問題等については、政府としてあるいは労働省としてはどのようにやっていかれようとするのか。この点の基本的考え方といいますか方途を明確にしておいていただかないと、この中央職業安定審議会に埋没されてはいかぬと私は思うのですね、この点改めて御答弁をいただいておきたいと思います。
  72. 鹿野茂

    ○鹿野説明員 駐留軍関係の離職者対策につきましては、現在二万二千人を超える軍関係の労働者がおられますし、またその労働者の中から今後とも多くの方々の離職の発生が見込まれるという状態に加えまして、現実に八千人以上の方々が現在安定所の窓口でまだ求職活動をいたしているような状況でございます。したがいまして、先生御指摘のとおり、本年五月十七日に期限が切れます駐留軍関係離職者臨時措置法の延長を内容とする同法の改正案を今国会に提出いたしまして、先般これを御可決いただいたところでございます。  最近におきます雇用失業情勢というのは非常に厳しいものがございます。その中でこれら軍関係の離職者対策を進めるに当たりましては、先ほど申し上げました駐留軍関係離職者臨時措置法に基づく対策にあわせまして、さらに幅の広い雇用援護対策というものを加えていく必要があるのではないかというふうに考えておるところでございます。そういう意味合いにおきまして、今般中央職業安定審議会にこの離職者対策審議会が統合されまして、より幅の広い角度から駐留軍関係の離職者対策が審議されることにつきましては、先ほど申し上げましたような臨時措置法に基づく以外の援護措置も含めて実施を図っていかなければならないという事情から、私ども大いに期待をいたしておるところでございます。  しかしながら、駐留軍関係の離職者問題につきましては、いろいろ特殊な問題も有しているところでございます。したがいまして、中央職業安定審議会の中に、これら駐留軍離職者対策についての専門的な見識を有する方々に委員として入っていただき、またさらに駐留軍関係の離職者が沖繩県において多数発生しておるということから、沖繩県の雇用失業問題に精通している方々にも委員として入っていただく。そういうような形で専門部会を設置していただくというふうに考えているところでございます。これら専門部会の調査活動あるいは審議活動を通じまして、駐留軍離職者対策の円滑な推進に努めさせていただきたいというふうに考えておるところでございます。
  73. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、この三月十五日に労働大臣に駐留軍関係離職者対策審議会会長から要望書として出されている内容を十分取り入れ、かつそれを含めて、従前とってきた駐留軍離職者対策が後退しないように、また専門部会の委員には沖繩側の駐留軍問題、離職者問題に精通した委員を含めるということをお約束できますね。
  74. 鹿野茂

    ○鹿野説明員 先生御指摘のとおりに実施できますように、十分中央職業安定審議会の会長とも相談をしてまいりたいと思っております。
  75. 上原康助

    ○上原委員 ぜひそうしていただきたいと思います。  それから労働基準監督官の問題についてさっき私が申し上げたように、四十六年に単独で設置法改正をお出しになって、修正をされたことは労働省認めますね。
  76. 辻敬一

    ○辻政府委員 四十六年に御提案申し上げた際には、労働基準監督官分限審議会を廃止いたしまして、その事務は中央労働基準審議会に行わせるという案だったわけでございますが、今回御提案申し上げております案は、御承知のように常設の審議会としては整理をいたしますが、万一監督官を罷免すべきような事案が生じた場合にはその都度設置するということでございますので、四十六年に御提案申し上げたのとは内容が違うわけでございます。     〔小宮山委員長代理退席、委員長着席〕
  77. 上原康助

    ○上原委員 いや、内容は違いますが、当時は修正されたことはお認めになりますねと聞いておる。
  78. 辻敬一

    ○辻政府委員 それはそのとおりでございまして、政府で御提案申し上げたとおりにはならなかったわけでございます。十分承知いたしております。
  79. 上原康助

    ○上原委員 それと、労働基準監督官の現在の数と、過去五年間にどのくらい増員になったか、ちょっと念のためにいま御答弁いただけますか。——よろしいです。後で。現在の数はたしか三千百三十人。これはいつの時点か、五十三年度の監督官定数となっていますが、北海道から沖繩までという合計になっているのですが、過去五年間にどれだけ増員になったのかということと、この三千百三十人で十分労働基準監督行政というものは間に合っているのかどうか、その点もちょっとだけ答弁しておいてください。
  80. 辻敬一

    ○辻政府委員 労働基準監督官の数は、五十三年度で三千百三十名でございまして、五十二年度に比べまして三十名の増ということになっております。  毎年どのくらいふやしているかと申しますと、五十三年度が、ただいま申しましたようにプラス三十、五十二年度、同様にプラス三十、五十一年度、同じくプラス三十、五十年度同じくプラス三十、四十九年度も三十でございますので、この五年間では百五十人増ということになっております。
  81. 上原康助

    ○上原委員 これも議論のあるところで、当時四十六年段階で、たしか労働大臣は原さんだったと思うのですが、向こう五年間に一千名ぐらいふやすということを答弁なさっておるわけですね、労働基準監督行政の面で。もちろん、おっしゃるとおりのことは、残念ながら大臣答弁いいかげんな面もありますので、期待できませんがね。五カ年で百五十人というのは、千名とは余りにもかけ離れているという点も、後ほど議論あるかと思うので、指摘をしておきたいと思うのです。  そこで、時間の都合もありますから、次に進みます。  次は厚生省の関係なんですが、どうもこれがわれわれとしては、なかなか今回の提出されたものに賛成しかねる一つの事由にもなっておるわけですが、御承知のように、今回の整理統合法案の中で、厚生省関係についても四つの審議会を公衆衛生審議会に統一をするという案が出ているわけですが、これも指摘をするまでもなく、たしか四十八年の本委員会で修正可決になっているわけなんです。この四十八年の七月六日の委員会で原案が修正になっておって、当時も御承知のように、中央精神衛生審議会、栄養審議会、結核予防審議会及び伝染病予防調査会を廃止、公衆衛生審議会に統合するということが出されておるわけですね。われわれも当初から、当時も問題があるということで反対をいたしましたし、この修正案の趣旨説明を読んでみますと、こういうふうになっております。   原案では、中央精神衛生審議会、栄養審議会、結核予防審議会及び伝染病予防調査会を廃止し、新たに公衆衛生審議会を設置することとしておるのでありますが、これらの廃止しようとする審議会、調査会は、それぞれ個別の分野、個別の疾病に対応して設けられているものでありまして、さらにその対策を推進していくためには、ますます整備拡充を行なっていくことが必要であり、単なる統合は適当でないと考えられますので、これらの審議会等の廃止統合に関する規定を削ることであります。 ということで、全会一致だったと思うのですが、削除されて、原案修正で通っているいきさつがあるわけですね。     〔委員長退席、小宮山委員長代理着席〕  今回また同じように、この中央精神衛生審議会、栄養審議会、結核予防審議会、伝染病予防調査会を公衆衛生審議会に統廃合をしようとしている。もちろん、これまでの御説明をいろいろ聞いてみますと、大分状況の変化もあって、統合しても十分対応していけるので問題はないという御説明でしたが、どうも、公衆衛生審議会にこの中央精神衛生審議会あるいは栄養審議会を統合するというのには無理があるのじゃないかと思うのですね、性格は全く違うということ。一歩譲って、結核予防審議会と伝染病予防調査会を統合するというならまだ話はわかるわけですね、若干性格は似てくる。したがってわれわれとしては、これは中央精神衛生審議会なり栄養審議会というものは独自審議会として存置をせしめるべきだ。その理由は、いろいろ御説明はありますけれども、やはり今日の社会環境、いろいろな生活環境からして、精神衛生問題というのは最も重視をされなければいかない一つの医療行政といいますか、社会政策の範疇だと言っていいかと思うのです。そういう意味で、なぜいまの段階で無理をして、公衆衛生というこの大枠に統合しようとしているのかという疑問が依然として残っている。  同時にまた、栄養審議会の問題にいたしましても、最近は、むしろ栄養はとり過ぎだとかいう御意見もあるようですが、であればこそ、国民の健康づくりあるいは体力づくりという面からしても、健康づくり、体力づくりをやるための栄養の摂取はどうあらねばいかないかということを、この栄養審議会をもっと活用して、低学年から中、高、あるいは青年とか壮年とか老人対策を含めてやるべきなのが本来の厚生省の姿勢でなければいかないと私は思うのですね。なぜこれを無理して統合なさるのか、ここを改めて御見解を聞きたいと思うのです。
  82. 辻敬一

    ○辻政府委員 四十八年の経過につきましては御指摘のとおりでございまして、私どもも十分承知をいたしております。しかし、ただいまお話もございましたように、近年におきます人口の老齢化と申しますか、精神病の増加と申しますか、そういうものでかなり様子が違ってきておりますし、またいろいろと新しい行政上の施策も進められておるようでございます。そういう状況でございますと、現在のような疾病ごとの、あるいは事項ごとの縦割り的な審議会では必ずしも十分対応できない問題も生じてくるわけでございますので、この際公衆衛生全般にわたりまして総合的な観点から御審議をいただいた方がよろしいのではないか、このように思ったわけでございます。  確かに、お話しのように伝染病予防、結核対策、精神病、精神衛生でございますか、それから栄養、それぞれ違った分野ではあるわけでございますけれども、精神衛生のような問題でも結核とはもちろん疾病の種類は非常に違いますが、これに対します医療が何と申しますか社会防衛的な見地で考えられているという面では非常な共通性があるわけでございます。御承知のように、強制的に医療をいたしますとかあるいは公費負担の医療も八割国庫負担をいたしておりますとか、そういう共通な点もあるわけでございます。栄養の問題にいたしましても、近年単に疾病対策だけではなくて、国民栄養を含めた健康づくりとあわせて考えた方がよいというような問題もございますので、この際そういう点を総合的に勘案をいたしまして、一つの公衆衛生審議会ということで御提案を申し上げた次第でございます。
  83. 上原康助

    ○上原委員 いま行管の方の御答弁はあったのですが、政府ですからみんな同じことを一応お答えになるかもしれませんが、厚生省は一体どうお考えなんですか。
  84. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 お答え申し上げます。  行政管理局長の御答弁に補足してお答えさせていただきたいと存じますけれども、中央精神衛生審議会につきましては、ただいまも局長が申されましたように、疾病予防対策としては結核、伝染病対策と施策上の共通性を有しております。それから今日要請されている心身両面にわたる総合的な健康づくり対策の一環として推進する必要があるという点がございます。また保健上、市町村保健センターを中心とする地域保健対策の一環として推進する必要がある。以上のようなことを考えますと、公衆衛生行政全般として精神衛生の問題も考えた方がよいのではないかということ。  それから栄養審議会の点について申し上げますと、近年高血圧等の成人病の増加、さらに肥満、貧血等の増加が国民健康上重大な問題となっているわけでございます。成人病対策との関連なくして栄養問題を論ずることはできないということで、これまた公衆衛生審議会として総合的な面からの検討をする方がより適当であると私ども考えております。
  85. 上原康助

    ○上原委員 実に優等生答弁をなさっているようなんですが、これはおっしゃるほどそう簡単な問題じゃないのじゃないですか。特に皆さんから出されている資料を見ましても、最近の審議会の開催状況を見ましても、伝染病予防対策なんというのは相当の頻度で開かれているわけですね、最近もコレラ問題もいろいろありましたし。また結核は環境の整備、いろいろな医療水準の向上なり国民の栄養摂取の問題等からして、患者は従来よりは少なくなっているのは認めますが、これとて公衆衛生全般にくくるというのはどうかと思いますよ。特に精神衛生審議会というのは、開かれている回数は確かに少ないかもしれませんが、今日の国民生活、社会状況、いろいろな親子の関係とかあるいは入試問題その他をめぐって、いまこそ精神衛生についてはそういう審議会をもっともっと活用すべきだと思うのです。そういう意味で、これはにわかにわれわれ賛成しがたいということを改めて申し上げておきたいと思うのです。  そこで、時間の都合もありますので、こういう問題と関連をさせて、身体障害児問題あるいは心臓病手術の問題などに関連して若干具体的にお尋ねをしておきたいわけです。  厚生省も御案内かと思いますが、これは何も沖繩に限ったことではありませんで、全国的にこういった身体障害児、障害者を抱える御家族の皆さんとか御両親には大変な悩み、経済的な負担というものがあるわけで、これをどう社会的に政治の分野で解決をしていくかというのは、私は当然考えていくべき問題だと思うのですね。  そこで、例を沖繩にとって申し上げますが、現在身体障害児なり障害者を抱えておっても、県内の病院施設なりそういった面に入院ができないということで、ほとんど県外に出て治療を受けるとかやっている面があるわけです。特に複合障害を持っている重症心身障害児、障害者のための施設というのは、現在県立なりいろんな面で徐々に増設はされているものの、なかなかこれら患者の皆さんの要望に沿えないという現状なんですね。     〔小宮山委員長代理退席、委員長着席〕 そういう状況で、国立療養所琉球精神病院に重症心身障害児のベッドが八十床あるようですが、これが看護婦の不足あるいは要員の確保ができないというようなことで、この八十床のベッドが三十ないし四十程度しか活用されていないという実情があるようです。これはなぜこうなっているのか。こういったことについては、もう少し厚生省なり政府全体としてもやるべきだとぼくは思いますね。特に国立の療養所がなぜこういう実情になっているかということ、また今後の対策について御答弁をいただきたいと思います。
  86. 北川定謙

    ○北川説明員 ただいま先生のお話にございました国立療養所琉球精神病院は、先生御存じのとおり精神の患者を中心に収容、医療をしている施設でございます。この施設に重症心身障害児のベッドを一応八十用意をしておるわけでございますけれども、現在のところ、そのベッドに収容している患者さんの数がベッドの総数に満たないという問題があるわけでございます。ごく最近の数字では、八十のところ五十六人が収容されておるわけでございますが、昨年末の十二月現在では六十二名まで収容をした時点がございます。収容率で申しますと七七・五%ということになります。  一〇〇%に満たない理由はいろいろあるわけでございますが、一つは、最初にも申し上げましたとおり、ここが精神の医療機関であるというようなことで、重症心身障害児の中でも主としていわゆる動く重症心身障害児という性質の子供さんを中心にお預かりするということになっておるわけでございます。非常に行動が激しいとか、いろんな異物を食べてしまうとか、あるいは自分で自分を傷つけるとか、器物を破壊するとか、いろんな社会生活の上で非常に問題のあるお子さんを中心にお預かりをしている。そういう点で、一般の寝たきりの重症心身障害児と比べると非常に手がかかるということが一点でございますが、何よりも一番問題になっておりますのはドクター、お医者さんがちょっと少ない。これは定員の問題ではございませんでして、現在三人のドクターが欠員なわけでございます。現在当該地元施設あるいは沖繩の分室、厚生省等を通じまして医師の確保に関係方面と折衝をしておるところでございますので、今後医師の充足を早急に図りたい。その上でさらに収容児の数を増加させてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  87. 上原康助

    ○上原委員 少し改善されているようですが、医師の確保がむずかしい、あるいはそういった重度心身障害児者なので容易でないから申し上げているのであって、それをもっと積極的に、せっかくの施設を活用していかなければいけないのではないか。  それで、私がなぜこのことを申し上げるかと言いますと、皆さんもお読みになったと思うのですが、そういう子供さんを抱えている親の悩みというのは大変なのですよね。去る二月に、四名の子供さんを抱えておって、その一人が小児麻痺で心身障害児ということで、結局御夫婦が子供さんを道連れに心中をしたという痛ましい事件が起きているわけですね。これなども福岡のある病院に入院をさせたら余り金がかかるので経済的にも苦しい、できれば沖繩の地元の施設に入りたいということでやっておったが、なかなか方々手を尽くしてもそういう当てがなくなって、心身お疲れになったのではないかと思うのですが、こういう実態があるということをぜひ厚生省も——きょうは大臣お一人しかおりませんからあれですが、こういうものについての補助金というものは至ってまた少ないのですね。薄い。私は、やはりこういうことこそもっと積極的にやるべきだと思うのですね。こういう実例があるということで、私はこの問題も取り上げているわけです。  さらに、これとの関連もありますが、いまの点は、医師、看護婦の確保、そういうことも積極的に進めていきますね、厚生省。
  88. 北川定謙

    ○北川説明員 これからも早急に医師の確保に努めてまいる予定でございます。
  89. 上原康助

    ○上原委員 それともう一点、これは私は予算の分科会でもちょっと取り上げようと思ったのですが、時間の都合でできませんでしたので、改めてお尋ねしておきたいと思います。  いま一つは心臓病の手術の問題があって、これも主に年少者の方々の件なんですが、その場合に新鮮血液の確保ということが大変問題になっているわけですね。しかし、沖繩には、皆さんからの資料を見てみますと、最近ようやくこの心臓病手術の実施施設も県立中央病院あるいは琉球大学の付属病院、牧港中央病院等々にできているようですが、まだまだ九州各県なり本土の府県に来て手術を受けている。そのためには莫大な費用が要るわけですよ、血液を友人、知人からもらうために、援助していただくために。中には飛行機賃まで出して日当まで払って、手術を受けたという方もいるわけですね。したがって、これなどもいろいろ予算確保の問題で私も陳情を受けて厚生省にも要請をいたしましたが、何と八千万の要求に対して五十三年度でついたのは全国で八県でわずかに一千百万円程度ということですね。しかも、二分の一は補助、あと半分は該当県で持つというのが趣旨のようです。趣旨と言うより、そういうお考えのようですが、これも社会福祉行政としては余りにもお粗末と言っては言い過ぎかもしれませんが、もう少しこういうものには国の財政の手当てというものをやってもいいんじゃないでしょうか。なぜこういう結果になったのか。この一千万のうちで沖繩関係はどういうふうになっているのか、今後これだけの予算措置で十分に心臓病手術の方々に対して新鮮血液が確保できるとお考えなのか、その見通しと考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  90. 古市圭治

    ○古市説明員 御指摘の新鮮血液につきましては、現在血液製剤の供給ということで日赤の血液センターから供給を行っているわけでございますが、新鮮血につきましては非常に有効期間が短いということがございまして、現在の献血制度の主流になっております保存血では対応し切れないという問題がございます。  そのため、いまお話に出ましたとおり、五十三年度から新しい制度といたしまして新鮮血の確保対策というのを行ったわけでございますが、この根元には献血者のボランタリーな意思というものがございまして、予算をとったらすぐ実行できるということもむずかしいということがございますので、一応初年度におきましては八つの県におきまして試行的にやってみる、その結果を見まして全国的に広めていきたいということで、いわゆる予算規模は小さくなったということでございます。  それからまたこの八県につきましての選定でございますけれども、現在心臓病の子供を守る会、さらには日本赤十字社、都道府県と協議をいたしまして選考を行っているところでございます。
  91. 上原康助

