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1978-04-26 第84回国会 衆議院 地方行政委員会運輸委員会交通安全対策特別委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月二十六日(水曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員   地方行政委員会    委員長 木村武千代君    理事 大西 正男君 理事 高村 坂彦君    理事 中村 弘海君 理事 中山 利生君    理事 小川 省吾君 理事 佐藤 敬治君    理事 山本悌二郎君       相沢 英之君    井上  裕君       谷  洋一君    地崎宇三郎君       中村  直君    西田  司君       与謝野 馨君    新村 勝雄君       細谷 治嘉君    和田 一郎君       三谷 秀治君    川合  武君   運輸委員会    委員長 増岡 博之君    理事 石井  一君 理事 佐藤 守良君    理事 坂本 恭一君 理事 渡辺 芳男君       加藤 六月君    北川 石松君       佐藤 文生君    関谷 勝嗣君       原田昇左右君    堀内 光雄君       太田 一夫君    佐野  進君       田畑政一郎君    草野  威君       宮井 泰良君    薮仲 義彦君       小林 政子君   交通安全対策特別委員会    委員長 沖本 泰幸君    理事 加藤 六月君 理事 佐藤 守良君    理事 中村 弘海君 理事 太田 一夫君    理事 野坂 浩賢君 理事 新井 彬之君    理事 青山  丘君       井上  裕君    石橋 一弥君       北川 石松君    玉生 孝久君       水平 豊彦君    井上  泉君       岡田 哲児君    後藤  茂君       吉原 米治君    草野  威君       安藤  巖君    伊藤 公介君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   加藤 武徳君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      三島  孟君         警察庁長官   浅沼清太郎君         警察庁交通局長 杉原  正君         運輸省自動車局         長       中村 四郎君         運輸省自動車局         整備部長    犬丸 令門君  委員外出席者         警察庁交通局交         通企画課長   鈴木 良一君         警察庁交通局交         通指導課長   広谷 干城君         警察庁交通局運         転免許課長   三上 和幸君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       森田  一君         通商産業省機械         情報産業局自動         車課長     浜岡 平一君         通商産業省機械         情報産業局車両         課長      堀田 俊彦君         工業技術院標準         部機械規格課長 仲井真弘多君         労働省労働基準         局監督課長   小粥 義朗君         建設大臣官房技         術調査室長   萩原  浩君         建設省計画局労         働資材対策室長 楢崎 泰道君         建設省都市局都         市高速道路公団         監理官     小阪 祐義君         建設省都市局街         路課長     渡部與四郎君         建設省道路局企         画課長     渡辺 修自君         日本国有鉄道施         設局用地課長  佐藤 一成君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     平野 和男君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     澤田 光英君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 本日の会議に付した案件  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出  第六二号)      ————◇—————
  2. 木村武千代

    ○木村委員長 これより地方行政委員会運輸委員会及び交通安全対策特別委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行います。  内閣提出に係る道路交通法の一部を改正する法律案を議題といたします。     —————————————
  3. 木村武千代

    ○木村委員長 本案についての提案理由等は、お手元に配付してあります資料によって御了承願うこととし、直ちに質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。水平豊彦君。
  4. 水平豊彦

    水平委員 私は、まず第一に道路交通法に対する基本的な見解についてお尋ねをいたします。  今回の道交法改正は、御案内のとおり、昭和四十六年の六月以来の大改正でありますが、警察庁は昨年の十二月に試案を発表なされ、交通警察懇談会設置するなどして広く意見を聴取されたのでございますが、この民主的な手続と配慮に対しましては、私は高く評価するものであります。  今回の改正案骨子というものは、一つ暴走族に対する罰則強化あるいはまた身体障害者保護あるいは高速道路における運転者の遵守事項等規定されておるわけでございまして、まさにこのことは車社会の理想を目指した当然の措置であろうと私は思うのであります。特に免許証保有者が三千七百万人、原動機付自転車を加えまして車は四千三百万台、本格的な車社会の到来を告げておるこのごろであります。さらに一口にして申し上げますならば、今回のこの改正骨子ドライバー資質向上事故防止対策改正案の二本柱であります。  特に道交法といったような性格の法律は、片一方では取り締まり、これは強化になるかもしれませんが取り締まり片一方では指導、こうした二面性を持っている。これが道交法の持っている一つ特色であろうと私は思うのです。取り締まり強化というものはその延長線上に罰則強化がある。しかし、この罰則強化というものは当然悪質ドライバーにこそ向けられなければならぬということが一つ。その反面、適切な指導ということは明らかにドライバー自覚向上あるいは安全教育、さらにその延長線上には弱者保護ということの心にもつながってくると私は思うわけでありますけれども、こうした二面性というのは、かつて昭和三十五年に大改正がありましたときにも相当討論され、その都度、改正たびごとに議論を醸し出してまいりました重要な点でありますから、まずこの点についていかなる基本的な見解をお持ちになってみえるか、この二面性のコントロールあるいは調和策といったものについてお聞かせ願っておきたいのであります。
  5. 杉原正

    杉原政府委員 お答えをいたします。  御指摘のように、わが国も三千七百万のドライバー免許適齢人口で言いますと、二・三人に一人がドライバーであるというふうな最近の実情、また車も四千二百万台を超えるというふうないわゆる国民免許あるいは大量交通時代と言われる車社会に遭遇をするということでございます。それだけにこの道路交通の秩序づけというものは全国民対象にした施策になるわけでございます。いまの道路交通実態から、現場を預かっておるわれわれといたしまして、毎日のように発生いたします交通事故を見ておりますと、やはり歩行者や善良なドライバーに著しい危険をもたらす重大な事故に直結する悪質な違反については、これは徹底して措置をしていかなければならない、それがまた国民期待にこたえる道であるというふうに思いますが、同時に御指摘のように、いわゆる交通違反といいましても、他の違反取り締まりと同様、基本的に国民皆さん方理解協力あるいは共感に支えられて初めてその効果を期待するものでございます。したがいまして、現場での取り締まりに当たるわれわれといたしましては、単に違反があるから取り締まるというふうな形式的なものではなくて、また取り締まりのための取り締まりになるというふうなことがあってはなりません。危険性の高い違反あるいは危険性の高い場所、時間帯に重点を志向するなど、現場警察官取り締まりの言動とあわせまして国民理解共感が得られるような取り締まりに一段の工夫をこらしていかなければならないと考えております。  この交通の秩序づけというものは、そういう悪質な違反取り締まりと同時に、国民皆さん方交通安全に対する理解とさらに実践といいますか、そういう面の指導安全教育面措置というものが徹底されなければならない。この事柄は非常に奥行きの深い、間口の広い問題でありますだけに、関係省庁が総力を挙げてこれに取り組むということが必要であろうと思います。そういうふうな施策についてわれわれも全面的に努力をしていかなければならないものというふうに考えておるわけでございます。
  6. 水平豊彦

    水平委員 今回の改正道交法もうまくいくかどうかということは、一口にして言うならば、これは運用する側とそれを守る側、その間における心のつながりといっても決して過言ではないと私は思うのです。  そこで、まず運用する側、これは明らかに警察官であり、あるいはまた警察署でもあり、公安委員会でございましょう。私は、警察というものはあくまでも行政体であるのだ、何でもかんでも黒白をはっきりつけるという裁判所ではないんだ、警察官指導をもって旨とすべきであるという考え方に立って対処してもらわなければいかぬわけであります。  なぜ私がこういうことを言うかというと、最近の凶悪犯罪というものの検挙率がきわめて低下をしている。凶悪犯が発生いたしますとどういう体制を警察はおとりになるかといいますと、これは初動捜査態勢なんです。この初動捜査態勢というものはいろいろな条件がございましょうが、何といっても刑事さんの聞き込みであります。これが基本なんです。その初動捜査態勢がうまくいくかどうかということによって事件の解決の中心があると言われている。ところが、最近検挙率が低いのはどうも聞き込みに対する国民協力が得られていない。何かというとすぐ従来は国民協力を得られない法律法律ではないというのでありますけれども、こういったところにも、どうして国民協力が得られないかといいますと、これは明らかに、いまや国民免許時代と言われるように、ドライバーが非常にふえてきた。そういうドライバーがふえた中で、何らかの形でかつては交通事犯に問われたという印象の悪さが心の底にありまして、非協力という形で出ているということが数々指摘をされている。それだけに他の刑法犯とは違う特徴を持っておる。だから、大学の教授でも文化人でも、あるいはかなり社会的な地位の高い人でも非常に守ろうという厳粛な意識が足らない。そういうところに一つ特色があるわけでありますけれども、こういった面を考えた場合に、社会的な広がりの中でこの道交法というものをこれからどういうふうに評価していかれるか、この点についてお答え願いたい。
  7. 浅沼清太郎

    浅沼政府委員 ただいま御指摘のように、警察道路交通の秩序あるいは事故防止という問題に関与する面は非常に大きいと申しますか、強いわけでありまして、言うなれば、交通の場においてはすべての国民対象にして接触をしておるということでございます。したがいまして、先ほど局長も申しましたように、特に交通の問題では納得を得るというか、要は、その人が事故に遭わないというか、一件でも交通事故を減らすために取り締まりをやり、規制をやり、指導いたしておるのでありまするから、そこのところが取り締まりのための取り締まりなり、そういう形式的に流れることがあると、ただいまお話しのように、共感を得られないというようなことになろうかと思うのです。  それで、私これは交通だけでなく、警察仕事はすべてそうだと思いますが、国民理解、バックアップがなければ、警察仕事は何もできないと思うのですね。いまお話しのように、犯罪捜査、これは凶悪犯検挙率はそう低下はいたしておりませんが、確かに捜査が非常にむずかしくなってきております。ただいま御指摘の聞き込みなどが捜査重要ポイントなんですけれども、この聞き込みがなかなかむずかしくなってきておることは事実なんですね。その理由もいろいろあると思います。都市化などで非常に変わってきている点もありますが、ただいま御指摘のように、交通などの関係で若干反感を持つというようなことが原因の場合もあり得ると思います。したがいまして、私は先ほど申しましたように、とにかく交通の問題については、事故を一件でも減らすというために取り締まりをしているという気持で、何よりも国民共感を得るための努力をしていく、罰するのが目的ではないのだということで、末端の警察官まで指導をしてまいりたい、このように考えておるわけです。
  8. 水平豊彦

    水平委員 ただいま長官も、都市化の問題も一つ原因ではあるけれども、交通事犯に問われた者の反感というものもお認めになったようであります。そういう配慮のもとに今回の改正道交法というものを運用していただきたいと私は思うのです。  次に、私は今度は守る側に対して物を申してみたいと思うのであります。  それは何かというと、守る側、つまりこれは運転者中心とするわけでありますが、運転者自覚といったものが運転者人格形成を図る上での第一歩、初歩だと私は思うのです。そこで、たとえて言うならば、着物運転とかサンダル履きの運転たばこを吸いながら運転する、あるいは窓から投げ捨てを平気でやる、これらのことは、すべて交通道徳あるいはドライバーのエレメントなんです。そういう問題が、口の上ではうまく言われておりましたけれども、どうもこの改正道交法の中できちっと守備範囲の中に規制されていらっしゃらない。私は、何も罰則範囲をいたずらに拡大しろと言っておるわけじゃありませんけれども、たとえて言えば、着物運転とかサンダル履き運転というものは、道交法第七十一条の一項の六、ここで各都道府県公安委員会がその交通状態、風俗、習慣などでよしあしを決める。いわゆる施行細則でお決めになっていらっしゃるようであります。しかしながら、自動車というものはきわめて行動範囲が広い。数府県にまたがるという機能を持っておりますから、特定な県単位でお決めになるよりも、全国的なコントロールをした方がいいのじゃないか。そういう意味から御指摘を申し上げたいし、また、たばこを吸いながらの運転でも、これは明らかに安全運転義務違反なんです。そういうこととか、あるいはまた窓からの投げ捨てというものは、私は後で触れますけれども、高速道路なんかにおけるたばこの吸いがらだとか、あるいはアルミかんの投げ捨てというものは、大事故に直結するということがありまするだけに、処罰は設けなくても、ひとつ何らか配慮がとられてもしかるべきではなかったかということが私は痛感されるわけですが、この点につきましてお答えをいただきたいと思います。
  9. 杉原正

    杉原政府委員 全く御指摘のとおりでございます。私どももドライバーの育成という立場にありますだけに、指定自動車教習所等を含めていろいろな措置を講じてきておりますが、まだ不十分でございます。御指摘のような点は、法令もさることながら、現在すべてのドライバーについて教則というのを、これは国家公安委員長の名前で出しております。ちょうどイギリスのハイウェーコードにならったようなものでございますが、この中に、法令には書いてないけれども、いわゆる道徳律交通道徳として当然守ってもらうようなこともかなり入れておりますが、先ほど御指摘のあったようなものを、これからまた教則を当然改正していかなければなりません、その際に十分考慮させていただきたいというふうに思っております。
  10. 水平豊彦

    水平委員 それから、今回の改正点一つで、目が見えない人の通行保護とか、あるいは身体障害者用の車いすの通行保護がありますが、私は相当以前からこうした配慮がなされてしかるべきであったと思うわけでありますけれども、遅まきながらも私は歓迎いたします。しかし、それだけに一時停止または徐行の義務づけというものがなされておるわけでありますけれども、対象がきわめて社会的な弱者でありまするだけに、ひとつ間違ったならば大変悲惨な事故に直結するという背景を持っておりますので、私はきわめて細心の注意が必要であろうと思うわけであります。これは単に三カ月以下の懲役や三万円以下の罰金等では済まされない本質的なものがあると私は思うわけでありますけれども、もちろんこのことは、道路構造上から安全を保障するということも必要ではありましょうが、いかなる配慮でもってこれに対処すべきか、お気持ちをお聞かせ願いたいと思います。
  11. 杉原正

    杉原政府委員 御指摘のとおりでございます。今度法改正でこういうことが仮に御可決いただきますと、私ども、これの周知徹底については万全を期していきたい。単に処罰でもって済むようなものではないという基本的な認識をいたしております。したがいまして、更新時講習あるいは指定教の教習、いろいろな講習の機会があるわけでございますが、こういうものを通じてこの法改正の趣旨を徹底していきたい。これは一応十二月一日からの施行ということで考えておりますが、ちょうど秋には全国の交通安全運動等もございます。こういう際を通じて徹底を図るような措置を講じてまいりたいというふうに思っております。
  12. 水平豊彦

    水平委員 次に、私は自転車対策についてお尋ねいたします。  昭和五十二年の自転車保有台数は約四千六百八十万台。その中でも特に幼児と老人によるところの自転車事故率が高いわけですね。このことは警察白書などの統計が示しておるところでありますが、さてそこで、今回の改正点は、自転車横断帯を新設する。これは従来歩行者として扱っておった自転車ではありますけれども、一応自転車利用者安全確保を図るという配慮がなされている。片一方では、歩道上の通行規制、あるいはまた整備不良の自転車の排除を図って、今日までほかりっ放しであったそれをきちっと統制しようということで、二つの面から配慮されたということは、私はきわめて時宜を得ていると思うわけであります。  ただ、ここでまず第一にお尋ねしたいことは、今度は自転車横断帯というものをわざわざ新設されることになったし、その通行を指示することができますが、それに違反する場合にはちゃんと罰金を払わなければいかぬ。それからまた、横断中の自転車歩行者横断歩道上と同じ保護を受けるというたてまえになっておる。つまり、言葉をかえて言うならば、非常に期待せられる、かつまた、値打ちのある道路なんですね。そういう道路道交法の中に設けられたということはきわめて意義が深いけれども、じゃその横断帯というものは、どこの行政体がいつどういうふうに建設して、こうした配慮に対処していくかということが明確にされてはいない。この点についてどうなんですか。
  13. 杉原正

    杉原政府委員 この自転車横断帯の具体的な様式等につきましては、付属の政令以下で決める形になっておりますし、つくり方はいまの横断歩道と全く同じやり方をするつもりでございます。公安委員会設置をいたしますいまの横断歩道に五角形の標識がございますが、今度はあれと同じような形の自転車横断帯標識も設けたいというふうに思っております。一般のドライバーから見ても、自転車利用者から見ても、ああ、あれが自転車横断帯だということで、一べつしてわかるような様式のもので検討いたしております。
  14. 水平豊彦

    水平委員 それは自転車通行するところの道路ならばすべて設けるというように義務づけられるというのですか、何かそういう規約で進んでいかれるのですか。
  15. 杉原正

    杉原政府委員 これは自転車横断の非常に多い道路から順次設置をしていきますが、基本的な考え方は、いまの横断歩道と同じような考え方自転車に当てはめて設置をしていく。したがって、交差点につくる場合もあれば単路につくる場合も当然出てまいります。
  16. 水平豊彦

    水平委員 それから、自転車横断帯の新設によって、自転車は一応乗ったまま横断できますね。ところが、歩行者横断道では必ず下車をして、自転車を引いて渡らなければならぬという配慮が必要だと思うのですが、この道交法の中にはそうした法的根拠といいますか、法的に明確にされていないですね。そこらあたり、なぜ明確にそういうことをうたわれなかったかということについてお答え願いたいと思います。
  17. 杉原正

    杉原政府委員 従来必ずしも徹底をしないきらいがございましたが、基本的には横断歩道歩行者妨害になるときには、押して歩行者と同じ立場で歩いてもらうということでございます。今度も、歩道自転車通行法律上認めることにしたわけでございますが、この場合も、歩行者通行妨害するときには一時停止をしろ、基本的に徐行を義務づけております。いつでも、どういう状態のもとでもとまれるスピードで走ってくれという形にしておるわけであります。基本的にそういう考え方で対処してまいりたいというふうに思っております。
  18. 水平豊彦

    水平委員 自転車通行が認められるようになった歩道の上においては、いまおっしゃったような一時停止だとか、徐行配慮、これはいいのです。私の言うのは、歩行者横断帯自転車が渡ることができるでしょう、そうした場合に、一時停止徐行配慮も必要でありますが、横断帯という歩行者保護、安全を図る意味からも、自転車も同時にそれはおりて引いていくべきではないか、そういうことが法的になぜ明確に確認をされておかなかったか、こういうことなんです。
  19. 杉原正

    杉原政府委員 一応、いま歩行者がおってそれの通行妨害になるときには、おりて押して歩いてもらうということになっておりますが、徹底を欠くきらいがございますので、これは教則その他できちっと指導するようにいたしたいと思います。
  20. 水平豊彦

    水平委員 明らかに法的に明確にされていないだけに、これからの指導方法に私は期待をするということにしますが、その点、しかと御配慮願いたいと思います。  それから次に、今度歩道普通自転車、それから主婦なんかの買い物の三輪車通行が認められることになったわけです。このことは主婦の便利さというものを一応保護する、利用者保護をするということで、今度歩道へ上げることになったわけでありまして、私はこのことはいいことだと思うのです。ところが、日本歩道というのはきわめて狭い。そこへ持ってきて三輪車が加わり、普通自転車ではありますけれども、自転車も加わる。便利さの反面、非常に煩瑣をきわめることになったわけですね。そうした場合に、今日のこの実態から見て、まず第一に、自転車といいましても、「普通自転車」とわざわざ断ってあるところを見ると、普通自転車ではない自転車がある。多段式自転車だとか、ドロップハンドルですか、何か普通自転車と比較いたしまして危険を伴う自転車がある。そういうものをまず生産段階において、あるいはまた販売段階において規制をすべきではないか、何か行政指導を強くすべきではないかという気がいたしますが、この点を通産省がおったならば通産省から御答弁をいただきたいわけであります。それが一つ。  さらに、どこの所管になるかわかりませんけれども、これにあわせて、自転車国民の足であるという立場に立って、一応この自転車保安基準というものを制定される、そういう配慮はあるかどうか、そういうことが一つ。  それからもう一つは、元来、わが国における歩道のとり方が間違っていると思うのです。ということはどういうことかといいますと、まず車道の幅員を先にとりまして、残ったものを歩道にするというようなとり方ですね。車道の幅をとった残りを歩道にしていく、これは道路構造令の第十一条か何かに基づいてそういうことをやっておるそうでありますが、建設省がおられたならば建設省から承りたいわけでありますけれども、私は歩道を先にとって、その後で車道をとるべきである。歩道の幅をとり過ぎた結果、後にとった車道の幅が狭かったということがあったならば、私は一方通行にしてもいいと思う。そのくらいの配慮歩道になされてしかるべきであると思いますけれども、歩道の幅員の基準というのは一体どうなっているのか、そうしてまた、こうした歩道の建設整備計画というものがあったならば、お示しを願いたいと思います。
  21. 堀田俊彦

    ○堀田説明員 先ほどもお話がございましたように、自転車は今日の日本人の社会生活に非常に普及いたしておりまして、普及しただけに一層その安全性を図っていく必要があろうと考えております。  まず自転車の安全対策でございますけれども、第一に私ども推進したいと考えておりますのは、関係業界がアメリカの基準を参考にして策定をいたしております自転車安全基準というのがございます。これをぜひ遵守するよう指導したいと考えております。  それから、自転車はメーカーの段階から小売業者に流れまして、小売業者の段階で最終組み立てをいたします。この最終組み立ての技術と自転車の事後におきます保守管理の観点で、小売業界の組み立て、点検検査技術、これの向上を図っていく必要がございます。このための事業もぜひ推進していかなければならぬと思っております。  それから今度は、ユーザーサイドの乗り方の問題でございます。このためには、ユーザーを教育するための広報とか、たとえば自転車業界が現在実施しております自転車通学生徒に対する無料点検の事業というのがございますが、こういった業界の活動を支援し、バックアップしていきたいと考えております。  関係業界では、最近特にこの安全性の問題が重要になってきた背景を踏まえまして、製造業者、販売業者等の関係者で自転車安全対策企画推進会議というのを設置いたしました。昨年の六月のことでございます。この委員会を活用しまして、衆知を集めて自転車のより一層の安全性の確保のための検討ということを行うことになっております。私どももこれを大いにバックアップしていきたいと存じております。  それから、お話にございました新型車というのが最近になっていろいろ出てまいりますが、この新型車については、昨年度からこの安全性を試験する制度を設けまして、これは日本車両検査協会という団体に行ってもらっております。今後も新しい形の車が次々に出てくると思いますけれども、こういった新型車については、この制度を活用してテストをし、必要があれば所要の指導なり措置をとりたいと考えております。
  22. 渡辺修自

    渡辺説明員 お答えいたします。  車道を先にとって歩道が後回しだという御指摘があったわけでございますが、わが国道路整備がやっと始まりましたのが昭和二十九年の第一次五カ年計画からということでございまして、歩道をつくりたかったわけでございますが、若干後回しにならざるを得なかったという事情でございます。最近は、そういうことで一生懸命歩道をやっておるわけでございますが、歩道の幅員につきましては、木を植えましたり路上のいろいろな施設をつくります部分を除きまして、純粋に歩行者交通の用に供する部分の幅を道路構造令で規定しておるわけでございますが、道路の区分によりましていろいろ最小幅も違っております。一般の幹線街路等では三メーターを最小幅にしておりますし、田舎の方へ行きました地方部の道路では七十五センチという最小幅もございます。なお、自転車歩行者が同時に通っていただくような部分は最小幅を二メーターということにいたしておるわけでございます。最近の交通安全事業におきましては、御指摘のように、歩道をつくりまして車道が狭くなった場合は一方通行にするというような施策も各地でやっておるところでございます。  そんなことで、現在歩道といたしましては、歩道つきの道路延長で全国で約四万六千四百キロあるわけでございますが、究極的には大体二十三万キロくらいの延長が必要であるということでございますので、今回の第八次道路整備五カ年計画の終わります五十七年度末あたりに一応八万キロくらいまで引き上げるということを目標にいたしておるわけでございます。
  23. 水平豊彦

    水平委員 いま建設省が、まず歩道を先にとって車道が狭くなった場合には、その後で一方通行配慮しておるというような答弁があったのですけれども、一方通行規制行為は国家公安委員会、警察庁ですね、それはお認めになりますか。
  24. 杉原正

    杉原政府委員 現実にそのような道路はございます。
  25. 水平豊彦

    水平委員 それから、また歩道の問題でありますけれども、ただでさえ狭いところへ屋外広告物その他店の陳列品などがはみ出まして非常に混乱をしておるわけであります。そこで、一般の道路でもそうでありますけれども、道路を使用する場合は道路使用許可願というものを警察署に出しますね。警察署の許可権限でありますし、それから屋外広告物等は条例がありますけれども、そういうもの等を立てて道路を占用する場合には道路占用願というのが道路管理者に出されるわけですね。一本の道路をめぐって、どういう使用をするかによって許可権者が皆違うわけなんです。そういう複雑な要素というものが入り込んでくるこの歩道を、道交法という場の中でどうやって調整を図りながら管理していかれるかについて一言願いたい。
  26. 杉原正

    杉原政府委員 そうでなくても狭い歩道に放置物件あるいは無許可の物件が放置されておるということが交通の安全に大変な影響を及ぼしております。ただ、沿道の営業の実態から見まして、やり方としましては警告、指導ということを中心にいたしてやっておりますが、それでもなおかつなかなか従ってもらえないというケースにつきまして、昨年のケースですと、全国で約六千五百件ばかりの放置物件あるいは無許可物件の取り締まりをやっておりますが、まだまだ不十分でございます。沿道の皆さん方の御協力を得ながら、適正な歩道環境をつくっていくように配慮していきたいというふうに考えております。
  27. 水平豊彦

    水平委員 次に、自転車の駐車問題について私はお尋ねをいたしますが、自転車通行が認められている歩道上に自転車というものを駐停車することの可否はどうかということです。  車道なんかに放置すればこれは危険きわまりないことでありますが、かといって、いま非常に歩道上に放置されておる現実があるわけです。そうした現実の中で、果たしてこれは法的な立場からどうあるべきか、自転車歩道上における駐停車についての御見解を承っておきたいことと、その次に、自転車の駐車問題というと駅前広場、あるいは駅周辺、あるいはデパート、あるいは大きな事務所、あるいはスーパーマーケット、こういったようなところにも自転車の放置状況というものが著しいわけなんです。たとえて言えば、地下鉄なんかの駅が建設されるときに、区画整理事業等が行われております場合には容易に土地の提供を求めることができるわけでありますけれども、既存の駅の周辺というものはきわめてむずかしいわけなんです。たしか昭和五十二年十一月の総理府の調査によりますと、放置個所数というのが二千三百十四カ所もある。放置台数が六十七万五千三百九十四台ある。昭和五十年に三十万台の放置数でありますから、二年間に二倍にふえたという統計が出ておるわけであります。こうしたことに対して道交法の中でどのように配慮するかということが一つと、これは特別立法して、そして完全な措置をしていくべきだ、こういう考え方があろうと思うわけでありますけれども、もしも特別立法の措置をする方が適切であるとするならば、どういう性格の、たとえて言うならば、自転車の駐車場の設置主体は一体どこか、あるいは国の財政援助の関係はどうあるべきか、あるいは鉄道事業者との協力関係はどうあるべきかといったようなことも含めて、あるいはまたデパートやスーパーマーケット建設に当たっては、自転車の駐車場を設けるということをできることならば建築基準の許可条件にするとか、そういうような見通しも含めて、もしも特別措置をする方が適切だと思われるならば、そういう意味においてこれらの問題についてのお答えを願っておきたいのです。
  28. 杉原正

    杉原政府委員 歩道自転車通行可にした場合の歩道での自転車の駐車問題でございますが、一般的に歩道が広いとこういうことも可能でございますが、歩行者自転車でいっぱいであるというぎりぎりの条件のもとで歩道通行可にいたしておるわけでございます。現実に歩道で駐車可の指定ができる歩道というのは、調べてみますと全国で二十一カ所はございますが、歩道が狭くてどうにもならないという実態があるわけでございます。これは道路管理者等と相談をしながら、だんだんにそういう歩道を拡幅するという施策とあわせて考えていかなければならない大きな問題であるというふうに考えております。  それから、一般的な自転車の駐車問題については、総理府の方でいま総合的に検討していただいておりますので、そちらから……。
  29. 三島孟

    ○三島政府委員 立法措置の問題につきましては、政府におきましては先般、駅周辺における自転車の大量放置問題に対処するために、去る一月二十三日でございますけれども、「自転車駐車対策の推進について」と題する交通対策本部決定を行ったところでございます。そこで、当面はこの決定で定められた方針によりまして、関係省庁の緊密な連携のもとにこの問題の解決に適切に対処してまいりたいというふうに考えております。また、自転車駐車対策を今後推進する過程で生ずる問題や、またいまいろいろ御指摘ございました検討課題につきましては、関係省庁で構成いたします連絡会議におきまして今後とも十分に検討を加えてまいりたいというふうに考えております。
  30. 水平豊彦

    水平委員 ただいま総理府は、関係省庁と連絡をとって適切に対処してまいりたいという言葉が多かったわけでありますが、その言葉は、言いかえるならば、たとえて言えば、公共自転車駐車場等の整備に関する特別措置法といったような特別立法をして配慮をする方が適切であるというふうにお考えになっていらっしゃるのかどうか、一言お願いいたします。
  31. 三島孟

    ○三島政府委員 ただいまも申し上げましたとおり、現在の段階では直ちに立法措置までは考えておらないわけでございます。当面は、先般の決定に基づきまして積極的に対策を推進してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  32. 水平豊彦

    水平委員 この問題についてもっと討論したいのですけれども、時間がありませんので、次へ行きます。  次は暴走族の対策についてであります。  全国で二万四千人もいると言われるこの暴走族には、もう大変許されない実態が数々あるわけでございますが、彼らはまさに路上の遊戯と称して、よく新聞でも言われておりますように、広がり通行あるいは巻き込み通行だとか、蛇行通行ということで集団で暴走しておるわけでございますが、まさに危険そのものである。今度改正案の第六十八条で、二台以上の自動車等を連ねて通行させる場合等においては、共同して著しく道路における交通の危険を生じさせる行為をしてはならぬ。しかも違反者は六カ月以下の懲役、五万円以下の罰金ということでこれに対処される。このことは私は暴走族取り締まり対策の効果が非常に大きいと思うのです。ただ、ここで私が申し上げたいことは、これまでの取り締まりのあり方というのは個々のドライバーがその対象であったわけでありまして、個々のドライバー違反であった。それが今度は集団の犯罪というものに真っ正面から取り組んでいくということに大きく変わったわけですね。だから、私は非常にいいことだと思うのでありますけれども、この個人対象から集団へ取り締まり対象の拡大が図られたということは、従来の取り締まりのあり方から大きく新しい取り締まりの体制というものに入るわけでありますから、そこに一つ期待と不安があるわけですね。そこで、共同して著しく道路における交通の危険を生じさせる行為とか、共同して著しく他人に迷惑を及ぼす行為とは、一体具体的に言ってどういうことか。つまり、「共同して」、「共同して」と書いてありますけれども、共同意思の確認といったものと、それからそれぞれの道路におけるところの危険行為、迷惑行為の範囲がきわめて不明確であるという一つの声があるわけであります。さらに、一挙に二十台、三十台が連ねてあった場合にどうやって取り締まりの立証ができるかということもきわめて困難である、限界があってきわめてむずかしいと指摘をされておるわけであります。  さらにまた、あえて申し上げますならば、暴走族というのは大半夜です。昼もおるでしょうけれども、そうすると、夜ということは、夜間取り締まりは特殊な技術だとか特殊な取り締まり体制というものが必要なんですね。そうしたものに対する配慮あるいは器材の整備、こういったものも当然必要となってくるわけでありますけれども、こうした数々の不安の声のある中で、まず不明瞭な点を明確にしていただきたいと私は思うのであります。
  33. 杉原正

    杉原政府委員 この従来の個々のドライバー対象にしておりました道路交通法の中に、集団の走行の問題を取り上げるという意味で非常に大きい問題があると思いますし、また私どもとしては、これの解釈、適用についてはきわめて細心に処理をしていかなければならないと思っております。これの構成要件でございますが、まず通常の形態として考えられますのが、集団の中央線をはみ出て道いっぱいになって広がる通行あるいは他の一般の車両を巻き込んでの通行、あるいはジグザグといいますか、中央線をはみ出て蛇行していく通行と、いろんな形態のものがあるわけでございますが、まずその二人以上のドライバーが事前または現場においてそういう行為をやることで相手方に著しい交通の危険、衝突の危険、それからもう一つは、衝突の危険はないが、前をふさいで後ろから来た車を前に出さないという円滑上の迷惑、そういうふうなものをやろうという共同意思というものがある。したがって、そういう通行の形態があることと、そういう通行の形態によってこういう危険行為をやろうという共同意思、両方を確認し、現場で採証しなければならないという問題があるわけでございます。したがいまして、この違反態様の危険あるいは迷惑の状況についての証拠化の問題、それから検問、制止のやり方、それから暴走行為者車両の特定、確認の問題、リーダーの指揮状況、グループ員との共同意思の立証、それから現場での参考人の確保、こういうふうなものについて新しい捜査技術の開発が必要になってまいります。お話がございましたように、夜間に行われるものでありますだけに、いろんな観点からの技術的な開発を進めてこれに対処していきたいと思っております。
  34. 水平豊彦

    水平委員 この問題はきわめて重大な問題であり、かつまた、注目されておりますので、特に公安委員長から私はお答えを願っておきたいと思うのでありますが、要するに、集団共同行為というものを摘発するには十分な、先ほど申し上げましたような立証能力や規制技術というものを必要とするわけです。特に現場における警察官の行き過ぎというものも懸念されるところでありますが、この点は昭和三十五年の現道交法改正のときにも第六条ですか、警察官の任務、権限においても相当問題になったと承っておるわけでありますので、心配ないと思いますけれども、言うなれば、この一般ドライバーとか、あるいは選挙運動とか、あるいは労働運動、あるいはお祭りや市民パレードなどに適用しやしないかという懸念がある。さらに、これはもっと極端なきつい言葉で表現いたしますならば、運用次第では交通騒乱罪とでもいったような治安立法につながりはしないかといったような懸念もあるわけでありますけれども、この非常に効果の期待が持たれる面と、適用範囲の拡大というものがきわめて恐れられているといったような不安を耳にするわけでありますけれども、しかとこの点について公安委員長から御答弁願っておきたいと思うのであります。
  35. 加藤武徳

    加藤国務大臣 今回の改正のねらいといたしておりますところは、いわゆる暴走族がその近隣に大変な迷惑をかけておるだけではございませんで、許されない行為であることは申すまでもないことでございます。  ところで、この取り締まりに当たりまして、暴走族以外に及ぼす心配はないか、かような水平委員の御指摘でございますけれども、私は、さようなことがあってはならぬのでありまして、ことに善意の行為に対しましてこの取り締まりが広がっていく、かようなことは厳に慎まなければならぬ、かように考えます。
  36. 水平豊彦

    水平委員 それから、暴走族が使用するところの車両の改造について一言お尋ねしたいわけでありますが、たとえて言えば、マフラーを外しておったり、また幅の広いタイヤ等をはめて走り回っている。このことは、自動車の分解や整備事業等の認可を受けた事業所あるいは修理工場あるいはカーショップにおいてこれが平気でなされておるわけでありますけれども、このことは、言うなれば、暴走族を許すような一つの行為が片一方でなされている。これは運輸省ですか、一遍このことについて、なぜ許しておるのか、規制措置をどういうふうに考えておるかということをお尋ねするわけであります。
  37. 犬丸令門

