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1978-05-11 第84回国会 衆議院 逓信委員会電波・放送に関する小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月十一日(木曜日)     午後二時十八分開議  出席小委員    小委員長 加藤常太郎君       伊藤宗一郎君    左藤  恵君       志賀  節君    阿部喜男君       鈴木  強君    野口 幸一君       田中 昭二君    小宮 武喜君       依田  実君  出席政府委員         郵政政務次官  宮崎 茂一君         郵政省電波監理         局長      平野 正雄君  小委員外出席者         逓信委員長   松本 七郎君         郵政省電波監理         局放送部長   澤田 茂生君         参  考  人         (日本放送協会         技師長)    沢村 吉克君         参  考  人         (日本テレビ放         送網株式会社放         送業務局長)  栗田富士男君         参  考  人         (日本テレビ放         送網株式会社技         術部専門部長) 大田  晃君         参  考  人         (日本テレビ放         送網株式会社制         作プロデューサ         ー)      手塚 一彦君         参  考  人         (日本テレビ放         送網株式会社制         作局次長待遇) 佐土 一正君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ————————————— 五月十一日  小委員藤原ひろ子君二月八日委員辞任につき、  その補欠として藤原ひろ子君が委員長指名で  小委員に選任された。 同日  小委員依田実君二月二十七日委員辞任につき、  その補欠として依田実君が委員長指名小委  員に選任された。 同日  小委員阿部喜男君三月三日委員辞任につき、  その補欠として阿部喜男君が委員長指名で  小委員に選任された。 同日  小委員野口幸一君同月九日委員辞任につき、そ  の補欠として野口幸一君が委員長指名小委  員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  電波放送に関する件(放送衛星多重放送及  び超短波放送問題)      ————◇—————
  2. 加藤常太郎

    加藤委員長 これより電波放送に関する小委員会を開きます。  電波放送に関する件、特に放送衛星多重放送及び超短波放送問題について調査を行います。  本日は、日本放送協会当局及び日本テレビ網株式会社から、お手元に配付いたしました名簿のとおり参考人の方々が出席されております。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。左藤恵君。
  3. 左藤恵

    左藤小委員 きょうは放送衛星FM、そして多重という問題について審議が行われるということでございますので、私は幾つかの点について御質問を申し上げて、特に郵政省の方で現在どういうふうな体制準備しておられるかということについてお伺いをいたしたいと思います。  まず、放送衛星の問題から入っていきたいと思いますが、最近「ゆり」と命名された実験用放送衛星静止軌道静止したというようなことを聞いておるわけであります。そこで、実験静止衛星が打ち上げられますまでに莫大な国費が投じられて、このような実験をこれから進めていくからには、そういったことも考えて十分意義のある実験をやっていただかなければならないと思うのでございますが、放送衛星実用へ向かって現在打ち上げられております「ゆり」というものに対しての実験計画はどのように進められるおつもりか。そして、その場合に、将来実用化されたときはどういうものに利用されるかという利用計画が現段階で何らかあって初めて実験することにもなろうと思いますので、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  4. 平野正雄

    平野政府委員 お答え申し上げます。  まず、実験用中型放送衛星ゆり」の実験計画でございますけれども、この星はことしの四月八日、アメリカのNASAによりましてケープカナベラルの東部打ち上げ射場から打ち上げられ、四月二十六日には東経百十度の赤道上空約三万六千キロメートルの位置静止をしたわけでございます。今後宇宙開発事業団による衛星の諸機能、性能の初期試験が約三カ月行われまして、その終了郵政省はこの衛星を用いて約三年間にわたる実験を開始する予定でございます。  実験は、将来の各種放送需要に対処いたしますため、実用衛星システム導入に必要な技術を開発し、技術基準などを確立する目的で行うものでございますが、具体的に計画しております主な実験といたしましては、どの程度小さな空中線で衛星からの電波を受信することができるかという見通しを得るための実験とか、可搬型の送受信装置によりまして衛星を介してテレビジョン信号を送受する実験でございますとか、あるいはまた衛星からの電波が雨などによりましてどの程度影響を受けるか、あるいはその対策をどういうふうに考えていくかというような実験のほか、衛星状態を監視するとともに位置などを制御するための実験を行うことにいたしております。  次に、実用放送衛星利用計画でございますけれども放送衛星赤道上空三万六千キロメートルということでございまして、一個の衛星日本全土をカバーすることができるという特質を持っておりますので、テレビジョン放送の難視聴解消に有効であろうと考えております。現在までに開発されました技術では送信電力がまだ小さいということ、あるいは放送の基盤として考えておりますローカル放送実施にまだ難点があるというような問題がございますけれども、今日テレビジョン放送の難視聴解消に対する国民要望がきわめて強いということにかんがみまして、放送衛星をまず難視聴解消利用することが適当であろうと考えるわけでございます。したがいまして、先ほども申し上げましたような技術的問題の解決を図りながら、今後できるだけ早い時期に実用衛星を打ち上げることについて考慮してまいりたいと考えるわけでございます。  また、この衛星特質を生かします分野といたしまして、教育分野における放送利用の効果が大きいであろうと考えるわけでございまして、放送衛星教育面利用することは望ましい方向であると考えております。当面は放送大学構想具体化に対応して衛星利用について検討を進めていくことにいたしたいと考えております。  さらに、将来は技術の進歩、発展に対応いたしまして各種利用が想定されるわけでございますけれども、今後の技術開発及び需要動向等を見きわめながら実用化検討してまいりたいと考えておる次第でございます。
  5. 左藤恵

    左藤小委員 ITUの国際会議におきましてわが国に割り当てられた衛星放送用周波数は八波であるわけでありますが、実験用放送衛星においては二波だけしか使えないということになっておると聞いております。この八波は必ずしも八系列ということを意味していないだろうと思いますし、その辺は実験の結果を見ながらしっかりした利用計画を立ててやっていかなければいけない。最初に安易な計画実施した場合に後で取り返しがつかなくなっては大変だと思いますので、こういう点について十分配慮をして、また、実験もそういうことを頭に置いて進めていただきたいと、このように私は思うわけであります。  なお、参考に伺っておきたいのでありますけれども、世界的に見まして現在放送衛星を打ち上げている国はどこで、そしてそれはどういうふうなところに利用していこうとしておるのか、おわかりになっておったら教えていただきたいと思います。
  6. 平野正雄

    平野政府委員 お答え申し上げます。  現在、アメリカ及びカナダにおきましては通信技術衛星利用した放送実験を行っておるところでございます。アメリカでは一九七四年に応用技術衛星ATSの六号というのを打ち上げまして、アメリカ国内のアパラチア、ロッキー、アラスカ等地域におきまして小中学校向け生徒用教育番組及び教師向け番組放送いたしましたほか、病院や医学生に対しまして遠隔診断医学実習放送または医療情報交換に用いたわけでございます。これらの実験には同じATSシリーズATS一号及びATS三号が応答用音声データ回線として使用されたわけでございます。これらの実験終了後、インド洋上空ATS六号を持ってまいりまして、インドにおいてこの衛星を使って教育刑番組あるいは農業技術番組等放送実験が行われたわけでございます。  カナダにおきましては、アメリカ及びヨーロッパの協力を得まして一九七六年に通信技術衛星CTSという星を打ち上げまして、双方向音声通信FM放送データ送信共同受信用カラーテレビジョン放送実験を行っております。  なお、ソ連につきましては、一九七六年に放送衛星スタッショナーTという星を打ち上げておりまして、主としてシベリア及び極北地方における共同受信ネットワークに対しましてテレビジョン放送を行っておる模様でございますけれども、詳細は不明でございます。
  7. 左藤恵

    左藤小委員 いま御説明のありましたような点につきまして、各国におけるデータというものを日本のそういった放送衛星利用する場合の計画を立てる上に十分参考にしていただきたいと思うわけであります。  放送衛星についてはいろいろ問題があると思いますが、時間もございませんので以上で一応終わりまして次に移りますが、最近FM免許をやるんじゃないかとかいろいろなことがありまして、FM放送というものについて大きな関心が持たれておるわけであります。  このFM放送中波と同じ音声放送であり、従来からお互いに関連するものとして位置づけられたはずでありますが、特に中波混信対策としてFMを活用するという方針があったわけでありますけれども、今後この点について省としてはどういうふうに考えておられるか、この点を伺いたいと思います。
  8. 宮崎茂一

    宮崎(茂)政府委員 お答えいたします。  中波放送混信の問題につきましては、国際的な解決を図るということが先決でございますが、その結果混信排除ができないといったような場合にFM放送をかわりに考えるというふうな考え方をいままでとってまいりました。  今度、中波放送の国際的な調整につきましては、昭和五十年にジュネーブで開催されました長中波放送に関する主管庁会議の結果一応の解決を見まして、ことしの十一月に新しい周波数に切りかえることになっておるわけでございます。  また、一方、FMのすぐれた音質に対しますところの要望がだんだん強くなってまいっておりますので、実施に当たりましては、先ほど申し上げました中波混信関係十分検討いたしまして結論を得てから実施をしたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  9. 左藤恵

