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1978-02-15 第84回国会 衆議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年二月十五日(水曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 松本 七郎君    理事 小渕 恵三君 理事 左藤  恵君    理事 志賀  節君 理事 鈴木  強君    理事 米田 東吾君 理事 田中 昭二君    理事 小宮 武喜君       伊藤宗一郎君    亀岡 高夫君       田村  元君    長谷川四郎君       原田昇左右君    堀之内久男君       阿部未喜男君    島本 虎三君       野口 幸一君    竹内 勝彦君       鳥居 一雄君    藤原ひろ子君       依田  実君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 服部 安司君  出席政府委員         人事院総裁   藤井 貞夫君         人事院事務総局         任用局長    今村 久明君         大蔵政務次官  稲村 利幸君         郵政政務次官  宮崎 茂一君         郵政大臣官房長 河野  弘君         郵政省郵務局長 神山 文男君         郵政省貯金局長 高仲  優君         郵政省簡易保険         局長      佐藤 昭一君         郵政省人事局長 守住 有信君         郵政省経理局長 浅尾  宏君  委員外出席者         郵政大臣官房首         席監察官    日裏 泰弘君         郵政大臣官房建         築部長     本松 智房君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ————————————— 委員の異動 二月十三日  辞任         補欠選任   竹内 勝彦君     矢野 絢也君 同日  辞任         補欠選任   矢野 絢也君     竹内 勝彦君     ————————————— 本日の会議に付した案件  逓信行政に関する件      ————◇—————
  2. 松本七郎

    松本委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。志賀節君。
  3. 志賀節

    志賀委員 ただいま郵政省関係の問題として世間の耳目をそばだてております特定郵便局相模大野事件、これの概要について当局の御説明をちょうだいしたいと思います。
  4. 日裏泰弘

    日裏説明員 お答えいたします。  ただいまお話がございました、このたびの相模大野局事件についての概要を申し上げたいと思いますが、その前にひとつおわびを申し上げておきたいと思います。  このたびの相模大野局事件につきまして、国民皆様から多大の御信頼を受けておりました郵政事業がこの事件のために非常に信用を失墜したということと、それからまた国民皆様に多大の御迷惑をおかけしたということにつきまして深くおわびを申し上げたいと思います。  次に、その概要について申し上げたいと思います。  今回の相模大野郵便局における犯罪でございますが、これは同局の元局長でございます佐藤和也が経営に関係しておりました会社資金繰りに窮したというようなことから、妻の同局職員である佐藤英子と共謀いたしまして、同局職員である片野明とそれから部外者堀口かず子とともに犯行に及んだものでございます。  まず、一つは、定額貯金関係についてでございますが、これは昭和五十一年五月から昭和五十一年十二月までの間におきまして、貯金増強のために定額貯金証書を書きかえてほしいというようなこと、あるいはまた小口のものをたくさん持っている預金者の方にはそれをまとめておいた方が得ですよというようなことを言いまして、預金者から証書を預かってきて、それを払い戻して自分関係している会社資金繰りに充当した、そして、後日、新しい証書とそれからそれ相当分の利息を預金者に届ける、こういうような方法を繰り返しまして、総額にいたしまして一億五千百四十二万円を領得していたものでございますが、このうち預金者の方五人につきましては千百四十六万円の実損を生じております。この五人の方には新証書を届けていなかったということでございます。  それから、次に、定額貯金関係につきましては、このほかに、犯罪ではございませんけれども、昭和五十一年五月から昭和五十二年六月までの間に、定額貯金預金者に対しまして定額貯金を貸してほしいというようなことを申しまして、そして定額貯金証書の交付を受け、そして同じく払い戻して、そして未返済のものが預金者十人で五千二百二十二万円であったということでございます。  次に、小切手関係でございますけれども、これは相模大野郵便局などにおきまして、預金の裏づけのない佐藤和也振り出し小切手郵便貯金通帳に預け入れまして、その際に、この妻である英子が故意に証券表示をしないで、あるいはまた証券表示を無視しまして、昭和五十二年八月四日から昭和五十二年八月二十日までの間に、小切手の決済前に相模大野郵便局ほか十八局におきまして払い戻しいたしました。これが合計八千七百九十五万円でございます。実損が五千九百七十万円でございますが、これを領得したものでございます。  次に、本件犯罪刑事処分についてでございますが、小切手関係の分につきましては、昭和五十二年の十月八日までに横浜地方検察庁へ送致をいたしました。それで、佐藤和也及び同英子につきましては、現在公判審理中でございます。それからまた、定額貯金関係についてでございますか、これは昭和五十二年の十二月七日に横浜地方検察庁に送致いたしたわけでございますが、この分につきましては検察庁処分はまだ決まっておりません。  大体以上が概要でございます。
  5. 志賀節

    志賀委員 ただいまその概要は伺いましたが、直接定額貯金被害に遭った方々に対する措置はその後どうなっておるか。  これは新聞等で拝見をいたしますと、この犯罪が行われたときには、この佐藤和也という局長現職にあったときとやめた後と二つに分かれているために、その現職であったときのものは直ちにこれは弁済するけれども、局長をやめた後の問題については、これはもう郵政省管轄外のことであるとして放置せられていたやに私は承っておりましたが、これを服部郵政大臣の御勇断によって、いやこれはやはり郵政省の弁済すべきものということで、そのような措置をとられたやに新聞では承っているわけでございますが、その点どうなっておるのかをこの機会にはっきりと承りたいし、また、もしそうであるならば、局長をやめた後の弁済についての法的根拠はどういうことになっておるのか。この法的根拠がもしないというと、類似のことがあった場合にちょっとずるずるべったりになってしまうおそれがございますから、その点もはっきりと教えていただきたいと思うわけでございます。
  6. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  御指摘のとおり、この補償措置については三つのケースがございます。まず一つ現職時代のもの、それから局長を退職してからの問題、いま一つ個人貸借の問題で、前者二つは全部補償するべきであるという措置を確かに私はとりましたが、これにはまたこういった理由があります。  ほとんどの方々高齢者で、しかも自分老後のことを考えて、保育所の用務員であるとか、また掃除婦のおばあさんであるとか、こういった方々が勤労から得た収入を細々と長きにわたって貯蓄し、自己の老後の保障にしたいということだったのがこういった不心得者のために将来について大きな悲観をし、不幸な事態を招くということは、これはとうてい許されない。しかし、そういったケースもないとは断言できない。いま一つは、こういった不届き者局長を任命した国に責任がある。したがってこれはそういう人道的立場に立って補償するべきである。こういうことでそういう措置を確かにとりました。ただし、やはり、おのずからこういった補償措置にも限界がありまして、個人貸借については、すなわち金での借り貸しは、これは国の補償はおおよそどのように法的解釈を求めても無理であるからというので——これも突っぱねないで、係官が現地でそういった方々事情を誠意を込めて御説明申し上げて了解を得たという次第でございます。
  7. 志賀節

    志賀委員 ただいまの郵政大臣お話で、私もきわめて明快に理解することを得ました。  ただ、私がまことに残念至極であると思いますのは、郵政大臣お話のとおり、国がこういう不届き至極な者を任命したことに責任があるという、その御判断を郵政大臣はなされたわけでありますが、実は、この事件発覚したのはきのうきょうではない。いまのお説のごとく、発覚後この半年ぐらいの間の、老後の心細さを補うために貯金等をしていた方たちの心細さたるやいかほどであったろうかという気が私はしてならないわけでございます。これをなぜもっと早く安心させてあげることができなかったんだろうか。郵政省もいままでそれなりにベストは尽くされたんでありましょうが、やはり、大臣が空席であったことはないのでありますから、こういうことをもっと早い時期に、あるいは服部大臣でない時代にそういう措置がとられてもしかるべきではなかったであろうか、この点がまことに残念である、かように私は考えるものでございます。  なお、私はこの機会郵政大臣に伺いたいと思いますが、おのれの姿勢を正す上から大臣を含めて処罰をしなければいかぬというお考えのもとに、その御発言が新聞等に出ております。私は、まことにこれは潔い、しかも最高責任者としてなかなか私ども学ぶべき御態度であると思うのでありますが、しかし、ここで私が腑に落ちないのは、ただいまも申し上げましたとおり、すでに半年前にこれは発覚しておる事件でございます。私は、実は、おとといでございましたろうか、郵政省に依頼をいたしまして、この事件にまつわる新聞切り抜きを細大漏らさず読ましてもらっているわけでございます。最初に、昨年の八月二十八日に、これは新聞記事として、地方版でございましょうか、小さく出ておりますが、これは、この小さく出ておる当時の郵政省担当の、あるいは監察を含めた担当方々責任問題であって——現在の大臣を含めての責任問題かどうか、この点が私はよくわからないので、この点をお教えをいただきたいということが第一点。  それから、第二点は、郵政大臣のそういうお心がけは私もあくまでもよくわかるわけでございますが、そのお心がけとはうらはらに、大臣がいまそういうようにみずからを含めての処分ということをなさると、何か、発覚したのがきのうきょうであるような受けとめ方を世間はどうしてもしてしまう。現に、新聞切り抜き等を拝見しますと、郵政省がこの事件ひた隠しにしておったというように読売新聞は報じておる。あるいはその他の東京タイムズ新聞にも、「ひた隠し郵政省」が「しどろもどろ公表」をしたというふうな見出しも出ておる。これは現に昨年の八月二十八日に記事に出ておりまして、これは私は確かめさせていただきましたところ、郵政省はその当時発表して新聞記者に何か伝えてあったことだそうでございますから、「しどろもどろ」も、「ひた隠し」もないわけでございまして、この辺の新聞報道が、何かにせ報道であってもますます信憑性をもって一般に受け取られるのは、そう言っては大変失礼でありますが、郵政大臣がきのうきょうの担当者の処断などをなさることにもあるいはあるやもしれない。そういう点を私は事実関係からしてきちんとする関係もあると思いまして、一言質問を兼ねて私の疑問を呈する次第でございます。
  8. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  御指摘の第一は、このきわめて悪質な不祥事件を起こし、大臣以下関係者を厳重に処罰するということについてでございますが、御承知のとおりに、司法の処分はいわゆる起きた犯罪に対する処分であります。佐藤和也以下関係者はいま送致されていろいろと取り調べを受け、また、近く裁判にかかるわけでありまするが、私を含めての処分は、これは行政処分でありまして、今後再び国民の期待を裏切るようなことはまかりならない、全職員はもちろん、監督する地位にある者も含めてえりを正し、絶えず国営の事業であることを深く認識し、より一層国民信頼を高める、この信用の失墜を回復するために努力をしなさいという意味処分でございますから、私を含めてと、こういった措置をいま検討しているところでございます。  私を含めてということは、いまの志賀先生の仰せのとおりに、なかなか事務当局も苦慮しているそうであります。もちろん私はその当時には何ら郵政当局関係はなかったわけでありますが、しかし、私は意識していま担当者を苦しめております。絶対私を含めてやりなさい、そういう事例がない、なくてもあっても、いわゆる新設でもいいから考えなさい——ということは、所管大臣がいかにこの問題を重要視し、再びあってはならないと真剣に取り組んでいるかという姿勢を示す意味であえてこういった措置をとったことについて御理解をいただきたい、かように思う次第であります。  次に、こういった大問題、大事件であるにもかかわらず、新聞報道によると郵政当局ひた隠しに隠しておったのではないか——これは郵政省内に監察制度があるものですから、こういった事故が大小にかかわらず起きるときに往々に一般国民から受ける問題であります。私はそういう批判も当然だと思うのです。それだけにもっと厳粛にきわめて厳しい態度で臨まねばならないという点については、絶えず機会あるごとに、すべての会合において——私は、まず、どのような会合でも、この防犯体制という、犯罪未然防止ということについて特に気を用いているところでありますが、私もそういった考え方でいろいろと過去の経緯を調べましたが、端的に申し上げて不手際は確かにありました。いわゆるずうっと系統的な発覚の端緒をつかむことは確かに不手際はあったと思いますが、隠そうという意図的なものはなかったように私は理解いたしております。  しかし、そういったことよりか、こういった悲しむべききわめて悪質な事件の起きたときに、これを機会に大いに参考にし、再びこういった問題を繰り返さないような措置を講ずるとともに、犯罪検挙に当たっても大いに参考にし得るように現在指導いたしておるような次第でございます。
  9. 志賀節

    志賀委員 事務的なことで伺いたいのでありますが、犯人佐藤和也から今回巨額の被害を国がこうむっておるわけでありますが、これに対しての弁償見通しはどうなっておるか、承らせていただきたい。
  10. 日裏泰弘

    日裏説明員 ただいまの弁償見通しはどうかというお話でございますけれども、この点につきましては、昭和五十二年の十一月五日に、佐藤和也が持っております自宅と、それから局舎など十一件の不動産あと土地がございましたけれども、不動産の仮差し押さえをいたしまして、昭和五十三年一月二十五日には支払い命令確定によりまして債務名義を取得いたしております。  しかし、中身を見てみますと、これら不動産はいろいろございますけれども、その多くは他の債権者によりまして抵当権を設定されております。あるいはまた仮差し押さえを受けているというようなこともございまして、その多くを望むことができませんので、これからいろいろな方法で何とかしてこの回収に努めてまいりたいと思っております。
  11. 志賀節

    志賀委員 現在相模大野局局舎はどのようになっておるかを教えていただきたいと思います。
  12. 日裏泰弘

    日裏説明員 お答えいたします。  局舎の件でございますが、佐藤和也の所有であります自宅とそれから局舎につきましては、国の債権の執行を保全するために昭和五十二年十一月五日に仮差し押さえをしたところでございます。
  13. 志賀節

    志賀委員 私が特にこの機会に承りたいのは、その局舎は従来どおり業務が平常どおり行われており、あるいはまたその佐藤和也住まいには住まいしておる者があるのかないのかについて承りたいわけでございます。
  14. 日裏泰弘

    日裏説明員 いまの局舎佐藤和也なる者が住まいしておるかどうかというお尋ねでございますが、ただいまはそこには家族もともに住んでおらないというふうに聞いております。  局につきましては、平常どおり郵便局としての窓口を開きまして仕事をしております。
  15. 志賀節

    志賀委員 この局は従来どおり業務を続けられておる、それから住んではおらないが住まいであることには間違いないように私は承ったわけでありますが、ともかく、この局舎の問題に関しましては、私が仄聞するところによると、土地市有地であってそこから借りておる。しかも、先ほど郵政大臣お話にもございましたとおり、局長を退職した後も局長並みの印象を与えて犯行が重ねられたというようなことから、その佐藤和也のものとして今後存続させることはどういうことであろうかと私は考える一人でございますので、局舎問題に対して郵政当局は今後どのような措置をおとりになるつもりかについても承らせていただきたいと思います。
  16. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  御指摘のとおり、土地相模大野市の市有地でございます。建物は先ほど首席監察官が御答弁申し上げたような状態でございますが、これは昭和三十四年に建築されたものでありまして、非常に地の利を得たところでありますが、しかし、現在は若干手狭になっておりますので、こういった事情も考慮いたしまして早急に、今度は利用者立場に立ってより適当な新しい場所をいま物色いたしております。ちょうど新築を含めて検討いたしたい、現在はもちろん業務を新局長で開設いたしておりますが、なるべく早くそういった措置をとりたい、かように考えている次第でございます。
  17. 志賀節

    志賀委員 手狭というだけでなくて、こういうものも、私有財産であったものから公的機関は離れて、心機一転して業務を今後ぜひお続けいただきたいと切に希望するものでございます。  それから、また、私がこの事件で聞き及びましたことの一つを申し上げますと、実は、この事件が発生する前にすでにこの局長にはいかがわしい風評、風聞等これあり、そのことから特定局長会仲間のいわば先輩の方が同道してすでに辞表提出当局にしたということも聞いておるわけでございます。その後なかなかこれが受理をされなかったように聞いておるわけでございますが、その事実関係と、本当にそうであったならばその間の消息を承らせていただきたいと存じます。
  18. 守住有信

    守住政府委員 お答え申し上げます。  関東郵政局を通して調査させましたところ、最初辞表提出がございまして、それでなぜやめようとするのかということを尋ねたところ、何か商売をしたいという申し立てがありました。ところが、そのとき、その局での取り扱い上の非違でございますけれども、そういう情報処分担当人事担当の方には入っておりましたので、軽率に辞表を受理するということはなくいたしまして、その非違事件確定を待ちまして、減給十二カ月でございますけれども、懲戒処分をいたしまして辞表を受理した、こういう経緯になっております。
  19. 志賀節

    志賀委員 これは辞表提出する以前に今回の事件最初犯行が行われたのか、辞表提出後に最初犯行が行われたのか、その点が私は気になる点でございますが、私が仄聞するところによると、どうも辞表提出後に最初犯行が行われておるやに聞くわけでございますが、その辺を明確にしていただきたいと存じます。
  20. 日裏泰弘

    日裏説明員 ただいまの御質問でございますが、辞表提出したというのは、ただいま人事局長からも話がございましたけれども、私どもの方に情報がございまして、何かやっておるのじゃないかというようなことがございました。そういうことがございましたので、それを調査するために五十一年の四月から六月にかけましてその局に入りましていろいろ調べました。その結果そういう非違の事実が判明いたしましたので処分をしたということになりまして、その後本人はやめております。  ただ、いつからということでございますが、先ほど概要について申し上げましたように、その犯行昭和五十一年の五月からと申し上げましたので、若干そこは入っているのではないかと思います。
  21. 志賀節

    志賀委員 いまお聞き及びのとおり、これは重大問題でございます。辞表提出して受理されておれば、その時点において彼は郵政の人間じゃなくなっておった。ところが、辞表提出されて、それがペンディングになっている間に初めての犯行が行われたということは、これはやはり郵政当局の手抜かりとして追及されなければならない点だと私は思うのであります。  なるほど、ただいまのお話では、非違事件について真偽のほどの確定を待って、処分をしてからという事情があったからというふうに承ったわけでありますが、それならばそれで、なるほど刑法上は疑わしきは罰せずでありますが、こういう場合にはやはり局長としての業務の凍結か何か——これは特別にどういう措置があるか私は役所勤めをしたことがないのでわかりませんが、ともかくこういう事件未然に防ぐための措置としてのそのような考え方が現実に行われなければならない、実行に移されなければならないと考えるわけでございますが、そういうようなことについて当局はいかようにお考えになるか。  今後、辞表提出された場合に、受理しないまでも、受理する間は何か業務を凍結させるとか局長職を凍結しておくというようなたぐいのことをやるようなお考えがあるかどうか、これについて承らせていただきたいと存じます。
  22. 守住有信

    守住政府委員 先ほども御説明申し上げましたけれども、辞表を預かった時点では重大な犯罪というふうな情報ではなかったために……(「いつだったんだよ、それは」と呼ぶ者あり)辞表を持ってまいりましたのは五十一年の三月というふうに記憶いたしておりますが、その時点では、取り扱い上の非違疑いがあるということでこれは預かっております。  そして、先生がおっしゃいました犯罪の方は、これはもう全くわからなかったわけでございます。そして、取り扱い上の非違はわかりましたので、その事実に即して処分をいたした。ただし、一般的に申し上げますと本件はわからなかったわけでございますけれども、そういう疑いが濃いという場合には、一般的には、必要な手段といたしまして、事宜に即してそういう職務の停止あるいは一部停止等をやっていくという考えでおる次第でございます。
  23. 志賀節

    志賀委員 私は、重大な、ただいま問題にされているような事件はなるほど発覚しておらなかったということは承知しておるわけでありますが、しかしながら、当時、この佐藤和也なる局長が別の何が本業であるかわからないような仕事に手を出して、ずるずるとこれの深みにはまっていっている道中にあったわけでありますが、いやしくもそういうような客観的な情勢というものはつかもうとしてつかめないはずはなかったのではないのか。これは私は真実そう思うわけであります。それがつかめないとするならば、これは郵政監察制度にすでに疑義をはさまなければいけない。  それから、もう一つは、そういう相互の切磋琢磨考える上においての特定局長の集まりというもののあり方というものが、もっと真の友好、親睦というものを——これはただ単なるなあなあではないのだ、そういうことをさせないのだ、姿勢を正していくお互いの切磋琢磨の場にこれをするのだというようなことでこれか運営されなければいけないと、かように私は考えておりますので、この点については私は非常に遺憾の念を禁じ得ないものでございます。  監察はこういう問題についての厳重な目を光らせるという努力を怠っておったのではないか。この点を私は非常に疑問に思いますので、この点についてお考え当局から承りたい。
  24. 日裏泰弘

    日裏説明員 お答えいたします。  監察といたしましては、各局の情勢といったものにつきましては絶えず考査にも参りますし、あるいはときによっては調査にも参ります。あるいはまた、いろいろな会合その他を通じましていろいろ情報を収集いたしまして、それをもとにして分析いたしまして、仮にそういうような非違だとかあるいはまた事件に当たるようなことがありとするならば、直ちに的確な措置をしていくというようなことで対処しているわけでございますが、ただいまの相模大野局の問題につきましては、省みますと、これは結果的にそうでございますが、いま言ったようなことで、いま少し早く情報をキャッチし、早く手を打って未然に防止するということが一番大事なことではなかったのではなかろうかということをいましみじみと深く反省しておるところでございます。
  25. 志賀節

    志賀委員 この佐藤和也を主犯とする今回の事件と若干離れますが、後任の局長がいまこの特定局に来て業務が運営されておるようでございますが、この局長のもとにあって佐藤和也の妻英子犯行を犯しておったのではないかと思うわけでございます。そうすれば、もとよりこの佐藤英子の罪は罪でございますが、同時に、後任局長の監督不行き届きということもあるのではなかろうかと思いますので、後任局長処分についてはどうなっておるのかも承らせていただきたいと存じます。
  26. 守住有信

    守住政府委員 先生の御指摘のとおり、この事件は、後任の郵便局長の直接の部下である主事、主任の役職者が前局長犯罪に共謀いたしまして、あるいはまたこれに加担したという非常に悪質な問題でございまして、直接部下職員を監督、指導すべき立場にある後任の局長といたしましても非常に大きな責任がある、と、このように認識をいたしておりまして、鋭意その処分の量刑等を検討いたしておりまして、近々中に処分及び人事上の措置も含めましてその措置をとることといたしておる次第でございます。
  27. 志賀節

    志賀委員 現職のままこの事件によって逮捕その他処分を受ければ、これは懲戒でございますから、懲戒処分、いわゆる首で、当然退職金を受け取るということはない。したがって、佐藤英子についてはこの問題はございますまい。ただ、佐藤和也は、これは現職を退いた後に事件発覚をして逮捕をされておりますから、これは退職金が出たのではないか。この退職金について一体どういうことになっておるか、私は知りたいわけであります。  これは私の希望のし過ぎかもしれませんが、これは当然のこと佐藤和也はこの退職金を辞退する、あるいは返上するの挙に出てしかるべきものであると考えておるし、あるいは郵政省もそういう御指導があってしかるべきではないだろうかと考えておりますので、当局のお考え、あるいはどういうことになっておるのかということ、あるいはこの退職金の額等についてお聞かせをいただきたいと存じます。
  28. 守住有信

