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1978-04-11 第84回国会 衆議院 地方行政委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月十一日(火曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 木村武千代君    理事 大西 正男君 理事 高村 坂彦君    理事 中村 弘海君 理事 中山 利生君    理事 小川 省吾君 理事 佐藤 敬治君    理事 小川新一郎君 理事 山本悌二郎君       相沢 英之君    井上  裕君       谷  洋一君    地崎宇三郎君       渡海元三郎君    中村喜四郎君       中村  直君    西田  司君       与謝野 馨君    加藤 万吉君       新村 勝雄君    細谷 治嘉君       水田  稔君    権藤 恒夫君       斎藤  実君    和田 一郎君       中井  洽君    川合  武君  出席国務大臣         自 治 大 臣 加藤 武徳君  出席政府委員         内閣法制局長官 真田 秀夫君         警察庁警備局長 三井  脩君         北海道開発庁総         務監理官    吉岡 孝行君         北海道開発庁予         算課長     岩瀬多喜造君         農林大臣官房経         理課長     江上 幸夫君         運輸大臣官房会         計課長     西村 英一君         建設大臣官房会         計課長     加瀬 正蔵君         自治大臣官房審         議官      石原 信雄君         自治大臣官房審         議官      砂子田 隆君         自治省行政局長 近藤 隆之君         自治省行政局公         務員部長    塩田  章君         自治省財政局長 山本  悟君         自治省税務局長 森岡  敞君  委員外出席者         議     員 小川 省吾君         大蔵省主計局主         計官      足立 和基君         文部大臣官房企         画官      神山  正君         工業技術院総務         部総務課長   田口健次郎君         運輸省航空局飛         行場部計画課長 佐野 豪一君         建設省都市局下         水道部下水道企         画課長     高橋  進君         自治省財政局財         政課長     関根 則之君         自治省財政局交         付税課長    柳  庸夫君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 四月八日  地方公営交通事業特別措置法案細谷治嘉君外  六名提出衆法第一六号) 同月十日  退職地方公務員共済年金恩給改善等に関す  る請願佐野進紹介)(第二八〇五号)  同(渋沢利久紹介)(第二八〇六号)  同外一件(鈴木強紹介)(第二八〇七号)  同外一件(山本悌二郎紹介)(第二八八四  号)  同外一件(大橋敏雄紹介)(第二九〇四号)  同(森井忠良紹介)(第二九〇五号)  産休補助教員年金に関する請願千葉千代世  君紹介)(第二八〇八号)  地方財政改善促進に関する請願椎名悦三郎  君紹介)(第二九〇六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第三六号)  地方公営交通事業特別措置法案細谷治嘉君外  六名提出衆法第一六号)      ————◇—————
  2. 木村武千代

    ○木村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出に係る地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細谷治嘉君。
  3. 細谷治嘉

    細谷委員 最初に、国会提出されました法案形式と申しますか、そういう問題についてお尋ねしたいと思います。  地方交付税法等の一部を改正する法律案という政府提出法案の中で、この「等」という名の中に実は公営企業金融公庫法風俗営業等取締法等十二の法案の修正が織り込まれております。公営企業金融公庫法というのは、大臣の覚書の中で法定する、こういうことに基づいてこの法案の中に織り込まれたと思うのでありますが、風俗営業等取締法等の一部を改正することにつきましては、国の方で徴収する手数料等については各種手数料等改定に関する法律案というのが独立で二月十五日に出されておるわけです。ところが、この地方行政委員会にかけられている法案は、手数料引き上げ交付税法とが全くかかわりがないとは申しませんけれども、こういう法律を一本にして「等」という形でひっくるめて出すということはいかがなものだろうか、こう私は思います。  公営企業金融公庫法という法律あるいはいまの風俗営業等取締法等の一部改正、これはこれで一本でいいでしょう、十二件の改正が行われるわけですから。本来なら三本——少なくとも公庫法等地方債と密接な関係がありますから、これは一本にしましても、大蔵委員会にかけられたと同じような区切りの仕方で法案提出すべきだろう、こう私は思うのです。ところが、手数料等引き上げになりますと、どうも国会が問題だろう、いっそのこと一緒に出して、交付税等でひっくるめて、よしあしにかかわらず交付税は時間が来れば通っていくのだから、これも一緒にやってしまおうという、言葉は適切じゃありませんけれども、みそもくそも一緒にしてイージーな行き方をするということは好ましくないと私は思います。この点についての大臣のお考え、今後どうするのかをまず伺っておきたいと思います。
  4. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御指摘のとおり、今回御審議をお願い申し上げております地方交付税法等の一部改正案の中におきましては、地方交付税法公庫法各種手数料引き上げ関係関連法律、それをそれぞれの条文に分けまして御審議をお願い申し上げているところでございます。  ただいま御指摘のございましたように、いろいろの考え方があり得るわけでございますが、御案内のとおりに、公庫関係につきましては地方財政と全く不離一体財政措置一環というような点もあり、かつまた、手数料関係につきましても、受益者負担適正化を図ることを主眼といたしているものでございまして、地方交付税法との関連もございますし、地方財政対策一環をなすものという観点から、今回は一括してお願いを申し上げた次第でございます。  分けてやる手段もあったじゃないかという御指摘につきましては、確かにそういう点もあるかと存じますけれども、それぞれ関連のある法律でございますので、一括したことにつきましても御了承を賜りたいと存ずるわけでございます。
  5. 細谷治嘉

    細谷委員 そういう方法もあるだろうと思います。これはおかしいですよ。あなたの方が非常手段をとって、「等」というので一本にまとめたのです。大蔵省大蔵委員会へ出したように、手数料等は別の法律でやるのが本筋でしょう。そういう方法もありますなどということじゃないですよ。これが正常なやり方です。ところが、玉石混淆と言うと言葉は悪いが、何もかも一本にして「等」という言葉でやったということはまことにけしからぬ。  大臣、今回はこういうことで私も承服しがたいのでありますが、ぎりぎり許容できることとして、公営企業金融公庫法交付税法と一本にしてやったことはよろしいですけれども手数料等十二本の法律を一本にして、この中で改めて手数料を大幅に上げてしまうというやり方は、まさしく火事場どろ的なやり方だと思うのです。今後どうするのか、大臣の確たる姿勢をお尋ねしておきたい。
  6. 加藤武徳

    加藤国務大臣 交付税法の一部改正公営企業金融公庫法とは密接不可分関連がございますことは、まず御了承願えたようなただいまのお話でございますけれども手数料等十二法律改正を一括したことにつきましては、関連がありとは申せ、体裁上も好ましくないではないか、かような細谷委員の御指摘でございまして、私も、法の形式といたしましては必ずしもこのとおりでいいのだという感じは持っておらないのでございます。国においての分離いたしましたような傾向が好ましいとも思うのでございますけれども、今回は便宜的にかような措置をいたしたのでございまして、今後は十分注意いたしてまいりたいと考えておりますが、今回のことは何とぞ御了承いただきたい、かように思う次第であります。
  7. 細谷治嘉

    細谷委員 いま大臣言葉にありましたように、今回は便宜的な方法としてやったのだ。本来は、大蔵省がとったように別建て法律——これは十二件もあるわけでありますから、法律を一本一本出せなどということは言っていません。それはまとめて各種手数料等改定に関する法律案、こういうことで大蔵省の方は別個に出しているわけですから、自治省も今回は便宜的な方法としてとったんですから、今後は便宜的な方法でありますからとらない、こういうふうに確認してよろしいですか。
  8. 加藤武徳

    加藤国務大臣 次年度のことはともかくといたしまして、今回は便宜的な方法である、かような御指摘を受ければまさにそのとおりでございまして、何とぞ御了承がいただきたい、かように思う次第でございます。
  9. 細谷治嘉

    細谷委員 了承願いたいということですが、あくまでも便宜的な方法を今後もずっとやるということでは了承できないのですよ。今回は便宜的な方法であるので、今後はきちんとやはりやっていくようにするということを大臣からお言葉をいただかぬと、これはそのままでは、便宜的な方法をずっと毎年毎年続けられては——毎年毎年上げるようなことはないでしょうけれども、この辺はひとつはっきりしてください。
  10. 加藤武徳

    加藤国務大臣 政府内部におきます打ち明けた話を申し上げますと、各省庁が立法いたしたいと考えます場合に、内閣法制局と緊密な連携を保って事を運んでまいりますのが内々の状況でございます。  今回の改正案を作成するに当たりましても、同様の手順を踏んでまいりましたことは申すまでもないことでございますが、法文の体裁等につきましても法制局には法制局なりの考え方があるのでございますから、来年度以降は法制局等ともよく相談をいたしながら事を運んでまいらなければならぬ、かように考えております。
  11. 細谷治嘉

    細谷委員 法制局責任を転嫁しましたが、大蔵省は、大蔵省の方から出ているものは切り離しておるのですよ。これも法制局がタッチしておるわけでしょう。ところが、自治省の方も法制局だと言うのですが、法制局の方も一貫した考えがないということになるでしょう、そうなりますと。それは、いや、十二件ぐらいだから件数が少ないんだ、大蔵省の方は三十七件の法律なんだ、だから数が多いから別建てにしたんだ、こういうことかもしれませんけれども、こんなばかげたことはないですよ。三十七本の法律も一本の法律も国民にとっては重さは同じですよ。法制局責任を転嫁しないで、きちんと今後はひとつ便宜的な方法をとらないようにいたしますということをおっしゃっていただかぬといかぬと思うのです。いかがですか。
  12. 加藤武徳

    加藤国務大臣 地方税財政に関します法案考え方を大きく二つに分けまして、一つ地方税法改正案一つ交付税中心にいたしまして公庫使用料手数料等に関するもの、かような大まかな二つの分け方をいたしたのでございまして、私は、三十数件の改正が重く十数件の改正は軽いなどという考え方を持っておるわけではないのでありまして、そういう大まかな分け方をいたしましたところ、交付税法改正公庫の改組と、そして使用料手数料、かようなことに相なったのでございますが、理論的には、いま細谷議員がおっしゃるとおりの筋であろうと思うのでございますから、次年度以降につきましては十分に検討いたしてまいらなければならぬ、かように考えているところであります。
  13. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣のいまの言葉、今後の方針も込められておると思いますから、この問題はひとつそういうことで、便宜的な方法は極力とらない、こういうことでやっていただきたいということを強く要請しておきたいと思います。  それから、具体的な交付税なり地方財政の問題について質問をするわけでありますけれども財政局長、私は十日ぐらい前から、五十一年度地方財政計画と実際の決算額とはどういうふうになったのかという資料委員会に出していただきたい、こういうことを要請しておりました。ところが、この「地方財政状況」、通常言われる地方財政白書というのにいま全精力を使っているので、それが脱稿してその後で計数を整理いたしますから、それまでお待ちください。これが出てからもう相当になりますよ。まだできておらないのですか。できておるのならこれ配ってください。
  14. 山本悟

    山本(悟)政府委員 地方財政白書が脱稿し提出されましたのが三月三十一日でございまして、ただいま先生御指摘決算計画との乖離の問題につきましては作業中でございまして、なるべく早い機会にお示しいたしたいと存じております。
  15. 細谷治嘉

    細谷委員 まだできてないのですか。いつできるのですか、これは。これを読めばもう一時間も作業すれば出てくるのですよ。地方交付税審議の中で五十一年度財政計画決算状況というのがわからないということはおかしいと思うのです。いつできるのですか。
  16. 山本悟

    山本(悟)政府委員 ただいまお答え申し上げましたように、目下鋭意作業をいたさせているところでございまして、できれば今週中にはまとめたい、かように思っております。
  17. 細谷治嘉

    細谷委員 今週中ということでありますが、できておらぬものはしようがないから——これはいつできるのかと私が聞きましたら、いま白書が終わったらすぐです。三月三十一日までにはできるでしょう、こういうふうにある作業者は言っておりましたよ。ところが、きょうは十一日、まだできない。しかも今週中だと。審議はすでに進んでいくわけですよ。少し怠慢じゃないでしょうか。大臣、この白書の中にやはり五十一年度決算の問題が相当書かれてあるわけですから、これができたらすぐできるのです。それは。一時間と申し上げましたけれども、半日もあればこれはできるのですよ。素人じゃないのですから、それで飯を食っているのですから。ですから、大臣、少なくとも財政計画との絡み合いにおいて、交付税審議する段階にはそういう資料国会に出すというのが当然な責任だと思うのですよ。今後そうするのかどうか、ちょっと確認しておきたいと思います。
  18. 加藤武徳

    加藤国務大臣 法案を御審議いただきましたり、また一般的な御審議等を願います際には、できるだけ豊富な資料をお出しいたしまして御審議をいただくのがたてまえでございますし、その資料もできるだけ早く調製いたさなければならぬのでございますから、ただいまの五十一年度決算との乖離の問題もできるだけ早めまして資料提出いたすように努力をいたしてまいりたい、かように考えます。
  19. 細谷治嘉

    細谷委員 ぜひ審議が十分できるような資料は提供をしていただきたい。しかも、この問題は非常に重要で、私が取り上げただけじゃなくてすでにこの委員会で問題になっている点でありますから、特に計画決算との乖離の問題、これが重要でありますので、ぜひひとつ大臣のいまの言葉のように今後実行に移していただきたい、こう思います。  そこで、私はこの地方財政白書をまあさらっと目を通しました。ある新聞の社説の中で、自治省のこの白書というのは増税論を訴えた白書だ、こういうふうに批判をしておりました。しかし、きょうは問題を交付税に限定いたしまして質問をしてまいりたいと思うのです。  そこで、この白書の百五十五ページ。地方財政を確立していく方向といたしまして、この白書の中には五つの点が挙げられております。その中で「第二は、地方交付税安定確保の問題である。」こういう点であります。そして、その結びとして「今後とも、国及び地方財政長期的動向を勘案しつつ、地方税源充実と併せて、地方交付税総額安定的確保を図っていく必要がある。」こういうふうに言っております。私は、この趣旨には賛成であります。  そこで、これからの議論をする糸口といたしまして、「地方交付税総額安定的確保を図っていく必要がある。」というのでありますから、この確保する方向というものはどういうことなのですか。これをひとつ、自治省の原則的な姿勢をお示しいただきたい。これは大臣お願いします。
  20. 加藤武徳

    加藤国務大臣 私も、白書を丹念に各ページを読み尽くしておるわけではございませんけれども、ただいま御指摘ございました「地方財源充実強化」につきましてのこの章は、私もよく目を通しており、そして、御指摘のように、「第二は、地方交付税安定確保の問題である。地方交付税は」云々ということで、きわめて重要でありますことを指摘をいたしておるのでありますけれども、何といいましても、国税三税の三二%を占めます交付税が、地方一般財源といたしましては地方税と並びまして大宗をなしておることは申すまでもないことでございます。そこで、片や地方税の増収を図ってまいりながら、交付税額をできるだけ多く確保しますことが地方財政にとりましてはきわめて重要なことでありますから、この安定確保がきわめて大切である、かような意味を含めての「第二」でありますことの御理解を願いたいと思う次第であります。
  21. 細谷治嘉

    細谷委員 大事であることはわかっておるからこう書いたのでしょう、総額確保と。財政局長、この文章には、あなたは関係あるのでしょう。総額を安定的に確保する方向というのは、具体的に何ですか。私どもにもわかるような言葉で言ってくださいよ。
  22. 山本悟

    山本(悟)政府委員 交付税総額安定的確保、これが必要なことは申すまでもないことでございますが、いかなる方法をもっての安定が一番望ましいのかということを言えば、これは当然のことながら、国、地方を通ずる財源が増加をいたしまして、それによって交付税がふえる。あるいはそれでも足らない場合には、交付税そのものも考える。率あるいは対象の税目、いろいろな面で交付税というものがぴっちりしたかっこうでふえていくということが一番望ましい姿であることは申すまでもないところでございまして、そういった方向での地方財政というものが実現できること、それをこの白書といたしましても最も必要なこと、望ましいことということでここに挙げているものと私は存じております。
  23. 細谷治嘉

    細谷委員 ここに挙げているものと思いますと、もの、というのはなんですか。あなたは責任者でしょう。そして、注文をつけるわけじゃありませんけれども大臣言葉と同じように抽象的ですよ。自治省財政局長が、大臣と同じような、高等学校社会科の答弁の内容のようなことじゃどうにもなりませんよ。この中に書いてあるような「交付税総額安定的確保」というのは一体どういうことなのか。具体的に言ってもらわなければわかりませんよ。
  24. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御案内のとおり、一定の国税にリンクいたしまして交付税は入ってくるわけでございまして、それが地方財政にとりまして必要とされる額になるように、そういうかっこうに持っていくということがまさに安定的確保ということでございます。  なお、先ほど私が思われると申しました点は、失言でございまして、私ども責任を持ちまして原案を書かしていただいたものであることはもちろんでございます。
  25. 細谷治嘉

    細谷委員 私の質問に対して全く答えておりませんので、残念なことでありますので、その辺の問題を中心にしてこれからひとつ質問をしてまいりたいと思うのです。  質問に入る前提として、「昭和五十三年度地方財政計画」の十九ページに「歳出増減事由」という、第九表というのがございます。これは、昭和五十三年度に前年度と比べまして歳出額が五兆五千三十一億円ふえる、こういうことでありますが、それをどういうふうに配分するかというのが「歳出増減事由」という形で表になっておるわけであります。これを若干分析してみますと、昭和五十三年度増減事由は、給与関係経費が全体の増減の中で一九・七%。五兆五千三十一億円のうち一兆八百四十二億円というのは一九・七%に当たります。公債費が九・二%になります。一般行政経費が二二・三%である。投資的経費が四七・六%と、そういうような構成比になっております。試みに、列島改造をやったときの、公共事業がかなり重点的にとられたときの昭和四十八年、これは公共事業重点といいましても、五十三年度公共事業重点と四十八年度公共投資重点とはそのターゲットが違いますけれども試みに四十八年をとってみますと、給与関係経費が一九・五であり、その場合の公債費は五・二であります。白書指摘しているように、驚くべきことは、五年前あるいは六年前の四十八年は五・二%の公債費でありましたけれども、今度は九・二と、倍近くになっております。一般行政経費は、四十八年は二一・七であり、投資的経費が四八・六であります。そのうち単独事業は、四十八年は一六・九に対して五十三年度は二一・一となっているんですよ。これを見ますと、昭和五十三年度地方財政計画あるいは地方財政対策というものは、国も公共事業に三四・五というような予算の伸びをやりましたけれども、相当なしわ寄せを地方に期待しておる、押しつけておる、こういうふうに理解していいと思うのでありますが、大臣、そういう理解は間違っているでしょうか、いかがでしょうか。
  26. 加藤武徳

    加藤国務大臣 五十三年度地方財政計画内容は、いま御指摘のあったとおりでございますし、また、四十八年度資料は、私は手元に持っておりませんけれども、まさにおっしゃったとおりのことであろうと思うのでございます。  そこで、五十三年度におきましては、国におきましても投資的経費を相当伸ばしておるのでありますが、地方においてもまたそうでございまして、これは当面いたします最大の課題が、早期に景気の回復を図っていかなければならぬし、そのことがまた雇用不安の解消にもつながる、かような観点から、国の考え方と基調を同じくいたしまして、地方でも御努力を願いたい、かような考え方地方財政計画を策定いたしておるのでございまして、御承知のように、公共事業も七〇%を超えますものが地方でいわゆる補助事業としてやってまいっておるのでありますと同時に、また、地方といたしましては、公共事業だけではきめの細かさが足りず、また、事業総量においても公共事業だけで満足し得べき状況ではございませんから、五兆円を超えますような単独事業を予想いたしておるようなことでございまして、そのことが、生活関連いたしますもろもろのことが地方でなし得ることにつながってまいりますし、また、社会資本充実にも大いに役立つ、こういう考え方から策定いたしておるのでございます。計数につきましては、いま御指摘のとおりでございます。
  27. 細谷治嘉

    細谷委員 足立さん、いま私は、五十三年度地方財政計画の策定の意図、こういうものをふえた分がどういうふうに配分されたという観点から見たわけですよ。いま申し上げたとおり、四十八年では一六・九であったものが、単独事業が二一・一と大きく地方単独に期待されております。しわ寄せされております。もうちょっと洗ってみますと、地方財政計画に織り込まれておる投資的経費の内訳を見ますと、一般公共が五十三年度七三・二ですよ。四十八年は七六・三です。国の方が一般公共についてはウエートを持っておった。その他の公共——文教施設なりあるいは社会福祉施設等については五十三年度は二一・八という構成になっているのです。四十八年は一四・一ですよ。確かに文教施設とか公共施設についてウエートがとられている、生活関連施設についてウエートがとられている、こういうことは認めます。それでも四十八年の方が公共事業ウエートが大きいじゃないかというのです。このときは災害復旧が非常に多かったのですよ。災害復旧が九・六あるのです。五十三年度は五%しかないのです。その差がさっき申したように起こっている。これは全く同じ構造ですよ。そういうことからいきますと、この投資的経費の内訳としては、単独が四十八年は三七・三%であったのですけれども、五十三年度は四〇・九となっております。ずいぶん単独に、しかも地方債という形で地方に事業をやらせようとしておる、地方の事業を期待しておる、こういうことは明らかであります。私の見方が誤っているのか、あるいはそういう方向なのか、お答えいただきたいと思います。
  28. 足立和基

    足立説明員 五十三年度の予算の編成に当たりましては、景気の回復ということが一大眼目でございまして、そのためには補助事業、それからまた地方単独事業、国、地方を通じまして投資的な事業を重点的に行うということが必要であろうと考えたわけでございます。したがいまして、地方財政計画の策定に当たりましても、そのような状況を踏まえまして、また、その単独事業をできるだけ国と同じように伸ばすというような地方サイドの要望もございまして、自治省とも相談をしながらそのような投資的経費充実を図る地方財政計画というものを策定いたしまして、その結果、いま先生が言われましたような五十三年度地方財政計画の姿というものができ上がった、このように考えております。
  29. 細谷治嘉

    細谷委員 そうすると、地方単独事業に大変大きな期待を寄せておる。私の言葉から言いますと、地方に期待を寄せるということは、地方は借金でかなり大きなしわ寄せを食っている、こういうふうに理解してよろしいですね。
  30. 足立和基

    足立説明員 ただいま申し上げましたように、景気の回復という観点からいたしまして、地方につきましても国の施策に沿った投資的事業というものを十分やっていただきたいという期待をしたわけでございます。
  31. 細谷治嘉

    細谷委員 財政局長大蔵省は、地方の財政に景気浮揚に大きな寄与をしてもらいたいという期待感を持っているわけだね。それにこたえた地方財政計画である、こういうふうに確認してよろしいですか。
  32. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御案内のとおりの国全体の景気でございまして、国の財政におきましても、景気浮揚のための公共投資というものの増加を図るということ、これに対しまして、地方財政におきましても歩調を合わせたかっこうでの財政計画になっていることは御指摘のとおりでございまして、やはり地方団体の方におきましても景気浮揚のための公共事業、投資事業の執行というものを大いにやっていただきたいという考え方地方財政計画としても入っていることは御指摘のとおりでございます。
  33. 細谷治嘉

    細谷委員 財政局長、新聞によりますと、あなたかだれか知りませんけれども、とにかくもう景気を浮揚することがいま一番至上命令だ、もう洗いざらいつぎ込んで事業をやっちゃえ、府県の財政担当者を集めた際にこういう演説をぶったというその気持ちですか。演説をぶったと言われておるんです。だれがぶったか知りませんよ。
  34. 加藤武徳

    加藤国務大臣 各都道府県の総務部長にお集まりいただきまして五十三年度地方財政のことにつきましていろいろ懇談をいたしたのでございますけれども、局長や担当者はきめ細かに説明をいたしまして、いわゆる演説とは言えなかったと思うのでございますけれども、私が最初に壇に立ちまして、景気の回復をいたします。いま国、地方を通じて努力を願わなければならぬし、そのことが雇用の安定確保につながってくることでもあるし、また、七%成長はぜひなし遂げなければならぬ、かような命題を背負っておる、皆さん、大変御苦労ではございますけれどもどうぞよろしく、かような演説をぶちましたのは私でございました。
  35. 細谷治嘉

    細谷委員 少しくどくなりますけれども大臣がぶったと言うのですけれども、新聞によりますと、いや、そうじゃなくて、財政担当者がぶった、こういうふうに報道されているわけです。それを受けてかどうか知りませんけれども、現実には、自治省が発表されました昭和五十三年度の都道府県の予算の内容を見ましても、かなり思い切った、かなり積極的な具体的な事業を通じて景気浮揚に寄与しよう、景気浮揚の支えになろうという意欲があらわれております。私はそういうふうに理解いたします。大臣、どうですか。
  36. 加藤武徳

    加藤国務大臣 細谷議員地方行政を長く御担当なさいましてよく事情を御承知のとおりでございますけれども地方といたしましては、地域住民の皆さん方の要望を消化いたしますのが実は大変でございまして、あの道路も早く直したい、この河川改修もいたしたい、あるいは学校の改築もしなければならぬ、保育園や幼稚園もやっていこう、あるいは下水道等の整備もやっていかなければならぬ、かような地域の皆さん方の御要望をいわば無限に背負っておる、かようにも言えようかと思うのでございますけれども、そういう中におきまして毎年選択的に重要度の高いものから逐次実施をいたしてまいっておるのでございまして、そのことが社会資本充実がおくれておると言われております地方の体制を整えてまいりますことにもまたつながってくるのでございます。なるほど、そのために地方といたしましては大変な苦労をいたしておりますが、そのことはよく承知をいたしておりますものの、反面またこういうときにやりたかった仕事でことしはだめかなと思ったものも繰り上げて施行することができる、かように考えまして非常に意欲的に取り組んでくださっていらっしゃる、これが地方の実情であろうかと思うのでございます。しかし、これはすべての市町村が全くそのとおりと、かように申しておるのではないのでございまして、ほとんどの市町村がそうであるということは言えようかと思うのでございます。ですから、地方といたしましては片や重荷を背負ったような気持ちがないでもございませんでしょうけれども、しかし内心ではこういう機会にいままでやりたかった仕事をやろう、かような意欲を燃やしてくださっていらっしゃる、こう私は理解をいたしておるところであります。
  37. 細谷治嘉

    細谷委員 意欲を燃やしておるということをいま大臣は認めたわけです。せんだってのある新聞の社説にこういうことが書いてあります。「現在の生活関連社会資本充実のかけ声で進行している公共投資は、ローンでマイホームを建てるのと同じで、いずれ住民の負担になるのだということを、いまから徹底しておく必要がある。」現にローンでマイホームを建てて、新聞等に書いてありますように自殺者が起こっております。この新聞もローンでマイホームを建てたために自殺者が起こっておる、ここ数年後の地方財政にそういう深刻な事態があらわれてくるということを警告しておるのじゃないかと思うのです。  そこで大蔵省足立主計官、そこまで大臣の旗振りかどうか知りませんよ。地方社会資本充実に非常に大きな期待をかけておる。そしてある意味では、もうあるものも何も一切合財かき集めて五十三年度の予算も組んだ。そうして先は、さっきも申し上げましたように、深刻な公債費の増というのは目に見えているわけです。そういうことで国の政策に協力し、国の期待にこたえようとしているわけでありますが、大蔵省としてはそういう深刻な状況を踏まえながら、地方財政が動員されていっておるということをお認めになりますか。
  38. 足立和基

    足立説明員 先ほど申しましたように、五十三年度地方財政計画の策定に当たりまして投資的事業を大幅に充実いたしたわけでございますが、いま言われましたような現下の地方財政状況のもとにおきまして、財源不足額というものを完全に補てんするという措置をとりました。しかもその財源不足額の補てんにつきましては、五十一年度の場合には特例地方債というものを発行してその補てん措置をいたしたわけでございます。五十三年度につきましては三兆五百億円という非常に巨額の財源不足額が生じましたけれども、それを特例地方債の発行によることなくすべて補てんする、こういう措置をとったものでございます。
  39. 細谷治嘉

    細谷委員 その辺をこれからちょっと掘り下げた議論をしたいわけです。具体的に一つずつ聞いていきます。  単独事業が五十三年度地方財政計画の中でかつて経験したことのないような大変なウエートを持っております。この単独事業については、交付税上どういう形で基準財政需要額に計入をしているのか、お尋ねします。
  40. 山本悟

