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1978-03-31 第84回国会 衆議院 大蔵委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月三十一日(金曜日)     午前十時六分開議  出席委員    委員長 大村 襄治君    理事 小泉純一郎君 理事 野田  毅君    理事 保岡 興治君 理事 佐藤 観樹君    理事 塚田 庄平君 理事 坂口  力君    理事 永末 英一君       愛知 和男君    池田 行彦君       宇野 宗佑君    小渕 恵三君       後藤田正晴君    佐野 嘉吉君       坂本三十次君    高鳥  修君       林  大幹君    原田  憲君       森  美秀君    山中 貞則君       池端 清一君    川口 大助君       沢田  広君    只松 祐治君       貝沼 次郎君    宮地 正介君       高橋 高望君    荒木  宏君       永原  稔君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 村山 達雄君  出席政府委員         経済企画庁物価         局審議官    水田 治雄君         大蔵政務次官  稲村 利幸君         大蔵大臣官房審         議官      福田 幸弘君         大蔵省主税局長 大倉 眞隆君         大蔵省関税局長 戸塚 岩夫君         国税庁間税部長 矢島錦一郎君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局取引部取         引課長     樋口 嘉重君         公正取引委員会         事務局取引部景         品表示指導課長 土原 陽美君         経済企画庁国民         生活局消費者行         政第一課長   吉岡 博之君         厚生省環境衛生         局指導課長   林   崇君         食糧庁総務部長 小野 重和君         大蔵委員会調査         室長      葉林 勇樹君     ————————————— 委員の異動 三月三十日  辞任         補欠選任   荒木  宏君     工藤  晃君 同日  辞任         補欠選任   工藤  晃君     荒木  宏君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  酒税法及び清酒製造業安定に関する特別措置  法の一部を改正する法律案内閣提出第五号)      ————◇—————
  2. 大村襄治

    大村委員長 これより会議を開きます。  酒税法及び清酒製造業安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮地正介君。
  3. 宮地正介

    宮地委員 このたびの酒税法及び清酒製造業安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、私はまず前段酒税法についてお尋ねいたします。  財政運営上立場から、この酒税収入というものの位置づけについても、いままでも種々論議を呼んでおりますけれども、新たな低経済成長という段階に入った今日の財政の変容の中において、酒税収入酒税のあり方という問題についても、その態様において何らかの変化を考慮していかなくてはならないのではないかというように思うわけでございますが、この点について大蔵大臣はどのようにお考えになっていますか。
  4. 村山達雄

    村山国務大臣 酒税は、一つ消費税体系として考えてみますと、非常に特色を持っておるものでございます。一つは、何と申しましても致酔飲料だということでございまして、余りよけい飲むと体に悪いという問題がございます。もう一つは、嗜好飲料でございまして、古来人類が始まって以来、飲む程度はいろいろでございますけれども人間生活とは離れることのできないものであるということ、その意味で非常に嗜好性の強いものでございます。  そういう二つの特色がございますので、どこの国でも、その生産、販売あるいは消費につきまして、特殊の財政物資として、一方においてはそこに普通の消費よりもよけい負担を求めるということ、と同時に、過度の飲み方につきましては社会的にもいろいろ問題があるわけでございますので、そういった両面にわたってやっておるところでございます。  日本の例を見ましても、明治以来、一ころは地租が国家財政の大部分だという時代がございました。その次は酒税国家財政大宗をなした時期も画したのでございます。しかし、経済が発達いたしますと自然と、法人、個人を通じまして所得課税がその大宗をなすことは当然でございます。したがいまして、酒税はまだ消費税の中で大きなウエートを持っておるものの、全体の税収としてはやはり比重は下がらざるを得ない、こういう関係にあろうと思います。  しかし、いずれにいたしましても、消費税といたしましては、わが国でも各国でも同様でございますけれども、今後といえども財政物資としてやはり特殊の地位を占めるような見通しでございます。
  5. 宮地正介

    宮地委員 大蔵大臣は、酒税財政物資であると言われるのでございますが、国税収入に対する割合から見ましても、そのウエートは四十五年当時の七・九から五十二年においては六・一と、年々比率が下がってきているわけでございます。また、対間接税等収入比率を見ましても、四十五年の二三・二%に対して五十二年一八・七、そういうふうにいわゆる国税収入あるいは間接税収入などとの比率が下がってきております。逆にこのお酒というものが広く国民大衆の中に親しまれ、また、大変お酒を飲む人口も年々ふえ、最近では女性でも夏になりますとビヤガーデンなどで飲むという傾向も大変ふえてきておりまして、むしろ財政物資という立場考え方よりも現実的にはもう生活必需品物資変化をしてきているのではないか、私はこういうふうに考えるわけでございますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
  6. 村山達雄

    村山国務大臣 酒類消費の層がだんだん拡大していることはもう確かでございます。これはやはり生活水準の上昇に伴っておるものと基本的には思うわけでございまして、家計費の中からそれだけこの種のものに充てることができるということでございます。そしてまた、一方考えますと、酒類はその飲み方が適度であれば非常に健康的にもいいとも言われますし、また気分転換にもなるわけでございます。  しかし、これがそれだからといって、致酔飲料であるという事実には変わりございませんし、人間とは切り離せないとはいうもの、それだからといって、普通の生活必需物資という範疇とはやや違うのではないであろうか。この点は、人類とともに始まっているわけでございますけれども、われわれの言うところの生活必需物資ということではないんで、やはり消費生活が上がるに従ってその消費の層が広まっていくということであるから、財政物資としての考え方というものは、それはほかの税との関係で消長はありますけれども、その地位はやはり長く占めていくのではないであろうかと私は考えているわけでございます。
  7. 宮地正介

    宮地委員 むしろ酒というのは、大蔵省財源一つの柱というか、そういう基本的考え方の中に財政物資というものにいつまでもこだわっているよりも、もっと平たく、国民生活の中に溶け込んでいるこの酒という問題について、大蔵省も頭の切りかえをして、もっともっと生活必需物資なんだという考え方の中に立って、余りこだわる必要はないのじゃないか、私はそう思うわけであります。  そういう意味で、たとえば大蔵当局が今回のこの法案審議に当たりましても、提案理由説明の中に景気との問題などを前段で述べているわけです。むしろ景気という面から考えますと、酒税引き上げというのは消費需要を低下させるという働きを持っておりますから、景気対策上という純粋な見方からすれば、これは逆行する経済効果になってしまう。そういう点について、この酒税引き上げという問題をどういうふうに御配慮されたのか、伺いたいと思います。
  8. 大倉眞隆

    大倉政府委員 おっしゃいますように、五十三年度の税制改正に際しましは、一方で景気回復のために財政ができるだけのことをしなくてはならぬ、しかし他方では、やはり財政事情が極度に悪化しておりまして、そのために当面の景気対策矛盾しない範囲内ではできる限りの増収の努力をしなくてはならないという、いわばトレードオフの関係にある非常にむずかしい課題を抱えたわけでございますが、今回御提案しております四法案で、有価証券取引税、あるいは企業関係租税特別措置、あるいは石油税、それぞれ景気対策の全体の姿勢から見て矛盾なしと考えていいのではないか。酒につきましても、確かに酒類に対する消費について、負担増加をすれば影響がないとは申せませんけれども、しかし、それが一般的にいま問題になっておる個人消費全体について悪い影響を与えるとまで言う必要はないのではないかというのが、これは税制調査会のほとんど大多数の委員の御意見でございまして、また各国の例を見ましても、それぞれ景気対策に力を注ぎながら、一方で財政再建努力もしておる、EC諸国ではほとんど毎年のように酒の税の引き上げをやってきておるということから見ましても、やはり一般的な感覚からして、こういうときには、お酒を飲んでおられる方々負担増加お願いするというのは一つ考え方ではないのか。それが、酒税負担増加個人消費を冷やしてしまうとまで考える必要はないのではないかというふうに私ども考えているわけでございます。
  9. 宮地正介

    宮地委員 その辺のいわゆる感覚ずれが、やはり庶民大衆大蔵当局との間に非常に大きなギャップがあるのではないか、私はこういう感じがするわけであります。特にこの酒税引き上げということになりますと、結果的に庶民に対する国民生活への影響、これは無視できない重大な問題であろうと私は考えます。  その点について、まず、経済企画庁も来ておりますけれども、特に国民生活に与えるこの酒税引き上げ影響、どういうふうに見ておられるか。
  10. 水田治雄

    水田政府委員 お答えいたします。  今回の酒税引き上げ消費者物価指数に対して与える影響は、大体〇・一%程度というところでございます。それから、家計に与える影響ということで見ますと、勤労者世帯世帯当たり月額、これはなかなか推定がむずかしいわけでございますが、百三十円程度ということでございます。
  11. 宮地正介

    宮地委員 この点についても、〇・一の消費者物価引き上げなんだから、いわゆる国民への影響は少ないのじゃないか、あるいはいまお話しのように、百三十円ということで非常に微少ではないか、こういう感じを受けますけれども、実際に生活実感からとらえるこの問題は、私は影響は非常に大きいと思う。  確かにお酒といいますと、マイホームで、家に帰って、ストレス解消とかそういう意味でお飲みになる場合もありますけれども、最近お酒については、特に料飲食店などの経営において、中小零細のところにおいては即経営に相当な圧迫として影響が出てくる。そういう面もありますし、また、果たしてそういう料飲食店のお酒の価格が、いわゆる酒屋さんの税率の引き上げ範囲内において価格が上がるという限度で終わるであろうか。現実問題、そうではない。恐らく五月一日以降、もしこの法案が通れば、大衆化している料飲食店における酒、ビールウイスキーなどの値段は相当引き上げられることも予想されるわけです。そうなりますと、やはり多くの勤労国民あるいは労働者、サラリーマン、あるいはお役所の公務員の皆さんにしてもそうだと思うのです。家計に与える影響は微少かもしれないけれども、現実に外へ行ってそれじゃ一杯飲むといったとき、この影響はやはり非常に大きいのではないか。この辺に対する生活実感的な庶民大衆への影響というものはどのように受けとめられておられるか、まず経済企画庁立場、それから大蔵当局立場をお聞かせいただきたいと思います。
  12. 水田治雄

    水田政府委員 ただいまの先生の御質問でございますが、今回の酒税引き上げ幅等につきましては、大蔵省の方と企画庁でかなり十分な協議をいたしまして、できるだけこれを抑制するということで対処したつもりでございます。  それから、御存じだと思いますが、低価格のものにつきましては、清酒二級等につきましては酒税引き上げを据え置くという措置も講じておられるわけでございますが、先ほど御指摘の飲食店における酒税引き上げ影響ということにつきましても、実施された場合にその影響ということを考えまして、これは所管厚生省でございますが、できるだけ便乗的な値上げというようなことがないように、かなりむずかしいわけでございますが、できるだけ何らかの具体的な手を打っていきたいということでただいま考えておるところでございます。状況を見まして、それについてもできるだけのことを厚生省相談してやっていきたいというように思っておりますが、本日厚生省の方も見えておるようでございますから後で答弁があるかと思いますが、企画庁の御答弁は以上でございます。
  13. 大倉眞隆

    大倉政府委員 ただいま水田審議官からお答えいたしましたように、私どもなりにその担当各省にいろいろとお願いをしているわけでございます。  私どもの方の考え方はどうかという御質問でございましたが、価格そのものは御承知のように自由価格でございますけれども、やはりできるだけ行政指導によりまして、便乗値上げが起こらないようにしたいというふうに考えております。  ただ、おっしゃいました中のいわゆる小売値でない場合、これは率直に申し上げて、非常に高級な場所に行きますと小売値とは全くかけ離れた値段で酒が消費されております。そういうところについては、ちょっと私どものいわば手が及ばないと申しますか、そこまで気にしないでもいいのかもしれないと思います。ただ、お言葉の中にありましたように、これもまた変な言葉かもしれませんが、いわゆる一杯飲み屋とかなわのれんとか、そういう感じ一般方々が楽しんで消費しておられるところ、それについては、やはりできるだけのことは考え指導できるものなら指導してみていただきたいというふうに私ども考えます。
  14. 宮地正介

    宮地委員 そこのところが非常に盲点になっているわけです。じゃたとえば料飲食店のそういう価格についての影響実態調査、五十一年の一月に値上げをしたときにどういうふうに影響したか、経済企画庁でも厚生省でも結構です。把握されておりますか。
  15. 水田治雄

    水田政府委員 五十一年の値上げのときのおっしゃるような影響につきましては、確たる数字はないわけでございますが、勤労者平均世帯月額外食関係酒類支出というのは大体五百円程度のようでございますから、それが今回の酒税引き上げと同程度の幅で上がるということで考えれば、およその見当はつくわけでございますが、ただ行政をやっていく際にかなりラフな推定というものを頼りにやるということも問題がございますので、先ほど御答弁申し上げたような態度でやりたいと思っております。
  16. 林崇

    林説明員 飲食店営業を含めました環境衛生関係営業、これは御案内のように非常に国民生活に密着した営業であるわけでございます。そういう中で、この大部分というのは規模としては非常に零細である、中小企業に属しているということがございまして、その料金、価格ということも、関連消費価格あるいは賃金等、そういうものの変動を非常に受けやすいという特性があろうかと思います。しかしながら、環境衛生営業というような国民生活に非常に密着をしたという形の中であるわけでございますから、やはり諸物価騰貴傾向に便乗した値上げ、こういうものは好ましくない、こういうような観点から、騰貴傾向に便乗した値上げを行わないというようなことを、従来からも業者の組合であります環境衛生同業組合を通じて指導いたしております。それからまた都道府県に対しても、これらの問題を含めて指導方お願いをしておるところでございますけれども、今後ともさらにこの指導は徹底してまいりたい、かように考えております。
  17. 宮地正介

    宮地委員 要するに私の言いたいことは、大蔵省酒税に対する引き上げ感覚と、庶民大衆が受ける実際の生活実感との間に大変なずれがある。そのずれというものが、庶民大衆の行くいわゆる憩いといいますか、ストレス解消といいますか、中小的な酒場において、現実問題として一本のビール値段、一本の酒の値段というものが相当引き上げられて、現実的には庶民大衆国民生活に大きな圧迫といいますか、苦しみという感じで来る。この生活実感ずれに対して、財政物資という立場考え方よりも、もっと生活必需物資という考え方を多く導入するといいますか持って、この酒税の問題に取り組んでいかないと、清酒にいたしましても、ビールにいたしましても、ウイスキーにいたしましても、国民の期待を裏切った形として酒税引き上げということになり、これが結局庶民感情を逆なでする感じになりはしないか、こういう危惧をするわけでございまして、そういう点から見て、今後大蔵当局としてこの酒税に対する考え方を検討する用意はないかどうか、この点について主税局長のお考えを伺いたいと思います。
  18. 大倉眞隆

