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1978-04-05 第84回国会 衆議院 逓信委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月五日(水曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 松本 七郎君    理事 小渕 恵三君 理事 加藤常太郎君    理事 左藤  恵君 理事 志賀  節君    理事 鈴木  強君 理事 米田 東吾君    理事 田中 昭二君 理事 小宮 武喜君       亀岡 高夫君    原田昇左右君       廣瀬 正雄君    堀之内久男君       渡辺 秀央君    阿部未喜男君       島本 虎三君    野口 幸一君       鳥居 一雄君    青山  丘君       東中 光雄君    依田  実君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 服部 安司君  出席政府委員         人事院事務総局         任用局長    今村 久明君         人事院事務総局         職員局長    金井 八郎君         郵政政務次官  宮崎 茂一君         郵政大臣官房長 河野  弘君         郵政大臣官房電         気通信監理官  江上 貞利君         郵政大臣官房電         気通信監理官  神保 健二君         郵政省郵務局長 神山 文男君         郵政省簡易保険         局長      佐藤 昭一君         郵政省電波監理         局長      平野 正雄君         郵政省人事局長 守住 有信君         郵政省経理局長 浅尾  宏君  委員外出席者         大蔵省理財局資         金第一課長   森  卓也君         郵政大臣官房首         席監察官    日裏 泰弘君         日本電信電話公         社総裁     秋草 篤二君         日本電信電話公         社総務理事   山本 正司君         日本電信電話公         社総務理事   好本  巧君         日本電信電話公         社総務理事   長田 武彦君         日本電信電話公         社総務理事   玉野 義雄君         日本電信電話公         社保全局長   加藤 秀夫君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ————————————— 委員異動 三月二十九日  辞任         補欠選任   丹羽喬四郎君     椎名悦三郎君 四月五日  辞任         補欠選任   青山  丘君     佐々木良作君   藤原ひろ子君     東中 光雄君   依田  実君     加地  和君 同日  辞任         補欠選任   佐々木良作君     青山  丘君   東中 光雄君     藤原ひろ子君   加地  和君     依田  実君     ————————————— 本日の会議に付した案件  簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関  する法律及び資金運用部資金法の一部を改正す  る法律の一部を改正する法律案内閣提出第四  三号)  逓信行政に関する件      ————◇—————
  2. 松本七郎

    松本委員長 これより会議を開きます。  この際、御報告申し上げます。  本委員会委員でありました丹羽喬四郎君が、去る三月三十日、逝去されました。まことに痛惜の念にたえません。  ここに、謹んで委員各位とともに哀悼の意を表し、御冥福を祈るため、黙祷をささげたいと存じます。  御起立をお願いいたします。——黙祷。     〔総員起立黙祷
  3. 松本七郎

    松本委員長 黙祷を終わります。御着席をお願いいたします。      ————◇—————
  4. 松本七郎

    松本委員長 次に、逓信行政に関する件について調査を行います。  質疑の申し出がありますので、これを許します。米田東吾君。
  5. 米田東吾

    米田委員 私は、相模大野特定郵便局における不祥事件のその後の問題につきまして、郵政当局の現段階における対策、あるいは事件絶滅のための諸方策のの推進現状どうなっているかということを中心にきょうはお聞きしたいと思っております。  実は、この問題につきましては、二月十五日のこの委員会におきまして、各党それぞれこの問題に集中して、大臣並びに関係皆さんのこれに対する対策あるいは事件真相究明というようなことについて質疑をしたわけでありまして、私もそのときに時間をいただきましてこの問題についての質問をいたしておりますが、その後この会議録を私なりにずっと検討してみますと、この中で幾つかの点で、大臣並びに関係局長のこの問題についての対策の面で答弁が今後に残されている面があるわけであります。したがって、この問題は非常に重要な問題で、郵政事業にとってかつてない悪質な犯罪でありますし、また、郵政省にとりましては、威信回復のためにもこのような問題の絶滅を期していかなければならない重大な問題でありますので、質問のしっ放し答弁のしっ放しというわけにいかぬと私は思うのですので、主として問題になりました点につきまして御質問申し上げて、その後の状況についてお聞きしたいと思っております。  まず、この二月十五日に大臣から答弁をいただいておるわけでございますが、大臣は、この問題は「普通局特定局を問わず、」「何としてもこの問題の原因解明をし、再びこういった悲劇を招かないような措置を講ぜねばならない」という答弁をなさっておるわけであります。これは大臣の基本的な見解であろうと思うのでありますが、再びこのような悲劇的な事件を起こさないよう措置をするということにつきましては、大臣答弁の中に、絶滅を期するとか、今後絶対かようなことは起こさないと繰り返し強調されて、これは一つ大臣の公約になっているように思うわけであります。そして、あわせまして、この問題につきましては、特にローラー調査等をやりながら、この際厳しく事業全体の検討も加えるというようなことも答弁されておるわけであります。  したがいまして、この観点に立って、現在郵政省としてはどうした諸施策が進められておるのか。大臣見解はこの基本的な見解に変わりはないと思うのでありまして、処分をやったから終わりということはあり得ないと思っておるわけでありますから、そういう点につきまして大臣から御答弁をいただきたいと思っております。
  6. 服部安司

    服部国務大臣 去る二月十五日に、米田先生から、相模大野郵便局事件につきましていろいろと御批判、御意見を賜りました。また、今後の業務運営について温かい御指導も賜りました。中でも、郵政事業管理運営についてきわめて厳しい御指摘を受けたところであります。  私といたしましては、この際、直接の被害者だけではなく、管理監督者まで厳しい反省をしなければならないという立場から、また、この趣旨徹底させるためにも関係監督責任者についても処分検討するよう指示をいたしておりまして、その結果、先般、すなわち御指摘を受けてから九日目に御承知のような内容の処分をいたしたような次第でございますが、もとより私はこの措置をもって事足れりとは毛頭考えておりません。要は、この種の事件が再発しないように、この苦い経験を生かして努めていくことが国民信頼回復につながることであると考えておりまして、これは私を初め関係者の責務と思っているところであります。  処分発令と同時に、私の名前で全職員に、この際郵政事業国民皆様の福祉に奉仕するものであるという使命を深く認識するとともに、職務を誠実に遂行し、一日も早く従来に増した国民皆様信頼をかち得るべく努力するよう訓示したところでありまして、今後もこの私の決意の徹底を図っていく所存でございます。  したがって、この不祥事件が生じて、第一段階でまずこういう立場をとりながら、その後の対策といたしましては、相模大野局事件のごとき事件が再び起こることのないように次の施策を講じてまいりましたので、せっかくの御指摘でございますので、この機会に御報告を申し上げたいと存じます。  まず、緊急に防犯管理体制強化徹底を図るために、中央及び地方郵政事業防犯対策本部を設置いたしまして、省を挙げて防犯管理体制強化部内者犯罪根絶のための施策検討いたしまして、その推進を図っております。  また、地方郵政事業防犯対策本部本部長、副本部長であります地方郵政局長及び地方郵政監察局長合同会議を緊急に開催いたしまして、相模大野事件発生原因徹底究明するとともに、業務取り扱い面人事面特推連運用等について現状を分析し、改善策を討議いたしました。  これらの討議、検討の結果、現在までに講じてきた主な施策は、特定郵便局長防犯対策打ち合わせ会開催、これは全国ですが、五十三年二月十三日、全国特定郵便局長ブロックごとに招集いたしまして、防犯対策打ち合わせ会を緊急に開催いたしまして、防犯意識の高揚、防犯管理徹底について協議打ち合わせを行い、三月末日までに完了いたしました。  次に、防犯特別調査実施でございますが、これは五十三年二月二十四日、全郵便局を対象に防犯特別調査を行いました。すなわちローラー監査でありますが、正規の業務取り扱い内部相互牽制のために定められた各種監査検査手続責任ある励行がなされているかどうかを徹底的に調査いたさせまして、部内者犯罪早期発見防犯管理徹底を期しておるところでございます。これは防犯上緊急に調査を要すると認められる郵便局については昭和五十三年六月末日まで、他の局については昭和五十三年九月末日までをめどとして実施をいたしておるところでございます。  また、特定郵便局長異動に伴う地域住民に対する周知徹底を図るために、五十三年二月十日、今回の犯罪局長退職後も局長であるかのように装って行われたことから、特定郵便局長異動が生じた場合には、大きな写真入りあいさつ文を局前に掲示し、さらに局内の窓口の最も御利用者の見やすいところに掲出するなどして地域住民に適切な周知を行うよう指導いたしますとともに、御理解を得るならば地域公共団体の発行する機関紙にも掲載いたしまして、万遺漏なきを期したいという方針の確立を図っております。  また、特推連を通じた防犯活動強化については、五十三年三月三日、従来特推連に置かれている「防犯担当者」の名称を「防犯連絡推進責任者」に改めて、役割り、分担を明確にいたしました。  次に、連絡会防犯連絡推進責任者と部会の防犯連絡推進責任者との間に少なくとも四半期に一回程度の会合を開催いたしまして、連絡推進徹底を期し、また、地方郵政監察局支局長連絡会防犯連絡推進責任者とで構成する特定郵便局防犯連絡協議会を設けまして、少なくとも四半期に一回程度開催し、防犯施策の浸透及び情報連絡緊密化を図り、さらに、局外取り扱いにおける受領証等の交付について、これは五十三年三月十一日でありますが、郵便貯金または簡易保険局外取り扱いをしたときは必ず受領証を発行し、これを利用者に交付するものである旨の周知徹底させるよう指導いたしました。  次に、三月二十二日開催人事部長会議において、服務規律の厳正な維持等を再度徹底しました。  次は、三月二十七日開催地方郵政監察局第一部長会議において、潜在犯罪早期発見のため、積極的な情報収集各種資料の分析、検討及び活用を図るよう徹底させました。  次は、本事件に対する責任の所在を明確にするため、二月二十四日、監督責任者を含む関係者に対する厳重な処分を行うとともに、全職員大臣訓示を行いました。これは前段でお答えいたしまして、重複いたしましたが……。  次は、今後、この事件を教訓に、防犯特別調査の結果をも参考にしながら、郵政事業防犯対策本部を通じまして、業務取り扱い面での改善策、また防犯体制充実強化、また服務規律徹底管理監督機能充実などについて対策を講じ、さらに、今度の一つの苦い体験の上に立って、この事件徹底解明を図りまして、なぜこのような悲劇が起きたかということを、今後の再犯を防止するためにも一つ資料にまとめまして、関係機関に配付いたしまして、先ほど来申し上げました体制のもとにこれを活用いたしまして、部内犯罪根絶を期していきたい、かように考えている次第でございます。
  7. 米田東吾

    米田委員 大臣からただいま御答弁をいただきまして、その後の郵政当局としてのこの問題に対する取り組みの大綱について御説明をいただいたわけでありますが、これが実行面あるいは実際の防犯なり業務改善というような方向にどのように生かされていくかということはもう少し時間を見なければ評価できないと思うのでありますけれども、とりあえず積極的な対策を講じていらっしゃることにつきましては、それなりに私は評価をするものでございます。  ただ、私が一つだけ気にかかるのは、いまの大臣の御説明によりますれば、要するに、防犯あるいは監察制度を十分機能させて、そしてその中においては、それぞれの内部監査あるいは自主監査等も含めまして、監察機能強化ということが主として中心点のようでございます。あわせて特推連関係につきましても、特権連に本来の防犯機能を持たせるように若干の機構改革をしたり、あるいは会議の持ち方等について新しい構想がとられたようでございます。これはそれなりに大事な点だと私は思いますし、大臣努力されていることについては、決してこれは見当違いではないと私は思いますが、ただ、もう一つ基本的なものとして、一体、監察なり防犯対策といいますか、そういう両方でいいのかどうか、この点私はやはり疑問が残るわけであります。  私は二月の質問の際にも申し上げたのでありますけれども、この問題を究明して二度とこうした事件を起こさないようにするためには二つの観点でとらえていかなければならぬだろうと思うのです。その一つは、いま大臣答弁されましたような防犯あるいは部内監察業務指導という面を通しての対策であります。もう一つは、特定局における制度的な問題にメスを加えていく必要があるのじゃないかということです。これは何としても大臣は触れたくないようでありますけれども、この問題を前向きにとらえて今後根絶を期していく対策を進めるとすれば、この問題を避けては通れない、いやおうなしにそこへぶち当たる問題じゃないだろうかと私は思うわけであります。  ただ、制度の問題ということになりますと歴史的な経過がありますし、大臣立場もありましょうし、また、政府与党の方ではこの問題については敏感でありますから、平場で建設的な議論を展開することはなかなか困難でありましょうけれども、しかし、この問題に触れないで、あるいは避けて、この事件の真の解決あるいは今後のこの種の問題の根絶を期するということは全く至難だ、これを人間の体の病気にたとえれば、ちょうど肺炎を起こしているのにせきの薬だけ持っていってやるようなものだと私は思うのですよ。ですから、これだけはいやであろうとも何であろうとも、この際制度の問題についても省は省の立場メスを加え、検討を加えていく必要があるのじゃないか。そういうことは私の質問趣旨も読んでおわかりいただいておると思うのでありますけれども、そういうことを私は申し上げているわけなのであります。  私の方からどうせいこうせいという提案はしてないのでありますが、しかし、この際そこに一つ焦点を当てて見たらどうかと私は申し上げておるのでありますが、大臣、その点についてはどうでございましょうか。
  8. 服部安司

    服部国務大臣 相模大野事件に関連いたしまして、きょうまでの御経験からいろいろと温かい御指導を受けて、御提言を賜って、大変ありがたく存じます。  ただいま米田先生も御指摘のとおりに、過去百年余りの間積み上げてきた歴史というものは、やはりそれなりに大切にせねばならないと考えます。しかし、百年続いた歴史だからすべてがいいとはこれまた言い切れるものではないということも、これも私は謙虚に認めざるを得ないと思います。  そこで、今後はこういった運用の面で十二分に運用の妙味を生かしながら、悪い点を排除し、よい点を大きく育てて国民期待にこたえるよう当然努力を払っていかねばならないと考えて、今後は関係部局に一層の指導強化をいたしまして最善の努力を続けてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  9. 米田東吾

    米田委員 ただいまの御答弁によりますれば、要するに、悪いところについては運用の面で十分改善策を講ずるなりして、よくしていくようにしたいという御趣旨のようでございますが、そういう面も当然考慮されなければならぬだろうし、そういうことは実際的にはやはりあり得ることだし、必要だろうと私は思います。しかし、それだけに頼り得るのかどうか。これはいかに大臣答弁善意に解釈いたしましても、私はやはり不安は残るわけであります。  第一、失礼なことですが、大臣いつおかわりになるかわからぬ。一年や二年はあるいは大丈夫かもしれませんけれども、この問題が本格的に検討されて、郵政省改善する方向に取り組むという段階大臣がいらっしゃるかどうか。私は服部大臣の積極的な態度については非常に評価をしておりますけれども、そういう点についても不安が残ります。それから、関係局長以下の人事につきましても、かわってきますと、やはり郵政省は微妙にいろいろなことにつきましての方針が変わってくるわけであります。私はいままでそういうことをたくさん経験しておるわけでございますから、現実にあり得ることであります。  そういうことになりますと、制度の問題というのは、単に運用の妙だけや、あるいは運用する大臣局長善意だけで解決することは不可能だろう、したがって可能なものについては制度的に改善をしていく、別な言葉で言えば大胆に近代化を取り入れていく、そういうものがなければならぬのじゃないかと私は思うのですけれども、これはどうでありますか。
  10. 服部安司

    服部国務大臣 一言で言うならば、近代化を図れという御指摘でございますが、米田先生、正直申し上げて、これも長い歴史の上に立ってなかなか容易なものではございません。これはいいかげんな答弁をやっても後で御指弾を受ける以外に道はないことはもうはっきりしているわけです。  私はまことに力のない大臣でありまして、機構改革近代化ということはなかなかむずかしい問題であるあります。したがいまして、同じことを繰り返すようでありますが、この歴史の上に培われたよい面は大いに育てつつ、時代に即応できる面は運用の面でいろいろと加えるべき改善を加えていくのがやっと私のできる範囲ではなかろうか。これは率直に申し上げたいと思います。  これはなかなか根強い、長年培われてきた制度でありまして、私も決してこれがすべてだとは言い切れないことも率直に認めますが、しかし、やはりしゃばのことですから完全無欠を求めることは不可能であると、大臣に就任いたしましてからいろいろな機会にしみじみと私は味わっているような現状でございまして、意のあるところは十二分に理解いたしまして、私の与えられた任期の間にできるだけの努力を積み上げていきたい、かように考えている次第でございます。
  11. 米田東吾

    米田委員 大臣の心境は私もわからないわけではありませんけれども、しかし、特定局関係は、特に制度的な問題というのは、実は、大臣指摘のとおりに実際にずいぶん近代化し、改善されてきているのですよ。そういう点については私どもは十分評価をしているのです。一〇〇%この制度が廃止され、なくなるというようなことは、大臣もおっしゃるように百年の歴史を持ってきておりますから、これは日本の政治制度でも変わらない限りはなかなか不可能だろうと私は思います。そして大臣がおっしゃるように、いい面は生かしながら悪いところを徐々に改善をしていく。一口に言えばそういうことだと思うのですが、そういう点では相当改善されつつある、すなわち近代化されつつあるということについては私自身評価をしております。  ただ、今度の相模大野事件等にかんがみて、やはりもう少し検討を必要とすると思うのは、局長自身任用の問題、勤務状況兼業兼職の問題、家族従業員扱いの問題、特定局長会特推連の態様の問題等、言うなればこの程度のものが現状に合っているのかどうかというところに尽きると私は思うのです。局舎問題もありますけれども、局舎の問題は、国の財政がもっと豊かになり、郵政省局舎整備関係全般改善されていけば、特定局局舎にもだんだんと拡大して、国営なりその他近代的な局舎態容というものは整っていくわけでありますから、これは制度の問題というふうには必ずしも見るべきではないと私は思う。問題は、制度的に見るとすれば、特定局長個人にまつわる任用あるいは服務勤務、それから兼業兼職家族従業員扱いというようなものがいまなお改善を必要とする状態で残されているんじゃないかというのが私の見解であります。  したがいまして、大臣がおっしゃるように、そういうところにメスを入れ、あるいは検討を加えるとすればいろいろな問題が出るでありましょう。しかし、そういうことがかつてもありましたし、今度の場合も予想されますので、この前の質問でも私はあなたに、いろいろな官僚の抵抗もあるだろう、言うなれば内外からのいろいろな圧力もあるだろう、しかし、服部郵政大臣の積極的なこの事件に対する姿勢評価し、それに期待をするから勇断をもってこの問題の絶滅のために努力をしてもらいたいということを申し上げておるわけであります。これに対して大臣からもしかとお答えをいただいておるところであります。  したがいまして、非常に困難ではありましょうけれども、努力いかんによっては、また話し合いのいかんによっては一歩でも半歩でも前進することはできるんじゃないかと私は思う。そしてそれは結果的に、大臣がいまおっしゃるように特定局のよさというものを生かして今後に残していくことになるわけでありますから、これは与党皆さんも、大臣も、郵政省官僚の諸君も、前向きに取り組んでいただいて一向差し支えない問題じゃないかというふうに私は思います。  現に、私は、この問題について各党の代表が質問された議事録も全部検討してみましたが、与党を代表されましたところの、ここにおいでの志賀委員だって、議事録を読ませてもらいますれば、悪いところについては直していかなければならぬということはずばり指摘をされておるわけであります。ただ、それをもって制度のよさを殺してはいかぬということがたしか志賀先生の御指摘だと思うのであります。  私はそういう点では基本的に理解できるわけでありますから、そういうことでこの問題についてこの機会検討を加えたらどうか。大臣の胸中はわかりますが、そこだけもう一つお聞きをして、なおあとは具体的な点でもう少し聞いていきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  12. 服部安司

    服部国務大臣 率直に申し上げて、これは特定局制度に対する立場立場の見方で長年論議されていることは何ぴとも否定のできない厳粛な事実でございます。私もそのことは過去十数年来いろいろな機会に耳にする問題でございます。米田先生も、君の立場もわかる、また、今日までの長い歴史の上に成り立った制度であることも認める、しかし、改善すべき点は大いに改善していかねばならないではないかとおっしゃいますが、私は、御指摘のとおり、すべて国民サイドから見て、こういったあり方はよくないという点については決して御意見に逆らうものではございません。先ほど来申し上げておりますとおりに、改善すべき点はどんどん改善を加えて国民信頼にこたえるというのがわれわれの基本姿勢でございますから、今後もその方向に向かって進んでまいりたい。  ただ、やはり、これは広く国民理解と協力を得る必要があると申しましょうか、国民に納得していただける改善でなくてはならないということは米田先生にも御理解を賜れると思うのでございます。たとえばお互いが与党、野党に分かれてこの問題についてどうだこうだと言うことは、これは政策論争でありますから、当然それは国会の場であってしかるべきであるということについては私も決してやぶさかではございませんが、くどいようですが、もう一歩広げて、国民全体がなるほどこういう制度に大きな欠陥があるからこの欠陥をこうすべきだという、その国会を通じての御意見は私は大いに尊重してまいりたいと考えておりますし、現に私は就任以来検討を加えている項目もございます。  これはまだ結論は出ていませんから公表する段階ではありませんが、国会における論議やまたいろいろな御意見を国会議員の私が無視することは決して許されませんし、今後もこれを尊重いたしまして、国会を通じて国民の声を謙虚に受けとめて、加えるべき改善は大いに加えてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  13. 米田東吾

    米田委員 私は先般、特に人事院の総裁に御出席をいただきまして、国家公務員の人事管理の元締めとしての見解を幾つかお聞きをいたしておるわけでございますが、その際に、総裁から、特に特定局長の選考任用、自由任用のあり方等について、それから兼業兼職のあり方等について総裁の見解を述べられて、この点については御批判を受けるような部分があるようである、人事院としても検討を必要とするであろう、当面郵政省当局がこの問題について積極的に取り組んでいるのだから、人事院としてもひとつこれに対して協力をしていきたいという趣旨答弁をされておるわけであります。  そこで、特に、この任用の問題というのは総裁もよくおわかりになったはずでありますから、これについて伺いたい。それから兼業兼職関係について、現在人事院としてこの問題について何か具体的な対策があれば伺いたい。あるいは郵政当局検討されているものがあるとすれば人事院からひとつお答えをいただきたい。
  14. 今村久明

    ○今村(久)政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘がございましたように、先般の国会におきまして人事院総裁からただいまのような趣旨答弁があったわけでございます。私ども帰りまして、早速総裁の趣旨を体しまして、郵政省と連絡をとりまして、いろいろと相談をしておるところでございます。  ただ、私どもは、こういう問題につきましていきなり直接というのではなくて、官庁間のこういう問題の取り扱いの仕方が大体事務担当者の間で問題を煮詰めていくという形をしておりますので、事務担当者の間でいま問題を一応いろいろ話し合っておるということで、もうすでに数回話をしておるようでございますが、ただ、これは先生も御存じのように、大変背景の深い、また人事の実情のむずかしい問題でございまして、どうもなかなか簡単に処理できるという問題でもなさそうでございまして、まだ結論を得ている段階ではございません。  ただ、総裁が先般答えましたように、国家公務員の任用の一般原則が成績主義の原則ということで、本来なら試験任用が原則なのでございますけれども、ただ、役職にある方等につきましては試験任用というものは適当でないということで、選考任用という形を国家公務員法で認めているわけでございます。ただ、誤解がありますのは、選考任用というのは自由任用ではございませんで、選考任用といえども成績主義の原則、つまり、勤務成績とかその他能力の実証に基づいて選考するということが法律に規定がございますので、その点は全く自由勝手にというわけではございませんで、十分その能力を検証して任用するということでございますので、この選考任用制度につきまして、各省庁が成績主義の原則で適正な人事を行うということがまず一番大事なところであると考えております。  こういう考え方をもちまして郵政省の方とさらにまた相談を進めたい、かように考えております。
  15. 金井八郎

    ○金井政府委員 職員の兼業関係につきましても、ただいま御指摘がございましたように、私どもは郵政当局の担当の方と先月、事情聴取あるいは打ち合わせという形でお話をいたしました。  もともと人事院は、国家公務員が営利企業の役員や顧問等を兼ねることにつきましては、職務に専念する義務の遵守あるいは私企業との癒着の防止という観点から申しまして、服務上いろいろ問題がございますので、これを承認しないという扱いで行っております。一部各省庁に承認権限を委任しておりますけれども、その分につきましてもこれと同様の取り扱いをいたすように各省庁に対しては指導あるいは調査を行っております。  郵政省に対しましても、昨年にも、これは各省庁とも共通でございますが、定例的に二回監査、調査をいたしております。その限りにおきましては、これらの承認事務というものは厳正に的確に行われているように承知しております。  なお、今後こういう種類の問題につきましてもさらに十分にその点を配意していただくようにお話を申し上げたわけでございますけれども、私どもの方といたしましても、公務員法の精神にのっとりまして十分に指導等を強めていきたいというふうに考えております。
  16. 米田東吾

    米田委員 人事院の御答弁それなりにわかりましたが、法的には選考任用であることは私どもも百も承知しております。しかし、実際的には自由任用的なものが強いということを私どもは感じておりますので、言葉の上では自由任用という言葉を使うのでありますけれども、法的なものについては理解は一致しております。ただ、おっしゃるように成績主義を取り入れながら選考して最適任者を求めるということについては、言葉の上では簡単でありますけれども、実際的には、大臣がさっきから答弁されておりまして、なかなか触れがたいいろいろな関係があるものでありますから、ややもすると人事採用権を持っておる方の自由意思によって自由任用的に任用されるということがあるものでありますから、それで申し上げたわけであります。  なお、もう時間がございませんで、まだ入り口にも入らないのでございますけれども、他の方に迷惑を与えることになるからやめたいと思いますが、私はこの問題につきましてはきょうは保留しておきまして、いずれさらに今後一般質問等で引き続き質問をさせていただきたいと思います。  なお、これは委員長にお願いいたしたいのでありますが、理事会等でこの問題についてもう少し詳しく郵政省から説明を聞いて、われわれとしても現状の認識を深めておくということはマイナスではないと思うのでありまして、できればそういう措置もしていただきたい。こういうことを委員長にお願いして終わりたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  17. 松本七郎

    松本委員長 いずれ理事会で十分御趣旨検討させていただきます。
  18. 米田東吾

    米田委員 どうもありがとうございました。      ————◇—————
  19. 松本七郎

    松本委員長 次に、簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律及び資金運用部資金法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。志賀節君。
  20. 志賀節

    志賀委員 お伺いいたします。  簡易保険について、現況はどうなっているか、お聞かせをいただきたいと思います。
  21. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 お答えいたします。  簡易保険の現況でございますが、昭和五十三年三月末現在について申し上げますと、簡易保険の保有契約件数は約五千二百万件でございまして、前年同期に比較いたしまして一・一%の増となっております。また、保有契約保険金額で申し上げますと三十六兆六千億円でございまして、前年同期に比較して一五・六%の増加となっております。これに伴いまして、運用資金は、二月末現在でございますが、九兆四千二百六十六億円でございまして、前年同期に比較いたしまして一九%の増加となっております。  以上申し上げましたとおり、厳しい経済環境の中におきましてはまずまずの増加を示しているものと考えております。
  22. 志賀節