    山本(悟)政府委員 基準財政需要額におきますところの投資的経費の算入のやり方、そのうち特に単独事業という御指摘の御質問であるわけでございますが、御案内のとおり、投資的経費に係る基準財政需要額の算定におきまして、単独事業費は人口、面積あるいは道路の延長、河川の延長等といった客観的な指標を用いまして、総体として地方財政計画に計上されている必要額が措置されるように算入をする、かようなことを一番の基本の方針にいたしているわけでございます。他の公共事業といったようなもののやり方と多少変えておりますのは、単独事業は、御案内のとおり、どこをどれだけやるかということの決定権はすべて地方にある、かような考え方に基づきまして、客観的な指標によって需要の算入をすることが適当ではないかという考え方に立ちまして、ただいま申し上げましたような計算方法をとっているところでございます。
  41. 細谷治嘉

    細谷委員 少し不明確でありますので、もう一度確認いたします。  地方単独事業については、各地方公共団体の選択によって行われるものであるから、各地方公共団体の実績を基準財政需要額に反映させるべきではない、けれども人口、面積、道路の延長及び河川の延長等の客観的な基準によって一定水準は算入すべきである、こういうふうにあなたがいま言ったと理解してよろしいですか。
  42. 山本悟

    山本(悟)政府委員 ほぼただいま御指摘になりましたような気持ちでいま御答弁を申し上げたと思います。
  43. 細谷治嘉

    細谷委員 ほぼじゃ困るんですよ。地方単独事業は、確かにどういう事業をやるかという選択はそうですよ。選択はそうですけれども、現実にはいままで議論したように、景気浮揚というものを至上命令として地方財政が動員されていっているわけですし、あなたの方も旗を振っているわけでありますから、地方単独事業については、言ってみますと人口とか面積とか道路の延長及び河川の延長、こういう客観的な基準によって一定額は、一定の水準だけのものは基準財政需要額に計入する、大臣、こういうふうに理解してよろしいですか。
  44. 山本悟

    山本(悟)政府委員 ただいまお答え申し上げたのもそのことでございまして、単独事業につきましてはそういった事業費そのものをとらえるというかっこうではございませんが、ただいま申し上げましたような客観的な指標によって基準財政需要額の中に一定の団体の規模に応じ、そういったようなものの数値の増減に応じましての額を算入いたす。そしてもちろん個々の団体によりまして事業の執行は、ただいま御指摘のとおりに選択が自由なわけでございますから、それをより多くやる、あるいは多くはやらないという政策をとる、いろいろな団体が出てまいると思いますが、交付税の計算といたしましては、一定のレベルの額は各団体に単独事業ができるようにというかっこうでの計算をする。さらにそれにより、もちろん起債の充当の問題もあるわけでございますから、起債の充当におきましてもそういった考え方をとり、あるいは起債の充当におきまして大きくやるというところについては、そういったものについての配慮をする、こういうことによって総体的に各団体の単独事業の執行に支障がないように措置をしてまいりたいと思っております。
  45. 細谷治嘉

    細谷委員 大体大臣も確認したのです。  そこで、さらに一歩進んでお尋ねする。  五十三年度のように、地方単独事業が大きく期待されておる、ある意味ではヘビが卵をのんだように、波の頂上になっているわけです。ふくらんでいるわけです。そういう場合に、これをどうしますか。波の頂上になっているわけですから、一定の水準以上の単独事業を消化しなければならぬというわけですから、こういう場合には、私はそのものについては地方債でやるのはいいと思うのです。しかし、その後で基準財政需要額に算入してやる、こういうことにしなければ地方は立っていかぬと思うのです。いかがですか。
  46. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御指摘のとおりに、本年度措置といたしましては、基準財政需要額には一定の指標で入る、それよりオーバーするものの相当額につきましては、地方財政計画上も地方債をもって充当せざるを得ない、そういう措置になろうと思います。地方債で充当した結果、当然将来元利償還金が起こるわけでございますが、その元利償還金は、全体として見れば地方財政計画上また歳出の要因といたしまして計算されてくる。個々の団体におきましては単独事業の場合には、たとえば臨時道路といった単独事業も相当やっていただけるわけでございますが、ああいったものについて、たびたび御説明を申し上げておりますように、道路費に係る単位費用の増額、要するに道路費に係る基準財政需要額の増額という将来の方向によりまして、それに係る全体としての元利償還金が財政需要額に見合ってくるように、そういうような措置によって賄っていけるのではないかと思っております。
  47. 細谷治嘉

    細谷委員 主計官、いまの財政局長の答弁でよろしいですか。お答えいただきます。  言ってみますと、地方単独事業は選択してやるけれども、これの一定水準だけのものは基準財政需要額に計入していくべきである、しかし、本年のように大きな波の頂上になった場合には、これは国の政策に全面的に協力する立場でやっているわけですから、そういう場合、後年度基準財政需要額の算入を通じて調整をしていく、こういうことでよろしいですか。簡単にお答えいただきます。
  48. 足立和基

    足立説明員 お答えいたします。  大蔵省の立場から申し上げますと、五十三年度は非常に投資的事業にウエートを置きまして地方財政計画を策定したわけでございます。したがいまして、その地方財政計画上の財源不足額を完全に補てんするところの財源措置が非常に重要であるのではないか、そう考えまして、先ほど申し上げましたように、それを完全に補てんをいたしたわけでございます。その財源不足額を含めました地方交付税総額、それをどのように配分するか、基準財政需要にどういうぐあいに算入していくかという問題は自治省の問題でございますので、私どもの方からそれに対してのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
  49. 細谷治嘉

    細谷委員 主計官が答えた言葉の中に、大前提に誤りがある。交付税総額をどういうふうに分けていくかということについては、これは自治省、自治大臣の権限でありますから、大蔵大臣がくちばしを入れることはおかしいのです。しかし、交付税総額、いま言ったようなことが計入できるか計入できないか、算入するかできないか、これはかかって総額関係してくるわけです。総額関係してくるわけでありますから、総額の決定は両大臣が決めるわけでありますから、配分のことについてはくちばしを入れる必要はありませんけれども総額については責任があるわけですよ。私はいま総額一点にしぼって物を申しているわけでありますから。総額については責任を持つのですね。簡単でいいです。——首を振るだけでは記録に残らないから、どうなんですか。
  50. 足立和基

    足立説明員 先ほど私、配分の問題という取り上げ方をいたしてお答えいたしましたが、確かに交付税総額につきましては大蔵省責任がございまして、地方財政計画の策定を通じまして交付税総額確保ということは図ったわけでございます。
  51. 細谷治嘉

    細谷委員 いまの言葉はこういうふうに確認をしておきたいと思います。  地方財政計画の策定を通じて総額の確保を図った、言葉をかえて言いますと、地方交付税上の総額地方財政のそういうものをひっくるめて決まった、また決められるべきである、こういうふうに理解してよろしいのですね。
  52. 足立和基

    足立説明員 そのように考えております。
  53. 細谷治嘉

    細谷委員 その次に、国庫補助対象事業、地方財政法十六条の奨励的補助金が交付される事業については、これを受け入れるか否かは地方団体の任意であり、その限りにおいては地方単独事業と変わりない、こういう意見があるのですけれども大臣、そんなことですか。
  54. 加藤武徳

    加藤国務大臣 国庫補助事業は強制さるべきものではございませんで、地方団体が国とよく相談をいたしながら国の補助を得て事業を実施いたすものでございますから、地方単独事業は全く地方の判断によりましてなし得るものだし、国からの助成がないのでございますから、性格的に全く同じだとは言いがたいと私は思います。
  55. 細谷治嘉

    細谷委員 そういう補助事業を受けるか受けないかということは、最終的に確かに自治体が決めますよ。しかし、現実にはこの道路を補助事業としてやるかやらぬか、この河川をやるかやらぬか、奨励的な補助金と言いますけれども、これはひもがついておるわけでありますから、補助事業でありますから、地方はそんなに勝手にできるものではありませんよ。私もかつて経験がありますけれども、財政事情が悪かったので、ある事業を返上した、そういうことをやった市を知っております。ところが、今度はみごとに報復を食うわけです。決めておる補助事業をやめるなんてけしからぬ、今後やらぬ、補助事業を認めぬ、こういうふうに必ず報復があったのです。いまはないと思いますが。これは簡単に大臣が言うように任意じゃないのです。  そこでお尋ねしたいわけでありますが、だとするならば、これは当然地方が自主的でありますけれども、半義務的、半強制的にこれを消化していくということになりますと、基準財政需要額に反映しなければならないと思うのでありますが、大臣いかがですか。
  56. 山本悟

    山本(悟)政府委員 技術的な点を大臣の御答弁に先立ちましてお答えさせていただきます。  御案内のとおり、地方財政法十六条の国庫補助金はいわゆる奨励補助と称せられているものでございまして、ただいま御指摘のございました道路、河川といったようなものにつきましては、これは十条ないし十条の二に書いてございますが、その関係の負担金として公共事業の扱いになっているわけでございます。  そういう点で、十六条ということだけにしぼって御質問がございますと、やはり奨励的補助金につきましては、単独事業と同様に国が強制するものではない、あるいは国の計画に従って当然にやるものではない、こういうような考え方が成り立ち得るわけでございます。ただ、いわゆる公共事業というようなことになってまいりますと、それはやはり関係がずいぶん違ってまいるわけでございまして、公共事業と国庫負担の対象になります事業につきましては、需要の計算におきましてもいろいろな事業費補正その他の補正によりまして、ほぼ実績を基礎にいたしまして需要の計算をするというのが中心やり方になっているところでございまして、十六条とその違いというようなことは、補助金と負担金との違いというような意味におきまして取り扱いの区別をしているところでございます。  ただ御案内のとおりに、国庫負担事業というのがしかくはっきりしないというような点もあるわけでございまして、たとえば清掃といったものについてどっちに考えるのだという議論がいろいろあるわけでございますので、そういった住民生活に不可欠と現在の状況におきまして考えられるようなものにつきましては、法律上は十六条だと言われております補助金の出ている分野につきましても、やはり一部国庫負担金制度のとられている場合と同様な計算方法も取り入れているというのが実態でございます。
  57. 細谷治嘉

    細谷委員 十条の二はこの次に質問しますので、混同しないでください。  大臣、十六条の国庫補助事業というのは、地方単独事業のように一〇〇%地方の意思によって決定されるものじゃないわけですよ。しかも、本年度のような至上命令になっているときはそういうことだと思うのです。だとするならば、これは当然基準財政需要額に一定の方法によって反映さるべきであって、財政局長の答弁は反映するということを認めておるようでありますけれども、ちょっと問題がある。ある人は反映すべきでないとか例外的にと言っているある論文があるわけですけれども、これはちょっと私は問題だと思うのです。大臣どう思いますか。これは後で述べます国庫負担というものとは違いますけれども、奨励的といってももう実際に国庫補助事業も国庫負担事業も変わらないのですから、これはやはり基準財政需要額に反映さしてもらわなければいかぬと思うのですが、いかがですか。
  58. 加藤武徳

    加藤国務大臣 ただいま御発言や御意見のございます点は、私は、単独事業の場合の基準財政需要額へ反映せしめる具体的な方法と若干の違いはございますけれども、第十六条のいわゆる補助事業につきましてもまた基準財政需要額に反映せしめておる、こう理解をいたしております。
  59. 細谷治嘉

    細谷委員 反映せしめておる、こういうことであります。  その次には国庫負担対象事業。地方財政法十一条の二にはどういうことが書いてあるかというと「第十条から第十条の三までに規定する経費のうち、地方公共団体が負担すべき部分は、地方交付税法の定めるところにより地方公共団体に交付すべき地方交付税の額の算定に用いる財政需要額に算入するものとする。ただし、第十条第八号の三、第十条の二第四号及び第十条の三第五号に掲げる経費については、」いわゆる手数料等収入の若干あるものを除くと書いてある。  そこでお尋ねしたいのでありますが、これは大臣、十条の二は算入するものとすると書いてあるのですから、一〇〇%するのですね。
  60. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御案内のとおり、十一条の二の規定も「地方交付税法の定めるところにより」ということであるわけでございます。御案内のとおり、この十条の二に属しますいわゆる公共事業地方負担額に対しますところの本年度財政措置は、九五%まで建設地方債の増発によって賄う。この額が一兆三千五百億であったのは御案内のとおりでございます。そういう措置によりまして財源措置がされているわけでございますから、五十三年度財政措置に対応いたしましての交付税上の措置といたしましては、やはり九五%は地方債をもって充当され、残りの五%が一般財源、こういう計算をせざるを得ないわけでございます。その意味では、一般財源を充当する必要があるものにつきましては基準財政需要額に計算してまいる、かようなことになるかと思うわけでございます。そういたしますと、もちろん、増発いたしました地方債につきましての元利償還の問題がまた別途出てまいりますが、これらにつきましてはその償還年次におきまして必要な額というものを交付税上計算をしていく、こういうことによって措置をする予定にいたしております。
  61. 細谷治嘉

    細谷委員 このいまの十一条の二を読みますと、基準財政需要額に算入するものとすると書いてあるのですから、これはどう見ても算入しなければならぬわけでしょう。ねばならぬと書いてありませんけれども、算入するものとする。  石原審議官、ちょっとあなたに聞きたいのです。  国庫負担対象事業については地方財政法第十一条の二の規定の趣旨からいっても、場合によってはその地方負担額を直接基準財政需要額に算入することもやむを得ない、そういう文章をあなたが一地方自治三十周年の厚い本の中に書いていますね。やむを得ないのですか、これは。法律の精神は、やむを得ないなんて書いてないですよ。どうなんですか、ちょっとあなたが書いているから聞いておく。
  62. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 地方財政法十一条の二の規定は、地方財政法十条から十条の三に掲げる経費、すなわち国と地方の負担区分に基づいて地方団体が負担する経費については、これを地方交付税法で定めるところによって基準財政需要額に算入するものとするという形で、実質的に義務づけているものと思います。  私が論文の中でやむを得ないと言ったのは、交付税の基本的な性格は、各地方公共団体の財政運営に対して交付税が中立的であるべきである、そういう意味で地方団体の財政需要の計算は、できるだけ客観的な資料に基づいて各ときどきの社会経済情勢に見合った標準的な行政水準を想定して必要な財源を確保する、保障する、こういう理念に基づいているものと思います。そういう意味で、公共事業にいたしましてもその他の事業にいたしましても、交付税の基本的な理想からするならば、具体の実績を追いかけるということはできるだけ避けるべきであるという基本理念がありますので、本来はそうあるべきだ。しかし、国庫負担事業については、国、地方を通ずる一つの理想といいましょうか、ナショナルミニマムといいましょうか、そういったものを実現する手段として負担金制度があるわけでありますから、これらについては個々の団体の負担実績が財政需要額の算定に反映しても、これは交付税の中立性との関係でやむを得ない。やむを得ないという表現がいいかどうか知りませんけれども、実績が財政需要の算定に反映するという意味でそういう表現を用いたわけであります。特にその部分は、昭和三十年代末期に、いわゆる事業費補正を交付税に導入することに関連して、事業費補正の導入が交付税の補助金化につながるのじゃないかというような議論がありました。その点について、私は国庫負担事業についてはその負担額の一部を財政需要額の算定に反映させることもやむを得ないというふうに考えておりまして、その点がその表現になったわけであります。  その意味は、全体としての地方団体の負担すべき部分を何らかの形で財政需要額の算定に反映させなければいけない。そのことはやむを得ないのではなしに、必要なことであります。やむを得ないという意味は、個々の団体の実績が財政需要額の算定に反映することが、交付税の基本的な性格との関係でいろいろ議論がありますけれども、やむを得ない、こういう意味で用いたわけでございます。
  63. 細谷治嘉

    細谷委員 どうも言葉が石原さんらしくなく、論理的でもないし合理性もないのですよ。あなたの論文にはこう書いてあるのです。非常に重要なところですから、ちょっと読みますよ。  「国庫負担対象事業については、地方財政法第十一条の二の規定の趣旨からいっても、場合によってはその地方負担額を直接基準財政需要額に算入することも止むを得ない。」「算入するものとする。」と書いてあるのを、わざわざやむを得ないなんて、あなた書く必要はないじゃないですか。  その次に続けます。「しかし、道路整備事業、農業基盤整備事業等のように、毎年度継続的に一定量の事業が実施され、しかも、道路の延長及び面積、耕地面積等の客観的数値を基準として或る程度妥当な需要算定の可能なものについては、現在の算定方式を存続すべきである。一言ってみますと、あなたは十一条の二の改正方向を考えているんじゃないか、こう思います。だからこういうことが出ている。  その次を読んでみます。「港湾及び漁港整備事業、治山治水事業、小中学校及び高等学校の新増築ないし危険改築事業、都市計画事業、公共下水道建設事業、地下鉄建設事業に対する一般会計負担分等は、年度により、団体により金額の変動が大きく、客観的基準によっては的確な需要算定ができなかったので従来主として事業費補正の適用によって基準財政需要額の算定がなされていた。これらの事業は国民全体の利益のために、或はナショナルミニマムを達成するために実施されるものであり、国庫補助負担対象事業の実績を需要算定に反映させても地方交付税制度の本質には反しないと考えられたからである。」こう書いてあります。  その次が悪いのですよ。それがみごとにあなたの論理性を欠いている論文なのであります。大臣持っているようですから、よく見てください。「この系統に属する事業については、その地方負担額に対し当分の間、昭和五十一、五十二年度と同様九五%程度の起債充当を認め、その元利償還金の大部分を基準財政需要額に算入する方式を継続すべきである。」こう言っておるわけですね。言ってみますと、昭和五十一年、五十二年と同様借金でやって、そうしてその元利償還金の大部分を基準財政需要額に算入する方式だ、こういうことですね。  そういうことになりますと、総額一つも変わってないのですよ。これではどこかのコップの中のあらしのようになってしまうのですよ。ですからあなたがこの十一条の二の規定について手直しをしようということを頭の中に描きながら書いたと思うのでありますが、大臣、この地方財政法十一条の二を改める考えというのはあるのですか、どうですか。
  64. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 私の書いたものの考え方につきまして、ちょっと説明させていただきます。  私自身は、現在の地方財政法十一条の二の規定は今後とも堅持すべきものと思っております。ただ、その規定にも書いておりますように、十条から十条の三に掲げる負担対象事業について、その地方団体の負担すべき分を財政需要額に算入する場合には、地方交付税法の定めるところにより算入するものとすると、具体的なやり方については交付税法の定めにゆだねております。その交付税法の定めは、従来は例外的に地方債を導入することはありますけれども、原則的には一般財源でこれを措置するという前提で、その法律はできたと理解しております。  ただ、最近の経済情勢の中で、地方財源が飛躍的に増額できるというようなことは期待できない。とするならば、その十条、具体的には十条の二ないし十条の三に掲げる建設事業の財源については地方債を活用し、その地方債の元利償還金を財需要額に算入するという形で実質的に地方財政法の十一条の二の考え方を実現していくということしかないのではないか。私は望ましい姿としてそういう意見を持っているわけではありませんで、わが国の現状のもとでは、必要な公共投資の財源を直ちに一般財源で確保する、これは望ましいことには間違いがないわけですけれども、直ちにそれを実現することは困難ではないか。そういう情勢判断を前提にするならば、地方債を活用してその償還費を算入することによって実質的に十一条の二の考え方を維持していく、確保していくということが必要ではないかというのが私の意見であり、そのことを論文に書いた次第でございます。
  65. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣、私は石原審議官を、この論文をとって被告席に置いたようなかっこうになっておりますけれども、これは大変示唆に富む論文ですし、しかも、自治省編の地方自治三十年記念自治論文集の一文として厚い本の中に掲載されておりますので、これは自治省の公式見解である。現実に「石原信雄」と書いて、それから「自治大臣官房審議官」と書いてあるのですし、その後に自治省のお歴々が論文を書いておるのですから、それを取り上げて、私もこの論文は大変勉強になりましたと言っているわけです。  そこで大臣、私はずばり言いますと、この国庫負担対象事業について「算入するものとする。」という法律の精神があるにかかわらず、「算入することも止むを得ない。」という形で石原審議官が片づけて、そして昭和五十一、五十二年度と同様地方債で賄っておいて、そして後は基準財政需要額にやれば足るんだというのは、厳密に言うと地方財政法十一条の二の精神に背いておる、こう言わざるを得ないのでありますが、いかがですか。
  66. 加藤武徳

    加藤国務大臣 御指摘のように、地方財政法十一条の二は国庫負担事業につきまして基準財政需要額に算入いたしますことを明文化しておるのでございますけれども、十一条の二は今日のような財政状況を予測しないノーマルな状況で処置ができますような場合には、当然交付税法の定めるところによりまして基準財政需要額に算入さるべきことを予定しておった条文であろうと思うのでありますけれども、最近の地方財政状況は、御承知のように多額の起債に依存せざるを得なくなってまいっておりまして、それが残念ながら九五%に到達をいたしておる、かようなことでございますから、これが元利償還は別個に基準財政需要額算定の際に算入をいたすことにいたしまして、その他の五%については、ここに書いてありますとおり、交付税法の定めるところによりまして基準財政需要額に算入する、かような処置をとりまして、いわば基準財政需要額算定に当たりましては、二つに分かれておりますようなかっこうになってしまっておりますけれども、これは現在の地方財政下におきましてはやむを得ない処置であろう、かように理解をいたしておりますが、十一条の二の精神は、多額の起債額を予定をしない状況を頭に描いての規定ではないだろうか、かように私はいま読んでおるところであります。
  67. 細谷治嘉

    細谷委員 念のために、これからの議論になるものですから、大臣にお尋ねしておきます。  いまはノーマルな状態じゃない。だから、やむを得ないのだということでありますが、ノーマルの状態でない現実を踏まえていかなければならぬというのはそのとおりでありますけれども、じゃノーマルな事態でなければ、十一条の二の精神なんというのはもうたな上げしちゃって、つかみで処理してよろしいというお考えはないと思うのですよ。異常事態に対しては異常と言いながら、あるべき姿を展望しながら、合理性のある、理論性がある、どなたも納得できるような筋道の立った措置をしていかなければならぬと思うのですが、この考え方について大臣はいかがですか。
  68. 加藤武徳

    加藤国務大臣 今日のような多額の地方財源不足が生じておる状況下におきましては、先ほど申し上げましたような処置をとらざるを得ないのでありますけれども、理想的な姿といたしましては、やはりできるだけ起債の金額を少なくしなければならぬのでありますし、一般財源を確保することによって、国庫負担事業等の裏が賄い得ますような体制をとってまいりますことが理想の姿であろうと思います。
  69. 細谷治嘉

    細谷委員 異常事態にあっても、ノーマルな状態に返すためにあらゆる努力を払うと同時に、ノーマルな状態へのアプローチの方向で対応していくということでしょう。
  70. 加藤武徳

    加藤国務大臣 そうでございます。
  71. 細谷治嘉

    細谷委員 わかりました。  もう一つあるのですよ。交付税をやっていく場合に、あなたの方でも、あるべき地方財政というものについて学者を動員して報告を出してありますね。私は、言ってみますと、たとえば三全総の問題、定住圏構想というものをどうやっていくのか、現在の広域市町村整備事業というものとどういう連関をつけていくのか。高等学校の生徒急増というような問題、これは必然的に起こった今日の社会現象、こういうものに対して、交付税は中立であるから、これは需要額で取り入れるべきじゃないという意見がありますが、これにくみしますか、くみしませんか。
  72. 山本悟

    山本(悟)政府委員 交付税の需要の算定というものが、単に実績の追跡だけでなく、中立的でなければならない、これは基本的にはやはりその考え方はとるべきことであろうと思います。しかしながら、ただいま御指摘になりましたような、たとえば高校急増あるいは人口急増あるいは急減といったような各種の問題を考えてまいりますと、それは個々の団体が自分の政策としてどうこう、あるいは自分の施策だけでどうこうという問題じゃございません。やはり客観的な日本の社会経済の中におきましての地位としてそういうものにどう対処するかということになってまいるわけでございまして、さような社会全体の構造から出てきたために対処しなければならないもの、こういうものにつきましてはやはり必要なる財政需要というものを算定する、その方向でなるべく的確に算定し、かつ、いろいろなそれに対応ができるような交付税上の計算をするということも必要なることではないか。そういった方向での検討というのは常にやっていかなければならないことと思っております。
  73. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣、いま財政局長からお答えいただいた。やはり世の中は進歩発展していくとなれば、交付税基準財政需要額においても、静的じゃなくて動的にこれをとらえて、あるべき地方自治の姿、それに対応するあるべき財政需要額、こういう形で対応していかなければならぬ、こういうのが財政局長の考えと思うのですが、大臣、そのとおり確認してよろしいですか。
  74. 加藤武徳

    加藤国務大臣 地方財政に対応いたします措置といたしましては、硬直化してはならぬのであります。地方の事情等は急速に変化がなされつつある部門も多いのでありますから、さような部門に対応いたしまして柔軟に対処いたしますのが地方財政のあり方である、かように考えます。
  75. 細谷治嘉

    細谷委員 もう一つ、石原さんをまたやり玉に上げて大変恐縮ですが、あなた、どうしてこんなに消極的なんですか。ちょっと読んでみましょう。「三全総計画の決定により、今後住民の地方定住を促進するための施策が取り上げられることとなろうが、それが全地方公共団体の住民の利益につながるものであるならば、地方交付税総額の増額に見合って、それに要する経費を基準財政需要額に算入することも積極的に検討すべきである。」ということでありますけれども、「交付税総額の増額に見合って」ということになりますと、交付税総額の増額はわかりませんよ、それは大蔵省と自治大臣の問題です。「見合って」なんということになりますと、いつまでたってもこういうことは百年河清を待つに等しいですよ。地方自治を動態的にとらえることはできませんよ。社会資本の整備というものを住民のニーズにこたえる、ナショナルミニマムを守っていく、保障するという、そういうものに対応できませんよ、これは。地方交付税総額の増額に見合ってやりましょう、見合わなければ、増額がなければだめですよ、こんなことでいいのですか、大臣。私は消極的だと思うのですよ。本人が書いているから、ちょっと心境を聞かしてください。
  76. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 私がそこで「見合って」と表現いたしましたのは、現在の交付税制度の中で、現在の総枠の中でそういう問題を取り上げることはいけない、言うならば具体的にどういうことになるか、これからの問題と思いますけれども、三全総の計画に沿って各地域の整備を進めようとする場合に、それに必要な財政需要というものを、いい方法があるならば交付税の財政需要の算定に反映させていっていいのじゃないかと私は思っておりますけれども、その場合に、現在の交付税の総枠の中でこれを行うということになりますと、関係のない三全総の新たな整備計画のない団体の交付税をそちらに移すという意味になりますから、これは避けるべきだ、そういう新しい政策を交付税に負わしていくのであるならば、それはそれに見合って交付税総額を増額する措置が必要である、そういう意味で「見合って」という表現を用いたわけでありまして、交付税総額の増額の必要性を直接訴える論文でなかったものですから、一つ投資的経費の算定方法論といいましょうか、そういう場での議論でありますから、交付税総額の論議をそこで行っていないわけでありますけれども、私の気持ちとしては、いまの枠の中でそういう新しい政策をやってはいけない、それは不公平になる、新しい政策を展開するのであれば総額をその分だけ広げてやらなければいけない、そういう意味でございます。
  77. 細谷治嘉

