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1978-05-11 第84回国会 衆議院 逓信委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月十一日(木曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 松本 七郎君    理事 小渕 恵三君 理事 加藤常太郎君    理事 左藤  恵君 理事 志賀  節君    理事 鈴木  強君 理事 田中 昭二君    理事 小宮 武喜君       伊藤宗一郎君    亀岡 高夫君       原田昇左右君    堀之内久男君       森山 欽司君    渡辺 秀央君       阿部未喜男君    島本 虎三君       野口 幸一君    古川 喜一君       竹内 勝彦君    鳥居 一雄君       青山  丘君    藤原ひろ子君       依田  実君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 服部 安司君  出席政府委員         内閣官房副長官 森  喜朗君         郵政政務次官  宮崎 茂一君         郵政大臣官房長 河野  弘君         郵政省電波監理         局長      平野 正雄君  委員外出席者         運輸省航空局飛         行場部環境対策         第二課長    相楽 秀孝君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     坂本 朝一君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    藤島 克己君         参  考  人         (日本放送協会         技師長)    沢村 吉克君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   山本  博君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   川原 正人君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   堀 四志男君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   中塚 昌胤君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   橋本 忠正君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     反町 正喜君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   渡辺 伸一君         参  考  人         (日本民間放送         連盟専務理事) 杉山 一男君         参  考  人         (日本民間放送         連盟審議室室         長)      川端 源也君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ————————————— 委員の異動 五月十一日  辞任         補欠選任   原 健三郎君     原田昇左右君 同日  辞任         補欠選任   原田昇左右君     原 健三郎君     ————————————— 五月十日  赤電話からの緊急通話に関する請願(左藤恵君  紹介)(第四三四三号)  同(森山欽司紹介)(第四三四四号)  同(伊藤宗一郎紹介)(第四三五五号)  同(倉石忠雄紹介)(第四三五六号)  同(灘尾弘吉紹介)(第四三五七号)  同(原田昇左右紹介)(第四三五八号)  同(堀之内久男紹介)(第四三五九号)  同(加藤常太郎紹介)(第四三七八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本放送協会昭和五十年度財産目録貸借対照  表及び損益計算書      ————◇—————
  2. 松本七郎

    松本委員長 これより会議を開きます。  日本放送協会昭和五十年度財産目録貸借対照表及び損益計算書を議題とし、審議に入ります。  本件審査のため、本日、日本放送協会当局及び日本民間放送連盟から、お手元に配付いたしました名簿のとおり参考人の方々が出席されております。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺秀央君。
  3. 渡辺秀央

    渡辺(秀)委員 私は、NHK決算審議に関連して、まず最初に、去る五月六日に新聞で報道されました実用通信衛星実用放送衛星の打ち上げ計画に伴って、両衛星のうち、ここでは放送衛星をめぐる幾つかの具体的側面について質問をいたしたいと思います。     〔委員長退席鈴木(強)委員長代理着席〕  時間も限られておりますので、大変恐縮でありますが答弁は簡潔にお願いを申し上げたいと思うのであります。  さて、未来からの衝撃という言葉を引用するまでもなく、科学技術の加速されつつある進歩は私たちの前にさまざまな実現可能性を提供しております。中でも、情報伝達手段は近年画期的な進歩を遂げ、衛星とコンピューターを中心とした一つの巨大なシステムが現実のものとして目の前に来たという感じを抱いてきております。  大臣は御就任以来、郵政業務に精通しておられる中とは申せ、すでに数々の業績と足跡を残してこられ、特に、このたびの衛星通信放送の新しい時代を実現されるために非常に情熱的に意欲的に取り組んできておられることに対し、私は心から敬意を表する次第であります。  そこで、前段に申し上げましたとおり、新聞などの伝えるところによりますと、大臣は五十七年度から五十九年度にかけて打ち上げられる実用通信衛星実用放送衛星管理、運営のために新法人を設立されることを考えておるということですが、この構想具体的内容概略で結構でございますのでお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、よろしくお願いいたします。
  4. 服部安司

    服部国務大臣 御案内のとおり、郵政省では昭和四十八年以来通信衛星及び放送衛星開発を進めてまいりましたが、このほど実験用衛星利用して各種実験を開始する段階に達しました。この開発成果は今後の実験結果を踏まえて評価する必要がありますが、実験終了後できるだけ早い時期に実用衛星を打ち上げたいと考え、種々検討を進めているところであります。  ただいまの渡辺先生の御指摘の特別な法人を設立することにつきましては、実用衛星利用考える上で、軌道及び周波数有効利用、資金及び技術集約化宇宙地上との間の周波数の調整の容易化などを図るためには衛星設置管理運用をできるだけ一元的に行うことが望ましいと考えられますので、そのために新しい法人を設立したいと考えております。  この法人は、宇宙活動に関する国の責任、その行う事業公共的性格宇宙における通信放送用の施設の整備拡充に関する国の役割り等にかんがみ、特殊法人とすることが適当であると考えております。  新しい法人構想につきましては、今後関係方面とも十分打ち合わせを行いながら、その具体化を図りたいと考えている次第でございます。
  5. 渡辺秀央

    渡辺(秀)委員 概略はそういうことであろうと思うのでありますが、通信衛星放送衛星は、いま大臣が若干触れられましたように、その利用面は相当異なるわけであります。  大臣の想定されている法人は、この双方を統一的に運用することを考えておられるという意味でありましょうか。もしそうだとするならば、異なる性格衛星運用管理一つにとらえるということが一体なぜ効率的であるのか、むしろ別々の法人にしておいた方が効率的ではないのか、別にした方がその目的が非常に明確になり、運用面において混乱を起こさないで済むのではないのか、とも思うわけです。私も、これは概略の今日の段階でのことでありますから突っ込んだことはわかりませんし、また、いまここで議論してもいかがかと思いますけれども、一元的にとらえるということはよくわかるのでありますが、この二つの異なったものを一つ法人の中にまとめてしまうというようなことについては、どんなお考えからそういうふうになられたのでしょうか。
  6. 平野正雄

    平野政府委員 お答え申し上げます。  通信衛星及び放送衛星運用一元化した方がいいんではないかというふうに考えました根拠の一部につきまして御説明申し上げたいと思います。  まず、衛星各種利用分野のうち、複数の主体衛星を打ち上げて運用することになるおそれがあると考えられますのは主として通信及び放送分野ではなかろうかというふうに考えております。これらの分野では一元化によりまして無秩序な衛星利用を回避できますし、また、先ほど大臣から御説明いたしましたように、軌道には限りがございます。特に静止軌道には限りがあるわけでございますし、また、周波数有効利用上、いわゆる地上から打ち上げる周波数あるいは衛星の方から地上に返ってくる周波数につきましても限度がございますので、これを一元的に運用していくことによりまして周波数有効利用メリットがあるというふうに考えるわけでございます。  その他の分野におきます衛星利用主体は主として国でございまして、おのおのの分野で各省庁等責任を持って衛星利用することが適当と考えられますので、ただいま申しました放送あるいは通信衛星以外のものにつきましてはあるいは一元化必要性に乏しいのではなかろうか、通信衛星放送衛星以外の衛星利用においては、その利用目的に応じた通信技術以外の特殊技術を必要とするし、通信分野との共通性に乏しいのではないか、一元化による技術、要員の効率化メリット通信放送衛星よりは乏しいのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。  一方、衛星設備の提供という今回考えております法人事業を企業的に行おうとする場合におきましても、対価を払って利用する機関のございますのは主として通信及び放送分野考えられる、こういうことが主たる理由でございます。
  7. 渡辺秀央

    渡辺(秀)委員 時間もありませんので、この法人の問題についてここで深くお話をしても、郵政省としてもまだいろいろと構想段階でありましょうからやめますが、この法人を設立するという方向には私も全く賛成であります。  もう一つの面としては、これは衛星運用管理などハードの面に業務を限定すべきではないでしょうか。もしこの法人ができたときにおいても、番組内容構成にまでタッチをしないで——これはもっとも放送法というものがあるわけでありますから、当然そこまでは考えておられないであろうと思いますけれども、この法人ができた場合にしても業務を限定すべきだと私は思うのですね。  そういう意味において、これもあくまでも想定の問題でありますが、番組編成やあるいは内容構成というようなことまでこの法人でやるようなことをお考えでしょうか。そんなことはいまの段階では全く考えていないということでしょうか。
  8. 平野正雄

    平野政府委員 お答え申し上げます。  先ほど大臣から法人構想として御説明をいたしましたように、ただいま考えております法人は、衛星設置管理運用ということを考えておるわけでございます。  まず、設置と申しますのは、利用機関の要望に応じて通信衛星及び放送衛星を調達して、これを軌道上の定位置に配置をするということを考えております。  また、管理と申しますのは、衛星軌道上の定位置保持をいたしまして、衛星通信または放送を行う機関利用可能な状態に保持をしておくということを考えております。  また、運用と申しますのは、これらの衛星設備利用機関に提供するということを考えておるわけでございます。  そういうことでありまして、まさに先生仰せになりましたハード面考えておるわけでございまして、放送法三条にいう番組の自主、独立ということはそのまま守ってまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  9. 渡辺秀央

    渡辺(秀)委員 この問題だけで時間をとってしまうと肝心なことが質問できませんので、もう一点だけ質問させていただきますが、宇宙条約の第六条の解釈お尋ねしたいと思うのです。  そこに、「月その他の天体を含む宇宙空間における非政府団体活動は、条約関係当事国の許可及び継続的監督を必要とするものとする」と述べられていますが、私の考えでは、この「継続的監督」は番組編成制作を対象とするものではないと思うのです。正当に免許を受けた放送事業体放送法によって保障された番組編成の自由の保障は衛星放送によっても何ら変更がない、このような点を明確にしておく必要があると思いましたので先ほど私はお尋ねしたのでありますが、もう一回この点の見解を伺って、この放送衛星についての質問を一区切りにしたいと私は思うのです。
  10. 平野正雄

    平野政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、先生も御承知のように、実は、国連宇宙空間平和利用委員会法律小委員会というものを置きまして、現在関係各国が三十国ほど集まりまして、長年にわたってのその議論をしておるところでございます。  それで、対立点の主たる問題といたしましては、ただいま先生仰せになりましたように、いわゆる放送衛星によって自由に情報を送り込めるのか、あるいは番組も含めてそれにある程度の制約を加えるべきであるのかといった点につきまして現在議論が続いておるわけでございます。そして、そういった点について結論が出ますれば、国連の決議ということで、場合によれば条約その他の行為がなされるものというふうに考えております。  わが国といたしましては、いわゆる情報の自由、放送法三条に申します番組制作の自由、独立性というものは確保をしながら、なおかつ相手国との調和が図れるような方向でまとまることが望ましいというふうに私どもは考えておるわけでございまして、宇宙条約解釈につきましてもそのような方向解釈をしておるわけでございます。
  11. 渡辺秀央

