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1978-04-20 第84回国会 衆議院 内閣委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月二十日(木曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 始関 伊平君   理事 小宮山重四郎君 理事 藤尾 正行君    理事 村田敬次郎君 理事 岩垂寿喜男君    理事 上原 康助君 理事 鈴切 康雄君    理事 受田 新吉君       逢沢 英雄君    宇野  亨君       関谷 勝嗣君    玉生 孝久君       塚原 俊平君    上田 卓三君       栂野 泰二君    安井 吉典君       山花 貞夫君    新井 彬之君       市川 雄一君    柴田 睦夫君       甘利  正君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      荒舩清十郎君  出席政府委員         人事院事務総局         管理局長    長橋  進君         人事院事務総局         任用局長    今村 久明君         人事院事務総局         職員局長    金井 八郎君         総理府人事局長 菅野 弘夫君         総理府人事局次         長       篠田 信義君         行政管理庁長官         官房審議官   加地 夏雄君         行政管理庁行政         管理局長    辻  敬一君         行政管理庁行政         監察局長    佐倉  尚君         国土庁長官官房         長       河野 正三君         大蔵大臣官房会         計課長     村上 哲朗君         厚生省公衆衛生         局長      松浦十四郎君         厚生省環境衛生         局長      山中  和君         厚生省医務局長 佐分利輝彦君         農林大臣官房経         理課長     江上 幸夫君         運輸省自動車局         業務部長    梶原  清君         運輸省自動車局         整備部長    犬丸 令門君         建設大臣官房会         計課長     加瀬 正蔵君  委員外出席者         衆議院事務局管         理部長     進藤 秀雄君         内閣官房内閣参         事官      角田 達郎君         総理府恩給局恩         給問題審議室長 手塚 康夫君         警察庁刑事局保         安部保安課長  柳館  栄君         経済企画庁国民         生活局消費者行         政第二課長   吉村  彰君         法務大臣官房司         法法制調査部司         法法制課長   土肥 孝治君         法務省人権擁護         局総務課長   加藤 晴明君         大蔵大臣官房秘         書課長     西垣  昭君         大蔵大臣官房企         画官      加藤 剛一君         大蔵省主計局給         与課長     川崎 正道君         大蔵省理財局資         金第一課長   森  卓也君         大蔵省理財局特         別財産課長   松岡  宏君         大蔵省銀行局特         別金融課長   藤田 恒郎君         国税庁長官官房         会計課長    小田 和美君         文化庁文化財保         護部記念物課長 横瀬 庄次君         文化庁文化財保         護部美術工芸課         長       西川杏太郎君         厚生省公衆衛生         局栄養課長   玉木  武君         厚生省環境衛生         局指導課長   林   崇君         農林省食品流通         局食品油脂課長 本田 康二君         通商産業省貿易         局総務課長   志賀  学君         通商産業省産業         政策局消費経済         課長      野崎  紀君         通商産業省機械         情報産業局自動         車課長     浜岡 平一君         資源エネルギー         庁石油部流通課         長       廣重 博一君         資源エネルギー         庁公益事業部技         術課長     松田  泰君         運輸大臣官房文         書課長     西村 康雄君         郵政省電波監理         局周波数課長  森島 展一君         労働大臣官房審         議官      松井 達郎君         労働省労働基準         局監督課長   小粥 義朗君         日本国有鉄道施         設局用地課長  佐藤 一成君         参  考  人         (年金福祉事業         団理事)    横田 清治君         内閣委員会調査         室長      長倉 司郎君     ————————————— 委員の異動 四月十九日  辞任         補欠選任   宇野  亨君     石田 博英君   小島 静馬君     宇野 宗佑君   塚原 俊平君     前尾繁三郎君   柴田 睦夫君     松本 善明君 同日  辞任         補欠選任   石田 博英君     宇野  亨君   宇野 宗佑君     小島 静馬君   前尾繁三郎君     塚原 俊平君   松本 善明君     柴田 睦夫君 同月二十日  辞任         補欠選任   田川 誠一君     甘利  正君 同日  辞任         補欠選任   甘利  正君     田川 誠一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  審議会等整理等に関する法律案内閣提出第  二五号)  許可認可等整理に関する法律案内閣提出  第五一号)      ————◇—————
  2. 始関伊平

    始関委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  審議会等整理等に関する法律案及び許可認可等整理に関する法律案の両案審査のため、本日、年金福祉事業団理事横田清治君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 始関伊平

    始関委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの御意見質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。      ————◇—————
  4. 始関伊平

    始関委員長 審議会等整理等に関する法律案及び許可認可等整理に関する法律案の両案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山花貞夫君。
  5. 山花貞夫

    山花委員 両法案の審議関連しまして、ちょうど先月末に人事院から国家公務員法百三条第九項の規定に基づきまして営利企業への就職承認に関する報告書国会及び内閣に提出されました。従来から問題となっておりますいわゆる天下り問題について、法的規制対象となっているものについての取り扱いでありますけれども、これとの関連におきまして質疑をさせていただきます。  まず冒頭、質問前提ということでもありますけれども人事院から、この報告書内容、概況について、特に従来と比べての何らかの指摘するべき特徴点がありましたら、そのことも含めて御説明をいただきたいと思います。  この問題については、新聞などの報道するところによれば、いわゆる高級公務員のもう一つ天下り先である公団、公社、特殊法人などについて役員が狭められている、整理の方向にあるということから例年に比して承認件数が多かったということが報道されており、同時に、狭められているけれども、行くところがあるから高級官僚はいいではないか、こうした批判もあったわけであります。まず、この点について御報告をいただきたいと思います。
  6. 金井八郎

    金井政府委員 人事院は、去る三月三十日に国会及び内閣に対しまして昭和五十二年中に人事院の行いました営利企業への就職承認に関する報告書を提出いたしました。もちろん国家公務員法第百三条第九項の規定によるものでございます。  五十二年中に人事院承認いたしました件数は百九十八件、百九十七人でございます。なお、承認されました百九十七人は、一般職国家公務員昭和五十二年中における離職者約三万人の〇・六六%、行政職俸給表(一)二等級相当以上の離職者数約二千四百人のうちの八・二一%に該当いたします。なお、最近五年間の承認件数平均でございますけれども、百八十一件となっておりますので、今回の件数は、それに比べると相当数ふえておるということに相なります。  それから、主な省庁承認件数でございますけれども大蔵省四十九件、建設省二十一件、国税庁十九件、通産省十八件、運輸省及び郵政省各十七件、農林省十六件等でございます。それから承認された者のうちで最終官職が本省庁局長外局長官及び事務次官であった者は六人でございまして、そのうちの四人は前年及び前々年に退職した者でございます。なお、昭和五十二年中における本省庁局長以上の離職者数は三十九人でございます。  それから承認件数就職先地位別に見ますと、役員は七十件、非役員が百二十八件となっております。  なお、これらの承認に際しましては、承認申請に先立ちまして所属の各省庁からあらかじめ人事院に対しまして非公式に承認できるものかどうかという照会がございます。その段階で私どもの方でこれを十分に検討の上で、これは承認することができない、承認の見込みがないというようなものにつきましては指摘いたしますので、現実に申請されたものにつきましては全部承認という形になっております。  そこで、先ほど先生から御指摘のございました本年の特徴と申しますか、そういう点について触れてみますと、前年が百五十九件ということで、これは過去五年の平均に比べますと大分少なかったわけでございますけれども、それとの対比についてまず考えてみますと、まず私どもの方で直接審査をしておりますのは行政職俸給表(一)の二等級以上の職員でございますけれども行政職俸給表(一)の三等級以下の者で営利企業役員就職したいという者についての承認人事院が行うことになっておりますので、そういう三等級以下の就職申請というものが昨年に比べますと十五件ふえております。それからもう一つ、これは地方支分部局の長でございますけれども、そういう者の就職申請というのが前年より十件ふえております。それからもう一つ、これは建設省関係でございますけれども、昨年、一昨年は非常に少なくて十件ということでございましたが、これがまた例年並みと言うと語弊がございますけれども、二十一件というふうに十一件の増加を見ております。これらが昨年に比べますと、ふえた要因ということに直接相なるわけです。  しかしながら、行政職俸給表(一)の二等級以上の離職者数というものは毎年大体一定しております。そういうことでございますので、本年特にふえたということにつきまして離職者数との相関関係ということを求めるのはちょっとむずかしい。私どもも考えたわけでございますけれども、結局、その年度におきまするそれぞれの省庁人事管理上、退職管理上の立場から見て、退職者平均年齢が五十二・六歳というところから考えましても、ほとんどの者がいわゆる勧奨退職によって離職しているわけでございますので、結局離職後の就職ということが当然必要になってくるわけでございますけれども、その場合の就職先というものが、これはいろいろみずから自営で商売を営む方もございますし、政府関係機関に出られる方あるいはこのように営利企業へ向かわれる方といろいろございますけれども、そういうものとの相関関係においてふえたというふうに見るしかないというふうに考えております。大体二千四百名でございますけれども営利企業就職いたします数というのはほぼ一定しているところから見まして、やはりその省庁人事管理上あるいは退職管理立場離職者の再就職の行く先というものとの関係においてこのようになったというふうに見ているわけでございます。  以上でございます。
  7. 山花貞夫

    山花委員 全般的な傾向をお伺いしまして、幾つかの問題点を感じないわけにはいきませんけれども、きょうの質問の焦点は、いまお話しいただきました法的規制対象にあるものではなく、むしろ従来からそのことがないということで、国会におきましても、各委員会におきましても議論されておりました特殊法人関係についてお伺いしたいと思いますので、質問を先に進めたいと思います。  いわゆる特殊法人天下り問題については、従来、主として特殊法人役員に対しての天下り、これが一番議論されておったところです。同時に、一部取り上げられてはおりましたけれども、単に役員ということだけではなく、部長、次長、課長課長補佐といったいわゆる中間管理職に対する天下り問題について、出向の問題ということについて議論していかなければならないのではないか、そうした問題点についてこれから伺わせていただきたいと思います。  その前に、まず国の予算、財投との関係において一つだけ大蔵省に確かめておきたいと思うのですけれども、今年度、五十三年度における特殊法人に対する財政投融資の額、これが全体でどれくらいになっているか、またその全体の財政投融資に対して占める割合はどのくらいになっているかということについて御説明いただきたいと思います。全般的な特殊法人の占めている役割りということが明らかになるのではないかと思いますので、大蔵省にこの点の御説明をお願いいたします。
  8. 森卓也

    森説明員 お答えをいたします。  五十三年度財政投融資計画総額で十四兆八千八百七十六億円でございまして、ただいま先生お尋ねの、その中に占めます特殊法人への財政投融資総額は十兆七千九百五億円でございまして、したがいましてその比率は七二・五%でございます。
  9. 山花貞夫

    山花委員 財政投融資は、その巨額の金額からいたしまして、最近では国の第二の予算というようなことも言われます。そのうちの七二・五%が特殊法人に投資されているということですと、そこで国の全体の行政——行政と言うのは適確でないかもしれませんけれども、そこに占める特殊法人役割り重要性ということもまた浮かび上がってくると思います。  この特殊法人の問題については、従来からそのあり方についてさまざまな観点から議論されてまいりました。特に現象的な問題としては、役員給与退職金渡り鳥、こういう問題で問題となってきたわけでありますけれども、かねてから幾つかの閣議了解口頭了解事項。四十年五月十四日の閣議口頭了解あるいは四十二年二月七日の閣議口頭了解、これを土台といたしまして国会議論がされてきたわけでありますけれども、最近の議論の仕方というものは、一つにおきましては、おととし五月の、特殊法人常勤役員削減についての閣議決定、そして昨年来の行政改革との関連もありますけれども、去年の各委員会において議論され指摘されたことを踏まえまして、総理が、この問題については一遍整理をするということを約束された経過を踏まえて、昨年十二月の二十三日でありますけれども、この問題について各観点からの閣議決定がなされたところであります。この昨年の十二月二十三日の閣議決定が今後の政府の方針の基本を決めているというように理解をいたします。  そこで、申し上げました観点に立って、若干の整理意味質問をさせていただきたいと思います。  まず第一に、かねてから問題となっておりました特殊法人常勤役員削減閣議決定に関してどのような内容閣議了解であったか、その後今日までどのように役員削減という問題が進められてきたかということについてお答えをいただきたいと思います。
  10. 角田達郎

    角田説明員 お答えいたします。  特殊法人常勤役員縮減の問題につきましては、いま委員御発言のように、五十一年の五月十一日の閣議了解によりまして現在実施しておりますが、その趣旨は、国の財政それから地方財政が非常に困窮を来しておる折から、特殊法人につきましても合理化を進めるべきである、こういう趣旨に基づきまして常勤役員縮減するということでございます。  それで、その内容は、まず対象法人でございますが、これは常勤役員、その時点で十人以上の特殊法人対象とする。それから縮減の規模でございますが、これは常勤役員十人以上十五人までの特殊法人にありましては一人、それから常勤役員十六人以上の特殊法人にあっては二人の常勤役員縮減する。  こういう内容でございまして、その縮減のやり方につきましては、それぞれ特殊法人ごと縮減計画を出させまして、内閣官房長官までそれを報告させ、その報告された縮減計画に基づいて着実に縮減を実施していく、こういうことになっております。  それで、この閣議了解によりまして対象となりました法人は、具体的には二十九の法人でございまして、常勤役員縮減の数は、十人以上十五人までが一人、それから十六人以上にあっては二人ということでございまして、計算いたしますと三十四人という計画になっております。それぞれの特殊法人ごとに立てられた計画に基づきまして縮減された実績でございますが、これは三十四の計画に対して現在までに二十三人の常勤役員縮減しておる、こういうことになっております。  以上でございます。
  11. 山花貞夫

    山花委員 関連して一つ、二つお伺いしておきたいと思いますけれども役員縮減ということと同じ意味を持った問題を提起するものだと思いますけれども、実はたしか百十二あります特殊法人の中で、役員が十名なら十名、十三名なら十三名全部天下りである、公務員経験者である、こういうものがかなりの数あるようであります。一〇〇%天下り公務員経験者役員を占めている、こういう特殊法人が全体のどれくらいあるかということについて御説明いただきたいと思います。
  12. 角田達郎

    角田説明員 五十三年一月一日現在でございますが、全体で特殊法人百十二のうち、私ども調査によりますと、二十七法人国家公務員経歴者の方々の常勤役員で全部を占めている、こういう結果になっております。
  13. 山花貞夫

    山花委員 その法人を特定することについて、二十七ということになりますと大変かもしれませんけれども、水資源開発公団宇宙開発事業団農用地開発公団中小企業振興事業団森林開発公団年金福祉事業団国立競技場オリンピック記念センター日本学校安全会社会保険診療報酬支払基金、こうした法人が、少ないものは役員三名程度でありますけれども、多いものは役員十三名全員が公務員経験者である、天下りであるというように調査したわけでありますけれども、この点について間違いないかどうかお答えをいただきたいと思います。
  14. 角田達郎

    角田説明員 いま先生の御説明法人につきましては、すべて国家公務員経歴者が占めているというふうに考えております。
  15. 山花貞夫

    山花委員 もう一つお伺いしておきたいと思います。  従来から特殊法人については役員が多過ぎるのではないか、役員がたくさんいて全部天下りであるというところにまた問題が出てくるわけでありますけれども職員の数と常勤役員の数とのパーセンテージをとりますと、役員が非常に多いのではないかという問題点がかねてから指摘されておりましたけれども現状についてはいかがでしょうか。全部ということではなくても、全般的な傾向として御説明いただきたいと思います。
  16. 辻敬一

    辻政府委員 常勤役員の数の問題でございますけれども、主として理事の数の問題になろうかと思うわけでございます。私どもといたしましては、その特殊法人業務の量、質その他を勘案いたしましてケース・バイ・ケースで判断して決めているわけでございます。確かに御指摘のように職員との比率をとってみますと、その特殊法人の仕事の性質等によりまして相当ばらつきのあることは事実でございます。
  17. 山花貞夫

    山花委員 たとえば地域振興整備公団職員六百三十四名、常勤役員数が十六名、職員三十九名に一人の役員のようです。宇宙開発事業団職員二百六十三名に十一人の常勤役員職員二十三名に一人の割合です。日本蚕糸事業団職員三十五名に対して役員が六名、これは職員五人ちょっとに対して役員が一人であります。日本航空機製造株式会社職員七十三名で役員が五名、職員が十四名で一人の役員です。国民生活センター職員が九十五名で七名の常勤役員、これは十三名で一人の役員ということのようです。もし私の方で挙げた数字に誤りがありましたら御訂正いただきたいと思いますが、職員の多い少ないというのはそれぞれの事業団の特色があると思いますけれども、いま見ましたとおり、少ないところは役員が五、六人に一人、十三、四名に一人、こういうことになりますと、いかにも職員に対して役員が多いのではないか。しかもそれが天下っている。そして、かねてから問題となりましたような給与退職金渡り鳥の問題があるというようなところに、まだまだ残された問題点というものが特殊法人の中にあるのではないかと思います。  先に質問を進めたいと思うのですけれども、以上のような問題点を頭に入れながら、昨年十二月二十三日、「行政改革の推進について」ということで閣議決定がありました。その内容との関連で以下順次お伺いをいたします。  まず、この閣議決定における「特殊法人」の項を見てみますと、まず最初の「特殊法人役員選考」という部分で、「公庫公団等特殊法人役員選考に当たっては、広く各界有識者の中から適任者を人選するとの見地から、今後、特に次の事項に留意するものとする。」こうした前提の中で、まず第一に「特殊法人業務内容を勘案し、民間からの登用を積極的に推進すること。」こういう決定がなされております。こうした閣議決定について、現状がどうなっているのかということについて、まずお伺いしたいと思います。これは内閣ですか。
  18. 角田達郎

    角田説明員 五十三年一月一日現在の特殊法人常勤役員の総数は七百九十九名ということになっておりまして、そのうち国家公務員経験を有する者が約六〇%でございます。したがいまして、残りが民間からの起用あるいはそれぞれの法人の部内からの起用、こういうような形になっておるわけでございます。
  19. 山花貞夫

    山花委員 いま大体六〇%という数字の御説明がありましたけれども、引き算をいたしますと、民間からの登用は三百十二という数字になると思います。大体三九%、六一%がいわゆる天下りである、こういう状況と伺いましたけれども、この問題については、その中身について五十年十月三十日の内閣委員会、五十一年五月十八日の参議院の方の内閣委員会で一度御報告をいただいたものですけれども、全般的な状況は当時と変わっていないのではないかというように思いますけれども、その点はいかがでしょうか。大体六〇%前後であった、こういうことじゃないでしょうか。
  20. 角田達郎

    角田説明員 私が国会で御説明申し上げました過去の数字のうち五十年当時の数字は、これは調査が非常に不十分でございまして、その内容につきましては後で訂正したわけでございますが、五十一年一月一日現在、それから五十二年一月一日現在、それから先ほど申し上げました五十三年一月一日現在、この最近三カ年の数字につきましては、私どもで精密に分析した数字でございますので、誤りはないと思いますが、その結果、特殊法人常勤役員のうち国家公務員経験者、これは国家公務員をやめてすぐ特殊法人役員になるという方ばかりではございませんで、一たん民間に行かれて、相当民間で御経験を積まれてから特殊法人役員になられたという方も入っておりますが、すべてそういう国家公務員経験を持っております常勤役員割合は、先ほど先生おっしゃいましたように五十一年一月一日現在でも八百二十五人のうち五百四人ということで六一・一、それから五十二年一月一日現在で常勤役員総数八百十人のうち四百九十四人で、パーセンテージにいたしますと六〇・九九%。それから先ほど申し上げました七百九十九人のうち四百八十七人、六〇・九五%。以上のような傾向になっております。
  21. 山花貞夫

    山花委員 十二月二十三日の閣議決定、「特殊法人役員選考」のところを見ますと、「特殊法人相互間のたらい回し的異動は、原則として行わない」、「たらい回し」という言葉が閣議決定で使われているわけでありますけれども、いわゆる「たらい回し」と表現されているような、特殊法人を転々として渡り歩くケース、これが役員総数のうちどのくらいのパーセンテージを占めているか、もし調べている結果がありましたら、お話をいただきたいと思います。  同時に、いわゆる閣議決定に言う「たらい回し」のケースですけれども、二つ目のもの、三つ目のもの、四つ目のもの、五つ目のものと、転々としているケースがあるようでありますけれども、そうした実情についても、把握されているところがありましたら、御報告をいただきたいと思います。
  22. 角田達郎

    角田説明員 昨年の十二月二十三日の閣議決定で「特殊法人相互間のたらい回し的異動は、原則として行わないこと。」という表現をとっておりますが、これは従来からの特殊法人役員の運用基準におきましても、たらい回し的異動は極力避けることというような表現をとっておったわけでございまして、運用としてはより一層厳しくしていこうというような趣旨で、こういう表現に新しく変えたわけでございます。  それで、この「たらい回し的異動」ということでございますが、私どもは、国家公務員の経歴を有する者が特殊法人役員からまた他の特殊法人役員へ移っていく、こういうものをいま申し上げましたような「たらい回し的異動」という表現で呼んでおるわけでございまして、その数は、これは最近非常に厳しく運用しておりまして、単なる人事上の安易な都合によってそういうようなことをすることはやめてもらいたいというように各省にお願いをしておりまして、最近徐々に減ってきております。「たらい回し的異動」の数は、五十二年の一月の調査でございますが、一月一日現在で四十九人、それからことし五十三年一月一日現在の数で三十九人ということで、相当この数は減ってきております。  それから回数でございますが、三十九人のうち、二回の方が三十一人、三回の方が六人、四回の方が二人、こういう数字になっております。  ただ、私どもこの閣議決定の表現で「原則として」という表現をつけておりますのは、適材を得る見地から、以前に他の特殊法人役員経験があっても、どうしてもその方でないと勤まらぬというような場合には、これは適材適所という見地から例外も認める、こういう意味で「原則として」という表現をつけておるわけでございます。
  23. 山花貞夫

    山花委員 政府関係特殊法人労働組合協議会、一般に政労協と言われておりますけれども、毎年天下り白書を労働組合の立場から発表しています。これまでに八回、本年度九回目の白書が発表されましたけれども、いまお答えいただきました問題について、調査の範囲と調べ方について若干一致しない部分がありますが、いわゆる渡り鳥の実態について、調査した役員三百九十七名のうち百五名、率にして二六・四%である、こういう調査報告が出されています。また、百五名の渡り鳥官僚のうち、こういう表現ですけれども、渡り歩いた法人数が最も多いのは二つ目で八十六名、三つ目で十五名、四つ目で三名、五つ目で一名である、こうした調査の結果が出ているわけでありますけれども調査対象が政労協の方は公益法人も若干含んでおりますので、若干対象が違っているというようなことから、双方の数字の食い違いはありますけれども、全般的な傾向については一致して出ておるということではないかと思います。依然として、閣議決定は「たらい回し」という表現を使っておりましたけれども、それが現状なお残っている。徐々によくなっているという御説明がありましたけれども現状なお残っている。そしてまた一つ、二つ、三つ、四つと転々としているという方もいらっしゃる。こういう現状だけはいまの御報告の中からも明確になったということではないかと思います。  そこでの関連で、従来からいわゆる渡り鳥が批判をされておりましたのは、退職金の問題です。一カ所目で退職金をもらう、二カ所目でもらう、三カ所目でもらう、四カ所目でもらう、こういうケースが従来から問題となっておりました。いま御説明いただきましたような何カ所か転々とした方について、わかる範囲で、私の方で申し上げる部分もありますけれどもお答えいただきたいと思うのですが、たとえば国民金融公庫総裁の佐竹浩という方、この方については、ほとんどが大蔵省関係ということでありますので、各特殊法人等における退職金の金額は大蔵省の方で把握されておると思いますが、こういう方については、従来の退職金、それから今日計算した場合に一体どのくらいになるか、そのことについて大蔵省の方から御報告をいただきたいと思います。
  24. 西垣昭

    ○西垣説明員 お答えいたします。  これは幾つかの機関にわたっておりますので、私からお答えするのはいかがかとも思いますが、便宜ということでお答えすることをお許しいただきたいと思います。  佐竹さんはいままで四つの政府関係機関役員として行っておられるわけですが、農林漁業金融公庫の副総裁が四十一年の七月から四十五年の七月まで、四年一カ月でございまして、そのときの退職金の額が千二百二十六万円と聞いております。その次に、日本住宅公団の副総裁に四十五年の十二月から四十七年の五月まで、一年六カ月でございますが、そのときの退職金の額が三百八十万円と聞いております。またその後、四十七年の五月から五十一年の四月まで四年間、沖繩振興開発金融公庫の理事長をしておられますが、そのときの退職金の額が二千三十万円と聞いております。以上、合計三千六百三十六万円でございます。なお、現在国民金融公庫の総裁をしておられますが、仮に五十三年三月末に退職したと仮定いたして退職金の額を試算いたしてみますと、現在の支給基準によりますと、一千八十五万円程度と試算されます。以上、合計いたしますと、累積総額は四千七百二十一万円でございます。
  25. 山花貞夫

    山花委員 また、たとえば国民生活センター理事長の昌谷孝さんのケースについて、いま大蔵省から御説明いただきました国民金融公庫総裁の例と同じように計算をしますと、これは農林省関係と経企庁の関係ですから、私の調べた結果を申し上げますが、四十年八月から四十三年八月まで糖価安定事業団理事長、この退職金七百六十万五千円、四十三年八月から四十五年九月まで二年ぐらいでありますけれども、畜産振興事業団理事長、この退職金が五百七十一万余、四十五年九月から今日までが国民生活センター理事長ですけれども、これはちょっと期間が長いわけですけれども、三千四百八十三万円、トータルで、最後は試算でありますが、四千八百十四万円、こういう金額が出てまいります。  こうした退職金問題が従来から議論されてまいりましたけれども、私は基本的には昨年十二月の閣議決定によっても従来の批判にこたえていないのではないかというように思います。  問題点整理として大蔵省の方にお伺いしておきたいと思うのですが、昨年十二月二十三日の閣議決定におきましても、退職金の処理の仕方について処理の方向を出されておりますが、現状、いわゆるこうした特殊法人の総裁、理事長クラスの方の一年間在職した場合の退職金額がどれくらいになるのか、一期在職した場合の退職金がどれくらいになるのか、一時金を含めた給与の合算金がたとえば一期でどれくらいになるのか、おわかりいただきましたら、お話を伺いたいと思います。  そうした現状の中で、たとえば具体的な問題として、昨年退職した役員退職金額の実情について、これも御説明いただける範囲で御説明いただきたいと思います。その話をお伺いいたしましてから、去年の閣議決定との関連についてさらに質問をさせていただきたいと思います。
  26. 川崎正道

    ○川崎説明員 お答えいたします。  まず最初に、役員で一年在職した場合に退職金がどれぐらいかという御質問でございますが、公庫、公団、規模の大きさによりまして若干の金額の違いはございますが、一年間在職いたしますと約三百万から四百万程度の退職金になります。したがいまして、一期ということになりますと四年間でございますので、千三百から約二千万近い、千九百万程度の退職金、このようになります。  それからもう一つお尋ねの一時金を含めました年間の給与総額でございますが、これも規模によりまして差はございますが、千四百万から二千万程度の年俸、こういうことに相なっております。
  27. 山花貞夫

    山花委員 いま、もう一つお伺いしておったわけですけれども、そうした平均的な数値を前提として昨年退職した役員の方の退職金額の実情、もしわかりましたらお話いただきたいと思いますが、把握できなければ私の方から指摘しておきたいと思います。——では、私の方でちょっと把握したところ、先ほど指摘いたしました政労協が調査したところによりますと、一昨年、七六年十一月から七七年十月までの間に退職した役員の方の退職金一千五百万以上ぐらいのところで調査しているわけでありますけれども、トップクラスの方ですと、住宅金融公庫の総裁の淺村さん、年齢六十七歳、在職期間が九年六カ月、退職金が五千二百三十五万八千円、その次が宇宙開発事業団理事長の島秀雄さん、在職期間が八年、四千百四十五万、同じく宇宙開発事業団の副理事長の松浦さん、在職期間が八年間、三千三百九十五万、四番目が日本住宅公団の総裁の南部さん、六年六カ月在職、三千二百九十九万、五番目に年金福祉事業団理事長の牛丸さん、七年三カ月、三千二百十九万、こういう数字調査の結果として出されているわけですけれども、大体この程度であるかどうかということを、そういった観点お答えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  28. 川崎正道

    ○川崎説明員 間違いないと思います。
  29. 山花貞夫

    山花委員 さて、この問題が、大体理事、総裁クラスの方ですと、一期勤めた程度で普通の公務員が二十年勤めたぐらいの退職金をもらうではないか、こういう形で従来から問題が指摘されておったわけであります。加えて渡り鳥というような問題もありました。そうした批判にこたえたのが昨年十二月二十三日の閣議決定のこの部分についての内容であったと思います。  閣議決定退職金についての部分を目てみますと、「特殊法人役員給与退職金制度」というところですけれども、「特殊法人役員退職金の支給率については、昭和五十三年度から現行の在職期間一月につき俸給月額の百分の四十五を百分の三十六に引き下げることとする。」そしてこの制度は五十三年四月一日以降運用ということだと思いますが、この閣議了解との関連で確かめておきたいと思うのですけれども、これは内閣の方になりますでしょうか、大蔵でしょうか、ここで三十六という数字に下がったわけですが、従来はこれが百分の六十五であった。余りひどいということで百分の四十五になった。それでも批判が残ったので百分の三十六になった、こういう過去の経過があるわけです。  お伺いしておきたいのは、今般閣議決定によって百分の三十六まで一応下がりました。下がったと言っても、まだまだ多いわけでありますけれども、しかし、これまでの百分の六十五であったときあるいは百分の四十五であったとき、そのときの既得権益といいますか、既得権というものがそのまま尊重されているということでしょうか。それともこの百分の三十六というのが遡及しているということでしょうか。この点を御説明いただきたいと思います。
  30. 川崎正道

    ○川崎説明員 先生ただいま御指摘の点につきましては、経過措置を設けてございます。新しい率の三十六と申しますのは、ことしの四月一日から適用することにいたしておりまして、ことしの三月三十一日までの間、つまり任用されましてことしの三月三十一日までの在職の期間につきましては、経過措置といたしまして従前の百分の四十五という率を適用することにいたしております。
  31. 山花貞夫

    山花委員 閣議決定の文書を拝見いたしますと、「この取扱いは、昭和五十三年四月一日以降役員に就任する者について運用するものとする。」こういう文章があるわけでありますけれども、これは実は前段の部分の理事の任期の問題、年齢の問題というところにかかっておりまして、この文章からですと、後段の役員退職金の支給率を三十六に下げたという部分にはかかってきていないように読めるわけであります。文章上、文理上はそうなってまいります。  したがって、一見いたしますと、遡及効があるのではないかというようにも読めたわけでありますが、いまのお話を伺いますと、今年の四月一日からこのとおり実行されるのだということで、従来の既得権益は一〇〇%確保されている、こういう実情です。ということになりますと、いまの御説明で、この前は百分の四十五とおっしゃいましたけれども、その前は百分の六十五という時代もありました。その六十五とか四十五というもので計算をいたしまして、大変退職金が高いではないか、多いではないかということが世の指弾を受けておったわけでございますので、もしその点を改正するとするならば、既得権益を全部まるまる守っている、これからのやつは若干修正しましたということでは、世の批判にこたえたことにはならないのではないでしょうか。やはり六十五の時代、四十五の時代、従来の既得権益をまるまる認めているということではなくて、今度だけは何とかしますということでは、いささかごまかされたような感じもするわけであります。これは数字関係もいろいろにらんでかもしれませんけれども、ある程度遡及される、遡及させて効果を出させる、こういうことについてはできるのか、できないのか、あるいは検討されたことがおありになるのでしょうか、どうでしょうか、その点を大蔵省にお伺いいたしたいと思います。
  32. 川崎正道

    ○川崎説明員 先生指摘の点、非常にむずかしい問題かと思いますが、実は先ほどから先生もお話しございましたように、過去に退職金の率を下げたことが三度ばかりございます。一番最初は百分の七十ということから出発しまして、それを六十五、さらに四十五、そして今回の三十六と、三度退職金の支給率の引き下げを行ってきたわけでございますが、過去におきます退職金の引き下げの際には、いつも経過措置といたしまして、今回と全く同じ措置をしておるということでございます。つまり今回の措置は、従前の例にならってそういう経過措置を置いたということでございます。  それからもう一つは、退職金の支給規定に基づいて従前支給しておるわけでございますので、そういう期待権と申しますか、先生もおっしゃいました既得権、そういったものも尊重してまいらねばならない。それから、以前におやめになった方とのバランス、そういったものも考えなければいけないというような実情がございまして、不利益変更のような話でございますので、遡及適用していくということがなかなかむずかしい、このように考えております。
  33. 山花貞夫

    山花委員 なかなかむずかしいということですと、従来批判があった多額の退職金については結局まるまる残しておるということです。今後については若干の改善ということでありましても、この問題はまず半分は完全に解決していない。半分と言うよりも、むしろ従来のまるまる残っておるというところの方が批判の対象であったわけでありますから、結局はほんの一部手直ししただけであって、従来の既得権益をまるまる認めてしまったのではないか、こういう問題点がどうしても残ると思います。  いまなかなかむずかしいとおっしゃいましたけれども、この種問題については、勤めていた方の既得権益をどう取り扱うかということについて世の中にいろいろなケースがありますが、一つの常識的な解決の方法というものは、最高裁判所などでも不利益変更問題について一定の見解を出しているところだと思います。私の理解しているところでは、本人の同意、了解、話し合った上ならばこうした問題について解決できるのだというのが一つの考え方として定着しておるところだと思います。世の批判があったのだということならば、今度の三十六というのを昔まで遡及ということになりますと、それはいろいろバランスの問題もあるかもしれません。しかし、ある程度そうした努力をすべきではなかろうか。そうでないと、従来批判の対象となっておったことはまるまる温存され、既得権益がまるまる残って一部の手直しにしかすぎない、こういう批判を受けるのではないかと思いますけれども、その点についての御見解を伺いたいと思います。
  34. 川崎正道

    ○川崎説明員 ただいま御説明いたしましたように、期待権と申しますか既得権と申しますか、過去の勤務の期間に対応して幾らの退職金がもらえるかということが退職金の支給規定にございますので、そういう不利益変更がさかのぼってやれるか、これは非常にむずかしい問題だと思います。これは先生非常に御専門家でいらっしゃるのですけれども、そういう判例があって、御本人の内諾といいますか承諾があればということでございますが、役員全員についてそういう承諾をとってという措置もなかなかむずかしゅうございます。  それから、私たちの方でもいろいろ過去の先例等も調べたわけでございますが、公務員等の退職金の支給規定の改定等におきましても、あるいは給与関係におきましても、過去にさかのぼって不利益変更した事例というものが見当たらないというようなこともございまして、先例に従って今回の措置をとった、こういう次第でございます。
  35. 山花貞夫

    山花委員 いまのお話を伺いますと、先例によるというところで最も無難な解決をしているわけですけれども、それでは従来の既得権益をまるまる温存したということについての批判は免れがたいのではなかろうかと思います。  その問題点があることを指摘しておきまして、時間の関係がありますから先に進みたいと思います。  先ほど来お伺いしております十二月二十三日の閣議決定によりますと、なお幾つかの問題について、従来から問題とされていたことの整理がなされています。一つが高齢者についての役員起用の問題、「役員の在任は、原則として、六十五歳に達するまでとする」、例外として総裁等七十歳、次の問題として役員の長期の留任は、在職期間おおむね六年を限度とする、こういうような方針が打ち出されておりますけれども、この点について現状はどうなっているかということについて、これは内閣の方ですか、お伺いしたいと思います。
  36. 角田達郎

    角田説明員 まず年齢でございますが、役員の在職の年齢の制限を一応設けました趣旨は、役員の人選につきましては適材適所というのが基本的な考え方でございまして、画一的に年齢を制限するというのは好ましくないという場合もあろうかと思いますが、やはり一般的には余りお年を召した方が多くならない方が特殊法人の運営にとっても好ましい、こういう見地から一応の制限を設けたわけでございます。  それで、その現状でございますが、年齢につきましては、七百九十九人のうち、六十五歳を上回っておられる方が七十六人ということで約九・五%、こういう状態になっております。  それから任期の制限でございますが、これは従来の、昨年の暮れの閣議決定以前の閣議了解の方針では、おおむね八年を限度とするということでございまして、運用といたしましては、任期が二年とか三年とか四年というふうに、それぞれ特殊法人の根拠の法律で役員の任期が決まっているわけでございますが、任期二年の場合は四期、三年の場合は三期、四年の場合は二期、こういうようなことで、これを限度として原則として運用しておる、こういうような状態で来たわけでございます。しかし、これも画一的にぴしゃっと制限するということは適当ではございませんけれども、一般的に申し上げると、やはり長期留任というのは法人業務運営上、士気の停滞を来すということで、好ましくない場合が多いので、これも従来の線を短縮いたしまして、おおむね六年を原則とする、こういう内容にしたわけでございます。  それで、その実態でございますが、常勤役員七百九十九人のうち、六年以上の者が百三十九人ということで、比率にいたしますと一七・四%が六年以上の者というようなことになっております。
  37. 山花貞夫