    ○犬丸(令)政府委員 御指摘暴走族が使用いたします広幅のタイヤもしくはエアスポイラー、それから突起のあるホイールキャップ、そういったものが取りつけられ、違法改造が行われているケースが多いわけでありますが、これらのものにつきましては保安基準によってその取りつけを禁止いたしておりますし、またこのことによる不正改造は安全運行に非常に問題がございますので、そういった不正改造を行わないように指導いたしております。そして現実的には車検時にそのチェックをいたしております。しかしながら、車検時に参りますときには、そういったような改造はしておらないで、車検が終わってから取りつけるといったようなことがあるわけでございます。そこで、そういったような不正改造を行うということは整備工場等で行われるわけでございますが、整備工場につきましてはそういったような不正改造を行わないように十分指導いたしております。そういった意味におきましては、現時点においては、いわゆる認証工場におきましてそういった実態はないものと私どもは認識しております。  それから、こういったふうな暴走族用に使用される自動車用品でございますが、こういった用品につきましては、不正改造につながるものでございますので、これの製造販売について自粛するよう、関係機関を通じて指導徹底をお願いしてきておるところでございます。
  38. 水平豊彦

    水平委員 それでは、私は、次に高速自動車国道の関係についてお尋ねいたします。  このたびの改正で、ガス欠だとか積み荷の転落等、いわゆる整備不良車の故障、あるいはまた、事故に対して処罰の規定というものができたことは評価できるわけでありますけれども、ここで、むずかしい言い方をして恐縮でありますけれども、果たして最低限の義務を果たしていないこととして処罰対象にしていることに問題がありはしないかという批判があるのです。損失責任を問うことができても、義務違反として処罰することが適当であるかどうか、こういう懸念が一つあるわけです。これらのことを考えてまいりますと、実際上の問題として、その取り締まりの実効というものが上がる方策というものが果たしてあるのかどうかについてお聞かせ願っておきたいと思うのでございます。  特に、一人の不行き届きなドライバーのおかげで何千何万が迷惑を受けるという、大変な連鎖反応を示す問題であります。しかも、高速道路などにおける落下物等の清掃とか、あるいは除去というものも、これらの問題に伴って非常に必要だと私は思うわけでありますが、その具体的な措置というものはどういうふうにお進めなのかお答え願いたいと思います。
  39. 杉原正

    杉原政府委員 高速自動車道におきましていろいろな事案が起こるわけでございますが、一つは故障の関係でございます。故障にもいろいろな故障がございますが、いわゆる初心者でもこれだけは最低限守ってもらいたいものの三つを取り上げました。一つはガス欠でございます。一つが水でございます。それからオイルでございます。これは仕業点検の基本的な義務になっているものでございます。もう一つが荷物の転落飛散でございます。これは考え方といたしまして、高速道路に入る場合には、まずあらかじめ点検をしてくれ、点検義務を課しまして、点検義務を怠っただけで罰則対象にするのではなくて、現実に高速道路の本線の上で転落飛散あるいは故障で本線で動けなくなってどこへも持っていけなくなったという場合だけに限定をしておりまして、その三つの事由で故障した車も、努力をして路肩にまで持っていって本線の通行に影響を及ぼさない状態にまで努力した人は罰則対象から除外をしておるわけでございます。したがって、これは結果犯で、その結果が、あらかじめ点検をしたかどうかということを問擬をした上で適用するということでございまして、これからのいわゆる高速時代を迎えてのドライバーの基本的な責任としてその程度の注意義務というものは当然に出てまいる、また、それが他人に迷惑を及ぼさない、あるいは他の車両の交通事故の危険を招来させない大きな社会的な責任であろうというふうに認識をいたしております。
  40. 水平豊彦

    水平委員 次に、シートベルトの問題でありますが、道路運送車両法の保安基準第二十二条ですか、普通自動車は座席ベルトをつけることが義務となっているわけです。普通自動車というと、普通乗用車、トラックなどでありますが、しかし、定員十一人以上の自動車は除外されておるわけでありまして、当然ここには高速道路を走るバスなんかが含まれておるわけですね。最も安全を要求せられるところのバスに装着すべきではないかというふうに私は思うわけでありますけれども、これがなぜ配慮されていないか。これは運輸省ですか、このことが一つ。  もう一つは、中古車なるがゆえに義務から外れておるということがあるわけでありますけれども、中古車というのは、新車と比べるとそれなりの古さがあるから、ある程度欠陥が多いと考えてもしかるべきなんです。そこへ持ってきて装着すべきシートベルトがついていないということになると、また一つの欠陥条件を持っているということなんです。だから、不十分な車に欠陥条項があるということはまことにおかしな話でありますけれども、こういったことに対する配慮がどうあるべきか、その実態はどうなっているのか。いままでは、高速道路あるいは自動車専用道路においてこうした義務づけがなされておったわけでありますけれども、これから交通の錯綜する中で、一般道路までも拡大する必要はないかというふうに私は思うわけであります。しかも、こうしたシートベルト、あるいはこれはヘルメットの問題にも関連しますけれども、たとえば税制の面で措置をするとか、あるいは車検の際のいわゆる一つの条件行為にするとか、何らかの施策が講ぜられてもいいと思うのでありますが、この点についてお答えを願っておきたいのです。
  41. 犬丸令門

    ○犬丸(令)政府委員 自動車のシートベルトにつきましては、昭和四十四年から乗用車に取りつけたのを初めといたしまして、トラック等だんだん拡大してまいったわけでございます。しかしながら、現時点におきまして、まだバスについては車体構造、強度、使用の態様等にかんがみまして、現在は取りつけを義務づけていないところでございます。しかしながら、現時点においてその必要性が相当出てきておると考えておりまして、立席が非常に多いバスでございますとか、旅客が頻繁に乗降するようなバス等、こういったものに義務づけることは必ずしも適当でないと思われますけれども、それらを除きまして、たとえば貸し切りバス等において、転落時等の衝撃に対して有効に作用する、そういったような点も考慮いたしまして、その取りつけが可能なような車体強度の確保の技術上の問題について十分検討を進めてまいるつもりでございます。具体的には、現在運輸省と自動車製作者、ユーザー等によりまして構成される組織において車体強度の確保等、技術上の問題点、使用上の諸問題について検討を進めておるところでございまして、この検討の結論を得次第、たとえば高速道路を運行する貸し切りバス等を中心といたしまして、シートベルトの取りつけを逐次推進を図ってまいるつもりでございます。  それから、中古車についてでございますが、私ども、保安基準改正は、安全もしくは公害防止について逐次やっておるわけでございますが、中古車にこの基準を適用するということになりますと、大量の自動車についての改造が必要になってまいります。そういったような観点から、シートベルトにつきましてもそうでございますが、何月何日以降生産される新車からという適用の仕方をしてまいっております。しかし、現実問題として、シートベルトの装着義務づけは四十四年からやっておりますので、現在、乗用車につきましては、既存保有車両の約九〇%がシートベルトが装着される状況でございます。今後シートベルトの着用という意欲が高まってまいると思いますが、シートベルト着用車が次第にふえていくという点を御理解いただきたいと考えております。
  42. 水平豊彦

    水平委員 時間がありませんので、私、最後に一言だけお尋ねしておきたいのであります。  交通違反等における点数制度の問題ですけれども、これは昭和四十四年十月一日施行の反則通告制度の基となったものでありますけれども、このことは、非常によい点としましては、前科がつかずに簡単に処理ができる、しかも、外国からも非常に参考にされて、日本のシステムを取り入れる国が出てきておるという評価もあります。ところが、たとえば速度違反なんかを考えてまいりますると、二十キロオーバーから二十四キロオーバーが二点です。二十五キロオーバー以上はずっと何キロオーバーでも六点ですね。三点、四点がないわけなんですよ。一キロの差で四点も差がつくという、それが二十五キロ以上のスピード違反の持っている重要性だと言われればそれまでのことでございますけれども、何か基礎点の配分といいますか、ここらが矛盾していはしないか。これらの点数の積み重ねが行政処分の多少にもつながるわけでありますが、こうした点をなぜ見直しされなかったかということが一つ。  それから、たとえば四つ角等で事故が起きるときに、直進車と右折車がよく衝突するわけですね。これはもう交差点における事故の典型です。この場合に、事故の当事者が、前をよく見ていなかったと申し立てをする場合と、相手がとまると思ったという申し立てをする場合によっては、警察当局における判定が違ってくるわけなんです。もちろん本人の意思というものを尊重すべきではあろうと思いますけれども、この重大な事故の処理、あるいは行政処分から罰金まで伴うようなこの事故処理に当たって、本人の申し立てによって一々事が変わるというようなことは、きわめて権威のないことだと私は思うのであります。こうしたことについて、私はこういう問題のケースをたくさん知っておりますけれども、きょうは時間がありませんので、いずれまたお尋ねいたしますけれども、私はこれらの問題について検討すべき余地があってもよかったと思うわけでありますが、一言お願いします。
  43. 杉原正

    杉原政府委員 まず、点数制度の問題について申し上げますが、いまごらんいただきますとわかりますように、十五点が持ち点で、一点、二点の反則行為からいきなり六点の反則行為になるわけでございます。そういう制度を取り入れた基本は、やはり一点、二点のものは三回までは処分をしないということが基本になっております。そこのところが、たとえばスピード違反で言いますと、一点、二点、二十五キロ未満のものから二十五キロ以上になると六点と、こういうことになっておるわけでございます。これはそれなりにまた合理的な面が一つあるわけでございますが、今度の道路交通法改正の機会に、これは点数制度というのは政令で具体的にできておりますので、これを先ほど御意見のありましたような点も十分しんしゃくをしながら、また新しい点数を入れていくことになりますので、十分工夫をしてみたいというふうに思っております。  それから、交差点等の事故の形態によっての過失の問題でございますが、これはもしそういう本人の申し立てだけで判断しておるとすれば、非常に誤った処理でございまして、現実の衝突部位、現場の状況その他から客観的に判断をしていくべきものでございまして、取り扱い上今後も十分留意をさしていきたいというふうに思います。
  44. 水平豊彦

    水平委員 せっかく国家公安委員長お見えになりましたから、私、最後に、一番最初にお尋ねしました問題を国家公安委員長からお答え願いたいのでありますが、先ほど警察庁長官から御答弁ありましたが、今回の改正道交法に対する施行のあり方について、基本的にいかなる見解で、いかなる指導、いかなる体制でお取り組みになりますか、決意のほどを最後にお間かせいただきたいと思います。
  45. 加藤武徳

    加藤国務大臣 今回の改正は多面にわたっておりますけれども、その一つは、許すべからざる者に対して厳然たる態度で対処しなければならぬことが一つでございますのと、そして弱い立場にあります者の保護を軸にいたさなければならぬ、かような根本の考えが大きな柱であろうかと思うのでございます。がしかし、これが周知徹底につきましては、十分な関係者の理解を得て取り運ばなければならぬのでございますから、これが施行に当たりましては、慎重の上にも厳正なる態度で臨みますけれども、慎重でなければならぬ、かような基本の考えでございます。
  46. 水平豊彦

    水平委員 終わります。
  47. 木村武千代

    ○木村委員長 井上泉君。
  48. 井上泉

    井上(泉)委員 私は、道路交通法改正の内容等につきましては大体賛成する立場にあるわけですけれども、たとえばこの法律改正骨子の中にも、自転車通行の安全の確保という規定が整備されておる。これは非常に結構なことですが、この場合に、自転車通行区分とかいろいろなことでこれに対して罰則規定を設けておるわけです。こうした自転車乗りは子供も非常に多いわけですが、子供にこの罰則規定が適用される道理はないし、これは自動車のスピード違反とかその他のものについては反則金制度があるのに、せっかく自転車乗りの通行安全を確保する法律をつくりながら、この自転車のそういう違反に対してなぜ罰則規定でこれをくくろうとしたのか、その点をまずこの法をつくった交通局長の方から御答弁願いたいと思います。
  49. 杉原正

    杉原政府委員 御指摘のような面も確かにあると思いますが、これはやはり自転車利用者は子供さんが非常に多いというふうな実態もございまして、自転車につきましては何遍注意をしても聞かないというふうな場合を除きまして、原則的にはやはり指導によって処理をしたいというふうに考えております。そういうことで、この自転車違反についてすぐに反則制度に取り入れて処理をするのではなくて、悪質なものに限って、むしろ赤切符を切って処理をするということで考えていったらどうかというふうに思います。
  50. 井上泉

    井上(泉)委員 いわば自転者乗りの違反等については指導によってやる、罰則規定というようなものはあるけれども、これをそのまま適用する、実行するという考え方にはない、こういう考え方ですか。
  51. 杉原正

    杉原政府委員 いま簡易処理としましていわゆる赤切符というのがあるわけでございますが、現実にもこれで自転車については処理をいたしておりますので、この悪質な自転車違反につきましては、これでもって罰則の適用をしていくということでございます。
  52. 井上泉

    井上(泉)委員 罰則の適用、子供の場合なんかはもちろんもう指導以外に、別に子供に罰則を加えるということはできない相談だと思うわけですが、この点については十分この法の運用に遺漏のないようにしていただかなくては、せっかく自転車通行の安全を確保しても意味をなさぬということになるわけですから、その点については強く要望しておきたいと思います。  そして、私は最近の交通事情の状態の中から、依然として交通事故が減らない、そういう中でこの道路交通法の一部改正というものが出たと思うわけですが、その中で特に私はダンプカーの問題について質問をいたしたいと思います。  この資料等にも交通事故のなには出ておりますけれども、貨物自動車等による事故というようなものが表の中に見受けないわけですけれども、この大型貨物自動車等による事故は即、死につながる大事故ばかりであるし、そういう状態を認識をした場合には、やはりダンプカーの交通規定を遵守する指導の方法というようなものは当然あってしかるべきだ、こう思うわけです。それがずいぶん指導なされておるけれども、効果が上がらない。効果が上がらないという証拠には、ことしの三月三十日に「ダンプカーの過積載等の防止対策の強化について」という通達を出されておるわけです。これは、その効果が上がらないから、依然としてそういう状態が継続されるからそういう措置をとられておる、通達を出しておられるわけですが、これについて、まずこの通達を受けて建設省はどういうふうに対処をされておるか、建設省の方から御意見をお伺いしたい。
  53. 楢崎泰道

    ○楢崎説明員 ダンプカーの過積問題は何とか解消を図るべき非常に重要な問題であるということでございますので、建設省といたしましても、従来から公共工事の各発注機関、それから建設業者の団体に対しまして指導に努めてきたところでございます。特に過積載の防止対策として、政府においてダンプカー協会の設立促進ということを推進しておられるわけでございます。建設省といたしましても、さらにその徹底を図るために去る四月五日付で事務次官名をもちまして、それぞれダンプ協会の設立あるいは加入の状況を踏まえて、大規模な工事の発注の際における同協会への加入の促進の指導でございますとか、工事の施行に当たってのダンプ協会加入者の優先使用でございますとか、そういったことにつきまして、発注部局及び河川管理者あてに通達をいたしたところでございます。  さらに、五十三年度におきましては、公共工事の増大に伴うこれら過積問題ということにつきまして対策を強化する必要があるということでございますので、建設業者団体に対する過積防止の指導徹底、それから警察関係機関との連携をとりつつ道路違反車両の通行に関する指導取り締まり等を実施してまいりたい、こういうふうに考えております。
  54. 井上泉

    井上(泉)委員 建設省の方ではそういうふうな対処の仕方をされておると言われますけれども、実際的に建設省の基本になる設計の内訳の中の運賃というようなもの等についての積算の単価というものが運輸省が定めた標準単価に合うのかどうか、そのことをまず承りたいと思います。
  55. 萩原浩

    ○萩原説明員 お答えいたします。  公共工事といいますか、いわゆる土木工事関係の積算価格につきましては、発注時の実例価格を反映させるということを一つの大前提といたしておるわけでございます。具体的に、そのためにいわゆる建設資材の価格というものにつきましては、公益法人の建設物価調査会等で発行されておりますいろいろな資料に基づきまして、資材別、地域別あるいは規格別にきめ細かく実例価格を決定するというたてまえをとっております。また、骨材であるとか生コン、こういうようなものは非常に地域性の強い資材でございますが、こういうものについては発注者独自の調査によって積算価格を設定する、こういうことにいたしてございます。しかし、このような調査の資料には必ずしも全部が全部現場渡しの価格が載っているものばかりではございません。いわゆる工場渡し価格というようなもので表示されているものもございます。そのような場合であるとか、あるいは発注者が山元とか最終地を指定してかなり多くの土砂を運搬するような工事を発注する、こういうような場合には、当然これに伴ういろいろな積算上の前提を置きまして適正な価格を定めるように努力いたしているところでございます。  御指摘の運輸省さんが定めておられます一般区域貨物自動車運送事業運賃料金表との対比ということでございますが、これにつきましては、いろいろな設定条件の違いがございまして、一律にどうこうということは申し上げることはできません。たとえばこの料金表に基づきますと、非常に近距離の場合は、これを一回だけ運ぶというようなことで恐らく料金を設定されていると存じますが、私どものような工事の場合には、それを反復して同じような経路を運ぶというようなことになってまいりますので、当然その積算の前提が違ってまいります。しかしながら、距離が長くなってまいりますと大体適合しているのではないだろうかというふうに私どもは考えております。今後とも積算については十分注意いたしたいと存じております。
  56. 井上泉

    井上(泉)委員 大方では適合しておるというような話を終わりにされておるし、前段では全然これとは関係のないような形で設定をしておるというような話ですけれども、こういうふうな一般貨物の運送事業で運輸省が定めた運賃をなぜ利用しないのか、これを利用するのに何か特別な隘路があるのかどうか、その点もう一回建設省から伺いたい。
  57. 萩原浩

    ○萩原説明員 先ほど御答弁申し上げましたとおり、一般的に民需も入れましていわゆる市場性がある価格につきましては、その実例価格を積算価格として採用いたします。これは実態的に現実に市場でそのように売買されてございますので、そのような実例価格を積算価格として採用するということでございます。そのほか、特殊の運送を伴うというようなものについてはその運送の実態に応じて積算する、こういうことでございます。  それから、先ほどの料金表をなぜそのままとらないかということでございますが、これにつきましては、先ほど御説明いたしましたように、想定しております運搬の形態がかなり異なるということによって、それをそのまま採用いたしますのは非常にいろいろ問題があろうというふうに考えて積算をしているわけでございます。
  58. 井上泉

    井上(泉)委員 通達でも出してあるとおり、ダンプカー等による事故防止ということは、やはり過積みとスピード違反、こういうのがダンプカーには一番多いからそういうことを規定しておる。運輸省の運賃表によれば、そういうようなことを規制した上に立っての運賃表であるわけだし、そのことがこれをそのまま適用することにいろいろ問題がある、こういうふうに言われるけれども、いろいろ問題があると言われても納得がいかぬわけです。  そこで、運輸省の方ではこういうものを決めて、これをどういうふうに実施をさすような指導をしておるのか、運輸省の方からお答えを願いたい。
  59. 中村四郎

    中村政府委員 私どもの方としましては、ダンプカーの運賃に限りませんで、トラック事業の運賃一般につきましても適正運賃収受という運動を展開し、その遵守に努力しておるわけであります。したがいまして、ダンプカーの認可運賃につきましてもこの例外であることはございませんし、これについては適正コストが反映された運賃ということで、基準運賃の上下一〇%の幅運賃、その範囲内で輸送される、こういうことで、ダンプ事業者の方に対してもそういう指導をいたしておるわけでございます。
  60. 井上泉

    井上(泉)委員 その上下一〇%の限度額で運賃を設定するようにダンプ業者に指導すると言うけれども、同じ役所の建設省がこれは実行していない。これは実施をするのに問題があるということで大方実施をしていないわけですから、そういう点について運輸省としてはどう指導なさるのですか。
  61. 中村四郎

    中村政府委員 これは自由価格でございませんで、行政庁の認可運賃になっておりますから、われわれとしても実際上その認可運賃が守られ、そしてその実勢運賃ということによって認可運賃どおりの幅の中で収受ができる、こういう体制に持っていかなければなりません。その場合におきまして、発注主の方との関係でこの遵守につきまして問題があるとするならば、関係官庁の間でさらに私ども連絡を密にし遵守できるようにしていきたい、かように思います。
  62. 井上泉

    井上(泉)委員 ダンプカーの過積み、それからスピード違反、これはずっともう多年問題になっておるわけで、先年茨城の採石現場を視察したときにも大体二十トン以上積んで、速度は、東京まで来るのに百キロあるんだから、百キロ以上ある。それで、一日に二往復ぐらいするというようなことになると、当然スピード違反、積載違反を明らかにしておる。そうしなければ勘定が合わない。こういう仕組みの中に置かれておるということと、さらにダンプカーの業者というのは零細企業というものが非常に多いわけなので、そういう零細企業の多い中で公共事業の一番大型な発注を控えて、こうした運賃単価というものが、実際に運輸省が定めた運賃によらずに実勢価格というような形でやるということは、やはり過積を容認しスピード違反を容認をする、そういうふうな結果になりはしないか、こういうように思うので、この点について建設省のさらにもっと反省をした見解を私は承っておきたいと思います。
  63. 萩原浩

    ○萩原説明員 いわゆる積算の問題に関しましては、私どもは発注者の立場といたしまして過剰な積算というものを非常に大きく戒められている立場にございます。しかしながら、先生御指摘のように、非常に過酷なあるいは無法のような状況で形成されるような価格というものについて、私どもは安ければよいというようなつもりで御説明しているわけではございません。私どもは二つに分けて考えているということを御理解いただきたいと思います。  現在の一般の民需も含めたたとえば生コンというような値段がございましたときに、その中で現実にどういうような価格構成になっているかという詳しい原価計算、市場の価格の原価計算までもう一度掘り下げた積算というものをとっておるわけではございません。これは市場価格を採用させていただいておるということでございます。ただ、特定のそういうものを、たとえば先ほど二ケース申し上げましたけれども、工場から現場に運ぶ、あるいは発注者が特定した採取場から土砂を大量に運ぶ、こういうようなものにつきましては、通常のその運送のほかに、いろいろなたとえば道路の拡幅であるとか、あるいは道路のいろいろな安全措置というようなものを講じました上で、その通路を指定して運ばせる、こういう形の積算をとらせていただいておるわけでございます。その点につきまして、なお積算の問題については今後とも十分研究いたしたいと存じますが、ひとつ実勢価格の採用という点については御理解をお願いしたいわけでございます。
  64. 井上泉

    井上(泉)委員 実勢価格というのが非常に無理な運賃単価になっておるから、だから専門の運輸省では標準の運賃表というものを定めておるのですから、その定めておるものを、やはり建設省が実勢価格、実勢価格という形で、それを無視はしていないけれども、重視をしていないというようなことは問題だと思うわけなんですが、その点、運輸省どうですか。
  65. 中村四郎

    中村政府委員 私どもとしては、あくまで認可運賃につきましてこれを執行していただきたい。実勢価格につきまして、現在の認可運賃が守られていない、そういう面につきましては遵守を的確にするように私ども努力してまいりたい。また一部の地域におきまして、たとえば短区間を一日に何回も往復するというような場合につきましては、実態に合ったような運賃というものも設定いたしておりますので、いま申し上げましたような趣旨で、私どもとしては認可運賃を適正に執行できるように関係庁においても御努力いただきたい、こういうことでございます。
  66. 井上泉

    井上(泉)委員 現在のダンプカーを運送しておる人たちが過積が多い、スピード違反が多いというようなこと、それが一面には実勢価格というような形で運賃を非常に安く抑えておる、過積せざるを得ないような状態になるということは、今度のこの法律の中にも出ております。誘発をしておる。つまり、そういうことは交通違反と同罪だ、これは命令をした者あるいはそれを容認した者、誘発した、そういうような言葉が出ておるわけですが、こういう場合に誘発ということはこれはどういうふうに——そういう誘発ということは、建設省がやっておること自体がスピード違反を誘発しておる、過積を誘発をしておる、こういうように私は思うわけですが、取り締まり警察庁ではどういうようにお考えですか。
  67. 杉原正

    杉原政府委員 私ども誘発という言葉を実はあれしておりませんで、今度の使用者とドライバーとの関係では下命容認ということでございますが、ただ、御指摘のありましたように、過積違反の構造というものを現実の事件から見ますと、やはり過積は、いわゆる使用者と運転者関係もさることながら、運転者を雇用する事業者と荷主との関係、先ほどの運賃の問題も当然ございますが、ここに大きな問題があるように思います。先ほど来話が出ております交通安全に対する自覚、企業努力を高めていただくということが大変重要であると考えておりまして、現実の事案の処理の中で、運転手と使用者との間の下命容認から入っていきまして現実に事件としても処理をしておりますが、荷主にまで及んで刑法総則を適用して過積の教唆、幇助で事件を処理しているというケースも現実にあるわけでございます。やはり構造的な問題についてはそこまで手を伸ばして処理をすべきものだというふうに考えております。
  68. 井上泉

    井上(泉)委員 どんなにりっぱな法律をつくっても、その法律を実際守り、あるいは実行するためには、これは人が一番の要素になるわけですが、ところがいま私が指摘したようなダンプカーの運転者の労働条件、これまた非常に劣悪な労働条件の中にあるわけなので、そういう点から、そういう労働条件の問題まで改正を加えていかなければいかないじゃないかと思うのですが、そういう点で労働省ではダンプカーの運転者の労働条件がどういう状態にあるのか調査をされておるか、おるとするならその内容等についての見解を承りたいと思うのです。
  69. 小粥義朗

    ○小粥説明員 ダンプカーの運転者実態につきましては、昨年秋におきまして総理府を中心実態調査を行っておりますが、それと同時に、労働省自体としましても、特にダンプカーの運転者の一人一車あるいは代車と呼ばれる運転者の人が、果たして労働基準法の適用を受ける労働者であるかどうかといった点の問題もございますので、そうした労働者性の判定の資料となり得るような面をさらに別途労働基準監督署を通じていま調査をいたしておりますので、近く結果が出てまいると思っております。
  70. 井上泉

    井上(泉)委員 そこで、調査をしておる段階ということですが、これは現場状態と接触の多い私どもは、ダンプカーの労働者がいかに劣悪な労働条件の中でほとんどが受け取り制でやっておるという状態にあるということ、そういうことから考えても交通事故の絶滅を期するためには、やはり労働条件をよくするということが大きなかなめでなければならぬ。そこで、たとえばタクシーの場合なんかでも依然として十六時間制を採用して、十六時間ハンドルを握り、途中で一時間あるいは二時間の仮眠をしたから十六時間ハンドルを握っても安全だということが科学的に立証されるかどうか。科学的にそうしたことが立証されるから認めておると言われるかもしれないが、そうした十六時間もハンドルを握るようないまのタクシー運転手の労働状態というものを是正する考えはないか、承りたいと思います。
  71. 小粥義朗

    ○小粥説明員 タクシー運転者の労働時間につきましては、当然基準法の適用があるわけでございますが、ただ、現実には所定の一日八時間あるいは週四十八時間を超える長い労働時間になっているということで、御承知のとおり、昭和四十二年にいわゆる二・九通達というものを出しまして、その中で実作業時間というものを規制していこうという考え方をとっておりまして、いま先生御指摘の一日十六時間と申しますのは、隔日勤務の者について十六時間、通常の隔日勤務以外の者については十一時間を限度とするというふうにいたしております。同時に、隔日勤務と言いながら、本来休みであるべき、非番の日であるべき日に、担当者は別の運転者が休んだという場合さらに連勤をさせるというようなことも間々生じますので、したがって、当日十一時間以上の実作業時間を経験した者は翌日連勤させてはならないというようなことで、さらにきめ細かく保護を図るようにいたしておるわけでございますが、十六時間そのものが妥当かどうかという点はいろいろ問題があろうかと存じておりますけれども、二・九通達をつくった時点におきまして、いわゆるタクシー運転者の労働の実態等を考慮していまの十六時間という線を一応出しておるわけでございますので、できるだけそれが過労にわたらないよう、特にいま申し上げました連勤の禁止、そうしたことをさらに徹底させていきたいと思っております。
  72. 井上泉

    井上(泉)委員 時間がないので、この問題についてなおまた別の機会に質疑したいと思うのですが、問題があると理解するなら、十六時間勤務というものを二・九通達を出してこうやっておるから、それをこんりんざい変えませんということではなしに、やはり労働条件を改善をする、労働者の健康管理をするという点から考えても、これはもう改正をする、改正をしなければならぬのじゃないか、こう私は思うのです。  そこで大臣が入りましたので、大臣にお尋ねするわけですが、道路交通法改正についてでありますけれども、先ほども私、建設省あるいは運輸省の当局にも質問をしたわけですが、ダンプカー等による事故が非常に多い。その一番多い事故原因としては、これは建設省だけではありませんけれども、大体ダンプカーで運送する業者というものは零細な業者が非常に多い、そしてまた一匹オオカミと称する、つまり一人親方で一人でダンプカーを運転をしている業者も非常に多い。そういう中で、建設省のそういう運賃の単価が実勢価格ということで運輸省の定めた標準単価とはほど遠い価格で算定されておる。非常にこれは無理な仕事のやり方をしなければ運転者としての飯は食っていけない、業者としての生活権が得られない、そういう状態にあるわけですが、そういう状態から考えて、この法律を実施するに当たってやはりこれは政府みずからもそうした点については十分反省をして、せっかく運輸省で運賃のなにも決めておるのだから、そうしたものに準拠した建設省なりあるいはその他の公共事業を遂行する地方団体等においてもそうした積算単価というものは是正をすべきではないか、そういうふうに指導すべきではないか。そういうこともせずして、運転者が過労による違反事故、こうした場合には運転者だけでなしに使用者も罰することになっておるわけですが、一番気の毒を見るのは、これは運転者が気の毒を見るわけなんで、そういう点についてもこの道路交通法の運用ということは、これは罰則の面も非常に強化をされてきておるので、最大限の注意を払ってやらないと、ただ法律をつくってがんじがらめに縛りつけてやるのが私は法の精神ではないと思うのです。そういう点について大臣の見解を承っておきたいと思います。
  73. 加藤武徳

    加藤国務大臣 法の適用に当たりましては厳正公平でなければならぬことは申すまでもないことでございますけれども、ただいま井上議員がダンプカーの実態についてお触れになられました。ダンプカーの営業形態等からいたしまして非常な無理がかかっておる、労働条件の劣悪でありますことが、あるいは個人がいわゆる一匹オオカミとして営業いたしております。さような例も多いことから、どうしても積載量の違反等が起きがちでございます。しかし、これに手心を加えるというわけには警察といたしましてはまいらない立場でございますけれども、労働条件の改善等がなされますことが交通事故の絶滅につながってくることでございますから、関係省庁とよく話をいたしながら対処いたしてまいるべきだ、かように考えているところであります。
  74. 井上泉

    井上(泉)委員 最後に、私はこの三月三十日の通達を出した総理府の方にお尋ねをするわけですが、今日なおこういう通達を厳しく出さねばならないほどダンプカー等によるいわゆる事故というものは多いわけですから、この通達を出しっ放しで、こういう通達を出したからそれで事済みということではなしに、やはりこれはあとをいわば追及をしてもらいたいと思うわけですが、これについてこの通達を出した警察庁あるいは通産省エネルギー庁、運輸省、労働省、建設省、これらがこの通達に基づいてどういう対応の仕方をしておるのか、次の機会の交通安全の委員会等で審議の参考にしたいと思いますので、それの行方を、対応の仕方を調査してもらいたいと思うが、どうですか。
  75. 三島孟

    ○三島政府委員 私どもも、御指摘のとおり通達の出しっ放しということではなく、その後の対応の仕方につきまして関係省庁ともよく連絡を保ちながら今後さらに有効適切な手が講ぜられるように努めてまいりたいというふうに考えております。(井上(泉)委員「それを調査するかということです」と呼ぶ)当然、その後の関係省庁の取り組みぐあいにつきましては御連絡いただいて対処してまいりたいというふうに考えております。
  76. 井上泉

    井上(泉)委員 終わります。
  77. 木村武千代

    ○木村委員長 午後一時より再開することとし、この際休憩いたします。     午後零時七分休憩      ————◇—————     午後一時六分開議
  78. 木村武千代

    ○木村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出に係る道路交通法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。坂本恭一君。
  79. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 この連合審査は運輸委員会からも申し入れをして開いていただいた連合審査ですから、運輸の立場から主としてそれぞれ関係の皆さんにお尋ねをしたいと思っておりますが、まず最初に道交法の物の考え方について大臣にお尋ねをしたいと思うのです。  道交法の一条はもう読み上げるまでもないと思うのですが、いわゆる危険防止、交通の安全と円滑あるいは障害の防止、その三つが目的だというふうに私どもは理解をしております。しかし、これが制定された時代あるいはそれから何回も改正はなされてきているはずでありますけれども、やはりその時代に即応したものをつくっていかなければその目的を達成することができないのではないかと考えているわけです。そういう点で、今度は新聞等によりますと七年ぶりの大改正だとかかなり鳴り物入りで、さらには昨年の暮れに警察庁の、公安委員会の試案を出して一般の意見を聞いた上でこの法律案をまとめられたと伺っているわけですが、特に運輸の立場から考えてみますと、現状、特に運送事業にかかわる自動車、そういうものについてはまだ道交法の目的の中にすっきり入ってこないのではないかという気がするわけです。後ほど何点かの問題についてお尋ねをするつもりですけれども、この道交法改正が現在の時点で現在の交通情勢に適合しているのかどうか、まず大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思うのです。
  80. 加藤武徳

    加藤国務大臣 ただいま坂本議員の御指摘がございましたように、社会の情勢が急速に変革を遂げてまいるのでありますから、それに対応いたしましたあり方でなければならぬ、このことはまさに御指摘のとおりでございます。  そこで、いま道交法の第一条に規定してございます三項目についても、御指摘があったとおりでございますけれども、今回の改正は、新たな社会情勢に対応いたします処置といたしましての取り運びをいたした、かようなことでございまして、よろしからざるものに対しましては厳然たる考え方で対処いたしてまいらなければなりませんし、また交通上弱い立場にあります者はこれを十分に守っていく、かような基本の考え方改正をいたすということでございますが、しかし、足らざる点等がありといたしますならば、今後十分に検討いたしまして、さらに新しい情勢に対応した法のあり方でなければならぬ、かように考えております。
  81. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 現時点ではそれなりのものを含めた、足らざるものはこれから検討してさらに加えることも御検討いただけるという言葉だと思います。いま申し上げた観点から幾つか御質問申し上げたいわけですが、一つは七十五条の十という規定です。運転者の遵守事項という項目がたしかついていると思いますが、この条文についてはいろいろな観点から御議論があったであろうし、これからもあるだろうと思います。その中で、いわゆる燃料とか冷却水あるいはオイルの量が不足していた、それと貨物の積載状態というものを点検をしなさいという義務規定といいますか、これは直接は罰則の適用は、点検だけについてはないのだろうと思うのですが、その結果、高速道路等でそれなりのトラブルがあったときにはかなり厳しい罰則の適用を受けるということになっているわけですね。燃料とか冷却水、オイルというのはそれぞれお取り上げがあるだろうと思いますので、いわゆる貨物の積載状態を点検するということですね、これは私どもの理解では、運転手が荷を直接積むというのは、いわゆる運送事業の場合余りないんじゃないか、むしろ荷主とかあるいはいわゆる使用者、経営者とか、そちらの側がやることが多いのではないかというふうに考えております。そうなりますと、ちょっと運転手だけ点検義務が、まあそれは運行管理者は仕業点検等はもちろん事前にあるはずだと思いますけれども、運転手だけ何かトラブルがあった場合にはそれなりの処罰を受ける、あるいは行政処分を受けるというような形になるのは、いささか片手落ちではなかろうかという感じを受けるわけですが、その点についてはいかがでございますか。
  82. 杉原正