    大倉政府委員 おっしゃいます角度からの御議論は、私どもも十分承知しているつもりでございますけれども、やはり財政支出というものは、必要なものはどうしてもしなくてはならない、また、それに対する国民要請は非常に強い。その財源は、やはり私どもの持たされました責任として、全体の経済政策矛盾しない範囲では何とかして調達して、支出面における国民要請にこたえていかなくてはならない。したがっていまの局面で、五十三年度としてどういう方々負担を求めることが一番妥当であろうかというふうに考えますと、私ども一般的に所得税であるとかあるいは一般消費税であるとかいうことをやるべきでない時期である。しかし、どうしても財政は大変な状態に陥っておるとすれば、やはり酒を飲んでおられる方々、私も大変なのんべいでございますけれども、酒を飲んでおられる方々にこの機会に少し負担をふやしていただいて、それは別に大蔵省のポケットに入ってしまうわけではもちろんないわけで、それは財政支出としてまた還元されるわけでございますし、また、三分の一は地方財政が助かるわけでございますから、やはりそういう角度もぜひひとつ御理解をいただきたい。今後とも機会に応じまして、税制調査会の答申にもございますように、やはり適切な負担を求め、税体系の中でそれなりの位置を占めるという考え方は、私はやはり捨て去ることはできないと思います。
  19. 宮地正介

    宮地委員 いわゆる財政物資という考え方の中で、生活必需物資ということを十分踏まえてこの問題について取り組んでいる、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。
  20. 大倉眞隆

    大倉政府委員 どうもお言葉でございますが、生活必需品とまで言われますと、私どもは若干抵抗感がございます。
  21. 宮地正介

    宮地委員 時間がありませんから、その問題は後ほどまた進めたいと思います。  最近、特に円高急騰によりまして、いわゆる輸入洋酒などこういう酒類為替差益をもっと消費者還元すべきである、こういう声も大変に大きいわけでございます。過日経企庁といたしましては、輸入製品の第二次追跡調査の発表をいたしております。そういう中から、この酒類についてはどういうように実態が明らかになったのか、また、今後この問題についてはどういうふうに消費者にさらに還元をしていくか、この点についてお伺いしたいと思います。
  22. 水田治雄

    水田政府委員 ただいま御質問がございました円高効果還元の問題でございますが、昨年の八月と昨年末十二月と二回調査をいたしまして、輸入ウイスキーもその対象に取り上げております。それで、輸入ウイスキーにつきましては、一昨年の十二月と昨年の十二月、一年間を比較いたしますと、輸出先の元値が二〇%程度上がっておりますので、十二月現在では円建て輸入価格というのは下がっておらない、むしろ若干、五%程度上がっておるような状況でございます。  ただ、その輸入洋酒間の競争が非常に激しい、それから、国産ウイスキー等競争もございます。最近では並行輸入もあるというようなことで、市場がかなり競争状態が激しいものでございますから、サンプル調査をやったわけですが、サンプル調査をしたところによまりすと、小売価格は五%、一般小売店では五%程度、非常に下がっておるものでは七、八%小売価格は下がっておる、円建て輸入価格はむしろ五%程度上がっておるにもかかわらず、七、八%下がっておるものもあるという状況でございます。  今後の対処の仕方としましては、十二月に調査したばかりでございますのでもう少し、最近円高が急速に進んでおりますがまた調査したいと考えております。洋酒ウイスキー輸入団体に対しまして、政府の方から、できるだけ円高効果を生かすようにという指導を昨年の十月にしております。引き続きやっていこう、これは国税庁なり輸入関係所管官庁とも相談をしながらやっていくということでございます。
  23. 宮地正介

    宮地委員 この円高急騰による為替差益消費者還元に伴い、一つは、ウイスキー製品などそのものずばりの還元の問題、もう一つは、原料輸入による為替差益ビール業界などは決算も非常に好決算ということも聞いております。こういうことになりますと、やはり国民の目から見ますと、製品あるいは原料などの輸入物資が、酒類価格に対して少なくとも何らかの形で引き下げる、そういう効果というものを期待するのは当然であろうと思うのです。そういう円高という経済状態の中において、逆に今度は、国内的には引き上げをして、これはやはり小売価格にはね返ってくる、こうなりますと、国民からすると非常に矛盾的感情というかそういうものを抱くわけでございますが、その点についてまず、製品あるいは原料への円高為替差益、こういうものを国民生活によい影響として、国税庁はどのように業界指導されているのか。そういう環境の中においてこの酒類引き上げということが、国民に対していわゆる逆なでするのではないか、そういう感情もあるわけですが、その点の後者については大蔵省としてどのように考えておられるのか、この点について伺いたいと思います。
  24. 矢島錦一郎

    矢島政府委員 ただいまお話がありましたいろいろな問題でございますが、まずビールの問題でございます。  ビールにつきましては、最近の価格を見てみますと、輸入麦芽につきましては、五十一年と五十二年を比べまして一六七・四%出荷額の値上がりとなっています。それから輸入大麦につきましては横ばい、逆に、国産大麦を絡み合いでいただいておりますので、国産優先ということでいただいておりますものにつきましては二〇二%ということで、必ずしも原料事情が好転しているとは言えないわけでございます。  それから清酒の問題につきましては、御案内のように食管制度との関係がございまして、毎年のように価格引き上げがあるわけでございますが、食糧庁ともよく御相談を申し上げながら、各種の奨励金といったような特別措置、あるいは政府米の払い下げといったような措置も含めまして、極力原料の低下ということを図っておるわけでございます。
  25. 大倉眞隆

    大倉政府委員 後段の問題につきましては、先ほど申し上げたことの繰り返しになってしまうと思いますが、やはり私どもは、国民の皆様に財政支出を通じて要請にこたえていく、そのためにはどうしても会費はふやしていただかざるを得ない、いまの局面で、やはりお酒を飲んでおられる方に会費負担をふやしていただきたいということを、訴え続ける以外にないと思います。
  26. 宮地正介

    宮地委員 国税庁答弁がちょっとすれ違いになっていますが、私の言ったことは、いわゆる円高というこの新しい経済情勢の中において、製品輸入あるいは原料輸入というものが業界に対して価格の面あるいは経営の面で相当な一つ安定と言いますか、抑制する、そういう働きの条件ができておるけれども、それについてはどういうふうに行政指導されておるのか、こういうことなんです。
  27. 矢島錦一郎

    矢島政府委員 原料につきましてはいろいろなものがございまして、格別に申し上げるのも大変詳細にわたることとなると思うのでございますが、全般的な問題といたしましては、たとえば価格の問題につきましては、自由価格ではございますけれども、極力原価を反映したような価格によるべしというようなことで指導しておるわけでございます。  その格別の問題につきまして申し上げますと、たとえば清酒につきましては、政府管理米というようなことで非常に値上がりがしておることも事実でございます。それからビールウイスキー用につきましては、国産ビールの大麦の数量全量を農林省の告示価格で購入するということで、そういう不足ものについては関税割り当て制度で輸入する。それからビール用につきましては、また製麦設備の遊休化を避けるといったような点から、一部食糧庁から外国産のビールの大麦を払い下げるといったようなことで、為替差益がそのまま必ずしも反映するというようなシステムにはなっていないわけでございます。  それから、果実酒につきましても、国産ブドウとの絡み合いという問題がございまして、国産ブドウにつきましては御案内のように、価格が非常に高いという問題もあるわけでございます。しかしながら、今後につきましても、そういう企業の側におきましての合理化の努力ということも相まちまして、価格の問題については極力、企業の方としては引き上げないという方向で従来もやってまいりましたわけでございまして、今後もそういうふうに指導してまいりたいというふうに思っております。
  28. 宮地正介

    宮地委員 もっとシビアにこの問題についても、円高というこういう経済環境をよく見ながら、国民生活によい影響といいますか、安い酒が少しでも親しまれるようにできるそういう条件があれば、そういう条件に対しては積極的に業界に対しては働きかけをするべきであると私は思います。  また、今回の法案の後段においてのこの清酒製造業安定に関する特別措置法の一部改正について、特に清酒製造業における構造改善事業あるいは近代化事業、この問題について、どのようにいままで取り組んでこられ、またどういう成果を上げたのか、この点について伺いたいと思います。
  29. 矢島錦一郎

    矢島政府委員 構造改善事業につきましては、昭和三十九年から第一次の近代化ということに着手いたしまして、その五年間の成果を踏まえまして、さらに第二次近代化を行ったわけでございます。その後、五十二年度を初めといたしまして五ヵ年間の第三次近代化ということを行ったわけでございまして、この過去三回の近代化、構造改善のための施策によりまして、私どもは相当の成果を上げたというふうに考えておるわけでございます。  たとえば第二次近代化までに安定法に基づきまして、酒造資金の安定確保を図るための信用保証事業と転廃業者の方に対します給付金の給付事業を行ったわけでございますが、これにつきましても、転廃をされて給付金を受給された方が二百二十一社ということになっておるわけでございます。  それから、この時期に並行して行われました構造改善事業の集約化率は、当初の計画を相当程度上回っておりまして、安定法制定ということによりまして、構造改善事業の推進に大きな成果があったというふうに私ども考えておる次第でございます。
  30. 宮地正介

    宮地委員 特に清酒の製造業の業界においても、ある意味では自由競争という原理の中において、弱肉強食の経済論理というものが働いているのではないか。特に中小零細清酒製造業においては、いま大変な経営的なピンチに立っているということも訴えられておりますし、特に清酒というものは日本古来の伝統的な酒でありまして、この伝統を守るために多くの国民から親しまれてきた地域地域にある地酒、これは大変個性のあるもので、その地域においても親しまれております。この地酒がどうも最近壊滅しそうである、こういう多くの訴えも聞いているわけでございますが、こういう中小零細企業の清酒業界に対する救済策、あるいは地酒の保護育成、こういう点についてどのように取り組んでこられたのか、また今後どういうふうに取り組んでいかれるのか、この点について伺いたいと思います。
  31. 矢島錦一郎

    矢島政府委員 ただいま御指摘のございました地酒の振興ということでございますが、地酒の振興につきましては、従来からも構造改善計画、近代化計画の一環といたしましてやっておるわけでございます。一般に各地方の業界がそれぞれそういうふうな形で地酒の育成ということを取り込んでおるわけでございますが、当庁といたしましても、地酒が非常に特色のある酒として選好されるということは、中小メーカー対策、それから、地域振興の観点から言っても非常に好ましいこととして考えておるわけでございます。  そこで、当庁といたしましては、たとえば県産酒の愛用運動に対する側面的な支援を行う、あるいは酒質に特色を持たせました統一銘柄、たとえば東京の「辛口」酒とかそういうような統一銘柄酒に対する技術的な指導を行う、あるいはその販売方法の指導を行うといったようなことで、それぞれの地域業界の地酒の振興対策に対してできるだけの支援を行っておるわけでございます。  それからまた、いま申し上げました第三次の近代化におきましても、需要開発の一環といたしまして地酒の振興が含まれております。それぞれの地域に存在いたします中小メーカーの製品が、銘柄特性を生かしましてバラエティーに富む商品を供給するといったようなことによりまして、清酒製造業全体の振興が図られていくということは、私どもとしても大いに期待しているところでございます。  たとえば五十二年度におきましても、地酒祭りあるいは県産酒の愛用等、そううい形におきまして地酒の振興が図られておるわけでございますが、需要開発事業として構造改善事業の一環として、地酒祭りとか共同PR、展示即売といったようなものを五十九グループ、参加清酒業者で二千六百八社、それから共同銘柄による販売にいたしましては、三十グループ、参加清酒業者四百六十社といったようなことで、相当の普及を見ておりますので、そういうことで、私どももこれからますますそういう方向に向かって大いに振興策を助成していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  32. 宮地正介

    宮地委員 特にいわゆるおけ売りと言われるやり方ですね、これについては結果的には両面あると思います。一面は、やはり大手の清酒製造業者に吸収されるという面、もう一面は、これがなければやっていけないというようなそういう話も聞いているわけでございますが、国民消費者という立場から考えますと、やはり質のよい地酒をつくっている中小零細清酒製造業者を切り捨てていくというか、そういう方向になりはしないかという心配が一つ、あるいは実際に調べてみますと、大手の酒造業者との間における自製酒の割合なども、大体二二%とか三〇%台のが非常にありまして、現実的には消費者にどうも不当表示防止法に抵触するようなそういう感じで、質の異なったものを飲ませることになるのではないか、こういう両面があるわけでございます。  まず第一点の消費者に対する不当表示防止法の問題については、公取が来ていると思うのですが、どのようにお考えになっておられるか、また、国民生活立場から、ブレンドといったこの質の問題、こういうような問題についてどういうふうに経済企画庁としてはとらえられておられるのか、この点について伺いたいと思います。
  33. 土原陽美

    ○土原説明員 酒類の表示につきましては現在、清酒につきましては、業界の自主基準におきまして、原材料表示とか製造年月日の表示をしております。また、洋酒業界に対しましては、いまのところ原材料表示等行っておりませんけれども、表示を適正化するために景品表示法に基づく公正競争概評規約というものを設定するように指導しているところでございます。  なお、景品表示法は不当表示を禁止しておりますから、酒類の表示の中に事実に反するもの、あるいは一般消費者の誤認を招くものがございましたら、私どもとして厳しく取締まっていく方針でございます。
  34. 吉岡博之

    ○吉岡説明員 お答えいたします。  経済企画庁といたしましては、消費者が商品を選択するに当たりまして間違った選択をしないように、正しく選択するようにという意味で、表示が適正に行われるということは消費者保護の上からも大変重要なことだと考えております。したがいまして、お酒とかウイスキーとかそういったものにつきましても、適切なそういった表示ができるように、商品行政連絡協議会というようなものが私どもにもございますので、そういうところで、関係省庁と十分話し合いを行った上で対処してまいりたいと、このように考えております。
  35. 宮地正介

    宮地委員 どうかそういう両面があるわけでございますが、やはり正しく消費者行政、また国民が飲めるように、その配慮は関係省庁でもしていただきたいと思います。  特に中小の清酒業界に対して、たとえば政府政府買い入れ米のいわゆる放出につきまして、五十一年の一月の値上げ、ちょうどその五十一年の秋から五万トン、五十二年度においても六万トン、こういうことで放出をしているわけでございますが、この放出の中身につきましても中小零細企業のそういう清酒業界を重点的にして救済策はできないものであろうか。また、ことしの米価が決定すれば、恐らく五十三年度においてもこの問題がクローズアップされてくると思います。現段階においてこの問題を論議するのは早いと思いますが、当然、今回のこういう酒税引き上げ、あるいは製造業のこういう安定化ということを考えますと、この問題が出てくるわけでございますが、この点について食糧庁、どういうふうに検討されてこられたか、また五十三年度においてはどういうふうに検討されようとしておるのか、伺いたいと思います。
  36. 小野重和

