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1978-05-12 第84回国会 衆議院 地方行政委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月十二日(金曜日)     午後一時五十九分開議  出席委員    委員長 木村武千代君    理事 高村 坂彦君 理事 中村 弘海君    理事 中山 利生君 理事 小川 省吾君    理事 佐藤 敬治君 理事 山本悌二郎君       相沢 英之君    井上  裕君       石川 要三君    地崎宇三郎君       中村喜四郎君    中村  直君       新村 勝雄君    細谷 治嘉君       斎藤  実君    和田 一郎君       三谷 秀治君    川合  武君  出席政府委員         自治政務次官  染谷  誠君         自治大臣官房審         議官      石原 信雄君         自治大臣官房審         議官      砂子田 隆君         自治省行政局長 近藤 隆之君         自治省行政局公         務員部長    塩田  章君         自治省財政局長 山本  悟君         自治省税務局長 森岡  敞君  委員外出席者         国土庁水資源局         水資源計画課長 和気 三郎君         国土庁水資源局         水源地域対策課         長       和田 萬里君         大蔵省主税局税         制第一課長   矢澤富太郎君         文化庁文化財保         護部記念物課長 横瀬 庄次君         厚生省環境衛生         局乳肉衛生課長 岡部 祥治君         厚生省環境衛生         局水道環境部計         画課長     藤田 恒雄君         厚生省環境衛生         局水道環境部水         道整備課長   山村 勝美君         農林省畜産局食         肉鶏卵課長   甕   滋君         参  考  人         (畜産振興事業         団理事長)   太田 康二君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 五月十一日  東京財政確立に関する請願(大柴滋夫君紹  介)(第四五五七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  地方自治及び地方財政に関する件      ————◇—————
  2. 木村武千代

    木村委員長 これより会議開きます。  地方自治及び地方財政に関する件について調査を進めます。  この際、地方自治及び地方財政に関する件について、本日、参考人として畜産振興事業団理事長太田康二君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 木村武千代

    木村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 木村武千代

    木村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石川要三君。
  5. 石川要三

    石川委員 数点に関しまして質問をいたしたいと思います。  最初に、小規模宅地課税標準特例昭和四十八年、地方税法改正によって行われたわけであります。この法律の趣旨というものは、当時の大変な土地騰貴、こういう中において、やはり庶民大衆というものの宅地確保する、こういうような観点から見ると、これは並み並みならぬことでございまして、こういうような社会情勢の中からこの課税標準特例というものが誕生した、こういうふうになるわけでありますが、その特例法によりまして、三百平米を頭打ちにし、二百平米以下は四分の一、さらに二百平米を超える三百平米、これについては二分の一、こういうような軽減がされてきたわけでございます。確かに、庶民大衆から見れば、現在、一生のうちに自分の家をつくるということが大体一つの大きな夢であります。これが現実的に、土地関係で非常に困難性があるわけでありますが、そういう点から見ると、この特例法というものの社会的な意義というものを私は非常に大きく評価するものでございます。  しかし、片や地方自治体という面から見ると、これが違った点で問題が非常に顕著なこととして最近出ております。先般私の選挙区内自治体を調べまして、いかにこの小規模宅地の占める割合が大きいかということを知り、驚いたわけでございます。ある市におきましては五二%以上の率がこの小規模宅地である、こういうようなことを考えますと、税制の上で、個人の上では大変恩典があるわけでございますが、片や地方自治体という面から見ると、これまた税収の面で大変大きな問題でございます。  これについて、自治省当局としては、いまのこの時代の推移からこれをどのように評価なさっているかという点、そしてまた、地方自治体を預かる立場からすると、税収増収を図りたいという、軽減率を下げてもらいたいというような意見もございますけれども、その点について自治省はいまどのような考えをお持ちかという点をまずお伺いをしたいわけであります。
  6. 森岡敞

    森岡政府委員 固定資産税市町村税収の中で大宗を占めておる税でありますから、その適正な運用財政収入確保ということは、自治省としても一番意を用いていかなければならぬと思っております。  その場合に、特に土地につきましては、評価の問題と税負担の問題と両面あるわけでございます。時価によって課税をするというたてまえをとっておるわけでありますから、評価につきましてはできるだけ時価に応じて評価をする。率直に申しまして、固定資産税が創設をされまして後、いままで評価適正化努力は積み重ねられてまいりましたけれども時価に比べれば、なおかなり低い水準にある、ことに、いま御指摘の四十七、八年のいわゆる狂乱地価を経ましたこともありまして、評価額に近づけるという努力をしてまいりますと同時に、税負担に対する配慮考えなければならない。そこで、住宅地につきましては、一般の事業用地と違いましてそれ自身収益ストレートに生み出すわけではございませんので、いろいろ議論がございましたけれども評価適正化を図ると同時に、負担上の配慮考えて、いま御指摘のような四分の一ないし二分の一という措置を講じております。全国的に見ますと、これによる減収額は大体五千億円をすでに超えております。財政収入面から見れば、確かにおっしゃるように一つの問題であろうと思いますが、基本的な方向といたしましては、今後とも評価時価に近づけるように適正化を図るという基本的な方向を堅持しながら、同時に負担上の配慮として、この四分の一なり二分の一の率の扱いというものはやはり当分続けていく、その方が固定資産税の適正な運用あるいは財政収入確保という点からいいまして適当な方向ではないだろうか、私どもは現段階でさように考えております。
  7. 石川要三

    石川委員 確かに、いまの御答弁によりますと、まことに私も同感するところでございます。今後この軽減率を下げるということにつきましては、いま当面考えられてない、ただ評価の点を十分に考慮したい、こういう御意向でございますが、片や自治体を責任を持って預かる立場のこの面も十分に御考慮されまして、ひとつその増収という点の意向もあるということを御配慮いただきたい。要望を申し上げる次第でございます。  次に、農地宅地並み課税制度、この点について若干お伺いしたいと思いますが、現在三大都市圏、百八十三市の市街化区域内の宅地並み課税につきましては、A、B農地宅地並み課税軽減措置が行われたわけでございます。これは五十一年から五十三年の特例であるわけですが、五十四年度以降については諸般の情勢を勘案して検討する、こういうことになっているかと思いますが、今後のこの五十四年度以降についての展望、これをひとつお伺いしたいわけです。
  8. 森岡敞

    森岡政府委員 いわゆる市街化区域農地宅地並み課税につきましては、当委員会でもいろいろ御議論をいただきまして、四十八年から三大都市圏のいわゆるA、B農地について宅地並み課税が進められてきております。A農地昭和五十二年度、B農地につきましては昭和五十三年度で段階的な措置が終了いたしまして最終的な形になるわけであります。問題は、その間に、この制度は御承知のように税負担バランス確保するということのほかに、特に宅地供給市街化区域内で円滑にしていく必要があるという政策的な配慮も持たれてつくられた措置であります。しかし、また反面、市街化区域内に農地があってなぜ悪いのだという御議論もありますし、また、その他いろいろな防災上等観点から緑地確保すべきだという御意見もあり、その結果、たとえば生産緑地は除外するということのほかに、五十一年度から、御質問の中にございました市町村実情に応じた減額制度というものを設けたわけであります。  五十四年度以降どういうふうにするかという問題につきましては、まず三大都市圏C農地と三大都市圏以外の地域のA、B、C農地をどうするかという問題が一つございます。これにつきましては、地方税法の附則で五十四年度において課税適正化という観点から検討をすべきだ、こういう検討規定が置かれております。同様に、いま申し上げました五十一年度から五十三年度までのいわゆる市町村単位減額制度につきましても、その時点においていま一度検討するということになっておるわけであります。  問題は、私は一面において、この市街化区域農地宅地並み課税制度は、先ほども申しましたように、多分に土地政策的な面も入った制度であります。農地として保全すべきものは農地並み課税でいいではないかというような御意見がある反面、やはり市街化区域でだんだん宅地供給は先細りになってきている。少なくとも各方面の施策を講じて区域内の宅地供給を円滑化すべきだ。そうでないと国民の住宅を持ちたいという希望に適応していけないのではないかという御意見も最近かなり強いわけであります。その両面をどのように調整するかということが、五十四年度における宅地並み課税あり方についての基本的な分かれ目になるのだろうと思います。当委員会の御意見、また各方面の御所見などを総合的に勘案いたしまして、五十四年度の税制改正までに適切な結論を得たい、こういう気持ちでおるわけでございます。
  9. 石川要三

    石川委員 そうすると、現在ではまだはっきりした見通しというものは具体化されていない、こういうようなお話でございますが、確かに土地政策として宅地をできるだけ確保する、そして前段で質問したように、非常に土地取得が困難な中で庶民マイホームづくりをできるようにということで、これは当然のことだと思いますけれども、しかし、どうも政策が打ち出されて今日までわずかな日でございますけれども、静かに客観的に見ても、宅地並み課税だけで宅地供給というものが果たして十分に行われているかとなると、はなはだ大きな疑問があるのではないか。もっともっと別の大きな総合的な一つ土地対策というものが確立されなければ、これだけを見たのでは、これをやったからどんどんうちが建つかというと、そんなぐあいではないということは顕著ではないかと私は思います。特に私が心配するのは、都市の中にグリーンがあることの必要性ということもさることながら、福田総理がアメリカに行ってカーターさんとお話しした中でも、かつては五〇%近かった第一次産業の農業というものが現在一一%、これは死守するのだという御意見、これは大変りっぱな御意見だと拝聴するのです。  そういうことを前提にしてみて考えた場合、ちなみに東京の例をとりますと、比較的収益の高い野菜を生産しているということを取り上げて野菜生産額をとってみますと、江東三区で反当たり田畑二十八万六千円、世田谷で二十二万円、練馬、板橋で十六万円、多摩地区にいきまして十五万から十八万円、このような数字がはじかれているわけでございます。これに対してもし宅地並み課税をやるということになりますと、実際に固定資産税都市計画税、反当たりで、いま申し上げました三地区で四十五万、多摩地区で十−十三万、所得標準に対して課税額が倍以上になるところもあるわけでございます。こうなりますと、結論的には農業の締め出しと言わざるを得ない、こういうふうに私は思うわけでございまして、これがために、エゴの盛んないまの世の中ということではなくして、あれだけの農業者宅地課税に対しては非常な関心を寄せているということではないかと私は推察をするわけであります。こういうことから見て、土地政策としての宅地並み課税につきましては、真剣にもう一度大きく考え直す必要もなきにしもあらず、私はこういうふうに思うわけであります。  五十四年度以降については、これからの情勢を判断してやるのだというようなことでございますが、私は、要望的な質問になりますけれども現行特例の移行あるいは宅地並み課税の撤廃、こういうような点にひとつ十分御配慮をすべきではないか、かように思うわけでございます。この点につきましては、政策的なことでございますし、政治的な面もありますので、ひとつでき得れば政務次官の方からの御答弁をちょうだいしたい、かように思うのであります。
  10. 染谷誠

    染谷政府委員 土地政策農地利用計画というようなものを勘案した中で対処してまいりたいと思っています。
  11. 石川要三

    石川委員 自治省としては、各市によりましていろいろと条例を制定して減額措置をしているわけでございますが、これに対応して自治省はその減額した税額の六六%を減額措置市へ財源付与しておるわけでございますが、今後拡大をする意思がございますかどうか、この点をお聞きいたします。
  12. 石原信雄

    石原(信)政府委員 ただいま御指摘の六六%という数字でございますが、これは特定市街化区域農地に対する減税制度ができたときに、関係団体状況ども聞きまして、おおむね対象農地の六六%程度減額になるであろうということで、普通交付税の算定上これを基準財政収入額から控除するという形で結果的に補てんする措置を講じたわけでございます。御指摘のように、その後の実績を見ますと、団体によっては六六%程度のところもありますけれども、それよりかなり高い減額を行っている団体もあります。したがいまして、五十一年度からスタートしたこの制度実績が最近はっきりしてまいりましたので、この状況を再度調査の上で、現在の補てん率と申しましょうか、対象率を再検討してみたい、このように考えております。
  13. 石川要三

    石川委員 ぜひひとつ拡大方向で御検討いただきたい、かように御要望を申し上げます。  次に、最近はモータリゼーション時代に入ったわけでございまして、高速道路年々歳々延長をされておることは時代に即応してはなはだ結構なことでございます。しかし反面、高速道路通過都市に対する交付金等につきましては、市長会の全員ではございませんが、通過都市所在市の市長等がこれに対して強い要請をしております。この要請に対して現在どのような方向になっているのか、検討されていると思いますが、現状をまずお知らせをいただきたいと思う。
  14. 森岡敞

    森岡政府委員 ただいまの道路公団等有料高速道路について負担を求めているという問題につきましては、昨年来お話しのように市長会等の強い御要請もあり、政府部内で建設省自治省、運輸省、三省間で負担あり方について検討を進めてまいりました。率直に申しまして、私どもとしては固定資産税あるいはそれにかわるような交付金とか納付金というふうな負担をお願いしたいという気持ちを強く持って折衝したわけであります。しかし、建設省当局におきましては必ずしも私ども意見と一致はいたしませんで、有料高速道路有料であるというのはいわば資金調達の手段にしかすぎないというふうな御意見もありまして、五十三年度の予算及び税制改正の時期までに結論が出なかったわけであります。私どもはこの問題を早急に解決しなければなりませんけれども関係省あるいは関係者意見が一致しませんと政府案として決定することは困難でございます。そのようなことから、もう一年勉強する機会をいただきたいということで、関係省だけでなくて地方公共団体の代表、それから道路公団なり、さらに学識経験者も含めました委員会を設けまして、総合的に研究して結論を出そう、こういうことでいま進めております。その人選等につきまして少し時間がかかっておるわけでございますが、五月中には委員会が発足できると私考えております。  そこで検討いたしますことは、こういう有料道路に対する負担あり方を基本的にどう考えるかということがまず第一点でございます。第二点は、救急でありますとか、消防関係あるいはその他公害、騒音、環境整備というふうな個別の助成も、細々ながらではありますけれども最近は行われておりますから、それらの拡充についてどう考えるかという問題、この両面につきましてこの委員会で積極的に検討を進めまして、五十四年度の予算及び税制改正までには結論を出したい、かように考えておる次第でございます。
  15. 石川要三