    杉原政府委員 先生の御指摘のとおりであると思います。この点検義務、特に荷物の転落のところに限って申し上げたいと思いますが、この点検義務並びに転落飛散の発生防止、これの責任はやはり高速を運転しようとする運転者が第一義的な責任を負うべきものと考えます。しかし、使用者であるとか、あるいは先ほどおっしゃいました荷主、こういう者の責任ないしはその遵守事項につきまして特別の規定がなくても、たとえばその過積の状態を点検する時点で、使用者または荷主が過積載による運行を命じ、その結果として転落飛散の結果を生ぜしめた場合には、具体的な態様を見なければいけませんが、過積載については教唆、幇助、使用者についてはさらに下命容認というものがかぶってまいります。本条について、この飛散転落の問題につきましては教唆、幇助が成立するケースが十分に考えられます。これは併合罪になると考えております。
  83. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 下命容認という、答弁の中にあったのですが、これは結局七十五条一項を適用されるという趣旨ですか。そうすると、その七十五条一項の、たしか六号だったと思いますが、この「規定に違反して積載をして自動車運転する」、この六号の中に直接含めて解釈をしてよろしいということですか。
  84. 杉原正

    杉原政府委員 転落飛散の素地が過積によるものであるケースについてでございます。
  85. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 細かいことになって恐縮なんですが、過積でない場合にも飛散転落というのは起こり得るのですね。その場合には、いま申し上げた七十五条一項六号の規定には該当しないと思うのですが、その点はいかがですか。
  86. 杉原正

    杉原政府委員 下命容認には当たりませんが、教唆、幇助のケースというのは考えられるということでございます。
  87. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 考えられるというのは、それはそれでいいのですけれども、具体的には現実に教唆犯あるいは幇助犯に該当しないケースの方が多いんじゃないかと私は思うのですが、その辺はどうお考えになりますか。
  88. 杉原正

    杉原政府委員 過去の事例から申しまして、転落飛散は別ですが、過積等のケースにつきましては、教唆とか幇助とかいうケースというのはかなり事件処理をいたしております。この転落飛散のいわゆる積み荷の状態で、その運転手がちゅうちょしているのを構わないから行けというふうな形になります場合には、こういう形態というものは当然出てくるということでございます。
  89. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 主として問題になるのは、過積載の防止を目的としてこういう法文を立案をされたと思いますので、過積でないものについてここで細かく議論する必要はないと思います。したがって、いまの御解釈で、過積載の場合には七十五条一項六号の違反ということで、場合によっては教唆、幇助も成立をする、その場合には両者は併合罪になるという御見解でよろしいわけですね。ちょっとお答えいただきたい。
  90. 杉原正

    杉原政府委員 そのように考えております。
  91. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 それから刑法に往来妨害罪というのがございますね。刑法の百二十四条に往来妨害罪という規定があるのですが、これはいわゆる「陸路、水路又ハ橋梁ヲ損壊又ハ壅塞シテ往来ノ妨害ヲ生セシメタル者」ということなんですが、どういうものが落ちてくるかわかりませんが、運ぶものによって違うわけですけれども、その道路をいわゆる壅塞をするという状態が私はあり得ると思うのですが、その点についていかがですか。
  92. 杉原正

    杉原政府委員 現実には、まあ先生非常に御専門家のお立場であれでございますが、有形の障害物を置いて道路を遮断し、これによって往来の妨害を生ぜしめるということでございますので、通常貨物を転落させてそれでもって渋滞があったからといって、この刑法百二十四条の規定の適用というものは考えておりませんし、従来そういうケースで処理したこともございません。
  93. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 従来この規定を適用したことはない。適用することをいままで考えられたこと、検討されたことがあるのかどうかですね。こういう法律があって、それが何となく適用、取り締まりになかなか不便だから、だから新しい法律をつくるというのは、余り好ましいことではないと思うのですね。適用できる法律というのはやはりそれなりに適用させていくというのが皆さん方のいわば職務だろうと思うのです。ですから、ちょっとその点について検討されたのかどうか。これまでなかったというだけではちょっと私ども納得しがたいので、その点の御答弁を願います。
  94. 杉原正

    杉原政府委員 貨物の転落飛散、これは通常の場合、故意でも何でもない運転状態で出てきたものでございますので、刑法の故意に往来を妨害するという、そういうケースとしては考えたこともございませんし、適用するつもりもございません。
  95. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 いまもありましたけれども、これは故意犯を処罰する規定だからということだろうと思うのです。しかし今度は、高速自動車道等の入り口、入るときには点検義務があるわけですね。そうすると、それはすべて故意とは言えないかもしれないけれども、やはり過失もかなり大きなものになる。点検義務を怠るというのは、そこに故意が発生してくるんじゃないかという考え方もできるのですね。そういう場合については、これからの問題だろうと思いますけれども、検討する余地があるのでしょうか、ないのでしょうか。
  96. 杉原正

    杉原政府委員 刑法の往来妨害罪を検討する余地は私どもないというふうに思っております。
  97. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 それから燃料あるいは冷却水、オイル、こういうものについて、事業体なんかの場合にはいわゆる仕業点検は運行管理者が普通はやるのじゃないかと思うのですね。そうなると、いわゆる安全運行管理者あるいは今度の場合には副運行管理者ですか、一定の場合にはそれを置く義務が出てくる。したがって、仕業点検といいますか、車庫を出るとき、会社を出るときにはそれなりの厳密な点検を受けて出てくるわけですね。その場合には、そういうトラブルがあったときに運行管理者あるいは副運行管理者にも責任が及ぶのでしょうか。
  98. 杉原正

    杉原政府委員 社内でのいろいろな取り決め、だれに運転仕業点検を義務づけているかというふうな社内体制によって異なると思いますが、一般的には運行管理者なり副運行管理者なりというものは、そういうものについての十分な注意義務というものがあろうというふうに思います。
  99. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 もしそういう注意義務があるとして、高速自動車道等でそういうトラブルがあったときには処罰することができるのでしょうか。
  100. 杉原正

    杉原政府委員 現実に対象にいたしておりますのは、ドライバーについてこの点検を義務づけております。それからドライバー運転途中にそういう状態を現出させたということについての責任を問うという形になっておりますので、そのこと自身でストレートに運行管理者にいくということではなかろうというふうに思います。
  101. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 その運行管理者あるいは副運行管理者は、直接にはいかない、ストレートにはいかないわけですね。使用者に対してはこの一号ないし六号の中に入っていませんから、「使用者等」というくくり方をしていますから、使用者も当然だろうと思うのですが、やらないわけですね。結局これも貨物の場合と同じように、やはり運転手が一人でかぶってしまわなければならない。下命容認、貨物の場合にはあるのですが、こちらの場合にはないですね。その点はどうお考えですか。
  102. 杉原正

    杉原政府委員 今度の法改正のもとで、その企業の安全運転管理についての体制というものを強化をしたい。使用者、安全運転管理者、それからさらに副の安全運転管理者を設けてこれを徹底したいというところは、その辺に意味があるわけでございまして、そういう具体的なケースを見ながら使用者なり安全運転管理者なりに必要な注意を喚起をして、その管理体制というものを是正をしてもらうという指導をやっていきたいというふうに思っておりますし、またその十分な措置が講ぜられない場合には解任その他の措置を講じていくということになると思います。
  103. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 そういういわゆる安全運行に資するような体制を整備をしなさいというのは、それはそれなりにわかるわけですね。ところが、整備をする前に、整備が終わる前に事故があったら罰則を受けるのは運転手だけというのはちょっとおかしいのじゃないかと思うのですね。なぜかというと、高速自動車道入り口で点検をしなさい。これはいいと思うのですね。しかし点検した上、中へ入っていってトラブルがあったら運転手は処罰します。これは整備をさせてから罰則で縛るというのは話がわかるのですけれども、片方では、そういう運送会社等が多くなってそういうケースが多くなったからこういう体制を整備しなければいけないとお考えになるのなら、やはりその範疇の中で運転手の責任というのも考えるのが本来の筋ではないかと思うのですね。その点についてはどうお考えですか。
  104. 杉原正

    杉原政府委員 企業内でのいろいろな安全運転管理のやり方があると思いますが、最初申し上げましたように、いろいろなやり方は推進をしていただかなければなりませんが、ただその車を使う場合に、運転をする場合に、運転者としてこういう道路に入る場合にはこれだけの距離を走るのだからガソリンが満杯であるかどうか、これで行けるかどうか、水は大丈夫かということは、やはりドライバーとしては基本的に努めなければならない義務であろうと思います。そういう結果の発生は、それを確認すれば、この故障は起こらなかったということであるとすれば、やはりドライバーが一次的にこの責めを負うべきものではなかろうかというふうに思います。
  105. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 この問題は、これ以上局長と議論しても平行線だろうと思うのですね。ただ、そういうお答えが出てくるだろうと思ったから一番最初に大臣にお伺いをしたんで、結局いまの情勢はそういう事業体、運送会社というものはそれだけの体制が整っていないという認識に立っていると思うのですね。だから、体制を整備をしなさいという考え方で今度の法案が出てきた。しかし、運転者の責任だけは全然別のところでどんどん厳しく取り締まっていく。全然別のところで運転手の責任だけ厳しく問うていくという形になっているのではないか。バランスがとれてないのではないかと私は思います。これはまたこれから検討していただきたいと思います。これは私どもも議論はしたいと思っていますので、その辺はよろしくお願いをしたいと思います。  次に、先ほど来いろいろ申し上げていた七十五条の問題です。いわゆる「自動車の使用者の義務等」という項目になっているわけですが、これで一号から六号まで、無免許とか、スピード違反とか、酒気帯びとか、過労、病気、薬物とか、あるいは大型特殊の年齢制限とかそういうものに違反した場合に、要するに、下命容認があった場合には使用者も処罰をされるという規定だと思うのです。ただ、この二項に「自動車の使用者がその者の業務に関し自動車を使用することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあると認めるときは、」いわゆるその車両の使用を禁止するという措置がとれる。この「著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれ」というのは、大体よくわからないのですけれども、具体的にどういうことを指しているのでしょうか。
  106. 杉原正

    杉原政府委員 具体的には政令で定める基準によって判断することになると思います。政令の中身でございますが、先ほどおっしゃいましたように、酔っぱらい運転とかあるいは覚せい剤とか、それから過積みとかいろいろな形態のものがあるわけでございますが、たとえば例で申し上げますと、酒酔い運転の下命容認違反があって、それによって運転者が酒酔い運転をしたときというふうなのが一つのケース。それから先ほどおっしゃいましたのを例にとりますと、たとえば過積は、これ一つだけでやるというのではなくて、過積載の下命容認があって、それによって過積載をして、その結果死亡事故を起こしたというふうなケース、そういう個々のものをとらえて、これが「著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがある」かどうかというものを具体的なケースごとに政令で決めましてやっていく予定でございまして、公安委員会の恣意的な判断で行われないような形の基準をつくりたいというふうに考えております。
  107. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 答弁を先回りされるのであれなんですが、たとえば政令というのはまだあれでしょうけれども、検討はされていると思うのですね。大体その政令の、こういう場合にはこういうふうに考えているのだという考え方だけでもいいですから、ちょっと教えていただきたいと思います。
  108. 鈴木良一

    ○鈴木説明員 御答弁いたします。  この基準につきましては、過去の違反の状況あるいは当該車両の使用の状況、そういうふうなものをにらみまして、また、一方では酒の問題あるいは麻薬の問題、あるいは無免許、無資格というふうなものが上位の危険形態だろうと思いますが、そういうものを上位に置きまして、最高速度違反あるいは過積載という場合には、事故を起こせば、特に人身事故でございますが、そういうものの場合には一回で処分をするということを考えていくわけでございますけれども、違反だけの場合には、一回ないし二回というふうな形で累積があります場合に処分をしていくというふうな形で考えておるわけでございます。
  109. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 先ほど局長の答弁の中に、恣意的にはやらない、公安委員会の恣意で運用するようなことはないという答弁があったのです。私は、いま概略政令についてお聞きして、これはやはりそういう政令の定め方で恣意的になってしまうのではないかと思うのです。本来、一定の判断の基準とかそういうものは法律事項にすべきではないかと思うのです。その点についていかがですか。
  110. 杉原正

    杉原政府委員 他の一般的な法令とのバランスもございますが、現在の道路交通法に基づきまして運転者の行政処分等もございますが、これもやはり政令に落としてやっております。それから、他の法令につきましても、かなりそういう面があるわけでございます。先ほど申し上げましたように、違反の程度というものを高いものから低いものに並べてみまして、それからもう一つは、過去の違反の回数というものを並べてみまして、それからもう一つには、その使用された車によって事故が起こったか、起こらなかったかというふうなもの、この三つの要件を組み合わせてやっていって、道路交通に著しい危険を及ぼすおそれがあるという判断、これは一回では無理だ、二回重なってそういう判断を加えるというふうなものを縦横に整理をしてみまして、その上で処理が行われるようなものを考えていきたいというふうに思っております。
  111. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 法律事項にできないのであれば、いま答弁があったそういういわゆる基準、政令というのは、一般の人にわかるような形で公布されていないとまずいのではないかと思います。ぜひそれはそういう形でやっていただきたいと思いますが、その後の三項以下、行政庁の意見を聞かなければいけないとか、公開による聴聞を行わなければいけないとか、いろいろな手続規定がありますね。これは、国家公安委員会が禁止の処分をしたときに事後的にこれをやって、いわば不服申し立てといいますか、その機会を禁止を受けた者に与えるというような形になるわけですね。
  112. 杉原正

    杉原政府委員 これは禁止処分をやろうとする前でございます。いまの運転手の行政処分がまさにそのように行われております。前に聴聞をやって、それでいいか悪いかを決定をするということで、すべて事前の措置になるわけでございます。
  113. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 そうすると、先ほど答弁のあったいわゆる政令、そういういわば一定の判断の基準、それとそれぞれそれなりの手続を経た上で禁止をする、使用禁止の命令といいますか、処分ということができるということになるわけですか。
  114. 杉原正

    杉原政府委員 そのとおりでございまして、当該禁止の日数等もそういうものの中から出てくるということでございます。
  115. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 もう一点その点に関連してお聞きをしておきたいと思うのです。  七十五条というのは現行法の七十四条を変えていくことになるのですか。現行法の七十四条の二項に「二十二条の規定に違反することを誘発するように時間を拘束した業務を課し、又そのような条件を付して雇用運転者に車両等を運転させてはならない。」という規定のあるわけですね。そうすると、いま提出されておる改正法案ではこの規定は削除をされてしまうということですか。
  116. 杉原正

    杉原政府委員 そのとおりでございます。
  117. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 これを削除して、これをもっと前進させるような規定がどこかにあるのですか。
  118. 杉原正

    杉原政府委員 今度は、これはスピードでございますが、下命容認の規定の対象の中に取り込んだということでございます。
  119. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 下命容認のいわゆる七十五条一項二号、これに組み入れるというわけですね。比較をすると前の規定の方が厳しいような気がするのです。改正法がいい方に前進するのは結構なんですが、何か後退するような気がするのですが、いかがですか。
  120. 杉原正

    杉原政府委員 私どもはこれは必ずしも後退するような感じで受け取っておりません。これらのもとになりますのが例の過労運転でありますとか、いろいろ他の分野の問題がございますので、それらとあわせて運用すれば十分にこれで処理し得るのではなかろうか、誘発よりも容認という程度のものでこれをとらえるわけでございますので、十分にこれで対応し得るのではなかろうかというふうに思っております。
  121. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 使用者等に対して、下命だけではなくて容認も含ませるから厳しくはなるという御趣旨ですね。
  122. 杉原正

    杉原政府委員 そのように考えております。
  123. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 いま二つの問題点でお尋ねをしてきたのですが、最初に申し上げましたように、いわゆる過積載というのがかなり重要な問題を含んでおるのじゃないかと思います。そういう意味で、先ほども若干議論をいたしましたけれども、高速道路の中に入ってトラブルがあったら処罰運転手だけ受ける、そういう形ではなくて、もっと前から、そういうトラブルが起きないように体制の整備をするとか、そういうことをお考えでこういう法案として出てきておるのでしょうけれども、むしろ自動車道等の入り口で確実にチェックをする、あるいは運転手にチェックをさせるとか、時間がないから云々ということを言わせない、それによって運転手が会社の中で不利益をこうむらない、そういうふうに、逆にさかのぼっていってチェックの機関とか指導というものを、物の考え方としてはやるべきではないかと私は思うのです。その点についてもう一度お答えをいただきたいと思います。
  124. 杉原正

    杉原政府委員 これはまさに御指摘のとおりであろうと思います。入り口というよりも「あらかじめ」ということでございますので、おのずと入る前の、自分の家の近くのガソリンスタンドも含まれれば、いろいろあると思いますが、これはやはりこういう法案というふうなものが仮に御採決いただいた上の話でございますが、関係機関あるいは企業に対して、あるいはガソリンスタンドとか道路公団とか、いろいろな関係機関、団体、企業にこの問題を周知徹底しなければいかぬというふうに考えておりますし、またこれは通産省等とも協議をしたいと思いますが、ガソリンスタンド等におきましても、そういうことを一般のドライバー周知徹底させるような方策を講じていくことが必要であろうというふうに考えております。
  125. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 それからもう一点、過積載についてお伺いしておきたいのですが、過積載、要するに限度以上にたくさん積めるような車の構造になっているのが大体おかしいのじゃないかと思うのですが、それはさておいて、正式の名前で言うとなかなかむずかしい、長ったらしい名前ですが、いわゆるダンプ規制法と言っておきます。これはいわゆる自重計というのをつける義務があるわけですね。その自重計を特に営業用貨物自動車、営業用に限らず、大型で、そしてしかも必要限度以上の荷を積んでいくような可能性のある車、そういうものには、ダンプだけではなくてほかのものにもつけるべきではないかと思うのですが、その点についてはどうお考えですか。
  126. 杉原正

    杉原政府委員 われわれ現場を預っております立場から申しますと、一日も早くこの自重計というものが備えつけられて、それでドライバーにも一目でわかる、あるいは周りからも一目でわかるというふうなものが早く備えつけられることを期待いたしておりますが、いま運輸省でも鋭意努力していただいておりますが、いまのあれは耐久性と精度にかなりまだ問題があるようでございまして、一日も早くこの開発が行われることを期待いたしております。
  127. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 自動車局長にいまの自重計の関係でお尋ねをしたいのですが、精度のいいものができればつけた方がいいと思われるだろうと思うのです。これは当然だと思うのです。現在ダンプにつけているのは何か誤差がプラスマイナス二〇%ぐらいあるんで、総理府の方の物の言い方ですと話にならないというようなことで、そのことがいまの局長の答弁の中にもあるのじゃないかと思うのですが、その辺のいわゆる自重計の開発といいますか、もっと誤差の少ないものができないわけはないと私は思うのですが、その点についていかがですか。
  128. 中村四郎

    中村政府委員 私どもとしましても、過積載について多方面からアプローチしてこの防止に努めなければならぬわけでありますが、その一つの面として自動車の構造面なり装置面ということがあるわけでありまして、この自重計につきましても、現在いわゆるダンプ規制法で自重計の装着が義務づけられております。  その精度につきましては、プラス二五%、マイナス一五%以内ということになっておるわけであります。しかしながら、この使用過程におきまして、使用条件が過酷だということから自重計の精度、耐久性などについて指摘があるわけでありまして、私どもとしてはこれの精度、耐久性を向上させて、先ほど先生も御指摘になりましたような普通の大型トラックの方にもこれを拡大していくというふうにいたしたいと思っておるわけでありまして、これらについては^関係省庁なり自動車使用者、それから労働組合、自動車メーカー、計器メーカーなどの方々のお集まりいただいた委員会でずっと検討、調査研究をやっておるわけでありますが、まだ残念ながらいまそういった具体的な使用条件を克服した上で、精度、耐久性が確保できるというところまで至っていないわけでありまして、私どもとしては何とかしてこれを技術開発の上で克服しまして、実用化できる方向へ一日も早く持っていきたい、こう考えておるわけであります。
  129. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 計量器メーカーの代弁をするわけじゃありませんけれども、かなり精度の高いものがいまできているという話を私ども聞いています。大体誤差が五%程度のものが開発をされて、現実にアメリカではその機械が、日本から持っていって試験的に使われているというような話を聞いているのですが、その辺おわかりですか。
  130. 中村四郎

    中村政府委員 先ほど申し上げました委員会等でもそういうお話が出ておりますし、いま先生のお話の点につきましては、私どもも伺っております。国産品のみならず外国製品も取り寄せまして、そして調査研究を進めておるわけでありまして、これがたとえば実験的なものでなくて、実用的に、しかも一定の使用条件を前提としましてその精度、耐久性が確保できるというところへ持っていきたいというのが私どもの念願でございます。
  131. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 そういうものができるだけ早く開発をされて、私は、やはりいま両局長からお話があったように、そういうものを的確につけることによって過積載をいわば防止をしていくことができるのじゃないかというふうに思うわけです。いま自動車局長の御答弁のいわゆる研究委員会といいますか、これがあって、これはたしか運輸省が中心になろうと思うのですが、通産あるいは警察庁あるいは自工会、それに計量器のメーカー、労働組合ですか、そういうものも委員会のメンバーになってやっておられるようですが、いま自動車局長自動車使用者とおっしゃいましたが、それはその研究委員会に入っているのでしょうか。
  132. 中村四郎

    中村政府委員 自動車のユーザーとしてこれに参加いたしております。
  133. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 そういうせっかくの研究委員会でやっておられるのですから、どんどんしりをたたいて早くいいものをつくってもらいたいと思うのですが、何か聞くところによると、その委員会のいわゆる幹事役は自工会の人がやっているということを聞いているのです。自工会の人が幹事になっていると、いい方向に動いていくのか、悪い方向に動いていくのか、即断はできませんけれども、余り好ましくないという感じを私ども受けています。したがって、そういう研究委員会の中でいいものができたのを抑えるようなことのないように、これはやはり運輸省が主宰するのだろうと思いますので、その辺のことはぜひ適切な指導をしていただきたいと思います。ちょっと御答弁いただけますか。
  134. 中村四郎

    中村政府委員 こういった委員会を設けました趣旨から申し上げましても、私どもとしてこの委員会運営の中心になって推進していきたい、かように思います。
  135. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 次は百八条の三という、いわば行政処分を拡大していくいわゆるみなし規定が今度新たに設けられる、そして無車検、無保険、あるいは自動車のいわば車庫規制、その関係の三つの法律の中の条文を道交法でみなしという形で規定をして、その該当者に行政処分、いわゆる点数をつけていくというか、引いていくということになる規定だと思うわけです。いわゆる保険とか車検というのは、運送業という場合には、これはいわば営業用の自動車では車両の保有者とかあるいは事業主に本来義務づける法律であるし、そういう規定であると思うのです。これもまた筋違いという言葉を使わなければならないのですが、これも運転者の点数にくっつけていく。運転者にとって基本的なものだから当然守るべきだというような形でやってきているわけですが、これも筋違いというふうに思うのです。その点についての御見解をお願いします。
  136. 杉原正

    杉原政府委員 車両法におきます車検、それから自賠法は、御案内のとおりでございますが、この車検とか保険の主体は車両の保有者でございますが、無車検とか無保険車は運行の用に供してはならないということでございますので、運行禁止の行為主体については、保有者であるか運転者であるか、法令上は特定をされていないわけでございます。したがって、いわゆるドライバーとしてこういう車を運転してはならないという立場から考えますと、運転が上手下手ということではなくて、ドライバーのあり方というものを考えます場合には資格の面で考えていくべきだろうと思います。ただし、これは過失については問うことはできないものというふうに考えております。
  137. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 過失について云々というのはあたりまえのことだと思うのですが、結局、それぞれの持つ法律の制度、目的というのが全然別個なんですね。これを全部みなし規定で何でもかんでも持ってきていいというものではないと思うのです。いわばこれまでの法体系をがらっと変えてしまうというならこれはまた別ですけれども、これまでずっとそれなりの制度、目的のもとに法体系というのはできてきているのです。それを一つに適当にやってしまうというのは、ちょっと法律家的なセンスから言うと許しがたい面が一つあるわけです。さらに、いまも申し上げましたように、自動車保有者、あるいはいわば運送業者といいますか、そちらの方に向けられているものですから、実質的にも、いま申し上げたように、ちょっとおかしな話になってしまう。ですから、これはちょっとどこか矛盾があるような気がするのですね。この法律が通ってしまえばどんどん点数が削られる。それによってその反射効でそれなりのものが防止できるか、何か防止できるかと言えば、防止されるものはないのですよ。本来保有者なり事業者がやっておかなければならないことをかわってやるというのがおかしな話じゃないかと思うのです。その点についてもう一度お考えを聞かしてください。
  138. 杉原正

    杉原政府委員 この三つの義務の違反につきましては、道路交通立場から見ましても、自動車運転者の遵守すべき基本的な規定に違反した者であって、道路に危険を生じさせたり、交通安全確保に重大な影響を与えた者であるというふうに考えるわけです。したがって、これらの者は運転者として道路交通法等の規定するルールを遵守することが期待できない、将来においても道路交通に著しい危険を生じさせるおそれがあるというふうな認識のもとでこのような措置を講じておるわけでございます。
  139. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 結局考え方の違いはどうにもならないので、時間もありませんからやめますが、せっかくおいでいただいているので、それぞれちょっと一言ずつお聞きをしたいと思います。  一つは、これは自動車局長と、大蔵からお見えをいただいていると思うのですが、自賠責保険の関係です。この法案と直接関係はないのですが、この機会に一言だけお伺いをしてお願いをしておきたいと思うのです。  いま自賠責は死亡事故の場合には一千五百万円ですね。これはたしか五十年の七月に一千万から一千五百万に引き上げられたと思うのですが、七月になると三年たつわけで、もうそろそろ見直しをしていいというより、いろいろな事情があって見直しをすべき時期に来ているのじゃないか、やるべきではないかと思うのですが、この点について自動車局長と大蔵省の方のお考え方を一言聞かせていただきたいと思うのです。
  140. 中村四郎

    中村政府委員 ただいま先生申されましたように、現在の自賠責保険金の限度額は設定いたしましてから三年近くになっておるわけであります。私ども、従来から、限度額の引き上げにつきましては、裁判所の賠償水準なり賃金、物価の水準、こういったものを総合的に勘案しながら被害者保護に欠けることのないように措置してきた、こういう状況でございます。そこで、三年近く経過しておるわけでありまして、その間に賃金、物価の水準も上昇してきておる、こういう状況でございますので、裁判所におきます最新の賠償水準、こういったものも参酌して鋭意検討を行っておるところでございます。
  141. 森田一

    ○森田説明員 ただいま自動車局長から御答弁申し上げたとおりでございます。
  142. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 もっと詳しくやりたいところですけれども、時間の関係もありますので、お願いをしておきたいと思うのです。  厳密に言うと、特別会計の方の剰余金が幾らあるかというのはいろいろ議論をしなければいけないと思うのですが、一般的に言ってかなり余裕はあると私は思います。ですから、できるだけ早い時期に限度額の引き上げをやっていただくということと、もう一つは、それだけの余裕があるから保険料の方は上げないでぜひやっていただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。  それからもう一つ通産省からもわざわざおいでをいただいたので一言だけお聞きをしておきたいと思いますが、今度は自転車関係改正法規というのが大分多くなってきています。そういう関係で、大体いま自転車の数が日本国じゅうに何台ぐらいあるのか、それと大体月産何台ぐらい、年産でも結構ですが、それをまずちょっとお聞きをしたいと思うのです。
  143. 堀田俊彦

    ○堀田説明員 現在全国にございます自転車保有台数でございますけれども、これは推計によるほかはないわけでございますが、財団法人でございます自転車産業振興協会が毎年毎年推計を行っておりまして、五十二年度末で約四千六百万台という推計をいたしております。  それから毎年生産されます自転車の数でございます。五十二年、暦年でございますが、六百二十八万台でございました。輸出に回りますものが百十万台ございますので、内需に回ります方は約五百二十四万台ということに相なります。
  144. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 相当な数の自転車があるので、今度のこういう改正法の中にも自転車関係の規定が多くなったんだと思うわけです。しかし、これだけの数があるとすれば、ちょっと議論する時間がありませんけれども、たとえば自転車横断帯、信号機で整理されているようなちょっと大きな交差点とかそういうものはできるだけ全部そういう横断帯自転車専用の道路といいますか横断帯をぜひつくっていく方向でやってもらいたいと思いますし、またいま歩道の上を区分して自転車を走らせる場合がありますね。そういう場合に、歩行者との事故というものも最近かなり多いのではないかと思います。そういう意味自転車歩行者と同じに見るのか車と同じに見るのかいろいろ議論の余地はたくさんあると思うのですが、自転車通行者というものを保護するような立場でこの規定、十分か不十分か議論ができないのですか、そういう方向で運用していっていただきたいというふうに思います。概括的に交通局長からその点のお答えをいただいて、終わりにしたいと思います。
  145. 杉原正

    杉原政府委員 お説のとおりでございまして、やはり自転車道路交通法上の地位をこの際明確にしたいというのは、施設面でも明確にしたいということでございまして、車と自転車自転車歩行者というものを相互に分離をして、安全を確保するということに積極的に努力をしていきたいというふうに思っております。
  146. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 もう一点だけ通産省の方に。  自転車保安基準といいますか構造の基準、規格といいますか、多分JISでやっているんだと思いますが、直接のあれはないと思うのですね。ただ今度、いわゆる普通自転車とかそういうような規定が出て、反射器材をつけろとか制動装置をちゃんとやりなさいというようなのがあるので、これはやはり通産省の方から各メーカーに対してそれなりの保安基準めいたもので指導なり何なりをしていただきたいと思います。これはお願いだけ申し上げて、終わりにいたします。
  147. 木村武千代

    ○木村委員長 草野威君。
  148. 草野威

    草野委員 今回の道交法改正に当たりまして若干御質問をいたしたいと思います。  初めに、今回の改正の中に身体障害者の方々に対してもかなり手厚い配慮がされているわけでございますが、この問題について何点かまず伺いたいと思います。  まず身体障害者の方々が歩行する場合に、つえにかわるものとして一定の盲導犬を連れて通行することができる、このようになっているわけでございますが、これは一体どういう理由に基づくものでございますか。また交通事故の危険というものがかえって出てくるような場合もあるわけでございますが、そういう問題についてどういう御見解ですか、お伺いいたします。
  149. 杉原正

    杉原政府委員 盲導犬につきましては、いろいろな法人でこれをいま育成されておりまして、数も大した数になっておりませんが、具体的に、非常に訓練された盲導犬というのは、これでいきますと、信号があればそこで立ちどまるとか、近くに横断歩道橋があればそちらを行くとかいうきわめていい訓練が行われております。こういう場合に両手に持って引かれるというケースが多うございまして、こういう盲導犬を持っておればもうつえはなしにしてほしいのだという関係団体からの強い要望もございまして、そこで、私どももいろいろ見せていただきましたが、これなら大丈夫という確信を持ちましたので、盲導犬を連れて歩かれている場合には、白とか黄色のつえはなくても盲導犬だけでいいということにいたす一方、いま犬を街頭で連れて歩いておられる人がたくさんあります。ドライバーにとってこれの識別ができないといけませんので、犬に胴に巻くものがございますが、これをきちっと定めまして、他の犬はこういうものを巻いてはいかぬということにしてドライバーにはっきりさせるという措置を講じて盲人の方の通行の安全を確保していきたい、そういう趣旨に出たものでございます。
  150. 草野威

    草野委員 この盲導犬でございますけれども、現在は二百三十頭ぐらいいるということでございますけれども、今後この盲導犬の育成の見通しにつきましてはどのような見通しをお持ちでございますか。
  151. 杉原正

    杉原政府委員 これは協会に聞きますと、訓練に非常に時間がかかるので、なかなか一度にたくさん整備はできないということでございますが、盲人の方からもぜひ盲導犬が欲しいという要望、今度のこの改正案を出したような機会に非常に要望が出ておりまして、団体なり私ども、これから厚生省等とも盲導犬の育成といいますか、身障者の方の手に渡るように積極的に手を打っていただくようにまたよく相談を続けていきたいというふうに思っております。
  152. 草野威

    草野委員 それから身体障害者用の車いすの問題でございますけれども、これは何か特別な規格というものが決められているのでしょうか。またその安全面でどのような配慮がされておりますか。  それからもう一点は、身体障害者通行の安全の確保につきまして、いわゆる道路面の構造ということについていろいろな配慮が必要ではないかと思います。また信号機の面についても同じだと思いますけれども、こういう面の配慮はどのようになされておりますか。
  153. 杉原正

    杉原政府委員 身障者のための交通施設面の問題でございますが、いわゆる盲人用信号機、これは音でもって赤になったり青になったりというのがわかるような仕組みになっておりますが、こういうふうなものを建設省、道路管理者と相談をしながら整備をする、あるいは道路管理者等にお願いをして、歩道と車道とのすみ切りといいますか、この段差をならすというふうな問題、それから歩道橋等についてもスロープ等の構造等、道路管理者の方でもいまいろいろ工夫をしていただいておるところでございます。
  154. 鈴木良一

    ○鈴木説明員 車いすにつきましては、現在のところ特別な規格はございません。安全面につきまして通産省と現在いろいろ協議中のところでございます。
  155. 草野威

    草野委員 次に、暴走族の対策について何点か伺いますが、今回の法改正によりますと、全国で約二万四千人と言われている暴走族に対しまして、二台以上の自動車などを走らせ、共同で道路上に著しく交通の危険を生じさせた場合は六カ月以下の懲役または五万円以下の罰金、こういうふうになっているわけでございますけれども、個々に取り締まるという従来の交通取り締まりの原則をはみ出して、一般のドライバーにも適用されるおそれがあるのではないか、こういうことが言われているわけでございますけれども、現実にはどのように対処されますか。また、たとえば交通関係の労働者の方々がもし車等を使ってデモをやったような場合、やはり取り締まり対象というようなことにもなりかねないわけでございますけれども、こういう点についてどのようにお考えでしょうか。
  156. 杉原正

