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1978-03-28 第84回国会 衆議院 大蔵委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月二十八日(火曜日)     午後五時四十一分開議  出席委員    委員長 大村 襄治君    理事 小泉純一郎君 理事 野田  毅君    理事 保岡 興治君 理事 綿貫 民輔君    理事 佐藤 観樹君 理事 塚田 庄平君    理事 坂口  力君 理事 永末 英一君       愛知 和男君    池田 行彦君       宇野 宗佑君    小渕 恵三君       大石 千八君    佐野 嘉吉君       坂本三十次君    高鳥  修君       林  大幹君    原田  憲君       本名  武君    森  美秀君       山崎武三郎君    伊藤  茂君       大島  弘君    川口 大助君       沢田  広君    只松 祐治君       山田 耻目君    貝沼 次郎君       宮地 正介君    高橋 高望君       荒木  宏君    永原  稔君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 村山 達雄君  出席政府委員         大蔵政務次官  稲村 利幸君         大蔵大臣官房審         議官      福田 幸弘君         大蔵省主計局次         長       禿河 徹映君         大蔵省主税局長 大倉 眞隆君         大蔵省関税局長 戸塚 岩夫君         資源エネルギー         庁次長     大永 勇作君         資源エネルギー         庁石油部長   古田 徳昌君         資源エネルギー         庁公益事業部長 服部 典徳君  委員外出席者         環境庁自然保護         局保護管理課長 中島 良吾君         通商産業省立地         公害局保安課長 水野  哲君         工業技術院総務         部総括研究開発         官       吉田 方明君         運輸省港湾局倉         庫課長     坪井  宏君         大蔵委員会調査         室長      葉林 勇樹君     ————————————— 委員の異動 三月二十八日  辞任         補欠選任   荒木  宏君     山原健二郎君 同日  辞任         補欠選任   山原健二郎君     荒木  宏君 三月二十七日  舞台芸術入場税撤廃に関する請願荒木宏君  紹介)(第二四八八号)  同(工藤晃君(共)外一名紹介)(第二四八九  号)  同(柴田睦夫紹介)(第二四九〇号)  同(藤原ひろ子君外一名紹介)(第二四九一  号)  同(三谷秀治紹介)(第二四九二号)  同(山原健二郎紹介)(第二四九三号)  同(小川仁一紹介)(第二五一四号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第二五三四号)  同(相沢英之紹介)(第二五六九号)  同(愛野興一郎紹介)(第二五七〇号)  同(石川要三紹介)(第二五七一号)  同(石橋一弥紹介)(第二五七二号)  同(石原慎太郎紹介)(第二五七三号)  同(稲垣実男紹介)(第二五七四号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第二五七五号)  同(上村千一郎紹介)(第二五七六号)  同(江崎真澄紹介)(第二五七七号)  同(小渕恵三紹介)(第二五七八号)  同(大石千八君外一名紹介)(第二五七九号)  同(金子一平紹介)(第二五八〇号)  同(木村武千代紹介)(第二五八一号)  同(北川石松紹介)(第二五八二号)  同(鯨岡兵輔紹介)(第二五八三号)  同(小島静馬紹介)(第二五八四号)  同(後藤茂紹介)(第二五八五号)  同(高村坂彦君紹介)(第二五八六号)  同(佐藤文生紹介)(第二五八七号)  同(佐野嘉吉紹介)(第二五八八号)  同(田中龍夫紹介)(第二五八九号)  同(田村元紹介)(第二五九〇号)  同(竹中修一紹介)(第二五九一号)  同(谷川寛三君紹介)(第二五九二号)  同(塚田庄平紹介)(第二五九三号)  同(辻英雄紹介)(第二五九四号)  同(渡海元三郎紹介)(第二五九五号)  同(中川一郎紹介)(第二五九六号)  同(楢橋進紹介)(第二五九七号)  同(丹羽久章紹介)(第二五九八号)  同(野田卯一君外二名紹介)(第二五九九号)  同(野呂恭一紹介)(第二六〇〇号)  同(長谷川正三紹介)(第二六〇一号)  同(林義郎紹介)(第二六〇二号)  同(福田篤泰紹介)(第二六〇三号)  同(藤井勝志紹介)(第二六〇四号)  同(藤波孝生紹介)(第二六〇五号)  同(古井喜實紹介)(第二六〇六号)  同(本名武紹介)(第二六〇七号)  同(松澤雄藏紹介)(第二六〇八号)  同(松野幸泰君外一名紹介)(第二六〇九号)  同(三池信紹介)(第二六一〇号)  同(水平豊彦紹介)(第二六一一号)  同(村上勇紹介)(第二六一二号)  同(村田敬次郎紹介)(第二六一三号)  同(村山富市紹介)(第二六一四号)  同(矢山有作紹介)(第二六一五号)  同(山崎拓紹介)(第二六一六号)  同(山崎平八郎紹介)(第二六一七号)  同(山田久就君紹介)(第二六一八号)  同(与謝野馨紹介)(第二六一九号)  不公平税制是正等に関する請願加藤清二君  紹介)(第二五一五号)  同(阿部未喜男君紹介)(第二五六七号)  同外三件(川俣健二郎紹介)(第二五六八  号)  石油税新設に関する請願今井勇紹介)(第  二五三二号)  同(萩原幸雄紹介)(第二五三三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  石油税法案内閣提出第一八号)      ————◇—————
  2. 大村襄治

    大村委員長 これより会議を開きます。  石油税法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大島弘君。
  3. 大島弘

    大島委員 最初、大蔵大臣にお伺いいたしたいのですが、前回の当委員会石油税法案関連質問主税局長が、法人税はほぼ外国水準になっているけれども、こういうことを言うとおしかりを受けるかもしれないけれども所得税の方はまだ必ずしもそうはなっていない、つまり裏から言えば、所得税増税をにおわすような発言があったわけですが、この点について私は大臣にぜひともお尋ねしたいことがあります。  それは、法人税といいましても、外国のと違って日本法人はピンからキリまである。上はマンモス法人から、下は小さなところでは八百屋も法人であるしあるいは修理屋法人である、そういうことで非常に格差が激しい。その証拠に、五十年の国税庁統計年報書によりますと、現在日本では会社数が百二十一万一千あるわけです。このうち、資本金百億以上の法人はわずかに二百二十六社です。ところが、その調査所得全体の約十一兆三千三百億のうち、このわずか二百二十六社の百億以上のマンモス法人がその四分の一を占めているという統計になっておるわけです。しかもそれらの法人は、悪名高い租税特別措置法によってきわめて優遇されながら、なおかつ全調査所得の四分の一をこの二百数十社で占めている。こういうことは、日本後進性と二重構造性で、恐らくこれは外国比較はできないものだと思う。  そこで私はまず、こういうふうに担税力のある大法人優遇措置を改め、できればわが党の主張するように一定所得を超えるものは段階税率でこの財政難を補う、そういうことをしてなおかつそれでだめであるならば、また所得税という方向にあるいは考えが及ぶかもしれませんけれども、パラレルに所得税法人税として、法人税外国並みだ、所得税はそこまでまだいってない、こういうことだからしたがって、所得税という方に増税なり何なりを考えていいのかどうかということにつきまして、大臣基本的考えをお伺いしたいと思うのです。
  4. 村山達雄

    村山国務大臣 所得に対してどれぐらいの税率になっておるかという比較意味で、多分この前主税局長が言ったと思うのでございます。  日本法人は御案内のように、法人税法人住民税事業税、それぞれの関連があるわけでございまして、また軽減税率もあるところでございます。また、二重課税調整方法として、配当留保については取り扱いを異にしていることも御案内のとおりでございます。  そこで最高のと申しますか一億円以上の法人、あるいは一億円未満であっても年所得七百万円以上のものについての実効税率比較しますと、それは配当留保について一定過程を設けておるわけでございますが、四九・四七くらいにいっておる。そこをとらえて、ほかの国のところでは大体五〇%前後でございますから、所得に対する税率から言うとかなりいい水準にいっておる、こう言ったのだろうと思うのです。しかしおっしゃるように、国民所得の中に占める法人所得割合はほかの国よりもずいぶん高いわけでございますが、一般的な国民所得に対する租税負担率が相対的に低い。大体三分の二と言われるわけでございますから、したがって、法人税税収ウエートは高くなっている。こういうことを達観的に言ったわけでございまして、それと租税特別措置の問題は私は直接には絡まない問題であろうと思うわけでございます。  法人所得ウエートが高いという中には、それは従来日本のいろいろな商法とかその他の関係で、普通の国であれば個人経営であるものが紛れ込んでいるということもおっしゃるとおりだろうと思うのでございます。そういう意味で言ったのでございまして、そういう意味では、法人税税率比較外国に近いものであり、それだけに法人税収国税税収の中に占めるウエートは高い、これだけのことを申し上げたと思うのでございます。  そして、百億円以上の大企業所得がいまのお話で相当ウエートが高い、それはいま私、数字を持っておりませんが、確かに高いことはよく承知をしております。しかし、租税特別措置によって一体どれだけ恩恵を受けているかという問題は、これは程度問題でもありますし、また、租税特別措置というものの理解の仕方にもよるわけでございます。たしか政府が出しましたのによりましても、やはり漸次是正されつつあるようでございますが、優遇措置が若干高かったのじゃないかというふうに理解しているところでございます。やはり本法による税率租税特別措置による税率開差でそこのところははかるべきであろうというふうに私は見ているわけでございます。算出税額のところで見ますと、例の二重課税調整の問題が響いてまいりまして高いとか安いとかいうわけでございますので、本法税率とそれから租税特別措置法によるところの税率開差のところで見るのが至当ではないかと思いますが、その点は漸次修正されつつあると思っております。最近の統計は覚えておりませんが、最近におきましては、累次にわたりまして企業優遇税制を是正しておりますので、だんだんいい方向に向かっておるのではないか、かように思っておるところでございます。
  5. 大島弘

    大島委員 それに関連しましてもう一点だけお伺いいたしたいのですが、私は、三月十六日の本会議におけるこの措置法反対討論におきまして、まず医師、利子配当の特例を直ちに全廃するように、これはいい方向に行っているように伺っておりますので、この点についてはお伺いしませんが、二番目に私が申し上げたいことは、価格変動準備金海外投資等損失準備金、これはとにかく典型的な利益留保性格のもので、税法上も会計学上もこういう価変とか海投損というような準備金は許されるべきではないということ、しかも、現在たな卸し資産評価方法として低価法が認められているのですから、そういう意味価格変動準備金というものは全くナンセンスであり、しかも、そのとき私が申し上げましたように、百億以上の法人のこの利用割合は、価変については四〇%、海投損については七〇%、それからこの前廃止されました公害準備金については九〇%以上を百億以上の大法人が利用している、こういうことはまさにナンセンスであり、まさに大企業優遇と言われるゆえんだと思うのですが、そういう意味で、価変と海投損準備金を全廃する考えあるいは思い切った縮減をする考えはありませんですか。
  6. 大倉眞隆

    大倉政府委員 ただいま例示されました二つの準備金は、これは私ども政策税制という分類をしておりまして、企業会計上当然に認められるべきものというふうには考えておりません。五十一年度から三年かかりまして、それぞれある程度積立率縮減をいずれの準備金につきましても行ってきております。今後とも情勢を見ながら漸次、フェーバー度合い縮減するという方向で整理合理化すべき対象になる、そういう性質準備金であると思っておりますが、いま直ちに全廃するということは、やはり現実当期利益以上にいわば一種の含み益を吐き出させる課税になりますから、現状においてそれが必ずしも妥当であるかどうかは、なお慎重な検討を要するのではないか。  なお、大島委員よく御承知の上の御質問でございますけれども価格変動準備金というものをつくりましたのは二十七、八年のころの改正でございまして、その前には、一般的に評価減というのを認めておったこともございますから、たな卸し資産評価について、仮に価格変動準備金を全廃する場合に、全廃してそのままでいいのかどうかということは、やはり一つ検討課題ではなかろうかと思います。  それから、海外投資等損失準備金、これも政策税制でございますが、やはり税を政策目的に使うことを全く否定するという立場を私どもはとっておりませんものですから、やはり今後の日本考えるときには、正常な形での資本輸出海外投資というものは、これはやはり日本として大事なことではないか、それを税を用いてある程度エンカレッジするという政策目的自体を全く否定してしまうということはいかがなものかな、まあこの辺は見解の相違でございましょうからくどくは申し上げませんが、端的に申し上げて、両者を一挙に廃止するという考え方にはやはり私どもとしては消極的にならざるを得ない。引き続きフェーバー度合いを縮めるという努力は続けてまいりたいと思います。
  7. 大島弘

    大島委員 私も、一挙に廃止せよとは言っておりませんが、特にこの価変と海投損については、ひとつ十分検討していただきたいと思うわけです。  次に、この石油税法でございますけれども、これは目的税かどうかということがちょっとおかしいのですけれども普通目的税というのは、本法は何々することを目的とする、こう書く。またこう書かないと、一般の人は税法というと、一般国家歳出に充てるものだ、これが本来の税だ。目的を限定しない。ところが、本法を見ますと、何々をするのを目的とするということを書かないで、石炭石油対策特別会計石石特会の方に書いている。こういうのは、スタイルとしては非常におかしくないのですか。読む者をして非常にミスリードさせる。これは形式論かもしれませんけれども、そういう何々をすることを目的とするということを書いてないのはどういうわけですか。
  8. 大倉眞隆

    大倉政府委員 今回、石油税を御提案申し上げて御審議を願っておりますその理由の大きな一つに、今後予想される石油対策に係る財政需要を賄うためにということがある、それは法案理由書きにも書いてございましたと思いますし、提案理由でもそのように御説明申し上げておると思います。  ただ、これを法形式として直接に目的税的に表現するかという問題でございますが、法制局とも十分相談いたしましたけれども、やはり直接に完全なひもつき特別会計に直入するというような処理をいたしております税を別にいたしまして、一般会計所属税収になる各税につきましては、ちょうど揮発油税道路整備緊急措置法関係のように、税としては普通税として構成する、しかし、道路整備のための財政需要が依然として大きいので、別途道路整備緊急措置法揮発油税収入額相当額以上を投入するということを決めておく、しかし現実にはそれで足りなくて、なお一般財源を投入しているわけでございますが、いずれにしましても、私どもとしては、やはりこの税は本来は普通税という性格はそのままにしておいていただいて、しかし当面の石油対策に要する費用に用いるということが御提案の主たる理由一つであるということを、他方で法律的に明確にするためには、やはり石炭石油特別会計法でその趣旨を明らかにする。くどくて恐縮でございますが、ちょうど現在ございますいわゆる実質特定財源であって、税法上、法律上の特定財源でない揮発油税と同じような処理をさせていただきたい、こういうお願いをしておるわけでございます。
  9. 大島弘

    大島委員 仮に本法でつくらずに、これを課徴金制度でいける方法があったのではなかったか。たとえば石油の今回の為替差益は約七千億とも言われ八千億とも言われておる、それを還元するためには、一つ課徴金制度というもの、先例としましては四十九年のオイルパニックのときの国民生活安定緊急措置法というようなことで、いわゆる課徴金を取る、そういうような方法考えられなかったわけですか。
  10. 大倉眞隆

    大倉政府委員 その点は、きょうあらかじめ通告していただいておりますもう一つの御質問と密接に関係するのかもしれません。私どもがいま御審議を願っておりますこの税の創設目的は、やはり石油及び石油製品というものを消費あるいは利用する一般的な便益性に着目しまして、これを今後予想される石油対策のための財政需要に充てるということを考えて、広く薄く負担していただこうという趣旨でございまして、税の性格としてはやはり石油ないし石油製品を利用しあるいは消費される方に負担していただく、つまり、この税の負担利用者消費者に転嫁して負担していただくというものであるべきだろうと考えておりまして、為替差益を吸収するための税であるというふうに考えておりませんものですから、その意味では、やはり課徴金という制度にはなじまないのではないか、やはり税として構成させていただきたい、そのように考えているわけでございます。
  11. 大島弘

    大島委員 その点は理解します。  本法のときに、主税局としてはいろいろ説明会等をやられたと思うのですが、その場合に、この税が実施されることによって石油価格に上積みされるようなことについて恐らく質問が出たと思うのですが、どういうふうに答えておるわけですか。
  12. 大倉眞隆