    守住政府委員 お答え申し上げます。  昭和五十一年八月十三日に、国家公務員等退職手当法第三条第一項の規定を適用しまして五百十三万四千二百円を退職金として支給いたしております。  一般的に、犯罪被疑行為があるのではないかと思われる者から辞職の申し出がありました場合は、漫然と辞職をさせることなく、十分調査した上で辞職を承認することといたしておりまして、特に犯罪疑いのある者につきましては懲戒免職もあり得るわけでございますから、慎重に取り扱うことといたしておる次第でございますが、本件の場合は、辞職の申し出があった時点あるいはまた懲戒処分時点取り扱い上の非違の問題だけしかわからなかったために、遺憾ながら犯罪事実を把握できなかったわけでございまして、辞職を承認した次第でございます。  したがいまして、退職手当法の規定に従いましてこれもまた適法に支払わなければならないということもございまして、私ども、いまから振り返りましては心情的にまことに残念な気持ちでおるわけでございますが、今日の時点で退職手当を返させる措置というのは法的にできない、こういう事情に相なっておる次第でございます。
  29. 志賀節

    志賀委員 法的にそういうことは強制力はもちろんございますまい。法の効果は遡及することはないわけでございますから。私はその点はよくわかっております。ただ、一般通念といたしましては、たとえば破廉恥罪を犯したような場合、その男が仮に〇〇大学を卒業しておっても、その校友会名簿から抹殺されるというようなことはあるわけでございます。そういうことを念頭に置いてこういうことの指導と申しますか、教育と申しますか、そういうことに当たられることが、郵政事業を今後行われる上において、一般からの共感やあるいは支援を得る道ではなかろうかと考えるがゆえに私はただいまのようなことを申し上げたわけでございます。  私はこの機会に特にまた承りたいと思いますが、佐藤和也という人物の略歴、来歴について、これはもちろん簡単で結構でございますが、承りたいのであります。
  30. 守住有信

    守住政府委員 お答え申し上げます。  本人は昭和七年四月一日生まれでございまして、二十七年三月に新制高校を卒業いたしまして、二十七年四月に郵政省の、当時の四級職試験でございますが、これに採用になりまして、さらに中央研修所の普通部の研修生を受けております。そういたしまして、神奈川郵便局、現在の横浜中央郵便局でございますが、そこに勤務し、郵便、保険、貯金等業務をやっております。その間神奈川大学の、夜学だと思いますが、第二法経学部を卒業いたしております。その後、三十四年三月十一日に相模大野郵便局長に任命されてその犯行時までに至った、こういう経緯でございます。
  31. 志賀節

    志賀委員 立ち入って恐縮でありますが、この佐藤和也の父親は、新聞とか週刊誌で読むと不動産屋というふうに出ておるのでありますが、この父親はいわゆる昔ながらの大地主であるとか、あるいは素封家であるとか、その地域の名望家というようなものであったかどうか、そのこともちょっとお聞かせをいただきたいと存じます。
  32. 日裏泰弘

    日裏説明員 私が承っておりますのは、地元の地主であったというふうに聞いております。
  33. 志賀節

    志賀委員 ただいまのお答えを二つながら聞きまして気がつくことは、私どもの一般通念にある特定局長とはちょっと枠が外れておるような気がしてならないわけでございます。たとえば私が感じましたのは、郵便局にこの人が勤めておった時代にはあるいは全逓の組合員であったかどうか。恐らく組合員ではなかったろうか。そういう人が特定局の局長になったということに対して、私はいま一つ驚きを感じておるわけでございます。いままでの一般通念とは違うという意味ででございます。それから、いわゆるその地域の名望家、素封家という家でもない。なるほど東京の周辺は非常に人口がふえておる地域が少なくなくて、相模大野のごときもその典型的な例であることは言うまでもございません。そこでこういう特定局長の中では毛色の変わった人が出現したのかなという気が私はいましたわけでございます。  先ほど私が申し上げたことに御答弁がないわけでございますが、この佐藤局長特定局長の先輩か何かに伴われて辞表提出をしたようなうわさを聞いておりますが、この辺はいかがでございましょうか。
  34. 守住有信

    守住政府委員 お答え申し上げます。  関東郵政局人事担当の方の調査でございますけれども、三月ごろに口頭で話があった。これは記録がございませんので記憶をたどってやったわけでございますが、そのときも一人で来たというふうな——記憶でございますのであれでございますが……。その後五十一年四月十九日に、これは書面で記録が残っておりますが、退職願の書類が出てきた、十九日に受け付けた、こういうふうな記録に相なっております。
  35. 志賀節

    志賀委員 一人ですか。
  36. 守住有信

    守住政府委員 これは書類でございます。書類だけが残っておりますので……。
  37. 志賀節

    志賀委員 郵送されてきたのか、それとも持参したのか、持参したとすれば一人か二人かということです。
  38. 守住有信

    守住政府委員 重ねてお答え申し上げます。  その間の事情はつまびらかにいたしておりません。
  39. 志賀節

    志賀委員 普通局と特定局の犯罪発生の状況は、この二つを対比してどうなっておるか、お答えいただきたい。
  40. 日裏泰弘

    日裏説明員 お答えいたします。  最近の普通局、特定局別の犯罪発生状況でありますが、最近三カ年間の発生状況を申し上げますと、昭和四十九年度は、これは部内者犯罪でございますが、普通局が二百二十四人でございまして、金額にいたしますと六千九百六十二万円でございました。それに対しまして、特定局につきましては七十五人ございまして、被害金額千二百九十四万円ということになっております。  昭和五十年度でございますが、五十年度におきましては、普通局が百九十三人、九千六百十三万円の金額、それから特定局は八十一人でございまして、七千三十七万円の金額ということでございます。  一番最近の昭和五十一年度でございますけれども、五十一年度におきましては、普通局が百八十九人でございまして、金額が一億三千四百六十二万円、それから特定局が六十六人でございまして、千四百六十七万円ということになっております。  以上が三カ年の状況でございます。
  41. 志賀節

    志賀委員 もうちょっと教えていただきたいと思いますが、普通局と特定局の犯行に及んだ者の総人員に占めるパーセンテージはどうでございましょうか。つまり、昭和四十九年が普通局が二百二十四人で特定局が七十五人とすれば、これはそれぞれ何%ずつに相当するか。いま数字はおわかりになりましょうか。
  42. 日裏泰弘

    日裏説明員 お答えいたします。  三年間のものはただいま調べておりますけれども、五十一年度におきましては二百五十五人に対しまして六十六人でございますので、約二六%になっております。
  43. 志賀節

    志賀委員 済みません、もう一回ちょっと……。
  44. 日裏泰弘

    日裏説明員 全体の部内者犯罪が、五十一年度におきましては二百五十五人でございました。それに対しまして特定局の部内犯罪が六十六人ございましたので、その全体の中での割合は二六%ということでございます。
  45. 志賀節

    志賀委員 ただいまのは、全犯行の中での特定局の犯行を行った者の占める割合が、五十一年度で言えば二六%ということでございましょう。
  46. 日裏泰弘

    日裏説明員 お答え申し上げます。  局種別の件数の比較でございますが、普通局と特定局、これを最近三年間の年平均にいたしますと、検挙件数が、普通局におきましては二百九十七件ございました。それから特定局におきましては八十二件でございます。  最近三年間の年平均の局数でございますが、普通局の場合が千百八十三局、それから特定局が一万七千九局でございます。したがいまして、これを百局当たりの件数にいたしますと、普通局の場合は二十五・一一件、特定局の場合は〇・四八件ということになっております。  それから、最近三年間の年平均の職員数を申し上げますと、普通局の場合が十四万九千百九十七人でございますし、特定局におきましては十三万五千二百八十二人でございます。これを百人当たりの件数にいたしますと、普通局は〇・二〇件、それから特定局は〇・〇六件ということでございます。
  47. 志賀節

    志賀委員 もう一つ聞かせていただきたいのは、特定局長が家族である従業員と結託をして行った犯罪ケースはどのくらいありますでしょうか。その点もお聞かせいただきたいと思います。
  48. 日裏泰弘

    日裏説明員 お答え申し上げます。  最近十年間を見てみますと、特定局長が家族と結託して行った犯罪というものはございません。
  49. 志賀節

    志賀委員 恐らく、そういうことはまさかということで周囲からもなかなか容易に気がつかれなかったとは思いますけれども、それでも、私は、この周辺の特定局あるいは特定局長仲間がこれだけの大きな事件がなぜわからなかったのかという気がしてならないわけでございます。  特定局相互の防犯をしていくための牽制組織というか、あるいは相互に目を光らせるような組織というものはあるのかないのか、あるとすればどういうふうにしておられるのか、それをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  50. 日裏泰弘

    日裏説明員 お答え申し上げます。  ただいま、周辺の特定局の局長かどうしてこういったことがわからなかったのかということもございましたが、やはり、特定局の場合はお互いに相互牽制ということをやらない限り、いま起こったような犯罪を防ぐことは非常にむずかしいわけでございますので、そういった相互牽制の作用が十分でなかったということが言えるのではなかろうかと思います。  ではどういうことになっているかということでございますが、特定郵便局におきますところの防犯対策の一環といたしまして特定郵便局業務推進連絡会というものがございますが、その中に防犯担当者というものを設けまして、防犯施策の推進とか防犯意識の高揚に当たらせておるというのが実情でございます。こういった機能か十分に作用しているならば、いま問題になっているような事件は恐らく起こらなかったであろう、仮に起こってももっと早く発見できたであろうということが言えるわけでございますので、今後私どもはこの特推連の一層の活用を図りまして、犯罪の防止に努力してまいりたいと思います。
  51. 志賀節

    志賀委員 ごく最近新聞でも意見が出ておりましたが、どうも部内がなあなあになっちゃって、甘えが出ちゃっている、監察制度が生かされないのではないか、無用の長物と化していはしまいか、したがってこういうものではなくて、警察にこういうことは全部任せたらどうだという意見がございました。それから、こういう事件が発生したら、後は全部警察に任してしまったらどうだという考え方がございます。  こういうこと等についての当局の見解と、それから、現時点監察が警察との連携をどういうふうにしておられるのかということ、そこを聞かせていただきたいと思います。
  52. 日裏泰弘

    日裏説明員 お答え申し上げます。  ただいま監察の問題につきまして御指摘がございましたか、私ども監察業務を行うに当たりましては、何といっても厳正ということが一番大事なことでございます。そういった意味できわめて厳正に処理しているわけでございます。特に犯罪に対しましては、公務員として絶対に許されない行為でございますから、厳しく対処いたしまして、捜査した事件はすべて検察官に送致することといたしておりまして、かりそめにも甘いということのないよう、これは常々強く指導しているところでございます。  捜査権の問題でございますけれども、郵政犯罪は依然として後を絶たないわけでございます。五十一年度におきましても四千四百件ぐらい出ておりますし、なかなかこれを絶滅するというところまでは至っておりません。そういった状態でございますし、また、その中での態様でございますが、これも非常に知能的、計画的なものが多くなってきております。ことに普通通常郵便物の窃取事件、抜き取りでございますが、そういった事件とか、あるいはまた広域、複雑化しておりますところの貯金とか保険関係事件等につきましては、やはり速やかに証拠を収集いたしまして、事件を徹底的に解明して検挙する必要があるわけでございますけれども、このためには、何といいましても、郵政業務につきまして専門的な事業知識を持っている郵政監察官で徹底的な捜査を期する必要があると考えているわけでございます。  次に、警察機関との連携ということでございますが、警察機関との連携につきましては、常に緊密な連絡を行いまして、共同捜査の必要がある犯罪、たとえば郵便局舎に侵入するという事件が相当ございますが、そういう局舎侵入といったような事件につきましては、その捜査については共同捜査ということで捜査に当たりまして非常に大きな成果を上げているということは言えると思います。  参考に申し上げますと、昭和五十一年度におきまして警察と共同して犯人を検挙したものが全検挙件数の四一%に達しておるわけでございますが、こういったぐあいに郵政監察官が独自に捜査する面と、それから警察と共同してやる捜査、それから警察にすべてをお任せする面、こういうふうにそれぞれ分かれているわけでございますが、五十一年度におきますところの警察との共同捜査の状況を御参考のために一応申し上げますと、総検挙件数が二千八百六十七件ございました。そのうち郵政監察官独自で捜査して検挙したものが千五百七十九件ございます。それから、また、警察と共同捜査で検挙したものが千百五十九件ございます。警察独自で捜査して検挙したものが百二十九件ということになっておりまして、独自でやるもの、共同でやるもの、それから警察に任せるもの、それぞれ分けまして検挙率の向上に努めているというのが実情でございます。
  53. 志賀節

    志賀委員 今回のような事件で一番問題だと思いますのは、特定局長がサイドビジネスをして、われを忘れていずれが本業であるかわからないくらいこれに埋没してしまうということだと思うのであります。もし局長にしてそのようなことが認められていいということであれば、普通局の局長がやってもいいことになってしまう。ところが、普通局の局長が似たようなことをやったならば、犯行に及ばずしてすでに世の指弾を受けるのではないか、それくらい重大な問題ではないかと私は考えておるわけでございます。この特定局長がいずれが本業かわからないようなことをやるということは、まず局長の社会的な自覚に立っての自主規制といいますか、こういうことを求めてもそう過酷なことではないと私は思うのであります。御存じのとおり、特定局の局長というのは、その地域地域の素封家、信望家の方々を主としておるわけでありますから、こういう方たちが名誉職のあることはやむを得ますまい。しかし、それによって銭をもうけるとか口をのりするというようなことを特定局長以外のところに求めるということ自体に大きな問題があると私は思うわけであります。  そこで、私は、特定局局長会会員の一人一人の自覚を促したいと思いますとともに、私がこのような考え方を持つことに対して郵政省は共感していただけるか。共感していただけるならば、これに対して同じような立場から特定局の方にもそのようなお申し入れをするといいますか、そのようなことをしていただきたいと思うわけでありますが、お答えを願います。
  54. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  特定郵便局長といえども一般国家公務員と同様な服務規律のもとで勤務されているわけでありますから、御指摘どおり、もちろん営利企業に関与することは断じて許されません。しかし、このたびのこういったまことに残念な事件の内容は営利企業に関係いたしておりまして、率直に申し上げて、これを早期に発覚でき得なかったことは、これは何と言いわけしようと監督の不十分、不行き届きであることを率直に認めます。  私は、この事件の報告を受けて即座に関係機関を招集いたしまして、事務処理に当たって、御指摘のとおりに徹底的に現実を調査し、あわせて関係者に再度こういうことを起こさないように厳重に注意をいたしたところでございます。
  55. 志賀節

    志賀委員 郵政省に伺いたいのでありますが、特定局の家族従業員はどれくらいいるのでございましょうか。それから、同じ局に局長とその連れ合い、奥さんが職員となっているケースはどれくらいあるのでありましょうか。  このこととあわせてもう一つ承りたいのは、家族従業員の問題について、これまで何らかの方針で対処なされたのかどうか、あるいは今後対処なされる方針が従来とは違ってあるとせばどういうことなのであるか、それを明らかにしていただきたいと存じます。
  56. 守住有信

    守住政府委員 特定局の家族従業員の問題でございますけれども、この家族従業員というもののとらえ方を、従来から、局長の配偶者、それから血族につきましては三親等以内、姻族につきましては二親等以内ということで、局長と同一の特定郵便局の中で勤務しておる常勤職員、こういう定義で調べておることでございますが、五十二年四月一日現在におきます家族従業員の状況は、特定郵便局職員総数十万六千九百二十九人中三千八百五十六人で、その割合は三・六%、こういうことに相なっております。それからまた家族従業員が在勤する局数は、特定郵便局一万七千八十六局中三千五百三十一局で、その割合は二〇・七%でございます。これは局数でございます。次に配偶者の点でございますけれども、同じ五十二年四月一日現在で在職する配偶者は二千三十一人ということでございまして、特定郵便局職員に占める割合は一・九%、これが現状でございます。  そこで、お尋ねの第二段の問題でございますが、山間僻地を含めまして全国至るところに設置されております特定郵便局につきましては、職員の住居と申しますか、あるいは通勤の事情等を考慮した場合、その職員特定郵便局の家族であるからといって、すべて同一局に勤務することを一概に禁止することはいかがなものかというふうにも思っておりますし、また、さらに、家族的なよい面もあるわけでございます。しかしながら、また一方では配偶者、親子等の関係が好ましくない事態を生ずるおそれもありますので、従来からこの点の自覚を促しまして、職員の配置についても地方を通じましていろいろ指導しておるところでございますが、マクロの傾向としてはだんだん減っておるわけでございますけれども、なお、今後におきましても、今回の事件にかんがみまして、従来の方針どおりに家族従業員——特に今回は配偶者の問題でございますので、この配置をできるだけ自粛するよう、たとえば局長自身や配偶者の個人的な利便だけを理由として家族を同一郵便局に配置することがないように配意してまいりたい、このように考えておる次第でございます。  なお、実行面につきましても、こういう面の局——大臣以下おっしゃっておりますような特別考査の中でこういう面をまたさらに重点的に考査をしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  57. 志賀節

    志賀委員 さきに大臣からの明確な御答弁をちょうだいしたわけでありますが、この佐藤和也がボウリング場の経営に手を出しておったという事実を顧みまして、事務当局として、兼業について、特定局の、しかも局長の兼業について指導、監督が十分だったかどうか。これは今後の対処のこともございましょうし、そういうことで事務当局のお答えをちょうだいしたいと存じます。
  58. 守住有信

    守住政府委員 大臣のお答えのとおりでございますが、事務当局といたしましても、特に営利事業というのは国家公務員法の百三条で、「私企業からの隔離」ということで原則的に禁止されておるわけでございます。  問題は、これを隠れてやっておるという問題でございますので、これをひそかにやっておる者に対してどうやってどのような手段を講じていくかという面だろうと思いますが、先生の御指摘のように、まず基本は特定局長諸君たちの自覚、自律と申しますか、それが基本でございますし、さらには、私どもといたしましても、また近く大臣御指示で二局長会議をやることにいたしておりますわけですが、その中で大いにこの面を議論いたしまして、いろいろな手法、工夫をその中で議論いたしましてこの徹底を図ってまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  59. 志賀節

    志賀委員 特定郵便局の現状は、地域社会に密接した郵政事業のサービス機関として今日まで親しまれてきておるわけでありますが、しかし、それだけではなく、いろいろ見る目がありまして、これに対してのさまざまな批判あるいは共感が渦巻いておるわけであります。  この問題について、大臣に所見を承りたいと存じます。
  60. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  特定郵便局制度につきましては、昭和三十三年に特定郵便局制度の調査会なるものを設けまして、いま御指摘の問題も含めていろいろと御検討をいただいたようでありますが、この調査会の答申では、この特定局制度を認めるという答申を受けたようでありまして、自来郵政省もこの趣旨を尊重いたしまして今日までの措置をとってまいったところであります。  特定郵便局長の現状を見ましても、先生の御指摘のとおり、地域社会に密着いたしまして郵政事業のサービスを提供するとともに、広く国民から親しまれてまいった事実は否めないのでございまして、われわれもそういった立場から地域社会により一層の貢献をしてまいりたいと考えているところであります。  なお、特定郵便局の運営に当たりましては、今後とも社会経済の発展に即応した改善を行わねばならない。その改善はあくまで国民の要請にこたえたより一層の整備を図ってまいる所存でございます。
  61. 志賀節

    志賀委員 私が承りたいと思っておりましたことはほぼ以上で尽きたわけでございます。  ただ、いままで私がいろいろ承った中で痛感をいたしましたことは、まだまだ郵政省のこの問題についての対処が甘かった、あるいは遅かったという事実は否めないと思うのでありまして、この点について深い反省を加えていただきたいということと、それから、第二は、先刻来問題になっております特定局長そのものの社会的な自覚をまずみずからしていただきたい。それから、また、周辺もそういうような気持ちで見ていかなければいけないのではないだろうかというふうに考えるわけでございます。  ただ、先ほどもちょっと触れましたように、特定局長と申しましても、この佐藤和也という人の特定局長としての立場は、従来の私が抱いておりました特定局長とはちょっと観念において趣を異にする。どうも全逓の出のようである。あるいはまたこの男の家庭環境というものは、その地域の代々伝わるれっきとした素封家というような範疇にも入らぬようである。それからもう一つ申し上げたいことは、特定局であるから非常な犯罪が行われておるという事実も数字の上からは毫も見当たらない。むしろ特定局以外の局の方に犯罪件数なんかは、あるいはパーセンテージは多いように見受けられる。  そういうことからすると、この事件機会特定局長の改廃について真剣に取り組まなければいけないと私自身考えておったわけでありますが、これを廃止するという論理的な事実上の根拠をつかむことができない。いいものはいいものとして、どうしてもこれは存続させなければいけないとともに、いいものの中に悪いものが出たならば、それを改めていく方向を強くやっていくのが行政ではないであろうか。私は何も白を黒と言いくるめるのではなくて、現実にいままでお教えをいただいた数字とかあるいは事実関係に基づいて以上のことを判断するものでございます。  特に、私は、特定局そのものに対して望みたいと思わないわけにはいかないのは、戦前の日本は自由を失いましたが、しかし、御承知のとおり大正デモクラシーという時代に自由が謳歌された時代があった。ところが自由と放らつとを踏み違えて、たとえば言論一つをとってみても、ゴロ新聞であるとかあるいは恐喝を事とするような言論機関の生じたことが言論統制を招く糸口になってしまった。こういうことがあればこそ私は特定局の局長の深い自覚を求めないわけにはいかないわけであります。そういうささたる事実があったということで、言論の自由であるとか、自由という大事な原則を踏みにじることは許されないと私は思う。私は特定局の制度というものはりっぱな制度だと思っておりますから、これら一つのことをもって針小棒大に事を変えてこれを理屈づけて廃止したり、あるいはそういう方向で改めるということは、これはむしろファッショにつながる道であると私は思うのであります。  したがいまして、この機会郵政大臣並びに郵政省当局に、この特定局制度のいままでの悪かった点、改めなければならない点には真剣にお取り組みをいただいて、そして、かつての日本がたどったようなああいう間違いをたどるようなことのないような、そういう糸口を与えないようなきちんとしたものにしていただきたい。それが私の切なる念願でございます。  本日のこの質問を閉じるに当たりまして、私自身の所見を申し上げるとともに、また、郵政大臣及び郵政省当局に対して心からこれを希望し、期待し、私の質問を閉じるものであります。  どうもありがとうございました。
  62. 松本七郎

