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1978-04-11 第84回国会 衆議院 大蔵委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月十一日(火曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 大村 襄治君    理事 小泉純一郎君 理事 野田  毅君    理事 保岡 興治君 理事 綿貫 民輔君    理事 佐藤 観樹君 理事 塚田 庄平君    理事 坂口  力君 理事 永末 英一君       愛知 和男君    池田 行彦君       宇野 宗佑君    小渕 恵三君       大石 千八君    後藤田正晴君       佐野 嘉吉君    高鳥  修君       林  大幹君    原田  憲君       本名  武君    村上 茂利君       森  美秀君    山崎武三郎君       伊藤  茂君    大島  弘君       川口 大助君    沢田  広君       平林  剛君    山田 耻目君       貝沼 次郎君    宮地 正介君       高橋 高望君    荒木  宏君       永原  稔君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 村山 達雄君  出席政府委員         内閣法制局第三         部長      前田 正道君         大蔵政務次官  稲村 利幸君         大蔵大臣官房審         議官      米里  恕君         大蔵省主計局次         長       山口 光秀君  委員外出席者         警察庁交通局交         通指導課長   広谷 干城君         国土庁土地局地         価調査課長   久保木哲彦君         外務大臣官房領         事移住部旅券課         長       伊藤 忠一君         大蔵大臣官房調         査企画課長   大竹 宏繁君         厚生省薬務局企         画課長     新谷 鐵郎君         厚生省薬務局麻         薬課長     山田 幸孝君         食糧庁総務部検         査課長     中山  昇君         水産庁漁政部企         画課長     吉國  隆君         通商産業省立地         公害局保安課長 水野  哲君         資源エネルギー         庁長官官房鉱業         課長      福原 元一君         資源エネルギー         庁公益事業部技         術課長     松田  泰君         郵政大臣官房電         気通信参事官  白井  太君         郵政省電波監理         局法規課長   松沢  弘君         郵政省電波監理         局有線放送課長 小野沢知之君         建設省道路局路         政課長     山本 重三君         国土地理院総務         部長      東   信君         自治省財政局公         営企業第二課長 田井 順之君         大蔵委員会調査         室長      葉林 勇樹君     ————————————— 四月十日  舞台芸術入場税撤廃に関する請願馬場昇君  紹介)(第二八二五号)  同(大橋敏雄紹介)(第二九三三号)  石油税新設に関する請願楢橋進紹介)(第  二八二六号)  同(山崎拓紹介)(第二八二七号)  不公平税制是正等に関する請願古川喜一君  紹介)(第二九三四号)  日本銀行に係る法人関係税に関する請願(椎名  悦三郎君紹介)(第二九三五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  各種手数料等改定に関する法律案内閣提出  第三〇号)      ————◇—————
  2. 大村襄治

    大村委員長 これより会議を開きます。  各種手数料等改定に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川口大助君。
  3. 川口大助

    川口委員 今回提案されたこの手数料は、件数にしますと約二百二十二項目ほどあるわけですが、そのほかに国会審議経ずし手数料値上げとなる分、つまり政令で約百三十件、省令で八十四件、告示で六十八件、そのほか単独法律で約十五件ほどあるわけですが、国会審議を経る手数料国会を経ずに省限りあるいはまた告示等によって値上げができるものとどうしてこういうふうにまちまちになっているのか、まずお伺いしたいと思います。
  4. 山口光秀

    山口(光)政府委員 手数料を定める法律あるいは政令あるいは省令以下の規定仕分け方と申しますか、どういう原則があるかというお尋ねでございますが、手数料のもとになっております行政事務が、法律上あるいは事実上強制される度合いが強いものと、それからそれほどでない、あるいは強制の度合いがないという行政事務とあるわけでございまして、簡単に申しますと、課徴金的な性格の強いものとそうでないものがあるわけでございますが、課徴金的性格の強いものは法律で、金額を決めますとか、あるいは限度を決めるとか、あるいは決め方基準を決めるとかということで、法律基礎を持つ場合が多いわけでございます。あと政令省令告示と、それはどういう区別かということになりますと、ちょっと私どもそこまで関与しておりませんものですから、それは個々の制度をつくります場合の各省の御都合と申しますか、考え方によるのではないかと思います。
  5. 川口大助

    川口委員 しかし手数料という概念は、課徴金的性格のものであろうとなかろうと、今回の提案でもわかるとおり、行政コストによってその算定の基礎を決めているわけですから、私どもよくわからぬということだけでは私どもわからぬわけですが、もう少し納得のできるような説明ができないのですか。
  6. 山口光秀

    山口(光)政府委員 法律に基づくべきかあるいは行政府の裁量でいいかという点につきましては、先ほど申し上げましたように、課徴金的性格濃淡によって考えていっていい、またそういうふうになっております。しかし、その行政府に任せられた手数料決め方政令でやるか省令でやるかあるいは告示でやるかということになりますと、これはもう原則というのはございませんで、ケース・バイ・ケースで判断していくよりしようがない、それは各省の御判断ではなかろうかと思うわけでございます。
  7. 川口大助

    川口委員 それでは、角度を変えて伺いますが、課徴金的性格というものであれば、課徴金というものの価値と適性というものはどういうふうな形で押さえておるわけですか。
  8. 山口光秀

    山口(光)政府委員 課徴金的性格と申しましたのは、手数料のもとになります。つまり手数料が対価として支払われるもとになります行政事務が、事実上または法律上強制的であるかないか、そこはその事務によりまして濃淡がかなりある話であろうかと思うわけでございますが、強制的な性格を持つ行政事務に対する手数料課徴金的な性格を持つ。課徴金的な性格を持つということになりますと、財政法三条の精神からいきまして、国会の御意思にかかわらしめるのが適当であるという精神がございますので、それは、金額ずばりを法律で決めるかあるいは基準を決めるか、そこはさまざまでございますが、いずれにいたしましても、国会の御意思にかかわらしめるというやり方をとるのが適当でなかろうかと思うわけでございます。  それでは、具体的に手数料金額はどういうふうにして考えていくべきかと申しますと、原則はその行政事務にかかる行政コストであろうかと思います。それが原則であろうかと思います。ただ手数料の中には、あるいは特権的な、経済的な利益を特定の人に付与するというようなものにつきまして、手数料以上の負担を求めている場合もございますし、逆に、公益的な仕事であるということで行政コストより低目に決めている場合もございますが、原則行政コストをちょうだいするという考え方でございます。
  9. 川口大助

    川口委員 よくわからぬです。説明のための説明のように聞こえるわけですが、逆にもっと観点を変えて伺いますと、行政コストあるいは行政濃淡によっていろいろ決められると言うが、それではこの法律の場合、ひどいものになりますと昭和二十四年以来全然手をかけないものがあるわけでしょう、これはどういうことですか。
  10. 山口光秀

    山口(光)政府委員 その点につきましては、長い間法律改正チャンスに恵まれなかったということでやむを得なかった面はございますけれども、もっと早く今日御提案申し上げておりますような一括改正法案をお願いして、随時見直しを実行していくべきであったかと思います。申しわけないことであったと思います。
  11. 川口大助

    川口委員 申しわけない——これは申しわけなくても結構ですが、ただ、法律改正チャンスに恵まれなかったというのはどういうことなんでしょうか。言葉じりをとらえるようですが、ちょっとわからぬのです。
  12. 山口光秀

    山口(光)政府委員 これも言いわけがましいことになるわけでございますが、手数料だけの改正という法律をお願いすることは、役所にとって実際問題としてなかなかむずかしい話でございまして、ほかに改正する条項がございまして、それと一緒に手数料規定も直すということでございますと、改正するチャンスに恵まれるわけでございますけれども手数料だけの改正ということになりますとなかなか実行しがたいというのが、これは申しわけない話でございますけれども実情でございますので、したがって、今回のような一括法案の形をとりますと、手数料だけの改正でありましてもまとめがつく、実行ができるということなのでございます。したがって、今国会におきましても、ほかに改正条項がございます法律につきましては、手数料改正も含めて単独法でお願いしているわけでございます。
  13. 川口大助

    川口委員 そうすると、今回のコストは五十二年度の行政コスト基準にして値上がり額を決めたとなっていますが、将来の問題として、チャンスに恵まれないと手数料改正だけではどうも国会に出すのが事務的に困難だということなんですか。あなたの言っていることがよくわからぬのですが、その辺のところをもう一回……。
  14. 山口光秀

    山口(光)政府委員 将来も手数料は、コスト動向等を見まして改正をお願いしなければならないと思いますが、今回、ただいま御提案申し上げておりますような一括法案について御承認が得られますれば、将来もとういう形でお願いすることになろうかと思うわけでございます。
  15. 川口大助

    川口委員 大臣にお伺いしますが、いまのやりとりで大臣もおわかりになったと思うのですが、いま大変な財政危機にある。私は前にも、大蔵大臣はちょうど管財人のようなものだと申し上げたことがあるはずであります。つまり入るを図ることは一生懸命やらなければならぬと思うのです。ただ単に予算査定事業費のやりくりだけを消しゴムで消したって、まあそれも確かに必要なことですが、一体歳入としてまだ見積もれるものがあるのかないのかというような検討も、各省査定をする際に、各省のそういうものをよく見きわめることが当然必要ではないかと思うのです。  仮に今回法律改正する分を見ましても百十億以上なんですね。ところが、国会審議にかかわらない歳入でどのくらいあるかというと、六十数億の金があるわけです。これが、ぼくは怠慢だと思うわけですが、怠慢によって昭和二十四年からなおざりになっておるわけです。二十四年から約三十年間ですよ。そうすると、今年度の価格にして百十億ですから、その年々の価格に換算してみても、百十億の三十倍の金を大蔵省としては歳入見積もりを見逃してきたことになる、ぼくはそう思うのです。  一体そういうことでいいのかという疑問が出てしようがないのです。やはり取るべきものははっきり取る、そして十分に仕事をする、こういう態勢でなければならぬと思うのですが、この点大臣、どうですか。
  16. 村山達雄

    村山国務大臣 結論から申し上げますと、川口委員と全く同じ感じでございます。今回一括してお願いするわけでございますが、財政事情の苦しい折でございますので、やはりいただくものはちゃんといただくということでなければならぬと思うわけでございまして、今度の法律改正を機会に今後は定期的にずっと見直す必要があるのではないか、そしてまた同じような形でお願いせざるを得ないのではないか、このように思っておるわけでございます。法律の方でやりますと、あと政令とか省令とか告示というのが大体ついてまいりますので、やはり今度のようなことでお願いしているわけでございますが、これは今後定期的にこのような反省を加えて御提案申し上げたい、このように思っておるところでございます。
  17. 川口大助

    川口委員 これは五十二年度を基準コストにしておりますから、五十二年から今度五十四年になりますと、やはり経済変動によって行政コストもよほど変わってくると思うのです。ですから、これは間もなくやらなければならぬわけです。  手数料などというものは、この者から手数料を取るか取らないか、その論議はやってもいいですが、ある程度そのことが決まったならば、われわれにいまのような無理な答弁をしなくても済むような、つまりチャンスに恵まれないなどと言うようなことのないような形で、やはり変動に応じて自然に取れるようなことに統一して手数料を取るような方法をお考えになるようなことになりませんか。
  18. 山口光秀

    山口(光)政府委員 今回は一括法案のかっこうでございますので、いわば制度改正を織り込まない、金額改正だけをお願いするということにしたわけでございますけれども、ただいまの手数料決め方を弾力化できないかというお話につきましては、私どもも工夫してみたいと思います。課徴金的性格のものも相当多いわけでございますから、全く法律に根拠を求めないというわけにはいかないかと思いますが、法律での授権の仕方の工夫があろうかと思いますので、今後検討してまいりたいと思います。
  19. 川口大助

    川口委員 ひとつよく御検討を願いたいと思います。  次に、ちょっと問題の論点を変えて大臣にお伺いしたいのですが、予算も通りましたが、その後円高等のいろいろな影響が出ておりますが、当初この席で説明した七%の経済成長達成見込みは、いまの段階でどうですか。
  20. 大竹宏繁

    大竹説明員 七%の成長につきましては、予算の御審議の過程におきましても、財政面からの、あるいは公定歩合の引き下げといったような政策も含めまして政策的な努力につきまして、すでにるる申し上げておるところでございますが、その後の最近の経済指標動き等を見ますると、かなりこれまでの諸施策の効果が統計面にもあらわれておるというふうに考えられるわけでございまして、財政からの刺激と相まちまして、民間需要にも明るさが出てくるものと期待をしておるわけでございます。  もちろん、御指摘のような円高という問題が一方におきまして急激にあったわけでございますけれども、この問題につきましても、特に円高によって打撃を受けるような中小企業等につきましては、政府といたしまして特別に融資制度を講ずるというようなことで対策を講じておるというわけでございますので、それなりの影響はあるわけではございますけれども、七%の達成につきましては私どもは明るい見通しを持っておるわけでございます。
  21. 川口大助

    川口委員 そこで大臣、この前私は七%成長、つまりそれはGNPのパイの大きさの問題だということを若干論議をしましたが、あの際、やはり内需を拡大して景気を刺激するためには、どうしても一兆円くらいの減税が必要だというのが私ども主張であったのですが、現在の段階でも、減税なしにいまの七%達成が可能だというふうにお考えですか。
  22. 村山達雄

    村山国務大臣 予算を提出した段階で大体七%は、非常に容易ではございませんけれども努力次第によってはいくんじゃないか、その意味減税を当初予算に関連して御提案申し上げなかったわけでございます。現在でも結論から申しますと、容易ではございませんがいけるんじゃないかという考えを持っておりまして、いまのところ減税考えていないのでございます。  大きな要因は、一つは、やはりいま非常に明るい面が出てきておる。それから円高メリットが少しずつ出てきているように思うわけでございます。それから、いろんな民間調査が、見込みでございますけれども、やはり大きく変わりつつあるというようなことを考えますと、円高のデメリットもありますけれども、これに対しては案外対応しているなという感じがいたすわけでございます。  そういったことを総合して勘案いたしますと、予算編成した当時からそれほど変わっていない、メリット、デメリットありますけれども、私は現在可能ではないか、こう思っておるところでございます。
  23. 川口大助