    杉原政府委員 御指摘のように、いままで道路交通法というのは個々のドライバーというものを対象にしてきておりましたが、個々のドライバー対象とするだけでは賄い切れない、対応し切れない新たな、暴走族と俗に呼ばれる大量の大変危険な、そして一般のドライバーに大変迷惑をかける行為というものが社会的に出てまいったわけでございます。この集団走行の際になぜこういう危険とか著しい迷惑というものが出てくるかというのの一番の根源というのは、集団で車を運転する場合には、集団の帰属意識というものが非常に強くなりまして、道交法を遵守するという点が非常に欠如してくるという、集団走行に独特な危険性というものが出てくる。目的地をはっきりしないままで走り回りますので、ある暴走族の一員が信号無視で突っ走っていきますと、そこでとまらないでその後を必ずひっついていくというふうな、そういう集団の帰属意識というものが非常に強く働くわけでございます。  今度の違反行為の構成要件でございますが、いわゆる連ねたり横になったり縦になったりしながら走るわけですが、そういう集団行為という客観的な形態、ジグザグであったり、道路いっぱいに広がったり、巻き込みをやったりということのそういう形態でとらえる、これが一つの要件でございます。  次に加える要件は、著しい交通の危険を生じさせるおそれのある行為、あるいは他人に著しい迷惑をかける行為、そういう具体的な行為を二人以上の運転手が共同意思をもって行おう、この要件がこれにプラスされることによって初めてこの条文の適用が可能でございます。  これの立証、採証につきましては、共同意思の確認、事前の段階で、あるいは現場において、他のドライバーとの、一緒になってこういうことをやってやろうという意思の確認を立証しなければなりません。それから、そういう具体的な危険行為によって周囲の人が危険を感じたり迷惑を受けたということも立証しなければなりません。そういうことで、きわめて捜査技術としても新たな観点から十分検討していかなければならない問題であるわけでございます。  先ほど御指摘の、善良な方々がいろいろ——デモだとか祭礼だとか選挙とかいろいろなものがあるわけでございますが、そういうケースをわれわれ従来見ておりまして、そういう点も十分、乱用があってはいけませんので、何か形式的にかかるようなことにならぬのかというふうなことで、いろいろな角度から詰めてみましたけれども、いわゆる共同意思でもってそういうことをやってやろうなどということの立証できるような、そういうデモとか選挙運動などを見たこともございません。そういうものについてはもう全く適用を考える場面もなければ、適用を考えるような構成要件になっておりません。いずれにしましても、きわめて細心な配意のもとでこの法の適用を考えるべきものであるというふうに考えております。
  157. 草野威

    草野委員 次に、暴走族と言われる人たちがよく使っているあの車両でございますけれども、車両の改造の問題。  午前中も出ておりましたけれども、これに対する行政指導の問題であるとか、もう一つ、よくわれわれが町を走っていて驚くことがあるわけでございますけれども、例のミュージックホーンという問題ですね、この使用禁止をした方がいいかという問題でございますけれども、いずれにしても、他のドライバーに対する精神的な影響というものは必ずしもいいものではないんじゃないかという気がいたしますけれども、これの禁止という問題についてどのようにお考えになっておりますか。
  158. 杉原正

    杉原政府委員 暴走族のかなりの者が例のバネを切りまして車高落としというものをやりましたり、消音器をちぎりましたり、いろいろ道路運送車両法に基づく保安基準違反する車両をかなり改造して使っておるのが実態でございます。これは道路交通法の整備不良車両になりますし、それから、例のナンバープレートなども、ガムテープを張ったりしているようなのがございます。これは道路運送車両法そのものの違反というケースもございまして、これは現場で整備不良車両を取り締まると同時に、これの教唆、幇助というようなことで背後関係をつきまして、全国で最近、車を情を知って改造をした業者について捜査をいたしておるところでございます。なお、この問題は、さらに今後も徹底をしていきたいと思っております。  それから、ミュージックホーンでございますが、これも私ども、一般の方に決していい思いであれを聞いておられる方は少なかろうという感じがいたしまして、昨年の試案を発表いたしました際に、ミュージックホーンというものは吹鳴をさしてはいけない——道路交通法でございますので、装置の面から言えませんので、吹鳴をさしてはならぬということの試案を発表いたしました。その後、運輸省と協議をいたしました結果、運輸省としてやはりもっともであるということで、それならばむしろ装置で、警音器以外のそういうふうなものを備えてはならないということを保安基準の方で近い将来に手直ししようというふうなお話もいただきましたので、今度の道路交通法改正にはその部分は外しておりますが、運輸省で適切な措置を講じていただけるものと考えております。
  159. 草野威

    草野委員 続いて、自転車対策の問題でございますけれども、これも今回の改正案に出ておるわけでございますが、昨年の自転車乗用中の事故は一千八十三名、構成率が一二・一%、こういう実態から見まして、やはり考えなければならない問題であろうかと思います。  一つは、方向器の備えつけの義務という問題でございますけれども、これにつきましては、業界などの反対で、試案には盛り込まれていたけれども成案の段階で外されていた。これは一体どういうわけかということですね。  それからもう一点は、自転車のスピードの問題でございますが、これも午前中いろいろなお話がございました。現在では、たしか十段とか十五段変速とか、非常にスピードが出るような構造になっているわけでございますが、四十キロ以上のスピードも可能だという話でございますけれども、自転車のスピードの規制ということについて、このまま野放しにしておいた方がいいのか、また、何らかの規制をすべきなのか、こういう点についてはいかがでしょうか。
  160. 杉原正

    杉原政府委員 自転車につきましては、やはりいまのスピードの規制対象にすべきものであるというふうに考えております。  方向指示器につきましては、いろいろ通産当局とも御相談をいたしましたが、いまの自転車の開発の段階では、いわゆる電池がどうしても要るというふうな問題それから性能がまだそこまでいっていない、それから、仮にそういう目的でつくると非常に高価なものになるというふうな問題が提起をされまして、いまのままだと、そこまで義務づけるというのは少し無理かなということで、今回は見送ったわけでございます。
  161. 草野威

    草野委員 次に、シートベルトの着用の問題でございますが、今回の改正案では罰則を設けるということは見送られているようでございますけれども、世界各国では、約二十カ国に近い国でシートベルトの着用を法律で強制しているわけですね。  この問題につきまして、一つは、今回の改正に伴いまして、違反行為の点数制を改正してシートベルトの着用義務違反に加えるのはどうか、そういうような御意見もございますので、この点に関する御見解一つ。  それからもう一点は、シートベルトを着用しないで事故を起こした、着用していれば明らかに本人が救われたのではないか、こういうケースもかなりあるわけでございます。こういう問題に関しましての保険の問題でございますけれども、たとえばこのようにシートベルトの着用がいろいろ言われている中で、着用しないために自分自身が事故を起こして傷を負った、こういう場合に保険の過失相殺の対象にしたらどうかというような議論も一部であるわけでございますが、こういう点についてのお考えはいかがでございますか。
  162. 杉原正

    杉原政府委員 シートベルトにつきましては、いまも高速で義務づけられておりますが、罰則で強制したらどうかとか、点数についていろいろ議論したらどうかというふうな御意見もたくさんございます。これにつきましては、高速自動車国道等で義務づけられておりますが、当面は現行のままで行政指導をさらに強めてその履行の確保を図りたいと考えております。  特にその改正をしなかった理由でございますが、座席ベルトの備えつけ義務がない車両がまだ相当に残っておるということ。また、備えつけ義務のある車両であるかどうかということが外見上なかなかわからないというふうな問題。それから、一番の問題は、現在の着用率というものが、年々伸びてはおりますが、まだ十数%ということで非常に低いわけでございまして、義務づけより前に、まずその率をせめて半分以上ぐらいの人がやられるところまで推進をしてから対策を考えていったらどうだろうかというふうに考えたわけでございます。
  163. 中村四郎

    中村政府委員 乗車中に座席ベルトを着用しないで自動車事故に遭った方につきまして過失相殺の御提案があったわけでございますけれども、私どもとして座席ベルトの着用の励行ということにつきましては、交通事故の損害の軽減ということで非常に望ましいと申しますか、好ましいわけでございます。しかしながら、自賠責保険制度におきましては、自動車事故の被害者が損害のてん補を容易に、かつ迅速に受けられるということを目的にして被害者保護を図っておるわけであります。そこで、被害者サイドの軽微な過失につきまして、保険金の金額算定については現在参酌いたしておりません。座席ベルトの着用の有無につきましても、そういった見地から、これを過失相殺に取り入れていくということについてはいまのところ考えておらぬわけでございます。
  164. 草野威

    草野委員 次に、死角事故の問題について若干伺いたいと思います。  大型のトラックが左折する場合に、トラックの後輪に歩行者とか自転車が巻き込まれるという事故がしばしば最近は報道されております。この問題につきましては、何といっても基本的には運転手が慎重にハンドルをさばかなければならないわけでございますけれども、それ以外に、この問題につきましてはいろいろな重大な要素が含まれているのではないかと思います。特に最近言われていることは、この死角事故というのは車両の構造上の欠陥、また道路の構造上の欠陥、こういうものの複合事故であるということがいろいろ指摘されているわけでございます。  この問題につきまして、神奈川県の交通部の調査によりますと、昨年と一昨年のこの両年のいわゆる巻き込み死亡事故、これは三十九件ございました。そのうち七件は相手が死角に入って全く見えなかった、十八件は相手を見落としたか発見がおくれた、こういう実態です。ことしの三月、やはり神奈川県の大和市で起きた巻き込み事故の場合ですが、これは警察での運転手の供述は、全く気がつかなかった、サイドミラーも十分に気をつけて見ていたけれども自転車の影は見えなかった、このように供述しているわけでございます。  この死角事故という問題は、これからの交通行政上の一つの大きな問題になるのではないかと思いますが、まず初めに伺いたいことは、この死角事故について警察庁におかれましては全国的にこの実態についてどのように把握をされていらっしゃいますか。
  165. 杉原正

    杉原政府委員 数字をここに持っておりませんが、先ほど御指摘のトラックによります交差点の左折時の死角による事故、これは自転車とか二輪が通常巻き込まれますので、ほとんどが死亡事故、死亡でなくても大変な重傷事故ということになるわけでございます。特にこれだけかなり予想外に減っております東京などにおきましても、いま一番の関心事はこのトラックの左折の巻き込み事故でございます。この点につきましては、御指摘のように車両の問題、それから道路構造上の問題、いろいろ改善をしなければならない面がありますが、その改善を急いでいただくと同時に、やはりこういう内輪差によってこれだけ危ない状態が出てくるというふうなことを各都道府県の警察でもいろいろ学校の生徒その他を集めて実験をいたしておるわけでございますが、そういう意味での一般の広報等にもさらに力を入れていきたいというふうに考えております。
  166. 草野威

    草野委員 この死角事故実態につきましては、もし資料がございましたら後ほどひとつ出していただきたいと思います。
  167. 鈴木良一

    ○鈴木説明員 ただいま手元に警視庁の例がございますので、これで御説明申し上げたいと思いますが、大型貨物自動車によります左折違反交通事故の状況でございますけれども、昨年が八十件起きておりまして、一昨年が六十六件でございますので、プラス十四件、二一・二%増でございます。それから、死者につきましては、昨年が十七名、一昨年が十二名でございまして、プラス五、四一・七%増。重傷者が、昭和五十二年、昨年が十三名、おととしが十六名でございまして、これは三名減少でございます。それから軽傷者は、昨年が六十名、一昨年が四十名でございまして、これがプラス二十名、五〇%増というようなデータになっております。
  168. 草野威

    草野委員 全国的なデータについては、またひとつお願いいたします。  それから、この問題に関しまして、道交法の第三十四条に「左折又は右折」というところがございますけれども、これによりますと、「車両は、左折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、できる限り道路の左側端に沿って徐行しなければならない。」また、三十六条の第四項にも同じようなことが出ておりますね。この死角事故という問題を考えたときに、この中で決められていることは、交差点で左折する場合にはできるだけ左に寄らなければならない、こういう規定だけなんですね。そういたしますと、死角事故原因から考えてみますと、果たしてこの条項はこのままでいいかどうかというような疑念が出るわけでございますが、この点はいかがでございますか。
  169. 杉原正

    杉原政府委員 これは車両一般という書き方にしておりまして、乗用車とか二輪とかいろんなものが入っておりますので、書き方としてむずかしい面がございますが、特に先ほど御指摘のありますトラックの左折の仕方というふうなものにつきましては、運転教則等で足りない点をもう少しはっきりと補足して周知徹底をしていくようにしたいというふうに思っております。
  170. 草野威

    草野委員 これはぜひともそういう研究をしていただきたいと思います。  それから、先ほども申し上げましたように、この死角事故原因はいわゆる内輪差の問題ですね、これが一番大きな原因になっておるわけでございますけれども、この内輪差というものをなくして、前輪と後輪が同じ円周上を走るようになれば、こういう問題の解消につながるわけですね。こういうことは技術的には一体可能なのかどうかということですね。これは車両の構造上の問題として、運輸省の方に伺った方がいいと思いますが、いかがでしょうか。
  171. 犬丸令門

    ○犬丸(令)政府委員 内輪差をなくするような自動車の構造、装置は考えられないかという点につきましては、私ども現時点においてそういったような事例も見ておりませんし、聞いておりませんし、非常にむずかしい問題であると考えます。
  172. 草野威

    草野委員 いまのこの問題、運輸省の方ではまだ全然検討されてないようでございますけれども、この車両の構造上の問題について、いま言った内輪差の問題についてはぜひともひとつ研究をしていただきたい。これは運輸省の方にお願いいたします。  それから、車両の構造上の問題について、いろんな問題がたくさんあるわけでございますけれども、警察庁の方としてはまず何から手始めにやらなければならないか、どのようにお考えですか、車両の構造上の問題についてです。
  173. 杉原正

    杉原政府委員 車両の構造については、私どもどちらかというと素人の立場でございますので、起こりました事故を見まして、もしこういうところにこういうものがあったらいいんじゃないのかなと思われるような事柄をいろいろ提案をして、これを運輸省の方に提出してお互いに相談し、いろんな実験をいま進めておる段階でございまして、私どもがこれだというものにつきましても出して、いま運輸省の方で検討していただいておるということでございます。
  174. 草野威

    草野委員 死角の問題についてはわれわれは非常に重要な問題だ、このように考えておるのです。どうもいまの御答弁を伺っておりますと、この問題についてまだ余り深く研究なさっていないような気がするわけでございます。ということは、前回も委員会で申し上げましたけれども、たとえば運転席を低くするか高くするかという問題についても、いまから七年前の委員会において決議がされているわけですね。いまもってはっきりした結論は出ていない。これはいろんな理由があると思います。しかし、そういうむずかしい問題以外に、いま交通事故の状況を見てからでないと判断できないという話がありましたけれども、そんなに深く考えなくてもいいと思うのですね。たとえばアンダーミラーをどうするかという問題、サイドガードを取りつけるか取りつけないかという問題、非常に簡単な問題ですね、こういう問題についてもきちっとした結論が出て、それがまだ実行されてない。これはもちろん運輸省の方の問題にもなると思いますけれども、私はあえてきょうは警察当局に、事故に対する取り組みという面からこういう問題についてどのように考えているか、そういう点で伺っているわけなんです。
  175. 杉原正

    杉原政府委員 これは現場的には大変な関心事でございまして、警視庁でも、神奈川でもそうでございますが、いろんなところにバックミラーを自分でつけかえて、構内で見ましてこれなら運転手に見えるか見えないか、いろんな実験を警察自身でやって、これならどうだろうかというふうなことで、これをまた運輸省に持ち込むとかいうふうなことで、事故の起こるのを待ってというのじゃなくて、事故事例はいままで山ほどあるわけでございます。その中から、こういうことをやったらこれは運転手にわかったのではなかろうか、むしろいま運転手は非常に見えないということで、どちらかというと非常に気の毒な立場にあるわけでございますので、そういう認識のもとで、何とかこれが防止できる装置が開発できないかというふうなことのいろんな事例をわれわれ自身が素人なりに実験をして、それをいま運輸省に持ち込んで共同でいろんなことを実験をしているという段階でございます。
  176. 草野威

    草野委員 確かに先ほども申し上げましたように、このような事故を起こした運転手は非常に気の毒です。自分では十分注意したにもかかわらず、結果は不注意ということでかなり厳しい刑事罰を受けようとしているわけです。ですから、この問題につきましては非常に重大だと私は思います。  いま車両の構造面について伺いましたけれども、今度は道路の問題でございます。道路上の欠陥があるのではないかという指摘も受けているわけでございますが、そういう道路の構造の変更ということについて、警察ではどのようなお考えがございますか。
  177. 杉原正

    杉原政府委員 道路につきましても、私ども現場でいろいろな事故が起こりますと、これを分析をいたしまして、それが道路環境に基づくものかそうでないのか、いろいろな角度で検討いたします。道路に基づく場合につきましても、道路そのもの、道路のカーブその他いろんなそういう面、それから安全施設の面、そういうふうなものを分析をいたしまして、必要によっては道路管理者に一緒に御検討いただいて、それを必要な範囲で改善をしていただく、あるいは整備をしていただくというふうな形で仕事を進めているところでございます。
  178. 草野威

    草野委員 この問題につきましては、この交通統計によりましても、横断歩道中の人身事故というのが非常に多いわけでございますので、これからもひとつ積極的に取り組んでいただきたい、このように要望申し上げます。  次に、道交法の第七十二条の問題について伺いたいと思います。  それは、「交通事故の場合の措置」という問題でございます。この問題については、いままでも何回も伺ったわけでございます。きょう私がお尋ねしたい点は、この第七十二条に書かれてありますように、もし交通事故を起こした場合に救護するという義務づけがあって、そしてまた厳しい罰則があるわけでございます。それはそれとして、こういう緊急事故が発生した場合に、人命を救助するということは、厳しい罰則があるとかないとかそういう問題じゃなくて、これは人道上の問題であると私は思います。そういう点について、ただいままでの警察庁のお考えを伺いますと、このようになっておるわけです。それは、いま道交法決められていることは最小限の義務であって、これをしないと処罰されるという法律体系になっている、だからおのずと限界があるんだ、こういうお考えだったですね。また、教則に書かれている以上のことは現段階ではやることは困難である、非常に消極的な姿勢である、われわれはこのように受け取っておるわけです。この問題については医療行政当局ともよく相談した上でこれからも積極的に考えてみたい、こういうようなお話もあったわけでございます。一年前に私はこれを伺ったことでございますけれども、その後、今回の道交法改正に当たって、この救護義務という問題については、やはり何らかの具体的な中身というものを織り込むべきではなかったか、私はこのような気がしてならないわけでございますが、この点についてまず伺います。
  179. 杉原正

    杉原政府委員 お答えをいたします。  七十二条の救護義務というのは、事柄の性質上ひき逃げを予定したものでございますので、罰則で、この救護義務に違反をしますと三年以下の懲役ということで問擬をされるということでございますので、これを考えます際には、運転者として一般的にだれでも期待し得る必要最小限度の救護活動ということで考えるべきだろうと思います。  先ほど先生の、それはそれとしてこの救護の問題というのはやはり人命尊重というものがドライバーの基本ではないかというお話につきまして、この先生の御指摘を受けまして、私も本当にそのとおりだということで、実は御質問を受けましてからいろんな形で検討を行いまして今日に来ておるわけでございますが、いま教則の中にもごく一部が書いてあると思います。それでいま書いてありますほかに、だんだん救急思想というものも普及をして、ドライバーにもっと知っておいてもらった方がいい、またドライバーとしては当然知るべきであると思われるような事柄について何があるかということをもっと真剣に考えてみようということで、いま救急機関それから医療行政機関、この関係者といろいろ相談をしまして、近く具体的に何をドライバーに救急の知識として教えることがふさわしいのか、逆に下手をやりますと、後ほどの医療の障害になるようなことをやってはいけませんので、その辺を外して、何をやるべきかというような事柄について本格的に詰めてみよう、詰めればそれを教則にも十分盛り込むことも可能ですし、あるいは事によっては教則のいわゆる付属のものとして、一つの救急の教則というようなものをあわせてドライバーに手渡して講習をする、そういうふうなことまで含めてどういうやり方があるかということで、具体的にアクションを起こして作業を行わしておる段階でございます。
  180. 草野威

    草野委員 この問題につきましてはこれだけにいたしますけれども、前回に比べましてこれから非常に前向きに取り組むというようなお話でございましたので、ぜひともそういう方向で一日も早く実現されることを期待しております。  これは、現在大地震の立法が審議されておりますけれども、いずれにしてもごく近い将来に大地震が起きるのではないか、こういう問題も言われている中に、単にドライバー交通事故のみではなくて、そういう大災害時においても、現在の日本の三千数百万と言われるドライバーの人たちが応急手当てを身につけているということはどれほど大きく役に立つかわからない、こういう問題もありますので、ぜひともこの問題には一日も早く取り組んでいただきたい、このようにお願いをする次第でございます。私はこの問題を非常に重大に考えておりますので、きょうは大臣も出席されていらっしゃいますので、できればこの問題につきましてひとつ御答弁いただけたらと思いますが、いかがでございましょう。
  181. 加藤武徳

    加藤国務大臣 救急活動が十分にできます体制がとれますならば、単に自分が交通事故に遭いましたりあるいは人を傷つけたりいたしました場合のほかに、いま御指摘のございました大地震等にも対応し得るのでございまして、端的な言い方をいたしますと、日本ドライバーに対する救急教育がまだ不十分でございまして、たとえば西独のごときは六時間以上教育を受けなければ、そしてその証明書がなければ免許試験の受験資格がない、また職業ドライバーは十六時間以上、かような制限のありますことも承知をいたしておるのでございますから、今後におきましては——私も教則を見ました。教則に書いてありますのはきわめて限られた範囲の、たとえば止血の処置でありますとか、あるいは負傷いたしました場合の嘔吐等に対応いたしまして横向きにしなければならぬとか、その程度のことしか書いてないのでございますから……。ただ、考えなければなりませんことは、ドライバーは医学的には素人であります方がほとんどと言っていいのであります。ですから、下手に救急の処置をいたしまして、そのことが事後の治療に悪い影響がありますようなことがあってはならぬのでございますから、その辺のけじめも承知をいたしながら救急教育につきまして今後力を入れる必要がある、この感を深ういたしております。
  182. 草野威

    草野委員 大臣からこの問題につきましては非常に積極的な御答弁をいただきましたので、ぜひひとつそういう方向で進めていただきたい、このように要望いたします。  それから次に過積みの問題に入らしていただきたいと思います。  トラック業界は、過去三年間続きました不況によりまして、荷動きの停滞、またそれに伴う輸送供給力のオーバー、いわゆる白トラと称するもぐり業者のダンピング行為によってかつてない混乱を引き起こしているわけでありますが、昨年運輸省に設けられたいわゆる白トラGメンの配置とその活動状況、こういう面についてまずお伺いいたします。
  183. 中村四郎

    中村政府委員 私どもとしましては、輸送秩序改善ということを最大の念願といたしておりまして、五十二年度から貨物輸送監理官という制度を設けまして各陸運局とそれから物流の大きな拠点にあります陸運事務所に配置いたしまして、五十三年度におきましてこれの増員で、合計して十五名でございますが、数は十分とは申せませんが、これを私ども、とらの子と申しますか、輸送秩序の中枢というふうな考えで活動さしておるわけであります。他方、何と申しましても事業者団体におきます輸送秩序に対する自主的な運動ということが相まちませんと効果が上がりませんので、事業者団体の方におきましても秩序改善指導員というものを設けまして、双方相呼応して秩序改善に乗り出しているわけであります。  貨物輸送監理官といたしましては輸送秩序全般を担当しておるわけでありますけれども、もちろん中心に過積載問題、運賃ダンピング問題、こういったことを据えまして、その職務遂行に当たっておる状況でございます。
  184. 草野威

    草野委員 この白トラGメンの問題でございますけれども、昨年の予算で決まった際に、これに呼応いたしましてトラック業界が、白トラの営業類似行為は違法行為であり、白トラの横行はトラック業界の適正運賃の収受を阻害するなど輸送秩序を乱す大きな原因になるのだ、こういうことで、この白トラを排除して輸送秩序の確立を図るために運輸省とか警察庁、また労働省、各省に要請をしたわけでございますが、これに対してこれらの各省庁がどのように対応しているのか。特に白トラの過積みの原因は荷主にあるということが言われているわけでございますが、警察庁に要請いたしました、道交法に基づいて違法白トラの過積載などによる無謀運行の街頭取り締まりと、これを容認あるいは強要した荷主並びに法人化した違法白トラの雇用主に対する罰則適用について、現在一体どういうふうになっているか、伺いたいと思います。  今回の道交法改正案で荷主に対する罰則規定を設けてないわけでございますけれども、これはいかなる理由によるものでしょうか。
  185. 広谷干城

    ○広谷説明員 お答えいたします。  昭和五十二年中におきましては白トラ事犯といたしまして二百九件の検挙をいたしております。  白トラを含めまして過積載事件の取り締まりでございますけれども、昨年過積載事案は約十五万五千件の検挙をいたしております。そのうち荷主あるいは事業者等の背後責任を追及したものといたしましては、下命容認事案として千五百十三件を検挙いたしております。また、事業者に対しまして四千七百二十四件の両罰規定の適用をいたしております。また、荷主等の教唆、幇助事案八十八件を検挙いたしておるところでございます。
  186. 草野威

    草野委員 ただいまも数字のお示しがございましたけれども、警察庁からいただいたデータによりますと、五十二年六月上旬に実施した二十四時間体制による集中取り締まり状況というデータがございます。これによりますと、ただいま話があったダンプカーの問題でございますが、重量違反で検挙されたものが八百九十三台。木材関係が五百十二台、鋼材が四百八十一台、こういうような検挙数になっておるわけでございます。これについて過積載の背後責任の追及の件数、いまお話がございましたけれども、下命容認が千五百十三件、両罰規定が四千七百二十四、それからもう一つ、教唆、幇助という問題でございますが、これが八十八件出ているわけでございます。この八十八件というのは主として荷主の責任を追及した件数ということでございますけれども、この八十八件についてどんなようなケースについて追及をされたのか、代表的な事例についてお示しを願いたいと思うのです。
  187. 広谷干城

    ○広谷説明員 お答えいたします。  御承知のとおり、荷主の教唆、幇助事件というのを捜査いたしますのはなかなか困難を伴うものでございまして、年間八十八件程度の件数になっておるわけでございますけれども、具体的なケースといいますか、一般的に申し上げますと、荷主の倉庫から積み出しますような場合に、荷主の従業員等がその積み出し現場におって、場合によったら業務の都合によりぜひこれだけの荷物をきょうじゅうに運んでくれということを重量オーバーを覚悟で言いつけるというふうな場合が間々あるケースのように承知しております。
  188. 草野威

    草野委員 はっきりした御答弁じゃないので残念なんですけれども、この過積みの問題ですが、昨年の場合十五万四千七百五十八件というような検挙数があったわけですね。いまも数字がありましたように、このうち過積みということで荷主の責任を追及された件数はわずか八十八件、そういうことですね。荷主に対して責任を追及するということはいろいろなむずかしい問題がたくさんあることは承知しております。しかし、果たしてそれでいいのかどうかということは、これはまた別に考えなければならない問題じゃないかと思うのですね。今回この法律改正によりまして、運転者並びに運送会社、この法人に対して厳しい罰則規定が設けられたわけでございますけれども、ある意味におきましては、現在全国で約三万軒あるという業者、ほとんどが中小零細の業者ばかりが多いわけでございますけれども、そういうどちらかというと社会的に弱い立場にあるこの運送事業者、今回の法律改正によってある面では追い打ちをかけられるのではないかという心配もあるわけなんです。  したがって、この過積みという問題に対しまして、ただ単に運転者並びに運送事業者を厳しく罰することだけで解決するかどうかという問題だけではないのじゃないかと私は思うのですね。こういう問題についてどのようにお考えでしょうか。
  189. 杉原正

    杉原政府委員 まさに御指摘のとおりでございます。ある程度現場からは入っていきますが、いつでも突き当たって考えられますのは構造的な問題でございます。荷物を出しますのに送り状その他の——これは契約の問題か一つございまして、一括契約ということが非常に多い。その中で荷主までいくということはなかなか容易でない面がございますが、いろいろその送り状その他の問題、一体どうやればそういう適正な業態に持っていけるのかというふうなことを、われわれ現場処理の過程を通じて、こういうことをやればこの業界がこういう適正な形になるのではなかろうかと思われるものを捜査資料の中から積極的に関係機関の方に提示をして、必要な行政措置が講じられるような方向で仕事を進めてまいりたいというふうに考えております。
  190. 草野威

    草野委員 この問題につきまして、警察と同時に運輸省にもひとつ伺いたいと思います。  過積みの原因がいろいろあるわけでございますけれども、私どものところに最近ある大型トラックの運転手、それからある運送業者の御主人からこういう資料をいただきました。この資料は木材運搬の資料です。これを私も見て非常に驚いたわけでございますけれども、この表によりますと、こういうような数字が出ております。各トラックごとの材木の積載数量についてこの表に出ておりますけれども、いろいろな差しさわりがございますのでこの数字だけを読ましていただきますと、こういうふうになっております。  これは一台ごとのトラックの重量でございますけれども、四十八・一八三立米積んでおります。これを換算する場合はまあ一割程度引けばこれが重量になると思います。したがって、四十八ですから、約四十三トンか四十四トン、一台のトラックにこれだけ積まれているわけです。次のデータは同じく三十五立米、次のデータが三十二立米、次は三十六立米、次も三十六立米、次は三十四立米、次は三十八立米、次は三十五立米。まあこれは切りがないからこれでやめますけれども、こういうようなのが実態なんです。しかし、このトラックが十トン車で運ばれたものか、十一トン車で運ばれたものか、また十五トンのトレーラーで運ばれたものか、それはわかりません。しかし、ともかく十五トンのトレーラーで運ばれたものにしても、これは倍以上の大変な過積みの状況なんです。この運送屋さんの御主人の話によりますと、われわれはもうこういうことは危険でやりたくないけれども、これをやらざるを得ないのですと、詳しい手紙もついております。やはりこういう面も一つ実態ではないかと思うのです。  したがって、取り締まりを厳しくするということは私は異論ございません。しかし、その背後にある本当の原因は一体何かという点、やはりこれは適正な運賃の収受が行われていない、こういう問題が一つあるわけでございます。午前中も建設省とのやりとりを伺っておりましたけれども、国自体が運輸省で決められている適正な運賃を守っていないのじゃないか、こういう疑いがあるわけでございますね。そういう問題について運輸省は、いま建設省でやられているその運賃が適正な運賃だと思っているのか思っていないのか、まずこの点ひとつ伺いたいと思います。  それからもう一点は、全国の運送事業者に対して定期的な監査、指導をやっていると思いますが、監査の結果、適正な運賃が支払われているかどうか、こういう問題について、もし正確な調査をされていらっしゃるなら、その結果についてひとつ御報告をいただきたいと思います。
  191. 中村四郎

    中村政府委員 過積載問題について考えてみます場合に、ただいま先生申されましたように、適正運賃の収受という問題が大きな絡みを持っておるわけでございまして、私どもとしまして適正運賃収受については事業者団体にも強く働きかけておりますとともに、荷主団体に働きかけをしまして適正運賃収受に努力をいたしておるわけであります。  建設省関係の運賃と私どもの方の認可運賃の関係のお尋ねがございましたが、発注主の運賃というものは運賃部分のみを摘出して計算されておるのか、あるいは骨材価格と一括しておるのか、その辺にも問題があろうかと思いますけれども、私どもとしてはやはり決められた認可運賃というものを織り込んでいただく。その場合、午前中にも申し上げましたが、すでに私ども一部の地域で実施しておりますが、繰り返し反復して短区間の輸送を行っておるという形態の場合には、それに適した運賃というものも今後考えていきたい、かように思っております。  それから、適正運賃収受につきましてそれの調査があればその結果を、こういうお話でございましたが、私ども適正運賃について現在のところまとまった資料を持っておりませんが、これからそれに項目をしぼったようなまとめ方をしてまいりたい、かように考えております。
  192. 草野威

    草野委員 さっきの建設省の話でございますけれども、まず一つは、国自体が適正運賃を守らないということが大きな問題じゃないかと思うのです。この点についてはいろいろな立場もあるでしょうから、いまはっきりとお答えにならなかったわけでございますけれども、この適正運賃を守るということは、たとえばバスとかタクシーの運賃を考えてみてください。これらとトラック運賃の場合、法的な根拠というのは大体みんな同じですね。これに違反した場合には、たしか罰則も設けられているわけですね。バスやタクシーの運賃については厳しく守らせている。トラックの運賃の場合には野放しと同じ状態になっている。現在いろいろな監査をしていても、実態がどのようになっているかという調査もはっきり把握されていない。私はこういうところに大きな問題があるのじゃないかと思うのです。もし運輸省が本気になってこの適正運賃を守らせるように努力していれば、運送業者のそういう運賃の状況についてももっともっと詳しく把握されているべきじゃないかと思うのです。したがって、この問題についてはこれからももっとひとつ真剣になって取り組んでいただきたい。こういうことが一つの大きな原因となってこういう過積みの問題等も出ているわけでございますので、今後どのように取り組まれる決意があるか、最後にひとつ伺いたいと思います。
  193. 中村四郎

    中村政府委員 御指摘のとおりでございまして、私どもとしましては適正運賃収受ということを考えた場合には、やはり基本的にはトラック事業者自体にもこれを遵守していくという意識がなければなりませんし、またそれにふさわしい経営基盤というものを形成していかなければならぬと思います。従来からの構造改善事業というような形を通じて経営基盤の強化を図ると同時に、私どもとしましても適正運賃収受について荷主、事業者団体に働きかけをすると同時に、われわれも従来以上に力点を置いて努力していきたい、かように考えております。
  194. 草野威

    草野委員 以上で終わります。
  195. 木村武千代

    ○木村委員長 青山丘君。
  196. 青山丘

    ○青山委員 冒頭に国家公安委員長にちょっとお尋ねします。  きのう、きょうと交通ゼネストが行われておりますが、それによって国民の足が奪われまして、安全な交通という意味では非常に危険な状態にさらされているという点で私は大変憂慮しております。お手元に資料が出ておりますかどうか、きのう、きょうの交通ゼネストによって交通事故はどのように出ておりますか、まずお尋ねをいたします。
  197. 加藤武徳

    加藤国務大臣 きょうの交通事故の状況はまだ資料が手元に参っておりませんので、昨日の状況を御報告をいたしますと、昨日の交通事故によります死者は全国で十八名でございます。ちなみに一昨日の場合を申しますと、四月二十四日の交通事故による死者は十九名、かような数字でございます。
  198. 青山丘

    ○青山委員 交通ゼネストによって昨日、十八名のとうとい国民の生命が奪われております。大体この交通ゼネストそのものが法律を破った違法なストライキの部分が強い。そういう意味では、そういう法律を犯した違法なストライキによってとうとい国民の生命が奪われているのは、交通安全上ゆゆしい事態だと大変憂慮しております。これから徐々に解決の方向に向かうわけでありますが、恐らくきょうも、このいまの時点で国民の生命が奪われているかもしれない。大変不幸なことです。政府の一員としてどのようなお考えか、まずお聞かせいただきたいと思います。
  199. 加藤武徳

    加藤国務大臣 労働条件改善のために労働組合がそれなりの活動をいたしますことは当然であるといたしましても、しかし、違法な闘争手段を用いてはならぬことは申すまでもないことでございまして、今回も残念ながら公労協並びに官公労等が違法なストライキを行っておりますことは、遺憾至極に存ずるところでございます。そこで、これに対しましては、警察といたしましても厳正な態度で対処いたさなければならぬのでございますし、かつまた、昨日の閣議におきましては、違法なストライキ等に対しましては政府といたしましては厳正な態度で対処をいたす、かような申し合わせをいたしたようなところでございます。
  200. 青山丘