    松本委員長 米田東吾君。
  63. 米田東吾

    ○米田委員 志賀委員質問に引き続きまして私からも、この相模大野局犯罪事件につきまして、大臣と、それから人事院総裁郵政省の各担当局長に御質問をしたいと思います。  最初に、郵政大臣の御見解をお聞きしたいのでありますが、大臣は先般のこの委員会における所信表明におきまして、異例にも所信の冒頭にこの事件を取り上げられまして、大臣の厳しい反省と自覚の上に立った所信の表明がございました。私は、正直申し上げまして、大臣のそのお考え姿勢と率直な見解を示されたことに対して非常に敬意を表します。共鳴をするところが非常に多くございました。これは率直な私の気持ちでございます。  私どもも、この事件につきましては実は大臣と同じような気持ちでこの事件を見ておりましたし、また、今後のこの事件の処理、要するに原因の究明あるいは解決策というようなものについて真剣に取り組まなければならないし、これを誤ると再び二度三度とこのような事件が起こらないとは言えない。それは郵政省の損失である。そしてそれは国民に対する裏切りでありますから、これはもう郵政省にとっては何としても避けなければならない責任があると思うのであります。そういう観点で大臣の所信表明を私は非常に感銘して受けとめました。それを前提にして、大臣のこの所信につきましてなお一、二この機会にお聞きしておきたいことがあるわけであります。  大臣は「原因の解明」という言葉を使いました。これについては非常に強調をされておるわけであります。二局長会議あるいは全幹部に対する訓示、指示、それから対策本部の設置等で国民信頼回復のために徹底的に原因の解明をやるのだという決意を表明されておるわけであります。  ここで私が聞きたいのは、この原因の解明を本当に大臣にやっていただくという前提で考えますと、相当な困難が出てくるだろう、いろいろな障害もあるだろう、政治的な障害を含めて出てくるだろう、それから郵政省内の、率直に言えば官僚の抵抗も出てくるだろうということで、実は私は部内に飯を食ったことがありますだけにそういうことを感ずるわけであります。この原因の解明に取り組めば取り組むほど、私が懸念するのは、小局の運営あるいは特定郵便局の運営、主としてここに基本的にかかわってくると私は思うのであります。  そういうことからいきまして、大臣はひとつ勇断をもってこの原因の解明に対処してもらいたいと思うし、その決意を本当に大臣は腹に据えていらっしゃると思うのでありますけれども、もう一度この点についてお聞きしておきたいと思います。
  64. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  先般の当委員会において私の決意のほどを披瀝いたしました。自来この問題と真剣に取り組んでまいったつもりでありますが、現在においても何ら変わらないどころか、もっと度合いを強めて、御指摘のとおりに、国民信頼回復のためにも、また普通、特定局を問わず、こういった方々国民からこの事件にかかわって見られる目を一刻も早く排除するためには、何としてもこの問題の原因の解明をし、再びこういった悲劇を招かないような措置を講ぜねばならないというのが私の基本的な考え方でございます。  自来、私はいろいろと省内に機関を設けて、なお第一線で御苦労をいただいている責任者も招致いたしました。さらに、また、明後日二局長、すなわち郵政監察責任者を本省に招致いたしまして、この原因解明のためのいろいろな項目を設けて、私も加わって事後措置をいかに講ずるかという取り組み方をいたしております。  私は、先ほど来志賀委員から、または予算委員会を通じていろいろと先生方から御指摘を受けておりますが、率直に申し上げて、こういった大事件に発展したということは監察の怠慢であります。率直に認めます。そんな体裁のいいことを言って私は言いわけしようとは思いません。と申しますのは、犯罪というのには二種類あるのです。計画的な犯罪と出来心という犯罪とあるわけですが、これは最も悪質な計画的な犯行であり、先ほども申し上げたとおりに、国家公務員にあるまじき、断じて許されない、いわゆる営利企業を現職局長が欲望を満たすためにやるという行為、これを発見できなかったところに大きな問題点がある。そこで、あえて私が原因の究明ということを強調いたしましたのは、事件の早期発覚がいわゆる犯罪防止の決め手だと考えるからでございます。  したがって、余談になりますが、こういった悲しむべき事件を今後再び起こさないために、私は、ありとあらゆる機関を動員し、努力し、この一つ犯罪防止のための資料をつくりたい、そして御指摘のとおりに、局長の自覚と、それから国営企業であるという認識、いわゆる責任、こういった点についての大きな資料にいたしたい、かように考えておるわけでありまして、先般の私の所信表明のとき以上の悲壮な決意で取り組んでいることを申し上げて答弁といたします。
  65. 米田東吾

    ○米田委員 本委員会ももちろんだと思いますけれども、私も政治家として、また逓信委員会の委員として、その、大臣のこれからやろうとすることについて協力を惜しみませんから、いま答弁されましたような御趣旨でぜひ最後まで究明に当たって解決策を見出していただきたいと思います。  この事件につきましては、国民の批判は非常に厳しい。これは大臣も十分御存じだと思います。特に、日がたつに従いまして、マスコミ関係のこの問題についての追跡は、国民に対する啓蒙等いろいろな面で的を射た報道をしていただいております。また、的を射た提言もなされておるわけでありまして、私ども、非常にこれは歓迎すべきことだと思うのであります。  そこで、そのマスコミの傾向を大別してみますと、これは新聞の投書欄なんかをも含めまして傾向を見ますと、一つは、小局運営の郵便局の制度にかかわっている原因が一つあるんじゃないかということ、もっとはっきり言えば、特定郵便局の運営あるいは局長の任用等についての制度に根幹があるんじゃないかという指摘が中心の一つでありますし、もう一つは、いま大臣もおっしゃいましたように、監察の怠慢と、まさにずばり指摘されましたけれども、郵政省監察制度そのものが問われておる。批判を受けている。何だかんだと首席監察官が答弁されようと、私も答弁を聞いておりまして、真実答弁がなっておらないと私は思っております。一体それだけいま郵政監察制度というものは地に落ちておるのか、機能を失っておるのか、これがこの事件に非常にクローズアップされまして、それが大きな国民の指弾を受けているというふうに思うのであります。この二つが中心点だろうと私は思う。  そういうことから判断いたしますと、この特定郵便局、要するに小局運営のあり方、制度の問題、これを突き詰めていきますと、大臣がおっしゃる決意にかんがみまして、これは大変な問題が出てくるはずだ。私は、それらの原因究明のために制度にもメスを入れて、改善すべきところは改善する、切るべきところは切るという断固たる態度と方針を貫かれることが必要だと思うのであります。こういうことについて大臣は十分承知していらっしゃると思いますが、問題をひとつ指摘しておきたいと思うのであります。  この事件は、これはどこかの新聞にもありましたけれども、郵政省信用ある事業郵政省の社会的な信用というものを看板にして、そうしてその頂点にある、最高責任を現場で持っている局長がどろぼうをやっている、あるいは人の金を横領しておる、業務にまつわる違法な扱いをして公金を使ったり、小切手定額貯金利用者に対する詐欺横領、財産の詐欺横領をやっておる、と、こういうことなんであります。これは言葉をかえますと、現職の警官が制服を着て女子大学生を暴行したり殺傷したりしたということにも匹敵する問題じゃないか、郵政省にとりましては、信用の面からいきますと、国民信頼を裏切った面からいきますと、まさにそれにも匹敵する問題じゃないかと、これはずばりマスコミもそういう指摘をしておるわけであります。これは何としても郵政省大臣以下挙げてこのことについて反省しなければならぬし、こたえて取り組んでもらわなければならぬと私は思うのでありますけれども、こういう点について絶対に監察が甘かった。これがあるいは局長擁護の側に回るとか、あるいは制度擁護の側に回るとか、そういうようなことのないように対処してもらいたいと思います。  この基本的な姿勢態度について、一つ郵政省人事局長から、一つ首席監察官からこの際承りたい。大臣の見解と姿勢はいま表明されてわかりましたから、皆さんの基本的な態度もお聞きしておきたい。人事局長首席監察官、どうぞ。
  66. 守住有信

    守住政府委員 お答え申し上げます。  私ども人事局は職員の服務の規律ということを所掌しておる次第でございまして、その服務の規律という角度から見ました場合、本件のような、特にその遠因、近因が、国家公務員法百三条に違反する近因があるというふうなこと等々の問題を含めまして私ども深く反省をしていかなければならない、これを実際の指導面でいろいろな角度から工夫しながら徹底をさせていかなければならない、このような立場にあり、また、そのように気持ちとしても痛感をしておる次第でございます。(米田委員「解明についてはやりますか」と呼ぶ)  現在も、いろいろな面につきまして一つの例を申し上げましたけれども、さらに地方局長大臣が御指示の会合の中でもいろいろな議論をし合いまして、いろいろな工夫を生み出すとともに、さらにその徹底を図ってまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  67. 米田東吾

    ○米田委員 人事局長大臣監察に主たる責任があるという見解でございますし、私もそれに大体としては同意いたしておりますが、しかし、今度のこのケースからかんがみまして、人事の関係、任用の関係、兼業兼職の関係等はむしろあなたの方に、人事局長の方に責任があるわけでありますから、あなたの方がおろそかにルーズになっておる段階で監察が幾らハッスルしても原因の突明もできませんし、解決策は出てこないと思いますのであなたの決意を実は聞いたわけでありますが、私の言っている意味はおわかりですか。あなたの決意をもう一遍聞かせてください。
  68. 守住有信

    守住政府委員 お答え申し上げます。  先ほどは服務の面から申し上げましたわけでございますが、特に、最初の任用という問題に相なりますと、いわゆる特定郵便局長の選考任用制度の中で、これは採用されて任命された人間でございますけれども、およそ犯罪者というものは、最初からこれが悪人であるということなら当然にこれは排除しておる次第でございますけれども、本人の神奈川郵便局時代の勤務成績その他を当時調査いたしましたけれども、五人の候補者があったようでございます。二名は部外、三名は……(米田委員「そんなことは聞いていない」と呼ぶ)そういうことからも、特定局長になりました後の、その職務を利用しての、しかもこれの近因が営利企業と絡んでおるという、こういうことからの服務の厳正化ということについて徹底を図ってまいりたい、このように私は考えておる次第でございます。
  69. 日裏泰弘

    日裏説明員 お答え申し上げます。  ただいまのお話でございますが、先ほど大臣から、このたびの事件につきましての監察の怠慢、責任というお話がございましたが、私も、このたびの事件を顧みてみますと、まさに監察の場合におきましてもそういった点につきまして深く反省いたしております。  ただ、私ども、仕事は捜査あるいは考査、それから調査というものが大きな三本柱でございますが、これらの仕事を通じまして、郵政事業、郵便、貯金、保険各事業が円滑に運営されるようにということで日々努力しているところでございますが、何と言いましても、一たび犯罪が起こりますと、これを早期に発見して早く処理するということがまず一番大事だと思います。起こってからでは遅いわけでございまして、私どもは、先ほど申し上げましたように、監察の機能を通じまして、情報その他をあらゆる角度からできるだけ分析し、そして何か異常な点がありましたら的確に措置をしていくということが一番大事なことではなかったか、これからも大事なことであろう、かように思っております。  そういった意味で、私初め監察陣営、まあ監察制度そのものが問われているという厳粛な事実に直面いたしまして、これからも、大臣のお気持ちも十分肝に刻みまして、えりを正して、本当に皆さんから信頼される監察であるように全力を尽くして前向きに取り組んでまいりたいと思うわけでございます。
  70. 米田東吾

    ○米田委員 大臣に重ねてお聞きをするのでありますけれども、先ほどの志賀委員の御答弁にもございましたし、また所信表明でも大臣の決意が明確に出ておりますが、要するに責任者、関係者の厳正な処分ということは、これはもう当然なことでありますし、私どももそれを強く求めたいと思う。かりそめにも政治的な判断や、あるいはいわゆる甘いという処分がなされて終わるようなことがあってはならないと思います。  大臣は、みずからということを言われているのでございますけれども、それも私は大賛成だ。大臣には就任早々のことであって、大臣がみずからと言うことについては私もちゅうちょする面もないわけではありませんけれども、大臣の決意にありますように、この際は大臣がみずから身を正すという意味から言っても、大臣みずからを含めた処分ということについては私どもも賛成でありますが、ただ、私が懸念するのは、これは杞憂かもしれませんけれども、処分を厳しくやったから、広範に処分をやったからそれでこの事件は一件落着だということだけはあってはならないし、また、大臣はそんなお考えはないと私は確信しております。原因の究明、解明と、それからそれに基づく対策というものと処分とは一応別だと私は思うのであります。  そういう意味で、この面について私の杞憂が杞憂であるように私は願っておりますが、大事な点だと思いますので大臣からお聞きをしておきたい。
  71. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  ただいまの御指摘の問題は、先ほども申し上げましたとおりに、私の置いている力点は再びこういった悲しい事件を起こさせないということで、昔から罪を憎んでもその人を憎むなということわざがございますが、私の現在の立場からいけば、二万数千人の局長とまた三十数万の郵政職員をまことに苦しい立場に追いやった佐藤和也なる者の行為はもう憎みても余りあるところでありますけれども、しかし、佐藤和也の女房はともかく、子供の立場に立つと、これまた違った感情が起きるわけであります。厳しくこの原因究明、解明に臨むということは、再び起こさないということは、そういう気の毒な人間をつくることがあってはならない、もう佐藤和也夫婦で十分だ——だから、監察の全責任であったということは、国家公務員でありながらそういった営利企業に、スーパー営業とかボウリング営業に手を出しているのに数年間発見できなかったというところを私は指摘したわけであります。  しかし、幸いなことに、私がこういった方針を立てましてから、監察はもちろん関係者、省を挙げて協力体制をとってくれていることは事実であります。そして、私は先ほどもはっきり申し上げましたが、この問題の処理に当たってずいぶん厳しい指示をしております。また、事務次官以下監督の地位にある方々を苦しめております。ということは、再びこれは許さないぞという姿勢でありますから、私を含めて正直言って含め方がないという反論もあるのですが、いまいけないという状態をとっているわけでありますから、御懸念の省内の反発もありませんし、もしそういう気配があれば、今度は逆にそういった姿勢に対して強い立場で指導し、是正さす自信も確信も私は持っておるところでございます。  なお、処分が終わればそれで事足れりということのないようにという御注意まことにありがとうございますが、断じてさようなことはございません。真剣に取り組んで究明、解明をし、再び犯罪を防ぐためのいろいろな資料に供したい。真剣に取り組むことをお誓いいたしまして御答弁といたします。
  72. 米田東吾

    ○米田委員 細かい問題を聞く前にきょうは人事院総裁においでをいただいておりまして大変ありがとうございますが、総裁は公務員法の元締めであります。総裁の任務は公務員法第三条に明記をされていると私は見ております。  今度の相模大野局事件一般職の公務員の局長とその妻がグルになって犯した犯罪でありまして、そして他の一般職員二人も巻き込んでおる。名前は申しませんけれども、これは他の公務員も巻き込んだということであります。二人の公務員に少なくともこの事件にかかわりを持たせておる。こういう事件でありますが、総裁もこの相模大野局犯罪というものは恐らく十分報告も受けていらっしゃると思うし、また、新聞その他マスコミを通しまして国民の批判、世論というものも御理解をなさっていらっしゃると思うのでありますが、この際、総裁としての、この事件についての率直な感想といいますか、お気持ちをまず聞かせていただきたい。
  73. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 このたびの事件は公務員に関する問題でございます。しかも、その内容から申しまして、これが大変遺憾なことであるということはもう申すまでもないことでありまして、私も大変な関心を持って自余の報告も受けております。また、新聞その他の報道も十分よく目を通して認識をしているつもりでございますが、これはもう大変遺憾な事柄でございます。  大臣からもこの問題に対する考え方やまた今後のこれに対処する方針、方策というものについて大変真剣な態度が表明されておるのでありますが、私もその点は全く同感でございまして、事柄自体といたしましては、金を扱い、また大事な郵便業務を扱うという立場にあります者が、その地位を利用して何らかの不正を行う。しかも、今度の場合は大変大きな不正であります。こういうようなことがあることは大変恥ずかしい問題であり、遺憾なことであるというふうに私自身も無論認識をいたしておりまして、これに対して、こういうことを再び繰り返さないような処置、方針、その他の点につきましては、関係各省庁とも十分連絡をとりながら対処をしていきたいという深い関心を示し、また、決心をいたしておる次第でございます。
  74. 米田東吾

    ○米田委員 よくわかりました。  そこで、総裁にもう二、三御質問をいたします。  いまさらここで説明を申し上げる必要はないのでありますけれども、郵政省における特定郵便局長の任免あるいは任用の関係でありますが、これは国家公務員法に根拠を持ちまして、その任免の根本基準あるいは採用の方法と、このような基準に基づきましてあなたの方で人事院規則を制定されていらっしゃるわけであります。これを受けて郵政省は、現在、特定郵便局長の任用についてという一つの基準といいますか、部内の一つの規定というものを持ちまして運用しているわけであります。  問題は、いまも総裁が御指摘になりましたけれども、これはもう実に明らかなように、特定局長とその妻がこれはいずれも一般公務員でありますけれども、その局長あるいは主事という職責の、特に強い管理運営あるいは業務推進についての責任を持つ者がグルになって今度の犯罪が起きておるわけであります。だとしますと、これは国民から見ましても、何でこんな者がやすやすと局長になれるのだろうかという疑問が起きるのは当然だと私は思うのです。そこで、郵政省特定局長の任用のあり方というものは一体どうなっているんだろうという疑問がさらに出てくるわけですが、その根本を検討してみますと、公務員法、人事院規則にかかわり合いが出てくる。  私は総裁にお聞きしたいのでありますけれども、この特定局長の任用あるいは任免の制度というものについて、公務員法が制定されて三十年になりますけれども、まだ整っておりませんね。したがって、このことについてあなたはどういうように問題をとらえていらっしゃるのか。  ちょっと抽象的な質問になりますが、要するにこの特定郵便局長の任用の制度について、公務員法ができて三十年たっておる今日の段階で、しかもこういう犯罪を契機にして、公務員管理の最高の責任を持っていらっしゃる人事院総裁としてはどんな見方をされるか、感想を持っていらっしゃるか、これもお聞きしておきたいと思います。
  75. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 公務員法が制定されましてから、いまお話しのように三十年経過をいたしておるわけであります。この制度自体は、私から申してどうかと思いますけれども、何とかかんとか言いましても、やはり世界に非常に冠たるりっぱな制度であるということは私自身も評価をいたしておりますが、ただ、運用をそれなりの精神に従って完璧にやっておるかということになりますと、これはやはり問題であります。それだからこそ今度のような問題か起きるということでありまして、私自身は大きな顔をしていばるつもりは毛頭ございません。  ただ、公務員法の精神自体はそれなりに評価をしていいわけでございまして、公務ということの重要性にかんがみまして、たとえば任用の問題あるいは昇任の問題につきましては成績主義の原則というものを貫いてきておるわけであります。それなりの効果は恐らくは上がっておるのではないかというふうに私は思っております。  ただ、職務の種類によりまして、いまの郵政省お話しになっております特定郵便局関係等につきましては、やはり、これは成績本位で試験だけでやるということがいかにも適当ではない、実情に合わないというようなこともございますので、これはいろいろ御当局とも相談をいたしまして、選考ということで今日までも来たわけであります。  これは先生は御専門ですから非常にお詳しいと思いますが、明治の初期に近代的なこの郵便制度というものを日本において採用したという際に、結果的な問題でありますが、当時としてはこれは大変うまい制度をやったと私自身も思ったのです。当時としてはまことにりっぱな識見のあった政治家がいたものだなというふうに感心をしているわけなんですけれども、それはそれで効果を発揮したということは事実だと思います。ただ、それが非常に年月を経過いたしました結果、いまお話しの中に具体的にはございませんですが、私が想像いたしておりますのは、やはり、部分的には世襲制みたいなことになりまして、これが何らかの悪い影響を与えておるというようなことがなきにしもあらず。これは絶対にそういうことはないということは私の立場としては断言をいたしかねます。そういう気持ちは持っております。  しかし、その点は郵政省といたしましても十分御配慮になって、選考の基準等につきましてもできるだけ厳密にやっておられるに違いないというふうに確信を持っておるわけでございますけれども、しかし、長い間のことでございますので、それらの点について、客観的に見ました場合には、場合によっては何か問題が起きるという懸念もなきにしもあらずというような点はやはりあり得ることだろうと思います。  したがいまして、今回の事柄を契機といたしまして、専門は郵政省でございますので十分いろいろお考えになっておられるとおりでありますし、また、いま大臣も非常な決意をもってその所信を表明せられたところでございますけれども、その段階におきましては十分御相談をいたしつつ、さらに改善した方策というところに向かっていく余地があるのかないのかということは人事院の立場といたしましても十分検討いたしたい、かように考えます。
  76. 米田東吾

    ○米田委員 いま総裁が答弁されましたように、言葉の上では、あるいは表現上、文章上は試験任用でなくて選考任用、私どもの俗な言葉で言えば自由任用、これはそうマイナス点だけじゃないと私は思っております。しかし、郵政省特定郵便局長に開かれておる選考任用制度、自由任用制度は、これはいまたまたま総裁もおっしゃったように、文字づらや言葉の意味、表現はどうであろうとも、今日、約九十年前の明治二十一年に制定されたといわれる三等郵便局長採用規則、要するにおっしゃる世襲制を認めた規則であります。これが厳然と生きておることについて総裁はおわかりになっていらっしゃいますか。仮にまれであっても、今度のこの相模大野事件については、局長はそういうものではありません。これは志賀委員指摘されたとおりであります。しかし、こういうものが現実に生きておる。  そして、それを包む法律的な処理として、公務員法の三十三条、三十六条等を受けて人事院規則八−一二ですか、これが出て、そして特定局長のいまの任用の規定というものが出されておる。郵政省は最近は世襲制は認めていませんとおっしゃるかもしれない。しかし、もし例を挙げることが許されるならば、幾らでも私はここで例を挙げることができます。生きておるのであります。こういうことがやはり人事についてルーズにならぬか。特定郵便局長の服務についてルーズにならぬか。郵政省は制度として認めているのですからね。人事局長は幾らりっぱなことを言っても、認めておる根幹に触れた服務の規制というようなものは恐らくできないはずと私は思う。それが国民のだれが考えてもわからぬような、局長と奥さんがぐるになってこれだけの犯罪を起こしているような、そしてなおかつ郵政省は犯人をかばっておるような、事件がさっぱり表に出ないで真相解明がなされないような、隠しているんじゃないかというような、こういうことに原因とそして結果が出てきておると私は見ておるわけであります。  こういう点について、いま総裁は所信を披瀝されましたけれども、いま明治百年、この制度が制定されてから約九十年、今日は科学においても社会的にも経済的にも進歩した時代であります。現場にはコンピューターがどんどん入っておるのであります。貯金や保険のオンライン化が進んでおるわけであります。こういうときにこういう九十年も前の世襲を内容とした任用制度が生き続けているんだということについて、総裁、あなたは人事の責任者として、人事官として、もう少しぴりっとした見解を示していただけませんか。これはどう思いますか。
  77. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 私も申し上げましたし、いま先生も申されましたが、見方によっては世襲制というような現実があるということは世間一般の認識ではあり得ると思いますが、ただ、それは世襲制なんだという断定はできがたいことでありまして、結果的に見てそういうような場合が中にはあり得るというような事柄ではないかと思います。  制度といたしましては、競争試験というようなことは事柄の性質上なかなかできませんので、選考ということでやっております。これは郵政省にお願いをいたしまして、郵政省自身の御判断で適当な人を選ぶという方針でおやりになっておるわけでございます。  ただ、地域的な条件その他いろいろなことがございまして、いまの世襲制ではないかと思われるような疑いのあるような人選が時としてなされるというようなことは私は否定はいたしません。したがいまして、このやり方自体をもって非常に合理的な制度だとは私自身は無論思っておらないわけでありまして、先刻申し上げましたように、また先生も御指摘になりましたように、そもそもこの制度ができました背景その他についてはいろいろな事情があるわけでありまして、それ自身は発生当時は非常に賢明な、また大変りっぱな発想から出てきたものだと思いますけれども、今日になりまして、長い経過を振り返ってまいりますと、やはりもっと近代的な方向がそろそろとられてよいのではないだろうかという点は私自身もそういうふうに考えております。ただ、これはそう急に思いついてもあしたからどうというわけにはまいりません。これは先生は御専門で恐らくよく御承知だろうと思うのですが、歩一歩そういう方向にだんだん向かっていくことがいい方向ではないだろうかと思います。  やはり、世襲制的なものに近い事柄から、そこに気持ちの緩みが出ると申しますか、そういうところから誤りが生ずる温床というものができかねぬ面もあり得るわけでございますので、そういう点をはっきりと見通しながら、御当局郵政省ともずいぶんいろいろ腹を打ち明けた御相談をいたしながら歩一歩の改善を図ってまいりたい、かように考えております。
  78. 米田東吾