    志賀委員 まずまずという以上に、事業は好調であるという判断ができると思います。  特に、こういう不況期であるだけにその印象は深いわけでございますが、その原因は何であるとお考えになっておられるかを承りたいと思います。
  23. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 五十二会計年度の新契約の募集状況で申し上げますと、件数で四百三十三万件、それから保険料で三百四十四億円、保険金額で六兆八千億円という状況でございまして、保険料の目標達成割合で見まして一〇一・一%で、私ども、おおむね順調という言葉を使わせていただいているわけでございますが、こういうようにおおむね順調な原因といたしましては、昨年の九月から実施いたしました保険金の最高制限額一千万円への引き上げ、それからことし一月から実施いたしました加入年齢の範囲拡大などの効果によるところが大きいかと考えております。  また、一方では、ここ数年来じみちに培ってまいりましたお客様本位の募集活動を指導してまいったわけでございますが、これがようやく定着してまいりまして、外務員が自信を持って募集に努力していることも順調に推移している原因であろうかと、かように考えております。
  24. 志賀節

    志賀委員 いま佐藤局長から幾つかの順調であるということの原因のお話がございましたけれども、私自身が考えますと、これを総括して言えば、やはり、簡易保険あるいは簡易保険を含む郵政事業全体に対する国民信頼というものがその基盤にあると考えられる。そのことが今日の、私流の言い方で言えば好調な事態を現出しておるというふうに言うことができると思うのであります。であればあるだけに、国民郵政事業に対する信頼というものが損なわれるようなことがあってはいけない。あるいはこの信頼を裏切るようなことがあってはいけない。そういうことがあれば事は重大である。そこで、事が重大であるという点に言及いたしまして、私はこれからさしあたって三つの問題にしぼって質問をさせていただきたいと思います。  その第一点は成田空港の襲撃事件をめぐって、第二は目黒郵便局に起きた不祥事件をめぐって、第三は、これはいろいろな見解の相違がございましょうが、余裕金をめぐって、この三点でございます。  第一の成田の空港襲撃事件でございますが、この成田空港に国民から集めたお金あるいは預託されたお金を建設資金等々に出しておるわけでございますが、これは一体どの程度になっておるのかをお聞かせいただきたいと思います。
  25. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 財政投融資計画を通じまして成田空港の建設に融資いたしました簡易保険の資金でございますが、これは四十四年度から融資を始めまして、本年の三月未までに融資した総額が七百四十五億円でございます。また、同じこの三月末におきましての融資残額は六百二十三億円となっております。
  26. 志賀節

    志賀委員 大変大きなお金が成田空港に出ておるわけであります。この空港が予定どおり開港されるかどうかに関してはそういう面からも大変関心が持たれたわけでございますが、御承知のような襲撃事件のために五月の二十日に開港が延期になったというようなことがございます。しかも、この事件を起こした者の中には、郵政省職員、すなわち全逓の組合員がおったということが今日明らかにされていると私は理解をしておるのでございます。  これは郵政省内部あるいは国民立場で考えてみても、自分たちで出したお金でつくったものを自分たちで壊しておるわけで、こういうばかな自家撞着といいますか、いわば矛盾撞着もはなはだしいことが起きておるわけでありますが、このふらちな職員につきましてはどういうことになっておるのか、たとえば処分が行われておるのか、行われたとすればどういう処分であるのか、その人数はどういうことであるのか、この機会に深い関心のもとにお尋ねをしたいと思う次第でございます。
  27. 守住有信

    守住政府委員 お答え申し上げます。  先生の御指摘のように、成田空港に対します侵入事件、特に管制搭の中に対します侵入事件の中で二名郵便局員がおったわけでございまして、これは現在まだ拘置中でございますけれども、国家公務員として、全体の奉仕者としてあるまじき非行であり、最高の非行でございますので、大臣の強い御指示もございまして、まだ起訴前でございますけれども、非行は明白であるので、警察との関係で本人の面通し、確認等も十分いたしまして、去る四月四日付で懲戒免の処分を執行した次第でございます。  なお、本人一名は埼玉県の和光局集配課水野陸将、二十二歳でございますし、もう一名は千葉郵便局第一集配課児島純二、二十一歳でございます。  御指摘のように、本人の組合歴と申しますか、所属は全逓組合員でございますけれども、これはただ形式上全逓に加入しておったというだけでございまして、私といたしましては、全逓の団結の理念なりその名誉のためにも申しますと、全逓の規約なり運動方針がこういう暴力行為を犯すというような運動方針では全くないと承知いたしておりますけれども、形式上は一応加入しておった。ただし、組合歴の役歴と申しますか、そういうものは一切ございません。  それから、その他にもそういう情報があるようでございますので、私どもといたしましても警察と十分な連携をとりまして、精密な調査、確認をいたしまして適正な厳正な処分を執行してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  28. 志賀節

    志賀委員 その二名の過激派の、旧郵政職員といまは申すべきでございましょうが、その人間の日ごろの勤務状態は一体どういうものであったのか。  私がこういうことを承りたいのは、やはり、日ごろの勤務というものが常にその人間を推しはかる一つのバロメーターになりはしないかと思うからで、そういう意味においてもこういうことは一つの大事なポイントでございますので、ぜひ聞かせていただきたいと思う次第でございます。
  29. 守住有信

    守住政府委員 お答え申し上げます。  和光郵便局の水野でございますが、これは新制高校卒業後外務職員として採用になっておりますが、日ごろの勤務ぶりは、非常に遅刻が多く、特にまたその中で虚偽の病休によりますところの欠勤という事実が何回かございまして、すでに減給処分が四回あります。五十年六月から五十三年三月までの間でございますけれども、この短い期間の中で減給処分四回、戒告処分二回という状況で、当該局の管理体制の中で、勤務管理という角度では的確に処置をいたしておる次第でございます。  なお、もう一人の千葉郵便局の児島でございますけれども、これは処分歴といたしましては、遅刻が多いということで訓告を受けておりますが、日ごろの態度は、上司に対して非常に反抗的であるという情報を得ておる次第でございます。  なお、この職場内におきます勤務管理につきましては、職場内の秩序維持、あるいは特に暴力関係等に対しては私どもは絶えず厳しく対処しておるわけでございますけれども、職場外におきまして休暇その他でおります場合の動向の把握というものは非常にむずかしい。しかし、私どもといたしましても、日ごろの職場内のいろいろな人間関係、職場関係を通じながらこれを把握し、また善導させていかなければならぬと考えておる次第でございます。
  30. 志賀節

    志賀委員 ただいまのお話を聞きまして、大変私が心配しておりましたことを裏づけていただけたようなことがわかりましたが、やはり、日ごろの勤務状態のよくない者がこういうことを起こしがちである。これはあるいは過激派の第二予備軍みたいなものと考えてよいということにもなるかもしれない。  ただいまも米田委員から特定郵便局の問題についてお話がございましたが、さきに私もこの問題で若干触れたのですが、特定局局長仲間がお互いに切磋琢磨してそういう不詳事を起こす者を出してはいけないということをやっていかなければいけないということを私は申し上げた記憶がございますが、同様に、ただいまの前の御答弁にもございましたように、全逓がその綱領に過激活動を掲げていないことは私も承知しております。全逓がそういうことをやろうとしているものではないことは明らかでございますから、そういうものである以上、全逓の指導者等ともお互いに理解を深め合って、郵政省当局の目の光らないところにおいてもそういう組合活動をするということはやはり必要だと思うのでありますから、こういうものが第二予備軍たり得ないようにお互いの仲間の切磋琢磨をしていただけるような方向をぜひ見出していただきたい、努力をしていただきたい、このように私は考える次第でございます。  それから、次に私が申し上げたいことは目黒の郵便局事件でございますが、この事件の事案についてひとつ御説明をいただきたいと存じます。
  31. 日裏泰弘

    ○日裏説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘をいただきました都内の目黒郵便局の保険の犯罪でございますが、これは昨年の九月に発覚した事件でございます。  その概要を申し上げますと、これは同局の元第一保険課の内務主任である盛誠一という者が、遊興費欲しさのために、昭和四十六年三月から昭和五十二年九月までの間に、まず局保管の契約原簿から保険金額が非常に高額でかつ過去に貸し付けを受けていないものを選び出しまして、これによって契約者名義の普通貸付証書を偽造しまして、この貸付請求があったように装って横領したということと、それからまた、この契約者から貸付金の弁済がございますが、その弁済があった際に、これを受け入れ経理をしないで横領したといったようなこと、そういった方法で犯行を重ねたものでございまして、その被害金額は合計で千三百六十四万円になっております。  本件の司法処分でございますが、これは昭和五十三月二月二十日までに送致を終えまして、現在公判審理中でございます。  なお、被疑者は五十二年の十月十一日付で懲戒免職となっております。
  32. 志賀節

    志賀委員 処分についてはわかりましたけれども、この事件の発覚をめぐりまして、郵政省はそれ以外の面で一体どういうような対応をしているか。つまり、二度と再びこういうことを起こさないというようなことを期して恐らくおやりになったであろうと思うのでありますが、その点はどのようなことをおやりになったのか、聞かせていただきたいと存じます。
  33. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 この種の犯罪の防止でございますが、従来から各種の通達をもちまして防犯のための施策実施してまいっておるわけでございます。また、各種会議、打合会、業務研究会等を通じまして職員防犯意識を高めるということにも努力をしてまいったわけでございます。  しかしながら、今回の目黒郵便局事件を見てみますと、本来日常業務の取り扱い上当然に行われなければならない正規の取り扱い及び各種の防犯上の取り扱いというものが正規に励行されていなかったというところに今回の犯罪発生の原因があると思われまして、まことに遺憾に存ずる次第でございます。  このために、その後、地方郵政局の保険部長会議その他各種の会議の際に、正規の取り扱い及び各種の防犯施策の完全な励行というものを各郵便局に浸透させまして、十分徹底させるように指導してまいっておるところでございます。  また、現在、各種の通達につきまして、防犯施策関係の通達でございますが、これらにつきましてもさらに実効が上がりますように見直しを行っているところでございます。
  34. 志賀節

    志賀委員 簡易保険事業に関しましては、いままでもいろいろとこの委員会指摘がございました。募集活動の分野において数々の問題等指摘をされてきております。こういうことが二度と再び起こることのないように、国民信頼を裏切ることのないように、今回の事件を契機としてもう一度郵政事業全体の運営について見直し、反省をしていただきたい。これは私の切なる願いでございます。  特に、いままでも幾つか指摘されておりますが、たとえば脱税に利用したとかされたとか、あるいはそれを教唆扇動しているような傾きもある。そういうこと等を踏んまえて、二度と再びこういうことのないようにぜひお願いをしたいと思うのでございますが、御決意について、郵政大臣から一言お言葉をいただきたいと思います。
  35. 服部安司

    服部国務大臣 数々の犯罪が発生いたしましたことはまことに遺憾に存じております。  御指摘どおりに、こういったことは再び犯してはなりません。しかし、犯しやすい環境にあることをわれわれ監督責任のある者は深く認識をいたしまして、そういう悲劇を招かないような体制強化をせねばならない。志賀委員も先ほどの米田東吾委員と私との質疑応答の中でお聞き取り願ったと思いますが、これはきわめて厳しい体制をしきまして、犯罪防止第一義、不幸な人間をつくってはならないという主義で、先ほど申し述べた段取りで今後も一層の強化を図ってまいりたい、かように私は考えている次第でございます。
  36. 志賀節

    志賀委員 それでは、引き続いて簡易保険における余裕金について質問をさせていただきたいと思います。  当年度における簡易保険の資金の新規増加分である余裕金は今年度はどのくらいの額に上っているかをお聞かせいただきたいと存じます。
  37. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 余裕金の発生額は四十九年度から毎年一兆円を超えておりまして、五十二年度は一兆四千五百億円程度になる見込みでございます。
  38. 志賀節

    志賀委員 その余裕金の運用はどのように行われているのか、お聞かせいただきたい。
  39. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 お答えいたします。  余裕金の運用でございますが、資金運用部資金法第三条の規定によりまして、「政府の特別会計の余裕金は、資金運用部への預託の方法による外、運用してはならない。」ということになっておりますので、簡易保険の余裕金につきましても、その大半を一年程度の短期預託といたしまして、年度決算が終了して積立金となった後に順次払い戻して長期運用に充てていくということにいたしております。
  40. 志賀節

    志賀委員 これはどなたに承ったらいいかよくわからないのですが、ちょっと質問させていただきたいのでございますが、簡易生命保険郵便年金特別会計法は昭和十九年四月一日から施行されておる法律でございますが、この第七条第一項は、「保険勘定又ハ年金勘定ニ於テ決算上生ズル過剰ハ当該勘定ノ積立金トシテ之ヲ積立ツベシ」となっており、それから第八条は、「各勘定ニ於テ支払上現金ニ余裕アルトキハ之ヲ資金運用部ニ預託スルコトヲ得」となっております。  第七条の「積立ツベシ」というのは、積み立てなければいけないということに理解できると思います。英語で言えばマストでございましょうか。それから第八条の方は「預託スルコトヲ得」でございますから、してもよいということで、英語で言えばメイでございましょう。  ただいま佐藤局長からお話がありましたとおり、昭和二十六年四月一日施行の資金運用部資金法の第三条の二項において、「余裕金は、資金運用部への預託の方法による外、運用してはならない。但し、」云々というのがございますけれども、これは例外条項でございまして、いつの間にかメイがマストになってしまっておるということがございますが、これはなぜこういうことになっておるのか、私に理解をさせていただきたいと思いますので、その点をお教えいただきたいと思います。
  41. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 私は御満足のいく十分な御説明ができるかどうか自信がございませんが、いま先生がおっしゃいました読み方というものが一応一つあると思います。  この簡易生命保険郵便年金特別会計法の七条でございますが、これは「積立ツベシ」ということでございますから、積み立てるということだと思います。  それから、第八条で、「各勘定ニ於テ支払上現金ニ余裕アルトキハ之ヲ資金運用部に預託スルコトヲ得」となっておりますが、これは資金運用部に預託することができるということで、してもよいし、しなくてもよいということだと思うわけでございますが、一方におきまして、先ほどの資金運用部資金法の三条の規定でございますが、これにおきましては、それ以外にはできないということ、つまり、運用部に預託する以外には運用できないということでございますから、選択の余地としてはそれだけしかない、それがいやならば無預託で抱えておくということしかないというふうに私どもは解釈いたしておるわけでございます。  どうしてそういうことになったかという沿革につきましては、ちょっと私は所管でございませんので……。
  42. 志賀節

    志賀委員 それでは、もう一つ教えておいていただきたいのですが、ただいま申し上げたとおり、簡易生命保険郵便年金特別会計法が施行されたのは昭和十九年四月一日でございまして、それから資金運用部資金法が施行されたのは昭和二十六年四月一日でございますから、この問七カ年ございます。  この七カ年の、いわば資金運用部資金法が成立する前の間、この間には第八条はどのような運用をされておったかをお聞かせいただきたいと存じます。
  43. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 その以前におきましてもやはり預金部というものがございまして、大蔵省の預金部の方に同じ形で預入をしておるということでございます。また、規定におきましても同様の規定になっております。
  44. 志賀節

    志賀委員 私がそういう質問をしていた理由は、もう大方の御理解をいただけるところと思いますが、実は、いままで郵政省それ自体が大蔵省と折衝して、前の郵政大臣の小宮山重四郎先生もこれは郵政の悲願であるという表現で言っておられる。その余裕金の郵政省の自主運用が今日まで認められておらない。なされておらない。これを何とか自主運用に認めてもらえないものかということが悲願でございますが、この悲願を達成するのにはどうしたらいいかを、私自身もその一人として考えておるからただいまのような質問が出るわけでございます。  それで、いままで衆参両院の逓信委員会においてこの問題についての質疑が再三なされてまいりました。ただいま御出席の阿部委員や前に委員をやっておいでだった山花委員の御質問に大変啓発されるものを議事録の中から私は拝見しておるわけでありますけれども、たとえば昭和五十二年十月二十七日のこの逓信委員会の席上で、山花委員は、仮にの試算だが、過去十年間ぐらい自主運用してきた場合には得べかりし増収益はどういうことになるであろうかという質問をして、私がいま再三お答えをいただいている佐藤政府委員からのお答えが次のように出てきております。「過去十年間、四十二年度から五十一年度まで余裕金を積立金と同様に運用したと仮定して試算いたしますと、得べかりし増収益というものが約七百七十億円で、これは簡保資金全体の利回り向上の効果といたしましては、平均いたしまして約〇・一八%というふうな数字になります。また、これを最近の五カ年間でしぼってみますと、得べかりし増収益が約六百六十三億円でございまして、全体に対します利回りの向上効果と申しますのは約〇・二五%と、かように試算上出てまいります。」と答えておるわけでございます。  これだけの増収益あるいはよき利回りが期待できるにもかかわらず、これがどうしても自主的運用積立金同様の扱いを認めてもらえない。もちろん法的な制約があることは申し上げるまでもありませんが、この法律改正は私どもでもやろうと思えばやれることでございますから、それについてのわれわれの納得できる御意見を承らなければ私どもはどうも合点、承服がいかない。  そこで、この問題について、法的な根拠をかざしての側面と、もう一つの側面は、表現がおかしいけれども、何か哲学がなければいけないのではないだろうか。これだけ運用が有利に展開できるものの手を縛っておくということには、それなりの哲学がなければおかしいが、それについて大蔵省当局はどういうお考えを持っておられるのか、お答えをいただきたいと思うのであります。
  45. 森卓也

    ○森説明員 お答えいたします。  特別会計の積立金あるいは余裕金といったような国の制度あるいは信用を通じて集まりました資金は、財政政策あるいは金融政策と整合性を図りながら、効率的な行政機構によって安定的かつ公共的な運用が行われるということが一番望ましいと考えておりまして、資金運用部といいますのはこのような統合運用の考えに沿った制度だと考えております。  一方、ただいまの先生の御指摘のように、簡易保険の余裕金につきましては、かつて国会でも御質問になりましたように、ほかの特別会計の余裕金と性格が違うのじゃないかということで、これを分離して運用すべきではないかという御議論がございますことは私どもも重々承知いたしております。ほかの特別会計の余裕金と違うのではないかという理由といたしましては、一つは、これは実質的には長期の運用であるから、長期資金なんだから積立金と性格が同じになるのではないかという御主張かと思うのでございますが、単に長期運用、長期資金だという点だけに着目いたしますと、ほかの郵便貯金にいたしましても、あるいは厚生年金の積立金等につきましても、資金が長い問運用部に預託されるという点では余裕金ではございませんけれども、同様でございまして、私どもといたしましては、資金運用部による統合運用という原則の中でこういつた長期資金が確実有利にかつ公共的に運用を図られるということが必要であり、また、そのように努力をしているつもりでございますが、ただ、たった一つの例外といたしまして、簡易保険積立金がすでに分離運用されているわけでございます。  これは私どもの方から見ますと全く例外的な措置でございますが、戦前からの沿革がございまして簡易保険積立金だけは例外的な取り扱いをされておりますし、その理由といたしましては、民間の保険会社と競合した事業をしているということで、利回りの向上が必要だということから例外的に分離運用がされているというふうに理解をしているわけでございます。  したがいまして、この点、簡易保険の利回りの向上につきましては、大蔵省としてもできるだけ郵政省に御協力をするということで、従来から余裕金につきましてもほかの特別会計の余裕金と別に特別の利子をつけるというような措置も講じておりますし、それから積立金運用に当たりましては、全体の財政投融資計画の中で有利運用を行う比率をなるべく簡易保険積立金の向上になるようにという配分をいたしたり、あるいは積立金運用の対象範囲の拡大についても従来から御協力を申し上げておるわけでございまして、また、今回御提案いたしております法律改正によりまして、余裕金も積立金にほぼ近い利回りが確保されることになるのではなかろうかと思っておる次第でございます。
  46. 志賀節

    志賀委員 森さんの御発言は私も議事録で再三拝見して勉強させていただいたわけでありますが、積立金が大蔵省から見て例外中の例外であるという、その言葉も前に議事録で拝見しております。ただ、すべての事物は例外があって初めてノーマルな状況になるわけでございまして、例外のないものはノーマルなものではないわけでございます。アブノーマルにならざるを得ない。少なくともそういうことわざすらあるわけでありますから、私は、この簡保の積立金のあることがおかしいという考え方ではなくて、あることがむしろノーマルであるという見地に立っておるものであることをまず申し上げておきたい。  したがいまして、この余裕金につきましても、その考え方にはちょっと抵抗感を覚えるというようなお言葉も前の議事録の中にあったやに記憶しておりますけれども、この余裕金を、いまのお話から承っても、何か哲学があってこうしておるというふうには考えられない。何か沿革というようなものに力点を置いておられるような気がしてならない。もちろん歴史を重視することも大事でございましょうが、もう少しその哲学があってもよろしいのではないだろうか。そこで、私どもがもっと納得できるという意味での哲学をぜひお聞きしたかったわけでございます。  ただいまいろいろお話がございましたが、念のために伺いたいわけでありますが、余裕金の資金運用部の預託利率は、簡潔に言って今回の提出法律案によってどういうふうに変えられるのか、一言お答えをいただきたい。
  47. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 余裕金の預託利率が今回の法案によってどういうふうに変わるかということでございますが、現在、簡保の余裕金の資金運用部への預託利率は、預託期間が一年以上など一定の要件を満たす場合には年六%となるように定められているわけでございます。  そこで、今回の改正の第一は、年六%と固定金利制になっておりますものを変動金利制に改めるということでございます。第二点といたしましては、この簡保預託金に対して付される利子の利率を、七年預託ものの特利を含めた利子の利率を〇・一%下回るものにするということでございます。第三といたしましては、この七年預託ものの利率が六・一%未満になりましても、簡保のこの預託金の利率は現行の六%を下回ることのないようにするということでございます。  この結果、七年預託ものの利率が六・五%となっております現行の金利のもとにおきましては、簡保の預託金の利率は今回の改正によりまして六・四%となりまして、従来よりも〇・四%向上するということになるわけでございます。もちろん、これは現在の体系のもとにおいてでございますので変動によってスライドしてまいる、かように考えます。
  48. 志賀節

    志賀委員 確かに、大蔵省の森さんの言われたように、郵政も大蔵との話し合いの中で御理解をいただいたということがこのことでよくわかるわけでありますけれども、それでもなお私としては、「隴を得て蜀を望む」のたぐいのように思われるかもしれませんが、やはり、余裕金というものは自主運営に任せられないものかということを考えないわけにはいかないわけであります。  それで、先ほどの話に戻るわけでありますが、積み立てはしなければならない、余裕金は資金運用部に預託することを得という法律が私はどうしても心の中でひっかかるわけです。この七年の間にこの余裕金の扱いについてすっきりしたものができていたならば、あれは戦時中でありましたからいろいろむずかしいことはあったのでございましょうけれども、いまのようなこういう議論をしないでもあるいは済んだのではないだろうかという気が私はしてならないわけでございます。  以上、私が質問をしてまいりました点は、第一が成田空港、第二が目黒郵便局、第三が余裕金で、これはいずれも国民信頼によって支えられて、しかも、不況の今日、好調な事業経過をたどることのできている簡易保険をめぐって、郵政事業国民信頼にこたえなければならない中でこたえきれていない側面を質問させていただいたつもりでございます。この点については一つ一つお答えをいただきましたが、理解はできても、必ずしもすべてに納得がいったとは言いがたいものがございます。  最後に、私は服部郵政大臣に特にお願いをしたいわけでございますけれども、この成田空港問題をめぐりまして、御承知のとおり、昨日、私ども自由民主党では両院議員総会が開かれました。この両院議員総会において、法治国家としてのあらゆる法律の万遺漏なき適用のもとにこういう不祥事が二度と起きないようにしようという御意見や、あるいはまた特別法を新たに立法して、そして万遺漏なきを期そうという意見がございましたが、行政の根本は何よりも法律が基盤となるわけでございますから、あらゆる法律において考えなければいけないことは法を守るという精神で、いかなる事情があろうとも、超法規の名のもとに子の法を一時停止するとか、あるいは一時これを否定するようなことがあるということは民主政治の中で生まれてきた法律を否定することでありますから、これは民主政治の否定にもつながりかねない。もし特別法を新たに立法して、暴徒を押さえて非常に厳しい罰に処そうとも、どこかでハイジャック事件が起きて、そしてその要求の前にその人たちを釈放するがごとき事態が起きれば、これは底の抜けたたるに水を入れるに等しいことではないかと私は思うわけでございます。  したがいまして、過般のハイジャック事件におきまして、日本と西ドイツの二つの対処、解決の仕方について、世間は、日本はやむを得なかった、西ドイツは西ドイツだからやれたという意見がございましたが、後世の史家の判断や意見をまつまでもなく、日本の政府のとったあの対策というものはそう遠くない将来に批判をこうむることになることは火を見るよりも明らかであると私は考えておる一人でございます。そういう観点から、私は、特に法というものに対する厳正なる態度、運用というものを郵政大臣を通じて政府にお願いをする次第でございます。  以上、時間はまだ若干残しておりますが、私の質問を閉じたいと思いますが、郵政大臣の御決意を再び承りたいと存じます。
  49. 服部安司

    服部国務大臣 極左破壊分子による国家主権に対するところの、いわゆる常人では想像もできないあのような大事件が勃発いたしまして、まず、私は、その一番先頭で、しかも管制塔占拠、破壊をやったのが郵政職員であったということはきわめて遺憾で、まことに申しわけない次第でございます。  国会を通じて国会議員の先生方からいろいろと御指摘を受けて、私も本会議でおわびの答弁をしたようなことでありますが、今後は再びこのようなことにならないように厳に戒めてまいることは当然のことであるとともに、国会議員各位の御指摘にこたえて、昨日の発表で御理解願っていると思うのでありますが、私は関係局長を集めて即座に懲戒免職の発令を命じました。  しかし、国際的にも大変な信用の失墜をいたしまして、国民の血税をあのようなばかげた分子によって浪費したことをわれわれは謙虚に受けとめてまいらねばならないと思います。  同時に、私は成田空港関係閣僚協の一員でありまして、政府でもこの問題を大きく取り上げて連日協議をしたことも御案内のとおりでありまして、昨日も閣僚協並びに閣議でこれはまた大きく取り上げて、政府責任においてこういった極左破壊分子の排除に全力を挙げるという姿勢で、五月の二十日開港というめどを立てた次第でございます。  平和な日本で、一部のきわめて限られた人間によるあの行動は再び繰り返さないように、皆様方の理解と協力を得て、政府の一員として大いにがんばることをお誓い申し上げて答弁といたします。
  50. 志賀節