    川口委員 大臣、限られた時間ですから、簡潔にお答え願いたいのです。  それでは、私は新聞その他で見ておるわけですが、政府は三千億の減税厚生福祉関係で四百億の上積みをするということを言っておるのですが、これは一体どういうことなんですか。
  24. 村山達雄

    村山国務大臣 実は政府が言っているわけではないのでございまして、御案内のように、与党であります自由民主党と各野党の間で取り決められたことでございまして、国会責任においておやりになるということでございますから、われわれはやむを得ない、かように思っておるところでございます。
  25. 川口大助

    川口委員 政府と自民党は一体ではないのですか。
  26. 村山達雄

    村山国務大臣 原則的には一体でございます。しかし、やはり党は党の立場でありまして、公党間のいろんな話があるわけでございますし、また、国会運営上の広い意味での党としての考慮もあるわけでございますので、時としてはニュアンスが違うこともあり得ることでございます。
  27. 川口大助

    川口委員 私は日曜日、討論会を聞いたのですよ。その席で大蔵大臣は、減税大蔵委員会の方でやります。大蔵委員皆さんはそれぞれベテランですから、よきに取り計らうでしょう、こう言いましたが、これは一体どういう意味なんですか。
  28. 村山達雄

    村山国務大臣 これは公党間の約束でございまして、減税については関係委員会で、また、弱者救済の一時金についても関係委員会ということになりますから、いままでの例でまいりますれば、当然まず衆議院は六蔵委員会でこの三千億の問題を取り扱っていただけるであろう、それからまた、社労の方で一時金の問題を取り扱っていただけるであろう、このように実は予測いたしているわけでございます。
  29. 川口大助

    川口委員 私どもは、三千億やそこら減税では何の足しにもならぬ、こういうふうに思っておるわけです。しかし、いまお話しすると、公党間の約束と言っても、それは党と政府と別だというふうにおっしゃられておりますが、大蔵委員会公党とは一体ではないのですよ。大蔵委員会皆さんベテランだからよきに取り計らうだろうとおっしゃるが、公党約束とそれはどういう関係があるのですか。
  30. 村山達雄

    村山国務大臣 大蔵委員会は御承知のように、各公党から出ておられるわけでございますから、それぞれの党の意思を踏まえて、そしてこの大蔵委員会の場で合意が従来も見られてきましたし、今度も恐らくそうではなかろうか、かように予測しておるところでございます。
  31. 川口大助

    川口委員 くどいようですが、その辺の議会運営大蔵委員会性格政党性格政府幹事長等発言、こういうものとの責任の分野が何かあいまいな形で、大蔵委員会が一切の責任を負うんだというふうに聞こえてならないのですよ。私は、大蔵委員会というのは独自のものだと思うのですよ。  そうすると、大蔵委員会公党というのはどことどこですか、公党公党約束というのはどことどこの約束ですか。
  32. 村山達雄

    村山国務大臣 やはり自由民主党野党五党閥の合意が見られたわけでございますし、しかもあのときは関係委員会においてこれを決めるということになっておりますから、そのように予測しておるところでございます。
  33. 川口大助

    川口委員 それは、私は社会党員ですが、社会党もそれに同意をしたということですか。五党間というのは、社会党も同意したということですか。これは重大な発言ですよ。もう一度ひとつ明らかにしてください。
  34. 村山達雄

    村山国務大臣 積極的に賛成したとは聞いておりません。われわれが党から伺っているところでは、この提案をいたして、積極的な御賛成ではないけれども、その辺がむずかしいところでございますが、そのことについて、まあやむを得ないかというニュアンスがあったように伺っておるところでございます。
  35. 川口大助

    川口委員 私どもは三千億円やそこらでは不満です。不満ですから、あくまでも一兆円以上の減税が必要だと思うのですが、国民はあの新聞なり大臣座談会の御発言なりによって、いまでも三千億減税というものは行われるんだというふうに考えているのですよ。いまの大臣答弁を聞いても、何か責任のあるようなないような話で、聞いたような聞かないようなうわさ話のようなことをこの国会の場で答弁するのは、少し不謹慎じゃないかと思うのですよ。その点はどうですか。
  36. 村山達雄

    村山国務大臣 あの減税問題が非常に紛糾いたしまして、いろいろな経緯をたどったことは川口委員も御承知だと思うのでございます。まあしかし最終的に、その三千億とか四百億というものに対して、野党各党はそれぞれ独自の案を持っておいでになったことはもう十分了承しているのでございますけれども与党を中心にいたしましていろいろな折衝を重ねて、それで野党の方も、賛成とはとても言い切れない、やはり主張主張として堅持されておるんだろうと思いますけれども、それらの問題は関係委員会で決めるということには恐らく暗黙の了解が得られているのではなかろうかと、私はそのような感触を持っておることを申し上げておるのでございます。
  37. 川口大助

    川口委員 あの座談会では、新自由クラブの西岡議員大蔵大臣を名指しで、一体三千億の減税はいつやるんですか、こういうふうにお聞きしたことに対するお答えであったと思うのですよ。もしいままでのようなお答えであったら、それは政府で関知しないことだ、政党間の話ですから政党間で解決なさるんでしょう、こうお答えするのが本当じゃないですか。そうお答えにならずに、何か大蔵委員会に転がしをしたわけですね。一億一千万の国民が全部聞いておる座談会の場で、大蔵委員会に転がしをしたわけですよ。大蔵委員会のだれが一体その責任をとるのですか。委員長ですか、これは。だれですか。
  38. 村山達雄

    村山国務大臣 減税問題は、関係委員会というと大蔵委員会になるわけでございますから、各党がいろいろお打ち合わせなされ、そしてまた政府としても、公党間の約束だということを踏まえまして、そして今後最も適当な方法でやらるべきものである、このように思っておるわけでございます。
  39. 川口大助

    川口委員 私は、提案されれば大蔵委員会でこれは審議をしますよ。提案されれば審議をします。ところが、あの座談会でも言われるとおり、西岡議員大蔵大臣に言っておるということは、少なくともこの予算を、われわれは不満であるこの五十三年度の予算を通過させるがために一部政党と取引をした、しかもその中に大蔵大臣が、ちゃんと何らかの形であなたの御言い分が入っているから、あの場で問い詰められたんだというように私は考えているわけですよ。どうなんです。
  40. 村山達雄

    村山国務大臣 この問題は、いま振り返ってみますと、与党の方から、このようなまあ三千億、四百億ということで野党と話し合いをしたいという話がございまして、政府としては、提出した予算案あるいは税制改正案がベストだと思う、だから本当は賛成しがたい、しかし公党間の話でございますから、その問題が関係委員会で取り扱われた場合には、そのときの情勢に応じて政府側は対処いたしますと、こういうお答えをいたしておるわけでございます。それをもちまして党側野党皆様方といろいろ御折衝を願ったところでございまして、幸いにして予算の方は四月四日に成立さしていただいたわけでございますので、あとその問題が残っており、関係委員会においていずれ審議を開始するもの、かようにわれわれは予測しているところであるわけでございます。
  41. 川口大助

    川口委員 いま大臣は、いまでも減税をやらなくとも七%達成が可能だと答えているんですよ。それじゃ大臣の立場としては、そんな三千億ぐらいの減税何なんだと、こんなことをぼくから言うのは大変恐縮ですが、それぐらいの毅然たる態度で貫くのがこれは至当なんですよ。それを、三千億やそこらのみみっちいものに対して、公党間の話し合いだか懐柔策だかわからぬけれども、こういうもので予算を通すという、三千億の金を党利党略に使ったと言っても過言じゃないわけでしょう、それを扱っておるというふうに言われても。ですから私はいま大蔵大臣に聞いている。  大蔵大臣は、減税をやらなくても七%の経済成長達成する、こう言っているんですよ。ところが反面において、三千四百億やらないと何か無理なようなニュアンスが一部残っておって、しかもそれは大蔵委員会責任でやるのだから私どもは知りません、大蔵委員会で決めれば対処しましょう、こう言うことは、大臣としては余り見識のないお答えだと思うのですが、どうですか。
  42. 村山達雄

    村山国務大臣 七%の成長は、いまの三千億あるいは四百億ということがなくても、非常に容易ではございませんけれども私は達成できるといまでも思っておるわけでございます。しかし、法律制度、立法というのはやはり立法府が決めるわけでございます。したがいまして、政府与党に対しまして、賛成しかねるが、こう申し上げても、その問題は最終的には立法府が決めるわけでございますので、われわれ行政府にある者としては、それには意見を言うことはできましても関与できないところであるわけでございます。そういう意味で、すでに立法府を構成しております公党間である種の合意を見ておるところでございますので、そのようなことが行われるであろう、そのときには一体どうして対処するかということをいま考えているところでございます。
  43. 川口大助

    川口委員 ですから、大蔵大臣としての意見は一体どうなんですか。端的に聞きます。大蔵大臣としての意見は一体どうなんですか、この減税に対する意見は。端的でいいです。
  44. 村山達雄

    村山国務大臣 私は、考え方といたしましては、この出しました予算案のとおりのことをいまでも考えているわけでございます。
  45. 川口大助

    川口委員 では、時間がないから端的にひとつお答え願いますが、ということは、三千億の減税と四百億の上積みは反対ですか。
  46. 村山達雄

    村山国務大臣 理論的には賛成しかねる、こう申し上げているのでございます。
  47. 川口大助

    川口委員 しかしそれはいわゆる立法府という、体裁のいい言葉を使いましたが、その両党間の話し合いが仮に大蔵委員会で決まるとすれば、不承不承だがそれに従わざるを得ない、こういうことですか。
  48. 村山達雄

    村山国務大臣 それはもう立法府で決めたことでございますから、従うということでございます。
  49. 川口大助

    川口委員 そこでその場合に、財源というものを大臣はどういうふうに——もう心づもりはあると思うのですよ。大蔵委員会で決まればやるんだという心づもりはあると思うのですが、その場合の心づもりする財源は何を見ておられるわけですか。
  50. 村山達雄

    村山国務大臣 まだ財源のめどはついておりません。しかし、何らかの対応をしなければならないということでございます。
  51. 川口大助

    川口委員 私が大臣手数料に絡んでこういういろいろなことを聞いておるのは、やはり財政当局には財政当局としての毅然とした考え方が必要だ。ややもすると、私ども民間におりましたころは、大蔵官僚というのはなかなか冷たいもので、とにかく頭のかたい人が多いというふうに承知してきたのですが、私はここに来てみて、かたいかもしらぬ、しかし、何か困難なものに取り組んでいって、そして現状を打開する意欲が足りないと思うのですよ。でありますから、先ほど答弁のあったように、提案チャンスがないとか、あるいは技術的に困難だとか、そういうことによってこの財政問題を切り抜けようとしておるわけですよ。やはり本当に管財人になるような考え方財政運営をしようとするならば、少しぐらいの事務はいとわずに、少しぐらいの繁雑はいとわずにそれに取り組んでいって、少しでも前進するという体制が必要なんではないかと思うのですよ。そういう取り組み方がどうも欠けている。当たらずさわらず大過なく過ごそうというふうなことでは、いまの財政危機も、インフレ打開も、円高も解決できないと思うのですよ。そのためにはやはり大臣は毅然として所信を貫く。間違ったことを毅然とされては困るわけですが、私はそういうことで言っているのですけれども、私のそういう考え方は誤りですか。
  52. 村山達雄

    村山国務大臣 いま川口委員のおっしゃったことは、原則的には本当にそのとおりだろうと思っているわけでございます。  手数料関係でございますが、やはりそんなに収入は多くはないとは言いながらも、今日の財政でございますから、今後は、先ほど山口次長が言ったような一つの工夫をこらしまして、ある程度法律的な限度を定めまして随時動かし得るようなことをやるか、あるいは今度のようにやはり定期的に見直していくか、こういうことが必要ではないか、かように思っておるわけでございまして、財政当局は、そのときどきの財政のみならず、将来の財政をどういうふうに持っていくか、これはいま御注意がありましたとおりでございまして、私たちは鋭意その問題をこれから検討してまいるつもりでございます。
  53. 川口大助

    川口委員 時間がないからやめますが、とにかく手数料等につきましては、もう少し一元的に取り計らうようにひとつ配慮を願いたい。  それから、景気の見通しにつきましては、これは見通しですから、それはやはり人によって違うかもわからぬ。ですから、今回の大臣の言い分を一応聞いておきます。しかし、七%経済成長はむずかしい。必ず近く三千億にきかない大幅な減税を断行しなければ、この危機は乗り切れないというふうに思っております。いずれ時期を見て再び討論をいたしたい、こういうふうに思っています。  時間がありませんので、やめます。
  54. 大村襄治

    大村委員長 宮地正介君。
  55. 宮地正介

    ○宮地委員 今回の各種手数料等改定に関する問題につきまして、初めに、各種手数料の引き上げに対するところの基本的な考え方につきまして、費用負担の適正化あるいは財源措置、こういうふうに言われているわけでございますが、それでは、この費用負担の適正化と申しますと、具体的にどの程度の額あるいは率あるいは条件を考えて今回の措置に踏み切ったのか、その辺をお伺いしたいと思います。
  56. 山口光秀

    山口(光)政府委員 五十三年度予算編成に当たりましては、こういう財政状況でございますので、歳入歳出両面にわたって根っこから見直しを行う必要があるということで、見直しを行ったわけでございますが、その一環として手数料につきましても見直しを行ったわけでございます。  先ほど来お話し申し上げておりますように、手数料につきましては、毎年見直しを行っておりまして、政令以下で決めております手数料改定が行われてきているわけでございますが、法律規定されているものにつきましては、まことに申しわけないとは思いますが、改正チャンスをつかまえられないで改定が見送られてきたものがあった、それを今回見直した結果、ただいま御提案申し上げております一括法案で見直しを行いたいということでございます。  したがいまして、その率が一律にどの程度ということではございませんで、それぞれ前回の改定時期も違いますし、手数料の根拠も一違いますので、考え方の基本といたしましては、五十二年度の人件費コスト、それから物件費コストによりましてそれぞれの行政コストを算定し、それに合わせて手数料改定を行う、これが原則でございますが、若干の例外がございます。それはその原則を上回ったケースもございますし、下回ったケースもございます。
  57. 宮地正介

    ○宮地委員 特にいわゆる行政コストと政策コスト、この問題については、具体的に国民生活への影響などを勘案いたしましてどのように配慮されてきたのか、伺いたいと思います。
  58. 山口光秀