    ○米田委員 人事院の立場からも、人事官としての総裁の立場からも、ぜひ腹を打ち割っての改善に向けての御相談をやっていただきたい。私どもは何も直ちにどうせいということをいま言っているわけではありませんので、そういうことについては、少なくとも今日の事態に即した、大臣の言葉をかりれば国民の要望に沿ったという方向での改革という答弁がさっきありましたけれども、要望が出ていることは間違いないと思いますから、ひとつ人事院としても積極的な助言あるいは相談をいただきたい。これは私からもお願いをしておきます。
  79. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 わかりました。
  80. 米田東吾

    ○米田委員 もう一点、この際でございますから総裁に伺いますが、要するに公務員の兼業、兼職の禁止の問題であります。  これは、一般職の公務員が法律の禁止条項に反して兼業をしたりあるいは兼職をしているということは全くないと私は思うのですね。もしそんなことがあれば人事管理の面で直ちに指摘をされておるわけであります。しかし、この特定郵便局長については、さっきも志賀委員が御指摘になったのでありますけれども、非常に甘い部分があるように私どももたくさんの事例を承知しておるわけであります。これは何か特定局長の特権であるかのように兼業、兼職というものがまだ暗黙の了解を得ているのだ、認められているのだ、そう表ざたにはしてくれないのだというような惰性といいますか、そういう郵政省の服務上のルーズさが特定局長についてはありまして、そういうものが現存していると私は見ているわけです。これはいまの任用の問題ともかかわりを持ってくると私は見ておりますけれども、せめてこの兼業、兼職という問題はもっと厳しく郵政省は対処していかなければならぬと私は思いますし、こういう事例が出てくるのは各省の中ではほとんど郵政省だけだと思う。  この点について、この際でありますから、人事院としての対処の方法あるいは何らかのアドバイスを示して、この際兼業、兼職をなくするという自主的な一歩を踏み出すようにできないかどうか。これは人事担当郵政省局長にもお聞きしますけれども、まず、公務員法の元締めとしての総裁の見解を聞いておきたい。
  81. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 兼業禁止の規定というのは、それなりの理屈かあって設けられているわけでございます。そういう意味で各省の人事担当関係の者も非常に心してこれの運用と実際面の職員の指導に当たっておる次第でございますが、いまお話のありました郵政職員、特に特定郵便局長さんあたりの服務の問題につきましては私から軽々に申し上げたくはございませんが、また、郵政当局もその点大変気を働かせて服務の執行には十分努力をしておられるだろうと思いますが、いまお示しがございましたように、特定郵便局長等においては、過去の経緯とまたこれが発生をいたしました歴史的な事情等からいたしまして、若干甘いといいますか、そういうようなことでまあまあいいじゃないかというような安易な雰囲気がなきにしもあらず。私は具体的に事情を知っているわけではございませんが、いまお話しになりましたように、そういう雰囲気があり得るのではないかという気持ちは私も了解ができますが、ただ、それらの点が温床になりまして大きな間違いを起こすということになっては大変なことでございます。  したがいまして、たてまえはたてまえでございますので、その点は人事院といたしましても、郵政当局に対しては服務の完全な励行ということについてさらに一層の努力をお願いするということに姿勢としていたしたいと思いますし、また、大臣が先刻来繰り返して申し上げておられますように、本当に姿勢を正してこの際いろいろなことをひとつやっていこう、二度と間違いは起こさないというふうに言っておられますし、その方策の一つとしてそういう問題も当然取り上げられてくるのではないかとわれわれといたしましては期待もいたしておりますし、また、今後事務当局といたしましても緊密な連絡をとらせまして、その点万遺憾のないようにせっかくの努力をいたしたい、かように考えております。
  82. 米田東吾

    ○米田委員 郵政省の方はまた後で伺います。  そこで、総裁から基本的な問題につきまして三点御見解をいただきましたので、基本的な関係につきましてはこれで一応は閉じまして、具体的な関係につきまして、これはぜひ総裁も聞いていただきたいと思いますので、時間があったらいましばらくおっていただきたいと私は思います。  それで、この際私ははっきりさせた方がいいと思いますが、さっき志賀先生質問の結論に、この問題については特定局の制度の問題じゃない、そうは思わぬ、したがって、制度はやはりいいんだから、これは残して悪いところは変えていったらいいのじゃないかという趣旨の御指摘でございまして、その御指摘の後段の部分は私も理解できますけれども、基本的に、小局運営の中心であります特定局、特に無集配郵便局がこの制度にかかわっているという見解を私は持つわけなのであります。むしろ犯罪の根源はそこにある。これははっきり申し上げる。そういう立場で、むしろはっきり私の考えを申し上げた方がいいと思いますから、私はそういうふうにこれから一つ一つ指摘して見解を聞いていきたいと思います。  まず、第一に、この佐藤和也は、さっき人事局長の答弁にもありましたように、二十七年に横浜の神奈川郵便局に採用になって七年間——これは高校卒と同時に採用ですから十九歳ですね。七年間勤務している。そして、三十四年のこの相模大野郵便局の置局と同時に直ちに局長に任用されて就任しておる。これは選考の経過は余り私は問題にしませんけれども、どういう経過であったかはとにかくとして、局長に選考任用されたことは事実であります。このときは二十六歳、勤続七年の、十九歳から二十六歳になった職員が少なくとも現場を預かり、郵政省の看板を掲げる特定郵便局長に任用されておるわけであります。七年にして、二十六歳にしてですね。そして、その夫人が置局と同時に、局長発令の同じときに相模大野郵便局に転勤を命ぜられており、この局の運営に当たるということになる。一体こういうことは特定局以外にほかにありますか。郵政省のいろいろな局制の中にこういうことはありますか。まさに特定郵便局の典型的な制度から来る任用であるし、夫人同伴の発令がなされておる。これをもって特定局の制度にかかわりないと言えましょうか。この点がまず第一点。  これは大臣に余りそうたびたび立ってもらっても困りますから、人事局長、あなたの見解を聞かせてください。これは典型的な自由任用制の結果であります。
  83. 守住有信

    守住政府委員 お答えいたします。  この佐藤和也局長につきましては、先生説明のとおりの経歴でございます。そして、また、その選考の事情をちょっと調べさせてみましたところ、その当時、詳細はわかりませんが、部外の方二名、部内の方三名の中で選考されまして、総合的な勘案の結果この佐藤が選ばれたということであります。  それから、お尋ねの第二点目の、その妻につきましてもおっしゃいますとおりでございます。この家族の問題につきましては、逓信一家と昔から言われておりますけれども、普通局、大局の方にもそういう方々はおられますけれども、問題は、小局は全体の数が少のうございますので、その中での家族従業員というものの比率が多ければ、やはりその人的な面からの相互牽制にも欠けるところがあるというようなことで、私どもも常々その比率の面におきましても指導しておるところでございますが、さらに、特にこの配偶者という問題につきましても今後なるべく——全国に散在いたしておりますいろいろな局でいろいろな職員構成等がございます。一般職員も強制配置転換というのはなかなか問題がございますけれども、そういう面を念頭に置きながら、なるべく抑制させ、自戒させ、われわれとしてもそういう努力をしていきたいと考えておるわけでございます。  しかし、最初の選考の問題のときに、この佐藤和也最初の段階ですぐさま犯罪を犯すとか、そういう人物ではなかったわけでございます。だから、その選考の関係で選考方式がこうだからということについては私個人としてもいささか疑問を持っておる、こういう次第でございます。
  84. 米田東吾

    ○米田委員 あなたは人事局長ですから、郵政省の人事の最高重役ですから私の質問の趣旨ぐらいは御理解なさっていらっしゃるんだろうと私は思ったのですけれども、私が言っているのは特定郵便局長を任用する制度、ここにありますが、「特定郵便局長任用規程、昭和二十年五月十九日」、これがあるんでしょう。これによってやったんでしょう。そういうことなんですよ。だから、あなたが任用したのがどうとかこうとか私は言っているわけじゃありません。制度がある。それに従ってあなたの方は適確な所要の手続をとって佐藤和也を任命したまでなんでしょう。それ以上くどくどと、候補者が何名あったとか、そんなことを私は聞いていない。  それから、もう一つ、さっきの志賀先生質問に関連がありますが、この佐藤和也というのは全逓の組合員だろうと、先生の言われるのはそういう趣旨じゃなかったですか。最初は全逓の組合員じゃないだろうという趣旨で……(志賀委員「じゃないだろうかと言ったんだ」と呼ぶ)先生の結論は、全逓の組合員だろう、そんな悪いことをするやつはということだと思います。私はそういうことは余り問題にする必要はないと思いますけれども、仮に全逓の組合員であってもどこの組合員であっても、組合員でなくても、これは私は全然別の問題だと思う。  第一、当時二十六歳の全逓の組合員が局長になっていくなんということはちょっと考えられませんけれども、その当時全逓の組合員ですか。ちょっとそれを言ってください。
  85. 守住有信

    守住政府委員 二十年ほど前のことでございますし、神奈川郵便局時代でございますので、わかっておりません。(「調べろ」と呼ぶ者あり)
  86. 米田東吾

    ○米田委員 いや、調べる必要はない。私はそういうところに問題の焦点は当てたくないのです。要するに規定があるから佐藤和也というものはあなたの方の所要の手続、審査を経てなったんだろうと私は思う。しかし、特定局でなかったらそういうことはあり得ないはずです。できないはずです。仮にあなたがこの局の重要性を認識なされば、神奈川郵便局の主事だとか、相当な年限と経験と管理職としての適格を持った者を当然そこの局長に任用していく。これが普通のあり方だと思うし、普通局ならみんなそうやっているでしょう。恐らく集配局でもそうやっているでしょう。無集配だから、こういう自由任用制で、二十六歳の経験も浅い青年が奥さんと一緒にそこの局長に転勤させられてきた。  そのことにかんがみまして、いまの特定局長の任用規程というものについてあなたは何か感想がありませんか。これが私の聞きたい点なんです。わかりますか。
  87. 守住有信

    守住政府委員 先生お話しになりましたように、この任用というのは、任用規程に基づきまして、もとはもちろん国家公務員法でございますが、任用したということはおっしゃるとおりでございます。  なお、こういう関係で申し上げますと、さらに人物その他地元の評価等いろいろな角度から、選考の過程を通じましてもっと目を鋭くして考査していかなければならない、こういうふうな感懐を持っておる次第でございます。
  88. 米田東吾

    ○米田委員 もう一つ、特定局の制度にかかわりがある、関係がないとは言えないという関係で申し上げます。  局長自分局舎をつくり、自分の住宅をそれに併設して郵政省局舎を貸している。こういうことは普通郵便局やその他の郵政の官署には全くあり得ないと私は思う。しかも、いま郵政省は、私の知る限りでは、国営あり公営あり、局長の私有の局舎の提供あるいは義務づけというようなものについては漸次改善しているように私は見ておりますけれども、制度としては——制度と言っては、あなたの方はまた制度はありませんと言うのかもしれませんけれども、実際的には業務の運用として局長局舎の提供を求めていらっしゃる。これも特定局の制度にかかわってくる問題だと私は思う。特定局制度があればこそ、局舎の提供という関係があればこそこういう事件が起きる原因をつくっておる。新聞にもありますように、町の人は局長がやめたって別に知らされないものだから、しかも局の二階に住宅はあるわけでありますから、しょっちゅう自由に家に入るようなつもりで郵便局に入っておる。局長と同じだ。そういう原因をつくっているのですよ。局舎自宅と一緒ですからね。こういう制度は、まさに特定局制度の一つの中心点だと私は思うが、これもどうですか。そうではない、ほかにもあります。特定局だけではありませんと言い切れますか。  それから、もう一つは、いまなお局舎局長自宅を一緒にして、併設して、公私混淆で出入り勝手という状態が残っている局は全国で一体どれくらいあるのですか。これは恐らく無集配だけでしょうけれども、郵務局長、簡単に調べられたらちょっと答弁してください。
  89. 神山文男

    ○神山政府委員 私からまず最初の御質問についてお答え申し上げます。  特定郵便局舎につきましては、御承知のように、借入局舎と国有局舎と二本立てというか、併用の方針で参っております。これは昭和三十三年の特定郵便局制度調査会で審議していただきまして答申をいただいた、その趣旨に沿っているわけでありまして、一つは適当な施設、たとえば立地条件のよいところに所在するものが局舎として妥当かつ経済的な条件で利用できる場合は借入局舎によるということと、それから国有局舎とすることが事業財政上有利な場合、借り入れが不可能または借り入れを不適当とする場合、たとえば大都市中心部に所在する局または大規模な局などの場合は予算の許す範囲において国有局舎によるという方針でやっておりまして、御質問で特定局舎以外にそういう例があるかということでございますが、普通局では原則としてはないと存じます。現在は国費で建てるということでやっております。——たとえば大都市中心部のビルの中に置かなければいけない……。普通局でそういう例がございますそうです。そういう例はございます。
  90. 本松智房

    ○本松説明員 お答えいたします。  現在、特定郵便局でいわゆる共用局舎と申しておりまして、郵便局舎部分とその他の部分を共用して使っておる部分を持っておる局舎でございますけれども、これが全体で二千七百四十五局ございます。  この内訳は、集配局の方が七十二局、それから無集配局が二千六百七十三でございまして、比率から申しますと、集配局は一・五%、無集配局は二一%、全体で一五・五%でございます。
  91. 米田東吾

    ○米田委員 集配局というのは、特定局の集配局ということですね。
  92. 本松智房

    ○本松説明員 さようでございます。
  93. 米田東吾

    ○米田委員 私は具体的に次に示してみたいと思いますが、もう一つは、局長の家族従業員が勤務しておるのは、さっき報告がありましたけれども、まだたくさんあるようであります。局長の夫人が出納官吏をやっている。公金の責任を持つ出納官吏、窓口の現金係、まさに金を握るわけであります。そういう例はほかにありますか。これも普通局や何かで、ありますか。もしほかにあるとすれば特定局の無集配だろうと私は思いますが、もしあったらどれくらいあるか。それから集配局や普通局でそういう例があるかどうか。局長の奥さんが現金を握っているという例です。
  94. 守住有信

    守住政府委員 出納官吏の点でございますが、私どもは家族従業員という立場でとらえておりまして、その担務が何であるかということは実はとらえていないわけでございます。しかし、普通局の場合というのはまず考えられぬだろうと、私はそう感じております。  特定局の場合に、先ほど二千幾つと申し上げましたのですけれども、配偶者がおり、その中で、局規模によりまして、小規模になればなるほどその率が高くなっていくのじゃないかと、こういう感じでおる次第でございます。
  95. 米田東吾

    ○米田委員 この際でありますから、これは調べていただいて、その資料を後でください。  それから、もう一つ、この相模大野犯罪にかんがみまして、これはできると思いますから直ちに——特定郵便局長の奥さんが出納官吏をやっている。これは人のやりくりはなかなか大変でしょうけれども、それだけは差しとめたらどうですか。ほかに配置がえをするとか、保険をやるとか郵便をやるとかいうふうにして、現金の一切を握らせるような方法だけは直ちに処理をしてやめさせるというふうにしたらどうですか。これだけ聞いておきたい。
  96. 守住有信

    守住政府委員 出納官吏と配偶者との関係につきましては、経理局とも関係いたしますので、あわせて両方で調査をいたしたい、このように考えておる次第でございます。  なお、家族従業員の配置の問題と同時に担務の問題を先生はおっしゃったわけでございまして、このことも含めまして、大臣指示のあさっての会議の中で本当の実態が本当に個別からの議論に相なってまいりますので、私どもも十分議論を尽くしてこれに対する工夫、対応を考えていきたい、このように考えておる次第でございます。
  97. 米田東吾

    ○米田委員 それはぜひやってもらいたいですね。大臣、ひとつこれはお願いしておきます。  この事件を見ますと、奥さんが現金出納を全部握っている。証処書類の点検から何から全部握っているわけですね。それだったから局長はこういう犯罪ができたのです。これがもし別の人だったら、こういう犯罪はあったとしても件数や金額ももっと少なかったと思うし、どこかで発覚したと思うし、第一できないだろうと私は思う。私も二十年間のこういう現場の三等郵便局の経験者ですから言うのですが、相互の牽制機能というものがある。それから犯罪防止についての自治監査、内部監査というものが常に定期的に行われるようになっている。同僚の監視もある。証拠書類を自分で整理する段階で、一人ではいかぬのでありますから、必ず他の人にも点検をさせなければならぬ。そして、最後は局長が点検して調査局へ送るようになっている。何人かの手を経るのです。ここは八人局であるけれども、現金出納、証拠書類の関係は、奥さんが出納官吏ですから、法的に責任があるわけだから、恐らく奥さんが全部握っているのだろうと思う。ですから、これは早急に手を打っていただきたいと私は思う。そういうことができるのも特定局だ。こういうことです。  それから、もう一つ、いま申し上げましたように、ここに局長以下八名の職員がいらっしゃる。普通局の無集配としては比較的大局であります。人員構成は大体局長のほか一名ないし二名ですから、集配を持たないで窓口だけで八名の定員を持っているというのは大局の方だと私は思う。都内、大都市では無集配でも大きいのがありますからまだあると思いますけれども、私は相当な程度の局だと思う。こういうところになりますと、局長の家族がおっても、八名ぐらいになりますといろいろな人が局員に入ってまいりますから、自由な雰囲気、民主的な雰囲気が出てくる。そしてお互いの牽制機能といいますか、相互励ましの機能、そういうものがだんだんと旺盛になってくる。一人ぐらいの奥さんがおって悪いことをしようといってもできないようになっている。私の経験ではそうなんです。だから、この十年間犯罪はほとんどないとさっき答弁されましたけれども、そういう機能を果たしていると私は思う。  そういう雰囲気をつくるには、ここに労働組合、職員組合が必要だと私は思うのです。恐らくここは、どういう組合であろうと職員組合はないんじゃないですか。そしてみんな局長と奥さんに牛耳られておる。民主的な自由な雰囲気というものはここにない。こういう状況だと私は思うのでありますけれども、どうでありますか。
  98. 守住有信

    守住政府委員 この局の局風と申しますのは、先生のお感じになっておりますように、調べたところによりますと、局長あるいはその妻が非常に手なずけるというと変な言葉でございますけれども、どうもそういう感じを私どもとしては得ておるわけでございます。  局員の所属組合はちょっとまだ明確になっておらない次第でございます。
  99. 米田東吾

    ○米田委員 まだわからないならしようがありませんが、私の感じでは、職員組合や労働組合の機能があれば、今日の時代でありますから恐らくこんなことはできない、未然に防げたと思います。そういう自由、民主的な機能がないから、局長と奥さんに、あなたの言葉で言うように手なずけられる。  そして、この局長特定局長会の役員もやっている。特推会の役員もやっている。新聞は、その付近の郵政省、特定局のボスだという書き方をしている。町の人に局長様、局長様ということで人望がある。そういう外部に対する威厳と局長会や郵政省の中における地位がさらにプラスされて、ここでは恐らく独裁的な——まあ、独裁という言葉はちょっと過ぎるかもしれませんけれども、局長と夫人の好き勝手な局務運営がなされておる。そういうふうに私は直感するのです。  ですから、私の言うことも謙虚に聞いてもらいたいのですけれども、あなたの方が組合をぶっつぶしたり、組合が悪い悪いといって排除したり——何もあなた方からかわいがってもらう必要はちっともないのですけれども、労働組合のこういう防犯面についての機能というものをひとつ改めて考えていただきたい。それは局長、どうですか。第一組合であろうと第二組合であろうと、職員組合の機能について……。
  100. 守住有信

    守住政府委員 先生がおっしゃいますように、それぞれ結社の自由を持っておりますので、どちらの関係の組合であろうとも、労使関係の安定ということで、特に最近はお互い同士それぞれの責任立場に立って、立場は違うわけでございますけれども、この世の中での郵政事業ということでお互いに共通の土俵を見出していこうという傾向が非常に強くなっておりまして、特に下部における団体交渉、意思疎通という問題につきましても、昨年も非常に早期に、二十年ぶりに解決いたしまして、ますますそういう雰囲気があるわけでございます。  それから、本件の問題につきましては、おっしゃるように、職場の中に近代的な労使関係というものかあれば——もちろんこれは犯罪だけではございませんが、本来そういう関係でなければならぬのだ、あわせてこういう問題も、一つの緊張感と申しますか、そういうこともあって、お互いの立場は守りながら協力一致して仕事がきちっとやっていけるということに行き進むべきだ、このように考えておる次第でございます。
  101. 米田東吾

