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1978-03-24 第84回国会 衆議院 大蔵委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月二十四日(金曜日)     午後七時七分開議  出席委員    委員長 大村 襄治君    理事 小泉純一郎君 理事 野田  毅君    理事 保岡 興治君 理事 綿貫 民輔君    理事 佐藤 観樹君 理事 塚田 庄平君    理事 坂口  力君 理事 永末 英一君       池田 行彦君    小渕 恵三君       後藤田正晴君    佐野 嘉吉君       高鳥  修君    西田  司君       林  大幹君    原田  憲君       村上 茂利君    森  美秀君       山崎武三郎君    池端 清一君       大島  弘君    沢田  広君       只松 祐治君    山田 耻目君       貝沼 次郎君    宮地 正介君       荒木  宏君    永原  稔君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 村山 達雄君  出席政府委員         大蔵政務次官  稲村 利幸君         大蔵大臣官房審         議官      福田 幸弘君         大蔵省主計局次         長       禿河 徹映君         大蔵省主税局長 大倉 眞隆君         国税庁調査査察         部長      藤仲 貞一君         資源エネルギー         庁石油部長   古田 徳昌君  委員外出席者         公正取引委員会         経済部団体課長 地頭所五男君         公正取引委員会         取引部取引課長 樋口 嘉重君         経済企画庁物価         局審議官    水田 治雄君         厚生省環境衛生         局水道環境部参         事官      三井 速雄君         大蔵委員会調査         室長      葉林 勇樹君     ————————————— 委員の異動 三月二十三日  辞任         補欠選任   高橋 高望君     玉置 一徳君 同日  辞任         補欠選任   玉置 一徳君     高橋 高望君 同月二十四日  辞任         補欠選任   愛知 和男君     西田  司君   高橋 高望君     佐々木良作君   荒木  宏君     東中 光雄君 同日  辞任         補欠選任   西田  司君     愛知 和男君   佐々木良作君     高橋 高望君   東中 光雄君     荒木  宏君     ————————————— 本日の会議に付した案件  石油税法案内閣提出第一八号)      ————◇—————
  2. 大村襄治

    大村委員長 これより会議を開きます。  石油税法案を議題といたします。  この際、前回委員会における沢田委員質疑関連し、資源エネルギー庁古田石油部長より発言を求められておりますので、これを許します。古田石油部長
  3. 古田徳昌

    古田政府委員 前回の当委員会におきましての沢田先生の御質問に関しまして、答弁に十分でなかった点がございましたので、つけ加えさせていただきたいと存じます。  先生から御指摘いただきましたように、石油企業は他の製造業に比して借入金も大きく、また自己資本比率売上高経常利益率も低い等、体力は必ずしも強くありません。  通産省としましては、石油安定供給確保のためには石油産業経営基盤強化がきわめて重要であることにかんがみ、今後ともその体質強化構造改善推進等に努力する所存でございます。  また、石油経済社会に密着した重要な商品であるので、石油企業社会安定供給の期待にこたえ得るよう政府としましても十分な配慮を払ってまいる所存でございます。
  4. 大村襄治

    大村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。荒木宏君。
  5. 荒木宏

    荒木委員 さっそくお尋ねをいたしますが、石油製品課税ですね、灯油あるいはある種の軽油などが現行法免税措置になっておる、かように承知いたしておりますが、現在とられておる製品課税の中で、いま例を挙げましたけれども、こうした免税措置がとられておるその制度理由を簡単にまずお伺いをしたいと思います。
  6. 大倉眞隆

    大倉政府委員 現在、石油製品課税されているものと課税されていないものがあるという点は御指摘のとおりでございますが、現実課税されていないものに二種類ございまして、それは規格揮発油とか航空機燃料とかいうものに該当しないので結果として課税されないというものと、それから、揮発油ではあるけれども特別の理由があって、別途特に法律上の規定をもって免税にしておるというグループがございます。  ただいまのお尋ねは、前者の方を主としてお聞きになったのかなと思いましたけれども灯油というのは規格ガソリンにならないということでガソリン税がかからない、それから、規格軽油にならないということで軽油引取税もかからないというふうにお考えいただいたらいかがかと思います。  それから、特別の石油化学に用いられるものは、これは石油化学原料であるという意味でいまの揮発油税がかかっていない、規格上は揮発油であるけれどもかかっていない、そういう二種類あるわけでございます。
  7. 荒木宏

    荒木委員 いわゆる不課税と申しますか、課税されざる石油製品といいますか、こういったものと、それから、広い意味では一応課税対象製品と見られるけれども政策目的からいわゆる免税扱いになっておる。これは、揮発油税法自体であるいは租税特別措置法でそういう扱いになっているものがあると思いますが、私がお尋ねしたいのは、課税要件に該当しないという意味での課税対象外というのは一応おきまして、広く課税製品と見られるけれども政策免税扱いになっておる、こういったものについて、今回根っこ課税するということになりますと、全部一応かかっていくわけです。そういたしますと、製品段階、つまり出口段階ではある法律上の措置を講じまして、政策目的から免税ということにしている。ところが、入り口段階で全部かけるということになりますと、そこに広い意味政策矛盾といいますか、片や免税扱いをし、片や課税扱いというふうになるという意味で、一応矛盾するのではないかという議論もあろうかと思いますが、これはいかがなものでありましょうか、御意見を伺いたいと思います。
  8. 大倉眞隆

    大倉政府委員 ただいまの御質問の御趣旨が先ほどわかりませんで、ちょっと見当違いのことを申し上げたことになったかもしれません。おわびいたします。  製品課税をいたしますときに、一番税収的にも大きい揮発油税で申し上げますと、揮発油燃料として使うということの便益性に着目をして、揮発油を消費するということ自身課税理由にするという考え方になると思います。したがいまして揮発油税対象からは、灯火用とか厨房用等というもので先ほどおっしゃった灯油が除かれていくとか、あるいは石油化学原料ということで道路整備に直結しないというような考え方で外れていくというふうに、いままでの制度がなっておる。それに対しまして、今回石油税が提案されました考え方は、製品課税はかなり部分的である。それぞれ負担水準はいろいろございますけれども課税対象として部分的にとどまっておる。また、特別の理由をもって特定の使途に結びつけられておる。それに対して、より広く石油及び石油製品を使うということ一般の便益性に着目し、かつ、今後予想される石油対策に要する財政需要というものは相当大きいと思われるので、それはやはり石油並びに石油製品を消費しあるいは利用する方々に広く薄く一般的に負担していただいたらどうだろうかという考え方に基づいておりますので、石油税の方は、製品が何になるかということによって特別の免税をするということを一切入れないで、根元課税するのが一番いいのではないか。つまり、製品になった段階で可否を判定するのならば、それは従来方式の製品課税流れの中で考えるべきではなかろうかということで、発想の角度が違うと申し上げましょうか、違う角度から物をとらえておる、そのように御理解いただきたいと思います。
  9. 荒木宏

    荒木委員 いまの局長のお話は、一つ説明だと思うのですね。課税段階が違う、また趣旨も違う、これは御説明の限りではそのとおりでありましょう。ただ私は実際問題として、根っこでの課税がその後の転嫁ルートルートがあらかじめ決められておるというふうなことであればこれはまたともかく、それがいわば価格構成というふうなことで市場原理にゆだねられるということになりますと、確かに根っこ段階では別の時点であり、また別の趣旨だということになると思いますが、それが製品段階にいったときに、その時点での課税仕組みに背離する状態が結果として生まれてくるのではなかろうか。仕組みが全然違うのですから、違う仕組みのものを両方すり合わせてみたって、これは確かに論理は平行線をたどるかもしれません。だがしかし、決して根っこ段階での課税がそこで仕切りやついたてで遮断されるのじゃなくて、やはりおのずから水の流れのごとく税の流れがありまして、製品段階に行くわけですから、そこのところで、私申しておりますような製品段階における課税仕組み整合性を欠くような結果が出てくるのではないか、こういうことを指摘しておるわけでありまして、これは議論平行線だと思いますからこれ以上は伺いませんけれども、しかし実際問題として、そういう仕組みの上での問題点現実根っこ課税製品段階に与える影響ということが、取り扱い業者の間でも非常に大きな問題にされてきているということを指摘をしておきたいと思うのです。  関連をしまして続いて伺いますけれども、答申によりますと、これは転嫁されるのは当然だという意見もあったようですけれども、各油種の間でどのような転嫁の姿になるか、これは主税当局としてどういう予想を立てていらっしゃるかということを伺っておきたいと思います。
  10. 大倉眞隆

