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1978-02-22 第84回国会 衆議院 逓信委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年二月二十二日(水曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 松本 七郎君    理事 小渕 恵三君 理事 加藤常太郎君    理事 左藤  恵君 理事 志賀  節君    理事 鈴木  強君 理事 米田 東吾君    理事 田中 昭二君 理事 小宮 武喜君       伊藤宗一郎君    亀岡 高夫君       廣瀬 正雄君    堀之内久男君       阿部未喜男君    島本 虎三君       野口 幸一君    竹内 勝彦君       鳥居 一雄君    青山  丘君       藤原ひろ子君    依田  実君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 服部 安司君  出席政府委員         通商産業省機械         情報産業局長  森山 信吾君         郵政政務次官  宮崎 茂一君         郵政大臣官房長 河野  弘君         郵政大臣官房電         気通信監理官  江上 貞利君         郵政大臣官房電         気通信監理官  神保 健二君         郵政省郵務局長 神山 文男君         郵政省貯金局長 高仲  優君         郵政省簡易保険         局長      佐藤 昭一君         郵政省電波監理         局長      平野 正雄君         郵政省人事局長 守住 有信君         郵政省経理局長 浅尾  宏君  委員外出席者         会計検査院事務         総局第五局長  東島 駿治君         日本電信電話公         社総裁     秋草 篤二君         日本電信電話公         社副総裁    北原 安定君         日本電信電話公         社総務理事   山本 正司君         日本電信電話公         社総務理事   好本  巧君         日本電信電話公         社総務理事   長田 武彦君         日本電信電話公         社総務理事   玉野 義雄君         日本電信電話公         社技術局長   前田 光治君         日本電信電話公         社営業局長   西井  昭君         日本電信電話公         社業務管理局長 浅原 巌人君         日本電信電話公         社計画局長   福富禮治郎君         日本電信電話公         社建設局長   高橋 敏朗君         日本電信電話公         社保全局長   加藤 秀夫君         日本電信電話公         社経理局長   小川  晃君         日本電信電話公         社データ通信本         部長      輿 寛次郎君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   堀 四志男君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     反町 正喜君         参  考  人         (日本民間放送         連盟専務理事) 杉山 一男君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ————————————— 委員の異動 二月十七日  辞任         補欠選任   藤原ひろ子君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   不破 哲三君     藤原ひろ子君     ————————————— 二月二十一日  簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関  する法律及び資金運用部資金法の一部を改正す  る法律の一部を改正する法律案内閣提出第四  三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  逓信行政に関する件      ————◇—————
  2. 松本七郎

    松本委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を行います。  本日は、参考人として、日本放送協会専務理事堀志男君、同理事反町正喜君及び日本民間放送連盟専務理事杉山一男君が御出席になっております。  参考人方々には、御多用のところ本委員会に御出席を賜り、まことにありがとうございます。  御意見は、委員の質問に対する答弁の形でお述べを願いたいと存じます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤原ひろ子君。
  3. 藤原ひろ子

    藤原委員 テレビ放映が始まりましてから、ことしで二十五年になります。この二十五年の間に、日本テレビ受像機普及率世界でも一、二を争うような状態になっております。実に、三千万台にも達していると言われております。これは国民三人に一台の割合でございますから、一軒の家に一台以上、つまり、ごく一部を除いて、日本のどのような山間僻地にもテレビ電波は茶の間へ直接さまざまな情報を送り届ける。そういう機能テレビは持つに至っているということでございます。そして、その機能日本経済社会活動のあらゆる方面にわたっていると思うわけでございます。  まず、最初に、郵政大臣お尋ねをいたしますが、このような機能を持っております放送についてどのような行政を行おうとしていらっしゃるのか、その点についてお聞きをしたいと思います。
  4. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  今日、国民日常生活に占めるテレビジョン放送の比重は御指摘どおりますます高くなっておりまして、社会教育青少年教育または経済日常生活への効用は非常に大きい。これも御指摘のとおりと理解いたしております。したがいまして、この重要な役割りを持つ放送業務について、的確かつ正確、しかも国民本位放送内容充実向上に寄与する放送を行うよう努めてまいったと考えておりますし、今後も鋭意努力を続けて国民期待にこたえたい、かように考えておる次第でございます。
  5. 藤原ひろ子

    藤原委員 先ほども触れましたように、テレビジョン放送国民の間に広く普及しておりまして、国民生活にとっては必要不可欠なものとなっております。  放送に当たりまして、NHK番組基準を、そして民放連では放送基準を設けまして、「公共の福祉、文化の向上産業経済の繁栄に役立ち、平和な社会の実現に寄与すること」というふうにうたっておられます。とりわけ民放連では、たとえば第三章十六項では「児童向け番組は健全な社会通念に基づき、児童の品性をそこなうような言葉や表現はさけなければならない。」として、また十七項では、「児童向け番組で、悪徳行為・残忍・陰惨などの場面を取り扱うときは、児童の気持を過度に刺激したり傷つけたりしないように配慮する。」などと具体的に明記をしてあり、この点につきまして私は心から敬意を表するものでございます。  番組の制作に当たりましては、ぜひともこの基準を貫いていただきたいというふうに私は思いますが、NHK民放におきましてはいかようにお考えか、お尋ねをいたします。
  6. 堀四志男

    堀参考人 お答えいたします。  御指摘のとおりで、われわれの番組基準にのっとって良心的な番組を制作したいと思っております。
  7. 杉山一男

    杉山参考人 いま先生が御指摘されたとおり、私たち放送基準にはいろいろ具体的にうたってありまして、各社がこれを守るように申し合わせております。  したがいまして、わが民放連としても、各社にこうした基準に抵触するような問題が起きないように日ごろ注意をしておりますが、今後ともこういう線を貫いて少しでも社会のために役立っていきたい、こういうように考えております。
  8. 藤原ひろ子

    藤原委員 昨年の十二月三月、四日の両日に、NHK放送世論調査所が、全国の二十歳以上の男女の中から、無作為抽出ということで、三千六百人を対象に、個人面接の方式で、日本人テレビ観についての調査を行っております。その結果を見ましても、たとえばテレビ期待をしている機能として、「世の中動きを早く知りたい」ということ、つまりテレビによる速報性の面でございますが、この数字が全体の七一%になっております。その次に期待をしておりますテレビ機能といたしまして、「楽しいひとときを過したい」ということ、つまりテレビ娯楽的要素側面ですけれども、この数字は六五%でございます。また、テレビ役割りについては、「人びとの毎日の生活に役立っている」というふうに答えましたのは八八%、「物事を正確に伝えている」というのが八〇%、「世の中動きをもれなく伝えている」というのが七八%となっております。このように調査結果は、全体としてテレビ機能あるいは役割りについて高い評価がなされているわけです。  さらに、国民テレビ視聴時間をとってみますと、平均して一日に三時間十三分というふうになっており、午後八時には国民の六割の人たちテレビの前に座っている。一般的に言いますと、大臣を初めここにいらっしゃる方々がみんな午後の八時にはテレビの前にくぎづけになっているという状態が今日の日本テレビ視聴の現状であるというふうに思います。テレビ放映時間を見ましても一日十八時間前後で、日本はアメリカに次ぐ世界第二位という長時間の放映を行っているわけです。これは水道のじゃ口をひねるというふうなもので、いつテレビのスイッチを入れましても何らかの映像が映っているという状態でございます。このようにテレビ受像機普及率視聴時間、放映時間のいずれをとりましても、膨大な情報を提供し続けているテレビ機能は、いまや日本国民生活の中に大きな影響力を持っているということはだれしも認めざるを得ないことだというふうに私は思います。  本日私がなぜテレビの問題を取り上げるのかと申しますと、今日のテレビ機能役割りから考えて、単に国民生活の一部として定着したというだけにとどまらないで、重要な意味を持っているからであります。  そこで、NHK及び民放連の方にお尋ねをいたしますが、テレビ役割り機能から考えて、テレビジョン放送国民生活に役立つものとするために今日どのような御努力をなさっておられるのか、お答えを願いたいと思います。
  9. 堀四志男

    堀参考人 お答えいたします。  当然のことながら、視聴者の要望に応じて、公平な報道の関係の充実及び健全な娯楽というものもさることながら、私たちといたしましては、特にテレビ教育面への寄与ということを考えまして教育テレビ放送する一方、総合テレビにおきましても、幼児あるいは家庭生活充実に役立つ番組等を編成しているわけでございます。  また、同時に、視聴者意向その他を各方面を通じて吸収し、その意向に沿った番組放送するよう、番組審議会先生の御意見とともに、われわれ自体の努力で各方面情報を収集している次第でございます。
  10. 杉山一男

    杉山参考人 私たち民間放送は、先ほど先生がおっしゃいましたように、速報性という点に非常に注目しまして、報道部門の強化ということをいろいろ考えて、それなりの時間帯の増加といったことをできるだけやっております。  また、児童に対する関心が非常に強くなってきておりますので、民放連としましても、先生先ほど放送基準のことをおっしゃいましたが、その放送基準の中に新たに、当時問題となった催眠術だとかあるいは占いといったものを取り上げる場合は厳重に注意をし、青少年に誤った考えやあるいはやり方を植えつけないようにするという項目をつけ加えております。  その他娯楽番組についても、番組向上委員会先生方あるいは視聴者の皆さんからの御意見を入れまして、できるだけよい方向にいく努力各社ともしておるわけであります。
  11. 藤原ひろ子

    藤原委員 先日、滋賀県の野洲町で中学生集団殺傷事件というまことにショッキングな事件が起こりました。この事件社会的背景につきましては多くの人々が論評をされておりますが、この事件を捜査しました滋賀県の県警本部長橋本佑三氏の記者会見内容が各紙に報道されましたが、二月十四日付の京都新聞を見ますと、次のように書かれているわけです。「会見の席上、橋本本部長はまず、最近の少年犯罪実態傾向をとりあげながら、「今回の事件背景には、精神的肉体的に未成熟で情緒不安定な青少年に対する周囲の環境として、とくに劣悪ともいえる社会環境にも犯罪を誘発した一因があるのではないか。とくにポルノ雑誌マンガ類などの有害図書のはんらんや興味本位テレビ番組をはじめ、暴力を肯定する暴力団抗争事件過激派内ゲバ騒ぎなどにも彼らを凶悪な行動に短絡させた要因になっているのでは……」と事件感想を述べた」と、このように報道されておりました。橋本本部長は、犯罪を誘発した一つ要因として、テレビから受ける影響について感想を述べておられるわけです。  私は、この事件社会的背景のすべてがテレビの責任だとは言わないわけです。しかし、警察の取り調べの中で、「包丁に血どめの布を巻くことをだれに教えてもらったのか」という問いに対しまして、加害者のAという少年は「テレビ映画で知った」と答えております。テレビ放映一つをとってみましても、大人から見ますればそれほどのことはなくても、中学生の目にどう映るのかということ、これをよく考えなければならない問題として提起をしていると私は思うわけです。また、外国の例としまして、日本から輸出いたしました子供向け番組を見て香港子供が実際にビルの屋上から「転身」と言って飛びおりて死亡した事件がありました。それをめぐって香港ではこの番組放映を中止したということが起こっているわけです。  これらはまことに端的な例の一つでございますけれども、これらの事件を見ましても、テレビ影響が一〇〇%ないと言い切れるのかどうか、その点についてNHK民放に簡単にお答えをいただきたいと思います。
  12. 堀四志男

    堀参考人 お答えいたします。  私たちは、テレビによる青少年への影響というものは重大だと考えておりまして、したがって、悪影響を及ぼさないように努力を常に怠らないつもりでおります。
  13. 杉山一男

    杉山参考人 私は、一〇〇%テレビだとは考えておりませんけれども、こういう社会情勢の中で、テレビ見方により、そういう判断のまだ未熟な青少年については何らかの影響がある可能性を持っておるのではないかというふうに私自身は考えております。
  14. 藤原ひろ子

    藤原委員 子供だけでなくて、テレビ出現によりましてわれわれ日本人生活というものも大きな変化を来していると思います。そういう中で子供生活は以前に比べて相当大きな変化を遂げてきているわけでございますが、子供生活時間の変化を調べてみますと、テレビ放映以前の子供と現在の子供生活時間の変化について放送送り手としてのかかわりあいを持っておられるというふうに思いますが、どのように変化をしてきたのか、これは後でお答えいただきたいと思います。  私は、いまここに京都府の教育研究所調査をいたしました「学童の帰宅後の生活傾向」という調査資料を持っております。この調査京都府下九市三十三町一村の小学四年生一万四千四十三名を対象に行ったものでございますが、この中で、  「子供の一日の生活はどう変わったか」という項目では、昭和二十二年には子供たち遊びの時間が一日の中で一時間四十五分を占め、家の手伝いが一時間四十七分、あわせて二十二年当時の子供たちは一日三時間三十二分は体を動かして友達と集団で遊んでいたわけです。ところが、昭和五十一年の同じ調査では遊びがたったの四十三分、家の手伝いが何と九分間です。合わせて五十二分になっているわけです。これはどういうことを示すのでしょうか。つまり、三十年前の子供と比べて、いまの子供たちは一日に体を動かして遊ぶ時間が二時間四十分も少なくなってきているということでございます。この二時間四十分がテレビを見ている時間にほぼ匹敵してきているわけです。このことは、テレビ日本子供の一日の生活リズムを変えたということが言えるだろうと思うわけです。  このような側面と、もう一つ側面として、放送内容から受ける変化があるというふうに思います。子供の健康や体力、学習などについて大きな影響をあらわしていることはたくさんの先生方専門家からも指摘をされているところでございますが、そこで、NHK民放連お尋ねをしたいわけですけれども、テレビ出現によって子供たちテレビをどのように活用しているのか、放送事業者としてどのように把握をされているのでしょうか、ちょっとお尋ねをしたいと思います。
  15. 堀四志男

    堀参考人 お答えいたします。  テレビ子供の余暇の内容を変質させているという点につきましては、私たち調査でもほぼ二時間三十分前後という結果が出ておりますので、先生の御指摘のとおりかと思います。  そして、テレビは、ただ単に受動的にその前に座ってればよろしいという見方をされているのか、あるいは学校放送あるいは幼稚園その他におきまして積極的にテレビ利用して教育の場に活用しようとしているのか、その点につきましては、私たちは後者がなるべく多いことが望ましいと思いましてそういう放送努力をしているわけでございますが、やはり、そういう遊びの時間とかあるいは家事の手伝いの時間が結果的にそういうふうになったという事実は御指摘のとおりかと思っております。
  16. 杉山一男

    杉山参考人 子供が戸外で遊ぶ時間が少なくなったということにつきましては、調査しますと大方の調査はその結果になりますが、これがすべてテレビ影響ということにはつながらないのじゃないかと私は思います。要するに、社会環境がそういう環境になってきた、いわゆる空き地がなくなった、あるいはビル化されてそういう中で生活するようになったということも一因であろうかと思います。しかし、テレビという近代文化財が飛び込んできて、それを子供が強い関心を持って見るようになったということも一つ要因であることは事実だと思います。  そうしまして、私たちはそういう環境の中で、子供の時間帯というものはできるだけ子供に有益な番組を提供したいという努力を怠っていないわけでありますが、先ほど先生が御指摘のように子供視聴時間が長くなったということは、私たち子供学校から帰って夕食に着くまでを大体そういう時間帯を考えておりますけれども、それ以後の時間帯になりますと、これは大人の方もほとんどが見るわけでありまして、そういう中で子供だけの番組というものがなかなかつくりにくくなるわけであります。  そこで、できれば、このテレビをどういうように活用するかということがこれからの課題になってくるのではないかと思いますが、価値判断あるいは善悪というものの判断のまだ非常に未熟な子供一緒に親が見る時間でございますから、そういうときに子供にそういう判断の力をできるだけつけるように親が指導していただければ相当効果が出てくるのではないかというふうに考えております。  私たちもまた、暴力といったことについての非常に極端な表現といったことには当然注意しなければならないし、今後も努力していきたいと、こういうふうに考えております。
  17. 藤原ひろ子

    藤原委員 一口に子供と申しましても、乳幼児から高校生までの階層があるわけですけれども、当然、その年代によりましてテレビから受ける影響はおのずと異なるということは明らかでございます。  先ほども述べましたように、テレビという文明利器ですけれども、これはその活用によってはよくもなり悪くもなるというものだというふうに思います。たとえば二月十六日の読売新聞に、「ルナ子ども相談所」の所長であります岩佐京子さんという人の記事が載っておりましたが、この人は長い間東京都の保健所で三歳児健診の心理判定に当たってきた経験から、ことばの遅い子を指導し、そうした子の多くが小さいときからテレビを長時間つけている家庭に育った子供だということに気がつかれたそうです。そして、「テレビことばの遅い子、自閉症を生んでいるのではないか」というふうにも岩佐さんは述べておられます。また、この問題につきまして岩佐さんは、「テレビが長時間ついている家庭では赤ちゃんはテレビの音になれっこになる。人の話し声とそう変わりのないテレビの音で鈍感になり、話しかける声が頭の中でその場面と結びつかない。ことば習得の基礎が育たないのだ。重症の自閉症児で、話しかけても反応がなく、奇声しか出せない子はこの段階で発達が止まったのではないか」ということも言っておられます。このように乳幼児に対する影響を述べているわけです。  また、現在の貧困な住宅政策の中で、今度は角度を変えて考えてみますと次のような問題もございます。たくさんの人々が狭い住宅、狭い部屋での生活を余儀なくされているわけですけれども、その狭い部屋の中にテレビが置いてある。そして、テレビから一・五メートル離れて見なさいと言いましても、そんなことをしたら家の外に出てしまわなければならない。こういう状態の中でテレビを見ているという子供日本じゅうにはたくさんいるわけです。  ですから、受け手である視聴者がどのような状態テレビを見ているのかということを考えていくということは重大な問題だというふうに思うわけです。とりわけ子供向け番組の場合にはそのようなことをぜひとも考えていただきたいというふうに私は思いますが、いかがでしょうか。
  18. 堀四志男

    堀参考人 お答えいたします。  先生の御指摘のとおりではございますが、先生も御指摘になりましたように、受け手子供だけでなくて、母親及び家族を含めてのテレビ利用の仕方ということが子供に決定的な影響を与えるということは、諸外国調査をまつまでもなくわれわれも強く認識いたしております。そして、大体、テレビを見ることよりも、テレビを見ることによって母と子の触れ合いがなくなるということが一番大きな問題だということも指摘されております。  そういう意味で、たとえば暮らしに生かす放送利用とか、その他各地方団体でほぼ三一%に上っております放送利用の仕方というものを通じて私たち情報を得ると同時に、われわれなりの協力を申し上げて、文明利器であるテレビ家庭子供にうまく利用されるような努力をその面から続けたいというふうに思っておる次第でございます。
  19. 杉山一男

    杉山参考人 先生のおっしゃるように幼児——特に私も非常に関心が深いので、幼児対象とする場合は特にいろいろな面で配慮をしていかなければならないということは全くそのとおりだと思います。  ただ、最近、お母さん方対象にした調査でありますが、お母さん方テレビ子供一緒に見る場合、内容について余り子供注意しないで、むしろ御飯を食べながらテレビを見てはだめよとか、あるいはそんなにふざけて見たらだめだとか、そういう方面注意が多いが、内容についての注意がほとんどないという調査も出ております。  したがいまして、これからは放送局側もよい番組をつくるように努力をすると同時に、受け手側視聴者人たちがこのテレビ番組をどのように活用していくか、利用というよりも活用するかということからお互いもう少し考えていかなければならないし、私たちもいろいろな婦人の団体とときどき会って話し合いをしますけれども、そのときにも、私は、要するにテレビを活用していただきたい、そのためには内容その他について十分子供に納得のいくように説明していただければテレビはもっともっと有用な武器になるのではないだろうかというような話をすることもございます。  しかし、放送局側も今後ともそういう面については十分注意をしていきたいと思っております。
  20. 藤原ひろ子

    藤原委員 私は、いま、子供テレビ視聴時間、そして見ている環境、こういった面について実態に基づいて述べてまいったわけでございますが、健康の面からちょっと検討してみたいと思うわけです。  最近お医者さんの間で児童仮性近視がふえてきたという警告が出されております。そして、仮性近視のふえた原因の一つといたしましてテレビの見過ぎという指摘もなされているわけです。京都市の健康教育研究委員会京都市の学校保健会が出しております「児童生徒の健康に関する実態調査」、これは京都全市の小中学校の全児童対象に、生徒の健康状態の推移と日常の健康的習慣や体力の向上などの実態を明らかにしたものでございますが、この中でも、小中学生テレビ視聴時間は二時間台が一番多く二八%、三時間及びそれ以上の視聴者が三九%となっております。それに伴う視力異常という調査では、小学校昭和三十年の六・五八%が漸次上昇しまして、四十五年から五十年の間には四・六九%、昭和五十年度は三十年時の約三倍の高率ということで現在に至っているわけです。中学生の増加率も高くて、小学校の二倍となっております。私が実際に先生方に話を聞きに行きました京都の城巽中学校でも、教育白書を見せてもらったところ、全く同じ傾向が見られるわけでございます。  このような視力異常については、必ずしもテレビ視聴がすべてとは言いませんけれども、テレビ視聴というのも一つの原因になっているというふうに私は思います。受け手であります視聴者にはこのような子供たちがいるということですから、テレビを何時間くらい見て大丈夫ということについても条件づきで考えなければならないというふうに私は思うわけです。  また、子供たちと言いましても、ゼロ歳から十八歳までを対象としております。それぞれの年代によって受ける影響は違っていることは先ほどから私がずっと述べてきたとおりだと思います。年代によりまして心身の発育の程度が異なりますけれども、放送事業者として子供向け番組を制作する上でいろいろ配慮が必要だというふうに思うわけですけれども、現在どのような配慮を行っておられるのでしょうか。
  21. 堀四志男

    堀参考人 お答えいたします。  仮性近視テレビとの問題につきましては、京都大学の百名助教授が中心になってまとめられた研究がございますが、それによりますと、目のすわりが安定する二歳くらいまではなるべく余り長時間見せない方がいいということで、その後の直接的な因果関係については必ずしもテレビに理由があるというふうには言っていないようでございますが、先生のお集めになりました資料によりますと、因果関係はとにかく、少なくとも相関関係があるという御指摘でございますので、われわれの方といたしましても、また調査を重ねまして、そして悪影響が出ないように配慮するつもりでございますが、白黒テレビよりカラーの方が視力に対しては悪い影響がないというふうに承知もいたしております。  具体的で的確なお答えになるかどうかわかりませんが、一応のお答えにさせていただきたいと思います。
  22. 杉山一男

    杉山参考人 お答えいたします。  テレビを見ていると仮性近視になるということでございますが、これについてはまだ民放連自体として調査したものはございません。しかし、テレビをお買いになりますときに恐らくメーカーの方でも——私が買ったメーカーのカタログの説明の中には、テレビは何メートルくらい離れて見てくださいということが書いてございます。事実、私の孫が四歳ですが、見ていますと、親や私たち注意しないときはもうテレビのそばにくっついて見ておるわけです。ですから私がこれを、そんなそばで見ると目が悪くなるからもっと離れなさいと言って、一週間ばかり注意をしていますとその子供は離れて見ます。近所の子供が来て近くで見る場合は、そこに行くと目が悪くなるからこっちに来なくちゃだめよと言っておるわけでございます。したがいまして、私たちがいろいろと視聴者の皆さんと話す場合にも、そういうことをすることによって幾らかでも効果があるのではないかと思います。  もう一つ視聴時間の問題でございますが、結局、先ほど先生がおっしゃったように、テレビは十八時間放送しているわけでございますので、やはり何らかの形で受け手送り手の間でもう少しコミュニケ−ションをよくして、受け手の側で、先ほどから申しますように、もっとテレビを活用するためにはどういう見方がいいかということもお互いに検討していきたい、こういうふうに考えております。
  23. 藤原ひろ子

    藤原委員 いま、受ける側と送る側と、また大人子供の話し合いということ、批判的に内容を見ていくということ等いろいろ出てきたわけですけれども、毎日放送テレビが学者、専門家、現場の教師と一体になりまして、約二十年にわたって実態調査を行っておりますが、この「くらしの中のテレビの役割」という中で、「テレビ、ラジオ、新聞、雑誌のうちでなかったらいちばん困るものは何ですか」という問いかけに対して、「テレビ」と答えました者は、昭和四十八年は六年生が男子六四%、女子が七〇%です。ところが、五十二年は男子は一三%、女子は一一%と、うんと低くなっているわけです。つまり、以前ほどテレビに必要感を持っていないというデータが出てきているわけです。しかし、これはテレビを不必要だと考えているのではなくて、テレビがより生活に密着をし、存在に気づかなくなっているという傾向をあらわしているというふうに私は思うわけです。  一九七六年の放送番組向上委員会報告の「よりよい放送のために」という中にも、第百二十二回委員会におきまして、委員方々がこういうふうにおっしゃっております。「テレビは、水道の水的なものからいまや空気的存在になったという。今の人たちにとって、テレビなど空気みたいなものだから、神経質になることはないという人がいるが、空気的ということは、水道のコックをひねるという自主性が失われ、感受性がにぶくなった状態なのだ。だから相手は空気と思っているのだから、何を送ってもいいという送り手側の論理は成り立たないと思う」という発言をして、「放送番組の評価に関する世論調査をさらにもう一歩心理学の分野からも突っ込み、分析する必要がある」というふうに指摘をしておられるわけです。  この点につきまして、一九七六年ですからもう大分たっているわけですが、この指摘が現実にどのように反映されているのかどうか、両者からお答えいただきたいと思います。
  24. 堀四志男

    堀参考人 お答えいたします。  確かに、御指摘のように、水道から空気へというていの変化、あるいは受けとめ方が変わってきているという事実は御指摘のとおりかと思います。したがいまして、私たちは、それがゆえにさらに視聴者とのコミュニケーションの増加あるいはテレビ利用、活用の仕方についてのお互いの話し合いというものを深めていかなければならないというふうに思っております。  すなわち、水道から空気になったからといって無責任な態度をとるのではなくて、むしろ逆の、責任を強く感じた立場で物事を処理していきたいというふうに考えている次第でございます。
  25. 杉山一男

    杉山参考人 いま先生指摘されたように、テレビを見る数が少なくなったということについて、先生の、これはテレビ離れと見るよりも、むしろ向上委員会のレポートにあったように水道から空気に変わったんだというふうに考えるべきではないかというお考えに私は全く同感であります。  したがいまして、テレビというものが家庭の中で全く重要だということよりも、もう家庭生活の一部になっておるというふうに考えてまいりますと、それだけにわれわれがテレビでどういうふうに社会の福祉に貢献するかということについて、これは日ごろ民放各社はもちろん放送関係者が考えておることでございますけれども、そういうテレビ離れという感覚ではなしに、空気のようなものになったという観点からもっと検討してみたい、こういうふうに思っております。
  26. 藤原ひろ子

    藤原委員 いまの御答弁の点はぜひともよろしくお願いを申し上げたいと思います。  いま日本テレビは午前中、夕方、夜と、あらゆる時間帯に子供向け番組が編成をされておりますから、先ほど家庭のしつけについても御答弁の中でもやや出てまいりましたが、確かにその点はあるわけでございます。しかし、洪水のような時間帯ですので、家庭のしつけを少々厳しくしたところで、チャンネルさえひねれば映像が飛び出してくる、そのチャンネル権は大体どこの家も子供が握っている、だから家庭のしつけだけではどうにもしようがないのだという状態もあるわけです。  視聴率競争の激しい日本放送局は大変研究熱心だというふうに聞いているわけですが、子供たちの心をどうしたらつかむことができるのかという技術は大変進歩していて、一分一秒たりとも子供の心を離すことはしないと言われております。私は、日本放送事業者が持っている研究熱心という面を大変評価したいと思いますけれども、それならそれをもっと子供向け番組の制作に生かしていただきたい。内容に生かしていただきたい。そのことは、子供の好みの分析にだけ基づくものではなくて、子供の心をどのように豊かにしていくのかという点でぜひとも研究努力をお願いしたいというふうに思うのですが、この点についてはいかがなものでしょうか。
  27. 堀四志男

    堀参考人 お答えいたします。  御指摘のとおりの努力を重ねたいと思っております。
  28. 杉山一男

    杉山参考人 NHKの方が答えられたことと同感です。
  29. 藤原ひろ子

    藤原委員 ことしの一月二十七日に、小学校での国語教育のあり方を探る京都市国語教育研究会、京都教育委員会主催ということで、第二十三回全国国語教育研究大会が開かれたわけです。この大会は、よりよい国語教育の推進を目指して全国の先生たちが集まって研究、実践を研究、討議する場として開かれたわけですが、この中に出てきている問題について触れたいと思います。  ことしのテーマは昨年に続きまして「情報社会における読みの方法」というもので、私はこの教育研究会の会長であります鳥居一夫先生にお会いしていろいろと聞いてきたわけですが、その中で鳥居先生は、現代の子供たちテレビ情報ラッシュの影響を受けて、作品を読んでも文章を部分的にしか判断できない、断片的にしか受け取らない、本質を見失ったり、想像力や思考力を低下させ、さらには無感動になりがちである、そういう状態を重視しているというふうに話をしておられます。そして、国語教育にとりましてその克服が最大の課題であるとしてこのテーマに取り組んでおられるわけですが、テレビ子供の言語活動に与える影響は大変大きいものがあると思います。元来、言語というものは人と人との対話によって発達をし、また、文章の文脈によって論理的な思考力を養うという人間の思考の基礎になるというふうに私は思うわけで、こういった面から見てもこれは大変大切だと思うのです。  そこで、先日、二月八日の読売新聞に、シャンソン歌手であります平野レミさんの「子育て日記」という記事が出ておりました。子供が「ある日「ビキ、ビキ」と言ってゲラゲラ笑った。」というのですね。「私にも夫にも何のことかさっぱりわからない。「ビキって何?」と聞いても、笑っているだけだ。次の日に「めんめんめがねの……」と言った。「めんめん眼鏡の五割引……」というコマーシャルソングがあって「五割引」のビキのところを最初に覚えたのだった。」というふうにあるわけです。このように子供は大変鋭い語感を持っております。物事に対してはまるで吸い取り紙のように知識を吸収してまいります。お子さんやお孫さんをお持ちの皆さん方も、このことはよいにつけあしきにつけ日々感じておられることだと思うわけです。これをNHK調査によって見ますと、子供たちテレビに費やす時間は一週間におよそ二十時間近くだそうです。一年間で千時間になるわけです。テレビには祭日もないし夏休みもありませんから学校の授業時間より長くなっているわけです。テレビ子供が覚える流行語やCMソングに学校先生もお母さんもかなわないというのは当然のことであるわけです。ですから、子供たちのこの感受性や吸収力、つまり覚えのよさを大いにプラスになるように発達させていきたい、テレビにもその一役を大きく買ってもらいたい、このように私は心から願っているわけです。  そこで、民放連お尋ねをいたしますけれども、CMにつきまして民放としてはどのように配慮をされているのでしょうか、配慮をされているとすればどのようにしていらっしゃるのか、お答えをいただきたいと思います。
  30. 杉山一男