    左藤小委員 この状況を十分見きわめた上で、FMの特性というものもそれぞれあるわけでありますけれども、対象を考えていただきたいと思います。  民放FMというのが現在東京名古屋大阪福岡の四地域免許をされておるわけでありまして、それぞれの会社経営状態についても、当初予想されたよりも経営内容が非常にいいんではないかというふうに私は思うわけでありますけれども、この点について、これをその他の地域、各県に広げていくという方向が推定されまして、これについては異論はないだろうと思うのですけれども、ただ、そういった場合についても配慮すべき問題がいろいろあろうと思います。  一つは、テレビの場合の広域圏といったところの圏の中に県域放送というものがあるわけでありますけれども、そういったことと同じような形でFM放送というものの県域放送というものが一体考えられるのかどうかということと、それから、中波の単営局があるところがあると思いますが、ラジオ単営局のところにさらにまたFM放送というものを認めるということになりますと、これはまた同じような音声放送の中でやっていく場合に、経営の問題なり、あるいはそれを全く認めないとなれば、その地域においては民放FMは聞けないのかというふうな問題もあると思いますが、そういう点と、あるいはもう一つ、こういった点を順次広げていくということに対してのたとえば経済性というものをどういうふうに判断しておられるかということです。  これは、そういったところにおいて経済的に会社が成り立たなければ十分責任を持った放送というものは行われないだろうと思いますが、そういう点について十分配慮した上で、逆に言えば全国的な見通しが十分立った上で、成り立ち得るところから免許していくべきではないかと思いますが、そういった準備というようなものについては郵政省はどう考えておられるか、この辺を伺いたいと思います。
  10. 平野正雄

    平野政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘になりました民放に対する超短波放送用周波数割り当てでございますけれども昭和四十三年十一月に周波数割り当て計画を策定いたしまして、さしむき、先ほどお示しの東京大阪名古屋福岡の四地区におきましてFM放送特質を生かした放送実施が可能となるよう措置をしたわけでございます。  その当時、これらの地区につきましては、当該地区の地理的な位置世帯数分布状況、行政的、経済的諸事情、周波数割り当て可能性その他につきまして十分配意をしたわけでございますが、今後の拡大に当たりましてもこれらの点につきまして十分検討を尽くす必要があると思っております。
  11. 左藤恵

    左藤小委員 全国的なそういったことに対する配慮をして、それの見通しをつけた上で順次そういったものについて免許をしていくべきではないか、民放FM放送を楽しんでいくことができる地域拡大していくべきではないか、このように私は思いますので、そういう配慮計画なしにやるということは適当ではないんではないかと私は思うわけであります。  もう一点、これは将来の問題として、ただいまの段階においては技術審議会答申というようなものもまだ得られていないんじゃないかと思いますけれども、現在のFM放送においてモノホニックとステレオと二通りの放送が行われておるわけでありますけれども、第二副チャンネルの活用という点から見まして、こうした場合には同時に別の内容のものを送ることができるという形になりましたときには放送主体というようなものがどういうことになるのか。そういった問題についても法的に検討していただいておいて、そしてそういったより一層技術的に進んだ音声多重というものが放送できる体制になればそういった問題についても将来として検討していただきたいと思います。これは希望として申し上げておきたいと思います。
  12. 宮崎茂一

    宮崎(茂)政府委員 全国的な検討をしてからFM拡大をしろという御意見のようでございますが、私どもももっと十分にこれからいろいろな面につきまして検討して慎重に対処してまいりたい、かように考えております。
  13. 左藤恵

    左藤小委員 次に、多重放送について若干お尋ねをいたしたいと思います。  多重放送につきましては、先ほど御説明をいただきまして、どういったところまで進んでいるかということについて御報告をいただきましたのでここでお伺いすることは控えますけれどもテレビ音声多重の場合に、現段階においてそういう送信体制なりあるいは受信体制というものが一体心配なく十分整っておるのかどうか、特に、メーカーの生産体制というものはどういうふうになっておるのか。これは通産省にお伺いする方が本当だろうと思いますけれども、もし郵政省の方でわかっておればわかっておる範囲で結構ですが、送受信体制についてどうなっておるのかを教えていただきたいと思います。
  14. 平野正雄

    平野政府委員 お答え申し上げます。  テレビジョン音声多重放送実施するに当たりまして、送信側につきましては、先生も御承知のように、NHK実験局による野外実験を経た上で電波技術審議会から答申がなされておりまして、技術基準もすでに確立されておりますので、これは十分可能ではないかというふうに考えております。  また、一方、受信側につきましても、付加設備あるいはテレビセットに組み込まれた形のものが製作されてくるものというふうに考えておりまして、現在のところ特に問題はないものというふうに考えております。
  15. 左藤恵

    左藤小委員 それでは、今度は、テレビ音声多重を実際にNHKなり民放免許をする場合に、放送法なり電波法のたてまえで、現在の法制で何か問題はないのかどうか、たとえばNHKは九条の各業務の中で行えると判断をしておられるかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
  16. 澤田茂生

    澤田説明員 御質問でございますが、多重放送に関する調査研究会議報告書におきまして、今後の多重放送の進め方として、「技術的法律的に比較的問題の少ないものから多重放送実施実験的に行い、」「逐次実用化を進める」という提言がされておるわけでございます。その例といたしまして、「テレビジョン音声多重放送補完的利用」といったものを実験的に行うということが挙げられておりまして、実験的に行うという範囲内におきましては法的に特段の問題はないというふうに考えております。
  17. 左藤恵

    左藤小委員 これは将来の問題として、放送界に、というよりもむしろ言論界全体に非常に大きな影響を持つのではないかと考えられるものがファクシミリテレビを組み合わせた多重放送ではないかと思います。  たとえば放送衛星を使って放送ができるということになれば、現在、翌日あるいは二日くらいたって配達されておるような新聞というものがスピードの点でとても太刀打ちできないような、世界で起こった情勢がファクシミリなりあるいは画像という形で即刻に視聴者手元に届くというようなことになってくるのではないかと思いますが、そういった意味におきまして、このファクシミリテレビを組み合わせた多重放送というものは今後どういうふうになって、いつごろそういうものが実現するのであろうかという見通しについて何かお持ちであればお伺いしたいと思います。
  18. 平野正雄

    平野政府委員 お答え申し上げます。  ファクシミリ放送につきましては、理論的にはすでに十分可能性があるという見通しを得ておるわけでございますけれども技術的な面あるいは制度的な面につきまして検討すべき事項もまだ非常に多く残されておるわけでございます。  また、先ほど来出ております多重放送に関する調査研究会議報告書におきましても、「特にファクシミリ放送については、その特殊性にかんがみ、引き続き慎重な検討が行われることが望まれる」と指摘されておりますので、今後とも省内に設置してございます多重放送協議会を中心にいたしまして慎重な検討を進めるとともに、電波技術審議会検討状況の推移を見守っていきたいというふうに存じております。
  19. 左藤恵

    左藤小委員 テレビファクシミリなどが乗せ得るということになりますと、テレビ事業者にいろいろな面でマスメディア集中という問題が生じてくるわけであります。そういうことで、マスコミ集中排除というものをある意味で徹底化しないことには民主主義社会の健全な発展は期せられないのじゃないかという心配をされる向きも出てくるのじゃないかと思います。  そういう意味において、マスコミ集中排除という問題も含めて、技術的にどんどん先に進めさせるだけでなくて、そういった法的な問題や制度的な問題もあわせて検討しておかないことには技術だけが先に行ってしまうと思うので、そういうことのないように配慮していただきたいと思いますが、この点について何か御意見があれば伺いたいと思います。
  20. 宮崎茂一

    宮崎(茂)政府委員 左藤委員お話マスコミ集中独占排除すべきじゃないかという御意見でございますが、多重放送に関する調査研究会議報告書におきましても、多重放送について、「これを実施するに当たっては、マスコミ手段集中独占排除等既存放送体制に対してとられている措置との整合性十分配慮しなければならない。」というふうに指摘されておるわけでございまして、テレビジョン放送によりますファクシミリにつきましては先ほど局長からも答弁をいたしましたが、まだまだ技術的に検討すべき問題点が多々あるわけでございます。  いまの左藤委員お話については十分配慮しながら、大分将来の問題でございますから、いまからでもそういった技術以外の法的な問題あるいは集中排除の問題については十分対処してまいりたいと考えておるわけでございます。
  21. 左藤恵

    左藤小委員 ありがとうございました。  以上で私の質問を終わります。
  22. 加藤常太郎

  23. 鈴木強

    鈴木(強)小委員 最初多重放送についてお伺いをいたします。  本委員会におきましても、多重放送が今後のマスメディアの中で果たす役割りが非常に大きいということは各委員から指摘をされておるわけでございますが、ただ、一般の国民の間にまでこのことが十分に知らされておるかというと、まだそうではないと私は思います。したがって、この多重放送を一日も早く実用化していくということは、郵政省にとりましても関係の皆さんにとりましても大変大事なことだと私は思います。そういう意味で、きょうNTVの御好意で音声多重放送について実際に見せていただきましたが、実にすばらしいと思いましたし、こういうものが早く実用化されていくことを心から願うものでございます。  そういう立場に立ちまして若干の質問をさせていただきますが、いま左藤委員からも質疑がございましたが、映像多重も含めて多重放送がどうあるべきかということいついて、昭和四十九年に多重放送に関する調査研究会議を設置されまして、鋭意御研究の上昭和五十一年に研究結果を答申されておりますが、これによりますと、多重放送をやる場合に、まず二カ国語放送及びステレオ放送等補完的利用について資するということが一つと、それから独立的利用についてはなお検討をする必要があるということで、ただし、独立的利用については、緊急災害放送についてはいいだろうという答申が出ているわけでございます。  五十一年、五十二年、ことしは五十三年でございますが、これだけすばらしい、技術的にも実用化段階に十分入れるだけの準備があるにかかわらず、郵政省はこれに対する認可の方針を明らかにしないのだが、できるとこからやったらいいと私は思うのですよ。そのことがどうしてまだできないのか、ひとつ説明をしていただきたい。
  24. 平野正雄