    ○上原委員 その八県のうちには当然沖繩は入っているんでしょうね。
  92. 古市圭治

    ○古市説明員 沖繩が入っているかということでございますが、現在私ども考えておりますのは、当然その対象県としてその中に含めて考えていきたいとは思っておりますけれども、これは地元との協議の結果、決定いたしたい、このように考えております。
  93. 上原康助

    ○上原委員 これもくどくは申し上げませんが、実情については先ほど申し上げたような実態ですから御理解をいただいておると思いますので、こういった恵まれない、と言うと語弊があるかもしれませんが、不幸にしてそういう弱い立場の方々、あるいはまた経済的にも非常な負担を強いられる身体障害児、障害者あるいは心臓病疾患の方々に対する対策というものをぜひ十分にやっていただきたいと思います。  このことについては、行政管理庁長官福田内閣の大物大臣ですから、もう少しこういった面の補助金問題とか予算執行ということについては、私は内閣全体、政府全体としてきめ細かくお考えになるべきだと思いますので、御感想と今後の対策について承っておきたいと思うのです。
  94. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 お答えします。  ごもっともでございます。さよう努力をいたします。
  95. 上原康助

    ○上原委員 あと一点だけ。  これもせんだって予算委員会でしたかでちょっとお尋ねをしてあったのですが、例の金武の結核療養所の移転の問題ですが、時間がありませんので、簡潔にお答えをいただきたいと思います。  その後どのように計画が進んでおるかということと、十月の開所を目指してやっていくということでしたが、職員の異動、配置の問題なりあるいは医師、看護婦の確保等々を含めて、できるのかどうか、また宜野湾市の我如古にこの病院を設置をする段階では、現在金武の病院で働いている皆さんには一人の犠牲者も出さないということをお約束をしているわけです。そういう配置転換の問題、職員の要望に十分にこたえられるようになっているのか、改めてお尋ねをしておきたいと思います。  それともう一点は、先ほどの問題と関連をするのですが、この心身障害児の療育問題で、沖繩県が設立しているところの療育園において、リハビリテーションだと思うのですが、集団訓練なりいろいろなことをやっておるわけですが、これに対する国からの助成というのは全然ないわけですね。県がわずかの福祉財政の中から支出をしているという状況で、何か現在の補助金対象ではなかなかむずかしいということでそうなっているようですが、今後こういう面も、先ほど私が指摘をした問題との関連において、当然道を開くべきだと思うのですが、この点についてどのようにお考えなのか、この二点について厚生省の御見解を聞いておきたいと思います。
  96. 北川定謙

    ○北川説明員 先生質問の最初の金武保養院の移転の問題についてお答え申し上げたいと思います。  先生の御質問で、移転ができるのかという御心配をいただいておるわけでございますが、私どももせっかくのりっぱな施設が宜野湾地区にほぼ完成を見ておりますので、十月を目途に鋭意移転を進めてまいりたいということで、現在現地を通しましてその作業を進めておるところでございます。  なお現在の金武保養院の中に、移転準備委員会というような組織もこの四月から発足をしておりまして、従来全般的な職員についてのアンケート調査等も行っておったわけでございますけれども、交通事情等についても、最近さらに詳しい具体的な調査をしました。またその上で個々の職員についての移転に対しての御意向等についても調査を現在進めている段階でございますので、職員の十分な理解を得て、何とか円満に全職員の移転を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  97. 佐藤良正

    ○佐藤説明員 後段の点についての御質問にお答えを申し上げます。  先生御指摘の点は、沖繩県立療育園の集団訓練棟の整備の問題であろうかと存じますが、一般的に申し上げまして、重症心身障害児におきます訓練に必要な設備の費用については、現在国庫負担の対象になっておるわけでございます。  ただ問題は、この施設がすでに訓練棟を持っておるということと、それから基準面積等の点がございますので、その当該訓練棟の整備につきまして、これが国庫負担の対象になるかどうかにつきましては、施設の性格とか、それからその実態を勘案しまして決定すべきものと承知しております。したがいまして、沖繩県から具体的な計画があれば、十分検討いたしたい、こう考えております。
  98. 上原康助

    ○上原委員 それではちょっと関連で福岡先生にやっていただきますが、私の方は、一応審議会等の問題についてはいま問題を三点ばかり指摘をいたしましたが、そういうことを含めて十分政府としても、この手抜かりのないような方途が講ぜられることを改めて要望して、福岡先生に少し関連をさせていただきたいと思います。
  99. 始関伊平

    始関委員長 関連質問を許します。福岡義登君。
  100. 福岡義登

    福岡委員 私は、国土審議関係について質問したいのですが、御承知のように三全総が出されまして、いま具体的に地方計画を検討しておる段階でございます。そういうときに、提案されておりますように、各地方のこの審議会を統合するというのは適当でないという気持ちがするわけであります。むしろこの各地方審議会の強化を図りまして、早く各地方の計画を三全総に従ってまとめ上げるということが必要であると思いますのに、そういう時期に統合するというのは適当でないと思いますが、その辺はどう考えられておるのでしょうか。
  101. 福島量一

    ○福島(量)政府委員 お答えいたします。  先生ただいまお話にございましたように、昨年の十一月に三全総が閣議決定を見まして、本年度はいわばその推進のための初年度に当たるわけでございます。この三全総を受けまして、各地方のブロック計画につきまして、すでに策定の作業に実は着手しておるわけでございます。直接の担当部局は私ども地方振興局でございますが、着手しておりますので、今回の統廃合につきましても、現に着手しておるものにつきましては、現存の審議会の構成なり調査審議で答えを出していただくということで、法案の附則に、統廃合の実施の時期を、来年の「三月三十一日までの間において政令で定める日」と書いてございますのは、そういう趣旨で、できれば年内いっぱいにでも計画の策定作業を終えたいということを踏まえて、さような規定を盛り込んでいただいておるという事情でございます。
  102. 福岡義登

    福岡委員 一応の御配慮はわかりましたが、しかし各ブロックの審議会をあと一回や二回開いて、それで計画が最終確定をするというようには思いません。やはり何回か地方との往復検討をする事項も出てくると思いますので、今年度末までにという御配慮はわかりますけれども、それでも十分でない、こう思いますが、どうでしょうか。恐らく時間がありませんから、それは特別委員会を設置することにしておるから、自後のものについては特別委員会で考えていきたい、こうお考えになっておると思うのですが、そのとおりですか。
  103. 福島量一

    ○福島(量)政府委員 担当部局の方では、いま問題になっておりますブロック別の地方計画につきましては、いまの審議会の体制の中で全部仕上げたい、まだ四月でございますから、十二月、年内いっぱいといたしましても八カ月あるわけでございまして、現在いろいろ地方の方々から事情聴取、ヒヤリングと申しますかをやっている段階でございますし、一方で専門家の方々の集まる計画部会という部会がございますが、そこでいろいろ御審議を願っておるということでございまして、担当部局の方では年内いっぱいには計画の策定作業を終えたい、また終えるつもりであるということを申しておりますので、いまの審議会の構成の中でこの計画策定を終わるというように私ども考えておるわけでございます。
  104. 福岡義登

    福岡委員 確かに八カ月ありますけれども、この八カ月間に一応のブロック計画ができたといたしましても、さらにそれを具体化するためにいろんな検討が必要だろうと思いますね。だから、申し上げましたように、その点は特別委員会を設置して、その中でやっていこう、こうお考えのようでございますが、そのように理解していいのかどうか。
  105. 福島量一

    ○福島(量)政府委員 計画の策定だけで事終われりということではございませんので、策定した以上は、その推進ということは当然次の課題に出てくるわけでございます。その点につきましては、計画策定時の交わされましたさまざまな調査審議を踏まえまして、新しい特別委員会がそれを引き継いで推進に当たるということになろうかと思います。
  106. 福岡義登

    福岡委員 結論から言わしてもらいますと、どうも形式的な統廃合で、中身はそんなに変わってない。特別委員会の設置要綱は第九条ですか、ここでいろいろ規定されておりますが、現行の各地方審議会と、ここで規定されようとしておる特別委員会の中身を比較してみますと、そんなに大きな違いはないんじゃないか。ただ、さっき上原委員質問で聞いておりますと、審議会の委員の数が四百五十名が二百ないし二百五十名ぐらいに少なくなる、この程度でありまして、特別委員の任命も総理大臣がするのだし、場合によっては、この「特別委員会の決議をもって審議会の決議とすることができる。」とか、いろいろ規定がありますから、結論的に言わしていただくと、現在ブロック別に設けられておる審議会と、今度ここでつくられようとしておる特別委員会というのはそんなに大きな相違はない。そういうことになると、形式的な統合で中身は余り変わらぬのじゃないかという気がするのですが、どうですか。
  107. 福島量一

    ○福島(量)政府委員 今回の審議会の統廃合措置に関しましては、一つは先ほどもちょっと先生御指摘になりましたように、たとえば三全総という全国総合開発計画と、それからそれに続きますブロック計画その他の計画がございますが、大変密接に関連を持っておるわけでございますし、それから、かつまた計画の相互の間の整合性と申しますか、そういうことについての調整が十分図られたものでなくちゃならないということであろうかと思います。そういう趣旨で今回の行政機構改革と申しますか、簡素合理化の一環として、きょうも申し上げましたような考え方に立ちながらこれを統廃合して、相互の問のより緊密な連携といいますか調整を図っていくというのが今回の措置の大きな理由であろうかと思うわけであります。  御指摘のように特別委員会を設けまして、各ブロックの計画を担当します審議会、さらには豪雪、山村等の特殊な地域を対象にする審議会にそれぞれ対応した特別委員会をそのまま残すということに関しましては、おっしゃるように実態は余り変わらぬじゃないかという御指摘もあろうかと思うわけでございますけれども、結局地域の問題になりますと、それぞれ各地域の住民の意向というものをかなりくんで対応する必要があるということもございまして、そういった意味で、いわば私どもの方が従来取り扱ってまいりました国土総合開発審議会といったものとまた趣を異にした審議会の構成をとらざるを得ないというようなこともございまして、事実上特別委員会という形でこの審議会の審議を継続するという構成にしたわけでございます。
  108. 福岡義登

    福岡委員 今回の提案が、全国計画とそれから地方計画の整合性を持たせるためにいままでの審議会を整備するという御提案ならば、われわれは特別反対する理由はないと思うのであります。ところが、ここへ出されておりますのは、審議会の整理等に関する行政改革の一環として出されておりますから、先ほど申し上げましたように大切な時期に、むしろ強化する必要があるときに整理統合するというのは間違いじゃないかという趣旨の意見を述べたわけでありますが、要は、三全総に基づいた各地方の計画を策定をし、それを具体化していくということが非常に大切な事柄でありますから、その辺にひとつ配慮していただきたいと思います。  それから特別委員会をつくるということなんでございますが、御案内のように三全総では、二十一世紀の課題といたしまして首都問題が提起されております。これは分都にするか遷都で行くか、いろいろ議論のあるところでございますけれども、われわれ議員も議員懇談会をつくりまして、金丸防衛庁長官がたしかいま会長をやっておられると思いますが、首都問題についてここ何回か議論を続けてきたところであります。ところが、政府も今度初めて三全総で提起されただけで、新たな諮問機関その他を持っておられない。国会の方もこの問題を議論する場所はいまなおないわけであります。そこで事が首都問題でありますだけに、相当多くの議論が出てくるであろうというようなことを考えますと、取り扱う場所と言えばやはり国土審議関係の所管事項だと思うわけであります。そこで今度政令で特別委員会を当面は十三設けられる予定のようでありますが、この首都圏問題の特別委員会もぜひとって検討していただく必要があるんではないか、こう思いますが、その点はどうですか。
  109. 国塚武平

    国塚政府委員 首都移転問題はお尋ねのとおりでございまして、第三次全国総合開発計画にも述べておりますとおり、国土の均衡ある発展を図る上で二十一世紀にかけての国民課題だという提唱をしておりますことは御指摘のとおりでございます。この点から申し上げますと、首都移転問題は、国土の開発、整備、保全に関する総合的かつ基本的な政策に関する課題に相当する。したがいまして、今回御提案申し上げております新しい国土審議会の調査審議事項と十分なり得るものだというふうに考えておりまして、私どもも基本的課題としてこういう形で御審議いただくことが適当ではないかというふうにも考えておる次第でございます。  ただ、この首都移転問題を当審議会でどういうふうに取り扱っていくかということに関連いたしまして、政令で定める特別委員会の中にこれを設置するかどうかという点でございますが、現在のところは、先生の申されましたように従来の十四審議会のうち、国土総合開発審議会を除く十三審議会の調査審議事項につきまして特別委員会を設置していくということを予定しておるわけでございまして、いま直ちにこの特別委員会を設置するということを申し上げるわけにはいかないわけでございますけれども、きわめて重要な問題でもございますので、御質問の要点につきましては、国土審議会におきましてこの問題をどのような形で取り上げていただくか、あるいはどういうふうに進めていくかということとも関連させまして、十分前向きに検討させていただきたいと考えております。
  110. 福岡義登

    福岡委員 じゃ、最後に長官に、長官としてではなくて福田内閣の閣僚としまして、いま申し上げました首都圏問題は非常に大きな課題だと思うわけでありますから、政府としても相当の取り組みをしていただく必要があると思います。われわれもまた国会の場で、いまやりとりをしましたようなことで十分審議をする場をつくっていきたいと思いますが、最後に荒舩長官から御見解をお伺いしまして、終わりたいと思います。
  111. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 私は専門家ではございませんから、ですが、東京に近い埼玉県の出身でございまして、首都圏というものはこういう膨大な人口を抱えておる。しかも水の問題、電気の問題、あらゆる点で非常な国の中心地帯でございます。したがいまして、いま御指摘のありましたような問題につきまして、政府として真剣に考えていかなくちゃならない問題が多いと思っております。直接行政管理庁の問題ではございませんが、こうした問題について真剣に考えてみたいと思っております。
  112. 福岡義登