    石川委員 この一年間で非常に精力的に御検討なさるということですから、関係市は大いに期待を持っていると思います。そのあり方についてはいろいろと方法論もあろうかと思いますが、いずれにしましても、固定資産税相当額が交付されるような道をぜひ講じてもらいたいと思います。  ちなみに伺いますが、諸外国などではこういった点はどうなっているのですか。
  16. 森岡敞

    森岡政府委員 ちょっと高速道路自体実例は、私いま資料がございませんけれども、たとえばわが国で国鉄納付金がございますが、あれと同じような公共輸送機関納付金のようなものを求めておるという例は数多くございます。有料道路自身実例については、ちょっといま手元に資料がございません。
  17. 石川要三

    石川委員 次に、国有資産等所在市町村交付金納付金についてお尋ねしたいと思います。  交付金納付金が、大まかに言いまして固定資産税相当額の六〇%くらいと言われておりますけれども、まず、それについてその事実関係をひとつお尋ねいたします。
  18. 森岡敞

    森岡政府委員 いわゆる国有資産交付金納付金に分けて申し上げますと、交付金国有財産台帳などに記載されました台帳価格原則として使う、ただ、固定資産税評価と著しく異なる場合にはそれを修正する、こういうたてまえをとっております。国有財産台帳価格はいわゆる取得価格がそのまま載っけられます。そこで、土地について一番問題が出るわけですが、古い土地につきましてはどうしても低くなりがちである。ただ、御承知のように、五年ごと評価がえを国有財産については行っております。固定資産税評価がえは、これも御承知のように三年ごとでございます。したがいまして、国有財産台帳に登載された土地につきましては、五年、三年というタイムラグはございますけれども、しかし、実勢に応じた評価がえが行われてきておる、こう見ていいと思います。取得時期の新しいものにつきましては、台帳価格が即取得価格でございますから、固定資産税の方はそれまでいっておりませんので、台帳価格の方がむしろ高いというものもかなりあるわけでございます。  それから国鉄等公社納付金につきましては、やはり原則として三公社帳簿価格を用いておるわけでございますが、これについても同じような問題がございます。ただ、この土地については、二十九年に再評価をいたしまして、その後再評価をいたしておりませんので、古いものについてはかなり低いという問題がございます。しかし、また反面、新しくできました新幹線とかそういう用地につきましては、取得価格でそのまま登載されますから固定資産税よりは高い。それらを総合いたしまして固定資産税に比べてどうなるかということでございますけれども、いま六〇%というお話がございましたが、全国平均で申しますと、固定資産税負担ベースとそれほど大きな違いはない、六割というふうな低いことになっていないのじゃないか。問題は、いま申しましたように、特に納付金の場合に古い土地、古い時期に取得した土地について全く資産評価がえが行われておりませんので、これについてはかなり低いベースになっておる。その辺のところをどう処理するかということが問題だと思っております。私は、この点について当委員会でもかねがね御指摘がございましたので、去年あたりから三公社といろいろ協議をいたしました。三公社納付金の中で鉄軌道施設などは、これは鉄道の所在市町村キロ数で案分しますから、古い土地も新しい土地も全部ならされるわけでございます。所在分と申しまして、所在地にそのままストレート納付金の計算をして納付するというものがございます。これにつきましては、古い土地がそのままの評価でありますと、確かに低いわけでありますから、その所在分について五十四年度から是正するように、その評価方法について国鉄ないし三公社当局といま鋭意準備を進めております。したがいまして、その点についての是正が明年度から図り得るもの、かように考えておる次第であります。
  19. 石川要三

    石川委員 ただいまの御答弁の中にも、市の評価額と国の台帳との間に開きがあるかどうかということでございますけれども片一方は三年、片一方は五年、確かに、高度成長前後の、大ざっぱに言えば、戦後の日本の土地状況から見ると、三年と五年というとわずか二年の差でございますけれども社会情勢から見て、そういう周期の三年、五年の間の差というものはかなり開きが出てきているのじゃないか、こういうふうにうかがわれるわけでございます。したがって、実情に合うようにぜひひとつ改定をお願いしたい、こういうわけでございます。  それと同時に、そういう国あるいはまた公社等財産、もしこれがそういうものでないとするならば、当然、市はそこから資産税と同時に都市計画税というものがちょうだいできるわけでありますが、それが乗っかっていないと思うのです。ですから、差がさらにあるわけです。そこいらはどういうふうにお考えになっているか。また、そういうものも加えられるように考慮すべきではないか、してもらいたいという願望も含めて質問するのですけれども、その点はいかがでございましょう。
  20. 森岡敞

    森岡政府委員 国有資産等交付金あるいは公社納付金につきまして、都市計画税相当分の税率に見合う負担を乗せて求めるべきではないか、確かに一つの御意見だと思います。ただ、都市計画税は御承知のようにすべての市町村課税する税ではございませんで、都市計画区域の設定がある市町村だけでございますが、交納付金全国にまたがる問題でございますので、都市計画税相当分を率に含めるということは困難だろうと思います。むしろ、先ほど御指摘のように、評価面での適正化を通じて固定資産税とのバランスをとり、あわせて市町村財政収入確保を図るという方向努力をしてまいりたい、かように思います。
  21. 石川要三

    石川委員 よくわかりました。  次に、公共用地取得の際に、現行税制におきましては、総合所得等関係で、土地は提供してもいいと思いながらも、売ったために物すごく税金ばかり取られてしまう、こういうことが非常に顕著になってまいりまして、各自治体とも、体育館をつくる、あるいはその他いろいろと公共施設を行う場合に用地の問題というのが非常に大きな、困難な問題としてクローズアップされてきたわけであります。ますますこの速度を高めているようでございます。地方大都市周辺との地価の余りにも大きな差がございますので、ことさら私どもが住んでおります東京都の周辺都市、この近辺においては公共用地取得することがきわめて困難だ。ですから、予算を計上することは簡単でありますが、それを実現することが非常に困難、特に、せっかく国や何かに言って起債や補助をいろいろと獲得しても、これを今度実現するということになると、大変な問題が出てくるわけであります。これは税制の問題にあると思いますが、公共に要する土地については何とかもう少し根本的に、抜本的に税制改正して公共事業がスムーズに実現できるように、これは特に公共事業を中心としての景気の回復ということでいま大変な公共事業費を組んでおる国の政治の面から見ても、この点についてはひとつぜひとも大幅な抜本的な税制の見直しが必要ではないかと思いますが、そこらについての見解を承りたいと思います。
  22. 矢澤富太郎

    ○矢澤説明員 お答え申し上げます。  ただいま土地の譲渡所得につきましては、先生もお話がございましたが、たとえば買い取りの際に、公権力の介入する度合いとか公共目的に従って、法律による私権制限の強弱といったものに基づきまして一定の金額の特別控除が認められております。公共用地の場合は恐らく土地収用法の対象になる事業が多いと考えられますが、土地収用対象事業用の用地の買い取りの際には三千万円の特別控除が認められているわけでございます。  先生の御指摘は、この三千万円の控除が低い、これをもうちょっと上げるような方法はないかという御指摘ではないかと思うわけでございますが、御承知のように、土地問題につきましては国民の関心も大変多うございますし、また、一ころ分離課税をしていたときに、長者番付の半分以上が土地成金で、それが非常に安い税金で済んでいるのはけしからぬということで、四十八年ごろ大変大きな社会的批判を生んだことも事実でございます。そういった国民感情のもとで三千万円の特別控除の水準を考えてみますと、たとえば夫婦子二人の給与所得者の場合の課税最低限は二百一万円、それから三十年勤続した方の退職所得の非課税限度額が一千万円でございます。そういった全体のバランスから見ますと、三千万円というのはほとんど限度いっぱいの水準じゃないかと私ども考えておりまして、確かに先生御指摘の問題があることはよく承知しているわけでございますが、税制というのはどうしても全体のバランスを見て公平を保っていかなければいかぬという要請もあるものでございますので、税制でこれ以上対応するのには限界があるのじゃないか、むしろ何か別の方法で対応する方向検討すべき問題ではないかと考えております。
  23. 石川要三

    石川委員 確かに税というものは公平でなければならぬということは当然であります。そういう点から考えますと、なかなかむずかしい点もあろうかと思いますが、特に私が強調したい点は、地価は日本列島全体の中でも相当差があるわけです。特に大都市周辺というのはきわめてべらぼうなというか、夢のような地価もあるわけでございます。地方の坪二万円とか三万円とかいうところもあるかと思うと、もう何十万円というところがある。確かにそういうところで三千万円といえば、一般の土地を持っていない方、持っている方、すべて国民全体から見ると、土地成金ではないかとか、土地を持っていれば非常に気楽なものだとか、そういう不満があるかと思います。しかし、片や土地地方自治体に提供するという立場、そしてまた、どうしてもそれを提供してもらわなければ地方自治体では仕事ができないという立場から見ると、日本列島全体の中でも余りにも地価に差があり過ぎるために、三千万円というリミットの中から見ると大きな問題があると思うのですね。いま、そういった点は十分にわかるけれども、税の公平ということから見ると、これはまたなかなかむずかしい問題があるので、むしろ別の観点からできるだけ検討もしてみたいということでございますから、別の観点となると、これまたむずかしいかと思いますが、何かそういういま想定される幾つかのものがあるのですか。ただ単にここの答弁だけで、答弁だから別の観点からと言っておけばその場で一応答えとしてはなるわいというふうなことでは、私としては不満足でございますので、その辺をもう少し突っ込んでお答えできるかどうか。
  24. 矢澤富太郎

    ○矢澤説明員 ただいま地価が安いところ高いところと三千万円の関係の御指摘がございましたが、ただいま収用対象用地の場合には特別控除のほかに買いかえの制度もございます。ほかの同種の資産あるいは同一効用を持つ資産を買いかえていただけば課税を繰り延べるという制度もございますので、そういったことを利用していただく方法もあるのではないかと思います。  それから別の観点からと申し上げましたのですが、私ども税制当局でございますので、全般を検討する立場にはございませんが、私どもの感想といたしましては、土地政策全体の中でこういった問題ももみほぐしていくべきではないだろうかという意見を申し述べた次第でございます。
  25. 石川要三

    石川委員 次に移ります。  公共事業を進めるに当たりまして、最近また大きな問題として非常に悩みの種でございますのが、埋蔵文化財の発掘調査という点でございます。この点について若干お尋ねしたいと思います。  今日、いろいろと各自治体状況等を聞いてまいりますと、この埋蔵文化財包蔵地の発掘については本当に根本的に見直すべき必要があるのではないか、こういうふうに言われております。それは言わずもがなのことで、たとえば道路を築造するという場合に、初めからわかっておればそれはそれなりに処置もできますが、そういったことが予測できない、しかし予算はついて執行はしなければならない、こういったときにこの文化財があるとなると大変骨が折れるわけでございまして、一時工事をストップする。またストップだけではなくして、文化財でございますから、いろいろな手続だとか調査とかやらなければならないことが大変ございまして、非常に時間がかかるのです。まず文化庁に届けをしてから約半年くらいかからないと、いろいろな事務が進展しない、こういう非常に困った状況なんです。これらについて、質問が漠然としておりますけれども、何か根本的にもう少し改正できる点があるかどうか。文化庁の方がいらっしゃると思いますが……。
  26. 横瀬庄次

    ○横瀬説明員 最近、公共事業が促進されてまいりまして、ただいま御指摘がございましたように、埋蔵文化財の包蔵地と衝突するといいますか、その上で工事が行われるというケースがだんだんふえてまいりました。私ども立場といたしましては、埋蔵文化財はかけがえのない大事なものでございまして、それを保護する立場にございますものですから、これをなるべく壊さないで現状保存のままで今後に伝えていきたいという気持ちが第一にあるわけでございます。  そこで、ただいまもお話がございましたように、一番いい方法はまず公共事業、たとえば道路の建設が遺跡の上を通らないように計画されるのが一番いいわけでありますから、あらかじめ遺跡がどこにあるかということをはっきりさせておく、その地図に基づきまして計画を立てていただくということが一番いい方法でございます。  そこで、昭和四十五年ごろから遺跡地図というようなものを全国的につくってまいりましたし、それから昭和五十年に文化財保護法の改正がございましたときに、特に遺跡の周知徹底ということが問題になりまして、それに基づきまして特に予算を起こしまして全国市町村台帳的な遺跡地図といいますか、そういったものを備えるという作業もやりまして、現在では、全国の遺跡の中でも非常に重要なものがございますので、それに必要な航空写真であるとか現状を克明に記載したような資料を備えておくというようなことでいろいろ努力をしておるわけでございます。これが一番いい方法であろうと思います。  ただ、これは埋蔵文化財である性質上、なかなかすべてを把握することができないものでございますから、二番目の対策としましては、工事が行われる場所で遺跡の存在が予想されるようなところにつきましてはあらかじめ試掘調査をやりまして、全体を調査するのではなくて、ある程度重点的なところを見つけていってそこを重点に調査をするという、いわばなるべく能率的にその発掘調査が進むようなやり方をとって全体の時間を短縮するような試みもやっておるわけでございます。  最終的に非常に大事なことは、発掘調査の体制の充実でございます。埋蔵文化財を調査する一番多いところ、重要なところというのは地方公共団体、特に都道府県でございますので、都道府県の発掘調査体制の人員を充実していくということでございます。これは年々地方交付税等の積算についても充実していただいておりまして、現実に、昭和四十九年に五百二十人程度であったのが昭和五十二年には千二百人と、人員の拡充の点については非常にむずかしい時期でございますが、その中では埋蔵文化財関係の職員を各地方公共団体で非常にふやしてきていただいているという実態がございまして、これについて文化庁としてはその充実についてさらに指導していくということをやっております。ことし、五十三年度でございますが、まだ始まったばかりで十分に把握はしておりませんけれども、ある程度選択的に調査をしてみますと、かなりの人員がさらに五十二年度よりはふえておりまして、だんだん埋蔵文化財の体制というものも整ってくる、そういうふうに私ども努力すべきだと考えております。
  27. 石川要三