    大倉政府委員 その点は、税制調査会での御審議でも出ましたし、それ以後の、おっしゃいます言葉を使わせていただけば、説明会あるいは講演会のときの御質問にも出ておりまして、御質問趣旨は、これは本来転嫁されるのかということであり、もし転嫁される性格の税であるとすれば、いまの時期に石油税創設すると、石油ないし石油製品価格が上がって、せっかく景気対策政府がいろいろやろうとしているのに水を差すようなことになるのではないかという御質問になっておったわけでございます。  その点につきましては、性格上は転嫁すべきものと依然として考えるわけでございますけれども、これはまたどこと比べるかが問題でございましょうけれども、五十二年の上期ベースの石油及び石油製品価格に比べて物を考えますときには、それ以後の円相場変動幅が非常に大きいものでございますから、ある程度市場に還元されることを当然期待するわけでございますが、いずれにしても、この税が六月に創設されたから直ちにそれだけ石油価格を押し上げるというような環境にはないであろう、そこで為替差益が絡まって議論に入ってきたということでございますけれども産油国側原油価格変動という、全く私どもに予知できない要素はもちろんあるわけでございますが、その点に変動はないという仮定を置きます限りは、現在予想されております経済環境ないし外国為替相場から見ますと、依然として私どもは、この税の創設が直ちに石油価格の上昇につながるというふうには考えておりません。
  13. 大島弘

    大島委員 一週間ぐらい前の、またどの新聞か知りませんが、石油連盟会長は、本法が実施されることによって石油価格に加算するつもりだ、こういうふうに言っているのですが、どう考えますか。
  14. 大倉眞隆

    大倉政府委員 業界の首脳の方の御発言を直にいろいろ批判がましいことを申し上げるのはいかがかと思いまするけれども、私ども考え方としては、生じ得べき為替差益を素直に全部市場還元してくだすって、その上で石油税分だけ価格が上がるという方が消費者にはわかりやすいだろう。しかし、そういう計算が仮にうまくできたとして、やはり結果的には昨年上期の値段に比べて上がるということはないはずだ。したがって、どういう趣旨でおっしゃったのか、直接聞いたわけじゃございませんけれども、少なくとも観念的にというか、考え方として、石油税分価格コストですとおっしゃったとすれば、それはそうだと思います。しかし、それが五十二年の秋ごろの石油製品価格に比べて、もっと上げないと採算がとれないということまでおっしゃるはずはないと思っております。
  15. 大島弘

    大島委員 これは大臣に一度お考えを伺いたいのですが、電気事業法によれば必要コスト料金に加算される、これは法律上当然そうなっている。つまり、資金コスト料金に上積みできることが法律上規定されているのですけれども石油についてはそういうことはない、法律上、当然には加算できない。のみならず、為替差益を、七千億、八千億というふうな差益を生みながらなおかつ、石油連盟会長がそういうことを公然の場で言われるということにつきまして、私は大臣にお願いしたいのですが、本法趣旨はそういうものではないということを、石油連盟会長を呼び出して注意されるおつもりはありますか。
  16. 村山達雄

    村山国務大臣 やはりこの税が消費税性質を持っておりますから、売る方にとってはコストに違いない。ですから、どのようなことで言ったかわかりませんけれども、うわさによるとどうもけしからぬことを言ったらしいからというようなことを私は申し上げる立場にはないような気がいたすわけでございます。
  17. 大島弘

    大島委員 大臣にお伺いしたいのですが、エネルギー調査会というのが通産省にありまして、これが、昭和六十年までのエネルギーの総予算が約六十七兆、うち石油が十三兆ですか、そのうち、全体では公的施設が大体七兆二千億ぐらい要って、石油についての公的施設は一兆六千五百億ぐらい要るという試算があるのですが、これによりますと、ちょうど三・五%の平年度税収二千百七十億というのが、石油に関する昭和六十年までの公的施設にほぼ一致するぐらいの数字なんですが、この税率を算定されるについて、あるいは平年度税収を算定されるについて、このエネルギー調査会の総予算うち石油公的施設、こういうものから逆算して税率を決められたのですか。
  18. 大倉眞隆

    大倉政府委員 エネルギー総合調査会と申しましたか、正確な名称はちょっと私あれでございますが、そこの資金分科会で、いろいろいまおっしゃったような計数的な検討をしておられるということは私も伺っております。私どもなりにそういう数字を見せていただいて勉強もいたしておりますが、今回提案しております税法の中での実質三%の負担増原重油関税百十円振りかえて三・五%の税率というものを政府案として決定いたしました過程では、エネルギー庁との間で、実質負担増としてどの程度ならばたえ得るだろうかという議論の方が中心でございまして、必ずしもいまおっしゃった、将来における財政需要全部を政府として決定し、それを各年度に割り振ってみたという作業をいたしてはおりません。と申しますのは、いまお示しの数字も、まだ資金分科会の中での一つ検討過程のようでございまして、これを政府が正式に決定したという性格のものではないと私は理解しているからでございます。
  19. 大島弘

    大島委員 通産省の方に質問いたします。  石炭石油特別会計石石特会におきまして、五十三年度の支出を見ますと、タンカー備蓄対策費二百六十一億とか、あるいは石油貯蔵施設対策交付金百五十四億、あるいはコンビナートリファイナリー、CR等構造改善対策費百億、それから揮発油販売業経営安定化対策費十一億、それから省エネルギー、ムーンライト計画十六億ですか、いろいろ数字とかあるいは名称はちょっと違うかもしれませんが、このうちで二、三お伺いしたいのですが、タンカー備蓄対策費というのは、これは海運業の助成そのものにつながらないですか。一体このタンカー備蓄対策費というのは何をするのですか。
  20. 古田徳昌

    ○古田政府委員 わが国のエネルギーの供給体制から考えまして、石油の備蓄を増強するということが従来から石油政策の一つの大きな柱として進められてきたわけでございます。この観点からしまして、従来から、昭和五十四年度に九十日の備蓄体制を確立するということで諸施策がとられてきたわけでございますが、ヨーロッパ各国あるいはアメリカの動向等を勘案いたしまして、さらにこれに加えまして一千万キロリットルの国家備蓄を実施するということで、五十三年度予算案の中におきましては私どもお願いしているわけでございます。  この一千万キロリットルの国家備蓄は、五十七年度達成を目標としておりますけれども、この時点で考えますと約十日分ということになりまして、その時点になりますと、大体現在のヨーロッパ各国の備蓄水準である百日のレベルに到達するということでございます。こういう観点から考えておりまして、さらに、この国家備蓄を実施するためのつなぎの措置としまして、昨年来の国際収支の緊急時対策といったふうな観点も入れまして、昭和五十三年度から当面タンカーによりましての五百万キロリットルの備蓄を実施するということでございます。これは言い方を変えてみますと、一千万キロリットルの恒久タンクによります国家備蓄の実施の一環といいますか、前倒しとして実施するという形のものでございまして、ただいま先生御指摘のような観点ということではなしに、あくまでエネルギー政策の一環としての石油政策の最も重要な柱である備蓄の増強のためということで考えている次第でございます。
  21. 大島弘

    大島委員 いや、それはその意味もありましょうけれども、いま私が挙げたように、たとえばコンビナートリファイナリー構造改善対策費とか、あるいは揮発油販売業経営安定化対策費とか、大体これが構造不況業種なんですか、あるいは揮発油販売業の経営が安定していないのですか。繊維とかあるいは平電炉とかそういうものに対しての施策はわかるのですけれども、コンビナートリファイナリーや揮発油販売業者に構造の改善をするとかあるいは経営の安定をするとかいうことで、国民から徴収した税金をそういうことに使う必要はあるのですか。
  22. 古田徳昌

    ○古田政府委員 五十三年度におきましては、備蓄の増強あるいは石油探鉱開発の促進といったふうなもののほかに、石油産業の経営合理化対策ということで幾つかの柱を私ども出しているわけでございます。その中に、先生御指摘の揮発油販売業の合理化対策、あるいは潤滑油製造業の経営合理化対策、あるいはコンビナートリファイナリー対策といったような形で種々の施策を打ち出しているわけでございますが、たとえば揮発油販売業について見ますと、現在石油製品価格体系の中で、ガソリンだけが採算油種であるというふうなことで、この分野におきまして、元売り、さらには流通段階におきます過当競争といいますか、競争が非常に激しいということで、市況が著しく混乱しているわけでございます。こういうふうな状況を反映いたしまして、現在揮発油販売業者の経営が非常に不安定になっているということでございまして、この経営の合理化、それから近代化のための設備なりあるいは運転資金の調達といった点につきまして限界があるというのが実情でございます。そういう観点からしまして私どもとしましては、揮発油販売業の経営合理化基金というものを設けまして、その大部分が中小企業から成っております揮発油販売業者の資金調達の円滑化を図って、その経営合理化を進めたいというふうに考えておるわけでございます。  そのほかにつきましても、たとえば潤滑油につきましては、中小企業の専業メーカーがいるわけでございまして、これにつきましても、この数年来非常に経営の状況がよくないということで、基金を設けまして、その専業メーカーが共同で実施しております技術研究に対しましての助成をしていきたいというふうに考えておる次第でございます。  さらには、コンビナートリファイナリーの構造改善につきましては、現在の石油産業が抱えております構造的な問題、すなわち、一部外資系企業が非常に状況がよくて、他方これに対しまして民族系企業、特にコンビナートリファイナリーの経営状況が非常によくないということで、これは石油産業の構造的な問題ということで従来から指摘されているわけでございますが、このコンビナートリファイナリーの構造改善につきまして、その具体的な合理化投資に応じまして助成をしていきたいというふうには考えているわけでございます。
  23. 大島弘

    大島委員 私は、この構造改善をするとかあるいは経営安定をするとか、ほかにもまだいろいろこれよりももっとひどい業種が幾らでもあるのじゃないかということを申し上げまして、何もこの業種二つだけやらなくてもいいじゃないかというふうに考えるのです。  それからちょっとおかしいのは、石油貯蔵施設立地対策等交付金百五十四億というのは、簡単に言えば地元の反対派へのばらまき金、反対派の懐柔資金じゃないですか。
  24. 古田徳昌

    ○古田政府委員 石油貯蔵施設の建設には当然のことながら、かなりの広さの土地が要るわけでございまして、この立地の選定というのは備蓄増強施策を実施していく場合の最大の問題ということになっているわけでございますが、石油の貯蔵施設はほかの産業が進出する場合に比べますと、雇用の吸収力も低いとかあるいは固定資産税収が相対的に少ないという形で、総体的なメリットが地元に対しては薄いという問題が一つございます。他方、この石油貯蔵施設の建設に当たりましては、十分な安全防災対策を講ずる必要があるとかいうふうなことで、地元に対しての負担もそれなりに大きくなるという問題もあるわけでございます。  このようなことを考えまして私どもとしましては、石油貯蔵施設の立地促進のために地元に交付金という形で、石油貯蔵施設等に関連して整備されます各種の公共施設なりあるいは地元が負担します保安防災環境保全施設費用とかいうふうなものにつきまして、助成していくということを考えているわけでございます。
  25. 大島弘

    大島委員 要するに、地元では金をばらまかれたら、いかに反対であっても終局的には妥協するという事例が非常に多い。  そこで、私は一つの事例を出したいと思うのです。これは特殊事情じゃなくて、恐らくこういうことは全国各地に、しかも石油備蓄だけではなくて原発、火力発電とも同じ問題だと思うのです。  和歌山県西牟婁郡串本町、例の本州最南端で、民謡でも名高い串本町の大島という島です。その須江地区に現在LPG貯蔵基地を設けようとしておる。これは四十万トンで、一基五万トンとして八基で日本最大の備蓄基地になる。これに対する所要坪数は七万五千坪。ここは国立公園ですから、国立公園法上の制限があれば、さらに倍近い十四万坪の土地が必要であるということです。  先ほど言いましたように、ここは吉野熊野国立公園で、それから、その西側は枯木灘県立公園です。それから、ここはかつての南海大地震初め地震の非常な多発地帯です。しかもここに中学校があり、また一般の住民居住地区です。さらに、ここは浅海漁業では日本一です。現在国費二十億以上をかけて養殖事業を始めている。  この問題は、現在串本町議会でも取り上げられているのですが、こういう国立公園の内部に、しかも地震の多発地帯、しかも浅海漁業でも日本最大の土地にこういう巨大な貯蔵基地を設けるということについて、まず通産省はこの話を知っているかどうか、また、現在どういうふうに思っているかということをお答えいただきたいと思うのです。
  26. 古田徳昌

    ○古田政府委員 ただいま御指摘の串本町大島におきますLPG基地建設の件につきましては、現在のところ私どもとしましては、地元あるいはLPガス輸入業者から具体的な話は何ら聞いておりません。
  27. 大島弘

    大島委員 日本埠頭倉庫株式会社専務取締役から串本町長塩津六郎あての書簡があります。「度々御電話を頂き有難うございます。」から始まりまして、「国立公園の全面解除が出来る事が最も望ましいのですが、条件付一部解除?となりますと、当方に売却される土地で海岸線にそって奥行五十メートルの幅で国立公園保護の為使用出来ないと予想されます土地も買収する事になると思います。」それからその次に、「国立公園であればタンクの屋根が海側から見える事にクレームが付くと考えられますので、池下タンクにせねばならないと思います。地形等でタンク間の距離が法規よりも長くなる事も予想されます。」こういう書簡があるのです。  環境庁にお伺いしたいのだけれども、御存じのとおり、元の国立公園委員長でもあった田村剛林学博士、ことし九十歳近い碩学ですが、この方が、アメリカの太平洋資源保護局長クーリッジ博士と一緒に紀州の海岸をずっと回りました。そのときにクーリッジ博士が、私はいままで世界で一番の海岸と思っていたのは、南仏のコートダジュール、カンヌ、ニース、モンテカルロ、あれだと思っていたけれども、この景色を見て、これはまさに世界一の海岸美であるということを言われた。そしてその田村博士は、私は九十歳になるけれども、この海岸に駐車場一つつくるのにも景観を害しないように注意してくれよ、もしそういう産業基地になるならば私は老体をひっ提げて中止勧告に飛んで行く、こう言われておるわけです。  環境庁は、こういうふうな国立公園の中にこういうものをつくるということについてどう考えておりますか。
  28. 中島良吾

    ○中島説明員 先生の串本町のLPG貯蔵基地の建設計画の内容につきましては、環境庁といたしましては具体的に承知をいたしておりません。したがいまして、この段階で具体的なお答えはできませんが、一般的に申し上げれば、国立公園の自然景観保護の観点からいたしまして、このような計画が好ましいものだとは考えておりません。
  29. 大島弘

    大島委員 環境庁は、確かに、こういう考えは好ましくないと仰せられると思うのですが、国立公園の中に産業基地が設けられる、そういう場合に、国立公園法上の一部解除というか、つまりそういう事例はいままで日本にございますか。
  30. 中島良吾

    ○中島説明員 発電所等の大きな開発を許可した例はございます。しかしながら、国立公園の中にございましては、公園を全面解除いたしましてそこに立地を求めた例はございません。
  31. 大島弘

    大島委員 時間もございませんので簡単に申し上げますけれども、この計画をしているのは日本埠頭倉庫株式会社で、これは倉庫業として運輸省港湾局の所管になると思うのですが、運輸省はこの倉庫会社等についてはどういう監督をされているわけですか。
  32. 坪井宏

    ○坪井説明員 お答え申し上げます。  日本埠頭倉庫株式会社が串本町のLPG基地を計画しているというお話でございますけれども、倉庫業法においては、倉庫業を「寄託を受けた物品の倉庫における保管を行う営業」という意味で定義づけております。したがって、本件タンクが寄託を受けた物品の保管のために使用されるのか、あるいは日本埠頭倉庫株式会社がただタンクをつくるだけで、これを荷主に賃貸し、そのタンクの利用、運営について荷主が行うか、私どもこれをいわゆるリース業と言っておりますけれども、どちらをやるか現時点でははっきりしておりません。だから、倉庫業法の適用があるかあるいは適用がないかということは、現時点では不明でございます。
  33. 大島弘

    大島委員 先ほどから私、余りに個別事案にかたまっているようにお思いになるかもしれませんが、私はこれは一つの事例として、石油備蓄基地にしろ電源立地にしろ、今後こういうものが全国的な問題に発展する、そういうことで申し上げております。しかし、余り個別事案に入るのはどうかと思いますので、最後に簡単にお伺いいたしますけれども、もしこの倉庫業がこういうものになったら、危険物倉庫ということになって運輸省は監督できるわけですね。
  34. 坪井宏

    ○坪井説明員 もし仮にというお話でございますので、仮にということを前提にして申し上げますと、第三者の寄託を受けた物品をタンクにおいて保管する業を行うという意味でございましたら、倉庫業法上の倉庫に該当いたします。
  35. 大島弘