    志賀委員 終わります。
  51. 松本七郎

    松本委員長 野口幸一君。
  52. 野口幸一

    ○野口委員 私は、簡保の運用法案をめぐりまして若干御質疑を申し上げます。  ただいま志賀先生からも、最後の項の中で、この法律の改正について貴重な御意見がございまして、その点につきましては私も同感でございますが、ただ、先ほどの答弁をお聞きいたしておりましても、本来余裕金というものは積立金と同様に自主運営をするということが郵政省の悲願だと言われながらも実は今日まで来ておるわけでありますが、昭和四十一年の行政管理庁の行管監察報告の中にも、この余裕金のあり方について、いわゆる積立金と同様に運用すべきものであるという趣旨の報告がなされておるのでありますが、今回出されました改正法案は、そういった立場から見ますと全く不十分なものであります。  この改正案をお出しになりました理由について、また、この改正案をお出しになるに至ります経緯について詳しくお伺いをいたしておきたいと存じます。
  53. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 ただいま先生からお話がございましたように、省といたしましては、この簡易保険の余裕金は本来積立金と同一の性格のものでございますから、やはり、積立金として直接運用できるように制度の改正を検討してまいりたいということでございまして、いま先生がおっしゃいましたように、附帯決議も当委員会でもちょうだいしておりますし、この点につきまして、多年にわたりまして制度改善方を大蔵省と折衝を続けてまいったわけでございます。昨年の暮れのいわゆる予算折衝の段階に至るまで鋭意折衝してまいりましたけれども、ぎりぎりの段階で、この点につきましては大蔵省との間に合意を見るに至りませんでした。  ただ、ひとまずこの余裕金を資金運用部へ預託しております利子の利率の算定方法の改善、それから運用範囲の拡大等につきましては、いわゆる余裕金の有利運用という点の趣旨によりまして一応折衝し、また、そういった点について大蔵省との問の合意を見ましたので、今回ひとまずこういった線で法律の改正案につきまして御審議をお願いすることにしたわけでございます。  したがいまして、この余裕金を積立金と同様に運用してまいりたいという省の年来の希望につきましては、今後ともその実現について努力は続けていくということで考えている次第でございます。
  54. 野口幸一

    ○野口委員 経過はそれである意味ではわかりましたが、先ほどの志賀先生の御質疑の中にもありましたように、この簡易生命保険郵便年金特別会計法と今日のこの簡保運用法案との間に疑義が生じておりますように、法制上から考えましても、実は、この解釈が郵政省自身においても自信がないような気がしてならないわけであります。こういった経緯について、改正案をお出しになります趣旨がややぼけているような気が私はしてならないので、もっとすっきりとした形で改正案を出すべきではないかという意見を私は持っておるものでありますが、その点についてはどうお考えになりますか。
  55. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 先ほどの志賀先生の御質問に対する例の法律の解釈につきまして、自信がないわけではございませんけれども、ただ、主管ではないという意味において私は若干申し上げたわけでございます。いまの形ではそういう形でしか運用はできないという体制になっているということでございます。  今回の法案がそういった面で郵政省の年来の主張とは異なってすっきりしないではないかというお話でございますが、先ほど申し上げましたとおり、これまでの折衝の過程におきましてこの点がなかなか吹き抜けない。しかしながら、一応運用利回りの向上という点につきましては毎年オール・オア・ナッシングを繰り返しましても、利回りの向上には何らのメリットがないということもございます。やはり、お客様のそれぞれの保険料をお預かりして将来のために運用していくという立場から申しますと、今回はひとまず一つ段階だと申しますか、一つの前進の段階ということでこういった措置もやむを得ないかというふうに判断いたしまして、その点で合意を見、こういう法案を提出して、御審議をお願いしている次第でございます。
  56. 野口幸一

    ○野口委員 それでは、今回に限り、これで余裕金の問題はピリオドを打つのだという問題ではなくて、ただ段階的に一つの前進という形の中で今回この法案を提案したというように受け取っていいですか。
  57. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 郵政省といたしましてはそういう考え方でいるわけでございます。
  58. 野口幸一

    ○野口委員 それでは、最近の簡易保険及び民間保険におけるところの運用の利回りの状況ですが、これはどのような現況になっているのか、お聞かせをいただきたい。
  59. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 五十一年度の運用利回りを申し上げますと、簡易保険の方が七・一四%、民間保険の方が、これは各社合計でございますが八・一一%、それから資金運用部の方は六・九八%でございます。  それぞれの利回りの関係でございますが、民保との関係を見てまいりますと、四十年代の初めに金利の一般的な低下傾向によりまして民間保険の利回りが低下いたしまして、四十二年度には較差が一ポイント以内にまで縮小したのでございますが、四十三年度以降は運用範囲も広く、また、有利な運用対象の多い民間保険との利回りの較差は常に一ポイント以上ございましたが、五十一年度に至りまして〇・九七に縮小している。こういう状況でございます。
  60. 野口幸一

    ○野口委員 いま簡保は七・一四%という数字を維持しておられるわけですが、今後この運用利回りというものは維持できるかどうかということを私は非常に心配をするわけでありますけれども、郵政省の見通しは、今回のこの改正を通じて、ある一定の増加といいますか、維持についての見通しを持っておられるやに伺いますけれども、どのようなお考えでおられますか。
  61. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 まず、五十二年度でございますが、景気浮揚対策の一環といたしまして、昨年の春以降、公定歩合を初めといたしまして各種の金利の引き下げが逐次実施されてまいりまして、その結果、最近の市中金利は昨年の二月以前に比べまして一・五ないし二ポイント程度低くなってきているわけでございます。  簡易保険の資金の運用につきましても、債券などの有利部分の新規の運用利回りが市中金利の低下に伴いまして下がってまいりました。また、標準貸付利率につきましても、昨年の六月と十月との二回にわたりまして、合わせて一ポイント引き下げられまして、五十二年度の運用利回りにつきましては、新規のこういった運用利回りが低下したということがあったわけでございますが、この金利の引き下げの実施時期が年度途中であったということ等のために比較的その影響が少なくて、五十一年度における運用利回り、先ほど申し上げました七・一四%程度は五十二年度は維持できる見込みでございます。  しかしながら、最近また公定歩合の引き下げ等もございまして、引き続き種々の長期金利等の引き下げ等も見られてきている状況でございます。非常に不確定要素が今後多い情勢でございますので、五十三年度につきましては、現段階では金利動向等を判断することはなかなかむずかしいという状況でございます。
  62. 野口幸一

    ○野口委員 それでは、五十三年度は見通しとしては七・一四%ということを維持するのはむずかしいとしても、どのくらいまでは維持できるというような見通しは、若干この場でお答えできませんか。
  63. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 この法案を御可決いただきまして、なお現在の金利水準が続くものと仮定いたしますと、七%程度の利回りは確保できるというふうに考えております。
  64. 野口幸一

    ○野口委員 最近の金融状況なり経済の動きを勘案いたしますと、必ずしもそのことが確認できないといいますか、確保できるということについては非常に危ぶまれている状況にあると思いますが、いずれにしましても、加入者への還元という立場から、これは何としても守っていかなければならない。  これは郵便貯金の利子と同じようなものでありますから大事なことなのでありますけれども、加入者の予定利回りがいまよりも下回るというようなことのないように措置を講じていかなければならぬと思いますが、この点について郵政省は自信を持って、そのことについては現状をむしろ向上させることはあれ、下げることはあり得ないということが言えますか。
  65. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 非常にむずかしい御質問だと思うわけでございますが、これからの金利動向というものに、やはり、これからの新規の運用のものの運用利回りというものが非常に左右されるわけでございます。したがいまして、非常に大きな流れの中で全体が低下傾向になってまいります場合には、それを絶対に防ぎとめるということはなかなかむずかしい問題ではないかと思うわけでございます。  ただ、先ほどから御審議をいただいておりますこの余裕金の運用改善の問題、あるいは運用範囲の拡大の問題といったような問題につきまして、そういったいろいろな制度改善というものにつきまして、全体的に、今回に限らず、今後ともそういった点をさらに検討し、いろいろと改善努力をやってまいりたい。少なくともそういった点で少しでも制度的に運用利回りの向上を図ってまいりたいということを考えている次第でございます。
  66. 野口幸一

    ○野口委員 これは要望になりますが、先ほども御答弁にありましたように、この法案が出されたからといって、あるいはこれが通ったからといって、今回のこの余裕金の問題をこれでよしとするわけでは決してないとおっしゃっておりますから、これから先行き本省のお考えがやや前向きに——運用利回りの点についてもそうでありましょうし、また、この余裕金の本来の目的でありますように、積立金と同じような取り扱いにしていくということも含めまして、努力をしていただきたいということについてはさらにつけ加えてお願いをいたしておきたいと存じます。  そこで、この内容について若干お伺いをいたしますが、「長期信用銀行法第二条に規定する長期信用銀行」というのを「銀行」ということに改めた理由はどこにありますか。
  67. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 一般的に金融債と呼ばれますものは、長期信用銀行と外国為替銀行、それから商工組合中央金庫、農林中央金庫の、このそれぞれの発行する債券で、四つあるわけでございますが、このうち、簡易保険積立金運用対象となっていないのは外国為替銀行の発行する債券でございます。現在のところ、外国為替銀行は東京銀行の債券だけでございますが、したがって、その発行する債券も東京銀行債券ということになるわけでございます。  この外国為替銀行は主として外国為替の取引及び貿易金融業務を営むものでございまして、貿易金融等の円滑化を図ることは貿易依存度の高いわが国の経済にとって非常に重要なものでありますし、ひいては社会一般の利益にもつながるものであると考えまして、同行の発行する債券を簡保資金の運用対象とすることが適当であろうと、こういうように考えておる次第でございます。  また、利付東京銀行債券の償還期限が、他の利付金融債が五年になっているのに対しまして三年でございますので、これを運用対象に加えることによりまして、期限の面でも、また量的な面でもより弾力的、効率的な運用が可能となる、ひいては運用利回りの向上にも総合的に資することができる、かように考えて今回お願いをしている次第でございます。
  68. 野口幸一

    ○野口委員 若干前に戻るといいますか、質問が逆になりますが、資金運用の方ではすでに銀行ということになっていますのに、簡保の資金運用法の中ではこの部分がいままでなかったのですが、今度これを「銀行」に改めたというわけですが、どうして同じような性質の法律の中で二つに分かれておったのか。なぜこちらの方がおくれておったのか。おくれておったといいますか、いまおっしゃったように、そういったメリットがあるにもかかわらず抜けておったというのはどういう理由だったのですか。
  69. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 簡易保険の資金の運用範囲というのは、先生も御承知のとおり、長年にわたって徐々に拡大をしてまいっているわけでございます。長期信用銀行法の第二条に規定いたします「長期信用銀行」の発行する債券を運用対象に加えましたのは昭和三十六年でございますが、当時は債券を発行していた銀行は長期信用銀行だけであった、こういったことで運用法にもそういった掲げ方をした、こういうことでございます。
  70. 野口幸一

    ○野口委員 わかりました。  この運用の範囲の拡大が、今後ともいまおっしゃったように年々されていくという形になると思いますが、今後改善しようと思っている前向きなところで、いま省が考えておられるものがございましたら、この際お聞かせいただきたいと思います。
  71. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 今回、積立金運用対象に長期信用銀行以外の銀行の発行する債券を加えることにしておりますが、その他に何かないかということではいろいろと検討してまいりましたが、ただ、現在の情勢、現在の段階の中では、他に直ちに挙げ得るものがちょっと考えられませんでした。全然ないとは申しませんが、やはり、いろいろとこれは制約もございますし、いろいろとなお検討しなければならない点があるというものがございまして、ひとまず長期信用銀行以外の銀行というものにいたしたわけでございます。そういう点からいたしまして、今後におきましても、では、いま何があるかとおっしゃられますと、ちょっとにわかにお答えしにくいわけでございますけれども、いろいろと検討はいたしております。  そういった面で、この範囲の拡大ということにつきまして今後とも検討してまいりたい、かように考えております。
  72. 野口幸一

    ○野口委員 それでは、余裕金の資金運用部への預託利率は現在どのような状況であり、どのように改善されていくのでありますか。その点をちょっとお聞かせいただきたい。
  73. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 今回の措置をいたす前までの比較といたしまして、現在の状況では、余裕金の資金運用部への預託利率は、一年以上のもので一定の条件のものが特利を含めて六%、以下それよりも短いものにつきましては段階的に下がっているわけでございます。  そこで、今回の改正におきましては、この一年以上預託のもので一定の条件のものにつきまして、従来固定制でやってまいっておりましたものを変動金利制に変更し、かつ七年以上の預託金の利率、これの特利を含めました利率よりも〇・一%下回る利率でスライド制にしてまいる。ただ、スライド制にしてまいりましても、その七年以上のものの預託利率が特利を含めまして六・一%以下となった場合におきましては、そういたしますとこれはいままで申し上げました算式では〇・一%下回りますと六%を割る計算になりますけれども、その最低を現行金利の六・〇%にとどめる。こういう形に改正したいということでございます。
  74. 野口幸一

    ○野口委員 預託利率が五十三年度以降当分の間固定部分が年五分九厘ということでございますが、郵貯等七年物の預託利率は年六分となっているのに、ここでまた一厘安いという結果になっておるわけですが、この一厘というのをなぜこういうところで安く下げているのか、その理由はどうなんですか。
  75. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 簡易保険の余裕金の資金運用部への預託、これは御承知のように翌年は決算後積立金となって郵政大臣運用できる形になりますので、それまでのつなぎと申しますか、そういったことで資金運用部への預託は長くても約一年間という短期的な預託になっているわけでございます。  そこで、毎年度新たな余裕金の預託というものが繰り返されますので、実体的には簡保資金の一部が資金運用部に長期的かつ安定的に滞留すると申しますか、こういう形になるというわけでございまして、そういった実体面から見まして、簡保の余裕金の資金運用部への預託につきまして、一定の条件のもとに利率を高くしようとすることで、従来は特利をつけて六%まで引き上げてきたということでございます。今回もそういった面に着目いたしまして、さらに七年物以上の預託金利と同等近くまで引き上げようということで折衝したわけでございますが、結局そういった点ではある程度長期性があるという形は、ある点では見られるわけでございます。  しかし、預託の形式、預託の期間から見ますと、一年程度の短期の預託である、一年たてば払い戻されてまたフリーに運用できるという性格のものである。それに比べまして七年以上の預託金の方は、やはり七年間固定し、拘束されるわけでございますから、同一の金利となるということはやはりいろいろ異論がある、こういったことでございまして、その結果、この七年以上の預託の金利に最も近い〇・一%の差というところで今回は落ちついた、こういうことでございます。
  76. 野口幸一

    ○野口委員 御説明でよくわかるのでありますけれども、私どもから考えますと、前年度の余裕金、いわゆる当年度に積立金になっていくわけでありますが、払い戻しをして積立金に繰り入れていくという額は、いわば当年度の余裕金をまた今度預託していくという額に制限されていく。ある意味ではそれ以上出してもらっては困るというものがあるわけです。今年度余裕金を入れていく。前年度の余裕金を出していく。そしてその額が常に大蔵省の余裕金の中で、預託の中で金額が均衡されていくという考え方が向こうにあるわけです。そうすると、実質的には七年物の預託をしている形と余り変わらないじゃないかという気がしてならない。  そこで、答えは、片方は七年固定だ、片方はそういう実情にはあるけれども、内容的には一年で出していくというものであるから、ある意味では流動がある、それだから一厘の差があるのだと、こういう御説明なんですけれども、どうして大蔵省が当年度の余裕金の預託額にこだわって、払い出し額をある意味では拘束されているのか、この理由はどうなんですか。やはり、大蔵省のいままでの流れから来るところの一つのエゴですか。エゴと言っては悪いかもしれませんが、そういう点はどうですか。率直に郵政省として言ってみてください。
  77. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 ただいまの御説明で申し上げましたとおり、一応長期的に安定して滞留するもの、これは資金運用部の方でまたそれを運用する場合にもある程度有利な形で運用できるということが背景にあって、この一年物の今回の余裕金につきましても七年物に近い金利がつけられるということもあるかと思うわけでございます。これで払い戻しを抑えるというのでは決してなくて、払い戻しをすることができるわけでございますが、払い戻しを中途でやります場合にはそれだけのペナルティーをとられ、また、それだけ短期金利の方に寄っていく、だんだん金利が下がっていく、こういう形がとられておるのは、運用という形からしてある程度理解できることかと思うわけでございます。  したがいまして、そういう意味では短期一年物という性格でございますから、その中である程度の自由性を持ち、かつ七年物に近い金利に近づけた利率で動くということは現在よりは相当向上した形になるというふうに理解したわけでございます。
  78. 野口幸一

    ○野口委員 大蔵省の資金部から見ればそういうような考え方も出てくるでしょうけれども、郵政省はもっと自分のことを考えていくという姿勢でもっと遠慮なくやらなければならぬだろうと思います。今回の改正というのはその意味では一歩前進したということは評価できるのですけれども、根本的に余裕金を積立金にしていくということが本来の目的なんですから、そういう点に意を用いていくとするならば、たとえ〇・一%低いということについても、もっと積極的にやらなければならぬだろう、もっと交渉しなければならぬだろう、何もそんなに遠慮することはない、〇・一ぐらいはやむを得ぬのだというような姿勢そのものは持たなくてもいいんじゃないだろうか、こういう気がしてならないのです一その点は、たまたま大臣は大蔵省には強いのか弱いのか知りませんが、十二分に折衝をしていただいて、今後とも有利に展開していくような形を積極的におとりをいただきたいと思うのであります。  次に、法案ですが、これは非常にむずかしい法案で何遍読んでもわからぬのですが、特に、ただし書き以降の文章は何遍読んでもわからない。これが本当にわかる人がいらっしゃるのだったら説明をしていただきたいのですけれども、ただし書き以降はどういう意味なのか、具体的に教えていただけませんですか。こんなむずかしい文章を私も余り読んだことがないので、どう解釈するのか、説明をしていただきたいと思います。
  79. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 いまおっしゃいましたとおり、余り簡単明瞭ではない規定でございますが、これは特に金の計算の問題でございますので、いろいろ条件をつけてその正確性を期するということで、私どももできるだけ平易に規定がされますように関係方面ともいろいろやったわけでございますが、どうもこういう形にならざるを得なかったということで御了承願いたいと思うわけでございます。  このただし書き以下でございますが、これは前段は、預託余裕金、あるいは積立金に途中から化けるものもございますが、そういった簡保の資金が預託された場合に、それにつきましては、「五十三年度以後当分の間、年五分九厘」というのが原則でございまして、「五分九厘の利率に附則第四項の規定により付する特別の利子の利率と同一の利率」というのは、これは先ほど御説明しました七年ものの預託金の特利でございますが、その「同一の利率を加算した率に相当する利率により利子を付する。」ということでございますが、ただし書き以下はそれの例外、それに当たらないもの、こういったものをそれぞれ述べているわけでございます。  したがいまして、ではどういうものがだめかということですが、これをひっくり返して申しますと、先ほどから御説明しておりますように、一年以上の預託のもので当該年度における払い戻しの累計額と同一年度における預託累計額とを比較しまして、払い戻しの累計額が預託累計額に達するまではその払い戻しをするものにいわゆる特利が付される、これが一つの一定の条件ということでございまして、これは現在でも行われているものである。したがって、一年以上の預託の資金運用部の預託残高が減少しないことを条件に特別の利子が付されることになっている。今回の改正におきましてもその点は同様の条件でございます。こういったものが、この特利がついて今回五・九%プラスアルファという形になるものでございます。したがって、それに該当しないもの、それはだめですよということをこのただし書き以下で除外して規定している。こういうことであります。  ちょっと飛びまして恐縮でございます。
  80. 野口幸一

    ○野口委員 それは言っている本人がわかっていないのだろうと思いますから、私が説明をしろと言ったって無理かもわかりませんが、まず、一番最後の項の「第一号に掲げる額が第二号に掲げる額未満でありその差額が当該預託金の額以下である場合に払戻しをするもののうち当該差額に相当する部分以外の部分に対しては、この限りでない。」というのは、これは読むだけでも大分むずかしいのですけれども、この文章を読んでますと、例外を規定しているということは意味はわかるのですよ。資金運用部で一定の金額をためておきたい、だからそれ以上のものを払い出した場合は、その部分は利子をやらないのだと、簡単に言えばそういうことなのでしょう。それをなぜこういうむずかしい文章にしなければならないのかということの理由ですが、何か将来にわたってそういうことがあり得ると想定されるということ、いわば払い出しが多くなるということを想定をして、資金運用部の方でこの規制をするという意味が中にあるのじゃないかというような気がしてならないが、そういうことが考えられますか。  こういう規定外のことに、いわゆるただし書き以降の部分に該当するということが、今年度以降直ちにこの部分に相当する部分があると考えられますか。その点はどうですか。
  81. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 現在のところ、さしむきそういった形はまずないだろうというふうに考えております。
  82. 野口幸一

    ○野口委員 先ほど志賀先生質問の中にもありまして、局長もお答えになっているわけですが、順調に事業は伸びていると言われておるわけでありますけれども、一千万円の保険に伸ばしまして、これは無診査の保険で、先行き一千五百万円、二千万円というようにしていくような状態には、民間との関係もあってそうもいかないだろう、いわゆる頭打ちというか、その金額についてもそう伸びを期待できない、今日の金融の状況、経済状況から考えても、先行き保険事業がいままでのような形でどんどん伸びていくということも考えられないというか、そういうことも余り多く期待をするのは無理ではないかということなどを考えますと、これは将来にわたってこの条項が当てはまることがないという保証はないわけですね。  そうすると、このただし書き以降のこの難解なるしろものは、むしろ郵政省に対して大蔵省の資金運用部の方から来る一つの歯どめといいますか、これが非常に大きなウエートでかかってきているような気がしてならないわけですが、そういう考え方は私の単なる危惧でしょうか。このただし書き以降に対する意味合いというものは非常に大きなものがあるように私は考えますが、その点はどうお考えになっていますか。
  83. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 歯どめということでございますが、長期安定という形で持っていくという意味におきましては、確かに歯どめというおっしゃり方が該当するかと思うわけでございまして、やはり、そういった歩どまりと申しますか、そういったものの中でこの金利の改善運用部としても可能であろうというふうには私どもは理解しておるわけでございます。  ただ、これは先ほど申しましたように、金利改善一つ段階として私どもは考えております。したがいまして、ここで今回の改善のような形で、先ほどからお話がありますように七年ものよりも〇・一%下回っているということでございますが、こういった点も含めまして、また機会あるごとに金利の改善ということにつきましては考え、さらに折衝してまいりたいということを考えているわけでございます。  なお、先ほど、そういった余裕金の預託の減少ということは当面さしむき考えられないというふうに私は申し上げましたが、もちろんそれには先ほど先生から御指摘のありましたような募集の努力の問題といったことも絡むわけでございまして、やはり、一千万円に昨年の九月に引き上げましたばかりでございますが、そういった面ではまだ余力もあるかと思いますし、また、同時に、全体のお客様のいわゆる加入世帯の状態というものから見ましても、まだまだお客様の層を開拓する努力の余地はあると考えておりますので、そういった面の努力もあわせましてやってまいりたいというように考えておるわけでございます。
  84. 野口幸一

    ○野口委員 局長はそういうようにおっしゃっていますから期待をいたしますが、また、その面から募集というものに対する考え方が非常に強まって、行き過ぎた政策が出されるということもまた困ったことなんでありますので、そういった意味でも私どもは非常に心配をしているわけでありますが、その点についてはまた後ほどお伺いすることにします。  附則の第七項で、利子、いわゆる預託金に付される利子、変動部分も含めましての利子でありますが、この払い戻しの日が「三月三十一日及び九月三十日」というように分けて支払われるようになりました理由は、これはもうよけい利が利を生むようにということだと思うのでありますけれども、現行では、こんな簡単な問題をなぜ九月と三月に支払われなかったのだろうか。この問題もやはり見逃してきておられたのか、あるいはそれが運用部の方から出されなかったのか、こんな簡単なことがどうしていままでできなかったのだろうという気がするのですが、逆に言うと今回がそういう理由であろうと思うのですが、その辺のところは、真実はどうなんですか。
  85. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 まず、この利子の支払い期日が、従来の形はどうしてかということでございますが、その前に支払い期日を改正する理由でございますが、特利の支払い、現在は六%の特利ということでございますが、これは四・五%の資金運用部資金法に定める一般の金利プラス一.五%の特利をつけて六・〇%、こういうことでございます。その一・五%の特利部分というものにつきましては、先ほど来御説明しております一定の条件と、当該年度に預け入れたものと払い戻すものとの差額と申しますか、対比でございますね。そういったものを確認して、それで払うということでございましたので、払い戻しの日にそれを見まして、それで特利の部分を支払うという形をとっておった、こういう沿革でございます。  したがいまして、大体順調に簡保が発展しています限りはそういった状態はほとんど生じないであろうということから、今回はすべて一般の金利の支払いと同様に経過利子を三月と九月にそれぞれ払う、その中にこの特利の問題も一緒に入れてやる、今回は特利というよりは、この法律の改正の規定によって五・九%プラスアルファというものが一つの金利である、こういう考え方でございますので、一般の利子と同様の支払い方法にする、かように考えておるわけでございます。  それによりまして、先ほど先生から御指摘がありましたように、従来よりも利子が部分的には前に来る、いままでずれておったのが前に来るのでさらにその利子の運用によって利益が得られる、こういうことを考えておるわけでございます。
  86. 野口幸一

    ○野口委員 そうしますと、この利子の日がこうやって分割されて付されることによって得られます利益というものは、いままでとはどのくらいの差が出てまいりますか。
  87. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 いま金利がちょっと動いている最中でございますから若干不正確になるかと思いますが、二億ないし三億円という利益が出てくるかと、かように考えております。
  88. 野口幸一

    ○野口委員 もう少し詳しくお聞きをしようと思いましたけれども、余りにも難解な文章でありますが、要するところ、省としては、一番初めに申し上げましたように、この余裕金の問題は本来積立金として利子運営をしたいということを目標にしておられるわけでありまして、この際この改正によって満足しておられるというわけではないと思いますが、抜本的に考えましても、従来の本委員会におけるところの質疑の内容あるいはまた附帯決議等の中にもあらわれていますように、余裕金の問題というのは再々にわたって郵政省皆さん方はお力を入れているわけでありますけれども、まだ日の目を見ないというのが現状でありますので、これをできる限り早期に積立金と同様にしていくことの努力を今後もさらに続けていただきたい。  所管大臣として現在この点についてどのようにお考えになっていますか、お答えをいただいておきたいと思います。
  89. 服部安司

    服部国務大臣 前回の国会の附帯決議にもはっきりと先生方の意思が明示されておりますし、私もちょうど予算編成直前の就任でございまして、担当局長からその旨を伝えられ、正直必死に大蔵当局と折衝を始めたつもりでありますが、先ほど申し上げたとおりになかなか意のごとく運ばなかったことは事実であります。  しかし、この預託金利率の改定ということで、先ほど御指摘のとおり、第一段階として予算の詰めの時間的な問題もございましてあのような結果に相なったわけでありますが、今後は附帯決議の趣旨やまた委員会を通じての御意見などを踏まえて最終目的実現のために必死の努力を払いたい、かように考えておる次第でございます。
  90. 野口幸一

    ○野口委員 以上で法案に関する問題は終わりまして、簡易保険関係する部分について若干質疑をいたしたいと存じます。  まず、一つは、今日の段階における簡易保険の失効、解約の状況でありますが、過去のここ数年間どのような現況にあるかということと、それから加えてクーリングオフの実効といいますか、効き目というものはどのような状況にいまあるのかという点についてお答えをいただきたいと思います。
  91. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 過去三カ年間におきます簡易保険の失効、解約の状況でございますが、保険料率でこの失効、解約率を見ますと、恐縮でございますが奨励年度で申し上げたいと思いますが、五十奨励年度では三・五三%、それから五十一奨励年度では三・二四%、五十二奨励年度では三・二三%というふうになっておりまして、年々若干ずつではございますが改善されてきている状況でございます。  この失効、解約の防止という点については、募集と維持が保険の車の両輪でございますので、今後ともまた十分に努力を続けてまいりたいと考えているわけでございます。  それから、クーリングオフの実効状況でございますが、御承知のように、昨年の九月一日から保険契約の申し込みの撤回、いわゆるクーリングオフの制度実施されたわけでございますが、実施されました九月一日から本年二月末日までの間に地方簡易保険局に送付されました撤回通知書は一万八千六百六十六件でございます。保険料にいたしまして二億一千三百五万円でございます。これは同期間に地方簡易保険局に送付されました新規契約申し込み書が累計二百三十九万一千件ございますので、それの〇・七八%に当たるわけでございます。  なお、特約の改定の申し込みの撤回の方は二十九件という数字になっております。
  92. 野口幸一