    福岡委員 ありがとうございました。
  113. 始関伊平

    始関委員長 鈴切康雄君。
  114. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 初めに、行政管理庁長官に、今回の行政改革に対する基本的な考え方並びにその姿勢について何点かお聞きをしながら、さらに法案の細部にわたって御質問申し上げたいと思うわけでございます。  今回、国際経済社会の大変に歴史的な転換を迎えるに当たって、わが国の経済というものは、かつて高度経済成長であったそれが、もはや復元不可能な状態になってきておりまして、減速経済時代に入った現在、高度成長時代のすべての見直しというものが要求をされ、新しい時代への体制整備が各方面から模索されているわけでありますけれども行政改革の必要性というものは、今日ほど私は大切な時代ではないかと思うのであります。しかし、実際には政府は、行政改革に対して昨年来アドバルーンを打ち上げながら、そしていざ具体的になると、なかなか思うように進んでいかないわけでございまして、しかもなぜ行政改革が必要なのかという、政府みずから国民に納得いくような説明がされないままに、むしろアドバルーンが先行しているというような状態であります。私は、やはり国民に納得のいく説明をしないことには、国民の合意も得られないでありましょうし、また行政改革も進むはずはないわけであります。  それで、今回行政改革について最初福田さんは、行政改革は私の政治生命のすべてをかけてこれを断行する、こういうふうに言われながらだんだんと後退していったわけでありますけれども、そう考えますと、一貫性がないと私は言わざるを得ないわけであります。そこで、行政改革の目的というものに対して、それは何だかということについて、国民にわかるように行政管理庁長官としては御説明願いたいわけでありますけれども、その点についてお伺いをいたします。
  115. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 ただいま鈴切さんからお話がございましたが、昨年の九月にアドバルーンが早く上がりまして、これは私から申し上げますと、余り研究のないうちにアドバルーンが上がってしまったのだというふうに考えております。御承知のように行政改革ということは、国民の税金のむだ遣いをしないこと、また行政コストの引き下げを行うようにすること、しかもそれを国民にわかりやすいように納得させなくちゃならないこと、おっしゃるとおりでございます。そういう点から考えまして、昨年の十二月二十三日に決定をいたしました行政改革方針にのっとりまして、鋭意努力をしているところでございます。国民全体の満足するようにはなかなかむずかしいことでございまして、できかねておる点も多うございます。しかし、やらなければならないことですから、ひとつ鋭意努力いたしまして、行政改革の実を上げていきたいと思っております。
  116. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 行政管理庁長官が研究のないままにアドバルーンを上げ過ぎてしまったというようなお話でありますけれども行政管理庁長官として、やはり少なくとも総理がリーダーシップをとって行政改革を断行するというふうに言われた以上は、研究がなされないままにアドバルーンを上げてしまったでは済まされない問題ですね。やはり行政管理庁長官は、総理の今回の決意を受けて、どう改革をするかということを真剣に模索しなくてはならない立場におありであるわけでありますから、そういうふうなことを行政管理庁長官から言われるということは、国民の皆さん方も驚いてしまうのじゃないかと私思いますが、それはそれとして、きょう総理が農林省設置法の中において、安上がりの効率的な行政機構をつくるのだというお話があったわけですけれども、私は、安上がりで効率的なあるいは能率的なというような問題、必ずしもこれは行政改革のすべてではないだろう。何といっても国民に奉仕するという行政改革がやはり大切だ。だから安上がりであり、開かれて能率的である、こういう考え方に立ちませんと、自然と安上がりで能率的なということになりますと、国民にとっては大変に迷惑でもあり、また、常日ごろ政府が考えておる中央集権化的な考え方が如実に出ているわけでありますけれども、こういうふうなことから考えて、いま行政管理庁長官が言われたこと、私、全部結構なことだと思うのです。結構な話です。結構な話でありますけれども、この行政改革については、自民党政府あるいは自民党の総理大臣は常日ごろ、まず総理大臣になりますと、行政改革に手をつけます。こういうふうにおっしゃっております。ところが、それだけいいものがなぜ今日まで、しかも政府として公約をしていながら、遅々として進まないかということに私は大変問題があろうかと思うのです。それについて行政管理庁長官は、よいことがこうやって進まないということ、これについてはどうお考えでしょうか。
  117. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 私の言い方が、鈴切さんの御質問に当たらなかったかもしれませんが、いま一番重要なことは、何といっても景気の回復を速やかにやるということ、それから雇用の問題、円高による貿易の問題、それから、そういうようなことを考えまして、それに邪魔にならないようなことも考えなくちゃならない。  まず、昨年の十二月二十三日に決定いたしました機構の問題ですが、対外経済の担当大臣をつくる。二百海里問題からいたしまして農林省を農林水産省に改組する。それから中央省庁の課を思い切って減らすということで五十一を対象にいま整理を行っております。それから地方出先機関のうち支所、出張所等を約千カ所整理をいたします。  国家公務員については、今後三年間に二万八千人を削減するということで努力をしておるわけでございます。なお、かつて地方の問題といたしまして定年制導入するように法案を出しましたが、これは廃案になりました。今度は中央からひとつ定年制度を確立する。  それから特殊法人がたくさんございますが、これを二十一整理いたすということで、その対象に現在は十四を整理する方針でございます。なお特殊法人はいろいろな点がございまして、役員の退職金が極端に多い点もございまして、これを二割削減する。なお特殊法人の総裁に一遍席を持つと八年間も座りっきりでいるというようなのを思い切って削減して六年以上はやらないようにする。  それから審議会を四十八統合整理をいたします。  それから補助金を千四百二十二億、かなり大幅な整理をすることにいたします。  それから許可、認可の整理合理化でございます。これは千二百四十事項廃止するということにいたし、なおこれを簡素化するようにいたします。  そこでこの方針を逐次実行しつつありまして、これに関係する法案国会で御審議をいただいておるわけでございます。もっともこれで十分だというふうには考えておりませんが、昨今の内外の情勢には大変厳しいものがありまして、民間においても不況克服のためにずいぶん努力を続けております。こういうものと並行いたしまして、国の財政も大変苦しい状態でございますために、ひとつ思い切った行政整理をいたしまして、また行政の簡素化をいたしまして行政のコストダウンをする。まあ不十分であるかもしれませんが、何もしないでいるじゃないか、どうも方向が明確化していないじゃないかというような御意見等もありますが、省庁統合のアドバルーンが上がったためにこれがおくれているということ、あるいは実行できなかったというようなことでおしかりのように思いますが、中央省庁というのは何といたしましても行政の根幹であります。これは慎重にやらなければならないということは当然でございます。それらのことを踏まえながら、ひとつ時局に適応したやり方で行政改革をしていきたい、こんなふうに考えております。
  118. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 長官、私はそういう意味でお話を聞いているわけではないわけであります。  個々の細かいことはその中に入るといたしまして、先ほど長官が言われたことは、簡素にして効率的な行政組織の編成とか、あるいは行政経費の軽減に役立たせるとか、あるいはまた国民の税金のむだ遣いをしない安上がりの政府をつくる、こういうふうに言われているわけですね。先ほど御答弁があったわけでありますけれども、そんなによいことを国民のためにやるについては、だれしも賛成であろうかと思うわけであります。しかし歴代の自民党の内閣は必ずと言ってよいほど行政改革政治公約を挙げるわけでありますけれども、ついにやれないままに終わってしまうという原因はどこにあるのか、こういうことをお聞きしているわけでありまして、今回私は全くやらないなんということは決して申し上げるつもりはありませんけれども、しかしすでに五十二年九月二日の閣議了解、そして五十二年十二月二十三日の閣議決定と一連の動きを見て、その前にああいうアドバルーンを上げた、それからずっと来て、やはりこの行政改革についてはしりつぼみになっていく、こういうような状態はどこに原因があるのかということについてお聞きしているわけであります。
  119. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 お答えいたします。  私はそんなにしりつぼみになっていると思わないのです。どうもちっともやっていないようなふうに——そうでもないですが、そんなにしりつぼみになっているとは思いません。ただ先ほどの話で、去年の九月にエネルギー省をつくったらどうだとか、あるいは住宅省をつくったらどうだとかというようなアドバルーンが上がった、それはまだ実行していないからしりつぼみでだめじゃないか、こう言うかもしれませんが、しかしたとえばいま膨大な公共事業を実行しようとしておるわけでございます。こういうようなために建設省、国土庁を一人の大臣が担当して、ここに摩擦の起きないようなことを実行していくというような問題等、挙げてそれほどしりつぼみではないと私は考えております。お言葉を返すようですが、そんなにブレーキをかけておるわけでもございませんし、それほど実行しないわけでもございません。また福田内閣一つの柱として行政整理を断行するのだということを内外に発表もしておりますから、その線に乗って鋭意努力をしていく覚悟でございます。
  120. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それではお聞きいたしますけれども、五十二年九月二日に閣議了解のときに、中央省庁の再編を含め改革を断行すると、はっきりここに閣議了解ではなっておりますね。ところが五十二年十二月二十三日の閣議決定のときには、建設、国土両省庁を一国務大臣が所管し、そして対外経済政策を担当するところの無任所国務大臣をつくる、これだけで実は終わっているわけです。当初総理大臣がエネルギー省あるいは住宅省、そして国土庁は建設省に統合するというようないろいろの案をそれなりに打ち上げられたわけでありますけれども、当初の構想の中での今回の閣議決定の位置づけ、これをどういうふうに判断されておるのか。  もう少しわかりやすく申し上げますと、当初の構想の中での位置づけとして、今回のこの閣議決定を踏まえてのやり方については、よくやったというようにお考えになっておられるのか、あるいはやっていないからこれからやる、そして検討をなさるというふうなお考えであるのか。また「引き続き検討を進めるものとする。」ということは、悪く言えば、時間的にかせぐために検討されるというふうにお考えなのか、いろいろの位置づけがあると思いますけれども大臣はどうお考えでしょうか。
  121. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 お答えをいたします。  エネルギー省をつくるということ、これは、エネルギー問題は日本の国政にとってきわめて重大でございます。何となれば、たとえば石油は一〇〇%輸入をしてこなくちゃならない。また発電につきましても、水力発電もなかなかいろいろな問題で進んでおりません。しかし、原子力発電にいたしましても、これは原料をみんな、一〇〇%輸入をしなくちゃならないというような問題等もありまして、果たしてエネルギー省をつくることだけが、去年アドバルーンが上がったことに該当しているかと言えばそうじゃないと思うのです。もっとよく考えて、一体日本のエネルギーというものをどうしたらいいかということをもっと根本的に考えていくべきだ。やらないんじゃない、もう少し徹底した研究をして、そういうことに対処すべきだというように考えております。  それから、住宅省と言っても、これは現状からいきますと、公共事業費でたくさんの住宅をつくるという方針で、この問題は何といっても地所の問題が一番重要でございまして、建物を建てるということよりもその建物を建てるための地所をどうして、いわゆる人口の多いその周辺に建てられるかというと、土地の問題でございます。こういうようなことを徹底的に研究して前進すべきだというように考えておりまして、果たしてエネルギー省をつくるのが満点で、住宅省をつくるのが満点だとは私は考えておりません。しかし、どれも必要でありますから、これに向かっては鋭意努力をいたしまして、ひとつ進めていこうと思っております。まあ、やらないんじゃなくて、他のいろいろな省庁統廃合ということは、これは行政の根幹をどうするかという問題でございますから、もう少し真剣に研究をしてみたい、こう思っておるわけでございます。
  122. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 行政管理庁長官は、この問題については引き続き慎重に検討をしてみよう、こういう御答弁でありますけれども、先ほど行政管理庁長官が総論賛成、各論反対だと、そういう意味からいいますと、行政改革というものはなかなかむずかしい問題もあるし、今回こういうふうにだんだんとトーンが下がってきたというかそういう状態になってきたというのは、やはり私は、各省庁の官僚のセクト主義というものがかなりこれは大きな影響を及ぼしているのではないだろうか。後退に後退をしているというような感じを受けないわけではないわけでありますけれども、やはり国権の最高機関である国会が当然こういう問題についてはリードをして、そして国民に奉仕する、そして安上がりの行政機構というものをつくっていかなければならない、こういうふうに私どもは思うわけでございます。それについての御意見をいただきたいのでありますが、それについては、やはり行政機関の長である行政管理庁長官と、そして今回その行政機構を私の政治生命だと言われた総理大臣の指導性という問題が大きく問われなければならないと思うのですよ。その点についてはいかがお考えでしょうか。
  123. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 お答えをします。  おっしゃるとおりでございます。しかし、各省庁で余り摩擦が起こっておるようにも私は思いません。たとえば、昨年の暮れの問題で、一例を挙げますと、中南米に一つの局をつくれというような話がありまして、新局はつくらないのだということを閣議で十二月二十三日に決めておりまして、振りかえをしてもらいたい、振りかえをするのなら、まあ中南米というところは日本人も百万以上行っておりますし、また資源、産業、そういった面で日本ともっともっと密接な方向に行かなくちゃならない、こう考えておりまして、外務省にも情報文化局なんというものもあるが、中南米局をつくるのなら、これとひとつ振りかえにして、あるいは合同するようなことをしたらどうだと言ったら、なかなかそういかなかった問題がありますが、とにかく新局はつくらないということに決定をしておりますから、これは退けたわけでございます。そのほかにはそれほど摩擦が各省間に起こっておるようなことはございません。  ただ、エネルギー省、住宅省ということだけが新しい省庁統廃合ではない。もっと大切なことがかなりある。そういうような問題等を研究しつつ前進をするつもりで、私は役人育ちでも何でもありませんから、少しぐらい摩擦があっても、必要とあらば断行する人間でございます。決してブレーキをかけているわけじゃございません。前進をするつもりでおりますから、御安心をいただきたいと思います。
  124. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 本来行政機関をリードするのは国会であるわけでありますけれども、このようにして、行政改革についてはなかなかむずかしい問題を含みながら、これを断行するということは口ではやさしいわけでありますけれども、実際にこれに当面するとむずかしい問題が出てくる。  そこで私は、一人の国会議員として、これは当然国会が最終的には決める問題でありますけれども国会行政改革特別委員会のようなものをつくって、そしてそこにおいて行政改革については常に見直しをしながら、あるいは行政改革の必要に応じての総点検もしながらやっていくという、そういう考え方一つ方法ではないかと思うわけでありますけれども行政管理庁長官も党人派であり、国会議員の一人として、国会が決める問題はあるにしても、個人的な御意見をお聞きしたいと思います。
  125. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 お答えをいたします。  ただいま御意見がございましたことは、国会のことですから、国会でお決めになることに何ら私ども反対するものでもございません。  それからなお、私がやることについてひとつ大いにチェックし、これを進めるということで、国会の中にそういう機関を設けてもらうことには私は反対でございません、賛成でございますから、どうぞお進めをいただけば、それに沿って大いに努力をいたします。
  126. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 では、委員長にちょっとお聞きしたいわけでありますけれども、まず、行政改革については昨年来から福田総理がかなり意欲的にこれを取り上げ、そして私の政治生命をかけてこの問題についてはやっていくということから、先ほどは行政管理庁長官が少し研究が足りないのにちょっとアドバルーンを早く上げ過ぎたんじゃないかというようなお話があったわけでありますけれども、しかしそういうことだけでは済まされない問題であろうかと私は思いますから、そういうことを考えたときに、やはりリーダーシップをとっていただかなければならないのは、何といっても総理大臣だ、私はそのように思うわけでありますので、本来ならば、総理大臣を一緒にここにお呼びしてそして質問をするのが当然であり、また今日まで行政改革のリーダーシップをとってこられたのもやはり総理でありますので、総理をお呼びになって、この内閣委員会で行政改革に対して国民にやはり知っていただかなければならぬ問題、あるいは総理がどうお考えになっているかということについて、ぜひともやりたいと思うわけでありますけれども、それに対して委員長にぜひともその実現方をお願いをしたいと思うのですが、委員長の御決意のほどをお伺いします。
  127. 始関伊平

    始関委員長 お答えをいたします。  ただいまの鈴切君の御発言の趣旨といたしますところ、またお気持ちにつきましてはかねて十分に承知をいたしております。委員長といたしましても、理事会でよく御相談いたしまして、ぜひ御要請の趣旨が実現いたしますようにひとつ万全の努力をいたす所存でありますので、御了承願いたいと思います。
  128. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 委員長がそのように御努力をしてくださるということをお伺いいたしましたので、それでは先に進みたいと思います。  今度出ておりますところの法案は、御存じのとおり審議会の整理統合並びに許認可事務の整理等の問題でありますので、それを主体としてお聞き申し上げていきます。  国家行政組織法第八条に基づく審議会または協議会など、法律で設置されております二百四十六審議会のうち、今回整理統合対象となった審議会は全体の約一九%、どちらかと言うとわずか四十八審議会にすぎません。これでは、行政の簡素化と能率化を推進するとともに審議会等の効率的な活用を図るためにと昭和四十四年七月十一日閣議決定した「審議会等の設置および運営について」という項目については、実際には余り着実に推進されていないように思うわけでありますけれども、それについてはどうお考えでしょうか。
  129. 辻敬一

    ○辻政府委員 今回、審議会につきましては全体にわたる見直しを行いまして、ただいま御指摘のございましたように、対象といたしましたものは四十八でございますが、これを整理統合いたしますと、純減となりますものが三十六でございまして、二百四十六審議会のちょうど一五%に当たるわけでございます。従来からも審議会の整理につきましては努力してまいりましたけれども、従来の整理規模を相当上回る整理ではなかろうかと私ども考えておる次第でございます。
  130. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今回四十八審議会の整理統合がなされるというわけでありますけれども整理統合についてはそれぞれの基準をお設けになられて、そしてそれに該当するものを整理統合というふうにされていると思いますが、その基準となるものはどのようにしておつくりになりましたか。
  131. 辻敬一

    ○辻政府委員 廃止と統合とあるわけでございますが、廃止につきましては三つございまして、一つは社会経済情勢が変化をいたしまして、審議会の審議対象となります事項が重要性を失ったと申しますか、そういうようなものが一つでございます。それから第二は、運営の実情を見ますと、開催の実績が不活発であるというものでございます。第三は、ほかの行政手段によって対処可能と考えられるものということでございます。  次に、統合について申し上げますと、設置の目的とか審議事項が類似しておりまして、統合することが適切と思われるものが第一でございます。第二は、やや審議事項は違うんでございますけれども統合によりましてより広い視野に立った審議をしていただく、それによって行政の総合性の確保ができるというものが第二でございます。それから第三番目に、いろいろな審議実績等から見まして、類似の審議会に統合いたしまして、部会として運営して支障がないというものが第三でございます。  この廃止について三基準、統合について三基準を設けまして、それによりまして四十八審議会を整理統合することにした次第でございます。
  132. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ここにあります審議会等整理等に関する法律案関係資料の中の提案理由の説明の中で、「審議会等整理につきましては、行政機構の簡素化及び合理化を推進するため、社会経済情勢の変化に伴い必要性の低下したもの、活動の不活発なもの等については、これを廃止する」というふうになっているわけでありますけれども、いま、他の行政手段によった方が効率的なものというふうなお話があったわけでありますが、それはどういうような意味ですか。
  133. 辻敬一

    ○辻政府委員 試験委員制度の活用でございますとか、あるいは審議会を設けなくて関係方面から随時に意見を伺いますとか、各省間の連絡協議を密接化いたしますとかそういうことで、つまりほかの一般的な行政手段によって対処可能である、審議会を設ける必要は必ずしもないんではないか、そういうものは廃止の中に入れているわけでございます。
  134. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 廃止される六審議会は、いま言われました理由をもとにして廃止の基準をつくられたというわけでありますが、社会経済情勢の変化に伴い必要性の低下したもの、あるいは活動の不活発なもの、あるいは他の行政手段によった方が効率的なものというその三種類でありますけれども、この六審議会の廃止の理由は、いま三つ言った理由の中のどれに当てはまりましょうか。もうちょっと具体的に……。
  135. 辻敬一

    ○辻政府委員 社会経済情勢の変化によりまして必要性の低下したものは、同時にまた開催実績が不活発なものというのに該当するものも多いわけでございますので、どれか一つと決めるのはなかなかむずかしいわけでございますけれども、連合国財産補償審査会でございますとか開拓営農振興審議会、これはいずれかと言えば、社会経済情勢の変化によりまして必要性が低下したものではなかろうか。同時に開催の実績も不活発でございます。  それから台風常襲地帯対策審議会につきましては、台風常襲地帯の対策自体は必要性が低下したとは言いがたい面が多いと思うわけでございますが、開催実績が不活発であるということになろうかと思うのでございます。  それから電気主任技術者資格審査会につきましては、先ほどもちょっと触れましたように、試験委員制により対処することが可能でございますので、そのように改めたいと思っておるわけでございます。  また、発明奨励審議会も、発明奨励自体の必要性については低下したわけではないわけでございますが、これはあえて審議会を設けなくても必要に応じまして関係方面の意見を伺ってまいればいいんではないかと考えておるわけでございます。  それから国民金融審議会につきましては、国民金融公庫の運営あるいはそういう関係制度が安定してまいりましたこと、それから諮問事項としてはないということから考えまして、必要性が低下しているんではないか、そのように判断をいたしたわけでございます。
  136. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 活動が不活発な審議会の判断基準をどこに置かれましたか。それについては、たとえば総会及び部会等の開催回数も判断の基準となっておるのか、その点についてはどうお考えでしょうか。
  137. 辻敬一

    ○辻政府委員 活動が不活発なものと申しますのは、必ずしも一律的な基準をつくるのはむずかしいかと思います。個々の審議会の機能や性格等によって判断が違ってまいると思いますが、一般的に申しますと、ただいま御指摘のございましたように、開催実績がないとかあるいは非常に乏しいということになろうかと思います。
  138. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そもそも国家行政組織法八条に基づく審議会等の設置の趣旨というものはどこにあるのか。また、審議会等検討されたことはどのような形で発表をされるのでしょうか。
  139. 辻敬一

    ○辻政府委員 審議会制度の趣旨は、申すまでもございませんけれども行政に対しまして民意を反映していく、あるいは行政に対して専門的知識を導入していくというようなことが主な目的であろうかと思うわけでございますが、この審議会の御意見はあるいは諮問に対する答申という形で、あるいはまた建議という形で、そのほか随時に意見という形で表明をされまして、政府がそれを受けて、尊重して行政の施策の上に反映させていく、こういうことであろうかと思います。     〔委員長退席、村田委員長代理着席〕
  140. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 審議会等の設置趣旨にかんがみまして、諮問とかあるいは答申事項等の必要が実際にはあるにもかかわらず、昭和四十六年度以降それらが全くなされていない審議会等は幾らありましょうか。
  141. 辻敬一