    ○青山委員 ぜひひとつ被害者のできるだけ少ないように努力をしていただきたいと思います。  そこで、提案されております道交法改正について質問させていただきたいと思います。  自動車保有台数の増加傾向はきわめて根強いものがあります。また、運転免許保有者数も昨年すでに三千七百万人を超えました。また自動車保有台数も、原動機付自転車を加えまして四千二百万台を超えております。いわゆる国民免許の時代を迎えようとしておりますが、そのような交通状況の中で、交通事故による死者数は減少傾向を続けてきました。昭和五十二年中の死者数が八千九百四十五人と、過去の最高でありました昭和四十五年のおよそ半数近くになってまいりました。これは、それなりに成果が上げられたこととして私は評価をいたすものでありますが、なおまだ夜間における事故が多発していること、あるいは歩行者自転車利用者、いわゆる交通弱者と言われる人の死者数の交通事故全体に占める比率が高いこと、いずれも楽観を許さない状況であります。歩行者自転車利用者は、ただ単に交通事故に遭わないという単純な安全ではなくて、安心して利用できる道路でなければなりませんし、自動車利用者にとっては安全で走りやすい交通環境を求めてきたわけです。その辺の認識についてはいずれも一致しておるところだと私ども思います。  さて、最近の傾向を見てまいりますと、道路交通の場における運転者による殺傷事件の多発にかんがみまして、運転者に良識とよりよいマナーを求める声も強まってきておりますが、このような状況の中で、警察取り締まりだけを強くしていくということでは十分な効果を上げることができないのではないか。したがって、取り締まり重点主義から指導重点主義に思い切った思想転換、行動転換をする必要があると思うのですが、いかがでしょう。  さらに、現在のような取り締まりのための取り締まり、陰に隠れて違反者を摘発するということでは、警察国民との相互不信をいたずらに増幅する効果しかないと思うのです。危険を伴わない単純な違反は、過失であることが認められた場合においては、初犯に限って訓戒あるいは指導ということにとどめるくらいの弾力的な運用でやってもらいたいと思うのですが、国家公安委員長のお考えをまず伺いたいと思います。
  201. 加藤武徳

    加藤国務大臣 御指摘がございましたように、死者の数が大変に多かった時期と比較をいたしますと、昨年は相当程度にまで減少いたすことができたのであります。しかし、これをもって足れりとするわけではもとよりございませんで、かつての時代の半数を目標にいたしまして、近い機会にそれを達成いたす、かような決意で臨んでおるのでありますけれども、残念ながら、ことしに入りまして、昨年と対比いたしますと死者の数が若干ふえておる、このことはきわめて遺憾なことでございまして、そうではない方向への努力をいたしてまいりたいと考えております。ただ、交通事故をなくしてまいります上では、単なる警察取り締まりのみをもってして足れりとなすわけでは断じてないわけでございまして、むしろ重要でございますのは、道路構造等におきます格段の配意をいたしまして、さらにまた施設の整備を行ってまいりましたり、それから交通安全教育が最も重要なのでございますから、さようなことと兼ね合わせまして取り締まり指導をもまたやっていく、かような態度を堅持いたしまして交通事故の絶滅に邁進いたしたいと考えておるところであります。
  202. 青山丘

    ○青山委員 私が質問したのは、危険を伴わない単純な違反については、過失であることが認められれば、初犯において、まあそういう例もありますけれども、訓戒、指導、これくらいにとどめていくんだ、そういう姿勢についてはいかに考えておられますか。
  203. 杉原正

    杉原政府委員 具体的な現場の扱いの問題になりますので、事前にちょっと御答弁をさせていただきます。  歩行者とか善良なドライバーが安心して道路通行できるということの観点から、非常に危険を及ぼすドライバーあるいは重大事故に直結するような違反行為、こういうものについては徹底した取り締まりをやらなければいけませんし、またそれは国民からも支持をされるものだと思うわけでございます。しかし、何さまいま年間を通じまして駐車違反を含めて千二百五十万件の取り締まりが行われておるわけでございます。私どもが反省をしなければならないのは、この年間の千二百五十万件の中に、すべてが国民のあるいはドライバー理解協力が得られている形で行われているかどうか、この問題については反省を加えなければなりません。やはり現場で、単にそこに違反があるから形式的な取り締まりをするとか、取り締まりのための取り締まりをするということが一件でもあってはならない、それが国民理解を得られない一番の問題であるわけでございます。私どもの交通警察力というものは、やはり危険の高い違反、危険の高い場所、時間帯、そういうものに重点を向けて適正な処理をしていくべきだと思います。これは単にそういう時間帯とか場所以外に、取り締まる場合であっても警察官の言動によって、やはりこういうことは危なかったんだなと思ってもらえるような納得のいく現場取り締まり、これがいま交通警察にとって最大の課題であるわけでございます。そういう意味で、現場指導の中で、当然日常の経済活動をやっておる一般の国民の皆さんでありますから、何がゆえにこの違反が行われたのかというふうなことについての、十分心情をくんだ上で処理が行われるということでなければなりませんし、指導も、そういう点についてきめ細かい徹底した指導を今後やっていくべきであるし、それがわれわれに課せられた最大の課題であるという認識に立っておるわけでございます。
  204. 青山丘

    ○青山委員 取り締まるのが目的ではなく、交通の安全を確保するのが目的ということで、ひとつぜひ善意ある取り締まりをしていただきたい。また、悪質者に対しては断固として立ち向かっていただかなければなりません。そういう悪質者のために被害を受けている善良な国民がたくさんおるということからかんがみますと、善良な国民の中に悪意のない過失というものもまたありますので、その辺をひとつ画一的に見ないで事に処していっていただきたいと思います。  そこで暴走族関係について今回の改正案では、これまで法律上規定のなかった暴走族を取り締まるための第六十八条「共同危険行為等の禁止」、すなわち自動車運転者は二台以上の自動車などを連ねて通行させる場合においては、共同して著しく道路における交通の危険を生じさせる行為をしてはならないという規定が盛り込まれておりますが、現在集団でわがもの顔に走り回っておる暴走族をこの際事実上走れないものにしていこう、こういうふうに受けとめております。  暴走族には、関東型と言われる暴力的行為を持つものと、関西型と言われる見物人までも巻き込んでいくショー的な態様に分けられると思います。これらも今度の改正によって禁止されることになりますが、問題は共同意思の確認と交通の危険、それから他人への迷惑を及ぼす行為の範囲、これが不明確ではないかと思うのです。その意味で、これは条文を見てもどこまでがこのような範囲内であるのか基準がはっきりしておりません。そういうふうに私は思うのですが、この点についてお聞きしたいのです。
  205. 杉原正

    杉原政府委員 若干長くなると思いますが、構成要件につきましてお話し申し上げたいと思います。  二人以上の運転者が共同してと申しますのは、二人以上の運転者現場において共同して実行行為を行うことを言うと考えております。この場合の共同意思は、事前の共謀によるもののみでなく、現場の共謀も含むというふうに考えております。また、実行行為を共同して行うことの故意の程度は、未必的故意も含まれると解しております。もちろん意思の立証でございますから、犯罪を立件するためには、この共同意思の存在を綿密に立証しなければなりませんのは当然でございます。  また、著しく道路における交通の危険を生じさせる行為と申しますのは、集団で道路いっぱいに広がったり、ジグザグ運転をしたり、急発進をしたり、急停止をしたりということを繰り返しながら通行することによって他の車両等や歩行者との衝突の危険がある、これがきわめて密接した形で危険があるという通行の方法または形態で道路通行する行為を危険行為というぐあいに言っております。  それからもう一つは、著しく他人に迷惑を及ぼす行為でございますが、これは何かということでございます。これは同じく集団が道路いっぱいに広がったり、ジグザグ運転をしたりして他の車両の通行を不可能にする、または他の車両等を前後左右にはさみ込んで通行の自由を奪うなどの通行の方法または形態で通行した場合を言うのでございまして、具体的にはこれらの行為によって道路交通を遮断することになり、著しく交通の円滑に支障を生じさせる場合が最も一般的であるというふうに考えております。
  206. 青山丘

    ○青山委員 これは質疑の中で明らかにしておきたいのですが、暴走族対策であるんだ、あくまで暴走族対策である。法律というのはやがてひとり歩きするようになってまいりますから、この拡大解釈によって——現在われわれの生活の中で一般に二台が連ねて通行する場合も間々ある。ないとは言えません。しかし、これが著しく交通の危険を生じさせるというところにまで解釈をされますと、一般にこれまで進められてきた行事等にまで及ぶようなことになってはいけない。その点について、あくまで暴走族対策であるということでお互い一致しておきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  207. 杉原正

    杉原政府委員 実はこの法案の作成段階におきまして私どもが一番配意をいたしましたのは、そういう祭礼行事でありますとか、デモでありますとか、あるいはいろいろな選挙活動なども行われます。それから家族で数人で車を連ねて旅行する場合もございます。こういうあらゆる形態を考えてみて、またその場合に予想されるあるいは現実にあるあらゆる形態を考えてみて、この規定が適用できるのかというと、これは全部規定が適用できない。そこまで法務省当局等とも確認をしました上で踏み切ったわけでございまして、今後ともこれの運用には慎重を期すことはもちろんでありますが、これが正当な労働運動やらデモやら選挙活動等に使われるということは、今後も絶対にないということを申し上げておきたいと思います。
  208. 青山丘

    ○青山委員 ありがとうございます。次に通産省警察庁にお尋ねしますが、暴走族が暴走行為を行ったり、またはこれを示威するためレーシングカーにあこがれたり、車両を改造して極端に車高を下げていく、あるいはワイドタイヤを装着して車体からタイヤがはみ出しておったり、あるいはスプリングをかたいものに取りかえる等して夜間暴走をしていると聞いております。このような車の改造は道路運送車両法の保安基準違反することにもなるし、重大事故につながるほか、一般青少年運転者の好奇心をあおり、暴走行為を誘発することになるから、本人に対しては道交法第六十二条、いわゆる整備不良車両の運転禁止違反ということで取り締まり、または整備通告によって是正措置をとってきたと思うのですが、しかし、これらの違反は一向にどうも減少していないようです。むしろますます流行の兆しがあるようであります。  そこで、自動車用品販売店、いわゆるカーショップであるとかタイヤ業者が簡単に品物の販売や取りつけをして、車両の改造を行って暴走行為を助長しているのが実情であるようですが、これらに対する行政指導はどのようにされておりますか、伺いたいと思います。
  209. 浜岡平一

    ○浜岡説明員 お答え申し上げます。  先生いま御指摘の問題につきましては、まず不正改造の段階の問題があろうかと思うわけでございますが、これにつきましては、すでに従来から運輸省等の方で整備業者等に対しまして強力な指導を行っておられると承知いたしております。同時に、やはり改造に使われる用品、部品の生産、流通段階の問題があるわけでございます。ただ大変むずかしい問題は、特定の用途あるいは特定の場所におきましてはそういう用品、部品等が使われることが合法的であるというような状況でございますものですから、つくられたもの、あるいは売られたものが不正な用途に流れないように、関係業界の姿勢を正すということが基本であろうかというぐあいに考えております。そんな見地から、昭和五十一年の九月に完成車メーカー、部品メーカー、用品メーカーあるいは部品や用品の卸、地方卸等の諸団体合計十二団体に対しまして、こういう用品あるいは部品が不正な改造に使われるために流れていかないように、業界内の自粛を促すよう通達を出した次第でございます。関係団体におきましては傘下メンバーに対しまして周知徹底を図っておりますし、たとえば全国自動車用品工業会では不正用途への流用を防ぐための講習会というようなものも開催をいたしておりますが、さらに今後ともこういう業界内の自粛体制を徹底し、繰り返して実施をしていくように指導してまいりたいと考えておるわけでございます。
  210. 青山丘

    ○青山委員 先般警視庁が修理工場の摘発を行ったようですが、実態はどのようになっていますか。また運輸省にお尋ねしますが、そのような修理工場に対する指導はどのように進められておりますか。
  211. 杉原正

    杉原政府委員 この二十日に警視庁で、暴走族が使用しました車両について不正改造を行いました悪質な関係業者の刑事責任を追及するために、カーショップとかタイヤ業者等八業者について道路運送車両法、道路交通法、業務上過失致死傷害容疑で捜査を今日進めております。昨年こういういわゆる整備不良車両の改造に情を知って手をかした業者について三十九業者やっておるわけでございますが、この問題については、暴走族を防止する片方の手だてでございますので、今後全国的にもこういう面についての捜査徹底をいたしたいというふうに思っております。
  212. 中村四郎

    中村政府委員 運輸省としましては、自動車の運行におきますところの保安の確保を図るという目的のために、自動車分解整備事業の認証制という制度をとっております。そこで、認証工場に対しましては、車両法に基づきまして立入監査をやる、そういう監督のほかに、検査主任者の研修というものを通じまして不正改造の防止ということについては強く指導をしておるわけでございます。また、不正行為が行われた整備事業者に対しては、事業の停止、取り消し、そういった厳重な処分を行っておるわけであります。  今回、警察当局の取り締まりによりまして摘発された工場は無認証工場であるわけでありまして、認証を受けないで整備あるいは改造を行っている事業者に対しましては、私ども、整備業界等からの情報を入手いたしまして、関係取り締まり当局との連携を密にした上で街頭検査を行って、そういたしまして無認証工場というのを絶滅していく、こういう考えでございまして、こういった違法行為を防止するために今後とも徹底させてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  213. 青山丘

    ○青山委員 ぜひひとつ無認証工場の絶滅に努力していただきたいと思います。  時間がありませんので、先に進みます。  高速自動車国道等において、通行している自動車がスペアタイヤを落として交通死亡事故を起こしたり、積載している鋼材を転落させて数時間にわたって交通を麻痺させたり、いわゆる積載物の転落を原因として交通に危険を生じさせ、また他人に迷惑を及ぼす事故件数が後を絶たないようであります。  高速自動車国道等における積載物の飛散落下等は大変危険でありますが、そこでこの際、貨物自動車等について構造的にこれを防止する方法を考えるべきだと思うのですが、運輸省いかがでしょう。  また、落下物は重大事故につながってまいりますので、落下しているものの清掃または除去についてはどのように行っておられるのか、公団にお答えをいただきたいと思います。
  214. 犬丸令門

    ○犬丸(令)政府委員 高速道路において積載物の飛散落下の防止につきましては、運転者が必要な措置を講ずるように道路交通法で規定されておるところでございますけれども、自動車運送事業者の乗務員につきましては、事業者において、荷物の保護という観点から積み荷が落下することのないような適切な運転を行うよう指導を行っておるところでございます。そして、トラック等におきまして、積載物の保護、落下防止という見地から申しますと、従来からほろ型荷台のもの、もしくはバン型車両、これが使用され、だんだん普及してきておるところでございますけれども、これらにつきまして、今後さらに普及に努めてまいりたいと思います。  それから、御指摘のございました高速道路上に予備タイヤ等落下する、それが事故につながっていくという問題でございますが、こういったケースも間々ございますので、この件につきましては、関係団体を通じまして自動車の使用者に対しまして予備タイヤ保持装置、これは車両の中で予備タイヤを積んでおく装置があるわけでございますが、その予備タイヤの保持装置の点検を一層充実させますとともに、保持装置をさらに確実に、操作しやすいものとするような性能基準を決めまして、これに適合した自動車を出荷するよう自動車メーカー等に対して指示したところでございます。これは本年の二月に関係業界に指示いたしまして、現在その徹底を図っておるところでございます。
  215. 平野和男

    ○平野参考人 お答えをいたします。  高速道路の落下物の処理についてお尋ねでございますが、道路公団といたしましていろいろな方法でこの排除をやっております。  まず一番目には、定期的な路面清掃、落下物の排除等の作業を毎日、これは交通量に応じて一回ないし二回行っております。  それから二番目に、交通管理のための交通管理隊というものがございますが、これが一日に十回以上道路を巡回パトロールをいたしております。これらが落下物を発見した場合は、その都度排除するということ。  それから三番目には、通行車両から非常電話等で通報がございます。さらには、東名高速道路等においては国鉄バスが二十分置きに通っておりますが、これからも通報がございます。さらに、警察の方もパトロールをやっていただいておりますが、これからも通報がございますので、通報があった場合には直ちに現場に急行をして処理をするというような方法で排除をいたしております。
  216. 青山丘

    ○青山委員 高速自動車国道等におきまして、故障が起きて駐停車しなければならないようなときに、これは確かに路肩や路側帯に移動させることは当然でありますが、しかし路肩部分が狭いために車体の一部が本線上にほとんどはみ出しておる、こういう例が多いと聞いております。そのことが非常に危険だと思うのですが、道路建設の際はそういう面も考慮してつくられていると思うのですが、設計段階においてその点の考慮はどのようにされておるのか、建設省お聞かせ願いたいと思います。
  217. 渡辺修自

    渡辺説明員 お答えいたします。  路肩の機能といたしましては、ただいまお話のございましたような非常駐車のスペースという機能はもちろんございますが、走りますときのいわゆる安全な走行に必要な側方余裕という機能と、それから構造的に、道路の車道の舗装等を横の方から押さえて守るというような機能もあるわけでございます。  そこで、交通量の多い区間につきましては、道路構造令というようなものもございまして、一般に二メーター五十以上の路肩を設けることを原則にしておりますので、これは非常駐車の際にも問題がないわけでございます。ただ、交通量の少ない区間につきましては、この走行上必要な横方向の余裕という意味で一メーター二十五というようなものが構造令で決まっておりますが、これが御指摘のようにはみ出るということになろうかと思います。そういう際は適当な間隔に非常駐車帯を設けることといたしております。
  218. 青山丘

    ○青山委員 今度の罰則規定で、路肩に車をとめた場合は適用されないけれども、たとえば首都高速のように路肩のない道路で故障が起きた場合は、この罰則規定の適用を受けるんですね。したがって、そうなってくると、路肩あるいは路側帯へ移動させることが困難な道路においてこの罰則規定の適用があることに若干疑問を感ずるのですが、これは道路構造上に問題があるわけで、ある意味では片手落ちではないかと思うのですが、いかがでしょう。
  219. 小阪祐義

    ○小阪説明員 お答え申し上げます。  都市高速道路の場合は、御承知のように、都市の中で建設するという特殊な事情がございますので、路肩が非常に狭いのが実情でございます。事故等が発生した場合には、直ちに本人が他人に知らせることはもちろんでございますけれども、同時に非常電話等によりまして連絡をいたしまして、早急に排除する必要があろうかと存ずる次第でございます。このため、公団におきましては、約一キロ間隔ぐらいに非常駐車帯、それから五百メートル間隔ぐらいに非常電話を設置いたしまして、早急に排除できるような処置を講じておるところでございます。
  220. 青山丘

    ○青山委員 警察庁どうですか。
  221. 杉原正

    杉原政府委員 基本的には、これからハイウエー時代を迎えて、自分がその道を通るときに、これはほかのエンジントラブルとかなんとか自分の予想しないような形での事故は別として、ガス欠というのはメーターでちゃんとわかる。この道路に入ればこれには路肩がないという場合には、事前の点検義務というのはなおさらドライバーに負荷されるものであるというふうに考えておるわけでございます。
  222. 青山丘

    ○青山委員 しかし、それも必ずしも全部が、たとえば東京の人間ばかりなら首都高速についての認識はありますが、よそから来る場合もありまして、一概には言えないと思うのであります。その辺はその運用に当たっては若干幅を持たせていく面もなければならぬと思うのですね。ぜひひとつ、これは答弁は要りませんが、私の考えとして聞いていただきたいと思うのです。  時間がありませんので急ぎます。事故原因の大半は過労によると言っても言い過ぎではないと思います。自分の大敵である過労の姿がどのようなものか知らないでいて、今日まで安全を保ってきたということでやってきたのだろうと思いますが、しかし、いつ、あるいはあす、自分から事故を引き起こす立場になるかもしれないのです。そこで、過労はこれ以上続けることが危険であるという警戒信号だと思うのですが、運転の過労は、肉体的疲労よりもむしろ精神及び神経の感覚的疲労の積み重ねからくるものだと思うのですが、過労についての認定基準というものはどのようになっておりますか。
  223. 杉原正

    杉原政府委員 先ほどの質問で私、舌足らずでございましたが、私ども今度この高速自動車国道等でのガス欠その他の問題につきましては、単に処罰をするためにこういうものをつくったのではなくて、こういう義務が基本的にありますよ、そうでなければ人さまに非常に迷惑をかけますよということが基本でございますので、特に路肩のないような首都高速などについては、入る以前にわかるような、あらゆる形の広報活動、これは建設省、道路管理者、公団、いろいろお願いしなければいかぬと思いますが、そういう事前の広報対策に、幸い期間もございますので、徹底した広報活動を講じたいというふうに思っております。  それから過労運転の認定基準でございますが、これは過労運転に当たるかどうか、最終的にはどうしても個々のケースについて具体的に認定せざるを得ないわけでございますが、まず認定の判断材料でございますが、一つは、運輸省あるいは労働省から示されております運転時間とか運転距離等の基準がございます。まずこれに合致しているかどうか、これが一番重要な要素として考えなければならない問題であると思います。  これは酔っぱらい運転にたとえて非常に恐縮でございますが、酔っぱらい運転に酒気帯びというのがありまして、酒気帯びの段階から、後は個人差がありますけれども、酔っぱらって正常な運転ができないおそれのある状態になりますと、これは酔っぱらい運転になるわけで、これは個人個人の状態で違ってくるわけでございますが、そこでいわゆる酒気帯びの状態の者が、いわゆる通達といいますか、運輸省とか労働省から示された一つの基準、これにまず合致をしないという段階から一つこの基礎ができてくると思います。  それから先どういう点を判断するかということで申し上げますと、まず多忙な業務を引き続いてずっとやられておったかどうか、それから、たとえば長距離運転などのような場合に交代要員がどういうぐあいになっておったのか、それから時間的に運転は早朝であるか深夜であるかというふうな問題、休憩時間、それから一体その運転した過程で天候がどうであったかというふうな問題、日ごろ運転している自動車であったかそうでなかったかというふうな問題、いままで来た経路というものがいわゆる通常の道だったのかあるいは大変に悪路であったか、渋滞道路であったか、山道であったかというふうな状態、あるいは運転前日までの勤務、休養、あるいは体調がどうであったかというふうな、いろんな要素があるわけでございます。そういう労働条件の要素、時間の要素、気象、天候などの要素、具体的な人の要素、車の要素、道路の要素、こういうもの等を総合的に判断をした上で、これではもう精神的、肉体的に正常な運転ができない状態にあったのだということを個別に判断をするということに相なる、またそのように指導をいたしておるわけでございます。
  224. 青山丘

    ○青山委員 過労とは労働時間で見ていったり、あるいは走行距離で見ていくとか、いろいろあると思うのですが、今回の場合、やはり最高乗務距離というのをある程度地域においては明示する必要があったのではないかとも考えておるわけですが、その点いかがでしょう。また労働時間についてもある程度基準というものを明示していく必要があるのではないかた考えておるのですが、いかがでしょう。
  225. 杉原正

    杉原政府委員 それぞれの監督官庁で示されておるものを重要な判断材料にいたしたいというふうに思っております。
  226. 小粥義朗

    ○小粥説明員 自動車事故に限らず、労働災害一般の傾向としましても、労働時間が長くなると、とかく災害が起きやすいという傾向がございますので、労働基準法では労働時間についての規制をいろいろしているわけでございますが、ただ基準法の規定では、変型労働時間制、つまり一日八時間、週四十八時間というのを、まあ平均して週四十八時間であればいいというような変型制も認められておりますので、ある日によっては極端に長くなるということになりますと災害も起きやすいということもございますので、いわゆる二・九通達によりまして、一日当たりの実作業時間の限度を決めて、それを監督機関を通じて監督指導に当たっておるわけでございます。
  227. 青山丘

    ○青山委員 時間も来ておりますので、最後に二つお尋ねして質問を終わりたいと思います。  まず第一は、過積載違反をして事故を起こした場合、行政処分の対象になると思うのです。これは事故を起こしたとき、運送業者から運輸省に申告がされるなど、特別監査をしてこの業者に対する行政処分をすることになると思うのですが、今回の改正案で、自動車の使用の制限を命ずるという、道交法でもまた網をかぶせていく、したがって自家用以外は、自家用は別にして運送業者は二重の罰則を受けることになってまいりますが、運輸省ではこのような業者に対する対策はどのように指導されるのか。  いま一つは、自動車の使用制限を命令したときに、警察の方で使用者に対して違反自動車の番号標の番号を自動車の前面の見やすい個所に、一定の標章というものを張りつけられるように規定されておりますが、もしこの標章を張ったまま違法にも運転された場合、もちろんこの運転者には罰則が適用されますが、違法にも運転された場合には、警察の標章そのものが今度は保安基準違反行為になっていくのではないか、道交法施行までにこの問題をひとつ精査して、保安基準について改正するなり何らかの措置が必要ではないかと思うのですが、いかがでしょう。
  228. 中村四郎

    中村政府委員 第一の点につきましては、私ども、自動車運送事業の適正運営を確保するという見地から、現在の道交法の規定によりまして警察当局から過積載等の通知があった場合に、この通知を受けまして事業者に対する指導、警告を行っております。またその場合におきまして、悪質であるような場合には事業監査を行いまして道路運送法の規定に基づいて事業の適正運営、輸送の安全を図るという見地から措置をとっておるわけでございます。  それから使用制限違反自動車の標章の貼付について保安基準改正との関係のお尋ねがございましたが、現在の保安基準におきまして前面ガラス、運転者席の側面ガラスには所定のもの以外の標識、ポスターが張りつけられてあってはならないとされておるわけでありますが、今回の改正法案によります標章にかかわる総理府令の内容、それからそれの執行等につきましてよく警察当局と相談いたしまして、検討の上必要な措置をとりたいというふうに考えております。
  229. 青山丘

    ○青山委員 質問を終わります。
  230. 木村武千代

    ○木村委員長 安藤巖君。
  231. 安藤巖

    ○安藤委員 私は、今回の道交法改正の問題につきまして、交通安全の趣旨で改正をされるわけですが、その前提条件の確立の問題について二、三お尋ねをしたいと思います。  今回の法改正は、身体障害者保護とか、あるいは自転車運転者の安全の確保あるいは自動二輪車の運転者の遵守事項等へそれからさらにいまもちょっとお話がございましたが、使用者が過積み運転させた場合、あるいはこれはこれから私がお尋ねする問題ですが、過労運転させた場合の車両の使用制限あるいはそれに対する罰則等々、評価できるところもあると思います。  ところが、いま最初に申し上げましたように、交通事故防止のためのもっと基本的な問題がちょっと欠けているのではないかと思いますのでお尋ねしたいのは、ハイタク業者の関係です。ハイタク事業で働いている労働者の人たちが長時間労働によって相当過酷な過労運転をさせられているということもいろいろな事故につながるのではないかという懸念がありますので、お尋ねしたいのです。  まず運輸省にお尋ねしたいのは、昨年の五月のタクシーの運賃値上げの際に運輸省の方が各陸運事務所を通じまして、そのときは大阪、兵庫、京都に査察ということをおやりになったということを聞いておりますけれども、その結果どういうような問題が出てきたのかということをまずお尋ねしたいと思います。
  232. 中村四郎

    中村政府委員 昨年六大都市のタクシー運賃の改定がございました際に、いま先生申されましたような、大阪、京都、兵庫地域においてタクシー事業者に対する査察を行ったわけでありますが、その場合におきまして違反の内容を見てみますと、事業計画の違反とか事業区域の違反、あるいは乗務距離の最高限度、新人運転者指導、地理、接客態度の指導、こういったことの違反のほかに、過労防止等違反というものがございまして、この査察によりますと、非常にシェアが高い。申し上げてみますと、大阪におきましては四二・三%、京都一九・六%、兵庫六八・七%というような状態であったわけでございます。
  233. 安藤巖

    ○安藤委員 いまの都会のほかにこういう監査あるいは査察というものはおやりになってみえないのですか。おやりになってみえておれば、たとえば東京、神奈川というようなところですね、その結果をお知らせいただきたいと思います。
  234. 中村四郎

    中村政府委員 いま申し上げた地域以外に私ども全国的に監査を行っておるわけでありますが、特に東京、神奈川、愛知について申し上げますと、これは私どもからの監査とそれから事業者の出頭を求めた上の調査を合わせて見てみますが、これによりますれば、いまのような項目の中で過労防止等違反の件数は東京が二四・九%、神奈川が二八・五%、愛知におきましてはゼロというようなシェアになっておる状況でございます。
  235. 安藤巖

    ○安藤委員 そこでいまお話しになった過労防止等違反関係の率は、ほかに事業計画の変更違反等もおっしゃったのですが、ほかの違反と比べると一番高いわけですね。私がいただいた資料によると、東京も大阪も京都も兵庫も高い。神奈川だけが第二位ですけれども、やはり先ほどおっしゃった数字で一六・五%という、第二位を占めている。相当高率な状態になっております。だから、この関係についてそういう結果が出たんで、どういうような対策あるいは指導監督等々をしておられるか、お尋ねしたいと思います。
  236. 中村四郎

    中村政府委員 ただいまのような状況でございますので、私どもとしましてはこのタクシー事業者の過労運転、長時間労働などの問題は、安全運行と旅客サービスという面におきまして強いかかわりを持っておりますので、重大な関心を抱いております。そこで運輸規則におきまして、乗務員の勤務時間、乗務時間を定めることというような条項を義務づけておりますし、これにつきましては労働関係法令と密接な関係を持っておりますので、いまのような適時監査の結果の違反につきましては道路運送法令に基づいて処分を行っておりますし、労働省に対しましてはすでに相互通報制度というものが確立されておりますので、労働基準監督機関と連携いたしまして、こういった労働時間等の遵守の確保に努めておるところでございます。
  237. 安藤巖

    ○安藤委員 いろいろ御努力はしておられるような御答弁でございますけれども、これはもっときっちりふんどしを締めてかかっていただきたいと思うわけです。というのは、昨年の五月二十五日、衆議院の運輸委員会で当時の田村運輸大臣がこういうようにはっきり答弁をしておられるわけなんです。「サービス面においても労働条件の面においても、よほど厳しく改善をしてもらわない限りにおいては私はサインをしない、こう言ってがんばりました。」「何といっても、労働者がゆとりある労働ができるということが、一番本人にもいいことであると同時に安全にも通じることでございますから、そういう点で私どもはこれからも十二分に監督をしてまいります。」というふうに明快に答弁をしておられるわけなんです。いまおっしゃったようないろいろなことをやっていく、それから労働省との関係で労働時間、労働基準法関係だろうと思うのですが、やっていくと言われるのですが、いまおっしゃったようなことではどうも手ぬるいんじゃないかという気がするのです。罰則も適用しておられるということですが、具体的にどういうような罰則を適用しておられるのですか。
  238. 中村四郎

    中村政府委員 私どもとしましては、罰則の適用は現在いたしておりませんで、輸送施設の使用の停止あるいは事業の停止免許の取り消しという行政処分、この中で措置を行っておるわけでございます。
  239. 安藤巖

    ○安藤委員 これは、また後でもまとめてお尋ねをしたいと思うのですが、いま答弁をされた中で労働条件の問題にお触れになりましたので、今度は労働省にお尋ねしたいと思うのですが、まさにこれは労働条件の問題でもあるというふうに思います。  そこで、労働省にお尋ねしたいのは、労働基準法とか、それから労働安全衛生法関係でいろいろ指導される責任と義務があるんじゃないかというふうに思うわけです。そこで労働省は、午前中にも話が出ました二・九通達というのを昭和四十二年に出しておられるわけです。これは「自動車運転者の労働時間等の改善基準について」ということで出しておられるわけです。これはもちろん、無制限に労働時間を長くするというのを規制するという趣旨だと思います。さらには、同じ年の三月七日に、精励給とかあるいは生産手当など刺激的な賃金制度は安全運転を困難にするという趣旨で「賃金体系上留意すべき事項」という通達も御承知のとおり出しておられるわけです。そして、昨年の五月十日には、労働省の基準局長名でハイタクの経営者団体、全乗連の会長あてに「労働条件の改善について」の通達が出されております。こういうふうにいろいろ通達を出しておられたり、あるいは指導もされておられるということはわかるのですが、このハイタク事業の方での労働基準法あるいはいまお尋ねしております二・九通達、これに対する違反の状況というのは一体どういうふうに把握しておられるのか、まずお伺いしたいと思います。
  240. 小粥義朗

    ○小粥説明員 二・九通達の内容としまして、実作業時間の規制とかいろいろやっておりますが、その後、通達に示した基準の違反が即労働基準法違反になるものと、それから基準法の中では具体的に書いてない、したがって、その意味では指導的な基準になるものと、両方ございますので、通達についての違反率という形では数字はまとめてございませんが、タクシー、ハイヤーの事業所について監督をした結果の違反率といいますのは、他の産業の平均に比べますと相当高い違反率が出ているわけでございます。  違反の内容の主たるものは、やはり労働時間でございます。半数以上が労働時間ということで占められているわけでございまして、その次に多い違反事項は、割り増し賃金の支払いでございます。毎年こうしたハイタク業あるいは道路貨物運送業等も含めて監督を行っているわけでございますが、もちろん全部の事業所を一遍に回れるだけの体制がございませんので、計画的にピックアップをして監督をする体制をとっておりますが、他の産業に対する監督実施率よりも二倍以上の密度でこの自動車関係の事業所の監督に当たっているところでございます。
  241. 安藤巖

    ○安藤委員 いま労働時間関係違反とかあるいは割り増し賃金関係違反とかいうものの割合をおっしゃったのですが、それは何年度のものなんですか。とにかく二・九通達というのは昭和四十二年ですね。それ以後十一年たっているわけです。だから、せめてここ数年の、いまの労働時間関係、割り増し賃金関係と、それからもう一つ休日関係もあると思うのですね、それをお示しいただきたいと思います。
  242. 小粥義朗

    ○小粥説明員 お答えいたします。  五十二年の一番新しい数字で申し上げますと、自動車運送業の中の一般乗用旅客運送業における労働時間の違反率が五二・六%という数字が出ております。同様な数字をたとえば四十七年の数字で見てみますと、三千三百四十七の事業所を監督いたしまして、そのうち千七百四十一の事業所で違反がございましたので、違反率としてやはり五〇%を超えるような数字が出ているわけでございます。なお、五十二年度の数字で申し上げますと、割り増し賃金の違反率は二七・五%、休日労働についての違反率は一六・三%という数字がそれぞれ出ております。
  243. 安藤巖

    ○安藤委員 四十七年と五十二年度の労働時間関係違反の率はいまお話しいただいたのですが、その間のが抜けておりますけれども、私の持っておる資料によると、大体よく似た数字だというふうに思います。うなずいておられるのですが、そうしますと、割り増し賃金の方は一応さておいても、労働時間関係での違反率が五〇%を超えている。あるいはそれに非常に近い率ですね。これは、ちっとも変わっていないどころか、かえって五十一年度よりも五十二年度の方がふえているし、四十七年度よりも五十二年度の方が違反率はふえているわけです。ということになりますと、指導監督の方は一体どうなっているのか、やはり手ぬるいんじゃないかというふうに思うのですが、どうですか。
  244. 小粥義朗