    細谷委員 もう一遍お尋ねします。  交付税総額に見合ってということでありますが、交付税総額が現実に見合わないから、あっちをふやしておいてこっちを減らす、そういうことを現にやっているのじゃないですか。やっていないのか、やっているのか。あなたはやっていないというようなことを言っていますが、どうなんですか。やりくり、調整しているでしょう、総額は一定しているのですから。それも相当の借金を抱えてやっているのですから。  たとえば、私学の高等学校の助成というものは、恐らく昭和五十三年度では需要額算入が千五百億を超すのでしょう。あるいは学校の先生方の人確法、それの給与を上げました。その半分というのは需要額に見ていっているわけですから、これも莫大な需要額になっているでしょう。交付税総額は三二%で変わらないわけでありますから、新しい需要について裏づけをしていけば、どこかが引っ込んでいくと私は思うのですよ。審議官はそんなやりくりはしていませんと言って、こういうものをやりたいけれども、やりくりはできませんから、見合ってということで置いて自分の方向を示したの、だと言うけれども、これはおかしいでしょう。大臣が答える前に、やりくりしているでしょう、それを認めるか認めぬか。
  78. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 ただいま御指摘の点は、現在の交付税率三二%の当否の議論につながる問題だと思います。御承知のように、昭和四十一年度交付税率が三二%に引き上げられましてから今日まで、いろいろな制度改正によって地方団体の財政負担がふえていることは事実であります。ただ、その後の税制改正等による新しい地方税あるいは譲与税制度の創設その他財源面の強化も同時に行われております。そういう意味で私は、いわゆる制度論として歳出要因と交付税財源要因、地方税内容、こういったものを見ますと、それなわの制度改正は行われてきていると思います。しかし、しからば現在の交付税が現在の地方団体が負担している財政需要に対して見合っているかというと、これははっきり申して見合っておりません。足りないから、本年度も御審議いただいているようないろいろな特例措置をお願いしているわけであります。その足りなくなった原因がどこにあるのか、この辺もまたいろいろ御議論があろうかと思いますけれども、基本の原因は、国税三税、リンク対象となっております所得税や法人税、酒税、こういった税そのものの自然増収額が従前に比べてはるかに落ちてきてしまった、そのことが最大の原因ではないかと私は理解しております。しかし、いずれにしても、現在の地方団体が負担し得る財政負担に対して、現在の地方税地方交付税による一般財源では足りない事態は明らかであります。そうした事態に対処するために、投資的経費については極力地方債の活用によって対処しようというのが現状であります。そういう意味で、投資的経費地方債に振りかえた。そのことがやりくりしたという表現であるならば、それはやりくりしたと思いますけれども、私がその論文で取り上げたのは、そういう総額論は一応別にいたしまして、配分論として、新しい政策を取り上げるならば、それに見合った交付税の増額措置が必要であるということを述べたわけでありまして、現在の異常な事態のもとにおける投資的経費に対する財源措置のいろいろな特例措置、これを否定するものではございません。
  79. 細谷治嘉

    細谷委員 あなたは新たな需要ということを言った。新たな需要じゃないのですよ。いままで需要額に算入しておったものも削減して、新しく制度的に起こった需要の方に回しているわけだ。やりくりしている、こういうことですよ。それは一に交付税総額の問題である、こういうことをあなたも認めました。  大臣、あなたの部下もずいぶん苦労しているのですよ。そして、地方財政法からいって、その趣旨に反するような結果を生んでおるのです。それは一にかかって総額だ、こういうふうに私も理解しますし、その論文についてのいまのお答えもそういうことだと思うのですが、やはり総額の問題にある。だとするならば、その総額を確保しなければいかぬ。その確保するための現状はどういうものか、現状と確保というものをどう調整していくのか、対応していくのかということが問題の焦点だと私は思うのですよ。大臣、そうお思いになりますか。
  80. 加藤武徳

    加藤国務大臣 御承知のように、基準財政需要額の算定をいたします際には、前年度を一応の目安にはいたしますものの、しかしその年度その年度の政策的な意欲を加味いたしましての地方財政計画の需要額の算定でありますことは、御承知のとおりでございます。  そこで、昨年十一月にいわゆる三全総なるものが明らかにされまして、その中には定住構想なるものがありますことは、いま御指摘のとおりでございます。定住構想を理念といたしながら、従来自治省が進めてまいりました広域市町村圏構想を発展させていかなければならぬことは申すまでもないことでございますから、これもまた基準財政需要額に算入いたします政策意欲の一つだ、かように考えますのが当然のことであろうと思うのでございます。  そこで、基準財政需要額を算定いたしまして、基準財政収入額をカウントをいたしました結果、三兆五百億円の不足額が生じた、かようなことでございます。そこで、細谷委員がいま御指摘になっておられますことは、交付税特会が国税三税の三二%のみ、かような場合にはまさに新たな政策の展開が困難である、かようなロジックに当然なるのでありますけれども、基準財政収入額をカウントいたしましたところ不足をいたします三兆五百億円、これは一部起債を充当せざるを得なかったのでありますけれども交付税特会におきまして一兆五千五百億円の借り入れをいたしておるのでございまして、そして基準財政需要額の算定と平仄を合わせた、かようなことでございます。したがって、政策的な意欲を盛り込んだ結果不足をいたしました財源は、一部借り入れに依存せざるを得なかった、かようなことでございますから、結果といたしましては、きわめて流動的に政策意欲を盛り込んだ基準財政需要額の算定であり、またこれに見合う体制をとった、かように御判断がいただければありがたい、かように思います。
  81. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣としては、後段の方はああ言わざるを得なかったのでしょう。ロジックが合わないですよ。しかし、やはり最終的には総額の問題である。私はやりくりしたということを申し上げました。総額が足らないために、基準財政収入額のカウントの問題があるといいますけれども、五十二年度に、総額の問題からと私は思うのですが、基準財政収入額のカウントを減らしておる例がありますよ。これはやりくりの一つの例でしょう。財政局長知っていますか。基準財政収入額のカウントを減らしているわけですよ。総額はなんですから、需要額の方は計入したけれども、基準財政収入額のカウントをふやせば、その総額の間にはさまってしまうのです。そんなことをやっているじゃないですか。今後もやるんですか、やらぬですか、そんなことはやらぬがいいですよ。
  82. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 ただいま御指摘の点は、恐らく五十二年度の基準財政収入額の算定に当たりまして鉱産税の収入額のいわゆる算入率と申しましょうか、一定のデータによって算出される額の全部ではなしに一部を算入するというやり方を従来から行っておりますが、その算入率を引き上げた点についての御指摘かと思います。鉱産税につきましては、関係地方団体の財政需要が必ずしも的確に算定されていなかったというような過去の事情もございまして、理論的に求められる収入見込み額に対してその一定部分を算入するというやり方を従来からとってまいりました。しかし、その場合におきましても、やはり現実に収入されております鉱産税の額と、それから基準財政収入額で算定しております額との間が余り開くということは、交付税制度のたてまえからいっても適当でないということで、最近における実態をも勘案して基準財政収入額の算入率を若干引き上げたわけでございます。たてまえ論といたしましては、いまどの税目でありましてもその現実の税収の動向を踏まえてできるだけ的確にこの算定を行っていくということが交付税制度の使命であろうと思います。そういう意味で、今後とも収入の実態と見合って算定内容を検討していきたいと思っております。ただし、鉱産税のように、その団体の財政需要との関連において算入率を定める、これはほかの税目には余りないわけですけれども、そういったものについては歳出面における状況をも判断しながら考えてまいりたい、このように思っております。
  83. 細谷治嘉

    細谷委員 財政局長、いま具体的な点を一つ彼は言ったんだが、ことしもまたやるんですか。去年やっちゃったんだからそれを動かすわけにいかぬけれども、今日の実態からいって、また毎年、前のように収入額を上げるなんということは、これは私が言うように本当に転がしですよ。こんなことはやるべきじゃないと思うのですが、どうですか。
  84. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御指摘の点につきましては、ただいま審議官から御答弁申し上げましたように、いわゆる財政需要との関連というようなこともやはり考え方の基礎にはあるようでございますので、その実態を十分検討いたしまして、無理のないように処置をいたしたいと思います。
  85. 細谷治嘉

    細谷委員 私はこの総額の問題が質問の一番主体ですけれども、ちょっとこれはおいて、もう一つだけ質問したいと思います。  いま国会で、衆参の予算委員会なり各委員会で問題になっておる点は、同和対策事業特別措置法が来年の三月三十一日で切れるわけでございます。大臣御承知と思うのでありますけれども、これを存続してもらいたいという声が非常に強いのであります。で、私はきのうかの新聞に、大臣もあるいはお読みになったかと思いますけれども、東洋大学の磯村英一さんが、これは同和対策協議会の会長をしておるわけでありますけれども、この特別措置法はなぜ延長が必要かということで、対談の結果が出ております。そこで、国会でも問題になっておることでありますから、この特別措置法を今国会で延長するために自治大臣として努力をする決意であるかどうか、お尋ねしておきたいと思います。
  86. 加藤武徳

    加藤国務大臣 まず結論的に申しますと、私は個人的には延長すべきものである、こういう考え方に立っておりますし、また予算委員会等を通じまして所管の国務大臣である総務長官も同様の考え方を持っておるのでございますが、ただ、九年前に制定されたいきさつを振り返ってみますと、政府提案ではございましたけれども、各党間で周密な意見の交換等がなされまして、そして各党間の合意に基づいた立法措置がとられたことは御承知のとおりでございます。かっまた、磯村英一先生が会長をやっておられます同対協でもいろいろ審議がなされており、その中の特別委員会とい表現でございましたが、そこでも方向づけがなされつつあるのでございますから、したがって私は当然延長さるべきものだと考えてはおりますものの、政府が先に立ちまして延長を決定いたしますことはいかがであろうか、むしろ各党間の話し合いを待ちまして、その結果を待って対処すべきものではないであろうか、こういう総務長官の考え方でもございます。ただ、五十三年度で期限が切れるものでございますから、理想的にはこの国会で延長いたしますことが、この八月に行われます予算の概算要求等の上でも確信の持てたものがなされる、かようなこと等もございますが、しかし、いつの時期においてどういうぐあいに延長をなすべきかは、もうちょっと慎重に進行状況等をながめました上で明確な結論を出すべきだ、こういう考え方を持っておるのでございます。
  87. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣の慎重な態度、これは慎重で結構でありますけれども、いささか消極的だと思うのですね。この法律の施行に当たっては自治大臣の権限というのは非常に大きいのですね。ある意味ではこの特別措置法の施行の大黒柱というのは自治大臣だと私は思うのですよ。そこで、各党との調整、合意ということが必要でありますけれども、自治大臣のそのお考えを、総務長官ということをおっしゃいますけれども、ある意味では主管大臣的な実態でありますから、ひとつ望ましい今国会での延長ができるように、特段の配慮を要請をしておきたいと思います。  そこで、これは関連してこの特別措置法の第十条、大臣の権限が大きいというのは、「同和対策事業につき地方公共団体が必要とする経費の財源に充てるため起こした地方債で自治大臣が指定したものに係る元利償還に要する経費は、地方交付税法の定めるところにより、当該地方公共団体に交付すべき地方交付税の額の算定に用いる基準財政需要額に算入するものとする。」こういうふうに明記されております。自治大臣が指定をするかせぬか、この十条は自治大臣の指定というのがすべてであります。  そこで、私は調べてみました。自治省から資料もいただきました。五十二年度の分を見てみますと、地方債の発行額が七百十五億円であります。これは地方債計画の中に同和対策債というのがちゃんとあるわけでありますから、法律に基づいて地方債が発行されるわけであります。このうち十条指定分は三一・五%ですよ。三分の一弱であります。五十一年度末の現債額はどのくらいかというと、二千七百一億円であります。そして十条指定の分は六百六十一億円で二四・五であります。五十二年度は三一・五%でありますけれども、突っ込み、現在の現債額に対する指定部分というのは四分の一、五十二年度は三分の一弱でありますが、現債額の方は四分の一弱、こういうことになっております。試みに四十八年度を見てみますと、地方債発行に対して五分の一しか許可されていない、指定されていないのです。したがって、四十八年度末では二一・五%しか自治大臣の指定になっていないのですよ。私は、これではこの十条、しかも、この特別措置法がなぜ制定されたのかという、その根源的なものを考えてみますと、問題があるのではないか。確かに、自治省努力で年々指定のパーセント、シェアというのがふえていっておりますけれども、これではまだ不十分であると私は思います。これを改善する方針なのか、改善する方針であるけれどもどこかに邪魔があるのか、あるとするならば、それを教えていただきたい。
  88. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御指摘のとおり、同和対策事業につきましての十条適用部分の比率その他、ただいまお読み上げになりましたとおりの数字でございまして、確かに逐年上がっていっておりますけれども、なかなか思うように伸びていないというのが実情でございます。ただ、御案内のとおりに、同和対策事業は特別措置法の趣旨、あるいは制定のときの経緯、あるいはそのときにおきますところのお約束といったようなことからいたしましても、国庫補助事業というものを中心にいたしまして実施さるべきものであると私どもは基本的に考えているわけでございます。  このような見地から考えてまいりますと、単独事業として地方団体がやらざるを得ないという面がずいぶん大きい。そのことは同時に、国庫補助対象としてとらえられている部分がまだ少な過ぎるのではないか。何しろ、この国庫補助対象部分というのを広げるという努力をやることを私どもとしてはまず第一の方向として努力しなければ、地方財政全体からいっても困るのではないか、こういうような考え方に立っているわけでございまして、まず国庫補助事業の大幅な拡大を図ることが先決、そうしてそういう措置に伴いまして、地方負担額が増加して走ってまいりますものにつきましては、地方債を充当して、それは当然十条債になってくる、こういうような考え方あるいはシステムによりましてこの問題を解決してまいらなければ、本来の同対法の考え方にもなってこないのではないか。国と地方とそれぞれ同和対策事業につきまして責任があるわけでございますけれども、それは同時に国庫補助事業というかっこうで解決してこそ本来の国としての責任を果たされるものではないか。こういうふうな考え方から、常に各省庁に対しまして私どもとしての意見を申しておるところでございまして、この努力はさらに一層続けなければいけないし、国の対象事業が逐年上がってきましたこともやはりそういったことのあらわれであろうかと思いますが、まだまだ私ども努力が足りませんので、今後とも一層そっちの国庫補助対象を広げるという方につきましての努力地方団体とともに重ねてまいりたいと思っているところでございます。
  89. 細谷治嘉

    細谷委員 国庫補助事業、国庫補助対象事業、国庫負担事業とか言っておりますけれども、十条のどこに書いてあるのですか。「同和対策事業につき地方公共団体が必要とする経費の財源に充てるため起こした地方債で自治大臣が指定したもの」、自治大臣の指定権は国庫補助対象事業に限定するということになりますと、自治大臣の指定権というのはもう大幅に狭められておって、自動的に各省が認めるものについて指定するというのですから、自治大臣の指定権というのは自主性がないじゃないですか。国庫補助事業というのはどこに書いてあるのですか。大臣、どうですか。十条には書いてないですよ。
  90. 加藤武徳

    加藤国務大臣 十条には制限規定はございませんけれども、指定をいたしておりますものは、公営企業的なものを除きまして、国庫補助事業を対象にいたしましてその裏負担の起債を対象といたす、かような根本の考え方でございます。いま局長が答弁いたしましたように、やはり国が大幅な助成をいたしますことが当面の大きな課題でございますから、それを強めていくことによりましてできるだけ地方負担を軽くしていかなければならぬ、こういうぐあいに考えておりまして、今後もそういう方向努力をいたしてまいりたい、こういうぐあいに考えておるところであります。
  91. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、この同和対策事業として自治大臣が許可した地方債全部を十条の指定にしろというようなことをいま申し上げているわけじゃないのです。地方債を許可する場合には、あなたの部下の地方債課長が事業を選別しているわけですから、その中でも、こういう問題とこういう問題は補助事業じゃないけれども、自治大臣として指定してやるべきだ、それが本当の意味の十条の期待する指定権じゃないですか。国庫補助事業にのみ指定しているなんということは、みずから十条の期待している指定権を放棄しているものだと言わざるを得ない。それはなるほど、努力して補助事業の枠がふえてきているということは、努力の結果が数字にあらわれておりますけれども、これでも本当の十条の期待するものじゃないと私は思うのです。これは財源大蔵省がつけないからということになるかもしれませんけれども、もっと積極的にこの十条は法の趣旨に基づいて生かすようにすべきだと思うのですが、大蔵省、どう思いますか。
  92. 足立和基

    足立説明員 突然のお尋ねでございますけれども、同和対策事業につきましても、できるだけ財源の付与に努めておるところでございます。
  93. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣、積極的に取り組みますか。
  94. 加藤武徳

    加藤国務大臣 地方の負担が大変であることは承知をしておりますが、できるだけ負担を軽減する立場からいたしましても、また、同和事業を推進してまいります立場からいたしましても、当面の大きな課題といたしましては、各省庁へよく依頼をいたしまして、対象範囲を拡大いたしましたり、また補助単価を引き上げましたり、さような補助体制を十分にとっていきますことが当面の大きな課題でございます。そして、その裏負担の起債は見ていく、かような考え方が当面の大筋の取り運びであろうと思いますから、今後もそういう方向努力をいたしてまいりたい、こういうぐあいに私は考えております。
  95. 細谷治嘉

    細谷委員 これは同対審の答申に基づいて特別措置法ができ、そしてやがて来年の春十年の期限が来るわけでありますから、いまの数字では、特別措置法が期待する第十条の自治大臣の指定権というものは、大蔵のサイドにおいても自治省のサイドにおいても不十分だと私は思いますので、法の趣旨にのっとって積極的に努力をしていただきたい、こう思います。  そこで、いままで基準財政需要額の算入について、ソフトの部分について議論をしてきたわけでありますけれども、今度はハードの部分の議論をしてみたいと思うのです。私は基準財政需要額のここ数年の動きを見てみました。この数字をちょっと申し上げますから、それが認めることができるかどうか、お答えいただきたいと思います。  昭和五十年度は、都道府県、市町村、それからそれを合わせました基準財政需要額を見ますと、都道府県の場合は都道府県に計算されました基準財政需要額のうち投資的経費の需要額が二一・一%であります。市町村は二七・四%であります。都道府県、市町村突っ込みますと、合計は投資的経費が五十年度の場合は二兆六千三百七十七億円ということで、二四%であります。ところが五十一年度は例の包括算入を削除する、あるいは地方公共事業の裏負担分八千億円を地方債に振りかえる、こういうことでどういうことが起こったかと言いますと、都道府県の投資的経費は五十一年度は一三・四と急激に落ち込みました。市町村は二二・八%と、これも急激に落ち込みました。そして全体としては一七・九と、前年度と比べますと六%も構成比が落ち込んだわけです。五十二年度はやや回復いたしまして、全体として投資的経費が五十一年度の一七・九が五十二年度は一九・八となりました。今度、私どもがいま審議しているこの五十三年度の全体計画ではどうなるかといいますと、これから配分しようとする交付税が二一・一%であります。この構成比はお認めになりますか。違うところがあるかどうか、あったら具体的に教えていただきたい。
  96. 山本悟

    山本(悟)政府委員 ただいま御指摘になりました数字、そのとおりと存じます。
  97. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣昭和五十一年度は大変な異常事態でありますから、五十年と比べまして、投資的経費は基準財政需要額の全体で二四であったものが五十一年度が一七・九に落ち込んで、今度の全体計画では二一・一%でありますから、五十年度の二四%よりまだ三%落ち込んでいるのです。先ほど来石原論文を中心にして議論しました。そしてお答えいただいたことからいきますと、これでは問題があるのじゃないかと私は思うのですよ。大臣の所見をお聞きいたします。
  98. 山本悟

    山本(悟)政府委員 その前にちょっと御説明させていただきます。  御案内のとおりに五十一年度、五十二年度、御指摘のような投資的経費としての算入額でございますが、五十三年度も含めましてこれらの年の地方財政対策といたしましての財源不足額の補てん措置というのに、地方建設債を中心にいたしますところの地方債の増額によって措置せざるを得なかったわけでございまして、その部分につきましては、御案内のとおりに、やはり基準財政需要額といたしましても見合いの投資的経費というものを削減せざるを得ない、かような操作が行われた結果、御指摘のような数字になっているところでございまして、残念ながら五十三年度におきます三兆五百億円という財源不足額も、そのうち一兆三千五百億円は公共事業の裏負担に対しますところの地方債の増額ということによって措置をされたわけでございます。したがいまして、従前の平常時の姿というものと対比をいたしますと、どうしても交付税の計算というものは投資的経費というものの算入率が低くならざるを得ない、かような結果でございまして、その意味におきましては、やはり五十三年度地方財政対策地方債の活用ということによって平常の状況には至っていない、この姿がこういったときにも交付税上もあらわれてこざるを得ないというように存じておるところでございます。
  99. 細谷治嘉

    細谷委員 足立さん、いま私が申し上げました五十三年度の七兆四百億円という交付税総額、それをいまどう配分するかという法律案審議しているわけですけれども交付税の全体計画は依然として五十年の投資的経費についての需要額の算入率に至っておらない。構成比で三%、数字で言いますと、三、七、二十一で二千億円以上のものが五十年度構成比に持っていくためにも必要になるのですよ。こういう状態になっております。もちろん、いま財政局長が言ったように借入金等でやっておりますが、これはまた今後この需要額でどう見ていくかということがもう一つの議論の焦点なんですけれども、とにかく総額の問題として、あっさり言って投資的経費が五十年度と比べましてもおおよそ二千百億円程度下回っておるという勘定にならざるを得ないのでありますけれども足立さん認めますか。
  100. 足立和基

    足立説明員 ただいま先生の御指摘になっておられる数字は構成比の問題でございまして、構成比におきましては確かに投資的経費構成比が約三%五十年度より低い、これはそのとおりでございまして、その理由というのは、いま自治省財政局長がお答えになったとおりだと私も考えております。
  101. 細谷治嘉

    細谷委員 先ほど私は五十三年度地方財政計画公共事業中心とした地方における単独事業を大きく加えまして、四十八年度地方財政計画の構造とほぼの似ているということを確認願ったわけであります。四十八年度の経営経費の割合はどうなっていますか、お答えいただきます。
  102. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 四十八年度は道府県、市町村合わせまして、経常的経費の割合が六九・六%、それから投資的経費の割合が二九・四%になっています。
  103. 細谷治嘉

    細谷委員 私の数字とぴしゃっと合っているのです。電算機で計算したのだからそうだろう。  もう少し具体的に言いますと、都道府県の経常経費が四十八年は七一・九、投資的経費が二六・九、公債費その他が一・二、合計一〇〇、市町村は、経常経費が六七・〇、投費的経費が三二・一、公債費等が〇・九で、合計が一〇〇。そして合計いたしましたものが、四十八年度では経常経費が六九・六、投資的経費が二九・四、公債費が一・〇。ところが五十三年度財政計画は、都道府県の場合に経常経費が七九・三、経常経費の構成比が大幅に上回っております。投資的経費が一七・〇でありますから、都道府県の場合構成比がおおよそ一〇%へこんでおります。公債費等が驚くなかれ三・七となっているのです。一・二%であったものが三・七%です。莫大な需要額の増になっていっているわけですね。そうして市町村の場合には、経常経費が七一・八、投資的経費が二五・三、公債費等が二・八%。そして、先ほど申し上げましたように突っ込みでは経常経費が七五・七でありますから、ちょっと六・一%経常経費が大きくなっておって、逆に投資的経費は二九・四から二一・一でありますから八・三%落ちておる。そうして公債費は一・〇が三・三でありますから、二・三もふえていっているのですよ。こういう公共事業をやれ、やれ、そして地方も積極的に協力しましょうというこの五十三年度において、やるにもやれないじゃないですか、投資的経費がこんなんで。数字が如実に示しておるでしょう、この数字をあなた方認めておるのですから。やるにもやれないじゃないですか。やれるのですか。数字では飯は食えないというかもしらぬけれども、これはれつきとしたあなた方の実績、それをはじいたのですよ。財政白書に、交付税総額安定確保を図るなんて言っても、事は、大変大臣失礼ですが、ちゃんちゃらおかしい、こう言わざるを得ないでしょう。五十年の段階にまで戻ってないのですよ。ましてや同じような構造の四十八年の段階まで戻っておらないわけですから。どうしますか。
  104. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御指摘になりました数字は、まさにそのとおりであるわけでございますが、先ほどもお答え申し上げましたように、やはり五十三年度地方財政対策といたしましては、三兆五百億円という大幅な財源不足に対しまして、一兆三千五百億円は建設地方債の増額によって賄う、こういうような財政計画になったわけでございます。  また、単独事業等につきましても、やはり地方債計画上相当程度の地方債というものを充当する、こういう措置によって収支のバランスを合わしているわけでございまして、五十三年度地方財政の対策といたしましては、やはり地方債の活用という点を大幅に取り入れていかなければ、おっしゃるように非常に交付税としての基準財政需要といわゆる一般財源という見方では非常に窮屈なものである、このことはそのとおりでございますが、地方債の弾力的なそういった運用によりまして、またその地方債の必要額というものを確保することによりまして、計画に予定いたしておりますところの公共事業あるいは単独事業というものは執行していただけるのではないかと思っているところでございます。
  105. 細谷治嘉

    細谷委員 財政局長か石原審議官でいい。仮にあなた方の足らない三兆五百億円というのを二等分して、国と地方は同負担、同罪、こういうことから来ているわけですよ、その辺はもうちょっとこれから議論しますけれども。石原審議官、あなたは数字に詳しいからちょっとお尋ねする。仮に五十年度の基準財政需要額、その中における投資的経費を需要額で裏づけしたといった場合には、幾ら金を加えればいいのですか。総額に幾らの金を加えれば、七兆四百億円に幾ら加えれば、四十八年とは申しませんよ、五十年度になりますか、あるいは四十八年にするまでには幾ら金が足らぬのか、総額の金額を言ってください。
  106. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 仮に五十年度構成比、すなわち二四・〇でありますが、ここまで五十三年度のベースで投資的経費をふやすという想定に立ちました場合には、総額として五千七百八十八億ほど投資的経費を増額する必要がある、こういうように考えます。
  107. 細谷治嘉

    細谷委員 私の計算では、もっとも計算方法が違うのかもしれません、私の計算では五十年度構成比にするといたしますと、三千八百九十億円総額をふやせば五十年度構成比になるのですよ。四十八年度構成比にするためには、一兆三千五百八十億円加えればいいのですよ。そういう計算でありますが、あなたとちょっと違いがあるね。数字を確認しておきたいと思う。
  108. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 私、さっき差し引き申し上げましたが、トータルで申しますと三千八百五十六億ですか、になると思います。
  109. 細谷治嘉

    細谷委員 私は三千八百九十億、石原審議官は三千八百六十億ばかし、この数字のちょっと違いもあります。四十八年度の数字もちょっとお聞きしないですが……。
  110. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 失礼しました。公債費関係が入っておりましたので、トータルで申しますと、五十年度構成比に戻すためには、三千八百八十九億九千四百万ふやす必要があるということになります。
  111. 細谷治嘉

    細谷委員 私の数字とぴたり合いました。それで、いまちょうどお昼になりましたから、ここで休んでいただいて、もうちょっと午後に時間をいただいて詰めていきたい。
  112. 木村武千代

    ○木村委員長 本会議終了後再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十七分休憩      ————◇—————     午後一時五十五分開議
  113. 木村武千代

    ○木村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。細谷治嘉君。
  114. 細谷治嘉

    細谷委員 午前中の質問におきまして、昭和五十三年度交付税総額を三千八百五十億円、私の計算では九十億円でございますけれども、その程度総額をふやしますと、五十、五十一年度投資的経費を切ったわけでありますが、その段階の構成比に返るという点では数字に一致を見ました。  そこでお尋ねしたい点は、公共事業ウエートが非常に高い四十八年度の構造に持っていったとした場合にはどのくらいの総額の増加が必要か、それは現在の三税に対して、率にいたしますと交付税率をどのくらい引き上げればいいということになるのか、その数字がわかっておったらばお答えいただきたいと思います。
  115. 関根則之

    ○関根説明員 昭和四十八年度構成比に置き直しまして計算をいたしますと、一兆三千五百八十億ほどの交付税の増加が必要になるわけでございます。その場合には国税三税の収入見込み額に対します割合といたしましては五十三年度におきまして八・一%、そういう数字になります。ただし、これは国税三税のベースを年度所属区分の変更によりまして取り込み分を加えておりますので、もしそれがないといたしますと九・一%になります。
  116. 細谷治嘉