    山花委員 関連して、こうした役員選考の問題についてですけれども閣議決定によりますと、「なお、常勤役員(非常勤の総裁等を含む。)については、候補者選考の段階において事前に内閣官房長官に協議するものとし、総裁等の選任については、前記協議を経た後閣議口頭了解を得るものとする。」こうした原則が掲げられまして、「ただし、当該特殊法人役員の任命方式等の特殊事情にかんがみ、内閣官房長官が別に定めるものを除く。」こういうことになっています。従来この「内閣官房長官が別に定めるものを除く」というものが明らかにされていなかったようですけれども、これは定めたものがあるのかどうか。あるとするならば、一体どのような除外規定と申しましょうか、外すものを内閣官房長官が定めておるのでしょうか。その内容について、あるとするならば御説明いただきたいと思います。
  38. 角田達郎

    角田説明員 昨年の暮れの閣議決定以前におきましても、内閣官房長官の協議に係らしめているものから除外しているものがやはりあったわけでございます。今度の、昨年の閣議決定では、実際の運用は変わりませんが、その官房長官の事前協議あるいは閣議口頭了解、こういうものから外すものをはっきりと決定しておこう、こういう趣旨で、閣議決定をした際に、官房長官の決定という形で関係省庁に通達したわけでございます。  その内容は、まず一つは、強度の中立性が要求されているような法人、たとえばNHKというような法人役員につきましては、会長もその他の常勤役員も事前協議は必要がないというふうにしてございます。  その次に、特殊法人の根拠法規になっております法令の規定によりまして、役員の相互の互選によって理事長が選任されたり、また役員の一部は特定の推薦団体の代表者が就任するというような定めがありまして、当該主務大臣に人選についての監督ないしは指導の余地がないような法人役員、こういうものを除外するということでございます。その具体的な法人名は、社会保険診療報酬支払基金理事長、それからその常勤役員、それから消防団員等公務災害補償等共済基金理事長、それからそのほかの常勤役員、ただし、これは学識経験者を常勤役員に任命する場合には官房長官に事前協議が必要である、こういうようにしております。  それから農林中央金庫の理事長、理事長以外の常勤役員、これも口頭了解ないしは官房長官事前協議を要しない。それから日本硫安輸出株式会社の社長、その他の常勤役員も、閣議口頭了解あるいは官房長官の事前協議を要しないというようなことにしてございます。  その次のグループでございますが、これは政府出資あるいは補助金等の政府財政援助がなく、なおかつ、法令上もまた役員の任命に関する主務大臣の権限がないというように、非常に政府の関与する余地が少ないというような法人のグループでございますが、これには東京中小企業投資育成株式会社の社長、これにつきましては、長については、閣議口頭了解を要しませんが、官房長官の事前協議は必要である。それから常勤役員につきましては、官房長官協議も要らないというようにしてございます。同じもので、名古屋中小企業投資育成株式会社、大阪中小企業投資育成株式会社、これも同様でございます。それから日本船舶振興会の会長、これも同じグループでございますが、会長につきましては、閣議口頭了解は必要ではございませんが、官房長官には事前協議が必要である。それから常勤役員も官房長官協議が必要であるというようにしてございます。それから国際電電株式会社、これは会長のみ官房長官協議が必要で、その他の常勤役員は官房長官の事前協議は不必要。それから日本勤労者住宅協会の理事長、これは、理事長のみ閣議口頭了解でなく官房長官協議が必要であって、その他の役員は官房長官の事前協議は必要ではない。  以上の十一法人につきまして特別の除外措置を設けた、こういう次第でございます。
  39. 山花貞夫

    山花委員 いま御説明いただいた中で、ちょっとわかりにくいところがあるわけですけれども、全体十一の特殊法人を四つのグループにくくりまして、閣議口頭了解を得ることを要しないもの以下について分類しているわけであります。この四項目目でありますけれども、六つ挙げられていますが、日本船舶振興会の会長については、その後ろの項目が白になっておりますので、これはあとの役員の皆さんは要るという取り扱いになっているというふうに読めるわけですけれども、これだけこの六つのグループの中で特別扱いをしているように、この表を一見いたしますと感ずるわけですが、これはどういうことなんでしょうか。
  40. 角田達郎

    角田説明員 日本船舶振興会につきましては、先ほど御説明したグループの中の、政府出資、補助金等の政府財政援助がなく云々というグループの中に入るわけでございますが、ただしこれにつきましては、政府の、会長なりあるいは常勤役員の任命に関する権限は、そのほかの国際電電なり日本勤労者住宅協会と異なりまして、若干強くなっております。したがいまして、法令上強くなっておりますので、会長につきましては閣議口頭了解は必要ではないが、官房長官協議は必要であるという意味でこの表をつくっておるわけでございます。  それから常勤役員のところにつきましても、そこの欄が空白になっているのは、官房長官協議を要するという意味で空白にしておる、こういうことでございます。
  41. 山花貞夫

    山花委員 いまの第四段目の枠の六つの特殊法人等についてでありますけれども、くくり方としては「法令の規定により所管大臣の認可を受けなければ総裁等の選任の効力が生じないこととされているもののうち、政府出資又は補助金等による直接の政府援助のない特殊法人」、こういうようにくくってあるわけでありますけれども、私も百幾つかの法人について、きのうきょうの話でありますから、全部検討するだけの時間がございませんでした。このくくりで出てくるのは、この六つの法人だけということでしょうか。それともそのほかにもあるのだけれども、この六つの法人については特別の取り扱いをした、こういうことでしょうか。その点をひとつ御説明いただきたいと思います。
  42. 角田達郎

    角田説明員 このくくり方で出てまいりますのは、この表に掲げております、先ほど御説明しました六つの法人だけでございます。
  43. 山花貞夫

    山花委員 この六つだけ出てまいるということになりますと、この六つの法人について船舶振興会だけを特別扱いするということについての納得のいく説明がどうもさっきの説明ではうかがえないような気がしたわけですけれども、もう一遍念のために、こういうようにくくられた六つの法人の中で船舶振興会だけが特別扱いになっているということについての御説明をお願いしたいと思います。
  44. 角田達郎

    角田説明員 「法令の規定により所管大臣の認可を受けなければ総裁等の選任の効力が生じないこととされているもののうち、政府出資又は補助金等による直接の政府援助のない特殊法人」という備考の、これは表の説明でございますが、これは私どもが書いたわけでございますけれども、これだけの条件でぴたりとこの六特殊法人整理されておるわけではございませんので、まずこの六つの東京中小企業投資育成株式会社、それから名古屋中小企業投資育成株式会社、大阪中小企業投資育成株式会社、それから国際電電、日本勤労者、日本船舶振興会、これは少なくとも政府の出資なり補助金等による直接の政府財政援助は受けていない。これは厳密に言いますと、そういうくくりでこの六つがまずくくられておるわけでございます。  したがって、この六つをもう一つ区分けする方が適当であったというふうに考えておりますが、そのうちさらに「法令の規定により所管大臣の認可を受けなければ総裁等の選任の効力が生じないこととされている」という説明を加えておりますが、これは記述が正確ではございませんので、少なくとも国際電電とかそういうような法人につきましては、所管大臣の認可権限がないはずでございます。ただ、この日本船舶振興会につきましては、所管大臣の認可を受けなければ会長なり常勤役員の任命の効力が生じないということになっておりますので、六つのこのグループの中でも、政府財政援助は受けていないけれども、法令の規定による任命についての政府の関与の権限が強い、こういうことで、会長及び常勤役員については官房長官の事前協議を要する、こういうことにしておるわけです。     〔委員長退席、村田委員長代理着席〕
  45. 山花貞夫

    山花委員 いまの御説明を伺いますと、六つの法人のくくり方自体についてもなお若干問題があるように思います。  加えて、御説明いただいた限りでは、なぜ日本船舶振興会会長だけがほかの同じくくりの六つの中で特別扱いされているかということについて、なお釈然としない部分もございます。ただ、いま問題点だけはお伺いできましたから、この問題はなお検討させていただくことにして、次の質問に移りたいと思います。  さて、後半の部分は、冒頭申し上げましたとおり、いわゆる特殊法人における中間管理職の問題について伺いたいと思うのですけれども、従来から、役員の問題については、まさにいまお尋ねしてまいりましたとおり、去年の閣議決定の段階で一応の整理がされている。内閣の人事局の方でも全般的な把握をされておるということだと思うのですが、この中間管理職問題についてはどうなんでしょうか、まず内閣の方に一言だけお伺いしておきたいと思うのですが、全般的な問題点、検討されたり把握されたりする機会があったかどうかということですけれども、この点はいかがでしょうか。
  46. 角田達郎

    角田説明員 私ども特殊法人常勤役員の人事につきまして関与しておる根拠は、従前は三十九年当時の閣議口頭了解、それから現在は、先ほど来御説明しております、昨年の十二月二十三日に決まりました閣議決定に基づきまして、官房長官の役員についての事前協議の窓口あるいは事務の取りまとめということで、役員については私どもが事務を行っておる、こういうことでございます。したがいまして、その他の中間管理職の問題につきましては、私ども何ら関与する権限も、それから現在の法令上に基づきます所掌事務から見ましてもそういう権限は持っておりませんし、また、実際にも中間管理職について調査したことも、分析したこともございません。  以上です。
  47. 山花貞夫

    山花委員 いま、中間管理職問題については権限もないし、所管でもない、こういうお話を伺ったわけですが、この問題について、昨年二月十九日でありますけれども予算の、これは分科会でしょうか、一度議論として取り上げられたことがございました。角田さんがちょうどいまと同じようなお答えをされています。「中間管理職の点につきましては私のところで所管しておりませんので、各省庁それぞれ監督官庁が実情を把握しているものと思います。」きょうのお答えもおよそ同じ趣旨ではなかったかと思います。しかし、この問題について福田総理の方から、総合的な管理体制ができていないという問題について、これは内閣において責任を持ってやりたい、こういう趣旨の答弁があるわけであります。実態から言いますと、この問題が各省庁ばらばらである。しかもいわゆる出向という形で世襲的に中間管理職人事を各省庁握っているという問題とか、そのためにいろいろな問題が起こっているという、中身についてはまだ余り出ておりませんけれども、問題提起がありまして、これは総理の方で、内閣において責任を持ってやっていきたい、こういう応答があったわけであります。実はちょっとお伺いしておりました際にも、内閣の方では、各省庁別の問題だから、まだそれをなかなかつかまえておらぬというお話はお伺いはしておりましたけれども、総理のこうした発言もあるわけでありますから、この問題についてはこれから私、具体的な問題をずっと質問いたしますけれども内閣の方で、総理の答弁に沿って管理の問題について検討していただく必要があるのではなかろうかということを冒頭指摘いたしまして、具体的なケースでさらに質問を続けたいと思います。  こうした中間管理職の問題を含めての特殊法人の人事問題については、かねてから行政管理庁の方でも問題点として指摘をしてまいったところだと思います。特に具体的に科学技術庁や環境庁、外務省、厚生省、農林省、通商産業省、郵政省、労働省、いわば名指しで、おまえのところの特殊法人はこうなんだということを指摘いたしました行管の監察が四十六年九月二十八日に出ているわけであります。四十六年ですから約七年前ということになるわけですけれども、そこでこれは現在なお残っている大変重要な問題点指摘、正鵠を得ている指摘だと思いますが、「人事管理の自主性の確保について」、こうした監察をなさっています。「事業団は、その設立の趣旨にのっとり長期的な人事運営方針の下に自主的、計画的な人事管理を実施する必要がある。しかし、現在、計画的に幹部要員の採用を行なっているのは」幾つかの事業団にすぎない。二つあったそうですけれども。そこで、「全事業団を通じて、本部の課長以上の職位の六三%以上が行政機関からの出向者によって占められている。」中間管理職への天下りと言われている問題ですが、「しかも、これら出向役付職員」、この時点の調査では、三百人中百三十五人、四五%、こういう人たちが「出身省庁への復帰を予定している。」要するに二、三年出てきて腰かけて、そしてまた出身省庁に戻っていくんだ。これは渡り鳥と言うんじゃなくて、本当の腰かけとして出てきているだけである。「これら復帰予定者については、一般に在職期間が」一年か二年である。「しかも、同一の職位に連続して同一機関からの出向が行なわれるのが例となっている」、これがいわゆる行政官庁の握っている世襲的な天下り人事という問題です。したがって、このことを原因として労働争議が起こったりして大変好ましくない、こういう指摘をされた中で、まだいろいろ問題点指摘されておりますけれども幾つかの「事業団については、事業団の自主的運営を助長し、職員の志気を高揚するため、関係主務省庁は、各事業団において長期的な人事運営方針を決定し、職員から役員への登用を含む」、中間管理職じゃなくて「役員へ」という言葉で言っておるわけでありますけれども、「内部昇進制度の確立など、計画的な人事管理を実施させる必要がある。」こういう指摘をされているわけであります。特殊法人の中には、全体百幾つある中で、それぞれの設立の経過とか趣旨とか目的とか事業内容、違っていることを私は見過ごそうとするものではありません。しかし、この行管で具体的にいわば名指しで指定したものについては、そうした問題点を踏まえた中で、おまえのところはもっと自主的にやっていかなければだめじゃないかと、こういう指摘をされているわけでありますけれども、実は私が調査したところ、こうした問題についてほとんどのところでなお問題点が全く残されたままではないか。中間管理職は出向者、天下りによって占められている。そしてほんの数年で出身省庁に戻ってしまう。下で働いている皆さんは、そうした問題の中で、士気阻喪ということもありますし、いろいろな問題がそこで起こってきている。業務についてもいい影響を与えるものではございません。そのことは次第に特殊法人の存立意義そのものにかかっている、こういう問題まで来ているのではなかろうかと思うわけであります。  そこでお伺いしたいと思うのですけれども、たとえば中間管理職が一〇〇%官庁出身者、天下りであるというものなどについて見てみますと、たとえば水資源開発公団、これは部長さん、次長さんが二十六名おりますけれども、全員天下りであります。課長さんが二十六名おりますけれども、これも全員天下り部長課長合計五十二名、一〇〇%天下りであります。日本学校安全会、これも部長さん、課長さん、一〇〇%天下りであります。年金福祉事業団部長さん五名、課長さん十三名、そして課長補佐十八名、トータル三十六名でありますけれども、これも一〇〇%天下りであります。新東京国際空港公団部長、次長が二十三名、課長が五十一名、合計しますと七十四名、一〇〇%天下りであります。中間管理職が一〇〇%天下りである。  こうなってまいりますと、それが従来からずっと続いているということでありますと、この問題は見過ごすことができないのではなかろうかと思います。特に特殊法人でありますから、設立直後、こういう場合には一〇〇%天下り、言葉はさておいて、あり得ることだと思いますし、そのことが必要だという場面もあると思いますけれども、五年、十年、十五年もたったところで依然として一〇〇%天下りであるということになりますと、問題を指摘しないわけにはいきません。  そこで、厚生省の関係で、いまも指摘いたしました年金福祉事業団関係ですけれども、この中間管理職についての実態がどうなっているのかということについてお伺いしたいと思います。
  48. 横田清治

    横田参考人 ただいまの質問でございますけれども、行政管理庁から四十六年に御指摘ございましたように、当団といたしましては、業務内容からいたしまして、厚生年金保険、船員保険及び国民年金の本来国が行うべきところの福祉施設業務でございますので、これらの業務の運行をとにかく円滑にやっていくには、やはり当団業務に直結するところの社会保険業務に精通したところの人事計画によることが業務運営上有効であるというような観点もございましたが、いま申しましたように行政管理庁の御指摘もございましたように、中間管理者の問題につきましては、適材適所の観点で処理していかなければならないと思いますけれども、中間管理者を公開して登用するということはなかなかできませんので、それはやはり業務に非常に支障を来しますので、業務との関連で社会保険庁の方にお願いいたして現在出向していただいております。  なお、民間からも登用するについて、銀行の方からもやはり経験者を入れた方がいいだろうということで、現在一名の経験者を銀行の方から入れております。そういうことでございます。
  49. 山花貞夫

    山花委員 特に年金福祉事業団については、いま中間管理職ということで伺いましたけれども、実は全職員が出向ということではないか、こういう問題があります。最近では、数字を見ますと、全体の職員のうちある程度は団が採用しているというケースもあるようですけれども、たしかこの監察のあった時点などでは、全体の職員の中で自動車の運転手さんとか電話の交換手さんとかを除いたすべてが、中間管理職じゃなくて上から下まで全部出向である、こういう実態があったんじゃないでしょうか。三十六年スタートで十年目ぐらいまではそうだったというように私ども調査しておるわけでありますけれども、最近ですと団の採用者がたとえば年間二名とか三名とかあったようです。五十年は出向者が三十六名入ってきているわけですけれども、男性の団の採用者は一人もいないわけです。全員出向者です。四十九年は三十四名入ってきているわけですけれども、団の採用者というのはわずか四名しかいない。要するに、たとえば四十九年、五十年ですと七十名の新しい増員があったわけでありますけれども、七十名中六十六名が官庁の出向者である。団が独自に採用いたした者は四名にしかすぎない。女性が一名、三名と女性が四名おったようでありますけれども職員全体が恐らく今日時点でも過半数どころかもっと大きなパーセンテージで官庁の出向者だけに占められているということになってまいりますと、まさに厚生省年金福祉課か係という実態ではないかと思うのですけれども、その実態について、年金福祉事業団の方から整理されているところがありましたらお話を伺いたいと思います。
  50. 横田清治

    横田参考人 御指摘の点につきましては、四十六年の行政管理庁の監察当時は御指摘のとおり約九〇%程度は出向職員で賄っておりました。しかしその後定員増等もございましたが、新規職員の採用につきましてはプロパー職員を採用していこうということで、約三十名程度の職員の採用をいたしてまいりました。先ほど申し上げましたように、この業務内容からいたしまして全部プロパー職員で大きく編成をしていくということは業務の遂行をする上に非常に困難でございますので、この点については段階的にやっていきたい、そういうふうに考えております。また、定員増も望めない最近の情勢下でございますので、長期的な人事計画を設定することは非常に困難でございますので、プロパー職員の充員については十分社会保険庁とも協議いたしましてやっていきたい、さように考えております。
  51. 山花貞夫

    山花委員 いま大体三十名ぐらいはプロパーの者が育っている、新しい者がいる、こうおっしゃいましたけれども、全体の職員は百四十七名ぐらいであると私把握しておるわけですけれども、百四十七名ぐらいでしょうか。そこのところちょっとお尋ねしておきたいと思います。
  52. 横田清治

    横田参考人 全体の職員が百五十七名のうちプロパー職員は五十四名おります。
  53. 山花貞夫

    山花委員 いまの数字を伺いましても、新しくできたてだというところとは違うわけであります。三十六年から今日までということでありますから、大変長い経験をお持ちのところのはずであります。しかも、たとえば中間管理職問題についても、そこで育った人がどんどん課長につける、部長につけるということならまた別ですけれども、横からすとんと入ってきてまた一、二年で行ってしまうというような実態があるとするならば、いまの御説明だけでは納得することができません。  同時に、いまお話の中で長期的な人事運営方針を策定することがむずかしいとおっしゃいましたけれども、その点もう一遍確認したいと思います。その点はむずかしいのでしょうか。そう把握されておられますか。
  54. 横田清治

    横田参考人 新規採用者に対する長期的計画というのは現在考えておりますが、そういうことでございます。
  55. 山花貞夫

    山花委員 新規採用者に対する長期的計画はむずかしいとおっしゃいましたけれども役員への登用を含む内部の昇進の方法などを含めた人事管理の自主性の確保という観点からその長期的な計画を立てる、そうして職員も安心して、意欲を持って仕事をしていける、こういうことはむずかしいのでしょうか。
  56. 横田清治

    横田参考人 現状ではプロパー職員はおおむね六年未満となっております。そこで、中間管理者へ昇進する時期には達してございませんので、この問題につきましては、出向職員との均衡を十分注意して、プロパー職員が将来においても不安のないように細心の注意を払いながら人事管理をやっていく、そういう考えでおります。
  57. 山花貞夫

    山花委員 細心の注意を払って人事管理をやっていくと言いましたけれども、具体的な長期的な人事運営の方針というものをおつくりになっているのでしょうか。そういうものはまだないけれども、これからやっていきたい、こういうことでしょうか。
  58. 横田清治

    横田参考人 先ほど申しましたが、事務の内容からいたしまして、中間の管理者というものを新規採用ということにいたしますると、業務的な運営が非常に困難を生じてまいりますので、そういう点からいたしましても、あわせまして先生のおっしゃる点については今後十分考えていきたい、そういうように考えております。
  59. 山花貞夫

    山花委員 実は若干くどくなりましたけれども役員への登用を含む内部昇進の方途を含めた長期的な人事運営方針を策定しているのかしていないのかということに対して、いまのお答えはこれからやっていくのだという趣旨の御返事だったわけです。私は念を押して伺ったわけですけれども、ただ私はそういうお答えですと不満であります。  これは先ほど私が申し上げました行管の監察に対しまして、四十六年九月二十八日の勧告に対して翌年四十七年二月十七日に厚生省年金福祉事業団の方から回答が上がっています。これを見ると、大変長文の勧告に対して三下り半ではありますけれども、問題の核心であるいまの点について、「役員への登用を含む内部昇進の方途を含めた長期的な人事運営方針を策定させ段階的に改善を図ることとしたい。」明らかにこう言いまして、策定させるということを四十七年に行管に対して回答しているわけです。これは公式の公文書で回答しているわけです。七年たちました。七年たって何もやってなかったのかということになるわけです。私は一つ問題点がここに出ていると思いますけれども、この問題について一体どうするつもりなのかということを、重ねて年金福祉事業団にお伺いします。
  60. 横田清治

    横田参考人 先ほども申し上げましたが、長期的な人事計画に基づきまして、その時期に参りますれば、これはやはり先生のおっしゃるとおりにやっていきたい、さように考えております。
  61. 山花貞夫

    山花委員 行管に対する回答では、そういう時期が来たら、五年たったら、十年たったら、十五年たったらやりますということではありません、そういう回答では行管でも受け付けないはずであります。この時点で、四十七年二月十七日の時点で策定をさせる、そして段階的にやってまいりますと、七年前に約束をしている、今日それを守っていない、こういう実態があるのではないかと私は思います。したがって、いまのお答えでは私は不満でありますけれども、時間の関係がありますからその次の問題に移りたいと思います。  こうした中間管理職問題については、とにかく職員の士気にもかかわり、業務にも絡むという問題もあるわけですが、もう一つは官庁から天下りで入ってきた中間管理職のいわば労働条件といいましょうか、これがプロパーの職員とずいぶん差があるではないかという問題があります。従来役員の方についての退職金問題などについてそうしたことが議論されてまいりましたけれども、プロパーの方よりもずいぶんといい条件になっているのではなかろうかということが、私どもの調べたものによりましても——ちょっとほかのところのケースになりますけれども、具体的ないい例を挙げますと、たとえばこれは国土庁の関係になりますか、きょういらしていただいていないのですが、地域振興整備公団、ここなどの場合の例について見てみますと、中間管理職の問題についてはほぼ共通でありますけれども、たとえば部長さん、上からずっと見ていきますと、昭和四十九年に入団された方、入団直前の給与は二十七万八千八百円、入団いたしましたらば給与が四十万八千五百円になっている。もう一人の部長さん、入団する前が二十四万九千九百円、入団いたしますと三十五万六千円になる。課長さん、一人の方は入団する前が二十万四千四百円、この方は余りふえてないようですが、二十万七千三百円になる。もう一人の課長さんは、入団する前が十七万五千五百円、入団しますと二十八万四千円。部長代理の方、入団する直前は十三万八千一二百円、入団しますと二十一万九千円になる。課長代理クラスの方ですと、入団する前が十二万五千六百円、ちょっとこれは古いケースですが、入りますと十七万四千六百円となる。  とにかく直前に比べますと、こういうところへ行きますと、管理職手当の計算その他もありましようけれども、ぐんと飛び上がるわけであります。こういう実態があるのではないかと思うわけですけれども、この点、大蔵省はそういう実態については何か把握されているところはありませんでしょうか。
  62. 川崎正道

    ○川崎説明員 先生ただいま御指摘の、各省庁からの出向者をどのように給与の格づけをするかという問題につきましては、各特殊法人のところで決めておりまして、大蔵省としては関与しておりません。ただ、恐らく先生指摘のような形になっておりますのは、公務員と特殊法人職員給与の水準差というものに基因するのではなかろうかと思います。と申しますのは、恐らく各特殊法人で格づけいたしますときには、大学卒業後何年あるいは高校卒業後何年といった形で格づけをしておるかと思います。そういうことで、特に出向者だけを優遇しておるわけではなくて、同じように扱っておりましても判現在特殊法人国家公務員との間に給与の水準差がございますので、その水準差の分だけが出向した結果として高くなって出てくるということではなかろうかと思いますが、いずれにいたしましても格づけ等は各公庫、公団等でやっておりまして、大蔵省としては関与しておりません。
  63. 山花貞夫

    山花委員 いま水準の差というお話がありました。実は特殊法人役員の方の給与退職金についてもまさに当初は水準の差ということで説明されてきたものであります。しかし、それにしてもひどいじゃなかろうかということで議論となりまして、昨年の閣議決定、そして退職金についても七十から三十六まで下がったというところまで来たわけです。中間管理職問題についても単に水準の差ということだけでは整理し切れないものが出てくるのではなかろうかと思います。なお、この点については私の方でもさらに調査を進めて、伺わせていただきたいと思います。  時間の関係がありますので、先に進みますけれども中間管理職問題についてのもう一つの問題は部長、次長、課長のポストについての各省庁のいわゆる世襲制の問題についてです。この問題についても、大変多くの省庁の問題が指摘されているわけですけれども、実は私の方で建設省関係とか各省の関係についてずっと調べてみますと、一例を挙げますと、建設省ならば、日本住宅公団、経理部長大蔵省、総務、宅地企画、関連施設については建設省の世襲である。首都高速道路公団については人事、総務の部長課長についてはすべて建設の関係である。建設省関係ですとそういうことですけれども、そのほかほとんどすべての特殊法人について監督官庁から中間管理職が世襲的に送られてくる、こういう実態が実は調査の結果、出ているわけであります。  特にそうした関連で、一つの例として日本貿易振興会、ジェトロの関係について伺っておきたいと思います。  これまで私の方で問題に出しておりましたプロパーの者が育たないではないかという問題提起に対しては、ジェトロの場合には答えがある、こういうことだと思います。比較的最近、むずかしい試験を通って語学が何カ国語かできる若い方がプロパーとしてどんどん採用されているということのようです。そういう意味ではプロパーの人が比較的育っているというところのようであります。ただこういうところでも、一方においてその問題を解決しかかっておりましても、出向のポストなどについて見ますと、企画部長は通産、農水部長は農林、経理部長は大蔵、課長につきましても、企画の筆頭は通産、農水の課長も筆頭は農林、こういう形で、大体官庁の世襲人事がずっと続いている、こういう実態が出ているわけです。こうした問題について、先ほども全体の管理はしておらないというお話がありましたけれども、まず、内閣の方でとらえておられるかどうかということについて、なければないということでもその次の質問に進みますが、ひとつお答えいただきたいと思います。
  64. 角田達郎

    角田説明員 先ほどお答えしましたように、私どもの方では、そういう実態を把握しておりません。
  65. 山花貞夫

    山花委員 というお返事ですので、この問題についてもうちょっと突っ込んで見てみたいと思うのです。  各特殊法人について、いま申し上げましたとおり世襲的なものがあるということで、たとえばこのジェトロの問題でも、一方において解決しながら、この問題はもっと複雑な問題となっていることを指摘したいと思うわけですけれども、ジェトロですから、仕事の関係から海外の駐在員というものがあります。その海外駐在員についても主要なポストについては世襲人事で行われている、こういう実態があるのではないかということを問題提起したいと思います。  たとえば海外出張についても、いいところ悪いところと言うと問題があるかもしれませんけれども、みんなが行きたがるようなヨーロッパなどについては出向の皆さんが占めている、アフリカ、東南アジア等にはプロパーが駐在している、こういうような実態もあるようです。たとえばフランクフルトなどのようなところ、これはずっと代々大蔵が世襲人事をしている。西ドイツの経済金融の中心ということですから、大蔵であるということのようです。ジュッセルドルフ、これは機械産業の中心ということですから、通産の関係である。オスロですと、造船の関係もありますから、運輸の関係である。必ずその省庁から世襲的に海外駐在員が派遣されます。そしてこういうケースですと、それこそ何年か行って、帰ってまいりますと、またすぐ大蔵、通産、運輸の方に戻っていってしまうわけでありますから、ジェトロには財産が残らない。いわば出向で参りまして、そこに行って、帰ると本省の方に戻ってしまうということでありますから、まさに利用されているという——利用されているというのは、ジェトロの性格からそこは言い方が正確でないかもしれませんけれども、とにかく世襲人事が続いている、こういう問題があるように思うのです。このジェトロの、フランクフルト、ジュッセルドルフ、オスロ、こういうところの世襲人事ということについて、たとえば大蔵の関係ではどういうふうにとらえているか、これは官庁の問題ですけれども、いかがでしょうか。
  66. 志賀学

    ○志賀説明員 お答えいたします。  ただいま先生お話しございましたように、オスロにつきましては運輸省、それからフランクフルトにつきましては大蔵省、ジュッセルドルフにつきましては通産省、こういうことで何代か続いてきているわけでございます。  ジェトロというものを考えてみますと、これは申し上げるまでもなく、毎日時々刻々変わってまいります海外経済情勢、これに適確な政策意識を持ちながら対応していかなくてはいけない。それから、特に最近になりますと、そうでございますけれども、日本の政策そのものの説明を求められる、あるいはこちらからPRしていかなくてはいけない、こういうような問題も非常に多いわけでございます。さらにこのオスロ、フランクフルト、ジュッセルドルフというような場所になりますと、先生も御指摘になりましたように、海運問題であるとか金融あるいは機械、そういった相当専門的な知識あるいは専門的な分野における政策意識、そういったものを非常に強く要請されることになります。そういうことから申しまして、場合によりましてそれぞれの専門の行政機関から出向を求めていくということも必要になってくるのではないかというふうに存じております。
  67. 山花貞夫

    山花委員 時間が残り少ないので、問題点人事院なりで調べていただいた結果なりも踏まえて申し上げたいと思うのですけれども、いまジェトロについてはフランクフルト、ジュッセルドルフ、オスロについて伺いましたけれども、全体的な状況について見てみましても、たとえばヨーロッパにあるトレードセンター、三人以上ですと、トレードセンターということになるようですが、六つあるうちの五つのセンターが官庁の出向者で占められている。ロンドン、ミラノ、ウィーン、ジュッセルドルフ、パリ。それから二人事務所も二カ所あるようでありますけれども、所長は、チューリヒは大蔵、ブラッセルは通産、いずれも世襲ポストである、こういう実態が出てくるわけであります。  いまの御説明の中でも国家の政策目的ということを絡めてお話しありましたけれども、ただそのことはそのこととして一つの尊重しなければいけない面だとは思うわけでありますけれども、実態として全般的な傾向をにらんでみますと、たとえば人事院でお調べいただいたわけですけれども、行政官の長期在外研究員の派遣状況について見ますと、各官庁から派遣している長期のケースですけれども、アメリカ、イギリス、フランス、西ドイツの四カ国に二十三の省庁から、最近五年間ずっと見てみますと、毎年三十一名から三十四名が派遣されています。ところが一方ジェトロの官庁出向海外駐在員は、六省庁から七十八名が海外に出ています。省庁が自分のところで出しているのが三十一名から三十四名、ジェトロを通じて出しているのが七十八名である、こういう実態です。通産の関係ですと、長期派遣している方が五十二年度では五名、直で行っている方が五名でありますけれども、ジェトロ出向という形をとっている方が五十二名いらっしゃいます。大蔵は四に対して十、農林は三に対して八、運輸は二に対して六、こういうような実態があるわけでありますけれども、まさに国家の政策をにらんでと、こうした観点から傾向が進んでまいりますと、このジェトロの性格自体が変わってくるのじゃなかろうか。  日本貿易振興会法、法律の中に目的と業務内容指摘されています。二十一条を見ると、業務の範囲についても書かれています。一号から八号までありますけれども、こうした中身について、ずいぶん違ってきてしまっているのではなかろうかということを問題点として指摘いたしたいと思います。  時間があと一、二分しかありませんので、最後大変はしょりましたけれども、以上、私は、中心として中間管理職の問題にできるだけ焦点を当てながら、天下り白書を前提として幾つかお伺いをいたしました。中間管理職の問題については内閣の方でもとらえ切れておらない、こういうお答えがありました。しかし行管の方では従来からこの問題について、自主的な人事管理の必要性ということを各特殊法人名指しで指示をしてきた、こういう経過もあるわけであります、こうした中間管理職問題は、このまま放置されますと、さらに問題が拡大されてくるのではなかろうかと思います。大臣にこの点についてひとつ御所見をお伺いしたいと思います。
  68. 荒舩清十郎

    ○荒舩国務大臣 先ほど来、大変まだ私どもも勉強の足りない点等も指摘いただきまして、ありがとうございました。大いに勉強いたします。  なお、特殊法人のいろいろな問題を取り上げられましたが、特殊法人は急速に要らないものは整理していかなくちゃならないという信念でおります。  なお、特殊法人役員給与というような問題は大蔵省の管轄であり、それから人事は官房長官及び各省の大臣でございますが、特に御指摘をせられました横滑りと言うんですか、あるいは渡り鳥と言うんですか、幾つかの法人を渡り歩いて退職金が大変な高額に達する、国民感情としてもこれは許せない問題であると思います。それらを踏まえまして特殊法人の人事を、役員の人事は八年を六年間に短縮したというような問題もございますし、それから退職金は二割カットするというような問題、いろいろ指摘をされましたが、やはり特殊法人の人事につきましても、これは民間から登用することも結構でありますが、まあ国家的に見まして、行政は使える人間を使わなくちゃならない、行政は適材適所でなくちゃいけないということも考えて、役人だからこれは登用してはならないということもないと思いまして、そういうようなことも勘案いたしまして、人事の面については十分御趣旨に沿うような考えのもとにやっていきたい。  いずれにいたしましても、特殊法人の問題等については、これはすべて改革しなくちゃならない点が多いのでございまして、これらは大いに勉強いたしまして、まあ国民の税金をむだ遣いしないような、行政のコストダウンをするというようなことで一生懸命やっていきたいと思います。どうぞ御激励をしていただきたいと思う次第でございます。
  69. 山花貞夫

    山花委員 いまの大臣のお話の中でも、全般的な問題については、われわれとしてもいろいろまた意見を申したい面もありますけれども、きょうお伺いした人事問題についておっしゃっていただきましたとおり、従来の行管の監察もございます。その実態が七、八年たってまだ変わっていないという現実の特殊法人人事管理についての側面もあります。ぜひそういう問題については、ひとつ従来の行管の指摘に沿ってさらにその監察、そしてそのことに対する指導をお進めいただきますよう希望して、私の質問を終わりたいと思います。
  70. 村田敬次郎

    ○村田委員長代理 これにて山花貞夫君の質疑は終了いたしました。  午後一時五十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十三分休憩      ————◇—————     午後二時二十分開議
  71. 村田敬次郎