    ○野口委員 このクーリングオフによって出てきましたものが約一万八千件ですか、パーセントにして〇・七八だということですが、この内容は、告知義務に対する違反といいますか、告知義務を怠っている部分がやはり大部分ですか。その内容は御存じですか。
  93. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 このクーリングオフの撤回の状況を見まして、私どもの方も若干抽出で調査をしてみたわけでございますが、それによりますと、このクーリングオフが出ました理由といたしましては、一応申し込んだんだけれども世帯主などの家族に反対されたとか、あるいは保険料を続けて支払うのがちょっと重いとか、また、保険の種類、保険金額等をよく考えてみたら違うものに変更したいとか、こういったような理由が多いわけでございまして、その他、もう少しゆっくり考えてから入りたいといったものもございます。  主な理由を拾いますと、大体そういったような事情で撤回がなされたというふうに理解しております。
  94. 野口幸一

    ○野口委員 私は、これはある意味では安心をいたしました。外務員が募集に際して、虚偽とまではいかなくとも、募集の成績を上げたいがためにといったような、契約者に対する説明が不十分なためにそういう問題が起こっているのであればゆゆしき問題でありますが、いまのような状態であれば、被保険者の方々といいますか、御加入者の認識も不十分であったというような点も考えられますので、今後その内容については十分検討しなければなりませんけれども、今後ともこのクーリングオフに出てきました内容についてよく御検討いただいて、外務募集についての御検討なり御指導を強めていただきたいということをつけ加えてお願いを申し上げておきます。  そこで、昨年改正いたしまして一千万円まで契約ができる保険に改定したわけでありまするが、その後この一千万保険というものの募集の状況はどのようになっていますか。  先ほど、局長は、これからの先行きの保険業務の見通しなどを言われる際にも、一千万円の保険ができたのでということで、まだまだ募集をしていく上に余裕があるといいますか、そういった意味での御発言がありましたが、この一千万円保険を実施してからまだ日は浅うございますけれども、どのような状況でいま進んでおるか、ちょっとお聞かせいただきたい。
  95. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 一千万円に引き上げましてからの募集実績の方から申し上げますが、五十二年の九月から最高制限額の引き上げが行われたわけでございますが、それ以降本年三月までの状況は、全体で新規契約が件数で二百八十八万一千件、保険料が二百三十七億六千万円、保険金で四兆七千億円というぐあいでございまして、おおむね順調であるというふうに言えるかと思います。  なお、では保険金一千万円の新規契約というのがどういうふうに出ているかということでございますが、これは最高制限額が一千万円に引き上げられましたけれども、一件の保険契約で一千万円に加入できるお客様というのは、いままでに全く御契約されていないお客様しか対象になりませんので必ずしも多くございませんが、これは九月以降でございますが、二月末現在で販売件数が三万八千八百六十二件でございます。これは全体の新規契約の件数に占める割合といたしましては一・七%という割合になっております。
  96. 野口幸一

    ○野口委員 最後に一つだけお尋ねをいたしますが、先ほどもちょっと問題になりましたが、目黒郵便局におけるところの事故でございますけれども、事故の内容はともかくとして、この犯罪の期間というのは実に六年間で、しかも、その回数が五十五回という回数で行われたということが報じられておるわけでありますが、問題は、もちろんやる者が悪いのでありますけれども、自主的にこれを監査する方法に欠陥はないのか、自治監査に欠陥はなかったのか、もっと何とか早くこういうものが発見できなかったのかという点について私は心配するものであります。  そこで、私は、保険業務の監査について、いわゆる事故防止の問題について若干調べてまいりましたが、私は近畿の出身なので近畿郵政局に行くのですが、近畿郵政局管内で調べましたところ、「保険年金編 事故防止および整理」という項目で、実はこれだけの資料で監査をするようになっているわけであります。恐らくこれは近畿だけじゃなくて、全国各郵政局で似たり寄ったりの同じような施策がなされておると私は解釈をしておるわけですが、そこで、内容を検討しますと、自治監査といいますか、いわば自分のところで進んで監査をする、責任者は普通局においては当該課長、特定郵便局においては局長もしくはそれの指示する者という形になっておりまして、特に、取り扱い数の多い普通郵便局においては当該課長がやるということになっておるわけでございますね。  そこで、当該課長が実際その監査をやっている実情にありますかということをまず第一点としてお聞きしたいと思いますが、やっておりますか。
  97. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 それぞれ現場で行われております自治監査でございますが、これは年二回以上各業務が正規、定例に従って能率的かつ経済的に処理されているかどうか所属長が実施するという形でございますが、もちろんこれは所属長がすべて行えない場合もございます。したがいまして、その場合には所属長がそれぞれ指定する職員にその自治監査を行わせるということもできるわけでございまして、実態として、そういった形がそれぞれの面におきまして部分的にでもとられているものというふうに考えているわけでございます。  なお、先ほど先生がおっしゃいました目黒局の事件の場合には、この自治監査というようなものにつきましても、これが規定されておりますように、その趣旨に従って完全には励行されていなかったという面があるのじゃないかという点につきまして、私どもも検討しているところでございます。
  98. 野口幸一

    ○野口委員 余り時間がありませんので、一つお願いをいたしておきますが、確かに自治監査はおっしゃるように当該局長がやる、あるいはまた当該局長が命ずる者ということで、特に近畿郵政局ではこういう形になっております。監査回数は普通局では年間四回、特定局では年間二回、大体三カ月ごとに適当な時期にやれということで、実施責任者は主管業務の課長、分課未設局は局長代理、集配特定局にあっては局長代理、局長の職務を代行すべき局長代理がやるということになっておりますが、これは膨大なる数でありますから全部はできないので、いわば抽出方式によってやっているというのが実情であります。  そこで、実は、肝心なのは、抽出の方法というものが明示されていないで、任意に抽出をしてやれということになっているわけでありますが、そうなりますと常に漏れているというものが存在し得るということがあり得るわけであります。この抽出の方法が明示されていない。どこの規定を見ましても実は抽出の方法というものが明らかになっていないところに問題があるのじゃないだろうかと私は考えますので、その辺の点も簡易保険局長として指導を十二分にしていただくのがいいのではないだろうかと思いますので、その辺のところをお答えいただきたいと思います。
  99. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 ただいま先生が御指摘になりました点等も含めまして、現在行われておりますそういった各種の防犯施策というものにつきまして、大体いままで長年かかりましてこれが一番いい方法であるということで練り上げてきたものというふうに理解しておりますけれども、なお、この際もう一回見直しをして考えてみたい、かように考えております。
  100. 野口幸一

    ○野口委員 私も長年事業に携っておった者の一人として、この監査を実際に知っておるわけでありまして、むだであるとかあるいは間違っているという意味では決してありませんけれども、一番肝心な抽出をしていく上に当たっての方法が抜けておったような気がするのです。抽出をして監査はしているのだけれども、どの点でということは決められていないで、あるいは局によっては、たとえば地域別に何町から何町までは第一期にやるとか、次の町はここからここだというようにやっているところもありますけれども、長きにわたりますから、必ずしもそれがきちっと巡回できていないというところに抜けがあったということを指摘できると私は思うのです。  規定を調べましたところ、確かに抽出方式にはなっているのだけれども、その抽出の方法はどうしなさいということには触れられていないのです。それは自主的にやれということなんでしょうけれども、それがないので、むしろそういうところに穴があったのではないだろうかという気がしてなりません。  それは単に貸し付けだけの事故ではありません。その他の事故もございますが、先ほどの大臣答弁じゃありませんけれども、私どもも切磋琢磨してお互いにこういう事故を未然に防いでいかなければいけませんから、何も業務を繁雑にしろという意味ではありませんけれども、押さえるべきポイントを的確に指導した自治監査というものを今後とも御指導いただきたいということを付言いたしまして、私の質問を終わります。
  101. 松本七郎

    松本委員長 午後一時四十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十二分休憩      ————◇—————     午後一時四十二分開議
  102. 松本七郎

    松本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。島本虎三君。
  103. 島本虎三

    ○島本委員 簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律及び資金運用部資金法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、なかなか長たらしいのでありますが、いままでいろいろ議論のありました点を後で集約だけはすることにして、るる省略したいと思うのであります。  しかし、本題にも関係がございますのでこの際どうしても大臣に聞いておかなければならないことは、従来から数年間にわたって郵政関係法律の中に、「逓信大臣」及び「逓信省令」ということを引例をしている法律や政令が依然として残っているのであります。逓信大臣及び逓信省令は読みかえ法があるからそれでいいという見解のようでありますが、読みかえ法はあっても、同じ法律の中に「逓信大臣」、「郵政大臣」と二つの名前があると体裁が悪いのです。前に、井出郵政大臣のころには、全部これは次の機会に改正するというような積極的な発言があったわけですが、依然として改正されておらないままに、いま本法律案の審議に入っているわけであります。  これは一体やる気があるんですか、ないんですか。ないとすると、いままで私に言ったことはまさに国会を侮辱する言葉になるのでありますが、この点はどうなんですか。
  104. 河野弘

    ○河野(弘)政府委員 お答えいたします。  先生からいまお話がございましたとおり、昭知三十三年ごろでございましたか、逓信省という名前に名称を改正したいということで国会に提出を……(島本委員「そんなこといいんだよ」と呼ぶ)はい。四十年代に、法律改正に当たりまして逓信大臣の名前を郵政大臣に変えたことがございます。しかしながら、非常に申しわけないところでございますけれども、その後一括改正ということはいたしておりません。今後できるだけ早い機会にこれをしたいと考えておるところでございます。
  105. 島本虎三

    ○島本委員 しておりませんと言うが、おらないのが当然なんですか。おらないのは怠慢なんですか。そこなんです。  郵便為替法、電波法、日本電信電話公社法、電話加入権質に関する臨時特例法というようなものは全部逓信大臣になっておるのです。逓信省令になっておるのであります。もしこれをやる意思があるならば大臣——大臣大臣……
  106. 松本七郎

    松本委員長 大臣、聞いていてくださいよ。質問中だから。
  107. 島本虎三

    ○島本委員 これは国民金融公庫法及び沖縄振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案を出したときに、すでに同じような条項で郵政省設置法の一部改正法案も改正しているんです。それと同時に、郵政事業特別会計法の一部を改正しているのです。それから郵便法の一部も改正しているのです。一緒にこれはやっているじゃありませんか。そして同時に、今回、この前の国会で通った有珠の火山なんかを含めた活動火山周辺地域における避難施設等の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案等、本法を改正するほかにこれに関係ある法律は全部改正しているのです。すなわち災害対策基本法の一部を改正し、それから気象業務法の一部を改正し、国土庁設置法の一部を改正しているのです。森林国営保険法の一部も改正しているのです。やろうと思えばこれは一挙にできるのです。いまこの法律の審議中に、いままでのこういうものに対してそうするということをなぜぴしっと決めないのですか。ほかの法律でやれて、郵政省関係だけなぜやれないのですか。  大臣、これはやる意思が官僚にはないんじゃありませんか。
  108. 服部安司

    服部国務大臣 先般もたしかそういった御意見を拝聴いたしました。早速いろいろと関係者を集めて御提案の問題について協議をいたしました。率直に申し上げて私は、この際もうやってしまえ、逓信省に変えることもいいじゃないかと、これは内輪話を全部しますが、提案いたしました。そのときに集まったのが、たしか事務次官以下関係幹部だったと記憶しますが、確かに御指摘のとおりに、まことに理解のできない内容のものがたくさん残っていることも事実であるのだから、この際すっきりしたらどうだということで実は検討いたしました。  いま官房長が御説明申し上げたとおりに、かつて、逓信省にしようということで、昭和三十何年かに一度国会にお願いを申し上げたようでございますが、そんなものは元の名に戻すことはないじゃないかという簡単な一言でこれがおねんねしてしまったという経緯もこれあり、官僚皆様方はやはりそういった時点のやりとりにある程度こだわっているんではなかろうかと思いますが、やりたいという意欲は、正直言って余りありません。しかし、私はいいのじゃないかと言うのですね。逓信省の方がいいのじゃないかという考えを持っておりますので、もう一度時間をおかしいただいて、私は前向きで取り組みたい。  しかも、きょうは野党の実力ある島本先生の御指摘だから、これは与党がまとまれば与野党一体になってシャンシャンとやってもらえる可能性もあるわけですから、二十年前にそうやりたいということで電気通信なんとか法の改正のときにお願いしたらしいのですが、そのときにもとに戻ることがあるかという一喝で引き下がったということですから、ひとつそういう前向きの姿勢で真剣に取り組んで、短時日のうちに結論を出したい。私は意欲的でありますので、少し時間をおかし願えるならば大変幸せだと存じます。
  109. 島本虎三

    ○島本委員 一つ法律の中に二つの名称があるのはみっともない。どっちかにするならすればいい。しないともするとも限らないままにこういうふうに宙ぶらりんになっている。こういうような態度がいけないと言うのです。やるやると言いながらやらないでいる。これは怠慢だと言うのです。この次に逓信委員会をやるまでにきちっとして……(服部国務大臣「はい、わかりました」と呼ぶ)では、きちっとするように、この点を強く要請しておきます。  本題に入ることにいたします。  簡易保険の目標額についてちょっと伺いたいのでありますが、この簡易保険の目標額はどのようにして設定しているのですか。
  110. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 簡易保険の目標額は、従来の実績とそれから経済等の状況あるいは募集力と申しますか、いわゆる簡易保険に従事する職員の募集力といったもの等を勘案いたしまして設定いたしております。
  111. 島本虎三

    ○島本委員 この設定についていろいろないきさつがあるようです。これは昭和四十九年に、いわゆる七四秋闘というころにこの問題も取り上げられて、当時は特にひどい事件があった。これについて、簡保奨励に関する非違事件絶滅に関する申し入れが郵政省になされておるようであります。自殺者があったり、または傷害事件があったり、不正事件があったり、いろいろなことがあった。そしてその申し入れが一九七四年、昭和四十九年の十二月七日に郵政省の方に全逓からなされておるのであります。それに対して今度は返答が四十九年十二月二十三日になされております。募集活動の適正化を図りますということであります。そして、同じく四十九年の十二月十九日には通達を出しております。これによってきちっとされておると私は思っているのです。  そして、この簡易生命保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議がつけられた。この際には、郵政大臣が、「近年、募集方法を中心事業の信用を失墜させるような問題が数多く発生いたしましたことはまことに遺憾であります。省といたしましては数年来真剣にこの問題に取り組みまして、事業の体質改善に努め成果をおさめつつあると考えておりますが、今後なおこの努力を重ねまして国営保険としての使命を損なうことのないようにする必要があると痛感いたしております。」と所信をはっきり述べているのであります。しかし、実際を見ると、果たしてこれが改正されているのかどうかわからない。予算の目標額と実績を見ますと、確かに目標額よりも実績は下回っている。しかし、奨励目標額で見ると、その実績が逆に上回っているわけです。このようにこの奨励目標額が上回っているのは、これはもう通達を守らずにしりたたきをしているということになるのじゃないですか。このことなんであります。  私はこれは重大だと思うのですが、そんなことをやっているのですか。やっていないと言うでしょうけれども、一応伺います。
  112. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 先生がおっしゃいますように、この数年来、募集活動の適正化という問題につきましては省といたしましても一生懸命取り組んできたところでございまして、あくまでも国営保険としての品位と節度を持ってお客様本位の募集について配意をして努力をしていく、こういうことで努力をしているつもりでございます。  ところで、いまお尋ねの募集目標の問題でございますが、いまおっしゃいました予算目標を実績は下回る、ところが、その奨励目標は実績が上回っている、こういうお話でございますが、目標の立て方でございますけれども、最近の保険の目標の立て方は、低目標主義と申しましょうか、予算目標よりは奨励目標を一応若干低目に立てまして、全局が無理なくその奨励目標というものを達成できるようにすることによってまたさらに意欲もわくのではないかということで、実際の各局への奨励目標というものは、集計いたしますと予算目標よりも低いという形で立てているわけでございます。したがって、奨励目標を上回って実績があるという形が実際には出てくるわけであります。  ただ、御指摘のように、この数年間、予算目標には残念ながら実績が到達していなかったというふうな状況があるわけでございます。
  113. 島本虎三

    ○島本委員 そんなことを言っても、昭和五十二年度のものを見ると、予算目標は三百四十億ですか、見込み額は三百四十四億になっておりますよ。これは予算額よりも上がっておりますよ。  そのほかに、やはりこれは制度そのものにも問題があるのじゃないかと思うのであります。現場の意向を聞いてみたのでありますけれども、必ずしも皆さんが言っておるようなものでもないようであります。陰に陽に、間接に慫慂している。こういうようなことはわかりませんか。
  114. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 いま申し落としましたけれども、過去数年間予算目標を達成しなかった。いま御指摘のように、五十二年度におきましては予算目標をようやく達成するという形が出てきたわけでございますが、これは予算目標自体の設定におきましても、その伸び率というものを最近は低目に見ておりまして、そこで、実績と予算目標というものはだんだん接近し、達成することができた、こういう形でございます。  それから、五十二年度に至って……(島本委員「やったかやらないかの答えでいいんです」と呼ぶ)いまお尋ねの件でございますが、これは外務の保険の募集という仕事につきましては、一人一人が意欲を持って、また十分な知識を持って募集活動を行うということでございませんと、お客様をそれぞれ訪問し、面接して、いわゆる生命保険の機能というものを御説明いたしてそこで契約が成立するという形でございますので、いろいろと十分な能力の練磨、訓練というものもやはり必要でございますし、また、まず基本的に意欲づけというものが必要でございます。そういった意味におきまして、各職場におきましてそれぞれそういった意味の打ち合わせなり研修、訓練というものも十分にやっておるわけでございます。  したがいまして、各職場の方の希望とか意見というものもそういった打合会等におきまして聞くという機会もあるというふうに考えているわけでございます。
  115. 島本虎三

    ○島本委員 答弁をもう少しきちっとしてもらわないと、下回っていると言えばそのとおりだと言うが、そのとおりじゃない。五十二年度にはちゃんと予算額が上回っている。今度は奨励目標額というのはみんな上回っているのですよ。  そのほかに、制度的には教育訓練、それから募集技術指導制度、表彰制度、優績者制度というものがあって、達成した者を海外にまで出している。それも特定の人を出している。差別があるという声が職場に満々として渦巻いている。こういうような中で幾らりっぱにやっていますと言ったって、そういうふうなことは聞こえませんよ。表彰の制度に不満を持っている人もいる。平等じゃないですからね。結局はこれはしりたたきにつながるんじゃないか。  こういうものはもう一回検討してみる必要があるんじゃないかと思うのですが、大臣、どうですか。
  116. 服部安司

    服部国務大臣 実態を早急によく調査いたしまして、御指摘の点が事実であれば十二分に再検討いたしたい、かように思います。
  117. 島本虎三

    ○島本委員 そういうふうにして成績を上げる。しかしながら、大臣、そういうふうにするよりも、週休二日にもっと取り組むべきじゃないでしょうか。大臣も週休二日制は時代の趨勢だというふうに言ったということを承るのでありますが、それはまさに先見の明ですよ。郵政審議会の答申の中にも週休二日制に触れているはずです。審議会の方でそういうようなことになるならば、それをもとにして考えなければならないはずであります。  そこで、どういうふうにこれを具体化するのかということ、これが問題だと思うのであります。公務員の場合は、試行して、本年四月からまた一年間は再試行するというようなことに決定しているのであります。銀行関係の労使は一致してこれを実施することに決まっているのであります。大臣はもうすでに御存じのように、金融機関の週休二日制に関する小委員会決議として、大蔵委員会では昭和五十三年三月二十八日に決議しているのであります。この中には、「郵便局、農協等関連する諸機関の週休二日制もあわせて実現されること等が必要である。」と明確に言い切っているわけです。大臣ももうすでに時代の趨勢だと言う。そうすると、国務大臣として、銀行法の十八条を改正するためにいまこそ努力すべきじゃありませんか。それと同時に、週休二日制に取り組むという時期も、大臣としてもう明示してもいい時期じゃありませんか。そして、今後は完全実施に向けての準備行動に着手すべきじゃないかと思うのであります。  しりたたきばかりやらないで、そういうふうにやるのが新しい郵政だ、先行性のある行政だ、こういうふうに私は思うのでありますが、諸般の事情からして大臣の決意を聞いておきたいのであります。
  118. 服部安司

    服部国務大臣 去る大蔵委員会の決議も承知をいたしております。決議の中に、郵便局並びに農協、関係金融機関も同調すべきであるという大変御親切な御決議も記憶いたしております。  服部が郵政大臣立場で、週休二日は時代の趨勢でありますと言ったことも確かに記憶いたしておりますし、また、私は、いろいろな機関の方々と週休二日制実施についての話し合いも過去数回いたしましたが、そのとおりに申し上げてまいりましたし、現在もその考え方に何ら変わりはございませんが、郵政大臣という立場で判断をいたしますと、まず、一言で言えることは、私は官公庁関係ではどの省にも一歩もひけをとらないような措置を講じたい。しかし、国民に多大のサービス低下を来たす危険があるような週休二日制ということになると、いま御指摘のとおりに、やはり事前に対策を立てねばならない。  大蔵委員会の決議の内容から考えますときに、私の方には窓口業務が占める比率がきわめて低いことは島本先生御承知のとおりであります。外務職員も同様に、郵政省という立場ですべての職員に週休二日制の実施をしたいという立場から考えますと、これはなかなか容易ならざる問題があるわけでありますことは御案内のとおりであります。  しかし、私が先ほどあえて申し上げたとおりに、他の官公庁の二日制実施にはわが郵政省はひけはとりません。しかし、それがためにはいろいろな手当てをせねばならない。したがって、五十二年度の試行が余り効果を上げることができなかったので、五十三年度再試行が行われるわけでありますが、私も関係閣僚協議会の一人といたしまして、先般この問題で郵政省立場で発言もいたしましたし、この提案に全面的に賛成いたしましたが、しかし、先ほど申し上げたとおりに、サービスの低下を来たさないためには定員の増を要望せねばならないという問題も起きてくるわけでございます。  こういったこと等も総合的に判断いたしまして、さらにいま私が考えていることは、一日二回の配達にどのように一体対処するか、また、山間僻地、高層建物に対する郵便物の配達はどのような手当てをするかといったようなこともあわせて検討を加えている状態でございますので、この点御理解を賜りたいと存じます。     〔委員長退席、米田委員長代理着席〕
  119. 島本虎三

    ○島本委員 踏み切る時期はいつか、実施に向けて準備体制に着手すべきだというようなことを具体的に私は聞いているのですが、その具体性については発表できませんか。
  120. 服部安司

    服部国務大臣 これは官公庁は同時にスタートせねばならないと私は思います。一部分の機関が週休二日制が実施されているのにある省ではできていないということには私は納得ができない。したがって、もうすでに準備行為に入っているといっても、これは理解の仕方でありますが、五十三年度から再試行に入ったことも一つの準備であります。  おのおのの省においておのおのの業務内容によって試行する、試し行うですから、この結論が出るのが五十四年度でありますから、広い意味から言って、もうすでに準備体制に入っています。官公庁が一斉にやっているわけであります。
  121. 島本虎三

    ○島本委員 もう一つ、国務大臣として銀行法十八条改正に努力してもらいたいという意見ですが、これには返事がありませんが……。
  122. 服部安司

    服部国務大臣 郵政大臣と国務大臣と使い分けられると私も非常にあれなんですが、確かに法制上は御指摘どおりであります。しかし、おのおのの立場から言って、よその所管委員会に余りくちばしを入れないようにしようということは暗黙のうちの了解とひとつ御理解いただいて、まことにわかったのかわからないのかわからないような答弁になりますが、よろしくお願いをいたしたいと思います。
  123. 島本虎三

    ○島本委員 まことに遺憾な答弁でありますが、もう少し思い切って言ったって人畜に被害はないですよ。そんなところまであなたは考えなくてもいいんだ。もう一回答弁し直しませんか。
  124. 服部安司

    服部国務大臣 前段の御答弁で島本先生の意のあるところに十二分に答えたと私は理解してほしいんですが、いかがでしょうか。  準備行為に入ったというところは、五十三年度も再試行に決定をしたということは、いわゆる準備行為じゃございませんか。では、五十三年度で再試行ですから、どんなことがあったって五十四年度にどうするかということを国民に、少なくとも国会に向かって答えねばならない立場に相なるわけですから、私はこの時点で本当の国務大臣としての——そのころには首が飛んでしまってもうおりませんから大変無責任なことになるかもしれませんが、再試行に踏み切った、これで島本先生の服部にたださんということには十二分に尽きていると思うのですが、この点御了解願いたいと思います。
  125. 島本虎三

    ○島本委員 私は時間が惜しいのでありますが、良識を信じておきたいと思います。一日も早くこれを実施するように、そしてやってもいいように郵政審議会でももう言っているでしょう。もうすでにあなただって決意表明しているんだから、もう少し、一歩、二歩出てもいいんです。慎重の上にも慎重であるようですが、この点だけはもう少し出てもいい、言ってもいい、やってもいいということなんです。もちろん準備はしているようでありますが、それでいいということであります。  次に、先般からずいぶんと問題になっている相模大野郵便局のあの大事件があり、そしてまた今度は目黒のあの大事件があったわけですが、これは生保の貸し付け約千五百万円のようでありまして、これをまた主婦がおかしいということで発見したというんです。これは主婦がおかしいと言わなければ発見できなかった。先ほどからいろいろ言われておりますが、これは保険でもやっているし、原因は一体どうなんでしょうか。いろいろ言っているのでありますが、もう一回私は念のために聞くんです。  こういうようなことが六年間もわからないでおって、五十五回もこういうような事件を連続して積み重ねておいて、これが専門の監察官がいてもわからないで、素人の主婦がおかしいということで発覚した。一体これはどういうことなんですか。聞くところによると、監察は考査に二度目黒郵便局に入っているじゃありませんか。それが発見できない。そして一主婦がおかしいという申告によって発覚した。これは一体どういうふうなことなんでしょうか。私はその点がわからぬのです。監察制度としてあるのでしょう。制度としてあっていながら専門官がわからないで、素人がそれを見つけた。どこかに欠陥がありませんか。  これは重大なことでありまして、こういうばかなことは許されないですよ。監察の役目を果たしていないじゃありませんか。これでは、この制度があってもきちんと運営されていないじゃありませんか。原因は一体どこにあるんですか。
  126. 日裏泰弘