    大倉政府委員 ただいまのお尋ねと先ほどのお尋ねの後半と合わせてお答えすることになろうかと思いますが、私どもはやはり税の性格上は、これは石油並びに石油製品を消費しあるいは使用する方々転嫁されるべきものであろうと考えているわけでございます。その意味で、原油を生だきすればそれは電力会社コスト転嫁されていくであろう、あるいはナフサ価格の決まり方によってはペトケミ製品にもコストの一部になって転嫁されていくであろうというふうに考えているわけでございます。そこをどう考えたらいいかという点は、おっしゃるように、製品課税考え方根元課税考え方で、両者並行していいのではないかというふうに私どもは考えておるという点で御説明申し上げておるわけでございます。  さて、それならば具体的にどのような油種にどういう割合で配分されるのであろうかという点につきましては、私ども考え方は、それは需給情勢、ほかのコスト情勢など、あらゆるものが入って個別の油種価格になってあらわれてくるものであろうと思っておりますけれども、当面マクロ的に見ますと、いまの水準、あるいは最近若干値崩れをしていればその値崩れ前の水準に比べて、今回石油税が入ったから各油種の値がそれだけ上がるという状態ではないのだろう、そう考える必然性はないのだろう。その主たる原因は、前回のと申しますか、値崩れ前の値段を決めておった原因であったコスト根元にある円レートというものが、いまから見ますと相当円安水準でございますので、その点から見まして、マクロ的に見て、このために五十三年度に石油及び石油製品価格が上がって転嫁されていくというふうには当面はならないのではないかというふうに考えているわけでございますが、しかし、個別の油種なり価格体系につきましては、私からではなくて通産省から御答弁申し上げた方がいいかと思います。
  11. 荒木宏

    荒木委員 もう少し主税局に伺っておきたいのですが、ぼくは、必ず上がるんじゃないかという趣旨質問はしていないのです。もとでかけるんですから、これは空中分解して飛んでしまって雲かかすみにならぬ限りは必ずどこかへ行くわけですね。もちろんそれは元売りが企業合理化負担するというのはあり得ることでしょう、一般的には。しかし、やはりどこかへかかっていくわけですね。それが、実際の流通を所管している通産省の方は業界についてはよく御存じだと思うのですけれども、しかし主税当局として、課税、それからその仕組み転嫁ということを予想する以上は、どっとかけた荷物がどこの肩にかかっていくかということは、税制当局としても当然予想できることだと思うのです。  必ずそれで値が上がる、下がる、その市場問題はいまちょっと別なんです。千六百何がしがかぶさる。いままで一兆円を超える揮発油税がある特定製品にかぶさっている、そこへ根っこで別のやつが二割足らずふえる。これは一体どこへ行くかということは当然予想されると思うのですがね、その点を伺っているのです。
  12. 大倉眞隆

    大倉政府委員 その点は、税制当局立場でどの油種にどういうふうに転嫁すべきものというふうに予断をするという性質のものではないであろうと思いますけれども、しかし、この税を御提案している立場と申しますか、その根元にある考え方からしますと、やはりそれは各油種に均等にと申しますか、それなりのバランスを持って配分されていくことが望ましいであろう、特定油種に集中的にしわが寄るということでない方が望ましいであろうというふうには考えております。
  13. 荒木宏

    荒木委員 どういうのが望ましいか、どうお考えになっているのかというのはそれなりにわかりましたけれども、しかし実際にその望ましいという状態に果たしていくだろうか、これは実態を踏まえている通産省意見も聞かぬといかぬと思うのですけれども、しかし、およそ新しい税制をつくるときに、結局だれが負担することになるのかという見きわめは恐らく論議一つとしてお立てになるだろうと思うのです。なかなか理屈どおりにいく世の中じゃないのですから、結局はもうどこが負担していくかということになりますと、通産省には後に伺いますけれども、しかし主税当局として、どこも同じようにということは考えていらっしゃるかとは思いますけれども、なかなかそうはいかないだろう。  というのは、市場原理でも御案内のように、これは連産品価格ですから、コストをかけやすい油種とかけにくい油種とある、力関係も働きますし。そうだとすると、やはりガソリン高重油安と従来言われてきましたけれども、そういう意味で、揮発油あるいは軽油、こういった市場関係精製元売関係が優位に立つような油種にどうしても税自身集中転嫁をされていくということは想像できるんじゃないでしょうか。どういうのが望ましいかというそのあるべき姿は別としまして、実際問題として、ほかのコストと同じようにそれぞれ考えて案分して商売していくとなると、やはりいま申したような揮発油灯油軽油というところへ集中転嫁していく、重油力関係からしてかけにくい、ナフサは、輸入はいま一年間免税ですから、国産もその横並びでなかなかかけにくい、そういうふうになっていくのではないかと予想されるのですが、どうですか。
  14. 大倉眞隆

    大倉政府委員 実際にどうなるであろうかということは、まさしくおっしゃいますように、市場需給関係が大きく影響いたしますでしょうから、その点につきましては、直接の所管でございますエネルギー庁からお答えを申し上げた方がいいかと思っております。  ただ、最終的にだれが負担することになるであろうかという意味では、荒木委員とあるいは私ども見解が違うのかもしれませんが、私は、いかなる税であれ、最終的には家計負担する以外に負担のしようがないんだというふうに考えておるものでございますから、それ以外にどういう製品として家計にはね返っていくかという問題はともかくとして、最終的には、これは御議論があるかもしれませんが、法人税ですら最終的に負担するのは家計でしかあり得ないというふうに考えております。
  15. 荒木宏

    荒木委員 そういう飛躍した話を伺っているんじゃないのです。流れをやはりその局面局面で伺っているわけです。最終的に家計負担するというようなことで十把一からげの結論で済ますのなら、大体税調で、だれが負担するのだろうかとか、あるいは負担転嫁がどうなるだろうかとかいう論議をする必要すらなくなってしまうのですね。やはり転嫁の過程があるし、それから転嫁の方法があるし、それからプロセスやインパクトがあるわけですから、それを伺っているので、そういう意味から言いますと、それは通産省だということで言うのは一種の逃げだと思いますし、一方、最終的には家計だというのは、これはまた別の意味での答弁回避じゃなかろうかという感じがするのですけれども、一口で言いまして、結局一番最初に伺ったことにも関連するのですが、理屈の上ではなるほど入り口出口と分けてある。だがしかし、転嫁を予想しており、しかもその転嫁力関係によってなされるということになりますと、大体従来の価格原理から言って、揮発油だとか灯油軽油というところへ転嫁をされていくと、一つはその段階での免税仕組みということに矛盾しはしないか。それから一方、集中転嫁ということで、関係業界で言っている第二ガソリン税というふうなことに結果としてなりはしないかということを私は指摘をしておきたいと思うのです。  主税局長からは、御意見はいま聞きましたから重ねて伺いませんけれども業界実態をつかんでいるという通産省の方から、実際に転嫁がどこへ落ちついていくかということを一言伺っておきたいと思うのです。差益があるから上がるだろう、上がらぬだろうというのは、これは価格問題ですから別ですよ。
  16. 古田徳昌