    杉山参考人 放送基準の方ではちょっとはっきりしておりませんけれども、児童向けの場合はできるだけCMの内容その他について自粛するということが解説の中に出ております。  それから、もう一つは、CMは一週間で一八%以上放送しないという規制を昭和五十年の改定で新たにつくりまして、CMの過剰を防いでおります。
  31. 藤原ひろ子

    藤原委員 京都市のある小学校で五年生を対象に十分間で子供がどれくらいCMを知っているのかという調査をした資料を私はここに持っておりますが、白い紙を子供たちに渡しまして、先生が「用意、ドン」と言って、コマーシャルの文句とその品名を書かせたわけです。そうしますと、何と十分間に最高二十八のCMの文句と品名を書いております。平均しますと十一種類の品物のCMをすらすら書けるほど知っているという状態です。それで、十分間でもうやめなさいというストップの合図をしましたら、子供たちから「いや、まだ知っている」という声が出たわけです。このよく知っております品物のうちで四五%は食品です。また、その食品のうちでもおやつが四五%、インスタント食品が三二%、合わせて七〇%以上を占めているわけです。  同じ調査がこの京都市内の山間部の僻地の学校でもやられたわけですけれども、この傾向は都会も山村僻地も大体同じぐらいです。平均十五種類の品名を知っているというのもおりました。この子供たちテレビを一日平均四時間見ているそうです。  放送関係者の話を聞きますと、子供は動く広告塔だとあるスポンサーがおっしゃっているそうですけれども、子供に覚えさせれば母親がその品物を買うという意味子供は動く広告塔だとおっしゃっておるそうです。  アメリカの一つの例ですけれども、子供向けの人気テレビ番組の主人公をCMに使ってその商品を大いに売り込んだところ、ATC、子供のためのテレビ行動委員会という母親たち団体が、「このCMは子供の過度の薬品使用を招くおそれがあり、しかも健康を損ねる危険性がある」と主張いたしまして、連邦取引委員会、FTCにCMの差しとめを申し出たそうです。その結果、FTCの見解として、「子供たちに人気のある番組のキャラクターをCM内容に使用することは、番組内容とCM内容子供に混同させ、子供番組の間に生まれた信頼関係を悪用することになる」と言ってそのCMを中止させたそうです。これはあくまでも一つの例でございまして、私は権力機関がCMを中止させたことを肯定しているわけではないわけです。つまり、私が言わんとしておりますのは、スポンサーなり放送各社が、テレビ機能子供の特質との関係を考えましたときに、CMについても十分過ぎるほど配慮すべきではないのかということであります。  日本でも視聴者からこういうCMに対する希望が出ているわけです。総評など二十三団体が加盟してつくっております「マスコミを国民のものにする連絡会議」では、CMについての一つの要望として、お菓子などのCMについて、「食べたら歯をみがきましょう」とか「食べ過ぎると虫歯になりますよ」というような字句をCMスポットの中に入れてほしいというような積極的な提案を出しながら運動しておられるわけです。  さらにCMについて言いますと、現在、放送基準民放連も加盟しておられる全日本広告連盟のCM倫理綱領にもその精神が書いてあるわけですから、その基準、精神に沿って制作をされていると思いますけれども、子供の場合、商品のよしあしは別にして、おまけにつられて買ってしまうという場合もありますし、子供に人気のある人たちの登場するCMだということでついつい買うことをねだるというふうな状態が現実の日本の問題点としてあると思います。こういう中でCMの影響によって主体性のない子供が形成をされていくのだという側面も大いに事実として持っているのがテレビのコマーシャルではないかと私は思います。  こういったことを考えましたならば、子供の人格形成を考えて、コマーシャルについても改善をする必要があるというふうに私は思いますが、これは私が間違っていますでしょうか、いかがなものでしょうか、民放連お尋ねをいたします。
  32. 杉山一男

    杉山参考人 研究して努力してみたいと思います。
  33. 藤原ひろ子

    藤原委員 民放各社は商業放送として成り立っております以上、私はコマーシャルそのものについて否定しておるわけではございません。民放が言われる企業経営というのはそれなりに理解ができますが、しかし、放送という事業を考えました場合に、当然そこには送り手受け手という関係が成り立っているわけです。受け手であります視聴者に理解されない放送事業は経営基盤そのものも侵されるわけです。  視聴者側からのこのような要望は検討に値することだというふうに思いますが、もう一度その点について御見解を明らかにしていただきたいと思います。
  34. 杉山一男

    杉山参考人 先ほどお答えしましたように、研究して努力してみたいと思います。
  35. 藤原ひろ子

    藤原委員 ぜひお願いいたしたいと思います。  私が先ほども触れましたように、日本テレビは、早朝、午前中、夕方、夜と、あらゆる時間帯に、幼児向け、小学生向け、中学生向けとの違いはあるにせよ、いわゆる子供向け番組がたくさん放映されているわけです。それはチャンネルをひねれば映像が飛び出してくるわけです。こういう中で子供の一日の生活時間を考慮して、それに即応した子供中心の番組編成を考えてみるということも大変必要ではないかというふうに思うわけですので、こういった点を今後ぜひ御検討をいただきたいというふうに思います。  テレビは非常にすぐれた機能を持っているわけです。それだけに国民教育、教養の発達、文化の向上あるいは子供の健全な発達というものに大変役立つものとして、真に国民のための、あるいは子供のためのものとしてテレビを発達させていく必要があるというふうに私は思います。  私は、テレビ機能役割り、それに伴う子供に与える影響についてきょうはずっと質問をさせていただいたわけでございますが、放送番組向上委員会が「子供文化とテレビ」の問題で特別プロジェクトを設けて、五十年八月に見解と提言を出していらっしゃいます。その中で、「テレビはもう空気のような存在になってきている」と述べています。私は水道のようだと言いましたが、ここでは空気のような存在だと、先ほども申しましたように述べておられるわけです。そして、「子供たちの長時間視聴傾向は、必然的に大人向け番組視聴や、いわゆる“ながら視聴”の傾向を生み出している」と指摘をしております。「空気のようなものであればあるほど、私たち放送番組向上委員会社会的責任はそれだけ重くなってきていると思わざるを得ないが、同時に放送送り手やスポンサーの社会的責任もますます重くなってきていることをはっきり自覚していただきたいと思う」と、こういうふうに提言をしておられます。まさに、放送事業者側に求められているのはこのことだというふうに思います。  最後に、NHK民放連にこういった点についての御見解をお尋ねし、また、きょうの子供テレビにつきますこの話し合い、私とNHK民放連とのやりとりの問題につきまして大臣の御感想をいただいて、質問を終わりたいと思います。
  36. 堀四志男

    堀参考人 言うまでもなく、御指摘の線に沿って努力をいたしたいと思います。
  37. 杉山一男

    杉山参考人 番組向上委員会は、NHK民放連でつくっておる一つ団体でございます。そこから出ておる提言はわれわれとしても尊重して、その方向に努力したいと思います。
  38. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  あらゆる角度から資料を収集されまして、それを科学的に、またとうとい体験の上から御分析されました御意見はまことに感銘深いものを感じました。  したがいまして、放送事業者放送の重要性を十二分に認識して、国民生活充実向上のために、また先ほど来御指摘のありました青少年に与える影響の重要性を十二分に認識されて放送を行うよう努めていただきたいものだと私は考えております。  放送番組充実向上については、実は先般も民放の会員協議会に私は出席をいたしまして、放送事業者の代表者の集まりの場で特にこの問題について強く要望いたしておきました。もちろんNHKについても、ただ一つの公共放送であるだけに、特に留意をされるようにありとあらゆる機会に強く求めている次第でございます。今後もそういった趣旨にのっとって、ただいまの御意見を十二分に尊重する考え放送行政を大いに推し進めてまいりたい、かように考えている次第であります。
  39. 松本七郎

    松本委員長 依田実君。
  40. 依田実

    ○依田委員 きょうは主に後半で最近の民放番組内容あるいは編成方針などについてお伺いをする予定でございますけれども、その前に、この前特定局の問題で集中審議がございましたが、時間切れになりましたために一言だけ言い残したことがございますものですから、それのお話をさせていただきたいと思っております。  それは任用制度のことでございまして、各委員からももうすでにお話が出ましたけれども、任用規程につきましては御承知のように二行書かれておるわけであります。「年令」の問題と、それから「相当ノ学識才幹アル者」というように二行だけ書かれておるわけであります。これは郵政当局からのお答えの中にもありましたように、この制度ができましたときは、その地域のいわゆる名望家の方に郵政事業の一端を担っていただくということで、そういう意味では非常にアイデアに富んだ、また効果的な制度だっただろうと思うのであります。  ところが、御承知のように、最近は、今度の事件もそうでございますけれども、地方の名望家というものが果たしてあるのかどうか、そういうものに頼っていいのかどうかというふうに私は思うのであります。これはほかのたとえでございますけれども、たとえばお医者さんなども、昔は地方の名望家あるいは代々医をもって町のために尽くしてきたという方が大体地方ではお医者さんであったわけであります。ところが、最近は御承知のように医科大学の入学料が非常に高くなっておりまして、そういう面もこれありまして、最近はお医者さん志望の方も、世の中のため地域のためということでおやりになる方だけじゃない。代々お医者さんでぜひ御子息も医者になりたいという方もおるのでありますけれども、中には不動産などでお金をもうけた、お医者にしておけば、医科大学に金を積んで入っておけば将来生活に困らないだろうということで子供さんを医科大学に入れる人もある。つまり、それだけ地方の名望家という方の地盤が沈下しておるわけであります。  同じように、特定局の問題もその辺の社会の趨勢というものを考えておかなければいけないだろうと思うのであります。特に、たとえば都会の近郊などでは、特定局をおつくりになる方、自分で局舎をおつくりになってその局長になられるというような方、そういう土地に建物を建てられる方、土地を取得できる方、そういう方は昔の名望家ではなくなってきておるのではないだろうかと私は思うのであります。今度の事件なども、聞くところによると、そのお父さんは不動産屋であった。職業のいい悪いは別といたしまして、ややもするとそういう傾向が出てくるのではないかと思います。  そういう意味で、いままでのような名望家に頼っていくという特定局制度でそういう方を採用するには、いま申し上げたようなただの二行の任用規程でよかったわけでありますけれども、これからはそういうほかの目的で、つまり営利のためにやるのだということで入ってくる人たちを防ぐためには、この任用規程というのは少し簡単過ぎるのではないかと私は思うのでありますが、いかがでありましょうか。
  41. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  特定局というのは全国のうち山間僻地に至るまで設置されておることは依田先生も御承知のとおりであります。職員の構成も御承知のとおり二名から二十名、三十名という大小さまざまな規模で、特に地域社会に密着し、その地域住民にサービスを提供することを第一義に考えて設置されているのでございます。それがすなわち特定局の特色であることも御理解がいただけると思うのでありますが、こういった特定局の局長には、やはりそれにふさわしい人材が必要でございます。  ただいま、いわゆる名望家をもって即郵便局長に推薦とか任命ということについての御指摘がありましたが、現在のわれわれの感触から言って、名望家とは一体何ぞやという問題になってくると思うのでありますが、私は、むしろ、その地域において信望を担うにふさわしい人格者を局長に選ぶということが最も必要ではなかろうかと考えている次第でございます。したがいまして、現在の任用の制度、基準はまことに簡明でありますが、しかし、実際の任用に当たっては、きわめて厳粛で、しかも厳しい立場をとりつつ選考をいたしているのが実態でございます。  私は、学歴とか経験に余りこだわるとかえって人材登用に一つの枠がはめられるという危険を痛感いたしておるわけでございまして、先ほど申し上げましたとおりに、一律に物事を考えないで、ありとあらゆる角度から、志望者の中からその地域社会に最も信頼をされる人間を、と言っても、これは学力も全く無視してと言っているのではございませんで、局長としての必要な教養は当然求められるわけでありますから、そういった実態に従って現在の任用基準を適切に効率的に運用いたしまして、その目的を達するようにいたしている次第でございます。
  42. 依田実

    ○依田委員 この問題につきましては、私の意見だけ一言言わせておいていただきたいと思って申し上げましたので、次のきょうの本題に入らせていただきたいと思うのであります。  最近、民放番組内容について、それからまたその経営のあり方につきまして各方面からいろいろの批判も出ておるわけでありますが、きょうはそのうちの幾つかを取り上げて御質問させていただきたいと思うのであります。  それに入る一つのきっかけといたしまして申し上げますが、先般二月八日と九日の二日間にわたりまして、テレビ朝日で「アフタヌーンショー」というのがございまして、これで「拝啓NHK様受信料について質問します」という番組放映されたわけであります。私は、きょうは、民放放送の編集権とかいうものに介入しようという気はさらさらないわけでありまして、やはり民放には健全に育っていただきたい。そうしませんと日本人の精神風土に悪い影響を与えるわけでありますから、そういう意味できょうはこの問題をあえて取り上げさせていただいておるわけであります。  この番組一つ質問する前に、きょうは民放連の方から杉山さんにお出ましをいただいたわけですが、この番組をごらんになりましたでしょうか。
  43. 杉山一男

    杉山参考人 私は、残念ながら見なかったのです。
  44. 依田実

    ○依田委員 私は、いまのお答えも非常に残念なんであります。先般からいろいろな問題について、この委員会民放の責任者をお呼びしておるわけでありますけれども、御出席を渋るやに見えたり、あるいはまた、きょう私が「アフタヌーンショー」を取り上げるということは、きのう民放の係の方がいらっしゃってわざわざ聞いていらっしゃっておるわけであります。いまはビデオというものがあるにもかかわらず、きょうその代表の方がその番組について見てこられなかったということは民放のいまのあり方の一つを象徴しておるのじゃないだろうかと私は思うのです。非常に残念でありますけれども、私が昨日こういうものを取り上げると申し上げながら、お出ましいただいた方がそうなんですから仕方がございませんが、その上でいろいろと御質問させていただきたいと思っております。  私は、この番組の制作意図というものはどこにあるのかと、これをまず一つお聞きをいたしたいのであります。  われわれも番組をつくった経験がございますが、一つは実用番組、つまり、この番組で言いますと、NHKに対する銀行振り込みなどの御不満がいろいろ視聴者から出ておるが、こういうものをどういうふうにしたら解決できるのかということ、つまり、実際自分が困った場合にはどういうところへ行ってどういう処置をしてもらえばいいのかというような実利的な意味でおつくりになるのが一つの企画の方針でございます。二つ目は放送法のあり方です。つまり、その中の三十二条にございます受信料のあり方自体をいろいろ御討議になることは結構だと私は思うのであります。言論の自由でありますから、その法律についていろいろ御意見を言われるのは結構であります。  こういう二つの制作のやり方というものがございますが、つまり、キャンペーンとしてやるのか、あるいは法そのものをみんなで討議してみたいということでおやりになるのか、このいずれであったのでしょうか。
  45. 杉山一男

    杉山参考人 私は、先生から質問があるというのでテレビ朝日の方へ聞いてみましたが、その結果をお答えいたします。  このテレビ朝日を、先生からいろいろお話がありましたけれども、私は残念ながら見ていないのですが、先方では、番組の初めに、この番組は、受信料の問題について視聴者の間にいろいろ疑問があったり問題が起きておるので、これを率直に取り上げてNHKの方にいろいろ説明を願うということで、受信料そのものをどうこう云々するというものではないということをはっきりお断りしてあったということと、この番組を取り上げた動機というものは、新聞にいろいろ受信料についての視聴者からの意見が出ておるので、そういう問題を一つ取り上げたらどうかということから話をして、NHKの方とも連絡を取りながら企画したのだという話でした。
  46. 依田実

    ○依田委員 つい先般、銀行振り込みのことで受信料に対する世間の批判がいろいろと出ておるということで問題を取り上げた。これはジャーナリストとして、マスコミの関係の方として至極当然だろうというふうに私は思うのであります。しかし、残念ながら、いま杉山さんから御答弁がございましたけれども、この番組の制作意図と、それからまた実際にこれを制作している過程で多少公平さを欠いておったのじゃないだろうかというふうに私は思うのであります。  苦情をお持ちの方を集められることは当然でございまして、何も問題のない人をスタジオへ呼ぶ必要はありません。いろいろな奥さん方でそれぞれに苦情を持たれた方、NHKにいろいろな感情を持たれている方、こういう方が出てくるのは番組として筋の通ったことだろう私は思うのであります。しかし、それをサイドから支える出演者、これは一人は法律家で一人はまた大衆文化研究家でございますが、こういう方々の人選のあり方あるいは配置の仕方、それから途中のテロップの使い方、セットの組み方といういろいろな問題を全部総合して私が感じたところは、この問題は非常に公平さを欠いておったのじゃないかということと、それともう一つは、いまの放送法というものに対してもう少し慎重に扱ってほしかったというような気がするわけであります。  それは私だけじゃございませんで、たまたま朝日新聞の記者がみずから「テレビ朝日の受信料企画」というコラムを書いておりまして、その中にこういうことを書いておるのであります。「「まな板のコイだね」と、だれかがつぶやいた。なるほど、スタジオ内の配置は、それを思わせた。東京・六本木のテレビ朝日。八、九の両日、正午からの一時間番組「アフタヌーンショー」は、「拝啓NHK様受信料について質問します」を生番組放送した。」とありまして、少しあきまして、「制作者側が、NHK−柴田さんをコイに仕立てたことは、その配置、番組の進行ぶりからもうかがえる」というふうに朝日の記者がみずから書いておるわけでありまして、これは私だけの感じじゃないと私は思っておるのであります。  具体的に幾つか例を申し上げます。途中でテロップが出ておりまして、これに「集金人はこわい」という見出しがついてございまして、いかにも集金人が暴力団のごとくに居座ってひ弱な奥さんをおどし上げておるという感じのテロップが使われておったのであります。また、そのセットには「NHK」と書いてございまして、「N」は「憎い」と「N」のわきに書いてあるわけです。「H」のわきに「ひどい」、「K」のわきに「返せ」というセットが組んでありました。こういうやり方というのはどうもやはり公平さを欠いておるのじゃないだろうかと私は思います。  また、森本さんという法律家が出られておりましたが、その方は「週刊読売」の昭和四十六年七月号に、放送受信料契約の三十二条というのは憲法違反だということを書かれておる方でございます。テレビ朝日の方はそれを当然御承知の上でお呼びになっていらっしゃると私は思うのであります。これは呼ばれて結構だと私は思うのです。しかし、三十二条の問題に触れられるならば逆の立場の方も——つまり、いま現実に法律として決められておって、これは実際守られておるわけでありますから、そういう論議をもしするならば、ほかの方も、いまのこの放送法三十二条を肯定される方をやはり出すべきであったのじゃないだろうかと思いますが、この人選などについて杉山さんはお聞きになっておりますでしょうか。
  47. 杉山一男

    杉山参考人 私が聞いた範囲内でございますので先生の質問に的確に答えられるかどうかわかりませんが、私が聞いた人は、いわゆる森本さんがどういう人であったか、あるいは一般評論家の人がどういう立場の人かということについては自分らはよく知らなかった、よくそこまで調べてなかったということです。  ことに、私たちの方の接触するのは考査担当の方でありまして、考査の立場からあの番組を見た結果を申しますと、一応いわゆるNHKさん側、あるいは銀行さん側、そして一般の視聴者、それに法律家と評論家という形で取り上げていて、自分らとしては公正さを欠いたというふうには考えていないということが向こうの方の私が聞いた範囲での答えでございました。
  48. 依田実

    ○依田委員 私は、その番組制作者の考え方というのは非常に困ると思うのであります。さっきの朝日の記者も書いておりましたように、要するに「まな板のコイ」と書いてある。これは非常に朝日らしいいい言葉でありますが、悪く言ってみれば、要するにつるし上げ番組であります。つるし上げの当事者を出してあるのだから、片方はいいのだ、片方だけ出せばいいのだということは番組をつくる常識としては成り立たないのじゃないだろうかと思います。そういう意味で、その番組をつくられる方に、これからの番組の編成の場合にひとつぜひ気を配っていただきたい。  そして、この森本さんという方が、放送法三十二条、つまり受信料契約というものは憲法違反だという疑いがあるということを盛んにおっしゃっておったのでありますが、日本民間放送連盟放送基準というのがございますけれども、この第二章に「法と政治」ということが書かれてございまして、これには、(6)に、「法令を尊重し、その執行を妨げる言動を是認するような取り扱いはしない。」と書いてあるのであります。  私は今度の番組をずっと拝見させていただきましたけれども、司会者のいろいろな言動を見ますと、具体的に申し上げますと、「払っている人がばかばかしい」とか、あるいは「まけろと言えばまけるのでは」とか、そういうようなことを司会者が盛んに言っておるのであります。こういうことを考えてみますと、民間放送たりともやはり放送法の枠の中でいろいろお仕事をなさっていらっしゃるが、その放送局がみずから民間放送放送基準として書かれている「法令を尊重し」ということを破られているのじゃないかというふうに私は思うのでありますが、これはいかがでしょうか。
  49. 杉山一男

    杉山参考人 先ほども申しましたように、私は残念ながら見ていないので非常に先生には申しわけないと思いますが、放送基準に抵触するものがあるとするならば、これはわれわれの内部の問題でありますけれども、十分審議会で討議し、今後そういうことのないように努力したいと思います。
  50. 依田実

    ○依田委員 ここで、途中でありますけれども一つ伺いますが、このいままでの放送法、そしてごらんになっているかどうかわかりませんけれども受信料契約、そしてまたそれに対する私の話で、大臣はごらんになっていなければ客観的にお話ができないというお答えじゃ困るのでありますけれども、今までの成り行きをごらんになって、いかがでございましょうか。
  51. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  依田先生も御承知のとおりに、私の仕事の関係からしますと、「アフタヌーンショー」はちょうど一時からでありまして、その当時は予算委員会その他の委員会でとうてい見られる時間帯ではございません。したがって、まことに残念ですが私もその番組は見ておりません。  ただ、御指摘の問題について、私は現実に見ておらないのでとかくの意見を差しはさむことは控えたいと思いますが、しかし、関係筋を通じて一応テレビ朝日側にその実態調査せしめるようにしたい、かように考えている次第でございます。
  52. 依田実

    ○依田委員 それとまた、先ほど申し上げましたように、この公正というか、ある偏った考え方のもとに舞台回しからセットまでいろいろと組まれておったのじゃないか。これはまた私の意見だけ申し上げて繰り返すようですが、先ほど申しました朝日新聞の方がわざわざそういうふうにお書きになっておる。そういう意味で、あの中に大衆文化評論家という方がいらっしゃるわけでありますけれども、この方が盛んにNHK放送法の第一条あるいは四十四条に違反するような放送をしておるということをおっしゃっておったのですが、第一条というのはきっと不偏不党ということをおっしゃっておられると思うのです。そして、第四十四条の方は、政治的公平ということと、意見が分かれるときにはなるべくたくさんの方を出せという条項のことをおっしゃっておるのだろうと思うのでありますけれども、この番組を見るからには、そういうことを言っておる番組自体がどうもそれにひっかかっているのじゃないかというふうに私は考えるのであります。  それで、この放送は生で放送された番組であります。私たちもやっていた経験から申しますと、生放送でありますから、ビデオのように事前に悪いところをカットしたり、気がついたときにそれを訂正するとかいうようなことができなかった番組でありますから、そういう意味で制作者に多少弁解の余地はあると思っておりますが、しかし、全体としてそういう雰囲気の中でこの放送がなされたということは非常に残念でございます。  現在まだ放送法というものがございまして、この放送法についてはいろいろ御意見がございまして、私たちのこの委員会の中でも、今後小委員会を設けてそういう問題についても検討しようという御意見もあるわけでございますけれども、しかし、現実にまだその法律が執行されておるわけでありますから、いま申し上げましたような点については民放方々にもう少し御配慮をいただくことがよろしいのじゃないだろうかと私は思いますが、これを杉山さんの方から民放に御伝達いただけますでしょうか。
  53. 杉山一男

    杉山参考人 放送基準審議会できょう先生が質問されたことについては御報告し、十分意見交換はしてみたいと思います。
  54. 依田実

    ○依田委員 この「アフタヌーンショー」の放送について最後に一言だけお聞きをしたいのでありますけれども、NHKに対してどういう反響が電話なりあるいは手紙なりで来たのか、ひとつお聞かせをいただきたい。民放の方には番組に出ておりましたから聞きませんけれども……。
  55. 反町正喜

    反町参考人 お答えいたします。  当番組は二月の八日、九日の両日行われたわけでございますけれども、これに対する反響は、二月の十三日までに、ほとんど全部と言ってよいほど電話でございますけれども、全国で約千二百通余りでございました。  もちろん先生御承知のように、この投書でありますとか電話の反響というものの性格は、世論の正確な実態というものとの関連という問題もございますけれども、その千二百通というものを一応大別いたしますと、支持、激励と申しますか、これが約七割五分程度でございました。その支持、激励等の内容は、大体が国民が法を守るのは当然であるというようなこと、それから正直者がばかを見ないように大いに努力せよというような激励、受信料によってわれわれがNHKを支えているのでこの制度は非常にいいのだ、大いに自信を持ってやってもらいたいというような激励、支持、そういう反響が約七割五分でございまして、その残りが、不公平がないようにどういう対策をとっているのかということ、集金もなるべく夜間でなくて昼間に来てもらいたいというような御意見、あるいはこの制度の点を抜本的に検討し直すことが必要なのではないかというような御意見でありました。また、問い合わせもございまして、NHKは不払い対策をどうやっているのかというような問い合わせ、あるいは罰則がないのが本当なのか、放送法を説明してほしいというようなお問い合わせもありました。それに、どうも不払い者が堂々とテレビに出演している、弁護士さんも払わなくていいようなことをおっしゃっている、したがって私も払いたくないというような苦情と申しますか、そういう反響も若干ございました。  大体大別いたしますと以上のようなとおりでございます。
  56. 依田実

    ○依田委員 「アフタヌーンショー」のことはそのくらいにいたしまして、これをきっかけに民放番組のあり方というものをぜひ真剣に考えていただきたいと私は思うわけでありますが、最近は娯楽優先あるいは営利優先という感じが民放の経営、番組制作についてしてならないのであります。たまたま「テレビ人語録」というものが朝日新聞に出ておりましたが、これは私は名前は申し上げませんが、私たちテレビをやっておったときに大先輩として出演していただいたような方ですから、民放テレビの制作の中心の方でございます。その文章を読ませていただきますと「民放は世論をリードしようとか、人にものを教えようとか、高尚な番組はいらないんだ。テレビ生活の補完手段。きょうの疲れをいやし明日の活力の足しになればいいと思う」と言って、続いて、「民放は商売だから大衆に迎合して時にはエロ、グロ、暴力も出てくる」と言っているのです。こういうことを公然とテレビ制作の一番中心にいられる方がおっしゃっておるわけでありまして、こういう考え方がいまの民間テレビ局には充満しておるのじゃないだろうかと私は思っております。こうなりますと、制作者の自主性も大事でございますけれども、番組内容について、審議会とかそういうものの機能をもっと充実させていく必要もあるのじゃないかと思います。  郵政大臣テレビ一般放送事業者にあてた文書の中に、「放送番組の編集及び放送に当たっては、放送法の規定及び放送番組の編集基準を誠実に遵守するとともに、放送番組審議機関の意見を十分に尊重し、放送番組充実向上を図ること。」ということが書いてあるのでありますが、そこで、いま民放では番組審議会というものはどういうふうになっておるのでしょうか。
  57. 杉山一男

    杉山参考人 これは法律番組審議会各社が持たなければならないということになっておりますので、全社番組審議会を持っております。そして定期的に開催しておるということになっておると思います。
  58. 依田実

    ○依田委員 その中で討議された内容ですが、こういう番組はどうだったとか、こういうところは気をつけようとか、そういうような討議内容は公に発表されておるのでしょうか。
  59. 杉山一男

    杉山参考人 私が知っておる限りでは公開はされていないのではないかと思います。審議会の議長がその社の社長に答申するということになっておりますので、公開はされていない。  ただ、一部内容の重要な点については、いろいろ民放連にその資料が来ておりますので、それは「月刊民放」という雑誌に紹介してはおります。
  60. 依田実

    ○依田委員 いま公表されていないというお答えでございますけれども、こういうものはもっと広く世論を聞くという形、つまり発表するという形が必要じゃないだろうか。そして、また、これはNHKなどはときどきやっておりますけれども、視聴者と結んでいろいろ番組内容についての意見を聞いて、それを放送するというような形も民放はどしどしお組みになる必要があるのじゃないかと私は思っております。視聴者との対話については、各テレビ局もいろいろ窓口をつくったりして番組内容あるいは質問に答えておるようでございますけれども、それはあくまでも民放の局舎の中の話でございまして、そういう内容を今度は放送に乗せるような、つまり番組としてそういう視聴者との対話を乗せるような、そういう企画も必要じゃないだろうかというふうに私は思っておるのであります。  先ほどちょっと藤原委員の質問のときに出ましたけれども、杉山さんのお答えの中では、五十年にコマーシャルが一八%に変わっておるのであります。それまでは一〇%が限度だったわけでありますけれども、それが一八%に変わってきておる。こういうところも民放のなるべく金もうけをしたいという意図のあらわれじゃないかと私は思うのでありますけれども、この一八%にお変えになった理由と、これを将来もお続けになるのかということと、あるいはもう少し少なくしようじゃないかという御意見が出ておるのかどうか、その辺をお聞きしたい。
  61. 杉山一男