    細谷委員 年度区分の取り込み約二兆円、こういうものがあるので、それがないといたしますと普通のベースでは九・一、取り込み、いわゆる五十三年度の三税の額、これから見ますと八・一%、これだけの交付税率の引き上げ、金額で申し上げますと一兆三千五百八十億円程度が総枠として必要である、こういうことである。  それで午前中の私の質問で、五十年度の構造に戻したといたしますと三千八百九十億円、二・三%、四十八年度のベースに交付税を戻しますと八・一%、こういうことになります。私の計算と数字はほぼ一致いたします。  大臣、いろいろと午前中から質問をいたしまして、大蔵大臣と自治大臣との間で締結いたしました覚書、いわゆる二分の一方式、とにかく不足財源の半分を交付税の方に借り入れる。そしてそれを半分まで国が持って、半分は地方が持つという二分の一方式というのは、全く根拠のないやり方であって、何らかの合理性——そして私が午前中申し上げましたように、交付税のあるべき姿へのアプローチをしていくとすれば、少なくとも五十年度、五十一年度に大幅に変えたわけでありますから、五十年度に戻していく、そして四十八年の方向にアプローチしていくという、そういうことでないと、寄せて二で割るという、ただけんか両成敗あるいは折半負担の方式というものは理論的でないし、交付税のあるべき姿を追求するために、私は残念ながら、両大臣の覚書がありますけれども、誤っておる。もっとやはり根拠を明確にして対応すべきである、こう思うのでありますが、いかがでございますか。
  117. 加藤武徳

    加藤国務大臣 覚書によりまして、いわゆる二分の一負担のルールを明確にいたしており、それを法案といたしまして御審議願っておるのでありますけれども、御指摘がございましたように、必ずしも明確な理論的な割り切った結果の二分の一負担、かようなことではないのでございまして、今日のような過渡的な経済情勢下におきましては、やむを得ざる処置としてかような取り決めをいたしたのでございますけれども、ただ、アバウトな言い方をいたしますならば、国と地方との一般財源の対比をいたしてみますところ、おおむねフィフティー・フィフティー、かようなことも二分の一負担の原則を決めました根拠の一つには数えられましょうけれども、いま御指摘がございましたように、厳密に計算をいたした理論的なものではないのでございます。
  118. 細谷治嘉

    細谷委員 アバウトで税と交付税を突っ込んで、平均するとヒィフティー・フィフティー、こういうことでありますけれども、それではマクロという表現も当たらないですね。全く寄せて二で割る方式だろうと私は思うのです。私がどうして五十二年度交付税における投資的経費の算入がきわめて不十分であるということを申し上げるかといいますと、私は後ほどまたちょっと議論したいのでありますけれども、先ほど来全体としてのことを申し上げましたけれども、たとえば府県では余り大きな差はございませんけれども、市町村ということになりますと、三百万人に近い市もある、それから一万人を割るような村、町がある。そこで、交付税の計算というものがずいぶん変わってくるわけです。  そこで私が心配しておるのは、先ほどは府県とかあるいは市町村という仕分けで申し上げたわけでありますけれども、あなた方の方で、自治省で計算する大都市、都市、町村というふうに基準財政需要額における経常経費と投資的経費の構造を見てみますと、財政の貧弱な町村のことをちょっと申し上げますが、五十二年度におきましては町村の場合には経常経費が七一・六、投資的経費が二五・四、その他が二・九という構成であります。ところが四十八年度を見ますと、町村の場合に経常経費が六五・三、投資的経費が三二・九、その他が一・八でありますから、投資的経費において大体構造的に七・五%の差があるわけですよ。大臣、もう町村の財政というものは全く弾力性のないところですね。言ってみますと、交付税一般財源としては大宗をなしておる、大黒柱をなしておるわけですよ。その交付税で生きておる町村が、経常経費はともかくとしてこの投資的経費において五十二年度が二五・四で、四十八年度と比べますと七・五%も構造上差があるということになりますと、現実に対応できないのではないかと私は思うのですよ。いかに自治大臣が洗いざらいやってこの景気浮揚に努力すると言っても、協力しようにも素手ではできないわけでありますから、それは借金させてやる、こういうことであります。こんなような構造では、これは町村が協力しようとしてもできないということがこの数字を見ても——これは私は自治省が毎年出しておる交付税計数表をはじいてみたわけでありますから、私が言っているこの町村の数字は間違いないのか、これほどの差があるという事実をお認めになるかどうか、お答えいただきます。
  119. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 手元に資料がございませんので、確認はできませんが、傾向的に恐らく先生御指摘のような数字になっていると思います。
  120. 関根則之

    ○関根説明員 ただいまの数字に間違いないと思います。
  121. 細谷治嘉

    細谷委員 大蔵省主計局、町村までやろうとしているのに、全く財政の貧弱な硬直しておる町村が交付税において——構造上この金額はどのくらいになるかといいますと、七%低いのでありますから、町村の需要額は一兆九千三百三十億円でありますから、二兆として一千四百億円ぐらいの違いになりますね。これは大変な違いです。こういう形の交付税措置で、とてもじゃないが町村は政府の期待にこたえることは不可能だろうと私は思うのですよ。大臣、この数字をどうお思いですか。
  122. 山本悟

    山本(悟)政府委員 確かに五十二年度におきましても、五十三年度におきましても、投資的経費に充て得べき一般財源ウエートが非常に減少している、御指摘のとおりであろうと思います。しかしながら、それぞれの年度におきましてやはり投資事業を行います財源といたしましては地方債の活用ということも同時に図っているわけでございまして、確かに地方債がいいのか、一般財源がいいのか、これは本質的に議論がございますし、より一般財源をもって投資的経費に充当できるということが望ましいことは御指摘のとおりでございますけれども、当面の問題といたしまして、それぞれの事業を執行するにつきましては地方債の活用ということによりまして対処できるのではないかと思っているところでございます。
  123. 細谷治嘉

    細谷委員 ことし、とにかく水準を超えて山の頂点になるような公共事業を借金してやるわけです。そこまで町村も踏み切らなければならない、こういう状況になっておるわけでありますけれども、それは借金でやれと、借金でやらなければならぬでしょう。しかし、少なくとも私は午前中石原論文を中心にして、そういうものについても一定の水準に基づいて、あるときは大きく水準を超すかもしらぬけれども、そういうものについては調整として、基準財政需要額として、今後その借りたものについて対応してやっていくというのが筋でありますよ。いますぐそれだけの金がないわけですから、みんなそうやりているわけでしょう。二分の一方式もそうでしょう。そういうことが私は必要だろうと思うのです。それでなければ新聞の社説にあったように、これは大変です。二、三年したらパンクしてしまいますよ。パンクといってももうすでにパンクしているわけですけれども、どうにもならないと思うのですよ。私がいま特に申し上げているのは、全体としてもそうでありますけれども、財政の貧弱な都道府県、それから大都市、それから都市と、例を挙げて申し上げましょうか。大都市では昭和五十二年度は二四・四ですよ、それから都市は二三・八、町村が二五・四で、町村が一番投資的経費が見られております。四十八年はどうかといいますと、大都市は三〇・七、都市は三二・四、町村が三二・九ですよ。財政の貧弱なところについては投資的経費はよけい見ていっているような傾向があるわけですよ。ところが現実には四十八年と同じような仕事をやる、それ以上の単独事業をやるというのが五十三年度計画であるにかかわらず、七・五%も投資的経費の需要額の算入が落ち込んでいるということは、これは許せないと思うのですよ。実態は、大臣、そういうことです。ですから二分の一方式ではどうにもならない、こういうことが数字上証明されておると思うのでありますが、いかがですか。
  124. 加藤武徳

    加藤国務大臣 投資的経費の占めるパーセンテージが高いことが好ましい財政上の姿でございますが、しかし、国の経済情勢も御承知のとおりでございまして、そして地方といたしましてもまた最大の努力をいたしたのでございますけれども、いま御審議いただいておりますような二分の一方式、かようなことで御審議を願わざるを得ない、かようなことでございましたが、今後できます早い機会にやはり行財政全般にわたります制度改正を行いまして、できるだけ地方の自主財源が多くなりますような努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
  125. 細谷治嘉

    細谷委員 二分の一方式、当分の間、こういうことでありますけれども、こういうことでは現実どうにもならない、筋も通ってないということでありますから、大臣言葉のとおりひとつぜひ、来年と言わずことしからでもそういう方向で全努力を傾注していただきたい、こう思います。  この点はこれだけにいたしまして、もう一つ、私が五十三年度交付税の全体計画を見て驚くことは、基準財政需要額の中で経常経費、投資的経費を問題にしてきましたけれども、その他の経費という中において公債費、いわゆる借金の返済の元利について一部交付税の需要額に算入しておるわけでありますけれども、驚くべきことは、この公債費の基準財政需要額の計入がまさしく異常なふえ方をしておるということであります。そしてその異常なふえ方の原因は何かと申しますと、地方税減収補てん債償還費と財源対策債償還費にあります。この公債費の伸び率をちょっと拾ってみますと、財源対策債というのは五十二年度から設けられました。今度の改正法では五十三年度でまたこれは原資が、いわゆる基礎の数値がふえていくわけでありますけれども地方税減収補てん債もふえていっております。この公債費が毎年毎年八〇%、詳しく言いますと五十一年度は八五・三、五十二年度が八二・七と、ものすごい速度で伸びていっております。そうして今度の全体計画を見ましても、かなり大きなものがこの公債費の需要額の増としてあらわれてきておるわけです。これはゆゆしいことだと思うわけですが、財政局長、そう思いませんか。
  126. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御指摘のとおりに、五十年度年度途中から国も地方も非常な税収減に見舞われたわけでございまして、そのための対策といたしまして一部に減収補てん債、それからまた建設地方債の増発ということで財源対策債というようなものをそれぞれ措置をいたしまして今日に至っているわけであります。五十年、五十一年、五十二年、また五十三年もそれを予定いたしておるわけでありまして、その意味におきまして非常に大幅な地方債の増額になっている、このことは御指摘のとおりであろうと思います。また、そうしてそれにつきましては、それぞれの事情によりまして特別の措置といたしましてとりました地方債でございますから、その元利償還金の一定部分につきまして、基準財政需要額に算入することにより個々の団体が財政運営上支障を来さないような措置をいたしておるわけでありまして、ただいま御指摘になりましたようなかっこうで、この五十三年度まで入れましての四年間の分が次第に急激にふえていくというような事情にあることは御指摘のとおりでございまして、やはり地方財政の問題といたしましては非常に重要な問題点の一つであると思っております。  なお、御案内のとおり、これらの償還につきましては、地方財政計画歳出公債費として立てまして、各年度におきまして地方財政の運営に支障がないような措置というものを私どもとしてはとっていかなければならない責務があるわけでありまして、そういうかっこうで、総体としての地方財政としても各年度において財政運営ができないというようなことのないように最大の努力をしてまいる所存でございます。個々の団体におきましても、需要額に算入することによりまして特段にそのために困難を来すというようなことがないように処置してまいりたい、こう思っておるところでございます。
  127. 細谷治嘉

    細谷委員 私が自治省からいただいた資料によりますと、公債費にかかわる測定単位の数値を申し上げますと、県分測定単位の数値でございますから、財源対策債として五十二年度県分が七千三百五十九億円、五十三年度県分が一兆一千四百四十二億円、市町村分が五十二年度が三千五百二十五億円、五十三年度の数値が六千八百十四億円。財源対策債合計いたしまして県、市町村合わせますと、五十三年度は一兆八千二百五十六億円という数値ですよ。これの元利を今後ずっと返していかなければならぬ。減収補てん債については五十三年度の数値が、県が六千五百七十億、市町村が千五百二十二億、合わせて八千九十二億円、減収補てんと財源対策債を加えますと二兆六千億円という膨大なものを今後公債費として見ていかなければならぬ、こういうことになりますが、この数値はそのとおりですか。
  128. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 そのとおりでございます。
  129. 細谷治嘉

    細谷委員 そうしますと、財源対策債の償還費、それから減収補てん債の償還費、減収補てん債はいままで七十五円の単位費用が五十三年度では百六十八円になるわけですね。自治省資料によりますと、これが五十四年度、五十五年度とだんだんと単位費用を上げていかなければ、償還費についての基準財政需要額の織り込みが続けることができない、こういうことになっておりますが、そのとおりですか。
  130. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 公債償還費の基準財政需要額の算入につきましては、ただいま先生御指摘のように、借り入れた地方債総額を測定単位といたしまして各年度の理論償還額を単位費用に組んでいるわけでございまして、現時点では据え置き期間中でありますから利子だけを算入する、それが資金の質によって償還期が違いますけれども、やがて元金償還に入ってくる、それにつれて単位費用が上がっていくわけでありまして、その上がる状態は先生ただいま御指摘のとおりでございます。
  131. 細谷治嘉

    細谷委員 あなたの方が示しました五十三年度交付税の全体計画、基準財政需要額の伸びを見ますと、いま申し上げましたように、需要額計算の測定単位の数値が二兆六千億、そしてこれがまたふえていくわけでありますから、五十三年度の全体計画だけでも千七百七十五億円という交付税がもう自動的に公債費償還の方に需要額として組み入れられていってしまうわけですね。これはものすごく大きいですね。これ以上のものが毎年ふえていくというのですよ、借金返済の需要額の算入で。恐ろしいと思いませんか。
  132. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御指摘のとおりに、五十年度からの対策といたしまして地方債措置いたしましたものにつきまして、次第に元利償還がふえていく、そのとうりでございます。まだ五十三年度あたりは元金部分というのが比較的少ない段階でございます。それでも相当の額がふえるわけでございますが、次第にそのピークの時点に達しますと、やはり相当な額がふえていくということは御指摘のとおりで、これはそれぞれの年度におきますところの地方財政対策を立てます際には、正確に算定をいたしまして、それも含めまして地方財政として措置ができる、回っていくような、財政運営に困難を来さないような措置ができるようにそれぞれ対策を立てていかなければならないと存じております。
  133. 細谷治嘉

    細谷委員 私の計算では、五十三年度のあなたの方がつくった全体計画において、いわゆる公債費として需要額に入ってくる数字はことし千四百四十九億加わってきますから、合計いたしますと、四千億円というのがこれへ入ってくるんです。公債費その他の経費の需要額として入ってくるんです。四千億、来年はもっとふえてくるのですよ、ウナギ登りです。言ってみますと、借金をした、そして交付税を借りた、そしてタコが自分の足を食うように、交付税のちょっとくらいのふえというのは、すぐこの公債費の償還という形で食われてしまうのですよ。こういう事態がありありとあなた方の数字の中にあらわれておるじゃありませんか。大臣、これ御存じですか。
  134. 加藤武徳

    加藤国務大臣 ここ数年来の地方財政状況でございまして、しかし地方といたしましてはやっていかなければならぬ多くの仕事がございまして、勢い起債にその財源を求める、かような傾向が強くなっておりまして、年々公債費が増加してまいりますことは残念な地方財政構造だ、かように思っております。しかし、過渡的な段階といたしましてはやむを得ない措置でございます。そこで、地方では十年ものの短期のものを借りかえしているようなところもございますけれども、これを国並みとはまいりませんが、できるだけ将来に延伸するような措置をとりまして、公債費が急速に大きくならないような努力をぜひいたしますと同時に、また、近い機会に税負担の増加等も求めながら行財政の改正が必要だ、このことを痛感いたしております。
  135. 細谷治嘉

    細谷委員 この問題について私がちょっと気づいた問題点を申し上げますと、自治省資料によりますと、基準財政需要額に計入されました公債費のうち、減収補てん債のうち、ある県はゼロなんですよ。ある県はゼロで、その他の方も、言ってみると減収補てん債という形で全部いっております。一つの県だけがゼロですよ。こういうことになりますと、これは交付税の中立的な配分ということを侵しておりませんか。一都一道二府四十三県あるところで、一つの県だけが需要額は計算されていないわけですよ。どこですか。和歌山県です。いや、それは税を後で精算するからちっとも損にならぬよ、こういうことになりますと、これはそんなことの言いわけになりませんよ、交付税の配分というのは。四千億になんなんとする莫大な金を公債費の償還費として交付税で需要額として配っているわけでありますから。和歌山県はゼロです。ほかの県ではどのくらいかといいますと、この地方税減収補てん債として四百五十一億円の需要額の増が見込まれているわけですよ。ところが和歌山県はゼロです。これで交付税の中立性が守られていると言えますか。お答えいただきたい。
  136. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 御案内のように、地方債のうちでも地方税減収補てん債は、法人関係税の基準財政収入額に対しまして、その年度の現実の収入額が落ち込んだ場合に、その落ち込み分を地方債の発行によって補てんする、その補てんされた地方債の元利償還金を次年度以降基準財政需要額に算入するという方法で、言うなれば実質的に精算制度にかわる措置を講じておるわけであります。もし交付税総額が非常にふえるような状態であるならば、従来のやり方でやりますと、そのような基準財政収入額の過大算定については、次年度以降精算措置を講ずるというたてまえになっております。しかし、五十年度、五十一年度、五十二年度におきましてはその交付税総額が確保できなかったという事情もありまして、精算措置にかえて減収補てん債の発行を認めたわけであります。  御指摘の和歌山県につきましては、たしか東亜燃料の関係だと思いますが、ほかの県はみんな前年度に対して基準財政収入額を割り込んだわけですけれども、和歌山県だけは逆に増収が立ったわけであります。したがいまして、減収補てん債の発行を認める必要がなかった、該当がなかった、そのために元利償還も当然立ってこないわけです。これはほかの投資的経費財源振りかえなどと全く性格を異にするものでありまして、基準財政収入額の過大算定があった場合に、その過大算定分について減収補てん債の発行を認め、その償還費を財政需要に算入することによって技術的に精算措置にかえておるという性格によるものでございます。
  137. 細谷治嘉

    細谷委員 たまたま和歌山県というところがおっしゃるように法人税が入ってきたから——どこも軒並みに五十年度の後半で税の減収が起こったときに穴があいたのですよ、そこの穴があいたところは全部減収補てん債で埋めてやったわけですよ、和歌山県だけが埋めてないわけですよ。そして、埋めてやった県に対してはぴしゃっと財源対策債として今度は償還期ににらみ合わせて利子、元金と払っていっているわけです。これは交付税ですから当然ですね、そういうふうに決めてあるのですから。ところが、和歌山県一県だけがこの対象にならぬということは、たまたま特殊な事情で和歌山県の予定の地方税の減収が起こらなかったという形でこの制度が適用されないで、いやもうちゃんと精算したんだから損はないんだ、あるいは得がある、そういうことになります。これは、ところによってはメリット、デメリットを計算してやりますと、交付税制度の中立性がこういうところから——これはアリのすき間どころじゃないのですよ、かぎの穴どころじゃないのですよ、詳しく精査しておりませんけれども、こういう形になるのではないか。何か交付税制度をうまくやってごまかすなら別ですよ。しかし、どうせ税のやつは翌年度精算されるんだからという形でこういうことになってまいりますと、交付税そのものの権威、中立性ということにかかわりを持ってくるのではないかと思います。この点、恐らく各地方団体ごとに借りた金、穴を埋めた金、それが千円当たりについて幾ら、こういうことで需要額がはじかれるわけです。それには種別補正がひっかかるわけですよ。種別補正がひっかかるわけでありますから、必ずしも借りた償還費一〇〇%でなくて、一〇一%のところもあるだろうし九八%のところもあると思うのですよ。これは交付税制度のそういう補正から来る問題であります。和歌山県はゼロなんですから——一番収入の少ないと言われる島根県、鳥取県ではどのくらい減収補てんがあったかといいますと、一億四千九百四十七万、鳥取が一億五千六百六十万、こういう減収補てん債があっているのですよ。これは全部交付税の基準財政需要額に今後計入されていくわけですよ。これは問題だということを特に指摘しておきたいと思います。  ところで、すでに五十三年度において公債費の償還のために元利とも四千億円の交付税で配っていく、七兆四百億円の中から配っていく、こういう事態を数字的に見て、特にこの公債費の中に、減収補てん債と財源対策債については、皆さん方出した法律の中でも毎年のように改正していくわけですね。毎年のようにこの法案の中でも改正する。来年もこの部分が改正されるわけです。年度がふえていくわけです。数値がふえていくわけです。こうなってまいりますと、特殊な、五十年、五十一年、五十二年度と起こった問題でありますから、これは大臣、臨時特例交付金という形で別の枠で処理すべきだと私は思うのです。これを交付税の決まった総枠の中から出していくということは問題があると思うのですよ。借金でありますから、たまたま大きなところの減収があったところはよけい地方債をもらう。それについて需要額を後年度ずっともらうということになりますから、問題があるのですよ。これを別枠で処理したらいかがか、臨時特例交付金で処理すべきだ、こう思うのですが、いかがですか。
  138. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御指摘の点でございますが、先ほど来申し上げましたように、その各年度におきます必要とする交付税の額、この交付税の額というのが現在の状況におきましては借り入れをしなければならない状況であるわけでありますが、そういった総体としての交付税の必要額というものを確保する、その際の計算基礎といたしましては、御案内のとおり、地方財政計画上これらの公債費歳出というものは完全な形で歳出に計上をいたすわけでございます。そうしてそれを交付税一環として配分をするということになっているわけでございますから、特段に別途の財源措置というものを取り出してしなければ財政措置というのができない、こういうようなかっこうにはいまの取り扱いからいってなっていないわけでございまして、交付税におきましても、その点につきましては各団体に対します財政措置が十分可能ではないか、こう思っているわけでございまして、特段に別途のものにいま直ちにしなければならないというようには考えていないところでございます。
  139. 細谷治嘉

    細谷委員 それはあなた方がしたのじゃないですか、二分の一方式で。私はさっき二分の一方式の総額決定の際にも問題がありますよということを指摘して、さらにもう一つの問題点としては、これからウナギ登りに幾何級数的にふえていくであろう公債費までも一定の三二%という枠内で処理していくということは、交付税そのものの中立性ということに大変大きなかかわり合いを持ってくるのではないか。したがって、そういう公債費について——交付税で見てやる必要がないと言っているのじゃないですよ。見てやることはよろしい、見てやるべきである。その場合には三二%の別枠で臨時特例交付金として対応していくべきではないか。私は、自治省大蔵省のベースで言うのならば、この問題については別枠で——二分の一方式というのを使うのならば、公債費については地方団体ではいかんともしがたい経済の推移の中から生まれてきた減収でありますから、これは国の方も責任を持ちましょう、与えられた交付税の枠内でやっていきなさいというタコの足食いのようなことはやめるべきだというのが私の意見ですよ。私の意見、間違っておりますか、大臣
  140. 山本悟

    山本(悟)政府委員 別建てでということも確かに一つ考え方であると思うわけでございますが、ただいまのように総体として交付税の必要額というものを確保する、そのやり方の中におきましても、所要額というものは完全に計算されるわけでございまして、ただいまとっております方法をもってしても十分対応できている、かように思っているところでございます。
  141. 細谷治嘉

    細谷委員 そんな認識じゃ困るのですよ。いまのような交付税に算入していくやり方については、大筋として賛成である。しかし交付税の需要額に織り込んだ原資というものは別枠でやるべきだ、こういうことです。私はさっき言ったように、五十年なり四十八年を一つの基礎として、それだけの投資的経費を見てやらなければ国の期待にこたえることができませんよという議論をしました。いま大臣も大体大方のその方向を是認されました。ところが、もう一つのその他の諸費という公債費の項目において幾何級数的にふえていっておる。そして今度の法改正の中に織り込んでおる減収補てん債と財源対策債というのは、これは大変なことであります。今度の改正の中でも一遍に単位費用が七十五円から二倍以上になってしまっているわけですから。財源対策債も今度はふえますよ。あなたの方の資料でも明らかであります。これはその方法はいいけれども、原資の方は別枠で臨時特例交付金というようなもので対応していかなければならぬということを申し上げているわけです。大臣、いかがでしょうか。
  142. 加藤武徳

    加藤国務大臣 御意見はよく理解ができました。できましたけれども、ただいまとっておりますような処置を恒久的な処置と考えておるのではございませんで、あくまで当分の間といたしましての処置をとっておりますことが一点でございますことと、そして両建ての臨時特別交付金のような制度をとるといたしましても、問題はやはり財源であろうかと思うのでございますから、財源的に抜本体制がとられなければ両建ての意義が薄らいでしまうのでございまして、別会計にして別建てという御意見はよくわかるのでございますけれども、しかし当分の問の処置としていまやっておりますることを継続していく以外には道がなく、別建ての意義がそう大きく広く展開される、かように理解をいたしておらないところでございます。
  143. 細谷治嘉

    細谷委員 そうは言うけれども大臣、元の借りた数値、それは二兆四千億円ばかりということでありますけれども、全体としての需要額は、財源対策債としては五十三年度が千六百四十三億円ですよ。減収補てん債としては千三百六十億円ですよ。合わせて三千億円ばかりです。三千億円ばかりというのは、五十三年度に需要額の中で交付税として配ってやらなければいかぬ数字でありますから、この程度のものは別枠で見てやっていいじゃないですか、こういうことを申し上げておるわけです。何兆円ものことを言っているわけじゃないのです。ほかのものはいいですよ。先ほど質問した同和とか、コンビナートについての問題とかあるいは過疎過密とか、そういうものについて一定のルールに基づいて元利償還金を見てやっておりますね。しかしこれだけは別枠として外すべきである。公債費全体を言っているわけじゃないですよ。この二つは外すべきである、こういうことを言っている。お答えいただきたい。
  144. 加藤武徳

    加藤国務大臣 財源不足の絶対量が決まっておることでございますし、また交付税特会におきます借入額も、不足財源を補ってまいりまするためにはやむを得ざる措置として借りておるのでございまして、そこで資金の絶対量が増減がない限り、別建てをいたしますために大きく地方財政に寄与するものがあるとは考えておらないのでございまして、別建てをいたします意義は、なるほど区分いたします点ではそれなりのメリットはあろうかと思うのでございますけれども、やはり交付税特会で一元的に処理いたします方がベターだ、こういう感じを強く持っております。
  145. 細谷治嘉

    細谷委員 まあここでははっきり答えられない、一元的に処理することはベター、私もそれを是認している。ただ原資はいけませんよ。交付税の枠内から出すということはいけませんよ、原資は臨時特別なものとして処理していくべきである、これが私の主張でありますから、よくひとつ御検討をいただいて善処していただきたい。  時間があとわずかでありますから、単位費用のいろいろな問題あるいは補正のあり方、こういうものについて若干お尋ねをしておきたいのであります。  まずお尋ねいたしたいことは、交付税に基づくこの補正額、いろいろな補正に基づく基準財政需要額の増加額というのは五十二年度でどのくらいになっているか、お答えいただきたい。
  146. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 五十二年度の基準財政需要額の算定実績で申しまして、いわゆる補正による加算部分だけでございますが、加算による額が九千四百五十五億円になります。
  147. 細谷治嘉

    細谷委員 九千四百五十五億円。私が試算いたしましたところが、都道府県分が二千二百五十五億円、市町村分が七千百九十五億円、合計いたしまして九千四百五十億円でありますから、ほぼあなたの数字と合っておるわけです。これは五十二年度交付税の何%に相当いたしますか。
  148. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 この九千四百五十億円を五十二年度の普通交付税で割り返しますと、一七・六%に相当いたします。
  149. 細谷治嘉

    細谷委員 普通交付税に割り返しますと一七・五%、交付税総額で割り返しますと一六・六%、そういうことですね。この数字も一致いたします。  ところで財政局長、あなたの方で出しておる地方財政要覧とかなんとか見ても、九千四百五十億円という数字はありませんよ。あなたの方の数字は五千七百五十七億円のはずですよ。要覧を見てください。
  150. 柳庸夫

    ○柳説明員 お答え申し上げます。  要覧の中では主な補正による増加需要額という数字を示してございますが、それには総合計額の数字が出ておりませんので、ちょっと確かめてみなければなりませんけれども、恐らく先生おっしゃった数字のとおりだろうと思います。その理由といたしましては、従来からのいきさつによりまして要覧の中では全部の補正の数字が挙がっておりませんで、一部この表の中に挙げてない補正がございますので、そういう違いが出ているものでございます。
  151. 細谷治嘉

    細谷委員 あなたの方の書いた沿革史を読んで見てちょっと数字を合わせなさい。それは五十一年度までしか出ておりませんから、あなたの方の資料によりますと、五十一年度は、九千四百五十億円と石原審議官が答えたところには七千七百九十六億円というのが対応するのですよ。その沿革史にはその数字は出ておりませんよ。なぜ、自治省が出しておるいわゆる計数表と沿革史と要覧の数字が一々違うのですか。どれが本当なのかわからぬ。一般に公表されておらないあなた方の計数表だけには書いてありますけれども、九千四百五十億円というのは出ておりますけれども、銭を取って売っておる要覧にも沿革史にも一番重要なところは何も書いてないじゃないですか。投資補正が完全に落ちているのです。こんな資料を出して金を取って売るのだから、あきれますよ。どういうことなんですか。
  152. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 要覧や沿革史で挙げました補正による加算額は、その主要なものを取り出したわけでございます。それからなお、計数資料では補正による増加要因をすべて洗いざらい掲げてある、どういう基準で主要なものを選ぶかという点についてはいろいろ御意見があろうと思いますが、私どもとしては各団体の関心のある項目の主要なものを選んで要覧並びに沿革史に掲げたというだけの理由でございます。
  153. 細谷治嘉