    ○小野説明員 酒造用米につきましては、昭和四十四年に自主流通米制度が発足いたしましてから、自主流通米を供給するということになっております。この場合に、主食用の自主流通米助成とかいろいろあるわけでございますが、当初は主食用並みの助成ではない、その水準までいっておりませんでしたが、やはり経営上の問題、いろいろな問題がございますので、現在では主食並みの水準の助成をいたしておるという状況でございます。  なお、五十一年度から清酒の品質改善、さらには米の消費拡大という観点に立ちまして、アルコール添加を減少させるというための一種の助成といたしまして、特に政府米を主食用価格で売却するということをいたしておるわけでございます。そういうことで五十一年始めましたが、五十二年もやっております。  五十三年はどうするか、これからの問題でございますけれども、同じような方針でいくことになるのではなかろうかと思っております。  以上でございます。
  37. 宮地正介

    宮地委員 そういう面で食糧庁は、自主流通米との絡み合いの中で非常に苦しいながらも、政府買い入れ米というものを何とか供給して、業界の、特に中小零細のクラスに対して配慮をしていただきたい、その点についてもきめ細かい行政指導をやはりしていただきたい、このことを要望したいと思います。  さて、特に酒税の中で洋酒の問題でございますが、大蔵省としては、この租税負担酒税については浅く広く均衡のとれたものにしていこう、こういう方向であろうと聞いておりますが、特に洋酒などにおいてはすでに高負担、こういうことに考えられる。そういう点について、洋酒に対する税負担の問題については、この基本的考え方に逆行しているのではないか。広く浅く、こう言いますけれども洋酒業界などの意見をいろいろ聞いてみますと、どうも大蔵省あるいは税制調査会の言っているものにずれがあるのではないか、なぜこの洋酒の問題について負担が大きいんだ、こういう御批判もあるわけでございますが、この点についてはどのようにお考えでございましょう。
  38. 大倉眞隆

    大倉政府委員 いま洋酒とおっしゃいましたのは、主としてウイスキーのことであろうかと思うのでございますが、私どもは、実はいまのウイスキー負担がほかの種類の酒に比べて高過ぎるというふうには考えておりません。それぞれの種類を製造しております業界は、それぞれ自分のところが一番負担がきついというふうにおっしゃいますけれども、私は、清酒ビールウイスキーというものを並べて考えてみて、いまのウイスキー負担がほかの種類よりも高過ぎるというふうには考えておりません。
  39. 宮地正介

    宮地委員 本来、消費税というのは中立、公正に課せられるべきである。ところが、伸長度の高いものに重課することは、逆に差別的な消費の抑制であり、あるいは産業政策的課税ないし企業課税的色彩がきわめて強いものではないか、こういうような考え方もあるわけであります。逆にそれは消費者の自由選択というものを阻害する、あるいは企業努力という意欲に大変マイナスになる、こういうようなことから、むしろ国際的な競争力との問題などから考えても、この自由経済の基盤を損なうのではないか、こういう意見もあるわけでございますが、こういう点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  40. 大倉眞隆

    大倉政府委員 どうも本日は、宮地委員の御意見と違うことばかり申し上げて恐縮でございますが、私どもの方では、負担変化考えるときには、消費の動向というものも十分頭に入れる。そのときには、やはり伸びていく種類の方は、伸びないで困っているものに比べれば、負担の度合いを少し強くしていただきたいと私ども考えるわけでございまして、それは企業の生命を抹殺してしまうということにはならないのではないかというふうに考えております。
  41. 宮地正介

    宮地委員 企業の生命を抹殺する、そこまでは大げさなあれでありますけれども、少なくとも自由経済の社会において、企業意欲を損ねるようなそういう点については、やはり十分配慮はしなくてはならない、こういうふうに思うわけでございます。  次に私は、関税の問題について少しお伺いしたいと思うのです。  今回の東京ラウンドの前倒しで、当然酒類原料などにおいても関税の問題が引き下げられてきたと思うのでありますが、特にこの点について検討できるかできないか、その点をちょっとお話をしてみたいと思います。  一つは、バルクフルーツスピリッツのうち、特定条件に該当するものについて特恵関税の配慮はできないかどうか。もう一つは、コウリャンあるいはその他のグレーンソルガムの関税、これを撤廃できないか。あるいは輸入だるの関税、これは新だると古だるとあるわけですが、これを撤廃できないか。あるいは試験研究用の酒類の関税、これは免除できないか。こういう点についてどのように現在検討されておられるのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  42. 戸塚岩夫

    ○戸塚(岩)政府委員 先生御指摘の東京ラウンド交渉たけなわでございます。先日成立を見ました今年度の関税改正においての酒の取り扱いについては、御承知のとおり、可能なものについて酒類一二・五%引き下げをするということをお認めいただいたわけでありますが、東京ラウンドにおきましては、いま御指摘のもろもろの点を踏まえてできるだけ下げる努力をしておるところでございます。  細目につきましては、相手方に予断を与えることになりますので、細かくは差し控えさしていただきたいと思います。
  43. 宮地正介

    宮地委員 個々については要旨をお話ししておきませんでしたから資料がないのかもしれませんで、漠然とした話でございますが、いずれにしても、こういうドル減らしという大きな課題に取り組んだ関税の問題でありますので、また、今回のこういう業界に対する一つ影響国民生活への影響に連動するように、そういう点からもいま言った種々の問題については御検討をいただきたい、こういうふうに思います。  さらに、ビール税の負担水準の問題について少し伺いたいと思うのです。  日本のビールの税金というのは、外国のビールに比較して大変高いんじゃないか、こういう御批判があります。あるいは先ほども主税局長が、大体業界というのは自分のところだけ高い高い、こう言っているようだ、こう言っておりましたが、やはり他の国内の酒類との比較においても税率が高いのではないか。あるいは酒類に含まれているアルコール分の一度当たりの税額から見ても、ビール税というのは高いのではないか。特に物品税などと比較いたしましても非常に高い。こういうような状況でございますが、この点についてはどのように認識をされておられるのか、伺いたいと思います。
  44. 大倉眞隆

    大倉政府委員 ほかの国の場合に比べて、価格に対する税負担の率が日本のビールは高いという御指摘はかねてからございます。それはやはりそれぞれの国の特殊な事情に基づくものであるというふうにお答えしたいと思います。たとえばヨーロッパにおいてビールがどのように考えられ、どういうふうに飲まれておるかということと日本の場合は相当事情が違うというふうに私ども考えておるわけでございまして、やや極端な言い方になるかもしれませんが、いわば水がわりに飲まれるという国と、日本のようにいまでもまだ三、四割は業務用であり、かなり高級な場所でも必ずビールが出てくるという国とでは、やはりおのずから事情が違うのではなかろうか。アルコール度数から見ますと、宮地委員の御指摘のような点もあります。  ただ、やはり種類間の負担というものはなかなか一義的に割り切れない。どういうメーカーがつくっておるかとか、どういうところで飲まれておるかとかいうこともございますし、多年にわたってでき上がってきた結果で競争条件が一応成立しているということもございますので、その競争条件を極端に変えてしまうというような改正はこれまたなかなか考えられないし、また必ずしも適当ではないのではないかということで、多年にわいって日本のビールの税負担は、ほかの国のビールの税負担よりも高いということは御指摘のとおりでございますが、やはりそういう理由からだけでビール負担率を他の種類よりも一層引き下げていくということは必ずしも現実的でないというふうに私ども考えるわけでございます。
  45. 宮地正介

    宮地委員 最後に大蔵大臣に伺いたいわけでございますが、約一時間にわたっていろいろ議論してきたわけでございます。やはり酒税引き上げという問題については、先ほどから主税局長とすれ違いでありますけれども財政財政ということで突っぱねておりますが、私は率直に言って酒というものは、飲む人も飲まない人もおりますけれども、やはり国民大衆の中に非常に根ざして広く消費が拡大をしておる。また、男女のお酒を飲む比率も非常に高くなってきておる。そういう点から見ますと、現実問題としては、アンケート調査をしても、恐らく国民財政物資といってとらえる方はほとんどないのではないか、やはり生活必需物資ではないか、こういうふうにとらえると思う。  特に昭和四十九年三月のオイルショックの後においては、政府でさえビールについては、総合物価対策の際に生活関連物資として、五十三の価格凍結の品目の中の一つとして指定された、こういう経緯もあるわけでございますから、余りかたくなに財政というようなことでこだわっておりますと、大蔵当局国民感情の中にはますますギャップができるのではないか。率直に言って、酒税引き上げはやはり庶民大衆生活に大きな影響を与えておる、こういうふうに私は理解をしておりますし、当然やはりそういう生活実感あるいは国民大衆立場というものを十分に理解してこの問題に今後取り組んでいただきたい、こういうふうに要望したいと思います。  単なる財政物資という頭だけでこの酒税の問題を考えてまいりますと、今後もこの値上げというものが積極的に配慮されるおそれもあるわけであります。むしろ私は、生活必需物資であるという点を十分考えながら、国民生活に多大な影響を与えないように配慮しながらこの問題に取り組んでいくべきである、このように思うわけでございます。  聞くところによりますと、大蔵大臣も酒の関係議員の一人であるというふうに聞いております。そういうような立場からも、この問題についてはむしろいわゆる業界という立場だけでなくして、国民全体の立場から、やはり消費生活を守るという立場をもっともっと強く考え取り組んでいただきたい、このことについて要望すると同時に、大臣の御見解を伺って終わりにしたいと思います。
  46. 村山達雄

    村山国務大臣 ただいま宮地委員から、国民生活という立場からるる御発言がございました。私たちも傾聴いたしておるのでございますが、できるならば少しでも負担を上げるということは、財政当局としてはできるだけ避けたいのでございますが、やはり財政が非常に苦しい時期でございますので負担を求めざるを得ない。その立場から考えますと、諸般の事情から考えまして、現在の景気対策に最も影響の少ないものにつきましてある程度負担を求めたことは事実でございます。しかし、ある意味人類始まって以来、また、最近において非常に消費が広がっておるという事実も踏まえておるわけでございます。  しかし、先ほどから申しますように、生活必需物資だということはなかなか言えないという感じがいたしておるのでございます。今後もそういう各方面の財政支出の必要、それから租税体系全体との関係もあるわけでございますから、いま委員の言われる問題も含めまして、今後とも検討してまいりたい、かように思っているわけでございます。
  47. 宮地正介

    宮地委員 それでは終わります。
  48. 大村襄治

    大村委員長 永末英一君。
  49. 永末英一

    ○永末委員 大蔵大臣に伺いますが、この酒税法における酒というのは、十種類十二品目書いてございます。あなたはこの中で、嗜好飲料でございますから、どれを一番好まれますか。
  50. 村山達雄

    村山国務大臣 何でも飲む方でございます。
  51. 永末英一

    ○永末委員 私は清酒というのは、日本人の生活に非常に関係が深いと思うのですが、あなたも何回も当選されておられますが、当選祝いというのは何を持ってきますか。
  52. 村山達雄

    村山国務大臣 どうもやはり日本酒が多いようでございます。
  53. 永末英一

    ○永末委員 そういうぐあいに日本酒というものは、各種のお祝い、いろいろなところで使われておる、いわばこれは国民酒、民族酒でございますね。  天皇を訪問される外国賓客がございまして、その歓迎のための宴会なるものが宮中で行われる。最初に乾杯というのがございますね。あのお酒は何でしょうか。
  54. 村山達雄

    村山国務大臣 どうも私は外国貴賓がおいでになったときの乾杯にはまだ列席したことがないものでございますからわかりませんが、聞くところによると必ずしも日本酒ではない場合がある、こう伺っております。
  55. 永末英一

    ○永末委員 国の象徴である天皇が催される宴会でございますから、最初の乾杯はやはり日本人が発明した酒類を用いるというのが日本人としては望ましいと私は思っておるのですが、大蔵大臣はどう思われますか。
  56. 村山達雄

    村山国務大臣 個人的なあれから申しますと、そういうことはやはり望ましい方向ではないかと考えているわけでございます。実は先般も総理官邸でありまして、外国人が来てやったのですが、やはり日本酒とその国のものとを用いたらどうだろうかという意見が非常に強かったわけでございます。宮中の話は、これは宮中でお決めになることでございますけれども、永末委員の言われたようなことも好ましい一つの方向ではないかと、私見でございますが申し上げたいと思います。
  57. 永末英一

    ○永末委員 そういうわれわれ日本国民にとってはきわめて深い関係にある日本酒、清酒は、ここ五年くらいどういうぐあいになっておりますか。需要動向は上り坂でございますか、下り坂でございますか、横ばいでございますか。
  58. 矢島錦一郎

    矢島政府委員 清酒の売れ行きは年によって相当変動がございますが、ごく最近の五十二暦年の数字によりますと、最近十年間の平均伸び率としては一・七という数字が出ております。それから、課税移出数量で見ますと、昭和五十二年一月から十二月の間におきまして百六十五万七千キロリットル、九百十九万石ということで、前年に比べまして三・八%の増加となっております。
  59. 永末英一

    ○永末委員 一年だけではわかりません、上がったり下がったりしていますから。だから、最近十年の移出が一・七%というと、上り坂ではございませんね。ほかの酒類で上り坂のものは何ですか。
  60. 矢島錦一郎

    矢島政府委員 最近十年間の暦年によります各種類ごとの課税移出数量の推移を申し上げますと、しょうちゅうにつきましては逆に〇・二%減っております。合成清酒は九・四の減でございます。逆にビールは五・六%の増、ウイスキーにつきましては一〇・一%の増、ブランデーにつきましては六・〇%の増、主なところはこういうところでございます。
  61. 永末英一

    ○永末委員 清酒が、その伸び率きわめて横ばいであって、伸びない。どういう理由だとお考えですか。
  62. 矢島錦一郎

    矢島政府委員 これはいろいろの原因があると思うのでございますが、私ども一つは、生活様式とか食生活の洋風化といったようなことに伴いまして、消費者の嗜好が日本酒よりもむしろビールとかウイスキーといったような洋酒その他に移行しているのではないかというふうに思われることが一つでございます。  それから第二に、清酒につきましては、長期間にわたりまして相当生産カルテルが行われてきたこともございまして、これに安住いたしまして必ずしも御努力が足りなかった、また、他の酒類に比べまして需要開発努力もいささか劣っておったのではないかということも一つあろうかと思います。  それから、第三の問題といたしましては、やはり非常に中小企業性が高うございまして、九九・六%までが中小企業だというようなことでございまして、あわせてお米とかそういうコストのアップがかなりありまして再々に行われたということによりまして、他種類との相対価格が不利になってきたという面はあろうかと思います。
  63. 永末英一