    渡辺(秀)委員 私は、そのほか、放送衛星業務の概念というような問題とか、あるいはNHKの方にも放送衛星利用計画なんかについてもちょっとお聞きしたかったのでありますが、時間が大分経過いたしましたので次に移りたいと思いますが、ひとつりっぱな法人をつくっていただきまして、画期的な時代をつくり上げていただきたいというふうにお願いを申し上げ、御期待を申し上げておきたいわけであります。  次に、NHK番組について、あるいは財政についての質問に入りたいのですが、その前に、参考人として民放連の方においでをいただいていると思いますが、実は、放送番組編成の自由についての大臣見解関係者考え方をお聞きしたいと思いますので、簡単で結構でありますからお願いいたします。  私は、実用衛星時代の新法人といういまの問題につきましても、放送法の第一条や第三条、四十四条などの抵触があってはならないという観点からいままで二、三御質問をしたわけです。いまの当局答弁も恐らく大体御了解いただいているというふうに思うわけでありますが、放送の憲法であり命であるような放送番組編成の自由がもし危機に立たされていたとしたら重大なことだと私は思うのです。  すなわち、昨年の十月三十日に放映予定であったところの、根強い人気のあるテレビ朝日の「題名のない音楽会」の録画済みである「教育勅語のすすめ」というのが急に放映中止になった問題であります。これはもはや古い問題であって、一度ここでも若干議論があったのでありますけれども、しかし、それだけにとどまることなく、この問題は非常に重大な問題を含んでいるという意味で、この問題は本当は時間をかけてもう一度真剣に議論をしておかなければならない責任がわれわれ逓信委員としてあるのではないかと私は思うのですが、しかし、全く時間がありませんので、ほんの一、二点だけ御質問をいたします。  まず、第一は、民放連各局として、これまでに番組放映前に事前に今回のような形でチェックされ、中止された例があるかということでありますが、この中止の問題については、非常に残念ながら自主的に中止したのではなく、国会で取り上げるということが直接的または間接的な動機となっていると私は思うのであります。内容的にはこれまで過去二回も教育勅語の問題を取り上げてきたことでもあり、いまさらの感なしとしません。民放連としてはこれまで番組に対して自信と誇りを持って作成し放映してきているとは思いますが、今後毅然とした態度でやってほしいと期待するものであります。  再び外圧によって番組編成が変更されたり放映中止になったりしたのでは国民に対しての期待に背くことでもあり、管理者としての責任が果たせないと思うのでありまして、このままにしておくべきじゃないと思いますので、ほんの一言で結構でありますが、その点について大臣及び関係者の御答弁お願い申し上げたいと思います。
  12. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  放送番組につきましては、いま放送事業者放送番組編成の自由が保障されておることは御案内のとおりでありまして、何ぴともこれを侵してはなりません。したがって、その編集は放送事業者責任において自主的に行うこととされております。これまたくどいようでありますが、いついかなる場合でも何ぴともこの権限を侵してはならない。  御案内放送番組の「題名のない音楽会」の措置についてでありますが、これはテレビ朝日がみずからの責任で判断すべき問題でありまして、措置適否等につきましても、私が立ち入って言及することはそもそも干渉につながるわけでございますから、私は放送法のたてまえから適当でないと考えておる次第でございます。
  13. 杉山一男

    杉山参考人 お答えいたします。  私も先ほど先生がおっしゃったとおり、番組編成の自由はあくまでも確保しなければならないと考えております。そして、民放連もそういうつもりであらゆる会合その他でその問題は十分守るという姿勢で臨んでおります。  たまたまテレビ朝日の問題が指摘されましたけれども、十一月十六日にこの席で高野社長自分録画を見て自分が判断してやめたということを言っておりますので、私はそれを信じております。今後どのような事態があってもこの放送法の第三条は守っていきたい、こういうふうに思っております。
  14. 渡辺秀央

    渡辺(秀)委員 私がこの問題を相当時間がたった今日あえて取り上げたのは、そういう基本的なことを明確にしておく必要があると思ったわけですし、同時に、わが国社会的風潮の中で、極論かもしれませんが、戦前、戦中のものはすべて悪で戦後がすべて善だというような言動がこのごろ非常に多く見られたり考えられたりしていることは非常に残念に思えているわけです。日本の古きよきものを見直して再評価しながら、民族の個性を守り子孫に受け継ぐことは現在の私たちの当然の責任であり、大いに問題意識を高めていくべきだと思うのです。教育勅語是非論でなくて、黛さんは、そこに流れている日本的なよさを現在の日本人が知り、考えるために提案したと私は聞いております。そしてそれは精神文化の高揚のために一つ問題提起であることは何ぴとも認めるところだと私は思うわけです。  この種の番組に関しては今後とも勇気を持って企画あるいは放映をしていただいて、国民意識を大いに高揚していただき、問題提起を図ることも放送としての大きな責任であるという観点からあえて私は一言お尋ねを申し上げた次第でありますが、そういうことで民放連各局皆さん方にもよろしくお願いを申し上げておきたいと思います。本当はこれは決意のほどをお聞きしたいのですが、先ほどの御答弁で了といたしたいと思います。  さて、NHKの問題について二、三御質問申し上げたいと思いますが、現在の社会状況高度成長の後に来た混迷時代だと私は思うのであります。しかし、これが新しい時代の出発でもあるわけです。私たちはこの混迷の中から豊かで明るい社会、新しい文化をつくり出していかなければなりません。この新しい文化創造についてテレビメディアの果たす役割りには絶大なものがあることは申すまでもないことであります。     〔鈴木(強)委員長代理退席委員長着席〕  いまや、テレビ影響情報伝達娯楽教育にとどまらず、人々の人生に対する考え方価値観にまで影響を与えてまいっております。中でも、公共放送の果たすべきNHK役割りは、はかり知れない重大な責任が国家あるいは社会に対してあることは申すまでもないことであります。私は、こういう考え方に立って、ことしの二月から三月に行われたNHK予算審議中心番組編成のあり方をめぐっての論議に非常に強い関心を持って見詰めてまいりました。  四月の初めからの番組改定が実施されてからすでに一カ月になるわけですが、個々の番組をここで取り上げることはできないと思いますけれども、新しい番組編成は全体として受け手の国民の側からどう受け取られていると見ておられるか、どういう反響があり、どういう評価があると見ておられるか、番組改定反響評価について、簡単で結構でありますから会長のお考えをお聞きしたいと思います。
  15. 坂本朝一

    坂本参考人 当委員会でも本年度編成につきまして考え方を申し上げる機会を得たわけでございますけれども、その結果、一カ月半の経過を見ましたところ——もちろんかなり大幅な編成がえでございますので、必ずしもすべての番組が定着しているとは申し上げかねるかと思いますが、一応の御好評をいただいているのではないだろうかという反響を私としては確信いたしておる次第でございます。  特に、私はこの席でも申し上げましたとおり、NHKは総合、教育という二つの波の免許をいただいて番組編成しておるので、何としても車の両輪という点について効果を上げたいと念願いたしまして、教育テレビ利用、活用につきましてもPRその他かなり努力したつもりでございまして、おかげさまでその方面への御反響もかなり力強くいただいておると考えておる次第でございます。
  16. 渡辺秀央

    渡辺(秀)委員 新しい編成娯楽優先という議論もなきにしもあらずであります。あるいは民放との視聴率の競争といいましょうか、そういうことに余りNHKがとらわれてはどうかという感がしないわけじゃない。また、そういう議論もあったようでありますが、これからNHK番組についてより一層御努力をされてりっぱなものをつくっていただけるとは思いますけれども、低俗化の傾向に入らないようにぜひ奮起を促したいし、期待いたしたいところであります。  次に、財政問題についてお伺いをいたしたいと思います。  NHKがよい放送をつくり出して国民期待にこたえるためには、スタッフの創造力番組制作可能性を引き出すための柔軟なシステムが不可欠であることは言うまでもありませんが、もう一つの大きな問題はやはり財政基盤の確立だと私は思うのです。これはいままでもいろいろ議論されてまいりました。きょうは決算審議なんですが、私はさきの予算審議を聞いて実は非常に大きな不安を抱いているわけであります。  NHKが提出した資料によりますと、五十三年度収支均衡が図られるものの、これもたしかいままでの保留を放出するというようなことだったと思う。五十四年度は全く赤字基調に入る、五十四年、五十五年の両年度は八百九億円の赤字が出されるとなっております。もちろんこれは経営努力ということはほとんど加味されていない、時期的に単純な計算方式で出されているということでありますが、来年度以降赤字財政になることは確かではないかと危惧するわけです。このことはNHK財政危機であるばかりでなくて、一方で民放が非常に広大な利益を上げていることを考えてみますと、わが国放送体制というのはNHK民放という二本立ての体制をとっているわけでありますから、一方のNHKの方が財政的に基盤がおかしくなってくるということであってはこの二本立てという体制の基本が崩れるのではないかという点を私は非常に危惧するわけであります。  予算審議からかなりの時間がたちましたが、NHKは来年度以降の財政にどのような見通しを立て、どのような努力を進めておられるかお尋ねをいたしたいと思うわけであります。
  17. 坂本朝一

    坂本参考人 先生の御指摘の五十四年度以降の経営の見通しというのはわれわれにとっては最も大事な問題でございまして、現在、協会の使命と現況とそれから社会経済の動向等を勘案しながら鋭意検討を進めておる状況でございます。  私といたしましては、これにつきまして幾つかのテーマを設定して、それに各役員をキャップとして責任者といたしまして、公共放送としての基本的業務のあり方など精力的に現在検討を進めておる次第でございます。また、一方、協会の経営に識見を有しておられます部外の学識経験者十一名からなりますNHK経営問題委員会にも、長期的展望に立つ協会の基本的業務ないしは財源という問題について専門的な立場から御審議をいただいておる次第でございます。  今後協会の財政が非常に収支不均衡になるということは、これはもうやむを得ないことでございますけれども、さればといって安易に受信料改定に転嫁することなく、みずからの力でできるだけ経営努力を傾けるということを第一眼目にして検討しておる次第でございますが、いずれにいたしましても、協会の現状について視聴者の理解を深めるというところに重点を置いて現在いろいろな形で努力をしておるということで、その実り等についての具体的な御報告につきましてはいましばらくお時間をいただきたいと思う次第でございます。
  18. 渡辺秀央

    渡辺(秀)委員 放送衛星などでこれから新しいメディアに対応していくわけでありますが、このNHK財政問題にしても、この新しいメディアの対応にしても、法制的な改革を含めた取り組みがいよいよ必要な段階に入ったのではないかというふうに私は思うわけです。  具体的には電波法の改正、放送法の改正というような問題で提起されてくるのでありましょうけれども、このままで参りますと、結局NHKの料金の問題というのは、払いたくもないものは払わないということで、それに対する制裁というか、規制するものが何らないというようなことになっているわけでありますから、NHKという国民の生活にとって根本的に最も大切な情報網といいましょうか、そういうものをこれから安定的に確保するという表現がいいかどうかわかりませんが、それを維持していくということを考えたときに、やはり、料金制度というものをもうそろそろ勇気を持って検討していかなければならぬ段階ではないのかというふうに私は個人として思っているわけであります。  この問題が明確に方向づけられないと、いつまでたっても不安定な管理あるいは運営の中でなされていくということになるわけでありますから、私は、この点について大臣の御見解をお聞きいたしまして質問を一区切りにしたいと思うわけであります。
  19. 服部安司