    大島委員 先ほどの日本埠頭倉庫株式会社の専務から串本の町長にあてた手紙の中で、「五十メートル幅で」云々と書いてあるのは、これは危険物取扱規則によって通産省もこれにタッチできるわけですね。
  36. 水野哲

    ○水野説明員 一般論でございますが、LPG基地の保安につきましては、高圧ガス取締法によりきめ細かい規制を行っております。その意味で、高圧ガス取締法に基づく各種の規則に基づきまして、通産省としては監督ができます。
  37. 大島弘

    大島委員 こういうふうに環境庁、通産省、運輸省、いろいろの問題が出てきておる。こういう場合に、何もこの問題だけじゃなくて今後全国的に出ると思いますが、その間の調整機関というものは何かあるのですか。とにかく通産省は産業一点張りにやってくる。そこについては自然保護も何もないということ。それから、住民のコンセンサスといいますけれども、コンセンサスといったところで結局はばらまき資金が非常に大きな役を果たしている。そういう実情にあって、環境庁なりあるいは運輸省なり、この意見を異にした場合に、それに対する調整機関というものはないわけなんですか、通産省にお伺いしたい。
  38. 古田徳昌

    ○古田政府委員 私ども全体としまして、石油にしましてもあるいはLPGにしましても、備蓄基地の建設の促進ということを進めてまいりたいわけでございますが、それに関係いたしましてのいろいろな問題の調整機関というものはございません。結局その建設を計画いたしました当事者が、自然公園法とか、あるいはいまの例でいいますと高圧ガス取締法とか、そういうような関係の手続を十分やる、あるいは環境対策なり安全対策を十分実施しまして、地元住民の理解と協力を得て、コンセンサスといいますか合意を取りつけるというふうな形を期待しているわけでございます。私どもとしましては、そういう形で地元との関係が円滑に進みまして、具体的な計画が出てきた段階で、これをたとえば石油開発公団によります助成の対象にするとかいうふうなことを検討するわけでございます。
  39. 大島弘

    大島委員 いま衆議院の中に自然保護議員連盟というのが結成されつつあり、これは近くできるわけですが、通産省はこの趣旨をよく聞いてください。   わが国の自然破壊はまことに憂慮すべきもの  がある。さらに自然とともにある歴史的環境の  破壊も深刻である。私どもは、いま適切な施策  をとらなければ、祖先から受け継いだ国土の自  然と歴史的環境は次々に消滅し、子孫に対して  顔向けのできぬ事態を迎えるであろう。   私ども有志議員は、自然は人間生活の基盤で  あり、そこに伝わる歴史的環境は、住民生活に  とって、かけがえのない価値をもつものと考え  る。私どもは、ここに党派を越えて、以上の目  的を実現するために自然保護議員連盟を推進す  る。こういうふうな決議があるわけで、この決議は十分考えていただきたい。  私は何も、石油など備蓄しなくてもいいとか、原発はつくらなくてもいい、火力発電も反対だ、何もそういう必要性は認めないと言うのじゃないのです。ただ場所をよく考えていただきたい。ここに書いてありますように、本当に事「子孫に対して顔向けのできぬ事態を迎えるであろう。」この点は特に通産省の方は十分考えていただきたい、こういうふうに要望しまして、まだ時間はございますけれども、私の質問は終わらしていただきます。
  40. 大村襄治

    大村委員長 高橋高望君。
  41. 高橋高望

    ○高橋委員 五十三年度予算編成がきわめて窮屈な財源の中で、特に一般消費税の新設は、われわれのところにまでも来ないくらいの段階で終わりました。そこで財源として巨額の為替差益を抱える石油業界に目をつけられる、私は当然だろうと思うのです。先ほど主税局長は、それは本意ではなかったということをおっしゃっておられましたけれども、どう考えても私は、税金の取りやすいところからこの際取っておこう、それには石油業界が為替差益があるだろう、あるというたてまえから今度の石油税をお考えになったと思わざるを得ない。まず私はその立場をとらしていただきたいと思うのです。国家に吸い上げて財源拡充に役立たせる、と同時に、新税の収入を一般財源にした、けれども実質的には、先ほどのお話のように、大部分は石油備蓄の拡大とか原子力研究開発、いわゆるエネルギー対策に回されていると思います。  そこで、まずお伺いしておきたいのですが、現在もありますガソリン税収の一部を石油備蓄等に回すということがこの際余り表に出てこないで、というよりも、この問題にはっきり決着をつけないで新税を持ち出してきたという、少し安易に過ぎないかという気が私、するのです。やはりもう少しガソリン税を、石油石油にという立場に立った上でのお金の使い方をなさるべきではないか。当然建設国債ということで一部肩がわりすることにもなろうかと思いますけれども、私は、石油のものは石油へという課題はまず、ガソリン税収問題から論議するのが筋であろうと思いますけれども、その辺についてはいかがでございますか。
  42. 大倉眞隆

    大倉政府委員 ただいま高橋委員がおっしゃいましたような御主張の方は、政府税制調査会の中にもいらっしゃいます。それから、税制調査会の外にもいらっしゃることを承知いたしております。ただ、これまたよく御承知のように、揮発油税は現在道路整備緊急措置法で道路財源に実質ひもつきということにされておる。しかし、道路整備財政需要が依然として強うございまして、現実には揮発油税を全額投入いたしましてもなお財源が不足しておりまして、この苦しい中で一般財源を投入しなくてはならないという状態にございます。したがいまして、将来長い目で見て、石油関係諸税とまた場合によりましては自動車の車体課税も含めまして、これを従来どおりの使途に特定するのがいいのかどうか、一般財源化とまでいかなくても、たとえば総合交通財源とか、あるいはもう少し広い意味でのエネルギー対策財源とかというふうに使途を広げていけないのかという御議論は、ある意味では年を追って強く出てきておりますので、私どもそれは将来における重要な検討課題一つであろうかと考えますけれども、何と申しましても、現実の問題としましては、五十二年度も五十三年度も恐らくはあとしばらくの間なお引き続き、どうも揮発油税が道路特定財源としてオーバーフローするという状態になかなかならないという現実を踏まえますと、やはり言うべくして、揮発油税の一部を振り向けるということは、財政当局としてもなかなかむずかしいと申し上げざるを得ないかと思います。
  43. 高橋高望

    ○高橋委員 そこで、石油税の新設構想というのが為替差益の吸収だとよく言われるものですから、あえてお尋ねいたしますけれども、OPECの価格が大変上がってしまっている。数度にわたって上がっている。しかも率も大変なものだ。それからまた、石油業界の保安防災コストとか備蓄コストというものも含めて、要するにコストアップ要因がたくさんある。  これは通産省の方にちょっとお伺いしたいのですが、五十二年度石油産業の利益というのは、一体どれくらいあるというふうに概算はじかれておられますか。
  44. 古田徳昌

    ○古田政府委員 五十二年度石油産業におきましては、先生ただいま御指摘のように、円高によります為替メリットが発生しております。前年度に比べまして、計算の仕方によりますが、八千億円近いというふうな計算もございますが、他方、これに見合いまして、コスト高の要因もあるわけでございまして、昨年一月及び七月に値上げしましたOPECの原油価格の影響、それから、これまた御指摘ございましたように、備蓄なり保安対策費の上昇といったふうなものがございまして、一つの試算でございますが、大体七千億円程度五十二年度についてはコストアップ要因が発生しているというふうに見られるわけでございます。その両者考えますと若干のプラスが残るわけでございますが、実は昨年の終わりごろから石油製品価格はかなりの幅で値下がりをしておりまして、特にことしに入りましてから、一部企業が各製品平均二千円下げるというふうな方針も打ち出したわけでございまして、その製品価格の下落というふうなことも考えますと、円高のメリットというのは、結局コストアップ要因及び製品価格の下落で吸収されてしまっているというふうに見ざるを得ないかと思います。  そういう実態を反映いたしまして、五十二年度石油企業の経理状況も、五十一年度に比べて大体同じぐらいの水準に推移するのではないかというふうに考えております。全石油企業につきまして、五十二年上期を見ますと、約千二百億円の経常利益を計上しておりますが、下期につきましても、大体その程度といったふうなことで私ども現在見通している次第でございます。
  45. 高橋高望

    ○高橋委員 そうすると、差益が利益に占めている比率というのは大分高いように思われます。為替差益というのは、私に言わせればこれは一時的なものでして、恒久的なものではない。その一時的なものを当てにしながら恒久的な石油税というものを新設するあたりに、私は大変な間違いがあるように思われますけれども、この辺については主税局長、いかがでございますか。
  46. 大倉眞隆

    大倉政府委員 これは前回永原委員にもお答えしたんでございますが、この税を御提案しております趣旨は、石油及び石油製品という便益性の高いものを利用しあるいは消費されるということに担税力を求めて、これから予想されます石油対策に係る財政需要の強さを考えて、それを賄うために広く薄く負担していただきたいということでございますから、税の性格上は、これはコストとして石油ないし石油製品を利用しあるいは消費される方に転嫁していくというべき性格のものであると私ども考えておりまして、為替差益を吸収するための税であるというふうには考えていないわけでございます。その意味で、高橋委員と出発点がちょっと違うと申し上げざるを得ないかと思います。  ただ、その為替差益問題がしばしば私どもの答弁の中にも出てまいりますのは、さてそれならば、転嫁されて直ちにその分だけ昨年の上期に比べて価格が上がって、それによって物価が上昇するあるいは景気対策の足を引っ張るということになりはしないかという御質問に対しては、いやそれは原油価格の動向を一応別にすれば、昨年上期以降の為替相場の変動考えれば、それによって値下がりすべき分の方が簡単に申せば石油税負担よりは大きい。だから、差し引きずれば昨年上期に比べて上がることはないと考えていいんではございませんでしょうかということを申し上げているわけでございます。  その意味では、為替差益は一時的なものにすぎないではないかという御指摘は、私どももそのとおりだと思うのです。ただ、それが一時的であるかないかということは、これまた言葉の使い方が非常にむずかしいと思いますけれども、一時的で終わったという状態は二つあり得る。一つは、円レートがもとへ戻ってしまった、言うならばそれは一時的であった。それからもう一つは、円レートとしては大体最近の情勢で推移するけれどもという仮定を置いた場合でも、それに相応して価格が下落すれば差益というものは消滅する、その意味で一時的であると考えていいんだろうと思います。  私どもは、再々申し上げて恐縮でございますが、個別の製品価格が、一々物差しではかったようなわけにはまいりませんでしょうけれども考え方としては、この税の性格から申しますれば、いま発生しつつある為替差益というものはまず製品価格の下落で市場に対して還元される、その上で石油税石油税としてコストとして転嫁される、差し引き結果がどうなったかということが、一番わかりいいであろうというふうに考えているわけでございます。
  47. 高橋高望

    ○高橋委員 私も主税局長のおっしゃることわからないじゃないですけれども為替差益とか差損というのは、差益が出ればユーザーないし消費者に還元する、それから、差損が出ればやむを得ず製品値上げもあるだろう、ある場合にはユーザーに転嫁するということも私はあり得るだろうと思うのですね。だから、この際基本的な姿勢として、石油税をお考えになるということの前に、差益というものに対してもう少し国民生活に還元されるという状態をまずお取り上げいただいて、その次の段階においてこういった増税問題をお考えになる。平たく言えば、国際的に見て著しくナフサが高い、こういうナフサなどに見られるような、石油化学業界に還元するということの方を最初やるべきじゃないか。これがあってなおかつ増税という問題が起こってくれば、まあまあ同じ増税問題でも比較的受けとめやすい。片方で確かに優遇もしてくれている、あるいはわれわれの見返りもあった、こういうふうに考えられるんですけれども、現段階ではまず増税の形で何か出てきてしまっている。局長と私と立場が違いますから、局長は確かにお話のように、広く浅く負担させようという御発想ですけれども、どう考えても私は、今度の場合にはやはり差益問題が頭から取り切れませんから、それが取り切れなければちょっとかみ合わないということにもなろうかと思いますが、まずその差益が出た分野における国民生活への潤いというものを御展開いただくのが最初ではないかと思います。この辺についていかがでございますか。
  48. 大倉眞隆

    大倉政府委員 私が先ほどお答えしたこととただいま高橋委員の御主張とは、ほとんど同じではなかろうかと思うのでございますが、私がわかりいいと申し上げたのは、そういう意味で申し上げたつもりでございます。つまり、石油税というのは、まだいま御審議願っておるわけで、幸いにして法律を通過さしていただきましても、六月から動くわけでございまして、昨年の上期の仕入れのコストになっておる円レートというのは、私どもが石連資料から見ますと、二百六十五円から二百七十五円くらいなんでございまして、一ドル一円下がれば大体キロリットル当たり八十五円コストはダウンするわけなんで、それは二十数円、場合によれば三十数円下がっているわけですから、最もわかりいいのは、石油税が動き始める前にちゃんと一遍価格で還元された、そこへ石油税が入ってきたということになった方がわかりいいであろうということを私も申し上げたつもりでございます。  それから、個別の製品価格の問題は、これはいろいろな経緯で従来から、黒が安くて白が高いとか、素人なりにいろいろなことを伺っておりますが、それは私からいろいろ申し上げるのもいかがかと思います。むしろ今後の価格体系をどうするかということにつきましては、通産省からお答をした方が適当であろうかと思います。
  49. 古田徳昌

    ○古田政府委員 昨年の終わりごろから石油製品価格が下落傾向にあるということは、先ほど御説明したとおりでございますが、実は昨年の終わりごろOPECの総会で、本年一月以降原油価格の据え置きが決定されました直後、私どもとしましても、為替差益消費者に還元するようにということで、各元売りに対しまして、灯油価格に限定してでございますが、通達を出しまして強く要請した次第でございます。その要請を受けまして、本年に入りましてからの各石油製品価格が値下がり傾向にあるということでございますが、今後の動向としましては、現在の円高傾向がどう反映していくか、さらに需給関係、それから、六月の後半に予定されております次のOPECの総会でどういう原油価格が決定されるかといった点で、石油製品価格が大きく影響されていくのではなかろうかと思っております。  そういうことで、今後の見通しは非常にむずかしいわけでございますが、同時に、その見通しの中に実は石油製品価格体系の問題があるわけでございまして、これは先ほど御指摘のように、ナフサをもっと下げたらどうかとか、あるいはガソリン高で重油安という体系そのものが非常におかしいという意見、いろいろあるわけでございまして、この点につきましては、全体の価格水準がどう進むかということのほかに、体系の問題としまして今後十分検討しなければいかぬのじゃないかと思っております。私どもの方の総合エネルギー調査会石油部会でも、この点につきまして十分御審議をお願いしたいと思っておるわけでございまして、その結論を踏まえて私どもとしても慎重に対処してまいりたいと考えております。
  50. 高橋高望

    ○高橋委員 大蔵省としては、新税収入の使途としてエネルギー対策全体を考えていらっしゃるかと私は思います。たとえばサンシャイン計画も含めて。そういう意味から言うと、他の研究開発費までこれを賄うのは行き過ぎじゃないかという気がするのです。しかも、いまだってエネルギー税制というのはいろいろな複雑な税制がありまして、また新しい税で複雑化するということは、私は避けなければいけないのじゃないかと思いますが、この新税収入の使途として少し含め過ぎているんじゃないか、もっと純粋に対象をしぼるべきではないかというふうに考えますけれども、いかがでございますか。
  51. 大倉眞隆

    大倉政府委員 政府部内にもその点は実にいろいろの御意見がありまして、むしろいま御質問の中にあったように、RアンドDまで含めて広く総合エネルギー対策に使うべしという御意見もかなりございました。しかしそこまで広げると、新たに負担を求める場合にやはりちょっと広げ過ぎではないか、少なくともいまの段階では、広い意味での総合エネルギー対策の中で石油対策にしぼって実質的に財源投入をするということの方がいいであろうということで、ただいま御提案しております仕組みは、石炭石油特別会計石油勘定における石油対策としての必要財源、これに優先的に投入する、もしその年の税収に余剰があれば、それは翌年度の投入財源の可能量に加算してやっていくというふうに、別途商工委員会で御審議をお願いしております特別会計ではなっているわけでございます。
  52. 高橋高望

    ○高橋委員 それでは今度は、石油税負担というか、諸外国比較しての問題を少し大臣にお伺いしたいのですけれども、とかく都合のいいときにだけ国際比較を持ち出される傾向がある。この石油税負担が諸外国に比して低いというのも、今度の決断をなさる最後の踏み切り台になっていらっしゃる。でも、これはそれぞれの国の租税制度も違うし、それから、石油製品の需要構造とか価格体系一切違うので、ただ単に都合のいいときだけ、もっと言葉を悪く言えば、国際比較のつまみ食いをなさってPRの材料になさるというのは、どうも私は釈然としない。むしろわれわれの国などは輸入依存度が高いから、逆に言えば石油税負担は低くて当然なんじゃないかと私は思っているわけです。この辺については大臣、御見解いかがでございますか。
  53. 大倉眞隆

