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1978-06-08 第84回国会 衆議院 逓信委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年六月八日(木曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 松本 七郎君    理事 小渕 恵三君 理事 加藤常太郎君    理事 左藤  恵君 理事 志賀  節君    理事 鈴木  強君 理事 米田 東吾君    理事 田中 昭二君 理事 小宮 武喜君       大石 千八君    倉石 忠雄君       中島  衛君    灘尾 弘吉君       原田昇左右君    堀之内久男君       与謝野 馨君    阿部未喜男君       野口 幸一君    古川 喜一君       竹内 勝彦君    鳥居 一雄君       青山  丘君    藤原ひろ子君       依田  実君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 服部 安司君  出席政府委員         郵政政務次官  宮崎 茂一君         郵政大臣官房長 河野  弘君         郵政省電波監理         局長      平野 正雄君  委員外出席者         外務省アメリカ         局外務参事官  北村  汎君         会計検査院事務         総局第五局長  東島 駿治君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     坂本 朝一君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    藤島 克己君         参  考  人         (日本放送協会         技師長)    沢村 吉克君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   山本  博君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   川原 正人君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   堀 四志男君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   中塚 昌胤君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   橋本 忠正君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     反町 正喜君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     武富  明君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   渡辺 伸一君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ――――――――――――― 委員の異動 六月八日  辞任         補欠選任   亀岡 高夫君     与謝野 馨君   長谷川四郎君     大石 千八君   原 健三郎君     原田昇左右君   渡辺 秀央君     中島  衛君 同日  辞任         補欠選任   大石 千八君     長谷川四郎君   中島  衛君     渡辺 秀央君   原田昇左右君     原 健三郎君   与謝野 馨君     亀岡 高夫君     ――――――――――――― 五月三十一日  重度身体障害者使用電話料金等半額割引に関  する請願堀之内久男紹介)(第五四四〇  号)  同(中村弘海紹介)(第五四四九号)  同外一件(小宮武喜紹介)(第五四六七号)  同(石橋政嗣君紹介)(第五五一六号)  同(野村光雄紹介)(第五五六三号) 六月七日  重度身体障害者使用電話料金等半額割引に関  する請願木原実紹介)(第五七〇八号)  同(住栄作紹介)(第五七七三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 六月五日  摂津市に集配郵便本局設置に関する陳情書  (第四三二号)  長崎県対島への郵便物逓送経路改善に関する陳  情書  (第四三三号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  日本放送協会昭和五十年度財産目録貸借対照  表及び損益計算書      ――――◇―――――
  2. 松本七郎

    松本委員長 これより会議を開きます。  日本放送協会昭和五十年度財産目録貸借対照表及び損益計算書を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小宮武喜君。
  3. 小宮武喜

    小宮委員 最初に、会計検査院の方で決算に対する監査をやっておられますから、その監査報告をまず最初にお願いしたいと思います。
  4. 東島駿治

    東島会計検査院説明員 お答え申し上げます。  私ども、日本放送協会に対しましては、職員十五名をもちまして書面検査及び実地検査をいたしておりまして、実地検査につきましては、各地方の放送局等につきましても十分やっているつもりでございます。  検査の際には、経理上不備な点あるいは運営上もう少しこうやった方がいいじゃないかと思うような点につきましては、口頭で注意したり、中には文書で注意しているものもございますが、先般本委員会で御報告いたしましたように、検査報告に掲記するほどの問題はございませんでした。  以上で終わります。
  5. 小宮武喜

    小宮委員 予備費使用状況についてお聞きしたいのです。  これはNHKの方からでも結構ですから、予備費使用状況について御答弁願いたい。
  6. 川原正人

    川原参考人 五十年度の予備費につきましては、総額十一億円が予算に計上されてあったわけですが、五十年度はこのうち九億円を使いました。  中身は、台風、集中豪雨等非常災害による被害施設の復旧あるいは受信者対策経費といたしまして一億二千九百万円、それから賞与増加に伴う給与財源不足に対しまして四億三千万円、それから受信料の契約収納等お願いしております郵政委託事務運営経費不足に対しまして三億四千三百万円、以上でございます。
  7. 小宮武喜

    小宮委員 決算も大事でございますけれども、私たちが一番心配するのは、NHKの今後の経営見通しがどうなるのかということが一番心配されるわけです。そういう立場から、経営見通しの問題についてちょっと質問をいたしたいと思います。  坂本会長は、五十三年度の予算審議の際に、五十四年以降の事業収支は、五十四年度が二百二十二億、五十五年度が四百二十七億、五十六年度が六百六十二億の赤字となり、それに建設資金返済を加えると、総合収支赤字は五十四年度が三百億、五十五年度が五百九億、五十六年度が七百四十四億の総計一千五百五十三億に達するというように説明されておるわけですが、この事業収支だけで比較してみましても、五十四年度は五十三年度の七・四倍の赤字、五十五年度は十四・二倍の赤字、五十六年度は実に二十二・七倍の赤字が出ることになっているわけですが、これはこの前の予算審議の際でございますから詳細に詰めたかどうかはよく知りませんけれども、こういう赤字が急増するということはわれわれも非常に心配いたしておりますし、そういう立場から、どうしてこういう赤字が急増するのか、ひとつ具体的に説明を願いたい。  これは公式にわれわれは資料をもらっておるわけですから、幾ら資料がずさんであったとしても、国会にはもっと正確な数字を出していただかぬと、われわれから見ておると、何か赤字を過大に評価して、そして受信料値上げ資料にしたりあるいはPRをするような印象を受けておりますので、決してNHK側を疑うわけじゃございませんけれども、ひとつ納得のいくような御説明を願いたいと思います。
  8. 山本博

    山本参考人 御指摘がございましたとおり、五十四年度、五十五年度はそれぞれ、この前提出をいたしました資料に基づきますと三百億ないし五百億という赤字が出てまいります。  この資料提出いたします際にも御説明を申しましたけれども、この資料は、五十三年度の予算を編成するに当たりまして、いわば予算編成資料といたしまして、五十四年度、五十五年度の見通しを立てた資料でございます。  時期的にも予算を編成いたします時期にこれを策定いたしましたので、実は、その後、ここに挙げましたいろいろな諸条件というものが必ずしも全部今日の時点でも適正であるかどうかという問題が残っておりますので、その時点におきましても、これは今後の経済情勢あるいはもろもろNHK経営環境変化に伴って修正をしていくべきものであるという留保をつけて御提出を申し上げたものでございます。  したがいまして、現在NHKの内部におきまして、こういう諸条件の変更について今後どういうような見通しを立てられるかということを検討しておる最中でございまして、五十四年度以降につきましては、出しましたこの資料とある程度違ったものを策定せざるを得ないのではないかと、こういうふうに考えております。  それを前提にいたしましてただいまのお尋ねにお答えをいたしますと、これを設定いたしますときの一つ条件としましては、NHK新規の、いわばNHKの将来負担増になるような大きな新規事業というものは考えないということを一つの柱にいたしております。たとえば建設費関係ですと、従来とっておりました難視解消の線は新規計画という形で付加されますけれども、建設計画その他におきましては、せいぜい、従来使っておりました施設が相当老朽化いたしておりますので、それを八五%程度は補修していきたい、あるいは補てんをしていきたいという基準だけで設定がなされております。  それから、これはその当時の設定でございますけれども、物価につきましては、実は政府見通しが五十三年度の六・八%だけしか出ておりませんので、五十四、五十五以降はどういう基準をとったらいいかというのは、これは民間もろもろ資料が出ておりますけれども、NHKといたしましては、五十四年度以降について確たる見通しはその時点でできませんでしたので、もろもろ資料の、およそNHK側として考えました妥当な線だろうと思う数字を使いまして、ほぼ七%ということで設定をいたしました。  それから人件費につきましては、これも一番むずかしい見通しの問題でございまして、これを適切にあらわした見通しというものもその当時はなかなかございませんでした。現在でもございませんが、この数字につきましては今後いろいろな検討を加えてまいらなければならない一つでございますけれども、これはその当時ほぼ九%ぐらいというのが五十三年度の予算設定時点見通しでございました。そういうものを全部総合いたしまして、支出はほぼ一〇%台に抑えようということで、そして、これを設定いたします中で一番大きな比重をとっておりますものが三つございました。  その一つ人的費用でございます。これは現在NHK費用の中で一番大きな比重を占めております。したがいまして、この点につきましては、内部的にも、組織の問題、効率化の問題というものを総合的に検討するプロジェクトチームをつくってただいま検討をいたしております。  それから、もう一つ大きな比重を占めておりますのが営業関係費用でございます。御承知のように、これは現在伸びが非常に鈍化いたしておりまして、受信料収入はこの三カ年間をとりましてもほぼ二%台の増しかございません。これにつきましては、その二%がそう飛躍的に多くなるということは、これはなかなか解決ができません。新しい受信機を備える世帯というものがほぼ限度に達しておりますので、この二%台の受信料収入を早急に解決するというのにはいろいろむずかしい条件がございます。しかし、それにかかる費用というものはいろいろな面でもっと考えていく余地があるのではないかということで、これも現在内部的にいろいろ検討をいたしております。  それから、三つ目にかかる費用放送関係費用でございます。これは最近民間放送との関係でいろいろ競争原理が働いてまいりまして、NHK自身としても、単に物価が七%であるということだけでこの数字がおさまるものではないということがだんだんの年ごとの趨勢でございますので、これにつきましてはそれなりの手当てはせざるを得ない。  放送NHK基本的使命でございますので、ここについてはできるだけ縮小再生産になるようなことはいたしたくないという基本姿勢がございますが、この三つを大きな柱にいたしまして、なおこの三カ年間は事業支出においては一〇%台に抑えようということを一つの大きな策定の枠にいたしました。  それで、これは五十一年度から五十三年度の、この前受信料改定を御承認いただきましたときの計画ではほぼ一三%台ということで事業支出をお認めいただいたのでございますけれども、結果におきまして、五十三年度末までほぼ一〇%から一一%ぐらいでそれがおさまるという見込みになっておりますが、五十三年度以降、五十四年度、五十五年度はほぼ一〇%台におさめようということで、もろもろの点でいろいろな改善策を講じながらこういう計画を立てました。  ただいまの御指摘につきましては、いま申し上げたような基準設定いたしますと、一つ事業体経営いたしますのに、現在の状況ではほぼ一〇%ぐらいの増ということはどうしても避けられないのではないか。しかし、一方収入の面では、いま申し上げましたように二%台ということでございますから、このギャップというものをNHKの現在の状況においていかに打開するか、いかに問題の解決をするかということが今後課せられた私たちの責任であろうと思っております。
  9. 小宮武喜

    小宮委員 長々と説明されましたけれども、いま言われるように事業収入伸びを二%から二・五%見込まれるし、支出の方は一〇%台に抑えたいということであれば、そのほかに収入はないのだから、もう初めから八%から七・五%の赤字が出るということははっきりしておるわけですよ。  ところが、私が指摘をしたいのは、ここにも資料がありますけれども、これは収支予算とそれに基づく受信料値上げ率試算ということですが、この試算表によれば、たとえば事業収支伸び平均一〇%、九%、八%と仮定した場合の、三年間で収支の均衡を図るための年度別引き上げ率を示しておるわけです。だから、先ほどから申し上げますように、収支なら収支収支予算はこうなりますということであればいいけれども、これこれの赤字が出ますから、そのためにはこれだけの受信料を値上げしなければなりませんということで、これは言葉をかえれば、メニューを出して、皆さん方、ひとつどれかいい料理を食べてください、どれを選ぶかは皆さん方の御自由ですよというのと同じなんです。だから、この前の資料というのはやはり受信料値上げPRであり、布石であるということを私は言いたかったわけです。  だから、もし見通しに誤まりがあり、また修正をしなければならないような問題があったとしても、NHKとしては、たとえば事業収支はこうなります。また支出の方はこうなりますという一本で示すべきであって、こうなった場合はああなります。こうなった場合はこうなりますということでは、これは食堂に行ってメニューを示すのと同じなんです。まあ、予算審議の際ですからNHKも何とか布石を打っておこうということでこういう資料を出されたということは私は善意に理解しますけれども、国会資料を出す場合は、収支はこうですという一つの方向を、仮にそれが修正される問題であったにしても出すべきであって、これではメニューを出してどれか好きなものを食べてくださいという資料にすぎないということです。それを私は言いたかったわけです。  ところが、それを言ってみたってしょうがないですけれども、いま言われておるように支出の方は一〇%台に抑える、収入の方は二%か二・五%しか見込まれぬということになった場合に当然赤字が出るわけですから、そういうことで私は今後の問題についていろいろ聞いておきたいと思うのです。  たとえば物価上昇率でも、この場合は恐らく七%から七・五%の上昇率を見込んでおると思いますけれども、人件費の問題が出ましたけれども、五十三年度の春闘で妥結した額は幾らですか。
  10. 武富明