    服部国務大臣 御承知のようにNHKは受信者から徴収される受信料によってその維持運営が行われてまいりましたが、近年、受信契約数の伸びの鈍化や受信料の不払いの増加等に伴いまして財政的に大変問題が生じてまいったことは渡辺先生の御指摘のとおりでございます。  このようなNHK財政上の問題につきましては、率直に申し上げて、まずNHKの経営者の自覚、すなわち経営努力に努めるということが大事で、もう来年度赤字転落はやむを得ないとか、そういった安易な考え方は断じて許されるべき問題ではない。もちろん、今日までの経営の姿というものは、御承知のとおりにオリンピック以来カラーテレビの普及でどんどん伸びる一方でありましたが、その時代の感覚でこの厳しい財政事情のもとで処することは許されない。したがって、今日までの経営の積み上げてきた方式の上に伸び率を重ねていくと赤字を招くことは、これはもう当然のことであります。そこで、まず企業努力を行って、その上さらに国民の理解と信頼を得るためにみずから必死の努力を払うべきである。  不払い問題が増加してくる。したがって財政上の問題が起きてくる。ここにもう一つの恐るべきことは、いわゆる公平な負担が均衡を欠いてくることである。まじめに納めている人がいる一方、何とか理屈をつけて全く納めない者がいるということはいつまでも認めるわけにはいかない。こういう点から考えますと、正直、渡辺先生の御指摘のとおりに、これは放送法の点で考えねばならない問題であるということも私は十分理解できますし、また、国民の公平な負担の観点からも大きな問題でもありますので、これからもっと検討を要することだと私は私なりに思うわけです。  いわゆる必要な公共放送機関であることはいつも認めているわけでありますから、これを存続するためには、国民からいただく料金以外に維持することはできないわけですから、この面では、郵政省といたしましても、また私は郵政省の最高責任者といたしましても慎重に検討する心構えをいたしておりますが、しかし、だからといって国民の負担にゆだねるということはやはり一考を要する問題ではないでしょうか。私は、こういったもろもろの問題を総合的に判断をいたしまして、ただいま御指摘の問題についても慎重に検討してまいりたいと思っておりますが、ただ、当面こういうことを続けると国民NHK離れがあるのではないかということと、また恐れることは、NHK不要論というふうにつながってきたら大変なことだということで、私はかように憂慮いたしておりますので、この点を御理解を願いたいと思います。  先ほどから渡辺先生がいろいろ御指摘になった中で番組のことがありましたが、番組内容が非常に向上したということと、また私がこういう立場に立っていろいろな機会にいろいろな方々の意見を聞きますとずいぶんおほめの言葉をちょうだいしておりますので、こういう時期だけになお一層慎重に真剣に企業努力を払って国民の信頼を得る努力をしてもらいたいと経営者に機会あるごとに私はお願いを申し上げているような状態でございます。
  20. 渡辺秀央

    渡辺(秀)委員 時間も参りましたようですが、せっかく大臣の御発言をいただいたので申し上げますが、私は、大臣のお立場からしますればそれは当然の御答弁であろうと思います。また、NHK当局におかれても、その運営あるいは経営の合理化といいましょうか、そういう方向にこれからも大いに努力をしていただき、聴視者の信頼をかち取っていくというようなことは当然のことだと思うのであります。  しかし、一方においては聴視者は非常に高度な要求をするというか、内容の面において、質的な面において、あるいはまた番組の面において高度な要求をいたしてきておるわけでありますので、どうぞひとつそういうものを十分勘案をしながら、期待に沿い得るように御奮発をしてくださることを御期待申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  21. 松本七郎

    松本委員長 阿部未喜男君。
  22. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私はこの問題に触れる気はなかったのですけれども、たまたまいまお話がございましたから、番組編成の自由の問題について大臣並びに民放の皆さんの御意見を伺いたいと思うのです。  放送法三条にいう「番組編集の自由」というのはきわめて重要な問題でございますから、私どもはそれを尊重しなければならないという点についてはいささかも意見を異にするものではありません。しかし、番組編成が自由であるからといって、どのような低俗な番組編成も許されるのかということになりますと、放送法四十四条に規定するところの公序良俗に反してはならないということとか、政治的に中立でなければならないということとか、そういう規定の範囲内で編成の自由が許されると理解すべきであると思います。  そこで、どういうものが公序良俗に反するのか、どういうものが一体政治的な公平を欠くものであるのかということについて、民放連みずからが番組編成の基準というものをおつくりになっておるはずでございます。したがって、番組編成の自由というのは、放送法四十四条の精神を受けて放送業者みずからが規定をした番組編成基準が守られることによって初めて真の編成の自由があるのだと私は理解をしておるのですが、その点について間違いがあるかどうか。  たまたま教育勅語の問題が援用されましたが、それを番組編成基準に抵触するというお考え放送業者が自主的にお取りやめになった。そのことを取り上げてとやかくされること、それ自体が番組編成の自由に介入するものであって、あくまでも放送法四十四条の精神にのっとってつくられた民放みずからの基準に従うことが正しいのではないかと私は理解するのですが、大臣、どうお考えですか。
  23. 服部安司

    服部国務大臣 先ほど渡辺先生の御質問に答えたとおりでありまして、番組編集の自由というのは、私の立場からいたしますとこれはあくまで守り通さねばならない。また、放送法第三条の「放送番組編集の自由」は、これは法律で保護されているわけでありますが、ただ、しからば何をやってもいいのかという問題になってくるとまた大変むずかしい問題でありまして、御指摘のように、では何を基準としてその可否を決めるのかという点も、この法律の趣旨から言ったら、基準は設けてないということはすなわち放送事業者を信頼するという点に尽きると思うのでございます。  私の立場からいたしますと、放送事業者放送編成担当者を全面的に信頼いたしまして、国民の望まない、またいろいろと批判を受けるような編集は決してやらないとかたく信じて、この自由を守り通したいという考えでございます。
  24. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 民放の方はどうですか。
  25. 杉山一男

    杉山参考人 お答えいたします。  いま大臣がおっしゃったように、編集の自由は放送法三条で確保されておるので、それに基づいて民放連は先ほど先生が言われたように何でも放送していいんだということではなしに、みずからの自主規制によってこういう番組はしないということで放送基準を持っておるわけであります。この民放連放送基準は法律の定めによる番組基準というものを全部各社は引用しておりまして、ほとんど同じかっこうになっております。  したがって、放送基準に限定された範囲内において各社が放送編集の自由を持つということになるわけでありまして、そういう意味で私たちはあくまでも放送の自由は守らなければならない、それを守るためにはどうするかということが、みずからの自主規制によって定められた規制を守るということから出てくるのだというふうに理解しております。
  26. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私は特に論争をするつもりはありませんけれども、いまお話がありましたように、放送法四十四条に定める公序良俗に反するものというのはどういうものか、政治的な公平に反するものというのはどういうものかということを放送業者みずからが基準をつくっておきめになっておるわけですから、したがってその判断は放送業者に任せるべきであって、取りやめたのが不都合であるとか不都合でないとかという議論をすること自体が私は心配になる。これだけは申し上げておきたいと思います。  次の質問に移りますが、成田空港がこの五月二十日開港を目途に政府の方でも鋭意努力をされておるようでございます。そのことの可否についてここでとやかく申し上げる気は私はございませんけれども、報道によりますと、成田の開港に伴う航空機による電波障害が七千世帯に及ぶというふうに報道をされておりますが、この事実について、まず、受信料をいただいておるNHKはどういうふうに把握をされておられますか。
  27. 沢村吉克

    ○沢村参考人 お答え申し上げます。  成田の開港時の受信障害につきまして空港公団並びに千葉県の方からの御要請もございまして、事前の調査並びに慣熟飛行の際の調査に御協力を申し上げたわけでございます。  したがいまして、本当に開港したときの状況は慣熟飛行の場合と比べますと飛行の頻度がかなり違ってまいりますので、これをいま明確に推定するのはいかがと存じますが、慣熟飛行の際の調査結果によりますと、空港公団が中心になって調査いたしました滑走路の方向のある限られた地域の調査によりますと、その中に現在住まいしていらっしゃる世帯数の二割ないし四割程度のところがある程度の被害を受けそうだというようなデータが得られております。  先生のおっしゃいます。千世帯という件につきましては、それがどの程度の確度であるとかいうことを申し上げるほどの資料は私どもとしてまだ得られておりませんので、さらに開港後の実態を把握いたしまして、より明確な対策をもってまた御協力申し上げたいと思っておる次第でございます。
  28. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 運輸省から、運輸省が依頼をしておやりになった調査の結果について御報告をいただきます。
  29. 相楽秀孝

    ○相楽説明員 御説明いたします。  成田空港にかかわる先生の御指摘の調査につきましては、新東京国際空港公団において自主的に行いました調査でございますが、調査の概要としては、先ほど日本放送協会の方からお話がございましたように、慣熟飛行時においてフラッターの発生状況と傾向につきまして空港周辺の百三十六カ所で調査いたしましたところ、百六カ所におきましてフラッターの現象が認められた、かように承知しております。
  30. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それについてどういう対策をお立てになるおつもりでございますか。
  31. 相楽秀孝

    ○相楽説明員 空港公団の方におきましてテレビの受信料の助成を行うということが一つでございます。  それから、フラッターの防止対策につきまして、開港後の実際の飛行のもとにおけるフラッターの状況のもとで対策を実施していくということでございます。
  32. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それは開港までに間に合うわけでございますか。
  33. 相楽秀孝

    ○相楽説明員 お答えいたします。  ただいま御説明いたしましたテレビの受信料の助成につきましては、関係の市町村、公団、それから実務を担当するNHKとの間で協議も終わっておりまして、開港時から直ちに実施するという体制ができておると聞いております。  それから、フラッターの防止対策につきましては、先ほど御説明いたしましたように、開港後の実際の飛行のもとにおけるフラッター被害の状況の申し出を受けまして開港後対策を講じていくというふうになっております。
  34. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 NHKに伺いますが、テレビの受像機を持っていて受信料を納めておるということは、平たく言えばテレビを見たいからです。  NHKは受信料さえ入ってくればテレビが見られようと見られまいとそう大きな問題ではないとお考えですか。いい画像を見せてあげなければならないとお考えですか。もし後者であるとするならば、受信料の助成について話し合いがついたからなんという話は国民を愚弄するもはなはだしいと言わなければなりません。NHKは、受信料の助成の話をする前に、明確な画像ができるような手だてを公団をして講ぜしめる話をなぜしなかったのですか。どうお考えですか。
  35. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 空港におきますテレビの受信障害につきましては、騒音による受信の障害とフラッター現象によります画像の乱れ、要するに見にくくなるという障害、大きく分ければその二つあるだろうと思いますが、騒音による障害というのは防除いたしますのが非常にやりにくい。防音家屋をつくるとか防音室をつくるとか、そういうことしか方法がないということで、従来、大阪国際空港、東京国際空港、福岡、宮崎、鹿児島等におきまして、その騒音の程度によりまして半額の助成をする、あるいは四分の一の助成をするということでやっております。  成田空港におきましても二分の一助成、四分の一助成の範囲につきまして、空港公団あるいは地元の市町村等と協議いたしまして、騒音の程度によりまして、WECPNL八〇以上のところは二分の一助成、七五から八〇までのところは四分の一助成ということで、二分の一助成が二千四百世帯、四分の一助成が三千三百世帯、合計五千七百世帯についてそういう助成をすることに決めたわけでございます。  先生がおっしゃいますように、これで事足れりということは全く考えておりません。私どもとしては、料金をちょうだいする限りいい状態で受信できるということにしなければならないと考えております。しかし、このフラッター現象につきましては、都市における一般の受信障害等と同様に原因者によって障害に対する対策を立てていただくということでございまして、先ほど運輸省の方からも御答弁がございましたように、また、NHKからも答弁をいたしましたように、事前にフラッターによる障害の状況の調査をいたしました。  今後開港後も調査について御協力いたしまして、障害の状況に合った対策について、どういう技術的な対策を講ずるかということにつきましてNHKといたしましてもでき得る限りの御協力をいたしまして、なるべく早くその対策が講ぜられるように努力をしてまいりたいと考えております。
  36. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 NHKについて言うならば、どのようにして受信料がうまく入ってくるようにしようかということが先であって、美しい画像が見られるように、いわゆるフラッター現象を最小限に食いとめ、あるいは騒音を最小限に食いとめるにはどうすればいいかという指導の方が後に回っておるという気がしてならないのですよ。  というのは、受信料の助成についてはもう話が決まったというのに、フラッター現象についてはやってみなければまだわからないということにしかならないようでございます。しかし、二十日に開港されれば、調査によってわかっているように受信の障害が出ることは間違いないわけでございます。飛行機が飛んでみなければわからないというのならば、何もこれまで実験をしてみる必要はないのです。飛行機が飛ぶときにどういう現象が起こるであろうかということを知るために実験をしたわけですから、それに基づいて、少なくとも開港までには持てる技術の最大限を生かして、皆さん方が迷惑をしないように縦横にできるような体制をとるべきではないでしょうか。  大まかに考えてみて、国際空港を利用する人間というのは、一生に一度かあるいは一年に一度という程度の人でしょう。しかし、テレビの受信ができなくなって迷惑をする人は、この飛行機が飛び始める二十日から手当てをしてもらうまでの期間というものはずっと毎日いらいらした思いで見ておらなければならないわけですよ。そういうことは実験の結果明らかにわかっていながら、二十日に開港をするというのに、今日なお手だてができていない。これは政府の責任なのか、公団の責任なのか、私は知りませんけれども、私が聞く限りでは、やはり運輸省に責任を持って措置をしてもらわなければならない問題だと思います。  そこで、運輸省は、騒音については万全を期することはできないまでも、いまお話のあったように助成ということについて考えておられるようですけれども、フラッター現象等についてはどういう措置をおとりになるのか。飛行機は二十日から飛ぶわけでございますから、そのところをお答えいただきたいのです。
  37. 相楽秀孝