    大倉政府委員 大臣から政策御判断をお答えいただきます前に、その資料のつくり方でございますが、実は私どもはつまみ食いしたとは考えていないわけでございまして、お手元に同じ資料をお持ちかと思いますけれども、各国それぞれの消費構造に応じまして、需要構成比を算出しまして、その需要構成比に応ずる各製品ごとの各国それぞれの税法での負担を求めまして、それらを集計いたしましたものを、石油及び石油製品に対するそれぞれの国での負担というふうに考えて算出しておりますので、比較方法としてはこれが一番中立的であるというふうに私ども考えているわけでございますが、なお別途いろいろな計算をしてみろという御指示がございますれば、私どもでいろいろな資料でわかります限りのいろいろな計算もまたいたしてみたいと思います。  それから、日本の場合に輸入依存度が非常に高いから、それに対する負担はむしろ安くしないとというお話は、恐らくはその価格構造全体という角度からの御意見であろうかと思います。ただ、それと全然別の角度からは、実は国内エネルギーの多い国ならば輸入エネルギーについてそんなに希少性というものはない、しかし、輸入エネルギーにもっぱら依存しなくちゃならぬ場合は、やはりそれは貴重な資源であり、それを使うことには十分便益性があるので、それを利用、消費なさる方にそれなりの負担をしていただいてもいいではないかという考え方もまたあるのだろうと思います。この辺は見解の相違かもしれませんが、ちょっと一言申し上げておきます。
  54. 村山達雄

    村山国務大臣 確かに日本の租税体系、特に間接税を見ておりますと、酒とかたばことか石油ウエートが非常に高いことは、もう御指摘のとおりであろうと思うわけでございます。その見地から一般消費税の問題が逆に取り上げられているということもまた事実なのでございます。  ところで、いまの御指摘の点でございますが、これは両方の考え方があるんじゃないか。いま主税局長もちょっと述べましたけれども日本は第一次エネルギーとして石油に依存する部分が七〇%を超えておる。世界でも一番高いのではないか。やがてこの石油の問題は資源的にもそう長くは続かないということになりますと、やはり早く新エネルギーなりあるいはエネルギーの転換をしなければならぬ。それには膨大もないコストがかかるわけでございますから、あわせてそういう見地から申しますと、石油に、先ほど申しました国際的な比較はもちろん考慮するわけでございますけれども、まあまあ関税を除いて原油バレル当たりいま五ドルちょっとというところでございますから、もうちょっと負担してもらっても、この緊急事態だからごしんぼう願えるのではなかろうかという考え方もあると思うのでございます。むしろそういう財源の緊急性、それから、いま国際比較において少ないという方の見地が先に立ちまして、とにかく緊急の政策であるということで今度踏み切らしていただいた、このように私は理解しているのでございます。
  55. 高橋高望

    ○高橋委員 それでは、その問題に引き続きましてですけれども石油税を設けると、石油資源のいわゆる省資源、節約につながるという期待があると伺っておるのですけれども、この辺についてはそのようにお考えでございますか。
  56. 大倉眞隆

    大倉政府委員 そういう御議論をなさった方もございます。したがって、御議論紹介する意味で、答申にもそういうことが触れられております。ただ、あの答申でお読み取りいただけるかと思いますが、そういう意見もあるという微妙な表現になっておりまして、やはりどうも私どもが受けますいままでの率直な印象では、石油及び石油製品というものの価格弾力性というものはそう高くないのではないか。したがって、価格効果によって省資源をねらうということにはどうしても限界がある。かなりの幅であってもそう大きな期待はできないであろう。したがって、今回程度の負担増加で、それが省資源という効果を持ち得るということを期待するのはいかがなものであろうか、そう考えております。
  57. 高橋高望

    ○高橋委員 私も実はそう思っているのです。というのは、石油がわれわれの生活あるいは産業の中に食い込んでいるいまの度合から言って、少々の値上げ等で使う量が節約されるということは、私は期待できないと思います。  逆に申しますと、物価を引き上げる材料にはなるんじゃないかというおそれを持つのです。特に消費税的な立場ですから、先ほどもお話がございましたけれども石油産業界としては、その上げた分だけは価格に上乗せをするということをすでに非公式な席では言い始めているわけです。こういう点については当然のことながら、行政の立場でいろいろと指導と申しましょうか、あるいは善導と申しましょうか、何らかの歯どめをなさっていると私は思うのでございますけれども、この辺についての現実の御展開はいかがでございますか。
  58. 大倉眞隆

    大倉政府委員 実際の価格形成がどうなるかという問題につきましては、通産省からお答え願いたいと思いますが、私どもがその問題をどう受けとめて、なぜこの時期に御提案しているかということにつきまして、一言お答えしておきますと、まさしく先ほどの繰り返しになるわけでございますが、通常の状態でかねてからこの石油税的な構想は実はあったわけでございますが、通常の状態でありますと、やはり直に物価上昇につながるという面が非常に大きく出てきて、なかなか踏み切りにくい。しかし幸か不幸か、昨年の下期以降の状態をじっとながめておりまして、これは本来下がるべきものが一度下がって、今度はそれに石油税負担が追加されるということになるべき筋合いであるけれども、両者をあわせ考えれば、去年の上期に比べてなおかつ石油価格が上がるという情勢ではないであろうという判断をしたということが、時期的に、昨年の暮れにこの税をかなり詰めて研究し、現実に御提案する契機の一つであったということはあえて否定いたしません。  したがって、繰り返し申し上げて恐縮でございますが、税の性格としては、それは本来コストとして転嫁されるべきものであろう。しかし、五十三年度の経済運営全般をながめたときに、苦しい財政事情の中で、景気対策と逆行しないぎりぎりの範囲でできるだけの増収努力をしたいという角度からすると、たまたまこの時期であったがゆえに、石油税現実的に考え現実的に御提案する契機になったという点は、正直に申し上げた方がよろしいかと思います。  具体的な行政指導の考え方通産省から申し上げます。
  59. 古田徳昌

    ○古田政府委員 石油製品価格につきましては、先ほどもお答えいたしましたように、石油税ももちろんコストアップの要因ということになりますが、OPECの原油価格の決定状況あるいは円高の傾向、それから、その時点におきます石油製品の市況がどうなっておるかというふうなことで動き方が決まっていくのではないかと思います。性格的には、石油税の部分は当然製品価格に転嫁されていくという性格でございますが、製品価格の動向は、また別の観点から他の要素も取り入れて十分判断すべきだと思います。  それから、その辺の事情を全く無視しまして、石油新税についてはそのまま転嫁するあるいは円高差益の問題は全く無視するというふうなことは、これは業界として許されないことだと思いますが、従来から私どもとしては、石油製品価格の動向につきましては十分留意してまいっておりますし、円高差益の還元につきましても、先ほど御説明しましたように灯油について特別の指導をしたような経緯もございます。今後ともその辺につきまして十分留意して、動向を把握してまいりたいと思っております。
  60. 高橋高望

    ○高橋委員 大臣、ちょっとここでお尋ねしておきたいのは、産業とか国民生活の基礎的な物資である石油課税するということは、私は本来は妥当なことではないと思うのです。たとえば先進主要工業国では、石油とか鉄鉱石、石炭、木材等の原材料に対しては、関税は無税の方向が大変出ている。そういう点から言って、今回の石油税というのは、実質的には原油関税の増徴と同じ経済的影響を各方面にもたらすだろうと思いますので、この辺については、関税率審議会がこれまで答申を続けてきた原油関税無税の方針と反するように思われますけれども、これは私の間違った見解でございますか。
  61. 村山達雄

    村山国務大臣 そこのところは、私は関税の専門家ではありませんが、私の見ているところ、ずいぶんいろいろな思想の変遷を経ているように思うのでございます。  一つは、日本は、戦前は財政関税が主でございましたが、戦後は保護関税ということになっているわけでございまして、石油が余り出ないのに一体原油に関税をかけるというのは何事ぞや、これが関税率審議会における伝統的な非課税にすべしという議論の根底をなしていると私は思うのでございます。しかし、石炭の問題が起きまして、石炭につきましては、あのようなことで二千万トン維持という問題がようやくになりまして、そうして鉱害防止をしなければならない、あるいは産炭地域を振興しなければならない、さらには炭鉱離職者の問題もやらなくちゃいかぬ、いわば競争エネルギー関係があるものでございますから、その原則論にもかかわらず、代替エネルギーの保護という観点で、原油関税がいわばある種のオーソライズを得たんだろうと思うのでございます。  しかし現実には、その後石油問題というものがエネルギーの中心になりましてどんどん進んでいく。そこで、石炭ばかりというわけにもいかぬものでございますから、石油と石炭の特別会計を二つに分けまして、折半して使わしてもらっておる。だんだんそのうちに石油の問題のウエートが大きくなりまして、二回にわたって百十円ずつ関税の増徴をさせてもらった。そのときは、特にこれは石油対策だ、こういうことでございまして、すでに石油エネルギー問題というものは大きなウエートを持ってきたと思うのでございます。そこに持ってきまして、石油の資源がそう命脈が長くない、いまのうちに早くエネルギー対策を講じないと大変なことになるということが日本で大きな問題になり、そしてあのようなエネルギーに対する根本的な検討が行われ、そうして早く転換するための、あるいは石油備蓄のための、あるいは石油の開発のための、石油を中心とするいろんな財源が必要であるということは、ほとんど国民的コンセンサスではなかったであろうか。その財源をどういうふうにして求めるかというところに来て初めて、原油に対する国内消費税というものが何らかの形で国民的な納得を得られるような段階になったのではなかろうか、私にはそんな気がするのでございます。  しかし、何といっても原油はあらゆるものに影響するわけでございますので、やはり幅広く薄くやらなくちゃいかぬということは当然でございますので、実質三%ということで今度お願いしてみた。翻って考えてみると、ずいぶん複雑な構造になっているなというのでございまして、そのたびごとに、ガソリンはガソリンの理由で受益者負担的な考え方で道路財源としてやった、それなら地方税で軽油の方も同じようにやってくれ、その後自動車重量税が出てきた、相次ぐものが出てまいりまして、しかし燃料課税としてはほとんど白ものに重点が置かれたわけでございます。  片方、先ほど申しましたような原油関税に関する思想の変遷もあり、ここでまた石油税という原油に対する国内消費税が出たわけでございますので、言ってみますと、わが国の経済というものは非常に複雑な過程をたどって、ニーズのいろんな変遷があるといったことが、この石油税制の体系の中にまさに浮き彫りにされているような感じがするのでございますが、しかし、それはそれなりにまた現実の必要に応じてやっておる点も私は私なりに理解できるような気がいたすのでございます。  説明にならぬような話でございますが、率直に感じを述べさせていただきたいと思います。
  62. 高橋高望

    ○高橋委員 そこで、主税局長にまた大きな表題としてお尋ねしたいのですが、今回のような従価税ですね、いままでの従量税をずっとやっていらっしゃったのが、今回の石油税に関して従価税をとられたお立場、これをちょっと御説明いただきたいと思います。
  63. 大倉眞隆

    大倉政府委員 これも前回永原委員にお答えしたことの繰り返しになりますけれども、私どもはやはり消費税考えますときには、技術的にできることであれば従価税体系の方が消費税としては適当だという考え方を基本的に持っているわけでございます。その意味で、原重油関税も実は従価税でやったことがある。しかし、それが技術的に従量税の方が非常に簡明であるということもまた否定できないわけで、そういう経緯を経て現在原重油関税は従量税になっておる。しかし、やはり実施可能であるならば、従価税が採用できるものはひとつそもそも従価税としてスタートさせていただいたらいかがかと思いまして、これが技術的に消化可能かということを部内でずいぶん検討いたしまして、主として実務をやってもらいますのは関税局の税関の職員でございますので、税関の長年の経験をいろいろ聞きまして、従価税というものが可能かということを十分勉強してもらったわけでございますが、これは結論から申しますと、従量税に比べてむずかしさがあることは確かだけれども、従価税というものは十分実行可能であるという返事をもらいまして、この際従価税として構成させていただきたいということで御提案しているわけでございます。
  64. 高橋高望

    ○高橋委員 いま局長もおっしゃっておられたとおり、従価税にしたためにいろいろ実務面で複雑要因を増したかと私思うのですね。たとえばその一つとしてよく言われるデマレージの問題もそうだと思うのですが、あるいはスロースチーミングの問題もそうだと思うのです。ここいら辺は割り切り方として着地換算だ、着地、港へ着いたところでの計算だからいいじゃないか、こういうふうに私は割り切っておりますが、それで間違いございませんでしょうか。
  65. 戸塚岩夫

    ○戸塚(岩)政府委員 デマレージの話が出ましたので、恐らく税法で言いますると、第八条第一項の第二号の「保税地域から引き取られる原油については、当該原油につき関税定率法第四条の規定に準じて算出した価格に当該原油に係る関税の額に相当する金額を加算した金額」を課税標準にするという規定に関してのことだと思います。  そこで、私ども関税定率法第四条の規定に準じてまず価格を出していくわけでございますが、関税定率法の第四条第一項には、輸入の申告のときにおける貨物につきましての「相互に独立した売手と買手との間で完全な競争条件の下において輸入取引がされるとした場合の輸入港における価格」、そういう抽象的な規定で書いてございますが、これがまあ課税標準になりますが、その中に当然その貨物にかかる運賃あるいは保険料というものも課税標準に入るというように書いてあるわけでございます。  そこで、お尋ねのデマレージがこの運賃という中に入るかどうかという点については、現在その契約の実態がどうなっているのかということも含めまして検討しているところでございます。当然この法律が施行されるまでに間違いのないような通達という形で固めてまいる所存でございます。
  66. 高橋高望

    ○高橋委員 現実には中国から例の油を引き取ったときは、このデマレージは中国側か負担したかと思いますけれども、私は記憶に間違いございませんでしょうか。中国がたしか負担して、われわれの方ではなかったかと思いますけれども……。
  67. 戸塚岩夫

    ○戸塚(岩)政府委員 おっしゃるとおりのようでございます。
  68. 高橋高望

    ○高橋委員 減速運航に伴う問題はいかがでございますか。これも運送会社の責任ではなしに起こってくる問題として現実にあったことだと思いますけれども、この辺についての御配慮はどんなふうになさっていらっしゃいますか。
  69. 戸塚岩夫

    ○戸塚(岩)政府委員 減速運航に伴うかかり増しの費用をその運賃の中に荷主が負担するという形になりますと、当然課税標準の中に入ってくるということになろうかと思います。したがいまして、先ほどの滞船料と同じように、運賃の契約の実態がどうなっているかということもよく調べた上で判断をしてまいりたいというように考えております。
  70. 高橋高望

    ○高橋委員 いずれにしても、その輸入業者側の責任に帰せない、その責任じゃない問題だと思うのでございますね。ですから、具体的な問題で恐縮ですけれども、御展開のときに、この法案をすでにこうやって用意されている段階で細かなことかもしれませんけれども現実には多額の運賃が払われている現実から言って、どうぞひとつ早目にこの御見解を出されて、実際に仕事をする連中が困らないように御配慮をお願いいたしたい、そのように申し上げておきます。  そこで私たちの党の立場から申しまして、この石油税法、大体増税には余り賛成したくございませんけれども、どうもこれはやむを得ないなという考え方が強くなってまいりました。その背景の一つは、やっぱり備蓄対策に絡めての問題なんですね。備蓄の問題がどうかというその政府の御意向がわれわれとして最後のこの問題に対する態度決定の材料になるわけですから、そこで、現在のところの備蓄の進行状況を通産省の方からちょっと御説明いただけませんでしょうか。
  71. 古田徳昌