    古田政府委員 今度の石油脱は、石油安定供給施策の必要となる財源のために、広く石油製品需要者全般負担を求めようとする性格のものでございますから、私どもとしましても、当該税額は各製品価格の中に織り込まれていくという性格のものではないかと思っております。ただ、実際の石油製品価格がどのような水準になるかというようなことにつきましては、それぞれ製品ごと需給動向等を反映しまして具体的に決まっていくわけでございますが、各製品市場条件の中で適切な価格形成が行われるというふうに考えております。  具体的に考えますと、課税時点でそれぞれの製品ごと需給関係がどうなっているか、あるいはOPECの六月の総会での決定がどうなるか、さらには、今後の為替動向がどうなっていくかというようなことが、その価格形成の中に織り込まれていくかということになっていくのではないかと思います。その時点でのそれぞれの製品価格体系といいますか、その間の関連がどうなっているかということにつきまして、そのような事情を反映するわけでございますが、先生指摘の点につきましては、先ほども指摘がございましたが、むしろガソリン高重油安といったふうに言われております石油製品全体の価格体系議論、つまり一般的な価格体系論ということで検討すべき問題ではないかというふうに考えております。
  17. 荒木宏

    荒木委員 余り実態を踏まえた話じゃなくて、きわめてアバウトな抽象的な話だというふうに聞きましたけれども消費者立場から見まして今度の石油税がどういう影響を与えるか、これはいろいろな見方があると思います。市場動向ども関係すると思いますけれども。ただ、いま通産省の方からお話があったように、まるきり業者任せというか、あるいはまたそれにより供給に別に問題がないというか、そういったようなことで済まし切れるかどうか。特に古い話を持ち出すわけじゃありませんけれども通産省行政指導でもって事がうまくいくというのなら、石油パニックのときにあんな大変な騒ぎは起こらなかったと思うのです。あればいろいろな事情がありますから、一概に行政措置だけを云々するということは一面的に過ぎる点があるいはあろうかと思いますけれども、だがしかし、そのことによって、一兆円を超えるような税の負担特定油種製品がかぶっている。そこへ二割近くの税が今度またかぶさっていく。これが果たしてどういう油種に集積していくであろうかということから、仮に灯油供給について、数量面価格面いろいろありますけれども、その撹乱、影響を受けるようなことがもしありとすれば、通産省はどういうふうな態度をとるか。これはいまの瞬間的な局面だけではなくて、国際的な環境も非常に大きく受ける業域ですから、そこへもってきて新税がかかっていくわけですから、もしそういう事態が起こるとすればどういう処置をとるかということ、これははっきりしておいていただきたいと思います。
  18. 古田徳昌

    古田政府委員 昭和五十年十二月に主要石油製品につきましての標準額を設定いたしておりますが、その標準額は翌五十一年の半ばに廃止されております。それ以降につきましては、原則としまして各石油製品は、市場需給動向を反映して形成されるということになっておるわけでご言いますが、灯油につきましては、民生用製品であるという性格関連しまして、私どもとしましても、従来から需要期におきます価格安定のために必要な指導を行ってきたところでございます。  昨年の十二月、OPEC総会原油価格の据え置きが決められた直後に、当時の円高消費者にも環元するようにということで、具体的に各石油会社を私どもとして指導したわけでございますが、その指導を受けまして、各元売会社灯油価格の引き下げを実施しております。そういうことで、今後につきましても、灯油価格につきましては、民生用物資ということで私どもとしましても、その動向については十分着目してまいりたいと思っております。
  19. 荒木宏

    荒木委員 この石油税新設だけが唯一灯油価格についての大きな影響を与える要因だというふうには申しておりませんですけれども、そのうちの一つとして、いま部長が言われた供給動向、それから市場の推移に十分着目して、適時適切な指導を強く要望しておきたいと思うのです。  次に、ガソリンスタンド小売業者に対する影響ですけれども、これはいま経営がかなり大変だということが声を大にして言われておりますけれども、今度の石油税新設ということも相まってどういう影響を与えるか、また、現在の業者経営状態をどういうふうに見ておられるか、通産省の方から答弁願いたいと思います。
  20. 古田徳昌

    古田政府委員 揮発油販売業経営実態につきましては、私どもの方で五十一年十二月に実態調査を行いました。その結果によりますと、当時で明らかに赤字というのが三二・六%に達しております。その後のガソリン市況等から勘案しますと、経営実態としましては改善されていない、むしろ若干これより悪くなっているというふうに把握すべきじゃないかと私ども考えておりますが、これにつきましてはいろいろな理由があるわけでございまして、基本的には、ガソリンが各石油製品の中で唯一採算油種であるというふうなことで、どうしてもその分野で各石油会社販売競争が起こりがちであるというふうなことが一つあろうかと思います。それから需要供給との関係、さらにガソリンスタンド業界自体におきます競争体質といったふうなものも反映しているのではないかと思っておりまして、私どもとしましては、従来からこの揮発油販売業体質改善のためにいろいろな手を打ってきたわけでございます。  一つは、昨年成立させていただきました揮発油販売業法の適切な運用ということで、指定地区の見直しというふうなことも検討しております。さらに、給油所建設につきましての適切な計画を実施するように各元売会社指導する、あるいは先ほど言いましたように、各元売会社販売姿勢につきましての自粛を要望するというふうなことで、従来から種々手を打ってきたわけでございます。
  21. 荒木宏

    荒木委員 しかし、種々手を打ってきたけれども、結果はいまの報告では、むしろ五十一年の調査に比べてもなお悪くなっているのではないか、こういう話のようですが、だとすると、理由はいろいろありましょうけれども、その打ってきた手が功を奏していない、むしろ増悪しているという指摘になるのではないかと思うのです。そうだとすると、全体として経営改善のためにいままでと同じようなことをしていたのでは、よくなるということはそのままでは期待できない。  そこで、そういう状態、そういう経過の上に立って、この石油税新設業界経営にどういう影響を与えると見ているのか、それからそれを踏まえて、従来効果が上がらなかった、あるいはいまの報告のようにより一層悪くなっている事態を改善するために、新たにどういう手段を講じようとしているのか、これを伺いたい。
  22. 古田徳昌

    古田政府委員 石油税新設関連いたしまして、ガソリン販売業界におきましても、この価格への転嫁の問題が当然生ずるわけでございます。これは一般的に言いますと、先ほど言いましたようなガソリンの市況対策という形で解決されていくべき性格のものではないかと思っておりますが、そのためには、私ども現在行っております幾つかの点を御説明いたしますと、先ほどの御説明と重複いたしますが、販売競争の正常化ということで、昨年の七月、九月、それからことしの二月に各元売会社を呼びまして、過当な販売競争を自粛するようにというふうなことを要望しているわけでございます。  それから、揮発油販売業法の運用に関連しましては、指定地区の見直しということで、昨年の六月に百二地区が指定されているわけでございますが、これを見直しし、さらに必要なところを加えるということで、現在実態調査を実施しているところでございます。  それから給油所の建設につきましても、五十二年度におきます揮発油販売業法の施行に関連いたしまして、各元売会社から実情を聴取し、五十三年度以降につきましても、引き続きその健全な計画の実施ということで要望しているということでございます。
  23. 荒木宏

    荒木委員 ちょっとくどいようですけれども、従来の指導や手だてがさっぱり改善の役に立っておらぬという声も少なくありません。いまの措置を精力的に進めて効果が上がらなければ、さらに効果の上がるような手だてをとるべく最善の努力をする、こういう約束をひとつはっきりしていただきたい。
  24. 古田徳昌

    古田政府委員 ガソリン市況対策は、実は問題のもとがいろいろ広範囲にわたっておりますので、いろいろな手を打つ必要があるということは私ども十分承知しておるわけでございまして、その点につきましては今後とも十分配慮しながら努力してまいりたいと思います。  なお、この揮発油販売業者の経営実態にかんがみまして、昭和五十三年度におきましては、揮発油販売業経営合理化基金というものを創設して、これに対しまして必要な財政的補助をし、各揮発油販売業者が経営の合理化なり近代化のための設備、運転資金の調達が必要になってきた場合の資金調達の円滑化を図るというようなことも努力してまいりたいと思っているわけでございます。
  25. 荒木宏