    ○辻政府委員 審議会の中にはいろいろ性格がございまして、個々の行政処分についての審議あるいは不服の審査、試験、紛争処理というものを行うものがあるのでございますが、こういう審議会につきましては、特に諮問とか答申とかいう形式をとっておりません。  しかしそれは別といたしまして、ただいまお尋ねの諮問、答申の実績がない審議会は、昭和四十六年度以降現在までについて見てみますと、十九審議会ということになっております。
  142. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ここにいただいております審議会総覧の中に記載されている諮問・答申事項、いわゆるゴシックで書かれているわけでありますけれども、この諮問・答申事項と書かれているのは、いまの御説明によりますと、審議会としてすべてその義務があるというのではないでしょうか。
  143. 辻敬一

    ○辻政府委員 ただいま申し上げましたように、審議会の中には必ずしも諮問、答申という形を前提としないものもございますけれども、先ほど申し上げましたように、諮問、答申の実績がないもの全部といたしまして十九でございまして、そのうち今回整理統合対象としておりますのは八審議会、廃止等をいたしましたものが五、統合いたしましたものが三、そういう内訳になっております。
  144. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ゴシックで諮問・答申事項等というふうに書かれておるわけでありますけれども、実際には審議会の意見をつけて行政手続をやるということだけで済ましておるような審議会もあるようであります。  そこでお尋ねいたしますけれども昭和四十六年度以降、諮問。答申事項等のない審議会というのは幾つありましょうか。
  145. 辻敬一

    ○辻政府委員 先ほどからお答え申しておりますように、十九審議会でございます。
  146. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 十九審議会以外にございませんか。
  147. 辻敬一

    ○辻政府委員 ただいま私どもの手持ちの資料によりますと、十九ということになっております。
  148. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは公害健康被害補償不服審査会あるいは税理士試験委員、社会保険審査会、援護審査会、これはいずれも諮問・答申事項ということを書いていながら、実際には何も上がっていない例でありますけれども、それは十九審議会以外の審議会に当たりませんか。
  149. 辻敬一

    ○辻政府委員 ただいま御指摘のございましたものは、私が申し上げました十九審議会の中に入っていないと思います。
  150. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ですから、いま私が申し上げましたように、審議会の意見をつけて行政手続をやれば、それで済むような審議会でありますかということをお聞きしております。
  151. 辻敬一

    ○辻政府委員 ちょっと私ども調査と食い違いがあるようでございますので、至急調査をいたします。
  152. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私がいま四つ申し上げました審議会は、四十六年度以降やはり審議会として答申あるいは諮問がなされているかということについてお伺いしているわけですけれども、その点の御調査はどうでしょうか。
  153. 辻敬一

    ○辻政府委員 私ども調査とちょっと食い違っておるようでございますので、至急調査をいたしますので、しばらくお待ち願いたいと思います。
  154. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いまあなたの方で御答弁になった数は十九ですね。私どもがつかんでいる数は二十三ということでそこに食い違いが出ているわけでありますが、いずれにしても今日まで活動が不活発な審議会というのがあるわけです。あなたの方で言えば、十九審議会のうち実際には七審議会にすぎないわけでありますけれども、わずか七審議会ということは、行政改革に取り組む政府の姿勢としては大変に問題があるのじゃないかというふうに言われても仕方がないと思うのです。その点に  ついてはどう思われましょう。
  155. 辻敬一

    ○辻政府委員 十九の中で一応八審議会につきましては、私ども整理統合対象にしたと考えておりますが、その他の十一審議会につきまして申し上げますと、個々の行政処分についての審議を行うものが二審議会ございます。これはその性格上、必ずしも諮問、答申ということを前提といたさないものでございます。それから不服審査、試験、紛争処理等を行うものが七審議会ございまして、これも同様な事情にあるわけでございます。それから、やや特殊な事情のございますものが二審議会ございます。たとえば国民生活安定審議会、これは例の国民生活安定緊急措置法の運用に関する事項審議するものでございますが、この間経済事情等にかんがみまして審議の必要性がなかったというようなことがございます。整理統合対象にしておりません十一審議会につきましての内容はそういうことでございます。
  156. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 昭和四十四年七月十一日に閣議決定した第二次行政改革計画「審議会等の設置および運営について」によりますと、「専門知識が必要なものについては、専門官の育成、公正の確保のためには公聴会および聴聞の活用、利害の調整のためには関係団体の意見の聴取等をはかり、いたずらに審議会等を設置することを避けるものとする。」とあるが、閣議決定後、すなわち昭和四十四年七月十一日以降設置された審議会は幾つありますか。
  157. 辻敬一

    ○辻政府委員 その後できるだけスクラップ・アンド・ビルドの方針で対処しているわけでございますけれども閣議決定以降現在までの設置、改廃の数について申し上げますと、設置が三十五、廃止が三十三、したがって二審議会の増という数字になっております。
  158. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 その三十五審議会、そういうつくったり廃止したりという中で、昭和五十年一月一日現在、一度も諮問とかあるいは答申がなされていない審議会は幾つありますか。
  159. 辻敬一

    ○辻政府委員 閣議決定以後新設いたしましたもので、昭和四十六年以降諮問、答申実績のないものは四つございます。
  160. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それはどれとどれですか。
  161. 辻敬一

    ○辻政府委員 自衛隊離職者就職審査会、国税審査会、中小企業分野等調整審議会、それから国民生活安定審議会でございます。
  162. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ただいま御答弁いただきました四審議会の開催状況はどのようになっておりましょうか。これについては五十年、五十一年、五十二年度——五十二年度は、五十三年の二月十五日現在における総会、部会の開催状況はどうなっていましょうか。
  163. 辻敬一

    ○辻政府委員 ただいま申し上げた四審議会についての開催実績でございますね。——自衛隊離職者就職審査会につきましては五十年度総会四回、それから五十一年度総会一回、五十二年度は二月まで開催実績なしということでございます。国税審査会につきましては五十年度、五十一年度開催実績なし、五十二年度一回。中小企業分野等調整審議会につきましては五十年度四回、五十一年度二回、五十二年度一回ということでございます。国民生活安定審議会については開催実績がございません。
  164. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 中小企業分野等調整審議会という名前がいま突如として出たわけですけれども、これはどういうことなんですか。先ほどは国民生活安定審議会、自衛隊離職者就職審査会、国税審査会、臨時大学問題審議会、この四つだというお話があったのですが、いま中小企業分野等調整審議会という名前が出たのですが、これはどういうことですか。
  165. 辻敬一

    ○辻政府委員 先ほども自衛隊離職者就職審査会、国税審査会、中小企業分野等調整審議会、それから国民生活安定審議会とお答えいたしました。  それから、一つ訂正させていただきます。国民生活安定審議会につきましては、五十年度と五十一年度は一回ずつ開催実績がございます。五十二年度はゼロでございます。訂正させていただきます。
  166. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 国民生活安定審議会の開催状況の報告について、昨年予算委員会に提出された資料によりますと、五十年度の総会は二回、部会はゼロ、五十一年度はゼロ、部会は十二回、五十二年度は一回、部会は三十二回、こうなっているのですけれども、あなたの数字と違いますね。どういうことですか。
  167. 辻敬一

    ○辻政府委員 ただいま鈴切委員の御指摘になりましたのは国民生活審議会ではなかろうかと思います。
  168. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、もう一回国民生活安定審議会について御答弁を願います。
  169. 辻敬一

    ○辻政府委員 国民生活安定審議会の開催実績は、五十年度総会一、部会ゼロ、五十一年度総会一、部会ゼロ、五十二年度は開催実績なしということでございます。
  170. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 昭和四十四年の七月十一日の閣議決定で、いたずらに審議会等を設置することは避けるものとしながら、実際には新たに審議会が設置されているわけでありますけれども、そのうち、いま言われたように活動の不活発なものが見受けられるわけでありますが、それについてはどうお考えでしょうか。
  171. 辻敬一

    ○辻政府委員 国民生活安定審議会につきましては、先ほどお答え申し上げましたように国民生活安定緊急措置法の運用に関する事項審議する、例の狂乱物価の際に設けられたものでございます。特殊な事情ではなかろうかと思っております。  それから、自衛隊離職者就職審査会、国税審査会、中小企業分野等調整審議会、いずれも同じでございますけれども、不服審査的な審議会でございますので、案件がない場合もあるわけでございますが、しかし、そういう審議会の仕組み自体は必要であるわけでございますので、単に開催回数が少ないからといって廃止するというわけにはまいらないと考えております。
  172. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 五十年度あるいは五十一年度の各種審議会の開催回数を見てみますと、二カ年度とも開催回数がゼロという審議会がたくさんありますけれども、今回の整理統合対象となっていない審議会等の名前を挙げていただきたいと思います。
  173. 辻敬一

    ○辻政府委員 五十年度及び五十一年度におきまして開催回数がない審議会は十八審議会でございます。なお、そのうちの三審議会につきましては五十二年度は開催実績がございます。  その中で、今回廃止をいたしておりますのが三つございます。それから統合対象といたしておりますのが三つございます。  そのほかでは、たとえば関税不服審査会でございますとか中央優生保護審査会でございますとか自動車損害賠償責任再保険審査会でありますとか、先ほどもちょっとお答え申し上げました不服審査の審議会でございまして、案件はございませんけれども、仕組み自体は必要でございますので、開催実績がないからと申しまして廃止するわけにはまいらないわけでございます。  なお、特殊なものといたしましては、公務員制度審議会あるいは選挙制度審議会のようなものがございまして、この間はたまたま開催実績がなかったわけでございますが、今後調査すべき基本的な問題が生ずることが予想されますので、こういうものにつきましては、今回整理対象としていないのでございます。
  174. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 二百四十六審議会のうち五十年の一月一日現在、委員の任命がなされていない審議会は幾つありますか、そしてその審議会の名前を挙げてください。
  175. 辻敬一

    ○辻政府委員 現在ございます審議会の中で委員の任命がなされていないのが、やや長期にわたっているものが七審議会ございまして、公務員制度審議会、選挙制度審議会、連合国財産補償審査会、臨時大学問題審議会、開拓営農振興審議会、中央生乳取引調停審議会、自動車損害賠償責任再保険審査会でございます。
  176. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 厚生省所管の中央優生保護審査会は、昭和五十年の一月一日現在の審議会総覧によると、五十年度、五十一年度の開催はゼロ、諮問・答申事項等なし、委員の任命、昭和五十年の一月以降なしという状況でありますが、これはどういうことでありますか。
  177. 辻敬一

    ○辻政府委員 中央優生保護審査会につきましては、先ほど来申し上げておりますように、不服審査のための審査会でございますので、審査案件がないので開催実績はございませんけれども機構自体は存置しておく必要があると考えまして、今回は整理対象としておりません。
  178. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 公務員制度審議会及び選挙制度審議会、さらには、中央教育審議会に至っては、昭和五十年、五十一年、五十二年度の三カ年、審議会の開催回数がゼロ。そして、現在なお委員の任命すら行われていない現状でありますが、これはどういうことなのでしょうか、御説明願いたい。
  179. 辻敬一

    ○辻政府委員 ただいまのうちで、中央教育審議会につきましては、四十九年五月に答申がございまして、しばらく審議事項がなかったわけでございます。そのために開催実績がなかったのでございますが、昭和五十二年度から新メンバーによる審議が再開されているのでございます。  それから公務員制度審議会、選挙制度審議会につきましては、先ほども申し上げましたが、今後、調査審議をお願いするような基本的問題が生ずることが予想されますので、現在のところは確かにそういう状況でございますが、今回整理対象としていないのでございます。
  180. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 昭和三十八年九月二十日の閣議口頭了解の「各種審議委員等の人選について」で、適格者の資格と兼務の排除をうたっておりますけれども、この二項目については、内閣官房人事課の方が来られておると思いますけれども、どういうふうになっておりますでしょうか。
  181. 角田達郎

    ○角田説明員 お答えいたします。  昭和三十八年の九月の閣議了解で、委員の「兼職の数は最高四」というふうに規定されておりますが、この閣議口頭了解がなされた時点、昭和三十八年の十一月の数字では、委員の兼職五以上の者、延べでございますが、これが百二十七名、それからその以後、この閣議口頭了解によりましていろいろ各省にお願いをして、委員の兼職の数を減らしていただくというお願いをいたしまして、その結果、四十八年の数字でございますが、四十八年二月一日現在で、五以上の兼職をなされている方が四十二名ということになっております。  それからさらに、昨年の四月から、こういうことで漸次委員の兼職を減らすように努力してまいってきたわけでございますが、昨年の四月の時点で、いかなる事情があろうとも、委員の兼職はもう五以上はお断りするということで各省にいろいろお話をいたしまして、現在のところ、二、三の例を残しまして、すべて兼職は四以下という状況になっております。  それから、二、三の方々につきましても、ある一定の期間内に兼職の数を四以下に減らしていただくというように調整済みでございます。  以上でございます。
  182. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 各種審議委員等の人選について、適格者の資格と兼務の排除については、たしか二項目に「会議によく出席して、十分にその職責をはたし得るよう、本人の健康状態出席状況に留意し、これに該当しないような高齢者又は兼職の多い者を極力避ける。兼務の数は最高四とする。」こう書いてありますね。これに基づいて各種審議委員の人選というものは、その審議会の所管省庁で行うものだと思うのですが、その点はどうなのか。また、各種審議委員の人選状況というか、委員の一覧表はどこで掌握をされておりましょうか。
  183. 角田達郎

    ○角田説明員 お答えいたします。  最初の御質問でございますが、各種審議会の委員の選考は、これはそれぞれの所管省庁でやっております。ただ、先ほど来問題になっております昭和三十八年の閣議口頭了解を担保するという立場で、委員の並職の数、それから長期留任——長期留任は、この閣議口頭了解によりますると、「任期三年のものは三期まで、任期四、五年のものは二期までを原則とする。」という決めになっておりますので、これをオーバーするような委員の人選につきましては、私どものところへ各省庁からの説明をしていただきまして、いろいろな審議会の運営の事情等を勘案して、長期留任につきましても例外はある程度認めている。それから、先ほど申しましたように、兼職の数につきましては最高四を厳守していただく、かようにしております。  それからもう一つの御質問でございますが、審議会の委員の一覧表は私ども人事課で、各省庁が人選したものをまとめて記録してございます。
  184. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 各種審議委員の「兼職の数は最高四とする。」ということで閣議了解されているわけでありますけれども、それから努力はしてきたというわけでありますが、いま現在、なお兼職四以上のいわゆる審議委員をやっておられる方が三、四人おられるというわけでありますが、だれとだれでしょうか。
  185. 角田達郎

    ○角田説明員 閣議口頭了解によりますと、四はよろしいので、五以上がいかぬことになっております。それで、五以上の兼職をいまもってなされている方は圓城寺次郎先生、それから永野重雄先生でございます。このお二方でございますが、このお二方につきましても、それぞれある一定の期間内に四以下にしていただくということで、それぞれの方々に御了解はつけておる、こういう状況でございます。
  186. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは、五以上の審議委員をやっている方が、いわゆる閣議口頭了解のもとに兼職四ということになるというわけでありますけれども、それでは大体いつそういうふうな状態になりましょうか。
  187. 角田達郎

    ○角田説明員 いま御説明いたしました二人の方を除きましては、すでにもうすべての審議会の委員が、私どもの承知しております限りにおきましては、兼職は四以下になっております。  それから、いま御説明いたしましたお二人の方につきましても、来年の三月末日までには四以下になっていただく、こういうことになっております。
  188. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 審議会の運営費用、これは今回の行政改革の中にあって、やはり経費の節減という観点から考えますと、審議会等の運営費用というのも、国民の多くの方々は、それについては大変たくさんの費用が節約されると思っておるわけでありますけれども審議会等の運営費用は全体としてどれほどかかっておりますか。
  189. 辻敬一

    ○辻政府委員 審議会の経費でございますが、これは事の性質上、それほど多額な金額ではないのでございまして、五十三年度予算では十七億二千二百万程度でございます。
  190. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、十七億二千万円程度について委員の手当あるいは事務費、交通費、いろいろ項目別的なものがありますけれども、その点についてはどうなっておりましょうか。
  191. 辻敬一

    ○辻政府委員 そのうち委員手当等が五億五千六百万と承知しております。
  192. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 事務費とか交通費はどうですか。
  193. 辻敬一

    ○辻政府委員 そのほかに常勤委員給与が五億八千七百万ございます。それを除きましたものが、ただいまおっしゃいました事務費等であろうと考えております。
  194. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今回の審議会等整理統合による経費節減というのはどういうふうな効果がありましょうか。
  195. 辻敬一

    ○辻政府委員 審議会の整理は、経費の節減もございますけれども、全体としての行政機構の簡素合理化を主なねらいといたすものでございます。したがって、経費の節減効果の金額自体はそう大きいものではございません。約千三百万円程度考えております。
  196. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは、先ほどからずっと論議されてきて、大変に今回審議会を大幅に整理統合したというようなお話であったわけでありますけれども、たった千三百万円しか整理統合に伴うところの経費節減にならぬのですか。  これは行政管理庁長官審議会の整理をやって、要するに国民の税金をなるべく節約をするとか、そういうようなお話があったわけでありますが、鳴り物入りのわりあいには審議会の経費節減というものは余り効果がない、こういうことでしょうか。
  197. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 お答えします。  金の問題だけではないのでございまして、ひとつ鈴切さん、私が考えているのは、明治の憲法政治以来ふえる一方でございます。特に戦後は新憲法下それからまた進駐軍が来ておりました等の関係、諸外国のいろいろな影響を受けて、ふえる一方だけであったわけですね。ですから、これは金の問題ばかりでなく、屋上屋をいたずらに重ねるというような等の点につきましても、これは総論でございますけれども、なるべくひとつ、審議会もそうでございますし、あるいは特殊法人もそうでございます。こういうものはなるべく整理をいたしまして、さっき申し上げるような屋上屋を重ねないような政治をしていく仕組みにする方がいいと考えております。そういう方向で努力していく覚悟でございます。
  198. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今回の行政改革については、確かに簡素にして効率的な行政組織の再編とか、行政経費の節減に役立つとか、あるいは国民の税金のむだ遣いはしない安上がりの政府をつくる、こういうふうな話をされているわけでありますけれども、実際に審議会等、いろいろとこうやって質疑をやっておりますと、今回の審議会等整理統合による経費の節減というのはわずか一千三百万円にしかならないということは、これは余りにも審議会の整理等によって経費が節減されたとは言えないということは申し上げておかなくちゃならないと思います。  昭和四十四年の七月十一日の閣議決定の「審議会等の設置および運営について」の四項目には、「所掌事務が複数の省庁に関連する審議会等については、原則として、特に事務の関連が深い特定の省庁に設置するものとする。」とありますけれども、この閣議決定に沿って今回整理統合をするよう努力したが、なお、かつ所掌事務が複数の省庁に関連をするという審議会は幾つありましょうか。
  199. 辻敬一