    ○小粥説明員 関係の事業所を一斉にやる監督と違いまして、ピックアップをしての監督でございますので、年々の数字としては必ずしも改善を見てない面が数字的にあらわれているのでございますが、たとえば昨年五月全乗連の方に要請をいたしました、労使で自主的に話し合う体制を確立するようにという点について申し上げますと、当然基準法上所定労働時間を超えて残業をする場合三六協定を結ばなければいけないわけでございますが、従来その三六協定が必ずしも適正に結ばれていなかったという実態にあったのですが、五十二年に三六協定の届け出が出ました件数は、前年に比べますと二百件以上余分に増加しておりまして、それ以前はそれほどの増加を見ていなかった傾向からしますと、そうした面でそれなりの浸透が図られてきている。もちろん全面的に全部が大丈夫というわけにはなかなかいかない点もございますけれども、そういうような面でさらに着実に浸透させていきたいと思っておるわけでございます。
  245. 安藤巖

    ○安藤委員 もちろんさらに着実に浸透をしていただきたいのですが、いま私が言いましたような数字、そして御説明いただいたような数字というのはしっかり見詰めていただく必要があると思うのですね、違反率は減ってないのですから。だから、違反率が減っていくというようなことなら、まだ、こうこうこういうふうにやってこういう成果が上がっておりますと、いまここで大きな顔をしておっしゃれるかもわかりませんが、とてもじゃないが、そういうような状態じゃないわけですね。だから、その辺のところをしっかりやっていただきたいと思うのですが、何か具体的にこういうふうにやりたいという妙案は持っておみえにならないのですか。
  246. 小粥義朗

    ○小粥説明員 具体的な妙案ということになりますとなかなかむずかしいわけでございますが、やはり何といいましても、労使それぞれがこの問題について理解を持ち自覚をするという点が基本になろうかと思います。ついては、二・九通達そのものに対する考え方も労使で非常な懸隔が率直に言ってございます。したがって、現行二・九通達を使用者側も守っていくという姿勢をとっていくためには、やはり労使のコンセンサスを得るということが何よりも肝心ではないか。ついては、昨年来ILOでのいろいろな動きもございまして、ことしの六月のILO総会で、路面運送における運転労働者の労働時間等の問題が議題として取り上げられることになっております。それをめぐって、当然国内での労使のコンセンサスというものも得なければいけませんので、そういう機会を通じて、私どもとしてはできるだけ労使の考え方が歩み寄れるような、コンセンサスを得られるような方向に持っていきたいというふうに考えております。
  247. 安藤巖

    ○安藤委員 労使のコンセンサスは私も大歓迎でございますけれども、やはり業界に対する労働省の方からのもっと厳しい態度というのが必要ではないかというふうに思うわけです。  もう一つ、そういうことを促す意味で具体的な事例を申し上げますと、昨年の十月十四日に岐阜県で災害医学会議というのが開かれまして、そこで国鉄中央病院の顧問の千葉保之という人が運転中の脳卒中ということで特別報告をしておられるのです。その報告によりますと、東京における八年間の運転中の急死、ハンドルを握っておって死亡するという事故ですが、これは百三十七人。そのうちの四〇%が職業運転手だというのです。しかも、四〇%のうち二〇%はハイタク労働者、一七%はトラックの労働者となっているという非常にショッキングな報告がなされておるわけなんです。これは、やはりいろいろ指導はされておられるのでしょうが、ノルマに追われ、神経をすり減らす労働環境に置かれているということのためにこういうような急性死がふえている、こういうような数字になっているというふうに思うわけです。だから、こういう点からいっても、一層監督指導を強めていただきたい、もっと厳しい態度をとっていただく必要があるのではないかというふうに思うわけです。  そこで、先ほどお話が出ました、最初に私も申し上げましたけれども、昨年の五月十日の通達によりますと、労働省の労働基準局長あてに報告をしてほしいということになっておるというふうに聞いておるのですが、その報告はもちろん受けておられると思うのですが、報告の集まりぐあい、それからその報告の内容は一体どういうふうになっているのか、それに対してどういうような指導監督をしておられるのか、お伺いをいたします。
  248. 小粥義朗

    ○小粥説明員 労働省基準局長からの要請に対しまして、昨年九月初旬に全乗連会長から報告をいただいたわけでございます。内容は、大別して三点あるわけでございますが、第一点が労使による問題の自主解決について、これは企業と労働組合等との話し合いにより解決する慣行の確立に一層努めるよう指導する。二番目に、労働時間管理については、各県協会において特段の留意を指導している。第三に、累進歩合等については、労働の質、量に対応して賃金が公平になるようさらに検討を加え、労使間の話し合いにより解決に努力するよう各県協会を指導するということでの報告をいただいているわけでございます。  以上の三点、いずれも従来の二・九通達の中にも関連事項が盛り込まれている内容でございますので、かねてから私どもとしては、都道府県の労働基準局なり監督署を通じてそれぞれの事業所に対する監督指導に当たっている内容でございますので、そうした面は、さらに業界としてもこういう姿勢をとっていただく以上、私どもとしても引き続き強く指導してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  249. 安藤巖

    ○安藤委員 いまの答弁を伺いますと、答弁の内容のような報告があったので、その前から問題とされていた点をこれからやっていこうということなので、全乗連の会長さんのおっしゃるとおりにそれをやってもらうように強く望んでおるというような姿勢のようですね。何か任せ切りにしているような気がするのですが、労使の自主的な解決ということになれば、労働者の、あるいは労働組合の役割りというのがここに出てくると思いますので、任せ切りではないというふうにも思いますけれども、やはりその点は、先ほどいろいろ申し上げておりますような点で、労働省の方からも積極的な手を差し伸べて指導監督をしていただきたいというふうに思います。  もともとこういうような実態があり、それから労働省の方からも事業団体の方に要請をしておられるような問題点がある、これが道交法交通安全のことを改正されていろいろおやりになるということなのですが、もとのこういうところから改めていくという必要がやはりあるのではないかということを思っているのです。だから、その点しっかり把握していただきたいというふうに思います。  そこで、私、一つ提案をしたいと思うことがあるのです。先ほど私は、何か妙手はないかというふうに申し上げたのですが、一つ妙手があるのです。  労働安全衛生法では、運送業に関しては百人以上の事業所に安全委員会あるいは衛生委員会あるいは両方合致した安全衛生委員会というのをつくるということになっておるのですが、ハイタク事業においては、同じ運送業の中ですけれども、そういう人員の枠ということではなくて、すべての事業所に安全委員会なりあるいは衛生委員会——私は労働安全衛生委員会の方がいいと思うのですけれども、それを設置するというようなことが必要じゃないか、そういう方向でお考えいただくわけにはまいらぬかということを考えているのですが、いかがでしょうか。
  250. 小粥義朗

    ○小粥説明員 先生御指摘の安全委員会あるいは衛生委員会の設置義務は、ことしの一月一日から、従来百人以上の事業所に設置が義務づけられていたものを一定の業種については規模五十人以上まで広げたわけでございます。その中に道路貨物運送業は入っておりますけれども、ハイヤー、タクシーは入っていないという点が御指摘のとおりあるわけでございます。実は、ことしの一月一日にこの範囲を広げた際の業種を選んだ考え方としては、労働災害の発生率が高いと申しますか、厳密に言いますと、度数率あるいは強度率が産業平均よりも相当大幅に上回っているものという基準でもって対象を選定しているわけでございます。その中では、道路旅客運送業が必ずしもそういう高い数字になっておりませんでしたので、一月一日の改正では入っていないわけでございますが、ただ、そういう労働災害がやはり長時間労働の中からいろいろ生まれてくるということになりますと、法律上の義務づけは別として、こうした安全委員会あるいは衛生委員会的なものを各事業所につくってやっていただくことが好ましいことはもとよりでございますので、当面の指導としては、この新しく広げた範囲についての設置について監督指導を重点的にやっていくことにしておりますが、あわせて、そういう他の業種についても必要なものは今後指導の余地が大いにあるのじゃないかということで、その点は検討してまいりたいと思います。
  251. 安藤巖

    ○安藤委員 指導の余地があるから検討していただきたいと思うのですが、やはり私がいま申し上げましたように、これは交通安全に資するための妙案の一つだと私も自負しておりますので、前向きに検討というよりも、近いうちにそういうものが実現できるような具体的な行政指導ということでまず結構ですけれども、やっていただきたいということを強く要望しておきます。  それからいまいろいろ申し上げましたのは交通安全の関係なんですが、ここで警察庁、大臣・公安委員長お見えになっておりますのでお尋ねしたいと思うのですけれども、いろいろいま申し上げて御答弁もいただいておるわけなんですが、警察の方はもちろん交通事故を取り締まるというのは必要なことです。それからいろいろ予防のための取り締まりというのもあると思うのですね。それは非常に結構なことですから大いにやっていただく必要があると思うのですが、いままで申し上げておりますようなもとのところで、警察庁としてもあるいは公安委員会としてもいろいろ物を言っていただく必要があるのではないかというふうに思うのです。先ほどのお話でも労働省に、これは運輸省との関係ですか、相互通報制度があるというような話も聞きました。それから前には、警察庁と運輸省あるいは労働省、この三者が過労運転の問題も含めて道路交通安全の問題についていろいろ協議するという機会なり、場なりがあったように思うのですが、その場から警察の方が何か抜けてしまったというふうな話も聞いているのですけれども、何かそういう場をつくって、そういう場でいま申し上げましたようなことについても直接警察庁なり公安委員会が事業者の団体なり事業者に向かって、そういう労働条件の問題だとか割り増し賃金の問題とかについて物を申すというのは困難だと思います。しかし、そういう三省庁が集まったところでそういう問題もどうかという点について発言をしていただくということも必要じゃないかと思うのですね。だから、そういう場をつくって、そういうところでそういう発言をするという点についてお伺いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  252. 加藤武徳

    加藤国務大臣 警察は単に取り締まりを行うだけではございませんで、交通事故防止のためにも絶えざる指導が必要でありますことは御指摘のとおりでございます。  そこで、たとえば先ほど来御意見のございました過労の場合を考えてみましても、果たして三百六十キロ走っておれば直ちに過労か、かような問題等もあるのでございまして、関係省庁関係するところが非常に多いのでございますから、私は、いま関係省庁の集まっておりまする場があるかどうかのことについてはつまびらかではございませんけれども、仮に場がないといたしましても、緊密な連携を保っていかなければならぬ、かように思いますし、理想的には、場を持ちましてお互いが意見を出し合いまして、そして交通事故の防止に各省庁が手を取り合っての努力が要る、かような感じを強く持っておりますので、よく検討いたしてみたいし、関係省庁と協議をいたしてみたい、かように考えます。
  253. 安藤巖

    ○安藤委員 いま大臣の方からやや前向きの御答弁をいただきましたけれども、いまの制度というか、事実上やっておられることは、何か事故がある、あるいは違反があるという場合に、事故があれば、あるいは違反でもそうですけれども、警察の方が先にキャッチをする、そしてそのキャッチをした事実を運輸省に通知をするという報告というのは行われているという話は聞いているのです。それから、先ほどもちょっとお話がありましたが、労働省、運輸省の間に相互の通報制度というのがあるのは聞いているのですが、やはりそんなのじゃなくて、それでは具体的に事故があった、違反があった、当該の車の持ち主に対してはいろいろな指導とか何かできるかもしれません。しかし取り締まりにぶつからないで、違反をチェックされないで走っている車もあるかもしれません。それは野放しで走っているということになるのです。そうなると、まさに凶器ということになりますね。だから、そういうこともきちっと対策が立てられるというようなことで、いま私が申し上げましたそういう場というものがやはり必要ではないかと思うのです。  そこで、都道府県交通安全対策会議というのがあるということも伺っているわけでありますけれども、これも機能したら、相当な役割りを果たしたら、あるいは発言権を持ったら相当な効果を上げることができるんじゃないかと思うのですが、これをさらに充実するというようなことはお考えになってみえないでしょうか。
  254. 加藤武徳

    加藤国務大臣 今回の法改正によりまして、関係省庁の連絡をさらに密にしなければならぬことを痛感いたします。  そこで、具体的に都道府県の交通安全会議の御指摘がございましたが、県によりましていろいろ安全会議の持ち方が違っておりまして、私も地方行政を担当しておりました当時、しばしば交通安全会議を開きまして、その場が有効に活用された、かような記憶がございますので、地方におきましてはさような会議の場を十分に生かしてまいる方法もございましょうし、それから中央におきましても関係省庁が絶えず連携をとってまいる、かようにいたしたいと思います。
  255. 安藤巖

    ○安藤委員 最後に一つですが、これは労働省と運輸省にお尋ねしたいのです。  いま大臣の方から前向きのお話を伺ったのですが、やはり労働省、運輸省の方もそれに応ずるということでないと、これはなかなかむずかしいんじゃないかと思うのですね。だから、いまお尋ねした点について労働省と運輸省の見解を伺いたい。  これで質問は終わります。
  256. 小粥義朗

    ○小粥説明員 私どもも交通事故の防止のため、特に労働条件面と、あと事業規制面と連係動作というものが必要だと痛感しておりますので、そうした場があれば積極的に参加をしたいと考えております。それで、関係各省庁とも十分協議をした上で臨みたいと思っております。
  257. 中村四郎

    中村政府委員 交通安全を確保する上から、私ども、先ほどのお尋ねの件については、労働省と相互通報制度をとっておりますが、今後とも各省庁と緊密な連絡をとって努力したいと思います。  また、先ほどの共通の場の問題につきましても、われわれとしてもこれに加わって努力していきたい、かように思います。
  258. 安藤巖

    ○安藤委員 これで終わります。
  259. 木村武千代

    ○木村委員長 伊藤公介君。
  260. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 私は、道交法の一部改正をする法律案について大事なポイントをお尋ねしていきたいと思いますが、たまたま私、きょうは外務委員会がございまして質問がありましたので、前の方の御質問を一貫して聞くわけにいかなかったという関係もありまして、多少重複している点がありましたら、確認をするという意味でひとつお受けとめをいただきたいと存じます。  まず第一に、今度の道交法改正で身障者の通行保護する規定というものがいろいろな角度から考えられているわけでございますけれども、いままでは体の不自由な方が通行する場合には白いつえをつかれて通行された。今度は盲導犬を連れて道路通行することができる、こういう規定になっているわけでありますが、まあ世の中に犬を連れて歩いている人はごまんといるわけでございまして、これが盲導犬だということが明確にわかる必要がまずあると思うのですね。そうしませんと、もっと危険な状況になるということですから、その辺はどのようにお考えになっていらっしゃるか、まずお尋ねをいたします。
  261. 杉原正

    杉原政府委員 盲導犬につきましては、胴輪というんですが、胴にハーネスと、こういうんだそうでございますが、これをつけることになっております。これは様式をきちっと総理府令で決めるつもりでございますが、同時に普通の犬には決められた胴輪またはこれに類する胴輪類をつけてはならないということにしたいと思っております。それで、この識別を容易にするために反射テープも夜間の視認性を高める上に効果がありますので、ハーネスについても反射テープを使用する方向で検討しております。
  262. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 同じ、似通ったものをつけてはならないということはよくわかるわけでありますが、しかしかなり類似したものあるいは、私もこの間ちょっと御説明を受けたわけでありますが、似たようなもので犬を引っ張っているケースも現実にあるわけですね。そういうものをきちっと周知徹底をしていく必要があると思うのです。短期間のうちに理解をしてもらえるような形で全国にそうした趣旨を徹底しなければならないと思うわけでありますが、そういう点についてはどのようにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
  263. 杉原正

    杉原政府委員 これは、いま犬についていろいろな各種団体等もございます。それから保健所等もございますし、自治体もございます。幸いにこの施行までにかなりの期間がございますので、いろいろな形を通じてこれを周知徹底させたいというふうに思っております。
  264. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 周知徹底するということは非常に大事だと思いますから、たまたま見分けができないということがないようにひとつ十分な御配慮をいただきたいと思います。  それから、自転車通行に関しましても、いろいろな改正がされたり、いろいろな角度から検討されているわけであります。自転車通行帯ということの配慮ももちろん大事でありますけれども、現実に、たとえば東京都内をわれわれが歩いても、自転車もそうですし、道路歩道がないですね。ですから車道を歩いている、あるいは車道を自転車で渡っていく、あるいは自転車に乗っているというケースがまだずいぶんあるわけですね。いま全国的に、といってもいろいろあるでしょうけれども、東京の例でも結構でありますし、あるいはどこの例でも結構でありますから、実際に全体の道路の中でどのくらいのパーセント歩道が設けられているのか、どういう掌握をされているかお尋ねをいたしたいと思います。
  265. 渡辺修自

    渡辺説明員 歩道の整備状況でございますが、現在わが国道路の中の幹線でございます国道と県道で約十六万キロほどあるわけでございますが、歩道を持っております道路の延長が四万六千四百キロメートルでございます。したがいまして、道路の全延長に対しましてはまだ非常に低い率でございますけれども、五年前に比べますと最近はかなり整備をされてきておる状況でございます。
  266. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 それでは、その歩道の中で、現状で自転車道が整備をされているのはどのくらいのパーセントになりますか。
  267. 渡辺修自

    渡辺説明員 ただいまの御質問は、いわゆる自転車道と歩道が構造的に分離されておるものというふうに解釈いたしますと、いまのところ歩道と別々に構造的に分離されております自転車道は約六百キロということになっております。
  268. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 いま大都市において、歩道の上に白い線を引いて自転車専用の道路というような形で区分をされているケースを見受けるわけでありますけれども、そのもとになる歩道そのものが整備されていないで、車が走っている車道を歩かなければ通行できないという道路はまだ非常に多いわけであります。問題は、それを解決しなければ、自転車道というものも当然並行してできないわけでありますから、歩道——つい先日も狛江市で小学生がダンプカーにひかれた。それも、お母さんの後をついていった子供が、歩道がないために車道をお母さんの後を走ってついていったわけです。お母さんはカーブを曲がっていってしまった。その後をついていった子供がちょうどカーブを曲がってきたダンプカーに引き込まれて即死したということがわずか十日ほど前にあったわけです。ことしは、交通安全週間と言いながら、むしろ交通安全週間の間に死亡事故がふえるという非常に残念な結果にもなっているわけでありますけれども、こうした道路交通法改正に相まって、自転車道、あるいはそのもとになる歩道というものをきちっと分離していくという対策にぜひ全力を挙げていただきたい。強く要望しておきたいと思います。  いまちょっと申し上げた狛江市の例で申し上げますと、全体の道路の中で歩道が設けられているのはわずかに八・九%だそうでございます。歩道が設けられていない車道、車と一緒に歩かなければ通行できないという道路が非常に多い、こういう町もあるわけでございますから、ぜひひとつ全般的な調査をすると同時に、こうした対策を全力を挙げてやっていただきたいということを強く要望申し上げておきたいと思います。  それから、従来から問題になっておりました青空駐車の件です。今度のこの改正で見ますと、第百八条の三「道路運送車両法第五十八条第一項、自動車損害賠償保障法第五条又は自動車の保管場所の確保等に関する法律第五条第一項若しくは第二項の規定は、」こうありますけれども、この「第五条又は自動車の保管場所の確保等に関する法律」、これは法改正に関して非常に重要な問題だと私は思っているわけであります。自動車の保管場所の確保等に関する法律第五条は「何人も、道路上の場所を自動車の保管場所として使用してはならない。」という条文でありますけれども、これは「自動車道路上の同一の場所に引き続き十二時間以上駐車することとなるような行為」あるいは夜間においては「八時間以上駐車することとなるような行為」、この条文が対象になるわけでございます。そうしますと、いままでのように青空駐車をしていますと、今度は非常に厳しい規制になるわけですね。これは、よく私どもがタクシーに乗せていただいてタクシーの運転手さんからお話を伺っても、まず道路上で違法駐車しているのを撤去してください、それが交通渋滞ともかかわり合いが非常に強いし、事故にも関係していて、この違法駐車を何とかしてほしいという声はかねてから聞いていたわけでありますから、こうした違法駐車に対して非常に厳しくしていくということには私も賛成でございます。しかし、昨年以来私ども交通問題特別委員会でもずいぶん議論をしてまいりました駅前の自転車の駐車場等を含めまして、駅周辺にサラリーマンの方たちが自転車に乗ってこられて、その辺に違法駐車をしておいて、放置して勤めに行ってしまう、それがもう五百台、千台という駅がずいぶんあるわけですから、そういうものをもっと規制をしなければならない。しかし、規制をするだけではこれは現実的な対処でないわけでありまして、規制をすると同時に、規制をする前提には自転車の駐車場をどうするか、こういう問題にもわれわれは前向きに努力してきたわけでございますけれども、今度の青空駐車を厳しく取り締まる上にはそれなりの対策を立てていかなければいけないと思うのですね。  特に、東京都内には高層の住宅が非常にふえてまいりました。この高層住宅の中で非常に問題が起きてまいりました。火災が起きたときに消防車が入らなければいけない、あるいは救急車が高層住宅、公団住宅の中に入っていくというときにも、違法駐車があってなかなか入れないというケースがずいぶんあるわけであります。これも、高層住宅、日本住宅公団を初めこれからこうした住宅をつくる場合、一方ではこういう道路交通法改正等によって非常に厳しく違法駐車というようなものを取り締まるわけですから、それに対する駐車場の確保ということは当然考えていかなければいけないと私は思うのです。  警察庁の方、いらっしゃると思いますが、今度の道路交通法改正に当たっては、こうした高層住宅における駐車場確保の問題は、どのように考えて今度のいま申し上げた条文改正に臨まれたのか、まずお尋ねをいたしたいと思います。
  269. 杉原正

    杉原政府委員 御説明がありましたように、車の保管場所の問題、これは最近これだけふえてきましたドライバーというものを考えます際に、ドライバーのほとんどが車を持つ世の中でございますが、そのドライバーというのは、車を所有している場合に単に上手な運転ができればいいということではなくて、やはりドライバーは車を持つ以上は車を所有することの社会的責任というものを自覚してもらわなければならない。それには、車を持つ場合には保管場所、必ずしも車庫である必要はありませんけれども、保管場所を持たないで車を持つあるいは最初一月ぐらいの届け出をして、それで後は知らぬ顔をして道路に放置しておくというようなことでは、本当のドライバーといいますか、所有者の社会的責任を果たしたことにはならない。やはりまじめな人は、本当にわずかな庭を、ネコの額のような庭でもつぶして車庫をつくっている、そういうまじめな人がいるかと思うと、片方では非常にずぼらを決め込んでやっているということでは、やはり本当の交通秩序というものは確保できない。  ただ、そうは申しましても、先ほど御指摘のありましたように、高層住宅等におきましては現実に入居のときにいろいろ整備をしなければならないものであると思いますが、現実には入居されてから車を持たれるというような人も非常に多い実態があるわけでございます。これは東京、各都市でやっておりますが、警察実態を見まして——警察は取り締まるだけが能ではありません、そういうことができるだけ早く解消できるように自治体なりあるいは公団なり、そういうところに警察から、こういう実態がある、これではどうしても保管場所法違反でやらざるを得ないから、何とか用地を確保してもらいたいということを強く申し入れをしておりまして、現実に警視庁あたりで去年三千件ぐらいそういう形で確保してもらっているという実態もあるわけでございます。これからもこの法律施行と並行して、そういう保管場所の確保というものが図れるような施策を促進していただくように努力していきたいというふうに思っております。
  270. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 具体的にお尋ねしますが、公団に住んでいる方が、いま申し上げたようなこういう条文の中で夜間八時間以上違法駐車した場合、今度の法改正ではどういう処罰を受けますか。
  271. 杉原正

    杉原政府委員 これはいまカテゴリーが三つありまして、一つは本当に年じゅう道路を車庫がわりに使う、これは罰則は三月以下の懲役ということになっております。それからあとの二つはいわゆる時間継続駐車でございまして、昼間十二時間、夜間は八時間、これは罰則は三万円以下、こういうことになっております。これは現在でもかなりの違反処理をやっております。  現在はこれだけでございますが、今度の法改正になりますと、そういう違反行為については点数の対象になる、行政処分の対象になる。一発で取り消しとか停止になるということではなくて、いまの駐車違反というものがありまして、いまの駐車違反は点数に入っておるわけでございますから、そういうものとの比較考量で点数制度の中に繰り込まれるということになると考えます。
  272. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 いま公団住宅に入っている方々で車を持っている方がいらっしゃいますね。その車を持っている方々の駐車場はどのくらいのパーセントを確保されているか御存じですか。
  273. 杉原正

    杉原政府委員 正確なものをいまちょっと手元に持っておりません。
  274. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 私は細かな数字をいろいろ云々するつもりはありませんけれども、日本住宅公団が、あるいは政府もいろいろな援助をしながら高層住宅をいま次々とつくっていますね。東京の中では多摩ニュータウンあるいは高島平の団地、あるいは千葉ニュータウン、千里ニュータウン、日本の各地域で四十万、五十万という日本の六大都市にも匹敵するようなニュータウンづくりをやっているのですね。高層住宅を政府も一生懸命推進をしてつくっている半面で、その駐車場すら十分確保していないという状況でこうした規制だけが行われている、これは私は、もっと前提がなければいけないと思うのです。いま数字が幾らというお尋ねをしましたけれども、いま高層住宅に現実に入っている人たちがどういう状況の中で入居されているかということを、あるいは多くの人たちがいまどういう駐車の状況にあるかということを認識をしてこういう規制をしていくという配慮をしてほしいと私は思うのですよ。今度道交法改正されますと非常に厳しくなってきます。いまお話がありましたけれども、従来違法駐車をしている、青空駐車をしている方々の中には二通りの方たちがいると思うのです。いまお話しのように、きわめてずぼらで、努力をすればできるのにずぼらで違法駐車をしている人たちもいる。しかし、駐車をすることすらできないという状況の中で入居しているという人たちも現実にいるわけですよ。ですから、それはどこか遠くにして歩けばいいじゃないかと言えば、それは確かにおっしゃるとおりです。あるいは高い駐車料を払ってやればいいじゃないかということも、それはそれなりの理屈があると思います。しかし、いまの日本の高層住宅に次々と入居していく人たちの平均的なレベル、そういう人たちに対する対策というものが十分立っていかなければいけないと私は思うわけです。  そこで、私はもっと詳しいお話を伺えると思いまして住宅公団からおいでいただいておりますから、具体的に例を挙げてお尋ねをしたいと思うわけでありますが、最も新しい高層住宅がつくられているという意味では、恐らく多摩ニュータウンでしょうけれども、新旧の高層住宅を含めて、いまの高層住宅に入居している方々が実際に使っている車の台数、そしてその方たちの駐車場を確保しているパーセントというものは一体どういう状況にあるのか、お尋ねをしたいと思います。
  275. 澤田光英

    ○澤田参考人 先生御指摘の多摩ニュータウンにつきまして、私はいま資料を持ってございません。したがいまして、やや一般的なことでお答えさせていただきたいと思いますが、近年新しくつくります団地におきましては、大体世帯数の三〇%を基準にいたしまして、地域的には格差がございますけれども、それを運用で三〇%を確保するような駐車場施設というものを設けてございます。これは近年でございますが、過去のものにつきましては、最初は駐車場は非常に少のうございましたので、その問題につきましてはまた別の問題が出てくる。現在私どもで団地を調査をいたしまして、駐車と申しますか、所有する台数の比率は世帯数のおおむね三〇%以下だという資料からそういうことをやっておるわけでございまして、近年、あるいはこれからできるものにつきましては、ある程度大きな問題は起きてこないというふうに思っておりますが、先ほど申しました過去のものにつきましては、いろいろな問題が起きております。多摩は持ってきておりませんけれども、町田山崎団地の実例を持ってきておりますので、これを少し説明をさせていただきますと、町田山崎は四十三年に団地ができました。三千九百二十戸の住宅がございます。そこに現在では八百四十八台の駐車場施設を整備してございます。ただ、それが五十二年現在でいろいろ調査をいたしました結果、先生のおっしゃるいわゆる青空駐車のようなものは三百二十台ございます。したがって、八百四十八と三百二十を足しますと千百六十八ということになりまして、これだけないとなかなかうまくいかない、これの比率が全体のちょうど三〇%になっております。しかし、これは私が申し上げましたように、四十三年ころはまだまだ水準が低かったわけでございまして、こういうふうなギャップが出ておる。最初四十三年には百六十六台分しか駐車場はなかったわけでございますが、その後いろいろと地域の実情に合わせて、管理上問題がなくて駐車場に利用できるところを逐次充実してかような状態になっておるというような問題がございまして、あと足りない分につきましては、既設の団地でございますので処置がない、たとえば緑地を壊すとか、児童遊園を食うとか、そういうことになりますので、自動車を持っておる方と持っておらない方のバランスの問題もございまして、なかなか大きな問題であるというふうに思っております。
  276. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 それではこれから高層住宅をつくっていく場合に、いまのお話では三〇%、私もいま町田市の山崎団地のこの資料をいただきました。大体これからの団地づくりでは、駐車場は何%というのが適当だとお考えになっていらっしゃるのですか。
  277. 澤田光英

    ○澤田参考人 地域によりましても、あるいは団地の大きさによりましても違いますけれども、現在までの調査からいきますと、現時点で大体平均的には所有者が三〇%、かようなことになっております。現時点ではこれでいいかと思いますが、将来に問題がいきますと、ますます所有率がふえるということであれば、これはもう少しふやさなければいけないというふうに思います。  ただ、私どもの住宅供給という立場からいたしますと、この辺が現在の仕組みの限度でございまして、これ以上の問題につきましては、新たな仕組みなり、新たなる対策をしていただくようにお願いをする、かような状況になろうかと思います。
  278. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 私は現状認識がちょっとおかしいと思うのですね。現状でも、いまお話を伺った山崎団地でも三百二十台、これは違法駐車しているのですね。三〇%でいいという認識は私はおかしいと思うのです。これは、ここだけではなしに、もっと古い団地に行けば駐車場がもっと少ないという状況を私も把握しておりますけれども、いま各高層住宅の中にはカークラブなどというのがありまして、近くの農家の方々に駐車場を確保していただいて、自主的に自分たちで何とか違法駐車でなしに駐車場を隣接したところに確保しよう、こういう運動をやっているわけでありますけれども、これは民間の力をかりることももちろん、しかしこれからの高層住宅——民間はそういう企業努力をみんなしているわけですね。たとえばいま川口駅に進出をしているスーパーだとか、大店舗、百貨店などというところは、駐車場を確保しないお店なんというのはいまないわけです。私企業では、みんなそういう新しい時代のお客さんのニーズにこたえてそういういろんな具体的な手を打っている。しかし、いま特に大都市における高層住宅の先陣を切っていられる住宅公団の実態というものは、とにかく高い箱さえつくればいいという考え方ですね。やはり入る方たちは当然駐車場は必要だ。しかも、いま御承知のとおり、これはずいぶん建設委員会でも議論されてまいりましたけれども、住宅公団が新しい時代の要請、いま実際に入居する人たちのニーズというものを無視しているという批判がずいぶんありました。すでにでき上がった四万戸近い高層住宅が空き家になっている。日本の一番新しい団地と言われているニュータウンのあの豊ケ丘なんというところだって、いま全部空き家になっている、あるいは高層住宅は高くて遠くて狭いというようないろんな批判もある。しかも一方では、こうした駐車場の確保もできていない。というわけですから、遠くて、しかも大量輸送が十分最初の約束どおりうまくいってないという地域に関しては、マイカーで通勤をしなければいけないわけですから、当然そうした方々に対する駐車場の確保ということはもっと先行して考えていかなければいけないと私は思うのです。三〇%で現状はこれでいいという現状認識はどうも正しくない、現実にこれだけの違法駐車があるわけですから。私はそう思いますけれども、いかがでしょう。
  279. 澤田光英

    ○澤田参考人 私の三〇%と申しますのは、近年新しくできるものにつきまして三〇%、過去のものにつきましては確かにもう不足しております。それから私どもも、やはり自動車の所有者がどんどんふえていくだろうと思いますから、将来認識としましては三〇%では問題が大きいというふうに感じております。ただ、私どもの住宅供給の機能からいきますと、こういういわゆる公共駐車場のようなものを全面的に取り入れるような仕組みができておりません。したがって、私どもいわゆる財投の中での、限られた枠の中で一生懸命ひねり出してやっておるわけでございまして、その枠の中では、こういう土地を買って駐車場をつくるというのは経営的に非常にむずかしゅうございます。したがって新たな対策を打っていただかないと、これ以上のパーセントの伸びというものはなかなか公団だけではむずかしい、そういうことを申し上げた次第でございます。
  280. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 いまお話しの新たな手を打つということは、具体的にはどういうことでございますか。現状ではできない、何か新たな手を打たなければということは、どういうことですか。
  281. 澤田光英

    ○澤田参考人 それは、極端に申しますと、原価からいたしますと、土地を買って、その原価回収をするような仕組みにいたしますと、これは周りの相場の関係で差が出てまいります。差が出てまいりますと、公団が高い駐車場料金を取るというわけにいきませんので、そこのギャップを何らかの形で埋めていただかないと家賃なりなんなりに影響が及んでくる、かような意味でございます。
  282. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 きょうはここで公団の問題を余り議論してもいけないかと思いますけれども、せっかくいま、何らかの手を打たなければならないということ、そういうお話があったところですから、私も実は公団の家賃値上げの問題を含めて、非常にいま関心のある問題であるわけで、そういう新たな手を打つということは、たとえば家賃値上げという形でやっていかなければならないのか。そうしていかないと駐車場とかそういう新しい時代にこたえられる高層住宅はできないのか。あるいはその利子補給等については、住宅政策という意味から言えば政府がその利子補給をしていくべきだという考え方も当然あると思うのですね。いまどういう御認識を持っていらっしゃいますか。
  283. 澤田光英

    ○澤田参考人 私ども、建設省の行政の中でやっておりますので、私どもの方でどういう政策がというふうなことをちょっと申し上げかねる立場にございますが、いずれにいたしましても、新たに土地を買ってやる場合は、駐車場料金と駐車場の原価の問題は乖離がございますので、それを何らかの施策で埋めていただくというふうなことしか申し上げられないと思います。
  284. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 特に人口が急増しているニュータウンづくり等をしている地域に関しましては、こうした厳しい道路交通法改正の時期でありますから、ぜひひとつ公団等ともよく十分な連絡をとっていただいて、そして法律で一律にやるということはとてもむずかしいと思いますし、またそのことが必ずしも正しくない——正しくないというのはおかしい言い方でありますけれども、多少緩やかに考えてもいい状況というものは当然あろうかと思います。いま駐車場がなければ現実には車は持てないシステムになっているわけですから、現行法を厳しくやって、みんなが現行法を守っていれば、こうした違法駐車などということが存在をすること自身がおかしな話でありますから、これから法的なものをいろいろ構わなくても、現状の法律の中でもこれは双方が十分そのことを認識していればできるわけだ。しかし、現実にはそうではない。それをもう少し機能的にやる意味で、恐らくいま駐車場を持っていない、たとえば二十坪とか三十坪の家をぎりぎりでサラリーマンで共かせぎで買って、そして庭もほとんどない、そこに駐車場をと言ってもなかなか駐車場をつくるという余裕がない。そこで御近所か友人のところか御親戚のところを、車を買うときだけ駐車場をとりあえず貸していただいて、いまはこれは契約は一カ月間でしたか、短い期間だと思いますね、駐車場の契約書を持っていかないと現実には車を買えない。ところが、車を一たん手に入れてしまうと、もうその駐車場は解約をしてしまうかそれきりになってしまうというケースは恐らく非常に多いと思うのです。地域によってはそう厳しくやらなくてもいい状況もあるいはあるのかもしれませんけれども、やはり路上駐車ということが運転する側にすれば非常に危険を伴うことですから、車は当然一年あるいは二年に一度は車検を取らなければいけないわけですから、車検をとるときにまた駐車場を持っているという証明書を伴って車検をとるという制度にしたら、もう少しいまのような野放しの状態でなくて済むのではないかという声がずいぶんあるわけでありますが、こういう点についてはどんなふうにお考えでしょうか。
  285. 杉原正