    荒木委員 時間が大分迫ってきましたので、経企庁お見えいただいて大変恐縮なんでございますけれども、ちょっと時間の関係質問を割愛させていただきますので、あしからず御了解をいただきたいと思うのです。どうも大変御苦労さまでございました。  公正取引委員会の方に伺っておきますが、いまも話がありましたように、石油税転嫁ということがある。元売りの仕切価格がどうしても値上げの通告が出るということで、一方ユーザーとの間ではいろいろ力関係その他もあって、かかってきた石油税の末端への転嫁がなかなか思うようにいかないという、ちょうどサンドイッチの関係のような状態だということが言われております。  そこで一つは、石油税新設についての組織的なPRをしたいという要望があるようであります。これは言うまでもなく、独占禁止法との関係がいろいろあると思いますが、どういった程度にまでこういう状態のPRができるのか、これが一つであります。  それからもう一つは、石油税はこれからでありますが、従来の製品課税について元売りが納税をしますのに、担保を供した場合三カ月の延納が認められております。今度の石油税法案でもそうなっております。ところが、この税金を含む、転嫁分を含む卸価格の回収については、小売の方からは大体三十日ないし四十五日で回収する。ところが小売の方は、ユーザーの方から掛け売りで二カ月から三カ月の長期の掛け売りも少なくない。そうしますと、小売段階としては、この税の実質転嫁分については立てかえ払いをしなければならぬという状態も出てくる。一方、元売の方では、その税の部分を小売から回収をして納税の猶予を受けた、短い場合には一カ月余り、長い場合には二カ月から三カ月に及ぶというのですが、その間、資金の手元での運用が可能となる、この状態改善さるべしというふうな要望がきわめて強いようであります。もちろんこの後者の点につきましては、元売と小売との間で、危険負担とか商品の回転の問題とか、あるいは従来の商慣習とかいろいろな点がありましょうけれども力関係の差異による取引の公正を害しておるという指摘がされておるということもありますので、ひとつ実態調査をして検討されたい、こういうふうに思いますが、二点について公正取引委員会から答弁を願いたいと思います。
  26. 地頭所五男

    ○地頭所説明員 第一点につきまして、私の方からお答えいたします。  事業者団体の活動につきましては、独占禁止法第八条に規定されております。たとえば競争を実質的に制限する行為、あるいは構成事業者の機能または活動を不当に制限する行為などが禁止されているわけでございます。  御質問の事業者団体による価格に関するPR活動につきましては、一般的に申しまして、その内容が価格改定の時期、価格改定の額または率等について具体的なラインを明示しあるいは暗示するようなものでありますと、そこに価格改定についての構成事業者間の話し合いないしは事業者団体としての一つのまとまった意見の形成というものが存在するのではないかという嫌疑が少なくとも生じてまいりますので、問題が生じてくるわけでございます。したがいまして、かような事態にならないように販売業界におかれましては、御留意の上PR活動を進めていただきますよう公正取引委員会立場からはお願いしたい次第でございます。
  27. 樋口嘉重

    ○樋口説明員 先生質問の第二の点についてお答えいたします。  御指摘の件につきましては、独占禁止法上の問題を検討するに当たりまして、競争政策の観点から、業界の取引慣行や経済的な合理性等揮発油取引の実態をよく把握する必要がまずあろうかと思います。また、揮発油税徴収等の問題とも絡んでおりますので、税法上の取り扱いの問題につきまして大蔵省とも十分連絡をとる必要があるかとも考えておりますので、その上で独占禁止法上の問題となり得るかどうか慎重に検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  28. 荒木宏

    荒木委員 時間の点がありますから、いまの答弁を踏まえて、あと、実際どういうふうな程度にまで組織PRというのはできるのか、先ほどこれこれはちょっとぐあいが悪いからという消極面の話があったのですけれども、積極的な内容についてはまた改めていろいろ協議をしたいと思います。  それから、取引課長の方の答弁につきましては、実態の把握ということがまず第一だと思いますが、その点については、関係団体の実情もよくつかんで、それで積極的に調査、検討を進めていただきたいと要望しておきます。  それから、厚生省見えておると思いますが、ガソリンスタンドの廃油処理に対する財政援助ですね、これについてはどういう方針になっているかということを伺っておきたいと思うのです。  五十二年度、広域処理事業基本計画についての事業費補助金、これは若干の金額が計上されておりますし、公害防止事業団の融資も進められておるようですけれども、今回の石油税の財源について、そういった面での財政支出に関して厚生省としてはどういう方針を持っておるのか、これを明らかにしていただきたい。
  29. 三井速雄

    ○三井説明員 お尋ねガソリンスタンドの廃油の処理の問題でございますけれども、御承知のとおり廃棄物処理法におきましては、産業廃棄物と申しますのは、排出事業者がみずから処理をする責任があるということになっておりまして、一般的にその処理そのものにつきまして助成をしたり補助金を出したりしてその処理を進めさせるということは、なかなかいろいろな問題点があろうかというふうに考えております。  ただ、産業廃棄物の処理と申しますのは、いろいろな点で困難なことがあるものですから、やはりその地域なりあるいは国なりという観点から、事業者をして適正に処理せしめるような基盤をつくっていくという観点から、県におきまして各種の計画をつくるということに対して、国が補助金を出したりあるいは公害防止事業団等の資金を活用するというふうなことはございます。  産業廃棄物と申しますのは、各種のいろいろな産業からいろいろな形で出てくるものでございますから、一律に論じがたい点がございます。そこで、この問題になっておりますように、考えようによっては石油税というものにあるいは財源を求めることができるかもしれないようなものもございますけれども、同じ廃油と申しましても、植物性の廃油というものもございますし、あるいはまた全然違ったメッキスラッジでございますとかいろいろな、処理が困難であるけれどもやはり企業自身が自分の負担という形で考えざるを得ないものもございます。そういったいろいろな問題がございますので、産業廃棄物をどんな形で企業に適正に処理をさせていくかという全体的な問題として検討をさせていただきたいと思っております。先生の御指摘の点もその一環として検討させていただきたい、かように考えております。
  30. 荒木宏

    荒木委員 時間が来ましたから、最後に大臣に伺っておきたいと思うのです。  寄り寄りお聞きをしてきたのですが、いまの最後の厚生省の答弁にしても、全体として指摘の点も含めて考えたいということであります。しかし、ユーザーにしてもあるいは小売業者にしても、実際に扱っておる製品の中に新しくその税負担部分が転嫁されてくる。業者にしてみると、苦労して集める税金であります。ユーザーにしてみると、揮発油について言えばいままで国際的にも非常に高い税金を負担してきて、そこへまた集中的に転嫁ということも予想されるということですから、それについての財政支出、見返りということは当然期待されてしかるべきだと思うのです。また課税自体も、当初に指摘しましたように、製品段階での免税仕組みを帳消しにするというふうな根っこ課税という問題もありますし、課税自体の問題点、あるいは歳出における妥当性という問題がありますし、特に全体として歳出面でいいますと、石炭の比率が五十一年度ですか、前内閣の一年限りは別としまして、それ以外は歴年石油と比較をして比率が低下してきている。これは省エネルギーということから備蓄という方向へ向かっておるわけですけれども、やはり全体として見て、石炭、石油の財政支出の比率の差というものは大きく、そういう面では見直しをする必要があると私どもは思っておるわけですが、そういう点も含めて大臣から所見を伺って、時間が来ましたので質問を終わりたいと思います。
  31. 村山達雄