    細谷委員 要覧は、主な財政需要の増加額と書いてある。その沿革史には、特別な補正による財政需要額の増と書いてある。そこで主なということで逃げたと思うのです。それを言うならば、五十一年度の丙地補正九億九千七百万というのが要覧に入っているでしょう。そして、投資補正という非常に莫大な、市町村だけで千九百六億円というのを落としておるのです。何が主なですか。丙地補正という十億足らずのものが主なものであって、一千九百億というのは主なものじゃないのですか。恐らく、この投資補正なんというのを出しておると国会からやかましく言われるから、補正が恣意的であるという指摘を受けるといかぬからそういう資料を銭取って出したのでしょう。  大臣、こういうことで、数字をきちんと出していただかなければいかぬ、そして自治省から出る資料はみんな同じような資料でなくてはいかぬと私は思います。銭を取るわけですから——銭を取っても結構ですよ、結構ですが、出てくる数字は、自治大臣のもとの省から出るわけですから、みんな同じものにしていただきたいのですよ。私は気づきました。しかし、銭出して買っている一般の人は気づかないかもしれませんよ。これが本態だと思うのですよ。これはいけません。いかがでしょうか。
  154. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 先ほど申し上げましたように、補正による加算需要額をどういう基準で表示するかということでございまして、投資補正を主な補正要因から除外した考え方といたしましては、地域地域によって差が出てくる要因、たとえば寒冷補正でありますとか人口急増補正でありますとか、こういった各地域の違いによって財政需要額を上乗せする、こういう要素はそれらの該当の団体にとって非常に関心のある事項でございますから、こういったものは金額が少なくても、たとえば丙地補正のように金額が少なくても拾い上げたわけであります。それから、投資補正はすべての団体に共通する補正であります。ある意味では単位費用の増額その他の形で算入されるものと考え方として似た傾向がある。算定の技術として補正という方法で上乗せしておりますけれども、そういう補正を適用する特殊性といいますか、こういった見地から片方は主要なものに例示しなかった、片方は例示したという考え方です。  この辺はいろいろ御意見がありましょうけれども、要覧その他で挙げております特殊な補正あるいは主な補正といったのは、そういう地域によって差のある分を特に掲記したという考え方でございまして、特に隠すという意味は全くございません。
  155. 細谷治嘉

    細谷委員 またそう答えるならば、あなたの方で出している密度補正というものは要覧にはゼロですよ。沿革史の方にはちゃんと出ているのです。そして広く一般には出していない計数表の中にはこういうものはずらっと出ております。そして、合わせたものがあなたの言うように九千四百五十億になっているのです。そんなけじめをつけてやらぬで、特別か何か知りませんけれども、とにかく補正というものを、あなたが言った数字になるとすればそれは密度補正も入っている。ところが、密度補正は要覧にはないが沿革史の方にあるなんというのはおかしいでしょう。大臣、言えば幾らでも出てくるのですが、もう時間がないから、ずばりこんなことをやめていただきたい。
  156. 加藤武徳

    加藤国務大臣 自治省が出しております書類がいろいろございます。いま御指摘のございました沿革史でありますとか年表でありますとか、あるいは白書でありますとか諸計画でありますとか、いろいろあるわけでございますけれども細谷委員のような専門家ばかりではございませんので、したがって、その数字もなるべくわかりいいような表現をしていかなければならぬのでございますし、またこの年表に使われている数字とこの要覧とが違っておりますようなことがございますと混乱が起きがちでございますから、できるだけ整合性を保たせるような、また整合性を保ち得ないような性格のものがもしあるといたしますならば、注書きなんかで丁寧にそのことを十分御理解願うような方法を今後はとってまいりますように努めていかなければならぬ、かように感じておるところであります。
  157. 細谷治嘉

    細谷委員 このことについて私はしばしば、自治省から出るものはどういう形の資料にいたしましても常に数字は同じものであってほしい、数字は丁寧に扱ってほしいということを申し上げてきたわけです。今度またはからずもそういうことが出ました。これは十分気をつけていただきたい。  そこで、私の持ち時間があと二分になりましたが、単位費用の決定の問題、それからその単位費用にいろいろな補正をしていく場合に、都道府県よりも、特に大都市と都市と町村という、人口十万を標準としてやっているだけにいろいろな補正の問題なりが出ておりますが、私が集計いたしました単位費用を算出するための経費総額、そういうことからどういう一見矛盾と思われるような点が起こっているのかということについての一覧表を、こういう点に問題がある、そのよって来る原因を知らせろということで交付税課にプリントしてやっております。それを私がチェックした部分についてきちんと具体的に数字でお答えをいただきたい、これを約束していただいて私の質問を終わりたいと思います。
  158. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御要請のありました資料は、十分検討いたしまして御提出できるようにいたしたいと思います。
  159. 細谷治嘉

    細谷委員 終わります。
  160. 木村武千代

    ○木村委員長 斎藤実君。
  161. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 私は、地方交付税法等の一部を改正する法律案関連いたしまして、きわめて重要な問題でございますので、基本的な問題について若干お尋ねをいたしたいと思います。  御承知のように、五十三年度地方財政は、三十四兆円余りの膨大な財政規模になっているわけでございまして、この五十三年度地方財源の不足は、三兆五百億円となっております。この不足分は、一千五百億円の臨時特例交付金以外は交付税会計の借金と地方債の増発というように、ほとんどが借金で措置をされておるわけでございます。五十三年度で連続して四年の財源不足を生じているわけでございますが、地方財政はますます深刻化をしているわけです。大臣としても現在の地方財政の現状をどのように認識をしているのか、まずこの点からお尋ねをいたしたい。
  162. 加藤武徳

    加藤国務大臣 御指摘がございましたように、ここ数年来地方財政は多額の財源不足を生じておりまして、ことに五十三年度におきましては、御承知のとおり、早期に景気の回復をやってのけなければならぬ。そのことが結果としては労働不安を解消する道につながっておる。かつまた、地方といたしましては、社会資本充実いたしてまいらなければなりませんために、いろいろやりたい仕事も多い。かようなことで基準財政需要額を算定いたし、同時に収入額を算定いたしましたところ、その結果といたしまして、不足財源が生じた、かようなことでございます。  不足財源は、たてまえといたしまして交付税中心に埋めていくべきが筋でございますけれども、残念ながら交付税率の引き上げはかような流動期では困難だ、かようなことに相なってまいりましたので、交付税特会で一兆五千五百億円の借り入れをしなければならぬ、さようなことに相なったのでございますが、しかし特会で借りっ放しではにっちもさっちもいかぬ状況が生まれることが明らかになってまいりましたので、五十年度にさかのぼりまして実質上二分の一を国が負担をする、かような措置をとらざるを得なかったのでございますが、あくまでこれは当分の間の処置でございまして、これが地方財政につきましての恒常的な恒久的な体制だとは考えておりませんで、なるべく早い機会に行財政両面にわたる制度の改革を行うことによりまして対処してまいりますのが今後の大きな課題である、かように承知をいたしております。
  163. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 大臣からいま答弁がございまして、地方自治体の財源不足については深刻に受けとめているというお話がございました。  そこで、御承知のように地方財源が連続して不足を生じた場合には、交付税法交付税率の引き上げあるいは制度の改革を行うことを規定しておるわけでございます。これはもう何遍も何遍もこの委員会で論議をされました。私は、この今日の地方財源の実態というものは、この法律の趣旨に沿って当然これは交付税率を引き上げるべきではないか、当然そうでなくてはならぬと私は思うし、自治大臣、私は特にお願いを申し上げたいのは、交付税率の引き上げを行わないで安易な借金政策を続けているわけですが、明確に簡単にこの交付税率を引き上げない理由を再度お尋ねをしたいと思う。
  164. 加藤武徳

    加藤国務大臣 交付税率を引き上げますのがオーソドックスな取り運びであると信じておりますけれども、しかし、交付税法のいま御指摘になりました六条の三の二は、二つの場合を選択的になすべし、かような法の精神だと考えておるのでありまして、交付税率の引き上げが行い得なかった場合には制度改正を行いなさい、かようなことでございます。  そこで、どうして引き上げなかったのか端的に答えよ、かような御指摘でございますが、国の財政状況も御承知のようなことでございますのと、いまは経済的にきわめて流動的な段階でいまだ安定成長の段階には到達いたしておらぬ、かような流動的な時期に恒久的な交付税率の引き上げは困難であった。そのほかに幾つか理由がございますけれども、いま申し上げましたようなことがその主たるものでございました。
  165. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 そこで大臣、私はお尋ねをしますが、大臣交付税引き上げることがこれがもうオーソドックスな行き方だ、当然そう考えていらっしゃることは私も理解をいたします。  これは大蔵省との関連もありまして、引き上げについてはいろいろ問題があったと私も思います。結果として交付税会計の借金の返済は、二分の一は国が見る、二分の一は地方が負担をするということで落ちついたのですが、それで昨年の十二月の大蔵・自治両大臣の覚書では「昭和五十三年度以降、地方財政が好転し、あるいは地方税財政制度の基本的改正が行われるまでの間」とあるわけですが、地方財政が好転したということは、現行の制度で地方財政財源不足を生じないという意味にとってよろしいのかどうか、いかがですか。
  166. 加藤武徳

    加藤国務大臣 結論から申しますと、現行税制のもとにおきまして、あるいは現行交付税率のもとにおきまして、一般財源が飛躍的に増加いたしますことはなかなか困難であろうと思います。かつてのようなわが国経済の高度成長の段階は再び来るべくもないと思いますし、安定成長の段階で、いまの税制のもとにおいて飛躍的に国税三税が多くなるともなかなか思いがたいのでありますし、また地方税もいまの税制のもとにおいてそう大きく伸びることが期待し得ますようなことは困難であろうと思うのでございますから、したがって、この中にございます「地方財政が好転し」と申しますのは、いまの制度のもとにおいてはなかなかにわかには好転しがたい、かように受け取っております。
  167. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 私もそのように理解をするわけでございますが、さて、この地方財政収支試算を見ますと、現行制度のまま続けるケースI、私はこれでは当分財源不足が続くだろうと思う。また増税を行えばの場合のケースIIですね、あるいは増税とそれから支出の切り詰めを行う場合のケースIII、この二つでなければ財源不足の解消にならないと考えるのか。私は、いま大臣の答弁では、現行のままでは財源不足が解消をされるとはなかなか考えられないという御答弁がございましたが、この点についていかがですか。
  168. 加藤武徳

    加藤国務大臣 国の場合と同様に、地方におきましても試算をいたしたことは御承知のとおりでございまして、ただいま御指摘のございました地方財政試算のケースIIは、国の財政試算のケースCに対応いたすものでございまして、ケースCの場合は、国の場合昭和五十七年度までに十兆三千三百億円の増税を仕組まなければならぬことを前提に計算いたしており、これとの整合性を持たせた意味での地方財政収支試算のケースIIは四兆円を超えますような増税を見込むといいますか、織り込むといいますか、さような試算をいたしておるのでございます。ただ、かような試算をいたしましたものの、直ちに四兆円を超えますような増税をやろうという政策的な意図や意欲を盛ったものではないのでございまして、将来にわたりまするめどを立てましたりいたしますような政策的な意図ではないとの御理解をいただきたいのであります。しかし、まさに論議さるべき条項であることは申すまでもないことでございまして、結論といたしましては、政府がケースCとして試算をしておりましたからそれに対応するものとしてのケースIIIを試算いたした、かような御理解をいただければありがたいと思います。
  169. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 大臣地方財政が現状のままではなかなか好転ができないという御認識でございますし、私は一時的な財政措置ではこの地方財政の好転ということはむずかしいだろうと思うし、したがって、地方財政を再建するためには早急に地方税財政制度の基本的な改革以外に私はないと思うわけですが、早急にこれに取り組む意思があるかどうか、大臣の決意を伺いたいと思います。
  170. 加藤武徳

    加藤国務大臣 地方制度調査会や税制調査会の議論を拝聴いたしましても、地方財政の抜本体制をとりますことが先に延びれば延びるほど問題の解決をむずかしくしておる、なるべく早く取り組まなければならぬ、かような考え方の御指摘がございまして、私もまた同様に考えておるのでありまして、なるべく早い機会に基本的な改正と取り組んでいかなければならぬ、このことを痛感をいたしております。
  171. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 大臣から抜本的な改革に取り組んでいかなければならぬという決意が表明されました。  そこで、先ほど私が御質問いたしましたように、両大臣の覚書では、基本的制度改革が行われるまでの間、交付税会計の借金返済の二分の一を国が負担する、このことをいまの交付税法改正案に盛り込んでいるわけでございますが、私はそれまでの間は交付税率の引き上げを断念をしたというふうに理解をしてよろしいかどうか伺いたい。
  172. 加藤武徳

    加藤国務大臣 交付税率の改正を断念いたしているわけではございませんでして、先ほど申しましたように、なるべく早い機会に制度の基本的な改正を行ってまいりたい。制度の基本的な改正は、たとえば法人事業税の外形標準課税を導入いたしますような具体方法もございますし、また、事交付税関連をいたしまするならば、国税において新税が創設されます機会に国税三税を国税四税あるいは国税五税、かようにエクスバンドしてまいりますることも一つ方法でございまして、交付税率の引き上げは、さような新しい税源を確保いたしましたり、また交付税対象を拡大いたす問題との関連において交付税率の引き上げの問題を考えて対処すべきだ、かように考えておりますので、したがって交付税率の引き上げを断念いたしているわけではないのでありまして、当分の間とは言いながら、相当期間このままの状況は続くのではないか、かような見方も一部にはあるようでありますけれども、私といたしましてはなるべく早い機会に改正を行っていくべきだ、こういう考え方で対処してまいろうと思います。
  173. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 大臣地方税財政制度の抜本的な改革は早急にやりたいという御答弁でございましたが、これは前々から、もう何年も何年も自治大臣がこの場で、取り組みたいあるいは早急にやりたいという答弁がずいぶんありました。こういう時代になりまして、やはり地方自治体、あるいは国もそうですか、ここで早急に抜本的改正をやりたいという大臣の答弁でございましたが、いつ取り組むのか、いつごろをめどにおやりになるのか、五十三年度にそれをあらあらの案を提示するのか。これはもう毎回毎回同じような答弁をされてまいりました。加藤国務大臣地方行政のベテランでございますし、ここでひとつどの程度の日程で取り組むのか、あるいは試案なり何なりを発表されるつもりがあるのか、再度お尋ねいたします。
  174. 加藤武徳

    加藤国務大臣 実は五十三年度の予算編成に当たりましても私なりの努力をいたしたつもりでございますが、結果としては実ることが困難でございました。五十三年度に対処する考え方の基本的なものといたしましては、やはり交付税も六・五%程度は引き上げるべきだ、かような主張を持ったのでありますし、また新たに石油税が創設され、それが一般財源として使われるならば交付税対象にも加えていくべきだ、こういう考え方も持ったのでありますし、また法人事業税の外形標準課税の導入もいたしたい、かようなことであり、ことに外形標準課税導入につきましては、都道府県知事会等から非常に強い要望がございまして、ぜひ実現をしたい、かような意欲で取り組んでまいったのでありますけれども、結果といたしましては、いま御審議願っておりますような処置をとらざるを得なかったようなことでございます。  そこで具体的にプログラムを持て、かような御指摘でございまして、私どもは税制調査会や地方制度調査会とよく相談をいたしながら、なるべく早く実現いたしますような方向で取り組んでまいり、ことに外形標準課税の導入につきましては、知事会といたしましても五十三年度に見送ったことは非常に残念だ、どうしても五十四年度では実現すべきだ、かような強い意欲でございますし、自治省といたしましてもまた同様の考え方を持っておるのでございますけれども、ただ、国の段階において新たに考えられることが予想されまする税との関連などがございまして、五十四年どんぴしゃりと実現をいたします。かようなことがなかなか明言できないのでありますけれども、なるべく早く実現するように努力をいたしてまいりたい、かような決意でございます。
  175. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 ことしの二月二十八日の当委員会大臣は、五十二年度に引き続き予想される財源不足はこれを完全に補てんをする、そうして地方財源の確保を図ると述べているわけでございます。しかし、五十三年度地方財政対策を見る限りにおきましては、完全に補てんしたとはとうてい言えないと私は思うわけでございます。五十三年度の対策はいわば借金を押しつけただけでありまして、完全に補てんするというならこの借金は国が全額持つべきと私は思うわけでございますが、いかがですか、大臣
  176. 加藤武徳

    加藤国務大臣 私が完全に補てんをいたしましたと、かように申しましたのは、五十三年度におきまして三兆五百億円の財源不足が生じてまいりました。そしてそのうち一兆三千五百億円は起債に財源を求めることにいたしまして、そしてなお不足をいたします一兆七千億円につきましては一部臨特がございますけれども、しかし交付税特会で借り入れまして、その借り入れも、直ちに償還しなければならぬのではございませんで、無利息の金を五年据え置きまして、六年目から十ヵ年で返す、そしてこの返す分については国が半分を実質上見てまいりましょう、かようなことでございますから、中身のことになりますと、交付税率を引き上げて一兆七千億円を埋めればよかったではないかという議論もあろうかと思うのでございますが、諸般の事情を勘案いたしましてそのことができなかったのでありますが、少なくも不足をいたします三兆五百億円については、これを完全に埋めることができたという意味で申しましたので、さように御理解いただきたいと思います。
  177. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 交付税会計の借金については国が半分、地方が半分、これは当然借金であるわけですが……。  そこで、財源不足のために増発した地方債の元利償還部分は八〇%だというふうに見られるわけですが、この地方債の件については交付税の基準財政需要額に算入すると言っているわけでございますが、こういう措置をとるのではなくて、たとえば国の補給金等で財源措置を講ずべきではないか。これは各方面からの強い要請があるわけでございます。そうしなければ、大臣が述べたように完全に補てんしたということにならないと私は思うわけです。この地方自治体の財政難を考えれば、こういうような措置をとってもよいのではないかと思うわけですが、大臣いかがですか。
  178. 加藤武徳

    加藤国務大臣 理想的には地方団体も借金をせずにやってまいることでございますけれども、しかし、国の財政状況も御承知のとおりでございまして、多額の特例公債を発行しなければやっていけないという状況でございます。地方あっての国であると同時に、また国あっての地方であって、両者相まってわが国経済の発展、また国民の幸せ増進のためにやっていかなければならぬ、私はいつもかような考え方でございます。そういう状況下でございましたので、理想的な形ではございませんけれども、起債はやむを得なかった措置でございまして、ことに五十三年度におきましては早期に景気の回復を図っていかなければなりませんし、かつまた、そのことが労働不安の解消にもつながってきますことは申すまでもないことでございますのと、それから地方では社会資本充実に非常な立ちおくれがございまして、地方団体におきましては、あの仕事もやりたいこの仕事もやりたいという仕事はいっぱいあるのでございますから、極端な言い方をいたしますと、縮小均衡の体制をとれば借金なしに、あるいはわずかの借金でやっていけるということも言えましょうけれども、しかしそれを許さない状況でございますので、相当の起債をいたさざるを得なかったこともこれまた現段階においてはやむを得なかったこととの御理解をぜひいただきたい、かように思う次第であります。
  179. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 政府は地方債の資金の充実を挙げているわけでございます。政府資金について見ますと、構成比では前年の三六・六%から三九・三%、わずかに上回っているわけです。国債の大量発行に加えて民間資金需要の創出を考えると、地方債の消化は地方団体の財政運営上大きな課題だというふうに考えられるわけでございますが、縁故債の消化の見通しについて局長答弁してください。
  180. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御指摘のとおりに、明年度地方財政計画におきましては相当に地方債の増発を予定いたし、地方債計画もそれに対応して六兆を超えるような規模のものを策定いたしたところでございます。ただ、その際なるべくは政府資金といったような良質の資金をより多く充当したいという考え方から、従来に比べますと政府資金の率というのも相当程度増しているような次第でございます。ただ、そうは申しましても、これは通常ベース、要するに国の財政、地方財政がともにこういう状況になる以前のベースまではとてもまだ達していないということでございまして、そういう意味ではまだまだでございますけれども、なるべく政府資金を多く充当する、しかも財政力の弱い一般市町村については地方債資金の場合にはなるべく政府資金を充てる、こういう方針でございまして、一般市町村の例の財源対策債というようなものはほとんど全部政府資金で充てられる、こういうめどもついているわけでございます。また同時に、例の地方団体から非常に要望の強かった公営企業金融公庫の実質改組によりまして、単独事業のうちの三事業について普通会計債に公庫が融資をするという道も今回の法律改正の中に含めてお願いを申しているわけでございまして、そういった点もやはりよりよき資金の獲得のための措置と御理解を賜りたいわけでございます。  こういう現在の金融情勢でございますから、公定歩合の引き下げに伴いまして市中金利も相当下がってまいっておりますし、現在のところ各地方団体、一般市町村においても個別に縁故債の資金化が非常に困難であるということは特段には聞いていないわけでございますが、そういう事態が個々の団体において出てきた場合には、それぞれ大蔵省とも協議いたしまして、個別の指導もいたしまして、各団体が資金の獲得に困難を来すことがないように手当てをしてまいりたいと思っておるところでございます。
  181. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 次は、国と地方との財政秩序の確立の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  先ほど来の論議の中でも明らかなように、国も地方も四年続きの財政危機に直面をしているわけでございまして、したがって、自治体もみずから行政事務あるいは事業の見直し、財政健全化の努力を今日まで行ってきているわけでございます。わが国の地方自治発展の経過から見て、現在の地方自治体は依然として国の下請機関だという感じがあるのではないか。また見方によりましては、国の言うことは何でも聞かなければいかぬという気分もあるのではないか。私はこういうようなことは地方自治の原則から見てまことに残念なことだと思っているわけです。昭和五十三年度地方財政計画の策定方針においても財源の重点的配分と節度ある財政運営を行うことを基本としているわけでございます。その一環として今回の交付税改正案においても、人件費の高騰、物価の上昇等コストの増加に応じて風俗営業等取締法を初め十二の法律に規定している手数料の限度額の引き上げを行う予定になっており、受益者負担適正化を図ることとしているわけでございますが、このように手数料まで引き上げようとしている中で、私は手数料引き上げる以前に国と地方との行政、財政の秩序を正すべきである、また正さなければならない問題が数多くあることを指摘せざるを得ません。国と地方との行財政秩序の維持ということはきわめて大事なことでございますので、自治大臣の基本的な見解をお伺いいたしたいと思います。
  182. 加藤武徳

    加藤国務大臣 地方は財政的に非常な苦労をいたしておりまして、そういう中において負担の増加を求めざるを得ない状況でございますけれども、いま斎藤議員から御指摘がございましたように、財政秩序を正してまいりませんことにはなかなか地域住民の皆さん方が納得しがたいのでございますから、自治省といたしましては、各地方団体に対しまして、なすべきことをまず先になしてくださいよ、かようなお願いを強くいたしておるのでございます。たとえば行政機構にいたしましても、わが国経済の高度成長を逐げてまいりましたその当時の拡大された機構そのままを維持する必要のない部門等もずいぶんあるのでございますから、そういう点を改めてもらいましたり、また、相当年数が経過しておる事業なんかで、もう継続していく必要のないもの等もございますから、そういう事業の見直しをしてもらわなければならぬのであります。また、人員の定数管理等につきましてもいろいろ創意や工夫をなしていくべきもの、そして経費の節約を図っていきますものが多いのでございますから、そういうことを地方団体に求めながら秩序を正してまいりまするのと、また、いわゆる税制上の特別措置どもございまして、これが既得権化いたしましたり、マンネリ化してはならないのでございます。ですから、そういう是正もしていかなければなりませんので、この国会におきまして御審議をいただきましたように、八件四品目、合わせて十二のことにつきまして特例措置を廃止いたす、かような措置もとってまいっておるのでございますから、さような措置をとってまいりながら財政秩序を確立していかなければならぬ。  また、中央が地方に対しまして筋の通らない負担を求めているものもあるのでありますから、そういうものに対しましても、この点はよろしくありませんよということを地方といたしましても勇敢に強く中央に申しまして、ため直していかなければならぬ、さようなことを総合的に取り運んでまいりまして財政秩序の確立に努めてまいりたい、かように考えているところでございます。
  183. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 大臣から行財政の秩序を確立していかなければならないという決意のほどを承りましたが、特に、地方財政法第二条第二項にも明確にうたっているわけです。国が地方財政の自律性を損ない、地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行ってはならないということが明確に義務づけられている。そこで、国の施設、構造物あるいは土地で地方公共団体が当然使用料をもらわなければならない性質のものを、国が無償で、長いのは四十年、五十年——十年、二十年はざらです。長期間にわたって国が押しつけたり、手続がめんどうだから所要の手続をしなかったり、これはもう大変な事例があるわけです。この問題については各方面からいろいろ指摘をされてまいりましたが、いまだに是正をされていない。自治大臣、いままでどういう措置、対策を講じてきたのか、まずその点から伺いたいと私は思います。
  184. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御指摘のような事例が間々見受けられたわけでございますので、これまで自治省といたしましては、国の各省庁に対しまして、このような適当でない事例を早急に是正することを次官名をもちまして申し入れを重ねてきたところでございます。数年間にわたりましてそういった申し入れをいたしましたし、特に必要のあるものにつきましては、具体的に施設等を指摘いたしまして、各省にその是正方をお願いするということを重ねてまいりました。その結果でございましょうか、最近になりまして次第に是正方の措置というものをとられるところも見受けられるようになってまいっているわけでございまして、その点はそれなりに前進といいますか、そういうものが見られているとは思っているわけでございますが、なお全体としてはそれに漏れているというものもあり得べしと思われるわけでありまして、なお一層各省庁に対しまして、法令の規定に違背するような事態のないように強硬に申し入れてまいりたい、こう思っておるところでございます。
  185. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 自治体から無償で借りている用地、施設につきまして、局長は間々見受けられたと言いますけれども、これは間々見受けられたという問題じゃないです。私が調べたところによりますと、文部省、通産省、農林省、運輸省、建設省、北海道開発庁、件数は、ことしの一月で二万九千六百八件ある。これは用地です。施設は五十五件。用地の面積は七百四十八万四千四百九十一平方メートルというのです。これはもう大変な広い面積をただで使っておるわけです。この一年や二年というのじゃなくて、長年にわたって使用している。これは法の秩序といいますか、確かに地方自治団体に対しては、自治省は厳しい規定や、あるいは指導をやってます。法律を守りなさい。しかし、当然法を守るべき国が法に違反をしているということは許されるべきことではない。法を守るべき国がみずから法を破っているということは一体どういうことなんです。  聞くところによりますと、自治省は、過去、事務次官通達あるいは財政局長名で、あるいは指導課長の名前で何度も各省に通達を出しておるらしいですね。あるいは、都道府県知事にも、これは違法だ、しかるべき要求をしなさいという指導もしているようですが、なぜ、こういうふうにいままで何遍も何遍も指摘をされていながらこの実態が改まっていないか。私は、所管は自治省だと思うし、間々見受けられるというような答弁をしてもらっては困る。どういう予算措置をしたのがどれくらいで、予算措置をしないのがどれくらいだという有償、無償の実態の調査をすべきだし、自治省として全貌を把握すべきだと思うのですが、いままでやったことがあるのですか。
  186. 山本悟

    山本(悟)政府委員 全地方団体を通じましての国に対します施設の提供の全調査というのは、残念ながら、私どもまだいたしたことはございません。ただ、ただいま御指摘になりました各省庁等につきましても、それぞれいろいろな点から問題点が出てまいります。そういったものにつきましては、各省なり地方団体側と連絡をとりまして、そういったものの実態の把握には努めてまいったところでございます。
  187. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 自治体から無償で借り上げている用地、施設につきましては、地方財政再建促進特別措置法第二十四条第二項では、国及び公社等が設置する施設に対して地方公共団体が経費を負担することを禁止している、こういう趣旨であると私は思うのですが、国が自治体から用地、施設等の無償貸与あるいは減免措置を受けていることは違法だというふうに私は考えるわけですが、法制局長官、御答弁をお願いしたい。
  188. 真田秀夫