    石川委員 いまのおたくのお話を聞いていると、文化財が埋蔵されているという何か一つの地図みたいなものがあって、初めからそういうものを避けて通るような一つの道路計画というものをやってもらいたいというようなことでございます。私も最近のことについては細かくは知りませんが、私もかつては自治体の責任者をしたことがございますし、その後、選挙区のいろいろな会合でそういう方々から最近の地方自治体お話を聞いてみると、どうもいまあなたがおっしゃったようなことと大分現実は違うように受けとめます。むしろ道路築造でやっていくと、そこに思いがけず埋蔵されているというようなことで、それが非常にトラブルになってしまうということの方が多いようなんですね。ですから、いまおたくのお話を聞くと、何か図面みたいなものがあって、そこにあるのだから避けていけばいいじゃないかと言わんばかりの感じにとれたのですが、現実は大分違っているように承るのです。  それから、特に私の選挙区でありますが、府中市なんというのは非常に文化財などが多いところでございます。極端に言えば、全市全部そういうようなところだと言っても言い過ぎではないようなところです。現在のモータリゼーションの中で、そう簡単にうまく避けて通れるような道というものが果たして道かどうかということも考えなければならない。そうなると、いまの御答弁はきわめて机上の理論のような感じがします。現実はかなり違っているような気がします。そこで機会があれば、今度、質問の形ではなくして、そういう関係者のお集まりをいただいて、おたくの方といろいろと意見交換の場を求めて、さらに行政がスムーズにいくように私もしたいと思いますが、どうもそこいらが幾らか答弁のための答弁のように聞こえてならないのです。実際にはそんなものじゃないのじゃないかと思いますけれども、違いますか。
  28. 横瀬庄次

    ○横瀬説明員 私がいま御答弁いたしましたのは、全国的な状況を申し上げたわけでございます。先ほど例に挙げましたように、専門職員の増加数というものを考えました場合でも、昭和四十九年から五十二年には二倍以上になっているわけでございます。そういった意味で埋蔵文化財の発掘調査体制あるいはその保存の仕方というものも、この数年で急激に件数も伸びておりますし、扱い方も伸びておりますし、それから国民の皆さんの認識の仕方というのもかなり変わってきているわけでございます。そういった意味で、こういう調整の仕方というものも年々かなり変化をしてきている、改善はされてきていると私は思いますが、そういった中にいま御指摘のような摩擦もかなりあろうかと思います。ですから、これは先生も御提案ございましたように、そういう関係者の方々と私どもが話し合ってどういうところに問題があるのかということを私どもが知ることは非常に有益なことだと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。  それから、埋蔵文化財でございますので、地下の中によくわからない点があるわけでございますが、発掘しているうちにこれが非常に重要であるということがわかってくる例も確かにございます。これは事前に十分に調査をして——最初は大したことはないというふうに判断したものが実はそうではなかったということが、最近も幾つかの例が新聞等でも報じられているわけでございます。これは事柄の性質上どうしても避けがたいということもあるわけでございますが、しかし、それを何とか早く察知をしてその開発との調整を早くとるべきであると思います。そういった面で努力しております。ですから、だんだんそういった調整、トラブルの件数は減っているように思いますけれども、なお努力したいと考えております。
  29. 石川要三

    石川委員 それから、特定の遺跡発掘に対して文化庁から五〇%の補助があって、あとは都と市町村が折半しているわけでございますが、そのほとんどの包蔵地の発掘というものは市町村負担ということになると思うのです。そういうふうにお金も非常に市が負担をするという面から見て、今後これを補助対象あるいはまた交付税の対象とされることが可能かどうか、その点、質問とあわせて要望したいと思うのです。
  30. 石原信雄

    石原(信)政府委員 文化財保護関係につきましては、国民的な遺産の保存、管理という見地から国庫補助金制度が御指摘のようにあるわけでありますが、予算の制約で地方団体実情からすると必ずしも十分でないと思います。そういう意味で、地方のサイドからいたしますと、この補助金を飛躍的に増額していただきたいと私ども考えております。  それはそれとしまして、地方団体として現実に文化財の保護、特に埋蔵文化財の発掘調査その他に多大の経費を要していることは事実であります。これらの経費のうち、たとえば公共事業等に関連して発掘が行われる場合には、その相当部分がいわゆる事業費の関連経費として国庫補助対象になるわけですけれども、単独事業の場合にはそういう道はありません。そこで、現在この埋蔵文化財その他の文化財関係の経費というのは、各地方団体に一律的ではありませんし、年度によっても非常にばらつきがあるというようなことから、文化財の件数、埋蔵文化財の場合でありますと届け出件数でありますとかあるいは調査件数、こういったものを基準にして、経験的に得られた一定の経費を見る趣旨でこれに一定の単価を乗じて各都道府県に特別交付税の配分の際に一定の枠を計算いたします。その中で地方課が個々の団体状況を見て特別交付税の配分を行っているというのが実情でございます。したがいまして、今後のあり方といたしましては、まず第一には、私は国庫補助金制度の拡充をお願いしたいと思います。それとともに、交付税の面でも実情を踏まえて内容の改善充実を図ってまいりたい、このように考えております。
  31. 石川要三

    石川委員 時間もわずかになってまいりましたので、あと二点ばかりお伺いします。  今日の行政の中で非常にむずかしくてしかも大切な問題は何かと言うと、ごみの問題ではないかと思うのです。特に大都市周辺、こういったような人口急増の都市におきましては、廃棄物の終末処分については各自治体関係者が非常に骨を折っているわけですが、幸いなるかな五十三年度の予算で、厚生省と運輸省で五千万ずつですが、広域最終処分場計画調査費というのを予算化されました。これについては一体どういう構想でいるのか、その内容を簡単にひとつお聞きしたいと思うのです。
  32. 藤田恒雄

    ○藤田説明員 お答えいたします。  いま先生もおっしゃいましたように、地方自治体で非常に困っている問題というのはごみの問題で、とりわけごみの最終処分場、いわゆる埋立地、埋め立て処分をする場所が非常に少ないということで、その確保に非常に苦労しているわけでございます。この種の施設はその周辺の住民にとりましては非常に迷惑な施設になるわけでございまして、そういう面からも非常にむずかしいわけでございますが、特に首都圏、近畿圏等の大都市圏におきましても物理的に土地がないというのが実情ではないかというようなことでございまして、われわれとしましても、このごみの問題というのは本来市町村の固有事務だということでもってやっておるわけでございますが、そういうことで地方にお任せしっ放しではどうもうまくいかぬだろうということで、その原則は踏まえつつ国といたしましてもいろいろなお世話をしたいということでもってこういうような調査費を今年度計上させていただいたわけでございます。  内容につきましては、首都圏と近畿圏にそれぞれ海面を予定しまして最終処分場をつくるのはどうかということでございますが、これは国が直接音頭を取ってというよりも、むしろ地方自治体の方でもって中心になっていただきまして、そういう人たちの御意見を聞きながら国が調整をとり、調査をしようということでございまして、海を埋め立てるということにつきましても、貴重な海岸を埋め立てるということでございますので、それ相応の理屈がないといかぬだろうということで、われわれとしましては、一般廃棄物、産業廃棄物を含めまして、まず廃棄物の発生量がどの程度あるだろうか、しかもこれは内陸部でもってどの程度処分することが可能であるかということを見まして、どうしても処分し切れないものは海に持っていかざるを得ないだろうということで、そういうような廃棄物の発生量と海面において埋め立てなければならないような量を決めるということ。それから、最終処分場をつくりますけれども、この内容自体は運輸省が護岸等について御専門でございますので、そういう方にお任せをするといたしまして、われわれは、関連の公害防止のための施設でありますとか、あるいはそこへ運ぶための輸送計画、これは一カ所にかたまるものですから、相当ごみのトラックが集まるというようなことで、その輸送計画。それから、これは建設なり何なりにつきましては、国の方でもって一応資金だとか何かというようなことでもってごめんどうを見ようかと思いますが、実際でき上がったものの運営等につきましては、地方団体の方にお任せしたい。これは複数の地方公共団体が集まるわけでございますので、どういう形になるか知りませんけれども地方団体の方にお任せいたしまして運営をしていただきたいというわけでございますが、その事業方式はどういうのがいいか、そういうような事業方式のあり方等についても調査するということでございまして、そういう調査をやった上でもって関係団体の合意を得られればその構想を本格的な実施計画として進めてまいりたいということで、本年度はそういう構想づくりのための事前の調査というのが主体であろうかと思います。  以上でございます。
  33. 石川要三

    石川委員 聞きますと、何か実現が十年先というようなことだそうですか、十年といえば、短いといえば短いかもしれないけれども、これは大変な時間であります。現在の国民の経済実態から見て、十年間をでは一体どうするのか。大都市の中の都市は十年ほっておけば実際ごみだらけになってしまうわけです。大変な問題です。ですから、少し時間が悠長過ぎる。こんなことでは私はいかぬのじゃないかと思うのですね。  いまお話を聞いておりますと、廃棄物の処分というものはもう市町村の固有事務だというような見解ですが、もう時代がそういう時代ではなくなってきていると思うのです。戦前のような余り消費生活の豊かでない、産業の余り拡大されてない、そういったような社会のときにはあるいは市町村が固有事務としてやってこられたかもしれませんが、もう今日GNPの第二位を占める日本の中では、こんな狭い日本列島の中で、固有事務だからおまえさんの方でやりなさいという発想自体が私は根本的に間違ってきたのではないかと思うのです。そういう考えを、発想を転換していかないと、私はこの問題は非常に困ると思うのです。いま聞きますと、何か地方自治体が主役で、われわれはわき役で皆さんの意見を聞きながらというようなことなんですが、どうもこのテンポでは、とてもじゃないけれども自治体がごみでまいってしまうというようなことになると思うのですね。そういったようなことで、ぜひひとつ国がもっと積極的な姿勢でこのごみというものに取り組んでいってもらいたい、こう思うのですけれども、まず発想の転換ですね。美濃部知事が橋の哲学をやりましたが、これは私はどうも合点がいかない。と同時に、ごみも自区内処理ということを言っておりましたが、二十三区の中で自区内といったって不可能だと思うのですね。発想が間違っていると思うのです。ですから、最近美濃部さんは発想も変えなくちゃというようなことを言っておるようですが、まさしくいままでの考え時代おくれである。ですから、それを切りかえて積極的にやってもらいたいと思いますが、再度その点についての見解を。
  34. 藤田恒雄

    ○藤田説明員 再度申すようでございますけれども、ごみは従来から固有事務として地方でやっていただきましたし、すべての地方でもって市町村段階ではできないかというと、そういうことじゃございません。そういうことで、一義的には地方の責任としてやっていただくということ、どうしても市町村段階では埋め立て処分地が見つからぬという場合には、都道府県の区域内でまず都道府県に間に入っていただいていろいろな調整なりあっせんなりをやっていただく、それでも不可能な大都市圏におきましては、国が間に入りましていろいろな調整、あっせん等をいたしたいということでございまして、非常に問題が困難な場合には、国としては全然逃げる気持ちはございませんけれども、ごみの問題というのは生活に密着した行政でございまして、もう市町村段階ではだめだから全部国にお任せしますという姿勢ですと、これはなかなかうまくいかぬだろう、やはり地方も責任はあくまで果たしてもらいたい、責任を果たすためにどうしても支障があるのであれば、国としてそれなりの援助はいたしたいという姿勢でございます。首都圏等におきましては、すでに自区内処理ということは一町村の間では非常にむずかしくなっておりますし、首都圏では一県内でもむずかしいということでもって、この最終処分場ををつくります場合には、数県のごみが一カ所に集まるということになりますが、一カ所に集まるということになりますと、どこかの県、一番近いところに集まるわけでございます。そういう意味におきましてはいろいろな利害の調整が必要なわけでございまして、これは国の問題だから自分たちは知らないということでは解決できないということで、住民にも非常に重要な問題でございますので、そういう意味において原則だけは崩したくない。ただ、国としてはやるべきことは十分お世話なり何なりをいたしたいということで積極的な気持ちは変わりませんが、原則まで崩すわけにはいかぬというふうに考えているわけでございます。
  35. 石川要三

    石川委員 よくわかりました。  けれども、言葉を返すようだが、自治体というものは、国がやるのならおれの方は一つ肩が軽くなったということは毛頭思ってないと思うのです。私も市長経験者です。ここにも市長経験者の人がいますけれども、市長なんというのは、水道が三十分とまればじゃんじゃん電話がかかりますからね。まして、ごみとかそういったものは大変なんです。あなたの想像以上に苦しんでいますから。そういう意味でなくて、どうも聞いていると、最初は幾らか地方自治体の方の責任分野というものを強調されましたが、後半では大分変わって前進されましたことは大いに喜びますけれども、さらにぜひ努力をしてもらいたい、かように申し添えます。  最後に、地方公務員の定年制、この点についてはもう再三御論議があったと思いますが、二十七年から今日まで全国市長会でずっと決議、要望されていると思うのです。まだ進展がないと思いますが、その点はどういうふうに取り組んでいられるか、その点ひとつ。
  36. 染谷誠