    杉山参考人 いまの一八%については先生がちょっと誤解をされていたのではないかと思います。  私が話した一八%は、一週間の放送時間に対して一八%ということで、昔は一時間番組でしたらその一〇%、三十分はその一〇%という形で決められていました。それが、そういう形で総枠は決めてなかったわけです。したがって、いろいろスポットその他を入れてまいりますとそれが一八%を超えまして、大体当時は、一八%と規制するまでは、一週間の放送時間に対してコマーシャルの数が二〇%を超えていたのじゃないかと思います。それを一八%に規制した。相当厳しい規制だったということでございます。
  62. 依田実

    ○依田委員 ちょっといまの解説はわからないのでありますけれども、一週間の番組で一八%、その一週間が重なれば月全体で一八%、年にしても一八%ということで、一八%という数字は変わらないと思うのであります。それから前の一〇%は、これは番組の中の最高が一〇%と決められておったのですから、そうなりますと、全番組を通しまして一〇%よりふえることはあり得ないわけでありますが、その辺はいかがでしょうか。
  63. 杉山一男

    杉山参考人 三十分以上の番組については一〇%、あとはまた違っております。基準がいろいろございまして、五分番組は幾ら、十分番組は幾ら、三十分以上の場合は一〇%という形で、そしてそれは番組の問題であります。番組番組の間にステブレがございます。そのステブレにはスポットが入ります。今度はそういうものを全部含めて一八%というかっこうになっておるので、相当厳しい規制であるということは事実であります。
  64. 依田実

    ○依田委員 私は、数字の魔術なのか、どうもよくわかりませんが、民放の職員の中でもその一八%にふやしたということに対する批判があるわけであります。私は杉山さんのお答えにどうもちょっと納得しかねるところがあるのであります。これは民放連のいろいろな資料の中にも、それからまた改善してもらいたいという要求の中にもそういうことが出ておるわけでありますから、そのパーセントの数え方についてはちょっとまだ納得がいきませんけれども、しかし、時間がありませんからそれは飛ばさせていただきたい。  また、この郵政省の文書の中に、各放送局に対して番組内容何%というのがございます。一般テレビジョン放送局は教育番組一〇%以上、教養番組二〇%以上というふうになっておるわけであります。ある特定の放送局、これはこのときは二放送局があるわけでありますけれども、それに至っては教育番組が二〇%以上、教養番組が三〇%以上、実に五〇%以上教養、教育でやらなくちゃいかぬというふうに書いてあるわけでございます。  郵政省、いかがでございましょうか。このパーセンテージはいまでも守られておるのかどうか。つまり、再免許のときにこれを参考としてやっておるのかどうか、あるいはそれならばその統計資料というのはどこがつくっておるのか、それをちょっとお知らせいただきたい。
  65. 平野正雄

    ○平野政府委員 お答え申し上げます。  放送局再免許の際、郵政省といたしましては、ただいま先生が御指摘になりました件、要するに教育番組、教養番組の比率につきまして徴収をいたしております。そのほかに、再免許のときのほかに、四半期ごとに放送事業者から報告されるということになっておりまして、その点審査をいたしております。その結果、厳守されておるというふうに理解をいたしております。
  66. 依田実

    ○依田委員 いまのお話によりますと、要するに、民放からの申請によってそれを審査するということでございますけれども、スポーツ番組、たとえばプロ野球の中継などというものはどちらに入っておるのでしょうか。娯楽に入っておるのですか。
  67. 平野正雄

    ○平野政府委員 当初は若干散らばりが局によってあったようでございますが、現在のところは娯楽一本という形に統制がとれてきておるというふうに承知をしております。
  68. 依田実

    ○依田委員 私はきょう質問するというので、きのうも夜の番組表をずっと各局とも拝見させていただきましたけれども、まあ教育、教養に入るところはほとんどない。夜六時以降はニュースを除いてはほとんど娯楽というふうに私は受け取ったわけでありまして、昼間も、いろいろ奥様方の話を聞いておると、やはりほとんど娯楽番組ということだ。果たして本当に五〇%以上の教育、教養番組が組まれておるのかどうか、その計算のどっちへ入れるかという微妙なところで何でも教育、教養へ広く解釈しておるところがあるのじゃないかというような気もいたすわけで、その辺は審査のときにひとつ厳重にやっていただきまして、このパーセンテージだけはぜひ守っていただきたいと思うのであります。  私がなぜこういうふうにいろいろ申し上げるかと言いますと、一番最初に申し上げましたように、いまやテレビというのは、NHK民放ともに、先ほどの話ではございませんけれども、国民にとってそれこそ空気のような存在になっておるわけでございまして、やはり、民放みずからもいまみずからを律しないと将来に非常に禍根を残すのじゃないだろうか。もうかるから、金があるから好きなことをするのだという気がもしあるとするならば、日本放送界の将来のためにこれでは非常に困ることであるし、それよりか、それを見ている日本人の前途のために大変困ることだというふうに私は思うのであります。  たまたまきのうの夕刊に久松保夫さんの言い分というのが出ています。久保さんは声優として、また俳優として御活躍の方でございますけれども、私はこれで初めて知りましたけれども、俳優さんの連盟がいろいろまた民放へかけ合っておるようであります。これは民放の経営のあり方についてかけ合っておるようでありまして、御承知のように、民放は、合理化と言うと聞こえはいいですが、逆に言えば下請たたきという形でいま番組をつくられて、そして利潤を出せるだけ出せという考えになっておるのじゃないですか。ですからこういう俳優さんからいろいろな批評が出ております。そこにこういうことが書いてある。「心配するのは番組の質の低下です。ドラマがそうだし、各局競争でチャカチャカ興味本位の俗悪番組を流している。金もうけ第一で、だれも視聴者のために良いものをつくろうとは考えていない。いいんでしょうか、これで」と言っている。テレビの中で生活をされておる方、民放の中で生活をされておる方がこういうことを訴えておるわけであります。  合理化ということは大事であります。経営でありますから合理化ということは大事でありますけれども、しかし、やはり世の中のいろいろな方との調和を図っていかなければならない。自分たちだけよければいいのだということでは困るのでありまして、いまの経営は確かにそういうところがあるのじゃないかと私は思いますけれども、杉山さん、これはお答えにくいかと思いますが、もしそういうことがあればぜひ改善をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  69. 杉山一男

    杉山参考人 お答えいたします。  いま私たちが経営者のいわゆるトップの社長さんたちと話します場合に、番組について安易な考え方は決して持っていないわけです。社長さんたちは少なくともわれわれが見て問題だというような番組はぜひなくしていきたい、それのためにお互いが努力していこうということを言っております。そして、この間は社長さんたちが皆集まりまして、問題の番組を見て、これをどう改善するか、あるいはやめるかというようなことについてもいろいろ意見を交換しております。したがって、民放がもうければいいという考え方だけではないと思っております。少なくとも私はそう思っておりますし、私自身そうあってはならないし、先生が御指摘のように、そうあったら民放は終わるだろうと思います。
  70. 依田実

    ○依田委員 この俳優さんの問題あるいは民放番組のつくり方の問題、いわゆる下請へ任せていくこと、そして下請が倒産してもそのツケは払わないという考え方、これについては私はまた改めてそういう問題だけまとめて、いろいろな各界からの御不満、苦情を承りまして、この場でやらせていただきたいと思います。  最後に、日本経済新聞記者の松田さんという方が非常にいいことを言っておるのでありまして、「民間放送」という雑誌でこういうことをおっしゃっている。私はこれはぜひ民放の方には聞いていただきたいと思うのでありますが、「すでに一部の視聴者が疑問を抱き始めているように、民放がはたしてタダなのかどうかが議論される日が近い将来こないとだれがいえるだろう。そのときでは遅い。民放は、むしろ、タダの放送だという甘えを断ち切ったところから、視聴者との関係を考え直すべきときではないか。」、ということを日本経済の松田記者はおっしゃっておるのでありまして、私は、本当に心あるマスコミの方はそういう考え方だろうと思うのであります。聴視料を取らないのだからわれわれは視聴者から何の束縛も受けないのだとか、いろいろ社会から言われる筋合いはないのだとか、こういう考え方がもしあるとするならば民放の将来のために憂うべきことであろうと思います。  私は、民放に本当に健全に発展をしていただきたいし、公共放送NHKと並んで日本放送をよくしてもらいたいと思うわけで、きょういろいろとお話をさせていただいたわけであります。  最後に、今度のNHK視聴料の問題、そしてまた別のオリンピックの問題、これはたまたまテレビ朝日がおつくりになった。これは勘ぐるわけではありませんけれども、いろいろなそういう民放NHKとの張り合いというか、競争が最近はエスカレートし過ぎるところがあるのじゃないか。いい意味の切磋琢磨なら結構でございますけれども、そうじゃなくてだんだんどろ仕合いになってくるのじゃ困るというふうに私は思います。  そこで、一つの提言でございますけれども、昔、昭和三十二年に日本放送連合会というものが結成されまして、NHKあるいはまた民放、あるいはまた電波通信に関するいろいろな業界の方も含めまして団体ができました。そして番組向上の問題についても、あるいはまた技術の交換の面についてもいろいろお話し合いがなされたようでございますけれども、この日本放送連合会というのは、残念ながら昭和四十四年の三月に——これも聞いたところでありますからはっきりしたデータじゃなくて、もし間違っていたら訂正いたしますけれども、民放が分担金が高い、払えないということで、せっかくの連合が取りやめになったと伺っております。  もしそういうことでしたら、これにかわるような、民放NHKの両者とそれにまた客観的な立場の方も含めた話し合いの連合組織みたいなものをぜひおつくりいただくのが将来のためにいいのじゃないかと私は思いますが、郵政大臣はいかがでしょうか。
  71. 服部安司

    服部国務大臣 十二分に検討させていただきます。
  72. 依田実

    ○依田委員 後になって申しわけありませんけれども、民放NHKの皆さんにもそれについての御意見、そういう意思があるかどうかの御意見を承りたい。
  73. 杉山一男

    杉山参考人 番組の問題でございますが、番組をよくするために民放連NHK一緒になって、先ほど先生が御指摘なされました放送連合にかわる放送番組向上協議会というものをつくっております。したがって、そこの中に番組向上委員会があって、理事NHK民放から出て、そしてその先生方意見を聞き、あるいはわれわれが番組向上するにはどうしたらいいかというようなことを——先ほどいろいろな資料が出ましたが、そういう仕事をそこでやって、要するに番組にしぼってやっております。  なお、そのほかに、少なくともわれわれ民放連NHKはいろいろな面で連絡をとりながら、必要に応じて会合を頻繁に持ちながら提携をしておりますし、私個人は、東京でオリンピックがあった当時たまたま途中からオリンピックの担当になりましたが、そのときもNHKさんといろいろ話しまして、これは根本的にNHK民放一緒になって進めないとむずかしいということから連絡機関をつくったりいろいろしました。私個人は、少なくともNHK民放は競争は番組以外にないのだ、あとは全部協力し、助け合っていけるのだと信じております。  そういう番組向上協議会あるいはもう一つ放送番組センターというのがございまして、この放送番組センターにもNHK民放が入っておりますし、あるいはそのほかにKDDとか、学識経験者とかいろいろな人もいますが、そういう方と一緒番組向上については話し合っておりますので、そういう形で今後とも進めていきたいと思っております。
  74. 反町正喜

    反町参考人 日本放送は公共放送であるNHK民放との二本立てで運営されているわけでございまして、先生指摘のとおり協調すべきところは協調し、公正な競争をすべきところは競争するというたてまえであろうと存じます。そのために、ただいま杉山さんの方からすでに話し合いの場があるということでございますけれども、いずれにいたしましても、実質的に協調と競争をうまくかみ合わせていくということを今後とも研究してまいりたいというぐあいに考えております。
  75. 依田実

    ○依田委員 これで質問を終わらせていただきますけれども、最初に申し上げましたように、私はあくまでも民放のある一つ番組にとやかく御意見を申し上げるということじゃございませんので、民放の方もフランクに受け取っていただいて、民放のプロデューサーが社会事件を起こしたり、そういう世の中でありますから、民放といえども営利会社であるけれども、同時に言論人であることを社長以下末端の制作者までぜひ浸透していただきたいと思います。  これで私の質問を終わります。
  76. 松本七郎

    松本委員長 参考人方々には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。  午後一時三十分より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十一分休憩      ————◇—————     午後一時三十六分開議
  77. 松本七郎

    松本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  逓信行政に関する件について質疑を続行いたします。島本虎三君。
  78. 島本虎三

    ○島本委員 簡単に率直に申し上げまして、逓信委員会の質問はいままで二回にわたって私は聞かせてもらいましたが、まことに格調が高いのであります。私は委員長のせいだと思いまして、心から敬意を表する次第であります。  それにいたしましても、私も初めてでありますから、この点少し皆さんにお教えを賜りたいというような考えで、少ししとやかに質問を申し上げたいと思う次第であります。  大臣にお伺いしますが、大臣、あなたは逓信大臣と呼ばれることがございますか。
  79. 服部安司

    服部国務大臣 私も、そのように呼んでもらう方が何か格調が高いように思うのですが、まだ残念ながら一度も呼ばれたことはございません。
  80. 島本虎三

    ○島本委員 この逓信大臣及び逓信省令を援用している法律が郵政省関係の中に莫大にあるのであります。郵便為替法、それから電波法、日本電信電話公社法、電話加入権質に関する臨時特例法、そのほか三つもあるのであります。みんなこれは逓信大臣になっている。逓信省令によってやることになっている。これは大臣ちょっとおかしいんじゃないですか。一つ法律の中に郵政大臣があったり逓信大臣があったり、郵政省令があったり、また逓信省令があったりする。  多分これは昭和四十六年だと思いますが、第六十五回の国会で公衆電気通信法の一部を改正する法律案がかかりましたが、その際にこの問題を提起して、今後速やかにこの問題を直しておくという井出一太戦郵政大臣の言明があったのであります。これは公衆電気通信法だけ直って、あと陸続としてそのままなのであります。大臣、これはどんなものですか。
  81. 服部安司

    服部国務大臣 大変専門的にわたるむずかしい内容のものでありますので、官房長から答弁させます。
  82. 河野弘

    ○河野(弘)政府委員 お答えいたします。  いま手元に正確な資料がございませんので非常に不正確でございますけれども、かつて逓信省に郵政省の名称を変えようといたしましたときに、そのときに出しました法律につきまして、これを全部逓信省ということにいたしたわけでございますが、省令改正が果たせませんで、従来どおり郵政省ということで今日に至ったわけでございます。  その間におきまして、いま御指摘のとおり、四十六年にその法律の改正に当たりましてこれを改正いたしたわけでございますが、その後確かに御指摘いただきましたとおり、できるだけ早くしたいということで、法律改正の際にはということで参っておるわけでございますが、その後郵政省におきまして、御指摘のとおりこれが果たせないままに今日に至っているのが現状でございます。
  83. 島本虎三

    ○島本委員 しかし、沖繩国会以来法律をまとめて出すというような習慣ができてきたじゃありませんか。こういうようなものをまとめてこの点を直すということだってできるじゃありませんか。結局はそれは読みかえ法があるからいいんだという安易な、皆さんの怠慢じゃありませんか。読みかえ法があっても、現に逓信省令と読むんだから、読んで読みかえるんだから、初めからきちっとしておいた方がいいのであります。  これはもうすでに四十六年から「速やかに」と言っていたんですから、それからいままで何年たっていますか。何年までが速やかにということになるんでしょうか。これはもっともっと速やかに——大臣、あなたのような若い人でないとこれはできないんだから、これをやる決意でがんばりませんか。やろうと思えばこれはできるでしょう。  まして、その読みかえ法の中には、「将来逓信省になるまでの間、郵政省と読みかえる」となっている。逓信省にいつなるのですか。これは聞いてみたらそういう予定はないというのですが、そうしたらおかしいじゃありませんか。早く直すべきであると思います。大臣を督励して決意を承っておきます。
  84. 服部安司

    服部国務大臣 御指摘の問題は、ひとつ部内で十二分に協議いたしまして、なるべく早くそういった法改正を図りたいと思います。  ありがたいことに島本先生、野党からのやれという激励でありますから非常に取り扱いやすいと理解いたしますので、なるべく早く法改正の手続をとりたい。その節はどうぞよろしくお願い申し上げます。
  85. 島本虎三

    ○島本委員 かつては井出一太郎郵政大臣が、それも官房長官にまでなった人がこのようなことを言ってまだ直していない。それを引き継いでいるのでありますし、これは大臣のせいじゃなくてそばにいる官僚の人たちがさぼっているのでありまして、この点は大臣の方からきつくしかっておかないとだめですよ。首席監察官とともに大いにしかっておいてほしいと思うのであります。  次に大臣にお伺いしておきたいのですけれども、貯金についての基本的な考え方はどうでしょうか。この点少し疑義があるのでありますが、お伺いいたします。
  86. 服部安司

    服部国務大臣 郵便貯金の募集に当たっては、国民のだれにもあまねく公平に簡便な貯蓄手段を提供するという郵便貯金の使命にのっとりまして、郵便貯金をできるだけ広く国民各層に普及し、その利用を促進することを基本としております。  したがいまして、奨励活動を行う際に当たって、いろいろな機会に各先生方から、ときには事例を挙げていろいろな御指摘を受けておるわけでありますが、私はそういう御注意の意を十二分に体しまして、部内の指導監督の立場にある諸君に、貯金奨励活動を行うに際しては関係法令を遵守し、かつ国営の貯蓄機関としての品位と節度をもってこれに当たるよう配意すべきであるということを申し上げておる次第であります。  今後貯金奨励活動に当たっては、国営企業の誇りを傷つけないようになお一層目標の達成に努力させてまいりたいと考えている次第でございます。
  87. 島本虎三

    ○島本委員 なかなかりっぱであります。しかし、私は大臣の決意を別な意味で問いただしているのであります。  大臣は国務大臣でもあります。いま予算委員会が開かれておりまして、三十四兆二千九百五十億の五十三年度の予算を審議中であります。これは景気浮揚対策、不況からの脱却が大眼目なのであります。そうしないと、これは当然減税しないと個人消費の一一・九%にはならないだろう、カーター大統領でさえも赤字国債を財源にして三分の一ほど財源に回しているじゃないか、これは何としても個人消費を喚起して購買力を高める、そして景気を浮揚させるためにぜひ必要なやり方だ、と、こういうように承っておるのであります。  そうすると、いま景気浮揚のために三十四兆二千九百五十億の予算を審議しておりますが、今後これが全部貯金や預金に回されるようなことがあっては何にもならないのであります。そしてボーナスが出ても手当が出ても、すぐにボーナスは何々銀行へ、何々郵便局へと、全部そのまま行くように大勧誘をするのであります。景気浮揚のための措置がこれは全部寝てしまうことになってしまうのでありまして、国策に沿わないことを国策貯蓄機関が奨励する結果になってしまうのでありまして、そうなれば景気を浮揚しない不況の原因者は郵政大臣であり大蔵大臣であるということになりかねませんが、この点はちょっとおかしくないですか。
  88. 服部安司

    服部国務大臣 確かに先生指摘のとおり、郵便貯金を初めとする一般家庭における貯蓄は個人部門の消費を抑制する影響をもたらすことはお説のとおりかと存じます。ただ、御承知のとおりに、郵便貯金の資金はそのままそっくり資金運用部を通じて財政投融資計画の主要な財源として、住宅、下水道など生活環境を初めとする地方自治振興並びに社会福祉といった面で有効に使われておると考えます。したがって、この貯金、いわゆる財投原資は景気に及ぼす波及効果も大きく期待されるところでありますので、郵便貯金の増加が必ずしも今日における景気対策と財政運営のあり方と矛盾するものではないとも考えられます。  しかしながら、先ほども申し上げましたとおりに、そういった御指摘の御趣旨も踏まえながら、郵便貯金の奨励活動には断じて行き過ぎのないように特段の配慮をすることも重ねて申し上げて答弁といたします。
  89. 島本虎三

    ○島本委員 しかし、実際には目標額を設定して、これの達成のために従業員が血みどろの働きを展開しているのであります。そこまで考えますならば、景気浮揚のためだという現在の目標に沿うために、ボーナスや賞与や給与が出たならば一週間くらい募集をさせない、また大蔵省にもそれを言って、銀行の方にもそれをストップさせる、そして大いに消費を奨励して購買力をつけてやる、そして景気浮揚の一端とするということ、それが一つの方法ではないかと私は思います。そういうような点も考えないとこれから困るんじゃありませんか。郵政大臣としても、いま一つをやる、またこっちもやるということで、両方やれば一緒にはならないのだけれどもやらざるを得ないという苦しい立場もあるのではないかと私は思うのです。  私も一つこれは提言しておきますが、この点等について大臣、簡単でいいですからお答え願いたいのであります。
  90. 服部安司

    服部国務大臣 私が申すまでもなく、郵便貯金に限っては、これはたしか九七%ですかの庶民大衆の個人の貯蓄であることは先生も十二分に御承知のとおりでございます。  目標額を決めてずいぶん無理な奨励活動をやっているではないか、言うならば君は郵政職員に過重な労働を強いているのではないかというお考えだと思いますが、先ほどのそういった点には十二分に配慮いたします。ということは、決して無理な貯蓄活動をやらせません。しかし、庶民大衆の限られた零細な貯金というものは、庶民大衆の不時の出費または災害などを考えるときには、やはりある程度貯蓄をしていただくように指導するのが当然な義務ではなかろうかと私は思います。しかし、行き過ぎたことはやってはならないということは先ほども数回繰り返して申し上げているとおりでありまして、そういう立場をとりつつうまくやってまいりたいと考えますので、よろしく御協力のほどをお願い申し上げます。
  91. 島本虎三

    ○島本委員 やはり、この問題はまだまだ結論はできません。後日に討論の機会をつくることにして、きょうは与えられた時間でありますから次へ移ります。  大臣にちょっとお伺いいたしますが、機械情報産業高度化促進臨時措置法案という長い名前ですが、これを機情法案と簡単に言っておるようでありますが、仄聞するところによりますと、通産省は、現行の機電法、特定電子工業及び特定機械工業振興臨時措置法が五十三年の三月までの時限立法であるということで、この国会でこれを改正して、その対象の中に情報処理サービス業及びソフトウエア業というようなものも加えて機電法の趣旨を継承しようとする動きがある。本日の読売新聞にも大きくこれが出ておるのでありますが、郵政大臣はこれについてはどのような考えでございましょうか。またどのように対処しておられますか。これを伺います。
  92. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  通産省がいま機情法の提出の考えを持っていろいろと作業を始めておられることは先生指摘のとおりであります。この問題について特に郵政事業に御関心の深い先生方にいろいろと御心配をかけ、またいろいろと御配慮をあずかっていることについてこの機会に厚く御礼を申し上げたいと存じます。  しかし、この機情法につきましては、通産省から通産省原案の説明、協議を確かにいま郵政省も受けておりますが、目下これを慎重に検討しつつ、なおかつ通産省と、いわゆる郵政省所管にかかわる問題の点についてはわれわれといたしましては断じて許さないという立場を堅持しつつ、今後話し合いの場を持って交渉を進めていくうちに理解を深める最善の努力を払いたい、かように考えている次第でございます。
  93. 島本虎三

    ○島本委員 大臣の決意を伺いましたが、しかし、大臣の決意とは別に、この法案の立法内容、ねらいというものが一体どこにあるのか。新しく考えられているこの法案でありますけれども、大臣の決意は決意として承りましたが、それならば現行の機電法の延長でいいのじゃないか。それではなしに、今度は機械工業だけじゃなしに、情報処理サービス業だとかソフトウエア業であるとか、これも法の対象に加えるという動きがある。そして公社のデータ通信を現在の郵政大臣の監督に加えて、通産大臣による監督指導、助言というようなものも行うように考えられているようであります。これは公社のデータ通信の自主的発展というようなものにはちょっと規制される点が生ずるのじゃないか。また、同時に、いま原文もあるのでありますが、それを見ますと、共同行為の指示であるとか規格の制限に関する命令であるとか、大規模事業の開始等に対する勧告などの対象、この中には情報処理サービス業、ソフトウエア業も加えようとする、こういうようなことになっております。しかし、こういうようなことになってしまうと、干渉させないと言いながらも干渉することが今回の法案の立法の一つの趣旨ではないか、ねらいじゃないか、こういうようにも考えられるのでありまして、この点は大臣の言うことと反対の方向へ走っているように思われます。  通産省も来ておりますが、通産省の方ではいま私が質問したことに対してどういうような見解を持っておられますか。
  94. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 機情法の取り扱いにつきましては、ただいま郵政大臣からお答えがあったとおりでございまして、私どもといたしましては、現在最も関係の深い郵政省と十分協議をしておるところでございます。  基本的には、ただいま先生から御指摘のございましたところの従来の機電法に対しまして情報産業関係を法律対象にする点につきましては、私どもは、情報社会というものを踏まえまして、従来ハードを中心にいたしまして振興をやってきておりました事業に対しまして、ソフト、これは日本としてまだ大変脆弱な部分がございますので、その面の強化を図りたいという観点から、一応私どもの原案といたしましてそういうものを対象にしたいということを考えておるわけでございます。  ただし、先ほどお答え申し上げましたとおり、郵政省御当局といろいろ意見の調整をする点が多々残っておりますので、その点につきましては十分協議、調整を図ってまいりたい。これが通産省の基本的な姿勢でございます。
  95. 島本虎三

    ○島本委員 この件につきましては、かつて昭和四十六年に公衆電気通信法の改正が審議されたときに、データ通信は電気通信の範疇に入るものであり、そして役務である、当然郵政省の所管であることが明確である、と、これが答弁内容として一貫していたのであります。したがって、公衆電気通信法との関係というものが当然生じてくるわけでありますが、役務であるという決定をしている。しかしながら、いま通産省の考えておる情報社会に対応するために、今度はある部分については情報処理サービス業、ソフトウエア業というようなものに対しても考えているんだということになるのであります。  そうすると、公衆電気通信法との関係はどうなるのでしょうか。
  96. 江上貞利

    ○江上(貞)政府委員 ただいまの先生の御指摘のように、昭和四十六年にデータ通信を公衆法を改正することによりまして実施いたします際に、当委員会で大変熱心に御論議をいただきました点が多々ございます。ただいまの先生の御指摘のデータ通信というものは一体何であるかということについては再三繰り返して、御了解の上で公衆法の改正をお認めいただいたという経緯もございます。  あるいはまたただいま御指摘のように、所管の問題であるとか、あるいは民間会社を悩ます情報サービスの問題等につきましての調整の問題も御質問をちょうだいいたしておるわけでございますが、私どもといたしましては、それらの点を十分踏まえまして、通産省とも十分意思の疎通をいたしてまいりたいというふうに存じておるわけでございます。
  97. 島本虎三

    ○島本委員 通産省、そうすると電電公社、国際電電のデータ通信サービスというようなものは規制対象になるのかならないのか。この辺が一つの大きい焦点じゃないかと思うのです。これに触れるのですか、触れないのですか。
  98. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 ただいま御指摘の点に関しましては、昭和四十五年にいわゆるIPA法、情報処理振興事業協会等に関する法律というものが制定をされまして、その際に郵政省と通産省の間に基本的な了解事項がございます。その基本的な了解事項の一つといたしまして、ただいま御指摘のございました電電公社及び国際電電の業務に関しましては通産省としては規制を加える気は全くないということをはっきりいたしておりますし、今回機情法をただいま協議中でございますけれども、ただいま申し上げました四十五年当時の基本的了解事項をベースにいたしまして、私どもといたしましては郵政省御当局と協議を進めてまいりたい、かように存じておる次第でございます。
  99. 島本虎三

    ○島本委員 では、重ねてこの点を明確にしておきたいと思うのでありますが、昭和四十五年三月四日の郵政事務次官と通商産業事務次官との両氏の間で締結している覚書に一切反しない、この範囲でやる、と、こういうようにおっしゃられたようであります。それは確認しておきたいと思うのであります。大臣もこれははっきりしておいていただきたいと思うのであります。  いまの通産省の考え方、いままで新聞その他で報道されていた考え方から言うと、これは明らかに締結されている覚書に反する、通信の一元化に逆行するものであるということになるわけであります。したがって、この覚書によると、民間業者が行うオンラインデータ通信は電気通信となっておるのでありますが、今回の機情法によると通産省所管となるのではないかと思われますが、もしそうだということになりますと、この覚書に当然反することになると思います。  通産省、この点をはっきり確認しておきたいと思いますが、いかがですか。
  100. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 先ほどお答え申し上げましたとおり、私どもが事務的折衝をいたします際のベースとなりますものは、ただいま先生の御指摘になりました四十五年当時の基本的了解事項でございます。したがいまして、繰り返しの御答弁になりまして恐縮でございますが、電電公社及び国際電電の実施しておられます業務に関しましては、私どもは一切規制を加えるというようなことは考えてもおりません。  ただし、いわゆるオンライン情報処理という面につきまして、先ほど先生の御指摘になりました公衆電気通信法におきましてこれを一元的に電気通信とみなすという御解釈はあろうかと思いますが、反面、情報処理という面から見ますと、コンピューターに関します情報処理につきましては私どもの所管ということも考えられますので、その点につきまして郵政省御当局とは十分な調整をしてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  101. 島本虎三

    ○島本委員 そうだとすると、ちょっと違うじゃありませんか。この覚書の2には、「通商産業省及び郵政省は、電気通信回線を通じて行なう情報処理は、電子計算機と電気通信回線とを併せて一体として電気通信の機能をはたすものであることを確認する。」というようになっているのであります。そうしたならば、民間の方のソフトウエアであるとかいろいろとあると思うのでありますけれども、この辺が確認されているのでありますから、情報処理サービス業とかソフトウエア業というようなものはそこから取っていくという発想は全然生まれないはずであります。そうすると、現在ある法律の期限を延長するだけで足りるじゃありませんか。それを改めて別なものにして出すというところに何か隠された魂胆があるのじゃありませんか。  そして、ここにあります両事務次官の覚書に基づいてこれをやるのだ。そうすると、第二の項にはっきり載っているのであります。ここを取りたい、ここをやりたくない、これでしょう。そうだったら、口ではそう言っても後ろの方から取ろうとしているのと同じではないですか。これをもってかっぱらいと言うのであります。私どもはそういうような行政は許されないと思うのであります。  大臣、しっかりしてください。現にこれがあるのでありますから、これより一歩も下がってはならない。もしこれを認めてこのとおりやるのなら期限を延長するだけでよろしいことになるのであります。そうしないでまた新たにつくるということは、何かを後ろから取ろうという魂胆じゃありませんか。大臣、どうですか。
  102. 服部安司

