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1978-02-16 第84回国会 衆議院 逓信委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年二月十六日(木曜日)     午前十時六分開議  出席委員    委員長 松本 七郎君    理事 小渕 恵三君 理事 左藤  恵君    理事 志賀  節君 理事 鈴木  強君    理事 米田 東吾君 理事 田中 昭二君    理事 小宮 武喜君       伊藤宗一郎君    亀岡 高夫君       原田昇左右君    廣瀬 正雄君       堀之内久男君    森山 欽司君       阿部未喜男君    島本 虎三君       野口 幸一君    古川 喜一君       大野  潔君    竹内 勝彦君       鳥居 一雄君    藤原ひろ子君       依田  実君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 服部 安司君  出席政府委員         郵政政務次官  宮崎 茂一君         郵政大臣官房長 河野  弘君         郵政大臣官房電         気通信監理官  江上 貞利君         郵政大臣官房電         気通信監理官  神保 健二君         郵政省郵務局長 神山 文男君         郵政省貯金局長 高仲  優君         郵政省簡易保険         局長      佐藤 昭二君         郵政省電波監理         局長      平野 正雄君         郵政省人事局長 守住 有信君         郵政省経理局長 浅尾  宏君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局審査部審         査統括官    内木場一郎君         日本電信電話公         社総裁     秋草 篤二君         日本電信電話公         社総務理事   山本 正司君         日本電信電話公         社総務理事   好本  巧君         日本電信電話公         社総務理事   長田 武彦君         日本電信電話公         社総務理事   玉野 義雄君         日本電信電話公         社営業局長   西井  昭君         日本電信電話公         社業務管理局長 浅原 巌人君         日本電信電話公         社建設局長   高橋 敏朗君         日本電信電話公         社経理局長   小川  晃君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  逓信行政に関する件      ————◇—————
  2. 松本七郎

    松本委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀之内久男君。
  3. 堀之内久男

    堀之内委員 先般電電公社から諮問されておりました電信電話諮問委員会答申が、先日一月五日でしたか、なされておりますが、私は、本日はこれに基づいて御質問をいたしたいと思います。  今日まで、電信電話事業におかれましては、総裁以下各幹部皆さん、さらにまた職員一体となっての御努力によりまして、五回にわたります五カ年計画が着実に実行されまして、今日では日本電話事業等世界に誇るべきりっぱな事業体にまで伸展してまいりました。特に、第六次五カ年計画に当たりましての五十三年度に当たりましては、全国自動即時化の見通しまでできるという段階にまで急速な合理化設備がなされてまいりましたことに衷心から敬意を表し、また、これまでの御努力に深い賛意を表する次第でございます。  きょうはこの答申に基づいていろいろお尋ねしてみたいと思いますが、今回の答申内容等については、当局におかれましても十分御検討を進めていただいておると思います。したがって、きょうは総裁初め幹部皆さんと、さらにはまた監督機関であります郵政大臣の率直なお考えをお聞きいたしてみたい。そして、ともどもに今後の日本電信電話事業の発展に努力させていただきたいと考えておる次第でございます。  まず、第一点でございますが、電信電話諮問委員会答申最初に書かれております「料金決定原則」でありますが、その中で、料金決定に当たりましては、もちろんこれは独立採算制を堅持する。これは当然なことでありますが、さらに、その料金決定に当たりましては、原価補償主義合理的根拠を持たない不当な価格差別禁止を二大原則として決定されるべきであるという答申がなされております。  まことにもっともなことだと思うのですが、この「合理的根拠を持たぬ不当な価格差別禁止」ということが強くうたわれております点について、総裁はどのように受けとめておられるか、今後の考え方をお聞きしたいと思います。
  4. 秋草篤二

    秋草説明員 お答えいたします。  総括的に見まして、今度の答申は十六回の会議を重ねまして、私は全部は傍聴しておりませんけれども傍聴者の話では、非常に熱烈な、ときには激烈な討論も重ねて、非常に有効な十六回の会議を重ねた上で答申ができたということで、中身もちょうだいして拝見しますと、非常にいい答申をいただいたというふうに私は思っております。  これはまた諸先生から自後いろいろな御質問がある都度私の考え方も披瀝しなければならぬと思いますが、ただいま御質問の「合理的根拠を持たぬ不当な価格差別」という意味は、これは答申説明会というものも会長なり委員の方から特別にございません。したがいまして、傍聴者その他がじっと会議を聞いておってこの意味は大体読み取れるというふうに解しておるわけでございまして、文字であらわした点ではただこれだけになっておりますが、これは電話、専用、電報、データ通信、加入電信その他がそれぞれの事業の中にあって、料金費用あるいは効用その他の類似サービス料金との均衡、過去の沿革というような点から見て明らかに妥当性を欠くというようなものがあれば不当な価格差別であると、そういうふうに理解した方がよろしかろうと思っております。  それならば、いまうちの料金に非常に不当な価格差別だというようなものがあるかと言えば、私は、こういうような意味から言えば不当なものはないのではなかろうかというふうに理解するのであります。
  5. 堀之内久男

    堀之内委員 ただいま総裁としては、この「合理的根拠を持たぬ不当な価格差別」はないというように御答弁いただきましたが、それでは、順次内容等についてお尋ねしてみたいと思います。  現在の電話収入状況を調べてみたいと思うのですが、ダイヤルでの収入分布状況でありますが、総裁は詳しく御存じなかったら担当理事の方でも結構だと思うのですが、私ども調査した範囲では、市内通話料収入市外通話料の占める比率というものが相当アンバランスである。しかも、電話を使っておる回数というのは市内がべらぼうに多いのだけれども収入は非常に少ない。市外線回数というのは、利用状況というのはほんのわずかでありながら、収入は全体に大幅な収入ウエートを占めておる。  こういう状況になっておると思うのですが、公社側で調べられたそういう全体の状況と申しますか、これの御説明をちょっと願いたいと思います。
  6. 西井昭

    西井説明員 お答えいたします。  ただいま先生から御指摘のとおり、公社通話料金は、一番近い区域内と一番遠い七百五十キロを超えます料金格差が一対七十二というふうに開いております。その結果、通話回数分布収入分布とは、当然のことながら、先生のおっしゃったとおりにアンバランスになっておりまして、ダイヤル通話回数で申しますと、区域内通話が全体の、これは五十二年度でございますが、約六八%を占めておりまして、それに対しまして収入の方は約一二%の収入でございます。料金収入ウエートが一番高いのが五百キロまで、東京−大阪で代表されます三百二十キロから五百キロまでの区域でございまして、回数分布の全体に占めますパーセントが約一・八%、収入が一四・七%でございます。それから、一番遠い七百五十キロメートルを超えますところでは、回数分布で約一%、それから収入で申しまして約一三・四%の収入になっております。
  7. 堀之内久男

    堀之内委員 ただいま御説明がありましたが、七〇%近い回数を持ちながら全体の収入はわずかに一二%だ。しかも、五百キロ以上から計算しますと、大体三百二十キロ以内で全体回数の九六%を占めておる。九六%を占めておいて、収入というのはわずかに五九%。結局、あとの約四割というのは三百キロを超えた市外通話料でこの電電公社収入を賄っておるということなんです。しかも、七百五十キロ以上のところがわずか回数は一%。一%をもって、市内の六八・一ですか、この約一二%より上回る一三・幾らという大きな収入を占めておるということは、これは幾ら見たって不当差別がないというのはちょっとおかしいんじゃないでしょうか。  結局、いまの通話制度というのは、昔なら何カ所か手動でつないだかもしれませんが、一回ではこれは人件費というのはほとんど変わらないわけですから、一回つないだからといって、つながればもう後の時間だけですから、それがこんなに不当に高いために市外通話料収入をかせいでいると言われても仕方がないのじゃないかと私は思います。恐らくこの諮問委員会でもこのことを指していると私は理解いたしますが、どうも、総裁はそういうような不当はないということでありますが、もう一回総裁のお考えを聞きたいと思います。  なお、そのときに諸外国の例をちょっと——先ほど七十二倍と言われましたが、諸外国も大体こんな七十二倍もの市外通話料というのは取っておるのかどうか。まあ全部とは申しませんが数カ国、もしおわかりであれば、アメリカなりイギリスフランス西ドイツという先進諸国状況をお聞かせいただきたいと思います。
  8. 秋草篤二

    秋草説明員 堀之内先生のように原価だけをとらえておっしゃられれば、あるいはその利用通数とか、そういう点をとらえれば不当だという感はあると思います。ただ、先ほど申しましたように、この答申には、歴史的な沿革とか、あるいは類似電話あるいは電報等いろいろなサービスとの均衡というものを考えて、ただいまのところ不当なものはない。ただ、その中で、たくさん料金もございますその中で一番不当なものに該当する気配があるものは何かといえば、市外市内格差の大きいという点に一番濃厚な気配があるという感触は論議の過程で明らかに持っておったようであります。  ただ、この答申自体言葉をとらえて言えば、皆これは国会でも審議されたのでございまして、いろいろな歴史的な過程なり、類似料金とのバランスとかいろいろ考えた上でただいまの制度が成り立っているのであって、現在では不当なものはございませんということを申し上げただけでございまして、原価理論だけから言えば、確かに、先生のおっしゃるような点はやや不当に近いようなものがあるという感じがいたします。
  9. 西井昭

    西井説明員 ただいま諸外国遠近格差はどのようになっておるかという御質問がございましたが、日本と同様に区域内通話料を一とした場合でございますが、百キロメートル程度までは日本と諸外国はおおむねバランスがとれておりまして、区域内通話を一とした場合の日本の百キロメートルまでの料金は十四倍でございます。アメリカはそれに対しまして十一倍、イギリス及び西ドイツは十二倍、フランスは少し低うございまして八倍ということになっております。  一番遠い距離で申しますと、日本は先ほど申しましたとおり七十二倍の料金になっておりますが、アメリカは十六倍、それからイギリスは、これは距離が少し短いせいもございますが十二倍、西ドイツフランスが十五倍、こういうようになっております。
  10. 堀之内久男

    堀之内委員 ただいまの総裁答弁はちょっと私はまだ納得がいきません。答申の三十ページにちゃんと書いてあるのですよ。「近距離遠距離通話料格差について」「いわゆる通話料は、距離別時間差法によっているが、区域内通話料の三分十円を基準にして、最も長距離区分の二・五秒十円を比較すると、七十二倍の格差となる。この距離別通話料格差は、昭和三十七年の距離別時間差法の導入以来、変更されずに現在に至っている。しかし、この間の技術進歩の結果、長距離伝送コストは著しく低下しており、費用料金の間に大きな格差が発生している。」と、これははっきり認めておるのです。総裁はこれを不当な格差とは書いてないと言いますが、「本来、合理的根拠をもたぬ不当な価格差別は避けるべきであり、その観点からしても、通話料体系の見直しが要請される。」というように答申がされておる。  総裁最初のところをもって全般的だとおっしゃるが、はっきり市外通話料市内通話料不当格差があるんだということがここに詳しく指摘がなされているわけです。だから、これに基づいて検討されていただかないとわれわれが望む方向不当格差解消ということにはなかなかならないだろうと存じます。  なお、ただいま局長からの答弁にありましたように、諸外国の例を見ても、七十二倍もというのは世界日本だけである。アメリカでだって一番高いところでも十六倍しかない。こういうような状況でありますから、こういう諸外国の例を見ましても、当然この答申を忠実に検討していただくことが至当だと、私はかように存じております。  ちなみに一、二の例を申し上げましても、監督官庁である郵政省が所管する郵便、はがき、封書を見ましても、稚内から宮古島の端っこまで二十円で行くのですよ。それは公共だと言われればそれまでですが、しかし、ビールだってしょうちゅうだって全然差がない。民間のものでさえ全然差別なくして同じような待遇をやっておる。また、監督官庁のもう一つの例のテレビだってそうです。あれもいろいろな基地をつないで、そして日本津々浦々までやっておる。それでも聴視料はカラーで七百十円というように全く一緒なんだ。だから、電話だけがこういうように大きな差別待遇を受けておるというところに大きな問題があると私は考えております。  いま申し上げたようないろいろな実例から見ましても、当局といたしまして今後どのような方向考えていこうと計画されておるか、もう一回総裁考え方をお聞きいたします。  あわせて、おたくの直接所管しておる電報は同じなんですよ。電報は同じ料金であって、電話料金だけは差別をつけておるのですから、これもひっくるめて、電報だけはこういうわけで同じ料金でいいんだ、電話差別をつけなければいかぬのだというその理由、この二つあわせてお聞かせいただきたいと思います。
  11. 秋草篤二

    秋草説明員 答申書には確かに後段で、いまの市外通話料金遠距離の問題が代表選手として出ているんだと私は思います。最初の御質問で、不当な差別的な料金があってはならないということは、前段の原則論先生最初におっしゃいましたからそれに触れて申し上げただけでありまして、したがって、後段の方に各論でその一番はっきりした代表選手を掲げているものだと思っております。  この問題はいま先生が初めておっしゃることではございませんで、私ども常日ごろいろいろと国会なりあるいは新聞社、それから一般の世論からも承っておりまして、いまの電電公社料金も一昨年改正していただきましたけれども、やはり、その中で一番心にとがめており、これは早く改正しなければいけないなと思うものは遠距離市外の問題であると常日ごろ考えております。  ただ、これはどの程度やるか。さっきおっしゃいました電報均一にするとか、郵便と同じふうに全部日本全国均一にするとか——これは赤坂へかける電話と九州へかける電話コストは、いかに技術進歩しましても全く同じというわけにはとうていまいりません。ただ、格差を少しずつ縮小して漸進的に差異を少なくするという方向はたどっていかなくちゃならぬと思いますが、これは次の機会にできるだけ早く是正する。  ただ、現在の状況では、つい一年前に料金を上げて三年続いた赤字を解消していただいたものでございまして、これには片や市内料金を十円にしていただいての前提がございますから、堀之内先生あるいはいまの世論にこたえるには、いまの段階では市内料金も相当大幅に上げて格差是正をしなければならぬということだけはひとつ御了解願いたい。遠距離だけをただ下げて、それだけだということだとまたぞろ大きな減収になりますので、その点だけはひとつ御了承置き願いたいと思います。  近き将来にこれは検討しなければいけない問題だと思っております。
  12. 堀之内久男

    堀之内委員 ただいまの総裁答弁はきわめて消極的で、余り前向きという方向には理解できないようであります。  私は、一気にこれを全国一律にしろということではないわけなんです。せめて諸外国の例ぐらいまでは——収入分布状況からも、先ほど局長答弁いたしましたように市外通話料でもっているという全くおかしな公社の運営なんです。しかも、三百キロ以上の市外が四割以上を占めておるという収入状況で、最も利用度の高い市内通話というのは故障も多いだろうと思うのです。一番回数が多いのですから、その回数の非常に多いところがきわめて安くて、しかも、遠い余り使わないところで大きく収入を上げておいて、そしてこちらにサービスするという、全くこれは不公平の典型的なものだと私は考えております。したがって、私は料金全体を上げるということじゃないわけなんです。この不公平是正ということについて電電公社がもう少し積極的な取り組み方をいたして、きょうあすするというわけではありませんが、いまからでもどの程度やっていけばこの不公平の是正ということが可能であるかどうか、恐らく、このことは国会皆さん方でも十分了解できるだろうし、あるいは国民も理解できると私は思うのです。  五割近い収入市外料で賄っておりまして、しかも回数はわずかに一割くらいですね。全体通話回数の一〇%以内なんです。一〇%以内でもって四割以上の収入を上げておるということはどちらから見ても不公平だ、不当だ、これこそ先ほど言う答申の不当な価格差別だ、こういうように私は考えておりますが、この点についてもう一回総裁の決意のほどというか、所信をお聞きいたしたいと思います。
  13. 秋草篤二

    秋草説明員 その前に、先ほど先生から御質問があった電報の歴史的な沿革料金均一である理由も後で答弁させていただきます。  繰り返すようでございますが、この問題は、電信電話サービスがここまでよくなっても料金世界最低の水準だと私は思っておりますが、その中でやはり一つだけ世界に誇り得ない問題は遠距離料金が少し高いということでございますので、これは郵政大臣あるいは監理官当局とも十分相談した上、できるだけ早い機会是正の手段を講じてみたいと思っております。
  14. 西井昭

    西井説明員 ただいま電報電話料金の御質問先生からございましたところでございますが、電報料金は大きく割りますと、受付にかかわる費用と途中の電報を送ります伝送にかかわります費用配達にかかわる費用とに分けられるわけでございますが、電報ウエートの中の三分の二程度受付配達に要する費用でございまして、伝送に要します費用は、特に最近は技術進歩によりまして目に見えて安くなってまいっております。そういう関係で、電報は明治十八年以来市内電報市外電報という差はございましたけれども、かなり前から字数によりまして料金格差をつけるというやり方をとってまいってきておるわけでございます。  それに比べまして電話は、かつては通話コスト距離に比例をいたしておりましたわけでございますが、最近の、先ほど先生もおっしゃっておりました伝送技術の著しい発達に伴いまして、距離の割合にいたしますと遠距離コストが相対的に下がってまいっておるわけでございます。公社もそういう実情を踏まえまして、戦後この遠近格差というものについてずっと縮小方向に向かって努力をしてまいったところでございます。  一例を申しますと、戦後間もない昭和二十二年では、一番近いところと一番遠い遠近格差は一対二百二十八というふうに非常に開いておりました。それを昭和二十六年、それから二十八年、三十七年と三度にわたりましてこの遠近格差縮小してまいりまして、現在、先ほど申しましたとおり一対七十二というふうに縮小をしてまいってきておるところでございます。
  15. 堀之内久男

    堀之内委員 いま御答弁をいただきましたことの中では、まだなかなか実現の方向についてもむずかしいようです。  この点、監督機関であり最高責任者であります郵政大臣にちょっとお聞きしてみたいと思うのですが、いままで申し上げたような形で、ほかの方は世界に誇るような電話だといま総裁も言っておられるのですが、市内電話料は、これはもうどの外国よりも一番安い。極端に安い。安いんじゃなくて半額、三分の一の値段ぐらいで市内電話料日本の場合はやっておる。そして、市外電話料は七十二倍という諸外国に例のないような形で、いわゆる市外通話に大きな負担をかぶせておるわけですが、この矛盾考えますときに、大臣として、今後こういう是正方について何か強力な指導をいただく考えはないかどうか。大臣の御所見を伺いたいと思います。
  16. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  ただいまの堀之内先生近距離長距離料金格差についての御指摘に対して、総裁並びに営業局長答弁を聞いておりましたが、私もいささか矛盾感じております。しかし、今日までの歴史の背景という言葉を使っておられましたが、私は一層抵抗を感じておるわけであります。  本来、私の立場からいたしますと、先ほどの営業局長画一料金電報料金説明のくだりで、受付並びに配達の経費が三分の二で、技術進歩伝送料金は三分の一だと、ここではっきりと技術進歩での遠距離近距離格差矛盾をみずから認めているわけでありますが、一面、私は、最近非常に国内の交流が激しくなりまして、この制度をとられた時代の状況と大きく変革を来していると思います。たとえば一例をとりますと、大学進学率にいたしましても、これはもう雲泥の差でありますし、私は、正直申し上げて、故郷から遠く離れて来た子供立場に立ち、また、いろいろな事情で子供を遠隔の地に送り出した親きょうだいの立場になると、もっともっと電話料金が安くなって、何かのときにすぐに電話悩み事相談なりができると大きくストレスの解消になり、また健康保持の上から言っても非常にプラスであると、かように私は考える次第であります。  したがって、できればこれは全国画一であってほしいことは当然でありますが、技術進歩が非常に目覚ましいといえども、私も正直言ってかつては自民党の通信部会でそういったことの審議にも加わりましたし、いろいろと私なりに考え方も申し述べたわけでありますが、そういう立場から、昨年末の改造で所管の郵政大臣になっていろいろ勉強してみますと、私が考えていたようなことでもまたこれは内容が違うわけであります。どの点で解決を見るかということはかなり慎重に検討を要する感じもするわけであります。  しかし、独立採算制をとっている公社総裁が、大臣とも、また事務的に監理官を交えて相談し、御趣旨に沿うように検討いたしますというお約束がございましたので、私も、この種の問題についての御相談には十二分に国民のサイドに立ってひとつ受けて立ちたい、かように考えている次第でございます。
  17. 堀之内久男

    堀之内委員 ただいま服部郵政大臣からまことに適切な御答弁をいただきまして、大変ありがたく存じます。  いま、教育というものを一例に挙げて御説明いただきましたが、確かに、われわれ農村地帯から離れておる者は、子供との対話というのは、手紙などもありましょうけれども、なかなかお互い筆不精なんです。たいがいのアパート、下宿屋というのは電話がありますし、電話料が安ければ夜でもちょこっと電話をして子供を励ましてやろうかとかいうこともできるのですが、いまのような電話料じゃ、七十二倍もかけられたんじゃ、九州や北海道の方々はちょっと電話を簡単にかけるというわけにはいかない。今後の人間教育というか、人間関係のそうした考え方から見ますと、ただ経済的な問題だけではなくて、こういう格差是正ということはもう当然に緊急の問題だと私は存じます。  こういう都会に住む人は、電話のありがたさについては、ふだんは恐らくわれわれ以上の痛切な感じじゃないと思うのです。こういうような離れて住んでおる者こそ通信というものが非常に大事なんです。それにはいま最も手っ取り早いのが電話でありますし、そういう意味考えましても、これはひとりわれわれだけが言っているのではなくて、国民全体がそうした考えだということを十分御理解いただきまして、大臣の趣旨に沿って、総裁以下電電公社でも十分前向きに御検討いただきますようにお願いいたしまして次に移ります。
  18. 服部安司

    服部国務大臣 まことに恐縮でありますが、ちょっと補足をお許し願いたいと思います。  先ほど堀之内先生の御指摘にお答えいたしましたが、一面やはり健全な経営をさせねばならない責任もまた私にあるわけでございますので、健全経営をさせることを念頭に置いて、相談があれば御要望に応じて御協力を申し上げたい。これをちょっとつけ加えさせていただきたいと思います。
  19. 堀之内久男

    堀之内委員 私も冒頭に申し上げましたとおり、独立採算制原則として原価補償主義でいくんだということ、これは前提であります。だから、遠距離が下がれば——いまの市内通話料というのは世界で最低であります。最低も少しくらい最低ならまだいいのだけれども、大体世界の三分の一くらいですよ。ほかの諸外国から見れば三分の一くらいの区域内通話料ですから、この辺をもう少し時間数を制限するなり何かすれば、まだほかの方が自動的にできる。一気にやれというわけではありませんが、少なくとも三段階くらい——いま日本の場合は十二段階か十四段階かということを言われておりますが、そういうややこしいシステムじゃなくて、長い日本列島ではありますが、その辺の事情というのはよくわかるわけですが、諸外国のそうした先進国の実態というものも調査をしていただきまして、今後御検討願いたいと思います。  次に、またこれは答申に出ておるわけですが、さらにまた先般の総裁の概況説明でございますか、それにも出ていましたが、離島、僻地対策であります。これだけの通信機械というものが発達いたしておりながら、残念ながら、離島、僻地等においてはこの文化の恩恵を受けることができない地域がまだ相当あろうと思っておるわけでありますが、今回区域内五キロを七キロまで五十三年度から延長するということは非常に前向きな対策で、われわれも公社の御努力には深く敬意を表するわけであります。  第六次五カ年計画の一環として七キロ拡大は大きく評価をいたしますが、七キロ以上のことは将来どういうようにお考えになっているのか。せっかく第六次五カ年計画がスタートするならば、この際七キロなどと言わずに、そういうところこそ通信網が必要だと私は考えておりますが、この点について公社としてどのように御計画をされ、御検討をされておりますか。お尋ねします。
  20. 西井昭

    西井説明員 お答えいたします。  ただいま先生から御指摘のとおり、この五十三年から始まります第六次五カ年計画におきまして、現在の電話局から五キロまでの加入区域を五年間のうちに七キロまで拡大いたしたいという計画を立てておるところでございます。このように拡大いたしますと、大体大ざっぱに申しまして、現在五キロの外にいらっしゃいます世帯数が三十万世帯くらいございまして、これを七キロまで拡大いたしますと、それが約十分の一に落ちる予定でございます。  七キロ以遠をどうするかという御質問でございますが、現在七キロ以遠の世帯数がどのように分布をしておりまして、それにもし全部電話をつけるといたしますとどの程度金がかかるかということの検討が必要でございまして、実はこの詳細なる調査をただいま郵政省の方へお願いをいたしておりましてやっていただいております最中でございます。この詳細な調査結果が出ましたら郵政省と御相談をし、また御指導を受けましてその後の対策を進めてまいりたい、このように考えている次第でございます。
  21. 堀之内久男

    堀之内委員 それでは、郵政省に伺いますが、七キロ以上を調査しているということですが、それはいつからやっておられるか。いつまでかかったらその七キロ以上の調査が終わるのか。私はそんなに時間がかかる問題だとは思わない。やろうと思えば一カ月あったらできるんじゃないですか。
  22. 江上貞利

    ○江上(貞)政府委員 明年度中には調査を終える予定でございます。
  23. 松本七郎

    松本委員長 もう一度はっきり……。
  24. 江上貞利

    ○江上(貞)政府委員 明年度中にはなるべく早い機会調査を終える予定であります。
  25. 堀之内久男

    堀之内委員 明年度というと、五十三年度いっぱいということですね。それはいつから調査にかかって五十三年度いっぱいかかるわけですか。
  26. 江上貞利

    ○江上(貞)政府委員 昨年の夏から調査を開始いたしております。
  27. 堀之内久男

    堀之内委員 そんな悠長な調査、そんなに精密な調査でなくても、七キロ以上のところは、大体の市町村に相談されれば距離はわかるわけじゃないですか。それぞれの郵便局なりあるいは電話局とでも御協議をされて、あるいは町村に何戸あるかということの調査相談すれば一カ月で回答しますよ。そういうことでなければとても今後の問題は解決しないと思うのです。  われわれがいま考えておりますのは、とにかく七キロ以上のそういう僻地におられる人こそ大変無理があるのです。われわれもびっくりするようなところに十二、三軒あるが、私どもも出先の通信部長さん方にお願いして、ここに公衆電話でもつけてもらえないものかと言って御相談申し上げたら、実際に部長が調査されまして、これは気の毒だ、三カ月かかりますがということで、公衆電話を一カ所つけるという努力をされておるようです。それは百六十万くらいかかるとおっしゃるわけです。百六十万もかけて大変気の毒だとは思っておるが、そういうことを考えておりますからいま申し上げるので、そういう個所というのは、私どもの九州あたりになると山が多いからそういうところがたくさんある。そこでりっぱな生活をやっておられる。そういうところがあって日本の国土を守っておるわけですし、山村を守っておるわけです。  そういう意味考えないと、あなた方のように東京の都会に住んでおるとそういうところはちょっと想像がつかぬだろうと思う。実際に行ってみてわれわれが身をもって感ずるわけでありますが、ただいまのような明年度いっぱいとかいうことでは何も具体策が考えられないじゃないかと思うのですが、もう一ぺんちょっと答弁してください。
  28. 江上貞利

    ○江上(貞)政府委員 戸数だけを割り出しますのはそんなに時間もかかりませんけれども、地況によりましてコストも変わりますし、あるいはまたその区域外にお住まいの方の需給調査その他も必要でございます。  御加入の御希望の方が少なければそれだけ二月分の負担が多くなるということもございますので、総体的に見ました場合に、財源の問題を全部御希望者の方に負担をしていただくのかという問題もございます。あるいはまた区域外にお住まいの方がどの程度の負担をしていただけるものかというような調査もございますので、余り急激に早くに調査をいたしますと必要な資料がそろわないということもございます。  区域外にお住まいの方がつける場合に、どこがどのように設備費を分担するかというような問題になりますとなかなか簡単に結論も出せないという点もございますので、その辺の資料もあわせて得たい、このように思っておるわけでございます。
  29. 堀之内久男