    ○古田政府委員 備蓄の増強につきましては、現在四つの方向で事態が進行しているのではないかと思っております。  一つは、各石油会社が、自分の会社の備蓄義務量に合わせまして、みずからの工場の敷地内にタンクを増設していくということがございます。それから第二は、個々の石油会社ではなくて、石油精製会社が二社以上集まりまして共同備蓄会社を建設していく、これは新しい立地点におきます備蓄基地の建設ということになってまいります。それから第三が、五十三年度から実施するということで現在各方面にお願いしておりますタンカー備蓄でございます。それから第四が、恒久タンクの建設によります国家備蓄の推進ということになろうかと思います。  第一につきましては、それぞれの企業が備蓄義務量を達成するようにタンクを建設しておるわけでございまして、本年度末八十日という目標で、これは現在の数字で見ましても、一月末で八十六日強というふうな数字になっております。そういうことで、この進行状況は、私ども立てております五十四年度末九十日備蓄目標を十分達成するテンポで進んでおるのではないかというふうに思います。  それから第二のの共同備蓄でございますが、これは従来まで二つの計画が具体化しております。一つは、新潟の石油共同備蓄会社でございまして、これはすでに建設が始まっておりまして、規模が百二十万キロリットルということになっております。それから第二が長崎県でございますが、西海石油共同備蓄会社で、でき上がりましたときの規模は百六十五万キロリットルということでございますが、これは現在土地の手当ての準備中ということでございまして、来年度になりましたら早急に具体化するというふうに期待しております。それからそのほかにつきましても、共同備蓄会社の設立によります備蓄基地の建設というのは、各地点でかなりの数のプロジェクトが出ておりまして、それぞれにつきまして地元との十分な話し合いということで現在進行中でございます。新年度におきましては私どもは、新たに三地点のプロジェクトが具体化するということで期待しておりますし、それに見合います予算措置も講じているわけでございます。  それから第三のタンカー備蓄でございますが、これは五十三年度に五百万キロリットルの国によります備蓄をタンカーを利用して実施するということでございまして、昨年来の国際収支の緊急対策とも絡み合わせまして、国家備蓄の前倒しということで私ども計画を立てておるわけでございますが、これにつきましては、関係省庁によります合同委員会、あるいは関係の業界の専門家からなります実施委員会等によりまして、安全防災対策あるいは事故補償保険システム等につきましての検討を進めておりますが、同時に、最も重要な泊地の選定につきましては、関係業界によって設立されております日本タンカー石油備蓄協会によりまして、現在調査が各地点において進められているという状況でございます。これは、いわば石油開発公団が実施いたしますタンカー備蓄の準備作業ということになっておりまして、実施の主体は石油開発公団ということになるわけでございまして、新年度できるだけ早く五百万キロリットルのタンカー備蓄を実施したいということで諸般の準備を進めておる次第でございます。  それから、最後の国家備蓄でございますが、これは五十七年度に一千万キロリットルの国家備蓄を実施するということで、そのために必要なタンク容量が千二百五十万キロリットルになりますけれども、これを大体三地点ぐらいに分けて実現したいということで、五十三年度を初年度としまして必要な土地の手当てを実施するということで、これにつきましても、現在別途お願いしております石油開発公団法の改正が成立しました後、できるだけ早く具体的な土地手当て等の折衝を始めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  72. 高橋高望

    ○高橋委員 細かくいろいろ御説明いただいたのですけれども、現在、本年度の計画しておられるものに対してどれくらいの達成率になっておりますか。一言でおっしゃっていただいて、何十%くらいいっておるとか一〇〇%とか…。
  73. 古田徳昌

    ○古田政府委員 九十日備蓄達成目標との関係でいいますと、五十二年度末、つまり今月末でございますが、八十日が備蓄目標ということになっておりますが、一月末で八十六日強、二月で、これは速報値でございますが、八十三日分弱という姿になっております。そういうことで、九十日備蓄目標との関係では十分目標値を達成しておるということでございます。  その他のタンカー備蓄あるいは国家備蓄につきましては、先ほど申し述べたような形で現在準備作業中ということでございます。
  74. 高橋高望

    ○高橋委員 この石油備蓄問題は、国の基本的な方向でもございましょうし、また、これは当然やり遂げなければならない問題だと思います。そういう意味で、関係各官庁の方々を御督励いただいて、少なくとも現段階で予定しておられるものは一〇〇%まず達成する、そしてその上で新たな事態に対処なさる、どうかひとつこういうふうな活動力のある御展開をお願い申し上げたいと思います。時間が二、三分ございますけれども、これで終わらしていただきます。ありがとうございました。
  75. 大村襄治

    大村委員長 貝沼次郎君。
  76. 貝沼次郎

    貝沼委員 石油税法につきまして質問いたします。  初めに、提案理由の説明を先般大臣がなさいましたが、この説明の中に、要綱もすべてこの言葉が入っておるのでありますが、「今後予想される石油対策に係る財政需要に配意して、」こういうふうになっておるわけであります。     〔委員長退席、野田(毅)委員長代理着席〕 これは「予想される」というふうになっておりますから、かなりはっきり予想されるのだろうと私は考えるわけでありますが、これは一体何を意味するものなんでしょうか。
  77. 大倉眞隆

    大倉政府委員 その表現が法案のいわゆる理由書きに入り、また提案理由説明にも入っておるということは、なぜこの際石油及び石油製品負担を求めるのかという、この税を創設する理由を国民に訴えて御理解を求めたい、そういう趣旨でございます。
  78. 貝沼次郎

    貝沼委員 私がお尋ねしておるのは、「今後予想される石油対策」の予想される内容ですね、たとえばこういったことが予想されるので、石油の備蓄なりいろいろなことが必要であるというふうになっていくと思うわけでありますが、この「予想される石油対策」というものは一体何が予想されるのか、この点について答弁を求めます。
  79. 大倉眞隆

    大倉政府委員 これは主計局からもっと詳細に申し上げる方があるいはよろしいのかもしれませんが、端的に申し上げますと、石油対策として当面かなりの財政需要をもたらすであろうと考えられておりますのは、備蓄関係費用並びに石油開発公団を通じます開発関係費用と申し上げてよろしいかと思います。
  80. 貝沼次郎

    貝沼委員 備蓄とそれから開発ということでありますが、先ほども備蓄についていろいろお話がありましたけれども、いま日本の国にとって石油の備蓄というのがなぜ必要なのかということです。漠然とは大体コンセンサスは得られておると思いますが、なぜ必要なのか、この点についての見解を求めます。
  81. 古田徳昌

    ○古田政府委員 わが国のエネルギーの供給構造の弱さといいますか、結局そこに帰着するのではないかと思います。昭和四十八年に石油危機がございまして、その時点で私どもとしましては、石油の六十日の備蓄体制を確立するということで諸施策を講じていたわけでございますが、結果につきましては先生御存じのとおりで、かなりの混乱が経済的あるいは通常の生活面でも起きたわけでございます。このような反省を踏まえまして、私どもとしましては、六十日の備蓄体制では不十分ではないか。特に日本エネルギーの供給構造の中で輸入石油に依存している割合が七〇%を超えているわけでございますから、この石油の供給に一たん緩急の事態が生じた場合は、非常に経済面で混乱が起きるということでございます。そういうことで、さらに六十日備蓄体制で不十分であるということで九十日の備蓄体制を確立する、その目標年度昭和五十四年度ということで置いたわけでございます。  これは同時に、ヨーロッパ諸国あるいはアメリカにおきましてもとられている政策でございまして、ヨーロッパ各国では、現在ではすでに平均しますと百日の備蓄数量になっております。アメリカにおきましても、国家備蓄の実施を二年間繰り上げまして、一九八〇年に五億バレルを国によって備蓄するというふうな施策がとられているわけでございますが、今後の世界的な石油供給の状況が依然として流動的だというようなことを考えますと、エネルギー供給面で最も脆弱だと見られておりますわが国の場合におきましては、この備蓄体制の確立といったものが安定供給の確保上非常に重要ではないかというふうに私ども考えているわけでございます。
  82. 貝沼次郎

    貝沼委員 いろいろ詳しいお話でございますが、要するに一つは、エネルギー資源の確保、備蓄である、それからもう一点は安全保障、こういうふうにいま私聞いたわけでありますが、大臣の答弁も何回か私伺っておりますと、たとえば先ほどは、石油エネルギー問題が大きな問題となってきた、こういう発言であります。それから、先日の答弁でも、エネルギー政策を進めるために財源が必要だ、これが一番強いと思っているという発言がありまして、エネルギー資源の確保、そのための備蓄、こういった要素が今回非常に強いという印象を受けております。  ところが、果たしてそうなのかということなんですね。エネルギーのための備蓄の方法を今回出されたとするならば、まず疑問に出てくることは、原油からこの石油税を取って、それでエネルギー対策であるというふうになってまいりますと、たとえばLPGであるとかあるいはほかのエネルギー資源の備蓄の問題に場合によっては使われても、あるいはそうでなくても、少なくともこの備蓄の方法、財政的支出のやり方、こういったものについての基本的な方向を打ち出したものとして受け取られるわけでありますけれども、この点についての見解を求めます。
  83. 大倉眞隆

    大倉政府委員 その点は、政府部内でもいろいろな意見がございまして、一つの意見は、やはりこれからのエネルギー政策全体を考えると、石油及び石油製品を利用、消費する方々に薄く広く負担していただいた財源を用いて、石油以外の資源の開発、新エネルギーの開発、そのための試験研究開発費、あるいはLNGのための費用、あるいは原子力関係の費用、それらを広く含めた総合エネルギー対策に用いてはいかがであろうか、かなり強い意見としてございました。  一方で、しかしそうは言っても、いままでない税を新しく負担してもらうのだから、非常に広い意味エネルギー全体を考えればつながるけれども、それが石油と直接にはつながってこない、特に石油とは、ある意味で言葉は悪うございますが、縁もゆかりもないところへ使うというのではなかなか納得しにくいよという御意見もかなり強く片一方にございまして、いま御提案しております姿は、石炭石油特別会計石油勘定の中で現在使わなくてはならない石油対策費にこれを充てましょう。その意味では、広い意味でのエネルギー対策費でなくて、狭義の石油対策費に充てる。税の中にそういう規定があるわけではございませんが、当面の財政処理として特別会計ではそういうことをはっきり法的にお約束いたしましょうということで、特別会計法の改正は別途商工委員会で御審議を願っておるわけでございます。  私どもが双方非常に強い両者の意見の接点を探りまして、今回この御提案に至っているわけでございます。しかし、それはまた考えようによりますと、いずれにしても、新エネルギーの研究開発費なりほかの備蓄なりで、財政資金を使わなくてはならないものがあればそれは当然使うわけでございまして、それは他の財源を用いてこれに応じていく。したがって、いわば石油税ができたということは、狭義の石油対策費についてこれだけの新しい財源が出てきてくれるので、その意味では、一般財源を他の広い総合エネルギー対策に使うゆとりがそれだけ出てきたというように考えることも可能ではなかろうか。したがって、当面いろいろな御意見をすり合わせた結果としては、いま御提案したように特別会計へ入れる入れ方として、狭義の石油対策費に限定するということで関係の方々の御理解を得ることといたしたい、そういう結論になったわけでございます。
  84. 貝沼次郎

    貝沼委員 大体わかりました。それで、要するに今回の場合は、石油の備蓄にかけるものである、これは私もそれで結構だろうと思うわけであります。したがって、先ほど第二段目に申し上げたことは、要するに、ほかのエネルギー資源の備蓄をやろうとするときに、いま局長が他の財源を求めてというふうにありますが、その他の財源を求め、そしてまた同じように、たとえば特別会計をつくり、そして備蓄をするというようなその方法においては、この石油税方法というものを一つの基準として考えてよろしいですか、こういう点なんですが、この点はいかがでしょう。
  85. 大倉眞隆

    大倉政府委員 その点は、一義的にお答えするのはなかなかむずかしいのであろうと思います。私、直接の担当ではございませんけれども、たとえば科学技術庁所管の新技術の研究開発に要する経費、これはいまは一般財源で賄っているわけでございます。こういうものを一々特別に、それに関係がある物品なり製品の消費ということを探していくかどうか。普通は、原則としては一般財源で税は扱い、その所要の財政需要というものはその枠の中で一番効率的な配分をする方が望ましいのではなかろうか。ただ現実問題としまして、狭い意味での石油対策費というものがかなりの金額に上ってまいりまして、いままである一般財源でなかなかこなし切れないというのもまた現実でございますので、今回、そのいまのいろいろな環境からすれば石油税という負担を求めることについて、大方の御理解が得られるのではなかろうかということで、こういう御提案をしているわけであります。しかし、これから他の種類の総合エネルギー対策というものがどの程度の大きさになりますか、また、それがかなり特定の受益と関連づけられるかという問題は、今後の情勢の発展次第でまた改めて勉強してみるという問題であるのかもしれません。一義的に総合エネルギー対策費は全部を特定の負担でということもなかなか申し上げかねる。その情勢に応じ、財政事情を考えながらと、まことに抽象的で恐縮でございますが、そういうお答えしかただいまはできないのではないかと思います。
  86. 貝沼次郎

    貝沼委員 それで、通産省にお伺いいたします。  昭和五十年に石油備蓄法ができまして、この石油備蓄法の第一条の目的によりますと、要するに、単なる石油の備蓄、安全保障ということが非常に強調されておると思うのでありますが、エネルギーの観点からの目的がないように見えます。したがって、この備蓄法との関連、要するに、この備蓄法の目的と現在の局長の答弁というものをかみ合わした場合に、問題はありませんか。
  87. 大永勇作

    ○大永政府委員 先生御高承のように、石油につきましては、OPECによる供給中断、エンバーゴーがございまして、それを契機として、石油備蓄の緊急な増強を図るということで石油備蓄法ができたわけでございます。ほかのエネルギー資源につきましても、一時的な供給中断、これは戦争による場合もございますし、政治的な面による場合もありますし、あるいは事故、輸送の途中におけるネック、いろいろな事情で一時的な供給中断が起こるようなものにつきましては、やはり同様に備蓄を進めていくべきものであろうと思います。  先ほど先生御指摘のLPGにつきましては、これは石油のうちでございますので、LPGの備蓄の増強に資すべく、今度の石油対策費の中から支出いたしておりますが、そのほかにつきましても、たとえばウラン鉱石等については、カナダの輸出停止の問題とか、豪州における輸出制限の問題とか、そういった点もございますので、これは財源は別途になりますけれども、並行して備蓄を進めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  88. 貝沼次郎

    貝沼委員 備蓄のやり方につきましては、先ほど答弁がありましたので、私はくどくど申し上げたいとは思いませんが、ただ国家備蓄という言葉が何回も使われております。  そこで、日本で言う国家備蓄という言葉の内容をはっきりしておかなければならぬと思うわけであります。どうも諸外国で言っているものとは少し意味合いが違うように思うわけでありますが、日本で言う国家備蓄の内容というものはどういうものであるか、諸外国で言う国家備蓄との間にもし差があるならばどの点が違うのか、この点についての見解を求めます。
  89. 古田徳昌

    ○古田政府委員 国家備蓄といいます場合は、実施の主体が国あるいは政府機関ということになるかと思いますが、同時に、備蓄にかかりますコストを一〇〇%国家が負担するということが、その内容ではないかと思います。  そういうことでは、私ども考えております現在の国家備蓄の推進につきましては、長期的には石油開発公団によりましてタンクを建設し、原油を備蓄していくという方式でございます。必要なコストはすべて石炭石油特別会計負担するということを考えているわけでございます。  なお、国家備蓄の一つの形としてのタンカー備蓄につきましても、考え方は全く同様でございます。  諸外国の場合におきましても、実施の主体が国あるいは政府機関、それから、かかる費用につきましてすべて国が持つという点については、全く同様ではないかと思っております。
  90. 貝沼次郎

    貝沼委員 せっかくでありますから、タンカー備蓄について一言聞いておきたいと思いますが、タンカー備蓄というのは、日本では非常にユニークな発想だろうと思うのです。そこで、タンカー備蓄の具体的なやり方ですね。たとえば普通ならばタンカーに原油を積んでそのまま浮かしておくような感じで受け取られるわけでありますが、実際はエンジンをかげながらおらなければならぬということだろうと思うのです。タンカー備蓄についての具体的な方法、さらにタンカー備蓄をする場所というものは決まったのかどうか、決まる可能性があるのかどうか、この辺についての見解を承りたい。
  91. 古田徳昌

    ○古田政府委員 タンカー備蓄の方式につきまして、大きく分けますと三つあろうかと思います。  一つは、油を入れましたタンカーを、たとえば岸壁に固定しておくという固定方式だと思います。それから、いかりによりましてこれを停泊させておくということで、錨泊方式というのがございます。三番目に、遊よく方式と申しますか、いかりをおろさずに一定の海域において遊よくしているという形がございます。このいずれをとるかにつきましては、地点の選定とも密接に絡むわけでございますが、現在私どもの方で考えておりますのは、いま申し上げました第二あるいは第三ということになろうかと思います。  したがいまして、この方式で地点の選定が非常に重要になってくるわけでございますが、現在関係業界が設立いたしました日本タンカー石油備蓄協会におきまして、この泊地の選定についての調査、検討を進めているところでございます。この調査、検討の結果を石油開発公団に引き継ぎまして、石油関発公団に関係します法律の改正が成立しました暁に、新しい名前が石油公団ということになるわけでございますが、石油公団がみずからタンカー備蓄を実施していくということになるわけでございます。
  92. 貝沼次郎