    服部国務大臣 簡潔に申しますと、現在そういったものをベースに通産、郵政両省で緊密な連携のもとに検討を進めておりますが、鉄道にたとえると国鉄と私鉄という考え方で、いわゆる国鉄も私鉄も運輸省が行政の調整を図りつつ国民のための運輸行政をとっているように、今度のこの問題もそういう立場を最後まで堅持したい、私はかように考えている次第であります。
  103. 島本虎三

    ○島本委員 それでいいと思います。いま言ったことは議事録にはっきりとどまっていますから、大臣は一歩も後退してはいけません。きょう聞いておられる皆さんを証人として、いつでもどこへでも行ってこの問題に対してはあなたを激励したいと思うのであります。  それと同時に、公社総裁はこれに対してどういうふうな御見解がございましょうか。
  104. 秋草篤二

    ○秋草説明員 先ほど来島本先生から御質問を承っておりまして、全くそのとおりの経過も承知しておりまして、ただいまの大臣の御答弁と同じでございます。
  105. 島本虎三

    ○島本委員 では、次に移ります。  郵政事業についてなのでありますけれども、五十一年度の決算で六百一億円の黒字、累積赤字が千八百七十五億円、五十二年度は百二十五億円の赤字、これは予算の面であります。累積赤字が二千四百七十億円。五十三年度も三百七十六億円の赤字、累積赤字が二千百七十六億円になる。こういうようなことであります。これは料金を値上げしたばかりなのでありますが、もうすでにこういうような状態です。  これは少し考えないといけないのじゃないかと思うのでありますが、この原因はどこにあると考えますか。あと何年くらい郵政会計は現在のままでやっていけるとお考えですか。この際ですから聞かせてください。
  106. 神山文男

    ○神山政府委員 お答えいたします。  五十一年度単年度では六百一億円の黒字でございまして、累積赤字が千八百七十五億円ということになりまして、五十二年度は予算では百二十五億円の赤字予算として国会の御承認をいただいております。五十二年度収支決算につきましてはまだここで申し上げる段階ではございませんけれども、今後の物数の推移あるいは収入の動向を慎重に見きわめてまいりたいと考えております。  そこで、赤字の原因がどういうところにあるかという御質問でございますが、郵便事業の収入は郵便等の業務に伴う収入で賄っておるわけでありますが、支出の方は御承知のように八〇%以上の人件費でございまして、ベースアップの動向等も非常に大きく影響を来すわけであります。  今後におきましても郵便事業をめぐる社会経済環境というものは非常に厳しいであろうとわれわれは予想いたしております。しかし、できるだけ事業の支出の節約に努めまして、五十三年度は料金改定を織り込まない予算案をいま国会にお願いして御審議をいただいているという段階でございます。
  107. 島本虎三

    ○島本委員 五十三年度も五十四年度も引き続いて上げないような予算を組めるように企業努力もして大いにやってもらいたい。これを私は強く要望しておきたいと思います。  次に、郵政審議会から「社会経済の動向に対応する郵便事業のあり方に関する答申」というものがありましたが、これは簡単に言うとどういうことをせいということなんでしょうか。
  108. 神山文男

    ○神山政府委員 昨年の七月に郵政審議会の答申をいただいたわけでありますが、この答申の中におきましては、郵便事業をめぐる今後の社会経済環境は非常に厳しいものが予想され、事業経営は決して楽観を許されるものでなく、したがって、今後、「郵便事業に求められる課題は、自らの努力と責任とによって、健全な経営を確保し、社会経済の動向に適切に対応することである。」という基本的な考えに基づきまして幾つかの提言をされております。そして一つは「事業運営の効率化、合理化」で、それから二つは「サービスの適正化と利用者の協力」で、それから第三が「郵便物の種類とあり方」で、第四が「郵便事業の企業的経営」であります。  これらの提言の具体的中身は非常に多岐にわたっておりまして、私どもとしてはそのおのおのについて慎重に検討してまいっているところでありますが、その中には郵便局舎などの作業施設の改善整備、機械類の整備その他サービスのあり方を見直しなさいというようなこともあるわけでございまして、法律改正を要するような事項もございますし、多岐にわたっております。今後十分検討していきたい、こういうふうに考えております。
  109. 島本虎三

    ○島本委員 私がこれを聞くのは、その中で配達度数なんかにも触れておられるが、これはサービスをよくせいということでなく、悪くせいということになるのじゃないか。料金の決定方法なんかもあるのでありますが、郵政省はこの答申を受けても、まだ依然としてなおかつ不親切な面がたくさんある。  郵政大臣、これはけさのことなんですが、私の友人が長野へ移っていって長野市におったのでありますが、そこへしばらくぶりで私は北海道の雪祭りの絵はがきを出してやったところが、「転居届けの有効期間一年が切れましたのでお返しいたします。長野中央郵便局。」として返ってきた。転居届けの有効期間の一年が切れたから返すと、これを張ったまま返って来ているのです。これが親切でしょうか。私の方はわからない。郵便局ではわかっている。返してよこすならば、本人はここへかわって一年間になっている、ここへやれないようになりましたからお返ししますというのなら次に出せます。依然として私はわからない。だけれども、これは返ってきている。それは一年が切れたからだということである。これは官僚的なやり方ではないですか。親切なやり方だと言えますか。現在ここへ行っていますとほんの一言加えられないものですか。  こういうことが抜けているから今度の相模大野のようなああいうこともできてくるのです。こういうようなところから始めていったらどうですかね。私はこれを見てちょっと物足りない。大臣、これ少し考えましょう。一年切れてもきちっとその行き先がわかっているはずですから、ここへ移っていますよということをなぜちょっと言えないのでしょうか。そうしたら返してよこしてもいいのです。いかがでしょうか。
  110. 服部安司

    服部国務大臣 御指摘の件はまことに残念しごくでございます。同じペンを持って書くならばあなたの御指摘どおりの方法もあり得るわけですが、しかしお役所仕事でそういった指示を与えたところにも大きな問題点があるわけでございまして、そういうシステムのあり方を私は早速再検討いたしまして、そういったことがなくなるように、真に国民本位のサービスの姿になるように努力をいたしたい、かように考えます。
  111. 神山文男

    ○神山政府委員 ただいまの転居届の有効期間一年の後の措置ということの御質問に若干補足させていただきますが、郵便法で御承知のように一年間はもとの居所に……(島本委員「それは全部知っています」と呼ぶ)それで、郵便局の取り扱いでございますが、御承知のように多数の郵便物がございまして、それを一年間転送するということは作業としては非常に大変な仕事でございまして、一々転居届の原簿と照らし合わせるということでございまして、できるだけ一年間の間に差出人におかれても住所録等整理していただいて、ひとつ御協力をお願いいたしたいというふうに考えます。
  112. 島本虎三

    ○島本委員 これはちゃんと知っているのです。あなたにこれをやりますから読みなさいよ。あなたの言うくらいのことは知っていますよ。だけれども、と言うのです。だけれども、わざわざ「一年間の有効期間が切れましたからお返しします」といって返してくる。私はどこへ転居したかわからぬのです。そんな郵便が山ほどありますか。たまにこういうことがあるのに、ここへ移りました、これは転送できませんから、一年切れましたからお返ししますとちょっと教えてくれれば、これが血の通った郵便行政になるのじゃないですか。これこそ国民のための本当に文化の使節とでも思われるような温かい郵便一通になるのですよ。あなたのように、法律にそうなっていますからと言うのは、それが郵政官僚の最も悪いところだと私は言うのです。法律どおりやったら何でもなかったら、相模大野のようなことがなぜ起こるのですか。血が通わないからですよ。あなたの答弁はもう要りません。  これは大臣にだけ言っておく。そんなことぐらいわかっているのです。一年生だからといって、初め低姿勢でやったらすぐオオカミのようにかかってくるというようなことは——全くあなたは優秀な人ですよ。しかし、残念ですが、ああいうように大臣の言うことをまた打ち消していますが、もう一回大臣言ってください。
  113. 服部安司

    服部国務大臣 大臣と郵務局長の二つの答弁は、やはり大臣の方に重きを置いていただければ御理解がいただけると思います。
  114. 島本虎三

    ○島本委員 次に電電公社ですが、今度改めて拡充・改良六次計画というものができて、今度「改良」という言葉が入ってきておりますが、六次五カ年計画の性格と特徴はどういうことでしょうか。「改良」という言葉があえて加えられておりますが、その意味をまずお伺いいたします。
  115. 秋草篤二

    ○秋草説明員 お答え申し上げます。  総括的に申しまして、第六次の長期五カ年計画を策定するときには部内でもいろいろと議論もあり、苦慮いたしました。それは一次から始まって五次にわたる長期五カ年計画を継続実施しまして、どうやら国民の要望に沿い得る事態になり、自動化もまず一〇〇%に近づき、念願であった積滞もまずまずこの三月で一掃される目鼻がつきまして、今後電電公社は何をするかということで、一体長期計画をつくるかどうかということもずいぶん議論したのでございます。  長期計画は国あるいは政府においてもいろいろな種類の長期計画がございますが、いままでの長期計画は、顧みますると一次計画などはほとんど計画の倍もふくれ上がってしまって、なきにひとしいくらい大きく、実績は倍にふくれ上がった。それから三次も修正いたしました。五次計画の後半にもかなり見込み違いがあらわれてまいりました。いままではわれわれは積滞という加入者が目の前にたくさんあったことでございますから、資金力、国の予算の許す限りにおきましてこれを計画に上げておったのでございますが、積滞が一掃されますとそう簡単にはわれわれの計画の予想は立ちません。そういう点では、今後の公社の長期計画の見通しというものは、いままでのような目の前にたくさんの積滞があるというものと違いますから、金があってもなかなかそうやれない。また、なくてもやらなくちゃならぬものもあるかもしらぬ。なかなかこの計画の見通しは立ちにくくなってきたのであります。しかし、経営者とすれば長期計画をつくって、それを年度年度でまた見直して正確なものにちぎってくるということができればないよりはよかろうというようなことで、計画の前文にも、最後の方に、見通しは非常に的確には把握できない困難な事情もあるのだということをうたっております。これらがいままでの長期計画と非常に違う点だと思います。  内容的に見ますと、いままでの長期計画はとにかく量を早くつけるということで専念してまいりましたが、今度の六次は、量もまだまだ需要はありますけれども、質を上げるということでございます。もっと具体的に言うならば、現在三千五百万の加入者を抱いて、これを財産としましてより一層のサービスに徹し、保全、運用、営業のきめの細かい、信頼されるサービスに徹していくということに一層努めようではないかということが一つであります。  次には、サービスは行きわたったといいますものの、寒村、僻地、離島というような遠隔の地におきましては、まだまだ私どもの電電公社のサービスの恩典を受けていない方々も相当おります。いわゆる加入区域の拡大、あるいは十数年前に非常に大きな効果を上げました農集電話、いまは地域集団電話と申しますが、これなども地域社会の所得あるいは文化の向上に伴いまして、もう一本立ちの加入電話に切りかえてほしいという要望がここ四、五年来急速に高まってまいりました。この農集、地集電話の一般化の問題も、郵政大臣の御指示によりまして、昨年二十万、ことしも二十万を一挙にやろうということで精力的にやろうとしております。  それから、これは日本独特の投資だと思いますが、日本は地震災害が非常に多いのでありまして、災害対策により強固な通信施設を完備していこうということも大きな金でございます。  それから、もう一つ、建設投資なり設備拡張なり、加入者の増設に追われた関係から、顧みますとかなり古い施設で置き去られておるものがございます。しかも、これは大都市の電話が非常に繁忙に使われるところがわりあいに歴史的にも古い機械が置き去りにされまして、新しい加入者はわりあいと新しい機械を利用できるのでございますが、具体的に申しますと、ステップ・バイ・ステップの古い機械でのサービスにまだ甘んじておるという方々も相当おられます。こういうところをひとつ早く改修して、新しいDEX、電子交換機にかえるなり、あるいはクロスバーにかえるなりしてサービスをよくするということも内容的にはございます。  非常に長ったらしい特徴になりましたが、これらが第六次の内容をなすものであります。  以上、簡単でございますが、お答えといたします。
  116. 島本虎三

    ○島本委員 わかりましたが、そうすると、今後はやはり加入区域の拡大や地域集団電話の一般化や無電話部落の解消という方向がはっきりしてくることだと思います。  まあ、これは過疎地帯などの対策である。大体、いままでの電電公社の場合はやればもうかるような状態のときで、余り苦労をしなかったわけです。都会中心でもよかったわけです。ところが、これからは投資効率の悪い、また収入も少ない、そういうような採算を度外視して設置を必要とするような個所が残ったわけであります。本当の意味での公社の公共事業としての使命が残された部分に今後集中的にあらわれてくるわけであります。私はそういうふうに思うのであります。  総裁も当然決意は整っていると思うのでありますけれども、今度やる仕事は投資効率も悪いし、採算もなかなか立てにくいかもしれませんが、これを毅然としてやるところに本当の意味での公社の公共事業としての使命があるんじゃないか、そういうときにいま来た、こう思いますが、いかがでしょうか。
  117. 秋草篤二

    ○秋草説明員 公共企業体という性格は、もうかるところばかりじゃなくて、進んで赤字の地域もやるということが公社の使命でございます。したがいまして、いままではもうかるばかりというんじゃございません。第一次計画でも、大都市もあれば中都市も——まあ、いつの時代でも、公社発足以来、ウエートはやはり経済中心なり大都市中心でありましたけれども、わずかではありましたけれども、田舎の電話も忘れずにやってまいりました。今日でも、先生の御出身地の北海道のようなところはどうしても収支というものは総体的には合わないのですけれども、これをやはり進んでやるということが公社の使命でございますが、今日まで来るとそれが非常に採算割れの、いわゆる収支率の大きいといいますか、そういうものが非常に多くなったことは事実でございます。  それを、公社という使命でありますから、いかなる遠隔の一軒家でも公社の負担で全部やるということも、極限になりますと、やはり一般の加入者との関係もあって、また御質問があろうかと思いますけれども、やはり順序とすれば一応七キロまでぐらいやって、これで大体九割ぐらいの個数は救済できて、その後残りの、加入数にすると三万程度と言われておりますけれども、これをやる段階になりますと、一個当たりの経費というものはかなり高くつきます。この辺になると、公社で財政的にやれないという理由はないですけれども、政策論議としまして、やはりその辺になったら国の補助はどうか。ちょうど期せずして先般国会の議決に伴って諮問委員会の答申が出ましたが、そういうものを答申してくれと頼んだわけじゃありませんけれども、公社の基本的なサービスのあり方ということで答申は受けておりますけれども、やはりその問題に触れて、そういう極限になったら政府の援助もやむを得ないのではなかろうかという答申をちょうだいしております。  ただいまはまだそういう時点ではないと私は思いますが、いつかはそういう時代にも逢着して、諸先生方の御判断を仰ぐ必要もあるいは出てくるのではなかろうかというふうに推察いたしております。
  118. 島本虎三

    ○島本委員 確かに、いま言われたように、加入区域の拡大は半径七キロまで伸ばしてあります。その根拠等につきましても先般来いろいろ言われております。私どもはもっともっと伸ばしてもいいんじゃないかとさえ思うのであります。たとえば十キロにしたらどうだとさえ思うのであります。しかし、この中には高損失加入者電話機という特別の電話機の組み合わせなんかが必要になってくるそうでございますが、それはそれとして、三十万戸のうち九〇%を救済することができれば、あと三万世帯残っているわけです。  北海道の場合は、私はいつも言うので皆さんは耳にたこが寄っていると思うのでありますが、一県並みの扱いではないのでありまして、四国に九州に中国地方を足して広島だけを引いてしまえば北海道の面積になるのであります。そして、別苅なんという香川県ぐらいの村があるのであります。北海道一つにしてやったって、その村の方にいったらさっぱり効果がないのであります。この点は、先ほど言ったように、本当の意味での公社の公共事業としての使命が第六次から始まるのではないかと言ったのは、残る三万世帯が大部分北海道ではないのかとさえ思うからであります。いまもう大雪に悩んでおりまして、その中でも農家の方へ行くと全然離れておりますからなかなか苦しいのであります。そういうところが電話がなくて置いておかれているわけでありますから、そういうものは早く救済しなければならないし、それが加入区域拡大の意味だ。しかしながら、まだ到達しない。できるだけ速やかに到達させなければならないのが今後の一つの使命ではないかと思うのであります。  そういうことからして、いま総裁が言われたように、この答申の中にはぱっと目を見張るようなものがあるのでありまして、「離島、僻地における電話架設費用については、国および地方自治体が地域住民に相当程度の補助を行うのが適当と考える。また、そのような地域における電話の使用料については、加入区域内に設置された場合と同程度のものとするのが望ましい。」とあるのであります。そうすると、国や地方自治体のいろいろな配慮も当然要請されるのであります。電電公社自身もこれを要請されるのであります。  この中で、加入区域内と同じ扱いにしてやれとなっておるでしょう。これはもうすばらしいじゃありませんか。現に七キロ以内ではほとんど全部救済されている。救済されないところこそ、山の中にあってクマなどの動物と闘いながらほとんど雪の中におって、七キロ引いてもまだそれから十キロぐらい離れておるのだ。こういうところにも十軒なり二十軒固まっているのであります。私としては、その人たちの言葉を聞いて、これは何とかしなければだめなのじゃないか、これこそ電電公社の将来の技術が待たれる点じゃないかというように思うのです。七キロの範囲からまた十キロも離れておる。現在の状態ではその人はとうてい負担能力がない。しかしながら、電話線がそこを通って他の町まで行っている。それを見る場合の感情としては、ここからすぐ引いてやれないものだろうかと簡単に考えるのは当然だと思うのであります。  そういうような意味でも、高度の技術化というのは今後その辺も入るのではないかと思うのでありますが、山の中にぽつんと置かれている人、電話の恩恵を待っている人のためには、この答申にはもちろんございますけれども、より一層の努力をしてやって、これに対してあらゆる可能な方法を考えてやってほしい。もちろんこれは費用なり何かは加入区域内にある人と同じに見てやれるようにしてほしい。国や地方公共団体の援助は当然としても、やはり加入区域内にあるようにしてやってほしい。これが今後残された重大な問題の一つだと思うのであります。  この問題は、総裁意見を伺いましたから、今度は大臣の決意をお聞かせ賜りたいと思います。
  119. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  第六次五カ年計画で、御指摘のとおりに三十万戸、いわゆる区域七キロ拡張で九〇%が救済できる、あと一〇%、すなわち三万戸は第六次五カ年計画では救済できないということでありますが、御指摘のとおり、こういった地域に住む方々にこそ本来ならば必要であるということは私は全く同感であります。  しかし、電電公社も健全経営、すなわちその三万戸を除く利用者のためにもサービス業務を怠ってはならないという使命があるわけでありますので、実は、昨年からこの地域の調査を進めているようでございます。この調査結果を一日も早く求めて、第六次五カ年計画の中で、こういった恵まれない地域に住む方々のために国、県、末端自治体が一体になって完全解決を図りたいものである。これは多額の予算が伴うことでありまして、大蔵当局もおいそれとは受けてくれないであろうと思うのでありますが、私は、電電公社にも許される範囲の協力を求めてこの問題の解決に努力をしたいと考えておりますので、こういう計画ができ上がった時点でまた諸先生方の全面的なお力添えをお願い申し上げる次第でございます。
  120. 島本虎三

    ○島本委員 まさにそれこそ無人交換であるとか、無線による方法とか、公社の技術力はもうすでに世界に冠たるものがあるのでありますから、安くて新しい技術開発による方法というものも当然考えられると思うのでありますが、その点等は公社はいかがですか。
  121. 前田光治

    ○前田説明員 お答え申し上げます。  ただいまの先生の御指摘のように、電話局から非常に離れた距離におられる方に十分な品質の電話通話ができるように、かつまたこれが非常に経済的にできますように、先ほど先生がおっしゃられましたように、無線による方法あるいは過疎地用の加入者交換方式あるいは加入者伝送方式というものを従来からも開発してまいっておりまして、現在も何カ所か使われておるわけでございます。さらに、これがもっと経済的にできますように、われわれは現在それらの方式の開発、改良に努めておるところでございます。
  122. 島本虎三

    ○島本委員 今度は少し小さいことでありますけれども、私としても気になることが一つあるのでありますが、公衆電話の設置が十七万個、これは五次計画の二十一万個に比べて減少が見られるようでありますが、これはもうこれ以上普及する必要がないということなんでしょうか。それとも、終日利用可能な公衆電話である黄色い電話とそれから青電話——これは何と言うのですか、特別な名前があると思うのでありますが、これをふやす、赤を青にして、青が黄に変わっていくというようなことをちょっと伺ったのでありますが、ピンクさんの方は今後どうなるのですか。
  123. 福富禮治郎

    ○福富説明員 お答えいたします。  先生がおっしゃいましたように公衆電話の増設数は十七万個ということで計画いたしました。これは夜になって使えなくなる赤電話という点もありますので、その点につきましては非常に普及しておりますが、夜になっても使えるように黄色い百円公衆とか青い街頭公衆に力を入れまして十七万個を計画した点でございます。  一方、ピンク電話の点でございますが、これは店内に置きまして、電話を貸してほしいというような方々に対して、ただがけを防止するというような趣旨からあります電話でございまして、これは商店等での要望がいまなおございます。  それで、今後とも利用者の要望に応じてつけていきたいと考えている次第でございます。
  124. 島本虎三

    ○島本委員 確かに、これは便利になっていいのは百円硬貨を入れるやつであります。しかし、百円硬貨の場合にはつりが返ってこないのでありますが、百円入れて、百円以内で用事が済んだ場合につりが来ないということは何か罪にひっかかるような気がするのでありますが、こういうようなことに対しては公社はいかがなものでございましょうか。
  125. 玉野義雄

    ○玉野説明員 お答え申し上げます。  先生がおっしゃいますように、百円公衆では、百円玉を入れますと、それ以下のおつり銭については出ないわけでございますが、これは私の方のPR不足もあるかもしれないと思いまして、いまいろいろとPRをしておるわけでございますが、詳しく申し上げますと、一般の赤電話ですと十円が六個しか入らないわけでございます。ところが、百円公衆は十円が十個入るようになっておるわけでございます。それで危ないと思われる方は、今度は百円を一個入れたり二個入れたり、これは九個まで入りますが、したがいまして、むしろ赤電話に比べまして十円は四個よけいに使える、そのほかに百円硬貨が使える、こういうふうになっております。したがいまして、つり銭もやれるといいますか、そういう少ない通話のときは、赤電話よりも四個だけ十円が多く入りますので、それを使っていただきたいというふうにPRしておるわけでございます。
  126. 島本虎三

    ○島本委員 つり銭のことを言ったのでありますが……。
  127. 玉野義雄

    ○玉野説明員 おっしゃるように、百円玉の場合はつり銭は出ません。これはかつてドイツで、公衆電話で、百円といいますか、向こうで一マルクといいますか、それでつり銭をやるようにやったのですが、これはつり銭の補給その他で非常に経費が高くかかりまして、とてもその値段でできないというような結果もございましたので、それも考えまして、ただしドイツのように百円だけしか入らないというやり方ではなくて、十円も十個入れられますというやり方で考えたわけでございます。
  128. 島本虎三

    ○島本委員 わかりましたけれども、つりが出ないことは何かおかしいんじゃないですか。入れてすぐ終わってしまった、用はすぐ済んで、二十円で済んだが八十円出てこなかったということは、これは電電公社は利用者を詐欺にかけたことになりはせぬかというようなことなんですが、これはどういうことになるんでしょうか。これはそこに注意をしてある、つりは出ませんよということを書いてあるのを勝手に入れたんだから、それはおまえは出ないことを承認して早く終わったんだから自分の罪に帰するものであるという考え方になるんでしょうか。  この点は、私は金を入れながらいつもその点が疑問なものですから、私の疑問なことは国民も当然疑問に考えているのではないかと思って、せっかくの機会でありますから、衆知を結集した皆さんにこの点について法的解釈をちょっと聞いておきたい。
  129. 江上貞利

    ○江上(貞)政府委員 大変むずかしい御指摘でございますが、確かに、料金というのは役務の提供に対応してお支払いを受けるというのが料金であろうかと思います。  ただいま御指摘の点につきましては、ある種の契約として、役務の提供をその中に含むということで可能であるかどうかということにつきまして十分に検討いたしてみたいと思います。
  130. 島本虎三

    ○島本委員 十分検討してみて、後日その検討の結果をお知らせ願いたいと思います。そして国民のその疑念を早く晴らしてもらいたいと思う次第であります。  それでは、次に移らしてもらうのでありますが、無電話部落の解消についてのいろいろな公社側の努力と、同時に、この答申等に沿うような努力については、私はこれを評価いたしておきたいと思います。  この無電話部落の解消については、五十二年度末で約三百集落が残っていると見られておりますが、これについては農村公衆電話を設置して解消していくことになるのでしょうか。それとも何かほかに方法がございましょうか。
  131. 福富禮治郎

    ○福富説明員 お答えいたします。  無電話集落の点でございますが、無電話集落の解消につきまして、五次の五カ年計画においても進めてきたわけでございますが、いまなお三百五十余りあるわけでございます。  それで、これらにつきましてはできるだけ早いところ公衆電話をつけることによりまして対処いたしたいと考えている次第でございます。
  132. 島本虎三

    ○島本委員 ついでに、その対策に要する投資額はどれほど見込まれますか。
  133. 福富禮治郎

    ○福富説明員 投資額の点の詳細につきましては、無電話集落の地域というものが非常に遠いところにございまして、ばらついておりまして、いま算出しているわけでございますが、なかなかむずかしゅうございます。しかし、六次五カ年計画の全体の中におきますと、その実行におきまして非常に困難を感ずる額ではございませんので、実を言いますと、まだ正確には計算されていないということが実情でございます。
  134. 島本虎三

    ○島本委員 投資額については、やはり早くやったらいいと思うのであります。これは約三千億ほど見られているのじゃありませんでしょうかね。それは早く積算して出してもらいたいと思うのであります。  それと同時に、公社の方にちょっとお伺いしておきたいことがまだあるのです。これは電話料金の苦情についてなんでありますけれども、料金の請求書作成までの具体的な手続や手順はどうなっておるのでございましょうか。前の人も何か聞いたことがあると思うのですけれども、もう一度重ねてお知らせ願います。
  135. 浅原巌人

    ○浅原説明員 お答えいたします。  電話料金の請求書の作成の作業は非常に複雑でございますので、あらましについて御説明することにさせていただきたいと思います。  電話料金は、御案内かと思いますが、ダイヤル通話料あるいは交換手が扱います。〇〇番の通話料、それから毎月の基本料あるいは親子電話その他の付加使用料というふうに分かれております。請求書の中には、そのほかに一一五番で受け付けました電報料あるいはお客様の御請求によりましていたしました工事料というようなものが付加されて、一括して大体ははがきで御請求を申し上げるという形になっております。  そこで、いま申し上げました料金の科目によりまして作業の仕方が違いますが、最終的には、大体におきまして料金局と申しますのが全国で二十数カ所ございますが、そこへ資料を集めまして、電子計算機によりまして集計をして請求書を作成するという段取りになっております。  そこの料金局に集まるまでは、一つはダイヤル通話料でございますが、これが料金苦情の問題を引き起こしておりまして大変恐縮に存じておるところでございますけれども、電話局の機械室——これは温湿度、じんあいその他厳重な管理をしております部屋でありますが、その部屋の中に、加入者ごとに置きました度数計の架がございますが、この架を月に一回目を決めまして写真撮影をいたします。この写真撮影をいたしましたものをいわゆるパンチカードの機械にかけまして、これはオペレーターがいたしますけれども、テープカードにさん孔いたします。さん孔いたしました後でさらにもう一遍同じ作業を、ベリファイと言っておりますが、繰り返しましてチェックをいたします。それがダイヤル通話料に関する計算作業でございまして、前月のこの度数計にあらわれております指数と今月の指数との差が原則的に請求額のもとになるということになっております。  そのほか、交換手扱いの通話料は、交換手のおります市外電話局等から交換証と申しますカードの形で料金を記入いたしまして料金局の方へ入ってまいりますし、電報料は電報局から、工事料は工事を担当しております部門から、それから基本料、付加使用料と申しますものは、これは定額でございまして、おおむね料金局に原簿がございますので、原簿と申しますよりコンピューターのテープの中に記憶させてございますので、そういうものを全部集めまして請求書を作成いたします。  そこでちょっと言葉をはさませていただきたいと思いますが、料金苦情の問題に関連の御質問かと存じますので申し上げておきますが、請求書のもとが計算機から打ち出されました場合に、著しく前月より御利用の度数が多い場合、あるいは少ない場合というようなものにつきましては、これをもう一遍計算の過程を追いましてチェックして間違いがないかどうかということを確かめたり、あるいは場合によってはお客様に直接事前に御照会申し上げて間違いがないかどうかということも確かめたりしながら請求書を作成いたしております。
  136. 島本虎三

    ○島本委員 聞いていましても、わけがわからなくなるほどずいぶん手続、手順が多いですね。  そうすると、いろいろなミス、苦情については、人為的なミスが多いということにつながりますか。機械そのもののミスが多いということになりますか。どちらでしょうか。
  137. 浅原巌人