    山口(光)政府委員 今回の手数料改定において、公益性あるいは公共性の見地からコスト以下にいたしました主なものは、社会通信教育の認定手数料、これは、社会通信教育普及のために物価上昇率を勘案したのでございまして、コストでございますと四万円程度にしなければならないのを、三倍程度の三千円ないし九千円という単価にいたしております。  それから、ガス事業法とか電気事業法、これは公益事業でございますので、コストの七割程度にいたしております。  それから、農薬の登録手数料、これは公共性ないし開発促進の必要性がございますので、大体物件費だけを負担するという改定にいたしております。  主な例としては以上のようなものがございます。
  59. 宮地正介

    ○宮地委員 逆に行政コスト以上のものが特許法、実用新案、意匠、商標などがあるようでございますが、これについてはどうしてこういうふうに考えたのですか。
  60. 山口光秀

    山口(光)政府委員 特許関係の四法の手数料につきましては、特定の人に特権を与えて、それが経済的利益になるということで、従来からコスト以上のものを考えていいんじゃないか、そういう範疇の手数料であるというふうに考えておりまして、今回もそういう考えに従ったわけでございますが、それでもなおかつ、わが国の特許関係手数料は、先進諸国の中では低い部類に属しておるような次第でございます。
  61. 宮地正介

    ○宮地委員 具体的に、たとえば麻薬取扱者の免許手数料、これの現行単価と、いわゆる今回の改正された単価の積算の根拠、これを少し御説明いただきたいと思います。
  62. 山田幸孝

    山田説明員 今回の改正案におきまして、現行四千円を一万二千円ということになっておるわけでございますが、人件費及び物件費の現在における実態を積み上げ計算いたしまして、その上で三倍という数字が出てきたようなわけでございます。  たとえて申し上げますと、人件費につきましては、現行の手数料、三十八年当時に決められたものでございますが、五十九万七千四百七十円であった五等級の一年平均が、今回の算定根拠におきましては二百五十五万六千八百三十円ということで、人件費はかなりの大幅なアップになっております。しかしながらその反面、一件を処理する処理時間という意味では、三十八年当時が一件当たり四百七十七分要しておりましたが、その後現在におきましては、交通機関の発達あるいは事務処理の合理化などによりまして、一件当たり三百三十四分で処理ができるというようなことで、こういう事務の合理化などの時間の短縮もある反面、人件費あるいは物件費の上昇ということもあわせ考えまして、最終的には一応現行四千円が一万二千円ということになった次第でございます。
  63. 宮地正介

    ○宮地委員 特に人件費の算出の基礎のやり方が、現行単価と今回の改定単価の間に非常に方程式が違っておるわけですが、なぜこういうふうに変えたのですか。
  64. 山田幸孝

    山田説明員 今回の積算の根拠になりました人件費は、現員現給でやっております。(「わからぬ」と呼ぶ者あり)
  65. 宮地正介

    ○宮地委員 非常に説明が不誠実といいますか、当委員会の委員からもいま、わからぬという声が出ておりますけれども、本当にわからぬと思います。  具体的に現行単価の人件費の算出について、まず、三十八年度の五等級の平均給与五十九万七千四百七十円を適用して、一年間の実働日数二百八十八日で割った。そして一日当たりのいわゆる二千七十五円を、件数で掛けて、人件費四十八万七千六百二十五円、こういうやり方をやっているわけですね。間違いないですか。
  66. 山田幸孝

    山田説明員 さようでございます。
  67. 宮地正介

    ○宮地委員 今回の改正単価のやり方を、いま私が申し上げたようなやり方ではじいて計算をなぜやらなかったのか。今回は逆に、先ほどお話があったように、最終的には一件当たりの時間数などをはじいてやっておる。なぜこの算出の根拠の方程式を変えたのか、ここを聞いておるのです。  まず人件費における今回の改正単価、この算出をどういうふうにしてきたかという数字を全部述べて、百三十七万七千八十二円というものはなぜできたか、これをまず本院の皆さんに御説明して、先ほど私が申し上げたような現行単価の方程式を、今回の改定単価を算出するに当たってはどういう理由で変えたのか、わかりやすく御説明いただきたい。
  68. 山田幸孝

    山田説明員 今回の手数料算定の人件費の算定内容を申し上げますと、現員現給が年額二百五十五万六千八百三十円、それを二千二百八十八時間、年間の労働時間といいますか、それで割っております。一時間当たりの単価として千百十七円を算出しておるわけでございます。千百十七円が一時間当たりでございますので、一分当たり十九円という計算になります。この十九円に、免許を与えるに必要な一件当たりの所要時間、三百三十四分を掛けますと、一件当たりの所要の金額が出てまいるわけでございまして、これが六千三百四十六円ということでございます。その六千三百四十六円に処理件数の二百十七件を乗じまして、百三十七万七千八十二円というのが、処理件数二百十七件に関する総トータルの人件費という計算をしたわけでございます。  なお、今回の算定方式は、現員現給という方式を一律とるという考え方のもとでやっておるわけでございまして、その点、前回のものとは若干違っておりますけれども、これは算定を一応そういうことでやるという方針のもとでやったわけでございます。
  69. 宮地正介

    ○宮地委員 現員現給で今回はやった、前回は違っていた、この点についてもう少し国民にわかりやすく、なぜそういうふうに変えてきたのか伺いたいと思います。
  70. 山口光秀

    山口(光)政府委員 コストをはじきます場合に、なるべく実態に即した人件費を見積もるのがよろしいかと思うわけでございまして、今回現員現給と申しますのは、それに従事しております職員の平均を出しているわけでございまして、この方がより実態に即しているのではないか。前回は、たとえば五等級というふうに、これもめどの立て方でございますが、そういうふうに職員のランクを決めまして計算したわけでございまして、どちらかといえば今度の方が実態に即しているやり方ではないかと思います。
  71. 宮地正介

    ○宮地委員 そこが私は非常に言いたいところなんです。言うなれば、前回の単価の人件費の算出の仕方というのは非常にラフであった、前回と同じようなやり方をすれば、今回の改定単価は実際にもっと高くなる、そういう面で今回きめ細かくやった、これについては私も非常に賛意は表するわけでございます。  なぜ前回こんなラフなやり方をしたのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  72. 山口光秀

    山口(光)政府委員 十五年前の話でございますので、その当時のこと、必ずしもはっきりわかっているわけではございませんが、いま御指摘がありましたように、今回のやり方の方がより改善されているやり方でございますので、前回のことはともかくといたしまして、こういうふうに改定させていただくのがよろしいのではないかと思います。
  73. 宮地正介

    ○宮地委員 少なくとも国民皆さんにいわゆる費用弁償ということで、また、今回の皆さん提案理由の中にも費用負担の適正化、こういうことで言っておるわけでございますから、国の財政のあるいは歳入責任を持つ大蔵省が、やはりこの基本の積算の算出のやり方、また手数料の引き上げを行う前提条件において、最大の慎重さとまたその配慮がなければ、やはり国民というものは納得いかない。ましてや、どういう積算の算出をされ、なぜこの一万二千円が出てきたのか、昭和三十八年当時はなぜ四千円だったのか、こういうことは、言うなら国民は目隠しの状態であるわけです。そういう点、そのいわゆる見えない部分における少なくとも算出の仕方については、これはもう責任をもって、いつガラス張りにされても国民に納得のいくそういう説明ができるようにしてはじくのが、私は当然の行政当局の責任であろうと思うのです。  この点について、過去において非常にずさんというか、ラフな積算をしてきた、この責任は私はあると思う。こういう点について、先ほど次長も、いわゆる今後においても費用負担の適正化というものは十分考えられる、こういうお話があったわけですが、過去のようなやり方が今後も横行してはならないし、まずその点について、重要な問題でございますので、大臣からきちっと御見解をはっきりしておいていただきたいと思います。
  74. 村山達雄

    村山国務大臣 財政の健全化、費用対効果の問題は非常に重要でございますので、従来とかくその点に注意が足りなかったと思っているわけでございまして、今後は十分そのようなことがないように検討し、そして適当な制度についても十分考えてまいりたい、かように思っておるところでございます。
  75. 宮地正介

    ○宮地委員 特に細かいことでございますが、今回、郵政省の所管でいわゆる放送事業者が、辺地の難視聴解消に現在積極的に取り組んでいるわけでございますが、実態は特に山谷の間に入ったそういう難視聴に対する解消として、ミニサテというのを設置して谷間の民家に電波を送る、こういうものでございます。ところが、この電波を発射するということで出力に応じて手数料を今回課する、こうなっておるわけです。こうなりますと、十ワット、二十ワットというふうになっておるわけでございますが、いま申し上げましたいわゆる中継局の役をするミニサテというのは、実際は〇・五ワットというようなまことに小さな出力でございます。ところが、今回手数料は十ワット分とられるというふうになっておる。  この難視聴対策というものは日本国民の間におきましても、特に山間部などでは重大な社会的問題になっておる。そういうことで政府としてもまた国会といたしましても、この難視聴解消という問題については公共的な要請として非常に積極的に取り組んでおる、ところが、今回の手数料改定ではまことにむげに取り扱われる、こういう逆行するような形になっているわけでございますが、まさに私はこういうところに政策的なコストというものを適用して対応していくべきではないか、こういうふうに思うわけでございますが、その点についてはどのように配慮されたのか、大蔵省あるいは郵政省、来ておればお答えをいただきたいと思います。
  76. 松沢弘

    ○松沢説明員 お答え申し上げます。  無線局の手数料につきましては、電波法によりましてその最高限度額を定めまして、この最高限度額の範囲内におきまして政令で具体的な徴収区分あるいは具体的な徴収額を定める、こういうことに相なっております。  それで、ただいま先生御指摘のように、最近山間僻地に非常にテレビジョンの中継放送局ができてきておるわけでございます。  現在施行されております電波法の政令につきましては、そういった最近の無線局の建設状況、こういったものには必ずしもマッチしない、ただいま先生御指摘のような十ワットというような非常に大まかな区分で現在手数料が決まっておる、こういったような状態でございます。そこで、今回の手数料改定を機といたしまして、この政令の面におきまして若干、放送局の電力区分を細かくいたしまして、そういう山間僻地に建設いたされます中継放送局につきましては、やはりコスト並びにそういった政策的配慮を加えまして現在よりも有利に取り扱っていこう、こういうぐあいに考えている次第でございます。
  77. 山口光秀

    山口(光)政府委員 ただいま郵政省からお答えしたとおりでございまして、政令段階検討させていただきたいと思います。
  78. 宮地正介

    ○宮地委員 政令段階検討するということは、いま私が申し上げましたような公共性の政策コストを十分配慮する、こういうことでございましょうか。
  79. 山口光秀

    山口(光)政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  80. 宮地正介

    ○宮地委員 ぜひそのようによろしくお願いしたいと思います。  さらに、今回の各種手数料のいわゆる歳入見積もり、この問題について少しお話を進めていきたい、こう思うのですが、今回政省令の委任関係で約三百五十項目、今回の五十三年度見積もりで三百二十億円、増収三十五億、法律関係では二百八十項目、五十三年度見積りで六百八十三億ということで、根っこからの歳入は約一千三億、こういうふうになっているようでございます。そのうち主要な歳入の見積もりとして、旅券法関係が約百四十億円、特許法が百十億、実用新案法が十五億、意匠法が七億、商標法が四十七億、電波法が二十五億、約三百四十四億、これが大体今回の改正に伴う主要な歳入の見積もりのようでございます。  しかし、今回国が政省令あるいは法律で百十億円の増収と言いながら、根っこで約一千億円の歳入である。手数料などは、地方の自治体などにおいても、今回地方交付税の改正などでもどうも増収が百二十億円。根っこについてこれはどのくらいあると考えておられるのか、この辺をまず自治省にお伺いしたいと思います。
  81. 田井順之

    ○田井説明員 昭和五十一年度の決算の数字で申し上げますと、全体としまして手数料は約千四百二十四億でございます。
  82. 宮地正介

    ○宮地委員 国が根っこで約一千億、地方自治体の段階で約一千四百億、このほかに、今度は地方自治体で、いわゆる条例改正などによってやはり手数料のたぐいなどが引き上げられる分があるのではないかと思うのですが、この点、掌握されておりますか。
  83. 田井順之

    ○田井説明員 ただいま申し上げました千四百二十四億は、法令に基づく機関委任事務に係るものと条例に基づいて徴収いたしますものの合算額でございます。  なお、国の改正措置に準じまして、地方団体においても手数料改正は行われるものと存じますが、私ども具体的な動きにつきましては把握いたしておりません。
  84. 宮地正介

    ○宮地委員 いま自治省がお話しになったように、国の改正に伴って地方自治体の段階においても手数料改定が行われるようである、しかし、それについては現在のところ掌握をしていない、こういうことでございます。  現在明らかになっているだけでも、国段階で約一千億、地方自治体の段階で約一千四百億、約二千四百億、そのほかにさらにプラスアルファ、こういうことが考えられるわけですね。そうしますと、これについて庶民感情から見ますと、私たちが住居を移転する。当然そこで変化が起こるのは、住居移転に伴うところの謄本の関係だとか、いろいろ身近な手続というものが行われる。ですから、今回国が適正化あるいは財源措置と言って、確かにある意味じゃ大義名分ができているわけでございますが、それが地方の段階、あるいは民間のたとえば学校関係手数料などいろいろと庶民生活への波及というものは、私たちが考える以上に非常に大きいのではないか。  そういう意味で、単に財源措置、財源措置ということをうたい文句にして、昭和二十五、六年などのいままでほったらかされておったものを行政コスト並みに適正化する、あるいはそこに政策コストを入れてできるだけ緩和する、こういうやり方については、私たちも決して反対ではないわけですが、ただ、そういう国民生活への波及という問題についても十分考えていきませんと、言うならば、国が上げたのだからということが今度はあらゆる面に出てまいりますと、結果的に、国民の生活といいますか、実際の末端に対する影響というのが非常に出てくると私は思うわけです。そういう点についてできる限り、歯どめのできるところにおいては十分歯どめをしていくという対応策、こういうものについても大蔵省としては、自治省などを通じまして——今回大蔵省改定をするに当たって、政策コストを十分考えたと言っておるわけですが、同じように庶民に影響の高いような問題などについては、そういう政策コスト的判断というものを十分なさっていただきたい。地方の財政も大変苦しいことは、現在の経済環境でありますから十分理解できるわけでありますが、庶民に与える影響、波及というものを十分考えて、その点について配慮をする、これは当然、大蔵省として自治省などにも要請していると思うのですが、この点について当局者間でどういうふうに話し合いをしておられるか。  たとえば本日から地方行政委員会などでは地方交付税法の一部改正論議をされるようですが、大蔵委員会と同時に、今度は地方自治体の段階における手数料の引き上げなどが論議を呼ぶわけでございます。これは、国民生活への波及、影響というものを十分考慮しながら、中央省庁が連携をとって、庶民生活に影響度の高いものがあればできる限り緩和していく、こういう措置をすべきであると私は思うわけでございますが、この点について、まず大蔵省はどのように自治省に御配慮を要請しておるのか、また自治省としては、各地方自治体に対してこの点の配慮を要請しているのかしていないのか、お伺いをしたいと思います。
  85. 山口光秀