    堀之内委員 将来の費用とか、そういうことについてあなたに聞いておるわけじゃないわけなんですよ。これは恐らく今度の答申にもそういうように書いてあるわけなんです。離島とか僻地対策というものについては、そういうところだけに負担させては不公平である、財政的補助を出しなさいということで書いてあるんです。だから、七キロ以上を今後どうするのか。七キロまでは公社の力でやりましょうと言っておられるのです。しかし、原価補償主義で、独立採算制でいくならば、恐らく公社としてはもう七キロが限度だという形で七キロ区域に拡大をなされたんだろうと私は思うのです。だから、この七キロ以上というものをこれからどうしようかというのがこれからの政策であり、政治だと思うのです。  先ほど西井局長の話では三万戸ぐらい残っていると言われるんですが、せっかく第六次の五カ年計画がスタートするんだから、一通りやった、まだそこだけ二十戸くらい残っておりますでは、次の段階でいつそれをやるかということになると、また特別に行かなければならぬ。せっかく第六次の五カ年計画が出て、七キロまで済むところはついでにその先までやっていこうじゃないかという方向が望ましいんだと、私はこういうことを申し上げたかったわけであります。しかし、なかなか郵政の皆さん方は悠長でありますから、これは本当にすぐに間に合うわけにはいかぬと思うのです。  これはあなた方の職務怠慢と申し上げると言葉が過ぎるかもしれぬが、前に農林省は無灯火部落解消ということで十年前にやっているんです。私はそのときは市長で、その前は村長で、執行部をずっと十二年してきましたが、そんな調査はしなかったんだ。陳情を農林省あてにして、開拓地がかわいそうだから何とか補助事業で電気を取りつけてくれぬかという市町村長の強い運動があって、間もなくこれは法律化された。無灯火部落解消というので、日本全国電気のないところはないんです。どんな山の中でもないところはないわけなんだ。これはやはり国と県、市町村が全額持ったわけだ。そして電灯をつける農家には全然持たせないんだ。一般区域と同じような形で電灯をつけてきたんだ。もうとうの昔に済んでおる。  電話がそこまで普及しなかったとしても、いまこれだけ急速な進歩をしつつあるわけですから、この際、郵政省自体もそういうことであれば積極的にこれに取り組んでいただいて、そして第六次五カ年計画に間に合わせるような法的措置をとっていただくならば、これは恐らく与野党どなたもこれに反対する人はない。あとの予算の問題は大臣あたりのこれからの折衝なんだ。全部で何十億かかりますからこれはだれが持ちましょうとか、そんなようなことを考える必要はないわけですよ。国と県と市町村、これは決まっていますよ。そして、受益者には負担させてはいかぬ。これにもちゃんと政策的配慮が必要であって、付加使用料も特別に取ってはいかぬ、電話架設料もよけい取ってはいかぬとちゃんと答申でも出しておられる。だから、そういうことを考えますときに、一歩進んで、来年度からスタートするわけですからまだ間に合わないことじゃないと思う。  そこで、大臣にお聞きいたしますが、こういうような考え方で今後第六次五カ年計画がスタートするに当たりまして、七キロ以上の僻地、離島の対策について、大臣のお考えがあれば御所見を承りたいと思います。
  30. 服部安司

    服部国務大臣 離島、僻地に大変な愛情をお示しいただいてありがたく御礼申し上げます。  ただいま江上監理官が事務的に答弁いたしましたが、郵政省で昨年度の予算と本年度の予算で昨年の夏から調査に着手いたしておりますが、これは速やかに調査が完了するように指導いたします。あわせて第六次五カ年計画が五十三年度からスタートするわけでありますから、このタイミングに合うように努力いたします。  そこで、私は就任三カ月でありますが、この第六次五カ年計画内容説明を受けた段階で、三十万戸のうち大体約一割がこのラインから外れる。三万戸でありますから……。先生指摘のとおりに、これは恐らく大変な地域だろうと想像いたします。現在の公社のたてまえはいわゆる独立採算でありますから、いかに公共といえ、莫大な負担の帰することはなかなか困難だろうと考えまして、これは文化の恩恵を享受する権利を持つという国民立場に立って、大蔵省と大いに協議をいたしまして、国が呼び水的な立場に立って、県または地方自治体、末端自治体、市町村に御協力をお願い申し上げて、残る三万戸を第六次五カ年計画の中でこういった措置で救済できないものだろうかと、私は正直に申し上げてこういう問題も真剣に考えているところでございます。  ただ、大蔵省というところはなかなかわかったようなわからぬようなところでありまして、電電公社は独立採算ではないかとか、また、電電公社は財政的にそんなに窮迫もしておらないはずだとか、あれこれあれこれ言ってなかなか要求には応じてこないと思うのであります。私のつたない経験からしましても……。  日本電話技術はもう世界水準以上になりましたし、また、先進国日本でこういった地域をこのままに放てきすることは許されない。そういう立場から、与野党を問わず先生方の御理解と御協力を得て、この問題の解決に真剣に取り組みたいという意欲に燃えていることを申し上げて答弁といたします。
  31. 堀之内久男

    堀之内委員 ただいま大臣の前向きな御答弁をいただきまして一応納得はいたしましたが、経験の深い大臣でありますから、また力のある大臣でありますから、大蔵省ぐらいは説得していただきまして——先ほど無灯火部落のことを申し上げましたが、電力会社は民間会社なんですね。あれも全部黒字を出して配当しておるのです。あそこにみんな出したわけですよ。国が補助金を出して、国と県と市町村でやったわけですから、電話ぐらいは大臣の力をもってすればできると私は思うのです。われわれも全部協力するにやぶさかではありません。  そういうことで、これは県とか市町村に相談する必要のないことですね。幼稚園就園補助というのは国が三分の一出しておいて、あとの三分の二は市町村なんです。市町村長はまいっておるわけですね。国はわずか三分の一しか出さないです。あと三分の二は市町村だということで、いま幼稚園就園補助というのは出ております。そういうことを考えましても、これは国に、大蔵省に全部持てというわけじゃないわけです。県とか市町村も、協力しないところはやらないわけですから、電電公社の場合は独立採算という一つの基本方針がある以上、全部が全部はできないと思いますので、いま御答弁いただきましたような方向でぜひ大臣が前向きに取り組んでいただきますよう御要望を申し上げておいて、次に移りたいと思います。  次に電報の問題でありますが、また、この答申で、内部相互補助は余りやってはならないというように書いてあります。一遍に内部相互補助を廃止することはまた問題もあろうが、それでも限度があるというように書かれております。その限度があるということですが、電報の場合は大体どれぐらいの赤字を出しておるか、ちょっとお聞かせいただきたいと思うのです。
  32. 浅原巌人

    ○浅原説明員 お答えいたします。  御指摘のように電報の収支は赤字でございまして、一番収支率の悪うございました五十年度を見ますと、収入が百五十八億、支出が千二百四十六億でございますから、収支率といたしましては八〇〇%近い状況でございます。五十一年度に料金の改定をしていただきまして、これは十一月からの改定でございましたので、収支率は七〇〇%程度で決算をされております。  五十二年度におきましては、まだ途中でございますのでわかりませんが、予算上の見通しといたしましては、収支率は五〇〇%程度になるのではないかというふうに考えております。
  33. 堀之内久男

    堀之内委員 どれくらいの赤字か。何%じゃわからぬから……。
  34. 浅原巌人

    ○浅原説明員 失礼いたしました。  収支差額で申し上げますと、五十一年度で千百五十億の赤字でございました。
  35. 堀之内久男

    堀之内委員 内部相互補助ということで、この答申の最後にまた、相互補助も一部はやむを得ないが、その程度には限度があると、こういうように出ておりますが、総裁はこれをどのように理解されますか。千百五十億ぐらいは限度の中、これくらいはまだいいのだというように理解されているかどうか、お尋ねいたします。
  36. 秋草篤二

    秋草説明員 何億円までの赤字が限度だということは考えてみたこともございませんが、電報問題は、非常に古い時代は国会でも余り論議はなかったのですが、ここ十年ぐらいの国会では非常に熾烈な論議が毎回の国会で討議されておりました。ことに、一昨年の料金値上げのときは非常に大きな話題となって、与野党の諸先生からいろいろな御意見をちょうだいしております。それが結論としてこの間の料金値上げの結果になったわけでございます。  しかも、利用の態様が昔と大分違って、慶弔電報が七割五分から八割というふうになっておりまして、一般の商用電報はどんどん減っております。しかも、電報の一番泣きどころでありますのは、電話を持っていない、相手も電話がないというものであって、しかも電報内容が社会的に非常に緊急性のある、言うならば「チチキトク」とか、そういう種類の電報は一%程度に落ちております。これが非常に大きな問題でございまして、私は、赤字が何%まではいいとか悪いとかという考え方は持っておらないのでございますが、もう数年たって、電話が完全に普及して、自動化も行われてきた場合ということが大きな一つのめどにはなっております。  それから、もう一つは、ただいまこれに二万五千ほどの従業員が従事しておりますが、この従業員の立場考えますと、漸進的に電報の業務を縮小しなければなりません。そういう点もあって、その具体的な計画は持っておりまして、後でまた御質問があれば御披露申し上げますが、郵政大臣もこの点につきましては非常に御関心の深い大臣でございますので、もう二、三年たってまた一段階の大きな改正をして、最終的には五年か四年かの間に電報料金をもう一度、慶弔電報だけに関しては引き上げていただかなければなるまいと思っております。ただ、そのときに、さっき申し上げましたような社会的、緊急的な非常に必要度の高い電報は絶対上げない、そのかわり特殊な例文をつくっておいて、この電報だけを使っていただくというものを百種類なり五十種類なりつくっておいてもらって、大体これで用が足せるというものは電報は一切上げない、しかし慶弔電報はもう一遍上げていただくという時期が来るのではないか、こんなふうにいまのところ思っております。  ただ、これは法定事項でございまして、郵政大臣はもちろんのこと国会にも十分また御審議を願わなければならぬ問題でございますが、見通しはどうかというようなことをお尋ねになられればそんな所見を持っておる次第でございます。
  37. 堀之内久男

    堀之内委員 もう時間が余りなくなってしまいましたが、いま総裁答弁されましたように、慶弔電報が八割近いものだということになりますとむだだと私は思う。全くむだな仕事だと思う。そういうことを考えると、緊急、人命に関するものだけはやむを得ないとしても、ほかの電報は、料金を上げるとかなんとかじゃなくて廃止して結構だと私は思う。いろいろなところの葬式に行ってみますと、代表として三つばかり読んで、あとは以下同文、見たい人は全部張ってありますからということが多い。そういうような電報だけしかないところに多額の国費で——国費とは違いますが、公社費用で赤字まで出してそんなものを張らせる必要はない。これは国民自体も納得するだろう。一千百億も電報だけで赤字を出しますということであれば、これは十分理解ができるのじゃないかと私は思うのです。  一気に廃止ということはいろいろな問題もありますし、電話がまだ全部普及しておりませんからなかなかそれはできないと思うし、いまお話しのような緊急性のあるものだけ残す、そして赤字解消をこれで図っていくとなるとまた数年後には電話料金の値上げをしなければいかぬ。電話料電報を賄っているとなると国民は納得しないだろうというように理解されますので、この点、今後の課題として早急に——せっかく答申にもこういう内部相互補助は余り好ましいことではないということが書かれている以上、どうしても独立採算でいくならばそれだけで間に合うような電報料に思い切って上げていくという方向をとらなければいかぬのだろうと思いますので、特にこの点を御要望申し上げておきます。  時間が参りましたのでもう一つだけお尋ねいたしておきますが、料金決定に当たりまして、日本の場合は法定料金国会の議決を必要とされておりますが、諸外国の例を見ますと、ほとんど監督官庁決定をするというような形、あるいは内閣、政府というような形になっておるようでありますが、今後公社として望ましい姿に——この答申では、法定料金ではなくて、公社独自で一般の民間の意見を聞きながら決定されるのが望ましいというように答申もなされております。独立採算制を基本としておる電話公社のあり方から見ましても、私もその方が当然ではないかというように考えておりますが、公社並びに大臣等は答申に対して将来どのように対処されていこうと思っておられますか。最後にお尋ねしておきたいと思います。
  38. 服部安司

    服部国務大臣 料金法定制についての答申内容でありますが、私は大変示唆に富んだ答申内容であると理解いたしております。ただ、料金を法定制から外すという点については、いま少し時間をおかしいただいて検討をさせていただきたい、かように私は考えております。
  39. 秋草篤二

    秋草説明員 お答えいたします。  今度の答申の中で一番重要な問題だと私は思っておりますが、非常に明快に、いまの法定にかえてと言っております。と同時に、その中身は、いまの経営委員会をもっと大々的に強化して、民主的にもっと多数の委員を入れて、そしてそこで全部審議して決めればそれでいいと言わんばかりに書いてございます。これは私たちもちょっと驚いたのでございます。  この問題はきわめて重要な、政治的な、政策的な、しかも法律的な課題でございますので慎重の上にも慎重を期さなくちゃなりませんが、しかし、それならおまえの考えはどうかと言われるならば、これは過去において、スト権をどうするかという問題で、三木内閣当時内閣に基本問題懇談会というものがございまして、答申にも出ておりました。それが今度は基本問題会議というふうに衣がえしていま盛んに審議しておりますが、そのときに二回にわたって公社の意見を申し述べろというので、私どもも、米沢前総裁時代に内部で審議して経営委員会にもかけたものをお答えしておきました。それは、やはりいまの法定主義というものはいささか繁雑でもあるし、またいろいろ問題も多いし、世界各国の例もある。しかし、これにかわるものとしては、総裁限りで、経営委員会限りでそうできるものではありません。もっと権威のある料金審議会、あるいは一般の公共料金全部を扱う大きな審議会あるいは電電の料金だけを扱う審議会でもいいから、それの審議を得て、少なくとも大臣、閣議の承認を得るという程度のことはしなければならないであろうという意味答弁を書類をもってしたのがございますので、それをまた変えるという意思もただいまのところございませんし、また、今度の答申が出たからもっと積極的にやるという意思もただいまのところは持っておりません。  それをつけ加えて答弁にかえさせていただきたいと思います。
  40. 堀之内久男

    堀之内委員 最後に御要望を申し上げてきょうの質問を終わりますが、ただいまの料金法定制については大変重要な問題でございます。いまの大臣答弁なりあるいは総裁答弁を聞きまして一応了解いたしますが、いま公社皆さん方の非常な御努力によって、黒字経営と言うと語弊がございますが、労使一体になって十分な努力をなされて——私は、これは三公社五現業の中で最も模範的な企業体だと思っているのです。国鉄のようにあれくらい大赤字を出してしまってから昨年みたいに法定料金を外す、これからは国鉄が自分でやりなさいよ、これをやってみたところで時期を失する、こういうふうにも私は思います。これから経済の変化なり、あるいは社会情勢の変化によってまた大分変わってくると思いますが、そうした時期に立ちおくれのないような方向でその内容等も十分詰めていただきまして、またお互いにこれは今後前向きに検討すべきだ、このように考えております。  そして、今回の答申でも、「国民の負託に応える電気通信事業のあり方」としていろいろ御指摘がされておりますが、いままでは積滞解消あるいは全国自動即時化ということで非常な努力をされてまいりました。この点も高く評価するわけでありますが、さらに今後の経済の発展、技術進歩というものに即応した形でのサービス改善にも最善の努力をしていただかなければなりませんが、しかし、技術的に非常に大きく進んだそういうサービスというものも当然必要でありますが、開かれた電電公社皆さん方が言いながらも、全体をひっくるめてみますと、総裁以下の皆さん方幹部の意見というものがまだまだ末端では必ずしも浸透していないという例があるわけです。  これは二年ぐらい前のことになりますが、私の田舎で落雷があったのです。それで、四時半ごろその日の電話は全部切れてしまったのですが、そのときにちょうど私は市長ですから、落雷で電話が切れたというから、それはいかぬということで、うちからほかの電話ですぐ電話局に連絡を入れると、いや、もう五時になりますから、あしたですと言うのです。そんなこと言ったってだめじゃないか、市長の家に電話がないとなると、夜、どういう緊急連絡があるかわからぬから、やはりうちのだけはすぐでもやってくれ、五時になっても仕方がないじゃないかと言ったところ、いや、もう五時以後はやらぬことになっておりますからと、何回頼んでもやってくれない。とうとう明くる日回しということになりましたが、そういうことは間々あるんだろうと私は思う。いろいろ聞いてみますと、やはり、大体五時以降は公社は仕事をしませんということです。それは五時以降しないのは普通でしょうけれども、そういう突発的な事故が起こった場合、画一的にやらないということでは、サービスの改善とか、開かれた電電公社にしますと言っても、これでは国民の不信を買うことはもう当然だと思うわけであります。  まあ、非常に大きな技術的な問題等にも今後十分取り組んでいただかなければなりませんが、末端のそうしたきめ細かいサービスという面にも十分配慮をいただきますように、今後の御指導方をお願い申し上げまして、きょうの私の質問を終わります。
  41. 松本七郎

    松本委員長 野口幸一君。
  42. 野口幸一

    ○野口委員 私は、昨日、郵政大臣の相模大野郵便局に関する犯罪の問題についての終始にわたる御答弁をお聞きをいたしまして、非常に積極的に、かつあらゆる角度からのこの問題についての見直しといいますか、検討について意欲的な態度をお示しになっていることに対して心から敬意を表するものであります。さらに、また、就任以来、この問題以外の問題につきましても、郵政事業全般にわたって、今日迎えている事業の緊急的な諸課題について前向きにお取り組みになっている姿勢に対して、これまた高く評価をするものでございます。  そこで、私は、この事件の総括的な問題については触れようとは思いませんが、今日における特定郵便制度の欠陥についていささかしさいにわたって申し述べ、この問題についての再検討一つの資料にしていただきたいと、特にお願いを申し上げるのでございます。  まず、冒頭にお聞きをいたしますが、郵政事業は、特にその近代化、効率化、合理化というものを求められておりますが、具体的に言いまして、これらの諸課題は、今日大臣として、どの点に視点があるか、特にその根幹となるべきものは何かということについてひとつ御所見を承りたいと思います。
  43. 服部安司

    服部国務大臣 御承知のとおりに、郵政業務全般にわたって社会的責任の非常に重い反面、国民生活と不可分の間柄に位置いたしております。私は、業務全般を通じて、まず基本姿勢は国民サービスに徹すること、この点に力点を置いて今後の運営を図ってまいりたい、かように考えている次第でございます。
  44. 野口幸一

    ○野口委員 近代化、効率化、合理化というものの視点は、国民サービスというものを一つの基幹に置いて考えていかなければならないというのが大臣のおっしゃっておられるところでありますが、郵政事業というのは、言うまでもなく、三十五万余の人を使いまして、特に人の力の効果をもって事業運営の基幹としているという事業であります。そういった面から考えまして、これらに対する対応策の基盤というものはいかにあるか、つまり人事、人の力を最大限に発揮させていくについてはどのような施策というものが基本的に必要なのかということについてお答えをいただきたいと思います。
  45. 守住有信

    守住政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、郵政事業というのは非常に人力依存の高い事業でございますので、やはり、一人一人の職員がその力が発揮できる、その能率の向上に努力をしていく、そのための体制というのが非常に基本であるというふうに考えておる次第でございます。したがいまして、その職員の職場訓練を初めといたしまして、いろいろな訓練、研修を通じまして郵政事業に従事する。大臣がおっしゃいました国民サービスをしていくという基本的立場での職員の自覚というものを促すと同時に、毎日の日常の職場の中におきまして、明るい生き生きとしたような職場づくりと申しますか、そういうものの中で意欲を持って働いていけますように——いろいろな給与制度、手当等も含めましていろいろな問題もございますし、人事の問題もございますし、あるいはまた福利厚生その他の関係もございますので、職場環境の整備、向上ということもございますが、そういう各般にわたる努力を尽くしていかなければならない、このように思っております。  また、一方、労使の問題というのがこれまた一つの基盤をなしているということでございますので、労使それぞれ立場は違いましても、その郵政事業の役割りというもの、職場における地域へのサービスということを基本に置いた共通土俵の認識というものを労使ともども求め合い、共通点を見出しながら、私どもとしても、求めるべきは組合に求めていきながら、そういう方向に向かって進んでまいって、労使の安定をますます安定化する方向に向かって努力をしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  46. 野口幸一

    ○野口委員 いまお答えをいただきましたことについては、まことにそのとおりでありまして、結構なんでありますが、さらにつけ加えるといいますか、さらに進みまして、昨年の七月に出されました郵政審議会の答申によりますと、職員の主体的努力が業務の運営に大きく影響するので、労働力の効率的活用、職員の労働条件の改善が必要であると指摘されているわけであります。さらに、職員の意欲を高めるために手当、処遇、役職制度の改善充実を配意せよと書かれてあるわけであります。  これについて人事局長は、この答申を受けまして、職員の事業に対する貢献の意欲を高めていく施策として具体的なものがございますか。それをお示しいただきたいと思う。
  47. 守住有信

    守住政府委員 お答え申し上げます。  たとえて申し上げますと、特に郵便の場合、通区手当の問題が答申の中でも触れられておりますし、私どもとしても長い間の懸案になっておるわけでございますが、そういう問題に対しての取り組み、あるいはまた御承知かと存じますけれども、実損回復問題と絡んでおりますけれども、勤務成績良好な職員に報いていくための特別昇給制度の導入の問題等を非常に頭の中に置いておる次第でございます。
  48. 野口幸一

    ○野口委員 それでは、そういった前段のお答えを一つの基礎にいたしまして、現実にいささか細かい話になりますけれどもお答えをいただいて議論を進めたいと思います。  職員が満二十五歳で、高等学校を卒業して郵政省に入った場合の初任給は幾らなんですか。
  49. 守住有信

    守住政府委員 お答え申し上げます。  高等学校を卒業いたしまして、民間等の職場におられまして、二十五歳で郵便局に採用される場合でございますが、これは初任給に職歴等によって多少の差がございますけれども、内務職で申し上げますと、おおよそ九万二千円から九万七千円の幅の中で俸給が決められております。なお、外務で申し上げますと、おおよそ九万三千円から九万八千円の幅の中で俸給が定められることに相なっております。
  50. 野口幸一

    ○野口委員 それでは、特定郵便局長に任用される、これはいわゆる管理職になるわけでありますが、任用の規程によりますと二十五歳からなれることになっておりますが、この二十五歳で特定郵便局長に、同じいま申し上げました高等学校卒業という学歴で就任を命ぜられた場合の初任給はいかほどですか。
  51. 守住有信

    守住政府委員 特定郵便局長は御承知のとおり管理職でございますが、二十五歳で特定郵便局長となる場合の俸給は、管理職群俸給表の最低の五級一号俸でございまして、十三万二千二百円でございます。これは部内からなる場合も部外からなる場合も同一でございます。
  52. 野口幸一

    ○野口委員 さきに、職員の意欲を高めるために、手当、処遇についても、いわゆる格差をなくしていかなければならないということについてもひとつ考えるということが答申にもあるわけでありますけれども、いま単に一つの例として申し上げましたが、一般職員が満二十五歳で受ける俸給が大体九万二千円から九万七千円で、まあ平均しまして九万五千円といたしましょう。それが、特定郵便局長に仮にその年齢において任用されますと、一躍十三万二千二百円という給与になるわけであります。これはもちろん特定郵便局長という管理職でありますから、それ相当の金額が加わることについて異議を申すのではないのでありますけれども、ただ、いわゆる二十五歳で特定郵便局長に任ぜられるというこの制度が職員に与える影響という立場から考えますと、これは非常に微妙なものがあるわけであります。  つまり、自由任用でありますから、たまたまそういう例があっても、その者は途端に十三万二千二百円に昇格をして特定郵便局長になっていくわけであります。これがいわば一般の管理職の昇任のような形で行われているとするならば職員の中に問題は起こらないのでありますけれども、事実は非常に複雑になっておるのでございます。  さらに申し上げますが、特定郵便局、特に無集配郵便局において役職の問題を申し上げておきたいと思いますが、いわゆる中間管理職と言われるところの主事、主任という職制が無集配特定局の中にございますか。
  53. 守住有信

    守住政府委員 特定局におきましても、同じように主事、主任の制度がございます。
  54. 野口幸一

    ○野口委員 それはいわゆる特定郵便局、無集配郵便局におけるところの定員何名以上においてその数字がはじかれておりますか。
  55. 守住有信

    守住政府委員 特定局におきます職務、定数は経理局でございますが、私がかわりましてお答え申し上げます。  特定局におきます主事、主任等の役職者につきましては、特に主任につきましては、局長を除きまして、三、四人局については一人、五人以上局につきましては、内務、外務別におおむね一般職員五人ごとに一人の割合で置いております。主事の場合は、局長を除きまして五人以上の局に配置するということにいたしておる次第でございます。
  56. 野口幸一

    ○野口委員 いまの御答弁にもございましたように、無集配特定郵便局における役職の数字というのは非常に少ないのと、さらに、また、特定郵便局の、特に無集配郵便局におけるところの役職の配置数というのは、五人以上にならないことにはいわゆる主事というものがないということになるわけであります。また、さらに、主任配置局というのも、実は四名以下であればこれがないわけであります。そうしますと、実は、役職にならないで一生を過ごすという職員が無集配特定局の中には出てくるわけであります。  こうした場合に、いわゆる東京中央郵便局なら中央郵便局、あるいはまた日本橋なら日本橋というような郵便局で勤務して三十年を終えて退職をする職員と、無集配特定局において三十年間まじめに仕事をして退職していく職員との間に退職金その他一切についての格差のあることを御存じですか。
  57. 守住有信

    守住政府委員 御承知のとおり、郵政省の職員の給与に関しましては、給与特例法を基本といたしまして給与準則を定める、その準則の中での内容につきましてはもちろん労使の合意、団体交渉で、ということに相なっておりますけれども、その給与というものの基本的な考え方でございますが、その職務の内容、責任の度合い等に応じまして給与を決定し、その基本的な考え方に立ってこれを決めておる次第でございます。したがいまして、その職務の責任の度合い、職務の内容等の度合いに応じまして、役職者と役職者でない職員とには結果的にそういう差が出てまいります。  一方、退職手当あるいは共済年金等は、それぞれの退職手当法や共済組合法の規定に従いまして、退職特等の本俸というのが基礎になってまいりますので、自動的にそういう結果が出てくるということは承知いたしております。
  58. 野口幸一

    ○野口委員 いま人事局長の方からの御答弁でも差があるということをはっきりと言っておられます。これは職員の勤労意欲という立場から考えましても、たとえば無集配特定局において勤務をして、一生をその郵政事業に職を奉じて退職していく者と、普通郵便局において勤務して一生を終える者との差が、現実的に、これはいかにまじめに働こうと、いかに忠実に職務を遂行しようと制度上の欠陥からして起こっているという、この問題が言えるのであります。  つまり、今日では特定郵便局における人事交流は、局長もそうでありますが、職員もほとんどないというのが現実でありまして、こういった問題がいま職員の間でのいわゆる勤労意欲にかかわらないということは言えないと思うのでありますが、この点はどう考えておられますか。
  59. 守住有信

    守住政府委員 先生の御指摘の問題につきまして、特に特定局の問題でございますが、小局運営におきまして、そういう自分の局が非常に小さい、主任だけしかないとか主事がないとか、こういう問題だろうと思うわけでございますが、大都市その他では、通勤事情その他から非常に交流がたやすいわけでございますので、絶えずその面について私どもは留意していかなければならない、配意して取り組んでいかなければならないと思っております。  問題は全国あまねくの窓口機関の方でございますので、その立地条件と申しますか、地理的条件、通勤条件というものが非常にございます。したがいまして、職員の問題は、特に強制配転にわたらぬようにという一方のテーマもございますものですから、いろいろ本人の御希望等を聞きながらこれを努力していっておる、こういうことが現状でございます。
  60. 野口幸一

    ○野口委員 私の言いたいのは、実は、特定郵便局、特に無集配郵便局における人事というものはほとんど固定的であるといった意味から考えますと、職員の昇任、昇格という問題は、これまたほとんど皆無であるということが言えるのであります。ましてや、それじゃ長年勤務をしたら特定郵便局長になれるのかと言いますと、実はそういう状態にはなっていないのであります。そこに問題があろうかと私は思うのであります。  職員の採用についてお尋ねするわけでありますが、さきに申し上げましたように、同じ二十五歳で職員になる者と特定郵便局長の間に差があることは先ほど御指摘を申し上げたとおりであります。しかし、これは一方管理職であるからという言い逃れもあるかもわかりませんけれども、少なくとも二十五歳という年齢で特定郵便局長になれるという形がとられていること、ここに問題があろうかと私は思うのであります。つまり、世襲制というものを想定してこの二十五歳ということが決定されているかに考えられるわけであります。  二十五歳という年齢は一体どういう年齢かと言いますと、大体、大学卒で勤続二、三年、高校卒で大体七、八年未満であります。そういう職員の郵政部内におけるところの経歴というのは、もちろん年齢の示すとおりでありますからそんなに多くはないわけでありますが、そういった者が、いわゆる特定郵便局長の息子であるがゆえにということで任用されている。そこで、二十年も三十年も勤続された職員がその下で下積みになって、いわゆる役職もないままに過ごしていく、一生を職員として終えているという、そういう事実が現実として多くあるということについて人事局長は御存じですか。
  61. 守住有信

