○池田(行)
委員 あくまで
特例的なものであるから、毎年
提出して
審議をというお気持ちはよくわかるのであります。たしか五十一
年度の
特例法でございましたか、時の大平大蔵
大臣が、これはもう毎年毎年汗を流してというふうな表現で、常に単
年度のものとしてお願いするのだ、こういうお話があったと記憶しておるのでございます。しかし、その
段階ではそういう気持ちだったかもしれませんけれ
ども、
考えてみますと、先ほ
ども申しましたように、なかなか今
年度限りで脱却できるものではないのだということがはっきりしておる。それからまた、その
年度その
年度の
経済情勢、
財政状態を踏まえてとおっしゃいますけれ
ども、具体的な国債の
発行額、
発行限度等については、別途
予算の形で
国会の
審議は十分経なければならなくなっておるわけでございます。そうしますと、そのあたりも余り説得的ではないような
感じもいたします。
それからまた、今
年度はそういうことにならないことを期待しておりますけれ
ども、かつては
財政特例法の
審議が非常に遅延いたしまして、なかなかめどが立たない。そのために、
財政運営の方にも相当な支障を来しましたし、また、
年度問を通じて
金融市場の
情勢を見ながら国債を
発行して資金を調達していくという面からも非常に問題だった、そういった
年度もございました。そんなことも
考えますと、もうはっきりと数年間は脱却できないのだということであれば、これは
考え直すことも肝要ではないかと思うのでございます。
汗を流すのも結構でございますけれ
ども、どうせ毎年お願いするのだということでは、本当に汗を流しておるのか、汗を流したふりをするのか、これははっきりしないと思うのでございます。まあ汗を流すべき問題はたくさんほかにもございますし、また、形式的
審議と言っては語弊がございますけれ
ども、仮にともかく単
年度で頼めばいいんだよ、これでやってもらうんだよ、その
審議のためにいろいろな経費もかかりますし、時間もかかる。これはまた行
財政の改革といった観点からもいかがかという
感じもいたしますので、本
年度の問題としましてはこういう形で
提案されておりますが、来
年度以降につきましてはまたいろいろ御
検討いただきたい。そして本当に肝要なことは、四年間あるいは五年間はどうしても
特例公債の依存から脱却できないのだということなら、それはそれを前提として、しかし、その期間に本当に真剣に赤字国債からの脱却のために努力をしますよ、それにはこういった
計画を持ってやりますよ、そういう形で
国会の方へも御
提出なさる方が、むしろ真剣に
財政再建を
考えておられるということになるのではないかと愚考いたしますので、また今後の問題としてお
考えいただきたい、こう思います。
次に、先ほど国債管理政策についても
質疑がございましたが、国債の
発行残高も今回、今
年度末におきましては四十三兆円でございましたか、大体GNPの二五%程度になる。それからまた、
財政収支試算なんかを見てまいりますと、五年後には四〇%を超えてしまう、こういうふうな
状態になってまいります。こうなりますと、本当に国債の
発行あるいはそれの借りかえその他が
経済の
運営に与える影響というものを、真剣に
考えてまいらなければいけない
段階に入っていると思うのございます。たまたま現在の
段階におきましては、
金融もきわめて緩慢な
状態でございますし、十分
成長通貨の範囲内におさまっておって、当面は問題ないかと思われるのでございますが、ここ中期的に見ますと、ぜひこの問題は真剣に
考えなければいけない。
今
年度に限ってみましても、
政府がもくろんでおられますように、七%の
経済成長というものが達成できるというようなことになりますと、私もそれを期待をしておりますが、そうなりますと、
年度後半に向かっては民間の企業活動も相当活発になっていかなければならない。したがってまた、
金融市場、資本市場の
状況もかなり変わってくるのではないかと思うのでございます。そういったことを
考えますと、
財政のサイドにおいても、やはり安易な国債依存というものはいかがかということをぜひとも
考えなければいけないし、また、
金融政策の
あり方にもいろいろ問題が出てこようと思います。
それと同時に、国債管理政策、これは定義がいろいろございまして、その定義をどういうふうにするかによりまして、わが国にはこれまで国債管理政策というものはなかったんだという見方もあれば、あるいは、いやわが国にこそ本当に国債管理政策があったんだ、いろいろな見方があるようでございますけれ
ども、わりにオーソドックスないわゆるデッド・マネージメント・ポリシーというものの定義というものは、やはり
財政政策とか
金融政策というものとは峻別しまして、結局国債残高といいましょうか、その構成の変更を通じて
経済にいろいろ影響を与えていく、そういうふうな形になっており、具体的には新規
発行債の
種類とか、
発行条件の決定とか、あるいは借りかえのための債券の
種類の決定、あるいはいわゆるオープン・マーケット・オペレーションの対象国債の
種類の決定とか、そういうことが狭義の国債管理政策の対象になっておるかと思うのでございますが、これほど大量な国債残高になってまいりますと、こういったいろいろな操作、あるいは
財政当局、
日本銀行の
政策決定というものも
経済に非常に大きな影響を与えてくると思うのでございます。
そういった
意味から申しますと、こういった国債管理政策の存立と申しましょうか、そういうものができてくる条件というのは、アメリカの第二次大戦後の経過から見ましても、いわゆる大量の国債の残高が存在するという事実、それからまた、その中に次々に満期が到来するような多様な国債が存在するということ、それと同時に、国債というものが市場性を持っている、こういった条件が挙げられておると思うのでございます。そういたしますと、わが国の場合、国債の残高が巨額に上るという事実は、現在でもそういう
状態に入りつつあるし、もう数年後にははっきりそうなってくる。ところが、あとの二条件でございますね、
種類の多様化と申しましょうか、この点、もう
一つは市場性の付与という点、この点でまだまだ至らないところがあるんじゃないかという
感じがいたします。
いまの
段階においてこのあたりに遺漏なき
措置をとっておきませんと、一方において、
財政の方の事情から国債の
発行はどんどんふえてまいる。ところが、それが十分に市場において消化されないというかっこうになりますと、国債
発行を通ずる信用の膨張ということで、本当に
財政インフレということに結びつきかねないと思いますので、このあたり十分御注意いただきたいと思うのでございますが、先ほ
ども若干お話があったようでございますけれ
ども、大蔵省におきましてこの点どういうふうな御
検討をなされておるか、それからまた、将来どういうふうに進めていかれる御意向であるか、お伺いいたしたいと思います。