    武富参考人 お答えいたします。  五十三年度の給与交渉につきましては、定期昇給五千七十円、ベア千八百七十円、合計いたしまして一万一千九百四十円、アップ率は六・四七というところでベアを行なっております。
  11. 小宮武喜

    小宮委員 この前予算審議の際に附帯決議の問題でいろいろ私の意見を述べたわけですが、附帯決議に対して会長附帯決議を尊重しますということを言われたわけです。こういう附帯決議によって、NHK職員待遇改善についても慎重に配慮することということがついたわけですが、そのとき私が心配したのは、こういう附帯決議を楯にして、労使交渉の際に国会附帯決議でもついておるではないかということが労の方から出はしないかということを懸念したわけです。だけれども、会長は尊重すると言われた。  この問題で、今回でなくて従来の労使交渉の中で、この附帯決議を楯にして、国会附帯決議もついておるじゃないか、したがってこうこうしなさいというような発言がなされたことがあるかどうか。その点はいかがでしょうか。
  12. 武富明

    武富参考人 お答えいたします。  私、人事本部長になりまして交渉したのはことしでございますので、過去のことといういまの御質問でございますけれども、従来ともこのベア交渉につきましては、国会附帯決議というのは協会のこの問題に対する姿勢に関しまして勧告もしくは御指示をいただいておるものと承っております。しかし、交渉の場では絶えず自主交渉ということを根本に置きまして自主的に交渉いたしておりますので、経営側からもそう申したことはございませんし、組合側からもそれをてこに要求されたことはないと私は聞いております。
  13. 小宮武喜

    小宮委員 そういう答弁をせざるを得ないでしょうね。私は事実を知っているわけです。しかしながら、その問題はこれ以上ここでは申し上げません。  そこで、NHK職員平均年齢平均勤続年数平均賃金幾らですか。
  14. 武富明

    武富参考人 お答えいたします。  職員の平姓年齢といたしましては三十九歳でございます。平均勤続年数といたしましては十五・五年になっております。それから、組合員平均基準賃金と申しますのは十八万四千六百円になっております。
  15. 小宮武喜

    小宮委員 NHK賃金は、たとえば同業企業のマスコミということで新聞社あるいは民放と比べてどうか、国家公務員と比べてどうか、その点を御参考までにお聞きしたいと思います。
  16. 武富明

    武富参考人 お答えいたします。  新聞並びに放送との比較は、わりあいに職業構成とか学歴構成が近うございますので、これは比較がしやすいのでございますが、いま先生が御指摘になりました公務員との比較になりますと多少比較のしにくい点がございます。その点あらかじめお断りいたしておきますが、社名を申し上げるのはちょっと差し控えたいと思います。  新聞に比べまして三万円ないし四万円NHKの方が低い状況にございます。さらに、賞与を加えますと大体七十万円から百万円を超える差がございます。ただ、同業と申しましても、NHKと他の社とは学歴構成についても多少違った点がございますので一概に比較はできませんが、実情はそうなっております。  それから、先生の御指摘でございますので公務員給与とあえて比べさせていただきますと、これは比較するのに条件を同じにいたしまして、年齢三十五歳、勤続十三年あたりをとりまして比較をいたしますと、国家公務員の上級乙と比べますと、NHKの方が四、五千円低くなります。甲と比べますと約二万円低いという状況になっております。
  17. 小宮武喜

    小宮委員 NHK基幹放送であるだけに経営も健全でなければならないと考えておるわけですが、これだけNHK経営に非常に赤字が出て困っておるときに、NHKを代表する経営委員会積極性に欠けているのではないかと思う。この前もNHKの今後の中期的な見通しについて委員会が開かれておるし、秋ごろには何か結論が出るような御答弁もあったわけですが、NHKの今日の経営状態から見て、経営委員会はもっと積極的に取り組むべきではないのか。その意味では、一般世評にも経営委員会は積極さに欠けておるのではないかという批判もあるし、経営委員会は形骸化しておるのではないかという批判もあるわけです。  したがって、この問題について、会長さんはなかなか御答弁しにくいでしょうから、郵政大臣からこの点をどう見ておるのか御答弁を願いたい。
  18. 服部安司

    服部国務大臣 経営委員のあり方についての御意見でありますが、各界各層から有識有能な方々政府から任命されて、両院の同意をちょうだいいたしまして、熱心に経営に当たっていただいていると確信を持っているわけであります。  しかし、不完全な人間社会のことでありますから、それで満足することは許されません。もっと努力をし、特に、正直申し上げて、NHK経営についていま各界各層からいろいろときわめて厳しい批判の声も聞いている今日、経営の衝に当たっていただく方々により一層の努力をお願いせねばならないと、私はかように考えている次第でございます。  急激な経済状況変化でいろいろと問題をかもし出し、それに関連していろいろな意見も出ましたが、私は、今後は経営委員各位の過去に得られたとうとい経営体験やおのおのの職域を通じて得られた御体験を最高に活用していただいて、日本放送協会会長以下幹部職員とも一体になって、国民のための公共放送の実を上げていただくように努力をしてまいりたい。  正直申し上げて、他の委員に比べてかなり真剣に取り組んでいただいていることも見逃がせない事実でございますので、この点もあわせて御理解を願っておきたいと存じます。
  19. 小宮武喜

    小宮委員 これは企業にしてもあるいは個人の家庭経営するにしても、経営の原則は、入るを図って出るを制するというととがやはり基本でなければならぬと私は思います。それはお互いの家庭でもそうでしょう。これくらいの収入しかないのにそれ以上支出があれば、これはもう借金を負う以外にないですから、だから、できるだけ支出を切り詰めて収入の範囲内で生活をしていくということが経営としての基本だと思う。しかし必ずしもそうばかりはいかない場合もあるけれども、そういう基本に立ってNHK経営努力をやってもらわなければいかぬと私は考えるわけです。  したがって、これから先いろいろ質問をしますけれども、世間ではNHK放漫経営ではないのかということも耳にするわけですが、そういうような意味NHKとしてはどのような経営努力をやっておられるのか、これは会長から御答弁を願いたい。
  20. 坂本朝一

    坂本参考人 先生の御指摘のようにNHKの場合ともすればそういうような御批判があるということは十分私も認識しておりまして、何としてもそういう点についての御理解を得るための努力をしなければいけないんじゃないか、おっしゃるように、入るを図るということにおいては副次収入というようなことについても当然もっと積極的に考えるべきじゃないか、たとえば番組一つにしても、できたらば外国にも売ってそれが収入源になるというようなことも、それは放送法のたてまえ上営利を目的としてできないにしてもそういう努力をすべきじゃないかということで、御承知のように、かつての「未来への遺産」等もそれぞれそういう意味合いでの提供を努力しておりますし、そのほかいろいろと考える点があるのではないかということで、現在、各役員を長にいたしまして、幾つかのテーマを設けまして、そのプロジェクトチームをつくって検討しているわけであります。  そこら辺のところがあるいはPR等が不十分で御理解を賜り得ない点があるのではないかと反省しておりますけれども、そういう意味努力をしておるということにつきましてもひとつ御理解を賜りたいと思う次第でございます。
  21. 小宮武喜

    小宮委員 経営のほとんどを受信料に頼っておるNHKとしては、現行制度の中での受信料不払い解消は言うまでもございませんけれども、免除制度の見直しの問題も考えなければいかぬし、さらには新たな収入源の道をどうして図るかという問題もやはり考えなければならぬのじゃないかというように私は考えます。  そういう収入増を図りながら、それでやはり限界があるとするならば、受信料の値上げ前に企業としての合理化もやるべきじゃないかということも私は考えるわけですが、余り詳しく言うと一時間半やそこらでやれませんのでちょっと駆け足で行きますが、そういう立場から、たとえば収入の問題にしても、NHKは、事業収入伸び悩みの原因について、テレビが普及し尽くしたこととかあるいは核家族化の傾向が衰えたことだとかいろいろ言わておりますが、この問題についても私も理解しないでもございませんし、そういう場合に受信料の値上げにつながることも私は理解するわけですけれども、受信料値上げに安易に頼るということだけではいけないのではないか。御承知のように、この前五十一年六月の値上げの際も不払い世帯が約六十万件あったのが、値上げ後の五十二年の九月末には約八十三万件にふえておる。だから、値上げによって当該年度はたとえ黒字になっても、また翌年から再び赤字財政に転落して、それでタコの足財政を繰り返しておるということで、そういう意味でもっと真剣に収入増を幾らかでも図るような努力をなすべきではないか。  そういう立場から私は質問するのですけれども、たとえば現行制度では受信料は同一世帯であれば何台テレビを持っておっても一台分の料金しか取れないようになっています。したがって全世帯の四八%は二台のテレビを持っておるという調査結果も出ているわけですから、この二台目あるいは三台目からも受信料を徴収してよいのではないかというふうに私は考えるわけですけれども、もし徴収したと仮定した場合にどれくらいの収入増になるのか、参考までにお答えを願いたい。
  22. 坂本朝一

    坂本参考人 具本的収入増につきましては相当から御説明申し上げますけれども、現行の放送法の制度でも、御承知のように、事業所につきましては台数制で、たとえばホテルなどは各部屋ごとにちょうだいしているということでございますので、個人の御家庭といえどもそういう方針を立てていただくということになれば、制度上は可能性があるのではないか。ただ、現実問題といたしまして、立入検査権等もございませんので、そこが正直言ってなかなかむずかしい点ではございますけれども、制度上には世帯による台数制というのは可能性はあるのではないか。ただし、いまの状況で調べました台数の普及度と申しますか、複数台数制の普及度と申しますか、それはかなりのパーセンテージへいっておりますから、それが完全に捕捉できるということになれば相当の収入源になるのではないかと思いますけれども、問題はそこら辺の点が御納得いただくような形で取れるかどうかというところにかかっているのではないかと思います。  しかし、われわれとしてこれは十分検討すべきだということで、現在、営業総局長を長といたしましてその問題を検討いたしておりますが、ただ、具体的に幾らぐらいになるかということにつきましては、ちょっと担当からの御説明をお許しいただきたいと思います。
  23. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 複数の二台以上所有しておられる世帯が、先ほどの小宮先生の御指摘のように約四八%ほどございます。  二台持っておられる方あるいは三台持っておられる方とか、二台、三台でも白黒とカラーと両方持っておられる方とか、カラーばかりの方とか、いろいろなケースがあるわけでございますし、それから複数台数制を導入する場合にどういうふうにその料金を決めていくのか、各台数ごとに現在のカラー料金でございます。百十円というふうにしていくのか、逓減方式をとるのかという、そういういろいろなやり方があるわけでございますので、いま細かい計算はいたしておりませんが、仮に二台以上時っておられる方を全部同じ料金で七百十円というふうにしていただくと——二台持っておられる方も三台持っておられる方も仮に二台ということでやりますと、四八%でございますので、約五〇%全部捕捉できて収納できたといたしますと年間で約一千億ぐらいの増収になる。現在の年間の受信料収入が約二千億でございますから、一千億ぐらいの増収にはなるということでございます。
  24. 小宮武喜