    ○永末委員 清酒の伸びが非常に鈍い原因の最初に嗜好が変わってきたとおっしゃった。それは酒の種類の横に変動が起きていると言うのですが、しかしそれぞれのいわば洋酒と称せられるもの、ウイスキーにしましてもビールにしましてもあるいはブランデーにいたしましても、その中でいろいろな種類がある。ところが、この清酒というものは、たくさん銘柄はございますが、その清酒の中でおれはこれだ、これは永末酒だとか大村酒だとかいうように嗜好がぴしゃっときておると思われますか、それとも何飲んでも一緒ではないかというぐあいに国民考えていると思いますか。
  64. 矢島錦一郎

    矢島政府委員 現在、清酒の需要の約七割が普通酒ということになっておりまして、あとの三割がいわゆる増醸酒ということになっております。国民の嗜好という点から言えば、むしろそういう普通酒が嗜好に合っているというふうに考えております。しかし、その中にはまたいろいろございまして、純米酒とか、あるいは本醸造といいましてアコールを少量使ってそれ以外はお米でつくるというようなものもございますし、それから新しいタイプのいろいろなお酒もあるといったようなことで、こういうような中でだんだん国民の嗜好が変化していくのではないかと思うわけでございますが、現在のところの嗜好としてはそういうような状況になっております。
  65. 永末英一

    ○永末委員 昭和二十四年にいわゆる三増酒と称されるものがつくられるようになりました。それ以後、清酒というものは長い間、何を飲んでも同じようなものであるということで、変わっておるのは何かといいますと、特級、一級、二級というラベルが変わっておるというような認識が非常に多かったと思うのです。  このごろは、いまあなたが言われたように、いろいろな種類の清酒が醸造され、販売されている。しかし、ここ二十数年来似たような清酒、いわばあなたのおっしゃるカルテル化に安住をしている、つまりラベルは違うけれども同じようなものを出しておるのでは、新しい嗜好に応ずるということはできない、いわばあきられた、こういうことが清酒の横ばいの大きな原因ではないかと私は思いますが、あなたはどう思いますか。
  66. 矢島錦一郎

    矢島政府委員 先生のおっしゃるように、原料面の制約というのがございますので、清酒というのは確かにどちらかと言えば、一時一様な方向に向かっておったことは事実でございます。しかし最近におきましては、そういうことではいけないというようなことでございまして、非常に特色のあるお酒がたくさんに出ております。大手は大手、中小のメーカーは中小のメーカーなりにそれぞれ技術を競いまして、最もいい酒をつくろうということで、方向といたしましては、非常に辛口のお酒から甘口のお酒、それから濃潤なお酒からさらっとしたお酒、いろいろなタイプの酒ができつつある状況にございます。
  67. 永末英一

    ○永末委員 もともとアルコール添加が始まったのが昭和十七年あたりであったと思うのですが、それから昭和二十四年に三増酒がつくられるに至ったのも、主たる原因は、そのころ米が足らなかった、主食が不足であった、こういうことが原因ではなかろうか。折しもそれと軌を一にして、酒税法におきます級別というのが始まっているわけですね。したがって、そういう事実を背景にしながら、食糧庁としては、要するに自由自在に米を使って酒をつくってくれ、こういう態度ですか。
  68. 小野重和

    ○小野説明員 自由自在というお言葉意味がちょっとわかりかねるのですが、お米につきましては、昭和四十四年以降は自主流通米を買っていただくということにいたしておるわけでございます。自主流通米といいましても、その中にいろいろな米の銘柄がございますが、これはそれぞれ取引で決まるということでございます。ただ五十一年からは、いまもお話のございましたアルコール添加を減少させるという意味合い、これはお酒の品質改善、さらには米の消費拡大ということもございますので、それを進めるということで、自主流通米よりも割り安な政府米、これを主食用価格で売るということにその道も開いておるということでございまして、こういうような方法で供給を進めてまいりたいと考えております。
  69. 永末英一

    ○永末委員 その政府米というのは古米ですね。
  70. 小野重和

    ○小野説明員 古米と申しましても、私ども言葉で言いますと、いわゆる常温古米と低温古米というのがございまして、低温古米というのは私ども古米とは申しませんで低温米、低温米と言っておりますが、これは新米に比べて品質は遜色ないというふうに私どもの方は考えております。そういうようなことで、主食用につきましても、新米と同時に低温米、これはいろいろなお米の操作の問題もございますが、低温米を配給いたしているわけでございまして、それとの並びという問題もございます。そういうことで、政府米につきましては低温米を供給しておる、こういうことでございます。
  71. 永末英一

    ○永末委員 低温米と新米と比べて品質に変わりがないというのは、食べて変わりがないのか、酒にして変わりがないのか。酒をつくっておる方は、あなたの言われる低温米なるものを使うと香りが出ない、使いたくない、こう言っておる業者がたくさんありますが、いかがですか。
  72. 小野重和

    ○小野説明員 これは主食用につきましても、新米と低温米とは品質的に言って、低温米が新米に比べて遜色あるとは思わないということでございます。ただ、出来秋におきましては若干、新米は新米のにおいというものがございますから、そういう点はあるかもしれませんけれども、新米のにおいというのはすぐ消えますから、そうなれば低温米と新米と変わりない、こういうふうに存じております。  酒につきまして、私も酒について専門ではございませんが、常温米は問題があると思いますが、低温米であれば、品質上問題がないというふうに私どもでは見ております。
  73. 永末英一

    ○永末委員 酒を実際に醸造している人の意見をもっと食糧庁は聞いてほしいと思いますが、価格はどうなっているのですか。
  74. 小野重和

    ○小野説明員 価格につきましては、先ほども申し上げましたように、政府米の場合は主食用の価格で売っている、こういうことでございます。
  75. 永末英一

    ○永末委員 新米との差は、新米の場合、それから政府米と称するものの価格
  76. 小野重和

    ○小野説明員 低温米につきましては、新米と同じ値段でございます。
  77. 永末英一

    ○永末委員 食糧庁の方に聞きますが、これは全然過剰生産だというわけですな。置いておきますな。だんだん置いておって、古米とか古々米になったらどうします。
  78. 小野重和

    ○小野説明員 過剰生産ということでございますと、古米、古々米がふえていくということでございますので、これは御案内のように、従来からいわゆる生産調整をやっておりますが、本年からは去年の倍に近い百七十万トンの生産調整といいますか、水田利用再編対策というものを新たにいま実施しつつあるということでございます。ただ、すでに過剰米がたとえば去年の十月末で申し上げますと三百七十万トン近いものがございます。この処理という問題は別途ありますけれども、いまの酒造用米につきましては、やはり古々米ですとちょっと問題があるということで、新米ないしそれに遜色ない品質のいわゆる低温古米、一年古米でございますが、それを供給いたしておる、こういうことでございます。
  79. 永末英一

    ○永末委員 後でまたあなたに伺いたいことがございますが、さて、清酒というのは、われわれ日本人にとりましては、先ほど申し上げましたように、きわめて一般的に好まれているものだ、いわば国民酒だと思いますが、外国の場合、フランスではブドウ酒が非常に好まれている。フランスにおきますブドウ酒の種類はどれぐらいありますか。
  80. 福田幸弘

    ○福田政府委員 外国の事情でございますし、通常この種の資料はなかなか業界の方で手に入りにくいわけでございますが、いまのは銘柄の御質問だと思いますけれども、銘柄はやはり相当多いのじゃないかと思います。しかし、確たる資料はございません。非常に多いだろうということだけしか申し上げられません。
  81. 永末英一

    ○永末委員 非常に多いと言ったって、数十も非常かもしれない、数百も数千も。  業者はどれぐらいおるのですか、ブドウ酒メーカー。
  82. 福田幸弘

    ○福田政府委員 これも直接の調査資料ではございませんので……。ただ、申し上げられることは、万単位の業者がおる。万も数十万単位というので、ちょっと多過ぎる感じがいたしますけれども、われわれ直接調査をやっておりませんので、自信がございません。
  83. 永末英一

    ○永末委員 万単位の業者がつくっているのですから、万単位のブドウ酒が出ていますね。  税金はどうなっていますか。
  84. 福田幸弘

    ○福田政府委員 フランスでブドウ酒に対しましては、通常ブドウ酒、リンゴ酒等に対する流通税というものが課されております。発泡酒の場合にはもっと高くなりますけれども、通常の場合税率は、一ヘクトリットルにつき九フランということで、一リットルにつき四円五十九銭になっておりますけれども、これ以外にフランスの場合には、通常の標準税率によります付加価値税が一七・六%かかるということになります。したがいまして、これを加算いたしますと、フランスのワインの値段はまたいろいろまちまちでございまして、水がわりに飲むものからボトルに入ったものから、こういうことですが、これは標準の価格が二十五フランというような数字がございますが、これによりますと約一五%程度、わりに付加価値税の影響が多いという感じがいたします。
  85. 永末英一

    ○永末委員 付加価値税はブドウ酒だけにかかるのではなくて、フランスではいろいろたくさんかかっていますから、別にそれを入れて率を上げられなくても、酒固有のものはいまあなたがおっしゃったように流通税としますと、まさに安いですね。一リットルは四円少しでございましょう。これはなぜそんなに安いのですか。
  86. 福田幸弘

    ○福田政府委員 これはやはり消費の態様が日常の生活に溶け込んでおって、昼間から食事の際に相当の量を飲むとか、消費量が相当多いということと、それから水が悪いものですから、水よりもむしろブドウ酒が安い場合も多いというようなことで、やはりその辺を考えた税率であろうかと思います。
  87. 永末英一

    ○永末委員 フランスにおけるブドウ酒は、フランス人の国民生活に溶け込んでおる。日本におきます清酒は、日本人の生活にどうですか、大臣。
  88. 村山達雄

    村山国務大臣 フランスのブドウ酒ほどはとても日本酒は普及していないだろうと思うのでございます。私たちも前に行ったことがありますが、これは昼から晩から、食事の時間が長いですから、本当によく飲む。恐らくアルコール度数で言うと、一人当たりフランスが一番飲んでいるんじゃないか、多分そうだろうと思います。それくらいよくブドウ酒が溶け込んでおる国民だと思います。
  89. 永末英一

    ○永末委員 わが国の清酒業者も、昔は万を数えた業者がおりましたね、いまは三千程度だと言われておりますが。  さて、フランスの隣りのドイツではビールを飲んでおりますな。そのビールの業者というのはどれくらいございますか、西ドイツで。
  90. 福田幸弘

    ○福田政府委員 これも直接の調査ではございませんが、約二千くらいという数字が出ております。
  91. 永末英一

    ○永末委員 これはそれぞれの、日本語で言えば地酒ですね、ドイツにおきます。この税金はどうなっております。
  92. 福田幸弘

    ○福田政府委員 これは八段階に製造規模を分けまして、それぞれの段階別課税を行っておるというふうに聞いております。
  93. 永末英一

    ○永末委員 何の段階ですか。
  94. 福田幸弘

    ○福田政府委員 製造数量に応じた段階でございます。
  95. 永末英一

    ○永末委員 日本の清酒の税金は要するに類別、つまりアルコールの度数であるとかというようなものを標準にしながら類別審査をやって、優良とか佳良とかというようなことでやっていますね。  これは全然違いますね。要するにメーカーの蔵出しをする数量によって段階を分けるわけですね。いわば所得税における累進課税みたいなものですね。いかがですか。
  96. 村山達雄

    村山国務大臣 私も前におったときにいまの課税の仕方を見ましてびっくりしたのですけれども、私の感じでは、古いときの営業税的な感覚がまだ残っているのじゃないか。完全に消費税と言える形なのかどうか、ずいぶん古いものだなという感じがいたしたことをいま記憶しております。
  97. 永末英一

    ○永末委員 八段階でございますが、どうですか、平均どれぐらいの税金をかけておるのですか。
  98. 福田幸弘

    ○福田政府委員 その前にちょっと仕組みを申し上げますと、一ヘクトリットルにつき十二から十五マルクの八段階ということで、一リットルにつき十三円五十六銭から十六円九十五銭となりますが、負担の方で申し上げますと、負担率では、小売価格九十円四十銭といたしまして、税額が十六円九十五銭、一八・八%というのが小売値段に対する負担率ということでございます。
  99. 永末英一

    ○永末委員 ドイツにおきましてはビール国民酒と言われておりますが、これも税金、安いですね、大蔵大臣。安いとお認めになりますか。
  100. 村山達雄

    村山国務大臣 ドイツのビール、それからフランスのブドウ酒、これは全く世界的に見て例外的だな、こう思っております。きわめて安いものだと思っております。
  101. 永末英一

    ○永末委員 ドイツにもワインがございますね。これは、ローマが北へ行きまして、ライン川までブドウができるというので、あそこまで占領してブドウ酒をつくったという話でございますが、ドイツのワインはフランスのワインとは違います。しかし、これまた多くドイツで使用されておることは事実でございます。ドイツのワインの税金はどうなっていますか。
  102. 福田幸弘

    ○福田政府委員 ドイツではワインには課税がされておりません。
  103. 永末英一

    ○永末委員 いまフランスとドイツにおきます醸造酒につきまして、きわめて安い税金でやっておる。  さて、振り返りましてわが国におきましては、清酒というのは、先ほど大蔵大臣が申されたように、国家収入の大本として、地租によって収入を上げた時代から、酒税によって上げた時代がある、こういうことでございますが、いまやわが国もいろいろな産業が発達をいたしまして、国民の定時的収入も入る、こういうことで、税目は非常に分化をしてまいって、酒税の持っておる意味もまた変わってきておる、こう私には思えるのでございまして、そこで日本におきましては、清酒というものの意味合いを見直さなくてはならぬときが来ておるのじゃないかと私は思うわけでございますが、大蔵大臣はまだやはり財政の対象として清酒を見ますか。
  104. 村山達雄

    村山国務大臣 まだ財政物資であることには違いないだろうと思うのでございますが、先ほど幾つかの理由を挙げましたように、清酒については、やはりビールとかあるいはウイスキーとかというものとは全く営業形態が違いますし、それから特に原料高でもございまして、それをもろに受けるわけでございます。それから、生活様式の変化に応じまして、伸び率にあらわれているようでございます。三千という中小企業から成っておりまして、五割程度のものは、欠損が恐らく二割五分くらい、それから五十万以下の利益が恐らく二割五分くらい占めておる状況でございます。やはり同じ致酔飲料としても、その点は消費税としても十分考慮に値するのではなかろうか、このような感じがいたしております。
  105. 永末英一

    ○永末委員 まだ財政の観点から清酒をお考えになる気味合いが残っておるようでございますが、さて、級別課税が始まったときが主食がなかったということが一つの大きな原因だと思います。しかし、いまや米は余っておるわけでございまして、そうなりますと、級別課税というのは残しておく必要があるのでしょうか。
  106. 大倉眞隆