    ○日裏説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘の目黒局の保険の犯罪でございますが、この事件が起こった原因から申し上げますと、この被疑者は経理担当の主任でございました。そういったことで、貸付監査票の保管とか受け払い、あるいはまた契約原簿の取り出しといったようなことが自由にできる立場にあったということも一つの大きな原因だと思います。それから、また、管理者もこの被疑者を過信しておりまして、貸付監査票の実数調査を被疑者に任せきりにしていたということ、これも一つ原因であります。それから、即時払いによる貸し付けに当たりまして、貸付調査票の検査印が盗捺されているということに管理者が気づかなかったといったことなど、言うなれば防犯管理体制が十分でなかった点が本件の犯行を容易にしたものだと思います。  これが原因だと思いますが、ただいま監察が考査に入っていながらなぜ発見できなかったのかということの御質問でございますが、御指摘のように六年半にわたって犯行が行われておりますが、その問考査は、四十九年二月と五十一年八月の二回実施しております。本件の貸付金横領あるいはまた貸付弁済金横領を考査で発見するためには、郵便局にありますところの帳簿の点検だけでは非常に困難でございまして、やはり、契約者が所持しております保険証書を引き揚げて郵便局の貸付監査票と対査する必要がございます。それから、また、保険料横領の場合には、契約者が所持しております領収帳というのがございますし、それから郵便局の受入票がありますが、この領収帳と受入票と対査する必要があるわけでございます。このために、考査におきましては、契約者を抽出いたしましてこのような引き揚げ対査を実施しているわけでございますが、御承知のように限られた日数と要員のもとでの考査でございますので、その抽出数にもやはり限度がございまして、潜在している犯罪のすべてを発見することは容易でない実情にあるということでございます。  そういったことでございますので、私どもも、この事件の発生後、今後考査に当たりましては引き揚げ対査といったことを充実いたしまして潜在犯罪を早期に発見するように努力してまいりたい、かように存じている次第でございます。
  127. 島本虎三

    ○島本委員 結局は、現在監察制度があり、考査に入ってもわからない、盲点があったということですが、これに対して今後はどういうふうにするのですか。  いろいろなことを言っても、今後は絶滅を期することにしても、次から次へと出てくる。これはもう重大な問題じゃないかと私は思うのです。こういうような問題があったならば今後は発見はできないんだと、こんなことを監察自体が白状しているようなものです。  大臣、それでいいんですか。本人は千五百万円の返済の能力があるんですか。ないと私は思うのであります。それと同時に、この監察行政自身に問題点があるかないか。大臣、これはきちっとすべきじゃありませんか。  郵政省が弁済しなければならないような犯罪並びに事故に対しては、郵政の監察はさっぱり動かないと言われている。そして、監察行政が成績至上主義是認を前提にしていると言われている。そして、その制度の運営がそれによってやられるとするならば、どうしてもこれはゆがめられる。中には、成績至上主義をとったら労働組合の運動にまで介入せざるを得ないような状態が現出される。こういうような姿勢自身が問題じゃないかと思うのですが、この際姿勢を正して、未然防止を使命とした本来の監察制度をはっきり樹立すべきだと思うのであります。  同時に、せっかく組合があるじゃありませんか。組合活動を通じてでも、相互牽制機能を十分発揮させるように認めてやるべきじゃないかと思うのであります。成績万能主義はどうしても廃止するようにしないといけませんし、監察自体も、これによって監察を行えばゆがめられますから、そして同じようなことがあってもいまの場合では監察が発見できないのですから……。  専門家がわからないで素人がわかっているのが目黒事件の特質でありますが、監察制度がありながらこういうようなことは許しておけないと思うが、大臣、どうですか。
  128. 服部安司

    服部国務大臣 午前の委員会で野口先生から体験の上からきわめて貴重な御提言をいただいて、私がきょうまで考えてきた監察のあり方というものに大きな前進のチャンスを与えていただいたと考え、これを加味し、検討を進める考えでありましたが、ただいままた島本先生から監察のあり方についての御指摘でございました。  私は、監察というのは犯罪検挙であってはならない、いわゆる防犯体制の確立を期すのが本当の使命だとかねがね心得ておりますので、この目黒の保険の事件についても、連絡を受けてすぐに関係局長、首席監察官を呼んで、こういったまるで考えられないような犯罪がなぜ起きたのかと——考えられないというのは、朝の野口先生御指摘のように、六年有余の間続いたということで、チェック機関がないのかと素人なりにかなり厳しく問い詰めてやってまいりました。  今後はこういう問題を起こしてはならない。犯罪を起こす本人は覚悟の上であろうが、家族の気持ちはまたきわめて深刻なものだからということで、私は悲劇という言葉をあえて使っているのでありますが、これは社会問題である。いわんや、朝から晩まで金銭を扱っているわけですから、これは最も犯罪に陥りやすい立場に置かれている。私はきわめて厳しい姿勢で、監察関係者はもちろん、監督指導する立場にある者も総力を挙げて犯罪防止に真剣に取り組んでまいる方針の確立も図っておるのでありまして、けさほどここで詳細に、こういう経過をたどってこういう方針を立ててこういう措置を講じておりますということを御報告申し上げましたが、またこれを報告申し上げると時間が長いというおしかりを受けると思いますので、後でゆっくり御報告しますが、とりあえずそういったことで完璧を期して防犯体制の確立を図りたいと思っております。  一人の犯罪者も出してはいけない、また、利用者に迷惑をかけてはいけない、国に迷惑をかけてはいけないということを目標に掲げて必死の努力を払っているところでございますので、この点よろしく御理解を願いたいと思います。
  129. 島本虎三

    ○島本委員 その決意は痛いほどよくわかるのでありますが、制度そのものが機能しないということになったらいかに決意をしてもだめなのでありまして、機能させるようにきちっとさせないとだめです。いまのは盲点がありますよ。その盲点をきちっと整理して、そんなことがないようにしないといけないと思う。十分なその準備もあると思いますが、それは今後再び起こさないようにすることを心から望みます。  午前中の質問は私は本当に傾聴したのでありますが、志賀委員質問はまことに格調も高くて、参考にもなったのであります。そして、山花委員の発言を引用されたのでありますが、五十二年十月二十七日の委員会ですが、この余裕金なんかを自主運営した場合の過去十年間の積立金ですか、七百七十億円、簡保の全体の利回り効果は〇・一八%というふうになかなか興味のある質問答弁があったわけであります。そして、五カ年間にこれをしぼってみると六百六十三億円、簡保の全体に対する利回りの効果は〇・二五%だというようなことがありました。  それで、簡易保険関係で出している雑誌に「展望」というのがありますが、この「展望」で見ると、余裕金を積立金と同様に運用すれば五十一年度で約二百億の増収になると書いてあるわけでありますが、五十三年度で直接運用したら幾らくらいになるのですか。
  130. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 これは年度によって金利体系が大分動いておりますので、五十三年度については、まだこれからの動きも予想されますので計算がむずかしいところで申し上げられないわけでございますが、五十二年度で申し上げますと、五十二年度中も金利改定が二度ございましたので相当動いておりますが、五十二年の十二月ごろの金利で申しますと大体九十億ないし百億、こういうことでございます。
  131. 島本虎三

    ○島本委員 五十二年度は動いている。では、法律が改正になったとして、いろいろ動いている点はわかりますが、五十三年度にして見たら、アバウトでいいですが、どれほどになりますか。
  132. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 アバウトというお話でございますが、まだ五十三年度に入ったばかりでございまして、現在長期金利の低下等が行われているところでございますので、全体の金利のおさまりがございませんと五十三年度の予測は不可能でございます。  残念でございますが、アバウトというのもちょっと申し上げられない、そういうかっこうでございます。
  133. 島本虎三

    ○島本委員 私の計算によるとアバウトで三百億。そうすると、いまの運用法の改正で四十億の増収になるとしたら二百六十億の差が出ているわけです。自主運営できないために加入者にそれだけ損を与えているということになるわけであります。こういうようなことからして、こうなってしまうと、なるほど志賀委員がおっしゃるようにもっともっと哲学が必要でしょう。この問題に対してはきちっとした哲学を持って臨むということがいよいよ必要になるでしょう。また、そういうようなことにしても、郵政省と大蔵省との問でいろいろと問題があって、これは決着はつけられないような状態になっていることは午前中のその議論でわかったのであります。  しかし、大臣、逓信委員会では附帯決議がついているのです。第八十回国会でも簡易生命保険法の一部を改正する法律案に附帯決議がついているのです。これは「簡易保険余裕金は、本来積立金と同一のものであるので、積立金として直接運用できるよう制度の改正を検討し、もって加入者の利益の向上に資すること。」ということであるが、今回この法律案が出たのは、この附帯決議に沿っていない。制度の改正ではない。そうすると、これはせっかく満場一致で決めた附帯決議ですから、執行機関としてはこれを守る義務があるわけであるし、また、政府与党としても、政権担当の責任政党として、満場一致の附帯決議ですから、これを実施できないなんていうことはあり得ないわけでありますが、これは国会軽視にもなるんじゃないか。同時に、満場一致ですから、自民党さんの人も共産党さんの人も、もちろん社会党も公明、民社も、新自由クラブもみんないるんでしょう。満場一致で決めたらお互いが拘束されるじゃありませんか。それがなぜできないのですか。できないということは郵政大臣責任にもなるじゃありませんか。まして、大臣は、前には通信部会長もしていたお人じゃございませんか。せっかく決議をしながらも、満場一致ですから拘束されるはずのものが全然機能していない。こういうふうなことは国会軽視じゃないかと私は思う。  こんなことを繰り返されたらとんでもないことになるんじゃないかと思うのでありますが、この点についてはどうなんですか。これであたりまえなんですか。
  134. 服部安司

    服部国務大臣 国会を軽視する考えはゆめゆめ持っておりません。私も島本先生同様やはり国会議員でありますから、みずから国会の権威を失墜せしめる行為がどうしてできるでありましょうか。  私が郵政大臣に就任いたしましたのはちょうど予算編成の直前でありました。就任と同時に予算編成に取りかかりまして、これはもう国会の附帯決議でありますから、これを前面に押し立てて、事務当局と一体になって大蔵省と最後のぎりぎりまで交渉を続けたことは御案内のとおりでありますが、大蔵官僚というのはきわめて厳しい人の集団で、先生方がこの国会で附帯決議をしてくださったなればこそ、せめて四十億のいわゆる利率の改定でもまだできたのであって、役人や微力な服部郵政大臣の力でできたとは私は決して思っておりません。これ一つ見ていただいても、こういう考え方を持っていること自身が国会軽視ではないということを御理解いただけると思います。  しかし、そのうちに先生方も天下をとられて、予算編成をやられる時期がそう遠くはないと私は思いますが、その段階になったときには御理解願えると私は思っていますが、全体の国家予算の終末をつけるときには、もうそれは大変な大騒ぎが起きるのです。  そこで、私たちは最後までこの決議の趣旨に沿って自主運営をいたしたいと考えたのでありますが、時間の関係でことしはこの程度でやむを得ない、時間的にどうにもならないというわけで、先生方のお力で在来よりか一歩前進ができたということでひとつ御理解を願いたい。  もちろん、これでよいとは考えておりません。今後とも一層の努力を積み重ねて、御指摘のとおりに附帯決議の趣旨に沿うように、自主運営の目的を達するように懸命の努力を払ってまいります。
  135. 島本虎三

    ○島本委員 この自主運営に対して障害になっているのは、郵政省自身の考え方と、それから大蔵省の考え方が大きいのではないかと思うのであります。  「国の制度、信用を通じて集まる資金は、主として国民の零細な資金であるので、これを預かる国としては、国民期待に応えてもっとも安全確実かつ公共の利益となるよう管理運用する責務がある。そのための有効な手段として考え出されたのが統合管理の方式である。この方式により国に集められた広い意味での財政資金は財政政策、金融政策との斉合性を欠くことなく全体としてもっとも効率的に管理運用されている。」というのが大体大蔵省の考え方じゃないかと思うのでありますが、大蔵省、そうですか。
  136. 森卓也

    ○森説明員 先生のおっしゃったとおりでございます。
  137. 島本虎三

    ○島本委員 また、郵政省の考え方は、「事業の収支の差、つまり過剰額を年度内は余裕金とし、年度決算終了後は積立金とするのは、単に会計整理上の区分であって、加入者のために有利に運用されるべき共同準備財産であることにおいては、余裕金と積立金は全く同じ性質の資金である。同じ性質の資金でありながら、余裕金は、資金運用部に預託する以外運用することができないので、積立金にくらべて不利に運用されている。要するに、簡保余裕金を積立金と同様に運用することが簡保資金運用制度改善の最大の課題であり、この実現によって加入者の利益を飛躍的に向上させることができる。」というのが郵政省の余裕金に対する考え方だというふうになっておりますが、そうですか。
  138. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 さようでございます。
  139. 島本虎三

    ○島本委員 そうすると、両方とも同じ国家で、一方は共同準備財産である、一方は統合管理の方式が正しいと、こういうふうに違ってきているのでありますが、こういう違うことをやっていたならば、附帯決議をつけても官僚に押しまくられて、ついにどうにもならなくなってあっぷあっぷするのが郵政大臣の宿命であるというふうなことになってしまうじゃありませんか。こうまではっきりしたならば、この問題に対してきちっとさせるのが郵政大臣の責務だと私は思うのであります。  国の制度、信用を通じて集まる資金は安全確実かつ公共の利益となるよう管理運用する責務がある、そのためには財政政策、金融政策との斉合性を欠くことなく全体としてもっとも効率的に管理運用すること、すなわち統合管理方式が正しいのであるという、この考え方に対して、郵政大臣はどういうふうにしてこれに立ち向かっていったのですか。決意を承りたいのであります。
  140. 服部安司

    服部国務大臣 御指摘のとおり、この集めた金は確実に守らねばならないことは言うをまちません。また、加入者のために非常に有利に利回りのことも考えねばならない責任があります。一方、社会公共のためにこの資金が大きく活用されて、初めて国民大衆のこの事業理解を示された一つの成果を期待をするわけであります。  それで、大蔵当局の考え方と郵政省の考え方はここに全く相反する点があるじゃないか、にもかかわらずわれわれがこういうことを附帯決議したってどうにもならぬじゃないか、もっとはっきりするべきだという御指摘でありますが、私はあながちそうとは考えておりません。全面解決に至りませんでしたが、先生方の強力な附帯決議と理解と協力によって、この自主運営は認められなかったけれども、事実利率の改定ができたということはやはり動いているという証左でありまして、先ほど来いろいろと申し上げておりますとおりに、私はこれでよいとは決して考えておりませんで、今後も必死の努力を払って所期の目的を達成いたします。ということは、その考え方は何も一生変えることはできないということはないわけでありますから、大蔵省が変えてくれるか、郵政省がこれはもうだめだからとあきらめてほうるか、この二つですが、私は決してあきらめてはおりません。最後までがんばります。  そして、そのときには、制度の改定ということは決して不可能ではないという確信を持って進めてまいりたい、かように考えております。
  141. 島本虎三

    ○島本委員 ここの中で「安全確実かつ公共の利益となるよう管理運用する責務がある」ということは、郵政省にやらせると安全確実ではなくて公共の利益にもならないというようなことに逆になるのですか。これは大蔵省に伺いたい。
  142. 森卓也

    ○森説明員 お答えいたします。  先生の先ほどの御質問は大蔵省の基本的立場はそういうことであるかということでお答えいたしましたのですが、別に、郵政省管理運用すると先ほど御答弁申し上げたようなことが否定されるということではございませんで、現に、簡易保険積立金につきましては、すでに分離運用が認められているわけでございますが、一般的に申しまして、国の集めました資金がそれぞればらばらに管理運用されるということになりますといろいろ問題が出てくるという意味で、先ほど先生の御指摘の点についてそのとおりだというふうにお答えしたわけでございます。
  143. 島本虎三

    ○島本委員 しからば、先ほどの質問の中で、いまのような原則の上に立って、余裕金というふうなものに対しても対象範囲の拡大等に努力するというふうな御答弁があったようでありますが、対象範囲の拡大というのはどういうような点までを考えておられるのですか。
  144. 森卓也

    ○森説明員 先ほど志賀委員の御質問に対しまして私が御答弁申し上げました点は、多少言葉が足りませんで、あるいは不十分だったかもしれませんので正確に申し上げさせていただきますと、従来、私どもは、簡易保険が民間保険会社と競合する事業を行っているという点につきましては十分協力をしているつもりでございまして、その一例として、たとえば簡易保険の私どもがお預かりいたしております余裕金につきましては、ほかの特別会計の余裕金と違って特別の利子を付してまいりましたし、また、今回の改正によりましてさらに一層運用利回りが上がるようにするということにしたわけでございます。  それから、運用対象範囲の拡大と申し上げましたのは、これは簡易保険積立金運用対象範囲でございまして、たとえば昭和三十八年七月に、資金運用部の資金につきましては運用を認められておりません電力債について対象範囲を拡大いたしましたし、それから四十九年の五月には、さらにそれを政令で定める社債というふうに広げまして、実際には政令で電力のほかにさらにガス、私鉄というところまで運用対象範囲を拡大することについて御協力を申し上げてきたということを申し上げたわけでございます。  さらに、あるいは財投編成の際には、簡易保険積立金につきましてなるべく有利な運用対象を充てるようにというふうに努力してきているというような意味でございます。
  145. 島本虎三

    ○島本委員 もう時間が来てしまったのですが、ここが大事ですから、無礼でありますけれども許していただきたいと思うのです。  それならば、今後は運用利回りの向上について、一般民保と簡保を比較して見て、総資産の投資別割合を生保協会調べで民保の場合を見ると、財務貸し付けが五十一年度末で六一・八%にわたって、これがいわゆる大きい比重を占めているわけでありますが、こういうような点でも、大蔵省では今後やはり考慮してもよろしいという決意でございますか。
  146. 森卓也

    ○森説明員 お答えいたします。  今回御提案をいたしております法律改正によりまして、従来とは違いまして、長期の資金とスライドして余裕金の運用利回りが上がるということになりますので、民保との格差は非常に縮小することになろうかと思っております。
  147. 島本虎三

    ○島本委員 どうも、時間がなくなれば肝心なところを言わないのですね。その辺まで考えて運用するのですかと聞いているのですが、その一歩手前でやめてしまうとは何事ですか。惜しいなあ。  六二%ぐらい民保でやって、これは財務貸し付けですね。簡保に比べてパーセンテージは上げているわけですね。現在そうなんですね。これが率からしてみてもちょっと高いわけですね。この六二%だけ全部運用しているのですから、そういうようなことを簡保にも将来認めてやるのかと言っているのですが、困ったものですね。  どうしますかね。やるって答えますか。では答えてください。
  148. 森卓也

    ○森説明員 先ほど御答弁いたしましたように、従来と違いまして——従来は余裕金の金利が固定しておりましたけれども、今回は長期金利にスライドすることになりましたので、本質的に利回りが向上するような制度改正だと思っておるわけでございます。
  149. 島本虎三

    ○島本委員 大臣、いまの答弁は聞いただろうと思うのですが、郵政大臣として、簡易保険の全体からの余裕金、積立金というようなものに対して、いま一生懸命あなたもやっているのでしょうが、大臣は経済閣僚会議の構成員ですか。
  150. 服部安司

    服部国務大臣 違います。
  151. 島本虎三

    ○島本委員 それなら、金集め機関だけにすぎないじゃないですか。肝心の、これを利用したり、これに強力に発言する場所になぜあなたは入っていないのですか。
  152. 服部安司

    服部国務大臣 いつもぼくもそのように考えるのですが、しかし、これは内閣で決められることであって、私から入りたいと志願するわけにもまいりませんし、いつも残念に思っております。  しかし、先ほど来大蔵当局も説明しておりますとおりに、官営業務として広く零細な金を集めて、これが利用者のためにもなり、また社会公共のためにもなるという仕事を任命されて、大変やりがいがあると私は考えております。
  153. 島本虎三

    ○島本委員 郵政大臣は、歴代の大臣と違って大蔵省に対する姿勢が弱腰じゃないかというふうに思われているのですよ。そこで、そうでないとする証拠の第一点としては、経済閣僚会議の中の構成員として、自分の部下が集めてきた金について、堂々とこれを発言して、これに効果あらしめることじゃありませんか。そこに入っていないで、ただ金集め機関の方だけ幾らやっても、これは弱腰だと思われてもしようがないじゃありませんか。辞表をふところにして、そしてそれくらいの決意を持って私は臨んでもらいたいのであります。
  154. 服部安司

    服部国務大臣 大変ありがとうございました。早速その旨官房長官に申し入れをいたしまして、大いに働き場を得たい。特に、島本先生からの強い要望だから、検討するように申し入れをいたしておきます。
  155. 島本虎三

    ○島本委員 これで終わりますが、ただ、郵便年金の加入者ホームについても聞きたかったのであります。しかし、時間が来てしまって、せっかく政府委員の人に来てもらいながら、あるいは他省からも来てもらいながら、この質問に入れなかったことをまことに遺憾とし、改めておわびをして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  156. 米田東吾