    ○真田政府委員 お答え申し上げます。  地方財政再建促進特別措置法二十四条の解釈についてのお尋ねだと思いますが、この点につきましては、御記憶だろうと思いますけれども、実は、昨年の三月十八日に当院の予算委員会でお答えしておりますし、また、同じ趣旨のことを、四月十一日に、やはり公明党の矢追委員に対しても私からお答えを申し上げております。その趣旨は、もともと地方財政法の四条の五自体に、国が地方公共団体に対して間接的であろうと直接的であろうと強制的な寄付金の割り当てをしてはならないというのが書いてあるわけでございまして、これは条文にあるとおり国の方のサイドから強制的な寄付金の割り当てをしてはいけない、こういう規定でございますが、先ほどの特別措置法の二十四条二項は、これは今度は逆に地方の方のサイドから、地方は当分の間国なり公社、公団その他の特殊法人に対して、一定の場合は別として、原則としては寄付をしてはならない、こう書いてあるわけでございます。この寄付というのを文字どおり読みますと、金銭の寄付が普通でございますけれども、この立法の趣旨は、申し上げるまでもなく地方財政の確立を保つ、それから国と地方の間の財政調整を図るというような趣旨から出ておるわけでございますから、実質的に寄付に該当すると思われるような行為、たとえばいまおっしゃいましたような地方公共団体の土地なり建物を無償で国が借りる、公社が借りる、特殊法人が借りるというようなことはこの二十四条二項の趣旨に違反する、とても適法とは言えませんというふうに実はお答えしたわけでございます。  ただ、いまちょっと申し上げましたように例外がございます。例外にまた二種類ございまして、法律自身の附則にこの制度ができたときより前から契約が結ばれておって、その契約に基づいて行われるものはよろしい、それからもう一つは政令にゆだねてありまして、その政令に幾つか例外的な事項がありまして、それに該当する場合であって、しかもあらかじめ自治大臣の承認を得た場合にはよろしい、かようになっているわけでございますので、そういう例外、つまり許容事項に当たらない場合には適法とは言いがたいという趣旨のことを申し上げた次第でございます。
  189. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 いま法制局長官から特例以外は適法と言いがたいという答弁がありましたが、適法と認めがたいということは、私は違法だというふうに理解をしてよろしいのではないか、こういうふうに思います。  そこで、文部省にお尋ねをいたしますが、自治省のいままでの通達をどのように認識をしていらっしゃるか伺いたいと思う。  五十三年度予算にどのように反映をされたのか、また五十三年度措置をされていないのはどういうものがあるのか示していただきたい。
  190. 神山正

    ○神山説明員 お答えいたします。  自治省事務次官通達につきましては、文部省といたしましてもその趣旨を踏まえまして改善を要するものについてはその改善の措置を講じ、各般の施策を取り進めているところでございます。  二番目の五十三年度予算で反映されたものはどのようなものがあるかという先生の御質問でございますけれども、新設医科大学等の土地建物借料の予算につきましては年々その増額に努力しているところでございまして、五十三年度におきましては対前年度四億六千三百万円増の十五億四千七百万円を計上しております。それからまた国立婦人教育会館の用地につきましては、五十二年十月に開所したこともありまして一部を無償で借りておりましたが、五十三年度からは全面積を有償で借りることといたしております。それからまた、これは秋田大学の医学部敷地についてでございますけれども、五十二年度中に国有財産との交換を完了いたしてございます。それから浜松医科大学の敷地につきましても、五十三年度中に交換すべく現在手続を進めているところでございます。  それからなお残余のものについてでございますけれども、その他のものは大学の実習研究施設が大半を占めておりまして、これらはその所在する地域の学術文化とかあるいは産業及び生活環境の向上等に貢献するという地方自治体の理解によりまして、それぞれ地元の積極的な協力もありまして、地方自治体議会の議決等に基づきまして無償で借りているものでございますが、先ほど先生が御指摘されました地方財政再建促進特別措置法の趣旨を踏まえまして、それぞれについて従来の経緯等も十分考慮の上、自治省、財政当局も含めまして文部省としても検討を重ねてまいりたい、かように思っている次第でございます。
  191. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 地元の議会の同意あるいは条例ということは問題にならない。現在も処置をされてない大きなものは、国立大学の土地が四十三校、百三十四万二千七百七十七平方メートル、建物が九校、九千七百九十八平方メートル、京都国立近代美術館あるいは国立科学博物館、国立婦人教育会館等大変な面積をまだそのまま処置されていないわけです。そのほか国立遺伝学研究所、文化庁、国立西洋美術館、国立特殊教育総合研究所など、これはまだ無償になっておるわけですが、これはどうして処置されなかったのですか。再度お聞きします。
  192. 神山正

    ○神山説明員 先生御指摘のいまの大学あるいは試験研究機関の研究用地につきましては、文部省といたしましても新設医科大学等あるいはまた地方自治体にいろいろ御迷惑をかけた緊急に措置するものがございまして、その方の財政的な措置を先行いたしまして、いまのようなものにつきましては今後漸次財政当局あるいは自治省と御協議の上処理する予定でおりましたもので、若干その措置がおくれておるところでございます。
  193. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 これは早急に措置をしてもらいたいと思うわけです。  それから、自治省は毎年財政運営通達を地方公共団体に出しているわけでございますが、特に無償の根拠規定とされているこれらの条例や議会決議を当然廃止されるべきだろうと私は思うのです。というのは、先ほど申し上げましたように、再建法二十四条二項ではこれは明確に違反だという規定をされておるわけですが、こういう国の機関に対して無償で貸与するという条例や決議はもう無効だろうと私は思うのです。これに対して自治省としてはどういう処置をとられるのか伺いたいと思います。
  194. 山本悟

    山本(悟)政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、各地方団体に次官名をもちまして財政運営通達を出しておるわけでございますが、その中におきまして、五十二年度の分で申し上げましても「国・公社等の政府機関との間における経費負担関係についても、例えば施設用地の無償提供等法の趣旨に照らして遺憾な例がなお見受けられる。当省としてもこのような事例については、関係各省庁にその是正方を申し入れる等その改善に努力する所存であるが、このような事例の中には、地方団体の財政運営の姿勢に起因するところもあるので、法の趣旨に反することのないよう対処すること。」こういう注意を喚起いたしているところでございまして、地方団体側におかれましてもこういうような財政運営通達というものの趣旨を十分理解をしていただいて、安易に従来議決があったからというようなことでもって処理をされないように私どもとしても一層注意を喚起してまいりたい、こう思っておるところでございます。
  195. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 局長、確かに地方自治体に対して次官名で八回の通達を出している。しかし、当然国が負担をしなければならないものについて、いまだに三千件もあるのですよ。先ほど申し上げましたように、当然地方自治体に支払われなければならない借りている面積は七百六十万平方メートルくらいある。いまの答弁を聞いていますと、通達を出している、出しているということも何遍も聞いておるわけです。では、これだけの通達を出して、いまだにこういうものが残っているというのは、一体どういうことなんですか。これはもう具体的に是正させるという対策を強力にとるべきだと私は思うわけですが、大臣、いかがですか。法を守るべき国が違法を行っているということについては、地方自治体あるいは国民だって、これは納得しませんよ。
  196. 加藤武徳

    加藤国務大臣 国の施設等を誘致いたします段階では、地方では少々の負担があっても、たとえば国立の大学でありますとか施設でありますとか、かようなことを国が決断してくれることがありがたいことだ、かような甘い考え方で対処いたしましたことが今日のような状況を生んでおるのでございます。  そこで、自治省といたしましてもたびたび通達は出しておりますけれども、一片の通達によって事が解決すべきようなものではございませんで、相当広範で、かつ、根が深いものがあるのでございます。ですから、自治省といたしましては、各省庁に対しまして今後も強力に是正方を求めてまいりますと同時に、地方に対しましてもおのおの国の出先機関等があるわけでありますから、さような向きに対しまして強力に主張いたしまして、早期に是正いたしますように努めてまいりたい、かように考えます。
  197. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 これは強力にやっていただきたい。  先ほど述べた国立の施設は、文部省から提出をしていただいた資料によりますと、府県条例や市町村条例によって無償でよいという根拠としてここに出ておるわけですが、憲法九十四条では「法律の範囲内で條例を制定することができる。」と規定しているわけですし、また地方自治法第十四条では、法令に違反しない限りにおいて、条例を制定することができると規定されているわけです。このことに照らしてみても、これらの条例は地方財政再建法との関係から私は違法であると思うし、また地方財政法第二十四条のただし書きを持ち出して、議会の同意を得たから違法ではない、こういう考え方について非常に問題があるわけですが、このことについて法制局自治省の見解を伺いたい。
  198. 真田秀夫

    ○真田政府委員 地方財政法の二十四条と地方財政再建促進特別措置法の二十四条二項との関係にわたるわけでございますが、地方財政再建促進特別措置法の方は、これは「当分の間」の措置として書いてありますので、この特別措置法の二十四条の二項があるからといって、地方財政法二十四条のただし書きの条例が根っこから直ちに無効になってしまうという関係ではないというふうに私は思います。その点はおわかりだろうと思います。  それから、もう一つお尋ねの、地方財政法二十四条のただし書きの同意があったから適法に提供できるんだというふうには、実は私どもの目から見ればならないのであって、地方財政再建促進特別措置法二十四条のただし書きの政令事項に当たり、かつ、あらかじめ自治大臣の承認があれば、いまの再建促進特別措置法の要件は満たしますけれども、その上に、さらに個別的な寄付等に該当する行為をするためには、地方財政法二十四条ただし書きの同意が要る、そういうように解釈すべきであろうと私は思います。
  199. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 自治省にお伺いします。  昭和四十八年七月、五十二年七月に事務次官通達で「地方財政措置について」ということで文部省、厚生省、労働省三省には個別事項で具体的に申し入れを行っているわけでございます。他の省庁に対してはどうして個別事項で取り上げなかったのか、また、指摘できなかった理由はほかにあるのかどうか、伺いたいと思います。
  200. 山本悟

    山本(悟)政府委員 個別の省庁に対しまして個別に申し上げましたのは、これらの省庁が関係省庁として非常に大きい問題点を抱えている、こういう趣旨からでございまして、他の分は目をつむったという趣旨では毛頭ないわけでございます。他の各省庁におかれましても、たてまえとしても実際問題としても、同じ考え方で処理をしていただかなければならないことと思います。
  201. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 確かに、自治省は掌握をすることだけだろうと私は思うのですが、各省に対する調査の権限は私はないと思うのです。大臣、これはぜひ閣議で、こういう趣旨のことについて厳重にこれを守ってもらいたいし、財政措置をすべきだというふうに大臣から御発言を願いたいと思うのですが、いかがですか。
  202. 加藤武徳

    加藤国務大臣 いま直ちに発言する方がよろしいか、あるいは、この夏には予算編成に当たりまして概算要求等をします時期がありますから、さような時期を選びますか、とにかく閣議等で発言をいたしまして、この問題解決に当たってまいりたい、かように考えます。
  203. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 私の資料によりますと、自治省は各省に通達を出したり、あるいは地方自治体に対して一生懸命やっていらっしゃるわけですが、それでなかなか改善の兆しが見えない。  そこで、農林省に伺いたいのですが、五十三年度予算で処置をしたもの、処置をしなかったものの概況を示していただきたいと思います。
  204. 江上幸夫

    ○江上(幸)政府委員 お答え申し上げます。  農林省関係地方公共団体から土地あるいは施設について無償あるいは減額ということでお借りしているものは、先生に提出しました資料の土地三千平米以上、施設千平米以上のものは件数で三十九件、それから土地の面積が約二百九十八ヘクタール、施設の面積は全部で二千六百三十九平米ということになっております。そのほか土地の三千平米未満のもの、それから施設の一千平米未満のもの全部入れますと、件数で百二件、それから土地の面積にしまして三百二ヘクタール、施設の面積で三千九百六十一平米ということになっております。  百二件のものにつきましてどういう実施状況かと言いますと、五十三年度の予算措置をしたものが十件で、そのほか五十三年度の実行でこれを措置するもの、これが四十二件ということで、合計五十二につきましては五十三年度措置したいというふうに考えております。それから、そのほか十一件のものにつきましては五十三年度あるいは近い将来において返還するという措置を講じてまいりたいと考えております。  残りましたものにつきましては、法の附則によりまして従前のままでいいものもあるわけですが、そのほか林道等につきましては、たとえば上物につきまして地方公共団体に譲与するような措置を講ずるとか、あるいは共用林道にするとかといった措置を講じてまいりたいと思っております。  そのほかのものにつきましては、十七件ぐらいになるかと思いますが、五十四年度で予算措置をしてまいりたいと考えております。  以上でございます。
  205. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 次に通産省、どうですか。
  206. 田口健次郎

    ○田口説明員 お答えいたします。  通商産業省の関係といたしましては、地方公共団体等から土地等を借用している件数としまして七件でございます。そのうち五十三年度予算としてすでに計上してございますのが三件、してございませんのが四件でございますが、この四件の大部分は実は工業技術院の研究所、試験所の関係で、土地を地方公共団体から無償でお借りしているということでございます。経緯から申しますと、従来県側がきわめて好意的であった等々の経緯がございますけれども、現状に立ちまして地方財政の再建という観点から見ますと、私どもとしても早急に対応策を講ずる必要があると考えます。  具体的には五十三年度予算の実行におきまして既定経費の節約等を通じまして、極力前向きに処理したいというふうに現在考えております。  なお、五十四年度の予算要求につきましては、当然のことながら所要の土地借料等を計上して予算要求を行いたいと私どもは考えております。
  207. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 次に運輸省はどうですか。
  208. 西村英一

    ○西村政府委員 運輸省関係におきまして地方公共団体から無償で借り上げております用地等の実態につきましては、用地関係で三千平米以上、施設につきまして千平米以上のものにつきましてことしの二月末現在の状況を取りまとめております。それによりますと、用地は百二十五件、約二百七十八万平米でございます。そのうち主なものは、地方航空局関係及び港湾建設局関係でございます。それから、施設の方では六件、約四万平米でございまして、これは港湾建設局関係でございます。用地、施設合わせまして百三十一件、無償で貸していただいているという状況でございます。  これにつきまして、五十三年度予算の上でとりました措置を御説明申し上げますと、無償から有償に変えるべく新たに予算措置をいたしますものは二十件でございます。その二十件のうち二件は、航空関係で釧路のVORの用地及び海上保安庁の関係で神津島の灯台用地でございます。これの用地につきましては用地を買い上げる。残りの十八件につきましては無償借り上げから有償借り上げに変更することといたしております。  なお、そのほかに五十三年度中に別途の土地を手当てをいたしまして、現在お借りしている土地を地方公共団体にお返し申し上げる予定のものといたしまして二件ほかにございます。これは北海道の室蘭の車検場の用地、それから海上保安庁の函館の航空基地関係の用地がございます。
  209. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 これは運輸省、いまだ百二十五件残っている。しかも三千平米以上の用地が二百七十六万四千平方メートル、施設が四万平方メートル、大変な膨大な件数がまだ残っているわけですが、運輸省にお尋ねをしますが、これだけの膨大なものが無償で使用されているわけです。これは自治省の通達あるいは概算要求で毎年大蔵に要求するわけですが、これだけ残っているということは、いままで概算要求しなかったのか、あるいは自治省の事務次官通達を知らなかったのか、どうなんですか。
  210. 西村英一

    ○西村政府委員 自治省の次官名での要請文等、私どもでもいただいております。  具体的に、昨年の五月それから十月に自治省の財政局の指導課長名で私、運輸省の会計課長あての要請文をいただいております。そういうものをいただきまして、私どもの方でも予算の上でできるだけの努力をさせていただいたつもりでございますが、何分私どもの予算関係の事情も非常に苦しゅうございまして、先ほど申し上げましたような状況にとどまっておる次第でございます。  なお、今後につきましては、いままで無償で貸していただいているような事情につきましてはいろいろな経緯があったように私ども聞いておりまして、そのような経緯等を踏まえ、地方公共団体と私ども関係の部局等が十分な協議を行った上で適切な措置を順次講じてまいりたいと考えておる次第でございます。
  211. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 いろいろな経緯があった、あるいは議会の同意あるいは条例ということ、これは理由にならないわけでして、各省とも厳重に姿勢を正していただきたい、こう思うわけでございます。  また運輸省にお尋ねをいたします。特に早期に改善をする必要があるし、また指摘をしなければならないのは地方空港用地でございますが、代表的なものは、いま答弁ありましたように北海道の稚内空港あるいは釧路空港、函館空港、広島県の広島空港でございます。保安施設用地が東京都の八丈島、長崎空港など二十七ヵ所あるわけですが、運輸省にお尋ねをする前に自治省にお尋ねをしますが、いま申し上げましたような稚内、釧路、函館、広島空港、この四空港用地の使用料を払うとすれば年間どれくらいになるのか伺いたいと思います。
  212. 山本悟

    山本(悟)政府委員 ただいま御指摘ございましたこれらの四空港の使用料は推定したらどうだ——ちょっと計算をいたしていないわけでございまして、直接のお答えにならないかとも存じますが、いまの四空港につきまして、その地方公共団体所有地に係る地価を県を通じて聞きましたところ、稚内市は三億一千二百万、釧路市一億五千七百万、函館市二億三千二百万、広島県五十九億四千二百万、こういう返事が返ってきているところでございます。したがいまして、これは県有地、市有地でございますから固定資産の評価というものもないわけでございまして、どの程度になるか、通常で言いますと評価額の四%ぐらいが普通の意味の使用料ではなかろうかと思いますが、的確にはちょっとお答えを申しかねるところでございます。
  213. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 私がなぜこういうことを申し上げるかといいますと、地方財政の逼迫といいますか、これはもう大変なものがあるわけです。ですから、国はどうしても強権発動といいますか、無理押し、ごり押しという形になるし、また地方自治体は国にお世話になるということで言いたいことも言えない、こういう関係だろうと私は思うのですが、一つは国の姿勢を正すということと、あるいは国は適当な使用料を払うことによって、地方自治体としてもまた一つ法律を守るということにもなるし、また財源を幾らでも充当できるわけですから、これはぜひとも毅然とした姿勢自治省は取り組んでいただきたいと思うし、各省庁に対してもぜひとも是正を要望したいところでございます。  そこで、御承知と思いますが、函館市や広島市などは空港にある市有地を売却して空港周辺整備事業の財源に充てたいという強い要望を持っているわけです。これは私は当然だろうと思うのですが、運輸省に対しても、ぜひこれは買い取ってもらいたいし、そういう財源にしたいのだ、こういうふうに言っているわけですが、いま函館空港あるいは広島空港について、この土地を買い取った場合の金額はどれぐらいになるのか。運輸省。
  214. 佐野豪一

    佐野説明員 お答え申し上げます。  用地価格につきましては、いま自治省の方でお答えなされました公示価格以外の資料がちょっと手元にございませんので、一応それが参考になるのではないかと思います。
  215. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 運輸省にお尋ねしますが、函館市あるいは広島市が、具体的に数字を挙げて運輸省にぜひ買い取ってもらいたいというふうに言うてきているというふうに聞いているのですが、その辺についてはいかがですか。
  216. 佐野豪一

    佐野説明員 お答え申し上げます。  函館市の方から、市有地で空港に使っている部分を用地買収してくれという御要望は伺っております。ただ、価格等の点とか、いろいろほかの関係、空港の整備、実はこの空港は現在二千メートルございますが、ぜひ二千五百にしたいというような、これもいろいろな財政事情がございまして、まだはっきりどういうふうにするか、これから市の方ともよく相談したい、それで適切な処置をしたいというふうに考えております。
  217. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 私は、空港はその役割りからいきまして国の施設であるべきが本来の姿であろうと思うわけですが、地方財政の危機の解消という意味からも、広島市あるいは函館市の要求に対してはぜひひとつ善処していただきたい、こう思うわけでございます。  次に、農林省にお尋ねをいたします。  私の調査では、三千平方メートル以上の用地が三十六件、二百五十七万四千平方メートルというふうに、膨大な面積がまだ処置をされてないわけですが、農林省関係では、農業試験場、水産試験場、林業試験場あるいは多くの出先機関が地方に点在をしているわけです。これらの実態をまず明確に把握をして、財政秩序を正すために全施設に対して早急に処置をすべきだと考えるわけですが、一体この実態はどうなっているのか、伺いたい。
  218. 江上幸夫

    ○江上(幸)政府委員 おっしゃいましたように、全部で三千平米以上のもので、いろいろありますが、無償または減額で借りておるものが、土地の関係だけで言いますと、おっしゃるとおり三十六件、面積で約二百九十八ヘクタールあるわけですが、これらにつきましては、先ほど申しましたように、約半分につきましては、五十三年度におきまして予算措置を講ずるなり実行措置を講ずるなりということで対処いたすわけでございます。残りにつきましては、必要あるものにつきましては五十四年度に予算措置をするということにしておるわけでございます。  以上のようなことでございます。
  219. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 農林省が九州農業試験場、熊本ですが、明治四十二年以来熊本県から十二万九千七百四十一平方メートル、膨大な土地を無償で使用しておるわけですが、この件についてはどういう処置をされますか。
  220. 江上幸夫

    ○江上(幸)政府委員 おっしゃいましたように、熊本県から農業試験場用地としまして全部で百数十ヘクタール借りているわけでございます。これにつきましては、明治四十二年以来ずっと継続して借りているわけでございます。これにつきましては、法律の附則の規定によりまして、従前のとおりでよいのではないかというふうに私どもは考えております。
  221. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 建設省からの資料によりますと、有償にしなかった理由というのが出ているわけですが、手続が非常に複雑だということで有償にできなかった、それから建設省から要請をしてこれは無償にしてもらったとか、きわめて常識では考えられないような理由で無償になっている。これは私は各省庁にあるのじゃないかと思うのですが、建設省、これらの問題についてどう考えているのか。
  222. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 私ども関係地方公共団体から無償借り上げをいたしております土地につきましては、工事事務所が二十四件、五万一千八百九十一平米、宿舎敷地十三件、一・万六千五百二十七平米、三角点、水準点等、これは件数にいたしますと二万八千九百八十七件、これは御承知のように道路とか公園とか墓地とか、あるいは原野、牧場、山林等で一ヵ所当たりが〇・五ないし一平米程度のものでございます。そういう非常に零細なものでございますが、それが二万八千九百八十七件ございます。それから雨量観測所、水位観測所あるいはテレメーター等の施設、これが百五十件で一万八千百七平米、全部で件数にいたしますと二万九千百七十四件、面積が八万六千五百二十七平米でございます。  なお、建物につきましては、工事事務所が赤川ダム調査事務所というのが一件、七百五十平米でございます。それから試験場三件、これは二十三平米ですが、合わせまして七百七十三平米でございます。これらのうち、工事事務所、宿舎については河川工事あるいは道路工事等の工事、調査期間に必要な一時的な事務所等の敷地でございまして、早くやってくれというような地元の御要望で無償で借り上げているというのが実態かと思います。  それから、三角点とか水準点等につきましては、先ほども申し上げましたように、ある場所が道路とか公園とか墓地とか原野、牧場、山林等で、しかも一つの点でございますので、財産的価値についてどう評価したらいいか、あるいは地方公共団体等からの御要請もないというようなこともございまして、無償借り上げ、これは沿革的に大分長いことやっております。  それから洪水予知等のために設置されております雨量観測所等につきましては、これも学校敷地とか公園とか山林とか、公有地の一部を使用しているものでございまして、これらの観測データにつきましては、学校教材あるいは地方団体の河川管理のための資料としても提供されておりますこともございますし、あるいは提供面積が少ないというようなためにいままで無償で借り上げ、こういう扱いがされているのかと思います。  それから、このほかに道路敷地等がございますが、道路敷地等につきましては、これは御承知のように、道路というのは全体でネットワークとして機能しております関係上たとえば国道バイパスをつくるともとの道路が地方道になるとか、あるいは逆に現在地方道であった土地が国道に昇格をした場合には国が借り上げざるを得なくなる、そういう関係が非常に複雑錯綜しておりまして、これらは道路法の精神からいきまして相互に無償使用しておる。無償使用の関係は国の場合にはむしろきわめて例外的でございましてへ地方団体が無償貸し付けを受けているというのが大部分でございますが、そういった関係もございまして、面積については数字ははっきりしておりませんが、現状道路敷地について有償で借りておるものはない、こういうことでございます。
  223. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 建設省は一番件数が多いですね、約三万件近い数がある。これは役所の性質上、道路や土地の問題で地方自治体との間にいろいろな複雑な問題があることは私もよく理解しております。  ところで、お尋ねをいたしますが、建設省の土木研究所では京都、横須賀、名古屋、新井市などに実験施設を設置しているわけですが、これが無償になっている。この理由は一体何ですか。
  224. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 土木研究所が借りております施設で、いま御指摘のございました、たとえば新潟県の場合は、地すべり防止のための地域的な特性もありまして、その地元の御要望を踏まえての研究を行っておる関係で、無償で借り上げて、その研究成果は地元と共同で成果をいただいておるというような関係でございます。それから京都の鳥羽の処理場敷地内におきまして、燐、窒素、有機物除去を対象にしました三次処理場の実験のための関係施設を無償で借り上げておる事例がございますが、これは下水道部の担当課長が来ておりますので、そちらから御答弁申し上げたいと思います。
  225. 高橋進

    ○高橋説明員 お答えいたします。御指摘のように下水道関係で土木研究所の実験施設といたしまして、京都市の鳥羽処理場の敷地内、これは約二千百二十五平方メートル、それから横須賀市の下町処理場の敷地内、これは燐除去を対象にした三次処理実験でございますが、二百平米、それから名古屋市の西山処理場、これも敷地内でございますが、有機物、燐除去を対象にしました三次処理実験のため二百三十平方メートル、それぞれ無償で借り上げております。これらにつきましては、それぞれ市独自で施設をほかに設置いたしましたり、それから職員を配置いたしたりいたしまして、実質的には調査はいわば共同研究という体制で運用されておるわけでございます。  下水道につきましては、流入下水の性質によりましていろいろその処理の仕方が異なるわけでございます。これらの研究はもちろん全国にもいろいろ参考になるわけでございますが、特にその地元の当該処理場の水質改善のために非常に有益になるわけでございまして、それぞれの都市におきましてそういった三次処理のニーズがございまして、そういうことにも非常に有益なものである、こういう関係がございます。こういったことがありまして、地方公共団体との間でそれぞれ無償使用について合意に達している、こういうふうに考えておるわけでございます。
  226. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 最後に北海道開発庁からお願いします。
  227. 吉岡孝行

    ○吉岡(孝)政府委員 北海道開発局関係の事務所、事業所等の用地としまして地方公共団体から借り上げているものは百二十八件ありますが、そのうち百二十四件、二十八万三千七百四十五平米は有償で借り上げております。借り上げ料として五十三年度二千九百万円を予算に計上しております。残りの四件、三万四千五百十五平米が無償で借り上げておるわけでございます。この無償の四件はいずれも港湾建設事務所関係の用地でございまして、従来のいきさつから無償で借り上げてきているわけでありますが、港湾法の規定等との関係もありますので、今後関係機関と十分協議の上、所要の手続を要するものは手続をし、是正すべきものについては是正してまいりたい、こう考えております。
  228. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 いままで具体的に数字を挙げ、あるいは名称を挙げて質問をしてまいりましたが、いずれも各省庁とも膨大な件数あるいは面積がいまだに無償で使用されていることが明らかでありまして、これは再建法違反だということは明確でございますので、地方財政の健全化、あるいは財源不足という意味からも、ぜひとも各省庁におきましては姿勢を正していただいて早急にこの処置をしていただきたい。  と同時に、私は委員長にお願いがあるのですが、私が調査をした限りでは、建物は千平米あるいは用地は三千平米というふうに限度を決めて調査をしたわけですが、各省庁におきましてはまだまだ相当なものがあると私は思うのですね。これは地方行財政の立場からもきわめて重要な問題でございますので、各省庁から構造物、建物、土地についての全資料をこの委員会提出をしていただくように委員長からお取り計らいをお願いしたいと思うのですが、いかがですか。
  229. 木村武千代