    平野政府委員 お答え申し上げます。  多重放送につきましては、ただいま御指摘のとおり、多重放送に関する調査研究会議から提出されました報告書におきまして多くの検討すべき問題が指摘されておりますが、その中で、多重放送実施に当たりましての御提言があるわけでございまして、技術的法律的に問題の少ないものから実験的に行い、逐次実用化を進めるということが提言いたされております。  したがいまして、私どもといたしましては、技術的問題が解決しているテレビジョン音声多重放送につきまして、報告書の趣旨をも体して音声放送全体のあり方との関係等実施に伴う諸問題について現在鋭意検討を進めておる段階でございますけれども、できるだけ早く結論を出しまして、なるべく早い機会に実現方の努力をしてまいりたい、そのように存じておる次第でございます。
  25. 鈴木強

    鈴木(強)小委員 技術的な面における問題がある。これは私が最初に述べましたような独立的利用の問題についてはそういうことが当然必然的に出てくるわけですから、それなら技術的面においてどういう点がいま研究ができないのか。  専門的にこういう点についての研究を二年間にわたってやり、あるいは恐らくこの研究会議に諮問をされる前からあらかじめ準備が進められておったのでございましょうと私は思います。ですから、なぜ技術的な面においてまだ今日実用化できないのかという問題点を明らかにしてもらいたいんですよ。抽象論じゃだめなんだ。
  26. 平野正雄

    平野政府委員 私の言葉が足りませんで申しわけなかったと存じておりますが、多重放送実施に当たりましては、技術的法律的に問題の少ないものから実験的に行い、逐次実用化を進めるということが提言されておるわけでございまして、ステレオホニックのいわゆる多重放送あるいは二音声多重放送につきましては、すでに電波技術審議会の方で答申がなされておるわけでございます。  その他の多重放送との関係というものがもし残るとすれば、唯一の技術的な残された問題かと思いますけれども、これにつきましても現在の技術状況におきましては切り離して考え得るのではないかということを詰めておるわけでございます。したがいまして、技術的な問題はほぼ残っていないというふうに考えております。
  27. 鈴木強

    鈴木(強)小委員 そうしますと、技術的な問題は解決をした、法制的な面でさらに問題があるということですが、それはどういうところですか。
  28. 平野正雄

    平野政府委員 お答え申し上げます。  法律的な問題につきましては先ほど来申し上げておりますけれども実験的に行い、逐次実用化を進めるということが一つ問題として出てくるわけでございます。     〔小委員長退席、左藤小委員長代理着席〕  「実験的に行い」ということの内容でございますけれども、先生も御承知のように、「実験的に」といった場合に、実は、実用化の前提となる実用化試験局、それから放送試験局、実験局と三つの段階があるわけでございまして、その中のどの段階を考えるべきかというような点が一つあろうかと思いますし、それからもう一つには、いわゆるテレビジョンの動画及び音声に付帯したステレオホニックな放送あるいは二カ国語放送というものから始めるべきであるかどうかという問題でございます。特に、独立的利用ということになりますと、また報告書の中に、第三者にその使用の道を開くべきだというような御提言もあるものでございますので、その点を考慮しながら現在鋭意詰めておるという状況でございます。
  29. 鈴木強

    鈴木(強)小委員 もう少し整理していただいて——実験的にはOKでございますということで、したがって法制的な面においての検討をいま加えているわけですから、これはそれこそスピーディーに問題点を整理して、そして法律の改正が必要であればやればよろしいと思うのですよ。  ですから、実用化を前提にした実験局ということもいま一般の場合にやっていますね。やればなるんですね。大体において免許することになりますと、その辺は実際には行政サイドにおいて配慮していけばいいことでございますから、いずれにしても、免許基準というものをつくって、それに当てはまるだけの法制の整備ということが急がれるわけでしょう。それはやろうとすれば、いまでもできるじゃないですか。どういうところでその法制的な国会への提案の準備というものができないのか、他の放送法との関連あるいは電波法との関連でできないのか、その辺はいかがなものでございますか。  ですから、技術的にはまだ解決がむずかしいということでしたからいろいろと聞いてみると、そこはよろしい、あとは法律的な面と、いま言った実用試験局との関係の面も一つあるということでございますから、そこのところをもう少しきちっと整理していただいて、そしていつごろから大体スタートするかということのおよその目標を立てて、それに向かってひた走りにやっていただかなければいつまでたっても——これは特に法制的な面が絡んでくると私も思いますから、その場合にはもう体制はどんどんできているのだけれども、行政サイドのおくれのためにこんなにりっぱな放送ができ得ないということがもっと続いていくのじゃないかという気が私はするものですから、そこらをもう少し国民にちゃんとわかるように整理をしていただきたい。
  30. 宮崎茂一

    宮崎(茂)政府委員 鈴木委員意見もよくわかります。私もきょう初めて多重放送を聞きました。非常に立体的なテレビが聞こえますので、何とかできるだけ早く普及させたいものだというふうに個人的に感じました。  なお、また、多重放送に関する調査研究会議におきましても、法律的に技術的に問題のないものから逐次普及しろという基本方針が決まっているわけでございまして、私どももそういった基本方針に従って普及をしてまいりたいと思っておりますが、事務当局の方で、先生もお聞きのように、まだ全然そういった日程ができていないと申しますか、いつからどうするということをまだ検討していないようにやりとりの中で私は聞いたわけでございますが、どういうことになるか、早速督励をいたしまして進めさせたいと思います。
  31. 澤田茂生

    澤田説明員 ただいま政務次官から御答弁がございましたように、私どもといたしましても、今日的にできる問題について、省内、局内におきましても検討委員会をつくりましていろいろと鋭意検討している段階でございます。  ただ、先ほどから問題になっております音声多重補完的利用という面につきましては、特段の法律改正という問題は生じないであろうというふうに考えております。(鈴木(強)小委員「法律的に問題がないの」と呼ぶ)  二カ国語と、それからステレオというものに限定した補完的利用というものを実験的に行っていくということが調査会の報告書にあるわけでございまして、その点に沿って行うということに限りますると法律改正という問題は生じない。ただ、しかし、省令その他の以下の段階等の手当てはやはり必要であろうと思いますが、そういったものも含めていろいろ検討いたしているところでございます。
  32. 鈴木強

    鈴木(強)小委員 答申の中にも、たしか、二カ国語放送ステレオ放送及び緊急災害情報放送実用化については何ら問題がないという項がありますね。したがって、いま部長の答えられたそういうものをすぐできるところからどんどんやったらいいじゃないですか。
  33. 澤田茂生

    澤田説明員 私どもも、多重放送というものは、電波の有効利用という面から見ましてもこれは取り組んでいかなければならないというふうに考えておりますし、そういった要望もあるわけでございますので、そういった面について目下いろいろ問題を詰めておるという段階でございまして、現在それを放置しているということじゃございませんが、法律改正は必要ございませんけれども、それ以下の段階の問題がいろいろございますので、そういった問題について目下鋭意詰めておるというところでございます。
  34. 鈴木強

    鈴木(強)小委員 これは非常に大事な通信ですからね。したがって、いまの既設のいろいろな放送との関連も私はよくわかっていますよ。ですから、ただ簡単にこれだけさあやれと言ってできるものではないことも私はわかるのですけれども、しかし、私がここであなた方に一番言っておきたいのは、日本電波行政というものをもっとスピーディにやってほしいということですよ。  これは余り政治的に左右されては困る。ベルボーイの波を取るにしても何年かかったか。七年も八年もかかっておる。桜の花が咲くころにはとことし言っておっても、桜の花が咲いても、散っても、冬が来てもちっとも進まない。そういう渋滞渋滞の電波行政というものが今日まで続いているのだから、それをもう少し問題整理をして、決断するところはちゃんと決断をして、そして国民にその指針を明らかにしなければ、従来のような行き当たりばったりの電波行政であっては困る。そういうことをいつも私は強く願っておるものです。そこには人も少ないという問題もいろいろとあるでしょうし、大変な困難な問題もあるでしょうから、ある程度の幅というものは私も必要だと思いますけれども、余りにも物事がスローモー過ぎる。  そういう点を私は強く思っているものですから、ここで時間も少ない中で余りやりとりもできないわけですけれども、政務次官もいまおっしゃいましたけれども、整理するところは整理をして、そして技術的に問題のあるところは問題を整理し、なお省令等において問題のあるところは整理をして——第三者の利用にかかるような独立的な利用はまた検討しなければならぬということになっておりますので、そういう点も恐らく何回か審議は進んでおると思いますけれども、宝の持ち腐れにならないように、せっかく宝があるわけですから、一日も早くこれを使ってみんなが喜べるようなことにぜひしたいと思いますので、あるめどを一つつけて、そしてそこに向かって集中的に事を運んでもらいたい。  局長電波管理では一応最高の責任者なんだから、いろいろと問題はあるでしょうけれども、いつごろ整理をしてやれるのかというおおよその見通しは持っているでしょう。それでなかったらちっとも問題は発展しませんよ。その辺はどうですか。
  35. 平野正雄