    米田委員長代理 鳥居一雄君。
  157. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 郵政省関係する公益法人でありますが、三つの団体がありますが、特に、財団法人簡易保険加入者協会を中心にいたしまして少々伺いたいと思うのです。  それで、郵政省はこの簡保加入者協会に対してどんな指導、監督を行っていらっしゃいますか。
  158. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 簡易保険加入者協会の事業につきましては、郵政大臣の所管に属する公益法人の設立及び監督に関する省令に基づきまして監督を行っております。  具体的には、加入者協会が毎事業年度ごとに提出いたします業務報告書、財産目録、貸借対照表及び収支決算書によりまして財務状況及び業務の運営状況を審査いたしますほか、事業計画書、収支予算書等の報告を求めることにいたしております。
  159. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 「郵政大臣の所管に属する公益法人の設立及び監督に関する省令 昭和四十八年一月十日」というのがありますが、この中で、「設立当初の事業年度及び翌事業年度の事業計画書及び収支予算書」について大臣は提出を求めて、そしてそれに許可を与えるというふうになっておりますけれども、現在ではこれはやられておりませんか。設立当初だけですか。
  160. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 毎事業年度ごとに決算時並びに予算時におきましてそれぞれ報告を求めております。
  161. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 事業を終えて三カ月以内に報告を出して、そして承認を求める。これはいいんですよ。いま現にあると思うのです。これからやろうとする事業計画をこの協会が決めて、それから予算について予算編成をして、そして決めるに当たって大臣の方に提出をし、許可を求めるようになっているのか、いないのか、その点はどうですか。
  162. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 これは、特に事前に許可を求めるという形にはなっておりません。
  163. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうするともうちょっと詳しく伺いますが、予算とそれから事業計画はいつの時点まで——設立当初ということになっておるのですが、いつの時点までそれをやってきたんでしょうか。  つまり、独立してちょっと道を外れていくことに対する指導、監督というものがきちんとできておるのかどうか。その決め手がこの辺にあるのじゃないかなと私の方では思うのです。
  164. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 設立当初はあらかじめということでございます。その後におきましては、各事業年度におきましては、それぞれそういった事業計画書、予算書等ができました際にそれを報告してもらう、こういう形になっておるわけでございます。
  165. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 要するに、終わってから提出をしてもらうということですね。  予算の段階、それから事業年度が始まる前に事業計画を提出してもらうということはあるんですか、ないんですか。
  166. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 これは形式といたしましては、いま申し上げましたように、それぞれ予算書なり事業計画書ができましてから報告してもらう、こういうことでございます。  ただ、現実の運営におきまして、その都度お互いにいろいろと意思の疎通を図っていくという形は行っているわけでございます。
  167. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それで、この加入者協会の実態なんですけれども、どんな収入の実態になっているか、これの資料を私の方で御提出をいただきまして調べてみましたが、大きく分けて三つあるわけです。それで、この加入者協会の本来の設立の目的は加入者の利益を図ろうとする目的なんですけれども、現実にやっていらっしゃる事業は大きく分けて三つあるわけですが、一つは出版で、二つ目は基金事業で、三つ目が受託事業ですが、こういう三つの事業中心にして協会が事業を進めていくというあり方というのをいまここで考えてみなければならないのじゃないかと実は私は思うのです。  出版事業ですけれども、五十一年度の収入と支出を見てみますと、出版事業というのは大体とんとんになっております。収入が七千万で、それから支出も大体その程度です。公益法人という立場と、また、この加入者協会の置かれた立場から黒字は出せないということでおやりになっていらっしゃる、その事業のうちの一つなんですが、この出版事業の目的は、簡易保険事業を進めていく上で、言ってみればPRに相当するものだろうと思うのですが、本来これは郵政省がやるべき事業じゃないでしょうか。どうなんでしょうか。出版事業について、いかがですか。
  168. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 この財団法人簡易保険加入者協会は、簡易保険加入者の会の使命遂行に協力して、簡易保険加入者の共同の利益と福祉の増進を図るとともに、簡易保険郵便年金事業の普及発展に寄与することを目的として設立されているものでございまして、したがいまして、ただいまお話がございました出版事業につきましても、やはり、そういう意味で簡易保険郵便年金事業の普及発展に寄与する、こういった目的に沿ってそのPRの一端を協力してやっている、こういうふうに私どもは理解しているわけでございます。
  169. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうなんです。ですから、この出版事業そのものがその会の目的に沿っていないと私は言っているのじゃないのです。確かに沿っているのです。沿っていますけれども、本来は郵政省の簡保局がやるべき事業の下請という形でやっているのじゃないか。そんなことはありませんか。  実態を申し上げましょうか。皆さんの出版活動なんですけれども、収入、支出の点についてこれを見てみますと、出版されたもののほとんどが郵政省買い取りなわけです。制作しまして、郵政省が買い取って、それでいろいろ普及活動に使われるわけですね。郵政本省の予算でそれを組まれておやりになるのだろうと思うのですけれども、そうなると、この出版活動そのものが実態において、PR部門の制作という裏方の働きを郵政省からそっくり下請をしてやっていらっしゃるという実態だろうと思うのです。それは否定するわけにいかないと思うのですが、どうですか、否定されますか。これはいい悪いという問題じゃないのです。     〔米田委員長代理退席、委員長着席〕
  170. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 ただいま先生から下請というお話がございましたけれども、この協会とは限りませんが、たとえば一つの他の会社あたりがこういった調査研究の雑誌をつくるとかいったこともあるわけでございまして、そういう場合にも私どもの方で必要なものとして、つまり、職員にそういったものを読ませて事業の知識をさらに大いに豊富にする。そういう意味におきましてはそういうこともあり得るわけでございますが、これは下請という言葉が妥当かどうか。私は、そういった面については下請とは言い切れないんじゃなかろうかと考えておるわけでございます。  それからまた、もう一つは、郵政省でつくる場合もあるわけでございますが、物によりまして、郵政省で作成しました場合には、郵政省が自分の中の機関に配付するということあるいは他に寄贈するということもございますけれども、たとえば雑誌等につきましては、郵政省以外の方あるいは職員個人がいろいろと自分で購入して読みたいというものもあるわけでございますが、そういった場合には、省がやるよりはむしろ第三者がやるという形の方が頒布あるいは入手という面では非常に便利でなかろうかということもございまして、こういった形がいろいろとられておるわけでございます。
  171. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 いや、そうじゃないのです。出版事業の実態は、定期刊行物を発行されているのです。その定期刊行物は数種類に上っております。たとえば「かんぽとくらし」とか、あるいは「みんなで考えよう」とか、「簡易保険創業六十周年記念事業史」というようなものの出版主は協会ですけれども、これはもう明らかに郵政本省のおやりになる仕事を実態において引き受けてやっていらっしゃるのだと私の方は受けとめているのです。これはだれが見てもそうだろうと思うのです。これが出版事業の実態です。  次に進みますけれども、基金事業というのがあります。実は、ここに申込用紙その他を見ていただこうと思って持ってきているのですが、基金事業の収入が五十一年度で十六億で、この協会の全収入の五一%に当たるものをこの収入に寄りかかっているという実態です。基金と言うのですけれども、実体は損保ですよね。本省でおやりになることを先取りしておやりになったというわけか、いずれにしても一口二百円という掛け金で、火災に遭った場合に五百六十万円の保険金を受けられる。そして、それによって入ってくる収入というのが十六億円です。基金事業という名前の掛け金を受けますが、これは実体において損保ですから掛け捨てです。入ってくる収入が十六億円で、出ていくものを見ますと、この年が大体五億三千万円です。ですから、名前は基金でありますけれども、掛け金に対してちゃんと災害見舞い金という形の補償をしていく、保険金を給付していく、こういう形の制度がこの基金事業なんですが、基金事業のこのあり方についてはどういうふうにお考えですか。
  172. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 この基金事業は、いまおっしゃいましたが、災害見舞い制度というふうにも申しておりますが、これは加入者の会の構成員が不慮の災害に遭ったとき、あるいはまた加入者の会に功労のあった者が死亡したときに見舞いの金品を贈るという相互救済の制度でございまして、この制度一つの見舞い制度であるということで、今後におきましてもその趣旨に沿って健全な運営が図られるように省としては指導監督してまいりたい、かように思っておる次第でございます。
  173. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 簡易保険加入者の何%がこの災害見舞い金の基金に加入されているのですか。つまり、掛け金をやっていらっしゃるのですか。  いま、簡易保険加入者が五千百万口ございますね。そのうちの大体どの程度がこの災害見舞い金によって、たとえば火災が出た場合に五百六十万円受けられるか。限度額を五百六十万として、実損てん補ということですから、それ以下の火災であった場合には損害補償はまるまる受けられる。それはどうなんでしょうか。
  174. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 分母となります簡易保険の加入者の数でございますけれども、契約件数はいまの先生の御指摘のとおり五千百万件余りございます。最近では五千二百万件というところまでまいったわけでございますが、先般私どもの方でいわゆる加入の実態調査というものをやりましたときの計数から申しますと、全体の世帯に占めるこの簡易保険の加入世帯は五六%余りというような計数になっております。  それから、また、一人で加入しておる契約の件数といったものから見ますと、加入者の実数というものは実は私ども把握しておりませんが、そういったことから推定して、全人口の大体三分の一程度の方が加入者としてお入りになっていらっしゃるんじゃなかろうか。これは加入者といっても広うございますが、この場合被保険者という形で申しましてそれくらいの数字ではなかろうか。分母の方が非常に不確定でございますので、それに対して災害見舞い制度にお入りになっている方のパーセンテージというものも非常に不確定な数字になるかと思うわけでございます。
  175. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それで、報告を受けて、一番新しい五十一年度で災害見舞い金制度に入っている人の数は出ていないのですか。
  176. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 報告を受けております数字では、大体百五十九万件というふうに聞いております。
  177. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうすると、百五十九万件が災害見舞い制度に加わっている。簡易保険の加入口数、契約数からいくと五千百万、人口の大体三分の一という押さえ方で推定すると四・四%ですよ。加入している方の四・四%がこの損保に加わっていらっしゃる。実体は損保です。  そうすると、この基金事業というものの役割りといいますか、比重といいますか、簡易保険加入者の皆さんのための協会がやっている事業の収入の五一%に当たる大きな割合を占めているこの一つ事業、それがたった四・四%の人のために動いている形、また、四・四%の人に支えられているということでしょうね。基金と言っていらっしゃるわけですからね。しかし、社会通念から言えば実損てん補であり、しかも五百万を超える見舞い金というにはちょっとけたの違うような大きさの保険金に相当するものがあるわけですよね。しかし、実態において、もちろん数理計算をしていないということが一つの隠れみのでしょう。これは保険じゃありません、損保じゃありませんということの一つのあかしとしてそういうことになっているんだろうと思いますが、実は、裏側でちゃんと計算しているんじゃないでしょうかね。帳じりをこうとって、大体こういうパーセンテージの中で支払いをしていかなければならないからこうであると——そうすると、この事業そのものはもっと大きく進めていっていいものなのか。あるいはこれ以上伸びちゃいけないと指導しているのか。要するに郵政省としてどういう形になっているのでしょうか。  これは本省でやらなければならない簡易保険局の新種の事業として、商品として、四十三年のこの簡易保険に関する郵政審議会が答申の中の一つとして損保を挙げていますよ。将来の商品として損害補償を考えていくべきじゃないかという指摘をしているわけですから、それとの兼ね合いにおいて郵政省としてはそれをどんどん進めていく考えであるとするならば、いつまでたったってできないだろうと思うのですが、その辺について、協会のやっていらっしゃるこの事業についてはどうなんでしょうか。
  178. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 この災害見舞い制度を先ほどもちょっと申し上げたわけでございますが、基金を拠出いたしまして加入者の会の構成員が見舞い制度に加入する、それに対しましてまた見舞いの金品が贈られるという面と、あわせてまた加入者の会に功労があった者が死亡したときにも見舞いの金品を贈るというような制度もございます。  全般的に見まして、保険的な対価関係をすべて基本として行っているわけではございませんので、そういった点では損害保険とは性格が違うんじゃなかろうかと私どもは考えているわけでございますが、お尋ねの第二点の郵政審議会の答申の方で、郵政省で簡易災害保険というような形のものを考えたらどうだというような御意見がございまして、これは四十三年の三月に答申をいただいたわけでございますが、この問題については、郵政省といたしまして、その性格なりあるいは方法なり形というものにつきまして別途いろいろと検討はしているわけでございますが、これと郵政省検討いたしております簡易災害保険制度という仮称のものと、それからこの加入者協会が現在やっております災害見舞い制度というものとは必ずしも相関関係ではないというふうに私どもは考えておりまして、その点では、協会の方がそういった見舞い制度をどんどん拡充していけば、郵政省の方は肩がわりされてこっちはやらないでいいんじゃないかというようなことではないと私どもは考えております。  この協会の災害見舞い制度につきましては、やはり健全な発展ということが大事だと思いますので、そういった面で私どもも日常の接触の中では話をしているわけでございます。したがって、非常にすそ野は広いわけでございますが、急激な膨張というものもまた健全性という面から見ればいかがであろうか。やはり、徐々の発展といいますか、こういったことが望ましいんではなかろうかというふうに考えております。
  179. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それでは、災害見舞い金の実態について、実態はどうなのかということについて申し上げますと、昭和五十三年四月一日現在でどういうふうな支払われ方をしてきたかといいますと、支払われた総額の九七・二%が火災の場合ですよ。死亡の場合に支払われたものもあります。この規定の中には死亡でもお見舞い金を出すという形になっている。しかし、比率からいきますと一・九%です。建物が全壊した、全流失したという場合にも支払われるとあるんです。この場合はどのくらいの比重かというと〇・六%です。  つまり、この見舞い金制度というのは、災害のための、特に火災ですが、これが九七・二%というシェアを占める。つまり、それは、支払われた五億二千万のいわゆる五百六十万を限度とする損保そのものだという実態じゃないですか。もちろん、一年間に二度そういう災害に遭った、二度お払いします——二度起こる可能性は非常に少ないだろうということもあります。しかし、二度払うなんという損保はないんですね。ですから、この数理計算がないということは、損保じゃないんだということの一つの理由にもなっているだろうと思うんです。  ですから、明らかにこれは見舞い金という形ではありましても、実体において損保です。仮に損保と言って間違いないと思うんです。だから、四十三年の答申で指摘されているとおり、郵政省がやらなければならない仕事なんです。そうすると、この保険金支払いは大変だからというので延び延びにされてきたという経緯なんかもありますけれども、おひざ元の協会がやっているのと、それと同じものはできないんじゃないですか。  そういう意味で、何かこれが四十三年答申を受けて以来ずっと検討がなかったみたいに思えてならないんですけれども、どうでしょうか。
  180. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 ただいまの先生の御指摘のように、協会の見舞い制度の中におっしゃるような部分もあろうかと思います。  全体としての性格づけといたして見ますと、損保とはまた違っているというふうに私どもは理解しているわけでございますが、それをやらせているから郵政省はやらないということではございませんので、ただ、問題は、損害保険という分野は、私どもがいままでやっておりますのはすべて生命保険の分野でございまして、それに最近始めておりますのが、いわゆる傷害特約とかあるいは疾病傷害特約というような第三の分野で、ここにようやく近年参入してきて、若干そこのところで経験を積み始めたという段階でございますので、生保の分野と損保の分野は相当内容も違いますし、それからまたいろいろの面で危険の負担という問題もやはり違ってこようかと思います。  そういったことで、私どもも未経験の分野であるだけに、いろいろと慎重に検討しなければならないということで研究はしているわけでございます。
  181. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 この協会の第三の事業であります受託事業というのがありますが、これは平たく言えば集金会社ですよね。いまのは損害保険ですから、損保会社といいますか、損害保険をうんと広げて、それで掛け捨ての費用で何とかしていこうという損保会社の面と、それから、この五十一年度の収入の中の四六・四%を占めているのが受託事業で、この受託事業というのは、簡易保険の保険料の支払いに当たって団体支払いというのがありますね。団体払い込みですね。それを肩がわりして協会が引き受け、その集金業務をやろうとするものですね。  そうすると、この集金業務を協会に委託して——もちろん委託する本体がありますが、しかし、委託をする形式は幾らでもとれますから、従来関東とそれから近畿という地域で協会がこれをやってまいりましたね。それを全国に広げる方針じゃありませんか。  ということは、いわゆる同趣同好の払い込み団体というか、旅行あるいは観劇というようなチャンスをつくろうとして十五人以上の皆さんが払い込み団体となってやってきたという場合、従来郵政省はそれを助成する方針できたのじゃないですか。助成をどんどんやりながら、今度は、東京、関東、近畿地方中心に、一都七県ですけれども、受託業務をやって、そして二%の団体割引をもって集金業務に充ててやってきた。そうすると、郵政省の集金業務の中で団体払い込みの占める割合が非常に大きくなってきた中で、その団体払い込みの同趣同好の会をどんどん指導育成していく方針ですか。これは変わりありませんか。
  182. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 御承知のように、簡易保険の払い込み団体の中で同趣同好団体というものにつきましては、そのあり方というものにつきまして、従前におきまして相当いろいろな面で御批判なり御教示をいただいたわけでございまして、そういった線に沿いまして、その団体の集金業務等の堅実化と申しますか、健全化と申しますか、そういったものを図っていくという方向でこれまでいろいろと指導してきたわけでございます。  いろいろと同趣同好団体がございますが、その中で旅行、観劇、人間ドック入りというようなものを目的とした払い込み団体は団体独自の行動を伴っている、また団体構成員相互の連携が緊密な団体であるという考え方から、その組成を認めているわけでございますが、同時に、その団体の体制につきましては省といたしましてもいろいろと指導をし、また、その堅実化、健全化という面につきましていろいろと指導しているわけでございますが、その中で集金業務というものがなかなか不安定であるといいますか、そういったところにつきましては、事故の未然防止というような観点から加入者協会の方に集金業務を委託するという方向指導してまいっておるわけでございます。
  183. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 この団体払い込みという団体が五十二年三月現在二十六万六千ですね。そして、その中で、この協会に委託して集金業務だけをやってもらおう——これは団体としての収支決算や何かは全部団体としてやらなければならないのですから、集金の手数だけは省ける、また旅行へ行くときの企画だけをやってくれるというのがこの協会なのですけれども、今後この協会の活動を広げていくとすれば、団体払い込みの人たちの払い込み業務というのはどんどん協会依存の方式をとられていく形になるのじゃないですか。その点はどうなんでしょうか。
  184. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 ただいまの同趣同好団体と申しますのは、その数が二万六千七百二十九組ばかりあるわけでございますが、そのうち加入者協会の方に集金業務を委託しておりますのが八千四百八十七組、約三二%弱、こういう数字でございます。  それで、どんどん取り込んでいくのかというお話でございますが、その団体の内部の体制と申しますか、こういったものにつきましては自主性並びに団体性を確保し、また同時に集金業務の安全性と申しますか、そういったものをいろいろと指導しているわけでございますが、同時に、その点がどうも危ないというところにつきましては、集金業務の委託を加入者協会の方に持っていくということもあわせて指導しているわけでございまして、最終的に同趣同好団体全部を加入者協会の方に委託するということではないわけでございます。
  185. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 これは協会の五十一年度の事業報告書の中に、「従来の受託業務は旅行を目的とする払込団体の集金事務に限られていたが、五十一年七月からは「人間ドック」「観劇」等を目的とする払込団体の集金事務及び各種行事の企画実施の事務をも受託することとなった。」とあります。非常に具体的です。それで、「東京、関東、近畿各郵政局管内においては、従来から一部の集金事務を受託していたが、郵政御当局の要請に応じ五十一年七月以降、信越、中国、四国、北海道、九州、東海、東北各郵政局管内においても順次集金事務等の受託が実施された。」とあるのです。だから、方針がきちっと出されたと私たちは受けとめておるのですが、その出した根拠が何かあいまいなんです。  つまり、はっきりしたものを持たないと、今後この協会の業務というものはぐんぐん広がっていきます。協会を支えているのは、この集金会社としての役目と保険会社としての側面と、この五分、五分の収入で支えられているのがいまの協会ですからね。  そこで、どうなんでしょうかね。この五千百万口の契約の加入者に対してあまねく福利厚生あるいは見返りを考えていかなければならない、どのようにしてそれをやっていこうかという協会が、そのうちの四・四%の保険業務、代理業務でか細く食べていかなければならない、また、一方では、これから郵政省の方では大変だろうということで広げてくれる集金会社、その集金会社という側面で辛うじてやっていこうとしているこの協会のいま置かれている立場、これは協会が発足してから日時がたっていますから紆余曲折があっただろうと思うのですが、しかし、郵政省として、指導監督の立場としてどうあるべきなのかということははっきりさせなければならないときじゃないですか。
  186. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 これは先ほど同趣同好団体二万六千七百余りと申し上げたつもりでございますが、現在それの三分の一が委託されているということでございます。残りにつきまして全部広げるわけではございませんと申し上げたわけでございますが、これは考え方といたしまして、集金の際の事故防止という点から、この同趣同好団体のものにつきまして、どうも安全性が十分ではないというようなものにつきまして、その必要性の高いものから順次協会に委託するように同趣同好団体にも話をし、また協会にも話をし、ということでやっているわけでございますが、同趣同好団体自体でこの集金業務を確実に運営できるというものにつきましては、それまでも委託をさせるという趣旨ではございません。  それから、この協会に委託した理由でございますが、個々の小さな団体でだれか人を雇って集金をするという場合に、集金人によりましてはいろいろ事故を起こしたという場合の補償という問題もございます。そういった点におきまして、郵政大臣が監督する財団法人であるこの加入者協会というものに委託させるということの方がより安全ではなかろうかという考え方でやったわけでございます。したがいまして、これは従来やっておりましたそれぞれの集金団体の集金人の方々もまたこの協会の方に業務と同時に引き継ぐというような形もございますし、そういった点から、協会の方も必ずしもこれが割りがいい仕事であるかどうかという点につきましては、私どももいろいろ見ているところでございます。  したがいまして、両者の健全な発展ということを考えながらこの点については進めてまいりたい、かように考えております。
  187. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 要するに、協会の指導監督に当たりまして一定の物差しを持たなければいけないだろうというのが私の主張なんです。その物差しがないために、たとえばいまの災害見舞い金の加入者が四・四%という状態がいいのか悪いのかさえ判断ができないわけでしょう。徐々に伸びていく分にはいいというけれども、では何%まで伸ばすつもりか、どの辺までは認めるのか、そういうものを考え方の基準としてお持ちですか。ずっとそういう形で来ちゃっているのですよ。協会は、研究活動あるいは催し物を催して簡保加入者の皆さんのためにPR活動もしなければならない本来業務というものがあるはずじゃないですか。それが集金会社になり損保会社になって、それで支えられ、それだけしかやらないというのでは、何も公益法人としてそれを設置しなければならない理由はとっくになくなってしまうわけでしょう。  ですから、本来業務というものがどこにあるべきなのか、この業務も収入の道としては大変大きな比重を占めていてやむを得ずやるとしても、ではどの辺までをどういうふうにするのか、そういう展望は何もないのですか。なければこれから早急につくろうとか、何らかの形で検討して物差しを持つべきだと私は思うのですよ。
  188. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 災害見舞い制度あるいは委託集金制度等いろいろ事業がございますが、災害見舞いの方につきましてこれからの物差しが何かあるかということでございますが、これが何%だというようなものにつきましては、私どもは現在まだ持っておりません。  ただ、問題といたしましては、加入者の会の会員のうちで災害見舞い制度を必要とする方々についてもおのずから限度があろうか、すべての方が全部お入りになるということでもないであろうというふうに考えておりまして、先ほど申しましたように、健全な進み方、そのテンポといったものにつきまして見守りながらやっていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。  なお、先生からいろいろ御教示いただきました点につきましても、あわせて私どもも頭に置きながらこれからいろいろと見てまいりたい、かように考えております。
  189. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そういう意味で、ぜひ物差しを検討を始めていただきたいと思います。  さらに、四十三年の郵政審議会の答申でありますが、その中で幾つかこれからの簡易保険事業方向づけというのが出ているわけです。一つは郵政審議会答申、もう一つは五十一年十一月の市場調査というものを郵政省がやっていらっしゃいますね。そして、この市場調査で、どの志向をすべきかということがこれに端的にあらわれていると私は見ているのです。一つは、若い人向けにどうも勧誘の足が運べない、民保に比べて簡保の場合に比率がぐんと下がる、そうすると若年層に向けて一体どうしていくのかということが次に大きな課題だろうと思うのです。  それで、若年層に対する新種商品と申しますか、お考えがあったら、また検討してきたとすれば伺いたいと思うのです。
  190. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 若い人に対する働きかけが鈍いとかいうような問題、そういった資料ということでございますが、簡易保険は従来から若年層あるいは青壮年層におきます加入状況が他の年齢層に比べて低率でございまして、これを改善するために、これらの年齢層を対象といたしました保険といたしまして、三十九年に死亡保障の高い第一種特別養老保険、それから昭和四十七年に第二種特別養老保険、同じく五十年四月にさらに高倍率の第三種特別養老保険を創設いたしまして、そういった年齢層にも適合するものとして販売したわけでございます。さらに、四十九年一月には掛け捨ての個人定期保険、また、職域を対象といたしまして、五十年四月に集団定期保険を創設してまいりました。また、特に加入率の低い若年層につきましては、その年齢層の保険需要に応じた保険を私どもも早急につくってまいりたいと考えておりまして、目下その仕組みについて検討している次第でございます。まだ、内容につきましてここで御説明できるところまで至っておりませんけれども、検討しているということを申し上げたいと思います。  なお、今後ともこの若年層あるいは青壮年層におきます保険需要に応じた新種保険の創設などの制度改善に努め、あるいは募集の面におきましても、今後は特にそういった年齢層が多い職域の面に重点を置きまして、こういった層に対する普及を図ってまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  191. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 審議会の答申の中にあります加入者サービスとして自動振りかえ制度を、いろいろと問題があるだろうが実施に踏み切る方向検討するべきだという一つの示唆がありますが、これはどうでしょうか。どんなふうになっておりますか。実施方向ですか。  いま、電気料金にしろ何にしろ、みんな自動振りかえという選択ができるような制度が開かれておるわけですよね。やはり、七%の団体割引があるということで、自動振りかえというものはつくらないで、訪問して預って受け取ってくるという方式でどこまでも行くお考えですか。
  192. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 保険料の自動振りかえ制度でございますが、現在まで私どもも関心がないわけではございませんので、電力会社等におきます料金振りかえ制度調査を行いますとともに、自動振りかえ制度実施します場合のいろいろの問題点、たとえば会計法令を主とした関係法律、政令等の改正の必要性の有無の問題等、いわゆる法制面の問題でございますとか、それから金融機関との間の事務処理の書式の問題であるとか、あるいはまたこれが一つ大きいのでございますが、契約の募集及び維持に及ぼす影響——これは御承知のように、毎月集金に伺うというところでのお客様との接触ということが、維持の問題にいたしましても、さらに募集の問題にいたしましても、現在では非常に大事なところでございますが、そういった問題に及ぼす影響等につきまして検討を行っているわけでございますが、まだ現在これらの点につきまして結論を出すに至っておりませんので、引き続いて検討してまいりたい、かように考えているわけでございます。
  193. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 物価上昇に強い保険という立場から、民保ではもうすでに始まっているのですけれども、郵政省ではどういうふうに考えていますか。おやりになりませんか。転換保険であるとか、そういうものですね。
  194. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 物価上昇に強い保険、いわゆるインフレ対応保険と申しますか、一つは転換制度、あるいはまたそのほかに変額保険とか中途増額保険とか、民間あるいは諸外国にもいろいろ例はあるわけでございます。  いまのところ、転換制度あるいは中途増額制度は日本の民保でも採用しているところはあるわけでございますが、いわゆる変額保険につきましては、物価にスライドしていくというような形のものにつきましては諸外国にはいろいろ例があるようでございますが、まだ日本では採用されていないというふうに聞いているわけでございますが、私どももそういった状況はいろいろと見ているわけでございます。  ただ、問題は、一つはそういったふうに途中で保険金額を増額していくという形のものは、簡易保険のように最高制限額がございます場合には、物によってはそれがいろいろと障害になるというようなこともありまして、十分に効力が発揮できない面もございます。そういった点におきまして、中途増額制度というようなものにつきましては若干足踏みの状態でございます。  それから、転換制度でございますが、これも転換制度によりまして、従来の保険の効力をある程度保持しながら、さらに新しいものに乗りかえていくという効果の問題につきましていろいろと研究をしているわけでございますが、現在までのところ、まだ結論を得ていないわけでございます。引き続いて研究してまいりたいと考えております。
  195. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 最後に、大臣、いかがでしょうか。協会のあり方は、これは指導監督する大事な役割りはこちらにあるわけですが、実は、物差しの問題で今後検討に入るわけですが、さらにそういうところから来る損保への踏み切りがどうもできないのじゃないかと私は思うのですが、審議会の答申の中での一つ方向づけは、それは損害保険という一つ方向づけもありました。若年層に対する新種保険ですね。それからまた物価スライド、さらに加入者に対するサービスとして自動振りかえ、こういう課題があるわけですけれども、いかがでしょうか。
  196. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  先ほどから簡保の局長答弁と鳥居先生の御指摘の内容を聞いておりまして、私も、せっかく許可をした財団法人簡易保険加入者協会でございますので、御指摘の問題は謙虚に受けとめて、十分検討してみたいと思います。  また、少なくとも財団法人という公の法人でありますから、団体でありますから、やはり、すべての問題はすっきりした形にしておかねばならないと思います。  せっかくの御指摘でございますので、現在の災害見舞い制度のあり方、また、御指摘の尺度の問題、また、民保が発足しているんだからもうそろそろ考えるべきではないかという問題等もあわせて総合的によく検討いたしまして、検討の結果を適当な機会に御報告申し上げたい、かように考えております。  あわせて申し上げますが、御質疑を通じて、真剣に前向きで取り組むということも重ねて申し上げておきます。
  197. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 以上でございます。
  198. 松本七郎

    松本委員長 小宮武喜君。
  199. 小宮武喜

    ○小宮委員 郵便年金の問題でちょっと質問しますけれども、郵政省が四十三年の一月から郵便年金の自然消滅をねらって募集停止を決めてかこ十年になるわけですが、その当時のことはぼくもよく知りませんけれども、どういう理由で自然消滅をねらったのか、その点を一つまずお伺いします。
  200. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 従来の郵便年金制度でございますが、社会経済事情の変動に伴いまして、その存在意義が薄れて需要も激減してまいりましたので、そういった点から現在新しい契約の積極的な募集は行わないことにしているわけでございます。  しかしながら、その後におきまして高齢化社会の到来ということが予想されておりまして、国民皆さんの間にも老後の生活問題に対する関心が非常に高まってきているという現状もございますので、現在、私どもといたしましては、外国の年金事情の調査等を実施しております。引き続きまして、その調査の後で、老後の生活保障のための任意保険のあり方等につきまして、現在の郵便年金制度の見直しというものとあわせまして慎重に研究を進めてまいりたいと現在考えている次第でございます。
  201. 小宮武喜

    ○小宮委員 郵便年金制度そのものについてはさほど問題はない。むしろ、内容について改善すべき点がありながらも改善を行おうとせずに、ただ消滅をねらったということについて私はちょっと納得がいきかねますけれども、しかし、それはそれとして、現在の加入者は何名おりますか。
  202. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 五十一年度末の加入契約件数で申し上げますと十二万五千件でございます。  また、最近の加入状況を申し上げますと、四十九年度が七件、五十年度が十件、五十一年度が十七件で、先ほど申しましたように積極的な募集は控えておりますが、ぜひとも入りたいとおっしゃる方につきましては受理をいたしておる。これがいま申しました十件前後の数字でございます。
  203. 小宮武喜

    ○小宮委員 積立金は幾らですか。
  204. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 積立金の方は、五十二年三月末現在で申し上げますと、百七十億八千六百万円でございます。
  205. 小宮武喜

    ○小宮委員 現在ではこの制度も幻の年金と言われて、余りよく知られていないのですけれども、それでも加入者がいま言われておりますように年間十名ぐらいはいるし、さらには年々わずかずつではありますがふえつつあるということを考えたら、郵便年金についてはこういう事情ですから入らないようにしてくださいということで、むしろ郵便局の窓口でできるだけ加入させないようないろいろな説得をしているというか、誘導をやっているわけですね。にもかかわらずこのような人たちがいるという理由は何というふうに理解されますか。
  206. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 先ほど申し上げました加入者の総体の数でございますが、数字に誤りはございませんけれども、これは全体としてだんだん落ちてまいっておりますので、加入者の数は十人前後ずつおりますけれども、全体としては総数は減っております。  それから、わずかでも加入があるという傾向の理由でございますが、特に現在調査をしておりませんので、その加入動機につきましてはっきりしたことは申し上げられませんが、一つは加入年齢が高いことから見まして、やはり、国の方から出しています年金プラスそういった任意加入の年金というものを足して生活に資するとか、あるいは小遣いにするとか、こういったお考えの方もいらっしゃるかもしれませんし、また、加入者ホームの加入資格を得ることを目的としてお入りになる方もおられるものと考えております。
  207. 小宮武喜

    ○小宮委員 私が聞いた範囲内では、簡易保険等年金加入者を対象にして全国に十三カ所の老人ホームがあるわけですが、私は、老人ホームに入るための、入居資格を持つための申請をしておる人の話を聞いたわけですが、そういった意味では、老人ホームの所在地はどことどこで、運営はどうしておるのか、この点を御説明願いたい。
  208. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 いま先生がおっしゃいましたように、簡易保険の老人ホームは現在十三カ所ございます。  施設名を申し上げますと、小樽市にございます小樽、宮城県白石市にございます白石、千葉県の鴨川、新潟県の柏崎、静岡県の熱海と修善寺、石川県の和倉、和歌山県の白浜、奈良県の磯城、鳥取県の皆生、香川県の観音寺、愛媛県の道後、大分県の別府、こういうところで十三カ所ございます。  それから、老人ホームの運営でございますが、この老人ホームの正規の名称は簡易保険郵便年金加入者ホームでございますが、その運営につきましては、簡易保険及び郵便年金の加入者の福祉施設の設置及び運営を適切かつ能率的に行うことを目的といたしまして、法律によって設立されました簡易保険郵便年金福祉事業団によって運営をされているわけでございます。
  209. 小宮武喜