    小宮委員 いま言われたように二台、三台から料金を取るにしても、いまの現行法の中では家庭内に立ち入って調査をする権限もないので集金が果たして可能かどうかという問題もございます。  しかしながら、いま会長さんも言われたように、現行法の中でやれる部分もあるということであればこれらの問題に真剣に取り組んでいただかなければならないし、また、カーラジオからはいまは徴収していないわけですけれども、今度カーラジオからも徴収するようなことができないかどうか、もしそれができるとしたら実際どれくらいの収入増になるのか、その点がわかっておったら教えてください。
  25. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 私どもの調べました範囲では、昭和五十一年度で、全国の自動車保有台数と申しますか、これは乗用車、トラック、バスというようなものを全部含めてでございますが、約三千百万台というふうに見ておりますが、このカーラジオ料金の徴収について、実際にこれを捕捉し、あるいは料金を徴収する具体的的なやり方のめどがつきますれば、確かにこれは一つの財源としての魅力はある。  しかし、これにもいろいろとむずかしい点がある。従来、ラジオ料金については、ラジオのみの設置者については無料であるというふうななことが長期間続いておりますので、それの理解を得る点についても問題がございましょうし、それから、何と申しましてもこれの履行をどういうふうに確保できるかという問題があります。仮にカーラジオ料金を設定いたします場合に、そう高額の料金は設定できないであろうということから、徴収の具体的な方法についてきわめて簡便なやり方を考えないと徴収コストだけが非常にかかってしまうというふうなことがございまして、この履行の具体的なやり方が一番問題だというふうに思っておりまして、いま検討もいたしております。     〔委員長退席、米田委員長代理着席〕  それで、仮に月額百円ということにいたしますと年間で千二百円で、そうしますと約三百億から四百億ぐらいの増収になる、三千万台全部収納できたといたしまして三百五十億余りの増収になる、こういうふうに考えております。
  26. 小宮武喜

    小宮委員 大臣、お聞きのとおりですが、テレビが二台、三台の人たちからも料金を完全に徴収することができると、その保有台数が大体五〇%としても一千億です。そしてカーラジオからもいま言ったような考え方で徴収するとすれば三百五十億くらい徴収できる。そうすれば、両方完全にはいかぬとしても、単純計算でいけば千三百五十億ぐらい増収が図れるじゃないですか。  そうすると、NHKがこの前資料として提出した五十四年、五十五年、五十六年の千五百五十億の赤字というのは、この増収ができることによってこの中の赤字は大幅に、もうほとんどが減るわけです。ただ、いま言われるように、現行の制度の中では、このカーラジオにしても具体的にどういう方法で取るのか、幾らにするのかという問題はあるにしても、だからだめだだめだということでは困るので、だめだから安易に受信料の値上げに頼るという気持ちは視聴者の方も受信料を払う方も困ると思うのですよ。  だから、そういう意味で、だめだだめだじゃなくて、取るためにどうするかという前向きの姿勢検討すべきだ、そのために必要であれば法律改正でもやるべきだというくらいの気持ちを私は持っておるわけですけれども、大臣、これはどうでしょうか。大臣の見解を伺いたい。
  27. 服部安司

    服部国務大臣 現在は一住居に何台持っても一台の聴視料で運営されております。ホテルとか、そういった場所は別ですが……。  先ほどの中塚理事説明では、四八%、約五〇%の二台以上保有の家庭がある。そうすると計数上年一千億の増収になる。私は大変気持ちよくここで話を聞いておりました。と申しますのは、私も当初いろいろと当委員会でおしかりも受け、御忠告も受けましたが、公共放送の存在の必要を認める以上は、徹底した企業努力をやらない限り国民からNHK離れ、NHK不要論が近く出てくるぞと言ったこともはっきり私は記憶いたしております。それは先ほど来小宮先生が御指摘のとおりに、安易な気持ちで経営をやり、過去の経費に比例して年々予算のアップを図っていけば当然赤字になるのは、これは三歳の童児でもわかる問題であります。そういうことがあっていいのかという疑問から、私もあのように真剣に経営に当たってもらいたいということを申し上げてきたわけでありますが、経費が上がるから国民の負担に帰して値上げだと、事業というものは、経営というものはそんなものじゃありません。  そこで、一千億の増収があるのだから考えたらどうだということは、大いに考えるべきだと私は思うのです。テレビを二台も三台も買う家は、聴視料なんてそんな大きな負担じゃないと思うのです。白黒でもって満足している家庭もたくさんあるらしいのですから、カラーテレビを二台、三台持つ家庭であれば、当然聴視料を払うのはそう苦痛ではなかろう。これは大変貴重な意見だということで、ひとつこの問題も真剣にNHKが取り組み、検討するように私は指導してまいりたい。  次に、カーラジオの問題でありますが、私も正直真剣に当初考えたのです。これは横着な考えかもしれませんが、車体検査更新期などにひとつ安易にできないだろうかと、正直、内々いろいろ検討しました。これはちゃんと税法にはそういう規定があるのですが、NHKにはそういう徴収の規定がないわけで、なかなか困難であります。  三百億ですか、三百五十億の増額を図るために、自動車保有者のカーラジオを押えていくのに一体どのくらいの経費がかかるか、この点ちょっと私にもまだ少々疑問が残っておるわけでありますが、しかし、これも加えて真剣に検討すべき時期が来た。  ということは、私がNHK経営基盤に大きな不安を感ずるからでありまして、御趣旨には全く同感であり、今後もこの問題を詰めてより効果のあるような方途を講じたい、かように考えている次第であります。
  28. 小宮武喜

    小宮委員 大臣は非常に前向きに取り組む姿勢を示されました。  そこで、これは大臣の権限に属することですが、いまの受信料の免除制度についても一考を要するのではないかと私は思うのです。今度五十三年度から職業訓練所や少年院、刑務所、公的医療機関、図書館、博物館等の解除をNHK郵政大臣に申請したわけです。もちろんこれは許可されたと思います。いままで免除しておったが、免除が解除された。  そこで、その解除された分の受信料はどこがどういう方法で支払うようになったのか。この点をNHKにお聞きしたい。
  29. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 ことしの四月から免除をやめまして、受信料をちょうだいするというふうになりましたのは職業訓練所等六つの施設でございますが、この中で刑務所、青少年矯正教育施設等法務省関係施設につきましては、全国の契約につきまして一括して、契約、収納するというふうに法務省の御協力をいただきました。それから、雇用促進事業団の管轄下にございます職業訓練校につきましては同様の措置をする。それから厚生省につきましては、国立病院につきまして同様の一括契約、収納というやり方でございます。その他の機関につきましては、地方自治体あるいは私立の施設等もございますので、個別に契約、収納というふうに進めております。  事前に準備もいたしておりましたので、現在までのところ順調に契約、収納が進んでいるという状況でございます。
  30. 小宮武喜

    小宮委員 この受信料の免除廃止額は大体五千九百万円ですか。  このほかにも大分免除されているところがあるわけですが、その免除されておる受信料が全部徴収されるとした場合に、その受信料額は幾らになるのか。言いかえれば、現在残されておる免除額は総額幾らになるのか。
  31. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 五十三年度の予算で見ますと、免除の総額は六十二億でございまして、そのうち十一億四千万円は防衛施設庁から補てんされております。したがいまして、現実に免除いたしておりますのは約五十億円でございます。
  32. 小宮武喜

    小宮委員 NHK側としては、五十三年度に限らず、五十四年度でもまた郵政大臣の方に申請されると思いますけれども、そういうお気持ちはありますか。
  33. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 近日中に法務省、厚生省、文部省の三省あてに、免除について財源的な裏づけをお願いするように要望書を出すつもりでございます。
  34. 小宮武喜

    小宮委員 大臣、これはあなたが——あなたと言っても、あなただけでなく歴代の郵政大臣ですけれども、その免除申請を許可するのは大臣ですから、大臣が免除してやればかっこうのいいことは非常にいいわけですね。さりながら、いまになってみれば、公共放送であるNHKがここまで経営が苦しくなって、その都度受信料を引き上げていくというようなことになっておるわけですからやはり再検討をすべきじゃないか。NHKも背に腹はかえられぬ。大臣が自分で免除申請を許可していって、予算の場合は意見書としておまえしっかりしなさいと言うだけでは大臣としてもちょっと矛盾しはしませんか。  そういう立場から、こういう免除分について、見直しというより、この際現行の免除制度は一応全部撤廃すべきじゃないか。白紙に戻すべきじゃないか。そうすればいま言われている五十億がふえるわけです。全部やってみればそれだけ赤字はなくなるのですよ。そこでいま言われたように、たとえば各省庁の関係分については各省庁で支払ってもらう。各地方自治体に関係する分も各地方自治体に払ってもらう。個人の場合はよほど慎重に検討してもらうとして、NHKだけが負担すべき問題じゃなくて、国なり地方自治体にも福祉政策の一環として当然負担してもらうようにすべきじゃないのか。  私がなぜこういうことを言うかと言いますと、母子世帯の方々からいろいろな質問が出るわけです。生活保護者は受信料を免除されておるのに私たちのような母子家庭は免除されていない、われわれは生活保護者と同等あるいはそれ以下の生活をしております。生活保護世帯に受信料の免除をするならばわれわれにも当然免除してください、と、こういう声をあちらこちらで聞かされるわけです。  これらの問題は、NHKが黒字で非常にもうかっておるなら、母子世帯の人たちにも免除しなさいということをここで言うかもしれません。しかし、いまのようなNHK状況ではそこまで言うほど面の皮も厚くないし、心臓も弱いので言いませんけれども、そういう意味ではこれらの免除制度について根本的に考えるべきであって、国や地方自治体の福祉政策の一環として、この受信料免除分については当然考えていくべきではないのかというふうに私は考えます。そうしないと、生活保護世帯以下の人もまだまだいっぱいおるわけですから、そういう人たちからいわゆる受信料不払い等でNHKに対する不信が増加するし、負担の公平の問題から言っても、一方では受信料を払っておらない人がおり、免除されておる人もおるということになってくると、こういう人たちが、それならわれわれだって無理して払う必要はない、罰則も何もないし、払わぬからといってNHKがとめられるわけじゃないし、われわれも払わずに済むものならもう払いませんよということになって、受信料不払いが増加していくことにつながってくることは間違いありません。  そういう立場から、受信料の免除制度の根本的な問題について、現に五十三年度で実施した分についても、法務省なり労働省なりはそうしたものは一括して納入してもらうような話もついておるということですから、大臣、ひとつ——これは大臣ばかりじゃなくて会長もそうですか、これらの免除制度についても根本的に再検討して、もしそれでどうしても免除しなければならない場合は、その免除する対象者については、それぞれの所管の国なり県あたりで福祉制度の一環として受信料を払ってやるということぐらいまでやるべきだと私は思うのですが、NHK会長郵政大臣の所見をお伺いしたい。
  35. 坂本朝一

    坂本参考人 受信料免除そのものには異議があるというふうに私は認めておりますけれども、先生の御指摘のように経営とのかかわりにおいて当然考えていただくべき点があるのではないかということで、昨年来その問題について当委員会でも御指摘いただきましたので、まず一歩の足を踏み出したわけでございますので、ことしも引き続き関係各省庁にお願してその実現を図りたいというふうに考えておる次第でございますので、その点は先生と全く同意見でございます。
  36. 服部安司