    ○村田委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。新井彬之君。
  72. 新井彬之

    ○新井委員 私は、今回の二つの法律案についてお伺いするわけでございますが、その前に、今回の「行政改革の推進について」という、昭和五十二年十二月二十三日に閣議決定されて出ております内容について、初めに若干お伺いしたいと思うわけでございます。  前行政管理庁長官の西村長官にも若干質問したことがございますが、今回のこの行政改革というのは、福田内閣としてはもう全力を挙げてやるんだ、こういうことでいままで取り組んできた。その中には、住宅省であるとかあるいはまたエネルギー省というものをつくって、省庁の統廃合、こういうようないろいろなことが言われてまいったわけでございます。しかしながら、今回のこの閣議決定内容を見ますと、非常に具体性に欠けている部分も多々あるわけでございます。確かに一歩前進をしている面もございますけれども、福田総理が言われた内容あるいはまたいままでの行政管理庁長官の決意からしますと非常に後退をしておる、こういうぐあいに感ずるわけでございます。  この行革というのは、公明党といたしましても、非常に大事な問題だ、これに対して協力することはやぶさかではない、こういうことで非常に期待もしておったわけでございますが、そういう面では非常に残念に思うわけでございます。したがいまして、新聞等の論調を見ましても、「行革を竜頭蛇尾に終わらせるな」とか、あるいはまた「行革の名に値せぬ行政改革二次案」「小手先細工で巻く」「小枝払って幹切らず」、こういうぐあいに、いままで言われてきた具体的な内容から非常に後退をしたと言われているわけでございます。  そこで、こういうぐあいにいろいろ言われているわけでございますが、長官といたしましては、今回のこの閣議決定内容についてどのようにお考えになっているか、これだけで終わるわけではないとは思いますが、いままでの内閣の中でも、いろいろ行政改革については推進をするということでやってまいったわけでございますが、長官として、これだけに終わらないで、またいろいろ検討して、次の内容を盛り込んだ閣議決定をしていくというような決意があるかどうか、お伺いをしておきたいと思います。
  73. 荒舩清十郎

    ○荒舩国務大臣 ただいまお尋ねの点につきましてお答えをいたします。  まず、昨年末に決定いたしました行政改革のあらましを簡単に申し上げてみたいと思います。  機構につきましては、二百海里水域の問題等が出まして、農林省を農林水産省に改組する。中央省庁の課を二年間に五十一整理をいたします。地方出先機関のうち、支所、出張所等を約千カ所整理をいたします。  国家公務員につきましては、昭和五十二年、昨年度から四年間、これから三年になりますが、二万八千人を削減いたします。なお、長い間懸案でありました定年制の導入を決定して、実行いたします。  なお、特殊法人について、新たに十四法人対象整理合理化する方針でございまして、従来から、去年から合わせますと、二十一法人整理できるわけでございます。  なお、特殊法人役員退職金が非常に高いという非難等もありまして、二割削減をするということを決定いたしました。  なお、審議会につきましては、四十八審議会を整理統合いたします。  補助金につきましては、千四百二十二億円に上るかなり大幅な整理を実施いたします。  なお、許可、認可事務の整理合理化、これにつきましては、千二百四十事項について廃止、規制の緩和、手続等を簡素化いたしますなど、広い範囲にわたっております。  そこで、御指摘のような、この方針を逐次実行してまいるばかりでなく、なお今後、こうした方針にのっとり、簡素合理化してまいる決意でございます。  しかし、これで十分ということじゃございません。先ほども指摘がありましたが、具体的に昨年総理がアドバルーンを上げた点もありまして、住宅省とかあるいはエネルギー省とかというようなアドバルーンが上がったわけでございますが、しかしこれは、現在の情勢をよく考えますと、非常な不景気な時代が参りまして、景気をいかにして回復するか、円高の問題をどうして克服するか、ひいては、それに関連して輸出の問題、いろんな会社が倒産をする問題、あるいは雇用の問題、まあ大変いろいろの複雑、むずかしい問題等がございます。そういうような問題を改善していくのに、これにやたら機構をいじって、その促進ができない、そういうような処置に対して、これを改善することに邪魔をするようなことがあってはならない、こういうこともよく考えなくてはならないことでございまして、いたずらに行政の面で変ないじり方をすることも、どうもこういう問題にブレーキをかけるというようなこともありますので、これらを踏まえて、ひとつ改善すべきものはどんどん改善していきたい。  なお一つ、これは私、やってみるとなかなか——口では行政改革は簡単なようでございますが、まあ総論はみんな賛成なんです。しかし、各論になりまして、いろんな役所を縮小するとか整理をするとかということになりますと、それに御関係の方々、特に国会議員の関係の方々が、おれの方、これをやっちゃ困る、おれの方を何で切るんだ、おれの方を整理しちゃ困るぞというので、非常な反対等もあります。そういうようなことも、余り行政の摩擦を起こさないようなことも考えなくてはならないというようなこともありまして、まあしかし、税金のむだ遣いをするようなことがあってはならない、また、行政のコストダウンもしなければならないというようなことで、それらを踏まえつつ、あらん限りの努力をしていくというかっこうでございます。  どうも激励ありがとうございました。
  74. 新井彬之

    ○新井委員 本当に率直なるお話を承りまして、非常にありがたく思うわけでございます。  確かにこの行政改革というのは、いままでの内閣が再三にわたってやろうとして余り実効が上がらなかった、確かに、総論賛成、また事実各論になってまいりますとそれがなかなか煮詰まらない、そういうことで延ばされてくる。いまも長官からお話がありましたが、いまは非常に円高ドル安という問題で、何とか景気を直さなければいけない、こういうことで現在政府としても全力を挙げておるところでございますが、行政改革というのは、確かにそのときそのときにおいて国が全力を挙げてやっていかなければならない問題は多々ございますが、やはり年間を通じまして是正すべきところは是正するということで、始終そういう問題についても考えておかなければいけない問題ではなかろうか、あるとき総理がかわって新しい内閣ができた、そうすると何かやることはないかというので、目玉商品的に、ひとつ私はこんなでっかい行政改革をやってみようというようなことでできるような問題ではないと思うわけでございます。  そういうことで、今度はその内容の具体的な問題でお伺いしてまいりたいと思うわけでございますが、福田総理は昨年の五十二年七月の臨時国会における所信表明演説でも、行政改革は積極的に推進する、こういう中で、その目玉とも言うべきものは中央省庁の再編である、こういうぐあいに言ったわけですね。それは確かに反対もあろうかと思います。そういうことを言った場合に反対もある、あるいはまた、いまそういうことをやると、この不況対策にマイナス面が出る、こういうことは別にいたしまして、総理が中央省庁の再編をするのだと言うことから考えますと、決して私は福田総理が間違って言ったのではなくて、いまの従来ある省庁をやはり合理化して、もっとこういう形にした方が当然いいのではないかということが総理の腹の中にあったのじゃないか、そこから総理が、この行政機構というものをもう一歩、国民の皆さんのために役立たそう、こういうことから、いろいろな案があって、こういうことを発言しているのではなかろうか、こういうぐあいに私は感じておったわけでございます。  ところが、実際問題として今回の閣議決定を見ますと、「省庁、部局等中央行政機構の再編成についても、引き続き検討を進めるものとする。」こういうことがあるわけですね。  そこで、ちょっと長官にお伺いしておきたいのですけれども、この問題というのは、いま言ったような不況だとか、あるいはそういう問題についていま一生懸命やっているからさわらない方がいいだろうという考え方は確かにあろうかと思います。しかし、基本的にはやはりこれを再編をしてやらなければいけない面があるのだ、だからこれについては、今後とも検討と言うけれどと、そういういま言ったような状況がなくなった時点ではそれを絶対に実行に移すのだというようなことでここに書かれているのかどうか、それをちょっとお伺いしておきたいと思います。
  75. 荒舩清十郎

    ○荒舩国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、全く私もそういう考えでございます。しかし、去年の九月アドバルーンが上がったのは、まだまだ余り先のところまでは考えないうちにアドバルーンが上がってしまったという節もあるのじゃないかと思うのです。  なお、五月に入りますと総理が渡米をいたします。カーター大統領としっくり話をしてくるのだと思うのですが、そういうような問題等、両首脳部が会談をして、そしていろいろな考え方の話し合いがあるのだと思うのですが、それらのことを考えて、いまの新井さんのお話のように、それらを踏まえて、ひとつ省庁の統合だとか廃止をする面だとか、いろいろそういう問題が起こってくるのじゃないかと私は思っております。  公明党さんは非常にわれわれの方の自民党の政策に御理解があって、日米安全保障条約等についても大分御理解をいただいておるようでございまして、一体このままで国防をどうするかというような問題も、アメリカあたりからかなり強いことを言われるのではないかと思うのです。そういうようなことを踏まえて、私としては、園田君じゃないけれども、エンジンがかかっているのです。もうやりたくてしようがないのだが、しかしなかなか中央省庁の統合とか廃止とかという問題は、行政の骨格に触れる問題でございます。したがって、いろいろなことに支障のないようなことも考えなければならない、しかし税金のむだ遣いをしてはならない、切るものは思い切って切らなければならない、思い切って改革をしなければならない、そういうようなことをひとつしっかりやってみたいと思います。どうぞひとつ御理解ある御声援をお願いいたします。
  76. 新井彬之

    ○新井委員 いまの長官の御認識は非常に正しいと思います。そういうことで、確かにチープガバメント、安上がりの政府というものをどのようにつくっていくかということで、総理も一生懸命お考えのことだと思いますし、その点については、福田総理は何にもやらない、本当にいまだかつてない支持率の低下があるようでございますが、私は、やはりこういう面については総理だって一生懸命考えてやろうとされておるわけでございますから、長官といたしましても本当に決意を持ってやっていただきたい。  本来ならば、私のきょう聞きたかったことは、こういう閣議決定がされておるけれども、いろいろの人たちに聞くのに、いやこれはもう中央省庁なんて絶対やりませんよ、だけれどもあんなアドバルーンが上がってしまって、そして何とかお茶を濁さなければいけないのだ、したがって、たとえて言うと、無任所大臣をつくったとかあるいはまた国土庁とか建設省の大臣を一人にしたとか、そういうようなことをいろいろ作文的に考えまして、そうしてやったんで、これから検討するという意味は、いわゆる検討であって、その前提となるべきもの、それを断行するための検討というものではないのではないか、有識者の間からいろいろお聞きもしましたし、あるいはまた新聞論調なんかも、これを途中で終わらせるなというようないろいろなことがございましたので、本当はきょうは、この検討がどういう内容で進み、そしていつごろまでにめどを立てて、そしてどういう形でいくのかということがお聞きしたかったわけでございますが、そこまでは行っておられない、要するにいまは不況対策だとかいろいろなことがあって、総理等も忙しいということでございますので、どうかそういう意味でこれを、そういう内容的な細かい面については聞けませんでしたけれども、その意をお含みおきいただきたいと思います。  それから次に、今回国家公務員に定年制を導入する、これはいままでも再三言われまして、なかなかこういうことに踏み切れなかったわけでございますが、今回こういうことが入れられたということは、ある意味では大きな前進ではないか、こういうぐあいに私は思うわけでございます。このための具体的準備あるいは関連する現行諸制度の見直しを行う、こういうことになっておりますが、定年制の導入については行政改革の大きな柱の一つとなっていると私も思うわけでございますが、これを今後どのように推進されるのか、お伺いしておきたいと思います。
  77. 荒舩清十郎

    ○荒舩国務大臣 中央の問題ばかりでなく、地方において、各市町村の町村長というような者は、定年制がなければ非常にもう老齢化して、そして給料に縛られてしまって、どうも各町村の運営ができない、かつて三回にわたって法案を出しておりますが、これが流れております。そういうようなことから考えまして、非常に地方の要望も強い。だから今回はひとつ中央からサンプルを出そう、こういうことを考えまして、定年制を導入するということに決定したわけでございます。しかし、その方法や何かは人事院の所管になりますから、人事院の方からまたお答えがあると思っておりますが、私といたしましては、これは目玉商品の一つとして断然実行する決意でございます。
  78. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 お答え申し上げます。  いま大臣からお話がございましたように、昨年の十二月二十三日に閣議決定で「定年制を導入するものとする。」という方向、方針というものが示されたわけでございます。そこでそういう方向が明らかになったわけでございますけれども、定年制と申しますのは、先生十分御存じのとおり、公務員の身分保障と申しますか、分限と申しますか、そういうものにかかわる問題でございますので、本年二月三日、総務長官から人事院総裁に、人事院制度のたてまえを尊重いたしまして、御見解を求める書簡を出した次第でございまして、人事院の方に検討をお願いしているという段階になりました。
  79. 新井彬之

    ○新井委員 人事院、参っておりますか。——いま総理府の人事局の方から検討をしていただいておるということでございますが、その検討内容とかその進捗状況はいかがなっておりますか。
  80. 今村久明

    ○今村(久)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま総理府あるいは長官の方からお話がございましたように、定年制の問題は、分限あるいは身分保障にかかわる問題であるということで、人事院の方で検討していただきたいという書簡による依頼がございましたので、私どもが目下検討中でございます。この問題は去年あたりから大変大きな問題になっておるわけでございますけれども、私どもとしましても、定年制の問題というのは、公務員制度にかかわるきわめて重要な問題でございますので、きわめて多角的な検討をしなければいけないだろうということで検討しておるわけでございますが、何分にも公務員の場合は職種が非常に多様でございまして、これは民間にないいろいろな職種がございまして、たとえば公安関係の職種、警察官あるいは刑務官とか、あるいは海上保安官とか、そうした民間には全くない職種もございますし、税務職員等も民間にはございませんし、それから行政事務職と言っておりますけれども、この中にもきわめて多様な職務がございまして、たとえば海難審判庁というようなところでは海難審判官というようなことで、裁判官と同じような仕事をしておる方もおります。それからまた、宮内庁等では雅楽の奏者であるというような、音楽を演奏するような方まで入っておりまして、こういう多様な職種の方々に対しまして画一的な一つの退職年齢というものが一体設定できるかどうか、これはなかなかむずかしい問題であろうという感じがするわけでございまして、こういう点はひとつ御理解いただけるのじゃなかろうかという感じがいたします。  それから、現在の公務員の人員構成がまたきわめて特殊でございまして、戦後に非常に大量採用したものでございますから、大体四十八、九歳のところにピークがございまして、言葉は悪いのですが、中ぶくれ層というようなことで、非常にふくらんだ、人数の多い層がございます。これらの方々の人事管理というのが各省庁人事管理者の一番頭の痛いところでございまして、これが定年制の問題に関連してくるという関係がございますので、こういったむずかしい問題。さらには、これも先生御承知のように、最近わが国人口の急激な高齢化現象というのがございまして、高齢化社会における高齢者の雇用あるいは福祉の政策というのがこれからの非常に大きな問題、大げさに言えば国民的な課題になろうという状況もあるわけでございますから、こういった関連の問題をすべて踏まえまして、きめの細かい検討をしなければいかぬだろうということで、目下鋭意検討中でございます。
  81. 新井彬之

    ○新井委員 ちょっと参考までにお伺いしておきたいのですが、非常に高齢化が進んでおるということでございますが、五十五歳以上の国家公務員というのは全体で大体何%ぐらい、何人ぐらいおられるわけですか。いまわからなければ結構ですよ。
  82. 今村久明

    ○今村(久)政府委員 お答えいたします。  私ども給与法適用職員といいまして、国家公務員の中で一般職給与法を適用する職員の方を所管しておりますが、その関係で申し上げますと、五十五歳以上の職員は、全体の中で九・七%ぐらい、これは昨年の数字でございますが、そういうような数字でございます。六十歳以上で見ますと三・二%というような数字になっております。実は、これはまた職種によって非常に違いまして、行政職俸給表(二)の適用といいますが、技能労務職員が非常に高齢者が多いわけでございまして、これを除きまして普通の行政事務職員でいいますと、五十五歳以上の職員は約七%、六十歳以上は一・六%というようなことでございます。特に六十歳以上の職員につきましては最近余りふえていないという状況一つございます。
  83. 新井彬之

    ○新井委員 いまの定年制の問題につきましても、お話がありましたように、これはもう本当に多岐にわたった大変な問題であろうと思います。これは特殊法人の場合というのはよく退職金等が問題にされるわけでございますが、一般の国家公務員等退職手当法によりますと、三条、四条において、普通退職ですね、これはいつのときでも御自由におやめになるという方、それから長期勤続退職、これは二十五年以上勤められた方に適用されるということ、あと奨励退職ということになっておるようでございますが、この中で退職をされている現状というのは大体どのようなパーセントになっているか、わかりますか。普通退職あるいは長期勤続退職、それから奨励退職の割合です。
  84. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 これは昭和五十二年度が出ておりませんので、五十一年度でございますけれども、三条退職が四八%ぐらいだったと思います。それから四条が三%ぐらいで五条が四九%ぐらいであったというふうに記憶をいたしております。
  85. 新井彬之

    ○新井委員 もう一つお伺いしておきたいのですけれども、この退職は確かに各省によって非常に違いがある。そこで、これは各省ばらばらだということをお伺いしているわけでございますが、一番若くて肩たたきといいますか、奨励退職が行われるところは幾つぐらいで、一番遅くそういうことが行われるところの省というのはどこでございますか。
  86. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 お答えを申し上げます。  これは各省ばらばらでございますし、私たちも完全に調べ上げているわけでございませんので、余り正確なはっきりしたお答えにならないかもしれませんけれども、行政職の(一)の俸給表と行政職の(二)、先ほどお話がございました技能労務的な方では、各省でも大体区分けをしたような勧奨退職の基準を持っているようでございまして、私たちがいままでの調査で知っている限り申しますと、ほとんどの省が五十五から五十七、八というところが多うございまして、行(一)でございますが、それよりも低い年齢のところはきわめて少のうございます。それから年齢的には、先ほど申しました行(二)関係のものにつきましては、六十歳あるいは六十歳を超えるような勧奨退職をしているところがあるように聞いております。
  87. 新井彬之

    ○新井委員 私もこういう問題についてはいろいろと教えていただいておるわけでございますが、本当に何歳まで働くのが妥当なのかということですね。これは自民党の行財政調査会の山中会長が言っているのは、何か五年間据え置いて、その間で六十歳定年ですか、そういうことを設ける。これはいまの高齢化社会、何歳まで寿命があるかという問題ですね。それともう一つは、やはり生活保障的な問題としてはどのようにとらえるかということ、あるいは非常に力がありながら生活にも問題かないということがあっても、人間というのは仕事を持っているということに対して非常に生きがいを感ずるわけですね。そういうようなこととかいろいろのことを考えていきますと、やはりよほど検討してやっていかなければならないのではないかという考えになっているわけでございます。  ただ一つ、国の方は、国がやるから自治体もそれに見習ってほしいということをよく言われるわけでございますが、よくいままでにも引かれている例としては、地方自治体でやっておる北九州市の例というものがございますけれども、こういうやり方については一体どのように見ておりますか。
  88. 今村久明

    ○今村(久)政府委員 お答えいたします。  北九州市の関係は実は地方公務員でございますので、自治省の所管で、私がお答えするのはちょっと越権かと思いますが、一応私どもの聞いている範囲のことでお答え申し上げたいと思います。  その前に、ただいま先生の方から、年齢の問題、これは非常にむずかしいという話がございまして、実は私どもも非常にそれを気にしておりまして、一体高齢による労働能力の喪失ということが医学的あるいは科学的にはっきり認定できるのかどうかというようなことに非常に疑問を持ちまして、いろいろな方の意見を聞いておるのでございますけれども、実はこの高齢による労働能力の問題は非常に個人差が大きいということでございまして、早くからかなり老衰する方もおりますし、また非常に高齢になりましても少しも精神能力が落ちないことがあるということで、まさに個人差が非常に大きいことが、いま非常に通説的な話のようでございます。したがいまして、年齢の切り方という問題は非常にむずかしいのでございますけれども、しかし、これもいろいろな要因を総合的に判断して考えていくことにやはり結論としてはなるのだろうと思いますけれども、いま肉体的な、あるいは精神能力だけの面から言う年齢の切り方というのは非常にむずかしいということだけ一つ申し上げておきたいと思います。  それから北九州市の関係のお話がございましたけれども、これは定年制そのものではございませんで、いわゆる勧奨退職制度で実質的定年制と言われているようなことをやっておるやに私ども伺っております。そしてこれもいろいろな経緯があるようでございますけれども、私ども勧奨退職制度というもの、これは国の方は北九州市ほどシビアな形でなくて各省の運用でやられておるわけでございますが、これも考え方でございまして、それによりまして公務能率の維持ができる、あるいは職員の方にそれほど不満なく円滑な人事管理ができるということならこれも一つ退職管理の方法としてきわめて有効な方法であろうと考えます。したがいまして、その人事構成あるいは職務上の構成等の実情に応じまして弾力的に運用されるべき性質のものという考え方を持っておりまして、私は北九州市の例をいいか悪いかというような価値判断はちょっと差し控えさせていただきますけれども、要は実態に応じまして実情に即した弾力的な運用方法ということがこのメリットであろうと考えております。
  89. 新井彬之

    ○新井委員 次に、特殊法人整理合理化につきましてちょっと質問をしておきたいのでございますが、いまも長官の方から御答弁がありまして、特殊法人を新たに十四法人整理する、それから二十一法人、こういうことで整理するということでございますが、昭和五十二年度の予算では特殊法人に対して一般会計から一兆一千十億円、それから財政投融資からは十兆三千三百億円、こういう資金が投じられて、これは国がじきじきできない問題とかそういうことをいろいろおやりになっておるわけでございますが、現在百十二ですか特殊法人がある中で、いろいろなことが言われているわけですね。内部を直さなければいけない問題もございましょう、あるいはもっと仕事を与えてあげなければいけないような問題もあるかと思います。そういう中で今回これだけのものが出てきた経過といいますか、本来ならばこの百十二というものをもう一度よく検討し直しまして、そしてこれは当然必要なものだ、これは余り必要でない、これはもう本当に廃止した方がいいのだというようなことになろうかと思いますが、そういう問題についてどのように検討されてきて、今後これらが本当に廃止をされるのかどうか。ということは、いままでの閣議決定なんかでも出ているものですら、なかなか現実には廃止までいかないものもあるわけでございますね。そういうわけで、経過と今後どのようにこれを整理合理化していくのか、その見通しをお伺いしておきたいと思います。
  90. 辻敬一

    辻政府委員 特殊法人整理合理化の経過でございますけれども政府といたしましても、従来から努力してまいったところでございます。御承知のように、五十年の十二月に閣議了解いたしまして十八法人対象として検討を進めてまいってきたわけでございます。そのうちで、すでに電力用炭販売株式会社と八郎潟新農村建設事業団、これはすでに廃止をいたしまして措置済みでございます。それから、廃止ではございませんけれども合理化ということで石炭鉱業合理化事業団日本航空機製造株式会社、日本鉄道建設公団につきましては、合理化措置が済んでおるわけでございます。  そこで残りました十三法人につきまして検討いたしました結果、昨年の十二月二十三日の閣議決定にございますように、まず廃止をいたしますものとして三法人、オリンピック記念青少年総合センター、これは今国会法律案を御提案申し上げているわけでございます。それから時期はややずれますけれども、京浜と阪神の外貿埠頭公団を廃止する。以上廃止が三法人でございます。それから合理化といたしまして本州四国連絡橋公団等七法人、それからあり方を検討いたしますものとして漁業共済基金、合わせまして八法人。それから五十年十二月の閣議了解にございませんでした法人につきましても、今回新たに合理化計画を立てるということで、日本住宅公団等三法人につきましても措置をするということになっているわけでございます。  そこで、それぞれの法人についての具体的な措置につきましては閣議決定規定をいたしているわけでございまして、先ほど申し上げましたように、オリンピック青少年総合センターのように来年四月の廃止を目途にいたしまして法案の御審議をお願いしているものもございますし、あるいは若干の期間をかけまして、廃止あるいはまた合理化の措置を講ずる予定にしているものもあるわけでございます。
  91. 新井彬之

    ○新井委員 時間が余りありませんから、これはまた次の機会に具体的にお話をするようにしたいと思います。なぜ今回そういう法人だけが対象になったのかということにちょっと疑問を持ったわけでございますが、業界にわりかた関係のあるものは手つかずで、それから天下りにも関係ないようなところ、やりやすいようなところが出てきてやったというようなことも聞いておるわけでございますが、こういう内容についての質疑の中で、役員の選任の問題あるいは退職金の問題、そういうような問題もひっくるめて今後また質問をしていきたいと思います。  次に、お伺いしておきたいのは、庁用乗用自動車の問題でございます。これも金額的にはそんなにたくさん使っておるとは思いませんけれども、本来、もっともっと始末ができるはずの乗用車がそれこそほったらかしにされている。これは、民間企業におきましては経費を削減してやっているようなときでございますから、当然国としても率先してやっていかなければならぬのではないか、こういうことが各方面から言われているわけでございます。そこで、この問題について具体的に若干お伺いしたいと思うわけでございます。  初めに、各省庁で五十二年度末においてそれぞれ庁用乗用自動車を何台持っているのか、地方も含めてお伺いしたいと思います。これは行政管理庁でも結構ですし、大蔵省でも結構でございます。
  92. 辻敬一

    辻政府委員 庁用乗用自動車の問題につきましては、御承知のように、昨年の七月二十七日に「検査検定業務等の合理化方策についての答申」が行政監理委員会から出されまして、その中で共通役務業務に触れておるわけでございます。それを受けて先般の五十二年十二月二十三日の閣議決定におきまして、庁用乗用自動車の運転業務につきましては、管理の集中化によって利用を効率化していくという計画を立てて推進していく。具体的に申しますと、五十三年度以降五カ年間で欠員不補充措置を含む合理化計画を各省が五十三年四月末日までに策定をいたしまして、それを私どもが調整する、こういう運びになっているわけでございます。  そこで、ただいま御指摘の庁用自動車の台数でございますが、行政監理委員会の御審議の参考資料として私ども調査した限りでは、中央省庁分だけでございますけれども、五十二年一月一日現在で千百十三台ということでございます。
  93. 新井彬之

    ○新井委員 大蔵省にお伺いしたいのでございますが、自動車が使用される場合に、これが非常に効率的に使われているとか、あるいは効率的に使われていないとか、こういうことを査定しているのか、していないのかわかりませんが、そういう庁用乗用車に対しては、何らかの経費を払っておりますね。これは庁舎費にするのか事務費にするのか知りませんが、とにかく払っておりますね。そうしますと、それは一日大体何キロ走って、ガソリン代というのはどの程度見ておるのか、それから人件費をひっくるめて一台当たりの平均の維持管理費というものは、新車を買うとかそういうことは別にして、どの程度の予算を見ておるのですか。
  94. 加藤剛一

    加藤(剛)説明員 お答えいたします。  予算の査定上、乗用自動車等の査定をどうやっているかという御質問でございますが、厳しい財政事情の中でございますので、五十三年度予算におきまして庁用乗用自動車の経費の計上に当たりましては、次のような考え方で対処しております。  まず一つは、業務用を除く一般的な庁用乗用車につきましては、新設の施設等の増を除いて新規の増査定はしておりません。  それから庁用乗用自動車の新しい車種への交換でございますが、これも、耐用年数を超え、安全運行上支障があるというものに限定して認めることにしております。一般的に耐用年数は六年だと言われておりますが、中央省庁で見ますと約八年間、地方で見ますと九年間使用する、こういうことで全体をセットしてございます。  それから庁用乗用自動車の維持管理費でございますが、これは予算上はいわゆる庁費という目がございまして、これから支出することになっております。これらの庁費の増加につきましては、御承知のように財政が非常に厳しい事情でございますから、こういった生活費的なものは努めて増加の抑制を図ろうということでございまして、生活費的な経常事務費につきましては、全体で前年度以下におさめております。さらに経常事務費以外の庁費そのものにつきましてもおおむね物価アップ程度、約六%でございますけれども、そのくらいの増にとどめまして厳正な査定をやっております。
  95. 新井彬之

    ○新井委員 そうしますと、大蔵省としては、乗用車一台一台の使い方については、各省に大臣もおられることであるし、当然信頼をされて、庁費の予算内において自由に使っていただきたい、こういうことでやられておるということですね。  もう一つお伺いしておきたいのは、これはいまわからなければ後で結構でございますが、庁用乗用車の中でナンバープレートが三で始まる車というのがございますけれども、これは二千cc以上の車だと思います。そういう車を許可するときには何か基準を設けるのか、そういうことについてはいままでどのようになっておったか、わかったら教えていただきたいと思います。
  96. 加藤剛一

    加藤(剛)説明員 前の御指摘でございますが、大蔵省でも、国庫大臣の立場として、御指摘のとおり、共用乗用自動車にするか専用にするかとか、どうやって運用するかとか、そういった個別の問題につきましては各省庁にお願いしまして、それぞれ各省庁で有効適切な措置が行われていると思います。  後半の御指摘につきましては、いまちょっと承知していませんので、後で勉強させていただきます。
  97. 新井彬之

    ○新井委員 では、後半の部分の、ナンバープレートが三で始まる車が何台かあって、買いかえとかいろいろなことをやるだろうと思いますが、そういうときの査定の基準ですね、ああそれは結構だとか、これは二千cc以下にしなさいとか、そういうものがもしあれば、また後で資料としていただきたい。委員長にお願いいたしておきます。  そうすると、いま本省関係の車だけが報告になったわけでございますが、本省だけじゃなくて全体の数字というのをまとめておりますか。大蔵省でも行管でも、わかったら教えていただきたいと思います。
  98. 村上哲朗

    ○村上政府委員 私ども大蔵省の分だけ御報告したいと思います。  五十二年度初めで、地方出先機関を含めて大蔵省全体で自動車の保有台数は二千二百四台、このうち過半が業務用の車でございまして、これが千四百六十六台、あと一般に言われております庁用乗用車が七百三十八台でございます。
  99. 新井彬之

    ○新井委員 大蔵省はよく調べていただいて、ありがとうございました。  本来、行管は、そういうことで調査する場合に、少なくとも庁用乗用車が全国的にわたって一体どういうぐあいになっておるかというぐらいのことは当然わかっておると思いますけれども、それについて行管、わかりませんか。
  100. 辻敬一

    辻政府委員 私どもの直接所管いたしておりますのは、定員とかそういう問題でございますので、庁用乗用自動車運転手の数は当然調べてございます。五十一年七月一日現在で五千八百四人でございます。  ただ自動車の台数になりますと業務用と乗用との区別が必ずしもはっきりしませんので、先ほど御報告申し上げましたように、正確に把握いたしておりますのは中央の省庁内部部局と申しますか、その分の千百十三台でございます。
  101. 新井彬之

    ○新井委員 本来なら乗用車の分くらいは、運転手が何名で自動車が何台だというくらいのことはやはり把握するのが行管として当然のことだと思うのです、行管の設置法から見ましても。ああいうことがいろいろ言われているさなかでございますから、当然そのくらいのことは調べて当然じゃないかということで、後でどういう状態になっているのか一遍資料を提出していただきたい。というのは、私の方も調査して持っているわけなんですよ。これが正しいのかどうかはっきりしなければ間違った資料で質問なんかできるわけないんですから、私の方にあるものがそっちにもどこにもないなんてばかな話はないんです、本当は。  次に、お伺いしますが、各省庁の自動車の保有台数の推移について、そっちに資料がないと言うからこっち側から言いますけれども、私が調査したところでは、過去五年間で大蔵省の車の台数が六百一台ということで一番伸びているわけです。経費節減に努めて各省庁を指導すべき大蔵省でございますが、五年間で千六百三台から二千二百四台、六百一台ふえているということでございますが、これについてはどういう理由でこういうぐあいにふえてきたのか、お伺いしたいと思います。
  102. 村上哲朗

    ○村上政府委員 四十八年度から五十二年度までの間、御指摘のように六百一台ふえております。しかし、このふえておりますのは、ほとんどすべて業務用の車でございます。特に六百一台のうち五百十五台が国税庁関係でふえております。  これがふえた大きな理由かと思いますけれども、これは最近の税務調査におきましていろいろ課税対象もふえておる、それに対して人員もなかなかふえぬということで、調査を綿密にやるために交通機関の不便な地域への出張とか、あるいは同一地域へ数人の者が出かける、あるいは敏速な調査を進める必要がある、こういうような関係から現在国税庁調査に当たっていろいろな面で機動性が非常に要求されておりまして、これにこたえるために有効な行政事務が運営できるようにということで、最近数年調査用の自動車を整備してまいっております。この関係で、この五年間に六百一台ふえたという主要な要因になっております。
  103. 新井彬之

    ○新井委員 きょうは国税庁と一緒で大蔵省が答弁をしてくれているわけですね。  そこでお伺いするわけですが、大蔵省の本庁分の乗用車の台数は六十一台でございますね。これはちょっと確認でございますが、六十一台、その内訳は局長以上の専用車十四台、部長、次長送迎二十一台、官房共用車二十二台、予備車四台、これで間違いございませんか。
  104. 村上哲朗

    ○村上政府委員 ただいま部、次長用の送迎車二十一台と言われましたけれども、これは局に割り当てておる共用車でございまして、ふだんは各局に配備をして共用車として使っております。朝夕の通勤時だけ部長あるいは次長クラスの送迎に充てております。そのほかの点については御指摘のとおりでございます。
  105. 新井彬之

    ○新井委員 国税庁がせっかく見えてくださっておるようでございますから、ちょっと話を戻します。  いまも大蔵省の方からお話があったわけでございますが、国税庁で過去五年間で五百十五台車がふえてきておりますね、それはこういう理由でございますということを国税庁の方からもう一度お話し願いたいと思います。
  106. 小田和美

    ○小田説明員 お答え申し上げます。  先ほど本省の会計課長から御説明申し上げたとおり、国税庁におきましては四十八年度から五十二年度の間に五百十五台増加いたしておりますけれども、増車されましたのはすべて税務調査等に使われます業務用車でございます。  国税庁におきましてこういうふうに業務用の、税務調査用の自動車が必要なのは、交通機関の非常に不便な場所がございます。一日にバスが何回というようなところもございます。それから面積が非常に広くて、しかも最近人手不足で定員の配置が非常に減っておるというような署が実はかなり郡部にございます。こういったところでは、どうしても効率的な調査をやりますためには非常に機動性が必要だということでございまして、そのためにこういう調査用の自動車を近時逐次整備をしてふやしてきていただいておる、こういう状況でございます。
  107. 新井彬之

    ○新井委員 参考までに、どういう車種を購入しておるのですか。
  108. 小田和美

    ○小田説明員 お答えいたします。  車種はちょっと正確にはいま承知しておりませんが、大体中型以下のわりと小さい、小回りのきくのが多うございます。
  109. 新井彬之

    ○新井委員 では、さきに戻りますが、そうしますと大蔵省部長、次長用は朝夕の送迎車、それから官房共用車が二十二台で、合計で昼間になりますと四十三台、こういうことになりますね。そうしますと、大蔵省、八局あると思っておりますが、一局当たり五台強の数字になるわけでございます。  念のために衆議院の事務局にお伺いしますが、国会議員に配車をされておるのは何台で、何名当たりに一台になっておりますか。その基準は何ですか。
  110. 進藤秀雄

    ○進藤参事 お答えいたします。  本院で議長を初め議員の皆様に配車いたしておりますのは百二十九台ございます。一台当たりが何人に当たるかという御質問は大変むずかしい質問でございますが、この百二十九台のうち八十二台が各派に分けられておるわけでございますけれども、各派に分けられますときのやり方から類推いたしてみますと五・二一九人に一台というようなことになります。ただ、一台当たり何人という計算は非常にむずかしゅうございます。一応こういうふうにお答えしておきたいと思います。
  111. 新井彬之

    ○新井委員 そこで、これは大蔵省にお伺いしたいのでございますが、これはさっき言ったようなことで各省に責任を持ってやっていただいておるということですから、何台が適当なのかということは実態調査をしないとなかなか明確にならない問題ではないかと思います。行管内部としては、各省庁の車の台数の基準を、局長以上各一台、各局で一台くらいが妥当ではないか、こういう意見があるわけでございますが、大蔵省として、自動車の保有の一般的基準ということを考えられたことがあるかどうか知りませんけれども、そういうことをもし考えておるならば、こういうことだという見解を教えていただきたいと思います。
  112. 村上哲朗

    ○村上政府委員 私の立場は、大蔵省の行政事務を運営していく立場で仕事をやっておりますから、その観点からお答え申し上げますと、現在、大蔵省の仕事を円滑に遂行していくために、いま先生のおっしゃった行管で考えておられる基準というのは私ちょっと承知しておりませんけれども、各部局によりまして入間の構成も違いますし、仕事も違いますし、なかなか一律な配備基準でもってやっていくというのは、実際に担当しておる者としてはむずかしいと考えております。  また、どのぐらいがいいかというお話で、別に詰めて考えたことはございませんけれども、現在、実際運営の衝に当たっておりまして、さっき先生からも御指摘のあった程度の車でいまやっておるわけですけれども、この程度が適正な基準ではないかと私自身は考えております。
  113. 新井彬之

    ○新井委員 五十二年七月二十七日、行政監理委員会は行管庁長官に対して「検査検定業務等の合理化方策についての答申」を出しておりますが、この答申の後半部分において庁用乗用車の問題点指摘しておるわけです。これに関して行政監理委員会としてどのような調査を行ったのか、その調査項目と調査方法、調査期間並びに人員、各省庁の本庁分の保有台数、こういうものについてお答えを願いたいと思います。
  114. 辻敬一