    ○辻政府委員 ただいま御指摘の審議会は、現在の数が三十八でございますけれども、今回の改正をさしていただきますと、十九減りまして残りが十九、ちょうど半分になる予定でございます。
  200. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 総理府の本府所管の審議会が五十一ありますね。その中で総理府だけがやっているのは十三、三十八審議会は総理府と他の省庁がダブっているわけでありますので、そういう計算からいいますと十二審議会ではないでしょうか。
  201. 辻敬一

    ○辻政府委員 現在総理府の所管の審議会がただいまお話のございましたように五十一でございまして、その中で庶務を担当している役所が総理本府だけであるのが十三、庶務機能を他の省庁に置いて担当いたしておりますものが残りの三十八でございます。この三十八がいわゆる俗な言葉で恐縮でございますが、座敷貸しの審議会と言われているものでございますが、この三十八が改正後には十九になると申し上げたわけでございます。
  202. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これらの審議会に対して今回改善策はなされていないようでありますけれども、その理由をお伺いいたします。
  203. 辻敬一

    ○辻政府委員 国土庁関係審議会につきましては、ただいま申し上げましたように、今回改正の措置をかなりな程度とることにいたしたわけでございます。その他の審議会につきましても、関係省庁に移管することを検討したわけでございますが、その点につきましては結論を得るに至らなかったということでございます。
  204. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 かつて国民生活安定緊急措置法が成立したときに国民生活安定審議会というのが不況から国民の生活を守るというためにできたわけでありますけれども審議会が、新しい法律ができますとそれに伴って出てくるという傾向があるわけでありますけれども整理統合の問題とともに、新設のチェックというものもかなり必要ではないかと思いますが、現在それに対してはどういう方向でどういうふうにお考えになっていましょうか。
  205. 辻敬一

    ○辻政府委員 まことに御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましても、新たに審議会がふえるということのないように努力をしておるところでございます。先ほど申し上げましたが、原則としてスクラップ・アンド・ビルドということで対処しているつもりでございます。
  206. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今回の法律案によれば、六つの審議会を廃止するとともに、労働省の付属機関である労働基準監督官分限審議会を設置法上は廃止するとありますけれども、労働基準監督官分限審議会の設置の目的及び所掌事務というものはどういうふうになっていますか。
  207. 辻敬一

    ○辻政府委員 労働基準監督官分限審議会は、労働基準監督官につきまして罷免の事案が生じました場合に、これに対します同意を審議するということが目的でございます。
  208. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 労働基準監督官の身分を保障する性格を持った労働基準監督官分限審議会を廃止をして、これで心配はございませんか。
  209. 辻敬一

    ○辻政府委員 労働基準監督官分限審議会は、ただいま申し上げたような性格でございますので、審議事案がまれにしか生じないのでございます。したがいまして、この際常設の機関としては廃止をいたしまして、万一不幸にしてそういう事案が起こりました場合には、その都度設置するということにいたしたいと思っておるのでございます。
  210. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 その都度設置するということは、政令でいつでもできるという処置になるというように思いますけれども、となりますと、どのような政令の内容になりましょうか。
  211. 辻敬一

    ○辻政府委員 まず、この審議会の設置の根拠でございます労働基準法の第九十九条第四項の規定は現状のまま存続をするわけでございます。それから労働基準監督機関令におきまして、必要の都度設置をいたします労働基準監督官分限審議委員の選任の手続をあらかじめ規定するということにいたしたいと思っております。
  212. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 六つの審議会を廃止すると言われておりますけれども、連合国財産補償審査会は、事案の発生の可能性が残っておるところから、なお政令で置くことができるというようにされておりますけれども、このような、政令で審議会を設けるというようなやり方、こういうものはまだほかにありましょうか。
  213. 辻敬一

    ○辻政府委員 連合国財産補償審査会につきましては、ほとんどの連合国あるいは連合国人につきまして不服審査を請求することのできます期間が経過しております。したがいまして、この審議会が活動する事態は、まずほとんど考えられないのでございますけれども、ただボリビア、コロンビア、ルクセンブルクの三国につきましては、審査請求を行う法的な余地が残っておりますので、国際信義上問題が生ずるという観点から、政令で設置することができるという余地を残したわけでございます。このような例はほかにもございます。
  214. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ほかにあるというわけでありますけれども、たくさんございますか。例を挙げて御説明できましょうか。
  215. 辻敬一

    ○辻政府委員 政令で設置することができることとされておる審議会の例といたしましては、一つは地震保険審査会というのがございます。地震保険に関する法律によりまして「大蔵省に、附属機関として、政令で定めるところにより、地震保険審査会を置くことができる。」ということになっております。もう一つは、原子力損害賠償紛争審査会でございます。原子力損害の賠償に関する法律によりまして、同様に「政令の定めるところにより、原子力損害賠償紛争審査会を置くことができる。」ということになっております。
  216. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 電気主任技術者資格審査会を廃止し、電気主任技術者資格審査委員を置くとしておりますけれども、これは審議会等整理の三原則、すなわち社会経済情勢の変化に伴い必要性の低下したもの、活動の不活発なもの、設置目的、審議事項等が類似しているもののどれに該当しますか。
  217. 辻敬一

    ○辻政府委員 先ほど申し上げましたように、廃止につきまして三つの原則がございまして、一つは社会経済情勢の変化により必要性の低下したもの、第二番目は活動実績の不活発なものでございますが、第三番目にその他の一般行政手段により対応可能なものということを考えておるわけでございまして、先ほども御説明申し上げましたように、電気主任技術者資格審査会の廃止理由は、その三番目に該当すると考えております。
  218. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 昭和四十四年七月十一日の閣議決定において、総理府関係の「台風常襲地帯対策審議会を廃止する。」としていたものが、いままでどうしてこのように見送られてきたのでしょうか。
  219. 辻敬一

    ○辻政府委員 台風常襲地帯対策審議会につきましては、今回御提案申し上げております法案で廃止するということで御提案を申し上げておるわけでございます。  四十四年当時になぜ廃止できなかったかということでございますけれども、いろいろな経緯があったようでございます。第一次の行政改革計画を具体化するための許認可整理法案に台風常襲地帯の指定の廃止に関する事項も織り込もうということで、関係機関との調整をいたしたわけでございますが、同意が得られませんで、成案に至らなかったということもございまして、今回まで実現しなかったわけでございますが、今回これを取り上げて廃止することに踏み切ったわけでございます。
  220. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 連合国財産補償審査会を廃止するが、事案発生の可能性が残っておるので、政令で置くことができるとし、また、すでに閣議決定で廃止するとされながら存続されていた台風常襲地帯対策審議会を廃止するなど、こういうふうなやり方は国民の目から見るならば数合わせではないか、そういうふうに映るわけでありまして、数合わせの廃止統合ではないかというような非難に対して、どのようにお考えでしょうか。
  221. 辻敬一

    ○辻政府委員 それぞれの理由につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。  連合国財産補償審査会につきましては、今後この審議会が活動する事態はまず予想されないのでございますけれども、国際信義の問題もございますので、政令で設置する道を開いておくということであるわけでございます。  台風常襲地帯の審議会につきまして現在まで廃止がおくれておりましたのは申しわけない次第でございますが、今回の措置の一環としてこれを廃止することにしたわけでございまして、私どもといたしましては、数合わせということは毛頭考えておりません。
  222. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 国家行政組織法第八条には「各行政機関には、法律の定める所掌事務の範囲内で、特に必要がある場合においては、法律の定めるところにより、審議会又は協議会を置くことができる。」と規定されており、少なくとも所掌事務についても当然のことながら法律規定すべきではないか。それでなければ、後で政令で決めるというのでは内容がよくわからないじゃないかという批判があるわけでありますが、どのようにお考えでしょうか。
  223. 辻敬一

    ○辻政府委員 審議会の設置自体が法律に基づかなければならないというのは国家行政組織法の定めるところでございまして、法律設置の原則になっておるわけでございます。ただ、その所掌事務のどの程度のものまで法律に書くかということにつきましては、立法例におきましてもいろいろでございます。審議会の任務、性格等も違いますので、どの程度法律規定するかについては、まちまちになっておるのが実情であると思います。
  224. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 現行制度で連合国財産補償審査会及び労働基準監督官分限審議会ともにそれぞれ根拠規定法律に置き、あわせて設置法で規定しておりますが、改正案では、連合国財産補償審査会は実体法で政令で定めるところにより設置することができるとしており、設置法からは削除し、また労働基準監督官分限審議会も労働基準法で「命令で定める労働基準監督官分限審議会」云々と定めているだけで、設置法からも削除し、随時政令だけで定めるのは大変に問題を残すわけでありますけれども、その点どうお思いになりますか。
  225. 辻敬一

    ○辻政府委員 先ほどお答え申し上げましたとおり、審議会の設置が法律に基づかなければならないというのは当然でございますが、国家行政組織法の第八条の解釈といたしましては、法律の定めるところにより置くという意味は、必ずしも審議会を設置するという形の積極的な規定を予想しておるのではないのではないか、設置の根拠が法律規定されていれば法律の解釈としては足りるのではないかと考えておるわけでございます。先ほど申し上げておりますように、法律の根拠に基づいて政令によって設置するという立法例もあるわけでございますし、労働基準監督官分限審議会の場合には、労働基準法第九十九条第四項という規定がこの法律の根拠に当たるのではないかと考えておるわけでございます。     〔村田委員長代理退席、委員長着席〕
  226. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今回の法律で三十九審議会等統合して新たに十の審議会を設置するということになっております。しかし、たとえば各種開発審議会十四を統合して新たに国土審議会を設置し、統合はしているものの、国土審議会には特別委員会を設けることができるということになっています。さらには、この特別委員会の決議をもって国土審議会の決議とすることができることになっていることは、実態は全く変わっていないのではないかというふうに思われるわけでありますが、その点はどうお考えでしょうか。
  227. 辻敬一

    ○辻政府委員 先ほども申し上げたところでございますけれども、この統合によりまして、委員の数も変わってくるわけでございます。審議会自体の委員の数としては、四百五十人以内から四十五人以内になります。特別委員の数につきましては、法律施行後政令で決めるわけでございますが、数が約二百数十人程度考えておりますので、特別委員を合わせましても統合後の委員の数は約三百人。したがいまして、百数十人というものは委員の数が減るわけでございます。そういう違いもあるわけでございます。  なお、特別委員会の決議をもって委員会の決議とすることができるという立法例は、これはほかにもあるわけでございます。  いずれにいたしましても、単独の審議会が並列いたしておりますよりは、全体的な総合的な観点から御審議をいただくという意味で、一つ審議会に統合いたしまして、その特別委員会としてそれぞれの地域の特殊性、個別性というものを反映していただく方がより効果的ではないか、そして、全体として行政簡素化の趣旨に沿うのではないかと判断をした次第でございます。
  228. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今回の審議会等整理については、過去国会で修正されたものが、ほぼそのままの内容として含まれているものが二つあります。厚生省の関係の中央精神衛生審議会、栄養審議会、結核予防審議会及び伝染病予防調査会を公衆衛生審議会に統合する点、四十八年の第七十一回国会において全く同様の内容の厚生省設置法改正案が提出されたけれども、衆議院で修正されているという内容と、もう一つは、労働省関係の労働基準監督官分限審議会を廃止して、その事務を中央労働基準審議会に合わせるための、労働省設置法改正案が第六十五回国会に提出されたけれども、第七十回国会において、衆議院で廃案となっております。  かつて国会で修正されたもの、廃案になったものが今回再び提出されてきているわけでありますけれども、そのときの情勢と今回の情勢と、何らか変化があったのか。もちろん再提出されることについては問題はないとしても、それはそれなりの理由があってしかるべきだと思うけれども、その点についてはどうお考えでしょうか。
  229. 辻敬一

    ○辻政府委員 労働基準監督官分限審議会の場合には、四十六年の政府案と申しますのは、今回の案と違いまして、中央労働基準審議会に統合するという案だったわけでございます。今回御提案申し上げております案は、先ほど来申し上げておりますように、常設の機関としては廃止をいたしまして、万一そういう事案が起こりました場合には、必要の都度設置をするということに改めさせていただきたいと考えておるわけでございます。  それから、厚生省関係の四審議会の統合でございますけれども、四十八年に御提案申し上げまして以来、人口の老齢化でございますとか、精神病の増加でございますとか、いろいろと公衆衛生をめぐる諸情勢が変化をいたしておりますし、最近は、また公衆衛生の施策としても新しい施策も取り入れられたようでございます。こういう新しい事態に即応いたしまして、また新しい問題に対応いたしますためには、従来のような疾病ごと、事項ごとの縦割り的な審議会では不十分ではなかろうか、むしろ公衆衛生全般にわたる総合的な観点から御審議をいただくような審議会の方が望ましいのではないかと考えまして、四審議会を統合するという案を御提案申し上げた次第でございます。
  230. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 昭和四十四年の七月十一日に閣議決定されております「審議会等の設置および運営について」の実施に向けて、行政管理庁としてはどのような決意で臨んでこられたか。また、今後どのようにしてその実施方に向けて行動をなさるおつもりでしょうか。
  231. 辻敬一

    ○辻政府委員 たとえば行政機関の職員を原則として審議会の構成員にしないというようなことにつきましては、今回相当程度織り込んでおるわけでございまして、現在二百四十六のうち百二十三の審議会に行政機関の職員が参加いたしておりますが、できる限りこれを除外するという方向改正案を作成しているわけでございます。  それから、先ほど御質疑がございましたが、いわゆる座敷貸しの審議会につきましてもある程度整理をいたしたわけでございますし、また委員の数につきましても、これを縮減するということで、いろいろな措置を講じているわけでございます。  この閣議決定の線に沿いまして、今後とも推進を図ってまいるつもりでございます。
  232. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 この「審議会等の設置および運営について」の第七項目は、「国会議員および行政機関の職員は、原則として、審議会等の構成員にしないものとする。」というふうになっているわけであります。これは昭和四十四年の閣議決定でありますけれども、今回幾らか行政機関の職員を外すというふうになっておりますが、現職の国会議員及び行政機関の職員をどうして委員から除外できなかったのか、その点についてはどうお考えでしょうか。
  233. 辻敬一

    ○辻政府委員 行政機関の職員が委員になっております審議会は、ただいま御報告いたしましたように、二百四十六審議会のうちのちょうど半数の百二十三でございます。これにつきましては、できるだけ除外するということで、今回約七十余りの審議会について措置をすることとしております。現在御審議いただいております法律で除外をいたしますものが三十八、その他別個の法律によりますものが一つございます。それから政令で除外を予定しておりますのが三十四、そのほかに廃止に伴いまして自動的に行政機関の職員が落ちるものが八ございます。したがいまして、行政機関職員が委員として残りますものは約四十ということになるわけでございます。  そもそも、行政機関の職員を全部完全に排除するというのは必ずしも適当でないわけでございます。閣議決定でも例外規定が入っているわけでございます。たとえば、所属の職員の人事とか分限を扱います場合、あるいはまた事業経営の当事者として公務員が参加する場合、三者構成の審議会でありますとか不服審査のような審議会に参加いたします場合、それから関係行政機関の重要な連絡調整を行う審議会に参加する場合、こういうようなものにつきましては、排除することがむしろ必ずしも適切でございませんので、そういうものについては残しておるわけでございます。  それから国会議員を構成員としております審議会は、現在十六あるわけでございます。国土関係審議会の統合あるいは台風常襲地帯対策審議会の廃止の結果、この数が七審議会ということになりまして、きわめて例外的な数になるわけでございます。この問題は、何分にも立法府と行政府との接点に位置する問題でございますので、国会の御意向を十分承る必要があるわけでございます。当面は現状のままの取り扱いとしているわけでございますけれども、今後とも検討させていただきたいと考えております。
  234. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 行政機関の職員はやはり原則として外すべきである。もし行政機関の職員の意見が必要であるということならば、それはオブザーバーとして意見を具申してもらえばよいというふうに私どもは思っているわけであります。  それからまた国会議員についても、国会議員が入ってまいりますと、やはり審議会の姿がゆがめられてしまうという点も必ずしもないとは否定できないわけでありまして、そういう意味から言いますと、国会議員については、審議会の答申を受けて国会に提出されたいろいろの法案を通じて、国会議員が国権の最高機関としてこれを取り扱えばいいわけであって、そういう意味において、恐らく「審議会等の設置および運営について」、この中で「国会議員および行政機関の職員は、原則として審議会等の構成員にしない」というふうに閣議決定をされたのではないかと私は思うのですけれども、その点について御意見はどうでしょうか。
  235. 辻敬一

    ○辻政府委員 ただいまお話しのように、「原則として」というふうになっているわけでございまして、先ほど御説明申し上げましたように、今回の改正をさせていただきますと、行政機関職員の場合には残りが約四十ということになります。この四十は特別なものでございまして、たとえば所属職員の人事をやりますもの、外務人事審議会というものがございますが、こういうようなものにつきましては、どうしても外務省の職員が参加をする必要がございます。それから事業経営の当事者として参加する場合と申しますのは、たとえば共済組合の審議会に共済組合事業の当事者として行政機関職員が参加するわけでございますので、むしろ不可欠な要素でございます。あるいはまた公務員制度審議会のような三者構成の審議会、あるいは審査会のような不服審査の審査会に代表として参加すること、これもむしろ必要であるわけでございます。そのほか、関係各省が非常に多い施策の調整、こういうような場合に、それぞれの省を代表いたしまして行政機関職員が参加するというのも必要な場合があるわけでございます。こういうものを例外といたしまして、残りは今回廃止をさせていただくつもりでございます。  国会議員の場合には、先ほど御報告いたしましたように、改正後では七というきわめて例外的な数になるのでございます。
  236. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 昭和四十四年七月十一日の閣議決定によって、審議会の「委員の数は、原則として二十人以内とする。」というふうになっておりますけれども委員数二十人以上の審議会は幾つありますか。
  237. 辻敬一