    貝沼委員 このタンカー備蓄は、先ほどの答弁でも、大体二、三年を考えておるようでありますが、つなぎとしてやるのである、その間に陸上のタンクの備蓄の基地を進めていくということのようでありますが、実際は陸上のタンクの方はなかなかむずかしい問題がたくさんあるわけですね。そういったことで、このつなぎの時期が終わった時点でタンカー備蓄に使ったタンカーはさよなら、ポイとなるのでしょうか、それはどうなるのでしょうか。
  93. 古田徳昌

    ○古田政府委員 タンカーにつきましては、定期検査を受ける必要がございまして、中間検査の期間が二年ということになっております。したがいまして、二年間についての契約をまず一つのタンカーについて考えるとするということになるわけでございますが、その二年間経過しました後、これは油を出しましてタンカーの検査を受ける必要がございます。その時点で、石油公団によります恒久タンクができ上がっておりました場合には、そちらに移しかえるということになるわけでございますが、その辺のつなぎがスムーズにいかない場合につきましては、別のタンカーをチャーターいたしましてそちらに移しかえるという方式、あるいは場合によりましては、いままでのタンカーの油は売りまして、新しく別のタンカーをチャーターし、別の油をそこに入れるという形で継続することを考えております。
  94. 貝沼次郎

    貝沼委員 ということは、陸上のタンクが予定どおり計画が進まない場合は、やはりタンカー備蓄というものはつながっていく、こういうふうに解釈してよろしいですか。
  95. 古田徳昌

    ○古田政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  96. 貝沼次郎

    貝沼委員 と申しますのは、いままで民間備蓄の方は順調にいったという先ほどのお話もありますし、五十三年二月の実績で見ましても、八十日のところが八十二・七日というふうになっておるようでありますから、非常に順調にいっている感じがあるわけであります。ところが、これは敷地の中のタンクをつくったり何かするのが進んでおるわけでありますから、進むのがあたりまえなのですね。実はこれからの方がむずかしい。したがって、タンカー備蓄というのは、単なるつなぎですよと言うけれども、私はそう簡単なつなぎではありませんよということを申し上げたいわけであります。  もう一点、石油税の流れの話でありますけれども、これは大蔵省にお尋ねいたします。  要するに、石油税が徴収されまして、一般会計に入って、それから石石特会に繰り入れをされまして、また石油公団、それで業界というふうな流れになると思います。石石特会の方は、附則の二項で「昭和五十七年三月三十一日までに廃止するものとする。」というふうになっておるわけでありますが、この附則と石油税法のかかわり合い、これを私はいまお尋ねしたいわけであります。  そこで、石石特会の場合に「五十七年三月三十一日までに廃止するものとする。」この条項の解釈はどうなりますか。
  97. 禿河徹映

    禿河政府委員 石炭及び石油対策特別会計は、先生御指摘のとおり、現在五十七年の三月末までに廃止するものとするということになっておりますが、もともとこの特別会計の起こりは、昭和四十二年から石炭対策を進めていこうということで設けられてきたものでございまして、それぞれその石炭対策に応じまして期限が付されておりましたが、過去三回にわたって延長されてきております。そういうふうな時限的な特別会計という性格をもともと有しておるものでございますけれども現在考えますのは、一応これは五十六年度末をもって廃止をするということになっておりますが、石炭それから石油対策というものを今後進めてまいりまして、その期限が切れます時点におきまして、さらにこれを延長する必要があるのかどうか、その辺の対策の進捗状況等も踏まえまして、その時点で関係省庁ともよく相談いたしまして、最終的な取り扱いを検討いたしたい、かように考えております。
  98. 貝沼次郎

    貝沼委員 いまこれからの方向について話がありましたけれども、条文の解釈はどうなりますか。「廃止するものとする。」これはいつも国会で問題になる言葉でありますから、確認をしておるわけであります。
  99. 禿河徹映

    禿河政府委員 法文の上で「廃止するものとする。」とございますのは、その時点におきまして、国会の御意思によりまして廃止するというふうな決議がなされました場合、それをもって廃止をするということに相なるものと考えております。
  100. 貝沼次郎

    貝沼委員 ということは、「廃止するものとする。」というのは、廃止法案を出すか、さもなければ延長法案を出すかしなければならない、こう読めるわけですね。どっちも出さなかった場合はどうなるのですか。
  101. 禿河徹映

    禿河政府委員 ちょっと私、法制局のあれでもございませんので、何と申し上げたらいいのか大変困りますが、先生御指摘のとおり、そういうことになれば、廃止する法律を国会の意思として決められますか、あるいはこれを延長するというふうな御決議で決められますか、そのいずれかによることに相なろうと思います。ただ、私どものあれといたしましては、これを延長するかあるいは廃止するか、その辺の国会に対します提案を、その前の時点においていたしまして、御審議をいただき、その議をちょうだいいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  102. 貝沼次郎

    貝沼委員 大臣、そういうふうに石石特会というのは時限立法なんです。しかも、そこから先はわからないのです。ところが、石油税法は恒久法なんです。いつ廃止されるかもしれない、されないかもしれない。廃止された場合に、石油税法で徴収されたお金は一般会計に入りますが、そうなると、使途については、備蓄のためとかいろいろいま説明なさっておりますけれども、これが満足しないことになりますね、これはどういうふうになるのでしょうか。
  103. 大倉眞隆

    大倉政府委員 非常に法律的な角度からの御質問でございますが、ただいま主計局次長が申し上げましたように、石炭石油特別会計の附則の期限満了のときに十分検討の上で、それを延長するのかあるいは廃止をして、しかし仕事が急になくなるとは私ども思っていないわけでございまして、その仕事の受けざらを別の特別会計に持たせるのか、あるいは一般会計に持たせるのかという処理になろうかと思っておるわけでございます。  したがいまして、五十七年度以降もいま予想されておりますようなその石油対策費というものが、財政需要として急に要らなくなってしまうというふうには予想していないわけでございますので、そのときの受けざらがどこに行くかに応じて、法律的に申せば、たとえば石特会計がなくなればいまの石特会計における繰り入れ条項もなくなる、したがって、一般会計でやるのであれば法的には何の措置も要らない、また全然別に、これは本当の仮定の話でございますが、たとえば総合エネルギー特別会計というようなものに発展的に変わったということになれば、それはその時点でその総合エネルギー特別会計への繰り入れの条文をつくって御審議を仰ぐというふうな、いろいろの対応の仕方があるであろう。ただ、五十六年度限りで石油対策費にかなりの財源が要るという状態がなくなってしまうというふうには予想していないわけでございます。
  104. 貝沼次郎

    貝沼委員 私もそういうふうに切れるというふうには考えておりません。だからこそ恒久法で出してきておると思います。しかしその中身は、いま申し上げましたように、恒久法ではあるが時限立法的内容を含むものである、こういうふうに私は思うわけであります。そういうのはいかがですか。
  105. 大倉眞隆

    大倉政府委員 ちょっとお言葉と違うことを申し上げて恐縮でございますが、私どものいまの予想は、未来永劫にということを申し上げるつもりはございませんけれども、かなり長い期間この税としては必要になるであろうという意味で、恒久的税法として構成しておいていただけたら幸いである。受けざらの仕組み、それを受けて財政支出を行う仕組み、それが時限立法になっておりますので、その時限立法の期限までに、そのまま継続するか、別途の方に発展的に用いるか、一般会計に引き継ぐか、それはそれで十分検討しなければならないのでございましょうし、またそれまでの機会に、いまお願いしておるような仕組みで使途をそのままにしておいてよろしいか、もう少し使途を場合によって広げるかというふうなことを含めまして、今後の検討課題にさしていただきたい、そう考えているわけでございます。     〔野田(毅)委員長代理退席、綿貫委員長代理着席〕
  106. 貝沼次郎

    貝沼委員 いまの答弁でほぼ方向が見えるような見えないような感じがいたしますが、私は、もう石石特会だけでやるというのは果たしてどうなのかなという感じがするわけであります。したがって、もっと新しい方向検討すべきではなかろうかと、こういう考え方を持っておるものですからこの話をしたわけであります。  いずれにいたしましても、何となくぎくしゃくした感じがあるわけですね。そこで、税制の上からの感じでありますけれども一般財源に入るといいながら、何となくひもがついておるということですね。一般財源というのは、大体私はひもがつかないのが本当だろうと思うのです。それを、ひもがついておるのをわかっておりながら、わざわざこれをつくらなければならないということでありますが、これはそういうものがある方が望ましいからそういうものをこれからつくろうとなさるのですか、それとも望ましくはないがいたし方ないということなんでしょうか、この辺についての御答弁を求めます。
  107. 大倉眞隆

    大倉政府委員 その点は、財政当局と申しますか、主計局、主税局立場から申し上げますと、やはり基本的には、税はすべて一般財源である方が望ましいという考え方を依然として持っていると申し上げてよろしいかと思います。ただ、現実の問題としては、いろいろの経緯もあり、個別の税目が実質的に特定財源になっている。いまの段降で、たとえばその中で税収が一番大きいのは揮発油税でございますが、揮発油税実質特定財源から外して一般財源化できるかということを考えますと、現実には道路整備費の需要が依然として大きくて、揮発油税では不足して一般財源を投入せざるを得ない、そういう状況では、理論的にはともかく現実の問題としては、なかなか揮発油税一般財源化ということは考えにくい。今回の新税が、そのような基本的考え方があるにかかわらず、なおかつ実質特定財源として持ってきたのはなぜだ、こういう点ではあるいはおしかりを受けなくちゃならないのかもしれませんが、これもまたやはり現実的な問題としまして、この種の新しい負担を求めるときに、それは石油製品を利用、消費なさる方に広く薄く負担していただきたい、しかし、それは石油対策の需要が非常にふえるからそれに使わしていただきたいということを申し上げて、やっとその大方の御理解が得られるという現実問題もまた無視できないというふうに考えるわけでございます。  そこで、法律上の表現としてこれを普通税として構成させていただきたい、法律上の厳密な意味での目的税としないという形で御提案しておりますのは、まさしく先ほどの御質問にありました受けざらの方が時限でございまして、ちょうどその揮発油税と道路緊急整備特別措置法と同じ関係になっております。道路緊急整備特別措置法が仮に期限到来とともに廃止される事態になりましても、揮発油税揮発油税で残るということ、それと同じような形をひとつ法律的には規定さしておいていただきたい、そういう趣旨でございます。     〔綿貫委員長代理退席、委員長着席〕
  108. 貝沼次郎

    貝沼委員 私は、こういうひもつきの財源というものは非常に好ましくない、こう思うわけであります。こんなものがどんどんできていきますと、一般会計というものは何のためにあるのか実際わからなくなってしまう。したがって、こういったものが今後余りできないように、なお、できないようにだけでなく、ある適当な時期を選んでこういったものはもう一度見直しをすべきである、整理すべきである、こういうふうに考えるわけであります。  たとえば自動車重量税のときもそうなんですね。もう一般財源であるようなないような非常に、ある人はウルトラCと言ったそうでありますが、そういうようなものができておる。こういう税体系になっていくということははなはだ好ましくない、こういったところから、今後こういうようなことができないように、また、今後これを検討していくように要求をしておきたいと思います。  それから、先ほど備蓄の話をいたしましたけれども、備蓄は、お金を出して、そして原油を買ってくるということを一般考えるかもしれません。また、これが黒字減らしになるかもしれません。外国の圧力もかわせるかもしれません。しかしながら、やはり最も確実な備蓄というものは何かと考えてみると、日本近海の海底における油田の開発、これは発見をしておいて残しておく、これが最も確実な備蓄であろうと思うわけであります。したがって、ここまで備蓄問題が出てきたならば、当然海底油田の開発ということについて予算的措置が必要になってくるわけでありますけれども、この辺についての考え方をお尋ねしたいと思います。
  109. 古田徳昌

    ○古田政府委員 わが国周辺の大陸棚の石油資源の開発が持つ政策的な意味というのは、まさに先生御指摘のとおりではないかと思います。そういうことで私どもとしましても、この探鉱開発の促進に従来から力を注いできたわけでございますが、昭和四十六年度から本格的な探鉱が行われております。現在まで五十五本の試掘井が掘られておりますが、その中で、昭和四十七年には新湾県の阿賀沖で成功しております。さらに四十八年には福島県の常磐沖で試掘に成功しておりまして、前者につきましてはすでに生産中でございます。後者については生産につきましての検討中ということでございます。  それから、わが国周辺海域におきます石油、天然ガスの賦存の可能性といいますか、ポテンシャリティーを把握するということで、国としましても昭和四十五年度から基礎的な物理探査を実施してきております。そういうことで、従来から活発に政策の実施を行ってきたわけでございますが、この探鉱開発の裏づけとしまして、石油開発公団が、わが国周辺海域におきましての探鉱につきましては、所要経費の七〇%を限度として出融資を行ってきております。海外におきましては五〇%ということでございますから、国内については特に高い比率を適用してきたというわけでございますが、なお、五十三年度以降につきましては、さらにこの近海油田での探鉱開発を促進しますために、この七〇%の比率を八〇%に引き上げるということで予定を立てておりまして、五十三年度以降さらに近海油田の開発促進のために努力してまいりたいと考えております。
  110. 貝沼次郎

    貝沼委員 終わります。
  111. 大村襄治

    大村委員長 佐藤観樹君。
  112. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私が本法案の最後になりますので、非常にこの問頭についても、バックグラウンドも含め、税制本体としても若干問題があるものですから、われわれも実は賛否に非常に困った法案でございます。そこで最後に、大きく言って二点だけお伺いをして、われわれの考え方も整理をさせていただきたいなということで質問をするわけであります。  まず第一点は、これも若干わが党の伊藤委員の方から質問がありましたけれども、全く新しい体系がここに加わる。それに伴って従来の税制との関連におきましていかがなるものかという感じがするわけであります。それは、御存じのように原油には関税がかかり、そしてその次の段階で今度は石油税がかかる、そしてガソリン、ジェット燃料、軽油、それからLPGの一部、こういったものについては個々の法律体系に基づいて税金がかかる、こういったように、皆さんの方では二重と言わないんだそうでありますけれども、二重課税ではない、目的とその段階が違うから二重課税ではないと言うのだそうでありますけれども、あえて二重課税と言わないならば、三段階で同じ物品が税金がかかるということについては、決して制度上好ましいことではないと私は思うのであります。  確かに他の率に比べて石油税が薄いかもしれませんけれども、同じ物品がそこを通るごとに、確かに意味は違うかもしれないけれども、その都度税金がかかっていくということは、私は制度論から言って余り好ましい制度とは思えない。われわれのように税をいつもやっておれば、ある意味ではこれが二重課税という言葉にはならぬかもしれませんけれども一般国民、関係されている業界から見ますと、同じものが通過するごとに三度も税金を取られるということは、なかなか国民には一般的に納得がいくことではないと思うのであります。  そこで、一体今後この体系をどうしていくのか。石油税とガソリン諸税、四つあるのを総称して諸税と言わしてもらいますけれども、ガソリン諸税とは国内の消費税に属すると思うのですね。そうしてきますと、いずれこれはそういった性格論から言うならば、一本になるんじゃないかな。つまり、関税というものと国内消費税という関係から言うならば、恐らく石油税とガソリン諸税というのは、性格論から言うならば関税よりも近いだろうと私は思うのです。そうなってきますと、次に整理することを考えるならば、石油税とガソリン税関係を一本にするのがまず次の段階なのかなとも思うのであります。  前半申しました同じ商品が三回税金をかけられるということについて、国民の側から見ると——他の商品も全然こういうものがないとは言いません。私は自動車重量税のときにもずいぶんいろいろ議論したのでありますけれども、そういうものがないとは私は言いませんけれども、決してこれは好ましいことではないと思うので、一体前半の部分についてはどういうふうに考えていらっしゃるのか、そして、後半のいわゆる整理統合という問題についてはどういうふうに考えていらっしゃるのか、まずその点からお伺いしていきたいと思います。
  113. 大倉眞隆