    ○村山国務大臣 今度の石油税の創設は、御案内のように、いろいろな角度から論じられるわけでございますけれども、何よりも今後のエネルギー政策を進める上において特別の財源が必要だという理由が、私は一番強いと思っておるわけでございます。今後のエネルギー、特に石油の消費節約あるいは代替燃料あるいは新エネルギーの開発、こういったものには膨大な財政資金が要るわけでございまして、その意味で今度の石油税の創設になったものであろうと思っておるわけでございます。  それで、いまの石炭及び石油特別会計の配分は、御承知のように、いままではだんだん石油のウエートが高まっておりますけれども、私も専門ではありませんけれども、国内炭は大体二千万トンを維持する線で、ぜひそれぐらいは確保していきたい、それから鉱害に対する費用、その二つが中心になっていると聞いているわけでございますので、自然と石油の方にウエートがかかりつつあるのではないであろうか、こんなふうに考えておるわけでございます。  それから、先ほどの転嫁の問題、非常にむずかしい問題です。あるいは政策方向として一体従来のものとどうであろうか、こういう点でございますが、先ほど聞いておって、先に石油税ができて、それから後で揮発油税ができたと考えたら一体どういうことになるのであろうかと私はふと思ったわけでございます。揮発油税の方は御案内のように、道路財源ということでやっておるわけでございますので、燃料として使っておるものに求めているわけでございますので、そういう関係で、それ以外のものに使っておる原料等については免税になっておる、こういうことなのでございます。今度の石油税が、何らかの形で、いま免税になっている方にも、やはり市況の状況にもよりますけれども影響がある程度及ぶであろうということ、実際はいまの円高関係があって、行くかどうかわかりませんけれども、理論的に言えば、行ってもちっともおかしくない性質のものであろうと思うのでございます。  その場合に、一体油種別にどれぐらいのところで行くのか。非常にむずかしい円高の条件を除きますと、一体どういうふうに転嫁されるのか。おっしゃるように、やはりガソリンの方が採算がいいからそっちに行くかというと、先ほどお話がありましたように、スタンドは過密状態で、精製会社の方ではガソリンについてはもうかるけれども、流通業者の方では過当競争で出ない、こういうことでございますから、なかなかそこの転嫁関係も一概には言えないのではないかという感じがいたしたのでございます。しかし、理論的に言いますれば、やはりそれらの市場のいろいろな条件によりまして、何らかの形で転嫁を予想しておる税であることには間違いないであろう、このように考えておるわけでございます。
  32. 荒木宏

    荒木委員 終わります。
  33. 大村襄治

    大村委員長 永原稔君。
  34. 永原稔

    ○永原委員 少し疑問を持ちますので、数点伺いたいと思います。  不況の原因の最大のものがエネルギーコストの上昇、これは否定できないところだと思います。エネルギー依存度の高い化学とかあるいは非鉄金属、こういうものが国際競争力を低下させて、最近の輸出動向を見てもそれが顕著にあらわれております。ただ、三・五%というこの税率ですけれども、レートを二百五十円として、CIFベースでいろいろ換算してみて、キロリッター当たり二万二千円、三・五%ですから原油キロリッター当たり七百七十円ということになるとすると、大きくないという意見が出てくるかもしれません。しかし、「今後予想される石油対策に係る財政需要に配意して、新たに原油等に対して石油税を課することとし、」と大臣は提案理由で御説明になっていますが、いまの石油関係製品の消費動向を見ていきますと、非常に停滞しているような気がしてしようがないのです。  さっき石油部長が、製油業界体質が悪いようなことをお話しになっておりましたけれども、経済成長はなるほど五・七、五・三というような成長を遂げた。しかし、これは非常に無理をした成長であって、いろいろなばらつきがあり、均衡ある安定した成長ではないということは、大臣もお認めになっていらっしゃるとおり。そういう中で、石油精製業界が非常にアンバランスな状態になって精製をやっているわけですが、五十二年の石油の生産あるいは需要動向を見ましても非常に落ち込んでいる。こういうような状況になって、こういうものが体質改善を迫られる石油業界一つの大きなウエートとしてかかっていくのではないかという気がしてしようがないのです。  また、使用する側にとりましても、一次エネルギーに占める石油供給比率が日本は非常に高い。四十八年の七七・六をピークとして下がってきてはおりますけれども、五十年には七三・三。アメリカの四三・九、イギリスの四五・〇、西ドイツの五三・一、フランスの六四・六と比較して圧倒的に高いわけです。そういう中で、不況感がちまたにあふれているこういうときに新税を起こすことが、心理的にもまた経済的にも相当な影響を与えるのではないか、こういうような感じがいたしますけれども、大臣はどうお考えでしょうか。
  35. 村山達雄

    ○村山国務大臣 その面をおっしゃると、確かにそうなのでございますが、私は程度問題の話ではないだろうか。原油で一リッター当たり七十銭という新しい負担を求めることになるのだろうと思うのでございます。確かにそのこと自身は、負担がふえるということはだれも好まないのでございます。しかしまた同時に、そのことばかりやっているわけではございませんで、今度のようないろいろな景気対策を中心とする財政主導型のこともやり、公定歩合も引き下げ、そしてこれから景気をよくしようとやっているわけでございます。その中で、長期的に見て一番大きな問題の一つは、言うまでもなくエネルギーの問題であるわけでございます。したがいまして、このことによって今後、昭和六十年には節約しても六、七億キロリットル使うということでございますから、長期計画ができ、その財源対策の糸口がつくということは、別の意味でまた大きな安心感を与え、そしてそれがまた、企業活動に大きな活力を与えることにもつながってくるのじゃないか。だから、その辺は程度問題で、総合的に判断すべき問題じゃないかと思うのでございます。ただ、負担がなくて済めばそれにこしたことはないということだけは言えるだろうと思います。しかし、諸種の事情でこのような新税を起こさざるを得なかったということも御理解いただきたいと思うのでございます。
  36. 永原稔

    ○永原委員 大臣がいまお考えの点は、後でまたちょっと触れますので先に進めて、税調の答申を拝見しまして、いろいろな論議が交わされている様子を読みました。そういう中で、「論議を踏まえつつ総合的に検討した結果、現在の我が国における石油の税負担は諸外国に比して低く」、「また、税負担の引上げによる内外への影響は大きくない」、「石油資源の有限性及び我が国においてはエネルギーの石油依存度が極めて高い」、こういうような観点から、この税を設けるのが適当であろうというような意見が述べられておりますけれども、本当に日本の石油関係の税が安いのか、この点に疑問を持つのです。  大蔵省のいろいろな資料を拝見しまして、原油関税を含めて、あの資料は二百四十七円ですが、これを二百四十一円ベースで考えてみて、バレル当たりに換算しますと、日本が約五ドル、アメリカが特別ですけれども三ドル、イギリスが九ドル、西ドイツ、フランスがそれぞれ十三ドル、こういうようなことで、これを見ますと、確かに日本の税が安いという資料にはなると思います。しかし、観点を変えまして、国税の中に占める石油諸税、こういうものを比較してみますと、日本の比率が八・一%、アメリカが二・一%、イギリスが五・六%、フランスが六・八%、西ドイツが八・二%、西ドイツとともにまさに最高クラスに属する、こういうようなことで、石油に対するウエートが非常に高いのではないか、こういう気がするわけです。  また、石油製品別の消費割合というのは、産業形態あるいは生活様式で異なる、これは当然でございます。しかし、各国ともガソリンには税は比較的高くかかっております。だから、ガソリンの消費割合の高い国ほど石油製品一単位当たりの平均税額は高くなっております。消費構造の違いを考慮しないで、条件の異なるものを単純に高い低いというように比較するのは矛盾しているのではないか、こういうように思いますけれども、いかがでしょうか。  たとえば日本とイギリスの例をとってみまして、一キロリットル当たりのガソリン税は日本が四万三千百円、二百四十七円ベースで換算しましてイギリスが大体三万円。ところが、需要構成を見ていきますと、石油製品に占めるガソリンの割合が日本は一二%、イギリスが二三%。こういうものをベースに置いて——大蔵省の資料では、ドルで換算しますと、バレル当たり日本は四・四ドル、イギリスが六・八七ドル、こういうようになります。したがって日本は安いんだ、こういうような数字になりますけれども、日本の需要構成というものをイギリス並みの税額に換算してみますと、六・八七というのが四・七七になるのです。四・四〇と比較してそう大差はない。したがって、日本のがそう極端に安いというようなふうにはならないと思うのですけれども、こういう点についてはどうでしょうか。
  37. 大倉眞隆

