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大倉政府委員 消費税としましては、できるならば従価税の体系の方が望ましいであろう、それはまさしく最後におっしゃいました、やはり価格の高いものはそれなりに高い
負担をしていただくという
考え方が貫ける限り、その方が望ましいのではないか、私
どももそのように
考えております。したがいまして、
酒税につきましても、環境がこれを許すならば従価税に移行する方が望ましいであろうという御
議論が、
税制調査会の内部にもございますし、一時は非常に強くございまして、もう全面的に従価税に移行したらどうかという御
議論が非常に強く出ていた時期がございます。ただそれ以後、最近になりましてのこの問題の
税制調査会での御
議論は、あれだけ強くそういうニュアンスが出たのになかなかうまく動かないのはなぜだろうかということをもう一遍いろいろ御
議論がありまして、やはり現実的に実行可能なものから徐々にいくというふうに若干トーンダウンされてはいるわけでございます。
従価税に一気に移れない
理由というのは、いろいろあるわけでございますが、一種の企業対策としましては、弱小企業と言うのは言い過ぎであるかもしれませんが、中小零細企業が納税義務者になる場合に、従価
税制度であると、仮にコストが上がって値段を上げたいというときにそれにつれて税も上がっていく、そこまでなかなか転嫁し切れないというところに一番のむずかしさがあるというふうに私としては感じておりまして、その
意味で、
清酒の一、二級というところに従価税を取り込んでくるということのむずかしさがどうしてもつきまとうと申し上げてもいいのではないかと思うのです。したがいまして、
考え方としては、先ほど伊藤
委員が御指摘になりました税調
答申の一番新しい
答申の
考え方で、やはり現実的に移行可能なものから条件をよく見ながら従価税に移行するという
考え方を基本にしていくということで、ここしばらくはやらしていただいたらいかがかと思います。
第二の点の、従量税、従価税両方が採用されておる種類については、今回の
改正は従量税部分だけであって、従価税の一五〇%とか二二〇%というのは上げていない、それは、最初におっしゃった、あるいは最後にもまたおっしゃった、高いものには高い
負担をという角度からすれば片手落ちになるのではないか、ある
意味ではむしろ逆行してしまいはしないかという御指摘でございます。そういう
考え方は私
どもとしても十分わかるわけでございますが、今回あえて従価
税率に手をつけませんでしたのは、率直に申し上げて国際的な関係でございます。
従来の経緯からも御存じのように、従価
税制度というのは、正直に申し上げると、輸入ウイスキーに対する
負担の問題としていろいろと
考えられた時期があってスタートをしたという経緯はちょっと争えないわけでございまして、したがって諸外国、特にEC諸国からしますと、従価
税率という日本の
制度は、まあ国によってそれぞれ特産品がございますが、EC産のウイスキーあるいはブランデーを特に差別するために国内法という悪知恵を使ってやっておるので、これはNTB、非関税障壁なんだという意識がかなり強いわけでございます。私
どもは、そうではない、それはやはり値段の高いものは高い
負担をしていただくという
消費税の
考え方から来ておるのであるし、そのような
制度は別に輸入酒だけに適用されるわけではなくて、国産酒でも同一の条件で適用されるのだから、これが非関税障壁だと言うのは当たらないという
議論をずっと繰り返しやってきておるわけでございますが、たまたま今回は関
税率の前倒し引き下げと時期がダブってまいりまして、同じ時期にそれをやりますと、まあこういうことが記録に残っていいのかどうかわかりませんけれ
ども、日本という国はどうもまたおかしい、関
税率を下げたと言いながらその輸入品が大部分適用になる従価税の方を上げた、下げた下げたと言って非常にトリッキーなことをやるという批判が出てくる懸念が非常に強かったわけでございます。現実に私
どもが
酒税の
負担増加をお願いしたいというような
考え方を申し上げ、いろいろ記事になりましたときに、非常にしつこく詳しく問い合わせが特にEC諸国から来ておりました。私の立場でそういう生意気なことを申し上げるのはいかがかと思いますが、やはりいま置かれました国際的な環境からしますと、そもそも一五〇、二二〇というのはかなり高い率であるということもございますから、この際は従価
税率は手をつけないということにさせていただいた方が全体としての
判断としては妥当ではなかろうか。これは
税制調査会でもそういう御
説明をいたして御納得をいただいておりますが、
答申にはあえてそういうことは詳しくは書かれておりません。