    ○相楽説明員 フラッター現象の防止対策といたしましては、フラッター防止アンテナの取りつけ、それから共同受信アンテナの設置、それから銚子のUHF局への切りかえ、こういった各方法が考えられるわけでございますけれども、やはり、何と申しましても開港後の実際の飛行のもとにおけるフラッターの状況というものを正確に把握して受信設備等を検討するなど、詳細な調査を行った上でできるだけ適切な対策を実施するという方向で、空港公団において、NHKの協力のもとに、開港後速やかに実施できるよう防止アンテナの種類あるいは共同受信設備等を目下準備中であるということでございます。
  38. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 飛行機が飛んでみなければわからないというのなら、何で事前に調査をされたのか、私はわからないのです。事前に調査をされて、飛行機が飛べばこの程度のところにフラッター現象が起こるということの調査結果は出ておる。それは三月の十九日に大体調査結果がまとまっておるはずです。三月の十九日から勘定してみると、もう二カ月に近い期間が過ぎておるわけです。その間ほったらかしにしておいて、飛んでみた上で具体的にどうこうというようなことでは、これは全く国民をばかにしておる。  万全の対策を立ててみて、なお実際に飛行機が飛んだ場合にこういう問題が起こったというのならまだ私はわかりますが、しかし、何ら対策を立てずに、調査はしたけれども、七千世帯ぐらいにフラッター現象が起こるだろう、しかし開港してみて飛行機が飛んでみないことには、そこのところをどうするかまだ見当はつかないなんて、そんなばかな話がありますか。  いま私が申し上げたように、国際空港を利用する人間というのは知れておるはずですよ。ところが、地元の住民は飛行機が飛び出す瞬間からテレビの映りが悪くなり、あるいは見えなくなっていらいらした毎日を送らなければならないのです。これは事前にわからなかったならば仕方がないですよ。あるいは飛ばしてみたらこういうことが起こったというのも仕方がありません。私もそこまでむちゃは言いませんが、飛行機を飛ばす以上、あらかじめ予測できるものを何の手だてもせずに飛行機を飛ばすことだけに専念しておる運輸省の姿勢というものは、国民の権利というものを一体どうお考えになっておるのですか。  もしあなたがその場に置かれたことを考えたら、飛行機が飛び出してテレビが見えないというときに、それではこれからぽつぽつ共同アンテナでもつくろうかとか、UHFに切りかえようかなどという、そんななまぬるいことで満足できますか。金をもらったから騒音ががまんできるものでもなかろうし、共同アンテナをつくってくれたからそれでがまんできるというものでもないのですよ。さなきだに犠牲を強いておるのに、なおその上に実際に開港してみなければ結果がわかりませんなどと言ってじんぜん日を送っておるあなた方の姿勢というものは一体何ですか。飛行機が飛ぶまでの間にもう少し具体的に万全の対策はとれないのですか。そういうお考えはなかったのですか。
  39. 相楽秀孝

    ○相楽説明員 やはり、慣熟飛行を利用しての調査ということでございまして、できるだけ適切な対策を講じていくということから、開港後できるだけ早い時期に適切な実態をつかまえて、可能な限り十分な措置が速やかにできるようにということで、どういった防止アンテナの種類がいいかということについてNHKの方の協力を得て、準備に鋭意取り組んでいるということでございます。
  40. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 おおむね予測できるものについてなぜ事前に手をお打ちになりませんかと言うんです。何のために慣熟飛行をやったんですか。おおむねの予測をするためにやったわけでしょう。それならば、おおむね予測できるものについては、一日たりといえども国民には迷惑をかけないような万全の策を講じておくべきではないのですか。飛んでみなければわかりません、開港してみなければわかりませんということでは余りにも無責任ではありませんか。  やるだけやりました、ここの地域には共同アンテナをつくりました、この地域の要望にこたえてはUHFに切りかえました、そして飛行機が二十日から飛んだ結果なおこういう結果になりましたとおっしゃるのならば、それはそれなりに仕方がないだろうと私は思うのですが、しかし、何も手だてを講ぜずに、調査だけやってみました、あとは飛んでみた上で対策を立てましょうということなら、それでは二十日に飛行機が飛び始めて直ちに対策が立ちますか。
  41. 相楽秀孝

    ○相楽説明員 開港後可能な限り速やかに対策が実施できるように、空港公団もそのつもりでおりますので、先生の御指摘の趣旨に沿うように空港公団の方を指導してまいりたいというふうに思っております。
  42. 服部安司

    服部国務大臣 私の出る幕でないかもしれませんけれども、実は、私も所管大臣として、この開港によっての周辺住民の電波障害を非常に危惧いたしまして、いろいろと新空港公団と折衝を続けてまいりましたが、現在私の知っている範囲では、まず、慣熟飛行で得た知識をもとにいま計画を立てております。加えてこれに必要なものとして、私は専門家じゃありませんが、たとえば共聴アンテナとか有線にするとかいう用意もいまいたしております。そして、この財源の手当てはというくだりで、かなり膨大な予算を持っていますが、それでも足りない場合には予備費流用が認められております。  いまの阿部先生指摘内容から考えると、私もあっと気のついた点が多々ありまして、なお一層公団と早急に連絡をつけて、いまの御指摘のとおりに完璧は無理であっても、でき得る可能な範囲の準備を進めるよう指導をいたしたいと考えておりますので、この点御了解を願いたいと思います。
  43. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大臣のお話でわかりましたが、先ほどの答弁は、開港してから可能な限り早くという、この開港してからという前提がいつもつくわけです。私は開港する前にできるだけ早くやってくれということをお願いしておるわけですから、この点はよろしくお願いをします。  それでは、次に移りますが、NHKの経営姿勢ということにもなろうかと思うのですけれども、この前五十三年度の予算を審議しました際に番組の問題がいろいろ議題になりました。その中で、大相撲の放送を繰り上げて三時五分からおやりになるということだが、これはどうなるのかという意見もあったようでございます。国民の要望が非常に多いのでこうしたいのだという当局のお話もございましたし、これは私ども余り介入する筋のものではないと思っておりましたので余り申し上げませんでしたが、それだけ国民の要望が多いからNHKがこういう番組編成をしたいというお話であったのに、三時五分からの大相撲の放送は何かやはりできないのだというような話もちょっと聞いたのですが、その間の事情はどうなのでしょうか。
  44. 堀四志男

    ○堀参考人 お答えいたします。  三時五分から大相撲の中継をやりたいという希望は私たちはいまだに同じに持っております。そして、今回の五月場所につきましてはかなり事前の折衝が実ったというふうに報告を聞いておりまして、この席でも三時五分からやりたいというふうに申し上げました。しかし、その後相撲協会の責任者から五月場所の三時五分からの放送は見合わせてほしいという要望が参りまして、これにつきまして私は二度にわたりまして春日野理事長と会談して実現方を交渉したわけでございますが、春日野理事長としては何としても五月場所は見送ってほしいという強い要望がございました。  相撲放送につきましては世上いろいろ取りざたされているとおりでございまして、相撲協会との良好な関係を保つことが一方には非常に必要だという判断をもちまして、私の責任で五月場所につきましては従来どおりの放送時間としたわけでございます。したがいまして、この席で申し上げたことが結果的に間違いになりまして、非常に強く責任を感じております。しかし、相撲協会の方も必ずしも今後ずっと三時以後からの放送はいかぬという態度でもございませんので、なるべく早くここでお約束したことが実現するように今後とも努力したいと、さよう考えております。
  45. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これの放映料の問題か何かで、相撲協会は国技館を建てかえたいので土地代が五十億くらい欲しいので、それでNHKの方に五十億ほど先に出してもらえないかという話があったけれども、NHKのいまの経済情勢、運営の状況ではとても五十億という金の前払いはできないということから話が壊れたというようなことも私は伺っておるのですが、それならそれでありのままに国民の前に、実はこういうつもりでしたがこうなんですとおっしゃってもらった方がいいのではないか、公の席だからといって口をぬぐってきれいごとで済まさない方がいいのではないかと思うのですが、そういう報道なりうわさは根拠のないものであったのかどうか、伺います。
  46. 堀四志男

    ○堀参考人 お答えいたします。  そういう世上のうわさはございました。しかし、私が春日野理事長とお話しした際には理事長はそういうお考えは全く持っておりませんでした。国技としての長い歴史を持つ相撲が国民から堅実な支持を得るためにはどういう放送形態をとったらいいかということについてきわめて真剣にお考えのようで、そういうことは全くございませんでした。  われわれとしても、いま今年度と来年度の両年度の契約は終了しておりますが、引き続いて放送ができるように、しかも国民の納得できるような形でできるように努力中でございます。
  47. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 その中には民放との競合というようなこともうわさをされておるようでございますし、私は総局長のお話を信じますけれども、そうすると、それだけ理事長が理解を持っておるのに、せっかくNHK計画した三時五分からの放映が一体なぜできないのかという疑問は率直に言って残ります。そうすると、こっちでうわさされているような民放との競合の問題なり、協会が国技館の建てかえでお金が欲しいというのも一つの理由ではなかったのだろうかというふうに勘ぐって考えてみたくなります。そこで内容がはっきりしておるならばはっきりさせてもらった方がいいのではないかと申し上げたのですが、いまあなたが直接お話しになった結果について御報告がございましたから信頼をしますが、しかし、疑問が消えたわけではありません。なぜ三時五分からができないのかという疑問は残りますよということだけは申し上げておきます。  次に、もう一つお伺いしたいのですけれども、NHKの運営、経営には少しむだがあるのではないか。これはやっかみもあるかもわかりませんが、たとえば甲子園のネット裏にNHKのカメラが三台も行っておった。それは報道は報道、スポーツはスポーツでそれぞれやったんだと思うのですけれども、NHKがお撮りになるならば一台のカメラでも何とかそれぞれ流用できるといいますか、うまく相互に利用し合ってやれるのではないか、金があるからといって三台もカメラをNHKが持っていかなくてもいいのではなかろうかというような指摘がありますが、これは何とかならぬものでございますか。
  48. 堀四志男