    服部国務大臣 企業努力をしろと言い、しかも受信料の免除の認可をしている、これは全く矛盾じゃないかという指摘は私は素直に受け取れません。私は、議事録をごらんいただければ御理解いただけると思いますが、NHKが十二分に金のある時分に大盤振る舞いをした結果がこういうかっこうになったわけでして、言うならば在日米軍の聴視料だって、別に不自由がないからほっておけというのが今日こういう結果を招いたということは指摘したとおりなんです。私はそういうあり方について厳しく指導してまいりました。  今日経営が行き詰まってまいるとあれよあれよと言って大騒ぎを演ずるということは、一体今日まで企業努力は認められるのか、それは服部、おまえは企業努力をしろ企業努力をしろと言いながら片方でこれは何だ、ということは私は受けられない。しかし、かつては、私も、この委員会先生から御指摘があったので、長年続いたこういった制度の中で非常にむずかしい問題はありますが、職業訓練所から六項目のいわゆる解除の認可をいたしました。その認可だって、私は、持ってきてくれ、判を押したいと言った覚えはない。歴代大臣はそう持ってくるからよかろうというわけで判を押すわけなんで、だから、私は前回も申し上げたとおりに——しかし、こういった施設もいますぐに金を出せと言ったって、こういう機関はすべて予算措置でありますから、やはり 御指摘のとおり、福祉関係であれば厚生省所管、図書館とかそういうものであれば文部省、または訓練所は労働省、刑務所は法務省と多岐にわたる役所があるわけでして、こういった関係各省ともNHKが十分緊密な連携をとって、現在のNHK経営内容、経理内容を説明されて、できるときはこのように援助をしてきたんだから、もうこれから予算化をし、支払いを求めるという努力をいまやっている。  文書で出したということをいま中塚理事が言ったから結構ですが、その他今後は理屈のある解除は喜んで見直しの決裁は私はするつもりでありますので、むしろ私の方からそういったことをやりなさいと言っている方でございますので、ひとつ先生方の一層の御協力を私の方からお願いを申し上げたい、かように思います。
  37. 小宮武喜

    小宮委員 私の方にお願いされても、こちらも困るわけですよ。こちらから大臣にお願いしなければいかぬ。だから、在日米軍の受信料不払いの問題にしても、NHK側としては在日米軍に対して申し入れをやった、抗議をやった、ところが拒否されたということで、今後どういうふうに対処するのか知りませんけれども、やはり、NHKとしての限界もあるんじゃないですか。  だから、大臣は、NHKしっかりしろしっかりしろとNHKのしりっぺたをひっぱたいてもいいけれども、そのためにには郵政大臣も外務省などといろいろな話し合いをするというか、アドバイスをするとかサゼスチョンをするとかして、少しでもNHK側に有利になるような努力をしなければ、大臣のいまの答弁を聞いていると、NHKしっかりしろ、企業努力をしろと言うてはおるようですけれども、ただしろしろと言うただけではNHK側としても限界でもあろうと思う。その意味では、所管官庁の大臣である郵政大臣として各省にも呼びかけをするとか、そういう努力ぐらいしても罰は当たらぬのじゃないかと私は思うんですよ。しかし、それは後でまたやってください。  それでもう一つ、たとえば受信料の免除の問題あるいは不払いの問題等は、いまのまじめに受信料を払っておる視聴者の負担になってくるわけですよ。肩にかかっておるわけですよ。だから、これらの問題はほっておけばおくほど受信料値上げの場合もまじめな人にかかってくるわけだから、そういう意味でまじめな者がばかを見るということがないような行政をすべきであるという立場からいろいろと私は取り上げておるわけですが、そこで、大臣の答弁は聞くとして、いまの受信料の不払い総額と免除額と、そのほかにそれらを合算したものは、受信料を納めておるまじめな視聴者に一人当たり幾らの負担になっておるのか。その点はいかがでしょうか。
  38. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 免除の額とそれから受信料の滞納によります欠損処分をした額を合計いたしまして、現在の契約者一人当たりにしてどれぐらいになるかということを計算いたしますと、大ざっぱな計算でございますけれども、五十一年度の決算数字で見ますと、一人当たり月額約二十九円というふうな計算が一応出ております。
  39. 服部安司

    服部国務大臣 ただいま御指摘のあった在日米軍の聴視料の件については、決してそのまま放てきはいたしておりません。  私みずからも外務省のアメリカ局長にも会い、また、少々行き過ぎであったかもしれませんけれども、防衛施設庁の長官にも会って、私に関係ありませんと言うけれども何を言っているか、君がつくった施設の中にテレビの受像機があるんじゃないか、だから直接関係はなくても全面協力をしなさいというわけで交渉もいたしましたし、なお、電波監理局長以下放送部長、関係部課長が外務省と再三にわたって折衝を続けています。しかし、戦後三十何年聞放てきしてあったものですから、アメリカ軍はそんなものは要らないんだという既定の事実がつくられたものですから、非常に困難をきわめているというのが現状でございまして、われわれはNHKのやったことは勝手にやれ、企業努力をしろとハッパばかりかけているのでは決してありません。できる限りの施策を講じたいと思っております。  また、一般聴視料の問題についても、先生の御指摘のとおりに、これは聴視料で賄っているわけですから、この法的な問題についても、どういった方法をとれば確実に徴収できるかということもわれわれなりに真剣に考えているということを付言いたしておきます。
  40. 小宮武喜

    小宮委員 よくわかりました。  私はこれまでNHK事業収入をどうしたらふやしていけるかという立場いろいろ質問をやってまいりましたが、そこで、今度は、出るを制するという立場からちょっと質問してみたいと思います。  ということは、NHKはまだ七十万世帯あると言われるテレビの難視解消のために、五十三年度の予算においても難視対策として百億の予算を組んでいるわけですね。全額それに使われるかどうかは知りませんけれども、さきに郵政省と宇宙開発事業団が共同開発したわが国最初の実験放送衛星が、米国のフロリダ州のケープカナベラル基地から四月八日でしたかに打ち上げられたわけであります。これは三カ月後くらいには機能し始めるということをわれわれは新聞報道でも聞いているわけですけれども、この放送衛星は普通の通信衛星と違って、放送用アンテナと電波中継の両機能を同時に果たす人工衛星だと聞いておるわけです。したがって、この放送衛星が機能し始めると、難視の問題について、たとえば大都会のビルの陰にあるテレビの難視区域だとかいうようなものが、完全解消かどうかは知りませんが、解消されるということもわれわれは伺っておるわけです。そういう意味で、もし実験衛星が機能し始めるとこの百億の難視対策費は不要になるのではないかというようにも考えます。  もちろんこれは実験放送衛星ですし、実用衛星の打ち上げが五十八年だとかいろいろ言われておりますから、そういうことで実用衛星が五十八年に打ち上げられればこういう問題は解消できるのではないかと私は思いますけれども、実験放送衛星にしても、これはあくまで実験だが、もしそれが機能し始めると実用衛星と大体同じようにやはり難視解消に役立つのではないかというように私は考えるのですが、その点の見解はいかがでしょうか。これは電波監理局長でも結構です。
  41. 平野正雄

    ○平野政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生が申されましたように、実験用放送衛星はことしの四月八日にアメリカで打ち上げられまして、現在衛星の性能、機能の点検、確認中でございますが、七月半ばごろから約三年間にわたる実験が開始されるという運びになっております。  この衛星は技術実験のためのものでございまして、難視聴解消などの実用目的を持ったものではございませんので、実は、実験用の必要なパターンを出しまして各種実験を行うということでございまして、その実験の過程におきまして将来の難視聴解消に役立つかどうかという技術的見通しを得たい、こういうふうに思っておるわけでございます。  この実験の中では、将来難視解消に役立つための実験としてどういうものがあるかということになりますけれども、どの程度小さなアンテナで各家庭で直接受信が可能であるかどうかというような実験でございますとか、あるいは小型の可搬型の地球局、移動用の地上の局と申しますか、そこから衛星経由によりましてテレビジョン信号を電送する実験というものを予定しておりまして、このような成果が得られれば、将来難視解消用にどういうふうな考慮を払えば役立ち得るかという実験をする予定にいたしております。
  42. 小宮武喜

    小宮委員 それでは、実用衛星を打ち上げるまでは難視解消はやはりできないということですね。  それはそれとして、NHK受信料については放送法第三十二条第一項に決められておりますけれども、それによりますと、「協会放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。」とうたっておるだけで、受信料を払いなさいということはうたっていないわけです。第二項でも「受信料を免除してはならない。」という表現で、契約即受信料という裏づけを行っておるにすぎないと思うのです。ところが、電話料金の場合は、第一条にはっきりと「合理的な料金」云々とうたってあるわけです。そのほかまた放送法第一条も非常に抽象的で、法的解釈もまちまちなんです。  テレビ二十五周年を迎えた放送界にとっての大きな課題は、放送法の改正まで含めての現行制度の見直しにあるとさえも言われておるわけですが、この点についての大臣と会長の所見はいかがでしょうか。
  43. 坂本朝一

    坂本参考人 その点につきましては、先生がおっしゃいますように、臨時放送関係法制調査会の御答申が三十九年にございまして、その際には三十二条のその項を「支払わなければならない」というふうに改めるという御答申でございまして、当時の協会といたしましてはそれに賛成をいたしまして、そういうふうにお願いしたいと思ったわけでございますが、法律そのものが廃案になって現在に至っているということで、現在もこの問題は協会経営基本でございますので、そういう点について十分御検討いただきたいというふうに思って、われわれの部内においてもいろいろな形で検討を続けておる、こういう状況でございます。
  44. 服部安司

    服部国務大臣 受信料制度につきましては、御承知のとおり、昭和四十一年でしたか、この点はちょっとあいまいですが、法改正案を提案しましたが、成立を見ることができなかったことは御案内のとおりであります。それ以来いろいろと御検討はいただいておりますが、現在に至ってもその実現を見ることができていないことも御案内のとおりであります。  いわゆる支払い義務制を導入いたしますことや受信料不払いに対して罰則規定を設けることなど、各方面からいろいろと御意見を拝聴いたしておりますが、この制度の初めの考え方は、これまた御承知のとおりに、受信者とNHKのいわゆる信頼関係において運営するということが基本に考えられたものであると私は理解いたしますが、最近は世情も変わりまして、そう簡単なことで物の解決のつかない時代に相なりました。電話であればぷつんと切られる危険もあり、ガスであればとめられる危険もあり、電気であれば送電がとめられるが、これは勝手に走っているものをつかまえるわけですからそういったこともなかなか無理である。しかし、日々深刻な状態になりつつあることはわれわれも座視できない。  そこで、どのような方法が一番よいかということで、放送法制の改正を検討いたします場合は、重要な項目の一つとして認識いたしまして、近年における諸情勢を勘案しながら引き続き慎重な検討を続けてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  45. 小宮武喜

    小宮委員 この問題について、NHKの方では視聴者、契約者の話し合いによって理解と協力を求めていきたい、そういうことで問題の解決を図りたいという、その基本的な姿勢については私も賛成です。ところが、いままでもそういう姿勢で取り組んできたにもかかわらず、不払い者は解消するどころか年々増加をしているわけです。世の中には善人ばかりがおるんじゃないんですから、したがって悪意の拒否者がふえれば、結果においてまじめな視聴者の負担が増加するばかりではなくて、NHK受信料の徴収をするに当たっても説得力に欠けるという問題があるわけですね。だね。だから、そういう立場から私はこの問題を提起しておるわけですか、受信料は払わねばならないというように法律に義務づけをすることも必要だし、場合によっては罰則規定を設けることも検討すべきじゃないかと思うのです。  この点でもう一つ、これは大臣に聞いておきますが、こういう受信料は払わなければならないとか、あるいは場合によっては罰則規定を設けるということが法律的に憲法違反になるかどうかということを私は大臣に重ねて聞きたいと思います。     〔米田委員長代理退席、委員長着席〕
  46. 服部安司