    大倉政府委員 お尋ねの中の、まず全体としての負担水準がほかの国に比べて低いと言いながら、しかし、税収の中でのウエートは、日本はドイツと並んで高いではないかという御指摘がございまして、それはまさしくそういう状況でございます。ただ、これはちょうど法人税につきましてよく御議論がございますのですが、法人の税負担というのは、大体ほかの国並みだと私どもが申し上げている。そうすると、日本の税収の中での法人税のウエートというのは飛び抜けて大きいわけでございます。ほかの国に比べて。それはやはり、これはおしかりを受けるかもしれませんが、日本の所得税が安くて、日本の間接諸税が安いものですから、全体の税負担が安くて、その中で法人税だけ大体ほかの国並みだと、ウエートは法人税として高くなってしまう、そういうことを物語っているわけでございますから、その点は、間接税の中で石油関係にかなりのウエートがあり、その他の間接税がほかの国に比べて低いという日本の場合には、どうしても石油関係の収入ウエートというものは高まらざるを得ないのではないか、そういうふうに私どもとしては考えるわけでございます。  それから、第二点の消費構造に応じて比較する、それを各国それぞれの消費構造に応じて各国それぞれの税率を乗じて総負担を比較する、それはやはりやり方としては、それぞれの国で一体石油というものがどう使われており、それに対して税という形で幾ら負担しておるかということでございますので、やはり比べ方の基本はそれが妥当なのではないだろうか。もう少し角度を変えて申しますと、もし日本の消費構造と同じような消費構造に外国を置き直してみるということがどういう経済的意味を持つのであろうかという点には、正直に申し上げて、私ども若干ちゅうちょを感じるわけでございます。  しかし、そういう御質問があるということでございましたので、一応計算はいたしてみたのでございますが、先ほどおっしゃいました数字とちょと違うようではございますけれども、大勢としてやはり日本の総合的な石油関係負担というものは、おっしゃったような再調整を加えてみましても、アメリカはやはり別としまして、ヨーロッパ諸国よりは低いという事実は大きくは動かないようでございます。
  38. 永原稔

    ○永原委員 二番目の内外への影響が少ないということですけれども、差益は一時的であり、税は恒久的、いずれ税は製品にかぶってくるでしょう。さっきお話がちょっと出ましたけれども原油の生だき、これも重油を三千八百七十万キロに対して生だき分が二千二百万キロ、大体五分の二ぐらいが原油生だきになっている。こういうようなことから見ますと、かなり電力料金にはね返るおそれがあるなという気がしますが、影響がないでしょうか。  また、これは外への影響ですけれども、先日の大倉主税局長お話で、一国のみの措置ではOPEC全体の判断の資料にはならないだろうというような御指摘もございました。安定確保のために輸入先が非常に多様化しておりますので、本当にそういうところで影響がないかどうか、その点お伺いしたいと思います。
  39. 大倉眞隆

    大倉政府委員 お話の中にございました、為替差益というのはしょせん一時的なものではないか、それは一つの観点であろうと思いますが、一時的であるということの意味であろうと思います。つまり、価格が全く下がらないままで円レートが現状のような形でもし推移するとしますと、それはいつまでたっても利益は残るわけでございます。それに対応して価格が下がりますと、それは本来あるべき姿だと私ども思いますが、そうなれば差益は非常に還元された。一遍はっきりとそうなった上で税の分を改めて転嫁するということの方が消費者なりユーザーにはわかりやすいであろうということを私どもとしては考えますが、しかし、わかりやすいからといって、具体的に各油種価格がそういうふうに計算どおりに物差しではかったようにもなかなかまいらないでございましょう。しかしいずれにしても、一時的というのは、そういう調整が終わればなくなるという意味でございまして、調整過程というのは、やはりいまの状況でございますれば、原油価格の変動の要素を別にいたします限り、円高になれば本来価格が下がるべきもの、その調整が終われば差益はなくなるもの、そういう意味で一時的ではあると考えます。  ただ当面の問題は、石油税の導入によって価格石油税分だけいまのレベルより上がってしまうかという問題、それはそうはならないでございましょうというふうに申し上げておるわけでございます。  なお、電力料金の問題は通産省からお答えした方がよろしいかと思います。  外国への影響でございますけれども、まず先進国側にどういうことになるかという点では、先進消費国の方はそれぞれ何らかの形の石油税負担の増加というものを実施をしており、また提案をしているということで、日本だけが変なことをやっておるということにはならないであろう。それから、産油国側がどう受け取るであろうか。それは、産油国として歓迎するという立場には事柄の性質上恐らくございませんでしょう。しかし、私の考え方としましては、国際カルテルで決まっているいまの価格を一番大きく左右するのは政治的、軍事的な問題であって、消費国側で若干の幅の負担の増減があったから直ちにそれを価格に反映させていくということまで考える必要はないのではなかろうかというふうに思っているわけでございます。
  40. 永原稔

    ○永原委員 それから三番目に、「有限性」という言葉が使ってありますけれども、有限性の持つ意味は、安定確保の意味と省エネルギー、この気持ちが含まれているのではないかと思いますけれども、安定確保のためには、これは備蓄の問題がありますので後で触れます。  省エネルギーについてば、これは坂口委員が先日御質問になりました。いろいろ調査会の答申を見ますと、確かにエネルギーの価格弾力性というのが示されています。エネルギー価格が一〇%上がったときに需要は一ないし三%減にしかならない。そのくらいは減る。しかし、エネルギーの所得弾力性が価格弾力性を上回るから需要抑制効果は打ち消されるというようなことが書かれていますけれども、こういうようなこともあわせ御検討になった上の「有限性」という言葉でしょうか。
  41. 大倉眞隆

    大倉政府委員 「有限性」という言葉が用いられておりますその局面での御議論の背景はやはり、だからほかのエネルギーへの転換とかあるいは緊急の場合に備えての備蓄とかいうものが非常に必要で、そのために今後石油対策を中心にした財政需要がふえざるを得まいというふうにつながっていると私は理解しております。したがいまして、後ほどお尋ねになるとおっしゃったそちらの方の問題にむしろ直結しております。  省エネルギー効果は、それはこのことによって直ちに価格を通じて節約になるであろうというふうな期待を持っているわけではございません。非常に大幅な価格変動がございましても、おっしゃるように、石油というものの特殊性からして、価格のみによってその消費が大きく左右されるということは期待できないという性質のものであるように私ども考えております。したがって、今回の石油税新設が省エネルギー、石油の消費節約ということを直接の目的としておるというふうにはとうてい申し上げられないと思います。
  42. 永原稔

    ○永原委員 関税率審議会においてずっと原油関税についての意見が述べられて、基本的には無税であることが望ましい、大分長く続けてこう言われておりましたけれども、こういうものについて税調ではどういうような御検討をなさって調整なさったでしょうか。
  43. 大倉眞隆

    大倉政府委員 関税率審議会でかねてからそういう御意見が強いということは、税制調査会の各委員も十分御承知でございました。税制調査会での御議論では、答申で永原委員よく御承知のような、実にいろいろな角度からの積極、消極両論がございました。ただ大勢としまして、今後予想される石油対策に対する財政需要を考えれば、やはり石油及び石油製品を通じて広く一般にそれを利用し、消費する方に負担を求めるということは、この際やむを得ないであろうというのが結論になったわけでございます。その税率をお考えいただきますときに、原重油関税についての関税率審議会の考え方というものも微妙に影響しておりまして、実質三%程度の税率を考えよう、しかしこの機会に、五十二年度に暫定増税をした百十円の原重油関税は引き下げよう、いわばそれを振りかえて三・五にしようではないかということで、関税率審議会のかねてからの御意見との微妙な調整が行われておると御理解いただきたいと思います。
  44. 永原稔

    ○永原委員 原油の関税も従価税を三十六年に廃止して従量税にお変えになった理由は何でしょうか。
  45. 大倉眞隆

    大倉政府委員 私も当時の経緯を詳しく存じておるわけではございませんが、聞いておりますところでは、やはり技術的に簡便だという理由がかなり大きかったようでございます。
  46. 永原稔

    ○永原委員 先ほど申しましたように、安定確保をするために輸入先が多様化しているのは当然だろうと思いますけれども、アラビア、イラン、イラク、インドネシア、マレーシア、さらに最近は中国の大慶からも輸入している。そういう中で、これは契約で最初に元値が決まりますから、そういう地先の価格のばらつきというのはある程度つかむことができるでしょうけれども、運賃とか保険料、関税、そういうものにさらに三・五%の石油税を課すということになりますと、幾ら申告ベースに切りかえてあるというものの、現実に事務量もふえるだろう、一体増員を伴わないのかな、こういう気もしますし、また運賃も、一つの港に全部揚げてしまうのじゃなくて、タンカーがあちこち寄って揚げてくるということになれば、そういうものの判定というものも何か基準でも設けなければ困難になるのではないか。いまお話がありますように、非常に繁雑になるおそれがあるのですけれども、あえてそういうものに対して、この従価税で対処できるでしょうか。
  47. 大倉眞隆