    山口(光)政府委員 地方公共団体の徴収する手数料につきましては、自治省で所管しておりますので、私ども特に自治省に対してこれといったことは申し上げておりません。
  86. 田井順之

    ○田井説明員 地方団体の収入となります手数料のうち、機関委任事務等に係るものにつきましては、法律あるいはこれに基づく政令によって最高限度が決められておりますので、それが歯どめになりましてその範囲内で徴収されております。問題は、条例に基づく固有事務等に係る手数料であろうかと思いますけれども、この点につきましては、財政収入を図るということよりもむしろ、先生のお話にもありましたように、適正な負担をしていただくという見地に立って、能率的に事務処理をするという前提に立った場合の必要最小限度の経費を基準にして決めていくように、こういう考え方で私ども臨んでおるわけでございますし、また、固有事務に係るものにつきましては、条例の改正を通して地方団体の議会で慎重な審議が行われます。そういうこともございまして、現実に非常に負担になるような手数料というものはまずないであろうと私ども考えております。
  87. 宮地正介

    ○宮地委員 山口次長に私はちょっとお伺いしたいのですが、大蔵省としては、所管が自治省だから何らお話はしてない、こういう御答弁をいただいたのですが、これは日本の言うなら官僚機構の一番悪い点だと思うのですよ、縦割りの。国民生活というのは縦割りだけじゃ本当に守ることはできない。それはいい面もありますよ。深くスペシャリスト的に思索をし、問題の起きないようにふだんから勉強され、法律を守り、間違いのないように努力されている、これは敬意を表します。しかし、やはりそういう点について、少なくとも国民というのは、国の財政の中心は大蔵省であるとわかっておるわけです。この大蔵省手数料の引き上げをやれば、必ずこれが今度は各種の、いわゆる大蔵省所管外の手数料に対する引き上げの引き金になる、こういう理解を国民は現実に持っているのです。これについてやはり大蔵省は、そういうことにできるだけならないように配慮をしなければいかぬ。  恐らく有能な皆さんですから、心の中では十分思っていると思う。これを表に出して一言でもいいから、自治省さん、おれのところは今度こういうふうに国会でお願いするんだけれども、あんたのところは今度地方段階でどうもこういうふうにやるようだけれども、やはり国民生活の問題は十分にお互いに考えるけれども、まさか大蔵省が引き上げることが引き金になるというようなことにならぬように、十分御配慮いただけないか、ここの意思の疎通があって本当の日本の行政というのは行われるんじゃないか、こう思うのですよ。この点についてちょっとお伺いしたいと思います。
  88. 山口光秀

    山口(光)政府委員 先ほどちょっと質問の意味を取り違えたかとも思いますが、個々の手数料について、これは政策的配慮をすべきであるというようなことは申し上げてはおりませんが、今回一括法案手数料の見直しを行うようにいたしましたにつきましては、自治省にも連絡いたしまして、十分な連携のもとにやっているわけでございます。  自治省の方で御提案申し上げております地方団体関係法律に係る手数料の増収額は、百二、三十億のオーダーではなかろうかと思います。私どもがいま御提案申し上げておりますのは、政令省令告示のものも含めまして百六十数億でございます。合わせて三百億くらいのオーダーのものかと思います。  国民生活に対する影響という点になりますと、たとえば特許関係でございますとか、あるいは旅券関係でございますとか、そういうものが増収の主なものでございますので、生活に密着しているものはわりに少ないんじゃないか、国民生活に影響する度合いはそう大きくないんじゃないかというふうに考えております。
  89. 宮地正介

    ○宮地委員 たとえば今回の自治省、これは地行で当然審議をされると思いますが、自治体の許認可の手数料の限度額の引き上げの問題につきましても、特に地方団体は相当国民のいわゆる底辺に影響する問題が多いわけです。たとえば家を建てるとなりますと、当然建築確認申請、こういうものを県の土木事務所なり県当局に出すわけですね。こういうようなものがなければ家は建たない、これはあたりまえです。これがやはり床面積百平方メートル以上の場合は一挙に十万から三十万円に上がるわけですね。あるいは、これはいろいろありましょうが、犬の登録なんかは三百円から二千円に引き上げられるわけです。ですからいま自治省の方で、法定の限度内において云々と言っておりますが、果たして今回この大蔵委員会提案されております各種手数料改定に関する法律と同じように、自治省段階においても、十分国民生活を考えて政策コストというものを配慮したのかどうか、若干こういう疑問を持つわけでございますが、この点についてはどのように行ったのか、ちょっと御説明いただきたいと思います。
  90. 田井順之

    ○田井説明員 ただいま例に挙げられました建築基準法に基づく手数料につきましては、前回三十九年に改定されたものでございますけれども、やはり人件費、事務費等につきまして必要最小限度の額というものを基準にして改定額を算定いたしております。
  91. 宮地正介

    ○宮地委員 今回の各種手数料の引き上げにつきましては、国の大蔵省所管あるいは自治省所管、各省庁たくさんあるわけでございますが、いわゆる行政コストに見合った適正化という問題については、私たちは十分理解できるわけでございます。しかし現在、景気が停滞して不況という経済環境、また、国民生活も非常に厳しい環境にあるわけでございますので、そういう国民生活に対するところの影響、波及、こういった問題を十分勘案して、今後取り組むときにおいても一本の柱の中に入れていただきたい、そして、特に比較的弱いと言われる立場の方々については、特段の措置をするぐらいの配慮があってよいのではないか、こういうように私は思うわけでございます。  今後の問題、あるいは今回の改正に当たってもそういう配慮をされたと思いますが、この問題も非常に大事な問題でございますので、大蔵大臣、この問題についての今後の考え方として、手数料等の引き上げの際には国民生活への波及を十分考える、また、いわゆる庶民大衆の、たとえば身体障害者とかあるいはお年寄りとか、先ほど言ったような特にまた難聴のところに住んでおられる方方とか、そういう比較的弱い立場と言われる方については、ぜひ特段の配慮をするといった考えに立って検討されるように私は要望したい。この点について大臣の御見解を伺っておきたいと思います。
  92. 村山達雄

    村山国務大臣 手数料につきましては、原則として行政コストを中心にしておるところでございますが、いま宮地委員のおっしゃいましたような政策コストも十分織り込んでいかなければならぬと思いますので、今後個々の手数料を決めるときに十分検討してまいりたい、かように思っておるわけでございます。
  93. 宮地正介

    ○宮地委員 この委員会をかりまして、直接にはちょっと関係がないと思いますが、電波法の改正などというところにひっかけさしていただきまして、最近国会でもいろいろ論議を呼んできたわけでございますけれども、いまだに大変悪らつな行為が目立っておる問題がありますので、残り時間で少し質問をさしていただきたい。  いわゆる有線音楽放送業界の正常化の問題であります。これにつきましては、特に最近、都内及び私など埼玉県の近郊におきましても、どうも不法無断のいわゆる道路占用などが行われまして、非常に社会問題化をしているわけでございます。  この問題は、いろいろ各委員会で私もやっておりますので、当局は十分承知していると思いますが、現段階におきまして、有線音楽放送の業界におけるいわゆる道路の無断占用の問題についてどのように取り組んでおられるか、郵政省、建設省にまずお伺いしたいと思います。
  94. 小野沢知之

    ○小野沢説明員 お答え申し上げます。  有線音楽放送の正常化につきましては、昨年国会においても大きな問題として取に上げられまして、郵政省といたしましても、道路管理者、電柱所有者等関係機関と連絡をとりながら、関東地区を中心に対策を強化いたしまして、違法な有線音楽放送事業者やその団体に対して再三注意、警告等の行政指導を行うとともに、悪質な事業者に対しては告発を辞さないという方針で取り組んできたわけでございます。  そういたしまして、昨年十二月中旬、関東電波監理局におきまして、株式会社ゆうせんにつきまして、有線電気通信法及び有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律違反ということで、十二月十三日警視庁、それから十二月十九日神奈川県の警察本部に告発をいたしました。本件は、同社の設置に係る西東京、それから北多摩及び多摩放送所の放送区域、その無届け拡張に対して再三警告をしたにもかかわらず、何ら法令に適合するような措置が講ぜられなかったというために告発を行ったわけでございます。現在警察におきまして、当局側の事情聴取等が行われている段階でございます。  今後さらに、有線音楽放送の正常化につきましては、省内関係のところと十分打ち合わせをとりました上で、告発基準を具体化するというようなことによりまして全国的に対策を強化していきたい、このように考えております。
  95. 山本重三

    ○山本説明員 建設省が直接管理しております国道、特に昨年六月発見いたしました国道四号でありますとか二百五十四号あるいは十四号にかかわります株式会社ゆうせんによる不法占用につきましては、私どもは昨年八月監督処分をいたしましたが、これに対して応じないため、昨年暮れ、十二月でございますが、警視庁及び千葉県警にそれぞれ告発をいたしております。現在、警察御当局におきまして捜査が進められていると聞いております。  なお、この不法占用線につきましては、電柱の所有者であります電電公社あるいは東京電力におきましても、それぞれ裁判所に仮処分の決定の申請をいたしておりましたのが、これも昨年の暮れからことしにかけまして決定を受けて執行したと聞いております。  私どもといたしましても、この問題につきましては、今後とも関係各省あるいは電柱所有者等とも緊密な連携のもとに厳正な態度で適切な措置をとり続けてまいりたい、かように考えております。
  96. 宮地正介

    ○宮地委員 そういう悪らつな有線音楽放送業界で特に悪らつなのは、いま申し上げたような地域においての団体というのはどういうところがあるのですか。
  97. 小野沢知之

    ○小野沢説明員 団体といたしましては、社団法人といたしまして全国有線音楽放送協会、それからこれは任意団体でございますが、日本有線放送連盟、それから組合といたしまして東京音楽放送協同組合、これがございます。
  98. 宮地正介

    ○宮地委員 最近の特に悪らつな会社が二、三あるでしょう。
  99. 小野沢知之

    ○小野沢説明員 ただいま細かい数字は持っておりませんが、いわゆる違法施設の事例が多いところといたしましては、先ほど申し上げました任意団体の日本有線放送連盟、ここに参加している事業者について違法の事例が多いというふうに認識しております。
  100. 宮地正介

    ○宮地委員 特に去る二月の二十一日に熊本県においては、無断の添架作業中に高圧線にショートさせて十一時間に及ぶ停電事件を起こした、こういうことで現在、損害賠償問題まで起きている事件がございます。この点についての概要を押さえておられるか、警察庁の方は後でまとめて聞きますから、まず郵政と建設。
  101. 白井太

    ○白井説明員 お答え申し上げます。  私どもが把握しておりますのは、九州電波監理局管内の熊本及びその周辺の地域で起きたものでございまして、放送業者は、先ほど有線放送課長からお答え申し上げましたいわゆる連盟に所属しております大阪有線放送社と聞いております。添架している電柱の本数が、電電公社が六百本、電力関係がやはり同じような数字と聞いております。本年の二月に九州電力の高圧線とショートいたしまして、植木町というところで約五百戸が停電するという事故があったと承知しております。
  102. 宮地正介

    ○宮地委員 時間がありませんので、特に先ほどお話がございました警視庁所管の問題、千葉県警の所管の問題、ただいまの熊本県警の所管の問題などにつきまして、警察庁はどのように現在捜査を進めておられるか。それからもう一点、警察庁はこの問題については、特に郵政省あるいは建設省から告発もされていると思いますが、この点について現在どのように取り組んでおるか、この二点、よろしく。
  103. 広谷干城

    ○広谷説明員 お答えいたします。  まず熊本県の事案でございますけれども、本年二月二十一日午前二時ごろ、熊本県の鹿本郡植木町におきまして、約五百戸が停電を一時間ないし十一時間いたしまして、九州電力によりましてその原因を調査されたところ、株式会社大阪有線放送社が電電公社の電柱にケーブルを無断で張りめぐらしたために、これが高圧線に接触しショートしたものと判明したという事案がございました。そこで九州電力におきましては、これらの架線につきまして三月二十八日に仮処分を執行されまして、強制撤去を行ったわけでありますけれども、その撤去直後の三月二十九日に再び作業員を出して架線が張られたというふうなことがございます。熊本県警察におきましては、これらの事案が道路法あるいは道交法、あるいは住居の不法侵入にも当たるのではないかということで、現在関係者の事情聴取や実況見分を行いまして、現在引き続き捜査をいたしておるところでございます。  それから、ただいま郵政省それから建設省の方からお話がございましたけれども、これらの有線放送業者のトラブルによります不法事案につきまして、警察としましては、警視庁及び千葉県警につきまして建設省関係から、それから警視庁、神奈川県警に対しまして郵政省関係から、告発をそれぞれ昨年末に受理をいたしておりまして、現在対象架線の特定あるいは実況見分、被告発人の取り調べあるいは実行行為者の特定等、鋭意捜査を進めておる状況でございます。
  104. 宮地正介

    ○宮地委員 時間が参りましたので、最後に要望して終わりにしたいと思いますが、今回のこの有線音楽放送業界の正常化の問題は、ただいま警察庁から御報告がありましたように、昨年いわゆる郵政省、建設省が告発をしておる。告発をしておりながら、いまだにその後においても不法占用、法秩序を侵すといった行為が行われておる。こんなばかげたことが法治国家であるわが国でなお行われるというのは、とんでもない話でございまして、私は、この問題についても今後も監視をしてまいりますが、関係当局はどうか、法秩序を守るという立場からも、厳正にこの問題には積極的に取り組んでいただきたい、このことを要望いたしまして、質問を終わりにしたいと思います。
  105. 大村襄治