    ○堀参考人 お答えいたします。  できるだけ少ないカメラで効率を上げるという点については御指摘のとおりかと思います。ただ、フィルムカメラとテレビカメラと分けまして、テレビカメラの方にそういう重複があったというふうには私は聞いておりません。  フィルムカメラにつきましては二台、三台あったという話はございますが、高校野球といいますと、御承知のようにローカルで異常な関心がございます。したがいまして、ローカル放送を全部兼ねて回しっぱなしにしますと非常にフィルム的にむだが出てくる、かつねらいもまた違ってくるという面もございますし、そういう点で結果的には重複があったわけですが、私たちのねらいとしては重複はなかったものというふうに思っておりますが、せっかくの御指摘でございますので今後とも努力を続けたい、そういうふうに思います。
  49. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 技術論からの総局長のお話はわかりましたが、私がちょっと気になるのは、NHKの予算の立て方それ自体に少し問題があるのではないかということです。仄聞ですから明確ではありませんが、たとえば先般「スポーツアワー」という番組ができましたけれども、この「スポーツアワー」がスタートするに当たって局の中に若干の混乱があったように聞いております。それはいわゆるニュースの予算と番組の予算とをどう分け合うかという問題についてのセクショナリズムといいますか、そういうものがあったやに聞いております。このことは官公庁でも言えることですが、自分のところに少しでも予算を取りたい、取った予算は使うということで、それがいい例であったかどうかわかりませんが、三台もカメラが行くという結果になってくるのではないか。そうであるとするならば、技術的な問題は別にして、予算の立て方それ自体に少し問題があるのではなかろうか。  そこまでくるとこれは会長責任だと思うのですが、具体な例をいま申し上げましたが、「スポーツアワー」の際の問題等も指摘されておるようでございますので、これは特に答弁があれば別ですが、予算の立て方についてひとつ慎重な配慮を願いたいという私の願望です。
  50. 坂本朝一

    坂本参考人 まことに重要な御指摘だと私といたしましては受けとめたいと思います。  いわゆるセクショナリズムの結果予算の分捕りというようなことになったのではまことに申しわけないことで、そういう細かな点についても配慮するということがいわゆる経営努力のあらわれの一つであろうというふうに思いますので、十分検討していきたいと思う次第でございます。
  51. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 その次に、受信の契約についてお伺いしたいのですけれども、数字の把握ですから細かい問題になりますが、五十年度決算ですから五十年度を基準にしてちょっとお伺いしたいのです。  たとえば昭和五十年度の受信契約を見るに当たって、いわゆる住民基本台帳による世帯数を三千三百九十一万ととらえて、推定設置数を二千八百三十四万台ととらえておるようでございます。そして、そのうちの契約数が二千五百三十三万台という勘定になっておるようでございますけれども、いわゆる世帯数に対して推定設置数を割り出してくる、その数字の根拠はどういうところに置いておるわけでしょうか。
  52. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 私どもが業務を進めていく一つの目安といたしまして、テレビを所有しておられる世帯というのはどれくらいあるであろうかということをまず推計するわけでございますが、それのもとになりますのが全国の全世帯の数でございます。これは一番正確なのは五年ごとに行われる国勢調査の数でございますが、その間、五年ごとの国勢調査の間の各年度の世帯数というものは一つの推計で見るしかない。それは人口問題研究所の推定数を使うわけでございます。  その全世帯の中から無料契約の対象になる数はどれくらいあるであろうかということは、これは厚生省等の生活保護世帯の数であるとか、そういうものを利用いたしましてこれを差っ引き、残りの契約対象になるであろうと思われる世帯の中でテレビを所有している世帯はどれぐらいあるであろうかということを推計するに当たりまして、二人以上のいわゆる普通世帯というものと、それから単身世帯というものに分けて考えております。そして、二人以上の普通世帯のテレビの所有率はどれくらいあるかということは、これは私どものNHKの世論調査所で調査いたしました結果に基づきまして、所有率は九八%である。それから単身世帯の所有率は五〇%というふうに見ております。それは経済企画庁の統計の数字を利用しているわけでございます。  そういうふうにいたしまして全体の世帯の中でのテレビの所有世帯を推計いたしますと、全世帯の大体九〇%ぐらいがテレビの所有推定世帯で、それを一つのもとにいたしましてどれくらいの契約をとっていくかということは、それの年々の推移を見まして、七十万の新しい契約をとっていこうとかあるいは六十万の契約をとっていこうというふうに見ているわけでございます。それで計画を立てて進めていくということにいたしております。  五十年度末の全国の世帯数が約三千二百万で、有料、無料全体の契約数が二千六百五十四万、それの世帯数に対する契約は全国で見ますと八二・六%になっております。この五十年度末の三千二百万世帯というのはテレビを持っていない世帯も全部含まれた数字でございますので、いわゆる普及率といって従来使っておりました数字でございますが、三千二百万世帯に対して二千六百五十四万世帯は八二・六%であるというふうになるわけでございます。
  53. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 ちょっと恐縮ですが、森官房副長官にお見えになっていただきましたので、途中ですけれども質問を切りかえますので、お許しいただきたいと思います。  実は、NHKの経営委員の任命の問題ですけれども、NHKにとっては最高の機関でございますし、また放送法によっても、その任命については各界の代表がそれぞれ指定されておりますけれども、公平に配置をされるようにというふうな規定もあるわけでございます。しかし、今日までこの委員会でもずいぶん議論をされてきたのですけれども、どうもこれはそういう趣旨にのっとっていない。人間ですから、その経歴から考えればいろいろ理屈はつきます。ある場合には私が農民代事であっても構わないかもわかりませんし、ある場合には私が労働組合の代表であっても構わないかもわからぬ。経験から言えばそういうことになるかもわかりません。しかし、そういうことではなくて、現実にいま専門的にと言いますか、そういうことを考えてみますと、ただいまの委員を参考までに申し上げておきますが、委員の中で、毎日新聞の社友、伊藤組の社長、経団連の副会長、富士重工の相談役、朝日新聞の社友、日東工業会長、日新林業会長というように、少なくともこれは経済界を代表するとも言える方々になるわけです。もちろん朝日、毎日については言論界だという意見もあろうと思いますけれども、別の意味から言えばこれは経済側の代表ということも言える。  そういうことを考えていきますと、これだけの経営委員の中で、これが本当に各界を代表する公平な経営委員の選出になっておるだろうか。これは三木総理のときだったと思いますけれども、前にそういう問題が出まして、当時あなたと同じ立場の海部さんとも話をしたことがありますが、私はメモも持っておりますが、この趣旨に沿うように公平にやりたいというお話を伺っておるのです。たまたま今度は任期の来る方がかなり多いようでございますが、この経営委員の選任に当たっては、官房の方でもそういう趣旨に従って十分御努力をいただきたいのですけれども、そういう趣旨を生かすことと同時に、私は最低の条件があるのです。  それは、かつて電電公社が小佐野賢治さんを経営委員ですかに任命をするというときに、各党の反対があったのです。にもかかわらず政府は任命をしました。任命をしましたが、結果として国民一般から見て果たしてこれが妥当であったのかどうか、疑問の残る点だと思います。このNHKの経営委員についても、私は名前は言いませんが、全部の賛成を得られない経営委員がおいでになります。NHKの経営委員の任命に当たっては、国会の全体の賛同を得られるというくらいのことはせめて最低の線として守ってもらわなければならないと私は思います。反対があっても数が多いのだからということで、NHKの経営委員として無理に任命しなければならないという理由はないだろうと思います。それならばもっとみんなの同意を得られるような人を最低の線として任命すべきであるし、そして法的に規定をされている各界の代表が本当に公平に入っていくような任命の仕方であってもらいたいという希望を私は持っております。  そのことはきのうから申し上げてありますから、恐らく官房長官とも御相談をしてきていただいたと思うのでございますが、ひとつお考えを承りたいのです。
  54. 森喜朗

    ○森(喜)政府委員 お答え申し上げます。  阿部先生逓信委員として大変長い間御尽力なさっていらっしゃるわけですから、私からこういうふうな形でこう選ぶのですよということをいまさら申し上げる必要はないわけで、先生の方が一番よく御存じであるわけであります。  いま阿部先生がおっしゃいますように、私も国会議員であるし、農民だと言えば農民だとも言えるということになりますが、お一人お一人選ばれた方々のいまある職業、肩書きというものを見ると、確かにそういう一面があるかもしれませんけれども、しかし、それぞれその分野における見識やあるいは従来やってこられましたことの学識というものも政府は十分配慮をしているわけでございますから、出てきましたところの横の肩書きだけでこれはちょっと偏り過ぎているんじゃないかというような御指摘はちょっと当たらないんじゃないかなというふうに私は思っております。  しかし、おっしゃるとおりNHKの経営委員の選任は大変大事なことでもございますし、十分法律にのっとりまして、産業別にも分野別にも、また地域的にも偏らないという大きな枠組みの中で十分に慎重に選任をしていきたいというふうに考えておりますし、また、選任をいたしますまでに十分いろいろな方々の御意見を勘案して総理大臣から任命をいたしたい、そのように考えております。
  55. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこで、趣旨としては大体理解をしていただいたと思いますが、本当に公平に各界を代表する者を任命をしてもらうということと、もう一つ私が出した最低条件の国会で全員の承認が得られるような人ということですね。反対があるというような方については十分配慮していただきたい。さっき私は小佐野さんの例を申し上げましたけれども、そういうような人がNHK経営委員の方にもおるのです。いままではなかったことなんですが、最近一人おるんですよ。  これについては、これから国会に提案するに当たっては、一億一千万国民がおるのですから、一億一千万の中から代表してNHKの経営委員を委託するわけですから、反対のあるような人だけは提案をしないでもらいたい。少なくとも国会では満場一致の承認が得られる人にしてもらいたい。これは最低の線ですよ。これはどうですか。
  56. 森喜朗