    服部国務大臣 先ほども申し上げましたとおりに、これはきわめて微妙な問題でありまして、私は、放送法改正に当たっては最も重要な項目であるということを十分認識いたしまして、世論の動向も関係逓信委員先生の御意見ももちろん十二分に聞いて実態に合う検討を加えたい。  何しろ私は法律学者じゃないし憲法学者じゃないので、軽々にしゃべったら、憲法違反だとかその罰則はどうだとかいうことになるとこれはまた大変なことでございます。  私は、御指摘の問題は放送法改正に当たっては最も重要な一項であると認識いたしますので、放送業務の基盤の確立に最も理想的な内容を織り込んだ法改正をしたい、かように考えておる次第であります。
  47. 小宮武喜

    小宮委員 この前私が本委員会質問したときに、内閣法制局ははっきりと憲法違反ではございませんと言ったが、大臣はそのときもいまと同じように、私は憲法学者ではないので答弁を差し控えたいとか言って、はっきり物を言わなかったわけですが、大臣、憲法学者でなくても、憲法を守る立場政府郵政大臣がこういう問題について憲法違反かどうかということをはっきり明言できないようで法律改正に取り組むことができますか。そういう意味で、少なくとも憲法を守る立場政府の大臣がこれらの問題について憲法違反かそうでないかというようなことでちゅうちょをして、私は憲法学者ではございませんのでというように濁すということは大臣としていかがかと私は思うのですよ。しかし、それはそれとして、余り大臣とやり合っておっても時間がなくなりますから……。  それからもう一つ変わった話を言いますけれども、三月二十二百にNHKで一時間にわたって放映したものですが、輸入食糧がゼロだと三千万人が餓死するというドキュメンタリードラマの「輸入食糧ゼロの日」というものをやったわけです。ところが、これは私に言わせれば、主観の相違かもしれませんけれども、いたずらに人心を惑わせるものであるということを言わざるを得ません。  この意図がどこにあったのかということを私は知りたいのですが、それよりはむしろ、NHKがいま言われたように三年間で千五百五十億の赤字を出そうとしておるときに、「千五百億の赤字を出すNHK」という想定ドキュメンタリーでも出したらどうか。その方がむしろ不払い解消に少しでも役立つのではないかとすら私は考えるわけですが、会長、どうですか。
  48. 坂本朝一

    坂本参考人 最近、御承知のように、NHK特集その他の番組の中で、たとえば地震があった場合に災害対策をどうするかというような想定のもとにいろいろとドキュメンタリーに仕組みまして放送しており、その一環として実は「輸入食糧ゼロの日」というテーマで取り上げたわけでございますけれども、先生の御指摘のような御意見も当然拝聴して今後の問題として検討しなければならないと思いますが、そういう趣旨であの番組は編成したということをまず御理解いただきたいと思うのです。  一方、NHKの一千億の赤字の問題をやったらいいじゃないかということはむしろ大変ありがたいお話だと思います。ただ、PR番組と申しますのは、御承知のように開き直れば開き直るほどまた逆の意味で視聴者の御理解を得ない、むしろ反感を買うというようなことにもなりかねない面もございますので、そこら辺のところがわれわれの最も苦慮するところでございますが、しかし、そういう問題で視聴者にNHKの実態を知っていただくための電波を使っての番組というのは、当委員会でもしばしば申し上げましたように考えるべきではないかということでございますので、御指摘のような形で取り上げるかどうかは別といたしまして、将来の問題として当然考えなければならないテーマだというふうに考えておる次第でございます。
  49. 小宮武喜

    小宮委員 私との主観の相違かも知れませんが、NHK番組の中でいろいろ批判があることも事実なんですよ。だから、公共放送としての立場から放送の中立性、公平というものもやっていただかぬと、新聞投書欄にも公共放送NHKへいろいろな投書が出ていることも事実なんです。そういう意味で私はちょっと一言申し上げたわけです。  もう一つ、モスクワのオリンピック放送に関して、ラジオ放送についてはテレビ朝日と話し合って了解点に達したとかいうような新聞報道もありましたけれども、テレビの方はここでもわざわざ一日この問題について質疑をしたという経過もありますが、これは二年先に迫っておることなんです。この点についてのその後のNHKとテレビ朝日の全国ネットワークを通じての放送の問題については、前回は会長さん以下NHK側としても、どちらかと言えばかたくなな姿勢を持っておったわけです。  これは一つの行事として、オリンピック祭典として全国民が聞けるような見られるようなことに早く努力をすべきじゃないのか、そのためには郵政大臣努力をすべきじゃないかという意見も各委員からも多数出ておったわけでありますけれども、そういう意味で、ラジオの方は何か話がついたということを聞いておりますけれども、テレビの方は何かそういう話し合いが行われておるのか、あるいは進んでおるのか、その点御参考までに所見を聞きたいと思います。
  50. 堀四志男

    ○堀参考人 お答えいたします。  オリンピックにつきましては、ラジオの方も今月中に大体原則的な了解点に達し、事務的な折衝、具体的な折衝に入る予定でございます。テレビにつきましては引き続き話し合いをするということで合意をいたしておりますが、一応ラジオが終わってからということになっておりますので、まだ具体的な話し合いには入っていないという段階でございます。  それから、「輸入食糧ゼロの日」について、やや言いわけがましゅうございますが、一言つけ加えさせていただきたいと思いますが、あのドキュメンタリーは、日本のオリジナルカロリーにいたしまして食糧自給度が四〇%を割っているという状況でもし食糧の輸入がなくなった場合に、一体どういう形で国民の飢餓が避けられるだろうかということで、たとえば芝生にしたゴルフ場を畑にする場合とか、種子の問題等々を考えまして、急に食糧自給度を高めようと思っても非常に無理があるということを言うためのドキュメンタリーでございまして、国民を恐怖に陥れるとか、そういう意図は全くございません。食糧自給度という問題に焦点を当てた番組でございます。  ただ、近ごろは、ことに私たち戦中、戦後を知っている者はその自給度の問題は身にしみてわかっておりますが、若い人たちはなかなかそうではないというところからややショッキングな想定をいたして放送したものでございまして、批判もございましたが、そういう想定も結構だという御意見の方が多かったことをつけ加えさせていただきます。
  51. 小宮武喜

    小宮委員 自画自賛しておるようですけれども、この問題にしても、たとえば取材の方法にしても一方的にやられたり、取材の仕方に問題があった。そういう問題もあるし、あなたたちはこの問題についてああいう想定をして、それに合うように取材しておる。この問題はまだ私は言いたいことがありますし、このほかにもまだいっぱいあるのですから、今度放送番組の小委員会あたりでもう少しやりましょう。  もう私の持ち時間が来ましたので最後に言いますが、私はいまいろいろ意見を交えながら質問してきましたけれども、入るを図って出るを制するという原則を徹底的に実行して、それでもなおNHK経営が苦しいということであれば、たとえば受信料の引き上げの問題にしても、契約者はある程度認めるものと思います。しかし、そういう努力を行わずに、ただ安易に受信料値上げだけに依存するということについては私は警告をしておきたい。そういう意味で、そういう考え方であれば、NHK経営委員会長以上も含めて経営者として失格だと思うのですよ。そういうことで、私も少しいやなことも言いましたけれども、本心は喜んでいただいているものと私は考えますよ。  そういうことで、今後の経営努力を大いに期待して私の質問を終わります。
  52. 松本七郎

  53. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私は、NHKが番組制作に当たりまして視聴者の要望をどのように吸収し、また、その要望をどんな方法で番組に反映させておられるのかということについて若干お尋ねしたいと思います。  現在、私たちが日常生活を送る上で欠くことのできない情報手段の一つとしてテレビがあるわけでございます。このことは聴力障害者の方々についても全く同じことが言えると思うわけです。  NHKは、さまざまな情報を聴力障害者の方々に送るためにどのような努力をなさっておられるでしょうか、お尋ねをいたします。
  54. 堀四志男

    ○堀参考人 お答えいたします。  教育テレビジョンにおきまして、聴力障害者の方を含めましての社会福祉関係の番組についてはかねてから努力をいたしておるところでございますが、一昨年でございますか、特に手話についての希望が強く出されましたので、手話を基調にいたしました聴力障害者の時間を設定いたしましたが、その時間帯が必ずしも現実にそぐわないという声もございましたので、今年度から時間帯を改正いたしまして見やすくしたつもりでございます。  その間に、私たちは二月に一度の割りで聴力障害者の方とお会いしていろいろな情報をお聞きし、御希望もお聞きしているというようなことで、直接視聴者の方と接する機会も持っておる次第でございます。
  55. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 総合放送ではニュースなどに字幕カードを挿入したりしていると言われているわけですけれども、聴力障害者向けの番組は教育放送で主に行われていると思うわけです。  聴力障害者の方々が前から要望されておるのは、ニュースに手話通訳を導入してほしいということが大変強いように思います。それが現在でも行われていないわけですけれども、NHKとして何が障害になっているわけでしょうか。
  56. 堀四志男

    ○堀参考人 お答えいたします。  ニュースにテロップ等を挿入するのは、ある意味でニュース内容をより簡潔に理解しやすいようにというのが主な目的でございまして、結果的に聴力障害者の方にもお役に立っているということではございます。  ただ、そのほかに聴力障害者のためにニュースを手話等でやるということにつきましては、現在のテレビの画面の大きさ、その他から言いまして——あるいは手話手法による最大の障害が固有名詞その他、それから手話による情報の伝達量というのはおのずから限度がございますし、先ほど言いましたテレビの画面の大きさ等もございまして、片すみで手話をやるということは必ずしも目的を達成できないのじゃないかと私たちは判断しておりまして、現在それは採用していない次第でございます。
  57. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私は民放の方を調べてみたわけですけれども、現在民放各社では三十一局で報道番組を中心として手話通訳を導入しているわけです。たとえば日本テレビの「NNNニュース」は全国二十五局のネットで放映されておりますし、また、朝日放送の「あまから問答」は十九局のネットで放映されているわけで、NHKが障害の理由に挙げておられる点については、民放各局では現に克服してやっているというふうな状態かあると思うわけです。たとえば各地によって手話通訳が違う、やり方が違うというふうなこともあると思うのですけれども、当面ローカルニュースを中心といたしまして手話通訳を導入するというふうなことも考えられるのじゃないかと思うわけです。  NHKといたしましても、当然聴力障害者の要望に耳を傾けられて、それにこたえていくというためにも、手始めとしてローカルニュースなどに手話通訳を導入するというふうなことを御検討いただきたいと思うわけですけれども、いかがなものでしょうか。
  58. 堀四志男