    平野政府委員 先ほど来放送部長からもお話をいたしておりますように、最終段階の詰めを現在いたしておるわけでございますので、いままでにやりました内容との関係を見ました場合にはそれほどお待たせすることもないのではないかと思いますが、ただ、いろいろと問題がないわけではないわけでございまして、たとえて申し上げますならば、実用化試験局と申しますのは、御承知のように実用化の試験が済みましたならば実用局に移行するもので、実は、後には戻れない性格のものでございます。したがいまして、それはそれなりに十分慎重に検討をする必要があるというふうに考えておるわけでございます。  また、一方、第三者への道という報告書の御提言もあるわけでございますけれども、実は、現在出ております申請書等によりますと、先ほど先生が御指摘になりましたような緊急情報の希望というものがあるわけでございます。しかしながら、現在のテレビにおきましてもそういう緊急情報というものはすでに使用されておるわけでございまして、緊急情報というものがテレビの画面に直接関係がない限りにおきましては第三者への道との関連が出てくるわけでございまして、この辺も十分慎重に検討をしておく必要がある。後戻りができないという点でございまして、先ほど先生がおっしゃいましたように、決心をどのようにするかという段階に実は差しかかってきておるということをひとつ御理解をいただきたいと思う次第でございます。
  36. 鈴木強

    鈴木(強)小委員 政務次官、これは局長に言うのは確かに酷なこともぼくは知っているのですけれども、しかし、実際に電波では一応最高の責任者ですから私はいま伺ったのですが、どうもまだふらふらしておりまして、正直言ってはっきり言えないのですよね。  問題点はどこにあるか、私はここでは言うのははばかりますけれども、問題はあると思います。しかし、そういうことに右顧左べんしておってはだめですから、来年くらいまでに整理すべき法制は整理して、第三者の問題も含めて、一応次の通常国会くらいをめどに終着目標を置いて検討してくれませんか。
  37. 宮崎茂一

    宮崎(茂)政府委員 私も細かい問題はわかりませんけれども、いまの局長の答弁によりますとまだ決定しかねておるというような話でございますので、いまの鈴木委員お話のように問題を整理して、先ほど申し上げましたように早急に結論を出したい、いまのお話のように努力をいたしたい、このように考えております。     〔左藤小委員長代理退席、小委員長着席〕
  38. 鈴木強

    鈴木(強)小委員 局長、いま多重放送の申請はどのくらい出ておりますか。
  39. 平野正雄

    平野政府委員 お答え申し上げます。  現在十四社、十四局の申請がございます。
  40. 鈴木強

    鈴木(強)小委員 まだこれは続々と申請が出てくると思いますが、需要の予測というのは大体どの程度を考えておりますか。
  41. 澤田茂生

    澤田説明員 テレビによる音声多重需要ということにつきまして私どもはまだ的確な把握はいたしておりませんが、申請者等その他いろいろな状況から見ますと、かなり期待をされているというふうには考えております。
  42. 鈴木強

    鈴木(強)小委員 全国的な組織を持ち、情報化時代に対応する電波行政をつかさどっているところですから、多重放送実用化段階にどの程度需要が全国的にあるのかというくらいの調査はせめてできないのですか。問題が前に進まない原因もそこらにあるような気がするわけですね。そういう勉強はしていないのですか。
  43. 澤田茂生

    澤田説明員 現在のテレビにアダプターをつけるか、あるいは組み込んだ機械としてこれが出てくるか、これは生産の方のいろいろな問題もあろうかと思います。その価格がどの程度になるかによってこれに対する聴視者のアプローチがかなり違ってこようかと思います。  その辺は私どもとしても非常に把握しにくいむずかしい問題があるわけでございまして、なお、実施に当たりましては、その辺につきましてもできるだけの見通しは持ちたいというふうには考えております。
  44. 鈴木強

    鈴木(強)小委員 もっと勉強しなさいよ。  NHKに来ていただいておりますけれども多重放送に対するNHK体制はどんなふうになっておりますか。
  45. 沢村吉克

    ○沢村参考人 NHK多重放送に対しますいままでの取り組み方あるいは現状について簡単に申し上げます。  先生も御承知のように、私ども昭和三十八年ごろから少なくとも音声多重につきましては研究を始めておりまして、大阪の万国博覧会の時期、昭和四十四年から四年間ばかり実験局のお認めをいただきまして実験を続けたわけでございます。  そのときにやりましたのは、主としてニュースを含めました二カ国語放送ステレオを若干——これはステレオ回線の関係もございまして実験をいたしたわけでございます。その結果に基づきまして技術基準の設定を見まして、先ほど来の電波監理局長お話しのような技術問題の解決が図られたわけでございますが、当時は国民要望がまだ余り盛り上がってまいりませんでしたし、四十八年の時点で一度実験局は廃止をいたしまして今日に至っております。  放送の面から申し上げますと、いたずらに世論からかけ離れて先行し過ぎることはやるべきではないと思いますけれども、また、一面、世論に余りおくれるのも私ども放送事業者としてとるべき道ではなく、世論のある程度の先取りをしながら、世論の動向を見つつ逐次これを拡充していくべきものだと考えております。  現段階におきましては世論もぼつぼつ盛り上がりつつあるような印象を受けます。そういう意味で、最小限の番組を試作しながら、その反応を見つつ、全国的あるいは全時間的な方向を——全時間というのは当面とても考えられそうもございませんけれども、時間数をふやし、あるいは全国的に広げていくというように着実に進めていくべきであろうと思っております。  さしあたり技術的には問題はございませんけれども番組の面でどういうものが一番聴視者の要望にこたえるものなのかということが——郵政省の御答弁でもどんな需要があるかなかなかっかみにくいとおっしゃったのと同様でございまして、国民の期待に沿うものは何であるかということが非常につかみにくうございます。それをつかむ上でも、最小限の電波は出しながら反応を見ていくのも実験的なステップを置く一つの大きな理由かと思います。  NHKの財政状態は御承知のような状況にございまして、この実験を推進することがNHKの財政を圧迫するということにまでなりますと大変なことになります。国民の世論に沿いながら、財政を圧迫しない限度で前向きに取り組んでまいりたいと考えておる次第でございます。
  46. 鈴木強

    鈴木(強)小委員 おっしゃることはわかりますが、私も実は一つ反省をしていることがあるのです。  かつて白黒からカラーへの転換の際に、いまは亡き正力読売新聞社長が非常に積極的な推進論者でありました。私どもは党派を超えて慎重論者で、民放連も非常に慎重でした。ただひとりNTVの正力さんはマウンテントップ方式ぐらいのマイクロウエーブをみずからの力でつくって放送を開始しようとしたことがございます。それで、実際にいま歴史を振り返ってみますと、あの当時正力さんが、やや強引と思われましたけれども日本にカラーテレビを導入していくと言う考え方をとられたことが今日のカラー化への飛躍的な発展を遂げるスタートになったような気が私はします。  当時確かにアメリカのNTSC方式とかSECAM方式とかに分かれており、方式が国際的にまだ統一されておりませんでしたから、これはぜひ統一されることが必要だということも一つの反対の論拠でございましたが、私はそういうことを思うときに、いまの沢村さんの御発言、今日のNHK経営状態から見ますと慎重であることはわかりますが、あなたがおっしゃるように余りにも大勢順応でおってもいけない。やはり、世論に少し先走ってもいいから、いいものは取り入れていけばいいのです。皆が喜ぶものはやるべきである。しかも、情報過多の時代と言われておりますけれども、完全な情報社会に入っているのですから、よりよいものを国民に提供していくことが為政者の義務ではないですか。そういうことを私は反省しながらいまこの問題を頭の中にとらえているのです。ですから、これ以上は言いませんけれども、ぜひそういう点を配慮していただいて、できるだけ早い機会にこれが実用化できるように今後とも努力をしていただきたいということを申し添えて次に移ります。  次はFMでございますが、御承知のように、昭和三十二年十二月二十四日にNHK東京実験放送を開始し、翌三十三年十二月三十一日に東海大学が実験放送を開始いたしました。今日まですでに二十一年くらいたっておりますが、今日NHKは全国的にFM放送局ができまして放送いたしておりますが、民間放送におきましては、問題のFM東京とそれから大阪名古屋福岡と、東京を含めまして四地区放送がやられておるわけです。そして、前の委員会でも私は質問しましたが、その後全国的にFM免許を早くしてほしいという要望が強く出ていることは御承知のとおりです。ある新聞を見ますと、一日も早く民放FMが欲しい、NHK一局では番組の選択もできない、いらだちすら感ずる、みんなが望んでいるのにどうしてできないのかと、こういうFMに対する痛烈な不満が電波行政が遅々として進まないことに対して出ているのです。  UV混在からVへの転換をやるかと思えば、途中でひっくり返してもとに戻してみたり、AMとFMとの関連において免許の基準を一応決めながら、また途中で紆余曲折をするなど、日本電波行政はまことになっておらぬ。そういうことを思うにつけても、いまやFMについては一刻も早く免許をおろすべき時期に来ていると思うのですが、最近まで全国で一体どれだけの申し込みがございますでしょうか。
  47. 平野正雄