    ○木村委員長 善処します。
  230. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 それから自治大臣にお尋ねをいたしますが、いま各省庁からの報告でおわかりのように、まだ膨大な土地あるいは構造物が無償で使われていることが明確になりました。ぜひとも国務大臣という立場の上からこの問題についてしかるべく善処をしていただきたいし、早急に対策を講じていただきたいと思いますが、大臣から御答弁をいただきたい。
  231. 加藤武徳

    加藤国務大臣 いま各省庁の報告を伺っておりまして、こんなにも多くあるものか、かような感を深ういたしました。これが是正に関しまして最大の努力をいたしたい、かように考えます。
  232. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 大臣から早急に対策を講ずるという答弁がございました。この委員会でも、地方自治体の超過負担の問題だとか、あるいは財源的に非常に苦しい地方団体の立場に立ってたびたび論議をされてまいりました。そういう上からも国と地方の財政秩序の維持ということ、これは私はきわめて大きな重要な問題だというふうに考えるわけでございまして、私どもも重大な関心を持っておりますので、ぜひとも政府の姿勢をここで正していただきたいということを強く要望申し上げまして、私の質問を終わります。
  233. 木村武千代

    ○木村委員長 中井洽君。
  234. 中井洽

    ○中井委員 大臣にお尋ねをいたします。  今回の地方財政財源不足に対する処置といたしまして、過日私がお尋ねをいたしましたときにも、あるいは当委員会のほかの議員の皆さんの御質問に対して答えられても、いわゆる交付税率あるいは地方行財政の改革というものを行わなかったのは法律違反ではないかという質問に対して、交付税率はいじらなかったけれども、行財政というか財政の改革を覚書のような形、今回の法案のような形で、十全ではないけれどもまあまあやったからいいのだ、こういうお答えをいただいたわけでございます。そうしますと、この覚書あるいは今度の法律の文章に、当分の間こういった制度を維持する、しかも、その当分の間あるいは地方税財政制度の改革というものが行われるまでこういう覚書のことをやるんだ、こういうことが書かれているわけであります。私はここのところはちょっとわからない。こだわるようで悪いのでありますが、交付税法の六条の三の二に書かれております地方行財政の改革あるいは交付税率の改定、こういったものと、この当分の間あるいは地方税財政制度の改革、こういうものとは一緒なんですか、それとも違うものなんですか、どういうふうにお考えですか。
  235. 加藤武徳

    加藤国務大臣 私が御質問を取り違えておるかもしれませんから、もしそうでございましたら御勘弁を願いたいのでありますけれども、私は地方交付税法六条の三の二は選択的な規定であるという理解をいたしておりまして、交付税率の引き上げを行いますのがオーソドックスな取り運びであることは法の精神からいたしまして当然でございましょうが、しかしいま一つ交付税率はそのままであっても、制度の改正を行うことによって地方財源の不足を補うことができるではないか、かような規定でございますので、私は選択的な規定であると解釈をしております。しかし、オーソドックスな取り運びはやはり交付税率の引き上げ、かように理解をいたしております。
  236. 中井洽

    ○中井委員 そのとおりなんです。そう言って選択的に制度の改革を行う、そしてこの法案あるいはこの財源対策を出された。その中に、「地方税財政制度の基本的改正が行われるまで」こういった形で償還をしていく、こういったことが書いてあるわけです。そうしますと、えらいへ理屈を言うようで悪いのですが、交付税のアップかあるいは行財政の改革かという二つの選択的なものの中で、行財政の改革という方をとられたのだったら、わざわざもう一度「地方税財政制度の基本的改正が行われるまで」こういうことをするのだというような、二重になるような形のものを出さずに、これで十分行財政の改革は行われておりますと胸を張って言えるようなものをなぜお出しにならなかったのか、こういうことをお尋ねしておるわけであります。
  237. 加藤武徳

    加藤国務大臣 選択的とは申しましたものの、しかし、組み合わせ方式だって考えられないことはございません。そこで、五十三年度の予算編成に当たりましては、最初は六・五%の交付税率のアップを行い、なおかつ不足するものにつきましては臨特等の処置をいたしながら、やむを得ず五十二年度のような借り入れもしなければならぬかな、かような考え方で臨んだのでありますけれども、結果といたしましては、御審議をいただいておりますようなルール化を行うことに相なったのでありまして、これはあくまで当分の間の措置でございますから、このことをもって十全な行財政制度の改正とは考えておらないのでございますけれども、当分の間はこの措置で対処いたしながら、なるべく早く基本的な行財政の改革をやってまいりたい、かように考えておりますので、いわば御審議いただいておりますものは最終的、恒久的なものではございませんで、表現どおり当分の対応処置、かように御理解いただければありがたいと思います。
  238. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、いわゆる基本的改正の中に交付税率のアップということも含まれると私ども解釈していいわけでありますか。
  239. 加藤武徳

    加藤国務大臣 そのことが当然含まれるとは言いがたいのでありますけれども、しかし、交付税率のアップをもあわせて解決をいたしたい。と申しますのは、端的な言い方をいたしますならば、国税三税の三二%ということでございますけれども、仮に対象税目を拡大することが可能でありますならば、税率はそのままでございましても、交付税の絶対額が大きく伸びることは御承知のとおりでございます。したがって、将来的には税負担の増を求めなければならないと思っておりますから、税負担の今後のあり方でありますとか、それから国の段階において新税を創設なさる等の場合、あるいは既存の税に交付税率をかけることができるような制度改正を行えますような、さようなことを総合いたしまして交付税率の問題にも決着をつけるべきだ、かように考えておる次第であります。
  240. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、交付税法六条の三の二の交付税率の改定あるいは行財政の改革、こういった言葉にかえて「地方税財政制度の基本的改正が行われるまで」あるいは「地方財政が好転」するまでという言葉が出てきておる。しかも、まあまあ言えば、自治省の考えておるのは制度とかそういうことではなしに、額的に、たとえば先ほどの大臣の御答弁で、交付税率そのものでなくても、国税三税以外の新しい項目が加わればそれでいい、あるいは交付税率をいじらなくてもいいじゃないかというお考えであるということは、いわゆる総額的に地方財源が確保できればいいというふうにお考えになっておるわけですか。
  241. 加藤武徳

    加藤国務大臣 そういう措置がとれればそれでいいではないかというイージーな気持ちでおるわけではないのでございまして、先ほど私が申しましたような総合的な措置をとることによって地方財源の不足額が生じないような体制をとっていこうということでございますから、終局の目的は、地方地方団体としてやっていかなければならぬ仕事が円滑に遂行し得ますような一般財源を確保いたすことがねらいでございますから、交付税率の引き上げのパーセンテージにこだわっておるわけではありませんで、さような姿を早く顕現いたしたいという気持ちであります。
  242. 中井洽

    ○中井委員 重ねてお尋ねをいたしますが、そうしますと、こういう改正案あるいは大蔵省との間の確認事項といったものもありながら、依然として自治省としては今後地方財源を確保していくために交付税率のアップというものを求めていくという方針には変わりはございませんか。
  243. 加藤武徳

    加藤国務大臣 交付税率一本というシンプルな形ではございませんで、先ほど申しましたように、総合的に解決をいたしてまいります中において交付税率のアップの問題をもあわせて取り進めていくということであります。
  244. 中井洽

    ○中井委員 ことし自治省は、地方財源の確保のために、交付税率のアップだけじゃなしに、先ほどからお話にもございましたように四つのことを柱に要求なさった、こういうことはわかるわけであります。しかし、今度の大蔵省、あるいは今度こういった形で出てきた処理の中で、たとえば公営企業金融公庫の問題等はこれから出さないという形になってきたわけで、私どもが心配をいたしますのは、こういった当分の処理がされたことによって、交付税率というものはいまのままで置いておくのだ、いじらないのだ、総額さえ保障すればいいのだといっだ考えが出てくるのじゃないかということであります。私ども自体としては、ここ当分いまの交付税制度が続く限り、やはり交付税率のアップというものを求めていかなければならないと考えておるわけです。それを全く根本的に抜いてしまったというような形にならないかということを心配しているわけであります。重ねて御答弁をいただきたいと思います。
  245. 加藤武徳

    加藤国務大臣 交付税率の三二%がいまのままで事が足りておるという考え方は持っておらないのでございます。ただ、制度改正交付税率の引き上げという短絡な考え方ではございませんで、たとえば三二%ではございましても、国税三税を国税四税なり何税なりに拡大することができますことをも努力をしてまいりますのと、片や地方税源充実もあわせて考えてまいりますので、さような措置と相まってこの問題の解決を図っていこう。ですから、決して交付税率の引き上げをあきらめているのではございませんで、総合的に解決をしていこうという基本の考え方でおる次第でございます。
  246. 中井洽

    ○中井委員 大変御丁寧な御答弁でありますが、ニュアンスを聞いておりますと、何か少し交付税率という問題から総合的な財源確保といったところへ移っていっているのじゃないか、今度の法改正そのものもそういう方向へ動いているのじゃないかという気が私はするわけでございます。もしそういうことで動かれているなら、私が前の委員会でも申し上げたように、思い切って交付税制度というもの全体を見直した議論をすればいいし、改革案をお出しになればいいと考えているわけであります。国、地方とも大変な財源難であるということはわかりますけれども、その財源難ももう四年続きであります。いつまでも小手先ということにこだわらずに、しかも金額だけが確保できればいいという考えにこだわらずに、思い切った改革案あるいは地方財源確保のための抜本的な改正、こういったものを先ほどの公明党の斎藤先生と同じくお考えになる、あるいは国会の議論の場へお出しになる、こういったことを私はやってほしいと思うわけであります。  次の質問に移りますが、先ほどのお話にもございましたことしの財源対策として、自治省は当初交付税率のアップ六・五%、あるいは石油新税というものを地方財政へ回す、あるいは外形標準課税、こういったものをお考えになって御要求をなすったようであります。そしてそれらがそれぞれ全部認められずに、こういった形で総額が確保された案が出てまいったわけであります。当初の自治省のその三つ、四つを中心とした改革案でこの三兆五百億に及ぶ財源不足がみんなカバーされておったわけでございますか、その点についてお尋ねをいたします。
  247. 山本悟

    山本(悟)政府委員 お答え申し上げます。  確かに御指摘のとおりに、自治省といたしましては交付税率の六・五%アップあるいは石油新税が一般財源化された場合にはこれを交付税対象にしたい、そういった各種の要求をいたしたわけでございますが、三兆五百億という非常に大きな財源不足額は交付税の六・五%アップといまの石油新税を交付税対象にするということだけではやはり賄い切れない額であったと思います。そういう状況を考えますと、今回とりましたような建設地方債の活用なり交付税会計における借り入れなりとしては残ってこざるを得なかったのではないか、かような感じもいたします。
  248. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、当初交付税率の六・五%アップ、石油新税の繰り入れ、こういったことでどれくらい財源が確保できるとお考えになっておったわけですか。それと足りない分をどういう形で処理しようとお考えになっておったのか、お聞かせをいただきたい。
  249. 山本悟

    山本(悟)政府委員 ちょっと数字を持っておりませんが、六・五%の交付税率のアップを要求いたしました基礎は、五十二年度の場合に要求をいたしましたとほぼ同様に例の中期試算をもとにいたしまして、その際に一般財源として足らなくなる額を交付税で割り返すというようなかっこうで六・五というものを一応想定して、その当時は国税三税が幾らになるかもわかっていない状況でございますので、粗っぽくそういう数字要求したわけでございますので、三兆五百億という大きな財源不足額を全部それだけでもって埋めるというわけにはまいらない。したがってその場合には、交付税率がアップされましてもなお残る部分については、やはり三兆五百億という財源不足は何らかのかっこうですべて穴が埋まりませんと五十三年度地方財政自体の運営がつかなくなるわけでございますので、そのためには地方債の増発も必要であるし、場合によっては交付税会計の借り入れもなお一部残さざるを得ない、こういうようなことは頭に置いていたところでございます。
  250. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、六・五%を要求をした基本的な理念とか哲学とかそういうことなしに、ただ中期財政計画から逆に足りない分を割り戻してやった、これだけでございますか。
  251. 山本悟

    山本(悟)政府委員 ただいま申し上げましたように、予想される三兆を超える——当時まだ五百億まで決まっていたかどうかは別でございますが、三兆になるであろうと思われるような大幅な財源不足額を交付税の増ということでもってのみ措置することはきわめて困難ではないか、これは大変大きな率になってしまうのではないか、かような想定は気持ちとして持っておりました。
  252. 中井洽

    ○中井委員 そうすると、自治省が六・五と要求された計算の基礎は何でございますか。
  253. 関根則之

    ○関根説明員 当時予想いたしておりました国税三税の対象額を十六兆五千億程度と見ておりましたので、交付税率を六・五%引き上げますと一兆七百億円程度の交付税の増になる、こういう計算をいたしたわけでございます。  なお、六・五%そのものがなぜ出てきたかということにつきましては、先ほど局長が答弁したとおりでございます。
  254. 中井洽

    ○中井委員 先ほどからの御討議もいろいろあったわけでありますが、その答弁の中で、なぜ思い切った財政改革というものをやらなかったのかということに対して、あるいはまた、こういう改正案を出してこられたということに関して、大臣は、経済が非常に流動的である、あるいは国の財政が困難である、この二つのことを考え自治省のいわゆる要求というものを取り下げたような形でこういった妥協案を十全ではないけれども出した、こう理解するわけでありますが、経済の安定を待って改革をするというお考え、あるいは交付税率の問題をいじるというお考えのようでありますが、四年続いてこういう経済状態であるということは、もう当分こういった状態を覚悟しなければならない、私はこう考えるわけであります。そのときにいつまでもこういう暫定的な赤字続きの地方財政というものであっていいのかどうかということを心配せざるを得ないわけであります。  大臣のおっしゃるいわゆる経済の安定というのはどういう状態を言われるのか、あるいはどういう状態であれば経済が安定したと考えられ、行財政あるいは地方財政の改革というものに乗り出されるのか、その点をお尋ねいたします。
  255. 加藤武徳

    加藤国務大臣 経済企画庁がいわゆる暫定試算なるものを示しておりますけれども、この暫定試算によりますと、GNPの伸びがおおむね一二%前後毎年伸びるであろう、そして経済成長率も六%ないし七%と、かような数字を示しておりますけれども、五十三年度が山場でありまして、五十四年度からはいわゆる安定成長段階に入ってまいろうか、かように思っておるのでありますから、当分の間と申しましてもそう長い先のことではない、私はこういう理解をいたしております。
  256. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、いわゆる経済成長の面だけで大体七%前後あるいは名目の一二%、こういった形で二、三年落ちつけば安定した、このようにお考えになるということでございますか。
  257. 加藤武徳

    加藤国務大臣 順調に推移いたしますと、五十四年度くらいからは安定した状況が生まれてくるのではないか、私はかように考えております。
  258. 中井洽

    ○中井委員 しかしそれは、安定をすると言っても地方財源が不足を生じる、生じない、こういったことではないわけです。いまのままでいけば、たとえば過日の中期試算でもずっと財源不足が続くわけでございます。そういったときに本当にこのような形で総額さえ確保すればいい、そして利子がついてないので五年据え置きの十年返還ですか、返す分は半分返すのだ、こういうことでありますが、こういう不規則な状態というものをいつまで繰り広げるのか。私どもは、去年も不規則な形、ことしはその不規則なものを国が返す分をちょっとふやして法律化した、しかも当分の間という一定の期間を決めたということを非常に心配しているわけであります。このことによって行財政の改革も行われない、交付税率の変更も行われない、そして毎年地方財源不足は生じる、こういったことで本当にいいのかどうか、そのことを心配しているわけであります。したがって、こういった措置措置として、自治省自治省なりに思い切った地方財源確保のためのいろいろな考えというものを打ち出していく、つくっていく、こういうおつもりはございませんか。
  259. 加藤武徳

    加藤国務大臣 経済が安定的に成長する段階に入ることができたといたしましても、従来のような高度成長の姿は期待すべくもないのでございますから、したがって、税収が毎年自然増が大幅に増加する、かような状況はむずかしいと思うのであります。依然といたしまして地方財政が非常に逼迫した状況下に置かれておる、このことは明らかであろうかと思います。  そこで、先ほども答弁いたしましたように、税調の議論にいたしましてもあるいは地方制度調査会の議論にいたしましても、なるべく早く抜本的な体制をとらなければ、その解決がおくれればおくれるほど次第にむずかしくなってくる、かような指摘でございますし、私どももまたそういう考え方を持っておるようなことでございますから、当分の間いまのようなルール化を行おうとはいたしておりますけれども、このことで硬直状態になってしまいますことは、地方といたしましては好むところではないのでございますから、なるべく早い時期に行財政の基本的な改正を行うべきだ、こういう姿勢で取り組んでまいるつもりでございます。
  260. 中井洽

    ○中井委員 私はその中で一つだけお願いをしたいことがございます。  先ほどの御答弁にもございましたし、いまもあったわけでありますが、たとえば税制調査会あるいは地方制度調査会といったところへ諮問をする、あるいはこういったところの考え方はこうだ、あるいは他の委員会におきましても、いろいろな制度調査の委員会といったものの答申を待ってから、こういう答弁が返ってくることは私非常に多いような気がするわけであります。私は一年生議員で大変生意気なようでありますが、やはり国会というものはそういったことを責任を持って審議すべきだ、議論すべきだ、このように考えるわけであります。したがいまして、私どもも、国がこういう状態で大変であるということであるならば、過日も申し上げましたように、ある条件をつけて増税ということに向かって議論をするのもやぶさかではないと思うのでございます。ひとつ恐れずにそういった調査会も——それは大変学識豊かな人も多いわけであります。しかし、何か官公庁あるいは政府の隠れみのみたいな形で、国会で議論がなされないということは非常に残念であると考えるわけでございます。大変な危機であるのは各党あるいはすべての人が認識をしているわけであります。これをどう打開していくかということについて積極的な議論が行われる、皆さん方もたたき台を幾つもお出しになればいい、このように考えているわけでございます。  ひとつ大臣、ここ数ヵ月の御答弁を聞いていますと、非常に誠実な御答弁をいただいているわけでございます。私は自治省なりのたたき台でいいと思います。それをみんなで議論をしていくというのが地方財政に対する私ども一つの役目だと考えるわけでございます。ぜひとも早急におつくりをいただいて国会へお出しをいただく、試案でも何でも結構、お出しをいただいて議論の対象にしていただく、こういったことをお願いしたいわけでありますがどうでございますか。
  261. 加藤武徳

    加藤国務大臣 審議会等を隠れみのにいたしますようなつもりはみじんもございませんですが、税制調査会にいたしましても、いまおっしゃいましたように学識経験豊かな方に御就任願っておりますのと、地方制度調査会には各政党の代表も参加してくだすっておられるのでございますし、かつまた、総理の諮問機関で権威のあるものでございますから、この方々の御意見は尊重していかなければなりません。同時にまた、国会の論議を通じまして、私どもも非常にいい勉強になり、また示唆に富む御提言等もずいぶんあるのでありますから、そういうことをしっかり踏まえてまいらなければならぬと思うのであります。ただ、たたき台を出せとおっしゃいましても、国会でたたかれっ放しでは本当に困るのでございます。しかし、できるだけの誠意を尽くしてやってまいる、かようなつもりでございます。
  262. 中井洽

    ○中井委員 では、もう一つこの法案についてお尋ねをいたします。  先ほども申し上げましたけれども、いわゆる借りたお金を五年据え置き、十年で返していく、こういうことである。これが非常に後年に負担をもたらすのではないかという心配をいたしております。来年ももしこういうことになれば、また借りていって返していく、こういうことである。そうしますと、四年か五年の間は返還がないわけでありますからいいわけであります。こう言っては悪いですけれども、前にお並びになっておる方は大体役所をおやめになっておられる。議員の中にもおやめになっておられる方がいるかもしれない。私はせいぜい長いこと当選してこようと思っておりますから、またそのときにどうするのかという処理をしなければならない。そういったことは将来十数年後負担にならない自信が十分おありでございますか。
  263. 山本悟

    山本(悟)政府委員 交付税会計におきます借り入れも非常に多額になっているのは御指摘のとおりでございまして、従来のように二年据え置き八年償還、これは五十二年度までそれであったわけでございますけれども、そのやり方でありましては非常に急激に償還財源がふえてくる。そういった事態に対応いたしますために、御指摘のとおりに、五年据え置き十年償還というぐあいに延長を大蔵省と折衝して認めさせたわけでございます。  それにいたしましても、やはりふえていくじゃないか、これはまさにそのとおりでございます。ただ、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、こういったような体制でいかなければならない状況というのが五年間も続くというような状況では、国も地方も財政としてはもうやっていけないような状況になるのではないかと私ども思うわけでございます。この点は、例の中期試算におきましても、五十七年を目途にいたしまして、そのときは、国の方は特例公債がなくなる、地方の方も財源不足額がなくなる、要調整額がなくなる、こういうような想定のもとに経済運営というのも行われるということが考えられているわけでございまして、そういう意味では、非常に長い期間同じようなことが繰り返されるということではどうにもならないことではなかろうかというように存じているところでございます。
  264. 中井洽

    ○中井委員 もっと議論したいわけでありますが、私も皆さんと一緒にこういった状態が長く続かないことを祈るということでこの問題を終えたいと思うのですが、もう一つだけ聞かしていただきたいのです。  いわゆる返す分について、国と地方自治体とが半分ずつである。これの根拠は何かという数回の論議において、国と地方自治体は車の両輪である、こういうお答えがたびたびあったわけであります。私はこれが納得できないのであります。交付税三二%、これしか地方自治体に回さぬで、返す分だけ半分ずつ。端的に言うたらいろいろあります。返す分だけは地方自治体は半分ずつというのは、ちょっと私は納得できない。この半分に対する明確な法的論拠あるいは理念というものをお聞かせいただきたいと思います。
  265. 山本悟

    山本(悟)政府委員 国税地方税といたしまして国民の方々から税として納めていただいておりますもの、その中をさらに分けまして、国税といたしましては地方団体に対して交付税あるいは譲与税というかっこう一般財源として支出いたしておるわけでございます。それらの国税地方税を通じての全体としての一般財源交付税、譲与税というものを操作をいたしました結果で配分し直してみますと、国と地方との割合がほぼ五〇、五〇。正確に申し上げますと、五十年ないし五十一年あたりでは地方の方が五一・九とか、その程度の率でございまして、ちょっと地方の方が多いという程度でございますが、大まかに見ますれば、一般財源の分け方、使い方というのは、交付税制度、譲与税制度を通じました結果としましては五〇対五〇である。したがって、その配分比率というものを変更しないで、負担というものについても、一般財源が足りないのだからその一般財源の足りない分を持っていこうということが、この二分の一といたしましたところの根拠でございまして、単純にばさっと半分というだけのものではないことは御理解賜りたいと存じます。
  266. 中井洽

    ○中井委員 税全体の使用の配分が大体五〇、五〇である、こういったことも私も承知をしておるわけであります。そういうことであるならば、将来の財政制度の改革のときに、ぜひ地方自治体では自分のところで五〇%きちっと確保できるように改正というものを目指していただきたい。取るのは余り取る権利はない。ここの委員会でいろいろな法案を決めてそして取る。国税のうち三二%しか来ない。借金は二分の一ずつ分ける。そして、理由は何かといえば、使っているのは半分ずつじゃないか。これは地方自治体が気の毒だと私は思うのです。こういった状態を繰り返していくならば、いっそのこと、先ほども雑談で話しておったわけでありますが、あるいはまた私去年初めての質問のときに地方税みたいなのは全部税務署に取ってもらったらどうだという質問をしたわけですが、全部国で取ってもらって半分ぽんと分けてもらった方が、よほど地方自治体はあっさりしていい。私は暴論でありますけれどもそういったふうに考えるわけであります。今日の地方制度ができてもう三十一年であります。地方制度というものはそろそろ実情にうんと合わない面が出てきた。あるいは地方交付税制度自体がこういったごまかしをしなければならないといった状態で、事実上崩壊をしていると言ってもいい状態であるということを考え、繰り返すようでありますけれども、思い切った行財政の改革というものにお取り組みをいただきたいと思います。  もう一つ。先ほど、ことしの予算あるいは財政というものはうまいこといくように祈る、このように申し上げたわけでありますが、何ぼ祈っても不安なものは不安でございまして、去年と同じく税収の落ち込みというものがあらわれたらどうするのか、こういった点について簡単にお尋ねをいたします。この地方財政計画の中で、収入の見込みというものが大体予定どおりいきそうだ、あるいはひどく落ち込みそうだ、こういったものがいつごろになったらわかりますか。
  267. 山本悟

    山本(悟)政府委員 本年度地方財政計画におきます税収見込み、特にそのうちで景気の変動を受けやすい法人関係諸税、これらにつきましては、経済計画といたしましては七%成長を目指しているわけでございますが、当然タイムラグがあるということを念頭に置きまして、昨年度とほぼ横ばいというような程度の収入見込みしか立てていない、こういったような状況でございますので、現時点におきましては、もちろん財政計画計上額が確保されるものとわれわれは想定をいたしているところでございます。ただし、もしもされない状況というのがいつかの時期にわかるというようなことになった場合には、過去の数年の例もあるわけでございますが、地方財政に支障がないように、私ども地方財政を担当いたしますものとしては、措置することにつきまして万全の対策を講じなければならない、このように存じます。
  268. 中井洽

    ○中井委員 万全の措置を講じていただくのは大変ありがたいのですが、質問は、いつごろになったら大体見通しがつきますか。七月ぐらいですか。
  269. 山本悟

    山本(悟)政府委員 上期の決算というか中間決算ですか、ああいうものの見込みが出てまいりませんと、やはり大きな税目でありますところの法人関係諸税の動向というものが非常に判定が困難であろうと思います。したがいまして、七月とおっしゃられても、なかなかむずかしいのではなかろうかと存じます。
  270. 中井洽

    ○中井委員 何月ですか。
  271. 山本悟

    山本(悟)政府委員 九月決算というものが判明をいたしますのは十一月末というようなことでございますので、その辺のところはそこそこのところになりはしないかと存じます。
  272. 中井洽

    ○中井委員 それではほかの質問に移ります。  きのう、おととい新聞をにぎわしております東京都の勤勉手当問題について簡単にお尋ねをしたいと思います。  何か承りますと、知事と労働組合との話し合いの中でまあまあ勤勉手当を出さないという方向へ動いているというふうに聞いているわけであります。過日東京都が五百五十億の起債というものを認めてもらうときに自治省に対して財政健全化計画というものを出されたと思うのでありますが、その中にこの勤勉手当というものは含まれておったのでありますか。
  273. 山本悟

    山本(悟)政府委員 東京都は本年の二月十三日に財政健全化計画自治省提出してまいったわけでございますが、その内容は、昭和五十二年度におきまして、当時といたしましてこのまま推移いたしますと約二千三百五十億円の実質赤字が見込まれる大変な状況になるので、このため都自身が五十二年度において約五十六億円、五十三年度において六百二十億円、合計いたしまして六百七十六億円の財政健全化の措置を講じたい、しかし、それだけ講じましてもなお巨額の財源不足があるので、減収補てん債のほかに特別の財政措置として健全化債五百五十億円の許可を要望したい、こういう内容であったわけでございます。したがいまして、都が当時提出をいたしてまいりました健全化のための措置六百七十六億円の内容というものは、高等学校の授業料など各種の使用料手数料改定、これは引き上げでございますが、あるいは職員の給与につきまして一年間の昇給延伸、こういったような内容を主たるものといたすものでございまして、いま問題になっております勤勉手当の上積みというようなものはもちろんその中には含まれていないと存じております。
  274. 中井洽

    ○中井委員 各地方団体が、たとえば赤字再建団体に突入をする、あるいは起債というようなことで御無理をお願いするというようなことで自治省と話し合いをする場合には、私、もっと詳しく聞かれると思うのですよ。東京都の財政健全化計画のその部分だけ知っておって、ほかは知らなかった、ほかは見なかったとはちょっと納得できないのですが、どうです。
  275. 山本悟