    守住政府委員 もちろん、特定局の職員の中には、研修所におきます中等部等に応募されまして、その研修後特定局あるいは普通局にそれぞれ幅の広い能力を身につけて行かれる方もございます。  もちろん、先生の御指摘のような面がまだ十分ではないということは認識しております。人事交流の点について、いろいろな御本人の事情もございますけれども、十分じゃないという面があることは認識いたしておりますが、そう全部が固定的であるというふうにも認識いたしておらないわけでございまして、そういう面につきまして、普通局あるいは特定局相互間における昇任の際の問題についてさらにきめ細かく積極的に取り組んでいきたい、このように考えておる次第でございます。
  62. 野口幸一

    ○野口委員 昨日、志賀委員に対する当局の御説明の中で、特定郵便局におけるところのいわゆる配偶者の勤務の状況について御答弁がありましたが、あれはたしか集配特定局も入れての数字でありまして、一番問題となっておりまする無集配郵便局における配偶者並びに縁戚関係にある者の就労の関係の数字ではなかったように思うのであります。たまたま私は、郵政省にそういうような資料をつくっていただくについては恐らく非常に困難であろうと思いましたので、私の出身県であります滋賀におきまして調査をいたしてまいりましたが、その結果、いま申し上げましたように、職員が一定の年齢に達して局長となる道があるのかないのかということについて、いま人事局長は、そういう道は非常に細いだろうけれどもないことはないのだという意味の御答弁もあったと思うのでありますが、仮に申し上げてみますと、無集配特定局が、人口百万ばかりの県でありますからそんなに多くありませんけれども、百四十六局ございます。その百四十六局のうちで、局舎を私費で建てて国に提供いたしております局が百四十局であります。つまり、百四十六局のうち六局だけが他の公費によるもの、国費の払い下げによるもの、互助会建設によるものという形になっております。百四十局がいわゆる私費で局舎が国に提供されているという形であります。  そこで、二代以上が局長に就任をしているという同数がどれだけあるかといいますと、実に百十局であります。百四十六のうち百十局が二代以上にわたって局長に就任をいたしております。その中で、前職で全然郵政事業にかかわりのない人が局長になったという数字は約十三でありまして、一〇%であります。さらに、また、その局長が亡くなったということだけで奥さんが局長になったというのが実は八件ございます。また、職員構成の状況から考えますと、局長の妻が、つまり配偶者が夫婦で局におる者が三十二局ございます。また、局長の縁戚、つまり家族も含めてでありますが、職員がおるところは二十三局ございます。そして、家族だけが、つまり局長がおやじで奥さんも局員、息子も局員という家族だけで構成している特定郵便局が三局ございます。これらを総合いたしますと、五十八局、全体の約四一%が実は家族構成の中にありますところの局でございます。  こういった中にありまして、先ほど申し上げました役職上の問題もさることながら、昇進の道というものは全くと言っていいほど閉ざされている現況にあると言っても差し支えないと思いますが、この点はどう思われますか。
  63. 守住有信

    守住政府委員 先ほど申し上げましたように、特定郵便局というのは非常に山間僻地まで分布されておりますが、その地縁性というのは、特定局長もそういうことでございますが、局員の皆さんも同じように地縁性が非常に深いわけでございます。冒頭に申し上げましたように、御本人の事情あるいは通勤、新しい職場での変化とかいろいろな面でこの点がなかなかいかぬ面があるわけでございます。  しかし、主任への昇任とか、特に主事への昇任ということになってまいりますと、その職務の内容からさらに適任者を選定していかなければならないということで、狭い範囲で選定することなく、同じ特定局の中での範囲を広げて、いろいろなところに声をかげながら郵政局の方でこれを努力しておるわけでございますし、もう一つ中等部の問題もございますが、なおまたそういう両面、現実の面、制度の活用の面、両方の中で努力してまいりたいと思っておる次第でございます。
  64. 野口幸一

    ○野口委員 いま私が申し上げましたのは、特定郵便局長への道という立場で、一般職員が現実には特定郵便局長にいかになることができないかという例を申し上げておるわけであります。  さらに、また、職員の役職上から来る欠陥から、特定局において、それは試験制度があるではないかとか、あるいは都会へ出ていけばいいではないかという議論があるかもしれませんけれども、先ほど来人事局長も言っておられますように、地理的条件あるいは地域的な問題ということを考えますならば、少なくともその局所に踏みとどまらざるを得ないという状態だってあるわけでございます。そうしますと、いわゆる三十五万の郵政職員の中において、無集配特定局の職員あるいはまたその他の局所におけるところの職員において非常に大きな格差が現実的にあらわれつつある。しかも、その状態にあるということについて是正をしようとする当局の姿勢が特定郵便局長の問題も含めてないではないかと、こういう指摘を私はせざるを得ないのであります。  昨日問題になりました相模大野の郵便局の問題に関連いたしまして、実は、読売新聞の二月七日号の、元特定郵便局長田中雄吉という人が投書いたしております中にありましても、実はこのことについて言及をいたしております。「私は三十七年間特定郵便局長を勤めてきた人間である。その経験からして、今回のいわゆる相模大野の一億二千万円の横領事件については、まことに残念だけれども、現行の特定局制度が次のような欠陥を持っているからだと思う。」と元特定郵便局長が言っておるわけであります。「局舎を国に提供できる経済力のある者を優先的に郵便局長に任命しておる。いわゆる経済力という特権を一つの素材にして公務員になっているわけであって、民主主義憲法にも国家公務員法にも違反をしているのじゃないか」と、こういった主張をされております。さらに、「この特定局長には転勤がない。したがって、地域の利用者と親しくなって、お役所式にならないといういい面があるけれども、また一つには、反面には犯罪の温床となる危険性というものがあるのではないか」と言われているのであります。これはもちろん元特定郵便局長の田中という方が投書なさった一例にすぎないわけでありますけれども、私は、いま申し上げましたように、特定局の、特に無集配特定局における任用あるいはまた昇格昇任という問題が一つの吹きだまりのように停滞をしておる、そして人事交流もなされないまま今日の状態を迎えるという非近代的な状況があるということについて御指摘を申し上げたいと思うのであります。  さらに、私は、特定郵便局長の定年制について若干申し上げてみたいと思うのでありますが、いま皆さん方一般管理職の平均の退職年齢は何歳ですか。
  65. 守住有信

    守住政府委員 お答え申し上げます。  普通退職と申しますか、一般の退職について調査したものはございませんけれども、勧奨退職の昭和五十一年度におきます一般管理者の平均退職年齢は五十七歳四カ月でございます。その他の職員は五十八歳八カ月でございます。
  66. 野口幸一

    ○野口委員 それでは、特定郵便局長、特に無集配特定郵便局長の平均退職年齢はいかほどですか。
  67. 守住有信

    守住政府委員 この問題は、集配、無集配別に分けて調査したものはございませんが、特定局長全体といたしまして、勧奨退職の昭和五十一年度における特定局長の平均退職年齢は六十三歳八カ月でございます。
  68. 野口幸一

    ○野口委員 さらにお尋ねいたしますが、現実に局舎を提供いたしておる局長については六十八歳、局舎を提供していない特定局長については六十五歳までは勤務が可能だということについて御存じですか。
  69. 守住有信

    守住政府委員 お答え申し上げます。  以前そういう話を聞いたことがございますけれども、現在の状況を御説明申し上げますと、やはり、健康状態等も含めまして、本人の力量、能力の発揮、地元における信望度合い、評価等々の中で勧奨を勧めていくわけでございますので、そのような物の考え方で進めておる次第でございます。
  70. 野口幸一

    ○野口委員 一般管理職のいわゆる勧奨をされる年齢が満五十八歳だと聞いておりますが、現実にはそれ以下になっているようでございますけれども、特定郵便局長が、無集配特定、集配特定にかかわらず、この六十歳以上という形の中で現実に退職しているという状態は、どういう理由によってこのような状態があらわれてきているのですか。
  71. 守住有信

    守住政府委員 御承知のとおり、特定郵便局の方は小局でございますし、また、地域に密着している、そして、その仕事ぶりと申しますのが大局の場合のような状況ではない、能力があり健康であるような方々は十分その地域と密着して郵政事業の普及なりサービスの向上に寄与できる、こういう物の考え方でいまのように相なっておるものと理解をいたしております。
  72. 野口幸一

    ○野口委員 ここにもまた不合理があるわけであります。皆さんの方ように一般管理職は大体五十八歳、六十歳までで退職をしていかれるのに対して、特定郵便局長なるがゆえに六十五歳、はなはだしきは六十八歳まで勤務をしてもよろしい。しかも、その理由として、いまおっしゃったような公衆との密着性、地域性というものを基調にしておられるわけであります。なぜ優遇されているかと言いますと、これは、実は、局舎問題と密接不可分の問題があるわけであると思うのです。そこへもってきて、実は、その息子に継承させたい、息子が一定の年齢に達するまでがんばらなければならないといったようなことが事実上ございまして、先ほどの二十五歳という年齢を設けたものの、平均して自分の息子が二十五歳になる年齢というのは一体いかほどになるかと考えますと、六十歳を過ぎないとならないというような考え方もございましょう。そういった意味からして、この二十五歳の問題あるいはまた退職年齢の問題というものがここにも実は温存されているわけであります。  非常に矛盾をしたものばかりでありますけれども、今日、近代的な郵政事業を進めていくという立場から考えましても、今日のこの特定郵便局長の任用制度というものはもはや前時代的なものであると私は思うのでありますが、その点はどうお考えになりますか。
  73. 守住有信

    守住政府委員 前段の方の点を少し補足させていただきたいと思います。  御承知のとおり、国家公務員には定年制がございませんので、勧奨による退職ということでやっております。特に、普通局、大局の方の管理者諸君には、やはり勧奨でございますので、言い方が適当かどうかわかりませんが、第二の人生等の問題も実はお世話をしながら話を進めておるわけでございます。特定局長につきましては、最初お答えいたしましたが、もちろん第二の人生等は私どもとしては考えていないわけでございます。  それから、任用制度につきましては、いろいろ御指摘の点がきのうから多面的に出ておるわけでございますが、しかし、私どもといたしましては、その特定郵便局長の地縁性と申しますか、あらゆる山間僻地まである問題でございますので、これが一般競争試験によってなるということは実態的にもそぐわないし、また制度的にもいかがなものかと思っております。やはり、その一定の地域内での候補者の中で選考いたしまして、勤務実績だとか職務経験だとか、あるいは人物、能力、地元の評価等々、非常に総合的な角度からの検討の中で選考、決定するという方法が一番実態的でもありますし、また、御承知のとおり、特定郵便局というものの性格、使命等に即応できるのではないか、このように考えておる次第でございます。
  74. 野口幸一

    ○野口委員 私は、いまの人事局長のお答えをいささか不満に思うものであります。  もちろん、特定郵便局長というのが歴史的にわが郵政事業に対して貢献せられた経過については私もよく承知をいたしております。前島密先生が創設されましたこの郵政事業といいますか、逓信事業について、特定郵便局が果たしました役割りというものについては決して小さなものではありません。しかし、今日では、局長個人の信用によって、局長に資産があるかないかとか、局長の信望がどうのこうのということで事業が成立しているのではないのであります。少なくとも郵政省という大きな、いわゆる国家事業という立場に立っての信頼性というものが国民の中に浸透いたしておると思うのであります。  いま、全体を考えまして、郵政事業ほど前時代的な経営系列を持っているところはないと思うのであります。二、三名の局所に局長を置くということ、このことについては問題があるところであります。たとえばこれをサービス業でありますところの銀行に例をとってみましても、支店、出張所という形で統括をいたしております。支店長の地域性あるいはまた出張所長の個人的な魅力によって事業ができているのではなくて、銀行という一つの信用を前に出しての事業運営をいたしておるのであります。もはやそういう時代に来ておるのであります。もちろん、現在の特定郵便局長が全部が全部信じられない、信用するに足りない、特定郵便局長にふさわしくない人間だとは申しませんけれども、少なくとも任用に当たって考えなければならないのは、こういった前時代的な問題を外して、特に郵政事業の中で事業を経験をした人間を採用していくという道筋をつけないと、職員間におけるところの、先ほど来の制度上の欠陥を補完する意味においても問題があろうかと私は思うのであります。きのうまで魚屋さんであったおじさんが局長になることができるとか、きのうまで家庭の主婦であった者が局長になることができるというような制度が生きておるということについては、一般の国民から見ましても奇異を感じておるところであります。  こういう制度が温存されている限りにおいて、幾ら外に向かって近代性、合理性ということを言われてみても、その欠陥の最たるものの中にそういったものが存在することについては私はいささか腑に落ちないものであります。近代性、合理性を追求していくならば、まずみずからの体質にあるところの近代性に欠ける部分を是正していくという姿勢がなくてはならないと考えるものでございます。  この点については、皆さん方とは意見がいささか違うようでありますからこの辺のところでとどめておきますけれども、少なくとも今回のこの事件を一つの契機にして考えなければならないのは、こういっただれが考えてみても前時代的なことを——特に、たまたま私の田舎であります滋賀県の状態を考えてみましても、世襲制によって二代以上にわたって世襲が行われている局所が百四十六局のうち百十局あるというこの現実を見ましても、今後この問題は事業の中にある大きな欠陥の一つとして摘発されなければならないということを私は痛感せざるを得ないのであります。そしてそれが二十五歳で経験もない人が任用できる、あるいはまた事業経験が全然ゼロの人でも、一定の資格条件にいわば無理やりにでも当てはめることができたらなれるのだという、こういう自由任用的な制度が残っている限りにおいては職員が幾ら働いてもこの役職にはつけないというような制度が残っていることについては、この前近代的な人事管理というものを払拭できる条件は整ってこないと私は思うのであります。どうかその点について大臣も抜本的にお考え直しをしていただきたいということを付言しておきたいと存じます。  そこで、内部牽制について伺いたいと思うのでありますが、事故を未然に防ぐために内部において相互に牽制を行うということを、あらゆる規定あるいはまた細則等においてでも、その精神を伺うのでありますが、それは具体的にどのようなものであるか、お示しをいただけませんでしょうか。
  75. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  為替、貯金の関係につきましては、たとえば郵便局の自局の中での仕事の手順、やり方につきまして、同一人が事務処理、現金の扱いを一貫してすべてやるということは原則として認めておりません。貯金の窓口が二つ以上あるところにおきましては、必ず現金主任と事務主任を分けて、一貫した作業ではしないようにいたしております。  そのほか、たとえば定額貯金証書を発行する場合には必ず内務の責任者がチェックする体制をとらせる、あるいは電信為替の居宅払いの現金を封入させる場合には立会人を設ける、あるいは過超金の送付、資金の受領等に当たっては立会者を設ける等、内部牽制につきましては十分の配意をいたしておるつもりでございます。  なお、自治監査を毎年責任者を定めて行い、その報告を徴するということも考えております。  また、先生御存じのように、自局限りの問題でない部分といたしましては、調査局におきまして受け払い証拠書を厳重に監査するということをやっておりますし、また、資金運転監査を行いまして、資金の異常な動きはチェックできるようにいたしております。  そのほか、たとえば地方貯金局の段階におきましても、定額貯金のお礼を兼ねたあいさつ状を出して、実際交付した通帳額面と貯金局で受け入れた額面のずれがないようにいたしておりますし、通常貯金におきましては元利金がこのようになっておりますという通知を相当数について差し上げまして、通帳額面との違いがあればお届けいただくという制度をつくっております。  なお、最近におきましては、郵便局に置いてあります窓口会計機の新しい機械として入れている部分につきましては、通帳の中に、これは見えないのでございますが、磁気テープに残高を記入させて、確かにこれは改ざんされていないというような点をチェックできるようなことを考えております。  二、三の例を申し上げましたが、そのようにできる限りの配意をいたしておるつもりでございます。
  76. 野口幸一

    ○野口委員 いまお聞きいたしまして、後段の部分は別といたしましても、その他の部分については、いわゆる中央郵便局から無集配特定局まで同じシステムでやれということになっておるのじゃないですか。
  77. 高仲優

    ○高仲政府委員 仰せのとおりでございます。
  78. 野口幸一

    ○野口委員 それでは、たとえば窓口を二つに分けろとか、事務主任と現金主任を分けろというようなことは現実に無集配特定郵便局でできますか。
  79. 高仲優

    ○高仲政府委員 現実の問題といたしましては、局舎が狭隘で窓口が二つとれないという場合もございましょうし、あるいは人数が少ないのでできないという場合もあろうかと思います。そうした場合につきましては、その局限りで事務手続を決めて、これを郵政局に報告することといたしております。  実は、その報告を受けましての郵政局の対応の仕方、たとえば局長が主務者印はしっかり握っておって必ず押せというふうにはっきり指示している局、その他いろいろ区々にわたっているようでございまして、この点につきましては現実に即するように検討を加えたいと考えております。
  80. 野口幸一

    ○野口委員 事実上、私も経験があるわけでありますけれども、内部牽制というものは無集配特定局においては空文化していると言っても差し支えないと思うのであります。  そこで、私は、いわば最小の牽制策として、きのうも御質問がありましたけれども、親戚縁者あるいはもちろん配偶者を含めて同じ者が同じ局所において仕事をしているということについては、内部牽制上から考えてみてもいささかその問題には疑義が生じてくるという立場をとるものでありますが、その点はどうお考えになりますか。
  81. 高仲優

    ○高仲政府委員 先ほど申し上げましたように、非常に規模の小さい郵便局における取り扱いについて、いままでいささか画一的な指示を出しておるきらいがあるといたしますれば、この点は十分検討いたしまして、事務手続面の措置を明らかにいたしたいと考えております。
  82. 野口幸一

    ○野口委員 先ほどもちょっと触れましたように、私は滋賀県でありますから滋賀県の例を申し上げたわけでありますけれども、職員の構成状況を見ましたときに、百四十六局中夫婦でやっているところが三十二局もあるのです。それから、また、親戚縁者を含めますと五十八局あるわけです。こういったものはいわゆる無集配特定局だけを挙げたものでありますが、いわゆる定員が、わが県におきましては大体平均して三、四名というところが多いのでありますけれども、そういった局所において、しかも家族だけがやっているというのが三局あるわけでありますが、幾ら内部牽制がどうのこうのと言ってみても、それらの事実がある以上、私が先ほど来申し上げておるように、内部牽制という問題は空文化してしまうことにならざるを得ない。人員的にもそうでありますけれども……。  それでは少なくとも最小限度こういった血族関係の者は同局においては採用をしない、少なくとも今後においてはそういうことを守っていきたいということについて、人事局長、ひとつ決意をしていただけませんでしょうか。
  83. 守住有信

    守住政府委員 お答え申し上げます。  家族従業員がおるから犯罪が発生しやすいかどうかということについては疑問に思っておりますけれども、家族従業員がおる場合には非常にかばい合うと申しますか、そういうことのためにその犯罪がなかなか発見できにくいとか大きくなりやすいということは、私ども非常に痛感して考えていかなければならぬことだというふうに思っておる次第でございます。  したがいまして、従来から会議の際等にはこの点につきましていろいろ注意を喚起いたしまして、特に、中におきます比率につきまして、いわゆる家族、私どもは姻族については二親等以内、血族については三親等以内ということで、いつも毎年調査して統計をとっておりますけれども、そういうことで認識させながら、少なくともその比率が大きくならぬように、それを少しでも下げていくことについて従来から指導してまいったところでございます。  しかし、本件のような膨大な不祥事件、特に配偶者という問題でございますので、特にこの配偶者の問題につきまして、きのうも申し上げましたけれども、一律にこれを禁止することは——特定局が過疎地域とかいろいろな地域にございますために希望職員もないという問題も実はございますので、この弊害を除去しながら、一律論ではなくて、特に配偶者につきまして、今後は十分抑制的に、また特定局長自身も自粛自省させるような方向に訴えまして、われわれの方の努力、配慮と特定局長自身の反省と、両方からこの問題に対して取り組んでいこう、このように考えておるわけでございます。  それから、また、その局の中における担務等の問題、これは貯金局の方からもお話が出ましたけれども、これについても今後配慮させていきたい、このように考えておる次第でございます。
  84. 野口幸一

    ○野口委員 少なくとも今日の段階において打てる手としては、内部牽制という立場から考えてみても打てる手はもう少なくなってくるわけでありますから、血族、姻族関係というものをできるだけ分離させて、そしてお互いが相互牽制できるような立場をとらせていくということが事故防止に当たってまずとられるべき姿勢であろうかと私は思うのであります。  きのうもお話が出ておったかに思いますけれども、特に配偶者が現金出納官吏をやっている状況局長と二人でやれば証拠書と現金とが、つまり共謀し得るような立場に置かれているという状況については決して好ましい状況ではないわけでありまして、特に配偶者が同一局所の中で勤務をするということ、このこと自体については特段の配意をしなければならぬということであります。  それから、また、特定郵便局長を相互に転勤させることについてはいかがなものかと思うのでありますが、その点についてはどう考えておられますか。
  85. 守住有信

    守住政府委員 特定局長は、御承知のとおりに、何度も申し上げておりますが、非常に地縁性があり、それを通して地域の住民の方々に温かい親切なサービスをしていくということを使命といたしております。したがいまして、これを制度として人事交流をやることについてはいかがなものかと考えておる次第でございます。  なお、実態を調査いたしてみましたら、最近一年間くらいで百四十件くらいのあれが実はあったわけでございますけれども、これを制度として推進することには地縁性が希薄になってまいるという面も、他面の利点に非常な問題が起こるという面もございますので、慎重に考えてまいりたいと思っております。
  86. 野口幸一

    ○野口委員 先ほども申しましたように、特定郵便局長個人の信用あるいはまた個人の国民に対する信頼、そういうものの時代ではないと思うのであります。少なくとも郵政省という背景があって、郵便事業そのものについて、あるいはまた貯金、為替、保険事業について信頼を得て運営ができているという立場から考えましても、そういった従来の考え方をいつまでも温存させていくということについては私は賛成いたしかねるものであります。  したがって、私は、昨日の議論にもございましたように、こういった事故を未然に防止し、さらに信頼を回復して今後近代化する郵政事業の中にありまして、この問題については、特に旧来の問題というものについて、明らかに非のあるところは是正をし、そして結局のところ私が本日質問をいたしております諸点は、この特定郵便制度について抜本的なメスを入れるという、このことをひとつ最後にお願いし、検討していただきたいことを特に要求いたしておきたいと存じます。先ほど申しましたのは、一つは職員の勤労意欲の立場から、一つは事故処理制度立場から、事故を未然に防ぐという立場からそういったいろいろな問題が今日考えられるわけでありますから、ひとつ前向きに御検討をいただいておきたいと存じます。  そこで、若干趣が違う質問をいたしてまいりたいと思います。  昨年のこの答申によりますと、郵便事業国民の理解と協力を得るように努めることは事業そのものについて側面的な効果を発するものだということを言われておるわけでありますが、そこで、今日、国民に対する郵便事業のPRのあり方についてお尋ねをいたしたいと存じます。  大臣、あなたはまだ就任間もないことでありますから御存じないかもわかりませんが、逓信博物館というのがあるのを御存じでございますか、そして最近お出かけになったことがあるか、伺いたいと思います。
  87. 服部安司

    服部国務大臣 逓信博物館のあることは承知いたしておりますが、恥ずかしい次第ですが、まだ一度も伺ったことはございません。
  88. 野口幸一

    ○野口委員 ここにおられる各局長の中で、逓信博物館へおいでになった方はいらっしゃいますか。——それではお伺いいたしますが、現在、逓信薄物館の運営について、現行非常にりっぱであるということと、まあまあであるということと、なっていないということ、この三つにいたしますとどの程度をお指しになりますか。
  89. 河野弘

    ○河野(弘)政府委員 お答えいたします。  各局長は大体みんな逓信博物館に行っておるわけでございますが、私は逓信博物館を所掌いたしておりますので数字を挙げてお答え申し上げますと、逓信博物館の入場者数について見ましたところ、五十一年度、昨年度でございますが、約八十二万人が入場いたしております。それから、十年前の四十二年につきましては十七万人でございまして、この十年間で五倍弱という増大傾向にあるわけでございまして、一応客観的に申しますとPRに役立つだけの効果を持っておるのではないかというふうに感じられるわけでございます。  しかし、私ども個人的にどうかということになりますと、まだまだ努力せぬといかぬところもあるだろう、まあまあだというのが私どもの感想でございます。
  90. 野口幸一

    ○野口委員 私はたびたび参りますのでよくわかっておるのでございますけれども、博物館全体としてはそういうことになるでありましょう。しかし、なかんずく郵便事業、郵政事業の部分で私はお聞きをしたいのであります。  なるほどNHKの関係、それから電話関係は非常に意欲的な施設を施して、そして小学生、中学生を吸引し得る内容になっております。ところが、郵便事業について拝見いたしますと、旧態依然として古い切手が並べられ、ポストの変遷と郵便外務員の服装の変化が若干人形によって並べられているということで、私が十年前に、かつて富士見町にありましたころに参ったときとちっとも変わっていない状態がそのままにあるわけです。郵便番号制度が普及されて、そして自動読み取り区分機なり、あるいはまたその他の機械が入っているにもかかわらず、これらの説明も何もない、自動押印機すらも置いていないという現状を見ますときに、私は、国民に対するPRという点について一番先頭に立っているこの博物館の状態を非常に薄ら寒く感じているわけであります。  この点について、郵務局長、いかがお考えでございますか。
  91. 神山文男

    ○神山政府委員 ただいま逓信博物館の郵便の展示物についての御指摘がございましたが、逓信博物館は、過去の歴史もお知らせすると同時に、郵便の現在の姿も国民の皆様に十分理解をしていただくということと同時に、私どもも、これから将来の郵便の問題等も博物館を利用して御理解いただくという方途を考えなければならないという気持ちを実は持っているわけでございますが、先生の御指摘のとおり、まだまだ博物館の活用については不十分であるということを私は認識しております。  今後どういうふうにこれを持っていくか、これはまたわれわれとしても十分検討をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  92. 野口幸一

    ○野口委員 この答申にもたびたび書かれておるのでありますけれども、いま郵政省がとっておられる郵便事業に対する姿勢というものは非常にかたくなで、昔のとおりで、何といいますか、旧態依然たる形を前向きに改めていこうという姿勢がないのじゃないかと、実は博物館の陳列状況を見ただけでも感ずるわけであります。笛や太鼓でもって郵便番号制度というものについて国民に協力をしろということを言われたけれども、その番号を書くことによって一体郵便物がどういう形で全国に流れていっているのかということについては博物館に行ってもわからないわけであります。  小さな小学生や中学生の諸君が見に行っても、いま郵便がどういうシステムで全国へ流れていっているかということがわからないような状態で博物館が運営されているというようなことは寒心にたえないと私は思うのでありまするが、その点についてはどうお考えになりますか。
  93. 神山文男

    ○神山政府委員 郵便事業の運営の姿勢が非常にかたくなで旧態依然だという御指摘については私どもも反省いたしますが、しかし、郵便の施設の問題、それから先ほど先生の御指摘のあった郵便の機械化、区分機の問題、押印機その他各種の郵便の作業の機械化については、ここ十年相当努力を重ねまして成果も上がってきているというふうに私は考えているわけであります。また、そういう郵便の施設でございます局舎改善等も、この十年の間に相当の改善が進められたというふうに考えております。しかし、今後なお一層郵便の機械化等については進めていかなければいけない。残された分野というものは機械化するには非常に困難な分野が多いわけでございますが、何とかこれを打開して、郵便作業をより近代的に明るい環境のもとに遂行できるようなことを考えていきたいというふうに種々検討を加えているわけであります。  そういう姿勢が逓信博物館の展示の中に一つもあらわれていないではないかという御指摘でありますが、逓信博物館の展示の内容等につきまして、展示の仕方、それからまた非常に貴重な御意見でございましたが、郵便番号の御理解を得るやり方については十分真剣に検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  94. 野口幸一