    大村委員長 荒木宏君。
  106. 荒木宏

    ○荒木委員 まず初めに、今回の改正案の提出形式について伺いたいと思いますが、御説明によりますと、司法書士法あるいは計量法、若干の法律については、それぞれ別途関係法令の改正で扱うということになっておるようでございますが、これについて別扱いになり、こちらについて三十七件、二百二十事項一括になった理由を伺いたいと思います。
  107. 山口光秀

    山口(光)政府委員 ほかに法律改正をお願いする事項がございます分につきましては、単独法審議をお願いすることにいたしまして、手数料だけの改正を予定しておるというものにつきましては、一括法でただいま御審議いただいておるわけでございます。
  108. 荒木宏

    ○荒木委員 私は大変便宜的ではないかと思うのですね。一面から言いますと、手数料軽視といいますか、突っ込みで出してくる。もし本当に全部統一的にやるのなら、ほかも引き抜いて、そして一つの手数料法案といいますか、そういうような形がとられるなら、それは形としてわからぬでもないと思うのです。替否は別として。ところが、改正事項があるかどうかはこれは非常に偶然的な要素があると思うのですね。しかもその中の重要性はこれまた一義的ではない。たまさか改正事項があるからそこへひっかけて、それを外してしまう、残ったものだけを十把一からげで集めてくるというのはいかがなものでしょうか。私はいまの御説明では納得できぬと思うのですよ。そのことは指摘しておきたいと思うのです。  続いて関連して伺いますが、本法は、これはもちろんそれぞれの所管ですね、十省庁ですかの。政令はどうなりますか。共管ですか、それとも大蔵は全然関係してないのですか。
  109. 山口光秀

    山口(光)政府委員 最初の前段の御質問からお答え申し上げたいと思います。  実際問題といたしまして、手数料だけの法律改正を単行法でお願いするということはなかなかむずかしいわけでございます。したがって、昭和二十何年以来改定がなされなかったというような手数料が生じたわけでございまして、今回一括法案でお願いいたしますのも、そういう実情に顧みましてこういうかっこうでの御審議をお願いしたいということなんでございます。  御承知のとおり、五十三年度におきましては、歳入歳出にわたりまして根元から見直しを行ったわけでございまして、手数料につきましても洗い直しをいたしました。法律以下と申しますか、政令以下で決め得る手数料については、毎年度見直しを行っておりますので、かなり改定作業が進んでいるわけでございますが、法律金額なり限度額が決まっておりますものは改定がおくれがちでございますので、こういうかっこうでぜひ御審議をお願いし、改定さしていただきたいと思うわけでございます。  それから、大蔵省の関与の仕方でございますが、もちろんいま御指摘のように、各法律は所管の各省法律でございます。ただ、手数料歳入になるものでございますから、その歳入という点につきましては大蔵省にも協議していただくということになっておりまして、たとえば御質問の政令を出します場合に、大蔵省も共管の役所になるわけでございます。
  110. 荒木宏

    ○荒木委員 むずかしいというお話がありましたけれども、むずかしいのにはむずかしいだけの理由があるのじゃないでしょうか。政令で決まっておるのと法律で決まっておるのと区別がありますけれども、やはりそれなりの違いの理由、必要があって違いがあるので、もとを変えないで、扱いがままならぬからといって、こういったもとで決まっておる扱いとは違った扱いにしてくるという、これはいささか便宜的ではないかと思うのですよ。  政令は協議にあずかるということですけれども、しかし収納の機関は違うでしょう。税務署が集めるわけじゃないので、それぞれの所管の出先機関が扱っておるわけだと思うのですが、そういう意味からいいまして、こういうふうな形がこれからもやられるという、私は非常に便宜的な感じがいたしますので、これは大臣から一言、大蔵省として今後もこういう手数料軽視といいますか、場合によってはそれぞれ関係の向きでは影響のあるところもあると思うのですけれども、こういう非常に便宜的なやり方を私はよくないと思うのですけれども、お考えを伺っておきたいと思います。
  111. 山口光秀

    山口(光)政府委員 各種の法律改正をある目的をもって統一的に行うといったような場合に、一括した法案をお願いするということは行われているわけでございまして、たとえば許認可整理法などは、毎年のように提案し、御審議をお願いしている次第でございます。  それで、手数料につきましては、従来こういうかっこうでの御審議をいただかなかったわけでございますが、今回あえて御提案申し上げているところでございまして、先ほどもちょっと申し上げましたが、もしこういうやり方での御審議が認められますれば、今後も見直しの際、こういう形式で国会審議をいただくことも十分あり得ようかと思います。
  112. 村山達雄

    村山国務大臣 手数料の問題は、簡単なようでございますけれども、ずっとお話を聞いておりまして、非常にむずかしい問題もあるような気がいたします。やはり一つの行政手数料で、原価主義が基本でございますから、本来その法律によって決めていくのが本当でございましょうけれども、しかし実際問題として、手数料だけを国会にそれぞれの根拠法でかけるというのもなかなか大変な話であることはわかるわけでございます。一方、行政手数料だと申しましても、それはまた当然財政収入になるわけでございますので、ずっとお話を聞いておりまして、今後どのような形でもっていくのがいいか、いろいろ考え方があると思っておるのでございます。  一つの考え方は、やはり今度のように定期的に手数料を見直していく、単行法のものは単行法でやっていく、こういう考え方があるかもしれません。あるいはまた、これからの検討問題でございますが、それぞれの手数料というものを、もう少し個々に深く関係省庁と検討いたしまして、場合によりましたら限度枠を定めて、国会の御承認を得て、あるルールで決めていく、政令以下で決めていくという方法も一つあるかとも思うのでございます。  いずれにいたしましても、長年手をつけないのをこういう形で出さしていただいたのでございます。許認可等につきましては、これはまあ大体同じようなことをやっているわけでございますけれども、片方は反対給付という負担を伴う問題でございますので、いまの荒木委員からの御意見なども踏まえながら、今後何らかの適切な方法考えてみたいと思っておるところでございます。
  113. 荒木宏

    ○荒木委員 私は、その審議の実情からいっても、同僚委員の御質疑も伺っておりましたが、関係省庁のそれぞれ説明員がずいぶんお見えいただく。皆さんの方もそれぞれ各省で協議にあずかっているわけでしょう。だとしたら、国会審議もそれじゃ連合審査かということも対応上、形としては出てくるわけでありまして、それを短時間で二百数十項目に及ぶそうした改正財政オンリーの立場から審議していくということは適当でないと思います。特に政策目的に絡んで論議することになりますと、一層そういう点は出てくるのじゃないかと思います。  たとえば一、二整合性の点で申しますと、司法試験の受験の手数料が今度引き上げになっておるようですけれども、これは一次試験を見ますと、不動産鑑定士の場合と手数料の額が違うようです。引き上げ率も違うようです。また、別途国家公務員の試験と比べてみますと、公務員の方はいま受験手数料はゼロでしょう。司法試験の方も、司法二次試験の場合は、司法修習生の採用の前提となる資格試験です。国家公務員も、あれはいまは採用試験というよりは、採用予定者名簿に登載をする一種の資格試験といいますか、そういう形になっているので、どちらも同じ国家公務員を採用する予定の資格試験に類似するものでありながら、片一方は手数料を取らないで、これだけ取っているといった点について、どういうふうに説明されるのでしょうか。
  114. 山口光秀

    山口(光)政府委員 それぞれの受験手数料は、その事務に要しますコスト行政経費を勘案いたしまして手数料を決めているわけでございますので、一律に受験手数料が幾らというようなことにはならないんだろうと思います。  国家公務員の採用試験、これは採用試験でございますので、手数料は取らない。司法試験の方は、資格試験でございますので、従来から手数料を取っているということであろうかと思います。
  115. 荒木宏

    ○荒木委員 採用試験といったって、試験を通ったら皆採用されますか。予定者名簿に登載されて、そして一年有効だというたてまえでしょう。同じじゃないですか。つまり採用試験というよりも、採用を前提とした予定者名簿になるわけで、司法試験だって、二次試験を通ればもうほとんど、特別の事情がない限り公務員に採用されているでしょう。大体事情は同じじゃないでしょうかね。しかもそれは、弁護士登録する人もありますけれども、裁判官、検察官になっていく人だって少なくないので、そのことを私はここで論議しているのじゃなくて、そういう全体の比較その他からいっても、こういう便宜的な、もとの法で改正がないものだけを引き集めて出してくるというのは、審議を尽くすやり方にはならぬという一例で申し上げているので、答弁は聞きましたから、私の意見だけ申し上げておきたいと思います。  それで、若干個別の問題について伺っておきたいと思いますが、まず国土庁にお尋ねします。  不動産鑑定業者の登録申請手数料で、御案内のように、長官登録の業者と知事登録の業者とありますが、大体知事登録の方が九割ぐらい占めておると思いますけれども、国土庁調べで、一業者平均の報酬額が五十年度で六百万円と出ています。長官登録は一億円以上ということになっておるのですけれども、ずいぶん何十倍という格差がある。これは事業規模も違うわけですし、監督官庁も分かれておるわけですから、こういった区分による格差というものを設けてもいいのじゃないかというふうに思いますが、御意見を伺いたいと思います。
  116. 久保木哲彦

    ○久保木説明員 お答えいたします。  不動産鑑定業者の登録手数料は、先生おっしゃいますように、昭和三十八年以来上限が五千円ということになっておりまして、新規登録が五千円、更新登録が三千円ということで、これは長官登録、知事登録の場合同じ額ということで定められて、今日に至っておるわけでございます。  確かに今回の改正につきましては、コストを計算して、これを基礎に額を定めるということで統一されております。それで、長官登録につきましてそのようなことで計算をいたしますと、新親登録につきましては三万円、更新登録につきましては一万五千円というような額が相当の金額になるわけでございますけれども、知事登録につきましては、実態につきましてコストがどういうようになっているか調べる必要がある、その上で決定をする必要があるということで、ただいま都道府県にそのようなコストにつきましての照会をいたしておるところでございます。したがいまして、その回答を待ちまして、関係各省と相談の上で適正な額を定めたいというように考えております。
  117. 荒木宏

    ○荒木委員 それはいいのですけれども、私聞きましたのは、それに加えて、うんと規模が違うから、報酬といいますかもうけもうんと違うんだから、その点で——コストは一つの物差しでしょう。同時に政策物差しというものもあるのだから、その点も加味してはどうか、こう言っているわけです。
  118. 久保木哲彦

    ○久保木説明員 確かに事業規模も違いますし、不動産鑑定士の数につきましても、長官登録業者と知事登録業者では違うわけでございます。したがいまして恐らく、ただいま申し上げましたように都道府県に照会をいたしておりますけれども、そういうような違いを反映したコストというものが、都道府県の方から回答が来るのではないかというような予想も立つわけでございます。そういう回答の結果が、そのようなコストの差となってあらわれました場合には、それはそれに相当する額として決めたい、こういうようなことでございます。
  119. 荒木宏

    ○荒木委員 結果としてそういう点が配慮されることを要望しておきたいと思います。  それから、通産省に伺いますが、狩猟用火薬の譲り受け手数料、それから煙火消費手数料、いずれも若干、小口使用に対しては施行規則で配慮があるようであります。しかし同時に、関係の業者は実態として小規模零細業者がほとんどである。手数料の転嫁ということもなかなか行いがたい実情にある。詳しい数字は申し上げませんが、一例を挙げると、火薬譲り受けの場合には、たとえばダイナマイトと猟銃用の火薬とではその規模、意味合いもずいぶん違う、こういうことで、同じくいま申しましたような種類あるいは数量による格差を設けてはどうか。煙火の場合に例をとりますと、一回が何億円というような全国的に有名な年中行事になっているのもありますし、それからわずか数万円というのもありますが、こうした点で、実態に即した政策的な配慮を加える必要があるのではないか、通産省から答弁を求めたいと思います。
  120. 水野哲

    ○水野説明員 お答えいたします。  まず火薬類の譲り受けでございますが、先生から御指摘いただきましたとおり、譲り受け自体、ダイナマイトのような非常に大型な爆薬から、スポーツ、レジャー用に使用いたします小規模な装弾まで、譲り受けの火薬の種類、量等に非常に差がございます。したがいまして私どもといたしましても、具体的に火薬の種類に応じまして、政令段階で区分けいたしまして、少量消費者に過重な負担とならないようにいたしたい、こういうふうに考えております。  それから煙火でございますけれども、小規模の煙火の消費、たとえば村祭りとかあるいは運動会などで煙火を使用いたしますけれども、この種のものにつきましては、火薬類取締法二十五条に基づきまして無許可で消費することが可能でございます。そういう意味で現在、煙火の消費で手数料を払い許可をとるものは一定規模の大きさ以上のものでございます。そんなことで、三千円というのはそういう意味では決して高くないのではなかろうか、こういうふうに考えております。
  121. 荒木宏

    ○荒木委員 猟銃火薬は答弁をいただきましたからあれですが、煙火の方は、いま法令の規定で小規模のものは無許可、こういう話ですが、それは一台だけだから、仕掛けが二台になれば許可が要りますね。あるいは二十センチまでのもので十一個以上になればこれも許可が要るということですから、この線引きにもかかるわけですけれども、実際問題として、打ち上げ業者は全国で数百社ですけれども、ほとんどが中小零細業者ですから、一回の受注でかなり小規模のものもあるようです。一例として、数万円という場合は利益が一万円以下ということもある。そうすると、そこで三千円取られると三割方いままでに比べてもうけが飛んでしまうというような事例も出てくるわけですから、これは今後施行規則の扱いだとかあるいは実際の運用段階で考慮されることを要望しておきたいと思うのです。  それから次に、郵政省に伺いますが、先ほど無線局の定期検査の手数料について同僚委員から若干御質疑がありました。  タクシー業界は、大手もありますけれども、小規模零細の業者も少なからず。これが、やはり今回の引き上げによって、経営面にも影響があるということを申しておりまして、政令段階で考慮する必要があると思いますけれども、郵政省の方針を聞かしておいていただきたいと思います。
  122. 松沢弘