    辻政府委員 ただいま御指摘のございました五十二年七月二十七日の監理委員会答申に関連をいたしまして、私ども調査をいたしたわけでございますが、五十一年の十月に運転手数を調査をいたしたわけでございます。その総数は先ほど御報告申し上げましたように五千八百四人でございます。それから五十二年の二月から三月にかけまして自動車の走行実態等のサンプル調査を実施いたしたわけでございます。なお、自動車の保有台数につきましては、先ほど来申し上げておりますように、中央省庁の分といたしまして千百十三台ということでございます。
  115. 新井彬之

    ○新井委員 行政監理庁は、この調査によって各省庁本庁分の庁用乗用車の走行キロ数、出庫回数を把握しておると思いますが、各省庁数字説明願いたいと思います。
  116. 辻敬一

    辻政府委員 走行キロ数につきましては、一日一台平均で四十キロから四十七キロ弱でございます。それからなお、出庫回数と申しますか、これが一日一台当たり平均いたしまして二・六回から五回強ということになっております。各省庁によって回数あるいは走行キロにつきましては、若干のばらつきがあるわけでございます。
  117. 新井彬之

    ○新井委員 幾つの省を調べられたのかその省と、それから走行キロ数、それから出庫回数、これを少し丁寧に教えていただきたいと思います。
  118. 辻敬一

    辻政府委員 たとえばA省庁につきましては走行キロ一日一台当たり四十一・九キロ、出庫回数一日一台当たり五・三回。B省庁につきましては同様に、走行キロが四十六・八キロ、出庫回数三・九。C省庁につきましては四十五・九キロ、出庫回数四・〇。D省庁につきましては四十・六キロ、出庫回数三・一回。E省庁につきましては走行キロ四十・〇キロ、出庫回数二・六ということになっております。
  119. 新井彬之

    ○新井委員 ABCDなんて言われたってさっぱりわからないわけです。これは私、何も恥じることも何ともないと思うのですよ。現実に使って、不正したわけでも何でもないわけです。したがって、どの省がこういうことでございます、こういうことで答えていただいたらいいわけですが、なかなかそういうことを言わないということになれば、来ていただいておりますから、こっち側でまず行管からお伺いしたいと思いますが、行管としては走行距離と出庫回数はどうなっていますか。
  120. 加地夏雄

    ○加地政府委員 行政管理庁の五十二年一月から十二月まで、その間の本庁自動車の一日平均運行キロ数は四十五キロでございます。それから一日の出庫回数は五・四回となっています。
  121. 新井彬之

    ○新井委員 次に、大蔵、農林、運輸、建設、この順番でひとつお願いします。
  122. 村上哲朗

    ○村上政府委員 先ほど御指示がございまして、若干正確を欠くかと思いますけれども、一日一台当たりの平均走行距離は五十キロでございます。それから出庫回数は四・二回となっております。
  123. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 建設省の五十二年一月ないし十二月間の一日一台当たりの出庫回数は三・四回、同じく走行距離は三十二・七キロでございます。
  124. 西村康雄

    ○西村説明員 昭和五十二年一月から十二月までの運輸省本省の庁用自動車につきましては、一日一台当たり出庫回数は三・八回、一台当たり走行距離は三十三キロでございます。
  125. 江上幸夫

    ○江上(幸)政府委員 農林省の方では今年の三月の数字を調べておりますが、本庁の関係で走行距離が一日四十六キロ、回数が五回でございます。
  126. 新井彬之

    ○新井委員 私、この問題を調査するときに、乗用車というのはいま非常に必要なものでございますから、当然どこかが管理をしましてきちっとこういうことはわかるのだろう、こういうことで各省にいろいろ電話を入れたわけです。そうしましたら、いや、私のところでないからどこかの課に聞いてくれ、そこでもないからどこかだということですね。だから、こういう一つの車について、きょうはこういうぐあいにデータが出ましたけれども、なかなかどこかの局に張りついておりまして、そういうものが本当にうまく運用されているかどうかなんということについてだれも責任を持っていないというのがこの乗用車の問題じゃないかと思いますね。それは聞いてみてびっくりしたのですけれども、まだ大蔵省あたりはしっかりしておりまして、何台ありましてこうなっておりますなんということを言いましたけれども、ほかは、うちじゃない、うちじゃないということで、そんな出庫回数なんてどこかでとっているのかという感じのところもあったわけですね。  そういうわけで、これは国民の税金を使って国民に奉仕をするために車は必要なんだということでやっておるわけでございますから、当然、そういうような運用についても、もっと効率的な、あるいはまただれに聞かれてもおかしくないような形で、月に一回くらい管理をして、そして、非常に忙しいところと暇のところがあるわけですね、これは省の中でもそうだと思いますが、そういうときには同じ省の車ですから当然利用し合うとかそういうことをやったらいいのじゃないかなと思うわけでございますが、いまのこういう報告、あるいはまた行管の方もとっているさっきの報告から見まして、こういう実態について行政管理庁あるいは大蔵省はどのように思いますか。
  127. 辻敬一

    辻政府委員 先ほど御報告申し上げました出庫回数あるいは走行キロ数等にかんがみまして、五十二年七月二十七日の行政監理委員会の答申の中では、利用効率は一般的に低いという判断をされているわけでございます。私どもも、それを受けまして、先ほど申し上げましたように十二月二十三日の閣議決定で、なお管理の集中化によって利用を効率化する余地があるというふうに判断をいたしているわけでございます。  具体的に申しますと、五十三年度以降五カ年間に欠員不補充措置で乗用自動車運転手の数の一割程度を目途にいたしまして合理化計画を進めていきたいと考えておりまして、ただいま各省庁と調整中の段階でございます。
  128. 村上哲朗

    ○村上政府委員 何回も申し上げますけれども、私、運用者の立場で申し上げます。  先ほども申し上げましたように、現在の保有状況、出庫回数等、一日四回というのは非常に低いというふうに聞こえますけれども、これは時期によって非常に繁閑がございまして、ならしてみると四回ということでございまして、私ども運用者としては、実際に運用に当たっておりまして、現在程度の乗用自動車の数は必要と、こう考えております。しかし、先般行政改革の一環として先ほど行管庁の方からお話がございましたように、これらの問題についての合理化計画、これは閣議決定されましたものですから、大蔵省といたしましても、この方針に従って今後の計画を立て、その実施に当たってまいりたい、こう考えております。
  129. 新井彬之

    ○新井委員 そこで、いまもお話の中に出ましたが、忙しいときもあるし、暇なときもある、こういうようなことでいろいろあろうかと思いますが、やはり車というものを非常に効率的に運用するということ、これは非常に大事なことだと思います。だから、行管の方が、一方的にとにかく一〇%ぽんと削るということ自体、一体何の根拠でそんなことを言うのかということについて、これはもっと調査をしないといけないことじゃないか、こう思うわけでございます。私の感じでは、少なくとも運用面をもう少しやればもう少しうまくいくのではないか、こういうぐあいに思いますけれども、そういうことについてはどのように考えますか。
  130. 辻敬一

    辻政府委員 先ほど申し上げましたのが若干御説明不足だったかと存じますけれども、一方的に一〇%頭から削るということでは必ずしもございませんで、たとえば地方などで庁用乗用自動車の運転手が一名しか配置されてないというような官署、一人官署と申しましょうか、そういところの運転手の総数はこれを控除して、合理化対象にしないというようなきめ細かい措置は当然講ずるわけでございます。  それから、ただいま管理の集中化についての御指摘があったわけでございますが、現在私どもで考えておりますのは、各省庁単位で管理を集中化するということでございます。なお、具体的な計画は、先ほど来再三申し上げておりますように、各省庁計画を立ててまいりまして、四月末までに出てくる予定でございますが、私どもの方がそれを調整する、こういう仕組みでございますので、その段階で各省庁の運用の実態等も十分反映をいたしました、適切な計画を立ててまいりたいと考えております。
  131. 新井彬之

    ○新井委員 そうしますと、四月三十日に各省から合理化案が出てまいりますね。それを受けて、五年間で一〇%減らすわけですね。そういうことですね。——そうすると、いま言ったようないろいろなお話がありますが、その減らす段階において集中管理をする、これはもう私も大賛成です。一つの省でたくさん車があって、使いたい方は自由に使う、そしてどうしても足らない場合にはハイヤーとかタクシーを一番効率的に活用する、こういうようなことでやれば非常にいいかと思いますが、どうも五年間で一〇%減らすと言うと、大体いままでの傾向からすると、一年間で二%減らせばいいんだな、五年間たってそれで一〇%になればいいんだな、こういうような考えになると私は思いますが、この問題については、もっと実態をよく調査するなりあるいはまた各省と打ち合わせをされまして、そして早急にできるものであれば、これはやはり早急にそういう集中方式をとるならとるで、そんな二%ずつ五年間で減らして、一〇%になってからやるなんということじゃ、これは当然手おくれだと思います。したがいまして、そういう問題についても、当然一番価値のある集中管理方式というものをやっていただきたいと私も思いますけれども、いま私が言ったようなことも踏まえて、どうですか、進みぐあいといいますのは、年に二%ずつで、五年で一〇%になるという、そんなことは断じてありませんか、いかがですか。
  132. 辻敬一

    辻政府委員 五年で一〇%と申しますのは根拠があるわけでございまして、この合理化計画は、欠員不補充でございます。運転手さんの平均の退職率が年に約二%でございますので、その平均の退職率で推移をいたしますならば、五年間で大体一割ぐらいはやめるであろう。したがいまして、その一割の欠員を不補充で合理化していこう、こういう考え方であるわけでございます。各省庁の実情等につきましては、また計画が出てまいりました段階で十分調整したいと考えております。
  133. 新井彬之

    ○新井委員 私も、運転手さんの退職の問題については、当然そういうことであろうかと思いますよ。しかしもう一つは、いま私が指摘していますのは、その乗用車の使いぐあいとか、必要なものはどんどんふやせばいいじゃないですか。要らないものは減らせばいいじゃないですか。これは国民の皆さん聞いたら、そう思いますよ。運転手さんがやめるから、その補充をやめて、そして車を減らすんですよ、そんなばかみたいな話は通用しないですよ。必要だけれども減らしていくんだなんという話はする必要はないと思うのですよ。やはり必要なれば、それは当然運転手さんだって補充しなければいけないし、だからそっち側の削るということ自体がまた問題なことなんですから、それは別途また考えなければいけないことでしょう。それはあなたの立場だったら、これは閣議決定した問題だからこうでございます、ああでございますということになるかもわかりません。しかし理屈の上からいけば、当然閣議決定されたことについては正しくて、これはやはり協力しなければいけない問題だという前提に立っているから、それは二人の話は運転手さんの問題にもなるわけでございますが、とにかくそういうことをひっくるめてひとつ検討していただきたい、このように要望をいたしておくわけでございます。  それから次に、もう時間が余りないのですけれども、法案の問題について若干触れておきたいと思います。  今回の行政改革計画に盛り込まれている許認可等整理合理化計画は、各省庁整理合理化できるものとしているものだけを取りまとめたということが言われているわけでございますが、このようなやり方では十分改善できないと思いますけれども、そういう点については行管庁はいかがお考えになりますか。
  134. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 昨年末の閣議決定で、千二百四十事項の許認可等につきまして合理化することが決まっているわけでございますが、今回の法案、そのうち法律に関係するもののうち、九十六事項を盛り込んでございます。これを作成するに当たりまして、やはり各省庁と協議の上、できるものは今回の法案に盛ったわけでございますが、ただいま先生の御指摘のように、法律事項以外のものも非常にたくさんございまして、こういうものは私どもも各省庁にいろいろとお願いして簡素化していくということで、必ずしも各省庁から出てきたものだけを集めたというわけではございませんですが、鋭意法律以外の分も簡素化していくという立場に立っております。
  135. 新井彬之

    ○新井委員 そういうぐあいに言われますけれども、後で時間があれば具体的に一つずつ言っていくとわかるのですが、もう一つ別のことを聞いておきます。  許可認可等整理に関する法律案で取り上げる事項についての基本的な考え方は、どういう考え方でやられたんですか。
  136. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 基本的な考え方は、やはり国民の負担の軽減、これがまず第一点でございます。許可認可等につきまして国民からいろいろとめんどうな手続があるようなもの、こういうものを負担を軽減するということでございます。それから一点は、許認可を行う方の側の事務簡素化、これが第二点でございます。  そういう観点から廃止あるいは権限の委譲等をいろいろ考えていったわけでございます。
  137. 新井彬之

    ○新井委員 今回の許認可等整理合理化政府が行うに当たりまして、全国知事会からも昨年七月に資料が出されまして、その中には数々の提言、要望等が具体的に明示をされているわけでございます。今回のこの法改正によって、この知事会の要望が何項目か、五、六項目と記憶しておりますが、盛り込まれておるわけでございます。  知事会の要望というのは、地方財政に関して今後とるべき措置について昭和四十六年より繰り返し提言をされているものであります。ところが、数ある要望の中から特にやってもらいたいというものだけを知事会が取り上げて言ったにもかかわらず、それが取り上げられていないものがあるということでございます。行管庁としては、知事会から要望があったそういうものについて一つ一つ検討していただいたと思いますが、それらについて今後どうするか、そういうことについてはどのように検討されておりますか。
  138. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 ただいま御指摘のように、知事会がいろいろと許認可の整理につきまして御意見を出しております。今回、この中の八事項が盛り込まれておりますけれども、盛り込まれていないものもあるわけでございます。知事会の意見につきましては、その都度関係省庁の方にも出ておるわけでございまして、当然その内容は、その省庁において御存じであるわけでございます。このため、今回の総点検の結果、当該省庁において措置可能なものが盛り込まれてきたというふうに考えております。  今後、許認可の整理合理化を推進するに際しましては、当庁としては当然知事会の意見も大いに参考にして考えていく所存でございます。
  139. 新井彬之

    ○新井委員 では、一つ具体的な例をお話ししたいと思うのでございます。  知事会から出ておりますものに「道路運送法に関する事務」、これは法律は道路運送法です。「制度の検討」ということで「陸運行政は、交通の確保、物資の輸送等地域の住民にとって極めて重要な行政であり、路線バス、タクシー事業等地域性の強い問題を多く抱えている。また、道路行政、地域開発行政、交通取締行政等地方行政と密接な関連を有している。したがって道路運送行政については、国と地方公共団体との権限に関し、体系的な考え方を明確にし、二以上の府県にまたがるものを除く一般自動車運送事業の免許、休廃止の許可等について、都道府県知事に権限を委譲するよう制度の検討を行うこと。」ということで、これも大分長く出ております。きょうは運輸省に来ていただいておりますが、そのことについてはどのように検討されてまいりましたか。
  140. 梶原清

    ○梶原政府委員 道路運送法に基づきます許可、認可事項につきましては、従来とも、先生御承知のように、事務の性格に応じまして地方支分部局とか地方公共団体の長に委任してまいっておるところでございます。  先ほど先生指摘のように、知事会等からこの権限の一部を府県知事に委任をしてもらいたいという意見なり要望が参っておることは十分承知をいたしておるところでございます。しかしながら、これにはいろいろと複雑な問題がございまして、一つには、先生御案内のとおり、バスにしましても、いわゆる区域事業と言われておりますタクシーとかトラックにしましても、自動車の活動範囲というものは非常に広うございます。したがって、広域的な観点からいろいろと配慮をし、処理をしてまいらなければいけないという事情があるわけでございます。またいろいろの交通機関がございますが、その交通機関との関連を考えながら総合的に処理をしていかなければいけない。それから自動車の検査等の安全行政との密接な関連があるわけでございますから、それの連携を図りつつ処理する必要がある。また、権限を地方と国とに分離することによりまして行政能率の低下ということが考えられる場合がありますし、また利用者の方から考えますと、窓口の二元化ということもあるわけでございまして、そういう点をいろいろと勘案いたしまして慎重に検討すべき問題であろう、かように考えておる次第でございます。
  141. 新井彬之

    ○新井委員 知事会としましては、先ほどもこの中でも説明しましたように、確かに国で許認可をしなければいけない場合もあるけれども、少なくとも一つの都道府県内においてのそういう問題については、当然今度は県としてそういう一つの流れであるとかいろいろなものについて考えていかなければいけないんだということがあるから、してほしいということを言っているわけです。こういう問題についてもよくその話を知事会等の中でも詰めていただいて、ひとつやっていただきたい、こういうぐあいに思います。  それから、これは挙げていると、たくさんあって切りがないのですが、これは半分折衷案みたいなことでできているような問題でございますが、電気工事士試験の問題です。これは法律とすれば電気工事士法施行令第十条、こういうことで電気事業の試験をやって、実地の試験をやっておるということでやっておるのですが、実態は、電力会社の協力を得て、都道府県の職員は応援程度でいまやっておる。その試験は県でやりなさいということになっておるのでありますが、実際そんなことはできないから、当然技能検定協会等の団体による技能試験の実施に対する認定等によってその試験を免除するようなこともできるようにしてほしい、こういうような一つの要望なんでございます。これについてはA方式、B方式、あるいはいろいろなことで打ち合わせしているようでございますが、この件については通産省はいかがお考えになっておりますか。
  142. 松田泰

    ○松田説明員 御指摘の電気工事士の技能試験でございますが、これは電気事業といいますか、むしろ一般の家庭その他大衆の日常に影響しますような電気工作物を工事する人の資格を決めている法律でございまして、そのための電気工事士の免許を出しているわけでございますが、これの試験にいま御指摘の技能試験というのがございます。これを都道府県がやっているわけでございます。たとえばこの技能試験だけでも全国で五万人程度の人が受験しておるわけでございまして、人数が非常に多いということ、技能試験でございますから、単なるペーパーでなくて、いろいろな道具を備えて試験しなければならない。一方、試験手数料の収入が安いというようなことがございまして、地方自治体としては、むしろ自治体の手を離れる方向を何とか考えてもらえないかという要望があるわけでございます。私どももそのような要望を聞きましていろいろ検討した結果、まず現行体制のもとで合理的な試験の方法がもっと考えられないかということで、いま先生もお話しになりましたようないろいろな方式を考えまして、こういうふうな方法でやったらどうかということを各通産局を通じ、各都道府県との連絡会を持っておりますので、そこで説明いたしまして、昨年は一部の県、今年度はもうほとんどの県でこの方式がとられると聞いております。なお手数料そのものも今国会に別の法律で上げるようにお願いしているところでございます。  この問題は、一方におきまして電気による感電、火災の防止という保安の問題がございまして、いろいろな消費者団体の方でございますとかあるいは電気工事業界の方等はむしろ逆に、こういうのは国あるいは地方自治体で試験を強化してもらいたいという要望も上がっておるところでございますので、総合的によく考えていきたいと考えているわけでございます。
  143. 新井彬之

    ○新井委員 では、時間が来ましたので、審議会について一つだけお伺いして終わりたいと思います。  これは今回、審議会の統廃合いろいろございますね。その中で確かに、一年に一回しか開かれない審議会におきましても非常に大事な審議会もあろうかと思いますし、余り実益がないような審議会もあろうかと思います。そういう中で、今回これだけの審議会の廃止ということになったわけでございますが、審議会というのは一つは役所の隠れみのだ、何かあると審議会へこちらから原案を出して、審議会の答申を得たということになるという批判もございますし、あるいはまた人選がどうであるとか、あるいはまたその運営がどうなのか、こういう問題もきちんとしていかなければならない問題だと思います。  そこで、私一つだけお伺いをしたいのですが、この審議会の形骸化を防いで本当に役立つ審議会にするために、やはりある程度の記録をとっていただいた方がいいのじゃないかということでございます。たとえて言いますと、姫路城が文化財保護委員会によって文化財保護法の指定を受けたという問題がございますね。確かに委員会から指定を受けているわけです。ところが、それがそうじゃないのじゃないか、これは文化財には当てはまらないのじゃないかといういろいろ問題のときに、そういう審議会の議事録は何もなくて、これは文化財です、法第何条で指定するということだけ来ていますから、一体どこがどうなってなったのかということをその地域の方々が知りたいときにも、何の資料も残っていなかった。少なくともそういう国の一つの法律を当てはめまして、ここはこうだというような指定をするときの、たとえて言えば審議会が多くの方々にそれだけ迷惑といいますか、理屈もわからないのにそういうことをやってしまったということもあるわけです。したがいまして、一言一句とるような議事録でなくてもいいかもわかりませんけれども、少なくとも読めば意味がわかる、こういう発言があってこうなって、そしてこういうことが決定されてきたのだなというものが当然必要ではないかと思いますけれども、こういうことについて行管庁長官に一遍御意見をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  144. 辻敬一

    辻政府委員 各審議会の議事の運営につきましては、それぞれ設置目的、任務、性格等に即しまして各審議会において定めることになっておるわけでございます。ただいま御指摘のございました議事録の問題につきましても、それぞれの審議会におきましてふさわしいような方法で議事録をつくっているわけでございます。御指摘を待つまでもなく、適切な議事記録を残すことが必要であることは当然でございまして、ただいま申し上げましたように、審議会のそれぞれの特質だとか個別事情に応じまして、審議会において自主的に判断をされて、どのような議事録を残すことが適当であるかということをそれぞれ判断をされているところである、かように承知しております。
  145. 新井彬之

    ○新井委員 それなら、議事録は全部とっておりますか。議事録というのは、いま国会では速記録をとっておりますね。だから、内容を調べるときに、こういうことが決まったということはわかりますよ。どういう経過で決まったのかがわからないために、たとえて言ったら、こういう根拠があってこういうことだからこういうことになったのだということがわからなければ判断を間違うときがありますね、そういう意味で言っているわけです。確かにいまは各審議会でそういうことでいろいろ自発的にやられていますけれども、それがある程度わかるような、発言も含めての議事録みたいなものを残した方がいいのじゃないかということを言っておるわけですから、いまのままというのだったら、ちょっとまだ時間大分続きますよ、具体的にやりますから。
  146. 辻敬一

    辻政府委員 速記をとっている審議会もかなりな数あるわけでございます。そこまでいたしておりませんでも、少なくとも議事要旨と申しますか、そういうものはとっておるというのが多いわけでございまして、議事録を全然つくっていないというのはきわめてわずかでございます。速記にすべきかあるいは議事要旨にすべきかということは先ほど申しましたように、それぞれの審議会におきまして任務、目的等に照らして自主的に判断されてしかるべき事項ではないかと考えております。
  147. 新井彬之

    ○新井委員 それは当然そうなんですけれども、たとえてさっき一つの具体的な例を挙げたときに、何もないのですよ、決まったことははっきりしているのですよ。ところが、だれがどう発言して、これがこうだからなるほどこういうふうに決まったんだなということがわからないから、やはり国民の方々に、一部の方でも迷惑をかけるわけでしょうが。そういうことではならないから、やはり一言一句違わないとかそういう意味じゃなしに、ああこういうことで決まったのかということを、少なくとも審議会の権威にかけて残すくらいの審議会をやっていただきたいと言っておるわけです。何のために統廃合したりなんかするのですか。そうでしょう、行管長官いかがですか。
  148. 辻敬一

    辻政府委員 先ほどもお答え申し上げておりますように、できるだけ正確な議事記録を残すことが適当だというのは御意見のとおりでございます。  それから、後段で御質問のございました審議会の整理、統廃合につきましては、申すまでもございませんけれども、行政の簡素能率化という見地でございますし、それから委員構成の是正を御提案申し上げておりますのは、先ほど新井委員から御指摘のございましたような隠れみのという御批判を招くことのないようにいたしたいということで、できる限り行政機関職員を除外するというような措置をとっているわけでございます。
  149. 新井彬之

    ○新井委員 審議会のことはもっと細かく聞こうと思ったので、たくさんの方に来ていただきまして、具体的にお伺いする予定だったのですが、時間がありませんので、まことに申しわけございません。  以上で終わります。
  150. 村田敬次郎

    ○村田委員長代理 これにて新井彬之君の質疑は終了いたしました。  次に、受田新吉君。
  151. 受田新吉

    ○受田委員 荒舩先生は、行管長官に御就任されてまだ半年間にはなりませんね。
  152. 荒舩清十郎

    ○荒舩国務大臣 三木内閣のときどのくらいだかちょっとばかりやりましたね。それから後は、去年の十一月下旬から今日までやっております。
  153. 受田新吉

    ○受田委員 荒舩先生はお人柄が気宇闊大で、高度の判断力もお持ちであるし、愛情もある、そういう意味では古いタイプの政治家の中では特に人間的魅力のあるお方として敬愛をしてまいりました。ところが、行政管理という問題は非常に決断を必要とする業務でありまして、右顧左べんしていると能率が上がりません。行管長官として各省へのにらみをきかす勧告権もお持ちであるのですが、日本の行政改革の根源を担当する国務大臣としての御決意を承りたいのです。
  154. 荒舩清十郎

    ○荒舩国務大臣 お答えいたします。  前段の、ほめていただいたのだか、けなしていただいたのだかわかりませんが、まさにそのとおりでございます。  特に、この非常に経済のむずかしいとき、それから国民生活の容易ならざるとき、また景気回復を早急にしなければならない、円高問題、雇用の問題、数々の倒産が繰り返されるという点から考えまして、国民の税金のむだ遣いをしてはならない、なおまた行政のコストダウンをしなければならない、こういうことだと思います。したがいまして、決断を要することは当然であります。  しかしまた、一面考えますと、行政改革をいたすにつきまして、まあ総論ではみんな賛成です。各論になりまして、いわゆるいろいろな役所を整理していく、削減をするというようなことになりますと、その直接関係のあるところから非常な反対も起こります。大変むずかしいことでございまして、受田先輩のひとつ激励を得て、しっかりやってみたいと思っております。よろしくどうぞ。
  155. 受田新吉

    ○受田委員 荒舩長官、そのとおり、大変総論と各論とのアンバランスのあることを私も長い経験から感じ取っております。したがって、行管長官の任にあられる間に歴史上に残る行政改革を、先生なりに最高の努力をしていただきたいのです。由来、行管長官は、私長い経験からも感ずるのですが、いわゆる総理の候補者のようなのが、佐藤さんにしても福田さんにしてもやったことがある。それから同時に、もう一つは人間として非常に信頼をされる人材がその任にあられて、行政管理庁のお役所は各省をへいげいして、その行政事務の遂行にスクリュー的な役割りを果たす使命を果たしてこられました。ただ、残念ですが非常に大きな改革ということになかなかならないで、その一歩前で中断されている。誠実に努力されたにかかわらず、英断をふるう改革ができなかったということです。各省をにらみ回してみますと、佐藤内閣のときに一局削減方針をお出しになられましたけれども、後から見ると、これにかわるポストがついている。課を廃止すると思ったら、そのかわりに審議官、参事官のようなのが、同格の人がついておるというようなことで、何年かたつともとのもくあみになってきておる。長官御就任以来、昨年の十二月の「行政改革の推進について」の閣議決定の線に沿うて、断固部局の新設は認めないのだという方針をお打ち立てになられておるようでございまして、こういう問題は基本的な問題でございますから、人情に負けてはならぬわけです。そういう点についても御決断は十分できておりますね。
  156. 荒舩清十郎

    ○荒舩国務大臣 お答えをいたします。  昨年十二月二十三日に閣議決定をいたしまして、局以上の新設は認めない、受田先生御承知のように、去年の暮れに中南米に一つ局をつくれというような問題で少しごたごたいたしましたが、これはほかのたとえば情報文化局というのを振りかえにしたらどうかというようなことで、新設は認めなかったわけでございます。なおまた、一つふやしますと逆モーションになりまして、自治省の選挙局をどうとか、また法務省の何局をどうとかというような問題がありまして、なかなか強い希望があるのでございますが、振りかえ以外はいたしませんということで、これをはねのけたわけでございます。  こんなことをやったということを簡単に申し上げますと、機構においては、二百海里漁業問題等もありまして、農林省を農林水産省に改組する。それから中央の課を五十一減らすというようなこと、なおまた地方出先の支所、出張所等を千カ所切ることにいたしました。  なお、国家公務員については今後三年間に二万八千人の削減をするということで、着々やっております。なおまた、定年制を導入することに決定をいたしたわけでございます。  なお、いろいろ議論があります特殊法人の問題です。これは私就任いたしまして、特殊法人という問題は思い切ったメスをふるわなくちゃならない、思い切った削減をしなくちゃならない、こういうことで、いま対象にしております十四法人を切ることにいたしました。合理化することにいたしましたが、去年からやっておりますものを加えますと、二十一法人削減するということにしたわけでございます。  なお、特殊法人役員の待遇の問題は、大変な非難もありまして、これは大蔵省の所管ではございますけれども、思い切ったことをやっていこうということに決定しております。なお、役員退職金二割削減をする。なお、八年間も特殊法人役員をやっておりまして、なかなかやめない人もありますが、六年間にこれを縮めるということにいたしました。  それから審議会を四十八整理することにいたしました。  それから補助金につきましては、千四百二十二億、大幅な整理をすることを決めたわけでございます。なお実行しております。  それから許認可の整理合理化をするということで、千二百四十事項を廃止するということにしたわけでございます。  そこで、この方針を逐次実行いたしますが、いま御指摘のように、なかなかこんなことだけでは満足ができないと思っております。したがいまして、いま着々案をつくっておりますが、昨年九月、ちょっと私が考えるとアドバルーンが早く上がり過ぎたのだろうと思うのですが、まあ各省と言うわけではありませんが、エネルギー省をつくるとか住宅省をつくるとかというような問題等がありました。これらは、省庁というものは、行政の骨格ですから、これは下手なこといじって、そうしてかえって景気を回復する問題やいろいろな問題にマイナス面をかせいでもいけないというようなこともありまして、これらはひとつもう少し慎重に——しかもあなたの民社党では非常に御理解をいただいて尊敬しております。たとえば、今度アメリカに総理が参りましてカーター大統領と会談をする、そういったときに、ちょっと私が考えてもなかなかいろいろな問題が出てくるだろうと思う。たとえば日本はドルをどんどんかせいでいて、防衛はアメリカに任しておくというのは虫がよ過ぎるじゃないかというようなこと等も、想像ですからわかりませんが、そういうような問題もあるいは議題になるんじゃないかと思う。日本周辺のいろいろな状況を考えましても、まあ外国と戦争するわけじゃございませんが、防衛ももう少し強化しなければならないということを、日本が言うんじゃない、アメリカが必ず言うんじゃないかというようなことも踏まえて、そういうようなときどきの状況を踏まえて、行政改革はひとつ思い切ったことをやって、国民の期待にこたえるようにしなければならないというようなことも考えつつやっておるわけでございます。御支援をお願いいたします。
  157. 受田新吉

    ○受田委員 非常に丁寧に行政改革の当面の実施面の具体的な御説明がありました。大変いい御説明をいただきましたので、今度はいま申された一つ一つについて掘り下げた質問をさせていただく、こういうことにします。  ただ、いまちょっと気にかかるのですが、総理もアメリカへ行かれて、最後に防衛をどんどん強化しようというようなことに対する対策も要るということで、これは行政改革の上でどういうような具体的な防衛に関する対策があるのでしょうか。これは事務当局の方でも結構ですから……。
  158. 荒舩清十郎

    ○荒舩国務大臣 お答えします。  そういうようなことを言われはしないかと想像するのです。私は言われると決めたわけじゃないのでございますが、たとえば尖閣列島の問題等あるいは二百海里漁業水域の問題、いろんなことを考えると、アメリカがそういうことを言い出しはしないか。そこで総理がどういう答えをしてくるか、どういう話し合いになるかわかりませんが、私としてはそういうことを想像しております。  それからいまの景気浮揚、大小いろんな会社の整理等が始まっておる。また雇用問題、どれを挙げても大変な問題でございます。したがって、そういうことを踏まえながら思い切った改革をしなければならない。税金のむだ遣いばかりじゃなく、もっと行政の簡素化それから行政の合理化をして、そして行政コストダウン、そういうことを考えるときに、やらなくてはならない仕事はいっぱいあるのです。一生懸命やりますから、御支援をお願いいたします。
  159. 受田新吉

    ○受田委員 そこで、昨年末の閣議決定で行政機構の具体的な問題として中央省庁の課、室、官等の整理、その中に防衛庁は二つの削減数があるわけで、これは防衛に対する新しい拡大構想とは逆の削減方針を示しておられる。これは一体どこをねらっておるのですか。これは事務当局から御答弁願って結構です。
  160. 辻敬一

    辻政府委員 中央省庁の課、室、官の整理の問題につきましては、防衛庁だけ特別に取り上げてやったわけではもちろんないわけでございまして、大体各省庁とも一律の基準で措置をしたわけでございます。  具体的に申し上げますと、中央省庁の課、室、官等の総数が千七百程度ございますが、その中で、たとえば官房には総務、人事、会計というような課長がおりますが、そういう官房の三課長でございますとか、各局の総務課長でございますとか、そういうものまで対象にいたしますのはやや問題があるということで、その数約四百を除きまして、残りが千三百でございます。その千三百に対しまして一律に五%を掛ける、ただし端数については切り捨てをしたわけでございますが、そういたしまして各省庁別に数を出しますと五十一ということになったわけでございます。これを二年間に整理をするということで、五十二年度は三十三の課、室、官の整理を予定しているところでございます。
  161. 受田新吉

    ○受田委員 具体的には防衛庁はどこを削減するのですか。
  162. 辻敬一

    辻政府委員 防衛庁につきましては、具体的な措置といたしましては政令で措置をするわけでございますが、ただいまのところ、防衛施設庁の一官を整理をする予定でございます。
  163. 受田新吉

    ○受田委員 その二というのはどういうことですか。一官じゃなくして二あるのです、削減数は。
  164. 辻敬一

    辻政府委員 先ほど申し上げました基準によって算出いたしますと防衛庁は二ということになります。それを二カ年間にいたしますので、五十三年度一、五十四年度一という予定でございます。
  165. 受田新吉

    ○受田委員 ここへ示された五十一のうちで、ことし一つやって、残りは来年やる、来年の分はこれから検討する、こういうことなんですね。まだ予測されるものはないのですね。
  166. 辻敬一

    辻政府委員 五十四年度一つ整理をするということは決まっているわけでございますが、どれを、どの課あるいは官を整理するかということにつきましては、五十四年度の予算編成の際に決めたいと思っております。
  167. 受田新吉

    ○受田委員 いま荒舩先生が、新しい防衛の要求等に対してもこたえていかなければならないとなりますと、防衛庁の機構の方は縮小して、そして別の方の防衛実力の方は高める、つまり機構よりも中身の実力を高めていくというねらいでございますか。
  168. 荒舩清十郎

    ○荒舩国務大臣 お答えします。  いや、私は、防衛を充実しろとかふやせとかという意味じゃございません。日米首脳会談でそういうようなことをあるいはアメリカの方が言い出しはしないか。よくアメリカの世論を見ますと、日本はドルを思うままにしょい込んで防衛はアメリカに任して平然としているじゃないかというようなことが議題になりはしないかというときに——防衛力を高めるのだという意味じゃございません。誤解があると大変ですから、そうじゃありませんが、そういうような議題が出てきたときにどう対処すべきかというようなこともいまから考えなくちゃならない問題であり、また、いま局長お答えをしたように、当然減らすべきものは大いに減らして効率的に能率を上げるようなことも、縮減をすべきものは縮減をして能率を高めるように、むだ遣いのないようにしなければならない、こういうことも当然やるべきだと考えておるわけでございます。
  169. 受田新吉

    ○受田委員 余り論議をこの方はしないことにしまして、そこで、長官、「行政改革の推進について」の第一、行政機構、中央省庁、部局等の改革についての御決定ですね、この中に、「当面、建設、国土両省庁を一国務大臣が所管することとし、また、対外経済政策を機動的に推進するため無任所国務大臣制の積極的活用を図ることとしたところであるが、さらに、省庁、部局等中央行政機構の再編成についても、引き続き検討を進めるものとする。」という一項があるのです。これは、行管長官、閣議で御了解されるときに、何か総理の意のあるところを伺っておられましたかどうかです。
  170. 荒舩清十郎

    ○荒舩国務大臣 特にその点については閣議では相談はいたしませんが、総理の考えることは、いわゆる国土庁と建設省、ずいぶんいろいろダブっている点もあって、これらは一緒にしたいと思うがという意見、そういう発言がございまして、総理と会談をいたしましたときに、まことに適切である、私はそういう答えをいたしたわけでございます。なお将来を考えると、その方向で行くのがいい、なお推進していこうということも考えております。建設省と国土庁はこの形で推進していくのがいい。  それからなお対外経済協力、これは大変なことでございまして、いまの円高問題、こういうような問題におきましても、どうも日本の対外的な経済政策というものは、もっと足しげく外国へ担当大臣が出張して、もっと密接な連絡をとり、そして日本の貿易の面をもっと推進する、またこちらの方でドルだけためておればいいんだというのでなく、外国にいやがられない、いわゆるエコノミックアニマルというようなことを言われないようなことをひとつ接触を密にして考え直していかなくてはならない。これらも総理からお話がありまして、閣議では別段決めたわけじゃございませんが、私は結構な考えだ、こういうふうにお答えをしたわけでございます。
  171. 受田新吉