    ○米田委員 私は、言葉は過ぎるかもしれませんが、職員には悪いけれども、これは局ぐるみの犯罪だろうと思う。八人もいるんですし、しかも五十一年からの定額貯金関係、五十二年に入っての小切手関係というのは、これは私の経験や私の勘からいけば、この八名の中にわかっている人が必ずいる。しかし、言えなかったのでしょう。ある意味ではこれは共犯になります。黙認しておるのですから。だから、そこの善良な職員にはちょっと言い過ぎになりますけれども、私はあえて局ぐるみの犯罪だと言うのです。私はそう思っておるのでありますから、そういう温床にならないような明朗な職場づくり、民主的な職場づくりについて、人事局長、ひとつ特に配意してください。わかりますね。お願いします。  それから、もう一つは、これはさっきも志賀委員が取り上げられたのでありますけれども、この局は、自分の局で預金した小切手にしても定額にしても、みんな他の局へ行って戻したり、他の局に預けて自分の局へ持ってきたり、要するに他局との関係が非常に深い事件でありますが、私は感ずるのでありますけれども、たとえば証券表示がない貯金通帳は日付を見ればわかると思うのです。あの通帳にちゃんと日付があるんです。預入したときには何月何日の預入という日付がある。取扱規程は承知している。そのときに局長なり責任者に相談するぐらいのことは当然あるはずです。感づかなければ、その人は当務者として失格ですよ。当然感ずるはずだ。私も経験があるんです。窓口を何十年もやったんですからね。ところが、私の感じでは、恐らく何か暗黙の局長間の了解があったのじゃないでしょうか。これはそうとしかとれないですね。まさか、他局の職員担当者がみんな無能だとは私は思いたくない。法規、規程にうといというふうにも見たくない。証券表示がないだけでもちゃんと見破られるはずであります。預金の日がいつかということが書いてあるわけですからね。  せいぜい十七日間の、この膨大な小切手の場合は犯罪でしょう。積んで、すぐその日のうちにもうどこかへ行っておろしている。きょう積んであすどこかへ行っておろしている。あすどこかで積んだものを、その日のうちに持ってきておろしている。これはわからないはずはないですよ。国民は素人だから、あなた方はごまかしてわからなかったと言うでしょうけれども、私ども部内経験を持っている者からすれば、こんなものはわからないはずはない。もしそうだとすれば当事者資格もないです。無能です。そんなことでは危なくて、心配で、国民の公金なんか預かれませんよ。局長や管理者も無能だと私は思う。  そして、これは監察だってこの点はいいかげんにしている。私もずいぶん説明を求めましたけれども、これらの点については実にいいかげんであります。きちっとした報告をしてくれません。あなたの方だってどこか見逃しているのではないですか。だから、この面については、特推連ぐるみの犯罪というふうにも悪いけれども言いかねないと私は思うのですね。みんな知っているじゃないですか。業務推進連絡会、これは防犯その他について任務づけはありますけれども、恐らくそんなものは何もやっていないです。局長会と同じなんです。集まって、せいぜい労務対策の打ち合わせをやったり何かして、あとは飲んで終わっているんだ。そういうところで顔を合わせているから、この局長は部会長もやっているし、副部会長もやっているし、顔役で、新聞にちゃんと書いてあるとおりでありまして、顔はきくわけであります。だから、当務者が疑問に思ったって、局長の顔を見れば、これはまあ出してやってもいいんだということになっておろしてやっている。私はそういうふうに思うのでありまして、そういう意味では、これはもう特推連という機構を利用した一つ犯罪だというふうにもとれるのであります。大臣、これも特定局制度の欠陥ですよ。  もし、そうでなかったら、首席監察官答弁してください。それから人事局長でも、もしそうでないということなら答弁してください。
  102. 日裏泰弘

    日裏説明員 お答えいたします。  ただいまの先生お話の件でございますが、確かに、犯罪概要からいきますとそういう形が出ているわけでございますので、その辺は詳しくは私もいま存じておりませんけれども、これはあると思います。
  103. 守住有信

    守住政府委員 その局内につきまして、あるいは特進連の周辺につきましてはつまびらかにはいたしておりませんけれども、私どもは、おっしゃいました証券表示の違則取り扱い関係につきましては、監察の方で調査が出てまいりますれば事実に即しまして厳正、公正に処分をする、このように考えておる次第でございます。
  104. 米田東吾

    ○米田委員 この事件発覚しまして、監察が入って調査をされて、ほぼ全容がわかって、しかも横浜の地検に送致されて半年期間があるわけですね。もうこの一件は全部検察任せだ、監察任せだということで、内部の業務の改善や監査の面、反省の面にあなたの方はまるっきり何も手をつけておらないわけですね。そうでない限りは、ひた隠しに隠すためにこれを抑えているんじゃないですか。そういうことをやっているから国民はますますおかしいと疑問を持つんだ。これは厳重にあなた方の方の怠慢を私は指摘しておきます。  とにかく、あなたの報告によると局長名義の通帳でしょう。特定局長自分のところに貯金の窓口を持っており、その局長の名義の通帳に証券表示がないところでも、しかも日付を見れば、その日か前日の一千万か二千万の預入が入っているわけですね。そしてやすやすとおろしているのですよ。これはもう絶対共犯のにおいがするということだけ私は申し上げておきます。  もう一つこの機会に聞いておきたいのは、いわゆる麻溝局の犯罪事件にかかわっての問題であります。さっきも志賀さんの御指摘もありましたけれども、志賀さんは素人だからみんなごまかされて、ああそうですかということで終わっているが、これも私は聞いておりまして、ずいぶんおざなりの答弁をしているように思うのです。  第一、この麻溝の郵便局長が起こした事件というのは、お寺から一千二百万程度の金を借りて、それが一つのきっかけになって取り調べを受けて、監察が入って、その段階でこの相模大野局長佐藤と奥さんから小切手の換金を約一千二百万程度でしたか、してもらったということなんでしょう。しかも、これは局長と奥さんの佐藤英子からだ。佐藤英子は現金出納責任者ですから、英子がかかわっていることは当然なんです。しかも小切手を換金する。局長の月給は十九万そこそこだ。奥さんを合わせたってまあ三十数万だ。自己資金であったからというふうにあなたは言い逃れていらっしゃるのだけれども、普通なら特定局長をやる局長がすぐにぽんとその同僚局長に一千二百万程度の小切手を換金してやるなんということはあり得ないと私は思う。それは考えられない。しかも、奥さんは何で呼ばれたのですか。相談を受けておるのです。そこに疑惑はありませんか。恐らくこれは奥さんが権限を持っており、その日の公金、窓口準備金から換金してやっていることは間違いない。監察の方もそれだけは指摘されたようであります。押さえられたようであります。しかし、公金に損害を与えておらなかったからということの説明です。だから減給ぐらいで終わったんだ。  私は、郵政監察というのは無能だとは言いたくないし、思いたくない。その道にみんな豊かな経験を持ち、苦労され、そして逓信Gメンとして自信と確信を持った方々郵政監察になっておられるはずなんだ。職員犯罪等についてはあなた方は実に厳しいですよ。こんな端緒を見ればすぐ第六感か、監察感覚が働いて徹底的な調査をされるはずであります。郵便をちょっとおくらせただけでもすぐにおかしいと言って監察は押さえて、徹底的な、人権にもかかわるような調査をされるわけです。それが何でこのときに局長に対して、佐藤に対してそこまでやらなかったのですか。現金を調べたら、その日の公金から流用して、そして残金は換金した小切手を現金のものにかえて管理局の方に送っているのですね。完全にそこに犯罪の芽があったと私は思う。現にこのとき、麻溝事件は、局長定額貯金のあれをもうやっているときでしょう。そんなことがわからないはずがない。そんなものがわからなかったら、それこそ監察官もあなた方も皆責任をとりなさいよ。横浜の監察官も支局の局長もあなた方もみんな責任をとらなくちゃだめです。おっかなくて国民は郵便貯金なんかしませんよ。郵便局なんか利用しませんよ。進学ローンをやろうというときにこんな不信用なぶざまな状態で、一体貯金がこれから増高しましょうか。国民は預けてくれましょうか。  このときのことについては、何としても手心を加えたと私は思うのです。一カ月後に依願退職を認めている。五百何十万の退職金を払っている。それは法的には払わなければならぬことはわかるのですが、私の推定では、表向きは商売で今度はいいことをやるんだから局をやめるんだということを言っておるそうでありますけれども、そろそろもうおまえの犯罪がつかまれつつあるということを監察官は恐らくにおわせたのだろうと思う。もういまのうちにおまえはやめた方がいいよと、恐らくそういう何か示唆を与えてやめさせたんだろうと思う。  さっきの説明では、退職願いは五十一年の三月から出ておりましたということを人事局長は答弁しておる。まさにそのとおり。その当時この定額貯金の捜査はやられておった。そんなのを逃しておいて、ぬけぬけと五百何十万も血税を払って、退職金を支払って認めてやる。甘いと言われても、あなたはこれについて説明がつきますか。さっきの答弁では、国民はああそうですかということになるでしょうが、しかし、部内の飯を食って、そういう現場の経験を持っておるわれわれからすればこれは全く考えられない、あり得ないことです。どうですかこれは。日裏さん、それから人事局長、答弁してください。
  105. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  長年にわたる経験の上に立っていろいろと御指摘をいただいたことは、私は、お約束をいたしました今後の究明、解明に大変なとうとい資料になると、まず御礼を申し上げます。  そこで、率直に申し上げて事件は大体荒筋が判明いたしました。いま公判審理中でありますが、非常にあいまいな金の出し入れという点についての御指摘については、当時のいわゆる監察とか、また郵政局におけるいろいろな業務指導や部内監査などで、正直言って手落ちがあったと思います。また、その証券預入貯金等引き出しの時点発覚できなかったということは余りにも理解できないという点も、素人の私なりによく御指摘はわかりました。そこで、私は、まだ就任日も浅いわけでありますが、いろいろとこの委員会の質疑を通じて御指摘をいただき、御指導をいただいて、これを参考にして必ず御納得のいただけるような事後処理をすることをここではっきりお約束いたしますから、この点はひとつ御理解を願っておきたいと存じます。  とともに、逆に今度は、いわゆるあの監察の当時の模様も、省内の機構、機関を通じて調査をいたしまして、私なりの判断によって処理したいと考えておりますので、どうぞこの点もあわせて御理解を願っておきたいと存じます。
  106. 米田東吾

    ○米田委員 最後に、もう一つ、総裁から伺いたい。  いま私が約六点くらいにわたって、特定郵便局という実態から来るケース指摘したわけでありますが、私は、やはり、これこそは特定郵便局の自由任用制という一つの根幹がここにあるのだということを申し上げたかったわけでありますが、これについての総裁の見解をお聞きして終わりたいと思います。
  107. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 大変御経験が豊かな立場からるる御指摘がございまして、私自身も大変参考になりました。  今後の行政をやっていく上に十分参考にさせていただきたいと思います。
  108. 米田東吾

    ○米田委員 では、終わります。
  109. 松本七郎

    松本委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時三十六分休憩      ————◇—————     午後二時四分開議
  110. 松本七郎

    松本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田中昭二君。
  111. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 御質問を申し上げます前に、午前中の二人の委員質問、答弁等を聞いておりますと、私たちも逓信委員会でずっといつも指摘しておりました事故防止ということについて、何かしらん責任を感ずるといいますか、もう自分ながら恥ずかしいというような気持ちもして、これはどうなるものだろうかという心配も起こったわけでございます。でありますけれども、一応事件の問題につきまして質問を詰めてまいります。  いまわが国の状態というものは確かに不況で、生活が大変苦しい国民が、その防衛手段としてささやかな貯金をして、その金利で何とかやりくりしているという現在のこの社会経済環境のもとにあって、昨年は二回の郵貯金利の引き下げで大変な目減りとなり、預金者は近来にないダメージを受けておるわけでありますが、こういう時期にあって、一職員に至るまで、郵政省全体で国民のために事業運営に処さなければならないことは論をまたないわけであります。ところが、逆に、預金者が郵便局、郵政省自体に不信を抱くという、前例のない、今後二度と起こしてならないような犯罪事件が起こったわけでありますが、この事件の内容とその原因をよく分析し、この種の事件を根絶せしめなければならないと思います。  そこで、今回の事件の詳細を聞きたいわけですが、午前中に説明がありました部分を除いて、特にこの佐藤局長最初事件を起こしたこと、その辺のことにつきまして、さらにはこの事件の、ただ小切手によってどうとか定額預金でどうとかというようなことでなくて、やはり、事件を究明する上においてはその全容を知らなければならないと思いますから、捜査の原点でありますところの、いつだれがどこでどうしたというようなことを、最初の例だけは述べてもらって、そしてこの事件説明をお聞かせ願いたいと思います。  くれぐれも注意をしておきますが、今度公表になった事件以前に、いわゆる退職をした前後にわたる事件があるはずでございますから、その辺を詳しく御説明願いたい。
  112. 日裏泰弘

    日裏説明員 お答え申し上げます。  麻溝という郵便局がございますが、その元麻溝郵便局長内田茂という者がおりましたが、この内田茂局長が、郵政犯罪ではございませんけれども、一部そういう点もございますが、先ほどお話もございましたけれども、局長在職中に相模原市所在のあるお寺の会計担当の役員をしていたわけでございますが、昭和四十八年の一月二十八日から五十年の一月三十日までの間におきまして、そのあるお寺名義の銀行預金の払い戻しを受けまして、現金五百十八万円を着服横領したということ、それから、やはりあるお寺名義の銀行預金三百三十万円を自己の預金に振りかえて入金、横領したということ、それから、やはりこのあるお寺名義の定額貯金の払い戻しを受けまして、現金一千七万九千四百九十九円を着服横領したということでございます。  それで、この犯行発覚を防止するために、ここら辺から局が関連してくるわけでございますが、自分の局でございます麻溝局におきまして、貯金通帳及び割定証書用紙に金額印等を押しまして虚偽の公文書を作成したということでございます。また、あるお寺のため保管中の現金七百七十二万八千円を着服横領したものでございまして、横領額で合計いたしますと二千六百二十八万七千四百九十九円ということでございます。  これが事件概要でございます。
  113. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 少し足らないところもございますけれども、時間の制約がありますから後に回しますが、大臣、今回のこの相模大野特定郵便局長の犯罪ですが、これは至るところで郵政犯罪史上類がないものであるというふうに言われておりますが、どういう点でそういうふうな御認識に立っておられるのか、お聞きしておきたいと思います。
  114. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  これは国家公務員である者が自己の欲望を満たすために営利企業に関与いたしまして、また、営利事業の内容はスーパーあるいはボウリングというもので、特にこのボウリングは御承知のとおりに一時大変隆昌いたしましたが、衰微の一路をたどって、大変な経営困難になって、その資金を得るために、こういった国民信頼を裏切るような、史上まれに見る悪質な、きわめて遺憾な犯罪につながったと私は考えておるところでございます。
  115. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いまの大臣の御説明の中で、いわゆる特定郵便局関係では、その犯罪の動機といいますか、それから犯罪を犯した金額、それから先ほどから出ておりますように郵便局ぐるみでやっているというような問題には触れられなかったわけですけれども、そういうことも当然でございます。  それから、いまの大臣のお言葉の中で一つ認識を誤っておられると私は思いますが、ボウリング場の資金の穴埋めにやったというようなことでございますけれども、簡単に申し上げれば、ボウリング場の経営者の方が逆に被害を受けておるわけであります。これは認識の間違いであります。例をとって申し上げれば、あのボウリング場は経営がうまくいかなくなって、二億七千万ですか、三億ぐらいの金を自分が用意して、あのボウリング場の土地佐藤が収得しようとしたために問題が起こって、このほかの経営者の方がかえって被害を受けておる。そういう認識の相違があります。  それと、この問題を先ほどからずっと聞いておりますと、郵政監察の怠慢だとか、それから特定局の制度の問題だとか、特定局の業務運営の問題だとかいろいろありましたが、もちろんそういうものもございます。しかし、いま監察から報告があったように、四十八年からこの佐藤事件関係しておる。事件といいますが、それは業務の上からやってできない規定違反も含めて、そういうことをやっておるのは四十八年からだという話がありましたけれども、現実はまだその前から問題が起こっておるわけであります。そしていわゆる監察も手を入れて、そして先ほど話がありましたように、特定局長仲間でもいろいろな相互牽制ということもやらなければならない。そういうことが機能しなかった。それが機能しなかったためにこういう大それた事件になってきたという反省が一つもない。それの方がこの事件の特異な状態だと私は思う。  これはもう少しオーバーに言いますと、郵政省全体がこういう問題について、先ほどから言われますように、隠そうとか、それから監察が手が甘かったとか、それからやるべきことをやらなかったとか——怠慢というのは、私は先ほど辞典を引いてみましたところが、「なまけること。」と書いてあります。それから「おこたること。おろそかにすること。なおざり。」と書いてある。こういうことを公務員がしたなら、これはその責任を負わなければなりませんよ。その責任のことについては反省がない。そういうところにこの事件の特異性、いわゆる事件の拡大という特異性があったということを指摘しなければならない。  そこで、先ほど報告がありました麻溝局の内田茂局長が約三千万の使い込みをやって、そして佐藤に依頼をした。その佐藤に依頼した最初小切手を現金化した。これは資金は正当であったと言えますけれども、小切手を現金化することにおいては規定違反でございますから減給処分にしておるわけですけれども、その最初小切手を現金化したのはいつですか。そして、それに対する処分はどのように行ったか。また、監察調査と同時にこれは検察の手も入っておるはずでありまして、それを先ほどから、検察、警察等も共同して捜査しておるというような事件の発表がありましたけれども、当然そういう両方の捜査が行われておりますから、そういう点についての事後処理がどういうふうにあったのか。この点をお答え願いたい。
  116. 日裏泰弘

    日裏説明員 お答え申し上げます。  これは関東郵政監察局が五十一年の六月に調査した結果でございますが、この佐藤和也が元麻溝郵便局長内田茂の依頼に応じまして現金と小切手を交換した第一回は五十年一月二十日ということになっております。それから、その後五十年の九月十六日と、それから五十年十月九日と、この三回で合計千三百四十五万八千円の小切手と保管現金を交換した事実がございました。
  117. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 大臣、聞いてください。いま言われたことだけでももう違うんです。私が監察から報告を受けておるのは、最初は四十九年十二月九日なんです。内田茂の発行した小切手二百万。あとは省きますが、六回行われておる。しかし、まあそれはいいですよ。  そこで、今回の事件犯罪は、前にこういう問題が起こっておるわけですが、その後いろいろな個人の金銭貸借も含まれて膨大な横領詐欺事件になっておるわけですが、その犯罪になったものも、監察がこういう調査をしておるとするならば、個人貸借関係も含めて、全体でこの四十九年、四十八年——その前にちょっともう一つ指摘しなければなりませんけれども、大臣、この犯罪の原因究明ということを言われましたが、実は先ほどの米田委員質問を裏づけるようなことがあるわけですが、これはいまの内田局長との関連の事件ですね。このときに地元の監察官は調査をしまして、これはそのときの言葉を借りますと、佐藤局長個人の性格的なものであって、天才的な詐欺師であると言うのです。ある監察官がですよ。そして四十四年から四十五年にどういうことをやった、四十六年はどういうことをやった、四十七年はどういうことをやったということで、ここで四十七年にボウリング場が初めて出てくるんです。そして、五十年の三月に例のボウリング場の三億円の問題が出てくるわけです。そしてあとずっと続くわけです。こういうように地元の監察官は知っておって、そしてこれがことし公表された段階でも、その時点で聞きますと、そういうことは知らない、なぜ言わなきゃならないと言う。  そこで、こういう長い期間にわたって、いわゆる特定局長という地位を利用してやった犯罪も、それから個人貸借も含めてどのくらいの金額になるか御存じですか。わかったら言ってみてください。これは推定でいいですから。
  118. 日裏泰弘

    日裏説明員 お答え申し上げます。  全部で幾らになるかという御質問でございますが、実は、そこまで全部を含めた金額をいまのところつかんでおりませんのでお許しいただきたいと思います。  それから、先ほどは失礼いたしましたけれども、四十九年というお話でございましたが、私は漏らしましたけれども、佐藤和也だけではなくて、佐藤英子と……(田中(昭)委員「そんな大事なことを漏らしたというわけにはいかぬよ。しかし、まあいいよ」と呼ぶ)二人でございまして、それが四十九年十二月九日、これが最初でございます。それから四十九年十二月二十日、そういうことでございます。どうも失礼しました。
  119. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 金額がわからないということでございますが、大臣、いかがでしょうか。あなたが新聞等で知り得ておる金額もあると思いますが、これは原因を究明するのだったら、全体をきちっとつかまなければできないということをおっしゃったでしょう。においのするものもにおいのしないものも一遍調べてみなければ原因究明はできませんよ。
  120. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  御指摘のとおり、長期にわたるきわめて悪質きわまりない犯罪が続いていたわけでございまして、ただいまの首席監察官の答弁で十二分に理解を得る数字の挙げられなかったことは非常に遺憾と思います。したがいまして、私は、先刻申し上げたとおりに、究明、解明に当たって、答弁に立つためではなくて、こういう機会にいろいろと御指摘をいただいて、先ほどの約束のとおりの解明の目的を達成するために、むしろ部内のあらゆる機関が長期にわたるこういった不始末をなぜ発見できなかったかということを考え、また、これまた御指摘のとおりに、一部監察官が佐藤和也なる者はまことに天才的な詐欺師であるということを漏らすことに至っても、私は午前にお約束いたしましたとおりでありますが、それ以上の決意を新たにいたしているところでございます。  もちろん所轄委員会でございますからそういった解明を段階的に御説明申し上げて、最終的には十二分に御理解を得る努力を払いたいと思っております。  ただいま事務当局が最終的な被害総額をお答えできなかったことはまことに遺憾でございました。
  121. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 その遺憾な状態の中で知恵を出し合って、頭をしぼって事後対策を考えられると思いますが、私は、この問題は初めから申し上げておきますが、この事件が公表になる前から調べてみました。そうしますと、はっきりわかった分だけで約六億五千万で、これは返済したもの、処理したものを含めればまだ大きくなります。恐らくこれが数億、私が調べたところによりますと四億くらいで、合計十億を超す金額になる。  次に移ります。  監察調査によっても、犯罪に結びついた動機は、私が先ほどから言いましたように、昭和四十五年ごろからわが国のいわゆる経済成長の中で土地ブームというものが起こりまして、不動産あっせんをするとか、そのほか共進商事、これはボウリング場関係ですが、これの設立に加わった。そういう状態で、これは公務員としてあるべきことじゃないですね。金もうけをしているのですからね。注意を要する状態であります。そのように事業経営で金もうけを続けておったわけなんです。そして四十九年前後にいまの麻溝の内田局長との関係に発展したわけであります。この時点で、大蔵省内でも監察でも、また先ほどから出ました地元の特推連ですか、特定局長業務推進委員会でも——これは法律に従って、規定がちゃんとあって、規定によって運営されているものですね。そうじゃないですか。そういうものの内部牽制などが当然働いて、何らかの方法がとられなければならないと思うのです。ところが先ほどからの話を聞いておりますと、それがとられていなかった。  そこで、それがとられていなかった一つの例をきょうは私は大臣に、ともに一つの原因究明のはっきりしたことをしなければいけないということで申し上げますが、この問題が起こりました最初事件のときに、先ほども話で出ておりましたが、佐藤局長が五十一年三月に辞意を口頭で申し出たわけですが、その背景を監察は御存じですか。恐らく知らないでしょう。五十一年三月に辞意を口頭で申し出た。これは、私の調査では、そのときに佐藤本人は司法当局に告発されているのです。それが二回ですよ。五十一年の三月と五月です。そういうことは監察調査のときに当然わかるはずなんですよ。ですから、先ほど言ったように、五十一年三月口頭で辞意を申し出た。その二カ月後には退職をした。これはどうも監察も地元の郵政局もぐるになってその退職を勧告したといいますか、示唆したといいますか、そういうことが行われたと言われても仕方がないのです。  ですから、先ほどの退職金の問題もありましたが、大臣は先ほど郵政監察の怠慢と言われましたけれども、郵政監察だけの怠慢じゃなくて、省全体がそういう身内の者に対する——また、身内の者の中でも、特に特定局長さんの会合の中でも一つ指摘しなければならないことは、特推連は最下部の末端の部会ですか、地区会ですか、そういうことになっているらしいのですが、佐藤も内田もその特推連の幹部である。そういうものが内部牽制できなかった。特推連の規定の中にも事故防止ということがある。先ほども出ておりましたが、その事故防止のための監督をし指導をする部会長がこういうことをやっておったのになぜ内部牽制がきかないかということについてはどういうふうに思われますか。私なりの考えはありますけれども、それを言ってください。
  122. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  事故防止のために特推連の中に防犯部会という制度のあることは承知いたしておりますが、実は、私もこの事件の報告を受けてから部内牽制のあり方というものに大きく関心を持ちました。と申しますのは、特定局の地区部会というのは非常に親睦的な交わりの多いことも知っておりますし、また、監察には人員についてのいろいろの制約もあるわけでありますから、私は、部内牽制を大きく強化すべきであるという点からいろいろ指摘いたしましたところ、御指摘の制度のあることを知ったのであります。  ところが、これはいま法的というお話がありましたが、私の調べた範囲ではあくまでも任意のものでありましたので、実は、その後、この原因の究明、解明に並行いたしまして、特推連に権力は与えられないが、通報の義務を負わせる制度を考えるべきであるということを、実は、今朝も事務次官以下関係局長を集めて事務的に検討せよという指示をしたような次第でございます。  私は、監察制度の中で監察官の努力に大きく期待するとともに、御指摘のとおりに、特推連の中の防犯体制の強化と、部内相互においての効果を上げるように今後も努力をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  123. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 さあ、どうでしょうかね。そういうことを流しましても、そういう体制にないということだけ一言触れておきます。  ということは、この特推連の組織と、代表的な人は役職についている人ですが、それと特定局長会というのは十数年前は別だったそうです。現在は、一緒になってしまっているわけです。ですから、確かに仕事を命令してさせる場合はそれがいいでしょう。ですから、そうなって、先ほどの話のようにボス的な存在ということになりましたけれども、命令をし、事務の遂行について指導監督する部会長がそういう悪いことをしておっても、ほかの特推連の部会の中の特定局長さんからは内部牽制が行われない。その理由は何ですかと私は聞いている。  ところが、いまの御答弁じゃ、それは違いますね。首を振っておりますからね。私はひとつこれを提案しておきます。これを直すためには、昔のように特定局長会は特定局長会として——これは私的な組織だそうですが、特推連は官の事務規程によってなったものだそうです。ですから、役職を占める人は別の方がいいという意見があるわけです。これは重要な意見であろうと私は思います。そういうところに不満がありますと、先ほどのような事件が起こりましても働かないのです。どんなに事故防止の徹底をしなさいと言って、防犯規程をつくって防犯グループをつくってみても働かない。  それから、監察の方にもう一つ、先ほどの内田局長が逮捕された事件関係して確認しておきますが、いままで聞いておるところでは、内田局長から頼まれて佐藤局長小切手を現金化したということだけのようでございますが、私が調べたところではまだそのほかにあるようでございます。いわゆる定額預金証書関係事件監察はわかっておりますか。わかっておりませんか。わかっておるかわかっておらないかどちらか答えてください。
  124. 日裏泰弘