    大倉政府委員 級別課税が始まりましたのはたしか昭和十八年であったと思いますが、そのときの説明などを、古いことでございますけれども見ますと、当時公定価格があって、品質に応じて高い値段清酒とそれほど高くないものとがあって、それに応じて負担を求めたらどうかということが説明に入っておりますので、前回当委員会でいろいろ御指摘がありました従価税的なものの考え方に基づいてつくられたのではないかというふうに私は理解しております。その意味で、現在の級別制度も、これもまた一種の変形的な従価税であるというふうに考えてもいいんではないかと思っております。
  107. 永末英一

    ○永末委員 税金だけの面から見れば変形された従価税という言葉が当たるかもしれませんが、内容は、これによって実際大蔵省が酒造家につくらせた酒は、まずアルコール添加ですね。初め米が足らぬからアルコール添加をやって、それからしばらくたって戦争が終わって、ますます米がないというのでブドウ糖も加えろ、水あめも加えろ、こういうことで三増酒というものができてきた。いまやその理由がない。食糧庁が先ほど言ったように、アルコールをやめてしまって米を使えなんという指導もしているという話でございますから……。  そうしますと、公定価格があったから級別課税が生まれたという一つの理由を言われたが、いまや公定価格もございませんね。そうしますと、級別課税を守らなければならぬという理由はぼくはなくなったと思うのですが、いかがですか。
  108. 大倉眞隆

    大倉政府委員 私どもとしましては、長い時間がたって定着してきて、特級は高い、二級は安い、一級はその真ん中ということで、消費者の方もなじみができておるという現状で、できることならば従価税の方が望ましいという消費税に共通する考え方からいたしますと、一級、二級は従量税だが税率は低い、特級には一部従価税が入ってきたというようないまの仕組みというものは、それなりの合理性はあると考えておりますので、原料事情が変わったということからその級別課税を廃止するというふうには考えておりません。
  109. 永末英一

    ○永末委員 級別審査というのは官能審査ですね。ウイスキーの場合などは含有アルコール度でぴしぴしといってしまう。官能ですから、人間感覚によってやるのでございますから、優良とか佳良とか、よくわからぬ判断材料になりますが、この級別審査をやっていく上で、たとえばこのごろあちこちでできております濁り酒というのがございますね、そうなりますと、酒の色なんというものも変わってくるわけでございまして、一体どうするのか。それから、新潟に行きますと赤い酒、御存じですね大蔵大臣、あななたの方の新潟でございますから。あれあたり色も違うわけでございまして、こういうものの級別というものをどうするのか。また、ライスワインと称するワイン酵母でつくられている酒もある。非常に事情が変わってくる。何となく一級酒でやっておるということになる。そういう申請があるからそれでよろしいとしてやっておるのか。結局それは一級酒並みの値段で売りたいから、こういう目的があってそうなっておるんじゃなかろうか。そうすると、もともと級別審査が始まった理由もまたなくなっているんじゃないか、こう思いますが、いかがですか。
  110. 矢島錦一郎

    矢島政府委員 先生御質問のまず級別制度ということでございますが、御案内のように清酒と……
  111. 大村襄治

    大村委員長 簡単にお答えください。
  112. 矢島錦一郎

    矢島政府委員 やはり清酒の級別につきましては、品質審査は官能審査によるというのが一般的でございまして、これは諸外国においてもそういう方法によって認められておるわけでございます。  それから、いまおっしゃいました赤い酒とか濁り酒といったような問題でございますが、級別は、地方酒類審議会におきまして出品されたものについて審査を行いまして、特級とか一級とかいうような規格を有すると認められるものを特級、一級に認定するわけでございますが、非常に訓練された専門家によってやられておりますし、また製造、貯蔵上の欠点がないもので、しかも特級、一級として品位があるものは特級、一級という認定をするわけでございます。ただ、新しいタイプの酒につきましては、官能審査に当たって不利になってはいけないというようなこともございまして、タイプを区分して審査するといったようなきめの細かい配慮をしておるわけでございます。したがいまして、新しいタイプの酒だからといって特級にならない、あるいは一級にならないというようなことはございません。  それから、先ほどおっしゃいました赤い酒といったような新しく開発された酒につきましては、ほとんど一級または特級に認定して販売しておるわけでございます。ただ、いわゆる濁り酒、活性清酒と言っておりますが、これはおり酒から出発したものでございまして、性質上清酒に比べまして品質の劣化が非常に早いという問題もございまして、ちょっと上級酒としては品質保証するということには問題があろうかということで、級別審査に出品しないように指導しておることも事実でございます。
  113. 永末英一

    ○永末委員 そういういま申されました、要するに級別審査といういままでやってきたものの仕分け方ではないいろいろなものができてきておる。十数年前に二級酒であって金ラベルを張りましたね、これは、アルコール度数において一級酒とオーバーラップしている個所がある二級酒についてそういう措置がとられたと思います。したがって、長い歴史はございますが、級別課税をやって従量税でやっていく、その従量税も、実は変形された従価税だ、こう言うのなら、むしろ自由に日本清酒をつくらして、おのおのの創意を働かしてやる方が、清酒というものがもっと広がるという見込みがあるのなら、私はやはり従価税というものをもっと真剣に考えるべきところではなかろうかと思います。それが一つ。  それからもう一つ、従価税をやるのでございますと、それぞれの銘柄の酒の特殊性が国民にわからねばなりませんから、それに関連して原材料表示を、先ほど洋酒にはなくて清酒にはやっておるというのでございますけれども、これをちゃんとやらして、どういうものが入っておるのか、いろいろなまぜ物をしておるビールもございますね、大麦だけのやつもある、それをやはり国民に知らせる必要がある。そういう意味では、公正競争規約というものをちゃんとつくって、それにのっとって国民にも、なるほどこれはこういう酒だからうまいのだ、あるいはこれは私は好きだ、こう思わせる公正競争規約をつくることが必要だと思いますが、その二つをお答え願いたい。
  114. 大倉眞隆

    大倉政府委員 方向としてはできるだけ従価税の思想を取り入れていきたいという点は、永末委員と同じような気持ちを私ども持っております。ただ、清酒の一、二級につきまして、なかなかその従価税に移っていけないというのは、実は清酒業界独自のいろいろなむずかしさがございまして、最近の原料事情からも来るわけでございますが、いま従価税に移ってしまうと、コストが上がって値上げをせざるを得ないときに、コスト高のほかにまた税がふえる分もあって、中小メーカーはそれがとても転嫁し切れないという、非常に現実的なむずかしさがあるものですから、一級、二級まで従価税を持ち込んでいくということが現実問題としてなかなかむずかしい。  同じような意味で、純米酒と申しますか、米がたくさん入っている酒というのは、実はコストが高くなってしまう。そうすると、従価税に全部移ると、お米をたくさん使う酒ほど税負担が高くなるという現実の問題がございまして、いろいろな事情を十分考えながら、今後基本的にはできるものから従価税に移っていく。しかし、それが結果として中小企業が思わざることになってしまってはまた困るわけで、その辺にらみ合わせて考えていきたいと思います。  それから、内容の表示の問題は、御指摘の線に沿いまして、公正取引委員会とも御相談しながら、できるだけ消費者立場考えて今後とも指導に努めてまいりたいと思います。
  115. 永末英一

    ○永末委員 現在の従価税は、いわゆる高い商品にかけておるわけですが、従価税にするということは、従価税率を低くしてやる、これが大事ですよ。  それから、先ほど大臣が言われた、ドイツのビール業者には規模別、段階別税制がある、そうですね、大きなメーカーと小さいものとは違うわけだから。日本の清酒業者は、いま言ったように中小企業が多い。規模別課税をやるつもりはありませんか。
  116. 大倉眞隆

    大倉政府委員 先ほど大臣もおっしゃいましたように、非常に古くからあって、どうも営業税的なものが残ってしまっているというふうに私も感じておるわけでございまして、やはり消費税としましては、店頭に並び、また税を実質的に負担していただく消費者の側から言って、メーカーがだれであるかでそこが変わるというのはなじまないのではないかと思います。
  117. 永末英一

    ○永末委員 もっとゆっくりやりたいのですが、御検討を願います。それはつまり、営業税的なものがあるだろうというのではなくて、もうちょっと調べてもらいまして、やはりドイツにしたって中小ビール醸造業者を守っていこうと思っているかもしれません。私も研究しますから、御検討願いたい。  さて、酒税は、これは消費税というのですが、応能負担といいますけれども、応能負担というのは、酒の上等なものを飲む者には高く税金をかけるということなのか、高い酒を飲む者には高い税金をかける、どっちですか。
  118. 大倉眞隆

    大倉政府委員 非常にお答えがむずかしいと思いますが、いまでき上がっている体系から考えますと、かなりの部分で、高いお酒をお飲みになる方はそれなりに高い負担をしていただきたいという考え方がかなりいろいろの面に入っている。しかし、そのもう一つ根元には、高いお酒というものは品質のいいものであるはずだという考え方も入っておると思います。
  119. 永末英一

    ○永末委員 消費税そのものは、その内容について、これは酒の場合は嗜好飲料でございますから、こちらはAについて品質がいいのだと思っていても、ところがこっちの人はBについていいと思うかもわかりません。何もアルコールの度数が少し高くて濃いから上等だと言えないかもしれない。しかし、消費税そのもの経済的観点からすれば、値段の高いものにより高い税率がかかってもしかるべき、これでしょう、いかがですか。
  120. 大倉眞隆

    大倉政府委員 私はそのつもりで申し上げたつもりでございます。
  121. 永末英一

    ○永末委員 逆に言いますと、大体値段の同じようなものは同じ酒税の率でよろしい、こういうことになりますな。
  122. 大倉眞隆

    大倉政府委員 それを徹底して考えますと、それは全種類を通じて小売価格ベースで従価税を負担していただくという考え方になるわけでございますが、そこが多年の経緯を経て現在の競争条件ができ上がっておりますものですから、一挙にそちらに移行しますと、また種類のメーカーごとに非常にいまと条件が変動してしまうものですから、やはりいまある現実の姿というものを尊重しながら、負担引き上げのときに永末委員のいろいろおっしゃった点も考慮に入れて勉強をするということではなかろうかと思います。
  123. 永末英一

    ○永末委員 もうちょっと正確に聞いておきたいのですが、私の申し上げたところを考慮するとおっしゃるのは、やはり消費税であるから大体同じ、それはかけ方が違いますから小売価格のようにすっぱりといかぬかもしれない、しかし大体同じ種類の酒については、たとえば輸入ウイスキーと国産ウイスキーの場合でも、大体酒税負担部分は同じようになっていくべきものだとお考えですね。
  124. 大倉眞隆

    大倉政府委員 それは同一の種類の中では、値段が高い場合にはそれなりの負担をしていただくということが望ましいと思います。ただ、いま御指摘の具体的な問題は、これは実は日本の特殊事情によって輸入ウイスキーの流通マージンが異常に高いというところに起因しているわけでございます。
  125. 永末英一

    ○永末委員 関税局長、先ほどちょっと問題がございましたが、これでたとえばEC、イギリスを含めてウイスキーを初めとして洋酒輸入ラッシュというものが続きますね。日本としてはやはりそれに受け答えをしなければならぬというのが、ことしの輸入酒類に対する関税率の引き下げになりました。これは引き下がってきますと、たとえばいまのウイスキーの税金の立て方はCIFに関税を足したもの、これに税率をかけてやっておるという形になっているわけでございまして、だんだん関税が減っていきますとこれはますます減ってくる、こういうことになりますな。どっちがお答えになりますか。
  126. 大倉眞隆

    大倉政府委員 CIFプラス関税が課税標準でありますから、おっしゃるとおりになります。
  127. 永末英一

    ○永末委員 そうしますと、今度は国産の方ですね、国産のウイスキーは必然的に、関税が下がってきますと輸入ウイスキー酒税は下がっていく、こっち側は従量税、従価税ともにございましょうが、下がらないということになりますと、酒税負担部分がだんだん離れてくる、こういうことになります。それはどうやって直しますか。
  128. 大倉眞隆

    大倉政府委員 従価税適用種類についてはおっしゃるような状態になります。それは結局保護関税の壁が縮まったということでございます。したがいまして、企業としてはそういう状況に即応してやはり企業努力をしていただきたい。長い目で見れば保護関税の壁というものは漸次下げざるを得ないという国際環境にある。それはひとつウイスキー業界としても理解をしてほしい、私はそう考えております。
  129. 永末英一

    ○永末委員 このウイスキーの税金、酒税のかけ方に二通りございまして、元売価格というものを基準にしながら、従量税であれ従価税であれかけていく仕方もございますが、大体公示された小売価格から一定率三割を引っ張ってしまって、その中で税金が、ある率が決まっておりますから出て、結果的には蔵出価格が決まるというやり方をやっておるものもある。  ところで問題は、いまのように輸入ウイスキーの方が関税が下がることによって下がってくる場合に、なるほど保護関税がなくなったからしょうがないじゃないかと言えばそのとおりでございますが、公正な競争をもし大蔵当局が国内、国外を問わずウイスキー業界にやらせようとするのなら、税金の負担部分は似たようなものにするのが当然ではないか。国内のウイスキーばかり税金が高くて輸入ウイスキーが安いということでは、われわれ日本人は愛国者ばかりですから、いや、高い国内のウイスキーを飲んで税金を払おうと思えばよろしいが、高かったらやめだと言うと困りますね。そういう意味合いで、たとえば小売価格を前提にして一定率三割を引っ張って酒税を算定する方法をやっていかれるとするならば、その一定率をもう少し広げて、結果的に輸入ウイスキー酒税分の負担と似たような負担になるような考慮をされる余地はございますか。
  130. 大倉眞隆

    大倉政府委員 一定率と申しますのは、流通マージンの実態調査をいたしまして、その結果算出して従価税が完全に適用されるようにつくっている制度でございますから、実態を離れて国産保護のために一定率を引き上げるということは、国際的にもはなはだしい非難を受けましょうし、私どもとしてはきわめて慎重にならざるを得ません。
  131. 永末英一

    ○永末委員 輸入ウイスキーというのは、言うならばわが国内におきますいろいろな宣伝費等は含んでおりませんね。ところが日本の場合は、メーカーが自分の銘柄を広告したりやっている、こういうことでございますから、言うならば、CIFに関税を足したものが課税標準となるならば、宣伝部分はそれを輸入した業者負担になっている。その部分酒税関係なくなっている。しかし国内産の場合には、みごとにメーカーがそういうことをやっていますから、その課税標準にそれは含まれている。広告費に課税しておる酒税である。これは不均衡ですね。こんなことはどう考えますか。
  132. 大倉眞隆