    ○辻政府委員 百七十でございます。
  238. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 昭和五十二年十二月二十三日の閣議決定行政改革の推進について」の中で「審議会等委員構成等の改善」の項目に次のように書いてあります。「審議会等委員構成等の改善については、昭和四十四年七月十一日閣議決定行政改革計画について」別紙3「審議会等の設置及び運営について」に基づき、その推進を図ることとし、既設審議会等についての当面の措置としては、次により、その構成等の改善を図るとともに、あわせて、行政簡素化の見地から委員数の縮減を行う。」と大筋の方針決定され、さらに「委員構成の改善により除外対象となる委員定数を縮減するほか、委員定数が二十人を超える審議会等について、二十人を超える分について、原則として三割を目途に委員数の縮減を行う。」となっておりますが、昭和四十四年七月十一日の閣議決定の「委員の数は、原則として二十人以内とする。」との関係については、どうなっておりますか。
  239. 辻敬一

    ○辻政府委員 昭和四十四年の閣議決定も「原則として二十人以内とする。」ということでございますので、二十人以上であることを全面的に否定しているというものではないのでございます。今回の措置は、ただいま御指摘がございましたように、二十人を超える委員数の三割をめどにいたしまして委員数の縮減を行うことにしているわけでございます。
  240. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 二十人以上については三割を目途として委員数の縮減を行うというふうにありますけれども、それに該当して縮減される委員数は何名になりますか。そして、学識経験者が何名で、行政機関の関係者が何名になりましょうか。
  241. 辻敬一

    ○辻政府委員 この委員数の縮減全体として申しますと約八百人を予定しているわけでございまして、そのほかに審議会の廃止に伴う減がございますので、全体を合わせますと約千人近い委員数の減というふうになるものと考えております。
  242. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 この千人の中で、行政機関の職員と学識経験者はどういうふうな割合になりましょうか。
  243. 辻敬一

    ○辻政府委員 そのうち約三百三十人が学識経験者でございます。
  244. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 審議会の委員の総数は何名でしょうか。
  245. 辻敬一

    ○辻政府委員 審議会の委員の数は、法律あるいは政令によりまして何人以内というふうに定めている例が通常でございますが、そういう意味におきます審議会の委員の定数は、現在六千二百四十五人でございます。
  246. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうなりますと、千人ということは、削減率は一六%にすぎないわけでありますけれども、今回の審議会の整理というのは、これまでに活動が不活発であったり、あるいは設置目的、審議事項が類似しているものを整理したというだけであって、実際には大掃除をしただけであると言われても仕方がないわけでありますけれども、この審議会の整理に当たって、各省庁のセクト主義による抵抗はございましたですか。
  247. 辻敬一

    ○辻政府委員 もちろん、各省と調整をしなければなりませんわけでございますので、その折衝の経過におきましてはいろいろな議論があったわけでございますが、その結果、先ほど申し上げましたように、対象といたしましたもの四十八、純減ベースで一五%減ということでございますので、私どもとしては、相当思い切った整理統合ではないかと考えております。
  248. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 国家行政組織法第八条に基づかないいわゆる私的な諮問機関の性格をめぐっての混乱というものもありますけれども国家行政組織法第八条の審議会、協議会と私的懇談会との違いについては、どういうふうにお考えでしょうか。
  249. 辻敬一

    ○辻政府委員 国家行政組織法八条に基づきます審議会と、いわゆる私的懇談会の差異についてのお尋ねでございますが、法律上の審議会は、審議会としての機関意思を決めるわけでございまして、それを公の権威をもって表明する。したがいまして、必然的にそのための手続を持っているということになるわけでございます。しかし、私的懇談会の場合には、懇談会としての意思というものはないわけでございまして、そこに集まった方々の自由な意思の表明交換ということでございます。機関意思を決定するというものではない、したがってそのための手続も必要でない、かような違いがあるものと考えております。
  250. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 行政管理庁関係審議会として、行政監理委員会の所掌事務についてどのようになっていましょうか。その点について御説明願います。
  251. 加地夏雄

    ○加地政府委員 行政監理委員会設置法の中で二条に所掌事務の規定がございますけれども、要約して申し上げますと、現在、行政管理庁の中で行政管理局と行政監察局が業務をやっておりますが、その主要な業務についての基本的な事項につきまして意見を述べ、諮問に答申するということでございます。御承知のように、行政管理局におきましては行政改革の推進とかあるいは毎年度、これは定型的な業務でございますけれども、各省の定員、機構の要求を受けまして審査をする、こういう事務でございます。監察局におきましては、行政運営の改善ということで、行政監察あるいは調査というものをやっておるわけでございます。
  252. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 行政管理庁長官の諮問機関である行政監理委員会の委員長行政管理庁長官という一人二役の奇妙な形態を存続しておりますけれども、本来諮問機関は第三者的公平な立場から長官の諮問に応じて答申を出し、それを参考として政府としては尊重するというのが筋であるというふうに思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。
  253. 辻敬一

    ○辻政府委員 いわゆる大臣会長制の問題でございますけれども審議会はできるだけ民間有識者中心の運営をするという趣旨から見直しまして、できる限り可能なものにつきましては大臣会長制を廃止することとしたわけでございます。  現在ございます十四審議会の中で、法律改正によりまして二、政令改正による廃止を予定しておりますものが三、審議会自体が廃止されることになりますものが一、合わせまして六審議会が大臣会長制がなくなるわけでございます。しかし、中には、各省にまたがる非常に重要な事項審議する、そしてそれが閣議レベルに反映されるような仕組みにしておいた方が適当と考えられるものがあるわけでございますので、そういうような審議会につきましては、大臣会長制を存置することにいたしております。
  254. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 各省庁で設置をしている私的諮問機関の実態はどのようになっていましょうか。
  255. 辻敬一

    ○辻政府委員 私的懇談会の中でいわゆる大臣レベルのものにつきましては、私ども組織法第八条の本来の審議会と紛らわしいことがあってはいけないというような意味実情の把握をいたしておるわけでございますが、その現在数は各省庁を通じまして三十九ということになっております。
  256. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 国家行政組織法第八条に基づかない、いわゆる私的諮問機関が行政の組織を著しく乱しておるという傾向があります。最近とみに事務次官あるいは局、部、次長、さらには課長段階での同種の機関が多数存在しているというように聞いておりますけれども、その実態についてはどのようになっていましょうか。
  257. 辻敬一

    ○辻政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、私的懇談会と申しますのは、懇談会としての機関意思を決定するものではないのでございまして、いわば各省庁におきます行政運営として実施をしているわけでございます。各省が行政を実施いたしていきます場合に、民間の有識者の方々の意見を聞くということは別に否定できないことでございますし、ある場合には望ましいこともあるわけでございます。その場合に数名の方々の御意見を同時に聞くということも間々あるわけでございます。ただ、それはあくまでもその参集者の方々の自由な意見の表明にとどまりまして、懇談会として意見決定するというものではないのでございます。  先ほど申し上げましたように、しかし、大臣決裁というような私的懇談会になりますと、省としての政策形成にも関係を持ってくる場合があり得るわけでございます。特に組織法の本来の審議会との区別が紛らわしいということもございますので、私ども特にその分については把握をいたしておるわけでございますが、事務次官レベルあるいは局長レベルの懇談会、研究会、これは各省にあると思いますけれども、むしろ各省庁の個別の行政運営の必要に基づくものであると考えておりますので、詳細な実情につきましては、私どもといたしましても正確には承知をいたしておりません。
  258. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 大臣の私的機関であるならばそれは明確に掌握をしているけれども、内部部局の私的諮問機関についてはよく承知をしておらない、こういうわけでありますけれども行政管理庁はそういうふうなことについてかなり御関心をお持ちなんじゃないですか。  少なくとも昭和三十六年の四月十二日及び昭和三十八年の三月十八日に行政管理庁行政管理局長通達というものが出され、昨年の三月三日に行われた文書課長会議においても、行政管理庁についてはその改善方を口頭でおやりになっていますね。  とすると、全然わからないというものに対してあなたの方からこういうふうなことで改善方を申し入れるわけはないじゃないですか。実態をお調べにならぬのですか。
  259. 辻敬一

    ○辻政府委員 この問題につきましては、かねてから本来の審議会との区別を厳正にすべきであるという御指摘を受けておるわけでございまして、私どもも五十一年にいわゆる私的懇談会の見直しを行いまして、整理するものは整理する。それから運営の是正を行いますものは運営の是正を行う、あるいはまた終期の設定を必要とするものは終期の設定を行うというように整理をいたしたわけでございます。そのときに主として取り上げましたものは、何と申しましても省庁レベルの審議会と紛らわしい私的懇談会、すなわち大臣決裁に基づくものということを主としたわけでございます。しかし、その趣旨につきましては、事務次官以下のものについても同様である面があるわけでございますので、そういう私的懇談会あるいは研究会というようなものにつきましては、各省におきまして紛らわしいという御批判を招くことのないように措置をしてほしいという旨の指導と申しますか、それをやっているわけでございます。
  260. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 要するに、内部部局の私的諮問機関というものについては紛らわしいというわけですから、それについて改善を図りなさいというように言われている以上は、行政管理庁の方でその実態がわからなければ、それについての改善をしたかしないかわからないんじゃないですか。だから、その実態をお調べになる必要があるんじゃないでしょうかと私は申し上げているんですけれども、その点はいかがですか。
  261. 辻敬一

    ○辻政府委員 たとえば局長レベルの問題になりますと、いろいろな技術的な基準を検討して決めたりするような場合に、学者の方その他学識経験者の方の御意見を聞くということは、これは非常にあるわけでございますので、ある省庁によりましてはそういうものまで拾いますと相当な数がございます。しかし、この問題は先ほど来申し上げておりますように、その私的懇談会がそれ自体の意思を決定して政府に答申するというような問題ではございませんで、日常の行政運営の処理として行われているものでございますので、そういうような点につきましてまで事細かく指示をするのもいかがかと考えております。ただし、各省庁に対しては、大臣レベルの私的懇談会と同様な趣旨で、必要なら所要の措置を講ずるように指導してほしいということを通達してあるわけでございます。
  262. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私的懇談会の経費というのはどこから出ているのですか。また、委員手当等当然支払われていると思いますけれども大臣の私的懇談会及び行政機関職員の私的懇談会等の場合、どこからどれぐらい出ておりましょうか。
  263. 辻敬一

    ○辻政府委員 いわゆる私的懇談会の委員と申しますか、それに対します手当は謝金という形で支出されていると思いますが、その全体の予算の中に計上されておりまして、その分だけ取り上げるということはなかなかむずかしいものでございますので、全体につきましては把握をいたしておりません。
  264. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 やはりこういう私的懇談会等の実態について、大臣行政の中にあってかなり紛らわしい点があるというふうにいま答弁があったわけでありますけれども、そういう点について、改善方について行政管理庁としては言っているわけでありますが、実際には内容は余り掌握されていない。そして、その私的懇談会の経費とかそういうものについてもどういうふうに支払われているかわからない、野放しであるというようなやり方は非常にまずいわけでありますよね。それについて大臣はどういうふうにお考えになり、どういうふうに改善されるつもりですか。
  265. 辻敬一

    ○辻政府委員 同じことを御答弁申し上げるようで恐縮でございますが、御指摘のございますように、国家行政組織法に基づきます本来の審議会、これは省庁に置かれるわけでございますので、それと紛らわしいものがあるとすれば、大臣レベルのいわゆる私的懇談会であろうということであると存じます。したがいまして、先ほど来申し上げておりますように、そのレベルのものにつきましては三十九というような数も把握をいたしているわけでございます。それ以下の細かいものについては、再三申し上げるようでございますが、日常の行政運営に埋没している問題もかなり多いわけでございますので、全体を的確に把握するというのはなかなかむずかしいことではなかろうかと考えております。
  266. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 紛らわしい、紛らわしいということは、いわゆる私的懇談会の意見書の取りまとめに当たっては、各個人の署名入りに多数意見と少数意見または甲論、乙論、丙論とするなど配慮はもちろんながらも、重要施策などについても懇談会の意見を公然と行政施策に反映するといったようなものが出ているわけです。そこにやはり紛らわしさが出てくるわけであって、そういう点についてはやはり改善をしなければいけないだろう、こう言っているわけですから、それについて、私的懇談会の整理抑制方策については、行政管理庁としては今後どういうふうに取り組んでいかれるつもりでしょうか。ちょうど時間になったようでございますので、その点の答弁をいただいて、実は許認可事務の方の整理については時間がなかったわけでありますが、行政改革の一環としてさらにまだ法案がございますので、そのときに質問を申し上げたいと思うわけですが、いまの点についてどうお考えでしょうか。
  267. 辻敬一

    ○辻政府委員 もちろん私的懇談会の数がふえるということは望ましくないわけでございますので、全体として抑制するように今後とも努力してまいりたいと考えております。  その一つ方法といたしまして、先ほど申し上げましたが、終期を設定できるものは終期を設定いたしまして、仕事が終わりましたならばこれを廃止するということにいたしたいと考えております。  それから運営自体につきましても、たとえば意見とか答申とかいうようなことを出しますと本来の審議会と紛らわしい点がございますので、そういうことを避けるとか、名称とか参集依頼の形でございますとか、その他につきましても、各省に対して紛らわしいことがないように指導をいたしているわけでございます。  それから一つ、先ほどの御質疑のお答えに追加をさせていただきます。  審議会総覧の諮問・答申事項のことについての御指摘がございました。先ほど、諮問、答申等ということで私申し上げたつもりでございまして、そのほかに、実質的な活動をしておりますものは、先ほど私の申し上げた数字に入れていないわけでございます。御指摘のございました税理士試験委員につきましては、試験を実施しているという実績がございますし、公害健康被害補償不服審査会については不服審査、社会保険審査会についても不服審査、援護審査会についても同様でございますが、不服審査の実績がございますので、先ほど私が申し上げました数字の中に入れてなかったわけでございます。そこで、御指摘の数と四つの差が出てきたわけでございます。補足いたしてお答え申し上げます。
  268. 始関伊平

    始関委員長 栂野泰二君。
  269. 栂野泰二

    ○栂野委員 時間も大分ずれ込んでいるようですし、私、最後ですから、なるべく質問もはしょりますので、答弁の方も簡潔にお願いしたいと思います。  初めに、審議会の整理法案関係お尋ねしたいのですが、廃止すべきものという中に国民金融審議会が入っております。この廃止の理由は、一つは社会経済情勢の変化により必要性が低下した、二番目に活動不活発なもの、こうあるのですが、この審議会はどれに当たりますか。
  270. 辻敬一

    ○辻政府委員 先ほども鈴切委員の御質疑に対してお答え申し上げたわけでございますが、廃止の基準は、社会経済情勢の変化により必要性の低下したものと運営が不活発なもののほかに、その他の一般的な行政手段によりまして対処可能なものというものも考えておるわけでございます。国民金融審議会の場合には、その一番最後のものに当たろうかと思っております。
  271. 栂野泰二

    ○栂野委員 国民金融審議会の権限は、国民金融公庫法の十条以下にあるのですが、総裁、監事の推薦、あるいは四半期ごとの事業計画、資金計画の審議その他、かなり重要な権限があります。  ところで国民金融公庫というのは第一条に目的が書いてあるのですが、「一般の金融機関から資金の融通を受けることを困難とする国民大衆に対して、必要な事業資金の供給を行うことを目的とする。」こういう特殊な性格を持っているわけであります。そこで、こういう非常に特殊な性格なので、そういう性格に沿った国民金融公庫の運営がされるようにということでこの審議会が設置された、したがって、この審議会はまた、ほかの審議会とは違ってかなり特殊な性格を持っているように思われます。要するに、国民各層の意見を反映させて民主的なコントロールのもとに国民金融公庫を置くという、こういう趣旨だろうと思うのであります。  そこで、現在の国民金融審議会の運営状況ですが、これはどうなっておりますか。——それじゃ、質問を切りますから。少なくとも年四回開くことになっておりますが、これは開かれておりますか。
  272. 辻敬一

    ○辻政府委員 過去三年の開催実績を申し上げますと、五十年度は七回、五十一年度、六回、五十二年度、二月十五日現在で九回ということになっております。
  273. 栂野泰二

    ○栂野委員 それから現在の委員の構成ですが、この公庫法の規定によりますと十人ということになっていますね。一つは「大蔵省銀行局及び中小企業庁を代表する者各一人」、二番目が「商業、工業、農業及び金融界を代表する者四人」、三番目のランクが「国民大衆の利益を代表する者で国家又は地方公共団体の公務員以外のもの四人」、こういうことになっておりますが、私がいただきました資料によりますと八人しかおられない。あとの二人はどうなっておりますか。
  274. 辻敬一

    ○辻政府委員 十人と申しますのは法律上の最高限度でございますので、ただいま御指摘のように、現在八人の委員が任命されているものと承知しております。
  275. 栂野泰二

    ○栂野委員 最高限度と言ったって、「審議会は、委員十人をもって組織する。」と書いてあるから、十人いなければいけないんじゃありませんか。
  276. 辻敬一

    ○辻政府委員 失礼いたしました。十人ということになっているようでございますが、ただいまのところ二名欠員になっているものと承知をいたしております。
  277. 栂野泰二

    ○栂野委員 そこで、この一号に当たる銀行局長と中小企業庁長官、これは二人おられる。それから二号に当たる「商業、工業、農業及び金融界を代表する者四人」というここが一人欠けているわけですね。「農業を代表する者」という人が入っていない、これはどういうわけですか。
  278. 辻敬一

    ○辻政府委員 四月二十日現在では、「農業を代表する者」と「国民大衆の利益を代表する者」各一名が欠員になっているように承知いたしております。
  279. 栂野泰二