    ○堀参考人 お答えいたします。  現在民放さんでおやりになっている方法も、当然のことながらかなり真剣に検討はいたしました。けれども、結果的に私たちとしてはあの方法はとらない方がよいという結論には達しているわけでございますが、先生のせっかくの御指摘でもございますので、今後さらに検討は進めたいというふうに考えております。
  59. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 ニュースを早く知りたいという強い御要望の中で、ぜひとも御検討をいただきたいというふうに思うわけでございます。  同時に、もう一つ、視聴者の要望にこたえまして番組制作に反映していく問題としてお尋ねをしたいと思いますのは、学校放送の番組のことでございます。  私は先日京都の中立小学校という学校を訪れまして、学校放送を利用した授業を——久故先生という放送研究会のベテランの先生ですけれども、この方の授業を参観させていただいたわけでございますが、皆さん方がおつくりになったものを熱心に事前指導と事後指導を行って子供に生き生きと学習をさせておられました。このように御苦労が生きてきているのだなということを私も目の当たりにいたしまして大変心強く思うと同時に、非常に責任があるということも感じてまいったわけでございます。  それで、その授業が終わりましてから先生方と、私も見せていただいた意見を率直に語らせていただき、せっかくの機会ですから皆さんからの御要望をお聞かせいただいたわけです。そうしますと、その中で学校放送について要望が出されたわけでございますけれども、こういう御意見を持っておられるのです。これは生のお声です。  「番組は地方諮問委員会を通じて意見を吸い上げ、中央諮問委員会で大綱を決定するようになっているが、地方諮問委員会で、各番組についての意見を現場で研究会を開いて全部記入して提出をするけれども、その後の反応が何にもない。全体の意見に対する中央の決定が一片の通知で示されるだけである。以前は、地方の研修会にもよく番組制作者が出てきて意見を聞いたり、授業を見たりして、よい番組づくりを目指す姿勢が見られたけれども、今日ゆとりがないのか、そういった交流がほとんどない。」こういうことなんです。また、番組につきましても、直接意見も言ってほしいとよく言われるけれども、子供がテレビを見ていろいろ感想を書いた視聴反応ノートを送付して、検討してほしいと言っているというのです。そしてまたこの先生は、実際に自分の子供たちのそのノートを送って、これは必要だから、見られましたからお返しいただきたいというふうに一筆添えてお出しになったそうですけれども、今日に至るまでナシのつぶてなんだと言っておりました。昭和五十一年度理科三年生について二回出したのだけれども、それについてノートも返ってこないということです。  実践している方々あるいは子供たちにとっては、この記録というのは大変貴重な資料でありますし、財産であるわけですね。この生の声を反映させようというので、これをせっかく送っても返してこない。大切だからお返しいただきということもお願いをしておられるにもかかわらず返してこない。大変数が多いでしょうからなかなかだと思いますけれども、しかし、アンケートであるとかはがきで意見を言ったぐらいのものではなくてノートとなりますと、先ほども申しましたように、生きがいを持って誠心誠意命がけで実践をしたその財産でありますから、今後こういったことがないようにしていただきたいのと同時に、できればこれがどうなっているのかということもお調べいただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  60. 坂本朝一

    坂本参考人 具体的なことにつきましては担当からお答えさせますけれども、先生の御指摘の、せっかく送っていただいたノートが返ってないとか、あるいはそういうことによって視聴者の信頼を裏切るというようなことでございますれば、私としてはまことに申しわけないと思う次第でございます。  ただ、多少言いわけを言わせていただきますと、年間百万ぐらいの手紙あるいは投書等がございますので、一、二取り紛れてということがあろうかと思いますけれども、それは言いわけになりませんので、そういうことについては今後十分注意いたしますし、いま御指摘の物品がどうなっているかということは早速調査いたしまして、わかり次第御報告もいたしますし、先生方にもお答えしたいというふうに思っておる次第でございます。  なお、具体的な御指摘につきましては、担当からの御答弁をお許しいただきたいと思います。
  61. 堀四志男

    ○堀参考人 お答えいたします。  返事がおくれた件につきましては、少しおくれてから返事をしたようでございますが、例の記録の件に関しましては、実は、五十一年、理科、小学校三年の件についてということでこちらも調査をいたしましたが、やや古くなりましたので、現段階では具体的にお答えできるだけの調査がまだできていない点をおわびいたします。  なお、ことに学校放送については、しつけといたしまして、必ず返事を書くようにということで、そういう点はかなり励行されているようにも聞いておりますが、御指摘も具体的にかつ明確にあったわけでございますので、これを機会にさらに趣旨を徹底させたいというふうに思います。
  62. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 担当の方々が御努力いただいておりますことは私も十分承知いたしております。たまたまこういう事故が起こったというふうに理解をいたすわけでございますが、できれば調査をしていただいて返事でもいただければ、やった先生方あるいは子供さんたちの激励にもなると思いますので、ぜひともよろしくお願いをしたいと思うわけでございます。  続きまして、NHK経営委員会委員の人選のあり方ということについて質問をしたいと思います。  言うまでもなく、NHK経営委員会は、放送法に明記をされておりますように意思決定機関でありますし、最高の人事権を持つ大変重要な機関でございます。こういったNHK経営委員会と、国会で承認される各種の審議会というものがありますけれども、こういう委員との権限はどこに違いがあるのでしょうか、お尋ねをいたします。
  63. 河野弘

    ○河野(弘)政府委員 お答えいたします。  審議会の場合は、郵政審議会の場合を例にとってみますと、郵政大臣の諮問に応じてこれを検討する、あるいはまた重要な事項について建議するということになっておりまして、附属機関としての機能を持っているわけでございます。  経営委員会の場合につきましては、これはいま先生のお話にありましたとおり、重要な事項について決定するという、いわゆる意思決定機関でございます。したがいまして、諮問機関である審議会等と、それから意思決定機関である経営委員会というところに基本的な違いがあるというように私ども理解しているわけでございます。
  64. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 NHK経営委員会は、いま申されましたように、NHKの人事の構成とか、業務の方針の決定とか人事権に基づく執行機関に対する監督をすべて信託をしているところでございます。このことはほかの委員会に比べて、その権限と責任は非常に大きなものがある、絶大なものがあるというふうに思うわけでございます。これはNHKの性格から見ましても、国民の理解と支持のもとにその事業が運営されることが求められているというふうに私は思うわけなんです。  したがいまして、NHKの事業運営や人事権など最高の権限と責任を持つところの経営委員会については、国民が納得できる人たちを人選しなければならないというふうに思うわけです。NHK経営委員の任命に当たりましては、放送法第十六条に基づいて、「両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。」ということになっているわけです。  そこで、郵政省にお尋ねをいたしますが、総理大臣が任命する事前の段階として、郵政省が経営委員の候補を総理大臣に示されるわけでしょうか。それとも別の方法なのでしょうか。いかがでしょうか。
  65. 河野弘

    ○河野(弘)政府委員 お答えいたします。  その場合によって異なりますけれども、一応基本的には郵政大臣といいますか、郵政省からその候補者を求めに応じまして提案するという形をとっているのが通例でございます。
  66. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 郵政省として総理大臣にその候補者リストを示すこともあり得る、通例だということですけれども、それじゃその場合にNHK経営委員たるにふさわしいのかどうかという、その判断はどのようにしておられるのでしょうか。
  67. 河野弘

    ○河野(弘)政府委員 お答えいたします。  法律にございますとおり、各分野が公平に代表されるということが一つの原則になっております。  したがいまして、現在の委員構成を考慮いたしながら、あるいはまた各界の御意見を十分尊重しながら具体的な人選をするという措置をとっているところでございます。
  68. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 この放送法では、委員として任命し得る人の資格要件として、「公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する者」というふうになっております。この資格要件は満たされているのかどうかということについて当然調査がなされるというふうに思うわけですけれども、どのような方法で調査をしていらっしゃるのでしょうか。
  69. 河野弘

    ○河野(弘)政府委員 資格要件が法律に明記されているわけでございますが、これを具体的に見るのは非常にむずかしゅうございます。したがいまして御本人の——御本人と申しますか、いま先生からリストというお話がございましたけれども、特に形式的なそういう記名したものを出すという形はとっていないわけでございます。念のために申し添えておきます。  それから、いまの実際の調査でございますけれども、非常に影響するところが多うございます。したがいまして、御本人の経歴あるいは私どもが把握し得る限りのデータをもとにいたしまして、その方が妥当であるかどうかという点について内部的な調査をいたしている。私どもは地方機関もございますので、そういう地方機関を通じましてそういう調査をいたすこともあるわけでございます。
  70. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私が先ほど申しましたように、NHK経営委員NHKに対すると同時に、NHKの事業の性格から申しましても、国民に対しても最高の権限と責任を持つものになっているというふうに私は思うわけです。そうしますと、この人選に当たっては当然経歴もあらゆるデータも集めて提出される。  それを資料にするということは大切でございますけれども、放送に対するその人の見識といったものも判断基準の中に含まれるのではないかと思うのですけれども、そういったものはないのでしょうか。いかがでしょうか。
  71. 河野弘

    ○河野(弘)政府委員 お答えいたします。  経営委員の方は純粋な、いわば一般の庶民を代表するという形でございます。地域的あるいはまたそれぞれの分野に応じましてという形で私どもは考慮いたしております。  したがいまして、必ずしも放送の専門家であるとか、あるいはまた放送について特段の認識を持っているという方ということを私どもは必要要件として考えていないところでございます。
  72. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 放送法は、NHK経営委員会が全国民的な了解と支持のもとにあるべきだとの考えから、政府の任命に無条件に一任することなく、全国民を代表してその総意を表明するものとして、国会の衆参両議院の同意を要するものとしていると思うわけですね。  全国民を代表する衆参両院として、NHK経営委員の同意を与えることについて、NHK事業の使命から見ても、現在のやり方、つまり、ただ単に経歴書を添付してくるだけでは、その人物が果たしてNHK経営委員としてふさわしいのかどうかという判断材料として不足だと言わざるを得ないというふうに私は思います。  経営委員というのは専門家的なことを要求してないのだという御答弁がいまあったわけでございますけれども、政府が内閣総理大臣に出すときにはそういうものは要らないと判断されてやっておられないのかもわかりませんけれども、当然要るんじゃないかと私は思います。  同時に、それはもう私の権限外ですけれども、しかし、政府国会に同意を求められるときには、その人物の放送に対する見解などを文書にするとか、あるいは委員会の場において放送に対する見識を表明していただくというふうな方法をとって、その人が真にNHK経営を任せるにふさわしいのかどうかということを国民の前に明らかにしなければならない。また、国会もそれを受けて審議をして賛否を決めるという姿こそ民主的な正しい姿ではないかというふうに私は思うのですけれども、郵政大臣は、この点について、それでは一遍考えてみよう、今後検討してみようというふうなお考えがあるのかどうか、いまの経歴書ぐらいでよいというふうに思っておられるのかどうか、お答えを願いたいと思います。(服部国務大臣局長から」と呼ぶ)
  73. 松本七郎

    松本委員長 大臣、指名しているんだから、大臣が答弁してから必要があれば局長から……。
  74. 服部安司

    服部国務大臣 私もかつては内閣人事を担当したことがあるのです。御指摘の問題は大変理想的な御意見でありますが、とこで五分か十分しゃべることで評定することもおよそ困難でありましょうし、一片の論文で評価を決めることもこれまた困難であろうと私は理解いたします。  私の経験からいたしますと、所管大臣と担当——まあ大体官房副長官が担当するのですが、緊密な連携のもとに、この種の委員にお願いするにふさわしいかどうかということをあらゆる角度から検討を加えて、その資料を整えて、官房長官から時の内閣総理大臣に御報告申し上げて、了承を得て、初めて事務手続で国会に同意を求めるわけでございます。  国会に御提案申し上げると、これは委員の種類によって私も時には数回議運からお呼びを受けて、先生方の御質問に対してわれわれの集めた資料のあるだけをいろいろと御説明申し上げて今日まで理解を得てきたわけでございまして、政府が一体となってこういった重要人事を取り扱うわけでございますので、今後も一層慎重に取り扱って、いまの藤原先生の御指摘の問題も十二分に理解し、認識し、御期待にこたえるような選考方法をとりたい。  ただ、ここにおいて、たとえば経営委員であれば放送の見識とかを委員会説明を御開陳願うとか、論文の提出を求めるとかいうことはいま考えておらないことをはっきり申し上げておきたいと存じます。
  75. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私がさきにも述べましたように、国会が国民にかわってNHK経営を任せる人で、他の審議会委員と違う権限と責任を持つ人を承認するわけですから、その場合はそれにふさわしい内容の審議をすることが当然必要なことであるし、それが国民に対する政府国会の責任であるというふうに私は考えるわけです。  そういたしますと、いまの大臣の御答弁では、あらゆる角度から検討して資料を整えて、そして総理大臣には具申をするということですが、ところが、その後それをしておられるのはいいと思いますが、しかし、私どものところへ来ますのはいかがなものかというと、私の経験によりますと、経営委員の経歴書が、簡単なものが届くという程度のことではないでしょうか。それから、また、私がもっと詳しいデータを必要として新しい提案申し上げているのは、放送法に基づいて、その方が一体どのような見識なり見解を持っておられるのかということがわかるようにするということで、それは文書ででもいいでしょうし、あるいは口頭ででもいいと思うのですけれども、とにかくそういうことが理想的だが、理想的だということは現実性がないというお気持ちなのかどうか。この点についてはぜひ政府の方で検討していただきたい。  なぜかといいますと、国民に責任を持つという立場であれば、当然私たちは詳しくその方々の意識、見解といったものまで十分よく把握した後に決めるということがわれわれの責任でもあるというふうに思うわけですけれども、このことを強く要望したいと思いますが、いかがでしょうか。
  76. 服部安司