    ○浅原説明員 大体、請求書をお届けいたしますとお客様から問い合わせがございます。問い合わせと申しますか、苦情と申しますか、それが大体一カ月に一万六千件ぐらいあると現在のところ承知しております。このうち、実際にお問い合わせがありまして、誤解もございますので、御説明で御理解いただける場合もございますが、これも明らかに自分の方ではかけた記憶がないというふうな申し出がある場合には苦情をよく伺いまして、それから計算の過程をもう一遍追うとか、あるいは機械の方のチェックをするというようなことをいたしております。  時間をかけて調べておりますけれども、その結果、事故とか機械あるいは作業上のミスというふうに発見されましたものは、五十一年度の場合におきまして、一カ月でございますが、百万加入当たり五件という数字になっております。この五件をいま御指摘の作業の部分と機械の故障の部分と分けますと、五件のうち三件が作業の誤りで、機械の故障によりますものは百万件当たり二件という数字になっております。
  138. 島本虎三

    ○島本委員 そうすると、やはり機械より人為ミスが多いということになろうかと思いますが、拡充改良五カ年計画に入ったのでありますから、改良の方に重点を置いて、せめて内訳ぐらいきちっと、市内幾ら市外幾らと出せないものでしょうか。  こういうふうにするために必要な経費はどれほどかかるか、それを積算してございますか。
  139. 長田武彦

    ○長田説明員 お答えいたします。  詳細記録と申しますが、そういう通話の内訳を出すサービスをやっておりますのは、いまアメリカがやっておるというふうに承知しておりまして、そのほかヨーロッパなどではほかにやっている国はないというふうに承知をしております。  アメリカでこういう方式をやっておりますのは、特に市外通話の関係では全国に独立系の会社というものがたくさんございまして、ベル系と独立系との間に相互で市外通話の接続をしておりまして、それの料金を分計しなければならぬとか、あるいは州にまたがります通話の税金の分計をしなければならぬとか、そういうような理由がありましてアメリカでは詳細記録という方式を採用しているというふうに伺っております。  この方式は非常に金がかかるので、公社ではいままでこういうことの検討をいろいろやった経緯はございますが、現在では採用をいたしておりません。ただ、ごく大胆な前提でいろいろ試算をいたしてみますと、現在全国三千四百万ほどの加入者があるわけでございますが、これに対しましてこの詳細記録の方式を入れるということになりますと、大体創設費投資でございますが、建設投資で約一兆円程度ぐらいかかるんではないかという見当をつけております。
  140. 島本虎三

    ○島本委員 一兆円というと相当なものですけれども、これは何か電子交換機が普及すれば可能だということが言われておりますが、この点はどうでしょうか。
  141. 長田武彦

    ○長田説明員 お答えいたします。  先生の御指摘のとおりでございまして、私どもにおいてもいろいろ方式がたくさんございますが、いま公社で使っておりますものも、電子交換機とクロスバー交換機、それからステップ・バイ・ステップといろいろございまして、それぞれ方式によりまして詳細記録をやりますのに要します金等が大分違います。  確かに、電子交換機でありますと比較的少ない金額で済むということは事実でございまして、こういうものを考えていくとした場合にはやはりそういう方面からアプローチをしていくことになるのではないかというふうに考えております。
  142. 島本虎三

    ○島本委員 この拡充改良計画五年の第一年目なんでありますから、やはりそういうような第六次計画で取りかえるなら取りかえるようにして、これを普及させる計画もきちっとつくってやったならばまさに国民のための電信電話ということに相なろうかと思います。  新サービスも必要だけれども、国民が望むならば料金の内訳をつけるように、今後の課題として当然努力すべきじゃないかと私は思いますが、総裁、この点はいかがでしょうか。
  143. 秋草篤二

    ○秋草説明員 電話料金に対する苦情は、統計的に見ますと、公社発足当時は資料が完備しておりませんが、十年ぐらいを経過しますと、最近は事故は非常に少なくなっておりまして、しかも、昔はそろばんで計算し、最後まで全部そろばんを使ったのが、昨今は卓上計算機なりあるいはコンピューターで計算もしております。それから、度数計を写真で写す技術も大分進んで誤差がなくなりました。しかし、この誤差を絶無にするということが最大の使命だと私は思っておりますし、本当に現場で注意深く当たるという従業員の一番悩みの多い料金問題というものは非常に気を使う問題でございます。  しかし、先ほども申しましたように、一カ月百万人に対して本当の事故として挙げられるものは四、五件だということになれば、このために大きな投資をして全加入者に全部間違いがないようにするということは、加入者に非常に大きな負担をかけ、また結局料金に還元されることでございまして、一兆円というものが正しいとすれば、目の子で考えても月五、六百円には、資本償却利子だけで当然かかるわけでございます。それに紙も一加入者にも一枚紙ではとてもいきませんし、また印刷の経費なり、そのための人手も相当かかる。  そういうことからすれば、料金に対する事務で加入者が通話がよくなるとか便利になるとかいうことは何にも関係ないことでありますので、世界各国の動向というものはこの料金に対しては余りかけないで利用者の理解を得るということに——それによっての大きな一般の全体をカバーするような投資というものはかえって通信事業としてはよくないことであるというようなことで、特にアメリカなどではWATSという特殊なもので、市外料金などを月決めで地域的に固めて、いかにかけても同じ値段、少なくかけても同じ値段ということをやっている。ということは、個々に計算するよりも、会社側と利用者が一致した一番いい線を出して、そして一つの固定した定価表をつくって、一カ月五十万円とかあるいは三十五万円とかいう区域を指定している。そういう制度が起きたのも、やはり、料金業務に対する金を使うということはかえって加入者に負担をかけることであるというふうに私たちは聞いておるのであります。  これが将来電電公社の財政も非常によくなって、そのくらいの負担は公社でもできるということになれば、あるいはこういうものを打ち出していかなければならぬと思いますけれども、それよりも、そういう金があるならば料金の値下げでもできるという方が国民大衆なり利用者大衆の声だと私は思うのであります。しかし、これはまだ電子交換機が五%程度しか普及しておりませんから、今後推移によって電子交換機もわりに安く入るということになれば、あるいはこういう問題を解決することもひとつ考えてみなければならぬと思いますが、いまここで料金の内訳を全部出して加入者に配るということは、電気通信料金の政策的に言っても余りいい方向ではないというふうに私たち考えております。
  144. 島本虎三

    ○島本委員 総裁の言うことはわかるのでありますが、ただ、いまNHKの料金なんかを見ても、なかなかこれは予定どおり納まらないというような苦境にあります。電力会社のやつはメーターできちっとやっているし、ガス会社の場合もメーターでやっていて、ちゃんと利用者が納得している。電電公社の場合は確かに間違いはないけれども、隠されたところにそれがあって、要求されたものだけ支払っているということで、何かしら、間違いはないから信じろ、はい信じますというようなところに契約が成立するような気がするのであります。  そうすると、それは本当に間違いだと言う人、疑問があるという人に対しては徹底的にそれをわかってもらえるようにしないと、いま総裁が言った方法ではいけないのじゃないか、依然として疑惑がぐっと残っていったならばこれは大変じゃないかと思うのであります。総裁言うことは理解できますが、現に幾つかある苦情についてもきちっとした解明ができて納得してもらうというところまでいかないと、やはりこれは困るのじゃないかと私は思うのです。  そういうふうにやっているのは電電公社の場合だけでしょう。あとほかの営業体ではきちっとメーターなんかにあらわれるようになっておりますから、そういうような点も華麗なる独占の一つの誇りかもしれないのでありますけれども、それにしても何かその辺をきちっとさせるような努力だけはしておいた方がいいのじゃないかと、私はそういうふうに思うわけであります。  時間が来て、注意の紙が来て残念なんでありますが、例によって大いなる積み残しが生じたのでありまして、これは後日やることにいたします。  まだ一分前でありますから、一分の間にちょっとお聞きいたしますが、第六次五カ年計画の資金調達見込みの中には、建設投資額が九兆円で、この中にまた債務償還が二兆六千八百六十億、それに対して今度は財投、特別債、借入金というようなものが二兆八千三百四十億というようなことになっております。債務の償還よりも借入金の方がよけいになっている。依然としてこうだとすると、これは大蔵省の方から当然これに対してきつい何かのお小言が来るのじゃないか、それに対して要求も来るのじゃないか、それが要員問題につながり、そしてそれが結局は労使の中にまでくさびを打ち込まれるようになっちゃ困る、と、私はそのように思うのでありますが、こういうような懸念を私が持って終わるわけにまいりませんので、そういうようなことではないということだけはひとつきちっとして終わりたいと思いますので、御答弁をお願いいたします。
  145. 秋草篤二

    ○秋草説明員 借入金が多くなる、そうしたら大蔵省で早く返せと言う、それがまた労働問題につながるということは、まず、電電公社の財政の行き方からすれば断じてあり得ないというふうに私は確信を持っております。
  146. 島本虎三

    ○島本委員 その確信を信頼して、私の質問はこれで終わります。
  147. 松本七郎

    松本委員長 阿部未喜男君。
  148. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 予定をした質問に入る前にちょっと大臣に伺いたいのですが、きのうの閣議の終了後に大臣記者会見をされまして、福田総理、大平幹事長は近い時期に公定歩合の引き下げをやりたい感触である、それも三月中ぐらいではないかという感触を持ったというふうに語っておられますが、公定歩合の引き下げは郵政省の扱う郵便貯金の金利の引き下げに連動する重大な問題でございますから、これは無関心ではおられませんので、大臣の感触なるものを聞かせてもらいたいと思います。
  149. 服部安司

    服部国務大臣 公定歩合の引き下げについての感触、しかも昨日の閣議後の記者会見の点についての御指摘でありますが、閣議ではこういった問題はもちろん出ませんし、また、公定歩合の引き下げということは影響力がまことに大きいので、軽々に出るはずはございません。ただ、一昨日ある会合で、日本の有数な団体の責任者から、公定歩合の引き下げについて、郵政大臣は庶民大衆の利子を得る目的のための郵便貯金の利下げは絶対やるべきではないという強い御要望がございました。たまたまきのうの閣議後の記者会見で、閣議では郵政省関係のことは意外に少ないものですから、つい親しい間柄で雑談のくだりでいろいろと意見の交換がございました。勢い、いま先生指摘のとおりに、やはりぽつぽつといろいろな機会にそういった発言もあるわけで、したがって御関心の強いことは当然なことでございますが、私も、そのときに、もしそういった事態が来ても私は利下げはいたしませんと、こういったことを申し上げたことも事実でございます。  その理由は、これは先生も御承知のとおりに、大体公定歩合の引き下げ、引き上げは日銀があるところと相談をし、それを決定するわけでありますが、この郵便貯金は日銀には全く無関係で政令で定めるわけでありまして、それ以前にいわゆる郵政審議会の了承を取りつけねばならない。すなわち、庶民の金利を得ることを目的とする貯金であるだけに、それだけ十二分なガードがされているわけでありまして、したがって、私は、一般金融機関の公定歩合の引き下げに連動することは所管大臣としてはまことに苦しいことであり、また、役所の年度というのは三月三十一日まででございまして、過去に五月、九月と公定歩合の引き下げが二回実施されておりまして、当時は全く簡単に連動でやられたわけでございますから、私は庶民の立場に立って、年度内三度ということは余りにも酷だから、これには了承しがたい。  ただし、先ほど申し上げた郵便貯金利率決定については他の公定歩合との状況も加味か判断か、まあ、私は余り法律を読むのは好きじゃないが、そういったくだりもあるわけでありますから、私ががんばり抜いて景気浮揚のための大きな阻害になることになれば、これはまた立場を変えて考えねばならないけれども、現時点では私は応じかねるということを、記者会見でありましょうか雑談であったか、そのことは触れぬでもいいわけですが、言ったわけで、何せそういう感触であるというふうに御理解をいただければ大変幸せだと存じます。
  150. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 後段の方は私どももいままでずいぶん論議をしてきた郵便貯金法十二条の関連ですが、私が一番聞きたいのは、大臣が感触を得たということはどういう理由でそういう感触があったのか、どういう話のときに総理なり幹事長がそういう強い公定歩合の引き下げをやりたいという考えを持っておるという感触を得たのか、どういう感触であったのか、それを聞きたいのです。それはかたかったかやわらかかったか、その辺です。
  151. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  直接聞いたのではございませんから、かたかったかやわらかかったか、中間であったか、ちょっと私は理解しかねるのでありますが、これは先生も新聞でごらんになったかと思いますが、何か、某会館での「景気対策について」という講演の中でもそれを含めて考えるという言葉がありましたし、また、景気浮揚が意のごとくにならなければ次の手を考えるということも総理も談話を発表されておりますし、私は、その感触よりか、職責上、職掌柄そういうことになれば一番——二十の役所がありますが、私のところだけがさてどうやるか、先生方も追い上げられることは当然でありましょうし、また庶民大衆の預金者の立場にもならねばならないし、非常に苦しい立場に相なるわけでございますから、私なりにいろいろと真剣に考えているだけに、つい話の出場所でそういう結果になりますので、どうぞこの点も御理解を願っておきたいと存じます。
  152. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 もうこだわりませんけれども、新聞の書き方も、閣議で直接話があったわけではないが感触があったと言うから、私は、閣議の席上で大臣が何かそういう感触を受けるような総理なり幹事長からの話があったのではないかと思ったわけです。新聞ではどうもそういう印象を受けるような書き方になっておったわけですよ。それで、その感触を聞きたかったのですが、その感触は閣議でなく一般的な報道大臣が受けたというのなら、それはそれで仕方がありません。  それで後段ですけれども、いままでもずっと論議を重ねてきておりますし、もしそういう問題が起こって、郵便貯金の金利が引き下げに連動するというような問題が起こったときには、ひとつ断固として大臣は職を賭してでも反対をしてがんばってもらいたいが、その決意だけ一言述べてください。
  153. 服部安司

    服部国務大臣 郵政大臣としてはそれは当然なことだと思います。しかし、先ほども申し上げたとおりに、いま片や国務大臣でありますから、なかなか微妙な立場で、景気浮揚にどのような影響力を持つかという点も、これはあわせて考えねばならない立場であるということも御理解を願っておきたいと思います。
  154. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これはいずれ貯金の法案がありますから、そこでもう一遍徹底的にこの問題は議論させてもらいます。  次に、先般大臣の所信表明を拝聴しましたが、配られましたこの冊子にも、「郵政大臣所信表明資料」となっております。五、六年前、郵政省はこれを大臣の「所管事項の説明」という表題で出しておったのです。ところが、他の省庁は大臣、長官がそれぞれ所信表明をする。少なくとも大臣が就任をされ、新しい年次に向けての大臣の抱負を述べる。これが初めの演説になるわけでございます。そこで、私はこの委員会で提案をしまして、他の省庁の大臣や長官が所信表明をするのに郵政大臣が所管事項の説明ではおかしいのではないか、やはり大臣としての抱負を述べるべきだと言って、内容も少し変わってきたのです。そういう経緯があってこれが所信表明に変わったが、しかし、内容はまだ私どもが期待したものにはなっていないような気がしてならないのです。  そこで、大臣に伺いますが、幾つかの項目にわたって所信が述べられておりますけれども、郵政事業の根幹をなす事業は何か。これはどうお考えですか。
  155. 服部安司

    服部国務大臣 郵政事業の根幹とは、広く国民に真心のあるサービスの供与をすることであると私は考えております。
  156. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 根幹をなす事業ということについてもっとわかりやすく申し上げましょう。郵便事業、貯金事業、保険事業、その他ずっとありますが、その事業の中で根幹をなす事業は何か。
  157. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  もうすべての事業が郵政省の根幹であると御理解願いたいと思います。私もそのような考え方で仕事をやらさせてもらっております。
  158. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 郵政大臣、そこが少し認識が違うのです。郵政事業の根幹は郵便事業です。あとは付帯業務または委託業務と呼ばれるものであって、郵便事業が郵政事業の根幹でなければならない。これはちょっと認識が違うが、どうですか。
  159. 服部安司

    服部国務大臣 御教授いただいて、まことにありがとうございました。
  160. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこで、大臣のそういう認識がこの所信表明の中にもあらわれておるように思えるのです。私は、字数が少ない多いを言うのではありませんが、この中で郵便業務についてはわずかに五行述べられております。ところが、付帯業務の為替、貯金事業が、ちなみに調べてみたら十四行、保険事業についても十四行、これだけのスペースを使っております。  次に、郵政事業の中で郵便事業がその根幹であり、特にここでは全く安定した郵便業務の運行であって何も心配が要らないというふうに書かれておりますけれども、昭和五十三年度の郵政事業特別会計の予算をちょっと見ただけでも、歳出の方を見ますと業務費で六・三四%の増加、ふくらみです。ところが、郵便業務の収入の方ではわずかに二・一七%しか増収が見込まれないのです。二・一七%しか収入がふえないのに六・三四%の支出の増加がある。これでは郵便事業が赤字になるのは当然で、私は、すでに今日郵便事業は財政的な危機に直面しておると見なければならない。それがこの数字になってあらわれて、たとえば昭和五十三年度単年度でさえ三百七十六億の赤字で、業務運営の赤字の累積は実に二千百七十六億円という数字に達しておるし、これが来年度解消できるという見通しも何もないはずです。全く郵便事業の経営の危機と見なければならないのに、それに対する大臣の所信は何もないのです。これが郵政大臣の所信だろうかと思ったら私はいささか情けなくなってきた。  そして、聞いてみたら、あなたはどの事業も同じでございますと言う。まあ、事業に分け隔てをしてはいけませんが、この根幹である郵便事業に対する大臣の認識の不足は目に余るような気がしますが、心を入れかえますか。
  161. 服部安司

    服部国務大臣 心を入れかえたいと思うのでありますが、いまちょっと郵政六法を見ますと、お言葉を返すようでありますが、郵便事業以外は委託または付随事業であるということではないということを発見いたしましたので、ちょっとひとつ後で第三条をごらんいただければ御理解がいただけると思います。  そういう立場で——こういうことを言った後で立場なんて言うことはまことにへんてこなんですが、先生の御指摘で、君は郵便業務をおろそかに取り扱っていると、いわゆる認識の欠けた点の御指摘がありましたが、正直言って私も、実は所信表明というのを先般お役人が書いてくれて私はここで読んだわけでありますが、郵便事業のあり方について私自身もけさほどまであなた同様非常に大きな疑問と不信とを持っておって、朝の幹部会でもいまの御指摘のようなことを、実は大臣でなくて衆議院議員服部安司で指摘したことは事実なんです。まだいまから七、八時間前ですか……。したがって、本年度は三百七十六億、総計二千百七十六億円という赤字を見込んだ予算編成の矛盾についても、いつ解消するのをめどに考えているのかということについて、邪魔くさい、おれはきょうの委員会で来年度は値上げせざるを得ませんと言ってしまおうかなんて冗談を言っていたわけですが、ただ、ここで一つ残された問題があると私は考えております。  これはこれからの私の努力だと思いますし、私の努力に幹部諸君と三十二万のこの仕事に従事する郵政職員の理解と協力を得ることができるならば、いつも御指摘を受ける企業努力で、いわゆるサービスの低下を来さないでどの程度の健全化を図れていくかということが私に課せられた使命であると心得えておりますし、それがためにはいろいろと資料も必要であります。  五十一年度、五十二年度、まあ現在まだ事業執行中でありますが、こういった収支も一応厳密に精査せねばならないわけでありますが、私は、こういった問題も、少し時間ができたならば近くしさいに検討いたしまして、一応の目標を早期に樹立したいという意欲に燃えていることだけをお伝え申し上げたいと存じます。
  162. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私も不勉強で大臣に失礼なことを申し上げたのかもわかりませんのでおわびをいたしますが、業務収入というのと受託業務というふうに分かれておるのはどういうわけですか。  これは大臣でなくても結構です。関係の方から聞きたいのですが、私どもは大体付帯業務という認識と郵便業務というふうに考えてきたのですが、いま三条というのを大臣から示されましたので、だれか詳しい人から伺いたい。
  163. 浅尾宏

    ○浅尾政府委員 お答えいたします。  先生の御指摘の、業務収入とそれから貯金、保険その他受託業務収入という建て方になっておるのはどういうことかという御質問でございますが、御承知のように郵政特別会計と申しますのは郵便事業が主体になっておりまして、貯金事業は郵便貯金特別会計というのは別にございます。簡易保険というのは簡易生命保険特別会計というのが別にございます。会計がそれぞれ別にございます。そこから郵政事業特別会計が必要な金を繰り入れてくるという、その経費支弁の仕方だけを着目いたしまして、郵政事業特別会計の立場から言うと受託業務と、従来からそのような表示で経理しておるのが実態でございます。
  164. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 経理の表現はわかりましたが、どうも、ぼくらの認識では、郵便業務というのと付帯業務というふうに考えておるのですが、これは答弁してもらうのは官房長ですか。どうなんですか。付帯業務という言葉があるかないかをまず聞かせてください。
  165. 河野弘

    ○河野(弘)政府委員 いま大臣からお答えいたしました設置法の中でございますが、郵政省設置法におきましては、第三条に「郵政省の任務」とございまして、この中で、郵便事業と、それから為替も含めまして貯金事業、それから簡易生命保険事業、それから電気通信に関する事務と、これらを一体的に遂行するということで、これが主たる業務になっております。  いまの会計面と別にいたしまして、付帯業務といたしましては、前項の事業に付帯する業務、これ以外のものでございますね。郵便事業に付帯する業務、貯金事業に付帯する業務、それから日本電信電話公社あるいは国際電信電話株式会社あるいはNHK、国家公務員共済組合等々から委託された業務、それから国民貯蓄債券の売りさばき、償還及び買い上げ並びにその割り増し金の支払いに関する業務、印紙の売りさばきに関する業務、年金及び恩給の支給その他国庫金の受け入れに関する業務、これらが付帯的な業務ということで私どもは認識いたしているわけでございます。
  166. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大体わかりました。付帯業務と一般に呼ばれるときには郵便業務が主体で、その他のものは付帯業務だというふうにわれわれは理解しておったけれども、そうではなくて、いまあなたが読み上げたものがみな業務であって、それに付帯するものが付帯業務だという理解ですか。受託業務という分類は会計法上の分類ですか。
  167. 河野弘

    ○河野(弘)政府委員 お答えいたします。  いま経理局長からお話し申し上げましたとおり、会計上郵便事業だけを郵政事業特別会計の中の事業というふうにみなしまして、貯金、保険それぞれは収支の関係で付帯収入という形になっておるわけでございまして、会計上の認識とそれから設置法上の認識とは若干異なるわけでございますが、長い間そういう形でまいっております。
  168. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 どうも、これを見るとわからないのですよ。業務収入があって、受託業務収入と別にあるわけでしょう。だから、それなら、業務収入が郵便だからこれが本業であって、後のものは受託業務だというふうに日本語で解釈すればそうなるのですよ。これを見る限りにおいては、ですね。そういう意味で私が申し上げたので、私の解釈に間違いがあれば、大臣、これは謝っておきます。  それでは、次に参りますが、次の問題は、二月二十日の朝日新聞によると、郵便貯金を悪用して脱税をしていたというのが摘発された。これはかなり大きいのですけれども、国税庁から連絡がないから貯金局の方では関知しないというふうなコメントがありましたが、これは実際あったのですか。どうですか。
  169. 高仲優

    ○高仲政府委員 郵貯利用の脱税ということで新聞報道がございましたが、私どもといたしましては、国税当局がどのような事案について脱税容疑として告発したのか、連絡は受けておりません。したがいまして、具体的な案件について確たることは申し上げられないのでございますが、国税当局といたしましては、特定の納税者の不正の所得が金融機関に預入されているということがわかりますと、一般論といたしまして、その金融機関の——これは郵便貯金も当然含むわけでございますが、裏づけ調査のために、不正所得がこういうふうに使われているということの調査はやるわけでございます。  その一環といたしまして郵便局に対して調査をするという事実はございますが、全容について、郵便貯金に幾ばく入っておって、〇〇銀行に幾ばく入っておってといったようなことは私どもとしては全く関知できない問題でございます。郵便局についての調査はいままでもございました。
  170. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 きょうは二十二日です。これはかなり長い期間にわたって前からやっておったという新聞の報道になっております。こういう新聞報道がこんなになされて、それからすでに二日間たっている。しかもこれは郵便貯金とはっきりしておるのですが、まだわかりませんで、詳細はわからぬが概略はこうですというくらいなことがわかっていないで、大臣がおっしゃるところの事業をそれぞれ変わりなく大切にしておるという趣旨からすると、すでに三日間たった今日まだわかりませんで済むんでしょうか。
  171. 高仲優

    ○高仲政府委員 郵便局に対して国税当局から調査が行われるという事例は間々あるわけでございます。私どもも新聞の記事が出てから国税当局の方にも問い合わせたのでございますが、さような発表をしたことはないということで口を緘しております。  私どもが調査を受けたもののうち特異な案件については二、三私として承知しておるものがあるのでございますが、それがまさしくこれと適合するのかどうかという問題につきましては、率直に申し上げまして、預金者のプライバシーに密接にかかわる部分もあろうかと思いますので、概略をということでございますが、特定しにくいこと、それから余り言及することが当を得ておることかどうかという点、この二点からいたしましていささかお答えをちゅうちょしておる次第でございます。
  172. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これは市川の郵便局に勤務をしておる職員というふうにはっきり名指しで出ておるわけです。ですから、たとえば預金者がここにあるようにAならA、BならBで、それは固有の名称を挙げなくてもいいでしょう。しかし、そういう事実があったかどうかがわからないということはないはずです。現に郵便局で扱ったと書いてあるのですから、なかったならなかったで調査の結果そういう事実はありませんと、あったならばあったでそういう事実があったと、そのくらいなことは三日間経過した今日調査もされておらぬということは言えないんじゃないですか。それはちょっとひどいですよ。
  173. 高仲優

    ○高仲政府委員 ただいまお答え申し上げましたとおり、私どもとして調査を受けた案件のうち二、三のものについて、私は率直に申し上げましてその概要を知らないわけではないのでございますが、ただ、この件につきましてどうであるかと国税当局に問い合わせても、一向さような発表をした覚えはないということを申しておりますし、特定しにくいことと、それからプライバシー侵害の問題にわたるという点を恐れるという点からお答え申し上げるのをちゅうちょいたしておるのでございますが、たってという仰せでございますならば、ごく抽象的でよろしいということでございますならば、まさしく該当するかどうかということは別といたしまして、そのころの年度にあった件についてきわめて抽象的に申し上げたいと思います。  まず、第一に、私がいま個人的に知悉しておる問題は朝日新聞の記事と金額的には相違いたしております。  それから、第二点は、あたかも某郵便局において八千数百万円の超過預入を——つまり、郵便貯金の最高限度額は三百万円であり、これを遵守させるべく努力いたしておるのでございますが、しかるにかかわらず八千五百万円の超過契約をやったがごとき印象になっておりますが、私が承知いたしております件について、これも抽象的にならざるを得ないのでございますが、御本人とその家族、それから親戚縁者一統の名前、これは実在員でございますが、この名前を使って、これは全部入れますと約二十人くらいになっております。そのほかに調べてみたらば、架空であったという者の名前を使って高額の預金をしておった事実はございます。  この件につきまして、しからばそれだけの人数に割りつけたからすべて最高制限の範囲内であったかと申し上げますと、実は、申しわけないことでございますが、最高制限額を超過している部分もございました。これはまことに不行き届きのことでございまして、今後こうしたことは一切いたさない所存で強力に指導いたしていきたいと考えておるのでございます。  なお、ではどのくらいかということになりますと、これも概略でございますが、超過しておったものがいろいろな人の分を——これは全部他人の名前でございますけれども、その件に含まれるものと私が推定して申し上げますと、二千万円余りの超過という件がございました。  大体そのころの時期の話として大口の超過契約というのを申し上げますと以上のような件はございましたが、まあ、記事とやや似ておるようでございますが、やや違っておるというふうに思います。
  174. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いずれ、これも貯金法の審査のときにもう少し詳細に聞きたいと思いますが、なぜこういう事件が起きたか、その原因にメスを入れなければなかなか直らぬ問題です。  私は非常にくやしいのは、この委員会でも最高制限の問題については議論をし、当局もしばしば通達を出しておるはずですが、そういう手続をとっておりながら、それが第一線で、仮にいま貯金局長がお調べになった中でも若干の超過契約を認めざるを得ないという状況になっておるということで、その原因は一体どこにあるのか。委員会でも議論をし、当局もしばしば通達を出して注意を促しておるにもかかわらず、やはり第一線でそういう問題が起こっておる。  これは時期の問題もございましょうし、いろいろ問題があると思いますから、いずれこれは貯金法の審査のときに改めてお伺いしますけれども、一言敷衍させてもらいますと、私がこの問題で質問をしますということはきのう申し上げたのです。もしそういう事情で公の席上でいろいろ話しにくい事情があれば、出てきて、こういうことになっておるという説明くらいはあってしかるべきではなかったかという気が私はいたします。これはもうあえて申しませんけれども……。  次に、先般の相模大野の問題等にも関連をして、小局運営の業務管理、人事管理のあり方について、ここにいまいろいろな事故の起こる原因があるように私は思えてならないのです。これは人事局長の関係になりましょうか、たとえば具体的な例が一番いいと思うのですが、小局の無集配の三人局、四人局のようなところの局長さんに非違事項があった場合には、一体だれが責任を持って上局に報告をすることになるのか。職員がおやりになったときには局長が責任を持って報告するはずです。局長が非違事項をおやりになったときには一体だれが報告をする義務があるのか、そこから入りましょう。
  175. 守住有信

    守住政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のように、職員がやった場合は当該所属局長でございますが、局長の場合は郵政局の方で把握をするか、もう一つは監察の方の調査なり考査なり——犯罪の場合は捜査ということに相なりますけれども、たとえて申しますとそういう形での考査の場合、その中で非違その他が発見された場合は、その報告書を通じてそれが郵政局の方へ報告されるというシステムに相なっております。それに従いまして郵政局の方では、法規、政令に照らしまして懲戒処分に該当する場合は公正に処分していく、こういうことでございます。
  176. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 職員は毎日局長の監督下にあって仕事をしておりますから、非違事項がすぐ局長によって摘発をされ、発見をされ、報告をされるというシステムになります。  監察が毎日考査をおやりになるわけでもなかろうし、郵政局が毎日特定局を回っておいでになるわけでもなかろうし、仮に発見できたとしても、その非違事項があったときから相当な日数がたっておるとすると、同じ郵政の職員の中で、局長がやった場合には、実質的には監査——それは郵政局からのものか何か知りませんが、それを除いては報告責任者がいないということになりますね。
  177. 守住有信