    ○野口委員 私は、特に今日下降線をたどっております郵便事業について、いろいろなケースがあっただろうと思うのでありますが、過去の一切を捨てて新しい時代に向かって、事業運営の面からも本当に真剣にメスを入れる時期が来たと思うのであります。  私は、単に博物館がどうのこうのと言っているのではないのですけれども、たまたまPRの先頭にあるべき博物館が大手町の角にあって、膨大なる敷地を有し、たくさんの大きなビルを建てて資産投入がされておるにもかかわらず、NHKや電電公社の場合と違って、郵政の博物館における運営というものはまことに旧態依然たるものがあるということを一つ見ましたときに、私は、これに対する当局の意欲が疑わしいと言わざるを得ないということを申し上げているわけであります。  職員からいろいろと事業の改善についてのアイデアが出ているはずであると思いますが、その処理についてはどうしておられますか。
  95. 守住有信

    守住政府委員 御指摘の点の一つ大きな点は提案制度だというふうに理解しておるわけでございますが、事業に関しますいろいろな工夫、改善、特に、職場での身近な仕事に関します点での改善についての意見や提案、考案等につきまして職員から広く募るということによりまして、事業や身近な職場に対する職員の関心を高め、深めまして、そして、それがひいては職員自身の能力開発になりますとともに、りっぱなものを事業全体の改善の中にも資していきたい。こういうことがこの制度の趣旨でございまして、昭和三十八年からあれは始めておるわけでございますが、現在におきまして約二万件ぐらい全国の職員から提案がありまして、それなりの効果を上げておるというふうに思うわけでございます。     〔委員長退席、鈴木(強)委員長代理着席〕  もちろん、身近な問題でございますから、内容は、部分的にはアイデア、発想とも非常に光っておる、しかし、全体として見た場合の整合性等ではなお問題があるということがございますけれども、その部分的なものでも、そういうものを評価いたしまして、そして職員の関心を高めて能力開発に資していく、こういうことでございます。  また、お尋ねのもう一つは、それが現実に郵政事業全体にシステム的に導入されて活用されておるかどうかというお尋ねであろうかと思いますが、最初に申し上げましたように、職員はいろいろな部分の役割りを持っておりますので、どうしても全体の整合性ということでは問題があるわけでございます。これは私が自分の経験を申しましてなんでございますが、東海管内におきましてこういう提案があったわけでございます。御承知のとおり、無集配特定局はだんだん自宅の方と分離の傾向がございますが、夜間無人局がふえまして、いろいろな防犯上の問題、外部からの防犯でございますけれども、これがいろいろ問題になっております。それの防犯警報装置につきまして、電源を電灯線の方からではなくて電池式にいたしまして、その配線やベルをこの警報器の中に内蔵しまして——よく外部からは電線を切断して入ってまいりますので、そうすると鳴らないという問題がございますが、その中に内蔵して電源の切断等によるベルの作動を妨害されるという欠点を改良するという提案がございまして、これは資材部ともどもあれいたしまして、本省としてもこれを各郵政局に紹介いたしまして、郵便局内におけるこういう防犯ベルの問題に大きな成果を上げた。これは一つの例でございますが、私、承知をいたしておる次第でございます。
  96. 野口幸一

    ○野口委員 一つの例を挙げてお話をいただきましたが、私が見る限りにおいては、こういった提案制度なりアイデアを職員間で募集されるのはいいが、ただ、それが何かオリンピックのように参加をするところに意義があるとか、そういう提案をする意欲を起こさしめるという第二義的なところにポイントが置かれていて、内容についてさらに多角的にその提案されたものを検討し直して、これはこういう形で採用をするとか、これはいいアイデアだけれども、いささか地方的あるいはまた部分的であるので採用しがたいといった事後処理がどうもなされていないような気がするのです。したがって、職員間で言われているのは、出してもナシのつぶて、一体どうなったのかさっぱりわからないということがささやかれている現実であります。そういったことは、私が先ほどからも申し上げておりますように、職員の勤労意欲にもいささか関係があるというよりも、むしろそういった姿勢を当局自身が示さない限りいけないと私は思うのであります。  私は、ある局長に次のような提案を受けました。私が考えたのではありませんけれども、非常にいい提案だと思うので、ここで発表させていただきたいと思うのであります。  一つは、暑中見舞いはがきというのがあるけれども、寒中見舞いはがきというものはないではないか、少なくとも、郵政省が暑中見舞いはがきをやるというのなら、暑中見舞いに対して寒中見舞いというのを、一カ月間寒期というものがあるとするならば年賀の答礼として奨励をして、早速年賀はがきをいただいたということで寒中見舞いを出す習慣というものを奨励してみたらどうなのかと、こういう提案がございました。私は、これは非常にいい提案だと思うのであります。皆様方のところにも、喪中につき云々というはがきが年末に恐らくたくさん来るだろうと思うのでありますが、ああいう制度よりも、むしろそれを生かして、寒中見舞いという形の中で、そういう年賀をいただいた服喪の関係の方々が寒中見舞いとしてお出しになるような勧奨をしてはどうなのかと、こういうアイデアを一つ持っているということでありますが、そういう点は積極的に採用してやるという姿勢をお示しになってはいかがだろうかと思います。  また、先ほど来電報料金の問題がございましたが、これに関連しまして、いわゆる慶弔電報に関連して、弔の場合はいささか日程がございませんのでできないかもわかりませんけれども、お祝いをする方においては、いわゆる慶祝郵便というものを考えてみてはどうなのか。これは速達郵便物と混同になるかわかりませんが、特別に配達させるということを一つの目的にしまして、料金を三百円から四百円ぐらい取っても決して電報料金以上にはならないと思うのであります。ちなみに、四十字程度の祝電を打ちますと、いわゆる事前配達にいたしまして、割引料金百五十円を引きましても大体四、五百円はかかってくる今日の電報料金でありますから、それに見合うような、いわゆる事前に配達するということができるのでありますから、慶祝電報にかわって慶祝郵便というものを一定の美しい封筒に入れて、メッセージ等を入れて送り出す制度というものを考えてはどうなのかという問題もございます。  また、切手の問題にいたしましても、これは小さなことかもわかりませんけれども、いわゆる慶賀をする場合に差し出す郵便物に張る切手とお悔やみに差し出す郵便物に対する切手というものは、皆様方の気持ちから考えて当然区別されるべきものでございますが、現在の普通郵便切手というのはネコもしゃくしも同じでございます。たとえば結婚の案内状を出す場合には鳳凰の絵がかかれている特別美しい切手を張らせるとか、あるいはお悔やみの場合には菊の花が飾られている菊の花の切手をつくって売るとか、もう少し前向きな問題を考えるならば、それは決して小さなことじゃないと私は思うのであります。  もっともっと郵務局あたりが実践躬行いたしまして、こういった問題を職員の間にもっともっと出させることによって、いま低下しておる郵便の問題を少しずつでも上げるということは可能であると私は思うのでありますが、この点についてはどうお考えになりますか。
  97. 神山文男

    ○神山政府委員 数々の御提案ありがとうございます。切手、はがきにつきまして先生の御指摘もございましたが、従来いろいろのものを出しております。暑中見舞いのはがきもございますし、年賀はがきもございます。あと、寒中見舞いというお話がございましたが、これも十分検討いたしますが、ただ、ただいま、年賀はがきを今期年末におきましては二十六億五千万枚発行して、非常にお客様の御協力も得ながら売りさばいた直後でございまして、この寒中はがきというものがどの程度国民の皆様に受け入れていただけるかというような問題もあろうかと思いますが、その辺も含めまして研究はいたしてみたいと思います。  それから、慶弔というか、慶祝切手というようなものあるいは慶祝郵便、これは一つのアイデアではございます。しかし、これは先生も御承知のように、現在、慶弔電報というもので、大方の方はこれを利用されている。そこへ慶弔郵便というものを考えてみましてどの程度受け入れていただけるかといった問題もあろうかと思いますし、また、葬儀あるいは告別式のある時間に合わせて出すとなりますと、郵便の場合、電報に比べまして時間的な余裕がどうしても必要になるということで、慶弔郵便というものがなじむものであるかどうかということも若干問題があろうかと思います。  しかし、先生の御指摘の全体の趣旨はわれわれも十分理解いたすところでありますので、あらゆるアイデアを考えまして、今後、事業のPR及び事業収入の増進ということについて努力をいたしていきたいと考えております。
  98. 野口幸一

    ○野口委員 私は一つの執念で申し上げておるわけでありますが、この答申の中にもありますが、国民の文化の向上として、あるいはまた精神的な面から申し上げますならば、心のゆとりのある文化生活という立場から考えても、手紙の効用ということを再々この委員会でも私は申し上げているところであります。  そういった意味で、これはいわば事業の経理的な面から申し上げますならば大したことではない数字かもわかりませんけれども、そういった意味ではなくて、今日郵便事業が持っている文化性というものを強調することによって郵政省の任務がさらに認識をされてくるのではないだろうかと私は思うのであります。したがって、小さなことのように聞こえますけれども、あらゆる面を模索して、郵便というものができる限り国民の間に親しまれていくような制度を積極的に採用していく姿勢をぜひとも示していただきたいとお願いをするわけであります。  たとえば私はもう一つ例を挙げて申し上げますが、いま暑中見舞いはがきの売り出し期間は何日から何日までになっているか御存じですか。
  99. 神山文男

    ○神山政府委員 郵便利用者の方々にもっと利用していただくということのために私どもも十分力をいたしておるつもりでありますが、今後ともさらに一層力をいたしていきたいと思っております。敬老の日とか父の日、母の口というような、こういう一つの日をとらえまして愛の便りを差し出すよう勧奨するとか、そのほか、先ほど申し上げました年賀はがきあるいは暑中見舞いはがき——この発売期間は後ほど申し上げますが、そういったことで利用者の方々にいろいろ勧奨の方法を考えてまいっております。そのほか最近、文通、手紙というものを見直すことを国民の皆様方にやっていただこうということで、各種の新聞を通じて新しい試みの広告等も行っております。今後とも手紙を書く習慣を国民の中に定着させるような、あるいはもっと増進するような施策を考えていきたいと思います。  それから、暑中見舞いはがきでございますが、七月一日発売でございまして、二カ月間発売しているというふうに存じております。     〔鈴木(強)委員長代理退席、委員長着席〕
  100. 野口幸一

    ○野口委員 いまの郵務局長のお答えは、制度としてはそうでありますけれども、実際は大体七月の半ばごろに売れてしまっておりまして、これは全国的に見ますと、旧盆にかかっていない部分があるわけであります。田舎の方へ参りますと、お盆の前後に暑中見舞いのはがきを使いたいと思いましても、すでにもう売れてしまってなくなっているということが現実であります。これはお調べになったらすぐわかります。小さな問題でありますけれども、そういうことを配慮することによっての増収源というものは郵便事業の中にはまだまだ存在していると私は思うのであります。先ほどから何遍か同じことを申し上げるようでありますけれども、私は、これは意欲の問題だと思うのであります。もっと意欲を持ってやるならばまだまだ開拓可能なものが存在していると私は思っているのでありまして、一層の御研さんをいただきたいと思います。  それから、先ほど申し上げました博物館の問題でありますけれども、ぜひとも近々のうちに一度お出かけになって、このPRがいいのか——一番下は漫画が陳列されております。漫画ばっかりであります。二階が電気通信とテレビでありますが、まあまあ何とか見られます。三階へ上がりましたら郵政省であります。古い切手がある。まあ、切手の趣味がある方はいいでありましょうが、古い切手が並んでおります。切手はそれで終わりで、切手室だけであります。その隣がポストの変遷が並んでおって、先ほど申し上げた郵便の集配人の服装がずっと年代別に並んでいる。あとは貯金、保険の事業が数字の羅列がしてありまして、何年度には何%の加入があったとか、何歳の者がどれだけ給付金をもらえるようになったというようなことがただ数字で示されている。あれなら何も博物館に飾らなくてもいいではないかというほど稚拙な陳列方法であろうと思います。これはひとつぜひとも御考究をいただきたいと思います。また、その博物館というものを単に東京に置いておくというだけではなくて、地方に移動させて展観させる移動博物館というようなものも考究されて、ぜひとも一定の期間地方における郵便事業のPRにも使うなど多角的な検討をお願いしておきたいと思うのであります。  この点について総合的に大臣の所感をお述べいただきたいと思います。
  101. 服部安司

    服部国務大臣 先ほどからいろいろと御意見を拝聴いたしておりまして、まことに得るところがございました。ありがたく御礼申し上げます。  さて、まずPR、また博物館の運営のあり方についていろいろ御指摘をいただきましたが、私もきわめて近いうちに足を運んで実態を見ますが、いま経理局長を呼んで、野口先生の御意見はごもっともだと考えましたので、博物館の内容、いわゆる展示物を時代にふさわしいものに変えるについての意見交換をはかりました。御指摘どおり、これは大変な変遷をたどってきておりますので、御参観いただく国民各位にも、郵政事業の発展、また職員の苦労、努力といったことも理解していただけるような内容に、これはスペースとか、かける予算の関係もありますが、誠意をもって考えてまいりたいと思っております。  それから、部内職員からの提言についてでありますが、いま幹部と野口先生の質疑応答の中で私は感じたわけでありますが、御指摘どおり、意欲の問題だと痛感いたしました。部内職員のとうとい体験の上に立っての提言でありますから、私も、みずからそういったものに目を通してみたいと思いますとともに、無にならないように今後は取り扱っていきたいと思います。  なお、郵政事業、特に郵便事業も決して安易な状態ではございません。五十三年度は赤字を見込んでの予算編成でありますから、企業努力というものは、すなわち先ほどの御指摘のとおりに意欲の問題とつながるわけでありますから、行き詰まったから郵便料金値上げに依存するという考え方は全く次元の低い考え方であって、いろいろなアイデアを取り入れて国民の関心を買い、しかも健全な経営基盤の確立に大きく資してまいりたい、かように私は考えている次第でございます。  いろいろと御意見を賜って、新米大臣服部も大変参考にするところがございました。大いに意欲を持って取り組んでまいりたい、かように考える次第でございます。
  102. 野口幸一

    ○野口委員 いま大臣から総括的に御答弁をいただいて私も安心いたしたのでありますが、関係当局、特に郵務局あたりにおきましては、この問題を、従来の経験だとか経緯だとかというものだけを余り強く出さないで、新たな道から開拓するという姿勢に立ってどうか御検討をしていただきたいと思うのであります。  この前の国会の際に、郵政省が今後存続していき、あるいはまた郵便事業が存続していく上において、電気通信事業との競合部分もこれあり、電子郵便の関係についても一体今後どういう姿勢でこの事業の中に位置づけていくのかという問題なども私は申し上げてきたところでありますが、総合的にこれから非常に多難な時代にわたります郵便事業について、一方では電子郵便関係の問題もこれあり、ファクシミリの問題もこれありという時代にあって、さらにまた文化的な立場から考えての、手紙の効用という点から考えてといった多角的な検討を、従来における問題点があるからということで放置するのではなくて、新たな観点から掘り起こすという姿勢をぜひともお出しいただきたいことを特に申し添えておきたいと存じます。  観点がずっと変わりまして、最後の部分になるわけでありますが、今日の円高現象と国際電話の関係、国際通信料金の問題についてお尋ねいたしたいと存じます。  国際通信料金は今日どのように決められておるのか、お尋ねいたします。
  103. 江上貞利

    ○江上(貞)政府委員 国際通話料金の決め方でございますが、決済方法が大変めんどうでございますので、事実を少々分解させていただいて御説明させていただきたいと思います。  関係二国間におきます相互の相手国あての発信の通信量が基礎になります。一定期間ごとにこの通信量を集計いたします。集計をいたしまして、為替レートに関係なく、お互いの国の通信量が同じであれば料金上の決済はないということになります。  もし差がある場合にはどういうことになるかということでございますが、その差の分につきまして、ITUの条約で決まっております金フラン建ての協定料金を媒介といたしまして、決済通貨、これは現実のドルが決済の通貨になっておる場合はドルということになりますが、決済通貨による支払い額を算出いたします。そこで、発信が多かった方の国から相手方の国に多い分の二分の一を支払う、このような仕組みになっております。
  104. 野口幸一

    ○野口委員 現実に日本からアメリカ通話をいたします場合に、その料金日本の国で払う場合とアメリカで払う場合、また、アメリカから日本電話をかける場合に、アメリカで払う場合と日本で払う場合、相手国で払う場合があるわけでありますけれども、例を日本アメリカとにとりますと、実は差がございます。料金が非常に不均等になっているわけであります。  この問題については不合理だと思うのでありますけれども、この点に限ってはどう思われますか。
  105. 江上貞利

    ○江上(貞)政府委員 いまアメリカの実例をおとりになりまして、日本からアメリカにかける場合とアメリカから日本にかける場合というお話でございましたが、ただいま私が御説明申し上げましたのは、両方の国の間におきます決済という関係で申し上げさせていただきました。これにつきましては、ただいま申し上げましたように、さほど為替レートの変更というものの影響はございません。ただ、実際におかけになる方のお立場から見ますと、料金というものは為替レートが変わる前と今日とさほどに変わっておりませんので、ただいまの先生の御指摘のような感じをお持ちになるだろうと思います。  と同時に、比較的為替レートが下がらない国の場合もございまして、このような場合は、ただいま先生指摘の場合と逆な現象もまた起こってまいります。
  106. 野口幸一

    ○野口委員 御説明の趣旨はよくわかりました。ただ、アメリカとの場合は、日本で支払いました場合は一通話三千二百四十円という形になり、アメリカでこれを支払いますと、円に直しまして二千百八十五円、その差一千五十五円という数字になっておる。国民感情から見るならば、変動為替制によって、しかも最近の円高によってずいぶん不合理な状態になっているではないか、これを何とか直せと、一般の内容を知らない人々は直観的にこの問題を挙げているわけであります。  過般の国会におきまして、予算委員会だと思うのでありますが、わが党の岡田委員から質問がございまして、航空料金の関係で運輸省も答弁をいたしておるのでございますが、さらに服部郵政大臣もお立ちになりまして、国際電気通信連合との関係もあるけれども、積極的に円高差益の反映について取り組んでいきたいという意味の発言をしておられるのであります。  こうなりますと、新聞を読む限りにおいては、先ほど申しました日米間の料金差額があるのを安くしてくれるのじゃないかという感じにとっているのでありますが、その辺について大臣はどうお考えになりますか。
  107. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  確かに、先般の衆議院予算委員会で御指摘どおりの答弁をいたしました。国民にそういった印象を与えただろう、もう少し理解を深めるような説明をすればよかったといささか後悔をいたしております。しかし、御指摘のとおりに、国際料金は国際電気通信連合で金フランで決められておりますから為替差益は余り関係はないと言いながらも、事実日本からかける料金は高いわけであります。  私がいま真剣に考えていることは、料金を下げる方向でいわゆる収支の状況検討し、下げる方向でいま努力をしておるわけであります。と申しますのは、こういう現象が起きているのです。アメリカもさることながら、ヨーロッパ方面でも大変な格差があります。だから、日本の商社関係者が日本からかけないで向こうからかけさすという方法をとっていることを私は商社関係の方から教えられて、これは大変なことだと感じました。もっとも国際通信連合のいわゆる定めはありますが、これはこれでひとつうんと努力を払って、現在の制度でのいわゆる貨幣の為替の変動の激しいときに、これを理由に先般もスイスのジュネーブにわが国の代表も行っているということを知りましたので、そういう機関にも連絡をとり、きわめて早い時期に国際通信連合で大いに現在の制度の改廃に努力するべきである。また、こういった問題に関連いたしまして、諸外国でもこういった動きがあるようでございますので、私は、先ほど来説明申し上げましたとおりに、両々相まって諸外国と余り差のない料金体系の確立を図りたいと考えておる次第でございます。
  108. 野口幸一

    ○野口委員 そうすると大臣、この間の答弁で、いかにも料金が安くなるようなことについて努力をすると言われたのは実は舌足らずであって、実際は皆さん方として、いわゆる国民の支払う立場に立っての改善というのは具体的に今日の段階では無理だ、こういうことですか。
  109. 服部安司

    服部国務大臣 そうではありません。あのときよりかもっと進んだ考え方で改定の方向検討いたしておりますと、このように御理解いただければ幸いだと存じます。
  110. 野口幸一

    ○野口委員 いまの段階で、それが具体的にどういうような方策をとればできるのではないかということについてはどのようなお考えを持っておられますか。
  111. 服部安司

    服部国務大臣 まず、現在の国際電電の収支の状態をいま検討させておるところであります。
  112. 野口幸一

    ○野口委員 いま国際電電がお見えになっていませんが、恐らくお知りだろうと思うのですが、KDDはいま円高によって差益があると思うのでありますが、いかほど差益があるのか、大体おつかみになっていらっしゃいませんか。
  113. 江上貞利

    ○江上(貞)政府委員 先ほど申し上げましたように、国際通信というのは輸入と輸出を同時に行っているものでございますので、差益は大変出にくいわけでございます。  また、先ほど御指摘アメリカの場合でございますが、アメリカからの発信量が多いという場合は、逆に先ほど御説明申し上げましたところによりまして為替の差損が出てまいります。アメリカだけに限定をいたしました場合には、五十二年度の上半期の場合で一億八千万円程度の差損が出ております。ただ、全世界的に見ました場合に、通信料だけをとってみた場合には二億八千万円程度の黒字に上半期だけでなっております。パーセントにいたしますと、およそこの間の収入の〇・五%程度ではなかろうかというふうに存じます。——失礼しました。二億八千万円と申し上げましたが、二億七千万円の間違いでございます。
  114. 野口幸一

    ○野口委員 それは理解をいたしますが、先進国等における日本との通信は一定の、実は向こう側の量も非常に多いわけで、特にアメリカは向こうから来る電話の方が多いということで差損があると言われておるわけでありますけれども、後進国に対しては逆に日本からの発信が多いわけでありますから、全体に見て先ほどの二億七千万円ですか、生じているこの差益を具体的にどう国民皆さんに還元をしていくのかという、ここに技術上の問題があると思うのであります。  同一企業の場合はいわゆるコレクトコールの制度というものが実は存在するわけでありますが、このコレクトコール制度について、いま、現在の変動為替制度下にあって、この問題についてはいかがなものかということについては監理官としてどのような考え方をお持ちですか。
  115. 江上貞利

    ○江上(貞)政府委員 先ほど大臣が申し上げました点もコレクトコール制度に関連をしておるわけでございますが、御承知のとおり、コレクトコールの場合には指名通話でございますので、その分だけの手数料をいただくことになっております。したがいまして、為替の差益、差損、これはおおむね一〇%程度でございますので、その程度まではそのことのためにコレクトコールがふえるということはないだろうというふうに存じます。  それから、なお、最近国際通話も自動化を促進しておりますが、自動化の場合には、これは逆に料金を割り引くということになっておりますので、そのような努力もまた必要であろうかと存じます。  それから、大変失礼でございますが、先ほど私が申し上げました数字でございますが、五十二年度上半期において通信料全体で一億八千万円の為替差益でございます。通信料だけに限定をいたしますとそういうことになります。
  116. 野口幸一

    ○野口委員 そこで、これは要望になるわけでありますが、少なくとも今日円高によって得ている、不当とまでは言いませんけれども差益については、国民に還元すべきであるという御意見が強いわけであります。したがって、何らかの形で、金額的な問題は別としましても、その差益を国民に還元していくという姿勢だけは、先ほど大臣が明らかにお示しになりましたのでこれ以上申し上げませんけれども、ひとつぜひとも実現をしていただくように御努力をいただきたいと存じます。  さらに、固定為替相場制度のもとで金フラン単位というものが決められたわけでありますが、現在の国際電信電話料金というものは変動為替相場制度に移行したわけでありますので相当矛盾が存在している。  この点について、これを解決するための方法をぜひとも検討しなければならぬと思うのでありますが、この点についてはいかがなものですか。
  117. 江上貞利

    ○江上(貞)政府委員 確かに、現在行われております国際間の料金決済方法につきましては、先生指摘のような非常に激しい為替レートの変動が行われつつある現状下では矛盾があろうかと思います。  そこで、先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、現在国際間でこの辺のことにつきまして、現行の為替レートの変動に即応したような体制に改めたらどうかというような論議が起こりまして、現在国際間でいろいろと論議が始められた段階でございます。  ただ、この点につきましては、国際間におきましてなかなか利害得失が錯綜いたす点でもございますので若干の日にちはかかろうかと思いますが、この点も、先ほど大臣から申し上げましたように、郵政省といたしましても、積極的に国際会議等でこの問題に取り組んでいきたいというふうに思っている次第でございます。
  118. 野口幸一

    ○野口委員 よくわかりました。  それでは、先ほども申し上げましたように、国内的にはいわゆる変動為替相場による円高差益を国民に還元していくということについての努力をいただくと同時に、国際的にはITUに対して、いま御説明のありましたように、変動為替相場制度に伴っての現実的でない今日のこの料金制度というものに対して、積極的に改定をするように御努力いただきたいということをお願いを申し上げまして、ちょっと時間はありますけれども、以上をもちまして私の質問を終わります。
  119. 松本七郎

    松本委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時一分休憩      ————◇—————     午後二時四分開議
  120. 松本七郎

    松本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。鈴木強君。
  121. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 質疑に先立ちまして申し上げますが、服部郵政大臣におかれましては、御就任以来誠心誠意非常に御苦労をいただいておりまして感謝します。特に、ゆうゆうローンの問題、さらに不幸な相模大野の特定局の不正事件と矢継ぎ早に大変な問題が起きておりますが、私は、この委員会場で、大臣の誠意のある謙虚な態度とお考え方に大変敬意を表します。どうぞがんばってください。  第一番にお尋ねしたいのは、不法電波によってNHKの放送が妨害をされた事件が起きていることでありまして、この件についてお尋ねします。  去る一月十七日の正午過ぎ、NHKテレビ局のニュース放映中に音声が突然とぎれ、十五分間にわたって女性の声が流れるという電波妨害事件が発生しております。このような事件はたしか昨年の十一月に英国の南部において起きているというふうに聞いておりますが、わが国ではちょうどテレビ放送開始二十五周年に当たりますが、初めてのケースだと思いまして、私ども大変驚いた次第でございます。公共のための電波がジャックされるというようなことはきわめて遺憾なことでございまして、しかも、この事件はきわめて組織的、悪質な事件だと私は思います。したがいまして、まず事件の概要についてひとつ事実関係を説明してくれませんか。
  122. 平野正雄

    ○平野政府委員 お答え申し上げます。  今回の事件は、ただいま先生が申されましたように、一月十七日の正午から約二十分間、NHK総合テレビジョン放送でニュース番組の放送中音声がとぎれ、過激派のアジ演説らしい放送が断続的に入ったというものでございますが、事件は被害を受けました聴視者がNHKに問い合わせたことから判明したものでございまして、被害を受けた地域は新宿副都心西方の地域でございます。
  123. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 こういう事件がどういう手段、方法によってなされたのか、その後電波監理局としてそれぞれ御調査をされていると思いますが、一体どういう手段、方法によってこういうふうな妨害をされたのか、その辺の事実関係はどうですか。
  124. 平野正雄

    ○平野政府委員 お答え申し上げます。  関東電波監理局におきましては、この事件の発生直後混信調査特別班を設けたわけでございます。混信調査特別班は電波監視者によりまして妨害発生地域周辺のパトロールを実施いたしまして妨害電波の発見に努めたわけでございますが、混信調査特別班の出動以後は妨害電波が発信されなかったため、電波の発信地点を突きとめることはできなかったわけでございます。  また、NHK及び警察機関から事件発生当時の情報を収集いたしまして、この情報に基づいて電波の発信地点、発信方法等を推定しようといたしましたが、これらを推定するに足りる的確な情報が少のうございまして、電波の発信地点、発信方法等を明らかにすることがまだできない状況でございます。
  125. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 これはふだんにおける妨害電波はもちろんでありますが、電波監視というものが一体どうなっているのか、私は非常に疑問に思うわけですね。もちろん、われわれは長い年月外国からの混信妨害等いろいろなものがありまして、絶えず監視体制を強化して、受信者が良好な感度において受信できるようにということをお願いしてきたわけですが、どうも郵政省電波監理局は、この監視班を組織的にもどこかに統合して縮小するような方向に来ている。電波が一体どういう方法によって妨害されるかということは科学的にももうわかっているわけなんですから、いまあなたがおっしゃるように、こういう電波ジャックをされてから調査班をつくってパトロールしておったらというようなことで、結局証拠が何もないということでは、結局やられ損じゃないですか。こんなことで大事な電波を預かっているあなたの方で国民に申しわけが立ちますか。そういうことのあることも予想されますですからね。特に英国でもそういう例がある。後の祭りで、どうも手がつかぬなんて、そんなぶざまな話を私はここで聞くのは非常に残念ですね。  監視体制は一体どうなっているのか。必要な要員はどんどんふやしたらいいじゃないですか。パトロールカーは幾台あるんですか。
  126. 平野正雄