    ○松沢説明員 お答え申し上げます。  現在タクシーの無線局につきましては、特別にタクシーの無線局というような徴収区分は設けておりませんので、その他一般の無線局といったようなことで、その無線局の出力の規模に応じまして料率を適用して手数料を徴収する、こういった形をとっております。  今後の手数料令の改正に当たりましても、この方向は踏襲してまいりたいというのが私どもの意向でございますが、ただ、最近におきまして、無線局の利用の実態からいたしますと、非常に出力の小さな無線局がふえておるというような実情でございます。それで、このタクシーの無線局も、五ワット程度以下の非常に出力の小さなものでございますので、このような無線局の分布状況をよく勘案いたしまして、徴収区分の細分化といったようなこともあわせて検討してまいりたい、こういうぐあいに考えております。
  123. 荒木宏

    ○荒木委員 もう一つ伺っておきますが、採石の認可に関する手数料の問題が出ております。これは一面で公害の問題がいろいろ指摘をされております。またその防止施設整備の問題もあるわけですが、同時に、採石業界は非常に小規模業者が多くて、認可の期間が全国的に非常に短い場合がある。たとえば半年から一年というような事例があり、しかも申請の手続、認可までに三カ月から四カ月かかるということですから、これはエネルギー庁の方に伺っておきたいと思いますが、公害対策、それからその方の監視、規制ということも一面適切な運用を図りつつ、認可の期間として余り短期間な実情に沿わない認可の期間というものを調整していく必要があるんじゃないかということで、実情と方針を明らかにしていただきたい。
  124. 福原元一

    ○福原説明員 お答えいたします。  採石業におきます採取計画の認可期間につきましては、採石業の性格上、相当長期的な事業計画のもとに着手されるのが実態でございますし、特別の事情がない限り、長期的な観点に立った権益との調整を考慮して検討すべきであると私ども考えております。そういう意味で現在、採取計画の許認可につきましては、先生御指摘のような例もございますが、私どもといたしましては、一応三年をめどといたしまして都道府県に通達を出しておりまして、そのように指導しておりますが、最近時点におきましては、おおむね三年程度という認可期間の許可件数がふえつつございます。
  125. 荒木宏

    ○荒木委員 最後に、大臣に一言伺っておきますが、今回の法案の内容としては、一定の資格、権利、それから地位あるいは保証、こういったものを得るための費用といいますか、費用負担ということになろうかと思うのですが、もちろんこのコストの算定ということが基礎になると思いますけれども、同時に、その取得者の負担能力、それから取得目的といいますか、営利、収益にどのようにかかっているか、これを十分考慮して政策手数料をという、こういうお話もありましたが、国民生活、それから小規模業者の経営の圧迫にならないように配慮をすべきだと思いますので、その点についての基本的なお考えを伺って、質問を終わりたいと思います。
  126. 村山達雄

    村山国務大臣 各種手数料につきましては、行政コストを中心に考えておるわけでございますが、政策コストも織り込んでおるものもあります。したがいまして、その点についておっしゃるように、その行政サービスを受ける人の立場、こういったものを十分考えまして、あるものについては減算し、あるものについては加算するという方向で、今後この手数料全体の考え方につきまして検討を進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  127. 荒木宏

    ○荒木委員 終わります。
  128. 大村襄治

    大村委員長 永原稔君。
  129. 永原稔

    ○永原委員 山口さんから先ほど手数料のお話は承りましたけれども、有権的な解釈として法制局に、手数料と登録の定義、それから登録免許税の定義、両者の相違について伺いたいと思います。
  130. 前田正道

    ○前田(正)政府委員 手数料につきましては、私人間のものもございますけれども、一応それは別にさせていただきまして申しますならば、手数料につきましては、国あるいは地方公共団体またはこれらの機関が他人のために行います公の役務に対しまして、その費用を償いますために徴収する料金ということができようかと思います。これに対しまして登録免許税は、登録免許税法第二条に規定がございますけれども、権利の創設でございますとか移転等に関しまして、あるいは法律上定められました一定の資格等につきまして、登録簿なりその他官庁の備えます原簿に登記なり登録をするという際に、その登録等を受ける人を納税義務者といたしまして課税される租税であるということでございます。     〔委員長退席、野田(毅)委員長代理着席〕  両者の相違点でございますけれども、ただいま申し上げましたところからおわかりいただけるかと存じますけれども、ただ何分にも、その登録免許税自体が登記、登録等の際に徴収されるというものである、また、登録免許税の中にはものによりまして、手数料的な性格を有しているものは全くないというわけではないというような点がございますけれども、典型的なものについて申し上げますならば、ただいま申しましたように、手数料はいわば行政上のサービスに対します実費弁償である、それに対しまして登録免許税の方は、登録等の背後にあります担税力、これに着目をいたしまして課する租税であるという点に基本的な性格の相違があると存じます。  言葉をかえて申しますならば、登録免許税はあくまでも租税でございまして、実費弁償を目的とする手数料ではない。したがいまして登録免許税は、国に対して徴収されるといいますか、登録免許税の徴収主体は国だけでございますけれども手数料の場合には、国に対するもの、さらには地方公共団体に対するもの、この両者がございます。それから根拠法といたしましては、登録免許税法はあくまで税法でございますので、登録免許税法という一本の法律を根拠法にしております。それから手数料の方は、各種の行政行為がございますので、その意味から申しまして手数料も各種のものがございます。したがいまして、各種の法律によりましてそれぞれの法律を根拠にして徴収される、このような点が両者の相違だろうと存じます。
  131. 永原稔

    ○永原委員 特に登録手数料あるいは許可手数料というものと登録免許税、この両者を併課することができるでしょうか。
  132. 前田正道

    ○前田(正)政府委員 その併課をします場合には、その性格をどのように理解するかという問題に相なろうかと思います。したがいまして立法政策としては、その実費弁償的な部分に対しましては手数料を課し、それから、その背後にあります担税力に着目をいたしまして租税を課するということがおよそできないというわけではないと思います。ただしかしながら、その手数料と租税というものが登録という一個の行為を機縁といたしまして徴収されるということを考えますと、そこにはおのずから調整が行われてしかるべきであろうと存じます。
  133. 永原稔

    ○永原委員 今度の三十七本の法律のうちで、登録免許税の対象になっているものはどれとどれでしょうか。
  134. 米里恕

    ○米里政府委員 今回改正の対象になっております三十七本の法律のうちで、その法律で登録免許税の規定が置かれておりますものは十六本ございます。
  135. 永原稔

    ○永原委員 全部を読み切れておりませんので、一、二拾い上げてみますが、不動産鑑定士については、これは鑑定士補も入れて登録免許税、業者については、これは二以上の県にまたがって事務所を置く場合には国土庁長官の許可、一県の場合には知事ということになっています。それと同じような法形式で採石法で、二以上の県については、同じ業者だと思いますけれども、これは通産大臣関係で登録免許税の対象になっている。不動産鑑定業者については、これは登録税でなくて手数料になっていますけれども、同じようなものがまた砂利採取業にあるわけです。     〔野田(毅)委員長代理退席、委員長着席〕 二以上の県にまたがって事務所を置く場合には通産大臣、これは税の対象になって登録税になっております。それから砂利採取法で一県の場合には、これは手数料、こういうようなことになっていますけれども、事業規模の大小ということはありましょう。しかし、そういうようなところに統一的な考え方がとられてないのじゃないかなという気がする。電波法の百三条を見ますと、登録免許税が課されることになったとき、これは申請手数料、納付した手数料は還付する、こういうようになっておりますけれども、何か法形式として立法技術上統一するような必要があるのではないかと思いますが、これはどうしてこういうように違うのでしょうか。
  136. 米里恕

    ○米里政府委員 先ほど申し上げました十六本の登録免許税と手数料関係でございますが、実はこの中に、いろいろ御指摘がございましたように両者の関係は必ずしも一律ではございませんで、いろいろな相互関係がございます。ただ、ごく典型的に申し上げますと、両者の間で対象となっている行為が違っているというグループが大部分でございます。具体的に申し上げますと、たとえば獣医師の場合に国家試験を受けられる、この場合には、受験手数料という性格のもとで手数料がとられます。それで首尾よくパスされまして登録されます場合には、登録免許税がかかる。まさに先ほど法制局からお話がございましたように、片方は実費支弁的なものである、片方は、登録することによって得るその行為に対する背後の担税力、そういったような性格のものであろうかと思います。  そういうものが大部分でございますけれども、必ずしもそれだけには限りませんで、沿革的その他の理由によりましていろいろ両者の関係には態様がございます。たとえて申しますと、御指摘のありました採石業、砂利採取業というようなものにつきましては、お話もございましたように、二以上の都道府県にまたがります場合には登録免許税、一都道府県内のものでそこだけに事務所を有する場合には、都道府県知事が登録を受けるということになっております。この場合に、二以上の都道府県にまたがります場合は通産大臣に登録するということでございますので、これは国家の観点から国税相当のものである。つまり、二以上の都道府県にまたがる場合、そういったものについては、その背後に担税力が認められるという判断を私どもはいたしておるわけでございます。そういうことで登録免許税の対象になっておる。ところがこれに対しまして、一つの都道府県だけに事務所を有します場合は、先ほど申し上げましたような都道府県知事への登録でございますので、地方自治の観点から申しまして、国全体の国税というわけにもまいりませんので、そこは地方自治体で独自の判断をされて手数料を徴収しておられる、こういうことであろうかと思います。  それからまた、例にお挙げになりましたたとえば不動産鑑定評価の場合でございますが、これは不動産鑑定業者の登録申請手数料というものが取られております。これは業としての不動産鑑定業の問題でございまして、これについては手数料ということに相なっております。一方、不動産鑑定士の登録につきましては、国税として登録免許税、つまり不動産鑑定士という人の場合は、それに伴う背後の担税力ということに着目いたしまして登録免許税の対象といたしております。不動産鑑定業者がその業を行うためには、不動産鑑定士を少なくとも一人は置かなければならないということが条件になっているやに了解しておりますが、こういった場合には、登録申請のための実費弁償という観点からの手数料ということに相なっております。  こういう形で、両者の関係はなかなか一律ではございませんで、一つ一つにつきまして、これを登録免許税にすべきか手数料にすべきかということでいろいろ判断いたしておるわけですが、御承知のように、昭和四十二年の登録免許税法改正のときにこの関係を一応全部洗いまして、現在のような手数料と登録免許税の形に整理したわけであります。  以上でございます。
  137. 永原稔

    ○永原委員 いまの御説明でわからぬではないのですけれども、たとえば武器製造業は通産大臣が製造許可を与える、二万円の手数料が十四万円になって法律案が出されておりますけれども、こういうものはどうして登録税の対象にならないのだろうかということ。それから猟銃許可、これは知事の許可になりますけれども、四千円から三万六千円。何か背後にある担税力というものを見ていきますと、こういうものについてもう少し考え直してもいいのじゃないかという気がしますが、どういうようなお考えでしょうか。
  138. 米里恕

    ○米里政府委員 この問題にはいろいろ沿革的な理由もあるということをちょっと申し上げたわけでございますが、人的資格、事業の免許あるいは許認可関係というものの性格を個別に当たりまして個々に判断し、抽象的ではございますし繰り返しになりますが、その登録あるいは行為によりましてその方がどういった担税力を持つに至ったか至らないかということの判定の上で、登録免許税を課しておる、あるいはその対象外にしておるということでございます。
  139. 永原稔

    ○永原委員 各省の方に来ていただいていますので先を急ぎますけれども、時間がないといけませんから問題をしぼります。  漁業法百三十三条で漁業権の許可、知事の許可するものが決められておりますが、漁業権はいろいろあると思います。定置漁業権、区画漁業権、共同漁業権、いろいろあると思いますけれども、その中の一つの例を申します。  これは共同漁業権の一つだと思いますが、内水面の漁業権の許可については、昭和二十五年には一千円、今回の改正では千三百円。これは、先ほど政策的にいろいろ配慮する面があるのだというお話はございましたけれども、余りにも低いのじゃないか。内水面漁業の実態を見れば、入漁料を取ってかなり企業経営的に、放流もやりながら運営がなされている、そういうものとあわせ考えますと、非常に低いのではないかという気がしますが、こういう点について何か特別のお考えがあるのかどうか。特に漁業権の設定については、登録免許税法に基づく免許税も課されてはいないと思いますので、そのお考えを承りたいと思います。
  140. 吉國隆

    吉國説明員 お答え申し上げます。  漁業法に基づきます漁業権の免許に当たっての手数料につきましては、先生いま御指摘のとおり、昭和二十五年当時千円というふうに決められておりましたが、今回の改正で千三百円に引き上げるという案になっておるわけでございます。  漁業権につきましては、先生御案内のとおり、海面、内水面ともにございますが、今回の改正におきます金額の算定といたしましては、これに要します事務的な経費というものの見積もりをいたしまして、それを基礎にはじき出したわけでございます。  漁業権につきましては、先生もよく御案内のとおり、現在の漁業法上近代的な権利としての位置づけを与えられておりますが、これは実際上の問題としましては、過去の慣習等に基づいて決められておる面がございます。それを五年なり十年なりという期間ごとに見直して更新をするという法制上の手続になっておる関係もございます。  それから、これは主として海面の方でございますが、二百海里時代ということで漁業経営にもいろいろな影響が及んでまいっております。そういったことを勘案いたしまして、必要な経費としてどこまでを算定すべきかということで算定した金額で今回決定をしていただきたいと思っておる次第でございます。  なお、登録免許税のことに関しましては、漁業権の設定に当たりましては、これは職権登録ということにもなっておりまして、漁業調整上の問題がございますので、登録免許税の対象になっておらないというふうに承知いたしております。
  141. 永原稔

    ○永原委員 行政コストの再算定でこういうように直すという原則はわかるのですけれども昭和二十五年といまとで、二十八年の年数がたっていて、わずか三割上がる程度で適当かということに疑問を持つわけです。その点は納得ができませんけれども、一応先に進みます。  旅券法の関係ですが、外務省に伺います。発給による手数料がどのくらい収入されていて、都道府県が実際に窓口になっていますけれども、都道府県にはどのくらい交付されているか、五十一年ごろからの数字を教えていただきたいと思います。
  142. 伊藤忠一