    平野政府委員 六十局の申請がございます。
  48. 鈴木強

    鈴木(強)小委員 そこでちょっと現状についてお尋ねをしておきたいのですが、免許をする際に番組に対する一つの基準を示しますね。たとえば一日に報道、教育、教養、娯楽その他をどういう比率で放送番組の中に組み込むかという免許の際の基準、放送事項別の番組基準的なものがあるわけですが、そういうものがNHKを初めFM民放四局で完全に守られておるかどうか、この点はいかがでしょうか。
  49. 平野正雄

    平野政府委員 お答え申し上げます。  FM放送番組概要といたしまして、ただいま御指摘NHKFM東京FM愛知、FM大阪FM福岡につきまして、放送事項別番組比率あるいはステレオホニック放送による比率につきまして、すべて条件を満たしております。
  50. 鈴木強

    鈴木(強)小委員 たとえば報道の面を見ますと、総体のうち約一四%がNHKの場合には報道ですね。それから教養が八・三%です。それでFM東京を見ますと、報道が六・九%、教育が一四・五%です。これは望星高校が入っていると思います。それからFM愛知の場合には報道が四・八%で、教育が二・二%です。FM大阪が報道が三・六%で、教育が八・一%です。FM福岡が報道が五・五%で、それから教育が三・九%です。民放の平均としては報道が五・三で、教育が七・三です。あとは教養の面ではちょっと高くなりますね。教養というのはどういうものを指して教養というのか私はわかりませんが、二九・五%が民放の平均です。報道が五・三%で、教育が七・三%で、教養が二九・五%です。これがFM東京の場合には比較的報道が多い。ところが、FM愛知の場合には四・八%、FM大阪が一番低くて三・六%ですね。  こういうふうに民放平均から見ましてもちろん上下が出てくるわけですけれども、たとえばFM大阪の場合に、報道、教育、教養、娯楽その他この場合を考えてみた場合に、これはどういう基準になっているのですか。免許したときにはたとえば報道は何%とか、そういうふうにあると思いますが、それをちょっと示してください。
  51. 平野正雄

    平野政府委員 放送法の四十四条の条件によりまして、「国内放送放送番組の編集に当っては、特別な事業計画によるものを除くほか、教養番組又は教育番組並びに報道番組及び娯楽番組を設け、放送番組の相互の間の調和を保つようにしなければならない。」ということになっておりまして、申請の時点にはこのような形で調和を図りますという点を審査はいたしますけれども、先ほど申し上げましたように、ステレオホニックの比率以外につきましては条件とはなっていないものでございます。
  52. 鈴木強

    鈴木(強)小委員 もちろん、条件になっていないとしても、やはり公共の電波を使っておやりになるわけですから、この放送国民の教養、文化を高めるために役立つような放送内容でなければいけないと思います。そういう意味から言いまして、理想としてわれわれがちょっと考えますのは、報道、教育、教養、娯楽全体のバランスをとると言いますけれども、このFM放送というものの特質にかんがみまして、大多数は、これはクラシックかどうかは知りませんが、音楽的なものに使われているということはよくわかります。  したがって、そういう意味において、放送法四十四条の「相互の間の調和」という中に融通性を持たせておると思いますが、そういう中にあっても、たとえば今私が指摘をしましたような報道、教育、教養といったような問題についてはできるだけそのパーセンテージもふやしていただくような行政的な考え方をもって指導されるというようなことはないわけですか。四十四条に示されているような区分に分けてバラエティーをとっていただいて、全体としてこの程度教育、教養の方に使ってほしいとか、そういうふうな考え方は持っておられますか。
  53. 澤田茂生

    澤田説明員 番組相互間のバランスをどうとっていくかということにつきましては、その放送の持っている特質というものから見ていろいろ配慮しなければならないというふうに私どもは考えておりますが、やはり、公共的なメディアであるという観点から見まして、それぞれのしかるべき内容というものが望ましいわけでございますので、再免許の際に当たりまして、たとえば放送番組審議会の会長にその旨要望をいたしておりまして、そちらの方から各関係局の方にいろいろ話を通じてもらう、こういうようなことで対処をいたしているところでございます。
  54. 鈴木強

    鈴木(強)小委員 そこはわかりました。  それから、時間がありませんからNHKの方はまあいいとして、民放の方でこの四放送局のFM放送を聴取している人は大体どのくらいあると推定されておりますか。
  55. 平野正雄

    平野政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの先生の御指摘のような聴取者人口という面は実は私どもの方では把握できておりませんけれども、いろいろな資料によりまして、FM放送局の置局状況に照らして、各都道府県内のFM受信装置保有世帯率というものを一応出しておるわけでございます。  御参考までに申し上げますと、各都道府県をながめましたときに、すべておおむね五〇%を突破いたしております。
  56. 鈴木強

    鈴木(強)小委員 NHKの方ではちょっとわかりませんか。いまだれか専門の方はいますか。FMを受信している世帯、台数ですね。
  57. 沢村吉克

    ○沢村参考人 残念ながらいま持っておりません。どの程度把握しておるかも……。  実は、私は担当でございませんで承知いたしませんので、もしございましたらお手元の方に届けるようにいたします。
  58. 鈴木強

    鈴木(強)小委員 わかりました。では、NHKの方はぜひ調べてみてくれませんか。  それで、新聞の記事を私は拝見したのですが、聴取状況を見ますと、たとえばFM東京のエリアの場合は、本年三月で二千三十四万台、二千七百万人という資料が一応ございますね。それから受信機の普及率が九二%です。FM愛知が五百七十万台、一千五百万人、八六%です。FM大阪が七百六十一万台、一千七百四十万人、八七%です。それからFM福岡が二百五十万台、九百万人、八二%です。こういうように最近非常に増加をしているように思います。  それで、電波監理局の方で恐縮ですが、伺いますが、このFM放送四社の経営の最近の状況はどういうふうになっておりますか。もしおわかりでしたらちょっと知らせてもらいたいのでございます。
  59. 平野正雄

    平野政府委員 お答え申し上げます。  民放FM四社の経営につきましては、各社とも過去数年間おおむね増収、増益の決算となっておるわけでございますけれども、後ほど細かい数字はお手元の方にお出しすることにいたしまして、五十一年度の営業収益と当期純利益との比率と申しますか、売上高、純利益率というものがちょっと手元にございますので申し上げてみたいと思いますが、FM東京の場合には八%、FM愛知の場合には七・六%、FM大阪につきましては七・一%、FM福岡が一八・〇%、四社平均いたしますと八・六%程度になろうかと思っております。
  60. 鈴木強

    鈴木(強)小委員 監理局の方では、この純利益率から見て順調に経営はいっておるというふうに判断しておりますか。
  61. 平野正雄

    平野政府委員 私どもといたしましては順調に推移してきておるというふうに考えております。  途中若干落ち込みのあった社もございますけれども、全体といたしまして順調に推移してきておるというふうに考えております。
  62. 鈴木強

    鈴木(強)小委員 それで、いま申請は全国から百四十と言いましたですね。
  63. 平野正雄

    平野政府委員 六十です。
  64. 鈴木強

    鈴木(強)小委員 六十ですか。大変恐縮ですが、それを都道府県別に見まして、一都道府県の中から二つ以上の申請があるところは何県ありますか。
  65. 平野正雄

    平野政府委員 一都道府県から二つ以上のところをちょっと読み上げてみたいと思います。  北海道の札幌が九でございます。それから宮城県の仙台が九でございます。関東の東京都が九でございます。それから神奈川県の横浜が三、長野県の長野が二、静岡県の静岡が三、愛知県の名古屋が四、大阪府の大阪が二、島根県の松江が二、広島県の広島が四、以上でございます。
  66. 鈴木強

    鈴木(強)小委員 わかりました。  局長FMの六十の申請が出ておりますが、なおまだ追加があると私は思います。いろいろ事情がありましておくれていることは知っておりますが、いまの六十の申請に対していつ免許を与えようとしておるのか。はっきりした日程はまだ立っておらないのでしょうか。
  67. 平野正雄

    平野政府委員 先生の御指摘のように、このFM放送の拡充を求める声が高まっておるという認識はいたしておるわけでございますが、この実施に当たりましては、従来から申し上げております今後の中波放送との関係などを十分検討を尽くしまして、結論を得次第なるべく早い機会に周波数の割り当てをしてまいりたいということでございます。  現在鋭意詰めておる段階でございます。
  68. 鈴木強