    染谷政府委員 地方公務員の定年制についてでありますが、定年制を設ける道を開くために地方公務員法の一部改正案というものが数回にわたって国会に提案されております。昭和三十一年、三十三年ともに提案され、さらに第六十一回の国会で審議未了になって廃案となって今日に至っているようなわけであります。しかしながら、最近におきまする諸情勢から、定年制を採用し得る制度の速やかな実現について引き続いて地方公共団体から強い要望がございます。伴いまして、すでに数回にわたりまして答申が行われておりますが、地方制度調査会から昭和五十年七月二十三日、さらに昨年の十二月十六日にも重ねてこれらに対する答申があるわけであります。さらに国、地方を通じまして、結論としては公務員にも定年制を設けるべきである、こういう世論の高まりも著しいものがございますので、政府におきましては、昨年の十二月二十三日の行政改革推進に関する閣議決定におきまして国家公務員に定年制を導入する方針を明確にいたしました。そして現在人事院におきまして検討を進めておるわけでありますが、自治省としましては、このような最近の情勢を十分に配慮いたしまして、今後各方面等の意向も踏まえて引き続き前向きの姿勢で検討してまいりたい、こういう考え方でございます。
  37. 石川要三

    石川委員 最後の質問にさせていただきます。  実は、きょうは大臣がおりませんので、ちょっとまずいのでございますけれども、先般同僚の与謝野議員が東京都に対する特別起債許可、この点について加藤自治大臣にただしました。そのときの私の記憶では、大臣はこの五百五十億の特別の起債許可については、要するに適確な担保があったときに許可をしたい。その担保とは何かと言いますと、合理化の内容だとかあるいは都議会のこれに対する保証といいますか、議決とか、こういったようなものが言われておりました。それで、その結果が五百五十億を認めたことになったわけでございますが、昨今、例の勤勉手当、この点については未遂事件として終わってしまったわけですが、特にその後特別昇給というものが団交の結果いよいよ認められるようになったわけでございます。この特別昇給というのは、私の調べたところによりますと、全職員数の二〇%を対象にして財源が十五億一千万ほど要するということでございます。しかし、この特別昇給というのは、常識的に見れば、国民から見れば、これは一生懸命まじめにやった職員に対して特別に昇給する、こういうことではないかと思います。実態を調べてみると、二〇%が、その年度内にA、B、Cがやれば、次はD、Eとか、最後の方へずっと回っていって、極端に言えば、ちっとも成績のいかんにかかわらず回覧板が回ってくるように順繰りにどんどんやって特別昇給がされる、こういうようなことであります。これじゃ特別昇給ということにはならぬと私は思うのです。勤評なんかは恐らくやってないと思うのです。これじゃただ単に二〇%ずつ御本人の勤務状態のいかんにかかわらず特別に昇給するんだ、こういうことになって、国民が考えているような本当の特別昇給とはほど遠いものではないかと思いますが、こういうものが要するに五百五十億の特別起債許可の際に一体含まれていたのか、あるいはそれらは実は含まれていなくて、後から出てきた問題なのか、その点の事実関係を知りたいのです。そして、もし今後あるいはまた第二、第三のこういったような許可申請が出された場合に、これが含まれているのかいないのかによって私はかなり違うと思うのですが、こういう点については一体どういうふうな考え方を持っているのか。
  38. 石原信雄

    石原(信)政府委員 ただいま御指摘のありました特別昇給の問題は昭和五十二年度の予算でございまして、これは私どもの方に申請がありました五百五十億の特別起債の健全化債の許可の前提となりました各種の健全化措置、それの以前の段階ですでに予算化なされておったというものでございます。したがいまして、健全化計画の内容と今回の特別昇給の措置とは矛盾しない。その健全化計画の前にそういう予算措置を前提にして五十二年度末及び五十三年度の各種の措置検討され、内容が確定したという関係になっております。
  39. 石川要三

    石川委員 それがその許可をする一つの前提といいますか、そういったようなものには矛盾しないということはそれでわかりましたが、前段の質問の中に特別昇給というものについての見解を私はちょっと述べたと思うのですが、この点についての見解を聞きたいと思うのです。
  40. 塩田章

    ○塩田政府委員 東京都の特別昇給につきましては、先ほど先生もお話ございましたように、職員の勤務条件が特に良好である場合等において云々という規定がございまして、それによって行われておるわけでございます。この特別昇給のやり方あるいはその規模等につきましては、国家公務員の場合、原則としていま申し上げましたような優秀な成績ということが前提でございますが、規模としましてはおおむね一五%をめどにやっております。  そこで、先ほどの東京都の場合二〇%をめどというふうに伺っておりますが、内容的にいいますと、国家公務員の場合一年の短縮、特別昇給は一年でございますが、東京都の場合は三カ月というふうに伺っております。そういった差はございますけれども、国家公務員に準じた特別昇給が行われるということであれば、そのこと自体私ども給与行政の運用上特段の問題点はないというふうに考えておるわけでございます。
  41. 石川要三

    石川委員 時間が参りましたので、私はこれで質問を終わりますけれども、ただいまの最終的な特別昇給のあなたの見解については、全く納得できません。ただ単に、勤務評定も何もなくて、国もやっておるらしいのですが、一五%かあるいは二〇%の人たちを順番にやれば、これは極端に言えば、一生懸命やっていなくても、その次のときになればまた一五%、二〇%の人がなる、最後には全部なるということで、私は、これでは何らの特別昇給の意味がないと思うのです。これは見解の相違なんでやむを得ないと思いますが、国民の立場としては全く納得できないものではないかと声を大にして、私は質問を終わります。
  42. 木村武千代

    木村委員長 斎藤実君。
  43. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 私は、水資源の問題、さらには水道事業にかかわる財政問題並びに水の有効利用について、国土庁、厚生省、自治省に御質問をいたします。  いまさら私が申し上げるまでもなく、国民生活にとって必要欠くべからざる水道問題については、不足しつつある水源をどう確保するかという問題、さらには水道財政の健全化の問題など、今後解決しなければならない多くの問題を抱えているわけでございます。今後水道の普及を一層進めていく中で、安い水を安定的に供給していかなければならないわけでございますが、水行政を進めるに当たって最も基本となるのは、言うまでもなく、水需要の長期計画が当然必要になってくるわけでございます。  最初に、国土庁にお伺いしますが、水の長期計画策定の見通しについてどうなっておるのか、お尋ねをします。
  44. 和気三郎

    ○和気説明員 水の長期計画につきましての状況でございますけれども、水資源につきましては、限られた資源といたしまして、今後計画的かつ効率的な活用を図るために、長期的な観点に立って水資源に関する基本的かつ総合的な計画を可及的速やかに策定しなければならないということで、現在、私ども国土庁におきましては、鋭意その作業を進めておるところでございます。  これにつきましては、数年来より基礎的な調査を進めておりまして、現在その取りまとめ作業をしておるところでございまして、この計画によりまして全国及び地域別の水需給の見通しを明らかにするものと考えております。
  45. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 現在基礎資料を集めて、将来計画を立てたいという御答弁でございましたが、おおよそのめどはいかがですか。
  46. 和気三郎

    ○和気説明員 現在、取りまとめ作業を進めておるところでございまして、関係機関等の意見を聞きながら今後さらに詰めて成案を得たいということでございますので、それの取りまとめの集約的な部分に入っている状況でございます。したがいまして、これから可及的速やかに策定するわけでございますが、早急にこれを取りまとめたいと考えております。
  47. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 各省との調整に相当手間取っているという、これはよくわかりますけれども、いま可及的速やかにという答弁がありましたが、最も基本的な長期計画ですから、ある一定のめどといいますか、いつまでに策定するんだということがなければ進まないんじゃないですか。昭和五十八年とか、あるいは六十年とか、そういう基本的な方針がなくて、これはできるのですか。もう一遍答弁してください。
  48. 和気三郎

    ○和気説明員 現在、その作業を進めているところでございまして、私どもとしては早急につくるという考え方で、この数カ月のうちに策定したいということで取りまとめ作業を進めております。
  49. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 この数カ月のうちに取りまとめるということでございますが、ぜひひとつ基本的な長期計画というものを策定していただきたいと要望申し上げておきます。  次に、水の需要計画は、全国総合開発計画、三全総あるいは国土利用計画とも密接な関連をするものでございまして、昨年出されましたいわゆる三全総においても、水需要の長期計画が中には示されているわけでございますが、この三全総の水需給の計画と国土庁が計画をされております水需要の長期計画の位置づけと役割りはどういうことになるのか。三全総でも、水の需要の計画というものが出されておるわけでございましょう。それと、国土庁が今度計画をされ、発表されるという長期計画の位置づけ、三全総との関連についてどう考えておるのか伺いたい。
  50. 和気三郎

    ○和気説明員 お答えいたします。  三全総における水の関係の記述につきましては、三全総につきましては、三全総全体の中での示された計画の基本でございますので、その中での記述ということになっておりまして、私どもは、この計画の基本方向に沿って将来における水需給の展望と、それから長期的かつ総合的な観点に立った水資源の開発と利用に係る基本的な事項を示していこうということに考えております。  具体的に申し上げますと、三全総におきましては、個々のことにつきましては総合的に書かれておりますが、私ども水資源開発並びに利用につきましての具体的な内容のコメントにつきましてはさらに詳しくこれを記述していきたいということで、水資源の開発並びに利用についてさらに詳しく基本的な方向を示していきたいというふうに考えております。
  51. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 これまでの水需要計画におきましては、各省それぞれ水の需要見通しというものをつくっておるわけでございまして、厚生省、農林省、通産省、建設省、さらには都道府県等、それぞれ需給計画を試算しているわけでございますが、この各省間での水需要の推計値にかなりの開きがあるように聞いておるわけです。この違いはどこにあるのか、伺いたいと思います。
  52. 和気三郎

    ○和気説明員 お答えいたします。  水需要の見通しにつきましては、これは関係各省におきまして、関係各省の所轄の行政の実施推進のためにいろいろと検討をされておるものもございます。また同時に、たとえば広域的な水利用を緊急に推進していかなければならないところの水資源開発の指定水系におきましては、これは総合的にまとめた水資源開発基本計画というところで、水の将来の需要の見通し等をまとめてオーソライズしているものもございます。  そういうことでございますので、今後そういう重要な水系につきましては、総合的にまとめた計画もつくっておるということでございます。
  53. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 私は、各省間ではいろいろ違うという理由は一応理解をいたします。農林省は灌漑用水とか、農業用水、あるいは厚生省は上水道、通産省は工業用水、建設省は河川、ダムというふうにそれぞれの分野があるから、多少違ってもその関係省内での問題については私は結構だと思いますが、こういうふうに各省ばらばらですから、むしろやはり水行政の一元化という立場で調整する機関、機能というものがどこかで必要ではないかと私は思うのですが、いかがですか。
  54. 和気三郎

    ○和気説明員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、水行政につきましては、各般にわたる総合的ないろいろの問題を処理していかなければならないものだと考えておりますので、この点につきましては、十分勉強していきたいと考えております。
  55. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 上水道は市町村、工業用水は都道府県。地方自治体立場に立ってみますと、建設省へ行って水利権の許可をもらう、厚生省へ行って事業認可、自治省へ行って起債の許可、これは大変な手数や暇がかかるわけでございまして、地方自治体で事業を起こす場合、各省をぐるぐる回って一年ぐらいかかるというような、これは一つの例ですけれども、これも私は後で質問するつもりでございますが、ひとつこの水行政の各省ばらばらを一本にまとめるということは、自治省としても積極的に研究をされ、各省との調整を図っていただきたいと思いますが、政務次官いかがですか。
  56. 染谷誠

    染谷政府委員 これら水資源の利用につきましては、まことに重要な課題でございます。伴って、政府関係機関相互における考え方の統一が図られなくちゃならない、こう思っております。水資源に関する長期計画の整合性の確保のためには、今後とも各省間の連携を十分とりまして協議をしていきたい、こういうように思っております。
  57. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 ぜひひとつ各省間の調整を図っていただきたい、これを要望申し上げます。  さらに、水需要に関する長期計画は、水資源の開発並びに利用に関する国の基本的かつ総合的な計画としての役割りを持つわけでございまして、いま国土庁からも十分研究をさしてもらう、政務次官からも重要な課題であるので各省との調整も図りたい、こういうふうに御答弁がございましたので、ぜひひとつその線に沿って、できれば閣議で決定していただきたい。これぐらい私は思っているのです。きょうは大臣がいらっしゃいませんから、別な機会にまたお尋ねをいたしたいと思いますが、各省ばらばらを調整して、ぜひとも一本化に持っていっていただきたいことを強く要望申し上げる次第でございます。  さて、行政管理庁が水資源の利用に関する行政監察結果に基づく勧告を行っているわけでございます。その中で、水源地域対策の推進に関しての結果が述べられているわけでございます。それによりますと、最近ダム建設が著しくおくれており、今回の監察対象とした都道府県の区域内において建設中のダム七十九のうち、最初の計画どおり事業が進んでいるのは二四%に当たる十九ダムにすぎない、こういうふうに指摘をしているわけでございます。したがって、当初の計画どおり進まない。その対策として、昭和四十八年に水源地域対策特別措置法が施行されているわけでございますが、この特別措置法の対象ダムは幾つぐらいありますか、お伺いいたします。
  58. 和田萬里

    和田説明員 現在、水特法によります指定ダム等は、昭和四十九年度の第一次指定によりまして二十ダムと湖沼水位調節施設が一カ所、それから昭和五十一年度に第二次指定といたしまして十カ所、昭和五十二年度に第三次指定といたしまして四ダムというふうになっておりまして、三十四ダムと湖沼水位調節施設が一カ所、合計三十五ダム等になっております。
  59. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 この特別措置法の運用状況はどうなっておりますか。
  60. 和田萬里

    和田説明員 ダム等が指定ダムに指定されますと、引き続き水源地域の指定あるいは水源地域整備計画の作成という手続が進んでまいります。その結果、整備事業がそのダムの周辺で行われるわけでございますが、現在、三十五の指定ダム等のうち十八ダム等につきまして水源地域整備計画が決定しておりまして、それぞれの地域におきまして地域の実態に応じた整備事業が鋭意施行されているわけでございます。
  61. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 対象ダムが全国的に見て非常に少ないように思います。今後指定ダムの追加を検討されているのかどうか、さらに整備計画の策定の見通しは一体どうなっているのか、伺いたいと思います。
  62. 和田萬里