    大倉政府委員 その点は、先ほどごく簡単に申し上げましたように、流通マージンがどういう状態にあるかという実はそれぞれの販売政策から出てくる問題でございまして、それを関税の段階で調整するとすれば、一つ考え方としては、ASPのようなやり方があるかもしれませんが、またいまの状態では、それは新たなるNTBであるということで猛烈な批判を受けるであろうということで、これまた非常に慎重に対処しなければならないと思います。
  133. 永末英一

    ○永末委員 関税でやれと言うているのと違うのですよ。関税というのは、そっちの人が交渉してやってくるわけでございますから、結果的にそれが酒税になった場合に——やはり似たようなもので似たような小売価格で売られる場合には、なるほど一定率というのはいまの小売マージンの現状を把握して決めたんだ、それはそうでしょう。しかし結果的に酒税に、両者に相当な幅が出た場合には、何らかの措置をとって、やはり酒税負担の公平を期するのが本当ではなかろうか、この考え方はどうですか。
  134. 大倉眞隆

    大倉政府委員 それはもっばら小売価格に対する負担率から議論をなさいますとそういうことになります。しかし、いまの税の体系は蔵出税でございまして、蔵出価格という角度から言いますと、それは輸入酒は、蔵出価格に相当するものはCIF価格でありますから、日本の酒は蔵出価格に対して従価税が適用される、輸入酒は蔵出価格相当のCIFに関税を足してそれに従価税が適用されるということでございますから……。
  135. 永末英一

    ○永末委員 私、もう一つ伺いたいのは、日本の消費者ウイスキーを買う場合に、輸入ウイスキーだったらこれだけは税金だ。もちろん酒税と、その場合には日本という立場からですと関税も入りますよ。それから国産のウイスキーを買った場合はこれだけは酒税だという場合に、それと比べて、日本の方が多い場合には妙な気がしますね。あなたが酒税についてどうやってかけるかと考えられたことは、それはそれですよ。ただ結果的に、消費者ウイスキーと称するものを買う場合に、国内産と輸入品とを比べてその中の税金部分考えたときに、非常に離れが出てきた場合に、これはもうしようがないんだとやられるのか、やはりそのときには考えようとされるのか、その点をもう一度お答え願います。
  136. 大倉眞隆

    大倉政府委員 それは小売価格ベースの従価税という考え方は、将来の研究課題として残っておるということだけ申し上げますが、現実にいま直ちに改正することはとうていできないと思います。
  137. 永末英一

    ○永末委員 将来の検討であるというから、将来をひとつ見ておりますから……。  質問を終わります。
  138. 大村襄治

    大村委員長 荒木宏君。
  139. 荒木宏

    荒木委員 大臣が参議院の本会議の方にいらっしゃると伺っておりますので、お帰りになってからまたお尋ねをするということにいたしまして、どうぞ御退席をいただきまして結構でございます。  そこで、政府委員にお尋ねをいたしますが、酒の種類の間のそれぞれ税負担のあり方の問題、また各メーカー、卸、小売の業種間の調整の問題、酒の行政についてはいろいろな分野があるわけですけれども、私は、まず小売の免許の問題からお尋ねをさせていただきたいと思います。  国税庁の方に伺いますが、酒類の小売免許の要件は概略どういうふうになっているか、簡単に御説明いただきたいと思います。
  140. 矢島錦一郎

    矢島政府委員 酒につきましては、非常に重要な財政物資であって、また非常に高率の酒税が課されておるということで、同時に、消費者に対しても非常に利便なように供給されなければならないというような問題もございまして、私どもといたしましては、免許の取扱基準というものをつくって、それによって運用しておるわけでございます。  判断基準といたしましては、申請者の経歴、年平均販売見込み数量、所要資金、既存の販売業者との距離、販売地域の世帯数といったようなものを使用いたしまして、これらの具体的内容につきましては、三十八年に定めまして、それ以来ずっと運用しておるわけでございます。
  141. 荒木宏

    荒木委員 いまお話しの三十八年に決められました基準のうち、「申請者の人的要件」、それから「販売場の場所的要件」、こういったものがあるようですが、それとあわせて「需給調整上の要件」、こういう要件が決められております。  そのうち、申請販売場の「免許後一場当り販売見込数量」、こういう計算が数式としてあるようですけれども、その中の「申請販売場の小売販売地域」、これはどういう地域、広がりを指すのでしょうか。
  142. 矢島錦一郎

    矢島政府委員 免許の基準は、地域区分をA地区からD地区まで一応分けまして、たとえばA地区につきましては、東京都の特別区及び人口三十万以上の市制施行地の市街地ということで、年間販売基準数量は三十六キロリットル以上ということにしております。それから世帯数につきましては三百世帯以上。B地区につきましては、A地区以外の市制施行地の市街地ということで、二十四キロリットル、世帯数につきましては二百世帯。C地区につきましては、町制施行地の市街地ということで、十二キロリットル以上、世帯数につきましては百五十世帯以上。D地区につきましては、市街地以外の地域ということで、六キロリットル以上、世帯数につきましては百世帯以上ということで運用しております。
  143. 荒木宏

    荒木委員 ちょっと質問説明不足であったかもしれませんが、お聞き違いになったようですけれども、いまおっしゃったA、B、C、Dというのは、地域の階級区分だと思うのです。販売数量あるいは標準世帯数を分ける階級区分ですけれども、私が伺ったのは、その階級区分に従ってそれぞれ一場当たり販売見込み数量、これが小売基準数量を超えているかどうか、それから、一場当たり免許後の世帯数、これが標準世帯数を超えているかどうか、この判断をするに当たって、まず当てはめをする販売地域というのがあります。その地域の広がりはどの地域をとっておるのか。つまり、行政区が一販売地域になるのか、あるいは小学校の校区が販売地域になるのか、中学校の校区がそれに該当するのか、これを伺っておるわけです。
  144. 矢島錦一郎

    矢島政府委員 最小行政区域を一つの地域というふうに考えております。
  145. 荒木宏

    荒木委員 そうしますと、従来からそういうことでしょうか。普通の酒屋さんが免許申請をする。たとえば東京都は人口一千万であります。一千万の東京都全域にどういう影響を及ぼすかということを考えて免許を検討されるのか。あるいは、私の地元であります大阪府堺市は人口八十万でありますが、一軒の酒屋さんが申請するのに、八十万の行政区全体にどういう影響を与えるか、こういう観点からの検討をなさっているのか。ちょっと従来のお取り扱いといまの答弁は違うように思いますが、いかがですか。
  146. 矢島錦一郎

    矢島政府委員 その場合の地域と申しますのは、税務署長の判断によって決まるわけでございますが、百貨店とかあるいはスーパーとか、こういうものについては、非常に特殊な事案でございますので、必ずしもその基準によらない、その基準につきましては、必ずしも形式的に運用していないというふうに御理解いただきたいと思います。
  147. 荒木宏

    荒木委員 スーパーとか百貨店のことを伺っているんじゃないのです。それは国税局長が判断をすると、指摘をされた通達の別の個所に明確に掲記されております。  私が聞いておりますのは、いま間税部長が答弁された「酒類の需給調整上の要件」のうちの「免許後一場当り販売見込数量」の計算をしていく前提となる申請販売場の小売販売地域内に所在する販売場、こういう採用する数値の範囲が決まっているのです。これはあれでしょう、普通の行政区画上の町内会単位でとるのと、小学校区単位でとるのと、中学校区単位でとるのと、行政区単位でとるのと、結果が違ってきますね、それを聞いているわけです。
  148. 矢島錦一郎

    矢島政府委員 ちょっと言葉が足りなくて申しわけございませんでしたが、酒類販売業免許等取扱要領によりますと、「小売販売地域」というのは「申請販売場の予定販売先である酒類消費者の分布等の実情に即し、一税務署の管轄区域、最小行政区画または学校教育法施行令第五条第二項の規定により、市町村の教育委員会が指定している小学校の通学区域等を一単位とし、申請販売場の所轄税務署長が決定した地域をいう。」ということになっております。
  149. 荒木宏

    荒木委員 初めからそう言っていただければ話は早いのです。少しどころかかなり言葉が足りなかったように思いますけれども、それはともかくとしまして、私聞きましたところでは、地方では大体一税務署単位でやっている、都市の方では小学校の校区単位でやっているというのが普通の扱いじゃないかと、こう聞いているのですけれども、御承知のように大都市近郊の地域では、小学校の区域変更、学区の変更が毎年のようにありまして、しばしば変わるわけですね。ドーナツ現象といいますか、どんどん人口の移動がある。先ほどちょっと引用いたしました私の出身地域などは、人口増加が非常に多い地域なんです。ことに大規模なニュータウン建設がありますと、新設学区というのが例年のようにふえていく。そういったところの問題が一つあり、そこへもってきて、私が特にきょうお聞きしたいのはスーパーの免許の問題でありますけれども、先ほど部長が少し先回りして答弁で触れられましたけれども、そのスーパーの需給調整上の要件に適合するかしないかという判断が、こうした一般の数式で果たしていいものであろうかどうか。  なるほど税務署長限りでの判断が困難である、そこで国税局長において処理をすることとする、こういう規定がありますけれども、しかし、国税局長の判断の基準、目安というものが果たしてどのようになっておるのであろうか。単に局長は需給状況を全般にわたって調査し、設置の必要性を勘案して判定する、こうなっておるわけであります。一応基準としては、総販売予想量を、いままでの販売場数に今度の申請場数をプラスして割った数値が、基準数量と標準世帯数に比較して問題になる、こういうことになるわけです。  スーパーは御承知のように、吸引力が非常に強いという一面があります。ですから、先ほどのように小学校区単位で判断をするということになりますと、一例として、いま申請されております大阪府堺市の光明池に予定されておるスーパー・ダイエーなどは、車で市内のすみずみからやってくる、あるいは他の市からもお客が車で乗りつける、こういうことでありますから、こういう従来の数式ではとても賄えないような状態になっておるのじゃないか。また一方、局長が判断をされるにしても、単に全般を調査して必要性を勘案するというだけですから、関係の小売業者、小売組合としては、その間に判断の確たる基準というか物差しというか、そういうものが出されていないための非常な不安もあるということですので、そういった点について庁として、この局長の判断に当たっての目安、指導基準、そして小売商業組合、酒販組合との調整に当たっての基本的な考え方、こういったことを明らかにしてください。
  150. 矢島錦一郎

    矢島政府委員 先生いま御指摘のように、確かに酒類販売業免許等取扱要領の中におきましては、申請者の人的要件、距離基準、それから需給上の要件というものが一般的に定められておるわけでございまして、スーパーとか百貨店といったようなものにつきましても、この免許基準に従いまして、要件に合致していれば形式的には原則として免許ができるということになるわけでございます。  しかしながら、実際問題といたしまして、百貨店にいたしましてもスーパーにいたしましても、一般に資本力が非常に大きい、あるいは販売地域も広い、あるいは他に与える影響等も大きいといったような問題もございますので、その地域の税務署長ではできないといったようなこともございまして、需給調整上の影響も判定することが困難であるということになるわけでございまして、そこでこういうような大型店舗につきましては、国税局長が判定するということにしております。  しかしながら、その基準はどういうものについてするかということについては、特に定めていないわけでございますが、たとえば百貨店の場合でございますと、贈答品が多いとか、あるいは距離基準を免許の判定の要素とすることは必ずしも適当でないという場合がございますので、たとえば距離基準を適用しなくてもいいといったような問題もございます。それからスーパーなんかの場合につきましては、大量販売を企画するとか、あるいは目玉商品として非常に安売りするというような問題があってもいけないということにつきまして、やはり慎重に検討しなければいけないということでございまして、この問題につきましては、国税局長の裁量によりまして判断しているわけでございますが、一般的な基準というものはないわけでございます。  しかしながら、実際の免許をやるかどうかということにつきましては、いま申し上げましたような零細な、地域の既存の小売業者の方々に対する影響ということも十分考えなければならないために、やはり地域の酒販組合の御意見も十分尊重し、また話し合いもし、その上でスーパーの免許をするということにしておるわけでございます。
  151. 荒木宏

    荒木委員 実情を伺っておきますが、五十三年二月現在で、百貨店、スーパー、それぞれ免許申請があって処理されていない未処理件数がどのぐらいあるか、全国の件数と大阪の件数、これを伺いたい。
  152. 矢島錦一郎

    矢島政府委員 ちょっと大阪の件数についてはいま調べましてお答えいたしますが、五十一年度の酒類小売業の免許の処理状況を申し上げますと、申請が合計で四千二百十八件あったのでございますが、そのうち大型店舗であるスーパーについては百三十三件申請がございます。生協につきましては二十三件、百貨店については九件、農協については十二件ということになっております。  このうち免許をいたしましたものは、全部の小売につきましては二千七百二十一件、スーパーにつきましては四十四件、生協については十三件、百貨店については九件、農協については五件。それから未処理のものにつきましては、その他拒否、取り下げ、返戻というのがあるわけでございまして、最終的な未処理につきましては、先ほど申し上げました四千二百十八件のうち九百三十六件が未処理になっております。このうちスーパーが百三十三件の申請に対しまして全部一応未処理、生協につきましては二十三件に対しまして二十六件、百貨店につきましては九件中五件、農協については十二件に対して十五件になっております。これは前年からの繰り越しがございますので、申請件数と未処理件数について多少食い違いがございます。  以上でございます。
  153. 荒木宏

    荒木委員 重ねて要望しますが、私は未処理件数を伺ったので、時間の関係もありますので、お尋ねした点を要領よくお答えいただきたいと思います。  いま五十二年三月のお話があったのですが、私がいただいた資料では、五十三年二月、ことしの二月の概数が、大型店の未処理件数が全国で百三十七件、そのうち大阪が六十三件、こういうふうに聞いておるのです。先ほどの部長の答弁でも、昨年三月で、大型店百三十三件の申請で未処理が百三十三件、ですから、繰り越しはもちろんありますが、ちょうどその年度に申請された分だけ持ち越しになっておる、こういう数字の上の結果になっておるわけです。  これは一つは、酒販組合との調整の問題があります。これは特に顧客の吸引力が強いですから、需給秩序を撹乱しないかどうか、それと財政物資として、そういう意味合いでの小売の経営の健全性ということを慎重に検討していただかなければならぬと思うし、その点から言いますと、未処理がこれだけあるということは、それだけ慎重にやっていただいているということになるかと思うのですが、同時に、反面から言いますと、確たる基準がないために、いつ免許がおりるかわからぬ。つまり局長にまるっきり任せられておって、任せられておる局長もよるべき基準がない。ただ単に総合的に勘案をして可否を判断せいということになっておるがために、言うなれば、自分の在任中は判こを押さないで次に持ち越そう。一方、酒販組合の方にしてみますと、毎度、毎度三月延ばし、半年延ばしにつないでいかないことにはなかなか持ち切れぬかもしれぬ、こういう非常に不安定状態ということも一面生まれているんじゃないか。  でありますから、むしろそのことの原因の一つは、この署長限りの判断の基準として示されておる販売見込み数量、それから免許後の標準世帯数、この算式のあり方がこういう大型店を予想していない算式だ。これをやはり取り入れて、相当実績もあるわけですから、調査もされておるわけですから、それにふさわしい基準、物差し、目安というものを打ち出す必要があるんじゃないか。と同時に、酒販組合との調整を、手続的な要件としても十分協議を尽くしていくということを明確にする必要があるんではないか。その上で局長が地域の総合的な調査の上に立っての判断ということになりますと、これは関係の小売商の人たち、あるいはまたその衝に当たられる出先の局の方々、職員の人たちの仕事の一つのルールができて軌道に乗るのじゃないか、私はこう思うのです。  いずれにしても、結果としてこういった未処理の件数が年々ふえていくということは、余り適当なことだとは言えない。話によりますと、もしおろさなければ行政訴訟を起こされてそして敗訴するかもしれぬ、といって、またおろせば、酒販組合の方からずいぶんと強い突き上げもあるというふうなことになっておるわけですから、これはひとつ十分その辺の事情を検討していただきたい、そして実態に合うような適切な処理をひとつ勉強していただきたい、こう思います。
  154. 矢島錦一郎