    大倉政府委員 ただいま御指摘の点は、技術的とは言いながら、やはり大変重要な問題でございますので、私どもも今回、従価税で御提案をいたしますまでにずいぶん部内でも議論をいたしました。  結論的に申しますと、関税局と十分愚見交換をいたしたわけでございますが、皆の経験もあり、今後の消費税というのはやはりできるものから従価税体系に切りかえていく方がいいという全体の流れに即して言えば、この新税創設の機会に、技術的になれている、簡便だというだけで従量税にスティックしない方がいいというふうに関税局としても判断してくれまして、とにかく執行可能であるし、またしかし、現実に納税義務者になります輸入業者というか石油精製業者と申しますか、要するに石油業法上輸入業者になる方々の御意見も聞きながら、一括月まとめ申告という特例も設けるというふうにいろいろ工夫をいたしております。  なお、実際上の執行上の問題につきましては今後とも、まだ御審議いただきまして実施に移るまでに若干の余裕もございますことで、十分関税当局と、また実際に輸入を扱っておられる方と御相談をしながら、無用な混乱を起こさないような配慮をいたしていきたいと思います。
  48. 永原稔

    ○永原委員 輸入総量もだんだん省エネルギー、転換ということで減ってくるでしょうし、ただ片方では、単価はOPECなどが引き上げをしていくでしょうから、従価税にする方が財政収入がふえるということはよくわかるのですけれども、非常に事務的に大変だと思いますが、いまお話がございましたので、ぜひ粗漏のないようにやっていただきたいと思います。  次に、いまわれわれが車に乗りますと、ガソリンスタンドに入ると、百円のガソリンがある、あるいは百二十五円のガソリンがある、非常に市況が乱れているわけです。これは精製業者の生産が需要をはるかに超えて販売網を乱しているためだ、こういうように考えられます。いろいろ経営を合理化し、安定供給を図るということで、石特会計に百十六億の補助を計上してある。努力している跡は見受けられますけれども、問題は石油業法に基づく供給計画にあるのではないかという気がするのです。  先ほど触れましたように五十二年の内需の供給計画、ラウンドで申しますと二億三千九百万キロリッター、それに対して上期の内需が一億五百十万キロリッター、下期、昨年もだんだん減ってきておりますけれども、そういう割合で見ると、ことしの内需の供給計画は大き過ぎるのではないか。一年に一度だけこういう供給計画を上期、下期に分けてつくっても、現実需要動向に合わせて調整をしていく必要があるのではないか。むしろ四半期ごとに供給計画をつくる、そういう方法でだぶつかないような生産を図っていくことが必要ではないだろうか、こういう気がするわけです。  そういう点と、それから、この三月にまた新しい五カ年の供給計画をおつくりになりますけれども、今度の経済成長率は七%ということで国は一生懸命やっていらっしゃる。この七%をまず頭に置いた供給計画だと必ずや過剰になろうと思います。こういうものに取り組む考え方はどういうようにとっていらっしゃるのか。結局、経済成長率とバランスがとれて——現在石油の消費が進んでいない、こういう実態を踏まえたときに供給計画をどういうようにおつくりになろうとしているのか、お考えを伺いたいと思います。
  49. 古田徳昌

    古田政府委員 確かに最近のガソリン市況は非常に乱れているわけでございます。ただ、昭和五十二年度の石油製品需要を全体として見ますと、上期は供給計画に比しまして約二%程度落ち込んだ姿になっておりますが、ガソリンにつきましては、上期計画千五百三十三万キロリットル程度、実績が千五百三十五万ということで、計画と実績がほとんど合致しております。下期がどういう姿になるか現在のところまだ明確でございませんが、このガソリン市況につきましては、この需給関係というよりもむしろその背景にあります。ガソリンのみが採算油種であるというふうな実態、あるいは元売り、揮発油業界といったところの過当競争といったふうなものがあるのではないかと思います。したがいまして、私どもとしましては、この供給計画につきまして、実態を十分反映した合理的なものにするという努力はいたしますが、同時に、ガソリン市況対策としましては、その他の面でも各種の手を打ってまいりたいと考えているところでございます。  なお現在、石油業法によりましても、経済事情の著しい変動のため特に必要があるときは、年度の途中でも供給計画を見直すという形になっておるわけでございまして、この辺につきましては、十分実態を見まして、必要な措置はとるということで考えてまいりたいと思います。  なお、五十三年度の供給計画につきましては、現在策定作業中でございますが、先生がおっしゃるとおり、七%との関係が非常にむずかしい問題としてございます。ただ、石油製品供給計画をつくります場合の需要の算定でございますが、これは各製品ごとにそれぞれ積み上げ的な手法で行っておりますので、石油製品需要見通しとしては実態を反映した形のものになるというふうに考えております。
  50. 永原稔

    ○永原委員 それでは、七%にはこだわらないで、消費の実態に応じた計画ということで理解してよろしゅうございますね。
  51. 古田徳昌

    古田政府委員 もちろん、経済全体の成長率との関係は、それぞれの製品需要見通しを策定する場合に前提の数字として入ってくるわけでございまして、そういう関係で両者の関係はついているわけでございます。この石油供給計画は、ある経済規模を前提としまして石油の安定的な供給の確保ということのために行うわけでございまして、そういうことで私どもとしましては、それぞれの製品ごと事情、全体の生産動向との関係等十分実態把握いたしまして、合理的なものにつくりたいと思います。  なお、この供給計画につきましては、私どもの方で案はつくりますが、最終的には石油審議会にお諮りいたしまして、その答申を受けて決定するものでございます。
  52. 永原稔

    ○永原委員 時間がだんだん迫ってきましたので……。  供給計画が本当に一年こっきりでいいのかどうか、一年間の分を予測して決めてしまって、それで終われりとするのでは、実際の需要と乖離する事例が非常に多うございます。過去の例を見ても、四十五年と四十八年だけが計画を上回った生産、需要ということになっておると思いますけれども、そういう点について、十分細分して検討する必要があるのではないかという意見を申し上げておきます。  次に移りまして、備蓄の問題ですけれども、今後の総合エネルギー政策を推進するための財源として石油税が設定されることになろうとしています。いま石炭石油特別会計を見ますと、一般会計の税収は石油税千六百二十億、それに対して石油勘定に計上される歳入は千二百九十五億、まだ三百二十五億ほど余裕がありますけれども、いずれ備蓄の問題を考えていきますと非常に大きな財政支出を必要としてまいります。ところが、これを受けていく特別会計法は五十六年度までということになっていますけれども、安定した今後の石油対策というものを進めるためにこの特別会計法を延ばすのか、一般会計でやるのか、その辺について大臣はどうお考えでしょうか。
  53. 禿河徹映

    禿河政府委員 先生指摘のとおり、このエネルギーの供給を安定的に確保するというのは、わが国にとって大変重要なことでございますし、特に当面の問題といたしましては、石油の備蓄を増強していく、これは大変重要なことであることも御指摘のとおりでございます。  私どもは、そういうふうな事情を踏まえまして、今回石油対策を拡充するということで石油税の創設をお願いいたしておるわけでございまして、そういうふうなことによりまして、石炭石油特別会計の財源をこの石油税と原重油関税で賄っていきたい、かように考えておるわけでございます。  ただ、将来の問題といたしまして考えます場合に、現在総合エネルギー調査会におきまして、将来のエネルギー財源の問題も含めまして検討をなされております。私どもといたしましては、その辺のところを踏まえまして、関係省庁とも十分協議しながら、その財源等の問題につきましても検討を進めてまいりたい、かように考えておるような次第でございます。  なお、この石炭石油対策の特別会計の期限でございますけれども、これは御指摘のとおり、昭和五十六年度までに一応廃止をするという現行法になっておりますが、その間におきまして、五十六年度までに鋭意石炭並びに石油の対策を推進していきたいと考えておりますが、その時点におきまして、さらにいろいろ石炭関係の臨時措置法等の期限切れも迎える点もございます。あわせてそういうことも検討いたしながら、この特別会計の期限ということにつきまして、その時点で十分慎重に判断いたしたい、かように考えております。
  54. 永原稔