    ○平野政府委員 先生がただいま御指摘のように、すべての周波数帯につきまして監視をいたすということがもとより郵政省のたてまえでございまして、三十メガヘルツ以下の周波数帯につきましては、関東におきましては神奈川県の初声に基地局を設けまして固定的な監視をする一方、必要の都度移動いたしまして混信関係その他を監視いたしておるわけでございます。三十メガヘルツ以上につきましては、関東電波監理局におきましては、大手町に基地局を設けまして東京及びその周辺に対する固定的な監視を行うとともに、先ほども説明いたしましたいわゆる監視車を出動させまして監視をするということにいたしておるわけでございます。  当日の状況でございますけれども、固定監視は従来どおり計画的に周波数をチェックするという業務を行っておりましたし、また、移動監視車につきましては、御案内のように、最近はいろいろな不法運用あるいは混信現象というようなものがある一方、いわゆる検査、監視機能による検査のためにも使用するというような状況でございまして、それぞれ任務を持って移動をしておった。実はそういう状況でございます。そのために、先ほど申しました十七日の正午過ぎに事件が発生いたしまして、関東にございます。台の監視車を集中的に使用する、さらには大手町にございます常置の固定監視のほかに臨時の監視基地を数カ所設けまして監視するということをいたしたわけでございますけれども、御承知のように電波の発射がその後なかったために捕捉することができないというような状況でございまして、ひとつ御理解をいただければありがたいと思います。
  127. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 何と抗弁しましても、結局監視体制が不十分だということは認めなければならないと思います。ですから、不十分であれば、これをどういうふうに強化して再びどこでやったか、だれがやったか、どういう方法でやったかさっぱりわからぬというような情けないことでは困る。これは過去のことは責めてみたって仕方ないですから、この過去の過ちというか、不十分さというものを直して今後完璧な監視体制をつくるということが私の願いです。私もその道で飯を食ってきているから体制のないのはよくわかります。だから、あなた方は監視体制を強化するよりも弱体化していこうというような方向に組織的にも陣容的にもなっているのだ。それが私は気に食わない。なぜもっと監視体制を常時強化し拡充していかないかということを反省の一つの問題として私はあなたによく知っていてもらいたい。  そういう反省に立って、この妨害電波の監視については目を光らして、いつ何どきどこでやられても、今度は早速警察に通報して犯人逮捕ができるような敏感な措置がとれるような体制をしくことがまず前提なんです。そうしないとこれはまた起きてくる可能性があるから、そういうように断固たる態度で監視体制をつくってもらいたい。これはあなたは事務当局ですから、大臣にその点については答えていただきたい。
  128. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  技術的な問題はただいま平野電波監理局長から申し上げましたが、鈴木先生指摘のとおりに、いかなる事情があろうとも、もうお手上げの状態ですということは許されません。  放送が開始されてから二十五年を迎えるわけでありますが、この間にこういった事件は一度もなかったわけでありまして、先般初めて起きて、一応郵政省の監視機関を総動員いたしまして対処いたしましたが、残念ながらいまだに発信局も、また犯人をも逮捕することはできておりません。まことに遺憾であり、申しわけないと思っておりますが、完璧な監視体制のもとで再びこういった事件を起こさないように強化せよということは御指摘のとおりでありまして、私も急ぎその事件の模様をいろいろ専門家から聴取いたしましたところ、第七環道路上を自動車で発信しながら移動をしたというところまで、これも大体らしいのですが解明をしたようであります。したがって、急ぎこの機動力の強化を図るべきだというわけで検討を命じましたが、予備費を使ってもいいから、ともかく機動力による監視体制の強化を命じましたが、残念ながらこれには何か最低十カ月かかるというようなことで、急ぎ関東周辺の監視車を全部都内に集中いたしまして、警察と緊密な連携をとりながら、当面そういった体制で発信局の突きとめまたは犯人の検挙に努力をいたしております。  電波技術の開発、発展というものは目覚ましいものがありまして、いろいろと原因究明の過程で、簡単にその辺の電気屋に行ってアマチュアハムが持っているようなものに何かちょっと手を加えると幾らでもできるということを聞いて——この電波ジャックというものはわれわれ日常生活に大変な悪影響がありますし、また、政治的にも経済的にもこれは考えれば大変恐ろしいもので、御指摘のとおりでありますし、この技術開発の結果生じたいろいろな問題については、素人や子供が持っているものでも、電波という立場から考えると考え方によっては大変危険な状態のものもあるというので、この見直しをやりたい。いわゆる無線機能はいろいろな種類のものがございますが、こういったものをも見直しをするとともに監視体制の強化をし、それから犯罪の内容をも、現在もある程度電波法で取り締まることはできますが、私は正直申し上げて、これを機会にもう一回法律の改正もあわせて検討を加えて万全を期したい、かように考えている次第でございます。
  129. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 大臣の御所見はよくわかりました。その三つの点について適切な御検討をいただいて、ひとつ速やかに体制をつくっていただきたいと思います。  それで、この事件は電波法第四条違反ですね。したがって百十条に「一年以下の懲役又は五万円以下の罰金」という処罰がありますが、問題は、犯人がつかまらないことにはこれは始まらないわけですから、そういう意味において、警察に対してこの事件が起きてどういう措置をしたか。局長、この点、警察の方には犯人の逮捕についての連絡はどうしたのですか。
  130. 平野正雄

    ○平野政府委員 お答え申し上げます。  郵政省の電波監視機関といたしましては、ただいまの先住の御指摘のような不法無線局の探査の業務をいたしておりますが、この無線局の探査の業務は、電波のいろいろな方法によります監視によりまして不法に発射されている電波を捕捉いたしました場合、無線方位測定装置などを使用いたしましてその電波の発射位置を測定をして発射源の所在を究明するということを目的とした業務でございますが、このような業務を迅速かつ的確に行いまして発射源を確認いたしました場合は、悪質なものについては警察機関に告発をする、警察機関と協力体制をとって捕捉をし、告発するということに従来からいたしておるわけでございます。  したがいまして、今回のような放送妨害を与えた悪質な不法無線局の摘発を行う場合には、当省の電波監視機関と警察機関との間に緊密な情報の交換を行う必要がございますので、特に両者の間におきましては密接な連携を保っておるわけでございます。今後、こういうふうな体制をさらに一層全国的に強化をしてまいりたいと、このように存じておる次第でございます。
  131. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 そうすると、まだ告発をするという具体的な事実には行っていないのですね。
  132. 平野正雄

    ○平野政府委員 お答えを申し上げます。  今回の事件につきましては、まだそこに至っておりません。
  133. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それから、二月十一日の午後九時四十七分ごろ、東京都葛飾区の東立石というところの飛田浦太郎さんという塗装請負業の方のテレビが全く映らなくなった。電波ジャックされたのではないかと一一〇番をして、「警視庁本田署員がかけつけて調べたところ、飛田さん方のテレビの全チャンネルがガーガー、ザーザーの雑音がし、映像も全く映らなかった。さらに、付近の民家約三十軒のテレビも、署員が調べた結果、全く同じように映像、音声が出なかった。」と、これは新聞の記事にもなっておるのですが、このことについては調べてみましたか。
  134. 平野正雄

    ○平野政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの先生の御指摘の葛飾区内の一部におきまして放送の受信に妨害があったという件につきましては、実は、本省には臨時対策本部を、それから関東電波監理局には対策本部を置きまして、警察との間の情報交換のほかに、放送事業者との間の情報交換の道が実は開いてあるわけでございまして、放送事業者の方からそのような連絡があったわけでございます。  それで、その後調査をいたしましたところ、実は電波ジャックではございませんで、電機機器の不良によりまして雑音が発生した、その雑音によりまして放送の受信が妨害を受けたということが判明をしたわけでございます。
  135. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 そういう事実関係がわかりまして、この三十軒の方々に親切にそういう事実関係をよく周知して、御理解いただけましたか。
  136. 平野正雄

    ○平野政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの状況が判明いたしましたのが実は最近でございまして、まだ、先生指摘のように地元の方々にはそのような周知はいたしておりません。
  137. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 そこらが姿勢の問題なんですよ。ですから、やはり、結果がわかりましたらいち早く、係官がいらっしゃるでしょうから現地へ飛ばして、そしてお集まり願ってもいいし、その責任者でもいいですから、そういう方に親切にその事実を教えていただいて安心してもらわなければ、向こうの方々は電波ジャックされたんだろうと思っていますよ。一月十七日にあって、また二月ですからね。そういう点はもう少し敏速にやりなさいよ。お役人式のあれでなくて……。  それから、次に、時間が余りありませんのですけれども、私はどうも腑に落ちなくて納得できませんから、VからUへの移行の問題についてちょっとお伺いしたいと思いますが、この問題については、昭和四十三年九月六日、当時の小林郵政大臣が、今後十年間における無線通信の需要を考えた場合、公共業務等の重要無線通信、主として移動用ですが、その急激な増加が予想されるが、これに必要とするVHF帯の周波数はきわめて逼迫していることにかんがみ、現在のテレビジョン放送用周波数のVHF帯を今後十年を目途として全部UHF帯に移行せしめることとし、という談話を発表されたんですね。当時われわれは、テレビが発足しまして、チャンネルはオールチャンネルは大体まだ使っていないですね。だから、これは受信者にも大変迷惑をかける、コンバーターを一万円か二万円かけて買っておるという時期ですから、時期が早い、もう少し検討して——科学技術の進む時代だから、一から十二のチャンネル、十三から三十二のチャンネル、VUのこのチャンネルについてはもう少し科学的な検討をする必要があるということだった。しかも、Uに移行しますと、当時民放だけでも七百億だったですか、NHKが九百億の金がかかる。要するにUの足が短いですから基地をたくさんつくらなければならない。そういうことで、かなり反対したのだが、当時の小林郵政大臣はがんとしてこれをやった。そしてUV混在が日本に出てきた。しかし、十年たてばテレビがみんなUに行くというからそのつもりでおったら、今度はそれを途中でやめると言い出した。こんな国民をばかにする電波行政がありますか。だから、私は、日本には電波行政なしということを二十年近く国会で叫んできた。これがまたぞろ出てきたじゃないですか。  一体どういう理由でこんなことをしたのか。当時喜んだのはオールチャンネルを使う電気屋さんだったかもしれない。それがまた国民の発展に寄与したかもしれませんけれども、これほど人を食ったやり方はないですよ。しかも、国民に対して、申しわけないなら申しわけないと、これこれの事情だからこうなるくらいの大臣談話でももう少し発表したらいかがですか。小林郵政大臣はやるときにはちゃんと談話を発表した。やはりいろいろとそういう問題があるのです。UでもNTSC方式かSECAM方式か、カラーテレビについては国際的な基準すら国際会議でまだ決まっていなかった。ですから、やることなすことが本当に行き当たりばったりですよ。その理由は何ですか。迷惑をかけた国民に対してわかるように言ってくださいよ。
  138. 平野正雄

    ○平野政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの先生の御指摘のように、V−U移行方針を決定いたしました昭和四十三年当時におきましては、移動用の重要無線通信等に使用されておりましたVHF帯の周波数に対する需要が急速に増加をしておる時代でございまして、今後ともそれが増加するということが予想されたわけでございます。そして、この周波数を確保するためにテレビジョン放送で使用しておりましたVHF帯の電波を重要無線通信のために開放するということが必要であるというふうに考えられたわけでございます。  しかしながら、その後、VHF帯の周波数につきまして、いわゆるチャンネルセパレーションの縮小あるいは多周波切りかえ方式の採用等電波利用の効率化を進めることをいたしまして、近年における電波技術進歩発展によりUHF帯の電波の移動通信用への利用可能分野というものが非常に大きく開けてまいったわけでございまして、今後はUHF帯の利用でおおむね支障なく対応し得るという見通しが得られましたのでV−U移行を行わないということにいたしたものでございます。御理解をいただきたいと思います。
  139. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 そんなことを聞いているんじゃないですよ。あなた方は十年先の見通しがわからなかったでしょう。われわれはそのときには十年先を見通して言ったのです。まだ早いということで。それを強引にやったじゃないですか。技術革新によってやれること、それから電波の効率的な使用ということを考えたからわれわれは建設的な意見を述べたのですよ。だから、やはり十年先の見通しを誤ったのじゃないですか。誤ったのでしょう。それはそれなりに済みませんと頭を下げたらいいんだ。これは当時はあなたはいなかったんだからあなたを責めるのは私もつらいけれども、電波行政というものは、この三十年間を見ておって、そのときそのときの情勢によって右にも左にも行く。テレビ免許の幾つかの例を私は知っている。だから、人間がやることだから見通しを誤ることもあるでしょうが、誤ったときにはやはり自分たちの勉強が足りなかったのだいうことがどうして言えないのですか。  どうも役人さんというのは、自分のやったことが間違っておっても間違ったとは言わないのだ。何とかかんとか理屈をつけて自分の考え方を通そうとする。そういう悪いくせが官僚の中にあるのだ。人間だから間違いを起こしたときには済みませんと潔く謝ったらどうだ。そして姿勢を正して前進すればいいですよ。そういう態度がないのです。迷惑をかけて何ですか。
  140. 服部安司

    服部国務大臣 UHFの移行の取り消しについて、郵政省は先を見る目がなかったのではないかという御指摘は、事実ここでそれを元に戻すのですから、これは当然な御指摘だと思います。私は就任間もなく実は移行を取り消すという説明を聞きましたが、私も鈴木先生同様非常に奇異に感じて、かなり時間をかけて、なぜそういうことをやるのだということの原因をただしました。  先ほど平野局長が御説明申し上げたとおりに見通しは誤ったが、これはまた技術開発進歩の関係でこの状態を続けることがいいという判断に立った上のことで、私は、コンバーターをつけねばならないという問題について、当時郵政政務次官をやっておりまして、こういう大きなハンディをつけてはならない、しかしもうVはないから、ローカル放送の強化のためには、と言った記憶があります。それが機械にいわゆる組み込むことができましたというが、しかし、アンテナが要るではないか——実は、私は、この問題は事務当局とかなり討議をいたしました。しかし、先生の御指摘のとおりに、この方がいいという原因についても、私自身もいまから考えるとちょっと解明を怠った、正直申し上げてもう少しがんばって技術的に解明すればよかったという点はなきにしもあらずであります。  ただ、VからUに移行を強行いたしますと莫大な経費がかかるということになりますと、今日の経済情勢下にあって、私の方針としては、特に民放の経営を絶えず順調に保持さすことが郵政省の責任であるということは、経営内容の悪化ということは放送番組の編成低下につながる。したがって、われわれは決算の報告を義務づけているということはやはり健全経営を推し進めさせる一つの所作であって、そういう観点から私は政治的に判断をいたしまして、それほど莫大な経費がかかるならばということで実は承認いたしました。全く私が十二分な検討を怠った結果であると考えておりますのでどうぞこの点御理解を願いたいと存じます。
  141. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 大臣のそのお考え方はわかりました。大変御苦労されたこともわかりましたが、十年間に全部やると大臣談話があったのです。それをやれないのですから、結果的には国民にうそをついたことになる。そうでしょう。それはまずいいです。  なお、Uに移行するためにとっておいたUの周波数ですね。これを有効適切に使っていただくようにお願いしておきます。  それから、もう一つ、名古屋でタクシー無線をやっておる方々の中で、本来であれば一般利用乗客の御便宜を図るための、配車業務を円滑にするための無線タクシーにコマーシャルを流していたという事件がありましたが、これは厳重に注意をして、その後直っていますか。
  142. 平野正雄

    ○平野政府委員 ただいまの御指摘でございますけれども、タクシー無線が始まりまして以来、タクシー無線を使用いたしております方々と郵政省の間で何回か話し合いの場を持ちまして、ただいま御指摘のようなことのないようにということで実は現在まで来ておるわけでございます。  それで、たまたま名古屋におきましてあのような問題が生じましたので、東海電波監理局当局が現在指導中であるというふうに承知をいたしておりますけれども、全部それがなくなったかどうかまだ連絡を受けておらないわけでございます。
  143. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 では、早速連絡をして後ほどまた知らせてください。  これで終わりまして、次に電電公社の問題で若干御質疑をしたいと思います。  先般当委員会で秋草総裁から概況の御説明を伺いました。特に、ことしからは第六次長期五カ年計画に入るわけでございますが、その節の御説明によりますと、五十二年度の予算と実績との関係におきましては、実収入二兆五千三百三億で、収入に対して〇・七の減少に当たっていると述べております。これは恐らく経済情勢の影響もあるのでございましょうし、同時に、当初二百二十万加入の建設を考えておったものが補正の際四十万減査定になっておる、減補正をしておるということで、その増加分の収入減ということも当然考えられると思いますが、その点は恐らく二つの原因だと思いますが、わかりましたら、それを教えてもらいたい。
  144. 小川晃

    ○小川説明員 お答えいたします。  本年度の収入につきましては、いまの先生の御指摘のとおり、十二月末〇・七%の減収、金額にいたしまして百八十一億円の減収ということになっておりまして、この原因でございますが、私どもは一昨年料金を値上げしていただきましたが、この値上げに対する期待額は大体予定どおりの収入を上げておるというふうに考えております。やはり、景気の停滞ということに伴います。加入申し込みの減少ということによります。この需要の減少に伴う架設の減少、これが主たる原因になっているというふうに考えております。
  145. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それでは恐縮ですが、電信、電話、専用、雑収入と、それぞれ項目別に予算と実績を示していただけますか。
  146. 小川晃

    ○小川説明員 お答えいたします。  項目別にまず見ますと、最初に電信収入でございますが、電信収入は十二月末までで五百三十八億を予定いたしておりました。実績といたしまして五百五十五億ということで、十七億ほど増収になっております。この原因は、先般の料金改定で電報の値上げがございまして、かなり大きな値上げでございましたので、かなり利用が落ち込むというふうに私どもは想定いたしましたが、予想ほどは落ち込まなかったということが原因でございます。  次に、電話収入が全体の収入の九〇%を占めるわけでございますが、二兆三千三百三十億に対しまして二兆三千七十二億ということで、二百五十八億という減収になっておりまして、これは電話の使用料、ダイヤル通話料、公衆電話料、それぞれいずれも予定収入より下回っているということでございます。  それから、次に、三つ目の専用収入でございますが、これが予定額が千百三十一億という数字に対しまして、実績が千百三十三億ということになっております。これは大体予定どおりということでございます。  最後に雑収入でございますが、四百八十六億を予定いたしておりましたが五百四十三億の実績で、五十七億ほどの増収でありまして、これは電話帳の広告収入あるいは受託業務収入が予定したものよりかなりふえておるというのが主たる理由でございます。
  147. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 専用線の使用料が昨年の十二月に改正されましたね。大臣の承認を得ましたね。その分は何月から増収になるというふうに当初予算で考えておったのでございますか。
  148. 小川晃

    ○小川説明員 お答えいたします。  先般の専用線の値上げにつきましては、来年度以降の値上げに予定されております。したがいまして、来年度の予算収入の中に見込んでございます。
  149. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 何月からでございますか。
  150. 小川晃

    ○小川説明員 四月一日からでございます。
  151. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 これは国際専用線についても、何か異議の申し立てが郵政大臣に出ているようでございまして、国内の方も非常に不服だという話を聞いておるのですが、これは不服審判ですか、審査でおやりになると思うのですが、その辺は、手続的には、審判委員会というか、審査委員会というのはまだ開かれていないのですか。
  152. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  KDDの専用線の関係につきましては、電気通信ユーザー協議会ほか三社から異議の申し立て書が提出されております。これは一月二十五日です。現在はこれについても慎重に検討いたしているところであります。  なお、電電公社の専用線の関係についても、異議申し立てがなされました場合にも慎重に検討いたしたい、それとともに関係機関とも緊密な連携をとってこれに対処してまいりたい、かように考えておる次第でございます。  KDDの異議の申し立てとともに、電電にも近く異議の申し立てが出されるように聞き及んでおります。
  153. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 電電公社の方にちょっとお尋ねしますが、電話収入二兆三千三百三十億ですね。実績が二兆三千七十二億ということですが、市外通話料と言いましても、市外が度数になっていますから明確な識別はできないとしても、度数料と市外通話料とはどんなふうなぐあいでございますか。——もしおわかりでなかったら、後で資料ででも結構です。
  154. 小川晃

    ○小川説明員 では、後ほど……。
  155. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 総裁、きのう私は「週刊ポスト」という雑誌を買いまして、帰りに電車の中で見ましたら、何か、電電公社の度数料が間違っておって余分に通話料を取られるというような記事がありました。私もそちらの方におりましたからそんなことないと思っていたのですが、えらく書いてありました。あなたもまたそれぞれ答弁されておりましたけれども、これはどうなんですか。絶対的に間違いがないのか、多少の誤差があるのか、その辺は公社はどういうふうに考えておられるのか。
  156. 秋草篤二

    秋草説明員 「週刊ポスト」の記者が電電公社料金の問題について調査されていたということは広報の関係から前から聞いておりましたが、これは私どももこういうときにこそ公社のPRも必要だというので、熱心に積極的に料金の問題を説明してあげ、また、度数計と現場等も見せて理解を深める意味——最初は非常に好意を持った記事であったわけです。  先生がごらんになった前にもちょこっと何か出たようなことを、それは私は見ておりませんが聞いており、第二回目に二人来ていろいろ調べた結果、最後に私にもちょっとインタビューさせてほしいということで三分ほど会いました。私はその記事を見ましたけれども、中身はまあ非常にいい記事であった。別に公社の悪い点ばかりついているのじゃなくて、非常に理解を持って書いておったのですが、ただ、朝刊を見たら、新聞の広告の見出しが雑誌の目次と全然違っていて、大きな活字で「日本電信電話公社総裁に直撃」とか何とかでかく書いてあるのですね。何か非常にショッキングな広告記事でしたが、雑誌を見ると目次も普通の小さい記事であって、中身を見ますと、これは別に変なものじゃないなということでございました。  そこで、先生の御質問の、料金についてはエラーがあるのかということは、本委員会でも参議院の委員会でもときどき料金に関するいろいろな苦情を国会の諸先生から、代表されて克明に質問を受けたこともございます。それから、新聞等でも、投書を克明に見ておりますと、ときどき電電公社料金の問題についてもございます。ないわけではございません。しかし、その苦情がどのくらい上がってくるのか、また、苦情を究明して、いろいろ応対して、最終的に苦情が本当にこちらの過ちであったというのはどのくらいの率であるのかということは、これは毎月詳細な統計をとって業務管理局で持っておりますから後ほど御説明申し上げますが、ほんのわずかではございますけれども、やはりミスもございます。しかし、それも年々歳々少しずつ減っておりまして、全体から見れば非常にささいではございますけれども、これは絶対に、〇・〇〇何%あってもよくないことでございますから、これは懸命になくするように努力しております。  電信電話サービスがこれだけよくなっても、私たちが一番気を使って現場で配慮しなければならない問題は、この料金問題が一番苦労の種でございまして、それだけに、応対から始まって事務処理なり、電算機に入れておりますけれども、電算機のミスよりも、それの写しを電算機に移す場合の誤差というようなもの、まあまれに機械的なミスもないわけではございませんけれども、これを絶滅することがわれわれの最後のサービスの徹底を図る責任だと思っております。
  157. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 時間がありませんから、その点はまた後ほどで結構です。  それで、第六次計画ですが、長期にわたっての将来のことでございますけれども、水道とかガスみたいに各人のうちにメーターがついておれば、そうすればかけているときに自分でわかりますね。しかし、ああいうことをするのには、それはまた何十億かの金もかかるでしょう。ですから、いまそういうことはできないと思いますけれども、苦情があって、できるだけ親切に答えて、なおかつ納得しないような方に特別に、値段は別としてもそういう設備をつけてあげるようなことはできないのですか。これはむずかしいのでしょうか。
  158. 玉野義雄

    ○玉野説明員 お答え申し上げます。  いま先生がおっしゃいましたように、宅内に度数計をつける関連でございますが、度数計というのは非常に微妙なものですから、温湿度調整とか、こういうようにしておきませんと非常に狂いやすいという点がございまして、宅内に置きますとかえって狂ってまた苦情が出るという、苦情を逆に誘発するというかっこうもございますので、やはり局内でやるのがいいと思っております。  ただ、先生がおっしゃいましたように、希望のある方にはそれに必要な経費を負担していただいて、そして内訳書を差し上げるということも考えられると思いますが、これはDEXといいますか、電子交換機ですと——これは全部じゃございませんが、ある程度、加入数の一割とか二割とかいうかっこうでできますが、クロスバーとステップ・バイ・ステップがいま非常に多いものですから、それでまいりますと、いわゆる度数計監査装置で一々やらぬといかぬわけですが、これはまだ大きいものですからとてもそんな数は入らないという状況でございますので、ここしばらくはちょっとまだ無理だと思っておりますが……。
  159. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 第七次か何か知らぬが、将来展望としてはそういうことも一応いまの段階では公社として考えておると理解していいのですか。
  160. 玉野義雄

    ○玉野説明員 金がかなり大きくかかるものですから、いまのところまだ考えてはおりません。
  161. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それでは、苦情のある者については懇切丁寧に説明してやるような努力はぜひしていただきたいと思います。  それから、次に、建設工事費ですが、こういう時節柄ですし、非常に御苦労いただいておると思います。十二月末の契約額が一兆五千七百三十七億で、大体八九・三%の進捗率になっておるようですが、この建設工事費をある程度細別して——この八九・三%というのは平均した数字だと思いますが、これは何か細分するようなことはちょっとできませんものでしょうか。どうですか。
  162. 長田武彦

    ○長田説明員 お答えいたします。  十二月末の進捗につきましてはいまの先生のお示しの数字のとおりでございまして、今年度予算現額といたしましては一兆七千六百十二億ということになっておりますので、この一兆五千七百有余はちょうど八九・三%ということになっております。  この契約の進捗率につきましては、もちろん中身は設備の関係とそれから建築工事の関係等に細分分計されるわけでございますが、これは現在まだ一本で管理をいたしておりまして、実は、私はいま手元に細分したものは持っておりませんので、もしこれが分けられましたならば先生に御報告をいたしたいというふうに思います。
  163. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 私はこれから第六次五カ年計画内容について概略お尋ねをしたかったのですが、時間が参りましてまた次の機会でなければいけないと思いますが、諮問委員会等のこともありまして、午前中同僚議員からの質疑もありましたが、いろいろと各方面から電電に対する要望もあるでしょうし、また期待も大きいと思います。いままでのような積滞がある時代と違いまして、これからは五カ年間で七百八十万の電話で、九兆の建設投資をするわけですが、新しく発生する需要に対しては申し込めばすぐつく電話が使われるわけですし、さらにまたどこへでもダイヤルで通ずる電話も大体完了に近づいてきておるわけでありまして、ほぼ目的を達しておりますので、これからは三千四百万ありますこの加入電話を、ステップ・バイ・ステップをDEXとかDDXとかいろいろと新しいシステムに変えていく。サービスの向上ということに当然努力を尽くされていくと思うのですが、私は、特に過疎地域における電気通信設備のおくれというものを取り戻すための加入区域の拡大、それから地域集団電話の一般電話への変更、こういったものはかなり期待をしているわけでございます。特に農村地域に対しては、農村集団自動電話という時期から、公社が利益を度外視して電話サービスについては非常に配慮をしていただいて、農家の方たちも非常に喜んでいると私は思います。  したがって、今度はああいう過渡的な措置としての地域集団電話というものを一般電話に変更してもらいたいという非常に強い期待を持っていると思います。それにはいまのような五キロというようなことじゃ困るわけですから、どこに日本人が住んでおろうともみんな普通加入区域にしていただいて、そして東京にいる人と同じように同じ料金でつけてもらいたいということ、これが願いだと思いますね。そういうためには、予算を見ましても相当な経費をつぎ込んでおりますけれども、これはひとつ五カ年間にぜひやってほしいと思うのです。  それから、もう一つ市外局番のダイヤルを要しない地域というものをふやしていこうというので、同一単位料金区域内においてはそういうふうにしたいということがございます。これらもかなり数があると思いますが、われわれが期待をする点でございまして、さっきちょっと申しましたこの問題と、それからいま三千四百万のうちでステップ・バイ・ステップはどのくらいありますか知りませんが、それとこれはクロスバー、DEX、DDXといったものに切りかえていくんですけれども、これも一つの目玉だと思いますね。  こうやってサービスを平等化していくことと同時に、データ通信がこれによってまた新しいサービスも開拓できるでしょうし、また新しい電話サービス——いつか大臣が自動車電話というものを御発表になっておりましたが、ああいった電話も非常に国民が期待するものの一つじゃないでしょうか。そういういろいろな新しいサービス等を開拓していただいて、そして国民の期待に沿っていただきたいと思います。  それで、総裁、いまの自動車電話というのはどういうものですか。ちょっと概略を説明してもらえませんか。
  164. 長田武彦