    守住政府委員 お答え申し上げます。  私どもの人事という系統では、特に職員の服務を中心に物を見ておるわけでございますが、たとえばその他の面、いわゆる業務面のことがございますが、その業務の取り扱い上の関連での報告なりルートというのはまた別にあるわけでございまして、それに従って、それがまた人事上の措置を要するかどうかという、懲戒処分等を含めまして、これが人事担当の方へ報告が出てくるという仕組みに相なっております。  なお、また、そのほかは業務面以外のいろいろな情報と申しますか、そういう形でのパイプの吸い上げということも配意をいたしておる次第でございます。
  178. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 人事局長はいろいろおっしゃいますけれども、実際問題として、小局の場合に職員が何か非違事項をやれば、それが業務運行上の非違事項であろうと、あるいは犯罪につながるようなものであろうと、監督者としての局長がおいでになるから、この人がそれを発見されればすぐに報告をするというシステムになることは間違いないわけですね。ところが、局長がやった場合に、それを報告する責任者がいない、発見されるまでは、局長自身が報告しない限り報告の責任者はいないという形になっています。発見されない限り、局長自身が報告をしなければ、職員は知っておっても局長の非違事項を報告しませんよ。何といっても六十八歳までも勤める局長さんの下で働くわけですから、首になってくれれば結構ですけれども、首にならないで局長が残ったときにはどんな目に遭わされるかわかりませんからね。職員は局長の非違事項があっても見て見ぬふりをするはずですよ。そうすると、局長自身は自分のことだから報告しない。そういう管理機構、運営というのがいまの小局の運営になっておるのではないですか。  では、普通局の場合はどうかというと、確かに普通局の場合にも局長は責任者でしょう。けれども、そこには課長とか主事とかいろいろな人たちがおるから、局長の非違事項を自分がかぶせられてはかなわぬから、それぞれ相互牽制が行われるから、大体大局では局長の独断でも事故というものはないし、また情報の集め方も簡単に集まるでしょう。しかし、特定局の場合は、今度の相模大野の場合と同じように情報も集まりませんよ。周囲の局長がぐるになっているのだから、お互いにかばい合っておるわけですから情報の集まりようがないでしょう。  そういう小局の管理のシステムに、単に今度の犯罪だけでなく問題点がある、機構上の問題があると、このように私は思うのですが、どうですか。
  179. 服部安司

    服部国務大臣 確かに、御指摘のとおり、あの相模大野郵便局のきわめて悪質な事件も、局長であっただけにかなり発見がおくれたということは私は全く同感であります。  そこで、こういった苦い苦しい体験を基礎に、先般来いろいろな機会に御報告申し上げておりますとおりに、緊急に局長会議を招集し、七時間かけて一つ一つの掘り下げた検討会を持ち、また関係局、関係課と出先の地方監察局長、郵政局長の個々のいわゆる検討をし、さらに地方において特定局長会議または防犯会議、特推連ですかの相互牽制の実を上げるべく、この御指摘の難問題解決のために通報の義務を負わす制度をいま私は検討させておるわけでありますが、これができるとかなりその効果が上がるのではなかろうかと思います。  いままでのように任意の状態でありますと、仰せのとおりに、相模大野の佐藤和也なる者もやはりその特定局長のボス的存在であったためになかなか発見できなかったということになるわけでありますから、そういうものをあわせて排除できるような制度化をいま検討いたしております。せっかくの御注意でありますので、なるべく早くこの制度の確立を図って効果を上げてまいりたい、かように考えております。
  180. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 先般来、大臣の非常に熱心な取り組み、決意のほども伺っておりますから、それをもいささかも疑うものではありませんが、もう一、二点私は申し上げておきたいのです。  大臣、相模大野の事件というのはいまの制度の中ではまさに氷山の一角にすぎないということなんです。私は人を傷つけることは好きではありませんから特定の名前は挙げませんけれども、私が知っておる限りでも、特定局長が公金を流用して使い込んでおるという事例は物すごいのです。ばれそうになると周囲の局長なりが集まって金を出して、そして被害者に返して断りを言うて歩いて、それで丸くおさめるのですよ。監察も大体見て見ぬふりをする場合が非常に多いのです。表に出ないだけですよ。もし私がうそを言っておるというなら、私はその内容を全部出してもいいですからね。たとえば特定局長がそういうことをやって、そこには労働組合かあったので労働組合に発見をされて一札入れておるというのもあります。それは結局機構からくる問題です。  その中の一つに、先般来問題になっておる自由任用制という問題がやはり絡んでくるわけなんです。私は自由任用制がすべて悪いというふうには考えません。非常に辺陬の地域でどうしても局長になる人がいない、しかし局を廃止するわけにいかぬというような事態もこの大きい郵政事業の中にはないとは限りません。しかし、私は、今日自由任用制が非常に悪用されておると言わざるを得ないのです。三十数万の職員がおって、一つの局の局長がおやめになる。経験豊かな優秀な職員が立候補をしても、その局長の息子さんがおれがなると言えば、郵政事業に全然経験のない若い局長がどんどん任用されていくのですよ。  しかも、郵政当局のやり方も非常に卑劣です。対立候補がおれば、これはだれが見ても経験豊富な優秀な人材がおっても、これを一人ずつおろしていくのです。どうしておろすかというと、おまえは主事にしてやるからあっちに転勤してもう局長立候補をやめろ、おまえは主任にしてやるからこっちに転勤して局長立候補をやめろということで、しまいには局長の息子一人だけが残るから、対立候補はありませんということでこれが任用される。  悪いことを言いますが、いま特定局長株というのは九州の方では三百万円です。それだけの金を出して局長株を買って局長になる。局長株をだれから買うのかというと、特定局長会から買うのです。だから、局長会が株を売りつけて金をもらっておる以上、その局長に非違事項があっては困るのですよ。それでお互いにかばい合わなければならぬ。そういう自由任用制の悪い面が非常にたくさん出てきておる。  そういう事実なしと言い切れるかどうか、人事局長、どうですか。
  181. 服部安司

    服部国務大臣 責任ある服部ですから、誠意を持ってお答えしますからお聞きください。  ただいまの御指摘は特定局長任用制度の中の最も悪い点ばかり御指摘いただいたので、私も肝に銘じて、この制度の中でそういった悪い面をできるだけ排除しながら、いわゆる理想の特定局制度に持っていきたいという意欲に真剣に燃えております。  したがって、いましばらく御信頼いただいて、この成り行き、経過、すなわち結果を見ていただきたいと、かように思う次第であります。
  182. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 人事局、何かあれば……。なければいいです。
  183. 松本七郎

    松本委員長 人事局長、何かありますか。
  184. 守住有信

    守住政府委員 株というのは、私が知っておりますのは、その建物の関係で、所有者が前任局長であった場合は、それを賃借しなければならないというような場合に、その賃借料のほかに、何と申しますか、敷金とか権利金とかいうような角度で、土地、建物の関係で金を払うということは承知しておりますけれども、特定局長の任用ということでその株があるということは私も聞いておりませんし、あってはとんでもないことだというふうに認識をいたしております。
  185. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 人事局長、それは周知の事実ですから、それは厳正に事あるごとにひとつ是正をしていっていただきたい。私は、もしもどこのだれがやったのかと言うなら事例を挙げることもできますが、そんなに中のことを洗いざらい申し上げる気はありませんけれども、そういう事実ありというふうな理解に立ってこれからの局長任用についての方針を出してもらいたい。そのことをお願いしておきます。  次に、電電公社においでいただいておりますが、総裁は先般の概況の説明の中で、五十二年度の事業収入が十二月末現在の収入の実績では予定収入に対して〇・七%の減収であるというふうにお話がございました。〇・七%というのを金額にしてみますと、これは百七十七億円という金額になるようでございますけれども、十二月末の収入予定の二兆五百四十億円になりますか、これに対して百七十七億、年度末でもし仮に同じように〇・七%の減収になったとするならば、十二月から推定してこれは二百三十八億円の減収になるというふうに推定されます。そうしますと、一−三間で十二月末の〇・七%の減収を取り返さなければ年度全体の収入が予算に対して狂ってくるということになるのです。  これは見通しですけれども、加入電話は四十万も減らして、しかも一−三間で十二月までの収入の〇・七の落ち込み、百七十七億の落ち込みを取り返して予算どおりの収入が見込めるのかどうか、この辺はどうでしょうか。
  186. 秋草篤二

    ○秋草説明員 いままでの経過から三月末を見通しますと、予算額にはとうてい達しません。ただ、〇・七でいくか、〇・八にいくか、それ以上には好転しないと私は思っております。
  187. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 ちょっと細かなことを聞いて失礼ですけれども、金額が大きいものだからわれわれはわかりにくいのですけれども、たとえば所信表明の二ページですが、建設計画のところで、十二月末における契約額は一兆五千七百三十七億だということで、これは八九・三%。このコンマ三%という場合に、三%の次のけたは四捨五入をしているんですか。切り捨てるんですか。
  188. 小川晃

    ○小川説明員 お答えいたします。  コンマ以下につきましては、四捨五入をしておる数字でございます。
  189. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それではちょっとそこではじいてみていただけますか。一兆七千六百十二億円で、その八九・三%が一兆五千七百三十七億になるかどうか、ちょっとはじいてみていただけますか。四捨五入ならばどうなるか。計算をすぐできますか。
  190. 玉野義雄

    ○玉野説明員 お答え申し上げます。  一兆五千七百二十七億に相なります。
  191. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 間違いなくここに書いてあるのですが、総裁は一兆五千七百三十七億で、これは八九・三%ですというふうにお話しになったわけです。電電公社にとって一億というような数字の違いは大したことはないでしょうけれども、田舎の町村に行きますと一億というのは大変な金でございます。どうしてこういう数字の違いが出てくるんだろうか。それではじいてみましたら、これは大体八九・三五五%になるのです。それで、四捨五入だろうかどうだろうかと思って勘定してみたんですが、はじいたら一兆五千七百三十七億ではなくて七百二十七億で、いきなり十億円の違いが出ておるわけです。まあ数字の間違いでしょう。悪意ではないと思いますけれども、計算の仕方では切り捨てればこれは合うわけでございますが、むずかしいところですけれどもそういうことになっておりますので、大変ふところぐあいがいいとはいえ、数字についてはもう少し丁寧に扱ってもらう必要があるのではなかろうかということでございます。  その次に参りますが、公社の建設投資ですけれども、私の理解に間違いがなければ、昭和五十二年度の建設の当初予算では一兆六千二百億が組まれておって、その後第一次の補正予算で五百億が追加をされて、さらに第二次の補正でまた百億を追加いたしました。それから前年度の繰り越しが九百十二億円になると私は思うのですが、これは間違いないかどうか、ちょっとお聞きいたします。
  192. 小川晃

    ○小川説明員 お答えいたします。  いま阿部先生がおっしゃったとおり、間違いございません。
  193. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 間違いがないとすれば、昭和五十二年度の建設投資は総額で一兆七千七百十二億円という数字になります。このうち百五十億ぐらいが債務負担行為で昭和五十三年度に繰り越される分だというふうにいま理解をしておりますけれども、大体大まかな——来年度また繰り越すかもわかりませんから、繰り越しを勘定に入れないと一兆七千七百十二億円が昭和五十二年度で建設予算として投資をされるものであると理解いたします。  ところが、非常に順調に進んで、十二月末の契約高は、先ほど申し上げたとおり八九%もうすでに契約が進んでおる。これは恐らく年度内契約は大方でき上がるんではないかというふうに私は考えますが、そうすると今度は昭和五十三年度、今年度が問題になってくるわけです。新しい年度の昭和五十三年度では一兆六千百億円で建設工事の予算が組まれております。これは前年度に比べてみますと、実に一千六百十二億円五十三年度の建設予算が少なくなるのです。  いま景気浮揚がいろいろ取りざたをされて、特に五十二年度の補正というのは、景気浮揚のために公社が無理をしてお組みになった六百億が入っておると思うのですけれども、せっかくそこまでやっておきながら、一番肝心の五十三年度では一千六百十二億円も建設投資ががたっと落ちてくる。それは景気浮揚上の国策の問題が一つと、もう一つは、これで五十二年度に工事をやった建設業者が五十三年度にはどうなるんだろうかという心配が出てきます。  その辺の整合といいますか、調整はどうおとりになるのか、知らせてもらいたいのです。
  194. 秋草篤二

    ○秋草説明員 これはまず数字の点で申しますと、ただいま先生の申されました本年度の予算全体で一兆七千七百十二億は、これは間違いございません。  しかし、ここで考えられることは、一次補正、二次補正も非常に年度末に迫ってできましたので、まず繰り越しがかなりふえると思います。年々歳々電電公社の繰り越しは非常に私は誇っておりまして、二%ないし三%という毎年の繰り越しというものがあって、電通省の末期ごろは三割も三割五分もあったんです。これはやはり公社になって非常に予算の運用がよくなってきた関係だと思いますが、いかんせん、どんなに施設系統の技術者連中が懸命に努力しましても、ここまで来て、つい二月に国会議決をしたような補正予算もありますから、どうしても例年の年度よりも繰り越しはまず多くなります。これがどの程度になるかわかりませんが、いままでのパーセンテージよりはやはり一、二%ふやさざるを得ないんじゃなかろうか。仮に五%としますと、直ちに一千億ぐらいな額は出てまいります。  そこで、今度の成立しました一兆六千百億は明らかに本年度の現額よりは少のうございまして、これは予算の繰り越しをまぜても、現額は今年度の額にも到達しないと思います。  そこで、先生の御質問の、この不況の経済回復のために政府があれだけ懸命に努力しているのに電電公社はもっと積まないのかというおしかりのようですが、何分電話の需要が急激に減ってまいりました。それから忘れてならぬのは、ちょっと前後しますけれども、第二次の補正では予算は百億しかふえておりませんけれども、大臣のお骨折りで資金の五百億を補正していただいたのです。これは加入者債券が入ってきませんから予算面には出ませんけれども、お金を建設投資に入れていただいたのは、これは案外大きなもので、これをやっておかなければ完全に五百億工事ができなくなるのでございます。それを大臣がお骨折りいただきまして、これは補正の一つですけれども、補正というのは何か増加しないと補正でないようですけれども、資金補正でございまして、これは私どもの非常に大きな効果でございまして、それでさっきの予算が成立したわけでございます。  本論に戻りますが、何分需要が減ってまいりますので、私どもは、政府がこれだけこの一、二年懸命に景気浮揚しておるのだから、電電公社も公共企業体としてもう少し協力すべきであると思って私どもは応分のおつき合いをしたのでございますが、私どもも一応企業でございまして、一般会計の公共投資とは、いわゆる道路とか下水とか学校とか港湾とかいうものとはちょっと違って、投資を幾らでもすればいいというものではございませんので、私どもは、見方によってはかなり思い切った投資を、どうせやらなくちゃならぬことであるならば、ここ一、二年は前倒しで、少し先取りすることによってしたいわけです。  ただ、ここで心配になりますのは、先生も同じことだと思いますが、来年、再来年今度は急に減らすということを考えますと、工事会社なりメーカーは、やはり予算がふえるというよりも平準に静かに伸ばすということを非常に希望しておりまして、ただいまのところおかげさまでうちの関係産業は非常に旺盛で喜んでおりますけれども、来年のいまごろになると相当さびしい形になるのじゃないかということも考えられるし、そういうことがあってはならないというので、余り息巻いて前倒しをするということはコストも安くはならぬということで、電話の需給が均衡を得て、それからまた関連するメーカーのことを考えますと、この辺が非常に私どもの心配の種でございまして、これは調和を図った上でこの程度の予算を成立していただいたのでありまして、これが予算を決定していただいた私たち考え方でございます。
  195. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 やはりこれはちょっと矛盾するので、私は二つの面を含んでいると思うのです。  一つは、景気浮揚という点から考えれば、いま総裁がおっしゃったように思い切って建設投資でもやるべきだが、しかし、公社全体の独立採算制という経理の状況から考えれば、余り大きな建設投資をしたら過剰投資になってしまうおそれがある。そこで、その調整を図りながら公社ではこういう計画を立てたのだと私は思いますけれども、ちなみに、さっき申し上げました昭和五十一年から五十二年への繰り越しが九百十二億でございます。恐らく今年度もいま総裁おっしゃったようにまた一千億くらい繰り越すことになるでしょう。それはまた次の五十四年度にもやはり一千億くらい繰り越していくことに工程上ならざるを得ないのではないかという気がするわけです。あるいは総裁のお考えでは、五十三年度は全部建設投資を使ってしまうというお考えかもわかりませんが、そうしたら今度は五十四年度が大変なことになってくるのではないか。  要するに私が言いたいのは、五十二年度の、少なくとも投資される一兆七千七百十二億という数字にして、五十三年度は非常にさびしくなってきて、ここで建設の請負の皆さん方が大変なことになるのではないか。ちなみに五十三年はそうなりませんとおっしゃってみても、五十四年度にはそうなるのじゃないかという問題が出てくるが、その辺をどういうふうに調整していくかということを聞きたかったわけです。
  196. 秋草篤二

    ○秋草説明員 お答えいたします。  いずれにしましても、第六次の計画は五十三年度から始まりますが、従来のように年間投資が一番多かった年が二五%、少なくとも一二、三%くらいだと思いますが、平均して一四、五%の投資の伸びがあったわけでございますが、六次に至りますとそういう大幅な投資は伸びないのだと私は思います。  これは日本経済全体が低成長という時代を迎えておりますから、電電公社に限らず、日本経済全体も過去二十年間はかなり大きな足取りで歩んできましたけれども、今後は日本経済の成長というのはそう大きくは伸びないということにも通じますし、電電公社だけの事情を考えましても、積滞が一掃された後におきましては、ノルマルの需要というか、普通のデマンドは百万とか、最悪の場合でも百二十万とか八十万というものはあると思いますが、つい数年前二百二十万というような架設をやったというようなことはちょっと望み得ないのではなかろうかと、こんなふうに思っています。
  197. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私たちから言えることは、一方では国策に沿って景気の浮揚に協力をしながら、無理の出ないような建設投資でないと大変なことになるのではないかということで、極端に年度によって建設投資が落ち込むと、またこの前の料金値上げのときのように、公社が手を回して業者をたきつけておるのじゃないかと言われるような状態が起こってくるおそれがありますので、どんなふうになるのか、予算の流れをちょっとお伺いしてみたわけです。  これはこの前一度お伺いしたのですが、どうもまだ釈然としないのですけれども、資金計画の内部資金と外部資金の関係はどう分けるのですか。もう一遍説明してくれませんか。
  198. 小川晃

    ○小川説明員 お答えいたします。  設備料関係のことだと考えて、そういうことでお答えさせていただきますが、資金調達の内訳を示すことになっている方法というのは統一的なものが必ずしもないわけでございますけれども、公社はかねてから内部資金、外部資金ということで、資金の一つの説明をする手段としてそういう区分をとっておるところでございまして、内部資金、外部資金を区別するに当たりましては、一般的には事業収入のうち建設投資あるいは債務償還等の財源に充当できる資金、すなわち言いかえますと企業の内部でつくり出される資金、これを内部資金というふうに考えまして、設備料はこれに該当しないということで、これを外部資金ということでやっておるわけでございます。
  199. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 公社全体の経理から言えばそう大きな問題じゃないように私は思うけれども、収支予算から言えばこれは大きな問題になってくるわけでしょう。  大体外部資金というものは、私どもの認識では、たとえば加入者債券は返済しなければならない、財政投融資も返済しなければならない、特別債借入金も返済しなければならないということで、こういうものが大体外部資金である。ところが設備料というのは、電話をつくるときに公社が取り切りで取ってしまうわけでしょう。返す必要のないものですから、これは事業収入に非常に似た性格を持っておる。  外部資金というのにはどうも異質の感じがしてならない。それではこれを収支予算の中に計上したらどうなるかというと、収支予算で黒字がうんと出るだけでほかに大きい支障はないように思うのですが、郵政省の経理局長、これはどういうものでしょうか。あなたはわかりませんか。経理の専門だろう。——いや、わからなければいいです。
  200. 秋草篤二

    ○秋草説明員 ただいまの御質問は、実はこの逓信委員会でも、五、六年前ですけれども、いまはいらっしゃいませんが、社会党の堀大先生とも大論争もしたのですが、率直に言って、追い詰められますと、大蔵省の権威ある筋も絶対にこうだという確定した意見もなかなかないのです。  それから学者の意見もいろいろまちまちでございまして、東京電力などもこれに似たような設備資金を取っておりますが、これをこういうふうに処理して収入に上げたならば——この前の料金の問題のときも非常に大きな論議があって、これを収入に上げればまだ料金値上げはしないでも五、六年もつとか、いろいろあったのでございますが、いずれにしましても、一度つけた加入者から一生に一遍だけいただく金を、しかも投資を目的として制度をつくっておりますから、投資に充てる金を人件費とか旅費に充てて、いわゆる損益勘定に充てるというのはちょっと穏やかではなかろうということで、この間の諮問委員会でも会計学者がおりますからかなり論議されたようでございますが、まあいまの制度でいいのではなかろうか。  先生意見を絶対間違いだという自信はございませんが、二十数年やってきたことでございますし、確かにむずかしいところでございます。
  201. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これは余り論争をする気はないのですけれども、設備料の値上げをするときには、電話機一個を架設するのに三十万かかるとか、四十万かかるとか、いまは五十万くらいかかるのではないかと思いますが、そういう議論があって、それだけかかるのを設備料を五万でつけておるんだからというような意見も公社から出たのも事実なんです。そうすると、設備をするのにそれだけかかるのだから下さいよと取った金を、収入じゃなくて外部資金などに入れるというのがどうも異質な気がする。これはもともと電話をつけるのにかかるから下さいと言って取った金なら事業収入にほかならない。その解釈の方が性質上正しいような気が私はしてならないのですが、公社全体とすればどっちにつけたところで大した問題じゃないでしょうが、会計法上疑問があるということだけ申し上げておきます。非常に疑問を持っております。  次に伺いますが、設備工事の損害補償の問題についてですけれども、施工に伴っていろいろな補償の問題が起こると思いますが、年間どのくらいの補償件数、補償の金額になっておるのか、お知らせいただきたい。
  202. 高橋敏朗

    ○高橋説明員 お答えいたします。  電気通信設備を施工いたします際には、第三者の方にはできるだけ被害を与えないということを十分注意をしながら施工させているわけでございますけれども、たくさんの工事の中でございますので、第三者の方に全く被害を与えないということはございません。したがいまして、こういう方々に対しては、工事に伴う損害の補償をお支払いしているわけでございます。  公社の支払いました補償の実績でございますが、五十年度で見ますと、全国では約一千件、金額で言いまして約十二億二千万円でございます。また、五十一年度におきましては、全国で件数で約六百件、金額で申しまして約三億三千万、こういうふうな実績になっております。
  203. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 補償する場合の責任は工事請負業者が責任を持つものか。電電公社が直接責任を負うものか。
  204. 高橋敏朗

    ○高橋説明員 お答えいたします。  ただいま申し上げました電気通信設備の工事の場合におきましても、それに伴って起こった損害補償というものは建設省の中央建設業審議会が公共工事標準請負契約約款というものを定めておるのでございますが、私の方もそれに従いまして処理をしているところでございます。  具体的に申し上げますと、まず工事の施工者が負担をする場合と、それから補償額が非常に大きくなりますと当初われわれが考えた額よりもとても損害の補償額が大きいというようなケースもたまにございますが、こういう場合につきましては一定の定めに従いまして公社が負担をする、こういう区分でやっておるわけでございます。
  205. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いまの一定の定めというのですが、聞くところによると、工事の請負の場合にそういう損害補償が起こるであろうということを想定して、あるいは過去の実績に基づいて工事請負金額の中に百分の一程度の上積みをしてある。したがって、請負料金の百分の一以内くらいの損害ならば業者が負担をするが、百分の一を超す損害があった場合には公社の方で調査の上負担をするというふうに聞いておりますが、間違いありませんか。
  206. 高橋敏朗

    ○高橋説明員 お答えいたします。  いま先生のおっしゃいました中で、実際に損害の補償という問題が起きましたときにどの程度を請負の工事業者が負担し、ある小はどの程度公社が負担をすべきかという境界は、先生が御指摘のとおり、請負金額の百分の一というところで線を引いているところでございます。しかし、それではあらかじめ請負金額の百分の一程度の補償という問題が出るであろうという想定で私どもの方の工事の予定価格を積算しておるかといいますと、それはそうではないのでございます。これは大体全体の工事の件数の九〇%くらいまでは、いわゆる損害補償額というものは工事費の一%未満ということでございます。  ですから、大部分が補償額というものは一%程度という非常に少ないものである。こういう実績をもとにいたしまして、われわれといたしましてはいろいろと事務処理の便宜等も考えまして百分の一までは業者に負担してもらうということでございますけれども、予定価格の積算の中に当初から百分の一が全部入っているということではないのでございまして、これは過去の補償の実績を全部調査いたしまして、補償額が請負金額の百分の一以内となる部分の平均値——これはたとえて言いますと、ちょっと実際の数字とは違うのでございますけれども、百分の一よりはかなり小さい千分の二だとか千分の三という程度の数値を予定価格に見込んでおるわけでございます。  したがいまして、請負業者の負担する補償費はわれわれの見込んだ額よりも少ない場合もございますし、多い場合もございますが、総体としては過不足はないというふうな考え方で予定価格の中に積算しておるわけでございます。
  207. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それが請負金額の百分の一ぴしゃりではないというお話はわかったのですけれども、しかし、年間に工事が一つだけである場合ならば局長さんのお話は大体理解ができますけれども、十の工事があって、一千万ずつの工事が十件一年間に一つの業者が請け負ったと仮定します。そして、そのうちの九つまでは補償問題が起こらなかった。しかし、その九つの請負については、それぞれ百分の三でもいいし百分の五でもいいが、仮に百分の五とすると、九つまでは補償の問題が起こらなかったから百分の五の補償として見込まれた。積算された分はみんな業者の利益になった。ところが最後の一件でぼかっと二百万とか三百万という補償問題が起こった。その場合でも業者が負担する割合は百分の一であって、その上積みの分は公社の方が負担をしなければならぬ。これは理屈ですよ。理屈としてはこれはあり得ますか。
  208. 高橋敏朗

    ○高橋説明員 お答えいたします。  簡単のために実際の例と若干違いますけれども、たとえば全くこの補償を必要としない工事があったといたします。それから補償が必要であった工事がたくさんあるわけでございますけれども、私の方では一%以下のものは公社は負担をいたしませんから、これを全部一%の計算にいたしまして、それも十件あったといたします。ですからゼロが十件、一%が十件といたしますと、この平均をとりまして〇・五%としておけば、この二十件の全体の工事の中で、請負業者にしてみればちょうどとんとんになる、こういうふうな決め方をしているわけでございますが、これはいまわかりやすいようにきわめて簡単な例で申し上げましたけれども、実際には損害補償のきわめて軽微なものから少し金額の張るものまで多々ございます。  こういうものの実績をとりまして、その結果、実際の積算におきましては、先ほども申し上げましたように、百分の一よりはかなり下回ったもので積算をしてある、それが全体を通じて見ればプラスの分とマイナスの分とほぼキャンセルされる、こういう考え方でやっているわけでございます。
  209. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 どうもちょっとわかりにくいのですけれども、ある工事では全然補償の問題は起きなかった、しかし、ある工事では一%を超す、百分の一を超す補償の問題が起こった、しかし、仮にどっちも一%とするなら、百分の一ずつの積算をしてあったとするならば、二つの工事で百分の二までは業者が負担してもいいのではないか、それが平均値をとったゆえんではないか、こういう気がするわけですね。  ところが、極端な例ですけれども、いまの十のうちの九つまでは補償問題が起こらなかったから、業者は積算された分がもうかった、最後の一つでばかっと百分の十になるような問題が起こった、その差額の百分の九は公社が出してくれた、そうすると業者は九つの工事ではいつも積算された分だけもうかっておる、一%を超す損害を出したときだけは公社からもらうから絶対に損をしない、と、こういうシステムになるような気がするのですが……。
  210. 高橋敏朗

    ○高橋説明員 お答えいたします。  この計算はなかなか説明がむずかしゅうございます。実は、私も昨日初めて聞きまして、二、三時間かけまして納得をしたようなものでございますので別途御説明をさせていただきたいと思いますが、ただ、くどいようでございますけれども、請負価格の百分の一をあらかじめ積算の中に入れておるということはございません。その百分の一よりもはるかに小さい、たとえて言えば千分の二でございます。ですから〇・二でございますね。  先生は一%とおっしゃったわけでございますが、私の方で予定価格の積算に使うのは実際の数字と若干違いますけれども、〇・二とか〇・三とか、一%というものよりははるかに小さい数字を使うわけでございますから、先生の御指摘のようなケースは出ないというふうに考えておるわけでございます。
  211. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 百分の一であろうと千分の五であろうと、私の申し上げる理屈はあり得るのです。それはあり得るのです。千分の五であっても、九つの工事だったら、千分の五を九倍すると千分の四十五になるのですよ。ところが、最後の一つの工事で今度は百分の一以上の損害が出れば、これは千分の十、そこで千分の三十五はもうかる、こういう理屈になるのです。これはあり得るのです。実際の問題で起こるかどうかは別にして、あり得ないことじゃない。勘定してみるとそういうことになるのです。  ただ、ちょっと私が誤解しておったかもわかりませんが、私が聞いた説明では、すべて百分の一は大体平均値で積算してあるというふうに聞いておったから少し食い違いがありますけれども、計数としてはあり得るというふうに理解をしていただきたいと思います。これはもう少し聞きたいのですが、またの機会にしましょう。  その次に、もう一つ料金ミスの問題です。さっき島本先生からもお話があったのですけれども、これは機械の故障か人間の故障かということは私は言いませんが、私が一番心配なのは、これは総裁もお読みになったと思いますけれども、週刊ポストが三回目に取り上げた三月三日号でございます。ここで私が一番心配なのは、総裁や公社の幹部の皆さんが、ここの国会の答弁で、料金のミスというのは百万件の中で大体五件くらいのものでございますと、これはもう確信を持っておっしゃっておるし、うそをおっしゃっておるとは私は思いません。  ところが、この記事によると、第一線で料金を扱っておる「公社職員の内部告発」ということで、私は一週刊誌を信頼するわけではございませんけれども、まことしやかに書かれておることは、実際はものすごく多いんだ、百万件の中で一万二千件ぐらいのミスがあるのだということが「内部告発」という言葉になっておりますが、書かれております。それが上に行ったときになぜ小さい数字になるかというと、自分の局で料金ミスがあったということをやると幹部の成績にかかわるので報告の数字が少なくなっていく。だから、最高幹部のところに行き着いたときにはわずかな数字になっておるけれども、下部ではもっとものすごい百万件に一万二千件くらいの料金ミスがあるものだというふうに「内部告発」という形でこれが書かれておるのです。  そこが問題だ。総裁がうそを言っておるとは思わないけれども、公社の料金ミスの報告の中にそういう実態があるとするならば、これはゆゆしい問題ではないのか。この点についてどういう理解をされておるのか、伺いたい。
  212. 浅原巌人