    和田説明員 今後の指定の見通しと申しますか、申し上げますと、現在予算上建設を予定した形で予算措置が講じられておりますダム、たとえば建設省の所管でまいりますと、実施計画調査と言われる段階以上のものでございますが、これに該当いたしますものが、各省所管のもの全部含めまして約五十カ所ございます。指定をしていないものが約五十カ所あるわけでございます。従来とも個々のダムについて、ダム所管省あるいはダムが所在いたします都道府県の御意向を参考にいたしながら、水源地域対策の効果がより上がり、ダムの建設が促進されますように指定を行ってきたわけでございますが、今後とも現地の補償交渉の進捗状況その他を参考にいたしながら指定を進めていきたいと考えているわけでございます。
  63. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 この水源地域対策特別措置法をよりよく実効性を高めるというためにも、水源地域整備に対する下流受益者等の負担の調整に係る基本方針の確立が必要ではないか。幾ら指定をしてやりたいと言っても、いろいろな問題が起きるわけですね。地域の買収問題だとか公害の問題だとか、あるいは買収価格の問題だとか、各地域によりましていろいろな事情が違うわけです。したがって、行管庁が勧告をしているように、下流受益者の負担の調整に係る基本方針はつくっているのかつくっていないのか、一体どうなっているのですか。
  64. 和田萬里

    和田説明員 下流の受益者負担につきましては、水特法の施行令の第九条に規定がございまして、「指定ダム等の建設により関係当事者が受ける利益その他の諸般の事情を勘案して、関係当事者の負担の衡平を図ることを旨として行う」ということになっておりますので、基本的にはこの政令の趣旨に沿いまして、関係当事者の協議によりましてダムごとの実態に応じて負担の調整が行われてきているところでございます。私どもといたしましても、今後とも個々のダムの実態に応じまして負担の調整が円滑に行われるように対応してまいりたいと考えております。
  65. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 先ほどお尋ねをいたしましたが、この水の長期計画策定は数カ月後というふうに答弁されましたが、これは遅くても年内に策定がされるというふうに理解してよろしいのですか、御答弁を願います。
  66. 和気三郎

    ○和気説明員 数カ月中にまとめたいと考えております。
  67. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 次に、自治省にお尋ねをいたしますが、水道会計の五十一年度決算では、相当数の事業の料金値上げによりまして四年ぶりに単年度収支の均衡が回復されたわけでございます。しかし、単年度欠損金を生じた事業は実に四百二十九事業団体もあるわけでございます。累積欠損金、不良債務の現状から見て、水道会計の健全化は大きな問題でございますが、自治省としてはこの問題についてどうこれから取り組んでいくのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  68. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 五十一年度の水道会計は、ただいまお話がございましたように、四年ぶりに収支の均衡が回復したわけでございます。これにつきましては、いまお話のありましたように、公共団体側の大変な努力もありましたでしょうし、住民の方々の協力がありまして料金の値上げができたということに起因することは事実でございます。  ただ、水道事業全体の問題を見てみますと、経営の基本となっております料金というのは、一定の算定期間を通じて収支の均衡を図るということでございますから、今後、先ほどお話がありました累積欠損金を持っている団体も、徐々にこれはこの数が少なくなっていくとわれわれは考えております。  自治省といたしましては、水道の事業債にかかわりますところの条件の改善、たとえばことし、元金償還でありましたものを元利償還に直しましたり、あるいは高料金の対策、さらには水源開発対策、広域化対策等に対します財源措置の強化を進めていかなければならぬと思っておりますし、それによって水道事業の経営の健全化に資するということが大変大事だろうと思います。  公共団体におきましても、先ほどの料金の改定に示されましたいろいろな努力というものを背景にしながら、今後とも能率的な経営をしていただきたいと思いますし、適時適切に料金の改定を行いながら、水道事業全体の経営を健全化させていくということに進めていくような努力をしたいと思っております。
  69. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 厚生省にお尋ねをいたしますが、近年におけるこの建設費の高騰あるいは水源の遠隔化等によりまして、上水道の給水原価は非常に高くなっておるわけです。そのコストのすべてを料金として回収するということはきわめて困難な状況になっているのではないかと私は思います。高い料金を取るということ並びに水道事業間の料金の格差拡大の問題を解決するためには、現行補助の補助率の引き上げあるいは補助対象の拡大など、積極的な対策を行うべきではないかと考えるわけでございますが、具体的な対策をお尋ねをしたいと思います。
  70. 山村勝美

    ○山村説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘のように、水源地が遠くなったり大きなダムをつくったりということで、水道の給水原価が非常に上がってきたということは御指摘のとおりでございまして、そういう認識のもとに、水道事業に対しまして昭和四十二年から水道水源開発施設に対して国庫補助制度を創設いたしましてその整備を図ってまいったのでございますが、特に最近はダム費が高くなってまいりました。さらに、遠隔化して導水路が長くなるとかいうようなことから建設費の増高がますます顕著になってくるということから、五十一年度に補助率の引き上げを含みます補助制度の改善を行ったところでございます。  水道の補助金につきましては、元来水道事業は独立採算のもとに料金でペイしていくというような原則になっておりますし、かつ長い伝統を持っておるわけでございまして、したがいまして、水道事業に対します補助金のあり方につきましても、こういった原則との調和ということについて配慮していく必要があるということで、制度の組み方にはいろいろむずかしい面があるわけでございます。こういった制度考える場合に、先生の御指摘のように、そういった特別な事情によって水道事業の財政を著しく圧迫するといったような仕事に対しては助成すべきであるという基本的な考えにつきましては全く同感でございまして、従来からもダムとかそういったものに対して補助金をしてまいったわけでありますし、五十三年度からは新たに遠距離な導送水路とか、水源のないような地域の簡易水道に対して助成するといったような補助対象の拡大を図ってきておるところでございます。したがいまして、今後とも水道財政に大きな負担となっているこういった施設に対しまして、真に助成の要るものに重点を置きまして補助制度というものを考えていきたいというふうに考えております。
  71. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 私がなぜこういうことを申し上げるかといいますと、水源開発については、一立方メートル十五円以上は二分の一、あるいは六円から十五円までが三分の一というふうに補助率がありますが、御承知のように地方財政が非常に財政的に逼迫をしているという折から、地方自治体はこの水道については多額な金が必要なわけでして、そうかといって住民から料金を高く取るというわけにもいかないということで、どこの市町村へ参りましても、この上水道について何らかの補助金を補助してもらいたいという声が圧倒的なんです。ぜひひとつこれは前向きに検討していただきたいということを要望申し上げておきます。  特に過疎地帯の水道財政は大変困っているわけでして、料金についても、家庭料金の全国平均が一立方メートル当たり六十五円十銭、これに対して二倍以上の市町村が四十カ所、一・五倍ないし二倍が百二十二カ所もあるわけです。北海道の例をとってみれば、古平町百二十円、岩内町百五十円あるいは浜中町は二百五十円など、受益者負担ということで自治体はできるだけの努力はしているわけですが、過疎地の市町村では財政力がきわめて弱いわけでして、これは一般会計からの繰り入れも非常に困難だ、こういう小規模な経営に苦んでいる事業体に対して特別の対策というものを講ずべきではないかと思うのですが、いかがですか。
  72. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 ただいまお話がございましたように、水道事業におきましては、特に過疎地、とりわけ北海道、そういうところでは大変水道の料金が高くなっておりまして、住民の負担が増高しておるというのは、いま御指摘のとおりでございます。ただこれは一つには、平均的な水道事業に比べて非常に自然的あるいは地理的な条件が悪いとか、あるいは水道の施設の建設の時期がありまして、それで資本費が非常に増高する、給水原価がそのために高くなる、それが家庭料金にはね返るといういろいろな循環をして、結果的には大変住民の方に御負担をかけるということになっておりまして、自治省といたしましても、何とかこれを緩和しなければいかぬだろうということで、実は従来から高料金対策のための特別交付税による措置を行ってまいったわけであります。特に、高料金の対策につきましては、いまお示しの町村で非常に財政力の指数の低いところにつきましては、一般会計からの繰出額に対しまして四分の三まで特別交付税で見ておるという措置をとっているわけであります。これ以上の措置をとるということになりますと、なかなか交付税措置だけではむずかしいものですから、全般的にはもう少し高料金対策につきまして、部分的に特別なものだけを選び出しながら、新たな一つの財政措置を政府全体としても考えなければいかぬのじゃないかというふうに考えております。
  73. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 自治省にお尋ねをしますが、特別交付税で措置をしているということでございますが、これは一般会計から繰り出している負担金額を全部カバーをするということになっていないわけでして、まあ不十分になっているわけです。そのために、一般会計の繰り出しと特別交付税の間に大きなギャップがあるわけです。私は、水道事業が単なる公営企業と考えるのではなくて、地域住民に生活用水を供給するという福祉的な面を考慮すべきではないか。したがって、市町村実情に即応して一般会計が負担すべき額の合理的な基準を決めて、その基準に基づいて繰り出した金については、四分の三とかあるいは二分の一とかというのではなくて、特別交付税で完全に措置をされるとか、あるいは特別に助成をするとかというふうな制度をとるべきではないかと私は思うわけですが、政務次官いかがですか。
  74. 染谷誠

    染谷政府委員 水道の高料金対策としましては、現在特別交付税によりまする所要の処置を講じているところでございますけれども、近年の創設水道の中に建設費が非常に巨大化しているとか、あるいは給水原価が著しく高いようになっておる例が見受けられますので、このような漸増する傾向に対しましては、新たな観点に立った対策を検討する必要があるのじゃないか、このように考え、各省庁と十分協議が必要である、このように考えております。
  75. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 ぜひひとつ検討していただきたいし、前向きな施策を要望しておきます。  次に、一般の上水道建設事業については、補助がない実情の中で、結局財源は起債に頼らざるを得ないわけで、これが地方自治体実情でございます。水道事業に係る起債のうち政府債、公庫債、縁故債、この比率はどういうふうになっておりますか、お尋ねしたい。
  76. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 五十二年度の上水道事業の各資金別を申し上げますと、政府資金が二八・四%、公庫資金が四五・三%、残りの二六・三%が民間資金でございます。
  77. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 いま御答弁がありましたように、政府債の比率がだんだん低くなってきているわけでございまして、縁故債あるいは公庫債も合わせれば相当な額になるわけです。縁故債、公庫債の比率が高くなればなるほど、経営が私は苦しくなるだろうと思うし、高い金利でございますから、私は一層高い水になるということになると思うわけです。拡張事業の相次ぐ中で、起債の元利償還は年々累増していきまして、水道事業の財政を圧迫しておることは事実ですが、このような起債措置について政府債の比率を高める必要がある、政府債の拡大をすべきではないか。いま報告がありましたように、公庫債が四五・二%、縁故債二六・三%ですが、政府債はむしろ二八・四%の倍くらいがこの事業の性格からいって当然ではないかと思うのですが、いかがですか。
  78. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 水道事業に係ります建設事業債につきましては、いまお話がございましたように、私たちといたしましても政府資金の比率というものをなるべく高めようという努力をしてまいったわけであります。ただ御案内のとおり、昭和五十一年度以降の地方財政対策というものの中で、公営企業に係る政府資金の比率が減少してきたことは事実でございまして、これに対しまして公庫資金の良質な資金によって全体的なコストの低減を図ろうということで現在までやってきたわけであります。  ちなみに、ただいま五十二年度の資金配分のお話を申し上げましたが、この問題に関係のない昭和四十八年度にございまして水道事業債の許可の実態を見ておりますと、政府資金が四八・三%ございました。それから公庫資金がそのときは二一・七%で、民間資金が三〇・〇%であったわけです。このときの許可の総額に対します政府資金と公庫資金の比率というのは約七割であったわけです。この資金コストも六・七%くらいであったわけですが、先ほど申し上げました五十二年度当初計画の資金配分なのですが、許可の実態から申しますと、政府資金を三五・八%配分をし、公庫資金を四六・九%にいたしまして、民間資金を一七・三%というふうに非常に民間資金を落としながら、全体的には政府資金と公庫資金で八二・七%まで供給する。何とか市町村なりそういう全体的な仕事をする中では、なるべく良質の低率な資金が供給されるように私たちも努力をいたしているわけであります。  さらに、いま私たちが計画を立てておりますところの五十三年度につきましては、政府資金については三〇・五%、公庫資金について四六・二%、最後に民間資金は二三・三%という計画を立てておりますが、これも資金全体の流れを見ながら、あとう限り政府資金なり公庫資金なりの良質な資金によって低率な資金の配分ができるようにわれわれは今後とも努力をしたいと思っております。
  79. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 ぜひともひとつ政府債の枠の拡大というものを積極的にお願いをしたいと思うし、またこの起債の償還年限をぜひとも延長してもらいたい。言ってみれば水道施設の耐用年数まで引き延ばせないか、現在起債三十年ですけれども、あるいは三十五年ないし四十年、五年ないし十年は延長しても私はいいのではないかと思うのですが、いかがですか。
  80. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 水道事業に関しましては、御案内のとおり、現行地方債の制度の中におきましても政府資金に次いで非常に有利な取り扱いをいまいたしておるわけでございます。すでに御案内のことと思いますが、政府資金について三十年、公庫資金二十八年という他の資金に匹敵をする実は耐用年数を見ながらこの償還年数というものをつくっているわけでして、水道自体が国民の生活に直結した基幹的な公共施設であることにかんがみまして、今後とも各関係方面と折衝しながら良質な資金が供給されるように、あるいは償還期限が延長されるように努力をしていきたいと思っております。
  81. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 次に、水の有効利用についてお尋ねをいたします。  都市用水を中心とした水利用の伸びは、今後急上昇することが確実になってまいりました。また、水資源の非常な不足から水利用の高度化、合理化の方法を考えなければならないと思うわけでございます。この観点からも、再生利用水、これらも新たな水源として期待をされているわけでございまして、この再生利用水、すなわち中水道の設置が検討に上ってきているわけですが、中水道に対する基本的な考えをまず最初に伺いたいと思います。
  82. 藤田恒雄