    ○長田説明員 お答え申し上げます。  自動車電話の方式でございますが、これは現在計画を立てておりますのを例にして申し上げますと、大体東京二十三区内をサービスエリアとして一応考えておりまして、この中に、ちょっと数字ははっきり覚えておりませんのですが、約九局ないし十局ぐらいの無線の基地局をつくります。そことその基地局の近傍におります自動車との間で無線によりまして送受ができるかっこうでいたすわけでございますが、たとえば車は東京都二十三区内を自在に歩き回りますと、自分が現在電波を受けて交信しております無線の基地局のエリアを結局外れてしまうことがあるわけでございます。そうしますと、通話中でありましても、次の電波を受けられやすい隣の基地局と電波を自動的に追跡いたしまして交換をするというようなことをいたしまして、東京二十三区内をどういうふうに動き回りましても常に通信ができるということをまず確保しております。  それから、これの通話につきましては、いわゆる自動車電話から全国どこの陸上にあります黒電話にも通信ができる、それからまたこの逆も可能であるということでございまして、いわゆるタクシー無線みたいな方式でございますと、一つの波を使いまして多数の自動車に対しまして同時に全部話が漏れてしまうというような方式を使っておりますが、これはいわゆる公衆通信の電話といたしまして、特定の電話と特定の電話が、移動局と地上局と、あるいは移動局相互におきましても、他に話が漏れて聞かれることがなく通話ができるという、完全に電話本来の形態をとっておる方式でございます。  現在、これの、特に電波の問題につきましてはいろいろ郵政省で御検討いただいておる次第でございますが、大体その方針が決まりますれば、一年ないし十四、五カ月ぐらいの期間で東京の中で工事をいたしたいというふうに考えておりますが、大体十五カ月程度工事に期間を要するのではないかというふうに考えております。現在その準備を進めております。
  165. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 そうすると、山梨県の甲府から東京都内のタクシーに電話をかけられるわけですね。また、タクシーから山梨県の甲府にかかるわけですか。全国、陸上からどこへでもというのはどういうことですか。
  166. 長田武彦

    ○長田説明員 御説明申し上げます。  私がいま申し上げましたのは、いわゆる公社の持っております現在の加入電話と今回サービスを開始いたします自動車電話、自動車に搭載しております電話でございますが、これの相互の通信がダイヤル接続で可能であるということを実は申し上げたわけでございます。  先ほどちょっとタクシー無線のことを申し上げましたのは、今回その自動車電話としていたしますサービスは、一般のタクシーの呼び出しの無線みたいな多数の——あの場合は車でございますけれども、そういうものに対して一斉指令、一斉呼び出しをするような方式ではなくて、個別にある特定の自動車を呼べるという方式でございますということを実はちょっと補足を申し上げました。ちょっとそこを誤解をされまして、恐縮でございました。
  167. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 私の甲府の局、二二の三三五五から東京の自動車電話に通ずるわけでしょう。また、無線でもってうちが呼べるというわけだ。そういうことですね。
  168. 長田武彦

    ○長田説明員 ですから、要するに、全国の地上にあります電話と、それから今回の自動車電話との間の相互の通信は全部可能でございます。(服部国務大臣「この電話と一緒だと言えばいいんだ」と呼ぶ)そうでございます。
  169. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 わかりました。それでは、時間がありませんのでもう一遍第六次の内容については質疑を申し上げたいと思いますが、大臣もお聞き取りのようにこれからが電電の正念場だと思います。したがって、郵政省としても、ひとつ監督官庁としての最高の御配意をいただかなくちゃなりません。特に、公社法上の制度上の問題もありますし、いまストライキ権の問題を含めて長年の予算総額をなくせという問題もあります。私ども公社におりましたころは、基準内外の移流用は総裁に任されておった。ところが、三十一年からそれすら奪い取られている。そして電電の自主性というものが侵害され、公労法との関係もありますけれども、いろいろな問題がございます。現在の公社形態を変えることはないと私は思いますので、むしろ、よりよい公社形態として財政的にも組織的にも運用ができますような、そういう組織形態にやることも一面においては考えてほしい。  すでに二十九年、三十一年と二回、公共企業体の審議会から答申が出ておりまして、私も参議院におります当時から毎年予算委員会で大臣質問しますと、検討する、検討すると言って十何年、二十年の間、ちりが積もって何もしていないのです。そういうことについても、大臣は誠意があると思いますからぜひ検討していただいて、公社が本当にやりいいような体制にぜひ御協力をお願いしたいと私は思います。これで終わります。  どうもありがとうございました。
  170. 松本七郎

    松本委員長 竹内勝彦君。
  171. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 私は、電電公社の予算が出ましたし、この面に関しましての建築業務にかかわる問題、五十三年度予算、この面からまず入りたいと思いますが、建築業務にかかってどのようになっておるか、まず最初にお伺いしたいと思います。
  172. 秋草篤二

    秋草説明員 竹内先生の御質問は、建築業務とおっしゃられましたけれども、建設ではないんでございましょうか。ビルディングの……。
  173. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そうです。建設関係です。
  174. 高橋敏朗

    ○高橋説明員 お答えいたします。  五十三年度の建設予算につきましては現在国会で御審議をいただいているわけでございますが、五十一年度の実績で申しますと、建設関係の請負工事費は四千五百億でございました。
  175. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 この建設工事関係で、特にその中で一般的に単契約と言われております単価契約工事の問題は一体どういうものか、まずその実態を話してもらうと同時に、この単価契約工事の予算がどうなっておるか、この面に関してお伺いしたいと思います。
  176. 高橋敏朗

    ○高橋説明員 お答えいたします。  単価契約工事とはどういうものであるかというお尋ねでございますが、私どもの方の電気通信の設備工事は非常にたくさんの種類があるわけでございますけれども、その中で、加入電話を新しくおつけするとか、あるいは電話を移転するとか、こういうふうな工事がございます。こういう工事は、お客様からいつどのような形で要望が発生するかということが非常にわからない、非常に不確定な要素が多いわけでございますけれども、一方、お客様からお申し込みがありますとすぐに迅速におつけしなければいけない、あるいは電話機を動かさなければいけないという、こういう性質のものでございます。したがいまして、新しい電話局をつくるというふうにあらかじめ計画がはっきりと決められるものと違いまして、こういう不確定の需要のものにつきましては、ある期間内にどの程度いま申し上げました加入電話の新設なり移転なりの工事があるかということをあらかじめ予測いたしまして、その一つ一つの工事にどれだけの工事単価が必要であるかということを決めまして工事業者と契約をする、こういう方法が単価契約でございます。もちろん、この場合でも、入札の公正性あるいは競争性を保つために複数の業者を指名いたしまして指名競争入札をするという方法をやっているわけでございます。  それから、第二点の、どの程度の工事の予算であるかということにつきましては、われわれの方は単価契約工事であるというようなことにつきまして、内容的な細かい工事の予算がどのくらいになるかということにつきましては、まだ五十三年度についてははっきりしていない、こういう状況でございます。
  177. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは、この工事の内容に関してはそういった面でわかりましたが、電電公社の工事発注に関しての問題で、いまの単契工事に対して入札状況というのはどのようになっておるか、この点を御説明願いたいと思います。
  178. 高橋敏朗

    ○高橋説明員 お答えいたします。  私どものやっております電気通信設備の工事というものは、一般の建築工事に比べますとかなり技術的に高度な、また専門的な要素が一つございます。それからまた一般の工事とはかなり質が違うというふうな点もございますので、この工事に参加する業者の資格というものをあらかじめ認定しておりまして、実際の工事の発注に当たりましては、契約の公正ということとさらに経済性を確保するという面から数社を指名いたしまして競争入札を行うということを原則にしているわけでございまして、では実際にどういう業者を一つ一つの工事に当たりまして参加の指名をいたすかといいますと、まず、その工事がどういう規模の工事であるかというふうな点、あるいは技術的に言いましてそれがどういう技術内容を持った工事であるかという点、それからそういうことに関連いたしまして、われわれが考えます業者が過去にどのような工事の実績を上げているかとか、あるいはその業者が地域的に見て指名をするのに適切であろうかとか、こういうふうな点をすべて総合して勘案いたしまして、通常数社程度を指名いたしまして競争入札をさせる、こういう仕組みになっておるわけでございます。
  179. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 この入札状況に関して、去る予算委員会におきましてわが党の同僚委員から質問をしました。そのことはここにおられる総裁はよく御存じのとおりでございますが、いま御説明いただきましたように、競争入札しておるにもかかわらず二年ないし三年間同一の会社が同一の地域において落札していく。これがずっと続いておる。関東の大手五社あるいは関西の大手三社、全国的にもそうでございます。こういった面において、総裁はお認めになりましたけれども、一体これはどういうことなのか、もう一度ここで御説明を願いたいと思います。
  180. 秋草篤二

    秋草説明員 電気通信工事の現在の契約の仕組みというものは御説明を積み重ねないとなかなか御理解できないと思っております。と申しますのは、予算委員会でも時間もありませんでしたけれども申し上げましたが、公社の認定業者というのはただいま全国で六十八社ございます。そのほか下請、孫請も時にはあって、たくさんの下請も使っておりますけれども、その入札に参加させるのが六十八社でございますから、宮崎県とか熊本県とかそれぞれ地域的に分けますと、そこに六十八社の本支店が全部何らかの形であるわけではございません。関東にウエートの多い会社もありますれば、九州だけしか働かない会社もございます。そうしますと、一県に限りますと、支店と、それからそこに本店を置く小さい業者も含めてどうしても数社しかございません。  そこで、先生から見れば非常に不明朗な競争入札ではなかろうかとおっしゃると思うのでありますけれども、東京の単契に九州の業者が参加しても一向構いませんけれども、これは参加するはずはございません。なぜならば、地域的な事情から言って遠いところから足代をかけて参加しても敗れるのに決まっておりますから、どうしても自然数社に落ちつくということはもう原理でございます。ただ、年々歳々決まったら永久にそこに決まるかと言えば、これはもう競争入札の形をとりますから、多少その都度その都度お互いに単契を争って商売を多くするために競争をして、ことに隣県の業者などはかなり殺到してまいります。それにしましても、一般の自由競争契約のように完全な公開入札のようなものではございませんから、集まっても八社とか九社ぐらいがせいぜいでございます。その中で電話局単位で決めておりますとどうしても数社に限って、しかもそれが三年とか二年半とかに一遍交代するのがせいぜいになってまいるのであります。  うちの事業の建設業界というものはほかの産業に一切手を出さない、一〇〇%とは申しませんが、九八%か九七%ぐらいは電電公社だけで飯を食わなければならないという会社でございます。どうしてそういうことになるのか、もっとたくさんふやしたらいいじゃないかということは、電通省時代は全国タケノコのごとく一斉に百八十社ぐらいできたことがございましたけれども、うるさいことも言うし、また技術基準もむずかしいし、それじゃほかの商売がなかなかできないということでだんだん減ってまいりまして、今日六十八社になったのであります。  こうした事業をやっています。番いい例は東京電力、関西電力あるいは九州電力で、電力の電気工事も、関東電気工事とか九州電気工事とか、一社で下請を使って九州管内をほとんどやっておる。これが建築でございますと、電電公社の建築量は年間概算千五百億ぐらいあろうと思います。にもかかわらず、指定業者は三千五、六百うちでは認定しております。建設省は全国を扱っておりますから四千五百社ぐらい登録しているそうでございますが、私どもの建築量は非常に大きいといいましても、日本全国の建築量に比べますと建築だけでは一%にも満たないのでございます。それでも電電公社日本全国で業者を九七、八%養うぐらいの量でございまして、そこに特殊性がある。それから商売もほかにはお座敷はないということで、非常にむずかしい業者の扱いをしなければならない。この問題につきましては、公社発足以来といわず、電気通信省時代から先輩の諸君がいろいろな認定制度をつくっておりまして、また、その契約の方法も学識経験者等も入れていろいろ改善を見たこともございますが、何としましても、突き詰めてみると、いまの状態が考えられる最高のものではなかろうか、もうこれ以上非の打ちどころがないとは申しませんが、まだ改善の余地はあると思いますが、まあ最高のものではなかろうか、こういうことであります。  ただ、いつも御質問の出る下請の問題につきましては隔靴掻痒の感がございまして、親会社を統制しておりますけれども、後を絶たないのでございます。先般も予算委員会で非常におしかりを受けましたし、大臣にもいろいろと御迷惑をかけましたけれども、いまの契約制度、業者制度の問題はまあまあこれくらいのことしかないのではなかろうかと思います。ですから、こういうことをなぜできないのかということを積極的におしかりなり御質問をしていただければ、その場合はこうだということでまた御説明を申し上げて、少しでもいい方向に改善したいと思っております。
  181. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 総裁が言われるような、地域的に東京のところを九州の人はできないのだという、そんなことはわかっているのです。下請の関係も言いました。それもそのとおりでございますけれども、私のいま言っておるのは、元請業者が六十八社ある中で、四十五年下期から四十七年下期まで、全く同じブロックのもとに同じ会社が同じ仕事をずっと続けていく、同じ仕事量、また四十八年上期から五十一年上期まで同じ状態が同じブロックのもとで行われていく、五十一年下期から五十二年度、こういった形で続いていっておる状況を見ても——私はその元請業者の中における公平の面で言っておるのです。何も下請までのことをいまここで論議を進めようと言っておるのではないわけでございます。競争入札ならば、何らかの形でそこが変わってきていいじゃないですか。一年か二年、少なくとも三回なり四回なりその入札が行われていくならば、三年もあれば十二回も変わっていかなければならないものです。それがいまの状況ではそういうようになっていない。それは総裁もいま認めたとおりでございますけれども、こういった面に何か公社という立場上本当に考えていかなければならない面があるのではないか。  こういった立場からいま質問をしておるわけでございますけれども、その中で、今度は工事の業者の中にも一級、二級、三級、四級とランクをつけています。これはどういった形でつけたのか。勝手につけたのか、あるいは合意を得てつけたのか知りませんけれども、そういった形でつけて、そしておまえのところはこういうことしかできないのだというような形に持っていっておる。こういった面におきましても問題が出てくるのではないかと考えますけれども、ランクづけがされておるというのは一体どういう理由からでございますか、これをお伺いします。
  182. 高橋敏朗

    ○高橋説明員 お答えをいたします。  電気通信設備の工事につきましては、非常に高度な専門的な内容のものであるというふうな点と、また、工事のわずかなミスでも、場合によっては直ちに全体の通信システムに非常に大きな影響を与えかねないといういろいろな性格があるわけでございます。したがいまして、認定をしております業者の数は六十八でございますけれども、この六十八社は皆同じような内容を持っているものではございません。技術者の数も違いますし、どの程度の機械器具を保有しておるかということも違っておりますし、また、経営の規模もいろいろ違っておるわけでございます。  したがいまして、われわれといたしましては、いま先生がおっしゃいました一−四級というふうに認定業者のランクを考えるに当たりましては、技術者の数であるとか、機械器具の保有量であるとか、これまでの工事成績から見ました技術能力に過去の工事成績、資本金、営業年数、経営状況というものを加味した工事能力を総合的に調査して評価いたしまして、それぞれの会社ごとに、どの程度技術を持っているか、あるいは間違いなく完全な設備をして工事をする力をどの程度持っているかということを認定いたしまして、その力にふさわしい工事を任せる、こういうふうな考え方で認定の内訳を決めているわけでございます。
  183. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは、その技術あるいは人員、いろいろな内容、こういった面で一級、二級というように決めていくという御説明をいただきましたけれども、その仕事をやる中におきまして、線路、土木、シールド等々幾つもございますが、そういった工事がいろいろと分けられている中で、同じ一級の会社でありながら、また、能力が同一であるにもかかわらず、そこに仕事量に一定の格差が出てきておるといった面をすでに御存じであると思いますが、しかもその割合というものが変わらない。これはどういうわけでございますか。あえて名前は申し上げませんけれども、この面に関してお答えいただきたいと思います。
  184. 高橋敏朗

    ○高橋説明員 お答えいたします。  ただいま認定いたします際の内容というものを御説明申し上げたわけでございますけれども、一口に技術者の数あるいは機械工具の保有量というものを同じ一級というふうに認定をいたしましても、かなり幅がございます。したがいまして、同じ一級の中でも技術者の多い、あるいは機械器具を保有している、また総合的な経営力があるという会社が競争入札の結果受注の機会が多い。したがいまして、先生がおっしゃいましたように、同じ一級でありましても完成工事高にいろいろと差が出てきている、こういう状態になっているのだというふうに思っております。
  185. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そうなってくると、一級と決めながらその中で自由に競争をさせていこうといったものとまたそこにおのずとこちらから差をつけていくというような形になったのでは、これはもう競争入札の形にはなってまいりません。  したがいまして、私は総裁に申し上げますけれども技術上からも工事の性質からもある程度偏ったものになることは、これは私もよくわかります。しかし、実際に同じ地域で、そして同じ一級の会社であってそれに格差があり、仕事量も常に一定している。これはもう競争入札の実がないですよ。完全な形骸化です。いま申し上げましたように、各期ごとに同じという事態を考えてみても、この単契工事に関しましては、あるいは上の方からそういった面で何らかの形での指示が出ておるというようなことが考えられるのではないかといった疑問もわいてくるわけなんですよ。この辺の説明総裁、どうですか。
  186. 秋草篤二

    秋草説明員 先ほど来申しましたように、単契工事は、やはり一番単一化した、加入者開通とか移転とかいうようなもので単金によって争うものでありますから、どうしても立地条件のいいところが勝ちを制するというか、入札に入るというのはあたりまえでありまして、したがって、地域的にはあるいは三年も四年も変わらずにいるというのがよく見られると思いますが、しかし、変わることもございます。  やはり競争は競争でございまして、わずかな差でございますけれども、競争で勝てばそこで契約をもらえるわけですが、ただ、一級業者とおっしゃいましたけれども、一級業者の中で、年々歳々単契以外の大きな工事がたくさん公社から発注されます。これは長い歴史を見ておりますと、一級業者の中でも優勝劣敗がありまして、ロングランでは一番から二十三番までぐらいの発注量がございますけれども、昨年の十一番がことしは十番になるとか、一昨年の十三番がことしは十番に上がってくるとか、そういうことはやはり各会社の努力なり成績によって多少の変動はあります。ただ、一般の建築界のような大きな激変は、電電公社に関する限りはあくまでどんぶりの中の競争契約でございますから、その中で会社には経常を保ってやるというある程度の配慮はどうしてもわれわれの脳裏からは去りません。  したがいまして、この六十八社で勝手に自由競争をやらせてみれば、優勝劣敗で恐らく三年ぐらいで業者は半分ぐらいに減ってくるのではなかろうか。また、そういうことをやってもいけないというので、そこに非常にむずかしい点がございます。それをまた実際の競争契約ではないじゃないかとおっしゃられるかもしれませんが、そこが電電公社の特殊な事業の特色であって、これがまた非常に大げさな言葉で私どもの悪口を言われると、癒着だとか、そういうことに通ずるので、そういうことにならないように、しかも業者をまんべんなく、大体平均生かして経営ができるようにしてやるという芳心はしなきゃならぬ特殊な業界であるということが、再三申し上げるようですが、長い間やってきた結果今日の制度がまあまあ一番いいのではなかろうかということで、もっといい方法があれば何なりともおっしゃっていただいて、幾らでも改善いたしますからひとつ教えていただきたいというのがわれわれの心境でございます。
  187. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 総裁が言われるように、六十八社全部で競争すればこれは大変なことだと、そんなことはわかっているんです。そうではないんです。一級、二級、三級、四級と決めておりながら、そこにまた差をつけて、何らかの理由をつけて、同じ地域において同一会社が結局二年ないし三年というふうにやっていくという面を言っているわけであって、三年も四年もたてばかわります。それはもうわかっています。そのことではなくて、いま私が言っておることをどうするかということで私はこの論議を進めておるわけでございまして、それではどうしたらいいですかと総裁は言いますけれども、これは入札に基づいてちゃんとやっていかなければ公平にはならないじゃないかということを私は言っているんです。  しかし、地域の問題もあるし仕事の内容もあるから、その面の考慮というものは当然のことでございますけれども、そこに全く同じなんということはまずあり得ないではないかと言っているわけなんです。この辺について、総裁に答えてもらう前に大臣に、この前の予算委員会のときにも調査したいというように答弁しておりますが、その後の状況をお伺いしたいと思います。
  188. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  先般の衆議院の予算委員会で、たしか坂井委員からだと思いますが御質問を受けましたが、電電公社の建設工事における契約の実態について、早速公社総裁に対し調査を指示いたしました。  なお、郵政省の指示に従って公社においても現在調査中であるということを郵政省の電気監理官から連絡を受けておりますが、現在のところこの調査結果を報告するに至っておりません。督促をいたしますのはもちろんでありまするが、いましばらく御猶予を願いたいと存じます。
  189. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 予算委員会からまだ十日でございますから大臣のもとまでそういった報告等が来ておらない。まあ、その面は期間的にもそういった状況ではないかと思いますが、それならば総裁大臣はまだ報告を受けていないこの件に関して、進捗状況はどうなっていますか。中間報告でもいいです。
  190. 秋草篤二

    秋草説明員 予算委員会後まだ一週間ぐらいだと私は思っておったのですが、十日でございますか。その間また二日休みもありまして、早速建設局長が調べて、まず大臣にこういう話を説明しなければいけない。  省みますと、こうした契約の話とか細かい話は、いままでかつて郵政の監理官にも十分説明はしていないんだということを聞きましたので、それはいかぬ、早速まず監理官説明しなさいということで、ここ二、三日来説明資料を整えて、監理官にきょうあたり話し合ったかどうか知りませんけれども大臣もずっとお忙しくて、大臣のお耳にはまだとても達する時間は経過しておらないのでございます。また、大臣にももっといろいろと私もお会いして申し上げなくちゃならぬほかの問題もありますが、大臣もいまなかなかお忙しくて会えない。監理官すらもまだ説明ができているかできないかという状況でございますが、資料も全部できたから、監理官に十分まず説明をして、監理官を通して大臣に御説明するということでございますから、この点はしばらくごしんぼうを願いたいと思います。必ず御説明して、また大臣にも勉強していただきます。
  191. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 大臣がお忙しいのはわかります。だけれども、係官から何らかの形でもう一歩積極的にこの問題に関して進めていただいて、結論が出たならば、客観情勢から見ても疑惑を持たれるようなそういった面はぜひ改めていただきたいと思います。その点をよろしくお願いしたいと思いますが、それではなぜこういう状態になってきたかという原因について、総裁は何かいい案があればというように言いますが、私は問題提起として何点かを掲げたいと思います。  それは総裁も御存じのように、元請業者を中心とした社団法人電信電話工事協会というものがあるのは御存じのとおりです。この会長を初め役員、各地域の支部長という人たちは大半が元電電の幹部で占められていることがはっきりしていますが、この辺はわかっていると思いますが、どんな割合になっていますか。
  192. 秋草篤二

    秋草説明員 詳細は建設局長から御説明させますが、この工事協会というのは、各業者の社長の会によって、メンバーによって理事なり会長なりあるいは評議員なりというものはできておりまして、また、電電公社の先輩が各社の社長なり専務なりにおりますから、財団法人の役員というものとは多少ダブっているのは当然でございます。しかし、公社から天下っているというか、直接財団法人だけに天下っているというか、お世話になっているのは専務理事一人だけでございます。
  193. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 割合を説明してください。
  194. 高橋敏朗

    ○高橋説明員 お答えいたします。  ただいま先生からも御指摘のございましたように、これは郵政省で認可をされました社団法人でございますので、郵政省の方からお答えいただくべきものであるというふうに思っております。
  195. 江上貞利

    ○江上(貞)政府委員 役員についてのお尋ねでございますが、定款によりますと、理事十三人以内、幹事二人以内ということになっております。理事十三人のうちに常任の理事、専務理事一人が常勤でございまして、この専務理事公社の出身でございます。なお、その他の理事はそれぞれの通信建設関係の社長でございます。  先ほど電電公社総裁から答弁がありましたとおり、この中には電電公社出身の社長が八人程度いるのではないかというふうに存じます。
  196. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 私は役員並びに支部長といった人たちが大半だと言いましたけれども、私の手元にある資料においても、ざっとこの支部長の状況を見たって、関東支部、信越支部、東海支部、近畿支部、中国支部、東北支部と、あと残った支部は少しですよ。この支部長の状況を見ても同じことが言えます。  それから、この工事協会の全国十支部中の支部長さんについて、その中のある方面の支部長は現在の某建設工業の社長でございます。これは元請業者です。この人の公社における最終ポストというものは、これはもうその支部がある方面、同じ方面の最高幹部です。こういうように、局長あるいは公社の本社首脳のクラスがいわゆる天下りをしている。そして協会の理事クラスになっている。いま説明いただいたとおりです。  さらに、また、支部長が持っておる会社の役員構成もやはりそれと同じことが言えるわけです。また、いまのように、賛助会員に現郵政官僚あるいは電電公社幹部、評議員も兼ねているといった状況です。  私は、まず第一点で申し上げるのですが、こういうような公社に関係のあった人たちが、しかも同じ方面の地域の人たちがそういったところへ入り込んでいく。仕事量がまたそういったように一定をしてくる。こういった状況から見ても、この問題は、この人事の面一つを見てもちょっと一考を要するものがあるのではないかと私は思いますが、まず、大臣の御見解をお伺いしたい。
  197. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  まことに勉強不十分で恐縮に存じますが、ちょっと時間をおかしいただいて私なりに検討いたしたいと思いますので、御猶予をお願い申し上げたいと存じます。
  198. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 いきなりでございますし、人事の件に関しては、これは職業選択の自由がございます。これを本委員会で締めつけてどうとかというような考えは私は一切持っておりません。慎重に論議をせねばなりません。しかし、そういった面で、今度は仕事量であるとか、あるいは今度は先ほどの話のように、元請だけではなくて下請、孫請というようにいろいろと影響が出てくるということを——この景気が大変なときに、そういった中で非常に複雑な気持ちを抱きながら仕事をしておる人たちのことを考えなければならないと思うものです。  次の問題に移りますが、そこで、この元請六十八社の中の大手十社、今度はそれ以外の五十八社との関連のこの株式保有について私は論議を進めます。  まず、建設工事会社の中で、いわゆる電電からの天下りの幹部が占められている大手十社の中の会社が他の元請業者の株を保有しておる——これを見ると、株式保有量と仕事量とのこの相関関係というものがまた出てくるのですが、総裁、この点をどう考えますか。
  199. 秋草篤二

    秋草説明員 株式を相互に保有するという会社は私の記憶では一社、すなわち二社ですね。相互ですから。それぐらいしかないと記憶しておりますが、これはまた持っても商法上日常茶飯事の会社で、子会社なり系列の会社はみな株式を持ち合うのはあたりまえでございますが、電電公社の関連の工事会社で株式を持ち合うということは余り私は聞いた記憶がないのでございます。  しかし、専門の局長にまた答弁させますが、それと業務の契約とは全く何ら関係のないことだと私は思っております。
  200. 高橋敏朗