    伊藤説明員 昭和五十年度におきましては、旅券の手数料収入は約七十億五千万円でございます。それに対する委託費、つまり都道府県に対する委託費でございますが、これが十三億四千万円でございます。五十一年度におきましては、手数料収入が八十六億四千万円、これに対する都道府県委託費が十四億一千万円。五十二年度は、九十九億二千万円の国庫収入でございますが、これに対して十七億一千万委託費を配賦してございます。  五十三年度におきましては、この値上げを見込んだ場合におきましては、約百四十四億六千万円の収入を見込んでおりますが、他方、都道府県に対しましては、委託費として約二十一億四千万交付する予定になっております。
  143. 永原稔

    ○永原委員 非常に額が高くなっていますけれども、人員もふえて三百十五万ということも聞いておりますので、人員がふえれば収入も多くなるでしょうが、この手数料算定の要素は一体どういうようになっているのでしょうか。
  144. 伊藤忠一

    伊藤説明員 旅券の手数料の算定につきましては、旅券の手数料は戦前より、旅券の直接の行政コスト以外に、渡航文書といたしましての旅券から受ける効用等諸般の事情を配慮して算定してまいったわけでございます。したがいまして、旅券の手数料の積算につきましては、いわゆる積み上げ計算によりますところの積算では必ずしも正確な数字が出てまいらないわけでございますが、いろんな前提を置いた上で一応試算してまいりますと、昭和五十三年度におきましての所要経費というのは、人件費、それから物件費、その他現在旅券につきましては、コンピューターシステムを採用して処理しておりますので、そういうコンピューター等に伴う経費等をトータルいたしますと、約百四十四億六千万円要する見込みになっております。したがいまして、もしその手数料値上げをいたしません場合におきましては、その間の差、つまり百十億の収入見込みになりますので、その間約三十四億円の収入が下回るということになりますので、今回約三〇%の値上げをお願いしておるわけでございますが、この値上げ率は適正なものであると考えておるわけでございます。
  145. 永原稔

    ○永原委員 現実に事務に追われているのは都道府県、いまコンピューターが入れられてこれも経費に算入されているということですが、非常にコンピューターで能率的になっておるのは事実です。しかし、地方への交付が非常に少ない。委託費が少なくて超過負担があるということをよく言われておりましたけれども、現状はどうでしょうか。
  146. 伊藤忠一

    伊藤説明員 都道府県に対する委託費の配賦に当たりましては、各都道府県の業務の実態を十分に勘案いたしまして、これまでも配賦を行ってまいっておるわけでございますが、これを五十二年度につきまして見てまいりますと、旅券関係委託費の総額は約十七億一千万でございます。これは、都道府県に対する旅券業務の委託に際して十分かつ適正な額であろうかと考えております。また、五十三年度におきましては、業務量等の増を見込みまして約二十一億三千八百万円、つまり対前年比二四・七%の大幅な増額を図ることといたしておりますので、したがいまして、超過負担という問題は生じないものと考えております。
  147. 永原稔

    ○永原委員 手数料を大分上げるわけですけれども、都道府県の実情、いま超過負担がないようなお話でございました。しかし、たとえば私は静岡県出身ですから静岡県の例を申しますと、幅が百八十キロもある県なんです。静岡の県庁所在地に全部出てこいというのが非常に不便なんです。やはり沼津とか浜松とかそういう拠点で月二回、この発給事務をやっているわけですけれども、こういうものについて、やはりもう少し住民サービスというものを考えれば、委託費をふやすべきではないか。また人件費についても、いま六人割り当てで、これで果たして十分可能なのか。また、渡航業者の指導をしなければ、海外において非常に不評を買っているような状態、変なツアーをやらせないように指導しなければならないと思いますけれども、そういう指導経費を見ていけば、もう少し委託費をふやすべきだと思いますけれども、そういう点いかがでしょうか。
  148. 伊藤忠一

    伊藤説明員 旅券の発給を受けます場合におきましては、原則として都道府県に出頭して申請を行うというたてまえになっておりますが、ただ先生御指摘のとおり、きわめて交通不便の地であるとか、その他特別の事情がある場合につきましては、都道府県側から出張して旅券の申請を受理するとかあるいは旅券の交付を行うとか、その他の便宜的な措置を講ずる必要があろうかと思います。したがいましてわれわれといたしましては、法令の許す範囲内におきまして、できるだけ実情に即した措置をとってまいりたい、かように存じております。また、このために要する経費等につきましては、今後とも十分に委託費の増額その他を含めて予算上の措置を配慮してまいりたい、かように存じております。
  149. 永原稔

    ○永原委員 今度の法律を拝見しまして、手数料令、これは地方公共団体の収入になる分ですけれども、地方公共団体手数料令に譲ってあるものと、それからその単独法の施行令によって額を決めるものと、非常にまちまちになっていると思うのです。法令にそのまま額を示してしまって、それを受けて都道府県が規則をつくっていったりするというようなもの、何か法形式として一貫性がないように思いますけれども、こういう点について法制局は、立法技術上統一をする必要があると私は考えるのですが、いかがでしょうか。
  150. 前田正道

    ○前田(正)政府委員 地方自治法の二百二十七条の二項に「普通地方公共団体は、他の法律に定める場合のほか、政令の定めるところにより、」途中飛ばしますけれども、「手数料を徴収することができる。」こういう自治法の規定になっておりますために、他の法律規定がありますものにつきましては、その政令規定がされているものがある。地方公共団体手数料令につきましては、この二百二十七条の二項を根拠にしているわけでございますが、三十年の改正のときに当時、政令と総理府令、この二つに手数料がございましたものですから非常に見にくい、せめてこれを統一すべきだということで統一されたのが、現在の地方公共団体手数料令であると承知をしておりますけれども、その際に、もう一つの他の法律の定めがある場合との関係が調整されるに至らなかった、そういうような沿革もございまして、今日に至っているのではないかと考えます。  御指摘のように、確かに地方公共団体の手数料に関します法制につきましては、いろいろ法制上の不統一がある点は確かでございますので、私自身全体の法律の所管ではございませんけれども、法制局といたしましても内部的に検討いたしまして、関係各省とも連絡をとりました上で、法令の整備に努力をいたしたいと存じます。
  151. 永原稔

    ○永原委員 時間が来ましたので、せっかくおいでいただいた通産省や建設省の方に御質問できなくて申しわけないのですけれども、最後に大臣に念を押しておきたいと思います。  先ほど川口委員からも御質問がありましたので繰り返しになりますけれども、私は、こういう手数料について、単独法でそれぞれの法律で直していくというのは非常に非能率的だと思いますので、こういうような法形式でお直しになる、この姿勢を評価するのです。ただ余りにも、たとえば経済成長だって七%、六%、こういうようにお話しになっている中で、三年もたてば二〇%近く行政コストは変わってくるはずです。そういうような情勢にありますので、少なくも三年くらいをめどにしながらこの法律改正するという方向で進んでいただきたい。今度の地方交付税法の一部改正の中でも、風俗営業等の改正で大分手数料が直されていきます。ああいうふうに一括していくというようなことにしないと効率的にいきませんので、そういう点について特に御配慮いただきたい。もう一度念を押して質問を終わります。
  152. 村山達雄

    村山国務大臣 いま委員から御意見がございまして、私もこの審議を通じまして、いろいろ考えさせられるところがあるわけでございますが、いま委員がおっしゃったようなことを十分に踏まえまして、そしてタイミングを失しないように考えてまいりたいと思います。また、場合によりましたら、いま委員のおっしゃいましたような形で算定基準を決めさしていただいて、あるいは政令で決めるというのも一つの方法かなとも考えているわけでございますが、いずれにいたしましても、時勢におくれないように、そして妥当性を失わないように十分検討させていただきたいと思っております。
  153. 永原稔

    ○永原委員 ありがとうございました。
  154. 大村襄治

    大村委員長 永末英一君。
  155. 永末英一

    ○永末委員 大蔵大臣は、この手数料というものはどういう性格のものであると御認識をされておられますか。
  156. 山口光秀

    山口(光)政府委員 先ほど法制局の方から御答弁がありましたとおりでございますけれども、特定人のためにする国の事務ないしサービスに対する反対給付として徴収されるものであるというふうに考えております。
  157. 永末英一

    ○永末委員 その性格に基づいていろいろな法律手数料が算定されておるのでございますが、いまもお話がございましたが、手数料算定の基準というものは大蔵省としてはお持ちなんでしょうか。
  158. 山口光秀

    山口(光)政府委員 ただいま申し上げましたような性格でございますので、考え方の基本は、行政サービスに要します行政コストでなかろうかと思うわけでございます。ただ、手数料の中には特権付与的なものもございます。それなりにたくさんいただいていいんじゃないかというものもございますし、また逆に、公益性の観点からコスト全部をちょうだいするのはいかがというのもございますので、そういうプラスもあるいはマイナスもあるわけでございますけれども、基本としてはコストを徴収するということでございます。
  159. 永末英一

    ○永末委員 このコスト、いまも、コストを償いたい、こういう趣旨なんだけれども、全部を償う趣旨ではない、こうなりますと、基準としては使えませんね。全部償うとして考えるのか、いやいろんなことを考えて全部償わなくてもいいんだ、こういうことで決めるのか、こうなりますと、それは全然違うことですね。そうしますと、どういうものはコストを償い、どういうものはコストを償わない、そういう基準があれば仕分けられますが、そういう基準はお持ちですか。
  160. 山口光秀

    山口(光)政府委員 コストをいただくのは原則なんでございまして、大体はそれでやっているというふうに御理解いただきたいわけでございますが、中に、公益性の観点からコストのすべてを徴収しない例外もあるということを申し上げたわけでございます。
  161. 永末英一

    ○永末委員 この手数料を取ってコストを償いたいということでございますから、それはやはり財政に寄与しているわけですね。そうしますと、別の観点からしますと、手数料を取れるということになっておりますと、財政に寄与をするんだという観点が大きく働く場合もある。その財政に寄与しているというのはどれぐらい重点を置いておられますか。
  162. 山口光秀

    山口(光)政府委員 コストを徴収するわけでございますから、当然歳入に立つわけでございまして、五十三年度の見積もりで申しますと、約一千億の歳入になるわけでございます。もともと手数料は、歳入を目的とするわけではございませんけれども、結果的には歳入になる。そこで、五十三年度予算編成に際しまして、歳入歳出を通ずる見直しの一環として手数料についても根元から見直ささせていただいたわけでございます。
  163. 永末英一

    ○永末委員 コストを償うのでございますから、各省庁でいろんなことをやっておる、それに費用がかかっておる。その費用計算というのは大蔵省で統一して見ておるんですか、各省庁が勝手にやっているのですか。
  164. 山口光秀

    山口(光)政府委員 当然各所管省においてコスト計算をするわけでございますが、計算の仕方にはある程度の整合性がなければなりませんので、私どもで横に並べて見ております。  今回御提案申し上げておりますコスト計算のやり方といたしましては、五十二年度の人事院勧告後の人件費単価、それから五十二年度の当初予算に盛られました物件費を基礎に計算してもらっております。
  165. 永末英一

    ○永末委員 それでは、同一の行政行為と見られるようなものにはやはり同じ程度の分量のコストがかかっている、こう見られるのでしょうね。
  166. 山口光秀

    山口(光)政府委員 たとえば似たような行政サービスでありましても、コストは違う場合がございます。でありますので、たとえば受験手数料のようなものでも、試験自身が似ていると申しましても、受験手数料には差が出てくるということはございます。しかしいずれにいたしましても、考え方コスト計算と申しますか、コストの実態に応じました手数料をちょうだいするということでございます。
  167. 永末英一

    ○永末委員 いまお話しのございました受験手数料、これは一条関係でございますと不動産鑑定士試験受験手数料、これの第一次試験は、昭和三十八年に五百円であったものが今回二千円、四倍に引き上げよう、第二次試験、第三次試験につきましては、同じく昭和三十八年千円であったものを三千円に、三倍に引き上げようというわけでございますが、一次試験と二次試験、三十八年に一対二の比率であったものが、なぜ今回四倍、こっちは三倍、しかも二と三の比率になっているのか。つまり試験のコストが一次試験と二次、三次試験とは違うのか。  第二条関係では、司法試験受験手数料が、昭和二十九年に一次試験が五百円が今度千五百円、これは三倍でございますが、不動産鑑定士の一次試験は二千円だけれども、司法試験受験は千五百円だ。それはどこがどう違うのか。第二次試験は似たように、昭和二十九年千円が三千円でございまして、これは不動産鑑定士試験の二次、三次と同じである。同じ部分もあれば別の部分もある。だから、違う部分があるから違うのだろう、こう思いますが、この辺がわれわれ外から見ておるとよくわかりません。  それから第九条関係、農林省で獣医師国家試験受験手数料、これは昭和二十四年に千円であったものが三千円で三倍である。先ほど不動産鑑定士が昭和三十八年に千円が三千円、こっちは二十四年に千円が三千円、つまり同じ千円が三倍になっておるように見えますけれども、もとの算定された年次が違うわけですね。二十四年と三十八年は違いますし、二十九年は違うわけです。見ていると三倍上がったように見えますが、もともと違うのだから、もし同じようなサービスだから償うのだとしますと、もとは一体何を考えておったのか。二十四年、二十九年、三十八年ということがよくわからない。いま同じに三千円で並べていますよ。その辺をひとつお答え願いたい。  次は三十四条関係、これは測量士試験受験手数料でございますが、昭和二十四年に五百円であったものが今度八百円である。先ほど並べ立てた受験手数料は三倍ぐらい上がっておりますが、これは一・六倍であって、そして千円にならない八百円である。試験など非常に簡単にやっておるがどうか。外でわかりませんので、ひとつ各省庁で違いがあるのなら違いがあるというところをはっきりしていただきたい。
  168. 山口光秀

    山口(光)政府委員 詳しくは各所管省からお答えするのが適当かと思いますが、概括的に申し上げますと、いずれも今回改定いたします積算の基礎コストでございます。倍率が違うということ、つまり前回改定の年度が違うわけでございますから、実質的に倍率が違うのはなぜかというお尋ねでございますが、その事務に要します行政経費がいろいろ合理化されるといったようなこともございますし、それから今度、件数で割るわけでございますが、その件数の多い少ないもございますので、コストの伸びがそのまま一件当たりの手数料に反映するものではないということではなかろうかと思います。
  169. 永末英一

    ○永末委員 概括的な御答弁をいただきましたが、ちっとも内容がはっきりしないわけですな。各省庁で、たとえば三千円で、いまの話ですと三千円の方は似たような話ですが、八百円というのはなぜ安いのですか、建設省。
  170. 東信