    ○受田委員 これは内閣法に基づく内閣の問題でありまして、行政管理庁のお仕事の中に直接入る問題ではなくて、もう一つ上にある問題です。そういう意味で私、深追いはしませんけれども、いませっかく閣議の雰囲気を長官がお漏らしくださいましたので、私ここでやはり荒舩先生御自身が国務大臣でいらっしゃるから、国務大臣の中じゃ非常にユニークな御発言をなさるお方で、閣議に潤いを与え光を与える御存在であるからあえて申し上げるのですが、対外経済政策を機動的に推進する無任所国務大臣を置く、これは外務大臣との職務権限をどうするかという問題も一つここに当然起こってくるわけです。つまり外務大臣の職務の中で経済部門、対外経済の方を無任所国務大臣である牛場氏にやらして、そして一般外務は園田氏にやらせる、こういうような御意図、そういうような意味だったのでしょうね。つまり外務大臣の分野を分割するというのはそういう意味であったかどうか。やはりこれは国務大臣として御参加されたことだし、また閣議決定行政改革の第一に書いてあるものですから、内閣法の問題であるが行管の長官としては心得ておられると思いますので……。
  172. 荒舩清十郎

    ○荒舩国務大臣 お答えします。  まさにあなたのおっしゃるとおりでございます。これは私の権限じゃございませんが、総理のところに呼ばれまして、こういう考えであるかどうかと言うから、私は結構だと思いますという返事をいたしました。  それからなお外務大臣の権限を委譲するというのじゃなくて、もう少し経済の面で日本の立場を外国によく知ってもらう、こういう役目が対外経済、牛場さんのやる仕事のように思うわけでございます。それで大変想像以上の円高の問題、いろいろの問題がありましたが、これは一面考えますと、円高ばかりじゃないのでドル安だと私は思います。たとえば世界的に一番しっかりしている通貨、これはスイスフランだと思いますが、一年間、去年の四月六日からことしの四月六日の統計を見ますと、フランは三六・八%上昇しておりますが、日本は一年間に一九・五%、それから西ドイツは一五・五%でございますが、まあいろいろ考えまして、円高というより、言いかえればドル安である。だからこういう面ももっと対外経済の面から強力に推進をしていくべきである、もっと深く、もっと密接な連絡をとるべきであるというふうな考えも持っておるわけでございます。
  173. 受田新吉

    ○受田委員 対外経済協力に関する大臣の御見解、大変参考にさせていただきました。私は、きょうあえて内閣法とそれから行政管理庁の行う職務との関係できちっとしておきたいところがありますので、どうせ内閣法に関するものは総理に行政改革で来ていただくときに譲りますが、長官で御答弁できる分だけを、いまからちょっと内閣法との関係のところを申し上げますと、内閣法の第三条に「各大臣は、別に法律の定めるところにより、主任の大臣として、行政事務を分担管理する。」その第二項に「前項の規定は、行政事務を分担管理しない大臣の存することを妨げるものではない。」その部分につきまして、ここに対外経済政策を機動的に推進するため無任所国務大臣制の積極的活用を図るという、これに該当すると思うのですね。  そこでさらにこれを進めることといたしまして、主任の専管事項のない大臣、つまり牛場大臣、牛場大臣というのは閣議で一般国務についてもときどき発言をしますかどうですか。これはちょっといまお聞きしておいて、今度総理に質問する種にしようと思うのです。
  174. 荒舩清十郎

    ○荒舩国務大臣 閣議内容は……(受田委員「発言するかせぬかというぐらいは」と呼ぶ)経済の問題以外は発言しているのを聞いたことはありません。
  175. 受田新吉

    ○受田委員 そうですか。そうすると、やはり国務大臣としては経済に関する問題に非常に熱心な大臣で、ほかのことに余りくちばしを入れないという意味の無任所大臣。(荒舩国務大臣「そのとおりです」と呼ぶ)そうですか。わかりました。  それともう一つ、今度は行管長官のお役所の設置法と関係するのでございますが、行管長官の御担当される、ここにあなたの権限が書いてあるところがあるわけです。行政管理庁設置法第四条、行管長官は国務大臣をもってこれに充てる、そしてそれからだんだんいくと、「長官は、各行政機関の業務の監察に関連して、第二条第十二号に規定する業務について、書面により又は実地に調査することができる。この場合において調査を受けるものは、その調査を拒んではならない。」これはいまさら言われるまでもない問題だと思うのですが、調査を部下をしてどんどんやらして、そのときに書面とか実地の調査をやる場合に調査を拒んだところがあるかないかです。「拒んではならない。」と法律に書いてある。そんな生意気な役所があったかないかをちょっと……。
  176. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 拒んだところはいままでございません。
  177. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、この第四条違反をやる役所はない。だから行管長官はその職務を遂行されるのに非常にスムーズにやっておられると思うのです。したがって、各省に対する行管のにらみは非常に強大なものであるはずなんでございます。ところが、各役所から逆に、おれのところはこうしてくれという陳情がありますかどうか、機構その他について。
  178. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 ただいまのお話、条文、監察に関連してということでございますが、監察に関しましては特に陳情というようなこともございません。
  179. 受田新吉

    ○受田委員 お手やわらかにやってくれというような要望が出た役所はありませんね。
  180. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 特にございません。
  181. 受田新吉

    ○受田委員 そこで、その次の項「必要な資料の提出を求めることができる。」この場合の資料の提出を拒んだところもない。
  182. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 特にございません。
  183. 受田新吉

    ○受田委員 そういう意味で、この監察の結果に関する行政運営の改善、それに行管長官は非常な貢献をしていただくわけで、そして内閣総理大臣に対しましても「関係行政機関の長に所管事項の改善を指示するよう意見を具申することができる。」という一項もこれにあるわけなんです。この一項を、具申したことがありますか、ないですか。
  184. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 この項目は、各省庁この点に関しまして大体うまくやっておりますので、特に内閣総理大臣に意見を具申したことは、いままでのところございません。
  185. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、この条文は伝家の宝刀として存在するだけであって、行管長官の職務遂行の上に支障がない。そこで、そうなれば、非常に勇敢な行政改革が行管を中心としてできるはずです。余りもたもたすることはなくして、少しぴしっといかねばいかぬ。これは各省でなかなか言うことを聞かぬところがある。中南米局を長官は抑えたと言われましたけれども、その他、長官の言うことを聞かぬでとうとう最後に行管が追い込められてきている事例が幾つもあるでしょう。これはきょう遠慮なく言うてください。遠慮なく言わないとだめです。
  186. 荒舩清十郎

    ○荒舩国務大臣 お答えしますが、別段そういうような圧迫も受けたことはございません。ただし総理とは、いろいろな役所の問題ですから、閣議でなく、こういうことをやってみたいとかああいうことをやってみたいということはしばしば話し合って、またその指示を受けております。それから総理も積極的でございまして、私ももっともっと積極的にやらなければならないという信念でおることは間違いございません。
  187. 受田新吉

    ○受田委員 行政管理業務遂行の上で総理大臣に意見を述べるという権限もあって、そして大体総理大臣の力を利用して各省を抑え込まぬとなかなか思うようにいかぬこともあるのです。いま何らそういうことに支障はなかったと言うけれども、無理やりに新しい課や新しい部をつくることを強姦されたことは、国会で強姦という言葉は禁句になっておるようでございますが、押し込まれたということがあるでしょう。これは行政管理庁が各省を抑え切ることができないで、とうとう主張を通してしまったという事例はずらりといままであるのじゃないですか、ないですか。
  188. 荒舩清十郎

    ○荒舩国務大臣 答弁はいたしますが、そういうことはございません。これをやろうと思ったのをやめてくれというようなことを言われたことはございません。
  189. 受田新吉

    ○受田委員 これはそんな簡単な問題じゃないですよ。ここでその問題は静かに反省していただけば、行管で行政管理の業務を遂行する上に各省庁に対する一局あるいは一課削減に対する注文をつけたけれども、言うことを聞かぬで、そのまま認めたことが過去において幾つも出ておるじゃないですか。それは最後に行管がそのことについて強い押しを途中でやめたにすぎないのです。この点は、局をつくらないという約束をしておきながら局を新設しておる。これはこの前のだけれども法務省だってそうじゃないですか、訟務局をつくっておるじゃないですか。
  190. 辻敬一

    辻政府委員 私どもの仕事は御承知のように定員、機構の審査をやっておるわけでございますから、各省が要求を持ってまいります。したがって、要求官庁といわば査定官庁の立場は当然違うわけでございますので、そういう意味ではもちろん相当激しい意見の交換がある場合もございますけれども、先ほど受田委員の御指摘のような、何か非常に圧迫を受けてねじ曲げられたようなことはないと考えております。
  191. 受田新吉

    ○受田委員 私はそういう意味で、せっかく企図されたとおりに他の役所が言うことを聞かぬで、ついそれになびいてきた一例を引こう。昨年の訟務局設置のときは、局の新設というものについて新しいものをつくってはならないという一応の了解をわれわれもとっておったと思うのですが、訟務局をつくって入国管理局の次長を廃したという、これは行管、一体初めからそういう心構えで法務省設置法を考えておったのかどうか。
  192. 辻敬一

    辻政府委員 初めからそういう考えであったかとおっしゃいますと、率直に申し上げて、違うと思うわけでございます。これは先ほど申し上げましたように、私どもがそういう審査立場にあるわけでございますので、各省との間では当然いわゆる折衝があるわけでございます。しかし法務省の訟務局の場合も、政府全体として最後にはそういう決定に至ったわけでございます。
  193. 受田新吉

    ○受田委員 質問を進めます。  私、いま長官に具体的に主要なる改革に対する御意見を言うていただいた中で、当面定年制の導入についての質問をしたいのです。いませっかく御提案がございました。私、なるべくきょうは行管以外のお役所は呼んでないのです。なぜかと言うと、他の先生方にそれぞれやっていただいておることが一つと、私としては行管一本にしぼった行管責任体制を明確にしたいという意味で、他の省の見解等でも行管が当たった結果を報告してもらうということで、あえて行管以外の方をきょうは私お呼びしていないのです。したがって、責任ある答弁を行管としてやっていただきたい。定年制についても他者の御意見を十分吸収した立場で御意見を承りたい。このせっかくの定年制の導入に対する具体的な実施についての御見解を御説明願いたい。地方公務員にもこれをどういうふうに指導しようとしておるかを含めて御答弁を願います。
  194. 辻敬一

    辻政府委員 定年制の問題は、御承知のように直接には総理府の所管であるわけでございます。昨年十二月二十三日の閣議決定におきましては、国家公務員に定年制を導入するという方針を決めたわけでございまして、このための具体的な準備及びこれに関連する現行諸制度の見直しを行うということになっているわけでございます。その分につきましては、ただいま総理府の人事局を中心に検討しておるわけでございます。申すまでもございませんけれども、定年制の問題は公務員の身分にかかわる重要な問題でございますので、ただいま総務長官から人事院総裁に検討を依頼されているところでございまして、人事院における検討を見守っている段階でございます。
  195. 受田新吉

    ○受田委員 これは定年制を法律をもってやるという前提でございますか。
  196. 辻敬一

    辻政府委員 人事院あるいは人事局の具体的な検討ということになるわけでございますが、恐らくそういうことに相なろうかと思います。
  197. 受田新吉

    ○受田委員 そこでもう一つ。許認可事務についての問題で、一千二百四十件の整理合理化をしたいということです。ところがその中身は、許可申請の必要書類の枚数を減らすことも中に入っておる、そうですね。それで実際は法改正を要するのはわずかに百七十件と言う。それで実質的な整理合理化と言えますか。
  198. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 先生指摘のように、部数を減らすとか、場合によっては枚数を減らすとかいうものも確かにいろいろ含まれております。ただ、こういう事務の簡素化的な面等につきましても、国民の負担の軽減とか、それを与える役所側の事務の簡素化という見地からいって、やはり許認可制度の簡素合理化の重要な部分であろうと考えております。
  199. 受田新吉

    ○受田委員 ロッキード事件、われわれとしては大変残念な事件でございますが、このロッキード事件に対して、その起きた原因は各省庁の許認可の権限の強さが災いをしておるという判断を私はしておるのです。私の判断に誤りがあるかないか。
  200. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 ロッキードの問題がどういう原因か、許認可とどういうふうにかかわり合っているか、その辺の分析はなかなかむずかしいと思うのでございますけれども一つ行政指導といったような面からとらえますと、許認可制度の問題とやはりかかわってくるわけでございますが、私どもの今回の許認可の簡素合理化という見地の中には、どういうものをどういうふうにやるかをできるだけ広く知らせるといったような基準の明確化ということも当然入ってはいるわけでございます。そういう観点からも整理合理化を行いたい、こういうわけであります。
  201. 受田新吉

    ○受田委員 あるお役所だけに許認可の権限が独占されている、もっと分散していくとチェックができる。そういう意味で、ロッキード事件を参考にして、今回の改善措置というものにその反省があったかなかったかをあえて私は質問させてもらっているわけです。つまり役所が許認可の独占をやっている、そこへ権限をまとめていけば、こういう災いを発生する大変な温床になるわけです。
  202. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 ロッキード問題との絡みにおきましては、運輸省から出てまいりますいろいろな許認可の整理合理化意見の中に、恐らくそういうことも考えて措置しているものというふうに思っております。
  203. 受田新吉

    ○受田委員 その役所だけでなくして、別の第三者的機関がこれにタッチでき、公正な判断で許認可に貢献するようにできるならば、このような問題をチェックできる。そういうことを私提案しておるわけです。
  204. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 今回の許認可整理、昨年の閣議決定の千二百四十事項でございますが、私どもの考えでは、これは一応各省で総点検の結果出てまいったものでございますので、いま先生指摘のような観点はそれぞれの省において入れているものと思いますし、また、第三者的なチェック機関云々という点は、先生の御意見のとおりかと存じますが、それが現在はっきりと制度としてまだとられていないということもございまして、今回の合理化に直接それが入っているということは、あるいはないかとも思います。
  205. 受田新吉

    ○受田委員 まだそこまで反省が採用されてない懸念があるわけです。  それからもう一つ、私は問題を総合的に一括してやりますから、二つの法案の中のポイントだけ取り上げますが、中央でなくて地方支分部局整理という問題について、出張所などという小さな問題を取り上げないで、せめて一県単位までの整理をするというような方針を立ててはどうなんですか。
  206. 辻敬一

    辻政府委員 地方支分部局整理の問題については、私どもとしても従来からいろいろ苦労してまいったわけでございますが、今回の閣議決定では支所、出張所等を中心として約千カ所を整理することにいたしているわけでございます。御指摘の府県単位機関などにつきましては、たとえば法案を御提案申し上げておりますように、私どもの出先である地方行政監察局三局あるいは大蔵省の財務部とか、ブロック機関になる農林省の営林局、その他郵政省地方郵政監察局支局等を含めまして五種の機関、十二局部について整理を行うこととしているわけでございます。
  207. 受田新吉

    ○受田委員 私、この間から北海道を視察し、また毎年地方の行政管理庁の出先機関を見てみますと、本当に一人一人が熱心にやっておりますよ。あるいはかわいそうなほど少数の責任体制で御苦労しておられて、頭が下がる。行政相談委員の皆様だって熱心に住民の要望にこたえておるという点においては、私大いにほめてあげます。そのほめてあげる中で、さらに皆さんは北海道の行管の出先を整理されるわけでございまして、これは行管みずからが地方支分部局整理に模範を示すという意味においては、私はその悲壮な御決意を了とします。と同時に、この地方の出先の整理が末端の小さいところでなくて、もっともっと大きな点に整理のポイントを当てていくべきである。二重行政の弊を断つためにも、どうですか局長さん、もっとスケールの大きい改善を行う。地方の郵政監察局の整理などはちょっとでっかいところへ目を向けておられるようですが、それよりももっと全面的な地方出先機関の整理を図っていくくらいの英断をふるう大構想をむしろ立てていくべきではないかと私は思うのです。
  208. 辻敬一

    辻政府委員 従来からの地方支分部局整理あるいは今回の整理再編成が主として末端の第一線機関と申しますか、支所、出張所等を中心としていることは御指摘のとおりであるわけでございます。私ども今回の行政改革に当たりまして、いわゆるブロック機関あるいは府県単位機関等についてもいろいろな面から検討を行ったわけでございますけれども、当面の問題といたしましては、先ほど申し上げましたように五種十二局部の整理ということになったわけでございます。府県単位機関の整理等についてはいろいろ経緯がございまして、かつてブロック機関の下に府県単位機関を持っているものについて廃止するということで法律の御提案を申し上げたこともあったわけでございますけれども、廃案になった経緯もございます。そういう問題、その他国と地方との事務分担の問題等につきまして今後とも勉強してまいりたいと考えております。     〔村田委員長代理退席、委員長着席〕
  209. 受田新吉

    ○受田委員 長官が指摘された特殊法人も、公庫、公団事業団、いろいろあるが、この数が多過ぎる。これを整理する。審議会も大なたをふるってしかるべきだ。審議会などというものは、各行政機関が責任を持って行政を遂行すればそう必要でない、なくて済む。意見を承るという機関にすぎないのですから、行政の責任体制から言えば責任逃避ということになるわけですから、審議会などはできるだけ減らしてしかるべきだ。思い切ってやるべきだ。と同時に、特殊法人、たとえば住宅公団にしても国民金融公庫にしても、公庫、公団事業団等へ初めから就職を希望して下から上がってきた者は、途中で、他省から天下りで上へぽかっと役員が乗り込んでくる、そういうことによって頭を摘まれるのです。むしろ公庫、公団などへ入っていこうという者は初めからそういう天下りの根元の機関へ入っていって、そこへしばらくおって、そして上へぽかっと来ればいいという思想もわくわけでございますから——天下りというのは、これはせっかく御提案ですが、非常に厳重な対策を立ててもらいたい。人事院から枠をはめるというような問題でなくて、もっと下から順次積み上げた人を優遇するように特殊法人に道を開くべきだ。もう二十年以上たっているから当然部長クラス、それから最初から公庫、公団特殊法人就職した人に役員の道を開くべきだ。そういう重要なポストは皆天下りに占められて、せいぜい課長どまり、たまに部長に行けばいいということでは、一般の特殊法人に勤務する職員には夢がないですよ。これは長官、ひとつ断固やられたらいいと思うのです。
  210. 荒舩清十郎

    ○荒舩国務大臣 お答えします。  全く同感でございます。いま、細かいものよりは特殊法人とか審議会というものは徹底的な改善をしなければ、改革というのですか、思い切ったことをやらなければならないと私は思っております。したがって、これについてはおっしゃるとおりでございます。全く同感でございまして、思い切ったことを計画しております。これは実行しようと思っております。  特殊法人のことについては大変いろいろな意見がありまして、役人が次から次に出ていって——出ていくこともいいと思うのです、役人だから悪いというのではなくて。特殊法人は百十二あるのです。これは終戦後急にふえたのです。ふやしさえすればいいということで急にどんどんふやしちゃったのです。それから審議会も二百幾つありまして、これらも思い切った、それこそ英断を持って整理をしなければならない。本当におっしゃるとおりでございまして、余り細かいところよりもこういう問題にメスを入れなければならないと自覚しておりますから、まあひとついろいろ激励をお願いいたします。
  211. 受田新吉

    ○受田委員 特殊法人の設置数の推移をながめまして、昭和三十年はただ三十三しかなかった。それが昭和四十二年に一挙に百十三にまでなった。この十年間に飛躍的に特殊法人がふえた。天下りポストを役人のためにつくったようなもので、自分たちの行き先を求めてこういうものをつくったような印象さえ受けるのですよ。この十年間の乱造というものはこの機会に断じてこれを整理するようにひとつやっておいてもらいたい。いま阪神埠頭公団というようなところをちょこちょことやるくらいのようなものじゃない。もう根こそぎ、抜本的にこの特殊法人整理する。いま長官から大変な意気込みの発言がありましたから、この工事にはひとつ着工していただきたい。  最後にもう一つ特殊法人役員のたらい回し、これはいかぬですよ。三つも四つも渡り鳥、そしてそれぞれ二千万円、三千万円とどっさり退職金をもろうて、何回かやるうちには一億を超える退職金で、いばって銭をしっかりもらっていくというような天下りがある。これは今度大分整理して、六十五歳以上の者はやめるとか三年という任期にするとか、一応基準を書いておられるが、この基準は実行するのですか。退職金の問題も含めてひとつ……。
  212. 荒舩清十郎

    ○荒舩国務大臣 実行いたします。これは本当に戦後、雨後のタケノコのごとくつくっちゃったんですよ。これはつくった人は楽ですが、整理するのは容易じゃありません。容易じゃありませんが、いまの渡り鳥とかなんとかと言いまして、四カ所も退職金をもらっている人もあるのです。これは国民の感情からしても許せない問題である。  ただ、私はいつも考えておりますが、役人を少しいじめ過ぎる点もあるのですよ。これは私は自分の率直な考えを申し上げますが、民間人をああいうところへ登用することは結構です。しかし役人はもう五十五、六でやめてしまって、渡り鳥で次から次へ行ってはいけませんが、有能な人、国家で効率的に使える人は使う方がいい。ただし、これは待遇がよ過ぎる。そう言うとなんですが、ほかと比例して法外な、感情が許さないような点もありまして、それから八年間座りっきりだ、八年間役員になってやめない。これはいかぬというので、実はいろいろ議論もありましたが、役員は六年以上は困るということを決めました。それから、いわゆる渡り鳥で、次から次へ渡っていって何千万というふうに幾つも取っていくということは許されないことですから、これはおっしゃるとおりに厳重にやります。それから審議会あたりも、これは意見を聞く機関ですから、思い切った整理をしなければならない、こう思っております。全く同感でございますから、そのとおりやります。
  213. 受田新吉

    ○受田委員 やっていただきたいことですが、人材があれば役人の上がりを活用することはわれわれとしてもやぶさかでないのですけれども、その能力を最高に使うためにはまだほかの社会もあるのですから、そういう特殊法人を独占しては困る。民間人からも採用しなければいけない。下から上がった人にも道を開かなければいけない。下から上がる人が希望を失うような公庫、公団では許されないということ。  もう一つ、役人のそういう人事を決めるのは、大蔵省とその公庫、公団の主管の大臣とが決める、ここにおかしいことがある。その公庫、公団給与を決める、退職金を決めるというときに、大蔵省建設省とか農林省の主管大臣とがちょこちょこっと銭を決めるということでは大変なので、国家公務員人事院というのがあって、これほど大人数で苦労しておるようなことですから給与を思い切って下げて、御自身も退職年金をもらっているその上積みなんですから、やはり薄給に甘んじて、乏しきを憂えず等しからざるを憂えるという思想を役人上がりの皆さんに持ってもらわなければいかぬ。行管はそういうことも一緒に含めて多くの人々に夢を与え、希望を与える。一部の役人の天下りだけが満足しているというような社会は非常に不公正な社会である。  これは荒舩先生がいま、本当に勇気を持ってやりたいと言われたが、かけ声だけではなくして実際、私きょうは、いま三年以上でだれがどこにおって、これをいつやめてもらうように肩をたたいておるのか、この人が幾ら金をもらっておるか、具体的な名前を聞こうと思ったのですが、それは人権にも影響するということもありましてちょっと遠慮しましたが、大臣が非常な決断を持っておるようでございまするからあえて質問しませんが、この問題では行管の実効を上げてもらいたい、そういうことを提唱しまして、荒舩先生に対する質問を終わります。
  214. 荒舩清十郎

    ○荒舩国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、思い切ったことをいたしますから、どうぞ御期待を願って結構でございます。しっかりやります。
  215. 受田新吉

    ○受田委員 私、もう一つ質問を保留しておきたいことがあるのです。行管のお仕事のほかに内閣関係のもの、トップマネジメント問題等もありまして、臨調の答申の扱いをどうしているかという問題もございますので、いずれ総理にここへ来ていただく機会にこれらの問題を一括して質問をすることとしまして、その方へそうした基本的問題を譲るということにして、一応きょうは質問を終わります。
  216. 始関伊平

  217. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 初めに、許認可等整理についてであります。  一般的に言って、国民に奉仕する民主的でむだのない行政を実現するためには、許認可等について言えば、大企業の横暴を規制するための許認可等については強化、拡大しなければなりませんが、国民にとって不要不急のものはできる限り整理合理化して簡素化、効率化を図るべきであるというように考えでおります。そこで、政府は五十三年度末までに千二百四十事項整理合理化すると発表しておりますが、政府が今国会に提出した法案では、三十一法律、九十六事項について整理合理化するというものであります。  そこで、まとめて伺いますけれども、第一は、本法案とあわせて政令以下の命令改正で整理合理化する事項数。第二は、昨年末閣議決定は五十三年度末までに五十三法律、百七十事項整理合理化するということでありますが、この残りについてはいつまでに措置をするのかということ。第三は、一般的に年間に百八十から百九十事項のテンポで許認可等事項がふえているわけですけれども、今後はこれをどう抑制するのかという方針が明示されていないのですが、この点について今後どうするのか。  以上の三点についてひとつ簡潔に説明願いたいと思います。
  218. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 御指摘のとおり昨年末の閣議決定で千二百四十事項を簡素合理化することになりました。そのうち法律の事項が百七十事項ございまして、今国会にお願いしているのがそのうち九十六でございますが、それを差し引きました千七十につきましては、政令以下になっております。これも五十三年度末までには簡素合理化するということになっておりますので、当然これから鋭意簡素合理化に向けていろいろとやっていくわけでございます。  それから今回のこれは、一応総点検を各省にしてもらいまして出てきたものでございますが、毎年百八十から二百前後、これも数ははっきりわかりませんけれども、その程度のものがふえているのではないかと考えておりますが、これは必要なものがふえるのは仕方がないわけでございまして、当然必要でございますけれども、やはり不要になったものはいろいろと廃止するなり権限を委譲するなり簡素合理化整理をしなければなりませんということで鋭意やっております。  今後こういう状態をどういうふうにするかということにつきましての御質問でございますけれども、これはなかなかむずかしゅうございまして、現在私どもはいろいろ基準を決めまして、今回のように各省に一斉に点検していただくようなこともあり、あるいは行政監理委員会の答申などに含まれているものについては、その都度それを整理していく、現在のところはそういうふうに考えているわけでございます。
  219. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 次は、人権擁護委員法の一部改正についてお尋ねします。  人権擁護委員の委嘱手続についての現行規定は、その立法経過でも明らかなように、その職責の重要性から考えて本来公選としなければならないわけですけれども、事務が繁雑であるというようなことから次善の策として設けられているわけです。市町村長の推薦、知事、弁護士会及び人権擁護委員連合会からの意見聴取という手続は、これは民主的な選任を担保するために設けられたものであります。法務省は、聞きますと、知事の意見聴取制度が形骸化しているとかあるいは知事会から要望されているとかそういうことを理由に廃止するというように説明しておりますけれども、これは本末転倒だというように考えます。法務省としては、現行規定の実効が上がるよう運用面での改善を図るべきであって、許認可整理に便乗して行政の手抜きをやるということはやっちゃいけないのだと考えておりますが、この点についてのお考えをお伺いします。
  220. 加藤晴明

    加藤(晴)説明員 お答えいたします。  人権擁護委員制度ができましたのは昭和二十三年でございます。当時の人権擁護委員の定数は、全国に百五十名都道府県に配置するということでございまして、その後人権擁護委員制度の改革がございまして、年々人権擁護委員はふえております。本年度におきましては一万九百名ということになって、各市町村にくまなく配置されているわけでございます。  これにつきましては、先ほど先生指摘のとおり、当初は民主的な方法を採用しておったのでございますが、このように人権擁護委員が全国くまなく配置されてまいりますと、意見照会に関し、都道府県の方におきましては非常に手数がかかり、実効がある意見を付しがたいということが再三要望されておったわけであります。そこで、私ども慎重に検討いたしました結果、やはり形骸化しているということでありますと、行政を運用していく上において実効性が保たれない、単に形式だけで運用するということはかえって民主制の実を上げないことになるのではないかという考えからこのたびの許認可法の整理に対処したわけでございます。
  221. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 やはり行政の手抜きというように考えるわけですけれども、それだけではなくて、一連の法務行政の反動化傾向の一環をなすものであるというようにも考えるわけです。  法務省は昨年の八月に日弁連に対して弁護士会からの意見聴取を廃止したい旨の照会を行っていますが、本案はこれと一体をなすものであります。日弁連はそのときに、照会に対してこれを拒否するとともに、現行規定の実効が上がるように運用面で努力すべきだという回答を行っております。天下の日弁連でありますし、また、多くの法曹関係者も委嘱手続の改悪になるとして反対の態度を表明されているのは御存じのとおりだと思うのです。そういう中で結局国民的合意が得られないこの改定部分というのは、私は削除すべきであると考えておりますけれども、もう一度その点についてお考えをお伺いいたします。
  222. 加藤晴明

    加藤(晴)説明員 お答えいたします。  日弁連に対しまして求意見の廃止に関しての適否の御意見をお伺いしたことは先ほど先生指摘のとおりでございます。これに対する日弁連のお答えは、実効のあるような意見を付したいし、今後努力いたしたいということでございましたし、また弁護士さんの職責は人権を擁護するという立場にありますので、その意見に私ども共鳴し、かつ、尊重して今後対処してまいりたい、かように思っております。
  223. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 次は、栄養改善法の一部改正の問題です。  行管庁が提出されましたこの参考資料によりますと、本改正部分の整理合理化事項数は二つの事項になっておりますが、法案では三つの事項になっており、厚生省から説明を聞きますと一つ事項にしかならない。これはどういうことなんだろうかという疑問が生じます。しかも新旧対照表を見てみますと、この改正案の方のところには都道府県の「知事」という字句が欠落するというような初歩的なミスもあるわけです。いまの問題について、事項数の問題、行管庁の説明を求めたいと思います。
  224. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 ただいま御指摘の栄養改善法の関係でございますけれども、今回の法の改正の趣旨は、国民栄養調査の執行が一つ、それから二番目に国民栄養調査員の任命、これに関する都道府県知事の権限を保健所を設置している市長に委譲するというものでございます。それと、国民栄養調査の実施に関しまして、第三条第三項の規定でございますが、これは同法の第三条第二項において一応一般的に調査の実施に協力する義務がございますので、この第三項は置かなくてもよいのではないかということで、規制を緩和する趣旨で今回削除することにしたというわけでございます。
  225. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 時間がありませんので先に進みますが、この改定部分の中で、国民栄養調査の執行に関する事務を政令市の市長が行えるようにするという改定部分は特に問題ありませんけれども、未成年者などである被調査者にかかわる親権者等の協力義務についての規定及び栄養調査員の任命に関する規定を削除するという部分についてですが、これは関係者の多くが手続的にめんどうな被調査者を調査対象から省こうとするものであって、手抜き調査になりかねない。調査員の任命についての規定の削除は、医師や保健婦などの専門家から調査員を任命する方式について、パートやアルバイト調査員を委嘱する方式に切りかえることをねらった側面がある。国民の栄養状態や健康状態という個人のプライバシーにかかわる調査に素人のアルバイトで、しかも守秘義務のない委嘱調査員を充てることには問題があって、調査内容の低下にもつながりかねない。こういう反対意見があります。これらは許認可整理に便乗したものであって、しかも政府説明が統一されておらないわけで、国民栄養調査内容そのものにかかわるものでありますから、これらについてはやはり私はやめるべきであると考えますが、この点についての御説明を願います。
  226. 玉木武

    ○玉木説明員 ただいまの御質問でございますが、第一点の問題でございますけれども、今回の改正は、国民に対する規制の緩和の観点からこれを削除することにしたものでありまして、許認可等整理合理化の考え方に沿ったものと考えております。なお今後、禁治産者や未成年者の調査に当たっては、同一の世帯に住んでいる者がまた調査員の協力によりまして調査をやりますので、調査におきまして支障は起きないものと考えております。  二番目の御質問でございますが、国民栄養調査員の第四条の第二項、三項の削除に関しましては、これは省令に移しまして同等の考え方でもって整理する予定でございます。  以上でございます。
  227. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 では次は、理容師法の一部改正、美容師法の一部改正及びクリーニング業法の一部改正の問題です。  これは、現在法定されております結核や皮膚疾患等の有無についての年二回の健康診断についての規定を省令に落として、回数を年一回に減らそうとするものですが、これらの業種が直接不特定多数の者に接触する業種であることから見て、公衆に及ぼす影響が大きく、回数を減らすということには問題があると考えます。健康診断の結果、業務停止処分を受けた者は五十一年度だけでも数十例に上っており、現行規定は緩和すべきではなくて、都道府県により厳正にやっているところとそうでないところがあるという現状を改めて、厳正に実施するように行政指導をすべきである、これが根本だと考えますが、この点はいかがですか。
  228. 林崇

    ○林説明員 今回の理美容師法ほかクリーニング業法の改正でございますけれども、今回の改正におきましては、理容師なりあるいは美容師、クリーニング所の従事者、これの受けるべき健康診断につきまして、対象疾病の範囲それから健康診断の回数、これを厚生省令で定めることといたしまして、その省令でこれらの者の負担の軽減が図られるような形にしたものでございます。現在、御指摘のように、結核とトラホーム、皮膚疾患につきまして回数二回という規定がございますが、とりわけその中の結核につきましては、患者数あるいは罹患率が急激に減少をいたしております。また一方、若年者の過剰なエックス線の被曝による身体等への影響、こういうものも考えられるわけでございまして、結核につきましては、最小必要限な回数を厚生省令で年一回以上という形に定めたいというものでございます。  なお、行政処分、いわゆる閉鎖命令というものの件数、御指摘ございましたけれども、五十一年度におきましては、理容なり美容につきましての行政処分というのは五十件ございますが、その内訳を申し上げますと、健康診断の結果、公衆衛生上業につくことが問題がある、こういうものの件数は理容で一件、美容で四件でございます。あとの四十五件につきましては健康診断を受けなかった者に対する業務停止、営業停止という処分でございます。これにつきましては、今後とも保健所等を通じて、先生指摘のように、伝染病の予防の見地というような形、あるいは理美容師自身の健康の保持というような観点から、これはやはり重大な健康診断であるということで行政省としてもやらなければいかぬ、また理容師としても受検義務があるというような形でございますので、今後ともこの適正な運営については努力してまいりたい、かように考えております。
  229. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 結核の罹病率が減少しているとかあるいは感染した事例が少ないとか、そういうことを回数を減らす理由にしているわけですけれども、これは問題であって、年二回の健康診断があるために早期発見ができて大事に至った事例がない、こういうふうに解釈しなければならないし、回数を減らす理由にはならないと考えます。関係者の中には、営業との関係で回数を減らしてもらいたいという意見を持っている人もないわけではありませんけれども、同時に、定期的に健康診断を受ける機会がないので、従業者の健康保持という点では現状のままでよいという意見も少なからずあるわけです。そういう意味で、回数を減らすことについてはなお検討する必要があると考えます。  次に、中小企業振興事業団法の一部改正の問題です。これは事業団評議員会評議員の任命権者を大臣から理事長に移すということであって、実態としては現状を大きく変更するものではありませんが、将来における政策的選択という観点から見た場合、いま急いで改定しなければならないという緊急性はないのじゃないか。特殊法人の公正、民主的な運営を確保するための審議機関のあり方については、関係方面の意見が公正かつ総合的に反映するよう適正にするとともに、法人内部の付属機関とするか、それとも関係行政機関の付属機関とし、所管大臣の諮問に答申するようなものにするかについて検討してみる必要があるわけです。この点で、将来における政策的選択の余地を残すという意味で、いましばらく現状のままにしておいた方がいいのじゃないかというように考えるのですが、行管庁の考え方をお伺いします。
  230. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 ただいま御指摘中小企業振興事業団の評議員のあり方の問題でございますが、これにつきましては、四十九年十一月六日の行政監理委員会の答申において指摘を受けているものでございます。そこで、ほかの事業団と区別する理由がないと認められるので、任命権を理事長に委譲するように、こういう答申があったわけでございますけれども、ほかの事業団等すべてそうなっておりますので、この中小企業振興事業団につきましても同様に、これは理事長でよろしいのではないかという御判断で、こういう答申が出てきたものと考えております。  私どもは、この答申の指摘事項のとおり、これを推進する上からも、このように理事長に権限委譲して適当であろうというふうに判断しております。なお、ほかの事業団等すべてそうなっておりますので、これだけ残っているという感じでございますので、この際このようにしたらいかがかというふうに判断したわけでございます。
  231. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 じゃ、次は貸家組合法の廃止の問題ですが、この法律は、戦時中の物資不足という状況の中で制定されたものであるわけですが、その立法目的は、円滑な住宅供給のため行政官庁が資材割り当ての便宜を供与するとともに、貸し家業者の経営の適正化を図ることにあって、貸し家人と借家人双方にとって今日なお有効に活用できる性格をまだ持っておりますし、関係者は、やはり本法を廃止するのではなくて今日の情勢に合わせて改正し、大いに活用すべきであると、こう言っております。この改定部分につきましては、所管の委員会で国の住宅政策のあり方の問題を含め慎重に審議すべきであって、許認可整理法案に盛り込むのは妥当ではないと考えます。特に今回の法律案は、法律の廃止という条項を盛り込む、問題のある提出形式を持っておりますけれども、この貸家組合法の廃止の問題について、いま言いました意見も含めて御答弁をお伺いしたいと思います。
  232. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 この貸家組合法は、御指摘のとおり昭和十六年三月に公布された法律でございまして、当時は意味があったわけでございますけれども、現在、建設資材等の特別割り当て等の特例がもうすでになくなっております。そういう特例もないし、今後、民間賃貸住宅供給上機能する余地がないというふうに考えられております。そういうことで、簡素化の意味からこれを廃止したらいかがかということでございます。これを規定している許認可等を廃止することによりまして、この組合法自体の存続の余地がこれまたなくなりますので、今回この法律を廃止することによって許認可の整理を行いたい、こういうふうに判断したわけでございます。
  233. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 次は、許認可事務に開運して、車の構造、安全にかかわる許認可行政のあり方の問題として、車のさびつき、穴あきという欠陥問題についてお尋ねしたいと思います。  この点につきましては、私が昨年の十一月二十五日の商工委員会で、トヨタ、日産の四十六年以降生産の接着ウインドー方式採用の各車種のウインドー回りにさびつき、穴あき欠陥が多発して、トヨタ、日産だけで約百二十五万台、被害推定金額が五百億円以上に上ることを具体的に指摘しまして、その実態調査と原因究明及びメーカーに対する指導を実施するように要望をいたしました。そしてまた、ことしの一月五日の質問主意書でも重ねて同じ要望をしておきましたが、この問題について、その後どのような調査、研究をしたか、その結果がどうであったか、メーカーに対してどういう指導を行ったか、こういう問題について、運輸、通産両省からひとつ簡潔にお答えを願いたいたいと思います。
  234. 浜岡平一