    ○高橋説明員 お答えいたします。  認定業者相互間の株の持ち合いはどうかという御質問でございますけれども、私どもといたしましても、この認定業者の株式の分布がどういうふうになっているかということについて、その詳細まですべてわかっているわけではございません。  われわれの方としては、大株主が大体どういうものであるかというようなことを把握している程度でございますが、ただいま総裁が申し上げましたように、認定業者相互間で株式をお互いに持ち合っているというふうな点につきましては一件、二社の間でそういうふうな状態があるわけでございますけれども、この相互保有ということ以外に、先生がおっしゃいましたように、では大手の会社がそれより規模の小さい会社の株式を持っておるであろうということでございますが、たとえば日本通信建設という一級の認定業者がございますが、それが五〇%以上の株を持っているのが三社でございます。それから、九州に西日本通信建設という一級業者がございますが、これがそれより規模の小さい会社の株式の約五〇%を持っているわけでございますけれども、認定業者六十八社の中で、いま先生がおっしゃいました大手という面から見ましても、それより規模の小さい会社の株を持っている例は、私どもの知る限りではただいま申し上げました四例でございます。
  201. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ですから、この株式保有の関係と私が言っておるのは、大手十社、役員の大半が電電の元幹部でございます。いわば電電公社と一体不離の関係にある会社と思われるものですね。  調査によれば、経営の合理化ということで、ある元請業者が大手十社の中のある会社に株式の何割かを譲れという指示を過去において受けているのですよ。総裁、受けているのですよ。指示が出ているのです。人事的にも、先ほども申しましたけれども、その人を入れなさい、入社後の処遇はこうしなさいというようなことまで指示が出ておるやに聞いているのです。総裁、こういった面をどう考えますか。
  202. 秋草篤二

    秋草説明員 先生の御質問の趣旨がよくわからないのですが、公社で大手の会社に命じて、この会社の株を五〇%なり三〇%なり持てと、あるいはまた小さい会社に受けろという指示をしたということがあるということでごさいましょうか。——そういうことであれば、公社は一切そういうことはタッチしておりません。  それは会社同士のいろいろの経営の、地域的に子会社との連携をよくする意味におきまして、また古い重役さんなどもまた二段の職域を探すためから、わりあいに気の合った同士は資本の持ち合いをするということは自由でございますが、そういうことを公社で指示をするということは、私の知った限り、またいままで監督している限りでは聞いたことはございません。ただ、会社同士ではそういうことは自由でございます。
  203. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 会社同士はそれは当然でございます。だが、総裁、その面は私はここで具体的にどうということは申し上げませんけれども、よく調査をしていただきたい。同時に、人事の介入に関して私は——それはもちろんある工事協会支部長名で出ています。しかもそれは公社と了解済みということまでうたわれているのです。入社後のことは、処遇に関してもこうだ、これはもう公社と協議も経ていますというようなものまでが出ておるという点をどうかよく御検討いただければと、このように考えるものでございます。  株式保有に関しても、大手の十社の中のものが今度それ以外のところのものを保有していく。いま何件か申し上げましたけれども、それが五〇%を超えていくなんということは、その会社はどういうことになりますか。これはもう完全にそこに影響が出てくる。あたりまえのことです。こういったところが、いま私の手元にあるものでも、五〇%を超えている例というものが四つあります。考えてください。上場されていない元請業者に対して株式保有をしていく。何のメリットがあるのですか。株価もそう変動はございません。しかも株をとられた、と言ったら語弊があるかもしれませんが、その大手十社の方へ譲ったところは経営不振でもございません。普通の業者の力関係ではそこまで他社の株を持つということはできないはずです。それはバックに何か巨大なものがあるのではないか。こういうような点もやはり疑惑が出てくるわけでございますけれども総裁は御存じございませんし、よく御調査をいただきたいと思います。  ここで、いまの競争入札の実態、二年ないし三年変わっていないといった状況あるいはいまの人事の面、株の面、こういった面を含めて、公正取引委員会の方が見えておりますけれども、この私のいままでの論議を聞いていていただいて、この実態というものをどういうようにお考えになるか、その見解をお伺いしたいと思います。
  204. 内木場一郎

    ○内木場説明員 お答えいたします。  私どもといたしましては事実関係をいまだ十分に把握いたしておりませんので、ただいまの先生の御質問につきましては即答することを差し控えさせていただきたいと思っております。  ただし、一般的に申し上げまして、先ほどの入札の問題につきましては、事業者団体は、電信電話工事協会は事業者団体に該当するものと思われますが、事業者団体がその構成事業者の原料等の仕入れ先を制限する等の行為がもしありました場合には、これは独禁法上八条一項四号の機能、活動の制限に該当する疑いは十分あります。いわんや入札云々がもし事実とします場合には違反のおそれは十分あるかと思いますが、何分にも事実関係を十分に把握いたしておりませんので、ここでは即答を許していただきたいと思っております。  なお、株式保有の点につきましては、これも独禁法第十条で御承知のとおり、一定の取引分野における競争を実質的に制限するような株式の保有、所有または不公正な取引方法による取得、所有が禁止されておりますので、一会社の株式を支配したからといいまして、直ちに十条違反になるかどうか、これはその規模とかいろいろなものを調べた上でないとやはり即答は許していただきたいと思っております。  なお、人事の点につきましては、不公正な取引方法の一般指定に規定はございますけれども、これもやはり即答は許していただきたいと思っております。  以上でございます。
  205. 秋草篤二

    秋草説明員 ただいま公正取引委員会の方の御答弁に関連しまして、竹内先生から御質問はなかったのですが、先ほどの財団法人電信電話工事協会は契約などには一切関係しておりません。そういう業務はやっておりません。契約などには工事協会というのは一切口を入れておりません。その点だけはひとつ御了承を願います。
  206. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 この株式の面並びに人事の面に関していろいろ申し上げたこの資料のもとでまだ論議を進めたいのでございますが、ほかの問題もございますのでこの点だけにしぼっておきます。  ちょっとこっちから説明しておきますが、たとえば株式支配を通じて会社の合併あるいは電電の幹部と経営者の交代、十年間以上の長期にわたってのこういった状況が続いていく、あるいはまたその株式の保有の大小、人的構成の状況によって仕事量においても何らかの形のものが出てきておるという、こういった面から、たとえばこの合併したものでもどういう形でこういったものになったのかわかりませんけれども、最近のものはちょっとないのですが、たとえば三十九年に二つ、四十年に一つ、四十一年には四つ、四十二年に一つ、四十三年には五つ、こういうような状況が出ております。  それから人的構成を見ても、たとえば新規採用者の概要といったものを見て、この元請業者にどういった人たちが入っていっているか。もちろん中学卒も入ります。高校卒も入ります。大学卒も入ります。職業訓練を受けて入った人もおります。それから公社からということで入っています。その他の場合もございますが、それを見てみましても、たとえばこういった中の中学卒と公社との状況を比較してみましょう。たとえば新規の場合で、四十六年中学卒七十一名、公社からは二百三十五名入っています。四十七年、中学からは五十二名、公社からは二百八十八名、四十八年は中学からは二十八名、公社からは三百四十一名、ずっと続いていきます。四十九年二百五十名、五十年百十八名、これははっきりしたデータでございますから申し上げておきますけれども、こういうように入っていく。もちろんそれは仕事の面においてどんどん発展をさせていくという意味でやっておる。あるいは職業選択の自由、これはそういう面からも当然なことでございますけれども、しかし、たとえばその会社に入って半年でこういう立場にせよとか、これくらいの期間が過ぎたらこういう給料にしなさいというような指示がもしも公社と合意の間でできていたとするならばちょっと問題じゃないか。  なぜかと言えば、仕事というものは、その人を雇って、そしてそれによって会社がメリットを受けていく。その人を雇ったことによって利益を受けていくことによって、じゃ昇進もさせましょう、あるいは給料もふやしましょうというのだったらわかるのです。ところがそうじゃないのです。その時点においてもう決めておるのです。こういった面で出ておるのです。これはもちろん工事協会から出ておるのです。何も公社から出ておるとは言っておりません。だが、公社と合意を得た上でございますと、こうなっておるのですよ。大臣、これをどう考えますか。
  207. 服部安司

    服部国務大臣 御指摘の問題は、これは事実であればかなり検討せねばならない問題でございますが、御指摘を私はまるまる信用いたしたいのでありますが、立場上、これは事実を御指摘いただいて、私は大臣立場で後で今度は調査をいたしたい、かように考えます。
  208. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 電電公社、どうですか。了解済みとなっておるのです。どういうことですか。
  209. 秋草篤二

    秋草説明員 私どもからは年々歳々大幹部もときどき業界にも入りますけれども先生がおっしゃったような、現場等の課長さんとか定年に近いような人が相当多数業界に御厄介になっておることは事実でございますが、そのときの初任給といいますか、入社する条件といいますか、そういうものはこちらからお願いする。あるいはまた逆に、会社からぜひこの人をくれと言ってくることの方がむしろ多いのでありますけれども、その場合には給料はどの程度にしますかということは当然聞かれることでございますし、また、本人の了解も得なければならぬことでございますし、相手の会社の理解も得なければならぬわけであります。  これはどの会社でもそういうことは、給料はどうでもいいというような人もあろうかと思いますけれども、大体そういう配慮はしてあげるのがあたりまえのことだと思っております。それを工事協会で一切固めて統制をとってやるということは私はいま初めて先生から承っておりますし、また、そういうことは工事協会のやる仕事ではないと思っております。
  210. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そうすると総裁、それでいいんですね。そういうことはよくないという立場ですね。総裁、ちょっと委員長にお断わりいただいて、この書類だけ見てください。  それでは、総裁はそういった面はよくないことであるということをこの場におきまして御説明いただきましたので、私は次の論点に移ってまいりたいと思いますけれども、各ブロックにおきまして、関東なら関東あるいは関西なら関西、中部、九州等々どこでもいいわけでございますが、資材を購入する場合として、資材の関係の組合というものをこの工事協会とはまた別につくっておるやに伺っておりますが、この点の御答弁をいただきたいと思います。
  211. 高橋敏朗

    ○高橋説明員 お答えいたします。  電気通信の設備の工事に使用いたします物品は非常にたくさんの種類がございまして、これを大きく分けますと、公社が製造メーカーから直接購入いたしまして請負の工事業者に支給をしているいわゆる支給物品というもの、それから請負業者が自分で工事に関係したものを購入して工事に使用するもの、これをいわゆる業者提供物品というふうに言っておるわけでございます。いまの先生の御指摘の点は、後者の業者提供物品の購入等にかかる組織というものが各地方にあるのではないかというふうに理解をするわけでございますけれども、この資材の共同の購入機関というものは、それぞれ各地方にございます工事の請負業者が、電気通信の工事用の資材を効率的にかつ経済的に購入するという必要を強く感じまして、古くは昭和三十年ごろからこういうものができたところもございますし、全国で十できるまでにはかなり——最後のものができたのが昭和四十三年でございまして、それぞれの各地域ごとにおける資材の共同購入の必要性、また有利性というものに応じまして、それぞれ各地域の請負業者が恐らくいろいろ相談したのではないかと思いますけれども、その結果として組合の組織をつくったとか、あるいはそれが取り扱い量がふえてまいりまして株式会社というふうな形態になったものもあるようでございます。  こういう経過によりまして、工事協会の支部とは別に、この工事業者の資材の共同購入機関というものは、おっしゃったように十の地域に十の機関がございます。
  212. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それで資材の関係の組合はあることがわかりましたが、これはいろいろな性格があると思いますが、根本的には一体何を目的としておるのか。それから人的構成やその内容もまた、先ほどの私の論議のように、やはりこの組合へも電電の幹部の方が、大半の人たちが行っておられるのかどうか。その辺をお伺いして次の論点に進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  213. 高橋敏朗

    ○高橋説明員 お答えいたします。  ただいま御説明申し上げましたこの工事業界の資材共同購入機関というものでございますけれども、これは業者が自分たちで集めまして電気通信設備の工事に使うという資材を効率的にかつ経済的に購入をしようというふうな見地から、先ほど申し上げましたような経緯で逐次設立をされていたものでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、この共同購入機関十団体の代表者がどういう者かという点につきましては必ずしもつまびらかにしていない点もございますけれども、ただいま申し上げましたように、請負工事業者が自分たちの利益のために共同でつくったものでございますから、この共同購入機関の役員というものは、恐らく大体それを設立した工事業界の役員が兼ねている例が多いというふうに思っておりますけれども公社からの出身者がどの程度そういう共同購入機関におるかということにつきましては、まことに申しわけございませんが、まだ現在つまびらかにしておりません。
  214. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 この組合の関係もやはりこの工事協会あるいは業者といった人たちによって構成されていますし、私の論議からいけば、この人たちは大半の人たちが実は電電幹部の人たちが行っておる。先ほどの答弁によってもわかるとおりでございますし、やはりその中で成り立っておるのですよ。この組合というものも、人的構成もまだつかんでいない。よく調べていただきたいと思いますが、同じようにやはりこの電電公社の御関係の人たちの問題がここにまたございます。  そこで、私はこの論議が明確になるようにちょっと資料をつくってきましたので見ていただきたい。総裁、見ていただきたい。——こういうことになっておるのです。パーツを購入する。そういう中で購入する元請業者がおります。そして、資材の認定のメーカーがありますね。工事協会のことは先ほどの論議でわかったとおりでございます。これに工事協会がございます。電電公社の御関係は先ほどのとおりでございます。そこで、この組合を通してメーカーからパーツを購入するという、こういったことを決めておりますね。昭和四十年にこの組合設立以来決めておりますが、これは御存じですか。
  215. 高橋敏朗

    ○高橋説明員 お答えいたします。  ただいまの先生の御指摘のことは、この資材の共同購入機構というものを通じて、そこが全部メーカーから買えと、それが工事業者にまた流している、と、こういうふうに私は聞こえたのでございますが、それでよろしければそれをちょっと補足させていただきますと、この共同購入機構は、まず最初にも申し上げましたけれども、あくまでも工事業者が自分たちで工事に提供するものを経済的に買おう、あるいは円滑に調達をしようというふうな趣旨で設立をされたものでございますから、それをどこのメーカーから買うとか、あるいはそれがどういう流通経路であるかというふうなことにつきましては、公社では一切指示をいたしておらないわけでございます。ただし、例外がございまして、屋内線、屋外線というものがございまして、屋内線はお客さまの家の中に電話機に行くまで張ってある線でございます。それから屋外線といいますのは、道路にございます電柱から家屋のところまで延びている線でございますけれども、これは電話局からケーブルを通りまして電話機まで、通話を行うための一番大事な部分を構成しているものでございます。  本来これは公社が仕様書を決めておりまして、また、公社の支給物品として長らくやっていた品物でございますけれども、その後かなり建設工事量が膨大になりましたために、この資材の購入、払い出しその他一切の業務を円滑に簡素化したい、あるいはまた請負工事業者の工事の円滑も図りたいと、こういうふうな見地から特にこの二点は業者提供物品にしたのでありますけれども、いま申し上げましたように、全体の通話系の中で非常に重要なものでございます。ですから、この通話の品質を確保するという意味から申しまして、品質の悪いものが使用されるということはお客様のサービス上からも非常に好ましくないものでございます。したがいまして、この二点だけにつきまして、公社としてはこの資材の共同購入機構というものを使えということを指定しておるわけでございますけれども、そのほか業者提供物品というものは約三千点ございます。しかし、この二点、品目で言いますともう少し多くなりますけれども、これ以外は公社は流通経路というものは全く指定していない、こういう実情でございます。
  216. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それで、元請業者がメーカーから購入する場合、確かにここを通しています。ところが、やはりここを通すと口銭が必要になってきますね。そういうような意味からも直接購入する人たちが出てきたわけです。これは自由競争です。当然のことですよね。  ところが、口銭がどれくらいかどうか、後でまたわかっておれば御返事いただきたいと思いますけれども、これに対して、この関東ブロックの状況で、関東支部の資材部会が昨年十二月に元請業者でつくられているこの組合を通して新たに、いま言いました鉛管であるとかハンダ類といったものに関して、いままでこの資材組合を通しておったのが勝手にこっちから買うようになってきた。これではよくないから、新たにまたここを通しなさいというようにこの工事協会でまた圧力をかけているのですよ。この工事協会の性格は先ほど私が申し上げたとおりです。こうなってくると、これは果たして一体どういうことなんだ。やはり業者としては少しでも安いものを、ここで口銭を取られるよりもいいじゃないかということでこちらから行っていたのが、またここを通しなさいと、それも五十二年になってから資材局から通知がございましたと言うのです。この事実はありますか。
  217. 高橋敏朗

    ○高橋説明員 お答えいたします。  ただいま関東の資材の共同機構の中におきまして、鉛管等の流通についての御指摘があったわけでございますけれども、この鉛管というものは線路の工事に使用するものでございまして、私の方でも大事な電気通信設備の一部でありますから、仕様書によりましてはっきりこういう規格のものでなければいけないということを定めております。また、その仕様に合致したものとして、こういう製造メーカーのものを使うようにということの指導はいたしておるわけでございますけれども、これはあくまでも電気通信設備の品質の確保という見地からやっておるわけでございまして、先生後段の御指摘のように共同機構を使って鉛管を買わなければいけないというふうな指導は公社の方からは一切やっておりません。
  218. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そうすると、この関東支部において通達が出ておりまして、いろいろ出ています。「新たに組合で一括受注する理由」ということで幾つも出ています。その中に、一の項のハに「五十二年になってから資材局から至急組合を通じて受注するようとの強い要望があった。」という説明がされておりますが、では、これは何かの間違いでしょうね。同時にまた納入先等におきましても指定をしておりますが、この辺は、何にもなかったといま局長はお答えになりましたけれども、間違いございませんか。
  219. 長田武彦

    ○長田説明員 お答え申し上げます。  いま先生が御指摘の文書でございますか、実は、その内容について私は全く承知しておりません。  先ほどから御答弁申し上げておりますように、私ども、電気通信の本質に触れる部分に使う材料で業者提供というかっこうに任されておるものは、それなりの理由があって業者提供というかっこうにしているものでございますが、そういうものにつきましては、特に品質を維持する必要から、それの仕様書を定め、また通常それのメーカーを定めましてその品物を使うようにというような指導はいたしております。  ただ、その品物が流通のかっこうとしてどういうことになるかという問題につきましては、先ほどの文書のような指導はいたしておりません。
  220. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 まあ、いいでしょう。またこの点は後ほどはっきりしてくる問題でございます。私は何もただいいかげんな資料のもとでこの質問をしておるわけじゃございません。ちゃんとしたもので調査をした結果において申し述べておるわけでございますので、この点をよく調査していただければありがたいと思います。  そこで、資材局からのことはほかにおきまして、この問題に関して公正取引委員会にお伺いしますが、いままでこういったもので元請業者がメーカーから直接購入していたものを、この協会支部のもとで協議して、そしてまた新たに組合を通そうというように決定をして、そうなってくると、ここに何らかの口銭が必要になります。そうすると高いものを購入しなければならないようになる。こういった面から見て、公社と協会との関係から考えてみましても、そこに何らかの介入があり、そしてそこを通して購入する制度をつくったならば、本来の自由経済、自由競争というものが統制されていき、そこに組合がリベートを取っていき、結果的に高いものになって、それは結局は国民にしわ寄せがくるのです。  そういう面から考えて、こういうような結果になるということの御見解を公取の方にお伺いしたいと思います。
  221. 内木場一郎

    ○内木場説明員 お答えいたします。  ただいまの先生の御質問につきましても、事実関係を十分に把握しておりませんので、本件につきまして即答は差し控えたいと思っております。  ただし、先ほども申しましたが、事業者団体がその構成事業者の使用いたします原材料等の仕入れ先を、いわゆる共同購入機関をつくりまして、そこからのみ仕入れよといういうふうな決定をいたしましてこれを実施させる行為は、一般的に申し上げまして独禁法八条一項四号、これは構成員の機能、活動の制限を禁止している規定でございますが、この規定に違反する疑いがありますので、十分検討させていただきたいと思っております。
  222. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それではこの件に関してぜひよく御調査いただくのと同時に、私はいままで電電公社総裁並びに大臣、関係の方に御質問させていただきましたけれども、こういった工事発注に関連して、その入札の状況一つを取り上げてみても、あるいは人的な構成の面に関しましても、さらにまた株の保有といった面に関しましても、いろいろと問題を提起させていただきましたが、この前の予算委員会の関連という面もございまして、大臣は速やかに調査をしてまいりたいと前向きな御答弁をいただき、ありがたいと思っておりますが、総裁並びに大臣、どうかひとつその面で今後の賢明な御処置をぜひお願いしたいと思います。  なお、私はここであえて名前等を一切控えました。それからいろいろとこういった書類等もすべてお渡しできない点もございましたが、その点に関しては総裁や御関係の人たちはよくおわかりだと思います。なぜかと言えば、このことによりまして元請業者あるいはそのもとにおる下請業者、それから孫請——この不況の中で電電公社の占める立場というものは非常に重要なものです。したがいまして、私は、これによってどうかいい方向へ進んでもらうことをぜひお願いしたいと思います。間違っても業者やその下請の人や孫請の人たちに影響が出てくるというようなことはまずないと思いますけれども、どうかその点賢明な御処置をお願いしたいと思いまして、最後に大臣総裁に御決意をお伺いして質問を終わりたいと思います。
  223. 秋草篤二

    秋草説明員 長時間にわたっていろいろ有益な御質問をちょうだいしましたが、先ほど来私も先生にも申し上げましたように、電電公社を囲む業界というものはなかなかむずかしい業界でございまして、苦慮しております。先生の御質問も私らのためを思っていろいろと積極的な御忠言を下すっておると思っておりますが、この問題もいち早く大臣にも直接御説明申し上げて、大臣の忌憚のない御批判をいただきまして、よりよきものに改善できるならば、いつでもどんなことでももっともっとよりよい制度なりやり方に改めていきたいと思っております。  どうか今後ともよろしく御指導願いたいと思います。
  224. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  当委員会を通じての質疑で国民に大きな疑惑を持たすということは、私の立場からいたしまして耐えられない気持ちでございまして、先ほども申し上げたとおりに、いま調査を命じておりますが、急ぎ結論を出すように指導いたしまして、疑惑の一掃に努めたいと思います。  あわせて、ただいまいろいろととうとい御提言をちゃうだいいたしましたが、これを参考にいたしまして、正すべくは正させて、本当にすっきりした姿で電気通信事業の完璧を期したい、かように考えておる次第であります。
  225. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 どうもありがとうございました。
  226. 松本七郎

    松本委員長 小宮武喜君。
  227. 小宮武喜

    ○小宮委員 先ほども電波ジャックの問題につきまして質問が出ておりましたけれども、重ねて質問したいと思います。  この妨害電波による電波ジャック事件につきまして、郵政大臣は、この事件が法秩序を犯し、国民生活に重大な影響を与えるおそれがあるので、監視体制を強化するため放送妨害臨時対策室を設置すると語っておられましたけれども、現在どういう取り組みをされておるのか、御答弁を願いたいと思います。
  228. 服部安司

    服部国務大臣 一月十七日の正午から約二十分間、御指摘のとおりにNHKの総合テレビのニュース番組の放送中に音声がとぎれた事件でございますが、これはまことに遺憾な出来事でございまして、早速この対策を立てるために関係者を集めていろいろと協議をいたしました。  まず、省内に放送妨害臨時対策室を設置するとともに、関東電波監理局内にあるすべての監視車を集結いたしまして、大体環七周辺が放送源だということから全力を挙げて発信局の捜査に当たりましたが、残念ながら、いまだに放送源並びに犯人を逮捕するに至っておらないことはまことに遺憾なことで申しわけないと存じております。  放送開始から二十五年になりますが、こういうことは正直言って予測をしなかったらしいのでございまして、当惑したことも事実でございます。したがって、完璧な予防体制はできておりませんでしたが、急ぎ電波研究所に命じて、この発信局方向探知のための技術開発についても協議させましたところ、いろいろと専門家が検討を加えて、必ず近いうちにこういった機械の開発もでき得る見通しが立ったということでございますので、まずこの開発に全力を注ぎ、現在持っている監視体制を十二分に活用する体制をつくりつつ、警視庁とも緊密な連携をとり、いま必至の捜査を続行中でございます。
  229. 小宮武喜

    ○小宮委員 当然、電波ジャックのこういう事件が二度と発生をしないように、また、発生したとしても直ちに逆探知ができるというか、発見ができるような技術の開発も必要であるし、ぜひともやってもらわなければなりません。  そこで、問題は、いま犯人はまだつかまえるまでに至っておらないという答弁がありましたけれども、発信地点とかあるいは発信方法というものは、もう関東電波監理局でも混信調査特別班を設けて調査を始めておるようですが、それもまだつかめていないのですか。
  230. 服部安司

    服部国務大臣 局長答弁をさせます。
  231. 平野正雄

    ○平野政府委員 お答え申し上げます。  先生も御承知のように、本省に臨時対策室を設けまして、関東だけではなくて全国的な対策を講じてまいっております。一方、関東電波監理局ほか各地方電波監理局には対策本部を設けまして、必要な方面との連絡等を行いながら対策を強化してまいっておるわけでございます。  先ほど大臣が申されましたように、事件発生直後に監視車七台を総動員いたしまして、ふだんから超短波帯の不法電波その他の監視をいたしております大手町のほかに臨時の固定監視所を設けまして鋭意捜査を行ったわけでございますが、そういう方法によりましてはいまだに捕捉できないという状況でございます。  また、一方、先ほども申し上げましたように、警察関係、放送機関と連携を保ちまして、種々の、できるだけ多くの情報を入手いたしまして、先ほど御指摘の発射地点、発射方法の割り出しに努めてまいっておるわけでございますけれども、現在のところまだその端緒がつかめないという状況でございます。
  232. 小宮武喜

    ○小宮委員 これは電波法違反には間違いないのですな。
  233. 平野正雄

    ○平野政府委員 お答え申し上げます。  電波法第四条違反には間違いございません。
  234. 小宮武喜

    ○小宮委員 わが国では電波ジャックというのは初めてのことですから、対応策がとられていなかったことについてはもうやむを得ないと思うが、ただ、われわれが心配するのは、この電波ジャックが、警察庁あたりが言っておるようにもし過激派の犯行とするならば、これは容易ならざるものがあると思うのです。だから、これがそういうように、犯人どころかどういう方法で怪電波がなされたのかということすらいまだにわからないような状態では、また第二、第三の電波ジャックの発生することが予測されます。特に、こういう過激派の連中は、革命戦術の一環として、社会的不安や社会的混乱をねらって今後も電波ジャックを頻繁に行う可能性がないとも限りません。  そういう立場から見ました場合に、ただ今回のような内容だけではなくて、たとえば電波ジャックによって、大震災とかそれらのデマが流されるようなことになれば、もう国民は非常な一大混乱に陥るわけでございますから、そういう意味で郵政当局は、先ほど大臣が言われましたように、警察庁やいろいろな関係省庁とも連絡をとりながら、これはNHK、民放も全部ですが、一刻も早く協議してこの対策を立てられるように特に要望しておきます。  次に、ちょっと電電公社の方に質問しますけれども電電公社の諮問機関である電信電話諮問委員会から、一月五日に、電話料金決定原則の問題、あるいはサービスのあり方の問題、あるいは国民の負託にこたえる方策についての答申総裁になされておりますが、その主なねらいはやはり料金法定制の緩和にあるというふうに私は考えます。したがって、料金法定制緩和のための法律改正を提出する意思が電電公社にはおありかどうか、その点を総裁から御答弁願いまして、あと大臣からもこの答申に対する所見を承りたいと思います。
  235. 秋草篤二

    秋草説明員 先生は、先般の答申料金の法定化を緩和するというのがねらいだとおっしゃいましたけれども、私たちはそうはとっておりません。もちろんそれも大きな柱でございますけれども、たくさんの有益な御答申をちょうだいしております。  そこで、ただいまの法定主義を緩和するという今度の御答申はかなり強目に出ております。「現在の法定主義に代えて」と言っておる。それから同時に、別な機関ではなくて経営委員会を改組して、もっと発展的に、民主的なもっと大きなものにして、やはり経営委員会の形でというようにもとれるのでございますが、そこに私はいささか飛躍があるような感じがいたします。  この問題は、法定主義をおまえも緩和する気持ちかと言われますと、なかなかこれは重要な、政策上きわめて高度な政治的な判断を要する問題でございまして、私どもが軽々に判断できるものではございません。私が仮に経営委員会を通して判断しましても、私の上には郵政省なり大臣がおりますし、大臣といえども国会の審議を経なければとうていできないことでございまして、これは慎重に配慮しなければならぬ問題だと思っております。
  236. 服部安司

    服部国務大臣 電信電話諮問委員会答申については、種々示唆に富む内容が全体的に見てみますと盛り込まれていると思いますが、ただいまの先生の御指摘料金法定制の問題につきましては、電信電話事業の健全な運営を確保することの観点など諸般の事情を勘案し、今後慎重に検討すべき問題であると私は考えております。  国鉄が法定制から外れた経緯もあり、各方面から非常に関心を持たれている問題でありますが、私は、いま急ぎこれを法定制から外すということにはやはり少々疑問を持っております。したがって、こういう答申は出ましたが、慎重の上にも慎重を期して検討を続けたい、かように考えておる次第でございます。
  237. 小宮武喜