    日裏説明員 お答え申し上げます。  現金と小切手関係についてははっきりしております。  それからもう一つ……(田中(昭)委員「定額はあるかないか聞いている」と呼ぶ)定額はございません。存じておりません。
  125. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 実はあるのです。  それから、今度の事件の、いま返された十五人の定額証書の問題のほかにもまだ定額の関係で八百万、二件ある。ですから、先ほど言いましたように、六億とか七億とか言っていますけれども、まだ隠されたものがある。天才的詐欺師みたいな佐藤の、過去の長い事業をやっておったということにも関連するでしょうけれども、必ずそういうものがまだある。ですから、これについては、私は、大臣被害者を救済しようということはほかの予算委員会でもはっきりおっしゃっておりますから信頼しておりますが、こうやって広がってくる被害者を完全に救済してもらいたい、そしてその救済を広げてもらいたいということを一言最後にこの問題についてお願いしますが、いかがですか。
  126. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  被害者救済という問題については、私は、基本的には、午前中に申し上げたとおりに、法の最大限の解釈をして国民の迷惑を最小限にとどめたいと思っております。  佐藤和也相模大野の件は、私の報告を受けた範囲内においては、個人貸借以外はすべて措置したことは御承知のとおりでありますが、それ以外に、ただいま御指摘の膨大な金額になりますが、これも郵便局内で起きた問題であれば当然検討に値すると思いますが、天才的詐欺師と言われる佐藤のことでありますから、御指摘どおりに、これが私的にわたる貸借であれば、これは午前中に申し上げたとおりなかなか救済は困難であると思います。したがって、できればわれわれの調査に御協力いただいて、もし監察の不手際でそういった調査ができておらないようであれば御協力いただいて真剣に検討してみたい、かように考えている次第でございます。
  127. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私は、協力という一つの例として、先ほどから監察がまだ知らない問題もいまここで出したわけですよ。そういうことはこちらから言う必要はないのですけれどもね。  大臣、ここは逓信委員会で、逓信委員会で議論してきた事故防止ということは、先ほど言いましたようにずっとやってきたわけです。そこで、けさほどの大臣の御答弁の中にもありましたように、佐藤局長で在職中と、それから退職後と、それからもう一つ個人の云々と、こういうふうに分けられましたが、その前の二つについては全面的に補償しましょうという話があったわけです。ところが、いま私が指摘しているのは、現職のりっぱな郵便局長時代に起こっている問題ですよ。もちろんそれは郵便局の中であろうと何であろうと、特定局の佐藤局長でも、やはり国の要請に従って貯金募集に走り回ったと思うのです。それがたまたま郵便局の外であることはあり得ると思う。ですから、それがいま事件としてわかっていない。定額預金証書を使ってそういうことをやっておった。ですから、これは五十一年の小切手の現金化だけではなくて、それがわかっておれば懲戒免職ですよ。懲戒免職ならば五億とか六億の金の被害国民は受けなくて済んだのです。そこを私は追及しているのではないのですが、問題が起こったから、その起こったものに対しては、被害者に対しては、国民信頼回復をすることは郵政省が国の事業をやっている以上は当然じゃないですか。ですから、それは大臣もうなずいておりますからおわかりいただいたと思っておりますが、もう少しそこを……。
  128. 服部安司

    服部国務大臣 大変重要な問題でありますので、重ねて御理解を得ておきたいと思います。  田中先生の御指摘は、国会議員でありますからもちろん私は全面的に信用いたしますが、しかし、事実関係を検討しないで補償いたしますというふうに御理解いただくとちょっと私も困りますので、そこで、先ほど申し上げましたとおりに、私の方も即刻監察の全機能を発揮いたしまして、いただいた資料、御発言に基づいて厳重に調査命令を出しますが、補償の問題については、政府は絶えず国民の前には不利な立場でなくてはならないという大原則を守り通す考えでありますから、決して忌避するものではありません。逃げるものではございません。  しかしながら、やはり事実関係を十二分に検討する機会を与えていただいて、はっきりと態度を示したいということをひとつ御理解願っておきたいと存じます。
  129. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 もう少しこの事件の問題に触れるために指摘しておきますが、先ほどから言われでおりますように、郵政省、特にまた監察も、いままでのこの事件の捜査なり、この佐藤の問題に関しては、大変身内意識が強いといいますか、逓信一家という言葉が先ほども出ておりましたが、そういうことが悪い方向に作用しておるということです。だから世間から見れば甘いということで、監察制度無用論まで出ておる。先ほどの話のように警察に任せた方がいいのではないかという話も出ておる。しかし、私はそうは思いません。やはり、国民信頼回復のためには喪失したものを回復しなければならない。  そこで、先ほど地元の監察官が知っておったということを指摘しましたが、その犯罪の動機やそういうものの中で私がいままだあると申し上げましたが、そのことも、ここにあります記事から見ましても、「現場の監察官は」——これは今度公表された分ですよ。それ以外にあるということですが、「現場の監察官は「まだまだあるかも知れない」というのだ。」というふうにまで新聞に書かれているのです。  それから、先ほどのいわゆる部内牽制が行われなかったという問題は、これはいわゆる関係者は知っていたということをやはり新聞指摘しておるのです。「一万数千人の「全国局長会」は参院全国区に議員を一人出すほどの圧力団体でもある。」となっているが、これは特定局長会のことだと思うのです。そして、「ヘタなことを言えば、自分の首が飛ぶ」と書いてある。これを推察しますと、五、六局の特定局長の部会があり、その部会長さんのことを変なことを言ったら自分特定局長としての首が飛ぶというふうにもとれる。ずっと上に上げていけばそうなるでしょうね。そういうふうに指摘しているのです。そして、「局員はじめ関係者佐藤犯行を知っても郵政監察局へ報告しなかったようだ。」というふうに新聞指摘しているが、やはりこれは事実ですね。先ほどの米田委員のやりとりを聞いていますと、推察もありましょうけれども、やはり事実だろうな、そういうものだなということがわかる。  ここではなはだしいのは、官側の立場に立って監察官が被害者のところをずっと聞いて回っている。そのときに、「あなたの事件は郵便局と関係ないんですよ。これは個人間の問題ですからね。これでもうやめた方がいいですよ。」ということを言って回ったということまで指摘してある。それだったら、先ほど大臣が言われたように、これは郵政省関係がないことですから補償しませんよということを言って回ったことになってしまう。そういう可能性がある。いまから調べるにおいてもですよ。だから私は指摘しておる。  これを読んでいきますと、もう本当にむちゃくちゃですね。だから私は先ほども最初に言ったのだが、こんなことを言うこと自体、自分の顔が赤くなるようですよ。  先ほどの特定局の問題について、制度そのものにも問題があるということが出ました。そして、私は特推連の問題も指摘しました。しかし、いろいろな権威がある雑誌等にもそういうことは多く指摘されております。  これはある月刊雑誌でございますが、これにも、「郵便を底辺で支える特定郵便局にこそ本当の問題があるのだ」というふうに指摘しております。そして、「この特定郵便局は全国二万二二五四ある郵便局の実に七二%を占め、超マンモス郵貯をつくり上げた先兵集団である。」として、その最後の方に、「特定郵便局はこの手当が」——これは募集手当のことですが、「貴重な財源だけに反対するだろう。そして自民党はこの声をバックに郵政省、大蔵省を突き上げてツブシにかかる。」となっている。これはこの手当を上げてくれという問題だろうと思うのですが、それで、「郵貯の体質改善を抑える集団がここにもあるのだ。」となっている。いわゆる特定郵便局長さんという集まりは、もう断固としてだれの言うことも聞かない。これはこの言葉の私の推察ですが、だれの言うことも聞かない。いざというときには与党、第一党の自民党に圧力を与える団体になってしまう。ですから、どんなことを言ってもつぶされてしまうというようなことがここに指摘してあるわけです。  ここにこういうふうに書いてありますね。「この局長らは」——というのは、先ほど指摘がありましたように、いわゆる特定局長の、特推連の部会長でもあったために、「地域のボス的存在で、選挙にでもなると、いろいろ票の取りまとめに走り回ることもある。」となっています。こういうことをやり出しますと、これはおたくの党のことですから、内部に立ち入ってあれですが、おたくの党では総裁選でいま盛んに党員獲得が行われておるが、これにもこの特定局長会が全員入党ということで動いておるということも指摘されておるわけです。  時間がございませんからそういう指摘だけに私はとどめましたが、ここで問題点を拾うと、特定局の制度の問題のほかにといいますか、いわゆる郵便貯金の非課税限度額の問題もある。とにかく郵便貯金は税金がかかりませんよと言って募集してくるのですよ。そういう問題と、それからいまの制度の問題といろいろございますが、やはり、郵便貯金という国営事業といわゆる民間の金融機関の預金獲得という問題での対決もある。でありますから、私はここで郵便貯金の問題に触れておきます。  まず、大蔵省の方に、政務次官も来てもらっておりますから聞きますが、いまのわが国の財政危機はまだ続くわけでございますが、その中で財政投融資に依存することはだんだん高くなると私は思うのです。そうしますと、現在の財投と郵貯との相関関係は、郵便貯金は一段と無理してでも資金を集めなければならないということになるわけです。それはすなわち財投の原資を確保せよという要請になってくるわけです。そこで、貯金を集める簡易局から、特定局から、普通局から本省まで、そして大蔵省までも一緒になってその要請にこたえなければならない。この私の認識は間違いじゃないと思いますが、いかがでしょうか。
  130. 稲村利幸

    ○稲村政府委員 ただいまの田中先生の御指摘のとおり、郵便貯金は資金運用部への預託を通じて財投の原資であることは、これはもう間違いありません。  昭和四十七年ごろから財投の中の三一%になり、年々ずっと上がってきて、昨年は四五%を超えており、五十三年度も四五%の位置を占めるというように、これは大変重要な位置を占めておることに間違いございません。
  131. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そうしますと、大臣、続きですが、そういう背景の中で、いわゆる現場の郵便局の中で特別郵便局がこの郵便貯金の募集には一番力を発揮していると私は思うのです。きちっとした資料もいただきましたけれども、大体八〇%ぐらい、七十数%ですか、五十一年度でそのくらいですから、現在ではもう八〇%近い郵便貯金の募集をやっているのが特定局だ。これは間違いないと思うのです。そのパーセントは幾らか違ってもですね。それはわずか三人か四人の局が五億も六億も郵便貯金を取ってくる。それは都会では一人で取る場合もありますけれども、そういう特定郵便局の顕著な働きというものを大臣は御存じでしょうか。
  132. 服部安司

    服部国務大臣 ただいま大蔵政務次官がお答えしたとおりに、現在では、国家財投の原資に当てられており、三十六兆を突破しているというまことに膨大なものであります。国家の財政運営ということでも、これはなかなか重要な位置を占めるものであります。しかし、予算編成当初に大蔵と十二分に折衝を持ちましてその年度の貯金目標を決めるわけでありますが、五十三年度の予算編成に当たって最終的に決定を見たわけであります。私は、こういったことを大蔵当局並びに部内で腹を決めてやりましたが、国営事業である立場から、襟度を乱さない状態の貯金目標額を決めるべきであるということで、関係機関のいろいろな意見も聞いて決定を見たわけであります。五十三年度は六兆七千億。もちろんこれは過去の実績、経済の動向、成長率の問題等いろいろと兼ね合わせて五十二年度は六兆二千億の目標を決定したわけであります。  部分的にはたびたび御指摘のあるとおり、これは局長さんにおいても熱心の度合いにいろいろ差があるわけでありますが、皆無と私は申しませんけれども、しかし、決して国営事業の襟度を乱すべきではない、その範囲でいわゆる秩序ある勧誘をやるべきであるということを申し上げて——はなはだ経験の浅い私がこういったことを申し上げることはまことに恐縮でありますが、決して無理を強いるような限度額を設けなかった、かように考えております。しかし、今後は十二分にそういった実態も把握いたしまして、ゆめゆめそういう無理を強いることのないような方途を講じてまいりたい、かように考えておる次第であります。
  133. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 時間がなくなりましたが、もう一言だけつけ加えておきますが、ある公式の席上、一口で言えば特定局長さんの集まりの中ですが、そこでこういう御発言があったんです。現在の郵政事業を支えておるのは特定郵便局であると言う。そういうふうに私は聞いたわけです。私も全くそうでもないとも言えないと思うのですが、大臣はどう思われるか。それが一点です。  それから、郵政業務には郵便、為替、貯金、簡保等いろいろありますが、その中でも、国家財政の立場からも郵便貯金は重要なものとなっております。その郵便貯金の総額の中で、特定局が集めてくる金額が約七〇%を超えておる。また、関係従業員から見ても、特定局はやはり誇りを持っておりますが、私は、その誇りを持つことも当然かというふうに思います。  大臣は、最初特定郵便局が支えておるということに対する御意見と、それからいまの御質問にお答え願いたいと思います。
  134. 服部安司

    服部国務大臣 先ほど来御指摘のとおりに、貯金、保険の金額から見ますとそういった判断も当然あり得ることと思いますが、御承知のとおりに、普通局は二千二百で、特定局は一万七千局あるわけでございます。しかも、特定局は、もちろん集配特定局も一部ありますが、ほとんど無集配特定局で占められておりまして、この主たる取り扱い業務は貯金と簡保と私は理解いたしておりますから、金額の最終トータルでそういう結果になるわけでありますから、局の置局数から言っても、郵政業務を支えているのはやはり特定局だというふうに理解せざるを得ない。私は、御指摘どおり、そのように考えておる次第でございます。  それから、第二問の郵貯の占める率七二%は、そのとおりでございます。
  135. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私は、特定局長さんが誇りを持って仕事をやっておるということについて大臣に聞いたわけですけれども、大体そういう意味だろうと思いますから再度聞きません。誇りを持っておられることは私はいいと思うのですけれども、それが、いわゆる特定局長さんの集まりの中で、その誇りが思い上がりになっては困るわけです。その思い上がりであるということを指摘するのでも、新聞、雑誌等にたくさんの指摘がございます。先ほど読んだ雑誌の指摘もその一つでございますが、「ボス的存在で、選挙にでもなると、いろいろ票の取りまとめに走り回ることもある。」とか、これはやはり思い上がりの、誇りを超したことではないでしょうか。うなずいておられるからそうだと思います。  そういう指摘はたくさんあるわけでございますが、そうしますと、この特定局長会というものの思い上がり、おごりというものに対しては手を打っていかなければならない。これはすぐできることです。並びに、局種別の部内犯罪を見ても特定局が多い。職階別に見ても、普通局よりも特定局長さんの犯罪の方が多いんです。これもいろいろな特定局の制度そのものから来るものがこういうふうに出てきているとも思います。ですから、こういう点についてはすぐできることでございますから、十分にやってもらいたいと思います。  そこで、最後になりましたが、何と言いましても、国民信頼回復のためには、現在あります監察制度の確立ということが大事だろうと思いますし、もちろん省を挙げてその点には進んでいかれると思いますが、その答弁はもう省きまして、最後に、こういう犯罪の中の背景の一つとして郵便貯金の限度額がございますね。これにつきましては大臣も予算委員会で検討するというようなことを御答弁なさっておるようでございますが、私は、この問題はそういう程度ではいけないと思うのです。  というのは、簡単に言いますが、先ほど言いましたように、三百万限度というのは、現場では郵便貯金は税金がかかりませんよという勧誘になってきまして、いわゆるこの限度額引き上げということについては、もう一昨年あたりから議論をいたしまして、昨年のこの逓信委員会においても議論したわけであります。それで、去年の段階で限度額引き上げという問題が出ておりまして、それを見送ったわけですね。ところが、今度、五十一年度、五十二年度の限度超過額の件数を調べたところ、この前委員会でも指摘されたように膨大な、三百億にも四百億にもなるような限度超過額が出たということは、これは去年の審議から見まして、郵政省も大蔵省も限度超過をする預金者をつくっているようなことになってしまう。上げようと言っていて上げなかった。  ですから、この限度額については、検討しますどころか、大臣のはっきりしたお約束をここにいただければ、そういう限度額超過という違法行為ですか、そういうものだけでも当然少なくなると思いますが、いかがでしょうか。
  136. 服部安司

    服部国務大臣 先ほどちょっと御質問の趣旨をはき違えた点をこの機会に訂正いたしまするが、郵便局長、特に特定局長の思い上がりという点の御指摘でありますが、私は、今後あらゆる機関を通じて、機会をとらえて、国家公務員という立場国民のサービス業務に携わっているという自覚を認識せしめるように努めたい、かように考えております。ゆめゆめおごることなく、サービス精神に徹して窓口業務を行うようにいたしたい。  それから、ただいまの限度額の問題ですが、予算委員会で御指摘を受けて、私は確かに率直に三百五十億近い限度額超過がございましたと答弁いたしました。これは御承知のとおりに、窓口でなかなかチェックできませんので、貯金局で名寄せをいたしまして、みずからの手でこれを発見し、そういった脱税行為の利用者に解約を申し入れた数字でございます。したがって、われわれは免税を逆手にとって貯金増額を図っているというふうに理解されると非常に苦しいわけであります。  こういう犯罪を起こすことも決して芳しいことではございませんし、経済状況から考えても、もうすでに四年前の三百万でありますから、関係方面と緊密な連携をとりつつ、昨年来御審議いただいて御協力いただいておりますとおりに、限度額を五百万に引き上げるべく、これは正直申し上げていま必至の努力を払っております。  われわれに六兆七千億の貯金割り当てをされている以上は、これはもう財政運営上必要でありますから、何といっても国家予算に組んだわけですから、こういった面も強調いたしまして大蔵当局と鋭意交渉を進めている、こういう次第でございます。
  137. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私は、この事件の問題につきましては、最初に申し上げましたように、被害者の完全救済といいますか、そういう点はもうゆめゆめ忘れてはならないと思いますが、それに対する大臣の最後のお答えをいただいて質問を終わりたいと思いますから、ひとつ前向きの御答弁をいただきたいと思います。
  138. 服部安司

    服部国務大臣 もちろん、郵政省関係部内の犯罪につながる被害補償は、当然国民に一厘一毛の迷惑をかけないように措置いたしたい。  ただ、先ほども申し上げたとおりに、誤解を生じては大変なことになりますからもう一度お許しいただいて申し上げますが、これは個人対策まで……(田中(昭)委員「郵便局長がやっておるのです」と呼ぶ)郵便局長であっても、私の言っているのは、貯金通帳を悪用したり、また印鑑とか貯金通帳を預かって、自分でこれを払い出しをやって使ったり、こういった問題はもう当然国の責任において解決せねばなりません。  私は午前中に申し上げたとおりに、もっともっと拡大解釈をいたしましてと、これははっきり申し上げたことは、被害者の立場に立つということは、私が相模大野を全額補償せよと命令したことは、六十七歳とか六十五歳とか、こういった用務員であるとか掃除婦のおばさんが自分老後のために営々と貯蓄されたものを、ここでああでもないこうでもないという理屈はよしなさい——はっきり言って、こういった不届き者局長を任命したのは国の責任なんだという立場でこれは補償すべきであるというわけで補償に踏み切って、いま一応現象面だけではきわめて円満に話がつきました。また、個人的な問題についてもいろいろ御説明申し上げて、十二分に御理解いただいたと報告を受けております。  だから、ただいまの田中先生の御指摘の問題も、私は先ほどと同じことを繰り返すようでまことに失礼でございますが、私はきょうはすぐに緊急幹部会を開いて、御指摘の問題については徹底的に捜査に入るように指示しますが、御協力いただくならばそういった問題もひとつ真剣に検討させていただいて、できる範囲で広義に法律の解釈をしてでもやりたい。  ただ、そういったお言葉だけで、私がよくわかりました、補償いたしますということはちょっと責任上申しがたいので、この点あわせて御理解を願っておきたいと存じます。
  139. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 最後に要望だけしておきます。  私が指摘しました先ほどの監察はまだ調べておらない。四十九年の一千万も、いま大臣が言われるようなお年寄りの定額貯金証書に関連する未解決の問題なんです。これは当然やってもらわなければならない問題でございますから、その点を強く確認いたしまして質問を終わっておきます。
  140. 服部安司