    服部国務大臣 御趣旨は十二分に理解をしたつもりであります。  ただ、手続上の問題でございまして、われわれは必ずできるだけ詳細な資料を整えて、担当委員会である議院運営委員会にこれを持ち込んで御審議をいただくわけでございます。  私はかつてこういったことを経験いたしております。電信電話公社経営委員の選任に当たってある人を御推薦申し上げた。なぜ内閣はこの人を推薦してきたかという御下問がありましたので、私は、お役所の仕事は、金利のかかる金を使われた経験はまことに少ないと思います。この人は長年事業をやられていろいろな不況も好況も乗り切ってきた、二十四時間いわゆる金利のかかる金を使って経営をされた経験というものは、今後の国の行政運営についてもぜひ必要な時期が来たのではなかろうかと考えてお願いを申し上げましたと、これは御説明申し上げた一節でありますが、先生は文書で詳細にと言われましたが、もちろんわれわれは許される範囲の詳細な資料をつくります。説明をします。  ただ、やはりこれにも限界がありまして、むしろお願いする委員先生各位が、こんなものを持ってきて審議の焦点が狂うじゃないかというような資料もこれまたどうかと思いますので、御指摘のとおりに、こういった重要な委員の選考に当たっては今後は内閣とも緊密な連携をとって、御審議、御検討をいただく先生方に十二分に用をなすような体制のもとに推し進めてまいりたいと考えておりますので、いわゆる推薦者の当委員会における所信の披瀝とか、また論文の提出を願うということは現在のところとうてい考えられないことである、さらに申し添えて御理解を得たいと存じます。
  77. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 大臣は、私が申している真意はよくわかった、理解しているというふうにおっしゃいますが、理解されていないというふうに私は思います。  私は、データの量をたくさん出しなさいというふうなことは言っていないわけです。いまはこの経歴書であるとか、お調べになったことが流れてくるだけだが、逆に、その人は一体どう考えるのかという、経営委員になる人の主体性を大切にしていただきたい。そのことも知ってわれわれが判断することが必要じゃないでしょうか。それは論文であるとか口頭であるとかいろいろなかっこうになるでしょうが、そんな押しつけは私はいたしておりません。論文を出していただかなければ承知しないなどと言った覚えもありません。莫大なデータで皆さん方委員が困るようなことをしてくださいとも言っておりません。量で言っているわけではないわけです。経営委員方々放送法に書いてあるとおり本当に責任を持っていただき、また、国民の側もそういった責任の上に立っておられることを十分に理解して支持をするという立場から言っても、その人の主体性を認めるということのやり方は検討する必要があるのではないかということを申し上げているわけです。その点をぜひ誤解のないように今後御検討いただくことを強く要望いたしまして、時間がありませんので次に進みたいと思います。  私は、昨年来懸案となっております在日米軍軍属及び家族のNHK受信料の問題につきましてお尋ねをしたいと思いますが、まず最初NHKにお尋ねをいたしますが、ことしの三月以降在日米軍に対してどのような働きかけを行ってこられたのでしょうか、お尋ねをいたします。
  78. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 ことしの一月に在日米軍司令部から全基地に対しまして、受信料は一種の税金であり、米軍人軍属等は地位協定によって支払いが免除されているという趣旨の指示を出しまして、それ以後三月まで数回の手紙のやりとりがあり、三月下旬に非公式に私どもの担当が先方と会って話し合いをしたということはこの前予算審議の当委員会において申し上げたとおりでございますが、その後直接米軍司令部の責任者と私が会談するということを申し入れまして、五月の四日に横田の米軍基地におきまして私が在日米軍司令部のスティーブンス法律顧問と直接会いまして、その際に、従来NHKが手紙その他で述べておりましたNHKの見解について、これは在日米軍並びに軍人軍属は受信料を免除されるものではない、日本国民と同様に支払いの義務があるんだという従来のNHKの見解をまとめまして、再度先方に申し述べまして、先方の最終的な見解を問いただしたわけでございます。  それに対しまして米軍側は、公式見解は現在検討中であるので、具体的な回答は表明できないということでございました。その際に、従来の手紙その他による米軍の見解はわれわれと全く対立した見解であるが、いまこの時点で公式な見解を表明できないということは、米軍側の見解が変わる可能性があるのかということも問いただしたわけでございますが、それについてもいまは何とも申し上げられないというふうなことで五月の四日の会談は終わったわけでございます。  その後角再三四米軍側の回答を促したわけでございますが、今日に至るまで米軍側の公式の最終的な見解はまだ届いておりません。  昨日先方からNHKの方へ電話がございまして、あと数日間待ってほしいという連絡がございました。したがいまして、近日中に米軍側の何らかの見解が私の方へ参るというふうに考えております。
  79. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 三月二十日に文書で申し入れをされてから後、五月四日に在日米軍司令部の法律顧問に会われたということですけれども、在日米軍の軍属及び家族に対する受信契約について、今日の時点では何が障害になっているのかなと思っていまずっと御答弁を聞いていたのですけれども、結局は見解が対立している、見解の相違だというふうに思うわけです。  数日後にどのような電話があるかわかりませんけれども、今日の時点では、とにかくこちら側が言っていることと向こうが言っていることとは歯車が合わない、見解に相違があるというふうに理解をしてよろしいでしょうか。
  80. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 現在までのところでは、先方は受信料は地位協定によって免除されているのであるという見解で、私どもの方は免除はされていない、日本国民と同様に支払う義務があるんだという見解で、平行線をたどっているというふうに考えております。
  81. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、NHKはこの問題の解決に協力をしてもらうように郵政省及び外務省に公式に要請をされたことがあるでしょうか。いかがでしょうか。
  82. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 郵政省、外務省とは絶えず連絡はとっておりますが、現在までのところ、公式に協力を求めるということはまだいたしておりません。  現在まで、私どもNHKが直接米軍と交渉をしてまいりまして、先ほども申し上げましたように、近日中に先方から最終的とも思える見解が出てくるであろうというふうに思っておりますが、その内容を検討いたしまして、その内容いかんによって郵政省、外務省にも政府間レベルでこの問題は話し合いをしていただかなければならないのではないか、お話を申し上げなければならないのではないかというふうに思っておりますが、いまのところは、先方の最終的な見解を待って、その内容によって今後の方針を決めていきたいというふうに考えております。
  83. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 先方の見解の内容によっては公式に郵政省及び外務省に要請をなさるのでしょうか。それとも、NHKは自力でこの問題は解決できるというふうに思っていらっしゃるのでしょうか。いかがでしょうか。
  84. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 米軍側が従来の主張を変えて、従来の主張を撤回するようなことになれば、NHKと米軍側で、具体的な収納のやり方なり、そういうことについて直接話し合いをして解決をしていくということもあると思っております。  また、その内容いかんで、従来と全く同様の対立した見解である場合には、NHKとしては、NHK自身が直接交渉をして解決していくのはきわめて困難ではないかというふうに考えております。
  85. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 昨年の三月十五日に当委員会で私はこの問題を取り上げました。私の質問に対して当時の小宮郵政大臣は、郵政省としてはNHKから相談があれば協力をいたしますというように答えておられます。  相談というのは、立ち話や非公式のものではなくて、今日の時点では正式な申し入れが必要だというふうに思われます。NHKを代表する人から郵政省を代表する人に、公式文書などによる方法で政府に協力を要請する必要があるというふうに思うわけです。  四、五日後に電話があれば、内容によってはそういうこともされるということですけれども、今日までに正式に申し入れをされておくということが必要であったのではないかというふうに私は思うので質問を申し上げているわけですけれども、そういったNHKを代表する方、つまり会長さんが郵政省を代表する方、郵政大臣に対して強力に協力方を要請されるという必要性についてはいかがなものでしょうか。
  86. 坂本朝一

    坂本参考人 NHKといたしましては、受信料の問題でございますので、NHK基本にかかわります問題でございますから、それこそ一番経営努力をしなければならないポイントの一つかとも私は思いますので、何としてでもNHK自身解決できるということが一番望ましいのではないかと思います。  そのためには、最終的な結論が出ない経過の中でいたずらに公文書で郵政大臣にお願いするということはいかがかと思いまして、日常の経過の情報等につきましては逐次御連絡を申し上げておりますけれども、最終的判断はやはり最終的な先方の正式な見解の表明を待ってすべきではないだろうかと判断いたしましたものですから今日に至っておるわけでございますが、いま担当から御説明申し上げましたように、旬日のうちにそこら辺のところが明らかになるということでございますので、いましばらく御猶予を賜りたいと思う次第でございます。
  87. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 NHKが自力でこれを解決できるのだと思い、また、できるという自信がないまでもしなければならないのだというふうに思ってこられたところに今日まで非常に長くかかっているという問題点があると思います。  私は、この問題をことし五十三年の三月二日の当委員会で再び取り上げました。米軍は日本の法律を勝手に解釈しているじゃないか、それに基づいて行動をしておる、これはまさしく外交上の問題だというふうに指摘をいたしました。そのときに服部郵政大臣は、NHK自身努力を払うのと同時に政府としても外交ルートを通じて真剣に取り組むというふうに答弁をされたわけでございます。それ以来三カ月以上経過しているわけですけれども、それでは、郵政大臣の言明に基づいて郵政省はこの対処をどのようにしてこられたのでしょうか。
  88. 服部安司

    服部国務大臣 先ほど小宮先生にもお答えいたしましたが、私はアメリカ局長にも直接会い、この実態を訴えて理解を得る努力をしておりますが、それとともに、電波監理局の関係職員外務省アメリカ局とこれまた緊密な連携をとりつつ今日まで推し進めてまいった経過を簡潔に御説明申し上げますと、御承知のとおり、日米合同委員会には周波数委員会というものがあるわけなんです。この委員会で取り上げるべきかどうかといういわゆる事務取り扱い上の検討をいま進めておりますが、私たちは、NHK視聴料のみを専門に検討する機関をひとつつくってくれるように強く要望いたしているところでございます。  三月に、藤原先生だけではなく、他の委員方々からも在日米軍軍人軍属のNHK視聴料の徴収についての強い御指摘がありましたので、それを受けて今日までNHKNHK独自の事業者としての努力は払っておりますが、片や政府といたしましては、関係機関の外務省と先ほど来申し上げておりますとおりに緊密な連携をとり、NHK、郵政省は一体になってこの解決努力をしている現状でございます。  したがいまして、先ほど中塚理事から御答弁がありましたとおりに、四、五日のうちに在日米軍の法律顧問から何がしのごあいさつがあるということも、ある種の成果ではなかろうかと私は高く評価をいたしておる次第でございます。
  89. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、外務省にお尋ねをいたしたいと思います。  外交ルートで真剣に取り組むという郵政大臣答弁に基づいて、外交の窓口であります外務省は、当然このことにつきまして米軍に問題を提起し、解決のために具体的な努力をされてこられたと思いますが、いかがでしょうか。
  90. 北村汎