    ○永原委員 備蓄というのは実際の扱いはどうなるのかなということで疑問があります。輸入原油を普通製油業者が使う場合に、自分のところで備蓄をしているというのは、タンクを特に指定するんだろうかな、こう思うのですが、製油するまでは関税も石油税もかからない。実際運用していくときには、そのタンクから出したのかあるいは一般の回転するタンクから出したのか、現実にはわからない場合が多いんじゃないかと思いますが、そういう点はどうでしょうか。
  55. 大倉眞隆

    大倉政府委員 私どもがいままでの検討で聞いておりますのは、いわゆる備蓄原油はすべて保税地域内に備蓄される。したがいまして、石油税、あるいは原重油関税もそうでございますが、課税は保税地域から引き取るときに行われますので、備蓄している間はまだ税が課税されない状態であると理解いたしております。
  56. 永原稔

    ○永原委員 この前も御説明がありましたけれども、共同備蓄株式会社をつくって今後の備蓄をするということですけれども、いつどこでどのように引き取るのか、その点が非常に疑問になるんです。備蓄期間というのは一体制限がしてあるのだろうか、引き取るときの価格というものを考えてみて、スムーズに引き取られるかなという疑問が出てくるのですけれども、購入価格に関税や石油税を加え、それに金利を加えて割り出していきますと、かなり高いものになってまいります。石油開発公団が利子補給をする、そのために石特会計から百四十億補給金を計上するというような歳出予算が見受けられますけれども、それで利子補給をやっても、実効金利は二・六%ぐらいになるでしょう、それを加えていった原油価格というのは非常に高くなるだろう。そうすれば製油業者は恐らく引き取らないのではないか、そういうような気がするのですが、この備蓄というのは、最初に言いましたように、一体どのくらいの期間、そして使用についても何か制限があるのか、引き取りもスムーズにいくだろうか、そういう点どうでしょうか。
  57. 古田徳昌

    古田政府委員 共同備蓄会社構想で行います場合には、それぞれの石油会社が参加しまして、自分の原油をそこに入れておくわけでございますから、引き取りの問題は生じないかと思います。ただ、石油開発公団が国家備蓄として実施しました場合には、一定期間後には国内市場に売却するということもあり得るわけでございます。特にタンクにつきましては、五年に一回の開放点検ということが義務づけられておりますので、少なくともそのときには油を外に出す必要があるということでございます。これにつきましては、エネルギー調査会の石油部会でその取り扱い方式等についての御審議をお願いしているわけでございますが、販売価格につきましては、その時点での時価ということで考えるということを原則としているわけでございます。
  58. 永原稔

    ○永原委員 共同会社は製油業者が参加してつくるから、自分が必要なときに引き取るということになると、備蓄の意味がないような気がするのですけれども、そういう点はどうでしょうか。それと、時間がありませんので引き続いていきます。  いまお話しの公団備蓄、これは五十三年度に千四百九十九億計上されております。これは基地を建設し、タンカーの原油購入代だというように設明を聞いておりますが、そのタンカーの五百万キロリットル備蓄、これを見ますと、船舶安全法でいけば、四年に一回検査をしなければならない。二年に一回は中間検査をする、積み荷を開放してドック入りをするということになれば、五百万キロリットルを積んだタンカーは二年しか積んでいられないということになってしまいます。仮に二十万トンタンカーとしても二十五隻も要る。これは黒字減らしには役立つでしょう、また、用船料が払われますから、海運業界にはプラスになるだろうと思いますけれども現実にこういうタンカー備蓄というのは、停泊地も問題だろうと思うのです。二十万トンタンカーと言えば、どこの港でもいいというわけではございません。水深が非常に深い特定の港でなければならなくなってくる。係留方法とか、あるいはいつ出港してもいいような台風などに備えた乗員対策も必要になってまいります。漁業調整も必要でしょうし、あるいは海洋汚染の心配もございます。そういうようなことを考えると、本当にタンカー備蓄というのは意義があるのかなということで疑問を持ちますが、そういう点いかがでしょうか。
  59. 古田徳昌

    古田政府委員 まず第一の点でございますが、特定のタンクの中に入っている油を何年間備蓄しておくという考え方ではございませんでして、ある一定量の石油を精製している会社がどれぐらいの量を常時タンクの中に保有しているかという関係で、たとえば九十日分保有しているかあるいは百日分かというふうな計算をするわけでございます。したがいまして、タンクの中野は必要に応じて入れかわるということでございます。  それから第二の点でございますが、タンカー備蓄につきましては、公団備蓄、五十三年度以降恒久タンクの建設により実施したいと考えております国家の備蓄でございますが、この公団備蓄の一環といいますか、前倒しといいますか、そういう形で備蓄体制が整うまでのつなぎ的な措置ということで、五十三年度以降タンカー備蓄をスタートさせたいということで考えているわけでございます。  このタンカー備蓄の実施につきましては、まさに先生指摘のとおり、泊地の問題あるいは安全防災対策の整備の問題、その他いろんな問題があるわけでございまして、現在これらの問題を解決するために、関係省庁によります合同委員会とか、あるいは関係業界の専門家から成ります実施委員会とか、さらには泊地の調査を進めるための日本タンカー石油備蓄協会の発足といったふうなことで体制を整えて現在準備中でございます。  なお、タンカーに入れました原油につきましては、タンカーの検査のために二年に一度出す必要があるということでございますが、これにつきましては、それの時点までに陸上タンクが完成しておりました場合には、陸上タンクに当然のことながら移しかえるというわけでございますが、そのつなぎがうまくいかない場合につきましては、タンカー備蓄を継続する、他のタンカーの用船によってこれを引き継ぐというふうなことも検討されることになろうかと思います。
  60. 永原稔

    ○永原委員 最後に一つお願いします。  いまお話しのように、陸上施設に移すといっても、一千万キロリットルの設備備蓄というのは、五十五年から二百万、五十六年が五百万、五十七年が三百万という計画だと承っていますけれども、実際に間に合わないと思いますので、いまのお話で一応了解します。  それで、とにかくこの一千万キロリットルを建設するのに七千四百八十七億ですか、うち原油代が二千五百億、こういうものを差し引いて五千億のタンク建設や土地代が必要なんだ。非常に御苦労なさっている様子は、石油開発公団の予算を見てもわかります。ただ、結論を急ぎますけれども、四千八百七十億のいろいろな予算を石油開発公団に計上されておりますが、そこに繰り入れられている石油勘定からの金額は九百四十二億、総額の大体五分の一ぐらい。先ほど総合エネルギー計画について財源もあわせて調査会の方で検討しているというようなお話がございました。そういう中で解決されるべき問題かもしれませんけれども、この三・五%という税率は氷山の一角、将来こういうものに備えて非常に多額の経費を要するというような実勢が見受けられるだけに、増税ということが考えられるのではないかという気がするのですけれども、そういう点についてはいかがでしょうか。
  61. 大倉眞隆

    大倉政府委員 私ども今回の税率算定を議論していただきましたときには、一応いままでのエネルギー調査会の資金分科会の御議論も参照にはさしていただいております。ただ、将来の展望といたしましては、あの試算もまだかなり流動的でございましょうし、やはりそのときどきに応じましてどの程度追加的な財政需要が出てくるのか、これはいまのところはっきりした見通しはなかなか立てにくい。したがいまして、やはり各年度の財政事情を考えながら、しかし必要な財政措置は講じなくてはならないわけでございますから、その財源を石油税に改めて求めるのか、それとも苦しい中でも一般財源を投入した方がいいのか、やはりそれは各年度の情勢を総合的に考えて、その時点で最もいいと思われる手段を探していくということにならざるを得ないかと思います。
  62. 永原稔

    ○永原委員 終わります。
  63. 大村襄治

    大村委員長 次回は、来る二十八日火曜日午後五時理事会、午後五時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時四十分散会