○佐藤(敬)
委員 地方税法の一部を改正する
法律案に対する共同修正案の趣旨の説明をいたします。
日本
社会党、公明党・国民
会議及び民社党は、政府提案の昭和五十三年度の
地方税法の一部を改正する
法律案に対して、共同して修正案を
提出するものである。
五十三年度の
地方税収見込み額は十一兆五千八百億円である。その伸び率は、前年度の一八・一%に比べると七・七%も落ち込み、一〇・四%にすぎない。構成比も三三・七%と、前年度の三六・四%から大幅に低落している。
問題なのは、この一〇・四%のわずかな伸び率を支えているのは、法人税収ではなくて、
個人住民税所得割一七%、事業所税二七%及びその他の自然増を見込んでいることである。失業者続出などの不況下で、
個人住民税の一七%の伸びはすこぶる怪しい。これに対して法人
関係税は、たとえば法人事業税では、五十二年度二四・二%に対してわずかに〇五%、道府県民税及び市町村民税の法人税割は〇%及び〇・六%とほとんど伸び率はゼロである。七%の成長を強調しておきながら、七%の経済成長をみずから否定しているものである。
政府の改正案では、大衆課税的性格の強い
個人住民税には全く手がつけられていないのはまことに遺憾である。ただ、法人
住民税均等割については、資本金十億円以上の法人について税率を五ないし十倍に引き上げたけれ
ども、これによる税収はわずかに五十五億円にすぎない。さらに、懸案の外形課税がまたしてもその実施を見送られたのはまことに残念なことである。
要するに、五十三年度の
地方財政計画は、五十一年度より引き続き膨大な借金に抱えられている。恐らく五十四年度も同様であろう。このまま推移するならば、きわめて近い将来、あたかも脱出不能のブラックホールに吸い込まれる星くずのごとく、あらがうべくもなく混迷から破局へと加速されることは必至である。速やかに税源の再配分によって財政の自主運営ができるようにすべきである。
五十三年度予算は景気回復予算と言われているが、その中心は公共事業である。公共事業実施に当たって最大の問題は土地である。土地問題がスムーズに進むか否かは、まさに七%経済成長達成のかぎである。しかるに、高度経済成長時に無軌道、利己的な土地投機によって狂乱と言われるインフレを引き起こし、国民生活に重大な打撃を与えた大企業、そしてそれに金を貸した銀行を救済するために、地価が鎮静したと称して、土地譲渡益重課税及び特別土地保有税を大幅に緩和しようとするに至っては、果たして本気で景気回復に努力しようとしているのか疑わざるを得ない。
この
段階において特別土地保有税審
議会を設ける目的は明らかであり、その構成や
規定の運用によっては本税は全くのざる法となり、宅地供給には何の足しにもならないばかりか、再び地価急上昇を来すことになろう。景気回復達成の眼目である本税の緩和については、断固反対するものである。
以上のごとく、政府
提出の改正案はまことに矛盾に満ちたもので、とうてい賛成しがたいものである。よって、三党はここに共同修正案を
提出するものである。詳細については、各
委員が
質問によって明らかにしたところである。したがって、本修正案においては、最大の今日的問題として、特別土地保有税の緩和を全面的に撤回することを要求するものである。
法案の内容は次のとおりである。
地方税法の一部を改正する
法律案に対する修正案
地方税法の一部を改正する
法律案の一部を次のように修正する。
第五百八十五条第五項、第五百八十六条第二項、第五百九十六条第二号及び第六百一条第一項の改正
規定を削る。
第六百二条第一項の改正
規定中「から第七号まで」及び「から第八号まで」を削る。
第六百三条の次に二条を加える改正
規定並びに第六百七条第二項及び第六百八条第一項の改正
規定を削る。
附則第四条第二項中「及び附則第十条第三項」を削る。
附則第十条第一項中「第三項に定めるものを除き、」を削り、同条第二項中「次項に定めるものを除き、」を削り、同条第三項を削る。
以上申し述べて、政府提案の
地方税法の一部を改正する
法律案に対する三党共同の修正案を
提出する趣旨の説明といたします。(拍手)