    ○浅原説明員 お答えいたします。  大変御心配をかけて申しわけございませんが、報告の手続はほかの公社の中の報告も大体こういうことでございますけれども、料金の苦情あるいはその処理模様につきましては、全国で現場として大体千六百くらいそれを扱っておる場所がございますが、そこから報告をとっている形といたしましては、四半期ごとに受け付けた苦情の件数あるいは処理した件数というようなものを現場管理機関でございます通信部へ上げさせ、さらに通信局へ上げさせ、本社で取りまとめる、こういう形になっております。  いま御心配になりました週刊誌等の記事を私どもも拝見しておりますけれども、ほかのものはともかくと言ってはおかしゅうございますけれども、料金苦情の問題につきましては、たしか四十七、八年のいわゆる広域時分制のとき以来この苦情の処理の問題に非常に真剣に取り組んでおりまして、局の中でも、特に料金苦情の問題につきましては、苦情になると思われるものについては課長その他の管理者が応対する、少し話が長引くようになったならば局長も出ていく、それ以外に、直接電話局長が応対をするというようなことをしなくても、報告は必ず全部の件についてやるというようなことにしております。  また、しばしば会議等におきましてこの問題を扱っておりますし、年々全国的に関係の職員あるいはそれを指導する者を集めまして指導の講習会というようなことをやっておりまして、苦情そのものを隠していて成績が悪いというようなことよりも、苦情そのものがなくなるように、御納得をいただくように、あるいはその前に事故を減らして、これが苦情につながらないようにという方で苦労しているのでございまして、報告をどうこうというようなことはちょっと私ども想定をいたしておりません。
  213. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 総裁もこれをお読みになったと思うのですが、いまお答えいただいたようなことならばそれは心配ないのかもわかりませんけれども、いまお伺いしたのは方針をお伺いしたのであって、こっちは実態が告発されておるわけなんです。だから、この実態があるかないかということの方が問題だ。  ここに挙がっているような数字はないまでも、そういうこともあり得るのか、あり得ないのか、そのことが私は問題だと思うのですが、どうでしょうか。
  214. 秋草篤二

    ○秋草説明員 週刊ポストの第二弾の記事のときに、私は記者とほんの数分間、三分ほど会見しました。その雑誌を見ますと、「日本電信電話公社総裁に本誌機動班が直撃」とかなんとかひっくり返るような大きな見出しで、目次は非常に小さかったのですが、中身も私の言ったことを非常にきちんと書いてくれまして、それから全体の記事も非常に公社のPRにもなるようなことで、別に差し支えない。  第三弾のいまのこの記事で私が非常に遺憾に思ったことは、部内での告発というか、記者に資料をもってああだこうだということを、部内のそういう係の者かどうか知りませんけれども発表した。これは非常に遺憾なことであろうと思います。  事実とは六倍違うというのは、あるいはそう否定できないんですけれども、いま先生のおっしゃった一万二千件とかというのは、苦情の受け付けなのか、本当の最終的な事故なのか、その辺が記者のとり方もあろうし、百万件についての受け付けならば、あるいはそんなに大きな違いもない。これは千差万別でございますけれども、苦情が最終的に結論的に、事故が百万件について五、六件ないし四、五件ということは、年々歳々一つのルールに基づいた統計をとっておりまして、歴年いい方向には走っておるわけでございまして、そういう意味では六倍というのは全国ならしての話でございますから、ある電話局など古い機械がありますとすぐ五、六倍にはなります。六倍といいましても百万件の二、三十件ということで、パーセンテージでとると九・九九九%というようなことになるわけで、そうびっくりするほどのことはない。  ただ、いま先生がおっしゃったように、いい報告を出さないとしかられるし、管理者もつくった作文で上部機関に上げてこいというようなことがあれば、これはゆゆしき問題でございまして、この種の報告統計は業務統計にも保全の統計にもたくさんございます。そういうものは皆局長あるいは管理者の成績に影響するというか、ボーナスをよけいやるということではありませんけれども、われわれから見ればすぐ直ちに、あの局は成績がよくないじゃないかとか、もう少し注意しろとかという厳命が出ますから、そういう点では、その統計に限らず、上司がそういう誤った報告をつくらせるような指導をしなければならぬようなしつけをしておれば、これは大いに反省をしなければならぬことだと思っております。  いずれにしましても、この料金の問題は非常に今後とも注意深く、より一層窓口を指導していきたいと私どもは思っております。
  215. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これは同じことですが、純然たる技術の問題ですけれども、どうしても故障が直らない、これは何か電話のたたりだとかなんとか、そういうものがここに出ておりますけれども、電話機を取りかえても線を引き直しても料金のメーターが上がってくるという不思議な電話のことを豊島区のIさんですかが書いてありますから公社でもおいでになったのじゃないかと思うのです。  もしこれが事実で把握しておられるなら、今日の電電公社の技術をもってどんなにやってみてもメーターが上がってくるなどという電話機があるかどうか私は聞いてみたかったものですが、わかりますか。
  216. 加藤秀夫

    加藤説明員 お答えいたします。  先生の御指摘の加入者のことにつきましては、二年ほど前からいろいろと加入者の方々と接触いたしまして対策を講じてまいりました。これは一応ついたと承っておりましたが、また昨年の六月ごろから雑音が入ってまいりまして、その後申告されましたユーザーの方々と対策を講じておりますが、現在まだ解決をしておりません。電話局の局長以下精力的にこの問題の解決に当たらせておりますが、なお一層やります。  いま御指摘の番号の問題でございますが、電話機も、それから局内の端子もいろいろかえてみたのでございますが、その点ではかえましたときには別に異常はございません。  その後、ユーザーの方ともいろいろ内容等お聞きいたしまして対策を講じております。今後なお一層努力をしたいと思います。
  217. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 総裁、どうもこれは本当にたたりみたいな感じがしますよ。これに書いてあるところから見ると、電話機から外線から端子まで取りかえておると書いてあるんですよ。それまでやってもまだ雑音が入ってくるから電話局の係の方がたたりだと言い出したと書いてあるから、こんなばかなことがないような気が私はしたのです。そういうことが事実あるんですか。
  218. 秋草篤二

    ○秋草説明員 いずれにしましても、私たちも不可解至極なことでございまして、なお徹底的にひとつ究明して善処したいと思っております。
  219. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 長時間にわたって質問をいたしましたが、いずれも郵政事業を愛し、電電公社の電話利用のサービスを期待するがゆえにいやなことを申し上げましたけれども、御了解いただきまして、どうかひとつ大臣国民に愛される郵政事業をやり、電電公社も一層の研さんをされんことをお願いして質問を終わります。
  220. 松本七郎

    松本委員長 鳥居一雄君。
  221. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 大変長時間の委員会審議でございますが、電電公社のさまざまな部門がございますが、私はまずデータ通信部門につきましてお尋ねをしたいと思います。  ちょっと変わった角度からでありますが、六次五カ年計画を迎えようとするときでもあり、また、赤字が言われてまいりまして大変久しいものがございます。データ通信部門につきましては四十三年から始まっておりますけれども、実際には五次五カ年計画の四十八年から部門としての収支が明らかにされるようになっております。その意味で、この五次五カ年計画を、五十二年度についてはまだ決算が出ておりませんが、六次の前といういまの段階でこれを検討しなければならない。そういう大変大きな問題がここにはあると考えるわけです。  電電公社のデータ通信は大きく分けて三つに分かれると説明されております。一つは、電電公社の通信回線を提供するという、民間の計算センターあるいはユーザーに対しましてデータ通信回線を提供していく業務、それから、公社が引き受けまして、公社のコンピューターを使い、回線を提供し、端末まで提供しまして、使用料でこの収支をとっていくという部門があります。それからまた、一つの大きなシステムをつくって、そのシステムで収支をとろうとする各種サービスというのがあります。  この三つがNTTとしてのデータ通信事業でありますから、まずこの収支、年度別に赤字分がどのくらいであったか、四十八年からお示しをいただきたいと思います。それから赤字の総額、できれば四十三年度から今日まで、十年余りたっておりますが、この十年余りの間の投資が四千億を超えているとも言われ、また五千億を超えたものだとも言われておりますが、この部門として独立させて累積赤字がどうなっているか、これを示していただきたいと思います。
  222. 輿寛次郎

    ○輿説明員 お答え申し上げます。  データ通信事業の分計をいたしましたのは四十八年からでございまして、それから五十一年までやっておりますが、いままでの結果を申しますと、四十八年度のデータ通信の赤字は二百四十三億でございます。四十九年度が三百五億でございます。五十年度が三百六十億でございます。五十一年度が四百三億でございます。したがいまして、総計は千三百億になろうかと思います。
  223. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 一体なぜこれまでに赤字になっているのか。一体データ部門のどこにその赤字の原因があるのか。これは大変重大な問題であると思います。  そこで年々赤字を出してきた最大の原因が解明されているのか、どうなのか、総裁いかがでしょうか。
  224. 秋草篤二

    ○秋草説明員 データ通信事業は公社の設備産業の中でもきわめて高度の設備産業でありまして、投下資本が最初に非常に大きく金をかけなければならぬ事業でございます。事業を始めましてから足かけ十年、正確には八年ぐらいと言ってよろしいと思いますが、まだ日も浅く、投下資本のウエートが非常に強うございます。したがいまして、実を結ぶにはなかなか日もかかって、営業活動もしなければなりません。  ユーザーの利用度というものはまだ非常に少ないということでありまして、全体的には投下資本がいま現在も非常に過大である。しかし、将来を考えて投資しておりますから一概に過大とは申しませんが、やはり設備が非常に大きい。しかも非常に高額のものである。それに料金も、この問題を始めるときも、率直に言いまして地銀協の為替交換方式を受け持ったわけでございますが、どの程度の料金にしていいか、全然資料もありませんし、目安というものもありません。したがいまして、スタートダッシュのときの料金もいまから見れば少し低く認可をいただいたのではないか。この点は年々歳々機会あるごとに監理官も理解して是正してくれる方向ではありますが、やはり一遍パターンができますとどうしてもそれに引きずられるということもあろうと思います。  それからもう一つは、データ通信というものは機械が作業するのであって、人手はほとんどかからないというふうに私どもは理解してきましたけれども、率直に言って、保守なり、あるいはユーザーの希望も案外まちまちでありまして、電電公社も、電話と同じように完璧無類で一つも過ちがあってはならないという非常に高い姿勢からこれに取り組むということから言えば、どうしてもなかなか人手がよけいかかる。予想外にかかったということも、これは私の個人的な率直な感想でございますが、やはりまだ時もそう長くも経過しておりませんし、その割合に資本がかなり投下されているということだと思っております。
  225. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 その本質を見きわめるために、データ通信の内容はみんな違うわけです。回線を提供して民間の計算センターにコンピューターと接続して使っていただく回線サービス、これはもう純然たる公社の通信業としてのサービス、そういうデータ通信の面、それからもう一つは巨大な資本投資をしてコンピューターをあわせて使っていただいて使用料をいただく、これは別だと思います。それから各種サービス、この各種サービスも、これまでの群馬銀行のオンラインのシステムは、これはシステムとして収支をとりますととんとんだろうと私どもは見ております。それから運輸省の自動車登録、この業務も一つのシステムとして各種サービスとしてやっていらっしゃる。  そうすると、いわゆるDRESS、DEMOSと言われる設備サービスの部面と、回線提供という回線サービスの部面と分けて考えて収支をとるお考えはありませんか。
  226. 輿寛次郎

    ○輿説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のように、確かにデータ通信の中身を分析してみますと、そういった三つぐらいに分かれるかと思いますが、公社といたしましては四十三年から始めましたのですが、法定化されたのは四十六年でございます。それ以来、実はデータ通信事業一本として運営しておりまして、また総合収支ということでやっておりますので、いままでのところはそういったデータ通信事業としての分計はございますが、その内訳はまだ出してございません。
  227. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 出すと都合の悪いような何か理由があるのですか。
  228. 輿寛次郎

    ○輿説明員 都合が悪いということじゃございませんが、われわれといたしましてはやはりいまのいろいろな設備はそれぞれ関連がございますし、たとえば端末の方なんかは同じ方が保守していることもございます。したがいまして、分計すればかなり大胆な仮定を設ければできないこともないかもしれませんが、そこまでのことはまたいろいろ手間もかかりますので、いままでやっていなかったということでございます。
  229. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それでは一番新しい決算が出ている五十一年度について伺いたいと思うのです。  五十一年度、これはデータ通信が始まって、五十一年度といいますと五次五カ年計画の最終年度の前、四十三年から実際には事業が始まっていますから、ごく最近のある程度の設備投資の終わった円熟期にある一年、この収支を伺いたいと思うのです。  五十一年の公社の営業案内なんか見てみますと、DIALS、それからDRESS、DEMOS、みんな別々の営業科目になっているわけですね。ですから、たとえばDRESS、これは販売在庫管理をやっていこうとするサービスで、端末をユーザーの方にお貸しして収入を得る。ですから、DRESSで幾らの収入があったか、DEMOS、科学技術計算の方ではどのぐらいの収入があったか、これは出ているだろうと思うのです。それぞれの部門でひとつ伺いたい。五十一年度です。
  230. 輿寛次郎

    ○輿説明員 お答え申し上げます。  五十一年の収入状況を申し上げますと、DRESSと言われておる販売在庫管理システムが六十九億でございます。DEMOSと言われております科学技術計算が二十五億でございます。各種と言われております各種のさまざまな個別のデータシステムもございますが、この総計が三百三十三億でございます。その計が四百二十七億でございます。そのほかにデータ通信回線使用料が三百十五億ございます。その他といたしまして受託料がございますが、これが五十四億ございます。総計で七百九十六億が収入でございます。
  231. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 支出で合計一千百九十九億と出ていますけれども、この内訳はどうなっておりますか。
  232. 輿寛次郎

    ○輿説明員 お答え申し上げます。  支出の方はいまのような分け方ではございませんで、人件費、減価償却費といった区分でございます。人件費が二百八十七億、減価償却費が五百四十七億、金融費用が二百十四億、その他百五十一億で、総計一千百九十九億でございます。
  233. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうすると、大ざっぱに言えば、まず設備サービスの収支率がどのぐらいになっているのか、それから回線サービスの収支率がどうなっているのか、これをつかむ必要があるのですよ。そうじゃないと、設備サービスがどんなふうに大変なお荷物になっているかということが——これはごまかすと言えばごまかし通せるかもしれませんが、データ通信収支というのは合わせて収支が出ればいいというものじゃありませんから、なぜ赤字になっているのかということの解明のためには、DRESSでどういうふうな支出をし、DRESSに関しては収支率がどのぐらいになっているか、一体改善の余地があるのかないのか、これを見る必要があるのじゃないですか。  出ない理由があったら言ってください。
  234. 輿寛次郎

    ○輿説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘がございましたように、われわれもそういうことは必要だと思って検討はしておりますが、いままでのところはやってございません。  しかし、今後の方向としてはそういった形での区分は必要であろうかと考えております。
  235. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 会計検査院に伺いますけれども、データ通信の赤字の本質をきわめるためには、全く別途の営業品目である回線サービス、それから設備サービス、大ざっぱに分けてこの二つがどうなっているかということはつかんでいらっしゃいますか。
  236. 東島駿治

    ○東島会計検査院説明員 お答えいたします。  確かに、先生のおっしゃるように、分計した収支率と申しますか、そういうことは経営分析的に考えた場合にはどうしても必要だと思いまして、私どもいままで把握しておりませんでしたが、ことしから何とかとりたいということで公社の方にもいろいろお願いしているところでございますし、われわれの手持ちの資料で何か分計できないかということでせっかくやっておりますが、いまのところまだはっきりお答えできるような状態になっていないということを御報告申し上げます。
  237. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 これは出せない理由があるのですよ。私の方で推定計算をやりました。設備サービスの面の支出、回線サービスの面の支出が一体どうなっているのかということを推測いたしました。支出は合わせて一千百九十九億円です。この一千百九十九億円がまたがる面もあります。またがる面はこういうような形でという条件をいろいろつけた上で、設備に関する支出が幾ら、回線に関する支出が幾らと、こういうふうに資料要求してきたわけです。先週からこれをやってまいりました。何回か往復していただきましたが、どうしても出したくないということなんです。  というのは、私の計算によりますと、収入四百二十八億という設備サービスの支出は九百四十九、つまり、設備サービスに関しては収支率二二一です。赤字です。回線サービスの面は、先ほども言われました収入が三百六十九億、支出が二百五十億と推定されます。つまり収支率六八、百円もうけるのに六十八円しかコストがかかっていない。こういう実態です。それで、去年の暮れに大臣が認可をしまして、黒字である回線収支、もうかっている面の収支率六八の方の値上げをやっているわけです。どうして黒字の値上げをやらなければならないのかというのがユーザーの偽らざる心境だと思いますし、気持ちだろうと思います。  公社としては、設備サービスの面をなるべく分けて考えないでデータ通信の赤字を何とかしたいという、そういうお気持ちはよくわかるのです。しかし、この後でも議論を進めたいと思うのですけれども、特に民間の計算センターと非常に競合のあるDRESS、この面に大変な突っ込み方をしてきた。これが心配な第一点であります。収支率で見ると大体五〇〇ぐらいいっていると推定されます。それから、各種サービスというのはとんとんとよく言われておりますけれども、DIALSにしても、これも余り使われていない形だと見られます。ですから、こうやって見てみますと、毎年毎年数百億という赤字を出してきた公社の事業、特にデータ通信事業の本質的な赤字の原因というのは、DRESSを中心にして開発しようとしてきた設備サービスの極端なひずみがここに出てきているのじゃないか、こういうふうに心配されるわけであります。  そこで、六次五カ年計画の大綱が明らかになりましたけれども、データ通信部門ではどんな改善をされようとしているのか。年度で黒字に転じたいというお考えをせんだっても聞きましたけれども、そのめどがあるのかないのか、具体的に設置をしようとする回線数、システム数、端末数、これで聞かせていただきたいと思います。
  238. 輿寛次郎

    ○輿説明員 お答え申し上げます。  いま六次計画という御指摘がございましたが、六次計画は、先ほどの御質問にもございましたが、われわれ策定をいたしましたが、経済の安定成長への転換とか、社会情勢変化あるいは需給均衡その他の経営環境が大きく変わりますので将来の予想が非常にむずかしゅうございます。したがいまして、事業別の収支見込みは全体で計算しておりますので出ておりません。しかし、データにつきましては、各方面の御指摘もありまして、われわれとしてはいろいろ検討しておるところでございます。大体のめどを申しますと、五十六年には単年度で収支均衡したいということでございます。  それから、設備の方につきましては、当今の事情でいろいろな変動がございますので的確に申し上げられないのでございますが、当初は六千億ぐらいを想定してございます。全体が九兆でございますから、そのうちの六千億ぐらいを頭に置いております。
  239. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 大変無残な結果なんですけれども、当初、この五次五カ年計画で、データ通信をどういうように収支見込みをしていたと申しますか、収益をどういうふうに考えていらっしゃったのか。伺います。     〔委員長退席、鈴木(強)委員長代理着席〕
  240. 輿寛次郎

    ○輿説明員 五次計画は、実は四十七年に策定いたしましたので、いわゆる高度成長という期でございますので、かなり上向きの姿勢でございます。したがいまして、五次といたしましても全体の予測はしたのでございますが、たしか五年間全体で五十億のマイナスぐらいで、大体とんとんという全体の計画でございます。したがいまして、そのときにはまたデータ通信事業としての収支の計算はしてございません。
  241. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 資料が出てきていますよ。  それでは、五次五カ年計画で計画した端末数で聞きます。
  242. 輿寛次郎

    ○輿説明員 お答え申し上げます。  端末は確かにお出ししてございまして、われわれ五次五カ年計画におきましては、端末といたしまして一万三千端末を予定いたしました。しかし、それがその後のいろいろな経済不況その他の影響によりましてかなり落ちておりまして、現在の見込みでは四千三百端末ぐらいの予定でございます。
  243. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 達成率は何%ですか。一万三千を目標としまして、この五年間の間に四千三百端末しかできなかった、つまり三三・〇八%、こういう無残な結果ですね。一万三千の目標に対して四千三百なんて言えば、これは一般の会社であれば社長退陣ですよ。これはどういう見込み違いなんですか。
  244. 輿寛次郎

    ○輿説明員 お答え申し上げます。  これは確かに、最初に申し上げましたように、申し込みといいますか、予想が過大であったと思いますが、その理由の大きなものは、やはり石油ショックに端を発しました経済不況の長期化というようなこと、あるいは外資系のタイムシェアリングサービス、TSSが国内に進出いたしました。あるいはこれも私らの予想外でございますが、ミニコンと言われておりますオフィスコンピューターなどが技術の進歩によりまして非常に安くなりました。そういったものが非常に普及したというようなこともございます。あるいは、いわゆる外資でなくて、民間のTSS業者さんも大いにがんばったというようなことで、いろいろな条件が重なったように思います。
  245. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それじゃ赤字になるのは間違いないじゃないですか。  三三・〇八%の達成率で、これで黒字を見込めると思っているのですか。ですから、当初の見込みが非常に甘かった。そういう中に過大な投資をしてきた。そういう結果が今日のこの赤字がどうにもならないという姿だと私は見ているのです。それで、非常に大きく収支率の悪い、恐らく収支率五〇〇と私が見ておりますDRESS、ここに大きな問題があるのです。それで、ややこしい議論なんですが、大臣並びに総裁、どうかお聞き取りいただきたいと思うのです。  本来電電公社というのは通信業者です。法律改正によって認められた設備サービスの面がございますけれども、本来、電話にしろ、電報にしろ、回線を提供するという形の営業が電電公社の大きな支えになってきた営業部面、いわば高速道路を提供するということでしょうかね。それで道路を建設し、道路を提供する。ところが、この回線サービスというのはそういう意味で道路の提供なんですけれども、でき上がった道路を走らせるトラック業者になったのが設備サービスの意味です。つまり、コンピューターを使い、営業をタコ足のようにどんどん端末を伸ばしていく。最初は外資系の進出に対して防波堤になるのだと、大変かっこうのいい鳴り物入りの大行進が始まったわけです。ところが、ふたをあけて今日あっと気がつくことは大変な問題になっている。つまり、公社が伸びれば民間の計算センターとの競合を一体どうしたらいいのかという深刻な問題です。  民間の一千二百社は大きいものから小さいものまであります。すでに東京、大阪というような市場の大きなところではそれほど問題はないと言われています。大体伸び率二〇%くらいの市場拡大をしている。公社に市場を持っていかれる。そういう面の収支は大体とんとん。ところが地方へ参りますと、大変厳しい計算センターの現状だ。そういう面が実はあるわけです。  ちなみに、世論調査があります。これは郵政省の世論調査でありますけれども、郵政省の昨年の世論調査によりますと、情報通信業者の実態を調べたものですけれども、この答えは、外資より電電がこわいというのが実は結論です。三分の二の業者が電電に対して脅威を感じているという現状です。ですから、こういう角度で眺めてみましたときに、突っ込んで突っ込んで突っ込み切ってきたDRESSの将来というのは、これはもう目に見えているんじゃないか。大変深刻な問題だと思うのです。民間では例はもう数え切れないほどあります。公社がディスカウントしている問題があります。お得意様を持っていかれる。ディスカウントしなければならない競争があるわけです。  そこで伺いたいと思うのです。まず電気通信監理官室に伺いますが、四十九年の九月に行政監察がございました。そして勧告を受けまして、その勧告の結果、この中で指摘されたことは、まずデータ通信の設備サービスに関して対象分野の明確化を指摘いたしております。日時の経過がありますが、その後電電公社はどのように改善されたのでしょうか。
  246. 江上貞利

    ○江上(貞)政府委員 御指摘のとおり、行政管理庁の行政監察を電気通信行政全般につきまして四十九年に受けております。  その前に一言申し上げたいと存じますが、当委員会におきましても、公衆法を改正いたしましてデータ通信を実施いたしますときには、ずいぶん御論議をいただいたこともございますが、そのときの考え方といたしまして、私どもといたしましては、国民のサイドに立ってどのような選択がなされることが便利であるかということをずいぶんと考えたつもりでございます。そういう意味では、データ通信を御利用なさる方の利便というものもあわせて考えていかなければいけないというふうに存じます。先生指摘のとおり、確かにデータ通信事業者の立場というのも保護していかなければなりませんけれども、私どもといたしましては、両面の立場からこの問題に取り組んでいきたいというふうに存じておるわけでございます。  ところで、そのサービス対象分野の明確化という点の御質問でございますが、その後折に触れて電電公社を指導しておるところでございますけれども、公共的なもの、あるいは技術開発に先導的な役割りを果たすもの、あるいは全国的なネットワークを構成するものを中心といたしまして、とりわけ社会的な課題を達成するためのいわゆるナショナルプロジェクト、言葉の意味はいろいろあろうかと思いますけれども、そのような関連システムにより一層重点を置くように、対象分野につきましては電電公社を指導しておるところでございます。  なお、もちろん一般の方が御利用いただくというようなお申し込みがありました場合に、先ほどから先生から御指摘をいただきましたようなDRESSとかDEMOSとかいうようなものはいわゆる公衆型のサービスでございますので、このようなものについてどうでもいいということを申し上げているわけではございませんけれども、指向といたしましては、ただいま御説明申し上げましたような方向に向いていくように電電公社と話をいたしております。
  247. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 いいですか、勧告では、公社の指向として三つの条件がありますね。いわゆる公共的な要素、福祉増進型の、福祉指向型の事業ということと、一つは、技術先進的なもの、全国的なネットという意味で、これに必ずしも該当しない面が出てきていると指摘しているのはDRESSのことですよ。いまの電監室監理官のお話は、いわゆる各種サービスに当たる医療関係の一つのプロジェクトをつくる。あるいは運輸省の自動車の登録業務もそれに当たるだろうと思うのですが、競合のあるDRESS、DEMOSについてこれは指摘をしているんではないですか。
  248. 江上貞利

    ○江上(貞)政府委員 確かに、ただいま先生指摘のように、いわゆるナショナルプロジェクト関連ということで、たとえば自動車の登録検査あるいは流通関係のもの、あるいは医療関係のものあるいはまた行政関係のもの、あるいは環境生活のものあるいは教育的なもの、いろいろなものがナショナルプロジェクト関連として考えられるわけでございますが、先生ただいま御指摘のDRESSでございますが、これはもういろいろな場合が想定されるわけでございまして、先ほど公衆型ということを申し上げましたけれども、御自分でコンピューターを備えることがおできにならない利用者という方もいらっしゃいます。  そこで、この辺は公衆法を改正するときにもどのような形にしたらいいかということを論議したわけでございますけれども、電電公社の設備サービスというものを御利用になる、いわゆる在庫管理というもので御利用いただきまして、その結果やがて御自分で端末機をお備えになり、あるいはコンピューターをお備えになりという形になって、やがては御自分で別なデータ通信をなさるとかいうようなこともあろうかと思います。もちろんこの点が先生の御立場、ただいま御指摘の民間と競合する点ではないかというふうな点だろうと思います。  確かに、そのような点もあろうかと思いますが、と同時に、データ通信をお選びになります方の選択の自由という、国民サイド、利用者サイドに立っての考え方も確かに必要であろうかと思います。ただ、郵政省といたしまして、電電公社に十分に注意をしてもらいたいのは、この辺のところは、民業圧迫という形で先生指摘のような形としてあらわれているということは、公共機関がやります上についてははなはだいかがかと思われる点もございますので、その辺については重々戒心すべきものというふうに存じます。
  249. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 いいですか。電電公社のセンター費用の一部として、八年間に分割して回収する。一般のユーザーの営業活動の中で、計算センターの場合には当初に制作費としてこの費用を受け取る。ところが、公社のDRESSサービスについては、それを八年に分割してやる。この指摘は、そうしていることが公社のいわゆるディスカウントに当たり、民間を圧迫しているじゃないか、それを改善しなければならないじゃないか、こういう指摘じゃないですか。そしていまどういうふうになっているんですか。
  250. 江上貞利