    矢島政府委員 お答えいたします。  先ほどちょっと資料が見つからなくて失礼いたしましたけれども、さっき先生のおっしゃいましたように、五十二年四月から五十三年二月までにおきます未処理件数は百三十七件、大阪は六十三件ということでございます。その前の年が百三十三件で五十九件、五十年四月から五十一年三月は、百二十七件に対して大阪は五十七件ということになっております。  それから、いま先生のお話のございましたように、スーパーについては特別の基準をつくったらどうだという御意見、確かに一つの御高見ではあろうかと思うのでございますが、やはりスーパーの申請が出ますときは、必ず地域の小売商の方が猛烈な反対をするというのが実情でございます。そういうことで、したがって私どもも非常に慎重に、慎重な上にも慎重な検討をし、地域の酒販組合、それから需給条件、そういうものにつきましても慎重に、何度も何度も会合を重ねた上でスーパーの免許をするということを実際しておりますので、かえって形式的な基準を設けるよりは、そこは良識のある、その地区の実態をよく知っております国税局長にその判断をゆだねる方が適当であろうかと思うわけでございます。  それから、先ほど申し上げましたように、そういうことで非常に未処理件数が多くなっております。先生のおっしゃるように、やはり行政訴訟の問題、不作為による行政訴訟の問題とかいろいろございますので、私どもその行政当局としては、率直なところ非常に苦慮しているというのが実情でございます。
  155. 荒木宏

    荒木委員 ただ苦慮されておるばかりでは皆さんもお困りだろうと思うのですね。まあしかし一応、基準づくりよりも運用でという当面の答弁があったわけです。  確認しておきますけれども、たとえば大阪府は一番未処理が多いわけです。先ほどちょっと例を挙げましたが、堺市光明池のダイエー、京橋駅前のこれもダイエー、それから富田林のいずみや、それからお隣の兵庫県では明石市のダイエー、神戸市灘区のダイエー、いずれも小売酒販組合が異議を申し立てておりますが、いま部長のお話しのように、こういう現実に問題になっているところを、慎重の上にも慎重を重ねてという念の入った答弁だったのですが、なおこれからも引き続き協議を続け、十分慎重な取り扱いをするというふうに約束されますか。
  156. 矢島錦一郎

    矢島政府委員 いま申し上げましたように、なるべく地域の小売商の方々とトラブルを起こさないようにということで、慎重な取り扱いをいたしたいと思っておるわけでございますが、やはりなかなか話し合いが軌道に乗らない、なかなか進展が見られないという場合もございます。こういう場合には、やはり既存の販売店に対する影響とか消費者の利便、申請者の立場ということも総合的に検討いたしまして、私ども独自の判断で結論を出さざるを得ないということもあります。その点はひとつ私どもの苦しい立場も御理解いただきたいと思うわけでございます。
  157. 荒木宏

    荒木委員 ちょっとしつこいかもしれませんが、独自の判断とおっしゃいましたね。いままで判断は通達でオープンにしているんでしょう。免許の行政については、やはり法的な安定性というか、あるいはそれに対する信頼性というか、こういう納得を得ることも大事だと思うのです。  大臣御不在ですので政務次官に伺いますが、質疑はお聞き取りのとおりでございますけれども、基準づくりはいまのところ考えていない、運用でと言いながら、その運用について非常に苦慮していると言うんですが、苦慮していて、その結果独自の判断と言うから、これは何か解決の方向が袋小路に行くんじゃないか。苦慮しているんなら、その苦慮が解決されるような納得のいく基準づくりに着手をするとか、そういった解決の方向がむしろ前向きじゃないかと思うのです。それは、すぐそういうことについてはいろいろ問題があるかと思いますけれども、明らかに性質は違う。違うものについては違う物差し、違うものは違う入れ物というのが普通の常識的な考え方だと思います。政務次官のそれについての今後の方向を含めての御見解を伺っておきたい。——常識的にお答えいただいて結構です。
  158. 稲村利幸

    ○稲村政府委員 荒木先生の大変深く御勉強されている御意見ですが、やはり税務署長の判断で実質的にやる以外ないというのがいまの考えなんでございます。
  159. 荒木宏

    荒木委員 ちょっといただけないと思いますね。いま署長の判断でなくて、局長の判断を問題にしているのです。署長でできないから局長という通達になっているんですよ。局長自身も物差しがないから事実困っているという、こういう部長の答弁だったんですけれども、これは、大体問題の所在はお聞き取りいただいたとも思いますし、今後も続く問題ですから、当面運用の上で十分な関係者の納得を得るような方向での一段の努力を期待をいたしまして、時間が大分たちましたから、ひとまずこの質疑はここでおかしていただきます。  次に、同じ小売の関係でございますが、卸、それからメーカーとの関係を伺いたいと思います。  酒税の納税時期につきましては、納税猶予の問題がございます。大体蔵出しの翌月の月末ということですから、月の半ばを一つ基準にとりますと、その月の残り十五日と、それからその翌月三十日で、四十五日と見ていいかと思います。それに一カ月さらに猶予になりますと七十五日ということに計算上はなってくる。大体九割ぐらいは一カ月猶予を受けておるようですから、手続も非常に簡便なようですから、一番多い七十五日ということにいたしますと、小売の方から代金を手形で納入をする、あるいは卸からメーカーに納入をする、それが日にちが七十五日ということではなくて、それよりも短いという問題ですね。  いろいろ実情はあると思いますし、またこれは一つはビジネスの問題でもありますし、商慣習の問題でもあるわけですが、私が聞きましたところでは、実際の取引サイトは、清酒で七十日ぐらい、ウイスキーで五十日、ビールでは小売で二十五日というのもあるということなんです。  そこで、公正取引委員会に伺いますが、税金それから商品の代金と両方込みになってのことではありますが、納税猶予がメーカーだけメリットがある、その点だけ取り上げてみますとそういったことが言えるのではなかろうかということでありまして、そういう指摘がありますので、公正取引委員会が、こういった小売と卸、メーカーとの取引の実情を熟知されておるかどうか、これからまず伺っておきたい。
  160. 樋口嘉重

    ○樋口説明員 いま先生のお尋ねの件でございますが、税法上猶予されているということにつきましては、先ごろ国税庁の方から伺ったところでございますが、まだ業界実態として、小売業者がどのような支払い方法あるいは取引条件で卸売あるいは製造業者と取引しているかについての実態は把握しておりません。
  161. 荒木宏

    荒木委員 大手のたとえばビールメーカーが、これが先ほどちょっと例示しましたように七十五日ほど自分の手元に税金相当分を滞留している、ところが、零細な末端の小売業者が二十日そこそこで税金相当分を入れなければならない、こういうことになりますと、諸般の事情はあると思いますが、その限りで力の優位が違うわけですから、力の優劣による取引のあり方が片一方に有利で片一方に不利になっていて、そこに正当性というか妥当性というか、不当性が全くないと言い切れるかどうか、この点についてはいかがですか。
  162. 樋口嘉重

    ○樋口説明員 先生のいまのお尋ねの点で、独占禁止法の観点から見ますと、あるいは不公正な取引方法に該当するのではないかというお考えをお持ちかと思いますが、この問題につきまして、独占禁止法の適用上の問題について検討するに際しましては、やはり取引の実態をよく把握することがまず必要だろうと思いますし、また、その結果そのような取引の慣行といいますか内容が経済上の合理性があるかどうか、競争政策の観点から十分検討する必要があろうかと思います。さらにこの問題は、酒税の徴収の問題とも絡んでおりますので、税法上の取り扱いがどうなっているか、もう少し詳しく国税庁の御意見を伺ったりするなど、国税庁と十分連絡をとった上、慎重に検討していきたい、そういうふうに考えております。
  163. 荒木宏

    荒木委員 いずれにしても検討してみる、こういうお話のようですから、それで結構なんですが、この前石油税法の審議のときに、ガソリンスタンドとそれから元売りとの関係についても同じように聞いたわけです。  公取にもう一言聞いておきますが、この前の石油税法の関係のスタンドの問題とあわせて、この酒の小売の取引の問題、これは調査をして、そして調査結果を報告してくれますか。
  164. 樋口嘉重

    ○樋口説明員 私どもの方としては、これは独禁法の立場から調査するかどうかにつきましては、主務官庁の方と十分連絡をとった上で、そのような実態があるかどうか、あるいはその調査の必要性があるかどうか、その上で検討したい、そのように考えております。
  165. 荒木宏

    荒木委員 いずれにしても、調査というか検討というか、一度調べて、そして考えを明らかにしてください。いいですか。
  166. 樋口嘉重

    ○樋口説明員 問題がいろいろ錯綜していると思われますので、もう少し主務官庁の御意見を十分聞いた上で——実態については主務官庁の方が非常に詳しいと思いますので、私ども何分陣容が貧弱でありまして、すぐ取りかかるかどうかは、もう少し主務官庁の御意見を聞いた上でやりたいと思います。
  167. 荒木宏

    荒木委員 それでは、それはとりあえず検討に着手するということだけはっきりしておいてください。どうも返事がはっきりしないので……。
  168. 樋口嘉重

    ○樋口説明員 私どもは、不公正な取引方法の問題につきましては、日本の流通業界、いろいろな業界にいろいろな問題を抱えているというような観点から、ことしも流通問題に非常に力を入れてやっていきたい、私ども委員長もかように申しておりますので、流通問題についていろいろな角度からいろいろの業種について調査しているところでございますので、その一環としてこのような問題がもし必要であるということになりましたら、その観点からまた改めて取りかかりたい、そのように考えております。
  169. 荒木宏

    荒木委員 時間がかなりたちましたので、税の問題について伺いたいと思います。  同僚議員の質疑にもありましたが、酒類の中で漬酒、これがだんだん販売シェアが低下してくる、また財政物資としてのウエートも変動してくる、特に清酒の中でも品質優良酒といいますか、この部分が低下をしている、こういう指摘もあり、論議もありました。これは一つは、清酒業界の振興、発展が阻害されている。むしろ衰退に向かっているという言い方もあるいはできるかと思うのですけれども、こういうふうな業界サイドの問題、それから財政に対する寄与の問題、あるいは国民の方から見まして民族の酒、こういうお話もあったようですが、安くてうまい清酒を享受できるかどうか、こういうふうないろいろな面がかかわってくるわけですけれども、これが単に国民の嗜好選択といいますか、そういう趣味の問題、その変遷というふうにだけ言えるかどうか。これもすでに指摘があったところでありますけれども、政策誘導としての結果反映ということもあるのではなかろうか、あるいは仮にそういう面でなお今後検討の余地ありとしても、少なくとも税の仕組みの上で十分配慮していく必要があるのではないか。これは税調の答申にもあるようですけれども、こういう点について政府委員に伺いたいと思います。
  170. 大倉眞隆

    大倉政府委員 ただいま御指摘になりました各種の問題は、私どもも問題意識を持って検討事項に入れているつもりでございます。  これは人によってかなり意見が違う問題でございますけれども、私は一番大きな理由は、どうも食生活変化あるいは味の好みの変化というものがかなり大きく作用したというふうに思いますけれども、この点はしかし、いろいろ別の見解もあり得るようなむずかしい問題だとは思います。  ただ、この問題につきまして、私どもなりに税負担という見地からどういうことになっておるかということを、ちょっとしばらく前の状態と比べて申し上げてみますと、三十七年に酒税法の改正がございましたのですが、三十七年の改正後の負担小売価格に対してどの程度負担してもらっておったかというと、清酒は二級で申しますと三二・二%であったわけです。そのころビールは五二・三%で、ウイスキーの一級は四〇・二%であったわけでございます。これが現在どうなっておるかと申しますと、清酒の二級は一四・三%まで下がってきております。これに対しましてビールは、やはり下がっておりますけれども四二%でございます。それからウイスキーの一級は三七・八%でございます。したがって、その改正を積み重ねていく過程で、おっしゃったような清酒の伸び悩みと申しますか、それに対して一応税負担の面からそれなりのしんしゃくが行われた結果になっておるということは、申し上げられるのではないかと思うわけです。  ただ私ども、今後ともその負担変化を求めます場合に、種類ごとの消費の動向というのは重要な検討要素の一つであると考えております。今回は清酒二級は税負担を上げないということにいたしているのも、その辺に一つの理由があるとお受け取りいただければ幸いでございます。ただ、最初の問題に関係しまして、私どもから業界に対しては、その品質の向上とか新しい飲み方の工夫とか、若い世代の方に日本酒になじんでいただくための工夫とか、そういうこともひとつ業界としてはぜひやってほしいということでお願いをしているわけでございます。
  171. 荒木宏

    荒木委員 いま言われた限りでは、税の仕組みの上でのそれなりの配慮の跡というのは、私は御指摘の点はあると思います。  ただ、いまの比較でも、清酒二級とウイスキー一級の比較という話なんですが、実際問題としてウイスキーは、表示の関係もありますけれども、特級といいますか、サントリーで言いますとサントリーオールドなんかはずいぶん出ている。やはり品質優良なものがどうしても選択の嗜好性が高いですからね、うまいものにいこうという。それが相対的に有利な扱いを受けておれば、どうしてもそこへ嗜好が吸引をされる。たとえば清酒特級とウイスキー特級と比べて税負担のあり方ということを問題にした場合です。  そこで、そういう比較を一つのパターンとして見てみますと、ある業界団体の指摘では今度の増税がどういう率になっているか。サントリーオールドが一六・二四%、カティーサークが一四・二九%、ロバートブラウンが一一・一八%、ジョニーウォーカーのレッドが七・一一%、ホワイトホースが四・〇%、ところが清酒特級は一七・五一%、こういうことになりますと、なるほどこの従量税という税の仕組みだけ、そしてウイスキーは全体として、そして清酒の特級は一七・幾ら、こう比較すると御説明にあるような数字になりますけれども、しかし、実際に結果としての増税率から言いますといまのような数字になっている、こういう指摘がありますが、これに対してはどのような説明をされますか。
  172. 大倉眞隆