    ○藤田説明員 中水道に関する御質問でございますけれども、中水道というのは、一般に飲料以外の生活用水的なものではないかというように考えておりまして、厚生省では、従来これを雑用水道というように呼んでいるわけでございますけれども、これに対する厚生省としての考え方を述べてみたいと思います。国全体どう考えるか、いろいろむずかしい問題がございますけれども、一応厚生省としては次のようなことを考えておるわけでございます。  中水道ないし雑用水道というものは、条件次第によっては非常に有効な水資源対策の一つであろうということでございまして、条件というのは、やはり水の需給が非常に逼迫している地域であるということ、それから再利用するための水が必要だということで、これは普通は下水の高度処理水等があるのじゃないかと思いますけれども、下水等が三次処理までをしましてかなりきれいなものができる、そういうものが豊富に得られるというようなこと、それから既成市街地に二重の配管をするというのは非常にむずかしいということでございますので、新たな都市開発をするというような場合にはかなりいいのじゃないかということでございまして、そういう一定の条件のもとでは非常に有効な水資源対策であろうということが言えると思いますけれども、一般的にはやはり経済性の問題というのが非常に重要で、これを解決しなければ全国的な普及というのは非常にむずかしかろうというふうに考えております。  そしてまた、厚生省といたしましては、衛生を担当する省でございますので、上水道は衛生上全然問題がない水でございましたけれども、こういう中水道の水を間違って飲むとか、あるいは飲まないまでも身体に触れるとかなんとかしますと、いろいろウイルスとか細菌とかいうような問題もありまして、衛生上の問題が非常に出てくるわけでございまして、そういう面の研究は従来からいたしまして、当面水洗便所の水ぐらいであればというような水質基準を策定するような段階にまで至っているわけでございますけれども、そういうような衛生上の措置の研究も引き続きしなければいかぬ。ただ、トイレの水だけですと、非常に水が限られておりますので、そういう面も用途が限定されますと、これまた経済の問題にもはね返るというようなことで、非常に検討すべき問題がございます。  それからもう一つは、やはり利用者がどういうふうに受け入れてくれるか。何となく下水を処理した水が家庭の中へ入ってくるというのは非常にいやがるというような問題もございますので、住民側にどういうふうにしてコンセンサスが得られるか。非常に水が不足しているということになってきますればだんだん同意も得られるかと思いますけれども、そういうようないま述べましたような種々な検討課題がございますので、厚生省としても将来の水需給の対策として非常に有効な一つでございますので、引き続き研究を進めるべき段階ではないかというふうに考えておりまして、今後とも努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  83. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 建設省はきょうは来ていませんが、建設省では下水処理、これを再生利用して中水道に回しているという例がありますし、もうすでに民間ビルあるいは公社住宅等で利用しているようでございますが、現在、水の再生利用、雑用水でも中水道でも結構ですが、この水の再利用を実施しているところの事業数はどれくらいあるのか、掌握しておりますか。
  84. 藤田恒雄

    ○藤田説明員 厚生省としましてまだ十分把握は足りないわけでございます。工業用水等に使われているというのもありますけれども、それ以外にいわゆる雑用水専門ということでもってやっておるものとしましては、全部ではないですけれども、代表的な例としましては十カ所前後あるわけでございまして、これは主に特定の大きな建物、建築物等、それから住宅公団の団地、そういうようなところ、あるいはある一定の市街化の副都心みたいなところというようなことに大別されまして、一般の地域を対象としました広域的なものというのはございません。そういうことで、ビル等あるいはかたまった住宅公団の団地等が中心ということで、代表的なものは十カ所前後ということでございます。
  85. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 厚生省でもこの中水道については今後の検討課題というふうに答弁されておりますが、すでに実用化しているところもあるわけでございますから、いま私が調べた中では団地やビル等は独自の再利用がすでに行われているわけでございまして、日本住宅公団の芝山団地、さらには清瀬旭ケ丘団地、高槻の富田団地、一般の民間ビルなども利用されているわけでございまして、また通産省においても、東京都の三河島下水処理場、名古屋市の千年下水処理場などが利用されているわけでございまして、民間工場でも工業用水のみでなくて、水洗便所用水、噴水、散水など目的はいろいろですが、現実に利用されているわけでございます。いま私が申し上げましたような中水道は供給を義務づけている現行水道法の中での法的な位置というものは、これは一体どうなるのですかね。この法律上の問題についてどう考えていますか。
  86. 藤田恒雄

    ○藤田説明員 水道法には「給水義務」という言葉がございまして、水道事業者は、自分の受け持ち区域、給水区域と申しますけれども、給水区域内の住民からその給水の申し込みがあれば拒んではいかぬという形になっておるわけでございまして、水道法上はどうしても上水道の水が引きたいということであればお引きしなければならぬというたてまえになっております。ただ、この雑用水道等につきましては、いろいろその地域を新しく開発する場合には相当水道施設を整備しなければいかぬ、ダムを新たに獲得しなければいかぬというようなことがありまして、その開発の条件としまして地方自治体等がいろいろ行政指導として水は循環利用してもらいたいというようなことでやっております。それから企業等におきましても、いろいろ社会的責任を感じて、いろいろ行政指導に従っていただいてやってもらえるというようなこと。それからまた下水の面から、ビル等でもって多量の汚水が一遍に下水の方に流れるということは非常に困るという面があります。そういう面の行政指導によりまして協力していただいているというわけでございまして、法律上は水を引いてくださいということになりますれば引かざるを得ないわけでございまして、いままで普及しておりますのは、そういう面ではなくて、いわゆる行政指導等によってこういうものを試験的にいろいろやっていただいているということで、制度的なものではないということでございます。
  87. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 行政指導でもやっているというような答弁がありましたが、将来下水処理水あるいは河川の水を水源として雑用水に利用する場合に、公衆衛生面から見ても利用範囲というのは限定されると思うのです。それから過って飲んだとか、あるいは顔や手を過って洗ったとか、いろいろ防止対策というものも私は必要だろうと思うのですね。民間の団地あるいはアパート、工場、それぞれもうスタートして実際にやっておるわけですね。ですから、将来また水不足による水の再利用ということでそれぞれこういうことが行われていくだろうと思うのです。したがって、単なる行政指導だけではなくて、厚生省としてその規制やあるいは基準等の対策を早急に立てるべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  88. 藤田恒雄

    ○藤田説明員 厚生省としまして中水道ないし雑用水道を普及する場合、一番心配しておりますことは、先生いまおっしゃられましたような衛生の問題でございまして、これにつきましてはすでに五十年ごろからいろいろ研究をいたしまして、当面水質基準等につきましては一応大まかなものはできておるわけでございまして、現実に住宅公団等がつくっているものにつきましても、そういう厚生省が研究しましたものを踏まえてやっていただいているわけでございます。  しかも、その用途というのは水洗便所だけを対象としておりますので、こういうものは普通身体に触れるということはございません。ましてや、じゃ口等もついておりませんので飲むということも通常考えられませんので、余り心配はないだろうということでございますが、こういうものがかなり普及してきますと、やはり法的な規制というものも当然必要でございますので、鋭意研究したい。またすぐ法律ができないまでも、われわれとしましての研究成果もすでに発表しておりますので、そういうものを活用願いたいというふうな気持ちで今後とも指導していきたいというふうに思っております。
  89. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 再生をした水、雑用水は、建築基準法には住居者の安全を確保するという目的があるわけですし、また建築物における衛生的環境の確保に関する法律、いわゆるビル管理法というものがある、これらの法律と非常に密接不可分の関係があるわけでございますが、この建築基準法あるいはビル管理法の法律とこの再生利用についてはどういう関連があるのか、お尋ねをしたいと思います。
  90. 藤田恒雄

    ○藤田説明員 ちょっと私の所管ではございませんが、厚生省ではビル管理法というのを所管しておりまして、ビル管理法は特定の建築物というのを出しております。三千平米以上の事務所等でございますが、そういうところの衛生問題を扱っておりまして、その中にたしか給水の維持管理基準を設けることになっております。それで、現在はそのビル管理法ではいわゆる飲み水、飲料水についての維持管理基準しかございません。それは一般的にはまだ中水道というのは普及していなかったから、そういうことで基準はできていないわけでございますけれども、おいおいこういうものができれば、そういう面で基準をつくれば、その法的な規制というのは政令段階で可能かと思いますが、それにつきましては私の所管ではございませんので、ちょっと皆さんと相談してみなければわかりません。  それから、一般の住宅等、これは団地等でもございますけれども、これはビル管法の特定建築物じゃございませんので、法的規制はございませんが、訓示規定としまして、一般の建築物もそういう維持管理基準ができた場合には守らなければいかぬ、これは罰則等はございませんけれどもそういうものがございますので、その面ができれば一応の法的な根拠にはなるのじゃないかというふうに考えられるわけでございます。
  91. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 現在、下水道を中心とする処理水の再利用面からは建設省がやっているわけです。通産省は工業用水の多元的利用ということでやっている、実験プラント等を建設しているわけです。厚生省、建設省、通産省、各省がそれぞれ所管がありましてそれぞれ担当しているわけでございますが、この水の再利用ということで総合的な立場から三省で調整をする必要があるのではないか。各個ばらばらでやっているわけでございますから、厚生省でも各省の調整ということについてぜひひとつ十分に検討されたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  92. 和気三郎

    ○和気説明員 お答えいたします。  私ども国土庁といたしましても、この雑用水の利用についていろいろと勉強をしておりまして、私どもの中で基本問題研究会というのを設けていろいろの先生方のお知恵を拝借しているわけでございますが、今後の水資源開発なり水需給の逼迫に対応いたしまして、水の合理的な利用という立場からこういう雑用水の利用を図っていかなければならないと考えております。先生御指摘のようなことで、下水の処理水の再生利用なり、あるいはまた先ほどの雑用水の利用ということで、ビルの中あるいは団地の中での水の高度利用という事柄につきましていろいろと勉強させていただいておりますが、先生御指摘のとおり、いまの雑用水の利用につきましては、やはりいろいろの制度的な面あるいはコストの面につきましての対応策というものが必要ではないかということで、今後これらにつきましてもさらに勉強を重ねていきたいということで、一応私どもとしては一つの基本的方向ということでレポートをまとめておりますけれども、さらにそれを基本的方向に沿った具体的な勉強を進めてまいりたい、このように考えております。
  93. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 これは公社住宅あるいは大都市のビル、各所でそれぞれ実際に利用されておるわけでございますが、推進母体が明確でないわけですね。ですから、国土庁が中心になっても結構ですから、ばらばらではなくて、ぜひひとつ一本化をするという形が私は望ましいのではないかと思うわけでございます。将来とも検討されるということでございますから、ぜひひとつこれは前向きに積極的に御検討いただきたいということを要望申し上げまして、私の質問を終わります。
  94. 木村武千代

    木村委員長 三谷秀治君。
  95. 三谷秀治

    ○三谷委員 事業団の理事長お越しになっておりますが、初めに輸入牛肉の調整金についてお尋ねしたいのです。  五十年にこの制度が始まりましてから年々の調整収益といいますか、この金額をお聞きしたいと思います。
  96. 太田康二

    太田参考人 お答え申し上げます。  御承知のとおり、五十年度から、畜産物価格安定法の一部改正をいたしまして、牛肉が指定食肉になりまして価格安定帯制度が発足したわけでございますけれども、それ以降の私どもの輸入牛肉勘定の純益金について申し上げますと、五十年度が百五十一億、五十一年度が三百七億、五十二年度はまだ最終的な決算が終わっておりませんので、昨年の暮れに国会にお出しいたしました財政法二十八条に基づく関係書類がございます。これの見通しでは一応三百五十八億、こういうことで御報告申し上げておりますが、これよりは若干ふえるかというふうに存じております。
  97. 三谷秀治

    ○三谷委員 この調整金というのは、国内畜産物価格を維持するために設けられたものであって、要するに日本の畜産農家の保護のために創設されたものだと思いますが、そうでございますか。
  98. 太田康二

    太田参考人 大きく分けて、いわゆる調整金とそれから売買差益があるわけでございますけれども、先生御指摘のとおり、国内で価格安定事業をやっておりますから、それとの見合いで、輸入牛肉は確かに安く買えるわけでございますけれども、国内の価格との均衡を保っために、私どもは現地の価格時価で買いまして国内の時価見合いの価格で売るということに相なっております。御承知のとおり、フローズンビーフとチルドビーフがあるわけでございますけれども、チルドビーフは、フローズンのように私どもが買って持っていて市況を見ながら放出していくというような商品に適しませんので、一応買い入れの予定価格と売り渡しの予定価格との差を調整金ということで決めておきまして、徴収をすることにいたしております。これが御承知のとおり現在キログラム当たり六百円ということになっておるわけです。それ以外に、フローズンビーフは、御承知のとおり、市場あるいは指名競争で放出をして売買をいたしておるわけでございまして、それの売買差益という形で収益が上がる。その合計が先ほど申し上げた数字で、もちろん、輸入牛肉勘定の計算になっておりますから、一般管理費を引いたりあるいは運用利息などを計算いたしておりまして、輸入牛肉勘定としての損益計算は先ほど申し上げたわけでございますけれども、その基礎になっておる、こういうことでございます。
  99. 三谷秀治

    ○三谷委員 大分御丁寧な、お尋ねする以外のお答えをいただいて大変恐縮でありますが、この輸入牛肉はオーストラリアの現地でキロ当たりどれくらいしますか。そして日本の事業団の指し値はどのくらいになっておりますか。そして末端価格はどの程度になっているのでしょうか。
  100. 太田康二