    杉原政府委員 御指摘実態は非常によくわかるのですが、ただ保管場所法ができましたのは昭和三十七年でございまして、今日十五年たってきておるわけでございます。やはりそういう車庫がわりに道路に放置されているということの、逆に住民からの何とかしてほしいという声も非常に強いことも事実でございます。そうかといって、あるものを片っ端からやっていくということが趣旨でございませんで、よくこれの趣旨の周知徹底に努めまして、また場所的にも重点地域から指導中心にした形でだんだんに措置をしていきたいと思っております。
  286. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 時間が参りましたから終わりたいと思いますが、今度の道交法の一部改正というこうした機会を契機にして、ひとつ快適な運転ができるように、各それぞれの機関で連絡をとっていただきたいと思います。私は特に高層住宅、団地ばかりの町の谷間に住んでおりますから、高層住宅に住んでいる、いまきわめて平均的な方々の駐車場の確保の問題につきましては、ぜひひとつ住宅公団でも今後十分御配慮いただきたいということを強く要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  287. 木村武千代

    ○木村委員長 太田一夫君。
  288. 太田一夫

    太田委員 時間が若干ずれておりますから、後後のことも考えて私も質問を少ししぼりますが、最初にこれは警察庁にお尋ねをいたします。  今度の改正は久しぶりの改正でございますから、本当を言うとここで——この前の改正のときに免許の種類を普通免許に統一されたときいささか無理がありまして、軽自動車に対する軽免許の撤廃が行われました。それがその後尾を引きまして、現在四十五万と言われておりますか、なかなか多くの方々が三百六十の限定免許でいらっしゃるのでありますが、その人たちが試験を受けたりあるいはまた普通免許に切りかえる暫定措置にのるのにはいささか無理のある人がたくさん残る。田舎のおかみさんがあぜ道を三百六十の車で野菜を出し入れする、あるいは町の八百屋のお母さんなりお父さんなりが配達するのに三百六十がよかった。道が狭いからそれは非常に便利であった。しかしもう三百六十でなれてしまっておりますから、いまさら千九百ccとか二千ccの車を運転するというようなことは考えも及ばない、感覚としても危ない。そこで、三百六十の車が寿命が来たから何か新しい車はありませんかと言うと、三百六十の車を売ってやらなくて、五百五十ccとなったわけです。五百五十ccまで限定免許を認めてもいいのではないかというのが天下の世論ですが、公安委員会の方ではこれはなかなかうんとおっしゃらない。今度の改正にも載るかと思ったら載らない。不思議に思っておりますが、五百五十になったからといって、長さが大きくなるものではない、わずか二十センチですよ、幅が十センチというのですから、本当にこぶしを二つか三つというようなことで、この五百五十ccの車なら三百六十の人が運転してもそんなに危険なことはない、安全にやれるわけなんですね。この際、もう少し限定免許の制度を五百五十まで認めて、行きがかりはありますけれども、そういうものにこだわらないで考えてみたらどうかと思うのでありますが、いかがでございますか。
  289. 杉原正

    杉原政府委員 過去の経緯については申し上げませんが、確かに三百六十ccというものが五十一年の時点で五百五十になり、貨物とライトバンを除いては、三百六十ccの乗用タイプの車は製造が五十二年から中止になっております。  そこで、三百六十を持っていた人に五百五十をそのままやらしたらどうか、こういうことでございますが、これは俗に言う法律上の既得権とまた若干趣を異にする別のccの車の免許、新たな免許、たとえばおれは今度は五百五十でいいというドライバーが出てきますと、そういう一つ免許というものを創設するということに体系上はならざるを得ない問題になるわけでございます。そこが免許制度全般を考えた際に非常にむずかしいところでございます。ただ、これは全く形式論、制度論でございますが、現実に、当時三百六十ccを持っていた人が審査を受けて普通免許に切りかわってこられて、二百万おられたのがだんだん少なくなって四十五万、先ほど先生の御指摘のとおりでございますが、しかも、この四十五万の方というのはかなり高年齢の方が多い実態がございます。しかも、現実に自分が三百六十の車に乗ろうと思っても、その車の製造が縮小されているという実態があります。そこで、現在は審査によって普通免許ということをやっておりますが、交通安全の面というのは非常に大事でございますので、この点を十分考えながら、しかも、三百六十ということでもう免許の門へ入ってきておられる人でございますので、審査の上で、万全な事前の指導等もあります。講習等もあります。そういうものを十分に講じながら、大半の人が審査に合格されるというふうな行政措置をこれから積極的に推進をしていきたいというふうに考えております。
  290. 太田一夫

    太田委員 まあいいような、解決になったような御答弁のようでありますが、そのときに実技試験をおやりになるでしょう。千九百とか二千ccの車をテストにお使いになるとすれば、これは合格するはずがありません。五百五十でおやりになりますか。
  291. 杉原正

    杉原政府委員 交通の安全ということから、その審査の方法としましては普通免許にふさわしい車を考えたいというふうに思っております。
  292. 太田一夫

    太田委員 公安委員長、あなたにこのことについてちょっと見解を承っておきたい。  いまの局長のお話は、依然として在来の方向をそのままおっしゃっただけなんです。でありますから、試験の内容が少しくらいやさしいことがあるといたしましても、恐らく普通車をもって実技試験はあるに違いないのですから、それではいまの三百六十の車になれたお年寄りの方がその道を通るということは不可能なんです。五百五十というのは三百六十に比べるとほぼ相似形でありまして、えらい違いはないのです。これは実際にやった人がそういうことを言っておりますし、局長免許をもちろん持っていらっしゃるドライバーの一人ですからよくおわかりですが、三百六十に乗っていた人が一挙に千九百に乗るということは、言うならば金魚ばちの金魚が利根川に放されたようなものでございまして、方角を失ってしまう。曲がるべきところで曲がらない、曲がってならぬところで曲がるということになる。危なくてしようがない。ひとっここのところはメンツを考えないで、実情に合った暫定措置か何か、その御配慮があってしかるべきだと思いますが、公安委員長どうですか、あなたの御見解は。
  293. 加藤武徳

    加藤国務大臣 ただいま御指摘がございましたように、かつては二百万の軽免の皆さん方が今日四十五万に減少しておるとはいいながら、この方方の相当部分が日々車を使っていらっしゃる、かようなことでございます。そこで、この方々を今後どのようにするかの問題で、いま交通局長が二つの場合を指摘いたしました。  その一つは、新たな五百五十ccの軽免の制度を設けるということ。ただ、この場合の最大の問題点は、いま軽免を持っていらっしゃる方ではなくて、新たな免許制度として私も五百五十ccの免許をもらいましょう、かようなことで、新たに軽免の制度を設けることによって、それに関連するいろいろな問題がまた生ずる心配がありますから、そこでその方法はとらずして、四十五万人の皆さん方に、限定ではございますけれども、どのようにして普通免許にかわってもらうか、このことについていままでの努力は必ずしも十分ではなかった。これからは、最大の努力をして、四十五万人のすべての人が免許を取り得るかどうかはもとよりこれからのことでありますけれども、最大の利便を図ることによって事を解決してまいろう、今日までの努力の足らざる点は反省いたしましてこれからやっていこう、かようないまの交通局長の答弁でございますから、公安委員会といたしましても、そういう努力がなされるならそういう方向がよろしいかな、かような感じを持っておることを率直に申し上げる次第でございます。
  294. 太田一夫

    太田委員 局長、現在三百六十のトラックがあるとおっしゃいますけれども、ダイハツのバン型のトラックだけでございますね。あと鈴木にいたしましてもマツダにいたしましても、本田、三菱、富士——富士はスバルがありますか、皆五百五十ですから、このところをまたお考えいただいて、三百六十の人はダイハツの三百六十のバンに乗りなさいというふうに追い込んでいくのも変なものでしょう。その辺のところは、いまの公安委員長のお考えを私も尊重しまして考えさせていただきますが、どうぞひとつ再考ありますようお願いいたします。  それから次は、これは改正の中にはないような気が私はするのですが、「昭和五十三年中における交通警察の運営」というのが警察庁から出されておりまして、その中には「自動車交通による騒音、振動等が生活環境を次第に侵害しつつあり、その解決が迫られている。」という認識のもとに、「五十三年においては、」「地域住民が安全に住める生活環境を確保すること」、そのために、「交通に起因する騒音、振動等の防止対策については、道路交通、沿道等の状況を十分勘案するとともに、対策を実施した場合に派生する影響等にも十分配意しながら可能な規制を実施する。」こう書いてあるわけですね。これは現在各地において騒音公害という形で取り上げられておりますが、実に大事な点をついていらっしゃると思うのです。これを敬意を表して読みながら、今度の改正の中にはこれがいささか影をひそめてしまっておると思います。そこで、環境庁が昨年の十二月二十三日に五十一年度全国自動車騒音実態調査というのを発表されたときに、環境基準を達成したパーセントというのは、大体六十ホンくらいが基準でございますが、一八・七%平均、前年が一五・四%だったから少しよくなったとはいいますものの、騒音対策というのは依然として低調なんです。  そこでひとつ伺いたいのは、警察として「可能な規制を実施する。」というのは一体どんなことをおやりになるのか、まずそれをお知らせください。
  295. 杉原正

    杉原政府委員 施策の重点にもありますように、交通公害、なかんずく道路交通騒音につきましては交通警察の重点の一つでございます。これは例の交通公害問題が大きく取り上げられました際に、道路交通法を目的から手直しをいたしまして所要の改正規定を設けたわけでございますが、あとはいまの規定を運用するということでかなりのことがやれるわけでございます。  具体的には、住宅地域等における騒音防止について、大型車の通行禁止を内容とするような生活ゾーン規制、それから幹線道路におきましては通行禁止措置をとることが困難な場合が多いわけでございまして、迂回路のある場合には時間帯を限って迂回、それから最高速度の制限、大型車の中央寄り車線側の走行指定、信号機の系統制御というふうな規制面での措置に加えまして、具体的なスピード違反あるいは過積、整備不良といった車両の取り締まり、こういったことを併用することでかなりの措置が講ぜられるわけでございます。  しかし、事柄の性質上、警察措置だけでは全面的な解決はもちろん困難な面が多いわけでございますので、道路管理者の措置、緩衝帯その他の設置、路面の補修などがあります。また、大型車の夜間通行の自主規制、自主調整、低騒音タイヤの使用といった問題について関係方面との連絡をとって総合対策という形で措置をしていかなければならぬというふうに考えておるわけでございます。
  296. 太田一夫

    太田委員 騒音規制警察庁が力を入れて可能な規制を実施するといまおっしゃいましたが、可能な規制の中にいまおっしゃった手段があります。それは取り締まりとか規制ということでありまして、一般利用者から見ますといささか厳しい取り扱いを受けることでございますから、余り好ましいことではない。本来ならば、自動車の騒音の発生源は何であるかということを追及して対策を講ずるべきだ。発生源は何だと言えば、エンジンから出る音でございます。特に大型トラックにおけるディーゼルエンジンの音ですね。発進音など非常に高いわけです。  そこで、運輸省にお尋ねいたしますが、そういう点を直していかなければならぬと思うのですが、残念ながら運輸省の保安基準は、第三十条でございましたか、九十二ホンとしてある。九十二ホンという考え方は、考えてみますと野放しのようなものだ。環境庁における環境基準は住宅地が大体六十ホンになっている。それで国道一号線のある地区において朝、昼、夕方、深夜というふうに、東海道一号線の大型トラックの発する騒音値を測定いたしましたところ、朝から深夜に至るまで七十三から七十六の騒音を出しておることが明らかになった。これでは沿道の人たちは眠れないわけです。そこで国道一号線対策協議会というような市民団体ができて、環境庁から運輸省からありとあらゆるところに陳情いたしておりますが、これは最後は自動車が通らなければいいのですが、通らぬわけにいかぬ。迂回路もなければどうにもならぬ。通らなければいけなければエンジンをとめて後ろからトラックを押して通れというわけにもいかぬ。これは後ろからだれかが押せばいい、昔のように押し屋があったらいいと私は思うのです。それがないから何ともならない。  そこで、三十条の保安基準九十二ホンというのはどうしてそんなに高い、言うならばさくのないような基準ができておるのか、運輸省の見解をお尋ねいたしたい。
  297. 犬丸令門

    ○犬丸(令)政府委員 環境庁が騒音規制法によりまして自動車騒音の大きさの許容限度を決めてこれを告示いたしますと、これを運輸省が受けまして道路運送車両の保安基準改正してこれに対処し、個々の自動車に対する規制を実施していくという形をとっております。  そこで、ただいま先生の御指摘になりました九十二ホンという数字でございますが、これはまだ環境庁ができる前、運輸省が、従来は定常走行騒音だけでございましたけれども、昭和四十六年から保安基準によって加速騒音の規制をすることといたしたわけでございます。このときの規制値が九十二ホンでございます。その後、大型トラックについては、五十一年にさらに環境庁の告示を受けて規制強化いたしております。この時点において三ホン強化いたしまして、現在走行している大型トラックはいずれも八十九ホンという規制に適合しているものでございます。なお、五十二年に乗用車及び小型トラック、バスについて二ホンの低減を行って、これで第二段階の規制を終わったわけでございます。  さらに本年の二月、環境庁の許容限度の告示を受けまして、五十四年規制についての保安基準改正を行ったわけでございます。これは全車種について騒音規制強化いたしまして、大型トラックはさらに三ホン下げる、したがって八十九ホンから三ホン下げて八十六ホンに規制強化することにいたしておるわけでございます。  この実施時期は、ガソリン車については五十四年一月から、ディーゼル車については五十四年四月から実施することにいたしております。
  298. 太田一夫

    太田委員 整備部長のおっしゃったお話は、環境庁ができる前はその辺で保安基準をつくるより仕方がなかったということですね。それはわからぬわけではないのです。さらに何とか三ホンずつ下げよう、九十二を八十九にし、八十九を八十六にしようというお気持ちはわかりますが、やはり集合というか大型トラックが何台か一緒に走りますと、周辺の住民に与える騒音の強さというのはなかなか大きいのです。七十ホン台になって環境基準をはるか上回ってしまうわけです。そんなことでは困る、何とか音のしない自動車はできないか、こういう市民、国民の声というのは無視してはいかぬ。  これは自動車をつくる方の通産省に承りますが、あなたの方は音の出ない自動車というのはできませんか。
  299. 浜岡平一

    ○浜岡説明員 お答え申し上げます。  全く音の出ない自動車が可能かどうかは大変むずかしい問題でございますが、特に大型自動車の騒音の低減につきましては、従来からいろいろな角度で勉強をいたしております。特に昭和四十九年度から五十一年度にかけて私どもの重要技術研究開発費補助金制度を活用いたしまして、大型車メーカー四社で騒音低減のための共同研究を実施いたしております。騒音低減のための方式といたしまして、エンジンそのものをエンクローズするというような方式、あるいは冷却系の改善、排気系の改善、燃焼音の低減等々の諸問題に取り組みまして、その成果を各社間で公開し合うというような工失をいたしておるわけでございます。現在五十四年規制への適合ということに力を注いでおるわけでございますが、将来一段の規制強化が考えられますものですから、こういう共同研究体制をさらに実施してまいりたいと考えておりまして、財団法人自動車研究所あたりで共同実験設備の一段の整備を五十三年度行おうというようなことを考えております。  なお、そのほか新しい各種エンジンの研究というようなものも各方面で進められておるわけでございますが、いろいろとまだ解決すべき問題点がございまして、非常に早いうちに実用化されるというようなめどはまだついてないというのが現状でございます。
  300. 太田一夫

    太田委員 飛行機の方は昔の小さな飛行機よりジャンボの方が騒音が少ないという説明がありました。これは航空局の説明。大阪空港乗り入れのときはエアバスの方が騒音が少ないよということなんです。なるほど在来型ジェット機よりは騒音が緩やかであった、やわらかかった。そういう科学と技術の進歩がある中で、自動車だけがどうしてそれが変わらないのか、不思議でならない。それで財団法人の何やら自動車研究協会とかというところにおいて発明、発見の見通しがあればいいが、いややってみてもやはり音はなくならないねなんという話になってはどうにもならない。いままでメーカーに共同開発を頼んで、補助金まで出したけれども、それは不可能である、困難である。やる気があったのかなかったのかが問題だと思いますが、まあできないことは仕方がない。  通産省に伺いますが、ガスタービンのエンジンはどうなんですか。
  301. 浜岡平一

    ○浜岡説明員 お答え申し上げます。  御指摘のガスタービンエンジンでございますが、御承知のとおり、連続燃焼機関でございまして、現在使われております内燃機関のように間欠燃焼でございませんので、騒音という観点から申しますと、非常に音が低いということは事実でございます。ただ、非常に航空機の音に似ておりまして、高周波音が出ますものですから、あるいは人によりましてはちょっと気になる音だというような見方があろうかと思いますが、騒音の絶対レベルはかなり低いということでございます。  現在、日本でも数社の企業がガスタービン車の研究をいたしておりますし、私どもも先ほど申し上げました重要技術研究開発費補助金の投入というようなこともいたしております。  現在、このガスタービン車につきまして、大きく分けまして二つの問題点があろうかと思っております。一つは、コストの問題でございます。それからもう一つは、ディーゼルエンジンと比べますと、やはり残念ながら非常に燃費が悪いという二点でございます。  この二つの問題を同時に解決するということになりますと、現在試作段階で使われております材料はニッケル合金などでございますが、もう少し安くて高熱に耐え得る材料がないかということになるわけでございます。現在ほぼ各方面で共通の可能性があるというぐあいに見られておりますのは、セラミック材料を使うというようなことでございまして、この方面の研究にさらに力が注がれておるというようなところでございまして、この分野での飛躍的な進歩というものがございますと、実用化段階に大きく前進できるのではないかというぐあいに考えております。
  302. 太田一夫

    太田委員 通産省の技術的な開発が進まないと、環境庁もいかんともしがたいでありましょうし、またそれがいかんともしがたければ、さすが有能な人ぞろいの運輸省でも何ともならない、こういうわけですね。  そこで、最後に困るのは沿道の住民である。これはひとつ全力を挙げて、せっかく研究開発費を投入される以上、これが生きたものになりますように、通産省の一層の努力をお願いしておきます。これはこれで終わります。  その次に、これは警察庁にお尋ねをいたしますが、今度高速道路というものに非常に着目されて、高速道路における事故を減らすためにはということから、言うならガス欠もだめだ、とりあえず反則金だよ、それから荷崩れも反則だよというようなことになりましたが、高速道路を走るというのには非常にマナーが要るのですね。このマナーをだれが教えるか。これはいまどこでどうやって教えておるのでしょう。自然に覚えるようになっておるのですか。
  303. 杉原正

    杉原政府委員 全国共通する制度といたしましては、いま指定自動車教習所を出る人がほとんどでございますが、これの学科につきまして、三十時間あるうちの二時間を高速教習についてのもろもろのマナーを含めた問題を教えておりますし、また試験問題等につきましてもこの高速道路の問題を入れてやっておるということでございます。
  304. 太田一夫

    太田委員 自動車学校の教科書というのはどこでつくられておりますか。
  305. 三上和幸

    ○三上説明員 指定自動車教習所におきます教科書の問題でございますが、現在運転免許の試験につきましては、国家公安委員会が定めました教則というのがございますが、その教則範囲から試験問題が出るということになっております。それで教習所において教えます。ただいま局長から御説明いたしました三十時限の学科教習につきましては、これに対するカリキュラムを決めておるわけでございます。その内容は、大体教則にのっとった形でそれを分類いたしまして、その内容を三十時限で教えるという形になっておるわけでございます。その三十時限のカリキュラムに基づきまして、全日本自動車教習所の連合会でつくりました本もございますけれども、それ以外にいろいろなそのカリキュラムに基づいた教本がいろいろな出版社でつくられているというのが現状でございます。
  306. 太田一夫

    太田委員 全日本何とか学校協会ですか、そういうところでつくったという教科書が一番多いようですが、全日本指定自動車教習所協会連合会でしょうか、それとも全日本交通安全協会でしょうか。あなたの方の「警察庁交通局監修」と銘打ちました「交通の方法に関する教則」というのは昔からずっとあるわけですね。これを種本にしてどこやらがつくるわけですね。これをどこか変えるのですか。これと違うのですかね。
  307. 杉原正

    杉原政府委員 この教則をもとにしてこれをもっと具体的に、これは全国民向けという形になっておるものですから、これをドライバー向けにもう少し具体的にした教科書をつくって、これを活用しているということでございます。
  308. 太田一夫

    太田委員 そうすると、あなたの方で監修された教則そのものというのは、だれが読むのですか。
  309. 杉原正

    杉原政府委員 ドライバーを含め、すべての国民に見てもらうことを期待しております。
  310. 太田一夫

    太田委員 そこで、ちょっと飛躍するかもしれませんが、道交法十三条に「横断の禁止の場所」というのがございますね。第一項にありますのは、歩行者は、車の直前、直後で道路横断してはならない、ただし、横断歩道によって道路横断するとき、または信号機があるとき、または警察官が指示したときはこの限りでないとある。これは交通信号機を伴わない横断歩道というものを渡るときは、一般の横断歩道と同じように見て、歩行者はそこを通ってよろしい、こういうことですね。そこで、「交通の方法に関する教則」、これは昔のものでございましょうか、私の手元にありますものを拝見いたしますと、「車のすぐ前やすぐ後ろを横切ってはいけません。その車にひかれる危険があるだけでなく、車のかげになって見えない別の車にもひかれるおそれがあります。(法十三条一項)」と書いてある。私は、これは実にいいことが書いてあると思う。この規則を守っておれば、信号機のない横断歩道でも、車の陰から飛び出すようなことを歩行者はしない。だが、道路交通法そのものを余りにもよく見て、それをそしゃくすればするほど、信号機の併設されておらない横断歩道でも信号機のある横断歩道と同じように出るという気持ちを歩行者が持つ、私は危ないと思うのですが、これは教え方としてどういうことなんでしょう。
  311. 鈴木良一

    ○鈴木説明員 信号機のない横断歩道の渡り方につきましては、そこにあります教則のように、十分安全を確認してから渡るということが実際望ましいことであり、そういうふうにすべきものだと思います。  ただ、御指摘の法十三条との関係においてどうかということでございますけれども、御指摘のとおり、法十三条第一項ただし書きにおきましては、横断歩道によって道路横断するときは、車の直前、直後横断の禁止対象から除外をしておるわけでございます。これは、一面では、車両等の運転者に対しまして、横断歩道を通過する際に、横断しようとしている歩行者がないことが明らかな場合を除いて、車両等の運転者横断歩道の直前で停止することができるような速度で進行しなければならない。ちょっと長くなって恐縮でございますが、また横断歩道により横断し、または横断しようとする歩行者があるときは横断歩道の直前で一時停止をし、その通行を妨げないようにしなければならないことを義務づけて、横断歩行者保護していることを前提とした規定でございます。いわば、このことは横断歩行者の渡り方と申しますよりも、そこを通過いたします車両に対しまして物を言っておるということでございまして、横断歩行者という立場からいけば、教則にありますような慎重な渡り方というものを指導してまいるということが正しいということでございます。そういうことで、車両の方から見るか、あるいは歩行者の方から見るかということで、法律の方は、当然のことながら罰則がついてまいりますので、そういうことで書き分けてあるということでございます。
  312. 太田一夫

    太田委員 あなたの方の監修された教則に、「歩行者運転者に共通の心得」という第一編、「歩行者自転車に乗る人の心得」という第二編、こういうふうにありまして、これは歩く人にも自転者に乗る人にも運転者にもということで全部を対象にしたような書き方ですね。ですから、歩行者は、車の陰から自動車が来るかもしれないから直前、直後の横断はいけませんよ、と注意したらば、それが守られればよろしいが、歩行者を守るという精神だから、車はとまるものだという認識があるとするならば、車は来るけれども、とまるであろうということで前へ出るおそれがある。それは身の安全を守るという立場からいきましては、車の運転者にその横断歩道の前で一たん停止を義務づけておるといたしましても、いささかこれは守られがたき危険な制度ではないか、理屈はよろしいが……。
  313. 鈴木良一

    ○鈴木説明員 説明がやや舌足らずだったかとも思いますが、歩行者また車両、両方に共通する形で守ってもらうのが一番望ましいわけでございます。ただ、道交法は、先ほど申しましたように罰則の働く規定でございますし、また、車両等の運転者にはそれだけ注意義務を払ってもらわなければいかぬということがございまして、仮に歩行者が飛び出すような場合でも、横断歩道に接近したときにはドライバーはこういう注意をしてほしいということを、ドライバーの責務を明確にしているという形で書いてあるものでございまして、私どもの方で出しております教則の方では「歩行者の心得」という形でただいまのようなことを書いてあるわけでございます。
  314. 太田一夫

    太田委員 それじゃ課長さん、ドライバーが守らなければならない心得というのは、教則のどこに書いてあるのですか。
  315. 鈴木良一

    ○鈴木説明員 ドライバーの心得といたしましては、「歩行者などの保護」という規定がございまして、その中で「横断中の歩行者保護など」という規定の中で「横断歩道のない交差点やその近くを歩行者横断しているときは、その通行を妨げてはいけません。」それから、いまの関係でございますが、「横断歩道に近づいたときは、横断する人がいないことが明らかな場合のほかは、その手前で停止できるように速度を落として進まなければなりません。」こういうふうな形で規定してあるわけでございます。
  316. 太田一夫

    太田委員 これは課長さんでなくて、公安委員長局長から答えていただきたいのですが、確かに、道路の上における歩行者の安全を守るという一面と交通の安全ですか、運転者ドライバー諸君のまた自動車を使うという必要に適応する制度というものと、両面ございますね。そこで、できるならば、信号と横断歩道とは連係をいたしまして、横断歩道のあるところ信号ありというのが一番正しいと思うのです。しかし、そういう原則では非常に困るというところがたまにあると思うのです。長い田舎道あるいは人口の稠密ならざる町というところではあるような気がいたします。でも、これはそういう危険性をはらむ信号機なし、いわゆる無防備の歩道というものをつくることはよほど気をつけなければいけないのではないか。事は、理屈は、とまればいいじゃないか、一々そんなところをとまっておるわけにもいかない、ないと思えば出ますから。だから、そういう裸の横断歩道というものをつくることが危ないのではないか。右と左を見て、さらに右を見て渡りなさいという方が歩行者にとっては親切かもしれない。案外、そういう横断歩道の上で死傷事件が起きておりますから私は心配するのですが、この制度について御検討になったことがありますか。
  317. 杉原正

    杉原政府委員 信号機のない横断歩道というのは、道路を川にたとえますと、橋でない渡り場みたいな感じのものであると思うのです。そこで私ども、十分ではありませんが、この単路横断歩道につきましても、歩行者の多いところから、これは片方車の渋滞の問題も考えなければいけませんので、勝手に作動してはまた困りますけれども、系統式の中に組み込む場合でも押しボタン等で調整しながら信号機の作動をやることが可能でございますので、そういう信号機のない横断歩道は逐次解消していくということで措置すべきものであると考えております。
  318. 太田一夫

    太田委員 そうですね。そういうように本当の安全を考えていただかないと、規則をつくっておるから守るであろう、守れば安全であろう、負傷事故は起きないであろうということではまだまだ上っ面だと思います。これはひとつ、いまの道交法の中において、あるいは教則本の中においても、どういうふうに取り扱いをなさるかは別として、御研究いただく課題であろうと思います。  そこで、自動車学校の問題ですが、技能教習とか知識教習をおやりになる指導員でございます。これが知識教育の場合は、学科の指導員というのは二十五歳以上とある。技能の場合は二十一歳以上となっておる。二十一歳というのは独身ということでございますが、二十五歳くらいになれば大体妻帯者が多いのではなかろうかと思います。指導員というのは生徒から先生と言われるでしょうね。先生と言わずに何々君と言ったら恐らく張り飛ばされてしまう。だから、先生と言われなければならない人は——教育大学を出ても二十一じゃないでしょう、もうちょっと年齢が上でないと小さな子供でもなかなか先生と言いがたいのじゃないでしょうか。同じように、年齢をある程度二十五歳なら二十五歳に統一なさることが一つのアイデアだと思います。待遇改善をしてでも、その指導員の指導よろしきを得て安全運転、マナーのりっぱなドライバーを養成するところにいかないと、安かろう悪かろうの教育ではいけないと思うのですね。これはどういうわけで年齢が別になっておるか、基準が別に分かれておりますか、理由を承っておきたい。
  319. 三上和幸

    ○三上説明員 先生御指摘のように、現在技能指導員につきましては二十一歳以上、学科指導員につきましては二十五歳以上、それから技能検定員につきましても二十五歳以上という規定が決まっております。この問題につきましては、技能指導員の確保の問題等がいろいろとございまして、こういった制度をとっておるわけでございますけれども、確かに御指摘のように、国民免許時代運転者の養成というものの現状において、八割は教習所を卒業しておる、そういうことになっておりますので、その養成の中心となっております教習所の指導員について優秀な人材を確保するということは大変望ましいことであります。このような観点から、その資格要件につきましても、今後とも十分な検討をいたしまして優秀な人材というものを確保するように努力いたすよう業界を指導してまいりたいと考えております。
  320. 太田一夫

    太田委員 さらに教習所、いわゆる自動車学校の内容のことでありますが、どこかの学校へ行きますと、ここの学校はセドリック一辺倒、ここはトヨタクラウン一辺倒、ここはデボネア一辺倒というところが多うございまして、混合車種を使っておるところは非常に少ないように思います。ドライバーというのは、学校を卒業すると学校で習い覚えた車を買ってくれればいいのですが、必ずしもそういうことは言えない。そこで、混合車種を用意いたしておきまして、私はマツダの車を使うとか、私は富士重工の車を買いますとか、本田の車にいたしますといったときには、その車の操縦についても初めから教えておく必要があるのではないか。  それからもう一つは、このごろ高速道における運転マナーを見習いをさせるように何か御通達があったやに聞きますが、それは一つのお考えでしょう。でも、冬になりますと、雪の道、凍った道の走り方というのは、新しい人は大変危ない。凍った道の恐ろしさを教える凍結装置というものがある学校があるのかどうか、あわせてお答えいただきたい。
  321. 杉原正

    杉原政府委員 教習生に使用しております車種の問題は、これは確かにいろんな車種、それから教習生が乗ろうと思っておるいろんな排気量の車、これが本当に理想的だとは思いますが、実は片方で、教習所が車を買う際にある会社からまとめて買いますと非常に安く手に入るという、それがまた教習料金にはね返るという一面がございます。ですから、会社によってここは日産だけ、ここはトヨタだけとか、ここはこの会社だけというのが通常多うございます。いろいろやってみて、別の車を買う場合によく私ども聞くケースとしましては、自分が習った指導員の先生に、ちょっと一遍これは教えてもらえないかということで持ち込んでやってもらうようなケースもあるようでございます。ただ普通免許なら普通免許を取るということになりますと、いかなる車でも運転できる、そういう資格のもとに免許を出すんだという前提になりますと、どういう車であれ普通自動車ならば運転できるということが望ましかろうと思います。  それからもう一つは、例の、先ほどおっしゃいました凍結時の走行などというのは、本当に鏡の上を走るようなもので、大変に危ないわけでございます。北海道などでそういう降雪時等の運転についていろいろ教えているという実態がありますが、全国的にはそういう形のものはやっておりません。ただ、これからだんだんわれわれ力を入れていかなければならない方向でございますが、従来私どもは指定をするかしないか、一定の物的、人的条件が整えば指定をするというだけであったわけですが、これからの教習内容、いわゆる教育水準というものを上げていくには、やはりもう少し手をつけなければいかぬということで、五十一年に例の中小企業近代化促進法という、これは通産省で所管していただいておる法律がございますが、これの中に教習所業というものを対象業種にしていただいて、この五十三年度、本年度から向こう五カ年で約三百五億くらいの低利の融資をしていただくことに予定をいたしております。これは教習施設その他の改善につきましての投資に使ってもらうわけですが、おいおいこういうことをやっていく過程の中で、教習水準の向上とあわせて教習生にとっては安くて習えるということにも反映しなければならぬし、そういうふうなことを考えながら内容を整備していきたい。そういうような施策の中に将来は——すぐ近いというわけにはまいりませんが、将来は先ほど御指摘のあったものも教習所の中の一部につくって、これだけ危ないものだというふうなことも教えていくということがこれからのドライバーの育成のあり方であろうと考えております。
  322. 太田一夫

    太田委員 課長さんの方にも御要望しておきたいけれども、いわゆる雨後のタケノコのごとくドライバーが輩出をしてきたという時代は過ぎまして、一つの新しい秩序が生まれておるわけでありますから、自動車学校の内容については、さらに一段の充実を期すという御指導が望ましいと思います。地方の公安委員会は、かなり学科の内容とか教え方とか何かに対して目を光らせていらっしゃる節はあります。ありますが、中央の法規そのものが、道交法そのものが在来どおりであれば、どことなしに旧態依然たるものがありますから、その点について、新しい時代に即応する自動車学校というものをつくり上げるための努力というのをひとつ期待をしたい。これは答弁要りません。  自転車の問題に移りますが、この自転車の問題というのは非常に時代に即応した改正であろうと私は思います。そこで、自転車というものはもともと保安基準がない。先ほど、たしか一番最初に水平さんの御質問に対してお答えがあったと思いますが、それは業界がつくった安全基準を守らしたいというようなお話でありまして、業者任せですね。いまは業者任せというような段階ですが、自動車よりも多い自転車でしょう、三千万台じゃなくて四千万台だから。通産省にお尋ねをしますが、業界がつくった安全基準というものは、通産省がつくってもこれ以上つくれないというようなりっぱなものでございますか。
  323. 堀田俊彦

    ○堀田説明員 いまお話のございました自転車業界が自主的に作成いたしました自転車の安全基準は、これは昭和五十年の七月につくられたものでございます。この基準は、アメリカの消費者製品安全委員会がつくりました安全基準、これも加味いたしまして、これも参考にいたしまして、それまでございましたJIS基準等と合わせて一つつくり上げたものでございます。これはつくりっ放しでそのままということではございませんで、関係業界が折々集まりましてさらにその見直しをしていくという作業をいたしております。新しい要請が出てくれば、またその要請にこたえられるような新しい基準を織り込んでいくという形で発展していくものと私は思っております。
  324. 太田一夫