    大倉政府委員 税制として二重課税になるかどうかという点は、佐藤委員の御質問の中でも、その点を問題にするよりはむしろ同じものに対して通関のときに根元で二つ、それから製品化されるときにまた一つということが税の体系としていかがなものかという御指摘でございまして、いまあるものに加えて今回石油税が加わるということは、その限りにおいて一つ複雑になったという点は否定できない事実でございます。  将来の方向としていかに考えるべきかということにつきましては、おっしゃったような統合の方向考えるというのも確かに一つあり得る考え方であろうと思っております。ただ、いまそう言いながら、また新しい課税理由により新しい課税形態を御提案しておるというのは、やはり私なりに考えてみますと、その使途がそれぞれの理由で説明され、それによって納得されて負担されてきておるということと切り離しては考えられないであろう。つまり、仮に揮発油税というものを全部石油税に吸収してしまうということがいまできるであろうかというと、それはやはり道路整備緊急措置法との関係で、先ほど来申し上げておりますように、理論的にはともかく現実問題としてなかなか割り切れない面が多い、財政の対応としてもむずかしいという点、これまた否定できないと思います。  したがいまして、御指摘の御趣旨はよくわかるつもりでございますので、やはり今後の財政需要の推移を十分見守りながら、それぞれの税目が個別の製品の消費に対して特別の一種の受益者負担的な負担を求めている、しかしその負担の求め方は、財政需要に応じてまた変化してしかるべきでございましょうから、将来石油関係諸税の使途というものをときどきに応じて柔軟に見直しながら、その見直しの機会にあわせて負担の求め方も見直しを続けていく。その際、基本的にはできることならば、簡明な方式の方がよろしいという基本を見失わないで、そのときどきの情勢に応じての検討を続けさせていただきたい、そのように考えます。
  114. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 いまのお答えは、私の質問のむしろ前半だけのお答えのような気がするのです。後半お伺いをした、内国消費税として根っこから、皆さん方の表現を使うと薄くかけ、そうして末端で四品目については個々にかけるというものが制度としていいんだろうか。したがって、恐らくもう一つここで複雑化したものを、将来のエネルギー対策の財源として考えるときには、もう少し整理統合する必要があるだろう。そうなってくると、内国消費税としての石油税とガソリン諸税というものは、何らかの形で統合へ向かっていかなければいかぬのじゃないだろうか。いまの主税局長のお話では、必ずしもまだはっきりそこまでは出ていないような気がするのでありますけれども、その点についてもう一度ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  115. 大倉眞隆

    大倉政府委員 内国消費税の中に今度御提案申しているような課税段階のものがあり、あるいはすでに存在している個別消費税のようなものがあり、それが併存してはいけないかということになりますと、それは私は併存することが絶対に許されないとまでは考えておりません。ただ、やはり石油石油製品という一つのグループの中で考えますと、石油税は根元で全体に負担を求めておる、たとえ率が薄くても全体に求めておる。揮発油税石油ガス税、航空機燃料税というものは、そこからつくられたものに、別途の意味ではありながら、また負担を求めておるという意味で、複雑であるという点は御指摘のとおりなんで、しかし、それを今後できることならば一つにした方が望ましいという御指摘を根元に頭に置きながら考えていくことになると思いますけれども、ただ、それがまさしくいま新しいものを御提案しているという現実が、いつになったらすっぱりと割り切れる状態に移るかということになりますと、それはやはり道路整備なり空港整備なりというものに対する財政需要の移り変わりを見きわめながらということでしか現実的な解決方法はなかなか見つからないのではなかろうか。それは石油対策費の推移にもよる、さらには総合エネルギー対策というものの大きさなりそれに対する納税者全般の対応なりにもよる、道路整備がどこまで進んでいくかにもよるというようなことをすべて絡み合わせながら、しかし今後の重要な研究課題であるというふうに私どもとしては受けとめさせていただきたいと思います。
  116. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 確かに局長の言われるように、これから新しい制度をつくろうと言っているのに、この制度自体がおかしいのではないか、将来の統合の話をするのは、ある意味では早過ぎるかもしれませんが、なぜこういうことを聞くかといいますと、国民の側から見ますと、やはり唐突という感が免れないのですね。いま局長の言われたように、いわゆる一つ目的を持っておのおのの制度が歴史的に存在をしてきた、これは確かにそうだと思うのです。そのために石炭石油特会があり、石油勘定があり、従来それなりの役目を果たしてきたわけですね。そういった体系があり、片方では個別消費税関係のガソリン諸税関係がある。こういう中に、今度は一つ石油備蓄が大きな役目を果たすところの石油税というものがまた新たにできてくる。こうなってきますと、じゃその目的さえ何か別に変えれば、どんどん何段階でも税金をかけていいのか。  私は、局長の言われるように、確かに個別消費税と根っこからかける、物体全体にかけるものについて、併存することは絶対にいかぬと言っているわけではないのです。ですから、私もそういった他の例が、たとえば砂糖のようにあることも否定はしません。否定はしませんけれども、関税という体系があり、片方では個別消費税の体系があり、その後にまた石油勘定と類似するような石油税の体系がもう一つ入り込んでくると、国民の側から見ますと、何だか無理無理体系をつくっているのじゃないかという感が免れない。しかも冒頭に申し上げました四つの品目については、三段階で税金がかけられるということは、やはり国民の側にとって決してすっきりすることではないわけですね。  ですから、私はそういった意味で、確かに成立するかしないかと言っている段階で次のことを考えるのはおかしいかもしれませんけれども、国民の側にはどうもそれが税調に唐突に短い期間に出され、そして税制度としてもまたなお一層複雑にした、これが結果的には石油関係する課税の体系というものを非常に複雑にする、ゆがめる感というものがぬぐえないわけですよ。だからこれでいきますと、また何か別の目的をつければまた取れるじゃないかということを言われても、われわれも責任を持って疑問を持つ国民の皆さんに答えられないというのが正直なところです。ですから私はこういう質問になるわけですね。もう一度そのあたりを国民の側に十分納得できるようなひとつ御答弁をいただいて、次に移りたいと思うのです。
  117. 大倉眞隆

    大倉政府委員 同じことを繰り返し申し上げてしまうことになるのではないかと思うのでございますが、ただいまの御質問を裏から私どもなりに考えてみますと、いますでに個別の石油製品についてはかなりの負担を求めているのではないか、したがって、石油対策財政需要が生じてきたのならば、いますでに求めている製品課税の方の負担を振り向けていったらいいではないかということになるのではなかろうかと思うのです。ただ、それが現実の問題としましてはなかなか五十二年度、五十三年度あるいはあとしばらくの間、揮発油税税収道路整備財源としてオーバーフローしてしまうという状態が予測できない。その意味で、やはり揮発油税揮発油税としての負担をそのまましていただきたい、航空機燃料税しかりというふうに考えてまいりますと、石油対策に要する財政資金というものは、石油ないし石油製品を利用、消費される方にひとつ薄く広く負担していただきたい。それはいままで個別製品として負担していなかった油種をお使いになる方にも負担していただきたいし、いままでガソリン税として道路整備のために負担していただいた場合にも、やはりそれプラス新しく、石油製品の中のかなり高額な油種であるガソリンというものを使われる方にも負担していただいたらどうであろうか、そう考えて今度のような御提案になる。  したがって、一種の実質的な意味での重複というものを排除するという仕組みを考えますと、やはりそれはいま課税されていない油種についての製品課税の方が理屈としてはすっきりするのかもしれませんが、しかしどうもそうやりますと、技術的な困難さというような問題を全然別にしまして、今後必要とする石油対策の財源は、たとえばいま特別の負担をしていない重油を使っている方だけで負担してくださいということになりまして、それはそれでまたなかなか納得していただけないのではないか。あれこれ考えたあげく今度のような御提案になっている、そういうことでございます。
  118. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 しつこいようですが、もう一回確認をしておきますが、国民の側からいいますと、いま言ったような財政需要があることもわかるだろうし、エネルギー対策が非常に必要なこともわかるわけです。それはわかるが、だからといって、理屈をつけて課税をしてくればいいか。それは確かに局長のいまの御説明、ある程度私もわからぬわけではないが、話を簡単にして、幾ら頭のいい大倉主税局長でも、率の話は別として、あるいは額の上下は別として、これ以上石油に対して、何か別の目的をつくって、あるいは別の財源が要るからといって、新しい課税というのはまさか考えられないのでしょうね、別の聞き方をすれば、そういうことをちょっとお伺いをしておきたい。
  119. 大倉眞隆

    大倉政府委員 それは観念的に申しますと、石油製品の中でいま特別の負担を求めていない油種がございますから、そういうものについての製品課税というものはなお検討の余地があると申し上げていいのかもしれませんが、しかし、長年の歴史の中でそういう税が提案されてこないということも事実でございまして、その意味では、余り先々まで御心配いただかなくても大丈夫じゃないかという気もいたします。
  120. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 恐らく局長が言われたのは、関税暫定措置法でナフサを軽くしているものと農林漁業用のものだと思うのです。それ以外にあるのですか。
  121. 大倉眞隆

    大倉政府委員 そういう意味で申し上げたわけではございませんで、石油製品の中で揮発油、航空機燃料、石油ガスというものには特別の理由で特別の負担をお願いしておる。それから今度は、石油対策ということで石油製品を使われる方すべてに薄く広くというお願いをしておる。何も残っていないのかと観念的に考えますと、それはたとえば重油というものは、原重油関税以外にはいま特別の負担はないし、今度も石油税を広く薄くという意味負担していただくけれども、それ以上の特殊の負担はないわけで、そこに特殊な負担を求めるということが観念的にはあるかもしれませんが、しかし重油消費税というものを、まあ地方財源として欲しいという考え方が知事会などにはございますけれども、なかなかそれが現実の問題にならないということがございますので、そこでしつこく観念的にはという言葉をつけて御説明しておるつもりでございます。
  122. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 いま局長が言われるように、他のたとえば重油あるいは灯油、そういったいま個別消費税がかかっていないもの、もしそれを全部かけるということになりますと、根っこでは薄くかかっている、下ではさらにそれより厚くかかっているということで、これではほとんどの品物が関税を除けば二度かかるということで、ますます体系的におかしくなると私は思うのですよ。だから私が聞きたいのは、いま局長は、他の目的をもってたとえば重油にかけるとかいうことを言われたけれども、そうなってきますと、石油税性格というものがますますわからなくなってくるのですね。  大臣どうですか。これは先の話だし、一応この体系は、何度か他の委員からも出ておりますように、石炭及び石油特別会計が五十六年度、つまり五十七年三月三十一日で切れるものですから、先ほど貝沼委員からも御指摘があったように、何らかこれは考えなければいかぬわけですね。そのときに、この石油税の体系、そして個別消費税の体系、そして関税という三段階あるものについて、それまでに何か総合的に考えて、三度もかけられるというようなことは制度論として必ずしもいいことじゃないと私は思うので、考え直す。これからつくるというのに、いまから考え直すというのは、確かに局長としては頭の痛いことかもしれませんが、いずれにしろ石石特会が次の期限が来るときまでに、この体系については——当面は、局長が言われるように政治的な問題もあることは私もわかります。しかし、制度論としてはどうもこれはしっくりといかないところがあるので、このあたりについては、税に造詣の深い大臣としては、今後の研究課題となさる、こういうことはいかがでございますか。
  123. 村山達雄

    村山国務大臣 二、三のことを申し上げたいと思うのでございます。  一つは、いまあります三段階か何かのものは、ほとんど特定財源になっているという問題があるわけでございまして、あるべき形から言いますと、財政当局の方は一般財源の方が望ましいのでございますけれども、事実上全部特定財源になっておるのでございます。これが一つなかなかむずかしいな、こう思うのでございます。しかも、そっちの方の財政需要が減ってきますと、やがて一般財源にできる道もあるわけでございますけれども、目下の状況のところはなかなかそうはいかぬのでございまして、ガソリン税も地方道路譲与税もあるいは石油ガス譲与税も全部特定財源でいっているわけでございます。それから関税も、今度できますのもいわば特定財源になっているわけでございます。そこが、われわれが一般財源を望むにもかかわらず、なかなかむずかしいというところの第一点であろうと思うのでございます。  それから第二点の問題は、できるだけ消費者には簡明の方がよろしいし、特に徴収義務者にとりまして簡明の方がいいに決まっているわけでございますが、そこで考えられるのは、ガソリンとか軽油とかというもの、これがわりと受益者負担、今度のものも受益者負担的な要素を持っていると言いますけれども、何しろその程度が薄いことは税率で大体おわかりだろうと思うのでございますが、ガソリンとかあるいは軽油引取税ということになりますと、この受益者負担的な、あるいは特定財源にするだけの非常に密接な関係を持っているというところ、その意味でいいますと、かなりの負担を求める理由があるかもしれぬ、こういう二つの問題があるわけでございます。確かにいま佐藤さんがおっしゃったように、一般財源にするという角度から、また簡明にするという角度から今後とも検討を重ねていきたいと思いますが、二つの制約があるような気がいたします。  そこで、この問題は一つ検討問題でございますけれども原重油関税というものとそれから今度の石油税、これは実際のことを言いますと、徴税機関はほとんど同じでございまして、国内産油を除いてはほとんど違わないわけでございます。その意味で、これを税制の上では三段階と呼ぶか、あるいは徴税の面から言いますと二段階と呼ぶのか、この辺のところの整理があるいは少し——財源も同じような財源に使っているわけでございますから、とりあえずはその辺の検討から始まるのかなという感じがいまいたしているのでございます。いずれにいたしましても、佐藤委員のおっしゃったことも、われわれは御趣旨はよくわかるわけでございますが、引き続き真剣に検討してまいりたい、かように思っているところでございます。
  124. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 次の問題は、ここでずいぶん備蓄の問題は討議されたのでありますけれども、私は本来的には、備蓄も軽視するわけではないのですが、本当は新エネルギーの開発にもっと力を注ぐべきではないか。実は、今度の法案は、私が見たときには、そういったところにも回すのかなと思ってよくよく調べると、ちっとも回ってないのですね。私は、その辺が一番大きな問題じゃないかと思うので、それについて若干お尋ねしておきたいのでありますけれども、主計局はいらっしゃっていますか。——この点についてはあらかじめ質問を言ってなかったのでありますけれども石油及び石炭対策特別会計から、これは工業技術院がやる仕事でありますけれども、石炭の低カロリーガス化プラントの建設というのが石石特会から四億一千八百万出ているわけですね。これは非常にいいことだと私は思うのですけれども、私もずいぶん目を皿のようにして、石石特会で一体そういうものがどういう項目から出せるんだろうかということをずっと洗ってみたのですが、どうもそれがわからないのです。この石炭低カロリーガス化プラントの建設というのは、石石特会の一体どういう項目に従い、そして歳出の部門では一体どういう項目でこういうものができるのか、ちょっとその辺をお伺いしたいのであります。もしすぐお答えできなかったら、ちょっと先へ進みますから、調べておいていただきたいと思うのです。  それから、主税局長にお伺いしますけれども、今度の石油税というのは、先ほど目的財源か一般財源かのお話がありましたけれども、今年度に限っては千六百二十億がまるまる石油勘定に入るわけじゃございませんので、その意味では若干一般財源もあるけれども、しかしなおかつこれもひもつきだという状況ですね。そうなってきますと、今度の石油税自体は、石炭は別といたしまして、新エネルギーの開発ということには使えない、そういう目的ではない。残念ながらそういうことですね。
  125. 大倉眞隆