    鈴木(強)小委員 長中波の再編というのが十月の幾日ですか、それまでは無理だと思いますけれども、いまから準備をしておいて、それで、その実施のこの前の会議がありましたが、その国際会議で決まった周波数をこれからやるわけですけれども、それと合わせてできるだけ早い機会にやるというふうな方法で急いでもらいたいと思うのです。十月何日でしたか、その日を教えてもらいたい。
  69. 平野正雄

    平野政府委員 十一月二十三日です。
  70. 鈴木強

    鈴木(強)小委員 これはその十一月二十三日以降できるだけ早い機会にできないものでしょうか。やはりこれは来年に回りますか。
  71. 平野正雄

    平野政府委員 私どもといたしましては、鋭意努力をしたいと思います。
  72. 鈴木強

    鈴木(強)小委員 政務次官がそこに来ていらっしゃるから、ひとつ大臣とも相談して——局長はできるだけ早くとおっしゃっているが、できるだけ早くといっても、それがいつになるか正直言ってわからぬですよ。ですから、いまの十一月二十三日の長中波周波数の再編以降できるだけ早い機会に免許をするように最大の配慮をしていただきたい。その努力をしてくださいということを私はあなたにお願いするわけですけれども、いかがでしょうか。
  73. 宮崎茂一

    宮崎(茂)政府委員 いま局長からお答えいたしましたように中波混信の問題がございますので、それを解決しましてから、先ほど左藤委員にもお答えいたしましたが、一応全般的な問題を見て、なるべく早期に免許するような努力をいたしたい。大臣にもきょうの鈴木委員の御意見は十分伝えておきます。
  74. 沢村吉克

    ○沢村参考人 先ほどの件、数字がわかりましたので……。  先ほどの御質問の件でございますが、NHKの現在のFMのカバレージは全国約九六%になっておりまして、受信機の普及率でございますが、世帯普及率で七五%程度、これは昨年の六月現在の数字でございます。ここまで把握をいたしております。
  75. 鈴木強

    鈴木(強)小委員 わかりました。どうもありがとうございました。  それで、最後に政務次官に御要望しておきますが、さっき左藤委員からもお話がありましたマスメディアの独占ということですが、これは私も左藤委員と全く同感でございます。一つのものが新聞、テレビ、ラジオというものをすべて持つということはどうかと私は思います。そういう持論を私は前から持っているものでございます。また、幸い政府もそういう方針を今日まで堅持していただいておりますが、最近の情勢を見ますと、そういう点がどうも大分あやしくなっているように私は思っております。  ですから、特にこの機会に発言をしておくわけですが、マスコミの独占、集中排除ということをぜひ頭の中に置いていただきたい。もちろん、既設のテレビ局等におきまして、多重放送その他についてはいろいろと問題点があるでございましょうし、そういう点は私もよくわかりますので、配慮を十分にしていただきたい。多重の方もそうでありますが、FMについては、特に私は初めからこのFMというのは単営でやったらどうかという持論者でございまして、FM東京免許されるときもこれは大変な問題を起こしました。国会でも録音まで持ち込まれて論争になったいわくつきのFMでございます。いま聞いておりますと経営は順調にいっているようでございますけれども左藤委員が言われたことと同じように、マスコミの独占、集中排除ということを頭に置いて今後免許をやってほしいということをお願いしておきます。  最後に、まだ若干時間がありますので申し上げておきますが、先般御苦労いただいて実験用放送衛星が打ち上がりまして、本当に御苦労さまでした。しかも余り時期を置かずに状況をいろいろと連絡をしてくれまして、宇宙事業団の方にも郵政省の方にもこの点は私は深く感謝をしておきます。  そこで、きょう若干伺っておきたいことがあるのですが、渡辺委員からでございましたか、ちょっと質疑がございましたが、衛星の設置、管理、運用を一元的に行うために特殊法人をつくられるというお話で、これは前から私も聞いておりました。そしていよいよ打ち上げられまして実験に入るわけですが、局長、この特殊法人はいつごろつくられるのでございますか。そしてこれからの衛星実験はこの法人がやるのでなくして郵政省の方がおやりになるようですけれども、一体いつごろこの法人をつくろうとしているのか。そういう点を明らかにしてもらいたいと思います。
  76. 宮崎茂一

    宮崎(茂)政府委員 この放送衛星につきまして特殊法人の構想がいま出ているわけでございますが、これは実用衛星の管理についてでございます。  実用衛星をいつごろ打ち上げるかということは、五十九年とか六十年とか言われておりますが、いまの実験のぐあいによって決まると思います。  管理主体、いわゆる特殊法人はいつというようなところまでいままだ検討は進んでおりません。一応特殊法人という構想が出てきたという、こういう段階でございます。
  77. 鈴木強

    鈴木(強)小委員 いま六十年だなんというえらく長っちょろいことを言っていましたけれども、これは実際に実用衛星を運用する場合のあれですから六十年ということになるのですか。遅いじゃないですか。
  78. 宮崎茂一

    宮崎(茂)政府委員 通信衛星は五十七年度に打ち上げる予定でございますが、放送衛星の方はそれから二年くらいおくれるのじゃなかろうかという見通しでございます。  詳しくは監理局長から補足説明をさせます。
  79. 平野正雄

    平野政府委員 ただいま次官から御説明いたしましたように、実用の通信衛星は五十七年度に打ち上げたい、それから実用放送衛星は五十年代の後半に打ち上げたいという要望を昨年の六月に宇宙開発委員会の方にお出しをしておるわけでございます。  それで、通信用の実用衛星につきましては、現在のところ五十七年度に打ち上げたい。なお、構想の内容でございますけれども、たとえば難視対策に次の実用衛星を使いたい。そして、こういうことになりました場合に、現在のBS程度の性能、機能でもって果たして必要かつ十分であるかという詰めをこれからやっていく必要がございますので、今年度宇宙開発委員会の方にお出しいたします要望内容につきましても現在詰めに入っておるわけでございます。  そのような状況でございまして、さしあたり五十七年度に打ち上げたいと考えておりますが、現在上がっております実験用静止通信衛星とほぼ同規模の電話換算四千チャンネル程度衛星を五十七年度に打ち上げるといたしますと、そのための諸準備が実は必要になるわけでございまして、その諸準備はできることならば来年度から手をつけたい。三百五十キログラムペイロードの衛星準備期間がほぼ四年かかると、世界的にこういうふうに言われておりますので、まずそれを指向していきたい。そういうふうに一応構想いたしまして、あと関係機関、関係方面とだんだん詰めをいたしましてこの構想に肉をつけてまいりたい、実現に努力をしたい、こういうふうなことを考えておるわけでございます。
  80. 鈴木強

    鈴木(強)小委員 そうしますと、実用化はどうしても五十年代後半、五十九年か五十八年——五十八年じゃ無理でしょうね。そうすると実用化に入っていくのは次官のおっしゃるように一応五十九年から六十年と理解しておいていいですか。
  81. 平野正雄

    平野政府委員 ただいまの構想といたしましては、五十七年度から通信衛星については実用に入っていきたい。それから放送衛星につきましては、早ければ五十年代後半という線を崩したくない。  しかしながら、BSと同規模の衛星でもって果たしてどの程度全国的規模の難視対策がとれるかという詰めを十分にした上で、さらにもう一度考え直す必要があるかどうかということでございます。
  82. 鈴木強

    鈴木(強)小委員 わかりました。少し早まるようなふうに私は受け取りました。  できるだけ早めてみても、体制ができなければいかぬのですから、そこで、NHKの方はいろいろ研究をされておるわけですが、個別受信ができるか、あるいはある程度共同アンテナで受けるのかどうか知りませんけれども、いまの郵政省の構想に合わせてNHKもやっておると思います。特に難視聴を解消しようというのが利用分野の第一に挙げられておるわけでありますから、そういう意味におきまして、この前もちょっと伺いましたけれども、もう一度NHK側の体制を伺っておきます。  民放の方はきょう来ていただいておらないのですが、局長どうですか、民放も同じようにまだ難視聴がありますね。これを早く解消してほしいという声は、正直言ってNHKよりむしろ民放の方が多いでしょう。そういう意味では実用化段階民放はかなり助かると思うのです。しかし、難視聴を解消するといっても、全国的な番組はいいと思いますけれども、ローカル的なものはできないということになりますと、その辺で、なるほど難視聴解消はできるが実情に即した番組を送ることにはならぬのですよ。そういう問題もあるわけです。ですから、受信者から見ると、この衛星で難視聴解消と言われたってそううまくいかぬぞという心配というか、そういう考え方を一面で持つわけです。  それにしても、ネットワークが全国的なものになりますとそれだけのメリットが十分あるわけですから、民放の方もNHKと相対応しておくれをとらないように行政的なアドバイスもしていただきたいと思いますが、その辺を含めてNHK電波監理局長にお願いします。
  83. 沢村吉克