    服部国務大臣 十分調査させます。
  141. 松本七郎

    松本委員長 小宮武喜君。
  142. 小宮武喜

    ○小宮委員 聞くところによりますと、関東郵政局相模大野局に対し、五十一年には一月と六月の二回にわたって監査を実施しておりますね。特に、六月の特別監査は二年に一回の監査と違って、相模大野局の資金の動きが激しいという疑惑から実施されたものであると聞き及んでおるわけでございますが、にもかかわらずチェックできなかったというのは監査に問題があったのではないか、監査が甘かったのではないか、こういうように私は考えざるを得ませんが、その点はいかがでしょうか。
  143. 日裏泰弘

    日裏説明員 お答え申し上げます。  確かに、小切手と現金を交換したという情報を得ましたのが五十年の十二月ごろでございまして、それからそれを確認するということが必要でございましたので、直ちにその捜査といいますか、調査に入らなければいけないわけでございますが、先ほどもお話し申し上げました麻溝局の事件がございまして、その事件が三月で全部終了いたしました。その次の段階、四月から六月にかけましてこの問題を徹底的に洗うということで調査に入ったわけでございます。  その中で、先ほど申し上げましたような小切手と現金の交換をしたという事実が確認されたわけでございまして、いま運転資金というお話もございましたが、その点につきましてもいろいろ調査したわけでございますが、その中では異常が認められなかったということでございました。ですから、小切手と現金を交換したという事実、これだけを確認したことと、それともう一つは、資金の流用が五万円ほどあったということ、この二つの事実を明らかにして処分ということになったわけでございます。
  144. 小宮武喜

    ○小宮委員 いまの説明を聞いておりましても、ある程度事実をつかんだわけですね。だから、そういう意味からすれば、六月に特別監査をやった。そして七月は局長は退職していますね。これはどう見たっておかしいじゃないですか。  特別監査をやって全然気がつかなかったということであれば、この監査技術について私は問題を指摘したいと思うんだけれども、いま言われたように、少しでもそれらしい気配があったということははっきり言っておるわけだから、そういう立場の中で、なぜその時点で徹底的にやらなかったのかということを言いたい。だから、私は、この前の委員会で指摘をしたように、郵政監察局というのは、内輪に手をかぶせるようなそういう監察局であったならば監察局はやめていいと私は言うのです。そういうことで本当に真の監察ができるのかと言いたい。  そういった意味では、監査技術にはいままでのようなやり方で問題があったというようには考えていないのですね。監査技術の問題です。
  145. 日裏泰弘

    日裏説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生のおっしゃるような意味で、確かに、私どもといたしましては、監査技術という面につきましてはこれで十分であったというふうには思っておりません。これからそういった面につきましても十分指導いたしまして、徹底的にそういった問題を究明できるようにするためにはどうあるべきかということを十分反省しながら今後に対処してまいりたいと存じます。
  146. 小宮武喜

    ○小宮委員 それでは、六月に監査が実施された後、七月に被疑者の佐藤局長は退職願を出して、退職金を五百万円余り受け取っているわけですが、この退職の理由は何ですか。
  147. 守住有信

    守住政府委員 佐藤和也は五十一年七月に退職したものでございますけれども、在職中の同年五月からすでに定額貯金に係る犯罪を行っていたことが退職後に発覚したことはまことに残念に思っておる次第でございます。  しかし、退職の経緯について申し上げますと、先ほども前の委員にお答え申し上げましたけれども、五十一年の三月の中ごろに口頭でまず申し出があり、なぜだと聞いたら商売をしたいということで、その次に四月十九日に辞職願が文書で提出されました。  同時に、麻溝局の事件の関連で問題となっておりました被疑行為について調査するために、一時その退職願の承認を保留いたしまして、その後、おっしゃいました特別監査で出てまいりました被疑の報告がございましたので、七月末に減給処分ということをいたしまして辞職を承認した、こういうことに相なっておるわけでございます。
  148. 小宮武喜

    ○小宮委員 減給処分をして七月に退職を認めたということですか。私が言っておるのは佐藤の退職の理由は何かということです。これだけ言ってください。
  149. 守住有信

    守住政府委員 商売をしたいというふうな申し出であったというように聞いております。
  150. 小宮武喜

    ○小宮委員 同僚議員も指摘しましたけれども、ぼくはどうもその辺にくさいものを感ずるわけです。六月に特別監査をやった。先ほど首席監察官が言ったような問題がもう出て、においが出てきたわけですから、そうするとこれがやはり問題だと私は思うのですよ。  そこで、口頭で五月ごろ言われておったとかなんとかいうのも、もうそろそろばれそうだということで、やめるならば懲戒免職になるよりは早くやめて退職金でももらった方が得だというふうに本人は判断したのだというふうに私は断定せざるを得ない。しかし、普通部下がやめる場合に——これは年齢的にはまだ四十四歳か四十五歳でしょう。そういう場合に、商売をやると言って、ビル建設とかボーリングとか言っておったけれども、普通であれば、いままで長く勤めてもおるし、その人が本当にまじめに職務を全うしておるならば、皆さん方は、おまえはまだ四十四、五歳だからもっともっと働いてもらいたい、商売は定年でやめてからでもいいじゃないか、どういう商売をするのか、その商売はもうかるのかどうかと、そういう事情を聞いて、一応は慰留するのが大体の常識じゃないですか。どうですか、人事局長。それを、はいよろしょうございます。商売するのか、はいやめます。はい認めますということでは、これはこの局長はそういう六月の監査をやった前からすでににおいがぷんぷんしてきたということで、これは早くやめさせて退職金でもやった方が本人のためにもいいんだというような身内としての気持ちが大きく作用したのではないかということを感ずる。いかにそれを否定しても私はそういうふうにしか見られませんよ。  大体、符牒が余りにも合い過ぎておる。そういうことではこの問題は非常に問題になるし、その点はぐるだったとまでは言わぬけれども、大体上司の方も人事局も関東郵政局の方も——これは郵政省の悪い体質だと私は思うのですよ。だから監察局の存在の問題ということをこの前私は言ったわけです。身内だからどうしても甘い。むしろ手をかぶせるような傾向にあるということを私はこの前から指摘しているのです。そういうことであれば地方の郵政監察局はやめていいじゃないかということまでこの前言ったのです。  しかしながら、それはそれとして、特定局に対する管理指導はどこですか。郵政局ですか。
  151. 河野弘

    ○河野(弘)政府委員 お答えいたします。  普通郵便局と同様、特定郵便局につきましても地方郵政局が行っております。
  152. 小宮武喜

    ○小宮委員 だから私は言うわけですよ。犯罪が発生してから監察局が介入していくということなら、これは警察でできるわけだ。そういうような甘い考え方で身内に手をかぶせるようなことをするならば、むしろ警察でやって、監察局の任務を変えたらいいじゃないですか。だから、いまの監察局の任務については、犯罪が発生してから監察局の手に移るということではなくて、必要であれば法律を改正して事前に監察局は手を入れてやるように、監察局のいまの仕組み、制度を変えるべきだ。それはそうでしょう。  関東郵政局は二千もの特定局を抱えて手が回らぬから、大体二年に一回しかやらぬわけでしょう。普通の銀行だったら毎年やるじゃありませんか。それを二年に一回しかやれないというのは、郵政局が余りにも分担区域が広過ぎて、特定局の数が多過ぎるから、手が出ないから二年に一回やるわけです。その間に出てくる。監察局の役割りというのは何をやるのだ。発生してからやるなら、発生しない前は何もせずに遊んでおるということじゃないか。それよりもむしろ事前に監察を強化するために抜き打ち検査をやるとか、あるいは年に一回やるとか、そのためには法律改正をしてでも監察局の機能をもっと活用すべきだと思うのですが、大臣、どうでしょうか。
  153. 服部安司

    服部国務大臣 まことに恥ずかしいきわみでございます。先ほどの田中先生の御指摘を聞き、また、いまいろいろと監察のあり方についてのお話を聞いたわけですが、六月に監察に入って七月に退職をした。御疑問を持たれても、私は、率直に申し上げてこれはもう当然だと思います。私は、大臣立場でこれについては返す言葉がございません。まことに申しわけないことでございます。  したがって、新しい事実を指摘されて——私は役人の手先でもなければ、公務員の奉仕者ではありません。私は国民から直接選ばれて、法律の定めで国民代表で郵政省に行って、国民のために働かなければならない立場でありますことをさらに認識いたしまして、徹底的にこういった国民の疑惑を解くためにすべてをかけるということでひとつ御理解を願いたい。  ただ、御指摘の、監察制度はもう必要ないじゃないか、改正しろというということは、私は素人で生意気なことを言っちゃ悪いのですが、これはいま調べて、やはりそういった仕事をやれるように法の制度もなっておりますので、これをうんと活用いたしまして、正直申し上げてこういったことが再び起きないように懸命の努力を払うことをお誓い申し上げて御了解を得たいと存じます。
  154. 小宮武喜

    ○小宮委員 そういうふうになっておると言いながらも、何ら機能しておらぬということでしょう。それで、所管のあれはやはり郵政局でしょう。だから、問題が発生しないように事前の拘束をやるとしても、その辺の監察局の権能を強めるようなことも考えていかなければいかぬのじゃないか。郵政局では管轄が二千も三千もあったのでは、それは二年に一回しかやれぬということになりますから、それを補うというよりも、むしろそういったことは監察局が主体になってやるぐらいの機能を持たせ、そういうような法律ができておれば、やはり行政指導をやらすべきだと思います。  そこで、特に佐藤も悪いことは悪いけれども、その後任に来た局長というのも、どういう男かぼくはよう知らぬけれどもなお悪いね。これは大体名前もよう知らぬ。  そこで、たとえば大野局で取り扱っておる郵便あるいは貯金、保険の一日の取り扱い量はどれぐらいですか。それぞれからひとつ答弁してください。官房長一括で言いなさいよ。——それでは後で調べておいてください。  次に、私が一つどうしても腑に落ちぬのは、この小切手による横領事件というのが昨年の八月四日から八月二十日ごろまでに集中して起きたわけでしょう。わずか十六日間にやられておるわけね。しかも、定額貯金の詐欺事件も、五十一年の五月ごろから五十二年の六月ごろまで、一年間にわたって行われておるわけね。この中で、いまの局長が就任したのは、いわゆる五十一年の佐藤が退職した後ですぐになっておるわけでしょう。それがその局長も全然知らなかったということは、これはもう局長も怠慢だと思うし、また、局内の業務の運営がいかにルーズであるかということを指摘せざるを得ないのです。だから、先ほど私が保険とか貯金とか郵便とかはどれくらい取り扱い量があるのかと言ったのはそこなんですよ。どれくらいあるか知らぬけれども、そういうことで局長はどういう指導監督をしたのか。何か、話によれば、主事が前局長の奥さんだからなかなかぐあいが悪かったとかいうことですが、そんなことで局長の職務が務まりますか。そういうことでは郵便局自体か全くたるんでおると私は思う。——これはにこにこしちゃいかぬですよ。郵政省全体がいま言われるようにたるんでおるんだから……。  それでは、特定局における局長業務内容、業務権限とはどういうものですか。
  155. 河野弘

    ○河野(弘)政府委員 お答えいたします。  特定郵便局長も普通郵便局長と全く同様でございます。みずからが任せられております郵便局の業務運行全般につきまして監督責任を負うものでございまして、特定郵便局長であるということからその職責が軽減されているものではございません。
  156. 小宮武喜

    ○小宮委員 この前首席監察官か検査官かが来て、説明を聞くと、現行の手段方法として、小切手については通帳に証券表示を記入すべきところを記入してない、だから、現金で預かったように見せかけて、その裏づけのない貯金通帳で他の郵便局から現金を引き出したとか、あるいはよその郵便局の証券表示がなされているにもかかわらず、不渡りであるかどうかも確かめないで——これはもう確かめなければいかぬわけですが、自分の局で現金化したと、こういうことをのうのうと言っておるわけですよ。そんなことが理由になりますか。まあ、それは事実は事実として、たとえば銀行でも三時に終わり、郵便局でも四時に終わったら、たとえばそういう貯金通帳と小切手局長あたりが毎日いろいろチェックすればわかるはずだと私は思う。局長というのは、あそこに座っておって黙って五時には帰るということをやっておるんですか。部下の指導監督、たとえばその一日の業務量がどれだけあったかとか、預金が現金で幾らあったか、小切手が幾ら出たか、幾ら入金が入ったかとか、そんなことを郵便局はやらぬのですか。そういうことをもっと徹底的にやっておればこの被害は最小限度にとどまったであろうということを私は考えるわけです。  それでは、いま大臣が言われるように、いろいろ被害のあったところを補償するというなら、国の金をその人のためにそれだけ浪費することですよ。ただ国が金を出して済むことじゃないですよ。そんなことは国に対して損害を与えることだ。いまの局長がよっぽどどうかしておるんだと私は思うが、どうですか。これは人事局長、いまあなたが郵便局長に任命するのだろう。
  157. 守住有信

    守住政府委員 佐藤の後任の局長は伊藤と申しまして、年齢四十七歳、部内在職三十二年、前歴は保土ヶ谷の郵便局の郵便課長から参ったものでございますが、先生がおっしゃいますように、局の中の管理監督、日常の日締決算の内容から、どうもこの点が部下任せきりの面が非常に多かったようでございまして、私どもとしましても、当然に監督責任があるということで、近日中にこれの行政処分とさらには人事上の措置ということを考えておる次第でございます。
  158. 小宮武喜

    ○小宮委員 先に進みます。  この事件で、郵政省も、先月三十日の参議院の予算委員会で追及されるまでは大体ひた隠しに隠しておったわけですね。それで追及されて初めて渋々公表したという、そういう態度もけしからぬと思いますよ。だから、せっかく大臣が張り切って、非常に決意を新たにしてやろうと言っておるときに、郵政省は、あれがもし参議院の予算委員会で追及されなければいつまでもほおかむりして、そのまま大体ほおかむりしていくつもりだったんじゃなかったのかと私は言いたいのですよ。大臣、どうですか。
  159. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  まさか、これだけの大事件をほおかぶりをし通そうとは考えておらなかったと私は思いたいのです。しかし、事件発生以来の日時から考えて、これはかなり疑問を持てる個所もございます。私は、とにもかくにも、いろいろと御指摘されたものを私なりにひとつ十二分に分析いたしまして、毅然たる態度でこの問題の処理に取り組んでまいりたいと思っております。  また、後任局長の点についての御指摘も、人事局長の答弁では恐らく御満足でなかろうと思いますので、あえて私は付言いたしたいのですが、国家公務員で、しかも公金を扱う仕事に携わる者として、前局長の女房であるから監督は十分できなかったというのは、これはもうとうてい理屈にはなりません。言いわけにはなりません。こんな公私混同もはなはだしい問題でありますから、この問題についても、後任局長佐藤和也なる者の女房との業務上の関係、また、その事務の処理の仕方の問題を早速十二分に調べて、今後この業務に携わる者にはっきりとした態度を示したい、私はかように考えている次第であります。
  160. 小宮武喜

    ○小宮委員 大臣は記者会見で、この事件責任について、私を含めて近く幹部の監督責任を厳しく問う行政処分を行いたいというふうに語っておられますが、どういう処分をしますか。
  161. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  正直言って、これもなかなかむずかしいのですよね。私は真剣に、私も含めてと、これは午前中答えたとおりですね。司法処分というのは犯罪事実に対する法律に定められた処分がされるわけです。私の申し上げているのは行政処分で、行政処分とは、今後再びこういうことを起こさないようにすることの戒めだと私は理解しております。  しかし、お役所というのは、前例とか法規に照らしてとか何とかいろいろ言われるので、私もじっとその成り行きを見ておりますが、正直申し上げて、私も含めて、ともかく再びかようなことをやってはならないぞという見せつけのためにこれを断行したい、できれば今週中に結論を出したい、かように考えておるところであります。
  162. 小宮武喜

    ○小宮委員 いろいろ質問したいことがありますけれども、私も次の予算委員会の問題がありますので……。  特に、われわれはこの事件の原因究明と再犯防止が当面の最大の課題だと思うのですよ。この事件に関連して制度の問題もいろいろありますけれども、制度の問題といったってなかなかそう簡単にできるものではないし、その制度問題そのものに結びつけることが短絡的な見方だという見方もあります。そういう意味では、こういうようなことが二度と起こらないように、犯罪の発生を防ぐにはどうするかということを特に考えてもらいたいと私は思うし、そのためには、監査技術の向上とか抜き打ち監査の強化だとか、そういうものを十分検討してもらいたいと思いますが、幸い郵便事業防犯対策本部を郵政省は設けてそのことに当たっていこうという決意が見られますので、もう質問はしませんから、意見として、その中で十分これを教訓として、再発防止のために万全の措置をとられんことを強く要請いたしまして私の質問を終わります。
  163. 松本七郎

  164. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 質問に入ります前に、関係者の皆さん方にお願いを申し上げたいと思いますが、実は、私の持ち時間は二十五分でございますので、恐れ入りますがお答えは簡潔にお願いをしたいと思います。  それでは質問に入ります。  このたびの神奈川相模大野局の詐欺横領事件は、その犯罪の手口から見ましても被害金額におきましても、今日までの郵政事業と歴史に大きな汚点を残すものでございます。郵政省信頼したからこそつめに火をともす思いの零細な預金をされた被害者の心を思いますときに、金銭の償いだけでは許されない言語道断な事件であると断ぜざるを得ないわけでございます。  郵政省は、この犯罪を契機に、再犯防止策として全国の特定郵便局を総点検する、つまりローラー監査をするということでございますが、すると、今回の事件は特定局に問題があるという反省からのように私は思いますけれども、そのように理解をしてよろしいのでしょうか。     〔委員長退席、鈴木(強)委員長代理着席〕
  165. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  ローラー監査は私が省内に指示をいたしまして、これは特定局だけではございません。全郵便局を、関係機関の協力を得て、監察とともどもローラー監査をやるということでございます。
  166. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 郵政省にお聞きをいたしますが、郵政事業の中で特定郵便局がどのような位置を占め、どのような役割りを果たしているというふうにお考えでしょうか。
  167. 河野弘

    ○河野(弘)政府委員 お答えいたします。  現在、郵便局数におきましては、先ほどから申し上げておりますように、窓口として九割以上の数を占めております。それから業務面におきましては、先ほどお話がございましたように、郵便貯金につきましては七割以上、簡易保険におきましては三割強という形で、郵便につきましては若干少のうございますけれども、そういう役割りを現在郵政事業全体の上で果たしているというように認識いたしております。
  168. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 特定局の場合に、たとえば昭和五十一年度の統計を見ましても、郵便貯金の窓口預金高が、いまおっしゃいましたのを数字で申し上げますと、約十七兆円のうちの十二兆八千五百億円、全体の七五・九%を占めるというふうに思います。また、簡易保険につきましても、新しい契約の保険金額約五兆九千億円あるうち、特定局では一兆九千億円、全体の三一・七%を占めております。  この数字を見ただけでも、私は、郵政事業サービスにおきます特定局の比重というものは絶大な位置を占めるというふうに思うわけでございますが、これに間違いございませんですか。
  169. 河野弘

    ○河野(弘)政府委員 いま先生がおっしゃいましたとおりでございます。
  170. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 昭和三十二年に設置されました特定局制度調査会に対します諮問の中でも触れておりますように、「特定郵便局は、郵便局総数一万四千三百余局のうち、一万三千六百余局すなわち約九五%を占め、都市であると山間へき地であるとをとわず、全国にあまねく設置されており、郵政事業のサービスの普及なかんずく窓口機関の普及は特定郵便局に負うところが多い。」と述べております。これは今日までも引き継がれて、特定局はその所在地の地域住民と深くかかわり合いを持ち、先ほど述べましたように、業務上におきましても数字にあらわれているとおりでございます。  現在、一万七千にも上る特定局がなかったならば郵政事業は成り立たないと思いますが、あなた方は、特定局がなくても郵政事業のサービスは十分なんだ、運営はできるんだというふうにお考えでしょうか。
  171. 河野弘

    ○河野(弘)政府委員 お答えいたします。  特定局がなくてもという先生のお尋ねでございますけれども、これは現在の郵政省の現業事務、窓口事務が、普通郵便局とそれから特定郵便局とそれぞれ特性を生かしてあるわけでございまして、あるないの問題より以前に、一体的に現在の郵政事業がこの現業窓口によって行われているということだと考えております。
  172. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 現在の特定局といいますのは、郵政制度が設けられた当初から大きな役割りを果たして現在に至っていると思います。しかし、局長の任用につきましては、つい最近まで、郵便局の所在地の有産者のうちから適材を選ぶ方法、つまり自由任用制がとられておったわけです。また、局舎について言いますと、当初局長が無償で提供する義務を課せられていたものが、昭和十二年から局舎料が支給され、昭和二十三年以降は局長局舎提供義務は廃止されたわけです。しかしながら、現在でも特定局の大部分は局長個人の所有建物を借り入れたものとなっております。そのことがまた特定局の設置と局長の任用の重要な条件になってきたわけです。つまり、言い方を変えますならば、郵政省局舎を提供させ、そのかわりに局長という名誉と肩書きを与えたわけです。安上がりの郵政事業を長い間続けてきたということになります。  だから、一部の局長さんの中には、みずからの貢献したことに思い上がって、道義を忘れ、国営事業を私物化し、ついには犯罪までも引き起こしたというのが今度の事件であるというふうに私は考えますけれども、あなた方はそうはお考えになりませんでしょうか。
  173. 河野弘