    ○小宮委員 郵政省からは年間どれぐらいの補助をやっておりますか。
  210. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 郵政省から福祉施設全般の運営の補助といたしまして、簡易保険事業団に対しまして交付金を交付しております。これは運営費の財源の一部に充てられるものでございまして、人件費及び税金などを対象にいたしております。  五十三年度の簡易保険会計の予算におきましては、簡易保険事業団交付金といたしまして百十六億二千百万円を予定しておりますが、このうち御指摘簡易保険加入者ホームを対象といたしました交付金額は十億九千八百万円で、全体の交付金の中の九・四%相当でございます。
  211. 小宮武喜

    ○小宮委員 民間の養護老人ホームと比べた場合に、入居者の経費負担はどれくらいになりますか。高いのか、安いのか。
  212. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 いま申し上げましたような交付金をもちまして、人件費等一定の経費を賄っているわけでございますので、その分だけは独立採算のものよりは安くなっておると思うわけでございます。  具体的な料金でございますが、この加入者ホームは、生活の本拠をそこに置いて御利用いただく長期のホームと、一カ月以内の短期間の宿泊、保養に御利用いただく短期のホームとに分かれておりまして、利用料金は長期ホームにおきまして住居費が単身用で月四千円、熱海ホームの新館だけが五千円、世帯用が月七千円、熱海ホームの新館が八千円、そのほかに冷暖房料として単身用が月二千円、世帯用が月三千円となっております。なお、食事を食堂でとられる場合には一日三食で一人千円の食事料が必要である、かようになっております。  なお、短期ホームの方について申し上げますと、宿泊料は部屋の広さによって違いますが、定数の利用と申しまして、畳二畳当たり一人御利用になるのを定数料と申しておりますが、この場合は一泊一人当たり千五百五十円、食事料は定食で朝夕二食で千六百円、したがって一泊二食で合計三千百五十円となっております。
  213. 小宮武喜

    ○小宮委員 年金制度そのものの自然消滅をねらって募集停止をやっておるわけでございますけれども、現在十二万五千人以上の人がまだ加入しておる。  実際問題として、完全消滅は大体いつごろになりますか。
  214. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 年金全体で、五十一年度末で約十二万五千件ございます。その契約の約六割が年金支払い期間が定まっている定期年金でございますので、この契約のほとんどはここ約十年のうちに支払い終了になる見込みでございます。  しかし、残りの約四割につきましては、年金受取人が生存している限り年金を支払う終身年金でございますので、その上に若年で加入した契約もありますから、契約消滅率はかなり低いわけでございまして、今後なお数十年にわたって年金の支払いが続くと見ております。
  215. 小宮武喜

    ○小宮委員 これから御承知のように老齢化社会を迎えていくわけですから、そういう老齢化社会を迎えるに当たって、せっかくこういう郵便年金制度があって、それに先ほどから申し上げますように老人ホームに入りたいという人もかなりおるし、そういう目的で申し込みをしても、いま言うように自然消滅をねらって、むしろ窓口の方ではやめた方がいいですよとか加入しない方がいいのじゃないですかとやめさせるための説得をやっておるということも聞くわけで、私は小さいことまでいろいろ聞いたわけですけれども、老齢化社会に向かってあと十年もすれば全人口の大体一五%から二〇%近くが老人になっていくわけです。そういう場合に、民間の老人ホームも高いし、また、それに対応する国の姿勢もまだなっておりません。  そういう意味で、郵政省としても、せっかくあるこの年金制度の自然消滅をねらうよりは、国の老齢化社会に対する一つの政策として考えて、むしろ今後存続して、無理して勧誘して回る必要もないでしょうけれども、加入する人がおったら入れてやるということで、いままでの考えをもう少し再検討すべきじゃないかというふうにも私は考えるのですが、大臣、どうでしょうか。
  216. 服部安司

    服部国務大臣 一応お役人の書いたものを読んでみます。そして、その後から私の考え方もつけ加えたいと思いますが、こういうふうに書いております。  「従来の郵便年金制度は、社会経済事情の変動に伴い、その存在意義が薄れ、国民の需要も激減しましたので、現在、新契約の積極的な募集を行わないこととしております。しかしながら、高齢化社会の到来が予想され、国民の間に老後生活問題に対する関心がとみに高まっている現状にかんがみ、現在、外国年金事情の調査実施中でありまして、引き続き、老後生活保障のための任意保険のあり方について、現行の郵便年金制度の見直しをも含めて慎重に研究を進めてまいりたいと考えております。」ということでありますが、きょう小宮先生からこの問題について御質問があるというので、私は慎重に関係局の意見を求めました。  このとおりの答えですが、私も小宮先生と同感なんで、せっかく制度があるのにそういうことではいけない。高齢化社会を迎えるということは何ぴとも否定できない厳粛な事実である。私も、ある人からそういった指摘を受けたことがあるのです。政府のやっている国民年金ではちょっと物足りない、不安だ、だからひとつ郵便局郵便年金をつくってもらえないかという御要望を受けて、聞いたら、あるということですから、あれば大いに活用したいというふうに私は考えております。  ただ、私は、きょうのあさ小宮先生から質問があるぞということで勉強しただけで、一夜づけですから確信はありませんが、そういう方向で、なぜやめたのか、やめつつあるのか、積極的にやらないのかという点も検討したいし、去年十人の加入者があったらしいということなので、これはよほどすぐれた人だ、頭のいい人だ、利用者は知らないかもしれないがということで、そういう点についてもひとつ考えてみたいと思っております。  あわせて、役所が言うように、外国の官営の年金制度の保険のあり方をいま研究しているそうでありますから、これも加えて総合的に判断をいたしまして、高齢化社会に対応できる政府施策として、できれば推し進めてまいりたいと考えております。
  217. 小宮武喜

    ○小宮委員 法律は厳然として生きているわけです。ただ、四十三年の一月には、これは内部の申し合わせとしてやっておるだけですが、法律そのものは生きておるわけです。そういう法律を否定とまではいかぬでも、法律を軽視するようなことを郵政省内部が決めたわけです。だから、そういった意味では、これは拒否する理由も何にもないのです。法律は生きておるわけですからね。それを余りもうからぬから窓口でやらぬのかもしらぬけれども、進学ローンもやろうとかなんとかいうやさきに、こういう老人の喜ぶような対策をなぜ自然消滅をねらうのかということについて若干疑義があったし、また、私もこの問題についてはある人から指摘をされたことがあるのです。だから私は質問したわけですけれども、いま大臣答弁もありましたが、役所というのは一たん決めたことはいいことにしても悪いことにしてもなかなか変えようとしないのが役所の頭だから、時間もかかると思いますけれども、十分考えていただきたい。  それから、簡保の保険料とか、保険金の五十二年度における目標額に対する達成率はどうなっておるのですか。
  218. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 五十二年度の目標額でございますが、これは保険料で三百四十億円といたしております。正確な数値は現在まだ集計中でございますが、一応概算いたしましたところで、五十二年度末で達成割合は大体一〇一・一%となっております。
  219. 小宮武喜

    ○小宮委員 五十三年度の目標額は幾らですか。
  220. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 五十三年度の目標額は、これは予算目標額でございますが、三百五十五億円でございます。
  221. 小宮武喜

    ○小宮委員 簡保資金はいま現在幾らありますか。それで、それは財投を通じていろいろ使われておると思いますが、まずどういう方面へ使われておりますか。
  222. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 二月末の数字でございますが、九兆四千二百億円余りでございます。  なお、最新の現在の各目的別の投資額というのは、ちょっと同じ時点では持ち合わせがございませんが……(小宮委員「大体でいいです」と呼ぶ)大体でよろしゅうございますか。  五十二年度の運用計画額で申し上げますと、郵政事業特別会計に三百六十億円——これは新規の年度の運用計画でございますが、郵政事業に三百六十億円、それから五十三年度で同じく申し上げますと三百八十七億円。それから政府関係機関、これは各機関がございますが、合わせまして五十二年度三千五百九十四億円、五十三年度が三千八百八億円。それから公団等に五十二年度が四千九百二十五億円、五十三年度が五千四百八十五億円でございます。なお、そのほかに地方公共団体に五十二年度が四千百六十億円、五十三年度が四千七百億円。その他、商工組合中央金庫、電源開発株式会社を合わせまして、五十二年度が二百六十一億円、五十三年度が二百五十億円。合計いたしまして、財政投融資計画に計上いたしております額が、五十二年度が一兆三千三百億円、五十三年度が一兆四千六百三十億円でございます。  その他、社債等に五十二年度が二千三百億円、五十三年度が二千九百五十億円、それから契約者貸付等に五十二年度が千百億円、五十三年度が千百五十億円であります。  合計いたしまして、五十二年度の運用計画総額が一兆六千七百億円、五十三年度の計画が一兆八千七百三十億円という数字でございます。
  223. 小宮武喜

    ○小宮委員 簡保資金が財政投融資計画で新東京国際空港公団に昭和四十四年から毎年融資されているはずでありますが、五十三年度分を含めて融資総額は幾らになりますか。年度別でずっと言ってください。
  224. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 新東京国際空港公団でございますが、これに対して簡保の資金を融資しておりますのが四十四年度からでございますが、年度別に申し上げますと、四十四年度が三十億円、四十五年度が七十億円、四十六年度が百十億円、四十七年度が三十億円、四十八年度が百二十五億円、四十九年度が五十五億円、五十年度が九十五億円、五十一年度が百二十五億円、それから五十二年度が百二十五億円でございます。五十三年度の数字はいまちょっと持ち合わせがございませんので、後ほどまた申し上げたいと思います。合わせまして、五十二年度末までに融資しました総額は七百六十五億円でございます。  それから、同時点におきます融資残額は六百二十三億円でございます。  先ほど志賀先生にお答えしたときには七百四十五億円の融資総額と申し上げましたが、七百六十五億円が正当でございまして、おわび申し上げます。
  225. 小宮武喜

    ○小宮委員 いま言われるように、簡保資金が七百億円以上も融資している空港公団の、いわゆる成田空港の管制塔に郵政職員を含む過激派集団が襲撃するという事件が発生しているわけですが、この事件によって郵政省関係、電電公社関係の被害額はどれくらいあるのか。電電公社と郵政省から御答弁願いたい。
  226. 服部安司

    服部国務大臣 私の聞き間違いであればおわびと訂正をしますが、被害額ですか。(小宮委員「被害額」と呼ぶ)  郵政省には被害はございません。
  227. 加藤秀夫

    加藤説明員 成田襲撃事件関係いたします電電公社の被害状況の概要について御説明申し上げます。  三月二十六日の十五時ごろでございますが、第九ゲートの地域でケーブルが約百メートル焼けまして、空港外の加入者の方でございますが、二十四加入が不通になっております。現場は危険な状態でございましたので直ちには修復できておりませんが、二十七日の四時ごろまでに全部復申しております。被害額はまだ正確につかんでおりません。  以上でございます。
  228. 小宮武喜

    ○小宮委員 大臣、よく聞いてくださいよ。過激派集団による成田空港管制塔襲撃事件で、埼玉の和光郵便局集配課員の水野隆将と千葉郵便局第一集配課員の児島純二が逮捕され、さらにまた別に東京晴海通常郵便集中局員の吉崎邦夫が逮捕され、この三名が逮捕されたという報道がなされておるわけでございます。これはいまからまだまだもっと逮捕される人が出てくるのではないかというふうに考えますが、郵政省はどのくらいの郵政職員がこの成田の襲撃事件に参加したのか調査をされたのか。調査をしておられれば、いま名前がはっきりした分だけで三名ですが、後々はっきりしてくると思いますが、郵政省として調査した結果、いま逮捕されている人あるいはまた名前が判明していない人もおりますが、その調査の結果はどうですか。
  229. 服部安司

    服部国務大臣 成田空港の管制塔襲撃事件で、御指摘の和光郵便局の水野と千葉郵便局の児島の二人が逮捕されました。また、それ以外に晴海郵便局の吉崎邦夫も別の場所で逮捕されておりますから、御指摘の三名になるわけでありますが、この事件が勃発いたしまして、郵政職員が極左過激破壊分子に加わっているという連絡で、急ぎ全国郵便局または地方局に対して、この日に無届け欠勤または届け出欠勤をしている者をつぶさに調査することを命じ、また、その後も引き続き無断欠勤をしている者もチェックいたしました。まず、郵政省といたしましては、この犯人逮捕に関連いたしまして、万全の体制を整えるように強く事務当局に命じました。  残念ながら、この児島と水野の二人が管制塔に乱入いたしましてあのような許しがたい行動をとりましたことは、郵政省を預かる最高の責任者といたしましてまことに遺憾であり、広く国民にこの機会におわびをいたしたいと考えている次第でございます。  御承知のとおりに、逮捕されると同時に、またあわせて国家主権に抵抗するといった極悪犯人の割り出しに当たっても彼らは拒否権を行使しているらしいが、省を挙げて、特に人事局がこの面割りに全面協力をするように、また電電公社にもそういった面で協力をするようにということで、これも万全の措置を講じて、その後もかなり協力体制をしいておる状態でございます。  あわせて警察当局とも緊密な連携をとりまして、犯罪の確認ができた者は即日懲戒免職という厳しい姿勢で臨むとともに、係官が警察に出向きまして本人に直接辞令を手交し、後の問題についても捜査当局と緊密な連携をとりながら適宜適切な措置を講じてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  230. 小宮武喜

    ○小宮委員 人事局長、何か補足するところがあったら補足してください。
  231. 守住有信

    守住政府委員 大臣の御答弁のとおりでございまして別段補足することはございませんが、大臣のお話しになりましたとおり、先週から全国郵便局に指示いたしまして、あの事件の前後の勤務ぶり、無届け、その他全部悉皆調査をいたしたわけでございます。そうしましたら十四、五人くらい出てまいりました。そこで、それをしさいに警察関係の方と突き合わせておる状況でございますが、もちろんその中には、そういう関係ではない、いわゆる単なる勤務管理上の不行き届きという者もおるようでございますが、だんだんしぼられてまいっておるわけでございます。  そういたしまして一方では、ある新聞に特に十五名につきまして顔写真が出たわけでございます。そこで、当該局といたしましては、そういう勤務を把握しておりますので、似ておるという者が実は二名発見されまして、そこから警察の方に連絡し、本人は黙秘権を使っておりますので身元は割れなかったわけでございますが、当該局の方からアプローチをいたしまして、これが大臣がお答えになりましたような三人でございます。そのうち晴海を除きます和光と千葉が管制塔の中で逮捕されております。乱入組でございます。晴海の吉崎の方は、管制塔の外の空港内でございますが、そこで逮捕されております。  したがいまして、その事実が厳格に確認できました者は積極的に私の方から一これは実は拘置中でございまして接見禁止でございますが、行政処分といえども、本人の了知し得べき状態の中で懲戒免の辞令書と処分説明書を交付するわけでございますので、裁判所に接見の許可を求めまして、そのうち二名につきまして、警察との関係で事実がはっきり確認できておりますので、懲戒免の処分を四日で執行したわけでございます。  あとの吉崎その他について警察ともいろいろ連携いたしておりますけれども、まだおるようでございますので、具体的な事実の確認をまって同じような方法で迅速に執行してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  232. 小宮武喜

    ○小宮委員 大臣郵政省は過激派の巣窟じゃないですか。いままでも内ゲバ事件で殺したり殺されたりという事件が新聞をいつもにぎわせる場合があるのですが、その中で時折出てくるのは郵便局員なんです。  そこで、内ゲバで殺傷された人間が郵政局員に何名おるのですか。
  233. 守住有信

    守住政府委員 お答え申し上げます。  過激派による内ゲバ事件によるものかどうかは必ずしも正確には実態を把握することは困難でございますけれども、いろいろな情報を総合いたしまして、これを詳細に申し上げますと、御指摘のような事件で死亡したと推定される者は昭和四十九年以降五名くらいではないか、このように情報把握をいたしております。  なお、負傷の方でございますけれども、これは四十三名程度になるのではないかと思います。これは職場外の私的な関係でございまして、正確にはなかなかわかりませんが、そのように推定をいたしておる次第でございます。
  234. 小宮武喜

    ○小宮委員 これは後からまたおいおいやりますが、管制塔のビル付近で警官隊と激しく白兵戦を展開して、凶器準備集合罪や火炎びんの使用等の処罰法違反で逮捕された者の中には電電公社の方が入っていますよ。  これもわかっただけちょっと申し上げますと、仙台電報電話局員と仙台電信施設所職員の電電公社職員が四名含まれておる。これは氏名は判明しておりますか。
  235. 秋草篤二

    ○秋草説明員 お答え申し上げます。  成田事件で私どもの従業員が四名逮捕されたということを確認しまして、私は非常に愕然としました。早速大臣にも呼びつけられて大変な御叱正を受けまして、また、深く大臣にもおわびをして、今後の監督について十分強く申し渡されました。いずれにしましても大変申しわけないことでございまして、深くおわび申し上げます。  ただいまの御質問の四名は、確かに逮捕された中に警察から連絡があったものでございます。そのほか、日にちもたちましたので、先ほど大臣がお答えしたように、全国局長に指令しまして、当時、その日、それから引き続いて出勤していない人、無届けでいる人、あるいはその日は届けていてもずっと出勤していない人、どうも怪しいという人を徹底的に調べろということで調べたところ、一人どうもそれに当たる者があるように察知しております。  もちろん、逮捕されたのは百数十名であって、参加したのは一千名とか数千名ございますから、その中にも逮捕されずにうちの者が参加しているかもしれませんけれども、ただいまのところでは逮捕されたのは四名、それからどうも怪しいと思われるのが一名でございます。  その氏名につきましては、私どもは直ちに処分する必要がございますので、早速警察当局の方に対して、非常に強い反社会的な行為をやったのかとか、あるいはぼやぼやしていてつかまったのかとかいろいろあると思いますが、逮捕されるときの模様について、そういう態様をひとつ教えてほしいということでございましたけれども、十分に教えていただけない。氏名の発表はいかがしますかと言うと、これは少し待ってくれと言われましたので、大体わかっておるようでございますけれども、ちょっと差し控えさせていただきます。  何とも申しわけないところでございますが、成田事件以後も、こうした問題につきまして、全国の通信局長、現場の局長に命じて、できるだけこうした分子を排除するように十分努力したいと思います。大変申しわけございませんでした。
  236. 小宮武喜

    ○小宮委員 郵政省の方は、管制塔に乱入して逮捕された二人については、千葉県警で身元確認を済ませ次第手際よく懲戒免職にしたわけですが、電電公社の方も身元が確認され次第懲戒免職にするという毅然たる態度をとっておるわけでございますか。
  237. 秋草篤二

    ○秋草説明員 そのとおりでございます。
  238. 小宮武喜

    ○小宮委員 この一連の概要を見てみましても、たとえば三月三十一日にも電話回線の空中ケーブルが切られてみたり、あるいは地下同軸ケーブル線が切断されて、約十万個の加入電話が一日の朝までは不通になるという問題があったり、これも過激派の電話ジャックではないかと見られておるのですが、これらの点について、事件の概要について電電公社から御説明を願いたい。
  239. 加藤秀夫

    加藤説明員 お答え申し上げます。  三月三十一日でございますが、成田と千葉のケーブルがございますが、この間成田から七キロぐらいの地点でございますが、マンホールの中で同軸ケーブル一条と市外ケーブル一条の計二条が切断されまして、約二千八百回線の市外回線が罹障したわけでございます。また、同じ時刻ごろ、成田から下総へ参ります架空のケーブルがございますが、ここで市外ケーブル二条と成田の市内ケーブル二条、合計四条がやはり切断されまして、百四十の市外回線と約二百回線の加入電話が罹障いたしました。これらにつきまして徹夜作業をいたしまして、最終的には四月一日の九時三十分までに全部回復しております。同軸ケーブルにつきましては四月一日の三時二十分ごろに回復しております。  なお、同軸ケーブルにつきましては二千八百回線ございますが、千四百回線につきましては無線回線等によりまして自動切りかえをしておりますし、また、成田−下総につきましては臨時の可搬型の無線機を使いまして、二十四回線を早急に回復しておる状態でございます。  以上が電話関係の被害状況でございます。
  240. 小宮武喜

    ○小宮委員 電電公社の千葉電気通信部では、過激派が電話線切断をねらってくるということで、空港周辺のマンホールには特殊の接着剤を使っていたと言われております。しかし、国鉄酒々井駅の近くにはマンホールにそういう特殊の接着剤を使っていなかったということで、そこをねらってマンホールから入っておるわけですが、いまも言われておるように、これは電電公社の内部事情に詳しい人が手引きをしたのか直接参加をしたのかは別として、これは電電公社の内部に詳しい者が切断をしたというふうに私は考えるのですが、その点の見解はどうですか。
  241. 加藤秀夫

    加藤説明員 お答え申し上げます。  先生からいま御指摘のように、私ども、空港内と空港周辺につきましてはマンホールが動かないように十分設備をしておったわけでございますが、今回被害を受けました地域につきましてはまだ手を打っておりませんでしたので、四月一日から二日にかけまして、重要ルートについては全面的に措置をしたわけでございます。  それから、先生の御指摘の件でございますが、私どもはこの重要ルートにつきましては十分管理しておりまして、私どもの職員がそういうことをするということは決してございません。職員管理につきましては平素から十分意を尽くしているところでございます。
  242. 小宮武喜

    ○小宮委員 職員管理については十分意を尽くしておりますからそういうことはございませんというような話だけれども、しかし、マンホールから入って地下五メートルに埋設されてあるケーブルをたたき切るということは、だれかの手引きがなければそう簡単にできるはずはないですよ。あなたはよほど管理をよくしておるような物の言い方をするけれども、いまこういう問題が起きてから無断欠勤したのは何人おったのかと、全国の電気通信部なり電話局なり電報局にあなたは調査を依頼したのじゃないですか。日ごろからそういう管理をやっておれば、どこの局員が、だれが無断欠勤を何日しておるかということは常に把握していなければならないはずじゃないですか。そういう甘ったれた気持ちを持っておるからこういうような問題が起きるのですよ。  私は、これは郵政省にも言いたいのです。郵政職員にしても電電公社の職員にしても、こういうように無断欠勤で休むとかいうときに、普通の民間企業であれば、これはどうして休んだのだろうかということで近くの人が家まで行ってみるとか、いろいろ親切な指導をやるのですよ。こういう問題が起きてから、無断欠勤をだれだれが何日しておるかというような調査をするような状況で労務管理をよくやっておるということは、それはちょっと聞こえませんね。  私はこの問題をしみじみと振り返ってみて、たとえば郵政省の中には内ゲバ事件もある、こういう過激派もおる、電電公社もそうだという状況で、管理ができておるとどの面下げて言えますか。労務管理がもっとうまくいっておればこういうようなことはなかったであろうと私は思うけれども、これは長年管理者の姿勢が甘っちょろであるからそういう過激派を生む土壌を郵政省も電電公社もつくり上げておるのだ。だから、ただ、たまたまこういう問題でそのうみが表面に出てきたということにしか私は考えていないのです。  ゲバ事件だというと郵便局員がしょっちゅう出てくるじゃないですか。今度の問題だって、新聞でも公務員集団の襲撃だという表現もされるぐらいに、外部では公務員、準公務員の人たちがこの襲撃の中核だと見ておる。また、管制塔に入った者も六人のうち二人は郵政省職員だ。ほかにもおるから、ほとんどじゃないですか。そういうことで、どの面下げて労務管理は十分やっておりますと言えますか。そういうような意味では管理者の姿勢がなっておらん。  それはそれとして、たとえば一昨年に起きた組織内における暴力事件にしたって、違法ストの問題にしたって、御承知のようにいまは大体法律を守ろうという風潮がない。そういうことがこういう暴力事件あるいは過激派を生む土壌になっておるということも郵政大臣や電電公社の総裁は十分考えてもらいたいと私は思うが、この件についての御所見を二人からお伺いしたい。
  243. 服部安司

    服部国務大臣 今回の政治的、社会的に大きな影響を与える暴挙を私どもの職員が引き起こしましたことは心からおわびをするとともに、彼らの勤務しておりました職場が過激派の巣窟のようになっているのではないかという御指摘を受けたのでありますが、この点は私どもといたしましてはまことに残念なことであると同時に、非常に申しわけなく思っております。  従来より、国民から負託された大切な事業を円滑に運営していくためには法秩序の維持、職場規律の維持が第一であるとの観点から、各職場において常にその指導徹底を期し、特に暴力に対しては厳正に阻止してきたところであり、大方の職場においてその徹底が期されていると私どもは思い過ごしをいたしておりましたことは率直に認めざるを得ないと思います。  今回のような事件を職場において完全に把握することは、正直申し上げて種々困難な面もあるわけでありますが、小宮先生御指摘のように、今後はかかる印象を持たれることのないように、かかる不名誉な事態の発生を防止し、秩序のある明るい職場づくりをするために一層全力を傾注してまいる所存でございます。  加えて、手ぬるい労務管理だというお言葉もいろいろと拝聴いたしましたが、私はその言葉を肝に銘じて、再びかかる不名誉なことが起きないように徹底した労務管理を励行せしめて御期待にこたえ、国民信頼回復に努めたい、かように考えている次第でございます。
  244. 秋草篤二

    ○秋草説明員 まことに申しわけない次第でございますが、今後とも、この問題に限らず、従業員の管理につきましては徹底して——これは正常な労働組合に属する人ではございませんので、これに対しましては、日ごろの勤務あるいは性格等も注意深く監視しながら対処していきたいと思っております。  昨日も全電通の労組の幹部ともトップ会談をやりまして、成田の問題も話し合いました。全電通は御案内のように、これはどこの組合でも当然だと思いますけれども、ああした行為は労働者の敵であるからひとつ徹底的に処分してほしいということを申しておるくらいでございまして、あれは従業員としたら全く異質の性格のものでございますので、見つけ次第職場から排除するなり処分するということに努めていきたいと思います。今後十分注意いたします。
  245. 小宮武喜

    ○小宮委員 電電公社が労務管理を非常にうまくやっておるようなことを言うけれども、長崎無線送受信所を見てください。御存じですか。全く生産管理をやっておるじゃないですか。所長あたりはもうびりびりして、よう物も言えぬのです。こういう実態の中で、どの面下げて労務管理はうまくやっておりますと言えるか。ひとつ総裁もよく反省してもらいたい。  特に、この問題は、先ほども言われたように法と秩序に対する挑戦ですよ。だから、この問題については、成田空港が開港されても、今後もこういうような事件が発生しないという保証は何もない。必ずあるというふうに私は信じます。今度は管制塔あるいはその周辺で起きた問題でございますけれども、これが空港の本当の中枢部で起きたら大変なことなんですよ。ましてや、開港後そのようなことになったら本当に一大事です。  こういうことを考える場合に、私は日ごろからちょっと言いたかったのだけれども、これを機会に電電公社も郵政省管理者は姿勢を正してもらわなければ困る。それと同時に、こういう事件に参加した人たちは厳罰をもって対処しなければならぬ。新聞で見てみると、逮捕された人たちは戒告が四回とか無断欠勤が多いとかいろいろなことが出ているが、そういうことで、ただ内輪として手をかぶせてかばってきている。それは悪いことばかりではございませんけれども、そういったことがこういう事件を生む大きな原因にもなっておるので、電電公社にも郵政省にももっと姿勢を正してもらって、そういう逮捕者を出したような局長処分すべきだ。そういったことをして初めて管理者が姿勢を正すことになるのではないか。そういう意味では電電公社の方が郵政省よりまだ甘ったれておる。  このことを私は強く大臣と総裁に強く要求して、私の質問を終わります。
  246. 松本七郎