    太田委員 今度の法改正対象になりました制動装置、ブレーキでございますね。それからもう一つは、危ないときにブレーキをかければよろしいということだけではないんで、警笛というものはないのでしょうから、自転車のベルあるいは警笛に類した小型の警笛でございますか、そういうものは通産省では工業技術院のJISか何かに載せて、それに合格したものをつけさせるというふうにして安全が確認されておるでしょうか。
  325. 堀田俊彦

    ○堀田説明員 御指摘のブレーキ、ベル、それから今回の改正では反射鏡が一つ問題でございます。反射器でございます。こういった部品はJIS規格の中の構成部品として中に織り込まれておりまして、たとえばブレーキをとってみますと、ブレーキについてはJIS基準として形状、寸法、構造、機能、強度それから制動性能といったものが決められております。自転車用のベルも警報器という名前でJISの規格の中に入っております。部品工場でこういった製品が製造されるわけでございますけれども、特にブレーキの場合は生産のほとんどがJISの指定工場になっております。問題は、工場から出荷され、小売業者からユーザーの手に渡った段階ではそういう規格に沿ったものでございまして、問題がないわけでございますけれども、一番心配なのは、自後における保守点検の問題でございます。私どもの関係団体でございますが、自転車産業振興協会というのが小売業者それから警察、学校の協力を得まして実施しております通学用自転車無料点検事業というので発見される整備不良車の中には、ブレーキ関係の不良車が一番多いという実態が出ておりますので、この点に関しましては、まず消費者に十分目後の保守点検の認識をしてもらうとともに、自転車業界の側からも、たったいま申し上げました無料点検事業といったような形で整備不良車ができるだけ数少なくなるように努力してまいりたいと存じます。
  326. 太田一夫

    太田委員 警察庁にお尋ねいたしますが、制動装置を備えてないということは制動装置が動かぬということでしょうから、その場合三万円以下の罰金に処す、先ほど井上委員の質問に対してちょっとお答えがありましたが、言うならばめちゃくちゃな、何でもかんでもちょっとブレーキがきかないから三万円だなんということはしませんというお話ですから、それはそれで運用上いいと思うのです。りっぱだと思うのですが、ブレーキのききが悪くならないように点検をするという、通学の自転車はただでやってもらえる、一般の自転車に対してはどこへ持っていって点検をしてもらい、その点検をするのには一年に一遍とかやってもらわなければならぬというような何か指導があるのでしょうか。
  327. 杉原正

    杉原政府委員 自転車の点検の問題、どのような形でやった方が一番社会の実態に合っているのか、いまいろいろ検討いたしておりますが、年に一回ぐらい近くの業者で見てもらうような仕組みのものを考えていくべきではないだろうか、自転車についてはいろいろな施策が全く手が打たれてきておりませんので、こういう機会にこれを具体的にどのように点検その他のものの中に入れていくか十分考えていきたいと思っております。
  328. 太田一夫

    太田委員 通産省の方からお答えをいただいた方がいいかと思いますが、自転車を売りますね、売るのは百貨店でもスーパーでも売ると思うのです。ところが、さて保守点検ということになりますと、総合的な自転車屋じゃないとできませんね。組み立てもできる、修繕もできる、販売もできる、こういう技能を持った方でないとできませんから、そこで自転車の保守点検できるところはここですという技術認定証というようなものを考えて、入り口に掲示でもさせるというようなことは考えられないのか。だんだんと、自動車における民間の認証工場に近いような制度が自転車屋さんに対しても行われるということは考えられないのでしょうか。
  329. 堀田俊彦

    ○堀田説明員 自転車の小売店でございますけれども、現在全国で約三万七千店ございます。この大部分、三万六千店でございますけれども、これには日本車両検査協会によりまして自転車技術検定制度というものが行われているわけですが、それによって認定された組み立て技術者がおりまして、自転車の組み立て、検査ができるような体制になっております。この検定の合格者の数はたしか約四万六千人であったと思います。しかも、この検定合格者も一度合格したからいいというものではございません。自転車技術が進展していくのに即応いたしまして新しい自転車整備技術等の指導研修といった事業が必要でございまして、これも日本車両検査協会を通じてやってもらっておるところでございます。この技術検定制度の合格者のおります小売店にはその旨の表示がなされております。  それからこの機会をいただきまして、先ほど通学用自転車の方は見ておるけれども一般用の自転車はというお話がございました。これも全部をカバーしております。いや、おりはいたしませんが、自転車業界の関係では自転車安全デーというのを設定するシステムを一つつくっておりまして、モデルの小売店を選定いたしまして、毎月第三土曜日に自転車安全デーというたれ幕を張りまして、一般のユーザーの自転車の点検調整を実施いたしております。年間約一万店で実施をいたしております。
  330. 太田一夫

    太田委員 いまの制度について警察庁はどうお考えになりますか。約一万店。ありとあらゆる合格した技術者のいる店がやるのではなくて、どこか違うところだけがたれ幕か何か出して、そこで無料点検をやるというのですが、なぜ全部のお店でおやりにならないのか、自転車屋さんなんてそんなに軒並みにあるわけじゃないんだから。警察庁、それでいいですか、保安基準じゃないですが、一応保安ということの制度としては。
  331. 杉原正

    杉原政府委員 今度こういう点検修理というふうなものにこの法律改正が一歩促進するということで役割りがあるとすれば、これが効果的に推進されるようにいまの仕組み等につきましても十分通産当局、関係団体等からも承りまして、促進していただけるような面がまだあるとすれば、その点にまた力を入れていただくようにお願いをしたいというふうに思っております。
  332. 太田一夫

    太田委員 自転車のことでさらに一点お尋ねしたいのですが、自転車は乗り方というのがなかなかありまして、左手でブレーキをかけて右手で合図するというやり方でしょう。左手でブレーキをかけて右手で合図するというのは、お互いにきき腕というのがありましていささか画一的でどうかと思いますが、まあそれはそれで仕方がないでしょう、そういうことになっていますから。ところが、自転車の二人乗りを禁止しましたね。しかし、実際に国民の間では、自転車の二人乗りというのは小さな町、過疎地帯、田舎、普通の町では常識でございます。大人が乗るんじゃないですよ。お母さんが子供を乗せる、若いママが保育園へ行く子供を乗せていくというようなことは一つのほほ笑ましい常識になっておりますが、これは反則なんですか。これを認めるわけにいきませんか。
  333. 杉原正

    杉原政府委員 自転車の二人乗り、これは確かに走行の安定を損なうというふうな面もありまして、各都道府県の公安委員会が規則で、大人が幼児を幼児用乗車装置に乗せて運転する場合を除き、二人乗りを禁止しているのが通例でございます。また、運用に当たっても二人乗りにつきましては指導を重点に行っておりますが、御質問のケースは直接禁止の対象になっていないのが通例であるというふうに思います。
  334. 太田一夫

    太田委員 自転車問題の最後は、建設省にお尋ねしたいのですが、先ほどからのお話を聞いておりますと、歩道の上を自転車で通るということを認める制度がだんだん普遍化してきたけれども、歩道はつけましょう、つけましょうと言うが、歩道の中の幅員について自転車道は何メーター、歩道は何メーター以上という基準がなくちゃならぬと思うのですが、建設省、どうですか。
  335. 渡辺修自

    渡辺説明員 歩道の中をいわゆる自転車歩行者が両方通るという場合、自転車歩行者道と仮に名前をつけておりすが、この最小幅員は二メートルという規定がございます。橋の上などで特にどうにもならない場合には一メートル五十以上まで緩和するようになっておりますが、二メートルでございます。  それからもう一つのお尋ねは自転車道でございますか。
  336. 太田一夫

    太田委員 いや、そうじゃない。二メーターというならば一メーター、一メーターに分けるんですか。
  337. 渡辺修自

    渡辺説明員 二メーターの場合は、一メーターと一メーターに分けて実施するということでございます。
  338. 太田一夫

    太田委員 建設省さんは予算の都合でそういうことになる。警察庁はどうですか。一メーターと言えば三尺三寸でございますね。三尺三寸のところで自転車が走るわけですね。片方の三尺三寸で人が歩くわけですね。これは窮屈でございますね。もうちょっと窮屈でなく、自然に自転車が通るところを線を引いて区分されるようなぐあいになるべきだ。もう少し広くなければいけないと思うんですね。ますます人間の歩くところですか、生活権が圧迫されちゃうような気がしますが、二メーターという基準はいかがですか。
  339. 杉原正

    杉原政府委員 歩道自転車通行可、こういうことをしなければいかぬこと自身が、まだ道路の整備をこれからいろいろやっていただかなければならない事柄の一つの証左であろうと思います。ただ歩道通行可をやる場合、歩行者通行量、自転車通行量、そういうものをよほどよく見てやりませんと、歩道通行可は一律にはなかなかできない面がございます。どっちにどの程度幅を与えるべきかというふうなものは、両者の比較でまた考えなければいかぬ面もあると思いますが、よく実情を見ながら検討していきたいと思います。
  340. 太田一夫

    太田委員 余り人間をすみっこに押しやらないように。建設省さんの方が狭い道しかつくらないから仕方がありませんのよ、肩と肩とすり合わせて通ってちょうだいというのは、余り文明国としてよろしくありませんね。  時間が来ましたから、最後に反則金と点数の問題について一言お尋ねしておきます。  ともすれば取り締まり本位の取り締まりが行わております。先ほどから悪質な違反者、こういうお話がありました。悪質な違反の者を取り締まるとかあるいは悪質な者には罰金を科すとか、悪質ということがありましたが、やはり悪があれば善もあるわけですからね。ですから反則をしたから、曲がり角から五メーターをちょっと犯しておるから、それ駐車違反でございます。一点の五千円なんというのは非常識もはなはだしい。それが、交通量が少なくて警察が退屈しておるところがそういうことをやる。これは全く困ったことだ。あるいは横断歩道通行妨害なんというのでも、東京では全然問題にならぬのが地方では大変な問題になる。もう少し良識のある取り締まり、——反則というのはもともと問題がありましたけれども、オートマチックに、自動的に反則切符だ、それ反則金だということではなしに、それ点数だ、免停だということではなしに、もう少し近代的な指導性のある、さすがに近代の交通警察はちょっと違うなと言われるものを実現してほしいと思いますが、いかがですか。
  341. 杉原正

    杉原政府委員 確かに交通違反に対する処置、接遇、また点数制度そのもの、反則金制度そのもの、これにつきましては交通警察の運営にとって一番大きい問題でございます。基本的に国民理解協力を得なければこの交通警察自身、これは警察活動全般がそうでございますが、交通警察が成り立たない段階に来ているという非常に厳しい認識を私はいたしておるわけでございます。そういう過程で、今度の法改正あるいはこれに伴って当然また政令その他をいじる機会に、先ほどお話のあったような点を十分考慮しながら措置をしていくようにしたいというふうに思います。
  342. 太田一夫

    太田委員 これで終わりますが、どうぞ公安委員長、いま杉原局長がおっしゃったことは時宜を得たお話でございますから、加藤公安委員長並びに杉原交通局長の時代には実にユニークな交通警察の運用が始まったという歴史の初めての出発点をおつくりくださいますように期待しておきます。  終わります。
  343. 木村武千代

    ○木村委員長 薮仲義彦君。
  344. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は道路交通法の一部改正法律案について質問いたします。  まず冒頭に大臣に伺っておきたいことは、われわれの人間社会といいますか、われわれの生活というものは動くということによって成り立っておりますし、社会秩序も成り立っておりますし、生命の維持もできているのです。われわれ人間にとっては、自由に移動できる権利が保障されるということが非常に大事な点だと私は思うのです。ですから、安全な移動が保障される、そのためのルールづくりがこの道路交通法なんだ、その一部かもしれませんが、そういうふうに私は考えるわけです。ですから、本来法というものは、人間社会の秩序を守る上において必要最低限のルールであってほしい、こう私は基本的に考えるわけです。そのために、そのルールを守らせるために罰則が必要だということは私も認識しておりますし、それを理解する立場にありますけれども、そのルールを守らせんがために余りにも罰則が前面に立ってくるということはどうなのか。今度の道交法改正で、過積みの問題ドライバー高速道路におけるいろいろな注意義務、あるいは暴走族取り締まり等が出てくるわけでございますが、罰則罰則という行き方で法をつくっていくという行き方は、本来好ましい行き方ではないな、私はこういうふうにある一面では感ずるわけです。そういう意味において、私はやはり法の運用等についてては、確かに一部の法を無視する人のためにこの法が必要なのはわかりますが、しかし、善意の多くの人がそれによって苦しんではならないんじゃないか、こう思うわけです。そういう意味で、まず冒頭にその辺に関する大臣の御見解を伺っておきたいのです。
  345. 加藤武徳

    加藤国務大臣 ただいまの薮仲議員の御指摘は、まさに法の基本に関することについての御意見や、また御質問でございました。  おっしゃるように、交通法規がございますことは円滑な交通と安全な交通、これがねらいであることは申すまでもないことでございまして、ルール違反がございました場合にはやむを得ず処罰をいたす、かようなことでございますから、先ほど来申しておりますような、しゃくし定規な解釈であってはならぬと私は思うのでございます。かつまた、そのルールもできるだけ少ない方がいいのが理想でございますし、罰則もないにこしたことはないのでありますけれども、現実に実際の社会におきましては、ルールがなければ、道徳律で事が足りるかといいますと、なかなかそうではない実際の社会でございますので、勢い法の制定によりまして規制をいたす、かようなことでありますけれども、これも、法の理想といたしましては最小限の規制でなければなりませんし、これに対する処罰もまたやむを得ざるものの処罰にとどめる、これが法の理念であろうかと思うのでございます。  しかし、いま御審議いただいておりまする内容は、片や弱い者を十分に守ってまいる、かような立場のほかに、よろしからざる者には一罰百戒の実を上げなければならぬ、かような基本の理念でございますので、これまた御理解いただきたい、かように思う次第であります。
  346. 薮仲義彦

    薮仲委員 そこで警察庁一つだけ伺っておきますけれども、いわゆる暴走族取り締まりについてでございます。第一義的には現行法でできないのか、こういう点なんです。現行の道交法は個人を対象にしております。今度の暴走族取り締まりは集団を相手ということも十分考慮しての法改正ですと、これはわかるのです。ただ、私は法律をつくれば事が解決するという安易な考えは絶対にいけないと思うのです。これは決して、警察庁としてやるべきことをやった上での法改正ではないと思うのです。なぜかならば、具体的なことを言うならば、暴走族が数百人いる、そこへパトカー一台とか、白バイで突っ込んでいって、規制しろと言ったってできない相談で、たとえば今度の法ができても、では警察庁としてこの法を実効あるものにするために、本気になってそのような不法を取り締まろうという決意があるかないか。どういう体制でやるのかという体制を確立しないで、法だけつくれば鎮圧するという安易な考えはやめていただきたい。もともと不法なことをやる人は、法を守ろうとするんじゃなくて、法があってもなくてもやることはやるのです。ですから、そういう意味で、法律をつくって鎮圧するという考えではなくして、第一義的には現行法を本気になってやれば十分取り締まれると私は思うのです。でもどうしても、現場の御意見等も含めて必要だということについては私は理解を示しますから、ならば、これによって善良な市民が苦しまないような、いわゆる暴走族と言われる人の根絶を必ず期しますという決意をしていただきたいことと、そして安易に、何と言うのですか、法をつくって事に処そうというのではなくて、またこれが運用の仕方によっては善意の人、あるいは治安的な意味もあるわけでございますから、運用については十分注意して、この適用は暴走族に限るということを明確にしていただきたいと思うのですが、その点いかがでしょうか。
  347. 杉原正

    杉原政府委員 暴走族の問題につきましては、従来も私ども毎週毎週土、日、全国で大体一万の警察官を動員してこれに対応してきておるわけでございます。先ほど、その暴走族の対応の仕方について基本的な御理解をいただきましたが、そういう一般国民に対する危険とか迷惑というものをどうしても防除するという強い姿勢のもとでこれをやりますにはかなり資器材の開発も必要でございます。体制も十分なものを考えて対応しなければならない。これをやった以上は、必ず暴走族を防除するという決意のもとで国民の負託にこたえたいと思います。  同時に、この問題につきましては、他に祭礼行事とか、あるいはデモ行進とか、いろいろな形態がございますが、これらのいろいろな形態を全部洗い出してみまして、こういうものにはこれは適用にならないというふうなことでとことん詰めまして、それでこの法案をつくったわけでございまして、これは暴走族以外の正当な、そういう善良な人方のやられる集団走行その他の問題について適用のあるものではないし、そういうことをすべきものではないということをこの際はっきりいたしておきたいと思います。
  348. 薮仲義彦

    薮仲委員 その点はどうかよろしく運用方お願いしたいと思うのでございます。  ここで、ちょっと角度を変えて恐縮ですが、大臣にちょっと伺ってみたいのです。  現行法は、いわゆる取り締まるということですけれども、私は政治というか、政治家というのは、逆に夢を描いてもいいと思うのです。暴走族が悪いというのはわかります。でも、青少年というか若者が健全な形でスピードを楽しむというような施設が、では日本の国の中に十分かと言えば、決して十分とは言えないし、むしろ、ないと言わざるを得ないわけです。逆にこういうものを取り締まる一面、青少年のスピードを上げてみたいという夢をかなえるような施設が将来あってもいいのじゃないかな、健全なレジャーとしてあってもいいのじゃないかな、こういう一面を考えますけれども、取り締まるばかりではなくして、そういうような点はいかがですか。大臣のお考えを伺いたいと思います。
  349. 加藤武徳

    加藤国務大臣 国家公安委員会の所掌とは若干外れました御指摘や御質問でございまして、答えにくいのでございますけれども、しかし、若者に夢を持ってもらわなければならぬし、そしてあふれる情熱のはけ場所をどこかに求めなければならぬこと、これは申すまでもないことでございまして、すぐれた施設でそのことがなし得ますならばこれが理想でございます。現在までのわが国におきましては、必ずしもその趣旨に沿いますような施設がなかったのでありますけれども、最近はサイクリング等につきましてやはり一般の方が十分に楽しみ得ますような施設も着々と整備がなされており、自転車振興会等の金がそういう面に大量に出ますような道も昨今あるようでございますから、さような道を求めまして、そして自転車だけではございませんで、さらにスピードを楽しみ得ますような、それも安全な楽しみ方が可能なような方向での努力は国全体の姿勢として必要だ、このことを痛感いたします。
  350. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうか、そういう健全な、青年の気持ちも生かせるようなことを十分御配慮いただきたい、これはお願いいたしておきます。  次に問題を変えますけれども、自転車の問題についてお伺いしたいと思います。  今度の改正案の中に、自転車安全確保ということが盛り込まれることについては、私は非常に好ましいことであり、評価をするものでございますが、先ほど来言われておりますように、現在、自転車の台数は国内で四千六百万台あるいは四千八百万台とも言われておりますが、日本国民の二・何人に一台というような利用率になっているわけでございます。このことに関して最近非常に注目しなければならないのは、自転車の死傷事故です。この死傷事故の統計でいきますと、一番多いのが普通自動車、その次に指摘されなければならないのは自転車における死傷事故です。発生の件数もパーセントで言えば一二%強、これは事故の中でも死傷だけですから、非常に大きな割合を占めているのじゃないか。これは記録の上に出た数字だけでございますので、潜在的な数字を合わせればどれほどの事故になっているか、こういうことを考えますと、やはり安全が何よりも優先されなければならない。しかも、年齢構成で見ますと、亡くなっていらっしゃる方が、非常に不幸なことで残念ですけれども、五歳から十四歳の小さい子供さん、さらには六十歳以上のお年をとられた方に集中しているという点は非常に重大なことであって、われわれは注目しなければならないのではないか、こう思うのです。  そういう観点から、私はまず警察庁に伺っておきたいのは、国民自転車に対する基本的な認識、この点を根本的に変える必要があるのではないか。われわれは、自転車というのは子供のころからなじんでいますから、だれでも手軽に乗れる安全な乗り物、こういう認識があると思うのです。しかし、いまも指摘しましたように、このような死傷事故が発生している以上、その認識だけではいけないのじゃないか。むしろ自転車というものは安全に注意して乗らなければならないものですよ——表現はわずかの違いかもしれませんけれども、ここが私は大事な点だろうと思うのです。自転車は安全に注意して乗らなければならない、この認識が一つ。それから、自転車も勝手に乗ってはいけません、ルールを守りましょう。三つ目には、不必要なスピードは出すべきではありません。  私は、この三つは安全を守る上で、もっと条件はあるかもしれませんけれども、必要な条件だと思うのでございますけれども、国民の認識を変えるという点について警察庁はどうお考えですか。
  351. 杉原正

    杉原政府委員 最近自転車が非常に多くなってまいりまして、それなりに社会的な役割りもあるわけでございますが、自転車につきまして私どもいろいろ現場で見ておりまして、自動車につきましては、ドライバー運転免許その他の機会があって、またいろいろな点数制度その他の関係もあって把握もし、三年に一遍は更新時講習もあって教育もできる、しかし自転車につきましては、正直言いまして、いろいろなことをやっているとは言いながら、本当はほとんどのことがやられていないという実態があるように思います。やってなかった責任の一つは私どもにもございまして、道路交通法一つを見ましても、自転車道路交通法上の地位というのがちっとも明確でない、ぱらぱらと規定はありますけれども、車対自転車との関係においては、なるほど自転車弱者でありますが、自転車歩行者で見ますと、逆に自転車が第一当事者になって、歩行者が死傷しているケースというのはたくさんあるわけでございます。  そこで、自転車がある意味では保護されると同時に、自転車もやはり守るべきことは守ってもらわなければならないということをはっきりさせるという意味一つあったわけでございます。これを遅まきながら今度提案をしているわけですが、自転車につきましては免許制度とかなんとかいうものがないだけに、自転車の正しい乗り方あるいはルール、そういうものを子供のときから成長過程に応じて、学校教育も含めてどのように教えていくのかというふうな問題。あるいはお年寄り等に対する社会教育の問題もあります。あるいは市町村の交通安全に対する役割りもあります。あるいは自転車の販売業者、そういうふうなもの等々の連携のもとでこの自転車の総合対策というものに、この際、本当に真剣に取り組まなければならない時代になったのではなかろうかという認識をいたしておるわけでございます。また、そういう方向で現場からのいろいろな意見を関係方面にも強く訴えていきたいと思っております。
  352. 薮仲義彦

    薮仲委員 時間が余りありませんので、次の件は指摘をいたしますからごく基本的な考えだけお答えいただきたいのです。  まず、いまもおっしゃいましたように、教育という問題は非常に大事だ、いわゆる教育するか規制するかという二つの選択があると思うのですが、私はやはり両方とも必要だと思うのです。でも、ある一面では、私は教育が十分になされるということがあってほしいと希望します。特に、小学生は自転車を通学に使ってはいかぬということで使っておりませんけれども、おうちへ帰れば乗っているわけです。現に子供用の自転車もあるわけですから。こういう意味で、特に春三月、新入学するときの子供さんに、乗ってはいけないよということではなくして、そのときから正しい自転車の乗り方、ルールを守るということを、一枚のパンフレットでもいいから、おうちへ帰っても自転車はこう乗りましょうという正しい理解のさせ方を十分に取り入れていかないと、と同時に、いまお話があったように、社会教育の場として、父親母親、どうやってルールを守らせるか、こういう教育という点について、私は警察庁だけの問題ではないと思うのです。関係省庁が幾つもまたがっているのはわかりますが、もう少しトータルな形でこれを重大な問題として取り上げて、先ほども指摘しましたけれども、自転車は安全に乗るべきだということを徹底して教育すべきだと思うのです。この点は私が一番指摘したい点でございますが、これが第一点です。  それから次は、私、事故の例証を聞いてみたのですけれども、こうやって事故を見ますと、自転車にも骨折であるとか、かわいいお子さんが数カ月の重傷という例が相当あるわけです。自転車といっても、起きるケースは自動車並みの大きな事故もあるわけです。やはりこれから自転車にも、保険がいいのか共済がいいのか、いずれにしても何らかの形でのそういう制度は、これは関係省庁には後で聞きますけれども、警察庁としてその必要性の有無——これはなじまない問題ということではなくして、事故現場で見た立場としてこういう問題をどう考えるかという考えでいいです。大蔵省や何かの意見は後で聞くようになっていますから。その辺、どう思うかだけ簡単に。  それからもう一つは、先ほども通産省にいろいろ御質問が出たようですけれども、通産省には後でもっと具体的にやりますけれども、いま子供が乗っている自転車はギア比が変わって、五段ギアでトップに入れると相当なスピードが出るわけです。ああいうスピードが出る自転車についての考え、あるいはまた、今度はブレーキについて規制ができたわけですけれども、現行のブレーキとかギアに対して警察庁立場からどう考えるか、これが第二点。  第三点は、社会生活の上で非常に大事な点は自転車をどこに置くかということですが、特に平たんな都市ですと自転車の利用度が非常に高いわけです。この自転車を利用した場合に、特に通勤に使った場合、駅前に自転車を放置するというケースがあるわけですが、これは取り締まる立場からは放置できない問題だと思うのですね。この自転車置き場に対してはどう考えているか。ごく簡単で結構でございますから、いまの点についてお答えいただきたいのです。
  353. 杉原正

    杉原政府委員 この安全教育の必要性につきましては省略いたしますが、第一点の自転車の保険の問題、これはやはり悲惨な現場を見ている立場から言いますと、ぜひこういうものは整備していただきたいなというふうに思います。  それから、いわゆる何段かの自転車の問題でございますが、これは、最近のように住宅が郊外にだんだん延びておりますと、どうしても学校の通学その他も若干山、坂を上るというケースが非常に多うございまして、段のない自転車は上りには非常にきつい、またお年寄りなどはなおさらそうでございます。そういう意味で、いわゆる上りやすいが、しかしスピードは余り通常出ない自転車の方がやはり望ましい。これは装置的にいろいろな問題もあると思いますが、そういうことは考えます。  それから、やはり自転車を利用する以上は、駅まで自転車で行くというケースが非常に多うございますので、いまこれは総理府の方でもいろいろ対策を検討していただいておりますが、私どもの立場から、できるだけ早く駅前にそういう駐車場が設けられることによって自転車の不法駐車がなくなるようなことも期待しております。
  354. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは通産省に伺って、その上でもう一度警察庁にブレーキの件だけを伺います。  通産省の方に伺いますが、自転車のブレーキのJIS規格ですけれども、これは現行のJISでは、いろいろ細かいデータは抜きにして、握力の係数だけでいきますと七キログラムフォースということになっているわけです。これは、現行のJISでは六歳以上の子供の乗る自転車は全部同じ規格になっているわけです。また、自転車のグリップの太さは、鉄棒の太さが二センチ八ミリ、それから、グリップからレバーまでの幅が七十ミリというように、これは大人も子供も一緒なんですね。しかし、この点はやはりブレーキ、制動という問題が今度の道交法改正で非常に重要な点になっているわけでして、私は、握力もそれから手の大きさも違う大人と小さな子供のJIS規格が同じであること自体が、一面では安全を無視しているのではないかという指摘を免れないのではないかと思うのですね。そういう意味合いにおいて、私はやはりこれからの問題としては、道交法改正もあることですから、自転車のブレーキの大人と子供の握力に対応できるような改正があってしかるべきだと思うのでございますが、この辺の通産省の考え、いまのグリップの幅に対して、警察庁はそれでいいと思うか、いいか悪いかだけ、通産省の後でお答えいただきたいと思います。
  355. 仲井真弘多

    ○仲井真説明員 お答えいたします。  先生おっしゃいましたように、確かに私どもがいまJISで決めておりますグリップとレバーとの開きというようなものは、いまのJISが一般用自転車対象としておりますので、このままの数字では、先生御指摘のとおり、幼児用にそのまま十分でないという面がありますので、私どももこれから幼児用自転車の規格の作成を早急にやっていきたいということで作業をやっております。
  356. 杉原正

    杉原政府委員 私どもの立場からも、十分これから運輸省と御相談をしてやっていきたいというふうに思っております。
  357. 薮仲義彦

    薮仲委員 通産省にもう一つ伺いたいのですが、先ほどもちょっと警察庁もその必要性は認めているようですが、いわゆる自転車の保険の問題です。これは通産省が本来取り扱うべきではないかもしれませんが、やはりメーカーが自転車を製造した段階での保険というものがいいのか共済がいいのか、今後論議を呼ぶと思いますが、現行の保険制度といってもせいぜい年間五百円ですから、購入のときにたとえばメーカーが五分の三、ユーザーが五分の二、この比率はどうなるかわかりませんけれども、いずれにしても数百円という単位でこの問題は余り負担にならずに処理できるんじゃないか、その可能性は含んでいるわけですね。そうしますと、これは通産省としても、メーカーあるいはユーザーの理解がなければできない問題ですが、今後自転車に保険というような考えを——保険は本来一年間のものですけれども、国民自転車にも保険を掛けなければならないのかなという認識を与える意味合いにおいても、これはむだではないと思います。そういう意味において、私は通産省の御意見を伺いたいと思います。  それに関係して大蔵省のお立場で、自転車保険というのが現在あるわけですが、将来保険が必要か、共済が必要か、いずれにせよ、そういう事故が起きたときの何らかの補償制度を取り上げる段階に来たのではないかな、こう思うのでございますが、通産省と大蔵省の見解を簡単で結構ですからお伺いしたいのです。
  358. 堀田俊彦

    ○堀田説明員 自転車についております保険は二つに分けて考える必要があろうかと思います。  一つは、生産物賠償保険でございまして、これは毎年生産され、国内に出荷されます五百万台以上の自転車の大部分がこれでカバーされております。この保険は何をカバーするかと申しますと、自転車の構造上の欠陥に基づく損害を補てんするものでございます。  そのほかに、購入者が希望すれば乗用者の死亡、負傷に対する傷害保険、これが一つ、それから盗難、全損に対する車体保険、これが二つ目、それから第三者の身体、財物の損害に対する賠償責任保険、これが三つ目でございますが、この三つのいずれかあるいはこの三つをまとめて一本にして総合保険として加入することができるようになっております。これがいま御指摘のございました保険料として七百円程度が徴収される保険でございます。  この保険制度が設けられておりますのは、完成車メーカーであります自転車メーカーが消費者に対するサービスという観点で保険会社と相談してつくっておる制度でございまして、非常に効果の高い保険であると存じておりますが、実際に消費者が自転車を購入してこれに加入しているかと申しますと、この加入率は現在非常に低い状況にございます。  自転車事故による被害の救済、これはぜひ強化されなければならないと考えておりますので、生産物賠償責任保険、これはもちろんでございますけれども、第二の保険でございます保険料を若干は徴収する総合保険についても販売業者、それからユーザー、それぞれの認識を高めて、大いに普及が図られるようにしたいと考えております。
  359. 森田一

    ○森田説明員 ただいま先生の方から御指摘がございました自転車の運行等によって生ずる事故対象とする保険または共済制度につきましては、確かに検討すべき問題があると存じます。ただ、これを実現するまでにはさまざまの多くの克服すべき問題がまた同時にあるわけでございます。  私どもとして現在直ちにやらなければならないと考えておりますことは、すでに発足いたしております任意保険の普及拡大の点でございまして、この問題につきましては、保険料負担の問題のほか、自転車と歩行は安全であるというような認識が一般的である現在の中で、なかなかむずかしい問題はあると思いますけれども、社会的なニーズの高まりに応じまして、積極的に対処してまいらなければならないと考えておるところでございます。
  360. 薮仲義彦

    薮仲委員 時間が参りましたので、これで終わりたいと思うのですが、自動車局長には申しわけないのですが、また次の機会にお伺いしますが、最後に、自転車置き場について、ごく簡単に要点だけお答えいただけば結構ですが、建設省にお願いと、またお伺いをしておきたいのは、先ほど来指摘されておりますように、もう五千万台自転車時代ということも言われている現在でございますから、やはりこれからの都市構造の中で、自転車専用の道路というものをつくっていかなければならないのじゃないか。車道と歩道だけの道路構造から、車道と、そこに自転車道があって歩道がある。自転車道は舗装の色を変えて緑色にするとか、そうすれば都市の中に安らぎというか、同時に、安全も確保できると思うんですね。このような都市構造を将来は検討いただきたい。と同時に、これは指摘にとどめておきますけれども、いま御返事いただきたいのは、駅前自転車置き場というのは、建設省が積極的に地方自治体と取り組んで解決を望まれておることでございますので、本年度は六十数カ所計画していらっしゃるようですが、さらにこれを拡大して、好ましい駅前広場をつくっていただきたい。この辺のお考えをひとつ伺っておきたいのです。  それから、国鉄さんに伺っておきたいのは、駅前の自転車置き場に対して、建設省と運輸省との協定によりまして、地方自治体もしくは建設省から要請があれば、国鉄としては前向きに検討するというのがさきの予算委員会で総裁から答弁があったわけでございますが、このお考えは変わっていないかどうか。さらに、これを拡大というよりも、十分なものにして、自転車置き場の解決を図っていただきたいと思うのですが、その辺の国鉄のお考えをお伺いしたいと思います。  以上で終わります。
  361. 渡部與四郎

    ○渡部説明員 お答えいたします。  都市内の自転車道路整備につきましては、先生おっしゃるように、車と人との流れをはっきり分ける、それが本来であるという認識のもとで、建設省におきましては、すでに歩行者自転車道の整備を進めておるわけでございますが、特に五十三年度からは、市街地の幹線街路の歩道機能を代替するような区画街路等については積極的に歩行者専用道、自転車専用道として整備する、これについては補助率を三分の二にするというようなことを考えまして、五カ年計画としても現在の倍にするというふうな整備目標を立てております。  それから自転車の置き場の問題でございますけれども、やはり五十三年度より、大量の自転車の放置がある周辺につきましては、自転車駐車場を地方公共団体が都市計画事業によって道路付属物として整備する場合については、国庫補助制度を創設いたしました。こういうぐあいに、さらによりよい都市構造に近づけるよう、私たちも積極的にこれから努力したいと考えております。
  362. 佐藤一成

    佐藤説明員 お答えいたします。  さきの二月十八日、衆議院予算委員会で総裁から国鉄の考え方につきましてはお話し申し上げたわけでございまして、変わっておりません。それも一月二十三日に政府の交通対策本部決定ということで、自転車駐車場の整備推進ということが当方にも示達がございました。実はそれがありましたから云々ということではなくして、実は国鉄におきましては、やはり駅周辺には土地が非常に少のうございます。それから旅客の利便を図るという二点から、駐車場というものは都市施設の一端として整備すべきものであろう、地方公共団体、道路管理者等で整備すべきものであろうとはいいながらも、さきに述べました二点からいたしまして、事業計画に支障ない範囲において御協力申し上げるということで過去ずっとやってまいりまして、現在では七百六十カ所以上、それから十万平米近くのものを御提供申し上げているわけでございます。また、その一月二十三日の政府決定も受けまして、なお一層の前向きの姿勢でこれに取り組もうということにしております。その取り組んでおります証左と申しますか、あかしと申し上げては大げさになりますけれども、その後、鋭意進めまして、この二カ月ぐらいの間に、全国で十数カ所、推進計画に基づく整備以外のもので御協力申し上げる事例がございますことを申し上げまして、一生懸命やるということの姿勢をお答えとして申し上げる次第でございます。
  363. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。
  364. 木村武千代

    ○木村委員長 以上で連合審査会は終了いたしました。  これにて散会いたします。     午後六時五十六分散会      ————◇—————