    ○浜岡説明員 お答え申し上げます。  接着ウインドー方式の採用が行われましたのが昭和四十六年でございまして、大きな車のウインドーガラスの取りつけにつきましては、従来使われておりましたウエザーストリップ方式ではアメリカの安全基準に合格しないという事態が発生をいたしまして、これに対処するという意味で、接着ウインドー方式が採用されたわけでございます。  先生から数度御指摘もございましたので、これの採用に伴うさびの関連について調べてみたわけでございます。私どもも、何カ所か駐車場とか中古車センターを回ってみましたし、それからメーカーを呼びまして実態の把握に努めたわけでございます。その結果といたしまして、従来のゴムにかわりまして金属製のモールを取りつけるということになった結果といたしまして、取りつけの過程で、ケースによって塗装面に小さな傷がつきまして、それがもとでさびが発生するケースがあり得るということが判明したわけでございます。  それにつきましての対策でございますが、まず、生産段階におきましては、モールに対するプラスチックのコーティングを行いますとか、あるいは取りつけのためのクリップ等をプラスチックにかえるというようなことで、小さな傷が発生するというような事態がないように、これはすでに何度かにわたりまして対策が講じられておるわけでございます。  それからすでに発売をされております車につきましての対策でございますが、いろいろな事態が考えられるわけでございますが、ケース・バイ・ケースに、この問題にディーラーあるいはメーカーが取り組みまして、もしさびの発生がどうも取りつけ過程での塗装の傷だというぐあいに認められるようなものにつきましては、極力誠意をもって問題の解決に当たるようにということで、現在強力な指導を行っておるところでございます。
  235. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 ケース・バイ・ケースとかあるいは傷だとかいうようなことが言われましたけれども、やはり根本的な問題ではないと思うのです。メーカーは、いままでユーザーの苦情に対しまして、さびつき、穴あきの欠陥が一件もないのだ、こう言ってユーザーに責任を転嫁している状態であったわけです。  そこで通産省にお尋ねしますけれども、ユーザークレーム、これは昭和四十六年以降どれくらい寄せられているのか、国の関係行政機関別、また外郭団体別の件数をお知らせいただきたいと思います。
  236. 野崎紀

    ○野崎説明員 お答えいたします。  当省に消費者のための相談室がございまして、そこへいろいろな相談が参っておるわけでございますが、昭和五十一年度におきましては、約四千件の苦情件数がございましたが、そのうち自動車に関する苦情件数は九十三件、そのうち、ただいまのようなさびの問題に関する苦情件数でございますが、これは三件でございました。  それから五十二年度におきましては、約四千件の苦情件数のうち、自動車に関するものは七十六件、さび自体に関するものは、いまのところ来ておらない状況でございます。  また、日本消費者協会にも相談室がございますけれども、ここで受け付けた相談件数が一万件くらい毎年ございますが、五十一年度におきましては、さびに関する苦情件数は見当たりません。五十二年度におきまして一件ございます。  以上のような状況でございますが、われわれといたしましては、これらの問題につきまして、事業者側と消費者との間で十分話し合いをし、事業者側が誠意を持って事に当たり、適正な処理をするようあっせんをしておるところでございます。
  237. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 いまのお話を聞いておりますと、非常に少ないようにうかがわれますけれども、これは通産省のその全貌の把握というものが非常に弱いのだというようにしか、私の経験からは考えられないわけです。  ちょっと角度を変えてお伺いしますけれども、トヨタ、日産、三菱及び東洋工業の四十六年以降の生産車のうちに、接着ウインドー方式をとっている車のさびつき、穴あき欠陥の発生率と、安全面から見て特に問題のある事例はどれくらいあったか、その点をお伺いします。
  238. 浜岡平一

    ○浜岡説明員 接着ウインドー方式を採用いたしております車の種類は、かなりたくさんございますものですから、一々車種別に生産台数を申し上げますのもいかがかと思いますが、全体といたしまして、四十六年から昨年の暮れぐらいまでに接着ウインドー方式で生産されました車は、大体三百万台前後ではなかろうかというぐあいに思っております。  このウインドー回りのさびにつきましてのクレームというものは、車種によりましてかなり発生状況が違っておるようでございますし、それから、メーカーによりましても、クレームの定義あるいはクレーム処理の機関等がいろいろ違っておりますので、一律に比較をいたすということはいかがであろうかというぐあいに思いますが、平均的に大観をいたしてみますと、発生率は〇・数%というような数字になるのではなかろうかというぐあいに思っております。  なお、私どももマクロの数字で把握をいたしておりまして、その中で安全性の問題に直結するものが何件あるか、あるいは安全性の問題に直結するようなケースがそもそもあるのかどうかということについては、現在のところ把握をいたしておりません。
  239. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 どうもやはり把握が足りない、把握しておらないというようにしか考えられないわけですが、それでは、各メーカーが講じているさびつき、穴あき対策の概要、これを年次別に、メーカーごとに説明願いたいと思います。
  240. 浜岡平一

    ○浜岡説明員 トヨタ自動車につきましては、昭和四十七年から五十年にかけまして、クリップのプラスチック化を行っております。それから昭和五十年からは、樹脂スペーサーということで、塗装面を保護いたしますためのプラスチックのスペーサーというものの導入を行っております。  それから日産自動車につきましては、昭和四十九年から五十年にかけまして、同様に樹脂スペーサーの採用を行っております。それから昭和五十年以降クリップのプラスチック化を行っておるわけでございます。  東洋工業につきましても内容はほぼ同様でございまして、昭和四十八年から四十九年にかけまして、クリップのプラスチックコーティングを行っております。それから、昭和四十九年から五十年にかけまして、プラスチックフィルムを使いまして組みつけ作業の改善を行っております。これは、組みつけに当たりましてプラスチックシートで塗装面をカバーいたしまして、組みつけが済んだ後プラスチックのシートをはがすという方法でございます。それから昭和五十年以降、モールの樹脂コーティング、それからクリップのプラスチック化というようなことを行っております。  三菱自動車につきましては、これは生産当初から——といいますのは、接着ウインドー方式を採用した車の生産開始時期が遅かったわけでございますが、生産当初からモールのプラスチックコーティングを行っております。それからさらに五十二年には、別の車種でございますが、モールのプラスチック化を行うというような措置を講じておると承知いたしております。  以上でございます。
  241. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 どうもいまの答弁が実態とは違っているわけです。  私はここに、ユーザーユニオンの協力を得まして、メーカー関係者や整備工場などから入手しました、対策を講じる前後のクリップを持っているわけですけれども関係者の話を通産省が昨年十一月十二日に出した各メーカー銘柄別のモデルチェンジ実績表と突き合わせて確認しましたところ、トヨタの場合は、クラウンは四十九年十月から対策後のものを使っているが、セリカは五十二年の八月からであるわけです。日産ブルーバードの610は四十六年から五十一年七月まで対策前のものを使っております。バイオレットは、四十七年から五十二年五月まで使っております。三菱、東洋工業のものもここにあるわけですけれども、これにつきましても、やはり実際と違う通産省の説明がなされております。実際と違う説明が出てくるわけですけれども、どういう方法でいまの調査をされたのか、お伺いします。
  242. 浜岡平一

    ○浜岡説明員 昭和四十何年というような時点にさかのぼる問題でございますので、実際には過去におけるメーカーの生産方式の推移をヒヤリングするという以外の方法が考えられませんものですから、メーカーからの実態報告ということによっております。  なお、ただいま私、御説明いたしましたのは、各車種を横断的に見まして、ある時点において、ある車種について、その方法がとられておりますときに昭和何年というぐあいに申し上げておりますものですから、あるいは車種別に見ますと、申し上げた時点は少しずれがあるかと思いますが、一番初めにその方法を導入した年が何年であるかということで御報告させていただいた次第でございます。
  243. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 四十六年生産車のうちに接着ウインドー方式の車種のウインドー回りのさびつき、穴あき欠陥が多発している原因を究明するようにということを私、いままで二度にわたって要望しておいたわけですけれども、原因究明のためのテストあるいは通産省独自の研究、先ほどの説明によりますと、傷がついたというようなことを言われましたけれども、テストや研究を実際上行ったかどうか、お伺いします。
  244. 浜岡平一

    ○浜岡説明員 繰り返しになりまして大変恐縮でございますが、そういう実例があるかどうかということで、私を含めまして私の課の職員が何カ所かの中古車売り場とか駐車場とか、そういうところを現地視察をいたしてみまして、そういう事例もあるということは調べたわけでございます。その上で、各メーカーに対しまして、こういう問題の発生原因はどうかということで、各社別にそれぞれ詳しく事情聴取をいたしたわけでございますが、その結果を取りまとめますと、先ほど申し上げたようなことになるわけでございます。
  245. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 私は、さびつき、穴あき欠陥の原因は、静電気による一種の電食作用によるものであるということをメーカー関係者らの証言とあわせて指摘しておいたわけですが、私の指摘には耳を傾けるということはしておられないようです。そして一方では、幾つか見たと言われますけれども、実際はメーカーの説明をうのみにする、言いなりになる、独自には本格的なテスト、研究、こういうことをしていないというのが通産省の態度であり、これははなはだけしからぬと思うわけです。  そこで、ブルーバードでも、十年前の510はウエザーストリップ方式であるため穴あき欠陥が起きていないわけです。ところが、その後の610は接着ウインドー方式であるため多発しております。セドリックの場合、フロントウインドーは接着方式であるためにさびついてぶつぶつ穴があいているのに、後方ウインドーはウエザーストリップ方式であるためにほとんど傷んではいないわけです。同じ接着ウインドー方式でもボルボなどは、防錆対策が万全であるためにほとんどさびていない。こうした実態は、駐車場や中古車センターに行けばすぐにわかることであって、こうした比較調査をやったことがありますか。この比較調査の面でお伺いします。
  246. 浜岡平一

    ○浜岡説明員 御指摘のように、ウエザーストリップ方式をとっております場合は、ウインドー回りのさびの発生という問題が比較的小さいということは事実でございます。  繰り返しになるわけでございますが、小さな車でございますと、車体の鉄板とガラスをゴムの枠でかみ合わせるという方法で取りつけが可能でございますし、アメリカの基準上も余り問題がないわけでございますが、大型の車種で窓ガラスが大きくなってまいりますと、ゴムの器材による取りつけではアメリカの基準に合格しにくいという問題がございまして、ウインドーガラスを直接車体に接着剤で取りつけをいたしまして、そのすき間をモールで覆うという方法がとられておるわけでございます。     〔委員長退席、村田委員長代理着席〕 取りつけの際にもし不手際がございまして傷がつきまして、さびが発生した場合に、御指摘のようにモールと車体が違う金属、片一方が普通鋼で片一方はステンレスというようなことで、軽微な電食作用が、場合によってさびの進行速度を速めるというような因果関係がどうもあるんではないかというぐあいに事態を把握いたしております。したがいまして、接着ウインドー方式の場合の方がさびが発生する可能性が高いという点は、先生指摘のとおりではないかというぐあいに思っております。
  247. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 結局、素人が説明を受ければわかるようなことを通産省が否定するといいますか、いままでの調査のことを聞きますと、何をやっているんだと言いたくなるわけです。そういう意味で、被害の実態調査や原因究明などをやる意思、これは本格的にやるということでなくては困るということを特に言っておきます。  あと、この問題について運輸省の方に聞きたいわけでありますが、大臣がちょっと時間をお急ぎのようでありますので、大臣に関係します審議会の問題をここでちょっとはさんでおきたいと思います。  審議会の整理の問題につきましては、この法案では四十五審議会を対象に統廃合を行って、三十五審議会を削減し、二十九審議会を対象委員構成の合理化などを図ることにしており、このほか政令改正等による委員構成の合理化等が数十審議会に上り、その規模は戦後最大のものになっております。しかし、その内容には随所に欠陥問題があるというように考えております。  そこで、まず初めに伺いますが、本法案とあわせて、政令改正等で委員構成の合理化などを予定している審議会などの数はどれくらいになるか。
  248. 辻敬一

    辻政府委員 今回、審議会等委員構成の改善につきまして御提案申し上げたのは、審議会制度の趣旨に即しまして、できるだけ民間有識者を中心とした体制に切りかえたい、そのために行政機関職員につきましては、できる限り除外する。同様な趣旨で、大臣会長制あるいは行政機関の職員が会長になっている制度についても可能な限り廃止する。それから、その措置とあわせまして、行政簡素化の見地から委員の数の縮減を図る、かような趣旨でございます。  そこで、ただいま御指摘のように、それでは法律、政令等に分けてどういうふうになっているかという問題でございますが、まず第一に行政機関職員除外の問題でございます。ただいま御提案申し上げております審議会のいわゆる一括整理法によりますものが三十八、そのほか法律措置を別途講じさせていただいているものが一つ、合計三十九でございます。それから、ただいまの段階で政令改正を予定いたしておりますのが三十四でございます。なお、審議会自体を廃止いたしますために行政機関職員も当然にいなくなるというものが別に八ございます。したがいまして、現在、行政機関職員を含んでおります審議会が全体の約半数の百二十三ございますけれども、この措置をとらしていただきました後では四十程度になると考えておるわけでございます。  それから大臣会長制でございますが、現在、十四審議会が大臣会長制をとっております。ただいまの法律によりまして廃止をいたしたいと考えておりますのが二でございます。そのほかに審議会自体が廃止になりますのが一つございます。それから政令改正を予定しているのが三つあるわけでございます。したがいまして、合わせまして五審議会を廃止の予定、別途審議会自体が廃止になるのが一つ、こういうことでございます。  それから行政機関の職員会長制につきましては、現在五審議会ございますが、そのうち法律改正によりまして一つ、政令改正によりまして二つ、合わせまして三審議会の廃止を予定いたしているわけでございます。  なお、委員数の縮減につきましては、この法律の改正によりまして四百十四人の委員数の縮減がございますが、そのほか政令改正あるいは運用面で凍結すること等によりまして、合わせまして八百人を縮減の予定でございます。そのほか、審議会が廃止をされるもの、それに伴って委員の数が当然減るというのが約二百人ございますので、合計いたしますと約千人、現在の審議委員の総数が六千二百でございますが、そのうち約千人が減る、かようなふうに予定しているところでございます。
  249. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 委員構成の問題ですが、そもそも審議会制度は、戦後の行政民主化の中で国民各層の意見関係方面の専門的知識を行政運営に導入し、官僚的な行政運営を打破して、国民全体に奉仕する公正、民主的で効率的な行政を実現するために、行政委員会制度とともに広く採用された制度であります。しかし、その現状は、大企業役員と財界代表が政府関係者らとともに各種審議会で重要な地位と比重を占め、審議会を大企業奉仕の許認可事項決定や官僚的な行政運営の隠れみのとして悪用してきた、こういう批判があるわけです。こうした委員人事は、一面、政財官癒着の最たるものであって、戦後の一連の疑獄事件の中でその最大の温床の一つとなってきたということもまた紛れもない事実でありますし、同時に、国民生活にとっても見過ごすことのできない問題であります。今日の審議会民主化の中心的な問題は、こうした委員構成に抜本的にメスを入れて、国民各層の意見が公正かつ総合的に反映するように適正化し、審議会制度を国民全体に奉仕する公正、民主的な行政運営を確保するためにいかに活用するかという点にあると思います。この点でこの法案は、政令改正事項を含めて行政職員委員制が廃止されるのは対象審議会の約半分、大臣、行政職員会長制が廃止されるのは対象の約四分の一だけであって、これは不徹底であると考えております。しかも、大企業役員や財界の代表が重要な地位と比重を占めている現状にはメスが入れられようとしていないという重大な欠陥問題があるわけです。そういう意味で、国民全体のために公正、民主的な行政運営を確保する、そういう趣旨での改革をやらなければならないと考えるわけですけれども、今後のこの問題についての改革の方向、計画、見通しというものについて、行政管理庁長官の見解、さらに内閣官房の見解もお伺いしたいと思います。
  250. 荒舩清十郎

    ○荒舩国務大臣 お答えいたします。  一面そういうふうに批判もあるかもしれませんが、これは審議会の制度といたしまして、各界からエキスパートを集めておるのでございます。大企業を中心に、それから政治と大企業の癒着だというようなことは決してないと私は思っております。しかし、特殊法人審議会も終戦後非常にふやして膨張しております。したがいまして、これは国民の税金をむだ遣いをしないようになるべく改革をし、削減できるものは削減をする、そして国民の期待に沿うようにやっていきたいと思っております。いまお述べになったようなことも、御趣旨を十分踏まえてこうした整備をしていくつもりでございます。どうぞよろしくお願いします。
  251. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 もう一つ長官にお伺いしますが、運営の問題ですけれども、ロッキード事件とかあるいはいま言われております日韓癒着問題を契機にいたしまして、わが国の政治における行き過ぎた秘密主義といいますか、密室的な行政運営に対する批判が強まって、審議会に関して言えば、アメリカがウォーターゲート事件を教訓にして行政委員会公開に踏み切ったように、わが国でも審議会の公開の原則を確立するということが求められていると思うわけです。何もかも公開しろと言うわけではありませんけれども、公開を原則にするということが正しいんじゃないかと思います。また、事案の審議に際しましては、関係各方面の意見を公正かつ総合的に反映させ、合理的な決定を行うために公聴会を開催する、これを原則として確立すること。また、これは臨調の意見にもありますけれども、公正、民主的な審議会通則を確立することなども大きな国民的要望となっていると考えます。ところが、政府はこうした運営上の改革については、今度はまだ具体的な改革案を出されておりません。そこで、審議会公開原則は、たとえば中央漁業調整審議会などではすでに法定されておりますし、運輸審議会のように公聴会主義の原則を確立しているものもあるわけです。また、通則の確立という問題は臨調でも指摘しているわけであります。  そこで、行管庁としては、こうした原則や通則の確立という問題を含め、今後の行政改革の課題の一つとして前向きに検討してもらいたいし、検討すべきであるというように思うのですけれども、長官の決意をお伺いいたしまして、長官に関する質問は終わりたいと思います。
  252. 荒舩清十郎

    ○荒舩国務大臣 御指摘の点十分承りまして、これを踏まえてりっぱにやっていきたいと思っております。
  253. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 では長官はよろしゅうございます。  引き続いて審議会の問題で、今度は廃止の問題についてお伺いします。  法案では、労働基準監督官分限審議会や旧軍港市国有財産処理審議会などの事実上の廃止を含めて八審議会を廃止することにしていますが、廃止による経費節減効果は年間約五百万円前後であって、財政的にはほとんど意味がないわけです。  そこでまず初めに、監督官の身分保障のための分限審の事実上の廃止、つまり必要の都度置くという方式に改めるという改定の問題ですが、労働省は二十六年以降事案がないということを廃止理由にしておりますけれども、これも本末転倒だと思うわけです。こうした制度的な保障があるから事案が生じないので、事案がないこと自体に分限審の存在意義があるのであって、廃止することは間違いだと思うわけです。しかも本審議会の経費はゼロでありまして、廃止することによるメリットというのは何もないわけです。本審議会を事実上廃止しなければならないその緊急性が一体どこにあるのかということについてお伺いします。
  254. 松井達郎

    ○松井説明員 お答えいたします。  御存じのとおり、労働基準監督官分限審議会は、国家公務員法における国家公務員の身分保障の上に、労働基準監督官を罷免するには分限審議会の同意を要するという規定を設けまして、特別の身分保障を与えているものでございます。私どもも、その規定意味をかように認識しておるわけでございます。  ところで、先生おっしゃいましたように労働基準監督官の罷免事案と申しますのは、昭和二十六年まではございましたが、その後はないわけでございます。つまり罷免事案というのはまれにしか生じてないようなのが実際になっているわけでございます。しかしこの規定につきましては、先生指摘のように私ども必要がないというふうに思っているのではございません。むしろこういう罷免事案というのは生じない方がいいと思っているわけでございます。とは申しましても、それなるがゆえにこの規定がなくて済むというように思っているわけではございません。そのようなことで、この規定につきましてはまれにしか生じない、しかしながら必要であるので必要の都度設ければ足りるのではないかというふうに考えまして、今回の整理統合の一環としてこういう措置がとられたわけでございます。  このやり方につきましてはいろんなやり方が考えられますが、全く廃止してしまうということは、これは必要でございますのでそういうやり方はとれない。そのほかに中央労働基準審議会に統合するという可能性も考えられたわけでございますが、これにつきましては、現在監督官分限審議会は中央労働基準審議会の労、使、公益各委員一名ずつ計三名のほかに、監督官の代表三名、一般職員代表三名という特別の三者構成の制度をとっておりますが、そういうようなものと労働基準審議会との構成の関係をどんなふうにしたらいいかという問題もありましたので、そのような可能性はさておきまして、その都度設けるという方式をとったわけでございます。  言いかえますと、労働省設置法におけるいわゆる短冊からこの分限審議会は落としましたが、しかしながら先ほど挙げました労働基準法九十九条四項、監督官を罷免するには監督官分限審議会の同意を要するという規定はそのまま残しまして、事案が起こった場合にはその都度設置するという方式をとったわけでございます。つまり廃止したわけではございませんで、常設機関としてはやめたわけでございますが、必要なケースが起こればその都度設けるという方式をとっているわけでございます。
  255. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 だから、そういうふうに変えてもメリットは実際上ない。そしてまた常時存在するというところにメリットがあるということを考えれば、そういうふうに政令に落として必要な都度設置するというやり方に改めるというのは、これは筋違いだということであります。審議会の設置とこの所掌事務の範囲は法律で定めるべきでありまして、必要の都度政令で設置するというやり方は行政組織法の第八条の立法趣旨に反しますし、組織法全体の精神にも反するというだけではなくて、その構成や運営のあり方が官僚主義的に改悪される、そういうおそれのある問題があるわけです。私は、この改正部分は削除すべきであるというふうに考えております。この点について行管庁と法務省の見解をお伺いします。
  256. 辻敬一

    辻政府委員 労働基準監督官分限審議会の問題につきましては、ただいま労働省からお答え申し上げたとおりでございまして、私どもの考えは常設の審議会としては必ずしも必要ないので、これを整理して事案が生じた場合にその都度設置する。しかし、設置の根拠は労働基準法の規定、九十九条第四項でございますか、それを現状のまま存続するわけでございますし、またこの分限審議会の委員の選任手続等もあらかじめ規定するということにするつもりでございますので、現在の労働基準監督官の身分の保障機能と申しますものは後退するものではないというふうに考えているわけでございます。
  257. 松井達郎

    ○松井説明員 いまの行管局長の答弁のとおりでございますが、若干補足させていただきますと、御存じのとおり、労働基準監督官分限審議会は中央労働基準審議会の委員、政、労、公益各一名、それから監督官、それから一般職員の代表で構成することにされておるわけでございまして、この構成は全く変わりがない。これは現在政令で規定されているわけでございまして、この政令はそのまま存続することとし、また実際にその構成につきましては、事前に候補者のリストをあらかじめ定めておくというようなことをやりまして、その身分保障をそういう面でも裏打ちして、実際上の後退がないようにいたしたいと私ども考えておるところでございます。
  258. 土肥孝治

    ○土肥説明員 先生の御質問でございますが、法務省の所管事項には直接関係がございませんので、よろしくお願いいたします。
  259. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 行政組織法第八条の立法趣旨という問題ですけれども関係ないのですか。
  260. 辻敬一

    辻政府委員 国家行政組織法第八条との関係についての御質疑かと存じますが、第一項に「法律の定めるところにより、」置くと書いてございますけれども、これは必ずしも何々審議会を設置するという形の積極的規定に限定されるものではないのではないか。設置の根拠が法律に規定されておれば足りるのではないかと存じます。先ほど申し上げましたように、労働基準法第九十九条第四項がそういう意味の設置の根拠であると解釈いたしております。
  261. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 行政組織法の第八条という重みをやはり考えなければいけないということを言っているわけです。  時間がありませんので、次に、国民金融公庫の民主的な運営のために設けられております国民金融審議会ですけれども、これもやはり民主的に改組、強化するという必要があると考えます。また一方、これを廃止しなければならないという合理的な理由は何もないと思うわけです。これに要する経費は年間やはり数百万円程度であって、これだけの経費で国民金融公庫の民主的な運営を確保することができるならば、これは国民にとっても安上がりなものであるわけです。本改正部分についても私は削除すべきだという考えを持っておりますけれども、行管と大蔵省意見をお伺いします。
  262. 藤田恒郎

    ○藤田説明員 大蔵省の方からお答え申し上げます。  国民金融審議会は、御承知のように国民金融公庫が昭和二十四年に庶民金融公庫から新たに国民大衆に対しまして事業資金を供給するという任務を持った金融公庫として改組設立されましたときに設けられたものでございます。その後、金融公庫といたしましては住宅金融公庫、中小企業金融公庫その他もろもろの公庫が設立されておるわけでございますけれども、これらの公庫につきましては、かかる審議会は設けられておりません。こういう趣旨から、なぜ国民金融公庫に審議会が設けられておるのかということにつきまして、われわれといたしましては、国民金融公庫が新たに国民大衆に対して事業資金を供給するという新しい仕事を始めた、そういう仕事を一体どういうふうに持っていくのか、それについて借入者である国民大衆の意向を十分反映するような運営に努めるように、こういう趣旨であったのではないかと理解しておるわけでございます。  その後、国民金融公庫発足以来三十年を経過しておるわけでございますが、今回行管の方から審議会に関します整理統合を抜本的に行いたいという提案がございまして、われわれもこの問題につきまして慎重に検討いたしました。  ただ、国民金融公庫は、三十年の業務経験いたしまして、零細な中小企業に対して事業資金を供給するという業務の方法がすでに確立されてきておるわけでございます。改組当初の、どういう方向にどういう仕事をするのかという時代からすでに安定した地位を確保しているのではないかというふうに考えて、したがいまして、すでに設立当初のいろいろと困難期は脱してきておるのではないかというふうに考えるわけでございます。さらにまた、公庫自身も全国に百三十以上に及ぶ支店を持っておりまして、そこで国民の利用者の方方と密接な連絡を保ちながら、その意見を十分反映できるような組織にすでに成長しておるということは言えるのではないかと思います。  また行政サイドにつきましても、中小企業庁が設立され、中小企業金融の全般にわたりましていろいろ意見を述べる、さらに関係各省といったサイドからも、それぞれ利用者の立場につきまして大蔵省に対して意見を述べられる機会をお持ちであるわけでございます。さらにまた、これは当然のことでございますけれども、公庫の運営その他につきましては、予算とともに国会へ御提出申し上げまして、国会でも十分御審議願っておる、こういうことになっております。  したがいまして、われわれとしては現状では、本金融審議会が仮に廃止されましても国民の利用者、零細な小規模事業者の意向を反映した業務運営というのは十分可能なのではないか、こういうふうに考えまして、私どもといたしましては、国民金融審議会の廃止はやむを得ないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  263. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 それからもう一つ、旧軍港市国有財産処理審議会、これを関東財務局に移管することについても問題があると考えております。地方に移管するならば、関係各財務局に置くべきであって、関東財務局に置いて関係各財務局長の諮問に答えるというようなやり方は、これは変則的なやり方であって、こういうことはやるべきじゃないというように考えます。各財務局に置けないならば、これまでどおり中央に置いて、関係財務局長の諮問に答えるような方式にすべきであると思います。本改定は経費の節減対策という点では何らメリットもないわけで、関東財務局に移管する必要は全くないと考えますけれども、この点について、大蔵省と行政管理庁の意見をお伺いします。
  264. 松岡宏

    ○松岡説明員 旧軍港市国有財産処理審議会でございますが、これは旧軍港市転換法に基づき旧軍港市に所在する旧軍用財産の処理について調査審議する審議会でございまして、今回これを、旧軍港市の実情をより的確に把握できる財務局に移管することとしたものでございます。  これによりまして、旧軍港市に所在する旧軍用財産の処理について、従来大蔵本省、財務局、出張所の三つの段階で審査いたしておりましたものを、財務局及び出張所の二段階で審査することになりまして、処理の迅速化あるいは行政の簡素化が図られることになるわけでございます。  ただいま先生から御指摘のありました、財務局に移管するのであれば、旧軍港四市それぞれを管轄する四つの財務局に設けてはどうか、こういう点でございますけれども、行政簡素化の一環といたしまして、大蔵本省に設けられた審議一つを財務局に移管した結果、審議会が四つできるということでは、これは簡素化の趣旨に逆行することにもなりかねませんので、このところは、財務局に移管しつつ、その中で関東財務局に設ける、その設けられました審議会に、関東財務局長を初め関係の財務局長がそれぞれ諮問をして適切な処理を図ってまいる、こういう方針にお願いしたわけでございます。
  265. 辻敬一

    辻政府委員 旧軍港市国有財産処理審議会を関東財務局に移管いたします理由につきましては、ただいま大蔵省から御説明申し上げたとおりでございまして、要するにこの国有財産の処理という仕事が現地的な事務でございますので、むしろ財務局に移管する方が適当ではないかと考えたわけでございます。  それから四つ設けたらどうかという御指摘もございましたけれども、これは先ほど大蔵省から申し上げましたように、それでは行政簡素化にならないということもございますし、また審議事項に関しまして、関係四市相互間のバランスをとるという点から見ましても、関東財務局に一つ置いた方が適当ではないか、またそういう例はほかにもございますので、そういうことを勘案いたしまして、今回の措置をとることにしたわけでございます。
  266. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 先ほどの車の問題に戻りますが、今度は運輸省の方に伺いますけれども、さびつき、穴あき欠陥の問題がたくさん出てきておりまして、これは保安基準上も問題になるものが少なくないので、車の安全性という観点から、実態調査や立入検査をするように、私いままでも要望してきたのですけれども運輸省として、調査や立入検査をしたかどうか、お伺いします。
  267. 犬丸令門

    ○犬丸(令)政府委員 自動車のさびの問題でございますが、一般的には商品性の問題であると考えますが、強度及び機能に関する部分であって、安全に関係してまいりますものについては、運輸省としても十分調査し、対策を立てていかなければならないと考えております。  質問主意書等でいろいろ御指摘をいただいた点につきまして、私どもも自動車の強度、機能に関係する部分については現在調査をいたしておるところでございますが、現時点において設計、製作上に起因するために、それが安全上に問題が生じた、したがってリコールに相当する、そういったようなケースは見当たっておりません。  しかしながら、今後なおこの問題については継続して調査を進めてまいりまして、問題が生ずる、もしくはそのおそれがある場合におきましては、必要な処置を講じてまいりたいと考えております。
  268. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 ここに運輸省自動車局が監修いたしました「保安基準詳解」というのがあるわけですけれども、その十八条の第一項には「自動車の車わく及び車体は、左の基準に適合しなければならない。」ということで、第一号に「車わく及び車体は、堅ろうで運行に十分耐えるものであること。」というのがあって、「解説」の方を見ますと、「第一項第一号は、車わく及び車体が十分な強度、剛性を有しなければならないことを規定したものである。」というように書いてあるわけです。ウインドー回りがさびついて、至るところに穴があくというようなものは保安基準違反の疑いが出てくると考えますけれども、いかがですか。
  269. 犬丸令門

    ○犬丸(令)政府委員 車枠及び車体は、堅牢で運行に十分耐えるものであること、そのとおりでございます。しかしながら、製作時点からその使用に耐えなくなるまで、十年前後になると思いますが、すべての部分が果たしてそういったような長期間十分に耐えられるかどうかという点については、これは必ずしもその設計、製作段階からそういったようなことが保証できるという性質のものではないのであって、必要に応じ点検整備によってこういった状態を保つ必要があると考えておるところでございます。そのために、定期点検を実施し、もしくは車検を契機として安全性のチェックをいたしておるところでございます。  ところで、ただいまの窓ガラスの取りつけ方式についてのウエザーストリップ方式とそれから接着方式についての相違につきましては、接着方式はもともと車体への取りつけ強度を強くするという観点からとられた方式でございます。そういった意味において、安全上の問題はないものと考えております。  なお、さびが出てまいるという点につきましては、そのさびが原因でガラスの取りつけ強度が弱くなりて、そして外れるといったような事態に至ります状態というものは、これは通常考えられないことでございまして、それ以前に点検修理が行われるべき性質のものと考えております。
  270. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 写真を見ていただきながら具体的に質問したいと思います。  実例を持ってきたのですが、その写真の中の一、二、三を見ていただきたいと思います。これはユーザーユニオンの協力を得て調査したものの一部ですけれども、それは昭和四十九年三月登録、走行二万七千五百キロのバイオレット710であるわけですが、この程度のさびつきは保安基準違反の疑いは出てこないか。この一、二、三で見てください。
  271. 犬丸令門

    ○犬丸(令)政府委員 写真を拝見いたしますと、確かに周りがある程度さびておる点はうかがえるのでございます。しかしながら、これが安全上窓ガラスの取りつけ強度にどれだけの影響度があるかという点については、さらに具体的に試験等を行ってみなければならないと考えますし、またこういったような状態が発生いたしましたら、やはり車の手入れと申しますか、整備を行うのが通常の考え方であろうというふうに考えます
  272. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 それでは写真の四、五を見てもらいたいのですが、これもバイオレットです。そこで、あちこちにぶつぶつ穴があいて、このままほうっておくと穴と穴がつながって、ウインドーがちょっとした衝撃で飛び出すおそれがきわめて大きい状態だと思うのです。これを見ますと、保安基準違反の疑いがあると思うのですが、どういうふうに考えられるのか。これぐらいになりますと、雨漏りがして雨の日には使い物にならない。街角でよくガムテープを張りつけて雨漏りを防いでいる乗用車を見かけるのですけれども、雨漏りは防げても衝突時の車内からの飛び出しを防ぐことはむずかしい。そういう意味で、安全基準上問題があると思うのですが、いかがですか。
  273. 犬丸令門