    太田参考人 現地の買い入れ価格につきましては、私どもの事の機密に属する事項でございますのでちょっと申し上げかねるわけでございますけれども、基本について申し上げますと、私どもは現地に駐在員を置いておりまして、その月々の外国との貿易の価格あるいは国内価格等も詳細に調査をいたしておりまして、これらに基づきまして私どもの買い入れ予定価格を決めております。それから売り渡し予定価格につきましては、法律にはっきり明文の規定がございまして、安定上位価格を超えておりますときには、上位価格を基準としてたとえば冷凍格差、品質格差等を勘案して定めろ、それから安定上位価格、安定帯の中に入りました場合には時価を参酌して定めろということになっておりますから、現在、そういうことに基づきまして安定帯の中に入っておりますから、国内の支持しておる牛肉の価格を参酌しながら、これとの冷凍格差あるいは品質格差等を勘案いたしまして売り渡し予定価格というものを決めておるわけでございます。そして末端の価格でございますが、これもいろいろな部位があるわけでございまして、一番はっきりいたしておりますのは、指定店の制度でございますが、これにつきましては、私どもが目安価格というものをはっきり決めまして、これで原則として売ってもらう。一つの例で申し上げますと、輸入牛肉のフローズン物につきましては、肩が百グラム当たり百四十五円、ももは百六十五円というような目安価格を定めて指定店に売らしめておるということでございます。
  101. 三谷秀治

    ○三谷委員 先般、オーストラリアの副首相が日本の国内の牛肉が高いということで、日本の政府に対して意見を述べておられるようでありますが、これによりますと、原価が百四十円で、日本の国内の輸入価格が四百九十四円、末端価格が四千円というふうな数字が出ております。もちろん、これは変動しますから、正確な数字が細かく出せるわけはないと思いますが、大体その程度の動きになっておるわけなんでしょうか。
  102. 太田康二

    太田参考人 私どもが購入いたしております牛肉も、確かに月々によりまして非常に変動があるわけでございまして、先般も調整金の見直しをやったわけでございますけれども、現在の六百円というものを決めました昨年の九月に比べますと、ことしの三月では現地価格が一六%上がったということがございます。また逆に円高の効果、そのときに比べましても一七%円高だというようなことで、結局、結論として調整金は直す必要はないというようなことになったわけでございます。いま先生御指摘価格は、いろいろな部位を買っておるわけでございますから、必ずしも一律に言えないわけでございますけれども、フルセットのチルドビーフの例で申し上げますと、大ざっぱに言って、関税とかなんとかを全部込みにいたしまして、そのときの時価にもよるわけでございますが、私どもが入手する価格に対しまして、最終の私どもが指定店に出す値段というのは、おおむね千二百円から千三百円の間というようなことで出しておるわけでございます。末端の価格が四千円するというのは全体を言っておるわけではないのでございまして、ある特定の部位についてそういう部位もあるということでおっしゃったんだろうと思うのです。私どもも、その点につきまして実は大使館の参事官の方にもお伺いしたのですが、まあ三千円から四千円というふうなことをおっしゃったようでございます。一番高い肉はロイン系統の肉でございまして、私どもの指定店の価格でも百グラム当たり二百八十円ということで目安価格を設定しておるというようなこともあるわけでございますから、キログラム三千円というのはおおむね正鵠を得た価格ではないかというふうに考えております。
  103. 三谷秀治

    ○三谷委員 私はきょうここで輸入肉の価格問題をお尋ねするつもりはありませんが、参考までにお聞きをしたのであります。  そこで、この調整金制度というものが日本の畜産農家を保護する観点に立って創設されたものであって、制度自体が日本の畜産農家の利益の擁護という立場に立つものでありますが、それとは別に調整金ですね、この調整金はどうなるかという問題でありますが、これは言うまでもなく消費者の負担になるものであります。私、先般AP通信の記者に会いましたが、日本の牛肉は世界一高くて、自分たちは絶えず肉を食う習慣を持っておるけれども、日本ではそれほどは食えないということを言っておりました。私は、この調整金あるいは支持価格というものが日本の畜産農業を保護しますためにはある程度やむを得ないというふうに考えておるものであります。しかし、その調整金というものの使途、使い方でありますが、これには大分問題がある。この調整金を負担します消費者に対して、はなはだしく調整金の使途が限定されておるということはいろいろな場所で論議をされてまいりました。そして、先般の物特でもお答えになっておりますのは、調整金に基づく留保財源といいますか、これはなおたくさんあるので、これを消費対策を含めてどのようなものに充てていくか検討をしたい、こういうふうに述べていらっしゃいます。これは杉山畜産局長であります。理事長は、かなりな額が残っておるので、助成事業として何がいいか、いい知恵はないかと頭をしぼっておる、引き続き検討をするとおっしゃっています。つまり、かなり金があるんだということを畜産局長も理事長も言われておるわけでありますが、消費者対策に使っていくその使い方について、どのようなお考えなのかお聞きしたいと思うのです。
  104. 太田康二

    太田参考人 調整金の問題でございますが、先ほど申し上げた純益は一定額をその勘定に積み立てまして、残りは助成勘定という勘定に繰り入れまして、いま御指摘の指定助成対象事業に使う、そして出資なり補助に使うということに相なるわけでございます。  その対象になる事業につきましては、先生も御承知のとおり法令で規定をされておりまして、生産あるいは流通の合理化等に使われるわけでございます。全般として、生産者の対策が非常に重点であるということになっておることは御指摘のとおりでございます。まあ、大変持って回った言い方でございますけれども、長い目で見れば生産増強対策を講じることが、ひいては消費者のためにもなるというふうに考えておるわけでございますが、それにいたしましても、確かに消費者対策が手薄であるというようなことがよく指摘されるわけでございます。  五十二年度から、農林省ともいろいろ御相談申し上げまして、消費者対策にもかなり力を入れていくということで、一つは、産地における食肉センター等につきまして、国の補助の補完事業として出資をするというような事業をやっております。  それから、直接小売に関係する事業といたしましては、産直による安売り事業というものに対しまして消費生活協同組合連合会に対して助成をいたす、あるいはいままで小売屋さんが東京等の場合には直接市場に来て荷を引くという習慣がなかったわけでございますが、朝市を開いて、生産者から直接連合会が入手した部分肉にした肉を買っていくというような事業、これによりまして小売値を一割程度安く売れるようなシステムをつくるというような事業、これらに対して助成をいたしておるわけでございますが、これを五十三年度も引き続き実施をする。  さらにことしの一番恐らく画期的な事業になりますのは、従来枝肉の卸売市場はあったわけですし、末端の小売においてはそれが精肉として売られるわけでございますが、中間の部分肉の市場がなかったわけでございます。これに対しまして、農林省の方で一般会計でたしか施設助成として十五億近くの予算をことし計上いたしております。とりあえず東京に一カ所の部分肉センターをつくる。これも当然まだ額は確定はいたしておりませんが、私どもに対して出資の要望があろうかと思います。  そういったことで消費者対策にもこれからきめ細かくやってまいりたいということで努力をいたしておるところでございます。
  105. 三谷秀治

    ○三谷委員 法律によります指定助成対象事業というのは、昨年ですか、消費生活協同組合が入ったそうでありますが、それまでは農協または農協連合会、要するに生産団体に限定をされておりました。  これにつきまして先般私は自治大臣にお尋ねをしまして、地方自治体の公設の屠畜場がおしなべて赤字の状態にある。これは赤字の多寡はいろいろありますけれども、それによって非常な財政上の困難を感じておるわけでありますが、こういう調整金、要するに消費者が負担をしたものを、そういう市町村などの屠畜場ですね、これは畜産事業でありますから、これに対して助成をする必要があるのではないか、そういう考え方はどうかとお尋ねしましたら、大臣も、県知事として屠畜場の維持、運営については非常に苦労をしてきた、だから農林省と話をしたい、こういうふうにお答えになりましたが、これはその後どのようになったでしょうか、経過をお尋ねしたいと思うのです。
  106. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 大臣が三谷委員にお答えをいたしましたのは、そういう御質問がありましたので、機会を見て農林大臣とお話をいたしたいということを申し上げたと思います。ただ、たまたま農林大臣が日ソ漁業協定の問題がございましたり、自治大臣が成田の空港の問題等がございまして、まだその話し合いの時期を持っておりませんことをおわびいたしたいと存じます。
  107. 三谷秀治

    ○三谷委員 そこで、農林省にお尋ねしたいわけでありますが、今後自治大臣からそれなりのお話があると思いますけれども、農林省当局としてこの屠畜場に対する援助処置といいますか、これについてどうお考えでしょうか。屠畜場は、御承知のように、二面では生産者対策でもあり、一面では消費者対策にもなっておるわけでありまして、いまと畜場法によりまして厚生省が汚水の処理施設分だけこれを助成するという制度になっております。ですから、屠畜場という設備の汚水処理という関係だけに国の行政タッチがあるという状況になっておるのであります。  しかし、屠畜場といいますのは、その設備で行われますさまざまな行政上の事業といいますか、これを見ますと、これを単に厚生省の衛生上の対象としてだけ見るというのは適当でない、やはり畜産対策として位置づけることが必要だと私は思っておりますが、その点についてどうお考えでしょうか。
  108. 甕滋

    ○甕説明員 現在の私ども考え方を御説明申し上げます。  食肉の流通関係につきましては、産地から消費地に至るまで、私どもその改善、合理化に努力をしております。事業団の差益の使い方につきましても、先ほど事業団理事長から御説明がありましたように、流通の改善のためにこれを活用するという方向で私ども考えておるわけでございます。ただ、屠畜場そのものの所管につきましては、ただいま先生からお話もございましたように、それぞれの政策の体系の中で、農林省の施策の体系の中で整備を図るということではなくて、厚生省の施策の一環と位置づけられましてその整備が図られるということになっております。もちろん、いろいろ関係いたす面がございますので、双方で連絡をとりながらその整備を進めるということになっておるわけでございます。したがいまして、今後ともそういった考え方のもとで全般的な改善に資するように努力をしていきたいと考えておるわけでございます。
  109. 三谷秀治

    ○三谷委員 私は、厚生省が管轄されておりますのは、この施設の環境衛生設備の整備に係る問題であって、畜産行政の一環としての責任が厚生省にあるとは常識上考えられないわけでありますが、厚生省はその点はどのようにお考えなのでしょうか。
  110. 岡部祥治

    ○岡部説明員 屠畜場につきましては、先生御指摘のとおり、私どもでと畜場法を確かに所管いたしております。したがいまして、と畜場法の目的とする安全で衛生的な食肉を消費者に供給するという観点から私どもと畜場法を所管して、獣畜の厳正なる検査あるいは近代的な処理体制の充実といったような観点から特別地方債等をもってこの整備を図っておるところでございますが、先生御指摘のように、畜産物の流通の一環の施設であるという見方も確かにできると私は考えております。
  111. 三谷秀治

    ○三谷委員 流通過程の一環を担っております屠畜場に衛生環境整備観点から問題の処理を求めましても、これは無理な話であって、その点からしますと、当然農林省に何らかの対策を立ててもらう必要があると私は思います。ただ、私は調整金を使えとは言っておりません。農林省が独自の農林予算を計上されて、そういう屠場等の整備について、整備といいましても施設の整備じゃありませんが、屠場等の運営上の問題について助成措置をおとりになることが必要であろうと思いますけれども、この点はいかがでしょう。
  112. 甕滋

    ○甕説明員 屠場において処理されたものが産地から消費地へ流れるといった点において流通上位置づけられるものであるというお説は、そのとおりだと思います。ただ、屠畜場そのものは、御承知のように、大部分は地方公共団体が管理をいたしまして、と畜場法といった法体系の中で厚生省の所管のもとに管理をされているという沿革的な事情もございまして、現状の施策体系が定まっておりますので、そういったものの中でそれぞれ協力しながら整備を進めていくという方向がよかろうという考え方を持っておるわけでございます。
  113. 三谷秀治

    ○三谷委員 おっしゃいますように、屠畜場は地方自治体公営のものもあるし、私営のものもあるようであります。そしてここがいろいろ経営上困難になってきている。この困難については事情があるのです。  特に古い屠畜場、昔からあります地元消費用屠畜場といいますか、あるいは地場産業用屠畜場といいますか、こういうものは、御承知のように、同和地区地場産業として歴史的に維持され今日に至ったという事情がありますために、むやみに使用料の値上げも容易にはできない、なかなか抵抗が強いのであります。したがって、自治体が財政上非常に行き詰まって、一般財政からの負担を繰り返しておるという例がたくさんあるわけであります。この屠畜場というものを何か無機体的に考えずに、集荷をして、屠畜をして、肉にしてこれを出すという一つの流通の流れから見ていきますと、これは当然畜産対策として農林省が考えるべき要素があると思っております。それを単に衛生整備の観点だけで厚生省が見ていくということでは、産業政策としてはきわめて不十分でありますから、そういう点からしまして、農林省がこれについての対策を出してもらう必要があるというふうに私は思っておりますが、いかがでしょうか。
  114. 甕滋

    ○甕説明員 産地から消費地に至る流通改善の一環としまして、つまり産地における集荷計画、特に農協系統の計画的な集出荷を軸として食肉の処理を行いまして消費地につなぐ、こういった流通の流れの中における一環として屠畜場部門も含めた流通施設を整備するといった事柄がございます。これは産地食肉センターと一般に言われておりますけれども、そういったものに対する流通上の位置づけを行いまして農林行政の対象とするということは従来から進めてまいっております。したがいまして、流通上必要な施設の整備を図るということは私どもも極力努めておるつもりでございますが、屠畜場の問題は、先生もお触れになりましたように、地方公共団体の財政問題あるいは財源問題といった事柄とかかわっておるわけでございまして、私ども観点だけで果たして解決がつくものかどうか、問題を含んでいるように考えておるわけでございます。
  115. 三谷秀治