    ○小宮委員 私がなぜこういう質問をするかと申し上げますと、もうすでに国鉄運賃が法定制緩和を打ち出したわけですね。そうすると、電信電話料金の問題にしても、やはりこういう諮問委員会から出されてきた、さらには大体いま政府が考えておる料金の法定制についてだんだん緩和する、法定制度の改善——われわれに言わせれば改悪ですが、そういう方向に進んでいっておる傾向をわれわれは否定するわけにはいかぬわけです。  したがって私はそういうような立場から一応大臣にもお伺いしたわけですが、大臣は反対ではなくて疑問を持つと言われたのですが、そうすると、私が心配になるのは、電信電話料金の次には郵便料金の法定制緩和の問題も飛び出してくるのではないかということを心配するわけですが、大臣は、この問題については電信電話料金の法定制についても疑問を持つと言う以上は、郵便料金の法定綱緩和については考えておらぬというふうに理解していいですか。
  238. 服部安司

    服部国務大臣 端的に申し上げて、私の考え方は、こういう公益、公共事業というものは、経営上の努力を払わないで、経営が赤字に転落をするとすぐに国民にその責任を転嫁するという考え方はいけない。もちろん、こういう公益、公共事業でありますから、健全な運営をするためにはやはり受益者負担という責任は果たしてもらわねばなりません。  しかし、何びとも納得のできる状態の料金改定であるのが最も望ましい姿であるという考え方を今日まで堅持してまいったわけでありますから、国鉄にならってすぐに電信電話料金、いや次は郵便料金ということはとうてい現段階では考えられないことでありますと、これははっきり申し上げておきたいと存じます。
  239. 小宮武喜

    ○小宮委員 それでは、服部郵政大臣が在任中は、国会に法定制緩和の問題を提出するということはまずあり得ないというふうに私は理解いたします。しかし、大臣もそういうような大臣であれば三、四年ぐらいおってもらわなければいかぬのですが、なかなかそこまでつながるかどうかわからぬので——まあ一年ぐらいでしたら困りますが、それはそれとして、いま言われたように、企業内での努力の問題は、いま大臣が言われたとおり、私も全く同感なんであります。  ところが、この答申によれば、一定限度内の収支差額、すなわち利益を見込んだ料金を認めることになっているわけです。その限度額として、自己資本に自己資本利益率の五%から七%を掛けるということになっているわけですね。そうしますと、公社の自己資本が約一兆五千億とした場合に、大体利益を七%としますと、やはり利益の限度額約一千億程度という計算になるわけです。そうすると、電電公社の方はいわゆる一千億の利益を常に確保してよろしいということになれば、いま大臣が言われておるように、内部努力はどうしてもおろそかになって、こういう諮問が出て、法定制緩和の問題はどうなるかは別としても、やはり一千億の利益を常に確保しておくということになると、そのような企業努力は無視してでも、そのつど一千億の利益を確保するために電信電話料金の引き上げを行うということになる可能性は強いと私は思う。  そこで、この一千億の利益の確保という、一千億という限度額の根拠はどこに求めたのか、ひとつお聞きしておきたいと思う。これは電電公社がどうせ諮問したわけですから……。
  240. 好本巧

    ○好本説明員 お答えを申し上げます。  ただいまの御質問答申内容についてでございますが、私ども委員会の審議を毎回傍聴しておりまして、大体雰囲気は了知しているつもりでございますが、まだ必ずしも、この答申内容を、委員諸氏の細部にわたるまでのことを全部把握しているわけではございません。  まず、原価補償主義ということを言っておりますが、これは答申書の六ページにも「原価補償主義は、能率的経営の下における営業費用と資本費用の双方を含む原価を補償することを原則とする。」ということが書いてありますように、営業費用と資本費用の双方の原価というものは十分補償さるべきであるということで、その前に「能率的経営の下における」と書いてありますのは、いまの先生の御指摘のようなことも十分議論がございまして、これは独占事業でございますから、ともすると安易に流れがちなので、そういう経営の合理化というふうなものは徹底的にやらなければいかぬ、そして、その前提における原価というものは、これは補償せねばいかぬ、その補償ということは、すなわち料金収入でこれを賄うべきだ、こういうことが前提でございます。  そしてそのことは、こういう公的な公益事業でございますので、一般の私企業の公益事業のような利益というものを生む必要はない、いわゆる社外へ流出するような株主に配当するような利益というものは要らない、また、重役に与える賞与のようなものを生む必要はない、これは営業費用で見るべきだ、しかしながら、電話事業の特殊性というか、改良投資をして常に日進月歩の改良を行う必要がある、また拡張においても、電話事業というのは、電話の加入者がふえれば既存の加入者に非常に大きな便益を与えるという特殊事情がある——これは外国でもそういう考え方がありますが、そういう意味で一定の会社で言えば利益、ここで言うところの必要余剰というものを認めるべきだ、それを加えたもの全部を原価と見るのだ、と、こういう趣旨であろうと思います。  もう一つ、しからば定量的にどのぐらいの余剰を認めるべきかというのがこの中にもございますが、自己資本に対する一定の比率を掛けたものを原則とすべきだということがこの中に出てまいりますが、その比率は五ないし七%がいい——あるいは総資本に一定の比率を掛けて、それから金融費用を引いたものというふうなものがございますが、この数字がなぜ五ないし七と出たのか、あるいはなぜ六ないし八と出たのかということについては私は必ずしもつまびらかに了知しておりませんが、私的な公益事業、株式会社の公益事業というふうなものに、日本国あるいはヨーロッパの各国でいわゆるフェアリターンというふうな歴史的な一つの経験がございますが、そういうものを見て大体七%ないし九%、それを自己資本利益率に換算すると五%になるとか六%になるとか、そういうことから来たのではなかろうかというふうに私どもは了解しております。
  241. 小宮武喜

    ○小宮委員 その五%とか六%とか七%の問題とも関連しますけれども、やはり一千億の利益をいつも確保するということは——民間企業で一千億の利益を得ておる会社がどこにありましょうか。昨年あたりでも自動車産業で豊田が一千億の利益を出したとかなんとか言われておりますけれども、こういう公共事業が一千億もの——自己資本は変わらないわけですから、五%になるか六%になるか七%になるかによって、それが七百五十億になってみたり一千億になるわけですから、そういう利益を常に確保しなければならぬという事情がどうもわからぬのです。民間企業で一千億の利益を上げておる会社がよそにありますか。だから、そういう中でこの利益は高過ぎはせぬかという気持ちがするし、それによって常に一千億の利益を確保するために電信電話料金の値上げをされたのでは国民はたまらぬという気持ちを私は強く持っているわけですよ。それはここでいろいろ論争してみても切りのないことですから申し上げませんが、そういう疑問を私は持っております。  それで、利益を確保するためには合理化の問題や企業努力の問題が前提であると言いながらも、ややもすれば、こういう諮問が出ると安易にその諮問に寄りかかって流れていくという問題があるから、その前提というのが文章上では幾ら書かれておっても、それが本当に企業努力をしたかどうかという判定はだれがするのかという問題もあるし、どういう企業努力をどれだけしたかという問題もやはり出てくるわけです。それがややもすればそういうことを抜きにしてすぐ安易に寄りかかってくるということがあるから、いま大臣も言われたように、企業努力がやはり一つの大きな前提でなければいかぬし、また、それでなければ国民は納得しませんよ。そのことをひとつ申し上げたいと思います。  それから、五十二年度の収支で約四千億の利益が確実視されておるわけですね。五十三年度も専用線料金の値上げの収益三百三十億を含んで三千八百億の利益が見込まれておるわけです。そうしますと、公社が四十九年度から五十一年度までに出した累積赤字が約六千億と言われておりますけれども、五十二年と三年でその六千億の累積赤字はもう全部解消して、なおかつ五十三年度では一千八百億のおつりが出るということになりますので、私が言いたいのは、安易に電話料金の改定などをやられては困るということなんです。この問題については、ひとつ大臣は十分に監視をしてもらいたい。  そこで、もう御承知と思いますが、現に、郵政省が昨年末に認可した国際電信電話の国際専用線、それから日本電信電話公社の国内線の料金値上げについて、ユーザー数社が行政不服審査法に基づいて値上げ取り消しを求める異議の申し立てを行っておりますが、これに対して郵政大臣はどう対処するのか。
  242. 服部安司

    服部国務大臣 国際電信電話株式会社の専用線の関係につきましては、電気通信ユーザー協議会ほか三社から御指摘のとおり異議の申し立て書が提出されております。提出日時は一月二十五日でございます。現在これについて慎重に検討をいたしているところであります。  なお、電電公社の専用線の関係についても同様異議の申し立てがなされるような状況にありますので、提出された場合にはこれもあわせて慎重に検討いたしましてこれに対処してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  243. 小宮武喜

    ○小宮委員 この行政不服審査法に基づく異議の申し立ても、電電公社は黒字を出しておるじゃないか、それなのになおかつこのような専用線の料金値上げまでなぜしたのかという、これが率直な気持ちなんですよ。だから、いま私が言ったように、そういうところにいろいろ問題が出てくるわけです。これは許可をした郵政大臣にとやかく言ってもしようがないし、それはそれとして、やはり今後そういったものに対しては慎重に配慮してもらわなければいけないと思います。  ほかの問題で質問しますが、ことしの年賀はがきについて、埼玉県や北海道や大阪などの郵便局で、配達途中で年賀はがきを捨てる事件だとか、ポストに投函された年賀はがきを集めなかったというケースが出てみたり、これは学生アルバイトの配達員がめんどうくさいというのが理由のようですが、きのうも言われたように、郵政省全体が少したるんでおると言わざるを得ませんよ。そうでしょう。九年ぶりに年賀はがきが配達されたとかいうものもあるわけですからね。九年おくれてですよ。大体郵政省はたるんでおる。  まあ、それはそれとして、全体のたるんだ問題はまた後で触れますけれども、いま申し上げたのはアルバイトが原因のようですけれども、幾ら大臣が就任のあいさつの中で国民に愛される郵政省だとかいろいろ言ってみても、こういうことでは国民はむしろ郵政事業に対して不信感を持ってくるし、それがだんだん高まってくることも事実ですから、そういう立場から、今後こういうことがないようにどういう対策を講ずるのか、特に年賀はがきの問題についてだけ御答弁を願いたい。
  244. 神山文男

    ○神山政府委員 御指摘のように、年末年始の時期にアルバイトの郵便配達に関する事故が散見されまして、まことに遺憾に存じております。このアルバイトといいますか非常勤職員は、年末年始の時期にはどうしても大量に採用しなければならないという事情がございます。この時期は、通常郵便物にしましても、年賀郵便を含めて平生の四倍程度の事務量になりますし、小包にしても二倍以上のものが短期間に出回ってくるということでございまして、しかも年賀状だけとりましても、二十六億通以上のものを配達しなければいけないということで、御承知のように延べ二百万というようなアルバイトをどうしても導入するということでございます。     〔委員長退席、米田委員長代理着席〕  それで、まず、この採用に当たっては管理者が直接面接して審査をして採用しているわけでありますが、それ以上に、採用後の指導につきましても十分慎重な指導をするように指示してまいっておるわけであります。特に扱う郵便物は、国民の皆様からお預かりした大切な通信でありまして、これの重大性をよく認識してもらうことが何といっても大切でありますし、また通信の秘密の確保というようなことにも配慮しておるところでありますが、先生指摘のような事故が生じていることは、まだ力が十分に及んでいないということでございますので、今後とも、もっときめ細かな配慮をすると同時に、この郵便物がどうしても配達し切れないときはどうするかという措置もよく非常勤の職員に浸透するように、それから常在員と非常勤との関係で、常在員の指導ももう少し組織的に行えるようなことを十分考えてまいりたい、こういうふうに考えております。
  245. 小宮武喜

    ○小宮委員 いま失業者がとにかく百十万ぐらいいるわけですから、アルバイトのヤングの人たちがめんどうくさいからといって自分の家に持って帰ってほったらかしてしまうというようなことを考えた場合、失業者はまた来年もふえる見通しもあるので、必ずしも学生あたりのヤングばかりでなくて、むしろ職業安定所を通じて各県、各都市で採用するような方法を考えたらどうか。これは失業救済の一環にもなるし、現役の学生アルバイトを雇うより、国の立場から見れば、こういう失業者を救済する意味でも職業安定所を通じて採用するといったことを検討すべきではないか。また、そういった人たちは地理にも明るいわけです。ですから、そういうことを考えないと、ただ学生を雇うだけでは、東京に来たって東京の地理に学生はみんな詳しいとは限りませんよ。そういう意味では安定所を通じてやるとかいうことを考えたらどうか。  それから、いま面接していろいろやっていると言われるけれども、職業安定法との関係はどうなりますか。郵政省が独自にそういうことをやることは、いまの職業安定法との関係はどうなりますか、いいのですか。
  246. 守住有信

    守住政府委員 お答え申し上げます。  詳しい法律的な条項は記憶にございませんけれども、いままで長い間やっておりまして、職業安定局の方から指摘を受けたこともございませんし、短期の学生のアルバイト、いわゆるアルバイトでございますが、それは問題がないというふうに承知いたしております。  なお、詳細はさらによく勉強してみたいと考えております。
  247. 小宮武喜

    ○小宮委員 これは郵政省がやるから黙っておるかもしれぬけれども、厳密に言ったら、この問題は職業安定法違反の疑いがあるとぼくは思うのです。雇用関係というような問題は、郵政省であろうと勝手にやってはいけないとぼくは思う。その点、私自身も労働省ですぐ調べますけれども、アルバイトを勝手に雇うということは職業安定法違反の疑いがあると思うが、その辺は研究してみてください。
  248. 服部安司

    服部国務大臣 職業安定法の違反という御指摘でありますが、これは職業あっせんでなく、わが方でいわゆるアルバイトとして採用するわけでありますから職業安定法の違反にはならないと理解いたしております。しかし、私も専門家じゃありませんから、小宮先生と同様さらに検討を重ねます。  なお、先ほど御指摘の、アルバイト学生よりも、失業者続出のこの時代に、地域社会の地理にも明るい、また社会的にも責任の持てる者の採用をやるべきではないかという問題については真剣に検討することをお約束いたします。
  249. 小宮武喜

    ○小宮委員 先ほどから申し上げますように、年賀はがきだけではなくて郵便物がおくれる。それから書留、小包、速達の遅配、未着の問題がある。それから先ほど申し上げたように九年おくれの年賀はがきが着いたりしたというような問題もある。毎日の新聞紙上、投書欄にこういうような記事がない日はないと言っていいくらいこれは日常茶飯事の問題なんですよ。  大臣、先ほどから私がいうように、これは綱紀粛正とモラルの向上を再教育しないと、ただ一片の通達だけじゃだめですよ。こういった綱紀粛正とモラルの向上について郵政省は積極的に取り組んでもらいたいと思いますが、いかがですか。
  250. 服部安司

    服部国務大臣 いろいろな事故の連続でまことに恥ずかしい思いで、身の引き締まる思いをいたして毎日勤務いたしております。  確かに、綱紀の粛正は絶えず心がけねばならない問題であることは言うを待ちませんし、また、郵政省はたるんでいるぞという先生の御指摘も私は素直に認めたいと思います。したがって、これからこの種の問題と真剣に取り組んで国民の信頼の回復に努めるのが私の務めであると考えている次第でございます。  そこで、あす十七日は、先般も申し上げたとおりに、地方監察局長、地方郵政局長の二局長会議を本省で持ちまして、国会の私の用務以外の時間は地方二局長とひざを交えていろいろと懇談し、今後の進むべき方針について協議するとともに、御指摘の綱紀粛正については当然強く指示を与えて御期待にこたえたい、かように考えている次第でございます。
  251. 小宮武喜

    ○小宮委員 私がいつも考えますのに、いまの制度にも問題があると思うのです。  私のところに手紙が来たわけです。新潟から千七百円のお金を東京の本屋さんに送ったところが、本屋さんから、七百円しか入っていなかった、だから千円また送ってくださいという催足を受けたというのです。本人は千七百円送ったということで、郵政局、監察局、本省にも手紙を出して、私は送りました、はっきり見解を伺いたいとやったけれどもなかなか誠意ある返答が来ない。本人は千七百円送ったと言う。たとえば現金封筒に入れて出すでしょう。本人も千円入れ忘れたかもしれない。だから水かけ論になる。郵便局の方としては、それをただ受け取って送っただけだと言うでしょう。相手には配達した。だから、本当に入っておったかどうかをチェックする仕組みにいま郵便局はなっていないのでしょう。だからそういう問題が起きてくる。本当に入っておったのかわれわれは知りません、それはあなたの考え違いじゃないですかと、こういうことになる。向こうはいや入れておったのだということで、水かけ論で、いろいろな問題が起きてくる。この人はぷんぷん腹を立てて私に手紙を送ってきた。  郵便物もそうでしょう。速達ならばどの辺に行っておるかある程度わかるけれども郵便物で出した場合、何日後に着くのか、一カ月たっても着かぬけれども、どこにその郵便物はいまとまっておるのかということは全然調べようがないでしょう。いろいろと問い合わせが来ても、いやここから送ったと言うだけです。現にわれわれの場合もそれはあるわけです。どこにいまその郵便がとまっておるのかということを聞いても郵便局は全然知らぬですよ。ただ、来たものを向こうに送ってやるだけですからね。  だから、そういう制度の問題についても、私は大臣にお願いしたいのですが、こういう問題が起きて、何日も届かぬがどうかといういろいろな不平不満が出てきた場合に、いやその荷物や小包はいまここにありますとか、もう何日したら着きますとか、そういう明快な回答がいまの制度の仕組みの中では与えられないわけです。だから、そういう問題について、これは人間がいまのままでいいのかどうかという定員の問題とも関係しますけれども、何かそういうような制度考えなければ、この郵便物に対する不平不満あるいは郵政省に対する不平不満というものは、減るどころか毎年ふえていくわけですから、ますます不信感を抱いていくわけです。だから、そういう制度の問題についても、これは根本的な問題ですから、急に結論が出るかどうかわかりませんが、ひとつ御検討をお願いしたい。  現にそういう体験をわれわれ自身が持っているわけです。長崎から十日間かかっても東京に着かぬ。どこにその手紙がいま来ておるのか聞いてみてもだれも知らぬ。いいえわかりませんと言う。これは着いてみて、いやきょう着いたということでしょう。なぜ十日間おくれたのか。東京から長崎まで大体三日くらいあればいいということをぼくらはいつも聞いておる。それが十日間かかった。それではなぜ十日間かかったということの理由がさっぱりわからぬ。だから、そういう制度の問題についても大臣として見直しをやる必要がありはしないかと考えますので、非常にむずかしい問題ですが、そういった問題をひとつ時間をかけて検討してもらいたい。
  252. 服部安司

    服部国務大臣 先ほどの、新潟の青年が東京の本屋に書籍を求めて千七百円を送金したが七百円しか入っていないと言われたということの御指摘ですが、これは当然規則から言って現金封筒だと私は理解いたします。現金封筒以外に郵政省で送る理由がないわけですから……。先生、この現金封筒はなかなかチェックできないのです。本人が金を入れてちゃんとシールを張って、それを受け取っている。これが届かなかったならば郵政省の責任ですが、届いているわけです。その中に七百円あったか千七百円あったかということはもう双方の問題でありまして、現金封筒のチェックは、確実に受け付けて送達するためのチェックは必要ですが、中のチェックはちょっと困難だと御理解願いたいと思うのであります。  その他、郵便並びに小包の遅配、誤配、事故、投棄等いろいろな問題の御指摘ですが、実は、私のうちにこのごろ、どこで電話番号を調べるのか、直接電話がかかってくるのです。そしてがたがたしかられるのです。先般も、私は渋谷のだれだれだが、おまえはおれを殺す気かと言って夜の十二時半ごろにかかってきた。いかがいたしたのでしょうかと聞けば、おれの母親が送った荷物の中身が腐っていたぞ、これはおまえのところの遅配じゃないかと言って大変な馬力でしかられました。私は早速秘書官を通じて住所を聞いて郵便局を調べたところ、やはり所定の時間に送り届けているんですね。ところが、ここが問題なんですが、本人は留守であったので、郵便受けに、これこれの配達を持ってまいりましたがお留守ですのでどうぞ郵便局に取りにお越しくださいという、あれを入れておいたのを本人は見なかったというわけで、明くる朝私の方に電話がありまして、これは大きにぼくの間違いであったという電話で、それで了解がついたわけです。  しかし、こういった点についても、もしお越しにならない場合には、いわゆるそのことづけが相手に通じなかったと考えて、さらにもう一度連絡をしてやるべきである。したがって、先生の御指摘の問題についてはわれわれも十二分に反省し、この制度のあり方についても早急に検討を加えて、なるたけ事故の起こらないような措置を講じてまいりたいと、かように考えている次第でございます。
  253. 小宮武喜

    ○小宮委員 ぜひそうしてもらいたいと思う。大臣が言うようなことは、それが全部じゃないのですからね。  時間が過ぎますので次に移りますが、簡易郵便局の待遇改善の問題です。  これは全国で約四千局ぐらいありますけれども、この人たちは取扱手数料が非常に低い。そのために受託者個人の生活も非常にきつい。そういう中で非常にまじめにその責務感に燃えてやっておるわけですけれども、この人たちは、何とか少しでも上げてもらいたいということで非常に訴えておるわけです。特にこの人たちは、ほかの皆さん方のように郵政局のやり方について不平不満ということは一言も言っておりません。少しでも上げていただけば非常にありがたいわけで、何か五十二年度でも若干上げていただいてありがとうございましたという感謝の念を持っておるわけです。しかし、余りにもちょっと低過ぎはせぬかというふうに思いますけれども、いま基本額は、五十三年度で幾らに引き上げられますか。
  254. 神山文男

    ○神山政府委員 五十三年度という、ただいま御審議中の予算の案に基づきまして申し上げますと、簡易郵便局取扱手数料の平均月額で申し上げますが、十二万四百三十一円になります。対前年比一三・四%のアップということでただいま御審議をお願いいたしております。(小宮委員「一カ月の基本額は幾らですか」と呼ぶ)  五十三年の予算で申し上げますが、平均月額で基本額が四万三千三百四十四円、それから取扱料加算額が、全体の平均で申し上げておりますが七万七千八十七円……(小宮委員郵便一件と貯金一件について幾らと、一件で言うてください」と呼ぶ)これは取扱料単価でございますが、郵便は一件について四十一円、貯金が六十七円。そのほか加算額の算出としては、貯金が定額貯金の預入金額の千分の六、定期貯金の預入金額の千分の三、保険は第一回払い込み保険料相当額、こういったものが含まれております。
  255. 小宮武喜

    ○小宮委員 五十二年に基本額は三万九千円、これが今度四万三千三百四十円ですか。それで、取扱い加算額は、郵便一件について三十七円から四十一円と、四円上がっておる。貯金一件について六十円が六十七円だから七円上がっておる。それで平均十二万円と言われておりますね。  どうですか、大臣、いまの時代にこういうように平均十二万幾らと言っておったけれども——簡易郵便局をやった人あたりも、二十年、三十年と親子二代やる人もおるわけです。それが、この人たちはもう一日じゅう自分のうちにおらなければいかぬ。だから、その人たちはもっともっと大幅に、具体的に言えば基本額にしても六万円ぐらい引き上げなさい。それで加算額にしても、郵便一件について五十円とか、貯金一件について八十円とか、これぐらいまで引き上げなさいと私は言いたいのです。ほかの郵政事業に従事する職員に比べて余りにも低過ぎはしませんか。  この問題だけではない。たとえば局舎の無償提供の問題にしたって、特定局の場合は出すわけですから、だから、そういうことまで並みにしろとは言わぬけれども、やはり、無償で局舎の提供あたりをするのもいかがなものか。やはりそれに対して幾らかの局舎料あたりも出していいじゃないか。出すべきだ。  それから、この人たちは期末賞与があるわけではないし、退職金があるわけではない。そういうような意味では、これらの非近代的な簡易郵便局の受託者に対する改善というのはもっと近代的に改善すべきだと私は思います。  切手売りさばき人にしたってそうでしょう。切手売りさばき人のあれはいま幾らですか、ちょっと教えてください。一月幾らですか。     〔米田委員長代理退席、委員長着席〕
  256. 神山文男

    ○神山政府委員 現行の売りさばき手数料は、これは率で決まっております。買い受け月額一万円以下の金額は百分の十、それから一万円を超す五万円以下の金額が百分の九、五万円を超え十万円以下の金額は百分の八、十万円を超え二十万円以下の金額は百分の四、二十万円を超え五十万円以下の金額は百分の二、五十万円を超え百万円……(小宮委員「もういいですよ」と呼ぶ)こういう段階で、率で決まってございます。  それから、最低保障額は千円でございます。
  257. 小宮武喜

    ○小宮委員 この人たちは、たとえば年賀はがきを売る場合でも、自分の金で年賀はがきを買って、それで売るわけです。余った分はパアです。何にもならない。切手なら翌年でも使えるけれども、年賀はがきは翌年使われるわけじゃない。切手を仕入れるにしても、全部自分の金で買って、それで売る。切手なんかは次に移ってもかまいませんけれどもね。切手を売らなかった場合は月に千円。手数料だって、この人たちがいま言っているのは、月に一万円ぐらい何とかなりませんかということです。ということは、一万円以下ということなんです。こういう事実を見た場合に、簡易郵便局の問題、切手売りさばき人の問題だけでも、一つ一つ取り上げていったら、これで一時間ぼくは質問しなければいかぬ。  ですから、時間がございませんからもう一度改めていろいろやりますけれども、私が現実に会った人たちでも、もう二十九年やっております。私の知った人はもう親子二代五十七年やっております。それで、切手をいつ買いに来るかわからぬし、畑に行っておっても来たらすぐ手を洗ってこなければいかぬし、そういうことで日曜も祭日も休まれませんというようないまの実態なんです。大臣、これは余りにも非近代的じゃないですか。  いまの郵政事業というのは、簡易郵便局、切手売りさばき人という人たちの搾取の上に立って成り立っておると言っても過言ではないと私は思っておるのです。特定局の不祥事件の問題でも、きのういろいろ話が出ましたけれども、これも一つの封建的な名残がある。ましてやこの簡易郵便局、切手売りさばき人のこういう手数料だって、本当にもう非近代的な、封建的な名残なんです。権力主義です。こういうことがいまの時代に許されますか。  一方では、郵政省に働く職員の方々は毎年毎年給料が上がっているが、この人たちは月にたった二円とか三円とかだ。いま子供にあめ玉を買えと百円ぐらいくれても喜ばぬ。千円やらぬとだめだ。そういう時代にのうのうとこれだけでございますというような、そういう政府は、いまの郵政省はなっておらぬ。  これはまた別の機会にゆっくり取り上げます。こういう郵政事業内部、特定局の制度の問題、簡易郵便局の制度の問題、切手売りさばき人の制度の問題等、この人たちのいま郵政事業に貢献しておる度合いというものについてはいずれまた改めて聞きますけれども、それはもう本当に大きなものですよ。それにスズメの涙というより全く話にならぬようなことをしておいて、それで郵政事業は盛んになっておりますとか、郵貯はもう三十兆もたまりましたとか、それは何ということですか。  だから、この問題についてはいろいろと具体的にまだ申し上げたいことがございますけれども、もう時間も来ましたから申し上げませんが、いまの簡易郵便局の待遇改善の問題、それから切手売りさばき人の手数料改善の問題、これは五十三年度の三円とか四円とかはもう問題になりません。根本的に検討してください。大臣、どうですか。もう数字は言わぬでいい。後はやるかやらぬかだ。
  258. 服部安司

    服部国務大臣 大変熱のこもった御意見で私も圧倒されました。しかし、私の実家も切手売りさばきをやっておりますので小宮先生の御意見はよくわかりますが、これはいまここで私に即座に答えろと言われてもちょっと……。これは責任ある立場ですから、ひとつ次の委員会までに勉強させてください。(小宮委員「また次の委員会で質問します」と呼ぶ)  どうぞ、そのようにひとつ御理解を願いたいと思います。
  259. 小宮武喜

    ○小宮委員 はい。  これで質問を終わります。      ————◇—————
  260. 松本七郎

    松本委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  逓信行政に関する件について調査のため、日本放送協会及び日本民間放送連盟から参考人として御出席を願い、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  261. 松本七郎

    松本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選、出頭日時及びその手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  262. 松本七郎

    松本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、来る二十二日水曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十九分散会