    ○東説明員 お答えいたします。  測量士の試験につきまして、御指摘のとおり、二十四年以来実は五百円という限度額がずっと続いておるわけでございます。なお、法律におきましては、具体的額は政令で定めるということになっておりまして、実は測量士と測量士補という二つがございまして、士の方は当初から限度額五百円、補の方につきましては当初三百円ということで推移してまいったわけでございますが、測量士補の方につきましては、五十年に限度額いっぱいの五百円ということで推移いたしております。  今回の八百円を限度額にお願いしたいということにつきましては、コストということで人件費あるいは事務経費等々勘案いたしまして積算しまして、一件当たり費用ということにいたしております。そこで、非常に長い間額があれでございますが、一つには、過去の件数を見てみますと、たとえば二十年前の昭和三十年ごろでございますと、実は年間の受験者、測量士と士補合わせまして一万五千人程度の願書の受け付けがございました。最近の時点でございますと、実は四万近くなっておるわけでございます。そういうことで、先ほどの御答弁もありましたように、一件当たりにいたしますとそういうことに相なったわけでございますが、そういうことでございます。
  171. 永末英一

    ○永末委員 そうしますと、この測量士の場合ですと、測量士の試験をやる、何人かかかって試験をやっておる。ところが、受験者数がふえたので、割り算をすればそう上げなくて全部の費用が賄える、こういう思想ですか。
  172. 東信

    ○東説明員 お答えいたします。  今回の限度額の引き上げによりまして、ほぼ実費の範囲内におさまるかと思います。
  173. 永末英一

    ○永末委員 そうしますと、先ほどの不動産鑑定士と司法試験、一次と二次とが手数料の料額が違うのは、一次の方はたくさんやってきておるから割り算すると安くてよろしい、こういう思想ですか。
  174. 大村襄治

    大村委員長 わかりやすく答えてください。
  175. 久保木哲彦

    ○久保木説明員 お答えいたします。  不動産の鑑定評価に関する法律ができましたのは昭和三十八年でございますけれども、その際には、コストという概念も余りはっきりいたしませんので、同程度の高度の試験ということで、司法試験それから公認会計士試験、そういうものとの勘案をいたしまして、現行の五百円、千円というような額が定められたというような経緯でございます。  今回の改定につきましては、先ほど来からお話ございますように、コストというものを中心にいたしまして計算をいたしてこのような額になっておるわけでございます。  ただ、御指摘の第一次試験、第二次試験が額が違うじゃないかというようなことでございますけれども、その割り算計算などをいたしますと、受験者の関係からいきまして、第一次試験につきましてはこれは少し割り引いた計算をして二千円というような形になっておるわけでございます。そういうことでございますけれども、第一次試験につきましては、特に公認会計士試験と不動産鑑定士試験とは、第一次試験ございますけれども、いわゆる相互乗り入れと言っておりますけれども、不動産鑑定士試験の一次試験を通った者につきましては公認会計士試験の一次試験は免除される、また逆の場合も同様に取り扱うというようなことになっておりますので、私どもとしましては、一次試験については公認会計士試験との横並びで今回の改正についても考えたというようなことでございます。
  176. 永末英一

    ○永末委員 最初、不動産鑑定士は昭和三十八年に五百円を決めたときには、司法試験が五百円だからということを見ながら決めた、今度は、司法試験が一次試験は千五百円ですけれども、不動産鑑定士は一人歩きをして二千円、もう司法試験などは参考にしない、こういうことですね。
  177. 久保木哲彦

    ○久保木説明員 ただいまお答えいたしましたとおり、コスト計算ということで今回は計算をいたしております。この場合には、実は二千円という額を定めておりますけれども、もう少し高い計算結果が出ておりますが、やはり横並びというものを考えて考慮いたしましたけれども、千五百円という数字にはならなかったわけでございます。私どもの方は、公認会計士試験との相互乗り入れをやっておりまして、向こうの受験手数料が高い安いというような比較権衡で受験者の偏りがあるということも困りますので、そういうことで、公認会計士とは特に均衡を図ったというようなことでございます。
  178. 永末英一

    ○永末委員 受験料もなかなかいろいろなことを考えて決めているようでございますが、これはしかと基準があるようにはようわかりませんな。  さて、次は謄本交付でございますが、十八条関係でガス用品の登録簿謄本交付の手数料が、昭和四十五年百円であったものが二百円になりました。それから三十一条関係で、運輸省の航空機登録原簿の謄本交付の手数料が、昭和二十八年五十円であったものが二百円になっておる。そうしますと、謄本交付の手数料は二百円かと思うと、二十三条関係で通産省、電気用品の関係で登録簿の謄本交付手数料は、昭和三十六年二十円であったものが百二十円である。謄本交付というのは写して渡すだけ、同じことをやっておると思いますが、なぜ一つが二百円で一つが百二十円。
  179. 山口光秀

    山口(光)政府委員 コスト計算なんでございます。なぜそんなに安いのかということなんでございますけれどもコストである人件費なんですが、一件当たり処理時間が非常に短い、それからまた物件費につきましては、謄本コピー代等わずかなものでございますので、いずれも少額になっておりますが、しかしそれにいたしましても、一件当たりのコストを算出してそれを手数料に反映させているわけでございます。
  180. 永末英一

    ○永末委員 安いのかと聞いたのではなくて、それは別の問題でまた聞きますが、同じことをやっておるのになぜ片っ方は二百円で片っ方は百二十円か、それを聞いておるわけです。同じなら同じ値段でしょう。
  181. 山口光秀

    山口(光)政府委員 最初に申し上げましたのですが、コスト計算の結果でございます。
  182. 永末英一

    ○永末委員 そうしますと、通産省の電気用品関係の登録簿の謄本交付というのは、非常に能率がよろしいとか生産性が高いとかというので、ほかの省では二百円だが百二十円でできる、こういう意味ですか。
  183. 山口光秀

    山口(光)政府委員 件数と申しますか、枚数にもよるわけでございまして、行政事務としては同じようなコストがかかりましても、枚数が違いますと割り掛けられるコストは小さくなってくるあるいは大きくなってくるという関係にあることを御理解いただきたいと思います。
  184. 永末英一

    ○永末委員 枚数がたくさんあると高くなるのですか。一件当たりの枚数のことを言っておられる。大体コピーする紙も高いですよな。そうですか。そうしますと、通産関係のやつは紙の枚数が少ない、ほかのは枚数が多い、そういうことですか。
  185. 山口光秀

    山口(光)政府委員 件数でございますね。結局何件申請があるかという件数が一番響くと思うのです。それによりまして、全体としてかかりますコスト件数で割るわけでございますから、手数料というのはコストを件数で割って出しているわけでございますから、一件当たりというのは、仮に同じような行政コストがかかります仕事につきましても、件数が違えば変わってまいるということでなかろうかと思います。
  186. 永末英一

    ○永末委員 同じ通産でございますから、だといたしますと、電気用品関係の件数が多い、だから安い、ガス関係の方は件数が少ないから高い、そういうことですか。
  187. 松田泰

    ○松田説明員 最近の実態を申し上げますと、電気用品関係の謄本につきましては、年間四、五件という程度でございますし、一方ガスの方は、実は型式認可制度の実施がいろいろな事情でまだ実際にはやっておりませんので、こちらの方はまだ実体がございません。それでガスの場合につきましては、そういった実体のない点を考慮しまして、いろいろ試算をした結果こういうコストが出ておりますが、電気用品の場合には、過去ずっとやっておった経験の積み重ねがございまして、その辺からこういうコスト計算をしたということでございます。
  188. 永末英一

    ○永末委員 費用計算といったことを聞きますと、現実にやっておるからこういう費用がかかっておる、そこでそれによるいろいろな国民からのサービスの要求があってサービスをしておる、したがって具体的に件数が出る、だから全体の費用をその件数で割って手数料は大体これぐらいと、そう了解しておりましたところ、片っ方の方は四、五件であり、片っ方はゼロだ。どこが基準なのかわかりませんね。大蔵省はどう判断しておりますか。
  189. 山口光秀

    山口(光)政府委員 ただいまのお話は極端な例外の話でございまして、大部分と申しますか、ほとんどは件数もわかっておりますし、それから行政コストもわかっておるわけでございます。いまおっしゃいました割り算をして、一件当たりコストを算出しておるというのがほとんどでございます。
  190. 永末英一

    ○永末委員 予鈴が鳴りましたので、困ったことでございますが……。  仕事法律で決めてあれば、行政官庁としてはそれに対する対応の措置を講ぜねばならぬ。人間も要るし、机も要りますし、機械も要る。それじゃやはり行政費がかかるわけですね。ところが、それに対して住民がサービスを要求しに来るかどうかわからぬわけである。そうしますと、それに対して手数料を決めるのですが、さて大蔵大臣、はやらぬ店でもやはり店舗を構えて施設をやらなくちゃなりませんな。赤字かもしれない。しかしそういう場合には、もしその商品が独占商品であれば、たくさん売れる場合には安くなるが、少なければ価格を上げよう、こうなりますね。その百二十円とか二百円というのは合理的だと思いますか。
  191. 村山達雄

    村山国務大臣 百二十円か二百円か、よくわかりませんけれども、いまの話は何か理論コストでいったのじゃないかな、こう思っているわけでございます。実例のあるものについては、先ほどから言っているように、実例をもとにしてコストを計算して、ないやつについては、大体見込みでこれぐらいじゃないかなというところで計算しているのじゃないかと思っているわけでございます。
  192. 永末英一

    ○永末委員 このごろの物価動向で、デノミネーションみたいなものも考えている人もおりますけれども、この手数料では、非常に安い端数の金額が掲げられているものがございまして、例で挙げますと、十三条関係の農林省の農産物検査法でございますが、これが、輸入農産物につきましては、二十六年三百円が二倍で六百円、はっかは、二十七年四百円が二倍で八百円、その他の農産物につきましては、二十六年二十円が今回四十円。つまり四十円の行政サービスの費用というのは、どういう計算なんだろうかということがよくわからないし、また、昭和二十年代のものは大体全部三倍程度やっておりますが、これは二倍である。しかし、六百円とか八百円とかいうものはどういうサービスなんだろうか、件数が非常に多いからそれぐらいでその関係の費用は賄える、こういうことで結果的に出てきた数字なんだろうか、お答え願いたい。
  193. 中山昇

    ○中山説明員 お答え申し上げます。  農産物の検査手数料につきましては、いままでのほかの手数料とやや様態を異にしておりまして、商品の検査をいたす場合の検査手数料でございます。したがいまして、一概にコストだけで決めるというような問題ではない、特に先ほど山口次長からお話ございましたような、いわば例外に属するものだと存じております。  それで、特に大宗を占めます米の検査手数料につきましては、食糧庁が、政府が買うというものの検収検査という意味合いも兼ねておりまして、ほかのものと多少性格が違います。  それから、検査手数料の算出の基礎でございますけれども、これにつきましては、昭和二十六年に農産物検査法ができました場合に二十円に決めましてから、先生御指摘のように変えておらないわけでございますが、今回この法定限度額を倍にいたすということに決めましたのは、実質的に米の検査手数料を取り始めましたのは自主流通制度が発足いたしました昭和四十四年からでございまして、それから以降、農産物の価格あるいは消費者物価の動向等がおおむね約二倍ということになっておりますので、まあ二十円の倍で、法定限度額を四十円に改めるというようなことを御審議をお願いいたしておるわけでございます。
  194. 永末英一

    ○永末委員 この七条で、薬事法による医薬品の製造許可の手数料が上がります。八千円。八条関係で農林省の農薬取締法関係で、これは昭和四十六年に三万円であったものが六万円になる。どっちもこれは人の健康にきわめて重要な影響を及ぼすものでございますが、薬の方が八千円で農薬の方が六万円というのは、農薬については登録するについて非常に多量の行政サービスが必要なんですか。その内容はどうなんでしょう。
  195. 新谷鐵郎

    ○新谷説明員 薬を製造いたします場合に手続が二つに分かれておりまして、まず最初に、医薬品の物自体につきましての製造承認という手続がございます。その次に、製造承認を受けましたものを特定の工場でつくります場合に、業の許可という手続が要ることになっております。ここに挙がっておりますのは、その業の許可をいたします場合の手数料でございまして、具体的には地方の職員が工場に行きまして、衛生設備等検査するような経費の全体の積み上げでございます。  農薬の方は、登録手数料というのは恐らくいま申し上げました製造承認の方の手数料に相当するものが挙がっておるということで、直接には比較の対象にはならない経費であろうというふうに存じます。
  196. 永末英一

    ○永末委員 そうしますと、七条関係でも、医薬品製造業等許可更新手数料、これはその上のやつと同じなんですかね。ただ私が問題にいたしますのは、現場まで行ってその製薬施設等を見て許可をする、その許可を受けてキノホルムを使う薬を出すと、それがスモン病の原因になるというようなことで、きわめて多額の賠償を、あるいは和解のための金を払わなければなりぬ。それならば、この許可をする場合に、もう少しちゃんと検査ができるように手数料をもらってやったらどうか。八千円で何億円も払っているというのはどうも合わぬじゃないか。大蔵大臣は気前よく出されると思いますけれども、こういう点はどうなんでしょうか。どんな許可のための行政サービスをしておられるのでしょうか。
  197. 新谷鐵郎

    ○新谷説明員 御指摘のような問題は、製造許可の場合ではなくて、むしろその前の安全性、有効性について審査いたします製造承認の段階での問題かと存じます。ただ、その製造承認も、やはりこれは今回の法律改正事項ではございませんで、政令手数料を引き上げることにいたしておりますけれども、その場合に取れる手数料というのは、やはり実費に着目した手数料でございまして、確かに先生御指摘のように、薬害の被害者の救済のためにいままで国費も出しておるわけでございますけれども、薬害の救済の問題は、やはり今後の問題といたしまして、別途薬害の救済制度について検討いたしておりますが、製薬企業から別の方法でそういう費用を徴収するということを検討すべき性格のものであろうというふうに考えております。
  198. 永末英一

    ○永末委員 許されました時間で、まだ聞きたいのでございますが、本鈴が鳴っているように思いますので、質問を終わります。
  199. 大村襄治

    大村委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。  次回は、明十二日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時十二分散会