    ○沢村参考人 お答え申し上げます。  NHKがかねてから放送衛星の開発研究に手をつけましたのは、いま先生の御指摘もございましたような難視解消を将来にわたって効率的、抜本的にやるのには、地上のネットワークでは過疎地帯に入ってまいりますと非常に不経済になる、また非常に時間を要するということもございまして手がけた仕事でございます。  そういう面から申しましててきるたけ早く放送衛星実用化を図っていただきたいという考えでございますが、放送でございます以上、受信側の設備ができるだけ簡便で各家庭で手に入るものでなければならぬということで、放送衛星システムの研究に当たりましても衛星受信機の開発に非常な力を入れたことは先生も御承知のとおりでございます。  具体的に実際に衛星が上がりまして検証をいたしませんとどの程度の受信機でどの程度の確率で——確率と言いましょうか、天候にも左右されずに受かるかという点についての最終的な結論は出かねますけれども、幾つもの計算、いままでのアメリカカナダにおきます実験に協力いたしました結果から申しますと、豪雨のときとかかなりの雨のときは別にいたしまして、天候のいいときでございますと、少なくとも本土の大部分におきまして一メーター以内のパラボラアンテナで十分受信ができるというところまでは申し上げられるかと思います。アメリカカナダに持ってまいりました六十センチのアンテナで十分な絵が受かっておりますので、そういう点から言いましても本土内は一メーターで受かるだろうと思います。これが雨でどの程度まで画質が損なわれるかというところはこれから検証したいところでございます。  そういう意味で、今度の規模百ワットの衛星が、電波監理局長のおっしゃったように本当に将来にわたっての十分な機能を備えているのか、若干足らぬところがあるのかというところが非常にきわどいところになろうかと思いますが、そういう意味で今度の実験の結果に非常に期待をかけておるし、またわれわれも努力をしておるところでございます。  なお、小笠原でございますとか南大東島でございますとか、本当に離島になりますとそれほど十分な電波を与えるということもまた非常な大電力を必要とするようになりますので、そういう本当の離島につきましては、若干共同受信的なことあるいは再送信のようなことで補完をしていくのが妥当な手法ではなかろうかというふうに考えております。
  84. 平野正雄

    平野政府委員 お答え申し上げます。  御承知のように、NHKは全国くまなく放送の受信が可能なようにということもございまして、ただいま沢村参考人の方からるる御説明があったと思いますが、郵政省といたしましても、このBSの実験をこれからNHKと相協力しながら行いまして、そして確かめ合いながら、将来の難視聴解消のために国として何をやるべきであるかということを決めてまいりたいと思うわけでございますが、その段階におきまして、先生のお示しのような民放関係につきましてもできるだけ情報をお示しする、あるいは一緒にお考えいただくというようなチャンスをこれからだんだん持ってまいりたいと思います。  その中で、いま先生から御指摘のございましたような大変むずかしい問題をいろいろと抱えておるわけでございますけれども、ひとつ相談をしてまいる必要があるのじゃなかろうかと、そういうふうに考えておるわけでございます。
  85. 鈴木強

    鈴木(強)小委員 よくわかりました。BSの実験の成功を祈ります。そして成功しましたらできるだけ早く実用化方向に向かいますようにお祈りします。がんばってください。お願いします。  どうもありがとうございました。
  86. 加藤常太郎

  87. 依田実

    依田委員 きょうは主に放送衛星のことについてお伺いをしたいと思うのであります。  先ほどから御答弁の中では、いわゆる技術的には将来の見通し図が出ておるわけでありまして、実験用の通信衛星実験用放送衛星はすでに上がりました、今度は五十七年に実用の通信衛星、そしてまた五十年代の後半には実用放送衛星が上がると、こういう御答弁でございました。  いままで見ておりますと、科学の進歩は日進月歩でありまして、先ほども音声多重放送を拝見させていただきましたけれども、そういう意味では、これからも放送界というのは、未来図、新しい分野発展は非常に期待されると思うのでありますけれども放送衛星については、国際的あるいはまた国内的に、法制的に条約交渉というものがこれからいろいろたくさんあるのじゃないかと思うのであります。それと同時に、利用体制について国内でこれからいろいろ検討していかなければならぬ点が非常に多いわけで、そういう意味で、この問題についての体制固めというものが急がれておったわけでありますけれども、ここへきて突如として例の特殊法人構想というものが上がったわけでありまして、まだまだ問題が非常に多いわけであります。  この点については私はこれから個々にお聞きをいたしますけれども、何となく体制を早くつくらなくちゃいかぬからということで、何か子供のなわ張り争いみたいに、陣取り競争みたいに郵政省がほかのところよりも早くすぱっとこういうことを——遅いのも困るのでありますが、拙速も困るということだろうと思うのでありますが、この特殊法人構想を打ち上げられたタイミングと、その意図はどこにあるのか、御説明をいただきたいと思います。
  88. 平野正雄

    平野政府委員 いわゆるCS、BSを四十八年度から開発に取りかかりまして、昨年からことしにかけていよいよ実験放送衛星あるいは実験通信衛星が打ち上がって、これから実験を行うという段階に入ったわけでございますが、この間諸先生方には大変御指導、御鞭撻、御支援をいただきながらここに参ったわけでございます。  そこで、いよいよ実験用衛星が上がって三年間の実験に取りかかるわけですが、次の段階ではできるだけ早くその成果を国民に還元する必要があるだろうという意図から、現在上がっているCSとほぼ同規模の実用の通信衛星は五十七年度に打ち上げたい、現在上がっているBSとほぼ同規模の実用放送衛星を五十年代の後半に打ち上げたい、と、こういう要望を宇宙開発委員会の方にいたしたわけでございますが、宇宙開発委員会の方といたされましては、実は、実用衛星というものはまだ日本の宇宙開発計画の中に取り入れられておらないということで、したがいまして非常に慎重でございます。別途検討を進めようということで、別途検討をいたしますときに、運用主体はどういうふうに考えるのだ、利用分野はどのように考えていくのだといったことをひとつ出していらっしゃいというような御要望が実はあったわけでございます。それが一点でございます。従来から、実際に実用に供する場合の運用管理体制とその主体というようなものにつきまして長年いろいろと関係方面とはお打ち合わせをし、勉強してまいったわけでございますけれども、そういった御要望に対しましてやはり適時適切にお示しをしたい。これが一つでございます。  それから、放送衛星につきましては、いろいろと国際にもむずかしい問題が実はまだ現存しておるわけでございまして、しかも、時間的にも五十年代後半まではまだ若干時間がある。しかしながら、実用の通信衛星につきましては、五十七年度ということになりますと、実はもう来年度ぐらいから予算をいただきまして手をつけ始めないと五十七年度には間に合わなくなるおそれがある。これでは大変であるということでございます。  そういった二つの理由が主たる理由となりまして、できるだけ早く構想として御説明等をさせていただきながら、肉づけを関係各方面、各機関と詰めながら努力をしてまいりたい、こういうことでございます。
  89. 依田実

    依田委員 いま御説明がございました利用分野の問題、あるいはこれから国際的にいろいろ詰めていかなきゃならぬ問題、これは後で御質問いたしますけれども、いわゆる発信国と受信国との問題だろう、これのいかんによっては放送衛星自体が決定的なダメージを受ける、こういうことでございましょう。逆を言えば、そういうものがまだ決まらない段階でこういう構想が上がったということは、先ほど申しましたように、まず陣地だけ取っておこうということに通ずるんじゃないかと思うのであります。  この構想をお考えになる前に、宇宙開発事業団はいままでせっかく打ち上げに努力してきたわけであります。あるいは電電公社はコモンキャリアとしての実績がもうあるわけでありまして、通信衛星などは、放送衛星は別といたしまして、電電公社が管理しても別に悪くないと私は思うのであります。そういうようなこれまでのそれぞれの分野がいろいろとあるわけでありますが、そういうところとこれまで話し合いをなされておるのかどうか、その辺はいかがでしょうか。
  90. 平野正雄

    平野政府委員 先日構想を外部に発表いたしますまでの間に、先ほど申しましたように宇宙開発委員会の方からのそういった御要望に対処いたしまして、先生方と個別にいろいろ御意見をいただいてきておったわけでございます。また、先ほど御指摘のございました電電公社、国際電電、NHK等との間にいろいろな形でお話し合いを進めていただいてまいっておったわけでございます。  それから、さらに、科学技術庁と共管という形でもって宇宙開発事業団の監督に当たっておりますので、科学技術庁の方とも事前にお打ち合わせをいたしまして、従来のものが実用段階になったならば、その実用衛星を使用する機関が管理運営方式を検討するという点について相違があるかないかという点を確かめてまいっておったわけでございます。
  91. 依田実