    ○犬丸(令)政府委員 四、五の写真を見せていただきますと、非常に腐食が激しいようで、穴があいております。恐らくこの車を私どもの自動車検査場へ持ってまいりましたら車検は通らないと考えます。しかしながら、自動車の安全の確保という点につきましては、自動車使用者に第一義的にその保守の義務があるわけでございます。したがいまして、こういったような状態になる前に整備がなされるべきであると考えます。
  274. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 では続いて、八を見てもらいたいのですが、まさにウインドーがぽろりと落ちるような状態になっております。穴と穴がつながって、ウインドー回りが線状に穴があいて、ウインドーが落ちるのはもう時間の問題だ。こうなりますと、私は、やはり保安基準違反だ、これが違反でないと言うなら保安基準は変える必要があるということになると思うのです。  実は最初の一、二、三と四、五の写真、これは同じ車であるわけです。もう二枚の写真の六、七を見ていただきたいのですが、これは八と同じもので、四十八年の五月に登録した走行三万八千キロのクラウンハードトップMS70型であります。これでもわかりますように、外見は普通に見えても、モールを外すとこんなありさまであるわけです。こうした保安基準違反、またはそのおそれのあるものが実際は町にはごろごろしているという状況であるわけです。ユーザーユニオンの協力を得て推定をしたところでは、年一〇%の廃車率を見込んだとしても対象車は百二十五万台以上、修理代を一台四、五万円と安く見積もっても被害額は五百億円を下回らないというような重大な欠陥問題であるわけです。  手元の写真のクリップを見ていただきたいのですけれども、穴があいているのはクリップの取りつけ部分であるわけです。私が主張しておりますように、静電気がこの両者の間でスパークし、塗膜を破ってそこからさびつきが始まるのであって、さびつきや穴あき欠陥と接着ウインドー方式との因果関係はこの写真を見ても明らかであると思うわけです。運輸省は、その点を含めてどう考えていらっしゃるか、お伺いします。
  275. 犬丸令門

    ○犬丸(令)政府委員 最後の八の写真は相当に腐食が激しいものと考えております。モールの有無によってこういったようなさびの実態が発見できるかどうかという問題につきましては、十分私どもも検討いたしたいと思います。またこの車がどういう状況で使われたものかという点についても、私どもとしても今後十分調査検討を進めてまいりたいと考えております。
  276. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 じゃ今度は経企庁に伺いますが、国民生活センター昭和四十六年以降受け付けた車の相談件数と、そのうちのさびつき、穴あきに関する相談件数及びその処理状況説明願いたいと思います。
  277. 吉村彰

    ○吉村説明員 お答えいたします。  国民生活センターに対して寄せられました自動車に関する相談の件数は、昭和四十八年から増加しておりまして、毎年約百件前後でございます。  そのうちさびについての相談を受け、国民生活センターがこれを処理しました件数昭和四十六、七両年度についてはございませんが、四十八年度は一件、それから四十九年度は二件、五十年度が四件、五十一年度が十八件、五十二年度は三件の合計二十八件でございます。  それからこの二十八件の処理結果につきましては、無償で修理されたものが十四件、それから修理費の折半あるいは値引きをされたものが四件、原因がどうも確定できなくて補償等がなかったものが五件、さらにメーカーの説明を相談した人が了承し納得したもの、またそれを取り下げたものが合計四件、その他が一件の合計二十八件でございます。
  278. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 いまの無償修理十四件というのは、これはメーカーが責任をとったというように理解してよろしいのでしょうか。
  279. 吉村彰

    ○吉村説明員 お答えいたします。  私どもの方でその責任を負ってという点については何ともお答えできませんが、結果といたしまして無償で修理した、相談者とメーカーなりディーラーなりとの間に国民生活センターが入りまして無償で処理したというふうな結果の報告を受けてございます。
  280. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 メーカーの相談件数の半数に当たるクレームについて結局無償で修理をした。これは、その点については責任をとったというように考えるのが常識であると思うのです。ということは、設計上、構造上欠陥があることをメーカーは間接的には認めているというようになると思うのですけれども運輸省はどう思いますか。
  281. 犬丸令門

    ○犬丸(令)政府委員 自動車各部につきましては一定の保証期間がございます。したがいまして、その保証期間内のものについては、これは当然無償で整備をすると考えます。それ以外の場合につきましては、無償修理ということは、私どもといたしましては特別のそういった場合については考えられないと思います。
  282. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 保証期間という短い期間に無償で修理をするというのはまさにメーカーが、さびですからね、その欠陥を認めたのだ、これはだれが考えてもそう見るのが当然だと思うのです。  ところで、五十一年の五月にカナダのトロントの集団訴訟で百二十五億円のさびの補償を行いましたフォードでは二年間で一億ドル、いまの日本円にして二百二十億円以上の巨費をかけて研究を重ねまして新式の電着塗装システムを開発し、この一月から工場で生産開始をしております。GMも同じであるわけです。欧州でもポルシェやボルボは商品化しております。欧米の自動車先進国の防錆対策に比べ、わが国の国内向け車の防錆対策はお粗末きわまりないというように言わざるを得ないのです。こうした国際比較から見ても、国内向け接着ウインドー方式の車にさびつき、穴あき問題が起きるのは当然だと言えるわけです。この点から見ましても、不十分な防錆対策と接着ウインドー方式が結びついて、さびつき、穴あき問題を引き起こしていることは間違いないことであります。  運輸省としては、そういう意味で保安基準違反、またその疑いがあるものとして、直ちにメーカーなどに対する立入検査を行うとともに、公害安全研究所でさびつき、穴あき欠陥車に保安基準上の問題があるかどうかについての衝突テストを実施すべきであるというように考えます。     〔村田委員長代理退席、委員長着席〕  接着ウインドー方式は、さびついて穴があくという問題だけではないわけです。接着剤が塗装と一緒に剥離してフロントガラスの上が外れるという故障が、四十六年から五十一年に生産されたブルーバード610、約七十七万台あるわけですけれども、これを初め数車種にわたって起きております。トヨタでも、タクシーなどに使われておりますRS60、その他の車両で後方ウインドーの接着剤が外れるという故障が五十年ごろから多発しております。フロントウインドーやリアウインドーががたがた音を出して外れるというようなものは危険きわまりないわけです。追突されたときや追突したとき、運転手や乗客は車外にほうり出され、死亡事故にもつながりかねない。安全上もきわめて問題があるわけです。そういう意味で、日産の610さび対策では、さびつき、穴あき対策というだけではなくて、こうした欠陥対策もやはり並行して実施しているというように聞いております。  運輸省としては、こうした欠陥問題を含め本格的な調査をする、そういう意味でメーカーなどに立入検査をすべきである、いまの段階ではそれをやらなければいけないと思うのですけれども、この点はいかがですか。
  283. 犬丸令門

    ○犬丸(令)政府委員 自動車は耐久消費財でございまして、その寿命は平均約十年になるわけでございますが、この間におきまして正常なユーザーとしての点検整備が行われなければならない、それなくしては自動車の安全性の確保はできないものと考えます。  ところで、さびの問題でございますが、さびにつきましては、急に発生するというものではなくて、徐々に進行していくものである。ユーザーが通常の考え方で点検整備を行っていった場合にそういったことが発見できない、そしてそのために突如として安全に問題が出てくる、こういったような問題になりますと、これは非常に危険である、ユーザーが予測しない危険が出てくると考えられるわけでございます。私どもといたしましては、さびの問題は一般的には商品性の問題ではないかと考えますが、安全に関係する部分が出てまいるおそれのある部分もございますので、そういったものにつきましては、今後とも十分調査いたしまして、安全対策を講じてまいりたいと考えます。
  284. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 その写真にありますように、二万キロ台あるいは三万キロ台、それしか走ってないのにそういうさびが出てくる。それはそれだけではなくて、まだたくさんあるわけです。そういう意味では、結局防錆対策ということで認可が余りにも簡単になされているという問題があると思うわけです。そしてそれはユーザーに責任を負わすというようなことになれば、何万円という金がかかるわけで、ユーザーはひどい目に遭うわけです。そういう意味で、最初から、先ほど挙げましたようなアメリカや欧州の例、そうしたものも考えて、そうしたさびが生じないような、そういう基準でやっていかなくちゃならない。人命の問題にも関する問題ですから、その点は調査をするということでありますけれども運輸省としては、やはり人命の問題だということから調査をして、是正の措置を講じていただきたいと思うわけですが、その調査をいつごろまでにやるのか。これは私は前から言っておりますが、どうも通産省に聞いても運輸省に聞いても、その調査が本格的でないというように思うわけですけれども、いま言われました調査というものをいつごろまでにやられるのか、このことをお伺いします。
  285. 犬丸令門

    ○犬丸(令)政府委員 さびが通常考えられる以上に非常に速い速度でさびていくというケースが出てまいると思いますが、それは一つには保証期間の問題ではなかろうかと思います。そういった問題ではなくて、通常の点検整備、ユーザーの義務を果たしてなおかつ問題が出てくるという点につきましては、私ども安全上の問題として、従来もやってまいりましたが、今後とも十分監督を強化して、この問題を調査し、安全対策を十分にしてまいりたいと考えます。
  286. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 時間が参りましたので終わりますが、問題は、審議会、許認可、いずれの法律においても、まだたくさん残っているわけです。いずれ総理に対する質問という機会もあるそうでありますから、そのときに譲りまして、きょうは終わります。
  287. 始関伊平

    始関委員長 上田卓三君。
  288. 上田卓三

    ○上田委員 各省庁の方がたくさんお見えでございますので、以下関連質問をさせていただきますので、よろしくお願いしたい、このように思います。  まず、文化庁並びに警察庁の方に御質問申し上げますが、古書業界が警察の鑑札によって統制されていることを知って私自身慄然といたしておるところでありますが、古書店は、古物営業法の二条の規定によって、警察の許可を得て初めて開業できるということになっておるわけでありますが、業界ではこの許可証のことを鑑札と呼んでおるようでございます。わが国の文化と学問の発展あるいは普及に重要な役割りを果たしている古書籍業者が警察の鑑札のもとに統制されていることを、文化庁として本当に気持ちのよいものだと思っておるのかどうか。非常に私としては理解に苦しむわけでございまして、古本屋さんの仕入れ台帳を重要な武器に戦前の思想弾圧といいますか、あるいは言論統制が実行されていったことを振り返ってみれば、本当に私自身大きな問題を含んでおる、このように考えておるわけでございます。そういう点で文化庁の考え方をお聞かせ願いたい。  また、時間の関係もございますので、続けて申し上げますが、十数年前の古書籍の業者の運動によって、今日では古書を売る場合、身分証明書の提出と住所氏名の記入の必要性はなくなったというように聞いておるのですが、それが本当であるかどうか。品ぶれという名前で呼ばれておるようでございますが、このような封建時代に起源を持つところの言葉がいまも生きているというのも非常に珍しい法律だと言わざるを得ないわけでありまして、そういう点で過去一年間、古書籍業者に対して何件程度、いわゆる第二十条に言うところの品ぶれを発したのか、お聞かせをいただきたい。  それから次に、過去一年間、古書籍業者に対して何回の古物及び帳簿の検査、これは第二十三条でございますが、これを行ったのかということであります。  第三点には、過去一年間、第二十三条第三項に基づき、古書籍業者から何回、そしていかなる報告を求めたかということについて明確にお答えいただきたい、このように思います。
  289. 西川杏太郎

    ○西川説明員 お答え申し上げます。  古本屋につきまして文化庁で所管してはどうかという御質問についてでございますが、文化庁では、学術的あるいは価値の高い文化財について、これを国宝、重要文化財に指定し、保存を図るという立場から、文化財保護行政を行っておるわけでございます。古書籍についても、こうした基準によって文化財指定を行っております。  なお、古書の営業の一般につきましては、文化財保護の行政の対策とすることはむずかしいというふうに考えておりまして、これにつきましては警察庁等、所管の省庁がありますので、文化財保護の見地から必要な問題が起こりましたときに協力をいたしていきたいというふうに考えております。
  290. 柳館栄

    柳館説明員 お答え申し上げます。  先ほど身分証明書の提出と、それから台帳に対する住所、氏名の記入の問題についての御質問でございますけれども、御指摘のように、昭和三十年からずっと、先生のおっしゃるとおりの法律上の扱いをいたしております。  それから第二点でございますけれども、品ぶれあるいは検査、立ち入り、さらには報告、このいずれにつきましても統計上の数字把握はいたしておらないわけでございます。これは何も古物に限りませんで、いろいろな場合にこういう点についての統計をとらないということが多うございまして、書籍の場合につきましてもとっておらないわけでございます。  ただ、私ども推定しておりますには、品ぶれにしましても、報告にしましても、検査あるいは立ち入りにいたしましても、古い書籍につきましては非常に少ないだろうというぐあいに推定いたしております。
  291. 上田卓三

    ○上田委員 統計上調査していない、こういうことですが、あるいはまた、古い書物については調査をしていないのではないか、少ないのではないか、こういうような話です。少ないと言うよりも、もう皆無に近いのじゃないですか。実際こういう法律がありながら、いま言いましたように二十条の品ぶれの問題とか、あるいは二十三条のいわゆる帳簿の調査といいますか、そういうものが現実になされていないということは、もうこの法律自身が余り必要でない、こういうことにもなりかねないわけでございまして、特にそういう高価な物というか、そういうものについてはあるやに聞いておるわけでございますけれども、一般の、いわゆる俗に言うところの古書籍と言うのですか、そういうものについては、法律はあるが実際は運用されていないということのお答えであっただろう、私はこういうふうに思うわけであります。そういう点で、盗まれた書籍の売買の防止あるいは摘発といった目的にこの法律が実際運用されていないということが明らかであるならば、やはり古書籍の業界が警察権力の包括的統制下に置かれているということ自身、大きな問題がある、こういうふうに断定していいのではないか。特にいわゆる思想の自由とかあるいは言論の自由の上からも、また、文化財の保護育成の面からも重要であろう、私はこういうように思うわけであります。  そういう観点から言うならば、やはり古書籍の業界全体として、監督官庁は、警察庁じゃなしに文化庁でぜひともやってもらいたい、これは業界の強い要望でもある、このように考えておりますので、そういう点で、文化庁も、先ほどわけのわからぬ答弁をされたわけでございますが、現実に警察庁の方から、法があるにもかかわらず、実際品ぶれ自身発していないというような問題も、あるいは本当に帳簿の検査というのが、これはいわゆる捜査令状がないのに見るということ自身に、もともとここに大きな問題があるわけでありまして、そういう点からも、帳簿の検査自身も、法がありながら余り実行されていないと言うならば、そうすべきだ、私はこのように思いますので、警察においてもそのことを篤と理解してもらいたいし、とりわけ文化庁において、やはり古書業界がそういう嘆かわしい状況にあるということにかんがみて、この点についてはひとつ積極的に警察庁とも相談されて、業界の要望に沿うような、本当に近代的な関係をそういう監督官庁のもとに置いてもらいたい、このように思いますので、再度、くどいようでございますが、文化庁の方の答弁をお願いしたいと思います。
  292. 西川杏太郎

    ○西川説明員 お答え申し上げます。  古い書籍の中には、わが国の歴史や文化の内容を具体的に伝えた非常に貴重なものがございます。文化庁では、その中で重要なものを国宝、重要文化財に指定し、かつ保存をするということを保護法に基づいて行っておりまして、こうした古書業界に対して、その点からの必要な事項について協力をさせていただきたいというふうに考えます。
  293. 上田卓三

    ○上田委員 警察の方、それではひとつ……。
  294. 柳館栄

    柳館説明員 お答え申し上げます。  古物営業法といいますのは、御承知のとおり贓物の流れを阻止し、またその発見に努めて被害の回復を図る、そのことを通じて犯罪の予防に寄与していくというのが古物営業法の趣旨でございます。私どもがタッチいたしますのは、そういう犯罪の予防に寄与するという観点から、こういう古物営業者にタッチするのでございまして、その観点以外からは、一切の関与をいたしておらないわけでございます。したがいまして、ほかの観点から積極的な助長が必要であるとか、あるいは別な行政目的の観点から監督が必要だということであれば、それはそういう観点からの規制を担当する省庁において、御立法なり何なりなさっても私どもとしては別に差し支えないことだと考えておるわけでございます。  また、現在書籍につきましては、その特殊性にかんがみまして、ほかの古物と違いまして、買い入れるときにだけ身分を確認していただくということにいたしておるわけでございます。そういう意味で、その程度の御協力を業者、業界の方々からいただけることは、そう無理を強いていることではないのじゃないだろうかという気もいたしておるわけでございます。全般といたしまして、図書を売る場合に身分証明書を出す、つまり業界側から言いますと、買うという場合でございますけれども、そのこと自体が警察の検挙その他とは一応無関係でも、かなり防犯的な効果を持っており、それがひいては日本全体の盗犯防止に役立っているのじゃないだろうか。それでも、業界の方方もそういう観点から大きな寄与をされておられるというぐあいに私どもは考えておる次第でございます。
  295. 上田卓三

    ○上田委員 古本を売る人は皆犯罪を犯している人じゃないわけで、本当にごくわずかなそういう犯罪を防止するという意味、それと同時に、やはり古書籍の方だって当然そういう防犯という立場で理解されていることも事実だと思うのですよ。だから、ぼくがいま言うているのは、そういう業界の監督官庁は警察じゃなしに、文化庁にしていいんじゃないですか。現実に現在ある法律自身が、この品ぶれとかあるいは捜査令状なしに検査するというのは、本当に私は中身のあるようなそういう二十三条自身も余りなされていない。警察の方がそういうことを非常に少ないということを、特に高価な部分は別ですけれども、安いものですね。安いと一般的に庶民が利用しているそういう部分については、全くあなたの方としては統計上もあらわさないぐらいに、実際現実にも調べていないわけですね。統計としてあらわしてないだけでなしに、調べていないからあらわれてこないわけでありますから、そういう点で、私はこの時点で文化庁に変えるべきだ、こういうように思っているわけです。そういう点で、今後私も委員会なりあるいは別途の機会でこの問題を追及していきたい、このように思いますので、ぜひともひとつ善処していただきたい、このように思います。  次に、厚生省の方にお聞かせいただきますが、四月の十九日にわが党の金子みつ議員が看護条約の批准を求める質問をなされたわけでございますが、私も日本社会党のILO看護条約批准促進の事務局長もさしていただいておるという関係で、関連して質問したいと思うわけです。  去年の一九七七年の六月の二十一日、第六十三回のILOの総会で採択をされましたところの看護職員の雇用及び労働・生活条件に関する条約は、条約前文で述べておるとおりに、効果的な保健業務を行うための障害であるところの看護有資格者の不足解消と医療サービスを支える看護職員の雇用、労働・生活条件の向上に果たす役割りは画期的だ、このように言われておるわけであります。このことは、とりもなおさず勤労国民の高まる医療ニーズにこたえるものでありまして、そういう意味で国連、ILO憲章を遵守することを国是とするわが国の立場からして、政府はILO看護条約・勧告の意義を理解し、賛成することは当然のことだろう、このように思うわけであります。特にILO憲章の第十九条で、一年以内に権限ある機関に提出する、このようになっておるわけでありまして、外務省は今国会に提出すべく努力している、このように金子みつ先生質問に答えておられるわけでありますが、そのことにいささかも変わりがないのか、その見通しが必ず立つのか、そういう点についてお聞かせいただきたいと思います。
  296. 佐分利輝彦

    ○佐分利政府委員 御質問のような条約・勧告が採択されました場合には、一年以内に国会意見を付して報告をしなければなりません。したがって、今回はこの通常国会の会期内にそのような報告をしなければならないという考えで、鋭意労働省、外務省と準備を進めているところでございます。
  297. 上田卓三

    ○上田委員 ことしの六月二十一日までにこれを国会報告し、そして批准をしなければならぬ、こういうことでいま各省とも折衝中だということでございますが、特に問題点があるのかないのか、あればどういう点が問題になっておるのかということで、そういうことが本当に前向きで煮詰まっておるのかということ、それから、特に勧告に基づいて必要看護職員数の概算を試算すると何名になるのか。試算資料をぜひとも提出していただきたい、このように思います。
  298. 佐分利輝彦

    ○佐分利政府委員 まず、あの条約・勧告の問題点でございますけれども、看護の政策を立案するときには労使双方と協議することということになっておりますけれども、たとえば日本看護協会は労働団体ではございません。一体、どこが代表になるのかという問題がございます。また使用者側も、日本病院協会とかあるいは日本医師会がそれに該当しないであろう。一体どこになるのであろうか、そういうふうな問題がございます。  また具体的な事項といたしましては、後の御質問に絡んでまいりますけれども、週休をできるだけ早く引き続く四十八時間とする、少なくとも三十六時間、できるだけ早く四十八時間にするということを申しております。これはやはり看護婦の需給計画の練り直しをしなければならないわけでございます。それから一日労働時間を八時間以内とするということでございますが、御案内のように労働基準法では特例がございまして、医療保健業につきましては、他の一部の産業と同じように九時間まで延長することができることになっております。そういうふうな問題がございます。また最後に、年休を四週間以上にするという内容がございますが、これが日本の従来の慣行等から見てかなりの無理がございます。  このような問題点があるわけでございまして、医務局といたしましては、あの条約・勧告をいただきましてから仮訳文をつくりまして、早速プロジェクトチームを編成いたしまして問題点整理検討を始めました。もう最終段階になっております。しかしながら、この条約・勧告は、やはり看護職員の政策とか教育、職務、労働条件、社会保障等の改善を図って良質の看護職員を多数確保して、国民の保健医療サービスの向上に資しようという趣旨のものでございますから、意義のあるものであるという考え方に立って、前向きの姿勢で取り組んでおります。  なお、第二の御質問の、現在労働時間を四十時間にしたら一体何人看護婦が不足するのかという御質問でございますけれども、看護の業務というのは、有資格の看護婦だけでなく無資格の看護助手の質とか量というものも非常に関係をしてまいります。したがって、そういうことも総体的に考えなければならないのでございますけれども、有資格の看護婦で採りました場合も、現在国公立の病院ではすでに週四十四時間になっておりますけれども民間の一部に四十四時間を超えるものがあるようでございます。その実態が余りはっきりいたしません。したがって、就業看護婦のはっきりしております五十一年末の数で推計をいたしますと、ミニマム二万六千人、マキシマム五万三千人の看護婦が必要になると考えられます。
  299. 上田卓三

    ○上田委員 国際人権条約と言われるものが現在十八あるわけでありまして、その中の一つがこのILOの看護条約でございますが、そのほかに国際人権規約もございます。これも外務大臣等は今国会にぜひとも批准をしたいというふうにおっしゃっておられるわけですが、それがどうなるのかということでわれわれ非常に心配をいたしておりますので、ぜひとも今国会に看護条約についても政府報告、そして批准ということで最善の努力をしていただきたい、このように思うわけであります。  今日では人事院が妥当としたところのいわゆる二・八体制といいますか、二人以上月八日以内の夜勤ということでございますが、しかし、現実はこの二・八体制が守られていない、実施してないところがたくさんあるというような状況でありまして、そういう点で、政府は看護行政の原則というものを果たしてどこまで持っているのか、私は大きな原因はそこにあるのではないか、このように考えるわけであります。世界の看護に従事する人々の英知と先進的な看護行政の成果を条約化したところの看護条約の原則に立つということがぜひとも大事でありましょうし、いまお話しのように、小さく見積もっても二万六千、大きく見積もれば大体五万三千という看護婦が不足するということになってきておるわけであります。それ一つだけ見ても今日の看護婦さんの置かれた立場というものは、ナイチンゲールというような美名のもとに非常に劣悪な労働条件のもとに置かれておる。それがひいては患者さんに大きなしわ寄せになっているということは事実であろう、このように思うわけでございます。  そういう点で、やはり昭和五十四年度以降の看護婦の増員計画をぜひとも行うべきだ、このように思いますので、増員計画についてある程度お聞かせいただきたいと思うのですが、どうですか。
  300. 佐分利輝彦

    ○佐分利政府委員 御指摘のように、現在の第一次看護婦需給五カ年計画は四十九年度から五十三年度までの五カ年計画でございます。その目標は、二・八を主たる目標としたわけでございますが、その後、ただいま御指摘のようなILOの条約・勧告の問題もございますし、医学医術の進歩もございます。また、医療機関の数あるいは患者の数もふえております。そういったことをいろいろ勘案いたしまして、五十四年度を初年度とする第二次看護婦需給計画というものを現在検討中でございまして、先般は厚生省の社会保障長期計画懇談会の御答申を得て発足したわけでございますが、今回もその懇談会等の御意見を得て五十四年度から第二次計画に入りたいと考えております。
  301. 上田卓三

    ○上田委員 ぜひともこの第二次の増員計画を早急に立てていただきまして、二・八体制といいますか、看護条約の批准に伴う国内的な体制というものを早急に立てていただくようにお願いし、これらにつきましては別途提出をしていただきまして詰めたい、このように思うわけであります。  次に、一昨日の内閣委員会で附帯決議もなされ、本日の本会議でも可決、決定されたわけでございますけれども、いわゆる日赤の従軍看護婦の救済措置でございます。  いわゆる従軍看護婦は、ジュネーブ条約で非戦闘員であったが、最前線で兵とともに戦闘行為の中でとうとい青春を国の戦争政策で奪われたと言ってもいいだろうというふうに思うわけであります。彼女らは、戦争への疑問を抱かせない徹底した軍国主義教育のもとに天皇陛下の御意という大義名分で従軍したわけでありまして、職業上いわゆる上級将校に対する手厚い援護とは対照的に、戦後三十三年間にわたる戦後処理の怠慢でいまもなお戦争の犠牲者として、老いと病と孤独に埋没し、本当に身寄りのない方々もたくさんおられるわけでございます。  そういう点で厚生省は、昭和五十四年度の概算要求に間に合うように救済措置を講じる、このように言っておられるわけでございますが、いかなる恩給支給の方法を考えているのか。四割にしぼっているということであるようでございますが、その具体的な中身と、それから結論をいつまでに出すのかということについて、明確なお答えをいただきたいと思います。
  302. 手塚康夫

    ○手塚説明員 ただいま先生、厚生省とおっしゃいましたが、実は現在この問題を検討しておりますのは、私どもの方がむしろ中心になっておりますので、私どもの方からお答えをさせていただきます。  先生もおっしゃいましたように、一昨日、さらには先週の十三日、再三この委員会でもこの問題に関して質疑が出まして、総務長官もかなり前向きな答弁をされていることはもう先生御承知だと思います。ただ、日赤の救護員の方々をいろいろ調査しますと、身分関係、任用関係、いろいろむずかしい問題がございます。恩給制度は、公務員に対しての制度という古くからの制限といいますか大きな枠がありまして、そういった制限のもとに一つの約束として行ってきたものでございます。したがって、これを戦後いまになって振り返って、戦時中の人々の苦労に対してそれをそのまま適用するということは、これはなかなか困難なことでございます。  ただ、先生もおっしゃったような実情も踏まえて、総務長官としては何らかの処遇措置を考えるべきだということで、われわれに対して命令もおりております。ただ、恩給を超える問題でございますので、総務長官の御答弁にもありましたように、総務副長官を長として総理府全体でこの問題に取り組んで検討している、さらには関係の厚生省の場をかりて協議などをいたしているということでございます。したがって、具体的な方策ということになりますと、現在まだお話しする段階にはございません。新聞では幾つかの案が出ていたようでございますが、いろいろな案を広く検討しているということでございます。ただ、めどという点につきましては、総務長官の御答弁にもありましたように、この次の概算要求にはのせるんだということでわれわれ命令を受けておりますので、そういう目途で現在作業を続けているところでございます。
  303. 上田卓三

    ○上田委員 私の勘違いで、厚生省でなしに総理府の恩給局でございますけれども、ぜひとも五十四年度の概算要求に間に合うようにひとつ善処をお願いしたい、このように思います。  日赤の実態調査では、調査対象一万三千名中戦地勤務実在職十二年以上が百から百五十名、抑留期間を含めて実在職十二年以上が約三百人にすぎないわけでございますが、政府が戦後三十三年間放置した責任といいますか、戦後処理に基づく国家保障の原則に立って恩給年金給付基準となる在職年の計算に、外地抑留期間はもちろんのこと、戦地勤務加算を認めると同時に、内地勤務期間を加算すべきだ、このように思うのですが、その点についてどのようにお考えでしょうか。
  304. 手塚康夫

    ○手塚説明員 実を申しますと、この点まだ実態等も必ずしも明らかになっておりません。ただいまの数字は、中間報告として日赤の方から私ども報告を受けておりますが、実際にその何名ぐらいが何年間どういうところで勤務したということにつきましては、現在日赤の方で調査中でございます。そう遠からずその調査結果も出ると聞いておりますので、その辺を含めて検討の素材にしていきたいというふうに考えておるわけでございます。ただ加算年とかなんとか問題になりますと、いわば恩給の手法をそのまま使うということになるかと思いますが、実は加算年制度自体、先進国の間で見てもむしろそういった制度がないところの方が多いくらいでございまして、むしろ実態に即してどういう処遇が適切かということをさらに検討していきたいというふうに考えております。
  305. 上田卓三

    ○上田委員 次に、厚生省の方に被爆二世の問題を中心に御質問を申し上げたい、このように思います。  三十七万人以上の原爆被爆者の健康と生活がいまなお著しく厳しい状態に置かれておることは御承知のことだと思うわけでありますが、六野党がこぞって提出しました被爆者援護法が、いまだに政府・自民党の一部による頑迷な抵抗によって成立していないということはまことに残念であり遺憾である、このように思うわけであります。  政府は、これまで戦争犠牲者に対する援護措置は軍人あるいは軍属、公務員等、いわゆる国との雇用関係にある者に限ってきたのではないか、つまり軍国主義国家への貢献度による身分と格差が基礎になってきたのではないか、このように思うわけであります。この考え方は再び戦争の肯定につながる考え方でありまして、根本的に考え方を改めなければならないのではないか、このように思っておるわけであります。特に一般戦災者との均衡を欠くという主張は、これまでのいわゆる職業軍人や特権的有資産者、たとえば在外資産の補償への徹底した優遇を考えに入れれば話は全く逆なのでありまして、国の戦争責任と国家補償という考え方に立って被爆者援護法の早期成立にぜひとも努力をしていただきたい、このように思うわけでございますが、援護法の制定について、まず基本的な考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  306. 松浦十四郎

    ○松浦(十)政府委員 現在野党提案の被爆者援護法というものが継続審査になっておることは十分よく承知しておるわけでございます。厚生省といたしましては、原爆医療法と原爆特別措置法によりまして——いわゆる被爆者というのは、普通の爆弾等とは違って放射能を浴びたという非常に特殊な健康状態に置かれている方々でございます。そういう意味合いから、原爆二法によりまして被爆者の特別な事情ということで対策を立ててまいってきているわけでございます。そういう面から、野党から御提案いただいております被爆者援護法につきまして、原爆二法を充実することによって、御提案いただいている中身のあるものについては同じような考え方で充実できることがあろうかと思いますが、しかし特に遺族に対する特別給付金というような問題につきましては、先生もおっしゃっておられましたように、いわゆる一般戦災者との均衡というようなことでございまして、現在原爆特別措置法につきまして社会労働委員会に提案して御審議をいただいている最中でございます。
  307. 上田卓三

    ○上田委員 これは全国民の願いでありまして、ただ単に被爆者だけの要求というように受けとめてはならないだろう、このように思いますので、ぜひとも援護法の早期制定に邁進していただきたい、このように思います。  次に、被爆二世の健康に対する不安といいますか、病弱あるいは生活難は全く被爆二世の責任ではないわけでありまして、被爆者自身も本人の責任ではないわけでありますけれども、いわんや二世はそうだろうと思います。これはすべて国のいわゆる侵略戦争遂行の結果として生じたものであり、被爆二世の差別の解消と対策の実施は国の責任だろう、このように考えるわけであります。このためにも実態調査は不可欠であろう、このように考えるわけであります。  当然実態調査に当たっては、調査そのものにより被爆二世に対する結婚とか就職差別が生じないように、最大の配慮と厳重な管理が必要であることは言うまでもない、このように思うわけであります。従来の部分的調査の場合の資料の管理が一体どうなっているかということも、私としては非常に関心が深いわけでございまして、そういう点での配慮がそういう意味ではぜひとも大事なことであろう、このように思うわけでありますが、そういう点についての調査と、それから調査結果についての管理の問題について考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  308. 松浦十四郎

    ○松浦(十)政府委員 まず第一に、先生のおっしゃられました被爆二世の健康問題でございます。現在までのところ広島、長崎にございます放射線医学研究所におきまして被爆二世の問題について研究をいたしております。  研究内容一つ昭和三十五年から被爆された方の二世の死亡がどうなっているかということを追跡調査いたしておりますが、これにつきましては、現在まで被爆の親から生まれたお子さん方については何ら差がないという結論でございます。  第二は、原爆の放射能の影響が通常医学的にあらわれます場合は、白血病に非常に鋭敏にあらわれてまいります。そういう意味で白血病の追跡をすることが非常に鋭敏な放射能影響をチェックするのに役立つわけでございます。そういう意味合いで、放射線影響研究所におきまして被爆二世の白血病とそうでない方の白血病というものの追跡調査昭和四十五年からいたしております。現在までの段階におきましては、白血病による調査におきましても、まず第一に数字の上でも差がない。第二にその病理学的な検査、それから白血病の型の検査ということをいたしましてもその間に特に変化はない、通常一般と同じである、こういうような結論でございます。しかし、いずれにしましても、さらに追跡をしなければいけないということで研究は続けておるわけでございます。  それから第三に、これは非常に最近新しく開発された研究でございますが、何らかのそういった後代への影響がありますと、生化学的に血液をとって検査をするということで非常に微細な影響が見出し得るのではないか。新しい研究が開発されまして、そういうことで昭和五十一年からそういった生化学的な研究もいたしておりますが、これはまだ研究の途上でございます。  総合いたしますと、少なくともいままでの研究では被爆二世には特にそういった健康上の影響に差があるということは出ておらないということでございます。  それから、そういうことで第二点の被爆二世についていろいろ生活調査などをしたらどうかということでございますが、実はこれはいま先生も御指摘になられましたように、大変微妙な問題がございます。結婚とか就職とかいうようなことに関しまして被爆二世はいろいろ不利益なことがあり得るということから、二世の方自体がそういうことを余り明らかにしないでほしいというような御要望も非常に強うございます。そういう意味からして、私どもは現時点におきまして二世の方につきまして生活調査を行うことはかえって問題が起こるのではないかということで、現時点においては生活調査については考えておらないわけでございます。  なお、これは当然のことでございますが、被爆者の方、本人の方に対しましてのそういった実態調査昭和四十年及び五十年にいたしております。そういうことから、被爆一世の方の生活状況等につきましては十分把握しているわけでございますが、そちらの方を把握しておりますことによって当然のことながら二世もある程度の類推はできるかと思いますが、非常に微妙な問題を含んでおりますので、少なくともこれは直ちに生活の調査をするということにはまいらないのではないかと考えております。
  309. 上田卓三

    ○上田委員 いまそのようなお答えをいただいたのですけれども、被爆二世の方から、生活実態について調査してもらいたい、こういう要望があって私自身も質問に立っておるわけでありまして、そういう実態を明らかにしてほしくないという方もあるかもわかりませんが、これは同和問題一つ見ましても、寝た子を起こすなという考え方があるが、それは間違いであるということで一定の法律のもとに進められていることは御承知のことだろうと思うわけであります。  いずれにいたしましても、被爆二世あるいは三世は遺伝的悪影響の不安あるいは結婚、就職時の厳しい差別に直面していると見ていいのではないか。そういう例もたくさんあるわけでございまして、やはり特に一般に比べて変わりがないのだ、こういうようなことを言われたわけですけれども、しかしそういう科学的な全国的な調査というものがぜひとも必要ではないか、このように思うわけであります。特に被爆者団体の調査といいますかあるいは地方自治体の調査では、頭痛とかあるいは目まい、鼻血などのえらく診断不明確疾病が多いということが言われておりまして、一般と比較しても病弱である、こういうふうに報告されておるわけでありますので、一般と変わりないのだというような形で——変わりなければ一番これ以上のいいことはないと思いますけれども、しかし一世もそうでございますけれども、二世、三世がそういう不安におののいている。また結婚とか就職とかいろいろな面で差別的な扱いを受けている、こういうことの話があるわけでありますから、いまの時点でそういうものは認められないということじゃなしに、そういう姿勢自身に不安を感じておるわけでありますから、そういう点で二世の生活とそれから健康状態についてぜひとも実態調査をすべきだ、私はこういうふうに強く要求したいわけでございます。  その点について明確に調査をして、対策をしなければならない部分はやはり医学的に対策をしなければならないだろうし、またそういう予断と偏見というのですか、そういう差別すること自身が間違いであるということになればなったで、そういう調査に基づいて国民に明らかにし、啓蒙していくべき問題ではないか、私はこのように考えております。放射能によるところの被爆の後遺症があれば差別されていいということを私は決して肯定するものではございませんが、科学的なそういう調査、分析が当然なされなければならぬという立場で私は申し上げておりますので、明確にお答えいただきたいと思います。
  310. 松浦十四郎