    大倉政府委員 そこの御説明がなかなかむずかしいのでございますが、実質的には石特会計の石油勘定に繰り入れる、もし余っていたら翌年度以降の繰り入れ財源に加算するということでございますから、ある程度の期間をとれば、これは全額石油勘定繰り入れに実質的にひもがついておるとまず申し上げておきます。  それがおっしゃいますようなもう少し広い意味でのRアンドDに使えないのか、また使うべきではないのかということになりますと、先ほど他の委員にお答えしましたように、そういうふうに使うべきだという強い御議論もありました。しかし、また、きょうまさしくこの委員会で御質問がありましたように、そういうふうに使っちゃいけない、もっと狭いのなら納得するという御意見もありました。両方の御意見がありまして、いま御提案しているのは狭く限定した方の姿になっておる。しかし、実質的にそれが意味するところは、そんな欲張りなことを言うなとおっしゃるかもしれませんが、とにかくいずれにしろ、必要な財政支出はしなくてはならないわけで、その意味で、石油税をお認めいただければ、それだけ一般財源を活用してRアンドDを使うゆとりが出てくるということも事実でございまして、一般会計全体の財政事情からいたしますれば、石油税創設していただけば、新エネルギー開発のためにも資金を振り向ける余地が出てくるという面も否定できないであろうというふうに考えております。
  126. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私はその点が非常に重要だと思うのです。ちょっと前に発言をしましたように、とにかく膨大な量の石油備蓄をする、それで国家は安全かというと、なおかつ必ずしも安全じゃない。それよりも、その費用をなるべく多く新エネルギーの開発の方に回して自前のエネルギー財源を持った方が、急がば回れで早道じゃないか。そう話は簡単にはいきませんが……。しかし、やはりそういう姿勢と申しますか、その辺は持つ必要があるだろう。  最近の価格で一基四十八億もタンクと備蓄でかかって、それをとにかく後楽園の大きさのものを千何百個もつくらなければいかぬ。果たしてそんなことが島国の日本でできるだろうか。それよりも、後でお伺いしますけれども、大体新エネルギーの開発には百億しか使ってないんですね、原子力は別として。そうしたら、もう少しそちらに振り向けた方がいいのじゃないかということを私は非常に思うのであります。  それはおいおいお伺いしていきますけれども、いま局長が言われた千六百二十億、とにかく新たな課税をして財源になったわけでありますから、もし課税をしなかったならば、その分だけ一般会計の中でこの備蓄のための費用というのは、どこかで何かを犠牲にしてつくらなければいかぬわけですね。その意味では、まさに局長が言われたようにゆとりが出てきているということだと思うので、そこで私は、その部門については、金さえ使えば新しいエネルギーの技術がぼんぼん出てくるというものじゃないけれども、しかし、金をかけるということはそれなりに大きな進歩になっていきますから、その点も必要だと思いますが、その点については後でお伺いをしたいと思うのであります。  それで、主計局、わかりましたですか。
  127. 禿河徹映

    禿河政府委員 低カロリーの石炭のガス化技術の開発の件でございますが、私ども石特の会計から出しておりますのは、第一条の目的といいますか、石炭対策とは次のような財政上の措置であるということでいっております第一条第二項第一号のイ「石炭鉱業合理化臨時措置法第三条に規定する石炭鉱業合理化基本計画に従い、石炭鉱業の生産の合理化を図るために行なう事業」、この「石炭鉱業の生産の合理化を図るために行なう事業」ということで見ておりまして、石炭勘定の歳出という第三条の規定におきましては、第二項第七号「石炭対策に係る附帯事務等に関する措置に要する費用」、この「等」ということの中に含まれるものと見ております。  具体的に申しますと、各種の石炭対策をとっておられますけれども、その石炭鉱業の生産体制の改善対策に必要な経費といたしまして一項目、石炭ガス化技術開発委託費というのを計上いたしておるわけでございます。
  128. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 その第一条の「設置」のところの二項の一号のイですけれども、「石炭鉱業の生産の合理化を図るために行なう事業」、この「生産の合理化」ということにどうして低カロリーガス化の技術というのが加わるのかというのが、私は悪いと言っているのではないのだけれども、「石炭鉱業の生産の合理化を図るために行なう事業」で、どうもイメージが合わないのです。それで歳出の部門でも、「石炭対策に係る附帯事務等に関する措置に要する費用」と、「附帯事務」というと、われわれの常識では何か軽いことのように、そう特別重い大きな意味を持ったものではなくて、若干関連をするというようなことに常識的には読むのですが、私たちにとりまして、低カロリーガス化発電の技術というのは非常に重要なことなわけです。それがどうも何となく条文としっくり合わぬものですから、恐らくこれは主計局用語だと思うのでありますけれども、別に深く追及する時間もありませんので、一応そういう条文なのかということだけを理解しておきたいと思うのであります。  そこで、サンシャイン計画の中で、私が調べた限りでは、一番実用化に近いのは地熱と石炭の液化だと思うのであります。きょう工業技術院の方、来ていただいていると思いますけれども、この地熱発電と石炭液化についていまどういう状況で、そして企業化といいますか、実用化に向けてはどんな見通しかということについて、余り長く技術的なことをお話しいただいても、時間等もありますので、若干現在の状況と見通しについてお伺いをしておきたいのであります。
  129. 吉田方明

    ○吉田説明員 地熱につきましては、現在浅部地熱、比較的浅い千メートル内外のところから取り出す蒸気を利用した発電につきましては、すでに発電を実施しておりまして、全国で七カ所、二十二万キロが、すでに運転されているものと計画中のものを含めた数字でございます。  私ども工業技術院で取り扱っております地熱エネルギー技術につきましては、現在地熱の熱水利用発電技術というものをパイロットプラントでプラント開発を進めております。これは現在千キロワット、北海道と九州の二カ所でそれぞれ開発を進めております。また、一般的に地熱の調査研究といたしまして、探査、掘削、採取、利用に関する新技術についての研究開発を現在進めている段階でございます。  また、石炭につきましては、石炭の液化技術につきましては、日本独自のソルボリシス法という比較的低温でアスファルトを利用して石炭を液化する技術でございますが、これが現在プラント研究開発の段階にございまして、一トン・パー・デークラスのプラントができ上がって、これから試運転に入ろうとしている段階でございます。  また、石炭のガス化技術につきましては、先ほどお話がございました低カロリーガス化発電プラントが現在北海道の夕張で運転中でございますし、さらに高カロリーガス化プラント、一日七千立方メートルの容量でございますが、これが近いうちに建設を目指しまして、現在詳細設計を進めている段階でございます。
  130. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そこで、いま大臣お聞きをいただいたように、地熱と石炭の液化については、サンシャインの中でもかなり進んでいるわけですね。  地熱については、当委員会が昨年の秋に東北地方に行ったときに、松川の地熱発電所を各委員が見て、これはもう少し早く進められないものかと一同思ったわけです。もちろん国立公園内にこういった地熱のもとというのか、あるということで、いろんな障害があることは事実でありますけれども、しかしいずれにしろ、これは熱量としてはとにかく世界の地熱の約十分の一が日本にあるということでありますし、もしうまく開発すれば、現在必要なエネルギーの半分ないしは一番多い数字で四倍という数字が言われているのでありますが、とれるというぐらいまで言われているわけですね。私は、これをもっと先に進めない手はないと思うのであります。いろんな障害がありますけれども、これをもっともっと開発する必要があると思うのです。  ところが主計局、この地熱発電を開発するために、一体国からはどのくらいの経費をかけて開発をやっていますか。
  131. 禿河徹映

    禿河政府委員 地熱開発関係予算といたしまして出しておりますのは、地熱の熱水有効利用といたしまして九千五百万円、それから地熱の環境調査で九億六百万円、大規模地熱発電所の環境保全の実証調査ということで、これは五十三年度新規でございますが、十二億八百万円、これを合計いたしまして二十二億九百万円計上してございます。
  132. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 一つけたが違うんじゃないかと思うくらい、われわれも完全に技術的なことはわかるわけじゃありませんけれども、しかも開発自体かなり民間がやっているところもありますから、必ずしもこれが多いか少ないかわかりませんが、いずれにしろ、いつも大蔵委員会で扱ういろんな数字から考えてみますと、ちょっと一つけたが、これだけエネルギーエネルギーと言っている割りには私は少し足りないんじゃないかと思うのです。  これはちょっと吉田開発官にお伺いをしても、技術的なこととは違いますので、お答えにくいかと思うのですが、しかも大蔵省を前にして言いにくいかと思いますが、これぐらいの開発費でいいんだろうか。これだけエネルギーエネルギーと言っておきながら、備蓄には膨大なお金をかけるけれども、肝心かなめの、しかもわが国にあるエネルギー資源について二十二億幾らなんという数字では余りにも情けないのではないかという気がするのでありますけれども、一体いまの開発の段階から言えば、先のことは別として、このぐらいあればまあまあできるとわれわれは信じていいのでしょうか。
  133. 吉田方明

    ○吉田説明員 地熱につきましては、工業技術院の新エネルギー技術開発計画の中でも、特にわれわれとして重点を置いて早期の実用化を図っていくということで、一生懸命やっているところでございます。  昨年まで一般会計で十五億ほどの予算で進めておりまして、新エネルギー、サンシャインの中で取り上げているテーマの中では特段に力を入れているわけでございます。今後資源エネルギー庁と共同いたしまして、先ほど大蔵省の方からお話がございました大規模深部の地熱の環境実証調査、これを強力に推進いたしまして、大規模な地熱開発を進めてまいりたいと考えておる次第でございまして、これは五十三年度、初年度でございまして、こういった予算でもって今後の地熱開発が期待できるのではないかと考えている次第でございます。
  134. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 もう一つ主計局にお伺いしますが、われわれも石炭産業を守るために、日本で唯一の大量のエネルギー資源だということで石石特会、御存じのとおりかなり金をかけてとにかく石炭を守ってきたわけですね。私は、ある意味では、今日まで非常にがまんをしたのが、もう二、三年たつとその芽を吹くんじゃないか。これは先ほど吉田開発官からもお伺いをしたような石炭の液化の問題、これはまだ完全に企業化するところまでいっておりませんけれども、しかし、とにかく日産一トンの石炭液化についてはソルボリシス法という、これは日本だけと言ってもいいと思うのでありますけれども、成功したわけですね。今度はどうも聞くところによると、四十トンのプラントをつくる、その次は百トンのプラントをつくるということで、石炭の液化というのも非常に有望になっているし、今日まで石炭をわが国が守ってきた成果がこれと結びつくならば、エネルギー問題としては解決がずいぶん早いのではないかという段階まで来たと私は思うのです。  石炭の液化については一体予算はどのくらい組まれているのですか。
  135. 吉田方明

    ○吉田説明員 石炭の液化につきましては、基礎研究を行っているものと、ただいまお話のございましたソルボリシスのプラント建設とがございます。五十三年度でございますと、プラント関係が二億三千四百万が政府案で盛られております。なお、その他の液化のための基礎技術等含めますと、五億九千三百万の液化の予算を計上いたしております。
  136. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 これは液化液化という限り、声の割りにはどう見ても単位が一つ違ってやしないか、もう少し力を入れてやる必要があると私は思うのです。必ずしも金を出せばそれで開発が早く進むというわけではないけれども、しかし、アメリカのアポロ計画のように、あれだけ国家事業としてやれば、とにかく宇宙に飛ばせるという技術まで開発し、その他の技術も出てくるということですね。したがって、幾ら何でもいま言われた数字はちょっと少な過ぎないかと私は思うのです。  もう一つ吉田開発官にお伺いしておきますけれども、石炭液化の問題は、まだ日産一トンの段階なものですから、まだ機械も小さくて済むわけですね。これが四十トンなり百トンになれば、いまのような予算では恐らくできないだろうと思うのです。四十倍になるか百倍になるかは別としましても、かなり巨額な資金を投入しないとさらに上の段階にできないのじゃないかと思うのでありますけれども、その点はどうなんでございますか。
  137. 吉田方明

    ○吉田説明員 ただいまのお話のとおり、現在行っておりますのは一トン・パー・デーのプラントでございまして、金額が比較的少額で済みますが、今後さらに四十トンプラントということでキャパシティーをふやしますと、キャパシティーの割りに多いということではございませんが、かなり資金を必要とするという計画になってまいります。
  138. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そこで主計局に、これはまだなかなかわからないのかもしれませんが、エネルギー研究開発費という中で新エネルギーの開発に各国とも一体どのくらいの割合で金を割いているのだろうかというような資料というのは、主計局ではつかんでいらっしゃいますか。
  139. 禿河徹映

    禿河政府委員 ちょっと私どもの手元で正確な各国の新エネルギー開発研究費というものの数字はつかんでおりませんが、ただ聞くところによりますと、たしかアメリカが非常に多額のものをこれに投入しておりますし、西ドイツあたりも相当の額を計上いたしておる、かように聞いております。
  140. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 日本は五十三年度予算エネルギー関係予算、科学技術庁関係も含めて、そのうち一体新エネルギーに対するものというのはどのくらいのパーセンテージになっていますか。
  141. 禿河徹映

    禿河政府委員 エネルギー対策費ということで全体をひっくるめてみますと、五十三年度におきまして、一般会計それから特別会計で総額五千億に相なっておりますが、その半分以上は石油石炭対策というふうなことでございまして、科学技術庁で計上いたしております原子力の平和利用関係、これが千数百億ということになっております。  先生御指摘のございますいわゆる新エネルギーの開発のための予算と申しますのは、五十三年度におきまして、一般会計のほかに先ほどありましたような特会の関係の方をひっくるめていきまして、約八十一億ということになっております。  先生の方の御指摘で、日本は大変少ないじゃないかと言われるかと思いますが、日本におきまして新エネルギーの開発ということに着手いたしましたのは、石油ショックがございました後四十九年度からで、通産省、工業技術院を中心といたしましていわゆるサンシャイン計画ということで、かなり長期にわたるけれども新しいエネルギーを開発していかなくてはいかぬということで着手され始めたものでございまして、私どもこの新エネルギーの開発のためのいわゆるサンシャイン計画ということに対しましては、その研究の発展状況に応じましてできるだけの配慮をしてまいりたい、かように考えておるような次第でございます。
  142. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 いまお聞きのように、エネルギー関係費が五千何百億のうちの新エネルギー開発が八十何億ということでありますから、本当にわずかということになるわけです。私も技術者じゃありませんから、金さえ出せば——公共事業も無理だろう、全部が消化できないだろうといって私は分析しているわけですけれども、ましてや技術開発が金さえ出せば全部片がつくとは思いません。思いませんが、いずれにしろ、どうも代替エネルギーの研究開発、開発といろいろ言われている割りには、国家体制として全体的にそれだけ新しいものをつくっていこうという迫力がないように思うのです。いまの数字を聞いてみても。これは民間も国の工業技術院を初めとする研究機関もまさに一体となって、予算の面でも応援をして新しいエネルギー、しかもかなり端緒についたいま言ったような地熱なり石炭液化なり、そんなに遠くない時期にある程度企業化できるというものも目の前にあるわけでありますから、私は、この委員会で論議された備蓄、備蓄といっていろいろな問題を残し備蓄を千何百カ所つくるよりも、むしろその費用があるんだったら、備蓄をすべてを否定しているわけじゃないけれども、そのタンクの十個分ぐらいでも工業技術院の方に回して、もっととにかく新エネルギーの技術開発というものを進めた方が国家的ではないかと思うのであります。タンクつくってみても、四分の三が利子払うだけですからね、これは余り生産的な話じゃないので、そういった意味で、大臣の所信を——五十四年度予算大臣がつくられるかどうかよく知りませんけれども、少なくもこの法案に関して、直接的にはこの財源から出るわけじゃないけれども、先ほど主税局長からお伺いをしてそれだけのゆとりが若干できたことは間違いがないわけで、五十四年度予算については、工業技術院やそれなりの新エネルギーの開発を行っているところに十分耳を傾けてしかもかなりウエートを置いてこれに取りかかるべきだと私は思うのであります。その点について大臣の所見をお伺いしておきたいと思います。
  143. 村山達雄

    村山国務大臣 私も科学技術の方はきわめて弱い方でございまして、さだかなことはわかりませんが、一般に言いまして、今後日本の産業構造が大きく変わらねばならぬ、特にエネルギー問題が非常に大事な問題であるということを考えますと、一般論と方向としては、いま佐藤委員の言われたことに賛成でございます。特にわれわれもまた聞きではございますけれども日本はどうしても基礎的研究の方に余り金を使わない、これは民間も役所もそうだという話、どこまで真理のことかわかりませんけれども、遠い先を考えて基礎的なものになかなか金を使わないということを聞いておるわけでございますから、それだけ心配しているわけでございます。今後日本が新しい産業構造を目指していく、当然のことでございますけれども、これから技術の発達、こういったところに日本の将来の運命がかかっておるように思われるわけでございますので、具体的なことはこの際差し控えさせていただきますけれども方向としてはぜひその方向でまいりたいと、このように感じを持っておることを申し上げます。
  144. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 最後に、大臣も言われるように、まさに日本の運命がかかっている問題でありますから、少し民間の研究所も国も、人員が足りなければ少し、これは直ちにこれに適応できる人が出るというわけじゃないけれども、やはり意識的にこの問題についてはより重点を置いていくということが必要だと思うのであります。  最後に主計局にお願いをしておきますけれども外国の新エネルギーの開発の費用、そしてそのエネルギー関係予算に占める割合、こういったものがどうも主計局でも余りつかめられてないようでありますけれども、これは非常に重要なことでありますので、特にアメリカ、西ドイツ、フランス、イギリス、イタリア、このあたりの予算は一体どのくらいになっているのか、少し調べていただきたい。その辺が抜けていること自体が、どうも主計局としても私はこの新エネルギー開発にまだ重点が足りぬじゃないかと思わざるを得ぬ側面の一つであります。それをひとつ要望しまして、私の質問を終わります。
  145. 大村襄治

    大村委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。  次回は、明二十九日水曜日午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時五十四分散会