    依田委員 大きいところで言えば、宇宙条約などを見てみますと、第六条には、条約の当事国は国際的な責任を持たなくちゃならないとして、そして「非政府団体の活動は、条約の関係当事国の許可及び継続的監督を必要とするものとする。」と書いてあるわけであります。やさしく言えば、番組内容などについても監督指導しなければならぬということも大きいところでは必要になってくるわけであります。  細かいことを言えば、たとえば東京タワーのようなものは、タワーは東京タワーが持っておりますけれども、あそこに置いておる放送機器はNHKなりほかが持っておるわけであります。それと同じように、放送衛星に関しても、その中に載せる放送機器は放送する主体者が持つのかどうかという細かい問題もいろいろある。こういうような問題がまだほとんど詰まっていない中でこの特殊法人構想が出てきたということは、何かそろそろ模索しなければならぬという必要は確かにあるんですけれども、まだ何となく未成熟なところがあるような感じがするのであります。  それはそれといたしまして、先ほどもちょっとお話に出ましたこの放送衛星をやるには、これから非常にむずかしい国際的な問題を抱えておるわけであります。それはもう御承知のように、ソ連が一九七二年の八月に提案をいたしまして、放送衛星番組のいろいろ内容などについても細かく言っておるわけであります。たとえば第四条には、途中は抜きますけれども、条約の当事国は、戦争、軍国主義、ナチズムの思想あるいは諸国民間の民族的、人種的憎悪と敵意を宣伝するようなものは放送しちゃいかぬとか、いろいろと細かく書いてあります。暴力、恐怖あるいはポルノグラフィというようなものも放送してはいかぬと書いてあります。そして、そういうものを相手国の了解なくして放送するときにはそれに対して対抗処置をとるということです。つまり、突き詰めて言えば、そういう放送衛星は破壊をするということまで含めるんでしょうけれども、こういうような提案をしておるわけであります。  これはいま国連できっといろいろと審議をされておると思うのでありますけれども、いまの段階ではどういうところまでこの審議が進んでおるんでしょうか。
  92. 平野正雄

    平野政府委員 お答え申し上げます。  外国に向けて電波を出す衛星テレビジョン放送の法的規律の問題かと思いますが、国連宇宙空間平和利用委員会の法律小委員会におきまして、一九七五年以来衛星による直接テレビジョン放送を律する原則案というものの起草作業が行われております。  これまでの審議の過程におきましては、各国の意見を特に対立しておりますのは、外国向け衛星テレビジョン放送を行う場合、受信国との協議及び協定を要することとするかどうかという点と、特定の番組放送を原則案上禁止することとするかどうかという二点だと思っております。  これらの点につきまして、先ほど先生も御指摘になりましたように、ソ連等のいわゆる規制を主張する諸国は、外国向け衛星テレビジョン放送を行う場合、受信国との協議及び協定を必要とするとか、また、衛星テレビジョン放送によって軍国主義等を鼓吹し、あるいは不道徳な内容にわたる番組等を放送してはならないという点を明確にしようという点を主張しております。  一方、また、アメリカ等の国々は、外国向け衛星テレビジョン放送を行う場合、受信国との協議及び協定を要するという考え方は、世界人権宣言等によって国際的に確立した情報享受の個人の自由を阻害するものであって、また、原則案の中で基準を設けて番組内容の規制を行うことは個人の情報享受の自由の原則に反し、実際的にも不可能であるというふうな主張をしておるわけでございます。  そういうことが現在の状況でございます。
  93. 依田実

    依田委員 御説明でよくわかりました。  簡単に言えば、自由主義圏は発信国の自由を主張するわけでありますが、いわゆる共産主義体制の国は、そういう自由な放送が入ってきまして、それをその国の国民が受けることは、昔、日本が戦時中に短波受信機を禁止したのと同じような意味で非常に困るわけであります。  そういう意味で、受信国側の主権を主張して譲らないということで、この問題もなかなかむずかしいだろうと思うのでありますけれども郵政省というか、日本の考え方はどういう考え方でしょうか。
  94. 平野正雄

    平野政府委員 わが国といたしましても、関係機関といろいろと協議をしてこの会議に対処してまいっておるわけでございますけれども、原則的には、外国向け衛星テレビジョン放送につきましても、基本的に放送番組編集の自由が確保されなければならないという考え方に立っておりまして、この原則の損なわれない限度で受信国の関心につきましてある程度配慮できる余地を残すといいますか、制度化することが現実的な解決方法ではないかということでございますけれども、現在のところ、いまだに各国の主張が厳しく対立をしておりまして、今後どのように推移していくか、ちょっと見通しが立たない状況でございます。
  95. 依田実

    依田委員 これははるか赤道上のかなたから電波を発射するわけでありますから、日本の国土の形のように電波を発射するわけにはいかない。どうしてもそこでスピルオーバーが出てくるわけでありまして、そうなりますとやはり共産圏の国などは非常に困るだろうと思うことは私は納得できるわけでありまして、そういう意味でこの問題はなかなかむずかしいのじゃないかというふうに思うわけであります。  一方、国内でも衛星放送実用化するまでにはまだいろいろ検討しなければならぬ問題がたくさんある。そして、また、それを早くやっておかなければいかぬだろうと思うのであります。その一番の問題は、与えられた八チャンネルをどういうふうに使うかということ、これを早いうちに決めておかないといけないのじゃないかと思うのであります。NHKの総合、教育放送大学、それに民放キー局五局がありますので、これはなかなか簡単にはいかないのじゃないかと思うのでありまして、この八チャンネルをどこへ与えるということじゃなくて、どういうふうに利用したいかということ、この構想はお持ちでしょうか。
  96. 平野正雄

    平野政府委員 昨年行われました十二ギガヘルツ帯の、ただいま先生がおっしゃいました放送衛星用の周波数割り当て計画をつくる会議におきまして、わが国は各国との関連におきまして当面八チャンネル要求が通る可能性がある、通したいということで努力した結果、各国とのバランスの問題等もあったわけでございますけれども、要求どおり各国平等の割り当て可能周波数というような形で、わが国の地理的有利性を勘案して、技術的にその周波数が確保されたわけでございます。  衛星放送自身は、一般に言われておりますように、同一周波数と申しますか、同一ビームで全国をカバーすることができるとともに、高仰角でサービスが確保できるという特質を有しておりますので、このような特性にふさわしい難視聴解消でございますとかあるいは教育目的に利用することが適当であろうと考えておりますが、この衛星放送は何分にも全く新しい分野でございまして、各国におきましてもいまだに実用に至る間の検討段階分野でございますので、その有効な利用を図るためには、ただいま打ち上げられております実験用中型放送衛星の成果をも見きわめながら、あるいは利用分野の熟成を待ちながら、あるいは宇宙関係技術というのは、地上における放送あるいは地上における公衆通信等の技術といったものにさらに加えて宇宙の特殊の技術があるわけでございますので、そのような技術研究開発を進めながら考え、検討を進めてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  97. 依田実

    依田委員 この放送が国内に及ぼすもう一つの大きい影響は、もしこれで民放的な放送が行われるとすると、いままでの地域地域にありました民間放送局というものはもう死活問題になるわけでありまして、そういう意味で、この放送衛星が始まったときの民間放送のあり方、全国的なネットワーク、そしてその配置の状況というようなものについて郵政省としてはいまどういう構想をお持ちになっているのでしょうか。そして、いまの民間放送局をどういうふうに存続させるのか、その辺のことも含めてお話しをいただきたいと思います。
  98. 平野正雄

    平野政府委員 ただいま御指摘のございました放送事業者、特に民間放送とのかかわり合いの問題は大変むずかしい問題かと思います。したがいまして、先ほども鈴木先生に申し上げておりましたように、今後BSの実験が進むに伴いまして、民間放送関係の方々とも将来の技術あるいは利用分野等について十分に話し合いができるような方向で考えてまいる必要があるのではなかろうかと思います。  そういった技術なり利用分野なりの進展の中におきまして、どのような利用分野を現在すでに獲得されております八チャンネルに割り振っていくか、さらには将来新しい利用分野なり新しい技術なりの進歩を期待できるかどうか、期待すべきかどうか、そういったことを私どもとしては期待をしておるという現状でございます。
  99. 依田実

    依田委員 これは民放の各社にとりましては本当に大事な問題だろうと思いますので、ひとつ慎重に——しかし、先ほどのお話にもございましたように、五十年代後半と言えばもう数年でありまして、そういう時代が迫りつつあるわけでありますから、この問題は積極的に御検討いただきたいと思うのであります。  もう一つ、国内的な問題として、先ほども触れましたけれども、宇宙条約というものがございまして、放送衛星などを使って出す電波について条約の関係当事国が監督しなければならぬということが書かれておるのであります。これは下手をすると番組への介入になるわけでありますけれども、そういう番組の編集権を含めて監督しなければならないというふうに解釈なさるのかどうか、その辺を伺いたい。
  100. 平野正雄

    平野政府委員 お答え申し上げます。  宇宙条約の中には、先生の御指摘のように、国の責任という点は確かに私ども受け取っておるわけでございますけれども番組関係等につきましては、先ほど申し上げました国連の宇宙空間平和利用委員会の中で、現在その法律小委員会が設けられまして、三十カ国ほどの国々の間で議論がなされておるということでございます。  いずれこれがまとまれば国連の決議、ひいては条約ないしは協定というような形でもって各国に返ってくるというふうに考えておるわけでございまして、これに対する取り組みにつきましては、先ほど申し上げましたように、基本的には放送法三条の精神、いわゆる番組編集の自由を確保するということを基本にして対処していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  101. 依田実

    依田委員 最初にも申し上げましたように、科学が先行して、その利用方法について十分な検討がなされない上にどんどん既成事実が積み上げられていくということがこれまでの傾向じゃないかと思うわけでありまして、この画期的な放送衛星の場合には、それに対応する十分な体制を早急に御検討いただくようにお願いをいたしまして、質問を終わります。
  102. 加藤常太郎

    加藤委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十分散会