    ○栂野委員 欠員の理由は何ですか。
  280. 辻敬一

    ○辻政府委員 具体的な任命につきましては大蔵省の所管でございますので、私ども詳細は承知いたしておりません。
  281. 栂野泰二

    ○栂野委員 大蔵省お見えになっていますから、答えてください。
  282. 大橋實

    ○大橋説明員 お答えいたします。  私、全く担当しておりませんので、突然の御質問でお答えできません。
  283. 栂野泰二

    ○栂野委員 あらかじめ連絡してあるじゃないですか、これがわかる人が出ていただくように。——あと聞いておいてください。  それでは「国民大衆の利益を代表する者四人」となっていますが、これも一人欠けていますね。ところが、国民大衆の利益を代表する人というのは、全国商工会連合会副会長それから東京商工会議所副会頭、もう一人が全国クリーニング環境衛生同業組合連合会会長、こうなっているわけですね。東京商工会議所の副会頭が国民大衆の利益を代表するというランクでお入りになっているのですね。これはどういうわけですか。
  284. 辻敬一

    ○辻政府委員 任命されております委員の現職につきましては、ただいまお話しのあったとおりでございます。任命権者でございます大蔵大臣が適当と判断いたしまして、人選をいたしたものと考えております。
  285. 栂野泰二

    ○栂野委員 もう一つは、同じ十条の五項に「委員を任命する場合において、その委員の選定に当つては、各地域における利益が適当に代表されるように相当の考慮を払わなければならない。」と書いてある。つまり地域代表の性格も委員には持たせなければならぬと書いてありますが、現在のこの委員がどこの地域を代表されておりますか。
  286. 辻敬一

    ○辻政府委員 ただいまの委員の現職を見ますと、東京の方あるいは大阪方面の方もおられるようでございますので、その法律規定に基づきまして、任命権者であります大蔵大臣が適切な人選を行っているものと私どもは承知いたしております。
  287. 栂野泰二

    ○栂野委員 どうも行管はそういうことは一向にお調べになっていないようでございます。つまり、東京と大阪の人ばかりいたって、これは地域代表にならないわけですね。それから商工組合中央金庫の理事長が工業代表になっていますが、これも金融界の代表なら話はわかるけれども、工業代表というわけにいかないだろうと思う。いずれにしましても、農業代表もいない、それから国民大衆の利益を代表すると言える人はほとんど入っていない。これが現在の国民金融審議会の委員構成だと思うのです。  そうしますと、私先ほど申し上げましたように、国民金融公庫法第一条に規定されている、この国民金融公庫の特殊な性格ですね、一般金融機関から金を借りられないような庶民のために融資をするんだ、そのために国民の声を反映するような人を審議会の委員にして、本来の趣旨に沿う運営をするという、こういうことが無視された結果、現在社会情勢の変化に適応しないような、あるいは活動が不活発なような、そういう審議会になっているように私には思われる。それでは、この審議会を廃止して、国民金融公庫が本来の目的に沿うように、つまり国民の声を反映したり、民主的なコントロールを一体どこでするおつもりでございますか。
  288. 辻敬一

    ○辻政府委員 国民金融審議会を今回廃止の対象に取り上げました理由は、先ほどお答え申し上げたとおりでございまして、必ずしも社会情勢の変化により必要性が低下したもの、あるいは活動実績が不活発なものには該当いたしませんけれども、他の一般的な行政手段によりまして対応可能ではないかと考えたわけでございます。  もう少し具体的に申し上げますと、御承知のように、近来国民金融公庫の事業の運営は軌道に乗ってまいりましたので、当初このような審議会を存置してきた意義はおおむね達成されたと言えるのではないか。また、他の公庫の場合を見てみますと、このような運営に関する審議会というのは置かれていないわけでございますので、こういう点を考えまして、廃止をしたらどうかと考えたわけでございます。もちろん今後も廃止したからしっ放しということではないわけでございまして、関係方面からいろいろと意見を承る、あるいはまた各省との連絡を緊密化するということは当然でございまして、そういう一般的な行政手段によりまして対応可能ではないか、かように判断をした次第でございます。
  289. 栂野泰二

    ○栂野委員 現在、国民金融公庫が本来の性格で運営されるようにという目的をおおむね達した、そういう現状にあるというふうには、私ども考えていないのです。  それでは、現在の国民金融公庫の役員はどなたがなさっておられるか、説明してください。
  290. 辻敬一

    ○辻政府委員 総裁は佐竹浩さん、そのほか副総裁一人、理事が六人、監事一人というように承知いたしております。
  291. 栂野泰二

    ○栂野委員 時間の関係もありますし、私、手元に資料をもらっておりますから。総裁は佐竹さん、副総裁が平井さん、理事が美藤さん、塚本一郎さん、村瀬さん、三枝さん、伊勢谷さん、平松さん、監事が赤城清さん、これだけの役員の中で役人出身でない方はおられますか。
  292. 辻敬一

    ○辻政府委員 手元の資料によりますと、公務員出身者が四名、その他が五名というように承知をいたしております。
  293. 栂野泰二

    ○栂野委員 ちょっと聞き取れなかったのですが、公務員出身者は四人ですか。
  294. 辻敬一

    ○辻政府委員 公務員出身者が四名と承知をいたしております。
  295. 栂野泰二

    ○栂野委員 そうすると、公務員出身でない人が五名とおっしゃったのですが、これはこの役員になられる前は公務員じゃなかったかもしらぬけれども、もともと役人じゃないのですか。前歴の中に役人という経歴がない人はいますか。
  296. 辻敬一

    ○辻政府委員 ただいま詳細の履歴を手持ちいたしておりませんが、たとえば佐竹総裁は大蔵省の出身でございます。
  297. 栂野泰二

    ○栂野委員 全部言ってくださいよ。
  298. 辻敬一

    ○辻政府委員 ただいま四名と申し上げました中で申しますと、平井副総裁は大蔵省行政管理庁の出身でございます。三枝理事は通産省、伊勢谷理事大蔵省というように承知をいたしております。
  299. 栂野泰二

    ○栂野委員 大蔵省お帰りになりましたか。——ほかの五名の方は全部役人出身じゃないのですか。私はそう聞いているのですよ。
  300. 辻敬一

    ○辻政府委員 ただいま詳細な履歴を手持ちいたしておりませんので、至急調査をいたします。
  301. 栂野泰二

    ○栂野委員 どうも答弁が不十分で先へ進めないのですが、私が聞いたところでは、現在の役員は全部いわゆる高級官僚出身、これもまた天下り先になっているのですね。こういう人たちが全部役員を占めて国民金融公庫が運営されるに至っているわけですね。しかも審議会が廃止される。こうなれば、国民金融公庫というのはますます本来の設立の趣旨から離れた運営がされるおそれがある。そこが大変心配なところであります。ですからこの審議会も、まあいろいろの審議会がありますが、やはりそれぞれの審議会について十分にその実情を把握されて、本当に廃止した方が本来の趣旨に沿うのか、あるいは現在は何が何だかわからぬようになっているけれども、これはもっと強化充実した方がいいのか、そういうことを前提にこの整理案を出していただきませんと、ただ数を合わせればいいというものではないと思うのです。長官、一体この辺はいかがでしょうか。
  302. 辻敬一

    ○辻政府委員 もちろんただ数を合わせればいいと考えているわけでは毛頭ございませんで、先ほども申し上げましたように、廃止につきましては三つ基準を考えまして、社会情勢の変化により必要性の低下したもの、あるいは運営の実績から見まして開催活動の不活発なもの、それからほかの行政手段によって対応可能なもの、この三つの基準を考えて見直したわけでございます。また統合につきましては、設置目的、審議事項等が類似しているものは統合する、第二番目には、必ずしもそうでなくても統合によりましてより広い見地からの審議が可能になるもの、第三番目は、ほかの審議会に統合いたしまして部会として運営することが適当と考えられるもの、このような三つの基準、廃止について三つ、統合について三つでございますが、その基準をもちまして全体の二百四十六の審議会を見直した結果、今回御提案申し上げたような改正案考えたわけでございます。
  303. 栂野泰二

    ○栂野委員 大蔵省お見えになったようですから、先ほどの役員の点、わかりましたか。——それでは先に進みます。  労働基準監督官分限審議会、これは、先ほどもちょっと御質問がありましたので、私、要点だけお尋ねしたいのですが、労働基準監督官の罷免について同意を与えるという、ただそれだけの目的で設置された審議会ですね。そこで、この労働基準監督官というのは、言うまでもないと思いますけれども、労働基準行政をやるという仕事であります。ただこの仕事は、その性質上、外部からの圧力あるいは誘惑というものが十分考えられる、そこでどうしても身分保障をきちんとしておかなければならない、こういうことで、この労働基準監督官の身分保障については労働基準法がつくられた当時も十分論議されたところです。労働基準法を実際つくられた松岡教授などの本を読んでみましても、ILOの第五回勧告、これは一九二三年ですから大変古いのですが、それを入れて身分保障の問題を規定したのだ、こういうふうに書いておられる。  ですから、これはもう古くから国際的にも確立された原則なんですね。その後ILO八十一号条約というのが批准されておりますが、これはわが国も批准しております。そこの第六条には「監督職員は、分限及び勤務条件について、身分の安定を保障され、且つ、政府の更迭及び不当な外部からの影響と無関係である公務員でなければならない。」こういうふうになっております。こういうことを考えますと、労働基準監督官の身分保障というのは十分過ぎるぐらい十分にしておかなければならないのに、今度その身分保障の柱であるこの審議会が労働省設置法から削られるということになった。一体今後どういうふうにして基準監督官の身分を保障するつもりか、それをお伺いしたいと思うのであります。
  304. 辻敬一

    ○辻政府委員 労働基準監督官分限審議会は、ただいま栂野委員の御指摘になりましたように、基準監督官の罷免事案についての同意を審議するためのものでございますから、むしろそういう事案がない方が望ましいわけでございまして、現実にも審議事案はまれにしか生じないわけでございます。  そこで、今回の考え方は、常設の審議会としては整理をいたしたい、しかし万が一監督官を罷免するような事案が生じました場合にはその都度設置することにしたい、かような考え方でございます。したがいまして、審議会の設置根拠でございます労働基準法の規定はそのまま存続をいたすわけでございますし、労働基準監督機関令に分限審議会の委員の選任手続をあらかじめ規定するというようなことをいたすつもりでございますので、御指摘のような労働基準監督官の身分保障機能が後退するということにはならないと思っております。
  305. 栂野泰二

    ○栂野委員 労働基準監督官から見ますと、常時設置されていることに意味があるのですね。しかも、その審議会のメンバーがどういうメンバーで構成されているかということがわかって、万一の場合にはそうしたメンバーが審議会で公正に判断してくれるのだという、それがなければこれは保障にならない。罷免された後、にわかに審議会をつくられてみたって、一体だれが審議委員になるのか、これがわからなければ不安でしょうがない、こういうことになると思うのですね。労働省設置法からこの審議会を切り離してしまうと、労働基準法の九十九条にしか根拠規定がなくなることになりますが、この九十九条を根拠にして常置するということはできないのですか、それを伺います。
  306. 辻敬一

    ○辻政府委員 私ども考え方は、先ほど申し上げましたように、事案もきわめてまれにしか生じないものでございますので、常設の審議会としては必要がないのではなかろうか、ただ、万一生じた場合には、その必要の都度設置をすることができれば足りるのではないか、かような考え方でございます。  お尋ねの労働基準法九十九条の四項には「命令で定める労働基準監督官分限審議会の同意」というように規定してございますので、設置の具体的な方法を命令に委任しているということから見まして、この審議会の設置の根拠になるという解釈をとっているわけでございます。
  307. 栂野泰二

    ○栂野委員 常設できるかどうかと聞いているのです。
  308. 松井達郎

    ○松井説明員 労働省でございますが、若干補足して説明させていただきます。  ただいま辻行管局長が申されましたように、労働基準法九十九条四項では「命令で定める労働基準監督官分限審議会」と書いてございまして、実際にその命令におきましては、中央労働基準審議会の公労使を代表する委員各一人、労働基準監督官については号俸別にそれぞれ一名ずつ、それから一般職の職員を三人、こういうふうに構成につきまして定めておるわけでございます。この構成に基づきまして実際の委員任命がなされておるわけでございます。  ところで、今回この「命令で定める」ということになってまいりまして、その都度設置という方式になりますと、常時このような構成に基づきまして具体的な顔ぶれを用意しておくということができないという一つの違いは出てまいるだろうと思います。この点につきましては、このような欠陥を補うために、新たに監督機関令におきましてあらかじめ候補者リストともいうべきようなものを用意するというようなことをして、そのリストに基づきまして——基づくと申しますか、それぞれこのような構成の人を用意したリストをあらかじめ作成しておきまして、それで、職員の代表に当たるような人もあらかじめリストに加えておく。そのリストに加えることにつきましてはあらかじめ同意も実質的にもらっておくというような方法を講じますれば、このような違いというものも解消されてくるのではなかろうかと私ども考えておるところでございます。
  309. 栂野泰二

    ○栂野委員 私がお聞きしたのは、一つは、設置法から削られてしまうと、この審議会は労働基準法九十九条では法律上常設ができなくなるのかどうかということを聞いたのですよ。私はこれでもできるのではなかろうかと思っているのです。ただ、政府の考え方は、ともかく常設は必要ないのだ、こういう考え方ですね。しかし、いまの労働省のお話で、候補者リストを用意しておくぐらいなら、なぜ常設して審議委員を任命できないのですか。同じことじゃないですか。
  310. 辻敬一

    ○辻政府委員 私ども考え方は、先ほど申し上げましたように、常設としては必ずしも必要ではないのではないか、したがって必要の都度設置するので足りるのではないかという考え方でございます。もしも常設であるということでございますれば、設置法に残す方が現在の法体系からは素直な考え方であろうと思います。
  311. 栂野泰二

    ○栂野委員 おっしゃるとおりで、設置法に残す方が素直ですね。ですから、何もこれは削る必要はないと思うのです。大して予算がかかるわけではないし、それから、いまおっしゃったように、これはしょっちゅうこの審議会が開かれて問題になるようなことでは困るわけでして、めったに罷免なんということがあっては困るわけです。しかし、いざというとき、ということは、これはもうこの審議会の本来の性格ですから、そこを考えれば、何も設置法から削除する今日的理由というのは全くないように私は思われます。仮に設置法から削除するとしても、労働基準法九十九条を根拠に従来と同じような常設の審議会はできるはずですから、ひとつ常設の審議会にしておいていただきたい。それがだめでも、いまおっしゃるように候補者リストだけは常にあって、必ずその人が審議委員になるというふうに労働基準監督機関令ですか、これを整備しておいていただきたいと思います。  もう時間がないので先に進まなければいけませんが、大蔵省お見えになったようですから、先ほどの質問わかりましたか。
  312. 藤田恒郎

    ○藤田説明員 大蔵省の方からお答え申し上げます。  先生の御質問、まず第一点は、国民金融審議会の委員が二名欠員になっておるけれども、その理由はどういうことであったのかというお尋ねだったと思いますが、その点につきましては、私どもも鋭意後任を物色いたしたわけでございます。たとえば農業界代表につきましては、農林中金の理事長を従来からお願いしておるわけでございますが、農林中金の理事長は他の審議会の委員も兼ねておられまして、いずれも審議会の委員を辞職された後、ぜひ国民金融審議会の委員として参加をしたいというお話でございましたので、その委員の兼職数が減るのをお待ちしておった、こういうことでございます。それからさらに、国民大衆代表の委員がやはり一名、五十二年の三月以来欠員になっておりますが、これにつきましてもいろいろと御推薦をいただき、われわれも鋭意努力したわけでございますけれども、御都合が合わなかったり、また審議会の委員の兼職数の問題とか、そういった問題がございまして、今日まで後任を任命するに至らなかったわけでございます。この点につきましては、私どもといたしましても大変遺憾に存じまして、ここにおわび申し上げます。  それから第二点は、国民公庫の理事の経歴が役人出身が多いのではないかというお話でございますが、確かに総裁、副総裁、それから理事の六名のうち二名の理事がそれぞれ役所出身でございます。ただ残りの理事四名は、私が知っておる限りでは、発足以来公庫に勤務された公庫プロパーであるというふうに聞いております。
  313. 栂野泰二

    ○栂野委員 ちょっと時間がありませんので、さらに追っかけませんけれども、農業界の代表と言ったって何も農林中金の理事長をお願いする必要はないじゃありませんか。国民大衆代表というならもっと広く求めれば何ぼでもいるはずなんで、限られたところからやられるから三つも四つも兼ねる人ばかりになる。これでは審議会の委員構成の本来の趣旨じゃないです。  それからいまの役員の前歴ですが、これは私が聞いたのと違う。ですから、もう少し詳しく後で文書で私のところへいただけますか。
  314. 藤田恒郎

    ○藤田説明員 公庫理事の点でございますけれども、私どもが履歴としていただいておる限りでは、四名の理事はそれぞれ公庫プロパーの方でございまして、公庫の業務部長、人事部長、こういったものを歴任の上理事に就任された方でございます。この経歴につきましては、後刻文書でもって御提出申し上げます。
  315. 栂野泰二

    ○栂野委員 それでは認許可整理法案の方に移らしていただきます。  今回の整理法案、一通りお聞きした範囲では、いずれも当然そういった簡略化が行われてもいいというものだけのように思います。大変結構だと思いますが、ただ、むしろなぜその程度のものが今日まで廃止されないできたのか、調べてみればもっともっと簡略化するなりやめてしまうなりというものがあるはずだと思います。ひとつこの点は行管の方で今後とも詳細に調べていただいて、もっとこの種の認許可事務は整理していただきたい。各省庁には何でも残しておきたいというくせがあるようですから、多少の抵抗があるかもしれませんけれども国民の立場から見て、なるべくやらないでいいような手続は省略する、簡単にする、そういうふうにひとつお願いしたいと思っております。  そこで、この法案に関連して一つお聞きしておきたいのですが、やや実態に触れる話ですけれども、消費生活協同組合に対する酒類販売免許のことについてお聞きしたいと思います。  初めに伺いますが、この免許は酒税法が根拠になるわけですけれども、一体酒税法の立法趣旨というのをどうお考えになっておられるか、行管でも大蔵省でもどちらでも結構ですが、お伺いしたいと思うのです。
  316. 大橋實

    ○大橋説明員 お答えいたします。  酒税法は、国家財政の中できわめて重要な財源になっております酒税を確保するための法律でございます。
  317. 栂野泰二

    ○栂野委員 私は、酒税法というものの立法趣旨というのは酒税の確保、保全にある、本来この一点にあると思っているのですが、それでよろしゅうございますか。
  318. 大橋實