    山本(悟)政府委員 五十三年度の東京都の予算におきますところの期末勤勉手当、東京都で言えば期末手当は四・八ヵ月分を組んでいると思います。したがいまして、そういったような意味でのプラスアルファ的なものというものは予算にも計上はされていないと存じております。
  276. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、私は地方議会出身じゃないのでわからないのでありますけれども、東京都の場合に地方議会が済んでこういうものが出されたということであります。自治省にそういった計画を出して、その中にも含まれていない、あるいは議会でもだれも知らない間に地方自治体というのはあれだけの金が動かせるのですか。大変素人で悪いのでありますが、お答えをいただきたいと思います。
  277. 関根則之

    ○関根説明員 東京都につきましては、勤勉手当、新聞で報道されたようなものを出したわけではございません。出すことについて組合との間にいろいろの話があった、そういう段階でございます。もちろん財政執行面におきまして、予算上の措置といたしましては五十三年度予算が成立いたしておりますので、その範囲内であれば、会計上支出は可能であろうと思いますが、いまだ出したものではないということでございます。
  278. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、仮定の問題でお答えをいただくとまたおしかりを受けるかもしれませんが、もし東京都があれを出しておったとした場合に、自治省としては説明を受けるなり、あるいは好ましくないという声明を発表することになったとお考えですか。
  279. 関根則之

    ○関根説明員 まず財政問題としてお答え申し上げますが、もし出したといたしますと、財政運営上はきわめて不適当な支出であると思います。
  280. 中井洽

    ○中井委員 各地方議会において理事者と労働組合との間にいろいろの話し合いが行われて約束がされる、私どもはそれはそれで当然のことだと思います。しかし、残念なことには、中には議会人も知らない、議会にもかけられずにやられるというような問題がある。特に金銭を伴う問題であるということを聞くわけであります。たとえば議会がそういったことを後で聞いたとして、それを議会で否決をしてやっていく場合に、労働組合との労働協約問題があるじゃないか、議会は介入できないじゃないか、こういった議論もあるわけでありますが、これに対して自治省としてはどういう見解をお持ちでございますか。
  281. 塩田章

    ○塩田政府委員 お答えいたします。  給与関係は、現在、御承知のように条例主義になっております。したがいまして、条例に基づかない支給はできません。組合との間に合意ができておりましても、その合意は条例に反するものであっては当然支給できません。議会の方は、逆に言いますと、条例に基づいた支給であれば、これまた議会は何も言うことがないということになります。その適否の判断あるいは条例の適否の判断等はすべて議会の権限でございますから、議会が議会の活動として正式に活動される限りは、いわゆる労使間の合意に対する介入とかいった問題ではなくて正規の議会活動である、こういうふうに考えます。
  282. 中井洽

    ○中井委員 それでは次の質問に移ります。  過日、成田の問題で集中審議が行われたわけであります。わが党も山本議員が代表して質問いたしたわけでありますが、その中で二、三、私ども不思議な点についてお時間をいただいてお尋ねをしたいと思います。  きょうの新聞で成田空港事件で百六十五人ですか逮捕され、そのうち新しく二十一人の氏名が発表をされたわけであります。承りますと、その中に地方公務員、郵政の職員の方が五人おられる、こういうことでございます。前の氏名のわかった八十六人のうち地方公務員の方が二人おられる、こういうことであります。私は、本日、地方行政の委員会でありますから、この逮捕された中に地方公務員の方がいままでわかっている中で一体何人おられるのか、そしてどこの地方公共団体の職員であるのか、これをお教えをいただきたいと思います。
  283. 三井脩

    ○三井政府委員 公務員等といって十四名現在までにはっきりわかっておりますが、そのうち地方公務員は東大阪市役所の勤務の二名がはっきりしておるものでございます。
  284. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、きょう発表された二十一名の中に入っているというのは新聞の間違いですか。地方公務員と郵政職員五人と書いてあったのですけれども、その中に入っておるというのは間違いですか。
  285. 三井脩

    ○三井政府委員 きょう発表の二十何名というのはちょっとはっきりいたしませんけれども、公務員関係は全部で十四名でございまして、そのうち国家公務員、地方公務員、それから公社関係というように分かれておりますが、公社関係が一番多くて、国家公務員が一名、地方公務員が二名、こういうことでございまして、なお若干地方公務員がふえるのではないかというあれがございますけれども、まだはっきりいたしておりません。
  286. 中井洽

    ○中井委員 逮捕された人、氏名がわかり次第全員発表しているわけですか。
  287. 三井脩

    ○三井政府委員 事案の性質によりまして、一般的には発表しないわけでございますけれども、今回の事案の悪質性ということにかんがみまして世間の関心等にこたえるという意味で発表いたしておりますが、もとより制約がありまして、法的な制約としては少年は発表してはならないというように法律で決まっておりますし、その他の問題に  つきましてはそういう制約はありませんけれども、捜査上の制約がありまして、身元はわかったけれども本人の居宅あるいは関連のところを捜索しなければならない、こういうものがまだ終わっておらない者につきましては、それが終わるまではまだしばらく名前の発表は差し控えておる、こういうことでございますので、わかった数よりも氏名を発表しておる方が少ないという時間的ずれはございます。
  288. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、いま逮捕された中でわかっておる東大阪市の二名の地方公務員の方、この方に対する東大阪市の行政処分というものはどういうものであるか、お聞き及びでございますか。
  289. 三井脩

    ○三井政府委員 結論から申しますと、処分の内容はまだ聞いておりません。ただ、御存じのように、本人に逮捜前歴がありますとすぐにわかるのですけれども、それがない人の場合には、職場の上司等を中心によく面割りその他いたしますので、事実上は職場の上司は知っておるということになるのですが、その後のことはまだこの二人については聞いておりません。
  290. 中井洽

    ○中井委員 自治省も聞いておられませんか。
  291. 塩田章

    ○塩田政府委員 私どもの承知しているところを申し上げますと、四月六日に警察を通じて二人の名前がわかりまして、四月八日に直属の上司である職員部次長と人事課の係長が現地に行きまして本人を確認しております。そして、四月十日以降、内部で現在どういう処理をするか協議をしておるという段階で、まだ処分をしたようには聞いておりません。
  292. 中井洽

    ○中井委員 こういった処分に関して、何か地方公共団体の統一的なものがあるのですか。それとも各地方公共団体ばらばらに任されているわけでありますか。
  293. 塩田章

    ○塩田政府委員 どういう場合にどうというふうな統一したものは別にございません。ただ、過去のいろいろな事例を私ども承知しておりますから、いろいろ照会があったときに、こういうふうな場合にはこういうことがあるというようなことはいたしておりますけれども、統一したものはございません。
  294. 中井洽

    ○中井委員 私は、こういう地方公務員の方というのは、どういう法律があるかははっきり知りませんが、地方公務員法の精神とかそういったことにのっとっても、もう即刻首である、これはあたりまえだと思うのでありますが、いまだに処分されていないというのはどういうことでありますか。
  295. 塩田章

    ○塩田政府委員 先ほど内部で協議をしておるというふうに申し上げましたが、警察からいただきました情報で二人わかりましたけれども、具体的にどういう行為をしたかがまだわかっておりません。いま、そこを調べておるという段階でございます。
  296. 中井洽

    ○中井委員 警察にお尋ねをいたします。  この逮捕された二人の東大阪の職員は、過激派の中の何という団体に所属をしておるのでありますか。
  297. 三井脩

    ○三井政府委員 赤いヘルメットをかぶっておりまして、赤はセクトが幾つにも分かれますので、逮捕前歴がございませんので、ちょっといまのところわかりかねております。
  298. 中井洽

    ○中井委員 成田闘争のあの空港事件のときに、いわゆるセクトに所属をしない一般の人たちがヘルメットをかぶって出てくるなんということはあり得ないわけでしょう。どうですか。
  299. 三井脩

    ○三井政府委員 すべてセクトに所属するか、それに同調する人たちと考えております。
  300. 中井洽

    ○中井委員 私は、これは地方行政委員会だから、地方公務員の方二人だけについて処分のことをお尋ねしているわけでありますが、議会制民主主義をいわゆる暴力で、革命で破壊しよう、こういった団体に所属をしている。私は、そういった考えを持つ人が公務員であって悪いとは申しません。考えを持っておったっていいわけです。しかし、公務員たるもの、あるいは公社職員たるものは、どういった考えを持っておろうと、法律にのっとって、国の法律あるいは地方法律で決まったことを実行していくのが務めである、このように考えるわけであります。国あるいは地方公共団体の決めたことを、そこに勤める方々が実力で、暴力でもってぶち壊していく、あるいは武力革命を目指して行動される、こんな人にいてもらう必要はさらさらないんだと考えるわけであります。皮肉な言い方をすれば、名誉ある革命の戦士に何もわざわざ月給を出すことはないわけであります。やめてもらえばいいのであり、また、彼らも本当に革命を目指すならば、堂々とやめればいいんだというふうに思うわけであります。ひとつ毅然たる処分をとっていただくように、自治省の御見解をいただきたいと思います。
  301. 塩田章

    ○塩田政府委員 地方公務員法の第十六条に公務員としての欠格条項がございますが、その第五号に、いまお話のございましたような暴力団体に入った場合、あるいはこれを結成した場合は欠格条項であるという規定がございます。したがいまして、そういった関係がはっきりすれば、もちろんこれはもう当然に欠格になりますし、一般的にこういった違法行為に対しまして厳正な処分をするように強く指導してまいりたいと思います。
  302. 中井洽

    ○中井委員 それと、もう一つわからないことがありますので、自治省にお尋ねいたします。  この二人の方が東大阪の職員じゃないかということがわかった段階で、新聞を見ますと、東大阪の市役所の方が、当人たちの年次休暇届が三十日ぐらいまで出ている、その後出てこなかったら家族の者が年次休暇を延ばした、したがって何かで休んでおると思っておったのにつかまったのでびっくりしているというような談話があったわけであります。  大体、地方自治体あるいは国家公務員あるいは公社等の——そこまでお答えいただく必要はないのでありますが、地方公共団体の年次休暇というのは、家族が申請をすれば何ぼでも延ばして、範囲内ならとれるのでありますか。その点をお尋ねいたします。
  303. 塩田章

    ○塩田政府委員 年次休暇をとります場合に本人が出すことは、これはもう当然でございます。ただ、いろんな、たとえば病気でありますとかいうこともございますから、例外がないとは言えませんけれども、原則として本人が出すべきものであるということは申し上げるまでもございません。  ただ、今回の場合、いまお話のございましたように、家族が出しておる。初めは本人が出したのですけれども、延期につきまして家族が出しておるという事情は、そのとおりでございます。
  304. 中井洽

    ○中井委員 ひとつ自治省地方公務員のいわゆる規律、こういったものに関して毅然たる態度で指導というものをしていただきたい。このことを重ねて要求をしておきます。  あともう一点、警察にお尋ねをいたしますが、過日の空港事件のときに、管制塔へ三十人の方が侵入をした。それに対して管制塔に二十人の方が守っておられたというか警備をされておったというふうに承っておるわけでありますが、この二十人の方は機動隊員でございますか。
  305. 三井脩

    ○三井政府委員 事実関係はちょっと違うかもしれませんが、マンホールから出てきた犯人が二十人、警察官側が三十人……(中井委員「警察の方が多かったのですか」と呼ぶ)多いわけでございます。あちこち守っておりましたから、三十人が分かれて管制塔の中、外を。これは、空港署員が二百何名おりますが、そのうち三十名一個小隊を当日の警備部隊として編成したものでございます。
  306. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、空港署員でありますからピストルを持っておったわけであります。どうして威嚇射撃をしなかったのでありますか。
  307. 三井脩

    ○三井政府委員 結論を申しますと、空港署員、この三十名の中で十四発威嚇射撃をしております。もう一人、パトカーに乗っておった空港署員、これはこの部隊と別ですが、これが四発、十八発あの周辺で撃っておるわけでございます。
  308. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、何か人数を忘れたですけれども、入り口で五人ほどつかまえて、エレベーターの段階で五人ほどつかまえた、あと残りはエレベーターへ逃げられた、それを階段で追っかけていった、こういうことであります。そのエレベーターが、何か途中で乗りかえるのですか、七階くらいで。それをあれだけれども、ずっと十六階まで追っかけていった。十六階まで行ったらだれもいなかった。どうして一階と七階で、何階でエレベーターがとまるか見ていなかったのですか。犯人が何階でおりるかを一階か七階でどうして見ていなかったのですか。エレベーターは表示がつくでしょう。
  309. 三井脩

    ○三井政府委員 一階はエレベーターのありますフロアでございますから、ここで十五名が侵入したときに五名を逮捕いたしましたが、十名は、ちょうどエレベーターが着いてあいておりましたので、それに乗って上へ逃げたということでございます。当時全体として、いまお話しの七階とかその他の階にはガードマンと警察官の遊動警戒はありましたけれども、七階で彼らがおりたときにはその階にはちょうどおりませんでした。したがって、そこから乗りかえて十三階まで行き、十三階から先は階段を十六階まで連中は上がったということでございます。
  310. 中井洽

    ○中井委員 私が言ってますのは、七階で乗りかえるのでしょう、乗りかえたわけでしょう、結局何階でおりたかわからぬわけでしょう、お巡りさんだれか一人ちょっと機転をきかして、何階でおりるかエレベーターの表示を見ておったらわかったやないかと言うのです。エレベーターのとまった階数は見てなかったのでしょうと言っているのです。
  311. 三井脩

    ○三井政府委員 エレベーターは一階から十六階まで直通のものと、それからあとは一階から七階まででそれから乗りかえるものとあるわけで、直通のものはとめて動かしておりませんでしたので、いまのは七階しか行かないやつを七階で乗りかえた、こういう趣旨でございます。
  312. 中井洽

    ○中井委員 私がきょうここでお尋ねしていますのは、成田空港の事件について私は政府にも文句を言いたいこともたくさんあります。運輸省にも言いたいことがあります。公団にも言いたいことがいっぱいあるわけであります。しかし、これは地方行政の委員会でありますから、警察の警備にも少し手落ちがあったのじゃないか、あるいはのんき過ぎたのじゃないか、心臓部を守っているのに。今度五月二十日に開港するのでしょう。問題はいろいろあろうと、警備を任されたらきちっと警備をやってもらわぬと困るわけであります。したがって、そういったことで何であんなことをやられたのかわけがわからぬ。警察もそういったミスをした理由というものはきちっと、ここでこういうミスをしたじゃないか、こういうミスをしたじゃないかというのをやはり一つの事件ごとに確かめて、次の警備あるいは次のいろいろな捜査のときに生かしていくということでなければならぬと思うのであります。私、自己宣伝して悪いのですが、推理小説同好会というのに大学時代ずっと入ってまして、推理小説や警察やらそんなのばかり読んでいた時期がございます。そういうことを非常に細かく聞いて恐縮なんですけれども、要するにエレベーターで犯人が行ったときに何階でとまるかだれも見てなかった、こういうことですね、追っかけるばかりで。
  313. 三井脩

    ○三井政府委員 そういう意味では、とまるのをじっと一階で見ておらなかった、直ちに駆け上がっていったということでございます。
  314. 中井洽

    ○中井委員 テレビの探偵小説を見ていると、エレベーターで逃げられたら必ず見ますよ。それから、このごろは犯人の方が賢くなって、自分のおりる階数より一階か二階上か下でおりて歩いたりするというようなところまでいっているわけであります。それぐらいの機転をひとつきかしていただきたかったと思います。  それからもう一つは、エレベーターで管制塔へ上っていかれたときに、現場の責任者から本部へどういう連絡があったのか、あるいはいつ本部へ現場の責任者から過激派が侵入したという連絡があったのか、そこのところをお尋ねいたします。
  315. 三井脩

    ○三井政府委員 管制塔のありますビルには十五名が入りましたので、一階で五名を逮捕しましたということで、この段階では署に連絡はいっております。五名を追尾したのはマンホールのところから追尾してきた警察官と、それから署の方におった警察官が中を通って管制塔に来れますからこっちへ来ました。この両方で協力して逮捕いたしましたので、上に上がったということは直ちにわかりました。ただ、お尋ねの上へ上がった十人が十六階の狭い意味の管制室に入って壊しておるという時期はもうちょっと後でございます。つまり、三十名が追いかけていって、見たけれどもいなかったというようなことがあって、また下におりてくるというようなことがありましたので、十六階に入った時期の警備本部への通報の時期はもうちょっと後でございます。
  316. 中井洽

    ○中井委員 私はちょっと違うことでお尋ねをしておるのであります。管制塔で警備をしていた署の責任者は次長さんだったそうであります。次長さんと本部との連携というのが十分とれておったのかということをお尋ねしているわけであります。過日の山本議員の質問のときにも私らそばで聞いておってどうしてもわからなかったのは、テレビで映り飛行機が見つけているにもかかわらず、警察隊がそこへ行ってなかったというのは何か管制塔の警備の方と本部との連絡というものが少し悪かったのじゃないか、あるいは管制塔を守っておられた三十人の方が自分たちの責任でつかまえるのだということで応援部隊等を呼ぶのが少し遅かったのじゃないか、そんな気がするのでありますが、そういうことはございませんか。
  317. 三井脩

    ○三井政府委員 次長を長とする空港署員三十名がこの十五名を追いかけたのはもう非常に早い時期でございます。したがって、空港署長以下はこのことは、同じ建物の中におるわけでございますから、知っておりました。それで、警備本部がこの状況を知り部隊を手当てするといいますか、他におる部隊を転進させてさらに増強するという時期はそれより後になっておりますので、時間的に申しますと二十分かあるいは三十分ぐらい遅い時期ではないかと考えております。
  318. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、管制塔を襲撃されたときに直ちに連絡がいかなかった、これをひとつお答えをいただきたい。  それともう一つ、三機飛んでおったという機動隊並びに千葉県警のヘリコプター、ここへの連絡がどの時点でいったのか、この二つをお尋ねします。
  319. 三井脩

    ○三井政府委員 管制塔に入ったのを見た近くにおった機動隊の部隊は、その状況を見て直ちに応援に駆けつけました。したがいまして、十六階のデッキに出た中には署員と機動隊員の一部が含まれております。服装が違いますから、写真のとおりでございます。  それから、ヘリは三機使っておりましたが、そのとき一機は給油のためにちょうどその時間帯はおりておりましたので、二機が飛んでおりました。そのうちの一機が、他の一機はデモ隊、それからゲリラ集団の行動がありますので、これをずっと偵察しておりました。ここでは一機管制塔の周辺を飛んでおりましたが、これがその状況を入れました。屋上に出ておる管制官の救出をしつつ状況を入れるということでございまして、この状況をヘリから受けると警備本部ではほとんど同時に、他の部隊に対しましてもこちらに転進を命令しております。この部隊はその命令を受けましてから二十分後に到着をいたしておりまして、それが大体午後二時でございます。連中が管制室に入りましたのは午後一時四十分ごろとわれわれ見ておりますので、二十分後に機動隊が管理棟に到着をした、それからだんだん上に上がっていくというかっこうになるわけでございます。
  320. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、管制室へ入ったのを見つけたのはヘリコプターですか。
  321. 三井脩

    ○三井政府委員 いまはっきりしておりますのは二つございます。一つはヘリ、一つは空港署員。空港署員は伝令としてすぐ飛び帰りまして、警備本部に報告しております。ヘリからもほとんど同時に入っております。
  322. 中井洽

    ○中井委員 そのヘリあるいは署員から連絡が入って、管制室へ逮捕あるいは排除に出向くまで何分時間がかかっておりますか。
  323. 三井脩

    ○三井政府委員 管制室に到着するまでに一時間余りかかっております。これは二時にあの建物、管理棟に到着をいたしまして、それから上に上がっていくわけですが、その前に署員を中心として、最初管制室の入り口へ行って、入り口があかない、それからまた今度は別のところから十六階のデッキに上がってみて、中には特に異状はないというので検索をしながらおりてくるわけですが、これと後から増強で駆けつけた機動隊がぶつかりまして、十四階で一緒になるわけです。それから、今度は下へ行くのと上へ行くのと分かれましてやったわけでございますが、十六階の管制室に犯人たちが入ったという通報を受けておりますから、機動隊はすぐ管制室に上がっていったわけですが、管制室の入り口の電子ロックをエンジンカッターその他で壊しにがかったわけでございますけれども、これがなかなか壊れないというようなことで十四階に戻りまして、ここから犯人が上がったとは別のアンテナの支柱から上へ上がっていくわけです。これは前に署員が一遍上がったコースでございますが、これを上がっていきまして、今度はガラスを割ったり、それからデッキを回ったりというような行動をするわけでございますが、これをレンジャー部隊でやるということでレンジャー部隊の手配、それからガラスの壊し方、こういうことに手間取ったということで、この時間のかかり方がわれわれとしては反省、検討事項であると考えております。
  324. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、とにかく犯人が管制室へ入ったというのがわかってから、結局一時間二十分か一時間かかかってやっとできたということ、そういうことですね。それならそれで、たとえばいまちょっとわからなかったのでありますけれども、機動隊の方が塔へ駆けつけるのに二十分かかったわけですか。襲撃されたのを聞いて二十分かかった。二十分かかって行ったときにはまだ管制室にいるというのはわかっていなかったわけでしょう。それから一緒に探し始めて途中でわかった。それからさらに室へ入るのに一時間ぐらいかかっておる。これがどう考えてもわからないし、私は率直に警察が責めを負うべき事件である、こう思うのであります。もちろん私どもはあの行為、過激派の行動というものについては激しい憤りを感じております。先ほど申し上げましたように、十数年間空港問題をほってきた政府というものに対して非常に憤りをも感じております。しかし、それと警備の方々の責任というものは私は別であるというように考えるわけであります。いままだこれから開港をするという時点でありますから、あえて声を荒らたげて責任云々ということを言いたくありませんけれども、そういったミス、一万四千人おったわけでありますから、指揮系統の乱れあるいは混乱、いろいろあったと思います。それから思いもかけないところをつかれたというような混乱等もあったと思うのでありますが、そういったことに十分いざとなれば対処できるというふだんからの体制、あるいは機動隊の方、警察職員の方の、事件が勃発した、いろいろな思わぬことが起きたときに柔軟に動ける、思考できる体制というものをおつくりいただかなければ、私どもは国民の生命の安全、あるいは国家全体が警察にずいぶんおんぶしているこの安全というものを守っていけないと考えるわけであります。  私は今度の事件のだれが悪かったということをあら探ししているわけじゃない。ひとつ警察は警察の警備の手抜かりというものを十分科学的に判断をしていただいて、そういったことのないように努めていただきたいと考えるわけでございます。どうでございますか。
  325. 三井脩

    ○三井政府委員 御指摘のように、私たちといたしましては今回の事件を十分に検討いたしまして、そこから教訓を引き出し、今後に備えるということで、いま御指摘のような点もその中には入っておるわけでございまして、そういう点を含めて十分に今後に生かしていきたいと考えております。
  326. 中井洽

    ○中井委員 終わります。ありがとうございました。      ————◇—————
  327. 木村武千代

    ○木村委員長 この際、細谷治嘉君外六名提出に係る地方公営交通事業特別措置法案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。小川省吾君。     —————————————  地方公営交通事業特別措置法案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  328. 小川省吾

    小川(省)議員 私は、日本社会党を代表し、ただいま議題となりました地方公営交通事業特別措置法案につきまして、その提案理由と概要を御説明申し上げます。  地方公営交通事業は、昭和四十八年の第二次財政再建以来、依然として赤字を重ね、昭和五十一年度の不良債務は、実に二千二十五億円となっております。こうした財政状況は、地方公営交通事業経営健全化促進法制定時において、すでに十分予測されていたことであり、旧態依然の再建策を自治体に強要している政府・自民党の態度は、無責任きわまりないと言わなければなりません。  公営交通の財政悪化の原因は、第一に高度成長下でもたらされた都市環境、なかんずく交通環境の悪化が何ら改善されることなく放置されているためであり、加えて地方財政はもとより公営交通においても十分な財源を保障されず、もっぱら企業主義的合理化を押しつけられていることも第二の原因として指摘しておかなければなりません。  不況が深刻化し、そのため地方財政も一段と危機的状況に立ち至っている実態のもとで、公営交通が住民の足として十分その機能を発揮するためには、これまで政府・自民党が進めてきた企業主義的経営政策をやめるとともに、道路整備中心の交通政策を大量大衆輸送機関中心に改め、地下鉄、バス等交通整備のための国、自治体の責任と負担区分を確立する必要があります。  日本社会党は、こうした認識のもとに地下鉄、バス等の建設、整備に対する国、自治体の責任を定め、住民生活に不可欠なバス路線の維持存続を図るための補助制度の確立を図るとともに膨大な不良債務の解消と自治体の交通整備のための財源を保障する必要があるとの立場から本法律案を提案をいたしたわけであります。  次に、法律案の概要を御説明申し上げます。  第一は、目的及び国、自治体の責務でありますが、ともすれば事業の効率性のみが追求されがちな公営交通事業について、住民の福祉向上を目的とし、国はそのために必要な財政上の措置並びに交通環境の整備に努め、自治体においても同様の責務を負うことを重ねて明らかにいたしているわけであります。  第二は、交通事業健全化計画についてであります。昭和五十四年三月三十一日現在の不良債務について、経営の健全化を行おうとする自治体は、経営の健全化の基本方針等を内容とする交通事業健全化計画を議会の議を経て策定し、自治大臣に届け出ることといたしております。  第三は、交通事業健全化債の発行についてであります。交通事業健全化団体は、前記の不良債務の範囲内において交通事業健全化債を発行することができることとし、地方公営交通事業経営健全化促進法に基づいて発行された交通事業再建債も含め、その償還については一般会計から繰り入れることといたしております。なお公営企業金融公庫は、交通事業健全化債について、その全額を引き受けることといたしております。  第四は、国の補助についてでありますが、国は、地下高速度交通事業または地方鉄道事業を経営する団体に対しその施設の建設または改良等に要する費用の四分の三を補助することとし、バス事業を行うすべての団体に対しバス購入費及び身体障害者の利用のためのバスの改造に要する費用の十分の八を補助することといたしております。  第五は、生活必需路線に対する補助制度の創設であります。住民生活の利便のため維持するバス路線で営業係数が一三〇〇以上の路線を生活必需路線とし、具体的には、1乗車密度が二十人以下の路線2当該バス路線の最混雑時間帯と最閑散時間帯の輸送人員の比率が当該事業の平均繁閑率の二倍を超える路線3当該バス路線の表定速度が当該事業の全路線の平均表定速度の九〇%以下の路線4官公署、学校、病院その他自治省令で定める重要な公共的施設の利用のため必要な路線5三百戸以上かつ千二百人以上の規模の住宅用地の新設に伴い開設された路線で開設後五年を経過していない路線6その他政令で定める路線のどれか一つに該当する路線を生活必需路線としてその赤字額の三分の二を国は補助することといたしております。  第六は、一般会計の補助及び地方交付税の基準財政需要額の算入措置についてであります。地下高速度鉄道建設費等に対しては四分の一、バス購入費については十分の二、生活必需路線については、その赤字額の三分の一をそれぞれ一般会計から補助するとともに、交通事業健全化債及び再建債償還費、地下高速度鉄道建設費等に対する一般会計の繰り入れ及び補助については七割を、またバス購入費及び生活必需路線の赤字額に対する一一般会計の補助については全額を、それぞれ地方交付税の基準財政需要額に算入することといたしております。  第七は、地方道路税の配分割合の引き上げと交通事業健全化債の償還等に対する充当についてであります。前述のように公営交通整備のための財源を保障することなくして公営交通の確立はあり得ないとの立場から、現行一キロリットル当たり六千六百円の地方道路税を倍増し、交通事業健全化債と再建債の償還並びに本法律案で定める一般会計の補助及び交通環境の整備に充てることができるといたしております。この措置によって公営交通を有しない自治体においても、交通環境整備の財源を保障されることとなり住民の足の確保は大きく前進するものと考えられます。なお勤労国民の税負担の増大を抑制するとの立場から地方道路税の引き上げ額と同額を揮発油税においては引き下げることといたしておりますことを申し添えておきたいと存じます。  以上が本法律案の提案理由及びその概要であります。慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
  329. 木村武千代

    ○木村委員長 以上で提案理由の説明は終わりました。  次回は、来る十三日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十二分散会      ————◇—————