    ○三谷委員 これは地方自治体の財政問題というのがもちろんそこにあるわけでありますけれども、それだけではないわけであります。たとえば私の大阪府下で松原市というのがありますが、これがいま典型的なデッドロックという状態になっておる。これは市議会が一般財政から屠殺場に出す予算を認めなくなってしまった。三カ月間の暫定予算だけをやっとこさ認めてもらいましたから、三カ月先になりますと、屠場の閉鎖をするかあるいは何らかの方法を考えざるを得ない、こういう状態になってきたのであります。  議会がなぜ予算を認めないかと申しますと、元来屠場の公共性といいますか、これは不特定多数の地域住民に帰属する利益を言うわけでありますが、しかし、食肉流通の観点から見たときに、市の行政区域を超えて大半が広域的になってきておる、こういうことが一つ条件としてあります。そのために、小さい市がそういう広域的な集荷あるいは屠殺の行為に対して膨大な予算を出す義務がどこにあるかというのが市議会側の言い分であって、私はこれは一つの根拠があると思うのであります。  そこで、これは閉めてしまえばいいようなものですけれども、なかなか簡単に閉められないのは、一方では同和地区の地場産業として、単に屠畜業者だけでなしに関連産業とその従業員を含めまして、その拠点となっておるということなんですね。要するに、同和対策上も必要になってきているということからして、簡単に閉めるわけにもいかなくなってきている。ですから、これらの行政負担負担区分については、国も一定の基準を持つべきであると私は考えておるわけであります。そうでなければ、どこの屠殺場もそういう矛盾が出てくる。新しくできた産地屠殺場は別ですが、昔からあるいわゆる地元消費型の屠殺場におきましては、大体に同和産業として発展した歴史的な経過を持っておりますから、みんなそういう条件を備えておる。そこでどうにもできなくなっていま市長が困っておるわけでありますが、調整金などもたくさんお持ちになっておって、これを畜産行政の振興のために使っていくというたてまえでありますならば、当然こういうところには援助をすべきだと私は考えておるわけでありますが、この点について農林省と自治省の方の御意見もお聞きしたいと思うのであります。
  116. 甕滋

    ○甕説明員 先ほどの繰り返しになって恐縮かとも思いますが、屠畜場そのものの整備につきまして農林行政としてどこまでタッチすべきか、あるいはタッチできるか、こういった問題があるわけでございます。事業団の助成金で現在産地の食肉センター等に助成をしておりますのは、国の助成金で流通改善施設をつくり、その事業主体に対しまして出資をするという形でございます。したがいまして、これをそのまま地方公共団体が管理をいたします屠畜場に当てはめます場合に、事業団の出資といったことにもまいりかねるというような問題もさらにございますので、慎重に検討させていかなければならない問題だと思います。
  117. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 ただいまお話のございました松原市の問題につきまして、私もよく熟知をいたしております。ただ、この問題は、もう先生御案内のとおり、公営企業でやっております関係上、どうしても独立採算の原則がとられなければいけないという立場にもございます。そこで、基本的には、やはり運営費というのは使用料で賄うというのが原則であろうと思います。  そこで、このできた原因を少し明らかにしながら経営健全化のための対策を講じなければならないと思いますが、いまお話にありましたように、松原市でも、使用料の値上げに対しまして、最近その努力を府との間でいたしておるようでありまして、その府と市との関係を聞きながら、私の方も全体的な財政の問題としてこれをどうするかということについて少し検討してみたいと思います。
  118. 三谷秀治

    ○三谷委員 松原市議会あたりで反発が強いのは、いま申しましたように、他地区の牛である。大体八万頭屠殺しておりますが、長野県あたりが大変多い。そしてもう一つは、屠殺しましたものが、地元で消費するんじゃない。これはみんな出ていくわけです。市内で消費しますのは牛肉の五%、豚肉の一〇%にすぎないわけです。ですから、他地区から持ち込んでくる。そして、そこで屠殺をして、おろしました部位は全部他地区に出てしまう。そうしますと、屠畜場を抱えておりますためにとんでもない負担をしなくてはならない。しかも、住民に対してはメリットは何一つない。ただ、そこの同和地区の住民の方々の一つの生活上の拠点になっておるという事情は存在しておる。そういう事情がありますから、市議会がなかなかこれを認めようとしない。ですから、これは閉めてしまうということがいいのか。そのことで、また一つ地元におけるさまざまな混乱が起きてくることはよく御承知だと思う。そういう中で、これを放置しておいていいだろうかという疑問はだれしもが持っておるのであります。ここは、経営努力といいますか、いろいろやっております。前市長時代、大変使用料が安かった。屠殺料が安かった。五百四十円でありました。いまの市長になりまして、いろいろな抵抗がありましたけれども二千円に値上げをする、使用料と屠殺料合わせまして二千円でありますけれども、そういう措置をいたしました。しかし、これで足りません。どうしても四千円は要ると言っているのですね。そこで、大阪府とも話をしまして、行政負担分千円くらいは何とか見ていこうというけれども、一頭当たり千円ぐらい足りない。そうしますと、八万頭でありますから八千万円足りないわけでありますが、これを一般財源から出すということになりますと、市議会は、そんなものは認められない、こういうことになってきたわけであります。この事情を見ますと、これは農林省がもう少し考えなくちゃならぬ。何といいましても、屠殺場といいますのは単純な建物じゃありません。そこにおいて業務が行われ、そして屠殺が行われ、肉がおろされて、これが市場に向かっていくわけでありますから、畜産流通過程を分担しておるという性質のものでありますから、何らかの畜産対策上の行政措置が国としてもあるべきだというふうに私は考えるわけでありますが、いまは御承知のように、汚水の処理について厚生省が衛生保持の観点から若干の施設補助を出しておるという状態になっておる。これでは畜産行政として大変不十分だと私は思っております。これについて、いま慎重に検討とおっしゃいましたが、こういう状態を打開しますために積極的な努力が願えるかどうか、農林省のお答えを聞きたいと思うのです。
  119. 甕滋

    ○甕説明員 現状におきまして、いろいろ問題を含んでいるという御指摘はわかるわけでございます。ただ、それが現在の施策の体系の中で現状をどのように改善していくかということにつきまして、所管省の方とも御相談をしてお話を承ってまいりたいと思います。
  120. 三谷秀治

    ○三谷委員 政務次官どうでしょうか、お話をお聞きになっておりまして。大臣は前、農林省、あるいは厚生省も含めて話を進めていこうというふうなお答えであったようでありますが、次官はこの説明をお聞きになりまして、どうお考えでございましょうか。
  121. 染谷誠

    染谷政府委員 先生のいろいろなお話を伺っておりましても、これは各省それぞれ協議をして、前向きの方向検討しなくちゃならぬ問題と、かように考えております。
  122. 三谷秀治

    ○三谷委員 そこで、自治省の財政当局としましても、この問題についてやはり問題意識を持ってもらって、他省とも協力をして何らかの打開策を考えてもらう必要があると思いますが、どうでしょうか。自治省独自で何らかの財政措置がとれるというものじゃないと思いますから、どうか一遍御意見をお聞きしたいと思う。
  123. 石原信雄

    石原(信)政府委員 御指摘のように、ただいままでの御論議の、特に流通政策の一環としてどうするかというような問題、あるいは環境衛生対策の立場からどうするかというような問題、それぞれ各省にわたる内容を含んでおります。それから、自治省自身としては、屠場の公営企業としての経営のあり方はどうするかという問題、それぞれ関連いたしますので、私どもも、今後の一つ検討課題として各省とも意見を交換してまいりたい、このように考えます。
  124. 三谷秀治

    ○三谷委員 公営企業とおっしゃいますが、単純な公営企業としてこれを見ることができない条件があるのですね。つまり、それは部落産業の歴史的な発展の経過の問題だとか、あるいは現在の状況などから見ますと、同和対策としても何らかのものを考えるべきだ。たとえば農林省が食肉対策としての措置ができなければ、同和対策としての予算でも考えてみるべきだということは、当然考えるわけであって、どの面からでも構いませんけれども、こういう状態というものに何らかの対応策をとるべきだと私は思っております。現実にいま松原の問題になりますと、三カ月たちますとこの屠場の維持ができなくなってしまう。それ以後出ます欠損に対しては議会が承認しませんから、三カ月間に何らかの方法を決めなければならない。こういうところに追い込まれておるわけでありますが、こういう状態の中で、先日も市長が参りましていろいろ苦境を述べておりましたし、市長がまた独自に事業団の方にもお邪魔をするというふうなことで、八方手を尽くして肝を砕いておるようであります。そういう状態でありますから、対策を考えていただくとしますと、できるだけ早く何らかの方策を政府としても考えていただく必要があるのじゃないかというふうに思います。  農林省にお尋ねしますが、こういうところでもしも屠場の閉鎖というような事態が起きましたときには、畜産行政上支障がないものかどうか、お尋ねしたいと思います。
  125. 甕滋

    ○甕説明員 先ほど来るる申し上げておりますように、食肉の流通と屠場そのものの整備と無関係だと申し上げておるわけではございません。ただ、それぞれそういった施設につきまして、現状の管理体制がございますものですから、そういったものが今後の整備を検討する場合にも基礎になりまして進めていくのが現実的であろうというふうに考えておるわけでございます。
  126. 三谷秀治

    ○三谷委員 恐らくいまの体制とおっしゃいますのは、たとえば輸入肉の調整金でいきますならば、農林省令の改正といいますか、これでもできる問題であります。また現実に消費生活協同組合を助成対象にするというふうな改正も最近行われたようでありますが、そういう点からしますと、手の打ちようはあるというふうに考えられるのであります。ですから、その手の打ちようがあるわけでありますから、積極的にこの対策を考えていただきたいと思うのです。  それから総理府の同和対策室長、お見えになっておりますか。——これは同和対策上からも非常に重大な問題だと思いますが、自治省の同和関係の担当はどなたでしょうか、行政局長さんですか、どのようにお考えなんでしょうか。
  127. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 ただいまの御質問の内容、るる承っておったところでございますけれども、屠場は歴史的に同和行政と密着な関係があるということを私も存じております。ただいまのケース等につきましては、先ほども自治省の係官の方から申し上げましたように、いろいろ各省庁関係するところ多いわけでございますので、そういったところと十分打ち合わせて対策を講じていきたいと思っております。
  128. 三谷秀治

    ○三谷委員 それでは農林省と厚生省のお方どうもありがとうございました。よく検討をお願いします。  もう一点行政局長にお尋ねをしますが、福岡市あるいは北九州市などにおきまして、同和行政の個人給付をめぐりまして不公正な処置がある。つまり特定団体が印鑑を押さなければその対象にしてもらえない、こういう問題がありまして、これは裁判所に、そういう平等権といいますか、こういうものを奪われておるということで訴訟を起こしまして、二十五件の裁判が行われまして、いずれも市の処置が誤っておる、個人給付につきましては行政が責任を持って判断をして給付すべきものであって、特定の団体がそれを支配するものではないという観点から市が敗訴しました。二十五訴訟であります。  ところが、敗訴しながら市がこれを実行しない、こういう状態でいまだに実際上は解決していない、こういう状態になっておりますが、私は地方自治体というものが法を無視する、あるいは秩序を無視する、そういうことを行うことを認めたならばこれは大変なことになってしまう、そういう点から見まして、自治省の見解とこれに対する処置などについてお尋ねしたいと思います。
  129. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 法を執行いたします国、地方公共団体、そういったものが法を無視していいというわけのものでは当然ないわけでございます。ただいまの御指摘の訴訟の件でございますけれども、幾つかについて地方団体が敗訴したということは存じております。そしてまた控訴したということも聞いておるわけでございますが、何分急の御質問でございまして、その控訴後どうなっておるのか、違法状態になったのかならないのか、それがはっきり司法の場において決められたのかどうか、そういった点について、私、実は現時点では承知していないわけでございます。そういった事情につきましては、地方団体の方へ照会してみたいと思います。地方団体であります以上、違法事態をほっておくということはないだろうと私は思っております。
  130. 三谷秀治

    ○三谷委員 後の分は局長の主観的な判断でありまして、実態はそうではない。訴訟も一審だけじゃありません。控訴分でも敗訴するというような事態が起きております。したがって、いままでは特定団体の判がなければ受け付けませんでしたけれども、いまは受け付けだけはするのです。受け付けはしますけれども、実際の貸し出し行為はやらない、こういう状態になっておるわけであります。ですから、いまお手元に資料がなければまた資料を取り寄せていただいてよく御検討願いたいと思いますが、こういう事態に対しては厳正な指導をするという態度を貫いてほしいと思います。これについて御所見を承っておきたい。
  131. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 同和行政につきましては、繰り返し御答弁しておるわけでございますけれども、四十八年の九省庁の共同通達によりまして、特に公平性を確保しなければならない行政であるということで、関係全都道府県あるいは指定都市の首長に対しまして、繰り返し繰り返し指導しておるところでございます。その線に沿って今後とも指導してまいりたいと思います。
  132. 三谷秀治

    ○三谷委員 もう一つお調べ願いたいわけでありますが、北九州市におきましては、市の施設を借りますときに、たとえばお花の会をする場合でも、市の同和行政についての批判はいたしませんという誓約書を入れなければいけない。お花の会であろうと踊りの会であろうと、とにかく市の同和行政につきましては一切批判はいたしません、こういう一札をとられている、こういう事実がある。そして、二回目に借りますときには、今度は同和問題での研修が義務づけられている、こういう状態になっている。こういうことは明らかに言論の自由あるいは信条の自由というものまで侵すわけであります。市の同和行政について批判があれば批判をする自由は皆市民は持っているわけであって、それをしないという誓約書を入れなければ公共施設を使うことができないというふうな逸脱した行政が行われております。これも恐らくまだ資料をお持ちでないかと思いますが、あわせて御調査をいただきまして、次回でも、私ども個別の氏名など持ってまいりましてお尋ねをいたしますから、御調査を願っておきたいと思います。御返事を聞いて終わりたいと思います。
  133. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 個別の行政につきましては、それぞれの市町村がこれが一番公平であるという考え方に基づいて行っておることだと思います。ただいまの北九州の事例につきましては、現在初めてお聞きしたところでございますので、市の方で事情を聞いてみます。
  134. 三谷秀治

    ○三谷委員 終わります。
  135. 木村武千代

    木村委員長 次回は、来る十六日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十九分散会