    ○森(喜)政府委員 大事な経営委員の選任ですから、阿部先生のその精神は大事なことだと私は思います。  しかし、国会でございますし、これだけ幅広い各党党派、会派がある中で全員の意見が一致しなければならぬというようなことになりますと、今度は逆に、あらゆる分野から学識経験者あるいは地域的というようなことを考えて総合的に選んできたことがある意味では拘束されてしまって、これがきわめて薄められてしまうようなことになるんじゃないかなという感じ、そんな感じをいまの時点で御質問をいただいて私は持ちます。  しかし、そういう精神にできるだけ準じて、できるだけ皆さんの合意が得られるような方の選任をいたすように官房長官にも総理にもよく伝えておきたいというふうに考えております。
  57. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 趣旨はわかっていただけたと思うのです。いまここであなたがそれは絶対そうしますとは言い切れないかもわかりませんけれども、いわば国民を代表し、受信者を代表するわけでございますから、この人が経営委員じゃ困りますよという意見があるような者についてだけは、いま私が申し上げたような趣旨で御配慮をいただくということをお願いして、お忙しいようでございますから結構でございます。  それから、さっきの問題に戻るんですが、これは私がお伺いしたのはそういう意味じゃなかったのですよ。マクロにつかまえると世帯数に対して受信機を設置しておる数は八五%だと、昭和五十年で見るとこういう数字が出てくるわけなんですね。全国の世帯数に対して受信機を持っておるところは八五%で、そのまた大体九〇%近くは契約をしておるという感じになるわけですわね。しかし、それはマクロにつかまえた場合であって、ミクロに見ていくと、たとえば新潟とか、そういうところでは一〇〇%を超えた契約率があるではないか。こういうつかまえ方が直ちに今日のNHKの契約状態をあらわしておるというふうに考えては間違いになる。そのことを私は御忠告申し上げたかったわけなんです。  その問題も、時間が少なくなりましたから一番肝心なことを一つお伺いしておきますが、未収受信料の処理についてですけれども、昭和五十年度の未収受信料と欠損償却状況ですが、これは予算上では十六億六千四百万円が計上されておったわけです。ところが、決算では二十五億円が引き当てられておるわけです。決算ですから、二十五億円引き当てればそれで欠損償却が終わったのかと私は思っておったら、これは終わっていないのです。そのほかにさらに七億六千五百万という金をどこからか持ってきてこの未収受信料の穴埋めをしておるわけです。  会計法上は私はよくわかりませんけれども、予算があって決算がある。これで大体終わりだと私は思っておったのですが、予算があって決算があって、その決算のほかにまた金を持ってきて立てておるという処理の仕方ですね。どうもこれが腑に落ちないのですが、ここのところをちょっと説明していただけませんか。
  58. 川原正人

    ○川原参考人 いま御指摘のとおり、五十年度の欠損償却費につきましては、予算の段階では十六億円を見込んだわけでございます。  ただ、よく御承知のように、NHKの受信料につきましては、もちろんその年度の終わりに予算に対してどの程度ちゃんと収納ができたかということはきちんとしておかなければなりませんので、それが一たん五十年度決算の際に出ますけれども、NHKの受信料はそこで終わりとしないで、未収金として残りましてもその翌年度さらにこれを徹底的に回収するといいますか、滞納になった方から一件でも二件でも収納をさらにするということで、二年目もさらに私どもは受信料の回収に努力するわけであります。最終的に二年間で最終決算をするということになっておりますので、最初の年度決算のときにはまだこれは中間的な数字になるわけでございます。二年目の、五十年度の受信料について言えば、五十一年度決算のときに初めて二年間にわたってどこまで取れたかということが決算で確定するわけでございます。  その意味で、一番最初に予算に出たときと、最初の年度の終わり、いわばこれは中間的な御報告になりますけれども、決算のときの数字がどうしても間に入ってまいります。そして最終的に翌年度決算のときにきちんと整理をするということになっているために、いまの先生の御指摘のように、予算では十六億だったのが、この五十年度決算は、いわば中間的といいますか、会計上は第一年度のところでとにかくはっきりしなければいけませんから、このときには取れないものが二十五億ぐらいどうも出そうだということを御報告して、そして最終的には次の年度のときに一生懸命努力いたしました結果がこうなりましたということをはっきりさせている。そのために数字が三回にわたって出てくるということになる。  その点があるいは御理解しにくかった点かと思いますけれども、やはり、これは決算のありようといたしまして、私どもの年度末におきます財政の状況あるいは業績の状況を、いまの会計理論あるいは公にされました企業会計原則に従ってきちんと厳密に整理してまいりますとどうしてもこうならざるを得ないということが残るかと思います。
  59. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 その数字の扱いはわかりましたが、それでは二年を限ってとして、未収で上がってくるならば、前年度の未収も上がるだろうし、そのもう一つ前の年の未収だって上がるだろうし、三年前の未収だって上がるという理屈になりそうな気がするわけです。  したがって、その年度年度で締め切って処理をしていく方が正しいのではないですか。昭和五十年度ではこれだけの未収があるけれども来年もう一年たってみなければわかりませんという形になるわけですが、未収は次の年も収入に計上していけば年度年度決算はできるはずです。未収を来年度に持ち越して、予定未収の中のこれだけが入ってきてこれだけがだめだったから結局決算したものよりもさらにこれだけたくさんの欠損金が出ましたというやり方よりも、五十年度は五十年度ではっきり二十五億の欠損が出ておるのなら二十五億計上して、あるいはもっと多くなれば、四十億なら四十億計上しておいて、来年に入ったら、それが来年度収入になっていけば年度決算ができていって、こういうややこしい予算があり決算があって、さらにその後また数字が出てくるというようなことにならなくて済むと思う。  趣旨はわかりますが、もし二年を区切ってというなら、区切る必要はないのであって、いつまでも何年前の未収でも全部未収で上げていって、いつまでたっても決算ができぬ。二年で切られるのならばその年でも切られるという気がするのですが、どうですかね。
  60. 川原正人

    ○川原参考人 確かに、一年度で切ってしまえばそれまでの話で、できないことはないと思いますけれども、ただ、私どもとしまして、受信料は債権で、国民の負託にこたえて私どもはこれだけは当然きちんとちょうだいしなければならない受信料でございますので、その年度のぎりぎりの三月までの受信料を、三月三十一日にこれだけ取れなかったからといって全部切ってしまうということは私どもの国民に対する負託にこたえるものでもない。これは一年かけても取れるべきものはあくまでもきちんと回収しなければ義務に反するということで、どうしてもこれは二年——ただし、これを何年も置いておいても会計上大変混乱してまいりますから、二年間たてば欠損として償却してしまう。  しかし、もちろん債権は残っているわけでございますから、この滞納は三年たとうと四年たとうと、私どもはあくまでその方のところへは何度でもお伺いしてちょうだいする努力はいたしますけれども、会計上は二年目で一応整理させていただくということにしておるわけでございます。ここはちょっとややこしいですが、やむを得ない処置ではないかと思っております。
  61. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 理屈から言いますと、前納という制度はあるが後納という制度はないわけです。しかし、私はそんなことを言っているのじゃありません。おっしゃるように債権があるのですから、債権を繰り越してでも取っていくのは当然です。  私が言うのは、決算上その年度で締め切ると未収は膨大な数字になるでしょう。たとえば六十億とか七十億という未収になるかもわかりませんけれども、それはその年の未収として翌年の収入に今度は未収が上がってきた分を計上していくということになれば、結果的にはNHK財政には変わりはないわけです。私は未収になったものを取るなと言うわけではありません。あくまでも債権として取らなければならないが、決算のあり方としてはその年度に入った分だけが入ってきたのであって、後納という制度がない以上それはやはり未収に間違いがない。  仮にそれが七十億になろうとも、五十年の未収はこれだけありました、しかしその五十年の未収のうち六十年にはこれだけ上がってきましたということになっていく。そういう決算の仕方を繰り返していけば結果は同じになってくると思うのですが、どうですか。
  62. 川原正人

    ○川原参考人 いまの御指摘のことは、私どもとしては決算の諸表の中ではっきりさせているつもりなわけでございます。  たとえば貸借対照表の、いま御審議いただいています五十年度決算で申せば十ページにありますが、受信料未収金として四十五億というものをきちんと挙げているわけでございます。要するにこれは五十年度努力をいたしましたけれども、残念ながら四十五億円は三月三十一日までに取れませんでしたということをここにはっきり出しまして、同時に、その中で、ただしそのうち二十五億と書きまして、これはあと一年努力するけれども恐らく取れなくなるであろうと、これも正直にここで一たん中間的にはっきりさせまして、しかし残る十八億円は完全に私どもの債権でございますから次の年度で一生懸命やりますということを——ここに四十五億として、そして引当金が二十五億、残る十八億五千万円は引き続き債権として回収に努力いたしますとはっきりさせているつもりなわけでございます。
  63. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いまの点はわかりました。よく理解できました。  大臣、これは私のひとり言なんですけれども、きのう参議院の皆さんとちょっと打ち合わせをしましたら、きょう参議院のある委員の方は五時間質問をされるのだそうです。どうもうちの委員会は時間が足らなくて、私はいつも聞きたいことの三分の一も聞けないという状況なので非常に残念です。これは大臣責任ではございませんけれども、そういうこともあるということを最後に申し上げて、実は多くの質問を残しましたが、約束の時間でございますから質問を終わらせてもらいます。
  64. 松本七郎

    松本委員長 竹内勝彦君。
  65. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 今回の五十年度決算に当たりまして、私はそれに関連した問題等を含めて若干質問をさせていただきたいと思います。  まず、今回の五十年当期事業収支差金が百八十九億となっておりますが、これが一応赤字の形で出ております。予算においてはそれが二百十六億円になっておるわけでございますけれども、この差額の二十七億円は一体どういうことになったのか。その内訳、内容、予算と決算の違いを最初に御説明いただきたいと思います。
  66. 川原正人

    ○川原参考人 いま御指摘のありましたとおり、当初五十年度の予算を私どもが編成しました段階では、事業収支におきましていろいろ努力をしましても二百十五億円の赤字が出ざるを得ないのではないかという予算の編成でございました。それに対しまして、五十年度実行の段階で私どもとしては鋭意収入の確保にも努力いたし、かつ支出の方も経費の節約を図り、あるいは五十年度と申しますとちょうど石油ショックの後の物価その他の経済情勢が鎮静に向かう過程でございまして、そういうことも幸いいたしまして支出を減らすことができたのが大きな原因でございますが、当初二百十五億の赤字の予算であったものを決算におきましては百八十九億の赤字まで減らすことができたわけであります。  内容的に申しますと、まず、収入の方では受信者の契約の増に鋭意努力いたしまして、予算の計画よりも二万件よけい年間に受信者をふやすことができました。さらにその前年度におきましても事業計画上の受信者の増加よりも若干上回る増加ができたものですから、この五十年度においては受信料が約四億円くらい増収になりました。そのほかに副次的な収入にも努力いたしまして、収入全体で六億三千万予算に対してふやすことができたわけであります。  一方、支出の方では、先ほど申し上げましたように、ちょうど五十年度に入りまして物価の上昇が落ちついてまいりまして、当時私どもが考えておりました物価の影響が少なくなりまして、これによりまして大体七億ないし八億節約ができた。それから私どもは経費の節約を当時も心がけていたわけでございますが、予算では前年度に比べて十五億くらいの経費節約を考えていたわけですけれども、これを三億くらいよけい節約することができたわけであります。  そのほか、事業運営費全般につきまして相当の支出の減がありましたけれども、一方、先ほど問題になりました受信料の欠損償却の増加等のために特別支出が出て、これはそれぞれ相殺のような形になりまして、結局事業支出の方において二十億減らすことができた。先ほど申しました収入の方で六億余り、支出の方では逆に二十億減らすことができて、合わせて二十七億の改善が図れたという内容になっております。
  67. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 本年度の予算も終わったわけでございますが、いろいろと収支試算等が出ておりますが、今後五十三年、五十四年、五十五年と続いていくに従って収支の不足額が年々増加していく傾向にありますが、この状態をどうとらえておるか、また、これに対して何をもって補てんしていく考えなのか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  68. 坂本朝一