  247. 東中光雄

    東中委員 私は、いま提案されております法案と、それに関連して簡易保険事業のあり方の問題を若干お伺いしたいと思います。  簡保事業が国営事業であるということは問題のないところであります。簡保資金は国の資金としての公的な性格を持っておるということもまた争いのないところだと思います。  公的な性格を持っておる簡易保険資金の運用に当たっては、それに見合ったような施策が必要だと思うのでありますが、これについての基本的な考え方、運用方針をお伺いしたいと思います。
  248. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 簡易保険並びに郵便年金の資金でございますが、この運用に当たりましては、ただいま先生がおっしゃったようにこの資金は国が管理する資金である、あわせてまた、これは加入者の方々から保険料として受け入れて将来の支払いのために積み立てている一つの共同の財産であるという、こういった観点からいたしまして、確実で有利な方法により、かつ公共の利益になるように運用することによって両事業の経営を健全ならしめるということを目的として運営しているということでございます。
  249. 東中光雄

    東中委員 そのとおりだと思うのですが、今度は運用の範囲を拡大されるわけであります。長期信用銀行以外の銀行の発行する債券も運用対象に加えるという内容でありますが、簡保資金の公的な性格から言って、この範囲の拡大について、いまこの時期にこういう拡大をされるということについての理由の説明をしていただきたい。
  250. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 今回改正案で御審議をお願いしておりますのは、積立金運用範囲の拡大をいたしまして、いま先生がおっしゃいましたように、長期信用銀行以外の銀行の発行する債券に運用することができるということにしたいということでお願いしているわけでございますが、従来から一般的に金融債と呼ばれておりますのは、長期信用銀行、外国為替銀行、それから商工中央金庫、農林中央金庫の発行する債券の四つでございますが、そのうち簡易保険積立金運用対象となっていないのは外国為替銀行の発行する債券でございます。  現在のところ、外国為替銀行は東京銀行だけでございますので、その発行する債券は東京銀行債券でございますが、外国為替銀行は御承知のように主として外国為替取引及び貿易金融業務を営むものでございまして、貿易金融等の円滑化を図ること、これは貿易依存度の高いわが国の経済にとりましても非常に重要なことでございまして、ひいては社会一般の利益にもつながるものであるという観点から、公共性も備えているというふうに考えているわけでございまして、同行の発行する債券を簡保資金の運用対象にすることは適当であろうと考えているわけでございます。  また、利付東京銀行債券の償還期限が、他の利付金融債が五年でございますのに対しまして三年でございます。したがって、こういう三年物を加えまして、これによりまして、運用の期限の面でも量的な面でもより弾力的、効率的な運用が可能になる、ひいては運用利回りの向上にも資するということもまた趣旨にかなっているのではなかろうかと、かような観点から拡大をお願いしているわけでございます。
  251. 東中光雄

    東中委員 社債等に対する運用実績を見ますと、金融債の運用実績は年々増加しておるようであります。たとえば昭和四十九年度を一〇〇とすると五十年度は一五二、五十一年度は二五四の指数を示していますが、生活関連の方での運用実績の伸びというのはこのようにはなっていないわけですが、大臣、これはどう思われますか。
  252. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 簡保資金の額は、全体として毎年このところ伸びてまいっておりますので、それぞれの分野につきましても増加を見ているわけでございますが、簡易保険の加入者の利益を図るという点からいたしまして、安全確実かつ公共性にも合致しながら、有利なものに対して運用の範囲を広げて有利運用を図っていくということは、加入者の方々に利益を還元する大きなメリットがございます。  そういう意味におきまして、最近におきまして、社債、金融債というような面につきまして、その枠の拡大を図ってまいってきているわけでございます。
  253. 東中光雄

    東中委員 その経過はわかっておるのですが、問題は、生活関連の方ではそうは伸びていない。一方、金融債の伸び率というのは、先ほど言いましたように非常に大幅な伸び率ですが、そういう点についてはどういうふうに考えておられるかということです。
  254. 服部安司

    服部国務大臣 御指摘の、金融債が伸びている割りに生活関連のものが伸びていないじゃないかということは、これは東中先生も御承知のとおりに、簡保資金の運用という点について考えますと、大体確実な利回りのいいものを選んできたことは従来からのあり方であることは先生も御理解いただいていると思うのでありますが、これは国民の零細な金をかき集めて運用をするわけでありますし、しかも、有利に運用し、この零細利用者に少しでも利回りをよくしたいという趣旨のものであります。  したがって、そういう御指摘の面も多分にあろうかと思いますが、われわれはさらにこれを確実に有利に運用し、しかも、この経済社会に金融の円滑化を図るというためにも金融債を引き受けてまいって、これが国民生活の安定につながるもの、直接でなくてもいろいろな関連を持って国民生活の安定につながるもの、このように安定と向上に資しているものという確信のもとで進めてきたわけでございますが、今後は十二分にそういった御意見も取り入れて、確実有利で、しかも国民生活関連に大きく役立つような方向運用するために鋭意努力を続けてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  255. 東中光雄

    東中委員 安全で、そして利回りがいいようにというふうな配慮も、これは非常に大切なことだと思います。同時に、この性格から言って、公的性格を持っておるだけに、公共の利益に沿うような、そういう面での運用をぜひ考えてもらいたい。特に、国がやっておることでありますから、その点を強く要望しておきたいと思います。  それから、次の問題は、簡保の勧誘問題についてお伺いしたいのですが、昭和四十八年あるいは四十九年に当委員会でわが党の委員が、保険の勧誘に際して外務員が悪質な話法を用いてやっておるということを取り上げて善処方を要望したことがありますが、いま私たちの方で聞きましたところでは、郵便貯金の金利が下がったということ、この時点を使って新たな悪質な勧誘のやり方が出てきているように思うわけであります。  一例を挙げてお伺いしたいのですが、その前に、郵便貯金の金利が引き下げになったということに関連して、現に掛けている簡保の加入者が損をするというふうなことがあるのか、ないのか。全くないと思うのですけれども、その点はどうでしょうか。
  256. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 ただいまのお尋ねの件ですが、恐れ入りますが、これは郵便貯金の金利が下がったことによって簡易保険の加入者が損をするということでございますか。(東中委員「はい」と呼ぶ)  それは別個の問題だと思います。
  257. 東中光雄

    東中委員 だから、あり得ぬということでしょう。
  258. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 関係はないということだと思います。
  259. 東中光雄

    東中委員 関係がないはずなんです。ところが、それを関係があるようなことを言って勧誘をする人がおるから、前提でお伺いしておるわけです。  それから、もう一つ聞いておきたいのですが、加入者から保険証を勧誘者が預かる場合、これはどういう手続になっているのかといいますか、規定ではどうなっていますか。領収証なり預かり証なりの発行といった点についてお伺いしておきたい。
  260. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 金を預けるとおっしゃいますのは、簡易保険の保険料を……(東中委員「いや、保険証」と呼ぶ)  保険証ですか。証書をお預かりする場合は預かり証を出しているわけでございます。
  261. 東中光雄

    東中委員 たとえば新たに五口の保険に加入をした、しかも第一回の保険料を払った場合、簡易生命保険約款の第二十四条四項及び取扱規程の第五十九条で預かり証を発行するはずですが、この場合に一口ずつの預かり証を発行するということになっておると思うのですが、一括してやっていくというふうなことがあっていいものかどうか。これも前提事項としてお聞きしておるわけです。
  262. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 お答えします前に、ちょっと先ほどの御説明を訂正させていただきます。  保険証書をお預かりします場合には、「保険証書等受領証」という名前のものを発行して差し上げております。  それから、第一回の保険料をお預かりした場合には預かり証、これは預かり金の受領証でございますが、申し込んだ契約の控えにもなっております。後日の申し込み承諾の後に、保険証書が契約者のお手元に送付されました際に、これと保険証書の記載内容を確かめていただくということを記載するものでございますので、これは一つの契約につき一枚を発行するということになっております。
  263. 東中光雄

    東中委員 そうなっておるはずなんです。  それで、これは東京の中野北郵便局の保険課の外務をやっている人ですが、名前は特に申し上げませんが、A主任ということにしておきましょう。この人についてですが、昨年の九月に中野区の江古田二丁目二の一の、これも名前を申し上げませんが、Sさんという方をこの主任さんが訪ねていって、実は、今度郵便局の金利が下がりましたので、お客様の契約をしている保険を半分やめていただかないと大変損をしますので、新しい保険と書きかえてくださいと局のえらい人から言われてきたのでお伺いしましたということで話を切り出して、この訪問されたSさん自身郵便貯金の金利の下がったことは知っていますから、それがどうして保険と関係があるのかというふうに疑問に思ってこの主任さんに質問をしたところ、この人は、どうしてもやめないと損をしますのでぜひやめてくれと、こういうふうに言ったというのであります。  Sさんという人は勧誘しに来ておる主任さんとはいままでつき合いもあり、信頼もしておる、相手は主任さんだし、間違いないと思って、やめなければいけないんだったらしようがないなというふうに自分が思ったときに、ちょうど相手方が、古い契約は定期として郵便局の方で積んでおきますので、使いたいときにはいつでも言ってくださいというふうにSさんに説明をしたというのですね。だから、それならいいじゃないかということになって、いつでも使えるということを前提に——これは実際はそうじゃないわけですけれども、このA主任はSさんから十通の保険証書を預かった。そして新たに五百万円の保険を五本、合計十六万九千円の保険料を払った。だから、五口入ったということになるわけです。  こういう契約の仕方というのは、先ほど前提事項を二、三項目聞いたわけですが、ここから言って、明らかにこれは新たな手口だということになると思うのですが、こういう勧誘の仕方、話法についてはいかがでしょうか。
  264. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 ただいま先生がおっしゃいましたような事例があるといたしますと、これは話法としてはきわめて不適切なものであると考えます。  私どもの方も、そういった事例があればよく調べまして措置をしたいと考えます。
  265. 東中光雄

    東中委員 料済み保険契約は、加入者側から言うのは別として、勧誘の側から言うべきことでは本来ないわけです。しかも、この場合は、金利に関係をしてうそのことを言って十通の保険証書を預かるということになったわけですが、この領収証がまたふるっているのですね。わら紙に十通を預かるということを書いて、それから新たに加入した十六万九千円、五口のものについては、新規の預かり証五枚を作成するのがさっきのお話なら当然なんですけれども、これも一枚分にまとめて十六万九千円を書き込んでいる。こういうことになっているわけです。これは人の名前は先ほど申し上げませんでしたが、委員会外で申し上げてもいいと思うのですけれども、いずれにいたしましても、こういう簡易保険の勧誘の仕方が出てくるわけですが、これは個人的に悪いということだけなのか。  そういう面もあるでしょうけれども、制度的にそういう問題が出てくる余地があるようになっておるのではないかという問題も含めて郵政省のお考えを聞きたいのと、具体的なケースについての対処を要請しておきたいと思うわけです。
  266. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 いま先生がおっしゃいました契約は解約したわけでございますか——保険料の料済み契約であるというようなお話でございますが、いずれにいたしましても、保険契約の変更手続等におきましては、郵便局の窓口へ来てやっていただくというのを原則にしているわけでございます。また、おいでになって証書をお預かりした際には、局側で「保険証書等受領証」をそれぞれ差し上げるということでございまして、ただいまのお話でございますと、外務員が加入者のお宅の方に伺ってそういうことをやったということで、便宜扱いという形になると思います。  また、その受領証につきましても、正規のものではないように伺えますので、そういったことが不測の事故の一つ原因にもなるという意味で、私どもは厳に戒めているわけでございます。  全体のお話を私どももよく調査いたしまして、それなり指導なり何なりしたいというふうに考えるわけでございます。
  267. 東中光雄

    東中委員 不測の事故の原因になるのじゃなくて、これ自体が不測の事故じゃないですか。この事実があるかないか、省の方はわからないのかもしれないけれども、もしあるとすれば、これ自体が事故ですね。  だって、解約されてしまって、極論すれば、これは詐欺ですよ。そして、第一回の加入金の何ぽかの手数料をもらうわけでしょう。国家公務員の身分を持っている人で、しかも主任さんということですが、郵便貯金の金利値下げについて国民は相当反対していましたが、零細な貯金についてのそれの引き下げをやられたのですが、それを逆用しているということですから、何ともこれは非常に悪質な事故だと私は思っているのです。  事故のもとになるというような認識でおられたら、これはちょっと違うのじゃないですか。
  268. 服部安司

    服部国務大臣 局長答弁は決して適切であったとは私は思いません。たとえば窓口でやるのが当然だということはまことに言い過ぎたことであって、そういう申し入れがあれば窓口にお越しくださいという指導をせねばならない立場を踏まえていないという点でおわびを申し上げます。  大変微に入り細にわたっての御指摘でありますので疑う余地がないと思いますので、どうぞ後で——公開の揚ではいろいろ問題がありましょうが、それが事実であれば最も悪質なことであり、われわれとしてはいっときも放置することができませんので、この点は十分に対処いたしますから、よろしく御理解のほどをお願い申し上げます。
  269. 東中光雄

    東中委員 何も特定の人の摘発をやっているつもりはないのです。ただ、具体的に問題が起こっておるのです。簡保の勧誘については、適切でない話法による変な問題が起こるわけですが、いまこういう新たな問題が起こっておるということを申し上げているわけであります。具体的なケースについてはぜひ具体的にただしていただきたいと思います。  続きまして、また別の問題になるわけでありますが、大阪中央郵便局人事差別問題についてお伺いをしたいと思います。  全逓大阪中郵支部が言っておることでありますけれども、人事差別は、昇任、昇格上の差別あるいは配転、勤務上の差別、あるいは業務表彰、出張上の差別、業務の担務上の差別等四種類ぐらいの差別が実際に行われている。これは実情を的確につかむということはなかなかむずかしい問題がありますけれども、たとえば局内の配転で、計画課などの事務部門への全逓組合員の異動は数年来ゼロに近いというのであります。一〇〇%近くが全郵政組合員で占められている。ちょっと異常な状態が起こっておる。あるいは昇任、昇格、業務表彰、出張というような点で言っても全郵政組合員は九〇%ぐらいで、全逓組合員は五%前後しか対象となっていない。ここは全郵政と全逓とはほぼ同数ぐらいなんですね。だから、余りにもその差が顕著だということで、ほかの局にもちょっと例を見ないということを訴えておるわけであります。  大阪中郵のことですが、そういう点について郵政省は知っておられるかどうか。なぜこういうことになっておるのか。いかがでございましょうか。
  270. 守住有信

    守住政府委員 大阪中央郵便局の四種類ぐらいの差別の事象があるという御指摘でございまして、私どもも先生の関連で最近聞きましたものですから、昇任、昇格につきまして調べたわけでございまして、お話しの表彰とか出張とか局内配転につきましてはまだでございますので今後続けていきたい、このように考えておりますが、昇格と主任、主事等への昇任の関係でお答えいたしたいと思うわけでございます。  御承知のとおり、昇格につきましては最低資格要件というものを労使間で協約化いたしておりまして、その最低資格以上の者につきまして、一定の昇格定数の枠の中で本人の職務遂行能力とか勤務成績とかいうものを認定、判定いたしましてやっていくということでございます。特に、昇格の方は、労働条件と申しますか、給与と申しますか、そういうことには非常に近いといいますか、そういう面の強い性格でございますので、そういう最低資格要件を労使間で合意をいたしまして、その枠の中で選考していく、こういうやり方でございます。  それから、もう一つは、実は主任、主事への昇任の問題が出ておったということを私は承知いたしておりますけれども、主事につきましては、広域人事ということで、局内ではございませんで、局を異にする昇任というバランスの問題もございますので郵政局がタッチいたしておりますが、主任につきましては当該任命権者に任せておる、こういうやり方に相なっております。主任の昇任につきましては、御承知のとおり、本人の職務遂行能力、勤務成績等を総合的に勘案いたしまして、そのポストにふさわしい人物を選考して昇任させる。中身を調べてみましたら、これは何も全逓とか全郵政とか、組合の所属をあらかじめ調べましてやるというのは人事の公正に全く反することであるということで、そういう徹底をやっておりますけれども、たとえて申しますと、違法ストライキに参加をしておるというふうな職場秩序なりの関係が実はあるわけでございまして、それにつきましても、もちろん長い問その影響があるということは適当でございませんので、一定の限度で逐次これを解消するというふうな考え方でやっておるわけでございます。  なお、もう一つの面として、調べましたら、外務職の中に高等部の二科といういわゆる研修訓練制度があるわけでございますが、その高等部二科卒業の人が主任になった中で多かったという事実があの中にあるようでございます。その高等部二科と申しますのは、御承知のとおり、みずから一つの意欲を持ちまして挑戦いたしまして、いろいろな選抜競争、面接その他の筆記試験等を経まして、研修所での訓練を経まして職場へ帰るという仕組みでございますので、職場においても非常に意欲の高い、勤務成績の度合いの強い職員が一般に多い、このように承知いたしております。  なお、また、こういう問題につきましては、別に労使間で苦情処理委員会——あるいは特に大きな問題になりますともっと上の段階、地本の段階に入ってまいりますが、六人委員会というものを労使間で確認いたしまして決めておりまして、そういうルールの中で、実は人事に絡む問題にもなるわけでございますけれども、その事情をお互いに話し合って、そして不平不満や苦情をその中で解決し、また事情というものを理解し合っていくというルールを決めておるわけでございますが、私どもといたしましては、本件のケースをそういう形の中で処理してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  271. 東中光雄

    東中委員 長々と御説明になったわけですけれども、それは何にも説明していないことになるわけであります。  問題は、勤務成績とか職務遂行能力とかということの評価をするについて、表立って不当労働行為をやっておりますとか差別をやっておりますと言って差別をするところはどこにもないので、それは労使関係というのは、相手は当局であろうと労使関係ですから当然のことなんで、そういうことで私は質問をしているわけではないのです。  ただ、私も長らく労働弁護士というのをやってきまして、労働事件をずいぶん担当をしてきましたが、理由はいろいろつけるのだけれども、問題は、いわゆる第二組合と第一組合といいますか、そういうふうな関係で言えば傾向というものが非常に重視されるわけですね。個々の差別意思なんというものは裁判所だって認めようがないわけですからね。それで、結果を見ると、その不当労働行為意思というものが推定されるというふうに扱われてきているのが、まあ裁判例の決定的な傾向になっているわけですね。  それで、この関係で調べてみますと、ここに数字がありますが、たとえば一九七〇年一月から七一年十二月までの二カ年間に、この中郵で平から主任へ昇進した人が百三十九名あるが、その中で全逓組合員は二十八名、それから全郵政組合員は百十一名と、圧倒的な傾向が出るわけであります。しかも、全逓組合員の二十八名中十二名が昇任の後組合を脱退しておるということになっています。  それから主任から主事へ昇進した人の数字を言いますと、同じ期間に総数で六十五名で、全逓組合員は六名です。しかし、うち三名が昇任の後に組合を脱退している。そして全郵政の組合員は五十九名が昇任をしておる。これは、全逓組合員の方はもう五%にもならぬわけですね。  それからもう一つ上へいきまして、主事から課長代理ということになるとその差がいよいよ顕著になりまして、総数四十二名で、全逓組合員はそのうちの一名です。それから全郵政組合員は三十九名、ほかに非組合員が二名いますけれども、そういうことになっております。  それから、一九七二年から七六年十二月までに発令された例で言いますと、平から主任への昇任は、総数八十九名中全逓組合員は十二名、全郵政組合員は七十四名、それから、いずれにも入っていない未加入の人が三名という数字であります。  同じ期間に主任から主事へ昇任発令された者が——他局からこの中郵へ昇任発令された者は別ですが、総数十八名中、全逓組合員はゼロ、全郵政組合員は十八名です。  それから主事から課長代理へというのも、これも総数二十三名中、全逓組合員はゼロで、全郵政組合員は二十三名という数字が出ているわけであります。  それは経歴とか能力とか、試験に合格したとかいうことはあるでしょうが、しかし、試験に合格した人でもいつまでも平でいる人が全逓の場合はいるのです。  数字はこういう形ですが、そこそこの数字だったらそれはあり得ると思うのですけれども、裁判例なんかで言えば、昇給なんかで給料差別というか、実際上の差が出ているとか、組合役員だけは昇任が少ないというんだったら不当労働行為だということになりますし、第一組合と第二組合との関係で同じようなこういう数字が出れば、一般の場合は明白に不当労働行為ということになると思うのです。そういう推定が働く場合に、そういう推定が働いたら、それをあえて覆すだけの特別な根拠がなければいかぬと思うのです。  先ほど違法スト云々ということを言われましたけれども、この中郵で一体いつ違法ストをやったというのですか。それは、昭和三十年代の初めごろやったものなら私も弁護を担当して知っていますけれども、最近いつやったというのか、それもお伺いしたいと思うのですが、いかがですか。
  272. 守住有信

    守住政府委員 大阪中央での違法ストの実際というのはつまびらかにいたしておりませんけれども、全国的な感じから申し上げますと、例のスト権ストのときが最大でございましたので——細かく以前のことは存じませんですけれども、詳細は知っておりませんけれども、恐らくはそうではなかろうかという推測、予測をしている次第でございます。
  273. 東中光雄

    東中委員 予測や推測で言わないでほしい。あなたは先ほど違法ストがあったからそういうものは云々ということを言ったから、それならいつあったのかと言ったら、いま推測しかできていない、前のことだから知らぬと言う。そういうあやふやな答弁は差し控えてもらわなければいけない。  いま私が申し上げところのこういった差別は、このようにグラフをとると非常によくわかるわけですよ。上が一〇〇%と見て郵労、この場合は課長代理と主任への昇格の期間でのグラフですけれども、郵労はうんと上に行って、全逓の方はうんと下になっている。いまのは主任ですが、特に主事になるとゼロに近くなって、それから課長になるとまた全逓の方はゼロで、そして郵労の方は一〇〇%近くなる。そういうのは非常な矛盾として、グラフで見ると非常に歴然とする。職場における職員から見たら歴然とわかるわけですね。そういうことをあえて強行されている。  能力とかなんとかというようなことで、たとえばいまの保険の勧誘でそういう事故を起こしたというふうな場合にそういうことだったら、これまた問題が具体的でわかるわけですけれども、そうではなくて、こういう歴然とした差別が出るということについて、労務政策のあり方として、大所高所からちょっと考え直さなければいかぬじゃないかと私は思うのですけれども、大臣、いかがですか。
  274. 服部安司

    服部国務大臣 御指摘人事異動、昇格による差別という問題でありますが、一応、私は、その人の運命を左右する重要なところで、いやしくも人間である以上はそういった差別を意識してやることはなかなかないと思いたいのでありますが、しかし、いま御指摘のあった一九七二年から七六年までの数字をお聞きいたしました結果から見てやや理解に苦しむ点も、たまたまこういうふうな試験の結果、面接の結果こういう結果であっただろうと思いたいのですが、御指摘はこのように余りにもはっきりしておりますので——これは大阪中郵のことを知らない私から、また余り十二分に調べていない局長からここであいまいなことを言うことは厳に慎まなければなりませんので、まことに済みませんが調査する期間をお認め願いたい、かように存ずる次第でございます。
  275. 東中光雄

    東中委員 私も、具体的なことについて具体的にいまここで一人一人について調べているわけじゃありませんが、ただ、こういう労使関係における差別という場合には、結果で判断をするという方法をとるのが普通の労働判例の傾向だということから言って、これは余りにも顕著じゃないかということで申し上げておるわけであります。  ついでに一、二の例を申し上げておきますが、これは特殊郵便課の昇任人事資料なんですけれども、ここで発令された時期とその状態を申し上げますと、昭和四十七年の十月に九名が主任に発令されているわけですが、これは全逓がゼロで、全郵政が九名です。発令された人はいずれも十一年一カ月以上十五年三カ月ぐらいの人です。そして、四十八年の十月にやはり六名発令されておりますが、全逓はゼロで、全郵政は六名で、これも十三年から十六年一カ月ぐらいの間の人です。四十九年の十月にさらに発令されましたが、六名で、これも、そのうち全逓関係者は一人で、金郵政は五人です。それから、五十年は発令がなくて、五十一年の十一月に五名の発令がありましたが、全逓はゼロ、全郵政は五名というふうになっています。それから五十二年の発令がなくて、五十三年の四月に全逓一名、全郵政三名というふうになっています。  全逓関係者で発令されたのは、四十九年の十月のときは十九年四カ月ですかの勤続です。それから五十三年の発令は全逓関係者は十六年一カ月の勤続で、それも非常に遅いのですけれども、これはもう歴然とした問題じゃないかと思うのです。これは特殊郵便課ですから、能力とかなんとかということについて、そんなにこういう形で出てくるものじゃないわけですね。そういうふうに思います。  もう一つ申し上げておきますが、これは外国部の関係ですけれども、第二と第一と二つ課があるようですけれども、第二外国課が職員が五十八名ですが、ここに全逓組合員が五十四名集められている。そして、第一外国課は職員が百二十七名ですけれども、全逓組合員はほんの分散する程度になっている。これも労務対策として、ちょっと顕著に組合ごとにそういう方法をとっている。これは介入の問題が出てくると思うのです。  それから、勤続二十五年クラスの職制の地位を比較してみますと、これは第一外国課の元全郵政組合員は、副課長、課長代理、主事の役職者が非常に多い。ところが、第二外国課の主任組合員は、全逓に加入しているというだけで、二十五年勤めているのですけれども、一九七二年ごろからその役職ポストに据え置かれている。前のままになっている。  これは人ごとに表をつくってみてみたのですけれども、赤い色のついているのが全部郵労なんです。そうでないのが皆全逓です。勤続年数なんかを見ると、あるいは学歴なんかを見るとほとんど差がないのにこういう顕著な差が出るわけですね。だから、これは目で見ると職場におる人の感覚的に受け取ることと全く一緒なんで、非常に不合理な差別状態というのが起こっていると思うわけです。  それから、理由は、能力とかあるいは成績とかいうことの査定ということになれば説明は非常にしにくいわけですね。特別なことが起らぬ限り結論だけしか言えない性質のものだと思うのです。それだけに、そこでは差別が入り込む余地が非常に多い。現に結果がそういうふうになっておるということでございますし、ほかの郵便局と比べても特に顕著だということを言っておりますので、やはり国家機関でありますので、国家公務員の人事について、民間産業でもやらないようなことがまかり通っておったのじゃいかぬと思いますので、いま大臣は実情を調査してと言われましたけれども、そういう観点を定めていただいて、ぜひ調査をして是正をお願いしたいと思うのですが、最後に大臣の御所見をお伺いします。
  276. 服部安司

    服部国務大臣 ともかく実態を十分調査してみたいと考えておりまして、調査の結果いろいろな面から対処したいと考えております。
  277. 東中光雄

    東中委員 では、質問を終わります。
  278. 松本七郎

    松本委員長 次回は、明六日木曜日、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十一分散会