    大倉政府委員 今回の改正をお願いしておりますのが、ただいま荒木委員もちょっとお触れになりましたように、従量税率適用分の改正をお願いしているものでございますから、従来従価税率適用酒であったものが従量税率適用酒になる、その結果、従来の従価税よりも従量税で計算した税負担の方がふえるというやや複雑な面が出てまいりまして、いまお示しになったものはそのグループに属する銘柄なのでございます。したがって、そのウイスキー特級でも、従量税適用分の上げ率というものは二四・三%になりまして、ちょうどその境目にあると申し上げるのが一番いいのかもしれませんが、境目にあるところで具体的に計算すると、銘柄ごとにおっしゃるように負担引き上げ率が結果として低くなってしまうというのはございます。これはおっしゃったような角度からしますと、従量税率適用の特級酒が一七・五で従量税率適用の特級ウイスキーは二四・三だといいながら、実は銘柄別にそうではないのがあるじゃないの、こういうことになるわけでございますが、これはなぜそういうことになったかというのは、従価税率を全然変えないということの結果そういうことが出てきた。  従価税率を上げられるかということをかなり勉強いたしたのでございますが、これは率直に申し上げて、いまのウイスキー、ブランデーに対する日本の従価税制度というのは、輸入ものをねらい撃ちしている、そのためにできた制度だという考え方が特にEC諸国に非常に強うございまして、私どもは、それはそうではないのだ、やはり高いものは高いなりに負担していただくという消費税考え方から来ておるので、これを非関税障壁だというのは国内問題を混同しているのだということで説得に努めておりますけれども、なかなか向こうが納得しないというのも事実でございます。そういう状態でございますので、従価税率を引き上げますと、その問題が非常に大きくクローズアップされて、こちらはそうでないと幾ら言いましても、また新しい非関税障壁をつくったというふうにどうしても向こうは主張するという面は否定できないわけでございます。しかも時たまたま、今回は関税率の前倒し引き下げと同じ時期に酒税の増税をお願いせざるを得ないということになりまして、いま私がくどく申し上げましたようなEC諸国側から物をながめますと、日本は一方で関税率を前倒し引き下げした、これであなた方の御要望にもこたえた、こう言いながら、片一方では実は何のことはない、国内法改正だと称してスコッチやコニャックが圧倒的に対象になっておる従価税の方を上げているじゃないか、どうも日本人というのは片一方で何かやり始めると裏へ回ってまた変なことをやるというふうに言われて、問題が非常に混乱してしまうということが避け切れない。かたがた、現在の従価税率そのものも二五〇、二二〇ということでかなり高率でもございますので、両者あわせまして、現実的な処理としては、今回は従量税率の引き上げにとどめざるを得ないということで、大臣の御判断をいただいて御提案しているわけでございます。  くどくなって恐縮でございましたが、そういうバックで銘柄別にはそういうものが結果として出てくるということになるわけでございます。
  173. 荒木宏

    荒木委員 御説明の内容は、部分的にはそれはそれとして経過は聞かせていただいたわけですけれども、だが、しかし消費者の方は、今回は従量税率の引き上げである、従価税率がいじられなかったためのアンバランスだというふうにまでは、恐らく選択嗜好の判断には取り入れてこないだろうと思うんですね。結果として品質がいいかどうか、そして結果として値段がどうであるか、これが大体シェアを決める、ひいては財政ウエートを決めていくポイントになろうかと思うのです。ですから、個々的にはそれなりの説明がついても、結局全体としては、ほかの種類に比べて清酒が大変なコストアップになってくる、もう数字は申し上げるまでもないと思うのです。  それから、シェアが低下してきている。先ほど大臣答弁にもありましたように、収益は悪化してきている。そのために、中小の清酒製造業者あるいは清酒関係業界の発展のためにということになりますと、この結果の是正の方法は一体ないのか。あちらを立てればこちらが立たぬということになるのかもしれませんけれども、あちらのECを立てたのならこっちの方の立てようは一体どうなんだ、こういう話になってくると思うんですね。ですから、たとえば一例として指摘されております清酒の従価税適用除外というようなことも要望としては出てこよう。何もそれには限らぬと思いますが、そういったこちらを立てる方法、つまり一七・何がしの増税率といいながら、実はそれよりも酒税全体としては増税率が低下をする。そういったウイスキーに対するバランス措置といいますか、それをどういうふうに考えるか、これをひとつはっきり説明をしておいていただきたいと思うのです。ただ個々の部分的な経過のそれだけでは、プロセスはわかっても、結果としてはやはり釈然とせぬ、納得できない、話が違うじゃないか、こういうことになろうかと思います。
  174. 大倉眞隆

    大倉政府委員 その点は十分議論をし、相談をしながら今回の御提案をしているわけでございますが、清酒の特級の中で実は全く同じ問題があるわけで、いますでに従価税適用になっているかなり高い方の特級酒は、実は今回全く負担増加がないわけです。従量税適用というのはそれに比べてむしろ安い特級酒なんですが、それが負担がふえてしまうわけなんです。そこをどう調整するかというのは、それは従価税率を引き上げる以外にないわけですが、それができない。したがって、ゼロというものと一七・五というものが清酒特級の中にある。ウイスキーの中にも、ゼロというものと二四・三というものがある、その境目のものに一一%ぐらいのものが出てきてしまった、そういうことでございますので、何とか御理解をいただきたいと思います。
  175. 荒木宏

    荒木委員 これは前提を固定されて、そこから結論を言われるので、それは幾ら御理解をという御要望があっても、私はちょっとにわかには承知をしましたとはとても言いかねるのです。  いずれにしても、そういう矛盾が出ているということは政府委員もお認めになっていると思うのです。ですから、私は調整の方法は決して固定的なものじゃないと思いますが、それをいろいろな面から、大臣もこの論議を通しての答弁で、中小清酒業界の発展のために配慮したいということはお気持ちとして表明されていると思いますので、その趣旨が生きるような手だてを今後ともひとつ検討をしていただきたい。  大臣お帰りになった早々で、ちょっと論議が途中かもしれませんが、余り時間がありませんので、いま申しておりますところ、銘柄別に見ますと、結果として増税率がウイスキーなどの方が低くて、清酒特級の方が高い結果が出ている。これは、結果そのもの政府も認められたわけです。ただ、ECとの関係ですとか、あるいは主として従価税をいじらなかったということでそういう結果が出ているというお話なんですけれども、いまちょっとそばからも話があったように、それでは従量税の方のいじり方もいろいろあるじゃないかということで、前提を固定されると結論は一義的になるんで、ただ結果として、そういういわば不合理な結果が出ているという強い指摘もありますので、総合的に是正の方法を今後とも検討するということを、御意見を伺っておきたいと思います。
  176. 大倉眞隆

    大倉政府委員 大変にむずかしい問題でございますが、御指摘の御趣旨は私どもも十分理解しておるつもりでございますので、一つの方法として、従量税適用限度の引き上げというような御要望もございます。これは、御審議が幸いに終わりまして、法律が成立いたしますればその機会に、これは政令事項でございますけれども、十分実情に即するような改正は考えてみたい。十分合理的な説明ができるという範囲で、なおかつ、そこは一挙に急に引き上げますと、逆に高級のものの税負担がいまより下がってしまうとかいろいろな問題もございますので、その辺を十分含みながら、私どもとしても検討してみたいと思います。
  177. 村山達雄

    村山国務大臣 おっしゃるように、今度従価税率の適用部分については手を触れなかったものでございますから、相対的に考えますと、高級品である従価税率適用のものはそのままで、それよりも下のところが上ったということは、まさに荒木さんのおっしゃるとおりでございます。今後値段が上がってまいりますと、いま言った点が自然に是正されてくるわけでございますけれども、この改正によりましては確かにそういった点があるわけでございます。今後政令段階で恐らくある種の幅の引き上げが行われると思いますが、それだけではこれは解決できないことは当然でございます。今後なお検討を進めてまいりたいと思います。
  178. 荒木宏

    荒木委員 それから、これは多少技術的な問題にもなるのですけれども、今度の増税によりまして、清酒販売の中に一合といいますかワンカップといいますか、自動販売機で売っているのがありますね、あれが、今度の増税分がそのままその一合に転嫁されていくとなりますと、端数が出てくると思います。自動販売機は端数処理ができませんから、これは切り上げるか切り下げるかどっちかの扱いになると思います。前回の酒税の改定のときも同じ問題が起こったと思いますけれども。これについての国税庁指導方針といいますか、方向を伺っておきたいと思います。
  179. 矢島錦一郎

    矢島政府委員 増税のときの価格指導をどうするかということでございますが、一般論として申し上げますと、お酒は自由価格でございますので、増税分を価格に転嫁するかどうかということは、基本的には個々の業者の方の自主的な判断によるものでございます。したがいまして、酒税はもともと転嫁を前提とする間接税でございますので、増税分の引き上げが行われるということはやむを得ないとは思っておるわけでございますが、それに藉口いたしました便乗的な値上げというものは防止したいというのが私どもの基本的な考え方でございます。  ただ、いまおっしゃったように、酒税法改正案によりますと増税額に端数の出てくるものもございます。現在一般的な酒類につきましては、実際に取引される小売価格は端数のつかない金額になっておるわけでございまして、これに増税額を加えた場合に小売価格の単価から見て、不自然なものも中には出てくるということもございまして、やはりこういう場合には、取引上の便宜の関係からいって、端数程度は調整しても、それは現在の商取引の実情から見てやむを得ないのではないかと考えている次第でございます。
  180. 荒木宏

    荒木委員 時間がぼつぼつ来ましたので、ちょっとあれですけれども、最後にちょっと一、二まとめてお尋ねしまして、大臣からも御所見をいただいて質問を終わりたいと思います。  一つは、今回の増税の措置に伴う小売業者の記帳の問題で、大変に日々記帳の事務が繁雑である、負担がかかっておるという声もありますので、これは庁の方から、そうした税率改定に伴う記帳の指導について、小売業者に負担がかからないような配慮といいますか善処を求めたいというので、これの答弁をひとついただきたいと思います。  それから、これも国税庁ですが、清酒製造業実態調査というのをされておりまして、総括調査、それから財務関係調査、それから生産費調査がされております。本日資料要求をしておったのですけれども、先ほどの連絡では暫時時間をいただきたい、こういうことでございましたので、時間的な関係は結構ですけれども、せっかく調査をされておるその調査結果の総括をひとつ報告していただきたい、こういうふうに思いますので、その資料要求をひとつしておきたいと思います。  それから最後に、これは大臣御不在の間に、多少行政面も含めまして質疑をいたしました。参議院の本会議がございましたので、御退席いただいたわけでございますが、その間の政府委員答弁で、将来の扱いについて私としまして必ずしも釈然としない、納得できない点も一、二ありましたが、その点なおよく政府委員の方からお聞き取りの上で、ひとつ責任者としての政治的な御判断も要請をしたい。それについての答弁を伺って、質問を終わりたいと思います。
  181. 矢島錦一郎

    矢島政府委員 最初に、手持ち品の問題でございますが、前回の五十一年一月の増税のときにも実施したわけでございますが、私どもといたしましては、販売業者の方になるべく負担をかけないというような方針でやっておるわけでございまして、できるだけ簡素化、それから手持量の確認事務の省略を行うという方針で臨んでおるわけでございます。今度御審議いただいております法案が仮に成立した場合には、基本的には前回とほぼ同じような方法で臨みたいというふうに考えておるわけでございますが、具体的に仮に前回の状況と同じようにやるといたしますと、手持ち品課税の対象となると見込まれます小売業者に対しましては、酒類の受け払い時日の毎日の記帳を、普通の場合であるとお願いするわけでございますが、最低限ということで、少なくとも施行五日前から施行日後十四日程度、都合二十日間前後はお願いしたいというふうに考えておるわけでございます。  それから記帳につきましては、酒類の種類、それから容器ごとに受け払い数量を記載していただくということにしたいと思いますが、種類の多いミニチュアびんみたいなものについては、今後もうちょっと簡略化する方法がないかどうか検討したいというふうに思っております。  それから、手持ち数量の確認事務につきましては、対象者を必要最小限度にしぼりまして、なるべく短時間に終了したいということによりまして、小売業者あるいは卸売業者の方の負担を最低限にとどめるような努力をしていきたいと思うわけでございます。  それから、さっきお話のございました酒類実態調査でございますが、これはちょっといま突然のお話でございますので、私ども手元にもございませんので、至急準備できるかどうか検討さしていただいたいと思います。
  182. 荒木宏

    荒木委員 突然のお話といって、これは言うてあるのですよ。それで、きょうの質疑までに提出をするという話になっておったのですが、先ほどの連絡で間に合わぬからというので、それはやむを得ませんでしょう、後日でもいいですから、こういうことでいま言っているわけですから、ちょっと話が違うのです。
  183. 矢島錦一郎

    矢島政府委員 失礼いたしました。  昨日遅く実は御連絡がございましたものですから、私ども調理をする時間がございませんので、そういうふうに申し上げましたが、失礼いたしました。提出いたします。
  184. 村山達雄

    村山国務大臣 スーパーに対する小売免許の基準のお話でございますが、御承知のように、普通の小売の方は大体三つの要件で、距離基準とか、あるいはそこの財政基準であるとか、あるいは近辺における需給の状況を見まして、そして共存共栄ができるようにということで免許いたしておるわけでございますが、スーパーはなかなかむずかしい要素がございまして、いま国税局長の判断によってやるということになっておるそうでございます。  恐らく主に二つ問題があると思うのでございますが、一つは、スーパーがありますと方々から人がやってくるから、需給関係をどういうふうに考えるのか、もう一つは、近辺の小売業者にどんな影響を与えるのか、その辺のことがなかなか機械的に出ないままに、恐らく国税局長の常識判断ということではないかと思うのでございますが、いずれにいたしましても、御指摘になった点はきわめて大きな影響のある問題でございますから、今後引き続き検討いたしまして、何らか妥当な解決を見たい、かように思っておるところでございます。
  185. 荒木宏

    荒木委員 終わります。      ————◇—————
  186. 大村襄治

    大村委員長 この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、国の会計、金融及び外国為替に関する件(円高問題)について、来る四月五日午後一時、参考人として日本銀行総裁森永貞一郎君の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  187. 大村襄治

    大村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、来る四月四日火曜日正午委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時五分散会