    ○江上(貞)政府委員 ただいま先生の御指摘の点も、これまたこれを御利用いただく国民サイドから見た場合と、民間のTSS業を営む方とのバランスの問題であろうかと思いますが、データ通信サービスを御利用いただく方の立場から見ますと、ソフトの開発費、プログラムの開発費、作成費というものは、なるべく長期にわたって料金の中に込められていた方がいいだろうというふうにも思います。  ところが、先生の御指摘のとおり、民間のTSS業者の実態というものも私どもは本来的に十分に把握しなければならないというふうに存じておりますが、ただいまのところ、法的なシステムといたしましてそのようなシステムになっておりません。したがいまして、民間の方々に御協力をいただきまして、どのようなシステムになっておるかということの調査をいたしておるわけでございますが、どちらかといいますと、当初にプログラム開発費のようなものをお支払いいただくというような形のものが多いようでございます。まあ、その辺のことになりますと先ほど大臣もちょっとお触れになりましたが、国鉄の料金をどうするか、私鉄の料金をどうするかというふうな関連と似たようなことになってくるわけでございますが、やはり、バランスのとれたような料金体系というものが本来的には望ましいわけでございます。  したがいまして、その辺につきましては、当初に取るか、あるいは解約される場合には開発費その他についで全部お支払いいただくとかというような形で公社に検討するように私どもとしては言ってございます。近くそのような料金体系の認可申請があるのではないかというふうに存じております。
  251. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 この問題は二面性があるんです。確かに、公衆データ通信として広く利用できるような形にしていこうという半面、通信業者として独占的な役割りを演じている、いわゆる公社という立場での民間の通信業者に対する大変大きな圧迫という二面性があるわけです。それで、その二面性とは全く別に、いま、データ通信部門の大変大がかりな投資をして、そしてその結果、営業活動によって何とかして販路の拡大をやり、端末をたくさんつけようとして努力をされていますけれども、実際には、過去五年間を見てみると、ドルショックは避けられなかったことかもしれませんが、いずれにしても三三%なんという達成率です。この見込み違いというのが大変大きいのです。  それから、もう一つは公社の立場が、早い話が、卑近な例として駅弁をたとえに挙げますが、国営の弁当屋が民営の弁当屋に対して衛生状態が悪いといっていろいろ言わなければならないような側面が実は心配されるのです。これはこの後で指摘いたしますけれども、ですから、通信業者という面と、もう一つは設備を提供していく運送、先ほどの高速道路におけるトラック業という、その二面性があるために、技術先導的という役割りで今日までそれをやってきたでしょう。確かにそれは評価される面はあります。しかし環境が変わった今日、民間の計算センターにしろ、あるいはユーザーにしろ、かなりのレベルまで育ってきている今日、当初四十三年から始まり、また四十八年から公衆の回線開放もございました。そうして今日に至るこういう中で、六次計画のあり方というものがやはり問われてしかるべきじゃないかと思うのですね。  さらに進みたいと思うのです。いま、通信回線をいろいろ利用したいという立場に立ちますと、五十年の改正がありましたからかなり広範な利用ができるようになったとはいうものの、共同使用、他人使用についての制限があります。コンピューター回線を接続させまして自由に使っていこうという面からいってかなりの制約があります。  それで、基準認可手続、個別認可手続という制度がありますけれども、この実態は一体どうなっていますか。聞くところによると、半年から長いので一年近く認可を待たされる。そして大変な思いで認可を取りつけるというのが自営のコンピューターを回線に接続させようという業者の声、ユーザーの声ですが、これは一体どうなっておりましょうか。
  252. 西井昭

    ○西井説明員 お答えいたします。  ただいまのデータ通信の他人使用関係の基準認可の件でございますが、御存じのとおり、当初データ通信が公衆電気通信業務として法定化されましたときには、わが国のデータ通信はまだ揺籃期でございまして、どのような利用形態が出てくるかということはその当時きわめて判然といたしておりませんでした関係で、そのときには「一の電子計算機の本体と一の入出力装置との間に終始するデータ通信のために特定通信回線を他人に使用させるとき。」ということで郵政省の基準認可をいただいたところでございます。その後、先ほどからもお話の出ております行政管理庁からの御指摘もございまして、昭和五十一年七月十七日に郵政大臣の認可を受けてこの基準の追加をいたしております。  少し細かくなって恐縮でございますが、追加をいたしました内容は、一番目が「二以上の電子計算機の本体と一の入出力装置との間に終始するデータ通信のために特定通信回線を他人に使用させるとき。」で、二番目といたしまして、「一の電子計算機の本体を介する二以上の入出力装置の間のデータ通信であって、同一の者が行うデータ通信または郵政省令第四条の十三に規定する業務上の関係を有する」ということで、これはいわゆる共同使用の範囲でございますが、「業務上の関係を有する二人以上の者が行うデータ通信のために特定通信回線を他人に使用させるとき。」で、第三番目といたしまして、「二以上の電子計算機の本体を介する二以上の入出力装置の間のデータ通信であって、その入出力装置のすべてが一の電子計算機の本体に接続されている場合において、同一の者が行うデータ通信または前記(2)に規定する」ということは、先ほど申しました共同使用の範囲でございますが、「業務上の関係を有する二人以上の者が行うデータ通信のために特定通信回線を他人に使用させるとき。」となっておりまして、こういう基準を追加いたしたわけでございます。  なお、この基準だけではすべての、ただいま特定回線の使用をお申し込みになっておられるユーザーの方にはもちろん網羅をいたしておりませんでして、その他のものについては個別に郵政省の認可をいただいておるというのが現在の実情でございます。  なお、いまし方、申し込んでから開通までかなりの日にちがかかっておるというお話がございましたが、民間でこういうコンピューターを設置されますときには、コンピューター設置と同時にソフトウエアの作成にかなりの時日を要しておられまして、大体、そういうデータ通信業を興されると同時に大抵のユーザーの方から公社に回線使用のお申し込みが出ておりまして、その回線の開通希望月日と申しますのは本体と合わせての開通希望月日が多うございまして、かなりの長期の、先の希望月日というのが実態として非常に多うございます。  したがいまして、公社といたしましては、いろいろ出てまいりましたときに、申し込み順ということではございませんでして、ユーザーの御希望になります回線の開通希望月日に合わせましてこの認可申請をいたし、郵政省の認可をいただくということになっておりますので、早い方、遅い方、そういう意味ではお申し込みから開通まではまちまちでございますが、まずほとんどの方は、一、二ちょっと例外もございますが、開通希望月日に間に合うようにいままで処理してまいっておるところでございます。
  253. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 これはぜひ短期間でサービスの提供ができるような形に努力すべきだと思うのです。認可申請して半年以上、一年近くたたなければ認可がおりないなんということはどこの世界にもあってはならないと私は思うのです。これはやはり痛くない腹を勘ぐられる一つの材料じゃないのですか。国営の弁当屋が民営の弁当屋に対して衛生状態が悪いじゃないかと、なかなか回線の使用を認可しない。こういう形の改善は急務だと私は思います。  一つ情報産業の今後の育成、外資系に対する本当の意味の対抗ということから言って、コンピューターはバッチシステムというより、むしろ今後は離れたところでコンピューターを動かしていくという形の要請が非常に強くなるだろうと思うわけです。いま、データを持っていって近くでデータ処理するという形が八〇%のシェアだそうでありますから、そのリモートコンピュータリング、その二〇%ですが、今後その道を開く意味からも大変大きな要請であると思います。  それは皮肉なことに公社のDRESSを圧迫する形であり、無残にも目標の三三%しか収入を得られなかった公社の惨敗したデータ通信事業の姿を物語るものじゃないかと思うのですが、総裁、いかがですか。
  254. 秋草篤二

    ○秋草説明員 回線の利用者は、それを使ってコンピューターで仕事をなさる。一面私どもの競争者でもあります。先生の御指摘するような、電電公社として余り好ましくないお客でもあるわけです。しかし、見方によっては回線を使用していただくお客さんでもある。  これは認可とかいう意識じゃなくて、契約だと思いますが、そのように全部が半年かかるとは思ってはおりませんけれども、もっとスピーディーに使用していただくような手続をするように今後十分注意して努力するつもりでおります。
  255. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 赤字の点についてはどうですか。目標の達成率は三三%です。
  256. 秋草篤二

    ○秋草説明員 先ほど来の全体の話でございますか。——これは、この場ではなくて、先般来、内閣におきます公共企業体等基本問題会議ですか、その企業形態部門で、うちの輿本部長などと冗談で、五年分くらいしごかれたな、勉強させられたなと私は言ったのですが、本当に細かい点まで微に入り細をうがって質問を受けまして、徹底的にいろいろ追及されました。追及されるまでもなくわれわれは非常に大きな反省をしておりますが、滑り出した事業でありまして、何としましても一番早くこの赤字に対しては改善しなければならないと思っておりますが、何といっても大きな赤字でございます。収支率という点から見れば年々歳々少しずつ好転しておりますが、赤字は累積しております。  今後とも努力して、一日も早くこれを解消したい、こういうふうに思っております。
  257. 輿寛次郎

    ○輿説明員 お答え申し上げます。  ただいま総裁からもお答え申し上げましたが、補足させていただきますと、われわれといたしましても、データ通信事業につきましての赤字は十分責任を痛感しております。これにつきましては何とか早く黒字に持っていかなければならぬと思います。  特に、その中で、御指摘のとおり、各種よりも公衆データが問題になっていることも事実でございます。これは実は各種システムと違いまして、いわゆるレデイメードでございまして、前もってセンターを置いておいて、それに端末という形で加入していただくシステムでございますから、設備投資のわりにお客が入らないと赤字がふえるという要素がどうしてもございます。  これにつきましては、先ほど監理官も申されましたが、私どもといたしましては決して民営圧迫という気はございません。やはりお選びになるのはユーザー、お客さんでございますから、安くてよいサービスであるならば必ずお客さんがつく。そういった意味では、何をするかと言えば、ソフトウエアといいますか、そういったプログラムのいいものをつくって勝負するしかない。要するに頭の勝負でございます。  外資がなぜ強いかと言えば、やはり豊富なプログラムを持っております。そういったものを台にしておりますから、そういった意味では非常に有利でございますが、われわれも、どうやら何年かたちましてそういったシステムができつつあります。たとえば標準のプログラムができれば、それを提供することによって時間も早く開通できるし、安くもできるわけでございます。ところが、現実を申しますと、DRESS、DEMOS合わせましてユーザーさん二千ほどございますが、端末の数が四千六百でございます。したがいまして、大体平均一件のユーザーさんが二・三端末でございますから、これは実は非常に小さい企業でございます。中小企業と言っては失礼ですが、実際七、八〇%が中小企業でございます。そういった方々にコンピューターを使っていただこうということで始めたわけでございます。その趣旨は私らは違っているとは思いませんが、ただ、現実には確かにミニコンというものが安くなりましたものですから、お客さんによりましてはそういう御利用をなさる方がありますが、一方におきましては、やはり小さい規模の方は喜ばれている方もあります。  繰り返しますが、私らはいわゆるダンピング競争なんてする気はございません。また、われわれは、料金は認可料金でございますから、相手によって安く下げるわけにもまいりません。結局、われわれといたしましては、何とかいいプログラム、ソフトをつくって、それでもってお客さんに利用していただくということ、それでやはりどちらかと言えば公社の使命でもございますので、センターが二十、サブセンターが五十幾つございますが、こういった形であまねく全国的にかなり——僻地とは申しませんが、かなり地方においてもそういうものが使えるようにしたい。  それからもう一点は、やはりこれもソフトウエアの進歩でございますが、従来はそのセンターに入らないと利用できなかったお客さんがございますが、いわゆるネットワーク指向でございまして、だんだんソフトウエアが進歩いたしますといろいろなファイルをあちこちで使うこともできます。そういった意味の、ニミコンではできないような高級なサービスも可能になってまいります。  そういうことで、そういうことを生かして大いに収支改善を図ってお客さんのお役にも立ちたいということでございます。
  258. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それで、これは本質的には電気通信政策ということにかかわる問題だと思うのです。公社の公共性からいきまして、先ほど三つの条件がありましたが、公共性、それからまた技術先導的な開拓、それからまた全国的なネット、これと同時に公社としては独立した一つの部門として電話の黒字を持ってくればいいんだというわけにはいかない深刻な問題だと私は思うのです。五千億からの投資をしたと言われるこういう現状、しかも来年黒字になるだろう、来年一年単年度で見れば黒字になるだろう——黒字にはなり得ない性格のものだと私は見ております。  こういう公社の設備、サービス事業につきまして、今後改善させなければならない面をたくさん抱えていると思いますが、最後に大臣から御意見を聞きたいと思います。
  259. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  実は、私も、このデータ通信業務について、大変な投資並びに莫大な赤字を抱えている実態に非常に関心を持ちまして、限られた時間でありますが、いろいろと実態把握に努力してまいったつもりであります。  と申しますのは、現在、御指摘のとおりに、電電の本来の業務のいわゆる通信業務の利益をこういった部門の投資なり赤字補てんに充てるということはかなり問題がある。というのは、やはり電話利用者に大きな負担を強いている結果になるものでありますから、先ほど申し上げたとおりにきわめて時間的な制約があるわけで、私は技術屋でもありませんから十二分に体得するまでには至っておりませんが、しかし、このデータ通信については、これはもう先ほど来じっとお聞きいたしておりましたが、先生の方がうんと専門家でありますから……。ただ、技術はこのままでいいということにもまいらない。これは年々技術開発を推し進めていかねばならない。技術開発を進めていく上においては、やはりこういった機関があって、先導的な役割りを果たしていることもまた認めざるを得ないと思うのです。  ただ、いま少し営業努力が足りないのではなかろうか。と申しますのは、各種と公衆の中で、公衆の点においては、これはDRESSとDEMOSというお話ですが、これにはまだまだ余力があるわけでありますから、民業圧迫をしない立場で、しかも外資系のいわゆる国内じゅうりんを真剣に阻止するために取り組んでもらうためにもこういった面の開発に大いに力を注いでいただいて、まあとんとんまで、利益が上がらなくとも一方に負担をかけないような状態のデータ通信業務の運営をしていただくように、機会あるごとに私は関係筋に要請をいたしておるところでございます。
  260. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 次に、先ほど来取り上げられてまいりました電話料金の誤請求につきまして伺いたいと思います。  私はちょっととらえ方が違うのです。これまでに誤請求があった。これは百万加入当たりに五件だとおっしゃいますけれども、違いますか。(秋草説明員「事故」と呼ぶ)  事故があったということでございますが、百万に対して五件の事故ということで、それで、その事故を考えてみたときに、一体どうして起こるのか、これだけに終わっているのか、こんなことが心配でならないのですが、これまでに全国で何件の事故が起こっているか。お示しいただきたいと思います。
  261. 浅原巌人

    ○浅原説明員 お答えいたします。  全国の事故ということでございますが、先ほど先生がおっしゃいましたとおり、一カ月に百万件当たり五件ということでございまして、これを加入数三千四百万程度と現在考えておりますが、そういたしますと一カ月に百七十件の事故になります。
  262. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうすると、一年間で何件になっていますか。その内訳はどうですか。
  263. 浅原巌人

    ○浅原説明員 お答えいたします。  一年間でございますと、その百七十の十二倍でございまして、二千四十件というふうになっております。  内訳は、作業の誤りによりますものが、ちょっと年間で計算しておりませんけれども、同じようなことになるのでございますけれども、二千四十件の五分の三でございますから、千二百件程度が作業の誤りでございまして、あとは残りの八百四十件が機械の故障関係の事故になっております。
  264. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうすると、全国で年々事故が起こってまいりました推移なんかを見なければならないわけでありますけれども、四十七年からこの五十一年までの間に事故の件数は何件と押さえているのですか。
  265. 浅原巌人

    ○浅原説明員 お答えをいたします。  トータルの件数では私はちょっといま数字を持っておりませんので、発生率の、結局同じことでございますので恐縮でございますが、百万件当たりの事故件数で申し上げさせていただきたいと思います。  四十七年が十六件、四十八年が十一件、四十九年が八件、五十年度が七件、それで五十一年度が五件というふうに逐次減ってきております。
  266. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 百万件当たり三件、四件という、そういう性格の問題じゃないですね。全国で何件の間違いがあったかと、こうなって答弁じゃないですか。私は四十七年から五十一年まで掛け算をやりました。台数が違います。計算いたしました。公社は〇・〇七という出し方でありまして、件数は全国で何件起こっているのか、こういうとらえ方なんです。一件でも起こってはいけない問題です。それが現実問題として、オーダーとして四けたのオーダーで出てきているわけです。五十一年までの五年間で、作業の誤りというのが九千三百二十四件、機械の故障というのが五千八百四十二件に上っています。  そこで、どうもうちの電話はおかしいんじゃないかというのは、これはユーザー側です。それから、局の方で請求に当たりまして、これは間違っているんじゃないかとして調べてくれるもの、これは何か基準をもっておやりになっていますね。
  267. 浅原巌人

    ○浅原説明員 お答えいたします。  中身はいろいろだと思いますが、お客様から、質問のたぐいのものもあるかもしれませんし、こんなにかけてないという申し出の場合もあろうかと思いますが、それらは一年間にいたしまして、五十一年度が十九万二千件という形でお問い合わせがございました。  それで、私どもの方で、いま基準の話がございましたですけれども、これは本社から標準的なものは示してございます。前月の御利用状況から推して著しくふえたもの、あるいは著しく減ったもの、あるいは全然メーターが回らないもの、こういうものはそれぞれの局の機械あるいは計算能力等もございますので、具体的にはそれぞれの局に任せておりますけれども、スタンダードをそれぞれつくりまして事前のチェックをいたします。  これは五十一年の場合でございますと、大体全体の加入者の二%程度のものを事前にチェックいたしております。
  268. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうじゃなくて、要するにチェックの標準ですね。  これは公社でいまやっているというチェックの標準について、私のところへ届けていただいた資料ですが、それによりますと、前月度数が一度から二百度まで、つまり度数で二千円ですね。一般の住宅用の場合には、二千円の人が五倍以上の翌月請求になった場合に局が調べる。つまり、毎月前月が二千円の請求だった人が一万円を超えなければ、局としては間違いとしてチェックという行動に出ないというのです。事務用の場合にはこれが六倍だそうです。この基準は間違いありませんか。
  269. 浅原巌人

    ○浅原説明員 先生が御説明になりましたとおり、私どもの方は度数で表現をいたしておりますけれども、一度から二百度までのものにつきましては、住宅用につきましては前月に対し五倍以上、事務用に対しては六倍以上ということでチェックの標準を全国に示しております。
  270. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうすると、いまたとえばの話ですが、二百度まで、つまり請求額が前月二千円だったという人、これが翌月九千円の請求が来る場合、そんなに実際には使っていないというものについては局としては全然チェックの能力なしですね。
  271. 浅原巌人

    ○浅原説明員 これらの基準につきましては、先ほども申し上げましたとおり、本社から標準といたしまして指示をいたしております。これを決めましたのは、いろいろ歴史的に料金の問題を……
  272. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 チェックしているか、していないかだけ言ってくだされば結構です。説明は結構です。九千円の場合に局としてチェックをしているのか、していないのか、それだけ答えてください。
  273. 浅原巌人

    ○浅原説明員 それぞれの局でスタンダードを決めておりますので、われわれの本社が示しております標準による場合にはしておりません。
  274. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうすると、この基準というのは何ですか。これよりもそれぞれのチェック機関では厳しくやっているとは思いませんけれども、たとえば毎月二千円だった人が今月九千円取られる、どうもこれはおかしいんじゃないかという段階で局としてはノーチェックということになりますね。本社の基準ですから。本社は一万円超えないと調べないのです。または、事務所用の場合には一万二千円を超えないと調べない。毎月大体二千円だという使用者が九千円の段階、また事務所の場合は一万一千円の段階では調べてもらえないのですね。それがこれじゃないですか。これはちょっとひどいですね。
  275. 玉野義雄

    ○玉野説明員 多少蛇足になるかもしれませんが、私たちといたしましても、事前チェックということをしませんとお客さんに御迷惑をかけますので、先ほど申し上げましたように、毎月の苦情が一万六千件ぐらいでございますが、事前チェックの数は六十八万という膨大な数をやっておるわけでございます。  それで、先ほど決めましたのは本社の基準でございますので、これをびた一文変えてはいけないというふうにはしておりません。したがいまして、たとえば店舗併用住宅が多いとか、そういう度数の少ないようなところはあるいは段階を下げるとか、そういう実態に合ったように工夫してやりなさいということでやらせております。
  276. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 わかりました。公社の方の事前チェックというのは大変ひどい基準であることがよくわかりました。  それで、先ほどお答えいただいた数字ですけれども、この事故、故障であるということがわかった件数、これはおかしいんじゃないかという申し出によって調べた結果事故であるということがわかったものですね。どうですか、これはイエスかノーで答えてください。
  277. 浅原巌人

    ○浅原説明員 そのとおりでございます。
  278. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうすると、ユーザーの方の側でおかしいんじゃないかと言って申し出なかった分、これはもう大変な数に上るんじゃないかという心配があるのですが、これは一体どうするのですか。
  279. 玉野義雄

    ○玉野説明員 先ほども申し上げましたように、申し出は一万六千でございますが、申し出がなくても事前チェックというので六十八万件ほどチェックしておりますので、申し出がなくてもそれによって極端に多い場合には……(「事前チェックしないやつと申し出の間なんだ」と呼ぶ者あり)  しかし、事前チェックでかなり、六十八万件という数をやっておりますので、ほとんどはひっかかっておると私は思っております。
  280. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 こういう大変ひどい実態でございます。これに対してはどういうふうにしたらいいのか。一つは、これまでも議論がございましたような、フランスでこれからやろうとしているような、どこへかけたか請求明細を有料でやっていく、希望者には有料でどこに何回どういうふうにかけたかということが提示できるような形の開発の仕方というものは公社としては一体考えているのでしょうか。あるいは有料であるか無料であるかは別として、全戸それをつけるというのはなかなか大変じゃないかという面も確かにあります。しかし、要求に対してこたえる道というのは開くべきだろうと私は思うのです。  それから、いまの内部チェックの基準からいってもひどいです。それから、申し出に基づいてチェックして間違いだったと判明した件数も大変な数に上っております。申し出のなかった分まで考えますと、もうものすごい数じゃないかと見ていいのですが、どうでしょうか。もっと真剣なこれに対する対策というものがあってしかるべきだと私は思うのですが、総裁、どうでしょうか。引き続き大臣お答えをいただきます。
  281. 秋草篤二

    ○秋草説明員 私たちは年々歳々この料金事故の低減に対して努力してまいりまして、先ほど局長から説明したように、確かに減ってまいりました。しかし、いずれにしましてもこの問題は、お使いになる方はそんなに使った覚えはないと言うし、こちらはミスもした覚えがないと言うのですが、それを立証する方法がなかなかございません。  お客の種類をいろいろ分類しますと、料金の本質的な制度もまだ知らないような方もやはり相当ありますし、私は、いまのところ、電電公社の料金というものは絶対信頼していただけるんだという信念を持ってやって、これを絶無にするという努力は続けるけれども、最終的にゼロにするということはなかなかできない。しかし、そのために新しい何か装置をするということは非常に大きな、先ほど別な委員の質問に対して説明があったようなかなりの金がかかります。  この料金については、ほかのサービスは非常によくなったけれども、料金に対してはなかなか決め手がありませんので、応対で、十分親切丁寧に応対して説明をしてあげるということでもかなりお客さんはわかってくださるし、わずかなことであってもつっけんどんにそんなことはありませんと言えば、それでメンツにかけて、最後まで訴訟にかけてもがんばるというような例もございました。金額も百六十円か何かのわずかなことでございますけれども、非常に大きな新聞記事になって出たことがございます。そういう点で、応対なり説明というものを親切丁寧にやるということがまず一番の要諦である。それによってごまかすんじゃなくて、いまの公社の作業というものはまあ年々歳々よくなっておることを見れば信頼をされていいんじゃないか。これに対して不信感というものを醸成すればするほど何か大きな一つの運動が展開されて、電電公社というものが非常に大きな悪評を帯びてくる。  この問題は本当に頭の痛い問題で、なかなか名案がありませんし、機械をつけてみても大部分の方はそんな機械の必要はないと言うのは、これは当然でございます。しかし、本当にわずかの方々はやはり機械か何かで明細書を出せと言うのが通例でございますから、この対策というものは、懸命に努力して事故を絶滅するということを根気強く続ける以外にはなかなか方法はないんじゃないかと思っております。
  282. 服部安司

    服部国務大臣 先ほど来の鳥居先生と電電とのやりとりで感じたことでありますが、私は、一件でもこういう間違いがあってはならないと、まず基本的に考えます。しかし、不完全な社会に存在する問題でありますから、いろいろとこれまた問題の起きてくることも防ぎようがないと思うわけであります。これは正直言ってなかなかむずかしい問題で、だれも教えてくれませんから、私の感じたままをお答えいたしますが、間違いがあれば御了解願いたいと思います。  電話の施設台数が三千二百万台、それからいまの局長さんが、チェックを六十八万か何ぼやっておりますから大体それでいいでしょうという答弁でありました。総裁は、間違いないように必死の努力を払うんだからまあひとつこの辺で理解と信頼を願いたいと言われた。私はこういった答弁も立場上やむを得ないと思いますが、私の立場から言うならば一件の間違いも許せない。しかし、不完全な社会に存在する問題だから、これまた言い切れない問題でありますし、いまの鳥居先生の御指摘の、有料であれば通話先、通話度数を知ることができるというものをいまドイツかスイスで開発しているじゃないかということは、私も、先ほどの話じゃないが、アメリカで旅行者が金を入れて電話をかけてつりとるのを忘れたら、つりと度数とちゃんと書いてわざわざ日本まで送ってきたというサービスぶりの記事をいつかどこかで読んだ記憶があるわけでありますが、正直言って電電も、技術開発については、研究所なんというのは世界でアメリカに次ぐすばらしい設備も持っておりますし、また、有能な技術者も五千人以上おられると聞いておりますので、私は、こういった問題の機械の開発やまた先進国からのいろいろな調査をするように進めて、感じのよい電話通信に国民がサービスを受けるようにしたい。  これは私の本当に思いつきの答弁でありますが、御理解を願っておきたいと思います。
  283. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 前後しちゃったんですが、会計検査院の立場で、この誤請求について今後取り組んでみようというお考えはありませんでしょう。
  284. 東島駿治

    ○東島会計検査院説明員 お答えいたします。  いままで、私どもは、どちらかと言いますと、未収になっているものはどのくらいあるかということを中心に検査しておりまして、いま先生の御意見もございましたし、最近新聞でもいろいれ問題になっておりますので、今後、もう一遍原点に戻って手続その他についても十分突っ込んで検討してみたい、このように思っております。
  285. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 ありがとうございました。  それで、残り時間でもう一つ伺いたいのですが、電波監理局の所管のことでございますが、最近音声の多重放送について、つまり、テレビジョン放送の音が非常に粗末である、この音を何とか音質の高度なすばらしいステレオ化ができないものかというような声があちこちから出てまいっておりますが、多重放送につきましてはいろいろな利用の仕方があろうかと思います。  文字あるいはファクシミリという形ですが、特にせんじ詰めてみますと、結局、いまの法制上やはり補完的な使い方しかできないのじゃないかということが結論だろうと私は思うのです。  それで、音声の多重放送、つまり、テレビの次の時代、ステレオ化していく方式ですが、これへの見通しについてはどうでしょうか。
  286. 平野正雄

    ○平野政府委員 お答え申し上げます。  先生のただいまの御指摘の問題は、法制的な問題と技術的な問題とあろうかと思います。それで、法制的な問題につきましては、御承知のように、多重放送に関する調査研究会議の報告書を受けまして、昨年の一月に電波監理局内に多重放送協議会を設置いたしまして、行政上の観点からさきに申し上げました報告書の内容をさらに掘り下げまして検討をいたしております。現在まで、テレビジョン多重放送のただいま先生が申されました各種類の評価等について分析をいたしますとともに、音声多重放送につきましては、補完的な利用と独立的な利用との区別の問題、補完的な利用の場合の免許の方式の問題、音声放送体系全体のあり方の問題等につきまして鋭意詰めつつあるところでございます。  また、技術的な点につきましては、先生御承知のように、去る四十七年に、音声放送につきまして、郵政大臣の諮問機関でございます電波技術審議会から答申を得ております。これはいわゆるステレオ放送と二独立音声、二カ国語放送というような表現を使う場合もございますが、それにつきまして答申を得まして、直ちにその答申を四十七年に電波技術審議会に諮問をいたしまして、それ以外の多重の分野について検討をお願いしておるところでございます。  それで、その状況を若干申し上げますと、ただいま申し上げました多重のうちの音声関係以外のものといたしまして文字放送というものがございます。それから静止画放送というものがございます。文字放送は御承知のように文字が出てくるものでございます。静止画放送は、いわゆるテレビジョン放送の中で、たとえば気象通報等に用いられておりますようなとどまった絵が出てまいります。そのほかにファクシミリ放送というように、そういった各種類がございます。  それで、ただいま先生が申されましたように見通しでございますけれども、先ほど申し上げました文字放送につきましては、これは諸外国とも現在実験中でございます。特に熱心に実験を続けておりますイギリスの例を申し上げますと、アルファベットの組み合わせを使用いたしますので、いわゆる符号方式というものでございます。ところが、まだ結論が出ていない。わが方といたしましては、日本文字が象形文字でございますので必ずしもイギリスと同じ方式が適当ではございませんので、ファクシミリ方式というものを当初から採用いたしまして鋭意詰めております。大体ことしの八月ごろに実験をすれば、五十三年度中には見通しが得られるであろうというふうに考えております。静止画放送とほぼ同じでございます。  以上でございます。
  287. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 大臣、いかがでしょうか。NHKではすでに音声の多重放送ということで実験済みです。実験の結果は郵政当局に報告書が出ております。ほかの利用の仕方もあるのですが、やはり現実の問題として、実現の可能性という上からいくと、将来テレビのワイド化という問題と、本当の意味のハイファイといいますか、音響効果を考えたステレオ、だからその第一段階としてステレオ化が現に実現できるわけでありますから、私は、まあこの利用の仕方はそれしかないんじゃないかと考えておるのですが、大臣のお考えを伺いまして締めくくりたいと思うのです。
  288. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  私ども研究所に行って音声多重その他の多重放送関係をこの目で確かめたわけでありますが、文字、多重、その他いろいろな、静止画像とかファクシミリもありますが、私が非常に感激したのはこの音声多重なんですね。とてもすばらしいもので、なぜこれを早く国民に供用させないのかと、私自身が非常に大きな疑問を持ちました。いま電波監理局長はああだこうだと言っていますが、私はもう早くやりたくて仕方がない。こういうすばらしいものをなぜロッカーに入れてかぎをかけて、じっと見ているのだろうか、一刻も早く国民に供用を開始したい、かように考えておりますが、これまたむずかしいんですね。  先ほど、法制上どうするかとか、免許のあり方がどうだとか、補完的云々のとか、いや独立的何のとか言って非常にむずかしいわけでありますが、しかし、郵政審議会の答申もあり、また音声何とか研究協議会とかもつくってかなり意欲的に前向きでやってくれていますので、私もさらにこれに拍車をかけて、一刻も早く国民にこのすばらしい音声多重のだいご味を味わってもらいたい、かように考え努力を続けるつもりであります。
  289. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 大変どうもありがとうございました。  質問を終わります。
  290. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員長代理 次回は、明二十三日木曜日午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時五分散会