    坂本参考人 その点が私といたしましては一番大事な問題だと考えまして、これは五十三年度予算審議の際にもその点を各先生方から御指摘をいただいておりますので、現在協会の中に各役員を長とする。プロジェクトを設けまして、経営の問題をどうとらえていくかということで鋭意検討しておる次第でございます。  なお、先ほども申し上げましたように、部外に識見を有する学識経験者の方々による経営問題委員会を設けまして、この先生方のいろいろなアドバイスや御意見もいただきながら、御指摘の問題をどう解決していくかということを現在検討しておる最中でございます。  ただ、五十三年度予算審議の際にも申し上げましたように、軽々に受信料に転嫁することなく、経営努力をすることがまず第一に挙げられる点であるということにしぼって検討いたしておりますので、概略的にはそういう状況にあることを申し上げさせていただきたいと思う次第でございます。
  69. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 大臣、聞いておいてください。  NHKさんの場合は別にコマーシャル料を取るわけではなし、経営努力といってもいろいろと限度というものがございます。そういう意味から考えていけば、五十一年度に受信料を引き上げたばかりでもう次の受信料の引き上げを考えるようになってしまっては、国民としては、これだけの不況の中で、生活が大変な中でそういうようなことになってしまっては、この前の引き上げ自体の見通しの悪さ、あるいはこの事業内容といった面の見通し、見直しというものが一体どうなったのかということになって大きな問題になります。  そういう意味から考えて、今後果たしてこれがどうなるか。もちろんそれもいつまでもということにはできませんが、今後の受信料値上げに対する見解大臣並びに会長に明確にここで答えておいていただきたいと思います。
  70. 坂本朝一

    坂本参考人 受信料改定の問題につきましては、ただいま申し上げましたように、軽々に受信料に転嫁することなくということで現在努力しておる次第でございますが、しかし、未来永劫にこの問題を回避するというわけにはいきかねるかと思います。  やはり、NHKといたしましては受信料以外に収入の源がございませんので、そこらの辺ところは御理解賜りたいと思いますが、だから来年度はどうだというようなことをいまここで明らかにするというような段階に至っておりませんので、その点はひとつ御理解賜りたいと思う次第でございます。
  71. 服部安司

    服部国務大臣 御指摘どおりに、NHKを取り巻く環境は、テレビの急速な普及をした時代とは全く異なった状況にありますことは御案内のとおりであります。  私は、この際必要なことは、この厳しい環境に対応するように経営体質を抜本的に見直す時期が来た、その改善を行うことだと、このように考えております。安易に赤字と値上げを繰り返すようであれば、これは断じて認められません。少なくとも私があずかっている以上はそういうことをやってはならない。値上げによって適当に処置するようなことでは国民NHK批判が高まりますることは当然であって、NHK必要性自体が疑われる結果になることを私は大変憂慮いたしております。と申しますことは、公共放送わが国にとっては絶対に必要であるということを認めておりますから、とかく批判を受けながら、私は終始一貫厳しい姿勢で臨むという点をひとつ御理解を願いたいと思います。  私は、この際NHK会長以下全職員が大いに意欲を持って、長期的展望のもとに経営の健全化に努めるべきであると考えます。  先ほど阿部先生からいろいろと放送法三条あるいは四十四条等に関連して御意見がありましたが、私はこの際お願いを申し上げたいのですが、NHKの経営のあり方にとかくの意見を述べること自体を何か錯覚ととられるような感を受けたのでありますが、決してそうじゃありません。私は、ときにはあるところで、おまえは経営委員と会うことを云々という指摘をされたこともありますが、これはとんでもないことであって、われわれは国民の代表であって、それこそ阿部先生の先ほど指摘のとおりに何をやってもいいのか——これは極端な言い方ですが、私はやはり国民の立場に立って、国民の代表であるべきわれわれがもうだめだからどうだとかこうだとかと言う前に、この必要である公共放送をどうやって健全に育成し健全な運営をやらせるかという意見を述べることは当然あってしかるべきだと私は考えておる次第でございまして、私の方から特にお願い申し上げたいことは、こういう問題についてどうぞ真剣に取り組んでもらいたいということであります。  報告を求めること自体にもとかくの誤解を受けますが、提出された予算案を時間があれば私なりに机の計算機を使ってやってみているのですが、正直言って、ああいった予算のときよりかかなりの効果といいましょうか、自然にかなりな幅のできたことも私なりに計算が出ているわけでして、したがって、こういうことをさらに一層真剣に努力を積み重ねていくところにこの問題の解決が必ず図られるものであると私は、信念と言えばオーバーですが、そういった確信で今後も推し進めていくために皆様方の御協力をお願い申し上げておきたい、かように存ずる次第であります。
  72. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、これだけ今後の見通しというものが非常に大変な中でございますが、そういうときに当たって、本委員会でも大きく論議を呼んだところでありますが、いよいよ迫ってまいりますモスクワのオリンピック放送に関して私は若干質問をさせていただきたいと思います。  つい先日、四月の末に、NHKの堀専務とテレビ朝日側との会談ということで、ラジオの放送権に関して主に話し合われたという報道がされておりますけれども、これに関して、内容についての概略を、余り長くならないようにまず説明をしていただきたいと思います。
  73. 堀四志男

    ○堀参考人 お答えいたします。  テレビ放送のうち、ラジオにつきましては放送権料は無料でございますが、放送権はテレビ朝日が取得いたしまして、テレビ朝日がラジオを持っていない関係上、これを大阪の朝日放送に委託したわけでございます。朝日放送は、国民的立場及び取材がより広範に及ぶという点も考えまして、これをラジオの三民放に協力を求めたわけです。これに対しまして、民放連及び新旧民放連会長等の示唆もございまして、三社はNHKを加えることを希望するという強い希望を述べました。私たちはラジオの放送についての手がかりを得た感じをいたしまして、その後われわれと行動をともにいたしました民放連の各社との間の話し合いその他を経まして、四月の二十五日にテレビ朝日側と朝日放送の原社長の仲介のもとに会う機会を持ったわけでございます。  したがいまして、内容がラジオの放送権ということでございましたので、とりあえずラジオの放送権について話し合いをしたわけでございますが、それに先立ちまして、テレビ、ラジオを兼ねまして、いわゆるモスクワオリンピック放送放送権の契約内容というのを拝見いたしまして、私たちが取得した契約内容と多少違っておりましたのでその説明を求めまして、そして、ラジオにしろテレビにしろNHKがこれに加わる以上、契約内容について国民の理解と承認を得ないものはやれないわけでございますから、その点について十分な説明を聞き、かつNHK側の態度を協議いたしまして、そしていま着々ラジオ放送について話し合っているわけでございます。  ただ、当委員会におきましても、当然のことながらテレビ放送についてのNHKの実施について強い要望もございますので、私たちとしてはこれを機会にその後の交渉を続けたいというふうに考えているわけでございます。  ただ、交渉の具体的内容につきましては、先方側の御意見もございますし、私たちとしては何とかまとめたい方向でございますので、ディテールにわたって御報告することができないことは多少残念に思っております。
  74. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 この問題に関しては、もともとNHK中心とした連合側とテレビ朝日との間においての放送権という問題で、モスクワとの交渉が成立してテレビ朝日放送権を獲得したわけでございます。その後、本委員会におきましても、いろいろと非難めいたこともあれば、あるいはそれに対してどう取り組んでいくかという面に関していろいろな論議が行われたわけでございますけれども、その中におきましても、NHK中心として東京において他の民放四社との共同歩調をとるという約束がとられておりましたけれども、これが今回を見るとラジオだけなんだ、いやそれに関連してテレビに関してもまた国民が納得できるようにという、こういういまの堀専務の御説明でございますけれども、こういう出発に当たっても、NHKのとる態度がほかの民放に対して刺激を与えていくというようなものであっては、またこれがいろいろと混乱を生じてくるようなものになるのではないかという危惧を私は抱くわけでございます。  そこで、共同歩調をとるという約束は一体どうなっておったのか、どうして出し抜いた形でこういったことが行われたのか、あるいは民放連会長の意見等も入っておったのか、その辺の信義の問題と共同歩調という問題に関してお伺いしたいと思います。
  75. 堀四志男

    ○堀参考人 お答えいたします。  全く先生の御指摘のとおりでございまして、われわれは共同歩調をとるという民放各社の理解と了解を得て、その上でお話し合いに臨んだわけで、今後ともそういう意味放送界の秩序を乱すということがないように、よき秩序の建設というものが目的でございますので、その努力をしたいと思います。  ただ、そちらの方が余り大げさに表面には出なかったということでございますので、御了解のほどをお願いいたします。
  76. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そのときの話し合いの中で、テレビ朝日側としては二つの条件を主に出してきたように伺っておりますけれども、その内容について教えてください。
  77. 堀四志男

    ○堀参考人 お答えいたします。  一つは、放送権の契約についての誤解を解いてもらいたいということです。それは先ほど申し上げましたように、契約書の内容が、私たちが入手いたしましたものとテレビ朝日が正式に契約したものとは若干の違いがございます。それが第一点でございます。  第二点につきましては、ちょっとこれはど忘れいたしましたが、さして重大な問題とは受け取ってはいなかったように私は思います。また後で思い出しましたら言わせていただきます。
  78. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 思い出して教えていただきたいと思います。  それで、いま堀専務が言われた……(堀参考人「思い出しました」と呼ぶ)  では、つけ加えてください。そうでないと進めませんから……。
  79. 堀四志男

    ○堀参考人 もう一つは、ジャパン・プールという民放NHKの協調の機関がございまして、これは確かアポロの中継に際して一九六七年に同じものの取り合いをやったことがございますが、そういう同じものをとるのに何も競争することはないのじゃないかということで、一緒にとってみんなで分けようということで出発した機構でございます。そして、非常にうまく作動はしておりましたが、オリンピック放送権交渉の際にNHKがこれを脱退いたしまして二つに割れて、いま日本プールとテレビ朝日というふうになっております。それをジャパン・プール復活について努力してもらいたいということでございました。  私たちとしては、ジャパン・プールの復活、すなわち協調的競争、よき秩序をつくるということは私たち目的でもございますので、その点について努力のほどを約束はいたしましたが、しかし、これはほかの民放等も関連がございますので実現にまだ至っていない、こういうわけでございます。
  80. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 この二つの条件に関してこれから論議したいと思いますけれども、この条件にどういうふうに今後対応していくのか、会長のお考えをお伺いしたいと思います。
  81. 坂本朝一

    坂本参考人 ラジオの問題を、やはり在京の民放各社もNHKと一緒にやろうと言って協調する姿勢にあるわけでございますから、私としては、そういう話がまとまる方向でこれに対処すべきではないだろうか、かたがた一緒にいままでやってまいりましたテレビ朝日以外の民放各社との信義を裏切らないという前提のもとに努力したい、そういうふうに考えておる次第でございます。
  82. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 会長としてはこの条件に関して何とかまとめていきたいというお考えだというお答えを得たわけでございますが、私がここでちょっと疑問に思う点は、いま堀専務が言われたところの第一の条件に関しては誤解を解けと言われたというように言っておりますが、向こうのテレビ朝日さんの言い方としては、あの国会の論議の中でも、あるいはほかの共同声明などに関しても、あれはいわばテレビ朝日に対する挑戦、非難をされたんだ、その非難を撤回せよというものだったというように私は受け取っております。  同時に、また、このJSNP、ジャパン・サテライトからNHK連合が脱退し、テレビ朝日が孤立したことについて、これを復帰せよと言われたという問題に関して、では、今後復帰できるならばなぜその時点においてこういうような態度をとったのか、その辺をもうちょっと国民にわかりやすく御説明いただきたいと思います。
  83. 堀四志男