    ○大橋説明員 それで結構でございます。
  319. 栂野泰二

    ○栂野委員 そこで、酒税というのは酒が製造されて販売されるどの時点で確保されるようになっておりますか。
  320. 大橋實

    ○大橋説明員 酒税の課税につきましては、国内の業者の場合には、製造者から酒類が移出される場合、蔵から出される場合でございます。それから輸入酒類につきましては、通関の時点で課税がなされます。
  321. 栂野泰二

    ○栂野委員 そういうことですから、蔵出しの時点ということになれば、酒税を取り損なうかどうかは、醸造元、酒の製造業者のところをしっかり押さえておけばいい、こういうことになるはずですね。  そこで、いま酒税については、まかり間違っても税を取り損なわないような手だてが何重にもしてあると思うのですが、酒造業者がつぶれるというようなことで酒税を取り損なった、こういうのが年に何件かありますか。
  322. 大橋實

    ○大橋説明員 お答えいたします。  ただいまの先生の御質問は、酒販業者がつぶれた場合に税を取り損なったということであるか、あるいは両方ございますけれども、酒販業者の倒産によりメーカーが倒産した事例というのは、現在では免許制度が販売店にまでしかれております関係上そう数多くはありませんがございます。それから製造業者の中で倒産をすることによって酒税の確保ができなかった事例も若干ではございますがございます。一般的には酒造業者の場合には、非常に経理内容が悪くなりますと、酒税の保全担保というようなものを徴求することが多うございますので、いわば過去の滞納というような形になりましても、比較的回収は多くなされているというのが実態でございます。
  323. 栂野泰二

    ○栂野委員 もう少し詳しく聞きたいのですが、時間がありませんから……。恐らく販売業者がつぶれたって直接関係がないから、醸造元がつぶれない以上は酒税はちゃんと取れるわけですから、こんなことは年に何回も、めったにあり得ないと思うのです。  ところで、そういうことだとすれば、酒税法による酒の販売の免許ですね、製造の免許の方は酒税の保全に直接関連があるわけですが、販売の方の免許というのはこの酒税法の趣旨から言えばもっと簡単に与えてもいいように私は思うのです。ところが現実にはこれがなかなかむずかしい。生活協同組合が酒の販売の免許申請をしますと、まず生活協同組合には員外利用というのがあって、これが原則的に消費生活協同組合法で禁止されている。そこで例外的には行政庁の許可を受けなければ員外利用ができないことになっているのですが、この員外利用の許可をとってこないと免許を与えない、こういう実情にあるようですけれども、これは一体なぜそういうことになっておるのか、御説明願いたい。
  324. 大橋實

    ○大橋説明員 お答えいたします。  免許でございますが、新規免許の件数というものにはおのずから限度がございますので、その限られた免許を付与する場合に、酒類販売業者として最もふさわしい方々に優先して付与するということが好ましいわけでございます。こういう観点から申しますと、生協の場合は、販売先が原則といたしましてその構成員に特定されているということになっておりますので、員外利用の許可のない生協に免許を与えました場合には、その地域の一般消費者はその免許によります利便を受けることができないということがございますために、消費者の利便あるいは酒販店の適正配置、こういったような観点から、生協の免許につきましては員外利用の許可を受けていることを要件の一つとしているわけでございます。
  325. 栂野泰二

    ○栂野委員 そこで、員外利用の許可が必要だというのは通達が出ているようですね。この通達が出ているのですが、なぜ特定の構成員を持つ法人は原則として免許が出せないのか、これを説明していただきたいのです。
  326. 大橋實

    ○大橋説明員 お答えいたします。  生活協同組合法の第十二条の三項によりまして、消費生活協同組合につきましては原則的に員外利用が禁止されております。ただ同規定のただし書きによりまして、当該行政庁の許可を受けた場合は員外利用ができるという形になっておるわけでございます。それで、その十二条四項では、員外利用をさせても中小小売商の事業活動に影響を及ぼさないと認められる場合には員外利用の許可を与えることができることになっておるわけでございます。  したがいまして、員外利用の許可を酒販免許の一つの要件といたしましても消費生活協同組合と矛盾するものとは考えておらないわけでございますが、この中で酒販免許というものは地域住民に対する酒類の円滑な供給ということにも配慮しておりまして、そうした意味で、生協免許につきましても、当該地域の住民がその利便を平等に得られるようにする必要があるので、員外利用の許可を条件としているわけでございます。
  327. 栂野泰二

    ○栂野委員 私の質問に直接答えていただきたいのですよ。私は生協法の員外利用がなぜあるかなんということを聞いているわけじゃなくて、大蔵省の酒販免許の要件を決めた通達にそういう特定の構成員を持つ団体であってはいかぬとあるが、これはどういう理由かと聞いているのですよ。こういう制限をする必要は全くないじゃありませんか。
  328. 大橋實

    ○大橋説明員 お答えいたします。  員外利用がない生活協同組合の場合でございますと、員外者はその生協は利用できないわけでございまして、その場合にはもう一つ近くに酒販業者の方の免許が必要になってくるということになるわけでございます。そういたしますと、ともに経営の基礎が弱体化して、それが将来ひいては酒税の保全というものに影響を与えるということから、原則といたしまして一般的な消費者の利便に、どなたも利用できる、そういう意味で、員外利用のある生協の場合を除きましては許可を付与していないわけでございます。
  329. 栂野泰二

    ○栂野委員 時間がありませんので……。どうも議論がかみ合わないのですがね。私はこの通達自体がおかしいと思っているのですよ。お聞きしますと、この通達の根拠は、酒税法の十条の十一号「酒税の保全上酒類の需給の均衡を維持する必要があるため酒類の製造免許又は酒類の販売業免許を与えることが適当でないと認められる場合」、こう書いてある。ここがどうも根拠だというふうにおっしゃるが、この十一号からはそういう特定の構成員を持った法人、団体には与えてはいけないという根拠にならぬのですよ。だからこの通達は法律上の根拠がない通達だと思う。生活協同組合というのは確かに組合員の自主的な組織ですよ。自分たちの消費生活を守るためにね。原則としてその組合員だけに酒を売りたい、免許をしてくれといって、なぜ——さっきから酒税の保全というのが酒税法の唯一の目的だとおっしゃるのですね。そこへ売ったからといって、その酒税を取り損なうなんということはないじゃないですか。だからいま酒税の免許制度というのは本来の趣旨から非常に外れて、言ってみれば免許権限が乱用されているというか、当然出してもいいような免許をなかなかおろさない、それでいろんなこういう通達をつくって、何かこれはまるで小売業者の需給の安定、つまりたくさん酒を売るのが出たら既成の小売業者は大変だ、困ると言う。そういうことを保護しなければいかぬというふうなことまで考えられている。しかし、これは酒税法を根拠としてはそんなことはできないはずですね。それは商調法なり何なりそういう別個の法体系から考えられるならこれは別ですよ。大蔵省が酒の免許をおろすについてそんなことまで配慮するということが非常におかしいと私は思う。  いろいろ見ますと、結局生活協同組合に免許をおろすと既存の酒の小売業者の組合からいろいろやかましく言われるという、どうもそういう圧力のように思われるのですね。なぜ困るかといいますと、生協は自分たちでつくった組織ですから、自分たちの組合員に安く酒が売れるのですよ。特級酒で大体百円ぐらい安く売っている。一級酒で八十円ぐらい、ビールの大びんで十円から十五円、ウイスキーのオールドで百十円、角で九十円というふうに安く売れるのです。生協に安く売られれば既存の小売業者も安く売らなければいかぬわけですね。安く売って一体営業は成り立たないのかと言うとそうじゃない、十分成り立つわけですね。自分たちだけだったらいままでどおり高く売れる、しかし、生協が入ってくると安く売られて困る、こういう業者の利益を守るために免許をなかなかおろさないというふうなことがあっては、これは免許制度の乱用だというふうに私は思います。  時間が来ましたので、いずれまた後にしますが、いま免許を申請しているのになかなか免許をおろしてもらえないという。生協関係でいきますと、二十九申請しているのに十三がまだ宙ぶらりんになっているのですね。ひどいのは二年以上宙ぶらりんのままというのが七件ある。しかも、免許をおろすときにも小売業組合の意見を聞いて店頭だけならいい、配達しないならオーケーします。そういう条件をつけてやっとこさ免許をおろす、こういうことになっている。私はこういう免許制度こそ、審議会の方に書いてあったけれども、社会情勢が違ってきたという点を考えますと——かつてのように酒というのが指数などがあって、米の配給と絡んで米の割当がたくさんあるという時代には、免許にはそれなりの配慮が必要だったということだったかもしれませんけれども、今日そういうことはありませんし、酒だって日本酒だけでなくて洋酒とか非常に広くなった。酒だけが特別にそういう免許でもって言ってみれば営業の自由の範囲が狭められる時代ではなくなったと思うのですね。ひとつその辺をお考えいただきたい。  ずばり申し上げれば、酒に関しては、製造業については酒税の保全という本来の酒税法の趣旨からいって免許制度を続ける必要があるかもしれませんけれども、事販売業者に関する限りは、免許なんというものは要らぬと思うのです。  それから自動販売機で酒を売って、いろいろ交通事故を起こすおそれがあったり、青少年の不良化の温床になる、やめろというふうな御意見がありました。そこで自動販売機で酒を売るのは免許をおろさないことになったようでありますが、これはこれで私は結構だと思いますよ。しかし、これは酒の免許をおろさないということによって規制する性質のものじゃないのです。青少年の不良化防止というならば、それは別個の警察の法体系でもってやるべきでしょう。免許ということでもってそういう規制をするのは間違いだと私は考えております。  皆さんお待ちですので、少し足りないのですが、これで終わらしていただきます。  どうもありがとうございました。
  330. 始関伊平

    始関委員長 これにて両法律案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  331. 始関伊平

    始関委員長 この際、高鳥修君から、審議会等整理等に関する法律案に対する修正案が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。高鳥修君。
  332. 高鳥修

    高鳥委員 ただいま議題となりました審議会等整理等に関する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付いたしておりますので、朗読は省略させていただき、その趣旨を申し上げますと、御承知のように、今国会農林省の省名を農林水産省に改めることなどを内容とする農林省設置法の一部を改正する法律案が別途提出されているのでありますが、同法律案審議状況にかんがみまして、この際、本法律案中に「農林水産省」とあるのを「農林省」に改めようとするものであります。  よろしく御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  333. 始関伊平

    始関委員長 これにて修正案についての趣旨の説明は終わりました。  修正案について別に発言の申し出もありません。     —————————————
  334. 始関伊平

    始関委員長 これより審議会等整理等に関する法律案及びこれに対する修正案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。
  335. 上原康助

    ○上原委員 日本社会党を代表して、審議会等整理等に関する法律案について反対の討論を行います。  この法案は、政府がさきに決定した改革案に基づいて行政合理化を推進するため、行政機構及び運営の全般にわたる改革の一環として各行政機関に置かれている審議会等整理及び委員構成等の改善を図り、目下の社会経済情勢の変化に伴い必要性の低下したもの、活動の不活発な審議会等については、これを廃止する措置をとろうとするものであります。また、設置目的、審議事項等が類似しているもの等については、これを統合することとし、審議会等委員を縮減することが主な内容になっているのであります。  わが党も、国政多年の懸案である行政改革に全面的に反対するものではなく、本法案についても全くその必要性を認めていないわけではありません。しかしながら、特に以下に指摘する諸点を中心として、委員審議を通じても納得いく解明がなされず、問題がなお残っておりますので、本法案に反対せざるを得ないのであります。  反対する第一の理由は、国土総合開発審議会等十四の各種審議会を国土審議会として統合しようとしていることであります。  その中には、離島振興対策審議会、豪雪地帯対策審議会、特殊土じよう地帯対策審議会等、その性格、地域性が全く異なるものを統合しようとしているのであります。  このことは、新設される国土審議会の今後の運営、運用いかんによっては、地域性、特殊性が無視される懸念が生ずるからであります。  反対するその第二は、厚生省に係る中央精神衛生審議会、栄養審議会、結核予防審議会、伝染病予防調査会の四つを公衆衛生審議会に包含しようとしていることであります。  この四つは、これまた全く異なる審議会であるにもかかわらず、しかも第七十一国会に厚生省設置法の一部改正案として提出され、審議されたのでありますが、これらの審議会、調査会は、より整備拡充を図っていく必要があるとして修正可決されたいきさつがあるのであります。  その後若干の状況変化はあったにしても、これら審議会、調査会を公衆衛生審議会に統合せねばならない根拠とはなり得ないと考えるのであります。  反対するその第三点は、労働基準監督官分限審議会を労働省設置法から削除しようとしていることであります。  この審議会は、労働基準監督官の身分保障上の歯どめ的役割りを果たすものであり、労働監督行政の面から設置法に基づく審議会として存置させておく必要があるのであります。  反対するその第四は、国民金融審議会を廃止しようとしていることであります。  国民金融公庫は、一般の金融機関から融資を受けられない国民大衆に必要な事業資金を供給する目的で設置され、特殊な性格を持つ金融機関であります。この特殊性に着目して、国民金融公庫の運営に国民大衆の声を反映させ、国民的コントロールを加えるために設置されたのが国民金融審議会であります。その趣旨を全うするため、国民金融公庫法は、審議会の委員構成についても、商・工・農業を代表する者四人、国民大衆の利益を代表する者四人をもって充てることになっているのであります。しかるに最近の審議会は、その本来の趣旨に反し、委員構成においてもその運用においても、審議会の存在価値が無視された状況となっているようであります。本審議会はむしろ本来の設置目的にかなうよう改革強化し、国民金融公庫が広く庶民大衆のためのものとなる審議会とすべきであり、廃止すべきではありません。  以上が本法案に反対する主な理由であります。  行政改革は、単なる形式的なもの、あるいは国民の必要性を否定した統廃合であってはなりません。わが党は、行政改革国民各般の期待とコンセンサスの上に進められるべきであると考え、そのことを強く要求し、私の反対討論を終わります。(拍手)
  336. 始関伊平

  337. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、審議会等整理等に関する法律案に対し、反対の討論を行います。  そもそも審議会制度は、戦後の行政民主化の中で行政運営に国民各層の意見関係各方面の専門的知識を導入し、国民全体に奉仕する公正、民主的で効率的な行政運営を確保するために、行政委員会とともに広く採用された制度であります。しかし現実は、大企業役員や財界代表が、政府関係者とともに重要な地位と比重を占め、主要な審議会のほとんどすべてを大企業奉仕の許認可等決定や官僚的行政の隠れみのとして悪用しているという現状にあります。したがって、今日の審議会制度改革の中心問題は、こうした現状に抜本的なメスを入れ、その構成、運営を民主化して、審議会制度を、国民全体に奉仕する公正、民主的な行政運営を確保するためにいかに活用するかということでなければなりません。だが本案は、こうした民主的改革課題に真正面からこたえていないというだけでなく、全体としてはこれと逆行するものになっています。  本案には、行政機構の簡素化、効率化を図るとともに、一定の審議会について委員構成の一定の適正化を図るなどの改善部分はありますが、法案全体としては重大な欠陥、問題が随所にあります。  第一に、本案は審議会の数を減らすことを主眼にしているというだけでなく、そのやり方は国民金融公庫の民主的運営を確保するための国民金融審議会や労働基準監督官の身分保障のための労働基準監督官分限審議会など、国民生活や国民の民主的権利と密着した各種審議会を廃止しながら、大企業奉仕型、官僚的行政隠れみの型のものには何一つ手をつけようとしておらず、全体としては行政機構から民主的要素を奪うものとなっています。また、審議統合についても、審議会の数を減らすことに熱中する余り、国土開発関係の十四の審議会を一括統合するというような行き過ぎがあり、統合により規模が大型化し、その内部組織が政令以下の命令や会長などの権限でどのようにもできるようになり、国会による監視が及びにくくなるという問題もあります。  第二に、本案は財政支出の合理化を基本精神とした昨年末閣議決定行政改革計画に基づいて提出されたものでありますが、廃止されるものは予算規模が小さなものばかりであり、統合についても、従前の予算と定員をそのまま合算するということであり、経費節減という点ではほとんど意味がないという問題があります。  第三に、本案は一定の審議会について行政職員委員制や大臣・職員会長制を廃止することとしていますが、廃止されるのは一部だけであり、きわめて不徹底であります。しかも、大企業役員や財界代表が重要な地位と比重を占めている現状には何らのメスをも入れようとしていないという重大な欠陥があります。  第四は、本案の欠陥のうち最も決定的な欠陥、つまり各種審議会の運営上の問題については、何一つ具体的な措置を講じようとしていないということであります。ロッキード事件、日韓癒着問題を契機に、わが国の政治における行き過ぎた秘密主義や密室的な行政運営に対する国民的批判が強まり、アメリカでウォーターゲート事件を教訓にして行政委員会の公開に踏み切ったように、わが国でも審議会の公開原則を確立することが切実に求められています。また、国民各層の意見を公正かつ総合的に反映させ、合理的な決定を行うために公聴会開催主義の原則を導入することや、各種審議会の公正、民主的な構成と運営に関する一般的基準についての通則を確立することなども国民的要望となっています。しかし、本案はこうした課題に何一つこたえようとしていないだけでなく、運営上の改革については何らの具体策をも打ち出していないのであります。  以上の理由により、審議会等整理等に関する法律案に反対するものであります。
  338. 始関伊平

    始関委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  339. 始関伊平

    始関委員長 これより採決に入ります。  審議会等整理等に関する法律案及び同案に対する修正案について採決いたします。  まず、高鳥修君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  340. 始関伊平

    始関委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  341. 始関伊平

    始関委員長 起立多数。よって、本案は、高鳥修君提出の修正案のごとく修正議決すべきものと決しました。  次に、許可認可等整理に関する法律案を討論に付するのでありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  342. 始関伊平

    始関委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  この際、行政管理庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。荒舩行政管理庁長官
  343. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 一言ごあいさつを申し上げます。  ただいま審議会等整理等に関する法律案及び許可認可等整理に関する法律案の両案を可決いただきました。まことにありがとうございました。  御審議の間におきまして承りました貴重な意見を体し、一層の行政改革合理化に努める所存でございます。  今後ともよろしくお願いいたします。ありがとうございました。(拍手)
  344. 始関伊平

    始関委員長 なお、ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  345. 始関伊平

    始関委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に記載〕     —————————————
  346. 始関伊平

    始関委員長 次回は、来る二十七日木曜日午前十時理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時散会      ————◇—————