    ○北村説明員 外務省といたしましても、このNHK受信料は、地位協定十三条三項に規定されております米国の軍隊構成員、それから家族、軍属、そういう人たちの免除させる租税には当たらないという見解を持っております。  しかし、何と申しましても当事者でありますNHKと米軍との間にいろいろその折衝が行われておりましたので、その成り行きをいままで見ておりました。と同時に、ただいま郵政大臣の方から御答弁がございましたように、郵政省の方から外務省に、この問題をアメリカとの間でどういうふうに調整するかというやり方について種々協議を受けておりますので、目下、この合同委員会の中のどの委員会でどういうふうにこの問題をアメリカ側と調整するかということでただいま郵政省と協議を続けておる段階でございます。
  91. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私は、日本政府の外交の窓口は外務省だというふうに思ってまいりましたが、外務省は、見解はNHKと同じだ、しかしこの合同委員会のどこの委員会でやるのか協議をするなどと言って、結局は何にもしていない。米軍とはいまだに直接交渉もしていないということです。  ことし三月二日の当委員会では、外務省の担当課長同席のもとで、郵政大臣は、先ほど申しましたように外交ルートで真剣に取り組むという明確な答弁をされたわけでございます。それにもかかわらず外務省はまだ交渉もしていないというのは、他の省の大臣が答えたことなのだから知らないということなのですか。それとも、ゆっくりやったらよいというふうにお考えになっているのですか。それとも、郵政省が交渉しているのだから、大臣まで出ていってやっているのだからよいというふうに思っておられるのか。米軍との交渉は一体どこが窓口となるべきだと判断をされるのですか。いかがでしょうか。
  92. 北村汎

    ○北村説明員 外務省といたしましては決してこの問題を軽視しておるわけではございませんし、また、郵政省の方から受けております協議に応じまして、アメリカとの間でどういうふうに調整をするのが一番効果的であるかということを種々検討しておるわけでございます。  ただいまNHKの方からも御説明がございましたように、この五月四日に双方がお会いになって、そして昨日アメリカの軍の方から近日中に最終的な回答が来るという通報を受けておりますので、まずその結果を見た上でアメリカ側との調整の方法を検討していくつもりでございます。決してこの問題について外務省が逃げ腰であるということではございません。  アメリカの軍との間でどういうふうな効果的な折衝をするか、調整をするかということは、内部的にも十分詰めなければならぬ問題がいろいろございます。また、アメリカ側との合意をいかに取りつけていくかという技術的な問題もございます。そういうことをいろいろ検討しますと同時に、アメリカ側の最終的な回答を待っておる段階でございます。
  93. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 五月四日にお会いになった。お会いになったのはNHKがお会いになったわけで、外務省は何をしましたかということを言っているのに、NHKがお会いになったことを外務省から説明をしていただくというふうなことは不必要でございます。  逃げ腰ではないと言われるのならば、それでは高みの見物ということではありませんか。合意は折衝することによって行われるのであって、寝ていてそんなものが合意されるというふうなことはないわけですが、この点はいかがでしょうか。全く無責任な答弁だし、郵政大臣答弁を軽視するものだということにもつながるというふうに私は思いますが、いかがでしょうか。
  94. 北村汎

    ○北村説明員 外務省がいま考えておりますことは、まず第一に当事者間の折衝の成り行きがどういう形をとるかということで、これをまず見ることが先決問題であると考えております。これはアメリカ側がどういう回答をしてくるかということによりまして、どういう折衝をするかということに関係いたします。これは当然まずとるべき段階ではないかと考えております。  それから、アメリカ側と折衝いたします場合にも、ただいまも郵政大臣がおっしゃいましたように、合同委員会の下部機構にはいろいろな委員会がございますが、その委員会のどの委員会にいまどういう所掌事務をつくって検討させていくかということにつきましては、これはやはりアメリカ側といろいろ折衝しなければならぬものでございます。  ですから、まずアメリカ側の回答を見ました上で、それに応じた最も効果的な態度をとるということをいま内部で検討しておるところでございます。
  95. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 あなたのいまの答弁は、それじゃ外務大臣はNHK会長だということをおっしゃっているのと同じだと思うのです。自分がやらなければならないことをNHKがやっているということは、これは委任しておられるということにもなるわけでございます。いろいろな弁解ではなくて、直ちに足を踏み出すということがこの問題の解決になるということなのです。もう三カ月以上もたっているわけです。直ちに外務省はこれに取り組むべきです。  四日後に電話がかかってくるのは、NHKにかかってくるのでしょう。外務省にかかってくるのですか。NHKが米軍から聞いて、それをまた聞きして、それによって判断するということはどういうことですか。外務省としての権限は一体どこにあるのですか。NHK会長が外務大臣で委嘱されるのなら、それは話は別ですが、いかがですか。
  96. 北村汎

    ○北村説明員 NHK受信料の問題は外務省の所管する問題ではございません。これはまず当事者としてのNHKがアメリカ軍と折衝いたし、そしてまた放送関係の法律を所管される郵政省がそれに対して判断をされて、そして日本政府としてどういう態度をとるかということで御判断の上、アメリカ軍との間で折衝をいたす立場にある外務省と協議される、これが本件の仕組みではないかと考えております。  外務省がこの問題を全部所掌して全部アメリカ軍との間で初めから折衝するという立場ではございませんので、最終的なアメリカ側からの回答が来次第、先ほどもNHKの方が答弁されましたように、その上で公式に郵政省並びに外務省に協力方の依頼があるかと思いますが、その時点で初めていろいろ折衝するわけでございますが、もうすでに内部では郵政省との間でいろいろ検討を続けておる次第ございます。
  97. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 この問題をNHKの財政収入をふやすということのみに考えているからそういうことになるので、本末転倒ということになるのだと思のです。NHKが財政をふやすためにはもちろんNHK努力しなければならないし、必死でやらなければならない。大臣の御意見で言うならば、いままでほってきたじゃないか、がんばれというふうにおっしゃっているわけですが、だから早いこと正式に郵政省、外務省にお願いをすべきだと私は指摘しているわけです。  ところが、外務省の立場では、これはいまやNHK収入をふやすだけの問題ではないんだという認識に立たなければならない。地位協定に基づいて、片方は免除されて当然だと言い、片方は日本の法律を守ってもらうのが当然だと言っているわけですね。郷に入れば郷に従ってくださいと言っているわけですね。そこに見解の相違があれば、日本の主権にかかわるという問題に立ち至っているわけです。日本の法律を勝手に解釈して従わないということはどういうことなのかということで、外務省としては米軍のこの軍属、家族のNHK受信料拒否の問題について——これは拒否しているわけですが、これについて当たらなければならないと思うわけです。そのことを強く要望して、時間がありませんので最後に郵政大臣に申し上げたいと思います。  大臣は、国会答弁に対して、言いっぱなしでなくてみずから責任を持たれるべきです。これはいまはっきりしたと思うんですね。もちろん、その責任に基づいて大臣は米軍のところへも行ったし、電波監理局はいろいろな折衝もしているし、また、やりましたと言っておられますけれども、大臣の私に対する答弁は、外交ルートで真剣に取り組むと言われたわけですが、それじゃ外務省があのように高見の見物をしており、サボっているということをいままで御存じなかったのでしょうか。  言いっぱなしでなくて、みずからの答弁に責任を持っていただくということは、外務省にどのように働きかけるかということを私は言っているわけです。そうすれば、その担当者に対して点検、指導を繰り返さなければならないと思うわけです。在日米軍の軍属、家族がNHK受信料を拒否するというままで、いままで事態が動いていないわけですから、いろいろおっしゃったって、とにかく三カ月以上も動いていないということは大臣答弁は放置されているということになると思うわけですが、この点についてどうお考えになるのか。  それと、その後NHK会長に、こういう意味からも今日はっきりいたしました状態の中で、これは受信料だけの問題にとどまらず日本の主権にかかわる問題だということに考えを至らせて、何としても正式に強く要請をされるべきだと思いますが、御答弁をいただいて質問を終わりたいと思います。
  98. 服部安司

    服部国務大臣 藤原先生、ちょっと私は理解してほしいのですが、いまの外務省の参事官の答弁は当然じゃないでしょうか。本来は聴視料というのは、NHKの責任において放送事業者が徴収すべきものなんです。それが長年放てきしてあったことで、アメリカ軍の軍人軍属、その構成員が払わなくていいんだという一つのみずから勝手気ままな判断をしていたわけなんです。これははっきりしているのです。  そこで、先ほど来中塚理事答弁しましたように、必死の努力を払って、あと四日で在日米軍の法律顧問から何分の返事を求めることができますというのは、これはかなり努力した成果なんですよ。あなたは口をあけたら何もやっていない、何もしていないとおっしゃるけれども……(藤原委員「外務省は何にも努力していないじゃないですか。それを言っているのです」と呼ぶ)そうじゃないのです。聞いてください。
  99. 松本七郎

    松本委員長 不規則発言のやりとりは慎んでください。
  100. 服部安司

    服部国務大臣 だから、いま言うのは、その四日の資料に基づいて、そこでいろいろ真剣に検討して、いわゆる足がかりをつくるための準備行為を郵政省と外務省でやっておることは御理解願えると思うのです。  はっきりと申し上げますが、いわゆる日米合同委員会の中の周波数割当委員会でやるべきかどうか。郵政省では、ともかくそれではだめだからこの視聴料問題を取り上げてやってもらいたいという折衝をいま進めていることは、先ほど私が申し上げたことも外務省の参事官が申し上げたことも同じなのです。何でもかんでも飛びつけばいいというものではありません。物にはやはり一つの過程があり、経過があり、そのときの状況を判断しながらより効果的に的確に推し進めることが先生方の御要望にこたえる最も近道だと私は思うのでございます。  したがって、NHK放送事業者として努力をして、四日後には回答をもらえる。今度はそれを受けて立つべくいま——今日まで三カ月かかったから長いとおっしゃるけれども、戦後三十年余りから考えるとそうでもないと思うのです。その間にいま推し進めている。これは皆さん方の御要請があり、御叱責があったから一生懸命に組みついているわけなんです。だから、この点はひとつ十二分に御理解を願いたい。何もやらぬ何もやらぬとおっしゃるのだが、一生懸命やっているのですから、その点はやったことはやったで素直に認めてもらいたい、かように思う次第です。
  101. 坂本朝一

    坂本参考人 先ほどお答えいたしましたように、これはただ単なる受信料問題ということではなしに、NHKの根幹に触れる問題であるという認識のもとに努力いたしております。  いまそういうタイミングに至りましたので、その後の経過ておいて当然正式にお願いするべきところはお願いするという所存でございますので、御了解賜わりたいと思う次第でございます。
  102. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 これで終わりますが、郵政大臣は外務省を一生懸命カバーしておられますが、外務省が外交ルートの窓口として今日まで何もしてきていない、米軍に対する折衝をしてきていないということは明らかになったわけですから、大臣がそれをカバーされるということは、わざわざ同じ穴のむじなになってしまわれるということになるわけです。  終わります。
  103. 服部安司

    服部国務大臣 私もこんなことを言うべきではないが、しかし、藤原先生、それは違うのです。やるための準備をきょうまで積み上げてきて、後四日で答えが出て、体制を整えてスタートするのです。  この点をひとつ重ねて御理解を求めたいと思います。
  104. 松本七郎

    松本委員長 これにて本件に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  105. 松本七郎

    松本委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  日本放送協会昭和五十年度財産目録貸借対照表及び損益計算書について採決いたします。  本件について異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  106. 松本七郎

    松本委員長 起立総員。よって、本件は異議がないと決しました。  なお、ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 松本七郎

    松本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  108. 松本七郎

    松本委員長 次回は、来る十五日木曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし本日はこれにて散会いたします。    午前零時四十三分散会