    ○河野(弘)政府委員 お答えいたします。  いま、特定郵便局局舎の所有者のことについてちょっとお触れいただきましたけれども、現在のところ局舎局長所有のものでございますが、無集配につきまして申し上げますと、無集配特定局につきましては、一万二千四百十三局中九千四百三十四局が局長所有ということになっております。  確かに、おっしゃいますように、非常に借り入れの局舎が多いということは事実でございます。ただ、いま先生おっしゃいましたのに安上がりというお話がございましたけれども、私どもは、郵政事業というものを効率的に運営していきますために、歴史的に、郵便事業発足当時から、その地元の有識者あるいは名望家というものに力を託したわけでございます。必ずしも安上がりということではございませんで、運営の効率的な効果を期待いたしまして、こういう制度によっていま現在運営しているところでございます。
  174. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 明治の当初はいまおっしゃったような趣旨は生かされていたというふうに思いますが、今日までなおそれに依然としてそういった制度を運用しているといいますか、言葉は悪いですが、あぐらをかいているというふうな状況の中では確かに安上がりではないでしょうか。  局舎料にいたしましても、私は調べてみましたけれども、普通のあの郵便局の広さでもしも郵政省が普通でお借りになるならば、二倍、三倍という値がするのではないでしょうか。私も京都で特定郵便局を大分歩いて見てまいりましたけれども、都市で七万円というふうな局舎料ですね。いわば家賃ですが、それではおさまらないのではないでしょうか。安上がりの郵政事業と言いますと皆さん方にとってみれば認めがたいかと思いますが、結局はそういうことではないでしょうか。
  175. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  御指摘のとおり、確かに、現在の郵便局舎の借り入れは他の貸し家または貸し事務所に比べますと法外に安いわけであります。安いということは、御承知のとおりに、特に特定郵便局はサービス業務でありまして、国民にサービスを提供する場所でありますから、できるだけ経費の節減を図ってサービスの度合いを落とさないようにするのがわれわれの務めでございます。そういう意味から言っても、十二分な家賃を支払うならば結局いろいろな面で逆に国民に対するサービスが低下するということにつながるものであるというふうに御理解をいただきたいと存じます。
  176. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 先ほど述べましたような歴史的な背景のもとで、郵政省責任でつくられております特定郵便局局長さんが犯罪を犯したわけです。しかも、特定局長犯罪は今回の相模大野局だけにとどまらずに、五十一年度は八件ございます。五十二年度は六件という犯罪数です。これは一般職員ではなくて局長という責任ある地位についた人の犯罪です。  局長は一体だれが選んだのでしょうか。選考任用という名のもとに、郵政省が幹部職員として採用されたのではないでしょうか。それならば、その中から起こってきている問題ですから、これは単に個人のモラルや資質の問題にとどまるだけではなくて、市民道徳にも欠ける人間を採用したということで、こんな人間に判を押して辞令を出した郵政省本省の側に重大な責任があるというふうに私は思いますけれども、これは私の的外れの考えでしょうか。いかがでしょうか。
  177. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  犯罪が起きて、結果から御批判されることは当然なことで、先ほど来申し上げておりますとおりに、そのような不心得者を任命したことは国の責任を深く感じております。  ただし、任用の際には、往々にして、感情的に採用したとか適当に採用したという御批判もありますが、私の調べた範囲では決してさようなものではございません。やはり、三名なり四名、五名、多いときには七、八名の志願者の中から、監察を動員いたしましてあらゆる角度から比較検討を加え、また、はなはだ恥ずかしい話ですが、聞き込みもやって、その中で、これならば郵政省、国の方針に沿って、国家公務員としての義務を自覚し、十二分に任務を遂行してくれるものなりと信じて採用するわけでありますか、その過程で、一万七千局のうちで、先ほど御指摘のとおり五十一年度は八件、五十二年度は六件で、今度はまたこういった郵政史上かつてなかったような大事件を起こしたことはまことに遺憾に存じております。  したがって、任命の責任を十二分に痛感いたしながら、今後の任命に当たっては一層の慎重を期したい、かように考えておる次第であります。
  178. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 大臣がおっしゃったとおりに十二分に慎重を期さなければならないが、その中身ですけれども、特定郵便局長の任用について現在どうなっているかといいますと、任用規程には、「満二十五歳以上の者で相当の学識才幹ある者」、ということになっております。この大変あいまいな規定に基づいて特定局長が任用されているという結果犯罪を続発させていると言っても決して過言ではないというふうに私は思います。  一般職員採用の場合はどうなっているかといいますと、筆記試験なども含めましてもっと詳細な試験制度を設けております。任命権者の個人的な思惑が入るというような要素は少なくなっているわけです。特定局長という幹部職員を採用するにしては、現在の任用規程、つまり、二十五歳以上で学識才幹がある者というような抽象的な漠然とした規定は余りにもずさんだというふうに思うわけです。  私は、このような任用規程をまず改正する必要があるというふうに思いますが、大臣はそのようにお考えにならないでしょうか。いかがでしょうか。
  179. 守住有信

    守住政府委員 お尋ねの任用規程の関係でございますが、歴史的な経過もございまして非常に古いものでございます。ただし、それを大きな一つの基準といたしまして、地方郵政局長がこれを特定郵便局長選考の中で任命していくわけでございますが、御承知のとおり、特定郵便局はその地縁性を生命といたしております。それぞれの地域の中での地域の方々へのサービスでございますので、そういう限られた範囲ではございますが、その中で、もちろん勤務実績や地域での評価、あるいは人物、能力その他もろもろの総合的な角度から人物評定をいたしまして最終的に選考いたすわけでございまして、規定だけでは非常に大枠だけを規程の中に入れておるわけでございますけれども、その後、いろいろな事実の反省の中から、現実に地方郵政局ではきめの細かい配慮、総合的な配慮をしながらその中で最終的な判断をする、こういうことに相なっておる次第でございます。
  180. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 特定局長の任用規程について言いますれば、去る三十二年に特定郵便局制度調査会が設けられて、特定局長の選考基準にも触れた答申が出されております。それで、現在の任用規程はその答申をもとに部分的に改正をされてきたというふうに聞いております。  私はちょっとこの「特定局大鑑」で調べてみたわけですけれども、これによりますと、当時、その答申を出すに当たりまして、有倉委員、金子委員、細野委員、宮本委員という各委員さんは、答申に述べられました選考基準では不十分だというふうにおっしゃっております。もっと科学的にすべきであるというふうに意見を述べておられるわけです。私はこれを見まして、これに基づいていまお聞きをしているわけですけれども、任用規程一つをとってみましても、特定局が果たしてきた役割りにふさわしいものになっているのかどうか。郵政省責任が問われているというふうに思いますけれども、この委員さん方の御意見は、これは歴史的な記録ですけれども、それについていかがお思いでしょうか。
  181. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  御指摘のとおりに、特定局制度の調査会が昭和三十二年に持たれて、いろいろと特定局のあり方について御意見を求めたわけでございます。  いま藤原先生が御指摘のとおりに、数名の方からの特定局長任用に当たっては非科学的であるという御指摘があるのでございます。御承知のとおり、委員は十五名おられまして、いろいろな意見が出たようでありまして、たまたま四名の方は非科学的だとおっしゃいましたが、あとの十一名の方は現在採用いたしております基準で御答申いただいたわけでありますから、われわれは今日までそのような制度をとってまいったものと私は理解いたします。  したがいまして、任用に当たっては、私が先ほど来申し上げておりますとおりに、二十五歳からその資格はあるということでありますが、たまたま佐藤和也なる者は二十六歳で局長に任用されましたが、資格だけであって、任用するしないは地方郵政局長の判断でございますから、私は年齢にのみこだわりませんけれども、教養、また社会的融和性、また責任観念の問題、またいろいろな問題での自覚の程度といったものを今後総合いたしまして、十二分に意に沿うような採用の方法に持っていきたい、かように考えている次第でございます。
  182. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 時間がありませんので御指摘だけしたいわけですが、いま大臣がおっしゃいました十一名の委員さんはよいとおっしゃった。四名が非科学的だとおっしゃった。多数決でもって十一名のほうでいままでやっているという論法だと思いますけれども、形式的な民主主義から言いますとそうですけれども、私はこれを読ませていただいて、四人の方々の御意見は貴重だし、しかも、今日こういった犯罪が起こっている中でぜひ検討すべき課題ではないかと思うので申し上げたわけです。今後この防犯対策を具体的におやりになる上でぜひ検討すべき課題ではないかと思います。  それから、郵政省は、今回の犯罪を契機にして、特定局長個人の資質の問題だなどと言って、全国の特定局をローラー監査しようとしておられる。先ほどの一番初めの質問では、特定局ばかりでなく普通局もやるのだということで、これは大変なことだなあと思うわけですけれども、果たしてこれが本当にプラスになるのかどうか。特定局の総点検ということや局長の意識高揚ということだけでこれは済む問題ではないのではないかと私は思うわけです。こういった対策は、全国の特定局及び普通局に働くまじめな人たち、まじめな局長さんや職員方々にとってはむしろ大変迷惑な話だと思います。予定もしてないのに急に監査に来られる。こういう事件があって、全国一律にそれこそローラーをかけるのだという事態が起るわけですけれども、郵政省のこのような対策は、事件の現象面をとらえて対策を打つというだけであって、今回の問題を本質的に検討しようということではなく、すりかえをするのだと言わざるを得ないと私は思うわけです。  むしろ、いま郵政省に求められていることは何なのかというと、私は、特定局が果たしている役割りを正しく認識をしていただいて、局長の任用規程の改正を含めて、その役割りにふさわしい待遇、対応策をとるということが必要だというふうに考えます。このことを強く指摘しまして、時間ですから質問を終わりたいと思いますが、一言最後にこの点について大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  183. 服部安司

    服部国務大臣 御指摘の問題は、今後の郵政業務運営に当たって大いに参考にさせていただきたい、かように存ずる次第でございます。
  184. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員長代理 次に、依田実君。
  185. 依田実

    ○依田委員 今度の事件新聞や何かでいろいろ書かれておる内容を見てみますと、事件発覚は、中央郵便局で多数の不渡り小切手が出たということでわかったと書いてありますけれども、事実関係は、そういう中央郵便局の不渡りが多くなったということで発覚したのか、あるいはまた皆様方の監察局の方でやられておる日常監査で、つまり、日報が上がってまいりますものを検討しているうちにどうもおかしいというふうにおわかりになったのか、いずれでございましょうか。
  186. 日裏泰弘

    日裏説明員 お答えいたします。  これが発覚いたしましたのは、先生のおっしゃるとおり、東京中央郵便局から、相模大野郵便局から出されました小切手が多数不渡りなんだという通知が参りまして、そのことから監察が捜査に入ったということでございます。
  187. 依田実

    ○依田委員 そうしますと、小切手の方は後でお伺いいたしますけれども、日報をいつも調査課の方へお上げになっていらっしゃって、それを係の方がごらんになっていろいろ監査をなさっているんだと思うのでありますが、今度の場合、そういうところで発見できなかったということは、監査をする方の人数が足りなかったのか、あるいは能力が不足しておったのか、あるいはその調査日報に書く項目の書き方、つまり調査の項目が不足しておったのかどうか、その辺はいずれでしょうか。
  188. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  現金出納日報は毎日郵便局で締めまして、その日の受け払いとその残高と、結果といたしまして現金残というものを突合することになっております。本件小切手犯罪の場合には、現金プラス小切手、これは不渡りにまだならないうちでございますが、これとは合わせてあるわけでございます。したがいまして、出納日報とその各項目の証拠書をチェックすることによっては発見できません。  しかしながら、この小切手を受けた場合におきましては、手形交換に参加しております郵便局、すなわち神奈川県のあの地域、東京につきましては東京中央郵便局が手形交換に参加いたしておりまして、そこにすぐ送るたてまえになっております。これが送られてまいりまして手形交換にかけたところが不渡りになった、不渡りになりましたもので直ちに関係の向きに連絡をしたという形で、出納日報の各計数のルートの方からはこれは発見できないものでございます。しかしながら、ただいま申し上げましたように、小切手を交換にかけます段階で不渡りのものは判明いたすわけでございます。
  189. 依田実

    ○依田委員 日常のバランスシートが上がってくるわけでありますけれども、その金額、つじつまを合わせてあるということになるとわからない、こういうことでございますといういまのお答えですが、局の規模というようなものから、異常に金が最近動いておるとかいうことはなかったのでしょうか。
  190. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  当該相模大野郵便局は、無集配特定局といたしましては局員八人という比較的大きい局でございまして、貯金関係のもののみに限りましても、受け払い合計は私の記憶では一日一千万円を超えておるということでございます。したがいまして、小切手が入ってきたといたしましても、それが特に大きく目立つということはなくて、実は、資金運転監査の際にはなかなか見分けがつかなかったということでございます。
  191. 依田実

    ○依田委員 小切手は東京中央郵便局へ行って、それから交換へ出されるわけでございますけれども、普通の銀行の交換業務より郵便局の小切手交換は少し遅いというふうに言われておるわけであります。  と申しますのは、各局から東京中央へ郵送で送られていくというふうに伺っておりますが、そしてこれは私もはっきりお聞きしたいのですが、そこで一日ばかり眠っておってそれから交換所へ出されるということで、電話で問い合わせても三日ぐらいしないとそれが不渡りになっておるかどうかわからないということで、銀行などの小切手交換に比べると郵便局の方は遅いというふうに伺っておりますが、この業務はどうなっておりましょうか。
  192. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  相模大野局の具体的な例について申し上げますと、毎日窓口を閉めまして出納日報を書きます。そしてその証券は、その日の最後の郵送便が私の記憶では東京中央郵便局に夜着く便がございますが、その晩のうちに小切手そのものは送られるたてまえになっております。しかしながら、その時間帯におきましては、東京中央郵便局の資金課、これは金を扱っておる課でございますが、これは官庁執務でやっておりますもので、即座に渡すわけにはいかないわけでございます。これは郵便関係の方に保管しておきまして翌日資金課に交付し、資金課はそれをまとめて交換所に渡すわけでございますが、その間の事務処理の時間がかかりますもので、その日の午後になりまして交換所に渡す、したがって翌日の交換にかかる、したがって翌々日に不渡りの事実の通告が参る、これが通常の手順になっております。
  193. 依田実

    ○依田委員 今度の場合は、十六日間で約五千九百七十万円、十八局で二十七回と新聞には書いてあるのでありますけれども、この十八局というのが、つまり相模大野の近郊の郵便局で引き出されておるのか、あるいは遠くへ行ってやられておるのか、あるいはまたその十八局の中で、その近くの特定局でやられておるのか、普通局でやられているのか、その内訳をちょっとお知らせください。
  194. 日裏泰弘

    日裏説明員 お答えいたします。  ただいまの御質問でございますが、やはり、近所の特定局並びに普通局ということでございます。
  195. 依田実

    ○依田委員 そうしますと、近郊の特定局、特に十八局、二十七回というと一局で二回やったところもあるはずだと思うわけであります。  先ほど米田委員からもお話がありましたけれども、近くの特定局で引き出しているということになりますと、近郊の局長でありますから顔見知りでもある。それがなぜチェックできなかったのか、そういうふうに簡単に預金というものがおろされるのかどうか、そこのところがどうも納得いかないので御説明いただきたい。
  196. 日裏泰弘

    日裏説明員 お答えいたします。  自局で預入いたしまして他局で払い出しするということでございますから、この場合は自局では表示しないわけですね。ですから、他局では払い出しすることができるわけです。逆に、他局で預入いたしましたものを自局に持ってまいりましておろすわけですから、これも他局では表示をいたします。それは正確にやっておりましても、自局では、自分の局でございますから、表示がなくてもおろすということでございまして、そういう形でおろされたということでございます。
  197. 依田実

    ○依田委員 ちょっと質問意味が違いました。特定局ですからそう大きくない。いま、大きいところで八人と言われたが、もう少し近郊で、たとえばもっと少ない特定局へ行っておろしておるということになれば、その近くの局長が来てやっておるわけでありますから顔なじみだろうと思うのであります。特に、十八局二十七回というと一局で二回おろしているところもある。五千九百七十万円を二十七回というと、一回平均二百万円近くおろしている。そうすると、顔なじみの人が来て、それも短期間の十六日間のうちに二回も来て、平均して二百万円ずつ預金をおろすということになれば、そこで多少不信感というものが出ないものかどうかということです。
  198. 日裏泰弘

    日裏説明員 その点につきましては、通帳の名義の問題もございますが、やはり、確かに顔見知りだといったこともあると思います。
  199. 依田実

    ○依田委員 そこで不思議に思うというか、つまり、それをチェックするというような、そういう機構にはなっていないのですか。そういうふだんの教育にはなっていないのでしょうか。
  200. 日裏泰弘

    日裏説明員 ただいまやり方を申し上げましたけれども、少なくとも受けた局、自局で預入いたしまして他局で払うという場合におきましては、自局で小切手をやりましても表示をしないわけでございますから、他局ではわからないわけでございます。小切手の預入でありましても、小切手表示がございません。証券表示がございません。したがいまして、そのまま現金で預入されたものということで……
  201. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員長代理 ちょっと……質問に答えていない。
  202. 服部安司

    服部国務大臣 首席監察官は事務的なことばかり答弁いたしまして、まことに失礼しました。  御指摘どおり、その近くで佐藤和也なるものは部会長も務め、またいろいろな役職についているのだから、こういったことが二十数回起きたら何か感じなかったのかという御指摘だと思うのですが、私は、正直言って、こういう大きな問題があったと先ほどからいろいろな先生方の御指摘で私なりにここで受けとめていたわけであります。そのとおり全く感知しなかった、いや判が押してなかったからああだということは答弁にならないわけでありまして、御指摘の分もこれから究明、解明する立場で十二分に参考にさせていただきたい、かように私は考えている次第でございます。
  203. 依田実

    ○依田委員 今度の問題をそういう疑惑の面を含めて徹底的に調査をしていただいて、そして悪いところがありましたらこの処分をしていただく、これが一つであります。もう一つは、そういうふうに簡単に他局へ行くと現金化することができるんだということになりますと、特にいまみたいに近くでおろしてもわからないということになれば、まして他県へ行って、遠いところへ行って、あるいは大郵便局へ行っておろすというようなことになると、その預金の裏づけのない通帳から簡単に現金がおりるシステムになっているということになると、今後もそういう犯罪が、それは特定郵便局局長だけでなくて、あらゆる郵便局の窓口で貯金や何かを扱っている人が悪い心を起こせばそういうふうになるんだ、と、こういうことになるのだろうと私は思うのでありますけれども、そういうふうに簡単におろせるものなんでしょうか。
  204. 服部安司

    服部国務大臣 現在のシステムではそのようになっているわけであります。だからこういう犯罪が発生したということに相なるわけでございます。  そこで、私は端的に申し上げて、なぜこういった大きな事件に発展したかという裏には、局内の事務の正規の運営が図られておらなかったところにあると思います。と申しますのは、利用者の利便に供するために、正規の通帳と印鑑とを持っていけばどの局でも全国どこでも出せるようになっている。これは普通から考えたら非常に便利を供しているわけなんですが、犯罪の面から見ると、いわゆる正規の事務取り扱いをやっていなかったために証券で預かる。そこで三百万。ただしここで証券という判を押さねばならない。これを押さなかったということは正規の事務手続をやっていない。言うならば、いわゆる現金出納官または局長が確認をしていなかった、事務怠慢であったということにつながるわけであります。  これがもし通帳に証券がはさまれて証券の判を押していなかったならば、チェックする機関で、これは証券の判を押さなければだめじゃないかというふうにやっていただくとこういう犯罪は完全に防げたわけでありますから、私は、この点においても、先ほど来申し上げておりますとおりに、この再犯防止のためには正規の事務取り扱いができるような指導を推し進めていかなければならない、かように考えている次第でございます。
  205. 依田実

    ○依田委員 銀行などでは、どこの窓口でも一応おろせる、他行のものでもおろせるというところもあるわけであります。これはコンピューターシステムが完備しておりまして、通帳を入れてコンピューターが計算をして、預金の裏づけがなければ預金なしということで出てくるわけです。そこで、金がないのに預金がおろせるということはないわけでありますけれども、いま貯金の方はまだそこまでいっていない。それに比べて、いまの大臣お話では、預金者の便利のためにということで、そっちが先行しているためにかえってこういうミスが出てくるということであります。それじゃやはり困るのでありまして、早く全国オンラインコンピューター化をして、どこでもそれは出せるのは結構でありますけれども、預金がないときは出ないようにしていただかなくちゃならぬ。そういう面で、貯金のチェックシステムといいますか、そういうものに万全の策を考えていただきたいと思います。  それから、もう一つは、今度の問題だけではございませんで、いろいろな郵政犯罪郵政監察局でおやりになるわけでありますけれども、犯罪捜査権を郵政監察局が余り最後まで固執するというふうなことになると犯罪がいたずらに拡大することもあるのじゃないかと私は思うのであります。つまり、警察の言葉でも一番大事なのは初動捜査でありまして、最初に証拠を押さえることが大事だろうと思うのであります。  そういう意味で、郵政監察仕事と警察の捜査の分野調整について、郵政省の皆さんはどういうところにこれの境があるとお考えになっていますでしょうか。
  206. 日裏泰弘

    日裏説明員 お答えいたします。  郵政監察官が捜査権を持って捜査いたします範囲というものは郵政業務に対する犯罪、これにつきましては独自で捜査することができるようになっております。しかし、その中でも、中身によりましては、先ほど申し上げましたように警察と共同して捜査した方がより効果的といいますか、早く検挙されるというようなこともございまして、そういう場合には、事案によりましては警察と共同してやるという捜査がございます。たとえば局舎侵入事件なども相当ございますが、こういった場合は警察と共同してやる、そして、その共同してやる場合は、警察と郵政監察とはそれぞれ分担いたしまして、それぞれの得意とする分野で分担をしながら共同捜査に当たるということでございます。  なお、全面的に警察でやってもらった方がいいという面もございます。こういった点につきましては警察でやっていただいておりますけれども、それ以外につきましては、ほとんどが、郵政犯罪に対しましてはいま言ったようなことで郵政監察官が独自と、それから郵政監察官と警察と共同ということでやっておるわけでございます。
  207. 依田実

    ○依田委員 これはたとえば犯人が内部の者であるというふうにお考えになった場合には郵政監察局でやる、あるいはこれは明らかに外部の人だと思ったときには警察に任せるというように、つまり、内部か外部かということが判断の基準になっているのでしょうか。
  208. 日裏泰弘

    日裏説明員 これは郵政監察官は独自で捜査をすることができるわけでございますので、やはり私どもの判断によってやっておるわけでございます。必ずしも人とかということで分けているわけではございません。
  209. 服部安司

    服部国務大臣 これはその犯罪の内容によって警察に協力を要請する場合があるわけであります。と申しますのは、たとえば金庫の中の金が盗まれたという場合には鑑識が必要で、科学的捜査になる。したがって、鑑識の場合にはやはり警察の鑑識の方が充実いたしておりますから協力を求めて指紋捜査から入っていく。また、いろいろと広域にわたる場合、これはやはり監察よりか警察機構の方が充実されておりますから協力を要請する。とにもかくにも、その大小にかかわらず、犯罪が発生いたしますと、早期検挙、早期発見ということを主題に、どういう方法をとればよいかという最も賢明な方途をとってまいった次第でございます。
  210. 依田実

    ○依田委員 最近は犯罪も大型化する。いまくしくも大臣が言われたように非常に広域化する。つまり、ある局で預金を詐取して、また今度は次のほかの県へ行って同じような犯罪を起こすというふうな機動力を持った犯罪が非常に多くなっておるんじゃないかというふうに思います。そうしますと、単にこれが自分の県だけなのか、あるいは他県にも同様な犯罪が起こっておるのかどうかということは郵政監察局ではなかなかおわかりにならないことも多いんじゃないかと思うのであります。  私は、必ずしも、今度の事件郵政監察局がそれを最後までやったために大きくなった、その間に犯罪が拡大したということを言うものじゃありませんけれども、しかし、一般論として、これからいろいろと郵政犯罪が多くなる中で、警察当局郵政監察局との連携プレーについてよく御検討をいただいて——郵政監察局の業務についても確かに理解を申し上げますけれども、それがあったためにかえって犯罪が多発したとかあるいは大きくなったということのないように、その点は郵政監察のあり方についてぜひ御検討いただきたいと思います。  時間が参りましたのでこれでおしまいにさせていただきますが、では、一言大臣から……。
  211. 服部安司

    服部国務大臣 大変的確な御指摘、御指導を賜りましてありがとうございます。  十二分に参考にさせていただいて、万遺漏のないように郵政業務の運営を図ってまいりたい、かように考える次第でございます。  どうもありがとうございました。
  212. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員長代理 次回は、明十六日木曜日午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十四分散会