    ○堀参考人 お答えいたします。  ジャパン・プールの成立の経過については先ほどお話し申し上げたとおりでございますが、要するに放送界における協調的競争、そして日本全体としての、放送界全体としての利益を確保しようじゃないかということを精神としてジャパン・プールをつくったものでございます。  そしてオリンピック放送につきまして、その頂点としてモントリオールオリンピック方式があるが、モントリオールオリンピックにつきましてはNHK民放もなく、日本チームということで取材し、これを放送したわけでございます。したがって、またその際に民放側といたしましてはある程度の資金が余りましたが、これは次のオリンピックの際に使おうじゃないかというような話で理事会の承認を得たというのが一昨年の暮れでございます。  したがって、われわれは当然モスクワオリンピックも同じような精神と同じような方式で——細かいことは変わると思いますが、それで進むんじゃなかろうかと思い、またそう期待していたわけでございますし、民放各社もテレビ朝日を除いてそう期待していたわけでございますが、それに対しましてテレビ朝日側が一人でも私はこれに応じていくんだということになりまして、モントリオール方式というものがそこで崩れたわけです。したがって私たちは協調的競争という基本的な理念が壊されたというふうに考えまして、それならジャパン・プールも意味がなくなったんじゃないかということで、新たな日本プールというものを編成したわけでございます。したがって、その点につきましては協調的競争という限界の考え方の違いでございます。  なお、ちなみに申し上げますと、たとえば同じ年に開かれますレークプラシッドにおける冬季オリンピックにつきましてはモントリオール方式でやるということが決まりまして、そして放送権交渉も終わりました。さらにはその次のオリンピックはロサンゼルスと言われておりますが、ロサンゼルスオリンピックにつきましてもほぼ同じ考えで進むということになっております。  したがって、モスクワオリンピックだけが違った形をとったわけですが、これを何とかもとの形にしたいと考えておりますし、また、テレビ朝日側も若干その点について理解を示していただいて、その具体的なあらわれがラジオの問題というふうになったと私たちは了解いたしましたので、テレビ朝日側との話し合いをしたいということで、協調してくださった民放の各社の方の了解を得ていま話し合いをしている、こういう状況でございます。時間の経過とともにテレビ朝日側の態度も私たちの態度も少しずつ変わってきたと思います。
  84. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 堀専務は、きょうの説明を聞いていると、契約書についての疑問は誤解していた面もあり、個人的に了解したというようなお考えをあらわされたように私は伺っておりますが、今回のこの契約に関して、本来ならば、モントリオール方式でいけば、日本の国益という面から考えても二十数億ともあるいは三十億とも言われるような莫大なお金を外国へ持っていかなくても済むような形になるべきものですよ。それが本委員会でもいろいろと論議をしたように、こういった形になってしまったものを、いろいろ誤解していた面もあって、きょう聞いているとそれを了解したと言われたように私は伺っております。  これは間違いかもわかりませんが、私はちょっと納得できないように考えておりますので、その辺が間違いであったら御説明いただきたいと思います。
  85. 堀四志男

    ○堀参考人 お答えいたします。  協調的競争という点につきましてはずっと一貫しているわけでございます。ただ、ソ連のモスクワオリンピック組織委員会から提示されました契約書につきまして、実は、その前文に、従来にない日ソの友好関係を保つとか、あるいは国際緊張の緩和に役立つという項目がございまして、これは一体どういう意味だろうかと私たちもいぶかりました。さらにそれの具体的な契約内容につきまして、スポンサーの選択があたかもモスクワオリンピック組織委員会の認定を一々得なければいけないというふうに誤解されるような文言がございました。さらにもう一つはソ連の国内法に従うということ、それが日本国内においてもソ連の国内法の制約があるかのごとき誤解もあって、それを両方読み合わせまして、前文が従来のものと変わっているゆえんのものがどこにあるだろうかという点について当委員会においてもわれわれが懸念を表明したことは事実でございます。  それにつきまして、その後テレビ朝日側がモスクワの組織委員会と交渉いたしまして、スポンサーの問題については、オリンピックマークの使用に限ってモスクワオリンピック組織委員会の許可を得なければいけないということと、さらにもう一つの問題については、もちろんのことながら、ソ連の国内に入って取材活動をする以上国内法に従ってもらいたいが、日本国内における問題とは関係ないということが附則みたいな形で明確に出てまいりました。したがって、それとこれとを読み合わせまして、前文のこともやや精神条項的なものだと私個人は考えるに至ったわけでございます。  したがいまして、これは契約書の内容についての問題で、協調的競争、ソ連の放送権をああいう形で取ったということとは一応関係のないことでございます。
  86. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 莫大な金額の権料でございます。これに関していま会長や専務等のお話を聞いておりましても、ラジオを一つの足がかりとして、そしてテレビというような段階へ持っていけたらというニュアンスに私どもも受け取れるわけでございますが、これだけ世界的な行事でございますので、国民としても何とかNHKさんにも放送をしてもらえたらという考えを持っておる人もおるでございましょう。しかし、現在これだけ財政が大変なときに——これは大臣にもまたお伺いしますから聞いていてくださいよ。これだけ財政が大変なときにラジオをなぜそこまでNHKでやらなければならないのかという、その面をもっと納得できるものにすることと同時に、今度はテレビに関してもテレビ朝日さんのいろいろな系統がございますが、そういう中で日本のエリアで見られないところが果たして出てくるのか、NHKでなければならないのかという疑問も出てくると私は思います。ラジオはただなんだ、しかしテレビはどうなっていくかわかりません、それに関していまのような事態で——これは非難を撤回せいということだと私はとっています。  モントリオールまでのいままでの約束あるいは国益という面から考えても、この委員会で論議をしたことはやはり重要なことであったと私は思いますし、テレビ朝日としては非難ととれたかもわかりませんが、しかし、これをただ単に今後の状況から他の四社との協調をとった上で条件をのんでいくんだ、非難を撤回するんだということになったんではいろいろと問題が今後出てくるのではないか、同時に、また、足元を見られているではないかということも考えられます。そういった面に関して会長のお考えを伺いたいのと、それから大臣に伺いたいのですが、これは何もモスクワだけに限りません。今後たとえこちらが連合で話し合いで何とか持っていこうとしても、そういうやり方で来られたならば相手によってはますますエスカレートします。そうなってくると何らかの政治的調整が必要になってくるのではないかと思います。  こういったことを含めて大臣並びに会長からお答えいただきたいと思います。
  87. 坂本朝一

    坂本参考人 モスクワオリンピック問題につきましては、当委員会でもしばしば申し上げておりますように、私といたしましては何が視聴者のためになるかという一点にしぼって、私のメンツとかいうようなことには全くとらわれずに虚心坦懐にこれに当たりたい、ただし、その解決の答えは皆さんが納得するリーズナブルなものでなければいけないだろう、こういうふうに思っております。  正直言いましてそれはなかなかむずかしい問題をいろいろ含んでおりますけれども、いまの段階ではそこにしぼってこの問題の解決に当たりたいと考えておりますので、その点はひとつ御理解を賜りたいと思う次第でございます。
  88. 服部安司

    服部国務大臣 モスクワオリンピックのラジオの放送権問題につきましては、放送事業者の自主的な話し合いで解決のめどが立ちつつあるように聞き及んでおります。したがって、テレビ放送権問題につきましても解決の見通しはあると私は思っておりますが、いずれにしましても、放送事業者が自主的に話し合いの上放送を実施するのが最も望ましいことと考えております。この問題に関する放送事業者の話し合いの中で私に解決のあっせん等を求められることがあれば、私は喜んでその労をとることにやぶさかではありません。  なお、今後の問題という点についてでありますが、私は、放送関係者が協調した状態で健全な放送業務を行っていただきたいというように念ずるとともに、国民に迷惑のかからないように私は最善の努力を払うことをこの機会に誓っておきたいと存じます。
  89. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 時間の都合上ほかの点はちょっとはしょりまして、もう一点だけこの点に関してお伺いをして終わりますが、会長、これはラジオをどうしても放送しなければならないという、そのなぜしなければならぬのかという点と、それからテレビのエリアの面で、テレビ朝日さんだけでは国民が見ることができないところが出てくるんだ、したがってNHKがやらなければならないんだというようなお考えを持っておるのはなぜ持っておるのかということ、その辺をまず明らかにしてもらいたいのです。  もし見れるんだったら、何もこれに莫大な金額を使ってまで——これはいま財政が大変なときに、今後結局国民にますますしわ寄せが来るんですからね。先ほど相撲の話もありましたが、相撲も含めてプロ野球あるいは高校野球——これは現在は問題ございませんが、しかし、こういうようなことがまかり通るならば、これは今後ますますエスカレートします。NHKとしては、財政はもう国民に頼る以外にないのですから、これがもしもこのままいったんでは、今度値上げしてまた値上げするというようなことになる。その値上げだけに頼っていくような安易なものになってしまっては困るがゆえに、今回ここではっきりさせておかなければならないがゆえに会長の相当な英断が必要じゃないかと思いまして、最後にその相撲だとか野球だとかいう面も含めて、今回のオリンピックに関しての見解をお伺いして終わりたいと思います。
  90. 坂本朝一

    坂本参考人 公共放送NHK責任者といたしましては、オリンピックというのは、ラジオであれテレビであれ、視聴者に提供する責任と義務があるであろうという考えからモスクワのオリンピックの交渉に行ったわけでございますから、テレビだけでいいとかラジオだけでいいということではなしに、やはりラジオとテレビを一本に合わせて考えていくべきであろうと現在の立場上私は考えておるわけでございます。  なお、テレビにつきましては、先生の御指摘の現在のサービスエリアの関係でまいりますと、やはり、朝日放送の系列の放送では大体八〇%とか八五%ぐらいの方しかテレビとしてのオリンピックが享受できないんではないだろうかというふうに推測されるわけです。けれども、ただこれは現在の朝日テレビの系列の状況からの判断でございますから、これは先行きどういう変化があるかわかりませんけれども、そういう状況の中で、NHKといたしましては、すべき努力はすべきであろうというふうに考えております。  それから、相撲、高校野球、スポーツ一般、特にアマチュアスポーツを中心としての放送権料の問題は、正直言って先生指摘のように私にとっては非常に大きな問題としていま目前にあるわけでございますけれども、しかし、いずれにいたしましても、国民の皆さんに御納得いただけるような放送権料なり何なりというところでできるだけの努力をしなければならぬだろうというふうに考えております。  しかし、これは相手があってのことでございますので、一概にそういう算術的なことで処置できない面もございますけれども、国民のニーズにこたえるというところから、ある場合にはそういう実情を御説明して御納得いただくというような場合も当然出てくるんではないだろうかと思います。事によればできないということだってあるいはあるのかもしれませんけれども、私といたしましては、やはりできるという姿勢の中で国民に御納得いただくような金額等を御説明しながら受信に当たっていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  91. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 終わります。  ありがとうございました。
  92. 松本七郎

    松本委員長 次回は、来る十七日水曜日、午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十五分散会