    ○松浦(十)政府委員 先ほど申し上げましたように、被爆者の影響につきましては、放射線医学研究所が非常に力を注いでやっておるところでございます。そういう意味で、爆弾が落ちてから現在すでに三十三年たっておるわけでございますが、それだけの資料ではいまだに証明することができないということは、相当希薄であろうというふうにむしろ考えられるわけでございます。そういう意味で、この鋭敏な検査を私どもさらに続けていくことは必要なことであると思いますので、当然それは行っていきたいと思います。  なお、先生のおっしゃいました二世の方々直接に生活云々ということは、先ほども申し上げましたように、確かに先生にそういうお訴えをなさる方もいらっしゃろうかと思いますが、別の方面ではそんなことをやらぬでくれという声もございますので、そこのところはまことにむずかしい兼ね合いでございます。そういう意味合いで、私どもこれは本当に微妙な問題として取り扱いたいと考えております。
  311. 上田卓三

    ○上田委員 そういう実態を明らかにせぬでおいてくれという意見があるということも私はわかります。それ自身、やはりそういう不安におののいている姿じゃないか。そういう方々自身もそれじゃそのことを全然心配していないのかと言うと、実は心配しているがためにはっきりしてほしくないということになって、あらわれているのじゃないか、私はこのように考えます。だから、賛成派も反対派もあるから厚生省は云々というのじゃなしに、もっとこの点について、だれがどう言おうと解明すべきものは解明をしていかなければならぬのだという立場で今後検討していただきたい。そのことを要望して、この点についてはさらに別途詰めて話をさしていただきたいと思います。せっかく各省の方が来られておりますので、次に移らせていただきたいと思います。  次に、きょう国鉄の方もお見えでございますので、移らしていただきますが、銀行とかあるいはジャパンレンタカーなど、大手資本が共同出資をして設立したところの日本自動車販売、略称ソックスと言うらしいのでございますが、中古車の大規模販売企業があるわけであります。国鉄は、この企業がフランチャイズシステムで全国百二十三カ所に営業拠点をつくる計画に参画して、国鉄の未利用地、遊休地を積極的にこの企業に貸して有効利用を図ろうとしておられるわけであります。関西では京都の二条駅構内、それから私の選挙区でございますけれども、大阪の東大阪市の鴻池新田駅構内などで具体的にこの計画が進んでおるようでございます。国鉄も赤字の折でございますので、当然未利用地の活用を考え、あるいは地元産業の発展に貢献するということについては私も賛成でございますけれども、特定の一企業と独占的にその権利関係を結ぶというのは、国鉄の公共的性格から言っても間違っているのではないかと私は思う。そういう意味で、このソックスとの関係をぜひとも再検討してもらいたい、このように思うのですが、どうでしょうか。
  312. 佐藤一成

    ○佐藤説明員 お答えいたします。  先生の御質問に入る前に、国鉄の未利用地の利用の基本的考え方について触れてみたいと思います。  国鉄の本来事業の用もしくは関連事業の用に供するというふうなかっこうで恒久利用に供するまでの間、相当程度の時日を要すると思われるものにつきましては、従来から自動車駐車場など暫定的な活用を図ってまいったところであります。昨今の厳しい国鉄財政事情にかんがみまして、みずからの経営努力をより一層強化しなければならないという観点に立ちまして、未利用地の暫定利用につきましても従来以上に促進を図りたいというかっこうで、現在国鉄は考えておるところであります。もちろん未利用地を使う場合に当たりましても、立地だとかあるいは面積というふうな、その土地の資質に合った業種を開発していかなければならないわけでありまして、現在はハウジングセンターだとかあるいは中古車販売センターあるいはスポーツ施設、テニスみたいなものですね、そういう余り大きな投資を伴わないで数年間で投下資本が回収できるというふうな業種を選びまして、暫定利用を進めておるところであります。昨年の四月に、大阪は片町駅の貨物跡地にハウジングセンターが開業しております。また東京の蒲田駅の貨物跡地におきましては、中古車販売センターが営業を開始いたしておりますが、それもそういう考え方に基づくものの一例であります。  そこで、いま先生質問になっております日本自動車販売、通称ソックスと言いますが、いま全国に百二十三カ所云々というお話がございましたけれども、これはまさに日本自動車販売株式会社が去年の秋に「ソックス123展開」というパンフレットを作成いたしました。その内容につきまして、いかにも国鉄がその百二十三カ所をオーケーした、コミットメントを与えたごとく受け取られまして、日本自動車販売に国鉄の未利用地を独占的に使用せしめるのではないかというふうな声が、中古車販売の業界内にあることも承知しております。  そのことについて御答弁申し上げたいわけでありまして、まず第一のコミットメントのことについてでございますが、全くそれはございません。国鉄といたしましては、このパンフレットをどういうふうに受けとめておるかと申しますと、日本自動車販売が単独で作成した単なる経営構想というふうに受けとめております。  第二番目の独占使用云々という話になりますが、したがいまして、コミットメントを与えていないわけでありますので、独占使用を日本自動車販売に与えようという考えは毛頭ないということを明確にお答え申し上げておきます。そのことは、むしろ国鉄の財産というものは国民の皆さん方からお預かりして運営しているものでございますので、門戸開放の原則は堅持してまいります。もちろんどなたにどうするかというのは、貸し付け相手の適格性については厳密な審査をいたしますけれども、基本的構えといたしましては、門戸開放の原則を今後とも堅持してまいりたい、かように考えております。
  313. 上田卓三

    ○上田委員 このことは、私の地元であります先ほど言いました東大阪市の鴻池新田付近で中古車業を営んでおる業者の方から切々と訴えられまして、聞いてみますと、この企業が駅構内の未利用地の借用を申し入れたところ、国鉄当局からソックスとの関係があるから、こう言って断られたというように言っておられるわけでございます。いまの答弁でそういう独占的なお考えがないということを断言せられたわけでありまして、そのことは非常にいいことだというように思っておるわけであります。  いずれにいたしましても、駅前の一等地に大資本の中古車業が進出してきた場合、中小の零細な中古車業者は太刀打ちできないことは当然のことだろう、こういうように思うわけであります。そういう点で、いずれにいたしましても、国鉄が国民、特に地元住民の理解を得て再建しようとするならば、やはり中古車業界全体とよく話し合いをし、あるいはしかるべき方々との十分なる話し合いが必要ではないか。特にそういう未利用地の利用については、地元の業者に窓口を開いて運用していくことが非常に大事だというように思いますので、そういう点で十分にひとつ御配慮をいただくことを要望して、この件については終わっておきたい、このように思います。  次に、文化庁の方にお聞きいたしますが、最近新聞でも大きく報道されたわけでございますけれども、私は大阪の中河内、南河内から出ておるのですが、特に古墳とかあるいは遺跡がたくさん埋蔵されておるということで、文化財の保護という意味で非常に住民の皆さん方が深い関心を持って、文化庁の方針に積極的に理解を示して協力していこう、こういうことでございます。ところがいま言いましたように、紀元五世紀ごろの修羅というそり状の運搬用具が発掘されたということが新聞にも出ておるわけでございますけれども、歴史的に重要なものでありまして、文化庁がこれに対して一〇〇%の予算でこの発掘をされるということで地元の人も喜んでおるわけであります。ところが一方で非常に地元民を苦しめるような実例がたくさん出ておるわけでございまして、その点についてお聞かせいただきたい、このように思うわけであります。  大阪府の藤井寺とかあるいは羽曳野、ここにはたくさん遺跡があるようでございますが、いわゆる指定地域が全市に及ぶというような状況でございまして、両市で十六万人ほどの人口でございます。歴史と文化のある非常に古い町でございますが、同時にまた非常に新興地でございまして、道路を一本つける、あるいは家を一軒建てるにしても、遺跡との関係、文化財との関係が非常に大きな問題になるわけでございまして、地元の方々から言うと、いままで指定地でなかったのに、家を建てようとすると、あるいは土地を売ろうとすると何か指定になっているんだということで、一体どういう基準に基づいてこういうものが指定されておるのか、一体どこでそういうことが決まっておるのか、何か現場の方のさじかげんというのですか、そのときの気分で地図を広げてきゅっきゅっとやっているような——実際そういうことはないと思うのですけれども、地元の方はそういうように理解されて仕方がない、こういうようにおっしゃるわけでございます。そういう点で、いずれにいたしましても、文化財を守るということであるならば、地元の人の協力がなければならぬわけで、その中で営業と生活というものを十分やはり保障していくということでなければ、なかなか協力を得られるものではない、このように思うわけであります。  そこで、たとえば工事をしようとしますと、着工の六十日前までにいわゆる文化財保護法の規定によって届け出をして調査を受けなければならない、こういうことのようでございますが、しかし実際は多くの方が口をそろえておっしゃっているのですけれども、届け出ても半年から一年たたないと調査をしてくれないんだ、こういうように言われるわけであります。あるいはさらに調査完了するまでまた半年かかるということで、本当に全くそういう工事といいますか、住宅の建設などの場合、計画が立たずに多大な物理的な損失を与えておるわけでございまして、こういうことが果たして許されていいのかどうか、そういう点で、調査をしてくれなければ自分で勝手にやってしまうというような形で、余り文化庁の言うことを聞いていたら損なんだというような形で、文化財は保護しなければならぬということはよくわかるけれども、しかしながら、背に腹はかえられないという形でそういう工事をした人に対しては、これに対してとめたりあるいは罰したりするようなことが実際法的にないようでありまして、そういう点、届け出なければならぬという、また調査を受けなければならぬということであって、実際そうしなかったらどうなるのかというような問題があるわけであります。  また同時に、やはりそういうことをいろいろ聞きますと、いやそんなもの勝手に建ててもらったら困る、そんなもの勝手に建てたらガスも水道も電気もとめてしまうというような形でおどかされて泣き寝入りしているという方もあるし、片っ方ではそうでないような方も出てきているということでございますので、そういう点で文化庁のこの件に対する明確なお答えというものをひとついただきたいと思うのです。
  314. 横瀬庄次

    ○横瀬説明員 先生が御指摘になりましたのは、いわゆる史跡という文部大臣が指定をいたしました部分と、それから周知の遺跡という部分とあろうかと思います。前の指定された史跡につきましては、これは官報で告示をいたしまして明確にその範囲を示してございますので、お話しのような混乱が起こるということはほとんどないと思っておりますが、周知の遺跡という方については、「周知」という言葉で定義されておりますので、実際には非常に不明確になっている場合があるわけでございます。これは各市町村に遺跡台帳とかあるいは遺跡地図というようなものを備えつけまして、そして調査をいたしていきます各段階において次第に明らかになってまいります遺跡の範囲というものを明確に示していくというようなことを進めておりまして、これは非常に遺跡の数が多うございますので、確かに御指摘の藤井寺あるいは羽曳野市におきましては、非常に古い土地柄でございまして多いわけでございますが、極力その地図とか台帳に示せるように努力をしておるところでございます。  文化財保護法の第五十七条の二という規定がございまして、そういう周知の遺跡におきまして土木工事を行おうとする場合には、その着手の六十日別までに文化庁長官に届け出なければならないということになっております。これは、届け出を受けた文化庁長官がその土木工事に関しまして保護上必要な指示をすることができるということで決まっておるわけでございますが、問題は、この六十日の期間を極力短くすることということもひとつ努力目標としてあるわけでございます。従来比較的これがおくれがちでございまして、いろいろ御迷惑をかけておりました。藤井寺あるいは羽曳野市の住民の方々からもいろいろ苦情を受けておりますので、これについて何とかしなければならないということで、この年度末におきまして記念物課という課でございますが、課を挙げましてこの届け出の処理について極力努力をいたしました。その結果、現在のところでは大体平均して四十日程度で処理できるようなところまで参っております。  それから発掘調査につきましては、これは結局発掘の体制を整えること、大阪府ないしは羽曳野市、藤井寺市というそういう市町村におきまして、発掘の専門職員を増員するということになろうかと思いますが、これは大変従来は不十分だと言われておりまして、非常にその必要に迫られてきているわけでございますが、いろいろ都道府県、市町村を指導いたしました結果、一応、昭和四十九年度五百人程度であったものが五十二年度には千二百人まで増加してきております。これは五十三年度は公共事業の促進ということもありまして、そういった機会にぜひ都道府県ないしは市町村を増員すべきだということを申しまして、強力に指導いたしました結果、従来よりはかなり大きなペースで増員が図られてきているように思っております。これは五十三年度の増員の統計でございますので、まだ完全に整備しておりませんけれども、中間的に集計してみたところでは五十二年度よりは相当大幅に増員が図られているようでございまして、大阪府あるいはその市町村におきましてもかなりの増員が図られるというふうに聞いておりますので、今後これを強力に指導いたしまして、そういったおくれのないように極力努力をしていくつもりでございます。
  315. 上田卓三

    ○上田委員 指定の仕方についても、地元では非常に恣意的にされているんじゃないのかというような考え方もありますし、人員が少ないから届け出をしてもなかなか調査に来てもらえないというような問題もあるかもわかりませんが、しかし何かこう俗な言葉で言うと、どなりに行ったら、もう来てくれんかったら勝手に建てるぞと言うたら、飛んできてくれる、おとなしい人はそうでないとか、あるいは何か裏で話しすればつくのかとか、あるいは悪質な職員がおるのではないかとか、いろいろ問題が出ておるわけでございまして、私は、そういう点で職員をふやすということも当然でありますが、とりわけこの藤井寺、羽曳野はそういう新興地もどんどんふえているということもありますし、非常に件数も多いわけでございますので、積極的にその地域全般にひとつ早く、全国的にもあるかもわかりませんけれども、できるだけ早く調査してもらいたい、このように思うのです。  しかしながら、いずれにいたしましても、いわゆる文化財は国の、あるいは国民の共通の財産であろう、このように私は思いますので、この発掘に必要な費用というのは、やはり国家による負担ということは当然であろう、このように思うわけであります。ところが実際、先ほども申し上げましたけれども、Tという人がおられるわけですけれども、七十坪の土地の発掘に二百数十万円要った。結局個人持ちになったということを訴えられておるわけでございまして、本当に私の聞き及んでいるだけでも、合計で二千万にも三千万にもなるんじゃないか、こういうふうにも思うわけでございます。そういう点で地元では、過去要った、個人に負担させられたものを返してもらおうじゃないか、当然国が負担すべきではないか、そういう強い意見もあり、訴訟にまで持っていこうというような動きもあるわけでございます。そういう点で、公費負担が原則であるということと同時に、個人負担のものに対してどうするのか、これを国の方で見ていただけるのかどうなのかということ、正直者がばかをみないような形で、明確にこの点についてお答えをいただきたいと思うのです。
  316. 横瀬庄次

    ○横瀬説明員 遺跡の上に住宅とか土木工事をするような場合に、その工事の届け出を受けるわけですが、その中で遺跡の現状の保存が困難なものにつきましては、その開発の実施の前に発掘調査を行いまして、記録保存というような措置をとらせていただいておるわけでございますが、この記録保存のための発掘調査の経費は、私どもとして、当初は開発事業者が原因者になりますので、いわゆる原因者負担ということを原則にしていたわけでございますが、それでは個人の方々等の負担が非常にかかってしまうということで、個々のケースによってさまざまに分かれてくることもあるわけでございますが、開発事業者に負担を求めることが不適当である場合には、地方公共団体がかわりまして国庫補助を受けまして発掘事業を行うことになっておるわけでございます。ですから、先生も御指摘のとおり、これは国庫補助事業として公営で行うというのがその基本になっているわけでございまして、そのために、私どもとしては、昭和五十三年度の予算につきましても、前年度より一億五千万ほどふやしまして十一億一千万の補助金を計上したわけでございます。  ただ、埋蔵文化財というのは掘ってみないとわからないという点がこれは性格上、あらかじめ十分調査をいたしましても、どうしても出てくるということがあるということと、それから年度初めにすべての事業がわかっていないという点がございまして、私どもとしては、予算の増額に極力努力しているつもりでございますが、現実にはその辺が円滑にいかないで、個々の市町村においては発掘調査の負担問題について個々に御相談をするというようなケースがあるわけでございます。私どもとしては、全体の額をふやすことに今後とも極力努力をいたしまして、個人の方々の負担とならないように努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  317. 上田卓三

    ○上田委員 過去の個人負担になった部分については、これは、どっちみち請求書が回ってくると思いますから、ぜひとも検討してもらいたい。あるいは地方自治体で負担すべき問題もあるかもわかりませんが、いずれにしても、いますぐ予算が出なくても、これからの部分として、とりあえず自分で立てかえてでもやっていいという方もあるわけでありますから、そういう点について誠意を持って応対をしていただきたい、このように思います。  また、いまはそうでなくとも、将来非常に希少価値があるというか、あるいは非常に重要なものとして発見される、そういうものもあると思うのです。それで、五十年も百年も耐用年数のあるりっぱなもの、たとえば地上五階とか十階とかいうものではなしに、あの辺都市部でありませんので、大きなビルというのも少ないわけでありまして、まあせいぜい二階建てくらいのものであれば、そんなに地下何十メートルも掘らなくてもいい。実際埋蔵されているのは相当下の方ではないか、その状況にもよると思うのですけれども、実情に即してやってほしいという意見もあるということで、ひとつ具体的な形で処理していただくように御要望申し上げておきたい、このように思います。  次に移ります。  現在、日本のいわゆるアマチュア無線局によるところの同好団体といいますか、そういう利用者というのはたくさんおられるわけでございますが、アマチュア無線局は三十万局を超えておる、このように聞いておるわけであります。世界有数の普及状態にあり、アメリカに次いで二番目ではないかとも言われておるようでございます。青少年の科学技術知識の啓発にとって不可欠な存在であろうと思います。  アマチュア無線家の悩みの一つとして、アマチュア用周波数帯、七メガヘルツ、いまのサイクルはそのようでございますけれども、中国のラジオが日常的に流れ込んできて非常に困っておるのだということを訴えられておるわけでございまして、この七メガヘルツ帯は、全世界の電波行政担当者の主管庁会議で割り当てられたものだ、このように聞いておるわけであります。しかし、中国がこの主管庁会議に参加していないところにこうした悩みの一つがあるのではなかろうか、このように思うわけであります。そういう点で、尖閣列島の問題等あり、日中平和友好条約の問題についていろいろ取りざたされておりますが、一刻も早く日中平和友好条約を結ばなければならぬ、こういうふうに思うわけであります。そういう機運の高まりつつある今日、外交ルートによって、両国間の公式の話し合いによって円満に解決することが必要ではないか、このように思うわけでありますが、この点について一体どのように考えておられるのか、明確にお答えいただきたいと思います。
  318. 森島展一

    ○森島説明員 お答えいたします。  七メガヘルツ帯のアマチュアバンド、すなわち七千キロヘルツから七千百キロヘルツでございますが、国際電気通信条約付属の無線通信規則の中にあります周波数帯分配表によりまして、世界的にアマチュア業務及びアマチュア衛星業務に分配されておるのであります。ところが、電波監視データによりますと、中国はこの周波数帯で四波ないし五波を使用して放送を行っております。郵政省といたしましては、昭和三十七年及び三十九年にこの七メガヘルツ帯の中国の放送によりますアマチュアへの混信につきまして、混信を排除してほしいという要請を行っております。  ところで、国際電気通信連合におきます中国の代表権が、昭和四十七年に交代が行われておりまして、この交代以前に取り決められました周波数帯分配表につきましては中国は拘束されないという主張をしていることもございまして、その後郵政省は、アマチュア周波数帯の混信問題についての中国主管庁との折衝を行っておりませんけれども、来年開催されることになっております世界無線通信主管庁会議におきまして、周波数帯分配表の改正ということが議題となっておりますので、ここにおきまして、中国も含めてこの問題を話し合うということになると思います。しかし、郵政省といたしましては、来年の主管庁会議以前におきましても、種々の機会をとらえまして中国と協議し、問題の解決に努力いたしたい、こういうように考えております。
  319. 上田卓三

    ○上田委員 ぜひとも中国と話し合っていただきまして、この悩みを解消していただきたい、このように思います。  次に、アマチュア無線局のもう一つの悩みは、警察局との混信であると思うわけであります。  極超短波帯のアマチュア局に割り当てられた周波数と警察局の周波数が接近して混信を起こしているということでありまして、車に積んだアマチュア局の発信電波がたまたま周囲を走るパトカーの無線に流れ込んで職務尋問に遭うというケースが起こっておるわけであります。あるいはアマチュア局の話していることが警察局に混入して、ある県の県内に流れたという話もあるそうでございます。警察のものがこちらと混信するということはないので、こちらのものが警察局に流れているということで、友達同士が遠く離れて話し合いをしていても、これもみんな警察にわかっているのじゃないかということで、安心して物も言えない。何も悪いことをしているわけじゃないのですけれども、何かせっかくの楽しみがそれによって半減してしまう、そういう点で本当に悩んでおられるわけでございます。  電波監理局あるいは警察は、こういう実情をどこまで把握しておるのか、周波数をずらすなり技術的改善を行う必要があるのではないか、こういうふうに考えるのですけれども、どうでしょう。
  320. 森島展一

    ○森島説明員 お答えいたします。  アマチュア無線と警察無線との超短波帯におきます混信については聞いております。このような混信はアマチュア無線の無線設備に起因することが多いわけでございますが、アマチュア無線と警察無線の周波数が接近していることによる場合もございます。  先生指摘のように、周波数を離すなり技術的改善を行うということが考えられますが、何分この周波数帯は非常にふくそうしておりまして、周波数による解決というのはすぐにできるというわけにまいりません。技術的解決につきましては、技術基準等の上では混信が起こらないように配慮してあるわけでございますが、多数のセットが使用されているということで、混信の事例が生ずることがあると考えられます。したがいまして、いま直ちにこのような事例が全く生じないようにすることはむずかしいわけでございますが、できるだけの努力はいたしたいと考えております。
  321. 上田卓三

    ○上田委員 技術的な問題もあろうと思いますけれども、ぜひとも解決を図っていただきたいと思うわけであります。  アマチュア無線は、社会教育効果の上でも大きな意義があるであろうと思います。機械いじりの好きな内向的な青少年が無線を始めて、見る見るうちに社交的になったというケースも多くあるようでございまして、無線を始めて人生観が変わったという中高年齢者もおられるわけであります。電波の前ではすべての人が本当に平等、対等で、相手局に何々さんと呼びかけておるわけでありまして、条件がよければ外国との交信も可能であろうと思います。  ところが、公民館等の公共施設を利用して放送しようとすると、個人の趣味には貸さないというケースが多いわけでございます。そのくせ、災害時にはこれを利用する、活用するということがあるようでございます。お茶とかお花では貸すけれども、アマチュア無線にも一室提供すれば多くの方に喜んでいただけるわけでございまして、お茶、お花も結局個人的趣味と、それは言おうと思ったら言えるのではないかと思うわけであります。そういう点で公民館に設置できるように文部省で配慮をしていただきたいと思います。  特に無線機はワンセットで、アンテナ込みで二十万円前後であるというように聞いておるわけでございまして、そういう点で日本じゅうのすべての中学校のクラブ活動に無線機を補助するぐらいのことはできないことはない、このように思うわけであります。雪の北海道から暑い沖繩の中学校同士が交信するということは非常にほほ笑ましい限りでございまして、また全世界の各地と交信をするということも非常に教育的効果があると思うわけでありますが、そういう考え方で御指導いただけるかどうか、文部省の方からお聞かせいただきたいと思います。——文部省が来てないようであれですけれども、何かの間違いだと思いますので、これは別途私の方から文部省に聞きただしたい、このように思うわけです。  それでは、次に別の問題を質問させていただきます。  クリーニング業界の件で簡単に御質問申し上げたいわけですけれども、クリーニング業界は中小零細企業の事業者が圧倒的多数であるわけでございまして、中小企業業界の典型的なものであろうと言っても過言じゃないと思います。しかし、この業界にも大手資本が次々と進出して、大型ランドリー工場などを建てて、中小零細のクリーニング業者の生活を脅かしておる。一方、国や政府機関は、国公立の病院の寝具、国鉄の寝台車あるいは自衛隊員のクリーニングといった官公需要を、こういう中小企業に回すというのじゃなしに、日商岩井などの大商社に一括発注して、むしろ大商社のクリーニング進出を促進していると言ってもいいような状況があるわけでございまして、これは中小企業の分野法の精神に照らしてみても問題があるのではないか。少なくとも大企業進出の調整を積極的にやるとともに、やはり国が先頭に立って、こういう中小零細企業のクリーニング業界に官公需要を回すという立場で指導してもらいたいと思うわけであります。そういう発注の問題については当該の省に聞きたいと思いますけれども、とりわけクリーニング業界を御指導いただいております厚生省の方のこれに対する基本姿勢をお聞かせいただきたいと思います。
  322. 山中和

    ○山中政府委員 ただいま国立病院、国鉄、そういうところで一括発注をしているという御質問でございますが、各分野で調べないと詳しいことはわかりませんが、私の方で短時間に調査いたしましたところ、一般的にこういう大きな機関が一括して洗たくをあるところに委託しているという事実はちょっと見当たらなかったのであります。しかし、国鉄は、ちょっと聞きましたところ、リネンサプライ関係の六業者と契約しているという回答がございました。それから国立病院は、これは私どもの方でございますが、自家処理を原則としております。ただ、先生指摘のような、寝具の一部は地元業者に洗たくを委託しているという事実がございます。  厚生省といたしましては、御承知のように、こういう問題につきましては、従来、環境衛生業の適正化に関する法律というのがございましたが、先般御承知のように中小企業の分野調整法が施行されました。それで、これは大企業が中小企業と競合するような事業分野で、大企業の進出によりまして中小企業が非常に圧迫を受けるというような場合に、中小企業の団体が主務大臣に申し入れた場合に調査をし、調整を行う、そして中小企業の事業活動を適正に確保するという精神でございます。クリーニング業におきましても、厚生省といたしましては、この法律の適正な運用を行いまして、中小企業の援護を行うよう対処していく、こういう方針でおります。ちなみに、昭和五十三年度の予算案におきましては、各都道府県に環境衛生の営業組合の連合会がございます。そこへこの事業活動の調整員二名を全部張りつけるということで、予算案に計上してございまして、こういうことからも、この種の紛争あるいは中小企業の適正な活動あるいは中小企業の振興ということについては、今後も厚生省としては進めていきたいと思っております。
  323. 上田卓三

    ○上田委員 これも積極的にやっていただくということで、また別途進めたいと思います。  次に、通産省の方お見えだと思いますが、この一年間のいわゆる円高ドル安で、大手の石油会社は途方もない為替差益を得ておるわけでございまして、東亜燃料だけでも百四十五億円に達している模様であります。一方、店頭のガソリン価格は一年前に比較してほとんど変わっていない。全国平均のガソリンの小売価格は、五十二年の一月時点でリットル百十九円であったわけでありますが、五十三年の一月で百十四円、一年間に五円だけ下がっておるということのようでございます。今回の円高に際して、なぜ小売スタンドの価格が下がらないのかということで、これはもう、世界の七不思議の一つじゃございませんけれども、非常に消費者自身もよくわからない。新聞世論等でもこのことを大きく取り上げているようでありますけれども、ドライバーだけじゃなしに、ガソリンスタンドにも為替差益は入っていないということははっきり言えるのではないか、こういうように思うわけであります。  スタンドの業者は、リットル当たり大体九十円近くで仕入れて、百円から百十円で現在売っているわけでございまして、大阪では大体百五円が相場のようでございます。ところが、一部では商社を通じて八十円を切るようなガソリンが出回っているということで、ここに来て小売価格のばらつきが非常に顕著になっておるわけでありまして、この中で大手石油会社の系列スタンドは、いま非常に苦しいやりくりを余儀なくされているようでございます。ガソリンの元値といいますか、ナフサが二十六円、税金が四十五円三十銭で大体七十二円弱で、設備投資とかいろいろあろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても、私は、通産省としてメーカーに卸売価格を大幅に引き下げるように指導してもらいたい、このように考えるわけですが、この点について通産省のお答えをいただきたいと思います。
  324. 廣重博一

    廣重説明員 御説明申し上げます。  石油業界におきます円高差益の発生状況ないしは還元状況につきましては、ほかの委員会等でもいろいろお尋ねいただいておるわけでありますが、簡単に申し上げますと、大体五十二年度全体で業界に約八千億程度の為替メリットが発生している。それに対しまして、原油代の値上げ分で五千三百億ぐらい、それからあと備蓄、防災費等で千九百億ぐらい、それからそれ以外に製品価格の値下げがございますと、こういう形で御説明させていただいているわけでございまして、業界全体として、特に最近、ことしに入りましてからの価格動向、これは卸売価格、小売価格とも同様でございますが、相当値下がりしておりますので、そういった意味で、全体として見て、石油業界に発生している為替差益の還元状況というのは相当程度に進んでいるのではないかと考えておるところでございます。  ところで、先生指摘のガソリンスタンドにおける価格でございますが、これにつきましても、お尋ねにもございましたように、各地で実情はまちまちではございますが、おしなべて最近は相当程度の値下がりをしていることは事実でございます。ただ、競争の内容を見てみますと、特定の地区で非常に競争が激しい、こういったところがございまして、過当競争地区においては非常に値下がりを示しておりますが、全国的に見れば、小売関係の指数としまして統計的に出ているところでは、二月の時点で百十数円、こういった数字がレギュラーガソリンの店頭価格ではないかと思います。それから卸売価格につきましても、日銀の卸売物価統計等で見ますと、やはり金額的には、ガソリン税を除きました裸の価格でキロリットル当たり五万円を若干割るかといった、こういった数字ではないかというふうに推察しておるわけでございます。  いずれにいたしましても、最近の価格状況から見ますと、石油におきます為替メリットの還元ということは、消費者ないしはスタンド業界についてもそれなりに進んでおると思っております。ただ、過当競争地区等を中心としたところにおきましては、スタンド業界におけるマージン幅の確保、こういった点につきましては、御指摘のとおり非常に苦しい状態に立ち至っているところもあろうかと存じますが、これにつきましては、昨年の五月に施行に移されております、ガソリンスタンド業界を対象といたします揮発油販売業法というものがありますが、この適切な運用を通じまして、中小企業者が特に多いガソリンスタンド業界の経営の安定に努めてまいりたい、こういうことでございますので、今後そういった観点から十分な措置を講じてまいりたいと思っておるところでございます。
  325. 上田卓三

    ○上田委員 納得できる部分もありますし、なかなか納得できない多くの部分があるわけでありまして、いずれにいたしましても、消費者は、こういう構造不況の中で、とりわけガソリンが、円高の中で安く輸入されておりながら、また大きな会社が為替差益でもうけておきながら、それが消費者に還元されてないということで非常に不満を漏らしておりますので、そういう点で強力な業界指導をお願いしたい、このように思います。  次に、食糧庁の方がお見えでございますので、簡単でございますからお答えいただきたいと思います。  菓子工業の分野も同様に極端な中小零細企業の分野でございまして、全国で八万の業者がございますが、九九・六%が中小零細企業である。特に、一部の大メーカーが進出して非常に圧迫しているという問題かありまして、特にYという大手のパン会社は、京都に大規模な菓子工場を建設し、近畿一円に販売網を広げようといたしておるわけでございます。近畿一円の菓子工業組合に深刻な不安を投げかけておるわけでありまして、現在では、通産省の指導で調整中と聞くわけでございますが、その経過について御報告をいただきたいわけでございますけれども、いろいろ時間との関係もありますから、別途書面でもってあるいはそこの部分については口頭でお答えを持ってきていただいたらありがたいと思いますので、ここで詳しくは御説明いただかなくても結構でございますので、その点についてお聞かせいただきたいと思います。
  326. 始関伊平

    始関委員長 時間が参っておりますから、簡潔にひとつお願いいたします。
  327. 本田康二

    ○本田説明員 先生ただいまお話しの件でございますが、確かに菓子部門につきましては中小企業者が大部分であるということは、私ども承知しておるわけでございます。京都に新しい設備でございますが、これはカステラとパターラという製品でございますが、それにつきまして、ある大手企業が設備を集中化するということでございます。これは名古屋、大阪、広島の設備を廃棄いたしまして、京都で品質を統一したかっこうで集中的に生産するという計画で、事業を進めておるわけでございます。その件につきまして、昨年の九月に全国菓子工業組合連合会の近畿ブロックの幹事長から農林省の京都の農政局長に対しまして、その大手工場の当該製造部門の工事を中止するようにというような陳情があったことも農政局からの報告で聞いております。  いずれにいたしましても、こうした中小企業の問題につきましては、中小企業のいわゆる分野調整法と言われている法律によりましても、一条及び四条の規定のとおり分野調整問題については、双方が中小企業経営の安定と一般消費者の利益の保護に十分留意した上で自主的な解決をまず第一に図るんだということがうたわれておりまして、そういう観点から、農林省といたしましても双方から事情を聴取し、かつ、そのような点に十分に留意しつつ双方が話し合いをしてくださいということで指導しておるわけでございます。その結果、大企業側の譲歩等もございまして、最近に至りまして解決への方向が見出されてきているように私どもお話を伺っておるところでございます。
  328. 始関伊平

    始関委員長 上田君、時間が来ました。簡潔に願います。
  329. 上田卓三

    ○上田委員 労働省の方、せっかく来られていますので、御説明いただきたいと思います。  労働者の権利を擁護するためのいろいろな法律があるわけでございますけれども、その根幹をなすところの労働基準法が守られるかどうかは、そのほとんどが監督制度の運用にかかっていると言ってもいいのではないかと思います。ところが、労基法はその制定以来、一貫して労働省の行政通達によってなし崩しにされ、監督行政の機能はきわめて不十分かつ根本的欠陥を持っているのではないか、このように思うわけであります。  昭和二十三年五月の労基法施行以来、本格的監督体制がとられるのは、昭和二十五年三月の監督官執務規範の実施、六月の通牒であります「監督計画の樹立について」からである、このように思うわけであります。ところが実際にはこの体制確立と同時に、それを掘り崩す体制が始まったと言えると思うわけであります。つまり二十四年の行政整理によって監督官の一・八割、職員全体の三割がその対象になったわけでありまして、監督官定数が満たされていなかったために、監督官総数は百五十名増加したが、労災補償保険法施行もあわせて行う特別会計監督官が三百六十名増加したが肝心の労基法施行に専念するところの一般会計監督官は二百十名減少しておるわけであります。年々この傾向は強まって、五十二年では約半分になっておるようでございます。二十四年の行政整理そのものは、ドッジ・ラインによる至上命令であったとはいえ、GHQが監督行政のダウンを意図していたとは思えず、むしろ政府の基本姿勢、すなわちその後にもあらわれている一貫したいわゆる手抜き行政による労基行政の軽視がここに示されていると言わざるを得ない、このように思うわけであります。労働基準監督年報の監督業務実施統計年表によりますと、定期監督率は一九四九年の五〇・八%をピークに低下する一方でありまして、七五年では五・七%、平たく言えばせいぜい十七年から二十年に一回の割合でしかある事業所については監督がなされていない、こういうことになるわけでございまして、これで果たして労働基準が守れるのかどうか。まして年々技術革新が導入される職場で労働条件に変化を来している現在、この監督制度によって守られる労働基準は一体何なのかということでございます。  そこで、こうした監督官の減少、監督率の低下、手抜き行政に対する見解と、今後監督官の増員を初めとするところの労働基準監督行政の抜本的改善への努力を表明されたい、このように思います。
  330. 小粥義朗

    ○小粥説明員 労働基準法の適用につきましては、適用事業所が年々ふえているにもかかわらず監督官の数がそれほどふえないという点の問題がございますが、定員削減等厳しい中で、監督官の数は年々できるだけふやしていきたいというふうに努力をしてまいっております。しかし、適用事業所の数の増加あるいは安全衛生問題等、より複雑になってきている中で、なかなか手が回らないという点もございますので、個々の監督官が事業所を臨検監督する以外に、事業主による自主点検あるいは集団指導というような手法もあわせ行っておりますが、それも任せきりということになりますと、事業所任せということになってしまいますから、そうした点は監督官による個別の監督とうまく連携をとってやっていくということも今後必要になろうかと思っております。と同時に、現在労災防止指導員といったような制度もございますが、そうした制度も活用して、監督官を含め、さらに監督行政を充実させてまいりたいと考えております。
  331. 上田卓三

    ○上田委員 質問を終わります。
  332. 始関伊平

    始関委員長 次回は、来る二十五日火曜日午前十時理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時二十九分散会